レベル5 量子入力 (ルルイエカナタ)
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プロローグ
もしかしたら存在したかもしれない未来


ㅤ私はㅤㅤㅤㅤという。今ではあらゆる世界の全てを支配、観測する物だ。

ㅤ私は人間であり、高次の自己である。

 

ㅤ私はあらゆる数の人で1人の人である。

 

ㅤ私は無数を愛するものであり1人を愛する者である。

 

ㅤ私は愛するものであり、愛されるものでは無い。

 

ㅤ私は何処にでも存在し、何処にでも現れるものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストォォォォップ!!!!」

 

「おわァ!?」

 

ㅤ上条当麻は絶望していた。この幸せの世界に。

 

ㅤ上条当麻以外全てが幸福の世界に……私はきっと彼がこの世界を肯定するだろうと思っていた。

 

ㅤ私の恋した相手はそういう相手ではないとわかっている。彼はあくまで幸福を願うのではなく、泣くのも我慢する相手を見捨てられないだけでしかない。彼は決して世界を救う為に動く事はしない。わかっている。だからこそ、この世界は彼を1番傷付けてしまう世界だ。

 

ㅤしかしそれは誰もが肯定を迫られる世界だ。だが私は言おう。

ㅤ人の意志も人の強さも人の思いさえ踏みにじり、あまつさえ我が愛しき人に牙をむく世界なんかクソ喰らえだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤこれは決して彼女が紡ぐ物語ではない。

 

ㅤ彼女がヒーローとして輝く世界でもない。

 

ㅤこれは愛した人のためその人の幸福を希う物語だ。

 

ㅤ上条当麻が変わらなかった物語だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤここはどこだろうか。

 

ㅤ分からない。

 

ㅤ光も通らない場所に彼女はいた。

 

ㅤ何年もここにいる気がする。

 

ㅤあれ?数秒だったかな。

 

ㅤ1秒が数年にも感じる。

 

ㅤ逆に何千年が数秒にも感じる。

 

ㅤ不思議な感覚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「プハァ!?」

「おい!?平気か!!」

 

ㅤ先程から感じた感覚は無くなり私は体を飛び上がるようにおこす。

ㅤするとつんつん頭の少年が心配していたように体を揺らす。

 

「あ、ああ……すまない助かった」

 

ㅤ私の名前は四条陽香。学園都市に八人しかいないレベル5能力者だ。能力は量子入力。

 

ㅤそして私の目の前にいる男は上条当麻さん。

ㅤ私の命の恩人で同時に最高のお友達だ。

 

「悪いね。また私は脳死してたのかな?」

 

ㅤ辺りを見ればそこは病院の一室でカエル顔の医者の顔が見える。

 

「驚いたよ。君の脳は完全に機能を停止していた、なのに彼が触れるだけで息を吹き返すんだからね」

「まあ私が気絶していた理由は膨大な演算による脳の機能不全になることですから。能力の方を打ち消してもらえば演算は必要なくなり機能は回復しますからね」

 

ㅤ私は能力を使いすぎると脳がオーバーヒートし、機能不全をおこしてしまう。 普通の能力者ならこういったことはまず起きないのだが、私は例外。そもそも量子世界はどの様な法則も先ず通じることがない全く未知の空間というものだろう。それらを視界に入れた量子を観測しそこにある入力を行うことで物質を生み出したり電気を発生させたり世界を断ち切るようにずらす事ができる非常に強力な能力なのだ。

 

「ただ量子の観測にほとんどの演算を持っていかれるのだけど」

「先輩なにか言いました?」

「あ、いや何も……」

 

ㅤただ私の能力は演算能力が全くもって足りていないわけで私が支配できる演算範囲は認識できる約300mに収まっているわけなのだ。しかも失敗すれば、オーバーヒートを起こし倒れてしまう。かなり生産性が悪く見える能力なのだが何故か私の能力はそう言った成長性を無視されているような気がする。本来ならならレベル 3でもよさそうなところなのだが何故かレベル5、しかも第2位に認定されているのだ。気になるところはあるが考えても仕方ないので、この思考はここまでにしよう。

 

ㅤ私はベットに寝転がっていたようで起き上がろうとした時、少し脚をふらつかせた。

 

「わわっと」

 

ㅤするとポスンと私の頭は我が後輩である上条当麻の胸元に入り込みもたれかかる。

 

ㅤブラフである!

 

ㅤもう一度言おうブラフである!

 

ㅤなぜ足をふらつかせたか、そんなの決まっているだろう。我が後輩におんぶ!もしくはお姫様抱っこで寮まで連れ買ってもらうためにきまっているだろう!

 

「わ!?せ、先輩!!」

 

ㅤくくく、あわめふためいて、これだから童貞、いや純新無垢と言った方がいいか。恋のひとつも知らん後輩の相手はやりやすい。

ㅤ私の目的は既成事実、男の弱点は責任だ。つまりこのまま我が後輩の家まで送ってもらってそこから私と我が後輩のバージンロードを歩ませてもらおうか!。残念だったな急成長した乳牛め!これから先貴様の入る余地は一切なくなるのだハーハッハッ。

 

「すまないなぁ、後輩よ。どうやら足がおぼつかなくてな。悪いが君の背中をタクシー替わりに学生寮まで送ってはくれないだろうか」

「なんというかすごくわざとらしいんですが…………」

「なに、私の学生寮と君の学生寮は隣同士だろ。そこまで送ってくれたらいい。鍵もここに…………おや、鍵はどうやら学校に忘れてしまったようだ。これはしかたないなぁ。とりあえず今日は君の家で泊めてもらってもかまわないかい?」

「絶対わざとですよね!?本当は足はちゃんとしてるんですよね!?」

「そんなに疑うかい?仕方ない。ここは冥土返し様である彼に足を見てもらおう」

「ふむ。随分と疲労が溜まっているように見えるね。どうやら熱中症の症状が見えるね。」

「ほら、だから仕方ないんだよ後輩」

「先輩?能力使いましたね」

「なんの事だかさっぱりだなぁ」

 

ㅤ当然熱中症の症状もブラフ。量子入力により自分の量子を観測、及び入力しそういう状態の肉体にしただけである。

 

「そうかそうかー、我が後輩よおんぶじゃなくてお姫様だっこが良かったのか!そうかならしかたない」

 

ㅤそういいながら私は右手を上条当麻の左肩から右肩へ通すように伸ばし左手をその右手に掴み。飛び込んだ。つまりお姫様抱っこである。

 

「ちょ!?先輩!?恥ずかしくないんですか!!俺が世話になりっぱなしの恩人かいるのに!?」

「あ、冥土返しさん?このこと普通に言いふらして貰って構わないですよ。主に後輩の見舞いに何度も来てる金の長髪の蜂女には特に言いふらしてくださいねー!」

「わかったから降りてください先輩!」

「あ、ちょっと待って」

 

ㅤすると私はポッケから携帯を取り出すと少し距離を離しながら構える。

 

ㅤパシャ!

 

ㅤそんな音が鳴った後。私はすぐさまメール画面を開き、画像をつけ〖私お姫様ー〗とだけ付け送信。相手の名前は昨年はゼロ、今は100、すなわちレベル5第6位の食蜂操祈である。

ㅤ送信後、数秒でこんな文字が帰ってきた。

 

【動くな】

 

「あ、やばい」

「え?」

「さあ後輩よ。怖い怖いお姉さんキャラがここに来る前に私を抱えここから逃走するのだ!!」

「何をしたんですか先輩!?」

 

ㅤ私達はそこを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤその頃送られてきた画像に食蜂操祈は力いっぱい携帯を握り潰そうとした。

ㅤ貧弱すぎてヒビのひとつも入らないが。

 

「フフ、フフフフフ、上等よぉ……第二位だろうが知ったことではないわぁ」

 

ㅤめちゃくちゃブチ切れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてここら辺まで逃げれたら大丈夫かな?」

「先輩……人の目もあるので降りてくれませんかね」

「嫌だね。ここはまるでパラダイスだ」

「こっちはむしろ主に男からの殺気の視線がめっちゃ怖いんですけど!?やだ!!あの視線だけで私昇天しちゃいそう」

「おお、これが噂に聞いていたオネェ化か」

 

ㅤ私達は現在衆人観衆の目にあった。ここは交差点の上にある大きな歩道橋でそこに色んな店があったりする。

ㅤ外ではこういう場所は見かけないだろうが学園都市は何十年も技術が発展しているためこういう場所はよくある。

ㅤそんな所で私達はお姫様抱っこで運ばれているのだから。

 

ㅤまあそれが降りる理由にはならないが。

 

「それにしても先輩が補習なんて何でですか?先輩なら普通に補習なんか受けることなんてないですよね」

「おやぁ?そんなことも言わなければ分からないのかぁい」

 

ㅤ私はいやらしい笑みを浮かべながら指先を上条当麻の顔に、ヒタリ、と当てる。

 

「そういえば後輩が好きな女性のタイプはお姉さん系だったね。どうだい2つ年上の私を貰うというのは」

「か、上条当麻さんにそんな誘惑は通じませんことよ」

「陥落寸前じゃないか」

 

ㅤ私はニヤニヤ笑顔を浮かべる

 

「ていうか俺が言うお姉さんというのはこう、なんというか……年齢ではなくてですね。勉強を見てくれたり、家事が出来たり困ったことに相談に乗ってくれたりするようなそういったオーラを出している女性のことを指すので。

ㅤそれに先輩はム、いえ」

「おや?歯切れが悪いがどうしたのかい。はっきりいったらどうだい」

 

ㅤ何やら不満があるようなので聞き返すと。

 

「なんというかほら先輩はどっちかというと包囲力というのが致命的にかけているというか。加えて胸囲も……」

「は?」

 

ㅤ瞬間私は携帯を弄り先程メールを送った相手にもう一度送る。

 

【神さま仏さま食蜂様。

ㅤ貴方様はこの1年で立派な胸囲と包囲力を手に入れましたね。一体何人にもませたらそうなるのでしょうか】

 

ㅤ送信

ㅤ………

 

ㅤ受信

 

【喧嘩を売ってるのかしらァ?

ㅤそれはそうと私は大きくなる運命にあったからよぉ。勝手に人を痴女にしないで貰えるかしらぁ

 

Ps動くなって言ったわよね】

 

【ありえない。

ㅤあれだけちっぱかったあなたの胸が大きくなるなんてありえない。はっ!?まさかの胸の大きくなる研究をしているところを襲ったとか!?くっこうなれば量子入力で私も胸を作るしか!包囲力は後で勉強!!。

 

Psお姫様抱っこだったから一切動いていないよ】

 

ㅤ送信

 

ㅤ受信

 

ㅤ受信は無視し、私は胸を製造を始める。

ㅤみるみるうちに合わなくなるブラジャー元々はAだったが今ではDとなる。当然ながら私のブラジャーはその胸囲から離れるようにホックがズレ、外れる。

ㅤだが現在お姫様抱っこ中なので外れたブラジャーはお腹部分止まる。

ㅤとはいえさすがに私もこの状況には戸惑いがあった。さすがに衆人観衆の中好きな相手の前でブラジャーが外れて恥ずかしくないのはただのMだ。

 

ㅤそんな訳でブラジャーが服の隙間から落ちないように下ろしてもらい。

 

「す、すまない。衝動的に作ってしまったDのせいでブラジャーが落ちてしまったのだ。ホックをつけて貰えないだろうか」

「先輩何してるんですか」

 

ㅤ上条当麻から少し呆れ目の視線を向けられ、さすがに赤面する私。ホックをつけ直してもらい今度こそ2人で寮に帰ろうとした時、それは起きた。

 

「ニャ!?」

 

ㅤ電気の波を観測してしまったことにより猫っぽい奇声を上げる

ㅤこ、この状況AIM拡散力場は電撃使い。それにこの総量はレベル5クラス。そんな限定的な人は一人しかいない。

 

「見つけたわよあんた!!」

「あ、ビリビリ」

「ああ、なるほど貴女ですか」

 

ㅤそこには茶の短髪少女。レベル5第4位の超電磁砲で有名であの御坂美琴がいた。

 

「あんた誰?」

「む、いきなり割って入ってそれですか。後輩のくせして敬語のひとつもなしですか」

「敬語ってあんた私と変わらなそうな見た目してるけど」

「背が小さいのは気にしてるから言わないで。それでも超電磁砲で有名なあなたがなんでここに。まさか操祈ちゃんが送ってきたという刺客というのは!?」

「先輩、その操祈さんって方に何をしたんですか」

「NTR」

「ハア!?」

「何してるんですか先輩!?」

「それにほぼ近いし事。私だって乙女ささすがに私の初めてをそう簡単にはやらないさ」

 

ㅤはははっ、と笑う私の横では呆れている2人を横に内容を元に戻す。

 

「それでも美琴ちゃんはなんでここに来たんだい」

 

ㅤそう言うと御坂美琴は思いだいたように手を叩く。

 

「そうそう。あんた今日こそ決着をつけてやるわよ!」

「……またかよ」

「後輩よ一体何をしたんだい……レベル5にでも喧嘩を売ったのかい?」

「そんなことしませんよ!」

「とにかく!今日は逃がさないわよ!以前はずっとにげまくってくれちゃって!」

「つってもいくら攻撃してきても俺には効かないんだから不毛なだけじゃねぇか」

「そーよ、1発も食らってないんだもん。という事は引き分けってことでしょ」

「あーそうですか。じゃあお前の勝ちでいいよ」

「……ふざけんなぁぁぁ!!!」

 

ㅤ衝動的に御坂美琴は電気を放ちあたりの電化製品を壊す。さすがに私のまで壊されるのは面倒なので量子入力で電気にベクトルを入力し回避する。

 

「どーよこれでひねくれた頭のネジ入れ替えられた?」

「ふざっけんな!お前が前どデカい雷落としたせいでうちの冷蔵庫とか電化製品全滅だぞ!」

 

ㅤそうなのか。しかしそれはいいことを聞いた。

 

「おや後輩は今電化製品がこわれているのか。ならば仕方ない今夜はうちのを貸してやろうではないか。私は事前に察知して回避しているので風呂も暖かいご飯も食べれるのだが、どうだろうか」

 

ㅤそう提案すると上条はまるで神でも見るようにからだ。震えさせ、ははぁー、と土下座のポーズをし崇めるようにする。

ㅤしかしそうしているのも束の間、学園都市の警備ロボがぴーぴーと鳴らしながら迫り来た。

 

「とりあえず逃げようか」

「ソウデスネ」

「なんでこんなことになるのよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ2人は学生寮まで帰ってきていた。

 

「なんとか逃げ切れたようですね」

「そうみたいだね」

「と言うか先輩やっぱり鍵あるじゃないですか!」

「そりゃ複製したから」

「え?この人自分がマスターキーだと公言したんですけど!?」

「とりあえず後輩の家に行って今日の衣服とか取りに行こうか」

「いや俺一人で行きますけど」

「何を言っているのさ!君は私の部屋で寝ようとしているのだぞ。乙女の部屋を見るつもりなのに自分の部屋は見せないというのか。それは随分と薄情だねぇ」

 

ㅤそう言うと上条当麻は黙るしかなかった。

ㅤちなみに嘘である。本当はこの女は思いっきり上条当麻の部屋を見たいだけである。あわよくばその匂いを堪能するつもりである。

ㅤそんな魂胆を思い浮かべながら私達はエレベーターを上がってゆく。

ㅤ途中の階でなにか不思議な感覚に襲われたが、その階を通り過ぎると次第と離れていく。多分どこかのだれかが私の範囲内で暗算内で能力でも扱っていたのだろう。

ㅤ私の暗算は領域は約半径3m。その範囲なら、何かしらの異変が起きた時自動的に観測のみを行う。

ㅤさっきはエレベーター越しにだれが能力を使っていたのだろう。

 

 二人はエレベーターを降りるとそのまま間端の部屋まで歩く。するとそこには縦長の丸い掃除機が並んでいた。

 

「後輩!!119!!」

 

ㅤそしてそれを取り囲むように白い修道服の少女が真っ赤に染まりながら倒れていた。

 

「インデックス!?くそ、いったい誰にやられたんだよ!」

 

ㅤそう言いながらも携帯の番号に数字を押し呼ぼうとする。

ㅤしかしそれを遮るように後ろから声がする。

 

「ん?僕達魔術師だけど」

 

ㅤそこには顔にバーコードの刺青でも入れた長身の男がそこにいた。

 

「てめぇが、こんなことをしたってのか!!」

「正確には僕ではなく神裂がなんだけど。それに神裂自身絶対傷つかないと知っていたから攻撃したんだけど、ああ、彼女の衣服法王級の霊装でね。どんな攻撃にだって絶対的防御の能力を秘めていたはずなんだけど」

 

ㅤそう言うと上条は自分の右手を見る。

ㅤそんなことを関係せず彼は言い続ける。

 

「それになんでだろうね。こんな逃げ場のない場所に逃げ込むなんて。発信機用のフードもないわけだし、どこかで落としたのかな?」

 

ㅤそう言うと上条は全てが繋がった気がした。

ㅤ魔術師追われていること。

ㅤここに戻ってきたこと。

ㅤ上条の部屋にフードがあること。

ㅤ彼女の善性。

 

「ばっかやろう。なんで逃げてる奴が周りのことなんか気にできるんだよ」

 

ㅤ彼女の優しさに心を苦しめる上条、しかしそれに敵は待ってくれない。

 

「さぁどいてくれないか。僕達はそれを回収しなくちゃいけないんだ。正直な所君たちに構っている暇はない訳だし、()()()()()()()()

 

ㅤその言い方に頭にきたのか上条は声をふるわせる。

 

「てめぇは、何様だ!!こいつにお前らにとってどんな価値があるかなんて知らねぇ!!こいつが世界にどれほどの影響を与えるのかも知らねぇ!!でもお前らにだって、善人と悪人との区別くらいつくんだろ!!なんでか弱い少女なんか追いかけるんだよ!!!!」

 

ㅤ彼はそれに対し舌打ちだけすると、一拍おき。

 

「ステイル=マグヌス、と名乗りたいところだが【Fortis931】と、名乗ろうか」

 

ㅤそれに対して上条は疑問を浮べるがステイルは笑いながら答える。

 

「殺し名だ」

 

ㅤ瞬間そこには先程の気楽な雰囲気は感じられなかった。裏の世界で暗躍する四条やあらゆる戦場を駆け巡った上条だからこそ気付けた。

 

ㅤ2人はゾクッとやばい感覚に襲われる。

 

「炎よ」

 

ㅤそれは正しく剣だった。オレンジのラインか轟となり上条と四条を斬る、いや3000度の炎が溶かすべく迫り来る。

 

「巨人に苦痛の贈り物を!」

「入力」

 

ㅤそれに対して私はただ一言つぶやくだけ。

ㅤしかしその前に私の前で炎が消えた。

 

「幻想殺し」

「平気ですか先輩」

「まあね。まあ君が動かなくても私が動いたが。

ㅤさて私はこの子の治療に回る正直自体は一刻を争う、冥土返しに運んでいる時間はないのでね。君はこの子が完治するまで時間を稼いでくれ」

「分かった。幸いあいつが放ってくれた炎のおかげで煙がすごいし奇襲でもかけてくる」

 

ㅤそう言うと彼は去る。

 

「さてと治療を行うけど、ごめんね。私が行うのは治療じゃなくて復元だから……ほんとごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ入力開始

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ瞬間世界が黒く染まる。

ㅤそれはまるで無重力の空間に漂うような感覚に襲われる。量子の観測、その方法で治療を行うためにはまず正常な量子を観測しなければならない。量子に時間のルールは通用しない過去から未来へとは断言はできない、私は自分を起点としそこから波を作り出すことであらゆる量子の状態を観測ができる。

ㅤ今回は過去の彼女の量子状態の観測を始める。

 

ㅤ時間にして数分。しかし私にとってはとても長い時間に感じられた。

 

ㅤ過去の肉体の観測、一部観測拒否を確認それ以外は観測完了

 

ㅤ続いて量子を変換、完了

 

ㅤ世界は元に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハックシュン!」

「先輩!インデックスは!!」

 

ㅤ次の瞬間には愛しき彼の顔があった。

 

「大丈夫だよ。傷は完治したよ。で、私が無事ってことはぶっ飛ばしたのかい」

「ああ、そこでのびてるよ」

「ならまず発信機のついているフードとやらをどこか別のところにでもしまっておこうか。それと衣服を持ってきたまえよ後輩。私の部屋で今回は寝泊まりさせてやろうではないか。ほんのちょっとなら私を触れるくらいしても構わないぞ」

「そ、そんな誘惑には上条さんは乗りませんわよ!」

 

ㅤ結構積極的ではないか、と言う言葉を飲み込み彼女は白いシスター姿の女の子をおんぶで抱える。

 

「私はなるべく早くこの男から離れたいから先に向かわせてもらうよ後輩。はぁこいつが来たおかげで後輩の部屋の散策が出来なかったではないか

「先輩何を言ってるんですかと言うか先輩。できれば胸元を隠して頂くと嬉しいのですが」

 

ㅤ上条は顔を赤くしながら背けるが、四条はその意図を理解出来ず?を頭にうかべたが、上条は衣服の方に指先を向け。私もその目線の先を見た。

 

ㅤズブズブに濡れた服、学生服は前だけ開いており白いシャツの先が濡れて透けていた。

 

「!?すまない後輩!!とりあえずわたしは今すぐ寮に戻る!」

 

ㅤ四条は顔を真っ赤にし慌てながらそそくさと家に帰った。

 

「やっぱり先輩はどちらかと言うと背伸びする後輩寄りでは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーーーー!!恥ッズ!はーーーー!!恥ッズ」

 

ㅤ現在家に帰ってから彼女はとりあえず衣服を脱ぎ捨てシスターと一緒に風呂で体を拭いていた。流石にずぶ濡れのまま布団に寝かせるわけも行かず私は彼女の体を洗う。

 

「それにしてもなんでこの子に私の観測が通じなかったんだろう」

 

ㅤ私の能力はもしも十全に使えるようではればはっきり言って最強を通り越して支配者側に回る能力なれる。ただ私が自身を卑下するのは能力への演算が足りないからだ。それだけさえなければ私はひとつの神話どころか宇宙全体を1から作り直し自分だけの世界なんてものも作れてしまう。理論上最強。そうあくまでも理論上だ。そんなこと私の演算の幅が際限なく増えたりしない限り出来ないし私の知らない法則がこの世界にあったらまず不可能だろう。私自身全てを知ったと言語不遜を語るつもりは無い。それにあの魔術師と名乗った能力者、本当にあれを演算していてもよかったのかわからない。今だからこそ、なにか不思議と悪寒を感じる。あれは何か変だった。

 

「後であそこに戻って過去の観測でも行うかな?」

 

ㅤ口に出してみるがやっぱりやめておこう。なにか嫌な感じが拭いきれない。

 

ㅤ彼女の髪を綺麗にとかし、乾かしたら四条は風呂から出て更衣室で着替えようとするが。

 

「しまったな、濡れていたから先に風呂場に来てしまってたか。仕方ない取りに行くか」

 

ㅤシスターをここに置き私は衣服を取りに行こうとして外に出る。その時ちょうど玄関の扉が開かれた。

ㅤこのタイミングで来る人はもはや一人しかいないだろう。

ㅤつまり彼だ。

 

ㅤつんつん頭の少年がそこにいた。

 

ㅤ当然私は裸のまま外に出たのが悪いのだが。この嬉しくなるような感じとそれ以上に愛しき人に見られる羞恥心が異常なまでに高まり私は即座に更衣室に隠れる。

ㅤデカい悲鳴を叫びながら。

 

 

 

 

「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

ㅤこの後後輩に衣服を取ってもらいに行った。当然冷静になった後でなので計算高く私の下着なども取りに行ってもらった。タダで転ばないのが彼女である。ただまぁ普通に考えたら下着を取りに行ってもらうという恥ずかしい思いをしたのはまた別のお話。転んだ後に足を捻るのは彼女はよくやることだ。

 

 

 

ㅤ7月20日は終わる

 

 

 

 

ㅤ7月21日は始まった

 

 

「う………ん………」

 

ㅤその声とともに彼女は起きた。

 

ㅤシスターはパーソナルカラーの白を変えないように白のパーカー服を着せている。私はぎゃくに黒のパーカー服とスカートを組み合わせたような格好だ。

 

「おや起きたかい。」

「貴方は」

 

ㅤそう言いながら彼女は起きようとしたがそれを片手で押えた。

 

「まだ起きなくていい。私がしたのは治療と言うより元に戻したというのが正しいからね。量子世界の法則で治した事が現実にどう及ぼすか分からないからまだ寝ているといい。病院が開いたら医者のところへ連れて行ってあげるから」

「そうだあの人のところにフードが!!」

 

ㅤ思い出したように彼女は起き上がるがそこに彼が来た。

 

「おっインデックス、起きたのか。いやぁ先輩が色々と不安になるようなことを言うから心配してたんだ」

「仕方ないだろう。量子の法則は私は全てわかっているがそれが現実に対してどう及ぼすかわかりきってはいないんだ。」

 

ㅤ仕切り直すように私はコホン、と言い仕切り直す。

 

「私の名前は四条陽香。彼の先輩だ」

「私の名前はインデックスって言うんだよ」

「さて一応聞きたいんだけどいいのかな?君は一体誰に追いかけられていたんだ?」

「ちょっ!?先輩、それは」

「遅かろうが早かろうが同じことだよ後輩。安全な時ほど話をしておいた方がいいよ心の整理は私たちは待って上げれるけど相手はそうじゃないからね」

 

ㅤ私は言った後に。即座に答えてくる。

 

「魔術師だよ。当麻には説明したと思うけど、なんで助けようとしたの。貴方は嫌だったみたいなのに」

「そりゃ一緒に地獄の底に行くのは嫌さ。でもだからって1人で地獄の底にまで歩こうとしてる女の子を見棄てられるから別問題だろ」

「まぁそれなりに悩んでたみたいだけどね」

「ぅ………」

 

ㅤそう言うと上条は顔を暗くした。

 

「それで魔術師って言うのは何かな?」

 

ㅤそして私は魔術の内容を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『と、まあ私が魔術を知った要因がこれだ』

 

『ん?私が誰だって?私は四条陽香の高次の自己だよ』

 

『私は量子入力は一方通行のベクトル変換のようなものではなくそこに上書きする能力。1人で神話を作ったり位相世界を新たに作りだしたり魔神様を構築したりすることなど造作もないのだ!』

 

『私のレベルは6すなわち神ならぬ身にて天上の意志に辿り着くもの、それに到達した人間だよ。と言っても人間の肉体は1度放棄したから量子世界を漂うなんでも装置みたいなものさ。ちなみにメタいことを言えば現在の巻数は新約9のちょうど愛しき後輩が自殺をするところだ。まあ総体がいる以上大丈夫なのだろうけど、そんな大事な役目を彼女なんかに任せるつもりは無いので行くとしよう。ではまた。いつかどこかで私は宇宙全体を見えているからね。もしかしたら適当な平行世界で会うかもしれないね。次に会う時は文章として次話をこのサイトに載せることとしよう。ではな』



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終わった人の物語

「なるほどね。つまり学園都市とは違う技術が外の世界で普及していてそれが魔術というもので、君はその頭の中にあるっていう103000冊の魔導書を狙って襲ってきたのが彼らなのだと。そして君は1年前以上の記憶がないのだと」

「だいたいそんな感じなんだよ」

「しかし一年前か、そんなに前なら私の量子入力では演算が足りないから知ることが出来ないな、すまない。」

 

ㅤそう言うと彼女は別になんでもないように答える。

 

「大丈夫なんだよ。それにそんなことはしない方がいいかも」

「なぜだい?」

「原点の魔道書は1冊読むだけでもとても危険なんだよ。特に貴方の場合あなたの能力で私の頭の中にある魔導書を読むと能力が魔術を扱ったという事で身体中が爆発四散しちゃうかも、才能の無いものが才能を持つものと一緒の事がしたいということで作り出されたのが魔術、だからあなた達は扱えないんだよ。無理に扱おうとすれば身体中が壊れちゃうんだよ」

「なるほどね。なんか嫌な感じがしたのはそういう事だったのか。確かに私は観測をする場合必ず全部を観測する訳だからその際魔導書も読んでしまうな。さっきは肉体情報のみだったが脳内の情報となると危険か」

 

ㅤそんな話をしてると上条が言い出す。

 

「過去を知ることも大事だけどまずはお前をイギリス正教って場所に保護してもらうのがやっぱり先だよな。先輩は何か伝はないんですか」

「あると思うかい?レベル5第2位とはいえただの学生に。それに黒い所からは私達を実験動物くらいにしか思わない連中がいるのは君も食蜂の件でよく知っているだろ」

()()()()()()()()()

「まあ正直な話、伝はあるにはあるんだが」

 

ㅤ冥土返し、学園都市のトップの一人親船。

ㅤ冥土返しの方は絶対に安全と言いきれるのだが外への移動手段を持っていない。流石に医師にそこまでの権限はないが、彼自身昔は暗いところで暗躍していた時もあったらしい。まあ基本は被害を抑えるような役割だったのかもしれないが。彼が助けると言った人物に助けられなかった人はいなかった。

ㅤもう1人は親船の方は限りないほどの善性を持つ人物。私がお願いすればプライベートジェット機くらい貸してくれるだろう。私も作れなくはないが私の場合演算を続けなければならないのでどこかでオーバーヒートしてしまうから出来ないし、だが親船から借りられたとして魔術師とやらが墜落でもさせてこようなら鉄の棺桶と化す。確実な安全性が保たれないのだ。そういう意味では使えない。いくらレアな禁書目録だとしてもほか勢力の手に渡るとするなら落としてくる可能性は高い。

 

「確実に安全性を保つことができないなぁ」

「ならしばらくは安静にすることが大事だね」

「と言うか後輩?今日は補習じゃ」

「あっ……と言うか先輩もじゃないですか!」

「私は何時でも取り戻せるし。と言ってもこの状態では行けないからね。さて後輩!今日は小森先生に変わって私が補習をしてあげよう!そこになおりたまえ!」

 

ㅤその後電話が来て怒られた2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼らが何者か、分かったのかい?神崎」

 

ㅤ顔にバーコードが描かれた長身の男は質問する。

 

「ええ、どうやら男の方は無能力者、しかし右手に触れるだけであらゆる能力を無効化する右手を持っているらしいです」

 

ㅤそしてそれを受け答えしたのは色々と肌が見えてしまっている刀を持つ女性。

 

「なるほどね。だから僕の魔術が消されたわけか。それで、もう片方は何者だい」

「もう1人は学園都市レベル5の能力者、第二位だそうです。能力名は量子入力。彼が言うには能力と強さだけならば第1位を凌ぐほどだと」

「確か軍事戦艦級の力を持つほどの実力を有しているんだっけ」

「ですが弱点も多いらしいです。彼女は量子とやらの媒体がないのと能力が扱えない。そして目でそれを見なければならない。そして彼女の量子の入力とやらに魔術の要素を入れておくだけで彼女は勝手に自壊するそうです」

「なるほど、つまりは彼女の前で手品のひとつでも見せれば簡単に自滅すると」

「しかしインデックスが彼らの元にある以上魔術の対策はされているかもしれませんし、今度は私が相手をします。その間に貴方はインデックスの確保を」

「そうだね。その方が効率もいいだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある7月24日の日が空にあった頃

 

「むむ!今ビビッときた!学園都市の原子力実験炉あたりの高速道路で何かヤバいことが起こりそう」

「いきなり何を言ってるんですか先輩?」

 

ㅤ唐突にそんなことを言った彼女は突然立ち上がり、部屋を飛び出していく。

 

「経過は良好だけどなにかほんの少しでも変化があった場合は私に連絡よろしくねー」

 

ㅤそれだけ言うと彼女はすぐさま走り出した。

 

「あの人、どうしたのかな」

 

ㅤ不思議そうにインデックスがそういうが上条は四条関係、というか四条が自分から関わりに行こうとする習性というレベルのものがある。

 

ㅤ本来治るはずのなかった上条の認識の問題(食蜂の事)や様々なことが彼女によって本来こうあるべき運命とねじ曲げる程のことをしてきた。

 

ㅤだから今回も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()

 

ㅤ目の前には原子力実験炉、そして左を見ればそこには1部崩落した高速道路と倒れるアンチスキル。そして目を高速道路の下辺りへと。そこには天使の輪っかのようなものが頭に現れた大きな赤子の姿が。

 

「確か木山って科学者はAIMバーストって()()()()()()()()()()()()

 

ㅤ問題を解決しようと演算を開始しようとすると私の携帯からアラームがなる。

ㅤそれを取り出すとそこには統括理事長とだけど書かれた電話番号のかかれてない電話がかかったていた。私はそれに対して切るが、何故か電話が繋がった。

 

「やぁ四条陽香」

 

「あなたがアレイスターかな。話すのは初めてだね」

 

「ふむ、まるで私を知っているようなセリフだね」

 

「一応私も滞空回線(アンダーライン)に引っ掛からないよう常に能力を常に使っているんだけどね。まあだからこそ脳死が何度も起きてその際貴方に観測されるんだろうけどね。」

 

「そこは君がオティヌスだという説があるからだろう」

 

「は?」

 

ㅤいきなり何を言っているのだろうかこの滞空回線を使って全ての女子学生の裸を見ている変態は。

 

「……それで一体何の用なのかな」

 

「そうだね君が()()()()()()()()()()()()脳死を起こしているということについても少し違うこともついでに言っておこう。」

 

「………………」

 

「君はこの世界の本質について気づいているんじゃないかな。魔術を知った君なら」

 

 

 

「魔術による火花」

 

 

 

ㅤずっと不思議に思えた。私は未来を見てそして何とか出来ると思った。しかし私が何とか出来たのはそれが起こってから私が強制的に変えるという越権行為と言えるほどのみなのだ。そう全部がだ。

 

「私は量子を支配しそして世界を支配するほどの能力がある。未来を見てその全てに干渉することが出来る。その上で私が行動できたのは何か起きてからだった。ここまであったら私でも疑問を持つ。そしてこの前魔術と出会ったことによってこの世界の正体を理解したよ。」

 

「ふむ、そこまでは分かっているならどうする」

 

「あなたに協力しろと?未来の情報を渡せと?位相を全て破壊することに協力しろと?あなたはそう言っているのかな?却下だ。それこそ私ではなく願望の集積体にでも頼みなさいな」

 

「ふむ、やはり魔術に触れたことによって随分先のステージへ進んだようだね。そこまで進めたのなら既に上がれるのではないかね」

 

「上がるつもりは無いね。それはつまり他界を意味するからさ。他の能力だったならともかく、私は低次を自ら作成しなければならない上、その上に高次の自己としてしか現世に在れないからねそうなればここにいる私はもう二度と会えないからね。もう長くは無いけど。いやおそらく私は元のあり方自体が人間のそれとは大きく異なり量子が私を生かすことになるだろう。そうなれば私後輩に近づいただけで私が霧散してしまう。だからこそ私はやらないんだよ」

 

「ふむ出来れば君の方が良かったのだが、仕方ない未元物質の方で妥協するとしよう」

 

ㅤ割と簡単に諦めたように彼は言うが、実際には諦めさせていた。私の行える行動いくつか致命的なことろを見せたからだ。私は後出し限定で運命の在り方を変えることができるからだ。そして肉体にやどった霊魂という在り方がなくても私は自らの肉体を量子の粒を肉体として捉えることを出来るため殺して口封じした所であまり意味が無いのだ。死んでも死なない。その手段を持ってしまっているから。せいぜい後輩の右手くらいでしか私は死ぬ事がない。その点でいえば彼はそのような力を持っていない。かつてはあったのかもしれないが少なくも未来を見ていた限り存在しないのだ。私ひとりでプランを何もかも瓦解できてしまうからだ。どれだけ複雑な部品の繋がりも全てのネジを取り外してしまえば瓦解する。私ひとりでそれをおこなえてしまうからだ。

 

ㅤしかしできるからと言って私はそれを行わない。理由は単純。これから生まれるであろうものたちを殺したくないし。私が動けば救える人間は必ず多くなるが救えなくなる人間必ず現れるからだ。例えばシスターズの1人でも救えてしまえば本来の総体を生まれなかったことにしてしまい全く別の総体ががうまれるからだ。

ㅤそのため私は本当になんの影響も無いものに対してしか動くつもりは無い。

 

「さてそろそろ動くか」

 

ㅤ思考をやめていつの間にか原子力実験炉近くまで移動している赤子に目を向ける。

ㅤそしてとある演算能力をわけ目の前の赤子を霧散させる程の演算を向けた。

 

演算開始

ずるっと足を踏み外した感覚に苛まれる。それだけではない、他にも他にもほかにも視覚や聴覚、五感殆どが彼女には普通の世界とは違う全てを見せる。

 

ㅤ目の前が暗くなったのは資格が閉じられた訳では無い。光すら波というものでしか表せないレベルの何かに変わったからだ。しかし見えているものは同じ。単に世界を別側面から見ているだけだ。

 

ㅤ思考する。

ㅤ演算する。

ㅤ考える。

 

ㅤ目に見えなくても情報として今も尚入り続けている。

ㅤならばあとは簡単だ。何時もなら苦しかったが、別のところから演算能力を分けてきた以上失敗はありえない。

 

ㅤ解析しろ。

ㅤ入ってきた情報を現実世界の法則に当てはめそれがどういうものかを識れ。そしてそれら全てを正しく誰も被害が残らないように演算し、誰も傷つくことのないようにやれ。

 

『レベル/は誰/目/も移//いんだ』

『しょう/ない/ね。こん/に/ん//ても』

『の/り//し/にな/たかっ/』

 

ㅤ他にも他にも他にも。

 

ㅤ解析していけば行くほど低能力の人達の言葉が分かってくる。

 

ㅤなるほど木山という研究者はこの人たちの脳波をネットワークとして何かしらの演算に使う気なのか。ならその目的は?。さっきまで彼女はネットワークの脳波と繋がっていた以上私なら過去の記録から侵入しそこから彼女の記憶を紐解けばそれで済む。

 

 

 

「これは暴走実験、よりにもよって木原一族の木原幻生か。随分と暗いところまでやっていたんだね。()()()()()()()()()()()()

 

ㅤそこには少し前に見た事のある顔が存在していた。木原一族の一人。正直なところこの人に関しては厄介すぎるところがある。科学のためならどんな非道な手や自分の命だけではなくほか大勢の無関係な命が脅かされるとしても止まることがなく、一方通行が現在行っているとされる絶対能力者移行計画の発端になった人物。私が1番巻き込まれたくない木原No.1だ。

ㅤ他の木原ならまだマシと言える。狂人という意味ではこいつはトップに躍りでるだろう。

ㅤまあそんなことは置いておき。

 

「となるとこの子達を救う方法を1万もの学生演算能力で救うことかな。しかしそれでは足りないな。いくら能力者の頭を1万人借りたところで大半は学園都市の無能力者。一方通行や私なら個人で救うなんてことは出来るんだけど」

 

ㅤ正直なところ助けるつもりは無い。何せこの子達は未来で助かるのだから。まあ今すぐ助けた方がいいんじゃないとと言う意見もこれを聞けばきっと飛び交うだろうが。私はその助ける過程で苦しむこともその人の努力によって助けられたことも無視していいこととは思っていない。私のようなチートは本当になんの影響がなく何も苦しむ必要が無いものにしか助けるつもりは無い。

 

ㅤ私はきっと酷い人間だ。

 

ㅤ何せ助けれるのに私自身行動なんかしないのだから。人の死さえ思い通りにできる力を持ちながら私は助けない。助けてはならないんだ。こう考えると私はきっと未来や過去に囚われているんだろうな。でもやっぱりいい道のみを選んで進むことがいい事だとは思わない。たとえそこに誰かの死が含まれていようと未来で別の誰かが死ぬと分かれば私はきっと運命に身を委ねる。総体の件だってまさにそれだ。

 

ㅤだから今回はこれだけにしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなとこでクヨクヨしてないで自分に嘘つかないで。もう一度!!!!」

 

それはもはやラインが空に線を描くような一撃が巨大な赤子肉を削り、そして抉り出した。その力場を保たせていた核を。

 

ㅤそれは超電磁砲に貫かれた衝撃でそのまま砕け散った。

 

 

 

ㅤこれはその際に怒った出来事だった。

 

 

 

「あ…………り……が/う」

 

 

「は?」

 

ㅤ今何を言ったのだろうか。とっさの言葉だった為かその言葉を理解するのに若干の時間がかかるが確かにあれは。

 

「感謝の言葉?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ私がしたことは単純。ただみこっちゃんの言葉をそのまま彼らに伝えただけ。私は人の努力を奪うつもりもなければ悲劇も喜びも奪うつもりもない。故に私がすることは人の努力をちゃんと伝える、それだけだ。

 

「さーてやるとはやったし帰ってインデックスの様子を見に行くかな」

 

「その必要はありませんよ」

 

ㅤ後ろから声が聞こえた。と同時に私は振り返るが。

 

ㅤ鞘を抜いていない剣が目の前にはあった

 

演算開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩遅いな」

「むー」

「ん?、どうしたんだインデックス。そんな声上げてさ」

「そんなの決まってるよ!!なんで外に出してくれないんだよ〜」

 

ㅤ唸るインデックスだがそれは仕方の無いことだった。何せ今は狙われている以上外に出る訳にも行かない。そんなインデックスに上条は少しため息を吐いて宥めるように言う。

 

「あのなインデックス、今は狙われている以上そんな早く行動は出来ないわけでさ、少なくとも先輩が帰ってこない限りはどこかに行く訳にも行かないしさ、それにまだ完治できてるかどうかだって分かってないからさ。いつもの先生に取り敢えず連絡はとっているしその人が来てからだな」

 

「そう言ってももう昼を回って3時だよ!!出ていってから全く連絡ないんだよ!」

 

ㅤそう叫び散らす彼女の前にインターホンが鳴る。

 

「お、来て貰えたみたいだな。インターホン鳴らしてるし先生だろ。少し迎えに行ってくるよ」

 

ㅤ上条はそういいながら玄関前まで歩きドアを開ける。するとそこにはカエル顔を医者が現れる。

 

「出来れば僕をこういう風に呼び出しては貰いたくないんだがねぇ」

「すいません先生。いつもお世話になっているのにこういうことまでしてもらって」

「お世話になっている自覚を持つんじゃなく僕に対してはお世話にならないように気を使うべきではないかね」

「……はい。……仰る通りです…………」

 

ㅤ毎度毎度入院ばかりする上条は頭が上がらず項垂れる。

 

「それで患者の様子は」

「今は落ち着いて……いや元気よく叫んでますよ。ただ彼女は一刻を争う容態だったから、量子入力で治してしまって。正直いつ危険な状態になるか分からなかったので」

「なるほどね。確かに量子に関してはまだまだ未知数。そもそも試すことが出来るのは数が知れている以上どんな道があるかも分からないからね。量子は時間の法則や他多くの法則を無視するどころか支配するからね。いったいどんな感じになるのは分からない。とはいえ僕にも完全にわかるとは言い難い。だからここは僕が君に人間の体がどういう風に出来ているか詳しく教えるからそれを教えてあげなさい。無理だと思うなら録音でもいい、それを彼女に伝えてあげれば全て解決すると思うよ」

 

ㅤ先生はそういうと部屋の中に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛いな〜」

 

ㅤ一人の少女は路地裏で身を隠す。

ㅤそれだけならば家出少女と勘違いされそうだが、その両手両足には切り傷が沢山ついていた。それだけではなく胸元にはもっと大きな傷が斜めに裂けていた。

 

「やられたね、見事に私の弱点を突いてきた」

 

ㅤ量子能力。一見とてつもなく強力な能力に見えるが、弱点は確かにある。まず演算開始時世界は停止などはせず私の演算開始時の時間軸はそのまま進み続ける。すなわち過去を改変しようにもその前に私の開始時の時間軸で演算が終わる前に意識を刈り取られたり死亡でもした場合。その時点で私はちゃんと死ぬのだ。すなわち戦闘開始時に終わらせられれば私に勝ち目はない。しかも相手は音速超えていた。そんなの相手に演算して戦おうものならまず量子入力では絶対勝てない。そんなわけで私が出来た演算はただ見える光景に対して空気の衝撃やらそんな小さな演算しか出来なかった。それに私はそれ以上《とある演算》からこれ以上裂け続ける訳にも行かなかった。故に私は負けた。ただ不思議に思うのは。

 

「なんでアイツ、わたしの胸元を裂いた時あんなに動揺しだしたんだろうね。」

「何してんだァオマエ」

「おや?」

 

ㅤ独り言をブツブツボヤいていた私はその隣に立つ一人の男に気付いていなかった。

 

「君はサイキョーくんかな」

 

ㅤ私はどこぞのコロコロの本で出てきそうな名前を言いながら彼に向けて言う。

 

「あァ?なんだそれ」

「君だろ学園都市サイキョーの能力者は」

 

ㅤLEVEL5第1位に座り、あらゆる力を反射する魔術を抜きにした世界最強。一方通行。

 

「はっおかげで三下連中に襲われまくった人生過ごしてるけどな」

「おやおやそれにウンザリして絶対能力者移行計画なんてものに手を出したのかい」

 

ㅤその名称を口に出すと彼は少し落ち着いた感じで、しかし先程の刺々しい空気から突き刺す空気に様変わりする。

 

「オマエ、それを言うって事がどういう意味か知ってんのか」

「一般人が喋ればすぐに人生絶望コースまっしぐらだろうねー。それで私だけが君の名前を知って話しかけるというのは少しずるいかな。ここは私も身分を明かそう。私の名前は四条陽香、LEVEL5第2位に位置している能力者さ」

 

ㅤとりあえず警戒心を持ったままでは話が進まないので身分を明かすと。一方通行はなるほどと思いながら納得する。

ㅤ量子能力ならばベクトル変換を上回れるからだ。となると1位の座を狙いに来たのかと考えるが。

「つまりお前はあれか第1位の座を狙ってここまで来た格下かァ」

「そんな状況じゃないくらい私の傷を見てわかんないかね」

 

ㅤ当然四条は否定する。この傷を見るに何とか逃げ隠れしてここに落ち着いたと言われたと方がまだ信じられるからだ。

ㅤ互いが互いを下に見るような軽口を叩き仲間ら2人は話す。

 

「まあ君に会いに来たのも嘘じゃないけどさ。私は先輩として今君がやっていることは間違っていると言いに来ただけさ」

「なンだ、人形遊びで壊すのはダメだとか言うつもりか」

「私が言いに来たのはその考え方だよ。クローンだろうとほんの少ししかない命だろうと人は人だ。そこは変えちゃいけない、君はスイッチひとつで作れる人形かもしれないが、私にとってはちゃんと彼らには魂というのが存在している。そこは私の能力で既にわかっている。そんな彼らを人形として認識で殺すのかい?」

 

ㅤそこまで言うと彼から笑いが取れた。いつもは敵ですらないと自信満々なら歪な笑顔からそれが一切消える。

 

「オマエ、何が言いてェ」

「言っただろうの認識(考え方)を改めさせる為だよ」

「つまりオマエはあいつらは普通の人間で殺す時は人間を殺すつもりでやれと。オマエ正気か」

「おやおや、まさか君に正気を疑われるとは意外だね。まあ普通は人として彼女たちを人間と思っているなら普通は拳を握って私は君と対峙するべきなんだろう。量子能力がなければきっと私はそうしていただろうね」

 

ㅤすると一方通行疑問を浮かべた。

 

「普通逆じゃねェのか?」

「まあ能力の相性なら私の方が圧倒的に上だろうけどね。これは私の個人的都合で彼女達を助けない。最低だろう」

 

ㅤ四条はそう言い切ると、こいつはほんとに何をしにきたんだという顔をしながこちらを見た。

 

「そんな顔をよしてくれないか。さて私の言いたいことは言ったから帰らせてもらう。《汝の欲する所を為せㅤそれが汝の法とならん》」

 

ㅤそういうと私は路地裏を出て自分で119を呼ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして連絡を受けた二人はここに来る途中に逸れさせられて後輩がボコボコのボッコにされたというわけでいいのかな?」

「それより前あなたもなんだよ!なんで傷だらけになったことを言わなかったんだよ!!」

「いやいや私はなにやら聖人とか言う人にボコボコにされたから気絶してここに運ばれたんだよ」

「全く日を置かず君達は入院するのが趣味なのかい。それと純粋な少女に嘘をつくのはあまり好ましいとは言えないねぇ。君は自分で救急車を呼んだだろう。それに傷だらけの状態で君動いてるね君」

 

ㅤカエル顔の医者がそういうと、私はインデックスの顔から顔を背ける。対してインデックスはものすごく目を鋭くして、すぐにそれをやめる。

 

「ごめんなさい……」

 

ㅤ暗い顔をしながらインデックスは謝る。

 

「私のせいでこんなことになって」

「いや何がこんなことになったんだ?」

 

ㅤ四条は分からないふうに答えたが。

 

「だって私がいなかったらこんな傷も負う事も無かったのに」

「ふむ、確かにそれはあるな」

 

ㅤインデックスの暗い言葉を四条は否定しない 。

 

「やっぱり私はここから離れッ!?」

 

ㅤそこにスコーン!とチョップが振り落ちてきた。顔を下に下げていたせいでそれを回避することは出来ず食らった。

ㅤ痛そうなインデックスは顔を上げると額には赤ㅤ染まった皮膚がある。

 

「君は本当にシスターかな?」

「……な、何をするんだよ!」

「先ず貴方には3つの間違いがあります!!」

 

ㅤそういうと私はベットから起き上がり仁王立ちをする。

 

「確かに私たちが傷付いた原因は君にある!しかしそれは君一人の原因だと言うのはおこがましい!私たちは君の状況をわかった上で君を助けると決めた!それは私達が選択した揺るがない事実!というわけで最終的結論を述べると全部私たちが悪い!」

「え?あれ、違うよね……違うんだよ!」

「違わない!」

 

ㅤせいせいするほどの自分への責任転嫁する四条。

ㅤそれに対して勢いに押されていたが、間違いに気づきすぐに訂正を求めるインデックスだが。

 

「間違い2つ目!「あ!話逸らした」ええいうるさいぞ!小娘!その2!!」

「一応ここは病院なんだけどねぇ」

 

ㅤカエル顔の医者の意見は無視して話を続ける。

 

「私は心の傷を負うより体の傷を負うことを選ぶ!だから私はこの傷はきにしない!いやまあおかげで後輩を誘惑できなくなったのでぜったい許しはしないけど、あの露出マシマシの女は」

 

ㅤ胸がないから誘惑できない?そんなことは無い!まだ可愛い足も顔もあったというのに!

 

「いやその傷は綺麗に治したから跡は何も残らないよ」

「え?マジで!?神か!」

 

ㅤそして、その言葉を聞いた時、ドアが開かれた。

 

「どうやら無事の様ですね」

 

ㅤそこには私の女としての生命を奪いかけたにっくき露出オッパイがいた。

 

「やぁ露出おっパイさんじゃないですか」

「今すぐその不名誉な呼び方はやめてください!!」

「やなこった。私をあれだけ傷つけておいて身勝手だね〜。それに敵から付けられる異名は誉れとするべきではないのかな」

「それが普通の呼び方なら何も言いませんがあなたのつけた異名はただの侮辱です」

「は?はっ?お前こんな狂気みたいな胸をしていながらそこまで強調させてるのに胸のない私対してのあてつけかこら?」

「いきなりどんな話になっているんですか!!」

 

ㅤいきなりペースを飲まれた女剣士はコホンと言うと。

 

「単刀直入に言います、あと三日以内にインデックスをこちらに引き渡してください」

「ふむ断る」

「いいよ」

「だが断る」

 

ㅤ即座に私は断りインデックスの選択も同時に断る。

 

「彼女を保護してくれる組織に渡すつもりですか?でしたらその必要はありませんよ」

 

ㅤそういうと彼女は刀に手を当て、そこに割り込むようにもう絶対防御と言える修道服は無いシスターが睨み、そして言い放つ。

 

「もう近づかないで」

 

ㅤそれは自分を案じての言葉ではない。自分救おうと命をかけて守ろうとしてくれた2人を守るため。その身が囚われの身になったとしても2人を守ろうとする決意の目がそこにはあった。

ㅤ今まで2人からすれば彼女はシスターではなくただの可哀想な少女程度しかない。しかし今ここにいるのは確かなシスターだった。

ㅤそれに対して女剣士は少し悲しそうな表情を浮かべる。

 

「インデックス、君がそれを言うのは少し残酷だよ。やめておきなさい」

 

ㅤ四条は優しい顔をしてそう言うとインデックスの後ろから声をかける。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「インデックスは103000冊の魔導書によって記憶が圧迫されている、君達は少なくともそう認識している、いや()()()()()()()

「…………何処でその情報を」

 

ㅤ女剣士はすぐさまスパイの線を頭に浮かべる。少なくとももう1人の魔術師がバラすのはまず無いだろうと踏み今回の件で最も怪しいと思われる一人の陰陽師を疑ったが。そこに割り込みを入れた。

 

「ああ、土御門元春ではないよ。というか私は私の情報網から手に入れただけだよ。より正確には君の脳内からわかっている。イギリス清教の魔術師でトップが内面的クソ山年増のゴー美=スチュアートの最悪の集団で、その上()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ㅤそういうと二人は顔を明らかに変化させる。インデックスは助けを求めていた組織そのものがインデックスを追いかけていたことからの衝撃。おっパイ、神裂火織はわたしと上条に対しての申し訳なさとインデックスへのすまなさから驚きの表情へ。

 

「ああ、なんでそれを知っているとか言われて科学に無知な君たちに説明したところで理解して貰えないと思うからスルーで、まあ簡単に説明するとわたしの能力はなんでも出来る力とだけ理解してもらえればいい」

 

ㅤ私のやった事は単純だ。単に私が戦闘の最中負けるだろうと理解したのでその上で私は自分の演算を捨てて単に相手の脳細胞から観測して記憶を読み取っただけに過ぎない。記憶の中なら見るだけで影響のある魔術などもスルーできる。あくまでそれは脳細胞の映像に過ぎないのだから。そして私は斬られた。ほんの一瞬だったが私は約5年分の過去を覗き見出来た。

ㅤおかげで助ける算段は付いた。

 

「彼女は記憶の圧迫によって死の淵に立たされている、そうあなた達は言うんだね」

 

ㅤそういうと神崎はそれに警戒して、インデックスはそれに不思議な顔をうかべ、カエル顔の医者はほんの少しおかしいのでは、と浮かべる。

 

「貴方はどこまでの情報を……」

「今から五年前までの情報全部。それはそれとしてまずあなた達の考えている記憶の圧迫についてまずこちらの理論で論破させてもらう。テンポについていけない?追いつけ。そんなわけで始めまーす」

 

ㅤそういうと突然横に白い黒板ことホワイトボードが現れる。体をベットから起きおがらせると。その手にペンが現れる。もちろん量子能力で作り出したものだ。

 

「さてまず人間の脳について科学的に説明しよう。脳とはまず神経の中心部で人はこれがないとまず思考や記憶のというものが出来ない。誰でもよくわかる事だ。第二に記憶には3つに分けられる記憶があるそれが何か分かるかい」

 

ㅤそういうと神崎とインデックスは手が上がらずそれを見越してカエル顔の先生は手が上がる。

 

「感覚記憶、短期記憶、長期記憶のことだね」

「正解、流石は医療に携わりたった一度も失敗のしていない先生だね。ドクターXかな?。

ㅤそれに対して神崎は一体何をしているんだい?もう少し記憶について調べることくらい携帯やパソコンで出来ないのかい?。ああ、済まない、洗濯機ひとつまともに使えない馬鹿な機械音痴には無理だったかな〜」

 

ㅤわざと棘のある言い方をする四条に対してのインデックスのことを引き合いに出されて少し落ち込むような顔を見せる。

 

「ムム、なんの話しをしているのか分からないけど、ようかのそういう意地悪なところは嫌いかも」

「ハハ、私はいつだっていらずら好きな小悪魔だぜ♪とはいえいくら意地悪な私でもこれは単純に許せない所がある」

 

ㅤそうだ、こいつらはただただ上の命令を聞くだけ聞いてそれではいおしまい。残った記憶容量が15%?残り85%は魔導書の記憶に使われている?。

ㅤそういうと頭悪い情報をよもやインデックスの頭の中に103000冊の魔導書を入れたヤツらの事を信用しきって行動していることに物凄いほど苛立ちを感じた四条。

 

「さてその言葉を置いておくとして次はインデックスにおいての頭の中について話そう。本来記憶は感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分かれるものだけど彼女の場合は全ての記憶が長期記憶に流れていってる状態だ。なら気になることがあるよね。なんで1年だけで彼女の記憶が満タンになり毒抜きみたいなことをしないといき繋げられないか?」

「それは違うと思うけどねぇ」

 

ㅤ私の言葉にそう否定したのはまたもカエル顔の医者。

 

「もちろん。さっき私が言ったのは大きな分類分けさ、今回の件になるなら陳述記憶がかかわってくる。これは長期記憶の中に関わる事で意味記憶とエピソード記憶の分類分けが可能だ。非陳述記憶というものもあるが今回は省く。要は本棚と一緒だ。

ㅤ小説とコミックて分けようとしようか。エピソードがコミックだとして意味記憶が小説だとするが幾らコミックの本が溢れるほど増えたところで小説の枠が余りある以上そもそも()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ㅤそう言ってあげると神崎は目を見開き、それを確定付けるようにカエル顔の医者は口に出す。

 

「そうだね。それは医師免許を持つ私が保証しよう」

 

ㅤその言葉で神崎の頭は完全にパンク、いやもはや土台が初めからひっくり返った。

ㅤそしてそのひっくり返った舞台を固定するべくトドメの釘を打つ。

 

「なら何故1年周期でそのような現象が起きたのか。実は言うと私がインデックスを治す際にある部分だけ演算ができなかった場所がある。それはここ」

 

ㅤそういうと私は喉元に指を指した。

 

「おそらく原因はここにある。お医者さん」

「ふむ、構わないよ」

 

ㅤすると喉の奥を見るための舌圧子を取り出すと一言、口を開けてくれるかいと、だけ言うとインデックスは了解の代わりに口を開ける。

 

ㅤそして十秒後、結果は帰ってきた。

 

「どうやら喉の奥になにか不思議な文様があるみたいだね」

「確定だ。間違いなくそれが元凶なんだろうさ」

「……そんな……」

 

ㅤ神裂火織はその場で呆然としていた。

ㅤ当然だ、タカが数分で何年も信じ続けてきた物が覆させられたのだから。今まで多くのパートナーがこの難題に挑み、解決出来なかったことがたかが一人の少女によって看破されたのだから。

 

「もっと私が頑張っていろんなものを取り入れていれば……」

 

ㅤそう言うがカエル顔の医者は言う。

 

「仕方ないことだと思うけどねぇ、突然宗教の人達に科学的な説明を加えた所でその人が出来るはずもないだろう。加えて分かりやすく致命的な部分のみを分かるように言われては脳は停止する。心の方が耐えられない」

「あとはあやつり人形の完成って訳だね。ああ、私達も似たようなことをしているかもしれないから、信じるかどうかは貴方達の選択になるけど」

 

ㅤ私はそう言い、インデックスの背中を押した。

 

「さてここまで君たちにとっていい状況を整えた助ける手段存在している。ここまでして君達はまだ停滞を選ぶのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所で3つ目はなんだったんだい」

 

ㅤ今この場には四条とカエル顔の医者と目を覚ましていない上条しかいない。インデックスや神崎は込み入った話があるだろうし、それにもう1人の魔術師を混ぜて説得もあるため一時的に私達の傍から離れている。

ㅤそんな時に彼女はそう言った。

 

「私の方なんだ、酷いことをしてるのは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤある時、一人の少女はこの世に生まれ落ちた。どこにでもいる赤子として。しかし彼女には成長していく度とてつもない力がその身の内に宿らせていたことが少女には理解していく。彼女は原石だった。それだけならなんの問題もない、普通に生きて普通に暮らしていけばよかった。丁度16になる頃、彼女のあった世界は滅びた。

ㅤ比喩じゃない。それは少女にはよく理解できた。何せ量子入力という証明方法があったから、そして親がこの世界から消え去っていた。顔も名前も知らない誰かが我が物顔で家にいた。しかし少女はその人達に対しては何もしなかった。彼等にとって少女のほうが遺物。

ㅤ誰がやったかなんて想像もつかない。こんなことをした元凶を見つけたとしてそいつらをどうしたいのかすら検討がつかない。元の世界に戻せというのか。それはそれでいいのかもしれない。だがこの世界の人間を一から100まで全てを殺し尽くしてか?。

ㅤ少女には選択できなかった。

 

ㅤしかしこの世界を作ったものに少女の心は一切関係がなかった。

ㅤ少女は自分の家にいる人たちと仲良くなり、挨拶をする程度の関係は持っていた。

 

ㅤ挨拶をされ、返そうとし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤまたも何もかも消えてなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるな……ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!何でだよ!なんで消す必要があるんだよ!何もしてないだろ。あの人たちは何もしていないだろうがァァァァ!!!!なんでだよ!!そんなにお前にとってこの世界は嫌いなのか!何がダメなんだよ!何がいけなかったんだよ!別に良かったではないか!私はまだこの世界を全てを見たわけじゃないけど幸福と不幸のどっちの方が多いかなんか知らないけど、けど!!別に苦しみだってあってもいいだろ!それを乗り越えるのが人ってやつじゃないのか!いけない理由ってなんなんだよ!そんなものが本当にあるのか!苦しみや辛さだって人として必要不可欠だろうが!何も悪い所なんて無いだろうが!普通の世界じゃないか!お前にとって何が悪かったんだよォォォォォォォ!!!!!」

 

ㅤ少女は吠えた。

ㅤこの日の理不尽に。

ㅤ神如き偉業にして非業に。

ㅤ圧倒的実力を持つクソッタレの神に。

 

ㅤ少女はそれからこの現象の元凶を探すためにあらゆる場所を探した。その間に世界が何度かの破壊と創世にあったことは言うまでもない世界が変わり歴史が変わり時間が経つ。

ㅤ 長い年月の末、怒りは一切減る様子はなかった。定期的にそこに生きる人を無視して世界を変えていたからだろう。むしろ怒りは頂点を飛び越えていた。

ㅤ世界が変わっていく中、地獄のような世界が何度か続いた。もはやその時点で少女の怒りというものは無くなった。別の何かが心の中を渦巻いていたのは言うまでもない。

 

 

ㅤそして幾千億という世界が巡り、とうとう見つけた。

ㅤオティヌスを。

 

 

ㅤ少女は見た瞬間に演算を開始し、目の前にいる半裸の少女はその少女を見た途端その危機感から即座に位相を使った世界の創世を行おうと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ二つの力に上下はなかった。量子入力は科学的方面からこの世の全てを支配する、それは位相であってもだ。魔術だろうが原石である時点で自由に能力行使が出来て、この時点では能力開発を受けていないため魔術に干渉しても問題は無い。

 

ㅤ逆に位相は、天国、地獄、ニライカナイ、冥府、浄土、黄泉、地底、オリンポスの山、妖精の島などなど、折り重なった全ての盤上を支配することによって全てが可能となる力。それは量子世界すら同じである。

 

ㅤ故に決着はつかなかった。互いに最強であり互いに無敵であり互いに神如き力を持った人間から始まったもの。

ㅤもしも、もしもだ。

ㅤ今更言っても遅い。

ㅤでも、だけど。

ㅤ同じ者同士、先にオティヌスが少女に出会っていたら。

ㅤ初めからこんな間違いは起きなかっただろう。

ㅤしかし、そんなものはただの後出しでしかない。理解者になる道から互いに外れてしまった少女のが2人。もはや元に戻る為の道は存在しない。力でそれが可能だろうと心がそれを認めはしない。

 

ㅤ決着はつかなかった。互いに全力で戦いあいその結果互いは心の底から自分の言いたいことをぶちまけまくった。そのおかげか、少女はオティヌスに対してやっと救いようがあると思えた。徹底的なクソ野郎であることには間違いはないが、完全無欠の悪人という訳ではなく、単純に自分のそばに居てくれる理解者というものをオティヌスが欲していることに少女は理解した。

 

「じゃあ探してあげる。私たちはもう理解者にはなれない。だったらその人を探してあげる。だからもう二度と世界を壊すな」

 

ㅤ少女は心の底から憎んだ宿敵とも言える相手を許した。

ㅤそして100年近く経ち学園都市が設立された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さー!起きたまえー」

 

ㅤ四条はそう言いながら上条の腹の上にダイブしたのであった。

 

「ごぶふぅぅぅ!?」

 

ㅤ息が吸い終わる瞬間に腹の上にダイブしたおかげか、上条の肺から1滴残らず空気が抜け出しまるで空気の抜けたパンクみたく力が入らなくなる。

 

「なっ、何をずるんでぶが、じじょうぜんばい」

「何となくだよ!」

「理由になっていない!?」

 

ㅤそういうと四条は退くと。

 

「さぁ後輩!今からインデックスをたすけにいこうか」

 

ㅤつんつん頭の少年はいきなりのことに頭が停止した。

 

 




あと1話で完結です。


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初めまして四条陽香

今更ですが、これ原作ととある科学ととある一方通行の既読推奨ですねすいません。正直とある見ずに読むと全く理解出来ないですね。


ㅤ上条当麻にダイブする約1日前、1人の少女は入院中の少女の前で立っていた。

ㅤ金髪に眼帯をつけ、そして大事な部分しか隠されていない衣服にマントのようない服を着た少女

 

「なんの用、オティヌス」

 

ㅤしかしその容姿に何が誘惑めいたものを感じるものは一切ない。むしろ圧倒的威圧感のようなものしか感じなかった。

 

「随分と弱ったな」

「自然と力は戻るけどね。今回ばかりは魔術の関与が大きくて()()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()

 

ㅤ四条はこの前まで魔術のことはからっきしだった、しかしそれはおかしい。そもそも四条とオティヌスは旧知の中だ。それこそ宿敵とも言えるほどの、なら何故魔術のことを知らなかった。

ㅤ全開時の四条はオティヌスにさえどうしようもできない存在、あらゆる手段を使ってもとてもその記憶をどうこうできるものじゃない。

ㅤならだれが?。

ㅤ決まってる。

ㅤ一人しかいない。

 

ㅤ四条一人しかいない。心理掌握ですら四条の脳内の記憶情報をどうにかするなんて出来ない。

 

「それで、貴様はいつになったら理解者を探し終えるんだ」

「それを言うのかね、君にも我慢の限界というものがあるようだね。我が宿敵」

「ふん、そんなものは貴様との殺し合いで互いにわかっていたことだろう」

 

ㅤ隻眼の魔人は面白くなさそうにその場にある椅子に座り脚を組む。

 

「全く、君が痺れをきらず私が君の前に現れる前に世界を壊さなければ私は君の理解者になれたというのに」

 

ㅤ呆れたように言う彼女はヤレヤレと言った感じだがオティヌスは少しイラッとした。

 

「貴様は既に殺し合いとはいえ既に理解者と言える立場にいるが」

 

ㅤそのセリフが出るのは理解者に最も近い立場に至っているのだろうが。

 

「しかし心がそれを認めはしない、そもそもの話、私が君と宿敵同士になったのは君が原因である以上許すわけにはいかない。それが理由というのではない心が君を認めない」

「なら貴様はどうする」

 

ㅤどういった意図なのだろうか。

ㅤこれだけでは普通は分からないが、幾千億という時間を共に殺し合いをした仲。この程度なら仲のいい夫婦以上に理解出来る。

 

「ああ、私の理解者という話ならもう必要ない。何せもうすぐこの()は終わりを迎える。全くこのように君のことを理解出来てしまうから私は顔も見た事のない私がオティヌス説という予測を立てる魔術師が現れるのだ」

「ほう、やっと終わるのか。なら手加減をする必要はなくなるわけか」

 

ㅤその言葉に四条は少し顔を険しくする。当然だ、故に釘を打っておく。

 

「ああ、私たちの理解者となるものはまず普通の人間はありえない。可能性は無くはないが幾千億という世界回っても見つからなかったのだ諦めたまえ」

「ならばどうする」

「そうだな我々の理解者になるとすれば恐らくそれは願望の集積体、だろうな。彼らなら自分達を運気の奴隷から自分達をそれからずらすことが可能だからな。とはいえやはり今では1番近いのは私だから。彼と共に幾千億という時間を過ごすのが確実だろうな」

 

ㅤ四条の頭の中で1人のツンツン頭の少年を思い浮かべる。そして四条が頭の中で思い浮かべたのなら理解者に最も近い位置にいる隻眼の魔神は当然その正体に行き着く。

 

幻想殺し(イマジンブレイカー)か」

「ああ、言っておくが今は手を出すなよ。私の予知によると11月13日、それが君の運命の日だ」

 

ㅤそう言うとオティヌスはそうか、と言っていう立ち上がり骨船を取り出す。

 

「ではお別れだ。オリジナル」

 

ㅤ彼女はそういった。

 

「そうだね初めての友達」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ不思議だ。私は以前から自分のことが嫌いだった。オティヌスと出会う前から。もう顔も名前も思い出せない親と一緒にいた時から、もうずっと昔に忘れてしまった自分の本当の名前があった頃から。

 

 

 

ㅤ家族はとても裕福ではなかった。しかしそれでも幸せだった。私はその幸せをもっと大きくするために私は自分の能力を使いみんなで幸せにしようとした。

ㅤ予言者を始め、建築士を始め、色んなことを始めた。私の能力は万能で、神なんかよりもずっとずっと人のためになるものだった。だから私は頑張った。人手が足りなければ自分のクローンを作りだし、恋を願うものがいれば成就させてあげた。そして家は裕福になり始めた。

 

ㅤありふれた会話をした。お父さんお母さんと共に自分の仕事のお話をした。

ㅤ話していく途中お父さんに殴れた。

ㅤお母さんに叩かれた。

ㅤ当時の言葉は覚えていないが、朧気だがなぜ怒ったのかは今なら理解出来る。

ㅤ当時の私は苦しみは悪と断定し動いていた。そのためにあらゆる苦しみを止めた。これから得たお金で家族は幸せになる。誰もがとても良い幸せを得る。

ㅤ正しい答えだ、そのはずだ。

ㅤ幸せのためならどんな苦しみや試練なんかなくたっていいはずだ。

「ふざけんじゃねぇ!」

 

ㅤそう言ってお父さんが私を殴った。

ㅤなぜ殴られたか分からないかつての四条はヒリヒリする右頬を抑える。お母さんからは左頬をパシン!と叩かれる。

 

「幸せさえあればなんでもいいの……幸せって感情さえあればいいと思ってるの……そんなの人じゃない。人の心っていうのは誰にも説明なんてできないものなの……誰もが必死で努力して必死に手を尽くしてそういった努力の先に在らなくちゃいけないものなの。だれかが手を貸すならいい。でもあなたのしている事は人の正しいことの否定なの」

 

ㅤ分からない。私には不可能を可能にできる力があった。なんでも出来た。それこそ死者蘇生から他の星に人が住める星を作るどころか宇宙全体に生成する力とかなんでもだ。

ㅤこの世からあらゆる悲劇を過去からも未来からも消し去ることが出来る。だと言うのにそれを行わないのは怠慢にほかならないだろう。救う手段があるのならそれは全力でやるべきのはずだ。

 

「お前がしたことは悲劇を乗り越えようとする人達へ泥を掛けてるに過ぎない!」

 

ㅤ分からない。

ㅤ理解できない。

ㅤ認識できない。

 

ㅤすべてを思い通りにできる頭脳を思っておきながら私はそれを人の心を持って理解することが出来ていなかった。

ㅤ自然と知りたかった。理解したかった。認識したかった。人の心で。

 

ㅤしかし瞬間世界の全てが変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてさて後輩よ。現状の状況が上手く把握出来たかい」

「いやいやいきなりダイブしてきて何を言ってるんですか先輩」

 

ㅤ四条はダイブした後に突然そんな事をほざいた。

ㅤ上条の心情はきっといきなりダイブからのセリフなので口が悪いなら理解出来るはずねぇだろ、なのだが心優しい後輩はその後に、私の貧弱な頭にも理解できるように説明して、と頼んできた。

 

「ならば仕方ない、とはいえ今更この科学の世界で説明され尽くした脳医学について語るのも面倒ではあるしそれにどこぞの誰かには私達のやってきた事には理解がいっていると思うので省こう、そこら辺は君の脳に分かりやすく刻み込んであげよう」

「何を、言っ………て……………先輩今何日ですか!?」

 

ㅤ情報を書き込んだ瞬間、上条は飛び起きる具合で肩を掴んできた。観測結果で言うと神崎と戦った際インデックスはあと三日のリミットしかないと聞かされていたらしい。そこで今の状況を頭に入れた結果、情報整理の前に今3日たっていることが分かり、それで焦っているのだろう。

 

「いいから落ち着きたまえ、今日がリミットというのは分かっている。だがまず君が落ち着かなければどうにもならんよ後輩。焦るな、最前を尽くせ、今何をするべきか何を行うべきか整理しろ」

 

ㅤ落ち着かせるようにしかし厳しく子供にしつけるように言う。そう言うと上条の焦って真っ青になった顔色が戻り狼狽えていたその目には強い意志が宿る。

 

「すいません先輩。どう言った状況かは理解しました」

「そうかい。ならば話は終わりだ今すぐ退院するぞ」

 

ㅤそう言うと上条は準備を始めた。

ㅤ学生服を着て準備万端になった時、上条は先程が妙な違和感を感じていたことについて聞いてみる。

 

「先輩?なんか急に()()()()()()()()。なんか以前にも急に大人びたり少し幼くなったりしていましたし」

「ああ、それか。いやまあ気にする必要は無いさ……それはこちらの個人的事情なんでね。それに女の子は秘密が多いほど魅力が上がると知らないのかい?。

ㅤまあ、それはそれとして私の事をちゃんと見てくれてるのは嬉しいかな。どうだ?そろそろ私を貰う気は━━」

 

ㅤそう誘惑な笑みを浮かべながら上条の胸元に体を寄せるが。

 

「先輩、ふざけてる時間はないですよ」

 

ㅤそう言いながら上条は頭に刻まれた魔術師達との集合場所に向かう。

ㅤ1人取り残された四条は少し俯いたあと、はぁーーーー、と、ため息を吐き。

ㅤ独り言を始めた。

 

「まあそうだよね。今はそんな時間はないし、こんな状況でするほど図太い神経をしているわけじゃないだろうし、それに彼に手を出す勇気があるともおもえないしね。」

 

ㅤそのような独り言を続けていくと四条は少し落ち込むようにベットに倒れ込む。

 

「私だってこんな状態じゃなきゃなにもしようともおもわない。ああ、嫌だなぁ。でも仕方ないよねここで運命を変えればただのずるになるし」

 

ㅤ拳をぎゅっと握りしめる。それだけでベットにシワひとつ作る。

ㅤ何故か苦しい、心臓でも鷲掴みされたように。

ㅤ何故か痛い、それこそ心臓に穴でも空いたかのように。

ㅤベットに小さな水が滴り落ちた。

 

「そうだ、彼は悪くなんてない。悪いとすれば私の方だ」

 

ㅤ世界をここまで変革させたのは私が理由だ。あらゆる悲劇を無くそうとし、元凶であるオティヌスを殺そうとし、その悲劇の果てに私はオティヌスを殺さなかった半端者だ。いつもいつも私はその場その場でコロコロと意見を変え、その方がいい、そっちの方が綺麗だ。人の努力や犠牲?そんなもの食蜂の1件を抜きにしても私が関わっている時点でそんなもの無駄にしている。以前から言ってた自分の死というのもこれ以上心を変えないためだ。

 

ㅤ私ならこれから起こる上条の運命を最高の物に変えてしまえる。だからこそダメなのだ。これ以上不幸を幸福に変えてはいけない。人の努力を変えてはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからね、後輩。あとほんの少しだけ貴方の運命を変えさせてください」

 

ㅤあと1つだけ叶えたら終わりですから。

 

ㅤあと一つだけ世界より大きい身勝手なお願いを許してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ場所は上条宅の寮の隣、すなわち四条の寮の部屋の前である。

ㅤ辺りは全く人の気配はなく、本来聞こえてくる部屋の中の声などは一切存在しない。

ㅤステイルか、神崎が人避けの魔術でも張っているのだろう。

ㅤ四条の考えではただの理論的な説得ではステイルどころか神崎すら説得できるとは思えなかった。何せ向こうには知識がない。故に絶対者倒すことの出来ない彼らにとってのジョーカーに説得に行ってもらった。

ㅤインデックス、彼女ならば理論や方法など度外視して、ただただ『助けて』、その一言で目前にいる敵が味方となる。

 

ㅤそして合流場所にこのような人避けを張っている時点で結果は聞くまでもない。

 

「そろそろ出てきたら」

「ウオ!?」

 

ㅤ一応倒しておこうと思ってこられても面倒なので鉄の棺桶化するエレベーターを避けて通ってきた階段から長身のルーンの魔術師と聖人の女が現れ、後ろから現れたことに上条は驚く。

ㅤ男の腕にはお姫様抱っこされたインデックスが抱えられている。

 

「インデックスは…………」

 

ㅤまだ警戒心が抜けきっていないのか、上条は慎重に聞くが。

 

「まだ大丈夫だだが時間まであと3時間。君たちの言う方法が間に合わないのだとすれば僕達は君たちの方法を見限り記憶を消す。いいな」

 

ㅤその言葉に上条は覚悟を決めたのか。目を真っ直ぐステイルに見返す。

 

「ああ、分かっている」

「まあここで長話もいいがそれならまず中に入らないかね」

 

ㅤ四条は部屋に入ると布団を敷いて。背負っていたステイルも部屋に入りベットに寝かす。ほか二人も入り、準備を整える。

 

「まず彼女の何処にその悪魔の首輪が付いているかだが以前観測した時に首、いや喉の奥に観測できない場所があった。見てみなよ」

 

ㅤそうして3人は喉の奥を見る。そこには奇妙なオカルトの文字が『4』もしくは『2』に縦線を加えたような文字が刻まれていた。

ㅤそれを見ただけで神裂は刀の鞘を砕けるほど強く握り締め、そしてステイルはあまりの怒り末に手に持っていたルーンの束を折り曲げ、上条はまた痛むであろうその右手を強く強く握りしめた。

 

真の敵(コロンゾン)は分かり、守る方法(3人のヒーロー)は確立され、そして取り戻す(幻想殺し)手段を得た彼らをもはや悪魔の枷ごときが止めれる手段などありはしなかった。

 

Salvare000(救われぬ者に救いの手を)

 

ㅤそれはまさに聖人らしかった。超人的な能力などではなく神の力の一端を宿したからという訳でもない。

ㅤその行動そのものとその心意気がその言葉が彼女を何よりも聖人(ヒーロー)だった。

 

Fortis931(我が名が最強である理由をここに証明する)

 

ㅤそこには小さな男の背があった。かつてその手から取りこぼし続けた弱い男の背が。

ㅤしかし、ならばこれからはどうだ?。

ㅤいまこの背中は弱いか?。

ㅤこの背中は小さいか。

ㅤ自身が最強であると証明するためにたった今10万3000冊の魔導書の目の前にいるこの男の心は本当に弱いのか。

 

ㅤ彼は今、それを証明するために立っていた。

 

ㅤ2人ともそれを殺し名としてではなく単に魔術を起動させるために言った訳では無い。これは今度こそ救うという誓いだ。

 

 

 

ㅤ上条は2人と比べればたかだか数日程度だ。言ってしまえばその程度、ならはっきり言って命をかけるに理由として足りるか?

 

ㅤそれ以前だ。何処でも何時でも苦しんでる奴がいるのならそいつに手を貸して何が悪い。偽善者?ヒーロー気取り?なら聞く。

 

ㅤ人が困っている時に手を差し伸べるのは当たり前じゃないのか?

ㅤ人が助けを求めている時に手を差し伸べるのは間違った行為なのか?

ㅤもしもそれが肯定するのなら多くの一般人はデモでも起きるだろう。

 

ㅤ別に長ったらしく言葉を重ねる必要は無い。単純に心から浮き出た言葉をそのまま口にすればいいだけの話だ。

 

「インデックスを助ける」

 

ㅤ喉の奥に魔術の文字に触れる。

ㅤさあ何年も続いた悪魔の描いたわかりやすい悲劇の人形劇から脱する時だ

 

 

 

ㅤダガン!

 

 

 

ㅤ触れた瞬間上条はその音の発生源に吹き飛ばされる。それを神裂が受け止め、すかさずルーンを部屋中に張り巡らせる。

ㅤインデックスの様子は先程比べると豹変した。

 

「―警告。第三章第二節。禁書目録(Index-Librorum-Prohibitorum)の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備……失敗、『首輪』の自己再生は不可能。『書庫』の保護のため侵入者の迎撃を優先。防壁に傷を付けた魔術の術式を検索……失敗。該当する魔術が存在しません。術式の構成を解明し、対侵入者用の特定魔術(ローカルウェポン)を構成します」

 

ㅤ瞬時3人の背中には本能的な震えを感じた。

ㅤ目が赤く染まりそれはもはや姿が同じであろうと本質は別に感じられた。

 

「ふざけやがって………」

 

ㅤ上条の頭に血が上る。怒りが湧く。たかだか10万3000冊の魔導書程度にこいつらの人生は狂わせられているのだと。

 

ㅤ魔法陣が浮かぶ。そこから何が得体の知れない視線が四人に刺さった。魔法陣の奥底にいる何か、あれさえ何とかすれば全てが解決する。

 

ㅤ亀裂が走る。無理やり別の世界から、別の次元から、空間を割いたような裂け目が広がる。

 

「『聖ジョージの聖域』を発動。侵入者を破壊します」

 

3()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────警、こく。最終……章。第、零──……『ㅤ首輪』、致命的な、破壊……再生、不可……消」

 

ㅤ戦闘は1分にも満たなかった。

 

ㅤ魔女狩りの王で竜王の殺息を止め足元のベットをワイヤーで引っ張り足元を崩し倒す。その際宇宙空間に浮いていた演算機器を壊したり四条の屋根を貫いたりしたが最上階なので気にしない。

ㅤそして起き上がった所を上条の右手で魔法陣を貫き機能を完全に止めた。

 

ㅤ上条は倒れ込むインデックスを支え横にする。そして竜王の殺息の余波である天使の羽根のようなものが彼らの周りにフワフワと浮いていた。

ㅤそれは傍から見ればこの状況を祝福しているように見えた。しかし魔術師と四条にとっては違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤああ、やっとこの時が来た。許されない罪に断罪される時が。

ㅤ別に待ち望んでいた訳ではなかった。でも、それでも誰にもこの罪を話せずのうのうとみんなの笑顔に合わせて自分も笑顔を合わせるなんてことをしなくていいと考えるとすこし楽だ。

 

ㅤ私の罪はただただ正しいと思った未来に作り替え続けたこと。

ㅤそしてオティヌスを恨み幾千億という戦いの末、世界を元に戻せない形にまで変換してしまったこと。

 

ㅤつまり私はこの世界を自分勝手に行動し、今生きる全ての命の努力と悲しみとつらさを乗り越えた強さを否定したこと。そしてその罪を罰せられる方法はこの世界にはない。

ㅤだから私は私で私を罰する他なかった。

ㅤ私は私でこの運命に従う。私が量子で生み出してしまったこの運命に。

 

ㅤ上条は咄嗟にその右手を羽に向けるが1枚の羽がインデックスに吸い込まれるように向かい、それを上条が庇う。

 

ㅤいきなりのことでステイルは魔術の起動が間に合わなく。

ㅤ神裂の聖人としての力も間に合わない。

 

ㅤ事前にこの状況を把握していた私だけが間に合った。

 

 

「演算────開始」

観測開始、0.000000000000000001秒で観測終了。結果魔術における聖ジョージがアスカロンを用い倒したドラゴンの一撃によって破壊された物質が羽に変化したもの。

 

──ザザ

 

脳細胞の1部破損、破損は無視し次の工程を急ぎます。

 

次の工程は量子の変換により上条当麻及び、禁書目録(Index-Librorum-Prohibitorum)の保護のため散らばる羽全てを量子にまで分解を開始します。

 

入力開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザザザ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザザザザザザザ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザ────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のう、力者が魔、ジュツを扱ったときにはっせいする弊害を確にん。四じょう陽香ののう内細ぼうしめつ、を確にん。これ以上の分解は脳でのえん算は不、判断、しま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以降は我々が引き継ぐ。お休みだ、オリジナル。

 

ㅤ脳内に誰かの演算が割り込まれる。だがその時点でそんなことが出来る能力者など指の数で足りるほど少ない。

ㅤ妹達、MNW、絶対能力者、木原幻生、総体、量子入力、魂の同一個体、魂の分裂、ここまでいえば誰がそれを行っているかなんてものは馬鹿でもわかる。つまるところ量子入力によって生み出された四条の妹達、それらの大きな意思、高次の自己、総体、木原幻生によって計画されている絶対能力者の進化方法、そいつが四条の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

level6への昇華を完了しました。引き続き、光の羽の量子への分解行動を再開します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ偽物」

「開口一番それかい?」

 

ㅤ目の前には四条と同じ姿をした自身がいた。

 

「当然だろう。もう記憶は残されてはいない。四条陽香という肉体は滅びなかったが脳細胞ごと記憶が殺されているんだ。故に今ここにいる君は本物とは違う。彼女の人生は彼女だけのものであり、たとえ魂から記憶を見たとしてもそれは君が歩いた人生ではない。」

 

ㅤ魔術領域の記憶、たとえ科学的に記憶を消されようとも脳細胞ごと記憶を消されようとも魂の記憶が覚えている限り量子入力はそれを見ることが出来る。そしてそれは決して彼女自身の記憶ではなかった。

 

「まあ私が偽物であることは否定しない。たしかに私は色んなところから見ても四条陽香という要素を持ち合わせているのだろうけど決定的なものがない」

 

ㅤ自信を偽物と認めた上で彼女は語る。

 

「上条当麻への恋心……それが失われている」

 

ㅤどう言った理由でそれが失われたのかは分からない。しかし、あえて言うのなら彼女が四条陽香本人ではなかったからだろう。どれだけ言葉を重ねても嘘や詐欺、催眠を重ねた所で心というものは自分に嘘をつくことが出来ない。

ㅤ故に理解していた。全く同じ魂、同じ肉体、同じ肉体思考能力に性格。どれだけ同じでも彼女が上条当麻という人間のことを好きになった時間、好きになった後に彼と恋仲になろうとした努力までもがたとえ同じ自分であっても奪われていい理由にはならないからだ。

 

「どちらかと言うと貴方の方でしょう。四条陽香という人間は」

 

ㅤ目の前にいる彼女全く同じ顔をした総体という大きな意思、彼女には数は不明だがオリジナルが作り出したクローン。いや全く同じ肉体を持つ完全な四条陽香、その全てが彼女には詰まっている。

ㅤ四条のMNWを量子入力で繋げてそこにはあらゆる行動あらゆる感情あらゆる死が統合されている存在。だから完全に死んだというのは少し間違いではある。彼女の中にはたしかにオリジナルの四条陽香の恋の成分も死の成分も含まれていた。

 

「今更そんなことを言ったところで無駄な話。オリジナルが死んだ以上これ以上はどうしようもない」

「そうだね。というかこういう風に話していること自体不毛だと思わない?所詮は心で納得出来るかどうか、折り合いをつけれるかどうかの話。そもそも私たちはオリジナルの話をしているけどその目的の話すら明確に決まっていないのだから。オリジナルと言っても生みの親とすら思っていなければ実質他人に近しいんだから」

 

ㅤそこで2人は話を切った。

ㅤ問題は新しく生まれたオリジナルの四条の肉体を持つ彼女がどうするべきかというもの。

 

「私はとりあえず肉体の主導権を元に戻して元の大きな意思に戻るつもりだけど。あなたは?」

 

ㅤ少し赤子の四条は少し悩みながらこういった。

 

「そうね、なんであんな行動をしたのか気になるし、私は上条当麻という人間と恋というものを調べてみるかな」

 

ㅤそう言うと彼女は少し不思議そうにした。

 

「それって()()()()じゃなくて()()()()()()()()かな?」

 

ㅤ総体には四条の全てが詰まっている。だからあの時あの瞬間、四条が何を思っていたのかも全てわかる。

「あの時彼女の行動はついでに等しかった」

 

ㅤ赤子の四条は肉体がオリジナルゆえに量子入力を使いその時の行動、その時の思いも全部わかる。

 

「そうだね、彼女があの時何より大事だったのは上条当麻に迫りきていた死だった。それを覆したかったからだ」

「だから私は知りたい。その恋って奴を。自分の思いさえ変化してさえ、恋心さえ()()()()()、そこまでして変えた彼女の思いっていうのを知りたい」

 

ㅤ純新無垢な赤子はそう言った。

ㅤ量子入力は嘘を現実にする力じゃない。本物を作り上げる力、だからほんの少し、少しだけ上条当麻という好きな相手から来る調子の乗りや好きな相手会える興奮など、それら全てが消え去った。だから少し大人びていたのだ。

ㅤそうまでする自分の思いというものを彼女は知りたかった。

 

「ならすきにするといい、これから先は君の人生だ」

 

ㅤそこまで言うと彼女は肉体を放棄しその目の前にいた少女が倒れ伏す。

 

「え?まさかと思うけどここに置いていかないよね」

 

ㅤ後に意識を取り戻した四条は立ち上がり無言で外へと出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤとある病室の扉に手が届く。ドアノブに手を伸ばし、回して扉を開ける。

 

ㅤそこには眠るような少女がいた。しかし来たところでどうしろというのだろうか。彼女はもう彼女ではない。記憶に覚えていることは無いのだろう。ならこれからどうすればいいのだろうか、これが自分だったらどうしていたのだろうか。

 

ㅤそのような考えがつんつん頭に流れる。

 

「やぁ、初めまして」

 

ㅤ歌うような声が聞こえてくる。

ㅤかつてその声にとてもとても困らせられた。いつもいつも脳死状態に陥っていたあの声だ。しかしどことなくいつものように浮ついてる様子はない。

 

「ああ、記憶はないよ。とは言っても何が起こったかはあらまし理解している。君たちを助けようとしてここまで陥ったってことだよね」

 

ㅤまるで棘の塊でも飲んだ気分だ。心が痛い。

 

「…………そんな顔をするなよたしかに以前の私は死んだんだろうさ。でもさ以前の私はそうにまでなっても君達を助けようとしたらしいじゃないか。なら君はそれを誇るべきだ」

 

ㅤ言うと彼の右手は震えていた。

 

「…………そんなこと……出来ないですよ………………」

 

ㅤさすがに四条もこれ以上は何も言えない。これ以上は彼の心の問題だ。

 

「ならその心の折り合いは決めてもらうとしてここから先は私のわがままだ」

 

ㅤそう言うと手を差し出すまるで王子様に手を差し出すお姫様のように。

 

「私ももう一度先輩後輩で始めてはくれないだろうか」

 

ㅤ彼女は恋を始める。ただの初恋を。

 

ㅤ偽物ではない。『本物の四条陽香』の恋物語を




四条陽香という人間は元は魔神オティヌスと同じ世界に存在しておりその上原石でした。たまたま偶然奇跡が折り重なって生まれた存在です。原石故、魔神オティヌス戦では位相を操作して世界を変革する力に干渉しても問題がなく魔術に干渉しても問題はありませんでした。
ㅤしかし光の羽に干渉した際は原石とはいえ能力開発という回路がそもそも違った状態でしたので血だらけになりました。とはいえ量子入力だったが故何とか生き残るようにその弊害も操れました。
ㅤそれと魔神オティヌスと殺し合いをした時なぜ対等だったかについてはこれはとある科学の10巻と同じように○イトへの進化方法を利用しlevel6に到達したから。level6と魔神は同等の位置に居ますので同レベルの強さとなっていました。現在で戦えば普通に魔術の弊害で死にますね。

ㅤちなみに主人公の目的は上条当麻を救うことだけではなく同時にその時にほかの人たちの努力を奪わないことにもありました。だからインデックスを救済戦闘にも参加はしません。ちなみに四条は記憶を何度も消去しています。しかしこれは恋心までは消さず、脳細胞ごと記憶が消された訳では無いので自分が消えた訳ではありません。単純に量子入力と能力開発はしたが原石が無くなった訳では無いので自然と戻ってきます。能力開発はあくまで回路を別のものに作り替えただけ似すぎません。

ちなみに前話で演算能力を借り受けしてたのは大きな意思から1部拝借しただけです。



今回で四条の物語は終わりです。読んでくれてありがとうございます

※タイトル変更しました


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