RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア (バリート)
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0章 プロローグ
EP01 ツヴァイウィング&キング2041


初投稿ですので、思い思い書いてみました。
しばらくはプロローグが続くのでとりあえずこの回はライダー要素0です。


ーこれは本来起こるはずがなかった物語であるー

 

 

小さい頃こんな夢を見た。世界が大きなロボット達によって破壊される夢だ。建物が次々に壊されていく。人の悲鳴が聞こえる。

 

なんとかしなくちゃいけない

 

そう思っていると不思議な男が現れこう言った

 

「お前は生まれながらの王、世界を破滅から救う使命がある」

あの男が誰かは知らない。でもこの言葉にはきっと意味がある。そして俺はこの言葉をずっと覚えていた。

 

―2041年

 

俺は逢坂王我(あいざかおうが)。夢は王様になることだ‼︎

そんな俺は今とあるドームにいる。大きさは日本でも指折りに入る。なんで俺がここにいるのかというと別にただライブを観に来た訳ではない。幼馴染に挨拶に来たのだ。そう今日の主役(幼馴染)に・・・・

 

「よっ、調子はどうだい?」

 

スタッフさんがステージの準備で忙しく人の出入りが激しい中俺は幼馴染を意図も簡単に見つけることができた。

 

「おっ、王我じゃん。よくアタシ達を見つけられたなぁ」

 

ステージ衣装の上から上着を着ている少女 天羽 奏はこれから大事なステージなのに余裕そうに俺に返事をする。

 

「そりゃ幼馴染であのツヴァイウィング様をすぐ見つけられない程度なら王様になんかなれないしね」

 

今の通り俺と奏は昔からの付き合いなのだ。そしてもう一人…

 

「ハハッ、相変わらずだな。ほら、翼も王我のこういうところだけは見習えよ」

 

「(「だけは」ってなんだよ、「だけは」って)」

 

「えっ⁉︎・・うん、そうかもね・・・」

 

上着のフードを被っているもう一人の幼馴染 風鳴 翼は小さく答える。

 

「(お願いだからもう少し自信もって肯定してくださらない?)」

 

「もしかしてだけど翼、今緊張してる?」

 

「あっ、当たり前でしょ‼︎櫻井女史も今日は大事だって・・・」

 

ですよねー。

「(まぁ確かに今日はとても大事だし翼がこうなるのもおかしくはないよなぁ)」

 

なんて思っていると

 

「か〜〜っ、真面目すぎるね〜〜」

 

と奏は翼にデコピンをくらわせて呑気に言い放った。

 

「奏は不真面目過ぎなn…

平手打ちが飛んで来た。クソ痛ぇ。

 

「奏、翼、王我もここにいたのか」

 

「司令」 「おじさん」 「こりゃまた弦十郎の旦那」

 

この赤いスーツを着た人は風鳴 弦十郎。翼の叔父にあたる人だ。

 

「わかってると思うが今日は…

 

「大事だって言いたいんだろ?大丈夫だって」

 

おじさんの言葉を遮り奏が余裕そうに返事をする。それに対しておじさんは微笑みながら

 

「わかっているならそれでいい。今日のライブの結果が人類の未来を賭けてるってことをな」

 

そう、繰り返すが本当に今日は大事なのである。そもそも俺は今日ただライブを観に来た訳ではなく、ここの特殊警備をする為にいるのだ。

 

 

おじさんが櫻井女史こと櫻井了子(ちなみに俺は了子さんと呼んでる)からの電話に応答すると

 

「王我、お前も準備に入るぞ」

 

とうとう俺も準備にかからなければならくなった。

 

「ステージの上は任せてくれ、王我」

 

親指を立てて奏が言う。

 

「あぁ、なんかいける気がする」

 

俺は奏に負けないくらいの自信を持って答えた。

 

 

 

 

王我と司令が去ったあと、私 風鳴 翼は奏と一緒にもうすぐ始まるステージの為に待機していた。

 

「さて、難しいことは旦那や了子さん、警備は王我に任せてさ、アタシらはパァーッと・・」

 

私は奏みたいに考える余裕はない。司令や王我が頑張ってくれてるのにもし、私が失敗したら・・・

すると、後ろから奏が抱きついてくる。

 

「真面目が過ぎるぞ 翼。あんまりガチガチだとそのうちポッキリいっちゃいそうだ」

 

奏は私を気遣ってかそんな言葉をかける。

 

「奏…」

 

「アタシの相棒は翼なんだから翼がそんな顔してるとアタシまで楽しめない。王我だってきっと言うぞ」

 

そうだ。私は一人じゃない。奏と一緒にステージ立つんだ。

 

「うん…私達が楽しんでないとライブに来てくれたみんなも楽しめないよね」

 

「わかってんじゃねーか」

 

急に自信が湧いてきた。

 

「奏と一緒なら何とかなりそうな気がする」

 

奏が頷く。

 

「でも王我の名前出してやらないとアイツ拗ねちまうかもな」

 

「アハハッ、そうかもね」

 

きっとこの会話を聞いてたら王我はムッとするに違いない。

 

「行こう、奏」

 

「あぁ、アタシとアンタ、両翼揃ったツヴァイウィングに王様希望のアイツの警備があればどこまでも遠くへ飛んで行ける」

 

「どんなものでも超えてみせる」

 

そして私は手を取りステージへ羽ばたく…

 

 

奏と翼と別れた後俺とおじさんは早速準備に取り掛かっていた。

 

「王我、武装の調子はどうだ?」

 

おじさんが聞いてくる。

 

「大丈夫だよ、昨日も母さんが見てくれたし・・でも本当はこれを使わずに終わればいいんだけどね…」

 

俺は首に掛けている金色のペンダントを触りながら言う。

 

「念には念を入れてだ。気張っていけよ」

 

「はい‼︎」

 

おじさん達の為にも、二人の為にもやってやる!

気合いを入れ直していたが、直後俺は何故かどデカイクシャミをかましていた。

絶対アイツら俺の噂話してんだろ…

 

そんなことを思っている間にも俺が逢魔の道を進んでいることをこの時の俺は知るよしもなかった。

 

 

 

 




次回、RIDER TIME 戦姫絶唱シンフォギア

「飛ぶぞ、翼、王我‼︎」
「ネフシュタンの鎧…」
「目を開けてくれ‼︎生きるのを諦めるな‼︎」
「やめろ‼︎奏‼︎」
「歌が…聞こえる‥」
「そうさ、命を燃やして歌う、最期の唄…」

EP02 ソング オブ ライフ2041


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EP02 ソング オブ ライフ2041

この本によれば、逢坂王我、彼には…おっと、このページを見せるにはまだ早かったようですね。では改めて…
ツヴァイウィング 天羽 奏 風鳴 翼 のライブの警護をする逢坂王我。そして、彼らにとって最悪の事態が起こる。そして3人の絆はバラバラに…えっ、それよりも私の名前ですか?
お気づきの方も多いでしょうがそれはまた後ほど…


俺は今ステージを裏から見ている。本当なら、警備中にそんなことは許されるはずないんだけど、おじさんの粋な計らいで特別にここからならステージを見てもいいと言ってくれた。ここならすぐに動けるからいいぞって。流石おじさんだ。

 

「(それにしても、いつ見ても凄い人の数だなぁ)」

 

今更言うけど、ツヴァイウィングの人気は凄いのだ。今日のライブの観客人数はもちろん、この時代には珍しいCDの売り上げなんかも目を見開く程だ。やっぱりアイツらは将来、王専属の歌手にもらいたい。まぁ、それよりも俺はアイツらの歌の魅力を全世界の人に知ってもらいたいから、あまり本気では考えてないんだけどね。

ちなみに今ツヴァイウィングが歌っている曲は俺も大好きな歌

 

“逆光のフリューゲル”

 

曲が終わると会場は歓声の嵐が巻き起こる。

「やっぱスゲェよ、奏 、翼」

まだまだ行くぞ‼︎

奏の言葉と共にファン達が更に盛り上がる

 

 

また別席にて彼女たちのステージに心を奪われるものがいた。

彼女の名は 立花 響

「ドキドキして 目が離せない…凄いよ、これがライブなんだ!」

それが彼女のツヴァイウィングとの出会いとなった。

 

 

 

ー研究室

 

「フォニックゲイン 想定内の伸び率をしめしています」

研究員が情報を伝達する。

「成功みたいね、おー疲れ様♪」

櫻井了子が実験の成功を発言すると研究員は皆次々と体を伸ばしていく。

 

 

だか、その安心も束の間だった

 

 

警報音が鳴り響く。

「どうした⁉︎」

弦十郎が言葉を放つ。

「上昇するエネルギー電圧にシステムが持ちこたえられません!」

「このままでは聖遺物が起動、いえ暴走します!」

研究員が対策をしているが

 

聖遺物は爆発。

そしてその爆発はステージを突き抜けた。

 

歓声は一瞬で悲鳴に変わる。

 

 

「まさか⁉︎」

俺は想像したくもない事態が起こってしまったことに驚きを隠せない。そしてステージ上のツヴァイウィングの二人も何を察した表情をする。

 

そして奏が言葉を放った。

 

「ノイズが来る‼︎」

 

ノイズ …この世界にいる謎の多い生命体。ただわかっていることは、ノイズに触れられた人間は炭化して死ぬ

 

「ノイズだぁぁ‼︎」

人々は恐れ悲鳴と共に逃げていく。周りのものを壊しながら人を襲うノイズ。

「死にたくない‼︎死にたくない‼︎」

そんな思いも儚く散っていく。

 

ノイズには色々な種類が存在し、飛べるものもいれば、巨大なもの、素早いものもいる。人はそんなのから逃げ切るのは困難なのである。

 

俺はステージに上がる。奏たちと共に戦う為に。本当ならおじさんに許可をもらわないとダメだが、今はそんなこと言ってる場合じゃない。

「飛ぶぞ、翼 、王我!」

奏も同じ考えだったようだ

「そうだな、今戦えるのは俺らだけだからな」

「でも、司令からは何も…

翼の言葉を遮るかのように奏はノイズの軍団に向かって飛んだ。

そして歌った。

 

『Croitzal ronzell gungnir zizzl』

 

奏は機械のようなものを身に纏った。そう、これがノイズに対抗すべく人類が開発した武装“シンフォギア”である。

 

そして奏が纏っているのは第3聖遺物“ガングニール”

奏は槍を持ち、ノイズを次々に殲滅していく。

 

そしてその戦いに翼も参戦する。

彼女が纏っているのは第1聖遺物“天羽々斬”

剣を用いてノイズを切断していく。

 

 

「よし、俺も‼︎」

そして俺は金色のペンダントに触れ

武装、起動‼︎

 

俺の身には翼たちの軽そうな装備ではなく、少し重みのある鎧のようなものが装着される。

これはシンフォギアではない。新型シンフォギアの開発の為に完全聖遺物を使って作られた擬似シンフォギア“エクスキャリオン”

 

本来のシンフォギアなら歌い続けることで鎧が生成されるが、俺のエクスキャリオンは歌う必要はない。ただ、常人には扱えず、更には制限時間付きというデメリットも付いてくる。

「飛んでけぇ!」

 

翼の剣とは違い、洋剣の見た目をした剣を俺は振り回した。大体制限時間は5分くらい。全然時間が足りない。だから俺は限られた時間で出来るだけ多くのノイズを倒す。

 

一方、研究室後では、

瓦礫の下敷きになった研究員が何人もいる。

「了子くん、皆無事か…」

弦十郎が虚ろに言う。そこで見たのは

「ネフシュタンの鎧…」

虹色に光る研究対象、ネフシュタンの鎧だった。

そしてすぐにまた瓦礫が降ってきた…

 

 

俺達3人は、人が居なくなったドームで無数のノイズを倒し続ける。

そう、人はいない、俺らはそう思っていた。

 

戦いの中、奏の動きが遅くなる。

「くっ!時限式じゃここまでか!」

奏は【LINKER】という人と聖遺物の適合率を上げる薬を投与している。今それが切れたということは…

「うわぁぁ‼︎うっ!」

奏はノイズに吹っ飛ばされた。でもまだ体勢は保っている。息を整えながら次のタイミングを狙う奏。

そんな時客席が崩れ、女の子の声が聞こえた。

「まだ、人がいたのか⁉︎」

人の存在に気づき、俺は助けてようとするが、急に体の力が抜けていった。どうやら俺も限界が近いみたいだ。鎧にノイズがかかり、形状を維持出来ていない。

「うぅ…つぅ…」

女の子は膝を怪我したのか手で押さえている。そして最悪なことに、彼女に向かってノイズがやってきた。彼女は脅え、もう目を瞑ることしかできなかった。

しかし、ノイズは消滅した。奏だ。奏が少女に群がるノイズを倒しているのだ。

「今だ!逃げろ‼︎」

俺はノイズとの戦闘で精一杯の奏の代わりに声を荒げ言った。

彼女は膝を引きずりながら、戦場から離れようとする。

そんな時ノイズの猛攻が襲う。奏は槍を回し攻撃を防ぐ。

「奏‼︎」

適合者であり、安定してシンフォギアを纏っている翼は、相棒の危機に助けに向かうことが出来ない。俺も奏も戦える時間は限られてる。今はほとんど一人で無数のノイズと戦っているのとなんら変わらないのである。

そして、奏のギアに亀裂が走る。

「奏‼︎」

「うるらぁ‼︎」

ギアが少し砕けたが何とか攻撃を防ぐことに成功した。

 

だが、そのギアの破片が少女の胸に突き刺さってしまった。勢いよく飛び出す鮮血に俺らは言葉も出なかった。少女は地面に倒れ、周りには胸から湧き出る鮮血の溜まりが出来ていた。

 

「おい、死ぬな‼︎」

「生きるのを諦めるな‼︎」

彼女は奏の言葉に反応したのか目をゆっくり開けた。

よかった生きてる

きっと奏はこう思ったかのように安心した顔を見せる。そしてすぐに顔が引き締まる。覚悟を決めた顔だ。

嫌な予感がした。残念なことに俺の嫌な予感はよく当たる。多分だが奏は…

「いつか、心と身体、全部空っぽにして思いっきり歌いたかったんだよな」

槍を持ちノイズの集団に向かい歩み始める。

 

「今日はこんなにも大勢の連中が聞いてくれるんだ…、だからアタシも出し惜しみなしでいく…」

 

駄目だ奏…今のお前の身体じゃあ…

 

「とっておきをくれてやる。 絶唱」

 

奏は頬に涙を流した。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl』

 

「いけない‼︎奏、歌っては駄目‼︎」

 

翼が叫ぶ。でも翼は動くことが出来ない。

 

「やめろ‼︎奏‼︎」

 

俺は最後の力を振り絞り奏を止めに向かった。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

「歌が…聞こえる…」

 

「そうだ、命を燃やして歌う、最期の唄…」

 

『Emustolronzen fine el zizzl』

 

奏は口から血を流しながら笑っていた。そしてすぐさま、膨大なエネルギーがノイズの集団を飲み込む。ノイズが消滅していく。ドームが崩壊していく。そして砂埃が舞う。

 

 

俺は絶唱の発動直前に奏に触れようとした。しかし爆発の影響か俺は気を失ってしまった。俺が最後に見たものは奏の後ろ姿と銀色のオーロラのようなものだった。




次回 RIDER TIME 戦姫絶唱シンフォギア
「奏‼︎王我‼︎」
「ここは…どこだ…」
「俺…?」
「気づいたようだね、我が魔王」
「君にはライダーの力を継承してもらう」
「俺が魔王に…?」
EP 03 スターティング ギア2068


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EP03 スターティングギア2068

この本によれば、逢坂王我、彼には○○にして○の○○、○○○○○○となる未来が待っている。ん?聞き取りずらい?申し訳ない。では、はっきりと話すとしよう。天羽 奏の絶唱によりノイズの殲滅に成功。だが代償として逢坂王我は行方不明に、天羽 奏は…
そして逢坂王我はとうとう未来の自分に…
おっとここから先はまだあなた方にとっては未来のお話でしたね


天羽 奏が絶唱を使った。そして彼女の周りには

膨大なエネルギーが放たれ、それによりノイズは全て消滅した。しかし、その代償は大きかった。

「奏…奏、しっかりしてよ‼︎」

私は奏のを抱えることしか出来ない。先の爆発で王我の姿が見えなくなり、私は今にもが狂いそうだ。正常な判断は難しいため、もう奏にまともな言葉をかけることは出来ない。

「なぁ…翼…」

「何…奏…」

相棒の声が聞こえて何とか反応できた。

「どうせ…王我のことだ…きっと生きてるよ…」

「じゃあ…奏も生きてよ‼︎また3人で楽しく過ごそうよ‼︎」

「ごめんな、翼…」

「うっ…奏…」

「泣くなよ翼…きっとまた会える…歌がある限り…」

そして、私が抱いて奏の身体は炭となり夕焼け空に散っていった。

 

失ってしまった。大事な友達を二人も…

私だけ残った…ワタシダケ…

 

「ウワアァァァァァァァァ‼︎」

押さえ込んでいた何か弾け、泣いた。大声を出して…

「奏‼︎王我‼︎」

 

 

弦十郎たち我駆けつけたときには半狂いになっていた翼と重症を負った彼女だけがいた。彼女は直ぐさま病院に運び込まれた。そして、翼の発言から、状況を察した弦十郎は狂った翼を抑えながら、ただ俯くしかなかった。

 

 

ー2068年

 

「…うっ…」

俺は何もない地面に寝そべっていた。

 

「ここは…どこだ…」

 

「(確か、奏が絶唱を使って…その後は…)」

 

寝起きで回らない頭を頑張って使おうとしたが、俺は目の前にあったものによって、考えることが出来なくなってしまった。

 

「これは…シンフォギア…?」

 

俺の前にあるのはシンフォギアの銅像。ガングニール、天羽々斬、他にも見たことないシンフォギアが並んでいた。俺は天羽々斬の銅像に近寄ってみた。大きさは俺の身長くらいある。最初は銅像の出来の良さに関心してただけだったが、そこに書かれていた文字を見て俺は目を疑った。

 

(天羽々斬 奏者 風鳴 翼 2025〜2057)

 

「(翼の墓だと⁉︎さらに2057年…どういうことだ)」

 

他の銅像も確認しようとしたが、俺は今更ながら、背後の大きな存在に気づいた。

振り向くと、そこには先程の銅像とは比べ物にならない大きなの銅像が円状に並んでいた。皆始めてみる見た目をしていたが1体だけ名前がわかった。あたり前だ、俺が一番知っているのだから…。

 

「俺…?」

 

特別感がある俺の銅像。腰にベルトのようなものをつけている。そして台座には

(逢坂 王我 初変身の像)と書かれていた。

 

「(どうして俺の像が…)」

 

「気がついたようだね、我が魔王」

何者かの声がする。

「お前は?」

「申し遅れました、私はウォズ。預言者であり、我が魔王の忠実なる下部でございます。」

我が魔王…?確かにコイツはそういった。でも周りには人はいない…もしかして…

「ねぇ、もしかして魔王って…」

「あぁ、君のことだよ、この世界を支配するね」

そんな…俺は王様になりたかったのに…

「俺が魔王に…?」

「あぁ、驚いているところ悪いが、君には色々と知ってもらなければならないことがある。聞いてくれるかい?」

これが本当かはわからない。でも今はコイツの話を聞いて情報を集めた方がよさそうだな…

「あぁ、わかった。出来るだけ手短に頼む」

「流石我が魔王、良い決断をなさった。ではまずは、見てもらった方が早いだろう」

ウォズの手が指す方向に視線をやると、そこには武装した人がたくさんいて、皆、銅像の下にいる奴を目掛けて攻撃する。

嫌な予感がして聞いてみる

「ねぇ、もしかしてだけど、あの黒と金の奴って…」

「あの方はオーマジオウ、ご察しの通り、2068年の君だ」

やっぱり俺の嫌な予感は当たるんだな…

「ここは2068年…未来なんだな」

「あぁ、君がこの時代を訪れるのはこの本にも書いてあるが、まさかの訪れ方だったがね…」

どういうことだ?と聞こうとした瞬間、爆発音が耳に入る。そして、爆発によって飛んできた武器とかが雨のように降ってくる。…ヤバない?

「どうしよう⁉︎エクスキャリオン使えないし…」

と慌てていたらなんか俺の目の前で跳ね返っていった。助かった〜

「安心したまえ我が魔王、私たちには特殊なバリアを張っている。怪我の心配はない」

確かに俺らには傷一つ付いていない。だが周りはどうだ。傷つき、血を流している人がたくさんいる。俺は拳を強く握った。

「どうして…どうしてアイツはこんなことしてるだよ‼︎」

俺は未来の俺に対しての怒りが収まらなかった。

「お前たちに私を倒すことは不可能だ。何故か分かるか?」

おそらく未来の俺…オーマジオウは兵に対し言い放った。そして、黒い波動を放ち人を全員…消した。そしてこう告げる。

「私は生まれながらの…王である」

 

 

 

 

 

嘘だろ…未来の俺はこんなことを…

「気持ちはわからないでもない。でも落ち込んでる場合ではない。本題はここからだ」

ウォズが絶望している俺に声をかける。

「君にはこの魔王の力を受け取ってもらう」

魔王の…力…?

「ふざけんな‼︎人を殺す力なんて、そんなのいる訳ないじゃないか‼︎」

俺は人を救う為に王になりたいんだ。人を殺すためではない。当然力を拒絶する。

「確かに、オーマジオウの力は人を殺めることなどたやすくできる。ただ、その力を人類の為に使うことができるとしたら?」

俺ははっとなった。そうだ、これは未来だ。未来はいくらだって変えられる。

「君がこの力を手にし、現代に帰ることが人類を救う最善の方法じゃないかな?」

この力を使えば、ノイズを殲滅出来る。人類を守れる。

「この力があれば…皆を救えるのか?」

「あぁ、きっと」

「…わかった。俺やるよ」

人を…自分の民を守るのが王の役目だ。

「力に溺れ、最低最悪の魔王になるとしても?」

「ならないよ、なるとしても最高最善の魔王になる」

ウォズは少し驚いた表情を見せたがすぐに整えて

「では、我が魔王 儀式の準備を」

 

いつの間にかオーマジオウもいなくなり、無人となった銅像の前を歩く。

「この像の中心部に儀式のための祭壇がある。ついてきたまえ」

言われた通り、銅像の中心部に行くとそこには不思議なアイコンの書かれた床にそれぞれ鏡が銅像と同じような並びで並んでいた。

「君にはライダーの力を継承してもらう」

ライダー?何だそれ?

「いいから、この19枚の鏡の中心に立ってくれ」

疑問は残るが、とりあえずウォズが言った通りに中心に立つと違和感を感じた。

頭が痛い。色々なことが頭に入ってくる。

「意識を集中させるんだ、我が魔王」

集中か…言われた通り目を瞑り、痛みに耐えながら神経を統一した。すると、身体が一瞬フワッとした。

なに事かと思い目を開けると、そこには、たくさんの俺がいた。大量の鏡の前だから当たり前だと思うだろうが、違う。皆来てる服が違う。

ある俺は白衣、またある俺は学ラン、また別の俺はスーツを着ていた。そして鏡の中の俺達は鏡に吸い込まれるように消えていった。

「何だったんだ、今の…」

「今ので、ライダーの力を継承する準備が整ったのさ。」

えっ、今ので継承の準備だったの⁉︎変なの

「でも何も変わった感じしないよ?」

なんかいっぱい分裂したけど、特別俺に影響とかはなさそうだった。

「あとは彼らの活躍を待つだけだ」

「ふーん、んでどのくらい待つの?」

「力の回収には大体1年くらいかかる」

「うそーん」

え、1年も待つの⁉︎めっちゃ暇じゃん‼︎どうしよ⁉︎

「だが、君にはもう一つやってもらうことがある。待ってる間にやっておこう」

「あ、そうなんだ」

良かった〜暇が潰せる〜

「んで、それって何?」

「それは…エクスキャリオンの強化だよ」

「えっ、こいつの⁉︎」

エクスキャリオン強化しちゃうの⁉︎了子さんいないのに?

 

 

こうして運命の歯車が動き出した。




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア


「くそっ、俺じゃ出来ないのか…」
「それはライドウォッチという」
「俺は生まれたときから決めていた気がする」
「使い方はご存知のはず」
「天羽々斬…?」
「変身‼︎」
EP04ファーストライダータイム2018


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EP04 ファーストライダータイム2018

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。2068年に飛ばされた逢坂王我はそこで未来の自分と対面し、その姿に絶望する。最低最悪の魔王になるのを避け、に彼は人を守る為にライダーの力を継承することを決めた。
ん?今回は語りが上手い?お褒めのお言葉感謝します。


マジか⁉︎エクスキャリオンってまだ進化出来たんだ⁉︎でも勝手に強化したら、了子さんほっぺ膨らませて怒っちゃうだろうなぁ〜、オモロw

「んで、強化の方向って?」

未来の技術とか使っちゃうのかな、めっちゃ楽しみ。

「簡単なことだ、戦い続けるのさ」

…ん?今未来なのに原始的な案出さなかった?

「えっ、今戦い続けるって言った?」

「あぁ、その通りだとも」

マジかよ〜〜近未来技術を目にできると思ったのに〜〜。まぁ、未来だけどこんな荒野が広がってる状況じゃ無理もないか。

「でもウォズ、エクスキャリオンって5分で活動限界なのに、どうやって…」

って喋ってたら、ウォズがノイズ(?)を召喚した。ウォズってあんなことも出来るんだ〜…っていきなり過ぎません⁉︎

「とりあえず、制限時間が来る前までに、500体楽してもらおう」

「ちょっと⁉︎急過ぎるよ‼︎」

「安心したまえ、それはノイズではない。生身で触れても死なない」

いや、そうじゃなくてさぁ‼︎

「ちなみにこのノイズ(仮)の攻撃は通常の3倍痛いぞ」

もう無茶苦茶じゃねぇか‼︎もういいよやってやるよ‼︎

 

武装、起動‼︎

 

俺はエクスキャリオンを展開し、戦闘に入った。相手は対して強くはないが、多い。どれだけ短時間で倒せるかだが…

 

そんなことを考えている。間にも次々と現れるノイズ(仮)。そして早くもエクスキャリオンが悲鳴をあげる。5分で500体はシンフォギアなら出来なくもない。

だが、俺のエクスキャリオンは苦戦を強いられる。そもそもエクスキャリオンは巨大ノイズとの戦闘に向いているため、小さな敵を大量に相手にする戦闘は不向きなのだ。

しかし、それも言い訳に過ぎない。俺が原因で負けたのだ。

「そこまで、今日はここいらで終了しよう」

 

俺は地に手をつく。全然駄目だ…。こんなんじゃ誰も救えない…

「くそっ、俺じゃ出来ないのか…」

俺はただ屈服することしか出来なかった。

「確かに、今の君では人類を救うことなど不可能だ」

辛辣な言葉をかけるウォズ。

「では、私から一つアドバイスを…」

アイツは俺にこう告げた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

それから2週間経った。俺は未だに成長の兆しも見えない中、今日もノイズ(仮)との戦いに挑む。

 

「くそっ、ここのままじゃずっと負けっぱなしだ…」

結局ウォズの言葉に隠された意味を理解出来ず戦う。そしてまたエクスキャリオンにノイズが走る。残りはあと1分程度。そして目標まであと

150体。今までと同じ状況だ。

「また駄目なのか…」

奏や翼と共闘してたときはこんな数容易かったのに‥

 

俺はふと気づく。

「そうか・・・アイツらの戦いを真似ればいいんだ」

ノイズとの戦闘時、俺は自分の特性を活かすため、大型と戦うことが多かった。その容量で戦うのがまずかったんだ。きっと小型には小型に対する戦い方がある。

その戦い方をしてたアイツらの真似をすればいい‼︎

「そうだ、自分の殻を破るといい。そして更なる力に目覚めよ‼︎」

ウォズが言う。きっとこれが正解なんだろう。

残り30秒。目標まであと100体。俺は翼の動きを思い出していた。

「翼ならこう動く…、翼ならあの技を使う…翼のギアなら出来る‼︎」

すると不思議なことが起こった。無数の剣が天から降ってきたのだ。その剣はノイズ(仮)を貫き、100体を一瞬で消滅させた。

あの技は見覚えがある…翼が使っていた技

『千ノ落涙』だ。どうしてその技が…

「驚いてるようだね、我が魔王。答えは自分の姿を見れば分かるさ」

俺の姿…?そして目線を自身の体にやると…

「天羽々斬…?」

そう今俺が纏っているのは金色のエクスキャリオンではない。蒼い天羽々斬だった。少し形状が異なり軽めの鎧の様になっているが間違いない。

「そう、これが一つ目の力、今まで見てきたシンフォギアをコピーして使用することが出来る技、投影【()()()()()()()()】だ」

これが新しい力なのか…やった…遂に出来た…

「この調子で更なる力を手に入れよう、我が魔王」

「あぁ!」

俺はようやく成長の第一歩を踏み出した。

 

 

 

 

あれから一年半の月日が経った。

簡単に説明するとエクスキャリオンの強化が終わり、俺もその力を使いこなせるようになっていた。

「一年で素晴らしい成長を遂げたね、我が魔王」

「うん、でも本番はこれからなんでしょ」

「流石我が魔王、私が考えることもお見通しですか」

そう、そろそろライダーの力を本格化に継承するのだ。

「ですが、それにも準備があります、早速参りましょう」

「行くってどこに?」

ライダーの力を受け取るんだったら銅像に行くはずだけど、ウォズは一向に動く気配を見せない。そして、ウォズのマフラーに飲み込まれた。

 

 

 

ー2018年

 

 

ウォズのマフラーに飲み込まれたあと、目を開けると先程までの荒野とは違い、現代のような高層ビルなどが並んでいた。

「帰ってきたのか…」

「いや、ここは2018年、この時代には君は影も形もないよ」

これが2018年なのか…意外と現代(2041)と変わらないんだな。違うのは、掲示物が紙類が多いことくらいかな。過去と未来の違いを比べていると

キャアァァァァ‼︎

大勢の悲鳴が聞こえる。俺はすぐさま向かうと

「ウワァァァァァ‼︎」

男2人が粒子となって消える。その粒子が向かう先には

テニス…空手…ベストマッチじゃない…

赤と青の不気味な生き物だった…というかアイツどこかで…

「ねぇ、ウォズ。アイツ確か銅像にいなかった?」

2068年にあった銅像にも似たようなのがいた。

「あぁ、仮面ライダービルドのことだね、その通りだ。だが、あれば少し違う。簡単に言えばビルドの偽物、アナザービルドだよ」

その生物…アナザービルドの胸には『BUILD』とあった。

「ライダーの偽物…?、倒さなきゃ‼︎」

 

武装、起動‼︎

 

特訓の成果見せてやる!俺は進化したエクスキャリオンで挑んだ。だが、アナザービルドにはそこまでダメージが入っていない。

「なんで効かない⁉︎」

そしてアナザービルドがバスケットボールのような火炎球で俺に攻撃をする。

「ぐあっ…」

あの一年で俺は相当強くなった。だが、アナザービルドを怯ませることすら出来ていない。

「残念だが、アナザーライダーにシンフォギアの攻撃はそれほど効かない」

「じゃあ、どうすればいい⁉︎」

「その為に、来たんだ。今こそ、ライダーの力の継承の為に‼︎」

そうすると俺のポケットから何が光出した。手に取ってみると、それは時計のようなものだった。

「いつの間にこんなの…」

「さぁ、もう一度聞こう、君は何になりたい?」

「俺は生まれた時から決めていた気がする」

いや、決めていたんだ‼︎

「俺は…最高最善の王になる‼︎

すると、時計型の物体が更なる光を放ち、変化する。そしてこう鳴る。

 

 

 

ジオウ

 

 

「なんだ、これ…」

「それはライドウォッチという」

へぇ〜ライドウォッチって言うんだ。そしてウォズは膝をつき、

「我が魔王、これを…」

俺にベルトを渡す。銅像の俺が着けていたのと同じのを。

「使い方はご存知のはず」

 

 

ジクウドライバー

 

 

なんだろう、初めてなのにわかる…。俺はベルトを腰に巻き、ウォッチを回転させ、ボタンを押す。

 

 

ジオウ

 

そしてライドウォッチをベルトに差し、ベルトのボタンを押す。俺は銅像の自分と同じポーズをとる。今から俺は王の力をふるう。人を守る為に。そして、言い放つ。

 

「変身‼︎」

 

ベルトを一回転させる。すると鐘のような音が鳴る

 

『ライダータイム‼︎仮面ライダージオウ‼︎』

 

 

俺の姿が変わった。黒のボディ。そして顔には『ライダー』の文字。この姿は…オーマジオウ…?

祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ。まさに生誕の瞬間である

 

なんかウォズに祝われちゃったけど…とりあえず今は目の前の敵を倒すのが先だ。

「はあぁっ‼︎」

アナザービルドに拳が当たる。そして、アナザービルドは吹っ飛ぶ。

「凄い…これがライダーの力…」

しかし、アナザービルドも負けじと火炎球で攻撃する。上手くかわしながら体制を整える。するとベルトからなんか出てくる。

 

ジカンギレード、ケン‼︎

 

剣が出てきた。しかも丁寧に『ケン』って書いてある。とりあえずこれを使い、火炎球を切っていく。そしてアナザービルドに攻撃を与える。エクスキャリオンでは与えられなかったダメージを与える。

「これなら、いける‼︎」

ジオウライドウォッチをジカンギレードにセットし、必殺技の体制をとる

 

「フイニュシュタイム‼︎ジオウ!ギリギリスラッシュ‼︎」

 

一振りでアナザービルドは爆散。俺の一撃によりアナザービルドを倒すことが出来た。

「これがライダーの力…」

凄い力だ…これなら人類を救える…

「初陣でこの成果とは、流石我が魔王、では一度2069年に戻るとしよう」

そしてまたウォズのマフラーに飲み込まれた。

 

 

ー2069年

 

俺は変身を解除し、銅像前にいる。

「ジオウの力を手にした今、全てのライダーの力を継承するに相応しい。さぁ我が魔王、継承の準備を」

俺は一年前と同じく鏡の中心に立った。

来た。()()()俺自身を含め20人の自分がいる。そして俺は意識を集中させる。やはり頭が痛くなる。しかも一年前の時とは比べ物にならないくらい。。でも、集中を切らしたら駄目だ…自分に言い聞かせ、そして鏡が強い光を放った。

 

目を開けると鏡の中に俺はいなく、目の前には、19のライドウォッチが浮いていた。

「さぁ、受け取るがいい‼︎君が紡いだ歴史を君自身が継承するのだ‼︎」

俺はライドウォッチを受け取った。因みにこのときの俺にも変化があった。俺の知らない記憶があることだ。し多分だが他の俺が経験したことが俺の頭の中入ってきたことが原因だろう。分かる。他の俺が何をしたか、そしてそれぞれの力の使い方が。

 

「さて、ライダーの力を継承したことだし、そろそろアナザーライダーを倒しにいかないとね」

ウォズの発言に耳を疑った。

「えっ、さっきアナザービルド倒したじゃん⁉︎」

「アナザーライダーは、ビルドだけではない。さらに、アナザーライダーは同じライダーの力でないと倒すことが出来ない」

嘘だろ。じゃまた被害が出て…

「さぁ行こう、我が魔王」

そうして、俺とウォズはアナザーライダーを倒すべく時空を超える。




次回 RIDER TIME 戦姫絶唱シンフォギア
「よく来たな、私よ」
「俺はお前を許さない‼︎」
「まさか、このようなことに…」
「理由は簡単だ…私が王だからだ」
「あとは頼んだ、我が魔王」
「帰ってきた…」
EP05 フューチャーキング2068


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EP05 フューチャーキング2068

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。彼はウォズとの特訓により投影の力を得て、更に、仮面ライダージオウと全てのライダーの力を手に入れた。
そしてアナザーライダーを全て倒したあとオーマジオウと対面する‥
おっとここから先はあなた方にとっては未来の話でしたね。


仮面ライダーの力を手にし、俺はウォズと共に様々なアナザーライダーと戦ってきた。その戦いの中で救えなかった命もある。自分の弱さを憎んださ。それでも俺は多くの人を助ける為、各時空で力を使う。そして、俺とアナザーライダーの戦いは半年にも及んだ。あとウォズの謎の祝いもなんか続いていた。

 

 

タイムブレーク!』

 

 

最後のアナザーライダーを倒した。その爆発地点には人が立っていた。ウォズによると、アナザーライダーは人が変化したもので、ある人物と契約することで、アナザーウォッチを身体に埋め込まれて出現するらしい。

 

体内から出てきたアナザーウォッチが砕ける。オリジナルのライダーの力を使って倒すことで初めてこのアナザーウォッチを砕くことができる。

「よくやった。我が魔王。これで全てのアナザーライダーを倒した」

終わったのだ、ようやく。

「さぁ、我が魔王、あとはその力を2043年で振るうがいい」

そうか…あの事件からもう2年か…。翼やおじさんは元気してるだろうか。そして奏はもう…

 

その瞬間だった。俺はまた銀色のカーテンにのまれる。2年前と同じだ。これで、現代へ…

そう思っていた。

 

 

 

ー2068年

俺が戻ってきた先はビルが立ち並ぶ現代ではない。荒野の続く未来だった。そしてアイツの姿が見える

「よく来たな、私よ」

オーマジオウ…

「お前か、俺をここに呼んだのは…」

「その通りだ、とうとう全てのライダーの力を手に入れたようだな」

俺はあの時の怒りが蘇る。

「お前は何故、人を襲う…」

怒りを堪え問う。

「理由は簡単だ‥私が王だからだ」

俺はその答えを聞いた途端、怒りを抑えることができなかった。

「ふざけるな‼︎王は人を救う存在だ‼︎俺は認めない、お前が俺だということを‼︎」

「今はそうかもしれない…だが時期に気づく。本当の王というものを‥」

「うるさい‼︎」

俺はジクウドライバーを装着し変身する。

 

「変身‼︎」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

そして、ジカンギレードをジュウモードにしてダブルライドウォッチを取り付ける。

 

「俺はお前を許さない‼︎」

 

そして怒りと共に放つ。

 

『フイニュシュタイム!スレスレシューティング!』

 

風を帯びた弾丸がオーマジオウ目掛け放たれる。しかし、オーマジオウは避ける素ぶりすら見せない。弾丸は見事命中。だが、アイツには傷一つ付かずその場に立っていた。

 

「まだこの程度か…」

 

そしてオーマジオウが俺に攻撃を仕掛け、それ対し俺は腕を交差してガードした。しかし防御は全く意味をなさず、吹き飛ばされてしまう。

 

「まだだ…」

 

俺はビルドライドウォッチを取り出しベルトにセットしようとする。するとオーマジオウは

 

「完全な王になるには今のライダーの力では足りない。更なる力を得るがいい」

 

波動によって俺の動きを止める。

 

「くっ、何だ‥これ‥」

 

体から何が抜けたようだ。でも肉体的ダメージはない。そしてビルドライドウォッチを起動させるためボタンを押す。

 

‥‥

 

反応しない。何回押しても同じだ。

 

「どうして⁉︎どうして反応しない⁉︎」

 

「お前はもうライダーの力を使えない」

 

「嘘だろ‥」

 

人類を救うために手に入れた力が‥

 

「ぐあっ!」

 

そしてオーマジオウの攻撃により変身を解除される。

 

「我が魔王、大丈夫か⁉︎」

 

ウォズが来て、俺の体を支える。

 

「今のお前には王たる資格はない」

 

「何っ‥」

 

痛む体を無理矢理起こす。

 

「お前には、2043年で果たすべき使命がある。その使命の中で王たる資格を得るといい。本当の王となるために‥」

 

そう言い残し、オーマジオウは消えた。

 

 

 

「まさか、このようなことに…」

 

今の俺はジオウと別のライドウォッチを一緒に使うことができない。

 

「でも、安心して。あの力は使えるみたい」

 

そうあの力は使える‥

 

「俺は現代に帰るよ。そして、王の資格を得る!」

 

「あぁ、頑張ってくれたまえ」

 

ウォズが俺を励ます。

 

「‥ウォズは来れないんだよね‥」

 

「すまない、私はあくまで君が王になるためのサポートをする立場だ。今はそちらには行けない」

 

ウォズと別れは覚悟していた。でもいざとなると少し悲しい。やはり、2年も一緒にいると名残り惜しくなる。

 

「大丈夫だ我が魔王。きっと未来で会える」

 

「うん」

 

ウォズが膝をつき、答える。

 

「じゃあ、行くね」

 

 

『タイムマジーン 』

 

俺はタイムマジーンを呼ぶ。要はタイムマシンなんだけど、ロボットにもなる優れ物。アナザーライダーを倒すために時空を超える時にも使用していた。

 

「あとは頼んだ、我が魔王」

 

「あぁ、なんかいける気がする!」

 

そして俺は2043年に向かった

 

 

 

 

「今回の魔王は少し違うようだね‥」

 

誰もいない荒野でウォズは呟いた。

 

 

 

ー2043年

 

 

俺は人気のない山でタイムマジーンから降りる。

綺麗な緑。

爽やかな風

そして、人々の声

 

「帰ってきた…」

 

2043年、逢坂王我は現代に帰還した。

 

 

 

 

 

「かくして我が魔王は仮面ライダーの力を手に入れた。この力が人を救う力となるか。もしくは全てを破壊する力となるか。それは全て我が魔王次第です」

 

 

0章 プロローグ

〜 fin 〜

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「なんだあの敵は⁉︎」
「駄目だ…勝てない…」
「あいつは倒した筈なのに…」
「エクスキャリオンだと⁉︎」
「寂しかった…」
「ただいま、翼」
EP06 カムバックロード2043


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1章 戦姫絶唱シンフォギア編
EP06 カムバックロード2043


この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。彼はオーマジオウと戦い、ジオウと並列して他のライダーの力を使うことが出来なくなってしまった。逢坂王我はオーマジオウの言う通り、現代に戻り自分の使命を果たすのであった。ちなみに私は本編に出なくなってもここにいます。何故かって?それは私が預言者だからです。


現代に戻ってきた。やっぱり落ち着く。地球は人で賑わってないとね。

 

「さて、どんな顔して会えばいいのやら‥」

 

2年も行方を絡ませたんだ。おじさんか父さんの拳が飛んでくるかもな。ある程度対処はしたが、ウォズ曰くあの人達には意味がないらしい。 俺はあるライドウォッチをいじりながら考える。このライドウォッチはオーマジオウと戦ったあと何故か生まれたウォッチだ。全く起動せず、少し色が霞んでいて何のウォッチかもわからないが年号は記載されていた。

『2068』と‥

 

 

とある場所にて誰かが話している。

 

「お前にこれを授けに来た」

 

「何なの、この変なデバイスは」

 

「このリストの人間に使うのだ。そうすれば、お前の計画が達成するのも早くなるだろう」

 

「ふん、面白そうじゃない、聞いたところ私に害はなさそうだし、頂くとするわ」

 

やり取りしていたのはこの時代のものではない時計型のデバイス。そう、ライドウォッチだった…

 

 

 

ーそして時は同じくー

 

 

私は、立花 響。あの事件の日、私はツヴァイウィングの二人と一人の男の子に命を守られた。胸に傷は残ったものの私は生きることができたのだ。退院した後ニュースでは奏さんたちは世界災厄であるノイズの犠牲となったと報道されていた。あの戦っているツヴァイウィングは幻だと思っていたけど、本当だった。翼さんはノイズと戦っていたのだ。

 

そして今は私もノイズと戦う『特異災害対策機動部二課』の一員でシンフォギア装者だ。でも今同じ装者の翼さんとはあまりいい雰囲気とは言えず、ちょっと気まずい状態です…そしてそんな中のミーティングはとても辛いです。

 

 

 

「何?まさか朝と夜を間違えてアラームセットしたとか?」

 

「いやぁ〜、え〜っと…」

 

今話してるのは、親友の小日向 未来。私の陽だまり。でも、そんな親友にも私がノイズと戦っていることは秘密にしなくてはならない。

 

「こんな時間に用事?」

 

「あははっは…」

 

上手い理由が思い付かない。もう苦笑いするしか出来ない。

 

「夜間外出や門限は、私の方でどうにかするけど…」

 

「いやぁ〜ごめんね」

 

本当、未来にはいつも助けてもらってます。

 

「でも、こっちの方はなんとかしてね」

 

そう言い、PCの画面を見せられる。そこには流れ星の動画が流れていた。

 

「一緒に流れ星見ようって約束したの覚えてる?山みたいにレポート抱えてたら、それも出来ないでしょ」

 

ごもっともです。

 

「うん、だから…ごめん…」

 

そう言うと私はすぐに外出の準備に入った。

 

 

 

本部に着くと了子さんや司令、そして翼さんの顔があった。

 

「はーい、それじゃあ仲良しミーティングを始めましょ♪」

 

了子さんが声をかける。今回の議題はノイズについてだった。私は色々知らないことあって勉強になるなぁ〜と思って聞いてたけど、険しい表情で飲み物を飲んでいる翼さんに気がいく。

翼さんはあの事件で大事な友人を2人も無くしたんだから…

 

 

 

「次に月末に予定してるライブですが…」

 

ミーティングが終わり、私はマネージャーの緒川 慎次さんと予定の確認をしている。

 

「次に、イギリスのレコード会社の件ですが…」

 

「その話は、断っておくように伝えたはずです。私は剣。戦いのために歌っているに過ぎないのですから」

 

そう、奏や王我みたいな犠牲者を出さないために…

 

「怒ってるんですか?」

 

「怒ってなんかいません‼︎」

 

緒川さんの言葉に過敏に反応してしまう。

 

「剣に…そんな感情はありません…」

 

私は緒川さんをおいてその場を立ち去る。

 

 

 

 

別の場所にて

 

「お父さん‼︎お母さん‼︎」

 

ある少女は悲しみに暮れていた。ノイズから自分を守ろうとして突き飛ばされた。

彼女は、父親の影響でバスケをやっていて運動神経はいい方だった。でもそんな彼女も緊急時には体が動かった。そのせいで両親が死んでしまうと思っている。

すると、空間にノイズが走った。少女以外の時間が止まっているのだ。

 

「何…」

 

少女は突然起こった出来事に疑問を抱く。

 

「このままだと、あなたの両親はノイズに襲われて死ぬ」

 

「誰なの⁉︎」

 

声はするが姿は見えない。だが次の一言でそんなことはどうでも良くなった。

 

「でも、私と契約すれば両親を助けられる」

 

その答えに少女はすぐ答える。

 

「…わかった、契約する」

 

そして、声の主が姿を現わす。でも分かるのは女性であることだけだ。

そして女性の手にはライドウォッチが握られていた。ウォッチを差し出すと少女はそれを握る。その瞬間ウォッチが変化し、ボタンが押される。

 

BUILD

 

 

「今日からあなたが仮面ライダービルドよ」

 

女性はアナザービルドウォッチを彼女の体内に入れる。

少女は苦しみながら姿を変える。アナザービルドに。

 

この瞬間、歴史が変わった。

 

「「いやぁぁ‼︎」」

 

ある女生徒たちがアナザービルドに襲われる。

アナザービルドはボトルの蓋を回し彼女らに向ける。すると、女生徒たちは粒子となり、ボトルに吸い込まれる。

 

弓道…水泳…ベストマッチ♪…

 

少し嬉しそうにアナザービルドは言う。

 

 

 

 

 

今、私は私立リディアン音楽院にいる。まぁ、提出に遅れた課題を出すためなんだけど。

でもそれも何とかクリアして部屋で待ってる未来と合流しようとする。今日は未来と流れ星を見る約束をしているのだ。そんな時電話が鳴る。ノイズが出現したのだ。

 

「ごめん、用事が入っちゃって、流れ星見に行けないかも」

 

「また、大事な用事なの…?」

 

未来に流れ星を見に行けないことを連絡する。

 

「…わかった、部屋の鍵開けとくね」

 

「ありがとう、ごめんね」

 

ごめんね未来、大事ことを黙って。

そして、私はノイズとの戦闘に挑む。

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

私はシンフォギア“ガングニール”を纏い、戦闘に入った。ある思いをぶつけながら

 

「見たかった…未来と一緒に流れ星…」

 

そこからはあまり詳しく覚えてない。ただがむしゃらにノイズを倒していた。そんな私の意識をはっきりさせたのは、夜空に流れる青い流れ星…ではない。翼さんだ。翼さんもノイズを倒す為にやって来た。

翼さんと合流してすぐ、私は自分の思いを翼さんにぶつけた

 

「私だって守りたいものがあるんです!」

 

それでも翼さんは俯いたままだった。

 

「だから?んで、どうすんだよ?」

 

はっとした翼さんと共に辺りを見渡すと、声主と思われる女性が月明かりに照らされていた。

 

「ネフシュタンの鎧…」

 

 

 

 

 

間違いない、あれはネフシュタンの鎧。

 

「へぇ〜この鎧のこと知ったんだ〜」

 

相手の少女が挑発気味に言う。

 

「2年前、私の不始末で奪われたもの、そして私の不始末で奪われた命を忘れるものか!」

 

奏と王我を失った事件の原因。奏が残したガングニールのシンフォギア。そして王我が残した、剣としての心得。時を超え、全てが揃うとは…だがこの残酷は私にとって心地よい!

相手に斬りかかろうとすると立花が止めに来た。

 

「やめてください‼︎相手は人間ですよ⁉︎」

 

「「戦場で何馬鹿なことを!」」

 

少女と言葉が被る。

 

「むしろ、あなたと気が合いそうね」

 

「だったら、仲良くじゃれ合うかい?」

 

相手のムチ状の攻撃をかわして、剣先を少女に向け突進する。しかし、私の攻撃は何者かにより防がれてしまった。それは…

 

BUILD

 

赤と青不気味な生き物だった。

 

「なんだあの敵は⁉︎」

 

「うへぇ〜気味が悪い〜」

 

ノイズではないようだが‥

 

「言い忘れてだが、こっちには助っ人がいてね、これで人数は同じだな」

 

よくわからないが敵であることに変わりない。しかも、しばらくすれば司令が駆けつけてくれる。それまで耐えれば勝機はある。

私は少女に攻撃を仕掛けるがあの生き物がカバーをする。しかもアイツは私の攻撃を食らっても、平気そうな様子だ。

 

「一体なんなんだそいつは⁉︎」

 

「アタシにもわかんないよ。でも確か、アナザービルド…とか呼ばれてたっけか?」

 

アナザービルド…それがあの生き物の名か。

 

「翼さん!」

 

立花が加戦しようとするがネフシュタンの鎧を纏う女、そしてアナザービルドが()()()()()()()()()

 

「お呼びでないんだよ、そいつらと遊んでな」

 

そして、ノイズは粘液を出し立花を拘束する。

 

私とネフシュタンの鎧は激しい攻防を繰り返す。

 

「その子に感けて、私を忘れたか⁉︎」

 

少女ではなく、ネフシュタンの鎧に怒りをぶつけた。

 

「お高く止まるな‼︎」

 

相手の逆鱗に触れたのか、声色が変わる。そして私は足を払われ、投げ飛ばされた。

 

「のぼせ上がるな人気者ッ!」

 

私は顔を踏まれ身動きが取れない。そしてアナザービルドが近寄ってくる。

 

「駄目だ…勝てない…」

 

私は心の中で弱気になっていた。奏、王我、ゴメン…

すると、天から剣が降り目の前のノイズが塵となる。

 

 

 

 

 

 

俺はネフシュタンの鎧の回収の為車で現場に向かっていた。すると本部からの電話が入る。

 

「どうした」

 

「司令、現場近くに新たなエネルギー反応、それも2つです。」

 

「何、2つ⁉︎」

 

「一つ目は謎の怪人。そして二つ目は…」

 

俺はその答えに驚きを隠せなかった

 

 

 

どうして急に剣が…私でも、立花でもない…まさか…

 

「よう、俺の大事な幼馴染に何してくれる」

 

やっぱりだ。こんな気持ちは久しぶりだ。戦場なのに涙が溢れる。

 

「寂しかった…」

 

彼は私の大事な幼馴染…

 

 

 

 

 

「エクスキャリオンだと⁉︎」

 

そう、今それを装備できるのはただ一人…

 

 

 

 

 

「ただいま、翼」

 

()()()()だ。

 

 

 

 

「へぇ〜、お前があの王様って奴か。彼女が傷つけられて怒ってんのか?」

 

相手が挑発するが、それは無視し、周りのノイズの殲滅に集中する。

 

「待って、王我!あなたのエクスキャリオンじゃ…」

 

「大丈夫だよ」

 

翼の声を遮る。

 

「最初から飛ばす!」

 

投影【プロジェクション】!

 

『Croitzal ronzell gungnir zizzl』

 

 

 

…私は見間違えているのか?いやそんなはずはない。形は少し違えど、王我が纏っているのは間違いなく ガングニールだ。

 

 

 

俺はガングニールを投影し、周りのノイズを一掃する。

 

「ギアを変えられるなんて聞いたことねぇぞ‼︎」

 

そして少女はまたノイズを生み出す。

 

「じゃあ、お次はこれだ」

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

 

「(私の天羽々斬まで⁉︎)」

 

天羽々斬を纏った王我は少女がノイズを生み出すスピードより早く殲滅していく。

 

「すごい…」

 

立花の声がもれる

 

 

 

俺はノイズを片付け目の前には少女と以前倒した筈の()()()()()()()だけが残る。

 

「あいつは倒したはずなのに…」

 

俺はアナザービルドとの戦闘に入ろうとした。すると

 

「待って王我、あいつにはシンフォギアの攻撃が効かない‼︎」

 

「わかってる!だからこうするのさ」

 

俺はエクスキャリオンを解除した。

 

 

 

 

王我が自らエクスキャリオンを解除した…?

戦場で何をしているのかと思うと彼の手には不思議なものがあった。

 

彼はそれを腰に巻き、次に時計のようなものを起動させる。

 

ジオウ

 

 

それをベルトに装着してこう叫ぶ。

 

 

『変身‼︎』

 

『ライダータイム‼︎仮面ライダージオウ‼︎』

 

 

王我の姿が変わった。私も立花も驚きを隠せない。

 

「それが、ジオウか」

ジオウ…?王我のあの姿のことか…?

王我、一体あなたに何があったの…

私は状況の整理がつかなかった。




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「お帰り、王我‼︎」
「翼さんは大丈夫何ですか⁉︎」
「女の子…」
「俺のやり方は厳しいぞ?」
「今こそ使う、あの力!」
「勝利の法則は決まった‼︎」
EP07 ウィー アー ベストマッチ2017→2043


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EP07 ウィー アー ベストマッチ2017→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。現代に帰還し、古き友人風鳴 翼と再会するが、目の前には失われたネフシュタンの鎧を纏う少女とアナザービルド。そして風鳴 翼 は奥の手を使い、更には我が魔王も…
おっとここからはあなた自信の目で確かめて貰いましょう。


私、風鳴 翼は、困惑している。死んだと思われた王我が帰ってきた。彼のエクスキャリオンが

私達のシンフォギアに変化した。そして、今王我がジオウと呼ばれる姿に変わった。一度にこの情報を整理出来ることは誰も出来ないだろう。

 

「お前ジオウを知っているのか?」

王我は少女に問う。

「ある奴に名前を聞いてな、でも詳しいことは知らないなぁ。でもお前はアタシの敵だ!」

少女とアナザービルドが襲ってきた。

ネフシュタンの鎧の攻撃、アナザービルドの野球ボール型の光弾。王我は、それを『ケン』と書かれた剣で切り裂く。

「くそっ、アイツ前戦った時より、強くなってやがる」

王我は以前にもアナザービルドと戦ったらしい。そして王我はまた時計のようなものを出す。しかし今度は、赤と青色をしている。そしてそこに描かれてる顔は、何処と無くアナザービルドに似ていた。

 

……

 

何も反応はない。

 

「…やっぱり駄目なのか…」

 

王我はそれを使えないのか…?使用を断念したかの様に先程と同じ戦いを繰り返し始める。

やっと体の感覚が戻ってきて王我に加勢しようとした途端、少女が攻撃を仕掛けてきた。攻撃を受け流しながら、王我と合流する。

「俺はアナザービルドをやる。翼はあの子を!」

「分かった!」

そしてお互い合わせていた背中をはなす

 

 

 

 

私がノイズに囚われてもなお戦いは続く。

最初はこっちの波だったが、時間が経つにつれ、相手の攻撃が激しくなっていく

私が奏さんの代わりになるには私にも‥アームドギアが必要なんだ‥

「出でこい、お願い出てきてよアームドギア‼︎」

私の願いは届かず、ギアには何の変化も起きない。

「何でなの‥」

「君!まさか、アームドギアが出ないことで悩んでるのか!」

戦いながら王我と呼ばれる人が私に声をかける。その問いに対して私は俯いた。

「君はまだ気づいてないみたいだね、アームドギアの意味をっ!」

アナザービルドの攻撃を受け止めながら、更に私に難しい言葉をかける。

「アームドギアの意味…」

 

 

こうして戦うと分かる

影縫い用のクナイを投げるが弾かれてしまう。

「ちょろクセェ!」

そして女の子は翼さんに強力な一撃を放つ。

「くぅっ…」

「翼さん‼︎」

一時は攻撃を受け止めるも、その威力は絶大で翼さんは吹き飛ばさら、地に伏してしまう。

 

 

「私は出来損ないだ。あの日…無様に生き残ってしまった…。出来損ないの剣として、恥を晒してきた…。だがそれも今日までのこと…。奪われたネフシュタンを取り戻し、生還した友にその姿を見せ、この身の汚名をそそがせてもらう・・」

 

翼は天羽々斬を地に刺し、なんとか立ち上がった。

 

「(違う…違うよ翼…)」

 

「そうかい…脱がせるもんなら脱がせて…」

 

少女の動きが止まる。彼女の影にクナイが刺さる。影縫いだ。

 

「こんなもんでアタシの動きを…まさか、お前⁉︎」

 

彼女も気付いたのだろう。これから翼が何をするのかを

 

「月が覗いてる内に決着をつけましょう…」

 

「まさか歌うのか…絶唱…」

 

駄目だ、翼。いくら適合者とはいえ、そんな状態で絶唱を使ったら…

 

「防人の生き様、覚悟を見せてあげる!」

 

ガングニールを纏う彼女に向けて宣言する。そして俺には軽く笑顔を見せ動き出す。

翼はゆっくり少女に近づき、そして…

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl』

謳った…

 

 

 

 

私はその姿をただ見てるだけだった。

 

膨大なエネルギーがノイズを飲み込む。

武装、起動‼︎

 

王我さんの声が聞こえた気がするが今の私は目の前の光景に呆気を取られていた。

 

 

爆破が収まると、あの女の子の姿はなく、現場には私と半壊した鎧を着ている王我さん、そして、その場に立ち尽くす翼さんだけだった。

 

 

弦十郎さんが到着し、

 

「私は防人、そして王我も返ってきてくれた…。こんなところで折れる剣じゃありません…」

翼さんが振り向くと、顔から大量の血が滝のように流れている。私はゾッとする。しかし、それ以上憎んだ。自分の無力さを。そして翼さんはその場に倒れる。

翼さん‼︎

静かな夜空に私の声が響いた。

 

 

 

その戦いの後、翼は緊急治療を受けていた。取り敢えず命に別状はないらしい。

おじさんの性格なら本来落ち着いた状況ならきっと帰還パーティーを開いただろう。しかし、それは俺も望まず、おじさんも開催しようともしなかった。当たり前だ。今はそれより翼が無事復帰するの待つだけだ。おじさんが医者に頭を下げ、ネフシュタンの鎧とアナザービルドの捜索の為動いた。俺とたちばなは近くのソファに腰をおろしていると、翼のマネージャー、緒川 慎次さんが来た。そして緒川さんは俺たちにあの事件以来の翼の状況を告げた…

 

 

 

 

 

 

「お帰り、王我‼︎」

特異災害対策機動部二課の本部で俺がおじさんの抱擁と共に聞いた言葉だ。拳が飛んでくると思ったがそんなことはなかった。俺は嬉しさで涙が出そうになったがぐっと堪えた。俺には伝えなければならないことがある。2年間のことや、アナザーライダーについて…

 

「仮面ライダー。それがあの姿なのか?」

「はい、そして先の敵はその一人、仮面ライダービルドのアナザーライダーです」

俺はビルドライドウォッチを見せながら答える。

 

「やっぱり、あの正体は人なんですね…」

やっぱり響には辛い現実だったか…

「あぁ、何者かが、彼女にアナザーウォッチを埋め込んだんだろう」

 

「あの少女についてはこちらで調べる。今はゆっくり休んでくれ」

 

 

昨晩現れたアイツ。姿ははっきりとは分からなかったが、あれはタイムジャッカーではない。一体何者なんだ…

 

ー昨晩

俺が現場に着いた時にはネフシュタンの鎧もなく、2年ぶりに姿を見せる王我と血にまみれた翼が目に着いた。

「翼さん‼︎」

「おい翼、しっかりしろ‼︎」

翼は倒れる。

「今すぐ、病院に行って治療さえすれば、命に関わることはありません」

「翼さんは大丈夫なんですか⁉︎」

「確かに、今の翼は重症です。でも、治療すれば治りますよ」

「どうして、そこまで分かるんだ…?」

王我の言葉に疑問を持つ。

「エクスキャリオンの別の力を使ったんです。装者のエネルギーを吸い取る能力、吸収【()()()()】です。」

あの擬似シンフォギアにそんな能力が…

「ゴホッ…」

王我の口から少量の血が流れてる。

「おい!大丈夫なのか‼︎」

「えぇ、致命傷をギリギリ命に別状のないラインまで力を吸収したので少し反動がきただけです…」

せめて軽い治療を受けるよう告げようとすると

ううっ・

まだ怪人が残っていた。あれが…アナザービルドか…しかしそいつは、その場で倒れ、姿が変貌する。その正体に俺と響くんは驚く。

 

 

 

 

「女の子…」

私が言葉を漏らす。そうあの怪物の正体は女の子。人だった。

「彼女を本部まで連れて行こう」

「駄目です‼︎」

王我さんが弦十郎さんを止める。

「何でですか⁉︎人が倒れているんですよ⁉︎」

「まだ完全にアナザーライダーを倒せてない以上、すぐにその子はまたアナザーライダーになる。もし本部でアナザーライダーになったらそれこそ手に負えない。例え警備が厳重な本部だとしても崩壊は免れません…」

「でもっ…」

 

私は王我さんの方を見る。すると王我さんは唇を噛み、悔しそうな表情をする。

 

アイツはいつも人のために行動出来る人間だ

 

弦十郎さんの言葉を思い出す。そうだ。人のために行動する場合王我さんが意味もなく人を見捨てたりはしない。

 

 

「この子も助かるんですよね…?」

 

「あぁ、必ず俺が救う」

 

私はその言葉を信じようと思った。その瞬間だった。

 

 

「あれがジオウの力か…」

そんな声が聞こえた気がした。

 

 

 

そしてまた時が動き出す。

 

なんか一瞬違和感を感じたような…そして私は変化に気づいた。あの子がいない…。

 

「アイツら‥」

王我さんは一部始終を知っていて何も出来なかったことを悔やむかのように、険しい表情を見せた。

 

 

 

 

俺はその後、軽い治療を受け、現在に至る。吸収の力は聞けば、相手の力を吸い取ることが出来るから無敵なのでは、と思うだろう。しかし、この力には欠点がある。それは力を吸い取るのに時間がかかることと、力の質や量によって体への負担が大きくなることだ。あの時は、俺は軽く血を吐いただけだが、あれ以上の量だと俺も危険な状態になってただろう…。

 

「次の戦いはあの力を使うかもな…」

 

 

 

 

 

 

私はとある場所に来ている。

「私に、戦い方を教えて下さい!」

弦十郎さんのところだ。

「俺のやり方は厳しいぞ?」

少し考えてから、最後の確認をしてくる。

私の答えは決まってる

「はい‼︎」

 

こうして私の修行の日々が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

「うーん、師匠との特訓はキツイなぁ〜」

まだ始めてから2日しか経ってないのにもうしんどい。でも頑張らなきゃ

、すると

「逢坂さん…」

本部の廊下でばったり会う。

「王我でいいよ、立花」

「あっ、はい。私も響で構いません」

 

 

休憩所で話をはじめる

「聞いたよ、おじさんの元で修行を始めたんだよね」

「はい、でも凄く大変で…」

「でも、凄いよ、響のその覚悟は」

「そうですかね…」

私はそれでも疑問に思ってしまう。

「もっと自分に誇りを持って。そうじゃないと守りたい人を笑顔になんて出来ないよ」

私はその言葉にハッとする。

「もちろん、技術も大事だけど、一番は笑顔でいること。これを忘れないでね」

「…そうですよね!」

この人に色々聞いてもらったらなんか少しスッキリした…。

「あの…どうして、そんなに相談に乗ってくれるんですか…」

あの事件で会っているので初対面ではないが、昨日も慌ただしく、まともに話せたのは、今さっきなのに、何故この人はこんなにも私の相談に乗ってくれるんだろう…

「俺、王様になりたいからさ、自分の民が困ってたら相談に乗るのも、良い王様になるのに必要かなってね」

私は驚いてしまう。本当に弦十郎さんの言ってた通り、王様になるのが夢なんだなぁ〜と思った。でもそれ以上に凄い人だと思った。とても大きな夢を見ていて、それを全力で叶えようとしている。

 

「でも、たまに危ない行動しちゃって翼に心配かけてたなぁ〜」

あっ、私も同じだ。

「私も、誰かの為になれたらなって、よく危なかっかしい行動しちゃうんですよね…」

こんな凄い人と共通点があり、少し嬉しい。

 

 

 

 

立花響、この子は見返りは関係なく人のために頑張ることが出来る。

俺と少し似てるな…

「俺達、ベストマッチだな」

俺は()()()()()()()()記憶にあった言葉を放つ。

「ベストマッチ…ですか?」

 

「そう、ベストマッチ!」

 

「はい、ベストマッチ!ですね!」

 

「「アハハッ」」

 

思わず笑みが溢れる。そんな時、電話が鳴る。

 

 

 

 

おじさんからの伝達により、俺と響は現場に向かう。そこにいたのはやつだった。

BUILD

 

「アナザービルド…」

俺は戦闘の構えを取る。今回はネフシュタンの鎧を纏う少女はいないみたいだ。

 

「あれは、人…何ですよね…」

やっぱり、アナザーライダーの正体が人間だと、躊躇いが生じるか…戦うのを無意識に避けようとしている響。更にはアナザービルドがノイズを生み出す。翼が入院中の為大量のノイズと共にアイツを2人で倒さなければいけない。でも、まだおじさんの元で修行したての響に無理はさせられない…。

 

「‥奥の手を使うか‥」

 

「奥の手…ですか?」

 

「ちょっと面倒だけど、上手くいけば、アイツを倒せるかもしれない」

 

「どうするんですか…」

 

「響、俺の変身が解けたら、俺を庇ってくれるかい?」

 

「えっ、はい…」

 

反射的に頷いてしまったが、どういうことだろう…?

 

「今こそ使う、あの力!」

 

 

そう言って取り出したのはジオウのウォッチではなく、あの赤と青のウォッチだった。それは、前の戦いで起動しなかったはず…でも王我さんは笑顔のまま、ウォッチを回し、ボタンを押す

何故か今回は起動する。ウォッチから放たれた赤と青の光が王我さんを飲み込む。するとカラーシャツにチノパンだった格好が変わる。今は無かった筈のトレンチコートを羽織ってる。更に、手に持っていたものすら変わる。

王我さんが手に持っているのは、ライドウォッチを持っていた手には赤と青の小さなボトル。ベルトを持っている方には以前とは形が異なるベルトが握られていた。あの人はそれを腰に巻く。

 

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

そういうと、王我さんは赤と青のボトルを振る。

 

「(うわっ!なんか変な式出てきた⁉︎何これ、全然意味わかんない…)」

 

振り終わるとそれぞれボトルをベルトに差し込む。

 

 

ラビットタンク ! ベストマッチ!』

 

「(え、ラビット?タンク?ウサギと‥戦車‥だっけ?なんで?)」

 

と思っていると、王我さんはベルトの横についているレバーを回した。すると、王我さんを囲むようにベルトから管が出現し、それぞれ人間の半身のようなものを形成する。

 

『Are you ready?』

 

そして、あの時と同じ言葉を発する。

 

「変身‼︎」

 

 

半身の鎧は王我さんを挟み、姿を変える。

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

「ええぇぇっ⁉︎」

 

「(王我さんまでアナザービルドに⁉︎…いやあれが王我さんが言ってた本物のビルド。仮面ライダービルドなんだ)」

 

 

ビルドは角を指でなぞりながらこう宣言する。

「勝利の法則は決まった‼︎」




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「私、やっぱり人を攻撃出来ません…」
「二人ならきっとできるよ」
「傷つけるのではなく、救う為に拳を振るう」
「俺は平和な世界をビルドしてみせる!」
「受け継いだ力…」
「これがビルドアーマーの力だ!」
EP08 インヘリデットパワー2017→2043


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EP08 インヘリデットパワー2017→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。絶唱により、重症を負った風鳴 翼。彼女不在の中、アナザービルドは再び姿を現わす。そして逢坂 王我は、仮面ライダービルドに変身し、戦いを挑む。そして様々な苦悩に呑まれながらも立花 響は己の覚悟を決め戦う事を選ぶ。そして、ジオウはビルドの力を使い、魔王への道を再び歩み始めた。
…おっと私としたことが。また読み過ぎてしまいましたね。


「はあっ!」

王我さん、そんなことまで出来るなんて…

「響は、ノイズを、俺はアナザービルドをやる!」

王我さんはアナザービルド付近にいるノイズを倒しながら私に言う。凄い、ノイズをあっという間に倒し、アナザービルドとの戦闘に入る。ビルドの攻撃はアナザービルドにとても効いている。これなら…

 

 

 

ニンジャコミック!ベストマッチ!』

何でそれでベストマッチ何だろうと思うがあまり気にしないことにした。そして再びレバーを回し

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イェーイ!』

素体が赤青から黄色紫に変わる。4コママンガが描かれた剣に触れると分身した…えっ分身⁉︎4人に分身した王我さんは攻撃を仕掛けるが

水泳選手 弓道 ベストマッチ〜

相手も同じ動作をする。地中に潜り、光の矢で攻撃する。王我さんは攻撃を与える隙もなくなってしまった。

「だったら!」

海賊電車!ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『定刻の反逆者!カイゾクレッシャー!イェーイ!」

再び姿を変える。今度は黄緑と水色の体をしている。攻撃方法は似ていて、弓で攻撃していた。

『各駅電車、急行電車、快速電車、海賊電車』

そして攻撃を放つ。見事、地中に潜っていたアナザービルドを引っ張り出すことに成功する。

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

ボディを元に戻してトドメを刺そうとした瞬間だった。

「マズイ、力か…」

ビルドの体にノイズが入る。時折、王我さんの姿も見える程だった。その隙を狙われて攻撃を受ける。そして、ビルドは粒子となり、消えた。

「くっ、ここまでか…」

私は近くのノイズを殲滅し、約束通り王我さんを抱え撤収する。

 

 

 

 

 

 

「まさかこんな力まで持っていたとはな…」

本部に戻った私達は弦十郎さん達に先の力を説明している。

「後ほど伝えようとはしたんですけどね」

 

「うーん、なんか調子悪いなぁ…」

オペレーターの友里 あおいさんが何やら悩んでる。どうやら装置の調子が悪いらしい。

「ちょっといいですか?」

声をかけたのは王我さんだった。王我さんは持っていたノートパソコンを装置に接続させ、慣れた手つきで不具合をあっという間に解消してしまった。

「凄い!こんなことまで出来るなんて!」

友里さんもびっくりな様子。やっぱ凄い人だなぁ〜

 

「凄いでしょ⁉︎最高でしょ⁉︎天〜〜才でしょ‼︎」

 

えっ…王我さん…?この人こんなキャラだっだっけ…?何か髪の毛もピョコンと立っている。昔から彼のことを知っている師匠もその変わり様に驚いている。

「おっ…王我…どうしたんだ一体…?」

 

「あぁ、すいません。実はこの力、副作用でしばらくの間性格が変化しちゃうんです。大体6時間くらいだと思うんですけど…」

なんか凄い不便!凄い力なのに…凄い力なのにあの時どうして‥

「そうなのか…まぁそれはそれとして…どうして仮面ライダービルドが消滅したんだ?」

「アナザーライダーがいる以上、本来のライダーの力は消滅するんです。存在が保てないから変身が強制的に解除されたんです」

でもあの力で十分流れを掴んでいた…なのに…

「でも、なんでそんな力を隠してたんですか」

私は少し強く言ってしまう。

「‥ごめん、でもこの力を使うと副作用が切れるまで別のライダーに変身することも、エクスキャリオンを装備することも出来なくなるんだ。どこまでやれるか分からない以上、無闇に使うのも危ないと思ってね…」

でも、実際あの時使わなくて正解だったのかもしれない。もし、その力を使っていたら翼さんは助からなかった‥。

「ごめんなさい‥王我さんは何も悪くないのに…」

「ううん、気にしないで」

やっぱり、駄目だ…私…私はあの時の緒川さんの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

「以前、翼さんはアーティストユニットを組んでいたんです」

翼さんについて王我さんと私に語る緒川さん。

「その時のパートナーが天羽 奏さん。今はあなたの胸に残っているガングニールの装者、そして王我くんはお二人のサポートをしていました」

「2年前のあの日、被害を最小限にする為に奏さんは絶唱を解き放ったんです…」

絶唱…翼さんも言ってた‥

「装者への負荷を厭わない絶唱のエネルギーにより、ノイズの大群を殲滅することが出来ました」

「…しかしそれと同時に奏さんの命を燃やし尽くしました。王我くんも奏さんを助けようとして爆発に巻き込まれ、消息不明となりました」

「それって私の為ですか‥」

あの時重症を負った私を庇ったから‥更に王我さんが行方不明になっていたのも、間接的には私のせい…

「奏さんの殉職。ツヴァイウィングは解散。王我くんの消息不明。一人になった翼さんはお二人の穴を埋めようとがむしゃらに戦っていました」

「自分を殺し、一振りの剣として生きてきました。そして今日、剣として、生還した友を守る為、死ぬことすら覚悟して歌いました」

そんな…

「不器用だと思うだろ。昔からなんだ、翼は…」

王我さんも暗い表情になる。

「酷いですよ…」

私はとうとう涙が溢れる。

「そして、私は翼さんのこと、何も知らず…奏さんの代わりになるだなんて…」

「響さん、王我くん、私から一つずつお願いです」

「響さん、翼さんのこと嫌いにならないで下さい」

「王我くん、もう翼さんを一人ぼっちにさせないでください」

 

王我さんはちゃんと先のことも考えてあの選択をしたんた。それなのに私は…

 

 

 

「ネフシュタンの鎧の少女の狙いが響くんとは…」

 

「それが何を意味するかは、全く不明‥」

 

緒川さんの話の後、本部に戻った私。王我さんはメディカルチェックを受けている。弦十郎さんと了子さんは先の事件について色々と調べていた。

 

「いや、個人の特定をしているなら、我々二課の存在を知っているだろうな」

 

「内通者ですか‥」

 

「何でこんな事に…」

 

オペレーターの藤堯さんと友里さんもいる。

 

「私が‥私が悪いんです‥2年前も今度のことも…王我さんはあんな状況でも先のことをしっかり考えて対処していたのに、私が未熟だから翼さんは‥」

 

私は立ち上がる。

 

「翼さんはあの時泣いていました…泣きながらも、それを押し隠して、だれも強い剣であり続けるために‥一人きりで‥」

 

 

「私だって守りたいものがあるんです‼︎」

 

心がむしゃくしゃしてしまい、本部の仮眠スペースに向かう。そして横になり目を閉じた瞬間私は意識を失った。

 

 

 

目を覚ますと少し寝るつもりが、先の戦いから6時間程経過していた。そして弦十郎さんから召集され、指令室に向かう。ちなみに王我さんの性格は本当に元に戻っていた。

 

 

 

 

私達二人は現場に派遣される。敵を殲滅するために。

 

BUILD

 

いた。アナザービルドだ。

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

私はガングニールを纏い、王我さんはジオウに変身して戦う。

 

でも私はまだ未熟者だ。いくら師匠と特訓しているとしてもまだ日が浅い。そんなすぐ強くはなれない。いや、それ以上に‥

「まだ悩んでるのか?」

王我さんはまた戦いの中私に話しかけてくる。やっぱり、あの子を傷つけてしまうということに躊躇いがうまれる

「この子を救いたいんじゃなかったのか?」

 

「でも、私にはそんな力は…」

 

「大丈夫だ、君には奏から受け継いだ力がある!それで彼女を救うんだ!」

 

「受け継いだ力‥」

 

私のこの力は奏さんから受け継いだもの…

 

「あぁ、確かに、人を傷つけたくない。その気持ちは凄く分かる。でも、大切な人を守る為に戦う。そういう人の守り方だってあるんだ」

 

でも、それじゃ私は‥その時あの事を思い出す。

 

 

 

 

私は学園に来ていた。

 

「響、最近考え事多くない?」

 

未来だ。

 

「いやぁ〜そうかな〜、でも私一人じゃ何にも出来ないし‥」

 

この学園に入ったのだって未来がきっかけだった訳だし‥

下向いた私の手を未来が握る。

 

「やっぱり、未来には隠し事は出来ないな‥」

 

「だって響、無理してるんだもん」

 

「うん、でもまだ一人で考えさせて…」

 

コレは私の問題だから…

 

「…わかった」

 

未来は納得してくれた。

 

「一歩前進したとしても、響は響のままでいてね」

 

「私、響が響のまま成長するんだったら応援する。響の代わりは何処にもいないんだもん」

 

未来が微笑み、私に言う。その時、私は決断したんだ。私にだって守れるものはある。それを全力で守ろうって。

 

 

 

 

そうだ、私にだって守りたいものがある。あの時決断したじゃないか。そのために師匠の元で特訓を始めたのだ。

 

「せっかく奏が残してくれたんだ。使わないと奏が悲しむぞ」

 

「でも、私‥」

 

それでもまだ私には力が…

 

「二人ならきっとできるよ」

 

そうか、私は一人じゃない。未来や翼さん、王我さん達がいる。一人じゃできなくても、皆となら・

 

「…私、やります!」

王我さんは頷く。

 

「おい、見てんだろ…この子をアナザーライダーにしたが…今この世界は愛と平和で溢れている。そんな幸せがあるのがこの地球だ。お前が平和な世界を壊すなら…」

 

王我さんは強く拳を握る。

 

「俺は平和な世界をビルドしてみせる!」

 

すると、ビルドライドウォッチが光る。

 

「そうか、これで…」

 

そしてライドウォッチのボタンを押す。

 

 

ジオウの状態でも反応した。ウォッチをドライバーに刺し、回転させた。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

そして現れたのは鎧。それはどこかビルドの姿に似ている。

 

アーマータイムベストマッチ!』

 

 

その鎧を纏う王我さん。顔には『ライダー』ではなく『ビルド』とある。

 

「勝利の法則は決まった気がする!」

 

王我さんからアナザービルドに攻撃を与える。

凄い…ビルドの時と同じくらいアナザービルドにダメージを与えている。しかも、力が安定している。

 

 

 

そうだ、響。君は奏の力を受け継いだ。そしてこれがビルドの力を受け継いだ力‥

 

「これがビルドアーマーの力だ!」

 

 

 

 

ビルドの力を得たジオウのパワーはアナザービルドを圧倒する。アナザービルドは勝てないと判断したのか、逃げのたいせいに入る…逃がさない。

 

「逃がさない!」

 

私は拳を振るった。

 

「私、決めました!傷つけるのではなく、救うために拳を振るう‥それが私の答えです!」

 

そう、それが私の成長。

 

王我さんは頷き、各ライドウォッチのボタンを押す。

 

フィニッシュタイム!』

 

そして、ベルトを一回転させて放つ。

 

ボルテックタイムブレーク!』

 

直線のグラフがアナザービルドを挟み込み、王我さんはそのグラフの上を滑り速度を付けて攻撃を放つ。

その攻撃が効いて、アナザービルドは少女に姿を戻す。そのとき転がったアナザーウォッチが砕ける音がした。そして、生み出されたノイズはアナザービルドと共に消滅した。

 

二課により、少女の身は保護されて、私たちには現場から離れようとした。

 

「あの時のサポート、ありがとう。やっぱり響は凄いよ」

 

その言葉はとても嬉しいかった。私の覚悟は間違ってなかったんだ…

 

「はい!ありがとうございます!」

 

私は笑顔で答えた。




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「翼が目を覚ました⁉︎」
「ライドウォッチ‥?」
「デュランダル‥」
「父さん、母さん…」
「私が隣にいるかどうかは翼が決めることさ」
「あなたのやりたいことを、やりたいようにやりなさい!」
「私、歌います!」
EP09 ブレイブアクション2043


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EP09 ブレイブアクション2043

祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ ビルドアーマー。まず一つ、ライダーの力を取り戻した瞬間である!…申し訳ないここでないと祝えないのでね。では改め
この本によれば、逢坂 王我。彼には魔王にして時の王者 オーマジオウとなる未来が待っている。立花 響が特訓に明け暮れる中、風鳴 翼が目を覚ましたという連絡を受けた。だが、それと同時にある聖遺物が狙われていることも明らかになる。おや我が魔王、今回はあのライダーの力を使われるようですね。


鳥のさえずりが聞こえる。もう朝か‥

私、小日向 未来は目を覚ます。そして、あることに気づく。

 

「‥響?」

 

ルームメイトである響の姿が見当たらない。部屋を見渡すと一枚の置き手紙が

 

『修業 ガッコーお休みします』

 

と記されていた。

 

「何なの‥これ?」

 

 

 

「はぁ! ふっ!」

私は早朝から弦十郎さん‥師匠に特訓を付けてもらっている。今はサンドバッグに向け拳を打っている。

「そうじゃない」

「稲妻を喰らい雷を握り潰すように打つべし」

「言ってること全然分かりません!でもやってみます!」

 

『おじさんの修業は色々ぶっ飛んでるから、頑張ってね』って王我さんの言ってた意味が本当にわかる。まぁ、でもやるだけやってみる。集中し、稲妻を喰らう‥雷を握る‥その時心の臓にくる何かがあった。私は思いっきりサンドバッグを殴り、見事紐を引きちぎり、池に落とすことができた。

出来た!やっと満足に出来た!

「さて、こっちもスイッチを入れるとするか‥」

師匠が笑みを浮かべる。‥どうやらまだ修業は厳しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「クリス‥」

アタシは意識を取り戻す。今アタシは両腕両足を拘束されている。

 

「苦しい?可哀想なクリス。あなたがグズグズ戸惑うからよ」

 

「誘い出されたあの子をここまで連れてくればよかったのに‥手間取ったどころか、空手で戻ってくるなんて‥」

 

「これで‥いいんだよな‥」

 

「何?」

 

「アタシの望みを叶えるには‥お前に従ってればいいんだよな…?」

 

そう、アタシはアタシの願いを叶える為に動いている。アタシの願いは‥

「そうよ。だからあなたは私の全てを受け入れなさい」

「でないと嫌いになっちゃうわよ」

 

「うわぁぁぁぁ‼︎」

 

電流を流される。痛い。痛い。痛い!

 

「可愛いわよ、クリス。私だけがあなたを愛してやれる」

 

そうだ、こんなアタシを好いてくれるのはコイツだけなんだ‥コイツはアタシを好いてくれる。そう思うと少し笑みが出ちまう。

 

「覚えておいてねクリス。痛みだけが人を繋いで絆と成す。それが世界の真実だということを」

 

「だから、ジオウをこの世界の王にする訳にはいかないの」

そういい、また電流を流される。アタシは消え行く意識の中ある会話を耳にする。

 

「はぁ‥アナザービルドは倒されたから、新しいのを用意しなきゃ」

‥アイツ倒されたのか‥アタシ自身、実はそれほどアレについてよく知らない。急にコイツは仲間だとか言い出され、一緒に戦ったが‥

「じゃあ、次はこのライドウォッチを使ってみましょうか…」

 

ライドウォッチ‥?

ジオウが持ってたアレのことか‥でも何で、アイツが‥

そして、アタシはまた意識を失った‥

 

 

「2年ぶりか‥」

俺は自分の実家に帰っている。俺は高校生になってから、二課の任務の為、一人暮らしを始めたんだ。正月とお盆は絶対に帰ってくるけど‥

 

「王我〜!心配したぞ〜。このバカ息子が‼︎」

そう言って俺にヘッドロックを掛ける男。俺の父、逢坂 一也(あいざか かずや) 。どうでもいいがバイオリンのプロでもある。ついでに言うと思考がぶっ飛んでる。

「痛い!痛い!離してよ父さん!」

無理矢理引き剥がし、体勢を整える。勘弁してくれよ‥父さんのヘッドロックはめっちゃ痛いんだから。

「お帰り、あなた背、伸びた?」

「3cmくらい…心配かけてごめん、母さん…」

「大丈夫、どうせあなただからしぶとく生きてると思ったわ。どっかの誰かさんの血を引いてるからね…」

 

「おい、どういうことだ、夜忍」

 

俺の母、逢坂 夜忍(あいざか よしの)、よく周りから昔から変わらず美人と言われているが、10年前の写真と見比べても何も変わってない。化け物何じゃないこの人‥

 

「ちょうど仕事が片付いた時だったから良かったわ」

 

ちなみに二人も二課との関わりがあり、母さん は二課の開発担当者。ちなみにエクスキャリオンの基本設計を作成したのが母さんだ。

父さんは逢坂家現当主として二課とやり取りをしている。そう、自慢ではないが家は当主という言葉が出てくるほどの名家である。この二人はこんな感じだけど、重役なのである。

 

「おい、こんなとは何だ?」

 

ウソだろ⁉︎心の中を読みやがった⁉︎

 

「まぁいい。とりあえず今は‥」

 

「「お帰り、王我」」

 

「父さん、母さん」

 

なんか心にくるものがある。おじさん達に会って現代に帰ってきたって感じはあったが、やっぱ両親と顔を会わせるとまた違うな‥

そして、俺は一人の息子として、一番相応しい言葉を言う。

 

「ただいま!」

 

 

 

 

 

 

「あの〜自分で決めておいて申し訳ないんですけど、どうして女子校生に頼まなくても、エクスキャリオンみたいにノイズと戦える武器って無いんですか?」

 

修業が終わり、一息ついている私は、少し疑問に思っていたことを尋ねる。

 

「無いわけでは無いが、シンフォギアは日本でも最重要機密事項として完全非公開だ」

 

「ええ〜私あまり気にしないで結構派手にやっちゃってますけど‥」

 

あんな派手にやらかしたら、流石にバレちゃうのでは‥

 

「情報封鎖も二課の仕事だから」

 

「だけど、時々無理言って通すから我々の事をよく思わない閣僚達が特異災害対策機動部二課を『特機部二』って揶揄されてる」

 

「情報の秘匿は政府の上層からの命令なのにね‥」

 

「いずれ、シンフォギアを外交カードにしようと企んでるんだろう」

 

「EUや米国はいつだって改訂の機会をうかがっているはず、シンフォギアの開発は、基地の系統とは全く異なる所から突然発生した、理論と技術によって成り立っているわ。日本以外の国では到底真似出来ないから、尚更欲しいのでしょうね」

 

友里さんと藤堯さんが色々説明してくれたんだけど…

 

「結局やっぱり、色々ややこしいって事ですよね…」

話の半分くらいしか理解出来ない。

 

「まぁ、俺らは俺らの出来ることをやればいいんだよ。それをサポートしてくれる人がいてくれるんだから、俺らは最大限力を発揮出来るし」

 

王我さんが帰ってきた。どうやら実家への顔出しは済んだようだ。

「だから、俺らに必要なのは誰かの為の勇気ある行動かな」

 

「何か普通の人がしない発想ですよね。同じ高校生とは思いませんよ」

 

どうやったらこんな風な人になれるのだろう。

 

「まぁ、王様は普通の人が考えない事を思いつくくらいがいいんだよ」

 

王我さんはそう答える。

 

 

 

「そういえば、了子さんは?」

 

「政府のお偉いさんに呼び出されてね、本部の安全性、および防衛システムについて関係閣僚に対し説明義務を果たしに行っている。仕方ないことさ」

 

「ほんと何もかもややこしいですね」

 

「ルールをややこしくするのはいつも責任を取らずに立ち回りたい連中らだ。その点広木防衛大臣なら‥了子くんの帰りが遅れているようだな」

 

 

 

 

「ぶぇっくしょん!‥誰がアタシのこと噂しているのかしら?でも、今日はハッピーなことありそう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

私‥生きてる?‥違う、死にぞこなっただけ‥ここはどこだろう‥ 王我にやっと会えたのに‥でもよかった‥彼を守れて‥死ぬってこんな感じなのかな‥‥

 

奏は何のためにに生きて、何のために死んだんだろう‥

 

 

『真面目が過ぎるぞ 翼』

 

聴こえた。もう聴くことが出来ない声が。

 

『あんまりガチガチだとそのうちポッキリいっちゃいそうだ』

 

やっぱりそうだ。この声の主は‥

 

 

 

 

『戦いの裏側とか、その向こう側とかまた違ったものがあるんじゃないかな‥アタシはそう考えてきたし、それを見てきた』

 

「それは何?」

 

知りたい。その答えを

 

『自分で見つけるものじゃないかな?』

 

答えを勿体ぶって教えてくれない。

 

「奏は私に意地悪だ‥」

でも‥

「だけど、私に意地悪な奏はもういないんだよね‥」

 

せっかく王我が帰ってきたのに‥もうあの時には戻れない‥

 

『そいつは結構なことじゃないか』

 

「私はいやだ!奏に側にいて欲しいんだよ」

例え王我が帰ってきても、奏も一緒じゃなきゃ‥

『私が隣にいるかどうかは翼が決めることさ』

 

はっとする。だったら‥私は‥

 

 

 

機器の音が響く。重い瞼を開けると、白い天井だった‥

「先生!患者が目を覚ましました!」

 

不思議な感覚。まるで世界から切り抜かれて、私だけ時間がゆっくり流れているような‥

そっか‥私仕事でも任務でもないのに学校を休むのは初めてなんだ。

安心して奏。私、あなたが思うほど真面目じゃないから、ポッキリ折れたりしない。だから今日も無様な私を晒している。‥こんな私でも王我に会える資格はあるのかな…?

 

 

 

「翼が目を覚ました⁉︎」

先ほど、病院から連絡をもらったおじさんから話を聞く。

「あぁ、だがまだ面会は出来ないぞ。今すぐ顔を会わせたい気持ちも分かるがな」

やっぱ、俺の考えてることはおじさんには丸分かりか…。あの時の戦いでは、しっかりと顔を会わせられなかったから、今度はしっかりと、と思ったけど‥

「‥わかりました‥。面会可能になったら教えてください」

会えないなら仕方ない。近いうちに会える機会はあるのだから。

 

その時、俺は知らなかった。これから起こる惨劇にまた一歩近づいていたことを・

 

 

 

ー数時間後

 

 

「た〜いへん長らくお待たせしました〜!」

了子さんが司令室に来る。

「な〜に、そんなに寂しくさせちゃった?」

了子さんらしく呑気な返事をする。

「広木防衛大臣が殺害された」

「ええっ⁉︎ホント⁉︎」

おじさんの言葉に流石の了子さんも動揺を隠せない。

「複数の革命グループが仕業だと思われるが、まだはっきりとした情報はない」

「国家が全力を挙げて捜索中だ」

「了子さんに連絡も取れないから、皆心配してたんです!」

響は、ノイズなどの事件は何回か目の当たりにしているが、今回みたいな特殊な事例は初めてで少し、焦りが見える。

「‥壊れてるみたいね」

やっぱ了子さんらしく携帯が壊れてたらしい。響も安心して肩の力が抜ける。

「でも、心配してくれてありがとう。そして政府から受領した機密資料は無事よ」

了子さんは手に持っていたアタッシュケースから一つのメモリーカードを取り出す。

「任務遂行こそ広木防衛大臣への弔いだわ」

 

 

 

 

了子さんが持ってきてくれた資料をこれからのミーティングで説明しようとしていたところ

「おじさん、現場調査、俺も行きます」

「何⁉︎だが‥」

「相手は広木防衛大臣の警護を破って殺害したんです。きっと相手はやり手。こっちにも多少の戦力は必要です」

「しかし、いくらお前でも‥」

王我さんの言葉に師匠が悩まされている。

そう言われると

「コイツを使います」

取り出したのは、赤と黒のウォッチ。

 

ドライブ

 

ボタンを押すと、王我さんの服装がスーツに変わっていく。元々身長も高めなので、スーツがよく似合う。

 

「ドライブの力は警察官、多少なりとは力になれます。今行かなきゃ、今度は誰が襲われるかわからない。それを阻止したいんです」

「‥お前がそこまで言うのなら仕方ない。ただお前はまだ未成年。安全第一に行動してくれ」

王我さんは師匠に対して凄く強気な態度を取り続けた結果、師匠が折れた。

 

 

 

王我さんが現場に向かうという事なので、一度師匠と共に地上に出て、見送りをする。そして、どこからクラクションの音が鳴る。赤色の派手な車がやってきた。まさかの自動運転車だった。

「コイツが俺の愛車、トライドロンだ」

 

『王我、やっと出番かね』

え⁉︎今どこから声がしたの⁉︎

「悪りぃベルトさん。今、ある殺人事件の調査何だ。一緒に来てくれるか?」

『もちろんだ』

 

王我さんは車の中で喋っている。カーナビか何かかなぁ‥

「おじさん、そっちに何かあったらすぐに向かいます」

 

「あぁ、頼むぞ」

 

王我さんは本当に人のために動けるんだなぁ。私も見習わないといけないところがたくさんある。

 

「響、俺がいない間頼んだぞ」

 

そんな凄い人に期待されたら‥

 

「はい!へいきへっちゃらです!」

 

期待に応えるしかない!

そして王我さんはトライドロンに乗って、事件現場に向かう。‥ふと私は重要なことに気づく。

「‥って、王我さんいつの間に免許取ったんですか⁉︎」

 

 

 

 

 

会議が始まり、今回の作戦についてスタッフ達が了子さんの話を聞く。

「私立リィディアン高等科、つまり特異災害対策機動部二課本部を中心に頻繁しているノイズ発生、更にアナザーライダーの出現の事例からその狙いは本部の再奥区画、アビスに厳重保管されている『サクリストD』デュランダルの強奪目的と政府は結論付けました」

 

「デュランダル‥」

 

「かつてEU連合の経済破綻に伴い、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府にもたらされた数少ない完全聖遺物の一つ」

 

「俺のエクスキャリオンと似たようなものだ」

 

ちなみに王我さんは今広木防衛大臣の殺害現場に向かっているため、通信機越しに会議を聴いている。

 

「移送するって言ったって、ここ以上に安全な場所なんて‥」

 

「記憶の遺跡なら、安全なのではという事だ。どの道俺らが国家役員である以上、上には逆らえないという訳さ」

 

 

そうして、デュランダルの移送作戦の準備に取り掛かった。王我さんが調査に出た今、戦力は私一人の為、作戦決行までしばらく休むよう告げられた。

 

 

 

 

「一体どこに行ってたの⁉︎朝から修業とか‥」

一度準備の為寮に戻ってきたが未来が置き手紙の件について色々聞いてくる。

「いや〜えーとその〜つまり〜」

「ちゃんと説明して!」

「あー、ごめん!もう行かなきゃ」

 

ごめん。でもやっぱり、言えないよ。

 

 

 

 

本部に戻り、一息つく。はぁ〜さっきの対応、絶対未来を怒らせちゃったよね〜 私は、目の前に置いてあった新聞を見る。私はある一つの記事に目がいった。

 

『風鳴 翼 過労で入院』

 

‥やっぱシンフォギアについては載っていないか‥

 

「情報操作も僕の仕事でして」

 

緒川さんだ。

 

「翼さんですが、一番危険な状態を脱しました」

その一言に私は歓喜する。よかった、無事で。

 

「しかし、しばらくの間二課の治療施設で安静に、月末のライブも中止ですね」

「さて、ファンの皆さんにどう謝るか響さんも一緒に考えてもらえませんか?」

 

そっか翼さんのライブ中止か‥私があの時もっとしっかりしてたら‥

 

「あっ、いや、そんなつもりは‥」

 

緒川さんの慌てっぷりに思わず笑ってしまう。

 

「ごめんなさい、責めるつもりはありませんでした。伝えたかったのは何事も沢山の人間が少しずつ、バックアップしているという事です」

 

王我さんも言ってた。

 

「だから、響さんももう少し肩の力を抜いても大丈夫じゃないですか」

 

あぁ、緒川さんは私を励まそうとしてくれたのか。

 

「優しいんですね、緒川さんは」

 

「怖がりなだけですよ。本当に優しい人は他にいますよ」

 

「少し楽になりました。ありがとうございます。じゃ私、張り切って休みますね」

私はその場を立ち去る。緒川さんが言ってた本当に優しい人って王我さん?それとも‥

 

 

 

作戦決行の時間になり、私は地上に出て、作戦の最終確認をする。

「防衛大臣殺害の犯人を警戒して、警護を配備。目的地まで一気に駆け抜ける」

「名付けて『天下の往来独り占め作戦』♪」

 

 

 

作戦は決行され、現在私と了子さんを乗せた車の周りを更に護衛車で守る形態をとっている。

私と了子さんが乗っている車に最重要機密資料がある。シンフォギア装者の私が近くにいた方がいいという意見の元このようになっている。何も起こらなければいいと思うがやっぱりそう上手くはいかない。

敵からの攻撃が始まった。

橋を攻撃され、一台車が橋から落下する。

「了子さん!」

 

「しっかり捕まってね、アタシのドラテクは凶暴よ」

 

敵からの猛攻をかわすがやっぱり荒い!怖いよ!

 

 

「この展開予想してたより早いかも」

 

「弦十郎くん、ちょっとマズイんじゃない?この先の薬品工業で爆発なんてあったら、デュランダルは‥」

 

「わかっている!さっきから狙いが護衛車ばかりとなると、ノイズが誰かに操られている可能性がある。だからあえて危険な場所で敵の行動を封じる作戦だ!」

 

ヘリの音で多少聞こえずらいがこれから危ないことをするのは間違いない。

 

「勝算は?」

 

「そんなこと考えるのはやめた!さっき王我の言った言葉だ!」

 

そして、車は薬品工業に入るが最後の護衛車がノイズの攻撃により、爆発その爆発からノイズが少し後ずさりする。

 

攻撃により、護衛車は全滅、私達が乗っている車も横転してしまう。車から出て、とりあえず護衛対象を運ぼうとした

 

「これ‥重い…」

 

「じゃあ、それは置いてアタシ達は逃げましょ」

 

「そんなの駄目です!」

 

「やっぱり?」

 

ノイズがまた車に攻撃を仕掛けて車が爆発する。その爆風で私は地に倒れる。

更に、間入れずノイズが再び攻撃を仕掛けてきた。マズイやられる

と思ったが‥

 

「了子‥さん‥」

了子さんがバリアのようなものを発生させノイズからの攻撃を防ぐ。

 

「しょうがないわね」

 

「あなたのやりたいことを、やりたいようにやりなさい!」

 

私のやりたいこと‥それは‥

 

「私、歌います!」

 

この状況を打破することだ!

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「デュランダルが狙いか‥」
「駄目だ、響!抑えるんだ!」
「この反応‥まさか⁉︎」
「行くぜベルトさん!」
「何だよあの赤いの⁉︎」
「ひとっ走り、行ける気がする!」

EP10 フルスロットルトゥギャザー2014→2043


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EP10 フルスロットルトゥギャザー2014→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。風鳴 翼が病院で目覚める中、防衛大臣が暗殺される。逢坂 王我は事件捜査の為、ドライブの力を使用する。残った立花 響は完全聖遺物、デュランダルの移送作戦に参戦に独りで参戦するが、そこで大きなトラブルに遭ってしまうのであった‥


『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

私はガングニールを纏い、戦闘に入る。最初はノイズの攻撃をかわすがヒールがパイプに引っかかり、転んでしまう。

 

「ヒールが邪魔だ‥!」

 

私はヒールを地面で削る。これなら動きやすくなるはず。今こそ師匠に教えてもらった戦い方を実践してみせる。力強く踏み込み、突撃してきたノイズを拳で玉砕する。

戦える。いける!

次々と攻撃を仕掛けるノイズを一体ずつ確実に倒していく。

 

一方、それを眺めているネフシュタンの鎧の少女は前回の響との変わりように驚いている様子

 

「コイツ、戦えるようになっているのか…」

 

「この反応‥まさか⁉︎」

 

櫻井 了子も響の成長に驚くがそれより、突如開いた護衛対象に気がいった。

 

 

 

私、ノイズと上手く戦える。これなら‥するとムチ状の攻撃が私を襲う。彼女だ。

 

「今日こそはものにしてやる!」

 

飛び蹴りが私の顔に命中する。

 

まだシンフォギアを使いこなせていない‥どうしたらアームドギアを‥

 

私は地に落下する。そして運の悪いことに大量のノイズが私に向かって攻撃する。これを喰らったらひとたまりもない。そんな時だった‥

 

あのクラクション音と共にトライドロンがやって来てそのままノイズに体当たりをした。

 

「すまない、遅れた!」

 

「王我さん!」

 

待ちに待った援軍の到着だ。

 

「来たか、ジオウ。でも今はお前に構ってる暇はねぇ!」

 

「悪いけど、こっちもそう、うかうかしてられないんだ。ベルトさん、制限時間までにはなんとか行けるか?」

『この多さではあまり時間がないが、君と私なら、行けるだろう』

さっきのカーナビの声だ。でも今は腰に巻いている。

「そっか、じゃあ‥」

 

「行くぜベルトさん!」

 

『OK!王我!スタート!・ユア・エンジン!』

 

ベルトのレバーを回し、赤いミニカーみたいなの変形させ、手首のブレスレットに挿した。

 

「変身!」

 

変形したミニカーをレバーのように起こす。

 

『ドライブ!タイプ スピード!』

 

王我さんの体に車のようなボディが付き、トライドロンからタイヤが出現し、スーツに装着される。

 

「ええっ⁉︎タイヤ⁉︎」

 

あれが、車のライダー。仮面ライダードライブ

 

「さぁ、ひとっ走り付き合えよ!」

 

右脚に腕を乗せ、ポーズをとる。そして仮面ライダードライブがノイズとの戦いに挑む。その攻撃はとにかく早い。止まる時に火花が散るほどだ。

 

『ターン!』

 

更に王我さんはハンドルがついた剣を装備してノイズを切り刻んでいく。

 

 

 

 

その間に無防備な了子さんにノイズが近寄ろうとする。

 

「させるか!」

 

俺はシフトカーを起こし、加速する。

 

スピード!』

 

一瞬で、了子さんからノイズを離し、殲滅する。

 

「更にコイツだ!」

 

緑色のシフトカーをセットする。

 

『タイヤコウカン!ファンキースパイク!』

 

ドライブに付いていたタイヤが棘のあるタイヤに変わる。そのタイヤから棘を出し、ノイズを攻撃する。やはり、こちらの方がノイズの殲滅は早い。

 

 

「何だよあの赤いの⁉︎」

 

どうやらあの子は俺がジオウ以外に変身能力があることを知らないらしい。次はあの子を止める番だ。そう思った矢先、小さな爆発音、いや破裂音が聞こえる。音のする方を見ると護衛対象であったデュランダルが光を放ち宙に浮いてる。

 

「デュランダルが起動している⁉︎」

「響ちゃんのフォニックゲインに反応して覚醒したというの⁉︎」

 

了子さんも驚いている様子。どうして勝手に‥

 

「コイツがデュランダルか・」

 

少女がものにしようとデュランダルに手を伸ばす。

 

「デュランダルが目的か…」

 

俺は加速してデュランダルを先に手に取ろうとしたが

 

「渡すものか‼︎」

それより先に響が渾身の体当たりをお見舞いし、少女を落とした。そして、響はデュランダルを手にする。

 

すると不思議なことが起こった。光が更に増し、そのエネルギーは天まで届くほどとなった。そして、デュランダルが真の姿を現す。

 

「ウワアァァァァ!」

 

しかし響は無事ではない様子、まるで戦闘しか頭にない怪物のような、そんな目をしていた。

 

 

 

 

 

「コイツ、何をしやがった⁉︎」

アタシは目の前で起こっていることに疑問を抱く。何なんだよあれ!無茶苦茶じゃねぇか!アタシはそこにいる科学者の方を見るがまるで、その輝きに心を奪われているようだった。ムカつく。その力を‥

 

 

 

「そんな力を見せびらかすなぁ‼︎」

アタシはノイズを召喚する為に()()()()()()を使用する。そしてヤツがこっちを向く。その目の前の物全てを抹殺するかのような目付きにアタシはビビっちまった。

 

「ウワァァァァ‼︎」

 

アイツ、デュランダルを振り下ろしやがった。マズイ、こんなのまともに喰らったら死ぬ!アタシは逃げることだけを考えた。そしてノイズを巻き込み、さらには工場までも破壊する。

 

お前を連れ帰っても、アタシは‥

 

成功したところできっとアタシはお払い箱になるだけ。結局アタシは‥

 

 

 

 

 

俺は目の前で起こってることに驚きを隠せずにいた。未来の自分を見たことがある俺でも、流石にこの状況は‥

 

「駄目だ、響!抑えるんだ!」

 

しかし俺の声は届かず、響はデュランダルを振るう。ノイズを殲滅し、ネフシュタンの鎧は撤退したようだ。だが、問題は工場にまで攻撃が当たったことだ。大規模な爆発が起こる。

 

 

「くっ、これでどうにか!」

『タイヤコウカン!ドリームベガス!』

 

まず、近くにいる人を爆風から守る為トライドロンの影に入れ、スロットのようなタイヤ、ドリームベガスで飛んできた破片から守る。エクスキャリオンが使えない今、これが精一杯だ。しかし、俺はあることに気づく。

 

了子さんがいない。

 

そして、少し時間が経つ…

 

 

 

 

 

何‥今の力‥私‥全部吹き飛べって‥

 

私は体を起こし、周りを見渡す。その光景は凄まじい物だった。現場の状況を調査しに来た人もいる。あれから少々時間が経ったようだ。そして、私の手にはデュランダルが握られていた。

 

「これが、デュランダル。あなたの歌で起動した完全聖遺物よ」

 

了子さんが髪を整えながら、私に説明する。

 

「あの…私…それに了子さんの‥あれ」

 

了子さんがさっき使っていた()()は一体…

 

「いいじゃないの、二人とも助かったんだし、ね♪」

 

「はい、了解。一時移送計画を中断し、撤収の準備を進めます」

了子さんは本部からの電話を受けた為私から離れてる。

 

「響、大丈夫か⁉︎」

 

代わりに王我さんがこちらに寄ってくる。

 

「王我さん、すみません私‥」

 

「それはいい、だが敵の手掛かりも少し見つかると思ったんだが何もないなんてな‥」

 

あの子は上手いこと逃げたらしい。…怪我してないといいな…

 

「おじさんからの伝言、メディカルチェックがあるから響は俺と一緒に本部に帰還だってよ」

 

「あの…現場の処理は…」

 

「他の方がやってくれるって。装者にしかノイズと戦うことが出来ない。だからこそ休める時に休んどけって言われてるしね」

 

「…分かりました」

 

作戦前にも似たようなこと言われたっけ。私がしでかしたことを他の人が片してくれる。友里さん達も“自分達の仕事だ”と言っていたけど申し訳ないな…

 

「…!」

 

王我さんの方を見ると‥

 

「時間か‥」

 

王我さんの体から粒子がもれはじめる

 

『すまない王我、後は頼んだぞ』

 

「あぁ、任せてくれ」

 

そして王我さんを粒子が包み込み、服装もいつも王我さんの着ているチノパンとシャツのスタイルになっていた。ドライブの力がなくなったせいかトライドロンも姿を消す。

 

「時間切れですか?」

 

「うん、本当ならトライドロンに乗っけて帰りたかったけど、仕方ない。これに乗って」

 

取り出したのは、ライドウォッチ。“バイク”って書かれてるけど…

王我さんがボタンを押し、投げるとライドウォッチからバイクに変形する。

 

「ふえぇ〜凄い」

 

ちょっとずつだが、こんなのは慣れてきた。

 

「乗って」

 

バイクに跨っている王我さんから渡されたヘルメットを被り、私達は二課に戻る。

 

 

 

「うん、身体には問題はないようね」

 

少し前に帰ってきた了子さんがメディカルチェックをしてくれた。デュランダルを扱った為身体にいくつか問題が出ると思ったが意外と大丈夫だった。

 

「ありがとうございます、了子さん」

 

「でも、今はちゃ〜んと休まなきゃ駄目よ。あなたが思っている以上に疲れてるはずだからね」

 

私はあの力に振り回され、危うくあの子を‥

 

そのと、警報が本部に鳴り響く。私は司令室に急ぎ向かった。

 

「ノイズの発生を確認!」

 

スタッフが伝達する。さっきノイズと戦ったばかりなのに‥

 

「こんな短時間に‥王我、準備を始めてくれ」

 

「わっ‥私も!」

 

今度こそ‥

 

「響くんは今回は休みだ」

 

師匠に止められる。

 

「どうしてですか⁉︎」

 

「響は、まだ疲れが抜けてないだろ。俺が行くからゆっくりしてな」

 

「でも‥」

 

私、あの時何も出来なかった‥だから‥

 

「大丈夫、未来の王様を信じろ」

 

そうだ、あの王我さんが言うんだ。大丈夫に決まっている。

 

「わかりました‥」

 

今の私が行っても足手まといになるだけ。だから今は我慢して休息を取るのが最善なんだと思った。

「だがお前も人命救助を優先に、無茶な戦闘は控えろ」

 

「了解!」

王我さんは司令室を飛び出した。

 

 

 

 

俺は愛用のバイク、ライドストライカーで現場まで向かった。

 

警報が発令されてそこまで時間は経っていないので、幸い死者はまだ出ていないようだ。一度現場を見渡すがもう人影はない。市民は近くの避難所に逃げる事ができたのだろう。更に今回の事件はあの少女は関係なく、単に自然災害だと考えられる。

 

 

武装、起動!

 

エクスキャリオンを纏い戦闘を始める。

 

投影【プロジェクション】!

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

更に同時に天羽々斬を投影する。

俺は戦闘は最低限に生存者の捜索をする。今回は制限時間の10分でどこまでノイズを倒せるかより、どれだけ多くの人を助ける事が出来るか、これが重要なのである。

 

「いやぁぁぁ‼︎」

ノイズの攻撃が市民をこの世から亡き者にしようとするが俺はそれを許さない。天羽々斬で攻撃してきたノイズを返り討ちにし

 

「伏せろ!」

そう言われた市民は頭を抱え地に蹲る。俺は逆立ちど同時に回転し、脚に付いている剣でノイズを殲滅する。翼の技『逆羅刹』である。

ノイズがいなくなった隙をついて、避難所に逃げる人々。もう誰もいないと思い戦闘に集中しようとしたところで

 

「くっ‥もうか‥」

 

エクスキャリオンの鎧が不安定になる。

 

起動不能になる前に周りのノイズを殲滅しなければ‥

俺は一気にノイズを殲滅するために天から大量の剣を相手に向かって振り落とす。これも翼の技『千ノ落涙』だ。その技を放つと同時にエクスキャリオンが消滅する。

今度はジオウに変身しようとしたその時だった。

逃げ遅れたのだろう、子供が今まさにノイズに襲われそうになる。

 

「危ない!」

 

ノイズの攻撃から子供を守るため、ローリングで子供を捕まえて道路の端に転がる。

 

「君!大丈夫か⁉︎」

 

子供は頷く。ここでは危ないので、近くの避難所に向かった。

 

「ご両親は?」

 

走りながら、確認する。もし、最悪の場合だったら…

 

「元々いない。今は孤児院で生活してて、先生と一緒に逃げてきたけどさっきはぐれちゃった」

 

…何か思って答えと違うし、何か凄いサバサバしてるなぁ〜この子。

 

「ねぇ、何で僕を助けたの?黙って逃げた方がよかったんじゃないの?」

 

その反応に驚いてしまう。

 

「‥子供とは思えないこと言うな、君」

 

「だって二人とも死んじゃうより、お兄さんが生き残ってる方が絶対にいいでしょ」

 

「いや、そんなことはないぞ」

 

「何で?普通そうじゃない?」

 

「こちとら余計なことは考えるのやめてるからな」

 

「そんなことして大丈夫なの?大の大人が」

 

…まぁ普通そう言うよな、でも…

 

「だからこそ、分かることもある。今自分がすべきことがね」

 

「‥難しいや」

 

「いずれ分かるよ。ほら、早く避難所に入って」

 

子供を避難所の前まで連れて行き、避難所に入ったことを確認してから一応扉をしっかり閉め、戦闘を再開する。

 

「確かに、人から見たら馬鹿みたいかもしれないな‥でも・」

ジクウドライバーを巻きながら俺は自身の覚悟を再確認する。

困っている人は俺が助ける。それが王としての役割、いやそれだけじゃない。

そうジオウになったあの時ウォズも言っていた。

 

 

 

 

「ねぇウォズ仮面ライダーって結局何なの?」

 

「そうだね‥仮面ライダーは実際正義だとは限らない。ダークライダーの存在もあるしね。だが、あの銅像に並んでいるライダー達は人の為に、戦ったライダーなのは間違いない」

 

人のためか…

 

 

 

 

 

 

俺は完璧な王様にはなれないだろう。実際2年前に大切な友人を亡くしている。もしかしたら助けられたかもしれない、そう何度も思った。

だけど昔の事をクヨクヨ悩んでいたら、今、目の前で困っている人を助けられない。そんなことになったら奏に合わせる顔がない。だから余計なことは考えない。

 

 

「今自分がしてることを信じてそれをやり遂げる。それが王様になる為…いや違う、王様じゃなくても‥」

 

 

今はまだ王じゃない。だけど俺は…皆の平和を守る…

 

「俺は‥仮面ライダーだ!」

 

ノイズに向かって叫んでやった。すると、ライドウォッチが光る。

 

ドライブ

 

ドライブウォッチが使えるようになったみたいだ。

 

「やってやる!」

 

ジオウ』 『ドライブ

 

ジオウライドウォッチと共にドライブライドウォッチもベルトに挿す。

 

「変身‼︎」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

ジオウに変身したと同時にドライブと同じポーズをとったアーマーが現れる。そのアーマーを蹴飛ばし、身に纏う。

 

 

アーマータイム!ドライブ!ドライブ!』

 

復活したジオウの力。仮面ライダージオウ ドライブアーマー。

 

「ひとっ走り、行ける気がする!」

 

 

「キャァァァァァ‼︎」

まだ残っていた市民がノイズに囲まれてしまっている。かなり絶望的な状況だ。

 

 

俺はドライブの時と同じように高速で動き、ノイズを圧倒する。更には、逃げ遅れた人を腕に抱え、戻ってきた。

 

「早く安全なところへ!」

 

避難所は目の前にあるので、俺は、ノイズの攻撃を防御することに集中した。ドライブの力を得た蹴りは凄まじく、風圧で周りのノイズも炭化する

 

「脳細胞がトップギアだぜ」

 

フィニッシュタイムドライブ!』

 

ヒッサツタイムブレーク!」

 

高速で回転するタイヤを蹴り飛ばしノイズに命中させる。タイヤの回転と摩擦で全てのノイズを倒す。

 

 

 

 

「凄い…」

王我さんの戦い方に私は、目を奪われた。あの状況でノイズの殲滅はおろか、死者を一人も出さないなんて、私では絶対に出来ないことをしてみせた。王我さんは王様になるっていう明確な目標がある。でも私はただ人助けをしたいと思うだけ‥じゃあ、私は‥

 

 

 

 

 

「また力が戻った‥」

ビルドに引き続きドライブの力を取り戻した。力を取り戻す方法、それは再び覚悟を決めることかもしれない。

 

「(まだ復活してないライドウォッチはあと17個、これを全て復活させれば俺は…王になるのか…でも‥未来の俺(最低最悪の魔王)にはならないよな‥)」

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「クリア出来ないゲームが学園で流行ってるんです」
「相棒‥ですか‥」
「アイツの他にもいたのか⁉︎」
「未来‥」
「響‥」
「剣だ‼︎」
「見せてやる『イチイバル』の力だ‼︎」

EP11 ロスト&リターンシンフォギア2043


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EP11 ロスト&リターンシンフォギア2043

祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ ドライブアーマー。また一つ、ライダーの力を取り戻した瞬間である。更に祝え!この小説のUAが10000を突破した瞬間を!
やはり祝うのは素晴らしい。では‥
この本によれば、逢坂 王我。彼には魔王にして時の王者 オーマジオウとなる未来が待っている。立花 響はデュランダル移送作戦中、ネフシュタンの鎧を纏いし少女に襲われる。駆けつけた逢坂 王我は仮面ライダードライブとなり、加戦するが、立花 響がデュランダルを使用、辺りのノイズを一層した。そして今日、各少女達の運命の歯車が回り始める。


娘が倒れた。原因は分からない。だがとても苦しそうな表情を見せ、救急隊員に運ばれる娘の顔を見てると何も出来ない自分が情けなくなる。

その時、時が止まったかのよう…いや本当に止まっている。騒音はなく、空を飛んでいる鳥も動いていない。動いているのは、私と今、目の前からやって来る女の人だけだ。

「この子は、しばらくすると寝たきりの人生を歩むことになる」

私は絶句する。そんな‥娘は助からないの‥

「でも、私と契約すれば、あなたの娘は助かるわ」

そう言い、何やら時計のようなものを見せびらかす。あの人が誰だかは知らない。でも娘が助かるなら‥

「分かったわ、契約する」

 

その時、体にその時計を当てられた。すると表面に怪物のようなものが浮かび、私はそれを埋め込まれた。

 

EXーAID

 

 

「今日からあなたが仮面ライダーエグゼイドよ」

 

こうして、アナザーエグゼイドが2043年に誕生した。

 

 

 

 

 

完全聖遺物の起動には、相当なフォニックゲインが必要だとフィーネが言っていた。アタシがソロモンの杖に半年も拘ったことを、アイツはあっという間に成し遂げた‥それどころか無理矢理力をぶっ放してみせやがった。

 

「くっ‥化け物めっ…!」

 

そしてフィーネはアタシにアイツを確保を命じられた。

 

「このアタシに身柄の確保をさせるくらい、フィーネはアイツにご執心かよ‥」

 

フィーネのココロはアイツに向いている。きっとアタシには…

 

「そしてまた、アタシは独りぼっちになるわけだ」

 

ずっとそうだ‥あの時拉致されたあの日からずっと…

そう思っていると夫人のような格好をした女がやってきた。フィーネだ。

「分かっている。自分に課せられたことくらいは。こんなのに頼らなくても、アンタの言ったことくらいやってやらぁ」

 

アタシは握っていたソロモンの杖をフィーネに投げ渡した。

 

「アイツよりもアタシの方が優秀だってところを見せてやる!アタシ以外に力を持つものは全部この手でぶちのめしてやる!アタシの目的だからな!」

 

「(そうすればきっと…フィーネは…)」

 

「でも、アナタにも一応パートナーはいた方がいいでしょう?」

 

そう言って現れたのは以前のアナザービルドとどこか似ている、そんな奴だった。

 

「紹介するわ、これがアナザーエグゼイド。しばらくアナタのパートナーよ」

 

「(またか‥またこんなのが私のパートナーかよ。どうせなら、人がよかったなぁ‥)」

 

 

 

 

「はぁっ…はぁっ…」

奏、私も見てみたい。見なければ、奏や王我と同じところに立てない。戦いの裏側、向こうには何があるのか‥確かめたいんだ。

「翼さん、ICUを出たばかりなんです。これ以上は…」

 

「すみません…」

 

でも私は急がなければ…

 

そしてふと学園の方を見るとグラウンドを走る立花の姿が見えた。

 

 

 

暴走するデュランダル。怖いのは制御出来ないことじゃない。躊躇いもなくあの子に向かって振り抜いたこと。私がいつまで弱いばっかりに…

 

未来はゴールし、その場で膝に手をつくが、私は走り続ける。

 

私はゴールで終わっちゃダメだ!王我さんのように見えなくて険しい、もっと遠くを目指さなきゃいけないんだ‼︎

 

 

「ねぇ響、これからふらわー寄ってかない?私朝から何も食べてなくて、お腹ペコペコなんだ」

学校が終わり、未来にご飯に誘われた。今日は学校も半日なので時間はたっぷりある。

「行く行く!」

「うん、じゃあこれ出しに行ってくるからそれ終わったらにしよ」

 

未来と一緒に過ごせる時間がこんなにあるのは久々だ。

 

「ふふ〜ん、ふらわーのお好み焼き。ワクワクするなぁ〜」

 

久々の未来とのふらわーに胸を躍らせていると、着信音が鳴った。

 

「もしもし?」

 

電話の相手は緒川さんだった。

 

「‥はい‥はい‥わかりました」

 

用件は仕事で翼さんのお見舞いを王我さんと共に向かって欲しいとのこと。

 

「未来‥ごめんね‥」

 

「‥また用事?」

 

「うん、ごめんね‥」

 

何か最近ずっとこの調子な気がする。

 

「いいよ、私も図書室に返さなきゃいけない本があるし」

 

「本当にゴメン、今度埋め合わせするから」

そう言い私は学園の向かいにある病院に向かう。

 

 

 

病院前で待ち合わせをした王我さんと共に病室に向かう。その途中私は学園で気になった話を王我さんにする。

 

 

ー数時間前

 

「ねえビッキー、クリア出来ないゲームって知ってる?」

 

友人の安藤 創世が話題をふる。

 

「あぁ〜、何か聞いたことある。最近流行ってるよね」

未来もそのことは耳に入っているようだ。一応私も聞いたことがある。

 

最近話題になっているのがこの[クリア出来ないゲーム]、その名の通り未だかつてクリアした人はいないとか

「私、一番最初にクリアしてやるわ!」

 

これまた友人の板場 弓美がゲームに対する熱意で燃え盛っていた。

 

「でも、まだ数日しか経ってないし、そもそもクリアが難しいんじゃ‥」

 

「止めておいた方がいいかもしれませんよ。学園で屈指のゲーマーの佐藤さんがそのゲームをプレイしてから学校に来てないとか‥」

 

またまた友人の寺島 詩織が止めにくる。

 

「ん〜、そこまでクリアが難しいのか〜逆に燃えるじゃない」

 

 

「クリア出来ないゲームかぁ‥」

何か引っかかるんだよなぁー

 

 

「っていう訳でなんかクリア出来ないゲームが学園で流行ってるんです」

 

「…!クリア出来ないゲームか‥」

 

王我さんの顔が少し強張る。

 

「響、今すぐにでもその子に言っておいて、“ "絶対そのゲームをやるな"って」

 

「どうしてですか‥」

 

「アナザーライダーが絡んでいるんだ。遠くないうちに次のアナザーライダーと戦うことになるな‥」

 

 

 

王我さんはお手洗いに行ったので私が少し先に病室に着く。そこで待っていたのは恐ろしい光景だった‥

 

 

「何をしてるの、こんなところで」

 

翼さんが声を掛ける。

 

「翼さん、大丈夫ですか⁉︎私、翼さんが誘拐されたんじゃないかって‥」

 

実際、病室は悲惨だった。衣服はあちこちに散らばっており、花瓶は倒れている。マグカップも倒れて、中の飲み物が溢れている。

 

「あれ?響、どうしたの?」

 

王我さんがやってきた。

 

「王我さん、大変です!翼さんの病室が‥」

 

そう言われ王我さんは部屋を覗くと

 

「はあぁ〜‥お前、まだ治ってないのか‥」

 

溜息混じりに王我さんが言う。どういうことだろうと思い、翼さんの方を向く。

 

「‥‥‥」

 

顔を赤らめていた。

 

「‥‥あぁ〜」

 

納得した。翼さんは片付けが出来ないんだ。

 

 

 

 

それから私と王我さんは病室の片付けを始めた。王我さんが食器など、私は衣服を担当した。いくら幼馴染みとはいえ、下着とか触るのは流石に‥という王我さんの意見の元こういう割り振りになった。

「もう‥そんなのいいから…」

「私、緒川さんからお見舞い頼まれてるんです。だからお片付けさせてくださいね」

「私はこういうところに余り気が行かなくて…」

「いやいや、それは直そうぜ」

 

まぁ王我さんの言う通りだと思います‥

 

「意外です。翼さんって何でも出来るイメージでしたから」

 

「真実は逆ね…私は戦うことしか知らないのよ」

 

「おしまいです!」

 

ちょっと時間は掛かったがなんとか終わらせるごとができた。

 

「すまないわね、いつもは緒川さんがやってくれるのだけど‥」

「ええぇっ!男の人にやってもらうんですか⁉︎」

「マジすいません、緒川さん。今度しっかりお礼言わないとなぁ」

 

まるで王我さんが保護者のようなごとを言い始める。

 

「…やっぱり散らかしっぱなしも良くないし…前までは王我もやってくれたしね」

 

「…」

 

王我さんが申し訳なく思っているのか俯いてしまう。

 

「…今はこんな状態だけど報告書はきちんと読ませてもらってるわ」

「私が抜けた穴をあなたが埋めているってこともね」

「そんなことないです!いつも王我さんや二課の皆さんに助けてもらってますし…」

「だから、もっと胸張っていいって言ってるだろ?」

 

「(私、役に立ててるんだ‥それを翼さんが言ってくれた‥)」

 

「嬉しいです。翼さんからそんなこと言ってもらえるなんて」

「…だからこそ知りたいの、あなたの戦う理由を」

 

 

「ノイズとの戦いは遊びではない。それは今日まで死戦を超えてきたあなたならわかるはず」

 

「…よくわかりません‥私人助けが趣味みたいなものですから…」

「それだけなの?」

「だって人助けって誰かと競わなくていいじゃないですか。私特技とかないですし、私の出来ることで皆の役に立てたらなって」

 

私は適当に笑って誤魔化そうとするが、やっぱり‥

 

「‥でもやっぱりきっかけはあの事件かもしれません‥」

「私を守る為に奏さんが命を燃やした2年前のライブ…奏さんだけじゃない、沢山の人があそこで亡くなりました」

 

今でも忘れない、あの光景‥

 

「でも私は生き残って、今日も笑ってご飯を食べたりしています。だからせめて誰かの役に立ちたいんです」

 

「明日も笑ったり、ご飯食べたりしたいから…人助けをするんです」

 

そんな私の解答に翼さんは微笑んで答える。

 

「あなたらしい、ポジティブな考えかもしれない。でもそれは自殺承諾とも言える」

 

「確かに、人助けの時って自分のことはよく見えないよな。でも、自分が死ぬことは絶対に避けなければならない。俺も色々な経験から学んだよ」

 

なんか慰めてもらってる感じで悪いなぁ

 

「えっーと、私変なこと言っちゃいましたね」

 

「変かどうかは私には分からない。自分で考え、自分で決めることね」

 

 

 

 

 

「はぁ‥最近響が遠く感じるなぁ‥」

私は図書室にて借りてた本を返却し、新たな本を借りようとしていた。最近、響が部屋にいることが少なくなってやることが減ってしまっている。

響が今何をしてるのか知りたいなぁ‥

 

そういえばこの向かいって病院だっけ‥今あの風鳴 翼さんが入院してるっていう。

 

ふと、その病院の方を見ると

 

どうして響が‥それに翼さんと、あの男の人は‥

 

 

 

 

「考えても、分からないことだらけなんです。デュランダルに触れた時も暗闇に呑まれそうで気づいたら人に向かってあの力を‥」

 

私達三人は屋上に場所を移し話を再開する。

 

「私がアームドギアを上手く使えていたらあんな事には…」

 

アナザービルド戦で多少の戦う覚悟は出来たがやっぱり現実はそう簡単なものじゃなかった。

 

「力の使い方を知るということは即ち戦士になるということ」

 

「戦士‥」

 

「それだけ人しての生き方から遠ざかることになる。あなたにその覚悟はあるのかしら‥」

 

人でなくなるのは正直怖い。でも‥

 

「…守りたいものがあるんです。それは取り止めもない日常、そんな日常を大切にしたいと思ってるんです」

 

「…だけど思うばかりで空回りして‥」

 

結局私は色々、迷っている。

 

「戦いの中であなたが思っていることは?」

 

でもそれは迷いなく答えられる!

 

「ノイズに襲われている人がいたら一秒でも早く助けてたいです。最速で最短で一直線に駆けつけたい!」

 

「…もし、相手が同じ人間なら、戦わなくちゃならないって時は、自分の胸の思いを届けたいと考えています」

 

それが私の意志、戦う意味。

 

「その志が大事なんだ。お前のその思いを強くイメージするんだ。それがお前の戦う力、立花 響のアームドギアになるんだから」

私のアームドギアか‥

 

 

 

あの後、アームドギアについて語っていたら、日が傾いてきた。

 

「ん〜でも、アームドギアの使い方なんてすぐには思い付きませんよ〜」

 

結局話し合っても、難しい課題なのには変わりない。

 

「翼さん知ってますか?お腹空いたまま考えてもいい考えは浮かばないって」

 

「何よそれ?」

 

「前に私言われたんです。お好み焼き屋のおばちゃんに。凄い名言ですよ!」

 

「そう‥」

 

「へぇー、でも俺のおばあちゃんの方が凄いこと言ってたなぁ〜」

 

「むっ、いくら王我さんとはいえ、この名言の上があると言うのなら私黙っちゃいませんよ〜」

 

「おっ、やるか〜?」

 

「やめなさい二人とも。ここ病院よ」

 

「いっけね、忘れてた」

 

王我さんと共にみっともない姿見せてしまった。

 

「まぁ、それは置いといて翼さんにもふらわーのお好み焼き食べてもらいたいです」

 

「…いずれね」

翼さんは微笑んでいた。

 

 

 

 

響がそそくさと室内に戻ってしまった。まったく、忙しい奴だ。

「…」

二人きりになると共に翼は黙り込んでしまう。

「…どうした、つばs…」

いきなり抱きついてきた。おいおい、そんな勢いで抱きついてきたら怪我悪化するぞ。

 

「寂しかった…奏も居なくなって…王我も居なくなって…私…独りで…」

シャツが濡れていくのが分かる。きっと弱い自分を響に見られたくなかったのだろう。

再会した時もそうだった。2年前とは違い本当に戦う為だけに生きているという雰囲気だった。元々翼は弱い一面がよく出ていた。特に奏と一緒にいた時は。でも今はそれを隠している。その隠していた感情が耐えられなくなったのかもな…

 

「…ごめん…」

 

俺は謝ることしか出来ない。

 

「お願い‥私を独りにしないで‥」

 

‥緒川さんも言ってたな。翼は決して強くない。独りになり寂しさを覚えるくらい普通の女の子だ。奏がいなくなってしまった今、心の支えが翼には必要だ。

 

もう一度俺が支えになれたらと願い、俺は翼を抱き返した。

 

 

「はわわわわわぁ‥」

どうも皆さん、立花 響です。今凄い状況を見てしまってます!あの翼さんが王我さんに…あの人気アーティストが男の人に…いくら幼馴染でも、そんな‥

「どうした、響くん、翼はここにいるのだろ?」

 

師匠を翼さんのところへ案内しようとしたら、この現場に鉢合わせてしまいましたよ‥

 

「しっ‥師匠、翼さんと王我さんてもしかして…付き合ってましたか…?」

 

「いや、違うな、アイツらは硬い絆で結ばれた友。言わば相棒ってところだ」

 

「相棒‥ですか‥」

 

「ま、今の所はな」

 

「(翼さんには相棒となる奏さんと王我さんがいた。…私にも相棒出来るかな…)」

 

 

「よう、翼。身体は大丈夫なのか」

 

おじさんが響と共にやってくる。さっきまで抱きついていた翼は慌てて離れていった。ちょっと動きが不自然で笑ってしまいそうだ。

 

「もっ‥問題ありません///」

 

「(おいおい、口調に焦りが出てるぞ。‥まぁ、個人的にはいい思いをさせていただきました。はい)」

 

そのまま呑気に話せるかなと思っていたが

 

一本の電話により崩れる。

「何⁉︎、ノイズの反応だと⁉︎」

 

 

 

 

「はぁ〜、ふらわーのお好み焼き美味しかった」

 

やけ食いするつもりだったけど、おばちゃんと話できて楽しかったなぁ〜

やっぱお腹空いてるとイライラするみたい。おばちゃんの言ってたことは本当だ。

 

響のことだって私が思い悩んでるだけだ‥

 

「うん、だからちゃんと響と話をしよう!」

 

 

「おばちゃんにお好み焼き持ち帰りしてもらったけど、響ご飯もう食べちゃったかな‥」

 

「この辺りだ」

男の人の声がする。あのバイクに乗っている人だろう。そしてその後ろから降りてきた人物は私が話したかった人…

 

「響!あのね、私‥」

 

 

 

 

「えっ、未来?‥!」

 

どうしてここに‥

 

「きやがったな、お前は私が‼︎」

 

ネフシュタンの鎧!あの子が攻撃を仕掛けてくる。その先には未来が

 

「未来、来ちゃダメだ!」

 

しかしその警告は遅く

 

「えっ、きやぁぁぁぁ‼︎」

 

未来に被害が及んでしまう。

 

「しまった、アイツの他にもいたのか⁉︎」

 

先の攻撃により吹き飛んだ車が未来の頭上を舞い、そのまま落ちてくる。このままじゃ‥でも…

 

いや、今はそんなこと考えている場合じゃない!未来を助けなきゃ!

 

そして私は

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

唄った。ガングニールを纏った私は車を吹き飛ばし、未来を危機から解放する。

 

「響‥」

 

バレてしまった。私の秘密‥

 

「未来‥」

 

私は何て言えばいいのかわからない。だから

 

「ごめん‥」

私はやっぱりこの言葉しかかけられない。

 

 

 

ー 二課本部

「現場はどうなっている⁉︎」

 

「響ちゃんと王我くん、共にネフシュタンの鎧と交戦中」

 

「⁉︎現場にて別のエネルギー反応!」

 

「何、ネフシュタンの鎧だけじゃないのか⁉︎」

 

 

 

 

 

私は未来から距離をとり、戦闘を始める。これだけ距離をとれば未来には被害は及ばないだろう。

 

 

「どんくせぇのが、いっちょ前に挑発のつもりかよ!」

 

「響、大丈夫か⁉︎」

 

ジオウ

 

「変身‼︎」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

俺はジオウに変身して加戦しようとしたが、何者かが俺に体当たりをする。

 

EXーAID

 

アナザーエグゼイド‥アナザーライダーを倒すには同じライダーの力が必要‥だが俺にはアイツを倒す力を今完全には所持していない。でもやるだけやってやる!

 

 

 

 

「王我さん!」

 

王我さんがアナザーライダーに攻撃を仕掛けられた。支援が断たれ、私は一人であの子と戦うことになる。

 

「どんくせぇのがやってくれる!」

 

「どんくさいなんて名前じゃない‼︎」

「私は立花 響、15歳誕生日は9月の13日で血液型はO型、身長はこの間の測定で157cm。体重は…もう少し仲良くなったら教えてあげる!」

 

「趣味は人助けで好きなものはご飯&ご飯、あと‥彼氏いない歴は年齢と同じ!」

 

 

「はぁ?何をとち狂ってるんだお前‥」

 

「私達は言葉が通じるんだから、ちゃんと話し合いたい」

 

同じ人間ならきっと・

 

「何て悠長な、この期に及んで!」

 

 

 

アタシは連続的に攻撃をするが、アイツは上手く捌きやがる。コイツ何か変わったか‥!

 

「話し合おうよ!言葉が通じるんだからきっと‥」

 

分かり合えるだと‥?

 

「うるせぇ!人間がそんな風に出来るわけがない!分かったような口聞いて‥」

 

「気にいらねぇ気にいらねぇ気にいらねぇ気にいらねぇ気にいらねぇ気にいらねぇ!」

 

「お前を引きずってこいと言われだが、そんなことはもうどうでもいい」

 

「この場でお前を叩き潰す!お前の全てを踏みにじってやる!」

 

 

「吹っ飛べ!」

 

「持ってけ、ダブルだ‼︎」

 

大量のミサイルをぶち込んでやった。これなら‥だが

 

「あの攻撃をくらって耐えただと⁉︎」

 

アイツはまだ立っている。更には拳に力を宿していやがる。

 

アイツこの短期間でアームドギアまで手にしようとしてるのか‥

 

 

 

 

くっ‥駄目だ‥エネルギーを固定することが出来ない‥ならその分のエネルギーをぶつければいい!

 

「させるか!」

 

最速で、最短で、まっすぐに!胸の響きを、この思いを、伝えるために!

 

「おりゃぁぁぁぁ‼︎」

 

私は、あの子を吹き飛ばした。その勢いは凄まじく、遠くまで飛んでいった。

 

 

 

 

「くっ、何て力してやがる‥」

無理矢理力、出しやがって‥

「うっ‥」

 

ネフシュタンの鎧がアタシの身体を蝕んでいく。早くやらねぇと‥しかしアイツは攻撃を仕掛けてこない‥

 

「お前、馬鹿にしてるのか?アタシを‥雪音クリスを‼︎」

 

 

「‥そっか、クリスちゃんって言うんだ」

 

 

「ねぇ、クリスちゃん?こんな戦いもう止めようよ?ノイズと違って私達は言葉を交わすことができる」

 

‥ふざけんな‥

 

「ちゃんと話し合えば、きっと分かり合えるはず!だって同じ人間なんだよ」

 

そんな綺麗事‥

 

「‥お前、嘘くせぇ…!青くせぇ‥!」

 

更に攻撃を仕掛けるが、鎧の浸食が酷くなってきた。これ以上は‥

 

クリスちゃんの様子がおかしい‥何か苦しんでいるようだ。

 

 

「吹っ飛べアーマーパージだ‼︎」

 

纏っていたネフシュタンの鎧が弾け、破片が私に飛んでくる。

 

「うわっ!」

 

そしてクリスちゃんは

 

『Killter Ichaival tron』

 

「その歌って‥」

 

聖唱…そしてクリスちゃんは赤いシンフォギアを纏う。

 

「見せてやる!『イチイバル』の力だ‼︎」

 

 

ー 二課本部

 

「イチイバルだと⁉︎」

 

「アウフヴァッヘン波形、検知」

 

「間違いありません!この形状はイチイバルです!」

 

「失われた第二聖遺物までもが敵の手に渡っていたというのか‥」

 

 

 

 

「本当にイチイバルなのか‥」

 

王我さんもこちらに目を奪われる。

 

「その姿‥私と同じ‥」

 

「‥唄わせたな‥アタシに歌を唄わせたな!」

 

「えっ‥」

 

「教えてやる‥アタシは歌が大嫌いだ‼︎」

 

歌が嫌いってどういう‥

 

「やめて!私は戦いたくなーくっっ⁉︎」

 

「逃がすか‼︎」

 

ダメだ、クリスちゃんに近づけない。こんな距離まで攻撃出来るなんて‥

 

 

「これで終いだ!」

 

大量のミサイルが放たれる。こんなの受けたら‥

 

「はぁ‥はぁ‥これでどうだ‥」

 

被弾したと思ったが、目の前に聳え立つものが私を守ってくれた。

 

「盾‥?」

 

いや違う。アレは‥

 

「剣だ!」

 

翼さんだ!

 

 

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「もう何もかも失うものかと決めたのだ!」
「クリアちゃん、大丈夫⁉︎」
「人‥嘘だろ‥」
「待てよ、フィーネ!」
「患者の運命も君の運命も俺が変える!」
「大変身‼︎」

EP12 ドクターゲーマーOーGA2016→2043


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EP12 ドクターゲーマーOーGA2016→2043

お久しぶりです、皆様。では‥この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。クリア出来ないゲームの噂を聞いた逢坂 王我と立花 響。そしてその事件に関わっていたのはアナザーエグゼイド。その戦いの際、立花 響の友人、小日向 未来に秘密がバレてしまう。更には敵側には失われた聖遺物『イチイバル』の存在もあった。だが二課も二つの新たな力で戦う。
一つは、帰ってきた剣。もう一つは‥ご自身の目でお確かめください。


「ふんっ、死に体でおねんねと聞いていたが、足手纏いに現れたか?」

 

「もう何もかも失うものかと決めたのだ!」

 

「翼さん‥」

 

「(まだ退院したばかりで万全じゃないのに‥)」

 

「無事か、立花?だが私も十全ではない」

 

「力を貸して欲しい」

 

翼さんが私を頼ってくれている。その言葉がとても嬉しい。

 

「はっ‥はい!」

 

 

 

 

「うっとうしいんだよ!お前ら!」

 

少女が無駄に連射をする。

 

「震える指で引き金を引こうとも、狙いを定めるには能わず」

 

ブレた銃弾を避けるなど退院明けの体でも容易い。

 

「妄りな乱射は当たらぬと言った!」

 

少女に刃が向く。

 

「これで王手だ」

 

「翼さん、その子は…」

 

「わかっている」

 

「何がわかっているだ!」

 

隙を見て逃げ出されてしまった。

 

「今度こそ外さねぇ!」

 

武器を構え、攻撃に入ろうとした瞬間だった。

 

「‥なっ‥⁉︎」

 

アナザーライダーが突然攻撃してきた。だが

 

「(アナザーライダーがイチイバルの武器を破壊しただと⁉︎)」

 

対象は私ではなくイチイバルの少女だった。

 

「クリアちゃん、危ない‼︎」

 

「えっ⁉︎」

 

ブロックがクリスちゃんに当たりそうになり私はクリスちゃんに飛び込む。

 

「クリスちゃん、大丈夫?」

 

「お前、何やってんだよ⁉︎何でアタシを庇ったりなんか‥」

 

「ごめん、クリスちゃんに当たりそうだったから、つい‥」

 

「立てるか、立花!新手が来るぞ!」

 

アナザーライダーは高くジャンプするため攻撃が中々当たらず、またブロックを生成してそれを蹴り飛ばし攻撃してくる。

 

「王我!」

 

「わかってる!アナザーエグゼイドは俺に任せろ!」

 

 

 

 

俺は一度蹴りをいれて距離を離す。

 

「まずこれだ!」

 

ドライブ

 

ドライブライドウォッチを起動させる。

 

アーマータイムドライブドライブ!』

 

『フィニッシュタイム!ドライブ!』

 

ヒッサツタイムブレーク!』

 

ドライブアーマーを纏いすぐさま必殺技を使う。アナザーエグゼイドにダメージを与えるがまだ倒れない。倒すにはまだ少し足りないようだ。

 

「じゃあ次はこれだ!」

 

 

アーマータイムベストマッチ

 

アーマーを変え、更に必殺技を披露する。

 

フィニッシュタイム!』

 

ボルテックタイムブレーク!』

 

更なるダメージを与え今度こそアナザーライダーを倒す。アナザーライダーに変身していたのは女性。薬指に指輪をつけているので母親だと思う。

 

 

「人‥嘘だろ‥」

意外な言葉を聞いた。どうやらあの子もアナザーライダーの正体は知らなかったみたいだ。

「(じゃあ一体誰がアナザーライダーを生み出しているんだ…)」

 

そして、時が止まる。

 

「命じたこともできないなんて‥」

 

しっかりとは確認出来ないがアイツ、アナザービルドの時にもいた‥

 

ソイツは女性からライドウォッチを一度取り出し、ボタンを押して再び体内に戻した。

 

EXーAID

 

アナザーエグゼイドが再び現れた。

 

「あなたはどれだけ私を失望させるのかしら」

 

「フィーネ!」

 

「こんな奴らがいなくたって、戦争の火種くらいアタシ一人で消してやる!そうすれば、あんたの言うように人は呪いから解放されて、バラバラになった世界は元に戻るんだろ⁉︎」

 

「(彼女の言葉‥もしかして彼女は悪い奴じゃない‥?)」

 

「もう、あなたに用はないわ‥アナザーライダーで充分だもの」

 

「なっ‥何だよそれ⁉︎」

 

 

ジオウの変身を解除する。

「君も、平和を思ってたんだね‥」

 

「(でも運命に呪われてこんなことに‥この子は利用されてたんだ…)」

 

「これ以上はさせない‥」

 

俺が取り出したのは

 

エグゼイド

 

エグゼイドライドウォッチだ。起動と同時に俺の服装も変化する。エグゼイドは医者のライダー。白衣を纏った俺はゲーマードライバーを腰に巻く。

 

 

 

 

マイティアクションX!』

 

マイティアクションXガシャットを起動させる。ゲームエリアが広がり、戦いの場が整う。

 

 

「患者の運命も君の運命も俺が変える‼︎」

 

「大変身‼︎」

 

ガッシャットガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプマイティキックマイティマイティアクションX!』

 

レバーを展開し、仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル2に変身する。

 

「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ!」

 

『ガシャコンブレイカー!』

 

エグゼイドの武器、ガシャコンブレイカーを持ちアナザーエグゼイドに切りかかる。【HIT!】の文字が攻撃するたびに出現する。これがドクターライダーの特徴だ。

 

 

 

 

王我が新たなライダーに変身しアナザーライダーに立ち向かう。

 

「あれがエグゼイドの力ね‥」

 

帽子と夕焼けで顔が見えないが

 

「(まさか、ネフシュタンの鎧か⁉︎それに、あの者の手に握られているものは、ソロモンの‥⁉︎)」

 

「今日のところはアナザーエグゼイド達が相手してくれるわ。またお目にかかりましょう。ガングニールの装者さん」

 

「待てよ、フィーネ!」

 

少女はあの者の後を追うように姿を消した。

 

「待って、クリスちゃん!」

 

「アイツを気にかけるのは後にしろ!王我の加戦に行くぞ!」

 

 

 

 

 

生み出されたノイズを倒しながら、アナザーエグゼイドにも攻撃する。エグゼイドの攻撃は先のライダー達よりも強力なダメージを与えていたが

 

「ここまでか‥」

 

エグゼイドの形を維持するのが困難になってきた。そしてアナザーエグゼイドは隙を見てかゲーム世界に入っていった。

 

「待てっ‥」

 

追いかけようとするがアナザーライダーの影響でエグゼイドの力が失われた。エグゼイドの力が使えない今、アイツを追うことは出来ない。

 

 

 

「王我さん!‥くっ‥」

 

「立花、無理をするな。お前は十分に頑張った」

 

「でも、クリスちゃんが‥」

 

「いいから休め。聞こえるだろう?迎えのヘリが来た。あとは司令達に任せるんだ」

 

「…わかり、ました‥」

 

立花は緊張の糸がほどけて意識を失った。

 

「(‥『フィーネ』終わりの名を持つ女。あれは一体何者だ‥?)」

 

 

 

あれから少し時間が経ち、私達は本部に戻りメディカルチェックを受けていた。

「(奏が何の為に戦ってきたのか今なら少し分かるような気がする。だけど、それを理解するのは正直怖い。人の身ならざる私に、受け入れられるだろうか?)」

 

「翼、そっちは大丈夫だった?」

 

休憩中だった王我と会う。エクスキャリオンを使っていない王我は今回チェックはなかった。

 

「あぁ、私は何ともない。まだ退院したばかりだが何とかやっていける」

 

「(あんまりガチガチだとそのうちポッキリだ‥ってまた意地悪を言われそうだ)」

 

王我が戻ってきてくれて、私も少しは人らしくなっただろうか。

 

「(だが今更戻ったところで何が出来るというのだ。王我が戻ってきても未だに何をしていいのかすら、分からないではないか)」

 

『好きなことをすればいいんじゃねーの?簡単だろ?』

 

「(今、奏の声が‥)」

 

「?、どうかしたの翼?」

 

「いや‥何でもない」

 

気のせいだろうか。近くに奏がいるような気がした。

 

 

 

 

 

 

「メディカルチェックの結果出たわよ。外傷は多かったけれど、深刻なものがなくて助かったわ」

 

 

「響、大丈夫だった?」

 

王我さんと翼さんが指令室に入室する。

 

「はい‥、王我さんも大丈夫ですか?」

 

「うん、僕は何ともないよ、ただエグゼイドになって戦えるかは少し心配だな」

 

「僕‥?」

王我さんの一人称は【俺】のはずだ。ライドウォッチの性格変化ってここまで変わるものなんだ。

 

 

「響ちゃんは常軌を逸したエネルギー消費よる、いわゆる過労ね。少し休めば、またいつも通りに回復するわよ」

 

了子さんから私の現状の説明が入る。

 

「(駄目だな‥私‥最近やっといい感じになってきたのに変な力の使い方するし、未来とはギクシャクするし‥)」

 

「はぁ…私呪われてるかも」

 

「‥小日向さんのことが気になるのか?」

 

「心配ないわよ。緒川くんたちから事情の説明を受けているはずだから、機密保護の説明を受けたら、すぐに解放されるわよ♪」

 

「はい‥わかりました‥」

 

未来の安否もそうだけど、それよりも‥

 

「アナザーライダーとなった女性の調査が完了した。イチイバルの件も引き続き対処していく」

 

指令室に入ってきた師匠。情報の伝達に来たようだ。

 

「そしてアナザーライダーになっていた彼女についてだが‥」

 

「彼女の名は、飯田…」 

 

「飯田‥⁉︎」

 

王我さんが師匠の言葉を遮る。

 

「どうかしたのか?」

 

 

 

 

 

「おじさん、その女性の親族の情報ってあります‥?」

 

「あぁ、無くはないが‥」

 

「(以前の戦いで少し疑問に思っていた。もしかしたら‥)」

 

「嫌な予感が当たった‥」

 

僕の考えは見事に的中していた。

 

「この人の父親は僕が昔戦ったアナザーエグゼイドの変身者だ」

 

実はアナザービルドを倒した後、変身者の女の子の情報を調べた時に以前のアナザービルドの変身者と同じ姓だった。更に調べると二人は親子だった。偶然と思ってたが今回で確信した。この時代にアナザーライダーを生み出したフィーネは、前変身者と何ら関わりのある人間をアナザーライダーにしている。

 

「一先ず、アナザーエグゼイドを探さないと。アイツはゲーム世界を行き来するから、予めこっちで出現場所を予測しなきゃ」

 

「私も‥行きます‥」

 

「立花は休め。私が同伴する」

 

まだ本調子でない響を翼が止める。そして僕と翼は飯田さんの捜索に向かう。

 

ー数十分後

 

俺は王我達が出ていった後ある人物達を指令室に

 

「逢坂総司令長官、夜忍博士。お久しぶりです」

 

逢坂御夫妻が入って来た。

 

「あぁ、久々だな弦十郎。王我はどこだ?」

 

「少し前に出ていかれました」

 

「そうか‥しかしここも人が少ないもんだなぁ〜」

 

「あくまで秘密組織ですから、ですが今度優秀な助っ人がこちらに来るみたいです」

 

 

「そうなのか。まぁそれより今日の本題に入ろうとするか」

 

 

「ではこちらの映像を‥」

 

そこで俺が見せたのは

 

「これは‥⁉︎」

 

これまでの仮面ライダーの戦いの映像だ。二人は二課に大きく貢献してくれた方なので事情を詳しく知ってもらいたい。それが今回呼んだ理由だ。

 

「“仮面ライダー”と呼ばれています。そしてこのライダーはジオウ。仮面ライダージオウです」

 

普段余り驚かない逢坂総司令長官がここまで驚くのも不思議ではない。俺も初めて見た時は驚きを隠せなかったからな。

 

「コイツの正体は‥」

 

「息子さんの王我です」

 

「‥そうか‥」

 

「‥私達は仕事に戻る。後のことは頼んだぞ」

 

少し考え事をしていたようだ。仕事の時は一人称が【私】になるのが逢坂司令長官。でも、今は普段より真剣な表情をしている。

 

「分かりました」

 

そう言い、指令室を後にする逢坂夫妻を俺は見送った。何か引っかかるところがあったのかはわからないが余り深入りをしない方がいいと思った。

 

 

 

 

 

「アイツがな‥」

 

指令室を出た俺は先に見た映像のことで頭がいっぱいだった。あんな運命になるとは‥王様になるって言っていたあの王我がな‥

 

「やっぱり親子って似るのかもね。貴方とお義父様と同じように」

 

夜忍もそこまで顔には出ていないがやっぱり驚いていた。でもそれより、運命的なモノを感じとったみたいだ。そんなこと信じなさそうなほど研究に打ち込んでるのにな‥

 

「‥どうだろうな‥結局、逢坂家は人類を背負う運命なのか‥」

 

 

 

 

 

 

 

僕と翼は街に出た。病院で患者から情報を聞き、居場所を特定した。そして見つけたアナザーエグゼイドを追い、僕らは街の少し外れにある丘にいる。

 

「いたっ‥!」

 

変身を解いた飯田さんが灯りの灯る夜景を見ていた。

 

「飯田さん!もう止めてください!

 

「貴方誰なの?‥その格好‥貴方、医者?」

 

「まぁ、間違ってはいないですね」

 

余り時間をかけずに力を取り抜くことは出来ないだろうか‥僕はその考えで今は頭がいっぱいだ。

 

「この際医者なら誰でもいいわ。お願い、私の娘を助けて!」

 

「飯田さん、アナザーライダーの力を捨ててください」

 

「‥いやよ‥。この力があればあの子を助けられるの‥」

 

「ですがそんな力を使っても娘さんは喜びません!」

 

「ふざけないで‼︎医者は何もしてくれない!どうにかする手もない!だったら、私が娘の命を救うの‼︎」

 

今感情が荒ぶった彼女にはどんな言葉も聞く耳を持たなかった。

 

「だからって、他人の命を犠牲にするなんて間違っています!」

 

「若いあなたには分からないでしょ⁉︎我が子が死にそうなのに黙って見てる親なんていないの‼︎」

 

「私は娘を助けるわ。たとえ他人を犠牲にしてもね。だから邪魔しないでちょうだい‥」

 

EXーAID

 

「待ってくださ‥」

 

飯田さんはアナザーエグゼイドとなり再びゲーム世界に戻ってしまった。

 

それと同時にエグゼイドの力もなくなってしまい服装が元に戻る。

 

「大丈夫か、王我⁉︎」

 

「あぁ‥なんとか」

 

「エグゼイドの力も切れてしまったし追うことが出来ないか‥」

 

「いや、そんなことはないさ」

 

「本当か⁉︎でもどうやって‥」

 

そう言い取り出したのは携帯。

 

「もしもし、小和田?」

 

今の時間帯は夜なので電話に出てくれるか心配だったが杞憂だった。

 

『よう、王我か。どうした?用件なら早くしてくれよ、今忙しいから」

 

小和田は俺の高校時代の同級生。凄くゲーマーでその知り合いにもゲーマーが多い。その中にもしかしたらプレイした人がいるかもしれない。

 

「お前の知り合いの中にあのクリア出来ないゲームをプレイした人っているか?」

 

「あぁ、それ俺が今現在進行形でプレイしてる。最近忙しくてやっと手が出せたからな」

 

「嘘だろ⁉︎おい、ちょっと待ってろ!」

 

予想外の返答を聞いて俺は強引に電話を切り

 

『タイムマジーン』

 

「翼、一緒に来てくれ!」

 

タイムマジーンに乗り現地に向かう。

 

 

 

 

 

私は今タイムマジーンに乗せてもらっている。

 

「今から向かうのは小和田、俺の友達の家だ。多分アナザーエグゼイドはそこに来る」

 

そして私はふと思ったことを王我に聞く。

 

「でも、どうして王我の友達があなたが生きてることを知ってるの?」

 

王我は死亡したことになっている筈、また行方不明の件を取り消すにしても時間が足りなさ過ぎる。

 

「ちょっとズルいんだけどね‥」

 

王我の話によるとタイムマジーンを使い過去に行き、自分が失踪しなかったことにしたとか。ここでの活動を円滑にするため、これからの生活のためにもウォズと呼ばれる人に自分が行方不明になっていた事実を隠蔽するように仕向けられたらしい。

 

「(歴史改変‥。もしかしたら奏も‥)」

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁ⁉︎何だコイツ⁉︎」

 

小和田がアナザーエグゼイドに襲われている。いや、正確には襲われた直後だ。アナザーエグゼイドが立ち去ろうとしている。

 

 

「おい!大丈夫か⁉︎」

 

小和田に声を掛けるが返事がない。

 

「王我、面倒は私が見る。だから行け!」

 

「でも‥」

 

 

「アナザーエグゼイドはお前にしか倒せない。だから私は私の出来ることをする。信じてるから、あなたがやり遂げることを」

 

「(『信じてるから‥』っか‥。そう言われたら‥)」

 

「‥分かった。頼んだよ、翼!」

 

やるっきゃない‼︎

 

『タイムマジーン』

 

タイムマジーンを呼び出し、一気に目的地まで行き先周りしようとした。

 

何かに体当たりされ、進化を止められる。

 

「あれは!」

 

俺に突撃したのは仮面ライダーゴーストの時使用しているキャプテンゴーストに似た形のタイムマジーン。

 

「(あれはタイムジャッカーが使っていた奴だ。もしかして、この時代にも‥)」

 

もしかしたらこの事件は思っているより複雑かもしれない。

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「運命はいつも悪い方向に向いていない」
「ゲームみたいにやり直せないけど‥」
「私は王我を信じてるから‥」
「俺は仲間を信じてる」
「未来‥」
「だからこそ俺は戦う!」

EP13 ノーコンテニューフェイト2016→2043


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EP13 ノーコンテニューフェイト2016→2043

皆さま大変お久しぶりでございます。では‥。
この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。謎の女 フィーネに遭遇する。そして失われたイチイバルを所持する雪音 クリスは逃亡。アナザーエグゼイドに対抗すべく逢坂 王我は仮面ライダーエグゼイドに変身するも、その力は失われてしまう。逃走したアナザーエグゼイドを追う王我だが、謎のタイムマジーンに阻まれてしまうのだった。


「お前、タイムジャッカーなのか⁉︎」

 

そう相手に尋ねるがもちろん返事はなかった。相手のタイムマジーンは人型に変形してこちらに攻撃を仕掛ける。

 

「話し合う気はないんだな‥」

 

俺もタイムマジーンを【ビークルモード】から【ロボモード】に切り替え迎え撃つ。

 

「(まだ警報が出されて間もないのでこの大きさで余り暴れたくはないのだが‥)」

 

派手な攻撃をすることができないので防戦一方になってしまう。幾ら街の外れとはいえ、この大きさで暴れたら大事になってしまう。

 

俺はとうとう、地面に倒され身動きが取れない状態になってしまった。その時

 

「王我君、現場付近の避難が完了した。もう大丈夫だ!」

 

本部の藤堯さんから通信が入った。

 

「藤尭さん、ありがとうございます!」

 

俺は本格的に反撃する。殴り蹴りを繰り返し、上に乗っていた相手のタイムマジーンを剥がす。態勢を崩したところを右ストレートで更に追撃する。相手は大きく吹っ飛び、電流が走った。

 

「敵を撃破しました。調査の方お願いします」

 

相手が動かないことを確認して俺は先を急ぐ。本当は自分で正体を調べたいトコだが俺の今すべきことはそれじゃない。アナザーエグゼイド、飯田さんを止めることだ。

 

 

 ー二課本部ー

 

まだ出撃出来ない私の代わりに王我さんと翼さんがアナザーライダーと戦っている。翼さんはまだ病み上がりなのに‥

確か以前も似た様な状況になったっけ。いや、その時以上に今の私は足手まといなのだろう。あの時は私の力の使い方で悩んでいたが今の私はそれに加えて未来の事で頭がいっぱいだ。

「未来‥」

 

私と未来の友情はどうなってしまうのだろう‥

 

 

 

 

 

タイムマジーンを撃破した後、逃走したアナザーエグゼイドを追っていた。中々俊敏なので追いつた時にはかなり街から遠のいてしまった。俺は相手との位置と距離を微調整してタイムマジーンから飛び降りた。そして

 

「武装、起動!」

 

エクスキャリオンを展開する。

 

重い剣がアナザーエグゼイドに直撃する。一瞬怯んだように見えたがすぐさまノイズを生産する。

 

「やっぱりこの時代のアナザーライダーはノイズを生み出せるのか‥」

 

エクスキャリオンでアナザーライダーに致命的なダメージを与えられるとは思えない。先にノイズを処理する

 

投影【プロジェクション】!

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

身に纏ったのはガングニール。だが奏のではない。

 

 

「はあぁぁ‼︎」

 

ノイズに重い拳が入る。武器は槍ではなく、拳。そう、これは響のガングニールなのだ。

 

今までのガングニールとは違い超近接戦闘を主体としている。アナザーエグゼイドにも微小ながらダメージが入る。相手は素早い動きを得意とするため、乱撃で対応するがどこかで重い一撃を放ちたい。アナザーライダーの周りにいるノイズを連打で倒していく。そして一瞬、目標との間に障害物がゼロになった。

 

「ここだ‼︎」

 

力いっぱい握り締めた拳をぶつける。アナザーエグゼイドが吹っ飛んだ風圧で周りのノイズも消滅する。

 

「(響のガングニール‥これならイケるかもしれない‥けど‥)」

 

少し勝機が見えたかと思ったが

 

「(この数は‥かなりしんどいな‥)」

 

時間ギリギリまでノイズを潰す。そんな立ち回りの中、こちらのシンフォギアが限界を迎えてしまう。ふらついた瞬間ノイズ達が一斉にこちらに攻撃を仕掛けてきた。

 

目の前のノイズ達が一掃される。

 

「遅れてすまない!」

 

「翼!」

 

翼が加戦する。一度翼と合流しようとしたがアナザーエグゼイドがバグスターウイルスを呼び出し、場の状況は悪化する。

 

「何だこいつらは⁉︎」

 

「バグスターウイルス…!」

 

厄介な敵が出てきた。バグスターウイルスはドクターライダーでないと倒すのは困難。しかし、今エグゼイドになってもアナザーエグゼイドと同時に倒すのはかなり厳しい。両方倒す前にまた力を失う可能性が高い。

 

「翼!ソイツらは足止め程度で良い。それよりノイズを‥」

 

翼に指示を出している最中に

 

「ぐっ‥!」

 

 

ガングニールの形が留まらなくなってきた。

 

「(もう、時間か‥一番キツイ時に‥!)」

 

その時、俺の方ヘノイズが一気に押し寄せてきた。まるで弱っている俺に狙いを定めているかのように。

 

「王我!」

 

翼の声が聞こえる。でも俺もヤワじゃない。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

エクスキャリオンの解除の瞬間にジオウに変身する。『ライダー』の文字が周辺のノイズを消し、ジオウの顔に。ノイズの消滅したときに現れた灰の中からアナザーエグゼイドが飛び蹴りをかましてくる。それを俺はジカンギレードで攻撃を受け止める。

 

「飯田さん、確かにあなたはそれで本当に娘さんが喜ぶと思ってるんですか⁉︎」

 

相手の動きが止まる。俺の言葉を聞き俯く。

 

「人生はゲームみたいにやり直せないけど‥」

 

「運命はいつも悪い方向に向いていない‥でもきっと覆せる時が必ず来る」

 

「だから、娘さんを信じてください!」

 

アナザーエグゼイドは一度距離を置くが再び俺に攻撃を仕掛ける。

 

「信じればきっと良い未来が待っている」

 

「俺は仲間を信じてる」

 

「だからこそ俺は戦う!」

 

その瞬間

 

エグゼイド

 

エグゼイドライドウォッチが光を放つ。これでエグゼイドの力が完成復活した。

 

エグゼイド

 

エグゼイドライドウォッチをジクウドライバーに装填し再びベルトを回す。

 

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

アーマータイム!レベルアップ!エグゼイド!』

 

エグゼイドの形をしたアーマーが弾け、ジオウの身に纏われる。仮面ライダージオウ エグゼイドアーマー。

 

「ノーコンテニューで何かクリア出来る気がする!」

 

両腕に付いているガシャコンブレイカーに似た武器【ガシャコンブレイカーブレイカー】。相手に攻撃を当てる度に【ヒット】の文字が現れる。エグゼイドに変身した時と同様のダメージを与え且つ力は安定している。

 

フィニッシュタイムエグゼイド!』

 

ジオウとエグゼイドのライドウォッチのボタンをそれぞれ押し、ベルトを回転。

 

クリティカルタイムブレーク!』

 

必殺技のエフェクトが出てきて、それを空中に打ち上げた。その中で緑色の枠線を相手に叩きつけ、残った文字と共に両腕で連続攻撃を繰り出した。

 

爆発と共に飯田さんの体内にあったアナザーウォッチが排出され砕け散る。

 

 

「‥結構乱暴な技なのだな‥」

 

技の具合はともかく、無事アナザーエグゼイドを倒すことが出来た。

 

 

「貴方はあの時の‥」

 

「大丈夫ですか?」

 

「すみません私、娘の事しか頭に無くて‥」

 

「あなたの娘さんは助かります」

 

「でも‥娘はどうすれば‥」

 

「少し、待ってください」

 

俺は携帯を取り出し

 

「もしもし、すみませんお願いしたいことがありまして‥」

 

 

 

—————————-

 

 

『そういうことなら任せろ』

 

「すみません、お願いします」

 

『任せろ、俺に切れないものはない』

 

「ありがとうございます、飛彩さん」

 

俺の頼みを聴いてくれた、信頼における外科医に感謝を伝え電話を切る。

 

「優秀な医者に頼みました。これで娘さんは大丈夫ですよ」

 

「…⁉︎本当ですか⁉︎…ありがとうございます…」

 

「ですが、貴方はアナザーライダーになった人間として一度事情聴取を行いますが‥」

 

「それでしたらいくらでも、娘を救って下さったのですから」

 

「一体誰に連絡したの?」

 

「知り合いの外科医だよ。大丈夫、あの人なら絶対に」

 

「‥何とか終わらせることが出来たのね」

 

「うん、病院に搬送された人もすぐに良くなるはずだしね。そういえば翼、お前おじさんに独断で出たこと怒られるんじゃないか?」

 

「まぁあなたには言われたくないけど、そうね。しっかり謝罪しないと」

 

 

 

俺達は一度病院の方ヘ顔を出した。本当は飯田さんはすぐに事情聴取を行なわれる筈だったのだが、治療前の娘さんの顔を見たいとのことで俺達が軽い見張りみたいになっている。

 

「じゃあ飛彩さん、後の事は頼みます」

 

「あぁ、任せておけ。そういえば俺の手元にこんなものがあったのだが‥」

 

「ライドウォッチ⁉︎どうして⁉︎」

 

飛彩さんの手に握られていたのは何の能力もないライドウォッチ、ブランクウォッチだった。

 

「お前はコイツがなんなのか知っているのか。ならお前が持っていてくれ」

 

多少無理矢理だったが俺にウォッチが渡される。

 

「では俺は仕事に戻る。じゃあな」

 

飛彩さんは他の医者を連れて仕事に向かった。

 

「どうしてあの人がライドウォッチを‥?」

 

ウォッチの件について考えようとしたところに

 

「ん?おう、王我じゃねぇか」

 

「龍我⁉︎どうしてここに?」

 

俺の知り合いである万丈 龍我。一応飛彩さんと同じく俺より年上なのだが何か呼び捨てで話している。まぁ本人は気にしていないので敬語はこれからも使わないだろう。

 

「何ってちょっと怪我しちまったからよ‥って何だ?その手に握ってるの?」

 

先ほど渡されたライドウォッチを指摘される。

 

「えっと‥これは‥」

 

ライダーについては余り公にしたくないのでどう誤魔化すか考えようとした時

 

「‥ってそれ俺の持ってるヤツとそっくりじゃねぇか⁉︎」

 

龍我が口にした言葉に俺は驚く。龍我がポケットからブランクウォッチを少し強引に取り出した。

 

「お前も⁉︎どうして‥」

 

「何か知らない間に俺の家に置いてあったんだ。お前んトコのおふくろさんこういうの得意だろ?俺が持ってても使い方分かんねぇし貰ってくれよ」

 

龍我も俺にウォッチを渡してくる。そしてくるりと体の向きを変え病院を出ようとしていた。

 

「ありがとう、龍我!あとズボンのチャック空いてるよ!」

 

「うおっ⁉︎お前、早くいえよ‼︎」

 

龍我はチャックを閉めながら、その場をあとにした。

 

「(やっぱりチャックの件はどうにもならないんだなぁ‥)」

 

 

アナザーライダーのことはひと段落ついたがまだイチイバルの少女、更にはフィーネについてもまだ色々と謎は残るが、まずは飯田さんから有益な情報を貰うのが先決だ。

 

 

 

 

私と王我が本部ヘ帰還して少し経ったあと、情報が届いた。事情聴取して入手した情報はアナザーウォッチを渡した人間はあの『フィーネ』に酷似していることだ。この件はほぼ間違いないだろう。更には王我が戦ったあのマシーンの中は無人だったそうだ。こちらも調査したいが今は前のことの方が重要視されているのでこの件は一時捜査中止になるだろう。

 

「あのフィーネってヤツ只者じゃない気がする‥」

 

私と王我は情報を受け取った後、久しぶりの休息を取っていた。

 

「そうね。王我の勘は当たりやすいから‥」

 

「ねぇ、王我…」

 

私はあの時思ったことを王我に尋ねてみた。

 

「…ごめん。それは無理だ」

 

意外な返事だった。王我なら絶対に二つ返事で返すと思ったのだが

 

「‥!どうして!王我も奏を助けたいでしょ⁉︎」

 

「俺だって試したさ。でも、どうやってもあの事件だけには干渉出来ないんだ。まるで不思議な力が働いてるみたいに‥」

 

「すまない‥。王我は何も悪くないのに‥」

 

「いや、いいんだ。翼の気持ちは凄く分かる」

 

 

いや俺は翼の気持ちを完全に理解出来ていないだろう。奏が居なくなったのと俺が居なくなったことの不安、悲しみ。それを理解するのはこの先も無理かもしれない。

 

 

 

 

こうして我が魔王は3つ目のライダーの力を取り戻した。着々と力を取り戻すが、これはまだ序章に過ぎない。我が魔王と装者の運命の針は動き始めたばかりなのです。

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「守れなかったってどういうことだ⁉︎」
「奏のファンの方みたいね」
「俺が守れなかったのは本当のことだから‥」
「今ある命を守るために俺は‥」
「奏の行動は無駄なんかじゃない‼︎」
「命!燃やすぜ‼︎」

EP14 グレイトフルヒーロー2015→2043


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EP14 グレイトフルヒーロー2015→2043

祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ エグゼイドアーマー。また一つ、ライダーの力を取り戻した瞬間である。‥ふぅ。この瞬間こそ実に至福である。では気を改めて‥
この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
アナザーエグゼイドを無事倒すことができた逢坂 王我。だがそれと変わり新たなる謎が彼らの前に。少しずつ見えてくるフィーネの野望とは一体‥おや?我が魔王。今回はその力をお使いに‥


クリア出来ないゲーム事件が幕を閉じた翌日。二課ではまだ捜査し切れていない情報の解決に勤しんでいる。その中で

 

「ビンゴです!雪音クリス、現在16歳」

 

藤尭さんが過去の経歴から彼女を発見した。

 

「‥あの少女だったのか」

 

「過去に選抜されたギア装者候補生の一人ですが、2年前テロに巻き込まれて以来行方知らずとなっていました」

 

「‥それがまさか、イチイバルと共に敵の手に渡っていたとは‥」

 

「聖遺物を力に変えて戦う技術において、我々の優位性は完全に失われてしまいましたね」

 

友里さんの言う通り、あっちにはイチイバルとネフシュタンの鎧がある。数はこちらが多いが互角に戦えるかは分からない。

 

「敵の正体、フィーネの目的は‥」

 

「深刻になるのは分かるけど、うちの装者は皆健在。頭を抱えるのは早いと思うわよ」

 

了子さんは少し暗くなった雰囲気を和ますかのように言った。

 

「失礼します」

 

そんなタイミングで翼さんが指令室に入ってきた。

 

「翼!全く無茶しやがって」

 

「独断については謝ります。ですが仲間の危機に伏せっているなど出来ませんでした」

 

「立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、戦士に相違ないと確信しています」

 

「翼さん‥」

 

「完璧には遠いが、二人の援護くらいなら戦場に立てるかもな」

 

「私、頑張ります!」

 

前以上に翼さんからの評価が上がった気がする。翼さんとの関係性は嫌悪感を出されてた最初の頃から大きく進展している。

 

 

 

 

「ん〜そうね〜」

 

櫻井女史が立花の胸元を指でつつく。

 

「にょわわわ⁉︎なななな、なんてことを⁉︎」

 

「響ちゃんの心臓にあるガングニールの破片が、前より体組織と融合してるみたいなの」

 

女史の指の先には2年前についた傷跡があった。

 

「驚異的なエネルギーと回復力はそれのせいかもね」

 

「融合‥ですか‥」

 

「(聖遺物と人の融合‥立花の体は大丈夫なのだろうか‥いや問題を孕んでいるならば、櫻井女史が軽々しく話題にすることはないだろう‥)」

 

「ふむ‥ならば響くんの体に問題はないのだな?」

 

おじさまが立花の体の安全を確認する。

 

「多分大丈夫だろうけど念のため再チェックを行うわ。響ちゃん、悪いけどもう少しだけ待ってくれる?」

 

「はい、わかりました」

 

女史の話を聞いた立花はそのまま指令室を出て行った。

 

「司令、トレーニングルームの準備が完了しました」

 

「そうか、すまない翼、王我を呼んできて貰えるか?」

 

「わかりました」

 

そういう私も来たばかりだが指令室を出ることになった。

 

 

「どうして、あの2人がウォッチを‥?」

 

俺は飛彩さんと龍我から貰ったウォッチを手に考察を繰り返していた。

 

「王我、まだ考えてたの?」

 

「うん、不思議なんだ。どうしてこの時代に無いはずのウォッチがあるのか‥」

 

「ごめんなさい、私では分かりそうにないわ。でも能力のないウォッチも存在するのね」

 

「うん、実は俺もいくつか持っているんだ」

 

そのブランクウォッチは現代に帰ってくる時、ウォズに渡されたモノが複数。そして別にオーマジオウと戦った時に入手したウォッチが一つ。これらにどんな力があるのかは分からない。

 

それにしても今回貰った2つのウォッチについては本当に謎だ。もしウォズが渡したとしてもきっと俺のところに顔を出すだろう。

 

「ところで司令が呼んでいるわ。トレーニングルームの準備が出来たって」

 

「そう‥まぁ考えて過ぎてもダメか。こういう時は身体を動かすのがいいや」

 

俺はウォッチをしまい、翼と共にトレーニングルームに向かった。

 

 

 

 

 

 

今日は休日の為学校は休み。

 

私は体の再チェックのため本部にて待機を命じられた。二課から出られないので謝罪の電話を未来にするのだが全く出てくれる気配がない。

 

「あっ王我さん、翼さんは先ほどぶりですね」

 

「立花、再チェックまで時間はあるのだろう?なら王我の模擬戦でも見ていかないか?」

 

「はい、そうさせていたたぎます」

 

「本当に大丈夫?なんなら俺がおじさんに言おうか?」

 

「大丈夫です。今日の夜には戻れるので‥」

 

私は王我さんの心配に自信なさそうに答えた。

 

「(電話に出てくれないってことは話したくないのかな‥いや私が逃げてるだけかも‥)」

 

 

 

「申し訳ないな、前回の戦闘でまだ疲れが残っているはずなのに」

 

トレーニングルーム前にて師匠が王我と会話を始める。

 

「いえ、ライダーの能力をそちらでも把握してもらえると俺も助かるので・じゃあ今回はこれで‥」

 

「それは‥?」

 

「ゴーストウォッチ。仮面ライダーゴーストの力です」

 

『(ゴースト‥ということはオバケ!そんなライダーもいるんだ‥)」

 

「では、仮面ライダーゴーストの力、見せてもらうぞ」

 

師匠に言われ、王我さんはトレーニングルームに入った。ここではノイズをデータで具現化し、模擬戦を行うことが出来る。

 

「よしっ‥なんかいける気がする!」

 

気合いを入れた王我さんは

 

ゴースト

 

ゴーストライドウォッチを起動させた。格好が着物に変わっている。今までとは違った変化だ。

 

『ゴーストドライバー!』

 

瞬間、ベルトが王我さんの腰に現れる。ゴーストと言うだけあって、ベルトも少しオバケチックだった。

 

眼球のようなものをベルトに挿入する。

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

ベルトからパーカーが出てきた。‥もう何見ても驚かない気がしてきた。

「変身‼︎」

 

トリガーを押し

 

カイガンオレ!レッツゴー!覚悟!・ゴ・ゴースト!ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!』

 

フードを取り、その顔を表す。

 

「命!燃やすぜ‼︎」

 

「(仮面ライダーゴースト‥一体どんな力が‥)」

 

テストがスタートした、ノイズの集団がゴーストに襲いかかる。

 

「はっ!」

 

王我さんは軽く地面を蹴ると、体がフワフワと浮く。まるで幽霊のように。そんな飛んでいる王我さんにノイズ達は果敢に攻める。しかし、ゴーストは綺麗にその攻撃を避ける。

 

「あの攻撃を避け切るとは‥なかなかやるな‥」

 

王我さんの動きを師匠も絶賛していた。

 

 

 

 

 

俺は攻撃を避けながら戦況を把握していた。何体かはこちらに突っかかってくるがそれほど数は多くない。俺はゴーストの武器、ガンガンセイバーをベルトから出す。そして俺は戦況を見てアイコンを変える

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

カイガンロビン・フット!ハロー!アロー!森で会おう!』

 

ロビン・フット魂。偉人ロビン・フットの力を宿したゴースト。特技はもちろん弓。俺はゴーストガジェットであるコンドルデンワーをガンガンセイバーと合体させアローモードにする。百発百中のその技でこちらに飛んできたノイズを殲滅する。

 

空中にきたノイズは片付いたので次は地上、俺は浮遊をやめ地に足をつける。

 

「(テスト戦といっても数が多い‥流石おじさん、容赦ないや)」

 

空中に来る数は多くなかったが地上はかなりの数がいた。そこで俺は新しいアイコンを取り出す。

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

再びトリガーを押し込み

 

カイガンムサシ!決闘!ズバッと、超剣豪!』

 

剣豪宮本武蔵の魂が宿ったムサシ魂にチェンジする。そしてガンガンセイバーを分割し、二刀流モードにする。

 

ノイズの群れをひたすら切って進む。そして群れの中央に立ちガンガンセイバーをドライバーにかざす。

 

 

ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!』

 

ブレード部に赤い光が集まる。

 

『オメガスラッシュ!』

 

光刃がノイズを巻き込み、俺の目の前にノイズが一体もいなくなる。

 

「よし、終了!よく頑張った!」

 

『オヤスミー』

 

変身を解除する。

 

「ふぅ‥。お疲れ様でした。じゃあ俺は少し本屋に行きますね」

 

「あぁ、そういえば参考書を買いに行くとか言っていたな。こちらからは特に用事もないからな、行ってこい」

 

王様になるために俺は来年大学受験をすることにした。そのため、日々の勉強は欠かせない。ただでさえニ課での仕事で忙しいので隙間時間に勉強しなければならない。

 

「出来るだけ早く戻ってきます」

 

 

 

 

 

「ふぅ‥こんなもんかな‥」

 

一通り参考書を購入したので一度本部に戻るところだ。早く帰るため裏路地を通ることにした。参考書をリュックに入れ路地へ入る。誰も通らないと思っていたが一人男の人が前方から歩いてきた。特に気にも留めずそのまま通り過ぎようとした時

 

「おい」

 

その男に声を掛けられた。知人は多い方だがこの人は全く知らない。

 

「お前、2年前のツヴァイウィングのライブにいたよな?」

 

「えっ‥はい‥」

 

俺は簡単な返事だけする。

 

「確か警備員の腕章、付けてたよな‥」

 

「はい、そうですが‥」

 

そんな感じで返事をすると急に胸ぐらを掴まれ

 

「何で奏ちゃんを守らなかった⁉︎警備がちゃんとしていなかったから奏ちゃんが死んだんだろ‼︎奏ちゃんだけじゃない、他のファンだってアンタ達運営のせいで‥‼︎」

 

唐突にそんなことを言われたので混乱したが俺は男のカバンにあるキーホルダーに目が行った。ツヴァイウィングのfirst liveのグッズ、ローマ字で奏の名前が書かれたオレンジ色のキーホルダーだった。これを持っているということは‥

 

「あなたは昔からの奏のファンだったんですね‥」

 

「あぁ、今もだ。アンタら運営の警備が甘かったからあんな被害が出たんだ‼︎」

 

いくら人目が少ない場所とはいえ、そんな怒号を飛ばしたのなら人の注目を浴びないわけがない。少し通行人が気になり出して路地をちら見する。

 

「間接的にとはいえ奏ちゃんを殺したアンタ達を許さないからな‥!」

 

男はそんな捨て台詞を言いどこか立ち去ってしまった。

 

 

本部に戻り翼と響に先の出来事を話した。

 

「その話から察するに、その人はツヴァイウィング、特に奏のファンの方みたいね」

 

「でも‥酷いですよ。王我さん達は必死に戦ったのに‥」

 

「いや、そんなこと言われても仕方ないさ。俺が守れなかったのは本当のことだから‥」

 

2年前も今もの世間にはシンフォギアの事は広まっていない。なので奏が戦死したという事実はごく僅かしか知らない。誰もツヴァイウィングがノイズと戦っていたとは思わないだろう。だからこそ警備担当であった俺を責めたのだろう。

 

 

 

 

それから響達と離れて4時間ほど経過した。

 

「(5割か‥これじゃ厳しいなぁ‥)」

 

俺は買ってきた参考書を解いていたのだが先の事が頭の中から離れず勉強に集中できない。相手が事実を知らないから、警備であった俺が責められるのは仕方がない。だが『誰も守れなかった』。その言葉が引っかかってしまう。

 

「(今は勉強も人助けも中途半端‥)」

 

「(こんなんじゃ‥奏に顔向け出来ないな‥)」

 

そんなことを考えて机に伏せた。

 

 

 

 

—————————-

 

 

「(ここは一体‥?)」

 

気がつくと俺は知らない場所にいた。何か体が自分のものじゃないみたいな感覚‥

しかしそんな考えは目の前にいる人物によって消された。

 

「奏!」

 

「奏‥お前を救えなくてごめん‥」

 

『別にお前は悪いことしてないだろ』

 

「でも‥」

 

『お前は必死に皆を守ろうとした。今だってそういう状況だろ』

 

『自分の思ったことを思いっ切りやりな』

 

俺は自分の未来の姿に不安を持っている。オーマジオウ‥。自分があんなになるとは思えないが少し怖い。

 

『もし危ないときはアタシが止めてやるよ。だからお前は自分のやるべき事をやりな』

 

「でもお前は‥」

 

『大丈夫だ、未来のために頑張れよ』

 

そんな奏でに手を伸ばそうとしてが奏の後ろから眩い光が放たれ俺の視界を奪う。そして‥

 

 

「‥夢‥なのか‥」

 

いつの間にか眠ってしまったらしい。意識があった時から1時間ほど経過していた。起きたばかりで寝ぼけ気味だったが

 

「王我!聞こえるか!ノイズが発生した、すぐ指令室まで来てくれ!」

 

 

 

ノイズの発生地は隣町。しかも厄介なことに発生地が2つに分かれている。響はまだ検査があるため待機、翼は俺と別の発生地に向かっている。

 

 

被害はひどくないとはいえ、まだ住人がちらほらいる。その中に1人地面の割れ目に躓き転ぶものがいた。あの男だった。

 

その男と目が会い一瞬動きが止まってしまうが、その男にノイズが襲いかかった。俺は頭で考えるより早く行動していた。近くにあった大きめの看板で男の身を守る。

 

「お前、何で⁉︎俺はお前を責めた人間だぞ⁉︎腹いせに見殺しにすればいいじゃないか⁉︎」

 

男はなんだかんだ先の発言を気にしていたのだろうか。しかし‥

 

「責めたとかそんなこと関係ない!」

 

そう今の俺にそんなことはどうでも良い。

 

「あなたの言う通り、俺はあの時奏を助けられなかった。沢山の観客を助けられなかった。その事実は変わらない」

 

あの失敗は絶対に忘れられないだろう。例えタイムマジーンで過去に戻ってやり直せても、俺の中にその出来事はずっと残る。

 

「でも、今は未来を信じて‥」

 

「今ある命を守るために俺は‥」

 

「俺は命をかけて守る!」

 

男はそんな俺をジッと見ていた。

 

「さあ、逃げて‼︎」

 

ハッとした男がその場から去り、俺は目の前のノイズに体を向ける。

 

「ちょっと数が多い‥なら‥!」

 

『グレイトフル!』

 

前回のゴーストドライバーとは形状が異なるベルトを持ち腰に巻く。大きさ目の形をしたベルトだ。

 

『ガッチリミーナ!コッチニキナー!』

 

「変身!」

 

ゼンカイガン!ケンゴウハッケンキョショウオウサマサムライボウズスナイパー〜‼︎』

 

仮面ライダーゴースト グレイトフル魂。15人の偉人の力を秘めたゴーストの姿。その力は先に変身したフォームより高い能力を持つ

一度のパンチでも先より多くの敵を倒すことが出来る。

 

エジソンラッシャイ』

 

レバーを二回倒し、偉人エジソンを召喚する。普段のただのパーカー姿ではなくちゃんとした人型でノイズに立ち向かってくれる。戦況は優勢。しかし

 

「‥!」

 

ゴーストから光の粒子が出始める。そろそろウォッチの効果がなくなる。早く勝負を決めなければ‥

 

「まだだ!ここで終わる訳にはいかない‼︎」

 

俺はベルトのレバーを何回も倒す。そして右側のスイッチを押し

 

『ゼンダイカイガン!グレイトフル!オメガドライブ!』

 

15人の偉人を召喚し空中で陣をとる。俺は飛び上がり最高点に達した時、英雄達が一つのエネルギーになる。俺はそれを右足に込め、地上のノイズ軍団に蹴りを入れる。エネルギーの波動で辺りのノイズが消滅する。

 

地面に着地し俺は一瞬その場に立ち尽くした。その直後本部から周りのノイズ反応がないこと、翼の方も任務を遂行したことを聞き俺はほっとした。一息ついた瞬間、変身が解けゴーストの力が消え、俺の右手にはゴーストライドウォッチが出現した。だが今回はそれだけでは終わらなかった。

 

ゴースト

 

ゴーストライドウォッチが光る。

 

「力が戻ったのか‥」

 

これで力を完全に取り戻したライダーは4人。残りあと15のライダーの力を取り戻し、そして失われた1つのウォッチを見つけ出さなければオーマジオウには勝てない。そのウォッチの行方、新たに受け取ったウォッチの意味。まだ分からないことだらけだが一つずつ解決していくしかない。

 

 

 

 

「た、ただいま‥」

 

夜になってようやく私は未来の元へ戻ることが出来た。

 

「おかえり」

 

「あ、うん。ただいま。‥あの、入っても‥いいかな‥?」

 

「どうぞ、あなたの部屋でもあるんだから」

 

「う、うん‥」

 

「何?大抵のことはあの人達から聞いたわ。今更聞くことなんてないと思うけど」

 

普段の朗らかな未来とは違う。とても淡々と話している。

 

「‥未来‥」

 

「嘘つき‼︎」

 

突如声を荒げたので驚いた。

 

「隠し事はしないって言ったくせに‼︎」

 

私は過去に隠し事をしないと未来に約束した。でも私はそれを破った。

 

「未来、聞いて。私‥」

 

「どうせそれも嘘でしょ。私もう寝るから」

 

そう言い残しベッドに入ってしまった。

 

「‥ごめん」

 

嘘をつくつもりなんて全く無かった。ただ私は‥

 

「(私は未来を守りたかっただけなのに‥)」

 

 

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「王我さんのお友達なんですか?」
「ごめんなさい‥」
「仲直りするから仲良し、か‥」
「アイツには特別な何かがあるんだと思う」
「ダチは誰一人傷つけさせねぇ!」
「宇宙キターッ!」

EP15 ユーススイッチオン!2011→2043


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EP15 ユーススイッチオン!2011→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。天羽奏の死にいたらしめた者を恨み続けた男に絡まれる逢坂王我。そして男はノイズの被害に襲われるも我が魔王の寛大な心により救われた。そして我が魔王は仮面ライダーゴーストに変身し更にその力を取り戻した。そして今回また新たな事件に巻き込まれるのだった。それは全て流れ星から始まったのだった。


俺は二課本部にある母さんの研究室に足を運んでいた。

 

「じゃあ少し預かるわね。不便にさせて申し訳ないわね」

 

母さんにエクスキャリオンを手渡す。

 

「仕方ないよ母さん。エクスキャリオンの強化なんだろ?1日2日くらいならどうなるかるよ」

 

普段はエクスキャリオンの調整はすぐ終わるのだが今回は強化も兼ねているので長引くそうだ。

 

「それに今の俺にはこれがあるし」

 

俺はライドウォッチを取り出し母さんの前でちらつかせる。

 

「期待してなさい。今までより遥かに協力なのにさせるから」

 

母さんは軽く微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

「(なんでだよ、フィーネ‥。アタシは‥」

 

フィーネの元から逃亡して1日ほど経過した。食べ物はなけなしの金でどうにか確保し、ネットカフェとかいう場所で宿泊した。だがそれで所持金は尽きた。

 

「ん、女の子の泣き声?アイツが泣かせてるのか?」

 

「おいコラッ!弱いものをいじめるな!」

 

「いじめてなんかないよ!父ちゃんがいなくなって一緒に探してたんだけど、もう歩けないって‥」

 

どうやらコイツらは兄妹らしい。

 

「ふぇぇ‥だって‥ううっ‥おとうさん‥どこ‥?」

 

「あぁもう、泣くなって!メンドクセー!一緒に探してやるから大人しくしやがれ!」

 

ここでギャン泣きされても困るし、仕方ない。すぐ様この子の父親を探すことにした。

 

「えへへ、おてて繋いでるとうれしいね」

 

「なんだそりゃ。ほらちゃんとお父さん探せよ」

 

「わかってるよ」

 

「‥ふん♪ふんふふんふん‥♪」

 

「わあぁ‥お姉ちゃん、歌、好きなの?」

 

うっかり鼻歌を歌っちまったらしい。

 

「‥歌なんて嫌いだ‥」

 

「(アタシの歌なんて‥)」

 

「あっ、父ちゃん!」

 

兄の方が父親を発見したらしい。それらしき男の元へ走り出した。

 

「お前たちどこへ行ってたんだ!‥ん?この方は‥?」

 

「一緒に父ちゃんを探してくれたんだ」

 

「すみません、ご迷惑をおかけしました」

 

あっちがペコペコ頭を下げてき、少し気恥ずかしい感じだ。

 

「いや、成り行きだから‥」

 

「ほら、お姉ちゃんにお礼は言ったのか?」

 

「「ありがとう!」」

 

二人は声を揃え礼を言ってきた。

 

「仲‥いいんだな‥」

 

「そうだ、どうやったらそんなに仲良く出来るのか教えてくれよ」

 

こんな小さな子供に聞くのはちと情け無いが仕方ない。今のアタシはそれよりも知りたいんだ、人と仲良くする方法を。

 

「そんなのわからないよ。いつもケンカしちゃうし」

 

「ケンカしちゃうけど、仲直りするから仲良しー♪」

 

「(話をすればアタシも仲直り出来るのかな‥フィーネと‥)」

 

アタシの中に少しの希望ができた。

 

子供達の声に感化されアタシは一度フィーネのアジトへ足を運んだ。もう夜が明けてしまったが最優先事項はフィーネに謝ることだ。だがその思いは一瞬で砕け散った。

 

「‥全く、米国の犬はうるさくて仕方がないわね。いっそ用済みのクリスをイチイバルごとくれてやろうかしら‥」

 

「アタシが用済みってどういうことだよ⁉︎」

 

「アンタもアタシを物のように扱うって言うのかよ⁉︎」

 

「なんでだよフィーネ‥どうしてアタシを‥?争いのない世界が作れるって‥だからアタシは‥」

 

「(お願いだ‥否定してくれ‥!)」

 

アタシのそんな願いに対して

 

「えぇそうね。貴方のやり方じゃ、争いを無くすことなんて出来ないわ」

 

「なっ‥」

 

返ってきた言葉は非情だった。

 

「せいぜい、一つ潰して、新たな火種を二つ三つばら撒くことくらいかしら」

 

「アンタが言ったことじゃないか!痛みもギアもアンタがアタシにくれたものだけが‥」

 

「私の与えたシンフォギアを纏っても、その程度の役にしか立たないなんて‥」

 

まるで醜いものを見るような目でアタシを見つめるフィーネ。

 

「そろそろ幕引きにしましょうか」

 

眩い光がフィーネを包む。そして姿が見えた時

 

「その光‥ネフシュタンの鎧‥⁉︎」

 

アタシが使っていた時とは形状が異なるがあれはネフシュタンの鎧で間違いないだろう。

 

「私もこの鎧も不滅。未来は永遠に続いていくの」

 

「カ・ディンギルは完成してるも同然。もう貴方に固執する理由はないわ」

 

「カ・ディンギル‥?ソイツは‥」

 

「あなたは知りすぎてしまったわ。だから‥」

 

フィーネがムチで攻撃を仕掛ける。

 

「うわっ!くっ‥」

 

自分が使っていた時より精密な攻撃だった。間違いなくアタシが使用していた時より上手く扱っている。

 

「その喉を細かく切り裂いて二度と唄えなくしてあげる」

 

更にソロモンの杖を使いノイズを呼び出す。

 

「(本気でフィーネはアタシの事を‥)」

 

「‥ちくしょう」

 

全て偽りだったことがたまらなく悔しい。

 

ちくしょおおおおっ‼︎

 

やけくそに撃ちノイズを蹴散らす。だが連射するも数が多く、キリがない。

 

「(ダメだ、アタシじゃ相手にならねぇ‥こうなったら‥)」

 

「とりゃあっ!」

 

とにかく乱射しまくった。煙で辺りは見えなくなる。

 

「無駄な足掻きを‥」

 

「そういうこと‥。勝てないと悟って逃げるなんてあの子にしては賢明な判断じゃないの」

 

「逃げたところで、ひとりで何か出来るわけでもないのに‥」

 

アタシの追尾にソロモンの杖でノイズを産み出す。

 

「さて、私も次の準備をしなければ‥」

 

離れた場所で何やらフィーネは呟いていたがアタシには何を言っていたか聞こえなかった。

 

 

 

 

 

「‥ここいいかな?」

 

朝からずっと口を聞いて貰えずもう昼になってしまった。学食にて未来を発見し向かいに座る許可を貰っていた。未来から特に返事がなかったので着席する。

 

「あのね、未来。私‥」

 

「なんかいつもと雰囲気が違うのですが‥?」

 

空気を察する詩織

 

「どういうこと?わかんないからアニメで例えてよ」

 

全く理解していない弓美

 

「これはきっとビッキーが悪いに違いない。ごめんね、ヒナ。この子馬鹿だから許してあげて」

 

私を悪役にする創世。実際そうなので先の言葉を否定できない。

 

「そういえば、レポートのこと先生が仰っていましたが‥」

 

「提出してないのあんたひとりだってね。大した量じゃないのに何やってんだか」

 

「ビッキーでは内緒でバイトでもしてるんじゃない?」

 

創世が冗談半分で呟いた。

 

「あ‥」

 

それに未来が反応する。

 

「ええっ⁉︎響がバイト⁉︎」

 

「それって校則違反では?」

 

「未来!」

 

未来はその場から走り去ってしまう。それを私は追いかけた。

 

「もしかして私達何かマズイこと言っちゃった?」

 

 

 

 

 

「未来‥」

 

未来を追いかけ屋上までやってきた。

 

「‥ごめんなさい」

 

「どうして響が謝るの?」

 

「未来は私に隠し事はしないって言ってくれたのに、私は未来のことずっと騙してた‥」

 

「言わないで‥」

 

未来の顔を見ると目から涙が流れていた。

 

「私は響の友達でいられない‥」

 

そしてその場から立ち去ってしまった。

 

「いやだ‥いやだよ‥」

 

私は誰もいない屋上で涙を流し続けた。

 

 

 

私はその日一人で下校した。今日は二課にもよらず直接部屋に帰ろうとしていた。

 

『あれ?響?」

 

王我さんと遭遇する。更に隣には知らない男の人。

 

「王我さん、えっとそちらは王我さんのお友達なんですか?」

 

「そ、一番の友達の賢吾だ」

 

「歌星賢吾だ。よろしく頼む」

 

「立花響です。いつも王我さんにはお世話になってます」

 

私達は少しの間一緒に下校した。少し先に歩く王我さん、その後ろを歌星さんと私が歩く。

 

「一番の友達ですか‥さぞずっと仲が良いんでしょうね」

 

私は歌星さんに話題を振る。二人の関係は凄く良好に見える。ここから何かつかめたら良いが‥。

 

「いや、そんなことはない。というか俺は最初あいつを軽蔑していた」

 

「えっ‥」

 

意外だった。二人はそんな風には全く見えなかったからだ。

 

「何度も何度も突き放して‥普通なら何かあった時助けないだろう。でもあいつはそんな俺を救ってくれた」

 

そう言えば先の奏さんのファンの人にも似た様なことをしていた。

 

「(王我さんは例え相手が王我さんのこと悪く思っていても助けようとする人なんだ)」

 

「アイツには特別な何かがある。人を惹きつける何かが」

 

「俺はアイツのおかげで素直になれた。だから君も友達にく素直になると良い」

 

「(素直に‥か‥)」

 

二人と別れた後も頭の中にそれが残っていた。

 

翌日、私が起きた時には未来はもう朝食を済ませ、学校へ向かう準備をしていた。もちろんその時も私に構う雰囲気は全くなかった。その時間に唯一聞いたのが「いってきます」だった。私も支度に取り掛かり大半が終わったときだった。

 

「響くん聞こえるか、ノイズが現れた!」

 

 

 

 

 

 

「(ちっ、こんなところまで追ってきやがって‥)」

 

さっきからずっとアタシの後ろを付き纏うノイズ。

 

「そんなにアタシのこと切り捨てたいのかよ、フィーネ!」

 

「返り討ちにしてやる!来やがれ‼︎」

 

「はぁ‥はぁ‥どうだ‥」

正直これ以上相手にするのはしんどい。だがノイズはまだまだ湧いて出る。

 

「店じまいには早いってか‥!」

 

「やってやろーじゃねーか!お前とアタシの根性比べだ!負ける気はしねぇけどな!」

 

逃げながらノイズに弾を当てる。消してもまだ数体が追ってくる。

 

「はぁ‥はぁ‥」

 

もう限界でギアが重く感じる。長時間の戦闘は不可能だ。

 

「(倒しても倒しても出てきやがる。しつこいんだよ!)」

 

最後の力を振り絞りトリガーを引く。そして今度こそ追手はいなくなった。

 

「(これで最後みたいだな‥)」

 

アタシの集中力も切れギアが解除された。

 

 

「‥ん?今、物音が‥あっ!」

 

登校途中物音のする方へ行くと女の子が倒れていた、、

 

「ねぇ大丈夫⁉︎どうしよう、救急車呼ばなきゃ!」

 

「止めろ‥!」

 

「止めろって言われても‥」

 

「病院はダメだ‥ぐっ‥」

 

「(この子には何か特別な事情があるのかな‥)」

 

 

 

 

 

「現場に到着しました‥あれ?場所はここですよね?」

 

同じく連絡を受けた王我さんと合流し、指定された場所まで向かったが

 

「どうかしたか?」

 

「おじさん、ノイズが見当たりません」

 

「なんだと⁉︎」

 

何も気配を感じなかった。

 

「司令、ノイズの反応が当初より弱まってます」

 

「二人とも現場の様子は⁉︎」

 

「特に何も‥あ、ノイズを見つけました!」

 

肉眼で数体のノイズを確認する。まだ増えてくかもしれないが今は見える敵を倒す。

 

「よし!発見したノイズを駆除するんだ!」

 

「「了解(です)‼︎」

 

「よし、じゃあ‥」

 

王我さんは今エクスキャリオンを持っていないので早速ライダーの力を使う。そして取り出した、白とオレンジのウォッチ。

 

フォーゼ

 

ウォッチを起動させたことでまた姿が変わる。前のゴーストも結構変わっていたが今回はそれ以上だった。ブレザーから学ランに変わり髪型は‥リーゼントだ。まさにヤンキーという感じだ。

 

「いくぜ」

 

王我さんはまた今までと形の違うベルトを巻く。そしてベルトについている4つのスイッチを押す。

 

『3・2・1!』

 

構えをとり

 

「変身‼︎」

 

レバーを引いた。右手を上に掲げると蒸気が王我さんの周りから吹き、姿を変える。

 

「しゃあ‼︎宇宙キターッ!」

 

余りの声の大きさに私は耳を塞ぐ。ロケットのような頭をした宇宙飛行士のようなライダー。

 

「仮面ライダーフォーゼ!タイマン張らせてもらうぜ!」

 

拳をノイズに向け宣誓する。

 

ロケット ON』

 

右腕にロケットを装備した。エンジンがかかり飛びながら風圧でノイズ達を消していく。

 

「次はコイツだ!」

 

ランチャー レーダー ON」

 

着陸し、今度は別のスイッチを押す。右脚にはランチャー砲、左腕にはレーダーが搭載された。

 

「はっ!」

 

ランチャー弾がノイズに向かって発射される。レーダーがあるためかノイズに全弾命中しその数を減らす。

 

「ダチは誰一人傷つけさせねぇ!」

 

先の二つのスイッチを切り

 

ロケット ON』

 

再びロケットスイッチを使用する。フォーゼは上空へ移動し

 

ドリル ON』

 

更に今度は左脚にドリルがついた。

 

ロケット ドリル リミットブレイク!』

 

レバーを引いてドリルにエネルギーを溜める。

 

「ライダーロケットドリルキーック‼︎」

 

ノイズめがけライダーキックをお見舞いする。煙がなくなるとドリルを地面に突き刺しているフォーゼの姿のみ確認した。

 

「まだまだいるからなぁ、まとめて相手してやるぜ!」

 

「(これなら‥いける!)」

 

そう確信した私だった。

 

 

 

 

 

王我達が戦う中

 

「何‥あれ‥?」

 

ある一人の少女が戦いを見ていた。普段どのようにノイズが駆除されるか一般人は知らない。その実体を目の当たりにしたら興味が出るのは不思議ではない。そして突如周りの時が止まる。

 

「あなたは‥?」

 

少女は自分意外に止まった時間の中活動している人間に会った。

 

「貴方に特別な力を与える者よ」

 

「特別な力‥!お願い!それを私にちょうだい‼︎」

 

「聞き分けのいい子ね」

 

FOURZE

 

「今日から貴方が仮面ライダーフォーゼよ」

 

 

 

 

状態は優勢だったが、

 

「うおっ‥⁉︎」

 

突如フォーゼにノイズが走り変身が解除される。

 

「近くに高エネルギー反応!」

 

本部からの通達、そしてその正体がビルの影から姿を表す。

 

「アナザーフォーゼ‥!」

 

ロケット形の頭をキュッと撫でる。

 

「王我さん、逃げてください。ここは私が‥!」

 

「(今、王我さんに戦う術はない。私が守るんだ!)」

 

Rocket ON』

 

フォーゼと同じようロケットを右腕に宿した。そしてそれをこちらに飛ばしてきた。腕でガードするもすぐさまあちらは追撃する。

 

Chain Array ON』

 

チェーンアレイを振り回し、私に攻撃する。

 

「ぐあっ‥!」

 

ダメージも大きいし、近づけない。最悪な状態だ。そんな中

 

「なんで‥民間人が‥」

 

一瞬女の人の影が見えたがすぐいなくなってしまった。逃げ遅れたにしても流石に声も出さずにこの状況に耐えられる訳がない。

 

‥!

 

アナザーフォーゼは一瞬下をむくがすぐに顔を上げ

 

LanCher ON』

 

ランチャーを脚に装備する。しかしランチャーの使用は攻撃の為でなく

 

「くっ‥!」

 

ランチャーの弾を足元に撃ち煙幕代わりにしたのだろう。煙が落ち着いた時にはもうアナザーフォーゼの姿が見えなかった。

 

 

「付近のエネルギー反応無し、二人ともご苦労」

 

師匠から戦闘終了の指令が入った。

 

「‥終わりですが?」

 

アナザーライダーには苦戦していたがノイズは大した数はいなかったので多少楽な戦闘だった。

 

「あぁ、周辺を精査したところノイズ以外にもイチイバルの反応を確認した」

 

 

「と言うことはクリスちゃんがノイズと戦ったと言うことでしょうか?」

 

「そうだろな‥ん?どうした?」

 

「もしフィーネさんって人と仲間割れしたなら、クリスちゃん、戻る場所ないんじゃないかって‥」

 

「そうかもしれないな‥」

 

「この件については、俺が直接現場で指揮を執ろう。二人とも指示があるまで待機してくれ」

 

「わかりました」

 

「じゃあお互い学校に向かうか」

 

「そうですね」

 

私はクリスちゃんが悪い人とは思えない。名前まで教えてくれたのだ。誤解はきっと解けるはず。

 

「(‥だから、未来のことも‥)」

 

 

 

 

「‥ん‥ここは‥?」

 

目が覚めたら知らない天井があった。

 

「良かった。目が覚めたのね」

 

そして枕元には知らない人。

 

「確かアタシは倒れて‥ここはどこだ!それにお前は‥!」

 

「落ち着いて!あなたが病院は嫌だって言ったから知り合いの家を貸してもらってるの」

 

そう言われ一度周りを見渡す。和室だ。確かに病室ではないだろう。

 

「そうなのか‥その‥助けてくれて、ありがとう‥」

 

「どういたしまして。ちゃんと休んで早く良くなってね」

 

「うん‥お前、何も聞かないんだな」

 

人は分からないことは知りたくなる。それが例え当人が嫌がっていたとしても。それをコイツはしてこなかった。

 

「私そういうの苦手みたい‥」

 

「今までの関係を壊したくなくて‥なのに一番大切なものを壊してしまった」

 

「それって誰かと喧嘩したってことなのか?‥アタシにはそういう経験ないな」

 

「友達と喧嘩したことないの?」

 

「‥友達いないんだ」

 

「え‥?」

 

 

「地球の裏側でパパとママを殺されたアタシは、ずっと独りで生きてきたからな。友達どころじゃなかったんだ」

 

「そんな‥」

 

「たった一人理解してくれると思った人もアタシを道具みたいに扱ってばかり‥まともに相手にしてくれない‥」

 

今でも覚えている。手枷を付けさせられ言うことを聞かないと問題無用で手を上げてきたことを。

 

「大人はどいつもこいつもクズばかりだ!痛いと言ってもやめてと言っても聞いてくれない‥」

 

「アタシの話なんてこれっぽっちも聞いてくれなかった‥」

 

拳を握るアタシを見て

 

「あ‥ごめんなさい‥」

 

コイツは謝る。少し気分を悪くさせてしまったみたいだ。

 

「なぁ、その相手、一発ぶっ飛ばしちまいな」

 

「そ、そんなこと出来ないよ。‥でもありがとう気遣ってくれて。ええっと‥」

 

「(そう言えば名乗ってなかったな‥)」

 

「クリス‥。雪音クリス‥」

 

「優しいんだねクリスは。私は小日向未来。もしクリスが良いなら‥」

 

アタシをそっと抱きしめてきた。

 

「私はクリスの友達になりたい」

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア


「変わらなくてもいいんじゃないかな‥」
「確実に流れはオーマジオウに向かっているわね」
「じゃあ何とかして?」
「生きるのを諦めるなと叫んでたんだ!」
「響だけなんだから」
「俺達が守るから」

EP16 エターナルフレンドシップ2011→2043


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EP16 エターナルフレンドシップ2011→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。立花響と小日向未来との仲が戻らない中、天秤座生まれの18歳の少女を襲う事件が発生した。逢坂王我と立花響は事件に向かい、ノイズの戦闘で我が魔王は仮面ライダーフォーゼに変身するも、アナザーフォーゼの出現によりフォーゼの力は失われ、取り逃してしまう。一方イチイバルの装者、雪音クリスはフィーネと決別し、追われる身となってしまう。‥どうやら物語は思わぬ方向へ進んでいるみたいですね。


「アナザーフォーゼ、中々の性能ね」

 

アナザーフォーゼを生み出した張本人、フィーネ。彼女はアナザーライダーの襲撃の様を高みから見物していた。

 

「聞いた話通り、流れは着々とオーマジオウに向かっているわね」

 

その話が誰からされたのか、それはまだ謎に包まれたままである。

 

 

 

 

「あったわ。‥佐久間龍一には娘がいるわ。名前は佐久間友月。2年前まで光ノ森学園高校に在学していたわ」

 

二課に頼み、ある人物の肉親について調べてもらった。以前のアナザーフォーゼの変身者佐久間龍一。その家系で一番アナザーライダーになったと疑わしい人物を探してもらった。

 

「多分ソイツがアナザーフォーゼっす。こっちでも対象者を見張っとくんで、あとは頼んます!」

 

その結果を聞くために俺は今基本誰も来ない場所に来ている。俺が二課に所属していることは秘密事項なので他人にこの会話を聞かれる訳にはいかない。だが俺が人目につかない所へ来たのはもう一つの理由がある。

 

「‥!」

 

光と共に俺の服装が元に戻った。

 

「ちょうど切れたか‥」

 

俺はフォーゼの力が切れるタイミングを見計っていた。性格が戻ろうとウォッチの能力で誰も気づかないが、流石に体から粒子が出てるところを見られたら大事になる。バレないようにと強張っていた力が抜け、地に腰を下ろす。

 

「しかしもう何回も行ってるのに慣れないなぁ‥」

 

俺の通っている高校。私立天ノ森学園高校。一般人の記憶では俺はここでずっと生活してたことになっている。しかしそれはあくまで書き換えた記憶。実際の俺は少し前まで色んな時間の中アナザーライダーと戦っていた。

 

「そこにいたか、お前がここに来るのは珍しいな」

 

賢吾が俺の視界に入ってきた。

 

「賢吾、どうした?」

 

「今朝の事件についてだ」

 

賢吾は俺の隣に座り話始めた。

 

「JKから聞いているか?今朝の天秤座の18歳の女性が襲われる事件。うちの生徒も被害にあったそうだ」

 

JKもとい神宮海蔵は一つ年下の俺らの友達。情報通で学園の噂などはJKに聞けばすぐにわかる。

 

「あぁ‥さっきメールで‥」

 

実際元凶は今朝確認している。アナザーフォーゼ、以前戦った時と同じ状況。違うのは事件のスピードだ。今回はあまりにも早い。

 

「ノイズの発生もあったし、そっちで解析しているんだろ?」

 

賢吾、そしてJKは俺が装者であることを知っている。

 

「あぁ、まぁな。そういえば佐久間友月について何か聞いた話なんてないか?」

「佐久間‥か。確かとても優秀な生徒だったと聞いている。先生が軽く贔屓するくらいにな」

 

賢吾は頭が良い。きっと佐久間友月と今回の事件に関係があることを理解したみたいだが特に何も言ってこなかった。

 

「ただ一時期入院したことがあって、その後少し様子が変わったらしい」

 

「?どういう‥」

 

俺は怪我か何かの後遺症かと思ったが

 

「すまないが俺が知ってるのはここまでだ。俺はJKに情報がないか聞いてくる」

 

賢吾も答えを知らないみたいだ。そう言い賢吾はその場を立ち去る。

「(様子が変わった‥?アナザーライダーになったから‥って訳でもないしな‥)」

 

変化が起きたのは数年前、しかしアナザーフォーゼの事件は最近始まった。その件に関してはアナザーライダーは関係ないかもしれない。

 

「(しかし、アナザーフォーゼ‥もしかしたら今回は相当キツい戦いになるかもしれない)」

 

そんなことを思っていると

 

「?あれは‥?」

 

少し遠くて見えないがウチの制服を着た女子がいた。

 

FOURZE

 

そしてその近くにアナザーフォーゼが出現する。

 

「アナザーライダー!あの子が危ない!」

 

少女の前にアナザーフォーゼが現れた。

 

「変身‼︎」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

ジクウドライバーを巻きジオウに変身する。

 

「きゃっ‥!」

 

先の女の子だろう、声のした方を見ると誰かに手を引かれる様子が一瞬見えた。それが誰だったかは分からないが悲鳴が聞こえないあたり、敵ではないと思う。

 

「あっ、待て!」

 

そちらに気を取られアナザーライダーは逃亡を図っていることに気づくのが遅れた。急いでその後を追う。

 

 

 

「(未来が学校を無断欠席したことなんてなかったのに‥)」

 

屋上にて私は今日学校に来ていない未来の心配をしていた。一度ノイズに襲われたのではと思ったが被害者がいないことからその線はない。

 

「何か悩み事か?」

 

翼さんの声がして一度顔をあげるもすぐ下を向いてしまう。

「翼さん‥、私、自分なりに覚悟を決めたつもりでした。守りたいものを守るため、シンフォギアの戦士になるって‥」

 

「でも小さなことで気持ちが乱れて、何も手につきません」

 

「私、もっと強くなりたいのに‥変わりたいのに‥」

 

「その小さなものが立花の本当に守りたいものなら変わらなくてもいいんじゃないかな‥」

 

そう呟いた翼さんの方に再び顔を向けた。

 

「王我も言っていた、自分を貫くことが一番の強みになるって‥立花もきっと立花のまま強くなれる」

 

「‥奏のように励ますのは難しいな‥」

 

苦手ながらも私の為に励まそうとしてくれる翼さん。

 

「いえ、そんなことないです!凄く元気が湧いてきました」

 

「そういえば翼さん、まだ痛むんですか?」

 

「大事をとっているだけだ。気にするほどではない」

 

「そっか、良かったです」

 

「絶唱による肉体への負荷は極大。他者も自分も総じて破壊する『滅びの歌』」

 

「その代償としては安い。もし王我がいなかったらどうなっていたか‥」

 

絶唱、滅びの歌、それは敵を倒す為に存在する。

 

「でも、でもですね翼さん!」

 

「2年前、私が辛いリハビリを乗り越えられたのは、翼さんの歌に励まされたからです!」

 

リハビリの中何度も何度も音楽プレイヤーに入っていたツヴァイウィングの曲を聞いていた。

 

「翼さんの歌が、滅びの歌だけじゃないってこと、聴く人に元気をくれる歌だってこと、私は知っています!」

 

「立花‥」

 

「だから早く元気になってください!私、翼さんの歌が大好きです!」

 

一瞬驚いた顔していたがすぐ笑顔になる翼さん。

 

「‥ふふ、私が励まされてるみたいだな」

 

「あ‥あれ?はは、あははは」

 

とても良い雰囲気だったが

 

「‥警戒警報⁉︎」

 

それはサイレンによって消された。

 

 

「もしクリスが良いなら‥私はクリスの友達になりたい」

 

「(アタシに‥友達‥?)」

 

何と返事を返せば良いのか考えていると

 

「何だ⁉︎」

 

突如デカいサイレンが鳴り響く。

 

「おい!一体何の騒ぎだ⁉︎」

 

建物の外に出ると街の人間が何かから逃げ惑っている。

 

「何ってノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの?急いで逃げよう!」

 

ノイズ。その言葉を聞いたアタシは人の流れていた方向と逆に走っていった。

 

「クリス、どこ行くの⁉︎そっちは‥」

 

「(このノイズはアタシのせいなんだ‥!アタシがソロモンの杖なんて起動させなければ‥)」

 

「はぁ‥はぁ‥ここまで来れば‥」

 

周りに誰もいない場所まできた。そうしたのはギアを纏っているところを見られたくない訳ではない。そんなことでわざわざこんなことはしない。

 

「アタシのしたかったのはこんなことじゃない‼︎」

 

「来たなノイズどもアタシはここだ!だから関係ない奴らのとこなんか行くんじゃねぇ!」

 

誰も犠牲者を出さない為、ノイズがアタシにだけ集中する空間を作る為だ。そして戦闘の為聖唱を唱えようとするが

 

 

『Killter Ic‥げほ、げほっ!」

 

先ほどまで走っていたのでむせてしまった。

 

「(少し考えればそんなことは分かったはずなのに‥!)」

 

ノイズはその隙を見てアタシに向かい一斉に攻撃を開始した。

 

「しまっ‥」

 

ギアを纏ってない今ノイズに触れたら死ぬ。ここで終わる。そう思った時

 

ボルテックタイムブレーク!』

 

目の前に映ったのは先までノイズだった炭。そしてアーマーを纏ったジオウだった。

 

「おじさん!」

 

「わかっている!はああぁぁっ‼︎」

 

コンクリートがある男の拳により砕ける。

 

「(生身の人間が道路ぶっ壊して、その破片でノイズを吹っ飛ばした⁉︎)」

 

 

「捕まれ!はぁっ!」

 

言葉を発する前に担がれ、上空へと舞い上がる。

 

「(ビルの上までジャンプってこのおっさん、何者だよ‥?)」

 

「はぁ‥大丈夫だったか?」

 

「あ、え‥」

 

何を言えば良いのか迷っていると

 

「追ってきやがった!」

 

生身のアタシ達をノイズが再び追いかけてきた。

 

「させ‥」

 

Claw ON』

 

「ぐっ‥!」

 

「新しいアナザーライダー⁉︎」

 

アナザーライダーがジオウを攻撃する。

 

「しまった⁉︎」

 

ジオウがやられている隙をつきノイズが何体かこっちに攻撃をしてきた。

 

「下がってな、おっさん」

 

『Killter Ichaival tron』

 

呼吸が落ち着き今度は聖唱を成功させる。

 

「ご覧の通りさ!アタシのことはいいから、他の奴の救助に行きな!」

 

「コイツらはアタシがまとめて相手するって言ってんだよ!」

 

一度渋ったおっさんも折れ、民間人の避難に向かった。

 

「ついてこい、クズども!」

 

「フィーネに命じられてるんだろ!アタシを殺せって‥。アタシはここだ!アタシだけを狙え!」

 

「(これ以上無関係な奴らを傷つけるわけにはいかねぇ‥!)」

 

「こい!アタシがまとめてぶっ潰してやる‼︎」

 

「ジオウもさっさとアナザーライダーを追え!」

 

体が固まっていたジオウがはっとする。

 

「分かった。任せたよ!」

 

任されることに少し違和感を持ったがあまり気にせず戦闘に集中した。

 

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥ノイズの出現ポイントはこの辺りのはず‥」

 

「きゃーーーーっ‼︎」

 

「今の悲鳴は‥!」

 

見知った声がする方へ向かうと工事中のビルが建っていた。

 

「誰か、誰かいま‥」

 

中へ入り誰かいるか確認していると

 

「むぐっ‥⁉︎」

 

誰かに口を押さえられ、物陰へ引き込まれた。

 

「(しーっ)」

 

その正体は未来であった。

 

「(未来!良かった‥ん?携帯の画面‥?)」

 

『(確かにアレは音に反応するみたい)』

 

『(アレに追いかけられてふらわーのおばちゃんと逃げてきたの)』

 

「(おばちゃん!あんなどころに倒れて‥動けないの?)」

 

おばちゃんは気を失っていて、その近くに大きなノイズがいる。

 

『(響聞いて?私が囮になってノイズの気を引くからその間におばちゃんを助けて)』

 

「(ダメだよ。そんなこと未来にさせられない)」

 

『(元陸上部だが何とかなる)』

 

「(何とかならない‥)」

 

『(じゃあ何とかして?)」

 

そう言われ、私は目を見開いた。

 

『(危険なのはわかってる。だからお願いしてるの。私の全部を預けられるのは響だけなんだから)』

 

「私、響に酷いことした。今更許してもらおうだなんて思ってない。それでも一緒にいたい。私だって戦いたいんだ」

 

「駄目だよ未来」

 

「どう思われようと関係ない。響一人に背負わせたくないんだ」

 

「私‥もう迷わない!」

 

そして立ち上がった未来は

 

「こっちよ!」

 

ノイズを誘導するためビルの外へ出た。本当は今すぐにでも未来を助けたい。だが‥

 

「未来の気持ちを裏切っちゃダメだ!今のうちにおばちゃんを!」

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

私は聖唱を唱えた。おばちゃんを抱えビルの外へ出ると現場調査に来ていた緒川さんに出会った。

 

 

「緒川さん!おばちゃんをお願いします!」

 

「わかりました。響さんは?」

 

「私は‥大切な人を守ります!」

 

そう言い、私はそのまま走り出した、未来の元へ。

 

「急いでいるんだ!邪魔をしないで!」

 

道を塞ぐノイズを拳排除しながら進み続けた。

 

 

「(シンフォギアで誰かの助けになれると思っていたけど、それは思い上がりだ!)」

 

「(助ける私だけが一生懸命じゃない。助けられる誰かも、一生懸命‥)」

 

「(本当の人助けは自分一人じゃ出来ない。だから奏さんは、あの時私に生きるのを諦めるなと叫んでたんだ!)」 

 

「(だから、助けられる誰かのため‥未来のため‥)」

 

「そこをどいてっ‼︎」

 

「(足りない‥。もっと、もっと高く‥!飛ぶように!未来のところへ‼︎)」

 

私は地を思い切り蹴り、未来の元へ向かった。

 

 

 

あれからどれだけの距離を走っただろう。もうそんなことも考えられないくらいに疲労が溜まっている。

 

「(もう走れない‥ここで終わりなのかな‥)」

 

諦めかけた瞬間あの時の約束が頭をよぎる。

 

「(だけど、まだ響と流れ星を見ていない!)」

 

「(大好きな響との大事な約束破りたくない‼︎」

 

その思いが私に火をつけ再び足を前に踏み出した。その瞬間

 

Giant foot ON』

 

「きゃあぁぁぁっ⁉︎」

 

巨大な足が目の前の道を粉砕する。私は当たらなかったが足場が崩れ、風圧により体が宙に浮いた。

 

「(私、空に放り出されている‥?せっかく、頑張ったのに‥これじゃ‥)」

 

今度こそは駄目だと覚悟したその時

 

「未来っ‼︎」

 

私の一番大事な人が手を差し伸べる。

 

「響‼︎」

 

響の手を掴み、その後響に抱きしめられる。

 

「良かった!間に合って良かった!ごめん、遅くなっちゃって」

 

「ううん‥ううん‥っ‼︎」

 

「だ、大丈夫?」

 

着地した時凄い音がしたので心配になる。

 

「うん、大丈夫!未来と色々話したいことあるんだけど、その前に‥」

 

響が私を追ってきた怪物の方を向く。

 

「アイツを倒して、未来を守らせて‼︎」

 

アナザーライダー相手に一人でどこまでやれるか心配だが

 

「俺も加戦するぜ」

 

「王我さん!」

 

王我さんの到着でその心配は必要なくなった。

 

「例え何があっても最後には再び分かり合うそしてその絆はより固くなる。友情は永遠だ!」

 

「やっとこの子達は関係を取り戻せたんだ、俺は響達の絆を守る!」

 

その瞬間

 

フォーゼ

 

フォーゼのライドウォッチが光る。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウアーマータイム!3!2!1!フォーゼ!』

 

フォーゼの姿に近いロケット型のアーマーがジオウに纏われる。仮面ライダージオウ フォーゼアーマーが誕生した。

 

 

 

両腕についているロケットで粉砕した。

 

「はぁあ‼︎」

 

フォーゼアーマーを纏ったジオウのパンチはブースターのおかげで勢いを増し、威力を上げている。

 

「私の技に少し似てる‥」

 

 

 

フォーゼの力を纏い、確実にダメージを与えていく。

 

「これで決める!」

 

フィニッシュタイムフォーゼ!』

 

俺は各ライドウォッチのボタンを押しドライバーを回転。

 

リミットタイムブレーク!』

 

アーマーをロケットモードにし、相手に突撃する。そしてそのまま上空へ一緒に飛ぶ。

 

「宇宙に‥行くっ‼︎」

 

大気圏を超え宇宙まで来た。無重力のため相手は体の自由が効かない。

「宇宙ロケットきりもみキック!」

 

体を回転し、両脚蹴りを喰らわせた。アナザーフォーゼはそのまま地球へと落下していった。

 

 

 

「はぁぁぁ!」

 

王我さんが宇宙へ飛んでいった後残ったノイズを全て殲滅することに成功した。

 

「やった!響!」

 

「っと、うわとととっ⁉︎」

 

未来に抱きつかれてバランスを取ろうとしたが疲労で無理だった。

 

「あれ?響‥え、きゃあぁ⁉︎」

 

坂道から転げ落ち、私はギアが解除された。

 

「「いたた‥」」

 

二人声を揃えて痛みを訴えた。

 

「え‥ぷ、あはは、あははっ!」

 

それが面白く声を出して笑った。

 

「ごめんね巻き込んじゃって、大丈夫だった?」

 

「ううん、私が飛びついたのが原因だものごめんね響」

 

「それとありがとう。響なら絶対助けてくれるって信じてた」

 

「ありがとう。未来なら絶対最後まで諦めないって信じてた」

 

「だって私の友達だもん!」

 

「う、ううっ‥ひっく‥うわああぁぁん!」

 

「怖かった‥怖かったの‥!」

 

「私も‥凄く怖かった」

 

「私、響が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの!誰かの役に立ちたいって思ってるのはいつもの響だから」

 

「でも!最近は辛いこと苦しいこと全部背負い込んでいたじゃない!私はそれがたまらなく嫌だった!また響が大怪我をするんじゃないかって心配した」

 

「でもそれは響を失いたくない私のワガママだ!そんな気持ちに気づいていたのに今までと同じように‥って出来なかったの‥」

 

「未来、それでも未来は私の‥」

 

言葉を続けようとしたのだが

 

「‥ぷ、ぷふふっ」

 

未来が突然笑い出す。

 

「何⁉︎人が真面目なこと言ってる時に笑うなんて!」

 

「あはは!だってさ、髪の毛ボサボサ、涙でグチャグチャなのにシリアスなこと言ってるし!」

 

「もう!響だって似たようなものじゃない!」

 

「うええっ⁉︎うそっ⁉︎未来、鏡貸して!」

 

「ええっと、鏡はないけど‥これで撮れば‥」

 

「携帯のカメラ!未来、ナイスアイディア!」

 

「わ、私も!」

 

「ん〜もうちょっと‥あ、ズレた〜」

 

「もう、撮るよ、響」

 

「のわわぁ!凄いことになってる⁉︎これは呪われたレベルだ‥!」

 

写真を見ると泥だらけの自分の顔を見て驚く。

 

「私も想像以上だった‥」

 

それは未来も同じであった。

 

「‥ぷ、ぷふふっ、あはは!」

 

「響、大丈夫だった?」

 

宇宙から帰ってきたであろう王我さん、変身を解除して近づいてきた。

 

「王我さん!お疲れ様でした!」

 

「えっと‥ありがとうございました‥」

 

未来は王我さんに少し戸惑いながらも礼を言った。

 

「気にしないで‥でシンフォギアの件については‥」

 

「あの‥それで‥」

 

「おじさんがきっと何とかしてくれるよ。今回凄く頑張った響に免じてね」

 

王我さんは私の言いたいことを理解して、その解答を答えた。

 

「あの‥私避難の途中で友達とはぐれてしまって‥」

 

「被害届は出ていないんだ。多分そのともすぐ連絡が取れるようになるよ」

 

「そういえば王我さん、どうしてライドウォッチを握ってるんですか?もうアナザーライダーは倒したのに‥」

 

 

 

そう、響の言う通りアナザーライダーは倒した。だがまだ終わっていない。宇宙空間から落ちて来たアナザーフォーゼ。落下点では摩擦で発生した火で周りの草が燃えていた。そしてその燃え盛る炎からある人影が見える。

 

FAIZ

 

「(アナザーファイズ‥)」

 

「嘘⁉︎新しいアナザーライダー⁉︎」

 

だがここまでは何となく予想通りだった。俺が前戦った時アナザーフォーゼとアナザーファイズの変身者は同一人物だった。だから次にアナザーファイズが来るかもしれないことは予測していた。ただ‥

 

「えっ‥」

 

この時俺は自分の勘違いを始めて認識した。

 

FOURZE

 

「どうして‥アナザーフォーゼまで‥⁉︎」

 

今俺の目の前にいるアナザーライダーは2体。以前と状況が異なる。

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「逢坂‥お前には関係の無いことだ」
「何でお前がここに‥⁉︎」
「2体のアナザーライダー‥」
「このままじゃ誰も救えない」
「どういうことだよ⁉︎」
「お前たちの罪‥俺が背負ってやる!」

EP17 バタフライファクト2003→2043


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EP17 バタフライファクト2003→2043

祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ フォーゼアーマー。更に祝え!この小説のUAが20000を突破した瞬間を!少しずつこの小説も認知されてきて私も嬉しゅうございます。さて‥
この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。立花響と小日向未来2人がようやく和解し、更にフォーゼの力を取り戻しアナザーフォーゼを倒した逢坂王我。だがその跡には生き残ったアナザーフォーゼと新たなるアナザーライダー、アナザーファイズの姿が。事態は更に深刻になる中ある1人の男の影が‥おやこの後の歴史は私も見たことない‥


「どうして‥アナザーフォーゼまで‥⁉︎」

 

2体のアナザーライダーがこちらに戦闘を仕掛ける態勢を作った。それに対抗するように俺も構え直した。

 

「私も‥」

 

響も立ち上がろうとするもまだ脚に力が入っていない。

 

「(どこまでやれるかわからない‥)」

 

「でも‥今はやるだけやってやる!」

 

ファイズ

 

持っていたファイズライドウォッチを起動させる。髪がほんの少し長くなり、目つきが変わる。

 

Standing by

 

ファイズフォンの【5】のボタンを3回押しenterキーを押す。

 

「変身‼︎」

 

ファイズフォンをギアに挿し込み

 

Complete

 

赤い光、フォトンストリームがラインを作り仮面ライダーファイズに変身する。

 

 

 

「早く逃げろ!」

 

俺はやってきたオートバジンからファイズエッジを取り、2体のアナザーライダーに立ち向かう。そしてオートバジンには2人をやってきた二課の車付近に連れてかせた。

 

何度もファイズエッジで切り裂く。アナザーファイズにはよく効いているがアナザーフォーゼの妨害により

 

「状況悪いな‥」

 

ファイズエッジを投げ捨て左腕についているファイズアクセルからアクセルメモリーを取り出す。そして

 

Complete

 

ファイズフォンに元々ついているミッションメモリーと挿し替える。胸部のアーマーが展開し、目が黄色から赤に変わりファイズアクセルへと姿を変える。更に腰に付いているファイズショットを装備する。

 

 

『Startup』

 

ファイズアクセルのボタンを押し、戦闘の構えをとる。ファイズアクセルは目にも止まらない速さで10秒間だけ戦える。これで一気に勝負を付けたい。だが

 

「ぐっ‥!」

 

アナザーファイズが存在するためファイズの力が不安定な状態になっている。そのため時々攻撃の威力が弱まってしまう。

 

『Timeout』

 

「ちっ、間に合わなかったか‥!」

 

10秒経ちアクセルフォームか解除される。

 

「だったら‥!」

 

Ready

 

ベルトからポインターを取り出しミッションメモリーを挿した後右脚につける。

 

Exseed chage

 

ファイズフォンのenterキーを押し、右脚に重心をおく。そこにフォトンブラッドが溜まりチャージが完了する。

 

「うらぁっ‼︎」

 

高く跳び、ポインターをアナザーファイズに向け、狙いを定める。

 

「(これで決める‥!)」

 

蹴りの態勢に入った瞬間

 

「ぐあぁっ⁉︎」

 

ノイズが激しく走り俺は必殺技を放てず地面に落下する。そしてファイズの変身が解除された。その隙をつき、アナザーファイズはその場を立ち去ってしまう。一方アナザーフォーゼは何故か首を横に振り

 

Gatling ON』

 

その後を追うかのようアナザーフォーゼが煙幕として弾を何発か放ち姿を消す。

 

「待ちやがれっ‥!」

 

追いかけようとした時

 

「邪魔しないでくれるか‥逢坂‥」

 

木の影から男が現れる。

 

「草加‥!何でお前が‥⁉︎」

 

この男は草加雅人。俺とコイツは正直馬が合わない。数少ない俺が苦手としてる人間である。

 

「逢坂‥お前には関係のないことだ」

 

そう言い残し草加は走り去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

二課の車が来始めた頃王我さんも戦闘から戻ってきた。現場を肉眼で見れた訳ではないが、顔を見る限り取り逃してしまったのだろう。

 

「あの‥王我さん‥?」

 

「‥なんだ‥?」

 

いつも優しそうな表情をする王我さんだが今は凄く不機嫌そうな顔をしている。あれもウォッチの影響だろう。

 

「ねぇ響、あの人さっきと別人みたいだけど‥」

 

未来は性格が変わった王我さんを見て動揺している。

 

「えっと、話すと長くなるから後ほど‥」

 

「俺はアナザーライダーを追う。お前らは二課に行ってろ」

 

「でも‥」

 

「今のお前は疲労が溜まっている。それにやっと仲直り出来たんだろ?じゃあ話の一つや二つしとけ」

 

王我さんはそう言い残しバイクに乗り行ってしまった。

 

「‥!はい」

 

多少離れた距離にいる王我さんに聞こえるくらいの大きさで返事をした。少し不器用になっているがやっぱり王我さんは優しい。ウォッチで性格が変わっていても根は変わらないこと、王我さんの良さが全く失われていないことがなんか嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

先ほどの戦いからもう4時間ほど経過しただろう。最初は高校が近くにあるファミレスで周りを警戒しそして現在、俺はある裏通りで張り込んでいて、その場所の近くには予備校や塾が多くある。18歳の女子生徒、まさに受験で勉強が忙しくなる頃で塾に行く人も多くなる。アナザーライダーはその塾帰りの女子生徒に襲いかかるかもしれない。

 

「熱っ!」

 

缶コーヒーを冷ましながらアナザーライダーが出てくるのを待っていた。

 

 

「ん‥?」

 

張り込みの中俺はある1人の女子生徒に注目した。

 

「(確かあの女子生徒はアナザーフォーゼが現れた時にいた‥)」

 

「なぁ‥」

 

声をかけかけた時

 

「草加、またお前か‥」

 

「邪魔をするなと何度も言わせるな」

 

また草加だ。もう二回目なので少しうんざりする。

 

「えっと草加さんのお知り合いで‥?」

 

その返答をしようと少女の方を向くと

 

「‥!佐久間友月⁉︎」

 

そこにいたのは天ノ森の制服を着た佐久間友月だった。

 

「お前、ウォッチを渡‥」

 

『ウォッチ』の言葉に反応したのだろう、佐久間友月はその場から立ち去ってしまった。

 

「待て!」

 

追いかけようとするも草加に肩を掴まれて、後を追うことが出来ない。

 

「草加、お前こそ邪魔するな!」

 

「言ったろ逢坂、お前には関係のないことだと」

 

草加はウエットティッシュで手を拭きつつそのまま佐久間友月を追っていった。

 

「どうするか‥」

 

「(しかし、どうして佐久間友月は天ノ森の制服を‥?アイツはもう卒業しているはずなのに‥)」

 

そんなことを考えていた時

 

「‥!ヤバっ」

 

ファイズの力が消えようとしていて体から少量の粒子が漏れ始める。俺は急いで物陰に身を潜めた。

 

「危なかった‥」

 

そしてその後ファイズの力が消えた。流石に一般人に体から粒子が出てるとこ見られ、ネットとかに挙げられたら大変だ。上手くごまかせたことに安堵していると二課から連絡が入った。

 

 

「もしもし」

 

「王我くん、さっき調べた情報なんだけど佐久間友月には既に亡くなった双子の妹がいたの、名前は蝶陽。2年前、交通事故で亡くなったらしいわ」

 

電話の相手である友里さんから新たな情報が入って来た。

 

「そうですか‥何となくですが目的が分かった気がします」

 

以前アナザーフォーゼと戦った時は確か亡くなった少女を生かす為に佐久間さんが変身していた。

 

「(多分友月さんは妹さんを助けたかった気持ちをフィーネに利用されたんだろう)」

 

やっと一歩前進出来た気がするがやっぱりまだ先は暗い。ポケットに入れていた『2068』と刻まれたライドウォッチをいじりながら今度は街を歩くこうとすると

 

「友月、最近大学に来ないね」

 

「なんか病気かな」

 

大学生であろう女子2人の会話が耳に入る。

 

「あの、すみませんあなた方、佐久間友月さんと蝶陽さんのお友達ですか?」

 

友月というワードに引っかかり、すぐさま声をかけた。

 

「えぇ、そうだけど‥」

 

少し戸惑った表情をとられてしまったがもうこのままいくしかない。

 

「すみません、失礼を承知でお聞きしたいのですが彼女らのこと教えてくれませんか?」

 

「そうね‥友月は凄く頭が良くて優しくて何でも出来るタイプだったわ。蝶陽も良かった方なんだけど友月の才能にいつも隠れちゃうから少し可愛そうだったかな」

 

「でも天文学に関しては蝶陽凄かったよね」

 

「あぁ確かに」

 

「お二人のことよくご存知なんですね」

 

「まぁね。2人は顔が凄くそっくりだったから見分けるの大変で、こういう特技で判断してる時もあってね‥」

 

「えぇ〜そんなことないよ。2人ともそれぞれ癖が特徴的だったじゃん。例えば‥友月は慌ててる時胸に手を当ててたけど、蝶陽は首を横に振って周りを見てる感じだったじゃん」

 

「そんなとこまで見てたの〜って時間ヤバ⁉︎ごめんねわたし達少し急ぐから」

 

「いえ、こちらこそありがとうございました」

 

「癖‥」

 

その時電話がなる。相手は藤尭さんだ。

 

「王我君、アナザーライダーの反応だ!場所は‥」

 

 

 

 

「きゃあああ‼︎」

 

はたまた女子生徒が襲われる。少女の身体は青い魂のような状態になりアナザーフォーゼに吸収される。そしてアナザーフォーゼはすぐその場を離れる。まるで何かを探すかのように。

 

 

現場についた俺は辺りを見渡すがアナザーライダーの気配はなし。少し遅かったようだ。そんな中1人の気配を察知する。

 

「ちっ、少し遅かったか‥」

 

その声の主はすぐに分かった。

 

「なぁ‥草加さん、佐久間友月さんとその家族について教えてくださいよ!」

 

アナザーライダーこそ発見出来なかったが三度、草加さんを見つけることができた。友月さんは草加さんのことを知っていた、だからその逆もあるのではないかと感じた。

 

「だから‥!」

 

「アイツはノイズも生み出す。今出てる被害者だけでなく条件でない人も危険に遭う。このままじゃ誰も救えない。だから教えてくれ、佐久間友月さんのこと」

 

再び引き離そうとしたものの俺の言葉で草加さんは少し頭を抱えて

 

「はぁ‥あの化け物はノイズを生み出す。だから全く関係ないとは言えないのか‥。仕方ない、今から重要な話をする、よく聞け」

 

 

 

 

現在もう4時を回っていた。スタッフには交代で休憩を取らせながら2体のアナザーライダーについての調査を行なっている。

 

「皆すまないな。こんな時間まで」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

「王我くんはもっとキツいんですから大人の俺達がへこたれてたら示しがつきませんよ」

 

友里、藤尭がそう答える。俺も王我が頑張っている以上睡眠を取るのは流石に大人としてどうかと思ってしまう。

 

「それにしても2体のアナザーライダー‥あれには何か関係性があるのか」

 

「ん‥?何かメールが来ました。差し出し人は不明です」

 

友里が突如来た謎のメールを確認する。

 

「うーん、一度ウイルスの危険があるか確認しておこう」

 

「ええっと、特に問題はないわね。普通のメールよ」

 

了子くんがメールのウイルスチェックを速攻で終わらせた。

 

「じゃああけますね」

 

「‥!これは‥⁉︎」

 

 

 

草加さんは諦めて俺に真実を語ってくれた。

 

「まず佐久間友月には双子の妹がいる。それは知ってるな?」

 

「はい、佐久間蝶陽さん。亡くなったと聞いています」

 

「それは間違いだ。死んだのは姉の方だ」

 

「‥!どういうこと‥⁉︎」

 

「アイツらは同じ交通事故で意識不明になった。そして蝶陽は助かり友月は死んだ。これが真実だ」

 

「アイツらは幼い頃父を亡くし、母はそのショックで精神が崩壊、それから寝たきり生活だ。その後2人は流星塾で過ごしていた。そして卒業後親戚に引き取られたがそこで問題が起こった」

 

「蝶陽は優秀な奴だった。だが姉は更に上を行っていた。周りは姉ばかりを褒め、自分を褒める人などいなかった」

 

 

「友月が死んだ時も生きるべきなのは自分じゃない、周りが欲していたのは友月の方だと、そんな思いが積み重なり、蝶陽は自分を友月だと言い聞かせ姉の振りを続けて生きてきた。今じゃ完全に自分の事を友月だと思っている」

 

「多重人格に近いってことなんですか‥」

 

「そして死んだはずの友月がなぜかこの世にいる。不気味な怪物になってな。自分のせいで他人に迷惑をかけないよう、妹の人生を食いつぶさないようにアイツは俺に手をかけるよう頼んできた」

 

「それでお前は友月さんの後を追って‥」

 

今まで見てきた友月さんの後の影が草加さんだとはっきりわかった。その理由も。

 

「そもそも何故か戸籍上の明記も蝶陽が死んだことになっている。一応二課の方にこの事を報告しておいたが‥この件には裏で暗躍している奴がいる。何者かは知らないがな」

 

そう言い草加さんは先を急いだ。

 

「(フィーネ‥アイツがこんな事を‥!)」

 

俺はその元凶であろう人物を思い浮かべていた。

 

 

 

ここはある広場の近くの橋の下。

 

また対象者を探しさまよう佐久間友月‥いや佐久間蝶陽。

 

「お願い、もうやめて!」

 

友月が蝶陽に訴えかける。蝶陽は一歩ずつ彼女に近づいていく。しかし

 

「‥!」

 

草加が友月の肩を掴み、蝶陽から離す。

 

「お姉ちゃんを離して!」

 

「お前、自分が蝶陽だと‥」

 

草加も知らなかったのだろう。彼女が本当は蝶陽であることを知っていたことを。

 

「気付いたよ、この力を貰う少し前にね」

 

「お前の妄執は俺が断ち切ってやる」

 

友月を掴む腕に更に力が入る。

 

「私はお姉ちゃんに生きていて欲しい。たとえ自分が迫害されても死んでもお姉ちゃんという存在はあって欲しい!」

 

「それを邪魔するなら許さない。それがたとえ草加さんであっても‥!」

 

FOURZE

 

アナザーフォーゼに変身した蝶陽により今度は友月と草加が引き離される。そして草加は

 

「ぐあぁ‥」

 

そのまま顔を殴られた。地に伏せてる時更に首を掴まれ体を持ち上げられる。

 

「ゆ、友月‥逃げろ‥!」

 

「蝶陽⁉︎なん‥」

 

突如本当の友月が胸を抑え悶えている。

 

「もう‥抑えられな‥」

 

FAIZ

 

「‥!友月まで‥!」

 

段々と草加の首を掴む力が強まっていく。今にも骨が砕ける音がする。まさにトドメをさそうとしたときだった。

 

 

 

 

 

「おりゃあ‼︎」

 

俺はライダーに変身せず生身でアナザーフォーゼに殴りかかった。しかし何もなければ俺もただの人間。簡単に攻撃は止められてしまう

 

「ぐあぁ!」

 

更にアナザーフォーゼに腹を殴られ地面に這いつくばる。口元から血が出ているのを感じた。

 

「逢坂‥どうして‥」

 

草加さんは息を切らしながら俺に問いかけててきた。

 

「あなたのことは苦手だ、草加さん‥でもね、それでもあなたは仲間なんだよ!悔しいけどね‥」

 

「こっからは俺達専門家の番だ。草加さんは下がってて」

 

そう言われ草加さんは少し悔しそうな表情をしその場を離れた。

 

「あなた達は家族の事を思って動いていた。だけど行き過ぎた行為は罪だ」

 

「俺は王様になる男‥民の罪は俺の罪だ‥。お前たちの罪‥俺が背負ってやる!」

 

『ジクウドライバー』

 

ジオウ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

仮面ライダージオウに変身する。

 

「はあぁぁ‼︎」

 

そして俺は2体のアナザーライダーに立ち向かっていった。余りに目の前の状況に集中していた為俺はポケットに入っていたあのライドウォッチが光っているのに気づかなかった。

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「あの戦い方‥」
「俺は‥約束したんだ‥」
「必ず心の中にいる!」
「(間違いない‥アレは‥!)」
「俺達が」
「お前たちを救う!」

EP18 リターンニューヒーロー2003→2043


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EP18 リターンニューヒーロー2003→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。アナザーフォーゼ並びアナザーファイズを追跡する中、逢坂王我はかつての知り合い草加雅人に出会う。そして彼から事の真実を語られる。佐久間姉妹の関係、また我が魔王の運命は如何に。‥それにしても歴史がここまで変化するとは‥私も動かねばならないね‥


アナザーライダー2体同時の戦闘はキツく、一方に集中するともう一方からの攻撃がくる。しかし俺が注意するべきなのはそれだけではなかった。

 

「いやあぁぁ!」

 

アナザーファイズが近くをたまたまこのルートを逃げ道としていた女子生徒を青い魂のようにし、体内に取り込んだ。

 

「しまっ‥」

 

そちらに気を取られた隙に

 

Chainsaw ON』

 

アナザーフォーゼが右脚に装備したチェンソーで切りつけられる。

 

「ぐあぁっ‥!」

 

今のはかなりのダメージがきた。立ち上がるのにとても苦労する。

 

 

 

 

 

「王我!」

 

司令は先から苦戦する王我を心配する。

 

「し、師匠‥私も‥行きます‥」

 

「響くん!君はまだ動けないだろう、今は我慢するんだ!」

 

「‥わかりました‥でも、せめてここで王我さんの戦いを見せてください!」

 

立花も自分の現状をしっかり把握しているのだろう。今までと違い無理に戦闘に出ようとはしない。

 

「司令、どうか許可を」

 

私も立花の意見を尊重した。

 

「‥わかった」

 

「もし王我に本当に危機が迫ったら一時撤収も検討する」

 

 

 

 

なんで自分はこんなことをしているのだろう。いやそもそも何故死んだ私がこの世にいるのだろう。

あれは2年前のこと、私は周りからは良くしてもらい、不自由ない生活をしていた。ただそんな私の成績と比べられ妹の蝶陽は苦しそうにしていた。そんな蝶陽が楽しそうにしている時があった。それが星を見ているときだ。いつも笑顔で私に星について教えてくれる。私はその時間がとても好きだった。

 

そんなある日蝶陽が山に行って天体観測がしたいと言い出した、受験勉強も控えあまり時間が取れるか分からないが蝶陽の楽しそうな顔を見てたら私も行きたくなった。そして当日一緒に山へ向かおうとした時、一台のトラックがこちらに突っ込んできた。

気づいた時には病院のベッド、しかも体は全然いうことを聞かない。体は重く、痛い。目蓋も重く、これが死だと感じた。

 

「(あぁ、私約束守れなかった‥蝶陽と一緒に流れ星を見るって約束したのに‥)」

 

海の底に落ちて行くような感じ、そのまま身を任せるかのよう目を瞑るが

 

「なら、その願い叶えてやろう‥」

 

謎の人物がそこにいた。ローブを羽織っていて顔が見えない。声も何重に重なって聞こえ男か女かも区別がつかない。

 

「(⁉︎誰⁉︎)」

 

「そんな事はどうでも良い。お前は妹との約束を果たしたいのだろ?」

 

「(ええ、私は蝶陽と一緒に流れ星を見るために生きたいの!)」

 

私はここで代償を聞くべきだったのだろう。だが蝶陽との約束のことで頭がいっぱいだった。

 

「ならこれを授けよう‥」

 

「何‥これ‥」

 

私の心臓付近に何かを埋められた。

 

「拒否権はない」

 

激痛が走り、埋め込まれた部分から紫色の光が私を包む。

 

FAIZ

 

「今日からお前が仮面ライダーファイズだ」

 

気がついた時には私はあの人のいう通りこの世に戻ることが出来た。初めは自分が生きているのだと思っていた。けど違った。今私のいる時間は私が死んでから2年後の2043年。さらに心音はないため完全に生き返ったとは言えない。何もわからない時間の中でもっと自由になりたい。そう思ったときあの力が爆発した。最初はまだ制御できた。だが段々とこの力が私の精神を乗ったり人を襲うようになった。最近ではもう抑えることが出来ない。

 

「はぁ‥はぁ‥」

 

段々と自分が自分でなくなるような感覚とはこの事を言うのだろう。既に何人か被害者を出してしまい、更に草加さんから蝶陽の現在の状況を聞き、私は草加さんに自分を始末してもらうよう頼んだ。ただそれを蝶陽は許さなかった。結局私もこの力に飲まれてしまい今に至る。

 

 

どうしてお姉ちゃんは止めてなんて言うのだろう。私は昔からお姉ちゃんのことを尊敬していた。何でも出来るお姉ちゃんを。私も見習い頑張るがお姉ちゃんほどの成績は出せずいつもお姉ちゃんと比べられる。比べられるのは嫌いだがお姉ちゃんことは好きだ。周りからあまり良い目で見てもらえない私も星を見てる時はそんなことどうでも良く感じられた。そしてお姉ちゃんと一緒に星を見ている時は一番楽しかった。

受験ムード本番に差し掛かろうとするとき、私はお姉ちゃんを天体観測に誘った。本来は行くべきではなかっただろうがその夜は特別星が綺麗に見える最高の天候が予測されていたので、どうしてもとお姉ちゃんにねだって一緒に行くことになった。

 

そして当日。一緒に山に向かおうとした時一台のトラックが突っ込んできた。その交通事故で私達は重体を負った。気付いたら大量の包帯を体に巻き病院のベッドに横たわっていた。隣を見るとお姉ちゃんが眠っていた。意識は朦朧としていたが

 

「せめて友月さえ生きてくれれば‥」

 

「お医者様にも友月を優先的に治療するようお願いしよう」

 

その言葉に私は絶望した。皆は私のことを必要としていない。お姉ちゃんさえいれば私は不要なんだと。

 

「あなたは誰‥?」

 

全身をローブで包んだ謎の人物が目の前に現れる。

 

「まぁ‥時の魔術師とでも名乗ろう。それよりお前は何故そのような顔をする?」

 

「皆お姉ちゃんを必要としているんだ。私なんか‥友月お姉ちゃんさえいれば‥」

 

「何を言う、お前は佐久間友月だ」

 

一瞬何を言っているんだろうと思った。でもまるで眠気が急に襲い掛かってきた。

 

「お前は佐久間友月だ」

 

網羅する意識の中その言葉が何度も何度も繰り返される。

 

「私は、佐久間‥」

 

私の名前は‥

 

「友月だ‥」

 

それから目が覚めたら変わっていたことが2つ。一つはベッドが隣のと入れ替わっていたこと。最後は、隣の患者が亡くなったこと。

 

その後退院し学校へ復帰、なんとか大学受験をして地元を出て都内へ戻り今は世間的にレベルの高い大学に通っていた。

 

「あれ?友月じゃん?久しぶり!何してんの?こんなところで」

 

この人は‥

 

「(確かこの人達はあれ‥なんか思い出せない‥。でも反応しないと‥)」

 

「ええっと‥」

 

「あれ友月、その慌てた時に首振る癖まるで友月がよく話してた妹の蝶陽みたい!」

 

「(首を振る癖‥)」

 

「あっ‥ごめん‥蝶陽はもう‥」

 

「(いや‥違う‥)」

 

「ってこんなことしてる場合じゃない!急がなきゃ!本当にごめん!」

 

その時頭にかかっていたモヤが全てなくなったようだった。

 

「そうだ‥!私は蝶陽‥!友月お姉ちゃんじゃない!」

 

「じゃああの時亡くなったのは‥」

 

今まで信じていたものが全て嘘だったことに私は絶望した。

 

「お姉ちゃんは‥もうこの世にいない‥」

 

そこから気が狂いそうな毎日が続いた。勉強もお姉ちゃんだと思っていたあの時ほどの成果は全く出す、私は大学を休む日々が続いた。そんなある日

 

 

「何‥あれ‥?」

 

警戒警報が発令されノイズから逃げる私だったが黄色の鎧を纏った少女と宇宙飛行士のようなスーツに身を纏わせた人だった。彼らはあのノイズに立ち向かっていた。その戦いぶりに目を奪われかけた瞬間、周りの動きがピタリと止まった。

 

「あなたは‥?」

 

私はその止まった空間内で動く自分以外の人物に話しかける。

 

「貴方に特別な力を与える者よ。それによりあなたのお姉さんは生き返るわ」

 

「特別な力‥!お願い!それを私にちょうだい‼︎」

 

そんな力にはきっと代償がつくだろう。だが真実を思い出し、精神が不安定だった私には姉が生き返ると言う言葉しか興味なかった。

 

「聞き分けのいい子ね」

 

FOURZE

 

「今日から貴方が仮面ライダーフォーゼよ」

 

それから私はお姉ちゃんと同じ誕生日の天秤座生まれの女子生徒。その人達の魂を集め、お姉ちゃんを完全に現世に復活させる為に。でもお姉ちゃんはそれを拒んだ。どうして‥。

 

 

2体のアナザーライダーに袋叩きにされ体にも限界がきた。きっとこのままでは負けてしまうだろう。

 

「まだだ‥」

 

俺は立ち上がる為に拳に力を入れ気合いを入れる。

 

「俺は‥約束したんだ‥」

 

それは数年前、ツヴァイウィングの初ライブの前日だっただろうか。

 

「いよいよ明日‥なんか実感湧かないな、私がステージに立つなんて」

 

「でもまだそんなにデカイ舞台じゃないんだから気楽にいけばいいさ」

 

「大丈夫だよ翼、これまでみっちり練習したじゃないか。それを活かすだけだよ」

 

奏も俺も自信がない翼を励ましていた。

 

「ううん、それだけじゃなくて、もしライブ中にノイズが来たら私達はお客さんを守れるのかなって‥」

 

 

「安心してよ。俺が何とかするからお前たちは夢を叶えるために頑張って」

 

「大丈夫だ、俺は絶対王様になる。その前にお前たちがトップアーティストになって、いつか『王様も絶賛したツヴァイウィング』と呼ばせてあげるよ」

 

「あはは、やっぱり王我は変わってるね」

 

緊張していた翼にも笑顔が戻る。

 

「でも王様ってたまに暴君になったりするだろ?そん時はアタシが止めてやるよ」

 

奏は俺を心配してそんな発言をしたのだろう。

 

「うん、でも俺はそうならないように気をつけるよ。奏も自分の夢を叶えてね」

 

「あいよ!」

 

 

 

 

「誰もが自分の夢を叶えるために生きている。蝶陽さん、あなたにも夢があるはず、昔から持っていたあなたの夢を!」

 

その言葉にアナザーフォーゼは体の動きが止まり、アナザーファイズもまるで力に抗おうともがき苦しんでいる。

 

「お姉さんは例えこの世にはいなくても必ずあなたの心の中にいる!」

 

「(俺や翼の心の中に奏がいるように‥)」

 

「きっとお姉さんもあなたが夢を叶えることを応援している」

 

「俺もあなたの夢を叶えることを応援する」

 

「そして王様として‥皆の夢を守る!」

 

ファイズ

 

ファイズライドウォッチをジクウドライバーに挿し込もうとした時

 

「変身!」

 

どこからか声が聞こえ

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

「何だアレは⁉︎」

 

そこにいたのはジオウとベルトは同じだが姿が異なるライダー。全身は赤く、顔には平仮名で『らいだー』と刻まれている。

 

「加戦する」

 

そして赤いライダーはアナザーファイズに向かい殴打を繰り返した。いや、俺はあの戦い方を知っている。俺達は背中を合わせ

 

「これを使ってくれ」

 

俺はゴーストとファイズのウォッチをあのライダーに渡す。ベルトの形状が同じなのできっと使えると思った。それを受け取ったあのライダーは俺から背中を離し、アナザーファイズに立ち向かっていった。アナザーファイズはノイズを生み出して陣形を固めた。

 

「ノイズが多いな‥」

 

ゴースト

 

俺が渡したゴーストライドウォッチを起動させる。

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

 

アーマータイム!カイガン!ゴースト!』

 

ゴーストアーマーを纏ったライダー。パーカーをいくつか召喚し、ノイズにぶつける。

 

 

 

まだ絶唱の代償で身体の回復が不完全な私は指令室のモニターであの赤いライダーの戦いを見ていた。

 

「(あの戦い方‥間違いない‥アレは‥!)」

 

私は勢いよく指令室を出るが司令は何も止めず私を見守っていた。きっとあの人も気づいたのだろう。

 

 

周りのノイズが完全に片付きやっとアナザーライダーに集中出来る。

 

「あの怪物はこれで倒すんだな」

 

ファイズ

 

ファイズライドウォッチを起動させ、ベルトにセットし一回転。

 

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツアーマータイム!Complete ファイズ!』

 

ファイズアーマーを纏ったライダー。

 

「俺も‥!」

 

 

フォーゼ

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

アーマータイム3!2!1!フォーゼ!』

 

俺もフォーゼアーマーを纏いアナザーフォーゼに大ダメージを与える。

 

ファイズフォンによく似た携帯、ファイズフォンXの【5】のボタンを3回押す。

 

『レディ!ショットオン!』

 

ファイズショットが赤いライダーに装備され、それでアナザーファイズを殴りにかかる。アナザーファイズは吹っ飛ばされ、それは落下地点にクレーターができるほどの威力だった。

 

「俺達が‥」

 

「「お前たちを救う!」」

 

フィニッシュタイムフォーゼ!』

 

俺は各ライドウォッチのボタンを押しドライバーを回転。

 

リミットタイムブレーク!』

 

きりもみキックをアナザーフォーゼにくらわせる。

 

『レディ!ポインターオン!』

 

右脚にファイズポインターが付く。

 

 

フィニッシュタイムファイズ!』

 

同様に各ウォッチのボタンを押す。しかしアナザーファイズがファイズの必殺技、【クリムゾンスマッシュ】のような技を繰り出す。

 

エクシードタイムバースト!』

 

必殺技を出していたアナザーファイズをポインターで狙いを定め、キックを入れる。両アナザーライダーは同じ位置で爆発する。そして爆心地には佐久間姉妹がいた。

 

 

少し経ち2人は目を覚ます。しかし友月からは光の粒子が漏れている。もう現世に留まることが出来なくなったのだ。

 

「お姉ちゃん‥!」

 

「良いのよ、蝶陽。あなたが気にすることはないわ」

 

「でも皆が居て欲しいと思ってるのはお姉ちゃんの方で私は‥」

 

「それは違うよ」

 

「覚えてる?あの夜のこと」

 

お姉ちゃんが言っているのは私が子供の頃、私が星に凄く興味を持ち、天体観測者を目指すと言った夜のことだ。

 

「あなたは私よりずっと星に詳しかった。おばさん達はあなたには何も言わなかったけど、死んだお父さんお母さんはあなたのこと凄いっていつも言ってたのよ」

 

「あなたの夢は天体観測者でしょ?今からでも遅くない、自分のために生きなさい」

 

「ほら上を見て‥」

 

空を見上げると、一つ流れ星がもうすぐ夜が明けようとする空を流れた。

 

「あの時の約束を果たした‥2年越しだけどね‥」

 

「お姉ちゃん‥ごめんなさい‥」

 

「謝ることはないわ。今までありがとう」

 

「お姉ちゃん‥」

 

そして佐久間友月は光となり消えた。

 

 

「はぁ‥はぁ‥」

 

翼がバイクから降り、多少無理矢理ヘルメットを外す。髪が乱れている。普段絶対に外でこんな姿を見せないが今はそんなことはどうでもいいのだろう。俺も戦いの中で気付いた。あの戦い方をする人物を。そしてあのライダーは変身を解除する。

 

「よっ、翼、王我」

 

もう二度と聞けないと思っていた声‥

 

「奏‥!」

 

翼はその人物の名を口にし、その胸に飛びつく。奏の服は翼の涙で濡れていた。

 

「奏だ‥私達の知っている奏だ‥」

 

「お前‥どうして‥」

 

俺も嬉しさがあるがまずは奏がここにいる理由が知りたい。

 

「うーんと、何て言うか‥」

 

奏が腕を組み、悩んでいると

 

「おっと、時間か。じゃ、またな」

 

奏は光となって消えていってしまった。その光は俺のポケットにあるオーマジオウ戦で手に入れたウォッチに注がれた。

 

ゲイツ

 

色が霞んでいたウォッチが鮮やかな色を取り戻す。

 

「さっきのライダーのウォッチ‥」

 

ウォッチを眺めていると先、避難した草加さんがいた。

 

「草加さん、どうしてあなたが戸籍の改変に気づいたんだ?」

 

「‥実を言うと俺も少し前まで知らなかった‥いや忘れていたと言う方がいいな」

 

「忘れていた‥?」

 

「あぁ、だがある日ある男に出会って思い出した、これがその時渡された物だ」

 

ポケットからあるものを出す。

 

「ライドウォッチ!」

 

「先の戦いをみて分かった。これはお前らに必要な物だとな」

 

半ば強引にウォッチを渡される。しかも以前龍我や飛彩さんにもらったウォッチとは違い既に力が宿っている

 

カイザ

 

そして草加さんは多少よろめきながらその場からいなくなった。

 

 

 

 

 

その後、襲われた生徒は全員元に戻り、佐久間蝶陽さんは現在事情聴取を進めている。

 

現在俺と翼は俺の自宅で奏の帰還について考えていた。

 

「しかし、奏が仮面ライダーになるなんて‥」

 

『まぁまだ全然分からないことだらけだけどな』

 

「そうだな。奏がライダーに変身したり‥って翼、何か言った?」

 

「いや、何も‥」

 

『だからこっちだって!』

 

「うわあ⁉︎奏⁉︎」

 

声の主は奏だった。ゲイツライドウォッチが点滅している。これが奏が喋っている印みたいなのだろう。

 

「奏の声が聞こえるの⁉︎」

 

翼は驚きながら俺に聞いてくる。

 

「うん、翼は聞こえない?」

 

「えぇ、全く」

 

『どうやら、王我にしか聞こえないみたいだな。じゃあ中継頼むわ』

 

「う、うん、わかった」

 

『アタシは別に生き返った訳じゃない。どうやらアタシは戦うと決めた時にしか実体化出来ないし、しかも5分しかもたない』

 

「しかも、一度使ったら時間を置かなきゃいけない‥確かに生き帰ったとは言い難いな」

 

「でも奏の意識はここにある。私達の知ってる奏が‥」

 

翼はゲイツライドウォッチをギュっと握る。

 

「うん、どうであれ今奏はここにいる。また戻れたんだあの頃と同じで‥」

 

その手を俺も握ろうとするがテーブルに置いてある龍我と飛彩さんにもらったウォッチが光る。

 

「何だ‥!」

 

クローズ

 

ブレイブ

 

「またウォッチが‥」

 

先の事件と言いこのライドウォッチと言い、俺の知らないことが起こり始めている。その時俺はまだ歴史に変化が起こり始めていることを知らなかった。

 

 

 

「またしてもジオウにしてやられたわね‥」

 

フィーネはまたアナザーライダーがジオウによって倒され少し焦りが見えてきた。

 

「それにしてもあのライダー‥そしてあのアナザーライダー‥一体誰が‥」

 

「どうやらお困りのようだな。少しだけなら手伝ってやる」

 

「何者‥⁉︎」

 

「俺か‥?俺は‥」

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「俺は皆を信じる!」
「アタシがやりたかったこと‥」
「お前は本当に運命を覆せるのか?」
「これが奏が見てきた世界なんだな‥」
「アタシ達が止める!」
「ここからは俺のステージだ!」

EP19 オウガ・オンパレード2013→2043


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EP19 オウガ・オンパレード2013→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。アナザーライダーとなった佐久間姉妹を救出するべく戦いを挑む逢坂王我。戦いの中ファイズの力を取り戻し、更には既に死亡したはずの天羽奏が仮面ライダーゲイツとなり、現れた。そして2人のライダーは共にアナザーライダーを撃破。故人である佐久間友月は妹、佐久間蝶陽に見守られ再びこの世を去った。まさか天羽奏が乱入するとは‥段々と変化するこの物語。私もただ見ている訳にはいかないようですね。


俺は母さんに預けていたエクスキャリオンを受け取りに研究室に向かっていた。

 

「なぁ奏、そのお前に見えるオーラってやつ本当にそうなのか?」

 

奏はどうやらライドウォッチから発せられるオーラみたいなものを感知出来るみたいだ。

 

『あぁ、確証はないがジオウのウォッチには王我に、ゲイツのウォッチにはアタシに流れてるから多分そうだと思う』

 

本人もそのオーラの意味を完璧に理解している訳ではないみたいだ。

 

「そのオーラが仮面ライダーに変身出来るかを表すか‥」

 

そんな話をしていると、ある扉の前に着く。扉が開くと

 

「来たわね、王我」

 

母さんが椅子に座って待っていた。二課本部にある、母さんの研究室。ほとんどの人は入れず、あの了子さんも入った回数は数える程しかない。

 

「母さん、父さんもいたのか」

 

近くで腕を組み父さんが立っていた。

 

「王我、今は他の人間はいないが政府が絡む場所では私のことを逢坂総司令長官もしくは逢坂一也局長と呼べ」

 

「す、すみません‥」

 

いつも多少お茶らけてる父さんもお偉いさんなのかこういうところでは立場をはっきりさせる。

 

「はい、これ。ちゃんと強化しといたわよ。ちなみにこれからは訓練もキツくなるから覚悟しなさい」

 

母さんからエクスキャリオンを返してもらった。

 

「ぐっ‥母さんもキツいや。まぁいいや、エクスキャリオンありがとう!」

 

俺はおじさんから呼び出されていたのですぐに部屋を出た。

 

 

 

「ふぅ‥いよいよね」

 

「あぁ、今フィーネと言う謎の存在が出てきた以上、コイツを使うのに渋ってられない」

 

「本当は心配だけど、大丈夫よね私達の息子だもの」

 

「あぁ、きっと使いこなせる。そのために訓練もつけている」

 

厳重にロックされている一冊の書類。その表紙には【PROJECT】の文字が書かれているがその続きはインクが霞んで見えない。

 

 

 

 

あの事件から数日、私は未来に二課本部を案内していた。

 

「うわぁ、学校の真下にこんなシェルター地下基地が‥」

 

「へへ、凄いでしょ!あっ、翼さん!」

 

緒川さんと一緒にいた翼さんを発見する。

 

「立花か、そちらは確か協力者の‥」

 

「こんにちは、小日向未来です」

 

「えっへん、私の一番の親友です!」

 

「風鳴翼だ。よろしく頼む。立花はこういう性格ゆえ色々面倒をかけると思うが支えてやってほしい」

 

「いえ、響は残念な子なのでご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

 

「ええっ、どういうこと?」

 

仲良く話す二人の会話の理由がイマイチわからない。

 

「響さんを介してお二人が意気投合しているということです」

 

緒川さんはそう言うが、大事な部分が抜けていた気がする。

 

「むうぅ、はぐらかされた気がする」

 

「ふふ」

 

私と緒川さんのやりとりに翼さんは軽く微笑んだ。

 

「でも未来と一緒にここにいるのはなんか変な感じです」

 

「司令が手を回し小日向を外部協力者として登録したが、それでも不都合を強いられかもしれない」

 

「説明は聞きました。自分でも理解してるつもりです」

 

「そういえば師匠と王我さんは?」

 

「あぁ、私も探しているのだが‥」

 

そして探している師匠達の代わりに

 

「あら、いいわね。ガールズトーク?混ぜて混ぜて。私の恋バナ百物語聞いたら、夜眠れなくなるわよ〜」

 

了子さんが話に入ってくる。

 

「了子さんの恋バナ!きっとメロメロおしゃれで大人な恋の物語〜!」

 

私もやはり女子高生。恋愛事は凄く興味がある。

 

「そうね、遠い昔になるわねぇ‥これでも呆れちゃうくらい一途なのよ」

 

「「おおっ〜!」」

 

私と未来は揃えて黄色い声を出した。

 

「意外でした、櫻井女史は恋というより研究一筋であるかと」

 

翼さんもまさかと思ったのだろう。

 

「命短し恋せよ乙女、というじゃない?それに女の子の恋するパワーって凄いんだから!」

 

「女の子って‥」

 

そんなことを言った緒川さんは了子さんに裏拳を決められた。

 

「そもそも私が聖遺物の研究を始めたのも‥あっ」

 

「うんうん、それで⁉︎」

 

何やら頬が赤くなった了子さんを見て更に続きが気になる。

 

「‥ま、まぁ私も忙しいからここで油売ってられないわ」

 

「とにかく、できる女の条件はどれだけいい恋をしてるかに限る!夜忍先輩みたいにね」

 

「ガールズ達もいつかいい恋なさいね。んじゃ、ばっはは〜い」

 

そう言ってその場を立ち去ってしまった。

 

「ん〜ガードは固いか‥でもいつか了子さんのロマンスを聞き出してみせる!」

 

「それにしても司令達戻ってきませんね。スケジュールも押してきてますし」

 

復活した緒川さんがスケジュール帳を見ながら心配する。

 

「もうお仕事いれてるんですか?」

 

「少しずつよ。まだ肩慣らし程度のつもり」

 

「じゃあ前ほど忙しい訳じゃないんですね。翼さん、デートしましょ!」

 

「え、デート?」

 

翼さんの驚いた顔が少し面白かった。

 

 

 

 

 

フィーネの放ったノイズから逃げたアタシは今、廃墟されたビルの一部屋で身を潜めていた。ここなら大丈夫だと思っていたが、その瞬間何かの足音が聞こえた。しかも二人分。

 

「(誰だ!ここは空き巣じゃねぇのか⁉︎怪しい奴ならぶん殴って‥)」

 

そこにいたのは

 

「ほらよ」

 

あん時のおっさんだった。おっさんはビニール袋からアンパンと牛乳を取り出してアタシに差し出す。

 

「護衛として王我しか連れてきていない。実際には君の保護を命じられたのはとうとう俺1人になってしまったからな」

 

後ろからジオウも顔を出す。

 

「どうしてここが‥」

 

「元公安の御用牙でね、慣れた仕事さ。ほら、差し入れだ」

 

「多分だけど一日以上何も口にしてないでしょ?」

 

「何が目的だ‥」

 

何か企んでるんじゃないかと疑う。

 

「何も盛っちゃいない、安心してくれ」

 

おっさんは証拠としてアンパンをひと嚙りし、こちらに渡してきた。腹が減ってたのは本当なので黙々とアンパンと牛乳を頬張る。

 

「ヴァイオリン奏者雪音雅律と音楽家ソネット・M・ユキネが難民救済の活動中に戦火に巻き込まれ死亡したのが8年前」

 

「ふん、よく調べてるじゃねぇか、そういう詮索反吐が出る!」

 

「当時適合者を探すために音楽界のサラブレッドに注目していてね。天涯孤独となった少女の身元引受に手を挙げたのさ」

 

つらつらとアタシに関する情報を喋る。

 

「だけど、少女は帰国直後に行方不明。皆慌てて二課からも何人も捜査員が派遣したけど‥」

 

「関わった人のほとんどが死亡、または行方不明になって最悪な状態で手を引くことになったんだ」

 

ジオウはアタシを探していたとかいう過去を話していた。

 

「何がしたいんだ、お前ら!」

 

「俺らは君を助けたいんだよ」

 

「王我の言う通りだ、引き受けた仕事を成し遂げるのも、大人の務めだからな」

 

ジオウに次いでおっさんもそんな綺麗事を言う。

 

「はんっ!大人の務めときたか!余計なこと以外はいつも何もしてくれないくせに!」

 

アタシ窓ガラスに向かい突っ込み

 

『Killter Ichaival tron』

 

聖唱を唱え、ギアを纏う。着地すると外は雨が降っていた。

 

「(アタシは何を‥⁉︎)」

 

「ちっ、またお前らかよ‥雨なのにご苦労なこった」

 

またアタシを追ってきただろうノイズがチラホラ姿を表す。構えをとった後

 

「君だけ戦わせる訳にはいかない」

 

ジオウがビルから出てくる。

 

 

 

建物から出るとあの子とノイズが戦闘を始めようとしていた。

 

「奏、いけるか?」

 

『あぁ、少し暴れたい気分だったし、アタシも試したいこともあるしな』

「よし、行くよ」

 

そうして俺から出た光の粒子が奏の身体を形成していく。

 

 

クローズ

 

俺達はビルドドライバーを巻き、

 

ラビットタンクスパークリング!』

 

俺は缶型アイテムラビットタンクスパークリングをドライバーに装填し

 

Wake upクローズドラゴン!』

 

奏はドラゴン型自立行動メカ、クローズドラゴンにドラゴンフルボトルを装填し、ビルドドライバーに挿す。そしてレバーを回し、それぞれスナップライドビルダーが出現する。

 

『『Are you ready?』』

 

「「変身‼︎」」

 

半身同士が合わさり

 

シュワッ弾けるラビットタンクスパークリング!イェイ!イェーイ!』

 

Wakeup burning

Get CROSSーZ DRAGON!YEAH!』

 

「いけた‥!」

 

俺は仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォーム。奏は仮面ライダークローズに変身した。

 

「今のアタシは‥負ける気がしねぇ!」

 

「奏、戦い方は‥」

 

「‥大丈夫だ、なんか頭ん中に戦い方が流れてる!」

 

 

しかしノイズは2組に分断してしまい、一方は市街地に向かっていた。

 

「おい、ここは任せたぞ。あっちはアイツとこの天才物理学者に任せとけ!」

 

雪音クリスに俺はそう言い、奏と共にノイズを追おうとすると

 

「なぁ、ジオウ。なんでお前はアタシなんかを頼るんだ‥?」

 

そう問いかけてきた。

 

「俺は皆を信じる!その相手が誰であろうと、もちろんお前もな」

 

俺は素直に答えて、今度こそノイズを追う。

 

 

 

追いかける内ノイズとある程度距離が詰められたのでトドメをさそうとする。

 

「奏、一気に決めるぞ」

 

「わーってるよ!アタシ達が止める!」

 

ビルドドライバーのレバーを回し必殺技を放つ。

 

『『Ready go!』』

 

ドラゴニックフィニッシュ!』

 

クローズは蒼炎のドラゴンが吐いた炎に乗り、青い炎を纏ったボレーキックを決める。

 

 

スパークリングフィニッシュ!』

 

俺はワームホール状の図形を出現させそこにノイズを集める。そこへ無数の泡を纏ったライダーキックを放つ。一体も残さず殲滅したのを確認し、変身を解除する。そして戦い終わった奏も姿を消した。

 

「あっちも無事だといいんだが‥」

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥」

 

周りのノイズは片付き、アタシは武器を下ろす。

 

「(何してるんだ、アタシは。逃げて隠れて、追っ手のノイズをぶっ倒して)」

 

「(それに比べ、あのおっさんやジオウは‥)」

 

『俺は皆を信じる!』

 

「アタシのやりたかったこと‥」

 

『王我の言う通りだ、引き受けた仕事を成し遂げるのも、大人の務めだからな』

 

「(やり遂げる‥そうだな。逃げてるなんてアタシらしくないか)」

 

「いいさ、やってやるよ。これ以上、あんな奴らに好き勝手言われてたまるか!」

 

 

 

 

「すみませ〜ん、翼さ〜ん!」

 

「おっ、来たか。おーい!響!未来!」

 

王我さんもこちらを確認し手を振る。王我さんと未来の接する時間が増えたので呼び方が柔らかくなっていた。

 

「はぁはぁ‥申し訳ありません。お察しだと思いますが響のいつもの寝坊が癖で‥」

 

「‥時間がもったいないわ、急ぎましょ」

 

翼さんは先を急いでしまう。

 

「すっごい楽しみにしてた人みたいだ」

 

「!誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!」

 

ぼそっと言ったつもりだったのだが聞こえていたみたいだ。

 

「えへへ、翼イヤーはなんとやら‥」

 

「二人とも早くしないと翼に置いてかれるよ!」

 

その後はショッピングに行ったり映画を見たりクレープを食べたりして過ごした。ゲーセンでギアを使ってUFOキャッチャーの機械を壊そうとしたのは流石に怒られた。

 

「おおっ、凄い!私達ってば凄い!トップアーティストとカラオケに来るなんて!」

 

そして私達はカラオケに来た。早速翼さんが曲を入れたと思ったら

 

「って、演歌?」

 

「一度こういうのやって見たかったのよね」

 

一礼までして本格的なスタイルだった。あと歌は文句なし。

 

「慣れてるなぁ〜」

 

「渋い‥」

 

「ひゃあ〜カッコいい!」

 

「やっぱり凄いね!」

 

そんな翼さんのありがたい一曲の後も私達も普通に楽しんだ。あと王我さんが歌が上手かったのはちょっと驚いた。

 

 

そんな時間はあっという間に過ぎ、気づけばもう夕方。

 

「翼さ〜ん、早く、こっちこっち!」

 

立花が階段の上から手を振る。

 

「二人とも、どうしてそんなに元気なんだ?」

 

「翼さんがへばり過ぎなんですよ〜」

 

小日向もまだ元気がありそうだ。

 

「今日は慣れないことばかりだったから‥防人であるこの身は常に戦場にあったからな、本当に今日は知らない世界ばかり見てきた気分だ」

 

「そんなことありません。ほらこっち来てください」

 

立花が私のところまできて手をひく。

 

「お、おいどこに‥」

 

そこは街全体が見渡せる場所だった。夕焼けの光が街へ差し掛かりなんとも美しい光景だった。

 

「へえぇ、こんな場所があったんだな」

 

王我もこの景色に興味を持ったのだろう。

 

「あそこが待ち合わせした公園で、皆で遊んだ場所も、全部翼さんの知ってる世界です」

 

立花が各場所を指差して説明する。

 

「今まで翼さんが戦ってくれたくれたから、今日、皆が暮らせるんです!だから知らないなんて言わないでください‥」

 

「(思い出した‥奏も言ってた‥)」

 

「これが奏の見てきた世界なんだな‥」

 

私は自分が守ってきた街をじっと見つめた。

 

 

 

最後にいい夕焼けが見れて満足した翼は

 

「いい一日だった。二人にはお礼をしないとな。こんなものでお礼になるかは分からないが」

 

バッグからあるものを取り出した。

 

「これって‥復帰ステージのチケット⁉︎」

 

「アーティストフェスが10日後に開催されるのだが、そこに急遽ねじ込んでもらったんだ」

 

「‥立花にとってもつらい思い出のある場所だが‥」

 

その場所は二年前のあの出来事を今でも思い出させる。それは俺も翼も響も同じだ。

 

「ありがとうございます、翼さん」

 

「いくら辛くても過去は絶対乗り越えていけます。そうですよね、翼さん!」

 

「‥そうね。辛くてもきっとその後に良いことがある。王我や奏が戻ってきたみたいに。私はそう思いたいわ」

 

 

 

それから日が経ち

 

「ふあぁぁ〜今日の訓練も疲れた‥」

 

今日は前回の訓練メニューに加え、今まであまり無かった射撃訓練もやらされた。しかもデカイライフル。最近俺だけ訓練が多くなって大変だ。多分改修したエクスキャリオンに慣れるためなのだろう。でもノイズ被害は最近では起こっていない。翼のライブまで平和であって欲しかったがそうもいかなかった。ノイズがビル裏に何体かいた。

 

「ノイズ⁉︎どうして⁉︎」

 

まだ警報は鳴らず、誰も気づいていない。このままでは民間人に被害がすぐに出てしまう。ただ今エクスキャリオンは訓練で使用した為、使えない。

 

「だったら‥」

 

鎧武

 

鎧武ライドウォッチを起動させた。そして俺は戦国ドライバーを腰に巻き

 

「変身!」

 

オレンジ

 

オレンジ型の錠前、オレンジロックシードのロックを開ける。するとジッパーを開けたみたいにクラックが現れ、頭の上から巨大オレンジが出現する。

 

ロックオン!』

 

螺貝のような音が鳴る。ドライバーに付いているカッティングブレードでロックシードを切ると

 

ソイヤオレンジアームズ花道オンステージ!』

 

先ほど出た巨大オレンジが頭に被さり、俺は紺を基準としたスーツを纏う、そしてオレンジが徐々に展開し鎧を形成していく。仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ。

 

「ここからは俺のステージだ!」

 

戦国ドライバーに付属している無双セイバーとオレンジアームズの武器、大橙丸を手に斬りかかる。ノイズは確実に倒していくが

 

「さすがに多すぎる‥」

 

先より何故か数が増えている。このままでは人が多いところに出てしまう。それは防ぎたい。

 

カチドキ

 

新たなロックシードを開錠する。

 

ロックオン!』

 

オレンジロックシードと入れ替えドライバーにセットし、カッティングブレードで切る。

 

ソイヤ!カチドキアームズいざ出陣エイエイオー!』

 

更に戦国武将感が増し、更に背には二本の旗を背負っている鎧武 カチドキアームズ。ノイズがこちらに攻撃するがびくともしない。

 

俺はカチドキアームズの武器、火縄大橙DJ銃のターンテーブルをスクラッチする。螺貝の音が鳴り、トリガーを引くとエネルギー弾がノイズを数体蹴散らした。

 

「一気にいく!」

 

ツマミを移動させ先より早いビートを刻む。そしてターンテーブルをスクラッチし火縄大橙DJ銃を再び放つ。マシンガンのように弾を連発し辺りのノイズを殲滅していく。

 

「はぁ‥もしかしてあの子が近くに‥」

 

イチイバルの子が近くにいるかと思ったがいない。遠くにいってしまったのか、それとも‥

 

 

その時近くのビルの影からは

 

「ほう‥話に聞いた通り、他のライダーにも変身出来るのか‥」

 

「魔王‥お前は本当に運命を覆せるのか‥?」

 

 

 

 

とある場所にて

 

 

「お前、元々下手なんだよ」

 

「お前みたいなのはこのチームに要らない」

 

同じ服を着た男達がある一人の男に向かって言い放った。

 

「ふざけなるな!」

 

一人放られた男は悔しさで地面を叩く。その瞬間時が止まり、

 

「あの人達に復讐したいでしょう?じゃあこの力を受け取りなさい」

 

「ぐあっ‥!」

 

ウォッチをねじ込まれ、もがき苦しむ。

 

「悪いけど私もあまりゆっくりしていられないの多少強引なのはすまないわね」

 

GAIM

 

「今日からあなたが仮面ライダー鎧武よ」

 

 

 

更に日は過ぎ

 

「もうすぐ翼のライブか、楽しみだなぁ」

 

家に帰宅しようと歩いていると

 

「確かこの怪物は‥インベス‥!」

 

薄っすらとした記憶からその名が出てきた。

 

「相手がインベスなら‥!」

 

鎧武

 

鎧武ライドウォッチを起動させる。確か鎧武はインベスと戦っていたはず、ならエクスキャリオンで挑むより鎧武の力を使った方が良いはずだ。

 

「変身‼︎」

 

オレンジ

 

ロックオン!』

 

ソイヤオレンジアームズ花道オンステージ!』

 

鎧武に変身し、市民を守る。

 

「はあぁっ!」

 

無双セイバーと大橙丸の二刀流の形で戦う。

 

「はあぁぁ!」

 

今回はノイズはいないのでそこまで苦戦はしないと思っていた。

 

「ぐっ‥」

 

突如鎧武の力が消えた。

 

GAIM

 

アナザー鎧武がインベスを引き連れ、姿を現す。

 

「アナザー鎧武‥」

 

そして力を失った俺にインベスが襲いかかろうとした。

 

「はああぁぁっ‼︎」

 

「大丈夫か王我?」

 

「おじさん!」

 

「一先ず逃げるぞ!」

 

おじさんはインベスを道路の破片で壁を作り、進路を塞ぐと俺を抱え退散した。しかしそれに対し壁を登り切ったインベスがおじさんに襲いかかる。

 

『させるか!』

 

ゲイツ

 

『ジクウドライバー』

 

「奏!」

 

奏が実体化しジクウドライバーを巻く。

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

ゲイツに変身した奏ばスイカの柄をしたライドウォッチを起動させる。

 

スイカアームズ!コダマ!」

 

ライドウォッチ型から人型に変形する。小さい鎧戦士、コダマスイカアームズ。

 

コダマシンガン!』

 

コダマスイカアームズは無数の種を発射しインベスを追い返す。追跡をやめさせたアナザー鎧武はクラックを開けヘルヘイムの森と呼ばれるインベスが元いる場所に返した。

 

「王我、旦那!ここはアタシに任せろ!」

 

「すまない!」

 

翼のライブまであと3日。時間が少ない。とにかく翼を心配させないようアイツを倒す、その為に早く鎧武の力を完全に取り戻さなければならない。

 

「(早くしなきゃ、翼のためにも!)」




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「ちくしょう‥フィーネ」
「クリスちゃん、一緒に戦うよ!」
「この思いを全て歌に乗せて‥」
「あの会場で唄いきってほしいんです!」
「許すさ。当たり前だろ?」
「花道でオンパレードだ!」

EP20 ミーアンドウィングステージ2013→2043


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EP20 ミーアンドウィングステージ2013→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。小日向未来との仲が回復した立花響。彼女は多忙な風鳴翼の気分転換に誘う。その中で二人に復活ライブのチケットを渡す。一方、我が魔王はノイズの戦闘で仮面ライダー鎧武に変身するもその能力はアナザー鎧武の出現により消えてしまう。更には雪音クリスは風鳴弦十郎に保護されるかも思いきや逃亡。さて今回はどのような物語になるのでしょう。


アナザー鎧武から逃げてきた俺はヤツの手掛かりを探していた。多分一番の手がかりになりそうなのがチームバロン、俺の知り合いである駒紋戒斗がリーダーを務めるダンスグループだ。

 

「‥出ないか‥」

 

今戒斗に連絡をするが出る気配がない。ここ数日でチームバロンのメンバーの何人かが姿を消しているからそれと関係してるのだろう。

 

「アシラの甥、スバル。この人が怪しい‥」

 

ただ前回のアナザーファイズの件のように俺が知らない形でアナザーライダーが出てくるかもしれない。余り鵜呑みにすることは出来ない。

 

「いつまで経っても繋がらない‥じゃあ‥」

 

俺はそう思いある場所に向かうことにした。

 

 

「やっぱりここでやってたか‥」

 

駅前の広場。ここは人目が多く出し物をするにはもってこいである。そしてそこでダンスパフォーマンスをしているのがチームバロンである。

 

「逢坂王我‥」

 

あちらも俺のことは知っているので別に追い返そうとはしない。

 

「戒斗はいないのか?」

 

その質問をするとある男が

 

「黙れ、アイツはもういない。俺が新リーダーのスバルだ」

 

俺を上から見下ろし、自分がリーダーであることを主張する。

 

「アンタがリーダーか‥悪いが少し彼らと話がしたい。時間をくれないか?」

 

「‥まぁ、いいだろう」

 

本当は今すぐアナザーライダーかどうか確認したいが、ここでは人が多く、もしアナザーライダーになられたら大変だ。あえてその質問はしないことにし、俺はメンバーに質問を始めた。

 

「なぁ、本当に戒斗もザックもいなくなったのか?」

 

「あぁ、数日前からぱったりとな。それに連絡も無い。お前もここに来たってことはそうなんだろ?」

 

「うん、携帯にかけても出てこない。もしまたなんかあったら俺に教えてくれ。知り合いの警察官に協力を願うから」

 

チームバロンのメンバーは俺が二課勤めなのを知らない人間が多い。だが家柄の関係で警察との知り合いが多いことは知っているのでそれだけを伝えその場を離れた。

 

 

 

 

アタシはフラフラとこの辺を歩いているだけ。あとなんかいい寝床があれば良いと思って歩いている。そしたらたまたまなんかダンスグループを見つけた。チームを組んで、協力して‥でも

 

「チームか、何だか‥」

 

アタシは信頼していたものに裏切られた。それだからチームとかいう信頼が必要なものは信用できない。ダンスチームが踊り終わるとアタシはその場からたちさった。

 

「‥‥」

 

アタシはこれからどうするかで頭がいっぱいだった。だからそんとき誰かが見ていることに気づかなかった。

 

 

 

ここはビル裏。人通りはなく、秘密の会話をするのにちょうどいい場所だ。

 

「なぁ、スバル。俺見ちまったんだ。お前が怪物になって戒斗さん達を‥」

 

その続きを言おうとするとスバルは彼の頭を掴む。

 

「だったら‥どうだっていうんだよ‥!」

 

GAIM

 

「うわぁぁぁ‼︎」

 

アナザー鎧武がそのまま頭を掴みクラック内、ヘルヘイムの森に突き離つ。

 

 

 

 

「やっぱりお前がアナザー鎧武だったか!」

 

叫び声を聞いた俺はすぐさま救出に向かう。

 

武装、展開!

 

改修されたエクスキャリオンでアナザー鎧武に斬りかかる。その一撃で相手はよろめく。以前より確実にダメージが与えられるようになっている。

 

「ぐっ‥間に合わないか‥」

 

だがクラックが閉まるスピードが予想より早く、もう人が入らないくらいの大きさになってしまった。

 

「頼むぞ!」

 

俺はコダマスイカアームズを閉まりかけたクラックに放つ。コダマがクラック内に入った瞬間、閉じられアナザー鎧武はその場から立ち去った。

 

「一度引き返そう」

 

 

俺は現状報告のため指令室に来た。そこには響の姿もあった。

 

「王我さん、アナザー鎧武は‥」

 

先はほとんど一瞬の出来事だったので響は連絡をもらったものの駆けつけることが出来なかった。

 

「逃した‥響、チームバロンって知ってる?」

 

「はい、ウチでも何人かファンで‥」

 

「アイツはチームバロンを乗っ取っている。大勢のメンバーを消して自分をリーダーにしたんだ。これからも段々メンバーが消えるかもしれない」

 

おじさんも全ての現場での状況調査が終わり俺達に指令を出す。

 

「反応も被害も全くないことからアナザー鎧武はどこかに隠れてると思われる。見つけ次第戦闘を行なってくれ」

 

「「了解!」」

 

とうとう明日は翼のライブの日、何事も無ければ良いのだが‥。

 

 

 

 

アタシは今一先ず雨風を凌げる場所を探している。以前の場所はあのおっさんたちにバレたからもう居られない。あそこは悪くはなかったが仕方ない。で、今見つけたのが

 

「ちっ、部屋っていうか倉庫になっちまったが、まぁいいか‥」

 

ボロくはないが寝泊まりするにはちと嫌な環境だ。とりあえず寝具をどうするか考えていたら何かの音がする。それに靴底が擦れる音だ。音のする方を見ると

 

「誰だ‥?」

 

キツイ目で男がアタシを見てくる。男は額に汗を流していた。床には音源を流すためのカセットが置いてあった。見たところダンスの練習ってとこだろう。

 

「お前、この前俺のステージを馬鹿にしただろ‥?」

 

アタシの姿を見るなりこっちを見る目が更にキツくなる。

 

「は?何のことだ?」

 

「俺のステージを馬鹿にする奴はこの街に要らない。消えろ」

 

GAIM

 

「なっ、コイツアナザーライダーなのかよ⁉︎」

 

 

 

 

今日は翼さんのライブの日。それなのに学校で課題が出てしまいそれを終わらせないと下校出来なかったので開始時間まであまり時間がない。

 

「はっはっ、せっかくチケット貰ったのに、遅刻しちゃう〜!」

 

走って会場に向かってる途中で電話が鳴った。

 

「はい、響です」

 

「ノイズ並びにアナザーライダーの反応を検知した!王我には既に連絡したが、翼にも‥」

 

「師匠!今日の翼さんは自分の戦いに臨んでほしいんです!あの会場で唄いきってほしいんです!お願いします!」

 

やっと翼さんはステージで唄えるのだ。その機会を潰したくはない。

 

「‥やれるのか?」

 

「はい!」

 

師匠の言葉に私は力強く答えた。

 

 

 

 

もうすぐ私の出番。凄く久しぶりにステージに立つ気がするのは何故だろう。王我や奏が帰ってきたり、仮面ライダーの存在を知ったり色々と濃い経験をしたからだろう。

 

「(不思議だ。気持ちが高まっているのに、胸の中はこんなに穏やかで‥)」

 

実際、メトロミュージックのプロデューサー、トニーグレイザー氏に会った時も落ち着けていた。今まで考えもしなかった世界が、今なら向き合える気がする。

 

「(この思いを全て歌に乗せて‥)」

 

そして私は向かった、待っている観客の元へ。

 

 

 

 

現場まで向かっている途中またおじさんから連絡が来た。

 

「どうしたんですか?」

 

「高エネルギーの反応がもう一つお前の近くに発生している。何かあるかもしれん、気を付けろ」

 

『アタシが見てくる』

 

「奏!お前‥」

 

『大丈夫だ。アタシも大分ライダーの力に慣れてきてるからな。もう一人でも多少はやれるさ。王我、アタシを信じてくれ』

 

「‥おじさん、どうですか‥」

 

俺は奏の用件をおじさんに伝言する。

 

「‥わかった。一応反応が弱い方はお前たちの場所から近い方だ。後は頼んだぞ」

 

「はい、分かりました」

 

連絡を切り、その場で立ち止まる。

 

「よし、行くぞ奏!」

 

『あぁ!』

 

光の粒子が集結し、奏は実体化した。

 

ゲイツ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

「王我、ファイズとドライブのウォッチを貸してくれ」

 

「わかった」

 

奏はゲイツに変身しウォッチを受け取るとライドストライカーに乗り現場に向かう。

 

 

 

アタシはギアを纏ってアナザーライダーと戦っていた。あの野郎、ノイズまで出してきやがるから鬱陶しいったらありゃしない。一度狭い倉庫から出て場を確保する。

 

「ちっ、まだノイズが‥」

 

ノイズばかりが出てきてアナザーライダーに攻撃があたらねぇ。

 

「いいさ、どうせアナザーライダーもフィーネの差し金、アタシが責任もって蹴散らしてやる!」

 

倒しても倒しても次々と出てくるノイズによりアナザーライダーに攻撃が出来ない。

 

「ちっ、どんだけ出てくるんだよ。いくら何でも多すぎる!」

 

「(でもこれはアタシの責任‥アタシの戦いなんだ!)」

 

「うらああぁ!雑魚が調子に乗ってんじゃねぇ!」

 

「ぐあっ‥!」

 

アナザーライダーが大剣を振りかぶってくる。

 

「(ダメだ避けられない‥)」

 

そう諦めかけた時

 

「たああああっ!」

 

謎の衝撃でアナザーライダーが吹っ飛ぶ。

 

「お前‥⁉︎」

 

「クリスちゃん、一緒に戦うよ!」

 

あのバカだった。

 

「良かった、なんとか間に合ったみたいだ」

 

「ジオウまで‥」

 

「次は‥あっ!」

 

アイツの不意を突いてノイズが攻撃する。それをアタシは撃ち落とした。

 

「ありがとう、クリスちゃん!」

 

「誰も助けてくれなんて頼んじゃいないからなこれで貸し借り無しだ!」

 

そんな中地中からデカイノイズが姿を現す。

 

「アナザーライダーもいるのにこんなデカイのまで‥」

 

「クリスちゃん、一緒に!」

 

コイツが急に仕切りだしやがった。

 

「一緒じゃねぇ!お前が勝手に合わせればいいんだよ!」

 

アタシはそれが気に食わないがどこか嫌な気がしない感じがした。

 

 

 

俺はジカンギレードでアナザー鎧武と鍔迫り合いをしていた。お互い一歩も引かない状況の中、俺はあの二人が協力してノイズに向かって行く姿を見た。

 

「ほら、見てみろよ」

 

「仲間の在り方ってそれぞれにあると思う。近くにいたり、遠くにいたり」

 

「お前みたいに自分だけで解決するだけじゃ周りに人がいる意味がなくなる。だから‥自分だけじゃなく仲間も信じる!」

 

鎧武

 

ウォッチが光る。俺は鍔迫り合いを止め距離をとる。

 

「俺は奏や響、あの子を信じる。それが俺の王としての一歩だ!」

 

力が復活した鎧武ウォッチをジクウドライバーにセットする。

 

アーマータイムソイヤ鎧武ー!』

 

上空から鎧武の顔をした鎧が落ちてくる。頭部に重なると、徐々に展開し、その姿を現す。

 

「さぁさぁ」

 

「花道でオンパレードだ!」

 

仮面ライダージオウ 鎧武アーマー。歌舞伎のようなポーズをとりいざ出陣!

 

大橙丸に似た武器、大橙丸Zを2本装備してアナザー鎧武に立ち向かう。

 

「秘儀ミカン斬り!」

 

オーラを纏った2本の剣で相手を斬り裂く。相手はダメージを受け、よろめく。負けずとアナザー鎧武が大剣で顔辺りを斬ろうとするが、間一髪で避ける。その後距離を取り

 

「ミカン弾!」

 

不格好なオレンジの形をしたエネルギー弾を大量に放つ。

 

 

フィニッシュタイム鎧武!』

 

弱ったところで各ウォッチのボタンを押す。

 

スカッシュタイムブレーク!』

 

「細切れにしてやるぜ〜!」

 

突っ込んできたアナザー鎧武に向かい。2本の大橙丸Zで横に斬った。すると身体は4つに分かれ、断面から果汁が飛ぶ。しかしこれは細切れではなく‥

 

「輪切りじゃねぇか‼︎」

 

自分も思ったそんなツッコミもくる始末である。

 

「‥ 加減ミスったな‥」

 

もちろん俺は細切れと輪切りの区別は分かる。

 

「王我さん、こっちに加戦お願いします!」

 

「わかった」

 

響からの要請に俺は応える。さぁ第二陣の開幕だ。

 

 

 

 

 

 

王我さんが取り戻した鎧武の力の活躍もあり私たちは全てのノイズを倒すことに成功した。

 

「やった!倒せましたね!王我さん!クリスちゃんも‥ってアレ、クリスちゃん?」

 

「いなくなっちゃった‥」

 

周りを見渡すがクリスちゃんの姿はどこにもない。

 

「大丈夫だよ響、同じ人間なんだ。ゆっくりでもきっと分かり合えるよ」

 

「はい、そうですね!」

 

今までは拒絶されるばかりだったが今回は一緒に戦ってもくれた。

 

「(ちょっとずつクリスちゃんに寄り添えられるようになったかな‥)」

 

 

 

 

 

ノイズを全て倒したはいいがアタシはそれよりもキツイものと対面していた。

 

「くそっ!」

 

「アイツらは敵だぞ!なのにどうして助けちまった‥⁉︎」

 

「ちくしょう‥フィーネ‥ちくしょうううう‥!」

 

アタシはもう何が正しいのかがわからない。ただ悔しさを口にすることしか出来なかった。

 

 

 

 

私はステージで全力で歌い切った。今、自分の思いを全て乗せて。

 

「ありがとう皆!今日は思いっきり歌を唄って気持ち良かった!」

 

観客は盛大な歓声を私に浴びせた。

 

「‥こんな思いは久しぶり。忘れていた。でも思い出した。私はこんなにも歌が好きだったんだ!聴いてくれる皆の前で唄うのが大好きなんだ!」

 

「もう知ってるかもしれないけど、海の向こうで唄ってみないかってオファーが来ている」

 

「自分が何の為に唄うのかずっと迷ってたんだけど。今の私はもっとたくさんの人に歌を聴いてほしいと思っている」

 

「私の歌も誰かの助けになると信じて、皆に向けて唄い続けてきた。けどこれからはその中に自分も加えて唄っていきたい!だって‥私はこんなにも歌が好きなのだから!」

 

「たったひとつのわがままだから聞いて欲しい。許して欲しい」

 

『もちろん聞くよ』

 

『許すさ。当たり前だろ?』

 

今ここにはいない二人の幼馴染の声が聞こえた気がする。

 

「ありがとう‥!」

 

目の前の観客と二人に礼を伝えた。

 

 

 

 

アナザー鎧武を倒したことでクラックが解放され、続々と出てくるチームバロンのメンバー。その中にはナンバー2のザック、リーダーの戒斗の姿があった。

 

物につかまりながら戒斗の元へ行くスバル。

 

「失せろ。自分の力で頂点を掴み取る覚悟のない奴に、居場所なんてない」

 

そんなスバルに戒斗がかけた言葉は非情だった。

 

「戒斗‥」

 

「逢坂、やはりこのデバイスはお前のだったか」

 

俺が投げ込んだコダマを投げて返してきた。

 

「戒斗‥コレ‥」

 

しかしそれだけではなく、更にブランクウォッチも俺の手にあった。

 

「前々から持っていた。そしてお前は似たような物を持っている。ならお前に渡すのが良い」

 

他にも聞きたいことはあったが、俺たちの視界におぼつかないスバルの姿が映る。

 

「アイツは破門か‥」

 

「あぁ、アイツは未熟すぎる。チームバロンにそんな奴は要らない」

 

「でも他にも訳があるんだろ?教えてくれ」

 

「‥お前は本当に俺を疑わないな」

 

「あぁ、お前は弱い者を助けようとする、そんなお前が理由もなくメンバーを脱退させる訳がないからな」

 

「‥アイツは上に上がろうとし、他のメンバーに手を出した。ただそれだけだ‥」

 

スバルはどうやらダンスには一心だったがそれ以外でも問題があったようた。

 

「そうか‥やっぱりな‥やり方はキツいがその正義に対しての強い思い。それがお前の強みだもんな」

 

「ふっ、その上をいくお前が言うか‥」

 

戒斗は一瞬笑ったように見えたがそれを確かめることはなく、チームを引き連れその場を去った。

 

「‥ん?」

 

ポケットから光があふれる。取り出すと戒斗が渡したブランクライドウォッチが光る。

 

バロン

 

「またウォッチが‥」

 

奏が帰ってきてから俺が持っていなかったライドウォッチが次々に現れる。その事に疑問をもっていたその時、奏の精神が帰ってきたことを感じた。

 

「奏、お帰り。あっちはどうだっ‥」

 

『くっ‥やられた‥!仮面ライダーに‥』

 

「仮面ライダー‥⁉︎どういうことだ⁉︎」

 

『ア、アイツはつよ‥』

 

話の内容が聞きたかったがそこで奏の声は消えてしまった。

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「お前はもう用済みだと」
「アンタたち‥」
「お前は自分の使命を忘れているみたいだな‥」
「大人だからこそ夢を見るんだ」
「俺は通りすがりの仮面ライダー」
「世界の破壊者だ」

EP21 ゴーゴーゴーストハンター2015→2043


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EP21 ゴーゴーゴーストハンター2015→2043

祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ 鎧武アーマー。また一つライダーの力を取り戻した瞬間である。我が魔王は着々と力を取り戻しつつある。さて‥この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。アナザー鎧武となったスバルを止めるべく、立花響と逢坂王我が立ち向かい見事撃破。一方自分のステージを唄い切る風鳴翼。彼女もまた新たなる決意をした模様。だがそのようないい事ばかりではなく、魔王達に立ちはだかるフィーネ更に破壊者がとうとう動くのであった。


旦那が言ってた反応があったの場所は地下駐車場。

 

「確かこの辺りだよな‥」

 

辺りには特に怪しい影はなくそのままもう少し奥に進んでみようとしたら、アタシの視界に剣が入る。そのまま剣は振られるが後方に下がり回避する。

 

「なんだよお前!」

 

「通りすがりの仮面ライダーだ」

 

姿を現したのは身体は赤く、顔に金色の角を持ったライダーだ。

 

「何‥?」

 

あのライダーは剣を放り投げる。すると、身体の色が顔と同じ金色になる。アタシは攻撃をするも、アタシの拳はいとも簡単に避けられる

 

「はぁぁ!」

 

更には重い相手のパンチをくらい、地面に転がる。

 

「ぐあっ‥!」

 

ドライブ

 

倒れながらもアタシはドライブウォッチを起動させる。

 

アーマータイム!ドライブ!ドライブ!』

 

ドライブアーマーを纏い高速のスピードで攻撃の隙を見ようとする。だがアイツはドライブアーマーの高速の動きを見切る。そして正面からの高速攻撃を読み、一発の拳でアタシは再び、地に倒れる。

 

「中々出来るな、だが俺には及ばない」

 

ファイナルアタックライド アギト

 

ベルトにカードを挿入する。足元にマークが浮かび上がり、頭の角が2本から4本に変化する。

 

「はぁぁ!」

 

飛び上がりキックでアタシを吹っ飛ばした。

 

「ぐあぁ!」

 

まともに攻撃をくらい、アタシの変身は解除された。

 

「また会おう」

 

アイツは背を向けその場を去ろうとした。それを追いかけようとするも

 

「待ちやが‥」

 

力尽き、そこでアタシの身体は粒子になって消えた。

 

 

 

俺は一度家に戻り、意識が戻った奏からその一件を聞いていた。

 

「そんなことが‥で、この中にいるか?」

 

一先ず俺が持っているウォッチを全て並べる。

 

『これだ!コイツに襲われた!』

 

「仮面ライダーアギト‥」

 

順に指差すとアギトライドウォッチで反応した。

 

『でも、アギトに変身出来るのは王我だけ‥でも王我はアナザー鎧武を倒していた‥』

 

「(もしかして‥いや、それはないだろう。あのウォッチが‥)」

 

「中々の苦労をなさっていらっしゃいますね」

 

「我が魔王‥お久しゅうございます」

 

「ウォズ!久しぶり!元気してた?」

 

そこにいたのは未来で別れたはずのウォズだった。

 

「えぇ、おかげさまで。我が魔王、早速本題に移るが私もこの時代にいることにした」

 

「そうなの⁉︎」

 

「あぁ、だから寝床を貸してはもらえないだろうか?」

 

「もちろん!この家1人だとちょっと大きいから、全然大丈夫だよ!」

 

ウォズはライダーについてよく知っているので心強い。

 

『なぁ‥』

 

「(あっ、奏は知らないよね、こ‥)」

 

『ウォズだろ、何か知らないがコイツの事を知ってる』

 

「え?」

 

「私も奏くんの件については存じております」

 

「ええっ⁉︎」

 

いつの間にか繋がりがあったみたいだ。

 

 

 

 

翌朝ウォズは早くも用事があるみたいで姿が見えなかった。そして俺たちは

 

「ここに来るのも久々だなぁ」

 

俺の実家の近くにある寺社、大天空寺に来ていた。ここは逢坂家と関係があり時々俺も来る。

 

『アタシはもう全然行ってないな』

 

「そういえば奏はもっと来てなかったね」

 

奏自体あまりここに来る用事がなかったから当たり前と言えば当たり前だ。

 

この辺で若干有名である長い階段を登りそこにいたのは

 

「王我殿!お元気でしたか!」

 

「御成、ごめんね。最近全然顔出せなくて」

 

彼はここの住職の御成。現在竹箒で掃除をしていた。

 

「いえいえ!王我殿は受験も控えながら二課のお仕事もされているのですから致し方ないですぞ‥ん?王我殿、何かに取り憑かれていらっしゃる?」

 

「え!そ、そんなことはないと‥思うな‥」

 

『え?アタシのことか⁉︎』

 

「(多分‥)」

 

「これは事件ですぞ!もし王我殿に何かあったらと思うと‥」

 

「そ、そんな大袈裟な‥」

 

というか奏の存在がバレるとかなり危険だ。奏は世間では死んだことになっている。それがバレたら‥

 

「まぁ王我殿はどうにか出来ると拙僧は信じておりますぞ。そういえば今度和花(のどか)殿と愛理昌(ありあ)殿がご帰国なさるみたいですぞ」

 

「和花と姉さんが⁉︎俺聞いてないんだけど⁉︎」

 

御成の口からまた俺を驚かす言葉が放たれた。

 

「夜忍殿からお聞きになられてなかったですか?」

 

「母さん、また忘れたな‥」

 

母さんは研究で頭がいっぱいになる事が多く、そのせいで一般的な伝言を忘れがちである。

 

「まぁいいや。2人が帰ってくる前に早く片付けたい問題もあるし、今日のところはここで失礼するよ」

 

「お気をつけて〜!」

 

「はぁ、母さんてば‥」

 

『はは、まぁあの人らしいちゃらしいけどな』

 

奏と頭の中で会話をしていると

 

「‥ん、なんだアレ⁉︎」

 

何か黒い生物が現れた。そしてこちらの存在を確認するとすぐさま襲いかかって来る。

 

「確かあれは‥ガンマ!」

 

ノイズと違って触っても灰化することはなく、攻撃を受け止めていたが、何体かが近くにいた小さい子を襲おうとしていた。

 

「マズイ!」

 

間に合わないと思った時

 

「王我!何してる!」

 

ある男の人がその黒いのを受け止めた後蹴り飛ばした。幸い子供は尻餅をついた程度で済んだ。

 

「マコト兄ちゃん、ごめん。この人を頼める?」

 

深海マコト兄ちゃん。俺が小学生くらいの頃から付き合いのある俺より二つ上の近所の男の人である。

 

「あぁ、王我、ついでにコイツを渡す!」

 

「ライドウォッチ!何で‥」

 

ウォッチについて聞こうとしたが既にマコト兄ちゃんは人を連れて避難していた。

 

「気になるけど仕方ない‥奏、いこう!」

 

『よっし、今回はなんだ‥ガンマだっけか?』

 

「うん‥じゃあゴーストが良いな」

 

奏が実体化した瞬間

 

スペクター

 

「おっ、ちょうどいい!」

 

今さっき貰ったウォッチが起動した。

 

ゴースト

 

スペクター

 

俺らはゴーストドライバーを出現させアイコンを起動させる。それをドライバーにセットする。

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

『アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!』

 

「「変身!」」

 

カイガンオレ!レッツゴー!覚悟!・ゴ・ゴースト!ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!』

 

カイガンスペクター!レディゴー!覚悟!・キ・・キ・ゴースト!』

 

俺はゴースト、奏はスペクターに変身する。

 

「命!燃やすぜ‼︎」

 

「アタシの生き様、見せてやる!」

 

お互いにフードを取り、ガンマの軍団に挑む。

 

「こっちにこないで!」

 

「奏、マズイ!まだ2体残ってる!」

 

「絶対死なせない!」

 

ダイカイガンスペクターオメガドライブ!』

 

奏は回し蹴りでガンマを消し去った。

 

ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!』

 

『オメガブレイク!』

 

ガンガンセイバーから放たれた光刃で周りのガンマを倒す。

 

 

 

王我達の戦い、それをたまたまクレーン車から見ていた人間がいた。

 

「なんだよアレ‥ってヤバ!」

 

工事に使われていた鉄骨が落下する。しかも最悪なことにその真下には子供とその母親が。

 

「危ない!」

 

父親は2人を助けようとするが、時が止まる。その空間は救助対象もさっき化け物を倒したモノも動かない空間だった。

 

「私と契約しない?そうすればその人は助かるわ」

 

「嫌だね。自分の家族は自分で助ける!」

 

男はフィーネを突き放し、答えた。

 

「‥どうなっても知らないわよ」

 

フィーネは時間を再び動かした。

 

「うわぁぁ!」

 

男は2人を助けられたはいいが自分が鉄骨の下敷きになってしまった。そして男の命が尽きようとした瞬間また時が止まる。

 

「死んだら何の意味もないでしょう」

 

GHOST

 

「今日からあなたが仮面ライダーゴーストよ」

 

男はアナザーウォッチを埋め込まれアナザーゴーストとなった。

 

 

 

気づくと俺たちの目の前にはアナザーゴーストがいた。

 

「アナザーゴースト⁉︎」

 

そしてアナザーゴーストはすぐに逃亡してしまう。

 

「待て‥」

 

追おうとするもアナザーゴーストが現れたことによりゴースト、ならびにスペクターの力が消えしまう。

 

「もう影響が‥」

 

 

 

 

王我達がアナザーゴーストと遭遇した数日後

 

私と未来は職員室を出てこれから下校するところだった。

 

「ふんふんふ〜ん♪」

 

「何?鼻歌で校歌歌って?」

 

未来に鼻歌で何を歌っていたか当てられる。まぁさっき廊下を通り過ぎた時に合唱部が歌っていたからなんだけど。

 

「リィディアンの校歌を聴くとまったりするっていうか、すごく落ち着くっていうか‥なんか皆がいて自分の場所だって思えるんだ」

 

「入学してまだ2ヶ月ほどしか経ってないのにね」

 

「でも色々あったね」

 

「そうそう、色々あったといえば最近テロリストやヤクザが襲われてるの知ってる?」

 

未来がまた情報を私に渡す。

 

「人が襲われる‥もしかしてアナザーライダー‥」

 

「かもね‥それは王我さんに聞かないとわからないけど‥」

 

王我さんに連絡をしようとしたらこっちの携帯が鳴った。

 

「はい、響です‥え、アナザーライダー⁉︎」

 

 

 

 

平和が溢れる広場にそこにアナザーゴーストは現れた。

 

「うわあぁ!!」

 

街の人はアナザーゴーストが現れたことで悲鳴を上げる。だがそれはすぐに止まる。フィーネが時間を止めたからだ。

 

「さぁ力を解き放ちなさい」

 

解‥放

 

アナザーゴーストが印を結ぶと、今まで襲ってきたテロリストや極道などの人間から集めた魂を取り込み、パワーアップする。フードが取れ、更に溢れる近くがオーラとなり体の周りに現れる。

 

 

 

 

 

 

おじさんに言われた場所に向かうと

 

「いた!」

 

そこにはアナザーゴーストがいた。

 

「王我!状況は?」

 

「まだここでは被害が出てない。全員助けるよ!」

 

俺と奏は既にジオウとゲイツに変身し後から翼と響が合流した。

 

「相手はゴースト‥幸いもうゴーストの力は戻っている!」

 

ゴースト

 

アーマータイム!カイガン!ゴースト!』

 

ゴーストアーマーを纏いアナザーゴーストに攻撃を仕掛ける。アーマーを纏っているのでダメージがしっかり入る。

 

 

フィニッシュタイムゴースト!』

 

ウォッチを押し、ベルトを回転させる。

 

オメガタイムブレーク!』

 

「命、燃やしちゃってみるぜ!」

 

構え、アナザーゴーストに必殺技を放とうとした時

 

「本当にいいのかしら?」

 

「フィーネ‥!」

 

「もしウォッチが壊れたらその人間は死ぬわ」

 

その時俺ははっとした。以前もそうだったが、今まではアナザーライダーを倒しても変身者の命に別状はなかったが今回は違う。俺たちの一手で人を殺めてしまう。その事を考えると体が動かなくなってしまった。そしてその隙を

 

「ぐっ‥」

 

何者かが斬りかかってきた。

 

「何だ⁉︎」

 

そこにいたのは仮面ライダーアギト フレイムフォーム。フレイムセイバーを手に奏と俺に斬りかかる。特に斬り付けられた奏はダメージを負い変身が解除される。

 

「奏!」

 

『ぐっ‥仮面ライダーアギト‥!』

 

奏が睨み付ける。するとフレイムセイバーを捨て、別のカードを出した。

 

「驚くのはまだ早い」

 

カメンライド 響鬼

 

紫炎に包まれ鬼のような姿に変わる。

 

「えっ、私?」

 

「違う、仮面ライダー響鬼。清めの音を使って戦うライダーだ」

 

「姿が変わるなんて‥」

 

「魔王、ちょっと遊ぼうか」

 

「王我さん!‥ダメだ、ノイズが多くてそっちにいけない‥!」

 

アナザーゴーストと響鬼の攻撃で俺は防戦一方になってしまう。翼達もこちらに来ようとするがノイズにより阻止されてしまう。そして

 

 

ファイナルアタックライド 響鬼

 

バックルから響鬼の使用する太鼓、火炎鼓が現れ、俺に張り付く。火炎鼓のオーラは更に大きくなり、俺は身動きが取れなくなる。

 

「受けてみろ」

 

相手は音撃棒 烈火を手にし俺に近寄る。

 

「ふん!ふん!ふん!はぁぁ!」

 

何度も何度も烈火で火炎鼓を叩き、ダメージを与える。最後に大きな音を出し、俺を吹っ飛ばした。

 

「ぐあっ‥‼︎」

 

階段を転げ落ちジオウの変身が解除してしまった。倒れている俺に向けアナザーゴーストが印を結ぼうとする。このままでは俺も霊体となってしまう。絶対絶命の時

 

「今回は帰るぞ」

 

「‥!どうして‥!」

 

「まだこいつを放っておいても害はない。無駄な時間はないからな」

 

そして響鬼はアナザーゴーストを引っ張りその場から消える。フィーネも諦めその後を追うように姿を消す。

 

「何でお前がいるんだ‥ディケイド!」

 

俺はアイツらがいなくなった空間で叫んだ。

 

 

 

 

「どう?ジオウの実力は?」

 

椅子に座っている男に声を掛けた。

 

「アイツらのことはだいたいわかった。まだまだ甘い。自分では覚悟を持っているようだが、簡単に壊れそうだ」

 

コーヒーをスプーンでかき混ぜながら話す。

 

「それよりあなた、前にゲイツと勝手に戦闘したわね‥?」

 

「あぁ、それがどうした?」

 

「あなた、本当にいい加減ね。私を手伝うと言った割に勝手に行動するのね」

 

「俺は手伝うとは言ったが言いなりになるとは言ってないぞ」

 

「まぁでもあなたの実力は認めるわ。その能力があれば多少なり優遇も出来るわ」

 

「別にそんなものは要らない」

 

「報酬も欲しがらないなんて‥一体あなたは何者なのよ‥?」

 

「俺は通りすがりの仮面ライダー‥世界の破壊者だ」

 

内ポケットからウォッチを出して眺める。それはどのウォッチとも形が異なるモノだ。

 

「さて、少し出かける」

 

椅子から立ち上がり、

 

「また勝手に‥」

 

「俺は空気を読んだつもりだが?客のお出ましだぞ」

 

そして姿を消した。

 

「客‥?」

 

何か足音のする方を見ると

 

「あなた達‥」

 

コイツらは米国の人間。なくなったウォッチを渡しにきたのかと思ったが

 

「上からの命令だ。お前はもう用済みだとな」

 

拳銃を向けられた。

 

「‥!調子に乗るな‼︎」

 

フィーネはネフシュタンの鎧を纏い、米軍兵を攻撃する。

 

「総力戦だ!いくら完全聖遺物とはいえ、これだけの人数が弾を撃ち込めば勝てる!」

 

何発か弾がフィーネの腕を貫き、いけると思ったのだろう。

 

GHOST

 

「いきなさい!彼らはこの世界に破壊を(もたら)す者よ!」

 

「なっ‥」

 

魂が体から出てきて残った身体はパタリと動かなくなる。

 

「ぐっ‥!後は任せたわよ‥!」

 

 

 

 

アタシはもう一度フィーネに話をするためアジトに向かったがそこはガラスが無造作に割れ、床にはぶっ倒れている兵士がいる。軽くゆするが誰も動かない。まるで全員魂を抜かれたみたいだ。

 

「何がどうなってやがる‥」

 

現状を理解出来ない中、おっさん率いるエージェントがやってきた。

 

「ち、違う。アタシじゃない!やったのは‥」

 

「誰もお前がやったとは疑ってない。全ては君や俺たちの側にいた彼女の仕業だ。倒れているのは米軍、やはり裏で繋がってたか‥それに血が流れてない者も心音がない。やはりアナザーライダーか‥」

 

「『I Love You SAYONARA 』か‥」

 

残されたメッセージを読んでいると

 

「司令、アナザーライダーが!」

 

GHOST

 

また見たことないアナザーライダーが出てきやがった。

 

「廃棄された施設と侮っていたが俺たちが来るとわかっていて罠を張っていたか」

 

 

「戦いの邪魔だ!下がってろ!」

 

身勝手な大人の為に戦うのは癪だが、これはアタシのやらなくてはならないことだ。

 

「アタシはこっちだ!よそ見してないでかかってきやがれ!」

 

アタシが銃先をノイズに向ける。

 

「1人では危険だ‥アイツに加戦してこい!」

 

おっさんは持っているウォッチを起動させた。すると光が人の形を作り実体化する。

 

「ようやく出番か‥」

 

 

 

 

ゲイツ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

『ジカンザックス オーノー!』

 

アタシはゲイツの武器、ジカンザックスを斧モードにしアナザーゴーストにダメージを与える。

 

ゴースト

 

アーマータイム!カイガン!ゴースト!』

 

ゴーストアーマーを纏ったことで攻撃力が上がり相手も隙を見せる回数が多くなった。優勢になったこの状況を逃さず、更に攻撃をしようとしたら

 

アタックライド ストライクベント

 

「ぐあッ!」

 

後ろから火が襲ってきた。それが放たれた方を見ると

 

「コイツを守れと言われてるからな、悪いな」

 

「仮面ライダーディケイド‥」

 

確かあの姿は仮面ライダー龍騎だったか。姿は違うがベルトの形状が前と同じなのでディケイドだとわかった。

 

「お前とやるならこっちの方が良さそうだ」

 

アイツは取り出したゴーストが描かれたカードをバックルに装填した。

 

カメンライド ゴーストレッツゴー!カクゴ!・ゴ・ゴースト!ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!』

 

姿が仮面ライダーゴーストに変わる。

 

「ゴーストが三人、中々粋な過払いだろ?」

 

そしてガンガンセイバーを手に態勢を立て直したアナザーゴーストと共に襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

アタシがノイズを倒している中、アイツはアナザーライダーと謎のライダーと戦っていた。謎のライダーは攻撃を浮遊しながら避け、更に高いところからの攻撃を行い着実にダメージを与えていた。

 

「(アイツ、戦い慣れてるのか‥)」

 

アイツらはお互いにパーカーを召喚し戦わせた。パーカーが空を舞って戦うも、赤いライダーが出した方がやられてしまう。更にはライダー同士の戦いも同じようになる。

 

「お前、自分の使命を覚えているか?」

 

「使命?なんだよそれ‥」

 

「それがわからない状態か‥お前の魔王を守りたいと思う気持ちはそんなモノだったのか!」

 

「だから何のことだよ!」

 

赤い方が斧で斬りかかるもカウンターをくらい地に伏せた。

 

「これで、終わりだ」

 

ファイナルアタックライド ・ゴ・ゴースト

 

カードをベルトに入れたら、二体のライダーが赤いのに向かってキックを放ち、赤いライダーが倒された。

 

「ぐああっ‥!」

 

「おい、しっかりしろ!」

 

アタシが声をかけるも返答出来ずライダーは光になって消えちまった。

 

「消えたか‥やはり霊体の人間は存在も不安定か‥おい、そこの赤いの」

 

アナザーライダーじゃない方がこっちを見る。

 

「な、何だよ‥」

 

「お前にこれを渡す。どうするかはお前次第だ」

 

投げられたモノをアタシはキャッチする。

 

「ジオウが持ったヤツ‥けど形が違ぇ‥」

 

 

 

 

 

「おい、こっちには誰もいなくなった。それでアンタ達は‥」

 

一先ず中にいるおっさん達に事が終わったことを言いに行こうとした。

 

「いかん!それに触れるな!」

 

唐突にデカイ声を出し注意するも、アタシが認識した時には遅かった。

 

「え‥」

 

壁に触れた瞬間、眩い光と強い衝撃がアタシを巻き込んだ。そう思ったが

 

「どうなっているんだ‥」

 

「衝撃はなんとか消せたか‥」

 

見たところおっさんも怪我はしてないみたいだが問題はそこじゃねぇ。

 

「そうじゃねぇよ!放せよ‥!なんでギアも纏えないアンタがアタシを守ってるんだよ⁉︎」

 

「俺がお前を守るのは、ギアの有無じゃなく、少しばかりお前より大人だからだ」

 

「大人‥?アタシは大人が嫌いだ!死んだパパとママも嫌いだ!とんだ臆病者で夢想家だ!アタシはアイツらとは違う!戦地で難民救済?歌で世界を救う?いい大人が夢なんて見てんじゃねぇ!」

 

大人は現実を理解し、現実的な行動をとるもんだとアタシは思っている。つまりこのおっさんと意見は真逆だ。

 

「ジオウだってそうだ、何が王様になるだ、何が全員が俺の民だ、全部ただの夢物語じゃねぇか!本当に戦争を無くしたけりゃ戦意のある奴を片っ端から潰せばいい!」

 

「そいつがお前の流儀か‥それでお前はそのやり方で戦いを無くせたのか?」

 

おっさんがそんな一言を放つ。

 

「‥⁉︎それは‥」

 

図星をつかれてしまった。確かにアタシはそれで失敗ばかりしてきた。現状何も出来ずにいる。

 

「いい大人は夢を見ない、と言ったな。そうじゃない。大人だからこそ夢を見るんだ」

 

「大人になったら背も伸びるし、力も強くなる。小遣いもちっと増える」

 

「子供の頃はただの夢だったものも大人になれば叶えられるチャンスが大きくなるし、夢を見る意味が大きくなる。お前の両親はただ戦争を見に行っただけだったか?違うだろ。歌で世界を平和にするって夢を叶えるために進んでこの世の地獄に足を踏み入れたんじゃないのか?」

 

少し昔の事を思い出した。確かにいつもパパやママは現地の子供達に音楽を聴かせて楽しく過ごしていた。

 

「‥どうしてそんなこと‥」

 

「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられるという揺るがない現実をな」

 

「あ‥」

 

昔2人が言っていた気がする。『歌は無限の力がある。それで世界を救いたい』って。昔アタシはそれを信じていた。

 

「お前は嫌いと言ったが、お前の両親はきっとお前のこと大切に思ってだんだろうな」

 

「う、ううっ‥」

 

両親への本当の思い、自分の間違い。全ての気持ちが溢れる。

 

「ああっ、ぐっ‥う、うわああぁぁん!あああ!」

 

その我慢していた気持ちが涙になって溢れてきた。もう止められない、おっさんの胸元に顔を押し付け泣きまくった。

 

 

 

「これ返す」

 

気持ちが落ち着いたアタシは赤いライダーのウォッチだけを返す。

 

「助かる。なぁ、一緒には来れないか?お前はお前が思ってるほどひとりぼっちじゃない。例えお前が独りの道を行くとしても、そのうち俺たちの道と交わる」

 

「今まで戦ってきた者同士が?一緒になれるって言うのか?そんな綺麗事‥」

 

「本当に捻くれてるなお前。ほれ」

 

そう言いつき渡してきたのは

 

「‥通信機‥?」

 

「そうだ限度額までなら公共交通機関もコンビニにも使える物だ」

 

「‥【カ・ディンギル】フィーネが言ってた。何かは知らないが、もう完成してるみたいだ」

 

便利なものをよこしてくれて礼としてアタシはフィーネが言ってたことを話す。

 

「‥ 【カ・ディンギル】後手になるのは不利だ。こちらから打って出てやる」

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「助っ人だ、少々遅くなったがな」
「誰とだって仲良くなれる」
「託した!」
「私の戦いは誰かと手を繋ぐこと!」
「通りすがりの仮面ライダーだ」
「覚えてね!」

EP22 スタンドアップデストロイヤー2009→2043


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EP22 スタンドアップデストロイヤー2009→2043

祝って良いものか、悩みものですが‥ 祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ ゴーストアーマー。‥さて祝福も終えたことですので‥この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。逢坂王我達はアナザーゴーストとの対峙中、以前天羽奏を襲った仮面ライダーアギトが乱入してきた。だがアギトは更に仮面ライダー響鬼に姿を変え、我が魔王達を苦しめた。その正体はフィーネと手を組んだ仮面ライダーディケイド。そしてフィーネの計画も最終段階に入ったようです‥


俺はディケイドと戦った後、母さんに呼ばれていた。内容はアナザーゴーストの件についてだ。アナザーゴーストは前の変身者であったマキムラの義弟のホリチが変身している。彼はあの時の事故で心肺停止の状態。今はウォッチの力で動いているが下手に倒すと彼を本当に殺めてしまいかねない。

 

「王我、これを使いなさい」

 

「これは‥」

 

「上手くいけばアナザーゴーストを倒してもホリチを救える。ただ一度失敗してるからわからないけど、今はこれが最善の策よ」

 

「‥母さんが言うなら‥」

 

そして母さんからアイテムを受け取った。

 

 

 

 

 

 

未来と一緒に下校していた時、二課から1本の連絡が入る。

 

「響です!」

 

「翼です」

 

「王我です」

 

「全員聞こえているな。敵の目的について収集があった。‥了子くんにはまだ繋がらないのか?」

 

「はい、朝から繋がらなくて‥」

 

「連絡がつかないのは心配ですね。例の広木防衛大臣の件もありますし」

 

「うん、それにディケイドも心配だ。何かあったら‥」

 

「了子さんなら大丈夫ですよ!何がきたって私を守ってくれた時みたいに‥」

 

「いや、戦闘訓練をまともにしていない了子さんにそれは無理じゃ‥」

 

「あれ?師匠や了子さんって人間離れした特技とか持ってるんじゃ‥」

 

じゃあ、()()()のバリアみたいなのは一体なんだったのだろうか。

 

「や〜っと繋がった〜。ごめんね、寝坊しちゃったんだけど通信機の調子が悪くて‥」

 

さっきまで話題として上がっていた了子さんに連絡が着いた。

 

「‥無事か。了子くん、そっちに問題は?」

 

師匠は少し間を置いた後了子さんに質問した。

 

「ゴミ出し損ねたくらいだけど‥何かあった?」

 

「‥ならいい、それより、【カ・ディンギル】。この言葉が意味するものは?」

 

「‥ 【カ・ディンギル】は、古代シュメール語で【高みの存在】、転じて【天を仰ぐほどの塔】を意味しているわね」

 

先ほどまでの高いトーンだったが真面目な話なので少し低めに喋っていた。

 

「何者かがそれを建造していたとして、なぜ俺たちは見過ごしてきたのか?」

 

「確かにそうですね‥」

 

それだけ大きければ普通は気付くはずなのに。

 

「だが、ようやく敵の尻尾を掴んだ。このまま情報を集めれば勝利も同然。相手の隙を突くぞ!最終決戦、出し惜しみは無しだ!」

 

「「「了解です」」」

 

「私もちょっと野暮用済ませてから向かうわ〜」

 

そして全員の通話が切れた。

 

「【カ・ディンギル】誰も知らない塔‥」

 

私これから嫌な事が起こらないことを切実に願いたい。

 

「‥!東京スカイタワー周辺にノイズ並びにアナザーライダーの反応を確認!」

 

だがその前にノイズの出現が知らされた。

 

「すぐに向かいます!」

 

それを聞いた翼さんはすぐに通信を切った。

 

「まだ人は襲わないで、ただ移動してるだけ‥わかりました!」

 

「響‥」

 

一度通信を切り、未来に事を伝えた。

 

「平気。私達が何とかするから!だから未来は学校に戻って」

 

「リィディアンに?」

 

「いざとなったら地下のシェルターを解放して、この辺の人達を避難させなきゃいけなくなる。未来にはそれを手伝って欲しいんだ。こんな事に巻き込んで申し訳ないけど‥」

 

未来はシンフォギア について知っているがただの一般人だ。そんな未来を巻き込むのは気が滅入る。

 

「ううん、そんな事思ってないよ。私がリィディアンに戻るのは響がどんな遠くに行ってもちゃんと戻ってこられるように‥」

 

未来は首を横に振って答えた。

 

「響の居場所、帰る場所を守ってあげることでもあるんだから」

 

「未来‥」

 

「だから行って。私も響のように大切なものを守れるくらいに強くなるから‥」

 

「小日向未来は私の陽だまりなの!未来の近くが一番あったかくて私が絶対帰って来る場所!今までもこれからもそう!」

 

私は未来の肩を持って言った。

 

「響‥」

 

「まだ流れ星一緒に見てないしね」

 

「うん!」

 

「じゃあ行ってくる!」

 

そう言って私は未来に背を向けて走っていった。

 

 

「ノイズ及びアナザーライダーに関する最新情報だ。ソイツらの進行方向には東京スカイタワーがあるのがわかった」

 

「東京‥スカイタワー‥」

 

「カ・ディンギルが塔を意味するのなら、スカイタワーはまさにそれそのものじゃないですか!」

 

藤尭さんも同じ考えだったみたいだ。

 

「スカイタワーには二課が使用している電波情報を統括制御する役割もある。全員、東京スカイタワーに直行だ!」

 

「でもここからじゃ‥」

 

そんな質問をしようとすると上からの風が強くなった。何かと思うと

 

「うわっ⁉︎ヘリコプター‥?」

 

「なんともならないことをなんとかするのが大人の仕事だ!ソイツに乗っていけ!」

 

言われた通りヘリに乗り、目的地まで急いだ。

 

 

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

「はああぁぁ‼︎」

 

「立花に遅れてはいられないな‥」

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

響も翼もギアを纏いノイズに立ち向かっていく。

 

「よし、俺も‥」

 

エクスキャリオンを装備しようとすると

 

「待って、王我」

 

「母さん?どうしたの」

 

母さんからの通信が入った。

 

「念のためまだエクスキャリオンを使わないでおいて。これは弦十郎も承諾したわ」

 

「おじさんも‥わかった。作戦の決定件はおじさんにあるからね」

 

取り出したエクスキャリオンをしまい、ジクウドライバーを巻く。

 

『アタシも行くぜ!』

 

「あぁ、奏」

 

ジオウ

 

ゲイツ

 

「「変身!」」

 

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

俺たちも変身し、戦闘に入った。

 

 

 

「皆さん!」

 

全員が一度集まる。

 

「敵は膨大だ、協力してとにかく敵を蹴散らす!」

 

「奏の言う通りね。今は相手の数を減らしましょう!」

 

地上の敵は普通に倒すことが出来るが、上空のノイズの攻撃はただ避ける事しかできない。

 

「くっ!相手に頭上を取られると、こうも立ち回りにくいとは‥」

 

「ヘリを使って私達も空から‥」

 

ヘリがこちらに近づこうとした時ノイズの攻撃を受け、空中で爆発する。

 

「そんな‥」

 

「フォーゼの力で‥」

 

王我さんがフォーゼウォッチを起動させようとするもアナザーゴーストが妨害し、一向に上の敵を倒せない。

 

「どうすれば‥」

 

「臆するな、立花!【防人】が後ずされば、それだけ戦線が後退するということだ!」

 

そう言われ気合いを再び入れ、立ち向かおうとした時

 

「えっ‥!」

 

空中のノイズが数体消滅した。攻撃が放たれた方向を見ると

 

「空飛ぶノイズが何だ!そんな雑魚に手間取ってんじゃねぇ!ちっ‥この通信機がピーチクパーチクやかましいからちょっと出張ってきただけだ!勘違いすんなよ?お前たちの助っ人になったつもりはねぇ!」

 

「助っ人だ、少々到着が遅くなったがな」

 

「なっ‥!」

 

「助っ人‥?」

 

「そうだ、第二号聖遺物【イチイバル】のシンフォギア を纏う戦士、雪音クリスだ!」

 

「クリスちゃ〜ん!」

 

嬉しくて私はクリスちゃんに抱きつく。

 

「ありがとう!絶対分かり合えるって信じてた!」

 

「なっ、このバカ!アタシの話を聞いてねぇのかよ!」

 

「とにかく今は連携してノイズを!」

 

「勝手にやらせてもらう!邪魔だけはすんなよな!」

 

「ええっ⁉︎」

 

クリスちゃんはそう言い放ち、ビルの上に登っていってしまった。

 

「上空はあの子に任せて私達は地上を!」

 

順調にいってるも途中で翼さんとクリスちゃんが衝突する。

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「あなたこそいい加減にして。1人で戦ってるつもり?」

 

起こるクリスちゃんを翼さんが叱る。

 

「アタシはいつだって1人だ!こちとら仲間と馴れ合ったつもりはこれっぽっちもねぇよ!」

 

「確かにアタシ達には争う理由はないかもな、だが争わない理由もあるとは限らねぇだろ!この間までやり合ってたんだ!そんな簡単に‥」

 

「大丈夫、誰とだって仲良くなれる」

 

私は翼さんとクリスちゃんの手を握った。

 

「どうして私にアームドギアがないんだろうってずっと考えてた。いつまで半人前で嫌だなって。でも今は思わない。何も握ってないから、こうして手を握れる」

 

「あぁ、そしてまた他の人が誰かの手を取りその輪は無限に続いていく。誰とも仲良くなれるってことだ」

 

王我さんは奏さんと、その奏さんは翼さんとも手を繋いでいた。

 

「王我、立花‥」

 

「手を‥」

 

王我さんは手の平をクリスちゃんに向けた。

 

「あ‥むぅ‥」

 

恐る恐る伸ばすクリスちゃんの手を王我さんはギュッと掴んだ。

 

「うわっ!きゅ、急に掴むな‥お前もこのバカにあてられたのか⁉︎」

 

翼さんに向かってそう言い放つ。

 

「そうだと思う、そしてあなたも‥」

 

「‥冗談だろ?」

 

「いひひ‥」

 

 

 

「‥親玉をやらないとキリがない」

 

さっきまでの雰囲気から切り替え、状況を再確認する。

 

「上はあのデカイの、地上にはアナザーゴーストか‥」

 

「だったら、アタシに考えがある。アタシにしか出来ないことだ!」

 

「イチイバルの特性は、超射程広域攻撃。派手にぶっ飛ばしてやる!」

 

「まさか、絶唱を‥」

 

「ばーかっ!アタシの命は安物じゃねぇ!」

 

「なら、どうやって?」

 

あのバカが聞いてくるから簡単に説明してやる。

 

「ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える。行き場をなくなったエネルギーを限界まで溜め込んで一気に放ってやる!」

 

「だがチャージ中は丸裸も同然。これだけの数を相手する状況では危険過ぎる!」

 

「そうですね‥だけど!私たちがクリスちゃんを守ればいいだけのこと!」

 

まさかの答えにアタシは驚いた。

 

「おっ、意見が合ったな。じゃあアタシも加戦するか!」

 

ファイズ

 

アーマータイムCompleteファイズ!』

 

全員がアタシを守る為に散開した。

 

「(頼まれてもいねぇことを。アタシも引き下がれないじゃねぇか)」

 

 

 

 

ノイズをクリスちゃんに近づけないよう

 

 

王我さんはジカンギレードでノイズを切り裂いてクリスちゃんを護衛していた。

 

「(誰もが繋ぎ繋がれる手を持っている)」

 

奏さんもファイズファンXでノイズを狙撃していた。

 

「(例え拒まれても手を差し伸べ続ける!)」

 

そして私は

 

「(私の戦いは誰かと手を繋ぐこと!)」

 

この拳でノイズ達を倒していった。

 

 

今の立花の姿を見てなんだかたくましく感じた。

 

「(砕いて壊すも、束ねて繋ぐも力、立花らしいアームドギアだ)」

 

あちらも準備ができたみたいだ。

 

「「「「託した!」」」」

 

様々な銃火器を纏い、それら全てを打ち放った。弾はノイズを貫通し、消し去っていく。

 

 

雪音の活躍で上空の親玉は倒した。

 

「後はアナザーゴーストだけ‥!」

 

「おい、ジオウ!これ使え!」

 

雪音が俺に向かって何か投げてきた。

 

「このウォッチ‥!どうして君が⁉︎」

 

「細けぇ話は後だ!それ使えるんだろ!」

 

「あぁ、ありがとう!」

 

それは俺がオーマジオウと戦った後に失ったウォッチ。

 

ディ・ディ・ディディケイド!』

 

ディケイドライドウォッチ。それをドライバーに装填し、一回転させる。

 

アーマータイムカメンライド!ワーオ!ディケイド!ディケイド!ディケイド‼︎』

 

ジオウのライダーズクレストが描かれたカードが周囲に現れ、俺の元に集まる。

 

 

我が魔王が更なる力に目覚めた。

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ ディケイドアーマー」

 

「お前、誰に向かって言ってるんだ‥?」

 

この男は痛いところをついてきた。

 

 

『ライドヘイセイバー』

 

ドライバーからディケイドアーマーの武器、ライドヘイセイバーを出現させる。

 

 

ディケイドライドウォッチには他のウォッチとは違った能力を持つ。

 

 

ビルドライドウォッチを起動させ、ディケイドライドウォッチに更に装填した。

 

ファイナルフォームタイム・ビ・!』

 

姿が一部、ビルド ラビットタンクスパークリングに変わる。このようにディケイドライドウォッチは他のウォッチの力を高めて使うことが出来る。

 

 

我が魔王が再び力を使った。

 

「祝え!全ライダーの‥」

 

「くどい!」

 

この男に本を取られ、祝えなかった。

 

 

 

俺に突撃してきたアナザーゴーストをライドヘイセイバーで受け止める。

 

「行くぞ!この賭け、絶対に成功させる!」

 

 

ライドヘイセイバーの長針を二回動かす。

 

『ヘイ!ド! ヘイ! エグゼイド!』

 

エグゼイド!デュアルタイムブレーク!』

 

トリガーを引くとエネルギーを纏った攻撃を相手に与えた。その際エグゼイドのように【HIT!】のエフェクトも出る。

 

 

『ヘイ!ゴースト! ヘイ!ドライブ!』

 

ドライブ! デュアルタイムブレーク!』

 

今度はタイヤのマックスフレア、ミッドナイトシャドー、ファンキースパイク型のエネルギーを飛ばした。

 

ビルドウォッチを外し今度はゴーストウォッチを挿し込む。

 

ファイナルフォームタイム・ゴ・ゴースト!』

 

今度は一部がゴースト グレイトフル魂に変わる。

 

「それにしても何故君はウォッチを返したんだい?」

 

「歯応えのない奴相手じゃ面白くないからな」

 

 

 

 

「俺はあなたを助ける、通りすがりの仮面ライダーだ!覚えてね!」

 

フィニッシュタイム!』

 

ライドヘイセイバーにディケイドウォッチをセットし、長針を三回転させ待機状態になる。

 

『ヘイ!仮面ライダーズ!!!!セ! !!! へへイ! イ!!イ!! セへヘイ! ! イ!』

 

相手に向かって構え、トリガーを押す。

 

ディ・ディ・ディディケイド!平成ライダーズ!アルティメットタイムブレーク!』

 

左右にカード型のエネルギー切り裂き、その後真上からさらに叩き落とす。アナザーゴーストは攻撃をくらい爆発する。その瞬間

 

「奏!頼んだ!」

 

「あぁ!はあぁぁ!」

 

合図と共に奏は爆心地に向かい突っ込んでいった。

 

「届けぇぇぇ‼︎」

 

 

 

その声のコダマも消え、爆風が治まると段々と煙が無くなっていった。そこに奏の姿はなかったが、煙の中にはホリチが人間の姿で倒れていた。

 

「やった‥のか‥?」

 

その影はゆっくりと身体を起こしていった。

 

「成功だ!」

 

「やった!やった!」

 

響は喜び、雪音に抱きついた。

 

「やめろバカ!何しやがるんだ!」

 

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよ〜!うひひっ〜!」

 

 

 

 

「ふぅ‥なんとか上手くいったわね」

 

私は王我に渡したアイテムの成果を見るために研究室から戦闘を見ていた。渡したのはいわゆるAEDに近い、電気ショックで心臓を動かすもの。だがこれは余計な手順は要らず服の上からも使用できるものだ。

 

「昔は大事な時に役に立たなかったけど今はこうして役に立ってる‥不思議なものね‥」

 

27年前にはこのアイテムを上手く使えず捨てようと思ったけど、こうやって人の役に立つと開発者としては嬉しかった。

 

 

 

 

「だからやめろって言ってんだろ!いいか、お前たちの仲間になった覚えはねぇ!アタシはフィーネと決着をつけて、やっと見つけたアタシの夢を果たしたいだけだ!」

 

ギアを解除して私の腕の中でバタバタしたるクリスちゃんが木になることを言った。

 

「夢?クリスちゃんの?聞かせてよ!」

 

あのツンツンしてるクリスちゃんの夢。気になるにきまっている。

 

「うるさいバカ!お前本当のバカーッ!」

 

照れてるクリスちゃんの話を聞きたかったが電話が来たので出る。

 

「‥!はい」

 

相手は未来だったのだが

 

「響!リィディアンがノイズに襲われ‥」

 

「あ、‥え‥」

 

未来との連絡はそこで切れてしまった。




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「嘘ですよね‥」
「過去の亡霊‥」
「響‥頑張って‥」
「男の鍛錬はそいつで十分よ!」
「月を‥穿つ?」
「2人の夢を受け継ぐんだ!」

EP23 ルーラー・フロム・ザ・パスト2043


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EP23 ルーラー・フロム・ザ・パスト2043

祝え!この小説のお気に入り数が100を超えた瞬間を!これからもどうぞ応援の方をよろしくお願いいたします。さて‥この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
東京スカイタワーにノイズとアナザーゴーストが集結するもこちらも雪音クリスがとうとう二課の装者と合流した。そして我が魔王、逢坂王我は見事仮面ライダーディケイドの力をとり戻しアナザーゴーストを撃破する。だがそれと同時にリィディアン音楽院がノイズに襲撃されてしまう。私はここでの出番はないのかもしれません。今はまだですが‥


響と別れた後リィディアンに向かっているとそこにはノイズが沸いていた。校舎は所々ノイズにより壊されている。

 

「皆さん、落ち着いて避難して下さい!」

 

私は響との約束を守るため校内にいる皆をシェルターに避難させている。

 

「ヒナ!」

 

「どうなってるわけ?学校が襲われるなんてアニメじゃないんだから‥」

 

「みんなも早く避難を‥」

 

「小日向さんは‥?」

 

「私は他に誰かいないか見てくる!」

 

そう言って皆と分かれて行動した。怖いけど響も戦っていると思うと頑張れる。

 

「誰か、誰かいませんかー?」

 

生存者を確認している最中、窓を突き破りノイズが校内に侵入し、そして私めがけ飛んできた。

 

「くっ!」

 

その時誰かに抱えられ、攻撃をかわすことができた。

 

「う‥お、緒川さん‥?」

 

助けてくれたのは緒川さんだった。

 

「ギリギリでした。次上手くやる自信はありませんよ?」

 

「走ります!」

 

「は、はい!」

 

緒川さんに引っ張られエレベーターに押し込まれる。

 

「エレベーターに!早くッ!」

 

ノイズもその後を追ってきて、まさに触れるギリギリでエレベーターの扉が閉まる。

 

「‥はい、リィディアンの破壊は依然拡大中です。ですが未来さんのおかげで被害は最小限に抑えられています」

 

一先ず危機を脱した今、緒川さんが携帯で連絡を取っている。相手は弦十郎さんのようだ。

 

「司令、【カ・ディンギル】の正体が判明しました!確証はありませんがおそらく【カ・ディンギル】は‥」

 

「きゃあああ‼︎」

 

エレベーターが突き破られ、何者かに緒川さんが首を締められた。

 

 

「こうも早く悟られるとは‥何がきっかけだ?」

 

金色の鎧を纏った女性は緒川さんに何かを尋ねる。

 

「塔なんて目立つものを誰にも知られる事なく建設するためには地下へと伸ばすしか方法はありません‥そんなことが行われているとすればこの二課本部、そのエレベーターシャフトが【カ・ディンギル】。それを可能にする人物は‥」

 

段々と首を締める力が強まっていったが

 

「待ちな、了子」

 

天井が崩れ、そこから弦十郎さんが現れた。それにより力が緩まり、緒川さんは距離を置いた。

 

「‥私をまだその名で呼ぶか」

 

「女に手を出すのは気が引けるが、もし二人に手を出せばお前をぶっ倒す!」

 

私はあの人が了子さんなのかということと恐怖が混じり何も言えなかった。

 

 

「調査部も無能じゃない。米国政府のおかげでお前の行動はとっくに気づいていた。後はあぶり出すために敢えてお前の策に乗っていたのさ!」

 

「そうか‥だが、この私を止められるとでも⁉︎」

 

「おうとも!一汗かいたあと話を聞かせてもらおうか!」

 

相手からムチのような攻撃が仕掛けられるが弦十郎さんは華麗に避け、助走をつけた拳を叩き込む。でも相手もそれをかわし、再び状況は振り出しに戻る。

 

「肉を削いでくれる!」

 

トゲのついたムチをしならせ弦十郎さんに叩きつけるも、それを掴みさらにはそれらを引っ張って距離を縮めた。

 

「はああぁぁ!」

 

相手のお腹を殴り吹き飛ばす弦十郎さん。状況は優勢なのにその顔はどこか悲しそうだった。

 

 

 

 

「完全聖遺物を退ける‥どういうことだ‥」

 

俺の拳をくらい伏せる了‥フィーネ。

 

「飯食って映画見て寝る。男の鍛錬はそいつで十分よ!」

 

そしてフィーネはソロモンの杖を使ってノイズを呼ぼうとするがそれを蹴り、杖を手から離させる。

 

「ノイズさえいなければこちらのものだ!」

 

拳を握り再び殴りかかる。この一撃さえ入ればきっと勝てる。そう思っていたが

 

「弦十郎くん‼︎」

 

俺はその時自分は非情になれなかったことを知った。今隠していた思いが出てきてしまった。この戦闘では敗因となってしまうもの。それを相手に最悪のタイミングで見せてしまった。

 

「ふふ‥隙を見せたわね」

 

その隙をつかれ、俺の腹に突き刺さった。

 

「いやあぁぁぁ‼︎」

 

未来くんの悲鳴が狭い通路に響く。

 

「目覚めよ、天を衝く魔塔。彼方から此処に出でよ!」

 

 

 

 

 

 

「司令!その傷‥」

 

負傷した弦十郎さんを指令室まで運ぶ。刺された腹部からの出血がまだ酷い。普通ならその場でもがくこともキツいのに弦十郎さんは自分の足でここまできた。

 

「ぐっ‥問題ない。それより装者に連絡を!敵は、了子くんだ!」

 

「響、今ノイズがリィディアンに‥」

 

響に援助を求めるも

 

「本部に何者がハッキングしたもよう!こちらの操作を受け付けません!」

 

そのハッキングで電波もジャックされ通話が出来なくなってしまった。

 

 

 

未来からの連絡が入り、急遽リィディアンに向かい移動していた。だがその道中ノイズによって妨害される。

 

「敵は二課本部が狙いと見て間違いないみたいなさそうだな‥」

 

「未来‥」

 

「響、大丈夫だよ。本部には緒川さんもいるしきっと無事だよ」

 

「王我さん‥そうですね。今は目の前のノイズに集中ですよね」

 

「そうだ、立花。その拳を槍として、立ち塞がる敵を貫き道を拓くんだ」

 

「要は目の前のコイツらぶっ飛ばして進めば良いんだろうが!さっさとしないと置いていくぞ!」

 

クリスちゃんを先頭に全員でリィディアンに向かった。

 

 

 

「未来ー!皆ー!」

 

「リィディアンが‥」

 

ほとんどが破壊されたリィディアン。その瓦礫の中に

 

「櫻井女史⁉︎」

 

了子さんが1人立っていた。

 

「フィーネ!お前の仕業か⁉︎」

 

「⁉︎どういうことだよ、雪音⁉︎」

 

「ふふ‥ハハハハ!」

 

「そうなのか⁉︎その笑いが答えなのか⁉︎」

 

了子さんは光に包まれ現れたのは、全く違う姿をした人だ。だが

 

 

「‥嘘ですよね?そんなの嘘ですよね?だって了子さんは、私を守ってくれました!」

 

「あれは貴重な完全聖遺物のデュランダルを守っただけのこと」

 

「嘘ですよ‥じゃあ本当の了子さんは‥?」

 

「櫻井了子の身体は先立って食い尽くされた。いや精神は12年前に死んだと言っていい」

 

「【超先史文明の巫女】フィーネは遺伝子に己が意識を刻印し、自信の血を引く者がアウフヴァッヘン波形に接触した時、その身にフィーネの記憶と能力が起動する仕組みを施したのだ。そしてその目覚めし意思が私なのだ!」

 

「あなたが了子さんを塗りつぶして‥」

 

「まるで過去の亡霊‥」

 

「フィーネとして覚醒したのは私だけではない。様々な歴史に記された人物となり世界中に散った私はいつも技術の大きな転換期に立ち合ってきた」

 

「‥!シンフォギア・システム‥!」

 

翼さんが相手の言葉で何かに気づいたみたいだ。

 

「そのような玩具!為政者からコストを捻出するだけの道具に過ぎない。唯一エクスキャリオンは意味があるがな」

 

「お前の戯れに奏は命を‥!」

 

「お前がアタシを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのはその為か!」

 

「そう、全ては【カ・ディンギル】のため!」

 

その時壊れたリィディアンから何かが突き出てくる。それは先に言われた塔の形状をしていた。

 

「これが、地より立し天にも届く一撃を放つ荷電粒子砲、カ・ディンギル!」

 

「カ・ディンギル‥これでバラバラになった世界が一つになるって言うのか⁉︎」

 

クリスちゃんがそう尋ねる。

 

「あぁ、今宵の月を穿つことでな!」

 

「月を‥穿つ?」

 

全員指で指された月を見上げる。

 

「私はただ()()()と並びたかった。そのためにあの方に届く塔、シンアルの野に建てようとした」

 

そう言う彼女の顔はとても敵とは思えないほど感情的な表情だった。

 

「だが人の身が同じ高みに至ることをあのお方は許さなかった!あの方の怒りを買い、稲妻に塔が砕かれるばかりか人類は交わす言葉すら砕かれた。果てしなき罰、バラルの呪詛をかけられてしまったのだ!」

 

でもその顔は一瞬で怒りに燃える顔に変わった。

 

「月が何故古来より不和の象徴とされてきたか、それは月こそがバラルの呪詛の源だからだ!そしてこの呪いを月を破壊することで解き、世界を再び一つに束ねる!」

 

「呪いを解く‥?それはお前が世界を支配するってことなのか⁉︎」

 

「そうだ。だが現在には王の候補としてジオウが存在する。それを潰すためにアナザーライダーを送り込んでいたのだ」

 

「そのために多くの犠牲が‥ふざけてやがる!」

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

『Killter Ichaival tron』

 

私達は再びギアを纏い戦いを挑む。

 

 

 

 

私達はフィーネに向かい刃を向けて立ち向かっている。

 

「でりゃあ!」

 

「はあぁぁ!」

 

「ふんッ!」

 

私と雪音は両側から攻撃をする。

 

「ぐはっ‥」

 

「くっ‥」

 

だが私達の攻撃は簡単に弾かれる。

 

「翼さん!こんのぉぉ!」

 

立花も私達の後から攻撃をするも

 

「甘い!」

 

与えたダメージはすぐに回復し、反撃されてしまう。

 

「ぐっ‥」

 

そんな状況の中でもまだ戦闘に入っていない人物が1人。

 

「王我、何ボケっとしてるの!早く!」

 

「!すまない!」

 

武装、起動!

 

「ふふ、エクスキャリオンはこの中で唯一危険だと思っていたがアイツが言っていた通り、装者自身の気持ちが弱い!」

 

攻撃を受け止められた王我は蹴り飛ばされ、地を転がる。

 

「ぐあっ‥!」

 

いつもより王我のキレが悪い。先の様子から見て王我の悪いトコがここで出てきてしまった。彼は世界中の人間を守ると決めている。特に仲間に関してはその気持ちが強い。だから王我は裏切り者が相手だとそう簡単に敵だと割り切ることが出来ない。

 

 

 

 

あの謎の塔が本部から出て、全ての電力を断たれてしまった今。壊れた二課本部の通路からシェルターまで登の道を使い、シェルター付近まで来ていた。

 

「小日向さん⁉︎」

 

「良かった‥皆無事で!」

 

少し前に離れた皆とここで合流することが出来た。

 

「この区域の電力はまだ生きてるみたいです!」

 

「他を調べてきます!」

 

「状況はかなりマズイわ‥緒川、なるべく急いで!」

 

藤尭さんや緒川さんは電力復旧のために動き、夜忍さんが全体の指示をしている。

 

「ヒナ、この人達は‥」

 

「我々は、特異災害対策起動部隊。一連の事態の収束に当たっている」

 

「それって、政府の‥」

 

「モニター再接続完了、こちらから操作できそうです」

 

そのモニターに映ったのはボロボロになった響たちだった。

 

「響!それにあの時のクリスも‥!」

 

「これが‥」

 

「了子さん‥」

 

藤尭さんも友里さんも本性を露わにした了子さんの姿に驚きを隠せていなかった。

 

「何よこれ‥こんなのアニメじゃないんだから‥」

 

「ヒナ、もしかしてビッキーのこのこと‥」

 

「うん‥」

 

「(響‥頑張って‥)」

 

私はただ応援をする事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

フィーネに対し何度も攻撃をするが完全聖遺物の効果で傷は即回復し、全くダメージが与えられていないようだ。

 

「どうした、もう終わりか?」

 

「な、わけねぇだろ‥。おい、お前ら」

 

雪音が俺たちにある作戦を提案する。

 

「‥わかった」

 

「‥うん」

 

「‥やるしかない」

 

俺を含め全員がそれに賛同した。

 

「はああぁ!」

 

「てりゃああぁ!」

 

「おりゃああ!」

 

俺たちはフィーネに向かい攻撃をするが先と同じく全て弾かれる。だが

 

「本命は、こっちだ‼︎」

 

「ロックオン!アクティブ!スナイプ!デストロイィィィ⁉︎」

 

雪音が何発ものミサイルをフィーネに向かい放つ。

 

「その程度切り刻んで‥まさか、狙いはカ・ディンギル⁉︎」

 

フィーネはミサイルが自分に向けられていないと気づき、塔に向かっている弾を撃ち落としていく。

 

「させるか!もう一発は‥?はっ!」

 

残った一つのミサイルに乗り、雪音は上昇していく。向かっている場所は塔のテッペンではなく更に上だった。

 

「クリスちゃん⁉︎」

 

「何のつもりだ⁉︎」

 

響も翼も驚いている。俺もそうだ。これは先の話で聞いていない内容だったからだ。

 

「‥!まさか⁉︎」

 

雪音が雲を突き抜け、おそらく宇宙空間まで登っただろう。姿は見えないが、レーザー発射口の正面にいると考えると‥

 

 

 

「くっ、足掻いたところでカ・ディンギルの砲撃を止められるなど‥」

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl』

 

「この歌‥まさか⁉︎」

 

「やっぱり当たってたか‥」

 

「絶唱‥」

 

唄い終わった瞬間、カ・ディンギルから眩い光が放たれ、先端から月に向かいレーザーが発射した。

 

「一点集束⁉︎押し留めているだと⁉︎」

 

だがそのレーザーを押し返すかのよう反対から光線が放たれる。

 

 

 

 

 

絶唱を使ってまでアタシは為すことをなそうとしている。ギアにヒビが入るし口からは血も出ている。今までだったら絶対にこんな事はしなかっただろう。でもこれが本当にアタシがやるべきことだったんだ。

 

「(ずっとアタシは‥パパとママのことが大好きだった!だから2人の夢を受け継ぐんだ!パパとママの代わりにアタシが歌で平和を掴む!アタシの歌は‥そのためにッ!)」

 

そしてアタシの目の前が真っ白になった。

 

 

両者のレーザーは勢いを徐々に失うが、カ・ディンギルから放たれた方のレーザーは月に当たってしまった。だがクリスちゃんにより狙いがズレて月の一部しか削ることが出来なかった。

 

「仕損ねた⁉︎僅かに逸らされたのか⁉︎」

 

月が破壊されるという最悪の状況にはならなかったが、他に嫌なものを見てしまった。それは落下するギアが半壊したクリスちゃん。

 

 

「ああ‥‥」

 

落下するクリスちゃんは全く動いていない。あのクリスちゃんが‥全く‥

 

 

「あああああああぁぁぁぁッ‼︎」

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「聞こえる‥皆の声が‥」
「この手は、束ねて繋ぐ力のはずだろ?」
「俺も覚悟を決めた‥!」
「両翼揃ったツヴァイウィングはどこまでも遠くへ飛んでいける」
「お前たちは何を纏っている⁉︎」
「シンフォギアァァァァ‼︎」

EP24 グリッターシンフォギア2043


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EP24 グリッターシンフォギア2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
遂にフィーネとしての正体を現した櫻井了子。戸惑う装者達だが完全聖遺物を纏ったフィーネに圧倒される。またカ・ディンギルの発動により月の破壊を目論むが、それを止めるべく雪音クリスは自らの命を散らしそれを阻止したのであった。


雪音のおかけで月の完全破壊を防ぐことが出来た。だが俺らはその雪音が落下する様を見ることしか出来なかった。

 

「雪音‥⁉︎」

 

「嘘だろ‥」

 

翼も俺も散った雪音に悲しみの感情を抱くが

 

「せっかく仲良くなれたのに‥こんなの嫌だよ‥。ううっ‥」

 

一番悲しそうにしているのは響だった。響が一番雪音との距離を縮めようとしてそれがやっと実ったのにこのようになってしまったのだから当たり前だ。

 

「もっとたくさん話したかった‥話さないと喧嘩することも仲良くなることもできないんだよ!せっかく出来たクリスちゃんの夢もまだ聞けてないよ‥」

 

「自分を殺して月への直撃を防いだか‥無駄なことを」

 

「無駄‥だと‥?」

 

俺は言ってはならないことをフィーネが口にしたのを聞き逃さなかった。

 

「無駄なんかじゃない!私が絶対に無駄になんてさせない!」

 

「あぁ、雪音の志、確かに私達のに届いた!」

 

響も翼もその言葉に怒りを覚え、再び矛先をフィーネに向ける。

 

「俺も覚悟を決めた‥!アンタが了子さんであろうがフィーネであろうが関係ない。雪音を馬鹿にしたお前を徹底的に倒す!」

 

「なら、私を止めてみろ!」

 

再び斬りかかるも策も何もないので結果は同じだった。

 

「くそっ、全然ダメージを与えられない!」

 

「傷をつけてもネフシュタンが回復していく!」

 

フィーネはこの回復能力で全く動じていない。

 

「いい加減諦めることだ。お前達では私の理想を砕くことは出来ない」

 

「何度でも言おう。雪音クリスの死は無駄だと。夢も叶えられないとんだ愚図だったと!」

 

「‥!お前、雪音の夢を馬鹿にしたな‥?」

 

「‥笑ったか?命を燃やして大切なものを守り抜くことを‥お前は無駄だとせせら笑ったかッ⁉︎」

 

「‥許せなイ」

 

響の身体が徐々に赤黒く染まっていく。

 

「それが夢ごと命を握りつぶした奴の言うことかあああアアァァッ!」

 

完全に黒く染まった響。その目は赤く光り、まるで怪物のように吠える。

 

「マズイ!暴走か⁉︎」

 

「立花⁉︎しっかりしろ!」

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ。制御出来ない力に、やがて意識が塗り固められていく」

 

「お前、響を使って実験をしていたのか⁉︎」

 

「実験を行っていたのは立花響だけではない。見てみたいと思わないか?ガングニールに溺れ人としての機能が奪われていく様を」

 

まるで人間を実験用のモルモットように扱っている。

 

「お前はそのつもりで立花や奏を‥!」

 

翼の言葉がそこで止まってしまう。それもそうだ。

 

「ウアアアアアアァァ‼︎」

 

響が完全に暴走を始めてしまった。俺もデュランダルを持って暴走した響を見たことあるが今回は怒りの感情からの暴走。

 

「響、止めろ!」

 

「これ以上は聖遺物との融合を促進させるばかりだ!」

 

一瞬止まったかのように見えた。しかし

 

「ウ‥ウアァァア!」

 

「ぐあっ‥」

 

「ぐっ‥」

 

その声は届かず、俺達までも攻撃する様だ。敵と味方の区別すら出来ていない危険な状態だ。

 

 

 

 

 

ただでさえフィーネを相手にするだけでも手いっぱいだが更に暴走した立花が加わると更に状況が悪化する。

 

「ウウゥ‥ウゥアァァ!」

 

今私は襲い掛かってきた立花を剣で抑えている。

 

「どうだ、立花響と刃を交えた感想は?お前の望みであったか?」

 

確かに私は一度立花に決闘を申し込んだことがある。

 

「お前は人のあり方さえ捨て去ったのか」

 

「私と一つになったネフシュタンの再生能力だ。面白いだろ?」

 

その最中

 

「マズイ!」

 

カ・ディンギルが再び光を放ち始めた。

 

「そう騒ぐな。カ・ディンギルはどれだけ最強最大の兵器だとしても、一撃で終わるのならそれは欠陥品だ。必要がある限り、何度でも打ち放てる。そのためにエネルギー炉心にはデュランダルが使われている!それは尽きることない、無限の心臓なのだ」

 

カ・ディンギルのような完全聖遺物を軸としているためそのようになるのも不思議ではない。

 

「いくら再生能力があるとは言えど、それを凌駕する攻撃を与え続ければ‥」

 

まずはカ・ディンギルを止めようとしたその時、立花が私目掛けて拳を振るうが

 

「危ない!」

 

私を弾き飛ばした王我は立花の攻撃をまともにくらい、エクスキャリオンが解除されてしまった。

 

「ウァァ‥」

 

さらに暴走した立花に王我は首を掴まれ、宙に浮かせられる。

 

「ぐっ‥」

 

「ウウッアァァ!」

 

そしてそのまま瓦礫に向かって思い切り投げ飛ばされる。

 

「王我‼︎」

 

「ハハハ、生身であの勢いを喰らえばどんな人間でも死ぬだろう。逢坂王我も死にいよいよ独りになったな」

 

「立花‥」

 

「私はカ・ディンギルを止める。だから‥」

 

「ウウアァァ!」

 

「フフ‥ん?」

 

 

立花の手刀が私の胸に刺さる。心臓を避けることはできたが少しでもズレていたら死んでいたかもしれない。

 

「なっ‥攻撃を避けず、受け止めただと‥」

 

「この手は、束ねて繋ぐ力のはずだろ?」

 

私は自分の血が滴る立花の手を取った。そしてギアから小刀を取り出し、立花の影に向かい突き刺す。

 

『影縫い』

 

立花はこれで動かなくなる。そして私は立花から離れた。アイツと戦うために。

 

「‥立花、奏から受け継いだ力をそんな風に使わないでくれ」

 

立花はまだ正気には戻っていないが頬に涙を流していた。

 

「‥待たせたな」

 

「どこまでも剣という訳か」

 

「今日に、折れて死んでも‥明日に、人として唄うために!」

 

剣を握る手に力が入る。

 

「風鳴翼が唄うのは戦場だけではないと知れ!」

 

両手に握った剣から炎か現れる。炎が翼の形となり、その姿は不死鳥のよう。その翼で一気に上空へと飛ぶ。

 

「やはり狙いはカ・ディンギルか!」

 

私の狙いに気づき、上空へとムチを伸ばした。私は全力のスピードを出す。だが相手の方が早く、私のギアの一部を破壊した。そのせいで飛べなくなり、落下してしまう。

 

「(やはり私には無理なのか‥)」

 

そう諦めかけた時

 

『何、弱気なこと言ってんだ』

 

「(奏‥!)」

 

奏の幻だ。今奏の魂は王我の中にある。だからこれは私の幻想‥なのか。

 

『アタシと翼、両翼揃ったツヴァイウィングは、どこまでも遠くへ飛んでいける。そして‥』

 

奏は手を差し伸べる。そしてその手を掴むと‥

 

 

 

「‥!王我」

 

そこには奏のガングニールを纏った王我が私の手を握っていた。

 

「馬鹿な、アレで生きていたというのか⁉︎」

 

「ギアを保つ時間がない。行くぞ、二人‥いや、三人で!」

 

「あぁ!」

 

「(両翼揃ったツヴァイウィング、そして王である王我がいれば出来ないことはない!)」

 

再び双剣に火が灯り、舞い上がる。王我も槍を携え、カ・ディンギルへと向かう。

 

「(どんなものでも超えてみせる!)」

 

「立花あぁぁぁ!」

 

私と王我は青と橙の光の矢となりカ・ディンギルを貫いた。

 

 

 

 

 

カ・ディンギルが大爆破し世界への被害は無くなった。

 

「ああぁ‥」

 

ギアが解除更にさっきまでの出来事がはっきりと理解してきた。

 

「翼さん‥王我さん‥」

 

疲労と絶望でもう立つことが出来ない。

 

「ええいッ!どこまでも邪魔をしおって!月の破壊はバラルの呪詛を解くと同時に重量崩壊を起こす。それに全人類が怯え、そして聖遺物を振るう私の元に帰順するはずだったのに!」

 

ギアを纏っていない無抵抗の私を蹴飛ばす。

 

「痛みだけが人を繋ぐ絆、たった一つの真実だと言うのに!それを、お前らが!」

 

怒りを吐き出し切ったのか一旦冷静になった。

 

「まぁ、お前も役に立ったよ。生体と聖遺物の初の融合症体。お前がいたからこそ私は己が身をネフシュタンの鎧と同化させることが出来たのだからな!」

 

「‥奏さんやクリスちゃん、翼さんや王我さんもいない‥学校も壊されて、みんないなくなって‥私、何のために戦ってきたんだろう‥」

 

私は黒く染まってしまった空を眺めて呟いた。

 

 

 

 

「天羽々斬、エクスキャリオン、反応途絶‥」

 

友里さんのその言葉でクリスが散って重かった空気が更に重くなる。

 

「身を挺してカ・ディンギルを破壊したか、翼、お前の歌は世界に届いたぞ‥王我も‥王として立派だった‥」

 

弦十郎さんは被害を防いだ二人に敬意を払っていた。

 

「わかんないよ!どうしてみんな戦うの⁉︎痛い思いをして、死ぬために戦っているの⁉︎」

 

弓美がとうとう叫び出してしまう。

 

「‥わかんないの?」

 

「えっ‥あっ‥」

 

「‥分からないの?」

 

私の気持ち更には現状を受け止めたため弓美の目からは涙が溢れてきた。

 

「司令、周辺シェルターから生存者を発見しました」

 

周辺調査に行っていた緒川さんが帰ってきた。

 

「そうか、良かった」

 

「あ、カッコいいお姉ちゃんだ!」

 

連れてこられた女の子がモニターに映った響に指を指す。

 

「ビッキーのこと知ってるの?」

 

「うん!この前助けてくれたの!」

 

少し前響が言っていた。ノイズと戦い始める前この子を助ける際にあの力が解放したと。

 

「またあの子の人助け‥」

 

いつも響は変わらないなと感じる。

 

「ねぇ、お姉ちゃん助けられないの?」

 

「‥助けようとしても無理なんです。私たちには何も出来ませんし‥」

 

「じゃあここから応援しようよ!ねぇここから話せないの?」

 

「それは出来ないんだよ‥」

 

子供の素直な気持ちを断るのは心が痛むため、藤尭さんは少し答えにくそうだった。

 

「応援‥あっ!」

 

そうだ。今の女の子の言葉でわかった。私たちに戦う力は無くても応援することなら出来る!

 

「ここから響に私たちの声を届けるにはどうすればいいですか?私、響を助けたいんです!」

 

「学校の施設が生きていれば、ここから声を届けることが出来るかもしれません」

 

「私に何か出来ることは!」

 

「待ってよヒナ」

 

創世が私に声を掛ける。

 

「‥止めても無駄だよ。私は響のために‥」

 

もし止められても無理矢理‥

 

「ううん、私も手伝う」

 

思ってた答えと違い、肯定的だった。

 

「私もです」

 

「あたしも手伝わせて!こんな時アニメなら友達の為に出来る事をやるんだ!」

 

「‥うん!みんなで響を助けよう!」

 

 

 

 

もう戦う気力も湧かない。

 

「(もう無理なのかな‥)」

 

「もうずっと遠くの昔、あの方に仕えていた私はいつしかあの方を、創造主を愛するようになった。だが、この思いを伝えることは出来なかった。その前に、人間から言語が奪われた!」

 

「バラルの呪詛により唯一創造主と語り合える統一言語を失ったのだ‥」

 

「胸の‥思い‥?だからって‥」

 

私はその言葉を聞いてある疑問を抱いた。どうしてそれで人類を苦しめる必要があるのか。そんなことをその人は望んでいるのか。

 

「是非を問うだと⁉︎恋心も知らぬお前が!」

 

言い返そうとすると気に触ったらしく、私を再び蹴飛ばした。

 

「融合体のお前は興味深い対象だったがもうお前で実験しようとは思わぬ私一人が頂点であればいい。ジオウも消えた今、私こそ新世界の王だ!」

 

全てが終わろうとした時

 

「‥ん?ちっ、耳障りな!どこから聞こえてくる!この不可解な歌は⁉︎」

 

壊れた放送器具からある曲が流れる。この歌は私が気に入っているリィディアンの校歌。

 

 

 

 

 

「(響、私たちは無事だよ!響が帰ってくるのを待ってる!だから負けないで!)」

 

 

 

 

 

 

「聞こえる‥皆の声が‥」

 

段々と日が昇ってくる。

 

「良かった‥私を支えてくれる皆がいつだって傍に!」

 

それと同時に私は拳を握り決意する。

 

「皆が唄ってるんだ!だから‥まだ戦える!」

 

「頑張れる!戦える‼︎」 

 

その波動で周りの物を吹き飛ばした。

 

「まだ戦えるだと‥?何を支えに立ち上がる?何を握って力と変える?あの不快な歌の仕業か?」

 

「お前が纏っているものは何だ!心は確かに折り砕いたはず!なのに何を纏っている?それは私が作ったものか?お前たちは何を纏っている⁉︎何なのだあああぁ⁉︎」

 

その時三本の光の柱が降りてきた。その下には私と翼さん、クリスちゃんがいる。今までのギアとは違う。輝く翼を携えた‥

 

「シンフォギアアァァァ‼︎」

 

 

 

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「あなたが切り札よ」
「歌は戦う力だけじゃない。命なんだ!」
「響ぃぃぃぃ!」
「お前の抱えた胸の覚悟、私たちに見せてくれ!」
「お前が自分を信じなくてどうする!」
「シンフォギアでえええぇぇ‼︎」

EP25 セカンドエクスドライブ2043


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EP25 セカンドエクスドライブ2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
最終決戦の状況はフィーネ優勢、更には立花響は怒りで暴走状態となってしまう。それを風鳴翼が何とか抑え込むが、雪音クリスに続き、カ・ディンギル破壊の為に我が魔王と風鳴翼も重症を負うのだった。絶望する立花響だったが友人からの歌で勇気を取り戻し、そして三人の装者はエクスドライブへと至ったのであった。


私を蘇らせてくれた歌。私を支えてくれる皆。そのためにも私は戦う。このギアと翼がある限り‥

 

「皆の歌声がくれたギアが、私たちに負けない力を与えてくれる。奏さんやクリスちゃん、翼さんや王我さんがもう一度立ち上がる力を与えてくれる」

 

私は胸の前で拳を握る。

 

「歌は戦う力だけじゃない。命なんだ!」

 

「高レベルのフォニックゲイン。こいつは2年前の意趣返し」

 

「んなこたぁ、どうでもいいんだよ!」

 

「限定解除されたギアを纏って調子に乗りおって!」

 

あちらは怒りに任せノイズを更に発生させた。

 

「またノイズか。芸が乏しいんだよ!」

 

「各自迎え撃つぞ!」

 

「はい!」

 

新しくギアに生えた光の翼をたなびかせ、ノイズとの戦闘を開始する。今回の戦闘はもう何度もノイズとの戦いを経験しているのと、このギアのおかげで苦戦はなく、すぐに全て片付け終わる。

 

「どうだ!ノイズなんて敵じゃねぇんだよ!」

 

「世界に尽きぬノイズの災禍はお前の仕業なのか⁉︎」

 

「ノイズとは、バラルの呪詛にて相互理解を失った人類が同類を殺戮するために創り上げた自律兵器」

 

「人が、人を殺す為に‥?」

 

私が尋ねても何を言っているのかよく分からない。

 

「バビロニアの宝物庫は扉が放たれたままでな、その10年に一度の偶然を必然とし私が使役しているだけのこと」

 

「訳わかんねぇことを!アイツ何する気だ!」

 

「怖じろおおッ!」

 

そう言い、杖を高く上げると周りを見るとあちらこちらからノイズが発生する。

 

「ハハハッ」

 

「街全体にノイズが!」

 

「所詮はノイズ!どいつもこいつもぶちのめしてやらぁ!」

 

「‥翼さん。私、翼さんに‥」

 

私が暴走したせいで翼さんに怪我をさせてしまった。そのことをずっと謝りたかったのだが

 

「どうでも良いことだ」

 

「えっ」

 

「立花は私の呼び掛けに応えてくれた。自分の意思で戻って来てくれた。自分の強さに胸を張れ!」

 

私は本当に素晴らしい先輩を持ったんだと思った。

 

「はいッ!」

 

私達は散開し、街に現れたノイズの殲滅を実行する。私は腕のギアを引っ張り力を貯める。そしてそれをノイズが集まっているところで放った。その威力は凄まじく、いつも倒すのに数発いる数の敵を一撃で全て撃破した。翼さんの剣劇も、クリスちゃんの銃弾もいつもより威力が高い。この状態のギアならノイズを簡単に倒せる。

 

「フッ‥」

 

だがあちらは笑みと共にソロモンの杖を再び高く上げ

 

「あっ‥ぐっ‥」

 

「ソロモンの杖を自分の腹に‥⁉︎」

 

自分に突き刺した。

 

「自決‥いやいや融合しているのか⁉︎」

 

一瞬血が出たがすぐ止まり、杖と肉体の接触面から光り輝いていた。

 

「!見てノイズが‥」

 

倒しきれなかったノイズが一斉にある一点に向かい急に移動した。

 

「ノイズに取り込まれている‥」

 

ノイズが幾重に重なり、見た目が段々と変貌していく。

 

「そうじゃねぇ!アイツがノイズを取り込んでんだ!」

 

「なんだと⁉︎」

 

「来たれ‥デュランダル!」

 

ノイズだったものが二課本部へと流れ出し、デュランダルを回収する。そして、

 

「地鳴り‥来るぞ!」

 

地中から出てきたのは大型となった敵の一部分だった。そして全体を地上に現すやいなや、口らしき部分に光が集まる。その姿は赤き龍のようだった。

 

「スゲェエネルギーだ‥!

 

「あっちには街が‥」

 

「おい、まさか⁉︎やめ‥」

 

その瞬間眩い直線の光が放たれ街を襲う。

 

「街が!」

 

街にはレーザーの跡が残り、まだ溶解面は赤く光っている。その威力は先のカ・ディンギル以上だった。

 

「逆さの鱗に触れたのだ。相応の覚悟が出来ておるだろうな?」

 

「これ以上何も壊させない!」

 

 

 

 

 

 

私達は再び攻撃を仕掛ける。飛べるおかげで攻撃は当たるが

 

「再生能力が上がっている‥!」

 

先よりも回復のスピードが格段に早い。

 

「三人がかりでも手数が足りねぇのかよ⁉︎ったく、ジオウは何してんだ⁉︎」

 

「いくら限定解除されたギアでも所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具!完全聖遺物に対抗できると思うな!」

 

「くっ‥王我がいれば‥」

 

完全聖遺物なら王我のエクスキャリオンがある。だが装者である王我の姿がまだ見えない。

 

「はっ‥」

 

いや、もう一つある。

 

「あっ‥」

 

そしてそれに雪音も気付いたようだ。

 

「雪音!」

 

「分かってるっての!もっぺんやるぞ!」

 

「しかしその為には‥」

 

「‥?ええっと‥よく分からないけど、やってみます!」

 

立花も全て理解した訳ではないが了承してくれた。

 

「頼んだ!私と雪音が露を払う!」

 

私と雪音は飛んで、フィーネの元まで進んだ。

 

 

 

「手加減はなしだ!」

 

「はあぁ!」

 

翼さんが斬り込み、外壁となったノイズを破壊する。

 

「くっ‥外殻が!だがネフシュタンの再生能力の方が‥なっ⁉︎」

 

「フィーネッ!食らいやがれぇぇ!」

 

内部に侵入したクリスちゃんはとにかく傷をつける為に乱射する。

 

「所詮は聖遺物の欠片!たかが一人で何が出来る!」

 

「一人ではない!」

 

更に翼さんが敵本体に刃を当てようとするがそれは光の盾で防がれてしまった。

 

「ええい、ちょこまかと!」

 

「今だ、雪音!」

 

「狙いはついた、食らえ!」

 

クリスちゃんは一部光り輝く場所だけに弾を何発も撃った。何発も撃ったため周りには煙幕が待っていて、それは相手の視界すらも奪うほどだった。

 

「ぐっ‥⁉︎まさか狙いは最初から」

 

輝いていたものは煙の中から飛び出し、姿を現す。

 

「立花、それが切り札だ!」

 

飛んできたのは、デュランダル。

 

「勝機を零すな!掴み取れ!」

 

「ちょっせい!」

 

クリスちゃんは何発か弾をデュランダルに当て、私の元まで飛距離を伸ばした。そして飛んでくる剣に私は手を伸ばし、掴んだ。

 

「デュランダルを⁉︎」

 

掴んだ瞬間嫌な感覚に襲われた。真っ黒い衝動が私を襲う。

 

 

「ウ‥ウアアアアアアアァァ!」

 

すぐにでも飲まれそうだがここで負けてしまっては信じてくれた翼さんやクリスちゃんを裏切ることになる。

 

「正念場だ!踏ん張りどころだろうが‼︎」

 

「‥ッ!」

 

遠のきそうな意識の中、師匠の声が聞こえてきた。

 

「強く自分を意識してください!」

 

「昨日までの自分を!」

 

「これからなりたい自分を!」

 

「‥!皆‥!」

 

緒川さん、藤尭さん、友里さんも私の意識を保つよう声をかけてくれる。

 

「屈するな、立花。お前の抱えた胸の覚悟、私たちに見せてくれ!」

 

「お前を信じ、お前に全部賭けたんだ!お前が自分を信じなくてどうする!」

 

翼さんとクリスちゃんは私の背中を支え、私の気を安定させようとしてくれる。

 

「あなたのお節介を!」 

 

「アンタの人助けを!」

 

「今日は私達が!」

 

「ヴヴヴッ!」

 

「響ぃぃぃぃ!」

 

学校の皆、そして私の陽だまりの声がした。

 

「(そうだ‥今の私は私だけの力じゃない!この衝動に塗り潰されてなるものかッ!)」

 

その時嫌な気が傷に吸い込まれ意識が保てるようになる。さらにはデュランダルから放たれる光が強くなる。力が満ち溢れるみたいだ。

 

「(これなら‥いける!)」

 

私は勝利を確信した。だが

 

()()()の言った通りになったな‥フフ‥」

 

これだけの力を前にまだ笑う余裕があった。まるでこうなることを分かっていたかのように。

 

「何がおかしい!」

 

「フハハハ、お前たちに勝利はない!」

 

あちらは奥の手を出してきた。

 

「これは‥!」

 

ただでさえ大きく倒しづらかったのに、その周りに光の盾が囲むように展開される。

 

「ハハハ、甘い!この光の盾たちは例えデュランダルの攻撃だろうと一度程なら防ぐことが出来る!そしてこの力‥今お前たちは全員動けない‥私の勝ちだ!」

 

確かにクリスちゃんや翼さんは私を支える為にここから動けない状態だ。もし離れてしまったら力を上手くコントロール出来る自信がない。絶対絶滅の時

 

「違うな」

 

「王我さん!」

 

ボロボロだが風格のある私達の王様が現れた。

 

「今更遅い!もうお前は何も纏えない!例えライダーの力であろうと私を倒すのは不可能だ!」

 

「いや、あなたになら出来るわ」

 

「あなたが切り札よ、王我」

 

そこに夜忍さんも姿を現した。

 

「切り札だと‥ふふ‥フハハハ!」

 

こちらにまだ秘策が残っていると宣言したのにも関わらず、まだ笑う余裕がある。

 

「私がエクスキャリオンの本当の姿を知りえていないとでも?」

 

「シンフォギアがない27年前に発明され、対ノイズ兵器として活躍した完全聖遺物、()()()()()()()。その技術はシンフォギアの原型として利用されている為、もちろんその性能も理解している。」

 

「(エクスキャリオンにそんな力が‥)」

 

「あの程度の威力、今の私なら簡単に弾くことが出来る!そのような人の力が私に通用すると思ったか⁉︎」

 

切り札になりえたものも、対策済みとなれば本当に打つ手がない。

 

「本当にそうかしら?」

 

それでも夜忍さんは声色を変えない。

 

「了子‥いやフィーネ、あなたも12年私の研究を見てきて一番大事なことを学んでいなかったのね」

 

「科学は生き物みたいにいつも進歩する。過去の情報だけでは現在を全て把握することは不可能だということを!」

 

「さぁ、王我唄いなさい!今のあなたなら出来る!」

 

『Camustolron EX calibur tron 』

 

今まで聞いたことのない聖唱が唱えられた。そして王我さんはエクスキャリオンを纏ったかと思えば、その鎧は砕け、その中から別の鎧が姿を現す。

 

「なんだこれは‥この姿は私は知らない‥」

 

「当たり前よ。新型‥いや進化系だもの」

 

全体が重い鎧のようだったエクスキャリオン。それとは違い、全体的に軽装備となり、金一色だった姿は今は金と白のカラーリング。そしてその姿はまるでシンフォギア。

 

「これが第二世代シンフォギア、エクスカリバー(ツヴァイ)よ」

 

そして王我さんは私とは違う鉄の翼を広げ、飛び立った。

 

 

 

 

 

「祝え!我が魔王が新たなるシンフォギアを覚醒させた!」

 

「‥行くのかい?」

 

「あぁ、結果は大体分かった。最後まで見る気もない」

 

 

 

 

 

「新型だろうと関係ない!まずは奴らを潰してやる!」

 

大型の触手がこちらに向かってくるが、それを王我さんが切り裂く。

 

「良い気になるな!」

 

今度は無数の触手で襲いかかってきた。

 

「絶対に守る!」

 

すると王我さんは持っていたエクスキャリオン‥いやエクスカリバーを分割し、二本の剣へと変える。

 

「はあああぁ!」

 

向かってくる触手を何度も何度も斬り、私達に一本も触れさせずに目にも止まらない速さで切断していく。

 

「なんだよあれ‥」

 

「あれが王我の真の力‥」

 

「まだだぁ!」

 

先ほど街を襲ったレーザーまでも私達に向け放つ。それを王我さんは避ける素振りもせず、二本の剣を擦り合わせ、その磁波で大きな盾を形成する。

 

『ガラハッドシールド』

 

その盾は相手の攻撃を全て跳ね返し、光の盾にダメージを与えていた。

 

「ぐっ、こんなものに‥!」

 

「凄い‥」

 

「響、これを使え!」

 

王我さんのギアが外れ、代わりに私の身体にギアが装着された。

 

「これは‥」

 

「これがエクスカリバーⅡの力。仲間に自身のギアを与え力を引き上げる能力、譲渡(トランスファー)

 

受け取ったギアから凄い力を感じる。この力は温かく、でも強い力を放っていた。

 

「俺が盾を破壊する!少し待ってて!」

 

「‥!王我さん!」

 

ギアを纏っていない王我さんは地上に落下し始める。

 

「大丈夫!俺にはこれがある!」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

アーマータイムカメンライド!ワーオ!ディケイド!ディケイド!ディケイド‼︎』

 

王我さんは空中でジクウドライバーを巻き、ジオウに変身、更にディケイドアーマーを纏う。

 

フィニッシュタイムディケイド!』

 

アタックタイムブレーク!』

 

敵を囲むように光のカードが現れ、王我さんは先の反撃で脆くなった盾を砕き、そして残り一枚までもっていった。

 

「無駄だ!ライダーの力で神に等しいこの盾は破れぬ!」

 

さすがに最後の一枚は破られまいと相手も押しとどめていた。

 

「無理なんかじゃない!俺は神をも砕く、最高最善の魔王だあぁッ‼︎」

 

ジオウと共に一瞬ゲイツの姿が見えた気がした。そして王我さんの必殺技によりも全ての光の盾を破壊した。

 

「何っ⁉︎」

 

「今だ!」

 

デュランダルから放たれる光は更に輝きを増し、その光は天にまで届いていた。

 

「その力振るわせてなるものかッ!」

 

「(今、私達の世界を救う!)」

 

「響き合う皆の歌声がくれた‥」

 

「シンフォギアでえええぇぇ‼︎」

 

そして私は光の剣を振り下ろした。

 

『Synchrogazer』

 

「完全聖遺物同士の対消滅。どうしたネフシュタン⁉︎再生だ!」

 

外壁は全てノイズだったので聖遺物の攻撃をくらい、消滅かけてしている。

 

「この身砕けて、なるものかぁッ!」

 

巨大な爆発と共に相手は散っていった。




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「私達は、未来にきっと手を繋げられるということ!」
「胸の歌を信じなさい‥」
「俺達は前に進む!」
「皆等しくなければいけないんだ!」
「だからこそ剣が守る意味がある!」
「これが私達の絶唱だあああぁぁぁ‼︎」

EP26 Synchrogazer2043


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EP26 Synchrogazer2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
エクスドライブへと至った装者達はフィーネとの戦闘を開始する。ただそれをまるで分かっていたかのようにフィーネは対策をとり、自身の窮地を脱した。その最中、逢坂王我はエクスカリバーⅡを覚醒させ、更に状況を逆転させた。そして真の姿を見せたエクスカリバーとデュランダル、更には人々の絆を込めた立花響達の一撃でフィーネを倒すことに成功した。


夕焼けが綺麗な空の下、フィーネを倒した俺達は集まり、戦いの勝利を噛み締めていた。そしてその中響は敵であったフィーネに肩を貸していた。

 

「お前、何を馬鹿なことを‥」

 

「もう終わりにしましょう、了子さん」

 

響はもういないはずの彼女の名を呼ぶ。

 

「私はフィーネだ‥」

 

相手もその名を頑なに否定する。

 

「でも了子さんは了子さんですから。きっと私達は分かり合えます」

 

「ノイズを生み出したのは先史文明の人間。統一言語を失った我々は、手を繋ぐことよりも相手を殺すことを選んだ。そんな人間が分かり合えるものか」

 

「だから私は‥こうするしかなかったのだ!」

 

フィーネが腕を払い、響が離れる。

 

「人が言葉よりも強く繋がれることを分からない私達ではありません!」

 

「ふぅ‥でやあぁ!」

 

フィーネは響にムチを振るった。響はその攻撃を避けるも、相手が自由に行動出来るほどの距離が出来てしまった。

 

「了子さん、もう止めて‥」

 

「私の勝ちだぁぁぁ!」

 

「あっ⁉︎」

 

今度の狙いは響ではなく、ムチを更に長く伸ばし、あるものに突き刺した。

 

「了子さん、まさか⁉︎」

 

「もう遅い!でえあぁぁぁ!」

 

フィーネはムチを思い切り引っ張る。その反動は大きく、地面が割れるほどの力であった。

 

「月の欠片を落とす!」

 

「なっ、なんだと⁉︎」

 

その証拠か、少しずつ砕けた月の一部が大きく見えてくる。

 

「お、おい、なんてデタラメだ‥月を引っ張りやがったのか!」

 

「私の悲願を邪魔する禍根は、ここでまとめて叩き砕く!ここで果てようと魂まで絶えはしないのだからな!」

 

再び自身が有利になったことを確信したのかフィーネが笑い出した。

 

「アウフヴァッヘン波形が存在する限り、私は何度でも蘇る!私は永遠に存在し続ける巫女、フィーネなのだ。ハハハ‥」

 

そんな高笑いをするフィーネに対し

 

「あ‥」

 

響の拳がフィーネの胸に触れる。ただそれは殴る拳ではなく、思いを伝える優しい拳だ。

 

「そうですよね。どこかの場所、いつかの時代、蘇る時に何度でも。私達の代わりに伝えてください」

 

「世界を一つにするのに力は必要ないってこと。言葉を超えて私達は通じ合えるってこと。私達は未来にきっと手を繋げられるってこと!」

 

俺は響の言葉を聞き彼女の元へ足を運ぶ。

 

「私達には伝えられないから、了子さんにしか出来ないから!」

 

「お前、まさか‥」

 

「了子さんに未来を託す為にも私達が今を守ります!王我さんも‥」

 

響は俺の手を取った。

 

「あぁ、この時代は任せてください、了子さん」

 

その言葉を聞いたフィーネは

 

「ふぅ‥本当にもう。放っておけないんだから」

 

そして指を響の胸に当て

 

「胸の歌を信じなさい‥」

 

そう言い残し、フィーネは灰となり消えていった。最後の顔、それは敵であったフィーネの顔ではなく俺達のよく知る櫻井了子さんの顔だった。

 

 

 

 

 

了子さんが消えてしまった。いくら敵だったとはいえ、友里さんもクリスも目から涙をこぼしている。それだけ思い入れがあったんだろう。

 

「‥藤尭、月の欠片の軌道を計算するんだ」

 

少し涙混じりの声で弦十郎さんが藤尭さんに言う。

 

「あっ‥は、はい!」

 

「‥計算出来ました。直撃は‥避けられません」

 

「あんなものがここに落ちたら‥」

 

「私達はもう‥」

 

もう全員諦めかけている。それもそうだ。あんな大きな物を止めるなんて不可能だ。でも

 

「響‥」

 

その少女は諦めていなかった。

 

「ちょ〜っと行ってくるから、生きるのを諦めないで!」

 

響は笑顔という命を掛ける人間とは思えない表情をとっていた。

 

「響‥!」

 

そして響はその光の翼で空へと飛び立った。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl』

 

 

「この歌は‥まさか‥」

 

「絶唱‥だと。響くん‥!」

 

私も弦十郎さんから絶唱については聞いている。絶唱は身体への負担が激しいものだと。それで翼さんが入院したことも聞いた。もし響がそれを使ったら‥

 

「あ、あ‥あぁ‥」

 

また響が遠くに行ってしまう。いやもしかしたら二度と‥。私はそう感じた。

 

 

 

 

 

 

 

私はもう地球が見えるくらい高く飛んでいた。自分の命がどうとかは余り実感がなく、また私は未来を置いていってしまった。そのことで頭がいっぱいだ。

 

「(ごめん、未来。けどこれは私にしかできないから‥)」

 

「そんなにヒーローになりたいのか?」

 

「あ‥」

 

もう聞くことはないと思っていた声が届いた。

 

「こんな大舞台で歌を披露することになるとは、立花には驚かされてばかりだ」

 

「それに人類を救うのに王様になる俺を置いていくのは見過ごせないな」

 

「クリスちゃん、翼さん、それに王我さんも‥」

 

「まぁ、一生分の歌を唄うには、丁度良いんじゃねぇか?」

 

クリスちゃんが笑って私に言ってくる。

 

「ふふ‥」

 

そして私達は全員で手を繋ぎ、翼をはためかせ飛んでいく。

 

「それでも私は立花と‥皆ともっと唄いたかった」

 

「‥ごめんなさい‥」

 

「響、その言葉は違うよ」

 

「‥ありがとう、皆!」

 

「開放!全開ッ!行っちゃえ!ハートの全部でぇぇ!」

 

私はトップスピードで、大気圏内で摩擦を受けて赤くなった月の破片に突入した。

 

『みんながみんな夢を叶えられないのは、分かっている。だけど夢を叶えるための未来は皆等しくなければいけないんだ!』

 

クリスちゃんが大量に携えたミサイルが

 

「命は尽きて終わりじゃない。その命が遺したものを受け取り、次代に託していくことが人の営み。だからこそ剣が守る意味がある!」

 

翼さんの巨大化した天羽々斬が

 

「人は未知の物を恐れてしまう。でもそこで立ち止まってしまっては全てが終わってしまう。だから皆が安心できるように俺達は前に進む!」

 

王我さんの二刀流となったエクスカリバーが

 

「例え声が枯れたって、この胸の歌だけは絶やさない!夜明けを告げる鐘の音奏で、鳴り響き渡れ!」

 

そして私はバンカーを最大まで伸ばし、その勢いを乗せた拳が月に届く。

 

「これが私達の絶唱だあああぁぁぁ‼︎」

 

「「「「ウオオオオオッ‼︎」」」」

 

 

 

 

 

響達が飛び立った後、大きな月の破片が砕かれ、地球に降り注いだ。響達は破片を壊すことに成功したのだろう。

 

「流れ星‥」

 

降り注いだ破片は流れ星のようだった。でも私が見たかったのはこれではない。私はその悲しみから声を出し、涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

あの事件から3週間が経った。今日は雨の日。黒い空と同じように私の心も暗かった。あれ以降まだ一度もノイズが現れていない。響達の活躍により私達に普段の生活が戻ってきた。ただ全てが元通りというわけではない。

 

響達の捜索は打ち切られたそうだ。弦十郎さんは作戦中の行方不明で死亡したことになるらしい。郊外にお墓も建てられたがそこには響もいない。名前も外国政府からの追及をかわす為彫られていない。もう何がなんだか分からない。

 

「会いたいよ‥もう会えないなんて、嫌だよ‥響‥」

 

私は響のお墓の前で泣くことしか出来なかった。ただお墓といってもただ響の写真を置いただけの寂しいものだ。それでも私は響の辿った軌跡の執着に通っている。

 

「私が見たかったのは‥響と見る流れ星だよ‥」

 

そんな過去に執着している私。だが

 

「きゃああぁぁぁぁ‼︎」

 

突然女性の叫び声が聞こえた。声の聞こえた方を見ると潰された車から女性が出てくる。そしてその近くにはしばらく現れていなかったノイズがいた。多分女性はノイズに驚き、ガードレールにぶつかったのだろう。

 

「こっちへ!」

 

考えるよりも先に動いていて、私は立ち尽くす女性の手を掴み、その場から立ち去る。なんだかどこかのお人好しがやりそうな行動だ。

 

『生きるのを諦めないで!』

 

あのお人好しが言った言葉を思い出す。

 

「私‥もう‥」

 

女性は体力の限界なのか地面に倒れる。

 

「お願い、諦めないで!」

 

その瞬間ノイズが私を囲むように集まる。私は手を広げて、倒れている女性を庇う。

 

「(ここで諦めたら、響に合わせる顔がない!)」

 

 

 

 

その瞬間目の前のノイズが粉々になった。でも一般兵器ではここまでにはならない。

 

 

「ごめん、色々機密を守らなきゃいけなくて、また未来に本当のこと言えなかっんだ‥」

 

その声は私の会いたかった人の声だ。

 

「えへへ‥」

 

世界を救った4人全員の姿がそこにあった。そしてその中でも私に声をかけてくれた少女の胸に私は飛びついた。

 

 

ノイズの脅威は尽きることなく人の闘争は終わること無く続いている。未だ危機は満ち溢れ、哀しみの連鎖は留まることを知らない。だけど俯かない。諦めない。

 

だってこの世界には、歌があるのだから。

 

 

 

「ここまでが、我が魔王と装者達の物語に一つの区切りとなる。しかしこれはまだ序章に過ぎない。我が魔王はこれからどのように成長していくのか。果たしてオーマジオウとなるのか。それはこれからのお話です」

 

 

 

 

1章 戦姫絶唱シンフォギア編

〜 fin 〜

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「また未来に本当のことを言えなくて」
「しかし、一体誰なんだ‥」
「ずっと待ってるよ」
「仮面ライダーか‥」
「あぁ、お互い全力を尽くそう!」
「「超協力プレイでクリアしてやるぜ!」」

EP27 マルチウィニング2016→2043


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1.5章 戦姫絶唱シンフォギア1.5編
EP27 マルチウィニング2016→2043


この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
フィーネは最期人数月の破片を地球に落とす作戦を決行する。全てが終わろうとした時、装者達は地球に飛来する月の欠片を破壊することに成功。かくしてフィーネの野望は打ち砕かれ、一時の平和が訪れたのだった。


フィーネの野望を止めてから三週間の間、その間にいくつか変わったことがある。

 

 

「本日から正式に仲間となった雪音クリスくんだ」

 

「よ、よろしく‥」

 

「そんな固くなるな。私達は共に戦い抜いた戦友だ」

 

「改めてよろしく、雪音」

 

「クリスちゃ〜ん!これから一緒に頑張ろうね!」

 

雪音が二課のメンバーとして加わることになった。

 

 

今現在壊れてしまった二課本部に変わり、仮の本部にて装者は匿われている。現在父さん達がシンフォギアについて誤魔化して来ているため、それまで身を隠しておかなければならない。そして俺達はその最中ただ休暇を取っていた訳ではない。

 

 

 

 

 

事件から二週間ほどのこと

 

 

 

「はぁ?訓練?」

 

「そうだ、ここ最近ノイズが出現しないとはいえ、またいつ襲ってくるかは分からない。それに、しばらく休暇を取らせていたんだ。もう身体を動かせ」

 

師匠の唐突な発言にクリスちゃんは顔をしかめていた。

 

「確かに、このままでは身体が鈍ってしまいますから、私は構いません」

 

私的には久々に本格的な訓練が出来て少し楽しみだ。

 

「それにクリスくんも正式に二課のメンバーになったのだ。お互いギアの特性を知るといい」

 

「はい、師匠!」

 

「相変わらず無駄に元気だよな」

 

「では、まずクリスくんと響くんが‥」

 

人数が合わないため2対2で戦うことになった。その時

 

「おじさん、一気に三人で構いません」

 

王我さんが装者まとめて相手にすると言った。

 

「おい、ジオウ!いくらライダーの力があるからって舐めんじゃねぇよ!」

 

その言葉にクリスちゃんは怒ってしまった。

 

「いや舐めてないよ。ただ三人だとちょうどいいんだ」

 

奏さんを含めても3対2で数が合わない。

 

「大丈夫なのだな、王我」

 

「はい」

 

師匠からの問いに王我さんは迷わず応える。

 

「わかった、装者全員トレーニングルームに入れ!」

 

 

 

 

そう言われ私達4人はトレーニングルームに入る。本部は直せないがトレーニングルームのデータを夜忍さんが持っており、そこから復元して、トレーニングルームを作った。今までのより少し脆いが性能は抜群だ。

 

「では本気で行くぞ、王我!」

 

「あぁ、お互い全力を尽くそう!」

 

「その伸びた鼻、へし折ってやる!」

 

翼さんもクリスちゃんも気合い十分。もちろん私も。

 

「王我さん、奏さん、よろしくお願いします!」

 

「よし‥いくぞ、奏」

 

『よっしゃ!』

 

奏さんの姿が現れ、二人はウォッチを起動させる。

 

ブレイブ

 

エグゼイド

 

二人ともゲーマドライバーを腰に巻く。今回は二人ともエグゼイド系統のライダーになるみたいだ。

 

 

タドルクエスト

 

マイティブラザーズXX

 

「「変身!」」

 

二人ともガシャットをドライバーに挿し、王我さんは更にレバーを開いた。

 

ガッシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!what's your name⁉︎I’m a カメンライダー!』

 

ガッシャットガッチャーン!レベルアップ!マィティブラザーズ!二人で一人!マイティブラザーズ!二人でビクトリーX!』

 

二人とも変身するが‥

 

「なんだ、あのチンチクリン」

 

いつもの人型‥というよりはその姿はマスコットキャラみたいな二頭身だった。

 

「あれ?エグゼイドってあんなでしたっけ?」

 

しかもエグゼイドに関しては前回と色が異なっている。

 

「驚くのはここからだぜ!」

 

「術式レベル2!」

 

そう言い奏さんはドライバーのレバーを開いた。

 

ガッチャーン!レベルアップ!タドルメグルタドルメグルタドルクエスト!』

 

「アタシに切れないものはない!」

 

奏さんの方が前に見たエグゼイドっぽい姿に変わった。

 

「それじゃあ俺も‥」

 

開けたレバーを閉じ、

 

「だーーーーーい変身‼︎」

 

腕をクルクル回し、再びレバーを開く。

 

ガッチャーンアップ!俺がお前でお前が俺で!ウィーアー!マィティマイティブラザーズHey!XX!』

 

こちらも人型になるが

 

「はあぁぁぁぁ⁉︎」

 

「エグゼイドが二人‥⁉︎」

 

「どうなってるんですか⁉︎」

 

そこに現れたのはオレンジと青緑色の二体のエグゼイド。

 

「「超協力プレイでクリアしてやるぜ!」」

 

二人とも息がピッタリに掛け声を言う。

 

 

 

 

 

俺は先ほど王我が自信ありげに言っていた意味を目の当たりにした。

 

「あれは‥」

 

「我が魔王が変身しているのが、仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマー レベルXX。そして奏くんが変身しているのが、仮面ライダーブレイブ クエストゲーマーレベル2」

 

「ウォズくん!いつから」

 

「ついさっきです。あの姿は我が魔王の人格が分離したエグゼイドの姿、ですが今回は‥」

 

 

 

 

『ガシャコンソード』

 

『ガシャコンキースラッシャー』

 

両者とも剣をとり、戦闘が始まる。

 

 

主に翼さんは奏さん、私とクリスちゃんは二体のエグゼイドを相手にしていた。

 

「使え!」

 

「ありがとう!」

 

オレンジ色のエグゼイドが青緑のエグゼイドに剣を投げ渡した。

 

「はあぁぁ!」

 

「くっ‥」

 

私は先からオレンジ色のエグゼイドの攻撃を受け続けて自分が攻撃出来ない状態だ。クリスちゃんも青緑のエグゼイドと中々距離が取れず有利に持ち込めない。

 

「ちっ、いくら同じ人格だからって息ピッタリ過ぎだろ!」

 

「私達も息を合わせよう!」

 

「だから、お前がアタシに合わせろよ!」

 

「ええ〜ッ⁉︎」

 

まだクリスちゃんが暴れる発言をした。

 

「待ってろ、二人とも今そちらに合流する!」

 

翼さんがこちらに来てくれればなんとなくまとまると思ったが

 

「そうはさせないぜ翼。アタシも更にパワーアップだ!」

 

ドレミファビート

 

奏さんは新たなガシャットを起動させる。

 

ガッチャーンガッシャット!』

 

奏さんはドライバーのレバーを閉じ、そのガシャットを挿す。そして

 

「術式レベル3!」

 

ガッチャーン!レベルアップ!タドルメグルタドルメグルタドルクエストアガッチャ・ド・ドレミファ・ソ・ラ・シ・ド!OK! ドレミファビート!』

 

右腕にターンテーブルが装備され、DJのような姿になる。

 

「奏もパワーアップか‥」

 

「はっ!」

 

奏さんはリズミカルな攻撃を繰り出し、翼さんを翻弄する。

 

「くっ‥さっきよりも攻撃を防御しにくい‥」

 

「リズムに合わせで攻撃なんて、ステージで歌って踊ってたアタシにしたら楽勝だ!」

 

それで翼さんはこちらに来る事が出来ない。

 

「はぁぁ!」

 

翼さんはそのままの勢いで吹き飛ばされる。

 

「はぁ‥はぁ‥まだまだ行けるよ‥奏‥!」

 

さすが翼さん。あれだけ強力な攻撃をくらってもまだ立ち上がる体力が残っている。

 

「さすが翼、よし、ちょっと変えてみるわ!」

 

奏さんはそのまま変身を解除してしまった。

 

バロン

 

そして別のウォッチを使用する。

 

「変身!」

 

バナナ

 

次はこの前王我さんが使っていた鎧武と同じアイテムを使用していた。ただ奏さんはオレンジではなくバナナの錠前を使っていた。

 

ロックオン

 

ロックシードを戦国ドライバーにセットする。

 

カモンバナナアームズナイトオブスピアー!』

 

バナナ型の鎧が降りてきて、奏さんの頭を覆う。

 

「別のライダーに変身しただと‥⁉︎」

 

翼さんが驚くのも不思議ではない。王我さんはジオウ以外のライダーになったら他のライダーにはすぐ変身出来なかった。だから私も奏さんはも同じだとおもっていた。

 

「おっ、槍が武器なのか。扱いやすくて丁度良いやッ!」

 

「ぐっ‥」

 

奏さんのガングニールは槍型だったので先よりも更に攻撃にキレがある。

 

「悪りぃな翼、一気に決めさせてもらう!」

 

カモンバナナスカッシュ!』

 

何本ものバナナ型のオーラを纏った槍が翼さんを襲う。

 

「ぐあっ‥!」

 

「翼さん!」

 

「気を取られる場合じゃねぇぞ」

 

ガシャットキメワザ!』

 

オレンジのエグゼイドがガシャコンキースラッシャーにガシャットを装填する。そしてトリガーを引き、

 

マィティブラザーズクリティカルフィニッシュ!』

 

「「はぁぁぁぁ‼︎」」

 

「ぐあっ‥!」

 

「くっ‥」

 

二本に増えたガシャコンキースラッシャーで二人のエグゼイドが斬撃を放つ。それを私達は避けきれずまともに食らってしまった。

 

「そこまで!」

 

師匠の声で戦闘が終了する。結果はどう見ても私達の負け。変身を解除し、奏さんの姿はなくなった。そして王我さんも一人に戻ると思ったら

 

「お疲れ、パラド」

 

「楽しいゲームだったな、王我」

 

「あれ、誰か増えてる‥?」

 

先ほどまではいなかった人の姿がそこにあり、その人は王我さんとハイタッチをしていた。

 

「あぁ、紹介するよ。コイツはパラド」

 

「お前たちの事は王我の中から見ていた。よろしく頼む」

 

「よ、よろしくお願いします‥」

 

やっぱりウォッチの力って不思議だ。

 

 

 

しばしの休憩の中、僕は受験に向けての勉強をしてその後パラドとゲームをしていた。

 

「なぁ、王我」

 

「何?」

 

「あの黄色の鎧の奴なんだが‥」

 

「響か‥」

 

「何かアイツ覇気がなかったが、大丈夫なのか?」

 

「やっぱりパラドも思っていたか‥」

 

「僕、少し行ってくるよ」

 

 

 

仮本部を探し回っていると、ベンチで響が一人座っていた。

 

「王我さん‥」

 

あっちも僕のことに気づいたみたいだ。僕はそのまま響の隣に座る。

 

「やっぱり未来のこと?」

 

「はい‥私、また未来に本当のことを言えなくて‥」

 

確かにいくら海外からの詮索を避けるためとはいえ、再び未来に真実が言えないのは正直物の響にとってはとても辛いことだろう。

 

「そうだね‥僕も二年前に行方不明になった時すごく皆に迷惑をかけたからね。気持ちは分かるよ」

 

「響は嘘をついたって言ったけど今も響は生きている。今からでも行けば嘘ではなくなるよ」

 

「でも私は‥未来また悲しませたに決まってますよ‥」

 

「確かに未来は悲しんだに違いない。でもこれから会う時もし響が笑顔でいたらその時は嬉しさがその悲しさを勝るんじゃない?」

 

「笑顔‥ですか‥?」

 

「そう確か初めて話した時も笑顔を忘れるなって言ったよね。未来も響が暗い顔で帰ってこられたら、そりゃ悲しい気持ちは消えないままだよ。でも響の元気な姿を見せたら未来はきっと喜んでくれるよ」

 

「‥そうですよね‥笑顔ですよね」

 

少し落ち着いてくれたなら励ましたかいがあった。

 

「王我、少しいいか?」

 

「パラド、どうかした?」

 

「もうすぐ時間だろ?最後に王我と遊びたくてさ」

 

「わかった、いいよ」

 

そして俺は響を連れ、再びトレーニングルームに向かった。

 

 

 

 

 

王我さんとパラドさん、二人だけがトレーニングルームに入る。二人と先の戦いがあったにも関わらずその顔まだ闘志が宿っていた。

 

マキシマムマイティX!』

 

デュアルガッシャット!』

 

二人ともガシャットを手にしゲーマドライバーにセットする。

 

「「マックス大変身!」」

 

ガッチャーンマザルアップ赤い拳強さ青いパズル連鎖の交差!パーフェクトノックアウト!』

 

パラドさんが変身したのは赤と青のライダー。

 

マキシマムガシャットガッチャーン!レベルマックス!最大級のパワフルボディダリラガーンダゴズバーン!』

 

 

王我さんが変身した姿は前のピンク色のエグゼイドだった。でも頭上には鎧武の時と似たようなアーマーがある。そして王我さんはガシャットのスイッチを押すと

 

マキシマムパワーX!」

 

エグゼイドがアーマーに格納され背丈が大きくなる。

 

「ウォズさんあれは‥?」

 

「パラドが変身しているのは仮面ライダーパラドクス。そして我が魔王は仮面ライダーエグゼイド マキシマムゲーマーレベル99」

 

「レベル99⁉︎」

 

クリスちゃんもその数字に驚いていた。さっきの奏さんもレベル3、私達を圧倒した王我さん達もレベルは20。それを遥かに超えているのだ。

 

『ガシャコンキースラッシャー』

 

『ガシャコンパラブレイガン』

 

それぞれが武器をとり、戦い始める。

 

「「はあぁぁ‼︎」」

 

そこからは二人とも攻防を繰り返しどちらが勝ってもおかしくなかった。

 

「くっ‥」

 

そしてダメージが蓄積された今二人は鍔迫り合いを始める。王我さんの方が大きいのでパラドさんを押さえつける形だが両者とも今の力は互角だ。

 

 

「やっぱり、心が躍るな!お前との勝負は!」

 

「お互いレベルは99。あとは実力で勝敗が決まる!」

 

鍔迫り合いから二人は距離をとるが

 

「‥!マズイ、時間が‥」

 

エグゼイドから粒子が漏れ始める。そしてパラドさんからも。

 

「この一撃で決めるぞ、王我!」

 

「わかった、こっちもとっておきをお見舞いしてやる!」

 

デュアルガッシャットキメワザ!』

 

パラドさんはガシャコンパラブレイブガンにガシャットギアデュエルを挿し込む。

 

マキシマムガシャットキメワザ!』

 

それと同様に王我さんはガシャコンキースラッシャーにマキシマムマィティXガシャットを挿す。

 

ノックアウトクリティカルフィニッシュ!』

 

マキシマムマィティクリティカルストライク!』

 

「はあぁぁ‼︎」

 

両者その場から走り出しそれぞれ相手を切り裂いた。勝敗は‥

 

「‥引き分けか‥」

 

「‥みたいだな‥」

 

王我さんもパラドさんも変身が解除されている。そして体から出る粒子の量も多くなる。

 

「やっぱお前は最高だ、王我」

 

パラドさんは拳を突き出す。そして王我さんもそれに応えるように拳を合わせる。

 

「あぁ、また遊ぼう」

 

パラドさんはそのまま王我さんの中へと吸収された。そしてその瞬間エグゼイドの力が無くなり、王我さんはいつもの姿に戻った。

 

 

「見事だったぞ。これだけの力があれば再びノイズが来ようと今まで以上に被害者を出さずに済みそうだ」

 

「ライダーの力をここまで引き出すとは、さすが我が魔王」

 

師匠とウォズさんはトレーニングルームから出てきた王我さんに先の戦いについて話していた。そして私は

 

「あの‥師匠、王我さん、それにウォズさんも‥奏さんも聞いていたらいいんですが‥実は‥」

 

私は了子さんを運んでいた時にあることを聞いた。その事についてこの三人に話すことにした。

 

 

 

『あなたがアナザーライダーを生み出していたんですか?』

 

『‥あぁ、そうだ。アナザーライダーの力は私が思っていたより素晴らしい力だった。

 

だがアナザーフォーゼと共に出てきたアナザーライダーは私は知らない』

 

『‥アナザーファイズのことですか‥?』

 

『そうだな、あれば仮面ライダーファイズに酷似していたからな。だが私はあのアナザーライダーを生み出してはいない』

 

 

「そうか‥この事件は思った以上に厄介なのかもしれないな」

 

王我さんは腕を組み、深く考え始める。了子さんの言った事が正しければこの事件には黒幕がいることになる。

 

「王我さんがこの前倒したマシーンの操縦者も行方が分からないままですもんね」

 

「多分それらの事件の犯人は何らかの関係があると思うが‥しかし、一体誰なんだ‥アナザーファイズを生み出した奴は?」

 

師匠が私に尋ねて来た。

 

「それなんですが‥」

 

 

 

『一体誰なんですか、あなたにアナザーライダーの力を渡したのは?』

 

『‥分からない‥いや記憶が消されたと言っても良いかもしれない。

 

『消された‥?』

 

『あぁ‥見事にな。だが一つ分かることがある。私にウォッチを渡してきたのは黒幕の部下だろう』

 

 

 

 

「記憶の消去か‥」

 

普通ならありえない事に師匠は頭を抱えていた。

 

「もしかしてタイムジャッカーが‥」

 

「その可能性は低いと思う。もし彼らが暗躍しているとしても、わざわざフィーネに大量のウォッチを渡すことはしないだろう」

 

「そうだよな‥」

 

王我さんとウォズさんは何やら思い当たる事があったみたいだがそれも違っていたみたいだ。

 

「そういえばおじさん、父さんはどこに?」

 

「一也さんなら、政府の会議で今は席を外されている」

 

 

 

 

 

「はぁ‥」

 

今日の会議も中々に大変だった。市民はシンフォギアも仮面ライダーも知らないためある程度は誤魔化す必要がある。そのためどのように報道するかなどもここで話し合われている。

 

「カシラ、車!」

 

「だからここじゃあ敬語使えっていつも言ってるだろ?」

 

「あ、悪‥すんません‥」

 

「て言っても直んねぇんだろうなぁ‥」

 

コイツは大山勝。少々馬鹿だが憎めない俺の昔からの子分だ。今は俺の専属ドライバーとなっている。

 

「それでこれからの予定は‥?」

 

「一先ず家に帰る。書斎で書類でも片付けるさ」

 

「じゃあ行きまっせぇ!」

 

そして俺は車に乗せられ自宅に向かった。

 

「(仮面ライダーか‥)」

 

あの力に俺は惹かれていた。シンフォギアではなく、ノイズを撃墜することが可能なもの。

 

「(あの力があれば俺はもう一度‥)」

 

結局誰しも深く根付いてしまったものは変わることが出来ないのかもしれない。

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア
「最悪の状態だな‥」
「魔法‥」
「アタシは‥」
「魔法使いって別にいい物じゃないさ」
「希望を捨てるな」
「さぁ、ショータイムだ!」

EP28 ファイナルホープ2012→2043


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EP28 ファイナルホープ2012→2043

皆様大変お久しぶりでございます。ではいつもの通り‥この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。フィーネの野望を阻止した我が魔王達。海外からの詮索を避ける為、行動制限を設けられていた装者一同もそれが解除されることで、彼らには平和なる日常が戻った。しかしその影で新たな計画が始まっている事を彼らは知らなかったのであった。


行動制限が解除され、俺たちはそれぞれ元の生活へと戻っていった。そして今本部にて俺と響は飲み物を飲みながら話していた。

 

「最近皆忙しそうだよな‥」

 

「私もリィディアンが新校舎に移るにあたって学生寮も移動することになったんで荷造りが‥」

 

フィーネ‥了子さんとの一件もあり、リィディアンは完全に崩壊状態。建て直しは不可らしく、近くの廃校を新校舎として使用するらしい。そして寮も学校の近くにある建物を再築して使用。寮を使用していない翼はともかく、学生寮を響と未来は引っ越しの準備で大忙しみたいだ。

 

「翼も仕事が増えてきてるし‥雪音も新居の契約が落ち着いて家具を揃えないとだし‥俺も手伝った方が良いかな」

 

「おや、立花と王我だけか?」

 

噂をすれば何とやら。翼がこちらにやってきた。

 

「翼、今日は仕事休み?」

 

「あぁ、今日は打ち合わせだけだったからな‥ところで雪音はいないなか?」

 

「な〜にアタシをいないもの扱いしてんだよ」

 

そこに雪音も来て、装者勢揃いとなった。

 

「クリスちゃ〜ん!お買い物は終わったの?」

 

「まだ終わんねぇよ、家具買うのにそんなすぐな訳ねぇだろ」

 

そんな会話をしている中

 

「皆、ノイズが現れた!場所は‥」

 

 

 

 

おじさんが示したノイズ発生地点に向かう。そしてそこにはやはり大量のノイズがいた。市民の避難はほぼ完了していて被害者もいない。

 

「ノイズを肉眼で確認!」

 

「これより戦闘に移ります!」

 

「気合い入れるぜ!」

 

「行きます!」

 

翼の掛け声に雪音、響も士気を高める。

 

『アタシもやってやる!』

 

『Camustolron EXcalibur tron』

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

『Killter Ichaival tron』

 

俺達はそれぞれシンフォギアを纏う。

 

カイザ

 

奏はカイザライドウォッチを起動させカイザフォンの【9】【1】【3】のコードを入力し、さらにenterキーを押す。

 

Standing by

 

「変身!」

 

カイザフォンをベルトに装填する。

 

Complete

 

黄色のフォトンブラッドが流れ、奏は仮面ライダーカイザに変身する。

 

「よし、それじゃあ新しく‥」

 

投影【プロジェクション】!

 

『Killter Ichaival tron』

 

「アタシのイチイバルまで真似出来んのかよ‥」

 

「雪音の色々な戦いを見て、使い方は何となく分かった。数が多いし‥これで‥!」

 

両手にクロスボウを構え、背面には大量のランチャーを携える。そしてそれらは、クロスボウのトリガーを引くと共に一斉に散ってノイズにぶつかっていった。

 

「私達も続け!」

 

「皆、できるだけノイズを一点にまとめてくれ!」

 

「了解!」

 

剣型の武器である翼と奏はノイズの大群の一点を集中的に狙い、そして周りを響とクリスが倒していく形になった。

 

「はああぁぁ!」

 

奏はカイザの武器であるカイザブレイガンで豪快に斬りかかるのに対し、翼は綺麗な太刀筋で相手を倒していく。更に響は一体一体力のこもった拳で殴るが、雪音は大量の弾で相手を叩く。

 

Ready

 

カイザのミッションメモリーをカイザブレイガンにセットする。

 

Exseed chage

 

カイザフォンのenterキーを押すと、カイザブレイガンにフォトンブラッドが流れ込む。奏はカイザブレイガンのショットで複数のノイズを捕捉する。動けなくなったノイズ達に向かいカイザは走り出す。そして一瞬姿が消えたかと思いきや走ってきた方向と真逆の方向に奏の姿がある。その瞬間、ノイズはたちまち炭と化していった。

 

「ノイズも減ってきたし、この調子で行けば‥!」

 

「王我、行けるか!」

 

皆ある時はあえて攻撃の対象となり、ノイズを誘導してくれた。そして俺は見晴らしの良いビルの上にいる。そして奏がビルの上の俺に確認をとる。

 

「あぁ!一気に叩く!」

 

投影を解除し、元の姿に戻す。そして左腕を伸ばすと光の弦が現れ、そこにエクスカリバーを弓矢のように設置する。狙いを定め

 

「いけッ!」

 

弦を弾いていた指を離した。

 

『フェイルノート』

 

エクスカリバーは大量のノイズを一直線に貫き、消滅させた。ノイズ達を撃ち抜いたエクスカリバーは自動で俺の手に戻ってきた。

 

「よしここまでくればあと少し‥」

 

ビルから降りて、皆と合流した時だった。

 

「あ、あそこに子供が!」

 

「本当ならノイズをぶち抜きてぇところだが‥」

 

雪音が動けないように全員が動けない。ノイズが子供も囲うように集まり、その距離もかなり近い。

 

「だが今攻撃してしまうとあの子にまで‥」

 

銃弾を放ってしまったら子供にまで怪我を負わせてしまうだろう。

 

「最悪な状態だな‥」

 

そう確かに奏が言うように最悪な状態だ。だが

 

「俺に任せてくれ」

 

そうして俺は

 

ウィザード

 

ウィザードライドウォッチを起動させる。服装も黒いジャケットに赤いパンツへと変わっていく。

 

『コネクト プリーズ』

 

右手にはめた指輪を腰のベルトにかざすと魔法陣が現れる。俺はそこに

手を入れ、ウィザードの武器、ウィザーソードガンを取り出す。

 

「えっ、何ですかそれ⁉︎」

 

魔法陣の出現に驚いてしまった響に説明も入れず、俺はウィザーソードガンのトリガーを躊躇わずに引いた。

 

「やめっ‥!」

 

弾はノイズを貫き、そのままの勢いで子供にも当たるはずだった。しかし

 

「当たってない‥?」

 

「いや、弾の軌道が曲がりやがった!」

 

雪音はさすが遠距離攻撃に慣れてるだけあり、最後の最後に銃弾の軌道を一気に下向きに変化させたことに気づいた。流石に魔法を使ったことには気づかなかったが。

 

そして俺は囲まれていた子供の元に駆け寄る。

 

「響、この子をシェルターまで頼めるか?」

 

「任せください!」

 

響が子供の手を引き、逃げ出したのを確認し、

 

『ドライバーオン!』

 

右手の指輪を腰にあるベルトにかざすと、ドライバーが大きくなる。

 

『シャバドゥビタッチヘンシン!シャバドゥビタッチヘンシン!』

 

バックルの左右にあるレバーを上下に動かすと、待機音が鳴り始める。そして俺は左手の指に赤い輝きを放つ指輪をはめ、

 

「変身!」

 

その指輪をドライバーにかざす。

 

フレイム!プリーズ!ヒーヒーヒーヒーヒィー‼︎』

 

赤い魔法陣が出現し、俺の身体を通り抜ける。そして姿が変わり宝石の輝きを持つ魔法のライダー。仮面ライダーウィザードに変身する。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

ロングコートをたなびかせ、ノイズの軍団に攻め込む。

 

 

 

 

ジオウ‥いや今のアイツは確か‥ウィザードってライダーに変身している。

 

「はっ!」

 

ウィザードは銃でノイズを打ち倒しながら、軍団へと近づいていく。

華麗な蹴りでノイズを蹴散らしていく。泥臭く戦ってるというよりは何かの舞みたいだ。どんな攻撃も紙一重でかわし、その隙を狙い確実に仕留めていく。ノイズに与える蹴りもマントがたなびき、優雅に見える。

 

 

 

 

ウィザードの魔法の力でノイズを一切寄せ付けず、有利な状況で戦うことができている。

 

「そろそろ決めるか‥」

 

ノイズの軍団相手に蹴りがつきそうになった時だった。

 

「何だ⁉︎」

 

突然俺達の周りに大きな影が現れる。上を見上げると

 

「あの時のタイムマジーン⁉︎」

 

アナザーエグゼイド戦で戦ったタイムマジーンがそこに立っていた。本当なら俺もタイムマジーンで対抗したいが、今俺はウィザードの力を使用している為タイムマジーンを呼び出す事は出来ない。

 

「アタシに任せろ!」

 

ゲイツ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

奏はカイザの変身を解除し、ゲイツに変身し直した。

 

タイムマジーン!』

 

「奏いつの間に‥」

 

奏もタイムマジーンを呼び出し、あちらのタイムマジーンと交戦する。

 

「いい機会だ。アタシもこのデカブツ倒すの手伝うぜ!」

 

「こっちはアタシ達に任せて、お前らはノイズを倒せ!」

 

「よっしゃ!頼んだぜ、クリス!」

 

「あいよ!」

 

奏のタイムマジーンの肩に雪音が乗り、機械同士の戦いに加わった。

 

「奏、雪音、そっちは任せた!」

 

俺は左手の指輪を交換し、ドライバーにかざす。

 

ハリケーン!プリーズ!フーフーフーフー、フーフー‼︎』

 

今度は緑の魔法陣が現れ、フレイムスタイルからハリケーンスタイルに変わる。そしてウィザーソードガンをソードモードにし更に逆手に持ち、再び攻撃を始める。先程よりも早く相手を斬り裂き次々と数を減らしていく。

 

「王我の攻撃、早い‥まるで風みたいだ‥」

 

「翼、俺の周りのは全部俺が倒す。お前は俺から遠いのを頼む!」

 

「承った!」

 

そして風の力で体を浮かせノイズ軍団のど真ん中に移動すると、ウィザーソードガンの閉ざされていた手型の部分を開く。

 

『キャモナ・スラッシュ・シェイクバンド』

 

ウィザーソードガンにもドライバーと同じように手型部分にハリケーンのリングをかざす。

 

ハリケーン!スラッシュストライク!フーフーフー!』

 

「はあぁッ!」

 

風を纏ったウィザーソードガンで全てのノイズを切り裂いていく。辺りからノイズが消え、必殺技が当たらなかった範囲も翼が倒してくれた為こちらはほとんど役割を終えた。

 

 

 

 

 

 

「ここだッ!」

 

「ナイスだクリス!あっちの機動力が落ちてる!」

 

ジオウが戦っている他、アタシとゲイツはこのデカブツを相手にしていた。こっちもゲイツがロボで格闘し、関節部をアタシが攻めていく。

 

「動きが鈍いなら‥」

 

アタシは肩から飛び移り、ハッチの開閉部にやってきた。

 

「とっとと素顔を見せやがれ!」

 

思いっきり力を入れ、無理矢理ハッチをこじ開ける。すると少しだけ前の開いたので、相手の姿を確認する。相手の姿は黒服を着て、更に帽子にサングラス。顔を認識するのには情報が足りなさすぎる。

 

「テメェら、このデカブツが使えるってことはフィーネとつるんでた奴だろ!」

 

とりあえずこの状況ならアタシがイチイバルで攻撃すれば生身の相手は命の保証はない。圧倒的有利な状況。だが

 

「ふっ‥正義ぶりやがって‥本当にお前のやっている事は正義なのか?」

 

「はぁ?知るかよ!テメェらみてぇなのが気にくわ‥」

 

「そうやって私達を否定するのか。今までお前もこちら側だったというのに」

 

「なっ‥⁉︎」

 

その言葉でアタシは構えるのをやめてしまった。その一瞬をつかれ、アタシは機械から振り落とされ、そのまま飛び去ってしまった。

 

 

 

こっちのノイズは片付き奏達を援護しようと急ぐも、あちらは逃亡する瞬間だった。

 

「待て!」

 

すぐに攻撃しようとするも、相手のタイムマジーンはかなり上空にいて、更に上から手榴弾が降ってくる。相手が逃亡する為に落としたのだろう。

 

 

落下する雪音を奏が上手く受け止め、更に手榴弾をレーザーを当て、上空で爆破させる。しかしいくつかは防ぎきれずそのまま落ちてきてしまう。

 

ランド!プリーズ!ドッドッドンッドッンドッドッドン!』

 

今度は防御に適したランドスタイルへと変身し、

 

ディフェンド プリーズ』

 

岩の壁が現れ、攻撃を受け止めるも相手の姿は完全に無くなっていた。

 

「ちっ‥逃げられたか‥」

 

奏は獲物を逃して悔しそうにしていた。

 

「でもまだ時間は経ってない」

 

俺はそのまま、四つの指輪を手に取り

 

『ルパッチマジック!タッチ ゴー!ルパッチマジック!タッチ ゴー!』

 

ガルーダ!プリーズ!』

 

ユニコーン!プリーズ!』

 

クラーケン!プリーズ!』

 

ゴーレム!プリーズ!』

 

ウィザードリングにより、プラモデルのランナーらしいものが現れる。そして勝手に形が変わっていく。これはプラモンスター。簡単に言えば使い魔みたいなものだ。

 

「まだ近くにいるはずだ、よろしく」

 

プラモンスター達にリングを取り付け、先程の男を追跡させる。そしてプラモンスターが見えなくなり、俺達は戦闘モードを解除した。

 

「さて

 

「悪いが王我、アタシは休ませてもらうぜ。5分以上経ってるからしんどくてさ‥」

 

確かに若干粒子が漏れているし、顔色も悪そうだ。

 

「あぁ、お疲れ奏」

 

そして奏は粒子上になり消えていった。

 

「じゃあとりあえず響達のところへ行こう」

 

 

 

 

 

「あ、いたいた」

 

ちょうどシェルターから出てきた響に会う。

 

「王我さん、そっちは終わったんですか?」

 

「あぁ、それでさっきの子は?」

 

響がさっきの男の子に目線をやる。となりには母親らしき人もいる。

 

「あ、さっきの‥」

 

「あ、息子を助けて下さった方達ですよね。本当にありがとうございます」

 

「いえ。すみません、少し息子さんにお話しがありましてお時間よろしいでしょうか?安全は保証しますので」

 

「分かりました。えっと因み私は‥」

 

「もうすぐ上の者がこちらに来ますので、そちらの指示に従って貰えますか?」

 

「わかりました」

 

そんな訳で

 

「さてとりあえずはいいとして、何かあった時のために少し人手が欲しいな‥雪音、頼めるか?」

 

「お、おう‥」

 

「じゃあとりあえず話せる場所に行こうか」

 

 

「魔法‥」

 

ジオウに指名され、あのガキんちょの世話を一緒にすることになってしまった。

 

『今までお前もこちら側だったというのに』

 

アタシは知らなかったとはいえアナザーライダーを生み出すことに協力した。そのせいで大勢の人間が被害にあってしまった。

 

「パパ‥ママ‥アタシは‥ここにいる資格はあんのかな‥」

 

 

 

 

 

 

とりあえず話を聞く為に俺らが向かったのは

 

「あら、王我くんいらっしゃ〜い。今日も新作あるわよ〜」

 

ここはドーナツ屋『はんぐり〜』。俺も結構頻繁に来ている。

 

「とりあえず好きなの頼みな」

 

「えっと‥これ‥」

 

「ほら雪音も」

 

「お、おう‥じゃあ‥」

 

「は〜い。新作のスペシャルあんドーナツ二つね。王我くんは‥」

 

「プレーンシュガー」

 

「また〜⁉︎別のも食べてよ〜!」

 

「いいからプレーンシュガー!」

 

「もう、いじわる!」

 

注文が終わり、席に着くと

 

「ねぇ兄ちゃん、さっき兄ちゃんが使ってたのって何?」

 

さっきから黙り込んでいた少年が話始める。多分だけど響と一緒に逃げるとき、俺の戦いを見たのだろう。

 

「あれは魔法だよ」

 

「本当?」

 

さすがに男の子も首を傾げた。そりゃ魔法って言われたら真っ先に疑うのが普通だ。

 

「見てろよ」

 

『コネクト プリーズ』

 

俺は魔法陣が展開された下に手を伸ばすが、その俺の手はもう一つ魔法陣が展開されたドーナツの上にあった。そしてそのままプレーンシュガードーナツを掴み、口に運んだ。

 

「凄え‥」

 

ちょっとびっくりさせてしまったみたいだ。

 

「さてと‥」

 

それぞれドーナツを食べながら先のノイズの事について聞く。

 

「君は何故かノイズに狙われていた。理由はわかるか?」

 

「そんなのわかる訳ないよ」

 

それもそうだ。見たところ特に変わったところは無く、どこにでもいる普通の少年だ。

 

「あ、でもこれを拾ってから何か襲われたんだ‥」

 

背負っていたリュックから何かを取り出す。

 

「これは‥」

 

取り出したのはなんかよく分からない機械だった。でも見た目は何かの発信器みたい。

 

「これをどこで?」

 

「この前なんかリィディアン‥っていう大きな建物が壊れたじゃん。その跡地で拾ったんだ。そしたら黒い服の人たちが渡せって‥」

 

「そうか‥」

 

黒服の人間が狙っているのは正確にはこの子ではなく、こっちの機械なのかもしれない。

 

 

 

 

 

『なるほどな‥』

 

とりあえず入手した情報をおじさんに伝える。

 

『もし、その黒幕らがその装置を欲しているなら、それが何か重要な意味を持つと考えていいだろう』

 

「重要な物‥まさかとは思いますがソロモンの杖‥」

 

『有り得ない話ではないかもな』

 

あの戦いの際、完全聖遺物同士のぶつかり合いでデュランダルとネフシュタンの鎧は互いに消滅してしまった。しかし、まだソロモンの杖だけは現状が分からない。ただ一つ言えることはまだ効力があるままこの世界のどこかに存在するということ。

 

「そうですよね‥」

 

『とりあえずその装置はこちらで預かるとするか』

 

「それが良いかもしれませんね」

 

これからの事も決まり、話も済んだので早くこの子を親元に返してあげよう。母親も今頃本部にいると思うから、早く会わせるのが一番だと思う。

 

「あれ?王我くん、どうしたの?」

 

「凛子ちゃん。そっちこそ何やってんのさ」

 

この人は大門凛子。ノイズ事件がきっかけで関わりを持つことになった女性警官である。

 

「私はさっき起きた事件の調査よ」

 

「どうせまた独断でしょ?」

 

「うっ」

 

凛子ちゃんはノイズに関する事件は危険なので首を突っ込まないように言われているけど、

 

さっき追跡させていたガルーダ達が帰ってきた。

 

「いたか」

 

ガルーダは頷くような動きをし、それに続きユニコーンとクラーケンも戻ってくる。

 

「雪音、さっきの男が見つかった。いくぞ」

 

「あいよ!」

 

雪音はドーナツを口に詰め込み、俺と共にその場を立ち去ろうとするが

 

「兄ちゃん、魔法が使えるんでしょ⁉︎じゃあ俺を強くしてよ!俺を魔法使いにしてよ!ノイズと戦えるようにしてよ!」

 

男の子が俺のコートの裾を掴んで、動きを止める。

 

「それは出来ない」

 

「どうして‥いいじゃん、魔法使いって」

 

「‥魔法使いって別にいい物じゃないさ」

 

「何でだよ‥魔法があればなんでも自分の思った通りに出来るだろ?」

 

「そうじゃない。確かに魔法の力は人間には出来ない事を可能にする。そりゃ皆憧れるさ。でもそんな力が何の代償も無く手に入ると思うか?」

 

「‥」

 

そう言われ、男の子は下を向いてしまう。

 

「しかもどれだけ力があろうとノイズとの戦いは常に危険と隣り合わせだ。そんな危ない事、君にはさせられないさ」

 

「‥じゃあ兄ちゃんは‥どうするの‥?」

 

「俺はノイズの魔の手から人々を守るために力を使う。そして俺が皆の最後の希望になる。それが俺の使命だから」

 

そうして俺は頭を撫でる。

 

「安心して。君が守りたいものは俺が守る。君の希望は俺だ」

 

男の子はまだ若干負に落ち表情をするものの、顔をゆっくり縦に振る。

 

「凛子ちゃん、この子を頼んだ」

 

「任せて」

 

スマホで凛子ちゃんにガルーダが指し示した方向とは逆の場所を指定する。そして同時に緒川さんに連絡をし、凛子ちゃんと同じ場所に来てもらうように頼む。

 

「あ、兄ちゃん。これ‥俺が持ってても意味ないし」

 

「これ、さっきの‥」

 

先程の機械を渡される。緒川さんに渡す手もあるが、俺が持っていた方があちらもおびき寄せられると思ったので受け取ることにした。

 

「兄ちゃん、必ず守ってね」

 

「あぁ、当たり前だ」

 

機械を受け取った後、少年は凛子ちゃんに手を引かれその場から去る。そして俺らも行動を開始する。

 

『コネクト プリーズ』

 

魔法陣からウィザード専用バイク、マシンウィンガーを取り出す。

 

「乗りな」

 

「お、おう‥」

 

後ろに雪音を乗せ、ガルーダの案内の元移動を開始する。

 

 

「最後の希望か‥お前はアタシの希望にもなれるのか‥?」

 

「?雪音、なんか言ったか?」

 

「んでもねぇよ」

 

 

 

 

ガルーダは示した場所に着き、辺りを捜索しようとした時、タイミング悪くノイズが現れてしまう。

 

「ちぇ、またノイズかよ‥」

 

「雪音、いけるか?」

 

「たりめぇだ」

 

『ドライバーオン』

 

『シャバドゥビタッチヘンシン!シャバドゥビタッチヘンシン!』

 

「変身!」

 

ウォーター!プリーズ!スイ〜スイースイースイ〜

 

『Killter Ichaival tron』

 

ウィザード ウォータースタイルへ変身する。そして雪音もイチイバルを纏い戦闘へ出る。幸いこの辺りは無人区域。人を気にする事なく戦うことができる。

 

「うおりゃあ!」

 

雪音も周りを気にする事なく、銃火器を放つ。

 

リキッド プリーズ』

 

ノイズが俺に攻撃してくる瞬間にリキッドの指輪を使い、俺は液体状に変化した。ノイズはお互いにぶつかり、その反動で静止していた。そしてその隙に実体化し、全て切り裂いた。

 

フレイム!プリーズ!ヒーヒーヒーヒーヒィー‼︎』

 

俺はフレイムスタイルへと変身する。そしてノイズの軍団に斬りかかろうとしたその時、俺達の目の前に‥

 

「!アイツ‥」

 

ノイズの大群の向こうにあの時の黒服の男が立っていた。

 

「くそっ!ノイズが多すぎて近寄れねぇ!」

 

黒服の男は俺達の戦いから背を向け、その場を立ち去さろうとする。

 

「時間がない‥」

 

ウィザードリングホルダーからまた指輪を取り出す。

 

「力を借りるぞ、ドラゴン!」

 

今度はフレイムスタイルの指輪と似ているが何処か装飾が異なる指輪をつける。

 

フレイムドラゴンボゥーボゥーボゥーボゥーボゥー‼︎』

 

先程のフレイムスタイルに似ているが、赤いコートを纏い更に胸にはドラゴンの顔のような模様がある、フレイムドラゴンへと姿を変える。

 

『コピー プリーズ』

 

ウィザーソードガンをコピーし、二刀流の状態でノイズの軍団を次々と倒していく。ドラゴンの力を借りている為先程よりも高い攻撃力を持っている。

 

「先を急ぐんでね。お前に構ってる余裕はないんだ」

 

右手にまた指輪をつけ、かざす。

 

『チョーイイネ!スペシャル!サイコー!』

 

体だ浮遊し、その周りを炎が龍の形を描きぐるぐると回る。そしてそのドライバーは背に展開された魔法陣に突っ込む。すると胸にドラゴンの頭部が実体化する。

 

「フィナーレだ」

 

ドラゴンが灼熱の炎を放ちノイズは消し炭にされ、周りには火の粉が散っていった。

 

「あの野郎は‥逃したか‥」

 

雪音の言葉通り、周りを見ると先の黒服の男は姿を消していた。やはりノイズの襲撃の隙を見て逃げたのだろう。周りにもう敵はいないことを確認し、変身を解除する。

 

「でも何故逃げた‥?アイツらの目的はこれのはずなのに‥」

 

俺は手に持っている機械を見つめ考察していた。そうこうしてる内に警察がやってきた。そしてそこにはおじさんも含め、知ってる顔もあった。

 

「これは我々が本部にて解析を行う。それで良いか、照井」

 

「あぁ、構わない。現場の調査は俺らが行う」

 

「じゃあ照井、後は頼んだ」

 

おじさんと話していた赤いライダースーツを着た男の人、照井竜。若いながら警視の地位まで登り詰めたエリート警察官だ。

 

「任せておけ。氷川も頼んだぞ」

 

「了解です。しかし逢坂さん、君はいつも厄介事に首を突っ込むんですか」

 

「まぁ性分なもんで‥」

 

こちらの人は氷川誠。ちょっと頭が固く不器用だが、責任感のあるしっかりとした人だ。

 

「本来君がやることではない。後は私達に任せなさい」

 

「まぁ氷川、俺が指示しているんだ。ちゃんと安全も確保している。だからあまり王我を責めないでやってくれ」

 

「風鳴さん‥分かりました‥」

 

氷川はおじさんの警察時代の後輩にあたるのであんまり頭が上がらないみたい。

 

「王我く〜ん、大丈夫だった?」

 

「凛子ちゃん、俺は大丈夫だよ」

 

「って、弦十郎先輩⁉︎あなたまで‥」

 

「凛子くん、君も調査に来ていたのか」

 

「はい、ノイズが関わっていると聞いたので‥」

 

そう、凛子ちゃんも一応おじさんの後輩にあたる。凛子ちゃんが務めた時には既におじさんは警察ではなかったが、氷川らを通じて知り合ったらしい。

 

「またか‥」

 

「んでおじさん、それ預かるって言ったけど‥」

 

「一度研究所の者に調査してもらい、もしわからないなら夜忍さんの手を借りるとしよう」

 

「それより大門、どうしてお前がここにいる‥?」

 

「ひえっ⁉︎て、照井総監‥な、何であなたまで‥」

 

「俺に質問するな」

 

「ひ、ひえっ〜」

 

凛子ちゃんは照井にスーツの襟を掴まれ連れてかれる。

 

「凛子ちゃんも大変だなぁ‥」

 

「そうだ‥逢坂、これをお前に」

 

去り際に照井が俺に何かを投げつける。

 

「ライドウォッチ!何で‥?」

 

受け取ったのはブランクライドウォッチだった。

 

「俺に質問するな‥と言いたいが、変な男に渡された。機会があればお前に渡せと伝えられてな」

 

「俺に‥」

 

「そ、そうだ、私も‥」

 

氷川は照井のやりとりを見て思い出したかのよう、胸ポケットから同じものを出し、俺に渡した。

 

「では私もこれで」

 

二人とも事件解決のため仕事に戻っていく。そして少し後、二つのウォッチが光出す。

 

アクセル

 

G3

 

「また力が宿った‥」

 

最近新たなウォッチを手にする頻度が高すぎる。それにさっき照井が言っていた言葉。ウォッチを持っていたということは少なくとも現在に存在する人間が行えることではない。しかし俺に渡せと言っていることもあり、フィーネと協力していた人間の仕業とも思えない。

 

「一体誰なんだ‥」

 

ウォッチの謎は深まるばかりだった。

 

 

 

 

 

 

「‥様。例の物は突起物の手に渡りましたね」

 

「あぁ、全て計画通りだ。私は親方様に報告をする」

 

「‥はい‥フェーズ1が完遂致しました。現時刻からフェーズ2へ移行して下さい」

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「何⁉︎爆発事故⁉︎」
「まだ黒幕の正体が分からないままだしな‥」
「これも黒服の人が関係するんでしょうか?」
「この街は俺の庭だ。安心して待ってな」
「ゾクゾクするねぇ」
「さぁ、お前の罪を数えろ!」

EP29 ハーフディテクティブ2009→2043


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EP29 ハーフディテクティブ2009→2043

皆様大変お久しぶりでございます。大分時間は経ってしまってはいますが‥ 祝え!この小説のUAが30000を突破した瞬間を!さてやり残していたことも終えましたのでいつもの通り‥この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。行動制限が解除され間もない頃、謎の機械を持ったある少年を守るため我が魔王は仮面ライダーウィザードに変身する。相手は謎が多いものの希望を捨てずに挑み、謎の機械の死守に成功する。諦めない心が今回の勝利を掴んだが、簡単には諦めないのは相手も同じであった。


王我が照井竜と氷川誠からライドウォッチを受け取った次の日の事。

 

「結局コイツを調べてもな〜んもわかんないなぁ」

 

輸送車内で研究員のたわいもない会話が始まる。

 

「いや、仮施設で分かる訳ないだろ。今回はあくまでも危険物じゃないか確認しただけ。本格的な調査はこれからだろ」

 

「あ〜あ、大変な事しかねぇなこの仕事。酒呑みてえ〜」

 

「しばらくは研究漬けだろ。我慢しようぜ」

 

そして二人の会話は突然途切れる。夏場の陽光を遮るほどの眩いと光と爆風と熱により。

 

 

 

 

 

「何⁉︎爆発事故⁉︎」

 

 

 

「とりあえず、事件の大方の説明をする」

 

師匠により、装者と二課のスタッフが集められた。

 

「先の事件で回収したあの機械を運んでいた輸送車が爆破された。そこにいた研究員は怪我はあるが幸い死者は出ていない。しかし、運送物は盗まれてしまった」

 

「それでノイズと関係が‥」

 

「死者がいないことを考えると可能性は低いと見れる」

 

私達装者は普段ノイズと戦っているからそういうことはすぐノイズが原因と考えてしまうが今回はそんな簡単なことではないらしい。

 

「となるとアイツらか‥」

 

ノイズの線がないとなるとクリスちゃんが言った通り、あのタイムマジーンに乗っていた黒服の人が関わっているのが一番あり得る。

 

「そう考えるのが良いだろう。君たちにはその現場調査に行って貰いたい。話は俺の知り合いにつけている」

 

「って言っても事故現場だろ?警察が‥」

 

「いや、まだ黒幕の正体が分からないままだしな‥もし戦闘になったら危ない」

 

「そういうことだ。これはその黒幕の手から市民を守ることも兼ねている。被害を最小限に食い止めること。では皆、頼んだぞ」

 

会議は終わり、スタッフの方々はすぐさま指定の位置へと移動を始める。私達も現場へ向かう準備を手早く始めている。

 

「王我さん、どうします?」

 

「とりあえず現場の警官に話を聞くのが最初かな。それにアイツらが関わっているとなるなら、それを踏まえた犯人探しも必要だな。それじゃあ‥」

 

「今日もドライブの力を使うんですか?」

 

「いや、今回は‥」

 

王我さんが取り出したのは

 

 

緑と紫のウォッチだった。

 

「ふぅ‥これならいけるな」

 

服装の変化と共に現れた帽子を被る王我さん。

 

「な、何やってんだ、ジオウ‥?」

 

普段見る事がないキザな王我さんにクリスちゃんが凄く驚いてる。私もだけど。

 

「ダブルの力は探偵。こういう時にはもってこいなのさ」

 

 

 

 

 

 

 

俺と翼はバイク、そこにそれぞれ雪音と響を乗せ現場に到着した。

 

「現場はここか‥」

 

周りは建物の破片が無数に散らばっている。ここは高いビルが多く、周りからの見通しが悪い。タイムマジーンが密かに活動するにはもってこいだろう。

 

「あれ、未来だ!おーい、未来!」

 

響が急に声を出したと思ったら知った顔が現場にあった。

 

「響、皆!‥それに王我さんは‥また変わってる‥」

 

「今は探偵なんだって」

 

「へぇ〜」

 

「小日向は買い物か?」

 

「はい、でもここで爆発事故があったって聞いて‥少し気になって‥」

 

爆心地と思われる周りは焦げており、周辺の建物も爆発の影響か半壊しているものが多い。

 

「とりあえず調査を始めるぞ」

 

「あの、私も手伝いをしても良いですか?」

 

「あぁ頼む。でも何かあったら逃げるんだ」

 

「未来、よろしく!」

 

「うん!響、頑張ろうね!」

 

未来を加えて調査始めるが、その前に現場にいるおじさんの知り合いに挨拶をする。

 

「よう刃さん」

 

この人は刃野幹夫。いつもつぼ押し機を携帯している警部でおじさんとは仕事仲間だった人だ。

 

「よぉ、王我。弦十郎から話は聞いてるぜ。全くお前らも大変だな」

 

「別にいいさ、俺らも関係ない訳でもなさそうだしな」

 

刃さんの話を聴きながら俺は現場をカメラに収めた。

 

「そういや、照井は居ねぇんだな」

 

前回のように解決が困難になりそうな事件は照井自身が出てきてくることが多いが今回は全く姿が見えない。

 

「あぁ、今本部で今回の事件の書類調査だとよ」

 

「へぇ、照井がなぁ‥」

 

「別の事件との掛け持ちだから、ちと大変なんだよあの人」

 

「じゃあ照井に渡すのに重要な証拠写真とか必要になるんじゃね?」

 

「安心しろ。良いカメラマンが来てる」

 

刃さんが指差す方向には俺らと同じように警官でもないのにカメラで現場を撮影する人が。

 

「あれ、翼義姉さん?」

 

「剛、あなたもいるの⁉︎」

 

「おう、現場の写真撮ってくれとさ」

 

「良いカメラマンってお前か、剛」

 

「義姉さんがいるからとまさかとは思ったけど、王義兄さんもやっぱりいるんだ」

 

「あの、翼さん。この人は‥」

 

「あぁ、詩島剛。私の親戚にあたるな」

 

コイツは詩島剛。剛は翼のはとこにあたる。俺も色々とコイツとは楽しくやっている。

 

「まぁ俺は分家とはいえ風鳴のアレコレが面倒だったから逃げただから、あんまり権力はないけどな」

 

「剛、悪いが撮った写真を‥っとと!」

 

瓦礫に少し躓いてしまう。まだ調査が終わっていないからこういう小さい障害物がそこら辺に散らばっている。

 

「気をつけてくれよ、王義兄さん」

 

「悪りぃ悪りぃ」

 

「あ、王我さんウォッチ落としましたよ」

 

「おっと、すまねぇ響」

 

転んだ拍子に落としたドライブライドウォッチを響に拾われた。

 

「ん?王義兄さん、それって‥」

 

剛がそのライドウォッチに反応する。そしてポケットから

 

「お前、それ‥」

 

剛はポケットからウォッチを取り出し、俺に見せた。

 

「旅先で貰ったんだよ。何か物騒だったからどうしようか迷ってたけど、王義兄さんはコイツの使い方分かってそうだし、渡しとく」

 

半ば強制的にウォッチを現場写真と共に渡される。

 

「じゃあ俺はまだ仕事があるから、義姉さんも調査頑張ってよ」

 

そう言い残して剛は撮影に戻った。

 

マッハ

 

少し後にウォッチが光り、ライダーの顔が現れた。

 

「因みに奏、これは誰が使えるんだ?」

 

『う〜ん‥オーラ自体は王我にも流れてるけど、特にアタシの方に強く流れてる。これはアタシが使った方が良さそうだ』

 

「そうか‥」

 

いくら剛が政府と関係の強い風鳴家と繋がりがあるとはいえ、ライドウォッチを持ってるのは普通ではない。

 

「ん、なんだ王我。ぶつぶつと話しやがって」

 

「な、なんでもねぇよ。それよりも現状だ‥」

 

疑問がまだ残っているが、とりあえず今は目の前の事件に集中することにした。

 

 

 

 

色々な人から情報を得た後、王我さんは自分で撮った写真と剛さんから貰った写真を見て事件について考えていた。

 

「まぁ、これだけ粉々ならな‥」

 

「やっぱり師匠の言ってた件は‥」

 

「あぁ、運送車が爆発した爆発したのは間違いないがその周りのビルの破片は‥」

 

翼さんも王我さんも師匠が言っていた予測に信憑性が増した。王我さん的には爆心地体遠い場所の半壊、それもトラックじゃ絶対に届かない高さ。その高さがタイムマジーンと同じくらいだと言う。

 

 

 

そんな時だった

 

「敵襲か⁉︎」

 

再びここで大きな爆発音が鳴る。音の発生方向を見るとビルの瓦礫が私へと降りかかってきた。

 

「未来、大丈夫⁉︎」

 

装者である私達は上手く瓦礫を躱すことが出来た。しかし、一般人である未来があれをかわすのはかなり困難。一瞬最悪のケースを想像してしまったが

 

「うん、大丈夫!」

 

「危ねえ‥」

 

王我さんに抱えられてロープにぶら下がっている。

 

以前と違う一つ目のタイムマジーンがそこにはいた。

 

「またノイズか‥」

 

「何かあの機械とノイズのセット、多くねぇか?」

 

「とにかく戦いましょう!」

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

私達はギアを纏い戦闘態勢に入る。

 

「はあぁぁッ!」

 

翼さんを先頭にノイズの大群に立ち向かっていく。

 

「‥間違いねぇ‥」

 

王我さんは双眼鏡のようなものでタイムマジーンを観察している。

 

「お前ら、あの中に例の物がある!」

 

私達はその言葉により、さらにこの戦いへの責任感が増した。

 

「(怪我した人のためにも取り返さなきゃ!)」

 

「未来、あそこの道が空いているだろ。あそこを真っ直ぐ行けばシェルターがある。そこに逃げろ」

 

戦いが激化すると判断した王我さんは未来をシェルターに逃すことを選択。

 

「王我さん‥」

 

「大丈夫、この街は俺の庭だ。安心して待ってな」

 

「‥はい!」

 

そして未来は一度も振り返らず王我さんが示した道を進んでいった。

 

「さて‥行くか」

 

ジャケットの内ポケットからドライバーらしきものを腰に巻く。そして

 

ジョーカー!』

 

ジャケットの内ポケットからUSBメモリのようなデバイスを取り出す。

 

「変身!」

 

すると、もう一本がベルトに現れ、それをしっかり指し込んだ後、手に持っているメモリをセットする。そして

 

サイクロンジョーカー!』

 

ベルトはWの文字のように展開される。

 

「す、凄い風‥!」

 

右側は緑、そして左側は黒。まるでビルドのような二色のライダー。あれが仮面ライダーダブル。

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

まるで二人で喋っているかのように声が重なって聞こえる。

 

「うおりゃあ!」

 

風を纏った回し蹴りでマフラーがたなびく。早く絶え間なくノイズにキックを与え、次々に倒していく。

 

「ほう、その仮面ライダーは‥」

 

タイムマジーンの操縦者も、ダブルに興味を持ったような雰囲気がある。

 

「二人で一人の仮面ライダー。ま、今は一人でだけどな」

 

ダブルの速い攻撃により着実にノイズの数が減少している。

 

「ここらで一発決めとくか」

 

黒のメモリをベルトの横のスロットにセットする。

 

ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

するとダブルを軸に竜巻が発生し、体が宙に浮く。

 

「「ジョーカーエクストリーム!」」

 

「割れた⁉︎」

 

ダブルの身体が半分になり、それぞれ蹴りをくらわせる。

 

「‥あまり威力が出ねぇな‥」

 

不服そうな王我さん。

 

「ったく、最近は何であの機械ばっかなんだ‥まだ前の答えがわかんねぇのに‥」

 

「おい雪音、俺たちでタイムマジーンの周りのノイズを倒すぞ」

 

「お、おう‥!」

 

少しクリスちゃんの態度が変だったがすぐに戦闘に切り替える。

 

ルナ!』

 

トリガー!』

 

ルナトリガー!』

 

左右のメモリを挿し替え、今度は黄色と青いダブルに姿が変わった。

放たれた銃弾がノイズを追いかけ、全弾外すことなく命中する。

 

「やっぱり、これも性能が落ちてるな‥」

 

これもさっきと同じように、王我さん的にはもっと火力が出るはずだったのだろう。

 

「少し強引だが‥こい、ファング!」

 

どこからか恐竜みたいなノイズを倒しながらこっちにやってくる。

 

ファング!』

 

王我さんの手に乗ると恐竜の形からさっきのメモリと似たような形状に変形する。

 

ジョーカー!』

 

ファングジョーカー!』

 

今度の色は白と黒。そして先のフォームよりも荒々しいラインのあるダブルへと姿を変える。

 

『アームファング!』

 

右腕から次々とノイズを切り裂いていく。

 

ファング!マキシマムドライブ!』

 

今度は角を三回倒し、脚に先程の刃が現れそのまま飛び上がる。

 

「「ファングストライザー!」」

 

恐竜のオーラを纏い、回転を加えた蹴りを喰らわせた。しかし当てた感覚は無く、先ほどまでタイムマジーンがいた地面には大きな穴が空いていた。

 

「逃げられたか‥とりあえず追ってくれ」

 

バット

 

さっきのカメラにメモリをセットするとコウモリ型に変わり、そのまま穴の中へと飛んで行った。

 

「ノイズは‥もういないか‥」

 

タイムマジーンには逃げられたものの被害者0でノイズを殲滅することができた。

 

「お疲れ様です王我さん」

 

私達はシンフォギアを解き、それと同じくらいで王我さんも変身を解除する。しかし

 

「あぁ、お疲れ」

 

「あ、あれ?さっきとキャラ違いません?」

 

さっきと比べなんだか柔らかく、髪も外ハネ気味だし、ロングパーカーに変わっている。

 

「ダブルはちょっと特殊でね。変身解除後、二種類の内ランダムで性格が変わってしまうのさ」

 

「仮面ライダーダブルの力か‥不思議なものだな‥」

 

翼さんも腕を組んで悩むくらい今回のウォッチに関しては訳が分からない。

 

「とりあえずアイツを追わないとね。盗まれた機械も取り戻さなくては」

 

少し時間が経ってからさっきのコウモリのメカが足に何かを付けて帰ってきた。

 

「完全に逃したか‥ スパイダーショックの発信器も振り落とされている‥」

 

カメラを覗くと、タイムマジーンが彫ったであろう道が幾つにも分かれていてどの道を通ったのか分からなくなっている。

 

「師匠、こちらは‥‥」

 

とりあえず私は師匠に先までの出来事と調べ上げたデータを伝達した。

 

 

 

 

『そうか‥実はこちらで目星が付く所を探し当てたのだが、全員で行かなくて良い、誰かしら向かってくれ』

 

「全員で行かなくて良いんですか?」

 

『あぁ、既に頼もしい助っ人に頼んでそちらに向かわせてる』

 

通話が切られたスマホには地図が映し出されある地点にマークが記されてある。

 

「場所はここか‥比較的近いな」

 

歩いて十分程度のところ

 

「立花、雪音ここは頼めるか?」

 

「任せてください!」

 

「アタシもかよ‥まぁアタシ達はバイク乗れねぇし仕方ねぇか」

 

翼さんの判断でこの辺りを私とクリスちゃん、他二方面を王我さんと翼さんがそれぞれカバーする形になった。

 

「じゃあ行きましょう!」

 

「へぇ、風麺に新しいメニューが‥興味深いねぇ‥」

 

「待てジオウ!お前が調べるのはそっちじゃなくてあっちだろ!」

 

別の事に興味を持ち出した王我さんをクリスちゃんが起動修正する。何かこの王我さんは別の方向で癖が強い。

 

 

 

 

 

 

一方、指令室では

 

「とりあえずは乗り切ったか‥」

 

「ご苦労様です、風鳴弦十郎」

 

「ウォズくんか‥さっき王我が仮面ライダーダブルの性能が低いって言っていたがあれは一体‥?」

 

「元々仮面ライダーダブルは二人で変身するライダー。一人の肉体に二人の意識が入り込む。しかし今の我が魔王はそれを無理矢理一人で行っている。こう言えばある程度はお分かりになるでしょう?」

 

「なるほどな‥」

 

「私は我が魔王のところへ参ります」

 

「あぁ、気をつけてくれよ」

 

 

 

 

翼達と別れ、僕は一人で捜査を続けていた。

 

「我が魔王。ダブルの力はまだキツいかい?」

 

そんなところでどこから来たのやら、ウォズが僕の目の前に現れる。

 

「やぁウォズ。ある程度は慣れてきたさ。本当はこの事について調べたいがそれは後回し。悪いが今の調査の協力を頼めるかい?」

 

「もちろんですとも」

 

 

 

 

「とりあえず目星いい所は総て回ったが‥」

 

「何も怪しいところはないね‥」

 

『しかもバッチリ一般人もいるしな』

 

この辺りには何もなさそうなので響達と合流することにした。その時

 

「おっと」

 

曲がり角で人とぶつかりそうになった。

 

「すま‥なんだ逢坂か‥」

 

「やぁ、君か」

 

ぶつかりそうになった相手の名は秋山蓮。僕の知り合いの一人だ。一応知り合い同士なのでぶつかりそうになったことへの謝罪は無しの雰囲気になった。

 

「‥あぁ‥俺は病院に行くところだ」

 

僕の視線が彼が手にしている花に向いていることに気づき、自身の目的を話してくれる。

 

「病院‥そういえば恵理さんは無事かい?」

 

「あぁ、アイツは研究室に居たからな。まさかこんな事になるとはな‥」

 

彼の恋人である小川恵理さんは二課の聖遺物の研究を行う『江島研究所』に属している。

 

「あぁ、そうだ。恵理が言っていたが盗まれたあの品、回収次第こちらで引き取る形になる」

 

「本当に大丈夫かい?いくら彼女には怪我がなかったとはいえ‥」

 

「室長が許可を出したんだ。それに『私達は危険なものでも受け付ける。研究員として育ててくれた夜忍さんには恥をかかせられない』そう恵理が言っていたさ」

 

「恵理さん‥」

 

「あとコイツをお前に渡しておけと言われていてな。誰かは知らないが」

 

内ポケットから何かを取り出す。

 

「ライドウォッチ‥」

 

「俺は行く。じゃあな」

 

彼の背中をしばらく眺めていたが、手元からの光により目線をずらした。

 

ナイト

 

『おっ、コレもアタシに強いオーラが来てる。何か多いな、こういうの』

 

「とにかく例の場所に行った響達を待ってみよう」

 

 

 

 

私とクリスちゃんが向かったのはマークが示した場所。何かクリスちゃんと共闘した場所を思い出させる。

 

「何かこういうところは‥」

 

「おいおい!」

 

悪い予感は的中し、私達の目の前に柄の悪い人たちが現れた。

 

「ガキんちょがこんなとこ来るんじゃねぇよ!」

 

「はぁ?テメェらふざけんじゃねぇよ!」

 

「ち、ちょっとクリスちゃん!」

 

売り言葉に買い言葉。クリスちゃんが相手の言葉に乗ってしまった。

 

「生意気な口聞いてんじゃねぇ!」

 

あちらが拳を握りこちらに振りかぶってきた。とっさに私はクリスちゃんの前に出て、攻撃から守ろうとした。

 

「止めなさい」

 

見上げると、私に降りてくるはずだった拳を受け止めている人がいた。

 

「な、なんだテメェ⁉︎」

 

「子供に手を上げるのはよしなさい」

 

「なんだと‥!」

 

攻撃対象を変えた相手は一瞬にしてスーツの男性に関節を固められていた。

 

「ぐあっ!」

 

「暴れるのはよしなさい。余計に怪我をすることになる」

 

「ヤベぇ、コイツ強ぇ‥!」

 

そしてその取り巻きの人らは彼に怯えて、散り散りに逃げていった。

 

「た、助かった‥」

 

恐怖からの解放と安心で私は肩を落とした。クリスちゃんもほんの少しあの人に驚いている様子だった。

 

「さぁ吐きなさい。君達はここで何をしている?」

 

固めていた手を一瞬で襟に回し、若干脅迫じみた行動に出た。

 

「い、いや俺達は‥アジトにしてた廃工業地で爆発があってよ‥いくら俺らでもそんな爆発したところで過ごしたくねぇっていうか‥」

 

「その場所を教えなさい」

 

「み、港の‥」

 

悪そうな人から情報を聞き出した後その人は一目散に逃げていき、スーツの人はどこかへと連絡を始めた。

 

「‥あぁ、では後は君に任せた」

 

「君たち怪我はないかい?」

 

連絡を取り終えるとこちらへ寄ったきた。

 

「えっと、師匠‥弦十郎さんが言ってた頼もしい助っ人って‥もしかしてあなたですか?」

 

これだけの強さがあればもしかしたら‥と思い尋ねてみる。

 

「なるほど、君たちが弦十郎さんが言っていた二課の装者たちか。私は名護啓介。君達の話は王我くん共々弦十郎さんから話を聞いている」

 

どうやら当たっていたみたいだ。

 

「王我さんを知っているんですか?」

 

「あぁ、彼は心優しい人間だ」

 

 

 

 

そこから少し名護さんの話に私達は聞き入っていた。これまでの二課や名護さんの活躍。王我さんとの関係も少し面白かったし、仲が良さそうに聴こえた。

 

「名護さん凄いですよ!優しいですし、強いですし、上司として最高ですよ!」

 

「いや、私は君が言うほど出来た人間ではなかったのさ。遊び心を知るまでは‥」

 

「遊び心‥?」

 

一体どのような関係があるのかはその言葉だけでは分からなかった。

 

「昔の私はただ弱者の上に立つ事に生きがいを持っていた。しかしある時言われたんだ‥『お前には心の余裕がない。気を張るのは良い事だが、張り詰過ぎた糸はすぐ切れる』と‥誰かは全く覚えていないんだがな」

 

「誰か分からないんですか?」

 

「あぁ、顔が隠れていてね。男の声だったのは覚えているんだが‥」

 

「でも正体は誰でもいいと思えるくらい私はその言葉に感銘を受けたんだ。だから私は私なりに心の余裕を作った。王我くんと触れ合いながらね‥そうしたら本当の正義が見えて来たんだ」

 

少し遠くを見ているかのように名護さんが語る。

 

「君達も心に余裕を持たせるようにしなさい。そうすれば周りもよく見え、人々を助けることに繋がる」

 

「はい!じゃあ私達はそろそろ王我さんのところに戻ります」

 

名護さんに一礼し、その場を去ろうとした時

 

「待ちなさい。君たちにお使いを頼まれて欲しい」

 

「これは‥」

 

 

 

 

「王我さん、ウォズさん、お待たせしました!」

 

翼に続き、例の地点から響達が戻ってきた

 

「さぁ、名護啓介から貰った情報を元にあのタイムマジーンの居場所を突き止めよう」

 

ウォズの一声で捜索の終盤戦が始まる。

 

「あぁ、では検索を始めよう」

 

僕は目を瞑り意識を集中させる。

 

「ウォズさん、王我さんは‥」

 

「静かに。今我が魔王は集中なさっている」

 

今僕の意識は精神世界の地球の情報を有したデータベース、【地球の本棚】にある。そこには無数の本があり、その中から今回の条件に合う本を探し当てる。

 

「一つ目のキーワードは【黒服】」

 

ウォズの言葉で、遥か向こうにまで続く本棚からキーワードに合った物だけが選択される。

 

「二つ目のキーワードは【工業地帯】」

 

更に絞られ本の数は簡単に数えられるほどにまで絞られた。

 

「最後のキーワードは【爆発】」

 

そして残った本からもキーワードに応じた残った一冊を読む。

 

 

 

 

 

 

精神世界から戻り、皆に結果を伝える。

 

「次に来ると予測出来る場所は‥」

 

 

 

 

 

 

 

僕達は検索の結果から出た場所に移動する。そこは

 

「ここは‥廃工業地帯?」

 

「おい、何もねぇじゃねぇか」

 

翼もクリスも疑いの目で見る。それもそのはず。ここにはコンテナすら無く、あるのはトタンで出来た大きな倉庫のみ。

 

「いや、我が魔王の検索は間違っていない」

 

「ここだね」

 

双眼鏡型ガジェット、デンデンセンサーを通してある壁の一部分に着目する。

 

スタッグ

 

今度は携帯電話型ガジェットのスタッグフォンを放つと一見代わり映えのない壁に思い切り体当たりをした。衝突後は壁に少し亀裂が入るも特に何も起きない。

 

「あの、一体何を‥」

 

「見ればわかる」

 

ウォズは響の言葉を遮るかのようその亀裂に向かって思い切り蹴りを放った。すると

 

「これは‥!」

 

「隠し通路!」

 

スタッグフォンが突撃した壁の先には下へと続く階段が隠されていた。

 

「本当にあるんだ‥」

 

僕達はその階段を降りようとした。その時

 

「ほう‥ここを突き止めたか‥」

 

影から、相手を特定することが不可能なくらい顔を隠している。だがこの人物は前回のタイムマジーンを操縦していた人物と同じ声をしている。

 

「仮面ライダーも‥装者ごと潰してやろう!」

 

地下から勢い良く飛び出してきたタイムマジーンに飛び乗り、そのまま倉庫を突き破って、態勢を整えてきた。

 

「くっ、流石に敵も勘づいていたか!」

 

「とりあえずコイツを捕まえて聞けばいい!」

 

「あぁ、検索では想像もつかない結果、ゾクゾクするねぇ」

 

『Killter Ichaival tron』

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

ファング

 

「変身!」

 

ファングジョーカー!』

 

全員が戦闘態勢に入り

 

『アタシもそろそろ行くか!』

 

それを見ていた奏もやる気が湧いたのか、実体化し加戦する。

 

アクセル

 

アクセルウォッチを起動させると、目の前に剣が突き刺さる。アクセル専用武器、エンジンブレード。そしてバイクのハンドルの形をしたベルト、アクセルドライバーを装着する。

 

アクセル!』

 

ダブルの使うガイアメモリと同じ形であるアクセルメモリを取り出す。

 

「変‥身!」

 

ドライバーにあるスロットルを捻り

 

アクセル!』

 

八つのピストンパーツが合わさり、仮面ライダーアクセルに変身する。

 

「さぁ、振り切るぜ!」

 

地面に刺さっているエンジンブレードを引き抜き、敵へと向かっていく。

 

「はあぁッ!」

 

重たいエンジンブレードの一撃は凄まじくタイムマジーンの装甲を少しずつではあるものの着実に削っている。

 

『アームファング!』

 

タクティカルホーンを一回倒し、右腕にブレードが現れる。それで関節部を集中的に攻撃し、動きを鈍らせる。

 

エンジン!マキシマムドライブ!』

 

ファング!マキシマムドライブ!』

 

「いくぞ、王我!」

 

「あぁ」

 

アクセルとダブルの必殺技攻撃で相手の装甲に傷をつけることができた。このまま行けば装甲は薄くなり、確実に相手を倒すことができると思った。

 

 

「なるほど‥なら‥」

 

次の攻撃を当てようとすると突然相手の姿が無くなる。

 

「ぐあッ!」

 

そして気づくとすぐ後方に移動しており、風圧により僕達は吹き飛ばされていた。

 

「ダメか。動き回ってて攻撃が当てづらい!」

 

とにかく近づかせないよう細かな動きをしている。そして何より速い

 

「!皆、奴の背中を見ろ!」

 

翼の発言からタイムマジーンの背部を観察する。すると背中にはブースターがいくつも付いており、それにより先程と比べ物にならないくらい速い動きをしている。

 

「みんな、僕に提案がある」

 

一度全員を話が聞ける場所へと集める。

 

「奏が仮面ライダーの力でアイツを抑えよう。そこを翼達がタイムマジーンの関節部を狙って攻撃。最後に僕がコックピットをマキシマムで開ける」

 

「いけるのか?」

 

「とりあえず出来ることをやろう。他の対策は動いてから考えれば良いさ」

 

『ショルダーファング!』

 

タクティカルホーンを二回弾く。すると肩からブーメランのような

それを相手に向かって投げつける。しかし、動き回っているせいで中々命中しない。

 

「押さえ付けるならデカい乗り物だよな‥カイザにするか、ゲイツにするか、他には‥」

 

大きな乗り物で拘束することにした奏ではどのライダーで行くか若干迷っていた。

 

「そうだ!奏さん、これを!」

 

何か思い出した響が奏に向かって何かを投げた。

 

「これは‥」

 

それは既に力が宿っていたライドウォッチだった。

 

「響、これをどこで‥」

 

「名護さんから受け取りました!」

 

「名護‥名護啓介からか‥」

 

また僕の知り合いからウォッチを所持していたものが現れたみたいだ。

 

「奏くん、その仮面ライダーイクサならパワードイクサーで相手を拘束出来る!」

 

「そうか、ならコイツを使ってみるか!」

 

イクサ

 

アクセルの変身を解除し、新たに入手したウォッチを起動させる。すると手にはベルトが握られ、すかさずそれを腰に巻く。

 

『レ・ディ』

 

ナックル型のデバイスを手に当てる。

 

「変身」

 

そしてそのままナックルをベルトにセットする。

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

奏の前方にライダーらしきシルエットかが現れ、奏の体にそのまま装着される。そしてすぐに顔部分のシールドが熱気と共に展開される。

 

「その命、神に返しな!」

 

「い、命奪っちゃダメですよ!」

 

「本当には奪わないさ!なんか言いたくなっただけだ!」

 

腰から笛型のデバイスを取り出し、ドライバーにセットする。

 

 

恐竜のような重機が現れ、奏はすぐに操縦を開始する。

 

「あれこそパワードイクサー。イクサ専用大型マシンだ」

 

パワードイクサーでタイムマジーンを抑えつけるため砲弾を投擲し、動きを鈍らせいる。

 

「オラッ!」

 

何発かをタイムマジーンの行くであろう先に投げ、回避を困難にさせていた。

 

「よし、ヒット!」

 

上手いこと一つの砲弾がブースターに当たり大破。動きが元に戻った。

 

ヒート!』

 

メタル!』

 

ヒートメタル!』

 

その間にこちらも準備を進める。メモリチェンジでヒートメタルに変わる。

スタッグフォンでコードを打ち込む。すると何処からか大きい車両がこちらへ向かってくる。あれはダブルのマシン、リボルキャリー。そしてそのままの勢いでタイムマジーンに激突する。

 

「じゃあ、僕も行こうか」

 

動きが遅くなったタイムマジーンから離れるとリボルキャリーが開き、その中にダブルのバイク、ハードボイルダーをセットする。しかし、そのまま発進するわけではない。後部が取り外され、飛行を可能にするハードタービュラーに変え、上空へ飛び立つ。

 

「よっしゃ捕獲!」

 

位置に着いた丁度のタイミングでパワードイクサーがタイムマジーンの胴体掴み、行動を止めさせる。

 

「皆、行くぞ!」

 

翼の指示でそれぞれがタイムマジーンの関節部に集中攻撃をする。雪音が右腕、響が左腕、そして翼が両脚。それぞれが息を合わせ、関節を破損した。駆動系が使い物にならなくなったタイムマジーンはその場で膝をついた。

 

「間接は潰した!王我!」

 

メタル!マキシマムドライブ!』

 

メタルメモリをメタルシャフトに挿し込むと、両端から炎が吹き上がる。

 

「「メタルブランディング!」」

 

ハードタービュラーの飛行でコクピットのギリギリ上を狙い、上半身を薙ぎ払った。

 

「やりましたね‥あれ王我さん、また変わって‥」

 

「それは後だ。それよりも操縦者と物は‥」

 

そして炎上しているタイムマジーンコクピットには少し煤が付いている機械があったものの、人影は無かった。

 

「逃げられたか‥」

 

良くも悪くも敵がいなくなり、翼達もシンフォギアを解除する。

 

「逃げたとしたらあの爆発の瞬間くらいしかない。相手は我々の思っていた以上に強力だ」

 

「まぁとりあえず、この機械が取り戻せて良かったですよ!」

 

「響の言う通り、これだけでも守れたんだ。今はそれを喜ぶか」

 

 

 

「(でも、さっきもタイムマジーンが現れる時は決まってノイズも同時に現れた‥ここにも何か関係が‥?)」

 

 

 

 

 

「なるほど‥あれが仮面ライダーダブルの能力か‥他にも仮面ライダーアクセル、仮面ライダーイクサの能力も把握出来た」

 

「はぁ‥」

 

「よくやってくれた。ご苦労だった」

 

「しかし若様。いくら命令とはいえわざと敗北するのは私のプライドが傷つきます」

 

「すまなかったな。上からの命令には私も従うしかない」

 

「ですが私の役目は一先ず終わりましたね」

 

「あぁ。後のオペレーションはあちらに任せるとしよう」

 

「では私達は‥」

 

「あぁ、引き続きライダーの能力の観測だ」




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「おかえりなさい」
「たとえ世界を敵に回しても守るべきものがある」
「あの子は本当に家族思いで‥」
「私達をずっと支えてくれた」
「おばあちゃんが言っていた」
「天の道を往き、総てを司る男になれと‥」

EP30 ヘブンリーロード2006→2043


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EP30 ヘブンリーロード2006→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。先日回収した謎多き機械。研究のため施設への運送中、事故により損失してしまう。事件解決のため我が魔王は仮面ライダーダブルに変身する。そしてその事件はあの黒服の人間が関わっていることが発覚した。改造されたタイムマジーンとの激闘の末、見事機械を取り戻すことに成功。一時幕を閉じた。しかし、あの黒服の人間は一体?そして暗躍する謎の影とは誰なのでしょう‥


例の機械を取り戻して2日後、その機械は江島研究所に届けられ、現在解析が進められている。恵理さん曰く、俺の母さんが関わるから3倍のスピードで研究が進んでいるらしい。そしてその研究とはまた別に

 

「こちら王我、現場に到着しました!」

 

学校の用事の帰りにノイズの発生があった。俺が出現地点に一番近く、翼達も丁度学校を出たところらしく、まだ到着まで時間がかかる。

 

『響くん達もすぐにくるはずだ!それまで頼むぞ!』

 

「了解!」

 

『Camustolron EXcalibur tron』

 

Ⅱを纏い、ノイズの大群に斬りかかる。

 

「はああッ!」

 

最初から二刀流にし、剣戟の速さで相手を圧倒する。

 

「大丈夫ですか?」

 

ノイズの襲撃により逃げ遅れた人は空から救出する。飛行能力を持ったⅡだから基本敵の少ない空からの救助が可能である。

 

「それにしても‥多すぎる‥」

 

二刀流を再び一本の剣に戻す。

 

『王我、聞こえる?』

 

「母さん!」

 

『王我、せっかくなら()()をやってみなさい!』

 

「アレか‥やってみる!」

 

近くにあった鉄パイプと小さな鉄を拾う。エクスカリバーが柄から剣先までが半分に分かれると、そこに鉄を挟み、持っていた鉄をエクスカリバーに勢いよく擦り付ける。

 

「いけッ!」

 

すると稲妻が目に見えるくらいの電気が発生し、小さな鉄は凄まじい勢いでノイズの軍団を貫いた。

 

『自分で作っておいてアレだけど、かなりの威力ね‥』

 

母さん曰く、レールガンの仕組みを完全聖遺物であるエクスカリバーで発生させた。

 

「大分減ってきたな‥」

 

さっきのレールガンで半分くらいは倒せただろう。

 

「王我さん、お待たせしました!」

 

そこへ響達が到着し、すぐさま戦闘に入る。

 

「皆、いけそうか?」

 

「‥ってノイズがこっちに結構集まってきます!」

 

残っているノイズの内、5割程響が戦っている場所に集まっている。

 

「早くしなきゃ‥響、これを使え!」

 

『譲渡』

 

「はい!」

 

エクスカリバーが俺の身体から離れ、アーマーとナックル状変化する。そしてそれが響のギアに装着される。そしてギアが無くなった俺は

 

 

ジオウ

 

ファイズ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウアーマータイムComplete ファイズ!』

 

ジオウ ファイズアーマーに変身する。

 

『アタシもやるぜ!』

 

奏はそのまま実体化し

 

イクサ

 

イクサライドウォッチを起動させる。

 

『レ・ディ』

 

「変身!」

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

イクサベルトをすぐに巻き、奏がイクサに変身する。

 

「奏、イクサ気に入ったの?」

 

「わりとな。個人的には武器はバロンの方がいいけど!」

 

イクサの武器、イクサカリバーを手に切り込んでいく。

 

「雪音、立花の一撃で倒すぞ!」

 

「あいよ!」

 

装者達は譲渡によりパワーアップした響の拳でノイズを倒す作戦を立てた。

 

「オラオラ!こっちに来やがれ!ったく、無駄に数が多いな!」

 

翼と雪音が一点にノイズを集中させる。

 

「立花、今だ!」

 

「はい!はあぁぁぁぁッ!」

 

その拳は地面ごとノイズを抉り取り、一体も残らず撃退した。その威力は絶唱時の半分ぐらいはある。

 

「やっぱり‥凄い‥!」

 

「エクスカリバーII、櫻井理論とは異なる形で生み出された新世代シンフォギア。さすが夜忍叔母様だ」

 

「こっちも行くぜ!」

 

奏はベルトから笛型のデバイス、フエッスルをイクサベルトに装填する。

 

 

イクサカリバーでノイズを切り裂くイクサの必殺技【イクサ・ジャッジメント】を使った。

 

フィニッシュタイムファイズ!』

 

エクシードタイムブレーク!』

 

こっちは出現したポインターを蹴り飛ばし、ノイズに命中させる。

 

「次はコイツだ!」

 

ゲイツ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

ドライブ

 

アーマータイム!ドライブ!ドライブ!』

 

奏は今度はゲイツに変身し、ドライブアーマーを纏う。

 

「よし、俺も!」

 

ディ・ディ・ディディケイド!』

 

一度ファイズライドウォッチを抜き、ディケイドライドウォッチを起動。それをドライバーに装填し、一回転させる。

 

アーマータイムカメンライド!ワーオ!ディケイド!ディケイド!ディケイド‼︎』

 

ファイナルフォームタイムファ・ファ・ ファファイズ!』

 

ディケイドライドウォッチにファイズライドウォッチをセットし、ディケイドアーマーファイズフォームへとなる。身体の一部がファイズ アクセルフォームとなり、腕にはファイズアクセルが装着されている。

 

 

『ライドヘイセイバー』

 

『ヘイ!!』

 

ライドヘイセイバーの長針を回転させる。

 

デュアルタイムブレーク!』

 

剣先に小さな竜巻が纏い、そのままノイズを切り裂く。

 

『Start up』

 

ファイズアクセルを起動させ10秒間の超加速を発揮する。

 

フィニッシュタイムドライブ!』

 

ヒッサツタイムバースト!』

 

回転を加えたもの凄いスピードでノイズ体当たりを喰らわす。

 

ファ・ファ ・ファファイズファイナルアタックタイムブレーク!』

 

赤いマーカーが複数のノイズに定められ、それ全てにクリムゾンスマッシュを放つ。

 

「ふぅ‥なんとか全部倒せたな」

 

「やったね、クリスちゃん!」

 

「こんな事を言うのはアレだが、明日ではなくて良かったな」

 

「本当だな」

 

そう、明日は大事な用事がある。

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、私達は空港に来ていた。送り迎えは司令長官からリムジンの貸し出しが許可されて本当助かった。

 

「何か悪いね、皆お迎えに来てもらっちゃって」

 

「いえ、私達が頼んだんですし。それに私も王我さんのお姉さんと妹さんに会いたいですし」

 

「アタシはコイツに無理矢理連れてかれたんだけどな」

 

「でもクリスとちょっと気になるでしょ?」

 

「べっつに」

 

私からの提案で未来とクリスちゃんも一緒に行こうと誘った。未来はすぐOKしたけど、クリスちゃんは若干渋ってた。

 

「そういえばクリスちゃん、最近また忙しくなったよね」

 

「クリス、荷物は全部届いたんでしょ?」

 

「‥別件だ、気にすんなっての」

 

「確かこの便だったよな‥?」

 

クリスちゃんを問い詰めようとしたが、そろそろ待ってる人が来そうとのことで止めにした。

 

「あ、いたいた!」

 

王我さんの目線の先には大人っぽい女性と、私と同じくらいの年の女の子がいた。

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

女の子の方が王我さんに気づき、彼に向かって走り出した。

 

「よぉ和花、おかえり!」

 

「王我、わざわざお出迎えありがとう」

 

「姉さんも久しぶり」

 

「あら翼ちゃん。こうやって生で見るとまた可愛くなった?」

 

「とんでもありません。愛理昌さんこそ変わらずお綺麗で‥」

 

大人の女性の方は翼さんと会話を始める。

 

「!こんにちは!」

 

たまたま女の子と目が合い、挨拶をする。

 

「‥!」

 

王我さんの背中に隠れてしまう。

 

「ねぇ、お兄ちゃん、翼お姉ちゃん。この人達は‥?」

 

「な、何か警戒されてる‥?」

 

「ごめんな、和花は人見知りするタイプなんだ。子どもなら平気なんだけど‥和花、ほら挨拶くらいはしな」

 

「えっと‥僕は‥逢坂和花です‥」

 

どうやら和花ちゃんは僕っ子らしい。

 

「私は立花響。よろしくね、和花ちゃん!」

 

「さてと、あまり長居すると翼が見つかっちゃうし、早く行こう。今日は俺が飯作るから」

 

「ホント⁉︎流石お兄ちゃん!」

 

「和花、まずは荷物を置いてからよ」

 

「そうだね、じゃ行こ、お姉ちゃん、お兄ちゃん!」

 

「‥ねぇ未来、もしかして和花ちゃんって‥」

 

「うん。多分‥」

 

和花ちゃんは若干のブラコン&シスコンだ。

 

「‥あら、どれがウチの車かしら‥?」

 

「いやいや姉さん、どう見てもアレだろ!」

 

そして愛理昌さんは天然みたいだ。

 

 

 

私達は王我さんの家の車で行き先は愛理昌さんが指名した場所だ。

 

「皆のことは父さんから聴いてるわ」

 

「そういえば姉さん達はこれからどうするの?」

 

「とりあえず実家に戻るわ。いくら勝さん達がいるって言ってもあの家を放置する訳にはいかないから」

 

聞いた話によると、王我さんの実家は少し小さな屋敷のようで、夜忍さんや司令長官も家にいないこともしばしば。ある程度は雇っている人がやってくれるが、自分達でもなんとかしたいということらしい。

 

「えっと、王我さんと一緒に暮らさないんですか?」

 

「父さんがやってた時計屋だと勤務先から遠いのよ」

 

「勤務先が王我の家から遠い‥となると、もしかしてあそこですか?」

 

「そう、あそこ」

 

翼さんと愛理昌さんはあそこでお互い理解し、王我さんと和花ちゃんも同じように頷いていた。

 

 

一度荷物を実家に置きに行った後向かったのは

 

「喫茶店‥?」

 

そこは【マル・ダムール・ディッパー】というお店。

 

「こんにちは〜」

 

愛理昌さんに続き、私達も中へ入る。

 

「おっ来たね。愛理昌ちゃん、和花ちゃん久しぶり」

 

「こんにちは、マスター」

 

「あれ‥?」

 

王我さんがカウンターに座っている二人の人物に注目する。

 

「伊織さん!」

 

どうやら王我さんの知り合いみたいだ。

 

「王我さん!良かった、マスターが今日王我さんが来るって仰っていたので‥」

 

「俺に何か‥?」

 

「これを君に」

 

威吹鬼

 

その人が差し出した手にはライドウォッチが握られていた。

 

「これをどこで‥?」

 

「それが分からないんです。気づいたら持っていて、一緒に置いてあった手紙には王我さんに渡すよう書かれていたんです」

 

「では用事も済みましたし失礼します」

 

そのままその男の人は店を出てしまった。

 

「さて二人が来たことだし、今日はもうお店閉めちゃうよ」

 

「ごめんなさい、マスター。無理を言ってしまって」

 

「いいのいいの。僕もちょっと休みたかったし」

 

そう言ってマスターは店の裏に行った。

 

 

「さてと最終準備を‥あ、豆腐とか他の食材もちょっと足りないかな。俺買ってくるよ」

 

「あ、私も行きます」

 

荷物持ちとして王我さんについて行くことにした。

 

 

 

 

 

食材を買いに行く途中、市民の悲鳴が聴こえる。

 

「何あれ‥虫‥?」

 

緑色の幼虫のような生命体が複数体いた。

 

「ウォズ、確かあれって‥」

 

「ワームだね‥まだ脱皮はしてないが、十分危険だ‥」

 

王我さんとウォズさんがあの生物について話している。

 

「‥ってウォズさん、居たんですか⁉︎」

 

「ちょっと前から居たよ」

 

王我さんは気づいていたみたいだ。

 

「ワームが相手。となると‥これだな」

 

カブト

 

少し髪が長くなった王我さん。腰には既にベルトらしき物が存在している。そしてそこにどこからか赤いカブトムシが飛んで王我さんの手に

 

「変身」

 

変身

 

ベルトにカブトムシをセットすると、王我さんの身体がアーマーに包まれる。カブトライドウォッチに描かれていた顔とは少し違うが、あれが仮面ライダーカブトなのだろう。

 

「私も‥!ウォズさん、未来をお願いします!」

 

ウォズさんに未来の避難をお願いし

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

私もガングニールを纏い加戦する。

 

「はああッ!」

 

ノイズとは違い、倒すのに少しの時間はかかるものの、動き自体は早くないので少し楽だ。しかしその安心はあることですぐに消えた。

 

「未来⁉︎なんで⁉︎」

 

逃げたはずの未来がそこにいた。

 

「未来、何してんの⁉︎早く逃げ‥」

 

未来に駆け寄ると

 

「‥‥」

 

すると身体が急に変化し、ワームになった。

 

「うわぁッ‥!」

 

こんだけ近いと攻撃を避けることは出来ず、防御しようとすると後ろから銃弾が飛んでワームに命中する。

 

「気をつけろ。ワームは人間に擬態する」

 

王我さんは冷静に敵に銃弾を当てる。まるで全てわかっているかのように。

 

「私も落ち着かなきゃ‥」

 

とにかく敵に集中し、早くそして確実に倒して行く。

 

「よし、残り一体‥」

 

その残り一体は王我さんの背後から襲いかかってきた。

 

「危ない!」

 

しかし、私の忠告は不要だったようだ。ワームの胴にはさっきの銃が斧に変形していてそれが刺さっており、その直後爆散した。

 

「流石です!王我さん!」

 

敵が居なくなって私達は戦闘モードを切る。

 

「当たり前だ。俺は世界で一番強い」

 

「えぇ‥」

 

凄い俺様キャラ。何か自分の事自慢する王我さんって変な感じ。

 

 

 

 

王我さんと買ってきた食材を用いて今日の食事の準備が行われる。帰ってきたとき、翼さん達はカブトライドウォッチの影響を受けた王我さんに驚いていたが、

 

「それじゃあ皆、せーの‥」

 

「「「「「「いただきます!(‥‥)」」」」」」

 

さっきの喫茶店を貸し切りにしてもらって、歓迎パーティーが始まる。

 

「!凄く美味しい!」

 

王我さんの料理は時々頂いていて、その美味しさは知ってはいたが今回のはそれ以上に美味しかった。でも甚兵衛着て料理する意味は分からなかった。

 

「でも良かったんですか?せっかく久しぶりに会ったのに私達まで‥」

 

ちゃっかり皆で食卓を囲んでいる。

 

「私は響ちゃんや未来ちゃん、それにクリスちゃんのこともっと知りたいなぁ〜。それにこうして食卓を囲んだ方が和花も慣れると思うし」

 

「ぼ、僕も‥せっかくお兄ちゃんの知り合いが来てくれたから‥頑張る‥」

 

「ありがとうございます」

 

とりあえず愛理昌さんはこう言ってくれるし、和花ちゃんも私達に慣れようとしているのが分かる。

 

「おばあちゃんが言っていた。『食事は一期一会。毎回毎回を大事にしろ』とな」

 

「な、何だよそれ?」

 

王我さんの言葉にクリスちゃんが疑問を持つ。

 

「私達のおばあちゃんの言葉よ。おばあちゃんは私達にいつも大事な事を教えてくれたわ」

 

「そう‥なんです‥」

 

「だから、こうしてお話ししながら食べるのもとても大事なの」

 

そういえば王我さんはおばあさんはよく格言を言ってくれるって言っていた。確かにふらわーのおばちゃんといい勝負だ。

 

 

 

 

 

ご飯を食べ終えると王我さんは用事があると言ってお店から出て行ってしまった。

 

「王我は良かったわね。こんな素敵な仲間がいてくれて」

 

「いやぁ〜」

 

「もう、響ったら調子良いんだから‥」

 

愛理昌さんに褒められて嬉しくなって少しテンションが上がってしまった。

 

「あの子には本当に苦労をかけてしまったわ」

 

ずっと微笑んでいた愛理昌さんの顔が少し悲しそうになる。

 

「逢坂本家の長男だからって、色々と辛いことをさせてしまったけど、いつも『いける気がする』って一生懸命で‥」

 

「あの子は本当に家族思いで‥私達をずっと支えてくれた」

 

「僕も‥お兄ちゃんには、頼ってばっか‥今度は、お兄ちゃんを支えていきたいな‥」

 

「そうね」

 

その話を聞くだけでも和花ちゃんも愛理昌さんも王我さんを本当に大切にしてるんだと分かる。

 

「『支えてくれる』か‥アイツなら、もしかしたらわかってくれるかもな‥」

 

「ん?クリスちゃん何か言った?」

 

ボソッとクリスちゃんがなんか言ったがよく聞こえなかったよう

 

「う、うるせぇ!」

 

「なんでぇ⁉︎」

 

そして何故か怒られた。

 

 

 

ある程度話をした後二人は逢坂家へと帰っていく。

 

「じゃあ私達はこれで‥」

 

「翼ちゃんはまたすぐ会えるわね」

 

「そうですね」

 

 

 

 

私達は少し散歩をしてから帰宅することにした。街を歩いていると

 

「どうかなさいましたか?」

 

数人こちらへとやってきた。一瞬翼さんのファンの人かと思ったが、

 

「な‥⁉︎」

 

「なんだコイツ⁉︎気持ち悪りぃ!」

 

身体が急に変形して、その正体を明らかにする。

 

「ワームです!」

 

 

 

 

 

和花達と離れてから少し、天の光を浴びながら歩いていると

 

「ちょ、ちょっと落ち着け!」

 

何やら騒ぎが起こっている。顔を隠し、手には明らかに似合わない鞄。そして後ろにはそれを追う男。ひったくりだろう。

 

「おい、どけッ!」

 

鞄を盗んだ犯人はナイフを振り回しながらこちらに向かってくる。もちろん俺のとる行動は

 

「おい、危ない!‥って」

 

こんなもの避けるまだもない。ナイフは俺の喉の数cm手前を通り過ぎる。

 

「待て!」

 

一度犯人は追いかけていた男に捕まり、動けなくなるが身体を捩らせ脱出する。鞄を落としたが、今は逃げることを最優先したようだ。そして俺は

 

「あ!俺のカバン⁉︎」

 

落とした鞄を蹴り、見事後頭部に命中。そのまま相手は倒れる。

 

「犯人に逃げられそうになるとは‥爪が甘いな、加賀美」

 

「って‥逢坂!」

 

コイツは加賀美新。二課と警察の橋渡しにあたる存在だ。ノイズの殲滅を図る二課直属の組織【ZECT】に所属している。さっき蹴飛ばした鞄を返し、加賀美に踵を向けた直後

 

「あ、おい!少し待ってくれ!」

 

加賀美が俺を引き止める。そして取り戻した鞄から何かを取り出す。

 

「お前、これ‥」

 

「お前に渡してくれって言われててな。機会があったら渡そうと思ってたんだ」

 

渡されたのはライドウォッチ。しかも既に力も宿っている。

 

「そいつが誰か分かるか?」

 

「さぁ‥仕事場に置き手紙と一緒に置いてあっただけだし‥」

 

「そうか‥」

 

何人からもウォッチを受け取ってはいるが未だ差し出し人が分からないのは奇妙だ。

 

「ん、何だ?」

 

微かだがコンクリートが削れる音がした。しかも機械で整備をするような音では無く、抉るような鈍い音。

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ、あの虫野郎か⁉︎」

 

クリスちゃんがイチイバルを人に向ける。

 

「ひっ‥⁉︎」

 

銃口を向けられた女性は明らかに怯え切った顔をしている。一歩間違えば命に関わるのに襲ってこないのは、彼女が普通の人間だからなのかもしれない。

 

「ち、違うのか‥ちくしょう、これじゃあ逃げてる奴も全員、虫野郎に見えてきやがる!」

 

まだワームが現れて数分しか経っていないので、避難もまだ不完全。人間に擬態が出来るワーム相手では凄く不利な場面だ。

 

「このままじゃ‥」

 

その時

 

「おばあちゃんが言っていた」

 

「その声は‥」

 

「たとえ世界を敵に回しても守るべきものがある」

 

「王我さん!」

 

「遅ぇぞ、ジオウ!」

 

「さぁ我が魔王、存分に力を振るいたまえ!」

 

「うるせぇぞ、預言者!」

 

また唐突に現れたウォズさんにもクリスちゃんは怒っていた。そしてワームに突撃しながら再びカブトゼクターが飛来する。

 

「変身」

 

変身

 

再びカブトに変身する王我さん。

 

『本当危なかったなぁ。こんなことなら響達にウォッチ持たせておいた方が良かったかもな』

 

マッハ

 

実体化した奏さんはこの前剛さんから受け取ったウォッチを起動させる。

 

シグナルバイク!』

 

王我さんがドライブの変身に使用したシフトカーのバイク版をベルトにセットする。

 

「レッツ‥変身!」

 

『ライダー!マッハ!』

 

奏さんが変身した仮面ライダーは白いボディをし、マフラーがたなびいている。

 

「追跡、撲滅、いずれも‥マッハ!仮面ライダー〜〜〜〜マッハ!」

 

「‥早くしろ」

 

「ったく、言いたくなったんだよ!」

 

奏さんの少し長い名乗りが終わり、二人も加戦する。

 

 

「翼さん、行きますよ!」

 

「あぁ、行くぞ立花!」

 

私と翼さんが市民を守りながらワームを近づけさせないように戦う。

 

「奏くん、クリスくん、アレがワームだ!」

 

ウォズさんに指さされた人は諦め正体を明かし、がむしゃらに突進してくる。

 

「正体さえわかればこっちのもんよ!」

 

シグナル交換カクサーン!』

 

奏さんとクリスちゃんは銃弾を乱発させ、ワームを排除する。

 

「しまった!一匹逃した!」

 

「アタシに任せとけ!」

 

シグナル交換マガール!』

 

銃弾が綺麗なカーブを描き、建物の裏に行こうとしていたワームを倒す。

 

「あと5体‥これなら‥!」

 

そう思ったときだった。

 

「え!何⁉︎」

 

二体のワームの緑色の身体が溶け、中から禍々しい姿を現した。

 

「何か、脱皮したんですけど⁉︎」

 

そう驚いた刹那、二体のワームは私達の目の前から姿を消してしまった。

 

「どこに逃げた‥⁉︎」

 

「ぐっ‥!」

 

「クリスちゃん⁉︎ぐはッ‥!」

 

クリスちゃんが急に何かされたかと思ったら私にもダメージがかかる。

 

「高速移動か⁉︎」

 

「は、速すぎますよ‥⁉︎」

 

全く相手の姿を確認出来ない。しかしこちらにはダメージが蓄積されていく。以前戦ったタイムマジーンの速さとは比べ物にならない。

 

「おっさん、何とか追えないのかよ⁉︎」

 

 

 

『奴らの動きを追ってくれ!』

 

『ダメです!全く座標を掴めません!』

 

『ハイパースローカメラでも追いつきません!』

 

指令室の師匠や友里さんや藤尭さんの通信で、そっちにもなす術もないと分かる。

 

 

 

「ウォズさん、アレ何ですか⁉︎」

 

「クロックアップ。ワームが使う謂わば高速移動のようなものだ」

 

とにかく私達のギアではあのスピードには対抗出来ない。

 

「とりあえずアタシが行く!」

 

『ズット マッハ!』

 

奏さんも加速をし出し、ワーム達に対抗する。

 

「大変ですよ!このままじゃあ‥」

 

いくら奏さんとはいえ、二体一では戦いにくいだろう。どうするべきか私なりに考えていた。そして、その考えを打ち破ったのは

 

「このくらいすぐに終わる」

 

 

 

 

 

俺はカブトゼクターの角であるゼクターホーンを少し弾く。するとアーマー部分に隙間が生まれ若干浮き上がる。

 

「キャストオフ」

 

ゼクターホーンを弾き切る。

 

CAST OFF

 

するとアーマーが吹き飛び、まだ脱皮していない残り三体のワームに当たり、撃破する。そしてアーマーで隠れていた赤い身体が露わになる。倒れていたカブトホーンがが起き上がる。

 

『CHANGE BEETLE

 

カブト ライダーフォーム。

 

「クロックアップ」

 

CLOCK UP

 

サイドバックルを叩くと響達の動きがスローのようになる。周りの時間が遅くなった訳ではなく、こちらもクロックアップをし、ワームと同じ条件下での戦闘となる。

 

 

 

 

「なぁ、ウォズ!王我の動きが全然見えねぇんだけど!」

 

こっちもマッハの加速でワームに攻撃するが、正直少し姿を捉えやすくなっただけであんまり良い状況とは言えない。

 

「マッハとカブトの加速の原理は異なるからね。形では追いつけても、クロックアップしているカブトと波長を合わせるのは難しいだろう」

 

「そうなのか‥ってなんか急にしんどくなったんだが‥」

 

唐突な疲労に襲われた。魂だけ(この状態)になってからはあまり感じなかった感覚だった。

 

「マッハの変身時間が切れそうだね。残念だがこれ以上あのスピードにはついていけない」

 

「じゃあどうすれば‥」

 

「ただ対抗手段はある」

 

「なんだよ、早く教えてくれ!」

 

ウォズが答えをもったいぶる。

 

「あるじゃないか、ガタックのウォッチが」

 

「ガタック‥これか!」

 

さっき加賀美から受け取ったウォッチを手に持つ。

 

「そのウォッチならカブト同様クロックアップが可能だ」

 

「なら、迷う必要はないな!」

 

ガタック

 

カブトと同じ形のベルトが腰に現れ、そこに青いクワガタのデバイス、ガタックゼクターが飛んでくる。

 

「変身!」

 

変身

 

厚めのアーマーを纏った仮面ライダーガタックに変身する。そしてすぐに

 

「キャストオフ!」

 

CAST OFF

 

ガタックゼクターの角を展開する。さっきのカブトと同じくアーマーが吹き飛び、クワガタの二本の角が立ち上がる。

 

『CHANGE STAG BEETLE

 

「クロックアップ!」

 

CLOCK UP

 

王我と同じようにサイドバックルを叩くと周りの動きが遅く感じ、そして脱皮したワームとカブトの武器、カブトクナイガンで切り裂きながら戦っているカブトの姿がしっかりと捉えられた。

 

「王我、今行く!」

 

アタシは肩に装着されているガタックダブルカリバーを手に加戦する。

 

「はあぁッ!」

 

一体を受け持ち、相手を切り刻む。王我はパンチで相手を吹き飛ばし、怯ませる。

 

「一気に決めるぞ、王我!」

 

1・2・3

 

1・2・3

 

ゼクターの足の3つのボタンを押し、ゼクターホーンを一度元の状態に戻す。

 

「ライダー‥キック」

 

「ライダーキック!」

 

RIDER KICK

 

RIDER KICK

 

アタシは相手に向かって飛び蹴り、王我はカウンターでの回し蹴りのスタイルでライダーキックを放つ。その衝撃により、ワームは爆散する。

 

「なんだよ、その空に向かって指指すやつ」

 

戦い終わった王我は王我は天に向かって指をさしていた。

 

「おばあちゃんが言っていた。天の道を往き、総てを司る男になれと‥」

 

 

 

「もう終わってる‥」

 

気づいた時にはワームの姿はどこにもなく、二人のライダーの姿しかなかった。

 

「あれが‥クロックアップ‥」

 

 

 

 

 

「仮面ライダーカブト、仮面ライダーマッハそれに仮面ライダーガタックか‥」

 

「クロックアップ‥でしたっけ‥?あの早い動き‥我々でも到底追える速度ではありませんよ」

 

「安心しろ。そのためにこれが渡されたんだ」

 

「これを使って何とか見えましたからね」

 

「クロックアップは普通の加速とは違う。今回得たデータを元にどうするか作戦を練らなければ」

 

「技術部門にも相談しておきます」

 

 

 

 

 

その日の夜、晩ご飯は実家でとることになった。ウォズは二課に用事があるとかで欠席してる。父さんと母さんも似たような理由だ。

 

「そういえば王我は準備出来た?」

 

食事を終えた後、姉さんがそんな事を聞いてくる。

 

「準備?」

 

普段は忘れっぽい姉さんだが、今回は俺の方が忘れてるみたい。

 

「お兄ちゃん、今度パーティーあるの忘れたの?」

 

「あっ‥」

 

「私達もお父さんに言われて、それでこの時期に帰ってきたんだし」

 

「もしお兄ちゃんの準備がまだなら早くした方が良いよ。後3日だし」

 

忘れていた。いや逃げたかっただけだと思う。

 

「‥王我、辛いのは分かるけどこれはやらなきゃならないことなの‥私も頑張るから」

 

そして俺にとって苦しい日が近づいていた。




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「アイツらを信じるか‥」
「絶対に変えられない」
「そうでなきゃお前も救われないだろ‥」
「アイツは‥⁉︎」
「行くよキバット」
「よっしゃ!キバっていくぜ!」

EP31 ヴァンパイアファング2008→2043


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EP31 ヴァンパイアファング2008→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
我が魔王の姉、逢坂愛理昌と妹の逢坂和花が帰国する。再び会えた家族との時間を過ごせるかと思いきや、突如現れたワームが出現する。それに対抗すべく我が魔王は、仮面ライダーカブトに変身し事なきを得た。しかし何故この時代にワームが出現したのでしょうか?そして我が魔王が不安がっていることとは‥


「こちら翼、ノイズを肉眼で確認しました!」

 

姉さん達が帰国して2日後、隣の県にてノイズの発生が確認され、今ヘリで向かっている。本当なら俺がⅡで飛んで現場に先に行きたかったが、エクスカリバーは現在改良中の為今は使えない。

 

『よし、全員十分注意してくれ!』

 

おじさんからの指示を受け、俺達はヘリからおり各々戦闘態勢に入る。

 

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

『Killter Ichaival tron』

 

ゴースト

 

俺はゴーストライドウォッチを使用し、ゴーストドライバーを出現させる。

 

一発闘魂!アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「変身!」

 

闘魂カイガン!ブースト!俺がブースト!奮い立つゴースト! ゴーファイゴーファイゴーファイ!』

 

ゴースト 闘魂ブースト魂に変身する。

 

『よっしゃ!』

 

奏も実体化し

 

「王我、ビルドライドウォッチ借りるぞ!」

 

ゲイツ

 

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツアーマータイムベストマッチ・ル・ー!』

 

ゲイツに変身し、更にビルドアーマーを纏う。

 

「ハアッ!」

 

ビルドアーマーに装備されたドリルクラッシャークラッシャーでノイズを次々に倒していった。

 

「ハッ!あの虫野郎に比べりゃ全然余裕だっての!」

 

「油断するな雪音。戦場では常に警戒を怠るな!」

 

「わーってるよ!」

 

雪音も翼もお互いの背中を預け戦っている。

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

カイガン! ゴエモン!歌舞伎ウキウキ!乱れ咲き!』

 

俺はアイコンを変え、ゴエモン魂に変化した。

 

『サングラスラッシャー』

 

そしてサングラスのような付属しているサングラスラッシャーでノイズを排除していく。

 

「敵が一直線に‥なら‥」

 

響はバンカーを思い切り引っ張り少し前屈みになる。そしてバンカーが伸び切ったところで

 

「ハアアァァッ!」

 

バンカーの戻る時の勢いを利用し、ロケットのようにノイズを貫いていった。

 

フィニッシュタイム!』

 

ボルテックタイムバースト!』

 

現れた放物線のグラフに乗り、その勢いを乗せたキックで敵を倒していく。

 

メガマブシー!メガマブシー!』

 

こちらもオレゴーストアイコンと闘魂ブーストアイコンをサングラスラッシャーにセットする。

 

闘魂ダイカイガン!メガオメガシャイン!』

 

赤いオーラを纏ったサングラスラッシャーの斬撃でノイズを切り裂いた。

 

「ふぃ〜いっちょ上がり」

 

「殲滅出来たは良いものの‥」

 

「結構ド派手にやったね‥」

 

ノイズを倒せたのは良いものの結構周りの木々を倒してしまった。

 

 

 

 

「はぁ‥緊急会議って‥まぁ書類に向かってばっかの一日にならないだけ少しマシか‥」

 

「頭!車の方準備できました!」

 

「そうか‥わかった、今行く」

 

またノイズについての会議だ。少し前まで落ち着いていたがまた事件があった為、対処する必要がある。そしてシンフォギア並びに仮面ライダーについて隠蔽しなければならない。

 

「早くノイズを全て殲滅せねば‥そうでなきゃお前も救われないだろ‥」

 

そっと写真を撫でる。いつか誰もノイズの被害に遭わない日が訪れることを願って。

 

 

 

 

ーそして2日後ー

 

「あれ、王我さんと翼さんどうしたんですか?そんな格好で」

 

「これから政府絡みでのパーティーなんだ」

 

「私達も逢坂家と風鳴家の人間として出席することになったのだ」

 

そういえば愛理昌さんが翼さんにすぐに会えるって言っていたのを思い出した。アレはそういう意味だったのだろう。

 

「へぇ、家柄良いと大変なんだな」

 

「楽しんできてくださいね」

 

「あぁ」

 

「‥?王我さん?」

 

翼さんが返事したのに対し王我さんはさっきからずっと下を向いたままだった。

 

「えっ、あ、あぁ。そうだね。楽しんでくるよ‥」

 

とりあえず返事を返したものの王我さんはどこか上の空だった。そういえばここ最近王我さんの様子が変なのも何かあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは存分に楽しんでくれたまえ」

 

パーティーは豪華なビルの中で開催されている。政府主催と言っても大企業の社長が来たり、母さんのような偉い研究者が来たりもするので、かなりの有名人ばかりが集まる。

 

「やぁ王我、元気だったかい?」

 

「登兄さんこそ元気そうだね」

 

この人は白峰登。世界でも有名な超巨大投資企業『D&P』の社長であり、俺の従兄弟だ。

 

「お前も受験で忙しいのにすまないな」

 

「良いよ。勉強はそれなりにやってるし、家柄的にも必要だから」

 

「社長、お時間です。こちらへ‥」

 

「すまない、ちょっとした仕事だ。じゃあな王我」

 

登兄さんは会社経営が忙しく、このパーティーにも長くは居られない。本当は登兄さんと話したいことがあったが、俺も逢坂の長男として挨拶をしなければならない。

 

「これはこれは王我様。お久しぶりでございます」

 

「どうもお久しぶりです」

 

少し年老いた男性が話しかけてくる。

 

「ご両親はお元気で?」

 

「二人とも元気ですよ。少し仕事は忙しそうですが、問題はなさそうです」

 

「そうでございましたか。王我様もお忙しい中ありがとうございます。では私はこの辺りで」

 

「はい」

 

今の人は父さんが政治家の卵の頃からの知り合いで、俺にも普通に接してくれる。しかし、彼は少数派である。

 

「やぁやぁ、一也様の息子さんではありませんか」

 

「‥お久しぶりです」

 

今度は明らかな中年体型をした男性が寄ってくる。

 

「いやはや、昨日のご活躍は耳にしました。流石はあの一也様の血を引いていらっしゃるお方!」

 

「ありがとうございます‥」

 

この人はノイズ関連について一見俺を褒め称えるように見える。でもこの人は‥

 

「それで、一也様にお伝えしたいことがあるのですが、何卒‥」

 

 

 

 

 

「チッ、親が偉大な奴は良いよな。ちょっとでも結果出せば褒められるんだからよ」

 

「馬鹿、相手は一也様の息子だぞ。もし失言を知られたらどうなるか分からないのか」

 

「でも父上も思いますよね。アイツはあの逢坂一也の息子のくせに大したことない奴だって」

 

「‥‥ほら、いくぞ。他の方への挨拶も残っている」

 

別のところでも俺の事を言ってくるのが聞こえる。

 

 

「‥というわけで、どうか私の健闘をお父上にお伝え‥」

 

「‥一応は伝えますが、あまりご期待はなさらないでください‥」

 

とりあえず話を強引に終わらせ、その場を立ち去る。

 

「あっ、すみません‥」

 

パーティー会場は人が沢山いるため、すれ違った男性と少し肩がぶつかってしまう。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ」

 

何事無かったかのようにお互い立ち去るが

 

「ちっ、七光りが‥」

 

俺から少し離れたところで耳をすまさないと聞こえない小さい声で愚痴を吐き出した。

 

「王我、行きましょ」

 

いきなり何かと思ったら翼が俺の手を取り、会場ホールから連れ出した。

 

「はぁ‥」

 

「王我、大丈夫?」

 

自分の中でどうにかしようと思っていたが、翼に気を使わせてしまったようだ。

 

「うん、大丈夫だよ‥翼こそ悪いね、俺に付き合ってもらって」

 

今、翼と俺は一目がつかないところで休憩をしている。その場所は多分わざわざ通ることもないような人通りのない会場の端っこ。

 

「良いわよ、私も政府の方のご子息に言い寄られて大変だったから。悪い人ではないのは分かるのだけど‥」

 

トップアーティストになるとそういうこともあるから緒川さんも大変だ。

 

「それにしてもさっきの人達、王我相手に‥」

 

小さい声だったが翼にも聞こえてたみたいだ。拳には力が入っており、少し震えている。

 

「いや、もう慣れてるよ。今更言ったってどうにもならない」

 

俺は長男だから逢坂の家を守るために色々なことをやらなければならない。そのことに対しても別になんとも思ってない。俺が自分で選んでそうしたんだから。姉さんや和花はそれぞれやりたいことをやらせてもらっているし、父さん達の育て方が悪いということもない。

 

 

「でも‥」

 

「どんなに声を出しても無理だよ。絶対にこの見方は変えられない」

 

「皆、王我のことを王我として見てないものね‥」

 

しかし、どんなに良い成果を出しても「流石逢坂一也の息子」と言われ、失敗したら「あんなに偉大な父を持ちながら」と言われる。誰も俺を見てくれない。他の人達にとって俺は【逢坂王我】じゃなく【逢坂一也の息子】なんだ。

 

「まだマシになった方だよ。前はね‥」

 

今は若干俺を認めてくれる人も増えた。しかし、それまではほとんどの人が俺を蔑んでいた。その中でも、シンフォギアを纏ってノイズと戦って命を救われた人々は態度が変わったりしてきた。でも裏では‥。俺はそんな環境が‥

 

 

 

 

 

 

「なんだ⁉︎」

 

突然の地響き。その少し後、廊下からざわめく声が伝わって聞こえてくる。

 

「テロか⁉︎」

 

「待って王我、何か聞こえる!」

 

「何か、崩れる音‥?」

 

本当に微かだけどコンクリートが砕ける音が聞こえた。

 

「とにかく行きましょ!」

 

とにかく俺達は音の発生源へと向かっていった。

 

 

音源は下の方から聞こえて来ていて、このビルの一番下にある地下駐車場に向かうとそこには二足歩行をする怪物がいた。姿を確認したその一瞬で相手は

 

「ヴアァァ!」

 

崩れたコンクリートを投げつけてきた。

 

「危ない!」

 

とにかく翼を守ろうとした瞬間

 

「大丈夫かい、我が魔王、翼くん?」

 

ウォズのマフラーによって攻撃から身を守ることが出来た。

 

「ありがとうございます。ウォズさん、アレは一体‥?」

 

「ファンガイアだね。人間からライフエナジーを吸い取る魔物だ」

 

「ファンガイア‥!人類の敵はこの防人が成敗する!」

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

翼は即座にシンフォギアを纏い、天羽々斬を構える。

 

「ファンガイア相手ならこれで‥」

 

キバ

 

キバライドウォッチを起動させる。

 

『王我、待ってたぜ〜!』

 

コウモリのような僕の相棒、キバットバットⅢ世が飛来する。

 

「行くよキバット」

 

『よっしゃ!キバっていくぜ!』

 

『ガブッ!』

 

キバットに僕の手を噛ませると頬に紋章が浮かび上がり、腰には鎖が巻かれ、ベルトの型をとる。

 

「変身!」

 

コウモリが止まり木に止まるようにキバットをベルトにセットする。すると徐々に鎧が形成されていきその姿を表す。

 

「これが‥キバ‥」

 

『アタシも行くぜ!ファンガイアなら‥コイツだ!』

 

イクサ

 

『レ・ディ』

 

「変身!」

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

奏もイクサに変身し、ファンガイアとの戦闘

 

「ハッ!」

 

イクサカリバーのガンモードで相手を牽制する。

 

「ハッ!」

 

その隙に相手にパンチのラッシュを喰らわせ、ダメージを与えていく。

 

「ここは柱や車が多く場所が悪い‥」

 

翼が今の状況だとこちらに不利。次とる行動を目で合図し、お互い納得の頷きをした。

 

「ハアァァッ!」

 

天羽々斬だ目にも止まらぬ速さで切り上げる。

 

「王我!」

 

「うん!ハァッ!」

 

最後に僕のキックで相手を地上に引き摺り出した。

 

「お待たせしました!」

 

後から響と雪音も合流する。

 

「それが‥仮面ライダーキバ‥ですか‥?」

 

「ライダーについては後だ!とりあえずコイツ潰すぞ!」

 

「クリスちゃん待ってよ〜!」

 

「オラァ!」

 

雪音が拡散弾を放ち、相手の目を眩ませる。

 

「ハッ!」

 

響がおじさんに習った武術で攻撃の隙を与えることなく追い詰める。

 

「奏!」

 

「行くぜ、翼!」

 

二人は息のあったコンビネーションでファンガイアを十字架型に切り裂いていった。

 

「響、一緒に!」

 

「はい!」

 

「「はあぁぁッ!」」

 

最後に響と同時に拳を相手にぶつけ、吹き飛ばす。

 

「王我、決めろ!」

 

『さぁ決めるぜ〜!』

 

ダメージで悶えているファンガイアにゆっくりと近づいていき

 

ウェイクアップ!』

 

赤いフエッスルをキバットに吹かせる。ベルトからキバットが離れて

 

「うえぇ⁉︎何か真っ暗になった⁉︎」

 

「月‥だと‥」

 

青く澄み渡っていた空が、三日月の夜になる。

 

「はぁぁぁ‥はッ!」

 

右脚を高く上げるとキバットが鎖を断ち切り、魔物の翼のようなヘルズゲートが開放される。

 

「はあぁッ!」

 

左脚で上空まだ飛ぶ。そしてとんぼ返りをし、そのままの勢いでファンガイアに蹴りを喰らわせ地面に叩きつけた。ファンガイアが叩きつけられた地面にはキバの紋章が刻まれれ、ファンガイアはガラスが割れるように散っていった。

 

そしてその瞬間どこからか鳴き声が聞こえる。胴体が城ようなドラゴン、キャッスルドランだ。倒したファンガイアから魂のようなものライフエナジーが出てきて、上空へ待っていく。そしてキャッスルドランがそれを喰らい、再び飛び去っていってしまった。

 

「これであのファンガイアは甦らないよ」

 

「大したことなかったな」

 

「じゃあ戻りましょう!」

 

『待て、何か来るぞ!』

 

キバットの発言で再び周りを見渡す。

 

「!新手か⁉︎」

 

するとそこにはもう一体ファンガイアがそこにはいた。ソイツは軽く数十メートル離れたところで膝を曲げ始める。

 

「ぐっ‥」

 

一瞬のうちにこちらに接近し雪音の首元を掴み、そのまま壁まで引きずっていった。

 

 

 

 

壁に叩きつけられ身動きが全く取れない状況に持ち込まれちまう。

 

「ぐっ‥離せ‥!」

 

コイツかなり力があってちょっとやそっとじゃびくともしねぇ。

 

「やはり下等生物の人間を襲うのは心地いいな」

 

「テメェ、喋れるのか‥!」

 

「私の見た目の割に人間の言葉を使うのが気に食わないというのか?」

 

少し相手の手に入る力が強まった気がする。

 

「知るか!そんなんよりオメェみたいに人間を殺す奴が許せねぇんだよ!」

 

「邪魔をするな、人間を超える我々が人間を捕食するのは当たり前だ」

 

「お前、人間をなんだと‥オメェみたいなののせいで死んでいった人間のことも考えやがれ!」

 

「死人の気持ちなど考えたこともないなぁ。お前らこそ、食われた家畜

のことなど何も考えていないだろう?我々にとってはそれと同じことだ」

 

「!このッ‥!」

 

「人間には思いがある!アタシはパパやママの夢、歌で平和を掴む事を受け継いだんだ!その思いはテメェはそんな思いも踏み躙るのか⁉︎」

 

「死人のことなんて思っても、相手は何も言葉を返してくれない。考えるだけ無駄だ!」

 

「テメェ‥!」

 

アタシは素手で相手に殴りかかっていた。なんでイチイバルで攻撃しなかったのかはアタシにも分からない。かなり雑な拳は当然避けられ、そしてその振りかぶった後の体勢を崩したところを狙われ

 

「ぐっ‥何しやがる‥⁉︎」

 

頭を思い切り掴まれる。

 

「クリスちゃん⁉︎」

 

「ふん!」

 

怪物が力むような声を出すと、今までのことがフラッシュバックしてくる。

 

「なるほど‥貴様、本当に信用出来る人間がその親のみなのだな」

 

「なっ‥⁉︎」

 

「ふん!」

 

「ぐっ‥⁉︎」

 

吹き飛ばされ地面を転げる最中

 

「雪音、無事か⁉︎」

 

「ジオウ‥アタシは平気だ‥」

 

ジオウがアタシを受け止め、再び立ち上がることが出来た。

 

「気持ちに乱れが出てきたな。本当ならここで殺しても良いが‥まぁ良い。今はこのくらいにしてやろう」

 

 

 

 

 

「皆、大丈夫?」

 

敵に逃げられてしまった後、俺達は

 

「避難は叔父様と登様‥王我の従兄弟が行ってくださったから大丈夫だ」

 

「そうですか‥良かった‥」

 

完璧にとは言えないがとりあえず周りの被害を少なくする事は出来たと思う。

 

「しかし、なぜファンガイアが現代(ここ)に‥?それに先程のファンガイアに関しては何か特別なものを感じた‥」

 

ウォズは何やら疑問に思ったことがあったようだった。

 

 

 

 

 

 

今回の事件は国内でも有力な人間が集まっていた場の付近であったため、その処理も時間が掛かってしまった。戦闘自体は派手ではあったものの、父さん達が会場の皆さんを速やかに避難させてくれたおかげで誰にも見られなかった。そのため先程帰って来たばかりで今はキバットとシャワーを浴びている。

 

『ふぅ‥サッパリするぜぇ』

 

「そうだね」

 

『なぁ王我、あの赤い奴何か困ってたみたいだぞ』

 

「赤い‥雪音の事?」

 

『そうそう、元気なさそうだったよなぁ』

 

「‥ちょっと話してみようかな」

 

シャワーを浴び終え、仮本部から雪音を探して回る。

 

「あれ、いない‥」

 

いそうなところは粗方回ったがどこにも姿が見えない。一緒に帰って来てまだそこまで時間は経ってないので帰ったとは考えにくい。

 

『アイツも風呂じゃないか?』

 

「じゃあちょっと待ってようかな」

 

僕はテーブルの上に置いてあるケースからヴァイオリンを取り出す。

 

 

 

 

 

 

「アタシ、間違ってんのか‥?」

 

あの怪物の言った事はムカつくが、間違ってる訳ではない。ゲイツが特殊なだけで普通、死んだ人間は何も応えてくれない。アタシが戦ってるのはパパやママの夢を叶えるため。そして信頼出来る人間は‥

 

「信頼出来る人間‥アイツらを信じるか‥どうなんだろうな‥わかんねぇや‥」

 

戦いに勝つには他の奴らと信頼出来るのが良いのが分からないほどバカじゃねぇ。でもフィーネとの件があったせいでそんなにすぐ人間を信用できるわけがない。あの小日向未来だって、良い人間だなって思うが、心の隅でいつかアタシを見限るんじゃないかと疑っちまう。

 

「?‥この曲‥」

 

どこかで聴いたことがある曲に釣られて、音源の元へと向かっていく。

 

「へぇ、ヴァイオリンも弾けるようになるのか」

 

そこにはヴァイオリンを弾いていたジオウがいた。

 

「聴いてたんだ」

 

「知ってるの、この曲?」

 

「‥知ってんだろ。アタシのパパがヴァイオリニストだったこと」

 

「うん‥」

 

 

 

「なぁジオウ。死んだ人間の為に戦うってどう思うか?」

 

数秒の沈黙を破るようにアタシはジオウに問いかける。

 

「急にどうしたの?」

 

「いいから答えてくれよ!他にも聞きてぇことはあるんだからよ!」

 

「僕もあんまり偉そうなことは言えないかな。ただ僕が思うのは‥」

 

「この警報は‥」

 

『また敵か〜ほら行くぞ王我!』

 

「ごめん、詳しい話は後にしよう!」

 

「ったく、今来るのかよ‥」

 

 

 

 

本部からの指令でファンガイアはノイズと違い、人間に近い知性がある。

 

「またアイツか‥」

 

ファンガイアにしては特徴的なフォルムだったのですぐにさっきの敵だと分かった。

 

『まだほとんど避難が終了していない。ファンガイア相手なら、その知識を持った王我が相手をし、残りは住民の避難の手助けに回ってくれ』

 

 

「王我さん、相手は強かったですけど大丈夫でしょうか?」

 

「うん。もし勝てなくてもそっちには近づけさせないから」

 

「はい、お願いします!」

 

そして装者達は街の方へ向かっていった。

 

「キバット!」

 

『よしキタ!』

 

『ガブッ!』

 

「変身!」

 

キバの鎧を纏い、ファンガイアに飛びつく。

 

「はっ!」

 

「‥!」

 

相手は力強い拳で殴りかかってきたが

 

「ホッ!」

 

重そうな見た目に反したバク宙で技をかわし、そのまま近くにあったパイプにコウモリのように逆さにぶら下がる。

 

「ハアァァ‥ハッ!」

 

そのまま連続パンチを喰らわせて、吹き飛ばす。しかしファンガイアはある方向を向いており、その先には一人の人間がいた。その人は俺がよく知る人物。

 

「父さん‥⁉︎」

 

 

 

 

パーティーにもロクに参加出来ず申し訳ないが、アレはただ俺の権力に縋る奴らが集まるばかりだから正直パーティーに参加したいかどうかで言えば否だ。名声も悪くはないが、俺が今一番欲しいものは‥

 

「なんだこの騒動‥」

 

人々が逃げていく方向を見ると

 

「何だ、コイツ‥⁉︎」

 

ステンドグラスのような模様をした怪物が目の前に現れた。

 

「!貴様は‥!」

 

少し口が動いたように見えたがそんな考えはすぐに消えた。近くには他の人間もいたのに真っ先にこっちに向かって来やがった。

 

「ヤバい‥!」

 

相手の脇に向かって飛び込んでかわそうとした瞬間、横から拳が怪物に向かって飛んできた。

 

「危ないから離れて!」

 

「王我‥」

 

この姿は見たことが無いが声、それに立ち姿で自分の息子である事がすぐ分かった。

 

 

 

 

ファンガイアを父さんから離し、再び戦闘が始まる。

 

『まずは牽制からだ!』

 

ベルトの横からフエッスルを取り出し

 

バッシャーマグナム!』

 

飛んできたバッシャーマグナムを手に取ると右腕と胴体に鎖が巻かれ、すぐに解き放たれる。すると解放された身体が魚人の鰭ようになる。

 

「ハッ」

 

素早い空気の弾丸を連射し、相手を撹乱させる。

 

「‥!」

 

数弾当たり、相手の動きが鈍くなる。そしてそのまま繰り返し放つが

 

「くっ‥」

 

近くにあった鉄パイプを投げつけられ、体勢を崩す。

 

「うわッ!」

 

そしてその隙をつかれ、殴り飛ばされる。遠距離戦を得意とするバッシャーにとってこれだけ近づかれてしまうと、とても不利になってしまう。

 

『近づかれたか‥なら』

 

今度は紫の笛を取り出す。

 

ドッカハンマー!』

 

今度は両腕の鎖が解き放たれ、上半身に紫の鎧を拳の形をしたハンマーを引きずりながら相手にゆっくり接近する。

 

「‥!」

 

先ほどよりも強く殴りかかるも、、、ドッカの鎧の前では全く効果はなく

 

「フン!」

 

拳の形をしたドッカハンマーで相手を叩き飛ばした。

 

「フン!フン!フン!」

 

そしてそのままドッカハンマーを何度も叩きつけ、相手を怯ませる。

 

『次はスピーディーに行くぜ!』

 

青いフエッスルをベルトから取り出す。

 

ガルルセイバー!』

 

今度は左腕が青い獣の毛を模したようになる。それに合わせ胴も複眼も青く染まる。

 

「ヴヴヴヴヴヴヴヴ!」

 

獣のような唸り声を上げ、飛びかかる。

 

「ヴッ!」

 

狼が彫刻されたガルルセイバーで切り裂いていく。相手が攻撃しようと手を上げた瞬間、空いた胴を連続で攻撃する。

 

「ヴッ」

 

一度距離を取り、ガルルセイバーを体の前に構える。すると彫られた狼の口から波動を咆哮し、その勢いにより怪物は地面を転がる。

 

『今だ!』

 

キバットの合図と共にガルルセイバーの剣身をキバットに噛ませる。

 

ガルルバイト!』

 

笛の音が鳴り、再び周りが月明かりの照らす闇に包まれる。ガルルセイバーを口に咥えると、獣のような体勢をとる。

 

「ヴアァァァッ!」

 

切り裂いた部分にヒビが入り、鎧のようなものが砕け散る。

 

「⁉︎あれはファンガイアじゃない‥⁉︎」

 

ファンガイア特有のステンドグラスのような身体の下に、何やらタトゥーのようなものがあった。

 

「!嘘だろ‥」

 

「‥!」

 

鎧を砕かれたことで状況が悪いと判断したのか、その場からファンガイアらしき怪物は立ち去る。

 

「逃げられた‥」

 

「立花、一先ず現場付近の被害状況を確認しよう」

 

 

 

「父さん、大丈‥あっ‥」

 

「悪い、王我。今は忙しい。後にしてくれ‥」

 

こういう時、父さんは『司令長官と呼べ』とキツく言ってくる筈だ。しかし今回はそれがない。

 

 

 

王我から離れた後、俺はむしゃくしゃして近くの壁に当たる。

 

「まだアイツらは生きてるのか‥⁉︎」

 

あのマークは死んでも忘れることの出来ないマークだ。

 

「またアイツらは俺らから大切なものを奪っていくのか‥!」

 

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「アタシは‥」
「⁉︎嘘だろ‥⁉︎」
「もう誰も傷つけさせねぇ‥」
「命を受け取って戦うことなんだ!」
「まずは自分を信じなきゃ」
「さぁ、キバっていくよ!」

EP32 ヒーロー・ザ・ファースト2008→2043


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EP32 ヒーロー・ザ・ファースト2008→2043

この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
パーティーに参加していた我が魔王と風鳴翼。そしてその会場に突如ファンガイアが出現。我が魔王の仮面ライダーキバに変身し、これを撃破。しかし、更に別のファンガイアが現れるも何やら様子が違うようで‥今回の一件はそう単純な話では無いようです。そして‥おっと、これ以上は未来‥いや過去に触れることになりますからご自身の目でお確かめください。


逢坂一也。国家安全保障局長であり、海外の政治家も一目置かれる男。少なくともこの日本では国民のほとんどが知ってる男。家柄もそうだが、それを含めずとも彼の功績が世に誇れるものだからだ。彼はノイズに対する防衛の設備を整えたり、ノイズ被害を受けた市民に対しての援助を行った。更には、国外にもその案を提供し、世界平和への行政を強めている。しかし彼の本当の功績を知る人間はこの世界にはほとんど存在しない。

 

 

 

 

「しっかしカシラ、今回の会議も大変だったらしいな」

 

「あぁ‥ったく、こことぞばかり色々言いやがって‥」

 

勝と共に車から降り、家に入る。詳しい情報は出来る限り遮断したものの、ノイズとは全く異なっていた為、若干の情報が流出してしまった。それを聞きつけた上の奴らが自身の身の危機を感じたのだろう。市民もいつも以上に同様していたらしく、弦十郎達も手を焼いたらしい。

 

「どうしたカシラ、いつもの覇気がないぞ?」

 

コイツは相河修也。庭師をしている。

 

「嬢ちゃん達も家には居ないぞ?」

 

コッチは三原聖吉。屋敷内の掃除を担当している。

 

「奴らが‥再び動き出した‥」

 

「‥ホントに奴らが‥?」

 

少しとぼけていたコイツらも『奴ら』という言葉を聞いた瞬間、真面目なトーンで話し始める。

 

「間違いねぇ‥俺があのマークを見間違える訳がねぇ」

 

「アイツらが相手となると坊ちゃん達にはキツい戦いになるな‥」

 

「なら俺らが‥」

 

「多少平和ボケしてるだろうけど‥」

 

「止めろ!」

 

「カシラ‥」

 

「お前らは手を出すな‥!」

 

「でもカシラの身体じゃ‥」

 

「駄目だ!今度の奴らは今までとは違う!俺らが知らない力を持ってやってきた」

 

「俺に‥力があれば‥」

 

今の自分には戦う力は無い。あの時と違って。

 

 

 

 

 

 

 

現在、トレーニングルームにてある実験が開始された。

 

「じゃあ始めるわよ」

 

母さんの開始の合図と共に

 

「いくよ、響」

 

「はい!」

 

『譲渡』

 

響のガングニールにエクスカリバーは装着される。

 

「よし、じゃあそのまま威力の測定に入るわ」

 

エクスカリバーを身につけた響は何重もある鉄の壁の前でバンカーを思い切り引き伸ばし、

 

「はあああああッ‼︎」

 

「うん、OK。響は大分慣れてきたわね」

 

譲渡の力を把握するための訓練。響は譲渡により力を高めたガングニールで何重もの鉄の壁を木っ端微塵にした。翼も実験に参加するはずだったのだが、仕事が入ってしまい不在。

 

「でも、コレ壊して大丈夫だったんですか?」

 

「良いの良いの、廃材だし。寧ろ小さくしてくれて助かるわ」

 

今回の実験の壁役は母さん達があの謎の機械の解析で使用し終わった機械で、これらの廃棄も兼ねている。

 

「次、クリス!」

 

「行くぞ、雪音」

 

「おう‥」

 

『譲渡』

 

イチイバルのボウガン部分にエクスカリバーが重なり銃身が伸びる。

 

「ふむ‥ここまでは上出来ね‥」

 

「なっ‥⁉︎」

 

しかしイチイバルとの間で稲妻が発生し、エクスカリバーは弾かれてしまう。

 

「駄目か‥」

 

「もう一度やるわよ」

 

母さんの指示でイチイバルとエクスカリバーの譲渡の訓練が続いた。だがその後何回繰り返しても結果は変わらなかった。

 

 

 

 

 

 

「ったく、何がいけねぇんだよ‥」

 

ムシャクシャしていたところ

 

「中々成功しませんね」

 

「譲渡は聖遺物の波長も大事だけど、装者同士の波長も大事になるの。つまりまだ二人は息が合ってないと捉えるのが自然ね」

 

「クリスくんもそろそろ皆に慣れて欲しい頃ですが、無理させることは出来ませんからね‥」

 

おっさん達の話が聞こえてきた。その会話の意味を聞こうとした瞬間

 

「警報‥⁉︎」

 

その警報で一度全員が指令室に集まり、状況を説明される。

 

「未確認生命体反応をキャッチしました!」

 

「友里さん、場所は⁉︎」

 

少しだけ遅れてきたジオウが敵の場所についてスタッフに質問する。

 

「東京スカイタワー周辺‥ここよ!」

 

モニターに具体的な敵の位置が示される。

 

「反応的にノイズではなさそうです」

 

「よし、全員直ちに現場に向かってくれ!」

 

 

 

 

 

 

現場に着くとノイズの姿はなく、敵は一体だけだった。

 

「またファンガイアですか‥」

 

「‥前のとは別の奴みてぇだな‥」

 

以前は虫のようなフォルムをしていたが、今回はサイのような姿をしている。

 

キバ

 

相手がファンガイアということで、キバライドウォッチを起動させる。

 

「キバット!」

 

『よっしゃ!キバっていくぜ!』

 

『ガブッ!』

 

「変身」

 

キバの鎧を身に纏い

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Killter Ichaival tron』

 

 

響たちもシンフォギアを纏い戦い始める。

 

 

「ハッ!ハッ!ハッ!」

 

僕が先陣をきり何度も拳を当てるものの、後退させることも出来ない。

 

「私がいきます!はあッ!」

 

響が後ろから助走をつけて拳を当てるものの

 

「かった〜〜いッ!」

 

全く相手にダメージを与えられず、こちらが怯んでしまう。

 

「鎧が頑丈になっているのか」

 

「しまっ‥」

 

手の痺れで怯んでいるところを狙われてしまった響だったが

 

「すまない、遅れた!」

 

「翼さん!」

 

間一髪のところで翼が攻撃を受け止めていた。

 

「相手の装甲を破壊しなければ攻撃が意味を成さない‥」

 

一度距離を取り、全員が固まる。

 

「王我はドッカフォームで胸部付近の破壊、立花はそこに更にダメージを与え脆くしてくれ。後は後方から雪音、近距離は私が受け持とう」

 

『王我、言われた通りにやろうぜ!』

 

ドッカハンマー!』

 

硬い鎧を破壊するためドッカフォームに変身した。

 

「フン!」

 

突進してくるファンガイアを片手で受け止め

 

「フッ!フッ!フッ!」

 

ドッカハンマーを何度も叩きつけ、着実にダメージを与える。

 

 

 

 

 

 

翼さんと王我さんが向かった方と逆に私とクリスちゃんが向かった。

 

「私が鎧を破壊するから、その後クリスちゃんが狙撃して!」

 

「お、おう‥」

 

「信じてるよ、クリスちゃん!」

 

バンカーを引っ張り、勢いをつけた。

 

「はあぁッ!」

 

拳が胸の辺りを突き、王我さんがつけたヒビが更に広がった。

 

「お願い!」

 

クリスちゃんのコースに入らないように避けるものの

 

「うわぁッ!」

 

銃弾は来なく、私は首元を掴まれ投げ飛ばされてしまった。

 

「立花!雪音!」

 

そして吹き飛ばされた私はクリスちゃんと激突しか地面を転がる。状況が悪いと判断した翼さんは一度距離を取り直した。

 

 

 

作戦が失敗したことで皆がファンガイアから離れていった。そしてファンガイアの狙いは倒れている響と雪音にあった。

 

『あぶねぇ、やるぞ、キバ!』

 

ドッカハンマーを腹部に突き当て持ち上げて、そのまま投げ飛ばした。

 

『決めるぜ〜!』

 

ドッカバイト!』

 

ドッカハンマーの柄をキバットに噛ませ力を送る。辺りは朧月夜に変わり、更に稲妻が走る。地面に突き立てたドッカハンマーの握られた拳が徐々に開いていく。そこにはハンマーに組み込まれているトゥルーアイがあり、それを見せられたファンガイアは動けなくなる。

 

「フン‥!フン‥!ウラアァァッ!」

 

拳状のエネルギー体が発生したドッカハンマーを数回振り回し、そのまま硬直したファンガイアの頭上に叩きつけ跡形も無く消した。

 

「す、すみません王我さん‥助かりました‥」

 

周りに敵がいない事を確認し、各自鎧を解除する。

 

「どうしたんだ雪音。先の攻撃、急に動きが止まったように見えたが‥」

 

「わかってるよ!んなこと!でも‥アタシは‥!」

 

翼に何か言おうとするも、雪音はそのまま駆けて出してしまった。

 

「雪音‥!」

 

「私、追いかけます!」

 

「僕がいくよ」

 

手を伸ばし、響の進行方向を遮る。

 

 

 

 

「‥こ‥ここは‥ぐっ‥身体が‥言うことを聞かない‥」

 

「貴様はキバの必殺技を喰らっているのだ。普通なら死んでいる」

 

横になっている怪物に話しかける人間。そしてその隣でそれを見守る若者。

 

「いい加減止めないか。話に聴くとキバはファンガイアを裁く者だ。お前では不利だ」

 

「だが俺が現れれば、奴らは自然とキバとやらの力を使うだろう。

 

「それは‥」

 

手にしていたのは緑色の煙が入ったカプセル。

 

「俺は‥更なる次元に‥!」

 

「止めろ!死ぬ気か⁉︎」

 

「そうだ!若様の言うことを聞け!二つ目はまだどんな作用があるか分からないと言われただろ!」

 

「若いアンタの行動に反対するものもいた。私はアンタたちについては賛成だ。だが、アンタは思い切りが足りない。だから教えてやるさ‥アンタらの行動は正しいとな!」

 

 

 

 

 

 

アタシはアイツらから離れ、一人で物陰で座っている。

 

「あぁいうとこなんだよな、きっと‥」

 

先の戦いもそうだ。

 

 

 

 

『お願い!』

 

アイツにそう言われ銃口を化け物に向けた。しかしその直後に

 

『本当に信用出来る人間がその親のみなのだな』

 

あの時の言葉がよぎって、一瞬引き金を引こうとした手が止まってしまった。その一瞬が状況を悪化させてちまった。ジオウとかだったら何の迷いもなくアイツと息を合わせられただろう。

 

「(アタシには人を信頼することは無理なのかもしれねぇな‥)」

 

フィーネを共に倒した奴らともこの様ならもう‥

 

「いた‥」

 

「追いかけてくるなよ‥一人にさせてくれ‥」

 

アタシの言葉なんか無視してジオウは隣に座る。

 

「ごめん。少し話があってさ‥『信じる』ってことについて」

 

その言葉がアタシの顔が上げるきっかけだった。

 

「まだちゃんと答えられてなかったからね」

 

「なんで‥」

 

「僕との訓練の時もそうだし、なんだか響との連携も何かが噛み合ってないなって。それに前にかなり困った感じで聞いてきたからね。もしかしたらって‥あれ、違った?」

 

アタシはとりあえず首を横に軽く振った。

 

「前はファンガイアが遮っちゃったけどさ‥」

 

「でなんなんだよ、信じるって‥?」

 

アタシはジオウに早く答えるよう催促した。その答えが分かればこのモヤモヤも解決するって気がしたから。

 

「‥どうなんだろうね‥」

 

もっときっぱりとした答えが返ってくるかと思ったら、情け無い返事だった。今のアタシみてぇに。

 

「なんだよその情けねぇ返事は‥?」

 

「誰しも考える事の裏の裏まで読む事は出来ない。もしかしたら‥ってこともあるかもしれない。いや、その方が多いかも。それでもこっちが相手を信じないと向こうも信じてくれないと思うな」

 

「‥裏切られるかもしれねぇのにか?」

 

「‥そもそも信じるって自分の勝手な理想像を相手に押し付けてるってことが多いと思う。だからその像が違うだけで簡単に裏切られたって言われるんだ」

 

「じゃあどうすればいいんだよ‥」

 

「‥相手を信じるって思ってる自分を信じればいいんじゃないかな」

 

「‥どういうことだよ‥?」

 

「相手が不審がってるとね凄くなんとなくだけど態度に出るんだよ。目線や表情にね‥それを相手が汲み取ると相手も徐々に疑い始める。だから本当に思っていることはどうあれ、この人を信じる自分を信じるのが相手を強く信じることに繋がる。例え、理想像と違ったとしてももう一度向き合って考えて、今度はその人ありのままを信じる。それが大事だと思う」

 

なんだかわかるようなわからないような不思議が感覚だ。

 

「じゃあ僕は行くね。雪音がすぐ立ち直るって信じてるから」

 

結局アタシは信じてるのか分からないジオウの言葉に何も返すことが出来なかった。

 

 

 

 

 

「クリスちゃん‥大丈夫かな‥」

 

「こういうのはアドバイスだけして、後は自分自身の力でどうにかするしかないよ」

 

「とにかく今は身体を休めよう。立花、王我行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

あれからもう5時間程度経った。アタシは一度家に帰って、まだ住み慣れない部屋の角にある仏壇に顔を向けていた。

 

 

『‥相手を信じるって思ってる自分を信じればいいんじゃないかな』

 

ジオウがかけた言葉がずっと頭ん中を駆け回っている。そしてそれと同時に

 

『(パパとママの代わりにアタシが歌で平和を掴む)』

 

フィーネとの決戦の時に思った言葉を思い出していた。あの言葉が言われる前まではちゃんと信じていたのになぁ。あの言葉でなんだか段々信じられなくなっていた。

 

「もしかしたら、アタシはパパとママ、自分すら信じられなくなってたのかもしれないな‥」

 

あの時決意した自分を信じられなくなっていたのかもしれない。そう思うなんだかちょっと答えが見えかけた気がした。しかし答えに辿り着く前に突然電話が鳴る。

 

「おっさんか‥えっ、ファンガイア‥⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おいおい、また来たぞ〜!』

 

「けどクリスちゃんが‥」

 

「雪音は必ず来る。とにかく今は戦うしかない!」

 

「翼の言う通り、雪音を信じて今は僕たちに出来ることをやろう」

 

 

 

 

「今回は数も多い‥」

 

また敵はファンガイア。しかも今回は数匹いるという中々苦しい状況。

 

「奏、いける?」

 

「あぁ、今回はいける!」

 

「よし‥!キバット!」

 

『よっしゃ!王我、キバってGO!』

 

『ガブッ!』

 

「変身」

 

イクサ

 

『レ・ディ』

 

「変身!」

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

それぞれ変身し

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

翼達もシンフォギアを纏い、ファンガイアに立ち向かう。

 

「数が多い‥!」

 

ノイズより手強い。

 

『Killter Ichaival tron』

 

詠唱と共に、銃弾が飛んできてファンガイア達の動きが止まる。

 

「クリスちゃん‥!」

 

「すまない‥遅れた‥」

 

 

 

「ある程度、敵が固まっているな‥」

 

雪音の攻撃であまり散らばらずにいたが

 

「⁉︎大変です‼︎」

 

急に響が大きな声を出す。彼女が指差す方を見ると

 

「な‥⁉︎」

 

一体のファンガイアが女の子を半壊したビルまで追い詰めていた。助けに行こうとも他のファンガイアが邪魔であちらまで辿り着けない。

 

「助けて‥おばあちゃん‥!」

 

「はっ‥そんなのに祈ったところで無駄無駄!」

 

ファンガイアは弱々しく放った彼女の言葉を否定した。女の子の啜り泣く声が聞こえる辛い空間。

 

「違う!」

 

そこで言葉を放ったのは

 

「クリスちゃん‥?」

 

「大事なのは思いが届くかどうかじゃねぇ!本当に大事なのは届くって信じることだ!自分が信じなきゃ何も始まらねぇ!アイツは自分のばぁちゃんのことを信じてんだ!バカにしてんじゃねぇ!」

 

 

その時

 

「いだッ!」

 

ビルの破片がファンガイアの頭に直撃し、動きが鈍った。

 

「はあぁッ!」

 

その瞬間を狙い、奏がイクサカリバーで、雪音がイチイバルで連射し女の子からファンガイアを離した。

 

「ぐ、偶然か‥?」

 

「いいえ、きっとあの子の思いが届いたんですよ!」

 

 

 

 

 

『一気に倒すぞ王我!今回は大サービスだ!』

 

ベルトから三本のフエッスルを取り出す。

 

ガルルセイバー!』

 

『更にバッシャーマグナム!』

 

『そしてドッカハンマー!』

 

左腕がガルル、右腕がバッシャー、そして胴にはドッカの力が宿ったフォーム、キバドカバキフォーム。

 

「ハッ!ハッ!ハハアッ!」

 

ドッカハンマーで何度も叩き、最後に思い切り力を込め、吹き飛ばす。

 

「はッ!」

 

バッシャーの力で地面に張られた水の上を滑りバッシャーマグナムを連発する。狙撃が命中し怯んだところをその勢いのままガルルセイバーで切り裂いた。

 

ウェイクアップ!』

 

右脚のヘルズゲートが開放され、その力をファンガイアへとぶつける。そしてその力に耐えられなくたったファンガイアは砕け散った。こちらの相手が終わり次へ向かおうとするが

 

『ややッ⁉︎力が‥!』

 

身体から光が漏れ始め、キバの変身が解かれてしまう。

 

「キバの力が消えた‥」

 

まだ数体のファンガイアがいながらもうキバの力は使えない。

 

「いや、まだだ!まだ戦える!」

 

『Camustolron EXcalibur tron』

 

Ⅱを纏い再び戦闘に参加する。

 

「はあぁぁッ!」

 

黒い霧を纏ったエクスカリバーでファンガイアを斬りつける。

 

『アロンダイト』

 

「今なら‥雪音!受け取れ!」

 

 

 

 

ジオウの方を見ると

 

「これは‥!」

 

エクスカリバーがパーツ状になり、こっちに飛んできてる。その時あの失敗が頭に浮かんだ。だが

 

「(いや、出来る!アイツらを信じれば‥!)」

 

エクスカリバーがイチイバルに装着される。銃身が伸びスコープも追加、頭部にはバイザーが追加された、イチイバルの譲渡の形態。

 

「やった〜〜ッ!クリスちゃん!譲渡成功だよ!」

 

 

「オラアッ!」

 

譲渡によりイチイバルが放った銃弾は速度と威力が増している。そのままファンガイアの身体を貫通し、動きが鈍くなる。

 

「絶対に間違っていないこと、それはパパとママの命を受け取って戦うことなんだ!アタシはそれを信じる!」

 

アーマーがギアから離れ、銃火器の前で輪を作る。その中を通った銃弾は光の軌跡を残しながらもの凄いスピードでファンガイア達に飛んでいった。その全弾命中し、全員散った。

 

 

エクスカリバーがイチイバルに再装着されるとまだ残っているファンガイアにポイントを向けた。

 

「前のと似たような奴か‥!」

 

その鎧はいかにも頑丈で貫けるか正直不安だ。少し前のアタシだったらそう思ってた。

 

「だがな‥今のアタシは‥」

 

両手のクロスボウを合体させ一つの大きなボウガンに形を変える。

 

「自信しかねぇんだよ‼︎」

 

放たれた弾丸はそのまま胴体を貫通し、ガラスが砕けるように散っていった。

 

「よっしゃ!」

 

アタシは譲渡を解除し、ガッツポーズを取った。銃弾と共に悩みもどっかぶっ飛んだみたいで清々しい気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら雪音は吹っ切れたみたいだな」

 

雪音が多数倒してくれたが、まだこちらにもファンガイアが残っている。

 

「雪音に負けてられないな‥俺も逢坂の家とか関係なく、ただ自分の意志を信じて戦う!自分を信じて!」

 

その時

 

キバ

 

キバの力が完全に戻った。

 

「よし‥!」

 

ジオウ

 

キバ

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウアーマータイム!ガブッ!キバー!』

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ キバアーマー。王としてのライダーの力を取り戻した瞬間である!」

 

ウォズによる祝いの言葉を終え

 

「さぁ、キバっていくよ!」

 

『ジカンギレード ケン!』

 

ジカンギレードを取り出し、斬りかかった。

 

「はあッ!」

 

キバの力が完全に戻った今、ファンガイアに有利に戦えている。

 

フィニッシュタイムキバ!』

 

ギリギリスラッシュ!』

 

指でなぞった剣身に紅の光が灯る。そしてその輝きを放っているジカンギレードで敵を斬り裂きダメージを与える。

 

フィニッシュタイムキバ!』

 

それぞれのウォッチのボタンを押し、ジクウドライバーを一回転。

 

ウェイクアップタイムブレーク!』

 

無数のコウモリがファンガイアに向かって飛びかかり噛みつき攻撃を行い、そのままファンガイアは砕け散った。

 

 

 

キバアーマーを解除して、翼達のもとへ集まる。

 

「よし、残りは後一体‥」

 

全員で相手をしようとするが

 

「なっ‥⁉︎」

 

ファンガイアの胸元には怪物のような手が突き刺さっていた。

 

「き、貴様‥何故‥同胞の俺を‥」

 

「いや‥違う‥貴様は‥一体‥」

 

何が気づいた様子だったが、その答えを知ることもなく、そのまま砕け散った。

 

 

「アイツ‥前の‥」

 

以前はこのファンガイアの鎧はステンドグラスのように様々な色をしていたが今回はほとんど緑色で染められているなど、若干姿が変わっているが、あの姿は以前戦ったタトゥーの入ったファンガイアだ。

 

 

「貴様‥!」

 

 

奏がイクサカリバーを振り下ろし、攻撃をするもの

 

「イクサの力‥確かにファンガイアには通用する‥だが」

 

イクサカリバーを手で受け止められてしまう。

 

「我には効かん!」

 

その瞬間緑色の鎧は崩れていき、

 

「なんだ、あれ‥⁉︎」

 

鎧が砕けたことで全体的に細くなり、背中からは蜘蛛の脚のような物が生え、さっきとは全く違う姿に変わっていた。

 

「アレは鷲のタトゥーだったのか‥」

 

以前鎧を砕いた時に見えたタトゥーがしっかりと見える。つまり相手は無防備な状態だ。そう思っていた。

 

「はあッ!」

 

「なッ‥ぐああッ!」

 

「奏!」

 

いきなり敵が姿を消したかと思ったら、奏が苦しみ始めた。

 

「何なんだ‥⁉︎」

 

確かに以前戦った時もスピードは中々早かった。だが今回のはそんな次元ではない。あれはまるで‥

 

「クロックアップ‥⁉︎」

 

全く見えない動きに奏が翻弄されている。

 

「ぐっ‥2個は流石にキツいな‥!」

 

怪物の動きは止まるものの奏はもうボロボロだった。

 

「奏さん!」

 

変身が解除されてしまいイクサライドウォッチが地面を転がる。そして奏の身体はそのまま粒子となり消えてしまう。

 

「奏、平気か⁉︎」

 

『あぁ‥アイツ‥強すぎる‥!』

 

 

 

 

 

弦十郎達のいる指令室とはまた別の部屋。入ってくるのは夜忍くらいだ。

 

「今の俺は黙って見てるだけしか出来ないのか‥!」

 

ふと写真が目に入る。

 

「いや‥命をかけて戦っている子供達の為にも‥そしてアイツらの為にも‥」

 

 

 

 

 

 

「ぐあッ‥!」

 

翼や響はクロックアップに対抗するのは難しく、苦戦を強いられる。

 

「ぐっ‥早すぎる‥」

 

クロックアップに対抗するカブトの力を使う隙もなく攻撃してくる。奏も先程のダメージと時間制限により、ガタックに変身出来ない。

 

「マズイぞ、ここは一度引くしかない‥!」

 

翼の提案通り撤退するしかないと思われていた。どこからか

 

「このヴァイオリンは‥」

 

この曲は聞き覚えがあった。そう、小さい頃から聴いている。

 

「父さん⁉︎」

 

『⁉︎嘘だろ‥⁉︎』

 

「どうした奏⁉︎」

 

『アタシが見逃してたのかも知れないがあの人‥』

 

「市民に‥俺の部下に‥そして、俺の息子に手を挙げたな‥」

 

父さんは先の戦いで転がり落ちたイクサライドウォッチを拾い上げる。

 

「駄目だ父さん!普通の人がウォッチを使うと‥」

 

しかし

 

イクサ

 

「起動した‥⁉︎」

 

手にはイクサベルトとイクサナックルがあった。

 

「もう誰も傷つけさせねぇ‥この身を削ったとしても‥!」

 

イクサベルトを腰に巻き

 

『レ・ディ』

 

「変身」

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

イクサのスーツが形作られ、父さんの身体に装着される。

 

「父さんが‥変身した‥⁉︎」

 

「なるほど‥中々良い着心地だな‥」

 

「貴様‥!」

 

突然、怒りの色が見えた怪物が変身した父さんに襲いかかる。

 

「はっ!」

 

その攻撃をいとも簡単に払い、パンチで返り討ちにする。

 

「使い勝手はこんな感じか‥」

 

「ちッ‥!」

 

「また加速した‥!」

 

「動きは見えない。だかな‥」

 

「ぐはっ‥!」

 

怪物が吹き飛んでいた。

 

「ば、馬鹿な‥この速さに追いつくのか‥⁉︎」

 

「感覚は衰えていないな」

 

俺達が束になっても敵わなかった相手に全く攻撃を喰らわず、圧倒している。

 

「す、凄い‥!」

 

初めてとは思えない戦いぶりに響も驚いている。

 

「コレで決める」

 

ベルトからフエッスルを取り出す。

 

 

イクサナックルを火花を散らせながらベルトから外す。

 

「ライダーパンチ‥!」

 

「はあぁぁッ‼︎」

 

エネルギーを溜めた拳が怪物を吹き飛ばした。

 

「つい、言っちまうな‥」

 

「お前は再び力を取り戻した‥。この先生きていけると思うな!裏切り者‥()()()()ァァァァッ‼︎」

 

「ホッパーじゃない‥俺は‥仮面ライダーだ‥」

 

わからない言葉を残し、怪人は散った。

 

 

 

「王我、奏。悪いがコレは借りていくぞ」

 

父さんはイクサライドウォッチを手にその場を去ってしまった。

 

 

「あんな強ぇ奴を余裕で‥」

 

「一也さんって一体‥」

 

「あの人は【英雄】と呼ばれる、エクスカリバー主任操縦者。私達のように言うならエクスカリバーⅠの元装者」

 

「一也さんが、元装者‥」

 

 

 

 

 

「一也!」

 

「夜忍か‥」

 

「貴方、また戦う気‥⁉︎」

 

「あぁ、息子達に戦えと命じている俺が戦えるならそうした方が良い」

 

「でも貴方は傷が‥」

 

「心配するな、無理はしない」

 

「一也‥貴方やっぱり‥」

 

「これがあれば俺は‥アイツらの敵をとれる‥!」

 

 

 

 

 

 

「ぐっ‥!」

 

「相当応えたようだな」

 

「こんなものあの苦しみに比べたら擦り傷だ」

 

「復讐の為か?」

 

「結局そうなるな。力ってのはどんだけ善人だろうとも、一度手にしたらその力に溺れやすくなっちまう‥」

 

「まともじゃないからな、俺もお前も‥」

 

「あぁ‥とにかく後は任せろ、次郎‥」

 

 

 

 

 

「‥アンタの死は無駄にはしない‥」

 

「あの時死んだワームの細胞から調べ上げて簡単に作ってみましたが、効果は中々ですね、若様」

 

「‥だが、二つの摂取は副作用が大き過ぎる。自身で止まることは難しいこれでは使用の際、我ら同胞にも同じ影響が出てしまう」

 

「直ちに技術部にデータを送ります」

 

「頼む。アイツの死が我々の糧になることを願っている‥」

 

「しかし更に大きな問題が出てきてしまいましたね」

 

「ホッパー‥」

 

「先代を苦しめた裏切り者‥もう永遠に相手にすることが無いと思っておりましたが‥」

 

「力さえ無ければ放置でも良かったのだが‥これは上からの指示も変わるだろうな‥」

 

 

 

 

 

家に帰って、ある程度回復した奏とウォズと共に今日のことについて話し合っていた。

 

「イクサ、持ってかれちまったな‥」

 

『気に入ってたんだが、仕方ない。あの人の強さ‥経験もあるんだろうけどな‥でも、どう見てもあの姿はアタシが変身したイクサよりスペックが低い』

 

奏の言う通り、父さんが変身したイクサはフエッスルも二本しかなく、フェイスシールドも展開されていなかった。その姿は何か力をセーブしてるようだった。

 

『でも、その強さは計り知れなかった。多分あの人が持ってる方が良い。それにあの人は鬼じゃないからな、その内、返してくれるはずだしな』

 

「うん‥それにアイツ、父さんのこと『裏切り者ホッパー』って‥」

 

「問題点はそこだけではない。あの生物はファンガイアとワームの能力を持っていた。本来こんな事は起こり得ないのだがね‥」

 

「謎だらけだな‥」

 

遮るかのようにインターホンが鳴る。一度考察を止め、玄関の扉を開ける。

 

「‥よう‥」

 

「雪音‥?」

 

とりあえず雪音を家にあげる。

 

「アタシ思い出したんだよ、あのヴァイオリンを聴いてさ‥」

 

「アタシのパパやママが凄く尊敬していた人がいてさ、それがお前の親父って訳さ」

 

父さんは政治家になる前は、ヴァイオリン奏者だった。よく色々な場所で演奏していた為知名度も高かったらしい。

 

「パパがよく言ってたんだ。『あの人は千年に一人の天才だ』って、すっごく楽しそうに話してたんだ」

 

 

「なぁ、お前のヴァイオリン聴かせてくれよ」

「え‥あぁ、いいよ‥」

 

キバライドウォッチを手にしたとき

 

「あ、待て!ウォッチは使わなくて良い!おっさんに聞いた、普通に弾けるんだろ?」

 

「まぁ、一応‥」

 

「それで頼む」

 

ジオウはヴァイオリンを弾き始める。

 

 

 

 

 

 

 

「‥ぶっちゃけ普通だな。ウォッチ使ってた時の方が上手かった」

 

「何だよ、雪音が弾けって‥」

 

「でもアタシは嫌いじゃないな、この音」

 

「(何処か安心する。まだ全然分かんねぇことだらけだけど、ここの居心地は悪くねぇな)」

 

「で、どうしたんだよ。ただヴァイオリンを聴きに来た訳じゃないだろうし」

 

「今回のこと‥まだ礼を言ってなかったからな‥その‥ありがとよ‥少しはお前たちのことが信頼できるようになった‥ってなんだよ!ニヤニヤしやがって⁉︎ったくコッチは真面目に話してんのによ、自分で言っておいてそんなにアタシの礼が信用ならないか⁉︎」

 

目線を色んなとこにやってて気付かなかったが、ジオウの口元が震えていた。

 

「ごめんごめん!そうじゃないって!」

 

「それともあれか⁉︎本当に信頼してるって誠意を見せればいいのか⁉︎」

 

「いやだからそうじゃなくて!雪音が俺たちのこと信用してくれて嬉しいって思ったんだよ!」

 

「そ、そうか‥」

 

「うん、ごめん。からかったつもりはなかったんだけど‥」

 

「しかし誠意か‥自分で言っておいてわかんねぇな‥」

 

信じるって形じゃねぇから誠意を見せようにも何も思いつかない。その時あのバカの顔が浮かんだ。

 

「えっと、そんな無理しなくても‥」

 

「あ〜‥ったく、しゃあねぇな。アタシのことも名前で呼んでいいぞ!」

 

「え?」

 

「いいから呼べば良いじゃあねぇか!」

 

もうここまで言ってしまっては後はヤケになっちまう。

 

「お、おう‥じゃあ‥これからもよろしく、クリス」

 

「‥おうよ。アタシの足引っ張んなよ、ジオウ」

 

コツンと拳をぶつけ合う。

 

「‥そういえば前から気になってたんだけど、その【ジオウ】ってあだ名変えない?俺、ジオウ以外にも変身するし‥」

 

「う、うるせぇ!別に良いだろ⁉︎」

 

「えぇ‥」

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「思っているよりも深刻なのかもしれない」
「あの人を超える為に‥!」
「自分の道は自分の力で切り開くしかない」
「王我はかなり努力派だぞ」
「努力はカッコ悪いことじゃない」
「鍛えた甲斐を見してやる!」

EP33 オーガオウガ2005→2043


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EP33 オーガオウガ2005→2043

皆様大変お久しぶりでございます。更新が遅れたしまい大変申し訳ありませんでした。早速ですが本編へ戻ります。
この本によれば、逢坂王我、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っている。
逢坂王我は仮面ライダーキバの力を取り戻すも、ワームとファンガイアの両方の力を持つ謎の敵に手も足も出ない装者。そこへ逢坂王我の父、逢坂一也は仮面ライダーイクサに変身。これを圧倒する。そして仲間との関係に悩む雪音クリスは少しだが自身の迷いを振り切り、装者達と本当の仲間として一歩進展しただろう。
しかし、逢坂一也が何故あそこまでの力を持つのかそれはこの先の未来に判明するのでしょうか?もしくは‥


あれから三日経った。ワームとファンガイアの能力を持つあの生物。不明な点が多いためとりあえず二課では『ヴィラン』と仮称することになった。そしてそのヴィランが出現して以降、父さんと母さんの不在の率が高くなった。家に帰れないことはしばしばあったが、いつもの仕事場にすらいない時が増えている。理由は本人達には聞くことは出来ないし、勝さん達に聞いてもはぐらかされてしまう。

 

 

 

 

 

そして、そんな不安の中太陽が真南に上がる頃にノイズが出現し、街では避難勧告がすぐさま出された。

 

「こちら王我。現場に到着しました」

 

人が多く早急な対処が求められた為、単独飛行が可能なⅡが先行された。

 

『他の装者はおよそ五分後には到着するだろう。それまで持ち堪えてくれ』

 

「了解」

 

ゲイツ

 

ゲイツ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

『ジカンザックス! Oh!No!』

 

ジカンザックスを携え、先陣を切る

 

「昼だからこれだ‥」

 

エクスカリバーを分割し、その内の一本を太陽に向かって掲げる。刀身は先から白く光り、その光が根本まで達したとき

 

「はああぁッ!」

 

剣を振るとその光が刀身となり、そのままノイズの元へ落ちていく。

 

『ガラディーン』

 

ノイズ達を一刀両断する。

 

そして次の集団に正面を向けた直後、

 

「待たせた!」

 

翼を先頭に響、クリスの順に到着しこれで装者全員が揃った。

 

ドライブ

 

アーマータイム!ドライブ!ドライブ!』

 

『You!Me!』

 

「飛ばすぜ!」

 

奏がドライブアーマーを纏い、そのスピードと弓状に変形させたジカンザックスで次々ノイズを撃退する。

 

「響、譲渡だ!」

 

「はい!」

 

『譲渡』

 

譲渡でガングニールにエクスカリバーが装着され、全体の能力が向上する。

 

『ジクウドライバー』

 

ジオウ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

エクスカリバーが無くなった分をジオウに変身し戦闘力を補う。

 

「はっ!」

 

裏拳でノイズの体当たりを弾き、更に両腕に追加されたエクスカリバーのパーツを右腕に集中させる。

 

「てぇやッ!」

 

その一撃はノイズを殴った音よりも重く大きく力が格段に上がっている事を証拠付ける。それは衝撃波だけで攻撃が当たっていないノイズが消滅するほどだ。

 

「クリスちゃん!」

 

そのままⅡは響からクリスへと渡される。

 

「おら、こいや!」

 

打撃の威力を上げる為の形状だったⅡが空中でクリスの戦闘スタイルに合った形に変形する。

 

「行けッ、クリス!」

 

「おうよ!」

 

スコープを覗くクリス。口元はニヤリとしており、トリガーを引くと無数の銃弾が的確にノイズの元に行き、爆発する。

 

「こっちも全力だ!」

 

エグゼイド

 

アーマータイム!レベルアップ!エグゼイド!』

 

エグゼイドアーマーを纏い、ガシャコンブレイカーブレイカーを装着した腕を振り回してノイズを薙ぎ払っていく。

 

フィニッシュタイム!』

 

ジカンギレードをジュウモードにし、ビルドライドウォッチをセットする。

 

スレスレシューティング!』

 

百発もの弾丸がノイズの身体を無作法に打ち抜いていく。

 

ゴーストギワギワシュート!』

 

奏はジカンザックスにゴーストのウォッチを付け、技を放つ。ロビン魂時と似たアイコンがポインターのように浮かび上がり、そこに矢を正確に放った。しかし、これが全てではない。お互い武器を投げ捨て、ベルトに装填されているウォッチのボタンを押す。

 

フィニッシュタイムエグゼイド!』

 

フィニッシュタイムドライブ!』

 

クリティカルタイムブレーク!』

 

自身の近くにいるノイズをガシャコンブレイカーブレイカーで打ち上げ、そのまま連続で拳を当て続ける。

 

ヒッサツタイムバースト!』

 

俺が打ち上げれなかった残りを奏が回転しながらの高速移動で、確実に蹴散らしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てのノイズを倒し、おじ様からの通達で後は二課の方々の処置を待つだけとなった。

 

「はっ、話しになんねぇな。あの化け物の方がよっぽど手応えがあったな」

 

「クリスちゃんの射撃は本当に凄いよね〜」

 

「流石は長射程広域攻撃を得意とするシンフォギアなだけある」

 

「おいおい、凄いのはイチイバルじゃなくてアタシだからな。そこんとこ間違えるなよな!」

 

自身の実力に絶対的な自身があるかのよう。

 

「わかっているだが、譲渡の分はどうなのだ?」

 

「それもアタシの実力だ!」

 

「中々無理なことを言うな‥だが、雪音のおかけで私達が前線でノイズと切り結ぶことが本当だ。ありがとう」

 

「そうですよね。今じゃクリスちゃんの援護無しなんて考えられませんよね」

 

「‥わ、わかってるなら良いんだけどよ‥」

 

「あ〜クリスちゃん照れてる?」

 

そんなに意外だったのだろうか、雪音はこちらを真っ直ぐ見ようとはしてこない。

 

「照れてねぇよ!」

 

「そんなこと言って、顔赤いよ〜」

 

「‥一度上下関係ってぇのを教えなきゃならねぇようだな‥!」

 

「わぁ!クリスちゃん!銃で殴るのは反則だよぉ!」

 

「反則も何もねぇ!お前の頭でも分かるくらいにアタシの恐ろしさを教えてやる!」

 

「ふふ、ホントに仲が良いな、二人は」

 

「お前の目は節穴か⁉︎」

 

「そんなことはない。出会ったばかりの頃のことを考えればかなり良好ではないか。それに王我との息も合ってきている」

 

実際、戦闘時も状況によってはこちらの指揮に従うようになっている。

 

「出会ったころって‥」

 

荒い声をあげていた雪音が口を閉じたことでその場に静寂に包まれる。

 

「あ、あの頃は‥その‥悪かったな‥」

 

「‥本当にどうした、雪音?」

 

急に頭を下げてきたから、少々対応に困る。

 

「‥ほら、お前たちに色々言っちまっただろ‥?」

 

「あぁ確か、『のぼせ上がるな人気者ッ!』と言われたなぁ‥」

 

「うぐッ‥!」

 

黒歴史なのか、苦しそうに胸を抑えている。

 

「あの時のクリスちゃんは凄く尖ってたからねぇ〜」

 

「わ、若気の至りだ!」

 

「そんなに時間は経っていないだろう」

 

「う、うるせぇ!例え数ヶ月前だろうが一秒前だろうがアタシとっちゃ過去なんだよ!いいからアタシの謝罪を受けやがれ!」

 

「とても謝罪とはいえない態度なのだが‥」

 

「アタシが謝罪って言ってんだからそうなんだよ!」

 

「翼さん翼さん、これはクリスちゃんなりの‥」

 

「だああああッ!お前は黙れッ!」

 

「むぐッ‥⁉︎むぐぐぐ‥」

 

雪音が立花の口元を掴み、言葉を発さないようにしていた。

 

「仲が良いな、二人は‥」

 

ここまで酷くはないが、まるで以前の奏と王我のよう。

 

「?王我?」

 

そしてその王我だけは先程から会話に混ざらず、自身の手元をずっと見ている。

 

「ご、ごめん。考え事してた‥」

 

王我の表情から見て何か重いことなのがわかるが、その答えは直後に来た叔父様の伝達によって聴く機会を逃してしまった。

 

 

 

 

 

 

夏休みに入ってそこそこ日が経った。少し前までは半袖であれば何とかなったものの、今ではクーラーが無ければ苦しいほど暑い。夏休みの宿題も未来に手伝ってもらって、あと少しのところまでたどり着いた。最終日までに終わらないってことは無さそうだ。

 

「翼さん、お仕事ですか?」

 

向こう側からやってきた翼さんに声をかける

 

「あぁ、もう少ししたら緒川さんと共に現場に向かうところだ」

 

「そういえば王我さんは?」

 

トレーニングルームの使用だけでなく、受験勉強でもここを利用しているため、来れば顔を合わせることが多かった。しかし今日は一回も見かけていないので少し不思議だった。

 

「王我なら修行だ」

 

「でもシミュレーションルームにいなかったですよ?」

 

「そうではない。別の場所での特訓だ。本当に厳しい方の元でな‥」

 

翼さんは少し遠くを見るかのように答えた。

 

「立花こそ、修行はどうしたのだ?」

 

少し寂しそうな顔からいつものキリッとした表情に戻った翼さん。

 

「実は師匠が‥」

 

 

 

 

「なるほど、叔父様は急な仕事か‥」

 

ノイズの大量発生に加え、最近はキメラが出てきたりなどで師匠が顔を出さなければならないことが増えているらしい。

 

「はい‥少し手持ち無沙汰で‥」

 

修行が休みなら未来と遊びに行けば良いのだが、その未来は今日に限って別の予定が入っているので遊ぶことは出来ない。他のみんなも実家に帰ったりなどすぐには会えない状態である。

 

「‥少し待っていてくれ」

 

翼さんは携帯電話を取り出し、どこかへ連絡を取り始めた。

 

「風鳴だ。‥あぁ‥実は‥」

 

一分ほど通話した後、翼さんは私に言葉を発した。

 

「喜べ立花、修行の相手を確保できたぞ」

 

「ホントですか⁉︎」

 

「お待たせしました、翼さん」

 

「緒川さん、立花をここへ送ってあげられませんか?仕事場からそれほど距離は離れていませんので」

 

ちょうど追い付いてきた緒川さんに翼さんは先の件を伝える。

 

「えぇ、時間に余裕がありますので構いませんよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

緒川さんの車に乗せてもらい、到着したのは

 

「寺院‥ですか‥?」

 

修行を積むのには雰囲気はバッチリだが、問題はどんな修行が待っているかだ。

 

「今から会う者は二課の活動を知っている。我々のことを秘密にする必要はないからな」

 

「そうなんですか‥!」

 

そういえば王我さんの友達も知っている人は少ないというのを聞いた。意外と私達のことを知ってる人は多いのかも知れないと思った。

 

「来たか」

 

門の前を見るとそこに待っていたのは私と同じくらいの年の好青年だった。

 

「すまないな、朔田」

 

「話は聞いた。俺も二郎が今日は休みで練習相手がいなかったからな」

 

「そうか。では頼んだ」

 

翼さんが軽く挨拶を済ませ、二人とも車へと戻った。

 

「えっと‥こんにちは!今日はよろしくお願いします!」

 

「君が立花響か。話は風鳴と王我から聞いている。俺は朔田流星だ、よろしく頼む」

 

 

 

 

 

軽く自己紹介が済んだ後、すぐに訓練へと移行した。

 

「さっそくだが始めよう。全力でかかってきな!」

 

「お、お願いします!」

 

「はああぁッ!」

 

一発の威力が高い師匠とは違い、連発で打ってくる。ただ腕を交差させて防御するのに精一杯だ。

 

「(今だ!)」

 

「‥甘い‥!」

 

「えっ‥」

 

私の拳は届かず、空間を殴るだけ。そして朔田さんは私の背後をとっていた。さらにその後、背中を押され更に体勢を崩してしまった。とにかく背を向けないために身体を捻るも

 

「ホオォォォォ‥アタァァァッ!」

 

朔田さんの脚が私の顔の目の前にあった。

 

「ま、参りました‥」

 

勝敗が決して気が抜けてしまい、思わず尻もちをついてしまった。

 

「も、もう一度お願いします!」

 

「もちろんだ‥!」

 

 

 

鍛錬を始めてから三時間、ようやく長めの休憩を入れる。

 

「ほら」

 

「あ、ありがとうございます‥!」

 

朔也さんから飲み物を受け取り、喉を潤す。

 

「良い拳だが、連発攻撃を何度もくらい少し判断が鈍ったか。相手はわざと隙をつくって、相手を誘い込むことがある。そこを気をつけた方が良い」

 

「はい‥」

 

「ま、王我や風鳴と共に戦ってるだけあって、かなり良い相手だっだ。俺もかなり良い練習になった」

 

朔田さんはそのままペットボトルの水を飲み干し

 

「あの‥王我さんとはどのように知り合ったんですか?」

 

「そうだな‥アイツとは中学のときからな…」

 

朔田さんが飲み終わったペットボトルを片付けながら話を続けた。

 

「俺は以前友達を助けることに夢中になり過ぎて、アイツとその仲間たちに取り返しのつかない事をしてしまった俺をアイツは【友達】として見てくれた。そしてアイツの仲間達も…」

 

「君も友達がいるんだろ?」

 

「はい、学校の寮で一緒の部屋なんですけど、少し前まで二課のことを黙っていて‥それで一度は喧嘩してしまったんですけど、今はお互いに色々話し合って楽しくやってます!」

 

「その友達との縁を無くさないようにな‥」

 

「はい!」

 

「さて、そろそろ…」

 

電話が鳴り出す。

 

「あ、すみません‥」

 

「はい‥え、未確認生命体ですか⁉︎」

 

「えっと‥はい!朔田さんも早く逃げてください!」

 

荷物を片しながら、避難勧告をしていると

 

「待ってくれ。この後王我に会うんだろ?これを渡しておいてくれ」

 

メテオ

 

「ライドウォッチ!」

 

「知らない奴に『逢坂王我に渡せ』と言われてな。俺にはわからないが、お前らのとこならコイツの処置も出来るはずだしな」

 

「ありがとうございます!必ず王我さんに渡します!」

 

 

 

 

 

ここは山の中の小屋。元々の持ち主が使っていた場所でもあり、今も俺のように他の人達が使用している。そしてその持ち主は

 

「ハッ!」

 

俺は両手に竹刀を構え、更に身体には重りをつけ付加をかける。

 

『王我!また左手が下がってきている!』

 

「はい、先生!」

 

『王我!次は脚の動きが遅い!それでは次の攻撃に影響が出る!』

 

「はい!」

 

「(早くあの人を超える為に‥!)」

 

 

 

 

『今回の鍛錬はここまでだ。後でそちらにメニューを送っておく。好きなタイミングで行ってくれ』

 

「先生、ご指導ありがとうございました!」

 

『すまないな、私の都合でこのような形にしてしまい』

 

現地には先生はいない。仕事が忙しい方なのでリモートの形で見てもらっている。それでも的確に問題点を見つけられるのだから先生はやはり凄い。

 

「とんでもありません!お忙しい中時間を頂いていますのに‥」

 

『それで王我‥アイツは上手くやっているのか‥?』

 

「‥はい、元気ですよ」

 

「お前のことはある程度一也から聞いた。くれぐれも力には溺れるな」

 

「はい‥」

 

そして、先生との会話中電話が鳴る。

 

「えっ、未確認生命体‥ノイズではなく‥」

 

「先生‥」

 

『わかっている。修行の成果、存分に発揮しなさい』

 

「はい!」

 

 

 

 

 

ライドストライカーに乗り、現場に着くととすぐ後に装者を乗せた車が到着する。

 

「何、あれ⁉︎」

 

「また変なのじゃねぇか」

 

「なんかワームともファンガイアとも違う気がするんですけど‥」

 

肉眼で確認できる目標は二体おり、日本の怪談に出てくる河童と化け猫のような見た目をしている。

 

「魔化魍だね。人間などを捕食する生命体さ」

 

「人間を‥食べる‥⁉︎」

 

「預言者、それマジで言ってんのか⁉︎」

 

「それは何としても阻止しなければならないとな‥」

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

『Killter Ichaival tron』

 

「我が魔王‥」

 

「わかってるよ」

 

相手は魔化魍。そしてそれに対抗する一番良い手は

 

響鬼

 

腰に携えた音叉を手に取りスナップを効かせ、角を立てる。木に音叉を当て、そのまま顔の前に持ってくる。

「はあぁぁぁ‥」

 

額に鬼の顔が紫炎に包まれた。やがてその炎は自身の体のシルエットすら移すことは無くなる。

 

「たあぁぁッ‼︎」

 

紫炎を振り払うと、頭部に二本の角を生やしたまさしく鬼の姿をした者がいる。

 

「これが本物の響鬼か‥」

 

「ディケイドが変身してたけど、あの時とホントそっくりだ‥」

 

『よし、アタシも鬼の力だ!』

 

威吹鬼

 

実体が現れた奏は音笛を吹き、小さな竜巻を纏った。

 

「はぁッ!」

 

取り巻く風を手刀で切り裂きその鬼、伊吹鬼の姿を現す。

 

 

 

 

 

響と奏が化け猫の魔化魍を相手にしている。

 

「はあぁッ!」

 

響が魔化魍に拳を喰らわせ、怯ませたかと思ったが

 

「うわっ!」

 

魔化魍に力負けしてしまった響は吹き飛ばされ、体は木に撃突する。更にそこに再突進しようとするものの

 

「はッ!」

 

奏が放った弾が魔化魍を怯ませ、響が体勢を立て直した。

 

「た、助かりました‥!」

 

「立てるよな?」

 

鬼石を撃ちながら、奏は響に声をかける。

 

「はい!」

 

立ち上がった反動を生かし、

 

「ホアタァ!」

 

カンフーを思わせる蹴りで、後退させることに成功する。

 

「やるなぁ!トドメはアタシがやる!」

 

魔化魍に対して数発打ち込んでその箇所が赤く光る。

 

「これで決める‥!」

 

バックル部である鳴風を上空へ放り投げ、その間に音撃管:烈風をトランペット型に変形する。

 

「うわ、あっという間に形が変わった」

 

深く息を吐き、トランペットのマウスピースに口をつけ演奏を始める。すると撃ち込まれた鬼石が、清めの音によって増幅していき魔化魍の肉体は爆散し跡形もなく消え、立っていた場所に生えていた草も舞い上がった。

 

 

 

こっちは俺と翼そしてクリス三人で河童の魔化魍を相手にする。

 

 

 

「ちくしょう!ヌメヌメしてて銃弾があんま効かねえ!」

 

身体の粘液で滑ってしまっているのか、ダメージはいつもより少なくなってしまってる。

 

「ヤバっ‥」

 

攻撃で全然怯まず、魔化魍の攻撃範囲にクリスが入ってしまったが

 

「な、なんだコイツら」

 

「俺のディスクアニマル。頼もしいだろ?」

 

放ったディスクが狼、猿の形に変わり魔化魍の動きを妨害する。

 

「っぶねぇ…」

 

その隙にクリスが距離を取り、安全に射撃を行える位置に着いた。

 

「はぁッ!」

 

翼が受け止め、蹴りで距離を離す。

 

「王我!」

 

翼と入れ替わるように魔化魍に近づき、バックルに付属している音撃鼓:火炎鼓を取り外し叩きつける。すると大きくなった火炎鼓の形をしたオーラが現れる。

 

「爆裂強打の型!」

 

ドンッと大きな音を立て、身体の内側まで清めの音を響かせられた魔化魍は破裂し、その形状を崩壊させた。

 

 

 

 

魔化魍が全て清められ、辺りに敵対反応がないことを本部から伝達される。

 

「ふぅ‥お疲れさん」

 

「顔だけ戻せんのかよ‥」

 

身体はまだ響鬼のままなのに顔だけいつもの

 

しばらく経ち、二課の方たちが現場に到達した。魔化魍という新しい敵の情報を得るためにウォズさんの知識をふまえながら調査を開始していた。今回の件はあまり一般人が来ない山で起こったため被害者はおらず、装者はそこで解散となった。

 

「とにかく山から下ろさずに済んで良かったですね」

 

「あぁ。しかし、魔化魍か‥中々手強い相手だったな」

 

「じゃ俺はまだ修行が残ってっから、戻るわ」

 

「まだやんのかよ‥」

 

「知らなかったのか?王我はかなり努力派だぞ」

 

いつも私達以上の訓練をしているとはいえ、実戦後に再開するのは

私とクリスちゃんは意外と王我さんの事を知らないかも知れない。

 

 

 

 

魔化魍が現れて2日後、俺はこの前修行とは別に先生から課せられた課題をこなしている。父さんはクロックアップした相手にも、ついていけるほどの強さを持っている。多分カブトに変身した俺よりも早く倒したかもしれない。父さんが昔、エクスカリバーを使って戦っていたことは聞いたことがある。しかし、実際目にしてみると想像以上の腕だった。まるで次、相手がどう動くのかが分かるかのように。

 

「ふぅ‥今日はここまでかな。日も短くなって来たし帰ろう」

 

荷物をまとめて、その場を去ろうとすると

 

「ん?何だろ?」

 

何か物音がする。この辺はあまり人がいないからかそういう物音はよく聞こえる。

 

「こんなとこで逆上がりか‥」

 

小学生くらいの男の子が都会では数を減らしつつある錆のついた鉄棒を握り、少年は脚を高く上げるもそのまま重量に従って落ちていってしまう。

 

「ちょっと見てて」

 

落ち込んでいる少年に声をかける。

 

「でもこの鉄棒小さ‥」

 

確かにここにある鉄棒は俺には小さい。だが

 

「ほッ!」

 

近くに生えている少し太めの木の枝タオルを巻き、そこを掴んで一回転。

 

「す、凄ぇ‥」

 

「それで、なんでこんなところで練習してんの?」

 

「‥恥ずかしいから‥」

 

「逆上がりが出来ないのが?」

 

「それもだけど‥公園にクラスの奴らがいてさ‥バカにしてくるんだよ‥」

 

自分で話していて落ち込んでしまったのか近くのベンチに座った後、頭もそのまま下がってしまった。

 

「何かに必死になる。良いことじゃないか」

 

俺はその子の後を追うようにベンチに腰掛けた。

 

「子供ってなんでも涼しい顔でこなせるのがカッコいいって思ってるよね」

 

「でもね、努力はカッコ悪いことじゃない。寧ろ必要なことだぞ」

 

「でも出来なきゃ意味ねぇよ。テストもそうだ。いくら勉強しても良い点数を取らなきゃ怒られる‥」

 

「まぁ、そうだな‥」

 

少年の言葉に肯定してしまっため、少年はさらに悲しそうな表情をする。

 

「俺もさ、昔ズルしようとしたことがあってさ」

 

年上が似たような経験を話し始めたからか少年は食いついてきた。

 

「君ぐらいのときかな。詳しいことは説明出来ないんだが、一度大人の話が話してるとこを聞いてさ『これがあれば肉体的に強くなれる』って」

 

「当時早く強くなりたかった俺はそれに手を出そうとした。そしたら先生に止められてさ。いつもは鍛錬がこなせなくても叱られるくらいだったのが、その時は本気で怒られたからな」

 

少年は俺の話に更に食いついてくる。

 

「その時言われたんだ『努力も結果も大事だが、それよりも大事なのは目標へ向かっていく自分の気持ちだ。それが無くては前に進むことが出来ない』って」

 

「目標に向かって‥」

 

「確かに世の中は結果論だ。最終的にダメなら今までどんなに頑張ってもダメだし、どれだけサボろうと結果が良ければ一応は褒められる。でも、結果だけ見てると後々何をしたいかが見失いやすくなる」

 

「自分の道は自分の力で切り開くしかない。その時気持ちがしっかりしてなきゃ心が折れる。俺はそう思うな」

 

「でも努力する気持ちはあるみたいだね」

 

そこには体育の教科書が。逆上がりのやり方が書いてある箇所に赤線や先生に聞いたであろうポイントが記されていた。

 

「まぁとりあえずがむしゃらに練習してもダメだ。もう日も暮れるし今日は帰りな」

 

そう少年は先ほどよりも明るい顔になり、街の方へ戻っていった。

 

「さてと、俺も戻ろっかな」

 

ライドストライカーを出し、跨った直後だった。

 

『王我、街中にノイズが現れた!』

 

 

 

 

ノイズ発生時、仕事がなかった私たちは三人で現場へと向かっていった。

 

『王我はその位置から遠い。今そちらに向かってはいるが、なんとか三人で持ち堪えてくれ!』

 

「ったくよ!なんでこんなに来んだよ!頻度高すぎんだよ!」

 

「雪音、文句を言うのは殲滅からだ!」

 

「わーってるよ!」

 

「でも王我さんがいないから譲渡も使えない。一気には無理みたいですね‥」

 

どのように対処するか考えている最中、私の影の上に何やら別物の影が重なった。

 

「これは…王我のディスクアニマル‥」

 

タカが私の頭上に到達した時、脚で掴んでいた何かを落として行った。

 

「これは奏のウォッチ‥!」

 

王我が持っていたゲイツライドウォッチを戦力としてこちらへ届けてくれたのだ。

 

ゲイツ

 

ウォッチを押すと、奏の姿が現れる。

 

『ジクウドライバー』

 

ゲイツ

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

「奏‥」

 

ゲイツに変身すると、奏はすぐさま別のウォッチを取り出す。

 

クローズ

 

ジクウドライバーを外し、代わりにビルドドライバーを巻き直した。

 

Wake upクローズドラゴン!』

 

奏はクローズドラゴンにドラゴンフルボトルを装填し、ビルドドライバーに挿す。そしてレバーを回し、

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

Wakeup burning

Get CROSSーZ DRAGON!YEAH!』

 

先ほどまで仮面ライダーゲイツだった奏が仮面ライダークローズに姿を変えた。

 

「こちらは私と奏が引き受ける。お前たちはシェルター方向を守れ」

 

「さぁツヴァイウィングの力、見せつけてやろうぜ!」

 

『ビートクローザー』

 

ベルトから現れた剣を持ち、ノイズの軍団を突き進んでいく。

 

スペシャルチューン!」

 

奏は南京錠が描かれたフルボトルを振り、ビートクローザーに装填する。

 

『ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!』

 

柄の部分を3回引っ張り、

 

メガスラッシュ!』

 

ビートクローザーが鍵の形をしたオーラを纏い、ノイズを薙ぎ払っていく。

 

スペシャルチューン!』

 

『ヒッパレー!』

 

「いけッ、翼!」

 

ドラゴンフルボトルを装填されたビートクローザーを受け取る。目線で伝えたいことはわかったので、それに答えるように頷く。

 

スマッシュスラッシュ!』

 

天羽々斬の紅炎とビートクローザーの蒼炎と混ざり合い、周りのノイズを巻き込んで、燃やし尽くす。

 

「よっし!」

 

私の成功を奏は戦闘中であるにもかかわらず喜んでくれた。

 

「奏‥!」

 

今更ながらまたこうして奏と共に背中を任せあえることが出来ることを嬉しく思ってしまった。

 

 

 

 

翼さんと奏さんが次々とノイズを倒していく中、とにかく私達は数十体いるノイズの内一体でもシェルター方向へ行かせないだけで手一杯だった。

 

「これじゃキリがないよぉ‥」

 

今、私とクリスちゃんは車の影からどのタイミングで大打撃を与えるか探っているところだね

 

「‥おい、ちょっと耳貸せ」

 

クリスちゃんが耳打ちをする。

 

「‥‥なるほど‥!」

 

「じゃあ、いくぜ!」

 

「うん!」

 

クリスちゃんが立てた作戦を実行するため、ビルの非常階段を駆け上り、最上階を目指した。その間もクリスちゃんが銃弾でシェルターに近いノイズを優先的に倒している。

 

「せーので良いよね?」

 

「なんでも良い!さっさとやるぞ!」

 

脚のバンカーを引き伸ばし、

 

「じゃあ、いくよ!」

 

「おうよ!」

 

私は頭から地面に向かって飛び込んでいく。そこから一回転し、脚を抱え込む体勢をとり、足裏を天へと向ける。

 

「クリスちゃん!」

 

少し遅れてクリスちゃんもビルから飛び降りてくる。そして足の裏同士が合わさった瞬間

 

「せぇぇぇのッ!」

 

バンカーの反発を活かし、クリスちゃんを空中に吹き飛ばす。その勢いは十数メートルまで上昇し、身体が頂上に達した瞬間

 

「おらああああッ!」

 

ノイズを広範囲から見上げられる状態から蜂の巣状に撃ち抜いていく。

 

「ちっ‥」

 

殆どのノイズは倒す事ができたが、それでもまだノイズが残ったままだ。

 

「くらえええッ!」

 

王我さんたちが行うライダーキックようなポーズをとり、

ノイズの体に大きな穴が開き、形状崩壊していった。

 

「へっ、こんなもんよ」

 

「やったぁ!やったよ、クリスちゃん!」

 

作戦が上手くいき、消滅していくノイズを眺めるクリスちゃんに思わず飛びついた。

 

「だあぁぁッ!だからくっつくんじゃねぇ!」

 

「気を抜くな二人とも!まだ敵は残っている!」

 

 

 

 

 

三人でもノイズの軍団に優勢に立ち回れている。

 

「これなら王我が到着する前までに対処出来るだろう‥」

 

「どうした⁉︎」

 

安心した直後、アラート音が指令室に響き渡る。

 

「変です!郊外に高エネルギー反応!」

 

藤尭が異変に気づきこちらに報告する。

 

「この反応は‥先ほどと同じ‥魔化魍です!」

 

「何⁉︎」

 

その結果を友里から聞いた俺は驚きを隠せなかった。

 

 

 

師匠からの通達で私達は別置点で、魔化魍の出現を知った。

 

「マジかよ⁉︎」

 

「ここからだとそれなりに時間が掛かってしまうぞ‥」

 

本部に計算よると、魔化魍の個体が前回のと似ている場合およそ十五分後には街に出てくるらしい。でもこの都市のど真ん中から魔化魍の発生地点は急いでも二十分はかかる。

 

『魔化魍の方は俺がいく』

 

「王我さん⁉︎」

 

『相手が魔化魍なら、鬼の力がある俺がそっちを受け持つのが良い』

 

「‥大丈夫なのか‥?」

 

師匠から心配に対して

 

響鬼

 

『鍛えてますから』

 

王我さんはそう言い残し、通信を切断した。

 

 

 

 

 

 

バイクをUターンさせ、再び山の中へ入っていくと魔化魍を肉眼で確認した。相手は一体だけだが、先に戦って奴とは別個体。その姿はまるで牛のよう。

 

『こちらが終わり次第、緒川が装者を連れそちらに向かう』

 

「了解」

 

音叉を腕に当て、

 

「はあぁぁぁ‥たあぁぁッ‼︎」

 

鬼の姿へと変わり、烈火を構え立ち向かっていく。

 

「はっ!だっ!とりゃあ!」

 

走りながら、音撃棒:烈火の先端から火炎球を放ち牽制するが

 

「ぐっ」

 

前戦った魔化魍に比べてスピードもパワーもあり、突撃してきた相手を受け止めるも、少し後退りしてしまう。一度距離をとり体勢を立て直し、烈火を一本だけ構える。すると烈火の先端から炎が刀身のようになり、

 

「はぁッ!」

 

そのまま振り下ろし、相手の角を切り落とした。

 

「ぐあっ!」

 

しかし、それだけではなんともないかのようにこちらに突進してきた。ら押さえつけるものの魔化魍の強力なパワーに負けしてしまい、身体を数メートル先まで放り投げられてしまう。

 

「っててて‥」

 

体勢を整えようとした瞬間、猛スピードでこちらに突進してくる。急な攻撃をギリギリ烈火を交えさせ防御するも、ほぼ役に立たずに突き飛ばされる。

 

「結構やるな‥」

 

同じパターンで魔化魍が体当たりを行うが

 

「大丈夫かい、我が魔王?」

 

突如現れたウォズのマフラーで弾き返される。

 

「ウォズ‥安心してくれ」

 

立てていた脚に力を入れ、再び立ち上がる。

 

「鍛えた甲斐を見してやる!」

 

烈火を一回転させ、身体中に力を溜める。

 

「はあぁぁぁ‥」

 

紅の炎に身体は包まれた。力を溜めている間はウォズが防御を行い、魔化魍によりチャージを妨害されずに済んでいる。

 

「らああぁぁッ!」

 

全身を覆う炎を振り払うと、紫色の身体から一変変わり、燃えるような赤い身体へと姿を変えた。

 

 

緒川さんの車に乗せてもらい、移動中の私達は

 

「赤い‥響鬼‥」

 

『これこそ、響鬼紅だ』

 

画面に映っているウォズさんが高らかにその姿の響鬼の名を言い放った。

 

 

 

「はっ!」

 

先ほどまでとパワーが段違いに上がっており、魔化魍の突進もそのまま受け止める。

 

「おりゃあ!」

 

その勢いを利用し今度は逆に投げ飛ばしてやった。しかし、あちらも諦めが悪く再び頭から突っ込んできた。

 

「ホッ!」

 

今度は空中で一回転し、その攻撃をかわす。そしてそれ同時に烈火を相手に叩きつけ、炎で形成されている火炎鼓が魔化魍の身体に浮かび上がらせる。

 

「爆裂真紅の型!」

 

背後に回られた魔化魍はこちら向いた瞬間。烈火の重い一撃を叩きつけられる。そしてその強烈な打撃により、体の内側から爆発する。

 

「ふぅ‥いっちょ上がり」

 

 

 

「すみません!遅れてしまって‥」

 

少ししてから装者達が現場に到着してきた。魔化魍を倒してから連絡するのは少し困難だったため、苦労をかけてしまった。

 

「おう、お疲れさん」

 

「結局来た意味0かよ」

 

「凄いですね、響鬼紅の力は‥」

 

「いや、それだけではない。王我の努力の成果もあってこその勝利だ」

 

「私も早く王我さんに追いつきたいなぁ‥」

 

 

努力に今回紅の力が使えた。努力は人を裏切らない。そして数日後、近くの小学校では逆上がりが出来ない生徒が減ったとか。

 

 

 

「一也‥」

 

「夜忍か‥」

 

「本当に現れたのね‥」

 

「あぁ、しかもワームとファンガイア。俺たちの時には無かった力も持っている」

 

「あの子達が相手すると考えると‥あんまりいい気はしないわね」

 

「思っているよりも深刻なのかもしれない。次郎や勝達にも警戒するよう伝えている。もう一度、蹴りをつけるために」

 




次回 RIDER TIME戦姫絶唱シンフォギア

「今頃何してんのかな‥」
「また離れ離れになってしまうのね‥」
「言える訳ないよ、あんなこと‥」
「私達警察も全力で市民を守りましょう!」
「俺が戦うのは使命とかじゃない」
「人類を想っているからだ!」

EP34 トランプブレード2004→2043


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