再構成の新世界 融合世界『インフィニット・エターナル・ギア・ライダー』 (金宮 来人)
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融合世界 00 出会い

どうも、早速投稿します。
あぁ、いつも通りの私です。
不定期ですが、これからもよろしくお願いいたします。



俺は織斑一夏。

そして、『イチカ・ダインスレイフ』とも言う。

呪われたこの身の名はそう名付けた。

ダインスレイフとは、正確には『ダーイン・スレイフ』。

呪われたドワーフの一種で、神に敵対する一種。神殺しの剣を作った一族でもある。

その種を『ドゥベルグ』と言い、剣を作った者の名はダイン。故に『ドゥベルグ・ダイン』の作った呪われた剣の名だ。

その魔剣は血を吸わないと鞘に収まらず、使い手の血を吸う事もあったという呪い。

そんな名前を持つ俺は初めは普通の男だった。

人生に絶望し、死んだ俺を神が拾った。力もくれた。

一番初めの人生が呪われていた俺は、自身の名を呪われたものとしての物にした。

呪われた俺、そんな人生を送ることになると思っていた。それでも友人もできた。

そして、家族もできた。錬金術を使い、何度も死んで新しく生まれてを繰り返した。

楽しい人生を送った。

それでも、人は死んで行く。それが自然の摂理。

守るべきものが居なくなった時、俺はその役目を閉じることにした。

振るべき呪われた剣は必要ないと思った。

それでも神はまだ俺を使った。

他にも救ってほしい命を救えと他の世界に送り出した。守るべき楯としての使命を果たしてほしいと。そして、それは果たされた。

人を守り、世界を守り、俺はそこから消え去る。ただそれだけだった。

それが終わった俺は・・、

 

「なんで落ちているんだ?」

空中に放り投げられていた。

結構な高さだ。落ちたら死ぬだろう。

なら、どうするか。考えたときに首元から音がした。

『チャリン』

そう音がしたところに手を伸ばすと十字架とチョーカー。

これは・・、久々だな相棒よ。・・いや、進化しているのか。

そうならば、新たな力を示せ・・。

笑いながら手を広げる。その手には赤く光るクリスタル。

その名は『シンフォギア』。十字架のクロスは『インフィニットストラトス』。

『Fast・Fight・Achilles tron~♪ 』

そう詠を・・聖詠を口にした。

光に包まれて、その身にISを纏う。

その色は蒼。蒼穹の楯を持ち、守るべき物を救う楯を持つ機体の名は『アキレウス』。

オリジナルで作ったシンフォギアで、ISでもある一番の相棒。

【久しいな、一夏。】

「キャロルか。あぁ、この感じも懐かしい。」

【他の者も待ちくたびれたと言っていた。ともにまた暮らせること、うれしく思うぞ、『マスター』!】

「俺もお前たちと一緒でうれしい。とりあえずは各部チェックと地上に着陸だ。どう見てもIS学園上空であるから面倒ごとが起きる。戦闘用の装備も確認しておけ。」

【わかった。システムチェック・・オールグリーン。異常なし。兵装確認、システムロック確認。絶唱のロックとリンカーの使用をロックしてある。】

「了解。それは確かに・・あれ?【バーニングハート・メカニクス】の制限がない?」

【それは使用不可だ。あれはアキレウスも壊れることになったので使用は本当に最後の時しか使えない。】

「なるほど・・。それなら構わない。それじゃ、そろそろ地上だ。・・と言うかさっきから周りに二つの未確認反応が一緒に降りているんだが?」

【アンノウンだな。こちらも確認できたが正体は謎であるのだが・・生体反応はあるから、人・・だろうな。おそらくはIS・・と言いたいがそれにしては小さい気がする。】

「おそらくは地上でお互いを確認することになるだろうからな。敵じゃないことを願う。」

【そうだな。地上接近、対ショック・・いや普通にスラスターで着地すればいいか。】

「その通りだな。」

そして、普通にスラスターを吹かして着地。すぐさま四つの楯を展開して防御態勢。

すると、他の二人は衝撃と土煙を上げて地面に落下した。

「・・助けた方がよかったか?」

【あれは・・死んだか?】

俺達はその土煙が晴れるのを待った。

 

俺は何故か空中に飛んでいた。

なんでかはわからないとは言わない。

オレの世界は終わりを迎えていたからだ。

オレは『アナザーイチカ』。今は織斑一夏としての体だが、もとはバグスターだった。

そんな俺は『クロノス』、元の『本当の織斑一夏』から生まれたバグスターだった。

クロノスは自身を作り変えた。そしてその際に不要になったパーツからオレを作った。

だからオレはアナザーだった。

しかし、前の世界の最後でクロノスはオレに不足していた織斑一夏を譲った。

だから、元の一夏ではないので『アナザー』であり『織斑一夏』でもある。

そんな俺は世界を融合した衝撃で空中に投げられたはずだった。

確かに空中であるが、ここまで高高度だったか!?

「くそ・・とりあえず落ちても死なないようにしなくちゃ・・。」

オレはベルトを腰につけた。それは『ゲームドライバー』。使うのはいつものデュアルガシャットではない。二つのガシャットを取り出す。

『プロト バンバンシューティング』『プロト ジェットコンバット』

二つを挿して構える。目の前にいろんなライダーの姿が回るゲーム画面の中から『スナイプ』の姿を選択。

「変身!!」

『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!? アイム ア カメンライダー!』

プロトスナイプに変身してゲートを開く。

『レベルアップ!ババンバン!バンババン! バンバンバンバンシューティング!ア ガッチャ!ぶっ飛び!ジェット! ドゥザスカイ! フライ!ハイ!スカイ! ジェットコンバーット!』

そうして変身が完了。『プロトスナイプ ジェットコンバット レベル0』だ。

どちらもプロト仕様なのでレベルがない。

だが、それ以上に問題が。

「くそ、変身に時間をかけすぎた。」

すぐさま地上だ。体制を戻してジェットを吹かしたが、地上に墜落した。

「どわぁあああ!?」

なんとか少しは衝撃を弱めれたが、急激にふかしたせいですごい砂埃を上げてしまった。

しかも結局はかなりの衝撃で落ちた。超痛ぇ。

 

なんかよくわからんが俺は織斑一夏。

うん、覚えてる。

年は三十になったばかり。これも覚えてる。

でもなぜか俺はIS学園の制服を着て空中でさかさまに落ちている。

どういうことなのかわからないが、とりあえずこのままじゃ死ぬと言う事だ。

パラドもいないし俺はどうしたのか分からないが・・とりあえずは生きることをはっきり目標にしよう。後は追々だな。

「ロストドライバー。」

ISは下にあるのがどう見てもIS学園に見えるから何かあるときにすぐに言い逃れできるように今回は展開したくない。いざとなれば展開するが、今は必要はないな。

行くぜ、相棒。ボタンを押して叫ぶ。

「エターナル!」

そして、ロストドライバーのスロットに差し込みソレを倒す。

『エターナル!』

音声と共に俺の姿は白い体の鎧をまとい青い炎を上げる。それとともにマントが背中に展開される。いや、ローブか。

「さぁ・・地獄を楽しみな・・。」

誰に言っているのだろう?まぁいいか。そして『C』と書かれた緑のメモリを取り出して腰の黒いスロットに刺す。そしてボタンを押す。

『サイクロン!マキシマムドライブ!!』

俺の周りに風が起きてその風で俺はかなり軽くなるように上へと持ち上げられた。

ただ、勢いは殺しきれずに『ドゴン!』と音を立てて着地した。しかも風のせいで土埃がすごい。

メモリを抜いてエターナルローブで回りを仰ぐ。

視界が晴れた先には二人分の影。

一つはISらしく大きく、もう一つは同じくらいの大きさ。

そして、完全に視界が開いた。

 

 

「「「誰?」」」

 

「あれ?仮面ライダー!?俺以外に!?」

「なんでそのライダーがここに!?」

 

「・・俺だけ疎外感。」【元気出せ、マスター。】

 




ではまた次回。


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融合世界 01 三人の因子『織斑一夏』

どうも、私です。


『そこの不審者三人!抵抗せずに装備を解除しなさい!!』

不時着したアリーナで三人でお互いを確認していた俺【イチカ・ダインスレイフ】たちはその放送と共に飛び出してきたISに銃を突きつけられて囲まれていた。

「おい、そこのえっと・・『仮面ライダー』?とやら、話はつけるからここはおとなしくしよう。俺もこの機体は解除するから。」

「あぁ・・、そっちはISだもんな。一番危険視されてんのそっちじゃないのか?」

「そうか、一人だけ明らかに全身装甲で顔まで見えないし不審者だな。」

二人してこっちをやり玉にする。

「仮面付けてる貴様らに言われる筋合いではない!!」

そう叫んでISを解除する。スーツはIS用の特殊スーツ、『零式装者強化装備』の状態になる。色はメタリックの青の各部金属パーツに、胸部などにピッタリくっ付いた蒼の被膜が胸板の筋肉や腹筋をしっかり浮き出している。

[マブラヴの零式衛士強化装備の形状]

「「そのスーツはアウトだろ!!」」

「やっかましい!!性能重視だ!正直、作り変えようと思ったが一番性能がいいのがこれなので変えれないんだ。」

そして、周りを囲んでいたIS操縦者は俺のその姿を見てすっごいじっくりと嘗め回すように見ている。目が見開かれて、、・・生唾を飲む音さえ聞こえた、放送用のスピーカーから。

おい、そっちの二人も解除させろよ。俺を辱める状態をやめろ。

「さっさとそっちも解除しろ!!」

『はっ!?そ、そっちの二人も早く解除しなさい。』

「別にこっちは普通だからな。」

「あんなドギツイものは期待しないでくれ。」

一人はベルトからUSBの形状のものを抜いた。するとすぐに姿が男子用なだけのIS学園の制服になる。

もう一人は二つの何かを抜いたら音声と共に変身が解けた。

姿は普通の黒が基調の服。ハイネックなのが印象的なだけだ。

「・・しかし、どういうことだ?」

俺はそうつぶやく。だって、三人の顔はそっくりなのだから。目つきや髪形はそれぞれ違うが、それを抜いてもおかしいほどのそっくりな顔、身長、体系。

『貴方たち、三兄弟なのかしら?』

「「「いや、初対面。」」」

そう声が一緒にかぶっていた。

『というか男の子よね・・。まぁいいわ。私は生徒会長よ。貴方たちを一時拘束します。そこにいる人たちについてきなさい。下手な真似はしないことね。』

「分かったよ。生徒会長・・この声は更識。あぁ、簪ではなく・・楯無の方か。」

『そうよ・・。まったく、どこまで情報を知っているのかしら?聞かせてもらうから。』

そうしてアリーナ内に入って生徒会長に話をして、俺達は生徒会室に招待された。

学園長に会うのかと思ったが今日は出張中で、今、緊急で戻ってきている途中らしい。

「所で・・聞きたいことがあるのだけど、いいかしら?」

「なんだ?お前が生徒会長と知っていたことか?」

「それも気にはなるし、妹・・簪ちゃんのこともだけど・・それ以上に今すぐ聞かなくちゃいけないことが一件あるわ。」

ふむ・・気が付いたようだが、俺は知らんふりをしておこうか。相手の性格を見るためにもなるし・・どの程度、女尊男卑に染まっているかもわかる。それによって世界の危険度も把握できるしな。生徒会長すら染まっているなら俺はひきこもるだろうな。

「なんだ?何か問題があったか?」

「あなた‥気が付いて言ってるんじゃないの?」

「何のことだ?わかるように言ってくれ。」

「・・まぁ、いいわ。それにしても上空で拾った音声から女性がいると思ったのだけど、三人しかいないのかしら?誰かからの通信?」

「何のことだ?俺達はアリーナに三人で降ってきたぞ?」

「それもおかしいのだけどね。」

そう、俺達とは俺の他に【アナザーイチカ】と織斑一夏の『三人』だった。

「そもそも俺たちはこの世界に飛ばされてきたんだからもう少し、疑うとか慎重に扱うとかないのか?普通にお茶と茶菓子が出てきているが、・・ずず・・ふぅ。」

俺は目の前の茶に手を伸ばして、茶と湯飲み自体を錬金術の鑑定で成分の確認して毒物が検出されないことを見てから口に含んだ。鼻から空気を入れて風味をしっかり味わってから飲む。うまみと甘み、それから渋みと苦みがそこそこいいバランスだった。

「・・おそらくは、あなたが特別な存在と言うことだと思うんだけど?」

「知らんな。」

俺は肩をすくめる動作でしらを切る。

「そうですか・・。」

そう言ってため息をつかれる。まぁ、そんなもんだろう。

他の二人はそんな俺を見て驚いていたが、この世界に来てからさらにアップデートされて錬金術の精度が上がり、毒物の検出法はわかるようになった今は怖い事は無い。できることなら前の世界でアップデートをしてほしかったとは思うが・・。

「ふん・・、まぁまぁだな。」

そう言ってもう一度茶を口に含んだ。

それと共に俺はアキレウスを通して、キャロル達に『仮面ライダー』という物を調べさせる。

アップデート共に少しの知識はあるが、詳しい情報がないかこの世界内を調べさせる。

ISネットワーク上に情報が転がっていればいいのだが。

この三人はいったい何者なのか、そう私【更織楯無】は考える。

目の前で一人だけ優雅にお茶を楽しむ余裕があるこの男、それからあと二人もそっくりで全員が同じ名前を持っているというよくわからない状況。

いったい何があってこんなことになったのか分からない。

突如、空が光ったかと思ったらアリーナ周辺に異常なエネルギー反応があると警報が出て、それの対応に向かうとそこには三人の男子。

しかもなぜかこの学園の制服を男子学生用にしたような服を着ている。

一番おかしいのは目の前の少年、『イチカ・ダインスレイフ』くん。

自称で錬金術師と名乗っているし、さっきもいきなり空中によくわからない文字や光が現れたし、・・本当におとぎ話やファンタジーの錬金術師ってやつなの?

並行世界から来たとか言ってたし・・、まだどうなるかもわからない状況で余裕にお茶を飲むほどの気軽さ・・ありえない。

それからあと二人、『織斑一夏』くんと『アナザーイチカ』くん。この二人もおかしい。

【織斑先生には弟はいても、『一夏』と言う名前ではない。】

故に、さっきの話を信じるとしたらの仮定なら、この人たちも他の並行世界同士での同一人物で、何かしらの原因でここに集められたというのが正しいのかもしれない。

今はどうにもできないが、話を聞いておくだけでもした方がいいだろう。

「そっちの・・アナザーくん?だっけ。君はこの二人と同じように織斑一夏君と言う事かな?」

「あぁ?オレは違う。正確には『違った』というべきなのかもしれないが、もとはウィルスの一種であるバグスターと言われる存在だ。【クロノス】・・実際の俺の世界の織斑一夏だった奴だが、そいつが俺を取り込んで体をつけて再構成してオレと言う人間に作り替えたんだ。さっき言ったが、『クロノス』と言うのが正確には俺の世界の織斑一夏だ。昔に姉である織斑千冬に捨てられて、死にかけたところから体を改造し、ドイツで強化した際に遺伝子もいじったそうだ。それでも残っていた織斑一夏の遺伝子や体の生態構成物を受け取った。今の体はその時に造られた体だ。」

「一緒に言っておくが、俺は普通に織斑一夏だ。並行世界の織斑千冬の弟で相棒のパラドと一緒に世界を回っていた。・・そもそも、俺はもう大人だったんだがなぜか若返っているんだ。年は二十五だったはずなんだがな。これもどうしてかはわからん。と言うことで、他の二人と違って俺は普通だから。」

一人は全く普通の人間がいて少しほっとした。一方でアナザー君は訳が分からない。

情報をまとめて通信しようと思ったけど、こんがらがってまともな情報に思えなくなってきた。

「自称、錬金術師と、コンピューターウィルスと、正義の味方とでも言っておけ。」

ダインスレイフ君がそう目をつむったまま言う。

「正義の味方?・・どういう事?」

「そこの一般庶民を気取っている織斑一夏は、ISに並ぶ装備を有していた。それを仮面ライダーと言う。正義の味方として怪物と戦って人を守っていたんだ。何故俺が知っているかと言えば、今さっき、地球の記憶の図書館、世界のアーカイブに潜って探ってきた。目を閉じてお茶を飲んでいたが、その間にすることはしていたぞ?俺からしても謎に人物だからな。クロノスとやらについては‥、まぁ、面白い事になりそうだから黙っておこう。」

「あなた・・一体それはどういう事?何でもわかるってことなの?」

「キーワードさえあればな。錬金術師の基本は【分解と構成】。世界すらもその構成を一度最小まで分解して再構成すらできる。理解さえすれば、何でもできるものだ。」

そう言って目の前にあった湯飲みを逆さに振る。飲み切ったらしく、中身は何もない。

それをテーブルの上に置いた。逆さに置いたので中は見えない。

「空気中の水分の把握、空間内の物質の掌握、移動、固定、原子分解、分子結合、再度固定、液状化のまま形を固定、分子温度低下、凍結、結晶化、・・できたぞ。」

湯飲みを上げた目の前には、

「・・こ、氷でできた像?」

しかもこの氷像・・、何か構えたポーズで・・て、

「簪ちゃんじゃない!?なんでここまで寸分たがわぬ形で出来るの?!」

何か手にクリスタルのような小さな何かを構えてポーズをとっている私の愛する妹、簪ちゃんだった。

「俺の世界の更識簪だ。なかなか面白い性格してたし、上を目指す方向さえ違えば優秀だった。まったく同じ舞台に立とうとするから無理があるだけで、それぞれにあった方面があるのだよ。」

そう言うと湯飲みをまた上に構える。

「掌握、結合液状化、沸騰、温度低下、・・白湯もこうして思いのままだ。」

何もなかった湯飲みからお湯が湯気を上げていた。

「空気中の水素と酸素を結合して水分子を作り上げてそれを液状化するまで集め、分子を動かせば沸騰、止めれば凍結する。それを思いに操れるのは知っているから。この世界で、世界を解き明かし、それの知識を取り入れた俺を敵に回すのは・・不都合だろうな。」

そう言って湯気が上がる白湯を飲み干した。

彼が言う通りなら、おそらくここにいるメンバーは扱いを間違えるととんでもないことになる。そう考えていると、席に座り直して帽子の位置を直しながらダインスレイフ君がこっちに顔を向ける。

「あぁ、そうだ。ここにいる奴ら全員が男でもIS動かせるから。」

「はぁああああ!?そう言えばそうだった!?面倒ごとが増えたわ!?」

そして、とてつもない爆弾を落とされた。

 

 




ではまた次回。


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融合世界 02 実在証明

どうも、私です。
お久しぶりです。
では、どうぞ。


俺がぶっちゃけた一言で目の前の楯無が凍り付く。

「まぁ、おそらくだがな。俺が思うに『織斑一夏の因子を持つ者はISに乗れる』という世界のルールがあるようでな?・・まぁ、おそらくは俺の上司に当たる神様のやらかしてることだ。俺が願った事ではないが、俺がある意味での一因を持っていることは確かだろう。」

口を閉まらせるために口に茶を含ませて、一口飲む。

「もともとの世界で俺が乗れた理由は、『織斑一夏』だからだ。そして、ここにいるのは織斑一夏をもとに多少は異なっている人物もいるが、その起点としてはやはり織斑一夏がその起源であるだろう。そして、俺の推理が正しければ『IS』のある世界では織斑一夏は基本的にISによって巻き込まれ、その人生をかなり変えられる。それもまた世界のルールだ。俺はそれによってこの世界に混ざってしまったのだろう。」

幾つかの理論を考えた結果として、ソレに帰結する。

「故に、そこの二人もおそらくはISに乗れる。またはそれに準ずるものを扱ることができるはずだな。俺は錬金術を使いつつも神話に残る装備などの名前を持つ装備、『シンフォギア』を持ち、さらにISを持っている。そこの二人はどうだ?」

二人に声をかけるとお互いに見合って頷く。先に口を開いたのは『織斑一夏』の方だ。

「俺は世界を救う正義を掴む、そう誓って友と一緒に『仮面ライダー』をしていた。そして、世界中に怪人があふれだして、どうするべきか対策会議をしていたら空が光り、急にもう一つの地球のようなものが空に見えたと思ったら、全部が真っ白になって・・気が付いたらここにいたんだ。ISというかライダーシステムに同化しているな。個別でも使える。」

次にアナザーが続いて話す。

「オレはその原因の片方だな。オレの世界でも仮面ライダーとISがあった。これは俺のオリジナルがライダーとISを合体させたシステムを作ったから、用途によって使い分けられる。そして、アメリカが独自でISにライダーを取り入れる実験をした。その際に造ったものが【戦国ドライバー】という物だった。それは亜空間を通り異世界と地球をつなぐ『クラック』という物を出すんだ。それの先を『ヘルヘイムの森』という。そこには奇妙な木の実があり、それを戦国ドライバーを装備したものがもぎ取ると装備アイテムとなる。だが、そのクラックは自然に急に表れることがあり、そこへ入り込んだ際に木の実を食すと怪人となってしまう恐ろしい場所だったんだ。クラックを広げないためにその戦国ドライバーの使用を中止するよう訴えたがアメリカはそれを拒否。結果、世界中にクラックが広がり、アメリカが一番初めに消えた。さらに人類は減りだし・・俺のもととなった男、オリジナルの『織斑一夏だった』男が自身を犠牲にして世界を再構成する計画を考えた。俺たちはそれによって、おそらくこの隣の織斑一夏の居る世界とつながったんだ。二つの世界を一つにして、A世界とB世界を合わせた新しいC世界にした。その際に俺以外は存在したから再構成されたようだ。」

肩をすくめてアナザーはとうとうお茶に口をつけた。

「面倒だが、オレも、そいつも、こいつも元は『織斑一夏』というファクターが元になっている。まぁ、俺は作りものだがな・・。もしかするとオレのもとになった、本当に織斑一夏だった男もこの世界のどこかにいるかもしれない。」

自分、俺、隣と指さして言った後で空中で円を描くように指を回す。

「・・そう・・。とりあえずは、一時的にここにいてもらうわ。いろいろと聞きたいことが多すぎるからね。貴方たちのデータを調べてもらった結果が、今私の端末に来たんだけど、・・データ該当者存在なし。やはり、この学園で色々と聞くことになるわね。下手に外部に出すと厄介だから・・隔離させてもらうけどかまわないかしら?」

三人で顔を見合わせる。

「とりあえず住むとこくれりゃ問題ない。」

「テントで生活でも問題ない。」

「そもそも寝る必要がない。俺は錬金術の恩恵で生きているからな。」

伊達にライダーで活動していない織斑一夏と、もともと暗部の生活のようなアナザー、錬金術で人間の生活とは程遠い暮らしの俺。問題は全くない。

「とりあえず・・、校舎から離れてて、海からも少し遠い・・そこの竹林か。あの横辺りを貰えるか?」

窓から見える範囲で指をさす。

「貰えるか‥て、どういう事?」

そう言われて俺は腕を組み当たり前と言う感じで、

「そりゃ住むとこ作るに決まっている。ISとギアの研究施設もかねてある程度の広さの建物作るから、学園長に話しておいてくれ。許可が無ければ海に造ることになるが?・・面倒だろ?この近海に新しい建物が【生える】のは。こう、海上ににょきっとな。」

首をかしげながら言うと、楯無の眉間にしわが寄った。ものすごい怪訝そうな表情だ。

「材料は錬金術で土や竹、梁や柱には俺の使いの一人のロッドを使って作るからかなりの堅牢な建物ができる予定だ。生活用の消耗品だけ貰えればあとは普通に生活できるように整えるから、建設する際にも金も資材も要らない。おかしなことがあればここから見える範囲だからすぐに対応ができる。・・まぁ、プライバシー的な面は保護はさせてもらうがな。しかし騒ぎなどになればすぐに判断できる位置だ。むしろ俺としても結構な譲歩だがな。」

腕を組んでそう言うとさらに首をひねっていた。

「貴方は問題ないというけど・・ほかの二人は?」

「正直、俺の世界だったら、高校生は卒業してたんだが・・勉強する必要はないんだ。と言うことで授業はしないがデータ採取などは協力するということで譲ってくれないか?」

「オレはむしろ暗部よりの仕事メインだ。あんたの下で動くことでどうだ?」

二人も問題なく納得しているようだ。

「「そもそも、帰る場所など無いならしょうがない。」」

・・・仕方なくという感じではあるがな。

「俺は全教科の教師もできる知識がある・・が、ここはIS工学などの教師の方がいいだろう。篠ノ之束並みの知識はあるのでな。正直奴と一緒に教師生活をするのも悪くは無いのだが・・、織斑教諭に伝えてほしい。篠ノ之束も俺と話さないかと言う連絡をしてくれと。異世界人なんて異常なものは気になるだろう?とか言って焚きつけてやれ。好きな妹との学園内での生活だろう?俺は個人的にも強いからな、警護もできるし一緒に隔離すればいい。俺は別に女性に性的行為をする事は無い。後は‥」

そう言って他二人を見ると腕を組んで少し不満げな表情だ。

「オレはそもそも、恋愛などしたことがない。元はコンピュータウィルスに近い存在だったんだ。今は肉体を得たが、あまりそう言う事には興味がない。楽しい事、心が躍るようなことがしたいだけだ。」

そう言っているアナザー。それって免疫がないだけじゃ?

 

「俺は結婚してたが?」

 

「・・・・なんだと?」「なんですと!?」「・・マジか・・。」

三者三様に驚きを隠せない。

「こんなことになってそれでよかったのか?家族がいたんじゃないのか?」

「そうだな・・。話すとするか。」

そう言って織斑一夏はお茶で口を湿らせた。

「俺はこの世界ではどうか知らんが、小学生時代から幼馴染だった鳳鈴音と共に恋愛を通して結婚生活を得た。それから、俺の親友も企業の社長で一緒にライダーとしての活躍をしつつ、お互いの家庭の間ではしっかりと交流があったからな。」

「それが壊れたことについて、何かあるか?もっと怒るところじゃないのか?」

「・・正直さみしいし、思うところはある。だが、まぁ、こちらの世界もおかしくなり始めていた。アナザーと同じことになった可能性は否めない。だから、・・これでよかったのかもしれないと思っている。戦国ドライバーとクラックはこっちでも確認されていた。」

そう言って下を向いて腕を組んだ。自分に言い聞かせているところもあるのだろう。

「なるほど・・ね。・・あ、ちょっと待って、連絡が来たわ。」

そう言って端末に話している。俺はさっきの話を分かりやすくまとめている。

人物の情報や、ここに来る前の世界状況。家庭などの知り合いの有無。それを書類形式にしてまとめて紙に書いていく。

「それじゃ少しこの部屋で待機してもらえるかしら?会議の招集がかかったの。少し上層部と話をしてくるわ。さっきの話も含めて敷地内に建物を作る件もね。」

「なら・・コレを持っていけ。今ここで聞いた話を分かりやすくまとめた。話す際にまとめてある方がわかりやすくていいだろう。優遇してくれると助かる。」

そう言って数枚の書類を渡す。それを楯無はざっと見てこちらを向く。

「貴方、秘書官やらない?」

「面倒だ。さっさと行ってこい。」

生徒会室から追い出して、俺は席に座った。

織斑は考え事を、アナザーはソファで寝っ転がって眠っていた。

俺は生徒会の書類から俺でも問題ないものを処理して、確認と決済をしておけばいいように仕事を始めた。

机の上には二日ぐらいの書類がたまっていたのがさっきから気になっていたので、それを処理した。

 

話が終わって帰ってきた楯無から、会議内容より先に書類整理の感謝の言葉を述べられたのには苦笑いしか浮かばなかった。

 




お忘れの方もいるでしょうが、エターナルの一夏は既婚者です。
まぁ、世界の融合で色々と巻き戻っていますが・・。
では、また次回。


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融合世界 03 実力把握 前

どうも私です。
今回は続けて二話投稿です。
理由は一話が長くなったから切ったので。

では、どうぞ。


それから会議の話をすることになった。

一度、学園長を交えての席を用意するが、俺たちの身元が本当に無いものなのかもう一度確認するということになったらしい。

名前、身体的特徴、血液と口内をぬぐった綿棒を提出した。

その際のデータを見ると少し面白かった。

 

『織斑一夏 職業・仮面ライダーIS操縦者 通常の青年 容姿はかなり優良 』

 

『アナザーイチカ 職業・仮面ライダー 元バグスターウィルス〈本人曰くコンピュータウィルスの類らしい〉 目つきが悪く織斑一夏とよく似た容姿であるものの言動などにやや暴力的な面あり』

 

『イチカ・ダインスレイフ 職業・錬金術師?IS装者【特殊なISでその機能を個人に使用することも可能、部分展開とは別との事】 特徴的な衣装を纏っているがその容姿は織斑一夏と酷似している。 前記二者とも似ていても、言動が落ち着いており代表としての立場としての扱いが一番好ましい。 また、なぞが多く扱いには慎重かつ丁寧な対応が望まれる。』

 

「かなり内容に偏りがあるのは何故だ?」

「ちょっと!?提出用なんだから勝手に見ないでよ!というか、それは学園長や要人に提出用なんだからしょうがないじゃない。一番協力的なのはあなたなんだし。」

「・・ふむ、それは仕方ないだろう。俺はこういう役目はなれている。」

そう言って書類を楯無に返す。そして、見た内容を二人に伝える。

「あ、俺は付け加えるなら、織斑一夏の欄には元は二十を超えていたことや、結婚歴ありと書いておいてほしいところだな。あと、・・俺は専用機を所持している。」

「オレは元は殺しもやっていたことを書いてもいいぜ?この世界じゃ無罪だが、邪魔するならぶっ飛ばす。ISで来た場合、心を躍らせてくれるならいくらでも楽しんで相手してやるしな。」

そう言って二人は手に物を取り出す。内ポケットから【E】と書かれた白いUSBメモリのようなものを取り出す織斑と、丸い部分が付いた黒いものを取り出すアナザー。

「ふむ・・それを明かすなら俺も・・この首についているチョーカーが俺の専用機、ISと聖遺物【シンフォギア】、ファウストローブ・スペルキャスター、と言われるものを使う俺にしか使えないものだ。提出はしない。危険視されても絶対にな。」

全員がそれぞれの持つ物を収める。俺の場合は普通に指を離しただけだが。

「はぁ・・、どうしようかしら・・力ずくで取り上げると言ったら?」

全員が構えるようにして一気に空気が重くなる。

「この学園どころか、世界を相手にしてやろう。」

「世界を相手か・・。いいじゃないか、心が躍るな。」

「俺の相棒を奪うというなら、誰であろうと王の力の前にひれ伏せる。」

そう言って全員から殺気のようなものがあふれる。

「ちょ!?じょ、冗談よ!?そんな怖い顔しないで!お姉さんだって怖いわよ?」

そう言う楯無に、

「自分で『お姉さん』とか、あまりそう言うのは痛い感じです。」

「そろそろ妹離れしてしっかりとした女として自立するべきだよな。性格的に簪がかわいそうだし。」

「もう少し根性出してもらわないと・・暗部の長なんだし。」

三者三様で冷めた目で見る。

「さらに駄目だしするんじゃないわよ!?泣くわよ!?」

「「「泣けば?」」」

「ひどい!?」

 

それから学園長と対面する時が来た。

「どうも、私がこの学校の学園長。轡木十蔵です。」

「異世界の人物なら知ってる。よろしく。」

「そうか。よろしく。」

「・・・・こいつらは‥。こほん、私は『イチカ・ダインスレイフ』といいます。異世界でもISを使っていました。ここから言うなら並行世界ですね。そこで作った専用機を持っています。この二人も私とは違う並行世界の出身です。何らかの事故でまきこまれたか、あるいは迷い込んだという形ですね。私は神と自称する上位存在の使いです。並行世界に干渉できるのでおそらくはここへは状況をまとめる役目で送られたのだと思います。この二人も専用機を持っていますがそちらは提出は致しません。取り上げようとするなら抵抗もします。しかし、もし、こちらの安全を約束していただけるならデータ取りくらいには協力いたします。」

そう言うと轡木は腕を組んでこちらを見る。

「俺は戦うくらいならするぜ?エターナルは相棒だから取り上げようとしたら、襲ってきたISのコアは無事に済むと思わないことだ。」

「オレは楽しいなら何でもするぞ。心が躍るならいいねぇ。」

手を上げた織斑と手を鳴らしながらそう言うアナザー。面倒だからお前ら黙って座ってろ。

「・・何かあるときはダインスレイフ君を通してお話いたしますね?」

「それが一番いいでしょうね。」

お互いに何か諦めたような顔でそう言いあった。

「それでは、検査の結果ですが同一人物はこの世界で管理する機関には存在しませんでした。ただ、親戚としての類似した遺伝子は存在しました。」

「織斑千冬氏とそのご親族ですね。」

「その通り。まぁ、織斑一夏さんとアナザーさんだけでしたが。」

「オレは元はウィルスだったけど、俺の世界のクロノスを構成していたのは『織斑一夏』という存在だった。オレはそのクロノスが消える前に織斑一夏だったその因子を植え付けられたからな。クロノスは自身の中の根本にある存在さえ俺に分けたわけだ。笑えないなぁ。ほんと・・心が寒くなる・・。」

「私は何回も生まれなおしていますからね。錬金術のホムンクルスの製造で元の遺伝子から少しずつズレてきているのかもしれないですね。まぁ、別に問題はないのですが。」

 

 

そして、世界への通知をする時が来る。

この世界で起きた異変はさらに大きな波紋を広げることとなる。

一つの波は広がり、ぶつかってさらにほかの波と重なる。

重なった波は大きな津波のように衝撃をもたらすこととなる。

 

『それではそれぞれの力を見せてもらいましょう。本当に男がISを動かせると言うのならそれくらいは軽いのでしょうね?』

目の前に【ターゲット】として、『量産型IS専用【テストパイロット】』を俺たちの人数分現れた。

ふむ、・・俺たちにその程度か・・。

「なめられているようだな。」

「いいぜ、心が躍るようにこっちも手加減してやるよ。」

二人は手にベルトを持つ。それは二人の通常装備ではない装備。

『シグナルドライバー』『スクラッシュドライバー』

「・・舐めプレイにはこちらも舐めプか・・。俺は通常で行くかな。」

宝石を取り出さずに空間からスペルキャスター銃を取り出す。

織斑は白いバイクをベルトに差し込む。

「さぁ・・イッツショータイム!・・レッツ変身!」

『シグナルバイク!ライダー・・マッハ!』

アナザーは人差し指と親指を銃に見立てて構え、手のひらを手前にしつつ人差し指を上にして逆の手に黄色のボトルを構え、それを差し込む。

「心火を燃やして、ぶっ潰す!!・・変身!」

『ロボットジェリー!・・潰れる!流れる!溢れ出る!!ロボットイングリス!ブラァ!!』

ISと仮面ライダーが組み合わさった装備、『アーマードISライダーシステム』。

もとの名は違うが共通の認識としてそう言う名前を使うことにした。

「俺はライダーではないが、シンフォギアとISの組み合わせのインフィニット・シンフォギア・システム、通称ISGシステムの機体だ。今回は錬金術者式だがな。」

ファウストローブ銃でIS状態なので各部がかなり鎧に近い。それでいて各関節部には銃口が仕込んであるのだからなかなかにいやらしい形だろう。

先ずは織斑が前にでる。相手は通常の兵装の量産機打鉄。

アリーナの中央でお互いに見合う。

「追走、撲滅!いずれも‥マッハァ!!」

ポーズを決めている。正直なんといえばいいのかわからんが・・。

『そ、それでは・・一人目は織斑一夏。初め!』

「イヤッフゥ!!」

そう叫びながらもいきなり走り出してすごい速度で突っ込む。走ってんのにめちゃくちゃ早い。いや、速いと言った方が正しい。

そのまま近くに突っ込んで蹴り上げる。背中に手を回して武器を取り出して構える。

『ゼンリンシューター!』

それで打ちまくる・・って、射撃武器があるなら使えよ!?

しかもそれの前輪部分で殴り、蹴り、相手が武器を構えるとその武器を打って弾く。

少し離れた状態で相手が銃を構えた。それに合わせて織斑は腰のベルトのバイクを入れ替える。打たれるとともに収めて上部のボタンを押した。

『シグナルバイク!シグナルコウカーン!マガール!!』

すると目の前に自動車標識のカーブした一方通行の標識が出る。その通りに銃弾は曲がっていく。何度打っても同じようになる。

相手が怯むと即座にバイクを入れ替えて銃を構えた。

『シグナルバイク!シグナルコウカーン!カクサーン!』

今度は他方に分かれた標識が現れたと思ったら、その標識に一発撃つと銃弾が大量に分散して飛ぶ。大量の銃弾に当たり、SEがかなり削られた。

「さぁ、フィナーレと行くぜ!」

『シグナルバイク!ライダー・・マッハ!』

銃を投げて格納すると、上部のボタンを押して加速する。かなりの速度ををつけて走って飛び上がる。一度バイクを収めたスロットを上げてボタンを押す。

『ヒッサツ、フルスロットル!!マッハ!!』

「イヤッ、ハァアア!!」

足に焔のようなものを纏わせて蹴り、そのまま行き過ぎる。

「ぐ・・きゃあぁあああああああ!?」

紫電が走り、ISが吹っ飛んで壁にぶち当たる。各部から蒸気のようなものが上がる。

『打鉄SEゼロ。勝者、織斑一夏。』

「ふぅ・・。」

ベルトからバイクを抜いて閉める。

『オツカーレ。』

音声がして変身が解けた。

「まぁ・・こんなもんか。」

「おい、手加減はどうした?」

俺がそう言うと織斑は、

「へ?してるじゃん。相棒のエターナル出してないし。出したら・・ここらの汎用機とかのIS全部止まるよ?」

「・・わかった、了解。お前らの手加減はもっと優しくしてやれ。俺が言えることはそれだけだ。」

どうやら手加減の常識も違うようだ。

 

俺はまだショートしているISに近づいて中の人を助ける。どうやら完全にシステムがいかれてるようでさっきからパニックになっていた。

「ひぃ!?どうして・・うぐ・・痛い・・なんで!?ISは完ぺきなはずじゃ・・。」

「それが完璧なら神はいらないんだ。少し手荒にするから動くなよ?」

打鉄の中央に手を差し込み装着時のハッチを開き、操縦者を引っ張り上げる。

「は、はぇ?・・その・・」

「代表者だ。こちらの一人が手荒なことをした。申し訳ない。しっかりと言い聞かせておく故このまま手当の場所に連れて行って問題はないな?」

「は・・はい・・、ありがとう・・ございますぅ・・。」

「礼はいらん。」

そう言って両手で抱えて医療班のところへ連れて行った。

顔が赤いが、痛みを耐えていたのか?どこかひどい怪我がなければいいのだが・・。

 



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融合世界 04 実力把握 後

『で、では・・次の男、出てきなさい!』

少しどもっているのは何故だ?女尊男卑の奴らなのか?

だとすると面倒だな。

「それじゃ、次はオレが行くぜ!」

黄色と黒のボディに赤い目。完全にメカメカしい見た目の機体。

仮面ライダーグリスとISが混ざった結果らしい。

とてつもなくロボットらしい。

なのに装備がナックル一つとはどういうことか。

手に杭のついたナックルをもって中央に進む。

「貴方が相手なのかしら?なんというか・・ずいぶんと古臭い見た目ね。」

「あぁ・・いいぜ、その挑発乗ってやる。その方が面白そうだ。心が躍る、心火を燃やしてぶっ潰す!!」

そう言って手を打ち鳴らす。

『ガッシャン!!』ととてつもなく痛そうな音が響く。殴られたくねぇな。

「さぁ、・・行くぜ!」

相手はデュノア社製のラファール・リヴァイブらしい。

大量の銃を積んでいるらしく、中距離で打ちまくり、距離を詰められないようにしている。

「ははは!その程度か!マキの乱射より怖くないし、レナの射撃よりも気迫がねぇよ!!」

そう言って飛んでくる弾丸を拳で打ち落としたりナックルで打ち上げる。

銃弾を打ってから見て余裕でしたってか?馬鹿じゃねぇのか?

そのまま距離を詰めて進んでいく。どうにか逃げようと方向を変えているのもナックルの横を回すと銃口になり、ビームのようなものが出てソレで逃げる方向を制限されている。

「捕まえたぞ!おらぁ!!」

とうとう追い詰められた。その拳が機体の胴体ではなく顔のあたりを狙って振り下ろされる。

「行くぞぉ・・!【マキ直伝コンボ】だ!! 友情!根性!激情!」

「ひぃ!?きゃぁ!?ちょっと!?待って!?いやぁ!?」

『ガンガン、ガギャン、ドガン!』

と音がしているのは相手を抑えつける状態になってナックルモードで殴り続けているからだ。いや、相手はもう戦意喪失してるだろアレ・・。ベルトのレンチのような部分を下げる。

「最後だ!覚悟キメロヤ、ゴラァ!!」

『スクラップフィニッシュ!』

肩の部分からロケットのようにエネルギーが噴射されて、加速してそのまま蹴りを放つ。

「はぁあああ・・ウラァアアアア!!」

「うぅ・・はっ!?ぎゃぁああああ!?」

なんとか立ち上がった状態で頭を振って商機を取り戻していた途中だったために腹部に完全に決まった。

『ラファール・リヴァイブSEゼロ。勝者、アナザーイチカ。』

 

「イエーイ!!オレの勝ちだ!」

「いや、オーバーキルだっつってんだろ!!」

そう言って俺はアナザーの腹を思いっきり殴る。

「ぐっはぁ!?」

「この阿呆どもがぁ!!」

下がった顎をぶっ飛ばしてアッパー。さらに開いたボディに蹴りを入れて俺たちの控室側の壁までぶっ飛ばす。この時の俺は変身を解いていた。明らかに相手がかわいそうだからもう少し手加減しようと思ってだ。こっちも真剣にやろうとしたが、明らかにこっちの馬鹿どもがやりすぎだからだ。

「はぁ・・また行ってくるか。」

壁に叩きつけられて気絶しているパイロットを助ける為に近づく。俺は錬金術の風で作った術式陣に乗ってISの上部に飛んでへこんだ装甲を開くために手にナックルのキャスターを装備してこじ開けて引き出す。完全に気絶している上、目じりに涙が見えるのでガチ泣きだなこれ。とさらに説教要素が増えたことにため息をつく。

そして、また医療班に連れていく。

「ご苦労様です。ありがとうございます。」

声をかけられてしかもなんか可哀そうな者を見る目で見られた。

ホントこいつらの責任者やめてぇ・・。

頭を振ってため息をつく。

だが、次は俺の順番なので会場に戻る。

 

『これ以上の機体は無いのでこれで終わりになります。』

 

「なんじゃそりゃぁ!!!?」

聞いてみると本来なら壊れるはずがない・・壊れても簡易的な修理で済むはずだったのに完全なオーバーホールなので準備した二機が使えないという状況だと説明。

三機用意しておけよ。どちらかでパイロットが疲弊してもいいように三人連れてきたらしい。そして、そう簡単には即座に機体を準備できないらしい。

IS学園から借りてこいや・・。そう言いたくもなる。

「貴方たちが非常識なのよ!」

「俺も含めるんじゃねぇ!!俺はあそこまで馬鹿じゃねえよ!それなりにやるつもりだ!」

そう叫んでから頭を振る。いかんいかん、頭に血が上ってる。冷静になろう。

「もう、生徒会長でもいいから相手するか?」

「こんな非常識な戦力相手はごめんだわ。いくら最強だと言っても、学内だけで世界にはまだまだ強者要るし・・。」

自称学園生徒最強のくせに逃げやがった。

「大体の装備だけ見せてもらえるかしら?装備していた機体でいいわ。」

スペルキャスター銃を取り出して装備、ISファウストローブを纏い構える。

「騎士・・と言った感じかしら?」

『では、目の前のターゲット『的』攻撃をしてください。』

あ、放送の女性も高圧的でなくなった。ビビったか?

とりあえず手の銃を構えて打つ。

「あら、普通ね?」

それから右肘、左手首、肩、右足、左足、頭の両飾り、と隠してある銃口を使って体をくるくる回して打つ。両手で逆立ちして、体を曲げた状態で両足と髪飾りの銃で連射。

アクロバットにくるくると回りながらも全弾命中させる。

そして肩からクリスタルを出して銃に装填して撃つと青い炎の狼になる。

それがほぼ全部のターゲットを壊し、上空から銃を変形させて剣状態で切り落とし、薙ぎ、切り上げて空中で銃と足から射撃する。

そして、着地して一礼。

「これでいいか?何か感想は?」

「全身武器とか怖すぎる。」

完全に引いている顔だった。何故だ。

 

それから俺たちの情報を世界中に開示。

IS委員会からも学園内での生活と共に男性特有の何かがあるのか見てみると言う事に。

いや、だから俺たちは例外だっつってんじゃねぇか。

話聞かねえ奴らばっかかよ。

学園長からはそう言う事で内外に話をしないと男がIS学園内にいることで色々と言われるらしい。

・・面倒くさいな。

だが、そう言う話ならしょうがない。面倒だろうとそれならそう言う大筋を通さないと話がこじれるから、いわゆる【そう言う事にしたので】というやつだ。

 

そして俺たちはIS学園敷地内に独自の生活空間用の地帯をもらった。

これは、女子生徒に何か起きたときに勝手な理由で俺達を疑うのを避けるためというのと、俺達を快く思わない人物が何かしらをすることを避けるためだ。

許可なく指定された敷地内に入ると警報が鳴り、さらに近づくと攻撃によって捕獲または撃退が許可されている。

ただし、殺すことは認められていないので無効化する程度がほとんどだ。

これには例外があり、相手がISだった場合はその限りではない。と言った規約まで話し合いをした。

これが認められたことで俺たちの生活地域は確保されたわけだ。

そして、一時的な寝室としてプレハブ小屋を作った。錬金術である程度の材料をもらって簡易的な施設を作った。それから、下水工事と地域を分けた塀を作った。

木と竹を使用した壁と目隠しはなかなかいい見た目だ。純和風なのはただの趣味だ。

それからの工程はキャロルと他の四人によって地域内に大型の施設が作られていく。

これが男子学生寮となる。

織斑とアナザーが期待しているのでかなり大掛かりな工事になる。

基本的には構造的には少し規模を小さくしたチフォージュ・シャトーを思った。

俺に何かあった場合に備えて、いつも通りのクローン技術をつけておくようにした。

さらに中心には玉座と四人分の台座、キャロルの複座を用意して何かあった場合にそこでのエネルギー補充をして動けるようにした。

基本的に俺の記憶の燃焼をエネルギーにしていたが、この世界での勘定の振れ幅が大きなため、感情の燃焼を使うようにした。

織斑、アナザーが居るためにさらに大きな感情の振れ幅があるだろう。

うれしくないことだが。

そう言う事で・・IS学園での生活がスタートする・・はずだった。

 

「みんな、コレを見て!」

そう言って生徒会調質で俺は仕事、アナザーは会計処理、織斑は掃除をした後お茶を入れていた。

『世界でISを操縦できる男性が発見されました!場所はドイツ、大手老舗時計会社の社長の息子さん、次期社長候補である青年だそうです!このことからIS委員会はIS学園で保護しその動かせた理由を解明するため、いろいろと実験に協力してもらう話となった模様です!!』

 

「「「・・は?」」」

 




最後に出てきてのはいったいどんな存在なのか。
次回、融合世界『I・E・G・R』05 君の名前は? 
また見て 『ジオーウ』・・。

ではまた次回。


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融合世界 05 君の名は?

どうも、私です。
急に寒くなり、風邪をひきました。
台風の影響を受けた皆さま、どうかお気を付けください。


「彼が『世界で本当に一番初めに発見された男性操縦者』です。」

そう言われて頭を下げる男子生徒。

メガネをかけているのだが、髪が長めで目元まである。

きれいな金色の髪で眼鏡の奥にある目はアクアマリンのような透き通る水色の瞳をしていた。

「初めまして、僕は『クロノス・オウマ・ジオウ』です。まぁ、面倒なのでクロノスとかジオウ・・日本名ならオウマの方がいいのかな?好きに縮めて呼んでくれると楽だな。」

「なんだと!?」

そう叫んでアナザーが立ち上がる。

「く、クロノス・・だと!?その顔をよく見せてくれ!!」

そう言って近づこうとすると、その前に三人の人影が現れる。

一人は剣を構え、一人は杖を構える。一番後ろにいる人はクロノスの前で拳を構えている。

「・・護衛、ツヴァイ・・『月詠【ツクヨミ】』。」

「同じく護衛、アインの『暁【アカツキ】』デス!」

「・・ドライ・・響【ヒビキ】。」

三人の女性はスーツを着ている。

「えっと、僕は一応【ジオウ・コーポレーション】って、時計の大手企業の社長の息子だから・・、こうして護衛がいるんだ。既に一回、誘拐未遂があってね?気が立ってて・・みんな驚かせてごめんね。あと・・、あまり顔を見られるの慣れてなくて隠していたんだけど・・がんばる。うん、こうして髪を上げればいいのかな?」

そう言って髪を上げた顔を見てアナザーは目を見張る。

「・・あ、あぁ。こちらこそすまない。はたから見てオレの知り合いに似てて、クロノスって名前だから・・。オレはそいつに返しきれない恩があったから・・。」

「そうなの・・。ごめんね、紛らわしい事で。大事な人なんだね?」

手を離すとはらりと髪が元に戻る。その目元は優しい微笑みをしていた。

「いや、お前は悪くない。うん・・、オレも過去にこだわってばかりじゃいけないな。」

二人が離れると護衛の三人も下がる。と言うか‥ドライ・・響・・か。

「俺も質問だ。ドライの響さん、少しマフラーを下げて顔を見せてもらえるか?」

「・・?どうしますか?」

「君が嫌じゃなければ好きにしていいよ。」

「・・わかりました。・・では、こうでいい?」

そう言ってマフラーを下げた顔を見て確信する。

「なるほど。・・日本人?」

「いや、ハーフ。響・カデンツァナ・立花。元、国連所属で、先ほどの誘拐事件の際に警護として参加、敵対象を撃退し、その腕を買われて【ジオウ・コーポレーション】に所属することに。現在はクロノス様の護衛を担当。」

「なるほど・・。いや、すまない。手間取らせたな。こちらも俺の顔も名前も知り合いに似ていたのでな。昔、同じようにマフラーをしていた存在がいてさ、独りぼっちだったんだが、一人はさみしいって叫んでいたからさ・・君は一人じゃないんだな?」

「クロノス様と暁、月詠が居る。一人じゃない。」

「そうか・・。よかったな、【太陽】と言う温かい日向に、【月】と言う優しい光、一緒にいられる【時間】がある。」

「・・今の私はとても幸せだ。」

「それはよかった。最後に見たときには大事な人と共に出会えたんだ。あの子もきっと幸せなんだと思える。こちらもうれしいよ。君を見て安心した。」

「・・そう。なら・・よかった。でも・・」

そう言って俺をじっと見つめる。

「貴方を見たことがある気がする・・。何故?」

「さぁな?・・きっとどこかで会っているのかもしれないぜ?俺はいろんなところに行ったし、見てきたからな。だが、こんな格好だから別の誰かかもしれないが・・。」

「まぁ、重要でもないようだし・・。いい。」

織斑が話に入るように立ち上がる。

「あー・・オウマ?ジオウ?どう呼べばいい?」

「えっと、・・クロノスでいいよ?数少ない男子だし。仲良くしたいんだ。」

えへへ・・。と笑うクロノスにこっちも笑ってしまう。

「これでも、俺は強いからな。太陽や月、響の居ない時は俺が代わりに護衛してやろうか?」

「オレも手伝うぜ?」

そう言うとクラスの女子が笑いだす。

「男が女より強いって!?」

「それどれくらい前の話なの!?」

「あはは・・本気?」

「おとぎ話かファンタジーの読みすぎじゃない?」

そう言われて俺は顎に手を当てる。

「ふむ・・力の差か・・。」

コートと帽子を錬金術の術式から取り出して身にまとう。

「なんだったら・・ファンタジーな力でその凝り固まった常識をぶっ飛ばしてやろうか?」

そう言って指を鳴らす。

地面に五個の錬金術の陣が書かれて、そこから五人出てくる。

ミカ、ガリィ、ファラ、レイア、キャロルがそれぞれの色の錬金術陣から現れる。

「きゃぁ!?」

「ひ、人がどこから!?」

「光の中から人が出てきた!?」

「し、侵入者!?」

騒ぎになるが俺の前で五人は膝をつく。

「こいつらは俺の付き人で俺の世話をしている。俺は錬金術師。呪われた名を持ちその運命によって生かされてきた男【イチカ・ダインスレイフ】だ。」

そう言って帽子を押さえて指を鳴らすと、目の前に火で形作られた鳥が生まれる。それを手袋をはめた指に乗せる。

「錬金術とは魔法ではなく、等価交換によって生まれる結果だ。今、この鳥は俺の記憶の燃やしたい記憶をもとにエネルギーを変換して作られた。」

その鳥を上に放すと、鳥は弾けて消えて代わりに赤い羽をふわふわと下す。

「故に力という物を自覚している俺は強い。つまりすべて事実に基づいた結果だ。」

そう言って手を上げると五人は足元にワープジェムを投げて、その場から消えた。

学園の敷地内に男子寮を作る話で途中に呼んだから、その作業に戻ったのだ。

「と言う事で・・そちらの護衛さんは俺に向けた武器は降ろしていただけないかな?」

そう言って苦笑い。

三人が俺に向けて武器を向けていたからだ。

「これからもこういうことはあると思うので慣れてほしいなぁ・・て、ダメか?」

「僕としては仲良くしたいんだけど・・まぁ、もう少し時間をおいてからの方がいいかと思うな。三人ともなるべくなれる方向でね?」

「「「了解しました。努力はいたします。」」」

「・・あはは・・。うん、ごめん。」

そう言って弱気な笑いを向けられた。しょうがないか。

未知の人物だし、驚異としての認識は仕方ないだろう。

「まぁ・・俺としてもそちらのクロノスとはいろいろと話してみたいものだが・・、無理強いはしないし、俺もやる事多いしな・・。」

そう言って空を遠い目で見上げる。

 

生徒会の仕事、学園と男子生徒の扱いの話し合い、IS委員会に対する抑え、外部の観察、男子寮の製作、それにおける生活必需品の計算、ETCETC・・。

「・・なんで俺ってこういった役回りなんだろうな・・。」

「マスターはぁ、そう言う星のもとに生まれているのだとぉ・・ガリィは思いますけど?」

「いいからお前は向こうへ行け。」

ガリィがなぜか帰ってきてからかってきた。

俺はそれを飼い犬を追い払うような扱いする。

「あはは・・苦労してるみたいだね・・。」

「したいわけじゃないんだがなぁ・・。まぁ、そう言う事で何か相談があれば受けるから・・。そう言えば一応俺たちは男子寮を制作してるが・・お前さんはどこに住むことに?」

「この子たちが護衛と言う事で学生寮の一室を・・。正確に言うと二部屋をぶち抜いた改装を依頼中。親が無理行ったようで申し訳ない。」

「そりゃそちらさんもご苦労なことで・・。」

「「はぁ・・。」」

お互いにため息をついた。そう言う関係になりそうだ。

どういう関係かって?どちらも面倒を受ける側と言う事だよ。

 

 




では、また次回。


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融合世界 06 苦労人

どうも、私です。
最近寒くなってきて、炬燵が恋しいです。
地元も急に冷えてストーブを出したりしているようです。
皆さんも、火事には気を付けてください。


そして、男子寮完成。

錬金術の応用とスコアラーたちの力で作るなら、そもそも材料さえあれば問題ないのだ。

「・・おい、明らかにデカくないか?これ一日で作ったのか?」

「時間経過の術式と補強の術式で作ったから、コンクリートさえ固まるのに時間を必要としない。それに、各設備の燃料はソーラーからの蓄電と外の海の海流を利用した水力発電。さらに海風を使う風力発電も込みだからな、まったく問題はない。」

「うわぁ・・、まるで老舗旅館みたいな外装じゃんか。竹藪の庭とかいる?」

「当然だな。衝立で目隠しをしなければ絶対に監視がある。故にそれで狭く感じる空間の利用だ。まずは設備の説明をしよう。中に入るぞ。」

そうして中に入り、建物内の地図を見る。

「入り口に館内通路や部屋の配置を看板で出すとか・・マジ旅館か?」

「おい、あそこ見ろ。内風呂と大浴場、露天と家族風呂まで書いてあるぞ!?」

「俺の知る限りは・・露天は知らんな?どういうことだ?それは覗きが出るんじゃないか?」

そう言って俺はスコアラーの方を見る。一歩前に出たのはキャロルだ。

「そこはオレが考えた。上空からは特殊ミラーで見えないが内側からは見える。ただのマジックミラーではなくて、錬金術式もあるから上空からは見えない。海の音は聞こえるが。衝立で外からは見えない仕様だ。空は見えるが高い位置でのガラスがあると言う事で正確には完全な露天風呂ではないが、十分にその雰囲気は楽しめるはずだ。打たせ湯に電気風呂、ジャグジーに薬湯まで用意したし、サウナと水風呂も完備している。これらはすべて完璧に管理してあるのでくつろいでくれ。」

「・・お前・・そこまでこだわる派だったか?」

「自分で一からやるならとことんまでする。」

「・・はぁ、そうか。」

俺は予想していた以上にキャロルの性格を勘違いしていたようだ。こんなことになるとは全く思わなかった。

「と言う事で、とりあえず部屋は好きに使ってくれ。明日からはここの看板に部屋の記載をするから、自己申告してくれ。」

「キャロル、何故おまえが仕切る!?」

「ここの指揮者はオレだ!ならば支配人として当然だ!」

「誰が支配人だボケェ!?いつからそんなことになった!?」

「作った時からだ!」

「がぁあああ!?なんでこんな性格になってんだよ!?愉快犯ではあっても実直なお前はどこに行った!?」

「そんな物、システム上の仕事に決まっている。」

「・・・。」

もうあきらめた。

そして、この男子寮の入り口には認証システムがあり、普通からキャロルが監視しておくそうだ。支配人としての義務だと言ってきかない。・・もう好きにしろ。

それから俺たちはそれぞれの部屋を選んでそこに名前を書いた。俺は入り口に近い部屋。アナザーは最も遠い部屋で、織斑はその真ん中だ。

「何でお前らこんなにスカスカなのに部屋をそんな配置に取る?」

「有効に使いたいからだろ。」

「面倒ごとになった際に一番被害がない場所だから。」

 

とりあえずは部屋でくつろいで風呂にも入り、一日を終える。

布団と畳は言っておけば干したりシーツを交換してくれるらしい。

俺は女将を雇った覚えなどは無い。

こんなことになったと学園長と生徒会長に報告すると、

「貴方たちが卒業したら来賓を受ける迎賓館にしましょうか?」

「お願いだから露天風呂とか使わせてもらえないかしら?入浴料とかお金は払うわよ?」

と言う事で受け入れられる。俺がおかしいのか?

正直、周りの当たり前のような態度に自信が無くなってきた。

 

憂さ晴らしに錬金術のバイクで大海原を滑走する。

途中でサメがいたが銛で一突き。バイクの後部に乗せて学園島に戻る。

海端で巨大なマグロ包丁を使いサメを解体する。

新鮮な身を刺身と湯引きにして、一人で食べる。

気が付いたミカが近くに来て食べてみたいというので二人で食い尽くした。

残りは身ではないのでよく細かく砕いて錬金術で栄養にして地面に埋めた。

後からミカだけずるいと言われたが、俺は知るかと放っておいた。

最近の俺は心がすさんできているようだ。

 

それから生徒会の仕事に授業、教師たちから生徒との距離感を相談されたりIS委員会からの依頼を断ったり、質問に答えたりといろいろとしていく。

「なんで俺だけなんだよ!?」

キレた。

俺はとうとうキレた。

耐えたと思う。

かなり頑張ったと思う。

それでも、もう俺ばかりに負担がかかる事でストレスが募るばかりだ。

発散してもすぐにたまるのでどうにかしないと八つ当たりでいろいろと問題を犯しそうだ。

どうにか理性で抑えてるが・・織斑もアナザーも手伝おうとも言わない。むしろ逃げている分俺の方に回ってきている。

アイツらに切れていいよな?

 

そう言いながらも俺は各所に回ることにした。

先ずはIS委員会のお偉方についてだ。

「先ずは挨拶を・・。IS委員会代表でもある会長の【トーマス・エンブリオ】だ。出身はアメリカだが、日本語はマスターしている。」

「それは楽なことで・・。男子生徒代表、イチカ・ダインスレイフです。」

そう言うとエンブリオは握手のために手を出してきた。

「まだ、貴方たちとなれ合うかはわからないので握手は遠慮します。」

そう言うと後ろにいたエンブリオの護衛らしき黒服がイラつきを隠しもせずに舌打ちをした。

「ガキが・・。大人をなめてんのか?」

「そっちこそ、この俺をなめているんだろ?」

「武器もないガキが・・なっ!?」

そう言った黒服のサングラスが二つに分かれて落ちる。

俺は椅子に支柱に使われていた鉄と炭素を合わせて鋼を作り、剣の形にして振り下ろした。

剣は黒服の眉間をかすめ、少し手首を返せば目をつける位置に構えていた。

「これでも?武器など、そこに物質があるだけでいくらでも用意できる。武器にしないなら酸素と水素を混合させて、一部の温度を急激に上げるだけで大爆発だ。上に居るのはお前らではない、この俺だ。そこを肝に銘じろ三流の雑魚が。」

そう言って俺は剣をその場で分解し、鉄くずに変えた。

「わかった、ミスター・ダインスレイフ。しかしこれでも昔は軍に居たし、幾度かの戦争は経験した。それなりに修羅場はくぐってきた私よりもあなたは上だと?」

「それこそ数が違う。俺はこのような『なり』だが、ガキではなく幾度も体を造り替えている。それこそ数百を超えた年齢だ。しかし、今回はどうやらこの世界に送り込まれる際に一番最盛期の体にされて送り込まれたようだ。我々三人が異世界から来たという報告は受けているのだろう?それは真実であり、並行世界の同位体を基本とした他存在という物だ。」

そう言って魔法陣を手元に造り、亜空間から本を持ち出す。

「俺がこのページの人間で、アナザーイチカは三ページ前、織斑一夏は十ページ先だ。その同じ小説の中にある短編集で同じ存在の主人公がいくらかの違いで存在すると仮定する。それが何らかの理由で同じ世界、本で言うなら同じページに集められたとする。それが今回の騒動であり、我々の存在だ。原因はあまり知らんがどうやら世界の統合が起きたと思われる。本に例えるなら隣のページ同士がくっ付いてしまったようなものだ。」

「・・あまり、理解ができてないようで申し訳ない。」

「そうだな話が長くなった。端的に言えば、1つ、俺は見た目の年齢ではない。2つ、俺達は特殊であり、攻撃を受けるなら反撃するが、基本的にはどうこうしてこの世界を何かするという訳でもない。ただそこに集まってしまっただけだ。3つ、俺達にあまり干渉するな。基本的にはIS学園の学園長と生徒会長、織斑千冬に任せるのが一番だということだ。」

「なるほど。ならば、我々はそれを各国に伝えよう。手を出せば火傷では済まないとな。」

「あぁ、そうしてくれ。・・だが、そういう風に友好的にするなら・・」

そう言って近づく。さっき握手をしようと出していたエンブリオの手を取り、引いて握る。

「手を出してもこうして握ることもやぶさかではない。」

「これは一本取られたな。では、これからもよろしく頼む。ミスター・ダインスレイフ。」

お互いににこやかに会合は終わった。

 

そして学園に帰ってから数日後、IS委員会より通知が届いた。

『男子生徒代表 イチカ・ダインスレイフ 彼の者をIS委員会代表の名のもとに【IS委員会名誉会員 兼 IS学園男子生徒代表役員】とし、生徒会長と同格の権限を与える。

さらに、それによってIS委員会はIS学園に所属する彼ら男子生徒に対し敵対行為を取る者を逮捕し法の下に罰する権利がある事を世界に発する。

IS委員会代表 トーマス・エンブリオ』

そんな発表があったことの通知が届いたのだ。

「・・だから、俺はなんで・・こんな風に大事に・・。」

疲れて生徒会室に戻ると肩を叩きながら、紅茶を入れてくれた布仏のやさしさが目に染みた。

「お疲れ様です。」

「おたがいに・・。」

俺達は結構分かり合える気がする。

 

 

 




では、また次回。


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融合世界 07 天才と天災

どうも、私です。
不定期更新ですいません。
とりあえずは、先を考えているのでまたよろしくお願いします。
では、本編へどうぞ。


「今日はISを使った実習だ。・・と言っても、基本的なことのおさらいであり全員に動かしてもらうわけではない。専用機持ちは前に出てこい。」

そう言われて俺と織斑、アナザーとオルコット、それからマドカそっくりの女子が出てきた。

いや、普通に考えて前に話に出ていた、この世界の織斑千冬の妹の織斑マドカか。

「オウマも持っていると聞いたが?それに護衛も・・。」

そう言われて苦笑いのようにして目を細めて眉をしかめる。

「あぁ、その・・すいません、まだ調整中です。動けなくはないけどデータと実機の動きの誤差があって、それの調整が完了する前に来たので・・。それから護衛の三人は生徒ではないので拒否できます。学園長とも話したことですが・・聞いてませんか?」

「そうなのか?私のもとにまで話が来てないぞ?むぅ・・仕方ないな。それなら、まぁ、今日は見学だ。」

「はい。すいませんね。」

「それで事故が起きる方が問題だ。仕方ない事だ。」

ため息をつくようにして首を振る。

「それでは、あー・・そこの三人は下がってもいいぞ?機体が特殊だからな。」

「お、ラッキー。」

「まぁ、特殊だもんな。オレも織斑も・・。」

それに対して、

「俺は普通の機体を展開できますが?展開方法はちょっと違いますが、機体自体は普通の機体です。」

「ふむ・・、データで見たのではほぼ生身で全身武装の機体を纏っていたのだが?」

「アレはスペルキャスターという物を纏った場合の機体です。普通はインフィニットシンフォギアと言う通常のISと見た目的には変わらない機体がありますので。と言うか、そろそろこいつらと一緒の扱いは嫌なので。」

親指で後ろにいる二人を指す。同一扱いは嫌になってきた。

「あぁ、それは悪い。確かにお前は話が通じるからな。それなら機体の展開をして見せろ。」

そう言われてクリスタルを取り出す。ギアの待機状態だ。それと俺は首のチョーカーの機体を一緒に展開するようにイメージをする。

「では、行くぞ【アキレウス】。・・『Fast・Fight・Achilles tron~♪ 』」

そう詠うと各種装甲が展開され、両手足と体に巨大なパーツが組み合わさる。

胸にクリスタルが輝くと頭にも騎士のヘルムのようなものが装備されて、顔が見えなくなる。そして、周りに四つの楯が浮かび、目が赤く光ると機体の色が蒼に染まる。

手に長槍が現れてソレを構える。

そして、装備完了するまでに、0.3秒だった。

『こんな感じですね。』

「ふむ、全身装甲か・・。珍しいな。第一世代か第二世代前期の構造だ。」

『一番初めにここに来た時もこれだったんですがね。他の二人に合わせて展開したらアッチになるので。普段の機体はこのシリーズです。』

「シリーズ?」

『他にも戦況に合わせての装備が代えれるので。一番のメインスタイルは『アキレウス』ですから基本はコイツです。』

「そうか、わかった。他の機体も今度教えてもらおう。」

『わかりました。』

そうしていたら急にアリーナのモニターが点灯する。

『おい!そこの変な奴ども!!束さんのISに何しやがった!?変な改造したんだったら承知しないぞ!?いや、むしろ今からそっち行って消してやる!』

そう言うとモニターが消えた。

「・・・あれ、篠ノ之束?」

「あぁ・・そうみたいだな。」

『この世界の束は子供っぽいのか。・・ふむ、記憶しておこう。』

三人でとりあえずのそれぞれの感想を言い合う。

「俺んとこは兵器開発と言うか・・新規開発作業が面白くてくらしやすかったらしいな。」

「こっちは・・割と普通・・。オレよりもラウラ、クロエと共に新規のシステムを開発してたな。結局はエボルトとなった俺の世界のクロノスの掌の上だったけど。」

『・・俺の方は・・普通だな。一応、真面目に開発はしていたみたいだがな。』

実は家族で仲が良くて、ほとんど内縁の妻状態だったとは言えない。

ちょうど俺はアイギスで顔が見えないから、表情を取り繕う必要はないのが救いだな。

そうこうしていると空に反応。

『こちらに高速で飛来する物体、距離二十キロメートル。迎撃しますか?』

「いや、おそらくは先ほどのモニターの人物だ。一応、下手に手を出すと面倒なことになるから危なくないならそのまま・・」

『このままだとアリーナに直撃します。下手をすると生徒が巻き込まれますが?』

「今すぐ止めろ!」

『了解・・『Rei shen shou jing rei zizzl~』・・。』

そう言われて俺は空中へと上がる。アキレウスと共に神獣鏡を展開して肩と足、そしてヘッドギアのパーツがプラスされる。

楯を五つ、桜の花びら型に設置する。そして、それを筒状に向かい合わせて倒す。さらに筒状の物が空中へ現れて、俺と楯の間に固定される。

それの手前に神獣鏡のコードと脚部エネルギーパネルを展開。ヘッドギアパーツが上下に閉鎖されて目の位置で組み合わさるとその間のギザギザ状態の部分が赤く光る。

『ツインギア・ドライブ発動。フォニックゲインシステム起動。ツインギア装備『ミラー オブ アキレウス』発動。・・鏡面装甲展開、エネルギーチャージ、ライフリング回転開始、反射鏡面調整・・、ターゲットロック・オン、・・発射!』

この世界に来て作った新装備で、アキレウスに神獣鏡のシステムをつないで、アキレウスの楯面を鏡面化させて、キャロル対応の光属性の楯から光学エネルギーを照射し、反射しながら増幅、さらに後部に新しくつけたエネルギーライフリングを回転させて発射時の起動を安定させる力場を作り、最終的に増幅したエネルギーをレールガンやパルスキャノンのように発射する。

そして、ロックした対象に命中。撃墜完了する。拡大するとおそらくはニンジン型のロケットだが、もしかしたらミサイルと言う可能性も捨てきれないので、威力を減衰させてとりあえずは打ち落とせる程度で打った。

『・・撃墜確認。・・対象の存在確認。生体反応確認、少し衣服に乱れがありますがケガなどはしておりません。泳いでこちらへ向かっている模様。』

対象を確認して拡大。まぁ、あのふざけたうさ耳とエプロンドレスに白衣は束だな。

この世界の束はどうやら身体能力がそこまで高くないようだ。

俺の世界の方なら打ち落とされる前に脱出して、水上を走ってくるぐらいはやる。

それからするとかなり下位互換のようだ。

「ダインスレイフ、奴を回収してここまで連れてくることはできるか?」

『可能です。許可さえあれば拘束して、ここまで連れてきましょう。』

「・・そうだな。いろいろとやらかす可能性が高いな。それでいいから連れてこい。」

『・・ロープと鎖と、ワイヤーと特殊拘束ワイヤーのどれにいたしましょう?』

「どれでもいいが、一番最後のが危険は無いのならそれで。」

『なら特殊拘束ワイヤーで。ただ単に強化してあるワイヤーで、攻撃行動を取ろうとするとテーザーガンのような役目をします。微弱な電流で筋肉が一時的にマヒして動けなくなるものなので、そこまでの危険はありません。後遺症もない事は実証済みです。』

「なら、それでいい。」

そう言われたので、高速で対象の上空へ移動。そのまま網目状のワイヤーで泳いでいるところを確保。

「ちょ!?こんな網で!?束さんは魚じゃな・・んぎゃあ!?・・あぅううう・・ちくしょー、覚えとけよ・・。」

一瞬電流が流れてマヒしたところをワイヤーで簀巻きにして担いで戻る。力なくそう言いながら担がれているこの世界の束は、ある意味でかわいく見えた。

・・なんだろうか、嗜虐心をくすぐられる・・。

「なんかわかんないけど、すっごい寒気がした・・。」

そして、アリーナに到着後、担いでいた状態から降ろす。

「ちーちゃん、やほー!こんな状態じゃなきゃすぐに飛びつくのに。」

「・・ダインスレイフよくやった。これはかなりいい仕事と言える。あまりそう言う事はしないのが私だが、特別に今度から、優遇しても構わない。」

相当にやらかしてきたのだろう。俺がこの天災を抑えれる人物と言う事で織斑先生の中で俺の株が急上昇した気がする。

『まぁ・・今度頼み事するかもしれないんで、そん時にでも。』

「あぁ、分かった。」

何故か、しっかりと握手された。

どういうこっちゃ。

 




最近寒くなったり、少しあったかくなったりと気温の変化が激しいですね。
昔は、この季節にはもう厚着をしていた気がします。
まぁ、おでんと熱燗はおいしい季節ですがね。
地元の方しかないコンビニのおでんがとてもおいしいです。
寒ければ熱燗も一緒に・・。
私はすじ肉やアキレス腱などを圧力なべで煮込んで入れるのが好きです。
コラーゲン豊富な上においしいのでお勧めです。

ではまた次回。


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融合世界 08 天災と変態

どうも、私です。
最近寒さが増しましたね。
雪が降ったら事故にお気を付けください。
では、本編へどうぞ。




それから俺は、自分のISを解除しようかと悩んでいると、

「そうだな・・、ダインスレイフ。話をするのに見上げるのが面倒だから待機状態にしろ。だが、もしもこいつが行動を起こした時にはまた拘束できるように、ISのスーツ姿で待機してもらえるか?」

『・・あー・・その発言は本気で?』

「む?何か問題があるのか?」

『しかたない・・か。』

そう言って俺はISを解除して専用スーツ姿になる。

「なっ!?」

「うぇっ?!」

その姿は肩や腰などに装甲が付いて体全体を覆っているスーツなのだが、腹部や胸部には被膜のようなもので覆われていて自分の筋肉がはっきりと浮かんでいる状態の物だ。

色は蒼色で所々に赤や青、黄色や緑、金色が使われている。

【マブラヴの零式衛士強化装備の形状】

「・・はぁ。これでいいんですね?」

「お、お前・・ダインスレイフ・・。その恰好は!?」

「俺の専用スーツ、『零式装者強化装備』です。とりあえずは対物ライフル程度までなら耐えれます。衝撃に対して特殊コーティングの装甲と特殊被膜が反応して機能します。極限地での実験もしてあるので、防寒防暑防塵防圧防熱もあり、戦闘用には防刃防弾、対ショック用特殊溶剤が反応します。といっても、使用者は人である限りどうしても何らかの要因で死ぬ可能性はあるので・・どうしました?」

「飛べないだけで、ほとんどISではないか!?」

「そこまでの性能はありません。例えば高所からの落下などなら、どうしても一部だけではなく全体が受けてしまいますので骨折などは避けられません。また、ショックを和らげても内部へ伝わる衝撃があった場合は骨や臓器への負荷があります。場所によっては心臓などへ伝わりショック死と言う事もないとは言えません。さらに、さすがに防寒などと言っても内部の人間の体温を使いますので、完全とは言えません。本人が何らかの要因で体温が下がった場合は低体温で死に至る可能性は十分に考えられます。」

「わかった・・わかったから止まってくれ・・。」

「まぁ、そう言う事で・・あちらのカメラを止めてもらえません?」

俺が指をさした先には女子生徒が手持ちの携帯端末などを構えて、こちらに対してシャッターを切っているのだ。

「小娘ども!!やめんか!!」

『はい!』

【カシャカシャカシャ・・・】

最後にシャッターをほぼ同時に切って辞めた・・。いや、その・・さすがにそこまで興味津々な目で見られると恥ずかしいものがある。羞恥心は完全には捨てていないし、この世界ではそんなに俺自身が目立つこともないと思っていたのだから・・。

「・・はぁ。まぁ、多感な時期には仕方ないか・・。」

そう言いながらも黙った後で、ちらっとこっちを見る。

「・・少々赤くなっていますが?」

「うむ・・!?し、仕方なかろう?男性と関わる状況が少ないのだ・・。」

「はぁ・・。しょうがないですね・・ふん!」

「ひぎゃぁ!?」

ため息をついて首を振りながら、俺は膝を上げて【ソレ】を蹴り、転がったところまで歩いて行って足元に強くスタンプした。

「・・うぅー、いだぁ!?」

「おい、何をしたから嘗め回すように眺めている?しかも、少々膝立ちで俺の腹部の被膜に顔を近づけすぎたんじゃないのか?貴様は痴女か!?」

篠ノ之束が俺の装備を間近くで眺めていたのだ。

角度によっては下手をすると危険な光景に見える。

「いやぁ・・見たことない素材に、なかなか良い体だから・・あだだだだ!?」

「誰が、感想を言えと言った!?」

掴み上げてこめかみをぐりぐりと中指で締め付ける。

「わ、われ・・頭が割れるぅぅうう!?」

「よかったな!脳はもともと二つに分かれているぞ!」

「脳みそじゃなくて頭が!?骨がきしんでるからぁ!?」

「そうか!ならまだ割れてないんだ!もう少し強くしてやろう!」

「ぎゃぁあああ!?へ、へるぷ!?ギブ!ギブゥウ!?」

「ギブか!もっと欲しいと言う事だな?よし分かった!」

「うぎゃぁあああ!?」

俺と篠ノ之束の状態を見てそこにいた全員が引いていた。

 

後から聞いた状況で俺のことを【魔王】と陰で呼ぶ奴がかなりいるそうだ。

閑話休題

 

それから俺の手によってかなり消耗した篠ノ之束はぴくぴくとひくついていた。

「ふむ、それじゃお前に対しての答え合わせだ。」

俺はチョーカーとギアを見せる。

「俺の物は自分で開発したコアだ。そもそも並行世界から来た俺たちは、お前の作ったコアのナンバーなど持っていない。」

「そうそう、俺のなんか・・」

『ダブルドライバー!』『エターナル!』『ホワイト!』

「こういう存在だからな・・。変身。」

「オレのも見せてやるよ。心が躍る!」

『デュアルガシャット!ザ・ストロンゲストフィスト!ワッツ・ザ・ネクストステージ?』

「さぁ・・ISMAX大変身!」

『ガッチャーン!マザルアップ!悪の拳強さ、闇のパズル連鎖、悪しき闇の王座!パーフェクトノックアーウト!!』

 

織斑は白い仮面ライダーのIS状態になり、アナザーは黒い仮面ライダーのIS状態となった。織斑の背中には黒いマント、腕には青い炎の模様が見える。

『仮面ライダー、エターナル・ホワイト・・。永遠の白で消えない地獄を楽しみな。』

織斑は親指を立てた状態でひっくり返して地面に向ける。

『オレは仮面ライダー・アナザーパラドクス!自分を滾らせる戦いさえできればいい。心が躍る、楽しいバトルをなぁ!くっはははははぁ!!』

腕についた緑と銀に光る武器を向けながら闇の帝王が笑う。

「・・そう言う事だ。俺たちはお前のISには何もしていない。安心しろ。そして、そこにいるこの世界初の男性パイロットに対しても何らかの思いがあると思うが・・」

「あぁ、クロ君はいいよ?」

『『「「何?」」』』

さっきまでわめいていた篠ノ之束がきょとんとした顔で言った。

その内容に驚愕したのは俺だけじゃなくて、他の全員だった。

振り返ると、そのクロノスは頭をかきながら、苦笑いしている。

「クロ君には昔からあっているからね。束さんの娘を拾った時に追われていたのを庇ってもらったのもあるし、時々ご飯をもらいに行ってたんだ。当然、彼の機体についたも知ってるよ。それに周りのガードしている子の事もね。束さんがプレゼントしたコアを使って独自に開発、進化した機体だからその情報も知ってるよ。」

そう言った後、胸を張ろうとするが地面に転がった状態で縛られているので芋虫が反ったような状態だ。

正直、気持ち悪い。

「そう言う事なら、まぁ、いいんだ。とりあえずは俺達のコアは別物と言う事で理解したならいい。それと、・・俺のコア人格は今現在、普通に生活をしているからな。」

「ふぁっ!?どういう事!?」

「こういう事だ。キャロル!」

そう名前を呼びながら、指を鳴らすとその場に赤い光の錬成陣が現れて、

「なんだマスター?・・おぉ?篠ノ之束?・・そうかこの世界のか。オレがこのマスターのコア人格の『キャロル・マールス・ディーンハイム』だ。」

そう言って小さな少女が大きな魔法使いのような帽子をかぶり、胸を張っている状況なのであまりかっこはついていない。

「・・なんか・・可愛いね。」

「コア人格なんだが、こうして実体化している。まぁ、機体はそもそもシステムで動いているので、この際の人格は本気の状態で使う際のサポートだな。と言う事でまぁ、キャロルや俺達の事については分かっただろう。」

「とりあえずは、君たちは私の感知する外だと言う事は分かった。」

「それならいい。俺の世界の篠ノ之束とはそこそこ仲が良かったんだ。できればここでも仲良くしたいと思う。」

「ふむ・・それはこれからの君たち次第だね・・。と言う事で・・これ解いてくれない?」

「それはダメだ(・×・)。織斑先生と話して、いろいろとしてからじゃないと、俺の知っている束の性格からして逃げるからな。」

「ひぃーん・・ばれてるよぉ・・。やりづらいなぁ・・。」

泣き言をいう縛り上げたままの束とそれでも同情しない俺に対してのことをキャロルが知って、他のスコアラーに『魔王』のあだ名を広めたのは言うまでもない事であった。

 




並行してシンフォギアの原作に錬金術一夏を送り込んだ作品を執筆中です。
プロットはあるのに先へ進まないもどかしさ・・。
頑張って書こうと思います。
近いうちに投稿できたらいいなぁ。

ではまた次回。


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融合世界 09 乙女と恋心?

どうも皆さん、年が開けました。
あけまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


まぁ、予約なのでコレを書いているときには開けていないんですがね・・。
と言う事で本編へどうぞ。


俺はそのまま縛り上げたままの状態の篠ノ之束を掴んで立ち上がらせる。

「ふぅ、やっと人並みの状態だよ。」

「まだ縛られたままなのだがな。」

「それでも地面を這いつくばっているよりはいいじゃん?」

「・・だめだ、俺にはその基準がわからん。」

個人的には本気で投げ出したいが、ここまで連れてきたことから俺が責任を取る必要があるだろう。

「それで、お前はどうするつもりだ?」

そう織斑先生が利いたのは俺ではなく篠ノ之束の方にだ。

「うーん・・ちょっと、この子たちのこと気になるし、一緒に住んで色々と聞きたいなぁ。調べたところだと、かなりのシステムの住処があるみたいじゃん?そこに束さんも一室取ってもらって、住もうかと・・あだだだ!?」

「その建物の一番責任者に許可取らずにいい度胸だな?あぁ!?」

またこめかみに指をあてて締め上げる。アイアンクローで持ち上げるとうねうねと気持ち悪い動きをする。

「・・ふむ、そう言うのも‥」

「織斑先生?」

「あぁ・・、すまんな。正直な話なんだが、こいつが野放しになって面倒をかけることを考えたら、管理している方が精神上はいいのかと思ってな。」

「・・なるほど、そう言う考え方もありですか。それならそうとして、俺達の方でいいのですかね?一応男子寮と言う扱いなんですが・・。」

「後は迎賓館と言う扱いにもなりえるからな、とりあえずは他人が入れないようにすればこいつを隔離しているという形で世界中にも話ができる。しかも、ここは天下のIS学園だ。国立でもなければ、どこかに属しているわけではない。日本だろうとどこかの国が出張れば他の国がけん制する。それにいるのは一応日本人でも、この世界の住人ではないと来たのだからそこについては問題ないと言う事だ。そして、お前たちに興味を持っているという点でも、何かしらの利害関係があるかもしれん。どうだ?」

「・・ふむ、とりあえずそれは問題ないかと。それ以上に男子生徒と女性を同じ建物に入れるという点については?」

「聞けばお前らは見た目通りの年ではないと聞いている。それなら別に学生と言っても未成年のガキと言う事でもないしな。それ以上に、女に対して骨抜きになるお前らが思い浮かばん。」

そう言って首を振る。

「そう言う事おなら預かりましょう。・・お前の娘と言ったのは、『クロエ・クロニクル』か?」

「クーちゃんの事、何で知ってるの!?・・って、そうか。そっちの世界にもいたのか。」

「そうだな。そのある意味で姉妹もいたな。」

俺としては、ラウラはクロエと姉妹関係にあると思っている。その生まれもされたことも・・。

だが、クロエの方がラウラに対していろいろと思う事があるのが俺の世界だった。

こちらの世界のクロエの事は知らんが・・、

「とりあえず、料理の技術が壊滅的なら、俺が指導してやろう。」

「うん、連れてくるよ!クーちゃんの料理でもうれしいんだけど、できる事ならおいしいご飯食べたいからね。」

「ふっ・・。なら、解いてやるから、一度帰って必要なものを持ってこい。そうだな・・、コレを書き換えて・・よし、これでいいか。このジュエルを持っていけ。」

「ん?これは?」

俺が出した赤い宝石らしきものを見て手の上で転がす。

「それは俺の術式が入っている。錬金術の術式で転送式が書いてあるのだが、それを割ると足元に術式の陣が現れる。普通は想像したところに飛べるようになっているのだが、今回はこの学園の俺の建物の前に転送されるように今書き換えた。地面に叩きつけて割ると術式が発動するから、荷物とクロエを一緒に転送してここに一瞬で帰ってこれるように渡しておく。そうだな、お前がクロエの手を握り、クロエは反対の手に持ってくる荷物を握って持っていればいっぺんに持ってこれるだろう。全部をまとめてロープで囲んで縛った後でそのロープでもつかんでいれば残す事は無いだろうしな。できれば風呂敷みたいなもので包んであると確実に落ちることもないが、そこらへんはまかせた。」

そう言いながら縛ったワイヤーを錬金術の応用で分解する。

体に巻き付いていたワイヤーが一瞬で粉々になって消える光景に、束も織斑先生でさえも固まっていた。

「それじゃ、行ってこい。」

「え、あ・・うん、それじゃ行ってくるね。」

そう言って帰ろうとして止まる。

「・・私のロケット落とされたんだった・・。」

「「「あ・・。」」」

結局俺がISを使って送ることに。

先ほどと一緒の獣神鏡とアキレウスを合わせたものを出して、楯を組み合わせてその中に束博士を入れて運ぶことに。

『それじゃ、・・キャロルは新しく住人が増えるだろうから、広めの部屋の準備をしておけ。後のスコアラーは来い!』

そう言って指を鳴らす。緑、黄色、赤、青の光の陣が現れてそこに四人のスコアラーが出てくる。そして、それぞれの色の楯に手を当てるとその中に入っていった。

『では、行ってくる。』

そう言って俺は鏡の性能を使い、光学迷彩のように光の屈折で見えなくして空へと飛んだ。

私は織斑マドカ。

今となっては織斑千冬の一人しかいない家族だ。

しかし、その私によく似た感じのする男が三人も現れた。

三人とも『イチカ』と言う名前が共通している。

そして、並行世界の住人と言う。本当にそうなら驚くが・・どういうことなのか私にはわからない。

そして、この学園の中でもなかなかの問題児のようで、トラブルメーカーとして知られている。正確には二人で、あと一人の『イチカ・ダインスレイフ』は生徒会の仕事や教師陣の対応、外部のIS委員会とのすり合わせなどもしているらしく、その性格とは違ってかなりの有能らしい。

書類仕事や機体の整備から、料理洗たく、建物などの工事や生徒間同士の喧嘩などの荒事対応もこなす。

・・本当に何者なのだろう。

なぜか彼を見ていると懐かしく感じるところがあるので、もしかしたら本当に並行世界と言うのがあって、そこの関係が今の私につながっているのかもしれない。

『だとしても』、それは『IF』、もしもの話で本当の事は分からないし知りようもない。

だが、姉は何かとあの男の事を頼るようだ。

なら、本当の血のつながりは無いのであるから、もしかしたら男としての見方をするかもしれない・・。あの姉が頼る男か・・。

「兄と呼ぶ練習でもしておこうか・・。」

今も篠ノ之博士を連れて飛んでいくと言う事をしている男を見てそうつぶやいた。

何か困った時に頼み事したら聞いてくれるかな?

そうだったら少しうれしいと思う。

この感情は何だろうか?わからない。

ダインスレイフが飛んで行ったあと、私『織斑千冬』は後ろ向きたくない。

『よっしゃ!ここまで変身したなら、いっちょ戦うか?』

『楽しませてくれよ?』

そう言って騒いでいる馬鹿二人が居るのだ。

【仮面ライダー】と言っていたが、よくわからんがその二人が戦うととんでもないことになることだけは分かる。

「やめろ馬鹿者!!今日はただの起動見本だけのはずだったんだ。しかし、トラブルでそれもできなくなったので、今日はとりあえず終了とする。それぞれ教室に戻れ!」

『『えー・・。』』

「煩い!なんでこう、貴様らはダインスレイフと違って問題を起こそうとするのだ!?」

そう叫ぶと全員が目を丸くする。さっきの馬鹿者二人も装備を解除して、こっちを見ている。

「な、なんだ?どうかしたのか?変なことは‥」

「先生、ダインスレイフだけ普通に呼んでますよね。頼りにしてるようだし・・。」

「もしかして、オレ達と違ってあいつには特別な感情が?」

そう二人の男が言ってきた。私は一瞬言われたことが理解できない。

「・・なぁ!?」

ついつい理解できた時には声を上げてしまった。

「ほほぅ・・。意外にも乙女ですな。」

「戦乙女も、やはり女と言う事か。くはは、いいじゃん!あいつはかなり頼りがいがあるし、強いし、男らしいとこもある。オレ達はどうも子供っぽいとこがあるからなぁ。」

そう言って笑う男ども。慌てて周りを見ると小声で話し合っている小娘どもが見える。

マドカに至っては納得したように頷いていた。

「そ・・そんな事は無い!?」

そう言いながらもなぜか顔が熱い気がする。

とりあえず解散を促して私はアリーナを後にした。

どうしても早足になってしまったのはしょうがないと思う。

「そんな・・この、私が?」

止まって横を見たとき、ガラスに映っていた私の顔は赤くなっていた。

 




はい、なんか今回は年上系にモテるダインスレイフ君です。
体的には年上ですが、精神上ではロリ扱いの差かも?
そんなこんなでまた次回。
チャオ!


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融合世界 10 再会と初めましての挨拶

皆様どうも、私です。
いやぁ、雪が降らないですねぇ。
地元のダムも干上がって夏の水不足を危惧してますよ。
夏ごろになると降ったら降ったで、大雨になるのはやめてほしいですしね。
雪解け水を蓄えてほしいのに雪が降らない。
地元のスキー場はやめましたよ。あまりに雪が降らな過ぎて・・。
皆様も、ウィンタースポーツができないんじゃないですか?
全く困ったものですよね。

それでは本編へどうぞ。


そして、俺は篠ノ之束を隠れ家と言われるところの近くに降ろした。

はっきりと場所を知ると最後まで付いて行くようになりそうなのが面倒なので、帰りは渡したワープジェムを割って飛んできてもらうことにした。そして、俺自体もそれを使い学園に戻る。そして、戻ると同時に機体は解除した。それによって姿も見えるようになった。ちょうど目の前にキャロルが出てきた。

「おぉ、マスターか。早速部屋を使えるようにして置いたぞ。広めという事で一応は客室の中で一番広いところを使うようにしている。おそらくはIS関係も作ったりするだろうから、地下に降りる階段があってそこが整備室になっている部屋だ。」

「・・なんでそんなもんがあるんだ?」

俺が普通には必要にならないことだとよく考えて発言した。俺がおかしいんじゃないよな?という事を考えてからの発言だ。

「それはもしも重要な人物が来るなら、護衛も来るだろう?その場合にはIS操縦者の護衛が来る可能性があるから、そう言った場合に整備が必要になるかもしれないじゃないか?もしもオレ達が出た後で迎賓館になるならの事を考えた構造だ。」

「先を見すぎだろ。まぁ・・いい仕事だ。予想外だがよくやった。」

そう言って頭をなでると少しうれしそうにした。

それから俺は風呂に入り、少し仮眠した。どうやら時差があったようで、こちらとは結構の差があったので体内時計がおかしいようだ。スコアラーに仮眠することと言いつけをしておく。

「もし、束が来たら教えろ。こちらのクロエと挨拶しておく。」

「はぁい、ガリィちゃんにお任せを♪」 「あぁ、頼んだ。」

「派手に起こすか?」 「要らん。普通にしろ。」

「添い寝は必要ですか?」 「要らん。いいから寝かせろ。」

「マスター、お腹減ったゾ・・。」 「・・ちょうどいい、俺のこのイラつきの感情を食わせてやる。こっちにこい。」

そう言ってミカに軽くキスをする。口を離すと驚いたような顔をする。

「マスターがかなり男前だゾ?いつもなら拒否されるのに・・。びっくりしたゾ。」

そう言いながらも口の周りをなめる。

「んー、イラつきだからか少しピリッとする感じだゾ。マスターありがとうだゾ。」

「いいから寝かせろ。騒いだら、折檻だ。」

周りの三人をにらみつけてからベッドに横になる。

帽子を取り出して頭の上に乗せる。そして少し仮眠した。

 

目を覚ますと、ガリィのドアップが目の前にあった。

「・・・何をしている?」

「え、えぇっとぉ・・マスターを起こそうかと思いましてぇ・・。」

「そうか。なら顔が目の前にあったのは何故だ?」

「眠っている方を起こすなら、キスで目覚めるのが一番かとぉ・・てへっ。」

「そうか・・。はぁ・・。オレの性格を感情のベースにしているのに、どうしてこんなのができたのか・・俺の中にお前らのような感情の性格があると思うとむず痒くなる。」

「たぶん、マスターの中にあるロマンチストなところがぁ・・」

「あぁ“ん?」

「失礼しましたぁー・・・。」

俺がにらむとガリィは言葉途中で部屋から出て行った。氷で静かに素早く出ていくのはどうかと思う。そして、その氷はガリィの能力ですぐに融解・気化するものだ。水が残らないようにしてある。

「起こしに来たと言う事は、束が来たと言う事か。ロビーに行くか。」

帽子を正してかぶり、制服の上に紺色のロングコートを着てからロビーに向かう。

「あ、『ダーリン』!来たよぉ!とうっ!」

そう言いながら束が飛んでくる。その顔を掴んでそのまま後ろに投げる。

「ひにゃぁあああ!?」

「束様ぁあああ!?」

そして、後ろにいたスコアラーが受け止めた。

この世界のクロエが叫んでいたが、とりあえずは挨拶をすることにしよう。

「ふむ、お初にお目にかかる。『クロエ・クロニクル』さんだな?私はこの男子寮兼、迎賓館の製作者の『イチカ・ダインスレイフ』と言う。以後見知り置いてもらいたい。それから、この建物内にはさっきの束を抱えているようなオートスコアラーという、俺の付き人の役目をしている自動人形の使いがいる。基本的には男子寮のつもりだったので風呂は女性用は無いのだが、広い部屋なので部屋風呂が用意してあるのでそちらを使ってもらいたい。それから、束博士から聞いた所によると少々料理が苦手と聞いているので、そちらの手ほどきを頼まれている。良ければそちらの方も手伝うつもりだがそれは話が付いているか?あの様子だと急に連れてきたのではないかと心配でな。」

「あぁ、話は聞いていますが・・、『イチカ・ダインスレイフ』さんですね。束様は『ダーリン』と言っていたのでどういうことかと思っていたのですが、『ダインスレイフ』から『ダーくん』となり、『ダーリン』となったのでしょうね。何をとちくるったのかと思いましたが納得しました。このように話せる方と言う事なら、こちらもよろしくお願いしたいと思います。ただし二つほど、まずは料理の事ですがそれは束様に食べていただくのでしょうか?それとも作ったのを皆様に食べていただくのでしょうか?正直かなりひどいと自覚はしているのです。それから、頂く部屋の中についてですが、洗濯物や掃除などはどうするのでしょうか?自分でするのですか?それとも・・」

そう言って俺を見る。なるほど、束と違い女としての意識がしっかりとしている。

少しもじもじしているのが保護欲を誘うと言っては怒られそうだ。

「ふむ、まずは料理についてはできてからの判断だ。ただの失敗ならいいが、食えなくなるほどの物をはじめから作るようなことはさせないから安心していい。そして、洗濯や掃除はスコアラーがする。俺たちの衣類も洗濯はまかしているのだ。一緒が嫌なら分けてするように言っておく。・・いや、分けるように言っておこう。こちらも男だけと言う事だし、そこは一応な。それでは部屋に案内しよう。荷物はどうなっている?」

「先ほど赤い色をした方が運んでくださいました。小さな方と一緒に部屋に運ぶと言って・・あぁ、そこの看板に私たちの部屋の札をかけていきました。かなり広いようですが、よろしいのですか?一番の主人はアナタと聞いてますが・・。」

「その程度は問題ない。それに俺は、寝室はある程度狭い方が好きなのだ。実験するには別の場所を使えばいいし、寝るだけならどこででも寝られる。異世界で野宿などもしているからな。それでは、部屋に行こう。束博士は・・ガリィ、そのままつかんで運べ。」

「はぁい!ガリィちゃんにお任せあれ!・・おいコラ、てめぇ何がダーリンだ。マスターに色目使うんじゃねぇぞ?あぁ?」

「あぁ?なんだよお前、人形風情が私に意見するのか?」

「人形風情上等だ、ゴラァ!てめぇ、氷漬けにして海に流してやろうか?」

「やんのか、束さんに勝てるのか?」

「「あぁん!?」」

顔を近づけてメンチを切っている。

「あんな生き生きして話す束様を見るのは初めてですね。」

「そうか、あれがイキイキなら君の眼はかなり悪いのだろう。」

「えぇ、生態同期型のISを使うぐらいですから・・。」

「・・天然は話すのが面倒だわ。」

俺はとりあえず二人を殴っておとなしくさせた後で束を担いで部屋に運んだ。

中に入ると板間のリビングに、畳の和室、それからベッドルームに地下に続く階段。バスルームとトイレがあった。地下からキャロルとミカが出てくる。

「おぉ、マスター起きたか。荷物は地下にIS関係を置いた。衣類はクローゼットとウォークインクローゼットに入れてある。風呂の横にある扉だ。一応中で衣類乾燥もできるから部屋干しの場合にはここに干すこともできるぞ?まぁ、大型乾燥機が二台もあるから気にする事は無いがな。シーツなどは言ってくれればすぐに変える。着替えは専用のカゴがあるから、それに入れてもらえれば洗たくして畳んでから部屋に届ける。・・説明がいることは他にあるか?」

キャロルがそう説明する。これもう俺要らないな。

さて、それじゃ、とりあえずは歓迎会用に料理を豪華にしますかね。

キャロルがワープジェムで外に行って食材は買ってきてくれているので、とりあえずは俺が料理する。

肉を焼いてステーキ用にカットして、オーブンでローストビーフを作り、チキンのハーブオイル焼きとクリームシチューを作る。クリームシチューはホワイトソースを作ってブイヨンで伸ばしていく形で濃厚なタイプだ。その際にホワイトソースをある程度残しておく。トマトのホール缶とひき肉からハーブや調味料でラグーソースを作り、パスタマシーンで伸ばしたデュラムセモリナの生地を使ってラザニアを作って二種類のソースと生地を繰り返して乗せる。間と上にチーズをのせてオーブンに突っ込む。

手軽に作る場合は市販のミートソースとレンジで作った簡易クリームソースで餃子の皮を挟むのでもいいが今回は本気で作るので手は抜かない。

ローストビーフ用にソースを作り、生のワサビとホースラディッシュも用意しておく。

魚も用意する。刺身のための柵『さく』を切って皿に並べていく。

マグロの赤身とトロ、中トロ、大トロ、サーモンと鯛、イカとタコ。

マグロのカマを焼いて、ブリは大根と一緒に煮る。金目を煮つけにして、カツオを叩きにしてねぎをたっぷり。本音を言うとニンニクも欲しいのだが、まだ明日は学校の授業なのでしょうがない。代わりにショウガと細切りの青紫蘇を散らして、特製のブレンドポン酢を用意。

サーモンを軽くスモークして香りが付いたらきっちり冷やして絞める。

薄く切って水菜とレタス、玉ねぎをのせて皿に盛る。カルパッチョだ。

生ハムをなぜか一本足で買ってきてあるので、それも薄く引いて、同じくカルパッチョにする。あとは、ジャガイモと小麦粉でニョッキを作り、チーズと生ハムと合わせる。

準備ができたら、食堂のテーブルに運ぶ。冷やす物は冷蔵庫に入れてあるのでみんなが来る直前でいいだろう。

腕を組んで台所で椅子に座って目をつむり、この先の事を考えていた。

 

「さて、面倒だが・・いろいろと引っ掻き回して俺好みに遊んでやるか・・。」

目を開いた時に、俺の前にある食器棚に映る俺が獰猛な笑いを浮かべていた。

 

 

 




最近の仮面ライダーゼロワンは主人公には興味なく、敵側にあこがれます。なんででしょう?
では、また次回。


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融合世界 11 ごちそうと成長

どうも、わたしです。
最近花粉症が辛い。
鼻の奥が詰まったり匂う気がして蓄膿症かも?
皆さんも気を付けてください。

では、本編をどうぞ。


「これ、お前が作ったのか?」

「おぉ・・コレはすげぇな。オレの所の『クリス』と同等クラスで料理がうまそうだ。」

「「まぁ、それ以上に気になることがあるが・・。」」

織斑とアナザーが声をそろえる。

「だよねぇ。私も気になってた。代表して聞くけど・・」

 

「・・ねぇ、キッチンミトンにエプロン姿ってどういうことなの?」

 

「なんだよ?悪いか?」

俺は料理を運んで腰に手を当ててその姿を見下ろす。

いつものローブと帽子姿ではなく、普通に制服の下に着ているカッターシャツの袖をまくった状態なだけだ。その上にエプロンをつけて、手にはオーブンから出したものを置いたままだからキッチンミトンをつけていたが。

それを外しながら、飲み物を用意する。

「束と俺はワインがあるからそれにしておこう。赤のいいのがあるんだ。」

「やっほい!この食事には特に赤がいいかもね!」

「シュペートブルグンダーの【ペーター&ペーター ピノ・ノワール】だ。少し軽めだが、軽いフルーティーな香りでエレガントな感じだ。それでいて口当たりがいい。」

「その名前はドイツかな?しかし、どうして【ピノ・ノワール】はフランス語なのにドイツワイン何だい?」

「そもそも品種の名前が『ピノ・ノワール』だが、ドイツでは名前が違うんだ。シュぺートは遅い、ブルグンダーはブルゴーニュ地方の、という意味になる。まぁ、試してみろ。」

ワイングラスを二つ出してワインのコルクを抜く。

初めは試しのためにグラスに少し少なめに入れる。

「ふんふん・・へぇ・・なんか、軽い?ドイツの物って言うともっと、『どっしり』してるのかと思った。」

「これはかなり飲みやすいからな。下手にワインになれた人には物足りないと言われるかもしれないが、それなりにいいものだと思うぞ。」

「味は・・おぉ、言ってた通りの感じだね。軽めだけどフルーティーでエレガントか。」

「まぁ、俺もそこまでワインは嗜まないからな。軽めの飲みやすい奴にした。」

そうして俺は五個のグラスも増やす。そして、合計七個のグラスにワインを注ぐ。

それを見た全員が驚いた顔をする。

「・・いや、お前らじゃないぞ?」

そう言って指を鳴らすとスコアラーたちが集まる。

「代表してキャロル、コレをもって下がって居ろ。束たちの部屋を準備してもらったりした分の駄賃変わりだ。キッチンにお前たち分に料理は残したからそちらで楽しめ。代わりに後片付けはまかせる。」

「分かった。しかしマスター、それは我々の存在理由だ。マスターの手足となり動くこと。それが我らがここに居る理由だ。」

そう言ってワインを前に掲げる。

赤い液体が揺れる。

「ふむ、・・それならもう少し面白い事を考えた。今度俺の研究を手伝ってもらうからな。」

「ふん、それも承知の上だ。それでは失礼する。料理が冷めてしまうからな。」

そう言って五人が動き出す。

「あぁ、それとミカ!お前は食うのを自重しろよ?」

「あうー・・分かったゾマスター。」

少し肩を落としながらも歩いていく。ガリィはサムズアップして去って行った。

そして、一人どうしていいのか悩んでいる少女がいた。

「はいはい、クロエさんはこっちの束の隣に座りましょうね。」

そう言って俺がまごついて立ったままのクロエを押して椅子に座らせる。

「あ・・、ありがとうございます。」

「まぁ、束の娘なら遠慮はいらん。それに今回は俺の腕前の披露だ。こういう感じになれるように努力しろという目標だからな。しっかり味わって食べると良い。」

肉を切り分けてソースをかけた皿を渡す。ローストビーフからは肉汁とソースのが混ざった状態のたれが皿に広がっておいしそうな匂いを立てる。

「そんじゃ、・・食べろ。」

「「「「いただきます!」」」」

そうして俺以外が一基に料理を食べ始める。

「ダーリンは食べないの?」

「だから、さらっとダーリン呼ぶな。・・俺は、試食でいくらか食べたしな。そもそも、そこまで食べないんだ。ある程度食べたら満足してしまう。面倒だがそれでも、普通の生活をしなければならん。昔はもっと体を酷使できたというのに・・。」

「いやいや、それが普通なんだからね?え?昔は人間じゃなかったの?」

「あぁ、織斑は普通の人間だが、俺とアナザーは特殊だ。俺は一度死んで自称神に拾われたんだ。そして転生してから、いろいろと体を造り替えて、さらにホムンクルス体に記憶を転写させたりしていた。それで俺のゆかりの人物が死ぬまで暮らして、最後にはオートスコアラーと共に俺を一度拾った神のもとに呼ばれた。そして、他の世界に行ったりもしたからな。並行世界や、まったくの異世界にも行った。そして、そっちが終わったら今度はこの世界に送り込まれたわけだ。まったく、人使いが荒い。アナザーはどうだったっけ?」

俺は少し鼻息を荒くして話しながら、グラスの中のワインを回す。

「オレは元々、織斑一夏という人物が自分の体をいじって、『クロノス・クロニクル』として生活していた世界にいた。」

「え?『クロニクル』って?」

「アドバンスド『強化生命体』って言う遺伝子を組み込んで、目に特殊なナノマシンを入れる手術をしたそうだ。その後、コンピュータウィルスの変異した存在の『バグスターウィルス』という物に感染した。そしてその際に感染した元のバグスターという存在が・・このオレ、アナザーイチカと名乗っていたウィルスだ。」

そう言った後で笑うが、手に持つフォークに肉が刺さっており全く格好がついていない。

「そう言えば、その体は普通の未成年なんだよな?飲酒はやばくないか?」

「ふむ・・そうか?ならば・・キャロル、少しこっちにこい。」

「なんだ?こちらも旨いものを食っているところなんだが・・。」

そう言って不機嫌そうなキャロルに手を差し出す。

「『ダウルダブラ』を出せ。」

「はぁ?・・まぁ、とりあえずは出すが・・。」

そう言って手に竪琴の聖遺物を取り出して俺に渡す。それを一気に全部の弦を鳴らすと、俺はファウストローブを纏い、体が成長した状態になった。

「・・ふむ、こんなものか?十ほど年を足したぐらいというところだな。」

そう言って俺は25歳ぐらいの成人男性の状態になっていた。

「はぁ!?」「ちょっと待て!?」「ダーリン、成長しても素敵過ぎない!?」

「わざわざそのようなことをしてまでお酒が飲みたいのですね・・。」

四人がそれぞれの反応をしているが、キャロルはジト目で俺を見る。

「酒を飲むために、わざわざそんなことをしたというのか?さすがに呆れるぞ?」

「いや、成人男性の方が臓器が大きくなり、肝機能もよくなるだろうからな。」

「いやいや・・、そもそもマスターならば酔わなくなるように調節できるだろう。肝臓辺りで分解してアルコールから全部影響ない分までの分解だってできるはずだが?」

「あぁ、できるが・・雰囲気というか・・ムードが出ないだろ?」

「・・勝手にしてればいいさ。それでは残りを食べてくる。」

そう言ってキャロルは呆れた顔のまま戻っていった。

「さて、飲むか。・・と、さすがに一瓶空いてしまったか。・・なら次はドイツビール・・と見せかけてエールだ。こいつも風味がよくておいしいぞ?」

「おぉ!いいね!それは焼いた肉に合わせよう!」

そう言って缶のプルトップを開ける。『プシュッ・・』と音がしてそれを新しく用意したビールグラスに注ぐ。

軽い金色と白い泡がグラスの横から見える。

気泡が上がりその動きだけでも面白く感じてきてしまうのがおいしい酒の楽しみだ。

「そんじゃ、もう一度・・乾杯!」

「かんぱーい!!んっぐ、・・ぷっはあー!いいねこれ!軽くても、味がしっかりして、後口がさわやかで・・あと、なんかフルーツのような感じがする。」

「うまいエールはそう言う香りがするんだよ。あぁ、旨いな。」

そう言って料理をつまみつつ飲んでいく。

そして、皆で料理を食べて解散した。

 

その後俺はラボに行ってあるものを作った。

それは『ホムンクルス製造装置』。

「・・さて、成功するかね?」

一応は大丈夫だろうが、チフォージュ・シャトーがない状態ではどうなるのか、実験をすることにした。

 




因みに私はおいしいエールは好きです。
フルーティーな香りがいい。ヴァイツェンもいい。
逆に黒系は少し苦手です。
すっきりした系が飲みやすい。
あと、ワイン・ブランデー類は苦手です。
梅酒、日本酒、時たまラムやウィスキーを嗜む程度です。
遺伝的にアルコールに弱いので量は飲めないのですがね・・。


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融合世界 12 幼女とパパ!?

どうも、わたしです。
最近の気温差っておかしいですよね?
微熱が出てコロナかと疑われましたよ・・。ただの風邪です。もう治りました。
花粉症で鼻が弱ってて鼻血が多く、鼻をかめない状況で、鼻水がのどに入って炎症起こしたのが原因でした。
皆さんもコロナもそのほかの病気にも気を付けてください。

では本編です。


「どうも皆さん、初めまして。ボクは新しく作られました『エルフナイン』と申します。これからよろしくお願いします。」

そう言って小さな子供があいさつした。

 

全員がそれを見た後で、俺の方に目を向ける。俺は目をそらす。

「・・すいません、パパ?何かボクはいけないことしましたか?」

「「「パパぁ!?」」」

「・・いつの間に、ダーリンとの子供が生まれて・・」

三人は驚いているのに、束だけ何かおかしな方向へと飛んでいた。

お前は生んだ覚えでもあるのか?むしろそんな行為をした覚えなど無いがな。

「と言うかだな・・、何故オレの見た目にそっくりなんだ?そのうえでこの性格はどういうことかはっきりと教えてもらおうか?」

そう、キャロルが俺をにらむ。見た目はキャロルをおとなしくさせて髪の色を少し緑っぽい色を入れた感じだ。キャロル自体は後ろで長い髪を結んだおさげがあるが。ミディアムショートのような髪の状態のエルフナインと並ぶと姉妹にしか見えない。

「その・・だな、今回の世界でホムンクルスを作ると言う事を初めてしてみたんだ。」

「ふむ・・それで?」

キャロルは俺の前で腕を組んでいる。

「チフォージュシャトーがない状態で出来るかわからない。今建造中だからな。そして俺の複製が完全でなく暴走した場合に面倒が起きる。そう思ったから、まず実験を行ったんだ。」

「ふむ、なるほど。」

「その際に体が小さい方が結果が早く出ると言う事からキャロルの複製体を作ることにした。」

「ふん・・まぁ、理解できる。」

「そして、体を作ったところでどうも複製体がうまくできなかったんだ。これでは別の人物となる。そこでだ、俺の人格データの一部を使い新しい存在を作り出した。もともとスコアラーたちも俺の性格データの一部だから、それの合いの子と言う事だ。」

「なるほ・・待て。それでは何か?この性格はマスターの性格の奥底にある人格と言う事なのか?製作者をパパと呼ぶような性格のデータがどこかにあると言う事なのか!?」

「・・それについては俺も考えた。おそらく、家族を・・両親たる存在がいなかったせいで生まれた感情のパーツだろうと思う。どこかで自身の両親と共に暮らしたかったという感情データがあったのだろう。」

「・・・なるほどな。それなら理解できた。つまりは・・人体錬成と言う事か?」

「いや、結局はホムンクルス体なんだ。完全な人体錬成ではない。一部はナノマシンによる補助が無いと生命活動ができない。あと、感情をエネルギーとして焼却できる。だからこそ、スコアラーとホムンクルスの合作と言う事だ。」

「なるほどな。大体わかった。・・とでも、言うと思ったか!?この戯け!!」

そう言って頷いた後、飛んで俺の側頭部に蹴りをかましてきた。

「キャロル、痛いぞ?」

「当り前だ!オレの見た目を勝手に使い、あまつさえ真逆と言う感じの正確に人物を作り出しおって・・。」

そう言った後でエルフナインの頭をなでる。

「今日からオレがお前の姉変わりだ。いろいろと教えていくから覚えるように。いいな?」

「はい!頑張ります!」

そんなやり取りを見た後でさっきの方を見ると、全員がなぜか『ほっこり』した顔をしていた。

「なんだあれ・・。」

呟くのはしょうがないだろう。

 

それから俺はIS授業の実習をするために前に出ていた。

「前は乱入者がいたために授業どころではなかったのでな。では、まずはダインスレイフ、それから織斑・・あー、マドカの方だ。」

それを聞いた織斑が手を挙げた。

「先生、俺は一夏で名乗りましょうか?アナザーとダインスレイフなら、かぶらないんで。」

俺も一夏呼びするか。その方が楽そうだ。三人もいるからな。

「・・もう、そうするか。ならば男を一夏と呼び、織斑マドカは織斑と呼ぶ。と言う事で織斑、それとオルコット。」

「はい。」「ハイ!」

俺は普通にISでアキレウスを展開する。

「『Fast・Fight・Achilles tron~♪ 』」

そう聖詠を口にして機体を構える。

「それと・・『オウマ』。機体はどうだ?」

「えぇ、時間が取れたので完成しましたし整備も大丈夫です。」

「ならば、展開しろ。」

「はい。・・では・・」

そう言いながらも腰にベルトを装備する。

「ベルトだと!?」「あれ・・俺は知らないベルトだ・・。」

こちら側のライダーの二人が反応する。手に角ばった時計のようなものを持つ。それのふちを回すと竜頭【りゅうず】の部分を押し込んだ。

『ジオウ!』

「さぁ、時間だよ。」

そうしてベルトの右側に差し込んでベルトの上の部分を押し込んだ。

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!ア・イ・エ・ス!IS!』

そうして変身したクロノスを二人のライダーは驚いた顔で見ていた。

そこに二人の護衛、月詠と暁が並んだ。二人の間にある大きな本を、二人で持っている。

「さぁ、祝え!時間と世界を統べる『時の王』。」

「『仮面ライダージオウ』がここに誕生した。」

そう言って本を閉じる。

「これより、世界に生じたゆがみはすべてクロノス様が修正する。」

「これより、時間のおかしさはクロノス様によって修正される。」

「「今この時より、伝説が始まる!!」」

そう言ってクロノスが変身した姿を手で披露するように構える。

『・・もういいかな?』

「「はい!満足しました。」」

『それならいいや。・・織斑先生、どうぞ授業に戻りましょう。』

「あ、あぁ・・。あれは何だったのだ?」

『僕の機体の披露時のために練習したそうです。』

「そ・・そうか。」

あの織斑先生が引いている。相当にインパクトはあったもんな。

 

「こほん・・。それでは実習とする。まずは、基本動作の見本を見せてもらう。オルコット。」

「はい。」

「先ずは基本の動作の空中での移動、上下左右前後に動き、それからの急上昇、上空での姿勢維持での移動の仕方、そして急降下と言う動きだ。」

「分かりましたわ。では・・優雅で華麗なわたくしの・・」

「いいから行け!」

「は、はい!」

一度上昇して全員が見える位置での簡単なスラスターの操作と姿勢の維持、それから急上昇して空中での高速移動時の姿勢を見せてからの急降下。それを一通り見せて帰ってくる。

「ふむ、流石は代表候補生内でも専用機を与えられるものだ。基本の見せ方がいいな。」

「お褒めいただきありがたいものですわ。」

「まぁ、見せるためとは言え少々挙動が大きいのは仕方ないと言っておこう。」

「むぐっ・・」

そう言った後で俺の方に向く。

「ダインスレイフ、見るからに重厚なアキレウスはそう言った軌道は問題ないか?」

『大丈夫だ、問題ない。見くびってもらっては困る。』

「そうか、・・そこはかとなくダメな気がするのは何故だ?」

『まぁ・・ネタを入れたから・・かな?とりあえずはさっきと一緒の動きでもしますかね・・。』

そう言って俺は少し上昇する、そして、上下を【・・・】入れ替える【・・・・・】。

つまりは逆さだ。

「おい、何のつもりだ?」

『いや、ISの基本に忠実なものは見せたでしょう?ならば少し応用を見せるべきだと。生徒諸君に言うと、ISを操作している以上上下左右があるのは地上のみだ。もしも、未来将来的に宇宙に出た際には上下などという物はない。』

その状態でさっきのオルコットと同じ動きをする。

『極端な話をするとどんな状態でもPICは作動するものだ。【姿勢の維持】と言う事には【自身の状態の保持】と言う意味になる。上も下もない空間で回転して訳が分からないようにする。そのための大本になるのが地上での訓練ともいえるな。』

そう言って今度は空中への急上昇を足から行う。スラスターの補助を逆噴射して足から空に落ちていくような状態だ。

『そのような状態であろうとも自身の形さえ分かっているなら、逆さで飛ぶことも可能だ。』

見た目には背面飛行をしているような状態だ。

『そして、意志さえ整っているなら・・』

その状態からの自由落下・・頭が下になって高速で加速する。

そして、地面から十センチの位置で停止する。

『体さえ鍛えていればこのようなことも可能だ。しかし、下手をするとブラックアウトする可能性もあり得る。慣性を操作しようと、体内の血流や精神状態はかなり注意が必要だ。』

そう言って回転して足から降りる。

「・・まぁ・・応用としては確かに素晴らしいが・・やりすぎだ馬鹿者。」

『まぁ、俺は極端な存在でもあるんで。』

そう言って頭を下げるとため息とともにジト目でにらまれた。

 



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融合世界 13 赤と青の激突

どうも、わたしです。
最近暑くなったり、朝方寒かったりと大変ですよね。

とりあえずは本編へどうぞ。



「ふむ、時間はまだあるな。それでは軽く武器の説明でもしよう。」

時計を確認した織斑先生がそう言う。

「それでは・・オルコット、射撃武器を構えろ。」

「はい!」

そう言ってオルコットは銃を出した。・・俺に向けて。

『何?打たれたいの?向けられたら打ち返すけどいい?』

そう言って俺は装備を変えるためにクリスタルを構える。

「な、そ・・そのようなことは・・。」

「オルコット・・。前に構えて出せるようになれ。いらん癖をつけるな。」

「しかしわたくしのかっこよく・・」

「要らんものだ。必要のないものは排除しろ。いかに早く出せるかだ。・・ダインスレイフ、行けるか?」

『えっと、装備を変えてもいいです?別な装備はあるんですけど、あえて面白くいきたいので。』

「・・嫌な予感がするのだが?」

『そのようなもの、ごみ箱にでも捨てておきましょう。これを単独で使うのは久々ですがね・・。では・・【Killiter Ichaival tron~】♪』

そう言って俺はアキレウスを解除して零式装者装甲で上から【イチイバル】をIS状態で展開する。

はっきり言えば胸板や上腕などは特殊なフィルムに包まれた見た目で、正直な見た目、体のラインがほとんど出ている。申し訳程度に装甲が増えているのが目につくぐらいだ。

「全身装甲ではないのか・・。」

「別にアキレウスの上から展開できますが、それ単体での能力が落ちるので、こういう場合にはアキレウスと併用ではなく単体で使う方がいいのですよ。」

「な、なるほど・・。しかし・・その・・装備は見た目に刺激が強くないか?」

「慣れです。」

「そ、そうか・・。では、オウマ、武装を・・。」

『えっと、とりあえずコレを。』

そう言って手に持ったのはカタカナで『ケン』と書かれた剣だ。それを折りたたむようにすると銃に変わった。『字換剣銃・ジカンギレード』という物らしい。

「それでは各自武装をターゲットに向けて撃ってみろ。」

オルコット・オウマと普通に撃つ。

「残るはダインスレイフだ。何をもたついている。」

「では・・、行きます。」

そう言って俺は両手を横に伸ばすと手にハンドガンが二丁現れる。そして装甲から音楽が流れてソレに合わせて俺は動く。

◆BGM【魔弓・イチイバル】

「~♪」

俺は歌いながら両手の銃を乱射する。次に手のカバーがスライドしてボーガンになる。

「【疑問、愚問・・~♪】」

それを前と上に打つ。前の分は連射、上に打った分は空中で分解されて降り注ぐ。

「【モット!モット!~♪】」

ボウガンを戻してガトリングを出す。上下二連装の両手打ちで目のまえがハチの巣になっていく。

「~否定してやる!~♪」

腰からも多連装のミサイルがスライドして現れて一気に連続で発射されていく。

そして、歌い終わり息を肩でしながら目の前のターゲットを全部撃ったのを確認する。

「はぁ・・はぁ・・、ふぅ・・。これで終わりです。」

「やりすぎだ!!」

怒鳴られた。そしてイチイバルを解除して、目の高さにクリスタルを持ち上げる。

「なんだその、歩く武器庫並みの兵装は!?」

「えっと、・・これが俺の力、シンフォギアの能力です。歌と共にフォニックゲインと言われるエネルギーを放ち、それを使って武器を作るある意味での永久機関ですね。まぁ、今は俺一人なのでこの程度ですが。」

「この程度!?これ以上の規模で破壊ができるというのか!?そうなれば戦術兵器並みだぞ!?」

「・・シンフォギアとは聖遺物。『神の残した遺物』であり、人が『人ならざる物』に対して使うその存在以上の力を得るための物。つまりはある意味で神の力を使うようなものです。それは彼ら、仮面ライダーもある意味同じ。神の力を宿したものである仮面ライダーも存在する。そう言う意味では俺たちは戦略兵器どころか、破壊者とでも言えるでしょう。しかし、それを使うのは人の意思がある、ちゃんとした存在です。ならば、悪用しなければいい。俺達はそう言う存在なので、それを自覚しておいてください。」

そう言って俺は指を鳴らし、姿をローブと帽子の姿に変える。

「ま、そう言う事で俺は研究に戻らしてもらいます。後は、あの二人に任せるので。あぁ、クロノス君も居ましたね。それでは、御先。」

そう言って今度はワープジェムを取り出して地面に投げて割る。

赤い光で魔法陣が現れて、俺はワープした。

 

どうにも常識があるが、あえてそれから外れているような感じがする。

「あの・・」

「なんだ?」

オルコットが手を上げて申し訳なさそうに、そして顔を青くして発言する。

「ターゲットどころか、辺り一面壊れているのですが・・?」

「・・・なんだとぉ!?」

先ほどまでは土煙でよく見えなかったが、ミサイルやその他の衝撃でなのかターゲットがあった背後がボロボロになっている。

「・・あいつ、まさかこれを見越して逃げたのか?」

「そうじゃないのか?調子に乗ってやり過ぎたと気が付いたからとか・・。」

「・・明らかにシールドバリアを軽く貫いてますもんねぇ・・。」

男子三人がそろって会話をしている。

「ぬぅ・・。普段がしっかりしているから、ついつい気を抜いてしまったが、そもそもアイツも規格外だった・・。」

そう呻きながらどうしたものかと考えていると、

「アラー・・、これまた派手にやっちゃったもんですねぇ・・。」

「資材はここに置いて置くゾ。」

「マスターも、久しぶりにはしゃいだのですかね?」

「私よりも、派手で、地味に悔しいな。」

そう言いながら四人・・いや、もう一人小さい子供がいる、五人のカラフルな集団が現れた。

「それでは、皆さん。作業を開始してください。ボクはシールドの修理と強化をしますので。」

そう言って管理室へと一番小さな子供が入って行った。

「あれは?」

「あぁ、ダインスレイフの従者だな。」

「それぞれ、属性の四大天使の名前が元になって付いているらしいぞ。」

「へぇ・・すごいですね。」

そう言って答えたのはまた男子三人。

「なるほど・・。後処理は考えていたんだな・・。」

そう思うとまだ信用できるな。初めは逃げただけかと思ったが、急いで帰ったという訳か・・。

「ならば・・、時間もいいぐらいだ。これで実習は終了だ。各自解散!!」

そう言って解散を促すとばらばらと移動し始めた。

私はため息をつきながら管制室に向けて歩き出す。

その背後で嫌なセリフが聞こえた。

 

「・・ついでだし、少し動いておくか・・。」

「オレも・・少しだけ・・慣らしておこうじゃねぇか・・。」

 

「「さぁ!!」」「行くぞ!」「行くぜぇ!!」

一夏は二本のメモリを取り出し、アナザーはフルボトルを二つ、手に持っていた。

 

一夏は二本のガイアメモリ【T2メモリ】を取り出す。

ベルトはダブルドライバー。メモリのボタンを押すと音声が流れる。

『ヒート』『トリガー』と音声が鳴る。

普通なら二人必要なダブルドライバーも片方はIS化したベルトが肩代わりしてくれる。

ベルトに二本差して手を添える。

「変身!」

声と共にベルトのバックルを両サイドに開くと音声が鳴る。

『ヒート・トリガー!!』

【H】と【T】の文字が浮かび上がり、赤と青の仮面ライダーダブル【ヒート・トリガー】へと変身した。

『さぁ、お前の罪を数えろ・・。』

 

一方、アナザーは紫色の似た拳銃のようなものにボトルを差し込む。

「チョコみたくやってみるか・・。さて、はいはい、取り出したるは禁忌の武装『ネビュラスチームガン』!そいつで得たるは帝王の力!」

『ギアエンジン!』

【赤い】ギアのボトルを挿す。そして、抜いた。

「さて、もういっちょ!」

『ギアリモコン!』

【青い】ギアのボトルを挿す。すると銃からエネルギーが吹き溢れる。そして待機音声と音楽が流れる。

【ファンキーマッチ!・・フィーバー!!】

「んじゃ、イッツ・ファンキーターイム!!・・変身!!」

引き金を引くと目の前に二色のギアが表れて各部位に装着されていく。そして半々の色のギアが顔について眼が光ると同時に火花が出て、全部位のギアが回転し真正面から半分ずつの色で止まると、機体からエネルギーがあふれだす。

【・・パーフェクト!】

『【カイザーリバース】と【カイザー】の合わさった【真のカイザーシステム】。これこそ帝王、【バイカイザー】!』

 

二人の変身した姿から異常な数値が検出されたのか、警報が鳴った。

【危険なエネルギーが検出されました】

そう、機械音声で声がするがこいつらは目の前しか見ていない。

お互いに武器を構えた。一夏は青い銃。アナザーは手に持つのは銃だけだが各部の歯車が武器に見える。

『『・・はぁ!!』』

同時に走り出し、銃を打ち合う。全員が避難した後なので各部に緊急バリアや避難用のシールドが展開された。

しかし、それすら貫きそうなエネルギーの応酬だ。

お互いに当たらないので、近接に変えたのか燃える手足で格闘技と各部の歯車をぶつけ、火花が散りながらパンチにキックの応酬だ。

【ドガガガガガガン!ガリガリガリ!ガガガッ・・ゴン!ガシャン!】

そんな音がしているアリーナの管制室にいち早くつくために走る。

隔壁が下りているので遠回りになる。

「クソが!!ハァハァ・・!」

管制室に行くと音が止まっていた。

「いったいどうなった!?」

そう叫ぶと、エルフナインという少女が申し訳なさそうな顔で・・、

「えっと・・、止めてもらいました・・。」

「止めたでなく、止めてもらった?」

見ると、二人の見た目は普通に戻っており、地面に頭を突っ込んでいた。

そして、その傍らに腕を組んで立っていたのは・・、

「まさか、【オウマ】が?」

『二人とも・・さすがにやりすぎです!!迷惑をかけ過ぎなのはダメです!!』

その姿は少し変わっていた。

『【ジオウⅡ】・・これで何とか出来たからよかったですけど。まったく。』

そう言いながら二人を引っ張り上げた。

二人とも目を回して気絶していた。

「同じ仮面ライダーなら止めれると思いまして・・。勝手にしてすいません。」

「いや、良い判断だ。」

そう言って頭をなでると、一瞬びっくりした表情の後、嬉しそうに笑った。

(か、かわいいじゃないか・・。)

そう思って、昔の後ろをついてきていたマドカを思い出しながら頭をしばらく撫でた。

うむ、いろいろと満足した。

 

そして、一夏とアナザーはしっかり説教し、ダインスレイフに対処を任せた。

翌日の二人は蒼い顔をしていた。

 




という訳で銃の青と赤をメインで、出しました。
なんとなくですが、シンフォギアの方は青が剣、赤が銃なので、真逆なのが面白く感じています。
ISではオルコットが青で銃、箒が赤で剣ですからね。

ではまた次回。
もっと遅くなると思います。


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融合世界 14 命の輝きとは・・

どうも、私です。
お久しぶりです。最近精神的な方が調子悪く執筆に時間がかかりました。
続きを期待していただいていた方には、大変申し訳ありません。

早速ですが、続きをどうぞ。


俺が壊したから修理部隊を向かわせたのに、治すからと【馬鹿二人】が暴れたらしい。

さらにシステムの中枢部までボロボロになるほどに暴れたと来たものだから流石に俺もキレた。あの馬鹿どもにはかなりきつい説教と色々としてやった。

これに懲りてくれることを願う。

 

さて、俺のやる事は多々あるのだが、その中でも気になることが・・、

「せいやぁああ!!」

背後から蹴りが飛んできたので右腕で受けて弾き飛ばした。

「ふん・・、奇襲なら、声は出すな愚か者。」

空中で態勢を整えて着地した後で俺を睨む少女・・。

「・・朝っぱらから、襲撃とは何だね?お嬢さん・・いや、『鳳 鈴音』さん?」

「篠ノ之博士を拉致しISを兵器と変えようとしている男と聞いたわ・・。それに、千冬さん・・いえ、学校では織斑先生ね。織斑先生を困らせる奴と、聞いたからにはその報いを取らせるために・・」

「・・ふむ、情報操作してあるな。」

俺は顎に手を当てて少し考えた後で答えた。

「先ずは、篠ノ之博士は俺と共に新しい機体の研究をしているのであって、拉致などは一切していない。確かに許可がなければ建物内に入れないが、織斑先生でも入れるパスを渡している。完全なる興味と善意による協力だ。他国へ拉致されないようにここに居る。これは国際的にも認められたことで、IS委員会にも提出した正式な決定だ。さらに、困らせる人物は人違い。見事に顔から声から何もかもが似ているが、性格だけは別。俺は『イチカ・ダインスレイフ』。異世界から来た来訪者にして、錬金術師とギア装者であり、奇跡の殺戮者だ。」

帽子とローブを見せる。手袋を音を鳴らせて握り込む。

「・・さて、まだケンカを売るなら買ってやろうではないか。しかし、高くつくぞ?俺の歌は・・。」

左手を伸ばし、空間からダウルダブラの竪琴を取り出す。それによって二人の居る周囲五十メートルに高エネルギーの衝撃波がはじける。

「えっと・・どういう事・・?」

「・・・ふん、戦闘は無しと見ていいようだな。ガリィ、レイア、下がっていいぞ。」

「はぁい、わっかりましたぁ!・・・命拾いしたわね、おチビちゃん?」

「はっ!!・・地味に待機は面白くないものだ。」

そう言い残して青と黄色の影は下がって行った。

「では、場所を移すことにしよう。おそらく偽の情報を握らされたのだろう哀れな子猫に少し話でもしてやろう。職員室にもよるので心配はいらん。ついて来い。」

そう言って背を向ける。

「えっ、えぇ?わけわかんない・・。まぁいいわ、人違いで、問題の人間は別にいると言う事ね?」

「あぁ、しかも二人もいる。俺にそっくりの人物で、『アナザー・イチカ』と『織斑一夏』という人物だ。現在は『ダインスレイフ』『アナザー』『一夏』の呼び方だ。織斑は織斑教諭の妹がいるので名を呼びやすくするためだ。他に質問は?」

「さっきの二人は?」

「俺の部下でオートスコアラーという存在だ。ガリィ、ミカ、レイア、ファラと居るが、青、赤、黄、緑の色で見分けれる。俺と同じようなローブの小さい少女が『キャロル』、気の弱そうな見た目のよく似た少女が『エルフナイン』という。全員錬金術で生まれた存在だ。俺も含めてな。こんな見た目だが精神年齢は三桁ぐらいになっているだろうな。完全な人間ではない体を造り替えてきたホムンクルスの人体錬成への記憶の書き写しで何度も死んだ存在だ。今こそ、人の体ではあるが、中の魂からすれば化け物だ・・。さて、そろそろ話すこともないところで職員室だ。・・ダインスレイフだ、入室するぞ?」

そう言って中に入る。メガネの童顔な教師、山田教諭が近くにいた。

「あぁ、ダインスレイフくんですか。どうかしましたか?」

「どうも、山田教諭。おはようございます。さて、本題だがどうやら俺の情報が操作されて偽の情報が出回っているようで、朝から襲撃が三件、未遂が一件、観察が多数いるようだ。確かに危険人物とみられるのは仕方ないのかもしれないが、いささかやりすぎなようで少し学園内に反乱分子がいると感じた。学園長や生徒会長には俺が伝えるが、織斑先生にも伝えておいてくれ。それと・・未遂の人物はこの後ろの鳳鈴音。どうやら、馬鹿二人が騒ぐ話を聞いたらしいので二人に合わせて、ぶん殴らしておいてくれ。俺はこれから動くので頼みます。」

「はぁ・・。えっと、とりあえずアナザー君と一夏君に合わせればいいと言う事ですね?」

「それでいいです。もし、クロノスにあったら、違う人物だと言って止めてください。・・鳳鈴音、相手は俺に似た二人だがもう一人男子生徒がいる。そいつと勘違いするなよ?そいつにはSPが付いているから逆に痛い目に合うかもしれないからな。」

「わかった。ありがとう、ダインスレイフ・・でいいのよね?」

「あぁ。では、また会おう。」

そう言って俺は職員室を出る。携帯から連絡を取り、数回のコールで相手が出た。

『はぁい、どうしたのかしら?』

「どうやら校内に不穏分子が居るようだ。見つけて背後関係を洗え。それから、学園長にも教師関係を洗って貰え。外部は俺が行う。」

『あらあら、トラのしっぽを踏んじゃったのね。いいわよ、すぐに動くわ。代わりに・・。』

「終わり次第、生徒会の仕事の手伝いは行おう。」

『オッケー!それじゃ、さっさとお仕事しますか!』

そう言って通話を終えると俺もポケットへと収める。

「さぁ、俺の獲物は・・どいつだろうな?」

帽子のつばを下げて、表情を隠す。

その場でワープジェムを取り出してそれを割りながら口元がニヤリとしていた。

 

それから、ある意味でチフォージュシャトーと同じように作った自分の施設内で荷物を持ち、外へと向かいギアを装備する。

ISを展開するために服をISスーツに変え、口を開いて聖詠を口にする。

「『Killiter Ichaival tron~♪』」

それは、イチイバルのIS状態。

そして、背中に巨大なミサイルを背負い打ち出す。

ソレに乗りバランスを取って一度成層圏まで上がり、移動する。

 

『ダーリン、相手が判明したよ?』

「あぁ、中国の女権団と同等の組織、そのリーダーの『王 拍龍〈わん・ぱいろん〉』だな。」

『知ってたの?』

「キャロルとエルフナインを中心に危険な行動に動きそうな主要人物は調べるよう指示していた。」

『さすが、手が速いね!』

「おい、馬鹿。やめろ。」

そう言いながらもミサイルの操作をして軌道を変えた。

急降下して目的の人物が隠れている施設の上部を吹き飛ばす。

そこは中国の山間部にある、兵器開発用の秘密基地だった。

例の中国の女権団が所持する違法施設なので破壊しようが関係ない。

中国政府は金と権力で黙っていたが、俺を怒らせたことが藪蛇だった。

雉も鳴かずば撃たれまい。俺に攻撃を仕掛けてきた・・、かかる火の粉は火元から絶つ。

そう言う事で一気に全部破壊する。

さらに、女権団の兵器を破壊して、その爆薬などに誘爆し施設が燃え盛る。

「これはいったい何が!?」

そう言った声が聞こえたので銃を向ける。

「王・・。貴様が俺を侮ったからだ・・。」

「な!?ダインスレイフとか言う、胡散臭い奴が何で・・!?」

「残念ながら、俺には人の命の重さなど・・、たかが知れているのだ。俺にかみついたのが運の尽きだったな。」

そう言ってギアを解除する。足踏みをしてこの敷地内に術式を展開する。

「『~♪』」

ドイツ語で『エヴィヒカイト』を歌う。

「何が起きて・・、えぇ!?貴女、足元が光って・・」

「リーダー!?」

「か・・かゆ・・全身がかゆいい!?」

そう言ってその敷地内にいる人物は全員が光りだす。

「何が・・」

「うわぁあああ・・!?」

そう声がして光の粒になり、その場には衣服だけが残った。

「ひぃ!?やめぇ・・・・」

「消えたくな・・」

「きゃぁああ・・・・」

その場に生きていた人物は全員が消えていく。

「かゆ、かゆいいぃ・・でも、ちょっと気持ちいぃ・・・」

最後に女権団のリーダーである王が消えて。俺は歌を終わる。

手に光る球を出して持ち上げると、そこへ光が集まり、珠がわずかに光る。

「これで、二十五人・・。革命への礎・・。」

それを収めた後、手に錬金術の魔法陣を出してエネルギーを注ぎ込み、魔法を発動させながらその場から去る。

【エンシェント・バースト】で巨大な爆発と共にその場一帯は荒野と変わった。

 

「せめて、この世界はキレイな世界であってほしいものだな・・。」

 

 




ここまで遅くなり、すいません。
コロナの影響もあり、精神負荷が増えていたようです。
あまり悩まないように、少しずつでも執筆したいと思っています。
話は考えているのですが、どうにも前の作品の設定と、この先の展開のつなぎがうまくいかなくて難航してしまいました。
また遅くなるかもしれませんが、失踪はしないつもりです。
完結するまで緩く見守っていただけるとありがたいです。

では、また次回。


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融合世界 15 『なんてことだ・・もう助からないぞ・・。』

どうも、皆さん。私です。
最近の気温の急激な変化に体が耐えきれないヘタレです。
なんか最近ずっと調子悪いって書いてるような気がします。

では、本編へどうぞ。
まぁ、ネタ回ですが。


あれから、学園の部屋へと帰り、ゆっくりと休んだ。

 

中国は大慌てだが、内容を把握できる事は無い。

そもそも生存者もそこに何があったかもわからないだろう。

すべてを錬金術で更地に変えて、機械部品は材料へと変換して持って帰ってきたのだ。

そこにある物は普通にただの土。石。砂。

肉の一つも、髪の毛一本も残っていない。

もしも、何かあることをほのめかせば中国としても各国から非難を浴びる。

泣き寝入りする事しかできない。

 

そして、学校の教師代わりにいくつかの授業をすることになる。

技術関係は束と共に実機をもとにパーツなどの事を話す。

整備する際の注意やどこが摩耗しやすいなどの話をしていく。

その中でも、特に成績がよく二人で注目した人物がいた。

一年四組、クラス代表で、日本代表候補生で、更識楯無の妹、・・更識簪。

姉がどうと言う事ではなく、純粋に成績がいいといえる人物と俺と束で話し合った。

そして分かったことは、姉妹の仲は悪くないと言う事と、織斑一夏が居ないこの世界では、打鉄―弐式は完成していると言う事だった。

 

「それでは新しい機体を作ってみたんだが、感想を聞きたいので集まってもらった。」

そう言って俺はモニターを映す。

新規機体説明と書いてある。

「へぇ、新しい機体か。面白そうじゃん。」

「コンセプトは何なのか、オレ達ライダーとは違う視点だから興味があるな。心が躍る。」

男二人は楽しそうに聞いている。

「‥何故かは分からないけど、そこはかとなく嫌な予感がする。」

「えぇ、束様。私も同じです。」

兎二人は何故か憂鬱そうだ。

「何故かはわからないけど、嫌な予感がするのよねぇ。巻き込まれる感じがするのは何故かしら?」

「お姉ちゃん。私もなんかよくわからないけど、風評被害を受ける気がする。」

更識姉妹もこの場にいる。

「それでは始めてもらおうか。」

「楽しみですね。」

教師二人は割と興味津々である。

「・・・。」

黙っているが織斑マドカもここに来た。

「それじゃ、始めましょう。今回の機体は悩んだ末の『可変型高速戦闘IS』をコンセプトにしました。機体は二つ。兄弟機というか・・性能はともかく。ISゆえに姉妹機という物にしました。まずは先にできた機体、姉型の機体と言う事です。」

モニターに期待を映す。三点法で上部、側部、背部まで見えるようになっている。

「大型後発型のスラスターを二基搭載し、高速移動をしながら、展開型の羽を使う事で変形し流線型の機体で高速で空を飛べます。さらに、この機体のコンセプトは『戦場での自由自在』。先ほどの変形に寄っての高速移動、さらに機体のアビリティで氷衣装着【ひょういそうちゃく】機能があり、海上、水中、それに比べると時間はかかりますが空気中でも水分を集めて鎧として使用することで防御力、武器につけることで攻撃力の向上ができる。これは更識姉の機体の水分操作からヒントを得た者だ。」

「なるほど。ミステリアス・レイディの機能に近いから姉と言う事かしら?」

「そう言う事だ。さらに氷結状態をパージして、また高速戦闘も可能。さらにまた鎧をつけることが可能。と言う事でかなり戦闘の幅が増えるわけだ。上空の雲がある位置なら時間の短縮もできるので空中戦がメインだな。」

「かなり本格的じゃないか。束の見据える第五世代のコンセプトと言っても過言ではないかもしれないな。」

「うー・・ん。そうなんだけど、なぜか嫌な予感がするんだよね。」

束たちがそんな会話をしているのを無視して次へ移る。

「次は妹機。先の機体が氷だがこちらはいくつかのプランを作り、他の機体コンセプトと並べて、同じように並行開発していったんだ。結果として最終的にできたのがこれ。妹機の特徴は姉貴と違いさらにジェットエンジンが一基増えた事。三基のエンジンでの速さが売りだ。さらに、この機体には武器ラックがあり、各種武器を同時展開したままハンガーユニットにかけて次へと変えることができる。頭で考えて集中しなくても、武器を考えたらそれが手元に来るのだ。ハンガーユニットはアンロック状態で棺桶の形にしてみた。それが七つ、背中に浮いている状態だ。このラックは基本的には防御用の盾に使えるし、狙撃時の台にもなる。」

「それいい!!すごくいい感じ!むしろ私が乗りたい!!」

簪がかなり気に入ったようだ。まぁ、見た目のコンセプトがこの世界にあったゲームの見た目を少しまねているから、それに気が付いたんだと思う。

「銃を頭に突き付けて、展開するとそれっぽい!!」

テンションが上がる簪。それに比べて束がすごくげんなりしている。

「なんか嫌な予感がすごくしてきたんだけど・・。さっきの話と姉妹機・・氷、比べて制作、一基増えるエンジン・・そして、棺桶・・。」

おそらく束は俺の言いたいことが分かったんだろう。何を見て触発されて作ったかを・・。

「ねぇ、ダーリン・・。氷衣装着時に何か言う言葉があるんじゃない?」

「当然。【アンチアイス・オフ】!」

「やっぱりか!ちくしょー!!FND【フィクションじゃ、無いのかよ!騙された!】で有名な航空事故機の再現をもとにした番組のパクリじゃないか!?機体名も予想できたよ!言わないことが逆に怪しいと思ったんだ!」

叫ぶ束。他がわかっていないようで、首を傾げ・・楯無が気が付く。

「二機の後発ジェットエンジン。羽の下ではなく後ろというところがポイント。氷結、アンチアイス・オフ・・わかった・・。確かに数字的にも前と後だわ。」

「え?お姉ちゃん分かったの?」

「えぇ。過去にあった事故の中でも史上最悪の杜撰な対応によって多くの命が失われた、欠陥機の異名を持つ航空旅客機。」

「そう、その通り!姉妹機はもとのM〇社の機体をもとに造った!当然失速して落ちないようにオートで機体の推力を上げれるようにしているぞ?製造ロットは【DC●9】と【DC―1●】だ!」

「伏字の位置!!隠すの其処じゃない!というか、何故そんなの作った!?着氷によるエンジンの破壊と勝手に動く推力レバーでぶっ壊れたあと墜落したことが有名な機体と、そもそもから史上最悪の対応した機体から何故取った!?アレか!?棺桶は強制出棺の事案か!?椅子に座ったらそれごと吸いだされて落ちるじゃないか!?馬鹿なの!?よりにもよってそれ作るとか!?」

「・・作った途中でキャロルに見つかって怒られて、正座で説教された。そのうえでせめて名前を変えろってことで、【イチカ・ダインスレイフ】からとった【ID-9】と【ID-10】となった。」

「初めっからそう説明しろ!!」

「うん、束が面白かったから満足。それじゃこれは学園に寄付するから好きに使ってくれ。メンテナンスで手が必要なら呼んでもらって構わない。本当は別に何の欠陥もないから、安心してくれ。ただ少し可変などに癖がある。それが合う奴が居たら喜ばしい限りだな。」

満足そうにうなずくと束が頭を抱えて振り回し始めた。

「ダーリンに遊ばれたぁあああ!?」

「なるほど、嫌な予感はそう言う訳でしたか。」

「珍しい光景だが・・束が振り回されるのを見て少し楽しい自分がいるな。」

「めっずらしい光景だ。記憶しておこう。束さんをからかうネタになるかな?」

遊ばれた本人と関係者三人はなかなか楽しそうだ。

「そうそう、因みに『アンチアイス・オフ』の有名な機体はボーイング737型機だから。」

「それ、必要な情報!?」

「当然だ。ちなみに、そんな危険な発想は『俺にもできない』。」

「機長が操縦を放棄した話はやめろ!」

「お前の妹が、箒・・だけに?『ザ〇テン』残念な発想だな。おっと、妹をけなすのはいけないな。怒られたりしたらいけない。コレは何て言うか・・藪から棒なん『ボ〇ン』だよな。俺的には結構頑張ってるっつ『ル〇ツ』うのになぁ。」

「むがぁあああ!!」

そう言って殴りかかってきた束。

「うわぁ、束のご乱心だー。エラーを吐き出してるぞ~?どうなっているんだ~。もう助からないぞ~。」

「ダーリン様、もう少し言葉的にも焦ったらどうかと・・。」

 

この後、ダインスレイフは、『いろんな意味』で機嫌取りに束を可愛がりました〈爆〉。

内容は、ご想像にお任せします。

 

 




つい先日まで半そでハーフパンツのおっさんだったのが、寒くて長袖長ズボンになっています。
作者は三十歳以上です☆
好きな酒は『上善如〇』と地酒の『〇蔵【カン〇クラ】』デス。
燗にするなら地酒の安めの奴で肴と共にゆっくりじっくりいただきます。
現在は胃がだめで、禁酒していますが・・・。

学生時代はもっと適応力があったのに・・。
年を取ったと若干ナイーブです。

では、また次回。


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融合世界 16 その名は・・

どうも、皆さん。
お久しぶりです。私です。

コロナのせいでいろんな騒ぎの中、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
私は太りました。
医者から脂肪肝と言われました。
せめて五キロはやせることを目指したいと思います。

では、どうぞ。


「では、転校生を紹介する。二人とも、入ってこい。」

「「はい。」」

そう言って入ってきた二人は、金色と銀色の髪をした美少女。

「どうも・・元、フランス代表候補生で現ドイツ・フランス協力制作機、テストパイロットのシャルロット・デュノアです。」

「テストパイロット?」

「はい。私は元フランスの代表候補生でしたが実家のデュノア社が倒産寸前になりました。そのせいで買収の話も多かったのですが、クロノス様の実家であるオウマ家の方からの打診で協力制作となりました。えっと、『ホワイトナイト』という敵対企業に買収されることを阻止して、同盟企業が買収する行為・・でしたっけ?まぁ、それでオウマ様の実家のドイツとフランスが協力体制を取り、双方の機体の長所を探し協力して組み合わせることによって完成した機体が今回の私の機体になります。そのために性能チェックのテストパイロットと言う事になりました。ですので、オウマ様ともどもよろしくお願いいたします。」

そう言ったあと日本式に頭を下げる。もう一人は、じっと黙っていた。

「おい、ラウラ。・・ラウラ・ボーデヴィッヒ!!」

「あ、はい!申し訳ありません!」

そう言って敬礼をした。

「ドイツから来た、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』だ。階級は少佐・・と言ってもここではただの学生、一般生徒だ。ドイツ軍人ではあるのだが、いささか普通や常識という物に疎い。幼少時代より軍規に凝り固まった生活をしていたためか、固まった精神をほぐすようにと上司に言われて、織斑先生預かりと言う事になり同年代との交流を目的に留学に来た。よろしく頼む・・と、言いたいところだが!!」

そう言って急に一歩踏み出す。大きく腕を振り出して、人差し指で一人の人物を指さす。

「何故ここでのうのうとしているのだ!?『アナザーイチカ』!!」

「・・は?オレ?・・ていうかお前・・ラウラ?記憶が・・あれ?」

「ふん。どうやら本当にあのアナザーのようだな。間抜けが。私はこの世界に来た際にどうやら同じ存在と混ざったようだ。記憶が混濁して一時期、精神的に不安定になった。その際に織斑教官・・此処では織斑先生だな・・。先生に会ったのだ。どんな顔をすればいいかわからなかったが、どうやら向こうとは性格が違うようで友好的に接することができた。」

「なるほど・・。お前だけなのか?他は・・」

「私だけのようだ。おそらく、ビルドジーニアスなどの影響と最後辺りまで残っていたことが考えれるが・・それも仮定の域を出ん。」

「そうか・・。まぁ、いい。これからもよろしくな。」

「あぁ、しっかりこき使ってやる。」

ニヤリと悪い顔で笑うラウラ。

「勘弁しろよ・・はは・・。」

そう言って笑いあって自己紹介を終えた。

 

そして、休憩となり知り合い同士が近く集まる。

デュノアはオウマ関係で集まり、クロノスの元へ。

 

そして、ラウラ・ボーデヴィッヒがこちらに来て、先ほど話したアナザーと握手をした。

その瞬間だった。

 

『ドクンッ・・!』

 

「ぐ・・、ぐがぁああああ!?」

アナザーが首をかきむしるように苦しみだす。

「おい、どうした!?」

一夏がすぐさま近くに寄るが、さらに早くラウラ・ボーデヴィッヒが掴む。

「アナザー!?どうした!!何が苦しいのだ!?」

そう叫んで手を握るとその間から、赤く濁った液体のようなものが流れ出た。

「え?」『きゃぁああ!?』「何が起きたの!?」「何アレ?血!?」

どう見ても血の色だ・・。それが流れる。

いや、流れ出るなんて生易しいものではない。

濁流のような勢いで流れ出て、それが形作る。

 

そして、液体が固体となり。赤い人型になった。

それは・・

「・・ふぅ・・、この姿になるのは、初めてだねぇ・・。アナザー・・それに、ラウラ・・。」

 

「その呼び方・・まさか!?」

「クロノス!?」

そう呼ばれた人物は振り返る。オウマ陣営のクロノスもこちらを向いていた。

「いや、もう俺はクロノスではない。アナザーに織斑一夏の因子をすべて分けた時点で俺は別の存在となった。・・今の姿ならスターク・・ブラッド族となったし、【ブラッドスターク】と呼んでもらおうか。何なら【エボルト】でもいいぜ?」

そう言って数歩こちらに近寄って歩くが・・、

「っぐぅ・・!」

その途中で地面に崩れ落ちた。体制を変えて地面に座り込む。

「この姿は完全でないし、アナザーとラウラに埋め込んでいた俺の一部を集めただけの物。所詮は数分の一の力しかない。」

手を開いたり閉じたりと繰り返す。

「もう少し、ゆっくりさせてくれ・・。えっと、姿は・・」

そう言って一瞬光ると見た目が人になっていた。

織斑一夏をベースとして結構なパーツがアナザーとも違う事がわかる。

【眼帯をつけた銀髪の少年】で明らかに成人はしていないし、日系の顔ながらも西洋系の髪と肌の色をしていた。しかしその眼の色は赤く、普通ではない。

最後にサングラスをしてテンガロンハットをかぶった。

「こんなもんでいいだろう。んじゃ、これからもよろしくぅ!」

そう言って軽く手を上げた。

「よろしくって・・」

「えっと、・・アナザーの中から見ていたが、ダインスレイフ・・だっけか?お前さんに頼みがあるんだ。」

「ふむ、・・とりあえずの生活できる空間は保証しよう。部屋は用意するし、着替えなどの生活必需品はそこへそろえておく。後は身元引受と言ったところか。この学園内での一番信頼が高い男子生徒は俺だろうしな。」

「やっぱり、頭が冴えてるなぁ。そう言う事だ。いくらかの裏の仕事は請け負うぞ?」

「・・よし、ならば交渉成立と行こう。いずれ動いてもらうが・・今はまだ騒ぎを起こさないでくれよ?学園などに交渉する。」

「おーけい。んじゃ、とりあえず、ベッドで久しぶりに寝させてもらうよ。部屋は誰に聞けばいい?」

「・・キャロルに連絡した。一人用の少し狭い部屋だが。くつろぐには十分だろ。」

「あいよぉ。そんじゃ、またあとでな。ちゃお!」

そう言ってエボルト・・スタークか?アイツは部屋に向かって行った。

「・・はぁ、アナザー関係の面倒でも、俺に来るんだよなぁ・・。」

ため息しか出なかった。

それから各所に動くこととなった。

 

 

「あの、スターク?・・エボルト?よくわからないけど、新しく出てきたのは何者?信用しても大丈夫なの?」

生徒会の仕事に来た俺は書類仕事をしながら楯無に質問され続けている。何度もそれに答えるがそれでも心配らしい。

「はぁ・・、ガリィ・・。」

「はぁい、マスター。お呼びですかぁ?」

天井からするりと降りてきた青い影、ガリィが俺の横にお盆と飲み物をもって立つ。

その飲み物を受け取りつつ、声をかける。

「スタークに関する書類と人間関係、それからアナザーとボーデヴィッヒから事情聴取。俺の知る限り危険度はないが、おそらくは人間ではない。だから、信用に足りるだけの情報を集めろ。校内の監視はエルフナインでの機械観測、キャロルの校内に点在させた投影用魔法陣での観測。何か起きた際にはすぐにミカとファラで抑えろ。レイアは高いところが好きだから、塔の上から外に出たときの監視だ。」

「分かりました。ガリィちゃんはマスターとのつなぎ役でよろしいのですね?」

「補佐は一人は欲しい。性根は腐っているが、一番人当たりがいいのはお前だ。」

「ではマスター、一度下がります。手が必要ならご連絡くださいねぇ。」

そう言ってバレエを踊るドールのように片足を上げた形で、ワープジェムを使い消えた。

「・・本当にあの子でいいの?」

「自分の性格をもとに特出した性格を作り上げたのだが・・、自分の中にあんな性格の人格があると思うと頭が痛い。俺は、どこかであそこまで性根が腐っているのかと心配になる。」

そう言って片手で頭を抱えた。

「あらー、・・が、頑張ってね。」

「あぁ、とりあえずこの書類は終わらせる。」

そう言ってパソコンと書類の山と格闘した。

 

 




実は毎回血液検査でカリウムの値が低く緊急性の治療が必要と言われます。
でも、今回言われなくて安心です。
サラダに野菜ジュース、自作の漬物にナムル。生の果物なども。
健康に気を付けて、皆様頑張りましょう。

では、また次回。


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融合世界 17 怒りとは・・

どうも皆さま、お久しぶりです。私です。
ずっとほっておいてすいません。
いくらか書きまとめをしておきたかったのですが、気が付けば令和ライダー三代目も始まる状況・・。
ここまで放っておいたのは申し訳ない。
だが、私もどうにもできないのです。すいません。
つたない文章ですが、せめてこの作品だけはどう遅くなっても書き終わるつもりです。
応援してくれる人はよろしくお願いします。

では、本編へどうぞ。


調べることはいくらでもあるが、とりあえずは・・

「スターク・・それともエボルトの方が呼びやすいか?」

「どちらでも・・。そう言うお前さんはダインスレイフでいいんだよな?」

目の前でコーヒーを入れて飲んでいる男、アナザーの世界の正式な【織斑一夏だった】男だ。

その時はクロノスという名前に変えていたらしいが、現在はその因子も捨て完全なる人外の種族、ブラッド族という存在になったらしい。

「ブラッド族は元々は星々を回る宇宙人でその星のエネルギーを吸収し、破壊していた・・。そういう風に調べた結果が出たが間違いないのか?」

そう言うとエボルトは手を振った。

「ある意味では間違っていないがそれは違うとも言える。」

「ふむ・・、聞かせろ。」

「そも、それは【仮面ライダーという存在の居る世界の設定】に過ぎない。」

「ほう?それはどういうことなのか、・・真実は違うと言う事なら聞きたいな。」

そう言うとまた一口飲んでいる。カップからいい香りが上がる。

「俺達は、そういう存在ではない。実際にここに居るが、外にいる存在の描く物語に存在するキャラクター、役目を与えられた道化にすぎん。」

「俺は神が上に居るが?」

「その神すらも描かれた存在だとしたら?外の存在が自分の意思を伝える物だとすれば?」

俺は唖然とする。

「そも、俺達の存在というのはいかに言ってもあやふやすぎる。【織斑一夏の因子を持つ存在】?そんなものはただのこじつけだ。その外なる者【アウター】が描く人物像につけた付属設定。」

「それは事実なのか?」

「だが、逆ともいえる・・それもまた事実。」

「また意味が分からないな。詳しく話せ。」

エボルとは、何かを考え、カップのコーヒーをテーブルにこぼす。

「今、俺はコーヒーをこぼした・・。これは俺の意思である。」

「それはそうだ。お前の腕を誰かが操作したわけではない。」

「だが、【コーヒーはこぼれる】と言う結果が決まって居たらどうする?俺が自発的にこぼすか、地震が起きて揺れたときにこぼすのか、はたまたお前が怒って俺につかみかかり、その際にこぼれるのか・・。」

「確定事象・・。過去から未来への干渉ではなく、【確定した未来から過去への干渉】か?」

こぼれたコーヒーを眺めて俺は呟く。

「事実、時間は顔から未来へ進む。それを決めたのは誰だ?もし、外なる者【アウター】が【この人物はこうなる】と決めていたとしたら、・・そして、それを決めた後にストーリーを作る。それは未来から過去への干渉だと言えるのではないか?」

「外なる者・・アウター・・か。」

「存在の確定は無い。だが、面白い話もある。」

「面白い?」

「描く人物こそが【外なる者が描くシナリオを決めている】としたらどうだ?」

「どういう事だ?」

「外なる者が自身で書いていると思っているものは、実際にはその物語の存在が起こした事実で、それを外なる者に書かせている・・。そう言う事さえも言える。」

「まるで悪魔の証明だ・・。」

「そう、コレはすべてが事実であるとも言え、偽りともいえる。まさに矛盾とも言える証明。パラドックスとも、パンドラともいえる。ロジックを解かすものではない。設定と言うのはこういう事だ。理解できたか?」

「無理だな・・。」

「その通り。すべてを理解できることは誰にもできない。それは第三者の監視がない。本当にその世界があるのかと言う事を誰も証明ができないし、存在を否定することさえもできない。故の多次元並行世界と言う考え方の存在はある。」

「つまりは・・お前はとりあえず、そういう存在だと言う事でいいんだな。」

「んー・・言うなれば、俺だけではなく、人類皆・・いや、存在する者皆等しく、と言う感じだな。宇宙人ともいえる俺だが、この世界に同じ存在がいるともいないともいえる。」

「面倒くせぇ・・。」

頭を押さえた。

「あっはっは・・。まぁ、そういうもんだ。難しく考えるよりも、敵か味方かで考えろ。その場合には味方をしてやる。」

「わかった。それで納得し、報告しておく。」

「おう、お勤めご苦労さん。」

「・・ついでだ。俺にもコーヒーを入れてもらおう。」

「ん?・・あぁ、まぁいいか。」

そう言って座り直し、入れてもらったコーヒーを口にする。

 

「ブッフゥ・・!!」

思いっきり吹き出した。

 

「ごっほ・・っクッソまずい・・」

「あー、やっぱりか・・。俺って今人と違うから味覚も違うようでなぁ・・」

「なら先に言ってくれ・・。」

余計に疲れただけだった。

とりあえずこの後は自分で居れた上手いコーヒーで口直しをするのが一番先決だな。

 

・・それからまた生徒会室に戻る。

「・・以上で、元アナザーの本体クロノスであった、ブラッド族であるスターク・エボルトの情報報告を終了する。」

「・・つまりは、あまりわかっていないと言う事か?」

「言いづらいが、そういう存在であると言う事しか言いようがない。こちらからすれば理外の位置にいる存在であることも確かなのだが、そもそも、俺も理外の存在であるのだ。一応は人間の形をしているのだが、神の使徒ともいえる俺は聖書的に言えば天使みたいなものだ。あんなきれいなものではないが、そういう意味ではスタークと同じ存在である俺がこの件を任されるのが一番であると思う。」

「・・そう、ですね。我々の手に負える相手ではないようです。ダインスレイフ君にはまた面倒をおかけしますね。」

そう言ったのは学園長、轡木十蔵であった。

「敵対の意思は無いのね?」

「本人としても、このように戻ることは期待してはいなかったそうですが、【もしもがあれば】と言った希望的観測だそうです。現在は力の大半を失っているそうで十分武力対応可能かと。ただし、その場合は我々に一任してもらいます。他方からの攻撃は認めません。」

「何故ですか?面倒が減るなら分担して・・」

「異常な存在をこれ幸いと攻撃する輩がいるからに決まっているでしょう。その場合はもちろん、迎撃側として参戦するつもりです。女尊男卑の世界・・、わからないとは言わせません。」

俺がそう言って手を握る。

拳を見せてはっきりと徹底交戦の意思を見せ、それに対するこの場にいる人物の反応を見る。

面白いのが織斑先生だ。顎に手をやり考えているようだが、口の端が少し上がっているのが気にはなる。

呆れた顔が楯無と轡木、それに山田先生。

そのほかもいろんな表情だが、気になるのは通信先の二カ所、IS委員会は問題ないが、日本政府とIS学園教育委員会だ。

この学園は各国の代表が習熟度などを完投し教育課程を決めている。それが教育委員会であり、それを最終的にまとめるのが学園長の轡木なのだ。

だが、教育委員会には女尊男卑の人物がおり、それが明らかに険しい顔をしている。

「まぁ、今後の動きに対応するしか手はないでしょう。」

『しかし!その宇宙人が害悪だったらどうするのです!?』

ヒステリックな声を上げたのは最近変わった中国の代表だ。まぁ・・それでもこれなのだが。

「それを止めるのが俺の役目だと言ったのを聞いていなかったのでしょうか?」

『うるさい!貴様のような存在が・・』

「ならば貴様らが責任を取れ。すべての、生徒を、完全に、守れるというのならば、その方法を上げるがいい!もしも、彼を捕まえてというのであれば、それを行った際にだれが被害を受けるというのか、誰が行うのか!それがわかって言っているのだろうな?中国代表、レン・ロンファ!」

『な!?それはあなた方の仕事で・・』

「だから、そのような事をしないための監視だと何度言えばわかるのだ!?ならば貴様にこの仕事についての危険手当を出してもらおうではないか!ライダー二人分、さらにドイツ代表候補生を相手取り、完ぺきに生徒に被害を出さず、施設にも被害を出さず、確保する方法があるというのならば言ってみるがいい!そのようなものは、有りなどしない!理外の存在だと言ったことを一度で理解しろ!一度の抵抗で島ごと沈められる可能性もあるのだ!どうやったら問題なくできるというのか、それがわからぬものの言葉など聞く耳を持たん!いらぬ言い訳などたくさんだ!」

そう言って俺は通信を強制的に切った。

「以上だ。これ以上は話す事は無いので帰らせてもらう。」

そう言って否応を聞かずワープジェムで俺は部屋に戻った。

 

キレてましたねぇ・・。あの温厚な彼が・・。

「あのキレようはやばいわね・・。明日、仕事頼めるかしら?」

「お嬢様はご自分で努力された方がよろしいかと。」

「ふむ。無断欠席は認めないと連絡はしておくか。あの様では怒りで気晴らしに逃亡しそうだ。」

「それよりも八つ当たりで施設の破壊がないかを気にした方が・・」

「あぁ、そうか。シンフォ・・ギア・・だったか?それによっての攻撃はISを凌ぐからな。各管理部に通達を頼めるか山田君?」

「えぇ、わかりました。」

一人の生徒が怒っただけでこの騒ぎ・・。やはり、彼を上手く使うのが一番なのでしょうね。

「おいしいお茶と、お菓子を用意して将棋でも気晴らしに誘いましょうかね・・。」

 

後日、学園長室でぱちぱちと言う音と共に朗らかな笑い声があったという・・。

 

 




最近、親知らずを抜く手術をしました。
横向きに生えてて、なおかつ奥歯を侵食していたので掘り出して抜くことに・・。
一週間で3キロやせるほどにものが食べれなくなりました・・。
そして、まだ逆方向にも同じく横向きの親知らずが・・。
急ぐ必要はないと言われたので覚悟が決まってから抜くことにしました。
話には聞いていましたが、本当に痛いんですね・・。

ではまた次回。
チャオ!


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融合世界 18 『合体世界の副産物』その名は・・

どうも、お久しぶりです。私です。
もう令和三代目のライダーと言うのに、まだ平成を書いているのはどうなんですかね?
まぁ、誰か読んでいただけるなら幸いです。

それでは、本編へどうぞ。


天気のいい朝、外へと出てきた俺『イチカ・ダインスレイフ』。

「あぁ、良い朝・・」

 

『テメェ!?本気で言ってんのか!?』

『あぁ!そんなに気に入らないなら勝手にすればいい!』

『二人とも落ち着け!あぁ、面倒だ!ぶっ飛ばすぞ!?』

『応!やってやるぜ!』『手加減は必要か?』

『『『変身!!』』』

 

「・・・(^^#) ビキビキ・・」

すがすがしい朝は一瞬で壊れた。

いつもの通りのイラつく日常が始まっただけだった。

 

それからしばらくした教室で、

「・・なぁ、ダインスレイフ?」

「なんでしょうか?織斑先生。」

「あ、いや・・その・・怒っていないか?」

「どうして織斑先生に俺が怒るのでしょうか?大丈夫です。気にしないでください。」

本気で暴れられる前に一夏、アナザー、エボルトを氷漬けにしてそのままの状態で教室に持ってきたために、教室内の空気が冷えていた。

因みに周りの人の肝も冷えていた。

『心胆を寒からしめる』とはこういう状況かもしれない。

そして、三人は十分に頭を冷やせた。

 

授業はそのまま開始し、三人は授業終了までそのまま氷漬けであったが、休憩中に解凍して正座をさせられて説教を受けた。授業を受けずに時間説教を続けた。

そして、昼となり昼食時に解放された。次の授業は実技と言う事で大急ぎで三人は食事をとりアリーナへと向かう。

俺【イチカ・ダインスレイフ】は食事の際に織斑マドカに誘われていた。

「ダインスレイフさんは姉さん・・、織斑先生の事をどう思う?」

「・・はっ?」

どういう意味か分からずにそう返す。

「えっと・・ダインスレイフさんと姉さんは仲いいよね?」

「いや、まぁ・・担任教師で俺の話を聞いてもらえるからな。」

個人的には昔の世界での記憶があるため『織斑千冬』と言う存在に対しての思いは複雑なものである・が、ソレも前の世界であり、この世界の人物は他人と言う認識はできている。

だが、あまり深くは考えた事は無かった。世界の違いで性格が大きく違うと言う事の認識はしていた。

「えっと、もしもだけど・・恋愛対象としては?」

「む?・・ふぅむ、どうだか・・。一応俺は『元織斑一夏』と言う存在で【その姉が織斑千冬という世界】にいたからな。その世界では相当に嫌いあっていた。そのせいか比較してしまうんだよな。」

「それじゃぁ・・」

「そういう風に考えたことが無いからわからないというのが、正直な答えだなぁ。」

正直なところ、元が姉弟だったところがあるから意識した事は無い。

そもそも女性としてはあまり認識はしていないのが普通だったが、こちらに来てからは同じ人間じゃないと思い、そういう風に一人の女性として意識して対応するようにはしていた。

それも、【元の世界にいた人物とは別人だから】という理由があったからだ。

『それ』をあえて意識していたことが、こちらの世界の織斑先生を女性として扱った理由だ。

それが原因で、俺の事を意識させてしまったと言う事なのだろうか・・。

「ふむ・・、そうか・・。」

「あぁ、面倒だが・・俺もあのバカたちも含めて並行世界の人間だ。・・一人は人間ではなくなっているが・・。まぁ、俺達は普通ではないからなぁ、あまりお勧めはせん。特に俺なんかはいろんな世界を渡り歩いているが、この見た目のせいでいまだに子ども扱いされることが多い。実年齢は三桁、もしかしたら四桁届くかもしれんというのに・・。まぁ、そういう事であまりそう言う関係には向かないと言う事だ。相当に特殊な奴でもないと、な。」

そう言って、俺はこの話を終わらせる。

何か考え事をしているマドカはそこから動かない。

「まだ何か?」

「・・だから束姉さんならいいのか?」

「・・いや、別に・・誰がいいとかではなく・・なんとなく、拒んでいないだけだが・・。」

俺も昔の記憶が薄れつつあるから、無意識下ではあるのだがその分、昔の面影のある人物を求めているのかもしれん。

「そうなのか・・。なら、その・・」

「なんだ?はっきり言えばいい。」

 

「私ならどうだ?」

「ふぁっ!?」

 

奇声を上げてしまった。予想外過ぎる一言だったのだ。

「いや、その・・もし!もしもの話だ!!姉さんがダメなら私ならどうなのかという純粋な疑問というか・・なんと言うか・・。」

「あ、あぁ・・。そう言う事なら・・む、難しいな。」

「そうなのか?」

「あぁ。お前は俺の妹と全く一緒の顔なのでな。つい妹扱いをしそうになるが、そいつではないという感情が何とも処理しづらいんだ。相棒で、双子の妹扱いだったあいつとお前は違うとわかってはいるのだがな。」

苦笑いしながらそう答える。

「ふーん、そうなのか。」

「まぁ、あいつとかなり性格が違うから最近は別と認識してきているがな。それでも、昔の記憶がふと思い出されたときに・・な。」

そう言って俺は席を立つ。

 

その理由は・・、

 

『パリン』と音がしてワープジェムが割れて視界が変わる。

その俺の目の前には銃を持った女がいたのだから。ビルの屋上からスナイプしている最中の様だ。ターゲットは誰かは知らないが・・。

「さて、やっとのことでしっぽを出したなぁ?【亡国機業『ファントムタスク』】さんよ?」

俺の視界には他のオートスコアラーの視界も見えていた。ガリィの視界の端に見えた物が銃と気が付き、その人物を過去のデータから検索したら、ファントムタスクの一人と分かった。驚いている状態の相手を掴み、組み伏せる。

「き、貴様・・!?イチカ・ダインスレイフ・・だと!?」

「そのような反応は見飽きた。・・さて幹部連中に連絡を取れ。以降、俺の周りを嗅ぎまわるな。うろつくな。ちゃんとした手順なら対応してやろう。と伝えろ。」

そう言って組み伏せている目の前に缶の飲み物が入った容器を置く。

「さもなくば・・」

 

俺は水の錬金術を操作して氷にする。

内部が膨張し缶が裂けて中身が膨らむ。その後熱を加えれば中からその液体がこぼれ出る。

 

トマトジュースにしたのであちこちから赤い液体が流れ出る様を、人間に見立てたようで自分がそうなることを思い、顔色が一気に青ざめた。

「ひぅっ!?」

「どうだ?武器を使う必要すらない。一瞬でこれになりたいか?」

そう言うと涙目で首を振った。

「では、言った通りにしろ。あぁ、武器は没収だ。あと・・水分を失ったようだ。コレでも飲みたまえ。」

そう言ってさっきと同じジュース缶を渡して、俺はそこから去る。

去り際に、

「あぁ、スコールとオータムによろしくな。」

幹部の一部を分かっていると宣言した。

 

戻った俺は新装備を作ることにした。それは俺や三馬鹿に使わせるものではない。

「月詠、暁・・立花・・か。やっぱり他の人物も居るのだろうか?」

そう言いつつ、一度行ったシンフォギアの世界と並行世界。それらを思い出した。

と言っても、古い事なので記憶のかなり奥底にあるが・・。

それから知識を拾い上げて、装備の元となるギアをもとに改造し、インフィニット・ストラトスにシンフォギアを合わせた、俺の元のギアと同等のものを作り上げる。

「・・しかし、少し装備に力が足りん・・。どうしたものか・・。」

そう愚痴をこぼしながら作業をしていると、

「それならば、良いものがあるぞ?」

そう声がかけられた。

「・・勝手に入るんじゃない、エボルト。」

「まぁまぁ、良いじゃないか。お前さんと俺さまとの仲だ。」

「はぁ・・。」

ため息をついて椅子ごと後ろへ振り返る。肘置きに肘をついて頬杖をつく。

「それで、何があるって?」

「それはこの世界が融合した際に生まれた存在だ。加工して使えば体に影響を少なく、さらに強化できるもの・・それがある。」

「世界が、融合した際にできたもの・・だと?」

俺が知らないものがあるらしい。真面目に話を聞く気になり、体勢を変える。

「それで、どういうものだ?それはどこにある?」

「ククッ・・、俺達はどこに現れた?この世界はどこを中心にしていると思う?」

「それは・・この島か!?」

「屋内プールができてから、現在使っていない屋外プール。其処にたまっている液体がそれだ。」

「・・マジか・・。一体それはなんだ?」

 

「そいつの名は『ファントム・リキッド』。ライダーのハザードレベルを上げる『ネヴュラガス』よりも強力な存在だ。」

 




ということで、Vシネ版のグリスで出てきた『ファントムリキッド』でした。
まぁ、タイトルで予想できた人もいるでしょうね。

では、また次回。

チャオ!


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融合世界 19 『ファントム・リキッド』

どうも、皆さん。お久しぶりです、私です。
腰を痛めてパソコン前に座るのも難しい状態から、だいぶ復帰しました。
腰の軽い肉離れと筋を痛めていて全治一か月以上の見込みだそうです。
自己治癒にしか頼れないらしく、無理するほどに長くなるとか・・。
脚も痛いのが腰から来ていて、歩きづらいです。
皆さん、腰は大事ですよ。【←お前が言うな】

では本編へどうぞ。



「『ファントムリキッド』。ネヴュラガスよりも危険だが強くなれる存在だ。」

「ファントムリキッドか・・。」

早速、エボルトの言う、ファントムリキッドがあるという場所へ二人で向かった。

最近使用していないという屋外プール。その中へは普段水は入っていないはずだった。しかし、そこへ満杯の液体がある。

「これが、ファントムリキッド?」

「あぁ、扱いに気を付けないと死人すら出すかもしれんが、間違わなければ最強の戦士になれる。」

「なるほど・・。」

俺はコレを使った装備を考え、危険が無いようにそれをすべて回収した。

「エボルトには必要ないのか?」

「俺は元の力さえ取り戻せば、星だって壊せれる。火星に文明がないのは俺の種族が破壊したせいらしいぞ?」

「それを言うなら、地球に生命が居るのは実験の結果であり、上位存在の『アヌンナキ』が箱庭にした結果らしい。」

「っは!結局は造るも滅ぶも、地球外生命体の存在ってわけだ。つまらん話だ。」

「そうだな、今を生きる俺には関係ない話だ。・・では、実験に戻るとする。エボルト、良いものを手に入れれた。感謝する。」

「よせよせ。これはいつも好きに暴れてる分の借りを返したんだ。・・まぁ、これからも面倒はかけると思うがな。」

「そこは自重しろ。」

 

そうして手に入れた『ファントムリキッド』。俺はそれを研究しながら新しいものを考えていた。

「・・そう言えば、【あの三人】にはISってあるのか?」

そう思い電話をかける。

『はい、クロノスです。どうしたんですか?あなたからの連絡は珍しい。』

「あぁ、気になることができてな。お前の護衛はISを持っているんだよな?」

『あぁ・・言いづらいんですが、完成してないんです。設計はできているのですが、同士てか装着しての起動時に不安定で・・。』

それを聞いて俺は思い至ることがあった。クロノスの機体もライダーと同じ。なら、三人にはライダーとしての素質が足りていない・・力不足なのではないかと。

そして、ファントムリキッド・・。これをリンカーと同じように設定して適合させれば安定できるかもしれない。

そう考えた俺はそれを説明し、協力して機体を作ることを提案した。

『・・確かに、それなら僕等の手には余りますね。協力をお願いします。本社に知らせてデータを送ってもらいます。』

「こちらもいい研究になりそうだ。喜んで協力する。」

そうして俺たちは新しい未来のために、新しい力のために手を組んだ。

 

「それではまずは三人の機体コンセプトを見せてもらおう。」

「持ってきたのはこちらですが・・本当に中途半端な改修中です。」

そう言われてみたのは設計図にいろいろと書かれた状態のものだ。

しかも内容がバラバラで、何人かの書式が見える事から瞑想していることが分かった。

「・・得意武器だけでも知っているか?」

「調は回転式の武器、丸鋸やチェーンソーなどで、切歌は長柄のカマや槍、長刀です。響は拳が一番ですが手につく爪などでも大丈夫で短剣やナイフなども使えるようです。」

そう言われて設計図を見直す。明らかにそれを無視した書式があるのでこれは除外。

「そうだな・・俺のギアとライダーの力、それとISを合わせたらどうだ?」

「できるのですか?」

そう言われて、俺は口元が思いっきり持ち上がるのを自覚した。

「できるか・・だと?」

顔を上げてクロノスの方を見る。

 

「出来る・出来ないではない。創り上げるのだ。新たなる未来を。可能性を!」

 

そう言って俺は手のひらを見て握り込む。

「我が手によって新たなる可能性を作る。そのカギはある。ならば森羅万象を解き明かす錬金術師にとっても、それを作ることは糧となるのだ。ククク・・、久々に血が騒ぐ。」

もともとそういう気質だったので俺としても楽しみでやる気に満ちていた。

「じゃぁ・・、お願いするよ。彼女たちも僕の力になれないことを気にしていたからね。」

「あぁ。承った。・・早速仕事に移る。」

そう言って俺は図面をデータに取り込み大型のモニターを数面出して、八枚のキーボードで色々と操作する。

「・・やっぱり、ダインスレイフが一番筆頭の最強だろうね。」

「いや、俺は狂っている方だな。強いのは一夏で凶暴なのはアナザー。恐ろしいのはエボルトだな。」

そう言いながら操作する。三人の機体コンセプトを打ち込みモニターに3Dモデルで映し出す。

「これは・・」

「お前の『ジオウ』をもとにして同じシステムの機体だ。響・カデンツァナ・立花用『ゲイツ』、切歌・ウォズ・暁用『ウォズ』、調・スウォルツ・月詠用『ツクヨミ』だ。」

三機の見た目を見てデータをじっくり見ている。

「三人にはパワーアップアイテムもつける。・・・コレだ。」

それはジオウが持つウォッチと同じようなもの。それを各自専用で作った物だ。

特にギアのシステムを含めたのは面白く、それぞれの機体を個人にあった戦闘スタイルで行動可能にしている。

「これは・・面白い。」

「あとは、他の三人にも手伝ってもらい、ライダーの因子で新たなウォッチを作ったりというのも面白いかもな。」

俺がエボルトの力の一部を変換したウォッチをモニターに出す。

「・・コレはすごい事になる。このまま協力をお願いします。かなりいい額の給料は出しますよ。幹部職員になりませんか?」

「俺はフリーランスがいいんでな。束縛は嫌いだ。ここは居心地がいいから居るが、敵対するなら・・どこに居ようが潰す。」

カップにコーヒーを入れて飲む。ちらりと見ると顔が少し青くなっている。

何か邪な事でも考えたのかもしれない。だが、口に出したり行動しなければいい。

「ま・・このまま制作に入る。試作品ができたらまた連絡する。」

「わかりました。」

そう言って握手してクロノスは部屋を出て行った。

その後姿を見てキーボードを操作する。

「・・あれが未来の悪夢と言われた、最強で最悪で最恐な魔王の若き姿・・ね。」

そう言ってモニターに出した黄金に輝くライダー『オーマジオウ』。

「まぁ、最大で最善で最新の最強な王になればいい。それが魔王でも・・な。」

モニターを消す。

「魔王の何が悪い。独善だろうと言われようと、人の命を守ろうとするならそれは・・」

 

「戦士たる魂だろう。」

 

俺はモニターの前に座り直し、三機の製作に入る為にしっかりとした図面を作成する。

シンフォギアの能力を複製したウォッチを作る。

「さて、新たな未来を作るための布石はできた。・・君はこの未来を予測できていたかな?」

 

「『観測者【アウター】の皆さん?』」

 

 

 




まだ次回も不定期です。
ではまた次回。


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融合世界 20 私たちも変身!

どうも私です。
今回は独自解釈の変身シーンがあります。
変に思う人もいるかもしれません・・。

だが、私は謝らない。

引きません、媚びへつらいません、反省しません!

と言う事で本編へどうぞ。


「完成した・・。」

俺は疲労と苦悩を相手に戦い、勝利した。

そんな感覚を味わいつつ、手に持つのは二つの【ジクウドライバー】。

さらに進化させた未来の力【ビヨンドライバー】・・。

元のデータがあったとはいえ、個人用に作り替えるのにはかなり苦労した。

専用機として渡す際には待機状態にもできるように設定しておかなければならないが、それはそれぞれに聞いてから設定することにした。

そして、それぞれに渡すのはメインとして【ゲイツ】【ツクヨミ】【ウォズ】の三つ。

そして、シンフォギアの力を込めたウォッチ・・そのままだが【ライドギアウォッチ】を渡すようにした。

まぁ、あとはそれぞれのライダーの力の因子を提供してもらい、それを使いながら増やしていくとする。

それぞれの武器も設定し、疲れた俺は一度休むことにした。

 

目を覚ましてから思いついたので、ウォッチに俺の力を込めた。

すると完全に使えなくなったわけではないが、いくらかの力の移譲ができた。

それをもとにして強化フォームのために研究することにした。

それはシンフォギアの力を強化し、ライダーとしても強くなれるもの。

まだ実験段階ではあるが、コレについてはエルフナインと共に研究していこうというところでキリ良く中断した。

そして、朝食を取り教室に顔を出す。クロノスと顔が合い、お互いに近づく。

「あ、ダインスレイフ・・。できたのかい?」

「あぁ、クロノス。完成したぞ・・。初めは例の初期段階の装備だけだが。」

そう言って三つのケースを見せる。

それを一つずつ机に置いて、

「これは暁、コレは月詠、これが立花の専用機となる。仕様書はこれだ。」

「なるほど・・。計画通りだね。これはすぐに使えるのかい?」

「いや、適合係数上昇薬としての薬、【リンカー・type・GRS】を投与しなければならない。」

「GRS?何かのイニシャルかな?」

「ギア・ライダー・システム。正確にはギアの部分はシンフォギアなのだが、俺の製作したライドウォッチの形状が普通と形状が違うんだ。」

そう言って一つの【ブランクギアウォッチ】を見せる。

「確かに、僕のとは違うね。歯車型?」

「【ギアウォッチ】俺の時計に対してのイメージはクロノグラフタイプが多く、ソレが俺の形成するギアの大元にあるんだ。まぁ、はっきり言えば俺自身が制作しているのも【チフォージュシャトー】で、巨大な歯車を使った装置が多く、時計もクウォーツを使ったタイプが好きでな・・。」

「あぁ、まぁ・・わかるね。スイスのブランドとか好きでしょ?」

「耐久性に優れた上にデザインもいい。軍仕様が一番だな。」

「分かりやすいね。」

そんな風に話しながらも【ブランクギアウォッチ】をこっちに投げ渡してくる。

「ケースは放課後まで預かっておいてくれる?皆も今日は放課後に実験だ。」

「・・はい。」「「分かりました。」デス。」

 

放課後となり、俺とクロノス、さらに三人は貸し切ったアリーナのピットにそろっていた。

「さて、コレは俺がお前たちのデータを参考に新しく作った専用ドライバーだ。立花と月詠は同系列のシステムだが、暁だけは違うシステムとなった。これは後から教えるが、先にやる事として・・先ずはコレを使ってもらう。」

俺が出したのは銃の形をした注射器。中には液体が入っている。

「これが言っていた適合用剤、【リンカー・type・GRS】だ。最終確認となるが・・、力が欲しいんだな?」

「「「もちろん。」」デス。」

そう言われて俺は頷き、それぞれに渡す。迷い無く三人はそれを首筋に当てた。

【プシュッ・・】

音がして液が注入された。

「くぅ・・!?」「あがっ・・」「うぅっ・・」

三人がうめいてしゃがみ込むが、ふらつきながらも立ち上がる。

「少し座って置け。クロノス、コレはお前用だ。」

そう言って俺は、四色に分かれている歯車型のライドウォッチ、【ライドギアウォッチ】を渡す。

「これは?・・ライドウォッチ?」

「データを使う際に俺自身を元にしたら作れたものだ。おそらく俺の因子が元になっているからだろうが、【ウィザード】だな。」

「・・君はライダーではないはずだが?」

「俺をもとにしたと言ったが、混ぜ物をしていないと言う事ではない。俺に一夏の因子を加えたのだ。おそらく一夏だけで【W】などが取れるだろう。持っているか?」

「いや、探しているけど全部の力はもっていない・・。」

「だろうな。【ライドギアウォッチ】ならおそらくすべての力を作れる。」

そう言って俺はクロノスの手に注射器を渡す。中身は空だ。

「これは?」

「お前の因子をもらいたい。血液なら量の調節が楽だからな。」

「なるほどね・・。うっ・・・。これでいいかい?」

「十分だ。」

それをケースに収めて、ピットの金庫に入れる。

「さて、それではそろそろいいだろう。体になじんできたか?」

三人に声をかけると三人はすでにケースを持っていた。

「ふむ・・では、順番に確認しよう。立花・カデンツァナ・響。」

「はい!」

「君の装備は、ライダー名は【ゲイツ】。機体は【ゲイツ・ガングニール】。モードが切り換えれる。基本的にはライダーモードはISスーツのようなものと考えておけばいい。まずはベルトを装備してみろ。」

「では・・」

【・・ジクウドライバー!・・認証完了。】

音声が鳴り腰に装備される。初めは灰色っぽかったものが白くなる。

「これでいい。それでは展開だ。まずはゲイツで。」

「分かりました。いきます・・」

ウォッチの竜頭を押す。それをドライバーに差し込む。

【ゲイツ!】

ベルトの上部の突起を抑えるとベルトが傾き、立花は手を前に突き出して回し受けの構えを取る。背後にデジタル時計のように表示が浮かぶ。

「・・変身。」

ベルトを掴み、ひねるように回す。元の位置で止まると装甲が飛び出して体に装備される。

【ライダータイム・・仮面ライダー・ゲイツ!】

立花は無事に変身し、【仮面ライダーゲイツ】の姿となる。

『これが・・私?力がみなぎる・・。』

「これで問題ないな。次にIS状態の『ゲイツ・ガングニール』だ。ウォッチの竜頭をひねってみろ。二つに分かれる。その半分の新しく出た分をベルトの逆側から装備して、同じ手順をする。」

立花は一旦変身を解き、ベルトからウォッチを抜く。竜頭をひねると、下から槍の模様を象った『ギアウォッチ』が出てくる。

細かく分けて言うなら、上のライダーが『ライドウォッチ』で下がシンフォギアの『ギアウォッチ』だ。だが、合わせて使わないと使えないようにしてある。リンカーの特性上仕方ない事だが・・説明は省いた。

「逆側からも・・わかりました。」

【ゲイツ!】

半分の『ライドウォッチ』だけ入れても初めは一緒だった。残りの『ギアウォッチ』を入れると、

【Balwisyall Nescell gungnir tron~♪】

待機音が歌となり聖詠が流れた。

「・・変身」

【アーマードタイム!ゲイツ!ランス!ガングニール!!】

先ほどとは違い、仮面ライダーの仮面はヘッドセットとなり、上と左右に分かれて顔が見える状態でISを装備している状態になった。

「うむ・・成功だ。正常に起動しているな。」

「これで・・ISからもクロノス様を守れます。ありがとうございます!」

「まぁ、クロノスは弱くはないがね・・。それでも数が来るときつい。そこを援護するのは君たちだからね。協力は惜しまない。」

そう言いながら、残る二人を見ると実にうらやましそうな顔だ。

「大丈夫だ、そんな顔する必要はない。その力を君たちも手に入れているのだから・・。さて二人は一緒に行こう。月詠はライダー【ツクヨミ】、ISは【ツクヨミ・シュルシャガナ】、暁はライダー【ウォズ】、ISは【ウォズ・イガリマ】だ。」

そう言うと二人ともベルトを装備した。

【ジクウドライバー!・・認証完了。】

【ビヨンドライバー!・・認証完了。】

【ツクヨミ!】

【ウォズ!】

「変身!」

「ヘンシン!デス!」

【ライダータイム・・仮面、ライダー・ツクヨミ!・・ツ・ク・ヨ・ミ!】

【アクション!投影!フューチャータイム・・スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダー!ウォズ!ウォズ!】

二人ともが変身した。

『これが仮面ライダー・・。』

『すごい力がみなぎる、デス・・。』

二人が変身し、仮面ライダーになれた事に感動している。

「さて、ここからの注意だが、ISモードへ移行する。月詠は立花と同じ方法だ。しかし暁はベルトが違うため手順が違う。一度ハンドルを開き、正面に戻した後、もう一度『ミライドギアウォッチ』のボタンを押す。すると音声が鳴るからそれでハンドルを閉じると投影からISモードになる。ちなみに初めから二回押せばいきなりISモードを展開できる。」

「では、まずは・・私が。・・変身・装着!」

【ツクヨミ!Various shul shagana tron~♪・・アーマードタイム!ツクヨミ!ノコギリ!ツクヨミ・シュルシャガナ!】

IS状態に変身した月詠はゲイツISに変身した立花の横に並ぶ。

「これで、ISからもクロノス様を守れる。」

「うん。」

二人並んで微笑む。

「それじゃ大トリは私デスよ!」

ミライドギアウォッチを二度上部を押し込む。

【ウォズ!Zeios igalima raizen tron~♪】

「変・身!デス!」

ハンドルを倒すように内側に押し倒すと、ウォズに三角のマークがつく。

【アクション!投影!シンフォギアタイム!カマスデス!ヤリスギデス!ツエーンデス!ウォズ・イガリマ!DEATH『デース』!!】

「・・なんか、私がイロモノっぽくないですか?」

「いや?ちゃんともとになったライダーのデータを忠実に再現したんだが?」

まぁ、個人的には少しネタに走った感が否めないが。言わないけど。

「そうですか・・?まぁ、良いです!調!私も変身したですよ!響さんも!一緒に戦えるデーす!」

三人は並んでお互いに喜んでいた。

「うん、よかったね。ダインスレイフ。協力、ありがとう。」

「まぁ、俺の趣味でもあるからな。研究者気質というやつだ。礼は結果を見せろ。そうすりゃもっと、強くしてやるよ。」

「それは楽しみだ。」

俺とクロノスは握手をし、手を開いてあげてお互いに手を叩きあった。

 




ライダーの姿とシンフォギアとISを合わせた結果、ライダーの仮面がISのヘッドギアになった感じに解釈しました。
三つも混ぜるとやはり少し無理やりな感じがあるかもしれないですが、自分的にはそう言うのも面白いと思ってます。

では、また次回。


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融合世界 21 『培養・・』デッドゲーム!!

どうも私です。
暑い・・そして、熱い・・!
運転する際に日向に車を置くだけでハンドルが熱い。
日本各地が大変ですから皆さんも気を付けて。
水分はこまめに取りましょう。
では、本編へどうぞ。


アリーナでの装備が終わった俺は寮に帰り、そこからチフォージュシャトーの自身の部屋に戻った。

「ふむ、自分の作った物があのように使用されて、喜ばれるのは存外、面白いものだ。」

そう言いながら俺はモニターを開き、そこに他の作成予定なウォッチの計画図を展開する。

「それでは・・、未来を拓くための新たなる力を作るとしよう・・。あいつら的に言うならば、『歴史に大いなる革命をもたらす力。それは過去、歴史をたどるならば原点である力を指すのだろう。』と言ったところか。さぁ、俺も、クロノスも、一夏も、アナザーも、エボルトも巻き込んで・・。力を集約し、新たなる歴史を作ろうじゃないか。」

そう言って今までに集めたサンプルに、クロノスの血液を加えた。

それぞれの遺伝子、因子、記憶、素質をデータ化したものが画面上に揃う。

「ふむ・・、掛け合わせで行けそうだな・・。」

俺はとあるギアウォッチの制作を目標とし、とりあえずの目処をつけて制作順に並べてソレの通りにスケジュールを作った。

「ふむ、これがすべて完成すれば、新たな歴史が開くかもしれんな。」

それは俺以外には全く意味が分からないだろうことだ。

それから俺はまずスケジュールに移行する前の、初めの準備段階を行う事にした。

 

「で?俺が呼ばれるのはなんでだ?」

「オレも一緒というのには何か意味があるようだがな?」

エボルトとアナザーを呼んで俺の実験室でいくつかの機材をつないだベッドに寝かしている。

「それは、これからわかる。まずは、エボルト、お前を一度強制的にアナザーの中に入れる。」

「なぁ!?どういう事だ!?強制的じゃなくても同意があれば・・」

「必要な事だからだ。」

そう言って俺は機械を操作してエボルトとアナザーをつないだコードが反応する。

「ぐぅ・・あぁあああ!!」

「ぐあっ・・くぅ・・、ぎぃ・・」

二人が苦悶の声を上げて、そのあと液体化したエボルトがアナザーの中に入る。

「がぁ!?・・ぁあ・・。」

「ふむ、それではアナザー、コレを使用しろ。」

そう言って渡したのは紫のバグヴァイザー。目の焦点の合わないアナザーが、それを構えて反対にはハンドルを構える。Aボタンを押すと待機音が鳴る。そしてハンドルを挿した。

「・・培養・・。」

【インフェクション!レッツゲーム!バッドゲーム!デッドゲーム!ワッチャネーム!?・・ザ・バグスター!!】

そう鳴りやむとその姿が何度かジラジラとノイズが走るようになる。

「それじゃ、次はコレを使え。」

そして、ゲーマドライバーに【マイティブラザーズ・XX】を挿して開いた。

【レベルアーップ!マイティ・ブラザーズ!二人で一人!マイティ・ブラザーズ!二人でビクトリー・X!】

二人のマイティ・ブラザーズで一度一人になったのがまた二人になった。

「そんじゃ、最後だ。アナザーは変身を解いて休め。エボルトはコレを使え。」

片方はベルトからガシャットを引き抜く。もう一人は俺が渡した白いガシャットを差し込んでハンドルを開く。

【ガッチャーン!レベルアップ!ドクターマイティ!二人で作る!ドクターマイティ!二人でメイキーングX!!】

「ぐぅ!?がぁああ!?あがぁああ!?」

エボルとはその場で倒れて苦しみながらもがき、だんだんと光の収支が現れてそのうめき声は弱くなる。

【・・治療完了。】

俺のつないでいたモニターから音声が流れて、エボルトの変身が解ける。

「ぐぅ・・、俺は・・一体?」

「オレ達に何をしたのか説明してもらえるよな?ダインスレイフ?」

二人がにらむが、まったく俺に恐怖心は無い。

「それは、二つ理由がある。一つはエボルト、お前はこれでブラッド族であり、人間である状態にできた。」

「・・は?」

先ほどまでにらんでいた二人が目を見開いて驚いて居る。

「そしてアナザー。お前にはコレを使える体になってもらうためだ。」

そう言って紫と黒の大きなガシャットを渡す。

「【ゴット・マキシマムマイティ・X】・・確かにオレには強すぎて使えない・・。」

「ブラッド族の俺にも無理だ。それにはバグスターウィルスが・・そうか!!」

エボルとは顔を上げた。

「分かったようだな。これは二人の強化プログラムだ。エボルトはより強く、さらに多くの力を使えるように・・。アナザーはお前自体を強化した。さらにエボルト、元クロノスの因子を多くするための【培養】だ。ウィルスだけでなく、人の皮膚組織、人体を構成する物質、遺伝子さえも増やした。それを二人でもう一度分け合い、その後エボルトはウィルスの抑制から除去まで行った。」

ふむ・・どうも二人ともびっくりしているようだ。

「「 ( ゚д゚)ポカーン 」」

と言った感じの顔をしている。

「そんなことができることに驚いて居るんだよ。オレがこんな体でも最強を誇っていたのは『前の世界のクロノス』の体の力だからな。」

「そうだな。しかし、エボルトとなった俺は破壊の限りを尽くす『ブラッド族』で人間とは違う体・・。それに人間の要素を加えて何になる?」

俺は三つ指を立てる。

「一つは味覚。エボルトは宇宙人の因子だろ?人間とは違う味覚だと言う事を知っている。それでも、日本人よりも欧州に近い状態だがな。イタリアやフランスのあたりの味覚ぐらいだ。」

俺がそう言うとエボルトは顎に手をやり、

「確か・・味蕾の数が違うんだったか?欧州と言ってもイギリスの英国とフランスやスペイン系も違うらしいが?」

そう言って来たので、自分の考えも含めて、

「アングロサクソン人とラテン系の違いがあるらしいが・・詳しくはっきりと解明されてないな。ただ、味蕾の数で味覚の差をいうのは違うかなぁという印象が強い。遺伝子学的な味蕾のreceptorの差異が重要だろうなぁとも思う。」

「あー、すまん。オレにはわからんのだが・・つまりはどういう事だ?」

「「分からないなら黙って置け。」」

「ヒデェ・・。」

 

「とりあえずは、礼を言っておく。・・だが、一言でも説明が欲しかったな。」

「あ、確かに。オレも急にやられてマジでビビったんだからな!」

そう言う二人に、

「あぁ・・それは悪かった。」

とだけ答えた。それで二人は部屋を出ていった。

「・・本当に悪いな。」

そうつぶやき、エンターを押すと、画面全体に大量のデータが現れた。

「ライダーウォッチと、ギアウォッチ用のデータをもらって・・。俺の実験のサンプルご苦労さん。」

そう言いながらもデータを精査し、必要なものを取り込んでいく。

俺の座っている席の足元には、多くの機会が接続されていて、それの中にブランク状態のライドウォッチとギアウォッチが収まっている。

一つそれにデータを書き込んで、ファイナライズをするとデータが書き込まれたウォッチは輝き、色がついて絵柄が変わる。

「・・ふむ、2016・・『エグゼイド』・・か。」

今回の二人を合わせたデータだったからエグゼイドのライドウォッチができた。と同時に横のライドギアウォッチも光る。

「む?・・これは、『ゲンム』のウォッチ・・。あぁ、ゴッドマキシマムXによって反応したか。・・ついでだ。ゲイツ用にしよう。」

そう言って俺はソレも取り出してケースに収めた。

「・・なんだろうか・・。最近の俺の立ち位置が錬金術師と言うより科学者的になってきたような?・・確かに昔、自分の人格を『コピー&ペースト』して増やしたりしたが、科学者よりの錬金術だよな?・・ま、気にしない方がいいか。」

 

後はついでにエルフナイン用の装備を作った。

正確にはすでに既存の装備をエルフナイン用に変えるだけなのだが・・。

それでも十分に力となる。

あいつ自身は知能という意味では力があるが、武力としての力を持たしてはいない。

何かあった時に自身を守れるようにしておくべきだと思った。

「あいつ等が見たときの顔がどうなるか・・?見物だな。」

俺の笑いが部屋に小さく反響した。

 




熱すぎて、クーラーが無いとすぐ熱中症になりそうです。
皆さんも、個人で気を付けてください。
テレビで見たんですが熱中症のため、救急車の出動件数が増えているそうです。

では、また次回。


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融合世界 22 『さぁ、実食を開始しよう・・』

どうも私です。かなり遅くなりましたが書き終わりました。
と言う事でいっぺんに投稿です。
最後までご覧ください。
途中駆け足感があるのは、使用です。不具合ではありません。(言い訳ry)


さて、それでは始めるとしようか・・。

 

先ずは圧力鍋に醤油、水【少量は日本酒でもよし】、出汁、すりおろし生姜、三温糖、みりんを加えて味付け用の液を用意した。

白ネギの成長した緑の部分を切り、そこに敷くように浮かべる。これは臭み消しになる。

玉ねぎ、じゃがいも、ニンジンを大きめに切り鍋に入れる。

この時になるべく白ねぎの緑の部分を下に沈めたい。

そしてここからが肝だが、大型の豚バラブロック。

コレを切り、賽の目状になるようにするが、初めに買う時に脂肪と肉の層がバランスよくなっているのを買うのが『みそ』だ。

脂身、赤身、脂身、赤身の層になっているのが特に美味しくなる。

コレを切ったら、脂身の側を先に下に向けておいて焼く。

鍋に入れるのではなく別にフライパンで焼くのだ。

これによって余分な脂が落ち、肉が締まって煮込んだ後もしっかりとした味付けになる。

肉の部分はしっとりとして歯ごたえ良く、脂身の部分はプルプルでほんのり甘くなる。

因みにこれには上白糖などよりも、三温糖、ザラメがいい。黒糖は癖が出るし、上白糖はコクが足りなく感じる。

そして、圧力なべを使うのがさらなるコツだ。

中にまでしっかりと味がしみこむ。一度で終わるんじゃなく。一度過熱し、圧力鍋のしるしが出るところまでしっかりと煮て、一度火を止める。それからもう一度冷めたころに加熱して圧力をかける。これが特に味がしみこむところだ。

それが終わったら圧力がさがるまで放置。その後にふたを開けて中を確認。

玉ねぎなどがトロトロになっているとオッケーだ。

そこからさらに蓋をせずに火をかけて弱火でじっくりと煮る。

野菜からも水が出るから増えた水分が少なくなるまで煮詰める。

水分が減って煮汁がとろみがついた感じになると十分だろう。

もともと『煮詰まる』とは状態が良く完成する状態の事だ。

 

「と言う事で、出来たのがこの【豚の角煮】だ。」

「いや、めちゃくちゃうまそうだが・・何故急に?」

「うっわ、トロトロプルプルだ・・。」

「いい匂いだねぇ・・。さすがダーリン!」

「さすがはダーリンさんです。これはしっかりと覚えます。」

「「「「さすが、マスターです。」」」だゾ。」

こんなことを言っているが、いつものメンバー用に夕食を作っただけ、なんだけどな。

「一応昔からのこだわりの逸品なんだが、久々に作りたくなったんでな。」

そう言いながらいくつかのグラスを用意する。

「さて、束。飲み会するぞ!織斑教諭を呼んで来い!」

「おっしゃー!」

束はそう叫んで携帯をもって外に飛び出していった。

その間に俺はいくつかの瓶や缶をクーラーに入れたり、出したりする。

「飲み会って・・未成年・・。」

「学生だろうと、俺は飲める!いざとなれば錬金術で分解するから急性アルコール中毒もない!」

「こいつ、言いなおりやがった・・。」

そう言いながらエボルトが俺の横に座る。

「そんじゃ、学生でもなければブラッド族の俺は関係ないね。」

「・・イケる口か?」

「【ケルシュ】や【ブラウンエール】よりも【ヴァイツェン】とかが好きだが・・。」

「むろん用意している。」。

そう言って缶を見せる

「ならオッケーだ。」

お互いにニヤリと笑う。

「ちーちゃん、急いで来るって!」

「こっちはいつでも大丈夫だ。他も用意しているから飲んで食ってするぜ!エボルト、他の皿も並べろ。飲み会と普通の夕食はテーブル分けろ。ちゃんと二つに分けて準備してあるからそれぞれで食うぜ。」

「応さ!」

そう言ってエボルトはテーブルの上にある皿を準備し始める。さらに料理を運んでノリノリだ。

ガリィやミカ達オートスコアラーは飲み食いはできるが、酒の味はあまり好きではないらしい。レイアとファラは嗜む程度でワインぐらいだそうだ。

そう言いながら他にも各種のつまみになる酒の肴を用意する。

枝豆に焼き立てのハーブ入り生ソーセージ、炭火焼の焼き鳥にアユやサンマ、皮目がパリパリに焼いたサバにアジの塩焼き。

カジキとぶりは照り焼きにして、アジフライも用意している。

ナメロウにサンガ、カントリーカットのポテトはスパイシーにして衣をつけた状態で上げたのでビールにピッタリ。

そして大ぶりのカキやホタテを炭火にかけている状態だ。

そろそろ開く・・、おぉっ!開いた!

耐熱の手袋でつかんで中の貝柱を空からはがす。カキを焼くときは初めは平たい側を焼いてから膨らんだ側を焼くと中がはがしやすい。それに中にたっぷりとカキの汁が残るからコレに醤油や好みでポン酢を入れて一煮立ちさせると食べごろだ。

新鮮なカキじゃないとこれはおいしくないからな。あと、できる事なら生で食べれる物がいい。火が通りきってなくてもいいからな。加熱用っていうのは基本的に水質的な条件下で微生物が繁殖しやすいところだから、下手をすると当たる可能性があると言う事で加熱処理するようになっている。こちらは一長一短で、その分栄養豊富だから丸々と太ってカキフライとかにはいいぞ!

というところでそのカキフライが揚がったのでパットに移し油を切る。

「飲み会の準備はいいか!?」

「あぁ、織斑教諭いらっしゃい。今最終工程だ。手洗いうがいはしてきたかい?」

「しっかりと入ったところにある洗面台で洗ったさ。こちらと空腹で久々の飲み会と聞いて期待しているんだからな・・。」

「ふむ、エボルト・・。準備はいいか?」

「あぁ、こっちはいいが・・、あえて言うなら、『問おう、錬金術師。酒の量は十分か?』」

「ふっ・・、『宇宙人混ざりの異世界人風情が吠える。不敬だぞ?ひれ伏せ。』」

そう言って俺が出したのは一つの瓶。中の色は金色と茶色を混ぜて薄くしたような液体。

「それ・・は・・!?」

「織斑センセ・・知っているのか!?」

「ゴクリッ・・。アレは・・知る人のみが知るとある酒造でしか作っていない、幻の銘酒の一つ。手に入れることが困難で、数量はごく少量。理由は、毎年規定量しか出さず、数年ごとに決まった店にしか降ろしていない。毎月数本で手に入れれるのは困難。両手に数えれる数しか出荷しない・・」

「食前に飲むにはコレだろう?これは・・」

「「幻の『梅酒』だ。」」

下手なメーカーの日本酒よりも高く、貴重な物。

「ほ、本物を始めて見たぞ・・。」

「へー、アレってそんなに貴重なんだ。」

「あ、コレは束の差し入れだからお礼言っておけよ。」

「「「束!」さん!」様!」「「「ありがとうございます!!」」」

「ちーちゃんまで!?敬語だよ!?びっくりだよ・・。」

「まぁ、ありがとうな束。それじゃ始めようじゃないか・・宴を!飲もうじゃないか・・我らの幸福『酒』を!」

「「「「応!」」」」

 

「あっちは、楽しそうなんだゾ?」

「あらあらぁマスターまではしゃいじゃってぇ・・、まぁ、料理はおいしいからいいんじゃないぃ?」

「派手に騒いでいるが・・二日酔いで地味に苦しむことに成らなければいいが・・。」

「あら?知らないんですか?マスターは錬金術師ですからアルコールも分解できますよ?それに人としての階位が高いから下手な事では酔いもできません。アレは味が好きなのと雰囲気で酔っているのです。」

そう言いながらカキフライをサクリと音を立てて食べる。

「あぁ、おいしい。レモンもこだわっていますね。タルタルソースも手作りですわよ、これ。」

「ガリィ、次、カキフライにタルタルソースで食べたいゾ?」

「あぁ?まずはレモンだけで食べて見てからにしろよぉ。せっかくなんだからぁ。」

「じゃ、それで。あーん・・。」

「しかたねぇなぁ・・ほらよぅ。」

「むぐ・・モグモグ・・。うん!すっごいおいしいゾ!?ありがとうだゾ、ガリィ!」

「まぁ、その手じゃ仕方ないから・・しかた無くやっているんだからぁ。」

 

 

「あそこの光景、どう思うキャロル?」

「ふん、いいんじゃないか?オートスコアラー同士。仲良くて・・。」

「とても幸せな光景だと思いますよ?ボクは。」

「ま、オレ達も旨い飯にありつけてんだから文句を言う筋合いはないな。」

「「「確かに。」」」

 

翌日、三人は二日酔いになったのでオートスコアラーに面倒を見てもらう羽目に・・。

 

「エボルトは何で元気なんだ?オレはあの二日酔いの仲間入りかと思っていたが・・。」

「あ?そりゃ、俺は宇宙人だからな。ブラッド族って流体だから酒があろうと関係謎ないが?」

「あぁ・・そりゃそうだな・・。」

 




では次へ。


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融合世界 23 『変更された未来』

「今日は実習の日だが・・、新たにクラスの生徒として参加することに成ったのが三人いる。調・スウォルツ・月詠、切歌・ウォズ・暁、響・カデンツァナ・立花の三人だ。新たに機体を得て、IS操縦者となった。ただし、コレは『オウマ』の実家の機体で三人はテストパイロットとしてデータ収集もかねての事だ。・・変な気を起こすんじゃないぞ?」

そう、竹刀を担いでジャージ姿で教卓に立つ織斑教諭。

数日前に二日酔いで苦しんでいるところを、介抱・・いや介護した相手と同じとは思えない・・・。

【ジロリ・・】

こうやって考えるだけで睨んでくるんだから、その勘もすごいよね。

「先にデータを見せてもらったが、基本的にはオウマの機体をベースにしているらしい。それから、織斑一夏、アナザーの機体を参考にもしているそうだ。製作者はダインスレイフ。企業との合同企画であり、ある意味第二世代の改修型ともいえる機体だ。」

そう言うと羨ましいなどと小声で『ざわざわ』としていたのが、逆に困惑している空気に変わる。

「あと、コレは企業としてのプロジェクトの一環でIS学園の上層部も協力を受け入れた事だ。文句や不満は受け付けない。彼女たちもそれぞれ過酷な訓練をクリアしたうえでのテストパイロットだ。」

そう言われても嫉妬があるのが人間。

「まぁ、ダインスレイフがかかわった時点でトンでも機体になっているだろう。それを覚悟して扱う彼女たちに同情する。」

「あれ?地味に貶されました?・・へぇ、そんな風に俺を思っていたんですねぇ・・。オボエテオイテクダサイネ?」

「あ・・、す・・すいませんでした。」

「姉さんが謝った・・だと・・!?」

頭を下げて顔を青くした織斑教諭。それに驚愕する織斑マドカ。

ざわざわとするアリーナ。

「まさにカオスだね♪」

「どこから湧いた、束!?」

いつの間にか俺の隣に篠ノ之束がいた。ちなみに酒を飲んでも、肝臓機能を上げる薬を飲んでいたこいつは二日酔いになっていない。薬は俺と束の共同で開発した物だ。

「ふふふぅ~。私も新機体の発表だよ!カモン、クーちゃん!!」

『イエス、束様。』

音声と共に来たのは紅い機体・・。

「その名も・・『紅桜』【ベニザクラ】!!」

紅椿【アカツバキ】じゃないだと!?・・そうか!白式が無いから対になる紅椿も必要が無い・・。あれ?それじゃ、白騎士のISコアは・・?

「ふふ・・、これはマーちゃんの『夜騎士【ナイト・オブ・ナイト】』のサポート機だよ。」

「夜騎士だと!?」

そうか!?織斑一夏がいない代わりにマドカがいるなら、そのコアもマドカに行くのは当然の帰結。今まで気が付いていなかった・・。

「では、私も・・『起動』・・。」

そう言いながら手を前に出すと、待機状態の腕のバングルが起動し、ISが装備されて降り立つ。

「これが私の夜騎士です。」

黒を基調とし各部に金と紫をあしらった関節部の飾りがついている。

「黒は夜、紫は宵、金は星をイメージした機体だよ。基本スペックは私が作って倉持にその後を依頼した機体さ。白騎士の後継機にして騎士ではないイメージをするのに苦労したよ。結果として円卓の騎士をいくつかイメージとした。弓や弩をモチーフとして、各武器をそれなりに使えるとイメージでランスロットをモチーフにしたんだ。」

因みに実際のランスロットは剣が無い時に、枝で敵を追い払っただけで、何でも自分の思うとおりに仕えたわけではない。こいつ、アニメやゲームが元か?

 

とりあえずでは、俺の知っている機体が並ぶこととなった。

かなり予想とは変化しているようだがな。

目の前の『夜騎士』、『紅桜』。

それから、各国の代表候補生が持っている機体。

オルコットの『ブルー・ティアーズ』、鳳の『甲龍』、ボーデヴィッヒの『シュバルツェア・レーゲン』、あとはクラスの違う更識妹の『打鉄弐式』と更識姉の『ミステリアス・レイディ』までは知っているし普通だったが・・シャルロットデュノアの機体が微妙に変化している。

これはおそらくクロノスの会社との研究結果だろう。

「ボクの機体はコレだよ。・・『Typhon【ティフォン】』。この国で言う台風の事だね。」

そう言って出した機体は各パーツが鋭く、軽量型に造っているように見える。

オレンジカラーの機体は元のイメージ通りだが、それ以上に見た目がかなりラファールと違うのが印象に残る。

「この機体は元のラファールから改良した新型第三世代量産機『トルナード』の派生だよ。ラファールの強みは状況に応じての換装。その使いやすさだね。それを元に、オウマとの共同開発研究でデュノア社は新型の換装パーツを開発できた。ライダーシステムの応用だね。ソレを取り付けることができる機体の開発で出来たのが『トルナード』現行量産体制で開発ラインが稼働中だよ。そして、ボク個人用に開発したのがこの機体『ティフォン』という訳だね。」

そう説明を受けて各国代表は驚いて居るようだ・・。まぁ、俺は別に驚きもしないな。クロノスがかかわっている以上、何らかの異常はあると思っていた。・・なんてな。

「ふ、フランスが第三世代機の量産に成功しているのは知りませんでしたわ・・。」

「ドイツは結局『シュバルツェア』シリーズが合っているらしく、他の案はコンセプトから外されたな。」

「中国は色々と迷走してる気がするのよね。名前然り・・。」

俺が作る機体は前の世界でもかなり穿った性能だから、参考にはならない。

「因みに大きく強みになったのは『パッケージ』の換装だね。『クアッド・ファランクス』とかのパッケージを使う際にかなり大掛かりになるのがネックだったけど、『トルナード』からはソレも容易になったよ。簡単に言えばそれ様に作ったパッケージを上からかぶせればいいように作ったからね。それによって新たなパッケージも開発されたよ。そして、この『ティフォン』も高速戦闘パッケージ、防御特化パッケージ、高威力射撃パッケージ、レーダー機能向上の長距離偵察パッケージ、が装備できる。これは『トルナード』と共有のパッケージも使えるし、専用装備も使えるんだ。そして、単一機能は別にある。これは秘密だけどね。」

そう言われて各国の代表候補生や留学生はかなり悔しそうだ。日本人はそこまで悔しそうにないのは平和ボケか、または打鉄の後継機が簡単にできると勝手に思い込んでいるか・・どちらかもしれんな。

まぁ、俺には関係ない。

更識の奮闘ぶりもそして、元のオタク気質もどうなるのか見物だがな。

 

因みにその後は基本動作を全員で行った。

その際の動きが細かく動けるのはライダー組だが、ISの能力として群を抜いていたのはやはりデュノアだった。

それから、機体の扱いがうまいのはボーデヴィッヒで、あとはあまり変わりない感じだった。

オルコットは射撃しか上手くないし、鳳は単純思考の動き。

織斑マドカの『夜騎士』は機体の機能で射撃武器が外付けで肩にハンガーが付いている。これは状況で付け替えれるようにしてあり、すぐに持ち替えて使えるようだ。高速切替『ラピッド・スイッチ』ができればいいが、それができない場合に使うようにしてあるらしい。

 

『紅桜』は性能は見せずに帰ったが、コレは第四世代機なので並べる必要はない。

正確に言うと夜騎士も第四世代機の一部を使っているらしいが、そこは隠してデチューンしてあるらしいので、言わないことにしている。束との秘密だ。

 



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融合世界 24 アナザーとの戦い

『こんばんは。今日のニュースです。』

風呂に入り、リビングを通ると二人が難しい顔でテレビを眺めていた。

二人とはエボルトとアナザーだ。

気楽な二人が珍しいものだが、いったい何がと思いテレビを見るとその画像に興味をひかれた。

『正体不明の化け物が現れて暴れている動画がSNSで投稿されました。実際にその場所は破壊され、無残な状況です。幸いに被害者はいませんでしたが、その実態は不明で・・』

そう言っているが、俺はその存在に気が付いた。

「なぁ、あれって・・」

「あぁ。これは面倒なことに成ったなぁ・・。どうするよぉ・・ダインスレイフ?」

そう言って俺を見るエボルト。

「どう見たって、・・『仮面ライダー』の見た目そっくりな『怪物』だ。」

「あれは、『アナザーライダー』という名前だ。平成の仮面ライダーの姿を模しているが、その実は悪意や害をもたらす。ちなみに言うならば、『仮面ライダージオウ』の『敵』だな。」

「アナザー・・ライダー・・。まるでお前みたいだな。」

俺がソファに座るアナザーイチカを見る。

「うるせぇ!オレも気にしているんだ。まぁ、実際には元々がダークライダーの力を集めた『あちらの世界のクロノス』を元に構成されたバグスターだからな。ある意味ではオレもアナザーライダーではある。だが、あれは、主人公の姿を模倣している。そこは違うな。」

「なるほど・・。では、今後も増えるとしてアナザーライダーは何人存在する?」

俺が聞くとエボルトが手を上げた。

「平成初期から言うから覚えておけ。クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド、ダブル、オーズ、フォーゼ、ウィザード、ガイム、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド・・最後にジオウ。これが平成ライダーだ。そして、今回のアイツはおそらくビルドのアナザーライダー・・『アナザービルド』だな。」

画面に映っていた姿は、赤と青の見た目だが、禍々しい姿はライダーと思えない。

「今回壊されたのは?」

「どうやら女性物の下着店だな。その前は他の女性物の服飾店だ。」

「・・犯人は変態か?」

そうアナザーが言うが、俺はさっきの動画に映っていたある事が気になる。アナザービルドが執拗に壊している物・・。

「なぁ・・、アレって・・」

その疑問を話すと、

「あぁ・・おそらくは目的はソレだ。」

「そうなると犯人が絞れるな。」

「更識に聞いてみる。・・おい更識、生徒会長権限で情報が欲しい。テレビで出ていた店の事と今日の外出者のリストだ。・・あぁ、至急頼む。」

そして、気になるのはこの学園から近い場所の店で、それを生徒会長に聞いてみると生徒や関係者も行っている店らしい。

「学園の関係者か?」

「なら、ライダーの強さを知り、アナザーだろうと力を欲した可能性はある・・。」

そう言いながら犯人像を推理する。

「・・ところで、アレってどうやってあの姿になるんだ?一度なったらずっとあのままなら目立つよな?」

アナザーがそう疑問を言う。

「ジオウの敵と言っただろう?アレは、アナザーライドウォッチを使って変身することができる。無理矢理変身させられたのでなければ、変身を解除することも可能だ。」

そう話を言われてそれなら帰ってきていない人物から絞ることはできないと考えを改める。

そうしていると今日の外出者リストが携帯に届いた。

俺はそれを見るとある名前に気が付いた。

「・・なぁ、この名前って・・」

「あれ?なんでこいつがここに居るんだ?」

「・・むぅ・・。おそらくは世界の融合のせいかもしれんなぁ。」

とある人物を見て三人でそのデータを開く。

「「「あぁ・・。こいつが犯人だな。」」」

その人物のデータと共に顔写真が出ると同時に声をそろえた。

その写真は胸の上から頭の上までのいたって普通の証明写真。

おそらくは採用試験のための書類からの転用だろうが・・。

そいつを捕まえるとこを決めた。

 

俺こと『イチカ・ダインスレイフ』と『クロノス・オウマ・ジオウ』

「・・どうも、初めましてになりますよね?・・『結月ゆかり』先生?」

「ふんふん~♪・・誰?今、実験中なんだけど?」

そう言ってこちらに顔を向けたのは白衣を着た理科の教師、『結月ゆかり』だ。

あぁ、確かにソレが理由で犯行をおかしそうな見た目だ。

「単刀直入に言いましょう。」

「最近出ている怪人・・『アナザービルド』は貴女ですね?」

【パリン・・】と試験管が落ちて割れる音がする。中身は空だ。

「ふ、ふふふっ・・あーぁ、バレちゃったのかぁ・・。私の実験がぁ・・。」

そう言ってゆらりとこちらを向く。

「だったら、もう自重する必要はないよね?」

そう言って立ち上がったその姿は白衣の下に、兎の模様の書かれたパーカー。

その胸は見事に薄かった。

あのアナザービルドが壊しまわっていたのは【グラマラスな体系のマネキン】などがメインで飾ってある店だった。

「要するに僻みと言う事だね?」

「誰もが持っていることを見せつけてくる!そしてこちらを憐れむ!それが!それこそが!!一番ムカつくんだ!」

【ビルドォ・・】

「がぁあああ!!」

アナザーライドウォッチを押して自分に押し付けるとそこから姿が変わり、禍々しい姿に変わる。

「これが、『アナザーライダー』か・・。クロノス、頼む。」

「わかった。これは僕のやるべきことだからね。」

【ジオウ!】

「・・変身。」

ベルトを回転させてジオウに変身するクロノス。

そして、お互いにつかみ合って校舎から飛び出て校舎外のグラウンドで転がる。

それから攻撃しあうが拮抗しているようだ。

「きゃぁああ!?」「化け物!?」「何アレ!?」

悲鳴が聞こえるが俺は、一人の人物を探して校舎内を走る。

そして、見つけた人物は、

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

「ダインスレイフ!?アレはなんだ!?ビルドの見た目に似ているのだが・・」

「それよりお前の力がいる。こっちに来てくれ。」

「む・・、わかった!」

少し考える顔をしたが走って俺の後を追いかけてきてくれる。

グランドに出るとそこで俺は一つの機械を出す。

「これは【簡易ライドウォッチ発生装置】だ。ブランク状態のウォッチに因子を使い、ソレが反応するとライドウォッチを生み出すことができる。」

「そうか・・だとしたらコレを掴むぞ。」

ブランクウォッチにつないであるハンドルを握る。だが、反応が無い。

「何故だ!?どうして・・」

「クロノスがやはり必要だったか。」

そう俺が言うと、

「変わりはオレならいけるだろう?」

そう言ってアナザーイチカがハンドルを握る。

「はぁああ!!」「いけぇえええ!!」

そう言って力を入れるとウォッチが反応しだした。

【ビルド!!】

「完成した!これなら!!クロノス、受け取れ!!」

出来たビルドライドウォッチを投げると、回して竜頭を押し込み、すぐにベルトの差込口に入れる。

【ビルド!】【アーマータイム!ベストマッチ!ビルド!!】

『勝利の方程式は決まった!』

【そのようなこけおどしでぇ!?】

腕についているドリルで【ガリガリ】と攻撃し、下がったら蹴り、反対の腕で殴る。

【こ、こんなに強いなんて聞いていない!?】

『これで終わらせる!反省してください!』

【ボルテック・タイムブレーク!】

大量の数式やグラフが現れる。

【むぅ・・あれは、あの式で、あちらはあの公式・・】

アナザービルドがそれに見とれているうちに、公式に基づいたグラフがアナザービルドを挟み込み固定する。

【ぁあ!?しまった!?】

『はぁあああ!せいやぁああ!』

【ぐぁあああ!?】

蹴りを食らい、アナザービルドは爆散する。

そして、その後に結月先生が倒れ、アナザーライドウォッチが落ちて割れる。

『決まったな。』

そう言って手をオームの法則にして決めポーズをとる。

「まぁ・・。これで一件落着だね。」

そう言って結月先生を起こすと目を覚ます。

「あれ?私は何故ここに?」

「・・?貴女は結月先生ですよね?」

「へ?あ、はい。理科の科学担当の結月ゆかりです。貴方は・・生徒のダインスレイフさんですよね?何が・・何故グランドに?」

「記憶が‥無い?どうしてここに居るのかもわからないと?」

「え?・・確かに何故ここに居るのかもわかりませんが?いったい何が・・」

その言葉に俺は少し驚愕している。ライドウォッチを使い暴れている時の記憶はない。つまりは、ライドウォッチを渡した相手も覚えていない・・と言う事だ。

「これは厄介な事件かもな。」

そうつぶやいた。

 



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融合世界 25 クロノスの過去

【アナザーライダー】・・。

それは、【実在しなかったはずの、可能性のライダー】。

居るはずがない、この人のはずがない、そういう事をする存在じゃない。

それを秘めたある意味で、あらゆる意味を秘めたライダーと言えるであろう。

「それが、急に現れた。そして、それは【仮面ライダージオウ】の敵たる存在だ。」

「それが・・なんで現れたかって言うなら・・、ジオウがいるからじゃないのか?」

アナザーの名を持つ存在、アナザーイチカがそう質問をする。

「いやぁ、そいつは違う。ジオウが居るからそいつができたのではなく、【そいつの存在があるからジオウが生まれる運命にあった。】と言う事かもしれない。未来確定の過去への逆流事項だ。いわば、タイムパラドックスが起きないように確定した事項は起きることが未来で決まっているパターンだ。例えば、俺は水を飲んだ。それは、さっき軽く運動したからだからだが・・、逆に言えば【水を飲むことが決まっている。なら、その水を飲む理由になる行動を起こすはず。】という事象が決まり、俺は結果的に運動という行動を起こしたのかもしれない。未来が決まっていて、その道中が後から書き足されたようなものだ。」

「はぁ・・。」

「ダメだコイツ!全然全くちっともわかってない!!」

アナザーイチカの顔を見て、エボルトが俺にそう叫んだ。

「面倒な説明は省け。とりあえずだが・・アナザーライダーが存在する。そして、それはジオウによってしか倒せない・・。だが、俺はもう一つ気になることがある。」

「【クロノス・ジオウ・オウマ】の事でか?」

そう言われて俺は指を二本立てた。

「二つある。一つ、【オウマの会社】はどうやって仮面ライダーとISをくみ上げったのか。それができるならほかの機体もできたはずだ。もう一つが大きな疑問だ。」

「それ以上に疑問だと?」

「一個目は束が関与しているなら話はそこで終わる。奇跡的に一個目がコアとライダーシステムがあった。それだけだろう。だが、・・オウマはどうやって【ジオウⅡ】を手に入れたのか・・。」

俺が言うと顔をひきつらせたエボルト。疑問形のアナザー・・。

「あぁ、オレと一夏をぶっ飛ばしたやつな・・。アレがどうかしたのか?」

「・・【ミラーワールド】・・か。」

「なんだそれ?」

本格的に駄目だコイツ。

「ミラーワールドは、仮面ライダー龍騎に出てくる鏡の世界。もう一つの向こう側の世界で、そこにモンスターが存在している世界だ。龍騎たちはそこのモンスターと契約し、最後の一人になるまで戦い残った一人が願いをかなえることができるという世界のライダー。その舞台の世界に行かなければ【ジオウⅡ】は・・もう一人の自分とは会えないはずだ。」

事実、第二の自分は存在する。

それは異世界の自分ともいえる存在。

ある意味ではここに居る【織斑一夏】を元にした存在はそれぞれがアナザーともいえる。

その【中でも一番に本物に近い存在】をここでは【アナザー】と言えるだろう。

しかし、【ジオウⅡ】はミラーワールドのもう一人の自分と会い、お互いを認めて初めて手に入れる力。つまり、

「クロノスは龍騎のライドウォッチを持っているということに成るな。」

「何らかの理由があって、ミラーワールドに行った・・と言う事だろうなぁ。」

それをエボルトと一緒に考えていた。

 

「それってさ、この世界の【篠ノ之束】が関係しているとかないよな?」

「「!?・・・・ソレだ!!」」

 

気が付いたのはアナザーだが、確信が持てる。

「【Through the Looking-Glass, and What Alice Found There】・・【鏡の国のアリス】か・・。」

「見事にマッチする。つまり、ミラーワールドが先で、ライダーシステムとISが後と言う事だ!くそ・・。時間軸の話をしたというのに・・根本の話が前後逆だったとは・・。」

「あぁ・・。そうなりゃ、ミラーワールドとジオウⅡの事に、ライダーとISも束博士が関連してつながる。まぁ、そういうこったなぁ・・。」

そう言いながら頭を抱える俺とエボルト。

そして、自分で言っておいて、未だに意味が分からないと言う感じの顔をしたアナザーイチカが非常にむかついたのだった。

 

 

「クロノス・・お前、【龍騎】のライドウォッチを持っているのか?」

「龍騎・・?あぁ、あのウォッチの事かな・・。えっと、・・あった。コレかな?」

そう言って取り出したのは紛れもなく【仮面ライダー龍騎】のウォッチだった。

「何故、このウォッチを持っている?」

「話せば長くなるのだけど・・、概略だけでいいかな?」

「あぁ、入手した時の話が分かればいい。細かい話は必要としてはないが・・、疑問があれば聞かせてもらう。」

「分かった。これは、ISに乗る前・・会社の見学に行った時の事だ・・。」

 

「ん?今、人がいたかな?」

通路を通っていた時に、ふと人の気配を感じた気がした。

でも、そこには誰も居ないはずだった。カードキーで入る認証の部屋。入室記録で誰も居ないのを確認して入ったのだから。

おかしいと思って覗きに行くと、そこには誰も居ない。

しかし、ひとつだけおかしい事がある。

誰も居ないはずの部屋に動いた状態の【チェス】が置いてあり、こけた黒いポーンの駒が揺れていた。それは姿見の大きな鏡が置いてあるすぐ横にある机の上。

どう見てもそれは今までチェスを打っていた人がいるような動き。

揺れる駒を退けて、次の一手を打つ。

「f6にポーンを前進。」

すると、急に盤上の駒が動いた。誰の手もなくe3に白のポーンが動いたのだ。

まるで誰も居ないのに動く機械のチェスの様だ。驚きながらも駒を進め結果として、

「チェックメイトか・・。」

勝つことはできず、完全に詰みの状態になった。

すると、横にあった鏡に映った自分がこちらを見た。自分とは違う動きでこちらへと歩いてきた。そして手を掴み引っ張ると、鏡の中へと引きずり込まれた。

そして、気が付くとそこは今までいた部屋と一緒に見えるが、全ての配置が逆、文字も逆さ、そして、目の前にいる自分の姿をした人物もボタンや服の胸ポケットが逆だった。

「初めまして・・。【もう一人の僕】。」

「君は・・一体・・?」

そう言って習っているボクシングの構えで警戒した。

「そう構える事は無い。別にチェスで負けたからと言ってどうこうする訳じゃない。ただこの世界に呼ぶための鍵なんだ。」

「鍵?」

そう言って見回すと、部屋のあらゆるものが逆だった。

部屋の配置、カレンダーの文字、時計の数字も針の回りも・・。

「ようこそ、鏡の中の世界、【ミラーワールド】へ。ここへ呼んだのは他でもない・・。ある人物を救ってほしいんだ。」

「ミラーワールド?ある人物?話が見えない。」

「大丈夫。順を追って話すよ。ただ・・移動しながら話すことにする。時間が無いんだ。」

そう言ってドアから出て手招きをするもう一人の僕。追いかけて並ぶ。

「先日、この世界へ迷い込んだ人物がいるんだ。だけど、ミラーワールドは反転した別の世界。いわゆる異世界なんだ。そこに生きるには資格が居るし、適合できないと消えてしまう。」

「消える!?それじゃぁ僕は・・」

「それなら大丈夫。君には僕が居る。どちらかが消えない限り、大丈夫だ。だが、普通はそうじゃない。自分になり替わろうとする存在も居れば、自分を消そうとする存在も居る。さらに、鏡の中には不可思議な存在が居ると聞いた事は無い?アレは本当で、それはミラーモンスターと呼ばれるんだ。契約をしていれば問題ないが、基本的には人を襲う。彼女はそれから逃げたが外へと出れなくなっている。その人を助けてほしいんだ。」

そう言いながら少し速足で歩く。そこは駐輪場になっている。一台のバイクを引っ張り出し、エンジンをかける。

「乗って。少し遠いんだ。」

そう言われて後ろに乗りヘルメットをかぶる。

「それじゃ行くよ・・。」

そう言って走り出す。ヘルメットの中にもスピーカーとマイクがあるのか声が聞こえてきた。

「彼女は橋に追い込まれているみたいだ。匿っていた所もモンスターに見つかったみたいだね。急ぐからつかまって。」

「いいけど、僕にどんなことをさせるつもりなんだ?」

「それは君になってもらうのさ・・」

 

「正義の味方【仮面ライダー】に。」

 

道路を走っていると前方に橋が見えた。最近できたばかりの大きな橋だ。

だが、町自体も逆らしく道順も逆方向に走ってきたらそこに付いた。本当にすべてが逆なのだろう。

そして、橋の手前でアクセルを吹かして加速する。

見ると前方には動く影が・・。

「それじゃひいちゃう・・」

「アレは、ミラーモンスターだ。むしろ轢いて倒したいが・・効かないんだ。」

そう言ってハンドルをきり、橋の欄干へと向かう。

「しっかりつかまって!」

「え、うん!?」

そしてバイクが飛んでうじゃうじゃと衣類業の化け物の上を飛び超えた。

「間に合った!」

バイクが着地して進むと橋の真ん中に女性が居る。その下の川にも異形の化け物が居た。

「もう・・ダメか・・。」

「大丈夫!間に合ったよ!【束さん】!!」

「えっ!?あ、クロ君・・とクロ君!?クロ君が二人!?」

目の前には白衣を着た上に何故かうさ耳バンドをつけた女性が居た。見たことがある・・たしか・・、

「世界から追われてる、篠ノ之束博士・・ですよね?」

「あ・・うん。でも、この世界に来てどうしよもない無力なのを思い知ったよ・・。」

そう言って落ち込んだ顔をする。

それが初めての出会いだった。

 



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融合世界 26 俺が『ジオウ』になった理由

◆【ミラーワールド内】

 

「それで、この状況をどうするの?」

そう聞くと、もう一人の僕は手に丸っこいものを持つ。

「これはライドウォッチと言われる物だ。本当なら龍騎のベルトを渡したいところだけど、君には君の運命がある。だから・・」

そう言って白い部分が真ん中に付いたものを取り出して僕の腰に当てる。

するとベルトが出て装着された。

「君の運命を・・君に渡す。これは始まりを告げる物だ。」

そう言われて受け取ると何も書いてなかったそれは、光り、形を変えて絵が現れた。

『【ジオウ】』

白いそのライドウォッチと呼ばれる物は音声を鳴らす。

「そうか・・。君は新たなる王となる。時の王・・ジオウだ。」

「よくわからないけど・・なんか、やるしかないって感じだから、・・やってみる。」

ウォッチを回し、竜頭の場所を押し込む。

『ジオウ!』

ベルトに横から差し込みベルトの上部を押すとロックが外れて少し傾く。

「行くよ・・、変身!」

片手ではじくように回すと元の位置にベルトは戻り、自分の姿が変わる。

『ライダータイム!・・仮面ライダージオウ!』

姿が変わり、変身した自分は力がみなぎる。

「よくわからないが・・強くなった気がする。」

「おめでとう。過去と未来を統べる時の王、仮面ライダージオウの生誕の時だ。」

そう言って手に剣を取り出して渡してくれる。

「その力なら、ミラーモンスターを倒せる。もしも何かあれば戻ってきてくれ。」

「うん、行ってくる!」

そう言って走り、橋に寄ってきたモンスターを切って切って、斬りまくる。

『タイムチャージ!5・4・3・2・1・ゼロタイム!ギリギリ切り!』

「うおおおお!」

切りまくった後、強そうな相手が数匹残っていた。

ベルトのライドウォッチをはめ込み、トリガーを押す。

『フィニッシュタイム!ジオウ!ギリギリスラッシュ!』

「せいやぁあああ!!」

横に大きく切ると伸びたエネルギーの刀身で橋の手前にいたモンスターを一掃していた。

ベルトにウォッチを戻して剣を掴んで回すように動かすと今度は銃になった。

橋の反対にも居たモンスターへ、走りながら打つ。

『タイムチャージ!5・4・3・2・1・ゼロタイム!スレスレ撃ち!』

束博士へ近づいていた何体かのモンスターを倒す。

博士から離れた相手のみになったから、強いのを打ち込む。

銃に先ほどと同じようにウォッチをはめ込む。

『フィニッシュタイム!ジオウ!スレスレシューティング!!』

チャージするようにして撃ったソレは爆発を起こした。

「いやぁ、いきなり使いこなしてるね。」

「助かったよぉ・・。」

二人がそう言って来るが、僕はその煙の先を見ていた。

「まだだ・・。強いのが残っている。」

そう言って見た先には武器を構える黒い仮面ライダーも居る。

『アドベント』

カードを取り出して腕の何かに入れると空から黒い龍の形をしたモンスターが下りてくる。

「アレは『仮面ライダー・リュウガ』・・アナザーライダーじゃなくてダークライダーだから強いだろうけど倒せない事は無いはず。・・だが生憎と龍騎のライダーウォッチはもって無いからね・・。」

そう言って黒と銀と金のライドウォッチを取り出す。

「・・『僕は君』で『君は僕』。それはわかっているね?」

「あぁ。それはわかる。鏡の中の自分。鏡に映る自分は自分、つまり『僕は君』。」

頷いてそのウォッチを手渡される。

「君は僕。僕は君。一緒ならどこまでも強くなれる。君は一人じゃない。僕は君と一つになる。それでこそ『僕は僕』だから。」

そう言ってもう一人の僕は手を伸ばす。僕に向けて手のひらを押し出すように。

その手を見て、一度頷き、同じように鏡合わせに手を伸ばした。

すると僕たちは光り、そして・・一つになった。

「・・ありがとう。どういたしまして。・・不思議な感覚だね。・・でも、なんか行ける感じがする。」

そうしてライドウォッチを持つ。竜頭が大きく、普通にはつけれない。だが、もう一人の僕のおかげで知識はある。

『ジオウ!!』

竜頭を回してサイドに動いた一番前の部分。それぞれ端を左右に引っ張ると二つのウォッチに分かれる。

それを左右からベルトに差し込む。待機音がしてベルトを回転させる。

「行くよ・・変身!」

『ライダータイム!・・仮面ライダー!ライダー!・・ジオウ・ジオウ!ジオウⅡ!!』

変身した姿は先ほどと違い、さらに強い力を感じた。

そして、念じるとどこからか小さな剣が現れた。

『サイキョーギレード!』

その剣を持ち、ジカンギレードを構えて両手に剣を持って走る。

「うぉおおおおお!!」

黒い龍は飛んで、黒いライダーも走ってこちらに向かってくる。

『ソードベント』

黒いライダーの手に剣が現れてぶつかるときに剣が打ち合う。

横から竜が攻撃してこようとするがそれをもう一振りの剣で切り払う。

「何で、篠ノ之束博士を狙う!?」

「・・無論、そこに居るからだ。」

そう言って黒いライダーは剣をふるう。大きく振ったから隙を見て剣をふるうと、

『ガードベント』

シールドを召喚してそれに防がれる。

くそ・・やりにくい・・。

どうすれば・・。

そう考えると頭に思い浮かぶ未来の光景。

「そうか・・!?・・これなら!」

そう言って剣を振るそれに合わせて剣を振ってきた相手に、

「かかったな!?それは見えている!」

そう叫んでサイキョーギレードを外して隠し持っていた反対の手で切り裂く。

『ぐぁ!?』

もう一度未来視をして、後ろからくる龍に剣を変えた銃で撃つ。

『GUgaaaa!?』

そして、少し後ろに下がり、相手をまとめて攻撃できる体制にする。

ジカンギレードのフェイスを剣に戻したジカンギレードに装備し、サイキョーギレードも合体させる。

そして、構えて力を込める。

「行くぞ!ハァアアアア!」

『フィニッシュターイム!・・ライダー!ギリギリスラッシュ!』

その攻撃でドラゴンとリュウガを一偏に切り裂く。

『グアァアアア!?』

『GAoooo!?』

敵が吹き飛び、爆発した。

そして、足元にライドウォッチが転がってくる。

拾い上げるとそれは『リュウガ』ではなく、赤い『龍騎』のウォッチだった。

「リュウガも・・龍騎を映した鏡の中の逆存在・・か。」

それを収めて変身を解く。

「クロ君・・なんだよね?」

そう言われて自分の中のもう一人の記憶が一緒にある。

「そうだね。僕はクロノス。彼も僕。正確には彼は鏡の中の僕だけど・・一緒になった今は結局は僕なんだ。」

そう言って手を伸ばす。

「よろしく束さん。」

すると少し悩んで、にっこり笑い手を握り返してくれる。

「こちらこそ。クロ君。」

 

「こうして僕たちはあの世界で生き延びることができて、変身することができるようになった。仮面ライダーになれるから出ることができたのであって、初めからそうだったわけじゃないんだよ。」

「そう言う事だったのか‥。なるほど、納得できた。」

顎に手を置いて真剣に話を聞いていた俺はその話からライダーになったからISにも乗れるようになったと言う事に気が付く。つまり、そこに何らかの因子が結びついていたと言う事だ。

「おそらくだが、もともと織斑一夏の因子ではなく、ライダーになる因子があったんだろう。それからライダーになる因子を受けたことからさらに因果を呼び、織斑一夏の因子を呼ぶこととなる。並行世界では織斑一夏の因子を持つ者が仮面ライダーになっていたからな。それからさらに、似たものを呼びよせる因果へとつながる。それによって俺達がこの世界へと来ることとなったというわけだ。」

そこまで言うとすべてが並びつながる。

「・・うん?」

そこで気が付くのは終わり方・・この世界の脱出方法だ。

「それじゃ、【ジオウ】の終わりがこの世界の終焉を迎える方法か?・・そのために時間が進みだして、アナザーライダーが出現したのか。」

一人で納得するとクロノスが肩を叩く。

「つまりは僕に死ねと言うのかい?」

「いや、そうじゃない。怖い顔をするんじゃない。」

そして俺はまた先を話す。

 

「これは、あくまで仮定だが、【仮面ライダージオウ】の物語が関係している。その終わり方が関係してくるという話なんだ。」

 

 



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融合世界 27 新たな力『オンステージ』!

それから話し出し、終わったのはかなり後。

夕日が海に沈み帳が下りたころに終わった。

「・・それじゃ、世界は時計の針を進めたと言う事だね?」

「あぁ、終焉への針を・・だがな。」

世界は融合している。それはいくつかの理由があるが、俺がこの世界に来た理由それが一番大きい。それはおそらく世界が終わる瞬間だ。それまで俺はすべてを準備しないといけない。

 

コレはクロノスにも言っていない事だが・・おそらく俺は死ぬだろう。

その時のために準備が必要なのだ。

クロノスが去った部屋で一人作業をする。

俺が終わる瞬間のために。残しておくものを・・。

 

 

【奇跡】は起こる物じゃない。だから奇跡だ。

俺は【軌跡】を残し、それを【輝石】に変える。

そんなことを思いつつ俺は力を込めた『石』を造る。

これこそが俺の『意思』だから・・・。

 

そうして作業を終わらせてリビングに行くと騒がしい。

「あ、ダインスレイフ!ちょうどよかった。呼びに行こうと思ってたところだ。」

「どうした?アナザー。」

アナザー一夏は、リビングにある大型のモニターを指さす。

「あのテレビを見てくれ!」

「ん?」

近寄り見ると、今の状況を映しているようだ。LIVE映像と書いてあり、『中継先の~』とも言っている話声がする。

映像は暴れている人影・・いや、化け物の姿。

「あれは・・アナザーライダーだな。」

「そうなんだよ!また現れやがった・・。」

そう言っているアナザーを見ながら、何のアナザーライダーか考える・・、と思っていたらテレビの中が騒ぎ出す。

『大変です!?もう一体化け物が・・。』

「ふむ・・あれは、『エグゼイド』それに『ガイム』だな。」

エボルトが壁にもたれかかり、モニターを見ながらそう告げる。

「よぉう、同士。クロノスからは面白い話は聞けたかな?」

「まぁ、ソレは後から話そう。それよりも、ライドウォッチを造らないと・・。」

そう言って俺は簡易ライドウォッチ制作装置を取り出す。

「あぁ、それなら大丈夫だろ?なぁ、エグゼイドのウォッチはもっているはずだ。前の俺たちを強化した実験の際になぁ。」

エボルトにそう言われ、首を振りながらケースを取り出す。

「まったく、抜け目ないねぇ。こういう事もあろうかとってか?天才の因子とゲーマーのアナザーがあればできる。そう言う事だろう?」

「お見通しか。その通り。そして、それを元に解析して作ったのがこの簡易ライドウォッチ制作機だ。以前ビルドウォッチを造る際に使った。・・だが、それは因子がある事がわかったからだ。今回、ガイムのための因子は見当つかないが・・どうする?」

そう言って俺はエボルトを見る。

「うーむ、あまり好きではないがアイツに頼るかぁ。」

そう言って手招きしながら外へと出る。

校舎を歩きとある場所で一人の生徒を見つけた。

それは剣道場。そこに居たのは、

「ふむ・・侍の因子・・と言うべきか?」

「そう言う事だ。おそらく、ガイムには必要だ。それと、・・コレだ。」

そう言って取り出したのは・・、

「果物・・?」

「ガイムの因子には必要そうだからなぁ。さぁて・・篠ノ之箒!」

そう声をかけるとこちらを振り向く。

「む?どうした、えっと・・あぁもう!顔が似ていてよくわからん。」

「エボルトとダインスレイフだよぉ。それより少し協力してくれないか?」

「協力?私がか?」

そう言って振っていた木刀を手にこちらへと来てもらう。

「木刀はそこらに置いて。手にこれを持ってくれ。」

「これは、・・ミカン・・ではなくてオレンジか?何故・・」

剣道着姿で片手にオレンジをもって首をかしげる光景・・シュールだな。

「そんじゃ、これを掴んで。」

「う、うむ・・。」

簡易ライドウォッチ制作装置を握るとブランクウォッチが光り、形を変える。

『ガイム!』

そうしてライドウォッチができた。・・こんなことで・・。

「あまり納得できないな。」

「そう言うな。ちゃんとできたんだ。文句は無いだろ。・・そんじゃありがとうよ、篠ノ之さんよ。また礼はいつかするからな。チャオ!」

「この程度で、礼をもらってもな・・。まぁ、何かの際には頼む。」

そう言ってオレンジを返してもらい篠ノ之箒は素振りを再開した。

「それじゃこいつを持ってクロノスの元に行きますか。おそらくジオウⅡで戦っているだろうが、二体相手じゃ分が悪そうだ。まぁ、アナザーに行ってもらったがな。」

「いつの間に・・。ホントに抜け目ねえな。」

そう言って俺とエボルトは走り出した。

 

そして、目的の場所には、

『グワァアア!!』

『ガァアア!』

暴れる二体のアナザーライダー。

「『アナザーガイム』は『ジオウⅡ』でどうにかなるかもしれないが・・、アナザー二体なら一度放してから、それぞれで倒した方が楽だろう。アナザー!俺も加勢するから『アナザーエグゼイド』を連れて離れていくぞ!・・・変身!」

【コブラ・ライダーシステム・・エボリューション!アーユーレディ?】

「おっしゃ!オレだけじゃ抑えるのがやっとだ。攻撃が効いても効果的じゃないからか?」

そう言っているが、『仮面ライダー・アナザーパラドクス』はエグゼイドの世界のはず・・。攻撃が効かないはずは無いんだが・・?

『とりあえずは一度ぶっ飛ばしてぇ、・・考えるぞっ!』

そう言って思いっきり殴りアナザーエグゼイドは転がって離れる。

とりあえず二対一で別れたが、俺にはライダーの力は無いから攻撃しても衝撃で吹き飛ばせるかもしれないが、一切ダメージは与えられないだろう。

アナザーが更に相手を吹き飛ばしたりして遠くに行く。

それを見届けて俺も行動することにした。

「ふむ・・。まぁ、それじゃ、クロノス!受け取れ!」

『これならどうにか・・、って、受け取れ!?うわぁ・・おっと!?あぁ、ライドウォッチか。確かに確実に倒せそうだ。ジオウⅡでもいけない事は無いけど、・・やっぱり本家で行かなきゃね!』

『ガイム!アーマー・ターイム!ソイヤ!鎧武!』

ジオウ・ガイムアーマーになった。両手に剣を持ち、肩からも剣がある。足にもついているらしい・・六刀流?

どこかのゲームに出てくるのは六爪流だっけ?むしろ独眼竜・・?

『ソ、ソノカブトカザリ・・ソノブキノカズ・・!?アナタハ・・!!』

急に相手の動きが止まった。そのタイミングを逃さない。

『行くぞ!細切れにしてやる!』

【スカッシュ・ターイムブレーク!】

『ソイヤー!!』

そう言って肩と両手を使って切り裂いた。

『グワァアアアア・・!!』

・・そう、切り裂いて抜けたのだ・・。まっすぐに・・。

「おい、輪切りにしてるぞ・・。」

『・・あれ?』

そしてアナザーライダーは爆発し、人が倒れて、アナザーライドウォッチが砕けた。

「大丈夫ですか?・・って、あれ?貴女は・・」

クロノスが抱えた人物は女性、・・しかも前回と同じく知っている人物だった。

「あれれ?なんで私ここに居るんですか?たしか~、ずんだ餅を買いに出たはず・・。」

それは歴史の教師、『東北ずん子先生』だった・・。

 

前回に続いて今回も学園関係者・・。

コレはおそらくアナザーエグゼイドの方も・・。

そう思わずにはいられないのだった・・。

 



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融合世界 28 使い方はそうじゃない!?

そして、『アナザーガイム』を倒したころ、こちらは【エボルト】と【アナザーイチカ】が相手をする、『アナザーエグゼイド』だ。

「ふん!・・まったく・・。攻撃が効いているのか効いていないのかぁ・・。どうだ?アナザー?」

「オラァッ!なんで、エグゼイドの関係のパラドクスで攻撃してるのに、倒せないんだ・・ヨォッ!」

殴り、蹴り、手にした『バグヴァイザー・ツヴァイ』で攻撃しているが、怯みはするものの、攻撃がはっきりと聞いていないように見える。

「あぁ?・・ソレは・・そういうことかぁ・・。分かったぞ、アナザー。俺たちじゃ時間稼ぎにしかならない。」

「チクショー!・・どういう事だ・・ヨッ!?」

もう一回思いっきり蹴りを入れて、距離を取る。

「あいつはそもそも主人公の成り代わり。そして俺たちは敵役替わり。そんじゃ倒せるわけはない。そりゃ、いつだって主人公が勝つシナリオだからなぁ。それを倒すのはこの世界の主人公・・『クロノス』こと『仮面ライダージオウ』の役目だ。」

「そう言う事かー・・。仕方ねーな。時間稼ぎの方法、はっ!・・あるのかよ?」

んー、あるにはあるが・・どうするかねぇ・・。

「ん?悩む方法か?クロノスさえくれば問題はない。ならば・・っとぉ!」

話をしている所へと攻撃をしてきたので避けながら、片手に『トランスチームガン』を、反対には『スチームブレード』を持ち逆手に構える。

「そんじゃ、・・レベル上げていきますかぁ!!」

そう言って攻撃がさらに過激になる。

「ハザードレベル、『3.5』・・・『3,6』・・ソラソラぁ・・まだ上げていくぞぉ・・。」

銃で撃ち、蹴り、怯んだところを逆手にした剣で切りながら脇を抜けて、振り向きざまに回し蹴りを入れる。

「『3,7』・・・『3.8』ぃ!!」

スチームブレードをトランスチームガンにつなぐ。

【ライフルモード!コブラ!・・スチームショット!!コブラ!】

「『3.9』・・・・、こいつで『4,0』!そんじゃぁ、とりあえず・・ぶっ飛べ!」

【♪~レディ・ゴー!エボルティック・フィニッシュ!チャオ!】

「ハァ!!」

蹴りを放つとアナザーエグゼイドは吹き飛ぶ。

だが、すぐに起き上がると首を振って衝撃で突いた瓦礫を払う。

「むぅ・・、これほど効かないとなると、流石にショックだなぁ。」

「言ってる場合か。・・こりゃさすがに時間稼ぎも楽じゃない・・ん?」

そう言っていると走ってくる人影いや、バイクに乗った姿が突っ込んできた。

『間に合った。それじゃ、行くよ。』

【エグゼイド!アーマータイム!レベルアップ!エ・グ・ゼ・イー・ド!】

『ノーコンティニューで・・なんかクリアできそうな気がする!』

そう言って腕の『ガシャコンブレイカーブレイカー』で殴る。

するとなぜか『ヒット!』と言う文字が出て相手がダメージを負っているのがわかる。

「なぁ、アナザー・・。お前さんの時には文字って出て無かったよな?」

「ん?あぁ・・。アレは無かった。そうか!あの文字が無いとダメージは受けてない。ただ衝撃で飛ばされていただけなのか・・。」

「見る限りはそうらしいなぁ・・。」

『ふん!そりゃ!せい!』

そう声をあげながら殴る蹴る突き飛ばすを繰り返すたびに『ヒット!』と出て相手が苦しそうな声を上げる。突き飛ばして吹っ飛んだ際に距離が開いて、時間が稼げるようだ。

「そろそろ止めをさせるんじゃないか?」

『そうだね。・・それじゃ、行くよ!』

【フィニッシュタイム! エグゼイド・クリティカル・タイムブレーク!!】

ベルトを回して必殺技を発動すると目の前に文字が表示される。

『ハァ!』

そしてその文字を下から叩き上げる。

「・・はぁっ!?」

『行くぞ!おりゃー!!』

叩き上げた文字を両手でつかみ、一度【アナザーエグゼイド】をそれで殴りつけ、手から放すとそれを殴って相手にぶつけた。

『グアァァアアアア!?』

そして叫びとともに爆発し、人の姿とアナザーライドウォッチが現れる。

「・・そういう風に使うんじゃないだろぉ・・。」

「ちょっと、変じゃなかったか?あの技・・。」

知っている人は知っているだろう。

『とある蜘蛛の男』のような見た目に近い赤い服装の男がとあるゲームでやったことにそっくりだ。

格闘ゲームで画面上のライフゲージを掴んで殴る。そんな行動である。

ここまで言えばわかるだろう、どれほどにおかしな攻撃法か。

エボルトはドン引きである。アナザーイチカさえも引いている。

「まぁいい。それよりも倒れていたのは・・あんたか。」

助け起こすとそれは、

「保健室、保険教師兼養護教師『弦巻マキ』先生・・。」

「あぇ?あれー?ゲームしてたはずなのにぃ?ここはどこ?」

まさにゲームとドクター・・エグゼイドの因子を防がれたようなものだ。

初めの事件は科学の教師兼元科学者、二人目は歴史の教師兼歴史研究者。そして、三人目が保険の教師兼医者・・。

「こりゃ、IS学園内に犯人が居るよなぁ・・。」

全員が『IS学園の教師』なのだ。

「これ・・ダインスレイフに探してもらうしかないか・・。」

 

「んー・・言いづらい事だが・・犯人の目星はついてる。」

「「「はぁ!?」」」

エボルト、アナザー、クロノスは声を合わせて驚いた。

今いるのは俺『ダインスレイフ』のラボ。

皮張りの椅子で足をフラフラさせて椅子を回転させる。

「まだ、確証はないし、どうやっているのかもわかってないからー、言えないんだ。こっちも準備が整ってないし。犯人が行動を速めても困る。」

そう言うと全員が難しい顔をする。エボルトは腕を組み考えるように唸る。

「どうすればいいんだ?」

アナザーが何も考えることなく俺に聞いてくる。

「うーん・・、あとは因子からウォッチさえできればいい。その準備は秘密裏に進んでいるんだ。もう少しなんだが・・ソレを相手に知られたくない。先手を打たれるからな。これはこっちで秘密裏に動く。事件が起きればそっちが対処してくれればいい。」

「そんじゃ、こっちはやる事は変わらず時間稼ぎかぁ?」

エボルトがそう言いながら手を振る。

「仕方ないだろう。効果的な攻撃は『ジオウ』・・つまり『クロノス』にしかできない。」

だが、それでも時間稼ぎができると言う事はかなり違う。

「俺のシンフォギアの力では、攻撃すら効かないからな。それぞれライダーと言う事はそれなりの役目があると言う事。俺は頭を使うのが仕事。」

そう言って俺は手に金貨を持つ。

「とある世界では錬金術師が王になろうとしたことがあるらしい。それは金を使った欲望の王・・。つまりは・・」

簡易キットを握り込むと、

『オーズ!』

「このように王と欲望、メダルでオーズとなる。因子からつなぎ合わせもできることがエボルトから教えられた。これからはライドウォッチを造るのが容易にできることがわかっただけでも前進だ。」

俺はケースに『オーズライドウォッチ』を収める。

「と言う事で色々と因子を集めていくことにするから、その手伝いを頼みたい。」

そう言って俺は全員におそらくかけ合わせられる因子の表を見せると、全員が眉を寄せた。

 

クウガ=カブトムシ、笑顔、古代遺跡

アギト=カブトムシ、料理人、神

龍騎=所持

ファイズ=狼、サメ、蛍、携帯

ブレイド=剣、トランプ、言葉(遣い)がおかしい、カブトムシ

響鬼=鬼、太鼓、音楽、音叉

カブト=カブトムシ、料理人、シスコン、自己中、自信家

電王=弱気、砂、タイムマシン、電車、鬼、定期券

キバ=吸血鬼、昼ドラ、王、蝙蝠、笛

ディケイド=破壊者、カメラ、シスコン、バーコード

ダブル=探偵、USBメモリ、ハーフ&ハーフ、風、切り札

フォーゼ=ロケット、友情、イカ、スイッチ

ウィザード=所持

ゴースト=幽霊、パーカー、目玉、魂

ガイム=所持

ドライブ=車、警察、タイヤ、

エグゼイド=所持

ビルド=所持

 

((((なんか面倒くさそう・・。))))

全員の心が一致した。

 



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融合世界 29 ライドウォッチ制作作戦

「そんじゃ、これ持って。」

「はぁ・・。」

俺は手に音叉を持たせた、【響・カデンツァナ・立花】がどうすればいいのかと言った感じで答える。

そして、簡易キットを持つと反応した。

【響鬼】

鬼と音をつかさどるライダーのライドウォッチができた。

それをケースに収める。

「感謝する。これでクロノスの力が上がるからな。」

「そういう事ならもっと手伝う。クロノス様の役に立てるなら・・。」

「まぁ、今はこれ以上は無いかな?」

音叉も回収して収めると、アナザーが走って来た。

「おーい、ホームセンターで買って来たぜ。これでいいんだよな?」

「あぁ。それじゃ、いくつか回るか。それを持って来てくれ。」

「おう!そんじゃ、えっと、響・立花だっけ?」

「間にミドルネームの【カデンツァナ】が入るぞ。」

「まぁ、ソレは保護されてたとこの担当者の名前。一時期、孤児院にいたから。同じミドルネームついてる子はいる。」

「あぁ、そうなのか。」

興味なさそうにアナザーが答えるから空気が少し重くなる。

「それでは、協力感謝する。次に行くぞアナザー。」

「あいあいさー。」

そうして、その場を去る。

残された響は呟く。

「マリア(・・・)姉さん、セレナ(・・・)姉さん・・。」

同じ【カデンツァナ】を持つ二人を思い出す。

それでも、今は他の二人の仲間がいるし、クロノスが居る。

「私は私の出来る事をしよう。」

そう言って日課の演武をする。体を鍛えてもっとクロノスの役に立つために。

少女は努力する。

 

「こ、これを持つのか?」

「私もなのか?」

「おねぇさんも必要なの?」

三人にとある同じものをもってもらい簡易キットを握ってもらう。

篠ノ之箒は料理が上手いのでそれと神社の巫女の要素から、

『神+料理+カブトムシ』で【アギト】

織斑千冬は、白騎士であった事、過去のISから剣とトランプを持ってもらい、

『剣+トランプ+カブトムシ』で【ブレイド】

更識楯無には、手に持ってもらうのはカブトムシと豆腐。

『シスコン+豆腐+カブトムシ』で【カブト】

つまりはホームセンターで買ってきたのは観賞用のカブトムシだ。

さらに更識楯無にカメラとバーコードを渡す。

『カメラ+バーコード+シスコン』で【ディケイド】

その光景を見せて、呼んでおいた更識簪に砂と定期券と電車の模型を持ってもらう。

『電車+定期+砂+気弱』で【電王】

「これが変身するための道具・・かっこいい!!」

あ、この子はそういう方面も好きな子だっけ?

まぁ、そこらへんは俺の範囲じゃないし、俺は変身じゃなくて装備だし・・詠って姿が変わったら結局同じような反応するだろうな。

聖詠って結局、呪文みたいに見えるもんな。

アイツらはヒーロー枠で俺は魔法使いもの枠か?

確かに空飛んで攻撃もできるが・・、それって基本的に少女ものじゃね?

何回も体を変えているとはいえ、流石にその扱いはきついな。

せめて子供ボディなら、その枠内に入れても・・何を真剣に考えているのだろうか俺は。

いや、ダウルダブラを構えさせて、引きながら変身とか言えば【響鬼の雷系ライダー】っぽいかもしれんな。

そして、オートスコアラーに戦わせたらカラフルな少女で格闘というジャンルはアレだしな。最近は四人いるのが多いらしいし。面白そうだな。

 

そんなことはどうでもよくて、ライダーの変身道具の話に戻ろうか。

 

後、残すライドウォッチは、【クウガ・ファイズ・キバ・ディケイド・ダブル・フォーゼ・ドライブ・ゴースト】となっている。

 

その中でも比較的出来そうな因子を考えて・・こじつける。

「と言う事で篠ノ之束とスイッチ。」

「これ・・イケるの?」

握り込んでもらい装置を起動。

【フォーゼ!】

「あ、できた。」「できるのかよ!?」

束はスイッチを床に投げつける。

「いや、もともとのISを作った目的は『宇宙を目指し、その先を見たいから』だろ?」

「・・・あ。」

そう言う事だ。宇宙とスイッチ。それを目指して協力した仲間がいた。それが因子になる。

「こじつけかもしれないが、それでもお前の夢の為に友が居た。友情と宇宙とスイッチはある。」

「そうだね・・。そんなことも忘れてたよ束さん・・。」

「そんじゃ、ついでにその笑顔とクワガタで。」

【クウガ!】

「・・・コレはちょっと納得できないかなぁ・・。」

出来てしまった事はしょうがないとしてもらおう。

次々と俺はライドウォッチを造らねばならない。

理由は相手が、俺が犯人を突き止めた事を知ったから。

既に最終局面に向かっている。

ジオウを最低最悪の魔王ではなく最強で最善の最高王にする目的が・・。

『プロジェクト・キング エンディング』

シナリオは・・決まっている。神によって画かれたプロットの通りに。

歯車は回る。

ギアを回して時は移ろう。

一刻を刻み続け・・。

未来へと・・。

進み続けることは決まっているのだから。

【ファイズ・キバ・ディケイド・ダブル・ドライブ・ゴースト】

コレの因子を採取する方法がまだ見つかっていないが、それさえ手に入ればシナリオは進む。

進むことは決まっている以上、何かしらの方法で干渉が起こるのだろう。

ソレが【シナリオの決まり】なのだから。

 

「そんで【コレ】かよ・・・。」

目の前にあるのは、【折り畳み式携帯とサメの人形】【バーコードリーダーとカード】【蝙蝠と王冠】【USBメモリと半熟卵】【おもちゃの手錠と拳銃と赤い車】【パーカーと目玉のおもちゃ】のセットが並んでいる。

おそらくこれを条件に合う人に渡せばいいのだろうが・・、ソレがわからない。

とりあえず【バーコードリーダーとカード】を持ってライドウォッチ制作装置を起動。

【ディケイド!】

だろうと思った。俺もキャロルも破壊者の因子は持っている。世界を破壊し再構成する錬金術師の因果はそれ自身が因子となりえる。

とりあえず学園内に適当な人物がいないか探すことにした。

そして驚きの人物がいることが判明した。

「あはは・・!やっぱり、『クリス』の作る弁当は旨いな!」

「もぅ・・『翼』ってば。大げさなんだから・・。」

「オレのクリスを自慢したいじゃないか。」

「ふふ・・。ありがと。」

屋上の芝生にいる生徒。その光景を見て驚愕する。

(なっ!?なんだと・・・。)

さらに、

「コラ、そのように芝生を荒らさないように。せめて敷物を敷きなさい!」

「ふふふ、『マリア』ねぇさんも同じようにお弁当が欲しいのかしら?」

「そ、そういう事言ってるんじゃないのよ『セレナ』!」

「「はい、『カデンツァナ』先生。」」

「まとめて言ってんじゃないわよ。せめて、『マリア先生』『セレナ先生』で分けなさい。」

「いやー、マリア先生は先生というか・・『マリア』ちゃん的な・・?」

「こらー!敬いなさい!先生なのよ!」

「まぁまぁ、マリア先生も。帰りにドーナッツ買いましょうね。」

「むぅ・・。まぁいいわ。」

それは小さなツインテールの少女と見間違う教師と、妹なのに色々と大きな教師。

「ば・・馬鹿な・・。アナザー・・だと!?」

そう。シンフォギア世界のアナザー存在。並行世界の向こうの存在。

そして気が付くことは『立花響』はクールで無口な性格。

『月詠調』は髪が短く、逆に髪の長めの『暁切歌』の面倒を見る。

全ての人物がアナザーだった。

イチカすらアナザーイチカが居る時点で気が付くべきだった。

そして俺は先ほどのセットを持ってその人物に近づく。

「すいませんが、協力をお願いします。」

「「「「はい?(あぁ?)(何よ!?)」」」」

 

そして、説明し一人ずつ、セットを持って装置を握ってもらう。

アナザークリスには【折り畳み式携帯とサメの人形】。【ファイズ!】

アナザー翼には【蝙蝠と王冠】。【キバ!】

その二人に手をつないでもらい【USBメモリと半熟卵】。【ダブル!】

アナザーマリアには【おもちゃの手錠と拳銃と赤い車】。【ドライブ!】

アナザーセレナに【パーカーと目玉のおもちゃ】。【ゴースト!】

・・終わったじゃねぇか!?あの苦労はいったいなんだ!?

 

揃ったライドウォッチを持ってクロノスの元に向かう。

集まったことを知らせているので待ち合わせ場所にAアリーナを指名した。

そこには他のメンバーが訓練しているし、オートスコアラーやキャロル、エルフナインたちがアリーナの管理をしているからだ。

アリーナに入り、見渡すと全員居る事が見える。

クロノスの回りにも護衛の三人に、アナザーイチカやエボルト、オートスコアラーたちも見える事から管制室にはキャロル達が居る事だろう。

ケースを持ってクロノスの前に歩いて行くと、急に足が止まる。

腹部に熱を感じ、咄嗟にケースをクロノス目がけて投げた。

クロノスはそれを受け取りながらこちらを見て驚愕の表情になる。

 

俺の腹部からは貫かれ、真っ赤な血に濡れた手が見えていた。

 



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融合世界 30 敵の正体

俺は腹を貫かれ、ソレが抜かれると力が入らず地面に崩れ落ちそうになる。

貫いた手を抜く際に、俺の体を蹴って反動で抜いたので俺は地面を何度かバウンドしアリーナの地面に転がる。

なんとか体制を変えて仰向けになるが、腹部に空いた穴から血があふれて体が冷たくなっていくのを感じる。

「「「「マスター!?」」」」

「おい、しっかりしろ!マスター!!」

「マスター・・いや、パパ!・・死んじゃダメ、ダメだよ!」

オートスコアラーやキャロル、エルフナインが抱えて俺を起こそうとするが、力が入らない。

「ゴォッフゥ・・グブゥ・・ハァハァ、・・さすがに・・これは、無理だな・・はぁ・・。」

血を吐き、息を切らせて俺は気を失う前に声をかける。

いや、死ぬ前にと言った方がいいだろう・・。

「一夏・・、ソレはどういうことか・・説明、しろ・・。」

そう言うと織斑一夏が手に持ったのは『アナザー・ライドウォッチ』。

それを構えた。そしてボタンを押すとそれの絵柄が変わり、

『アナザーディケイド・・』

音声がなった、ソレを一夏自身の胸に押し当てる。

「うおぉおおおおおお!!ハァ!!」

そして、禍々しい、世界の破壊者の姿となった。

 

「『俺』の中には二人の人格が存在する。」

「『普通のIS『白式・雪羅』の操縦者だった俺は、火星にいた。火星移住計画は金宮立木の残した願いだったからな。そこにエボルトのような人型ではないが明らかに不明な生物によって火星は破壊された。その時、俺はちょうど宇宙空間で作業中だった。だが、いきなり目の前で火星が崩壊し、人が生きていた区域が爆発した。そこには俺の世界の篠ノ之箒がいたのに・・。俺の帰りを待っていたというのに・・。俺は憎んだ。運命を、神を!・・そして、黒い憎しみと似た黒い波動の光に包まれた。そしてこの世界に来た。その時にもう一人を感じた。』【それがもう一人の俺・・【仮面ライダー・エターナル】の俺だ。そして、同じく【織斑一夏】・・。俺は今までいなかった新たなウィルス生命体・【バグスター】が広まる世界で仮面ライダーとしてバグスターを退治していた。初めはISとライダーで対立しかけたがそれもなくなり新たな共通の敵に立ち向かうようになった。しかし、それでも戦いは無くならない。戦いつかれた俺を癒すのは家族の存在だった。ここにはそれが無い。ただ消耗し疲弊する。それに耐えきれなくなった俺はもう一人の俺を受け入れた。この力を手に入れて世界を壊し、元の世界へと帰る。力さえあればバグスターさえ消せるだろうと・・。だから、おれは・・、協力した。否、俺たちだな・・。世界を壊し、再生する力を求めた。】」

 

『【だから、俺達はお前らと戦い、全てを破壊する!!】』

 

 

 

アナザー・ディケイドと化した『一夏』・・織斑一夏。

その正体は二人の世界が混ざった存在だった。

一人は火星のプロジェクトを行い、のちにビルドの世界で火星の文明を破壊したブラッド族『エボルト』と同じような存在に消されることとなった世界の『織斑一夏』。

 

もう一人は『仮面ライダー・エターナル』・・ダークライダーの力を得てISと心を通わせた世界の『織斑一夏』。

 

二人の願いは偶然にも重なってしまった。

『この世界から去る。そのために世界を破壊し、再生する力を使う事。』

片方は自分の世界での破壊を、そして親友の命を助ける為にやり直す。

火星での事故に巻き込まれた、愛する人の死を無かったことにする。その力を欲した。

もう片方は、愛する自分の妻の居る世界への帰還を求めた。

 

 

それを聞き届けた【イチカ・ダインスレイフ】は最後の思いを託すこととする。

「それならば・・、俺に言えばよかった・・んだがなぁ・・。グハッ・・。」

『すでに無理だった。気が付いた時点で完全に融合していたのだ。』

【これを切り離すのは錬金術でも神の力でもない・・。世界の融合から、根底から破壊しなければならない。】

【『だから、この世界を破壊し、再生させる・・俺たちの世界をやり直す。』】

そう言って『アナザー・ディケイド』は手を広げるとそこからライダーの敵があふれだす。

時には雑魚が、時にはラスボスが、時にはモンスターが・・。

 

「そう・・か・・。なら仕方ないか・・。クロノス!もう目が見えないから居るのかよくわからないが、それでも誰かが伝えると思いこの言葉を残す!」

 

「世界を・・時を超え、時代を超え、世界を超え、想いさえ超えろ!お前にならそれができるはずだ!この世界の真の王!それは魔王であり覇王である、時の王『ジオウ』こそが、すべてを救える。だから、お前の想いを、全てに込めろ!これが終われば、お前はすべての世界を統べる王となるだろう。その先は好きなようにするが良い。そして、これこそが最後に与えれる物・・それは絶望でも悪意でも破壊衝動でもない・・希望だ!」

俺はキャロルとエルフナインに手をつなぐと、俺の体とオートスコアラーが光りだし二人の姿を変えた。

キャロルは白を基調とした聖なる服に四色の『エレメンタルジュエル』を周りに浮かべた姿、

『エレメンタル・ユニオン』の姿に・・。

エルフナインは、小柄な姿のままダウルダブラを装備し、さらに錬金生物のライオンのエネルギーさえも内包し背負う。そして、背中の弦が開き帽子にも四色のクリスタルが装備される。二人のエネルギー派で地面が割れる。

『あの状態でまだここまでの力があったか・・。まるで奇跡だ・・。』

「奇跡だと?ふざけるな・・。」

『何?』

 

「「オレは、奇跡の殺戮者だ!」」

 

キャロルと弱気なはずのエルフナインさえ声を合わせて吠えた。

その声でその場の空気が振動した。

 

「あのマスターが残した力を奇跡などと安っぽい言葉でまとめるな!」

「マスターが託した力を、そんな言葉で表せると思ったら大間違いだ!」

 

「「これは、希望だ!!」」

 

「キャロルさん・・、エルフナインさん・・。」

織斑マドカが背中から声をかける。

「イチカ・・ダインスレイフさんは・・?」

 

「命を昇華し、錬金術を発動させた。普通は体と構成する物質だ。」

「だが、今回の錬成は魂ごとだ。もうこの先、転生はできないだろう。本当の最後だ。」

 

「「すでにイチカ・ダインスレイフと言う魂は存在しない。」」

コレは神の次席という大きさの魂だからできた事。

代理の管理者だったが、それは魂の転生があるからこそ。

次の世界に神の力を持っても転生はできない。

それは、魂の昇華によっての消滅を意味する。

命を燃やし、エネルギーとして、二人を一つ上の存在に押し上げた。

それは、自身の全てをもっての奇跡。

生きてきた軌跡を、命の輝石に変えて『ラピスフィロソフィカス』の錬成術式を使い、錬金術の最後の力を使った。

『ラピスフィロソフィカス』は命の輝き・・。

それを使い切ったのならば持ちうるすべてを燃やし尽くす。

昇華し、消化し、燃やし尽くして、力と変える。

記憶も、願いも、体も、魂さえも・・すべてを力と変えた。

軌跡を奇跡に変えて。

 

だから・・、

「マスターの願いを・・、全ての想いを!」

「奇跡を希望に変えるため、希望を明日に変えるため・・!」

「「オレ達は負ける事は無い!!」」

 

二人で声を合わせてエレメンタルと背中の弦を使い、力場を作る。

BGM;戦姫絶唱シンフォギアXV『スフォルツァンドの残響』

『『~♪』』

 

その歌で大量の雑魚が吹き飛ぶ。

弦を手から放てばモンスターが切り裂かれ。

クリスタルが輝けば燃えて、凍り付き、切り裂かれて、粉々に砕け散る。

それでも二人は目から涙を流しながらも歌う。

思い出が子だけ散った、その残骸を燃やすように・・。

大事な思いは亡くさないように・・。

 

そして、雑魚は消え『アナザーディケイド』とライダーたちが対面した。

 



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融合世界 31 訪れる『オーマ』の時

目の前で、友が・・同志が・・理解者が倒れ、その命を終えた・・。

一瞬で目の前が暗くなり、それが怒りで真っ赤に燃える。

 

そして、全ての思いを、心を、叫びに変えた。

「うぉおおおお!!」

腰のベルトが黄金に輝く物、【オーマドライバー】へと進化した。

それからあふれたエネルギーで、地面に炎で円形に焦げ跡が付く。黄金に輝く歯車とエネルギーによって画かれたソレは、ジオウの仮面ライダーのマークと同じようで、禍々しく、強烈だった。

そして時計の針のような模様が現れてソレが二つ、長針と短針のようになり左右に分かれ開くと地響きが鳴る。複眼に『ライダー』の文字が燃え上がるように溶岩で描かれ、その文字が浮かび上がる。

「ハァアア!!変・身!」

両サイドを叩くように真ん中へと押すと、時計塔の鐘のような重低音が鳴る。

地面のジオウの模様が黄金に輝く輪に変わり周りをまわる。そして地面から溶岩のようなものが飛び上がり、

【祝福の刻!・・最高!最善!最大!最強王!オーマジオウ!!】

その姿を黄金に変えて身を包み、飛び出した赤く燃える複眼の文字が顔へと移り、黒いフェイスに光る。

『コォオオオオ・・。』

一度、深く息をしたと思いきや、

『ハァアアアア!!』

その気合で辺りの地面はひび割れ、さらに陥没した。

魔王であろうとこの『時』、真の『王』となりすべてをなそうと手を握った。

 

それを見届けて軽い調子で・・しかし目の奥に怒りを宿し男は言う。

「それならこちらも行くかね・・。」

【オーバー・ザ・レボリューション!】

エボルトリガーを取り出してボタンを押して起動。それをベルト【エボルドライバーにセットした。

【オーバー・ザ・エボリューション!コブラ!ライダーシステム!エボリューション!!】

待機音と共にエネルギーがあふれて衝撃波となり、周りに広がる。ハンドルを握って回すと音楽が流れるとともにさらにエネルギーが広がり、地面にひびが広がっていく。

【Are you ready?】

「・・変身。」

【ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!フッハハハハハハハ!!】

変身完了と共に一瞬姿が消え、その場に仮面ライダーエボル・ブラックホールが変身した姿が現れた瞬間に周りに衝撃波が広がった。瓦礫が舞い上がる中に白と黒の毒蛇が手を組む。

『クハハ・・。これこそ俺って感じだな。ふん!』

そして、手をふるうとそれだけで辺り一面の瓦礫が吹き飛んだ。

 

「オレも、こいつで行くか・・。」

【ゴットマッキシマムマイティ・X!】

大きく怪しく紫に輝くガシャットを構える。

「ふむ・・グレード・ビリオン。」

ガシャットをゲーマドライバーに差し込み、ハンドルを開く。

【パッカーン!!ふーめーつぅ!!最上級の神の才能!クロトダーン!クロトダーン!】

「変身!!」

ガシャットの上部のボタンを押し込む!

【ゴットマキシマームX!!】

巨大なボディに包まれた【仮面ライダーゲンム】が黒いエナジーをみなぎらせる。

『ブゥハハハハ!オレのレベルは十億だ!』

 

並ぶのは三人の強者。対するはアナザーディケイドと各世界のラスボス。

 

【行け!やれ!】

そう指示したアナザーディケイドの周りにいた各ライダーのラスボスたちが走り、三人に迫る。

 

エボルトは、『仮面ライダーエボル・コブラフォーム』を相手に余裕で戦う。所詮は別の世界から来た存在。完成された強さの仮面ライダーエボル・ブラックホールとは強さの質が違う。

ブラックホールで瞬時に移動しながら相手を殴り、蹴り、最後には踏みつけた。

『うーん・・違うんだよなぁ・・強さの、質がよぉ!!』

【オーバーオーバーザ・レボリューション!レディ・ゴゥ!フィーバーフロー!フハッハッハッハハハハ!フハッハッハハハハハハ!!】

そのまま蹴り上げて、ボタンを押し込みハンドルを回し、回し蹴りをした。

『グワァアア!?』

『ふん・・所詮はこんなもんだなぁ・・。』

 

ゴッドマキシマムXのアナザーには、『ゲムデウス』が剣を振りかぶるが、それを掴み引っ張りまわして地面に叩きつける。

『ラスボスだろうと・・オレのレベルは十億・・。敵ではない。』

そう言って手を上げる。

『コズミッククロニクル、起動!』

そう言って手を上げるとそこにゲームの画面が浮かび、空から隕石が落ちてゲムデウスに当たる。さらに手をかざすと、太陽光線が集まってビームとなりゲムデウスを打ち抜く。

「ぐわぁあああ!?」

『これで止めだ。ゾンビクロニクル・・自爆!』

沢山のゾンビゲーマーの姿のゲンムが現れてソレが一斉にたかるようにしがみつき・・大爆発をした。ゲムデウスは光の粒子へと変わり分解して消える。

『・・ラスボスだろうが、今の俺は神に近い存在。ゴッド・・なのだから。』

 

オーマジオウは怒りに燃えながらも自然体に構えていた。

時を司る名前を持つクロノスは、【時の魔王】へ変化した。

その王へと数体のラスボスが走ってくる。

そこへ走ってきた『ン・ダグバ・ゼバ』を軽く睨むと、クウガの紋章を生み出して蹴り爆散。

 

そこへ、さらに三つの影が飛び込んだ。

一つは、『ゲイツ・ガングニール・リヴァイブ』・・疾槍モードで瞬時にベルトを操作してアーマーのモードを変える。

『ゲイツ・ガングニール・リヴァイブ・剛拳!』

加速をつけたまま、拳で強く殴りつけた相手は『サジタリウス・ゾディアーツ』。

フォーゼの世界のラスボスだ。そのままの勢いで壁にめり込む。

 

一つはニンジャの姿で鎌を持ち、引っ張りながら引きずり倒す。肩からワイヤーを放ち、ぐるぐる巻きで先は地面に突き刺さり直立で動けないまま地面に固定される。

『ウォズ・イガリマ・ニンジャ』が相手をしたのは、『ユートピア・ドーパント』。

 

残る『ツクヨミ・シュルシャガナ』はノコギリとヨーヨーで絡めとり、攻撃を繰り返す。

相手はカブトの世界の『グリラス・ワーム』。加速しようが、絡まったエネルギーワイヤーを外せずに攻撃を続けられている。

 

【なんだと!?ライダーでもない存在に!?】

アナザーディケイドの禍々しい見た目で、【一夏】は驚いた声を上げる。

抑えていた三人はそれぞれの敵をオーマジオウの元へと投げる。

『ユートピア・ドーパント』は拳に込めたエネルギーで殴られ爆死、背後から襲い掛かってきた多くのミラーワールドからあふれたモンスターは、手からエネルギー波を放つだけで消え、逆を向いて走ってきている『グラリス・ワーム』を掴んで『サジタリウス・ゾディアーツ』と合わせて殴り上げると勢いよく弾け飛んだ後、空で爆散した。

 

【な、なんという力だ・・。ライダーでもない存在に押さえつけられ、さらに一撃であれほどの強者を軽く消し飛ばすとは・・。】

『最後は貴様だ・・『アナザーディケイド』・・。』

【終焉の時・・逢魔時王必殺撃・・】

そう構えたところで、

 

「それは、彼女たちの力と、受け継いだ心だ。無駄にしてはいけない。ここで倒すべきはアナザーディケイドではないよ。」

そう言って現れたのは白い服にジーパンと言った一般的な服装の男。

 

「な・・なんで!?」

『【ダインスレイフ】・・貴様生きて・・?』

その男は白衣を着たときのダインスレイフと酷似していた。

「いや、僕は【彼】じゃない。それは、今ここで証明して見せよう。」

そう言って青や水色と言った装飾のある銃を取り出す。

「それじゃ、この世界のお宝見せてもらったからね。奪えるものじゃないのは残念だが、それでも・・素晴らしいよ。心の輝き、命の輝きというのは・・ね。」

銃にカードを差し込む。そして、スライドを押して前に構える。

【カメンライド・・】

「変身。」

銃を構えたその腕を上にあげた。そこからいくつもの線が現れて、変身した仮面ライダーの頭に刺さるように装備された。

【ディ・エンド!】

「お前も‥」

「仮面ライダー・・。」

そして銃を軽く手で叩きながら、

『初めまして。僕は『仮面ライダーディエンド』。『ディケイド』と同じ力を持った世界の渡航者。そして・・』

手を右に掲げると銀のカーテンのようなものが・・そこから一人の男が現れる。

 

「満足に、」

脚が見える。一歩、

「死に切れんとはな・・。」

また一歩と足音を立てて、

「情けない。」

ロングコートに帽子、そして、『七色の宝石』を持った男が顔を上げる。

 

「なっ!?」

「そんな・・」

「貴方は・・」

「そんな事ってありデスか!?」

「あぁ・・また・・会えた。」

驚きと喜びの声。

 

「僕からのプレゼントだよ。そしてあえてこう言わせてもらおうか。お帰り・・と。」

 

手を上げて帽子を引き上げると、

「死の間際に昇格する域まで引き込まれた。消えたのはこの世界の魂であり、元の世界にはまだスペアがあったと言う事だ。」

手を伸ばしながら顔を上げる。

「まぁ、言うなればこの世界での俺は死んだが、【ここに居る俺】はまだ死んではいないと言う事だ。ある意味で別の人物ではある。」

そう言って手を前に突き出す。そこには見たことのない宝石が付いたリングが付いていた。

世界を渡り、解き明かし、そしてすべてを撃ち砕く。錬金術の結晶。

『賢者の石』のついた腕輪を上げて、

「最終戦闘機構『ガラル・ホルン』起動・・兵装【ラグナロク】!!」

そう言うと空に穴が開きそこから光が降り注ぐ。

ホルンが鳴る音が響き、粒子と共に姿が変わっていく。

ISとも、ライダーとも言えないその姿、シンフォギアとも言えないほどに神々しく強さにあふれた波動が周りに放たれる。

そして、ダインスレイフに装備されてその姿が現れる。

腕に巨大な手甲、胴体に帯、手に銃と巨大なハンマー。腰には剣がある。

「『ドラウプニル』、『メギンギョルズ』、『タスラム』、『トールハンマー』、『レーヴァテイン』。すべてのシステム起動。世界を・・我が手に!!」

北欧神話の装備を手に、神は何度でも甦ると足らしめるように、その力を見せつける。

戦闘用のその姿。それは破滅をもたらす神々の力でもある。

『さぁ、始めようじゃないか。世界を終わらすその戦いを!!』

手を開き、その手を上へと上げる。

『この【神の力】を見せてやる。』

空が陰り暗雲が立ち込め、その真ん中が開く。

光がさすのはただ一人、

『さぁ、【ラグナロク】を始めよう!!』

そしてこの物語の終幕へ駒を進めよう。

『故にここで宣言するべきことは一つ。』

人差し指を上に出し、それを下げる。

『世界を終わらせる・・そのきっかけは・・お前ではない。』

アナザーディケイドを指さしてそう告げる。

 



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融合世界 32 ファイナル&アフター

『世界を終わらせる・・そのきっかけは・・お前ではない。』

アナザーディケイドを指さしてそう告げる。

「なんだと!?」「どういう事だ!?」

『・・何を言っているんだ貴様は?』

他の全員は驚く。

そして、腕を動かして指さしたのは四人の集団。

それは男が一人と女性が三人。

この戦闘を遠くから見ていた・・否、仕組んでいた者たちだ。

『これはライダーの世界の問題だけではなく・・【並行世界】をまとめた事変だ。そのすべてはお前の画策したこと。そうだろ?』

そう言うと男が、

「気が付かれるとは思わなかった。」

そうつぶやいたのは、髪が半分以上グレーで一部が黒いだけの見た目には若くも見えるが、壮年にも見える男。

『並行世界をまとめてつぶすには最適だよな?なぁ・・【ニコラ・テスラ】?』

俺が見た男はそれに答えるように口を開く。無感情に、無表情に。

「私の名を知っているとは驚きだ・・。称賛に値する。」

『目的はやはり・・?』

「決まっている。我らの理想の世界を・・理想郷を造る。そのためだけだ。」

そう言うと三人の女性は構えて変身した。

紫の鎧に剣、青い鎧に盾、赤い鎧に斧。

それぞれが武器を構え、

「私たちの目的」「ララの目的」「アタシたちの目的」

「「「理想郷のために!」」」

 

『ははは!アッハハハハハハ!!』

イチカ・ダインスレイフは大きな声で笑った。

 

『くだらない・・。非常にくだらない!本当にくだらない事だ!』

そうしてハンマーを叩きつけると地面が割れ、雷が鳴る。

『こうして【神】にまで昇格した俺が、【何故ここに居るのか】わからないとは、実に滑稽だなぁ?【先導者】よ。』

「なんだと?」

『神としての意味は世界の秩序。貴様らは【スサノヲ】を知っているかもしれんがそれは神の管理システムの端末に過ぎない。【アヌンナキの残した遺物】。その存在する理由はただ一つ・・』

 

『【理想郷 高天原〈タカマガハラ〉に至らせない】。それは神が居る位。それに等しくなる世界は滅ぶ。かつて神に近づこうとした【カ・ディンギル】〈バベル〉のように。』

 

「我らの理想郷に貴様は邪魔をすると?」

『貴様らの御託は関係ない。それは神が許さない。神となった俺ではなくその位に居る存在、貴様らの言う上位存在【カストディアン】【アヌンナキ】そう言うくくりを越えて、神たる存在はその世界を認める事は無い。何故ならそこに住める【ソレ】は人ではない。それを超えた存在だ。なれば我らが管理する世界の秩序に乗っ取り、理【コトワリ】をゆがめる事を我らは許すことは断じてない。故に世界を壊し、秩序を乱す貴様等を、許すことなどありはしない。』

そう叫び、腕を振るう。

紫色の女が剣を構えてつっ込んできたからだ。

「テスラ様を侮辱するな!」

腰の剣『レーヴァテイン』を掴んで振った腕は地面を切り裂き、海を切り裂く。その衝撃で女は吹き飛ばされる。それと共に高い空に浮かぶ装置のようなものを破壊した。

「きゃぁああ!?」

【レーヴァテインとは【魔を切り裂く杖】の意味でもあり、錬金術師にとっても杖と言う存在は力を高める。剣という扱いはのちの考察から来ている。テインとは杖、枝の意味であり、魔を払い切り裂くことができる杖。そして、高き鳥を落とすことができる剣の意味でもある。故に高いくらいにある物も魔を持つ物も一振りで薙ぎ払える。】

『この世界は、【始まりの織斑一夏】と【金宮立木】が元となる【エクシリア】より生まれた統合世界。それを壊し、自ら【ミズカラ】の世界を理想郷へと近づける。そのための企て、ソレがこやつ等の目的。それに至るには世界を知る【イチカ・ダインスレイフは邪魔】でしかない。故に我を害し、他の者の手を使い殺した。しかし、それは我が身の昇格につながる道筋であった。故に傍観者からこの場に出てきたと言う事だ。』

それは『先駆者』が描いたように見せられた筋書きで、【外の者】はそれすらも道筋に選んだ。故に我【オレ】が此処にこうある事は必然。世界を木に見立てて描いたのが間違いだったな。それを見下ろして破壊するつもりの高みの見物を叩き落す。その装備だ。

「邪魔をするなら消す。理想郷をなさねばならんのだ・・。私が愛する彼女のために!」

『それは貴様らのエゴだ!我らはそれを断じて許す事は無い!』

今度は赤と青の鎧が斧とエネルギー体で攻撃してくるが、それを『タスラム』で打ち落とす。

「こうなれば・・」「三人の力で・・」「アレを・・」

そう言って三人が俺の上空に移動する。

「ハァアアアア!」

「セヤァアアア!」

「フゥゥゥン!!」

エネルギー同士をつなぎ中心へと集めて、

「「「三位一体、【シュタルリンク・カノーネ】!!!」」」

エネルギーを打ち出す。

『能わず。この程度で世界を動かせると思ったか?・・愚か者めが!!』

腕にエネルギーを纏い、それを突き出して相殺する。

「そんな・・」「効かない・・?」「ララたちの力が・・。」

『確か・・【エレクライト】・・だったな?シンフォギアの世界を壊すこともできずに、大それたことを仕組んだ、自らの愚かさを後悔するがいい!』

俺は三人の女とニコラ・テスラをまとめてエネルギー体に閉じ込める。

「これは・・?」

『貴様らの世界へと帰るがいい。二度とその面を見せるな、痴れ者ども。どうせこの世界と貴様らの世界は分離する。この世界はシンフォギアの並行世界ではなくなる。貴様らは貴様らの理想を勝手に追いかけろ。そして、理想におぼれて溺死するがいい。理想は理想・・現実にありはしない。・・真なる死者は蘇らないのだと・・。我の様に魂を造り替えられたまがい物とは違う、【人】という存在のはかなさを自覚せよ。』

腕を振るとその場から手をかざしたところから消え去るように、エネルギー体と四人は消えた。

 

「・・これで終わりなのか?」

『いや、アナザーディケイドとオーマジオウ。その力を借りたい。』

俺が言うと二人は近くに寄る。

『神の俺が世界の調整をする。オーマジオウは時間と世界を分けて、アナザーディケイドは力を消費させて世界を作り直せ。そうすれば今回の融合世界の事変は終わる。』

『・・そうすれば元通りなのか?』

『いくらかの改変はできる。例えば・・そうだな、先にしておこう。』

アナザージオウとなった金宮立木へ手を向けて振ると、その姿は黒い鎧へと変わりさらに腰にベルトが付いた。

『これで、アナザージオウから別の存在となった。ベルトがある限り彼はその身をむしばまれる事は無く変身できる。ある意味、別なアナザーライダーみたいになっている。名前を付けるなら・・『仮面ライナー・クルスニク』と言った存在かもな。』

そう言うと、

『立木が・・戻った・・。これで・・世界は変わる・・。』

そう言って涙を流す。・・アナザーディケイドのままなので、実に不気味な姿だがな・・。

この世界にいなかったはずの金宮立木は光りの粒子になって消える。

世界を再構成する力で戻るはずだ。

 

さらに神の力をもう一度使い、アナザーディケイドの中からもう一人の織斑一夏を出す。

「ダークライダー一夏とでも呼ぶか。」

「基本的に俺はエターナルだがな。いや、ありがたい・・。本当に分離できるのかわからなかった。しかし、錬金術じゃできないはずだが?」

「今の俺は神だ。昇格した魂の状態ならできない事は無い。」

そう言うと乾いた笑いで、

「ははは・・、ホント、どうやっても勝てないや。」

そう言っていたが顔は泣き笑いだった。

 

「さぁ、世界を解き明かそうじゃないか。」

そう言って俺は手に持った賢者の石を使い、レイラインを構成。

龍脈と星の動きを同調させる。

太陽系の惑星が、太陽を中心に十字に並ぶ。

星々を、世界を掌握しグランドクロスを描く。

神の輝石で奇跡を起こし、軌跡を描く。

「時を刻み、世界に刻む。」

オーマジオウのクロノスは時を動かし、世界の修復を開始する。

時を刻み、世界はそれを記録する。

時計の針は時を刻み、世界に歴史を刻み込む。

オーマジオウは時を操り逆転させて、世界の歴史を流転する。

「世界を壊し、世界を再生する。」

アナザーでもディケイドの力である世界を破壊する力を使い、その後世界を再構成する。

世界は繋がりを断つ。歴史を破壊し、世界を破壊する。破壊は再生をもたらし、生成された世界は新たな歴史を造り、世界を作り上げる。

 

全ての並行世界は元に戻り、繋がり一つになっていた世界は、繋がりから離れてその歴史を紡いで、それぞれの世界は再構成を始める。

 

「これで、この事変は終わる。クロノス、一夏、アナザー、エボルト・・それに、ダークライダー一夏。元の世界でまた幸せに生きろ。不幸だと思えば足掻け。再構成した俺たちには未来へ生きていくものを見届ける義務がある。」

 

一番初めに手を上げてオーロラカーテンが迫ってきたのはダークライダーの一夏だ。

「色々と面倒かけた。それは悪いんだが先に帰らせてもらうぜ。愛する妻の元へ行きたいんでな・・。じゃぁな!」

そう言ってオーロラカーテンへ飛び込み、光の粒子へとなり消えた。

 

「ありがとうダインスレイフ。・・世界を、仲間を救ってくれて・・。立木と共に世界をやり直す。」

アナザーディケイドの姿が解けて、ただの織斑一夏に戻った。その姿は消えてオーロラカーテンの向こうへと吸い込まれて行った。

 

「んじゃ、俺もエボルトとして、アナザーと共に世界へ戻りますか・・。」

「そうだな。オレは、今度はもっと楽しんで遊びたいぜ。エボルトとな・・。」

「・・ん。わかった。それじゃ行くぜぇ。チャォ!」

「そんじゃな!」

そう言って二人はオーロラカーテンの向こうへと消えていった。

 

「それじゃ、クロノス・・もう一度、この世界はやり直すことに成る。つまりは、これまでの歴史は変わり、シンフォギアとのつながりは消える。君一人となるだろう。その際にシンフォギア装者は消えるだろう。この俺も、必要もない・・。この世界で時の管理はもう必要ないだろう。俺は再誕した際に因子を持ってしまったから、織斑一夏となるだろう。だから、これが終われば神の力を失い、ただの一人の男へと戻り、俺自身の世界で生きていく。また俺自身の、世界の歴史を見ることになるさ。」

「俺も織斑一夏らしいからな。俺自身の時を紡ぐ。歴史に俺を刻むよ。寂しいがな。」

首を振りながらも織斑一夏の因子としてこの世界をつなぐ意思を見せる。

「そうか・・。それじゃ、達者でな。」

「あぁ、それじゃぁな。」

拳を合わせてダインスレイフは消える。

そして、世界が光り、全てが再構成された。

 

「鈴!レバニラ定食いっちょあがり!」

「了解!・・あいよ、レバニラ定食ね。・・あ、いらっしゃい。席は奥にね。二名様入ります!」

「はいよ、いらっしゃい!・・くぅ・・忙しいぜ。・・だが、悪くないな。」

そんな定食屋を営む二人の幸せな時。

コレは幸せを取り戻した【永遠】の世界。

本当の永遠はなくとも、今の幸せは永遠に続くと思いたい。

そんな日常。

「立木そろそろ遅刻するぞ!?」

「大丈夫だって・・。あれ?」

騒がしい声が聞こえると思ったら叫び声がする。

「行かなくちゃ。一夏、言い訳を頼んだよ。」

「いや、俺も行くぜ。」

「分かった、一緒に行こう。」

走る二人はベルトをつける。

「「変身!」」

【カメンライド・ディケイド!】

【時を刻む・針と槍・・・チェンジ・クルスニク!】

二人のヒーローとなり、平和を守る存在となった。

それは未来の話。世界を壊して造り替えた【創生】の話。

「エボルト―、ゲームしようぜ?」

「いいからアナザー・・お前はもう少しおとなしくしてろ。」

其処へ銀髪の少女が声をかける。

「クロノス・・おっと、今はエボルトか。そろそろ、新しいガシャットはできないか?」

「いいから、お前もおとなしくしてろよ!あー、もう!破壊衝動に身を任せて壊してぇ!!」

コレは【アナザー】と【世界を作り直した正義の味方】の話。

異常は収まり、ただの日常に変わった。

世界を巻き込んだ【クラック】や【スカイウォール】も存在しない。

ただ、少し騒がしい幸せの話。

「・ち・・ま、・・か・ま・・」

「・・ん?」

意識が浮上するように目が覚める。声が聞こえる?

「一夏様!?大丈夫デスか!?どうかしたのデスか!?運ぶなら義体を使って運びますよ?」

「こんなところで寝ていたら、風邪をひいてしまう。切ちゃんが面倒見る羽目になるから起きて。」

「・・主として・・もう少し、しっかりしてほしい。でも、陽だまりは暖かいからわかる気もする。」

三人の少女がこちらを見ていた。それは・・

「あぁ・・、ごめん。転寝をしていたみたいだ・・、切歌、調、響・・。」

そして、向こうからは、

「おーい一夏!探したぞ?行くぞ、クリス!」

「もう、翼。そんなに大声出さないの。」

「姉さん、一夏さんの寝顔が見たかったの?」

「い、いや・・そう言う訳じゃ・・。あ、またからかってるな!?セレナ!」

そんな声が聞こえて笑ってしまった。

そうか・・彼女たちもそばにいてくれるんだ・・。

寂しくはないな・・。

でも、なぜ消えてないんだろう?装者は消えるはず・・。

そう思いながらも喜びをかみしめた。小さな奇跡を。

コレは【王様を選ばなかった時の王者】の話。

 

【アナザー】・・。特別な存在となったか・・。

あの世界は【アナザーライダー】が存在したが、それは消した。

しかし、世界に【アナザー】と言う因子が結びついたようで、それぞれの【異世界同位体】が存在したようだ。

是もまた世界が再構成した際に選んだ結果。

そして、アウターたる存在の求めた答えなのだろう。

 

資料をまとめ、研究室から出るといつも通りに騒ぎまくるオートスコアラーたちとキャロルにエルフナイン。

「どうしたんですかぁ?」「これは卑怯だゾ!?」

「地味に嫌がらせを!?」「ふふ、舞い踊りなさい。」

「あぁ、エルフナインめ!いやらしい位置へ!?」

「あはは、こう来ると読んでいましたから。」

そんな喧騒を聞きながらも空を見上げて呟いた。

あの日に昇華した体は、結局元に戻って人の身へ・・。

「・・結局は、神さえ知らない世界の未来がある。そう言う事だな。」

未来は、明日は、誰にも分らない。

神様さえも。

 

だから、みんなで作るんだ。

 

それぞれが望む未来の形を。

 

神様さえも知らないヒカリで歴史を刻む。

 

それが、答えなのだから。

 

 

FIN

 




以上になります。
長々、だらだらとすいませんでした。
また、何か機会があったら、ちまちまと書き溜めたいと思います。
では皆さんありがとうございました。

またどこかで。

チャォ!


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