歩兵道 (yudaya89)
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第01話『歩兵道』

 この世は女性優先社会

 

 常にトップは女性

 

 男性は二の次の世界

 

 

 

この世界の現代日本において、男性は女性より立場が低い。家事は男性の成功を生み、育児は有能者を生み出す。男性の成功は女性の成果である。社会の成功者はその母親が成功者である。逆もありえることだ。 

 

 しかし男性の中には女性よりも優秀であると考える者も居る。しかしそれは傲慢と言うものだ。結局その者の私生活は女性無しでは成り立つものでなく、一人暮らしの男性は家事、洗濯等を疎かにする傾向を示し、結果遅刻、体調不良が目立った。

 

 

 かつて世界大戦においては男女問わず徴兵され、体力のない女性は戦車、男性は歩兵となり戦った。終戦後、とある流派が「戦車道」という武道を発足し、瞬く間に世界に浸透した。しかし戦車道には男性は参加できず、参加しようものなら、四方から凶弾された。そんな男性への扱いを改善、男性の地位確保のため『歩兵道』が発足した。しかし歩兵道は『危険』であった。何十トンもある戦車が相手であるのだから当然である。また女性に対する冒涜であるとみなされ、男性は死んでも女性は罪にならないとルールが成立された。

 

①戦車道、歩兵道、殺したほうは罪に問われない

②遠距離(15m以上)からの攻撃は無効とする。

③敗北条件は双方戦闘継続が困難となった場合(敗北宣言は無効とする)もしくは白旗での降伏とする

④歩兵道が持ち込む武器に関しては制限を設けない。しかしミサイル、破壊力のある爆発物等は不可とする

⑤人間への銃、砲撃はライオット弾を使用する。破壊目的では実弾の使用を許可する。

など

 

 

 戦車道が有利になるルールが設けられた。それでも女性に挑んだ男性も居た。しかし現代社会までただ一度も歩兵道が戦車道に勝利した事は無い。

 

 

 

 『・・・勝者・・・歩兵道・・・』

 

 しかしそんな男性を取り巻く環境が一遍する事件が発生した。勝利したのだ、歩兵道が戦車道に勝利してしまったのだ。日本中の男性が歓喜した。自分達の地位が、扱いが変わるかもしれない、変えられるかもしれない・・・そんな気持ちを心に持った男性達は再び歩兵道をはじめた。

 

 

 この物語は、そんな志しを持ち、日本を変えようとする男性達とは、まったく関係ない気持ちで歩兵道を受講している男子生徒の物語である。

 

 

 

 

 

 その男子生徒は、小学校3年生まで普通だと自分でも思っていた。しかし事件が起こった。女子生徒同士のいざこざからイジメに発展し、遂には双方の両親が学校に呼び出される自体となった。その時偶々学校の行事で残っていた男子生徒は、ある光景を目にしてしまった。何時もはプライドも高く、お高くとまっている女子生徒が両親にこってり怒られて、鼻水を流しながら号泣し、ごめんなさいと誤っている姿を。

 

 通常ならここで、可哀想、自業自得などの感情が出るはずだが、男子生徒は違った

 

 

 

 『可愛い』

 

 

 女子生徒の姿を見て『可愛い』と感じてしまった。しかしその後女性の泣き顔をみてもそのような感情が表れることは無かった。

 

 

 事態が一変したのは中学1年生のときであった。一人の女性生徒にイジメを受けた男子生徒は、証拠を集め、相手の両親の前で全てを暴露、女子生徒の悪事を暴いた。お金で全てをなかった事にしてくれと悲願する相手両親と女子生徒に対し、『この証拠を世間に晒し、お前の未来を潰す』と中々の陰湿な言場を浴びせた。そしてこの時、男子生徒は何故か女子生徒に性的感情が芽生えてしまった。

 

 

 この女を犯したい

 

 

 征服したい

 

 

 この顔をもっと見ていたい

 

 

 

 

 

 我に帰り自分は異常であると認識した。試しにアニメキャラで気の強い女キャラが乱暴され、屈服されている同人誌等を検索しオカズにした所、今まで感じたことのないオーガズムを体験した。

 

 

 そう気の強い女性が屈服された場合の表情に性的感情を持つという特異・・・いや変態性をこの時知ってしまった。その性癖が原因で事件を発生させ、他人に危害を与えたことはなかったが、突如としてやってくる衝動を押さえ込むには10回のオーガズムが必要であった。

 

 

 そんな時、歩兵道の話を聞いた。要約するとルールの範囲内で戦車を戦闘不能にする。戦車道を行う女性の殆どは男性に負けるはずが無いという考えでありプライドが高い場合がある。

 

 

 

 『俺にピッタリの武道じゃないか』

 

 

 

 それから通学する中学に歩兵道があるか確認したが、歩兵道ではなく歩兵同好会は存在していた。日本中が歩兵道の話題で持ちきりだが、やはり危険性については今直高く、実際に参加するものは少ない。代わりに、装備開発や作戦の考案等が主になっていた。理論だのロマンを追いかける男性が主に歩兵道を行っていたのが現実だった。

 

 

 

 

『俺には目的がある(女子の泣き顔をみるという)』

『だから俺を使ってくれ(間近で泣き顔を見るために)』

『頼む(マジで)』

 

 

 そしてその言葉に感化された同好会部員はこれまでの成果である装備、作戦を彼に託したのだった。

 

 

 

 それから1年後

 

 

『許して!!!』

『いや!!!!!!!』

 

 一両の戦車が暴走していた。しかしこの戦車はただ暴走してるのではない。歩兵同好会との試合中なのである。しかし暴走している。指揮官である女性生徒は冷静を失い唯泣き叫んでいる。他の砲手、操縦士においても同じである。何かを戦車から振り払おうと戦車を横に大きく振る・・・何度も何度も。そうしているうちに、戦車の足回りが損傷し走行不能となってしまう。しかしルール上まったく問題はない。

 

 走行不能となった戦車の中で指揮官の女子生徒が白旗を外に出そうと、ハッチを開け様としたが・・・開かない!!何度も押したが・・・開かない。なんで!!どうして!!彼女は原因を考えようとするが、

 

『コン・・・コン・・・コン・・・』戦車の上で鳴る音が、その思考を遮る。

 

「何の音・・・?」

「解かりません!!!」

 

 

 

『コン・・・コン・・・コーン』

 

 

 

「何?何!!何なのよ!!」

 一人が混乱するなか、冷静さを取り戻した女子生徒が

 

「これ・・・装甲の薄いところを確認していたんじゃ・・・」

  

 その時だった

 

 轟音と共に彼女達の数cm前の座席に何かが打ち込まれた・・・そして見てしまった。ハッチに開いた穴から覗く目を

 

 

 そして彼女達の悲鳴を消し去るかのように轟音が鳴り響き

 

 

 

 

 

 

 

 

 『勝者・・・歩兵同好会・・・』

 

 

 

 

 

 後に男子生徒はこう言われるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『命を捨てた大馬鹿者』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 戦車にひき殺される夢を見ました。その影響でパンプキン・シザーズを見てしまい、思いつきで投稿しました。

 後日文章等の改訂を行う予定です。



 勿論続く予定は・・・・・不明です。


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第02話『初陣』

 

 

 

 男子生徒の所属する中学校には歩兵同好会が存在している。

 

 同好会には、戦略、武器開発、情報収集、心理戦などを得意としている4人の生徒が所属しており、彼らは日々戦車打倒のためにいくつもの戦略、戦術を考察し、それに必要である武器を考案、そしてその作戦などが適切である戦車道の情報を収集した。そして戦いの最中である人間の心理状態を考察し、戦術プロセスをくみ上げていった。

 

 

 しかし彼らには足りないものがあった。「度胸・根性・忍耐」である。戦車道と歩兵道には明確な差がある。戦車道は死亡率は極端に低い、しかし歩兵道は死亡率、致死率ともに高い水準となる。

 

 戦車に立ち向かう・・・根性

 

 恐怖に立ち向かう・・・度胸

 

 女性や世間からの批判に耐える・・・忍耐

 

 

 この3つが歩兵道には必要であり、彼らは忍耐はあったが、残りの2つについては持ち合わせていなかった。よっていつも彼らが話し合った結果「机上の空論」どまりであった。しかし転機が訪れる。

 

「俺には目的がある」

 

「だから俺を使ってくれ」

 

「頼む」

 

 

 その男子生徒は同好会の扉を開けるなり、そう叫んだ。理由を聞いたところ、自分にはこの歩兵道しかない等

 

 

 それを聞いた男子たちは奮起した。こいつしか居ない。こいつしか俺達の夢は託せない!!それまで部屋の隅で眠っていた戦術・戦略が記されたノートを再度まとめあげ、埃をかぶった試作の武器をかき集め、人間心理学と合わせ再度試作武器の作成を開始、歩兵道と対戦可能な戦車道チームの再調査を行い、1ヶ月後に対戦が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 「歩兵同好会対戦車道の試合を開始します!!礼!!」

 

 

 今回歩兵が持ち込んだものは、大型拳銃1丁、装甲貫通用の実弾16発、ペイント弾10発、発煙弾8発、大型の工業用ハサミ1つ、ウインチなど。

 

 彼の装備を事前に確認した職員は驚きを隠せなかった。何故なら彼の装備は全て、戦車への遠距離を想定したものではなく、近接戦用の装備であった。幾ら大型の拳銃であっても、戦車に密着して発射しなければ装甲を貫通させる事は出来ない。過去に唯一戦車道に勝利した歩兵道の装備は遠距離装備であった。そのため職員は彼に装備の変更を提案したが、「問題ない」と一言だけしゃべって、検査場を後にした。

 

 

 

「歩兵は、好きな場所へ移動して下さい。準備が完了次第、連絡お願いします」

 歩兵に関しては、自分たちの好きなところから開始する事が出来る。これは歩兵に対する戦車道からの「ハンデ」である。しかし

 

「俺はここから開始する」

 男子生徒は戦車から15m離れたところに立ち、そう言い放った。歩兵道が発足し、早数十年・・・戦車と対峙し、試合開始したという記録は存在しない。

 

 

「本当に・・・いいんですか?」

 審判が男子生徒に尋ねるが

「問題ない」

 その一言しか、帰ってこなかった。

 

 

 

            「試合開始!!!」

 

 試合開始が装備品であるインカムから聞こえた瞬間、彼は戦車に向かって拳銃を発射した。勿論それが通用するはずはない。しかし彼が発射した弾は命中した箇所に接着し煙を発生させる発煙弾だった。その煙は戦車の視界を遮るのが役目だ。しかし戦車の乗員もバカではない。戦車を急発進させ、煙を発散させ視界を回復させる。

 

 

 

 

 視界が回復し、状況を確認したが歩兵の姿を視認出来なかった。戦車を移動させながら正面、左右を確認しても視認できなかった。先ほどから戦車後方からカタカタという音よりも歩兵を視認する事に頭が一杯であった。しかしいくら周りを見渡しても歩兵は影も形も無かった。これ以上戦車を動かす必要がないと判断した車長は操縦士に戦車停止の命令を出そうとした。しかしその命令よりも先に後方で発生している異音の原因を確認する必要があった。車長は命令を下す前に後方を確認した。

 

 

 

 そこには見慣れない丸い鉄板が、戦車の装甲に引っ付いていた。異音の原因は走行中の振動により、戦車の装甲と引っ付いていない鉄板の箇所とが、当たっていた事で生じていた。しかし何故こんな所に厚さ3cm程度の鉄板が引っ付いているのだろうか?事前の点検では、こんなところに鉄板は無かった。

 

 

 鉄板から太いワイヤーのようなものが戦車後方に続いている事に気づき、後方に視線を向けた。

 

 

 

 

 歩兵が居た!!

 

 

 

 

 戦車に引きずられるように

 

 

 

 戦車後方に居た。

 

 

 

 

 

 

 

 車長は・・・・・・可笑しい事に気付いた。今自分達は戦車を「動かして」いる。それもこの砂利、小石が混じった「荒地」で戦車を動かしている。そして歩兵は「荒地」で「動いている」戦車に引きずられている。

 

 

 考えてほしい、時速20~30kmで、砂利道を引きずられたら体はどうなる?そう、全身の皮が剥がれ血まみれになるだろう。そうなれば、体の痛みで見動き出来ずにその場に蹲るだろう。しかし歩兵は引きずられているだけだった。

 

 

 

 

 車長が引きずられる歩兵の姿を見ていると、少しずつだが、歩兵の姿が大きくなってきた。その姿を見て気付いた。歩兵はワイヤーを伝って戦車に張りつこうとしているっと・・・

 

 

 

 

 

         「バカ丸出し」

 

 

 車長は歩兵の姿を鼻で笑い捨て、操縦士と砲手に命令を下す。

 

 「後ろに歩兵が張り付いている。大きく蛇行して引きずり廻せ。砲手は、機銃を歩兵に発射、効果が無ければ砲撃も許可する」

 

 操縦士は了解と返答し、車体を大きく左右に振り始めた。それと同時に歩兵への機銃掃射も開始された。蛇行と同時に掃射するため命中弾は多くないが、それでも数十発は歩兵に命中している事を車長は目視確認している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし歩兵は落ちない。それどころか、その姿は大きくなる。車長は理解する。自分の指示が間違えていた事に。本能が警告をガンガン発する。

 

 

 

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ

 

 

 

 

 

 「砲撃開始!!急いで!!速度ももっと上げて!!」

 

 

 しかし車長の命令は聞き入れられなかった。

 

「ダメです。これ以上速度を上げて蛇行すると足周りが損傷します!!」

「相手が近すぎます!!照準入りません!!」

 

 

 だが、冷静さに欠けた車長は

 

「このまま張りつかれるよりマシ!!もっと車体を振って!!砲撃がダメなら機銃よ!!」

 

 先ほどから効果のない対策を再度指示する。なんとかしなければ!!

 

 

 

 

 そうだ!!車体についている鉄板を剥がせばいい!!なんでそんな単純な事に気付かなかった?そんな愚策を思いつき実行する。車体にくっ付いている鉄板に手を掛けたが、

 

 

 

 

 

 剥がれない

 

 

 

 

 ビクともしない

 

 

 

 そこで我に帰る。

 

 

 そうだ、人間一人を引き摺り廻して取れない鉄板が、自分みたいな非力な女子に剥がせるはずがない。落胆した彼女に更なる事態が降りかかる。

 

 

 

 何かが車体に当たった音がした。その方向に目を向けると

 

 

 

 

 

 

 「ごきげんよう。お嬢さん」

 

 

 

 見上げると、そこには最初に会った時の姿とは違い、服がボロボロになり、頭からは血を流している歩兵の姿があった。落胆している間に戦車に辿り着いたのだ。

 

 

「あ、ああ、ああ」

 

 言葉を出そうにも言葉が出ない。そして歩兵が持っているものを見てしまった。それは近接戦以外では意味をなさない拳銃・・・しかし今は違う!ここまで接近してしまえば、歩兵の手にする拳銃は戦車の装甲を貫通出来る。 

 

 

 恐怖に駆り立てられた車長は、戦車内部へ慌てて入り込んだ。その姿を見て他の乗員が何事かと尋ねる。

 

「張りつかれた!!」

 

 

 

 

 その言葉を聞いた操縦士は、無理やり車体を大きく左右に揺らす

 

 その言葉を聞いた砲手は、砲塔を回す。

 

 

 どちらも張り付いた歩兵を振りほどこうとしての行為だった・・・だが、そんな無茶な行為が、車体に影響しない筈がない。

 

 

「バキッ!!」

 

 

 車内に今最も聞きたくない音が車内に響いた。そして車体はゆっくり速度が下がり始め、数秒後には停止した。

 

 

 

「コン・・・コン・・・コン・・・コン」

 

 車体の上から何かが聞こえる。

 

「何の音・・・?」

 

「解かりません!!!」

 

 

 

 

 

「コン・・・コン・・・コーン」

 

 

 

「何?何!!何なのよ!!」

 

 車長は混乱している。操縦士は放心している。装填士のみ冷静であった。そして

 

 

「これ・・・装甲の薄いところを確認していたんじゃ・・・」

 装填士が喋った瞬間、

  

 

 その時だった

 

 

 

 轟音と共に彼女達の数cm前の座席に何かが打ち込まれた・・・そこは元は通信士の席であり、歩兵との試合では役目がないため、今回は搭乗していなかった。

 

 

 撃ち込まれた弾丸は実弾だった。この試合での実弾使用目的は戦車の装甲を抜くためである。勿論乗員の安全性を考え、火薬の量は調整されている。通常の拳銃であれば銃口を装甲に密着させて発射した場合でも特殊カーボンでも止められる。しかし相手は大型拳銃を所持している。そのため、火薬量を通常の弾丸と同じではなく、少し増量されている。これは、通常弾と特殊弾で火薬量を同量にした場合、有効射程距離が短くなるためだ。勿論普通は、通常弾と同量にするのが定石だが、ルールでは、弾丸の容量に対して火薬量は4割とする。この文言により特殊弾の威力は低下しなかった。

 

 

 

 

 その光景を見た3人の感情は恐怖に染まった。慌てて脱出しようとしたが、ハッチの上には歩兵がいる。自分達を守るものであったはずの戦車が、自分達を逃がさない檻と化した。もう自分達に出来る事は、早急に降伏する事だった。

 

 

 「降参します!!降参します!!」

 

 無線で降伏勧告を行うが、無線からは何も聞こえない。放送もされない。無線での降伏は許可されない。白旗による降伏しかない。車両は「修理可能」であるため、戦闘継続能力は有している。

 

 

 歩兵から再度銃撃される。先ほど銃撃された場所から数センチ離れた所へのピンポイント射撃だった。何故?と乗員は思った。しかし銃撃よりももっと恐ろしい事態が彼女達を襲う。

 

 

 

 銃撃された所に、工業用の鋏を差し込んで、装甲を「切断」していく。鉄板が切断されていく様子を車内から見ていた彼女達、ものの数分で車内に鋏が入るほどの穴が出来上がった。そしてその穴から歩兵が車内に手を出してきた。その手に例の大型拳銃を持った状態で。

 

 

 

 

 

 

 「ごきげんよう、お嬢さん達、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     さようなら」

 

 

 

 

 

 

 そして彼女達の悲鳴を消し去るかのように轟音が鳴り響き 

 

 

 

 

 

 

 『勝者・・・歩兵同好会・・・』

 

 

 

 







 久しぶりにパンプキンシザーズ観ましたが・・・中々面白いw


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第03話『戦争を売りつける方法の一つに、相手の大切なものを奪うという方法がある』

 

 

俺が勝利した事は歩兵道協会にすぐさま知れ渡った。しかし今回勝利した対戦中学がそこまで強豪ではなかった事、そしてレギュラーではなく2軍であった事が、今回の勝利した事に対する評価となってしまった。俺としては欲望が満たされた事で大満足であったが、同好会のメンバーは違った。俺の努力、自分達の努力をを否定されたと落ち込んでしまった。

 

 

「落ち込むなよ」

「落ち込むだろ。見てみろよこの書き込み」

 

 表示されている掲示板内容は、今回の歩兵道VS戦車道に対する書き込みだった。

『2軍相手に勝利しても・・・』

『2軍だろ?1軍でそれもレギュラーでもない奴に勝ってもな・・・』

『そもそも対戦相手は戦車道でも弱小ですからねww』

 

 そこには歩兵道が勝利できたのは相手の弱さが原因だ・・・という大量の書き込みがあった。ならば、対戦先を此方が指定してやればいい。

 

「戦車道で強豪と言えば何処だ?」

「そうだな。サンダース大学付属高校、聖グロリアーナ女学院、プラウダ高校・・・そして黒森峰女学園」

「なら、その4高・・・全てと対戦しよう。それもレギュラーメンバーと」

「な!!・・・それは無理だ」

「何故だ?」

「この4高はレベルが高すぎる。今回の対戦相手と比較すると、子供と大人を比べるようなものだ!」

「それでいいのか?」

「何!!?」

「それでいいのか?今度もまた勝利したところで、また同様の言い逃れをされるぞ?ならば俺達が高校に進学するまでの後1年、色々準備を固めようじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから俺達は1年と言う歳月で高校進学への準備を開始した。進学先に歩兵道があるのか?あれば規模は?予算は? 歩兵道が無ければ同好会を作る条件は?等々

 

 

 

 俺達は着々と準備を進める。そして4高についても調査を開始する。

 

 

 現在の隊長は? 隊長候補は? その人物の性格は?

 

 

 何を信念としているのか

 

 

 それを踏み潰したらどうなるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高校入学後、戦車道の全国大会が終了した。常勝だった黒森峰が敗北したことで、黒森峰は現在他校との練習試合は受けていない。ならばサンダース大学付属高校、聖グロリアーナ女学院、プラウダ高校の3高に絞られる。

 

 この1年考えた結果、最初はお嬢様学園である聖グロリアーナ女学院とすることとした。恐らく相手にはされないと思うので、お嬢様にケンカを売ることにした。

 

 

 

 聖グロリアーナ女学院は定期的に戦車道の練習風景を一般公開しており、俺はそれに足を運んだ。流石・・・強豪高と言ったとこか。戦車の操縦錬度、砲撃錬度等が高いことは素人の俺が見ただけで高いと判断できる。

 

 俺は近くに居た聖グロリアーナ女学院の戦車道メンバーに声をかけた。大人しそうな可愛い子だ。

「すみません」

「な・・なんでしょうか?」

「聖グロリアーナ女学院はどうして、あんな戦車を主力としているんですか?」

 俺の言葉で女の子は顔を顰めた。

「あんな戦車?」

「ええ、もっと火力のある、高機動な戦車を運用しないのですか?」

「聖グロリアーナ女学院の保有車輌はチャーチル歩兵戦車mk.Ⅶ、マチルダⅡ歩兵戦車mk.Ⅲ/Ⅳ、クルセイダー巡航戦車mk.Ⅲなどです。クロムウェル巡航戦車も保有していますが現在故障中です。硬い装甲の歩兵戦車で正面からじりじりと敵を追い詰め、足の速い巡航戦車で背後を取るといった戦術を得意とします。唯単に強い戦車を運用し、勝利するのは下品な戦い方は行いません!」

 少し不機嫌になってしまった。

「しかし準決勝で、あなたの言う下品な戦いを行う黒森峰に敗北していますが、そこはどう考えますか?自分達が否定する戦術に負けるという事は、自分達の戦術は下品未満のクソ戦術と言えませんか?」

「な!!」

「だってそうでしょ?下品未満といえばクソですよね?」

「取り消しなさい!!」

「どういうことですか?」

「そのままの意味です!!今の言葉取り消しなさい!!」

「そんなに怒らなくてもいいじゃないですかww所詮素人の、それも男の言ってる事ですから」

 

 そこへ

「どうしたのかしらペコ?」

 上品そうな2人の金髪美人が登場した。

「彼方が殿方と言い争っているという話を聞いて来てみれば」

「どういう状況ですか?」

 

 

 俺と言い争いをしていた女の子はペコと呼ばれているらしい。そして目の前の金髪美人はダージリンとアッサムだ。ペコと呼ばれる子に関しては調査していないが、この2名については現隊長と副隊長という事で調査済みだ。

 

 

 

 ペコがダージリン、アッサムに事情を説明し、

「確かに彼方のいう事もわかります。しかしペコがいう通り彼方の発言は我々いえ、聖グロリアーナ女学院を侮辱した事と変わりありませんわ。発言を撤回する気はあるのでしょうか?」

「大げさではないですか?天下の聖グロリアーナ女学院の隊長さんであるダージリンさん?」

「分かっていてケンカを仕掛けられたのですか?」

「ケンカ?いやですね。ケンカなんて仕掛けてませんよ。ただ」

 

 

 俺は彼女達の側まで歩いていく。それに対し周囲は動揺したが、彼女達は動揺しない。この程度で動揺していれば威厳に関わるだろう。

 

「ケンカ?いいえ、これから始まるのは、俺と彼方達との男と女を掛けた戦いですよ」

 俺は彼女が持っている紅茶をスルリと奪い、そのまま頭の上に持っていき

「彼方は美しい、だが、これでもっと美しくなる」

 そういい、紅茶を彼女の頭に掛けた。そしてカップを放り投げ

「美女がビジョビジョってね。では近いうちにまた」

 俺は放心状態の彼女達、周囲の人間を尻目にその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かっよく立ち去ったと思うか?残念ながら違う。

 

 横浜市内を何百人もの女子生徒に追いかけられるのは男として夢であると思うが、目が血走り、手に何らかの凶器を持っている女子生徒はお帰りになって欲しい。

 

 

 5時間近く彼女達から逃走し、家に帰った俺はシャワーを浴びた後ベットに横になる。

「紅茶を奪うのではなく、唇を奪えばよかったか・・・」

 そうなれば相手はもっともっと怒るだろう。俺を殺しに来るだろう。

 

 お前が絶望するときの顔はどんな顔だ?俺のコレクションのベスト5に入るだろうな。そんな事を考えつつ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 



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第04話『これは脅迫では無い』

 

聖グロから帰った翌日には俺の高校に聖グロから抗議の電話があった。内容は至ってシンプルで「謝罪に来い」との事だった。学校から「謝罪して来い!」という圧力もあったため、渋々聖グロに向かった。

 

 聖グロに到着した瞬間、周りを風紀委員?警備?の女子生徒に囲まれ、学校に連行された。勿論持ち物検査等も実施され、連行中には

 

「貴様が・・・」

 

「良くも男の分際で」等の暴言も吐かれ、仕舞には連行途中にトイレにも行かせてくれないときた。勿論これらはこっそり忍ばせた眼鏡型ビデオで記録し、歩兵道と試合する際のいい交渉材料となってくれるだろう。

 

 そして聖グロに到着し、会議室のような所に通されたが、勿論そこにダージリンの姿は無く、パイプ椅子が一つだけ置かれていた。「しばらくお待ちください」と女子生徒が言い放ち、会議室を出て行ってから約2時間経過した時点で俺は気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「これはあれだ・・・嫌がらせだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらくして、あまりにも腹が空いてしまい我慢したが、三大欲求の一つである、食欲に逆らえず、謝罪時に渡すようにと校長から手渡された御菓子を食べてしまった。一つだけと思っていたが、思いのほか美味しく、気付いた時には全ての御菓子を食べつくしてしまっていた。移動途中に購入した御茶を飲み干し、スマホで御菓子の値段を検索した結果、結構な値段の御菓子であった。そして俺は重要な事に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「今から御菓子を買いに行く事は出来ないな」

 

 

 

 

 

 

 

 それからさらに1時間近くスマホで暇を潰していた時、「しばらくお待ちください」と言って出て行った女子生徒が入ってきた。そして「こちらへ」と愛そうなく言い放った。殺風景な会議室を移動し、案内された場所はまたしても会議室的な場所であったが、先ほどと違い中にはダージリン及び2名の女子生徒が座っていた。

 

 

 

「お待たせして申し訳ありませんね。戦車道の練習があったもので」

 

「そうですか」

 

「それで、本日はどういった件でこちらに」

 

「この度は私の行動により皆さまにご迷惑をお掛けしました。といいたいところですが、どうですか?私と勝負しませんか?」

 

「「「はぁ?」」」

 

「いえね、最初は素直に自分の軽はずみな行動がそちらに迷惑を掛けたと思いましたが、聖グロに着いた途端犯罪者のような扱い、事前に連絡しているにも関わらず会議室で3時間も監禁・・・これ歴とした犯罪ですよ?」

 

「アッサム!!」

 

「至急確認致します!」 

 

 アッサムと呼ばれた女子生徒は血相を変えて会議室から出ていった。恐らくダージリンの知らない所で行われた行為であろう。まぁそんな事、こちらは知った事ではない。寧ろ都合がいい。

 

 

 

「まぁ、こちらも悪い事をしたので、ある程度は覚悟していましたが、3時間も監禁されるとは思いませんでしたよ。後、色々暴言も吐かれ、トイレも行かせてくれない・・・」

 

「「・・・」」

 

「そういう事で試合しましょう」

 

「こちらが試合を受ける理由は、あなたが受けた仕打ちをなかった事にすると?」

 

「まぁそういう事です。勿論御受けしなくてもいいですよ?その時は・・・」

 

「これは脅迫という立派な犯罪ですわよ?」

 

「脅迫?いえいえ、これは選択ですよ。貴方の不手際が原因で生じた事態に対して、こちらは解決策を提示しています。例えるなら、そちらに暴行をされたので、示談金として300万と提示し、拒否する場合は裁判を行う。どうですか?同じでしょ?そちらに長時間監禁されたので、示談として試合を行いましょうと提示し、拒否するなら警察に行く。ね?同じでしょ?」

 

 

 

 そこへ

 

「失礼します」

 

 先ほど出て行ったアッサムという女子生徒が帰ってきた。そしてダージリンとコソコソ話し、

 

「分かりましたわ。歩兵道との試合、お受けいたします」

 

「ありがとうございます。事を大きくするのは、互いにデメリットですからね」

 

「ええ」

 

「それではダージリンさんと他2名、ごきげんよう」

 

 

 

 こうして、俺達は聖グロと試合をする事になった。しかし翌日聖グロから連絡があり、事態は思わぬ方向へと向かった。当初はダージリンとの試合でったが、あちら側から、最初はダージリンとは別のレギュラーメンバーと試合を行い、それに勝てばダージリンと試合を行うという案を再提示された。勿論当初の約束通りといきたいところだが、恐らくダージリンが試合をする事に全生徒が猛反対したのであろう。まぁ普通そうなるような。

 

 

 

 しかし事情はどうであれ、約束を反故にした時点で、許す事は出来ない。恐らく自信のあるレギュラーが出てくるのだろう。その自信満々の綺麗な顔が、醜く変わる姿を想像して、今夜も一発抜いた。当日は想像よりもいい顔が見れるだろう。約束を守らない人間へ俺は容赦はしない。二度と戦車に乗れない強烈なトラウマを植え付けてやろう。

 



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第05話『楽しいだろう戦車道って・・・』

 約束を守らない人間へ俺は容赦はしない。二度と戦車に乗れない強烈なトラウマを植え付けてやろう。という思いを胸に秘め、試合の準備を進めていく。当初はダージリンと正々堂々と正面から試合をするつもりだったが、相手が約束を守らないのであれば俺も容赦しない。彼女達やその他戦車道を受講している女性達が一瞬戦車に乗る事を躊躇する、若しくは辞めたくなる様な光景をみせてやろう。

 

 

 そして試合当日、会場には様々な学園の生徒の姿が見える。今は笑っている彼女達の表情が試合が終わった際にどんな表情になるのか・・・そして目の前にいる今日の対戦相手である聖グロの生徒の表情もどうなるのか。彼女は聖グロのレギュラーメンバーであるが、ダージリンには遠く及ばない。何故そんなモブ的な生徒を俺の対戦相手に選んだのか?恐らく偵察の意味だろう。俺の実力がとの程度なのか?それを彼女で測るつもりだろう。

 

 

 今回は砂漠が試合会場であり、天気は晴天、気温は試合が進むにつれ上昇するだろう。そして俺の装備は砂漠と同色の迷彩服、大型拳銃1丁、大型の工業用ハサミ1つ、ウインチ、そして火炎瓶。勿論火炎瓶の攻撃判定は15m以内となる。そしてもう一つ追加した装備がある。それは大型の水筒だ。砂漠で天気が晴天であれば脱水症状となり、最悪の場合死に至る。それを防止するための大型の水筒だ。因みに特別使用であり、戦車に踏まれても破損せず、充填量は4Lだ。まぁ持ち運びが少し難しいのが難点だがな。

 

 

 

 この試合で彼女達が勝つ方法は至って簡単だ。そう、試合開始地点から動かない事だ。これに関しては今回の試合だけに限ったことではない。しかし彼女達は試合開始とともにその場から動く傾向がある。俺はその理由を考察し、そして一つの理由に辿り着いた。そもそも歩兵道と戦車道では攻撃範囲が異なり、歩兵道は15m以内、戦車道に至っては戦車の砲撃距離となる。最大で3km?4km?それだけ差があるのだ。ならば試合開始と共に歩兵道を攻撃する事で、相手に一発も撃たせずに倒す事が出来る。しかしルールでは歩兵道に関しては、自分たちの好きなところから開始する事が出来る。そうなれば歩兵は戦車に先制攻撃が可能となる。15mという誓約があるが、攻撃の有効性が15mであり、攻撃自体は実施しても良いという事だ。過去に15m以上離れて攻撃した事例もある。そうなれば自分達より劣る男共がチンケナ銃器で鉄壁の戦車に攻撃を行ってくる。その無意味で無駄な攻撃で戦車を傷つけたくないという理由で試合開始と共にその場から離れるという暗黙のルールが出来上がっている。これは誰も教えていないし、教わっていない。

 

 

 しかし今回の対戦相手は聖グロであり、その後ろにはダージリンという優秀な指揮官が鎮座している。もしも彼女が今回の相手に「試合開始から相手が近寄ってくるまで動くな」という命令を与えている可能性がある。それを考慮して、今回火炎瓶を持ち込んだ。火炎瓶というところに意味がある。爆発物系は意味をなさない。これにより戦車が試合開始時点に居ようが居まいが関係ない。

 

 

 

 俺は試合開始前に数百m離れた所に移動し、その状態で試合が開始される。相手は少し可笑しな動きをした。開始直後に数m動いたと思ったら、直ぐに動きが止まった。そしてそのまま動かなくなった。恐らくダージリンの指示だ。視界を確保し俺の姿を視認しやすくする。戦車内は暑さ対策が実施されているが、俺は暑さ対策を実施していない。彼女達は俺が暑さに耐えかねてノコノコ出てくるのを待てばいい。勿論俺がそんな面白みのない行動をするはずがない。

 

 彼女達が動かない場合の対応は至って簡単だ。こちらも待てばいい。いくら戦車内の暑さ対策が出来ているとはいえ、炎天下の砂漠で鉄の塊が動かなければ、短時間で戦車内の温度は上昇する。そうなれば彼女達の集中力、判断力は大きく低下する。その時に悠々と正面から攻めればいい。

 

 

 

 昼過ぎになり気温は試合開始時よりも数度上昇した。

 

 

 「頃合だな」

 

 俺は潜んでいた砂山から相手戦車に向かって走り出した。相手の戦車の砲身、機銃を見る限り俺にまだ気付いていない。そして20m程度の時点で相手の砲身が動いた。遅い!遅すぎる!!俺は手にしている火炎瓶を戦車に向け投げつけた。

 

 攻撃判定は勿論ない。しかし俺の目的はそこではない。相手の戦車に火を付けることが目的だ。唯得さえ暑い状況に対し熱い物を追加する事で戦車内の空気は一気に熱しられ、乗員の状態も悪化する。そして砲身、機銃の命中精度が低下する。こんなに近くにいる俺に機銃は当たらない。俺と距離を取り砲弾を撃ち込みたいところであるが、先の火炎瓶の影響でエンジンがストールしており、再始動も上手くいかない。よって砲弾は使いにくい。

 

 

 もしも砲士、操縦士、車長といった面々が冷静な判断を下しておれば俺はここまで近接できなかっただろう。車長の索敵が疎かでなければ、砲士が熱膨張による砲弾の軌道修正を行っていれば、操縦士が無理な始動でプラグを燃料で濡らさなければ・・・きっと彼女達は俺に勝てただろう。しかし現実は俺の勝ちのようだが、彼女達はそれを認めないだろう。俺が幾ら大型拳銃で威嚇しても彼女達は見向きもしないだろう。彼女達はダージリンを信頼しており、彼女の作戦が俺如きに破られた事を認めない。

 

 ではどうする?

 

Q、一人ずつボコボコにして意識を飛ばして戦闘不能にするか?

A、否、野蛮人すぎる。

 

Q、一人ずつ外に連れ出し灼熱の大地に正座させるか?

A、否、3時間そこらで気温が下がる。意味がない。

 

Q、作戦通り、彼女達に負けを認めるように仕向けるか?

A、応、彼女達の悲痛な悲鳴を!!悲願する表情を!!

 

 

 

 俺は戦車に登り、中の乗員に問いかける

「負けを認めるか?」

「黙れ!!」

「勝負は着いた。これ以上の戦いは無意味だ」

「決着??敗北条件は双方戦闘継続が困難となった場合のみだ。こちらはまだ戦闘継続は可能だ」

「・・・」

「それだけか?私達を舐めるな!!」

 

 

 

 

 

 

「本当に素晴らしい。あなた方の思い、信念は心に響きます。そこまで信念ある皆様に提案です。今から戦車内に有る物を撒きます。それに対し皆様が信念を貫き通せたら皆さんの勝利となります。因みに貫き通せない場合は、こちらの勝利となります。因みに信念を貫けないと判断した場合、今日のダージリンさんのパンツの色を叫んでください」

「ふざけるな!!」

「ふざけていませんよ。至って冷静です。では問います。あなた方は信念を貫きますか?貫きませんか?」

「「「貫く」」」

「それでは」

 

 俺はハッチの横に大型拳銃で人の頭ぐらいの穴を開け、

「今まで暑かったでしょう?これはサービスです」

 そう言いつつ、スポーツドリンクを流し込んだ。そしてこの試合に初めて持ち込んだ大型の水筒(4L)を取り出し、

「この中には何が入っていると思いますか?」

「つまらない質問だな。腐った汚水等で我々が「いえ、これ生き物が入っています」どういう事?」

「今からこの穴から生き物をこの中に放り込みます。そしてこの穴を塞ぎ4時間耐えてください」

「おい!!ちょっと待」

 俺は彼女達の言葉を無視し、生き物を戦車内に解き放った。数十秒後には彼女達の悲鳴が会場に響き渡った。

 

 

 まぁ嫌がるのは無理もない。この生き物って奴は女性だけでなく人間全てに嫌悪感を抱かせている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶっちゃけ「ゴキブリ」です♪

 

 

 

 

 



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第06話『指揮者』

 

 

 俺は彼女達の言葉を無視し、生き物を戦車内に解き放った。数十秒後には彼女達の悲鳴が会場に響き渡った。まぁ嫌がるのは無理もない。この生き物って奴は女性だけでなく人間全てに嫌悪感を抱かせている。

 

 

 ぶっちゃけ「ゴキブリ」です♪

 

 俺の立っている戦車の下では、彼女達の泣き叫ぶ声が聞こえる。阿鼻叫喚とはこういう状況をいうのだろうか。彼女達には狭い車内で大量のゴキブリとともに数時間過ごしてもらう。勿論このゴキブリは本物ではなく玩具のゴキブリである。流石に本物はやりすぎな所もあったので今回は玩具で勘弁してやった。最近の玩具は本物と変わりないぐらいリアルだ。おまけに少し触っただけでビクビク動くのだ。薄暗い車内で尚且つ熱さで思考力が低下している隊員達では、これが玩具である事を瞬時に見抜く事は不可能だろう。不可能であるからこそ、現在彼女達は泣き叫んでいる。

 

 これは約束を守らない人間への制裁である。

 

 断じて趣味ではないwww

 

 

 俺は彼女達の叫び声に合わせて指揮者のように腕を振る。あのシーンを見た時、一度でいいから自分でもあれをやってみたいとい思っていた。だから俺は今少佐の気持ちがわかる。

 

 

 まったく    いい気分だ。

 

 

 

 

 

 ゴキブリを放り込んで20分後、戦車内から響いていた叫び声が聞こえなくなった。俺は塞いでいた入口を鋏でこじ開け車内を覗き込んだ。そこには、試合開始前まで優雅に紅茶を飲んでいた淑女達は涙と鼻水で顔を汚し気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ~~最高に勃起もんだぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 この状況は俺の秘蔵コレクションのベスト5に入る。密かに持ち込んでいたカメラでこの状況を撮影した。車内から立ちこめるこの香りも物理的に保存したかったが、香りを保存する事は叶わないため、心の保管庫に保存する事にした。俺は車内の隊員達が気絶し戦闘不能である事を審判に報告し、駆け付けた審判により歩兵道側の勝利が宣言された。

 

 

 

 試合終了後、隊員達の様子を心配して現場に駆け付けたダージリン達に俺は

 

「これは約束を守らなかった罰だ。約束を守っていればここまでする予定はなった。いいかダージリン、俺はお前と正々堂々勝負する。ここまで宣言したんだ、次は逃げずにでてこいよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合が終了してから3日後にダージリンより正式に勝負を行う事が通達され、その翌日には戦車道連盟に受理された。試合会場は市街地となった。市街地と言う事は、歩兵道である俺へのハンデかと思われた。そこでダージリンに問い合わせたところ長文で返信があり、要約すると「歩兵道が有利な市街地戦で勝つ」という事だった。そこまで言われてしまえば勝負するしかない。

 

 対ダージリンの武器を選出する必要がある。大型拳銃1丁、大型の工業用ハサミ1つ、ウインチの3点セットは外せない。しかしこの3点ではダージリンには勝てない。そこで俺は同好会のメンバーと武器について相談した。戦車にダメージを与える武器で尚且つ歩兵が運用出来る武器には限りがある。過去に地雷やC4を持ち込んだ事例があるが、問題は重量である。持ち込めるが戦車を戦闘不能に追い込むまでのダメージを負わすには数が足りないのだ。足周りを破壊しても砲身と機銃が無力化出来なければ、勝利する事は出来ない。数の問題は数で解決出来るが、そうなるとメンツの問題が出てくる。そういった問題を解決しつつ、尚且つ戦車に有効な武器を選出した結果・・・

 

 

 

 

 

 

 試合当日

 

 

「本当に持ち込む武器はこれでいいんですか?」

「はい」

「・・・登録完了しました」

 

 

 

 

 

 

 そして賽は投げられた



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第07話『火の用心』

試合当日

 

「本当に持ち込む武器はこれでいいんですか?」

「はい」

「・・・登録完了しました」

 

そして賽は投げられた。

 

 

 

 試合が開始されたが、今回ばかりは流石に戦車と対峙しての試合開始は遠慮させてもらった。そもそも今回の作戦の目的はダージリンを倒すというものではない。そもそも俺の装備を確認して欲しい。

 

①大型拳銃1丁・・・これは外せない。流石に攻撃するものを持参していない時点で怪しまれる

②大型の工業用ハサミ1つ・・・①と同じく

③ウインチ・・・これは何時も使用しているウインチより一回り大き物を今回使用している。何故か?今までのものは機動性を重視し、更に軽量化の一環で素材自体を鉄からアルミなどの素材に変更し、一試合使用したらメンテナンスが必要になり、時と場合によっては破棄になる。一回の試合でウインチを使用する回数は10~30回程度、しかし今回の試合では50回を越える可能性がある。そうなれば、機動性よりも耐久性が求められる。そして

④水筒・・・秘密

 

 以上の4点を今回持ち込んでいる。非公式だが、いつも通りカメラも持ち込んでいる。後は機会を待つだけとなる。

 

 

 

 

 

 誰も俺を疑わない

 

 

 誰も俺が悪いと言わない

 

 

 誰かがダージリンが悪いと唱えるかもしれない

 

 

 誰かが責任はダージリンにあると唱えるかもしれない

 

 

 俺は全力で唱える

 

 

 

 

 

 

 

 「もっとやれ」

 

 

 

 

 と

 

 

 

 

 そうなれば、彼女の悲しむ顔が、彼女を取り巻く者達の悲しむ顔も拝める

 

 

 今日の試合の結果等どうでもいい

 

 

 

 

 悲しむ顔 怒る顔 泣く顔 

 

 

 

 

 

 

 その中でも悲しむ顔が最も輝いて見える

 

 大事な人が死んだとき

 

 大事なものが壊れたとき

 

 大事な人に裏切られたとき

 

 

 

 

 

 ダージリンのあの美しい顔が、さらに美しく輝くのをどれほど待ちわびたか

 

 さっさと出てくればいいものを、あんなカスどもを寄こす等・・・

 

 ダージリン

 

 君の顔が絶望に染まるとき

 

 俺が助けてあげよう

 

 俺が救い出してあげよう

 

 その絶望から救い出してあげよう

 

 そして導いてあげよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絶望の果ての死へ

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁダージリン、俺を補足したな?さぁ砲撃を開始せよ。敵である俺を殺すために殺意の篭った砲弾を俺に発射せよ。

 

 どうした?オレンジペコ?何故砲弾が当たらない?

 

 そうか

 

 ダージリン、君はオレンジペコに人殺しをさせたくないのだね。あくまで君の手で俺を殺したいという事だね?

 

 でもダメだよ

 

 悠長にしていれば、俺の作戦が発動してしまう。そうなれば君は早急に俺を倒さなくてはならないが、君はオレンジペコに人殺しをさせたくない。今回は君ガ選んだ英国風町並みを真似した市街地だ。試合前にはガス等の火災を引き起こす可能性のあるものは全てストップしているだろう。しかし何にしても不測の事態と言うものは発生してしまう。

 

 オレンジペコが放った砲弾は俺の横を掠めて一つの建物に着弾した。恐らく持ち主は戦車道連盟が保障してくれるので嘆きはしていないだろう。いつもであれば、建物は崩落や破損程度で終わる・・・しかし今回は違った。崩落した建物から火の手が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺への砲撃が  



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第08話『不運からの幸運』

亀更新です


 

 

 オレンジペコが放った砲弾は俺の横を掠めて一つの建物に着弾した。恐らく持ち主は戦車道連盟が保障してくれるので嘆きはしていないだろう。いつもであれば、建物は崩落や破損程度で終わる・・・しかし今回は違った。崩落した建物から火の手が上がった。

 

 それは誰も予期しなかった出来事だった。火の勢いはまだ弱いが時間が経つにつれて勢いをますだろう。しかしそれを俺が許すはずもない。戦車に攻撃を行うようにみせかけ、ウインチを駆使して空中を駆け抜ける。もしくは瓦礫、民家の中を駆け抜ける。そんな状況でいつまでも装填手のオレンジペコを砲手にしておく訳にはいかない。一刻も早く俺を倒さなければ、ここら一帯が火の手により焼け野原になってしまう。

 

 

 俺の遅延行動を見抜いたのか、砲撃の精度が格段に上昇した。間違いなくアッサムに砲手が変更したのだろう。しかし遅すぎる。もしも俺を本当に殺したい、もしくは再起不能にしたのであれば、オレンジペコではなく、アッサムに砲手にすべきであり、早々に決着を着けるべきである。だがダージリン、君はそれを怠った。それによりこの開催地となった地域の建物は灰になるだとう。

 

 勿論俺は懸命に戦う歩兵道選手として見られるだろう。観客達はそんな俺よりも、火の手が拡大していく町並みを絶望な眼差しで見つめているだろう。あるものは自分の家が燃えている様子を、またあるものは、これから来る請求書の金額に絶望しているだろう。しかし俺には罪はない。そう俺はただ、ルール通り「敗北条件は双方戦闘継続が困難となった場合(敗北宣言は無効とする)もしくは白旗での降伏とする」に従っているだけなのだから。

 

 しかしアッサムの砲撃を無傷で避けるのは困難を極める。辛うじで直撃は間逃れているが、至近弾が多く、既に俺の体は満身創痍の状態だ。そして装備の幾つかも至近弾の影響でダメージが入っている。そろそろ勝負を決めなければ此方が負けてしまう。近くに落ちていた鉄パイプを手に持ち、ウインチを使い戦車に張り付こうとするが、機銃が直撃した影響で建物に突っ込んでしまう。そこにアッサムの砲撃が直撃した。

 

 砲撃が直撃した衝撃で空中に放り出された俺は、運よく戦車の上に落下した。勿論落下した際のダメージは受身ができず背中を強打した。何とか戦車の入り口を鉄パイプで固定し、そのまま戦車の上で動けなくなった。ダージリンは戦車を左右に振るように指示したのだろう、戦車は蛇行運転を開始した。何とか戦車にしがみ付いているが、そう長くは持たない。背中を強打したダメージは少しだが回復してきているが、まだ満足に動くことは出来ない。だが回復を待つことは出来ない。気力を振り絞り、戦車にしがみ付いた状態で大型拳銃で戦車を撃った。

 

 撃った弾は戦車の薄い装甲を貫通した。急に戦車が停止した事で一瞬だが戦車の上で体勢を立て直し、穴を鋏で広げ中を覗き込んだ。そこから見えた光景は絶景であった。俺の放った弾は戦車の装甲を貫通し、ダージリンが座っている座席の数cm横に大穴を空けていた。なるほど、それで戦車が一瞬停止したわけか。ダージリンの横に着弾したのだ、そりゃ心配で操縦どころではないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんという、幸運!!俺は特等席から、ダージリンが絶望する顔を拝む事ができるのか!!

 あ~~神よ!!

 

 

 

 

 

 




でも亀って水中では、かなり泳ぐの早い。亀更新ではないな


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