個性『睡眠時、地獄往き』、睡眠時は非常勤獄卒しています。 (新人獄卒候補)
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プロローグ

 ちょっと現在書いていた、小説が横道それたらこうなった。本当はペルソナ×ヒロアカだった。


 雄英高校ヒーロー科実に倍率300倍を誇る難関である。

 毎年幾人もの若人が挑み、涙を流すヒーローの登竜門だ。

 その入試の実技の採点場に選ばれた視聴覚室で、雄英高校教師であり現役プロヒーローが集い採点を行っていた。

 

 「今年は当たり年ですな」

 

 雄英の教職員は、そう零す。

 

「救助ポイント0で2位の彼や、8位でヴィランポイント0で0ポイントロボ吹っ飛ばした彼もそうですが、マイク先生の合図にも遅れずに反応して、素早く拳でヴィランロボを殲滅し、救助ポイントは低いもののトリアージの判断が素晴らしく、0ポイントロボを周囲の被害を抑え停止させるなんてすごいですよ!」

 

 試験菅達は数多の資料から、件の受験生のプロフィールもとい願書を見る。

 

 

 名前 夢見 幽鬼子(ゆめみ ゆきこ)

 

 性別 女

 

 年齢 15

 

 個性 明晰夢で体験した経験値を現実でも反映する。その結果後天的に異形型個性を得た。

 

 異形型個性『鬼天狗』

 

 職業 非常勤獄卒

 

 「「「「後天的に異形型個性!?」」」」

 

 「「「「「非常勤獄卒!?」」」」」

 

 

 

 

 その日の晩、良い子も悪い子も眠りについているはずの時間。

 

 件の女生徒『夢見 幽鬼子』も眠りについていた。

 

 が、寝た瞬間彼女特有かつ独特な個性が発動した。

 

 彼女は寝たら特殊な夢を見る。

 

 『明晰夢』と呼ばれる特殊な夢。

 『明晰夢』は見ている本人が明確に夢だと自覚している夢だ。それを見るのが彼女の個性の一部。

 残りの部分はというと……

 

 「おはようございます!」

 

 元気な挨拶をする、一人の黒髪スレンダーな美少女の姿が閻魔殿にあった。

 

 「ああ、幽鬼子ちゃんおはよう!そろそろ現世じゃ受験だって言ってたけど大丈夫なの?」

 

 見る人が見れば巨人だと言いそうな大男が、幽鬼子に話かける。何を隠そうこの大男……

 

 「()()()おはようございます!受験ですが、つい先ほど終わりましたので、お世話になった方々に挨拶回りをしますので、会って早々失礼だと存じますが失礼します」

 

 一応のトップである閻魔大王にそう言い、足早に閻魔の前を去る。

 

 「え!?儂、受験の相談受けなかったんだけど、そんなに頼りないかな?あの子と出会ってからもう随分と経つなぁ。確か、現世と時間の流れが違うんだったかな。あの子もここでは真面目に働いてくれて、現世でも真面目に懸命に生きて頑張ってるのに……いやこれは現世で生きている大半の人達に言えちゃうんだけど、()()()()だなんて世知辛いなぁ」

 

 

 

 「忙しい中、時間を割いて勉強を見てくれた鬼灯様や篁様、戦いのいろはを教えてくれた天狗警察の方々には感謝してもしきれません、お香姉さんや一子ちゃん二子ちゃんには悩み事を聞いてもらいましたし、芥子姉さんには食事に誘ってもらいました……我ながら地獄の方が交友関係広いのは問題だと思いますが……まぁ、それとこれとは話は別ですし、順番に挨拶回りしちゃいましょうか!」

 

 彼女は今日も元気に、地獄を駆け巡る。

 

 彼女の個性の残りは寝ている時に地獄に往き、その経験を現世に持ち帰る。

 




続きは不明、現在書いている奴が横道それてこうなったもののモヤモヤ解消する為に投稿しました。

 


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受験前の過去回想

 なんか普通に連載を考えた結果、主人公の過去設定が重くなった。更にその結果第一話をちょっと加筆しました。

 幼児が喋ってるから、過去の主人公が話してる時は平仮名オンリーにしました、書くの辛かったです。読んでいて、辛く感じたら仰って下さい……そんな時の為のアンケート機能か


 

 一般的に個性が発現するとされている4歳頃と言われているが、私こと夢見幽鬼子も例にもれず個性を発現したのはその頃だった。

 

 私の個性は複雑だが、解りやすく言うと寝ている間に地獄に往くというものだ。

 

 個性を始めて発現した当時の事を思い出すのは汗顔ものだけど、今でもよく思い出してしまう。 

 

 そうあれは私が4歳位の頃の事だ。

 

 あの頃は、「そろそろ、わたしたちもこせーがでるんだよねー、たのしみー」

      「あたしー、おとうさんみたいに、おそらとびたいー」

      「うちは、ひーろーみたいなかっこいいのがいいなぁ」

 

 そんな話を皆でしていた。私もした。ヒーローは幼稚園の友達は勿論、年上の小学生や中学生も憧れていた職業だ。当時の私は、なんとなく皆憧れているからじゃあ私もと憧れていたと思う。

 

 「わたしのこせー、なにかなぁ?おとうさんのめーせきむってじみだからいやだなー、おかーさんのいめーじをぐげんかさせるのもむずかしそー」

 

 その日の晩に、私の個性が発現した。

 暖かい布団にくるまり、夢の中へ……

 

 夢の世界は地獄でした。

 

 

 当時4歳の私は、とても怖く感じた。夢だとわかっていながら現実のように感じるのだ。

 泣いた、恥も外聞も関係なく。

 

 「うわぁあああああああああん」

 

 「おい、何で子供の亡者が賽の河原じゃなくて閻魔殿の入り口に居るんだよ!」

 

 「うわぁああああああああ、おにだぁああああああ!」

 

 外観はTHE地獄、目の前には大柄で天パに角を生やした大男です。鬼の鬼ぃさんには申し訳ないけど、幼女だから大声で泣いてしまいました。

 

 「どうしたんですか、騒々しいですよ」

 

 その鬼ぃさんは、ストレートヘアーに三白眼にツリ目、更に妙な威圧感を感じる眼光を発していた。

 

 「ひっ……」

 

 子供ながらに天パの鬼ぃさんと格が違うと感じました、そして怖かったから必死に涙を止め声を出さないようにしました。

 

 「その子供……」

 

 「……」

 

 その格の違う鬼ぃさんに、ジーーと見つめられた時は生きた心地がしませんでした。

 

 「ああ、すいません鬼灯様。どういう訳か賽の河原から抜け出して来たみたいで……今、連れて行きます」

 

 「いえ、その子……生者ですよ」

 

 その後、閻魔殿まで連れて行かれました。巨人みたいなオジサンが優しそうだからとその背中に隠れていたのはいい思い出です。

 

 「持って生まれた異能が原因なら仕方ありません、暫くは一子さん二子さんに遊び相手になってもらうとして、我々はこの子の処遇を協議するとしましょう」

 

 「現代ってどういう遊びがあるの?」

 「興味ある」

 

 (なんか、ほらーででてきそうな、にほんにんぎょうみたいなこどもがきたー!)

 

 「あのね……ようちえんでいまはやってるのはね……」

 

 でも、なんとなく自分に気を使ってくれているのを感じていました。

 

 それから……暫く、経って。

 

 「あ!からだがうすくなってきた」

 

 「おそらく、目が覚めて現実の世界に帰るのでしょう」

 

 「あの……いままでありがとうございました。それから、こわがってごめんなさい。おにいさんはやさしいおにさんです」

 

 「いえ、鬼は怖がられてなんぼですから、気になさらず」

 

 「プフ、鬼灯君が優しいなんて言われてる、って!?痛いよ鬼灯君!」

 

 (なんのちゅうちょもなく、えんまさまをかなぼうでなぐった!)

 

 すぐに地獄の力関係を理解しました。

 

 そして、その次の晩……

 

 

 「えへへ……また、きちゃった」

 

 「まぁ、そういう異能ならまた来ますよね」

 

 毎晩続いたので、子供心にタダでお世話になるのは申し訳ないと思い……

 

 「なにか、おてつだいさせてください!」

 

 「そうですか……そうですねぇ……」

 

 その結果、お茶くみや書類のコピーを作ったり、その書類を各部署に届ける手伝いをしました。

 あと、同年代の子が多く居る天狗の寺子屋にも通わせて貰いました。

 

 

 

 「いやぁ、人間の子供に教えるなんて何百年ぶりじゃろうか……」

 

 「あの……僧正坊様、あの子は現世の子供ですから……」

 

 「わかっておる、わかっておる」

 

 まさか熊と相撲させられそうになるとは思ってもいなかった、止めて下さってありがとうございます、義経様。

 

 まぁ、一か月もしないうちに天狗の子供に交じって普通に相撲したけど。 

 

 

 

それから暫く経って、現世では小学生になり体育の時間やったドッジボールで……

 

 「やぁー!」

 

 私が投げた球がブン!と音を鳴らし、壁にめり込んでいました。

 

 「え?」

 

 「ひぇ!」

 

 私が狙った子は尻餅をついて両腕で、顔と頭を守っていた。

 

 「すげー!」

 「まきゅーだよ!」

 「かいりきだぁ」

 「こせーつかうのははんそくだぞ!」

 

 「え?でもわたしのこせーは、ゆめでじ……ゆめでおきてるときとおんなじようにかんじるこせーだよ?」

 

 「じゃーこせーつかってないの!すげー」

 

 私自身、疑問に思ったのでその日の晩にお父さんに聞いてみたけど

 

 「今度、調べておくね」

 

 今度って何時だろう?って思ったので地獄の頼りになりそうな鬼ぃさんに聞いてみました。

 

 「ほおずきさまー、いまおじかんいただいてもよろしいでしょうか?」

 

 「少しお待ち下さい、今書類を片付けるので……」

 

 そう言って、お忙しいのに時間を捻出してくださった鬼灯様はやはりお優しいです。

 

 「終わりましたよ、それで用は何ですか?」

 

 「はい、きょうしょうがっこうでですね…………このような事になったんです!」

 

 「成程、解りました。幾つか心当たりがあります」

 

 「すごいです!ほおずきさま、もうわかるなんて」

 

 「いえ、解決策という訳では無いのです。それはそうと……幽鬼子さん貴方は子供です、私に対する言葉も、もっと普段から使っているような言葉でも、私は怒りませんよ?」

 

 「いいえ、ほおずきさま。おとーさんがいっていました。こころからそんけいできたり、りっぱだなとおもったひとには、ねんれいやちいにかんけいなく、あたまをさげたり、ことばをていねいにつかうことがしぜんとできるものなんだよって」

 

 「……将来恥ずかしくなりますよ、今の発言」

 

 「?」

 

 今、回想してすごく恥ずかしいです!

 

 「それで……ですね、これは仮説なのですが貴方の個性という異能……こちらに来るだけで無く、こちらでの体験をも現実の身体に反映させるものなら凡そ解決するのですが……」

 

 「あ!そろそろ、かみきりたいとおもっていました!」

 

 「成程、いいですねそれ。結果がわかりやすい」

 

 それから、お香姉さんに髪を整えて貰いました。

 

 次の日の朝……

 

 「あれ?幽鬼子ちゃんいつ美容院にいったの?」

 

 とお母さんに言われ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お母さん……おのれヴィラン、よくもお母さんを!よくもお父さんにあんな事を!おのれ社会のゴミめ!私が、いずれ社会から一掃してやるからな!

 

 おっと……()()()()抑えないと、笑顔、笑顔!そして冷静に、この恨み辛みを力に変えてこの試験に挑みましょう!

 

 ええっと、どこまで回想しましたかね?試験前に自身の過去を振り返りましたが……割といい時間ですね。そろそろ実技試験ですし、ここまでにしましょう。

 

 さぁ、試験にいきますか!

 



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実技試験

お酒飲みながら書いたので、後日誤字脱字を修正します。


 

 自分の過去を思い出すのも、程々にする。

 眼鏡のいかにも真面目ですっていう風体の男子が、試験会場とは場違い感のあるプレゼント・マイクに質疑をして、もうすぐ実技試験開始の雰囲気を感じる。

 

 「スゥーーハァーー」

 深呼吸を一つして、気持ちを落ち着ける。

 

 『フハハハ、人がゴミのようだ!』とつい言いたくなるような、人混みの中に今居る。倍率300倍にもなるとこんな人混みになるのか……こんな人混み正月の伏見稲荷だけで十分だ。 

 

 「ハイ、スタート!」

 

 おっと始まった。自分に割り振られた会場に向けて全速前進だ!

 自分以外に、どんな個性持ちが居るかわからないので全力で試験に挑む所存であります!

 

 私の個性は簡単に言うと夢で地獄に行く。

 だが、これだけでは無い。

 地獄での経験が現世でも反映される、肉体の変化も該当する。

 

 何が言いたいかというと……

 人間止めていました!

 外見こそ普通の人だけど、力や視力、瞬発力etc……異形型個性の人すら中々無い強さをもっている。

 原因は鬼灯様曰く。

 1、黄泉戸喫という食すと黄泉の国の住人となる伝承が地獄でも適応し、私の個性と何か変な反応をして地獄では地獄の住人として人間じゃない生物になって、現世の身体にも適応された。

 2、地獄の住人の妖気や神気的な物を長期で浴びた事で妖怪的な者になり、現世の体にも適応された。

 3、鬼灯様達のご厚意で通っていた、天狗の寺子屋だが。天狗には攫った人間の子供を天狗にするという伝承がありそれが適応され、現世……以下略。

 

 3つのどれか、あるいは全てが原因らしい。

 

 もし個性全盛期でなければ問題だったかもしれない、だが幸いにも今は異形型個性持ちも受け入れられる時代だ、それだけはこんな時代でも感謝しなきゃならない。

 

 まぁ、それはともかくとして……

 

 「ロボを見つけて!周囲の安全確認!石をシュート!超エキサイティング!」

 

 ロボの破壊、チョロいぜ。

 

 このロボ外見だけだ、鉄パイプでもなんでも武器や個性を持って勇気を出して対峙したら簡単に壊せる。

 

 だが、そんなの関係無い。私が把握したロボは全部貰う、両手とポケット一杯に石を詰め込んで、適度な高さのビルを駆け上る。

 

 「割といるね。他の人達が来る前に、取れるだけ点を貰うとしましょうか」

 

 ある程度、点数を稼いでいると、会場も人でごった返してくる。

 

 ああ、そんなに慌てるから足を捻る。

 そのぶつかり方は骨が折れてるか、ヒビ入ってるかな?

 でも助けませんよ、自己責任ですよ?

 あ……その頭のぶつけ方は不味いかも……仕方ないちょっと様子を見てくるか。

 

 医療班が居るテントまで運んだら、ちょっとコスプレに無理があるおばあちゃんに捕まった。

 

 「試験中にありがとうね、ちょっとぶつけ方が危なかったから連れて来て貰って助かったよ。残りの試験がんばんな」

 

 「はい、でも私はそのレベルの怪我じゃないと助けませんよ?ヒーローの試験でしょ、多少の怪我は自己責任です」

 

 それから、暫く経って……

 

 「あはは、国民の血税を何だと思っているんだこの学校は……」

 

 試験の規模から薄々感じてはいたけど、この学校……税金の無駄遣いし過ぎだ。

 

 将来私が()()()になったら、予算カットしてやるからな~

 

 無駄にでかいロボを行動不能にする為に、各駆動部を破壊しできるだけロボと周囲の被害を抑え機能停止に追い込んでやった。

 

 



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オールマイトとAFO、臨死体験しったてよ。1

プロローグの採点の場面に戻ります。
オールマイトとAFOのキャラ崩壊してるかもしれないけど許して下さい。
あと、長くなりそうだから取りあえず適当な所で切り上げました。


 採点の協議の為に、教師兼プロヒーローは件の女生徒のプロフィールに目を通していた。

 

 「しかし、後天的に異形型個性って何だ?初めて聞くぞ」

 

 「文字通りの意味だろ?俺も初めて聞いたが……それよりも、夢見って姓に聞き覚えがある。どなたか知ってる方いらっしゃりますか?」

 

 そう、無精ひげを生やした男が他の面々に問う。

 

 聞き覚えがあったのか、云々と唸っていると一人の巨漢が声を上げた。

 

 「私が知っています」

 

 「オールマイト先生、ご存知なんですか?」

 

 だが、彼を知っている面々はおや?っと疑問を感じていた。オールマイトと言えば元気がよく、アメリカンな笑いを良くしているイメージがあるが、夢見という名を聞いてから顔を苦い表情と悲しみの表情で右往左往していた。

 

 「ええ、彼女はとある事件の被害者遺族なのですが。正直この職業についてから痛ましい事件を多々見てきましたが、その最たるものの一つでした」

 

 「……どのような事件だったんですか?」

 

 「……………………………………………………………………………………変身系個性持ちのヴィランが彼女の母を殺害、成りすまし。彼女の母を調理したものを彼女の父に食べさせました。彼女の父は、今精神病院で療養中です」

 

 その場の空気が凍り付いた。

 

 (この場の皆は、私が彼女を知っているのは、事件があって彼女を知ったのだと思っているだろう。だが、事実は逆。彼女を知ったから、事件を知っているのだ。そうあれは…………(AFO)と戦い瀕死の重症を負った時の事だ)

 

数年前

オールマイトは巨悪であるAFOと戦った。激戦の末にAFOを打倒することはできたが、オールマイトも瀕死の重体となっていた。

オールマイトが意識を取り戻すとそこは川の畔だった。

 

(私は、何故ここに居る?私は奴と戦っていたはず……)

 

「やぁ、オールマイト。まさか、こっちに来てまで君と一緒だなんて…………全く反吐がでる」

 

 そこには、オールマイトが倒したはずのAFOが、どういう訳か無傷のままの姿でそこにあった。

 

 AFO(オール・フォー・ワン)!何故、貴様が無傷で立っている!?」

 

 「そう言う君だって無傷じゃないか……まぁ、その理由はきっとこの場所にあるんだろうけどね」

 

 「この場所だと!」

 

 そう言ってオールマイトは眼前の巨悪を警戒しつつ、周囲を観察する。

 

 ここが大きな川の近くというのは、見た通りだ。

 大きな川の傍には大きな橋が架かっていた、だが不思議な事に橋の上を歩いて渡っているのは少人数で何故か大半の人々がわざわざ川に入って渡っている。そして最後に、川を渡るのを待ってる人や橋を渡っている人々は白い衣着ていた、その姿はそう死装束のように見える。

 

 「ここは、あの世の三途の川じゃないのかな」

 

 「その通りです」

 

 突如として、その少女は現れた。

 凛とした声をした、10代前半といった美少女だ。

 時代劇で見るような黒い着物と腰に差した刀に目を奪われる。

 

 「「君は?」」

 

 「「むぅ」」

 

 お互いに被ったことで睨み合っていると、パン!っと手を叩く音が聞こえる。

 

「はい、剣呑な空気ですが……もし、喧嘩や暴力沙汰を起こしたら本当に死んだ時の裁判の際に、すごく不利になりますので気を付けてください。っと私の事ですね、私は非常勤獄卒の夢見幽鬼子と申します、短い付き合いになる事を願っています」

 

 「「非常勤獄卒!?」」

 

 格好良く言っているが、要するにアルバイトだ。

 

 「お二人は只今、臨死体験中です。その間、私がお二人の地獄観光ツアーのガイドとして地獄の入り口付近の案内をさせて貰います。もし生き返れたら、『伊達にあの世は見てねーぜ!!』という持ちネタができるので、同僚やご友人に試してみてください」

 

 「?」

 

 「……………………ああ、ふふ懐かしいなぁ、弟と一緒にそのアニメ見たよ再放送の幽〇白〇。でも、お嬢さん。それは古いよ、長生きの僕でも、どうにか覚えてるレベルだよ」

 

 「やっぱり、ド〇ゴ〇ボー〇の方が人気だったんでしょうか?」

 

 「いや、確かにド〇ゴ〇ボー〇は人気だったよ。連載が終わって、アニメが終わって何十年も経っていたのにゲームの新作が出るレベルだった。でも、やっぱり現代っ子には通じないよ」

 

 「現世で私頑張って、昔の漫画やアニメを友達に布教しているんですが、いつか再ブームこないでしょうか?ついでに音楽はポケ〇トビスケ〇ツとブラ〇クビスケ〇ツを布教しています」

 

 「ごめん僕、ポケ〇トビスケ〇ツとブラ〇クビスケ〇ツは知らないや」

 

 心做しかAFOの声は楽しそうに感じた、オールマイト。

 そして、話についていけなくてちょっと寂しいオールマイト。

 

 閑話休題。

 

 「はい、これから臨死体験ツアーを行いますが。お二方は何か質問はございませんか?」

 

 手がスッと伸びたのはAFO。

 

 「はい、えーと。本名はよした方が、良いですね。生き返れた時、現世に影響が出そうですし……はい、AFOさん」

 

 「(本名を知られている!)お嬢さんは獄卒だそうだけど、現世でも活動している口ぶりだったけど獄卒っていうのは皆そうなのかい?」

 

 現状が不明な事が多すぎる為に、まずは情報を収集する為に、世間話をするかのように話題を振るAFO。

 

 「ああいえ、確かに偉い方々は定期的に現世に視察に行かれているそうですが、そう頻繁に行かれてる訳では無いのです。私が特殊でして、普段は現世で普通に小学校に通っています」

 

 「「小学生!?」」

 

 「君は小学生なのかい?こういっちゃ何だが中学生か高校生位に見えるよ。それに、今更だけど夢見って名前聞き覚えがある」

 

 「はいオールマイトさん、私は現世では小学生ですよ。個性の力で現世とこちら側を逝ったり、来たりをしていますが。こちら側は神仏の世界に近い世界なので時間はゆっくりと流れている*1ので個性でこちら側の影響を受ける私は成長が早いのです。あと私の苗字が気になるのなら生き返ってから調べればすぐにわかると思います」

 

 「あの世に逝く個性だなんて聞いた事も無い……仮に奪ったとしても僕にメリットはありそうに無いね、だけど非常に興味深いストックしておく価値はあるか?」

 

 「貴様はこんな状況でそんな事を!君も免状も無しに個性を使うのは犯罪だぞ」

 

 「ふふ、AFOさんは、そんなにこちら側に来たいんですか?なら、そんな面倒な事をせずとも、すぐにあちら側の列に並べるように上に掛け合いますよ?*2上手くいけば晴れてこちらの住人ですよ。*3それと、オールマイトさん。私の個性は寝ると勝手に発動するものですし、家つまりは私有地での個性利用なので犯罪ではありませんよ」

 

 「……別に、そういうつもりで言った訳では、無いのだがね」

 

 「いや、そういう発動条件なら仕方ないかもしれないが……ムムム」

 

 そんな二人を後目に、幽鬼子は懐から懐中時計を取り出し時間を確認する。

 

 「まぁ、良い時間ですし。そろそろ行きましょうか。話は道すがらできます」

 

 「行くって、どこへだい?」

 「一体、どこへ?」

 

 「どこへって、最初に言ったじゃないですか臨死体験ツアーだって。そろそろ裁判が始まりますのでそこを見学してもらいます」

 

 

 

 

 三途の川から道なりに進み歩く、景色は相変わらずの地獄模様だ。

 

 「夢見少女、質問いいだろうか?」

 

 「はい、どうぞ」

 

 「夢見少女は、何故このような事を?」

 

 (さて、この『何故』は何に掛かっているのでしょうか?

 何故?臨死体験ツアーなどを行うのか?

 何故?よりによって自分(オールマイト)とAFOを一緒にするのか?

 何故?私のような子供が獄卒をやっているのか?

 と言ったところでしょうか?最後のはNO1ヒーロー所以の心配と言ったところなんでしょうけど困ったものですねヒーローという職種は……答えて上げてもいいですが。今は職務中です、それにそったものを答えましょう)

 

 「臨死体験ツアーの事ですか?個性という異能が出てきてからただでさえ狂暴化していた亡者が更に好き勝手に暴れるようになりました。ああ……ほら、ちょうどあのように」

 

 幽鬼子が指をさした先には、亡者の列から抜け出しこちらに向かって走ってくる存在があった。

 

 「俺には、妻も子供もいるんだ!死んでたまるか!?……………………あれは、オールマイトさん!オールマイトさんも死んでしまうなんて…………でも、オールマイトさんと一緒ならここから逃げ出せるかも知れない!おーい、オールマイトさーん!おーい」

 

 何故か死装束を着ていない上半身裸の大男の姿があった。その肌はダイヤモンドのように光り輝いていた。

 

 「あれは金剛ヒーロー・ヴァジュラ!彼も死んでしまったのか……」

 

 「ああ、個性『ダイヤモンド』の持ち主だったね。硬さは大したものだけど割るのは容易かった。あれがトップヒーローだとは、とても思えなかったね」

 

 「貴様!?」

 

 

 彼を殺したのが目の前の巨悪だと察し、オールマイトは激高するが、パンパンと手を叩く音が聞こえた。

 

 「はいはい、熱くならないで下さい。今、制圧してきますので」

 

 幽鬼子は目にも止まらぬ速さで、ヴァジュラの元に移動する。

 

 「うん?お嬢ちゃんも死んじゃったのかい?かわいそうに……でも大丈夫、私とオールマイトが……がぁ!?」

 

 眼球に指が突っ込まれた。その痛みとショックからヴァジュラは尻餅を付いた。

 

 「な、何をする」

 

 「いや、困りますよ。元の場所に戻ってください」

 

 そう言いながら、幽鬼子は暴れるヴァジュラを小柄な身体で躱しながら身体を縛り上げる。

 

 「俺には妻子がいるんだ!俺が死んだら誰が養うっていうんだよ!?」

 

 そう叫び、縛りを解こうと力を込めるがびくともしない。

 

 「関節に食い込むように縛りました、上手く力が入らないでしょう?」

 

 幽鬼子は幽鬼子で、その叫びを無視する。

 

 そんな事をしていると。大柄な身体に、角を生やしていて大きな金棒を持った、如何にも鬼といった風体の存在がやって来た。

 

 「やぁ、幽鬼子ちゃん手数をかけたね。助かったよ」

 

 「いえ先輩、それほど手はかかりませんでした。それよりも、もっと威厳というか恐ろしさを出して下さい。地獄の獄卒の鬼なんですから怖がれてなんぼです、亡者に遠慮はいりません」

 

 「ああそうだな、おら逝くぞ!あの娘、年々鬼灯様に似てくるな……

 

 そう言って、鬼はヴァジュラの首根っこを掴んで列に戻っていった。

 

 「一瞬で移動したあれは個性か?いやあの世に逝くのが個性だと言っていた。あの言葉に嘘は無かった、あの表情は自身の個性を自慢する人そのものだった……それにしても、随分と静かだねオールマイト、君なら何かしらのアクションはしそうなものだが?」

 

 AFOは長年の産物である観察眼で幽鬼子を観察していたが、それと同時に不思議に思ったのは、この光景を宿敵であるオールマイトが黙って見ているだろうか?そう疑問に思い、オールマイトの方を見ると……

 

 「ぬぅ……」

 

 そこには膝をついた宿敵(オールマイト)の姿があった。

*1
本作オリジナル設定

*2
するとは言ったが、できるとは微塵とも思っていない

*3
住人とは言っても、亡者としてだ




誤字脱字の確認はしたけど、絶対あると思うので後日確認します。


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オールマイトとAFO、臨死体験しったてよ。2

なんか適当な感じになりましたが、これで先に進める。
AFOとオールマイトは多分キャラ崩壊しています。

AFOは現状の観察をしているから大人しいです。


 AFOは眼前の光景に、驚愕を禁じ得ない。

 宿敵(オールマイト)が膝を折っていた、それがどういう事を意味するのか現代を生きる者なら理解できるだろう。

 

 「ぬぅ、力が入らない……」

 

 (オールマイトの不意を打ったんだろうが、それができる者がどれだけ居る?)

 

 「夢見少女一体何を……」

 

 オールマイトの前には、既に戻ってきた幽鬼子が居た。

 

 「いえ、何事も無ければ悪い事をしたと謝るつもりでしたが、その様子だと助けに行こうとしましたね?」

 

 そう言い、オールマイトの背後に周り彼の身体から針を引き抜いた。

 

 「力が入らなくなるツボに針を打っていました。力を込める動作が出来なかったでしょう?」

 

 (簡単に言ってるけど、よく僕や奴に気づかれずに出来たものだ。それに、よくあの筋肉達磨に針が刺さったものだ)

 

 「何故このような事をした夢見少女!彼は、ヴァジュラ君は私に助けを求めていたんだ!」

 

 「いえ、あちらの方は亡者なので関わらないで下さい。このように貴方方は、善きにしろ悪しきにしろカリスマがあります。オールマイトさんは言わずもがな、AFOさんも裏社会で有名で腐れヴィラン共を引き付けてやまない存在のようですね。臨死体験中、このように亡者の秩序を乱さないように我々獄卒が貴方方に付く事になりました。今回はお二人同時に臨死体験されましたので、人手不足も相俟って、相性は悪いとは思いましたがお二人を一緒にさせて頂きました」

 

 (まぁ、貴方方は問題児としてマークされていたようです。本当は、今日の担当も別の獄卒だったのですが、有給を取っていらっしゃったので、手が空いている私が来ましたが……現世も生きている私が、臨死体験される方のお相手をするのは本当はよろしくないのですが……鬼灯様も苦い顔してしまいましたし、これも人手不足のせいですかねぇ)

 

 「彼は……ヴァジュラ君はどうなる」

 

 そうオールマイトは悲痛な表情で問う。 

 

 「はい、他の亡者の方同様に十王様の裁きを受けて貰います」

 

 「十王様というのは?」

 

 「文字通り十人居られる地獄の裁判官で、閻魔大王様の名前なら聞いた事があるかと思いますが」

 

 「閻魔大王というと、嘘を付くと舌を抜くというあの……」

 

 「閻魔大王は知っていたけど、そんな存在が十人も居るとは知らなかったよ」

 

 「閻魔大王様以外の知名度……」

 

 

 閑話休題。

 

 

 「ここが、死後の裁判所の一つです」

 

 3人が大きな建物に入ると、丁度裁判が行われていた。

 

 「貴様は己の個性を使い、女性の下着を覗き見た。相違ないな?」

 

 「はぁ?そんな事してませーん。しょーこだして下さーい」

 

 「我等十王は嘘には厳しいぞ、もう一度だけ聞く。貴様は個性『透視』で女性の下着を覗き見た、相違ないな?」

 

 「だから、しょーこ出して下さーいっつってんだよ!」

 

 「思ったより、しょうもない罪状だな」

 

 「『透視』か汎用性に優れたいい個性だね、でも使い方がしょうもないのには同感だ」

 

 見学者である、二人も納得のいくしょうもない罪状だ。

 

 「篁!証拠を持ってこい」

 

 「はい、只今。っと丁度いい所に、幽鬼子ちゃん、ちょっとこっち来て!」

 

 そう、篁と呼ばれた特徴的な頭髪をした青年がやって来た。

 

 「なんだか、嫌な予感がします……」

 

 そうして被告の前に連れて行かれる幽鬼子、すると……

 

 「おい嬢ちゃん、着物だからってサラシなのはどうなのよ?でもパンツは……ぐへ」

 

 言い切る前に、幽鬼子の拳が深々と顔に刺さる。

 

 「今の行動がなによりの証拠!判決、衆合地獄逝き!次の裁判へ逝け」

 

 オールマイトとAFOの前に幽鬼子は戻って来ると、何事も無かったかのように話を進めた。

 

 「と。あのように、亡者は魂のみの存在なので行動が正直になるのです*1

 

 「あれが閻魔大王……」

 「閻魔大王、なんて威厳と威圧感だ」

 

 それが聞こえていたのか、篁と呼ばれた青年は「あー、またか」と頭を抱え、閻魔大王と呼ばれた方は顔をしかめる。

 

 「あー、あの方は十王様の一人で秦広王(しんこうおう)様で、罪に対する嘘の有無を審議される方です。ちなみに、閻魔大王様は5番目の裁判の裁判官ですね。よく臨死体験で閻魔大王様に会ったと言われていますが、大抵は秦広王様と勘違いしているのです」

 

 解説を聞いていると、二人の身体が薄れてきた。

 

 「これは身体が薄くなってきた……」

 

 「この現象は……生き返るのかい?」

 

 「さぁ?生き返るのか、改めて新たな亡者となるのかのどちらかです。現世のお医者様が優秀な事をお祈り下さい」

 

 そうして、オールマイトは気が付くと病院だった。

 生還の代償は重かった、呼吸器官半壊、胃の全摘と傷による弱体化と活動制限が出来た。

 

 それは、巨悪であるAFOも一緒だった。

 彼は仲間の老医により治療を受け生存したが、オールマイト同様全盛期と比べその力は失われた。

 AFOは裏社会の更に、闇深い場所に潜伏する事にした。

 その悪意を継承させる者の教育に、力を注ぐ事にした。

 

 その頃、地獄。

 

 「あの腐れヴィランの大将最後まで大人しかったな、ちょっとでも暴れてくれたら色々都合が良かったのに……っと、鬼灯様に報告書上げなきゃ」

*1
本作独自解釈および設定である



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