MALE DOLLS外伝集 (ガンアーク弐式)
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番外編時空:日常編
休暇日和:1


今回は白黒モンブランさんのDevils front line(https://syosetu.org/novel/191561/)のコラボ企画「|Memories of a summer」に参加しました

尚、時系列は「万能者緊急捜索作戦」よりも後です


その晩、彼女は久しぶりにあの夢を見ていた……懐かしい彼女が指揮官としてS07前線基地に着任したばかりの頃の夢を

 

「指揮官、ツクモじゃなかったM16A4がまた……」

「すでにP228から報告を受けている……ずいぶんと派手にスプラッタショーをやらかしたな」

 

彼女が力なく語るM14を見て、ため息をつくと夢の中の彼女は手元の端末に目にやった

端末に写っていたのは廃墟の壁を背に作業着や防塵マスク、そして両手が鉄血の人工血液で染まった愛銃を提げたM16A4の姿であった

彼の足元には首を引き抜かれ、ズタボロにされた鉄血ハイエンドの残骸が転がり、右手には識別が困難な程にぐしゃぐしゃに潰れて内部フレームが露出し、白髪のツインテールが人工血液で赤く染まったハイエンドの首を持っていた

彼女が端末を操作すると動画が再生される

端末は首を横に振る彼の姿とリーの恐怖に震えた声を再生し始めた

 

「くそ、また外れか……見た目通りのアホだったか」

『M16A4、どうしてこんなこと……』

『尋問ですよ……拠点を管理するハイエンドだから知っていると思ったが、はずれでしたよ』

 

彼がドスを効かせた声で吐き捨てると右手に持った首を放り投げると無言で立ち去る所で彼女は動画を止めた

 

「M14,彼の様子は?」

「ペルシカさんからの厳重注意を行い反省はしているようです」

「それは命令無視した事だろうな」

 

彼女はため息をつくと目の前のM14は悲し気に話した

 

「指揮官、皆は彼の事がわからなくなりそうです」

「まぁ、奴の地雷を鉄血が踏んだ……身に覚えがあるだろう」

「G01基地襲撃と故郷の事ですよね」

 

M14の質問に彼女は黙って頷く

そして、それを見たM14が無言になった所で彼女……サクラの意識は現実へ戻った

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

私が目を覚ますといつも通りのS07前線基地宿舎の天井が視界に写っていた

そして、視界を右にそらすとアサヒがカーテンの隙間から差し込んでいるのが、より私の意識を覚醒させた

 

「朝か……」

 

私は小さく呟きながら体を起こし、つい先ほど見た夢について、思いをはせていた

 

「昨日の夢は最近見た中では一番マシな夢だったな」

 

最近――正確には、万能者救出任務以降昔の出来事を思い出させるように過去の夢を見るようになった

正直、どれもこれも悪夢と言っても差しつかない酷い夢で、昨日の夢――M16A4が仇討ちに燃えていた頃がマシだった程だ

それを考えると今のアイツは嫌悪感こそ隠していないが、昔みたいに鉄血相手なラ問答無用で徹底的に追い詰め、破壊すると言った報復に走る事は殆どなくなった

少なくとも鹵獲したり、投降したりしている鉄血を後方から撃つという事は絶対しないはずだ

 

そう考えていると私の部屋に一体の人形が入ってきた

迷彩柄のチャイナ服を着た目つきの鋭い黒髪の人形――03式が私の服を持ってくる

 

「指揮官様、今日の着替えを持ってまいりました」

「すまんな、03式」

「いえ、その様子だとまた悪夢を見られたのですか?」

 

彼女の質問を無言で頷くと彼女は悲痛な顔をする

 

「なんとおいたわしや……数日後のバカンスでリフレッシュできればいいですが」

「たしかに……シーナからの誘いを受けて正解だったな」

私は03式から着替えを受けり、着替えながら数日後のバカスの事を考えていた

それは1週間ほど前にS09前線基地のシーナ指揮官から無人島調査の任務への参加を誘われたのだ

 

正確には調査という名目で休暇が与えられたらしい……日本人はどうも働き過ぎるきらいがある者のようだ

ついでと言う形で知り合いの基地も誘ったらしく、私も内容を知らされてから断ろうとしたが、マギーとM14からの進言で今回のバカンスに参加する事になったのだ

 

(最近は色々な件で戦い続けていたような物だ……)

「指揮官一つ質問してもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

 

03式の問いかけに私が首を傾げると彼女は言葉を続けた

 

「今回のバカンスに同行するメンバーに私以外はBS小隊のMk48とアヤトルズの3バカ、BB小隊のM14とパラですが」

「それはどうした?」

 

私の言葉に03式は顔に手を当てると不安げに口を開いた

 

「Mk48と3バカも連れていくのは正直不安なのです」

(03式……お前もそいつらと別の意味で同類だぞ)

 

私は彼女に対して一言言いたいのを我慢しつつ、言葉を続けた

 

「まぁ、アヤトルズは西行号の搭乗員として大規模任務につき合わせたから、その慰安として」

「Mk48は?」

「まぁ……アイツも今回のバカンスに以前出会った知り合いがらしいから連れて行こうと思ったからだ」

 

私の答えに03式は若干納得したのかしないのかはっきりさせずに一礼をしてから部屋を出ていく

それを見ながら、私も朝食を取る為に食堂へ向かうと部屋を後にした

 

 

――――――――――――――――――――――------------------

 

 

数日後、集合地点である港へ向かった私達が見たのは豪華客船と言ってもいいほどのリッパな船だった

 

「なんじゃありゃ!?」

「あんな立派な客船どこかチャーターしてきたのかしら?」

「立派なふねだね」

 

アロハシャツに短パンといういで立ちのジン達が驚くも私は対して興味はなかった

見かけは新品でも機関部は整備不良ぎりぎりの中古品の老朽船舶も少なくないご時世だ

PMCグリフィンとはいえ、見た目と同様に整備できる設備を所持しているのかいささか疑問だった

 

(まぁ、ポンコツなボロ船でも無事に航海できればいいものだが……今回の主催はどこにいるのやら)

 

豪華客船に部下達が好奇心を示しているの後ろ目に私は私達を誘った彼女の姿をみつけるべく顔を左右に振る

そして、港の隅で白いワンピースと麦わら帽子という夏らしいいでたちの少女……シーナ・ナギサを見つけた

彼女を見る度に、本当に指揮官にしては若すぎる……

そう考えながら、私は彼女に挨拶する

 

「シーナ指揮官、バカンスに招待してくれてありがとう」

「いえ、今日はよく来てくれました……ひどいクマですね」

 

彼女は私の顔にでたクマに不安を感じているのを見て、私は小さく微笑んだ

 

「最近、疲れているんだ……だから、楽しませてもらおう」




冒頭でS07前線基地が始動したばかりのM16A4が回想として出てきました
本編時空で宿敵となるハイエンド「ネームレス」が番外編時空には存在しない、蝶事件時にはまだ民間人形であった時の差異として、戦術人形としての彼のスタンスに大きな変化が産まれています

番外編時空初期の彼のスタンスを一言で言うなら、「鉄血人形はすべて抹殺、慈悲も和解も奴らには不要」です
そんなんですから、番外編時空での彼がBB小隊に組み込まれるのは本編時空と比べて後の方になります


後、今回ひとつおまけがあります
とある老人が遭遇した面倒ごとの様子です

おまけ
同時刻、某所にて

「……なんじゃと」
「ここがアラマキさんのご自宅ですね?」

アラマキは自身の居住区に現れた一体のメイド人形を見て絶句した
銀髪のショートヘア―と怪しげな微笑、白いメイド服が印象的な彼女は微笑を崩さずに口を開いた

「任務に出撃中の漢陽さんの代理として派遣されたメイド人形のベッキーです」
「お前はアンジェの所の……どういうつもりだ?」
「どういうつもりと言われてもただ、漢陽さんの代理として来たのですが?」

ベッキーと名乗るメイド人形は彼の質問を受け流すのを見て、ため息をついた

「まぁいい、話は後で聞くから入りなさい」
「では……失礼します」

アラマキは部屋に入るベッキーを見ながら、彼は肩を落とした

「まったく漢陽が異常案件で出かけたかと思いきや、ワシの方で予想外の事態に巻き込まれるとは……」
「ずいぶんとお疲れの様子ですね……マッサージでもしてあげましょうか?」


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休暇日和:2

今回は白黒モンブランさんのDevils front line(https://syosetu.org/novel/191561/)のコラボ企画「|Memories of a summer」に参加しました

今回は
移動中の豪華客船でのサクラ達の様子を描写します


シーナ指揮官に客船の船室に案内された後、私は無人島までの航海を船室内で過ごす事にした

正直な話、他の指揮官と不必要に馴れ合いをするつもりはないし、毎晩の悪夢にうなされたせいで、疲れが抜け切れていないから休んでおきたかった

 

「まぁ……無人島に到着するまでゆっくりさせてもらおうか」

 

私は船室のベッドにそのままの恰好で体を横たえる

だが、精神的に疲れているはずに眠気がまったく感じなかった

(疲れているはずなのに眠れない……悪夢を見たくないと思うせいか)

ほぼ毎日、過去に見た経験した悪い事ばかりが夢として出てくるのは思っていた以上に身心に傷を抉っていた

 

私はそう思いながら、ベッドに横になっていると船室内にドアをノックする音が響いた

「一体誰だ?」と私は体を起こすと同時に懐に忍ばせていた護身用の拳銃に手を伸ばした

しかし、銃を抜く前にドア越しに聞こえる声で誰がいるのかすぐに理解した

 

「指揮官様、冷えたお茶と茶菓子を貰ってまいりました」

「03式か……」

 

私はノックをしたのが03式だと分かると拳銃から手を放すとベッドから身を起こした

身を起こした私は船室のドアを開けると紅茶が入ったピッチャーとグラス、菓子入れを乗せたお盆を持った03式が立っていた

彼女は私の姿を見るや驚いた表情を浮かべた

 

「指揮官様、無理をなさらないでください!!」

「無理もなにも私があけなきゃお前が入れないだろう」

「ですが……とりあえず、船内に入れてください」

 

私は不安そうに見る彼女を船室へ入れた

そして、03式がテーブルにお盆を置くのを見た時、背中に愛銃の03式自動歩槍を背負っている事に気づいた

 

「03式、武装しているのか?」

「はい……指揮官様の護衛として私はあなたに同行させてもらいましたから」

「いつも生真面目だな」

「いえ、かつてあなた様が指揮する部隊に助けられたその時からこの身とメンタルモデルは貴方様に捧げると誓っております」

 

彼女は答えるとグラスに冷えた紅茶を注ぐと私に手渡した

グラスを受け取ると私は一口飲んでみるとほどよい冷たさが心地良かった

 

「良いお茶だな……ちょうどいい冷たさだ」

「指揮官様のお口にあったようで何よりです」

 

敬礼する彼女を目にすると自然と体の強張りがほぐれていくのが感じた

 

(とりあえず、無人島に到着するまでこのままゆっくりしていよう)

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

客船内を歩いていたM14とパラは目の前で繰り広げられている逢瀬(のような物)に言葉を失っていた

いちゃついている(ように見える)バレッドとMk48のやりとりを二人は呆然と見ていた

 

「あらぁ、また会えてうれしいわ~バレッド」

「おい……お前とどこかであったか?」

「いやねぇ、鉄屑共のアジトに殴り込みに行った際に共闘したじゃない……い、け、ず」

 

二人のやりとりをただ茫然と見ていたM14のそばでパラが小さく呟いた

 

「バレットさん……浮気しているの?」

「パラ、なんてこと言っているの!?」

 

パラの一言に顔を赤めるM14の叫ぶとバレットが反乱した

 

「違うぞ、こいつが勝手に……胸を押し当てるな!!」

「いいじゃない……浮気に見えるなんて、それはそれで面白いわね」

「顔を赤らめるな、それとM14もそんな顔をしないでくれ!!!」

 

バレットとMk48のやりとりを見て、M14は憐れむ視線を送りながらはずかしそうに言った

 

「パラ、さすがに邪魔になるから行こうか」

「うん」

「おい、誤解だから……胸をひっつけるな!!!」

「うふふ、いやがるともっとくっつけたくなっちゃうわよ」

 

慌てるバレットと彼の表情を堪能するように笑みを浮かべるMk48を背に二人はそそくさとその場を後にした

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ギャパパパ、暇だと何かをブッパらしたくな……ギャパ!?」

客船の甲板の上でトビーはつまらなそうにつぶやくと腰に手を当てた

そして、いつも腰に提げていた愛用の工具兼武器であるヒートカッターは船室にしまっていた事を思い出すと肩を落とした

 

「そういや、ヒートカッターは船室に置いてちまったな」

「トビーさん、ここにいたのですね?」

 

ぼやくと後ろから気配を感じ、トビーは後ろを振り返る

そこにはサクラ達を今回のバカンスに誘ったシーナ指揮官が立っていた

 

「シーナ指揮官だったか、俺のなんのようだ?」

「いえ、アヤトルズの皆さんが姿を見せなかったので気になっていたのですが他のみなさんは?」

 

シーナの質問にトビーはつまらなそうに答えた

 

「ハクの奴は船室でタブレットを弄っていたぜ……何をしているか知らんが」

「それで、ジンさんは?」

 

シーナがジンの事を聞くとトビーはきまずそうに答える

 

「ジンの奴は船室のモニターでAVを見ていたぞ」

「……すみません」

 

トビーの言葉にきまずさを感じたシーナは話題を変えるべく口を開いた

 

「トビーさんはどうしてここに?」

「俺はこういう場所は性に合わないし、他二人がいなきゃ楽しめないしな」

「そうですか……03式さんがあなたが好きだからと頼んだプリンも用意したのに残念です」

「プ、プリンだと!?」

 

シーナの発した「プリン」の言葉に目の色を変えたトビーは口早に話し始めた

 

「それを先に言え、ラウンジに行ってくるか!」

「03式さんの言う通りプリンに目が無いのね」

 

そう言い残すとトビーは慌てるように船内へ向かうトビーにシーナは呆然と彼の後ろ姿を見送った




バレッド……女難の相でMk48に絡まれちゃいました
一応補足しておくと彼女に関しては、本編時空で彼女が加入した経緯がほぼ同じです
まぁ、M14ら元G01組とは別の経緯でツクモとしてのM16A4を知っています

03式に関しても本編時空で加入にして描写するつもりです
情報を一部出すなら03式がサクラと会った出来事はゲーム原作の0戦役より少し前に起こった出来事です

今回のオマケもあります
豪華客船の客室の一室にて

トビー「イクゥ~~~~!!!」
ハク「ジンさん、煩いッス」
トビー「いいだろう、ここまでAV女優の演技やカメラワークがいい人妻AVなんてそう簡単に見られないんだぞ!!」
ハク「だったら、AVじゃなくてジンさんの声がうるさくて作業に集中できないッス!!!」
トビー「ハクも社畜人形のワカみたいに仕事をバカンスまで持ち込む……」
ハク「……なんか文句でもあるッスか?」
トビー「すまん、ちょっと自重する」


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休暇日和:3/休日出勤

今回は白黒モンブランさんのDevils front line(https://syosetu.org/novel/191561/)のコラボ企画「|Memories of a summer」に参加しました
今回はビーチでの一幕と裏編への導入です

色々あって、投降がめっちゃ遅くなりましたorz
具体的にはガンプラ作りを全塗装で挑戦したり、イカ達とのナワバリバトルに打ち解けたり、未だ完成の見通しが立たない本編時空の執筆等々

まぁ、時間の確保は出来たので投稿速度は上がりそうです

尚、今回のエピソードは以下の話を前提にしています

https://syosetu.org/novel/190134/162.html
https://syosetu.org/novel/191561/262.html
https://syosetu.org/novel/191561/262.html



数時間の航海を経て、サクラ達を乗せた客船は無人島へ到着した

到着後、サクラ達はさっそく無人島の砂浜で同行した面々と海水浴に興じていた

その際、各々が事前に選んだ水着を着用していた

男性陣であるアヤトルズの面々はそれぞれ同じの白いTシャツにオリーブドライ色の海パンを身に着けていた

女性陣はサクラと03式が同じデザインの黒いハイレグスタイルの競泳水着、Mk48は蠱惑的なデザインの黒ビキニ、M14とAUGパラは同じ紺色のセパレートスクール水着を着用していた

 

「ここまで汚染が進んでいない海域が存在していたとはな……」

 

海でひと泳ぎを終えて、砂浜に立てたビーチパラソルの陰でサクラは自然豊かな砂浜を興味深く見渡してた

砂浜ではM14達が海水浴に興じ、歓声を上げる姿を見て、彼女は静かに笑うと強い日差しが差す青い空を見上げたと同時にある違和感に気づいた

 

「もう少し休んだらもう一泳ぎ……うん?」

 

違和感を感じたサクラがもう一度浜辺を見るとさきほどまでいたはずのアヤトルズの面々がいない事に気づいた

 

「アヤトルズの三人がいない……どこに行った?」

 

アヤトルズの三人組がいないことにサクラは寒いモノを背中に感じた

サクラが感じた不安、その小隊はジンが暴走する事だった

 

(ジンの奴……他の連中に変な事をしてなきゃいいんだが)

 

サクラはジンの行動に不安を感じながら、つい先ほどのやり取りを脳内に浮かべた

 

ジンは性欲が絡むと普段からは考えられないほどに積極的になると同時に身内内外を問わず他トラブルをよく起こしていた

そして、今回のバカンスの直前でMk48以外のサクラ達が身に着けていた水着に対して色々と不満を口にしていたことを思い出した

 

『せっかくのバカンスなのに、そんな色気もくそもない水着を選ぶのかよ!?』とサクラ達の水着をみたジンが不満を口に出していた

その時は、03式がジンに関節技を決める事で彼の文句を切り捨てていた

彼女曰く「機能美に優れた水着を選んだ指揮官に対しての侮辱は許さない」ということだが

 

今、その03式は彼女の通達でM14達と海水浴に興じている

あの色欲の化身ともいえるジンがこれを機にナニカをひと騒ぎを起こす事は想像に容易かった

 

(ジンの奴、私達の水着に不満を感じていたようだしな……他の連中に迷惑をかけてなきゃ)

 

サクラがジンの暴走することに対する懸念を抱きながら、アヤトルズの面々の姿をさがしていると彼女の耳に聞き覚えのあることが飛び込んでできた

 

「サ、サクラ大変だ!!!」

「トビー、どうした――ジンがなにかやらかしたか?」

 

叫び声の方向へサクラが首を振り向くととトビーが息を切らしながら、サクラの方へ近寄ってくるのが彼女の目に入った

そして、すかさずトビーにサクラが声をかけると彼は口早に話始めた

 

「ジンの奴が他の連中の水着を見て、興奮してやがるんだ、なんとかしてくれ!!」

「私が別に止めても構わないが……たぶん遅いと思うぞ」

「あれのどこが褒め言葉だ?とりあえず陸と海、どっちで犬○家してやるかは選ばせてやる…!」

「Oh,ジーラフ!!!」

 

サクラが投げやり気味に答えた瞬間、当方からジンの叫び声が響き渡るのが二人の耳に入った

 

「ほらな、誰かにシメられたな」

「ギャパパパパ……」

 

ジンの叫び声にトビーは落ち込むのを見て、サクラは肩をすくめた

そして、数十分後には砂浜に上半身を埋められたジンの姿をサクラ達は目撃することになったのだ

 

 

――――――――――――――――――――――

 

ジンの一騒動からしばらく経って、昼食時にバカンス一行はバーベキューを楽しんでいた

しかし、ただ一人だけジンだけはムスッとした表情で肉を頬張っていた

 

「クソ……バレッド(バレ男)の奴め、俺を窒息させるつもりだったのかよ」

「お前は軽率にセクハラするのをやめろ」

 

不満を零すジンに対し、サクラは注意するもジンはそれを無視して皿の肉を食べる

それを見て、ため息をつきながらもカップに入ったビールを一口啜るサクラだったが、突如彼女の脳内に妙なノイズが走る感覚に襲われた

 

■■■■、■■(来る、近づいてくるぞ)

「ッう!?」

 

突然の感覚に、サクラは手にしていたビールが入ったカップを落とし、目をかっ開き、頭を押さえながらその場にうずくまってしまった

それをみたM14達S07前線基地の面々がサクラに駆け寄った

しかし、酒で顔を赤らめたジンはゆっくりと面白げに近寄り、Mk48はサクラに目もくれずにシーナが立っている方向を向いていた

正確が、Mk48はマテバ2006Mとの談話を中断し、ギルヴァと話すシーナの姿を面白げに見ていた

 

「指揮官、どうしました!?」

「指揮官!?」

「サクラさん、どうしました?」

「どうしたんだよサクラ、のみ過ぎ……グェ!?」

 

彼女の周りに駆け寄るS07基地の面々を見ながらアルコールが入って顔を赤らめたジンが半ばからかい口調で話すのをみた03式が眉間にしわを寄せ、ジンに関節技を決めた

 

「指揮官様が不調だというのに、あなたという人は!!」

「ぎゃああ、身体がねじ切れる……ハク、トビー助けてくれ」

 

助ける求めるジンに二人はあきれた表情を浮かべると互いに顔を見渡した

 

「ハク、どうする?」

「さきほどのセクハラの件も含めていい薬になると思いますよ」

「おい、見捨――やめろ、本当に身体が千切れる……Oh,ジーザズ!!!!」

 

03式の関節技で悲鳴を上げるジンを後目にM14とパラはサクラを介抱していた

 

「指揮官、大丈夫ですか? きついなら、船内へ連れて行きますよ」

「いや、もう大丈夫だ……ここ十年以来の警戒アラートに面くらっただけだ」

 

サクラはさきほどまでがウソのように何事もないように立ち上がるとそれを見たMk48以外のM14達が驚いた

03式はジンを手放すと

 

「指揮官様、大丈夫なのですか?」

「あぁ、私の体質で非常の危険な事が近づくと頭痛に似た痛みが走るんだ……まぁ、一種の女のカンだな」

「それって、女のカンで片づけていいたのかよ」

「だったら、そのカンは大当たりね」

 

サクラが冗談めいた口調で話すとMk48は嗜虐的な笑みを浮かべながら会話に混ざる

そして、彼女の言葉に不安を感じたM14が質問を彼女に投げかけた

 

「どういうこと?」

「指揮官が頭痛を感じてすぐに、ギルヴァとシーナ指揮官と話しているのを見たの――す~ごく真剣な顔でね」

「本当か?」

 

Mk48の証言を聞いたサクラはさきほどとは一変して、警戒感を露わにし問いかけると彼女は顔を縦にふった

 

「そうよ……きっと嵐が近いのよ……血の雨を土砂降りに降らせる大嵐が」

「嵐か……見て見ぬフリはできないな」

 

サクラは小さく呟くとM14とパラの方へ顔を振り向いた

 

「二人共、悪いが今から休日出勤を頼みたいがいいか?」

「了解しました」

「分かった」

 

M14達が頷くのを見たサクラは今度はアヤトルズの方へ振り向くと厳しい表情でこう言った

 

「アヤトルズも二人の掩護で行け!!」

「お、俺達もか?」

「そうだ、特にジン、お前はさきほどのケジメとして、拒否は許さん……いいな?」

 

サクラの怒気せまる声色にジンは顔を青くして頷くしかなかった



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番外編時空:作戦編
老兵は悪魔の巣に舞い降りる


外伝第一弾は、白黒モンブラン氏のDevils front line 主催の大型コラボ企画です

時系列は本編世界とはIFの未来、主役はグリフィンを引退したアラマキ爺さん

引退しているはずの彼がなぜ、戦場に舞い戻ったのか……それは作戦開始の4日前までさかのぼります


S11地区某所

 

夕暮れ時に染まる平野の一角でフロントガラスが割れた旧式の軍用トラックが白煙をあげながら横転していた。

横転していたトラックの右前輪がズタズタに切り裂かれ、運転席は運転手らしき男の死体から噴き出した血で真っ赤に染まっていた。

 

見るも無残な姿のトラックの周りには、野戦服を着こんだ男達の遺体と彼らが使用していたであろう自動小銃とジープの残骸が転がっていた。

トラックの周囲に転がった男達の遺体は胴体を真っ二つに切り裂かれた物もあれば、個人の識別ができないほどに頭を潰されたり等の違いはあるが、人間がやったとは思えない程の無残な姿で平野に野ざらしにされているという点ではおなじであった

 

そして、平野の片隅で朽ち果てるだけの男達の亡骸に彼の存在を知らせるかのように一台のハンヴィーがエンジン音を響かせながら、凄惨な殺人現場のすぐ近くに停車していた。ハンヴィーに60歳を超えたばかりであろう老人がハンドルを握りながら、殺人現場に目を見開いていた

 

老人の名はオサム・アラマキ――第三次世界大戦の従軍経験を持ち、2年程前にグリフィンを退職した元指揮官である。

 

退職した現在はS07地区に存在する集落の一つに隠居生活を送りつつ、町の住人、も時にグリフィンの依頼でELIDや暴走した鉄血人形を狩る自衛団の一員として残り少ない余生を過ごしている。

 

今回、彼は町の連絡役を担っている男から「今日到着するはずの行商人達の連絡が途絶えたから探ってほしい」との依頼を受け、今に至るのだ

 

「遅かったか……行商人と護衛達は全滅か」

 

アラマキは悔しそうにつぶやくとハンヴィーを降りると大き目なリュックを背負い、原液時代から愛用していたM14を手に虐殺現場へ向かって歩き出した

 

「連絡役によると行商人との最後の連絡内容は「S11地区後方支援基地へ向かう」だったが……賊にやられたか?」

 

アラマキは一人で呟きながら、惨劇の手がかりを求めて横転したトラックの運転席を探り始めた。

 

「手がかりが残っていればいいが……これは?」

 

アラマキは運転手だったであろう首なし死体の足元に何かがある事に気づくとそれを拾い上げた。

それは画面がひび割れたタブレット型端末手のひらサイズのボイスレコーダだ。

アラマキは見つけたそれを注意深く調べる。

タブレット端末の画面が使い物にならない事以外は特に壊れている箇所はなく……バ簡単な修理で直せるとすぐに分かった

 

「ふむ……行商人達の業務記録用と防犯のために使っていた物か……」

 

アラマキはその端末をリュックにしまうと手がかりを再び探し始めた

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

 

探索屋達が発見されてから四日後の深夜、S11地区後方支援基地付近の上空を一台の輸送用ドローンが飛行していた。

そのドローンの腹には夜間迷彩を施され、背中に正規軍払い下げの使い捨て式降下用ユニットを外付けしたボディーアーマー型強化スーツと軍用ヘルメットで身を覆ったアラマキが張り付く形で吊り下げられていた。

 

さらにアラマキの腰には大ぶりな斧とコルトガバメント入りのホルスター、右肩ににはM14自動小銃を提げながら、顔に怒りの表情を浮かべていた

 

「グリフィンの指揮官がアブノーマルと手を組んで、盗賊の真似事をやるとは夢にも思わなかったぞ」

 

アラマキは怒気を隠さずに小さく吐き捨てるとS11地区支援基地とそこからは放たれる姿を見せぬソレを睨み付ける

 

 

アラマキが見つけたボイスレコーダーとひび割れたタブレットを修理して得た情報と現場の状況から行商人達に何が起こったのかがすぐに判明した

 

当時、行商人達は道中で保護したはぐれ人形のT65をグリフィンに引き渡すために、S11指揮官の誘導で事件現場へ向かった。

そして、事件現場へ向かった行商人達は、そこで待ち受けていたグリフィン職員に擬態していたナニカ――アラマキがアブノーマルと呼ぶソレの奇襲を受け、行商人とその護衛達は全滅。

その後、アブノーマルによって、トラックに積まれていた貴金属類や高額なレアメタルが詰まったコンテナ数個と行商人達と同乗していたT65を強奪していた

 

 

事件の詳細を知ったアラマキはすぐに町の連絡役達と交渉し、積み荷の奪還とアブノーマルを殲滅する依頼を受注する許可と積み荷を奪還するために必要な輸送用ドローンとドローンと奪還したコンテナを運搬するためのトラックを譲り受けた

 

数日かけてS11地区後方支援基地から少し離れた森林地帯に休息を兼ねて潜伏した後に、町の協力者達と共にS11地区後方支援基地へ行先をセットしたドローンに懸架され、離陸後……今に至る

 

アラマキを吊り下げたドローンはグリフィンの識別信号を発信しながら、S11地区後方支援基地に到着するまで数分という時にそれは起こった

 

「よし、降下準備……なに!?」

 

アラマキを載せたドローンとは別方向の高台から放たれた水色の流星のような一閃が夜空を覆う雲を貫いた直後、大きな爆発音と共にまばゆい光が夜の闇をかき消した

そして、それを合図に鎌を持った死神のような姿をした悪魔のようなナニカが現れ、それと同時にS11地区後方支援基地の周囲に潜んでいた戦術人形達が飛び出し、あっという間に基地の周囲は戦場と化した。

 

 

 

「あの人形達はおそらく、グリフィンの……予定変更だな」

 

アラマキは腕に巻き付けた小型コンソールを叩くと同時にドローンの懸架ラックのロックが外れると同時に作動させた降下用ユニットの使い捨て用ブースターで落下速度を緩めると同時に手にしたM14で落下地点付近にひしめく悪魔達を狙い撃つ。

 

アラマキが放った弾丸は悪魔達を正確に撃ち抜き、霧散していく。

そして、アラマキが地面に着地する頃には周囲の悪魔はすべて彼の放った弾丸によって撃ち抜かれて霧散していた。

そして、背中の降下ユニットを脱ぎ捨てたアラマキは、ボディーアーマーのパワーアシストを全開にすると基地部に向かいつつ、今後どうするかを考え始めた

彼の周囲では彼の周囲で起こる常識や法則を無視した戦闘があちらこちらで起こっており、当初の隠密に潜入する計画を変更せざる得なかったからだ

 

(さて……ここは広域通信で知らせた方が後で楽になるか)

 

アラマキはヘルメットに内蔵された通信機を起動されると同時に、チャンネルを広域通信に切り替える。

基地への接近する事を阻止するようにアラマキに迫る悪魔達をM14による銃撃で撃ち抜きつつ、通信機から聞こえる声に耳を傾ける

 

 

<あの人、U05地区基地所属のハンターじゃない……誰!?>

<あのドローン、普通は人を運ぶ物じゃないよね>

<ノアちゃんも常識外れだったけど……あの人もむちゃくちゃだ!!>

(この混戦と闇夜に紛れ込めばと思っていたが……目立ってしまったか)

 

アラマキは混乱させたことを内心謝りつつ、この場に立つすべてに宣言するように通信機ごしに語りかけた

 

「元グリフィン所属のオサム・アラマキだ。ワシも貴官らの作戦に参加させてもらうぞ」

 

 

Abnormalities must be debugged(異常は修正されなければならない)

 

かつて現役時代……正確には、あの惨劇ともいえる大事件以降から心を刻み付けた信念を心に秘めながら、アラマキは悪魔達に銃と斧を使い分けながら、悪魔を狩っていく

 

すべては普通の人達が普通の生活をおくれるようにするために




闇夜に紛れて目立たない様にドローンから降下したアラマキ爺さん、結局目立っちゃいました……参加した皆さま、驚かせてごめんなさい

彼が参戦した理由は、悪魔の殲滅とS11地区基地の指揮官に強奪された積み荷を奪還する事です

その後の彼の行動は、白黒モンブラン氏にお任せします(オイ

で……作中で登場したアブノーマル用語、本編でも登場する概念でもあり……例の北蘭島事件に関連する独自設定の一端を担っています

そして、同時に参戦しているはずのM16A4の活躍は後日……投稿できればいいかなと思っていますが、予定は未定状態です

感想や意見などがあれば、どうぞ書き込んでください


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Devil shall perish

外伝第二弾も白黒モンブラン氏のDevils front line 主催の大型コラボ企画です
主人公はMALE DOLLSとはIF世界線の未来のM16A4です

さて、今作のM16A4ことツクモは、戦術人形に改修されたタイミングが蝶事件から数か月後となっている事と本編で因縁となる???が存在しない点は本編と同じ境遇です

さて……本来なら、彼も小で出撃するはずだったが……そこにはある事情が関係していまして


 BB小隊全員ではなく、俺とM14さんとの二人だけでS11後方支援基地の制圧支援に参加することになったのは他の小隊員達が修復中であることがと俺達の指揮官、サクラ・カスミが例の支援要請に不信感を抱いていたからだ

 

「S11地区特定基地制圧及び対象指揮官の排除」を目的とした特殊作戦――の協力要請と作戦内容を見た指揮官はただ一言だけ

 

「貴様らの汚れ仕事に私と私の部下達を巻き込むな」

 

その時、副官当番だった俺はその時の指揮官の顔が嫌悪感全開に歪む光景に、震えが止まらなかった。

 

作戦名は確かにかっこいいけど、早い話がグリフィンでバカをやらかした指揮官に対する内部粛清である……指揮官の言う通り、完全に汚れ仕事と言われても仕方がない内容だ

おまけに、その基地には悪魔の巣になっているという正気を疑いたくなる事も事柄まで書かれていた

 

だが、俺はこの作戦に参加する事に嫌悪感は感じず、むしろ積極的に参加するつもりだった。制圧対象のS11地区基地は俗にブラック基地と呼ばれる基地で、かつて俺が民間人形だった頃に所属していたF02地区基地を彷彿させたからだ

ちなみに、M14さんもS11地区にブラック基地が存在する事を噂で知っていたらしく、作戦に参加する事を伝えたら、二つ返事で俺に付き合うと言ってくれた

 

けど、俺達が作戦に参加したい事を伝えると指揮官は猛反対した

 

「お前とM14しか動けないBB小隊が出たところで、S10地区の連中の汚れ仕事に巻き込まれるだけだ」

「それでも……俺はこの作戦に参加したいです。もうF02前線基地のような事を見て見ぬフリなんかできません」

「皆もM16A4と同じよ……指揮官、参加の許可を出して!!!」

 

俺の必至の説得の末に、指揮官はS07基地所属のBB小隊ではなく、俺とM14個人による義勇兵という形で作戦に参加するという条件で作戦に参加する事を許可してくれた。

 

そして、指揮官が用意してくれた輸送ヘリに俺達が使役できる最大数のダミーと共に作戦領域であるS11地区へ向かった

 

すべては悪い指揮官とそれに手を貸す人の皮を被った悪魔達に虐げられた人形達の怒りの鉄拳を叩き込みためのお手伝いをするために

 

――――――――――――

 

作戦開始時間まで後30分を切った頃、俺とM14さんも指定位置で、突撃の合図を待っていた。俺とM14さんのダミー達もメインである俺達の号令でいつでも攻撃できるように手にした銃を構えている。

 

「見かけは典型的なグリフィンの基地に見えるよね」

「でも……何か嫌な予感がしますよ。肌が震えるような……この世の常識や法則が歪める何かが潜んでいるような」

 

M14さんが指差す方向を見ると今回の制圧対象であるS11地区後方支援基地が見えた。それと同時にそこから得体もしれないナニカの気配を感じずにいられなかった

それは、蝶事件……鉄血が反乱を起こした時に、人間や鉄血以外の人形を襲う鉄血製戦術人形達を目撃した時に感じた感覚に近い物だった

 

(鉄血人形達は、エルダーブレインの命令で反乱を起こした……じゃあ、シーナ指揮官達が呼ぶ悪魔を操っているのは誰?)

 

俺はあの基地を事実上占拠している悪魔を操っているのは誰なのかを考えてみる。だ

が、電脳に浮かぶ候補のどれもがしっくりこないというよりも悪魔を使ってまで何がしたいのかが全く分からない。

 

「M14さん……あの指揮官は悪魔を使って何がやりたいんでしょうね?」

「う~ん、見当もつかないわ……あっギルヴァさんが演説が始まるわ」

 

M14さんがそう言った瞬間、俺達の電脳内の通信モジュールが今回の作戦の要といえるグリフィンの協力組織の一つである便利屋「Devil May Cry」のギルヴァさんの演説が始まり、俺とM14達は彼の言葉に耳を傾けた。

そして、彼の演説には男性型戦術人形と半ば強調しつつも他の基地から増援として来た協力者と同じように扱ってくれた。

どうしても男性型である俺や修復中でこの場にないリーがイロモノ扱いされた事は一度や二度でもない。

 

(そういえば、S10地区基地のシーナ指揮官も女性型と同じように接してくれたな……S09P基地のユノ指揮官やノアちゃん、それにナガン婆ちゃん達もか)

 

よくよく考えてみると指揮官が汚れ仕事と呼んだように、S10前線基地に協力を要請した人形達も普通とはちょっとズレた面々が集まっている。そもそもDevil May Cryのメンバーには、鹵獲(?)され、魔改造がされた鉄血のエージェントもいるのだ……類は類を呼ぶとはこの事だろう

 

そして、S10地区基地の協力要請に

 

まず、呪われた人形のお姫様こと、ユノ指揮官が率いるS09P基地の面々。

特にナガン婆ちゃん達は俺とは別の男性型戦術人形とも共闘した経験があるのですぐに打ち解ける事ができた。けど……ヤークトフントのイングラムが俺を見て舌なめずりしたよのは気のせいだと思う……思いたい

 

次にG01基地のアラマキ元指揮官曰く「生存のために精神の根本が変質した人間や人形達が住んでいる」という人類生存圏外からやってきたハンターチームが率いるU05地区前線基地部隊。

ハンターチームのリーダーの笹木さんはこの手の怪物と戦ったことがあるというが……あのメイド服をきた人形達は彼の趣味だろうか?

 

そして、俺達がグリフィンとは別のPMCから協力者であり、反対側に陣地を構えているH&R社とその社長で人形でもあるリホ・ワイルダーさん。

彼女とは無線越しでしか会話してないが……ナニカを隠している気がする。それに俺達との野営地と反対側に陣地を構えるという点でもどこか不自然……信用できないな

 

おれがギルヴァさんの演説(ついで、ブレイクさんのチャチャも)聞きながら、思考の海に浸っていた

そして、作戦時間まで後2分を切った瞬間、シーナ指揮官からの号令が俺達に下った。

 

『パーティクラッカー、用意』

「M16さん、ダミーの皆、攻撃用意!!!」

「了解、ダミー達構えろ!!」

 

シーナ指揮官の号令と共にBB小隊、今は義勇小隊長であるM14さんの合図で俺や俺とM14さんのダミーが突撃体制を取る。今回俺の愛銃には銃剣だけを取り付けているが、ダミー達のM16A4にはフェアグリップとホロサイト――弾幕を張って、後衛のM14さんと俺の突撃を支援するための仕様にしている。

 

そして……一瞬の静寂が永遠に感じた瞬間、開戦の火ぶたを切る号令がシーナ指揮官から発せられた

 

『パーティクラッカー、鳴らして』

 

彼女の号令と同時に俺達の背後から水色の一閃が伸びた瞬間、S11地区基地の上空に浮かぶソレを撃ち抜くと同時に大きな爆炎と閃光が夜空を照らした

 

それと同時に黒いフードを被った死神のようなナニカ……悪魔が闇が湧いてくるように現れた

だが、俺達はそれに怯むどころか逆に悪魔を威嚇するかのように叫んだ

 

「攻撃開始、悪魔は地獄に帰りなさい!!」

「ワッショイ!!!!!!!」

 

その叫びで己の恐怖を忘れさせたのか、一切の躊躇なく俺達は手にした愛銃の引き金を引き、弾丸を迫りくる悪魔達に叩き込む




さて……自分が投稿できるのはここまでで後はコラボ企画に参加している皆さまにお任せします(オイ

後作中で、名言されている所属している基地や小隊名は本編でも登場する

本編では指揮官代理というポジだったサクラもこの世界線の時間軸では立派な指揮官の一人としてM16A4を指揮しています

気になる点や感想があれば、どうぞコメントやメッセージでどうぞお願いします


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S10地区R&H社制圧作戦1

外伝集第三弾は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

ちなみに、NTK氏の 『人形達を守るモノ』についても言及しています

後、後半部は、企画元の最新話を読めばM16A4とバルカンが何を話したのかが分かります


「愛銃ヨシ、予備マガジンヨシ、銃剣ヨシ、P220ヨシ、防弾チャッチヨシ、防塵マスクヨシ……すべて問題無し!!」

 

俺は戦闘前の最終確認として持って行く装備品を地面に広げ、すべて指差確認を進めていた。指差し確認は民間人形時代の癖で、民間人形時代に工場で俺を設計した爺ちゃんや工員達に教えられた物だ

 

俺が物思いにふけていると弱い風が吹きだすと心地良い土と木の匂いが俺の鼻をくすぐり、思わず笑みを浮かべつつも確認を終えた装備を身に付けていく。

 

俺が今いる場所は、このご時世には珍しい全域が崩壊液や放射能に全く汚染されていないS10地区に存在する山岳地帯、その一角にあるS07地区前線基地部隊――正確には、臨時編成小隊の陣地だ。こんな共同任務じゃなきゃもっと豊かな山岳風景を楽しめたのにな……

 

俺がある種の居心地の悪さを感じながら、少し遠く離れた場所にある共同相手――EA小隊やDG小隊(正確には、そのメンバーの一人)の陣地がある方向に無意識の内に睨み付けていた。

 

なぜなら、今回の任務で共に戦うEA小隊の内二名、マーダーとデストロイヤーとDG小隊の派遣メンバーのリバイバーはグリフィンに寝返った鉄血人形だからだ。グリフィンに寝返ったとはいえ、蝶事件の際にエルダーブレインに呼応して人間を襲ったという事実は代えられない。

 

だが、リバイバーは少し事情が違うのは、ペルシカ(猫耳オバサン)から聞いている。

けど、クズとはいえ人間を……それもグリフィンの基地の人間を寝返るためとはいえ、皆殺しにした事は変わりない。

おまけに、EA小隊のマーダーというハイエンドモデルは人を好んで喰うらしい……意図的にそのようにメンタルモデルを組んだとしたら、ある種の悪意すら感じる。

もう一人のハイエンド、デストロイヤーに関しては、何度か同個体を撃破しているから、裏切っても対処できると思う。が……猫耳オバサンの魔改造で武装が変わっている上に最近、上位個体(ガイア)に換装したらしい。

 

(もしもの時は……って、彼女達が裏切る事を前提に考えているんだ!? )

 

俺は恐ろしい事が電脳内に浮かぶ自分に寒気がした。仮に裏切った所で、ヘリアンさんから指揮官に預けられた体に埋め込まれた自爆装置のボタンを押されるだけだ。

 

 

なのに彼女らが裏切られる事を考えてしまったのは、ここにいないBB小隊のメンバー達の電脳に埋め込まれた見えない爆弾――メンタルモデルを遠隔で強制停止させるもしくは、初期化させるプログラムのせいだろう。

 

 

少し前、ネットワークのアップデートプログラム用メモリーに擬装されたそれを俺達が差した瞬間、俺達は意識を失った。今考えるとあの瞬間に、俺は遠隔操作で眠らされてしまったんだろう

 

そして、目が覚めた時には、指揮官はこの任務を許諾した後だった。普段は女傑と言うべき指揮官が涙を流しながら、俺を抱きしめながらすべてを教えてくれた

俺達のメンタルモデルに爆弾プログラムが埋め込まれた事、この任務――「H&R社制圧」を許諾しなければ、俺達を遠隔操作でバックアップごと初期化すると……指揮官は俺達を助けるためにそれを許諾した事を

 

そして、指揮官が言うには俺が目を覚ます直前に。任務の許諾を確認した脅迫者から爆弾を埋め込んだ6人の中で三人だけ爆弾プログラムを解除するというメールが受信したらしい。

ソレと同時に、俺とM14さん、P228さんが目覚めらしい。

 

後の検査では、俺達のメンタルモデルには異常はない事は確認済みだ

けど、他のBB小隊員の三人は今もスリープ状態のまま、……彼女達の電脳内埋め込まれたメンタルモデルを破壊する爆弾もそのまま残されている

 

 

脅迫者からのメールには爆弾プログラムを解除するには、この任務を許諾する事し、失敗成功関係なく今回の任務に参加する事。

そして、任務が完了すれば、頭の爆弾は自動で解除、無効化されるとメールに書かれていた。

けど、S07基地関係者以外の人や人形に爆弾の事を喋ったり、爆弾を解析しようとすれば、爆弾が炸裂するという警告文まで書かれていた。

 

 

そして、目覚めないBB小隊で欠けた枠をG36Cさんとスコーピオンさん(共に4link編成)を臨時に編入した上で輸送ヘリに乗って、S10地区の山岳地帯に向かったのだ。

指揮官も陣地内に着陸させた大型輸送ヘリの中で同じ所属のM3さんを護衛にしながら、俺達をオペレータとして、支援してくれる。

 

 

どっちにしろ、俺達がなんとかしないとリー達が廃人同然と化してしまう。

 

 

本当に……嫌な任務だ。けど、俺達の爆弾を消すにはこれしかない」

「M16A4さん、そろそろ時間ですよ……どうしたのですか?」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、振り返ると両脇に拳銃が収まったショルダーホルスターを提げ左腰に短めの刀を差した銀髪の人形―――俺と同じS07基地所属であり、BB小隊員で俺とM14以外で目を覚ました一人で、HG型戦術人形のP228さんが不安そうに俺を見ていた

 

「いえ……じゃあ行きましょうか?」

「無理をしていませんか? さっきあいさつに来たバルカンさんと何かあったんですか?」

「さっきのは今回の作戦での挨拶ですよ。男性型戦術人形がいる前線基地なんて、俺達のS07前線基地だけ、珍しいでしょうね……じゃあ、行きましょう」

 

P228さんの問いかけに俺は笑って答えるが、ついさっきほど陣地の裏側でバルカンさんが見せたもう一つの姿とその直前に放った言葉が頭から離れなかった

 

 

 

 

『良く見とけよ。鉄血ハイエンドと戦術人形の狭間にいる人形の姿を』

 

 

 

そう言って、M16A1(A1姉ちゃん)に髪色と目の色以外は瓜二つなバルカンさんが自分の義手を弄った瞬間、金髪と赤と青のオッドアイが銀髪と金色の目になり、死人のような白い肌になった瞬間を見て、俺は声が出なかった。まさか、彼女の鉄血となったのかと冷や汗が流したが、幸いにもIOP社の技術で化けているような物らしい

でも、俺にとっっては「A1姉ちゃんが鉄血ハイエンドになってもお前は撃つ事が出来るのか?」とバルカンさんに言われたみたいだった

 

(鉄血は敵だ……けど、鉄血化した味方も敵だと俺は思えるのだろうか?)

 

P228さんを心配させないように笑うと俺とP228さんは自分達のダミー(ちなみに、俺も彼女の4link編成である)を起動させて、他のメンバーと合流するべく集合場所へ向かった

 

今はBB小隊の皆を助けるために、任務に集中しよう……それが今の俺達に出来る事だ

 

 

 

そして、リザ・ワイルドマン……いや、鉄血ハイエンド、お前の首を必ず取ってやる。慈悲は無い!!!




つまり、どういう事?


??「S07地区基地所属のBB小隊人形体のメンタルモデルの中に爆弾が埋め込まれていて、任務に参加しないと廃人同然になるよ」

参加する事は分かった。でも、頭の爆弾を消すのは三人だけ、後の子達の爆弾は任務が終わってからだよ

M16A4「仲間のためだ。リザ・ワイルドマンいや、鉄血ハイエンド=サン、ハイク詠め」

上記の事情と怨敵であるハイエンドモデルと共闘のストレスで、M16A4のメンタルモデルは少し不安定な状態です
爆弾がなんとかなれば、鹵獲されたハイエンドモデルたちへの視線は少し柔らかくなります
ただし、リホーマーに関しては首を取るつもりで動くことに代わりはありません

脅迫者に関しては他の皆様に任せます


ちなみにBB小隊は以下の六人のメンバーの内、任務に応じて人員を変更しています
M14(小隊長RF)
M16A4(AR)
P228(HG)
???(SMG)
???(SMG)
リー(愛銃は秘密)




以下は先行登場したオリ人形のP228についての情報です




P228
容姿
イメージは東方の魂魄妖夢を基本に、瞳の色が琥珀色になっている
服装の色を青に、スカートをキュロットスカートに変えて、リボンと取り除いたような感じ
さらに左腰に日本刀型の特殊鋼ブレードが収まった鞘、両脇にASST済みP228が一丁ずつ収まったショルダーホルスターを提げている

性格はモデルとなった妖夢と基本は同じで、真面目だけど天然な部分もある感じ

戦闘スタイル
基本はP226の二丁拳銃を使用するが、状況によっては右手の刀で切り込むスタイル
とはいえ、基本はHG型と同じように偵察や支援に徹する
主に同じBB小隊のM14が狙撃する際の観測手やM16A4の銃剣突撃する際に直掩隊として動く


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S10地区R&H社制圧作戦2

外伝集第三弾は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

ちなみに、NTK氏の『人形達を守るモノ』主催のコラボで話題にも触れています

作中の時間軸は坑道突入からアサルターと会敵するまでの間をM16A4視点で描いています


作戦(ミッション)開始!! BB小隊、坑道内に突入しろ!!』

「了解、みんな行くわよ!!」

 

指揮官と小隊長のM14さんの号令で、俺達BB小隊はR&H社が不法に占拠しているという薄暗い坑道の入り口へ足を進める。それと同時にEA小隊とDG小隊から派遣された世にも珍しい男性型鉄血ハイエンドのリバイバーも一足先に坑道へ入っていく

 

それを見たスコーピオンさんが面白そうに先に進む彼女達の背後を見ながら口を開いた

 

「さすが、規格外の16lab製戦術人形と鹵獲鉄血ハイエンド達で構成されたEA小隊とDG小隊のリバイバーだね。あんな重武装であたし達とほぼ同じスピードで動けるんだから、驚きだよね」

「……そうですね」

 

スコーピオンの軽口に元気なく答えるP228さんに、隣のG36Cさんが心配そうに見ていた。何か気になる事でもあるのか?

 

「どうしましたか、P228?」

「いえ……DG小隊の一人が参加すると聞いていたので、スミスさんと一緒と思っていました。まさか、リバイバーさんの方が来るとは思いもしませんでした」

「私はウェイターさんがくるかと……Warum(なんで)?」

「皆はバレッドさんが来ると思っていました……」

「あはは、あたしは9A-A1(ノア)が来ると思っていたけどね、M16A4もそんなに怖い顔をしないの」

 

P228さんの言葉にスコーピオン以外のBB小隊の面々が暗い顔をする中でスコーピオンだけが振り返って俺に微笑みをかけた。

きっとBB小隊の爆弾や鹵獲ハイエンドの中でもヤバイと噂されているEA小隊のマーダーや寝返るまでの経緯で不信感しか持てないリバイバーと共闘することになり、俺が荒れていると心配してくれたんだろう

 

けど、今は任務中だ……任務に集中させるためにBB小隊の皆に向かって声をかけた

 

「今は任務中だ。任務が終わった後で、本部でサインでも、握手でも頼めばいいでしょう」

「そうで……皆さん、警戒! 前方でリバイバーさんが何かに気づいたようです」

 

突然、P228が片腕に広げて静止させると俺達もその場で足を止め、俺達のダミー達に全方向に銃口を向けさせる。

ちなみに俺もダミーも愛銃には共同と言う事もあって、共に銃剣のみを取り付けたシンプルな仕様だ。

 

そしても、俺達BB小隊よりもすぐ前を進んでいたEA小隊も彼女達の先頭を進んでいたリバイバーによって静止させていた。彼も何かに気づいたのか?

そして、EA小隊の隊列で後方のバルカンさんがリバイバーに対して問いかけた

 

「どうしたリバイバー?」

「……何もなさ過ぎる。ここから先に罠がある可能性があるな。見ててくれ」

 

そういって彼は近く壁を殴って砕いていくつか破片と手に取った。それを投げたり、転がした瞬間、投げた破片が壁から現れたターレットに砕かれ、転がした破片は床に触れると爆発した。予想はしていたが、罠だらけだな

 

「なっ…!? マジかよ…!」

「これじゃまともに進めませんよ…」

 

バルカンさんと赤毛の戦術人形……M2A1火炎放射器、通称フレイムさんが驚く中、P228さんが無言で両脇のホルスターからP228を抜くと彼女のダミーも続く用に銃を構える

 

「私とダミーの目で地雷の……リバイバーさん!?」

「おい、リバイバー、何をするつもりだ!?」

 

P228さんが前に出ようとした瞬間、リバイバーも一歩に前に出るのを見て俺が問いかけると彼は俺の方を見て疑問に答えた

 

「簡単だ。今から罠を壊すから、頭上に気を付けろ。一応電磁フィールドを張っておくがな」

「おい!?」

 

リバイバーはそう答えると両肩甲骨から伸びるアームに接続された盾に取りつけたから円盤場のユニットを8個ずつ切り離すとちょうど俺達全員の頭上に浮かべると電磁フィールドが張り、一見すると巨大な電磁フィールドの傘が出来上がる

 

そして、俺が静止を無視して、奴は両腰に接続された大型レーザー砲、VSLCを構えると坑道内の壁や天井、床にレーザーを照射した。

その直後に坑道内仕込まれたであろうターレットや地雷の爆発音が坑道内に響き渡った後には、坑道内はボロボロになった

 

「これで奥のゲートまでは平気だ。一応まだ罠があるかも知れないから俺の後ろを一列についてきてくれ」

「あ、あぁ…」

「私の出番はなさそうですね……」

 

やり終えた顔で俺達を見たリバイバーが先に進む姿を遠い目で見るP228さんを見つつ、俺達は隊列を整え直して坑道内を進む。

けど、スコーピオンさんは少し顔を青くして、焼け焦げた坑道の天井を指差しながら呟いた

 

「これ、途中で崩れたりしない?」

「まだ、大丈夫そうですが……これが何度も続くなると崩壊するかもしれない」

 

M14さんの言葉に俺達は顔を青くした。ここで落盤で生き埋めなんて、ごめんだぞ

 

 

 

 

 

しばらく、坑道内を進んで最初のゲートを通ると再び先ほどの罠だらけと似たような坑道が続いていた。

 

けど、今度はバルカンさんの提案で床の罠だけをリバイバーのレーザー砲で一掃した後に天井や壁に隠されたターレット等はこちらで対処する作戦で坑道のダメージを最小限にしつつ、俺達は坑道内を進んでいた。

 

(もし……同じようにリバイバーのVLSCで罠をすべて薙ぎ払っていたら、俺達生き埋めになっていただろう…ん?)

 

俺が坑道が落盤するかもしれないという事に寒気を感じたのと同時に、マーダーが俺の方に笑みを浮かべていた

 

「マーダー、俺の顔に何かついているのか?」

「今気づいたんだけど、あなたが放っている殺気に混じって、焦りのような物を感じたけど、何か不安な事でもあるの?」

「!?」

 

マーダーの言葉に俺は言葉を一瞬、言葉を失った。まさかこいつ、BB小隊の爆弾プラグラムの事に……

 

「マーダー、挑発するな!!!」

「だって、レストの殺気と違って焦りのような物を感じたの。それに憎しみの焦点も彼と違ってブレているのも気になってね」

「……どういうことだ?」

 

バルカンさんの静止も無視して、ニタニタ笑うマーダーは俺を半ば嘲笑うように言葉を続けた

 

「彼には明確な復讐相手がいた。けど、あなたの復讐相手は鉄血と曖昧よね。じゃあ、明確には誰を殺したいの?」

「……マーダー!!!!」

 

マーダーの言葉にカッとした俺は思わず、手にしたM16A4をマーダーに向けようとした。

だがその瞬間、俺達の電脳内にカスミ指揮官の凄まじい怒号が響き渡った。

 

そこまでだ、お前ら!!!

「指揮官!!!」

「あら……指揮官さん、ちょっと邪魔しないでよ」

 

それを聞いた俺は思わず体を硬直させるが、マーダーはどこ吹く風と言わんばかりに口を開くも指揮官は言葉を続けた

 

『お前ら、仲間割れをする暇があったら、先を進め!! それ以上言うとこっちにも考えがあるぞ』

「……ッ、分かったわ。指揮官の言う通りに先を進みましょう」

 

マーダーが舌打ちすると先を進むのを見て皆は再び坑道内を進み始めた

俺も皆についていこうとした瞬間、個人回線で指揮官からの通信が電脳に届いた

 

『M16A4、お前の気持ちは分かるが……バレッドとM82A1の信用を裏切るなよ。もし撃っていたら……分かっているな?』

<分かっていますよ。指揮官>

 

俺はそう言って、通信を切るとBB小隊の隊列に戻って坑道を進み始める。

それと同時に一人の無表情で一人の戦術人形の言葉が電脳内に浮かび上がった

 

 

 

それはバレッドさんからリバイバーの事を教えられて、通信が切った直後にM82A1さんが俺に通信をいれたのだが………その時の通信内容と表情が忘れられなかった

 

 

『バレッド……愛しい弟の信用を裏切らないでくださいね。もしも、ペイロード――顔も知らない私の妹に何かあったり、弟の言葉を無視して味方のハイエンド達を後ろから撃つような真似をすれば……ワカリマスネ?』

『……アッハイ

 

 

M82A1の言葉に背筋がゾッとするも冷静さを取り戻して、M16A4を構え直しつつ、先の見えない坑道を俺達は進んだ




すいません……マーダーの煽りにうちの子がキレました
パラレル時空はネームレスの因縁が存在しないので、鉄血その物を憎いんでいるのですが、殺意の焦点が若干ぶれているのです
本編だと鉄血……特にネームレスが復讐相手に認識しているですが、ここだとその認識が鉄血その物に変わっています

ちなみに、例の一件はカスミ指揮官はペルシカさんに報告するつもりです

リバイバー……M16A4以外のBB小隊員達が面食いでごめんなさい
NTKさんの所でファンクラブがあると知ったら書きたくなりまして
ちなみに、P228ちゃんはスミス派です

そして、バレッド……姉者さんを暴走させて、ほんとにごめんなさい!!!orz


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S10地区R&H社制圧作戦2

外伝集第三弾は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

今回はコラボ最終回
リホーマーの瞬間移動でM16A4達が外に放り出されてから少し経った時です




「補給部隊の戦術人形は無力化され、ヘリの大半を破壊され、私も頭を殴られて気絶している間に任務中止。……早く止めてほしかったよ」

 

S07前線基地の司令官サクラ・カスミは手足を失って、うめき声を上げる補給隊の戦術人形達が本部から救援にきた整備班の自立人形達に応急手当を受ける光景に、ため息をついた。

 

彼女の頭に包帯巻かれており、自身が気絶する前に起きた事について鈍痛が残る頭で考えた

 

(チャフの役割するナニカを混入した煙幕弾で、奴は目と耳を封じた上で物音を立てずに戦術人形の手足と銃のみを狙って無力化し……ただ人形や人間で出来る所業じゃない)

 

カスミの脳裏には、血に染まった装甲服を身に纏ったナニカが両手に持った斧でM3の両手を斬りおとす姿にが浮かび、歯を食いしばった

 

「しかし、奴は一体……うん?」

 

彼女が背後から気配を感じ、振り返るとそこにはP228が不安そうな目でカスミを見ていた

 

「指揮官、頭の具合は大丈夫ですか?」

「あぁ、襲撃者の絶妙な力加減で殴られたおかげで大きなタンコブが作って気絶した程度ですんだが……他の奴らはどうした?」

 

カスミはP228しかいない事に首を傾げるとP228は彼女の疑問に答えた

 

「M14さんとG36Cさんはペイロードさんと今後の共同の件で話し合い、スコーピオンさんはリバイバーさんの装備に興味心身で彼を質問攻めにしています」

「あいつららしいな……後で、私からも挨拶をしてこう。…M16A4はどうした? アイツには色々と聞きたい事があるんだが?」

 

カスミの質問にP228は、少し悩むしぐさを見せたがすぐに答えた

 

「M16A4さんは今、救援所にいますが……」

「どうした? アイツもどこか怪我でもしたのか?」

「怪我は一切ないんですが、落ちこんでいまして……」

 

顔を暗くするP228を見たカスミはすべてを察し、ため息をついた

 

 

―――――――――

 

本部から救援隊の手当を受け、眠っている(スリープモード中)のM3さんを見ながら、俺はため息をついた。彼女の両腕は肘から先がなく、戦術人形用応急止血カバーと包帯で切断面を覆っている

両腕を失ったM3さんを見て、普段なら湧き上がってくる怒りの代わりに感情モジュールが示すのは虚しさだけだった

 

「完全に遊ばれていた。おまけに、BB小隊に爆弾プログラムを埋め込まれたのも俺のせいじゃないか……」

 

俺は呟き、眠っているM3さんを見つめながら、任務中の事を思い起こす。

 

第3ゲートの奥で待ち受けていたリホーマーに、不意打ち同然にで銃弾を叩き込むとフォースシールドで防がれた上に、瞬間移動で俺の背後を取って頬を指差しされた。本気で戦うつもりだったなら、間違いなく俺の頭かコアを撃ち抜かれて死亡している(一回休みしている)していただろう

 

おまけに、第二ゲートの門番らしき装甲兵と戦っていたリバイバーが追い付くと同時に

俺達に任務の中止を告げた。

けど、あの時の俺は先ほどの余裕綽々なリホーマーに我を忘れて、命令を無視してでもリホーマーの首を取ろうと思っていた。

 

けど、あの時のリバイバーの言葉で怒り狂っていた俺のメンタルモデルに大きく響いた

 

 

『あと、BB小隊の爆弾は解除しているから安心しろ』

 

 

あの一言がなければ、俺はM14さん達の静止を無視してでも俺はリホーマーの殺そうとしただろう。奴がある意味でBB小隊の電脳を初期化される原因の一つであり、BB小隊の電脳をリセットされる危険性がなくなった……そう思った瞬間、冷水でも浴びせられたようにリホーマーの敵意は引いていくのを感じた

 

後で聞いた話だが、俺達に爆弾を仕込んだメモリーで俺達に爆弾を埋め込んだのはグリフィンの上官……リホーマーが売った兵器のせいで妻子を失った男だったらしい。

彼は確実にリホーマーを殺すために俺の反鉄血感情を刺激してリホーマーを確実に殺させるために、俺達に爆弾を埋め込んで、この任務に参加するように脅したという……完全に俺の鉄血に対する憎悪を彼に利用されたあげく、仲間達を危険に晒してしまった。

 

その後、リホーマーは自分が進んでテロリストに武器を売ったと自供した上で俺達を坑道の外へ強制的に瞬間移動させた後に、自分は坑道内に仕込んだ爆薬で自決したのだ。

けど……俺はリホーマーの最後の言葉を聞いた瞬間、俺はそれが彼女の本心じゃないとすぐに分かった。その言葉は俺を設計した爺ちゃんとの別れとなったあの言葉と重なるからだ

 

『悪者にはお似合いやろ? まぁ…もう演算の為の時間稼ぎには十分や…』

『ツクモ、逃げろ!IOP本社に届けば、お前とワシらが作った製品に連中は手が出せん!!』

 

そう……リホーマーの本心は、自分だけがテロリストに与したという事で他の社員を庇ったのだと理解した時、彼女に対する敵意は消え去った。代わりに怒り狂っていた自分が情けなくなり……崩落した坑道の入り口に向かって叫ぶ事しかできなかった

 

それに加えて、俺達が坑道に突入している間に、グリフィン本社の補給部隊が何者かに襲撃で壊滅していた……指揮官は、気絶しと彼女の護衛をしていたM3さんも両手を切り落とされていた

それを見た瞬間、今までないほどに自分の無力さを実感せずにはいられなかった

 

「自分がなさけない……仲間や指揮官の事よりもリホーマーをいや、鉄血を殺す事を優先していた自分が」

「だったら、その分強くなればいい……義体もメンタルモデルも両方な」

「!?」

 

後ろから声をかけられ、振り返ると数多に包帯を巻いた指揮官が救護室の入り口に立っていた

 

「指揮官、頭の怪我は大丈夫ですか!?」

「あぁ、気絶していた程度で簡単な処置で済んでな……おい!?」

 

いつも通り不敵な笑みを浮かべる指揮官を見て、俺は思わず彼女に抱き付くと抱き付かれて戸惑う指揮官に向かって口を開いた

 

「指揮官が無事でよかったです……でも、任務は失敗してしました」

「いや……今回はお前達の爆弾を解除する事が最大の目的だ。そして、S07基地の主任達とGsh-18から連絡が入った……眠ったままの三人がついさっき目を覚ましたようだ」

「本当ですか!?」

 

俺は指揮官の言葉を笑みを浮かべながら、彼女の顔を見ると俺の反応を見越していたように指揮官は答えた

 

「あぁ……主任の言葉通りなら、三人のメンタルモデルから消え去っているようだ。元気がでたなら、P228やM14達の元へ行ってこい。 M3の事は私が見ておくから」

「は、はい!!!」

 

指揮官の言葉に俺は笑顔で答えると俺は救護室を出て、BB小隊がいるであろう場所に向かって走った。

 

 

 

 

いままで目覚めなかったBB小隊の仲間達が目を覚ました事を知り、俺の感情モジュールはただ一つの感情のみを俺の電脳内に示していた――喜びの感情を

 

 

 

 

―――――――――

 

M16A4が救護室を出るのをカスミは無言で見届けるとスリープモードのM3に視線を落とすと呟いた

 

「ここに向かう途中で会ったM14からの報告じゃ、M16が銃撃を加えた時、リホーマーは彼の背後に瞬間移動したと言っていたわね。それにあの時感じたアレは……いったい?」

 

彼女はM16A4達が坑道に突入している間に、自分達を襲撃した者の正体が気になって仕方がなかった。煙幕と共に展開された未知のジャミング手段は、カスミが全く知らない物だった。

しかし、彼女にとってはどこか懐かしいモノをあの煙幕、正確には煙幕に混入されたそれに感じていた。

 

(まさか、リホーマーは遺跡に関するナニカと接触していた……まさか、奴がそうなのうか?)

 

 

その後、救援のヘリでS07基地に帰還したカスミは、グリフィン上級代行官のヘリアンにあるこのような文面の報告書を提出した

 

 

【リホーマーは遺跡その物もしくは、遺跡に関連するナニカと接触した可能性がある。不用意な攻撃はその存在を刺激する危険性があり、慎重な対応が必要である】




さて、今回も本編に対する謎といいますが、自主的な伏線みたいな物を置いてみました

サクラ・カスミがなぜ、襲撃者(タナカ)さんが遺跡の関係者と気づいた理由は血目木的なネタバレになるので隠します
ただいえる事は、現状のカスミはただの人間と同等の能力を持った指揮官に過ぎないという事です


そして、oldsnake氏さん、大型コラボに参加できる機会を下さってありがとうございます


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守護者達に祝砲を:上

外伝集第四弾は、NTK氏の人形達を守るモノhttps://syosetu.org/novel/190134/以下複数との結婚式コラボです

上編は、他にもスツーカ氏の指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説https://syosetu.org/novel/179506/ともコラボしています


S07地区前線基地の近くの飛行場から離陸した輸送機は俺達BB小隊とカスミ指揮官を乗せて、片道二時間ほどの某地区の某所へ向かっていた。

 

と言っても今回は鉄屑狩りや盗賊退治の任務で出撃ではなく、俺達の恩人であるDG小隊の婚式を祝うために、式場へ向かっていた。

具体的には、隊長のバレッドさんとDSR-50のアスターさん、同じくDG小隊のレストさんとノアさん、それに民間人形時代から恋人だというウェイターさんとフィオナさんの三組合同結婚式である。ある意味で常識外れだが、世の中には9人の戦術人形達(全員ボインらしい)と結婚したという指揮官もいるという……

 

ちなみに、後一人のスミスさんは、結婚する予定はまだないらしい。噂だと最近の彼女ができたらしく、スミスさんと仲良くしていた人形達は嫉妬している。

それは

 

もちろん、結婚式に出るのだから、全員がそれなりの正装をしている。男性型人形である俺やリーはスーツ、カスミ指揮官やM14さん達女性陣はそれぞれのパーティードレスに着ている。

と言っても、IOPが提供しているドレススキンに女性陣全員に、特有の物が無いから市販品の物を彼女用に仕立て直した物だけど……M14さんの顔がどこか遠い目で輸送機の窓を見ていた

 

「……バレッドさんが結婚するなんて……それもいろんな意味で相手にならないDSRさんにバレッドさんを……。終わったわ……皆の初恋は今終わったわ」

「元気だしなよ、M14。あんたにお似合いな男の人がきっと出てくるからさ」

「M14さん、元気出して」

「そうですよ……きっといいことがありますよ」

「終わった……皆は初恋はバレッドさんだったんですよ……」

 

落ち込んでいるM14さんを隣に座っているMP5Fさんとパラちゃんこと、AUGパラと俺と同じ男性型戦術人形のリーが慰めるも彼女は、頷くだけだった

 

ふと横を見るとP228さんがブツブツと小さく独り言を言っていた

 

「スミスさんはまだ結婚する予定はない……なら、ウワバミトリガーハッピーからスミスさんを奪取するはずチャンスはまだあるはずだよね

「……P228さんも冷静になりましょうね」

みょん!? ……すいません

 

俺に独り言を聞かれているとはつゆほどに思ってなかったのか、P228さんが謝るも彼女の心情は理解できた

(そりゃあ……憧れの人形が結婚すると聞いたら、こうなるもの無理ないよな)

 

さすがに、見ていられなかったのか、カスミ指揮官は額に手を当てながら、あきれ半分に言った

「お前ら……ここならともかく、式場に着いたらそのお前達の恩人達に失礼がないようにしろ」

 

 

――――――

 

そうこうしている内に、俺達を乗せた輸送機が結婚式場へ到着し、ヘリを降りてすぐに目に映ったのは、銀色にリペントされた鹵獲仕様のプロウラーが警備ロイドのように敷地内を悠々と動き回る光景だった。

 

「あれ……鹵獲機だと思うけど、鉄血のプロウラーだよね?」

「うん、確かにプロウラーだ……なんでこんなところに?」

 

まるで式場の敷地だけが蝶事件前まで時間が戻ったかのように人間を襲う事無く動くプロウラーにMP5Fさんとリーが不思議そうにそれを見ていた

 

そして、その光景は式場の受付に向かう間にも銀色のスカウターが俺達の上空を飛び交い、式場の通路の端端ではSPの恰好したリッパ―達が鹵獲の人形に混ざるように警備する姿に俺は違和感しか感じつつも式場の入り口へ向かうっていると突然、パラが立ち止まるとこういった

 

「ねぇ、指揮官……あの人も結婚式に招待客かな?」

「あの人……彼女のことか?」

 

指揮官が視線を動かした方を見ると反対側の道から正規軍の礼装に袖を通した銀髪の女性が彼女の部下官であろう戦術人形のG3と共に式場の入り口に向かって歩いていた。

そして、彼女達も俺達に気づいたのか俺達の方を見ていた

 

「だろうな……じゃなきゃ、結婚式場の下見に来たという所か」

「でも、あの人どこかで見た事があるよ」

(確かに……あの顔、どこかで見たな?)

 

指揮官がうずき、リーは彼女達を見つめながら首を傾げた。

俺も彼女のどこか半ば作り物のような顔立ちに覚えがあった……確か、S07地区前線基地恒例の座学会で見たような……

 

 

 

 

「クハハハ!! S07地区の()()()という渾名の基地があるという噂は聞いていたが、カスミ指揮官の基地だったのか」

「あなたの配信動画は私の基地の座学会で活用させてもらっているよ、アレクサンドラ指揮官」

(あの教材動画に映っていた講師指揮官だったのか……見覚えがあるはずだ)

 

カスミ指揮官は正規軍の礼服を着た女性……アレクサンドラ指揮官と雑談しつつ、式場に向かって歩いているのをみて、俺は納得できた

どこか作り物を思わせるような彼女の顔立ちに見覚えもあるはずもないもS07地区前線基地恒例の月一座学会で使用される教育動画の発信者は彼女だったからだ

 

そして、やはり俺やリーのような男性型は珍しいからか。アレクサンドラ指揮官の副官のG3さんが俺に声をかけてきた

 

「しかし、DG小隊以外に男性型戦術人形がいたとは驚きました、二人はいつグリフィンに?」

「俺がグリフィンに入社した頃はまだ、民生用人形として……蝶事件の後に戦術人形に転換しました。リーも同じくらいだったよな」

「うん、蝶事件の時に鉄血の暴走に巻き込まれてからすぐに戦術人形に」

「蝶事件……指揮官、あそこが受付のようですよ」

 

俺達の言葉を聞いたG3は申し訳なさそうな表情を浮かべるもすぐに、少し離れた所を指差した

彼女が指差した方向を俺達が見ると受付らしき長机と見覚えのある顔をした二人の男性型人形がイスに腰を掛けていた。

その二人は恩人であるDG小隊のスミスさんと鹵獲鉄血ハイエンドのリバイバーだとすぐに分かった。

そして、アレクサンドラ指揮官とG3は一足先に受付の方に向かう姿と受付の二人を見たP228さんが口を開いた

 

「DG小隊のスミスさんとリバイバーさんが受付係をしているようですね……まだ、チャンスはあるはずよね」

「じゃあ、さっさと軽く挨拶を済ませて受付を済ませて三組の新郎新婦の晴れ姿を見届けようじゃないか」

 

カスミ指揮官はそう言って歩き出すと俺達も受付に向かった。

 

 

 

 

 

そして、スミスさん達に簡単な挨拶と前回の任務でBB小隊の皆を助けてくれた事に礼を言って出席のサインを書く

その間、リバイバーはパラちゃんと話していた

 

「グリフィン本部とかで戦術人形AUGを見る事は何度かあるがよ……こんなにちっこいAUGは初めて見たぞ」

「正確には、私は戦術人形AUGパラ。パラと呼んでほしいの」

「わかったよ……次はパラ、お前さんの番だぜ」

「はい……ここですね」

 

そう言ってパラちゃんはペンを手にすると見た目から想像できないほどの達筆なサインを出席簿に書き込む。

それを見たスミスさんは「おいおい、随分と達筆な字で書くじゃないか」と言葉を漏らした

 

 

そしてリバイバーの妹と名乗る鉄血ハイエンド(?)に案内されて、式場へ向かっているとふと俺の電脳に通信が入った。

送信元は、リバイバーからだった

 

『お前さんの連れのちっさい男性型人形……リーの対応銃のMk16は、()()()()()()()()()()()の別名だよな?』

『あぁ、そうだが……それがどうした?』

『いや、面白い事になりそうだなと思っただけさ……普段は銃とは別の名前で呼ばれていたら、と案外気づきにくいのかもしれないな』

 

電脳内でリバイバーが小さく笑うと電脳通信を切ると俺は俺のすぐ前を歩いているリーに声をかけた

 

「リー、ウェイターにお前の戦術人形としての名前を教えていないけど……よかったのか?」

「僕達はM16とM14さんのオマケだからいいだよ。MP5Fもレストさんに自分が妹だという事を伝えていなかったでしょう?」

 

リーはニッコリと笑うのを見て、俺は笑みを返した。

 

(ウェイターさん……きっと驚くだろうな)

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

BB小隊とサクラが式場の受付の出席簿にサインを書いていた頃、式場から少し離れた場所にある喫茶店の一角で二人のアジア系男達がコーヒーを飲んでいた

二人共60歳程の老人で、楽しく雑談をしていた。

そして、一人の老人の頭共にスキンヘッドであり、もう一人も茶色のハンティング帽を被っている。

 

「事務所に勤めてはや40年……我々も老害と呼ばれてもおかしくない程に年を取りましたな」

「そうじゃのう……最近、部下達からも引退を進められましたがどうもね」

「正規軍の軍人でもない限り、老後の保障は確保されないのが今の時勢ですから……引退するのも勇気がいりますな」

「そうですな……だから、これからは後進の技術者の教育に重点をいれるべきでしょうな」

 

一件すると仲のいい老人達がコーヒーを片手に世間話するのどかな光景にしか見えない。

しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()が彼らの会話を聞けば、話内容に違和感を感じたであろう

すると帽子を被った老人が腕に視線を移して、驚きの声を上げた

 

「おっと!! そろそろ孫達との約束の時間が近い……これで失礼するよ、オサム」

「そうか……じゃあな、ダイスケ」

 

オサムと呼ばれたスキンヘッドの老人がダイスケと呼んだ帽子の老人が喫茶店を出るのを見届けると彼は店内のトイレに入った

そして、便座に腰を掛けると彼のズボンのポケットに手を入れるといつの間にか入れられていた紙切れを取り出し、それを広げた

 

 

その紙切れには鉛筆らしきものでこう書かれていた

 

 

発見したマンホールの内三つはすでに施工済みで、

残り一つは花屋が営業中、

工期に影響なし

アマノジャクの頭は手足の動きに戸惑いを隠しきれていない

白の騎士は相手の手を読み、駒を密かに動かし始めている

 

 

 

それを見たオサム……元グリフィン所属旧G01地区前線基地司令官、オサム・アラマキは紙片の文章を読むと小さく呟いた

 

「ペルシカ……過激派だけを見ていたら、足元をすくわれるぞ」




結婚式の受付まででとりあえず、上編は終了です
次の下編では、他の出席者とDG小隊面々への祝いの会話を中心に描写したいですね

以下余談
後、最後でアラマキ爺さんが登場しました
アラマキ爺さんもDG小隊の結婚式をぶちこわしにしかねない奴らを警戒して、式場の近くに紛れ込んでいます

ですが、アラマキ爺さんが警戒しているのは過激派ではありません
むしろ、過激派もアラマキ爺さんが警戒している奴らのある意味で犠牲者と解釈しています

そもそもこの結婚式コラボ関連(ポンコツ指揮官の 「(過激派)ボコボコ作戦です!」とコラボ元のCode-58)を読んだ際の過激派の動きに違和感を感じたのが始まりです

そこから、「ナニカが自身の手駒を潜ませるために秘密工作に過激派を利用したのでは?」と解釈し、アラマキの手紙のシーンが出来上がりました

不味かったら……消します


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守護者達に祝砲を:中

外伝集第四弾は、NTK氏の人形達を守るモノhttps://syosetu.org/novel/190134/以下複数との結婚式コラボです

中編は、以下二つの作品ともコラボしています
破壊の嵐を巻き起こせ! :https://syosetu.org/novel/180532/

それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! https://syosetu.org/novel/166885/

今回、コラボ相手をうまく動かせた気がしませんorz


リバイバーの妹……コンダクターの案内されて式場に到着すると見覚えのある人形達がいる事に気づいた。前回の任務で共闘したEA小隊の面々だ。

 

「お、M16A4!! お前も来ていたのか」

「バルカンさん、お久しぶりです」

「カスミ指揮官さんとS07地区前線基地の皆さん、お久しぶりですね」

 

俺が彼女達に気づいたのと同時にEA小隊の一人、バルカンさんも俺達に気づいて、俺達の方に近寄るとEA小隊の隊長であるペイロードさんが丁寧なお辞儀をすると指揮官も答える。そして、気のせいか胸が膨らんでいるようにも見える

 

「前回の時は、私の子飼いが世話になったな。特にデストロイヤーとマーダーにはうちのM16A4が迷惑をかけたな」

「き、気にしていないよ。ただ、ちょっとは怖かっただよ」

「むしろ、あの時の彼は面白かったわよ。ちょっと殺意がブレていたのは気になったけど……今みると指揮官も面白そうな人ね」

 

前回の任務の時を思い出したのか、肩を震わせるデストロイヤーと対照的にむしろ、懐かしむように微笑むマーダーだったが、カスミ指揮官の顔を面白そうに見ると言葉を続けた。

 

「あなたも相当な修羅場をくぐってきたようね。あの蠱毒と同じ位の狂気と殺意にさらされた女の目をしているわよ」

「あの時はただのイカレ鉄血ハイエンドだと思ったが中々他人を見る目があるじゃないか……その話は、ここまでしようか」

「あら、ど……そうね」

 

カスミ指揮官の鋭い視線にも屈していなかったマーダーが後ろをチラッと見るや否や、慌てて俺達から離れていった。

 

(どうした? マーダーらしくも……

 

俺は気になったので、俺もマーダーが見た方に視線を動かすとその理由がすぐに理解できた。

なぜなら、パーティードレスに身を包んだM82A1(姉なるモノ)が無表情で俺達の方を凝視していたからである。もしも、下手な事をすれば、退出させるぞと言いたげに

前にあった時もそうだったが彼女の弟や妹に対する愛情が重すぎる……バレッドさんとペイロードさん、苦労しているだろうな

指揮官もそれに気付ていたのか、そっと呟いた

 

「彼女がいる限り、マーダーは大人しくしていそうだな」

「そうですね……いろんな意味で平和ですね」

「さっきも見たけどさ……M82A1が極度のブラコンとシスコンの意味がわかった気がするな」

 

バルカンさんの言葉に俺達は同時に頷いた

 

 

 

それからEA小隊の面々と少し会話をした後、見覚えのある少女と人形が式場に入るのが見えた。その内二人は見おぼえがあった。確か、S09P基地所属のノアちゃんとナガン婆ちゃんだ

 

そして、彼女達も俺達に気づいたのか、ノアちゃんが以前あったのと同じような力強く声をかけた。というか、ユノちゃんそっくりの褐色少女は誰だ?

 

 

「お、あそこにいるのはあの二人じゃないか」

「ノアちゃん、オペレーションEON作戦以来だね」

「S09P基地の皆さんもいっしょなんですか?」

「そうじゃわしとユノも一緒じゃよ」

 

俺とM14さんがノアに質問すると同時にノアちゃんの後ろからオペレーションEONで共に戦ったS09地区P基地の副官のナガン婆ちゃんとノアちゃんと瓜二つだが、白髪とワインレッドの瞳をした少女…S09P基地指揮官のユノちゃんが前に出た

 

「初めまして、S09P基地の特務指揮官、ユノ・ヴァルターです」

「私はS07地区前線基地の指揮官、サクラ・カスミだ……後ろのPPKはお前の護衛役か?」

「いいえ、私はユノの夫のクリミア・ヴァルターですわ。前回の共同任務でのM16A4さんとM14さんの武勇はノアと副官から耳にしていますわ」

 

ユノちゃんとカスミ指揮官との自己紹介を機に向こうと俺達で自己紹介をした。ちなみに、ユノちゃんそっくりな褐色の少女はキャロルという名で、少々訳ありでS09P基地に身を寄せているらしい……なんか、隠しているような気もするが

 

そして、自己紹介を終えた後でユノちゃんとカスミ指揮官がそれぞれの身の上話を始めた

 

「ユノ指揮官達の管制支援のお陰でS07地区の鉄血への対処が楽になった。感謝する」

「実際に鉄血と戦っているのはおばあちゃん達やS地区の基地に所属しているの人形達です。それにノアも支援AIのオモイカネも助けてくれますし」

「なるほど、伊達にその歳で指揮官をしている訳じゃないな」

 

照れるユノちゃんの顔を見ていて、なぜか……心が安らぐ気がした。太陽みたいな笑みを見ていると心が安らぐ気がした。

S09P基地には、鉄血から離脱したハイエンドのアーキテクトとゲーガーがいるらしいが、ユノちゃんなら鉄血とも仲良くできるんだろう。

鉄血に対する憎しみを捨てきれない俺と違って……

俺はそっとナガン婆ちゃんに向かって、囁く

 

「ナガン婆ちゃん、ユノちゃんっていい子だね」

「じゃろう、自慢の孫じゃよ」

 

 

 

ユノちゃん達と軽く雑談をした後、コンダクターの司会で結婚式は特に問題なく進行した。俺達の恩人であるDG小隊であるタキシードを着た新郎のバレットさんとレストさん、ウェイターさんの元にウェディングドレスに身を包んだアスターさん、同じDG小隊のノアさん、後方幕僚のフィオナさんがゆっくりと近づく姿は神秘的にすら感じた

そして、誓いの言葉と指輪交換、誓いのキスと三組の新婚夫婦が同時並列で執り行われる事を除いては、まさに平和な結婚式その物だった。

まぁ、三組合同の結婚式というのも後にも先にもそうそうない……と思いたい

 

結婚式の終了後、会場の外で新郎新婦達と出席者達で記念写真を撮った後で、披露宴が始まる前にブーケトスを始めるために未婚の女性陣と新婦達が一カ所に集まった。

 

俺達の場合だと、P228が我先に駆け足で向かい、その次にパラとその手を引かれるようにカスミ指揮官がそこへ向かって行く。そして、最後にMP5Fが真剣な表情で女性陣の集まりを向かう

 

「P228さんとMP5Fは……あれ本気でブーケトスを成功させる気だな。指揮官は……結婚に興味はないけど、パラに引っ張られたという感じか」

「どうして、ブーケトスと結婚ってなんの関係があるの?」

「ブーケトスというのは、未婚の女達にとっちゃ結婚確定フラグなのさ」

 

リーは俺の独り言に首を傾げると後ろからリバイバーの声が聞こえ振り返るとそこには、リバイバーが立っていた。おいおい、いつの間にいたんだ?

俺がいつのまにか立っていたリバイバーにリーが質問を更にぶつけた

 

「リバイバー、花嫁が投げたブーケをキャッチすれば結婚できるの?」

「まぁ、そういう縁起担ぎという話さ。見た感じお前さんらの指揮官は結婚に興味なさそうだな」

「うん……あ、アスターさん達がブーケを投げますよ」

 

俺がそう言うのと同時に三人の花嫁が後ろに振り向くと後ろに向かってブーケを放り投げた。彼女達の手から離れた三つのブーケは宙を舞いながら、歓声を上げる女性達の元へ向かっていき……

 

「まさか取れるとは思ってみなかったな…」

 

その一つはカスミ指揮官の手に収まった……この場合、結婚確定フラグは死体撃ちという奴だろうか?

ちなみに残り二つはキャロルちゃんとバルカンさんの手に渡った。

特にバルカンさんはブーケトスに成功した事に大はしゃぎで喜ぶもスミスさんを見た瞬間、顔を赤らめた

 

それをP228さんは悔しそうに涙を浮かべながら、バルカンさんをじっと見ていた。まるで、自分の恋人をバルカンさんに寝取られたかのように

 

(P228さん、可哀想だな。スミスさん……結婚が決まったらいろんな意味で大変だろうな)

 

俺はそう思いながら、手に掴んだブーケに困惑するカスミ指揮官視線を移した

そして、俺は困惑していると同時に指揮官がうっすらと笑みをうかべていたのを俺は見逃さなかった

 

 

――――――――――――――――

 

 

ブーケトスで女性陣が歓声に沸いている頃、会場から少し離れたビルの一室にで猿轡をはめられた男達が柱に拘束されていた。そして、その様子をアラマキが鋭い目つきで睨み付けていた

ついさきほどまで、気絶していた男達は自身に何が起きたのか分からず、ただ恐怖の表情でアラマキを見ていた

 

「こやつがそそのかされた者か否かはとにかく、花達(S09P基地の暗部達)に見つかる前にダイスケ達が捕らえて(救えて)よかったよ」

 

アラマキはそう呟くと男のポケットから取り出した一枚の黒い紙に視線を移した。

その紙に白線で複数の奇妙な幾何学模様とノイズが走ったような【90】のマークが描かれており、その中央にはたった一文だけが血文字のような赤い文字で書き記されていた。だが、最後の部分だけは真っ赤なインクで読めず、模様の一部もインクの染みで塗りつぶされていた

 

『汝らの敵である人形達を討て、■■■■■』

 

それをアラマキ達はそれを破り捨てると小さく呟いた

 

「この手の()()()()()()には、いつも手を焼かされるよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

アラマキはそう言うと男達に向かって威圧的な声色でこういった

 

 

「ワシはお前らにいくつか聞きたいことがある……YESなら縦に、NOなら横に、首を動かせ……イイナ?」

 

怒気迫るアラマキの言葉に男達は震えながらも首を縦に動かした




披露宴までいけませんでしたが、次で披露宴そして、祝砲まで行く予定です


最後に個人的なブラック要素を入れましたが……これが個人的な過激派の行動の理由……アブノーマルに操られていたというある意味で超展開をいれました

とはいえ、これぐらいの要素でもなきゃ、過激派が自滅同然の動きをしないと思いましてね
……ちなみに拘束させられていた過激派らしき男達はアブノーマルによって、過激派のメンバーと思い込まされていたバンピーでした

ちなみに、アラマキは作中でもあった通り、この手のアブノーマルに操られた人物を何度も見てきたので、見抜くことができました

そして、最後に一つだけ情報を後悔します
今回、過激派を扇動したともいえるアブノーマルらしき紙はただの呪われたアイテムでこれ自身が意志を持っている訳ではありません


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守護者達に祝砲を:下

外伝集第四弾は、NTK氏の人形達を守るモノhttps://syosetu.org/novel/190134/以下複数との結婚式コラボです

下編は、コラボ元のDG小隊のバレット、レスト、ウェイターとの絡みを重点的に描写した披露宴と祝砲編です

そして、本編とは先行してとあるキャラの隠し情報の一部を公開します


ブーケトスが終わった後、結婚式場とは別の会場で披露宴が始まった。

もちろん、俺達も続けて披露宴に出席する事になり、ケーキ入刀を見届けた後で自由時間となり、テーブルに料理が出され始める。指揮官の酒の嗜好に合わせたのか、俺達のテーブルだけ日本酒も用意してくれると至りつくせりの様子に俺は感激していた

 

グリフィンに民間用人形として入社した時のF02前線基地の一件やBB小隊に仕掛けられた爆弾の一件等助けられてばかりなのに……

で、他の皆はと言うと…

 

「この料理、全部天然食材だよ

「滅多に口できない天然素材の料理をこんなにも食べられるなんて、結婚式に参加できてよかったです」

「このステーキも天然肉ですよ。皆は、夢を見ているみたいです

「M14さん……私達人形は夢をみないんですよ……はぁ、バルカンさんがスミスさんと……」

 

テーブルに並べられた料理と酒に、感激するMP5Fさんとリー、それにM14さんは舌鼓を打っていた。バレットさん達の結婚を祝うよりも披露宴の料理を目当てにしているかのように、彼女達はテーブルの上に出された料理を味わっていた。

出された料理は美味しいと思うけど……披露宴はバレットさん達が主役なんだから、料理ばかりに夢中になるのはどうかと思うが

 

料理に夢中になっている3人とは、対照的に指揮官とパラちゃんは料理と共にこの場を雰囲気を楽しむように周囲に視線を移しながらも料理をゆっくりと口に運んでいた

特にパラちゃんは、普段の彼女からは考えられないほどに上品に食事をする姿は、深窓の令嬢だと錯覚するほどに優雅な物だった

そして、P228さんはいうとブーケトスに失敗を引きずっているのか、無言で料理を口に運んでいた。ブーケトスに失敗したからって、そこまで落ち込まなくても

指揮官が朱塗りの杯に注がれた日本酒を一口飲んで、周囲を見渡すと俺達だけに聞こえるように言った。

 

「MP5FとM14、それにリー、滅多に食べられないからって、ハメを外し過ぎだ。パラを見たいに上品に食事もできないのか?」

「指揮官、だってこんな天然素材だけで作られた料理を食べられる機会はそうそうないんですよ」

「そうそう、食べなきゃ損じゃない」

「でも、料理ばかり目が言っているようじゃ()としてまだまだよ」

 

M14さんがグラスのワインを飲みながら答え、MP5Fさんが頷いた瞬間……後ろからやけに色っぽい女性の声が聞こえてきた。この声はもしかして…

俺達は、声が聞こえた振り返るとそこには、三組の新婚夫婦のアスターさんとバレットさんがいた

それを見たM14さんとMP5Fさんは顔が赤くし、手に持っていた食器を皿に上に置いた。リーは気にせずに料理を食べ続けていたが

二人の姿を見て俺と指揮官が立ち上がって、結婚祝いと前回のBB小隊の爆弾を解除してくれたことに対してお礼の言葉を言った

 

「バレットさん、アスターさん。俺がBB小隊全員を代表して言わせてください。結婚おめでとうございます!! そして、本当にありがとございます」

「二人共結婚おめでとう。そして、この借りはいつか必ず返す……私の部下達もさらにメンタルモデルも実力も鍛え上げてみせる」

「それはレストに言ってくれ。BB小隊の爆弾に気づけたのはレストがS07基地に贈った脅迫のメールをみつけたからな」

 

それからバレットさんとアスターさんは、まだDG小隊がバレットさんとスミスさんの二人だった頃に、俺とF02地区前線基地の仲間を助けてくれた時の事を話題に話した。

 

「その指揮官最低じゃん、基地の人形達にM16を銃殺させようとするなんてなんてクズじゃない」

「うん、いくら人間が好きだからって、あの時は()()()()()が湧きましたよ」

「スミスはヘリアンが止めてなきゃ、奴の額に風穴をあけるつもりだったんだぞ」

 

そして、それからも俺とバレットさん……いやDG小隊との関わりについて軽く話した後でバレットさん夫婦は別のテーブルの方……S09P基地のテーブルの方へ向かった

その際、アスターさんは落ち込んでいたP228さんの耳元で囁いたのだが……なぜか、P228さんが顔を赤くして、彼女を見ていた。

 

(一体に彼女はP228さんに何を行ったのだろう?)

 

俺は気になったが、P228さんが恥ずかし気に俺を顔を見ていたのでこの事は聞かないでおこう

 

その次にあいさつ回りに来たのはレストさんとノアさんだった。

二人を見てすぐに口に開いたのはMP5Fさんだった

 

「二人共結婚おめでとう。私はMP5F、今後とよろしくね、兄さん」

「MP5F……お前は俺の妹になるのか?」

「私も今日まで顔見知りじゃない兄さんの結婚式に参加することになるのは変な気分だけどね」

「じゃあ、MP5Fさんは私の義妹と言う事になるのでしょうか?」

「そういう事になるね……まぁ、よろしく!!」

 

困惑するレストさんと首を傾げるノアさんにMP5Fさんを笑みを浮かべながら、二人を見ていた。

 

まぁ……癖の強い五人姉妹(AR小隊)と姉弟になった事に比べれば、顔も知らない身内が一人出来るくらい大したことじゃないと思う

その後も、ノアさんとレストとの出会いの話や猫耳おばさんの薬でショタボディになった際に話とかBB小隊のメンバー達が知らない事をノアさんと共に語り合った。

まぁ……ショタボディになった時の話はリーが好奇心全開で根掘り葉掘り聞かされたからだからけど……

 

 

レストさん夫婦が彼の友人であるホーテンさん達のテーブルへ向かった後て、最後に俺達のテーブルに挨拶周りにきた新婚夫婦は、ウェイターさんとフィオナさん達だ。

他の新婚夫婦と同じように結婚祝いの挨拶を済ませた後、指揮官がため息を一つ付いた後、真剣なまなざしで彼を見ながら口を開いた

 

「ウェイター、他の二人組が来た時が私の部下達が我先に話すから言いそびれたが……一般にお前達の結婚を公開するとは大胆な事をするな()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()分かっているだろう」

「隊長達と話し合って決めた事です、もちろん、過激派にフィオナを指一本触れさせません……隊長もレストも同じだと思います」

「そう言って大事な者を守れなかった連中を嫌ってほど見てきたけどな」

「カスミ指揮官……」

 

ウェイターさんの決意を秘めた目を見た指揮官に、俺達はただ黙ってウェイターさんを見る事しかできなかった

 

そして、少しの沈黙の後に指揮官が笑い出した。

俺とウェイターは突然の事に、首を傾げると彼女は笑いながら言った

 

「ふふ、ちょっとしたブラックジョークだよ。とにかく、結婚おめでとう」

「指揮官、皆達をドキッとさせないでよ」

 

 

 

披露宴が終わりに近づき、バレットさん達三人の新婦による終わりのスピーチが終わった後で、俺達は会場の外で最後の余興……俺達BB小隊6名による祝砲の準備をするために一足先に披露宴会場の外に出て準備を始めた

 

事前の打ち合わせ通りに、式場を警備していた本部所属のIDWさんから俺達の半身の銃が入ったガンケースを受け取った。

その場でガンケースから愛銃を取り出し、それぞれのマガジンに祝砲用空砲弾が一発装填されている事を確認する。ちなみに、俺達の愛銃に装填された空砲弾頭はペルシカ(猫耳オバサン)がバルカンさんの愛銃(愛砲?)であるM61A2用に開発した花火弾のスケールダウンさせたものらしい

 

その特注弾を愛銃に装填し、指揮官の指示を待っていると隣に立っていたリーが耳元で小さく囁いた

 

「ねぇねぇ、あっち見てよ」

「リー、どうした……あぁ、そういうことか」

 

俺がリーが指差した方に視線を動かした時、リーが言いたいことがすぐに分かった。

リーが指差した方で見た物は、目を丸くしたウェイターさんとフィオナさん、それに意味深の笑みを浮かべるうリバイバーの姿だった。

ウェイターさんが驚くのも無理もない。リーが抱えている半身ともいえる愛銃のMk16、の別名は()()()()()()……特殊部隊向けにFN社で開発された5.56mmNATO弾を使用するアサルトライフルだ

 

そして、ウェイターさんの対応銃であるSCAR-Hは、同じタイミングでFN社で開発されたSCARの7.62mmNATO弾仕様だ。

つまり、リーにとってウェイターさんは義理のお兄さんという事になる……数少ない男性型戦術人形の中でも兄と呼べる人形がいるのはウェイターさんだけだろう

 

驚いたウェイターさんの反応に満足したリーが笑みを浮かべるとパーティドレスの上からグリフィンの制服のジャケットを羽織った指揮官が俺達の前に立った。

それをみた俺達は背を正して、指揮官の指示を待た。指揮官がグリフィンのジャケットを羽織るという事は……俺達にとっては臨戦態勢を取れと同意義だから

 

 

 

そして、数分後……

 

「全員、整列ッ!!」

 

指揮官の号令と同時に、BB小隊長のM14さんと副長のP228さんを中心に俺達BB小隊員達が横に整列する 

 

「構えッ!!」

 

二度目の号令で事前の打ち合わせ通りの方角に向けて、俺達の銃を構える。ハンドガンのP228さん以外はセレクターをセミオートに合わせている……厄払いに使う弾丸は一発で十分

「…撃てェ‼︎」

 

三度目の号令で俺は愛銃の引き金を引く。

 

それと同時に祝砲が夜闇に鳴り響いてから、周囲に拍手が鳴り響いた

俺は招待客と三組の新婚夫婦に向かって笑みを見せた

 

(スミスさん以外のDG小隊の皆さん、どうぞご幸せに。後、スミスさんも()()とゴールインできるように頑張って!!)

 

 

余談だが、俺達BB小隊の祝砲の後に、バルカンさんが愛銃のM61A2で打ち上げ花火の余興をやっていた。

が……なぜか、バルカンさんの表情がポルノ動画の主演女優のような表情でこらえていたのは気になった? 酒の飲み過ぎで義体に不調でも起きていたのだろうか?

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

バルカンが愛銃で打ち上げた花火に招待客と三組の新婚夫婦が歓声を上げていた頃……結婚式場から遠く離れた場所にある酒場でアラマキは、昼間に出会ったハンティング帽を被った老人……ダイスケと酒を飲み交わしていた

 

「結婚式場の周囲で事前に見つけた四つの穴の他にに二つも穴が開いていたとは……それも一つは蓋がほとんど開いていた状態なんだっただろう?」

「あぁ、もしも気づいてなきゃ少なくとも一体の猟奇兵が穴から這い出てくるだったぞ」

 

ダイスケはため息をつき、手にしたショットグラスに入った火酒を煽るとこういった

「アラマキ……やはり、捕らえた過激派は黒いペンキを被っていたのか」

「あぁ、それも書類型のアブノーマルの力で自身を過激派だと思い込まされていた者がほとんどだ」

「ツール系は猟奇兵みたいに自力で増殖したり、異常を発生させる事ができない……今回の過激派の動きには裏があるという事か?」

 

ダイスケの疑問ににアラマキは静かに頷いた

 

「それらをワシらの事を連中に悟られないように動きつつ、潜伏する過激派と猟奇兵の穴を封鎖しなければいけないのがワシらの大変なところだな…」

「しかし、それをしないとこ更なる混乱を招く事を」

「それそうだな……三組の新婚夫婦達の幸福を祈ろうじゃないか、戦友

 

アラマキは共に崩壊液汚染が蔓延する2030年の中国を駆け抜け、時にWW3の戦火を潜り抜けた戦友であるダイスケにそう言うとグラスに入った酒を飲み干した

 

だが、アラマキの心の中には一つの懸念が鉛のように沈み込んでいた

 

(過激派の動きの裏にナニカが動いているの確実だろう。しかし、それが分からない……正規軍でもない過激派に隠れる連中でもない別の勢力が動き始めている)

 

 

 

 

 

三組合同結婚式か数日後……

 

「アラマキが言っていた「過激派の裏に気を付けろ」はこういうことだったの……」

 

ペルシカは自身のパソコンに表示されたそれを見て元々青白い顔をさらに青くしていた

パソコンに表示されていたのは、受信した一通の電子メールであった

 

送り先はIOP傘下の製造工場のパソコンからであったが、ペルシカはそれを送った人間が工場関係者ではない事を一瞬で理解した

工場から送られた電子のメールの内容はたった一文だけだった

 

『君が作った守護者の隊長(バレットM107)の結婚並びに義理の娘(ユノ・ヴァルター)の懐妊おめでとう』




さて、今回で結婚式コラボは終了です

今回、先行公開した情報はリーの戦術人形としての名前がMk16であることです
Mk16……SCAR-Lはウェイターの対応銃であるSCAR-Hと同じSCARシリーズの5,56mm弾仕様です
早い話がリーはウェイターの兄さんということになります


最後に、アラマキの独白で言及された「過激派に隠れる連中」は試作強化型アサルト氏の危険指定存在徘徊中に登場する■■■とその部下達の事を差しています

■■■が開発した兵器は、他者の作品でも登場する兵器……主にP.A.C.S.が登場しています(実際、人形達の守護者にもそれらしき推測される兵器がリバイバーの初任務話に登場しています
それら出所不明の兵器群が正規軍ではなく、人権過激派の手によって運用されていることから、裏で暗躍する存在がいることに気付ています
といってもアラマキは存在に気づいているだけで、■■■やファーニーズの詳細は全くつかめていません(そもそも、P.A.C.S.等の存在に違和感を感じている指揮官や人形達はどれほどいるのでしょうか……

あとがきが長くなりましたが、NTKさんコラボに参加させてもらってありがとうございます

最後に……ペルシカを青ざめさせたメールの送り主が誰かのヒントとなるオマケがあります





オマケ
■■■■将軍と■■■■■教授の秘匿通信ログ

「人権団体の過激派共の多くはグリフィンに自滅同然に壊滅したよ。教授が提供したアレのおかげで扇動も連中にティポーンを渡す事も容易だったよ」
「ふん、本命の人権派団体が例の情報に喰いつかなかった時点で私の策は失敗しているのだよ。アレも子供だましのオモチャにすぎない」
「彼らにとって、過激派は隠れ蓑どころか捨て駒でしかないという事か?」
「その通りだ……むしろ、簡易型とはいえ、私の手駒を多く潜伏させるための陽動になったという点では役に立ってもらったよ」
「……例の勢力を動かすつもりか?」
「時が来ればな……もうそろそろ、ペルシカの元に私の祝電が届いている頃だ」


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その時、人形達は知ってしまった:プロローグ

外伝集発の単独シナリオです

それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! の設定の一部が登場します

それと今回大陸鯖のネタバレネタがでてくるので、注意してください


夕日でオレンジ色に染まるS07地区前線基地の地上部出入り口ゲートの前を二体の戦術人形が警備をしていた。

一人は迷彩柄のチャイナ服が印象的な目つきが鋭い黒髪の人形――03式が両手に彼女の名と同じアサルトライフル――03式自動歩槍を手に周囲に目を光らせていた。

もう一体は、赤みががかった金髪と碧眼、中性的な顔立ちが印象的な茶色のセーラー服を着た少年型人形――Mk16、通称リーである。彼の自身の愛銃であるMk16……SACAR-Lを手に暇そうにあくびを噛み殺しながら、周囲を見渡していた

 

「暇だな……例の監視システムが復活してからここら辺に敵が攻めてくる事がすくなったね」

「Mk16、少しの油断が大惨事につながる事もあるのですよ……」

「だって……大規模な襲撃も去年のS地区大攻勢以来ないじゃん」

 

03式はリーを気を緩めているMk16を戒めるも彼は暇そうにあくびを噛み殺しながら言葉を返すと彼女は更に声を張り上げた

 

「だからこそ、気を引き締めるべきなのです。それこそ監視システムが無力化しても私達をS07地区を護衛できるように鍛錬を積み重ねるべきです」

「いや……それは分かるけど……うん!?」

 

03式が早口で囃し立てるの見たMk16は、彼女にドン引きしつつも彼女を落ち着かせるための言葉を言おうとした瞬間、彼の聴覚センサーが聞き覚えのあるエンジン音を感知し、音のある方へ顔を向けた。

そして、03式もそのエンジン音に気づいて、言葉を止めてMk16と同じ方向を向いた。

エンジン音が聞こえる方を二人を見るとそこには、一台の装甲車が砂煙を上げながら地上部ゲートの方へ向かって走っていた。

 

そして、二人のカメラ性能では判別しにくいがの車体側面部部に二つのエングレムが横並びに描かれている。

一つはPMCグリフィンのエンブレム、もう一つはフチが白線のサクラの花びらと女性の横顔を組み合わせた絵柄――PMCグリフィン・S07地区前線基地のエンブレムであった

 

「あの装甲車はパトロールに出かけた一号車だ」

「どうやら、パトロールから戻ってきたようですね」

 

二人はその装甲車が自分達の所属だと分かるとホッとしたようにその装甲車がゲート前に近づいてくるのをじっと待った

 

―――――――

 

S07地区前線基地はデータルームやIOP社製戦術支援ドローン通称、妖精の格納庫等主要な設備は地下に設けられているが兵舎の一部やサクラが普段のデスクワーク等を行う中央建屋等は地下ではなく地上部に設置されており、戦術人形達が普段の食事をとる食堂も地上部の建屋に設けられている施設の一つである

 

後方担当の人形と人間のスタッフの手が調理、提供する食事は食材こそ合成品が多いが味は保障できる物で、S07地区前線基地の人形や職員達にとっては士気を維持するのに一役買っていた

 

夕食の時間になり、Mk16は湯気が立つスープ皿を乗せられたお盆を持って、普段座る椅子へ足を運ぶと青い作業着を着た青年型人形――M16A4が先に食事をしていた

 

「M16さん、隣いいですか?」

「いいですよ。警備お疲れ様」

 

M16A4が微笑みながら答えるとMk16は彼の隣に座るとスープ皿に盛られたスープを口にする。

それをみたM16A4は思い出したかのように話し始めた

 

「なぁ……リー、最近鉄血の襲撃が異様に減っていると思わない?」

「鉄血自体がS07地区から撤退したからじゃない? 例の監視システムのおかげで鉄血の動きが筒抜けになっているも同然だから、戦線を縮小したとかじゃない?」

「いや、鉄血が撤退したにしても敵の動きをS09P基地が見逃すはずがない……指揮官も気になって、周囲の基地やS09P基地に確認を取ったらここ一週間辺りから鉄血の反応が極端に少なくなっているらしい」

「もしかしたら、他のPMCやグリフィンの秘密部隊が倒したからじゃない? それよりも今はご飯にしよう!!」

 

Mk16は一瞬悩むもすぐに興味がスープに移ると食事を続けるのをみて、M16A4はため息をついた。

 

「リー……分かった。この話は食事の後にしょうか」

 

M16A4はそう言ってテーブルの上に置かれた皿に盛られた人造豚肉のボークソテーの一切れを箸で掴んで、口へ運びながら先ほどリーに切り出した鉄血の不自然な動きについて考え始めた

 

(リーが言う通りに他のPMCか秘密部隊がS07地区の鉄血を掃討したとしてもS09P基地がそれを見逃すか?)

 

M16A4は食事をしながら、ここ最近の鉄血の不自然な動向について考えるも判断材料が少なすぎて正解だと思う結論に達する事ができなかった

彼が鉄血の奇妙な動きについて考察をしている間、Mk16はスープ皿に盛られた野菜とベーコンなどの具がたっぷり入ったスープを美味しそうに食べていた。さきほどの彼の話題よりも食事の方を優先したいように

 

「M16、考え事もいいけどさ。早く食べないと料理冷めちゃうよ」

「……リー、君って民間人形だった頃から変わってないよな」

 

M16A4は呑気な彼を目にするとため息をつくとポークソテーを食べ始めた

 

 

 

―――――――

 

 

翌日、S07地区前線基地中央建屋の地下に存在するミーティングルームにはS07地区前線基地の主であり、M16A4とMk16の指揮官でもあるサクラ・カスミとS07前線基地に所属するすべての人形達が集まっていた

 

「私の人形達……S09P基地からポイントF2に進行中の鉄血の部隊を発見したとの報告が届いている。予想ルートから敵はポイントD1――メメントス三番街に向かっているそうだ」

「メメントス三番街!?」

「そうだ、メメントス三番地下街にはS09地区やS13地区方面に伸びている物資輸送用のトンネルの入り口だ。そして、D2ポイントの廃都市区画で移動中の敵を殲滅する」

 

サクラの言葉を終えるとディスプレイに表示された予想される敵戦力の編成情報に戦術人形達は息を飲んだ。

 

侵攻部隊はリッパ―やヴェスピド等の下級人形以外に、イージスやマンティコア等装甲兵、支援砲撃型機械兵器のジャガーで攻勢されていた。

だが、M16A4達S07前線基地の人形達が唖然とした理由はそれらを率いるハイエンドであった

 

「ボス……あたしの目がおかしいのか? 鉄血を率いているのがゲーガーと書いているぞ?」

「残念だが、S09P基地の監視システムは正常だらしい」

「確かゲーガーって、S09P基地に投降していたハイエンドじゃなかったの!?」

 

S09P基地から伝えられた情報で、鉄血の侵攻部隊の指揮官がゲーガーであることに薄紫色の短髪の人形――トンプソンがデイスプレイの表示を胡散臭そうに視線を移し、その隣で赤フチのリボンを結った金髪碧眼の人形――MP5Fは動揺を隠せなかった

 

【ゲーガー】とは、かつて寒波吹き荒れるS03地区内で展開された【低体温症作戦】後に鉄血を離反し、現在S09P基地預かりとなっているハイエンドモデルである。

グリフィンに寝返った後、自立モードで運用されているダミー以外に目撃情報がないために、「鉄血はゲーガーモデルの再生産を行っていない」のがヘリアン上級代行官の見解であった

だが、S09P基地が探知したゲーガーの反応は自立行動のダミーではなく、メインフレームの本人であった。これは、同時期に鉄血を離反したハイエンドモデル【アーキテクト】による照会でも侵攻部隊の【ゲーガー】がダミーではないと確証されたとサクラは人形達に伝えるとM16A4が手を上げた。

 

「どうした、M16A4?」

「侵攻部隊のゲーガーが再生産されたのはでなく……S09P基地のゲーガーが再び鉄血に戻った可能性はありませんか?

「M16さん!?」

 

凄まじい形相を受かべるM16A4を隣で見たMk16が肩を震わせた。

彼の言葉からは明らかに殺意と憎悪が滲み出しており、その場にいた人形達が彼の言葉に凍り付くもサクラは冷静に諭すように口を開いた

 

「安心しろ……S09P基地に確認させたが間違いなくグリフィンに投降されたゲーガーと侵攻部隊のゲーガーは別個体だ。S09P基地が嘘をついてないければな」

「分かりました」

 

サクラの言葉を聞いたM16A4が落ち着くのを見てから、サクラは言葉を続けた

 

「よし、これより出撃させる部隊と編成内容を説明するからよく聞け……」

 

サクラが出撃させる小隊と編成内容を話し始め、M16A4達戦術人形達はそれを真剣な表情で聞いていた

 

 

 

 

だが、人形はまだ知らなかった。

 

白の兵士達が鉄血の侵攻部隊の通過地点である廃墟区画に潜んでいた事に

 

M16A4達が戦場へ向かう頃には鉄血部隊は指揮官のゲーガーも含めて白の兵士達によって殲滅されていた事に

 

彼らは自身を見た者を必ず消す事を……

 

 

その日、人形達は知ってしまった――自分達を脅かす敵が鉄血だけでない現実に




まぁ……大陸版のネタバレ情報を知っているか。ヴァルハライベをやった事がある人は分かると思います
白の兵士達が何をあらわしているのか?


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その時、人形達は知ってしまった:1

MALE DOLLS番外集:その時、人形達は知ってしまった編の二話目です

さて……M16A4を始めとするS07地区前線基地の面々が対峙奴らとの会敵する瞬間が来ます


S07地区に存在する廃棄都市の一角で、黒いインナーの上に白い装甲を纏った人型は自身の足元で地に伏せているモノを無言で見つめていた。ソレの頭部はヘルメットのバイザーに覆われて表情しているのが分からないが、手にしたライフルを地面に伏しているそれに向けていた

 

白い人型が握るライフルの銃口の先には上半身だけとなり、白い肌や銀色の長髪を自身の人工血液で赤く染め上げた鉄血ハイエンド:ゲーガーが仰向けに倒れて、人工血液の海を作っていた。

仰向けに倒れるゲーガーの瞳に光は灯っておらず、ただ夜が明け始めた空をガラス玉のように映すだけだった

 

白い人型は動けなくなったゲーガーに向けて無言で光線をライフルから放つとゲーガーの胸部を撃ち、トドメを差した

そして、白い人型は視線をゲーガーから周囲の散乱する鉄血人形や装甲兵の残骸とその周囲に立つ白い人型を更に簡略させたような外見をした白い人型に視線を移すと肩をすくめながら電子音声でこうつぶやいた

 

「掃除完了……ハイエンドモデルとはいえ所詮は鉄血か……()()()()()()()()がしないナ」

『ケントゥリオ……作戦区内ノ敵反応ナシ。次ノ司令ヲ』

「そうか……じゃあ、いつも通り反認識信号を発信しつつセーフゾーンに戻るゾ。ドッペルはデカイから地下貯水池跡に潜伏させ『警告、作戦領域周辺ニ戦術人形部隊ヲ確認!!』

 

ケントゥリオと呼ばれた白い人型が別の白い人型に指示を出そうとした瞬間、彼の脳内に目の前の人型とは別のキーが高い電子音声が響き渡った

それに気づいたケントゥリオは舌打ちをすると声の主に向かって思念を飛ばし始めた

 

「クソ、反認識信号はストレレットならともかく、図体がデカイドッペルは攪乱しきれん……ドッペル、敵の規模を教えロ」

『固有反応ノ数カラ三個小隊規模、ダミーリンク数ハ4相当ガ大半デス……迎撃シマスカ?』

「無論だ……総員擬装IFFを鉄血のまま、メインストリート周辺に身を隠セ。鉄血が動いているように見せロ。ドッペルはその場に待機しロ」

 

ケントゥリオの指示を出すと周囲の白い人型――ストレレット達は周囲に散開し始めた。

ストレレット達が動くのを見ながら、ケントゥリアが機体の念を込めた電子音声に漏らした

 

「さてさて、今度は掃除(口封じ)じゃなくて戦争(コミュニケーション)をやらせてくれよ」

 

 

 

S07地区ポイントD2に存在する廃墟街に到着した俺達はBB小隊は廃墟街の違和感に気づいた。

今回の編成は俺に、リー、MP5Fさん、パラちゃんことAUGパラ、そして隊長のM14さんで、副長のP228さんが作戦ごとに編成される混成小隊――E01小隊の隊長として、別の小隊に配属され今回の作戦に参加している。

 

事前情報じゃ鉄屑共と会敵してもおかしくない場所まですすんだのに一行に敵が姿を現さないのだ。

 

俺達BB小隊は大通りだったであろう瓦礫だらけの道を自身のダミーと共に陣形を組みながら、周囲に銃口を向けながら進んでいるとリーがMk16を構えながら怯えをにじませながら口を開いた。

 

「いくらなんでもおかしいよ……指揮官の話じゃもう戦闘になっているおかしくないようよね!?」

「皆も分からない……先行しているはずのE01小隊やTR小隊も戦闘に入ったという連絡はない」

 

リーの疑問に頷いた俺達BB小隊長のM14さんも今回の異常さに首を傾げていた。

MP5Fさんやパラちゃんも異様な静寂に恐怖をかんじているのか一言も発さずにただひたすら各々の銃をの握り占めるだけだった

 

その時、俺達の左斜め後ろの位置に立っているパラちゃんが大声を上げた

 

「みんな、こっちに来て!!!」

「パラちゃん、どう……な!?」

「これは……一体何が」

「嘘でしょう!?」

「マンティコアが黒焦げに……」

 

パラちゃんは俺達が集まってくるのを見ると今いる通りの置く方を指差し、俺達がその方向を見るとそこに転がっている者に俺達が言葉を失った

パラちゃんにに指差した方向にあったモノ……それ真っ黒に焼け焦げた鉄血の四脚装甲兵器マンティコアの残骸だった。それは辛うじて原型を留めていた脚部を見なければその残骸がマンティコアだと分からないほどに破壊されていた

その周囲には原型をほとんど留めていない鉄血人形や機械兵器の残骸が多数散乱していた。

 

そして、それがRF型やMG型が使用する専用徹甲弾やグレネード弾ではなく、もっと大口径……それこそ戦車砲の対戦車榴弾か対戦車兵器の直撃によるモノだとすぐに分かった

 

それを見た、リーが顔を真っ青にして叫んだ

 

「まずいよ、僕達以外の勢力がこの廃墟に隠れているんだ……それも重火器を持った奴らだよ」

「M14、この事を指揮官に報告しないと!?」

「わかったわ、すぐに……ッ、散開!!!」

 

MP5Fさんの言葉にM14さんが遠く離れたS07前線基地に連絡を入れようとした瞬間、無数の閃光が俺達へ殺到した。

M14さんの号令を発して、俺達はとっさに左右に散開し、近くの瓦礫等に身を隠すも俺とM14さんのダミー達が逃げ遅れ、胸や頭を撃ち抜かれて地面に倒れてしまった

俺達は少しだけを顔をのぞかせるとそこにはIOP社の軍事用人形でも鉄血人形とも違う白い戦術人形らしきナニカが数体がアサルトカービンを構えながらこっちに近づいてくる

 

「皆のダミーが二体やられた!!」

「M16のダミーも一体逃げ遅れたみたいだよ。M16は大丈夫?」

「大丈夫ですが、M14さん、通信は出来ますか?」

「だめ……通信妨害のせいで指揮官に連絡がとれない」

 

M14さんが首を振るのを見て、リーが不安な声色で口を開いた

 

「あいつら人形よね? 強化装甲服みたいな物を身に付けているけど……鉄血の新型?」

「分からない……けど、敵には違いないですね」

 

俺がそういうとMP5Fさんが不敵な笑みを浮かべながら言った

 

「だったら、やる事は決まっているね」

「襲ってきた白い人形を全部壊して先行しているTR小隊やE01小隊と合流だね」

 

MP5Fさんにリーが答えると俺達はうなずき、それぞれの愛銃を構えるとM14さんはすぐに俺達に指示を出した

 

「よし、皆の合図でリーがグレネードを発射後に、一斉射撃で敵を一掃する。いいね?」

「任せてよ!!!」

「うん、分かった」

「いいよ、アイツら全員、丸焼きにしてやるんだから」

「分かりました……みんな、行くよ!!」

 

M14さんの指示に俺達が頷くとMP5Fさんとパラちゃんがダミーと共に瓦礫の影から飛び出す体勢をとり、リーは自身の愛銃の下部に取り付けたFN40GLグレネードランチャーに榴弾を装填し、ダミーと共にこっちに近づいてくる白い人形に標準を合わせる

 

そして、俺と銃剣を付けた愛銃を手前の白い戦術人形に狙い定める……そして、俺の背後でM14さんが無言で手を振ったのを合図にリーが瓦礫から身を乗り出すと同時にダミー4体と共にグレネードランチャーを発射し、放たれたグレネードは白い人型の足元に着弾と同時に半数近くを吹き飛ばした。

 

それを合図にパラちゃんとMP5Fさんが瓦礫から身を乗り出すとグレネードの直撃を受けて、半壊状態で倒れている白い人形に向かってパラちゃんは愛銃のフルオート射撃を叩き込んで奴らにトドメを差す

それと同時に、MP5Fさんは手に持った焼夷榴弾をグレネードを避けた白い人形に投げつけ、白い人形達を火ダルマにするのと同時に俺とM14さんがダミーと共に一斉射撃を浴びせて敵を蜂の巣にする

 

だが、白い人形も怯まず、手にした光学式アサルトカービンで反撃してくるも瓦礫を盾にして敵の光線を凌ぐとすぐに俺達のダミーと共に反撃を開始する

 

俺は白い人形と銃撃戦を繰り広げる中で、目の前の敵の正体が気になってしょうがなかった。

 

 

 

(IOP社でも鉄血工造でもない……こいつらは一体何者だ?)




今回登場したオリジナル敵の解説は次回にします

おそらくですが、グリフィン所属戦術人形部隊として白いヤツらと激突したのって、ハーメルン界隈じゃここが最初になりましたね(まぁ、グリフィン所属という条件を除けば、先に白いヤツらと戦闘を行った所もいるんですがね


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その時、人形達は知ってしまった:2

MALE DOLLS番外集:その時、人形達は知ってしまった編の3話目です

今回は三人称メインで、S07地区前線基地の人形達と謎の白い勢力と銃撃戦を描写します


BB小隊が戦闘を始めてから十数分後、BB小隊がストレレットの一群と遭遇した大通りから少し離れた廃墟が密集する元は住宅街だった場所で、P228が率いる臨時編成小隊のU01小隊と眼鏡をかけた金髪のRF型戦術人形SRSが率いるTR小隊もストレレットの一群と遭遇し、銃撃戦を繰り広げていた

 

だが、U01小隊とTR小隊が遭遇したストレレット部隊は、BB小隊と遭遇したソレより数倍近い数で彼女達に襲い掛かってくる。

さらに、武装もカービンライフルだけでなく、旧世代のスナイパーライフルや実弾式軽機関銃で武装した個体も存在し、銃撃を浴びせていた

 

だが、彼女達もBB小隊と同じく激戦区であるS09地区やELID等の目撃談が多い汚染区のS04地区の等危険地域と隣接するS07地区の一角を護るサクラ指揮官の指揮下の人形であり、ダミーを撃破されながらもストレレット部隊と渡り合っていた

 

「皆さん、無駄弾を撃たないように気を付けて!! G36Cさんとトンプソンさんはフォースシールドの起動タイミングに気を付けてください」

「OK、リーダー!! ダミー共弾幕を貼りな」

「了解しましたわ。数も多いがそれだけ……ですわ!!」

 

G36CとトンプソンがP228の号令に答えると各々が手にした銃で弾幕を貼り、ストレレットの大群を牽制する。

そして、二人の弾幕でストレレット達が動けない隙を付いて、彼後方の位置する瓦礫に身を隠していた猫の飾り付きカチューシャをはめた薄オレンジ色の髪の小柄な人形のT65と黒い軍服と軍帽を身に付け金髪碧眼の人形――StG65が攻撃に加わる。

 

「StG65、今だよ!!」

「了解しましたわ、喰らいなさい!!」

 

T65はダミー共にフルオート射撃を叩き込むのと同時に、StG65は愛銃の銃口にはめたライフルグレネードでストレレット達を吹き飛ばす。

 

「やりまし「StG56さん、まだ一体残っています!!」」

 

T65の掃射とStG65のライフルグレネードを逃れた一体のストレレットがStG65に銃口を向けているのに気づいたG36Cが銃弾をばらまき、ストレレットを銃撃を妨害する

そして、その隙に弾幕と爆炎に紛れて接近したP228が右手に持った脇差型特殊鋼ブレードにその首に位置する装甲の隙間を貫かれ、機能を停止させた

 

「申し訳ありませんわ。一体仕留め損ないましたわ」

「StG65さん、気にしないでください。BB小隊が先ほど「遭遇した敵を殲滅し、TR小隊と合流した」と言ってましたけど……TR小隊の掩護に向かいましょう」

 

StG65の謝罪にP228が突き刺したブレードを引き抜きながら答えると未だ銃声を聞こえる方へ駆けだすとその場にいた人形達もP228の後を追っていく

 

 

 

P228が率いるU01小隊がストレレットの一群を一掃したのと同時刻、数mほど離れた場所で廃墟ビル等に身を隠したSRSが率いるTR小隊はつい先ほど、増援にきたBB小隊と合流し、ストレレット達と交戦していた

 

「右の崩落した家屋の影に二体に隠れているよ、距離20m」

「了解、ワタクシからすれば、ただの烏合の衆……0点(不合格)ですわ」

 

観測手である双眼鏡を覗く長い赤毛をツインテールに結った戦術人形――アストラが建物の影に隠れている敵の位置を伝えると同時にSRSが自身のダミーと共に愛銃のスコープを覗くと同時に引き金を引くとM16A4を不意打ちを掛けようとしていた数体の(ストレレット)の頭部がはじけ飛んだ。

 

 

チェコの民族衣装を身に付けた戦術人形――ファルコンが自身の名と同じ対物ライフルに弾丸を装填しながら口を開いた

 

「数もおおいけど……一体ずつだと雑魚もいいところだし、ただ弾幕を貼るだけで動きも全然だめだね。アッホイ!!」

「こんな奴らに鉄血が全滅するなんて……ワタシ信じられないよ? 鉄血もワタシ達を甘く見ていたのかな……ファルコン、今ので最後だよ!!」

 

ファルコンがライアットシールドを構えながら突撃する最後のストレレットをシールドごと撃ち抜くのを双眼鏡ごしに見たヘルメットをかぶったピンク髪と首に巻いたドクロスカーフの人形――ブレンテンが気が抜けたような口調でぼやく

 

彼女達の背後でブレンテンのボヤキを聞いた黒の旧ナチス親衛隊の軍服を軍服を着こなした金髪の人形――MP40が首を傾げる

 

「けど、白い人形の光学式アサルトカービンで、イージスを破壊することは無理だと思います。伏兵の可能性も考えた方がいいじゃないでしょうか?」

「確かに……ブレンテンはダミーと共にBB小隊と合流して、周囲の索敵をお願いしますわ」

「分かったよ。かくれんぼは得意だから、すぐに見つけるよ」

 

MP40の提案を受け入れたSRSの指示を受けたブレンテンが二つ返事で頷いた瞬間、その場にいたTR小隊全員の電脳にサクラの声が響き渡った

 

『BB小隊、TR小隊、U01小隊、こちらS07基地!! 聞こえているなら応答してくれ!!』

「指揮官様、こちらTR小隊です」

『M14よ、聞こえるわ!』

『こちら、P228。U01小隊は全員無事です』

『全員無事か……M14、通信が断絶してから復旧するまでに起きた状況を報告しろ』

 

今まで断絶していた断絶していたサクラとの通信が復活した事にS07基地の面々は安堵の表情をにじませた声で答えるのを聞いて、サクラもほっと胸をなで下ろした。に先ほどの声を荒げたのと一変して、冷静な口調で戦況を把握しようとM14に状況報告を命じた

 

『指揮官、鉄血とは別の武装勢力らしき白い軍用人形らしき兵器と会敵……』

『正体不明の大型兵器兵器を確認、総員退避!!!』

「SRSさん、逃げて!!!!”」

「MP40……!?」

 

M14が自分達と交戦した白い人形――ストレレットについて話そうとした瞬間、TR小隊の周囲を警戒していたMP40とMk16の叫び声にSRSが反応した瞬間、強烈な爆炎と衝撃がTR小隊の人形達を飲みこんだ

 

 

 

 

 

さきほどまで回復していた通信が再び断絶し、人形達の前線は再び反認識の霧に覆い隠された(サクラ指揮官が見る事できなくなった)

 

 




最後にTR小隊を吹き飛ばした爆撃の下手人は……白の勢力である意味個人的な過去イベント二大トラウマの一つです(もう一つは特異点のエージェント……メギラドンはもう嫌ですorz)

最後に今回登場したS07基地の人形部隊と今回登場した白の兵器について補足ですね

TR小隊
SRSを隊長に主力のRF型とHG型を中心に構成された狙撃戦を主眼とした戦術人形部隊
BB小隊と同じく任務の狙撃対象に応じて、出撃する人形を変えている
今回は、対装甲人形やマンティコアとの戦闘を視野に入れ、対物ライフルのファルコンと観測手と周囲警戒要因として、アストラとブレンテン、MP40を参加させている

名前の由来はサクラが愛読している創作都市伝説集に登場する「時を超える弾丸を放つ拳銃」から

E小隊
蝶事件前にサクラの教育を担当したアラマキ元指揮官の戦術方針を元にした作戦ごとに編成された戦術人形小隊

サクラが隊長候補に選んだ人形を中心に作戦ごとに人形を配置し、BB小隊やTR小隊等ネームド小隊員がE隊長となるケースも多い
今回は、TR小隊の前衛を意識し、出撃メンバーから外れたP228を中心にAR型とSMG型を中心とした編成である

名前の由来は上記の創作都市伝説集に登場する専門用語でもある数学者の頭文字から



今回登場した白の勢力の兵器について

・ストレレットM
詳細不明の白の勢力が有する軍用人形(?)のストレレットの簡易モデル
ストレレットその物はIOP社製や鉄血製を超えるスペックを有しているが、制御系中枢を中心に特殊技術の塊であり、本格的介入前に技術解析を避けるために普及している人形技術で再設計されたモンキーモデル

制御中枢を中心に闇市場に流れた、もしくは廃棄された自立人形の電脳を流用したために大幅に性能が劣化した
特にストレレット特有の自律性と性能の両立という強みは事実上消失している

ストレレットの特異個体であるケントゥリア及び幹部人形である■■■の指揮下でもオリジナル以下であり、自律状態では正規軍兵士から「装甲服を着たカカシ」とも嘲笑される有様であり、白の本格介入以降はこのモデルは確認されていない


・ケントゥリア
ストレレットを製造する際に、■■を■■■■する際にあえて自我を残した状態で製造されたストレレットの亜種
通常のストレレットが持っていない素体特有の技能を生かすための改造が施されるケースが多く、BB小隊が遭遇したストレレットM部隊を指揮するケントゥリアもその特異改造が施された個体である

名前の由来はローマ帝国軍の百人隊から


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その時、人形達は知ってしまった:3

現在、コラボ中ですが……ちょうど書き溜めていたので白い武装勢力編を投稿します

9m近い巨大ロボット相手に人間が勝つのは難しい
ロボットの手に銃火器が無いという前提だが……


「な……何が起きたんだ?」

 

SRSさん率いるTR小隊の狙撃ポイントが爆破されたのを俺の電脳の処理が追い付かず唖然するしかなかった。あの爆発でTR小隊は狙撃ポイントごと吹き飛ばされたのは明白だった

俺の周囲にいた仲間達も突然の事に呆然とする中で、顔を真っ青にしたリーが叫んだ

 

「みんな左のビルの影に何かいる……すごくおっきいのが!!!」

「左のビル……え、なにあれ?」

「う、嘘でしょう……化け物!?」

(あれは……なんだ? なぜアレに気づけなかったんだ!?

 

リーが指差した方向を見た瞬間、俺達はそれに恐怖を感じた

隣にいるMP5Fさんは恐怖で目を見開きながら震える手で愛銃をそれに向けるだけしか聞出来ず、StG65さんやT65に至っては恐怖でその場に立ちすくんでいた

 

この場にいた俺達を恐怖を叩きつけ、TR小隊を一掃した元凶……その姿は一言でいうなら俺達の倍以上の巨体を誇る白い二足歩行型砲台だ。

胸部正面に備わった一つ目のようなセンサーユニット、胴体部上部……人間なら首に当たる部分に搭載された長砲身の戦車砲、両手の肘から先が頭部のそれよりも小口径の副砲らしき大砲が印象的だった

 

鉄血との戦闘による物か黒く焦げている部分も各所にも見えるもそれを気にせずに俺達の方にゆっくりと近づいてくる

それを見るや否や俺達はダミーと共に一斉に銃撃を仕掛けるも人型砲台の白い装甲に阻まれ、跳弾するだけで歩みを止められなかった。

 

そして、俺達が立っている場所まで十数メートルまで近づくと立ち止まると同時に両腕の副砲を俺達の方へむけた。それを見た瞬間、俺達もTR小隊と同じように跡形もなく吹き飛ばされるのだと想い、俺は足がすくみ……死を覚悟した

 

(だめだ……一回休みか!!)

「砲撃が来る!!総員、散開!!!」

 

そう思った瞬間、俺の聴覚モジュールにM14さんの号令が届いたのと同時に、とっさに近くの瓦礫の影にリーと共に逃げ込むと同時に、複数の爆音共に爆風に衝撃が吹き荒れ、爆音と俺達の悲鳴が周囲に響き渡った

「ウワァァァァァッァァァァ!!!!!」

「キャアアアアアアア!!!!」

 

 

爆風が収まるのを待ってから瓦礫から顔を覗くと俺達が立っていた場所は、近くに会った瓦礫や廃墟等は吹き飛ばされて更地同然になっていおり、逃げ遅れたダミー達の残骸が散乱した

そして、あの白い人型砲台はその場に仁王立ちしたまま、両腕の副砲を着弾地点に向けていた

 

俺を含めて、この場にいるBB小隊とU01小隊全員のダミーをすべて喪失していたのだと確実に理解した。

俺達の銃撃は装甲に阻まれ、カスリ傷程度にしかならないのに、奴の副砲の一撃さえ俺達を簡単にふきとばせるのだとすぐにリカ舌

 

「くそ……攻撃が通用しないよ……どうしよう?」

「リー、今弱気になるな、きっとどこかに弱点があるはずだ」

「でも……」

『BB小隊、U01小隊のみんな聞こえる!!』

「M14さん、聞こえるよ!」

 

不安げなリーの反応と同時に俺達の電脳にM14さんの声が響き渡るのと同時に、リーが力強く答えると俺も彼女の問いかけに応じる

 

「俺も聞こえるよ」

『MP5F。私もパラもまだ戦えるよ』

『P228です。U01小隊はさっきの砲撃で全員負傷している……特に私とAR型の二人は援護射撃はともかく、動き回るのはちょっと難しいです」

「分かった……みんな、反撃するわよ。U01小隊で動けない者はデータリンク、銃を討てる子は援護射撃でBB小隊の支援をして!!」

『でも、私達のダミーは全損の上に私達の銃じゃあいつの装甲を撃ち抜くのは無理だよ。私の焼夷榴弾やリーのグレネードも通用しないわよ。まちがいなく、今度は主砲で一掃されるよ』

「うん……M14さんがあいつの目玉みたいな部分を狙い撃ちするの?」

(確かに……リーのグレネードでも通用しないなら、目玉のようなセンサーユニットを狙い撃つしかんそ)

 

MP5Fさんの弱気な発言に俺は疑問を感じた。俺の思いつく限りじゃ装甲兵器を倒し方のセオリーである非装甲部のセンサー部分を狙い撃ちだが、奴に通用するか……怪しいところだ。

ところは、M14さんの口から予想外もしない言葉ができました

 

『白い奴は()()()()()()()()()()……そこをつくのよ』

『ミス……あ、パラ分かったよ』

『みょ、そういうこですか……白いのは確かに確認をしていませんね」

『パラを思ってる通りよ……じゃあみんなもよく聞いて!!』

 

パラちゃんが納得したのと同時にM14さんが語った作戦とその直後に電脳に響いた声を聞いた瞬間、俺は度肝を抜かれた。

確かに、彼女の半身である銃の口径と特技(スキル)なら奴の装甲が黒く損傷している部分を狙えば、確実に撃ち抜くことはできるだろう……彼女が無事で本当によかった

 

M14さんの作戦を聞いて、俺は隣のリーの顔を見ると彼の顔に先ほどまでの怯えは無かった

 

「リー、行けるね?」

「もちろん……M16も準備イイね?」

「もちろんさ……行くぞ!!!」

 

リーが頷くと同時に、俺達の電脳内にM14さんの号令が響き渡った

 

「みんな、作戦開始!!!!」

「ワッショイ!!!!!!」

「バイツァダスト!!!」

彼女達の号令と共に俺は叫びながら、M16A4をフルオートで目の前の白い人型兵器に弾丸を叩き込む



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その時、人形達は知ってしまった:4(終)

白い武装勢力編の最終話です
今回で、白い勢力の巨大兵器……ガンダムとの戦いが決着がつきます

忍者は隠れる者でない……騙す者である



白い二足歩行型砲台とM16A4達との戦闘をケントゥリアは主戦場である住宅街を見渡せる廃マンションの屋上から高みの見物同然に観察していた

 

「ほう……あのM14、ドッペルゼルドナーに怯みもせずに号令を出すとは……鉄血人形(エリザのオモチャ)共とは違うナ」

 

ケントゥリアは自身ががドッペルゼルドナーと呼ぶ白い二足歩行型砲台のセンサーユニットと自身の視覚と同調させながら、戦闘の様子を見ながら呟いた。フルフェイスヘルメットのバイザーで覆われているが、自身の願望を押さえているのが彼の声から察するのは容易であった

 

(できれば、ドッペルは待機させたまま俺自身が戦いかったが……俺の雇い主で機密保持で直接戦闘を禁じられているから……!?)

『敵性対象ヲ視認、攻撃ヲ開始スル』

「ワッショイ!!!!」

「バイツァダスト!!!」

「いくよ!!!」

「ブタのように泣かさせてあげるから!!」

「くたばりな!!!」

 

ケントゥリアがある種の妄想に沈みかけていた時、ドッペルゼルドナーの簡易AIのシステム音で現実に戻された彼が見たのは、左右から瓦礫から飛び出したM14とP228を除くBB小隊とU01小隊のうち、トンプソンとG36Cが叫び声を上げながら瓦礫から飛び出し、ドッペルゼルドナーに銃撃を加えながら突撃する姿だった

 

「バンザイアタック……いや、奴らは囮か。本命はどこかに潜んだあのM14がセンサーユニットを狙い撃つつもりか、面白い」

 

ケントゥリアはそう呟くと独自回線でデータリンクを結んでいるドッペルゼルドナーのセンサーを間借りしながら、M14の潜んでいるであろう場所を探していた。

 

(どこだ……M14(本命の戦術人形)はどこにいる?)

 

ケントゥリアが戦場をサーチしている間にドッペルゼルドナーが両腕の副砲をBB小隊やU01小隊のうちめがけて発射するも周囲を瓦礫や障害物を利用もしくは、トンプソンとG36Cが展開するフォースシールドで砲撃を防ぎつつ、M16A4達は銃弾やグレネード、焼夷手榴弾等で攻撃を加える

だが、ドッペルゼルドナーは彼らの銃撃にピクリとせずに、攻撃を受けた状態で副砲から小型の榴弾を短い間隔で連射していくなかで、パラが榴弾の至近弾を受けて、右足を吹き飛ばされ地面に転がる

 

「パラちゃんがやられた!!」

「チッ、奴はまだ撃たないのか……俺達の弾薬や義体のバッテリ―も長くはもたないぞ。」

「これで最後のグレネード!マガジンも装填している分で最後だよ」

 

トンプソンが舌打ちをするのと同時に彼女の背後から飛び出したリーがグレネードを発射し、ドッペルゼルドナーの左足に着弾するもまったく動じる副砲で反撃し、放たれた榴弾がリーとトンプソンの近くに着弾し、二人を爆炎が包み込んだ。

爆炎が経ち超えると手足を失ったトンプソンと人工皮膚が焼けただれ、服が焼け落ちたMk16を見たM16A4が二人の方にめがけて叫んだ

 

「リー、トンプソンさん…ウギャアアア!?」

「M16さん、あぶない!!」

「M16、逃げて!!」

 

G36CとMP5Fの叫びに気づいたM16A4はドッペルゼルドナーの蹴りを迫ってくるのに気づくととっさいに避けようとするも間に合わずに、敵の蹴撃をまともに受け、廃墟の壁に叩きつけられる

 

ドッペルゼルドナーの蹴撃をまともに受けたM16A4は全身から人工血液を流しながら、意識を失って地面に倒れるのをみたドッペルゼルドナーは止めをさすべく、右腕の副砲を彼に向けようとする

 

その瞬間、ケントゥリアはドッペルゼルドナーのセンサーを通じて南東の方向にある廃車の影から身を乗り出したM14を見つけるとすぐに司令を下した

 

『ドッペル、南東から20mの廃車の影に隠れている人形に変更、主砲で吹き飛ばセ!!』

『了解、攻撃対象ヲ変更、主砲発射用意』

 

ケントゥリアのネットワークから命令を受理したドッペルがM16A4からM14に攻撃対象を変え、ドッペルゼルドナーを狙い撃とうとするM14を正面に捉えるたが、M14はそれを見たは臆するどころか、勝利を確信したように言い放った

 

「私達の勝ちよ!!」

 

M114の勝利宣言とも言える言葉と共に三つの銃声が響き渡るや否やドッペルゼルドナーの背面に三つの弾痕が刻まれ、その直後に小さな爆発音が三つ立て続けに鳴り響くドッペルゼルドナーは主砲を発射することなく、その場に膝をついた状態で機能を停止させた

 

 

「リンクアウト……義眼を通常視界に切り替え………!?」

 

ドッペルゼルドナーとのリンクが途切れるとほぼ反射敵意に、彼はすぐに自身の義眼を通常モードに切り替えて屋上から乗り出して戦場となった住宅街を除いた瞬間、彼は唖然とした。

 

三つの弾痕が刻まれた箇所には、ドッペルゼルドナーの制御中枢ユニットが内蔵されている場所であった。

 

「バカな……あのM14の位置ではドッペルの背面を狙撃する事は……は!?」

 

ケントゥリアは自身の不安を払拭するためにに住宅街でもひときわ目立つ高い廃ビル――TR小隊の狙撃ポイントを義眼を望遠モードに切り替えて、サーチする。

無数の瓦礫とTR小隊のメンバーであったであろう戦術人形の残骸が散乱する中で、ほぼ衣服はおろか、人工皮膚すら焼け落ちて内部骨格を露出させるほどの重症を得たファルコンが自身の半身である同盟の対物ライフルを見た瞬間、自分の不安は的中していた事を悟った

 

すなわち、BB小隊はおろか、決定打を与えらえる可能性があったM14すら囮。本命は先ほどの砲撃を辛うじて生き残った対物ライフルのファルコンによる狙撃であったことに。

 

 

「鷹の目と12.7mm徹甲榴弾は……得物を逃がさないから……M14、君の作戦通りうまく行った……これでみんなの仇を討った……」

 

ファルコンは朦朧とする意識の中で、白煙を上げるドッペルゼルドナーをスコープ越しに除きながら微笑むと同時に、意識を失った

 

 

―――――――――

 

 

一方、ケントゥリアの方はファルコンが倒れる所を見た瞬間、茫然とした。自分が砲撃成果の確認を怠ったという大失態をしていた事が信じられないのか、バイザー越しに見えない表情でも彼の電子音声に恐れと恐怖の表情がこもっていた。

 

「俺は……戦争が出来る事に高揚して、砲撃の成果の確認を怠った……オマケに、ドッペルゼルドナーを撃破された……!?」

 

ケントゥリアは自身の失態に唖然としていると彼の脳内にノイズと女性の声をごちゃまでにしたような電子音声が響き渡った

 

「ケントゥリア・H、すぐに担当戦区内の補給線を遮断し、離脱しなさい」

「補給線の遮断はともかく、撤退しろだと? 「目撃者はすべて消せ」が雇い主からの命令だったじゃないのカ?」

「あなたの質問に答える義務はありません……そして、これはお父様からの()()()()()です」

「了解、補給路を自壊させた後に離脱すル」

 

ケントゥリアいや、ケントゥリア・(ハミルトン)の返答に、姿なき声からの通信が切れる

ケントゥリアは壁に立てかけていた光学式ロングライフルを抱えると自身の補助全能システムを介して、廃墟街の各所の地下街に設置された小型の転送装置――補給用物資転送ポーターに内蔵されたC4爆薬を起爆せる信号を発信すると同時に自身の認識を歪める特殊な信号――反認識信号発生装置を起動させて、廃マンションの屋上を後にする際に、彼は小さく呟いた

 

「あばよ……今度は()と戦争しようゼ、グリフィンの人形達」

 

 

 

――――

 

 

謎の白い兵器群と偶発的交戦した日から翌日、S07前線基地でサクラが端末に表示された作戦報告書を複雑な表情で目を通していた

今回の作戦でファルコンを除くTR小隊の人形4名を未帰還となり、帰還した人形達の大半がS07前線基地の設備では修理が困難ほどの損傷を受け、本部直轄の整備工廠へ搬送する結果に思わった。

あの作戦に参加した人形で、比較的軽傷だったのは身軽なMP5Fとフォースシールドを持つG36C、それとM14の三体のみ

その彼女達も未知の白い勢力と遭遇した事で事情聴収のためにグリフィン本社に召集を受けた事でS07前線基地には不在であった

 

「はぁ……まさかの鉄血を迎撃するつもりが二足歩行砲台と遭遇し、大損害を受けると華」

 

サクラがため息を付くと手にした報告書をデスクに放り投げると白紙のシフト表に手に取ると管轄区域の警備に出撃する人形達の名前をそこに書き込み始める。

 

負傷した人形達への不安や戦死させたTR小隊への悲しみを押し殺しながら……そして、デスク上に飾られた写真に見ると一言つぶやいた

 

「アラマキ指揮官いや、教官……これでいいですよね」




尚、今回M16A4達が対峙していたガンダムこと、ドッペルゼルドナーはケントゥリアのダミー人形のような存在で、先に彼が倒されていたらガンダムも止まっていました

尚、これもスレレットと同じようにモンキーモデルで白の特権ともいえるあの機能を搭載していません


余談ですが、M16A4と白の勢力との戦闘が起きた日は、大型コラボ企画「人類人権派団体補給路破壊作戦」の前日です


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大規模補給路破壊作戦1

今回は、試作強化アサルト氏の危険指定存在徘徊中との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/190378/


某地区某所の荒野を三台の古びた軍用トラックが砂煙を上げながら、荒野を疾走していた。トラックの荷台には、S07地区某所に存在する居住区を護衛する自衛団のエンブレムとグリフィンのエンブレムが横並びに描かれていた。

 

軍用トラックの内二台には多数の輸送用ドローンやそれを制御するためのコンソール類、武器や弾薬類や軍事作戦を行うための物資を満載していた。

 

そして、もう一台のトラックには一体のメイド服を着た戦術人形――漢陽88式(以下漢陽)とそのダミー4体と3人の若い男、そして彼らを束ねるボディアーマー型強化スーツを着用した初老の日系男性――元グリフィンG01前線基地指揮官のオサム・アラマキが搭乗していた。

 

彼らはトラックの荷台の中でで彼らが参加する共同作戦についてのブリーフィングが行われていた

 

「さて、これからワシ達自衛団はPMCグリフィンの人類人権派団体過激の大規模補給基地襲撃作戦の支援に参加するのだが……」

 

アラマキが怪訝な面持ちで話し始めるのを見た彼らの間に重苦しい空気が車内に立ち込めていた

 

「今回のワシは過激派の補給拠点の破壊だけでなく、彼らを支援する存在に関する証拠を押さえろという依頼を受けた」

 

アラマキの言葉に一人の金髪の若者達は驚き、口を開いた

 

「つまり……アラマキさんは戦闘しつつ、敵の情報も集めろというのか?」

「そうことじゃよ、キャップ。それに情報収集はハーヴィルからの依頼で、こっちは可能な限りで構わんらしい」

「ご主人様、その作戦で愛ちゃん達はどうすればいいのでしょうか?」

 

キャップと呼ばれた呼んだ金髪の男性の質問にアラマキが答えると漢陽が質問する

それを聞いたアラマキがテーブル代わりの弾薬箱に数枚の資料を並べた。資料にはこの場

車内

 

「タビー、シャム、キャップは後方で武器弾薬と作業用ドローンで周囲の監視や補給支援で攻略部隊の支援を頼む」

「了解ッス」

「ドローン操作は任せてください」

「力仕事とケンカなら任せろ!!」

 

タビーと呼ばれた茶髪の青年、シャムと呼ばれた赤毛の小柄な青年、キャップと呼ばれた筋骨隆々な金髪の男性がそれぞれが一斉に頷くのを見て、アラマキは言葉を続けた

 

「漢陽は私と共に対空兵器を破壊する部隊の掩護で、それを邪魔をする敵を排除する」

「承知しました。愛ちゃんはダミーちゃん達と共にご主人様のお仕事をお手伝いします」

 

漢陽は礼儀正しく……まさに本物のメイドのようにお辞儀をした

そして、アラマキは一息つくとこう言った

 

「だが、戦況によってはワシと別れてグリフィンの戦術人形部隊達と合流しろ」

「え……いくら爺さんが斧で鉄屑共と渡り合えるほど強いからと言ってもも頭数はいるだろう?」

 

アラマキの言葉にキャップが首を傾げるとアラマキが彼の疑問に答えた

 

「いくらワシと漢陽が強くても他のグリフィンの部隊が壊滅しては意味がないだろう? 本来、漢陽はグリフィンから出向している身だ」

「もしかして、俺達を爺さんの作戦に同行することを許したのも……」

「そうじゃ、お前らの力で他のグリフィンの手助けをしてほしいからじゃよ。ワシと漢陽だけじゃ手が足りんからな」

 

アラマキはニッコリと笑うのを見て、タビー達は自分達の中で「彼の手助けをしたい、洗脳を解いてもらった恩に報いりたい」との想いが強くなった事を実感した

それをみたアラマキが彼らに釘を刺すように一言付け加えた

 

「それとお前らも自分のの身が危険だと感じたら、無理をせず素直に撤退しろ」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

アラマキと漢陽とそのダミー4体で構成された遊撃分隊…通称アラマキ分隊は、人類人権派団体の補給基地の対空兵器が設置されている陣地に向かって走っていた

他の先鋒隊が対空兵器を無力化する間に、対空兵器防衛に向かう敵増援部隊を足止めすることである

 

アラマキの手にはサプレッサーとドットサイト、M203グレネードランチャーを取り付けたM4A1カービンライフルを構えて、右太ももにコルトガバメントが収まったホルスターを括りつけ、腰には黒塗りの大ぶりな斧を提げていた。背中には、プラスチック爆薬や水分補給システム用水分パック等を収容したバックパックを背負い、ボディアーマー型強化スーツと軍用ヘルメットで老いた体を覆っていた

 

彼に追従する漢陽も自身の半身である漢陽88式小銃以外に、サイドアームとして青龍刀を背中に差し、腰には棒付き手榴弾を束ねたような形状をしたクラスター手榴弾を吊り下げる等他の漢陽88式と比較しても彼女の姿は重武装と言っても過言ではなかった。

 

漢陽は不吉な物を感じたのか、辺りを見渡すとアラマキに向かってこう言った

「ご主人様、愛ちゃんもダミーちゃん達もお客様も見ていませんが? 伏兵がいる(かくれんぼをしている)かもしれません……お気をつけて」

「確かに、作戦行動を開始してから今まで会敵していない……来るぞ!!」

「いたぞ、ライフルを持ったデカチチ人形と装甲服を着たジジイが一人だ」

 

アラマキが言葉を言い切る前に、アラマキの前方から十数人の過激派の兵士達が自動小銃を手に迫ってくるのに気づき、漢陽と共に手にした銃器を構える

 

「ジジイは蜂の巣しろ、人形は手足を撃ち抜いて服を剥ぎってオナ……グェ!?」

「リーダーがやら……ウゲェ!?」

「ボルトアクション式でここまでの連射じゃ……うぎゃあ!?」

 

過激派の兵士の隊長格らしき男が下種な表情を浮かべた瞬間、漢陽が黒い笑みを浮かべながら彼の頭を撃ち抜くと彼女のダミー達も連動するように兵士達の頭を撃ち抜く。そして、すぐにボルトを操作し、次弾を装填し、別の兵士を狙い撃つ

 

そして、アラマキもM4A1カービンで敵を正確に射殺していき、わずか数分で彼らは過激派の歩兵達を殲滅していた

 

漢陽は倒れた兵士達に向かって黒い笑みを浮かべながら言い捨てた

 

「メイドは風俗じゃありません……それが理解できないなら、この世は退店してもらいます」

「漢陽、言うのが遅い気がするが……む!?」

 

アラマキは遠くで爆炎が上がるのを見て、すぐにグリフィンの人形部隊の一つ、GD小隊の攻撃対象の対空兵器があることに気づいた

 

「あそこはDG小隊が攻撃対象に選んでいた対空兵器があった場所だな……彼らの掩護を援護するぞ」

「分かりました……ご主人様!!」

 

アラマキの号令に咸陽が答えると彼らは爆発地点に向かって走り出し、アラマキは強化スーツのパワーアシストを全開して次の支援ポイントへ移動を始めた

 




おまけ
アラマキが交戦していた頃、タビー達はどうしていたかというと‥…
タビー「予備機ドローン12号、14号の発信準備完了ッス、キャップ!!」(作業ドローン操作チームのリーダー兼メカニック)
キャップ「おう、ドローン3号にGD小隊向けの弾薬と手榴弾の積み込みも終わったぞ、シャム!!」(物資積み込み及び緊急時には護衛役
シャム「わかった、ドローン3号発信!!(作業用ドローンオペレーター
ヘレン「この子達……チームワーク良すぎない?」



漢陽88式の装備は基本的には、実装されている姿ですが、武装に一部(青龍刀やクラスター手榴弾等)は大陸版で実装されているMODの物を装備しています

最後に、ドローン支援チームのタビーとキャップ、シャムについて簡単な説明を

彼らがアラマキに感じている恩とは……DG小隊三組合同結婚式で、何者かに洗脳を受けて彼らの結婚式をぶち壊しにしようとした所をアラマキが阻止
そして、ママよりも怖く、普段怒らないパパすら失禁するほどの怖いアラマキのお説教()によって洗脳が解け、彼に恩を感じるようになりました

ちなみに全員が自衛武器としてP226、キャップのみAR-15を所持しています


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大規模補給路破壊作戦2

試作強化アサルト氏の危険指定存在徘徊中との大型コラボ編の二話目です
https://syosetu.org/novel/190378/

尚、今話を読む前に
試作アサルト氏の『危険指定存在徘徊中』の「世の中はびっくり人間って結構多いよね・・・・・ホント良くも悪くも(コラボ回」
https://syosetu.org/novel/190378/77.html

と試作機龍氏の『G&Kの猟犬』のアウターミッション56(コラボ中)
https://syosetu.org/novel/190416/92.html

のエピソードを前提にした話なので、上述の話を読むことをお勧めします


※感想の件で誤解させる描写があったようなので一部変更しました


アラマキ率いるアラマキ分隊は、DG小隊の支援に向かう途中で小銃で武装した多数の兵士達と一体のP.A.C.Sで構成された増援部隊とらしき過激派と遭遇し、戦闘に突入していた

 

兵士達が小銃で弾幕を張り、P.A.C.Sの機関砲を漢陽は戦術人形としての人外を越えた身体能力、アラマキは強化スーツによる身体能力を駆使して、別の部隊によって撃破された装甲車の影に滑り込む

それと同時に、アラマキの脳内で敵を一掃する手順が一瞬で組まれる。

それを実行に移すためにアラマキの口から号令が叫んだ

 

「クラスター手榴弾!!!」

「ご注文を受けました。ダミーちゃん達もご一緒に!!」

 

アラマキの指示に従い、漢陽がダミーと共に腰に提げたクラスター手榴弾のピンを抜くと同時に装甲車から身を乗り出し、過激派に投げつけると同時にアラマキも飛び出し、M4カービンライフルの下部に取り付けたM203グレネードランチャーからグレネードをP.C.A.Sに向けて射出する。

 

漢陽とダミー達が投擲したクラスター手榴弾が歩兵達の頭上まで届いた瞬間、信管が作動し、無数の鉄片とベアリング弾をばらまいた。そして、歩兵達をズタズタにすると同時にアラマキが放った40mmグレネードがP.A.C.Sの胸部に着弾、装甲をひしゃげさせる

 

「こちら……ぐぇ!?」

 

P.A.C.Sを装着した兵士がすぐに近くの部隊に連絡をしようとするもその隙を逃さずに漢陽がダミー共に装甲が破損した部分を狙撃し、装甲を貫き、搭乗者を射殺する

 

「お仕事完了、次はどうしますか?」

「無論、DG小隊と合流し残りの対空兵器を無力化する……む!?

 

アラマキが言葉を言い終えない内に彼の通信機がなり始めた

だが、アラマキはそれに不吉な物を感じ、通信機に応じるの一瞬ためらった

 

(この着信音から感じるこの気配……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()らと同等かそれ以上に禍々しい……バケモノか?)

 

アラマキが覚悟をきめて通信機を操作すると彼が答える前に男性の……それも凄まじい殺気を籠った声が通信機から聞こえてきた

 

「BLACKWATCHの幹部をやっているビーストだ……お前がドローン支援隊の元締めだな?」

「そうだ……アラマキ分隊長兼後方支援部隊責任者のアラマキだ。要件はなんだ?」

 

 

 

――――――――

 

 

ビーストと名乗る男からの通信を受信してから、少し経った頃……

 

 

作戦領域から少し離れたグリフィン作戦司令部の一角に儲けられたS07地区居住区自衛団の本部であるテントの中は重苦しい空気が漂っていた

テント中では、シャムがドローン操縦用コンソールを冷や汗をかきながら、複数のドローンを自動操縦と手動で切り替えつつ操縦していた。その隣でタビーが同じく冷や汗をかきながらモニターを注視していた

 

「自衛団に入団してからいろんな事があったけどけど……こんな経験始めてだよ……」

「シャム、泣くなッス。早く回収地点までお客さんを案内するッス」

 

半泣き状態で声が震えているシャムを慰めつつ、タビーはモニターの一つを注視していた。

そこに映し出されていたのは、カブトムシのような角を生やした二足の虫のような姿をしたELID――ブリッツが複数の大型ドローンに懸架されて運ばれる様子であった。

そして、ブリッツを懸架しているドローンの後ろ側では両腕をもがれた黒い装甲人形――タイラントが複数のドローンに懸架された状態で地面数センチの高さで半ば浮遊させてながらブリッツを懸架させたドローンを追従していた

 

それを見て、二人はさらに気分が重くなった

アラマキから「BLACKWATCHで行動不能になった奴らの撤退を支援してくれ」と要請を受けたタビーは、戦術人形回収用の大型ドローン数機とそれらを誘導するための小型ドローンの準備し、アラマキが指定した(正確にはビーストがアラマキに伝えた)座標へ急行させた。

 

この時は、タビー達は行動不能になったのが人か人形だと思い込っていた。

だが、指定された座標で見つけたのは、泡を吹いて気絶しているELIDのブリッツと両腕を失った装甲人形のタイラントであった。

 

彼らを見たタビーは驚くもすぐにドローンに搭載されたスピーカーで彼らの撤退の支援を頼まれた事をタイラントに伝えた

タイラントもすぐに理解するとそばで倒れているブリッツに顔を向けた。

それを見たシャムはすぐに大型ドローンの一機を自動から手動に切り替え、ゆっくりと降下しつつブリッツを掴みあげると再び上昇させた

 

そして、同じようにタイラントも持ち上げようとするが、見かけ以上の重量(両腕を失った分を引いても並の戦車並に重い)故に大型機ドローンで懸架させて、出力を全開にして浮上させてもタイラントを地面から数cm浮かすのが精一杯であった。

 

それを見たタビーがタイラントシャムに半ばホバークラフトのように数センチだけ浮かせた状態で運ぶことにした。タイラント自身も自分の重量を気にしていたのか、二つ返事でタビーの提案を受け入れた

 

そして、そのドローン数機をに知らされていた回収ポイントへ自動操縦で飛行させるのと同時に、手動操作でバランスを保ちつつタイラントとブリッツを落とさないように慎重に空輸し始める。幸いにも回収ポイントは指定された座標からさほど離れておらず、

タイラントも問題なく輸送できると確証していた

 

(黒い装甲兵をホバーみたいなやり方で運ぶのはともかく……ELIDを運ぶ事になるなんて、後にも先にもないだろうな)

(今のこの状態で過激派の部隊と遭遇したら……装甲人形とELIDを落としたら……確実に終わる……いろんな意味で

 

シャムは心の中で泣きごとを言いたいのをぐっとこらえながら、タイラントがはぐれないように気を配りながらドローンを操縦するしかなかった

そんなシャムを見たタビーも同情しつつ、過激派の部隊と鉢合わせにならないことを白目を向きながら祈るばかりだった

 

 

その後、無事に指定されていたポイントで待機していたBLACKWATCHの回収部隊と合流に成功する

そして、回収部隊に敵であると誤認されドローンを撃墜されそうになったことを除けば、特に問題なくタイラントとブリッツの身柄を彼らに引き渡しはスムーズに進んだ。(誤射の件もタイラントが首を動かして、タビーの言葉がウソではないと証明したおかげで用意に誤解を解けた

 

タイラントとブリッツを引き連れて、回収部隊が去っていくのをモニター越しに見た二人は胸をなで下ろした

 

その様子を外部で補給用コンテナの積み込みを終え、テントに戻ったキャップが首を傾げて見ていた

 

「次の定期連絡用の物資コンテナの準備が……どうしたんだ?」

「「……キャップ、生きているよな?」ッスネ?」

「何ががあったんだ?」




変更箇所
タイラントを自力で移動させ、ドローンで誘導する

派遣した大型ドローン数機でタイラントをアームで懸架した状態で、地面から数センチ浮かせた状態で運搬する


さて……コラボ元では中盤にかかっています
行動不能者が出た際はドローンチームが救出支援でドローンで回収しますので遠慮なく彼らをこき扱ってください

最後に今回使用した大型ドローンについて

・大型作業用ドローン
通常の補給用ドローンの倍近い機体の重量物運搬ドローン
通常型の補給用の倍近い積載量を有しており、通常型と違い軽機関銃等の自衛用の火器を乗せて簡易的な攻撃ドローンとしても使用可能である
また、積載量を利用して、戦闘不能になった人形を回収、後方へ下げるという使い方も可能である


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大規模補給路破壊作戦3

試作強化アサルト氏の危険指定存在徘徊中との大型コラボ編の三話目です
https://syosetu.org/novel/190378/

今回の後半部は以下の話を別視点から描写した物です

不幸って突然起きるものだけど連続して起こるってことあるよね・・・・・・(経験談)(コラボ回
https://syosetu.org/novel/190378/79.html


対空兵器を無力化しつつ、敵司令部に向かうアラマキ分隊とDG小隊とM134であったが、突如アラマキの通信機から流れる男の声に全員が固まった

 

『敵司令部は絶滅させた、少なくとも俺が来た後は誰も逃がしてはいない、情報とか欲しいんなら取りに来〜い、ある程度集めてあるが欲しいのがあるかは知らん』

 

上機嫌だが、禍々しい気配を含んだ男――ビーストの声が流す通信機を、アラマキとその周囲にいたDG小隊の面々とM134、漢陽は息を止めて、通信機を凝視していた

アラマキに至っては目をかっぴらき、手に持ったM4A1カービンをグリップを強く握り占めていた。

それを見たウェイターが彼に向かって疑問をぶつけた

 

「今の声が誰なのか知っているのですか?」

「BLACKWATCHの幹部、ビーストだ。少し前に、ワシのドローン支援隊に支援を頼んだ男がそう名乗っていた」

「マジかよ……」

 

アラマキの言葉にスミスが顔をさらに青ざめた。

ビーストの通信内容を言葉通りに受け取るなら彼が過激派の司令部を制圧した上に関する情報を集めた上で司令部で居座っているという事だ

 

スミスが青ざめるのをみて、M134が首を傾げた

 

「そのぶ……なんとかという連中はやばいのか?」

「あぁ、正規軍並みにヤバい連中と「そんな生易しいヤツじゃない」

「アラマキさん!?」

 

M134の疑問に答えるバレットの言葉をアラマキが遮るとレストが疑問をぶつける

 

「正規軍よりもヤバイってどういうことだ?」

「言葉通りだ……、BLACKWATCHの構成員がそうだと限らない。だが、通信越しでしか会話してないがワシには分かる……ビーストは人間の形をしたナニカ(バケモノ)だ。下手に刺激すれば、ヤツの周囲にグリフィンの人形の残骸と屍の山がいくつもできるぞ」

 

アラマキの言葉にその場にいた全員が固まった。アラマキの目が脅しや誇張で言っているのではないという事をバレットたちは理解した

 

 

それを見たアラマキはとある決断を下すと口を開いた

 

「ワシが単独で敵司令部に突入する。バレット、漢陽の指揮権を君に預ける」

「ちょっ爺さん、正気か!?」

「ご主人様、お一人で向かうのは危険すぎます!! 愛ちゃんもご一緒します!!」

 

アラマキの発言にスミスと漢陽は愕然し、アラマキを引き止めようとするが、アラマキは気にも留めずに言葉を続ける

 

「ワシの人生の大半を常識の裏側と向き合う事に捧げたような物だ……人間を甘く見るなよ」

 

 

 

 

DG小隊に漢陽を任せたアラマキは、強化スーツのパワーアシストを全開にして、ビーストが居座っているであろう炎上している司令部へ一直線で向かっていた

すでに司令部付近に展開している過激派達はAODとグリフィンの戦術人形部隊から逃げ惑っているも同然の状況だったおかげで、アラマキを行く手を阻む者はほとんどいなかった

 

だが、司令部である車両基地まで、数メートルという所まで近づいた所でアラマキが見たのは遠方で太い光――レーザーが降り注ぐ光景だった

 

その直後で、先ほどの後継はBLACKWATCHの試験兵器が暴発したことによる物だという無線がオープンチャンネルで伝えられるが、アラマキはそれが異常なモノの仕業だとすぐに見破った。それは常識の裏側とかかわり続けてきたアラマキの経験故に見破られたのである

 

「いかんな……異常(バケモノ)がを引き寄せ始めている。最悪、情報は諦めて異常を狩る事になるか」

 

アラマキがそう呟いて、腰につけた斧に触れた瞬間、アラマキの無線からタビー達の絶叫が響き渡った

 

『爺さん、応答してくれッス!?』

「タビー、何があった!?」

『爺さん、無事だったか……退去場所に待機していたグリフィンの戦術人形部隊がミサイル攻撃を受けったッス!!』

「なんだと、お前らは無事か!?」

『ウイッス、俺達は無事けど……ザザザッザザザザザザザザ』

「タビー、通信妨害……!?」

 

 

 

 

タビーの通信が突如ノイズまみれで聞き届けなくなった瞬間、アラマキはとっさに上を向いた瞬間、言葉を失った。

空に二つ目の太陽のような光が輝いており、その光が輝く方向がAODの爆撃隊が来る方向であった。アラマキは知らなかったが……それは、アラマキが追っている組織が作ったS.W.B.Mと呼ばれる対地対空両用の特殊なミサイルであった

 

「あれはなんだ!? それにあの方向はAODの爆撃隊……まさか、やつらか!?」

 

アラマキの脳裏にある組織の存在を浮かびあがった。人類人権派団体の力を増強させながらも姿を見せなずに、その裏で暗躍する者達を……ヤツラの存在を

 

だが、その一瞬の隙が大規模拠点に付近に突如出現した巨大なソレが放ったミサイルに気付く事が遅れていた

 

ドガガガガガガガガガン!!!

 

「ウギャアアアアアアア!?」

「ウワァァァッァァァァァァ!!」

「キャアアア!?」

「グワァァァァァァァァア!!」

 

ソレから発射されたミサイルや砲弾の雨あられがAODの兵士やグリフィンの戦術人形達を爆炎と吹き飛ばし、蹂躙していく。

その内の一発はアラマキの近くで展開していたAODの歩兵が潜んでいた残骸に着弾し、爆炎と爆風が隠れていた兵士ごと焼き払い、近くにいたアラマキも爆風が迫る。

ミサイルに気づいたアラマキは、爆風から逃れようとするも間に合わずに強化スーツを破損させながら、2m近く吹き飛ばされた

そして、爆風でふきとばされたアラマキの身体は地面に強く叩きつけられながら、更に強化スーツを破損。

 

「グッ、ペルシカ謹製の強化スーツでも衝撃を防ぎきれんか……奴の仕業か」

 

アラマキは体を動かそうとするも激痛で体を動かす事が出来なかった。しかし、ミサイルの放った元凶の姿をはっきりと見る事ができた。

 

それは一言で言うなら、多数の武器を満載した6m程の機械の巨人。

右腕と一体化したグレネードランチャー付きアサルトライフルを模したような機関砲と左腕に装着した盾、肩には突き出す様子に伸びた大砲とミサイルポッドと誰が見ても重武装、重装甲であるのは明白であった。

 

そして、激痛で身体を動かせないアラマキは巨人が搭載されている重火器類で友軍を蹂躙が終わるその時まで、見る事しかできなかった。

 

DG小隊のリバイバーがF.E.F.Gで巨人の大砲から放たれるビームから友軍を護る光景を、そして、リバイバーの起死回生のレーザーの一撃を巨人がシールドで防ぐと同時に肉薄し、胴切りにする瞬間もアラマキはただ、見る事しかできなかった

 

しかし、アラマキは巨人が友軍を蹂躙している間に、盾のような装甲に書かれていたそれを……彼らにたどり着くための手()()()を見逃さなかった

 

『FANNIES』と描かれた文字のエンブレムをアラマキは見逃さなかった

 

「そのエンブレム……お前らの名は()()()()()()か、覚えたぞ……」

 

アラマキはその言葉を忘れないように力強く呟いた

そして、巨人の蹂躙が始まった頃から気付いた空間の穴から感じる視線に向かって威圧感を込めて口を開いた

 

「貴様……見ているな……!?」

 

その言葉を発した後、アラマキも限界を越えていたせいか、彼は意識は闇へと落ちて行った




とりあえず、試作型機龍様、ごめんなさい!!!orz
BLACKWATCHをある意味で過剰にアラマキさんが警戒した上で他者に伝えてしました

不都合な点があったら、修正しますのでお伝えください

一話か二話でコラボ編の終了する予定です


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大規模補給路破壊作戦4(終)

試作強化アサルト氏の危険指定存在徘徊中との大型コラボ編最終話です
https://syosetu.org/novel/190378/

前回、謎の巨大ロボの襲撃で行動不能になったアラマキ爺さんが意識を取り戻す所から始まります


アラマキが意識を取り戻すと彼の目に映ったのは白い布と鉄骨が組み合わさったテントの天井と涙を浮かべる漢陽の顔だった

そして、周囲から負傷者のうめき声と医者などの医療関係スタッフが右から左へと怒声と共に走り回っていたのが彼の耳に入った

 

「ご主人様、目を覚ましたのですね!!」

「漢陽……グゥ!?」

 

アラマキは起き上がろうとするも体に激痛が走り、顔を歪めるのをみた漢陽はとっさにアラマキの身体を支える。アラマキが視線を下にずらすと大破した強化スーツを脱がされた代わりに自身のしわだらけの身体の各所に白い包帯が巻かれていた

漢陽自身も彼女の愛用のメイド服をボロボロであり、いたるところに包帯が巻かれている

 

 

「ご主人様、骨が折れていないとはいえ、全身を強打している上に半日近く意識を失っていたのです。今は安静にしてください」

「……ここはどこだ? グリフィンの救援隊が到達したのか?」

「いえ、BLACKWATCHの救助隊が作った仮設拠点の医療用テントの一つです。過激派の司令部近くで気絶していたご主人様をAODの皆さんがここに連れてきたのです」

「そうか……ワシがここに搬送されるまでに漢陽の周囲で何があったのかをすべて話せ」

 

アラマキが真剣な目で漢陽に向かって言うと彼女はアラマキが搬送される前に彼女自身の周囲で起きた事を語り始め、アラマキは無言で聞いていた

 

「以上がご主人様が搬送されるまでに起きた事です」

「ふむ……巨大機械兵の奇襲は知っていたが……規模も対象も無差別に空間ごと削りとれたように消失する異常現象か」

「ご主人様……かつての経験から心当たりがありますか?」

 

漢陽の質問にアラマキは過去に自身と対峙していきた異常存在(アブノーマル)と漢陽の話とすり合わせてようと意識を集中して、数分して頭を横に振った

 

「ないな……漢陽の話の条件に完全に合致するタイプはワシは知らん。そもそも、アブノーマルですらない可能性が高いな」

「そうですか……では、迎えのヘリまで来るまでお休みになってください」

「そういえば、タビー達はどうしている? ここにいるのか?」

「タビーさん達は無事です。仮拠点の外で撤退の準備を進めています」

 

漢陽の言葉を聞いて、安心したのかアラマキはこう言った

 

「そうか……では、少し休むとするかの」

「はい、ご主人様」

 

アラマキは、さきほどまでの厳しい口調を和らげると全身の力を抜き、周囲から聞こえる負傷者達のうめき声に耳をむける

 

(この喧騒の中にいるとWW3に米軍の先遣傭兵部隊として従軍した事を思い出すわい)

 

 

――――――――

 

作戦から数日後

 

PMCグリフィン本部から少し離れたグリフィン直轄病棟の一室で、ベッドから半身を起こしたアラマキは、眼前に立つ男――PMCグリフィンの社長、クルーガーに向かって頭を下げていた

 

「スマン、わざわざ無理を言って今回の作戦に参加したのに、このザマな上に掴んだ情報はほとんど外れも同然じゃったわ」

「いえ、情報の回収の件はスポンサーであるハーヴェル個人の意志だ。それにあなたの部下達によるドローン支援は作戦遂行に大いに助かっている」

「いや、それはタビー達の働きのお陰ですわい」

 

アラマキが苦笑いを浮かべる

 

「今回の手に入れた情報の中にアタリと言えるものもあるのだろう?」

 

クルーガーはそういうとアラマキは一息つくとベッドの脇に置かれた私物入れの棚から一枚のメモリーカードを取り出した

表面に「音楽劇オートマターズ」と刻印されているそれをクルーゼは首を傾げた

 

「このメモリーがそうなのか?」

「今回、BLACKWATCHの連中が司令部で手に入れたという情報の中でファーニーズ(奴ら)に繋がる手がかりとなりうるのはこのメモリーカードだけだったじゃわ」

「しかし、これは商業用の動画メモリーにしか見えないが、これは擬装なのか?」

「いや、中身もワシが若いころ鑑賞した演劇を記録した動画ファイルじゃ……しかしの」

 

アラマキが意味深に笑みを浮かべながら、メモリーに視線を動かし言った

 

「動画ファイルの表示設定で字幕設定を「自動翻訳」にして、再生させた時に情報が表示されるという仕掛けが施されていたわ…。とはいえ、余波の影響下で殆どが文字化けで読めた物じゃないし……手がかりというには少々根拠が弱いしな」

 

アラマキは一息つくと遠い目で言葉を続けた

 

「あのメモリーで分かった事は、連中の補給は「大元」と呼ばれるナニカに関連している事と稀に幹部の一人と接触した過激派のメンバーが消えているという事……それとメモリーに細工を施した者がとある幹部に対して不信感を抱いていた事ぐらいかの?」

「大元……過激派の影に隠れている組織の事か? とある幹部とは誰の事だ?」

「大元関連しているであろう部分の大半は文字化け状態で読めなかったし……幹部に関する部分も同じように文字化け状態だよ」

 

 

「まぁ、ファーニーズの関係者に違いないだろう」とアラマキが言うとクルーガーは無言でメモリーカードを少し見た後に、手に取った

 

「このメモリーを専門部署で解析させる……協力感謝するぞ、アラマキ元指揮官」

「礼におよばんよ……社長、これから大変だぞ。ある意味で鉄血よりも厄介な連中と戦う事になるかもしれんからな」

「……もちろん、分かっているぞ」

 

クルーガーがそう言って、病室から出ていった後にアラマキは一人呟いた。

 

 

「正直な話、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と戦うには今のままじゃ厳しいぞ……ハーヴェルが言っていた『新戦力』がなければな」

 

アラマキはそう言うと何かに気づいたのか、額を抑えてこう言った

 

「しかし、斧以外の武器や強化スーツは壊れてしまった……強化スーツはペルシカに頼むとして、壊れた武器はどこで調達しようかの?」

 

 




今回で大規模補給路破壊作戦コラボ編は終了です
強化試作アサルト様ありがとうございました

ちなみに、最後に出てきた「新戦力」ですが……近いうちにゲーム本編でも実装される新要素の事です

最後に、アラマキが手に入れた情報を残したのが誰か?を追記しておきます



オマケ:
数日後にメモリーカードの解析によって解読可能になった文面から抜粋

尚、奴に見られた事も考慮して、この機密データは大半の部分を文字化け状態に擬装した暗号で隠しておく
俺の同僚か職場の関係者だったら、この部分以外の文字化け状態を直せるはずだ
「解読不能」はただ者じゃない……それこそ、噂のアンノン――万能者と同程度の存在と言っても過言ではない

最後に、君を裏切る結果になった事について謝っておく
すまない……アンジェリカ


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Recapture the revolver:1

今回、NTK氏の人形を守るモノとの大型コラボ企画です
https://syosetu.org/novel/190134/

そして、本編でも名前のみ登場した人形を先行登場します



旧世紀のロボット漫画の理屈を彼女らに当てはめる事は我ら人間のエゴではないかね?


S07前線基地の地下一階にある喫茶店は俺達戦術人形達の憩いの場で、指揮官も休憩の時にはここをよく利用している

 

ちなみにこの喫茶店を切り盛りしているのは、他の基地では古参のL85A1(M14さんののようにG01前線基地から指揮官についてきた人形を除けば)が切り盛りしている

 

特に紅茶やコーヒーを淹れるのが上手いが、料理に関してはサンドイッチ以外は彼女の手伝いをしているガバメントさんに任せている辺りお察しのレベルだが

 

そして、俺は今顔がよく似た三つ子の茶髪の人形達が目の前に置かれたクッキーが盛られた山と紅茶の前に目を輝かせているのを見て輝かすのを紅茶を飲みながら見ていた

 

「さて~三つ子ちゃん達、訓練お疲れ様。紅茶とクッキーを召し上がれ~」

「「「いただきます!!!」」」

 

彼女達はそう言って美味しそうにクッキーをほおばっていた

 

一見すると養女用民間人形にも見える彼女達だが、S07前線基地にとってはある種の切り札にもなるIOP社が開発したす新機軸の戦術人形達だ

 

彼女達の名はAGS-30――通常の戦術人形が使用する銃器類よりも強力な重火器類を数人一組で使用する『重装部隊』という新機軸の戦術人形の一種とジル主任は言っていた

 

その中でも彼女達は部隊名でもある自動式グレネードランチャー「AGS-30」で後方から支援するタイプだ。俗に言う

TVRチーム主任のジルさんのツテで現地試験配備の名目でIOP本社から貸し出される形でS07前線基地に配備された。

 

だが……指揮官は口に出さなかったが、俺達BB小隊が白い武装集団と遭遇戦闘したことが決め手らしい

 

AGS達は実戦経験はまだない。

だが、彼女達の訓練を見学した時を標的であるマンティコアやイージスと言った装甲兵器を正面から撃破した。少なくとも今までのセンサー等非装甲部をRF型専用徹甲榴弾等で撃ち抜いて撃破するよりは、確実に敵を撃破できると俺は確信を持っていた

 

そして、訓練を行っていない非番の時はある種のマスコットとして基地の人形達や職員から可愛がられているのだ。ちなみに、AGSのメンバーにもそれぞれ、アニヤ、ガリーナ、ソニアと個体事の名前がある

 

それにしてもあの子達を見ていると顔が自然とニヤケテしまう。ロリコンじゃなくても少女達が笑顔で食事する光景というのは良い物だ……俺はロリコンじゃないが

 

(子供がいない夫婦向けの養女人形を迎い入れた人間はこんな感じで見ているのかな?)

 

俺は心の中でそう思いながら、彼女達を見ていると店内にドアベルが鳴り響いた。

ベルが聞こえた方に顔を向けるとそこには赤いフード付きケープを身に付けた黒髪の人形が入店した。

 

「あ、SDMR、パトロールお疲れ様」

「ツ……M16A4兄ちゃんとAGS達も来てんだ。L85さん、コーヒーを一つください」

「は~い」

 

彼女はそう言って、AGS達の隣に座るとコーヒーを注文するとL85A1さんがコーヒーを入れ始めた

 

彼女の名はM38SDMR――HK416を元にした分隊支援火器であるM27をアクセサリーを一部変更したマークスマンライフル仕様を扱う戦術人形だ。

俺達は彼女の事をSDMRと呼んでいる(M38だと他のSMG型戦術人形と被るから)

 

彼女がS07前線基地に配属された時は、俺達BB小隊が白い人型兵器によって大損害を受けた1週間後に、戦力化の空白化を補うためにIOPの警備部門からS07前線基地に転属になったらしい(ちなみに、転属した直後から4LINK相当の実力をもっていた

 

そして、俺達の不在を補うために編成された暗号名、K部隊「SO小隊」の一員として俺達が不在の間、任務を遂行していた

俺達BB小隊が戦線復帰後も、解隊されることなくBB小隊との二部隊体の即応部隊として共に鉄血の侵攻に備えているのだ

 

「SDRMお姉ちゃんもクッキー食べる?」

「美味しいよ」

「お姉ちゃんが好きなチョコチップもあるよ」

「じゃあ、いただこうかな……」

 

AGSの一人、サイドテールが印象的なソニヤが一枚のクッキーをSDMRに差し出そうとした瞬間、店内のスピーカーから指揮官の叫び声が響き渡った

 

 

『基地内待機中のすべての戦術人形達とAGS-30チームはミーティング室を集合しろ! 今事案はKクラス事案である。繰り返す……』

 

その放送を聞いて、俺は目を見開いた。

Kクラス事案……グリフィンにとって重大案件司令が本部からこの基地に発令された事を意味しているからだ

 

「K事案とはただ事ではないぞ、SDMRとAGSちゃん達、行きましょう!!!」

「分かった!! チビちゃん達いくよ」

「「「クッキーまだ食べ終えていないよ……」」」

「「クッキーを食べている場合じゃない」よ!!」

 

俺とSDMRは口惜しそうにクッキーの山を見つめるAGS達を(俺は左右の脇にかかえるように一人ずつ、SMDRがだったこする形で)抱えるとミーティングルームへ足早に向かう。

尚、AGSちゃん達はそれでもクッキーを何枚かを掴んだり、口に加えたままだ

 

 

 

 

――――――――

 

 

「「DG小隊副隊長のスミスが鉄血ハイエンドに誘拐された」と隊長のバレッドから緊急通信をキャッチした」

 

ミーティングルームに集まった俺達に向かって指揮官が放ったその言葉に周囲は騒然とし、俺は言葉が出なかった

 

(嘘だろう……つい最近、5LINKなったばかりの俺達BB小隊の誰よりもずっと強いはずのDG小隊のスミスさんが誘拐されたなんて……何があったんだ?)

 

指揮官の言葉が信じられず、電脳と感情モジュールがオーバーフロー寸前だったが、隣のP228さんの悲鳴が俺を現実に戻した

 

「あのスミスさんに一体に何があったのですか!!!」

「落ち着きなよ、P228!!」

「MP5Fの言う通りよ。ここで混乱しても何もならないよ」

「離して、スミスさんに何があったの!?」

 

P228さんが絶望に染まった顔で指揮官に詰め寄ろうとし、それを見たP228さんをMP5FさんとM14さんが必至に抑えようとする。スミスさんにほのかな恋心を抱いていた彼女からすれば居ても立っても居られないのだろう

 

そんな彼女を冷静な表情で見ていた指揮官は、手をP228さんの前に突き出した

 

「落ち着け、今から具体的な状況を話すから、落ち着け」

「は、はい」

 

指揮官の言葉でP228さんが落ち着くと指揮官は言葉を続けた

 

「彼はI05地区で陣取っているコレクターという名のハイエンドの元に囚われており、我々はその救援作戦の掩護を行う。そして、今回はAGS-30チームにも出撃させる……頼むぞ、チビ達」

「「「はーい、任せてください」」」

「いい返事だ……その調子で戦術人形達を援護してくれ」

 

真剣なミーティングルームに場違いな陽気な声で返事するAGS達に指揮官は頷くと俺達に向かって口を開いた

 

「そして、お前らに聞きたい。今回の作戦に志願する人形はいるか!?」

 

指揮官がそう言うや否や俺は他の人形よりも先に手を上げて出撃の意志を示した

 

 

 

バレッドさん、スミスさん……今まで助けてもらった借りを返す時が来たようです

 

 

そして……鉄屑共、俺の恩人に手を出した事を後悔させてやる!!!




以下は先行登場したM38SDMRの現状で明かせる部分の情報です

M38SDMR
RF型



容姿
肩まで切りそろえた黒髪に銀色の瞳
外見年齢は16歳程度
敢えて言うなら、RWBYに登場するルビーローズに近いです

衣装
白のブラウスと裾が赤い黒のスカートを着用し、弾倉や拳銃を収納するためのベルトを巻いている
その上に赤いフード付きのケープを付けている

使用銃器
基本的には、M27IARのマークスマン仕様であるM38SDMRである
カスタムとしては、グリップバイポッドを取り付けている事くらい

なお、滅多に使わないがフルオート射撃も可能

サイドアームにP226を装備している

性格
基本的には明るくて、積極的で好奇心旺盛
しかし、寝返った鉄血に対しては背景上苦手意識を持っているため積極的に関わろうとしない

また、珍しい人形(鉄血を除く)に対して好奇心が爆発して、質問攻めや触りまくる

G11を見た瞬間、目を輝かして彼女に抱き付き、言葉責めが始まる


戦闘スタイルは友軍のすぐ後ろから援護射撃による中距離狙撃
RF型にもかかわらず、義体の構造上瞬発力は高く、回避してカウンタースナイプを決める事である
また、フルオートに切り替えて制圧射撃で味方を援護する事もある


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Recapture the revolver:2

今回、NTK氏の人形を守るモノとの大型コラボ企画です
https://syosetu.org/novel/190134/

今回は、Code-73 盾捨押収-作戦開始(https://syosetu.org/novel/190134/75.html)で描写された北部地区をM16A4の視線で描写しています


次の試合で人間様である赤い彗星様にわざと負けろとでもいうの?
私はこの闘技場のスターよ、常に全力で戦わないと観客たちに失礼よ
それに彼女もそれを望んでいないわ

2060年某日違法闘技場・■■■選手控室内の防犯レコード記録より


俺達S07前線基地部隊を中心のI05地区北部方面部隊は予想以上に強固な鉄血兵の防衛線に手こずっていた

人形を埋め込んだ盾を持ったガードは少ないが、その分通常のリッパ―やイェーガー、それにドラグーンやジャガー等が多く、非常に肉厚で、強固な防衛線が引かれていた

おまけに、数少ないガードがランダムに俺達の前に出てくるので、俺達はペースを崩されて攻め込むタイミングを掴め無かった

 

だが、マンリヒャーM95/30こと、マンリヒャーさんの援護射撃が北部の戦況を一辺しようしとした

得意技の乱れ撃ち(スキル)でドラグーン数体を射殺と同時に搭乗していた歩行兵器がコントロールを失って、後方のリッパ―やイェーガー達を轢き飛ばしていく。

衝突を免れた鉄血兵達も回避のために一時的に俺達の攻撃の手が緩み、俺達はそれを見逃さなかった。反撃のチャンスだ

 

「今だ!」

 

マンリヒャーさんの叫びが合図となり、隊長のM14さんとP228さんが俺達一斉に号令を発した

 

「BB小隊、一斉攻撃攻撃!!!!!」

「E01小隊はBB小隊を援護です」

「ワッショイ!!!」

「ゲームの始まりよ、アハハハッハアッハアッハハアハハッハハハハ!!」

 

M14さんの号令と同時に俺達BB小隊とE01小隊の俺達の少し後方の位置でいるMK48とSDMR以外が、歩行兵器の衝突で陣形が崩れた鉄血兵の防衛陣地に向かって突撃を開始

 

それと同時にMk48が笑い声と共にダミーを含めた4体で7.62mmNATO弾をばらまき、、前衛のリッパ―やヴェスピドを薙ぎ払うE01小隊とAGS達による面攻撃を凌いだリッパ―やヴェスピドが反撃に転じようするが、M14さんとSDMRの支援下でSMG型人形達の手榴弾、焼夷手榴弾、リーのグレネードで残ったリッパ―を排除する

 

それと同時に通信が半ば混線しているのか、ASGちゃん達の護衛についているGsh-18さんの声が電脳内に響いていた

 

「6時の方向にジャガーがいます。チビちゃん達、頼むで!!」

「はい、アゴーニ!!!(撃て)」

 

リッパ―とは別の場所で陣地を構築して、援護射撃をするジャガーにMK48さんよりも後方で展開するAGSちゃん達が彼女の得物であるAGS-3――30mm自動式グレネードランチャーでジャガーを陣地ごと吹き飛ばす

 

敵の後方支援が途切れたのと同時に更に敵陣の奥へ切り込みをかけ、それを後方に待機していたジャガーやストライカーがレーザーの弾幕で足止めしようとするのを見て、残ったリッパ―の一体を射殺しつつ、P228さんが号令を発する

 

「G36Cさん、M1897さん、防御陣形!!」

「了解しました、G36Cさん!」

「はい、フォースシールド起動!」

 

P228さんの号令と同時にG36Cさんがとエプロン付きメイド服を着たSG型人形のM1987が、俺達の前に出るとそれぞれフォースシールドと腰のアームに接続されたシールドで鉄血の銃撃を防ぐと同時にそれぞれの銃弾と散弾で正面の敵を穴だらけにする

そして、彼女達に続くように俺達も鉄血に銃撃を浴びせて、鉄血の陣営を一気に切り崩していく

 

鉄血も俺達の進軍を止めようと人質人形を埋め込んだ盾を構えたガードを前に出し、俺達に迫ってくる

だが、俺やP228さんのように近接格闘が得意かつ小回りの利く戦術人形の前ではただ板を持ったカカシも同然だった

 

人形の盾を持ったガードは通常の盾が重いのか。装備していた銃剣も大型化の弊害で取り回しが悪化しているのか、反応速度も鈍く、盾の構える事を優先しているせいで動きも読みやすかった

 

俺はガードの懐に潜り込んで、銃剣を突き刺してからの〇距離射撃でP228さんは背後に回り込んで、左手に持ったブレードで首を切り落とすなど倒し方が分かられば、容易く撃破できた

そして、この勢いで俺達北部攻略部隊はスミスさんが囚われている建物まで順調に進んでいくと思わった時、共同相手のJS9さんが死んだふりをしていたイェーガーに狙われた

 

それに気づいたSDMRの叫び声で俺は振り返り、そのイェーガーを狙おうとしたのと同時に無数の銃撃そのイェーガーを破壊したのだ

 

俺はとっさに銃撃が飛んできた方向を見て、唖然とした

 

「飯の恨みで来たが…こんなひでぇ真似して道徳のどの字から教えてほしいみたいだな…!

「万能者!?」

「なぜここに!?

「というか……あの太陽みたいモノは何!?」

 

識別名『万能者』――そこにいるだけで大惨事を招く人形の形をした災害とも言うべき存在がが凄まじい怒りを念を放ちつつ、上空に二つの小さな太陽のようなナニカと共に俺達の頭上に現れたのだ

 

そして、太陽のようなナニカから無数の光が鉄血兵を一掃したのは万能者が現れてすぐに

事だった

小さな太陽から放たれた無数の光が俺達や人質の盾を避けて、鉄血のみを蜂の巣にする光景は一方的な蹂躙としか言いようがなかった

 

そして、俺はスミスさんが誘拐した鉄屑に対する怒りと憎悪よりも恐怖で一時的に身体が動かなかった

そして、その光がこっちに向かわなかったことに幸運を感じにいられなかった

 

けど、本当に……運がよかったのかな?

なんとなくだけど、誰かに俺の幸運を吸い取られた気がしないでもないが

 

 




あぁ……ここまで私をゾクゾクさせたのは赤い彗星に完敗した時以来よ
万能者……今度会ったら、ちょっと肩もみしてあげようしかしら?

I05地区北部の作戦レコード:S07基地所属戦術人形Mk48の記録モジュールより



前回と今回の前書きは個人的なドルフロ世界での人形達に対する彼女達の認識を表現しています


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Recapture the revolver:3(完)

今回、NTK氏の人形を守るモノとの大型コラボ企画です
https://syosetu.org/novel/190134/

コラボの最終話です

そして、後半部はCode-75 盾捨押収-終幕https://syosetu.org/novel/190134/77.htmlを読めば、彼女が見た光景がどういう物かもっと分かりやすいと思います

そして……NTKさんとoldsnakeさん、お許しください!!!


「人間とは彼らが思っているほど単純で反復的なデバイスだ」
――ORIGIN10巻より



I05地区解放及びスミスさん救出作戦終了後、I05地区から撤退する途中の輸送用大型ヘリの機内で俺は眼前に置かれた死体袋をじっと見ていた。

本来なら、俺もS07前線基地のヘリに乗るのだが、想う所があってM14さんとGsh-18さんにちょっと無理を言って死体袋が積み込まれた大型ヘリに同乗させてもらったのだ

 

「コイツ……死ぬ際に機密を知られることなく死んだのか」

 

俺はそう呟いて、死体袋のジッパーを少しだけて下げるとジッパーの隙間からコレクターの満足げな顔が見えた

彼女が自決する寸前に、自身のワイヤークローで自分のコアを貫いたのは自身のコアを回収されて内部情報を解析されるのを防ぐためだろう

客観的に見ても残虐なイカレとしかいいようがないが、少なくとも鉄血工造に対する忠誠心は他のハイエンドと比べても高いほうだったんだろう

 

(もし、鹵獲を試みても隙を見て自決していただろうな……それにしても()()()()()()は痛々しいな)

 

おれは死体袋のジッパーからのぞくコレクターの首に巻かれたダクトテープを一瞥する

 

撤退前にコレクターの残骸を回収する際、バレットさんは自決する際に自らの手で切り落とした首、俺達の銃撃で吹き飛んだ手足等出来る限り回収した上で、()()()()()()()()()()()()()()()のだが、それにパラちゃんが抗議したのだ。

 

人形や人に関係なく死者の尊厳を尊重するパラちゃんからすれば、見逃せない行為でバレットさんの前に飛び出さずにはいられないよ

 

「いくらスミスさんを誘拐して達磨にした鉄血ハイエンドでも、死体をゴミみたいに扱うのはダメだよ」

「パラ、コイツはスミスだけじゃない他にも多数の人形にも人質の盾以上に残虐な方法で人形達を殺したヤツ……」

「……だめなものはダメだから!!」

「分かったから、そんな目で俺を見ないでくれ……とりあえず、補修用ダクトテープで手足と首を繋げておけばいいか。見た目は小さいがあの目は間違いなくAUGのソレと同じだな

 

強い視線でにらむパラちゃんに、バレットさんは同意せざるなかった。

そして、俺達の応急処置を行っていたGsh-18さんの手でダクトテープで簡単に千切れた手足と首を死体に繋げた上で死体袋に入れていた

 

満足げなコレクターの死顔を見ながら俺はふと呟いた

 

「コレクター、人が俺達に感情モジュールなんてモノを与えた理由が考えたことがあるか?」

 

俺の言葉に物言わぬ死体となったコレクターから答えは当然帰ってくるはずもなく、俺はそっと死体袋のジッパーを上げる

実際、俺も何のために感情モジュールが人形に備わっているのか、分からないがそれでも人形(俺達)がただの機械として作られた訳じゃないのは確かだとも言う

 

「とりあえず、お前が人形から奪った指輪は元の持ち主に返して貰うぞ」

 

 

――――――――――――――――――

 

 

グリフィン本部に帰還後、DG小隊や他の共同相手と今後の連携等についてを簡単に話し合った後で解散となり、俺達S07戦術人形部隊は帰りのヘリの補給が終わるまでの間、各々をやり方で翌朝まで時間を潰す事になった

俺はSDMRとグリフィン本社のカフェで時間を潰すことにしたのだが……

 

「SDMR、いつ思うけど砂糖4個は入れすぎだと思う。ブラックで飲めと言わないが、せめて一個にしておけよ」

「いいじゃない、兄ちゃん。人間みたいに太りにくいんだし……糖尿病にもならないよ」

 

SDMRはそう言って砂糖を自分のコーヒーに入れるようとするのを止めるも彼女は聞く耳を持たずにコーヒーにさらに砂糖を入れる

いくら俺達が人形でも糖分の取り過ぎは人工血液の劣化が早まるんだが……

 

「そうは言っても人工血液が劣化しやすくなるし、飴の食べ過ぎで人工血液が常時劣化状態の人形もいるだぞ」

「次から1個で我慢するよ……私もスミスさんのお見舞いに行きたかったな……いろいろ聞きたい事がたくさんあったし、反動がすごいM500の二丁拳銃を可能にしている腕の機構とか、搭載しているHG用索敵モジュールとか、電脳に入れている火器管制システムとか……」

「OK、自重しろ!! 今のスミスさんにあなたの質問攻めと抱き付きは一歩間違えると拷問に等しい……ん?」

 

SDMRが技術職用人形故の珍しい人形に対する好奇心を静止させようとした瞬間、俺は彼女のある言葉が気になった。私もお見舞いに行きたかった?

 

「ちょっと待て、「私も行きたかった?」……誰とスミスさんのお見舞いに行くつもりだったんの?」

「P228さんだよ……中央区でスミスさん救出の手柄をバルカンさんに取られたのが悔しかったんだろうね。「スミスさんに伝えたい事がある」から一人で行かせてほしんだって……お兄ちゃん?」

 

SDMR(コウ)の言葉に俺は頭を抱えたくなった……いやな予感がしたからだ

 

 

―――――――

 

 

負傷したスミスの処置が行われている医務室へ向かったP228はドアの隙間から見える光景に言葉を失った

それは、言い淀むバルカンにスミスがキスで黙らせるという彼女にとっては悪夢にも等しい光景だった

 

「嘘……バルカンにスミスさんがキスを……そんな……」

 

その光景にショックを受けるP228に追い打ちを受けるようにスミスとバルカンの会話が彼女の聴覚モジュールに届いた

 

「見舞いに来たのにそんな顔するなよ、俺はお前が大事だから、お前が幸せならそれで充分なんだよ」

「あ…あぅ…わ、わかった…じゃ、私はこれで…大事にな…」

「そんな……私もスミスさんの事を……ッ!?」

 

顔を赤くしたバルカンが部屋を出て行こうとするのに気づいたP228はとっさに物陰に隠れる

その直後、勢いよくドアを開けたバルカンが足早に去るのを見ながらP228を見ながら小さく呟いた

 

「なんで……あんなつい最近まで色ごとに興味なしのバルカンにスミスさんは選んだの……そうだ」

 

P228は少し間、声を必至に抑えながら泣いていた。

そして、ふと彼女の電脳内にある考えが浮かぶとすぐに医務室に無言で入った

 

「P228、どうしたんだ……そんな顔をして?」

「スミスさんはバルカンさんの事を本当に愛しているんですか?」

「あぁ、俺はバルカンの事を……!?」

 

目を赤くして、頬に涙の跡を付けたP228に尋常ではない物を感じたスミスは彼女の気配に圧倒されてオタ

そんなスミスを見たP228は彼を押し倒し、彼女もそのままスミスと肌と肌を合わせるように覆いかぶさった

P228の突然の行動にスミスは混乱を隠せなかった

 

「ちょっと、P228!? 何をするんだ!」

「私もスミスさんの事が好きです」

「!? それって……」

「別にバルカンさんと別れてほしいとはいいませんよ。()()()()()()()()()()()()、私もバルカンさんと同じくらいあなたが好きだという事を頭に入れてほしい……ただそれだけなんです」

 

P228はそう言うとスミスから離れるとそのまま、医務室を後にする。目に涙を浮かべながら

スミスはP228の言葉に衝撃を受け、彼女が出て言った医務室の扉をじっと見る事しかできなかった

 

そして、P228とスミスのやり取りを暇つぶしに歩いていたMk16(リー)がばっちり目撃していた事に彼は気づかなかった

彼はメンタル的にも衝撃な光景に半ば目を覆い隠していた

 

「P288さん……なんて大胆な事を……夫婦になるってこういう事をするの?」

 

余談であるが、リーの口を通じてP228がスミスを押し倒した一件がサクラに伝わり、スミスに対して謝罪することになるのがそれは今回の話とは無関係である

また、その件でP228がサクラからお仕置きを受ける事もまた、今回の話とは無関係である




「決して人間に憧れているわけではなく、彼女らは「道具」や「機械」としての誇りとプライドを持っているのだ」

今回でコラボ企画は終了です
NTKさん、コラボに参加させてもらってありがとうございます

後半の展開は……ツッコミ覚悟の上ですね
個人的にスミスは女好きという設定上、バルカンと付き合う際にぶつかるであろう壁というか課題を表現してみました
というか、個人的にスミスがバルカンと付き合い始めた際に修羅場っていないのがある種の奇跡だと思います

そして……オマケとして、一つの後日編を入れて終わりにしたと思います
これもダメなら、修正します

ハッキングより入手した■■■小隊任務ログより抜粋
ネイト■■が表記する
音声記録再生

■■■9「45姉、バレットとの救援要請を無視してよかったの?」
■■■45「別に構わないわよ……DG小隊から実質絶縁状態なのに、私助ける通りなんてないわよ」
4■■「それに人質の盾なんてモノを使う辺り、コレクターの実力もたかが知れているわ」
中略
■■■45「私達には私達の任務に専念すればいいのよ……人形の救出は彼らの仕事なんだから」
G■■「もしも、彼らが作戦に失敗したら?」
■■■45「その時は私達の出番ね……私達がスミスを助けたと知ったらバレットはどんな顔をするのかしらね」

再生終了


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工場と地下道:1

今回は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

尚、前半部分は番外編特有の本編未登場キャラの先行登場があります

以下は同じ規格内でコラボするドルフロSSです
NTK様 作 『人形達を守るモノ』
焔薙様 作 『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』
試作強化型アサルト様 『危険指定存在徘徊中』
白黒モンブラン様 『Devils front line』より…





S07前線基地中央棟地上部二階にある応接室で、サクラは来客が提示した紙媒体の資料に目を通していた

そこに書かれていたのは、現時点での鉄血支配区域内に存在する資源地帯や生産拠点のリストと簡易な地形図と周囲で確認された鉄血部隊と物資の動きをまとめたモノであった

 

「なるほど……鉄血の大攻勢が失敗したにも関わらず組織的抵抗を続けられる理由がこれか、ワカ?」

「そうだ……このリストでも重要な拠点に関する情報を纏めてみた」

「戦局がこっちに有利に傾いているとはいえ、I05地区に現れた大型兵器のような物を今、出されたら戦局がひっくり返される可能性もあるのか」

 

サクラは手元の資料から対面のソファーに足を浮かせた状態で座るワカと呼ばれた来客――全長1m程の白と黒二色の毛並みが特徴的なペンギン型自律人形に視線を向ける

彼(?)は顔をしかめて頷いた

 

「奴らが作り出したと思わしき巨大兵器は万能者と互角に戦う奴も確認されている――それを作るにも莫大な資材が必要だ」

「ならば……ここで奴らに巨大兵器を作るための資材の供給を断つわけか」

「社長もそう考えているようだ……ちょっと失礼」

 

彼はそういうと目の前のテーブルに置かれた人形用エナジードリンクの缶をヒレの裏側に取りつけたロボットアームで掴む

そして、嘴を開けて缶の中身を口の中に流し込むとワカは軽く体を震わせてから、ドリンク缶をテーブルに置き……こう言った

 

「グリフィン本部から近いうちに指令が出るかもしれない。その情報はきっと役に立つはずだ」

「情報提供は感謝するが……紙媒体にする必要があったのか?」

「紙は盗撮や持ち出しを除けば、最高のハッキング対策だ……じゃあ、俺は帰るぞ」

「いつも情報をありがとう、S07情報支援基地のタケミ指揮官にもよろしくな」

 

ワカがソファーから降り、部屋を出ようするのをみたサクラが礼を言うとワカは振り返り、右ヒレを上にあげた

 

「あぁ、このご時世だ……グリフィン同士でに足の引っ張り合い等愚の骨頂だからな」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

ワカさんがS07前線基地を訪れてから数日後

ワカさんの予想通りに鉄血支配区域内に存在する資源地帯奪還作戦が発令され、ヘリアン上級代行官からS07前線基地へ出撃命令が下った

俺達BB小隊とSDMRが所属するM1911、通称ガバメントさん率いるSO小隊はすぐに準備を整え、数機の輸送ヘリと共に作戦区域内へ向かった

 

その輸送機の中で俺は思わず、目の前に座っているリーを見て、ため息をついた

 

「リー……どうしてセーラー服を選んだ?」

「なんでって? 単純にこっちの方が縁起よそうだったから」

「……」

 

俺は質問の意味が理解できずにきょとんとするセーラー服姿のリーに何もいう事ができなかった

俺がリーに不安視する理由は、彼が身に着けているセーラー服そのものだ

戦術人形達の大半は、戦場でもオシャレを忘れないためか、個性的な服装で出撃するのはよくある光景だ

 

ただ、リーの場合は男性型二も関わらず、女物の服を好んで着たり、化粧をする女装趣味があるのだ

おまけに、小柄で色白で中性的かつ童顔な容姿のせいで、女装をすると完全に少女型人形にしか見えない

リーの女装趣味を否定するつもりはないが、その女装趣味が時にトラブルを招き寄せるの事実で……

 

ある時は、部外者から指揮官の性癖を疑われ、ある時は他の前線基地の指揮官に女性型と間違えられてセクハラを受ける等々……

他の前線基地の人形部隊と共闘する際は、男物のブレーザー式学生服を着させているのだが……今回はよりもよって、セーラー服で出てきたのだ

 

それを見て、MP5Fさんがフォローに入った

 

「まぁ、いいじゃん。リーの趣味を説明すればいいだけだし……それよりも愛銃のセッティングは指揮官通りにした?」

「うん……銃身はCQB用のショートバレルに変えているし、アクセサリーもフェアグリップとホロサイト、PEQ-15とフラッシュライトに変えているよ」

 

MP5Fさんの質問に笑みを浮かべるリーはガンケースから愛銃であるMK16を取り出し、俺達に見せる。

確かにリーが持っているSCAR-Lの銃身は普段よりも短い物に換装されているし、取りつけているアクセサリーも指揮官の指示通りの物だった

リーは証拠を見せて満足したが、ふと俺の隣に座るパラの様子がきになったのか、彼女に顔をむけてこう言った

 

「パラ、どうしたの?」

「妙な気配を感じるの……あそこから」

 

パラは神妙な表情で輸送機の窓ごしにとある方向から――資源地帯がある方向を指差した

その方向には鉛色の雲が日差しを遮るように空を厚く覆い隠していた

その光景に俺達はある種の不安を感じずにいられなかった

 

(不吉な空だな……何事か起きなきゃいいが…)

 

 

俺の不安は、合流先であったバルカンさんとP228のやり取りを知ってから確信に至った

この作戦、絶対にヤバイ事が起きそうだと




作戦参加予定人形リスト
地上ルート部隊
BB小隊
M14(隊長)、P228、M16A4、MP5F,AUGパラ(A1仕様)

地下道ルート部隊
SO小隊
M1911(隊長)、03式、M38SDMR、MP5、スコーピオン


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工場と地下道:2

今回は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

二話目は以下の話を元にBB小隊とサクラの視線で描写しています

『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』
もう誰か止めろよこのSAKIMORI人形……
https://syosetu.org/novel/166885/667.html

『破壊の嵐を巻き起こせ! 』
☆地上戦
https://syosetu.org/novel/180532/396.html

☆二度目
https://syosetu.org/novel/180532/395.html

『人形達を守るモノ』
Code-89 資源地帯奪還作戦-2
https://syosetu.org/novel/190134/93.html




作戦開始から数十分後、俺達BB小隊とS09P基地所属部隊、そして、パラケルススの魔剣、通称魔剣ちゃんによる地上ルート攻略作戦は順調そのものだった

 

空からは飛行ユニットを展開したノアによる航空支援と魔剣ちゃんのハンドレールガンによる後方狙撃で、高台に陣取るイェーガー等を一掃してくれるおかげで、俺達BB小隊とノアさんは工場の建屋等に潜むリッパーやヴェスピド等の鉄血兵の殲滅に専念できた

強いて、問題があるなら、魔剣ちゃんが装備するレールガンの威力が

 

更に、工場内に潜む伏兵もS09P基地特有のチートレーダーであるナデシコのお陰で筒抜け同然。逆にこちら側からMP5Fさんの手榴弾やM14さんが今作戦用にも持ってきた手榴弾等で隠れる鉄血兵を一掃していく

 

『地上工場群の鉄血兵の推定残存数約20%以下…残りは前方の一群だけだ』

「了解、残りは目の前の奴らだけよ」

「「「「了解」」」」

 

指揮官から個別通信で俺達は更に士気を高め、建物の影に身を潜めるヴェスピドとブルートを中心とした鉄血兵の一群に向かってノアさんと共に突貫を仕掛ける

MP5Fさんとパラちゃんがダミー共に9mm拳銃弾の弾幕で敵の動きをけん制する

 

牽制射撃で鉄血兵達が怯んだ隙を狙って、P228さんとアナさんがそれぞれ手にしたブレードで切り込みをかけ、鉄血兵達を斬り伏せていく。

俺とM14さんは彼女達の背後から援護射撃を加えつつ、アナさんの戦い方にいろんな意味で衝撃を受けた

 

(ノアさんは、正面から切り込む……戦術人形の戦いじゃないよな?)

 

俺はそう思いつつもすぐに、頭を切り替えて、P228さんの背後から彼女の首を斬りおとそうとするブルートの頭部を撃ち抜いていく

俺は今まで沈黙を保ってきたドリーマーと未知のハイエンドに不気味さを感じつつ、前衛で戦う二人を援護し、それからすぐに工場群内に展開する鉄血兵はすべて撃破した

 

 

その直後、ドリーマーの怒号がオープンチャンネルによって周囲に響き渡った

 

『最初から勝つとは思っていなかったが……腕一本でも道連れにすればいいものをこの役立たず共が!

「痺れを切らしてでてきたか!!」

「キャロル指揮官、ドリーマーのどこにいるの!?」

「指揮官、敵の反応位置をおしえてください」

『わか……ノア、狙われているぞ!!!』

「!?」

ドリーマーの怒声が聞こえると同時に、M14さんとアナさんの要請にキャロル指揮官が答えようした

だがの、更なるドリーマーの怒声がオープンチャンネルに乗って工場群内に響き渡る

 

貴様らグリフィンも…!()b()()()b()i()g()()()()()()()()()/()b()i()g()()()/()b()》…!私の邪魔をする奴は皆死ねばいい!

 

それと同時に、高台からの時間差で照射された二本のレーザーがノアちゃんを襲い掛かり、それを紙一重で避けるのが目に映った

ノアちゃんがレーザーを避け切るのと同時に俺達BB小隊の個別通信チャンネルに、指揮官からの通信が入った

 

『火力と連射性能が上がっている上に偏差射撃までしくれるか……局地戦仕様なだけはあるな』

「指揮官、どうします?」

「あの連射性と精度だと俺達はともかく、魔剣ちゃんには避けるのは至難と技ですよ」

『だが、ドリーマーに代わりは……!? 別のハイエンドの反応だと!?』

 

指示を仰ぐM14さんとパラちゃんに指示を出そうとした瞬間、指揮官が驚愕の声を上げると同時に聞きなれない声がオープン通信で響き渡った

俺達はすぐにその声が作戦開始前に、ナデシコで観測されたUNKNOWの物だとすぐに理解した

 

『隊長、仲間外れは良くないなぁ。俺も入れてくれないと』

『チーフ!貴様!何をする気だ!』

 

ドリーマーもチーフと呼ぶ乱入者に恐怖心を含んだ叫びに、ソイツは面白半分にこう言った

 

『いやいや、ちょっとお手伝いをね!』

 

チーフの笑い声と共にその瞬間、工場群の一角が突然光を放ち始め、次第に大きくなる。ソレを見た瞬間、俺達は身の危険を瞬時に感じた

 

「「総員退避!!!」」

M14さんとアナさんの退避命令と同時に俺達がその場から退避(魔剣ちゃんは専用パワードスーツを着用したRFBに抱えられて)その場から一目散に離れた

その直後、その光輝いていた所から何かが発射されるとドリーマーが陣取っていた高台を消し飛ばすと同時に小さなキノコ雲をあげた

 

俺達はチーフが放った攻撃の正体をすぐに察すると同時に、奴の異常さを認識せざる得なかった

 

「せ…戦術核弾頭だと、ここは汚染地帯じゃないだぞ!?」

「資源地帯で核弾頭なんて使うなんて、イカレているわ!!」

「味方を殺した?」

「何よりも味方を撃ったよ……狂っている」

「ウェェェ、終わったら除染だよ~」

 

チーフの予想外の行動に俺達は衝撃を隠せなかった。

ただ、一人魔剣ちゃんを除いては……今、それを気にしている場合じゃないが

 

そして、先ほどの砲撃が飛んできた方向から再び光が見えると俺達は頭を切り替え、敵の攻撃に備えた

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

「奴は何を考えている!?」

 

サクラはS07前線基地の司令部で鉄血ハイエンドチーフの行動に戸惑いを隠せず、手を握り占めてモニターを睨み付けちえた

 

工場群に展開しているBB小隊と地下道でリバイバーとナイトメアと行動している第二分隊、SO小隊の個別通信チャンネルを介して彼らの会話に耳を傾けていた

そこで、彼女が耳にしたのは、鉄血ハイエンドチーフの支離滅裂とも言える行動の数々だった

 

(暴走したバルカンを鉄血化したミニガンと潰し合いをさせたり、ドリーマーを意図的に誤射したり、挙句の果てにレストを挑発したり……鉄血の不利になる事ばかりする?)

 

指令室のモニターは、S09P基地のナデシコから送られる情報とグリフィンで一般的な探査衛星からの情報等を重ね合わせた資源地帯での詳細な戦況状況がリアルタイムで映し出されていた

サクラは、BB小隊とS0小隊の指揮権を一時的にS09P基地のキャロル指揮官に委ね、彼女自身はモニターに映し出される情報を元にチーフの不可解な行動について考察を進めていた

 

ふと、サクラは鉄血の反応の動きに不可解な点に気づいた

それは地下道の戦力が不自然なほどに地上の工場群に向かって移動している事だった

 

それこそ、鉄血化ミニガンとEA小隊を壊滅させた死神、二体のハイエンドを除くと地下道の防衛戦力はがら空きであった

その結果、リバイバーとSO小隊、それにナイトメアは少ない消耗で死神と交戦していた

 

まるで、意図的にこちらの部隊と鉄血ハイエンドを潰し合いを狙っているかのように

 

「地上部の増援とはいえ、不必要に地下道の戦力を動かしている……!?」

 

サクラが鉄血の動きに疑問に感じた瞬間、モニターから死神とチーフの反応が同時に消え、彼女は目を開いた

其れと同時にS09P基地司令部から通信が届き、サクラは通信を繋げた

 

『S07前線基地司令部、こちらナデシコ。先ほど死神とチーフの撃破を確認、そちらでも確認できるか?』

「あぁ……こちらでも二体の撃破を確認できた。残りは鉄血化したミニガンと暴走したバルカン、それに地上部の下級兵だけだな?」

『それに関しても地下道にノアが、地上部にはアナが「そういうことか!!!!!」

「キャア!?」

 

サクラの脳裏にあることを見逃していた事に気づき、大声を叫んだ。

彼女の突然の叫び声に、キャロルは年相応の小さな可愛らしい悲鳴をあげたがサクラは自身が気づいた事に内心動揺を隠せず、言葉を続けた

 

「そういえば、奴がドリーマーを誤射した直後、核爆発の影響で一瞬だけに通信が混線した際に奴の会話が聞こえた」

「確かに核爆発の際に一瞬だけに通信機能に異常が生じたが……それがどうした?」

「奴はこう言っていた……『アハハハハッ!そうだっけ!』と」

「それが……まさか!?」

 

驚くキャロルにサクラは頷くと確信を持ってこう言った

 

()()()()()()()()()()()()()()()がチーフと手を組んで、資源地帯(この戦場)を監視している。最悪のチーフ自体も鉄血から離脱している可能性がある」

 




とりあえず、サクラ指揮官がチーフと??の存在に気づきました

問題があれば、修正します


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工場と地下道:3

今回は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

3話目は以下の話を元にBB小隊とSO小隊による地上と地下道での撤退戦の一幕を描写しています

危険指定存在徘徊中
見えないって結構ヤバいこと尽くめだよね・・・・・・・・いろんな意味で(コラボ回
https://syosetu.org/novel/190378/106.html

最後の描写についてはツッコミ覚悟の上です


俺達BB小隊はRFBちゃんが魔剣ちゃんを守りながら、鉄血の増援と戦っていた最中、乱入してきた正規軍らしき戦術人形達によって窮地に追い込まれていた

軍用人形としても異様な程のスペックを発揮する敵に、俺達はどんどん追い込まれていき、俺達のダミーにも被害が出始めていた

俺達のダミーにはリバイバーの開発経緯から内蔵している鹵獲防止用の爆薬で自爆させているので鹵獲の心配はないのだが

 

それでもダミーの数が一気に減り始めている状況に俺達は焦りを隠せなかった

 

「取り囲まれたよ、M14どうする!?」

「どうするって……完全に囲まれ……キャア!?」

 

動揺するM14さんが一瞬の隙を狙って、四脚型軍用人形ケンタウロス(?)が放った矢が彼女が手にしていたM14に命中、銃身をへし折った

俺が知っているケンタウロスのスペックからしても信じられない程の長射程と精度で俺達のダミーや武器を破壊していく

俺も自身のM16A4を打ち壊されて、サイドアームのP220と愛銃の残骸から抜いた銃剣で敵を対処していた

 

「皆のM14が、はぁ!?」

「M14さん、危ない!?」

「下がって、M14!!」

 

そして、それと合わせるように周囲のサイクロプスやイージスがM14さんに迫ろうとする

だが、その前にパラちゃんとMP5Fさんがダミーと共にそれぞれ煙幕弾と焼夷手榴弾を投擲、白煙が周囲に立ち込めると共に、MP5Fさんの焼夷手榴弾が複数のサイクロプスやイージスを火だるまにする

だが、全身は炎上した戦術人形共は一瞬だけ動きを止めたが、すぐに体勢を建て直して俺達に迫ろうとする

 

俺はとっさにサイドアームのP220を軍用人形の一体にダミーと共に銃弾を浴びせるもひるまず、撃ち返してくる

 

(くそ……炎上すれば動きを止めるとは思ってなかったけど、俺の知っているサイクロプスよりも性能が……あ!?)

 

軍用人形の反撃をとっさに避けた際、俺の目に入ったのは軍用人形が襲撃され直前に、アナさんの手で機能停止した数体の赤ゴリアテの一群だった

 

それを見た瞬間、ゴリアテを指差しながら、魔剣ちゃんに振り向いて叫んだ

 

「魔剣ちゃん、()()()()()()を狙って!!!」

「分かった」

 

魔剣ちゃんは俺の言葉と共にタンクに狙いを定めて、レールキャノンを発射した

そして、出力を抑えたレールガンから放たれた弾丸が弾道上の軍用人形達を薙ぎ払いながら、後方の建造物ごと赤ゴリアテの一体を貫通した

貫通と同時にゴリアテに内蔵されていた爆薬が引火、爆発した。

 

その爆発は、他のゴリアテや近くにあった燃料タンクなどが威力を増幅させて、軍用人形や奴らの乱入で残り少なくなった鉄血兵、破損したダミーを飲み込み、吹き飛ばしていく

 

「今の爆発で隙ができた……あそこから逃げましょう!!」

 

それを見たアナさんが先ほどの爆発で、敵の配置がまばらになった箇所を指差すと俺達は手にした武器で牽制しながら敵の包囲網を突破し、安全圏まで撤退を始めた

 

 

 

―――――――――――――――

 

工場群でBB小隊とランペイジゴースト、パルケルススの魔剣が謎の軍用人形の包囲網を突破し、安全圏まで撤退を始めた頃、地下道では撤退中のBB小隊第二部隊、通称S0小隊の03式と万能者が言い争いをしていた

半ば狂乱の表情で抵抗する03式を万能者が右腕で俵を担ぐような形で抱きかかえながら走る形で

さらに、付け加えるなら、彼女の両腕に深いやけどができ、内部骨格が露出していた

 

「離しなさい!!! 死神との一戦での失態を挽回せずに指揮官様の元に帰るなんてできませんわ!!」

「だから、ここに残っていても無力化されて捕まるだけだって言っているんだろう!!!」

「ならば、腕が使えない今、残る手段は腰の爆薬で奴ら諸共……」

「時間稼ぎにもならねんぇ……もう面倒くさいなこいつ!!!

 

自身の下着が見える事も気にせずに悲鳴を上げる03式とそれに苛立ちを見せる万能者、リバイバーは若干引いていた

 

「なぁ、SDMR、あいつっていつもああなのか?」

「うん……指揮官に対する忠誠心が強すぎてね。指揮官の名言録という本を作って私達に配るほどだよ」

「うわぁ……マジか?」

「うん……それを拒否したら、再教育だと言って……思い出したくもないよ」

(あいつと違う人形だと分かるんだが……G3と姿が被るのは気のせいか?)

 

遠い目で話すSDMRと顔を青くするスコーピオンにリバイバーは同情し、ノアはS09P基地敷地内にある教会の主であるG3と03式が被って見えた

 

だが、そんな悠長な状況を許さないかのように、彼女らを阻むように数体のイージスが彼女達から迫ってきた

 

「また、出てきやがったな!! 俺が奴らを排除するからコイツを頼む!!」

ちょ!?」

「キャア!?」

 

万能者は右腕に抱えていた03式をリバイバーの方へ放り投げるとそのまま、イージスに向かって言った

そして、投げられた03式をリバイバーがお姫様抱っこの形で受け止めるのを見て、リーがボソッと「いいな、お姫様だっこ」と呟いた

それを聞いた二人が顔を赤面させ、リバイバーがリーの方を向いた

 

お前さん、男だろう!? 俺今丸腰同然だから、護衛は頼むぞ……というか、グリンダにこんな姿みせられない

「はい、皆行くよ!!」

「分かったよ……帰ったら、指揮官にやってもろうかな?

 

ガバメントの号令にリーが呟き、愛銃を構えると周りの人形達もそれぞれの武器を構えて万能者を支援し始めた

 

 

 

――――――――

 

攻略作戦地域内から少し離れた場所にて

 

 

「あのチーフが不可解な動きを見せていたから跡をつけてきたが……()()()()()()()()()()()()()

 

鉄血ハイエンド・ジャッジは足元で地面に埋めりこむように踏みつけられて、動けなくなった二体のイージスを忌々し気に見下ろしていた

そして、その隣には下半身と右腕を喪失した赤いドリーマーを抱えたアルケミストが別の場所でを見下ろしていた

赤いドリーマーが謎の装甲人形に取り押さえられ、彼らを指揮するナニカがしている場所へ運び込まれようとした途中で、推進器による超加速による飛び蹴りとテレポートによる騙し撃ちで、軍用人形を一時的に無力化させたのだ

 

 

「こいつら正規軍の軍用人形じゃないな……それにドリーマーの傷は」

「分かっている、こいつらは正規軍の人形じゃない。それにドリーマーの傷はチーフのヒュージキャノンのによるモノ……!?」

 

ジャッジが言葉を言い終えらない内に異変を感じ、二人が距離を取る

その瞬間、機能停止していたイージスの内一体が起き上がり、二人の方に頭部を向けた

 

「異様に打たれ強い……アルケミスト、ドリーマーを連れてテレポートで先に離脱しろ」

「分かった……ジャッジ、動くなよ」

 

頷いたアルケミストはそう言うと左手に持っていた武器を放り投げるとジャッジを左腕で抱え上げた

そして、ジャッジの「私を抱えるな!!!」の叫び声と共にテレポートし、その場から姿を消した

 

それを目撃したイージスは、突如動きを止めて数分間の間棒立ちになった

 

まるで、誰かの指示を仰いでいるかのように……




今回、事前に現れた赤ゴリアテで文字通りボムのようにふきとばしていますが
これは暴走したバルカンが正体不明勢力のイージスを撃破した描写から耐久性についてはこちらの常識の範囲内での改善レベルだと判断しました


後、最後のジャッジがドリーマーを助けたのは彼女のチーフに対する不信感と鹵獲を見逃す事は悪であるという判断です

もし、問題があったら、修正します


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工場と地下道:終

今回は、oldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ! との大型コラボです
https://syosetu.org/novel/180532/

今回はエピローグで、以下の話の二日前の出来事です
破壊の嵐を巻き起こせ!
☆ 無意識の自我… 後日談1

https://syosetu.org/novel/180532/398.html


バルカンさんはまだ目を覚まさないか……」

「義体は完全に治ったように見えるのにね」

 

医務室で眠るバルカンさんをパラちゃんは首をひねりながらじっと見ていた

撤退直後のボロボロだった体は、一見すると完全に治ったかのように見える

 

資源地帯攻略戦に乱入する形で現れた謎の軍用戦術人形部隊から半ば敗走する形で、作戦領域から撤退してから、三日……暴走したバルカンさんは未だに意識を取り戻していなかった

あれから猫耳おばさん(ペルシカさん)が必至に修復作業を行ったらしいが、未だバルカンさんの意識は戻っておらず、こうして医務室のベッドの上で眠り姫のままだ

 

「このまま、眠ったままな訳じゃないよね?」

「きっと、彼女は目を覚ますよ。あのM4姉ちゃん達と同じ猫耳オバサンが作った戦術人形ですよ……そうヤワな作りをしていませんよ」

「そうだよね……もうそろそろ、みんなと集合するじかんだね」

 

俺が答えるとパラちゃんも顔に笑みを浮かべて頷くと部屋を後にし、俺も彼女に続く。

 

 

――――――――――――

 

病室を後にした俺とパラちゃんは、グリフィン本社にあるカフェでBB小隊の皆と合流し、午後のお茶会をしていた

といっても主にしゃべるのは女性陣とリーで、俺は無言でそれに聞き耳を立てるぐらい

今の話題は、MP5Fさんが彼女の兄になるレストさんととノアさんについてだった

 

「それでさ……ノアのお腹にいる三つ子達もうすぐ産まれるんだってさ」

「じゃあ、もうすぐMP5Fもおばさ……いたたた!?」

「叔母さんいうな!! リーだって、近いうちに叔父さんになるかもしれなんだよ」

「まぁまぁ、人形が子供を作れるなんて、つい最近までフィクションの中だけの話だったんだよ?」

 

リーのほっぺたを軽くつねるMP5FをM14さんが静止させるとMp5Fがほっぺたを離し、紅茶のカップを手に取った

 

「まぁ、いいけどさ……で、P228はスミスの一件はどうなったの?」

「みょ!?」

 

MP5Fさんの予想外の言葉にP228さんは動揺を隠しきれなかったのか、顔を真っ赤にした

 

「そ、その件はスミスさんからお断りの連絡を貰ったのでもう終わった話ですよ!!!」

「でも、アストラからスミスの隠し撮り写真をゆずってもらっているのを私みちゃったんだよね。」

「みょ!? それは!?」

「気持ちはわかるって、夜這いを仕掛けるほどのイケメンをバルカンに取られたくない気持ちも分かるんだから……今度はあんたの()()()をスミスにあげてやったら?」

「みょみょみょ!? 私のハジメテ……ちょっと!?」

 

さらに顔が湯気が出そうなほどに赤らめるP228さんとそれを面白く茶化すMP5Fさんに口をはさんだ。

 

「MP5Fさん、その手の話は二人に毒ですよ」

「そうよ、リーとパラにはちょっと早すぎる話よ」

「そうですよ、そんなことをしたらバルカンさんにS07前線基地に殴り込みに来いと言っているような者です!!!」

しかし、)

 

俺とM14さんがリーとパラの両耳を塞ぎながら、P228さんとMP5Fさんの会話を耳にしながらあのことが頭から離れなかった

 

(しかし、あの正規軍モドキ共はなんだっただろう?)

 

俺達は沈黙したまま、手元のカップに視線を落とした

 

あの軍用人形達は正規軍の軍用人形とは一線を画した性能でもし、行動不能になった赤ゴリアテがなければ、撤退の途中で現れた魔人とも形容できる人型実体いや……かつての悪魔狩りで共闘したギルヴァさんの助太刀がなければ、なによりも万能者が介入していなければ今頃、資源地帯で俺達全員が奴らに捕まるか殺されていたのかもしれない

そう考えると寒気がした

 

(アイツらは一体……うんz・)

 

俺の思考を現実に戻すように、少女達の悲鳴と歓声が入り混じった声で店内が変に騒がしくなり、店主のスプリングフィールドさんも店の一点を視線が釘付けになっていた

他の皆も彼女が見ている方向を視線を釘づけになっていた

 

「皆……どうしたの……ア!?」

 

全員が見ている方向に視線を移すとそこには一角のテーブルの上で必至に抵抗する魔剣ちゃんを恍惚の表情でぬいぐるみのように抱きしめるSDMRが目に飛び込んできた。

魔剣ちゃんは嫌がって、彼女の手をふりほどこうとするもSDMRはがっしりと彼女の身体を抱きかかえて魔剣ちゃんを離さない

SDMRも俺ほどじゃないが、瞬発力を高めるために義体の馬力が高いのであぁやって捕まえられたら逃れるのは人形とはいえ容易ではない

 

 

「あ……SDMR、任務中に抑えていた好奇心が爆発したのか」

「あぁ、なると彼女絶対に離さないわね」

 

遠い目をしたM14さんの言葉に俺達は頷くしかなく、SDMRは必死に抵抗する魔剣ちゃんに好奇心を貸さずに声をかけていた

 

「ねぇ、魔剣? 君のレールガンってD級ELIDすら一撃で吹き飛ばせるって本当なの!?」

「そうだけど……離してよ!?」

「そうなんだ……へぇ」

 

魔剣ちゃんSDMRから逃れてようとじたばたするも彼女は更に笑みを浮かべて、彼女を頬ずりしながら、口早に話し始めた

 

「道理で触った感覚が普通の人形と違うはずだよ~ねぇ、君のメンタルモデルのコード、見せてくれない!? 後はあなたの義体の構造……そう整備記録でもいいからとか見せてほしいよ。レールガンを動かすためのバッテリーの出力とか高そうだよ!?きっと、フレームとかも反動を吸収するために専用のモノにしていそうだよね!! 一体どこの技術者があなたの設計図を引いたのかね、会って話がしてみたい!!!!!!!!」

「ウワァァァァァン、話を聞いてないよ。離して、誰か助けて!!!!」

 

その様子に俺達は何も言えず、俺は額に手を当てる事しかできなかった。周りの人形達も恍惚の表情を浮かべるSDMRとそれに必至に抵抗する魔剣ちゃんの様子に呆然としていたが、ふとパラちゃんが俺の手を引いた

 

「助けてあげようよ……魔剣ちゃんが可哀想だし、指揮官さんがまたヘリアンおばさんに怒られちゃうよ」

「そうだね……みんな手伝って!!」

 

俺の言葉に皆が頷くのを見て、SMDRから魔剣ちゃんを引き離そうと二人に近づいた

 

この後、魔剣ちゃんとSDMRの一件は例の乱入者達が万能者関連の技術が使われていた事が分かったことで、その件で対応しないといけなくなった事でうやむやになった

 

まぁ、SDMRが指揮官のオシオキを受ける事は避けられなかったが……03式も何故か、一緒にオシオキを受けたは余談であるが……




今回で大規模コラボ:資源地帯攻略戦編は終了です

今回は、展開の先を書く事ができたので個人的には満足ですね

最後にちょっとしたオマケを出して、終わりにしたいですね
ちょっと突っ込んだ内容で問題があれば、修正します



オマケ

TVRチーム主任ジル・フローライトの研究日誌より一部抜粋

・リバイバーが作成したナノマシン:酸性雨について
我々の解析した結果、傘ウイルスを完治させる以外の機能を有していない事が分かった
少なくとも傘ウイルスに犯された人形の治療に使用する事に問題はないと思われる

リバイバーに関しては、不審な点が数多いが

・バルカンの暴走及び実験装備【雷鎚】について
暴走時のログを見た結果、【雷鎚】を【優曇華の花】と同等の欠陥品と結論づけるしかない
メンタルの変調で安易に暴走を起こす装備の運用は改悪としか言いようがなく……
【以下省略】

少なくとも現状では【雷鎚】は封印もしくは、開発凍結が妥当であろう
あの猫耳マッドが私の言葉に耳を貸すとは思えないが……

・国家安全局の動向に関するうわさ
猫娘からの噂だが、国家安全局がIOP及びグリフィンに対して強制査察を局長のゼリンスキーが検討しているという

これが本当だとすれば、TVRチームはともかく、16Labは窮地に追いやられるだろう
グリフィンに関しては、社長と大半の指揮官が豚箱送りになるのは確実だ

せめて……これが単なるフェイクニュースであることを祈りたい


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証明戦線~Doll's Defense Line
火槍準備


ドールズディフェンスラインとのコラボ企画編です

https://syosetu.org/novel/176480/


今、S07前線基地内はかつてS地区全域での大規模攻勢を受けた時以来の大騒ぎとなっていた

 

「救援部隊のダミーを早くヘリポートまで運べ!!!」

「よし、BB小隊向け弾薬コンテナの梱包は完了。次は護衛部隊用の弾薬だ……弾頭は徹甲榴弾仕様だ、高速弾仕様と間違えるな!!!」

「チビ達の装備の積み込みはまだか!?」

 

基地内に俺達の装備をヘリに積み込む後方支援スタッフ達の怒声が響き渡る中で、俺は半身であるM16A4を始めとする装備一式の最終チェックをBB小隊の面々と共に黙々と行っていた

 

「今回はいままで以上にやばい事になったね~というか、勝てるかな?」

「下手すれば、グリフィンが文字通り壊滅だ……今回ばかりは一回休みも覚悟しなきゃいけないですね」

 

リーがSCARの弾倉に5,56mmNATO弾仕様高速弾を震える手で装填しながら質問すると俺は愛銃であるM16A4の動作を確認しながら答えた。

「だよね……怖いよ」とリーの恐怖を滲ませた声色で答えるが正直な話、俺も銃の整備をしていないと手が震えるほど恐怖を感じていた……鉄血に対する憎悪が霞むほどに

 

この騒ぎの元凶であるグリフィン本社から緊急指令この基地に届いたのはつい先ほどのことだった

 

「鉄血工造の大規模攻勢部隊を撃滅するため、重装部隊を試験運用中の前線基地所属の戦術人形部隊はグリフィン本社地区へ集結せよ!!尚、鉄血部隊には既存のハイエンドモデル以外に未知のハイエンドモデルも多く確認されている」

 

鉄血工造の大規模侵攻部隊がグリフィン本社に接近しているというだけでも大事だというのに、未確認ハイエンドつ最優先排除対象「集合体(アグリゲイター)」の存在が指揮官と俺達に恐怖と危機感を煽った

極端に言えば、多数の人形を取り込んで巨大化するという鉄血ハイエンドモデルの中でも異常ともいえる存在であった

 

これを迎撃するために集められるだけの戦力を他の前線基地から集結させる事になり、俺達S07前線基地部隊も重装備部隊であるAGS-30チームと彼女の護衛として二個小隊分を派遣することになったのだ

 

そして、基地や周囲のTVRチームの研究所やメメントス街、そしてそこに繋がる地下道を護衛に必要な人形を除いた中で、戦況にマッチした人選を指揮官が考えた結果、前衛として、戦力のバランスに優れた俺達BB小隊がまず選ばれた

そして、後衛の護衛部隊に俺達BB小隊からp228さん、MG型とSG型を中心としたBS小隊からMK48とM1897さん、狙撃部隊であるTR小隊からR93さん、そしてE小隊員候補からK3が選ばれたのだ

つまり、M1897さん以外の護衛小隊とAGSチームによる弾幕で鉄血を薙ぎ払い、弾幕を突破した鉄血が入れば、BB小隊とM1897さんで蹴散らすというシンプルな戦術だ

 

俺がその事を回想に浸っているとMP5FさんとP228さんの悲痛な声が俺を現実に引き戻した

 

「状態構わずに人形を取り込んで自分の一部にしてしまう大型ハイエンドモデルなんて……鉄血の連中、とんでもない物を送り込んできたわね!?」

「下手をすれば、私達もアグリータに取り込まれてしますね」

「おまけにアグリゲイター以外にも未確認のハイエンドもいるから、相手がどういう敵かもわから……パラ?」

 

P228さんとMP5Fさんが顔を覆っている中、パラちゃんは疑問の表情を浮かべている事にM14さんが気づき、声をかけた

パラちゃんはサイドアームであるジェリコ941を組み立て終えるとと顔を上げた

 

「うん……どうしたの?」

「アリグータの話をしていた時、パラが意味深な表情をしていたから、皆は気になったんですよ」

「うん……アグリゲイターって、どんな状態であれ人形だったら取り込む機能を持ったハイエンドなんでしょう?」

 

パラの質問にナニカを感じ取ったのか、MP5Fさんがすぐさま答えた

 

「そうらしいです……だから、M16A4の銃剣突撃は自殺行為なのよね」

「それ以前にあんなデカブツ相手に銃剣突撃など、足先に小さなトゲが刺さった程度しか効きそうにないです」

「だったら……アグリゲイターの本体ってどんな姿をしているんだろう?」

「「「「「!?」」」」」」

 

俺がM16A4の最終チェックを終わらせるのと同時にパラちゃんが放った一言に全員が言葉を失った

考えてみるとあのデカイ恐竜はアグリータが多数の人形と一体化した着ぐるみもしくは、鎧のような物。だれでもアグリゲイター本体らしき人形の姿を誰も見ていないのだ

 

「確かに……あの恐竜みたいな姿は多数の人形が集合した姿であって、言うならば着ぐるみを着ているような物。誰もアグリゲイター本体の姿を目撃していない」

「むしろ……メンタルモデルが本体で肉体自身がないという可能性もあり得ますよね」

「それって、倒した瞬間に体を乗っ取られるということもありえるよね!?」

 

皆がアグリゲイターの異常さに恐怖を隠せずに顔を青くする中で俺はパラちゃんの言葉で冷静さを取り戻し、アグリータについて考えた

 

(確かに……誰もアグリータ本体の姿を目撃した者はいない。ここで問題なのは本体を定義するソレが実体を持った鉄血ハイエンドモデルか否かだ……だが、今大事なのは)

「みなさん、俺の顔を見てください」

 

俺はアグリゲイターに恐怖を感じている仲間達を落ち着かせるために俺ははっきりと言った

 

「アグリゲイターも既存の鉄血ハイエンドモデルとおなじように鉄血人形であることには変わりない……これまで通り、既存のハイエンドモデルと同じように破壊するだけだ」

 

俺の言葉に周囲の皆がキョトンとするのを見て、恐怖が緩んだのを見て、俺はさらに言葉を続けた

 

「それにこのメメントス街やTVRチームの研究所を護衛するSDMRを始めとしたS0小隊に恰好悪い所を見せられませんよ」

 

それを言った瞬間、リーが笑みを浮かべた。その顔にさきほどまでの恐怖の表情は無かった

 

「そうだね、それに怖いのは他の皆だって同じだもん」

「それに……私達にはASG-30チーム達が付いているし、他の前線基地や本部の人形達だっている……不用意に恐れていた私達達が馬鹿だったね」

「護衛部隊を率いる私が怯えていたら、MK48に何を言われてるかたまったもんじゃありません」

 

リーの言葉に、MP5FとP228が笑みを浮かべるとそれを見たM14さんが力強くこう言った

 

「だけど、油断は大敵よ……かならず、ここS07前線基地に帰るわよ!」

 

彼女の言葉にその場で頷かなかった人形は誰もいなかった




地味にうちの子達に死亡フラグが立った気がしますが……大丈夫だな!!


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闇のカジノに刃桜は舞う:1

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/


今回はBB小隊サイドの導入編で違法カジノ制圧作戦開始前の状況を描写しています


資源地帯攻略作戦から約二ヵ月が経った頃、俺は輸送ヘリの中でBB小隊の仲間と共に今回の任務に対する打ち合わせをしていた

 

「みんな、今回の作戦目的は違法カジノの制圧よ」

「違法カジノか、人類人権保護過激派の資金源になっていそうですね」

 

俺は真ん中に広げられた違法カジノの見取り図を視線を落とすとM14さんが頷いて言葉を続けた

 

「ここの警備を行っているのは人形排除派の傭兵達だとヘリアンさんが言っていたから間違いないわよ」

「それに私達が担当する場所以外にも違法カジノが多数あるのよね」

「そうです、そのためにいろんな所からグリフィンの部隊が協力して、違法カジノを一網打尽する作戦ですよ」

 

MP5Fさんが漏らした言葉にP228さんが頷くのを見て、リーが口を開いた

 

「しかも、違法カジノの一つでは誘拐した子供と人形との殺し合いをさせる賭け試合までやっていると情報も」

「ヒドイ話ね……どうして富裕層ってこういう裏の娯楽に手を染める奴が多いのかしら」

「おかねを持ち過ぎると人の心は歪みやすいからだよ」

 

MP5Fさんのボヤキに哀愁の表情を浮かべパラちゃんが答えると機内は重い空気に包まれた

それを感じたM14さんが俺達に鼓舞させるかのようにこう叫んだ

 

「湿っぽいは話はここまで!! じゃあ、作戦時は室内戦になる可能性も高いからSMGの二人とARでも銃身が比較的短いMK16を装備したリーが前に出て攪乱して」

「わかったわ」

「うん!!」

「任せてよ!!」

 

三人の返事を聞いてM14さんは俺とP228さんの方を向くと俺達に指示を出した

 

「P228は遊軍で障害となるトラップ等の排除、皆とM16A4は前衛の三人のすぐ後ろで援護射撃よ」

「了解しました」

「分かりました!!」

 

俺とP228さんの返事を聞いた彼女は、念を押すように俺達に言った

 

「指揮官も言っていたけど、無条件で殺すのはカジノの関係者のみで客は自衛目的以外で殺しちゃだめだからね!!」

 

彼女の言葉に俺達は無言で答えた

 

「どんな理由があっても攻撃対象の関係者以外を無意味に殺したら、鉄血のイカレ共と一緒だ」とは指揮官の言葉で、S07前線基地部隊では攻撃対象とは無関係な人間の殺傷を禁じている

 

任務を名目に人間を無差別に殺すという行為を指揮官は絶対に許さない。

もちろん、自分も無意味に人間を殺すという行為に拒否感を感じている

 

「どんな理由であろうと人間を殺すという行為を正当化する事はできない」

 

俺がそう呟くと機内に差し込む夕焼けの日が俺達をオレンジ色に染め上げるのを見て、俺は今回の任務へ挑む気持ちを強くもった

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

グリフィンS06情報支援基地所属にするペンギン型警備人形のワカが意識を取り戻し、目に映ったのは薄暗い倉庫のような場所だった

目を覚ますとワカは自身の身体が鎖のような物でぐるぐる巻きにされている事に気づいた

 

「ここは……は、鎖で体を拘束されている!?」

 

ワカは自身が拘束されている事に気づき、振りほどこうとするも鎖が甲高い音を立てるだけで一切振りほどくことはできなかった

 

「く……ここは一体どこなんだ? 俺は確かグリフィンで護送中の戦術人形が行方不明なったと聞いて、タケミ指揮官の指示で行方不明になった現場を調べていたはずだが……」

「それはお前も俺達の仕事を邪魔されたくないからだ」

 

自身の身に起きた事を思い出さそうとするワカに突如中年男性らしき男の声が彼の耳に入り、振り向くと複数の銃を持った傭兵達に混じってスーツを着た50代らしき男性がワカを軽蔑の表情で見下ろしていた

 

「よくも我々のビジネスを邪魔されては困るだよ」

「ビジネス……つい最近起こっているガンスミス誘拐事件やグリフィンの人形の消失事件はお前らの仕業か!?」

 

ワカの質問にスーツの男は首を横に振りながら答えた

 

「残念ながら、ガンスミスの誘拐は俺達ではない」

「つまり、人形の誘拐については否定はしないだな?」

「好きに解釈しても構わん……よし、そいつを入れろ!!」

「へい……さぁ、入れ!!」

「わたくしをこんな目に会わせてただでは済ませませんわよ!!」

 

スーツの男が嘲笑うように言い捨てると後ろの傭兵達に指示出した

男の指示に従って数人の傭兵達が手足を拘束した3体の人形達がワカの近くに放り投げた

 

一人は白い半袖ドレス姿で頭にヘッドドレスを付けた金髪の人形で美しい顔を怒りで歪ませながら傭兵達を睨み付けていた

 

二人目は青のボディスーツを身に着けた赤毛の人形で、自身に起きた事に戸惑いの表情を見せていた

 

そして、三人目の頭頂部にシニョンのように結った黒髪につけたゴーグルと赤いアイシャドーが印象的な人形はすべてを諦めたかのように顔で床を十止めていた

 

「ペンギン、お前にはそこの人形立と共に今夜のスペシャルギャンブルに参加してもらうぞ」

「ギャンブル、ここは闇のカジノか……体何をやらせるつもりだ?」

「それは今夜教えてやる……それまで神様でも祈っているんだな」

 

「まぁ、神様はいないがな」とスーツの男は笑いながら傭兵達と共に倉庫を後にした

そして、倉庫の扉を閉じるや否や白いドレスの人形が怒気を隠さずに叫んだ

 

「わたくしをこんな目にあわせるなんて……あいつらの身体を引き裂いて赤いお花を咲かせて見せ上げますわ!!」

「そうよ、アタシもあいつらのオモチャにされるのはごめんよ」

「そうだな……なんとか隙を見てここから脱出しよう」

 

二人の言葉にワカは同意し、力強く脱出する決意を固めると黒髪の人形が投げやりかつワカ達に聞こえるように呟いた

 

「無駄だよ……逃げた所で奴らに捕まっていいように弄ばれるのがオチさ」

「やってみないと分からないだろう……それにどこかで逃げるチャンスはあるはずだ」

「外にはチラッとみたけど、どこからか鹵獲したイージスやマンティコアもここにはいるのよ。逃げた所で丸腰の私達がどうにもならいなじゃない」

 

黒髪の人形の言葉に倉庫にいる人形達は彼女の言葉に何も言い返せなかったがワカだけは力強くこう言った

 

「それでも……俺は諦めない、必ず脱出するチャンスはあるはずだ!!」




最後に登場した三体の人形がだれかわかるでしょうか?

ヒント
一人目は星5AR(日本鯖未実装)
二人目は星3AR(ログボ)
三人目は星5SG


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夜の賭博場に紫煙は香る:1

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/

今回はアラマキ爺ちゃんと漢陽サイドの冒頭編です

なお、以下の話とリンクする予定です

危険指定存在徘徊中
https://syosetu.org/novel/190378/


そして、今回実験的な取り組みをこの話の中に盛り込んでみました


とある地区のスラム街に似つかわしくないきらびかな金色な照明に照らされたトランプとバニーガールのシルエットのみが描かれた看板が欠けられた豪勢な館を連想させる建物が存在していた

 

看板には、建物の名は記載されていないが絵柄でその館が一攫千金を求める大人達、ギャンブラー達が己の幸運と駆け引きを試す場所――カジノである事を示していた

むろん、廃墟街に存在している事から公に経営を認められたカジノではなく、大手企業「モンゴリー・エレクトニクス」の女経営者によって非合法に運営されている違法カジノである

 

世が世ならスラム街とはいえ、悪目立ちする館ならすぐに政府もしくは、警察機構によって摘発されるのであろう。

しかし、かつての大戦と崩壊液汚染によって実質的に国家が壊滅している時勢と経営者が自身の財力とコネを駆使して、警察や役人を買収し、今日まで摘発を逃れていた

 

そして、不正と強欲で彩られた違法カジノへ一台の四輪駆動車が砂煙を巻き上げながら近づいていた

荒れたアスファルトの道路によって揺れる装甲車の車内でグリフィン元G01前線基地指揮官のアラマキはシワが浮かんだ顔に鋭い目つきで照明に照らされていたカジノを射抜くがごとく睨んでいた

 

「ふむ、あれが奴が次の取引現場である違法カジノか……隠れ蓑としては派手すぎるな」

「だが、Kという名の情報屋の話じゃ次の「レッドウルフ」の取引はここで行われる場所だ」

 

アラマキの言葉に四輪駆動車の運転席でハンドルを握るハンティング帽を被ったアラマキと同年代の男が頷いた。

今回のアラマキは違法薬物「レッドウルフ」の応酬および処分をハーヴィルから依頼され、たまたまその取引場所がグリフィンが制圧予定の違法カジノであった事もあり、それに便乗する形で違法カジノ

 

アラマキの隣に座っていた戦術人形であり、アラマキが現役であった頃の副官であった漢陽88式が首を傾げた

 

「そもそも()()()()()()()()とはどんな麻薬ですか?」

「そうか……ワシやダイスケはともかく、漢陽は()()()()()()を知らないか」

「無理もない……本来なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからな」

「アブノーマルから作られた麻薬?」

「正確には、アブノーマルが育てている煙草の葉に似た赤い葉を加工してできる

 

ダイスケと呼ばれたハンティング帽を被った老人の言葉に漢陽は驚くのを見て、彼は一息をつくと言葉を続けた

 

「その麻薬は一見すると「レッドウルフ」と赤文字で手書きされた紙巻煙草だが……ひとたび吸えば、自分が狼に変化していく幻覚を一分間見るようになる」

「自分が狼になっていく……幻覚をみるんですか?」

 

漢陽の呟きにダイスケは頷くとため息をつくと吐き捨てるようにいった

 

「タチが悪い事に吸う度に幻覚の持続時間が伸びていき、幻覚も精度を増していく……最後には人格するも狼のソレへと変化していき、二度と戻る事無く獣のように床を這いつくばり、唸り声をあげるようになる」

「中毒性こそないに等しいが精神的な高揚感に敗けて、喫煙を繰り返した末に獣のように地を這う中毒者を上海で嫌と言うほどワシは見てきた」

「俺とダイスケ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が……ここが合流ポイントだな」

 

ダイスケは夕暮れに染まる古ぼけたガレージの前に四輪駆動車を止めると全員が四輪駆動者から降りるとアラマキはガレージのシャッターを上げた

 

シャッターが上がると彼らの目に映ったのは一台のトラックと中華風の服を着た白い髪留めが印象的な長髪の戦術人形と青ブチ眼鏡をかけた人形が銃の整備をしていた

そして、アラマキの視線に気づいた人形がすぐに手を止め、彼に向けて敬礼をした

 

「あなたがアラマキさんと副官の漢陽88式ね、アタシはグリフィン所属の77式歩槍……T77と読んでくださいね」

「アラマキさま、同じくグリフィン所属のSAR-2です」

 

二人の人形が敬礼するのをみたアラマキは自己紹介を始める

 

「ワシが依頼を受託し、作戦の指揮する分隊長を務めるアラマキだ……後ろにいるのが共に副官の漢陽88式とワシらのバックアップを務めるダイスケだ」

「ご主人様の副官兼メイドの愛ちゃんです、よろしくお願いしますね」

「俺がダイスケだ……通信面でオサムを支援する、よろしくな」

「はい……アラマキさんの装備はすでに搬入されていますが、確認なされますか?」

「うむ、作戦の確認と同時にやるとするか」

 

その場にいた全員が簡単な挨拶をすますと彼は今回の作戦での打ち合わせと装備の確認を始めた

 

 

 

それから数時間後、

アラマキはカジノの裏口に息を潜めていた

アラマキは16LOB謹製のパワードスーツと軍用ヘルメットと顔を半分を覆う防毒マスクで身を包み、愛銃のM14をもっていた。腰にはHK45Tが治まったホルスターと大ぶりな斧、複数の手榴弾と弾薬ポーチをつるしたベルトを巻いていた。

 

そして、足元には気絶した傭兵が倒れているのを一瞥するとヘルメットに内蔵されている通信装置をオンにして、周囲に潜伏している漢陽達に指示を出した

 

「漢陽、人形達は配置についたな?」

「はい、ダミーちゃん達も含めて配置についています」

「うむ、T77達も準備はいいな?」

「もちろん、分隊長さまが到着なさるまえにすでに完了していますよ。察してください」

「確認しただけじゃ……ダイスケ、準備はいいな?」

「相棒、いつもでいいぜ……丸太はいつでも壁をぶち破れる位置についてある」

「そうか……ワシの号令で作戦開始だ……3、2、1…」

 

アラマキの室んにダイスケは自身を持って答えるとアラマキは全員に突撃の号令を下した

 

「総員丸太を持って!!!」

 

ドォォォォン!!!!

ガコーン!!!!

ドガァァァァン!!!

 

アラマキが号令を下した瞬間、いくつもの轟音――ダイスケの遠隔操縦で動かしたトラックや自動車がカジノの建屋の壁に激突した音が周囲に響き渡った

それに爆炎に紛れるように漢陽達もカジノへ突入、警備兵達と交戦を始めた

 

地面が僅かに揺れた事に感じるとアラマキはドアを蹴り破り、違法カジノへ突入した。

そこでアラマキが見たのは犬もしくは、狼のように床を這う警備であった傭兵達だった

彼はまさに犬や狼のように唸り声をあげ、アラマキを威嚇していた

 

「ウガルルルルルルウ!!!」

「レッドウルフ中毒の末期症状……やはり、ホンモノだったか!!」

 

 

アラマキはレッドウルフと呼ばれる薬物がアラマキの記憶にあるモノと同じだという確信を得た瞬間、それを売っているソレを確信するとアラマキに飛びかかる哀れな犠牲達に銃弾を浴びせた

 

 

だが、アラマキ達は自分達とは別の勢力が違法カジノへ突入している事を知らなかった

 

 

 

 

 

 

 

アラマキが違法カジノへ突入したのと同じ頃、屋敷の奥にある部屋――VIPルームで赤いドレスを着た赤い瞳と赤い唇が印象的な妙齢の女性が部屋が揺れた事に事に気づき、ボソッと呟いた

 

「あら、地震じゃないわね……ナニカあったのかしら?」

 

女性は異常に疑問を感じるもすぐに興味を失い、手元に置かれているシガレットケースから煙草を一本取り出すとそれに火を付けた

 

そして、自身の足元で犬や狼のように床に這いつくばるように男達を見下ろして嘲笑を浮かべていた

 

「まいっか……あなた達すっかり狼さんいや、ワンちゃんになるほど私の煙草が気に入ったかしら?」

 

彼女は部屋の外でパニックになっているとしても動揺する事無く、ただでVIPルームで紫煙の味を堪能していた

 

なぜなら、彼女は人でも悪魔でもない……異常存在(アブノーマル)であるからだ

 

 

 

Emergency!!! Containment breach!!!!

 

異常存在:赤煙草の女(アブノーマル・シガーレッド・レディ)による収容違反が観測されました

 

Emergency!!! Containment breach!!!!




今回、MALEDOLLS屈指のオリ設定:アブノーマルが初登場です

一応、過去に言及こそされていましたが今回、明確に登場させました
今回登場したシガーレッドレディーはSCPで言う所のSafeクラスオブジェクト、ロボトミーでの危険レベル:TETHに該当する存在です

ちなみに彼女の存在が発覚したのは彼女がとある薬学者と接触して、その原料となる赤い煙草の葉を入手し、それを国家安全局に取り押さえられた事です


感想待っています


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闇のカジノに刃桜は舞う:2/A

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/


今回はBB小隊サイドの制圧戦の様子を描写する予定でしたが……長すぎたので分割ですorz

そして、今回も本編時空から先行登場キャラが登場します


S0■地区に存在する大き目の町の一角に存在する違法カジノには一攫千金を求めるギャンブラーや通常では得られない刺激を求める富裕層が集まっていいた

そして、彼らは演劇場のような大ホールに設置された巨大なモニターに各々の視線を向けていた

モニターに映し出されているのは少し広めな地下室もしくは、シェルターのような部屋の柱に鎖に拘束されたワカと鎖付きの首輪をはめられた三体の人形達だった

 

さらにワカの周囲には複数の緑色の長方形の物体……爆薬が設置され、その先からは12個の押しボタンが付いた機械とコードのような物で繋がっていた

モニターに映し出された恐怖の表情を浮かべたワカを観客達は嗜虐的な笑みを浮かべながら、ソレが始まるのを待っていた

 

「今回の人質役はペンギンか……動物型とは面白いじゃない」

「救出役も鹵獲した戦術人形だと言うじゃないか、今回のゲームはどうなるか楽しみだよ」

「前回は6回目だったからな……今回は3回目一本で勝負してみるか」

 

観客たちの期待と興奮が頂点に達しようとした時、ホールの下手からスーツを着た男――カジノの支配人がマイクを片手に姿を現し、観客を前に声を上げた

 

「皆さま、本カジノのスペシャルギャンブル、人形危機一髪(ホップアップドールズ)のベッドタイムは今を持って終了、これよりゲームを開始します」

 

支配人の言葉に観客達の拍手が響き渡るのを聞きながら、支配人は言葉を続けた

 

「ルールは簡単、人質役に取りつけ荒れた爆薬と繋がっている13個のスイッチを一人ずつ押していき、何回目でたった一個の起爆スイッチを押すか否かを掛けてもらいます」

『人の皮を被った畜生どもめ!!!!』

「人質のペンギン型人形は生きがいいですな……さて、救出役一人目に押すスイッチをえら……え?」

 

モニター写し出されるワカを支配人や観客達は嘲笑った瞬間、モニターはシェルターのからキリンを模した面を付けた中肉中背の20代ぐらいの男が切り替わった

 

『くぅんばんわ!! 秘密調査チーム「アヤルト」のリーダー、Gで~す!!!!』

「な……なんだあいつは!?」

「これも演出か?」

 

モニターの映しされた場違いなテンションにおどけるGと名乗る若者に支配人と観客達は唖然としているとGは挑発するがごとく、言葉を続ける

 

『お前らこのカジノに来た事に幸運だと思った方がいいぜ?』

「な………なんだと?」

『なぜか……グリフィンS07前線基地がここを潰すからだよぉ!!!』

 

ドガァァァァァン!!!!

 

ジラフの絶叫を合図に大きな爆発音が鳴り響き、残虐なショーを楽しみにしていた観客達は一斉にパニックに陥った

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

「逃げろ!!!」

『違法カジノを制圧してイクゥイクゥ!!』

 

観客達は一斉に劇場から我先に逃げ出そうとする中で、モニターの中のGはおどけながら叫ぶとモニターは砂嵐だけを映した

支配人はすぐに我に戻ると手元の端末が鳴り出した事に気づいていた

 

『こちら正門警備隊、支配人応答をしてください!!』

「こちら劇場ホールの支配人、何事だ!?」

『正面ホールからグリフィンらしき人形部隊が襲来、おまけに裏方の撮影用の地下シェルター区画を警備していた連中との連絡が途切れました!!!」

「なんだと!?」

 

支配人は警備隊からの報告に言葉を失ったがすぐに頭を切り替え、彼らにも吠える如く指示を出した

 

「すぐに隠し格納庫からケビンとオートモを出し、グリフィンの連中を始末させろ!!!」

『りょ、了解しました!!』

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ダダダダダダダダダ!!!!!!

ウギャアアア!!!

 

 

Gの襲撃が予告されるのと同じ頃、地下のシェルターではワカと三体の人形達の耳にも無数の銃声と悲鳴がドア越しに聞こえていた

 

「な、なんですの!?」

「これは銃声……もしや、助けがきてくれたのかもな!!」

 

白いドレスを着た人形が無数の銃声に驚くのと対照的にワカの目に希望の色が浮かべた。

そして、黒髪の人形はワカの発言に言葉を失った

 

「こんなことが起こるなんて……誰も助けてくれるはずがないと思っていたのに」

「アタシは諦めていないわ……って、銃声が近づいていない?」

 

赤髪の人形が少し震えながら、シェルターの入口の方を向いた。

その瞬間、大きな銃声がドアの向こう側から響くと同時にドアが蹴り破られた。

そして、そこにはP228を手にし、腰に短めの日本刀型のブレードを提げた戦術人形――P228がシェルターの内部へ足を踏み込んできた

 

「皆さん、助けにき……ワカさん!?」

「P228じゃないか……ということはBB小隊が助けにきたのか?」

「と、とにかく皆さんの鎖を斬るので動かないでください!!」

 

P228はワカが捕まっていた事に驚くもすぐに頭を切り替え、手に持った拳銃をショルダーホルスターに納めた

そして、その手で腰のブレードを引き抜くとワカを拘束していた鎖を切断し、その後に三体の人形達の首についている首輪を切断していく

 

甲高い金属音がシェルター内に響くとワカは両ヒレを動かしたり、体をひねるなどして義体に異常が無い事を確かめると三人の人形達も自分の首の様子を確かめる

その間、P228は他の傭兵達が来るのを警戒して、ドアの方に銃を向けながら叫んだ」

 

「ワカさん、急いでここから脱出しましょう。ここの警備兵達は全員無力化しました!!!」

「そうだな、P228案内して……」

『こちら管制担当のWです。P228さん聞こえますか、緊急事態ッス!?』

「こちらP228、Wさん何があったんですか!?」

 

ワカの言葉を遮るように彼女の電脳内に通信が入ると同時に響くWと呼ぶ青年の声にP228が応じた

そして、Wは狼狽えつつも簡潔にこのように言った

 

『イージスやマンティコアにBB小隊が包囲されて苦戦しているッス!』

「え、どういうことですか!?」

『事前の情報よりもイージスやマンティコアにカスタマイズが施されていたようでヤバイッス』

「そちらのハッキングで無力化できなかったですか!?」

 

P228の質問にWは半ばあきらめたように言った

 

『奴らはメインのセキリュティーシステムと切り離されているみたいで……そうだ、囚われていた人形達、デキればRF型かMG型に協力してもらえることはできるっスか?』

「え……協力ですか?」

 

縋るように言うWの提案にP228は半ば不安げに金髪の人形に視線を向けるとが得意げに言う

 

「私達の力が必要のようですわね?」

「はぁ、仕方がないね……私も手伝うよ」

「オーケー、ここには他にも捕まった人形達がいるようだし……彼女達にも協力してもらいましょう」

「ありがとうございます、ワカさんもお願いできますか!?」

 

三人の人形達が協力の意志を示すのをみて、ワカはため息を小さくついた

 

「はぁ、仕方がない……でも、武器はどうするつもりだ?」

『それについては事前の情報で武器の保管場所は分かっているッス。P228さん、俺が誘導するので囚われた人形達を救出しつつ、保管場所まで向かってください』

「了解……皆さん、ついてきてください」

 

P228がそう言って、銃を構えながらシェルターを飛び出すとワカ達も彼女の後をついていく

 




今回の先行登場した『アヤルト』のGとWですが……とあるようつべのアニメチャンネルのキャラがモデルです
たぶん、Gの元ネタが分かれば自然とWの元ネタも分かるかと思います
ちなみにアヤルトのメンバーは後一人います


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夜の賭博場に紫煙は香る:2

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/

今回はアラマキ爺ちゃんと漢陽サイドの戦闘開始編です

なお、以下の話とリンクしています

危険指定存在徘徊中
https://syosetu.org/novel/190378/

訓練された犬って様々な作品でかませ犬扱いさせられているけど実際は人間キラーっていうぐらいに普通に人間より強い・・・・・・尚、狼はそれでいて連携をしてくるからそれ以上にヤバい(コラボ回2
https://syosetu.org/novel/190378/115.html



ほんの数分まで数多のギャンブラーや富裕層達が集う違法カジノでグリフィン所属の戦術人形達がカジノのを護衛していた傭兵達と壮絶な銃撃戦を繰り広げていた

 

「撃て撃て!!!」

「くそ、グルフィンの殺人人形どもをぶっ壊せ!!!!」

「擬装機関銃も弾丸を惜しむな、弾幕を張れ!!!」

「地下の連中はまだこないのか……ウギャ!?」

 

簡素な防具とアサルトライフルやサブマシンガンで武装した傭兵達はカジノ内に隠されていた等鉄製バリケードが展開しに、さらに周囲のスロットマシンに擬装されていた自動銃座が展開し、傭兵達と共に弾幕を張り、戦術人形達の行く手を阻んでいた

一方の漢陽達も壁などに身を隠すなどをして傭兵達の弾幕を凌ぎつつ、傭兵やスロットマシン型擬装ターレットをダミー達と連携して撃ち抜いていく

戦局はじわじわと漢陽側が有利な方にに傾き始めていた事を悟ったSAR-21が二人にこう提案した

 

「数は事前の情報よりも少ないですが……後は情報通り、突破しましょう」

「じゃあ、愛ちゃんが開けますから、お手伝いお願いします」

「わかったわ、獣のように攻め……!?」

 

ドゴァァァッァァァァァッァン

 

SAR-21の提案に漢陽達は頷くとT77は懐から煙幕手榴弾を取り出そうとした瞬間、傭兵達の背後の壁を切り裂くように回転するナニカが飛び出した。

壁から飛び出したそれは高速で開店する丸鋸のようにカジノ内で傭兵達やスロットマシン型艤装ターレットを市もう弾人し、床に切れ目を轢きながら漢陽達めがけて襲ってくる

それを見て、漢陽はとっさに二人に向かって、「皆さん、散開!!!」と退避命令を出した

 

それを聞いた二人はとっさにその場を離れた瞬間、逃げ遅れたSAR-21とT777のダミーを一体ずつ轢き殺した後、カジノの壁に激突する直前で、丸めていた体躯を広げて着地し、漢陽達の方を振り向いた

それを見たT77が顔を青くして、悲鳴を上げた

 

「なんなのアレ、トカゲのELID!?」

「トカゲというよりも恐竜と言った方がいいと思います……新種のELIDでしょうか?」

「SAR-21、冷静に分析しているのよ!!」

 

回転するソレが広げた姿は一言でいうなら、背中に刃が生えたトカゲもしくは、恐竜に似た姿をした二足歩行の怪物であった

一部のモノ達の間では悪魔と呼ばれる存在の一種――ケイオスは漢陽達に視線を向けると再び大きな体を丸めて、背中の刃を逆立てて再び突進を仕掛けてきた

だが、漢陽達もケイオスに怯えることなく、各々の愛銃を向けた

 

「皆さん、迷惑なトカゲを追い出しますよ!!!」

「もう、やるしかないの!?」

「了解、想定外ですが作戦の許容範囲内です」

 

 

―――――――――――――

 

 

漢陽達がケイネスと対峙していた頃、アラマキはカジノの裏方であるバックヤードからカジノの地下部へ続く階段めがけて走っていた

 

彼の背後にはレッドウルフ中毒の末期症状により野獣と化した傭兵達の遺体が転がっていた

 

(すまん、末期のレッドウルフ中毒者は殺すしか救うすべがない……レッドウルフの保管庫があるVIPルームは地下一階だったな)

 

アラマキは傭兵達の遺体に哀傷の意を込めた目で見た後に、地下室へ続く階段がある区画に急ぎ足で向かっていた

だが、その前に数体の粗末な鈍器を持った異様な人型のナニカがアラマキめがけて迫ってくるのをアラマキは気づいた

 

「あれは……以前のS11地区後方支援基地で遭遇した悪魔と同類か?」

 

アラマキはかつての依頼で遭遇した悪魔と呼ばれる存在と同じ気配を感じるも臆することなく手にしたM14を悪魔――レッサースティジアンに向けて引き金を引き、7.76mmNATO弾が悪魔達の頭部を粉砕していく

頭部を砕かれた悪魔達の身体が砂とかしていくのを目の当たりにするアラマキはヘルメット内に内蔵している通信装置を起動させた

 

「アラマキだ、ダイスケ応答しろ!!」

「こちらダイスケ、ちょっとまずいことなったぞ。狙いの相手とは別のアブノーマルらしき異常存在と漢陽達が遭遇、交戦中だ」

「やはり……状況はどうなっている?」

 

アラマキは漢陽達が悪魔と遭遇、交戦している事に不安を感じずにいられなかった

自身の副官であり、異常存在と刃を交えた経験を持つ漢陽以外の二人が悪魔に対応できるか不安を感じていた

 

しかし、アラマキの不安とは真逆にダイスケは自身を持ってアラマキの疑問に答えた

 

「心配ご無用、漢陽も他の二体も連携し最初に現れた一体目を今、撃破したところだ……今は増援らしき人型の異常存在と二体目のトカゲ型に鉛玉を喰らわせているとこだ」

「そうか……む、例の地下区画へ続く階段を見つけた」

 

アラマキはダイスケの話に耳を傾けていると奥に大きなドアがあることに気づいた

「非常階段」というプレートが張り付けられているドアにアラマキが近づき、少しだけ開けて罠や奥の様子を確認する

アラマキがのぞくとそこには薄暗い非常電源で足元が照らされ地下へと続く階段があり、そこからうっすらと白い煙が下から漂ってくるのが見えた

 

「罠は無いが煙がある……念のため、マスクを装着して正解だったな」

『煙ということは……地下でレッドウルフを吸っているという事か?』

「あぁ、ここまで見たレッドウルフ中毒者達はここから登ってきたと見ていいだろう」

『だとすれば、相当な数の中毒者がいることになる……気を付けろ』

「あぁ、ダイスケも警戒を怠るな……何が起こるが分からないからさ」

 

「もちろん」とダイスケが答えると通信が切れるとアラマキは周囲を警戒しつつ、階段を下りていった

 

 

そして、階段で地下で降りた直後、アラマキの耳に無数の銃声が飛び込んできた

 

「これは銃声……そう遠くない場所から聞こえる」

 

アラマキはとっさにM14を構え直し、銃声が聞こえる方向へ向けると無数の銃声に加え、多数の足音や人の叫び声が彼の耳に飛び込んできた

そして、ほどなく音の正体がアラマキの目に飛び込んできた

 

アラマキが聞いた音の正体はさきほどアラマキが遭遇したレッサースティジアンや漢陽達が遭遇したケイオス等の悪魔、それとレッドウルフで理性を失ったであろうカジノ客達や傭兵達の群れと抗戦している武装集団であった

彼ら――ファーニーズは鎧のような装甲服――A.G.Sを纏い、銃器で武装した者や外骨格を取り付けた作業着を着た者、そして、戦闘仕様3機と工兵仕様1機、計4機のPACS達が悪魔や理性を失った人間に銃撃を浴びせ、作業着を着た者は手にした工具や素手でそれを退けつつアラマキがいる方へ後退していた

 

ガアアァァァッァァァァァァァァアァ!!!!

ドドドドドッドドドオドッドドドオッド!!!!

 

「くそ、B級ゾンビ映画に参加気分だぜ!!」

「とにかく、こいつらと交戦しつつVIP……ゲェ!?」

 

A.G.Sを纏った兵士の一人はアラマキの存在に気づくと悲鳴を上げた

 

「おいおい、こんな時に限ってカジノの傭兵が出てきやがった」

「いや、待て……もしかして、マスクで顔が分かりずらいが例の老兵じゃないか!?」

「さては奴らはファーニーズの一味か」

 

彼らの隊長格らしき男がアラマキを見て叫んだがアラマキは動揺することなく、彼らの正体がファーニーズと見破るとM14を肩にかけながら、呟いた

 

「奴らよりも先に正すべき奴らがいるな……テヤァ!!」

 

アラマキは今の状況下で誰を最初に倒すべきかを決めると鋭い目つきで倒すべきモノを睨み付けならが腰の斧を抜き払った

そして、れを両手を構え直しパワードスーツの筋力アシストを厳戒まで引き上げると悪魔の群れに向かって駆けだした

 

武装集団――ファーニーズは自分の向かってくると判断し、一部の物は手にした武器を向けるもアラマキは彼らの側を通り過ぎ、悪魔の群れへと切り込み、悪魔の首を次々と刎ね飛ばしていく

悪魔の首を次々と刎ね飛ばすアラマキを見たケモノと化したレッドウルフ末期中毒者達は尻尾を巻くが如く我先に逃げ出していく

正確に言えば、彼らが恐れたのはアラマキを振るう斧であり、逃げ出していく中でアラマキは目もくれず悪魔達を次々と斧と拳銃を使い分けながら悪魔を狩っていく

 

その様子にファーニーズの面々は唖然としていた

 

「アレが大将が目にかけていたという元指揮官……本当に60歳過ぎの爺さんのうごきじゃないぞ」

「うわぁ……第4部隊のテツさんとほぼ互角じゃないか」

「というかイヌ化した連中が逃げ出していったのはなんでだ?」

 

彼らが目の前の状況にドン引きする中で、アラマキは最後に残ったケイオスに斧を叩き込み、止めを刺した後にファーニーズの部隊に視線を向けると警戒と威圧の念を込めて叫んだ

 

「貴様らはファーニーズの一味だな?このカジノに何の用がある」

「……それは我々の機密に触れるから言う事はできない」

「……そうか、じゃが悠長に交渉している暇は無いようじゃしな」

「それは……く、また来やがったな!?」

 

アラマキは一息吐き、廊下の奥の方をにらみつける。ファーニーズの隊長格の男もアラマキの視線を向ける方向に多数の悪魔が近づいている事に気づき、手にした銃器を向けた

アラマキは素早く斧を仕舞ってから肩にかけていたM14を構えながら口を開いた

 

「ワシにはワシの目的がある……一時休戦じゃ、VIPルームに到着するまでの間共闘しようじゃないか」

「あぁ、VIPルームに到着するまでの間だ」

「それで十分、地上で戦っているワシの部下の人形達にもしっかり伝えておく」

「律儀だな……行くぞ、爺さん!!」

 

二人は互いの条件を合意するとそれぞれの手にした銃器の引き金を引いた

 

 

 



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闇のカジノに刃桜は舞う:2/B

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/


今回はBB小隊サイドの制圧戦の後半部分、M16A4編です

そして、今回も本編時空から先行登場キャラ……アヤトルズの最後の一人が登場します


地と協力関係にあるジャンク屋チーム「アヤトルズ」自称戦闘員のTさんこと、トビーさんの笑い声とM14さんの作戦開始の号令だった

 

『ギャパパパパ、行くぞ!!!!!』

『着弾と同時に総員、突入よ』

 

恰幅のイイ体形に白いマスクを被った茶髪の20代位の男性――トビーさんが片手に担いだ無反動砲でカジノの出入り口の扉とその周囲で警備をしていた傭兵達を吹き飛ばすと同時にリーを先頭に俺は突入を開始する

 

トビーさんの無反動砲の一撃を凌いだ傭兵達が各々の銃器で撃ってくる。

 

だが、彼らが放った弾丸は見当違いの方向に飛んで地面や壁に小さな穴をいくつも開けるだけに対して、俺達が放つ銃弾は傭兵達の身体を正確に撃ちぬいく等敵の錬度は素人に毛が生えた程度だった

そして、トビーさんの掩護もあって、カジノの正面ゲートを護衛をあらかたかたずけた時、俺達の電脳内に指揮官からの通信が届き、通信モジュールを起動させた

 

『こちらHQ、S10前線基地(大元)からの情報通り地下の劇場に集まっている客達は予想通りに退避してようだ』

「じゃあ、客に誤射する可能性は少ないんだね?」

「あぁ、窓から突入した三人も店内で大暴れしている所だ……Gの茶番は滑っていたがな』

「……指揮官さん、P228はどうなっているの?」

『ダミーと共にバックヤード区画を制圧と同時にWと共にカジノの防衛システムを掌握無力化している、今は囚われた人形達がいる地下のシェルター区画へ向かっている所だ』

「了解、M16A4僕達も行こう!!」

 

指揮官からの情報を聞いた俺とリーは外壁に空いた大穴から突入するとすでにカジノ内でMP5Fさんとパラちゃん、それにM14さん達による蹂躙劇が繰り広げられていた

スロットマシーンに擬装されていた自動銃座も銃身を展開するもそのほとんどは火を噴くことなく、沈黙していた。

それが「アヤトルの情報屋」ことハクさんによるハッキングとバックヤード区画に進入したp228さんの仕業だとすぐに理解した

スロットマシン型銃座が無力化しているということは、このカジノに配備されているはず起動兵器も沈黙を保っているという事だ

 

(指揮官の言う通り、ここの防衛システムはすべて止まっている……後は警備の傭兵だけだ)

 

そのせいか警備をしていた傭兵達も大半が屍として地面に転がるが、二人の弾丸で蜂の巣にされるのを待つばかりな状況に傭兵達の悲鳴をあげていた

 

「くそ、早すぎるぞ!!!!」

「弾が全然当たら……うぎゃあ!?」

「擬装ターレットが動かねぇっだと!?」

「増援はまだか!?」

「正門側からも敵が、支配人まだですか!?」

 

銃声と硝煙、それに傭兵達や客達の悲鳴や断末魔が響くカジノに俺達もすぐにパラちゃん達の援護するべく、柱の影から傭兵達に向かって愛銃を撃った

それと同時に眼前で傭兵達を翻弄しているパラちゃん達に向かって電脳で通信を繋げた

 

「M14さん、入口の奴らはあらかた倒しました」

『わかったわ、じゃあ二人もわたし達の援護をお願い』

「うん、わかった!!」

 

リーが頷くのと同時に黒焦げになったスロットマシンの影からグレネードランチャーを構える傭兵を射殺する。

それを見た俺も傭兵達を撃ち殺そうとした瞬間、俺達の電脳内にトビーさんの絶叫が聞こえていた

 

『ギャパー、助けてくれ!!!!』

「トビーさん、どうしたんですか」

『地面から黒いイージス共が出てきた俺様を追ってくるんだ助けてくれ!!!!!』

「トビーさ……リー!!!」

「え……!?」

 

突如壁越しに殺気を感じると同時に俺達は身を隠していた物影から飛び出してから数秒後に無数の砲声と共に俺達が場所に無数の穴が開いた

おれはすぐに砲声が聞こえた方向を見るとそこにはガトリング砲に換装したマンティコア3体と黒く塗り替えられた数体のイージスがカジノの壁を突き破って俺達に迫ってきた

それと同時に他の壁や床から飛び出すようにイージスが現れ、カジノや護衛の傭兵をもろとも攻撃を加えてくる

それを見たMP5Fさんが怒りの念をこめた叫んだ

 

『嘘、あいつらWのハッキングで動けなくなっているはずじゃないの!?』

『想定していたことよ。皆とリーがマンティコアを他のみんなは取り巻きのイージスや生き残り達を無力化して!!』

「「了解!!!」」

 

ナニカの残骸の影を身を潜めて俺達は、M14さんの号令と共にイージスやマンティコアに反撃し、M14さん達も別の場所から増援の起動兵器群に銃撃を浴びせてすぐに俺達はおかしなことに気づいた

(硬すぎる……まるで正規軍のイージスとヒドラを相手しているみたいだ)

 

いくら見た目は鉄血が運用しているイージスとマンティコアだが、俺が知っているソレよりも装甲が強固で俺やリーの使っている5.56mm高速弾じゃセンサー以外では決定打を与える事ができない上に反応速度も俺が知っているソレよりも早かった

 

マンティコアに関しては、対装甲兵用徹甲榴弾を使っているはずのM14さんの銃撃やリーのグレネード、MP5Fさんの焼夷手榴弾を受けてものともともせずにガトリング砲による重厚な弾幕を浴びせてくる

センサー部を狙おうとしても寸前の所で躱され、装甲に弾かれてしまう

 

「……リーのグレネードを受けてもピンピンしているよ」

「装甲の薄い部分を狙っているのに、貫通しなんて」

「指揮官、助けて!!!」

「リー、泣き言を言う暇があったら撃て!!!!」

『そうだよ、指揮官さんもすぐに打開案を出してくれるはずだよ』

「イージスは目を撃てば……<ふはは、残念だったな、グリフィンのガラクタ共>

 

リーが今にも泣きそうな顔をするリーを俺とパラちゃんが慰めようとした瞬間、カジノ内に男の声が響き渡った

そして、それに合わせるように敵の攻撃は止まり、それと合わせるように新手の傭兵達が自動小銃や機関銃、一部の物はロケットランチャーを手にマンティコアの背後から現れ、銃口を俺達が身を潜めている方へ向けてくる

 

(どこかにスピーカーでもしこんでいたのか……おまけに傭兵の増援か!?)

 

声の主はどこか勝ち誇るように大きく笑いながら答えた

 

<ここの機動兵器は偉大なるオーナー様直々に鹵獲したモノを()()()()()()()()()()()()を用いて改装した特注仕様だ。鉄屑共の劣化コピーと一緒にするな>

 

「つまりそれって、中身は()()()()()()()()()()()()()()ってこと!?」

「ちょっとそれ、シャレにならないだけど!!!」

(だとすれば、俺達の銃じゃ手に負えない……指揮官、増援を)

 

現れたマンティコアが実は正規軍のヒドラと同等の性能を持っている事にリーやMP5Fさんが驚くもその暇も与えないかのように敵の叫び声がカジノ内に響き渡った

 

<おしゃべりはここまで……消せ!!!>

 

敵の攻撃宣言と共に敵の一斉射撃による弾丸や砲弾の嵐が俺達に迫り、俺達は物陰に身をひそめる事しかできなかったが……

 

(敵は勝利を確信している……きっと隙ができるはずだ)

 




今回、アヤトルズ最後の一、Tことトビーが登場しました
彼もGやWと同じとあるアニメチャンネルに登場する三人組が元ネタです


その頃、トビーは……
数体のイージスが手にした鈍器で撲殺しようとするイージス達追われていた

「OH!!ジーザズ!!」


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夜の賭博場に紫煙は香る:3

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/

今回はアラマキ爺ちゃんと漢陽サイドの戦闘開始編です

なお、以下の話の直後です
共闘って簡単な場合で成立したり、複雑怪奇な場合で成立したりと本当に色々と多いよね(コラボ回2

https://syosetu.org/novel/190378/117.html


突入開始から45分後――

 

ファーニーズの工兵部隊がVIPルームに転用されていた終末戦争用用シェルターをこじ開ける作業を行っている傍らでアラマキはファーニーズと共に襲撃者達を迎撃するべくM14を構えていた

彼らの周囲にはこじ開ける際の騒音に寄せられた悪魔やレッドウルフ末期中毒によってケダモノとなった人間の死体が散乱していた

 

(結局、最後まで共闘する形になったが……さてどうしたものか)

 

VIPルームとして使われているシェルターの扉を破るためにファーニーズの隊長と最後までの共闘と何もせずに逃がす事を約束してしまった事にアラマキは悩んでいた

 

アラマキの本心としてはファーニーズを見逃すという選択は苦渋に等しいモノだった

本音を言えば、彼らが所業はアラマキにとって到底許しがたい事だった

 

P.A.C.Sという外来種ともいえる武器や兵器、兵力を人類人権団体過激派達に提供し、彼らを焚き付けた事をアラマキは許すことができなかった

強固なシェルターに関してもアラマキが所持している青い円筒――特殊兵器を使えば中のソレごと朽ちさせることも容易であった

だが、それを使うという事は大きなリスクを伴う事を考えれば使う事が出来なかった

 

(腰のそれはアブノーマル由来の代物……下手に使えば、他のアブノーマルを呼び寄せ、漢陽以外の人形達に危害が及びかねない)

「なぁ、爺さん一つ聞いていいか?」

 

アラマキがこの状況下でどうするべきを考えていると彼の隣で襲撃を警戒していた隊員の一人がアラマキに疑問をぶつけていた事に気づいた

 

「なんじゃ……この老兵に聞きたい事があるのか?」

「あぁ、ケダモノ達が逃げた理由が知りたいだが……爺さん、知っているんだろう?」

「そういうことか……奴らはワシの斧を恐れたんだ」

 

アラマキの答えに隊員が目を丸くしたのを見て、自身の腰に提げた斧に目をやった

 

「正確にはワシの斧に込められた祈りに恐怖したんじゃろう……ヤツらの弱点は正常を求める祈りじゃ」

「すまない……爺さんが言っている意味が理解できないんだが」

 

アラマキの言葉を聞いた隊員は首を捻るのを見て、アラマキは笑った

 

「まぁ、ワシが普段やる祈り方のコツさえつかめば、人をケダモノした元凶を殺せるという訳じゃよ」

「爺さんが言っている事は狼男に銀の弾丸を撃ち込め」と言っているような物じゃないか」

「ワシからすれば、お前らの技術の方が異質じゃ……『ピピピ』

アラマキが言葉を言い終えない内に通信機が鳴り響き、彼はすぐに通信機を操作する

 

「どうした……ダイスケ?」

『漢陽達が地上の異常存在を駆逐し、地下ルートへ入口へ向かっているが……周りの一件をどう説明だつもりだ?』

(ふむ、このままグリフィンと合流させるのは少々都合が悪いか……)

 

通信機から聞こえるダイスケの不信感を表した口調にアラマキは少し考えたのちにこう切り出した

 

「ふむ、漢陽達は地下部への出入り口付近で待機させるように指令を出せ」

『なるほどな……聞いてたな、お前ら』

 

ダイスケを予想していたと言わんばかりの言葉に続くように通信機から漢陽の声が響いた

 

『了解しました、ご主人様』

「……ダイスケ、彼女達と通信を繋いでいたなら先に言え」

『すまんな、アラマキの考えはある程度分かっていたから……話が早いだろう?』

「余計なお世話じゃよ……先ほど通り総員地上階で待機、外からの増援に備えてくれろ」

『分かった、こちらも索敵に集中する』

『了解しました、愛ちゃんも派遣された人形達と共に悪いお客様を待ち受けます』

 

二人がそう答えた後に通信が切れると同時に背後から叫び声が地下内に響き渡った

 

「シェルターが破れたぞ!!!」

「どうやら、空いたようじゃな……ふん!!」

「爺さん!?」

 

隊員の一人が静止させよとするも一瞬の内にファーニーズの先頭にアラマキが躍り出ると振り返りると念をおした

 

「お前ら……ここから先はマスクを外されないようにしろ」

 

アラマキはその一言だけを言うとシェルター……VIPルームへ歩みを進めて、ファーニーズも彼の後を追った

 

頑強なシェルターを流用したVIPルームの内部はその名に恥じずに今では滅多に目をすることができない豪華な内装や調度品で飾られていた

そして、同時にうっすらと白い霧のようなモノが漂っている事にファーニーズの隊長は気づいた

 

「VIPルームに相応しい部屋だが……なんだ、この煙は?」

「シガレッド・レディーが作り出した煙草の煙じゃ……マスク無しじゃ一瞬で動けなくなるぞ」

「しが「ちょっあなた達、誰よ!!!」

 

 

隊長格の男の言葉を遮るように女の悲鳴がVIPルームの奥から聞こえ、全員が声の方をむいた。

そこには、赤いドレスを着た女性――アブノーマル:シガレット・レディが護身用の拳銃を彼らに突きつけていた。

だが、拳銃を構える彼女の手は明らかに震えているのに誰もが気づいた

 

「カジノの客か……どうする爺さん?」

「そりゃあ、決まっているじゃろう」

 

ファーニーズの戦闘員の疑問にアラマキは腰の斧を振りぬくと同時に答えた

 

「奴は異常自体の元凶であり、異常存在……ならば、修正が必要だ」

「お前はまさか、ぴ……あがぁ!?」

「爺さん、なにをするんだ!?」

 

アラマキは強化外骨格の出力を最大限まで上げると隊長の静止を無視するように飛び出すと同時に手にした斧をシガレッド・レディの胸に叩きつけた

振りぬいた斧の刃が彼女の胸の食い込むと同時に鮮血のような赤いナニカが吹き出し、VIPルーム、彼女のドレス、そして、アラマキが纏う外骨格を汚した

 

ファーニーズの面々はアラマキの行動に唖然とするとアラマキは彼女の胸から斧を引き抜くと彼女は崩れ落ちるように倒れた

 

「ワシの斧で奴を一時的に鎮圧した。少しの間は復活することはないはずだ」

「いや、爺さん……どう見てもその女、即死じゃないか」

「連絡線を潰さない限り、この女は死ぬことはないだろう……ここに用があるじゃろう?」

「あぁ……分かった。お前ら、行くぞ」

 

歴戦の老兵と言うには異様な気配な雰囲気を放つアラマキに半ば逃げるようにファーニーズ達はVIPの奥に置かれている金庫に向かって行く

それをアラマキを後目に、血に染まる彼女の遺体らの周囲をくまなく探し始めた

 

「さてと……ふむ、これだな」

 

そして、アラマキは彼女の遺体のそばに転がっていたシガレットケースを拾い上げるとそれを開け、一本の紙巻煙草を手に取った

一見するとただの紙巻煙草だが、アラマキの目には異質なオーラを放っている事に気づいていた

 

その煙草はアラマキ――かつて彼が所属していた団体からは「連絡線」と呼ぶモノだ

それはアブノーマルがこの世界に実体化し続けるのに必要なモノで、これを破壊されるとアブノーマルは現世に存在を維持することができなくなる

そして、彼らの意志に関係なく彼らの本来の場所――「深淵の水脈」に還らないといけなくなるのだ

 

「これで連絡線を確保完了と……このまま収容いや、待て!?」

 

アラマキは煙草を握りつぶそうとした瞬間、あることを思い出しそれを思いとどまった

 

「少ししたら蘇るじゃろうし……例の悪魔共について根掘り葉掘り聞いてから還すとするか」




アブノーマルは殺した所でしばらくしたらに蘇るか別の実体が出現するだけで時間稼ぎにしかならない

これを阻止するには連絡線の破壊もしくは、対象との交渉等でアブノーマルを水脈を


鎮圧とはアブノーマルを殺害もしくは、無力化することである
収容とは対象の連絡線を破壊する等して、アブノーマルを水脈に還す事である

我々が優先するべきは収容であり、鎮圧は収容を容易にする方法に過ぎない

新人職員教育セミナー:アブノーマルの鎮圧と収容について


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夜の賭博場に紫煙は香る:4

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/

ひさしぶりです……別のコラボで遅くなりました
今回はアラマキと漢陽88式編です

時系列は以下の直後です
https://syosetu.org/novel/190378/120.html


違法カジノ:VIPルーム

 

ファーニーズが脱出ルートを地下闘技場を経由するルートを定め、アラマキの元に戻ると信じられない光景が広がっていた

それはさきほど絶命したはずの女性――異常存在:シガレッド・レディと彼女の腹部を踏みつけ、拳銃を頭部に突きつけるアラマキの姿であった

彼の左手には一本の紙巻煙草――連絡線を今にも握りつぶさんとばかりに握り占め、彼女の両脚は切り落とされ、そこには赤い血が付いた斧の刃が床に食い込んでいた

 

「つまり、レッドウルフの密輸の売買を許可したのはここのオーナーの独断ということか?」

「そ、そうよ……ここの女社長の献上金とは別に裏金の財源したいと言っていたの」

「じゃあ、次の質問を変えるぞ」

「私の知っている事は粗方話したわよ、他に聞きたい事があると……ヒィ!?

「黙れ……一つだけ聞いてから水脈に還す……嘘をつけば今度は右手を叩き斬る」

 

鬼気迫る表情アラマキと顔面蒼白のシガレット・レディはひたすら命乞いをするような目でみる光景に、ファーニーズの一人が居ても立てもたまらずに静止させようと彼の肩を掴んだ

 

「爺さん、女相手に殺気全開で迫るのはやりすぎだぞ」

「しかも両脚を切り落とすなんて、爺さん落ち着け」

「……ファーニーズか、用事は済んだのか?」

(なんて殺気だ……先ほどの俺達に向けたソレとはけた違いじゃないか)

 

アラマキのドスを効かせた声に彼は一瞬、怯むがすぐに気持ちを持ち直しうなずく

 

「いくらあのケダモノ達を作った元凶とはいえ……」

「こいつは人間じゃない」

「「「「え!?」」」」

 

アラマキの言葉にその場に居た全員が固まるのを見たアラマキは気にもせずに、こう言った

 

「では……最後の質問じゃ、あの悪魔共はどこから仕入れた?それにお前も関わっていたのか?」

「あのヨソモノ達のこ……嘘でしょう!?」

 

シガレット・レディがアラマキの怒気せまる尋問に追い立てられるように答えようとした瞬間、彼女は慌てふためいた

 

その様子にアラマキとファーニーズもただならぬモノを感じた

そして、彼らの不安を証明するようにシガレット・レディが動揺を隠さずにわめきだした

「ヨソモノ達の気配が地下闘技場に一気に強くなった!?」

「貴様、何を知っている!?」

「あの女……ここに悪魔(ヨソモノ)を呼び寄せるつもりなの!?」

「あの女が誰か知らんが、貴様に構っている暇はないようだな」

「ま、待ってせめてれんらくせ……ウギャ!?」

 

アラマキはシガーレッドレディーが命乞いに耳化さずに拳銃の引き金を引く。

そして、拳銃から発射された弾丸が彼女の頭を貫通すると同時に左手に握っていた連絡線であり紙巻きたばこを握りつぶした

その瞬間、シガーレッドレディーの身体は瞬く間に紫煙の煙へと変化していく。

ファーニーズの面々はその様子に驚愕する間にシガーレッドレディーの遺体はみるみる紫煙の煙と化していく

そして、僅か数秒で遺体が身に着けていた衣服や流れ出た血もすべてが紫煙と化した。それも少しの間周囲を漂ったのち霧散し、残された床に食い込んだアラマキの斧だけだった

そして、左手に握り占めていた紙巻き煙草も最初から存在していなかったように屑一つ消え去った

 

突然の事態に唖然とする真顔となったファーニーズの面々を前に、アラマキは拳銃と斧を腰のベルトとホルスターにそれぞれ納めるとVIPルームの外へ出ようと歩き始めた

 

「再収容完了……行くぞ」

「おい、爺さんどこに行くつもりだ!?」

 

死人が息を吹き返したり、死体が紫煙と化す光景を絶えず見せられた隊長がアラマキを引き留めようとするが、彼はふと後ろを振り向き静かに言った

 

「どうやら……先ほどの悪魔の群れがここの地下闘技場に群れとなって湧き上がるらしい」

「なんだって、そこって俺達の逃走ルートど真ん中じゃないか!?」

「おいおい、結局証明突破するしかないのかよ」

 

ファーニーズ達がこの先待っている激闘にげんなりするのを顧みずにアラマキはM14を手にすると殺意を放ちつつも先に進もうとする

先ほどの彼らとの取引により、見逃すと確約を結んだ今となっては彼らを捕縛するよりも湧き出ようとするヨソモノ――悪魔を狩る事が彼にとって最重要であった

だが、彼が一歩先に進んだ瞬間、彼の全身に凄まじい激痛が彼を襲った

 

「ワシはこれから……ウグゥ!?」

「爺さん!?」

「どこか負傷でもしていたのか!?」

 

隊長格がアラマキに駆け寄ると彼は床にうずくまり、全身の激痛に歯をかみしめて耐えていた

そして、その激痛が過去の人権派団体大規模補給路でのファーニーズに追った傷がぶり返したモノだとすぐに察した

 

(まさか、以前の傷がぶり返したのか……くそ、身体が動かん)

 

アラマキは痛みに歯を食いしばって立ち上がろうとするも以前の負傷と老齢、さらにここに至るまで限界まで酷使したアラマキの身体は悲鳴を上げていた

そして、とうとう立ち上がる力すら出せずに彼は床に倒れこんでしまった

そして、意識が遠のく中で胸元の通信機から長年の相棒の声がアラマキの耳に届いた

 

『……どうした、応答してくれ!!』

「……スマン、以前の傷がぶり返して動けない」

『なんだと……漢陽達をVIPルームに向かわせる……それまでじっとしていてくれ』

「ダイスケ……すまんな」

アラマキは通信機に向かってそう言い残すとファーニーズの一人にゆっくりと顔を向けると小さいがはっきりと自身の意志を伝えようとする

 

「グリフィンの人形がここに来る……今回は見逃すから早く行け

「わ……分かった!?」

「グリフィンがここに来る前にお前ら撤退するぞ!!」

 

ファーニーズが足早にVIPルームから去るのを見ながら、アラマキの意識は闇へと落ちて言った

 

 

 

そして、彼が意識を取り戻したのはソレから数時間後のグリフィンから派遣された救護ヘリの機内であった




今回で違法カジノコラボ、アラマキ編は実質終了です
そして、次がエピローグになる予定です


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闇のカジノに刃桜は舞う:FIN

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/


今回はBB小隊サイドの実質的な最終話です


S07前線基地司令部で、サクラはモニターに映し出されている戦況から目を離す事が出来なかった

 

「M14、全員まだ戦闘は可能だな?」

『全員、まだ戦えますけど……戦況は最悪です!!』

『イージスはともかく、あのマンティコアに俺達の攻撃が全く通用しません!!』

「すぐに増援を向かわせる……それまで持ちこたえろ!!!」

『指揮官、早く増援を……うわぁぁぁ!!!』

「リー!?」

 

リーの悲鳴と爆音が彼女の耳に届き、歯を食いしばるサクラは彼らを救うための方策を模索し始めた

 

(すぐに駆けつけられるのはバックヤード区画でP228、それとカジノから10m離れた所逃走した客を監視しているSDMRと03式だけ……ヒュドラの装甲相手じゃ豆鉄砲と変わらんか)

 

サクラはすぐに増援を駆けつけられる場所で待機している人形達の姿が脳内に浮かぶも彼女達が使っている銃器でヒュドラの装甲を撃ちぬくのは困難だと判断した

次に思いついたのは、基地に待機中の人形中を増援に送る事であったが違法カジノとS07前線基地とは距離が遠く、それまで彼らが持つか保障が無かった

 

(今からTR小隊かBS小隊を派遣するにしても到着する前にBB小隊が持つかどうか……Wの案はアテにはできん)

 

サクラがBB小隊の窮地を救う策を必死に模索している最中、彼女の手元の通信機から聞き覚えのあることが指令室内に響き渡った

その声はS07前線基地に協力しているジャンク屋チーム「アヤトルズ」の情報屋Wこと、ハクの物であり、その声色は焦りと確信を秘めた物だった

彼単独行動をとっていたP228を自身の得意技であるハッキングで支援していたが、通信機から聞こえる声は焦りと確信が入り交ざったモノだった

 

『こちらW、カスミ指揮官応答してください!!』

「W、どうした!?」

『P228が囚われていた人形達をすべて解放したッス』

「そうか、ならば急いで人形達を連れて裏口から退避させろとP228に伝えろ」

 

サクラはハクにそう告げるとハクは自身ありげに反論した

 

『その必要はないッス』

「それはどういう意味だ?」

「バックヤード地下部の倉庫に彼女達の武器も弾薬もあったス。それに今はBB小隊はピンチなんっすよね!?』

 

ハクの言葉で彼女は彼が言いたいことが理解できた

 

「お前が言いたい事が分かった……そいつらを援軍にするんだな?」

「そうッス、SDMRさん達はTの救援に向かわせてください」

「分かった……P228聞いていたな!?」

『はい、最初からすべて聞いていました』

「そうか……囚われていた人形達の情報をすべてこちらに転送しろ」

「了解しました、そちらに転送します」

 

P228の返事と共に遅れられてくる囚われていた人形達のデータに目を通すとサクラは口早に指示を出した

 

「今から言う人形達を引きつれて彼らの救援に行け!!」

『了解しました』

『まず、連れていくのは……』

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

《怯えろ!!! 竦め!!!! 己の力を発揮できずに鉄屑と化せ!!!!》

 

改造マンティコアのガトリング掃射やイージス、そして傭兵達の制圧射撃で俺達は遮蔽地から一歩も動くことができず、スピーカーから放たれる嘲笑は俺達に苛立ちを感じさせずにはいられなかった

そして、俺のそばにはさきほど傭兵が放ったロケット弾の至近弾を受けて動けなくなったリーが苦しそううめいた

 

「くぅ~痛いよ……」

「しっかりしろ……パラちゃん、MP5Fさん、そちらで手榴弾で傭兵達でも吹き飛ばせませんか!?」

 

俺は銃声が鳴り響く中で彼女達の電脳に呼びかけるも彼女達の悲痛な叫びで帰ってきた

 

「無理よ、頭なんか出したら間違いない撃たれるわよ!!!」

「一瞬でも隙ができれば、なんとかなるんだけど……え!?」

「こうなったら……悔しいけど、皆達のダミー達を囮して一時撤退するしか……え!?」

 

M14さんの言葉を遮るかのような数発の銃声と共に改造マンティコアが一体が崩れ落ちるように横転、側にいた傭兵達を下敷きとなった

それにつられるように上階部から無数の銃声と共にイージスや傭兵達が銃弾の嵐に倒れていく

 

「ケイン3号が!!!」

「敵が上に……あいつらは俺達が捕まえた戦術人形達!?」

「もしかして……ここに捕まっていた人形達!?」

 

俺の目にはカジノ上階部四方のテラスや出入り口から十体近くの戦術人形達が怒りの表情で傭兵達を凝視しているのが見えた。なぜか、バニースーツを着ているの人形達もいるが……あれって、シノって呼ばれている人形だよね

 

「アタシ達をオモチャのように遊んでくれたね」

「ワタシは怒っていませんよ……許してあげますよ」

「シノ、こんな時でも嘘はいわなくもいいんだよ」

『そんな顔で言っても説得力ありませんわ……皆様、真っ赤なお花を咲かせましょう!!」

 

白いドレスの人形の叫びを合図に人形達は各々の銃から放つ弾丸やグレネードで傭兵達や傭兵やイージス達を撃ちぬいていく

 

白いドレスを着た金髪の戦術人形がAUGによく似たアサルトライフルで傭兵達をボディーアーマーごと撃ちぬき、青いボディースーツを着た赤毛の人形達はアサルトライフルというにはごつすぎる銃でイージスをスクラップに変えていく

この時、俺は知らなかったが彼女達が持っていた銃の名がそれぞれS-ACR、6P62だという事知ったのは任務が終わってからだった

 

俺達は遮蔽物の影から敵が鉄板に当てたバターのように溶けていくように倒されていく様子を見て言葉を失った

 

そして、一際大きな銃声がさらに二発響き渡り、残り二体の改造マンティコアをのセンサー部分を狙い撃ち、無力化した後にその射手らしき対物ライフルを構えた黒いマントを付けた銀色の猫耳のような髪型の人形が上階のテラスから現した。後、ぴっちりとした服を着ている性か女性的なラインが服越しでもわかった

彼女は俺達の方を向くと芝居がったような口調で話し始めた

 

「鉄血の徒に囚われた末に手足をもがれ、肉の盾に仕立てられた吾を救ってくれた人形の兵達よ。不覚にも再び囚われの身となりもここで再会とはこれも運命の……!?」

《調子に乗りがって、ぶっ殺せ!!!!!》

 

銀髪人形の演説を遮るようになスピーカーの叫びごと共に傭兵の一人が機関銃を彼女に向けて乱射するもその間に割り込むように頭頂部のシニョンに結んだ黒髪の人形が彼女の前に飛び出し、構えた盾で銃弾を防いだ。

そして、手に持ったブルパップ式の長銃いや、散弾銃から散弾を連射し、傭兵達をひき肉に変えた。というか連射できるブルパップ式散弾銃なんて……キワモノを使う人形がいるのかよ

 

「KSVK、面倒だから、早く片づけるよ」

「無粋だぞ、CAWS!!、再会の言葉は後にするとしようか」

「うわぁぁ……皆、反撃のチャンスよ!!!」

 

彼女はそういうとCAWSと呼ぶ人形と共に撃ち始め、それをみた俺達も残り少なくなった傭兵達に再び攻撃を始める

そして、あっという間に残りのイージスをスクラップと可視、数人だけとなった傭兵達はそれを見て顔を真っ青にする

そして、傭兵達を恐怖のどん底に落とす致命的な一言がカジノに響き渡った

 

《お前ら人形共を一掃しておけ……俺は定時だから帰るぞ!!》

 

放送の一言直後、電源が切れる音がなり響いた後にスピーカーは沈黙を保った

そして、生き残りの傭兵達は自分達が見捨てられたと悟るとすぐにその場で全員が武器を捨て、こう叫んだ

 

「降参だ……投降する!!!!」

「命だけは、ノーカウント、ノーカウントだ!!!!」

「ハイ、ゴメンナサイ……調子に乗ってゴメンナサイ」

『殺す気すら失せたな……お前らに任せるぞ、煮るなり焼くなり好きにしろ』

 

傭兵達の変わり身の速さに指揮官は半ば軽蔑するような口調で質問に俺達は言葉に失った

 

「どうする……このまま殺すのも後味悪いよな」

「まぁ、そのまま捕まえましょうか」

「「「「そうですね」だね」」」

 

M14さんに提案に俺達は頷くしな叶った

ほどなくして、投降した傭兵達は俺達の手で連行された後にグリフィン本社の尋問部に引き渡されたらしい

ちなみに、トビーさんもカジノの外を監視していたSDMRと03式の手で救出されたらしい

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

BB小隊が脱出した人形達と共に傭兵達を蹂躙しているのと同時刻、

ワカとP228はCAWS達とは別れて、ハクの誘導で支配人がいるであろうモニタールームを目指していた

 

目的は闇カジノの支配人の身柄の捕縛で、マンティコアを改造するさいに使われた正規軍規格の部品などの流通ルート等問いただす事が山ほどあり、捕まえ次第本部の尋問部に引き渡すつもりであった

 

すでに戦力のほとんどはカジノの方へむけられていたのか彼女達の侵攻を遮るモノはほとんど存在せず、残り僅かの傭兵達もP228の愛銃で撃ちぬかれるか愛刀に露とかしていた

そして、ワカの方は自身の足に内蔵されているローラーでP228とほぼ同等の速度で駆け抜け、両ヒレに内蔵されたスタンロッドで警備に傭兵達を次々となぎ倒していく

 

「この先がモニタールームですね!!」

『P228さんの言う通り、この先の突き当りが支配人が逃げ込んだモニタールームっす!!』

「あれか!?」

「きっとそうです!!」

 

ワカが右ヒレを眼前に見える扉を向けるとP228は頷き、モニタールームのドアまで一気に駆け抜ける

そして、二人がドアを蹴破り、モニタールームへと侵入した瞬間、彼女らは信じられ光景を目の当たりにした

それは闇カジノの支配人がモニタ―ルームのコンソールに寄りかかるようにして倒れていた姿だった

そして、彼の首は180度にねじ曲がっている事から死んでいる事はを明白であった

 

「あの男……支配人が死んでいる」

「一体だれが……」

 

二人は目の前の男の死体に呆然としているとP228の電脳に通信が入り、通信機能を起動させると聞き覚えのある声――Gの声が彼女とワカの電脳内に響き割った

 

『お前ら、Tは無事だったぜ。待機していたSDMRが駆けつけて、イージスを一掃したんだ』

「それはよかった……Gさん、Tに怪我がないのですか!?」

『ピンピンしているよ!!! Tなんか、見栄を張って返り討ちにしてやるつもりだったと言ってたんゼ~」

「それだけの元気があれば、心配する必要なか『ジン、余計な事いうんじゃね!!ばらすぞ!!!』

『やめろ、ヒートカッター振り回すんじゃね!!!』

 

トビーの怒気込めた叫びとGこと、ジンの悲鳴と二人の足音を電脳内に響くのを感じながらP228は支配人の死体を見て呟く

 

「一体誰が……彼を殺したの?」




とりあえず、今回で闇カジノ編:BB小隊サイドは終了です
次はいくつかの後日談を投稿する事になります

そして、番外編集恒例のおまけがあります
今回のオマケはとある人物の通信記録です


おまけ:とあるエージェントの通信ログ
記録開始
??:Kだ、対象施設をグリフィンが制圧した事を確認した
エージェント:こちらエージェント、状況を把握した……IOPの新製品はどうだった?
K:あぁ、叛逆小隊に納品する予定だっただけあって非常に優秀な人形達だ……特にR■K-1■はグリフィンが接触する前にターゲットを始末した
エージェント:そうか、確かにいろんな意味で性能がよさそうだしな。あのゴリラ女には勿体ない
K:一応言っておくがセクハラの代金は自分の指で払う事になるぞ
エージェント:分かっている、AN-94の失敗は繰り返さないつもりだ
K:無駄話はいい、そちらの方はどうだった
エージェント:A■-1■の話じゃ……P基地のイカレ共はターゲットを生き埋めにするつもりだ……
K:そうか……ターゲットの位置は分かっているのか
エージェント:彼女が事前に得た見取り図から大体の場所は特定している……どっちにしろ、行方不明にする予定だ

中略

エージェント:で、話は変わるが例の二体は国家保安局直属で運用することになった
K:まて、その二体は試用運用後、叛逆小隊と合流させる予定じゃなかったのか?
エージェント:どうも叛逆小隊の頭脳である彼女に要監視対象6885に共感している疑いがあるらしい……それどころか、叛逆小隊の指揮権剥奪すら検討しているらしい
K:要監視対象6885……ルーラーの事か?
エージェント:そうだ……鉄血工造も面倒な置き土産を残してくれたものだ


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夜の賭博場に紫煙は香る:FIN

今回は白黒モンブラン氏のDevils front line との大型コラボ編です
https://syosetu.org/novel/191561/

めっちゃ遅くなりましたがアラマキ爺ちゃん編最終話です

そして、すごく短い兼ダイジェスト気味です……orz


そして、作中にでてくる書類については以下を参照してください
https://syosetu.org/novel/190378/140.html


違法カジノ制圧作戦から数週間後……

 

S07地区某所の居住区の一角に建てらえた元は監視塔を改装した集合住居の一室がグリフィンを引退したアラマキが終の家であり、自衛団員としての拠点であった

そして、彼は今寝室に置かれたベッドの野かでアラマキは腰痛の激痛に歯を食いしばって耐えていた

痛みに耐えるアラマキの側で漢陽はベッドの側に置かれたテーブルの上に置かれた物を整理していた

 

「いたた‥…これは少しの間は動くことすら敵わんな」

「そろそろ完全に戦場から引退を考える時が来たかもしれませんですよ」

 

穏やかにそして、諭すように話す漢陽にアラマキは「馬鹿を言うな」と彼女の言葉を却下する

 

「前線から下がるがワシ個人としては、この命が尽きるまでアブノーマルとの戦いから退くつもりはないぞ」

「蝶事件直前の頃のご主人様が聞いたら腰を抜かしてもおかしくありませんよ」

 

漢陽の冗談めいた口調で出た言葉にアラマキは小さく笑った

 

「そうじゃな……あの時はワシの見通しが甘かった…!?」

 

アラマキは突如、ドアごしに不審な気配を感じたアラマキは目を大きく開いた

それを見た漢陽は目を丸くするもすぐにアラマキが感じたソレと同じ物を察し、ふくらはぎに隠し持っていた拳銃を無言でぬいた構えた

そして、アラマキは穏やかな口調で話した

しかし、その顔は隠居した老人ではなく、歴戦の老兵のソレであった

 

「漢陽に小腹がすいたから台所から甘いモノを持ってきてくれないか?(台所を侵入がいる……侵入者を探せ)」

「了解しました……それと飲み物として紅茶はいりますか?(対象の排除の許可は?)」

「アールグレイがあれば持ってきてくれ(必要ならば、排除も許可する)」

「承知いたしました……少々お待ちを」

 

漢陽は軽く会釈すると拳銃を構えて、台所へ向かった

しかし、漢陽が台所へ向かうもそこには誰もいなかった

代わりに、いくつかの書類やメモリーカードだけが置かれており、ついさきほどまで誰かがいたかのを示すように窓があき、薄汚れたカーテンが風でなびいていた

 

「誰もいない……それにこの書類は?」

 

漢陽は台所の残された書類に罠等が仕掛けられていない事を確認するとソレに目を通した

書類は主にパラデウスの兵器開発報告のレポートとどこかの工場で建造されているであろう兵器の骨格を撮影した写真の二種類であった

そして、レポートにはパラデウスが新兵器に関する実験や開発が順調であることが記載されていた

 

「これは……ご主人様に報告しなければいけませんね」

 

漢陽はそう呟いた後にアラマキがいる寝室へ駆け足へ向かった

見つけた資料が多大な価値があるという事を彼女が悟ったからである

 

後に漢陽が見つけた書類やメモリーカードがアラマキの手を介して、保安局に渡り、パラデウス関係者を摘発するのに役に立つのは別の話である

 

そして、アラマキが見つけた資料によって、パラデウス対策として重装部隊の配備拡大とIOP社との共同で対湾曲障壁対策の技術に力を始めるのもまた、別の話である

 




すごく遅くなりましたが、今話で違法カジノ制圧戦コラボ編は完結です
白黒モンブラン様とコラボの相席を許可してくださった試作強化アサルト様ありがとうございます




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総員!鉄血防衛線を越えろ!

今回は試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加します

まずは序章編です


闇カジノ制圧作戦から一か月後

 

俺達BB小隊を含むS07前線基地戦術人形部隊はカスミ指揮官と共に鉄血支配領域の近くに設置された作戦本部で今回の作戦についてのミーティングを始めようとしていた

 

彼女の背後では、前回の闇カジノ制圧作戦の報酬として、本部から贈呈されたM1296 ストライカーICVD――ストライカー装甲車の歩兵戦闘車仕様を給油や砲弾等を積み込むアヤトルズとAGS-30達の姿が見えた

 

俺達の新戦力とも言えるアレこそが俺達の新戦力であり、指揮官が現場に出てこれる最大の理由だった

見た目こそはストライカーICVDだが、中身は16LABやTVRチームが共同で書き上げたシステムを元に、猫耳オバサンやアラマキ元指揮官の知り合いが在籍しているというスヴァローグ重工が製造した車両版火力小隊ともいうべき魔改造メカとなっている

 

装甲の材質やエンジン、センサーなどは2060年代のソレに置き換えられ、フォースシールド発生装置を搭載した事で短時間のみだがミサイルなども防げるらしい

また、通信機材も強化された上で俺達の指揮を執りつつ、機関砲で火力支援できるという欲張りな仕様だ

主砲の30mmチェーンガンは砲身等は現在水準までチューンアップされ、さらに重装部隊の特徴でもある対湾曲障壁用弾頭も撃ちだせるらしい

 

そんな魔改造歩兵戦闘車を指揮官は「西行」と言う名前を付けているほど、気に入っており時折自身で操縦する姿をよく見るようになった

 

指揮官曰く「グリフィンの指揮官になる前は張り子のトラ同然のポンコツ戦車や装甲車で仲間達と共にELIDや別のPMCとドンパチしたものさ」と語る彼女の顔はどこか満足げだった

 

今回の作戦でもパンツァージャケットに身を包んだ指揮官がアヤトルズとP228とM3と共に西行に登場して、俺達の指揮を取ると言う……今回の状況からすると久しぶりに戦士の血が湧いたともいうべきか

 

出撃した面々は俺達BB小隊、MG型戦術人形やSG型戦術人形を中心に構成された弾幕射撃と侵攻を阻止することに特化したK部隊の一つで、LWMMGこと、ラムさんが率いるBLOOD DRINKER’S STORM(血飲みの嵐)小隊、通称BS小隊。

そして狙撃を得意するTR小隊のR93さんとブレンテンちゃんやSO小隊のSDMR等や他のK部隊やE部隊から何人か抽出した指揮官を隊長にした直属小隊、それに重装部隊のAGS-30と大勢だ

 

残りの人形達は前線基地で後方幕僚のマギーさんが指揮を代行する形で警戒についている

 

俺は周囲に目をやるとほぼ全員が真剣な表情で紙に書かれた作戦エリアの詳細が書かれた大きな地図に目をやっていた

 

「グリフィンの主力部隊と共に鉄血の防衛線を突破し、制圧もしくは破壊する最重要ポイントはこの重要施設だ」

「ここを破壊すれば、俺達の勝ちと言う事ですね?」

「その通り

「そういえば、この重要拠点がある場所って……山岳地帯を越えたら鉄血の本拠地のすぐ近いだよ」

「本当だ、山を越えた所に鉄血の本拠地があるね」

 

パラちゃんが指差した箇所を指差した箇所をリーが興味深そうに頷くのをみて、俺もその意味が理解できた

俺達が攻略する予定の重要拠点から山を越えればそこは鉄血の本拠地からはすぐそこだ。

そして、重要拠点よりも後ろに防衛線を張るための拠点を作れる場所実質存在してないことから俺はすぐにこの防衛線が鉄血にとっての最後の防衛戦であることは明白だった

 

だが、ミーティングに参加していた人形の一人G36Cさんが不安げな表情を浮かべていた

 

「でも、ここに来るまでに本部からの情報では鉄血の大群に加えて、多くのジュピターや地雷現が存在しますよ……どうするつもりですか? 指揮官さん」

「特にジュピターの大群はいくらフォースシールドを張れる西行を使ってでも突破する事は難しいです」

「まさか、ジュピターの弾幕をくぐり抜けてろというんじゃ……ないよね?」

「指揮官……あなたには何か秘策でもあるのかしら?」

(確かに……ジュピターは背負っている物を使えば無力化できそうだけど、砲撃の弾幕を突破するなんて無理があるぞ)

 

G36Cさんの不安に同調するようにラムさんやSDMRを含めた何人か不安げに指揮官の顔をのぞき込み、おれもふと不安で背中に背負ったそれを無意識の内撫でていた

だが、MK48一人だけは期待と高揚感を隠さずに笑みを浮かべたまま、指揮官の目を見ていた。この状況をたのしんでいるかのように……

それに対して指揮官も顔をにヤリと笑うとこう言った

 

「ジュピターのような大物は正規軍かソレを得意とする奴らにまかせればいい……それを踏まえて作戦の段取りを説明するぞ」

 

指揮官はそういうと俺達に今回の作戦について粗方説明を行い、それに対して俺達は質問を繰り返すこと数十分後、大体の作戦の概要が理解できた

 

今回の俺達の作戦を一言でいうなら、正規軍の部隊を盾兼ジュピター砲や地雷を掃除役にしつつ、俺を含めてM14さんが率いるBB小隊が前衛として突貫し、鉄血兵を掃討する

その背後をラムさんを筆頭にMK48、M249SAWことM249さん、M1897さんとM1014さんで構成されたBS小隊AGS-30と共に重装部隊専用のヘリで移動しつつ、俺達を援護する

 

 

それ以外の面々はR93さんとSDMRが俺達の背後や補給線を脅かす敵を狙撃で排除

G36Cさん、P228さん、M3さん、ブレンテンちゃんが西行とそれに同行する装甲車に搭乗して指揮官とアヤトルズの面々と共に俺達とは別方向に進軍する

 

そして、あらかたの打ち合わせが終わった頃、西行へ補給が終わったのかアヤトルズの面々がこっちの方へ向かってくる野が見えた

 

「指揮官さん、弾薬の補給と給油が終わったッス」

「あのロリっ子達も見た目に異常に力があるから砲弾運びが楽ちんだったぜ」

「ギャッパパパパパ、輸送ヘリや装甲車にお前らのダミーも積み込み完了したぜ」

「よし、総員それぞれの割り当ての配置につけ……M16A4!!」

 

指揮官の号令に俺達は敬礼を還すと俺達は割り当てられた配置につこうと駆け足で向かった

だが、指揮官はナニカをおもいだしたかの俺を引き留めた

 

「指揮官、なんでしょうか?」

「背中のそれの使い時を見誤るなよ。」

「分かっています……A1姉ちゃんがわざわざ送ってくれた者ですか」

 

指揮官の言葉に俺は背中に背負っている黒いケースのような物を見ながら答えた

より正確に言うなら、鉄血製武装モジュール「武器庫」のレプリカであり……M16A1姉ちゃんがいつも背負っていたモノと同じ物だった

そして、これを送ってくれた猫耳オバサン曰く「M16A1が例の闇カジノの一件であなたがピンチになった事を聞いて、わざわざ送ってくれたのよ」

それを聞いた時は胸が熱くなったのを感じたものだ

 

(A1姉ちゃん、ありがとう……この力使いこなしてみせるよ)

 

だけど、俺はこの時A1姉ちゃんがあんなことをするなんて夢に思わなかった

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

S07前線基地部隊が作戦会議が終了したのと同時刻

 

前線から離れたグリフィンと正規軍の本営に設けられた物資集積所の事務所代わりのテントの中でペンギン型自律人形ワカと十代後半ぐらいの少女型戦術人形がパソコンや書類相手に格闘していた

 

彼女のボブショートの茶髪に嵌めた鈴が付いた花形の髪留めが印象的であり、書類を移動させるたびに澄んだ音を小さく鳴り響かせていた

彼女の名はSG550……偵察と後方支援、通信業務を専門とするS07情報支援基地に所属する人形の中でも数少ない戦闘小隊に所属する人形である

 

元々小規模である上に本格的な戦闘部隊が少ないS07情報支援基地は基地の戦力を維持するために物資集積所での事務業務や警備要員として少数の人形を派遣させるのだ

 

S06情報支援基地の指揮官が選んだのがワカとSG550、P226とパイソンの四名であり、彼らは物資集積所での補給任務に従事させている

 

「うぇぇぇん、次から次へと物資の要請書がいろんなところから届いているよ!!!」

「戦術人形の特徴上とはいえ、弾薬の種類は多すぎるな……正規軍を殴りたいぞ」

「実際にやっちゃだめだからね……はい、指示書まとまったよ」

「分かった……ダミーにそれを外の作業者たちに渡してくれ」

 

ワカが無表情に毒を吐きながらパソコンのキーボードをヒレにつけた人の手型マニュピレーターでキーボードを操作し、その隣でSG550ダミーをすべて動員して、外の集積所で働く人形達への指示書を仕分けていた

彼女の懐には愛銃であるSG550を置き、いざっと言うときに備えていた

 

両者とも必死な表情で作業に没頭しているとテントの中に眼鏡をかけた正規軍の軍服を着た初老の日系男性が入ってきた

男性は正規軍制式の野戦服に身を包み、MP7と老人が持つには少々不釣合いな大ぶりな斧を腰に提げていた

 

「スマン、ここの補給担当者はいるか?」

「うん、俺がそうだが……問題でもあるのか?」

 

ワカが尋ねると老人が苦々しい顔を浮かべた

 

「それがな……ワシが受け取るはずの物資が入ったコンテナにちょっと問題があってな」

「コンテナ?」

「そうじゃよ……ワシのコンテナの識別票が別の部隊の物だったんだがどうなっているだ?」

「え……こんな時に発想ミスだと!?」

 

それを聞いた瞬間、二人は唖然としていると息を荒くしたP226がテントに転がり込んできた

 

「SG550、ワカ、武装して現場に来て!!」

「どうしたのP226ちゃん!?」

 

P226の叫びに彼女はとっさに懐に置いていた愛銃を構えながら質問するとP226は少し戸惑いを隠さずにこう言った

 

「それが……物資コンテナの一つに戦術人形が紛れ込んでいたの!!!」

「どのコンテナに潜んでいたんだ!?」

「そこのおじ様が受け取る予定だったコンテナに潜んでいたのですわ!!」

「鉄血か!?」

「違いますが、怪しいのでパイソンに拘束させているのよ!!」

 

 

老人は自身の銃をいつでも使えるようにボルトを操作する野を見て、P226と共に外へワカ達がテントの外へ出て、物資の受け渡し場へ向かった

 

そして、受け渡し場で彼らが見た光景はワカ達はもちろん、老人にとっても予想外の物だった

そこで見たのは、黒い三つ編みと眼帯が特徴的な人形と黒いパーカーを着た人形が両手上げ、銃を向けるパイソンだった

 

「あはは……なんでバレチャッタノカナ?」

「弾薬コンテナの中からウィスキーの匂いがしたら、誰だって怪しむだろう?」

「だから、私達はお兄ちゃんに会いきたの……信じてよ」

「だったら、なぜコンテナの中に密入国するように潜んでいたんだ?」

「だって、ペルシカさんとM4が許可してくれなかったんだから隠れていくしかなかっただよ!!」

 

不信感を隠さないパイソンと対照的に、バツが悪そうに笑う眼帯の人形と頬を膨らますピンク髪の人形にやりとりを見たワカとSG550はその人形達が何者かを知っていた

 

「AR小隊のM16A1とM4SOPMODⅡだよね」

「間違いないが、どうしてここにいるんだ?」

 

二人が呆然とする中で老人――アラマキは大きなため息をつきながら、二人に聞こえないように呟いた

 

「アンジェリカ……これは聞いていないぞ」

 

 

 

そして、ワカ達がM16A1達の姿を見たのと同じ頃、IOP本社の一室で黄色のメッシュが入った黒髪が特徴の戦術人形、M4A1が表情が消えた顔で一枚のメモを見ていた

 

『SOPと一緒に弟の手助けに会行きます……心配しないでくれbyM16A1』

 

それを見たM4はメモを握りつぶすとドスが聞かせた声でこうつぶやいた

 

「万能者さんに頼みたい事が一つ増えましたね」




さて、今回M16A4は前回のカジノ戦を元にM4MOD3と同様に復讐砲を装備したフルアーマー仕様として参加しています

また、指揮官もストライカードラグーンを手に入れた事で本来の役職、火砲の砲手としての実力も発揮できるようになりS07前線基地(番外編時空)は大幅にパワーアップしました

そして、最後の展開は試作強化アサルト氏から許可をもらった上で導入しました
今後、彼女達がM16A4と合流できるかは今後の展開次第ですね

以下はオマケです

オマケ1:今回の参加勢力

S07前線基地
前衛部隊(積極的に前に出る子達)
BB小隊(M14,M16A4,MP5F,AUGパラ、リー)
支援部隊(前衛部隊の掩護を行う部隊)
重装部隊;AGS-30
BS小隊(LWMMG,M249SAW,MK48,M1897,m1014)

カスミ指揮官直接指揮部隊
戦力
M1296 ストライカーICVD改(西行)及び装甲車数台

搭乗員
カスミ指揮官とアヤトルズ(ジン、トビー、ハク)

戦術人形部隊
(R93、M38SDMR、M3、G36C、ブレンテン、P228)
ゲスト(?)
AR小隊からM16A1とM4SOPMODⅡ

S07情報支援基地部隊(本営地での警備及び事務仕事メイン)
後方幕僚
ペンギン型人形ワカ
戦術人形SG550(先行登場)
P226
パイソン

オマケ2:先行キャラ紹介
SG550
S07情報支援基地所属のAR型戦術人形
容姿
茶髪のボブショートの髪型に茶色の瞳、髪にレースと鈴が付いた花形の髪留めを付けている
服装は白いカッターシャツに紺色の膝丈まで長いジャンバースカートを身に着けている

メタ的には「夜、灯す」の十六夜 鈴に近い外見

キャラについて
烙印システムが施される前からライフル射撃の才能を示しており、
戦術人形となってからは、自前のライフル射撃の才能とASSTによりS07情報支援基地で数少ない戦闘小隊の一人で、戦闘では中距離から支援射撃を得意としている


誰とでも別け隔てなく接する明るい性格
だが、見た目と裏腹にジャンクフードが大好きという意外な一面もある

装備
SG550(Gw Pat. 90 5.6mm弾仕様及びスコープ付き)
サイドアーム
P228
コンバットナイフ


オマケ3:???
「メッセージは送ったが、彼女達が応じるかは分からないな」
「けど、ヒゲ親父が率いるグリフィンやクソッタレの正規軍相手に勝てると思う?」
「無理だな……蹂躙されるに骨髄液1リットルを賭ける」
「1リットルとはずいぶんとふとっぱ……招待状だ!?」
「よっしゃ!!!」
「待っていたぜ」
「じゃあ、フレンドにも伝えてくるよ」
「分かった、これでエリちゃんの笑顔を守れる」
「それこそが俺達が彼女達に接触した理由だ」
「だが、その分奴らは手ごわいぞ」
「分かっているさ……けど、これだけは言える」
「エリちゃんをクソガキとアイツは許せない!!」
「もちろんさ、あのガラスハートをにやけ面を泣かしてやる」
「あぁ、くそチート野郎はフルボッコにしなきゃ腹の虫がおさまらん」
「しかも、ハーレムな状況を投げ捨てた……非リアに対するイヤミだ!!」
「「「「「殺せ、リバイバーを!!!!」」」」



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総員!鉄血防衛線を越えろ!:2

今回は試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加します

今回は山岳ルートを進撃するBB小隊&BS小隊、重装部隊達の話です
尚、作中で登場するLWMMGはMOD2仕様です

ちなみに最後はここを読むと分かりやすいですよ
https://syosetu.org/novel/190134/111.html


作戦開始から数時間後、山岳地帯

 

俺達S07前線基地の主力部隊は防衛線を死守するために設置された多数のジュピター砲台陣地や地雷原で足止めを喰らっていたが、友軍の活躍によりその殆どが除去された事で俺達は遅れを取り戻すべく進軍の足を早めていたが……

しかし、俺達の進軍を阻むかもしくは、主力部隊の背後をねらったのか定かではないが俺達の目の前に超大型のイージスとも言うべき巨大な装甲兵と鉄血兵で構成された混成小隊と遭遇、交戦していた

 

「なに、あの大きなイージスは!?」

「見た事がないよ!!!」

「まずは取り巻きのリッパ―から片づけましょう!!」

 

MP5Fさんとリーが巨大装甲兵に恐怖で叫び声を上げるのを聞きながら、俺達は近くの岩陰もしくは、同行していたBS小隊のM197さんとM1014さんが展開したシールドで敵の銃撃で凌ぐ

取り巻きの鉄血兵は戦場でよく見るリッパ―ばかりで、BS小隊の機銃掃射やAGS-30の榴弾で戦闘開始からすぐに全滅させることができた

 

だが、主力である巨大装甲兵に搭載されている両肩の迫撃砲や大型レーザーマシンガンの利欲は凄まじく、遮蔽物を薙ぎ払ったりなど俺達をじわじわと追い詰めていく

もし、最近TVRチームが開発し、ラムさんの素体に増設された遠隔型簡易シールド発生装置なければ、前衛を担うM1914さん達はダミーごと吹き飛ばされていただろう

 

おまけに、装甲もすごく頑丈でM14さんやMG型人形達の徹甲炸裂弾どころか、白対策用に作られたAGS-30の30mm特殊榴弾の直撃を受けてもびくともせず、俺達に迫撃砲やレーザーの雨あられを降らせてくる

俺達が恐怖を感じる中でMK48だけが顔を笑みを浮かべながら、笑いながら愛銃を巨大装甲兵に鉛玉の雨を叩き込んでいるもまさしくドアノッカーとしか言いようがない状況だった

無論、他の面々は溜まった者じゃなく、M249やラムさんは恐怖で顔が引きつっていた。それは俺達もだが……リーなんか泣きそう

 

「あはは、デカいだけじゃないのね~いいわよ、もっと楽しませて頂戴!!!」

「MK48、あんたはよくても私はたまったもんじゃないわよ!!!」

「M249さん、無駄口を言わない撃ち続けて、SG型の二人は後ろのAGS達に攻撃が直撃しないように守って!!」

「分かっていますが……あの威力じゃシールドがもちませんよ」

「隊長のシールド付加機能がなければ、僕達はダミー諸共吹き飛ばされていますよ」

 

BS小隊の面々の悲鳴を聞いているなかで俺は腹をくくった。このまま、アンナモノに足止めを喰らう訳にいかない

 

「よし……M14さんの背中の物を使う」

「え……いいよ、やっちゃって!!」

『了解、援護をお願いします」

 

M14さんが頷くのを見て、俺は愛銃をスリングで右肩に掛け、代わりに腰の武装コンテナを肩越しに構えると同時に、武装コンテナの先が二股状に展開、砲口を露出させる

そして、砲口がほのかに輝きだすようにエネルギーをチャージし始める

 

その隙を逃さないとばかりに大型装甲兵は腕のレーザーマシンガンを俺が隠れている方へ向けようとするが、榴弾の再装填が終わったAGS-30達が放った榴弾がレーザーマシンガンに直撃、右手事爆散する

そして、その爆発と右腕を失った事で巨大装甲兵はバランスを崩し、地面に倒れると俺以外の全員が再び銃弾やグレネート、焼夷手榴弾を浴びせて奴の動きをけん制した

 

だが、巨大装甲兵はそれに怯むことなく見かけ軽やかに起き上がりるとAGS-30達が隠れている方向に両肩の迫撃砲を向けた

 

「「「M16には……きゃああああ!!」」」

「危ない!!!!」

 

それをAGS-30達が悲鳴を上げると同時にラムさんによってシールドを添付されたM1018が彼女達に前に飛び出し、彼女達を庇おうとする

 

だが、その瞬間、武装コンテナのチャージが完了、まばゆい閃光が漏れ出る砲口を巨大装甲兵にむけ、引き金を引いた

 

「くたばれ、テカブツ!!!!!」

「やっちゃえ!!!」

『!?』

ドガアアアアアアアアアアアン!!!

 

巨大装甲兵は素早く左手の大型シールドを構えるが武装コンテナから発射された粒子の砲弾が構えた盾ごと奴の胴体を貫くと同時に奴の上半身が爆散した

 

それを見た俺を含めた全員がその威力に呆然とするしかなく、MK48ですらその威力に顔が引きつっていた。

元々チャージ時間で威力が変わる事を知っていたが、フルチャージでここまでの威力が出るとは夢にも思わなかったぞ……猫耳オバサン

 

武装コンテナの威力に言葉が出ない中で、パラちゃんがポツリと呟いた

 

()()()()()()()()()だったね」

「うん……これはそう簡単に使えないですね」

「少なくともフルチャージはよほどのケースがない限り使わない方がいいよ:

「そういう問題!?」

 

真顔でつぶやくMP5FさんにM14さんがツッコミを入れるも俺達は先を急ぐだめに武装コンテナを背負おうと俺達は先を急いだ

 

この時は知らなかったんだが、俺が撃った武装コンテナの粒子砲弾の閃光をこの戦場どこかで戦っていた悪魔狩りの狩人が目撃していたを

 

そんなこんなで、主力部隊との合流地点にたどり着いた俺達を待っていたのは101体のダルメシア……げふん、雪上迷彩が施されただった。

それを見た俺達はもはや、ツッコム気力すら出なかった

 

だがたAGS-30達だけはそれを見てはしゃいでいたが

 

 

 

 

 

 

 

プレイヤーズ・レギメントズチャットログ

 

「オイ、対リバイバー特技隊の同士3千人が短時間で全滅とはどういうことだ?」

「スマン、あいつのウイルス攻撃で同士討ちになった」

「バカ野郎、3千人同時にたった一人を攻撃奴がいるか!!」

「すまん……これからどうする。奴の攻撃に祈りは込められていないからすぐに再展開できるぞ」

「とりあえず、やられた奴らの再展開はせずに様子を見ろ、どうもこの戦場に鉄血とグリフィン以外に潜んでいる奴がいるようだ」

「分かった展開中の奴らはどうする?」

「とりあえず、やばそうな敵は鉄血から遠ざけるように攪乱に徹しろ」

「つまり……混乱したスキを狙って再展開しろということか?」

「そうだ……バケモノにはバケモノをぶつけた方が効率がいいからな

 

 




ちなみに最後ですが、こいつらまだ戦場から逝っていませんね
だって、ちゃんとした方法で祈りが込められていなかったからね

今回、M16A4が使用した武装コンテナについて

武装モジュール「武器庫」改マイルド
元々S09P基地に在籍中のアーキテクトの手で二種類の武器庫の改良版が開発されていた
だが、双方とも素体に機能を依存している事や使用されている技術の点で外部に提供するには様々な問題があった

※それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!「今週のビックリドッキリ兵装」と「魔改造AR小隊」を参照

そこでペルシカは前述の開発記録を元に純粋な改良版としての武器庫を開発した
まず、耐弾性能は劣るが新素材による装甲板を使用し、盾としても使用可能とした

また、リバイバーの武装を元にチャージ機能を追加し、汎用性を高めた
これにより、短時間なら従来と比べて威力を控えになるも連射が聞き、フルチャージをした場合なら小型ジュピター砲と評される威力を発揮できる

ただし、フルチャージの場合で5発、セーブしても最大50発しか撃てない等装弾数に問題を抱えている
故にサクラはM16A4に使い時を見定めるように警告している




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総員!鉄血防衛線を越えろ!:3

今回は試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています

今回は山岳ルートを進撃するストライカードラグーン改『西行』チームの話です


ちなみにこの話とリンクしています
https://syosetu.org/novel/180532/444.html


ちょっと時間がかかっている内にプレイヤーズ・レギメント達が普通じゃ潰走してもおかしくぐらいに蹴散らせられている


BB小隊が巨大装甲兵を撃破した頃、荒野地帯

 

S07前線基地所属のサクラとアヤトルズが駆るストライカーICVD改、暗号名「西行」が主砲30mmチェーンガンは断続的な砲声と共に放たれ対障壁装甲用徹甲弾がマンティコアの装甲を貫通、爆散させる

 

西行の後方にはサクラ直属小隊のブレンテンとM3がそれぞれ操縦するストライカー装甲車のRWSに搭載された12,7mm機銃が下級兵を薙ぎ払い、人工血液や部品の残骸を荒野にまき散らしていた

 

「くそ、機銃掃射を抜けたブルート10体が接近されるッス!?」

『その敵は私達に任せてください!!』

「ギャパパパ、黒い奴らじゃないなら怖くないぞ!!!」

 

だが、それでもすべての鉄血兵を倒すのは難しく、機銃やチェーンガンの掃射をくぐりぬけた鉄血兵が装甲車に接近しようとするのに気づいた見たハクが車外で展開中の戦術人形達に警告し、装甲車の周囲に展開しているG36CとP228、MG4機関銃を装備したトビーが銃口を鉄血に向ける

 

そして、彼女達が放った鉛玉の嵐が西行に肉薄しようとする鉄血兵達を血風と化したの気に西行の周囲に敵の気配はすべて消えた

サクラは周囲に敵影が他にないかを機外カメラで一望し、周囲の安全を確認すると一息つきシートに持たれかけた

 

「鉄血の全滅及び周囲に敵影無しを確認……ふぅ、どうやら一息つけそうだな」

「この辺は正規軍の列車砲による砲撃で一掃された後ッスからね」

「通りで鉄血が少ないはずだ……で、このまま最終防衛ラインまでいくぅのか?」

 

くせ毛が目立つ青年……ハクの言葉にジンは頷くとサクラの疑問を問いかけた

だが、サクラは首を横にふった

 

「いや、一度後方の中継地点まで補給のために、後退する。その途中で後方で警戒中のSDMRとR93と合流してから最終防衛ラインに向かうぞ」

「なぜですか、狙撃任務中の二人を回収するとなると後方が不安ですよ?」

 

西行の兵員室なで待機していたP228がサクラの決定に異議を唱えるもサクラは反論する

「どうもうまく行き過ぎている……例の乱入者『サクラ、9時の方向から何か来るぞ!!!』

「なんだって、敵か!?」

 

トビーの叫びにジンが驚く側でサクラがすぐに上面ハッチから上半身を乗り出し、双眼鏡をのぞいた瞬間、彼女の顔が真っ青になった

 

「まずい……例の乱入者共だ、数は約2000以上だぞ!!!」

「なんだって!?」

「ギャバ……奴らがまたくるのか!?」

「皆さん、戦闘準備をお願いします!!」

 

サクラの恐怖をにじませた声にトビーは血の気が引き、周囲にG36C達が各々の銃器を構える先にあったのは黒い装甲服を纏った歩兵の集団――プレイヤーズ・レギメント―――であった

そして、サクラはすぐに西行の車内に体を引っ込めるとすぐに主砲が発射できるようにトリガーを握った

 

その時、プレイヤーズ・レギメントの様子がおかしい事にハクは機外カメラごしに気づいた

 

「あれ……あいつらは背中のロボットアームに武器をもっていないッス」

「ほんとだな……それにあれじゃまるで逃げているみたいだぞ?」

 

ジンの言葉にサクラも射撃用スコープの倍率を限界まであげるとハクが言う通りだと自覚できた

彼女達が少し前に遭遇した同じ装甲歩兵達と違い、背中のロボットアームには一切の武器を持っておらず、その集団の動きからも敗走のソレに近い物だった

 

プレイヤーズ・レギメントの奇妙な行動にサクラは首をかしげていたが……すぐに彼らの背後を追う大鎌を持った人形――EA小隊所属の鬼気迫る表情で彼らを追撃する鹵獲ハイエンド・死神とバルカンを先頭にしたEA小隊の姿を見るや否やサクラは状況を統べてさっした

 

「お前ら全員魂ごとぶった斬るデース!!!!」

「スミスを馬鹿にした罪、その身で償いやがれ!!」

「アイエエエエエエエ!!!」

「ヘッドが余計な事を言ったせいだぞ!!!」

「OH、ジーラフ!!!!!」

 

 

EA小隊とプレイヤーズ・レギメント達の逃走劇を配下の人形やアヤトルズの面々に指示を下した

 

「敵はどういう訳だが、身軽になって敗走しているようだ……西行の主砲の一斉掃射と共に同時攻撃、ハクは追撃中の……!?」

 

サクラが敗走する装甲歩兵――プレイヤーズ・レギメント達に照準を合わせた瞬間、突然彼らがまるでテレビの電源でも切るようなノイズと共にシルエットがぶれた瞬間、その場から一斉に姿が消えしまった

その光景に信じられないとばかり車外に身を乗り出すサクラ達が見たの広い荒野と同じように呆然とするEA小隊だけだった

 

「き……消えただと!? M3,ブレンテン、そっちはどうだ!?」

『こちら1号車、私の目にもすぐに消えたように見えました』

『こっちもだよ……ナニカの手品、それとも鉄血の新兵器なの!?』

(二人も見たということは、幻の類ではないのか)

 

通信越しに二人も証言をしたことから、サクラは眼前の異常現象が目の錯覚ではないと結論付けた瞬間、彼女達の怒声が荒野に響き渡った

 

「あの野郎、逃げるなデェェェェェス!!!」

「あいつら、どこに消えた!?」

 

怒り狂うバルカンと死神を板サクラはどっと疲れが押し寄せたのか、力なく言った

 

「……ハク、ヤツラと通信を繋げろ」

「了解ッス……EA小隊、こちらS07前線基地サクラ小隊です、応答をお願いします」

 




はい、アブノーマル:プレイヤーズ・レギメントはその気になれば戦場から一時的な撤退も可能です
なぜこんなことが可能かというと彼らのルーツに関係しています
今回のオマケは、そんな彼らのルーツに関連した話題です


オマケ:プレイヤーズ・レギメントズチャットログ
「荒野ゾーンに展開中の2千以上の同士が緊急ログアウトだと!?」
「同士達の話じゃ敵の一体に祈りと同等の特効を持つ武器を使う敵を怒らせてしまったようで」
「廃棄都市ゾーンじゃ妙に怪力な戦術人形とトリガーハッピー共に大損害の上に緊急ログアウトだと!?」
「ついでいうと例の便利屋と対峙した同士達もやられました」
「今展開しているのでトランクを守るために待機中の部隊を半分を切っています」
「ついで……言うと奴らは最終防衛ラインまで到達しています」
「……ホスト側でも切り札を用意しているから、最終ラインより後方に隠されているトランクが破壊されないように防戦に徹しろ」
「黒服共はどうするだ?」
「奴らは奴らで動いているんだ……ほっとけ、それよりも最終防衛ラインまで展開中の同士達を下がらせるんだ」
「「「「「了解、師団長」」」」


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:4

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています

さて、今回はS07情報支援基地のワカとSG550に焦点を当てています

自分は黒い展開が好きなので……ちょっとばかしお約束の展開を入れてみました

戦場に理不尽は付き物ですよね(黒笑)

ワカの武装を少しだけ変更しました




サクラがEA小隊を目撃したのと同時刻、グリフィン臨時本部

 

応急物資が満載の箱を抱えたワカとSG550は駆け足で前線で負傷した人形達がいる応急処置室へ手元の物資を運んでいた

ワカは横にしたドラム缶に車輪をつけたような作業用ユニットを装着し、ユニット上部に更に大きなコンテナを搭載していた

 

本来は事務要員であった一人と一匹であったが、未知の乱入者――プレイヤーズ・レギメント―――により、正規軍とグリフィンの被害が跳ね上がり、作業要員である人形達だけでは人手が足りなくなっていた

また、敵の襲撃に備えて、恥部

 

「くそ、予想以上に負傷した人形が多いな……俺達まで動員されるとはな」

「謎の増援部隊のせいで被害が急拡大したからね……私達も手伝わないと」

 

SG550がワカの愚痴をなだめつつも応急処置室として使われているテントへ向かった。

テント中では、戦闘で負傷した人形達がすし詰め同然に寝かされ、修理用民間人形やIOPが技術者達の処置を受けていた

 

「くそ、輸血用の人工血液が全然足らないぞ!!」

「こっちは交換用腕部フレームと生体上皮を持ってきて!!!」

「その子はもうすでに機能停止している……隣のFALを診てちょうだい」

「ご主人様……どこ?」

「しっかりしろ……急いで調整機具をもってこい!!」

 

うめき声や悲鳴を上げる人形達や彼女達を必至に救おうとしている技術者達を目に二人は言葉を失った

 

「想像以上の地獄だな」

「うん、私達も小隊のみんなと一緒に出ていたら……って、物資を持ってきましたよ!!」

「お、お前らすまない。応急物資はそっちにおいてくれ」

 

SG550の予備声に技術者の一人がテントの片隅を指差すと彼女達は、持ってきた物資コンテナを置くとすぐに次の物資コンテナを運ぶために物資集積所へ再び向かおうとテントを出る

その時、ワカは二人の男達がテント前で言い争っている姿が目に入った

一人はワカが出会った初老の老兵――アラマキで、もう一人はグリフィンの制服を着た中年の男性であった

胸の紋章からして上級職員である事が二人はすぐに分かったが二人には彼の顔に身をおぼえがなった

 

 

「無茶を言うな、今の陣地にいる戦力を減らしてまで決死隊に参加させるとは正気か!?」

「俺が決死隊に選ぶのは、後ろのテントの中にいる奴らだ……修理すれば前線復帰が可能な人形を集めれば援軍すれば十分な戦力だはずだろう?」

「それこそ愚策の極み、先ほど見たが修復作業を終えたとしても戦意を喪失している人形の方が大ンダだぞ」

「ふん、できないは嘘つきの言葉だ。それにこの命令を出すのは本部所属の私だ……その言葉で人形達を解雇すらできるんだぞ?」

「貴様……彼女達が壊れるまで戦わせるつもかりか?」

「この戦いは鉄血との戦いに終止符を打つ大きな一歩となる……代わり等いくらでもいるヒトモドキ(戦術人形)の犠牲など……おや?」

 

グリフィンの制服を着た男はアラマキの避難を受け流しつつ、テントの前に立っているSG550に気づくとニヤリと笑みを浮かべた

 

「おぉ、生きのいい奴がまだいるじゃないか……そこの人形共、ちょっとこい!!」

「は、はい!!」

(嫌な予感がする)

 

二人のやり取りを聞いていたSG550とワカは彼の言葉が何を言うのかがすぐに想像し、血の気が引いた

 

「お前とペンギンは、特殊防衛施設の攻略するための攻略部隊に入れ!!!」

「ですが……私達は事務要員と陣地警備のために……」

「正規軍の先遣部隊が救援を求めているのに見て見ぬフリをするのか!?」

 

男の言葉に足がすくむSIG550にワカとアラマキが二人の間に割って入った

 

「味方を助けるために味方を犠牲にするつもりか!?」

「そもそもこの救援要請は参加自由のはずだぞ……そもそもお前に俺達を」

「ジョージ上位指揮官の上位命令だ!!例の潜入していたAR小隊の二人も参加させるつもりだ……ずべこべ言わず、俺の命令に従え!!」

 

 

 

 

それから数分後、ジョージ上位指揮官と自称する男の一声で臨時本部に待機していた応急修復済みの戦術人形15体と正規軍に雇用された傭兵部隊1個分隊で攻勢された防御施設攻略部隊が結成され、『Hell guard tower』攻略の決死隊として派遣された

 

その中には、本来は事務要員であったSG550とワカ、M16A4の救援ためにM4に無断でかけてつけたM16A1とM4S0PMODⅡも混ざっていた

 

(全員あの男に命令されてきたという感じか)

 

正規軍が有する大型ヘリの機内で顔色が暗くする人形達をM16A1は同情の念をかんじていていた

彼女達の服装や装備は応急修復されたと明らかにわかるほどつぎはぎだらけで、中にはスーパーショーティのように失った腕を簡易的な義手で済まするなど損傷部位を応急修復ですませた痕跡が目立つ人形ばかりであり、そのほとんどがダミーをすべて失っているかせいぜい一体いるかどうかというボロボロの状態であった

彼女達の顔は死刑を待つ囚人のように絶望に染まっていた

 

(自分達を蹂躙した奴らがいる戦場に戻されたなら、無理もないか……で、こっちは)

 

そして、彼女が隣を見るとSOPがユニット上部のアタッチメントにMINIMI軽機関銃の7.62mmNATO弾仕様であるMk48二挺とダネルMGLグレネードランチャー装着したド作業用ユニットを装着したワカをなでていた

その姿はさながら、車輪付きのドラム缶型作業機械に1m程のペンギンのぬいぐるみと銃器と簡易的なロボットアームを取り付けたという珍妙な姿であった

 

「ペンギンさん……まるで軍艦が擬人化させたみたいな恰好だね」

「それは初見の奴らによく言われるが……そうみえるのか?」

「確かに、昔のアニメかゲームでそういうキャラが活躍するきゃらを見た事があるよ」

 

ワカが困惑する傍らでSOPとSG550が談笑するのを見たM16は不安が少しだけ和らいだような気がした

その時、ヘリパイロットの一人が叫び声を上げた

 

「もうすぐ、予定降下ポイントに到着する……お人形さん方、準備はいいか!?」

「!?」

 

ヘリパイロットの言葉に彼女達は恐怖を露わとする中で、SOPだけが元気よく答えた

 

「もちろん!! SOPはいつでも準備はいいよ」

「俺はトンデモナイ人形と関わってしまったようだ……理不尽だ」

 

ワカが力なく呟くもその声はローター音にかき消され、誰の耳にも届かなかった




はい……グリフィン臨時本部から決死隊(と書いて捨て○戦法隊)にAR小隊とワカ達が巻き込まれました

この部隊に関しては、こちら側が描写しない限り自由にしてもかまいません
ですが、出来るなら一連絡をくれれば尚いいです

ちなみに、ジョージ上位指揮官のモデルはテイコウペンギン(動画版)の上司です
元ネタを知っている人は分かると思いますが……彼はクズです


オマケ
グリフィンの本社での一件

「社長、あのジョージという男にグリフィンの作戦指揮権を握らせるとはどうつもりですか!?」
「ヘリアン……私が彼に作戦の指揮権をすべて渡すと思うかね?」
「ですが、彼の命令権は前線基地の指揮官のソレよりも優先されるせいで現場は混乱、指揮官達は不満が起きています!!!」
「彼は同士グリフィンからの推薦で上位指揮官に着任している」
「グリフィン……彼はわが社の経営に口を出さないはずでは?」
「設立前ではそのはずだった……なぜ、今になって私達に干渉しはじめたのか……理解できん」
「……社長」
「ヘリアン、404小隊とDG小隊にあのジョージと言う男を調べさせろ」

オマケ:2
とある通信ログ

「こちら、■■■あなた様の指示通りに現場に命令を下してきました」
「削除済み」
「はい、予想通り現場は大混乱……S09B基地所属のA小隊の敵前逃亡について追及したスキをついて、かの基地の不正の証拠を同士達が抑えました」
「削除済み」
「はい、それ以外にS07前線基地やS10前線基地等の国家安全局が強制査察になりえる根拠となる物証、特に本部での崩壊液技術に関する多数の違反行為の証拠を抑えました」
「削除済み」
「残念ながら、S09P基地に関しては失敗しましたが……ゼリンスキーならば間違いなくかの基地も強制査察を行うと思います」
「削除済み」
「強制査察後は、かの技術のすべてを葬り去ります……あれはロクセット氏の理念を踏みにじる忌むべき技術……ルーラー共々必ず抹消します」
「削除済み」
「了解しました……すべては世界の輝きを更新するために」


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:5

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています

そして、あけましてもおめでとうございます
今年もブラック要素を含んだドルフロSSを投稿したいですね
後、今年は本編時空の投稿速度も上げていきたいですね

そして、前半で起こった事に関する真相は以下のページからどうぞ
https://syosetu.org/novel/191561/188.html


「はぁ……はぁ!?」

「塔が真っ二つに!?」

 

俺の前で起こった出来事に全員が唖然とし、俺も開いた口が塞がなかった

 

それは俺達S07前線基地主力部隊が決死隊と合流し、攻撃目標である砲台塔に101匹のダルメシアン……もとい、101体の改造ガルムと正規軍の部隊共に砲台塔へと進軍し、攻撃に参加しようと銃を構えた瞬間、目の前で砲台塔が両断されたのだ

 

まるで見えない刃に一刀両断されたかのように砲台塔がずれ始めるとそのまま崩落、爆散し始める光景に俺達はただその場に呆然と立ちどまる中で周囲の正規軍やグリフィンの戦術人形達の叫び声だけ響き渡っていた

 

「塔が真っ二つになったンニャ!?」

「宇宙人の仕業だ、隠れなきゃ!!!!」

「嘘だろう、夢なら覚めてくれ!!!!」

 

そして、遅れる事にBB小隊やBS小隊から驚きの叫びが聞こえてきた

 

「塔が切れた」

「皆は……夢を見ているの?」

「M14、人形は夢を見れないんだよ」

「ワタシ達があの塔に登らずに済んだ事を喜ぶべきか否か……」

「ずいぶんとゾクゾクさせることが起こっているわ」

 

その中で俺はとっさに脳裏に目の前の現象を起こせそうな存在が一体だけ浮かび上がった

俺達の常識を軽く凌駕するオーバーテクノロジーの塊ともいえるトリックスター――万能者の姿が

それと同時に二つの小さな太陽が鉄血を蹂躙する姿に寒気を感じつつ、こう言った

 

「もしかして……万能者の仕業ですか?」

「皆もそう思う……むちゃくちゃよ」

「えぇ!? 確かにありえるわ……って、MK48何を笑っているの!?」

 

一部を除いて万能者と予想できる自体に恐怖と驚きの表情を示す中でMK48だけが満面の笑みを浮かべていた

 

「だって……例の万能者が来ているのでしょう?」

「M16A4と断定はしていないけど、こんな事ができるのは万能者くらいだけど」

「だったら……彼に関節技を決めてもいいなじゃない(肩もみをしてあげてもいいんじゃない)?」

 

顔を赤らめるMk48に俺達は何もいえなかったが……その時、俺達の電脳内に指揮官から通信が届いた

 

『こちら、西行号……M14、ラム、チビ達、各部隊の状況を説明しろ』

「BB小隊はダミーと共に被害なし」

「BS小隊、SGの二名のダミー数体に損傷が目立つも作戦行動に支障はありません」

「「「私達も元気いっぱい、お手伝いできるよ!!!」」」

 

それぞれが返事をしてから数秒後に、指揮官は俺達に指示を出した

 

『総員、私達と合流するために指定するポイントへ向かえ』

「ですが、私達と同行している正規軍の部隊はこのまま別の砲台塔への攻略に向かうらしんだが」

『そうだが……どうも敵の動きに違和感を感じる』

「違和感ですか?」

 

ラムさんの疑問に指揮官が頷き、とある座標を俺達に指示ながら答えた

 

「あぁ、敵の戦い方が不自然な程に劣勢なソレだ……何かがおかしい。一度合流してから、攻略部隊に参加するぞ」

「了解、みんな……今からここに向かうわよ!!」

 

指揮官からの通信が切れると同時に合流ポイントの座標が俺達の電脳内に送られ、俺達はそこへ向かうべく移動を開始する

指揮官が指定したポイントは前線の補給地点を兼ねたポイントでもあったので、近くを通りかかった正規軍の輸送隊のトラック群に同乗する形で向かっていた

 

その道中俺の電脳内に、砲台塔を両断したモノに心当たりがもう一つだけあったのだ

とはいえ、流石に彼があの大きな塔を両断できるとは思わないが

 

(さすがにギルヴァさんやブレイクさんが斬った……な訳ないですよね)

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

S07前線基地主力部隊が合流地点へ向かっている頃、サクラが指揮する直属部隊も後方で警戒任務中であったR93とSDMRを回収し、装甲車二台と共に合流地点へ向かっていた

サクラが砲手席でペリスコープ越しに周囲を警戒していた

 

「周囲に敵影無し……どうやら、敵は最終防衛ラインの奥まで引っ込んだようだな」

 

サクラがそう呟くと車長席に座っているハクが手元のパソコンのコンソールを叩きながら愚痴った

 

「例の防御施設、今を持ってすべて陥落したとの情報が……俺ら完全に出遅れたッスよ」

「他の奴ら随分とエキサイティグゥ~に大暴れしているんじゃないか!!」

「よくないッス……戦場に遅刻なんて、かっこ悪いっすよ」

 

西行号を操縦するために少しボロボロになったキリンのマスクを脱ぎ、顔にあざができた顔を赤らめるジンにハクがツッコミをいれる

その直後、後方の兵員室からトビーが不満を噴出させるがごとく叫んだ

 

「ギャパパパ、俺様暴れ足りないぞ!!」

「トビーさん、車内でヒートカッターを振り回さないで!!」

「お前ら、車内で騒ぐな!!」

 

トビーの叫びとかれを落ち着かせようとするP228の声で騒がしくなった車内を沈めようとサクラが一喝するとその場は静まった

 

「ジン、ハク、周囲の警戒を怠るな……どこから黒服やパワードスーツ集団が出てくるか、分からんぞ!」

「了解ッス!」

「分かった……それじゃ合流地点へ向かってイクイクゥ~」

「ジンさん、スピード出し過ぎッス!!」

「下手にスタック………総員警戒!!」

 

サクラの号令と共にスピードを上げた瞬間、周囲の物陰から1個小隊隊相当――25体のプレイヤーズ・レギメントが上半身乗り出した、それに気づいたサクラが叫んだ

 

「敵影25、ロケットランチャー!?各車フォースシールド起動!!」

『りょ、了解しました!?」

『アイツラ、また出た』

「間に合わないッス!!」

「Oh,ジーザーズ!!」

 

サクラが後方の装甲車に指示を出すが、プレイヤーズ・レギメント達はすでに攻撃体勢に入っていた事にジンが悲鳴を上げると同時に彼らが放ったロケット弾やミサイルが発射sれた

 

「ヒャッハー、デカブツだ」

「マッハで蜂の巣のしてやんよ!!!」

「俺のロケット弾でチキンの丸焼きにしてやるぜ」

 

彼らが口々叫びながら、ロボットアームに取り付けられたロケットランチャー、ミサイルランチャーを西行号にめがけて発射、放たれたロケット弾、ミサイルが西行号めがけて飛来し、フォースシールドを展開しようとした西行号を爆炎に包み込まれた

西行号が存在していた地点は灰色の煙が立ち込めるのを見た彼らは西行号が吹き飛ばしたと確信した

 

「やったか!?」

「俺達25体同時ロケット弾やミサイルの一斉射撃、ヤツラもすでに黒焦げになっているだろう」

「これで……伏せろ!?」

 

プレイヤーズ・レギメントの一体が不吉なモノを感じた瞬間、硝煙を吹き飛ばすか如く無数の30mm焼夷榴弾が彼らが身を隠していた瓦礫ごとプレイヤーズ・レギメントの装甲をいとも簡単に粉砕していく

そして、一斉射は終えると同時に硝煙が消え去るとフォースシールドを展開していた西行号や装甲車が姿を表した

それを見て、掃射を免れたプレイヤーズ・レギメント達が西行号が無事なを事に驚愕した

 

「くそ、撃破ならず!? 撤退……グワァ!?」

「しまった、狙撃だ……ヒデブ!?」

 

そして、彼らは同時に装甲車のそばで伏射でライフルを構える戦術人形――R93とSDMRの狙撃で頭部――バイザー部分を撃ち込まれ、その場に倒れた

 

それを見たR93がスコープから目を離し、息を吐いた

 

「危なかったですね……間一髪フォースシールド起動してよかったです」

「ついでいうとロケット弾が着弾した時の爆炎がいい煙幕になったおかげで私達も狙撃体勢を取れたしね」

 

SDMRがR93に同意すると西行号に備わっている車外応答用スピーカーからサクラの声が彼女達の耳に届いた

 

『お前らすぐに装甲車に乗り込め、急いで主力隊と合流しないと上位指揮官殿から大目玉』

「了解しました」

「分かったよ、R93また後でね」

 

二人が装甲車にそれぞれ乗り込むを見て、サクラ達は主力部隊との合流地点へと急いだ

 

しかし、サクラ達は気づかなかった

プレイヤーズ・レギメントの残骸がノイズ共に消失する事に

 

 

同時刻、S06地区第二番街メメントス

 

S06前線基地所属している専門部隊の一つ、PA小隊所属のGSh-18と黒い帽子をアッシュグレーの髪型をした人形――HS2000が墓石のようにも見える雑貨ビルの前で住人らしき男性が不安げに彼女達の顔を見ていた

 

PA小隊……人形、人間関係なく負傷者や急患に対する治療もしくは修復及び後方へ護送するための部隊である

そして、彼女達が個々に来た理由もとある廃墟で監禁されていた人物の治療と搬送であった

彼女達は住人らしき男達が不安げな表情で事の有様を説明していた

 

「例の患者さんはS06前線基地の医務室へ搬送したから、安心してや」

「わたしの診た限り、暴行されたのと衰弱していましたが命には別条ありません」

 

二人の言葉を聞いて、男はほっと胸をなで下ろした

 

「命に別状はないか、よかった……廃屋に監禁されていたせいで意識がなかったから不安だったんだよ」

「ほんまに後、1日遅れていたら命の危険もあったからな」

「じゃあ、彼を見つけた同僚達にこの事を知らせてくるよ」

 

彼がそう言ってその場を離れていくのを見てこうつぶやいた

 

「Gsh-18さん、例の患者さん……明らかに事件の匂いがするよ」

「そうや、まさか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて……大事やで」

 

HS2000の懸念に頷くGsh-18の脳裏に彼を見つけた時の状況が浮かび上がった

 

拷問でもあったかのような全身の打撲痕と身に着けていたボロボロになったグリフィンの制服

そして、その制服にポケットには彼の写真が貼った身分証と2カ月前の新聞の切り抜きが隠し持つように入っていた

切り抜きの方は2カ月前の没ヨーロッパ協力民主主義実行委員会と新ソビエト連合と平和会談が成功した事に関する記事であった

その上に「奴らの茶番だ」と乱雑に血のような物で書きなぐっていた

そして、身分証には彼のグリフィンでの地位が記されていた

 

「ジョージ・アノニマス()()()()()()()()()()」と




さて、そろそろSO7前線基地の面々が合流してから最終決戦へ向かいましょう
……絶対に最終決戦とはいかないと思います

そして、最後……どういう事でしょうね(棒読み)
同じ同盟の指揮官が戦場から遠く離れたS06地区のメメントス街の廃屋に2カ月間監禁されていたなんて……(黒笑)

ちなみに、現場にいるジョージが上位指揮官に着任したのは一週間程前の事です

オマケ1
これは本編よりも前、前話の終盤直後の話

ジンは地面に伏せていた
顔はおおきなアザを作り、普段付けているキリンを模したマスクは土埃でよごれ、所々破れ、地面に転がっていた
彼の周りでは、マーダーを除くEA小隊の面々が豚を見るような目で彼を見下していた

「童貞を貰ってほしい? お兄さんに頭を粉砕されたいですか」
「私の初めてはスミスに捧げるんだ……お前なんかにやるもんか」
「セクハラ発言……最低デェス!」

彼女達の言葉に意気消沈のジンは力なく呟いた
「Oh,じーざす」



オマケ2
グリフィン臨時本部でガンスミスは目の前が真っ白になっていた
多数の修理依頼の書類の山を目に目が死にかけていた
それをみたP226はドン引きしていた

「おい‥…なんだこの書類の山は」
「修理修理ですわ……なんでも修復中の人形の5割以上が修復完了したので武器の修理もペースを上げろということですわ」
「ふざけるな……誰がこんなふざけた指示を!?」
「ジョージ上位指揮官ですわ、私達もがんばっているのですから殿方もふんばってください」
「『検閲済み』」

考えつく限りの罵倒を吐くガンスミスに眉を顰める
「マンちゃん、怖いわね」


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:6

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回は密かに参戦していたアラマキ爺さんとSOPとM16A1の視線です
時系列は以下の話の直前です

秘宝とかって罠とか金庫、遺跡などの様々な方法で隠されたりするけどそれがいいものか悪いものかは見るまでは分からない場合が凄く多いよね(大規模コラボ
https://syosetu.org/novel/190378/131.html


いやいやとんでもない事になりましたね……まさかここまで大規模な事をしでかすとは
だから、俺も飴と唐辛子を参加者の皆様にプレゼントします


外部と作戦領域内の通信がすべて遮断される数十分ほど前

 

正規軍所属の傭兵部隊1個分隊9名とAR小隊のM16A1、M4SOPMODで構成された志願部隊は周囲を警戒しつつ、重要施設へ向かっていた

傭兵の中には覆面と正規軍仕様の装甲服で顔を隠した老兵――アラマキも混ざってAOCGを装着したM14を構えつつ、

 

「すでに防衛施設はグリフィンとの協力ですべて無力化している……残る脅威は鉄血ハイエンドを含む鉄血兵や装甲兵器群、それと例の乱入勢力だろう」

「話どおりだとしたら、やつらは祈祷者の軍隊(プレイヤーズ・レギメント)追跡者(チェイサー)に違いない。単体は強いが連絡線の無力化は容易じゃ……まずは連絡線を見つける事が最優先じゃ」

「連絡線って……アイツらは電気コードで繋がっているということか?」

「あ……じゃなかった爺さん、例の第三勢力の事を知っているのか?」

 

傭兵部隊の隊長の言葉に同意するアラマキにM16A1は首を傾げた

それは周囲の傭兵達も口々に疑問をぶつけると

 

「うむ、黒いパワードスーツ集団は祈祷者の軍隊、黒服は追跡者とワシらは呼んでいた」

「その連絡線が奴らの弱点ということ?」

「そうじゃ……奴らに限らずアブノーマル達はそれ無しでは実体化することができんからな」

 

SOPの疑問にアラマキが頷いた瞬間、先行していた傭兵の一人が叫んだ

 

「爺さん、あの棺桶かオリのような物がそうなのか!!」

 

アラマキが傭兵が指差した方向を見ると数メートル先に複数の棺桶かオリを連想させる格子戸付きの箱が数個並んでいるのがアラマキの目に入った

それらは、格子戸が半開きになっており、内部から不吉な気配が箱の中から漏れ出ている事がアラマキが感じた

それがとっさに過去に自分が遭遇した追跡者の連絡線であると確信した

確信を持ったアラマキは「それが追跡者達の連絡箱じゃ」と箱を指差す

 

「その箱を閉めれば、黒服共は実体化を維持できずに消滅する」

「閉めれるだけで黒服共は消えるの? ここからあの箱を壊した方が早いよ?」

「いや、あれはどんな物理手段を持ったとしても破壊はできん。祈りを込めた武器もれいがいではない」

「だったら、例のおまじない意味ないじゃん!!」

 

SOPが愛銃のM4SOPMODⅡび下部にグレネードランチャを撃ちだそうとするのを静止させた事に不満げに頬を膨らませた瞬間、傭兵の一人が恐怖を含んだ声色で叫んだ

 

「箱から何か……あの黒服だ!!!」

「やってくるぞ、祈りの弾丸なら奴らに有効じゃ!!!」

 

男が叫ぶと同時にアラマキ達が箱の方に視線を向けると先ほどまで空だったはずのそれぞれの箱から数体のチェイサーが飛び出し、アラマキ達を視界に納めるとほぼ同時に彼らにめがけて凄まじいスピードで接近する

 

そして、傭兵達とM16A1達はチェイサー達に銃撃を浴びせるとそれぞれの銃口から放たれた銃弾――移動中にアラマキの教えで祈りが込められた弾丸は吸い込まれるようにチェイサー達に命中していく。出現当初は銃弾を華麗に躱していくチェイサーに命中していく

面白いように銃弾がチェイサーに命中していく様子にM16A1は唇をならした

 

「こりゃあすげぇ、単なる願掛けじゃないな。SOP!!」

「任せて、ドーン!」

 

そして、SOPが放ったグレネードでチェイサー達は一瞬の内に吹き飛ばされ、地面に転がると一瞬の内に地面に溶けるように消滅した

通常じゃありえない様子にM16A1や傭兵達が驚きを隠せない中でSOPだけが首を傾げた

 

「あれ~消えちゃったよ?」

「これでしばらく、時間を稼げる……さぁ、箱を閉めよう」

「待てよ、爺さん!!」

「おじいちゃん、待ってよ!!」

 

チェイサーがすべて消滅したのを確認するとアラマキは箱に駆け寄り、傭兵達も周囲を警戒しつつ彼の後をおった

そして、箱のすぐ近くまで近づいたアラマキは慣れた手つきで半開きになっていた格子戸を手際よく閉め、格子戸に取り付けられたレバーを下げていく

そして、すべての箱のレバーを下げた瞬間、箱が金属音と共に激しく揺れ始めた

異常自体に傭兵隊長が恐怖を込めた声色で叫び、他の傭兵達もその様子に釘づけになった

 

「おい、爺さんが揺れ始めたぞ!?」

「おじいちゃん、これ爆発するんじゃないの?」

「なんだって、離れろ!!!」

 

SOPの懸念にアラマキ以外がその場から離れようとした瞬間、箱は地面の中に吸い込まれるように沈み、わずか数秒の内に箱は姿を消してしまった

 

箱は地面に沈み込むように消えるという超常現象にアラマキを除く全員が唖然とする中でアラマキは静かに呟やいた

 

追跡者(チェイサー)の再収容完了……さて、これで奴らは戦場から姿を消したはずじゃ」

「え……爺さん、でまかせでいっていいないよな?」

「これで黒い奴らが本当に消えちゃったの?」

「ワシは嘘をつかんよ。もうすぐに戦場のどこかでそれを実感できるはずじゃ」

 

アラマキが義務を果たしたといわんばかりに笑みを浮かべる様子に彼以外の誰もが疑問を感じた瞬間、アラマキの胸元の通信機から広域通信で戸惑いの声色の男性の声が聞こえた

 

「こちら、例の黒服ストーカー共がカッパが水中に引きずり込むように吸い込まれたんだが、何が起こった!?」

 

戸惑う男性……リバイバーの様子にアラマキがウソを言っていないと確信したSOPは広域通信で通信モジュールを起動させるとリバイバーに話した

 

「こちら、SOPだよ~。あの黒服達はおじいちゃんが箱を閉めたから消えちゃったんだよ!!」

『その声は妖怪目玉ほじりじゃないか!? どうしてそこにいる?』

「私の名前はM4SOPMODⅡだよ!!M16も一緒にいるよ」

『おいおい、お前さん達AR小隊は不参加のはず…ザザザザッザッザアア

 

突然、リバイバーとの交信との通信に大きなノイズが混ざり、リバイバーの声が聞こえなくなった事にSOPはすぐに不吉なモノを感じた

 

「おじいちゃん、SOP通信モジュールがおかしくなったよ」

「いや、違うぞ……鉄血のジャミングだ」

 

M16A1がそう言った瞬間、四方の廃屋から無数の殺意を纏った気配――鉄血兵とプレイヤーズ・レギメントが傭兵達とSOP達を囲んでいるの事に気づいたアラマキは自虐的に言った

 

「どうやらワシらは誘い込まれたようじゃな」

 

 

Containment completed Containment completed Containment completed

追跡者(チェイサー)の連絡線を無力化を観測しました

アブノーマリティ:追跡者(チェイサー)の再収容が完了しました

 

Containment completed Containment completed Containment completed

 

 

 

????

「再展開可能な同士8千体、そろそろ出番だぞ」

 

鉄血防衛線を越えた鉄血の本拠地近くの廃墟に潜んでいたそれは突然の通信不全と鉄血の増援に混乱するグリフィンと正規軍を見下ろしながら、実体を持たない同士達に号令をかけた

 

「師団長ついに出番ですか!!」

「ついにリバイバーに復讐するチャンスが来たぞ」

「このまま、グリフィンの人形共を皆殺しだ!!

 

師団長と呼ばたそれはプレイヤーズ・レギメントのように見えるが、他の個体には頭部に根元から剣のような形状をした角が生え、バックパックのロボットアームには大型のビームランチャーとグレネードマシンガンを一門ずつ背負い、両手にグレネードランチャー付きのマシンガン、腰にナイフを装備しているなど他のソレととっぴつしていた

 

そして、熱狂する同士達に向かって作戦を

 

「リバイバー特技隊を含めた五千体は敵の後方に再展開し、展開中の二千体と共に挟み撃ちだ!!」

「「「「「了解、今度こそリバイバーやリア銃共を目にモノをみせてやるぜ」」」」」」

「よし、残りの三千はグリフィンの臨時本部の周囲に再展開し、奴らを攪乱しろ!!」

「OK、派手に大暴れと行こうぜ!!!」

 

自らの号令を伝わったのと師団長――祈祷者の軍隊を統べる者(プレイヤーズ・レギメント・ハヴァック)は最後に彼らを鼓舞するようにこう叫んだ

 

「諸君、第二ラウンドだ……盛大に大暴れしろ!!!」

 

 

そして、ハヴォックの号令と共に再び戦場に現れたプレイヤーズ・レギメント計八千体によって撤退をしようとしたグリフィンと正規軍、前線後方関係なく混乱の渦に巻き込まれることとなった

そして、ハヴォックも廃屋から飛び出すや否や背中のビームランチャーを構えると正規軍の戦術人形部隊に照準を合わせると同時に光の槍が離れた

突然、廃屋から現れたハヴァックにとっさに反応できなかった人形部隊を消し飛ばした

敵が消滅したのを見て、蔑みと嫌悪感を込めた声で叫んだ

 

「エリザを泣かしたお前らは地獄の炎で焼かれてしまえ!!!!」

 

 

 




はい、追跡者が今回で退場でございます
ちなみに追跡者が消えかたは作中の通り、一旦停止後垂直に地面に引きずり込まれるように消えます

そして……祈祷者の軍隊で戦闘不能になっていた八千体がリスポーンし、皆さまに襲撃を襲ってきます
おまけに、奴らのボスユニットである祈祷者の軍隊を統べる者(プレイヤーズ・レギメント・ハヴァック)も登場しました

コイツのイメージで言うならガンダムUCのジェスタ・キャノンに角が付けて両腕にライフルを持たせた感じですね

ちなみにリバイバーに対する殺意はリスポーン前によりも殺意が増幅しています


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:7

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回は撤退と合流編です
ただし、結構短めです

ここに至るまでの経緯は以下までどうぞ
https://syosetu.org/novel/190378/131.html


俺達BB小隊は鉄血重要施設の攻略部隊として他の部隊よりも一足先に展開していた

だが、重要施設の周辺に到着した直後に重装型ヴェスピドとも言える新型鉄血兵達に後方に展開していた西行号と仲間達と分断、包囲されてしまった

 

おまけに追い打ちとばかりに後方の西行号やBS小隊との通信の断絶、ダミーリンクシステムを始めとした戦闘システムに不具合が起き、実力を発揮できずに俺達のダミーがあっという間に倒されていく

 

俺は武装コンテナのスリングを左腕に括りつけて盾代わりにして、銃撃をふせぎつつ反撃する事しかできなかった

もし、防御を解いたら瞬く間に新型ヴェスピドのやられてしまうが奴らの包囲網を破るには武装コンテナの粒子砲じゃなきゃ奴らを一掃する事は出来ないだろう」

 

「MK16ダミー4がダウン、もう僕達しかいないよ!?」

「頭の中が変なモノぐるぐるして、調子が出せないじゃない」

「M16A4、下手にどうにかして奴らの包囲網を突破できない!?」

「途中で遭遇した巨大イージスを吹き飛ばしたみたいに、そのミニジュピター砲で奴らを薙ぎ払えない」

 

リー達が縋るように俺の方を見るも俺も奴らの集中砲火で防御姿勢を解除する事が出来ない。

明らかに俺を最優先に殺そうとしている……この武装コンテナを警戒しているのか

 

「無理です!! 武装コンテナのチャージする暇がありませんし、下手に撃てば射線上の味方も巻き込む可能性もあります」

「完全に詰みってやつなの!?」

「諦めないちゃだめだよ」

 

俺の言葉を聞いたMP5Fさんが恐怖するもがパラちゃんが愛銃を掃射しつつ、励ます

それにPM5Fさんが「そうよね!!」とすぐに立ち直ると焼夷手榴弾を新型鉄血兵数体を焼き払う

 

だが、焼かれた鉄血兵の影から同じ外骨格を装備したブルートに酷似した新型鉄血兵が飛び出し、リーに飛びかかろうとするのが見え、とっさに叫んだ

 

 

「リー、後ろ!!」

「え……うわああああ!?」

 

先ほどからの戦闘システムの不調で反応が贈れたリー容赦なく飛びかかろうとする新型ブルートに皆が銃口を向けようとした瞬間

 

「A1、助けにきたぞ」と聞き覚えのある声と主に一発の銃声と共にブルートの頭を吹き飛んだ

 

「もしかして、援軍……「見つけたよ、お兄ちゃん!!」!?」

「え、声は……「お前ら伏せろ!!」

 

更に聞き覚えのある声が聞こえるや否や俺達はとっさに地面に伏せると同時に爆発音や衝撃が周囲に何回も鳴り響くと同時に鉄血兵達の絶叫が俺達の耳に届く

 

「一体なんですか!?」

「分からない……味方なのか?」

 

俺がとっさに武装コンテナの防御を少しずらすと先ほどまで俺達に銃撃を浴びせていた鉄血兵が全滅していた

その代わり、そこにいたのP228さんとSDMR……と今回の戦場に参加していないはずのA1姉ちゃんとSOPちゃんがそこにいた

そのすぐ後ろには俺達の背後に30mmチェーンガンを向ける西行号や装甲車の姿もあったが、それよりもここにA1姉ちゃん達が

 

「え……A1姉ちゃんにSOPちゃんまでどうしてここに!?」

「それはどうでもいいから、早く撤退するぞ!!」

「先ほど、リバイバーからモールス信号で「退避しろ」と!!」

「リバイバーの奴、核弾頭で使って敵諸共吹き飛ばすつもりなの!?」

「と、とにかくみんな、今の内に撤退よ!!」

 

P228さんの言葉にMP5Fさんが驚愕するのを横目にM14さんが彼女達の方を指差し、俺達は彼女達の方に向かって撤退を始める

それを見たSDMRが大声でこう叫んだ

 

「早く西行号や装甲車に乗り込んで、お兄ちゃん!!!」

「お兄ちゃんって、どういう事よ。あなた416の系譜でしょう!?

「SOPさん、今はどうでもいいから撤退しますよ!!」

 

SDMRの言葉に食いつくSOPちゃんとそれをなだめるP228さんを視界に納めながら、俺達は西行号の方へ駆け寄るとすぐに西行号の兵員室に飛び込むと体を縮めるトビーさんとAGS-30達がいた

いずれの顔に恐怖で顔が真っ青になっていた

 

「ギャパパ……もう駄目だ、俺様達おしまいだ」

「頭はくらくらするし、まっくろさんが追いかけてくる」

「怖いよ~」

「しきかん、逃げよう!!」

 

口々に弱音を吐くトビーさん達を落ち着かせるようにエンジン音が響き渡ると同時に指揮官の声が彼らを落ち着かせるように言った。

だが、その彼女の声も混乱と戸惑いが入り交ざった物で彼女にとっても今の状況は予想を超えていたのだと俺は察した

 

「このまま正規軍の大陸列車が存在する辺りまで撤退する」

「急がないとリバイバー(リア銃)の攻撃の巻き添えか鉄血に殺される……Oh、ジーザズ!!!」

「無駄口叩いてないで、車を出してください!!!」

 

恐怖に震えるジンさんの悲鳴をかき消すようにハクさんの叫びに背中を押されるように西行が走り出した

振動と騒音が響く兵員室内で指揮官達と合流した直後の言葉が頭に蘇った

 

【上手く行き過ぎている上に嫌な予感する……最悪、撤退することも選ばざる得ない事態が起こる事も覚悟しておけ】

 

「どうして……こうなった」




今回でとりあえず、アラマキ爺さんとS07情報支援基地組以外は合流し、西行号と装甲車に搭乗して、撤退していますが……コラボ元で死亡フラグが立つ結果に
この先、生き残れるのかな?(白目)

オマケ:装甲車1号の車内で

西行号と共に撤退を開始した装甲車1号の兵員室内でSOPとSDMRがにらみ合っていた

「私はM16A4の準同型機だから、私が妹だよ!」
「違うもん、烙印システム上じゃ私が妹で、マシンガン擬き!!」
「言ったわね、私の銃はマークスマンライフルだよ!?」

SOPの言葉に激情したSDMRは言い返す

「この重量過多、季節外れのクリスマスツリー!!」
「クリスマスツリーは個性だよ、HKM4モドキ!!」

二人の言い争いが基点となったかは定かではないが各地で稼働中の416と同系統の銃とASSTを結んだ戦術人形達が同時に不機嫌になったのであった

「「「「「「「「「「「「「私達は完璧よ!!!!」」」」」」」」


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:8

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回は正規軍所属傭兵部隊に所属しているアラマキ爺ちゃん編

さて……アラマキ爺ちゃんがS07前線組に居なかった理由が明らかになります

そして、終盤の展開は以下に詳細があります
https://syosetu.org/novel/190134/117.html
https://syosetu.org/novel/190378/133.html


「この気配……祈祷者の軍隊の連絡線はこの近くか」

 

鉄血の重要施設『Hell guard tower』付近に存在する元は商業ビルであろう廃墟の中をアラマキはM14を手に単独で進んでいた

その視線は鋭く普通では見えないナニカを辿りかつ、確実に彼が探しているモノ――祈祷者の軍隊の連絡線へ近づきつつあった

 

(今頃、隊長とSOP達は仲間と合流できたか?)

 

アラマキはここを来る少し前に別れた傭兵分隊の面々の事を思い出していた

元々アラマキもAR小隊の二人や傭兵分隊と共に大陸横断列車まで後退するつもりで十数分前まで行動を共にしていた

 

だが、Hell guard towerの周辺まで撤退した直後、アラマキが連絡線の気配に気づき、「自分は連絡線を破壊するためにここに残る」と言い出した

無論、突然のアラマキの言葉に傭兵部隊やM16A1達は戸惑いを隠さなかった

 

「正気か、爺さん!?」

「ヤバそうな鉄屑共がうじゃうじゃいるんだよ? おじいちゃんも一緒に逃げよう」

「爺さん、気持ちは分かるがここは逃げた方が賢い選択だ」

 

彼らは各々の言葉でアラマキを止めようとするが、アラマキはそれらすべてを却下した

 

「お前らの気持ちは分かる。本来ならワシも隊長達と一緒に撤退するべきじゃろう」

「だったら、早く……「だが、異常は正さなければならない!!」

 

言葉を遮るがごとくアラマキは、脳裏に過去に目撃した様々な惨状――アブノーマル達の凶行が浮かび上がっていた

 

 

アブノーマルを再収容後、救う事ができなかった市民達の死体の山

 

正気を失った目で自身でさばいた我が子の肉を鍋に入れる異常存在に支配した母親の狂笑

生きながら屋敷の壁の一部にされ、自分に助けを求める年端もいかない子供達

異常存在がばらまいた麻薬で獣と化した人々を殺さざる得ない自分

 

 

地獄のような光景を見てきたアラマキにとって、アブノーマルを見逃すという選択肢はない

そして、それに対する拒絶と平穏を求める思いがアブノーマルの絶対性を崩すアラマキにとっての祈りの形であった

 

断言するアラマキの鬼気迫る目にM16達もそれを察したのか、彼を引き止めなかった。正確には引き止める事は不可能だと悟った

 

 

(連絡線を破壊したらすぐに追いつく……それまで無事にいてくれ)

 

アラマキは分かれた傭兵部隊達の無事を祈りながら廃墟の中を進んでいると元は商店であろう少し広めの区画にたどり着くと彼の視界にあるモノが飛び込んできた

 

それは、大きな鉄製と思われるトランクだった

 

周囲が荒廃した廃墟に似つかわしくない鈍い銀色を放つトランクを見た者は不信に感じるあるいは、好奇心に駆られて近づくほどの魅力なようなナニカを発していた

 

しかし、アラマキはそれがアブノーマル由来のモノであり、祈祷者の軍隊の連絡線である事を知っていた

そして、同時に彼らの最終兵器――()()()()()()()()であり、彼らの手で起爆させるか、開けなければ爆発することは決してないと言う事も

 

彼は、手にしていたM14をスリングで背中にかけると腰に提げていた斧を抜き払った

 

「さて……ずいぶんと戦場をかき乱してくれたな」

 

アラマキは小さくかつ、怒気を込めた声で呟くとゆっくりとトランク――祈祷者の軍隊の連絡線に近づく

まるで、落城した城の城門をくぐるように、何事もなくトランクに近づいたアラマキは無言で斧を両手で構え直し、頭上まで振り上げた

「深淵の水脈に帰れ、アブノーマル!!」

 

アラマキは自身の力のすべてをこめて斧を勢いよく振り下ろした

そして、振り下ろされた斧は耳障りな金属音を廃墟内に反響すると同時にトランクを両断する

 

アラマキの斧が、密室にもかかわらずに廃墟内に突風が吹き荒れ、トランクが一挙に真っ赤に錆びつきながら朽ち始めた

トランクが朽ち果てるのと同じタイミングでトランクから様々な大きな悲鳴が響き渡る

それは突如、未知の鉄血の援軍として現れた祈祷者の軍隊達の断末魔であることをアラマキは悟った

 

「「「「「「「「アバアババッバアッババババ!?」」」」」」」」」

《b》「ウギャアアアア、錆びる!?沈む!?」

「トランクがやられちまったのか!?」

「あと数秒で師団長が再展開ができたというのに」

「これで十数年は沈みぱなっしか!?」

「エリちゃん、ごめんよ!!!」

「Oh、ジーラフ!!!!!!!!!!!」

「おのれ、グリフィン!!」

「ゲームオーバーかよ!?」

「サヨナラ!!!!!!」

「嘘だろう、夢なら覚めて……」

「終わりか……しかし、最後の不意打ちで負けたのは悔しいな」

《/b》

様々な感情が困った断末魔が十数秒間、廃墟内に響き渡るとトランクは完全に風化して姿を消すと断末魔と突風が収まった

そして、廃墟内が静寂を取り戻すとアラマキは小さく呟いた

 

「連絡線破壊を確認……これを持って、すべての再収容は完了した」

 

そして、アラマキは斧から背中に掛けたM14に持ち替えるとM16達と合流するために廃墟を去ろうとした瞬間、胸元の通信機からリバイバーの声が聞こえ始めた

 

『お前ら!現在未確認のフードマントの勢力が乱入し、鉄血含めて被害が出ている!そこで‼︎この俺リバイバーが鉄血と独断で交渉して一時同盟を組んでジャミングを解除してもらった!勝手を承知だが、こうするしか道が無かった!各員鉄血と敵対行為をやめ、フードマントの勢力の迎撃に当たってくれ!奴らは下手を打てば万能者並の力と思われる!無謀と思うが、ここで奴らを退けなくては俺らは助からない!頼む、鉄血と協力してそのハイエナどもを蹴散らせ!』

「どうやら、別のイレギュラーがここに乱入してきたようだな……ふむ、好都合だな」

 

アラマキは笑みを浮かべると胸元の通信機に向かってこう言った

 

「こちら、正規軍傭兵分隊兼元グリフィン所属のアラマキだ……航空機、車両なんでもいいワシを友軍まで運べる奴近くはいないか?」

 

 

 

Containment completed Containment completed Containment completed

祈祷者の軍隊(プレイヤーズ・レギメント)の連絡線の破壊

アブノーマリティ:祈祷者の軍隊(プレイヤーズ・レギメント)の再収容が完了しました

 

Containment completed Containment completed Containment completed

 

 

 

 

 

作戦本部跡地

 

「ふははは、さすが正規軍からオガスを託された鉄血工造が作り出した人形達だ」

 

ジョージ上位指揮官――と名乗る男は、焼野原と化した作戦本部の一角で全身を空を見上げながら狂ったように笑っていた

その体は黒焦げで、誰が見ても瀕死であることは確かであった

 

「もしも、身代わりの素行がバレて拘束された際の対応をいくつも考えていたがそれが手間いらずとなった訳だ」

 

彼は自身が鉄血の爆撃で全身を焼かれた事でもう長くないと悟り、好都合だと思った

しかし、彼はが死ぬ事は恐れていなかった

むしろ、自分の背後に存在する同士達の情報が己の不手際で漏れた事を恐れていたが、それも今や無用だった

 

「あの身代わりは私の事をほとんど知らない……私賀入れ替わった後に、端末内に隠した情報はすべてダミーにすぎない」

 

「そう、同士に繋がる情報はすべて遮断し、得るべき情報はすべて伝えた」と言い終えると最後の一息で大きく叫んだ

 

「世界の輝くを更新せよ!!!」

 

それを最後に男は




今回で、祈祷者の軍隊は退場でございます
元々遅筆だったせいでいろいろとやりたいこともあったのですがこれ以上はグダグダになると思い、退場させました

アラマキ爺ちゃんは今は、Hell guard tower付近の廃墟の近くいます
もし、活用してくれるのなら幸いです


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:9

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回はS07前線基地組とAR小隊の撤退劇と友軍との合流編です

今回も短い上に若干回想録感じになっています

ちなみに以下の話を前提にしています
https://syosetu.org/novel/166885/700.html
https://syosetu.org/novel/170214/143.html


S07前線基地部隊とA1姉ちゃんとSOPちゃんが西行号と二台の装甲車に乗り込んで撤退を開始して数十分の間、俺達を皆殺しにばかりに必至の逃走劇を繰り広げる羽目になった

だが、俺達は指揮官の指揮の元であらゆる危険や脅威を退けてきた

 

最初の鉄血や黒いパワードスーツ集団達が追撃を掛けた時は、西行号や僚機の装甲車に備わっているスモークディスチャージャーで相手を視界を奪うと同時に俺達の愛銃や装甲車に備わった機関銃で等で敵を牽制し、これを振り切った。

その時、黒パワードスーツ集団の身体が錆びて、土に還っていたが俺達はそんなことを気にする暇もなかった。今考えてみれば、すごく謎であるがこの事態の鉄血達が一時的に混乱したので幸運だったのかもしれない

 

それからすぐに、撤退路を遮るように現れた立ちふさがる鉄血兵の集団に遭遇した時も主砲である30mmチェーンガンを手動照準でかつ正確に薙ぎ払うと同時に装甲車に備わっていた無反動で敵を逆に返り討ちにした

 

廃墟の壁を突き破ってサソリモドキ戦車に後ろを取られた時は、指揮官の気転で西行号の無人砲塔を後方に旋回させると同時に敵の主砲を狙い撃ちし、敵の主砲を暴発させて動けなくなった隙に逃走した

 

そして、最後に一つ目の巨大人型兵器が行く手を遮った時はまさに指揮官の気転としか言いようがなかった

西行号が残りの煙幕弾をすべて射出し、接近すると同時に俺が兵員室内で武装コンテナを展開、チャージさせる

この時、俺は背中の武装コンテナがちゃんと起動するか不安であったが、むしろ調子が良くなっていた方で、先ほどよりも早く粒子のチャージが完了した

 

そして、一つ目兵器まで限界まで急接近すると同時に、指揮官は西行号の後部ハッチを展開するや俺はすぐに飛びおりると同時に一つ目兵器に照準を向け、粒子砲を発射した

通常よりも早く限界までチャージされ、発射された粒子砲弾は光の放流と化して一つ目兵器の装甲を軽々と貫通、爆散させた

 

「ギャパパパパ、こんな小さい武器のくせになんて威力だ!?」とトビーさんは驚くも無理もないと西行号の社内に戻った時に俺はそう思った

 

俺が戻るとすぐに西行号を走らせて数分後に、俺達はS09地区B前線基地所属の指揮車両を始めとしたグリフィンと正規軍の友軍と合流することができた

その直後に流れを変えるリバイバーの一声が俺達の通信モジュールや西行号の通信機から鳴り響いた

 

『お前ら!現在未確認のフードマントの勢力が乱入し、鉄血含めて被害が出ている!そこで‼︎この俺リバイバーが鉄血と独断で交渉して一時同盟を組んでジャミングを解除してもらった!勝手を承知だが、こうするしか道が無かった!各員鉄血と敵対行為をやめ、フードマントの勢力の迎撃に当たってくれ!奴らは下手を打てば万能者並の力と思われる!無謀と思うが、ここで奴らを退けなくては俺らは助からない!頼む、鉄血と協力してそのハイエナどもを蹴散らせ!』

 

それを聞いた俺達はとっさにお互いの顔を見合った

リバイバーの言葉通りに先ほどまで不協和音のような戦闘システムの不具合はキレイさっぱり消え去っていた

それは周りのみんなも同じようで、むしろ不具合が起こる直前よりも調子がいいくらいだった

今なら、あの巨大イージスで俺一人で武装コンテナ無しで吹き飛ばせると錯覚しちゃいそうなほどに

 

そして、リバイバーの通信を聞いた指揮官が車内の俺達に確認をとるかのようにこう言った

 

「どうやら、鉄血とは一時休戦とうことだが、お前らはどうも思う?」

「リバイバーの話が本当なら、私達もやばい事になりそうだし信じるべきだと思う」

「僕もそう思うよ……ウェイターもそう言うよ」

 

「皆もそう思う……というか、M16A4は?」

MP5Fさんの疑問に頷いたM14さんがとっさに俺の方に視線を飛ばすのを感じ、彼女が言いたい事が察した

 

(M14さんは鉄血と一時的に共闘することに俺がどう思っているのか?)

 

少し前の俺ならリバイバーの提案を一蹴するどころか、リバイバーを裏切り者扱いしていただろう

それどころか、仲間が反対したとしてもたった一人となってもリバイバーを殺そうとしていたのかもしれない

 

それは少し前の話で……今は違う

鉄血は俺達の工場を焼き払い、爺ちゃん達を殺した憎いのは変わらないが……

 

「今回は鉄血と共闘することに不満はいいませんよ……乱入者を撃退するまでのあいだせる」

「そうか、今はそれでいい……他の装甲車に乗り込んだBS小隊やAR小隊の二人も共闘に合意したようだ」

 

指揮官は、装甲車に乗り込んでいたBS小隊やSOPちゃん達、それにSDMRにも共闘する意志を確認したのか、すぐにハクさんに次の指示を出した

 

「ハク……S09B前線基地の指揮車両と通信を繋げろ」

「了解ッス」

 

ハクさんが手元の端末を操作すると随分と若い少年の声が聞こえてきた

裏付けにように俺達にも聞こえるようせっていしたのだと

 

「こちらS07前線基地のサクラ・カスミ指揮官だ」

『こちらS09B基地のレン・ワイズマン指揮官です』

「これよりとS07前線基地所属戦術人形部隊BS小隊と西行号で貴官の指揮車両を護衛する」

『ちょうどキャロル指揮官から、指揮権を丸投げされたので護衛してくれるのは助かります』

 

そして互いの現状を指揮官同士で報告しあったのを見るとこの状況はユノちゃん達のおかげだと理解した

 

西行号とBS小隊は指揮車両の周囲に展開するために後退した

そして、それ以外のBB小隊やA1姉ちゃんとSOPちゃん、直属小隊とAGS-30は簡単な補給を受けた後指揮車両から離れた場所で乱入者を待ち受ける

 

(かかってこいよ……所属不明部隊(アンノウン共)、簡単に倒せると思うなよ!!)




というわけで西行号とBS小隊はS09B基地の指揮車両の護衛として周囲に展開しています

そして、それ以外の戦力は謎のフード付き集団を迎撃するべく少し離れた場所で戦う事になりました

通りすがりの傭兵さん……どうぞ、ご自由にサクラ指揮官達をお使いください


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:10

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回はS06情報支援基地のワカ達とアラマキ爺さんの視点でカオスな戦場を見ていこうと思います

尚、今話は以下の話を前提にしています
https://syosetu.org/novel/166885/701.html
https://syosetu.org/novel/190378/134.html

尚、終盤でドールズフロントライン公式設定画集VOL.2で明記された情報が出てきます


フード付きマントを纏った乱入者の軍勢にワカ達グリフィン決死隊達と正規軍ら混成部隊は苦戦を仕入れられていた

元々鉄血の策略で通信網を封じられた上に、不意打ち同然に撤退中の混成部隊に攻撃を仕掛けた彼らに混成部隊は、分断され、各個撃破されていた

 

それはワカとSG550と他数体の戦術人形達や正規軍の人形で構成された部隊も同じで、ワカ達の逃走経路上に現れたを招かれぬ乱入者に防戦どころか、殲滅されるのも時間の問題であった

 

ワカが作業兼戦闘用ポッドに懸架した二挺のMk48機関銃を他の戦術人形達と共に弾幕を展開して、動きを封じようとする

だが、乱入者は構えた盾で密集隊形でと戦術人形達の攻撃は完全に遮られて有効打を与えられない

一方の乱入者側は、古代のファラクスを連想させる画のように早くかつ統制がとれた連携で距離を詰めながら、同時に盾の隙間から突き出した武器で戦術人形達を狙い撃つ

 

隣で弾幕を展開していた戦術人形の胴体を撃ちぬかれて崩れ落ちるのを見て、ワカが舌打ちした

ワカ達もこれまでの鉄血との戦闘等で弾薬を消耗し、弾薬が残りわずかな人形達が大半であった

ワカも派遣前に作業用ユニットに搭載していたグレネードランチャーは予備含めて撃ち尽くした上に乱入者の銃剣槍による銃撃で基部ごと破壊され、使用不能に

残された二挺の機関銃もそれぞれ予備弾倉が残り一つという窮地に陥っていた

補給をしようとしても少しの前の鉄血航空ユニットによる爆撃で物資の殆どを焼かれた事で

 

「くそ……敵の耐久力や攻撃力も厄介だが、なによりも連携がとれているのが厄介だな」

「ワカさん、弾幕を絶やさないでいくら乱入者の盾が強固だと言っても弾幕を絶やしたら、距離を詰められるよ」

「それもそうだ……皆、弾幕を展開して敵を動きを牽制し続けろ!!」

 

無敵であると錯覚させるほどの強さに怯みかけていたワカより後方で自身の愛銃のバイポッドを展開し、伏射の体形で射撃するSG550が鼓舞する

そして、SG550の鼓舞で勢いを一時的に取り戻したワカは彼女に負けじと機関銃を乱入者達に叩きこみ、周囲の人形達も愛銃を乱入者に向ける

だが、自身が放った7.62mm徹甲榴弾が乱入者の盾どころか薄いマントにすら弾かれ続け、一方の乱入者もワカ達の銃撃を盾で防ぎつつ徐々に彼女達と距離を詰めていく

その時、ワカの作業用ユニットのMk48が弾倉内の弾丸を撃ち尽くしてしまった

 

「弾切れ……うわぁぁぁ!?

「ワカさん!!」

「ペンギン、避けろニャ!!」

弾切れに気づいたワカはすかさずユニットの作業用アームを動かし、弾倉を交換する

だが、隙を狙って乱入者が弾幕を突破し、ワカに肉薄した

ワカも身の危険を感じ、ユニットのローラーダッシュの最大馬力で後方へ下がろうとするが乱入者の方がずっと早く手にした銃槍を白い腹部と突き立てようとする

 

それは彼の危機に気づいたSG550が乱入者に引き金を引くよりも早く、ワカが串刺しにされるのは確実だとワカを含めた誰もが思った瞬間

 

ダダダダダダダダダダ

ドガアアアアアアアアアン

 

突如、ワカから見て左側から飛来する無数の銃弾が乱入者を蜂の巣にする.

それから間を挟まずに多数の銃弾やロケット弾、榴弾等が同方向から飛来し、乱入者の一部隊を薙ぎ払った。

 

眼前で撃破された乱入者の残骸が砂になるのを見たワカは目を丸くし、SG550も突然の事態に言葉を失った

 

「一体なにが……お前は!?」

「なに装甲だらけの人形?」

《危ナカッタナ、加勢ニキタゾ》

 

ワカ達が攻撃が飛んできた方向を見えると全身を増加装甲で覆い、多数の火器を装備した数体人形が辺りを警戒するように首を左右にしていた

そして、援軍と自称とする人形――試験者はワカを見るや首を傾げた

 

《ナント面妖ナ……人語ヲ話ス【ペンギン】トハ?》

「それはこっちの台詞だ……しかし、助かったぞ」

《例ハイラン。もうすぐに支援仕様が到着と同時ニ補給と修理を行ウ……ドウシタ?》

「あの~あなた達はIDWさん達に何をしかしたのでしょうか?」

 

ワカが礼を言うとSG550が遠慮がちに試験者の言葉に割り込むと目を彼女の隣に移した

その隣で試験者を見たIDWら数人の人形が歯をガチガチと震わせていた

中には彼らに銃口を向ける人形を存在

 

《イヤ、特に心当タリハナイガ……》

「アババッバババア」

「なんでアイツらがここにいるんだニャ……MCRの悪夢がなぜここに」

《ナイ事は……無イ》

「お前ら……何をやらかした?」

 

 

顔を横にそむけながら答える試験者を見たワカはすべてを悟り、質問するも試験者達はそれ以上答えなかった

そして、支援装備の試験者が到着するとすぐにSG550やワカ達に修理や武器弾薬の補給を行う

それを短時間ですべてを終らせるとすぐに友軍と合流すべくワカ達は試験者と共に指揮系統であるS09B基地所属の指揮車両の方へ向かった

 

 

 

 

 

アラマキの要請を受けたS09P基地所属の航空支援ヘリ【ヒポグリフ】は指定されたランディングポイントへ到着するとすぐに彼をヘリに乗せる

そして、アラマキが乗り込んだのを確認するとすぐに離陸し、友軍が多くが展開しているであろうS09B基地所属の指揮車両が展開しているポイントへ急行していたが……

 

「どうした? 何か気になる事でもあるのか?」

「え……?」

 

アラマキは81式から何か不信なモノを感じ取り、声をかけると彼女は驚きの声を上げた

それを見て、アラマキは彼女を不安を取り除こうと思い、言葉を続けた

 

「別に隠さないでいい。ワシは過去の経験上こういう違和感に対してカンが鋭い」

「過去といいますとグリフィンに所属していた頃よりも?」

「あぁ……それこそ白蘭島事件が起こる日よりもずっと前からワシは常識の裏側と戦ってきたからな」

「ずいぶんと昔から」

「あぁ、

 

昔を思い出すように穏やかに話すアラマキに81式が自身の懸念していた

少し前に目撃した瀕死の状態でありながら、狂ったように笑う男の事を話すとアラマキの顔が険しくなった

 

「『世界の輝きを更新せよ』とその男はそう言ったのか? その特徴は」

「はい……全身黒焦げで顔も識別も難しいですが声からしてジョージ上位指揮官と思いますが」

「ふむ……その男を探るのは慎重になったほうがいい。下手をすれば、君達の指揮官に危険が及ぶかもしれない」

「!?え、どういうことですか?」

 

アラマキの一転して警戒心を表した声色に81式は一瞬操縦桿がぶれそうになるもすぐに握り直すと怪訝の表情で問い直すと彼は半ば確信をもったように答えた

その時、彼は腰元の斧に無意識の内に手を伸ばした

 

「『世界の輝きを更新せよ』は、グリフィンのスローガンだ」

「つまり、死に間際に彼はある種の愛社精神を示したということですか?」

「いや、ロクサット主義のスローガンでもある……だからこそ、警戒すべきじゃ」

「ロクサット主義をですか?」

 

81式の問いかけに頷くと窓に一度視線を向けた後に強くかつ、釘を刺すように唸るように呟いた

 

 

「君達が望む「世界の輝き」をロクサット主義者いや、「プロメテウス達」は絶対に認めないだろう」

「プロメテウス達……とは一体?」

 

81式はアラマキの言う「プロメテウス達」という言葉にさらに不吉な物を感じた

だが、アラマキは「ワシが言えるのはここまで……後はお前らの情報屋に任せるがいい」と言って詳細を語ろうとしなかった

その間にも、S09B前線基地所属の指揮車両やS07前線基地所属の戦闘歩兵車「西行号」を81式の目が捕らえた頃、アラマキは小さくつぶやいた

 

「さて……もうひと働きするとするか」




終盤にとうじょうした「ロクサット主義」と「プロメテウス達」というワードですが、いずれも設定画集に出てくるワードです(後者は正確にはプロメテウス計画ですが……)

さて、爺ちゃんを乗せたヒポグリフはS09B基地の指揮車両の近くまで近づきました
拾ってくれるならうれしいです


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:11

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回はBB小隊一同とサクラ視点でこのカオスな戦場を見てみましょう

以下の話を前提しています
https://syosetu.org/novel/190378/136.html
https://syosetu.org/novel/190134/120.html
https://syosetu.org/novel/166885/703.html


俺達BB小隊と装甲車を操縦しているブレンテンちゃんとM3さんを除いた指揮官直属小隊、それにAGS-30達は第三勢力らしき乱入者達に最初は防戦一方と言う訳ではなかったが苦戦を強いられていた

正規軍の戦術人形よりも装甲、機動力、火力が高い敵にあくまでも民間用人形をベースにした俺達じゃ性能差はより大きかった

 

だが、ある時を機に突如乱入者達の動きが鈍くなった事を気に俺達は反撃に打って出た

一方の乱入者達はまともに反応するどころか、同士打ちすら始める個体も現れ、先ほどと同じ勢力と思えないほど統率がとれていなかった

 

 

「M16A1とパラは弾幕を展開して敵を牽制し、その隙にMP5FとP228、M16A4が肉薄攻撃、SOPとリーは、AGS-30達と同時にグレネードを叩き込んで!!」

「了解」

「分かった」

「任せてよ、ドーン!!」

「OK、踊りな!!」

「他は皆と一緒に後方から突撃隊の援護射撃!!」

 

M14さんの号令でパラちゃんとA1姉ちゃんが愛銃を掃射し、乱入者がそれぞれの盾で防ぐか避けるようとする

だが、その隙を突くようにSOPちゃんとリー、AGS-30達がグレネードを叩き込み、乱入者達を吹き飛ばす。乱入者もセンサー部分までは装甲で覆っていないようだ

そして、グレネードや同士打ち等で乱入者達の装甲が剥がれた部分やセンサー部をM14さんやSDMR,R93さんが狙撃し、無力化していく

 

そして、爆風に紛れるように俺とMP5Fさんはフルオートで敵に銃弾を叩き込みながら突撃し、乱入者に肉薄する

そして、機動力に優れたMP5Fさんが焼夷手榴弾で乱入者に投げつけ火だるまにした上で弾丸を叩き込み

俺とP228さんがそれぞれ、銃剣とブレードで装甲の隙間や装甲が剥がれた部分に突き刺すか銃弾を叩き込み、無力化していく……まるで見えないナニカが弱点を教えてくれるかのように乱入者に有効打を与える事ができた

 

乱入者も反撃しようとするがまるで見えないナニカに纏わりつかれているかのように動きが鈍いどころか避ける事すらせず銃撃や斬撃を受けて倒れていく

 

そして、数分後には経っているのは俺達だけで乱入者達は残骸と化し、M14さんが指揮官に状況に報告し始めていた

その間に、敵の増援が来ることを警戒して、皆で周囲を警戒しているとDMRとA1姉ちゃんが俺の方へ駆け寄ってきた

 

「終わったね……お兄ちゃん」

「とりあえず、この辺りは奴らは一掃できたか?」

「どうやら、そのよう……うん?」

 

俺が頷くと俺を含めた全員の通信モジュールを介して、リバイバーの声が響き渡った

 

『こちらリバイバー及び万能者!敵上位リーダーユニットの一機を撃破した!そして今、万能者が以前I05地区で使った標的のみ狙い撃つ戦略兵器の発射準備をしている!発射まで時間がかかる故、それまでの護衛が必要だ!手が空いてるやつはこのポイントまできて援護を頼む!』

 

それを聞いた瞬間、俺達の電脳内にリバイバーが指定したポイントらしき座標データがとどくと同時にA1姉ちゃんとS0Pちゃん、それにAGS-30達以外は顔を青くした

 

かつてスミスさんを救出しようとした際に、遭遇したアレが空から降り注いだレーザーが鉄血を蹂躙し、その後に現れた巨大機械兵との戦闘音を思い出すと震えが止まらなかった

 

SDMRに至っては今にも泣き出しそう顔をするのを見たSOPちゃんは顔を傾けた

 

 

「どうしたの?」

「まさか……アレを使うつもりなのか?」

「あれってなに?」

「二つの太陽めいたナニカからレーザーの雨を降らす万能者恒例の超兵器だよ」

「もうやだ……本当にこわかったんだから……って、SOP?」

「それ、本当なの!?」

「おいおい、すごい事を考えるじゃないか」

 

SOPちゃんの質問に答えるとSOPちゃんとAGS-30達が顔を輝かせた

そして、A1姉ちゃんは驚きはするも関心するようなしぐさをする野を見て、苦笑いを浮かべた

なんで……俺達の話を聞いてそんな笑顔を浮かべられるの…君達?

 

「「「やっぱり、ロボット(万能者)さんが来ていたんだ」」」」

「なにそれ、見てみたいかも、この機械兵を吹っ飛ばす所SOPは見てみたいかも!!」

「え……AGS-30達はともかく、SOPは怖くないの?」

 

顔を輝かせるSOPを信じられないといいたげな眼を見るリーにA1姉ちゃんが首を横に振りつつも笑みを浮かべた

 

「過去に整備中だった万能者をばらそうとしたぐらいだぜ」

「……SOPちゃん、とんでもない事をしていんじゃないの!?」

「みんな、指揮官からリバイバーの掩護に向かえって連絡がきたの……行くわよ!!」

 

SOPちゃんの過去に行ったトンデモ行為に驚く暇もなく、俺達はリバイバーが指定したポイントへ急行した

 

 

 

 

 

「なるほど……そういうことか」

 

西行号の砲手席に座るサクラは外部カメラごしに戦場に漂流するソレの正体を察した

そして、それは西行号車内のジンとハクには影すら見えておらず、サクラだけが見えている

無数の兵士いや、人形達の魂ともいえるナニカの残滓が戦場のあちらこちらで打頼っているのを

それはかつて、サクラが見た光景と似通っているがただ一つだけ違う点があった

 

それは思念の矛先が自分ではないという事だけであることを察したサクラは薄ら笑みを浮かべた

 

「ここに彷徨う()()()()()()()()()()()()()()()()が私達に力を貸しているようだな」

「え……それって、幽霊じゃないッスか?」

「幽霊だって……お姉さんの幽霊がいるという事か?」

 

サクラの呟きを聞いたハクが驚くそばで、ジンが顔をにやけさせた

それを見たサクラは半分あきれ顔でジンに強く言った

 

「ジン、妄想に耽る暇があるなら、いつでも車を出せるように気を引き締めろ」

「サクラ、俺……分かったんだ。この戦場は俺達の目に見えないキレイなお姉さんが奴らにやられた連中の魂を鼓舞しているんだ」

 

ジンの確信を持った言葉にサクラが半ば蔑みの目で見るのも気にも留めずに彼は口早に話始めた

 

「きっとエロイ体型をエッチな服装で包んだ幽霊のお姉さんがここでヤラレタ犠牲者の魂を()()()()な事をして元気づけているんだ。ソレを考えてきたら、興奮してきた!!!!!

「そんなふざけた事を言っている暇があったら、周囲の警戒をしてください!!」

「そもそもここに漂っている思念の残滓は戦術人形の……オイ!?」

 

顔に青筋を立てるハクがジンを静止させようと一喝するもジンは気にも留めずに車外に上半身を乗り出すと拡声器を手に大声で叫んだ

 

「幽霊のお姉さん、いるなら俺も連れていってくれ、そして俺の童貞も貰ってくれ!!!」

「ジンさん、いきなりどうしたの!?」

「ギョパパパ、幽霊がいるはずがないだろう、お前ヤクでも決めているのか!!」

 

上半身を乗り出したジンの叫びに西行号の車外に展開していたラム達はぎょっと彼を凝視した

トビーはジンの「幽霊」と言う言葉に怖気づくも反論するもその声は震えていた

 

 

それをみたサクラが我慢の頂点に達し、ジンに向かって怒声を上げながらジンの身体を掴むと車内に引きずりこむ

そして、サクラはジンを西行の車内に引き戻すや否やジンの顔に右ストレートを叩き込んだ

 

 

「いい加減しろ、童貞キリン!!!!」

「ウギャアアアアアア!?」

 

車内に鈍い音が響くやシートに倒れこむジンをサクラは軽蔑の視線を投げかけた

 

「ボケをかます暇があるなら……もっと真面目にやれ」

Oh,ジーザス……はい」

「自業自得ッスよ」

 

あきれ顔でシートに倒れこむジンを見るハクを後目にサクラが機外スピーカーを起動させるとこう言った

 

「今の話はウチのメンバーが童貞をこじらせた末の妄想だ……気にしないでくれ」

 

それと同じタイミングで半ば生理的嫌悪感を感じた白いフードの見えざるモノ……S09P基地所属のM82A1が肩を震わせた事をサクラは知らなかった




うん……見事なまでにモブ扱いですね、うちの子達は
まぁ、ある意味でうちの子達らしいですけどね

そして、ジンが完全に元ネタのアイツと化していますね

そして、サクラが見えている理由は本編時空での完全のネタバレあんけんですのでここでは伏せておきます
強いてヒントをいうなら、サクラは17歳の頃に第三次世界大戦を経験しています
そして、サクラは人類種の天敵になりえる可能性がありました


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:12(END:1

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回はコラボ編のエピローグの前編で、先頭終了直前の様子をサクラとアラマキ爺さんの視点で描写しています

ちなみに以下の話を前提しています

https://syosetu.org/novel/190378/137.html
https://syosetu.org/novel/166885/704.html


乱入者が万能者の戦略兵器『サンライト・パラノイア』によって一掃されてされてから、一時間後……

 

すべての戦闘が終わったと判断したサクラは通信機で自身の部下達である戦術人形達に集結の号令を出した

 

「正体不明勢力が戦闘領域内から離脱およい自壊を確認。作戦終了……BS小隊以外のS07前線基地所属の各戦術人形小隊は今から指定するポイントへ向かえ、BS小隊は周辺警備を続行します」

《BB小隊長、M14了解しました》

《こちら直属小隊長G36C,位置データを受け取りました……そちらに移動を開始します》

《BS小隊長ラム、西行号周辺警戒を開始します》

「了解した通信終わり……ふう、ようやくは終わったな」

 

サクラがは通信装置を切るとシートにゆったりを腰かけると操縦席に座っているジンがため息をついた

 

「鉄血との戦いに終止符を打つどころか、未知の勢力が乱入するわ……万能者(疫病神)に関係する……極め付けは鉄血と一時休戦どころか未知の勢力を相手するために同盟を結ぶことになったり、とんでもない作戦だったな」

「まぁ……同盟に関しては例のフードマント集団に限定した話だから、実質的に休戦協定だな」

「でも、リバイバーが一時休戦協定を結ばなかったら今頃……()()()()()()()()()()()()()()だったっすね」

 

車長席に座るハクで端末を操作し、ジンとサクラに見せるとジンは顔を青くした

端末の液晶に映し出されていたのは、鉄血との休戦をしない状態で乱入者との戦闘をシュミレーションである

そこに映し出されていたのは、万能者とが到着時にはグリフィンの戦術人形部隊はごく一部を除いてが壊滅という悪夢としか言いようがない惨状であった

そして、壊滅した戦術人形には西行号を含めたS07前線基地の部隊も含まれていた

 

「ハク、いくらなんでも誇張じゃないのか?」

「誇張でもなんでもなく……本当に計算した結果っすよ」

「つまり、リバイバー(リア銃)が交渉しなかったら俺達死んでいたかもしれないのか!?」

「少なくとも……西行号は撃破されていたかもしれないッス」

 

ハクが顔を青くするのを見て、サクラが不敵に笑った

 

「だが……私達は今生きている上に西行号も会長だ」

「そうだな、所詮もしもはもしもだぜ、ハク」

「それもそうっすね……じゃあ、このまま戦術人形達が帰ってくるまで待ちましょうか」

 

彼女の言葉に二人が笑っていると突然、顔を青くしたトビーが西行の兵員室内に飛び込んできた

 

「ギャパー!?ジン、ハク、サクラ俺は視ちまったんだ!?」

「何を見たんだ?」

「幽霊だよ、白いフードを着た赤い髪を着た女が俺に向かって手を振ったのを見ちまったんだ!?」

「お姉さんの幽霊だって!?」

 

トビーの言葉にジンが顔を赤らめるとトビーは「喜んでんじゃね!!!」と声を震わせるのを聞きながら、サクラはため息をついた

それを見たハクが二人をおつちかせようとトビーの腕を掴んだ

 

「トビーさん、落ち着いてください~ここに幽霊はいないッスよ……でしょう、サクラさん」

「そうだな……お前の気のせいだな」

 

サクラの言葉にジンは「ほ、本当か?」と西行号の後方ドアをあけるとキョロキョロとみ始める

それを見て、ジンは落胆したように力なく言った

 

「なんだよ……トビーの気のせいかよ。お姉さんに童貞を貰ってほしかったのによ」

「ジンさん……まだ、引きづっていたのですか?」

(すまんな、三人とも……お前らを落ち着かせるために嘘をついて)

 

ハクが落ち込んだジンをあきれた口調で話すのを見ながら、ふと砲手用車外カメラのモニターに視線を落とした

 

モニターには、西行号から離れようとする白いローブを着た赤髪の女、正確には人形が西行号からゆっくりと離れていく姿が写っていた

そして、その人形が写っている事にハクとジンは気づかなかった

見えざる人形の姿を見ながら、サクラは心の中でそれに礼を言った

 

(いままでの敵に起こった異変はお前のおかげか……協力感謝する)

 

 

 

魔の10分間とも呼ばれる乱入者達との死闘を切り抜けたアラマキは、戦闘が終わった事に安堵し、地面に座り込んだ

いくら長年の異常存在を戦ってきた歴戦の兵とはいえ、人間かつ初老であるアラマキの身体には大きな負荷が大きく、息が乱れれていた

 

「ようやく……終わったか……だが、『左手の答え』を使わずに済んでよかったわい」

 

アラマキは周囲に風化していくフードマント集団の残骸を見渡しながら、腰に提げている「左手の答え」と呼ぶ青い筒に手を触れながら呟いた

 

「左手の答え」を使えば、作戦領域内のフードマント集団を万能者の戦略兵器を展開し終える前に数分で作戦力域内から駆逐することができた

だが、それを使うという事は別のアブノーマリティを呼び寄せ、友軍が別の危険にさらされるとリスクを背負うという事もアラマキは知っていた

だから、こそ、アラマキは「左手の答え」を使わずにM14と斧、拳銃だけでグリフィンや鉄血の戦術人形や正規軍と連携して、フードマント集団と渡り合ってきた

 

 

その顔には安堵の表情を浮かべていると背後になにかの気配を感じ、振り返ると同時に腰に提げた斧をいつでも抜き張れるように柄に手をかける

アラマキの視線の先に思念の塊としか言いようがないナニカに優しく微笑みかける白いローブを被った赤髪が印象的な人形だった

だが、アラマキ以外にその人形の姿は見えていないのか周囲の兵士や人形達は彼女に気づくことなく、通り過ぎるもしくはすり抜けていく

それをみたアラマキはその人形が常識に属するモノではないと判断し、すぐに応戦できるように斧の柄を握りしめた。

一方のフードの人形は思念の塊にナニカを語りかけているが、アラマキにはその声が聞こえなかった

 

「悪意はないようだが……放置すれば何が起こるかわからんが、ワシの消耗も無視できない」

 

「さてどうするか……」とアラマキがフードの人形の出方を伺っていると人形がアラマキの方を振り返った

そして、声を出さずに口だけを動かすと思念の塊と共に周囲に溶けるように姿を消した

彼女の表情は、「自分に悪意はないから見逃してほしい」と言いたげに

 

「元の場所に帰ったのか……」

 

アラマキはフードの人形が姿を消した事に警戒心を感じつつもS10前線基地が派遣した大型ヘリの待機場所へ向かうべく歩きだした

少し歩いた後にあることを思い出した

 

「ここは古から古戦場になりやすい場所じゃったな……おっと、そうじゃった」

 

アラマキはナニカを思い出すように通信機とは別の機械のダイヤルを回して、スイッチを入れた

 

「アラマキ・オサム。アンジェリカ女史からの依頼:正規軍内部への潜入監視任務を完了。尚、正規軍内に不穏因子は確認できず……記録終了」




後編でM16A4とワカの視点を描写してこの大規模コラボは終わりする予定です
いろいろと欲張って描写が格視点での描写が希薄になりがちなのが反省点ですね
次にコラボに参加する際は、キャラを搾ってみようと思います

オマケ2:P228の作戦日誌より抜粋

今回の作戦で私達やAGSちゃん達に重傷者は一人も出ていない
これは一重に私達の支援装備による物だと私は推測する
M16A4の武器庫改や改造ストライカードラグーン「西行号」、重装部隊AGS-30達の支援が無ければ、私達は一度死んでいたかもしれない

グリフィン本部所属戦術人形部隊はともかく、前線基地の装備の差が激しいのが気になった
持つべきところ、主にS09P基地のように戦術人形どころか様々な支援が整っている所もあれば、かつてM14さんが所属していたG01前線基地のようにわずか十数体の人形だけで重装部隊どころか輸送車両やヘリ、式用のドローンすら困窮している前線基地の所属らしき人形も多く見かけた
そして、その前線基地所属の人形達の待遇や指揮官への態度は困窮の度合いに応じて悪化しているように思える

もちろん、激戦区であるか否か、基地が主な任務内容も考慮したとしても格差が激しい事に私は不安を感じた
私達の知り合いが上層部を批判するモノは多いが、上記の件からしてもそれだけが不正の温床になりえるか疑問符を感じえない

むしろ、前線基地との間に生じている格差の是正こそが、私達の待遇を改善に繋がると思うのは私だけだろうか?
今度のメンテの際にジル主任にこの格差についてどう思うか聞いてみよう


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総員!鉄血防衛線を越えろ!:FIN(END:2

試作強化型アサルト氏の「危険指定存在徘徊中」の大型コラボに参加しています
今回はコラボ編の後日談として、M16A4とワカの視点で描写しています

以下の話を読めば作中の内容を理解しやすいと思います

https://syosetu.org/novel/191561/200.html
https://syosetu.org/novel/190378/138.html


正規軍合同鉄血防衛ライン突破作戦から約二週間後……

 

俺はAGS-30達を連れて、IOP本社を訪れていた

ちなみに、少し前まではアヤトルズの面々も一緒にいたのだが、アヤトルズはグリフィンとの提携契約の更新のためにグリフィン本社へ行くために別れていない

 

ベンチに座ったAGS達が缶ジュースを飲みのを静かに見守りながら、ある人が来るのを待っていた。足元には防水布で覆った武装コンテナ――武器庫入りケースを置いて

今回、IOP社を訪れた訳……それは、俺がこの前の作戦で装備した武装コンテナの運用データとAGS-30達の運用データをIOPに渡すためだ

ふと手元の時計を見てみるとすでに待ち合わせの時間を10分も過ぎていた

 

「遅いな、約束の時間が過ぎているのに……」

「待たせたわね、ハーヴィルからちょっとした用事をこなしていたら時間を過ぎちゃったわ」

「「「あぁ、ペルシカおばさんだ!!」」」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、振り返るといつものように眠たげなな目で不健康そうな青白い顔をした猫耳オバサンがこっちに向かって近づいてい来るのが見えた

そして、AGS達も彼女を見るや否や飲んでいたジュースを置くとそそくさと彼女の元へと近寄った

 

「おばさんじゃなくて、お姉さんと呼んで?」

「じゃあ……猫耳オバサン」

「それはもっとやめてほしいな」

「なんで?M16A4だって、ペルシカの事を猫耳オバサンって呼んでいるよ」

「ちょっとそれはいっちゃ……ペルシカさん!?」

 

AGS-30達の言葉で俺に疑惑の視線を向けるペルシカさんだったが、ため息をいくと俺の足元のケースに視線を移した

 

「まぁ……いろいろと言いたい事があるけど、とりあえずAGS-30(オチビちゃん)達や武器庫改の運用データを採取するからついてきて」

「分かりましたアリーア、ソニア、ガリーナ……行くよ」

「「「はーい」」」

 

ペルシカさんが歩き出すのを見て、俺もAGS-30達を連れて彼女についていく

 

 

 

 

 

ペルシカさんのラボで俺の戦術コアとリンクさせている武器庫改の制御ユニットに保存されている戦闘ログを見たペルシカさんの一声は驚きだった

ちなみに、AGS-30達は別のラボでグリンダがデータを収集している

 

「これは予想外ね」

「何か問題でもあったんですか?」

 

俺は何か不味い事でもあったのかと思ったが、ペルシカさんは首を横に振った

 

「そうじゃないわ……いろんな状況下やチャージ状態での運用され、記録されたデータの種類が予想以上に多かった事に驚いていたの」

「まぁ、確かに武器庫改にはいろんな状況下でピンチに陥った時にこれに助けられましたからね」

「えぇ、特にサイクロプスを一時的に擱座させた時のログは結構興味深いわ」

 

ペルシカさんがは作業台に置かれて、観測機器類と様々なコードに繋がれた武器庫改に目を落とす

 

今、思い返してみると巨大イージスと会敵した際に最大出力でぶっ放して上半身を吹き飛ばしたのを機に、敵に囲まれた際には強固な盾として俺や仲間達から敵の銃撃から守てくれた。これがなきゃ今頃どうなっていたか……

 

極めつけは撤退中に巨大な盾を持った一つ目……リバイバーはサイクロプスと呼ばれていた巨大機械兵と遭遇した際には、これがなきゃ俺達は指揮官と共に西行号という名の棺桶の中で確実に死んでいた

指揮官による機関砲での牽制射撃と半分涙目で(しかも「Oh,ジーザズ!!!」と悲鳴を上げながら)敵の攻撃をかいくぐったジンさんの運転技術で隙を作り、最大出力でぶっぱして右上半身を抉って一時的に機能停止にさせた時は本当に肝が冷えたとしか言いようがなかった。人形に臓器としての肝臓なんて備わっていないが……

 

そして、右上半身を姿で再起動して再び遭遇した際は腰を抜かしてしまった……確実に機能停止していてもおかしくないだろう

 

「記録されていたログによると何かしらのバフのようなモノも受けて粒子砲の出力が一時的に上がっていたようね」

「バフですか?」

「そう……ユノのルーラとは別に()()()()()()()()()()()()()()()()()可能性があるわ」

 

端末を操作していたペルシカさんが端末に表示されたグラフの一部を指差した箇所を見ると確かに不自然に武器庫改の出力が上がっている……この時間帯は確か戦闘システムに不具合が出た時だ

俺が興味深そうに端末を見る俺にペルシカさんは思い出したように斬り出した

 

「そういえば……前回の作戦でS07前線基地も大赤字になったとジルから聞いたけど……あれからどうしたの?」

「それなら、前線基地で自家製造していたサイダーをメメントス街や近隣の町に売る事にしました」

「さ‥…サイダー、飲むドリンクとしてのサイダーを?」

「そのサイダーで間違いありません。結構評判よくてこの調子なら近いうちに赤字の補填になりそうです」

 

俺の言葉に目を丸くするペルシカさんに俺達が赤字を補填するためにサイダーを作り、売り始めた事を話した。元々基地内の設置されていた消火用二酸化炭素発生装置を改造して作った大型炭酸水メーカーで作った炭酸水にシロップ等を混ぜて作った自家製サイダーを前線基地が発足した時から嗜好品として作って基地内で飲んでいた

 

で……まぁ、この前の作戦で出撃していた俺達のダミーや乗っていたは殆どが全損かつくAGS-30を弾薬加え、西行号の機関砲の弾薬費や燃料代がかさんだ上に、報酬は正規軍が大打撃を受けたために実質ゼロという有様で、金策を考えた結果が自家製サイダーを作って売ろうという案だ

 

まぁ、材料費云々は発足当初から基地の資材庫に山積みで保管されていた安価な人工甘味料や香料や浄化塔の技術を転用した浄水施設から水も手に入るので問題ない

元々S07前線基地を始めとしたメメントス街は元々は核戦争時の大規模シェルターを兼用した町でもあったので生活に必要なライフラインはある程度整っている

 

サイダーを詰める入れ物もメメントス街で回収した空き瓶や基地内に保管されている飲料水用小型タンクとこれまた改装前から放置されていた充填機を直した上で容器に詰めている

 

それに、前にアヤトルズがメメントス街に自分達に支給された分の一部を転売する形で売って客に好評だったことも決めての一つだ

まぁ、後方幕僚のマギーさんにアヤトルズの転売がバレて、思い出すだけも寒気がするほどの制裁が下ったが……

 

「そう……じゃあ、カスミ指揮官に私の分もAR小隊、それにバレット達にも贈ってくれるように頼んでくれないかしら?」

「分かりましたよ。でも、お試しで1ダース分だけ送ります」

 

 

俺が笑って答えるとペルシカさんは真剣な表情を浮かべ、俺はそのことに疑問を感じた

 

「どうしたんですか?」

「いや……M4の事でちょっと気になる事があってね?」

「M4姉ちゃんがどうしたんですか?」

 

ペルシカさんがM4姉ちゃんの事を言い出した瞬間、俺はびくっと体をこわばらせた

 

A1姉ちゃんやSOPちゃんは、M4姉ちゃんやROさんに無断で出撃せいで凄まじい制裁を受けたと聞いていたが……俺も連帯責任としてオシオキされるんじゃ?

俺は恐る恐るペルシカさんに質問すると予想外の答えが返ってきた

 

「M4は夢であなた達が見知らぬ勢力に殲滅される夢を見たと言っていたわ」

「そ……それで?」

「最後にこうも言っていたわ……次に乱入者と戦う戦う事があったら、()()()()()()()()()()()()()

 

そう言うペルシカさんの顔は複雑な表情を浮かべて、どこか寂しげだった

そして、まるで自分に言い聞かせているようにこう言った

 

「そうよね……あの作戦にA()R()()()()()()()()()()()()()()を彼女は気づいていたのね」

「え……それってどういうことですか?」

 

俺の質問にペルシカさんは何も答えなかった。いや、俺に話すつもりはないのだろう……と俺は思った

 

 

今回の戦いで遭遇した乱入者達を含めて俺が知らない世界が存在するのだとを実感させられた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

M16A4がペルシカと話し込んでいるのと同時刻

 

S07情報支援基地に設けられているデータルームではワカとSG550が書類の山を手元の端末を使いながら、書類をこなしてた

それらすべて、前回の作戦での報告書とそれによって消耗した各前線基地での

 

「すごい量だな……これ全部が戦闘報告書か?」

「そうだよ……前の作戦じゃいろんな事があったからね」

「まぁ、無理するなよ」

 

げんなりとした表情で書類の山を見るSG550にワカは優しく声をかけると彼女は少しだけ微笑んで頷いた

それを見て、ワカは前回の作戦の事を思い出していた

 

(しかし、ある意味で奇跡だったな……下手をすれば俺達も死んでいたからな)

 

謎の乱入者達とグリフィンと正規軍合同部隊が万能者の戦略兵器射出を巡る攻防戦……魔の10分間を凌いだワカ達はS10前線基地で移送され、本部に残された同じ基地所属のパイソンとP226と合流できた

この時、SG550は臨時本部が爆撃されたと聞き、彼女達の死んだものと思い込み、彼女達と再会できた時は涙を流すほど二人の無事を喜んだ

尚、S07情報支援基地ではワカ達を含めて派遣した人形が少数兼後方要員として派遣されていたので損失自体は他の前線基地に比べ軽く済んだのだが

 

そして、S10前線基地で修理を受ける事になったのだが、そこで起こった出来事を思い出したワカは首を傾げた

それはワカを見たシーナ指揮官を始めとするS10前線基地の面々がワカを見ても特に驚かなかったことです

ワカはペンギン型自律人形であるが……そもそも、人語を話す動物型人形はほとんどIOP社製を含めてもほとんど製造されていないためにかつてのBB小隊の面々との初対面でもワカが人語を話した事に驚きを隠さなかった

だが、シーナ指揮官はワカに驚かずに冷静に対応した事にワカは腑に落ちず、質問すると彼女は笑って、『人語を話す猛禽類を知っているから、喋るペンギンがいてもおかしない』と答えた

これを聞いたワカは彼女にいろんな意味でドン引きした

 

「シーナ指揮官は喋る猛禽類、それも人形じゃない正真正銘のホンモノの猛禽類をみたというが……新種のELIDでも目撃したのか?」

「確かに、人語を話すペンギンなんてそうそういないのにね」

「ある意味すごいな……お、そろそろ食事の時間だな」

 

ワカはデスクに置かれた時計をみて呟くとSG550もそれを見て頷いた

 

「本当だ……そろそろ晩御飯の時間だ」

「じゃあ、今日は基地の外にあるピザ屋でも行くか?」

「うん、指揮官や小隊のみんなやモノさん達、も誘うよ」

 

SG550の提案にワカは「いいな、じゃあ誘いに行くか」と了承すると手元の端末に編集中のデータを保存した

そして、デスクを席を立つと二人はデータルームを後にした

 

暗くなったデータルーム内でわずかに灯っていたモニターの光は、今回の作戦に関する物語を幕引きするように消えるとわずかな端末の電源ライトを残して闇夜に包まれた




今回で大規模コラボは終了です

ちなみに、例のサイダー販売云々はフリー素材なので好きに活用しても構いません
元々S07前線基地は建造途中で放棄された地下シェルターの一角を改装した基地なのでこう言った居住性を高めるための作られた設備や施設が半ばそのまま残されています

サイダー製造の元ネタは、旧に保管海軍が軍艦でラムネを作っていた事です
実際に、旧日本海軍のラムネ製造は消火設備を流用した物で作っていたようです
S07前線基地では消火設備である二酸化炭素発生装置を改造したり、埃をかぶっていた設備を流用してサイダーを製造、瓶やタンクに詰め込んで販売しています

今回のオマケは……作中に搭乗したAGS-30達の一幕を描写して今回のコラボを締めたいと思います

試作強化アサルト様を始めとしたコラボ企画参加の皆様お疲れ様です



オマケ

万能者は乱入者達の残骸を解析が一段落済んだ後でIOP本社を歩いている時……自身にある意味で厄介事に巻き込まれた事を悟った
それはAGS-30達から採取した運用データを解析するまでの万能者が彼女達の世話をすることになったのだが
万能者はサブアームを含めて、AGS-30達を三人同時に、彼女達を上げたり下げたり、左右に揺らしたりし続けるなどして遊びに付き合っていた

「ぶら~ん、ぶら~ん」
「ロボットさんの四本腕でぎったんばったん」
「たかい、たかい‥…もっともっと!!」

だた、彼女達はとにかく万能者に警戒心を持たずにただ、好奇心となついていた
だが、万能者に彼女達がある人形の姿と重ねて見えていた
万能者に恐怖心を感じずに整備中に装甲を外した己に飛びかかり、好奇心に背中に押されるように自身のパーツをもぎ取ろうとしたSOPMODⅡと

「チビちゃん達……もういいかい?」
「「「もっとやって!!!」」」
(だめだ……これはちょっとやそっとじゃ満足してくれないぞ)

万能者はデータ解析が終わり、M16A4がAGS-30達が引き取りくる約1時間の間万能者は彼女達の遊び相手となっていた


さらにオマケ

??「45姉……万能者があんなに疲れた顔をするのを初めて見たよ」
??「そうね、9……ちゃんととれた?」
??「もちろんだよ……バレット達の双子ちゃん可愛かったよ」
??「バレッド達が任務で出かけている事を教えてくれたリバイバーに感謝したほどね」


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壊れた小銃とサイダーが入った木箱

今回の話はドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー(https://syosetu.org/novel/170214/) とのコラボです

こちら側は所謂導入編で、M16A4とSDMRがS09B地区前線基地へ遊びに行きます



「え~と、この箱は猫耳オバサン当ての瓶入りサイダーで、こっちがバレットさん達へのお試しセットで、こっちの大きい方がメメントス2番街の商店宛で……」

 

俺は紙に書かれたメモを片手に前線基地地上部のヘリ格納庫に積まれた木箱に張られた宛先が間違っていないか確認をしていた

目の前に積まれている木箱にはS07前線基地に所属にしている戦術人形や職員達の癒しである自家製サイダーが詰められた瓶が緩衝材と共に詰め込まれている

 

全開の合同作戦で出撃した際にできた大きな損失を埋めるためにサイダーを売る事にしたのだが……これが大成功でまさに飛ぶ勢いでサイダーが売れて言った

実際、合同作戦時の損失や手薄になった基地等への鉄血による襲撃で出た損失などで出撃に制限が出ている今、後方要員の人形以外の前線部隊もサイダー製造を手伝っているがこの調子なら近いうちに以前通りの戦闘ができるだろう

 

実際、人体への悪影響を無視した違法な甘味料や添加物を使用した悪質なジュースやお菓子類が貧困地区を中心に出回っている事も関係している。

 

俺が聞いた話によるとS13地区やU地区全域では【ヌカコーラ】なる炭酸入り放射線汚染水と言ってもいいほどの危険なジュースすら流通しているというわさが流れる程、食品……嗜好品の安全性の差が大きい

 

その点、俺達が売っていいるサイダーは原料の香料などは合成品だが富裕層街向け食品にも使用されている物、水も専用の浄水設備で濾過された安全な水で作っているいから安全性は保障されている

 

(というか、放射能汚染水同然のジュースが存在する事自体が信じられない……さすがにデマだよな)

「M16……出荷予定の商品の確認は終わった?」

 

根も葉もない都市伝説の事から離れて、在庫確認に意識を戻した時、後ろから聞き覚えのある声が俺の耳に入ってきた

振り返るとそこにはクリップボードを片手に眼鏡をかけたラムさんが立っていた

 

「あ、今全部確認終えました」

「ラベルの貼間違いは特に無しと……ありがとう、これで問題なしね」

 

俺が出荷予定の在庫のリストを彼女に渡すとさっと目を通すと頷いた

そして、思い出したように彼女の視線がリストから俺に移すとこう言った

 

「指揮官がM16A4を呼んでいたよ」

「指揮官が俺を?」

 

ラムさんの言葉に首をかしげる俺に彼女はため息をついた

 

「わからないけど、それなり古参の君に頼みたいことがあるって言ってたわ」

「……なんだろう?」

 

指揮官が俺に頼みたいことが何かを考えつつ、俺は前線基地の地下3階部にある指令室へ向かった

 

 

指令室へ向かうとそこには普段出は見せない肩を落として疲れたような表情を浮かべて机に座る指揮官とそれを不安そうに見つめるSDMRがいた

それとよく見てみると指揮官の目元にクマがデキていた……仕事が多忙だったせいで眠れていないのだろうか?

 

「あ、お兄ちゃん!!」」

「M16A4……よく来てくれたな」

「はい、俺に頼みたいこととは一体……それにSDMRも一緒に?」

 

俺の質問に指揮官は軽く頷くと少し屈むと一つのガンケースを机の上に置くとゆっくりとガンケースを開けながら話し始めた

 

「お前ら二人に頼みたい事がある……これをS09B基地まで届けてくれ」

「え、これって」

「指揮官の89式だよね?」

 

指揮官が頼み事の中身を見た俺とSDMRはとっさに違いの顔を一度見つめると再び、ガンケースの中身に目をやった

 

指揮官が手元のガンケースの中身は指揮官の愛銃であった89式自動小銃――正確には空挺部隊や戦車搭乗員に配備されていた折り畳み式銃床型が収まっていた

それは指揮官が自身の半身のように大事している銃で、前回の合同任務でも護身用銃器として拳銃と共に西行号内に持ち運んでいた

そして、その気に入りはそれの整備を指揮官自身が行い、例えSDMRや他の整備員でも絶対に触らせてくれない程だ

自身の半身と言ってもいいそれをS09前線基地に届けてほしいということはどういうことだ?

 

「どうやら、私の相棒である89式(これ))の機関部の調子が悪くて、頻繁にを起こすんだ」

「つまり、その基地に修理を依頼したいということ?」

「そうだ……S09B基地には腕のいいガンスミスがいると前の合同作戦で一緒になった指揮官から聞いてな」

「つまり、そのガンスミスにライフルの修理を依頼すればいいんですね」

「その通り、すでに私の方からS09B基地から連絡は入れているから、後はそこまで運ぶだけでいい」

 

指揮官が小さく頷くと俺とSDMRに視線を向けた

 

「改めて言おう……M16A4とSDMR、二人に私の愛銃をの修理するためにS09B前線基地のガンスミスへ届けてほしい」

「「了解しました!!」」

「それと彼らにお土産に自家製サイダーを3ダース分持って行け」

 

俺とSDMRが指揮官に向かって敬礼をすると指揮官は笑みを浮かべるのを見て、俺達も自然と笑みがこぼれた

 

 

 

 

指揮官から預かった89式自動小銃を納めたガンケースと瓶入り自家製サイダー1ダース入りの箱三個を積み込んだジープに乗り込んだ俺とSDMRは半日ほどかけてS09B地区前線基地へ到着した頃には辺りは夕暮れでオレンジ色に染まっていた

そして、俺が基地の一角でジープを止めた先に一体の人形――この基地所属らしいきナガンが立っていた

彼女の特徴としては、見事なまでに継ぎ接ぎだらけの顔で俺はそれが意図的に残しているモノだとすぐに理解した

 

「おぬしらがS07前線基地から来たという人形じゃな?わしはここの副官を務めているナガンじゃ」

「俺の名はM16A4です。M16もしくは、A4と呼んでください」

「私がM37SDMR、SMDRと呼んでください」

「話はお主らの指揮官から聞いておるが、ふむ……」

 

目の前の副官を名乗るナガンさん(S09P基地のナガン婆ちゃんと区別するためにここの副官はそう呼ぼう)が俺達を興味深そうにまじまじと見てから少し笑った

 

「噂でAR小隊の弟分に当たる戦術人形がいると聞いていたが、男の人形とは珍しいの」

「俺も男性型戦術人形は数えるほどしか見た事がありませんから」

「そうだよね、DG小隊以外じゃ男性型戦術人形はリーしか見た事がないよね」

 

俺が頷きながら答えるとナガンさんは「そうじゃろうな」と呟いた後で俺達の後ろに止めてあるジープを指差した

 

「ガンスミスはちょっと準備をしている所じゃからわしがあやつの作業場まであんないしてやる……前にがジープに積んでいる箱はなんじゃ? そこに依頼の銃が入っているという訳じゃなそうじゃが」

「これはS09B地区前線基地の皆様へお土産に持ってきたS07前線基地自家製のサイダーです」

 

俺が箱を見ながら答えると彼女は「なるほどの……SPASか誰かに基地内に運ばせるとするかの」というと建屋の方へと歩き出すと俺達も彼女の後をついていく

その途中で俺はここのガンスミスがどんな人物か考えながら彼女の後をついていった

 

(そう言えば、彼って前回の合同任務でも参加していたらしいけど、会ってないんだよな……どんな人なんだろう?)




こちら側はここまでで、続きはコラボ元へ丸投げします(オイ)

前半部分ではコラボ先とは別に他のドルフロ二次作品の話題も少しずつ話題に出していますが分かるでしょうか?


余談
本作でのU地区について

本作でのU地区は地区全体が完全に放棄された廃都市やブラックゾーンを含む崩壊液重汚染区画が多い場所
前述の理由で人がほとんど住んでおらず、グリフィンや正規軍の前線基地もほとんど存在していない
しかし、環境調査隊やグリフィンの偵察部隊等が怪奇現象との遭遇が絶えない場所で

・存在しないはずのU地区のグリフィン前線基地から救援信号が届き、指定の座標に部隊派遣しても救助対象は誰も存在していない
・製造元不明の経年劣化が激しいローテクを多用したオートマトンの残骸が時々発見される
・約20年前に壊滅したはずの対ELIDを名乗る者の通信が無線に混線する
・ELIDとは明らかに違う怪物に襲われるも直前にその怪物は消滅してしまった
等々

これらの怪奇現象から自分達が知るU地区とは別の次元にもう一つのU地区が存在するという仮説が立てられているが真偽は不明で不明である


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守護者達の子供達に会いに行こう

今回はNTK氏の人形達を守るモノ(https://syosetu.org/novel/190134/)とのコラボです
さて、今回はM16A4ではなく、BB小隊のリーとMP5Fが自分達の姪っ子、甥っ子達に会いにDG小隊の元へ向かう話です

久しぶりな上にレストとウェイターの口調を再現しきれているか不安です

「サクラちゃん、あの子達は今事グリフォン本部に到着した頃よね」
「問題がなければな……」


IOP本社の近くに設置されたバスターミナルに停車されていたバスから6人の男女――を正確には六人はS07前線基地所属の戦術人形が降車した。

 

一団がバスを離れてすぐに女性用コートにユキダルマをモチーフにしたキャラクターを模したマスクという目立つ服装の女性――ジルが目の前の金髪の人形――MP5Fに声を掛けた

 

「MP5F、リーもホーについてきてくれてありがとうダホー」

「いえ、レスト兄さんに会いに行く際に便乗しただけですから」

「それでも十分うれしいホー」

 

MP5Fの返事につられて彼女の隣を歩く灰色のブレザー服姿の中性的な少年型人形――リーこと、Mk16がジルの後方を歩く三人組の男達――アヤトルズの面々に視線を向けた

 

「僕達がジルさんについていくのは分かるけど、ジンさん達もついてきたの?」

「それは()()()()()()に興味があるからさ」

 

リーの質問に普段身に着けているキリンのマスクの代わりに青い帽子をかぶった日系人の若者――ジンが笑いながら答えると隣で小太りの小男――トビーが続けて口を開いた

 

「ギャパパ……人形同士の間に子供を作るなんて、Z級映画でもそうそう見ないぞ」

「まぁ、今でも信じられないッス……一体どういう理屈でそれを可能にしたのか、気になるところっすね」

 

トビーの言葉に頷くくせ毛の茶髪と緑色のパーカーが印象的な青年――ハクの言葉を聞いたジンとトビーが顔を青くした

 

「確かに、本当に人の形をしているのか?」

「ギャパパ……もしかたら、人じゃないとで言いたいのか?」

「もしかしたら、少し前のノベルゲーのように人に見えるだけで正体は肉塊だったな……あたぁ!?」

「おい、私の甥っ子や姪っ子達をバケモノだと言いたいの!?」

ジンの言葉に怒りを感じたMP5Fがジンの首根っこを掴み、戦術人形特有の力で持ち上げながら睨み付けるとそれを見たジルが彼女達に向かって一喝した

 

「お前ら、落ち着くホー!!」

「そうッス、ジンさんも勝手な憶測で決めつけはよくないッスよ」

「「そうだよ、ジンさんその言い方は酷いよ」

「俺が悪かったから、離せよ」

 

ジルに続けたハクの言葉を聞いたジンが謝るとMP5Fがジンを離し、解放されたジンが息を整えた

 

「はぁはぁ、とりあえずリア銃達(DG小隊)に会ってみるか」

「ジン……いいか、レスト達がグリフィン本社のエントランス辺りが待っているはずだし、主任さん……また後でね」

 

MP5Fが陽気に言うとジルも「じゃあ、甥っ子達に会ってきなホー」と返事すると彼女達から一人だけ離れるとIOP本社に向かって歩き出した

 

そして、自分達から離れる彼女の背中を少し見た後に、MP5F達はレスト達DG小隊と待ち合わせ場所に指定しているグリフィン本社へ歩き出した

 

 

グリフィン本社ではレストとウェイターがMp5F達を出迎えた

 

「久しぶりだな、Mp5F」

「兄さんも久しぶり、姪っ子達に会い来たよ」

「ウェイター、ひさしぶりだね

「兄さんも元気そうで……今日はブレザー服なんですか?」

 

ウェイターがブレザー服に着こむリーに興味深げに見ると「うん、今日は男物にしたんだ」と笑みを浮かべて答えた

それを見たレストがMP5Fの後方に立つアヤトルズに首を傾げた

 

「ノアと子供達は本社の託児室でMP5Fを待っている……が、後ろのヤツらが協力者のアヤトルズえだな?」

「あぁ、彼らは基地の物資調達を手伝ってくる頼もしい人達だよ」

「おい、リー……それは少し違うぞ」

 

リーの言葉に割り込んだジンにその場に居たハクを除く全員が首を傾げた

そして、ジンの発言に予想がついたハクがため息をついた瞬間、ジンが誇らしげに高らかに名乗った

 

「俺達は特殊チームアヤトルズ!! ジャンク屋家業を担いつつ日夜エキサイティングぅ~な事を調査する秘密機関だ!!」

「「……はい?」」

「メンバーは様々な銃火器類を使いこなし、機械にも精通している用心棒兼メカニックのトビー!!」

「ギャパパパパ、俺様は直す事もバラす事も好きだぜ」

「あのジンさん、ここで……」

「そして、得意技はハッキングである情報屋のハクだ」

「俺達は単なるジャンク屋ッス……まぁ今日は噂で聞いていたレストさん達の三つ子に会い来ました」

 

 

ジンの想定外の名乗りにレスト達は互いを顔を見るのをみたハクがため息をつくのを気にも留めずにジンは言葉をつづげける

「そして、彼らを率いるのはチームリーダである俺、ジンだ!!」

「兄さん、リバイバーから面白い奴らだと聞いていましたが……予想以上に個性的ですね」

「でしょう?」

 

ジンの名乗りに苦笑いするウェイターにリーは面白がるように笑う

そして、それを見てハクは申し訳なそうにこう言った

 

「ジンさんが変な事を言って申し訳ありません」

「まぁ、非リアな童貞達だけど、一応私達の仲間で結構頼りになるしね」

「童貞は余計だ!!」

 

MP5Fにジンが怒るのを見て、ウェイターは呟いた

 

「リバイバーやリヴァルと同等かそれ以上以上の変人じゃないですか……」

「まぁ、サクラ指揮官が信頼しているなら問題ないか……じゃあ、ノア達の所に行こうか、MP5F」

「うん、早く姪っ子達に合わせてよ、兄さん」

「だったら、子供達に会いにイクイクゥ~」

 

グリフィン本社の中へ向かうレストについていくMP5Fとアヤトルズ達のを見たウェイターがリーの方をむいた

 

「兄さん、フィオナと息子のアインがいる病院はすぐ近くなので案内しますよ」

「うん、いっしょに行こう」

 

リーが頷くとウェイターと一緒に病院の方に向かって歩き出した

 

 

 

 

「うわぁぁぁ、この子達がレストとノアの子供達?」

「ギャパパパ……なんて可愛らしい子達なんだ」

 

レストに案内されて託児所へ向かったMP5F達を待っていたのはレストと同じDG小隊の一員であり、レストの妻である9A-A1のノア、彼女の子供達である三つ子達のアンナとアリサ、リヒトであった

三つ子達を目にしたMP5Fトビーすぐに顔を赤らめ、笑みを浮かべると乳母車の中で眠る三つ子を眺めた

 

 

「MP5Fさん、男の子がリヒト、女の子がアンナとアリサという名前なんです」

「リヒト、アンナとアリサは瞳の色以外瓜二つじゃない~私があなた達のおばさんですよ~」

「俺様はトビー様だ~思った通り、可愛らしいな」

「ホントっすね」

 

三つ子にデレデレなMP5F達に対して、ジンだけは首を傾げながらリヒトに視線を向けていた事にノアは気づいた

 

「ジンさん、リヒトに何か気になる事でもあるんですか?」

「いやな、大きくなったらいろんな意味で苦労しそうだな」

「なんで、俺の方を見るんッスか!?」

 

ノアの問いかけにジンはハクに視線にそらしながら呟き、それを見たハクが不愉快そうに顔を歪めるもジンは言葉を続けた

 

「俺のカンだよ……大きくなったら、リヒト()()()()()()を教えてやっていてもいいかもな?」

「ギャパ? 男の楽しみ――マシンガンで的をバラバラかかそれともヒートカッターでジャンクをブッばらすのか!?」

「お前はそれしか思いつかないのかよ!?」

 

ジンの言葉にトビーが口を開くと少し不機嫌にジンが反論するのをみたハクはジンの言いたいことを理解したのか、ため息をついた

トビーがため息をついた瞬間、MP5F達もジンが言い事を察しノアは顔を赤くした

そして、MP5Fとレストは顔が引きつかせた

 

「男の楽しみと言えば……AVやエロ本、それにアレだよ!!」

「それはお前だけだろう!!」

「そうッスよ、そもそも子供の目の前でハレンチな何を言っているんですか!?」

 

「ハレンチだって!?少なくともAV鑑賞やエロ本は男なら一度は経験「ジン、蜂の巣か丸焼き、どっちがいい?」」

 

MP5Fの殺気を込めた脅し言葉で割り込まれ、レストの無言ながらも殺気を込めた目で睨みつけられたジンは顔を青くして、黙った

 

「……悪い、調子に乗り過ぎた」

「そうッスよ~じゃあ、俺にも抱かせてほしいッス」

「いいですよ、はい、気を付けて」

 

 

二人に謝るジンにハクがジンに釘を刺すと気を取り直したノアはハクにリヒトを抱かせた

 

それを見たジンは、嬉しそうにリヒトを抱くハクからMP5Fとトビーがそれぞれ抱きしめているアンナとアリサの方に視線を向けた

 

「ほ~れ、私はおばさんですよ~」

「ギョパパパパ~お前ら大きくなったら、美人さんになりそうだぜ」

「あぅあぅ?」

「まったく、そっちの双子もおおきくなったら、美人なお姉さんになり……え?」

 

そして、二人に抱かれているアンナとアリサは、少し離れた場所に立っているハク――正確にはリヒトの方に目を向けている事に気づき、顔を青くした

 

(俺の気のせいか……こいつらリヒトにばかり見てやがる)

 

アンナとアリサがある種の執着な視線に恐怖を感じたジンはレストに半ば同情を念を込めた視線を向けた

 

「ジン、なんだよ?」

「いや、親になるって大変だなって思っただけさ」

 

 

 

 

その頃、リーはウェイターに案内された先の病室でフィオナと彼女に抱かれた赤子を見た瞬間、目を輝かせた

 

「この子がウェイターとフィオナさんの赤ちゃん?」

「はい、名前はアインよ」

「男の子なんだね……アイン、君の叔父さんのリーだよ」

 

リーはフィオナの胸元に抱かれてすやすやと眠る二人の子供――アインを起こさないように静かに語りかけながら、頭をやさしくなでた

 

「兄さんもこれではれてアインの叔父さんですね」

「うん、僕もおじさんだね……これからは女装は控えた方がいいのかな?」

 

アインが恥ずかしそうに顔を赤らめる方がフィオナは首を傾げた

 

「女装って?」

「そう言えば、フィオナは兄さんの趣味の事を知りませんでしたね」

 

ウェイターはフィオナの疑問に答えるようにリーの女装趣味を手短に話した

その間、リーは製造されて以降初めて、自分の女装が好きな事が恥ずかしく感じ、更に顔を真っ赤にしてうつむいた

 

そして、ウェイターが話終えるとリーは小さく呟いた

 

「今まで感じてこなかったけど、僕の女装……止めた方がいいと思う?」

「義兄さん、恥ずかしがることはありませんよ」

「……え?」

 

リーにとって予想外の言葉に、彼はポカンと言葉が出なかった

それを見たフィオナはさらに言葉を続けた

 

「義兄さん、あなたが女装することを恥じだと思っていないわ」

「でも……アインの叔父さんになるんだよ。アインに変だと思われない?」

「大丈夫ですよ、きっとアインも分かってくれると思いますよ」

「そっか……ふふ」

 

二人の言葉にリーが小さく笑うとウェイター達もつられるように笑みを浮かべてすやすやと眠るアインに視線を向ける

その時の彼らは人間、人形に関係なく新しく産まれた子供を歓迎する家族その物であった

その時、リーとウェイターは病室のドア越しに異質な気配を感じドアに視線を向けた

 

「兄さん……分かりますか」

「うん、病室のドアごしに誰かいる……誰!?」

「あらあら、ばれちゃったか」

 

二人はフィオナを庇う形で一歩前にであるとリーが先ほどと違って、警戒心を込めた声でドア越しの存在に話しかけた

 

リーの問いかけから十数秒の沈黙を得て、潜んでいたモノがドアを開けたリー達の前に姿を現した

 

三人の前に現れたのは左目に付けれた縦一文字の傷と左側にサイドテールに結われた茶髪、そして、張り付けたような笑みが印象的な人形だった

 

「ここは基本的に関係者以外立ち入り禁止になっているはずですが?」

「まぁいいじゃない~近くまで来たから、ちょっと顔を出しに来ただけよ」

「……」

 

姿を現した人形――UMP45は猫撫で声で答えながら、眠るアインに視線を向けた

それを見たフィオナがとっさに庇うとそれを見たUMP45がクスリと笑った

 

「別に誘拐するつもりはないから、そんなに怖い顔で睨まないでよ……()()()()()()()()()()?」

「あなたは一体……」

「じゃあ、一体何が目的なの……()()()()()()U()M()P()4()5()()()?」

「!?」

 

リーの鋭い声色にウェイターが警戒すると同時に、UMP45は目を細めた

 

「どうして、わたしが404小隊のUMP45だと思うの? 私と同じ人形なんてグリフィンにはそれなりの数がいるわよ」

「M16A4が言っていたんだ……404のUMP45は他とは決定的な違いがあって、リーなら分かるだろうって」

「兄さん、彼女が404のUMP45で間違いないですか?」

「うん……グリフィンに入社する前はジャンク屋だったし、他のUMP45を見た事があるから分かるよ。彼女はまちがいなく、404のUMP45と明らかに違うって」

 

リーの確信めいた言葉にUMP45は目に暗い表情を浮かべてこう吐き捨てた

 

「ッチ、工員くずれ(M16A4)……本当に面倒なヤツ」

「404小隊の隊長であるあなたが私に何の用ですか?」

「はぁ~本当にただあなたの子供の顔を見に来ただけよ~これ以上はお邪魔のようだし、帰らせてもらうわ?」

 

UMP45は肩をすくめて、振り返って病室を出てこうとするも思い出したように、立ち止まった

そして、彼女は振り返ると確信を持った口調でこう言った

 

「そうそう、()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が分かったとバレッド達に伝えておいてね」

 

そう言い残すと彼女は病室を去り、リー達もそれをただ黙ってみるだけであった




さて、本編番外編込みで本文で登場したUMP45ですが、M16A4を苦手としてします
理由は彼女が404小隊として、行動するために必須なアレが彼には実質通用しないからです


オマケ:S07前線基地データルームでの会話

「マギー、404小隊のセーフハウスに強襲をかけるなんて真似はしないでくれ」
「あら? 別に悪い子にちょっとお仕置きしただけよ」
「例の一件なら、ヤツが電脳を焼き切られかけただけで十分じゃないのか?」
「まぁ、念には念を入れて……セーフハウスに入って警告の証を残しただけよ」
「何をしたんだ?」
「セーフハウスにいた協力者らしき双子の服を剥いで、亀甲縛りして部屋につるしただけよ……男の子の方はいい声で鳴いてくれたね」

「皆は……聞かなかったことにしよう」


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グリフィンの奇妙な航海:序章

お久しぶりです
ガンアーク弐式です

今回は危険指定存在徘徊中(https://syosetu.org/novel/190378/)のコラボ企画に参加しました
今回はこちらから先陣を切らせてもらいました

夏らしいことをするというのが……どうやら、きな臭い一面が垣間見えるようです

尚、時系列としては「何も分からない状況ってある意味チャンスでもあり身を滅ぼすきっかけにもなりかねない出来事だよね(大規模コラボ(https://syosetu.org/novel/190378/155.html)のよりも前です

ここ以外のコラボ参加者は以下の通りです


 NTKさんの「人形達を守るモノ」
 oldsnakeさんの「破壊の嵐を巻き起こせ!」
 ガンアーク弐式さんの「MALE DOLLS外伝集」
 無名の狩人さんの「サイボーグ傭兵の人形戦線渡り」
 ガイア・ティアマートさんの「閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者」
 


ある日の夕暮れ、グリフィン本社が存在する地区の一角にある古びたバーの片隅でアラマキは茶色の液体が入ったグラスを傾けていた

彼の目の前には数分前には肉料理が乗せられていたであろう空の皿が置かれており、茶色のソースが薄暗い照明に照らされ、鈍く光っていた

アラマキはそれを若干惜しみながらも皿を見つめていると彼の耳に聞き覚えのある声が飛び込んできた

 

「このバーで腹ごしらえをしていたのか、アラマキ」

「何の用だ……ハーヴィル」

 

アラマキが声の方を向くとそこには彼がハーヴィルと呼ぶ杖を突いた老紳士が立った

アラマキは彼を見るや唸るようにつぶやくとハーヴィルは顔色をくずさずに静かに話し始めた

 

「そう警戒しないでくれ、今日は君に頼みたい仕事があるんだ」

「未だ人間の兵士に固執する老兵に頼みだと?」

「そう、君にしか頼めない仕事……あぁ、ワシはウォッカを頼む」

 

アラマキの突き刺すような視線にものともせずに涼し気にカウンターに座るハーヴィル

そして、酒を注文するハーヴィルを忌々し気に見ながらもアラマキはグラスの中身を口に流し込んだ

その間、バーテンダーが目の前に置かれていた皿を取り下げるを横目にしつつ、顔を横に向けた

 

「ワシにしか頼めない仕事……狩人としての仕事か?」

「正確には、異常事態に備えるために国連の仕事に参加してくれ」

「詳しく話せ、依頼を受けるかどうかはそれからだ」

「分かった……あぁ、ありがとう」

 

アラマキの言葉にハーヴィルは無言で頷いたのと同じタイミングでウエイターが、ウォッカが入ったショットグラスをハーヴィルの差し出した

ハーヴィルがグラスを片手に依頼を語り、アラマキも無言でグラスに入った茶色の液体を口にしながら無言で聞き耳を立てた

 

アラマキのグラスが空になったのと同時にハーヴィルがすべてを語り終えた

そアラマキは空になったグラスに視線を向けながら、口を開いた

 

「ようするに国連の未確認の島の調査に同行してくれということか?」

「その通りだ……この依頼、受けてくれるか?」

 

ハーヴィルは自身のグラスに残った酒を飲みながら問いかけた

彼の問いかけにアラマキは数秒間黙った後にグラスをカウンターに置くとはっきりと答えた

 

「この依頼を受けよう……どうも異常存在が関わっている可能性が高いな」

「それはありがたい。じゃあ、前払いに酒と肴のお代わりをおぐってやるよ」

「別にいい、依頼に関する資料は受け取ったならすぐに準備にかからないといけないから」

「まぁ待て、君の事だ……最初の一杯以外はお茶と肴ぐらいしか注文していないんじゃろう?」

「…………」

 

ハーヴィルの指摘にバツが悪そうに立ち上がりかけたアラマキは顔をしかめると無言でカウンターに座り直した

 

それを見たハーヴィルは近くのウェイターにメニューを持ってくるように頼むとアラマキに顔を向けた

 

「まぁ、細かい話を合わせるためにも少し時間を使っても問題ないじゃろう」

「それもそうだな……ちょっといいかね」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

アラマキが依頼を受けて数日後、

 

調査船団が停泊している港に向かう輸送ヘリの機内でペンギン型自律人形のワカは眼前に座る人形、性格にはM16A4の隣に座る人形――リ―の恰好を目にして、言葉を失っていた

 

「なぁ、M16A4の隣に座っているのは誰だ?」

「僕はリーだよ、ペンギンさん」

「確かに、彼はリーですよ……ワカさんの気持ちも分かりますけどね」

「……あぁ、リーに瓜二つの人形かと思ってしまった」

 

表情が分かりにくいワカの顔から戸惑いの表情が用意に察したM16A4は苦笑いを浮かべた

M16A4とは逆に満面の笑みをリーの服装は、普段のセーラ服やブレザーではなく、純白の和―ピースといういで立ちであった

 

一見すると任務に出撃する戦術人形とは思えない姿にワカは半ばあきれ気味にこう言った

 

「リー、まさかと思うが……調査の時もその恰好と言う訳じゃないよな?」

「まさか……いつものセーラ服も持ってきているよ」

「それならいいんだが……」

「ペンギンさんも真面目に考えすぎなんです」

 

リーの返事に言葉を濁すワカにM16A4の左側に座っていた赤いベリー帽を被った人形――G36Cが彼らの会話に割り込んだ

 

「これは南の島に旅行だと思えば気楽なモノですよ」

「そうだよ、ワカさんもモノさんのようにちょっとした旅行だと思えばいいんだよ」

「そうだよ……南の島に言ったら、なにをしようかな」

 

G36Cの言葉にワカの隣に座っていた紺色のジャンパースカートを身に着けた人形――SG550が同意するように頷く

 

満面の笑みを浮かべるリーと彼女達は南の島での話題に話を弾ませるのを横目にワカはため息をつくとM116A4に声を変えた

 

 

「はぁ~、M16A4は今回の任務をどう思う?」

「M4姉ちゃん達を始めとしたAR小隊、DG小隊やEA小隊のような俺達よりもずっと強い部隊も参加しているんだ。なんとかなりますよ」

「だが……」

「それに……俺も武器庫改を持ってきていますし、S07前線基地古参組を率いていたアラマキ元指揮官もいますから」

「武器庫改はともかく、あの老兵がいるなら信頼してもいいか」

「はい、その時はいっしょに頑張りましょう……ワカさん」

「そうだな、もしもの時は俺も戦闘用の外部ユニットを装着して戦おう!!」

 

ワカの言葉に強く頷くM16A4だったが、ふと何かを思い出したように遠い目で小さく呟いた

そして、ワカはそれを聞き逃さなかった

 

「まぁそれだけじゃなんですが……」

「うん、どういうことだ?」

 

M16A4の言葉をに首を傾げたワカにM16A4が疲れたようにでこう言った

 

「猫耳オバサンとSOPちゃんからの同行するように熱い要望の視線を向けられて、断れなかったんですよ……それとジンさんからの頼み事もまた面倒なモノで」

「あぁ……お前も苦労しているんだな。俺も似たような経緯で今回の作戦に参加したようなものだ」

「というと?」

「戦闘用兼作業ユニットを装着した俺を探査装置として必要といるらしくてな」

「なるほど、お互いに苦労していますね」

「あぁ……わざわざ水陸両用に対応するためにユニット下部に反重力推進ユニットを増設し、俺の身体を含めて防水処理やジェット推進装置等が増設されたんだ」

「そこまでやってくれたなら、頑張らないと……」

 

M16A4のねぎらいの言葉にワカが頷くと二人はリー達の方に顔を向けた

3人はM16A4達の会話に耳を貸さずに話続けていた

 

「やっぱ海と言えば、ビーチで泳ぎたいね」

「はい……この時のために姐さんとおそろいの水着を持ってきたんですよ」

「へぇ……私もこの時のために水着を持ってきて正解だったよ~」

 

ワカとM16A4はその様子を見て、共にこう思った

 

((もしもの時は俺達がなんとかするしかないか……))

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

同時刻

国連管轄港、調査船係留場の一角でアラマキは頭上を通り過ぎる一台の輸送ヘリを目で追った

夏ゆえの太陽から強い熱気がアラマキの老体を熱するもアラマキは屈する事なく輸送ヘリを凝視していた

 

「サクラ、それにタケミ、お前らの部下達を少し借りるぞ」

 

アラマキが呟くと停泊船の汽笛が彼に肯定の意を示すように港に響き渡った

 

 

そして、それは見えざる者が彼らを知られざる世界へ導くように

 

 

 




今回のコラボ参加者
S07前線基地
M16A4・武器庫改所持
リー
G36C

S07情報支援基地
ワカ
SG550

アラマキ・オサム



オマケ:1

警備人形ワカ及び専用作業用兼戦闘ユニット・水陸両用仕様

本来ワカにはウォータージェット推進装置や防水処理等水中でも対応できるように設計されていた
しかし、S07情報支援基地内での警備や事務処理によりそれらの水中用装備は無駄と判断され、配備前にオミットされていた

しかし、今回は海上プラント及び新島の調査に同行するためにIOPならびリヴァイルの協力により、それらの水中装備が再び実装された
これにより水上はもちろん、水面下なら自在に潜航を可能とした
また、ツバサに内蔵されたスタンロッドも改装前と同じように使用できる

また、作業用外部ユニット各所に防水処理を施し、ユニット外部に戦術妖精に使用された反重力推進ユニットを追加装備する事で地上は勿論、水上を自在に滑走することが可能となった
また、作業用ロボットアームに改装が加えられ、機体下部のロボットアームにも短機関銃程度の小火器なら装着する事が可能になった

また、ユニット側面部に携帯ミサイルやグレネードランチャーの懸架を可能とした

尚、今回の任務ではMK48とUMP45をそれぞれ二挺ずつとダネルMGLを外部ユニットとロボットアームに懸架している

また、状況に対応するためにMK46分隊支援火器とM2重機関銃も換装装備として搬入されている


オマケ:2
ジンの頼み事

ジン「M16A4、お前にこれを使ってやってほしいことがある」
M16A4「一体なんですか……カメラ?」

M16A4はジンに手渡された少し古めのデジタルカメラやビデオカメラを渡され困惑する

ジン「これで水着姿のお姉さんや人形達を記録してほしんだ」
M16A4「……断ってもいいですか?」
ジン「駄目に決まっているだろう!!!」

その後、ジンの粘り強い交渉に敗けた彼はジンの依頼を了承した


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グリフィンの奇妙な航海:SRS

色々あって、遅れました

今回は集会遅れながらサメ編です

ちなみにタイトルのSRSはシャーク・リアリティ・ショックの略です

そして、前半はうちの子いいとこ無しと例の彼女を間接的に登場させました


俺達を乗せた調査船団が幾度も海賊に襲われても協力して撃退しただよな

主に万能者さんやリバイバー、EA小隊の面々が大暴れしたんだよな……

あれは俺達も出る必要なかったよね……と思ったな、というか俺達が出る必要なかったよね?

本当に万能者は規格外だな……

 

〈あなたも戦闘に参加してください〉

 

「A4、しっかりしろ!!!」

「お兄ちゃん、しっかりして……に食べられちゃうよ!!」

「M16A4さん、正気に戻ってよ」

 

A1姉ちゃんとSOPちゃん、Sg550さんが何か言っているな……というか揺らさないでくれ

 

たしか、調査船団が海上プラントに到着した際に、異世界から迷い込んだという人達とであったんだよな

SFSや平行世界のグリフィン所属の戦術人形と指揮官、彼女らと敵対しているPMCレイブンとか聞くだけでも頭が痛くなる話だよね

過去に悪魔と対峙した事があるだから、平行世界の一つや二つあってもおかしくないか

しかも、バレッドさんの話によると彼女らとは以前に会ったことがあるという……すごいな

〈今はそんなことを考えている場合じゃありません」

 

なんだろう、さっきから幻聴が聞こえる……あぁ、ROさんとリーの声じゃないよね

だれだろう……というか、リー肩を揺らさないでくれ

 

「RO、完全に意識があっち側に持ってかれている!」

「しかたがありませんSTARは彼を後方まで引っ張ってください」

「分かった……手間がかかる義弟ね」

「こんな異常な光景、だれでもショックを受けま……危ない!!」

「くそ、……にしては連携がうますぎる!?」

「弾幕を絶やすな!!! 甲板に上陸されたら、船内に進入させるな!!」 

<このサメ達は明らかに異常だというのに……>

 

15姉ちゃんに体を船内へ引かれていくのを感じながら周囲を見るも甲板上に飛び乗ろうとするアレにG36Cさんが展開するフォースシールドに弾き飛ばされる光景が目に映った

その側では、ワカさんが戦闘ユニットに懸架したMK48機関銃二挺とグレネードを、アラマキ元指揮官がM2重機関銃を用いて海面を群がるソレに機銃掃射を浴びせていた

 

〈周囲への判断力は残っているようですね……〉

 

そう、海上プラントを発って一日が経った時、俺とリーが目的地の新島での班分けを考えてた時に非常警報が出て、甲板に出た瞬間にアレを見ちまったんだ

〈どうやら、少々手荒な方法を使うしかないようですね〉

海面を埋め尽くすほどのサメの群れが調査船団を迫ってくるのを……

オマケに異世界から来た人形やPMCの面々の常識外れの攻撃を目にして、俺の思考は完全に止まったのを感じた

 

(なんだよ……サメを踏み台にして飛び込んで、自爆するなんて……訳が変わらないよ)

〈は……これは少々手荒くやる必要があるようですね〉

 

余りに襲ってくるサメとそれに対抗する常識外れの行動の数々に異常な光景で半ば思考停止においやれていた

 

「なんだよ……B旧映画の世界に迷い込んだのか」

「いえ、これは現実ですよ」

「え……誰、どこだ?」

 

M4姉ちゃんに似ているようで、違う声が聞こえた

おれは声の主を探そうと視線を動かすも声の主はどこにもおらず、見えるのは海面に群がるおびただしい数の鮫の群れとそれと対峙する人形達や船員だけだたった

「見間違いの」首を傾げると同じ声……いやどこか苛立ちを籠ったソレがはっきりと俺の耳に飛び込んだ

 

「ルニシアの足を引っ張らないで。いい加減現実に帰ってきてください!!」

「はぎゃあ!?」

「きゃあ、!?」

 

その声と同時に俺の電脳に凄まじい衝撃いや、頬をはたかれたような痛みと主にと共に俺の意識ははっきりとし、周囲の状況をはっきりと認識できた

それと同時に俺の身体を引っ張ていた15姉ちゃんは驚き、俺から手を放してしまった

そして、俺の身体が甲板に倒れこむと同時にはっきりとした痛みと共に現実へと戻った事を認識した

 

「ちょっと、呆然としていたかと思ったら、今度は叫ぶなんて……どこまで私を振りますつもりなの?」

「ゴメン……もう大丈夫だから、皆の加勢しにいこう!!」

 

俺は立ち上がると提げていた愛銃のM16A4を構えると甲板を乗り越えようとする比較的小柄のサメに向けて引き金を引いた

 

その時にはつい先ほどまで聞こえていた声は聞こえなくなっていた

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

サメの襲撃から数時間後

 

「まさかこのようなサメに出くわすとはな……」

「このサメたちは一体なんだ?」

「わからん……少なくとも自然界じゃ存在しない種なのは確かだ」

 

アラマキは船内に侵入したサメの遺骸の一つを興味深く見ていた

その側では作業用ユニットを装着したワカが船内に転がるサメの遺骸を掴んではコンテナに放り込んでいた

それを見たアラマキは手を顎に当て、考え始めた

そして、数分後に彼の脳内に一つの仮説が浮かび上がった

 

「もしや……群生していた海域こそがサメ達の本質なのかもしれん」

「どういうことだ?」

「簡単に言えば、あのサメの群れは海の地雷原だよ」

「は、そう言う事か!?」

 

アラマキの言葉を耳にしたワカは彼の言葉の真意を理解した

 

 

「つまり、あのサメ達は俺達を新島に近寄らせないために誰かが作り出したといいたいのか?」

「そうじゃ……だとすれば、あの新島にはナニカがある。ワシ自身が乗り込むべきじゃろう」

「じゃあ、予定通り……俺とSG550が海上班、他は上陸班だな?」

 

ワカの提案にアラマキは首を横に振った

 

「いや、M16A4とSG550、それとワカが海上班に回す予定だ」

「え、どういうつもりだ?」

 

アラマキの答えに首を捻るワカに彼は静かに話し始めた

 

「おそらく上陸班も海上・海中班もこのサメと同等かそれ以上のナニカと遭遇する可能性が高い」

「確かに、あのサメだけとは限らない」

「それと……途中で合流した面々で頭数は増えた分、海上班に人員を回せる余裕あるからな」

 

アラマキは少し歯切れが悪いように言うとナニカを思い出したように手を叩いた

 

 

「そうじゃ、ワカよ……サメを調理するから回収し終えたら調理場までコンテナを運べとのお察しじゃ」

「はぁ? このサメ……食えるのか?」

 

予想外の指示に呆然とするワカに対して、アラマキは肩をすくめた

 

「先ほどの調査でサメに有毒な成分は含まれていないのは分かっている」

「だが……味はどうなんだ?」

「食っても死にはしないのは確かじゃろうな」

 

ワカの疑問にアラマキは投げやりに答えるしかできなかった

 

 




前半に登場した声だけの彼女……分かる人は分かると思いますが例の彼女です
ここまで様々な色々な経験したなら、彼女も出しても問題ないかな?とも思いまして……

そして、班分けですが以下の通りです
海上班にはM16A4、SG550,ワカ
上陸班にアラマキ、リー、G36


オマケ:1
サメの襲撃があった日の夜
M4の船室にて

M4「ねぇ……A4が正気に戻ったのは貴方の仕業?」
??「えぇ、あのままカカシになってもあなたの足手まといにしかならないから」
M4「例の大規模作戦の時も最悪の夢まで見せて、あなたは何が狙いなの?」
??「このままあなたの中に引きこもっているわけにもいかないと思ったからよ」
M4「どうこうこと?」
??「いずれわかる事よ……もうすぐ朝よ」


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グリフィンの奇妙な航海:スキマの探検記録

今回は危険指定存在徘徊中(https://syosetu.org/novel/190378/)のコラボ企画編です

遅れた上に、すごくダイジェスト気味ですね
そして、全体に進展もほとんどありません……どっちかというと本筋からそれて調査にいそしむS07前線基地チームに視線を向けています


上陸班として上陸したアラマキは自身の背後にG36C、リーを率いて鬱蒼と茂るジャングルの中を進んでいた

戦闘を進むアラマキは自身をジャングル迷彩を施した強化スーツで身を包み、右太ももにコルトガバメントが収まったホルスターが巻かれ、背中にスーツの予備バッテリーや給水システムやレーション、予備弾薬等を収納したバックを背負い、左腰には大ぶりな斧を提げていた

その手にはドットサイトとバックアップサイト、フェアグリップを取り付けたSCAR-Hが握りしめていた

彼が握り占めていたライフルのストックとグリップには包帯が補強材のように巻かれていた

 

「最初の話からして予想していましたが立派なジャングルですわ」

「うん、S07地区の現存林とは大違いだ」

 

感嘆の声を上げる二人にアラマキは笑いだした

 

「はぁはぁ、ロシアや東欧の森と熱帯雨林の動植物は全く違うからの」

「じゃあ、おじいちゃんはこんなジャングルを何度も言った事あるの?」

「そうじゃな……二人共警戒しろ」

 

リーの質問に答えようとした瞬間、不吉な気配を感じたアラマキが唸るように話した

それを聞いた二人もとっさに各々の銃器を構え、アラマキもSA58のセーフティを解除した

そして、視界が悪いジャングルの木々の影に潜むソレに気づいた

 

「上からじゃ、制圧射撃!!!!!」

 

アラマキの号令と共に銃口を向けると同時に、リー達も同様に同じ向け、発砲する

銃声とノズルフラッシュ共に放たれた弾幕が木々の影から飛び出した大型の蜂や蜘蛛に無数の穴を刻み、地面に叩き落とした

 

「蜂と蜘蛛の群れ!?」

「数も大きさも尋常じゃありませんわ!?」

「やはり、この虫も島の防衛システムの一種か……総員、まだ来るぞ!!!!」

 

他の被害を無視するように迫りくる四方から迫りくる蟲の大群にも怯まずにアサルトライフルをフルオートで掃射し、蟲を撃ち落としてくる

アラマキに続いて、リー達も迫りくる蟲に対抗すべくジャングル内に銃声とノズルフラッシュを響かせながら、銃弾を叩き込んだ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

新島の沿岸海域の一角で、車体部をホバーユニットに換装したワカの作業用ユニットとM16A4とSG550を乗せた小型ボートが停泊していた

 

作業ユニットにはワカは乗っておらず、代わりに接続部に命綱を兼ねた有線式通信用ケーブルが海中へ伸びていた

ケーブルの先ではワカが自身のセンサーやカメラを用いて、海中の様子を探査していた

ワカが得た情報はケーブルを介してM16A4が手に持っている端末に表示され、彼ははそれを興味深げに見ている

彼の手元には愛銃のM16A4と専用の粒子砲である武器庫改がいざと言うときに備えて、置かれていた

 

そして、その隣でSG550が愛銃を片手に周囲を警戒してる隣でM16A4は一台の形態端末を操作しながら呟いた

 

「え~と、海底の地形は大体周辺の島のそれと大差変化なし、海中は……ずいぶんと変異した生物と通常の生物が混在していますね」

「あのサメほどじゃないけど、変異した生物がいるから油断はできないね」

「さっきもナイフみたいな魚が俺達めがけて海面が飛び出してきたからね……武器庫改を盾にしたから何ともなかったが」

 

M16A4が遠い目でボートの一部に視線を落とした

すると彼の視線にはボートの一部が抉られたように破損しているのが見え、ため息をついた

そして、武器庫改の表面には海面から飛び出した魚の血で汚れ、魚のヒレがボートの底に深々と付き去っていた

 

「早く調査を切り上げて、調査船に戻りたい気分ですよ……他の所じゃ巨大なヤシガニが現れたらしいですから」

「確かに、どんな生物が……あ、ワカさんお帰りなさい!!」

 

SG550が憂鬱な表情を浮かべて海面を見つめていると水しぶきと共に頭部にライトを付けたワカが顔を出した

それをみたSG550がうれしそうに声を掛けるとワカも少し疲れたような口調で話し始めた

 

「どうもここら辺はさきほどのダツもどき以外に、特筆すべきことはなかったな……じゃあ、調査船に一度戻る」

「分かりました……M16A4さん、ボートを動かしてください」

「あ、はい」

 

SG550の指示でM16A4がボートを動かす準備をする傍らでワカは再度作業用ユニットとドッキングする

そして、作業ユニットに異常が無い事を確認したワカはボートの方に視線を向けた

 

「M16A4、動かす準備はいいか?」

「あ、はい……こちらも大丈夫です」

「じゃあ、行くぞ」

 

ワカはそう言って、作業ユニットのホバーを起動させると調査船に向かって滑走し始め、それの後ろを二人が乗ったボートが付いていく

 

 

だが、この時三人は知らなかった

上陸組が想定外の三文字では納められない事態に遭遇していた事もまだ、知らなかった



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グリフィンの奇妙な航海:緑のドラム缶

今回は危険指定存在徘徊中(https://syosetu.org/novel/190378/)のコラボ企画編です
再上陸したアラマキ一行が航空機が不時着箇所の調査する様子を描写しました

そして、今回すごく短めです


調査船 会議室内

 

「原因関係の詳細関しては、有識者と船の国連の奴らと一緒にどうするかで今考えているから後で話すが……恐らくもう一回上陸するなこりゃ」

「じゃろうな……」

「ですわね……」

 

調査船の会議室での万能者の言葉にアラマキは目に手を押さえ、その隣でG36Cがため息をついた

二人の脳内には、つい先ほどのジャングルで遭遇した蟲の大群との死闘や異常な蔓植物によって上陸班全員が拘束された上に軍隊アリの大群に襲撃された事が浮かび上がっていた

 

「今度はS07前線基地の人形全員で上陸するしかないな……特に高い火力を持つ武器庫改を装備しているM16A4とワカじゃ同行させよう」

「ワカさんは作業ユニットを装備させますか?」

「無論、そして可能な限り銃火器を搭載させればいいんじゃが……」

 

アラマキはため息をつくと会議室の隅に立つ右腕が大剣と一体化した人型ELID――通称、蛮族に視線を向けた

それと同時に、万能者も視線を向け、叫んだ

 

「そして・・・・・オマエだ、なんでここにいるんだよ!?

「ココ ニ ツワモノ ガ イル カン ガ シタ  タダ ソレダケ デ キタ  ソシテ ソノ カン ハ セイカイ ダッタ ナ」

「・・・・勘だけでこの島に来んなよ・・・・・・というかいつ頃きたんだよ・・・・・・下手したら確認できてない頃に来てるかもしれんぞこりゃ」

(蛮族に、第六感に近いモノを有しているのか)

 

万能者と蛮族のやり取りを聞いて各々が頭を抱える中で、アラマキだけは冷静に蛮族について考えていた

 

そして、その後の会議で原因調査のために再度上陸する事が決定した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

未確認島 航空機不時着地点

 

アラマキ達一行を含む調査隊は幾度の蟲や植物の襲撃を退けて、万能者が島の現地民から聞き出した航空地着陸地点にたどり着いた調査隊一行が見たのは、鬱蒼としたジャングルの中に取り残された航空機の残骸を発見した

そして、各自が手分けして調査を進める中でリーは航空機の一部らしき錆びついた部品の一部を興味深げに見ていた

 

「詳しい事は分からないけど、これは軍用機……それも当時のモノだと最新鋭の機体だね」

「そうなのですか?」

「うん、ジャンク屋時代にこ同じ軍用機の残骸のサルページを手伝った時にみた残骸とがあるから」

 

G36Cの質問にリーが頷くのと同じ頃、別の場所でワカとSG550は航空機の積み荷であったであろうドラム缶の残骸であろう金属片を見つけた

その破片にはハザートマークが描かれ、裏に内容物であろう緑色の液体が付着しているのを見て、SG550は顔をしかめた

 

「これが積み荷だろうな……緑色の怪しい液体が付着しているな」

「しかも、完全にハザートマークが書かれている触ったから手が溶けそう」

 

ワカの作業用ユニットのロボットアームで破片を掴むとそれを見た万能者が後ろから声を掛けた

 

「お、ペンギン見つけたのか?」

「積み荷……ドラム缶の破片だ。ご丁寧に中身らしき液体も付着しているぞ」

「よし、俺がそれを鑑定してやるからちょっと貸してくれ」

 

万能者はそう言って金属片をロボットアームから少し乱暴に引き抜くと金属を調べ始める

 

「おい、慎重に扱え!!」

「え……触れても大丈夫なんですか?」

 

SG550の不安をよそに鑑定を終えた万能者はそれを二人に伝えた

 

「調べてみたんだが……この緑色の液体か粘液みたいのは()()()()()()()()だとしか分からなかった」

「な……まずいんじゃないのか?」

「それって……積み荷は生物兵器だったの?」

「断定はできんが……ヤバイモノに違いないだろう」

 

万能者の言葉に唖然とするワカ達に対して、万能者は遠い目で申し訳なく話した

すると別方向を調べていたM16A4が叫び声が彼らの耳に入った

 

「こっちにほとんど無傷なドラム缶がありましたよ!!!」

「無事なドラム缶だと……ハザートマークが書かれているか!?」

「はい、かすれていますが描かれています!!」

「よし、それは無事な積み荷じゃ……ワシ達が向かうまで動かすなよ」

彼の呼び声を聞いた調査隊の面々が集まるのを見て、ワカは小さく呟いた

 

「謎の菌類が入ったドラム缶……否や予感しかしないぞ」

 

そして、ワカの不安は3時間後……もう一カ所の調査地点である儀式場に到着した際に的中する事になった

 




短めですが、今回はここまで
次話は周り次第ですが、儀式場での地獄での彼らのあがきを描写する予定です


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グリフィンの奇妙な航海:未知なるモノ

今回は危険指定存在徘徊中(https://syosetu.org/novel/190378/)のコラボ企画編です
さて、例の儀式場で遭遇したキノコマンとの耐久戦です


の調査予定地点で土山に潜んでいたキノコ頭のナニカ――仮称キノコマンが放ったレーザーがアラマキ元指揮官の脇腹を撃ちぬいたのを目にして、俺達はとっさに叫んだ

 

「おじいちゃん!?」

「「アラマキ元指揮官!?」」

「アラマキさん!?」

「SG550、止血を頼む!!!」

 

SG550さんがアラマキ元指揮官に駆け寄ろうとするも彼はとっさに手を突き出して俺達を静止させた

 

「急所は外れている……それよりも奴から目を話すな!!!」

「だが、出血が酷いぞ!!」

「致命傷ではない……グゥ!」

「元指揮官!? SG550!!」

 

脇腹を抑えながら、地面に伏せる元指揮官をG550が後方へ下げるのと同時に俺達は例のキノコマンに各々の銃口を向けると同時に誰かがキノコマンに向かって叫んだ

 

「う、撃て!!!」

「っつぅ!?」

 

その場に居た調査隊が各々に銃撃を浴びせるのと同時に俺も愛銃のトリガーを引き、弾倉が空になるまで銃弾を浴びせた

そして、フルオートで撃ち続けたせいで弾倉の弾丸を撃ち尽くしていた

そして、俺はすぐに弾倉を交換しようと瞬間、あの声が再び耳いや、頭の中に入ってきた

 

〈ルニシア、銃弾じゃアレを殺すのは無理よ〉

「ッ!?」

 

その声に俺はとっさに撃つことを止めるとキノコマンが攻撃を受けるかのような体勢で調査隊からの銃撃を受けていた

そして、キノコマンがしばらくの銃撃を浴びせると奴は姿勢をそのままに全身に弾痕を刻まれた状態で立ち止まっていた

 

「やったの……か?」

「さすがにあれだけ……」

「生きていたとしてもあれだけの銃弾……それも12.7mmライフル弾も受けたら、しばらくは動けないはずだ」

<ルニシア、奴が来る!!>

「G36Cさん、フォースシールド!!」

「!?」

 

俺を含めた調査隊の全員がそう思った瞬間、例の謎の声いや、悲鳴が俺の頭の中に響くと同時にキノコマンの身体の穴から受けた弾丸がすべて同時にこちらに撃ち返してきた

 

ダダダダダダダダダダダダダ

 

それと同時にM4姉ちゃんの号令で調査隊に飛び出たG36Cさんあがフォースシールドを展開、跳ね返された弾丸をすべて防ぎきった

その傍らで万能者は自身の装甲、蛮族は右手の大剣ですべてを捌いていた

 

だが、それを気に調査隊は一斉にパニックに陥ってしまった

周りでは、人間の調査員達が錯乱同然に銃を乱射したり、顔面蒼白で呆然とする人が続出した

戦術人形の中でもリバイバーやスミスさんみたいに特殊な装備を持っている人形達はさきほどのキノコマンのレーザーで装備を無力化されていたらしく、使えなくなった事に動揺を隠し切れていないのが見てた

 

「ウワワワワァ!?」

「皆さん、冷静になってください」

「全員、無暗に撃つ……万能者!?」

 

ワカさんの絶叫を聞こえ、彼が視線を向けている方へ向けると木の壁にぬめりこむ万能者の姿が見えた

それを見た瞬間、キノコマンの異常さに血の気が引いた

 

(万能者が押されている……!?)

「M16A4、来るよ!!」

 

リーの悲鳴と同時にキノコマンがこちらを振り返ったのを見て、俺達はとっさに散開する

それと同時にキノコマンが手をかざすとレーザーを上空に向かって放った

 

(上に向かってレーザー……!?)

 

一瞬、キノコマンの意図が分からなかったが、上空から爆発音が聞こえた事で奴が上空からの増援……おそらく、SFSが所有しているISという強化外骨格が撃墜したのだと悟った

そして、爆発音に気を取られた事で出来た隙を奴は見逃すはずもなくなかった

 

「今の爆発はSFSの誰かがやられ「A4危ない」!?」

 

A1姉ちゃんの叫び声で我に戻った俺の眼前にキノコマンが凄まじいスピードで接近したのだ

俺もとっさに銃口をキノコマンに向けようとするが、ヤツはそれよりも早く拳を突き出すほうがずっと早かった

 

(ヤラレル!!!)

 

だが、ヤツの拳が届くよりも先に何がが眼前を通り過ぎるのと同時にヤツの片腕が宙へ舞った

そして、キノコマンの腕を切り落としたのがいつの間にか俺の目の前に立っていた蛮族だと言う事もすぐに分かった

 

「蛮族助けてくれたのか!?」

「ユダンスルナ アノツワモノハカシコイ」

 

蛮族は右手の大剣をキノコマンに向け、更に切り込もうと踏み込んだ

一方のキノコマンも切られたはずの腕がすでに再生させ、蛮族に襲い掛かっていた

それを支援するようにリー達やDG小隊やEA小隊、AR小隊の面々がキノコマンに向かって攻撃を加えていた

 

それを見た俺はすぐに加わろうと愛銃を背負い、代わりに武器庫改を構えた

 

「物理攻撃じゃなくて、エネルギー攻撃なら効かなくても反射されないはずだ」



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グリフィンの奇妙な航海:アラマキの切り札

今回は危険指定存在徘徊中(https://syosetu.org/novel/190378/)のコラボ企画編です
さて、例の儀式場で遭遇したキノコマンとの耐久戦の続きです

今回、アラマキが意識を取り戻す所から始まります


意識を取り戻したアラマキが見たのは、負傷したであろう職員達の手当てを行う国連の職員の姿

そして、彼の耳が最初に捉えたのは無数の銃声や爆音等の戦闘音と女性のか細い声だった

アラマキが顔を声の方向へ向けるとその女性がアデリナという名の女性だと気付いた

 

「あぁ……はぁ、アラマキさん!?」

「確か、アデリナ=シュレンドルフだったか……戦況はどうなっている?」

「戦闘用ボディに換装したリヴァイル率いる国連の軍用人形の増援で一時的に好転しましたが、あの怪物は健全で戦術人形達とアウレールが戦闘中です」

 

アデリナは不安を隠しきれない口調で儀式場で遭遇したキノコマンとの情報と現在の状況

を淡々と話し出す

それをアラマキは無言で聞いていた

 

(尋常じゃない再生能力に、銃弾を反射するほどの柔軟性に富んだ体に、限定的な肉体操作能力……これはアレを使う必要があるな)

「以上が……アラマキさん、何をするつもりですか!?」

「鎮痛剤を打った……戦線に復帰するためにな」

 

アラマキはある決心を決めると目をカッと開き、立ち上がった

腹部に視線を落とすと強化スーツの装甲が剥がされており、痛覚が鈍く残る腹には血がにじんだ包帯が巻かれていた

 

アラマキのすぐそばには、剥がされた強化スーツの腹部装甲板アラマキが所持していたSCAR-Hや斧等の装備がひとまとめで置かれており、アラマキはその中から携帯用の鎮痛剤を探し出すと自身に打ち込んだ

 

 

「待って、アウレールほどじゃないとはいえ、あなたも相当の深手よ」

「応急処置はチャンとしている……後は強化スーツのバッテリーの残量が心もとないくらいだな」

 

アラマキは右腕に巻き付けた小型端末に目をやると強化スーツの補助電源に切り替わっている事を示していた

アラマキは先ほどのキノコマンが放ったレーザーがスーツの電源部を狙ったモノだと確信し、バッテリーの残量を残り少ない事も把握した

 

(全力稼働で30分……それを過ぎたらただの防護服となるか)

 

アラマキは側に置かれていた腹部装甲を拾い上げ三つ付けた

そして、側に置かれていた斧を右手に握り占めると数回ほど振って重心を確し、右腰にさげると今度はSCAR-Hとコルトガバメントが動作する事を確認する

すべての銃器が作動する事を確認し終える腰に提げていた手のひらよりも少し長いくらいの細長い青い筒を抜き出した

アラマキは筒の上部を捻ると金属音と共に筒から青い光が漏れだすように輝き始める

 

アラマキの左手はそれをしっかりと握り占めるとアデリナは筒を指差した

 

「アラマキさん、それは一体……」

「これは「左手の答え」……ワシの奥の手じゃよ」

 

アラマキは鋭い目つきでと強化スーツを再起動させ、戦線に復帰するべく歩き出した

そして、手に青く光る奥の手「左手の答え」を左手で強く握り占めると筒の光が更に輝きを強くした

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「今のうちに態勢を整えなさい、数分は抑え込んであげるから。」

 

突然現れた謎の怪しいオバサン――ソフィスの助太刀というは、理解に苦しむ現象の数々の果てにキノコマンを氷漬けにしたことに唖然とする俺達の中で真っ先に反応したのはワカさんだった

 

「さっきの廃列車を召喚したり、ヤツを凍結させたり……お前は一体なんだ!?」

「余計な説明は後よ……これ以上の力技はいろんな意味で難しいのよ」

「やろうと思えば、できるのか……分かった、負傷した奴らは今のうちに下がれ!!!」

 

ソフィスは余裕な声色に似つかない半ば虚勢を張ったような張り付けた笑みを浮かべていた

そして、ソレを見たすべてを察したワカさんが叫ぶと負傷した国連の兵士達がその場から離脱と儀式場から撤退を開始し始めていた

そして、俺達を始めとした戦術人形と万能者、それに蛮族が、その盾になるべく前に出ようとした

だが、本来なら国連軍の兵士達と共に後方へ下がるべき人――アウレールさんが撤退するどころか戦闘を続行しようと仁王立ちしていた

どうみても戦闘どころか、立っている事すらむずかしいほどの重傷だというのは誰も見ても明らかだった

 

「おじさんも撤退するべきだよ!!!」

「大丈夫だ、問題はない」

「「いや、問題ありすぎだろう」」

(この人、本当人間ですか……)

「ナルホド、ツワモノ……ハナシハココマデダ」

アウレールの常識外れの答えに蛮族以外が唖然とするも蛮族の言葉でキノコマンを氷漬けにした氷塊に視線を戻すと塊に無数のヒビが入ったかと思いきや氷塊が砕けるとのと同時に無数の閃光が飛び交った

さらに、レーザーに織り交ぜるように凄まじい速度で飛び交う拳のラッシュが俺達に襲い掛かり、万能者や蛮族の一部例外を除いて防戦一方だった」

 

「くそ、あのまま凍死していろよ!!!」

「おばさん、もう一度氷漬けにできないの!!!」

「あいつ、学習してレーザー収束させたり、弾幕を張って隙を見せないのよ」

「左腕を持ってかれたせいで、武装も火力も全然足らない!!」

 

俺達の絶叫にも気にも留めずに猛攻を続けるキノコマンに国連の軍用人形を拳のラッシュで数体破壊した後に、奴がM4を標的に選んだかのか、腕を彼女に選んだ

 

〈ルニシア!?〉

「「「「「「M4!!!]」」」」」

「M4姉ちゃん、危ない!!!」

 

俺は自分がレーザーに貫かれるのを覚悟して、姉ちゃんを庇おうとした瞬間……俺の背後から無数のレーザーいや、青く光る長い針のようなモノが飛来し、キノコマンに何本も突き刺さり、吹き飛ばした

 

それらはキノコマンの体や周囲に何本も突き刺さるのを見て、全員が息をのんだ

あの蛮族も光の針に興味いや、脅威を感じていたようにキノコマンに刺さった針を注視していた

 

「コレハ、ナンダ!?」

「なんじゃこりゃ、光の針か……どこからだ?」

「だが、キノコ男には対して効いていないようだな」

 

アウレールさんが言う通り体に無数の針が刺さったのにも関わらずキノコマンは再び立ち上がるとレーザーを発射しようとする

だが、何故かレーザーは発射されずに、代わりに聞き覚えのある声と共に黒い影が淡い青い光を伴って背後から飛び出すと青く輝く斧を振りかざし、両断する

 

そして、両断されたキノコマンの上半身はその勢いで吹き飛ばされ、木の壁に叩きつけられた

それと同時に影の正体が誰であるか、俺達は理解した

 

「稼働率5パーセントでこれぐらいか。欲を言えば、10%にしたかったが……リスクを考えるとこれでもギリギリじゃな」

「「「「「「アラマキ元指揮官!?」」」」」

「おじいちゃん!?」

 

後方に下がっていたはずのアラマキ元指揮官が俺達の方を振り向くと不敵に笑みを浮かべてこう言った

 

「ワシの切り札でヤツはレーザーを自由に発射できなくなった」

 

そう言って、アラマキ元指揮官がキノコマンが吹き飛ばされた方向に顔を向け、俺も視線を向けるとキノコマンは下半身をすでに再生させていた

 

だが、警戒しているのか元指揮官を注視し、元指揮官も臆することなくキノコマンを睨み付けていた




今回でてきたアラマキの切り札「左手の答え」ですが、簡単に言えば幻想殺しにも似た異能を無力化できる兵器です
本来はアブノーマル相手に使う代物で、キノコマン相手では不適合の代物です

まぁ、諸事情があって稼働率5パーセント程しか起動させることができません
それ以上だと色々と問題があるというか、状況をさらに悪化させかねないので、作中でも結構ギリギリです

その辺は後に説明しますが、少なくともキノコマンのレーザーの連射性と威力は下がりました

ちなみに、試作アサルト兵器氏から許可ちゃんともらいしまた


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グリフィンの奇妙な航海:エンディング・イン・ビーチ

今回は危険指定存在徘徊中(https://syosetu.org/novel/190378/)のコラボ企画編です
今回は、後日談のバカンス回です

投稿が遅れたのとすごく短めです


キノコマンとの死闘を制し、山崩れと蟲の狂乱を逃れた調査隊一行は国連が管理する島でひと時の休息を楽しんでいた……だた、一人……M16A4を除いては

 

「はぁ……今回も大して活躍しなかったな」

 

ビーチパラソルの下で彼はため息をつくとビーチ遊びに夢中になったリー達、S07地区所属の人形達を注視した

 

「冷たいよ!!!」

「リーさん、550さん、フレイマーさんと一緒にビーチバレーをやりましょう!!!」

「じゃあ、M4さん達も誘いましょう」

「何を落ち込んでいるんだ?」

 

はしゃぐ彼女達を目にして、彼は落ち込んだ表情を浮かべていた時、後ろから聞き覚えのある声が彼の耳に入った

M16A4が振り返るとそこには、アロハシャツに、短パン、幅広の帽子姿のアラマキが立っていた

アロハシャツの隙間から痛々しく包帯が巻かれた腹部

 

「……アラマキ元指揮官」

「どうした、おまえらしくないじゃいか?」

「……」

「黙秘は嘘をつけない人形達が本心を隠す唯一行動じゃが……話してみてもいいんじゃないか?」

 

M16A4がうつむくとアラマキは首を少し振るとそっと彼の隣に座った

そして、ビーチ遊びを楽しむリー達を見ながらこう切り出した

 

「もしかして……今回の一件で役に立つことができなかった事を悔やんでいるのか?」

「……はい」

 

M16A4が力なく頷くとアラマキは彼の背中を軽く叩いた

 

「人間であろうと人形であろうと上手くいかない事もあるもんだ」

「ですが……」

「ワシが新人だった頃は、先輩が奮戦する背中を見る事しか出来なかった事がよくあった事じゃ……みろ」

 

アラマキが微笑むと砂浜を一角を指差し、M16A4が目を向けると水着姿のSOPが二人の元へ駆け寄っていくのが彼らの目に映った

 

「お兄ちゃん、SOP達と一緒に遊ぼうよ!!!」

「ほれ、SOP達が呼んでおる……今はこのバカンスを楽しみなさい」

「はい……今行きます!!!」

 

M16A4が声を上げながら、SOP達の元へ駆け寄るのを見守りながら小さく呟いた

 

「さて、「左手の答え」を使ったせいで奴らに認知されたかもしれん」

「爺さん、ちょっといいか?」

 

アラマキは包帯が巻かれた腹部をさすると彼の耳に足音が聞こえ、振り返ると彼の背後に万能者が立っていた

 

「万能者、どうした?」

「ちょっと俺と付き合ってくれないか……リヴァイルに聞きたいか事がいくつかあるんだ」

「ふむ……ワシも奴の本音を知りたいと思っていた所だ、付き合おう」

 

アラマキは万能者の意図を察すると立ち上がると万能者の後をついていく

 

 

 

 

 

アラマキが万能者と同行したのと同じ頃、首から下を砂浜にしっかりと埋められた国連軍の兵士達を前にして、ワカは戸惑いを隠せなかった

 

「ペンギンさん、助けてくれないか?」

「というか、日差しがきついんだ」

「なぁ……お前らはをナニをしでかした?」

 

今にも泣きそうな表情を浮かべる兵士達はビーチ遊びに興ずるバルカンとスミスに人が余り近寄らないを岩場を紹介した事をワカに話した

だが、それを聞いたワカは無表情で右翼を軽くばたつかせながらこう言った

 

「自業自得だ……スミスが来るまで反省しろ」

「「「「ペンギン!!!!!!」」」」

「熱中症になるのはマズイから日よけのビーチパラソルと水を持ってくるよう頼んで雇用」

 

国連軍兵士達の悲鳴を背にワカはビーチの休憩所へ日よけと水を運んでもらうために体を左右に揺らしながら歩いていく

 

 

 




今回でコラボ回はおしまいです

個人的には、ちょっと不完全燃焼でしたがそれも次の人形を守るモノ主催の大型コラボで発散しようと思います


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連携救援1

今回はNTK氏の人形達を守るモノ(https://syosetu.org/novel/190134/)との大型コラボです

さてさて、今回は西行号サイドの作戦開始前とBB小隊とTR小隊の二人の戦いの始まりを描写します


エストアニアに存在する廃都市タリンから離れた場所に停車させたS07前線基地所属特殊仕様ストライカーICVD――通称、西行号は車体上部に備わっている30mmチェーンガンに方向を廃都市へ向けていた

その車内の砲手席に腰を掛けるパンツァージャケットに身を包んだサクラが先ほどの演説内容を思い出していた顔をしかめていた

 

「弱体化パッチで仕込んでいるから、私達でも倒せるね……簡単に言ってくれる!」

「指揮官、気持ちは分かりますが……ここで言っても仕方がありませんよ」

「せやで、西行号も奴らと戦うために送られたものやし」

「まぁ……偏向障壁を無視しても装甲とか火力は正規軍の装甲兵器群に匹敵するから気持ちは分かるッス」

 

サクラの補助をするために車長席に座るP228と兵員室内のGSh-18が彼女をなだめると二人のやり取りを兵員室内のハクが手元の端末を操作しながら言葉を挟むと操縦席でハンドルを握っていたジンが余裕な口調で反論を始めた

 

「おいおい……なんのためにロリっ子達や西行号がいるんじゃないか」

「油断は禁物ッス……前回みたいな罠があるのか、分かったもんじゃないッスよ」

「……それにあのいけ好かないリ男(リヴァイル)が用意したデータを元にシュミレーションを作ったんだ。これで問題が起きたら、あのあいつが悪いぜ」

「どっちにしろ……ブッバラしちまえば問題ないぜ!!」

 

ハクの言葉に隣でヒートカッターを握りしめたトビーが、聞いていられないとばかりに力強く断言すると車内に同乗していたAGS達も答えた

 

「「「もんだいなし!!!」」」

「AGSちゃん達、調子に乗っちゃいけまちぇんよ」

「ヒィ……!?」

 

トビーの言葉に同乗していたAGS達を白い帽子に、ワンピース風のコートを着込んだ亜麻色の長髪の人形がAGS達をネコナデ声をなだめるとそれを聞いたハクが顔面蒼白させた

 

彼女の側には頭身とほぼ同じ大きさの彼女の愛銃である重機関銃――Kordが壁に掛けれていた

彼女の名はKord……S07前線基地に配属されたばかりのMG型戦術人形の一体であり、彼女は自らをクリークと名乗っていた

そして、彼女には子供好きで世話好きな一面を見せる事があり、主にハクとファルコンはそれに巻き込まれて酷い目に会う事がたびたびあった

 

特に数日前のハロウィンの時に彼女が起こした騒動についてはハク達はおろか、サクラやM16A4達ですら語ろうとしない程の惨事と化した

 

その様子にハクはナニカを思い出したのか、顔を青くするとそれを側で見ていたGsh-18が彼女達の気を引き締めるように言った

 

「クリーク、そろそろ時間や……」

「分かりましたよ、仕事が終わったら一杯してから」

「むしろ、その飲酒が……あ、別行動をとっていたTR小隊のファルコンさんとG28さんがダミーと共に狙撃ポイントに着いたとの連絡が入ったッス!!」

「こちらも確認しました……BB小隊すでに配置完了しています!!」

 

ハクの手元の端末に一足先に狙撃ポイントへ異動していた狙撃部隊TR小隊のファルコンとG28から暗号通信を受信した事を確認すると同時にP228の電脳内に前衛を担当するBB小隊も配置を完了した事を確認し、サクラに伝えた

 

そして、二人の言葉に迷いを振り切ったようにサクラは照準用のヘッドマウントディスプレイを装着し、車内にいる全員に号令をかけた

 

「作戦を開始、S07所属部隊は攻撃を開始するう!!!」

「「「了解」」」」ッス」

「それじゃタリンに殴り込みにイクイクぅ~!!!」

 

ジンの陽気な掛け声と共にアクセルを西行のエンジンが唸り声を上げるとタリンに向かって爆走を始める

 

それに合わせて、西行号の周囲でも無数の銃声や駆動音を含んだ轟音が鳴り響き始めていた

それを車内越しに聞きながら、サクラは操縦桿を握りしめた

 

 

 

 

 

サクラが戦闘を開始してから約数十分が経過した頃

M14が率いるBB小隊にSDMRを加えた前線部隊は、パラデウスの防衛線を突破しようとパラデウスの防衛部隊と銃火を交えていた

 

「パラとMP5F、それにリーが兵士型を攪乱している間に、M16A4は武器庫改で前衛型を、SMDRは皆がに後方の狙撃型を排除するよ!!」

「分かりました……二人共お願い!!」

「OK,パラ、リーいくよ!!!」

「了解しました」

 

パラデウスの歩兵型ユニット「ストトレット」の小隊にMP5Fとパラが突貫し、そのすぐ後ろでリーがSCAR-Lの下部に取り付けたグレネードランチャーを発射し、援護する

 

そして、ストトレット達が装備する光学兵器による光の弾幕をかいぐくった二人は、自身のダミーと連携し、敵を攪乱する

二人の変幻自在の動きに、ストトレットが対応しようと銃口を向けようとするとMP5Fが隙を見て投げた焼夷グレネートに焼かれるか、二人が放つ銃弾の弾幕に貫かれて倒れる

 

その間に、M14とSDMRがストトレットの後方でレールガンを構える狙撃型ユニット「ドロデア」を狙い撃つ

狙われている事に気づいたドロデアが湾曲障壁を展開し、銃弾を防ごうとする

だが、リヴァイルが仕込んだ弱体化パッチにより、障壁が作動せずにM14達が放った弾丸が撃ち貫かれ、地に伏せた

 

それと同時に武器庫改を構えたM16A4が出力を半分程にセーブした状態で放ったエネルギー弾がによって前衛型ユニット「グラディエーター」の白い体躯のに大穴を開けられ、轟音と砂埃を巻き上げながら擱座した

 

M16A4は武器庫改を構えつつ、敵が機能停止になった事を確認するとほっと一息つくと他の敵を撃破したSDMRが彼の元へ駆け寄った

 

「お兄ちゃん、敵を吹き飛ばしたんだね!!!」

「あぁ……とはいえ、この調子で撃ち続けていたら、タリン市内に到着する前に武器庫改がガス欠を起こしますよ」

 

M16A4が不安げな表情を浮かべながら武器庫改を背負うと変わりに、手に自身の半身でもある銃剣付きのM16A4を握りしめた

それをみたM14が彼を元気づけるようにこう言った

 

「だったら…グリフィンの航空部隊が対偏向障壁弾頭を搭載した武装ヘリをとばしているから、彼らに支援を頼みましょう」

「そうそう、困った時は素直に頼っていいじゃない?」

「僕もそう思うよ」

 

仲間達からの言葉を聞いて、M16A4は小さく微笑んだ

 

「そうですね……先を急ぎましょう!!」

「OK,予定通りに進みましょう」

 

M14の号令を出すとM16A4達は事前に指定されたポイント……廃棄都市タリンに進入するべく進軍を再開した

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

前衛部隊がタリンへ駒を進めているのと同時刻

配属されていた西行号を降り、別行動を取っていたTR小隊のファルコンと豊満な肉体と肩まで伸ばした緑色の髪と灰色の帽子が特徴的な戦術人形は自分達の狙撃ポイントとして、選んだ高台の廃墟に自身のダミーと共に狙撃による支援を行っていた

 

だが、二人は今自身が見えている光景に唖然としていた

 

「ファルコン……あれは一体なんなの?」

「G28……あれが万能者……だと思うよ」

「強すぎるわよ」

 

G28と呼ばれた緑髪の人形が唖然とするのを横目にファルコンはスコープを覗いていた

 

ファルコンが自身の半身である対物ライフルに備え付けられていたスコープ越しに、G28は双眼鏡で見たモノのは、パラデウスの軍勢を過剰と形容できるほどに装備を装着した万能者が蹂躙している光景だった

 

「BB小隊が思い出したくないと言ったのが……分かるよ」

「そう……あ、万能者の背後の一つ目の人型がまだ動けるみたいだわ、ここから11時の方向に」

「分かった……距離と風速諸々お願いね!!」

「分かった…」

 

G28が指示した方向にファルコンがスコープを覗くと半壊した大型人型兵器――ドッペルゼルドナーが頭部の戦車砲を万能者に向けていたのを見つけた

 

そして、側でスポッターとして必要な情報をG28から伝えるとファルコンは照準を合わせ、と引き金を引いた

 

大きな轟音と共にファルコンの半身でもある対物ライフルの銃口から12.7mmNOTO弾規格徹甲榴弾が放たれた

そして、ドッペルゼルドナーの露出した制御中枢部に着弾、弾頭に仕込まれた炸薬が小さな爆炎を伴って、制御中枢部を焼き尽くす

そして、辛うじて無事だった制御中枢を破壊されたドッペルゼルドナーはそのまま崩れ落ち、完全を機能停止に陥った

ファルコンがそれを確認するとボルトを操作し、排莢、次弾を装填する

 

「敵は撃破を確認したわよ」

「了解……気を取り直して、ピッチを上げていくよ!!」

 

ファルコンはそう言うと二人は次の獲物を求めて、万能者が縦横無尽に暴れまわる戦場を見下ろしていた

 

 

 

 

廃棄都市タリンの旧市街地の一角にそれらは潜んでいた

その場に気配を感じるも姿を捕らえる事はできないであろう

されど、その気配は己に死を実感させるには十分であった

 

 

「近づいてくる……咎人の気配が」

「遥か南の孤島で気配の残滓を感じ、我らはそれを辿った」

「そして、奴の言葉通りにここで待ち構えてはや一月と少し……ついに咎人を視野に入れた」

「後は、咎人が処刑場に定めたこの地に足を踏み入れるのを待つのみ」

「彼女が引いた引き金によって、万の民の死を招いた」

「故に、咎人は自らの死を持って償わければならぬ」

「そして、咎人に組みする者も同罪……死あるのみ」

「「「「「「「「「「故に我らはここで待とう……断罪の時を」」」」」」」」




今回登場したクリークこと、Kordが参戦しています
原作の彼女とは違い、中の人を意識したキャラとなっています

……というか、ある意味で公式が夢の国チキンレースをしているソシャゲで、ハロウィンイベで彼女のアレを実行するとは運営の度胸は大した物ですね

それとG28も参戦していますがこちらは公式と変わらないキャラ付けです
地味に好みです……


そして、最後のアレは……ナイショです
ですが、警戒はしては損はありません


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連携救援2

今回はNTK氏の人形達を守るモノ(https://syosetu.org/novel/190134/)との大型コラボです

今回は西行号サイトとBB小隊のタリン市街戦の様子、ならび敵サイド(?)のブラッディマンの様子を描写します

というか、色々あって投稿が遅くなっている内にいろいろと状況が進んでいますね……orz

後、今回の話を執筆するにあたって以下の話を参考にしました

https://syosetu.org/novel/191561/240.html

https://syosetu.org/novel/190378/167.html


タリン攻略作戦開始から数時間が経過した頃

パラデウスの防衛線は万能者が獅子奮迅かつ烈火の嵐のごとき戦いによって崩壊していた

 

そして、崩壊した防衛線の隙間を縫う形で突破した西行号は、途中で合流したTR小隊の二人とグリフィン本社の戦術人形部隊に対してチェーンガンによる火力支援を行いつつ、タリン市内へ侵攻を続けていた

 

「TR小隊が指定のポイントに到達、数分前にパラデウスと接敵したBB小隊へ支援行動を開始したッス」

「了解、トビー、ここから離れた状態はどうなっている?」

「ギャパパパ、外部カメラだと肩が赤い奴らに苦戦しやがるな……歩兵の奴もへんこなんといやらを持っているせいでバラシ切れていないみたいだぜ」

「偏向障壁っすよ……確かに、赤い肩の奴は強化されているせいで決定打を打てていないっす。映像をそちらにも見せるッス」

「映像届いたぞ……が、これは予想以上だな」

 

崩壊液汚染等で車外の様子を確認するために搭載されたドローンのカメラ映像を見たトビーが唸るようにいうとサクラが座る砲手席に備えてつけられた端末にドローンの映像が映し出された

 

そこに赤い肩が特徴の強化パラデウス兵に防戦一方とまで行かないが決定打を与える事ができずに苦戦するグリフィンの戦術人形達が映し出されていた

それを見たサクラは「バケモノ連中め……背後のモブはついていけないぞ」と零すとすぐにクリーク達に指示を出す

 

「クリークとAGSはすぐに西行号から降車し、約二十m先の残骸を盾に、援護射撃。前衛の本社部隊と交戦しているパラデウス兵の障壁を剥ぎ取れ!!!」

「了解しました」

「「「は~い!!」」」

「ジン、すぐに後方ハッチを展開!!」

「了解!!」

 

サクラの指示と同時に運転席のジンが西行号の後方ハッチを展開すると同時に自身のダミーを引き連れたクリークが愛銃のKord重機関銃を、AGSはそれぞれに分割した愛用のAGS-30グレネードマシンガンを抱えながら車外へ飛び出した

 

そして、サクラが指定した残骸へ駆け寄るとクリークは二脚を展開して、銃身を固定させると前方への味方部隊へ制圧射撃を始める

 

クリークより少し後方では、AGS達が手早く分解したグレネードマシンガンを組み立てるとパラデウス兵に向かって、専用の対偏向障壁用榴弾を強化型パラデウス兵に向かって発射する

そして、AGS達が放った榴弾がパラデウス兵達に着弾すると同時に、偏向障壁を無力化同時に次々と吹き飛ばし、さらに銃撃の追い打ちでパラデウス兵達は次々と撃破されていく

それを見たサクラも車内に待機するP228とGsh-18に指示を出した

 

「今からチェーンガンによる支援砲撃と同時に、二人もアイソマーの探索に加われ!!」

「指揮官、私達が請け負っている通信連絡はどうしますか!?」

「ハクに任せる、キャロル指揮官が言う例のイレギュラーも第三者が抑えている……急げ!!」

 

サクラの指示に一瞬戸惑う二人であったが、サクラの強い言葉に押されて気を決するとそれぞれの愛銃が正常に動くか手早くに確認する

その直後に西行号の機関砲掃射を開始すると同時に二人は西行号の後方ハッチから飛び出すとそれぞれ市街地への中へと消えていった

 

「このままクリーク達と協力し本社部隊を掩護……なぁ!?」

「おいおい、どうなってんだこりゃあ!?」

 

サクラ達は車内から見えるそれに言葉に失った

それはこの戦場に存在しないはずのサクラの花びらが舞い散る光景であった

 

「おいおい、俺達は幻覚でもみせられているのか!?」

「これもバケモノ共の仕業か、ブッパらしてやる!!」

「トビーさん、車内でヒートカッターを振り回さないでください!!!」

「ハク、邪魔するな!!!」

 

混乱するトビーをハクが落ち着かせようとするも

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

俺達BB小隊を中心とした前衛部隊は、タリン市内に突入してから連発する異常現象に遭遇していた

正直な話、この手の異常存在……具体的には悪魔と交戦した事があるM14さんと俺以外はこの自体に動揺を隠しきれていないようで

 

「M16A4が遭遇したという蛮族が助太刀に入ったかと思ったら、今度はダンタリオと名乗った着物を着たオバサンがピンクの花びらと共に登場したり、どういう仕組みなの」

「MP5F、あれはサクラという花の花びららしいよ……訳わからないよ」

「それにどこから鳴っているかも分からないバイオリンといい……意味が分からないよ」

「余計な事は考えずに、情報通りにアイソマーがいる場所までもうすぐよ」

 

廃墟と化した市街地を駆け抜けながら、戸惑いを隠しきれなかったMP5Fさん達をM14さんがたしなめつつ、俺達はナデシコからの情報にあった場所へ向かっていた

そして口には出していなかったが、俺が後ろから着いてくるSDMRも困惑の表情を浮かべていた

実際、過去にギルヴァさんと共闘した事がなければ、俺もこの事態を飲み込めていなかっただろう

 

困惑しつつも指定されたポイントへ急行しつつも現状最も脅威とも言えるコート男と遭遇しないように周囲を警戒しつつ、俺達は指定されたポイントへ足を速めた

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

タリン市街地に広がる優曇華の花園のはずれに二種類のソレが静かにただ存在していた

 

一つは花園に不釣合いな画架に賭けられた一枚の油絵であった。

その油絵、花園の中でバケツ型の兜とコートを身に着けた処刑人が一人の足枷をはめられた少女の首を手にした大鉈で切り落とす様子が描かれている

そして、首を切り落とされた少女の顔はM4A1に酷似していた

 

もう一つは、油絵に描かれた処刑人と同じ姿のナニカ―――アブノーマル:ブラッディマンの一体であった

しかし、タリン市街でグリフィン勢力に襲撃を掛けたブラッディマンと違い、その腕に握られている大鉈は片刃の剣のような形状をしていた

そして、ソレはタリン市街で猛威を振るっているブラッディマン達と思考を媒介にして、話し合っていた

彼らの想定以上に死刑執行に支障が出ていたからであった

 

〈我以下15人、助太刀に入ったヨソモノ(悪魔)の呪により動けず……長の命を求む〉

〈受託、ならば現状のまま処刑場に潜む間者の気配を探り、我らに知らせよ〉

〈御意!!〉

〈長、遺憾ながら咎人は現状で咎人ルニシアの処刑は不可能と判断……戦闘の許可を求む〉

〈許可、戦闘と刃先の使用の禁をすべて解く〉

〈〈〈〈〈〈御意、咎人に断罪を!!! 〉〉〉〉〉〉〉

 

その思念の叫びを最後にソレ――長の意識と視界は優曇華の花園へと戻った

そして、不気味な響きを持たせた声で意を決したようにこう言った

 

「咎人よ、いかに罪を忘れようとも我らは決して忘れぬ、必ず裁きの一閃を下す」

 

 

それと同じ頃、タリン市街地の一角で蛮族がブラッディマンの一体の手足を切り落とさんと後方から斬りかかろうとする

しかし、ブラッディマンは素早く振り向くと手にした鉈――正確には刀剣状に変化した大鉈で蛮族の大剣を受け止めた

「ナァ、我ガ刃ヲ受ケ止メ……ガァ!?」

 

先ほどまでとは別物同然の身のこなしに蛮族は、驚愕の意を見せた

 

そして、その際にできたわずかの隙を突いたブラッディマンは蛮族の腹部に蹴りを叩き込み、蛮族を廃墟の壁に叩きつけた

 

「ナルホド、コレガヤツノ真ノイクサカ」

 

蛮族は眼前の敵が本気になったことに脅威と好奇心を感じつつ、右手の大剣で両断せんと切り込みをかけようと再び跳躍した

 

 




さて、西行号から降車したP228とGsh-18達の行先は次に描写します
そして、現状空気なBB小隊……なんとかストーリーにアプローチを掛けたい所です

一つ忠告しておきます
ブラッディマンは、決して出オチで終わるような存在じゃありません


以下はオマケです

タリンから遠く離れた場所で男は骨董品と言ってもいい白黒のブラウン管式テレビに向かって皮肉の意を込めてこう言った
そのテレビの画面には荒く、白黒だがグリフィンとパラデウスとの戦闘が映し出されていた

??「お前らが扇動したという処刑人達はこの程度なのか?」
????「今はガチガチの規則に従って戦っていないのだよ……教授」
??「これで戦っていないだと?」
????「そうだよ……それよりも君の定期便は失敗に終わりそうだが、問題ないのか?」
??「例に積み荷は所詮、侍気取りの自衛隊くずれ共から奪ったモノ……起爆するかどうかすら危うい物だ」
????「本命は別にあるということか?」
??「あぁ、本命は別便で到着済みだ」
????「それは楽しみだ……状況さえ許せば、関わりたい物だ」




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連携救援3

今回はNTK氏の人形達を守るモノ(https://syosetu.org/novel/190134/)との大型コラボです
今回はトンデモロボ大戦のど真ん中に巻き込まれたBB小隊を描写しています

最近、某オリョクルじみた多忙さのために執筆すらできない状況が続いていました
で……その間にいろいろと展開が進んでいました
個人的にいろいろと言いたい事がありますがそれはコラボが終わってから書こうと思います
後、こっちも遠慮するのは止めようと思います

後、今回の話を執筆するにあたって以下の話を参考にしました

https://syosetu.org/novel/190378/168.html
https://syosetu.org/novel/166885/752.html


タリン市街地に突入してから数時間は経過した頃

俺達BB小隊は保護したアイソマーを回収ポイントに展開したグリフィンの後方部隊まで届けた後に、TR小隊と合流した先行しているリヴァイルさん達に追いつくために例の花園に向かっていたのだが……

 

その途中でパラデウスのモノらしき六本腕に武装を満載した巨大ロボの奇襲を受けた上に、その直後に現れた所属不明の黄色の巨大人型巨大兵器との戦闘に巻き込まれてしまったのだ

パラデウスのお約束の白い塗装だが、一方の所属不明の巨大兵器は元々は工作用重機(にしてはデカすぎる)を転用したのか両手には巨大なコンクリートハンマーやフォーククローを装備している

そして、突貫工事で建造したのだろうか全身黄色に故郷の工場でよく見た安全マークが所々に書かれていた……アレを作った奴らはスペースコロニーでも建造するつもりだったのだろうか?

 

そして、六本腕の巨大ロボと巨大人型重機がお互いの装備を使った巨大ロボプロレスに巻き込まれた廃墟の影で身を潜む事しかできなかった

周囲に凄まじい轟音と飛んでくる瓦礫が周囲の廃墟を削っていくのを見ながら、なんとか逃げるタイミングを狙っていた

だが、六本腕の砲撃で俺達は自分達のダミーをすべて失っている上に、パラとリーが砲撃の至近弾で四散した瓦礫が直撃を受けてしまった。

二人は気絶こそしているが機能停止には陥っていなかっただ

が、パラは左足を、リーは右腕が折れている……今の状態じゃ戦闘も難しい上に俺達も消耗……特に弾薬が少ない。

俺の武器庫改に至ってはフルチャージで一発分しかエネルギーが残っていない

ハッキリ言ってこれ以上の進軍は難しいと判断せざるえないだろうし、M14さんも同じ判断を下した

 

だが、撤退するにもパラデウスのデカいヤツが連れてきた強化型パラデウスの増援部隊が倒し損ねたグリフィンの部隊を掃討していく……幸いにも俺達が奴らはいないが近づいて来るのは時間の問題だろうし、逃げるにしても戦うにしても残りの弾薬からしてすりつぶされるのがおちだ折る

 

「SDMRとファルコン、どうなっている?」

「いや……アイツラ未だに健在というか、互いに致命打を与えられていないよ」

「パラデウスの増援部隊も少し離れた場所に言うよ」

「早く離れないといつこちらに白い奴の流れ弾が飛んでくるか分からないよ!!!」

 

M14さんが状況を確認するとSMDRが顔を真っ青に顔を横に振るとG28さんが泣き出しそう顔で叫んだ

 

「もう私達おしまいよ!!! 逃げ遅れた時点で近いうちに奴らの流れ弾か増援部隊に攻め込まれて、ハクさんの写真集のようになぶり殺しされるのよ」

「G28、まだ私達は終わっていないわよ!!」

「離脱するチャンスは来るはずだよ……何を呼んでるの!!」

 

 

恐怖に震えるG28を必至に励ますMP5Fとファルコンだが、彼女達の顔には焦りの表情が浮かび上がっているのが見えていた

だが、状況が急変したのはその直後だった

 

ドゴォーン!!!!!

 

「うぉ!?」

「なに、地震!?」

 

 

突然、大きな地鳴りと揺れが起こり、俺達はとっさに近くの者に掴まるとすぐに揺れは収まった

俺は、何が起こったのか状況を確認しようと廃墟の影から顔を出すとそこには信じられない光景が写っていた

 

「デカイのがひっくり返っている!?」

「というか、腕六本が切り落とされているよ!?」

「あの巨大重機の仕業じゃない‥…のか?」

「一体何が起こっているの!?」

 

皆が驚くのも無理がなかった

俺達が見たのはパラデウスの巨大兵器の腕がすべて切り落とされ、近くのビルと周囲のパラデウス兵を巻き込みながら倒れこんでいるという光景だった

同時にこの場から離脱する絶好の機会であるという事に気づくのに時間はかからなかった

残っているパラデウス兵も残り僅かかつ、ほとんどが大破判定がくだされるほどの損傷を受けている……逃げるには今しかない!!

 

M14さんも同じことを考えたのか、振り向いてこう言った

 

「みんな、ここから離脱して数メートル先に展開している西行号へ合流するわよ!!」

「分かった、お兄ちゃん……武器庫改で進路先の敵を一掃して」

「分かりました、パラとリーは誰が?」

「皆とファルコンが担いでいく……頼んでイイ?」

「任せてよ」

「分かった……馬力に関してはお兄ちゃんにも負けないんだから」

 

M14さんがパラ、ファルコンさんがリーを背負うのを見てから俺は逃走経路を作るべく、武器庫改を構えると同時にチャージを始める

 

そして、どういう訳か以前よりもずっと早くチャージが完了すると俺は何も考えずに俺は武器庫改を発射した

そして、武器庫改から放たれた高密度粒子の閃光がこちらに気づいたパラデウス兵を飲み込み、俺達の逃走を阻む障害となるモノをすべて吹き飛ばした

 

俺達の逃走を阻むモノがなくなったのを確認すると俺達は身を隠していた廃墟から飛び出し、西行号と合流すべく

そして、腕をすべて失いつつも再び立ち上がったパラデウスロボと巨大重機がプロレスを再会させていたが、俺達はそんなことを気にする余裕はなかった

 

 

 

 

その後、無事西行号と合流できた俺達にナデシコから「俺達に襲い掛かる大男達を弱点らしきものを見つけ、敵に足止めしている内にそこに急行してくれ」との連絡が入った

実の所、前衛部隊同様に西行号の面々も消耗している上に西行号のチェーンガンの残弾も怪しい状況下で指揮官が下した判断は俺達を驚愕させた

 

「了解した……連絡線の破壊にはM16A4とSDMRに向かわせ、救出任務中のP228とGsh-18を除く残りS07組は周囲に残存している人形達で敵を攪乱しつつ進路を確保する」

 

「「「「「「「「えええええええええええ!?」」」」」」」」」

「「「Oh,ジーザズ!!!!!!」」」

『カスミ指揮官、正気か!?』




余談
ヘカトンケイルとアトラスを目撃したサクラの第一声
「あんなモノを動かして嬉しいのか、ヘンタイどもめ!」



????<知ると言う事は深淵に潜むモノを探すために覗くようなモノ……そして、ソレも深淵からお前を覗いているのだ>


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連携救援4

今回はNTK氏の人形達を守るモノ(https://syosetu.org/novel/190134/)との大型コラボです
今回は連絡線破壊へ動くS07組の様子を描写しようと思います

そして、最後……ちょっと衝撃展開注意です

今回以下の話を参考しています
https://syosetu.org/novel/190134/152.html


「了解した……連絡線の破壊にはM16A4とSDMRに向かわせ、救出任務中のP228とGsh-18を除く残りS07組は周囲に残存している人形達で敵を攪乱しつつ進路を確保する」

 

指揮官のこの決定にその場に全員は唖然とする中で、ナデシコ……キャロル指揮官から当然のように抗議していた

 

『近くの戦術人形の部隊を終結させて、敵の攪乱と進路を確保するのは分かるが……肝心の連絡線の破壊をM16A4とSDMRの二人だけなんだ?』

「正直な所、こちらも消耗も激しい……特にパラとリーの負傷と西行号の主砲の残弾数も結構残り30%を切っているのが痛いな。特に前衛組はヘカトンケイル(あんなモノ)の砲撃でダミーをすべて失っているから、普段の集団による連携戦術で突破するという作戦も取れない」

 

指揮官は一息つくと半ば投げやり気味に自身の案を切り出した

 

「私としては、下手に連絡線の破壊はせずに万能者やリバイバー達を前に出して、主力部隊は遅延戦闘に徹して、アイソマー救出の時間稼ぎをするべきだと思うね」

『早い話がアイソマーの救出を優先しろと?』

「そうだ……ハク、そちらでのグリフィン側で戦闘を続行できる部隊はどれだけ残っている?」

「……」

 

指揮官の質問にハクさんは言葉に詰まったのか、少しの間黙り込むと苦々しくこう言った

 

「結構ボロボロッス……特に先行していた本部の人形はほぼ壊滅しているッス」

「そうか……私の案は難しいか?」

『それ以前に例の巨大兵器は主兵装こそ失っているが健在……それを考えるとサクラ指揮官の案は却下せざるえない』

 

キャロル指揮官の言葉を予測していたのか、指揮官は淡々と話し始めた

 

指揮官が俺とSDMRを連絡線の破壊役に選んだ理由は、火力と足の速さで選んだという。

確かに、俺とSDMRの出力を脚力に回せばSMG型と同等のスピードで予定のポイントまで到着できるし、小口径とはいえ同じライフル弾を使用する俺達の愛銃なら火力も申し分無しだろう

 

速度だけならSMG型のパラちゃんやMP5Fさん、HG型のGSh-18さんとP228さんも候補も入るが、拳銃弾特有の威力不足や消耗具合、後者は今は別の場所にいる等の理由で除外したというのだ

 

「M16A4は、身軽にするために武器庫改を置いていく必要があるが……行けるな?」

「「はい」」

 

指揮官の言葉に俺とSDMRは二つ返事で答えた

そもそも武器庫改は離脱する際にエネルギーを使い果たして、重い盾となっているので置いていても問題ない

 

「よし……じゃあ、これから破壊についての手順を説明するぞ」

 

俺達の返事を聞いた指揮官が連絡線の破壊についての詳細な手順を説明し始め、俺達はそれを黙って聞いた

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

補給を終えたM16a4とSDMRを除いたS07前線基地組は、連絡線を破壊するためにM16A4とSMDRの進路確保と敵の攪乱するべく周囲に展開する戦術人形と銃撃戦を繰り広げていた

その中には、同じく連絡線に動いたDG小隊の姿もあった

 

西行号に登場したサクラは西行号のチェーンガンと同軸機銃による掃射でM16A4の進路を確保しつつ、周囲に展開する戦術人形達の指揮を執っていた

そして、足が折れたパラはP228の代理として、サクラの補助に徹していた

 

ナデシコとAI「LAFI」から届いた情報を元に敵の位置と進路方向を予測し、人形達に指揮を出していた

 

「P228達はこのままLZポイント周辺で、警戒を続けろ」

『了解、指揮官も気を付けてください』

「あぁ……レスト、MP5Fと共に2m先で展開する部隊の支援に回れ!!」

『了解!!』

 

サクラが人形達を指揮すると同時に西行号の車載カメラで周囲を確認も怠らずに、モニターを注視していた

複数に分割されたモニターには動けるパラデウス兵やアブノーマルの姿はなく、ただ廃墟しか映されていなかった

 

「西行号の周囲には敵はいない―――」

「思い出したっす!!!!!!」

「どうした、ハク!?」

 

隣で端末を操作していたハクの叫びに車内にいた全員が彼を振り向いた

ハクは顔を真っ青にあいながら、取り乱したように言葉を続けた

 

「あのアブノーマルらしき鉈男が日本の都市伝説に出てくる処刑人にそっくりっす」

「ハク……こんな時にオカルト自慢の話か……M16A4、その先がバレットと合流予定地点だ」

 

サクラは冷めた目でハクを一瞥するもすぐに、モニターに目を戻して、人形達の指揮に専念するべく

 

一方のジンとパラはハクの話が気になったのか二人の視線はハクに向けられていた

 

「ハク、血濡れの怪人って例の鉈男と同じなのか?」

「姿形は汚れたコートに鉄兜、腕には首を刈るための大鉈を持っている大男と同じ……はずなんっすけどね」

「なんか気になる事でもあるの?」

 

言葉を濁すハクを見たパラが首を傾げるとそれを見たサクラが少し怒気を含めて口を開いた

 

「オカルトの話は後だ、M16A4達が例のポイント付近到達を確認した……ハク、近くの部隊をここに集結させるように指令を出せ!!」

「りょ、了解っす!!」

「ジンは西行号を前身……周囲に展開している戦術人形達と共に移動するぞ」

「わかった……よし、発進するぞ」

(ハクの疑問は……例の怪人は主に刑務所で、死刑にならなかった囚人を惨殺するという例の鉈男とは行動原理と食い違っているということだな)

 

サクラの指示にハク達はそれぞれ行動を起こす中でサクラは心の内にハクの疑問を見抜いていた

そして、エンジン音を響かせながら移動を開始する中でサクラは心の内で思考を回していた

 

(単純に都市伝説の怪人と鉈男の姿が偶然似ていただけなのか……それとも私達の中に奴らが処刑に値する重罪人が紛れこんでいたのか)

 

サクラは自身の疑問に自問自答しつつも自身の部下を指揮するためにモニターに視線を落とした

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

バレットさんと合流し、例の鉈男達の急所らしき連絡線が存在するであろう建物へ進入した俺達だが途中でパラデウス兵の素体となったらしき人間が同じであることを忘れるような事態に遭遇してしまった

 

 

連絡線らしき古ぼけた絵画から浮かび上がるのように一人の鉈男が俺達の目の前に現れたのだ

だが、目の前に現れた鉈男はこれまで遭遇した奴らと違い、ホログラムのようにうっすらと透けているように見えた。

あえていうなら、鉈男モドキだろうが……手にしている大鉈が鉈男と同じモノである事をしめしているのか、透けていなかった

 

「お兄ちゃん、こいつら」

「一種の警備しすてむか、簡単に破壊させてはくれなさそうだな」

「まさかここで……鉈男に鉢合わせになるんて」

 

俺達は各々の武器を鉈男に向けると奴から妙にノイズ音が混ざったような声で鉈男が俺達にこう言ったのだ

 

《なぜ、邪魔をする……咎人ルニシアを我らに引き渡せば無駄な血は流れないというのにだ》

「身に覚えがない罪を理由で仲間のM4を引き渡せる訳がないだろう」

「バレットさん、どういうことですか!?」

「最初にヤツらと遭遇した時、M4A1を咎人と呼んだ上に明らかに彼女を狙っていた……違いないな?」

 

バレットさんの発言に俺は度肝を抜かれた。奴らはM4姉ちゃんを狙っているか……

 

バレットさんの皮肉に、鉈男モドキは大鉈を俺達に突きつけると厳正に罪状を告げるかのように俺達に向かって話し始めた

 

「あの女が引いた引き金が……今までの災厄の始まりとなったからだ」

「どういう意味ですか……M4姉ちゃんがすべての始まり」

 

鉈男モドキの言葉に俺は戸惑いを隠しきれなかった

だが、奴はトドメと言わんばかりにこういった

 

「咎人M4A1のメンタルモデル(ルニシアの心魂)メンタルモデルは、ルニシアという人間の娘の心魂を加工して作られた物だ」




今回登場した鉈男モドキならぬ、ブラッディマンもどきはかれらの連絡線である絵画の自衛システムのような物です

外見が微妙に透けているだけで戦闘能力等はブラッディマンと同じです

そして……ついにやっちゃいました
M4A1が実は元人間であることをばらしちゃいました


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連携救援:FIN

あけおめです

今回はNTK氏の人形達を守るモノ(https://syosetu.org/novel/190134/)との大型コラボです
その後日談です


『リヴァイル・ウィッカーマンより全部隊へ。アイソマーの救助、感謝する。また、キミらが得た情報は彼らの悪行を晒すのに充分過ぎるものだ。これらはキミらの協力なくしては得られなかった。イレギュラーにより決して少なくない被害がでたが、これだけは言わせてくれ…本当にありがとう』

「リヴァイルの通信は聞いたな……S07前線基地所属の部隊は各自状況を報告しろ」

 

西行号の砲手席に座るサクラは半ば気が抜けたようにシートに寄りかかると通信機からBB小隊を始めとした人形達の声が車内に響き渡る

 

「こちらM14、BB小隊は私が見る限り全員無事です」

「M16A4、バレッドさんとSDMR共に健在……周囲に残敵確認できず」

「ファルコン、G28、クリークと共に健在だよ」

「ギャパパパ、AGSのチビ達も無事だぜ」

「P228、Gsh-18さんと共に健在」

 

各々の人形達が無事を確認するとサクラはすかさず指示を飛ばした

 

「了解、今から指定するポイントで合流後……撤収する。ジン、西行号を出せ」

 

サクラの指示を聞いたジンが西行号のアクセルを踏み、エンジン音を響かせながら旧市街地を走らせる

車内で揺られながらサクラは砲手席に備わったモニターに視線を向ける

 

モニターは廃墟となったタリンの街並みと戦術人形達、そして、パラデウスの残骸だけが延々と写っていた

それを見たサクラが車内にいる全員に向かって戒めるようにこう言った

 

「今回は勝ったが……これで終わったと思うな」

「え……どういう事っすか?」

 

ハクが不安げに質問するとサクラはどこか憂鬱そうな表情を浮かべた

 

「敵もただ殴られるだけのサンドバックじゃない……今回の借りを返しに必ず行動を起こすはずだ。リヴァイルはどう考えているか知らんが」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

リヴァイルさんの戦闘勝利宣言後、俺とSDMRは集合地点へ急いでいた

だけど、ついさきほどの出来事を思うと勝利への余韻に浸る事ができなかった

 

『咎人M4A1(ルニシア)のメンタルモデルは、ルニシアという人間の娘の心魂を加工して作られた物だ』

 

鉈男モドキの言葉が俺の脳裏から離れる事ができなかった

人間をパーツにしているパラデウスの兵器ならまだ理解できるが、M4姉ちゃんは違う……まったく意味が分からない

 

「M4姉ちゃんが……元は人間ってどういうことですか」

「お兄ちゃん……」

「猫耳おばさんも一体どういうつもりで……うん?」

 

俺の通信モジュールにM4姉ちゃんから通信が届いている事を感知している事に気づき、回線を開いた

 

『A4、話があるのだけどいいかしら?』

「うん……いいですけど」

「分かったわ。話と言うのは私のことについてよ」

「ッ!?」

 

M4姉ちゃんの言葉に俺は言葉に詰まった

姉ちゃんの様子からして、きっと自分が元は人間だったという事に気づいているのは分かった

彼女にどう言えばいいのか分からない俺に変わって、SDMRが口を開いた

 

「M4さん、元は人間だったことを気づいていたの?」

「いえ、私も気づいたのはダンドリ……私に宿っていたOGASが現実世界にアイソマーの身体を得た時に、人間だった頃の記憶を思い出したわ」

「姉ちゃん、その……猫耳おばさんの事を怨んでいない?」

 

俺の質問に姉ちゃんは首を横に振った

 

「いいえ、私はペルシカさんの事を怨んでいないわ。むしろ、自分だけが人形を指揮できる理由が分かったくらいよ」

「姉ちゃん……」

「じゃあ、なぜあのナタ男達があなたを咎人と呼んだ理由も分かるの?」

 

SDMRの言葉に姉ちゃんは半ば確信を持ったようにこう言った

 

「その理由も分かるわ……だからこそ、確証を持つためにペルシカさんに問いたださないといけないわ」

「なにを?」

 

予想外の答えに俺は驚くと姉ちゃんははっきりとこう言った

「私のオリジナルとなった少女の脳データを誰かに渡したのか?と言う事を」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

タリンから遠く離れた地に存在するパラデウスの拠点の一つで男は一台のブラウン管式テレビを半ばつまらなげに見つめていた

そして、テレビの画面が荒い男のシルエットを映し出すと半ば落胆したような声を響かせる

 

「完敗だな……」

「まったくだ……失敗作共とはいえ、グリフィンの手に渡らせたのは大きな痛手だ」

「あぁ、教授の策も私が扇動した処刑人共もことごとく潰されたな」

 

テレビの男の言葉に教授と呼ばれた男は皮肉めいた言葉をテレビに向かって投げかけた

 

「お前の力を使えば、奴らを狂わせる事を容易ではないのかね?」

「確かに、制約が無ければ私も参戦して戦況は大きく変わっただろう」

 

テレビの男は無念をにじませた言葉を漏らすと遠い目で教授の顔を見た

教授はテレビの男ほど残念に感じていないのか、どこか他人事のようにこう言った

 

「つまり、制約すらなければこちら側が勝っていたかもしれないということか?」

「そういうことだ……私が本格的に干渉できれば、ヤツラを発狂させるコトも同士打ちも精神崩壊も自由自在な上に、同士達を増援として万単位で送り込む事も可能だった」

「グリフィンには例の悪魔もいるとの報告がいるぞ」

 

教授の指摘にテレビの男は不愉快な表情を浮かべた

 

「あのヨソモノ共か……少なくともヤツラの好きにはさせなかった」

「だが、現実は貴様らがやった事は、処刑人の扇動と観測機に強度の心理迷彩をかけたことぐらいらいだ。お前らはこの後どうするつもりだ?」

 

教授の苛立ちを込めた言葉にテレビの男は断言するようにこう答えた

 

「今回の一件と概念殺しの屍人の一件で我ら■■■■■■の制約が大規模な改定が行われると主様から託が来た」

「そうなるとどうなる?」

「我らが動きやすくなり、教授への支援の制約も大幅に軽くなる……奴らに教えてやるつもりだ」

 

テレビの男……アブノーマル:異常放送(イリーガルメディア)は白黒の画面からもはっきり分かるほど目を開いて断言する

 

「彼女らの身柄の代金は決して安くないということを教えてやる」

 

 




今回で今コラボ編は終了です
リアルとの兼ね合いで投稿が上手く行かなったのはちょっとした反省点ですね
もう少し頻繁に投稿できればいいかな?と思いましたね

で、コラボで感じた事としては終始パラデウス側がサンドバックにされているという印象を感じました
NTK氏が開催した以前のスミス奪還作戦コラボの時は、化け物にはバケモノをぶつけるんだよ!!的な対応でチートを相殺していたので目立ちませんでした

ですが、今回はグリフィン側に戦力バランスが偏っていたのとパラデウスの打開策が出オチ同然に潰されたせいで悪い意味でチートが目立ったという印象を感じました


最後にオマケとして、ある輸送機内での会話ログを乗せて締めくくろうと思います

会話ログを再生します


機内で二人の老人が映し出されている

??「どうやら、タリンの戦いはグリフィン側の勝利で終わったようだな」
??「じゃな……蜘蛛列車の討伐依頼さえなければ、ワシらも参戦したというのに……タイミングが悪い」
??「オサム、例の作戦だとブラッディマンが目撃されているとの情報もあるぞ」
??「おかしい……ブラッディマンの遭遇場所は刑務所か住宅地であって戦場に目撃された例はほとんどない」

片方の禿げ頭の老人が首を傾げる

??「奴らの狙うのは主に犯罪者……特に死刑の判決が下されなかった殺人犯ばかりだ」
??「上位者が関わっている可能性があると俺は思うぞ」
??「ワシも同じ意見じゃな」


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死滅回遊:オープニング

皆さん久しぶりです

今回はoldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ!(https://syosetu.org/novel/180532/)主催のコラボ「異常存在撃退作戦」に参加します

後半部で大陸鯖で先行登場しているキャラが登場します


……余談ですが本編時空も一応ちょこちょこと書き進めていますorz



タリンでの大規模作戦が終わって数ヵ月が経った頃

 

俺を含めたBB小隊全員が指揮官に呼ばれて、執務室へ向かうとそこには珍しく気落ちした指揮官が俺達を待っていた

 

「BB小隊全員集まりましたけど……指揮官どうしたんですか?」

「すまん、今回の一件は正直言って非常な危険な任務だ」

「え……そんなにヤバイ相手なんですか?」

 

俺の質問に指揮官が頷くと任務の概要を話し始めた

それを聞いた瞬間、俺達は一瞬で血の気が引いた

 

「皆の聞き間違いでしょうか、例のS13地区を壊滅させたというターミネーターというと戦うって?」

「正確にはターミネーターが狙っているバルカンの護衛だ」

「なんでターミネーターはバルカンさんを狙っているんですか?」

「私が知る訳ないだろう……少なくともバルカンを引き渡せばいいという簡単な話じゃないろう」

 

指揮官の苛立ちを隠しきれていない言葉に俺は何も言い返せなかった。ここまで苛立ちを見せる指揮官は初めて見たからだ

そして、言葉を失った俺に変わってP228が手を上げた。彼女の顔にはどこか憤りのような物がにじみ出ていた

 

「あのウワバミ脳筋トラブルメーカーがらみの厄介事ですか……さすがに峰打ちくらいは受けても文句言えないですよね」

「P228,バルカンの事を怒っちゃだめだよ」

 

彼女の怒気に震えるリーにP228が反論した

 

「リー、バルカンさんは何度スミスさんを困らせるつもりなんですか!!」

「今回はターミネーターから絡んできた案件じゃん。彼女は悪くないよ」

「だったら、地区一つを壊滅させた上に脅迫文をつきつけてまで彼女に固執する理由はなんですか!?」

「落ち着いてよ!!」

 

顔を真っ赤にして怒るP228さんをリーとパラちゃんが落ち着かせようとする一方でMP5Fさんが困惑しつつも指揮官の方を見た

 

「そんな事を言われても……指揮官は奴についての情報はあるの?」

「はっきり言って奴の事を知っている奴が詳しい事を話さないせいでほとんどわからない」

 

指揮官は一呼吸置くと信じられない事を口にした

 

「ただ分かっている事は奴が実質不死身だということだ」

「ふ、不死身!?」

 

指揮官の言葉に全員が唖然とする中で指揮官は半ばあきらめを込めたようにこう言った

 

「奴は不死身なんだ……しかも、地区一つを更地できる力を持っている奴を放置するわけにもいかない」

「つまり、俺達の次の目標は不死身の敵からバルカンさんを護れということですか?」

 

俺の言葉に指揮官はうなずいた

 

「そうだ……これまでの敵は方策さえあれば殺せる敵だったが、今度の敵は正真正銘の竜の血を浴びた不死身のバケモノを相手にしなければいけないという事だ」

「不死身……オマケに竜の血を浴びた?」

「なにかの隠喩かもしれんがな……M16A4は武器庫改の使用を許可する……出撃準備しろ!!」

 

指揮官も何かしらの不安を感じ取ったがすぐに俺達は出撃の準備をすると基地のヘリで作戦領域へ向かった

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

S07地区内で特に鉄血の活動が活発だった区域と居住区の境界線上に存在するS07情報支援基地の執務室内で肩で切りそろえた艶のある黒髪が特徴のグリフィンの制服を着た女性と後方幕僚であるペンギン型人形のワカ、そして、長い茶髪とそばかすが浮かんだ顔、そして、腰に提げたリボルバーのホルスターが印象的な人形が端末の画面を注視していた

端末の画面は黒い人影のシルエットを表示し、端末のスピーカーから壮年の男の声が執務室内に響いた

 

《以上が私から君達S07情報支援基地への依頼だ。人員の選抜に関してはタケミ指揮官に一任する》

「こちらがその指令を拒否するということは?」

《拒否は君の自由だが、それによって今後基地運営や活動に影響が出る可能性を視野に入れる事を忠告しておく》

「事実上拒否権はないということか……どうする、指揮官?」

 

ワカが指揮官と呼んだ黒髪の女性は一息つくとはっきりと言った

 

「分かりましたそちらの依頼をお受けします」

「ちょっちょ、指揮官正気!?」

「そうだぞ、こんな無謀な依頼を受ける必要もないぞ!!」

「私は正気よ、ワカちゃん、M686」

 

指揮官の返答にそばかすの戦術人形――M686とワカが驚くも指揮官――タケミは画面越しの男に一つ質問だ

 

「一応確認しますが私達の部隊だけで任務を遂行する訳じゃないですよね?」

《もちろんだ、少なくともEA小隊とDG小隊のS&W M500は確実に参戦するだろう》

「分かりました。では、もう一つだけ依頼人であるあなたの名前を教えてください」

《それは任務で必要な事かね?》

「はい、少なくとも依頼人の名前ぐらい教えてもらわないと私は人形を派遣しません」

 

タケミの巌とした態度に声の主は数秒間の沈黙の後にタケミ達にこう告げた

 

《……グリフィン。それが君達にS07情報支援基地へターミネーター無力化及び拿捕の任務を命じた者の名だ》

「グリフィン、クルーゼ社長と同格の重要人物じゃないか!!」

《今回の一件はグリフィンの今後を左右する事案だと私は考えている故に専用の装備を君達にすでに送っている……現地で受理sてくれ》

 

グリフィンと名乗った男は「幸運を祈る」と言い残すとそのまま、端末の画面が暗転する

そして、M686は顔を手に当てながら半ばあきらめを込めて言った

 

「また……損な役割と言う奴ね。で……誰を派遣するつもりなの?」

「そうね……悪いけど、M686とコト小隊のみんな達に行って貰うわね」

 

タケミがそう言って、作業机に置かれたボタンを押すと同時に執務室の自動ドアが開いた。

それと同時に四体の人形達が執務室内に倒れこんだ

 

「いった、MPX、ウチの足を踏んでいる!!!機械式の義足でも痛覚は一応あるんだぞ」

「SG553さんごめんんさい。あ、51ちゃんと50ちゃんは大丈夫」

「私は大丈夫……って、51ちゃん重いよ!?」

「ごめん、でもゼロちゃんのいい匂いを堪能したかも……」

 

SG550の上に覆いかぶさる紺色のジャンパースカートを着た茶髪のツインテールの人形――SG551が心地よさげに顔を緩ませる

その側では浅黒い肌と金髪のツインテール、そして両脚が機械式の義足が印象的な戦術人形――SG553が自身の足を踏んでいる青いジャケットを着た黒い長髪の人形――MPXに怒ると彼女は謝りながら、彼女はすぐに身を起こして、SG553から離れる

 

それを見たワカがため息をついた

 

「仕方がないな……タケミ、彼女達だけじゃ不安だから、俺も参加するぞ」

「まだまだねぇ……じゃああんた達、出撃の支度をしなさい

 

そして、タケミ指揮官の試練でS07情報支援基地副官のM686を筆頭に、コト小隊とワカで構成された援軍という名目のターミネーター拿捕部隊は輸送ヘリで作戦地点へ向かう事になった

彼女達にはグリフィンが独自のルートで入手したEMPスタングレネードを各自に配布していた

ワカとSG551には40mmグレネードランチャー用の榴弾、その他の人形達には手榴弾型として数発ずつ支給していた

 

タケミもワカもSG550も依頼主であるグリフィンの真意は




さて、次から向こうの出次第ですね

S07前線基地は素直にバルカンの護衛として参戦します
一方のS07情報支援基地は基地その物よりもグリフィンの意向でターミネーターの拿捕を真の狙いとして渋々参戦にしたという感じですね
一応、戦力の中では基地内最強クラスの副官であるM686と戦闘部隊の中でも一二の実力を持っているSG550が率いるコト小隊を派遣しています




今回の作戦参加戦力

S07前線基地
BB小隊
M14(隊長)
M16A4(武器庫改装備)
リー(Mk16)
AUGパラ(A1仕様)
MP5F
P228(副長兼別動)

S07情報支援基地
ターミネーター拿捕部隊(表向きはバルカン護衛部隊)
HG型M686(S07情報支援基地の副官兼部隊司令官)
使用装備はS&WM686リボルバー、4インチモデルとEMPスタングレネード、コンバットナイフ

コト小隊
SG550
使用装備:SG550(ピカニティレールとスコープ装備)とP228とEMPスタングレネード、コンバットナイフ

SG551
使用装備:SG551(ACOGとグレネードランチャー装備)、P228装備、グレネードランチャー用EMPスタングレネード


SG553
使用装備:SG553(ドットサイト装備)、フォースシールド発生装置、P228、EMPスタングレネード

MPX
使用装備:MPX(標準モデルにドットサイトとサイレンサーを装着)、P228、EMPスタングレネード

ワカ
外部ユニットに、Mk48汎用機関銃一丁、ダネルGMLグレネードランチャー(EMPスタングレネード装填済み)、通信用アンテナを装備している


・EMPスタングレネード
グリフィンが独自のルートでS07情報支援基地に支給した特殊鎮圧兵器
起爆させると強力な閃光と共に高出力のEMPを発生させ、人形を鎮圧する
その威力は鉄血のハイエンドさえ、EMPの効果範囲なら電脳を簡単に焼き切るほどの威力を有している事は実証されてりう

尚、ターミネーターに対して有効か否か定かではない


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死滅回遊1

今回はoldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ!(https://syosetu.org/novel/180532/)主催のコラボ「異常存在撃退作戦」に参加します

さて、今回は開戦、破壊の連鎖(https://syosetu.org/novel/180532/496.html)の前半の開戦直後をBB小隊とコト小隊の視線で描写しています

色々と周回遅れの感がありますがとりあえず補足的な意味でどうぞ


『全部隊に通達する、相手は言葉通りの不死身よ。しかも足止めも意味ないくらいの力を持っている。危険を感じたら独断で仲間と一緒に撤退しても構わない、私もスキマで撤退の援護をするわ。

…通達は終わり、では検討を祈るわ』

 

いつぞやの島で出会ったソフィスという名のとし……いや、妙齢の女性の鼓舞とも忠告と共に取れる通信を俺は第三陣地の設置された防壁の陰で聞ききながら、愛銃のM16A4を強く握り占めた

背中には武器庫改をいつでも展開できるように待機状態にして、俺のダミーと共にターミネーターを待ち受けていた

視線を横にそらすとリーとパラちゃんがダミーと共にそれぞれの愛銃を構えているのが見える。だが、その表情は二人とも強張っている

そして、少し離れた場所ではBB小隊隊長のM14さんとMP5Fさんがダミーと共に

 

「あのオバサンが言う通りに不死身だとしたら……僕達が出来ることはあるのかな?」

「パラも怖いけど、やり方はいろいろあると思うよ」

「確かに、殺す必要がないなら身動きを止めるなり……」

 

二人の会話に頷いた瞬間、S07支援基地で指揮を執っている指揮官から通信を俺の通信モジュールを拾った

 

〈ターミネーターが第一防衛陣地に接近、及び第一陣地の部隊と抗戦を開始した》

『了解、BB小隊のみんなも戦闘用意よ!!』

「「「了解!!」」」

 

指揮官とM14さんの号令が届くと同時に防壁の向こう側から無数の銃声と爆発音、それに別所で展開している火力小隊の者らしき砲声が耳に入りながら俺は防壁の隙間から愛銃を突き出した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「来たぞ、MG部隊RF部隊一斉射撃開始ッッ!鉛玉の雨を浴びせてやれ!!」

 

第一防御陣地内に設置されたトーチカに身を隠したMG部隊とRF部隊による濃密な弾幕がターミネーターに襲い掛かるのと同じタイミングで、第一防御陣地に展開していたS07情報支援基地所属のコト小隊も攻撃を開始していた

 

しかし、こちらの銃弾の雨を苦にしないターミネーターを前に、SG551とSG553は悲鳴を上げた

 

「ゼロッチ、全然効いていないぞ!!!!」

「50ちゃん、こっちに近づいているよ!!!」

「ダミーと共に弾幕で足止めを続けて、もうすぐ火力小隊が攻撃を始めるから!!」

「そうですわ……距離と風向きを計算完了、50ちゃんにデータを送るわ」

 

SG551達より若干後方で二脚を展開した愛銃でターミネーターを狙うSG550が狼狽える二人を落ち着かせる

その隣でMPXが観測手となり、ターミネーターとの距離を計測するとそれを狙撃手である彼女に伝える

それを元にSG550がスコープにターミネーターの姿を狙撃を試みるもターミネーターにその弾丸は彼女の頭部に命中するも貫通することなく、ただ彼女の頭部を揺らすだけだった

SG550の狙撃を受けた直後に、追撃をかけんとばかりに砲撃陣地に展開する火力小隊の重火器が火を噴く

しかし、火力小隊の砲撃がターミネーターに着弾するも周囲に焼け跡と倒木を作るだけだった

 

周囲に断続的な発砲音や爆音が響く中で平然とするターミネーターをスコープごしに見たSG550が顔をしかめる

次の瞬間、ターミネーターが周囲の倒木を逆崩壊技術で手榴弾のようなモノに変えたのを見た瞬間、彼女は恐ろしいモノを感じ、ライフルを再び構える

そして、ターミネーターが持つ手榴弾を弾き飛ばそうと照準を向ける

それを見たコト小隊の面々が驚愕の表情を隠せんなかった

 

「どうした、ゼロッチ!?」

「50ちゃん!?」

「みんな、ターミネーターが倒木を手榴弾に……なにを!?」

「MPX、ちょっと静かにして!!」

 

MPXの焦りの声を抑えたSG550が愛銃の引き金を引こうとした瞬間、ターミネーターは其れよりも先に手榴弾のピンを抜き、適当な場所へ投擲する

 

ターミネータ―は手榴弾を投擲すると同時にソフィスの通信が彼女達の電脳が響いた

 

『なんてモン使ってんのよアイツ!!、貴方達!第一〜二防衛陣地の部隊は全員第三防衛陣地までスキマで撤退させるわよ!』

「「「「キャアアアアア!?」」」」

 

ソフィスの叫びと共にSG550達は突如落下する感覚と共に視点が一瞬だけ暗転した

それから、数秒後には彼女達の身体はナニカにぶつかる感覚が走った

「いたたたた、ここは……第三防御陣地って!?」

「みょ~ん」

「ご、ごめんなさい!!」

 

SG550が起きが上がると彼女の足元にP228を踏みつけていた事に気づき、慌ててP228から足を退けた

一方のP228も起き上がると目の前にSG550が立っているコトに驚きを隠せなかった

 

「みょーん!?SG550さんが……というか、コト小隊の皆さんが!?」

「何が起こったのか、ターミーネータが何かを……」

 

SG550が首を傾げた瞬間、ソフィスの緊迫した叫びが通信に乗って第三陣地にいた全員に響いた

 

『防御結界起動!第三防衛陣地にいる者は衝撃に備えて!!』

「「え?」」

 

彼女の叫びが聞こえるのと同時に防衛陣地に半透明の障壁が展開され、その直後に強烈な爆風と轟音が炸裂し、障壁を大きく揺らした

そして、第三防衛陣地内にいた全員が衝撃で揺れる地面に立って入れず、SG550達やBB小隊を含めた大半が地面に伏せていた

爆炎が収まり、陣地内にいた者達が顔を上げた瞬間、そこに唖然とする光景が見えた

 

爆風の中をゆっくりと無傷で進むターミネーターの姿がそこにあった

そして、ソレを見て唖然とするP228とSg550の通信モジュールにソフィスとサクラ、ワカと共に後方で待機しているM686の通信を受信し、各々の電脳内に響いていた

 

『アイツ、相互起爆手榴弾まで持ち出すなんてね…。すまないけど説明してる暇は無いわ。死にたく無ければ命大事に戦いなさい!電子攻撃の準備終わるまで時間を稼ぎなさい!』

≪不死身というのいうは本当らしいな……BB小隊、大丈夫か?≫

≪コト小隊は皆第三陣地内で反応を確認できたけど、戦える?≫

 

「「…………」」

 

それぞれの問いかけにターミネーターの威圧感に圧倒されたP228とSG550は答える事ができなかった




おまけ
ターミネーターと開戦直後のワカとM686が担当している電信通信設備に記録されている通信ログの一部抜粋

指揮官A『神様、仏さま、シラオキ様、俺のラムをお助けを!!!』
指揮官B『SIG556、お兄様の声が聞こえるなら答えてくれ!!』
指揮官C『俺のウージーはどうなったんだ。帰ったら一緒にメロンパフェを食べようと約束していたんだ!?』
ワカ「クソ、第一、第二防衛陣地に展開している人形の安否確認の問い合わせで通信が混乱しているせいで、肝心な戦況が分からないぞ」
M686「とりあえず、信号を確認して安否を伝えないとナデシコにも協力を……え?」
ワカ「M686,今度は何が起きた!?」
M686「例の依頼者(グリフィン)からの連絡で例のELID(蛮族の事)が作戦領域に向かって移動を始めたって」
ワカ「……なんだと」


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死滅回遊:2

今回はoldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ!(https://syosetu.org/novel/180532/)主催のコラボ「異常存在撃退作戦」に参加します
以下の話を前提しています

https://syosetu.org/novel/180532/497.html
https://syosetu.org/novel/190134/157.html

今回は結構短いです


『全部隊に通告する!電子攻撃でターミネーターの演算能力を1/10以下に出来たわ!持って10分くらい、この間はレーザー系やエネルギー系の攻撃も通る筈よ!私を認知症呼ばわりした奴を全力でぶちのめしなさい!以上よ!』

 

ソフィスの通信を第四防衛陣地より後方に位置に存在する臨時通信施設で流れるように変わる端末画面の表記と各前線基地から錯綜する通信を捌きながら聞いたワカとM686は怒りをあらわにした

 

「ずいぶんと勝手な事を言ってくれるな!!」

「全くだ……退避させるために無断で転移されるとは後方の位置確認も大変のなのよ」

「全く……あぁ、そちらの人形達は全員無事で、今アウレールの指揮下の元で第四陣地で戦闘を続行している」

 

一人と一体はソフィスに怒りをぶつける暇もなく指揮官からの通信に答えつつ、戦況を表示する端末を注視していた

無論、二人が怒りをぶつけたいソフィスは姿を見せることなく、ワカ達は後方で各地の前線基地からの指揮官や本社に戦況を逐一報告していた

 

そして戦場ではBB小隊とコト小隊が先行するDG小隊やランページゴーストを掩護するべく他の人形と共にターミネーターに対して援護射撃を行っていた

しかし、ターミネーターも電子攻撃をモノともせずにBB小隊の掩護射撃やSG550の狙撃を紙一重に躱して、弾幕を展開するなどして一進一退の攻防を繰り広げていた

 

「皆、このまま攻撃を続行して……今なら攻撃が利くチャンスよ!!」

「了解、コト小隊もBB小隊と共に前線で戦うDG小隊の援護を続行します!!」

「ええい、そんな弾丸で私を殺せると思う……ちぃ」

「くそ、弾幕射撃で動きを制限できれば当たると思ったが……黒い装甲もふざけた硬さですね!!!」

 

M16A4が悪態をつきながら、武器庫の次弾を発射するべくエネルギーをチャージを行おうとした瞬間、彼の眼前でとんでもない光景が目に入った

 

「ターミネーター!!」

 

それはターミネーターの名を呼びながら自らのこめかみに愛銃を銃口を突きつけるスミスの姿でその場にいた全員が驚愕した

 

「スミスさん、何を!?」

「正気ですかスミスさん!?」

「やめて!?」

「おいおい、どうしちまっただよ!?」

『はぁ、あんた一体どうしちまったのよ!?』

『メンタルモデルをハックされたか、スミスを止めろ!!!』

「了解」

 

現場のM16A4、P228,SG550,SG553と中継映像ごしに目撃たM686とサクラの悲鳴や呼びかけを無視して、スミスは愛銃の引き金を引こうとする

それを止めようとM16A4が駆け寄るも間に合わず、戦場に一発の銃声が鳴り響いた

だが、放たれた銃弾はスミスの頭を撃ちぬくことはなく、スミスの身体はM16A4とは別人に押し倒されたせいであらぬ方向へ発射された

そして、スミスを助けた者の正体に戦場にいた全員が唖然とした

 

「スミスさ……え?」

『はい?』

「みょ!?」

「どうなっているの!?」

 

彼らの視線の先には、スミスに覆いかぶさるターミネーターがあった。

そして、その時の彼女は先ほどの立ち振る舞いから想像もつかないヘルメットで見えないがあきらかに嘆き悲しんでいるようであった

 

「やめてよ…!また、いなくなろうとしないでよ……!」

 

嘆くターミネーターに対して戸惑いを隠せないM16A4達を背にスミスは優しく話しかけた

 

「ゴメンな…俺がお前を攻撃できないことや、動きのクセから何となくわかってたんだが、確証が欲しくてな…でも、今のでハッキリした。………お前、バルカンなんだろ?」

「「「「「「えええええええええええ!?」」」」」」」

『は……?』

『どういうことよ、これ?』

『どういうことだ?』

 

スミスの言葉にM16A4達は驚きを隠せず、通信越しに状況を把握したワカとM686、サクラは状況を飲み込むことができなかった

しかし、サクラだけはすぐに状況を把握すると怒気込めた声色で呟いた

 

『ソフィス……アイツはこの事をしっていたのか?』




当初の想定では、このままうちの子達も切り込む予定でしたが、スミスのファインプレーで予定が大幅に狂いましたorz


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死滅回遊:FIN

今回はoldsnake氏の破壊の嵐を巻き起こせ!(https://syosetu.org/novel/180532/)主催のコラボ「異常存在撃退作戦」に参加します

今回は後日談編です
ちょっと簡潔かつ短めになっています

以下の話を参考にしています
https://syosetu.org/novel/180532/501.html


バルカン護衛作戦から数日後

 

 

S07前線基地地下1階喫茶スペースのテーブルに座りながら俺とM14さんは徒労感で疲れた体を休ませていた

これは近いうちに義体のオーバーホールを受けた方がいいかもしれんな

 

「一体俺達……なんのために命がけで戦ったんだろう」

「皆だって、分かりませんよ……ここまで命がけでたたかってきたのに、あんな終わり方だなんて」

 

俺は力が抜ける感覚を感じながら、隣に目をやると半ば疲れた目をしながらコーヒーを啜っていた。

俺も手元のサイダーを口の中に流し込みながら、あの時の戦いの事を思い出していた

そう……ターミネーターの正体が未来のバルカンさんであったことが判明した跡の事を……

 

――――――――――――――――

 

バルカン護衛戦当日第四陣地内にて

 

 

ついさきほどまで俺達にとって脅威であったターミネーターがスミスさんの前で子供のように泣きだす姿に俺達は困惑していた

コト小隊のSG550達も俺達のすぐ近くで銃口を彼女に向けつつも正直どうしたらいいのか分からないのだろうか、困惑していた

 

「ねぇ……あれどうしましょう?」

「どうするって……完全に空気に糖分が含んだような状態よね?」

「う~ん」

 

俺がターミネーターがスミスに泣きつく様子を指差すとMP5Fさんが両手をあげた

その隣でリーが首を傾げていた

 

「リー?」

「もしかして、あのおばさんはターミネーターが未来のバルカンだと知らなかったのかな?」

 

リーの呟きをみみにしたのだろうSG553さんがリーの方に振り向いた

 

「どうして、そう思うだよ?」

「だってさ……最初からターミネーターの正体がバルカンだと知っていたら、スミスに交渉させることを提案したんじゃない?」

「確かにスミスさんの説得すれば、ターミネーターをと、止められたのかもしれませんね」

「確かにな……だとしたら、あたしたちの備えはなんだっただろうね?」

 

リーの推測にP228が苦々しいものかみつぶしたように呟く傍らで、SG553さんが大きいなため息をついた

それをみた俺達も体から緊張が抜けるのを感じた

 

(たしかに、ターミネーターが別のバルカンさんだと知っていたら、こんな大げさな備えはいらなかったかもしれませんね……けど)

 

スミスさんとバルカンさんがどういう仲か知っていた俺は、リーの推測に若干の疑問を感じつつもナニカがひっかていた

普通に考えてみれば、あのオバサンが見かけ以上にボケて……いや、調査を怠っていたということだが、あそこまで綿密に作戦を練っていた彼女がそんなポカをするとは思えないのだが……

 

だが、そんなことを考える余裕は突如入った指揮官からの緊急通信で一気になくなってしまった

 

『お前ら、緊急事態だ……バルカンの奴がソフィスに攫われた!!』

「え!?」

「バルカンの居場所は分かっているのですか!?」

「状況しだいじゃバルカンが危険よ」

 

M14さんとSG550さんは突如の自体に混乱せずに状況を指揮官達から確認する

それを見たやSG551さんもバルカンさんを助けにいくために武装のチェックを始めていた…………

 

まぁ……結局バルカンさんと蛮族が戦っていたリ、その最中で彼女覚醒したりやスミスさんがソフィスを実質取り押さえたらしい

そして、俺達が向かった頃にはすべてが終わっていた後だったが……

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

あの時の回想から現実に戻ると俺は他のBB小隊のメンバーの事が気になった

「M14さん……他の皆はどうしているんですか」

「パラちゃんとMP5Fさんはメメントス街への警備、リーはS07情報支援基地のコト小隊と共に回収任務よ」

「ふーん、P228さんは?」

「ジル主任の付き添いでIOPですよ」

 

M14さんの投げやりな回答を聞いた瞬間、なんとなくだが嫌なモノを感じた

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

IOP本社ロビーのベンチでP228とジル主任はお互いに缶コーヒーを手に座っていた

そして、二人はロビーを行き交う人や人形を見ながら、防衛戦について語り合っていた

 

「それでソフィスにいいように動かされた事を知った指揮官はひどく不機嫌で「いい度胸だ、次にあったら覚悟しておけ!!」と怒鳴るほどでした」

「それは災難だったホーね」

 

ジルは訛りが強い口調で相槌を打つと被っていたマスクを少し上げて口を露出させ、缶コーヒーを一口飲んだ

 

「まぁ、今回の一件はホーにとっても大きな教訓を得たホー」

「それは一体なんですか?」

 

P228の質問にジルは一息つくと半ば皮肉るようにこう言った

 

「自分で見つけて、完全に理解できないモノ以外を完全に信用するなと言う事だホー」

「確かに、今回の一件は完全にソフィスにしてやられたモノですから……」

 

P228もどこか悔し気に顔を歪めるのを見て、ジルは彼女に優しく声を掛けた

 

「まぁ、結果的に大した被害が出なくてよかったホー……」

 

そして、どこか遠くみるかもしくは誰かに話しかけるようにこう言った

 

「どっちにしろ、バルカンが自分の銃から逃げているようじゃターミネーターと似たり寄ったりの末路を辿るかもしれないホー」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

S07情報支援基地司令部では、タケミ指揮官は姿を見せない依頼人であるグリフィンの声に緊張した表情で通信機のモニターを注視ししていた

モニターにはグリフィンの姿は映し出されず、ただ「音声のみ」の文字だけが彼女とグリフィンの立場の差を明確に示していた

 

『今回のターミネーターの拿捕及び護送任務、ご苦労』

「いえ‥…結果的にターミネーター拿捕に貢献したのはDG小隊のスミスです」

「S&WM500のことか、こちら側の損害が少ない状態でで拿捕できた彼の活躍素晴らしい事だ……」

(やはり、この人は……)

 

グリフィンが淡々と語るのを見たタケミはある一つの疑念が心の中から湧いてきた

 

「さて……報酬はこちらから振り込ませてもらうが何か気になる事があるのかね?」

「拿捕したターミネーターはどうなっていますか?」

『君達が知る必要はない……通信は以上だ』

 

タケミの疑問にグリフィンは一切も答えずに通信を切るとそれを見たタケミは納得したように小さく呟いた

 

「やはり、あなたにとってグリフィン(私達)は切り捨てても構わない存在ということね」




今回で、死滅回遊編は終了です

まぁ、色々とリアルであったために投稿が遅れました


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霧中探査:プロローグ

試作強化型アサルト氏の危険指定存在徘徊中とのコラボ企画に参加しました

今回はプロローグ、M16A4達はとあるビルでアラマキ元指揮官と合流する予定でしたが……なにやら問題があるようで


S07地区某所、繁華街

 

あのカオスとしか言いようがなかったターミネーターとの攻防から数か月後がった頃

俺はBB小隊副長のP228さん、S0小隊のSDMR、そしてS07前線基地の車両運用や警備を担当するAZ小隊かつG01前線基地から一緒だったM3さんと共にG&K社所有の雑居ビルの一室で俺達が良く知るある人物を待っていた

 

俺が部屋に掛けられている時計を見ると待ち合わせの時刻まで5分を切っていた

あの人ならもう少し早くにここに到着しそうなのだが

 

「……もうすぐ時間ですが、遅いですね」

「確かに、なにかあったのでしょうか?」

 

俺とM3さんが彼の到着が遅い事に疑問を感じていると室内にドアをノックする音が室内に響いた

すると誰よりも先にP228さんが先に扉の方へ向かった

 

「あ、来たようですね……私が開けてきます」

 

「今、開けますよ」と言いながら彼女がドアを開けると別人だが、俺の知っている人物(?)の声と共に見知った顔の集団が目に入った

 

「あら……P228に、M16A4、前の作戦以来じゃない」

「私がお前と顔を合わせるのは久しぶりと言いたいが、爺さんはいないようだな」

「おかしいな? ここにアラマキ氏と待ち合わせをする予定だったんだが……」

 

そこにいたのはS07情報支援基地の後方幕僚兼火力支援担当のペンギン型自律人形のワカ、副官のM686、そして彼女の相方とも言えるパイソンさんだった

ワカさん達とは過去に何度か共闘した仲で特にワカさんとはSG550さんを始めとしたコト小隊の皆さんと共に共闘することが多かった

 

「ワカさん、M686さんにパイソンさん、お久しぶりですね!!」

「久しぶりだが……彼はまだきていないのか?」

 

ワカさんは室内を見渡すと本来いるはずのはアラマキ元指揮官の姿が無い事に疑問を感じているようだった

それを見て、俺も頷くとP228さんが俺達の話に割り込んできた

 

「確かにおかしいですよね……時間に遅れるなんてありえないですし」

「た、確かに……やはり、何かあったのでしょうか?」

 

P228さんが壁の時計に目をやり、俺も釣られてみるとすでに待ち合わせの時間を過ぎている……やはり、何かあったのではないか?

俺がそう考えているとパイソンさんが楽天的な口調でこう言った

 

「まぁ……爺さんが来るまで、部屋のソファーでくつろぎながら待とうじゃないか」

「そうだな……アラマキ元指揮官が来るまで待つか」

「それもそうね」

 

パイソンさんの提案にワカさんとM686さんも同意すると部屋に置かれたソファに腰を掛けた

ワカさんは元々ペンギン型ゆえに短足なので足が地面から離れている

そして、俺達もソファに座るとアラマキ元指揮官が来るまで今回の任務について話し始めた

そう……俺達に課された万能者救出任務についてそれぞれの考えを出し合うために

 

 

「万能者がいる場所って所謂未踏査区画の近くにある廃工場群だよね?」

「簡単に言えば、第三次世界大戦後に発見された所謂ブラックゾーンの中でも常に深い霧と詳細が不明な場所の一つだな」

「どうしてそんな場所に彼は行ったのでしょうか?」

 

未踏査区画の事を知らないSDMRに教えるワカさんにMさんが質問をぶつけると彼は両翼を絡ませて、考え始めた

 

「確かにな……万能者があそこに行く動機が思いつかんな」

「単純なことじゃないか、そこに万能者が狙う獲物がいたからさ」

 

突然、パイソンさんが口にキャンディを煙草代わりに加えながら話し始めた

 

「そこに万能者の御眼鏡にかなう獲物かお宝の気配を感じて、一狩りでたんだろうな」

「でも、そこで緊急信号を出しちゃったら、かっこ悪いけどね」

 

パイソンさんの持論にM686さんが皮肉を言うのをみた俺は小さく息を吐いた

 

「万能者はどこまで……うん?」

 

俺の言葉を遮るように突如ドアをノックする音が聞こえたかと思いきや、俺達にとって聞き覚えのある声がドア越しに聞こえてきた

 

「ワシじゃ……アラマキじゃ、車がエンストを起こして到着が遅れた」

「あ、アラマキさんだ……今、開けます!!」

「待って!!」

 

SDMRが開けようとした瞬間、M686さんが彼女の腕を掴んで彼女を止めた

 

「どうしたの?」

「何かおかしいわ……A4、あなたが開けて!」

 

M686さんが深刻そうな表情で静かに腰のホルスターからリボルバーを引き抜いた

パイソンさんんも何かを察したのか、彼女の愛銃でもあるリボルバーを抜くのを見て、嫌な予感を感じた

そして、俺は無言で頷くと恐る恐るドアに近づき、ドアノブに手をかけた

 

「元指揮官、今開けますよ」

「すまんな……早く万能者回収任務についてのブリーフィングを始めよう」

「!?」

 

アラマキいや、アラマキ元指揮官を名乗るナニカの声を聴いた瞬間、背筋に悪寒が走り、後ろへのけぞった

その瞬間、ドアをすり抜けるように黒いスーツを着たナニカが姿を現すと手にしたナイフを片手に俺に飛びかかってきた

ソイツの頭はまるで書類を人の頭部状に固めたような外見で一目でかつて遭遇した存在と同種であると理解した

 

「この……バケモノが!!」

 

俺はとっさに横に転がって、ナニカのナイフを避けると腰からサイドアームの拳銃を引き抜き、数発発砲した

俺に合わせるようにM686さんや他の皆も丸をバケモノに叩き着こむ

銃弾を受けてバケモノは怯んだのか、分が悪いと判断したのかドアの奥へとすり抜けて行った

それを逃がすまいとM3さんが愛銃のM3サブマシンガンを構える

 

「逃がしませんよ!!」

「待て、M3!!!!」

 

M3さんが引き金を引こうとした瞬間、ワカが彼女を静止した瞬間……

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

 

バケモノの絶叫らしき声が響き渡った

俺達は壁に置いていた愛銃(重機が持てないワカさんを除いては)を手にして、部屋の外に飛び出た

 

そこには、人型二黒焦げになった壁を睨み付け、斧を両手で握り持つアラマキ元指揮官の姿が見えた

そして、俺達に気づいたアラマキ元指揮官は俺達の方を向くと申し訳なさそうにこういった

 

「すまんな……アブノーマルの襲撃を受けて来るのが遅くなった!!」

「アラマキ指揮官、大丈夫ですか!?」

「あの程度の奴に遅れをとるほど……衰えていないよ」

 

アラマキ元指揮官は静かに笑うと一変して、真剣な表情で俺達に向かってこう言った

 

「さて、予定を変更してこのままグリフィンのヘリポートに向かうぞ」

「了解!!!」

 

 

Containment Prevention!!! Containment Prevention!!!
 

張り子の社畜(ペーパー・スレイブ)の収容違反を阻止しました

 Containment Prevention!!! Containment Prevention!!! 




はい……さっそく、アブノーマルのカチコミを受けました
とはいえ、ぶっちゃけ今回の刺客、ペーパースレイブは雑魚も雑魚の存在です
むしろ、雑用とかで力を発揮できるタイプなので、アラマキからすれば雑魚以外でもありませんでした

次から本番のミッション開始です


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霧中探査:1

試作強化型アサルト氏の危険指定存在徘徊中とのコラボ企画に参加しました
最初の任務開始ですが、別の勢力も動き出したようです

今回は以下の話を参考にしています

https://syosetu.org/novel/190378/186.html
https://syosetu.org/novel/242317/34.html



作戦開始から約1時間半が経過した頃

 

俺達S07前線基地とS07情報支援基地との合同チームが他の捜索隊と共に森林山岳地帯の中にある砕石所……万能者が発信している場所へ向かっていた

道中は高低差がある上に濃霧で視界が悪い……P228さんやM686さんのようなHG型戦術人形がいなかれば、逆にこちらが遭難しそうなぐらいであった

 

そんな中でパイソンさんとM686さんを偵察も兼ねて先行させ、その後をM3さんとP228を前衛、M2重機関銃とセンサーユニットを装着した戦闘用外部ユニットを装着したワカさんを後衛という隊形で進軍している最中、さっそく濃霧に紛れて迫撃砲による爆撃の晒されていた

 

「きゃああ!?」

「迫撃砲?」

「とにかく、遮蔽物に一度身を隠せ!!」

 

アラマキ元指揮官あらため、アラマキ隊長の指示で俺達はは道の凹み等のに身を隠した

砲撃は数分間俺達の周囲に爆音を響かせ爆炎と土埃を舞い上げていた

 

だが、俺達は砲撃が着弾とほぼ同時には身を隠せたために全員がダミーに多少の損傷を追うだけで済んだ

そして、砲撃をやむとアラマキ隊長は懐から探査用スコープを取り出し、スコープ越しに周囲の状況を確認した

 

「ふむ、とりあえずこの霧で詳細な位置まで分からないが……着弾音の方向からしてここ以外にも砲撃を加えているようじゃな」

「ホントだ……でも、闇雲に撃っているという訳でもないみたい」

 

アラマキ隊長とSDMRが言う通りここから離れた所からも着弾音が聞こえるが……音の方向からしてこことは別のポイントを集中砲撃しているようだ

それを聞いたM3さんが首を傾げた

 

「方向からして、P228さん達が向かった方向とは別ですよ」

「それが気になる……着弾音が聞こえる方向にグリフィンの捜索隊は展開していないはずだ。第三勢力だとすれば、面倒なことになる」

 

M3さんの疑問にアラマキ隊長も考え始めたその時、前方の方からM686さん達が戻ってきた

 

「ちょっとあんた達大丈夫、着弾音が聞こえたから戻ってきたけど……自動迫撃砲で設置されていたの?」

「分からん……そっちはどうだ?」

 

アラマキ隊長の質問にパイソンさんは首を横に振った

 

「案の定、爺さんの予想通りこの先にはワイヤートラップや地雷がわんさか仕掛けられていたよ」

「ふむ……嫌な予感がしたから二人を偵察に向かわせたが正解だったな」

 

彼が頷くと俺の側にいたワカさんが顔をしかめた

 

「では、この後どうするつもりだ?」

「このまま突っ切るにしても迫撃砲の砲撃に晒されたままでは、回収用のヘリも危険にさらされる……深追いしすぎない程度に砲撃陣地を黙らせよう」

 

アラマキ隊長が決断するや否や俺達に同行していた支援者……量産型万能者の一体が声を上げた

 

《砲撃ノ発射音ト砲弾ノ落下時間ヲ探知及ビ計算完了、コレヨリ重装1・2ハ迫撃砲陣地ト思ワレル地点ニ向カウ、同行シタイ者ハツイテ来イ》

「どうやら向こうも迫撃砲を無力化する方針のようだな……了解したS07合同チームも同行する」

 

彼はそういうと手にしたM14を構え直すと移動を開始した支援者に声をかけた

 

そして、支援者が探知した方向へ向かった俺達を待っていたのはいつぞのフードマント集団……のpawn replicaに似たナニカだった

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

グリフィン捜索隊とは別にpawn replicaによる迫撃砲に砲撃に晒された地点の中心にいたソレは伏せていた体を起こすと手にしていた長銃身の自動式スナイパーライフルを構える

それの身体には迫撃砲による外傷がいくつもデキていたが、それもほんの数秒のうちに殆ど治癒してしまった

 

「表層に浮上してから数分で砲撃に晒されたのは想定外であったが……行動に狂いはない」

 

そう呟くソレの姿は一言で言うなら各所に鎧のように緑色の甲羅を纏った全長2mの灰色の四本脚の人狼であった

下半身には、サブウェポンらしきサブマシンガンとそれらの予備弾倉をいくつも提げ、頭部の中心……眉間に当たる部分に狙撃用スコープが突き出していた

 

そして、ソレの瞳が地面に視線を投げると地面から浮上するように5台の4足歩行の小型戦車とも言える機械が姿を現した

それらは機体上部にレーザー砲と重機関銃を一つにしたような銃器と大きな箱を乗せ、それらの銃器はソレ……アブノーマルの視線の方向に銃口を向けていた

 

「ターレット・ビーストはマウス展開と同時に行動開始……1号から3号は妨害勢力へ攻撃、残りの3番から5番は対象の捜索を優先」

 

アブノーマルの指令が下ると同時にターレット・ビーストと呼ばれた四脚戦車は後方の箱を開いた

するとそこからそれぞれの箱からさまざな銃器や対戦車砲を背負った多数の5cm程の兵士の装束を着たネズミのフィギュア達が飛び出るとそれぞれ森の中へと姿を消す

ターレット・ビーストも箱を閉じるとネズミを追っていくように森の中へ入っていく

 

それと同時にアブノーマルが手にしたライフルのスコープを覗き、スコープに映る陣地変換を行うと移動し始めるpawn replicaの一体に照準を向ける

そして、くぐもった発射音と共に薄緑色の弾丸が二発連続に発射され、木々の間を縫うような弾道を描きながらpawn replicaに迫る

 

そして、弾丸はそのままpawn replicaの背部のバックパックや腹部にに着弾、pawn replicaが痙攣をすると同時に着弾箇所が急速に緑色に腐食し始める

そして、着弾から数秒後に腐食が全身に及ぶとそのまま、崩れ落ちて錆と塵、砂の山へと変えってしまった

 

アブノーマルはさらに周囲に展開する下級兵使用のpawn replica数体を狙撃、錆と塵、砂の山に変えるとその場を移動した

 

一方の散開したターレット・ビーストの一機は周囲に展開したマウスの兵隊、約60匹(内10匹は対戦車砲装備)が左右の木々の上に陣取り、濃霧と倒木に紛れて、砲塔のレーザー銃と重機関銃をターレットビーストも体勢を低くする

そして、照準を正面から接近するアウレール達、その中でもに多様な鉄血製武器で破壊するウォーモンガーに向け、発射

 

銃口から照射された高出力レーザーが彼女の左手に保持するキメラウェポンの銃身を両断すると同時に木々に隠れたネズミ達が各々銃器や対戦車火器を発射し、彼女の左腕やに多数の細かい穴や左わき腹や太ももに硬貨状に抉った

 

「ぐぅ、伏兵か!?」

「突出するからだ……くそ」

 

左腕を抑えるウォーモンガーを諫めるもその隙を狙うネズミ達の銃撃を躱すと手にしたアサルトライフルで発射元の木々に掃射するも元から小さなネズミ達はすばしっこく、全弾を躱すとすぐに発砲、それを援護するようにターレット・ビーストも重機関銃で掃射を加える

 

 

それと同じ頃、森林地帯の各所では別のターレット・ビーストとネズミ達が各々に課された指示を全うしようと行動していた

ある個体は木々や高低差を利用して、身を隠し待ち伏せし、ある個体はネズミ達と共に砕石所へ侵攻する

 

そして、それらを指揮するアブノーマルは別の場所に移動を終え、伏せ射ちの体勢をとるとスコープを覗いていた

狙撃スコープに映る支援者に同行するアラマキ元指揮官の姿を……

 

 

Emergency!!! Containment breach!!!!

 

異常存在:猟犬の狩人(アブノーマル・ハウンドハンター)による収容違反が観測されました

異常存在器具:砲塔獣(アブノーマル・ターレット・ビースト)の稼働が観測されました

 

Emergency!!! Containment breach!!!!




はい、今回もアブノーマルが色々と妨害を加えてきます
とはいえ、今回は積極的に敵対するという訳ではありません
彼らの狙いは、万能者を拉致すること
なので、戦況しだいでは状況が悪化すると明言しておきます

後、ターレット・ビーストとネズミ達はアウレール達が戦っている個体をのぞけば、砕石所のルート上で待ち伏せするのが二機、砕石所へ移動する個体が二体ずつそんざいします

そして、統括であるハウンドハンターの腐食弾は大型ライフルしか使えませんが、弾道誘導能力はサブマシンガンでも使用できます

そして、ハウンドハンターの現在の狙いは支援者と同行するアラマキ元指揮官率達です


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霧中探査:2

試作強化型アサルト氏の危険指定存在徘徊中とのコラボ企画に参加しました
ちょっと遅れました……

以下参照した話です
https://syosetu.org/novel/190378/188.html


試験者の狙撃仕様機の一体が敵を発見するや狙撃体勢を取り、霧の奥にいる敵に狙撃を試みる様子を目に背後から俺達は衝撃を受けた

以前の大規模作戦でもその活躍する様子を見てきたが、すぐ近くで見たのは初めてだった

 

「やったか?」

《否、敵の主兵装らしき大型銃器に軽度の損傷を与えたのみ、また別勢力の狙撃により、狙撃ポイントを変えたと推測》

 

試験者の一体が答えるとアラマキ隊長はすぐに判断を下した

 

「了解、M686とパイソンは先行し、狙撃手を探れ!!」

「分かったわ」

「残りはワシと共に、試験者と同行しつつ、伏兵を排除しつつ!!」

「はい、了解しました」

「じゃあ、私達は一足先に行かせてもらうわ」

 

俺達が頷くとM686さんとパイソンさんは一足先に進むのを見送ってから俺も迫撃砲陣地へ急行することになった

その道中でポーンモドキどもと交戦になるも試験者の掩護もあって、大規模作戦のような一方的に守勢に回らざる得ない状況になることもなく、互角に渡り合っていた

それでもこちら側も主に弾薬の消費はこちら側の想定よりも激しくなってきた

 

「まずいぞ、このままだと目的地に到着する前に弾がなくなるぞ」

「ソレは分かりますけど、この敵を無視することもできませんよ!!」

 

ワカさんとM3さんの悲鳴を後ろから耳に入りながら、俺は接近してきたポーンの一体の装甲の隙間に銃剣を突き刺すと同時に銃弾を叩き込む

そして、敵が動けなくなったのを確認してから銃剣を引き抜いた瞬間、協力者であるS13地区の支援AIであるLAFIさんから通信から緊急通信が入った

 

「S13、LAFIより参加全部隊に緊急通達!!直ちに迫撃砲部隊への偵察及び攻撃を中止、撤退してください!!こちらの切り札が暴走しています!!」

「なんじゃと!?」

「え!?」

「みょん!?」

「それって、ここで使うの!?」

 

その言葉に俺達S07合同チームは衝撃を受けた

S13地区の前線基地でヤバイモノが作られているとは聞いているが……ここでソレが出てくるのは想定外だった。

 

通信と同時に支援者がそれぞれの兵装を乱れ撃ち同然に乱射しはじめ、目の前のポーンモドキを牽制し始めていた

 

(切り札が暴走って……どんなヤバイ兵器ですか!?)

突然の事に驚く俺達……いや、SDMRだけが期待するように目を輝かせていた

 

「もしかして、衛生砲とかでてくるのかな!?」

「バカな事を言っている暇があるなら、試験者が援護射撃をしている間にたいひするぞ!!」

「俺も援護する……急げ!!!」

 

ワカさんが試験者に混ざってM2重機関銃を斉射しするのと同時に俺達は先行していたM686さん達と途中で合流しつつ、出来る限り遠くまで撤退する

 

そして、撤退してから数分後に嵐のごとき轟音が響いた後に俺が見た物は竜巻が吹き荒れたかと錯覚するほどの荒地となった光景だった

その光景に目に俺達は背筋がゾッとした

 

「うわぁぁぁ……」

「これは……ちょっと想定外だったよ」

 

俺達が言葉を失っている側でM686さんとワカさんは渋い顔をしていた

 

「S13地区の指揮官は任務の目的をちゃんと理解しているのかしら?」

「少なくともこんなオーバースペック兵器を用意していたのは結果的にこちらにとって得にはなったな」

「確かに……これで万能者の救助を妨げる奴らは一気にくたばったな」

 

ワカさんが皮肉げに言い捨てるのを聞ききながら、反対側をむくと目の前惨状に青ざめるM3さんとP228さんの後ろで周囲を異常に警戒するアラマキ隊長の姿が目に映った

 

「奴はどこにいる……どこだ?」

「隊長?どうしました」

「M16A4、いや総員、例の狙撃手や自動砲台を警戒しつつ先を進むぞ」

「狙撃手って、さきほど試験者が迎撃した?」

 

アラマキ隊長が頷くとP228さんがこう切り出した

 

「待ってください、自動砲台はともかく、試験者さんの情報からしてその狙撃手の移動方向と距離からして、あの攻撃から逃げきれるはずがありませんよ!!」

「そうだぞ……アラマキ、いくらなんでも警戒しすぎだぞ」

 

P228さんの反論にワカさんも同調するがアラマキ隊長ははっきりと言い切った

「アブノーマルを相手にズルや不正(チート)が必ず通用するとは限らない……急ぐぞ」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

M16A4達が退避してから数分後

 

周囲の木々を薙ぎ払い、弾道上のあらゆるモノを蹂躙しつくす砲撃がハウンドハンターに迫る中でソレは一切の恐怖を感じていなかった

それどころか好機と言わんばかりに不気味に笑っていた

 

「迎撃に回したターレット・ビースト三機とも撃破か……ツールでは逃れるのは難しいか」

 

ハウンドハンターは小さく呟くとソレの身体が一瞬で下に沈むと同時に、次元から一時的に姿を消した

その直後、竜巻がごとし破壊の権化でハウンドハンターが立っていた場所を蹂躙する……しかし、その場にハウンドハンターの存在はその次元からズレタ場所に立っていた

 

そこはある種の黒い水が流れている水路か河川の水底を連想させる場所でハウンドハンターが顔を上に向けるとさきほどまで立っていた場所が一瞬で荒地と化す光景が揺れる水面のように写っていた

そこは本来の時空とアブノーマル達発祥の場所、深淵の水脈との狭間の場所であった

 

「ふむ、奇妙な気配を感じたが……あれは異界の技術の産物か、道理で潜航が容易なはずだ」

 

ハウンドハンターがそう言って、手元に持っていた大型ライフルに目にやるとさきほどの試験者の被弾で破損したスコープは直っておいた

そして、甲羅に目を移すと被弾した杭はすでに抜け落ちて小さなヒビだけが残っていた

 

『傷は残っているか……むう?」

 

小さく呟くとハウンドハンターは歩き始めた

残り二体のターレット・ビーストが万能者が潜伏しているであろう場所に到達した事とそれと同時にグリフィンの部隊も接近している事を告げたのだ

それを聞いたハウンドハンターは小さく呟いた

 

「よし、各自……4番はそのまま万能者を探せ、5番は万能者の探索しつつ、敵対勢力を発見次第、けん制せよ」

 

そして、ハウンドビーストはそのまま、水中のごとし次元の狭間をライフルを担ぎながら駆け出した

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

S13の切り札の超兵器によって、敵対勢力が一掃された事で進軍を進めた俺達S07合同チーム

だが、目的地周辺に到着して、俺達が目にしたのは元々中規模工場群と採石所と言われても信じられない程にまで変貌した瓦礫の山と煮えたぎるマグマを覗かせる火口らしき大穴だった

 

「これは一体……どういうことだ?」

「そもそもこんな惨状で……万能者は生きているのでしょうか?」

 

ワカさんとP228さんが呆然とするなかで、M686さんが落ち着かせようと口を開いた

 

「生きているに決まっているんでしょう……少なくとも救援信号を出した前後は」

「じゃろうな……さて、急いで万能者を探すとしようか」

 

アラマキ隊長の号令と共に俺達は廃墟と火口が見えるここにいるはずの万能者を探し始めた

 

だが、この時俺達は知らなかった

切り札と称される超兵器に巻き込まれたハウンドハンター(スナイパー)が生きていて、すでに俺達のすぐ近くまで接近している事に

 

 

告知

砲塔獣(ターレット・ビースト)の三体の無力化を確認シマシタ

残り二体

 




とりあえず、ハウンドハンターが無事だった理由ですが……
ぶっちゃけアブノーマル相手にチートは悪手だったとしか言いようがありません

そして、作中であるようにすでにハウンドハンターも残り二体のターレット・ビーストもすでに中規模工場跡地に集結して、グリフィンを相手にしつつ万能者を探しています


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霧中探査:3

試作強化型アサルト氏の危険指定存在徘徊中とのコラボ企画に参加しました
この暑さで大幅に遅れました

以下参照した話です
https://syosetu.org/novel/190378/189.html


瓦礫と地殻変動級の地形の変化によって、半分天然の迷宮と化した元中規模工場群であった場所と新たなにできた火山の熱に苦しめられながら、俺達は万能者の捜索を始めてた

途中でアブノーマルらしき小型戦車とネズミ達の奇襲を退けて、はや十数分がたったが……

 

「反応が見つからない……万能者はどこにいるのよ」

「おまけにこの暑さもきついです」

「このままだとオーバーヒートしそうだな」

 

入り組んだ地形と瓦礫で捜索が難航し、さらに暑さで不機嫌なM686さん達を横目に俺は隣のM3さんと共に周囲を見渡す

しかし、俺の視界にはいるのは残骸ばかりで万能者の姿はおろか、さきほどのポーンもどきやアブノーマルらしき存在すらいなかった

そして、俺の背後から気配を感じ、振り返るとアラマキ隊長が近づいていた

 

「万能者の姿が見えん上に、反応も見つからんな」

「はい、当初の座標だとこの近くなんですが……隊長?」

 

隊長は突然、火口と化した採石所であった場所の方へ顔を振り向けると手にしていたライフル構え直した

俺を含めたその場にいた全員が注視するなかで彼は小さく、確信をもったようにこういった

 

「火口の方へ向かった方がいいかもしれんな」

「どうしたの、急に?」

「あそこからアブノーマルの気配を感じた。さきほどのとは、別のモノの気配だ」

 

彼の言葉にその場にいた全員の表情が強張ると同時に、別行動をしていたアウレールさんの部下である鉄血ハイエンド(テツクズ)のウォーモンガーが火口付近で救援信号の位置を割り出したとの連絡を元に火口の方へ足を急いだ

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そして、万能者の救援信号の発信元へ向かった俺達が見たのはもはや、修理不可能だと思うほどにズタボロにされた万能者の姿だった

 

「これはひどい……万能者に一体何があったんでしょうか?」

「あいつらも万能者を怖かったのか、徹底的にやりやがった」

 

P228が顔を真っ青にし、その隣で興味深そうに万能者と思わしきソレを観察している

そして、支援仕様の試験者が彼の生死を確認するべく処置を始めるのを見ながら、俺も彼の状態をしっかりと観察する

(まず、外見から認識は難しいほど損傷している上に四肢も原型をとどめていない……多数のポーンズ達に集中攻撃をうけ……アレ?)

 

ふと俺は道中には気づかなかったおかしい事が電脳内に思い浮かんだ

そして、俺と同じ疑問に気づいたのは同じように万能者の姿を見ていたワカさんが口を開いた

 

「そういや、なぜ万能者がここで放置されていたんだ?」

「自分もそれは疑問に感じましたね」

「お兄ちゃん、それどういうこと?」

 

俺の呟きを聞いたSDMRが首を傾げた

 

「普通に考えれば、トドメを刺す事も鹵獲することも可能なのに放置しているのは不自然ですよ」

「でも、この状態じゃあ生きているのか怪しいけど……」

 

彼女はそう言って応急処置を行う支援者たちの会話から少なくとも動力源とメンタルモデル関連は無事らしい事は分かった

 

「……やっぱ規格外だね」

「いや、重度の損傷をうけても最低限の機能を維持させるダメコンの賜物じゃな」

「だな……これなら応急処置を受けたら、回収しよう」

 

皆が万能者の異常さにドン引きする中で隊長とワカさんが関心していたその瞬間、支援者の一言でその場全員が凍り付いた

 

《条件作動式自爆システムヲ確認、解除中・・・・・・》

「な、なんだって!?」

「自爆装置だと!?」

「ちょっと、万能者を作った奴は絶対に男に違いないわよ」

「ミョミョ!?」

 

支援者の発言に皆が各々に驚く中でアラマキ隊長だけは気づいたかのように手を叩いた

 

「そういうことか!?」

「どうしたんですか?」

 

俺の問いかけに彼は流れるように話し始めた

 

「いいか、ここはポーンズ達の重要拠点……おそらく、工廠のような場所だったかもしれない」

「そうか、これだけの大破壊は機密漏えいを防ぐために意図的に行ったということですね」

「うむ、おそらくは万能者との戦闘も一因かもしれないが主な狙いはソレじゃろう」

 

俺がそう言うとアラマキ隊長が頷くと支援者の方に顔を向けて叫んだ

 

「試験者達、絶対に万能者を死なせるなよ!!」

《言ウニ及バズ、確実ニ主ノシステム復旧サセル》

 

万能者の復旧作業を行っていた支援者達が断言その時、近くの穴からナニカが飛び出し、俺達の目の前に現れたのは一体の人型兵器だった

例えるなら、右手が多連装式ショットガンになったアメフト選手のようなフォルムで見るからに戦車と同等の装甲を纏ったヤツだと一目でわかった

 

「なに、新手!?」

「万能者に手を出されると都合が悪いらしいな」

「これはまた、頑丈そうなやつが……やるしかないか」

 

ワカさんの言葉と同時に目の前の人型兵器は右手のショットガンを多種多様な弾頭を乱射しはじめた

 

俺達はそれを回避すると各々の武器で反撃し、救出作戦最後の戦いが始まった

 

この時、俺達は人型兵器との戦いで気づかなかったが少し離れた場所でアブノーマルの狙撃手がこの戦いを静観していたことに誰も気づいていなかった




はい、キバヤシ論として中規模工場群跡地について考察をアラマキが行いました
簡単に言えば、地形が変わったのは機密保持と万能者との戦闘の被害という考察です


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霧中探査:FIN

試作強化型アサルト氏の危険指定存在徘徊中とのコラボ企画に参加しました
いろいろあって投稿が遅くなりました


万能者救出任務から約一年以上が経った……俺はS07前線基地地上部の敷地内で同僚の戦術人形達の訓練を見学していた

 

「SO小隊、SDMR……射撃準備完了しました!!」

『よし、射撃をセミオート、三連発で許可する!!!』

「TR小隊ファルコン、陣地移動を完了!!」

『ファルコンはそのまま、射撃体勢のまま待機だ』

 

指揮官の号令を元に人形達が射撃、装填、陣地移動を行う人形達の姿を見て、どこか虚無感を感じずにはいられなかった

 

「半年近くも大規模な任務はなかったし……鉄屑どもが時折チョッカイをかけてきたけど」

 

そう、あの万能者救出任務以降大規模な戦闘はS07前線基地ではほとんど起きていなかった

 

正確には、パラデウスの撲滅作戦が幾度か行われているものの主にグリフィン本部の戦術人形が主体で、いわゆる前線基地所属の人形達は輸送任務などの後方支援が主な任務という状態だった

それはS07前線基地でも似たようなもので普段は危険度が高い任務でも先陣を切るBB小隊も実質解体し、他の小隊と混成編成で物資輸送やら後方警備に従事することが多かった、

 

あの万能者救出任務じゃまともな活躍もできなかった上にシャマール指揮官に迷惑をかけてしまった

 

「潰しても潰してもパラデウスは不死身かといいたいほどに基地や兵力が出てきますね……はぁ」

 

俺は無力感にため息を吐きつつ、同僚達の戦闘訓練の景色に視線を戻すと拡声器越しの指揮官の号令が耳に入った

 

『第1班の訓練はここまで!! 第二班は第1班と交代で指定位置につけ!!』

「そろそろ俺の出番か」

 

俺は手元に置いていた愛銃のスリングを肩にかけると同じように見学していた同僚達の列に混ざり、事前に指定されていた場所まで歩み出す

 

 

 

 

同時刻、某所廃棄都市区域

 

ハウンドハンターが除くライフルのスコープには腐食の弾丸の犠牲となった多数の人形達の残骸の山が映っていた

 

「グリフィンの追手はこれで打ち止めか?」

 

ハウンドハンターは、残骸から少し離れた廃墟の身を潜めながらスコープ越しにほかに敵がいないか周囲を見渡す

しかし、つい先ほど狙撃で錆と塵、砂の山に変わった戦術人形以外は彼が狙い撃つべき的は見当たらなかった

それを確認するとハウンドハンターはライフルのスコープから目を離した

 

「他に敵影なし……そろそろパラデウスが安全領域まで後退したはずだな」

 

彼が小さくつぶやくと手にした大型ライフルを担ぐと廃ビルを自身の獣足を巧みな足さばきで廃墟から飛び降り、事前に定めていた場所まで一気に駆け抜ける

その姿はまさに荒野を駆ける獣を思わせる早さで廃墟を駆け抜け、パラデウスの下士官的存在であるネイトが提示した合流地点へ急いだ

 

その道中でハウンドハンターは忌々しく呟いた

 

「去年から奴は動きを見せていない……何を企んでいる?」

 

彼の脳裏に浮かんだのは、負傷した万能者を拉致しようとした際に現れた謎の戦闘兵器というべき存在のことであった

ハウンドハンターと直接対峙することはなかったが、グリフィンを終始劣勢に追い込み、反撃してもすぐに反撃の手を編み出す様子をソレははっきりと目撃していた

 

『アレは裏表関係なく世界自体を破壊しようとしている』

 

その評価はハウンドハンターだけでなく、深淵の水脈に潜むアブノーマル達の総意であった

 

「貴様らが何者でどこから来たのか分からぬが我らの領域を侵そうするなら、我らの総力で抵抗させてもらおう」

 

ハウンドハンターは言い捨てると今はただ合流地点へと急がんとばかりに足を速めた

ソレは傷を癒やすために一度深淵の水脈に帰還した

そして、傷の治癒と装備の修復を終えてから、一度も深淵の水脈に帰還せずにパラデウスに同行しつつ、謎の存在を探っていた

 

それが彼なりの万能者拉致作戦失敗の責任の取り方であった

 

Containment completed Containment completed Containment completed

異常存在器具:砲塔獣(アブノーマル・ターレット・ビースト)の全機稼働停止しました

 

Containment completed Containment completed Containment completed

 

 

Emergency!!! Containment breach!!!!

 

異常存在:猟犬の狩人(アブノーマル・ハウンドハンター)による収容違反が解決されいません

 

Emergency!!! Containment breach!!!!

 




今回で万能者救出任務コラボは終了です

なお、最後のアブノーマルですが……次回の話の伏線のようなものです
また、近いうちに会いましょう


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極東にて:1

今回はアーヴァイン氏のチート指揮官の前線活動のコラボに参加しています

今回は導入兼初戦を描写しています
以下の話を参考しています

https://syosetu.org/novel/267132/79.html
https://syosetu.org/novel/267132/80.html
https://syosetu.org/novel/190134/167.html


「さて、さきほどのブリーフィングを聞いた上でおまえらはどう思う?」

 

作戦領域へ向かう潜水艦内の船室の一室で装備を確認していた俺達に向かってアラマキ元指揮官はそんな質問をぶつけてきた

 

「え……どうと言われましても」

「シャマール指揮官はチートだよね」

 

元指揮官の質問に俺達は困惑した

今回は「川崎和紗」という名の少女を助けるために、パラデウスや新ソ連軍が待ち受ける極東へ遠征することになった

途中、輸送機でサウジアラビアへ向かった後に俺達が今、乗っている潜水艦で密かに作戦領域まで移動している最中なのだが……終始、アラマキ元指揮官は無言だった

 

俺が見た限りじゃ彼が口を開いたのは軍港でシャマール指揮官と挨拶した時だけだった

 

「確かにこの潜水艦といいのLAFIやVERTEX等の優れたAI等ワシの知るソレらとは隔絶している……チートと表す」

「アラマキおじいさん、彼女のことを信用できない?」

 

アラマキ元指揮官の言葉に隣でマガジンに9mm弾を装填していたパラちゃんが首をかしげた

その言葉に俺も同じことを彼から感じずにいられなかった

 

アラマキ元指揮官のシャマール指揮官を見ル目は不信の一言で表せるほどの冷めたものだった

 

「パラの言うとおりじゃな……ワシはシャマール指揮官の実力は信用するが、人間としては信用するには無理があるな」

「ずいぶんと辛口な評価だね……実力は認めているんだ」

 

アラマキ元指揮官の彼女に対する評価にMP5Fさんは軽口を叩くと彼はため息をついた

 

「能力や実力だけはお墨付きだがな……力を振り回す事に躊躇しない奴は信用できん」

 

彼がはっきり言い捨てるのを聞いた俺らは数秒間、何も言えなかった。

 

(シャマール指揮官の実力は信用したいが、人間としては信用できないのか)

 

俺達は言葉に迷っていたとき、真っ先に声を上げたのはリーだった

 

「おじいちゃんは不安に思うことはなに?」

「そうです、アラマキ元指揮官は今回の作戦についてどう思いますか?」

 

リーの質問に触発されて、リーの隣でブレードの手入れをしていたP228さんも質問にぶつけると彼は淡々と話し始めた

 

「そうじゃな……例の救出対象の居場所じゃが、すでにバレている事を前提に動くべきじゃ」

「えぇ、だって……シャマール指揮官はパラデウスや新ソ連軍は対象に位置を把握していないと言っていましたよ」

 

M14さんの反論にアラマキ元指揮官は首を横に振った

 

「誰が……パラデウスや新ソ連軍が対象の居場所を把握していると言った?」

「え……どういうことですか?」

「ワシの考えでは、パラデウスや新ソ連軍以外に別の存在が裏で動いているとにらんでいる」

 

その言葉に真っ先に反論したのはP228さんだった

 

「待ってください、アラマキ元指揮官。それは考えすぎでは?」

「そうだよ……考えすぎなんじゃ」

「今までの作戦でイレギュラーが乱入してきた事などよくあることじゃろう」

「たしかに……」

 

アラマキの言葉に俺達は反論しなかった。

確かに彼の言うとおり過去の作戦で幾度も鉄血やパラデウスとは異なる勢力が乱入してきたことはなんどもあったからだ

 

「それに……アブノーマルには探知や測量に長けた奴らが多いからな」

 

 

 

 

数時間後、ルースキ島にて

 

ルースキ島に存在する高台の上で、各部に甲羅を纏った四つ足の人狼アブノーマル「ハウンドハンター」は手にした一枚の新聞紙に目を通していた

ソレの懐には人間が取り扱うには長すぎる大型のライフルがバイポッドを展開した状態で置かれていた

一枚の紙を目を通したまま、ハウンドハンターは唸るように話した

 

「おい、協力者に対して光学迷彩で姿を隠すとは、礼儀がなっていないな……ロキプラ」

「いやいや、狼男が新聞を読む姿が珍しいからさ」

 

ハウンドハンターの威嚇に動じずに姿なき声が飄々というロキプラと呼ばれた存在が光学迷彩を解除し、ソレに姿を見せた

パラデウスのネイトに共通の刺々しい義手、宙に浮く八つの刀剣、そして、リヴァイルに酷似した顔の男だった

 

「新聞を読んでいるのではない、我らの定期連絡を確認しているだけだ」

「定期連絡……あぁ、お父様と話している古テレビ(アブノーマル・メディア)からの連絡か」

「おまえこそ、何の用だ?」

 

納得するようにうなずくロキプラにハウンドハンターが鋭い声色で質問をぶつけると軽い口調で返事を返した

 

「簡単に言えば、モリドーちゃんに軽く慰めに行ったら、怒られてさ……気晴らしに援軍さんの様子を見に来たのさ」

「つまり、暇人め……どうやら、ふざけるのもここまでにした方がいいぞ」

 

ハウンドハンターは断言すると手にした紙を押し付けると懐に置いていた大型ライフルを手に、伏せ撃ちの体制をとり、額から生えているスコープとライフルに取り付けられている狙撃用スコープを合わせた

狙撃体制にとったハウンドハンターを目にしたロキプラはすぐにその意味を理解した

 

「敵が来るのか……どれくらいだ?」

「おそらく、10分後に奴らがここの上空を通過する」

「OK,モリドーちゃんたちにも伝えておくぞ」

「あぁ、手にした紙にも目を通しておけ……お前にとって価値のあることが書かれている」

 

ハウンドハンターの言葉にロキプラは首をかしげながら、紙に目を通すと小さく微笑んだ

彼が手にした紙には、ボリショイカーメニにある研究所……「川崎和紗」の居場所の座表とそこへ直行する部隊の情報が記されていた

 

「たしかにこれはレアな情報だ……しっかり伝えておくぜ」

 

その一言を機にロキプラは光学迷彩を展開し、姿を消すとハウンドハンターは無言のままライフルのスコープを覗いた

 

それから20分が経つと彼の言葉通りに数機のCH-47輸送ヘリがライフルのスコープに映ると一機のCH-47に向かって引き金を引いた

ヅゥフとわずかな発砲音とともに緑色の銃弾……腐食の弾丸が銃口から放たれ、CH―47に着弾した

着弾と同時に機体を急速に腐食されながら、急速に高度を落とすヘリを一瞥するとハウンドハンターはすかさず、別のヘリに照準を合わせて引き金を引く

今度の射撃は弾丸はヘリよりわずかにそれた方向へ放たれるもハウンドハンターの視線に合わせるように弾道を変え、ヘリに直撃する

そのヘリも一瞬で機体が腐食する制御を失い、地面へと急降下していく

ハウンドハンターは墜落するヘリを無視しして、次の獲物であるヘリに向かって腐食の銃弾を発射し続けた

それからわずか数分で彼の視界に写るヘリはすべて、地面に向かって墜落していき、それを見たハウンドハンターはライフルの弾倉を交換しながら、別の場所へ静かかつ素早くその場を離れていった

 

 

 

 

 

数分後に「VERTEX」からの緊急連絡にルースキー島へ向かうシャマール指揮官は言葉を失った

 

『やられました……ルースキ島へ向かったCH-47が全機撃墜されました』

「なんだと、人的被害は?」

「人的被害は皆無ですが、予定の降下ポイントから大きく離れた場所で人員がバラバラの地点で降下することになりました」

 




今回、ちょっとやりすぎたかもしれません
ですが、コラボ元がはっちゃけたのでこっちも手加減なしです


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極東にて:2

今回はアーヴァイン氏のチート指揮官の前線活動のコラボに参加しています

今回は前半はBB小隊とアラマキ元指揮官の開戦当初の初動の様子、後半はアブノーマルの反撃を描写します
以下は参考した話です

https://syosetu.org/novel/267132/81.html
https://syosetu.org/novel/190378/201.html
https://syosetu.org/novel/190134/168.html


「ルースキ島に入ってそうそう、先制攻撃でこちらのヘリがすべて撃ち落とされるとな……全員無事か?」

「はい、全員ダミー含めて全員無事です」

「ヘリのパイロットも俺達とほぼ同時にヘリから脱出したようだよ」

 

作戦領域に侵入してすぐにパラデウス側の狙撃で乗っていたヘリを撃ち落とされた俺達BB小隊とアラマキ元指揮官――今はアラマキ隊長だったが、彼の第六感じみた判断で全員無事だった

 

しかし、俺達が降下したポイントは予定よりもずっと離れた場所だったのがきがかりだった

それはBB小隊副長のP228さんも同様で周囲を警戒しながら口を開いた

 

「アラマキ隊長、ここは予定の降下ポイントよりも離れた場所で周囲に友軍の姿も見当たりません」

「つまり、私達孤立したっていいたいの?」

 

驚くMP5FさんにP228さんが首を縦に振るのを見て、アラマキ隊長が動じる事もなくこういった

 

「確かにワシら以外に友軍の姿は見えんが……破壊されたのはヘリだけならそこまで心配する必要はない」

 

隊長の言葉にMP5Fの隣に立っていたリーとパラが彼の言葉の意図に気づいたのか、はっきりとこういったのだ

 

「あ、そうか……壊れたのはヘリだけで僕達のダミーのケースは無事だったね」

「もしかしたら、パラ達の他の積み荷のコンテナも近くに落ちているのかも」

「そうじゃ……この近くにもコンテナのパラシュートが降下するのを見えた」

 

二人の言葉を聞いて、俺はすぐに納得した

確かに、ヘリは一瞬でボロボロに空中分解したが積み荷の物資コンテナは特になんの損傷もなくパラシュートが展開し、ゆっくりと少し離れた場所へ降下するのが見えた

確かあのコンテナには、今回の作戦のためにジル主任が開発したアラマキ隊長用の装備と新たらしく新造した俺の武器庫改が入っている

それが使えれば、この作戦で大きな力になる

 

アラマキ隊長は俺達に号令を下した

 

「すぐ近くに降下した物資コンテナを回収、物資の状況を確認次第ワシらも前線へ向かうぞ!!」

「了解!!」

 

俺達が隊長の号令に返礼すると俺達はさきほどの物資コンテナが落下した場所へと急行する

そして、物資コンテナが降下したポイントへ到着し、コンテナと内部の物資の無事を確認するとアラマキ隊長の予想通りコンテナに損傷こそあったが内部の物資は無傷であった

 

 

 

 

 

 

それから十数分後、コンテナ内の武器庫改や隊長用の特殊装備を回収、装備した俺達がパラデウスが展開している最前線へ到達するとパラデウスの歩兵や兵器群が迎撃せんとばかりにそれぞれの武器屋武装を俺達がいる方向へ砲口を向け、待ち受けていた

 

遮蔽物に身を隠しつつ、様子をうかがうとP228さんが小さく口を開いた

 

「ストレリツィ30体、ロドレアが12体、ガンナーも同じく12体、グラディエーター5体、さらにウーラン重戦車が2両です」

「そうか、幹部……ネイトの姿は見えるか?」

「いえ、ネイトらしき姿は確認できません」

「しかし、例のスナイパーもどこかで狙撃を試みているかもしれません。警戒を」

 

P228の言葉にアラマキ隊長が質問にぶつけると彼女は首を横に振るとM14さんがsらに言葉を重ねる

 

やりとりを聞きながら、俺の隣を見るとパラちゃんとリーが不思議そうに視線で隊長――普段の強化スーツに特殊装備を重ね着した姿を興味深そうに見ていた

 

「アラマキのおじいちゃん、ずいぶんとずんぐりむっくりな格好だね……」

「戦前のロボットアニメに出てきたロボットみたいだね」

(確かにそうだよな……あれで動けるかな)

 

二人の言葉通り強化スーツの上に特殊装備を装着した二回りを大きくなったアラマキ隊長の姿はさきほどまでとは大きく変

確かにずんぐりとした胴体に若干短めな手足、半球形の単眼のセンサーを取り付けたヘルメットに、手にしたFMMAG汎用機関銃、複数軽火器類が懸架され、箱形の多連装ロケットランチャーと一体化したバックパック、濃緑色とオリーブドラブ、焦げ茶の三色迷彩が施されたその姿はどこか「むせる」と思わせるような外見であった

 

二人のやりとりを聞いたMP5Fさんがそれに対して口を挟んだ

 

「はいはい、無駄話はそこまでね……隊長、どこぞの最低野郎みたいに被弾しただけで爆発しないよね?」

「そんな装備だったら持ってこないぞ……M14、始めるぞ」

 

MP5Fさんの軽口を隊長は否定するM14さんが俺に指示を出し

 

「皆はどちらかというとどこぞの地球寮の訓練機にも似ていると思いますが……M16A4、武器庫改を展開して!」

「了解」

 

彼女の指示に俺はうなずくと俺は背中に背負っている武器庫改を展開し、チャージを始めると隊長や他のBB小隊の面々も各々の武器を構える

もちろん、俺のダミーも全員が普段通りに銃剣を取り付けた愛銃で突撃体制をとらせる

 

「よし、武器庫改のチャージ終了と同時に一斉射撃を加えるぞ!!」

「了解!!」

 

新造された武器庫改は細かいところで改良が加えられているか、以前の半分くらいでチャージが完了すると隊長が俺に号令が下った

 

「目標、敵陣の中央のウーラン重戦車!!」

「了解!!!」

 

彼の号令と共に武器庫改から高密度のエネルギー砲弾が発射される

パラデウス側も発射と同時にエネルギー弾を回避しようとするも間に合わず、中央のウーランに着弾、周囲に多数のパラデウス兵を巻き込んで派手に大爆発を起こした

 

それに続くように俺のダミーやM14さん達も銃撃の雨を浴びさせ、奇襲と誘爆に巻き込まれで動きが鈍くなった残りのパラデウス兵達を一掃していく

最初の誘爆で残り少なくなったパラデウス兵達が反撃を試みようとする

 

半壊したグラディエーターが半壊した右腕を振りかざし、アラマキ隊長に襲いかかる

 

「ピガ―――!!!!!!」

「頑丈だな……隙だらけだな」

 

隊長はグラディエーターの拳を軽く回避すると特殊装備に備わっている対湾曲装甲対応弾頭が備わったロケット弾を叩き込み、グラディエーターにトドメにさす

さらにロケット弾の爆風の余波で周囲のパラデウス兵の湾曲装甲が無力化された事で、他のパラデウス兵もあっという間に駆逐される

 

最初こそ、ヘリをすべて撃墜されるとトラブルに巻き込まれるも戦局は俺達に有利であった

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、これは予想以上に戦局が悪くなっているな」

 

ルースキ島の高台で狙撃体制をとるハウンドハンターは戦況がパラデウス側が不利になるも特に狼狽えることもなく、冷静に戦況を見ていた

 

「ヘカトンケイルは2機撃破され、モリドーはグリフィン側に拿捕されたか……例のPownもここに近づいている」

 

ハウンドハンターは冷静に戦況を分析を続ける

 

「残りのヘカトンケイルは例のハンター率いる部隊と交戦中……こちらはまだ持ちそうか」

 

ハウンドハンターが別の方向をみると彼の額から生えたスコープごしに残り1機のヘカトンケイルと死闘を繰り広げるアラマキとBB小隊の姿を映し出していた。

他二機のヘカトンケイルを撃破した万能者やリヴァイルと異なり、M16A4の武器庫改やアラマキの特殊装備を除けば、標準的な装備しか持たない彼らに苦戦を強いられていた

 

戦場を一通り見渡すとそれの脳内に行動すべき事を導き出した

最初にソレが起こしたのはパラデウスから借りたモリドー以外のネイト達への連絡用通信機を起動させることだった

 

「まずは味方の動揺を抑えるのが先だな……ロキプラ、ネイトの奴ら聞こえるか?」

『この声は例の援軍か……な、なんのようだ?』

「私からの意見具申という奴だ、よく聞け」

 

これまでの想定外の事態に動揺するロキプラに気にもかけずに言葉を続ける

 

「私としては、これ以上無意味にこの場で連中と戦って戦力を浪費するよりも目標達成を優先すべきだと思う」

『だが、例の目標は未だ座標もとれていないわ』

 

上級ネイトの一人であるグレイが困惑の言葉を漏らすもソレは気にせず言葉を続ける

 

「それについては、こちら側が把握した上でロキプラに伝達ずみだ」

『なんですって……ロキプラ?』

『あはは、こちらも知ったのはついさっきなんだぜ……やべぇ』

 

ソレの言葉に不快感を示すグレイに気にもとめずに言葉を続ける

 

「それに伴って、俺と残りのヘカトンケイルが例のやつらがここにくるまで足止めをする……以上だ」

 

その言葉を最後に通信機を切るとハウンドハンターが狙撃体制をとり、大型ライフルのスコープを覗く

 

スコープに写るのはパラデウスを相手に大型の大砲を手に無双する万能者の姿だった

 

「そして、次にやることは重砲を持つ相手を一時的に黙らせる……!」

 

ハウンドハンターは小さく呟くと同時に引き金を引き、大口径の弾頭が音速を超える弾即で放たれる

そして、放たれた弾丸はそのまま、万能者が持つ大砲の砲口から放たれた直後の砲弾を撃ち抜く

 

「え、狙撃だ……うぎゃああああ!?」

 

撃ち抜かれた砲弾は直後に誘爆、爆風と衝撃をもろに浴びせられた万能者はそのまま、空中で制御を失いそのまま地上へと吹き飛ばされ、廃墟の壁へ叩きつけた

それを見たハウンドハンターはすかさずに追撃の銃撃を腐食弾頭で数発放った

 

放たれた腐食弾頭はソレの誘導能力で万能者が叩き込まれた廃墟の壁へ吸い込まれ、複数の大穴を開けた

 

それを目にした万能者はその意図をすぐに理解した

 

「おいおい、そこまでするk……うぎゃあ!?」

 

緑色の腐食弾頭が弾痕を開けた廃墟は万能者の周囲を中心に急速に腐食、崩壊し、瓦礫の山へ化して万能者を飲み込んでいった

 

 

一見するとグリフィン側が有利なこの戦いはまだ、勝ち戦と

判断するには早いようである




はい、ウチの子達がヘカトンケイルと交戦中です
そして、ハウンドハンターが本格的にスナイパーアクションを始めました。
その最初の犠牲者として、万能者が砲弾の誘導から廃墟の瓦礫に生き埋めにさせてもらいました
まぁ、空から派手に砲撃をしていれば、目立ちますからね

以下は今回アラマキ元指揮官が追加装備した特殊装備の設定です

強化スーツ用パワーアーマー
筋肉を着込むと称されるアラマキの強化スーツの増加装甲を
兼ねたパワードスーツ
パワーアーマーの装甲は小銃弾はもちろん、対戦車ロケット弾の直撃も一度だけなら耐えられる強度を誇る
また、強化スーツ以上のパワーアシスト機能により、より大型の重火器の運用や多数の銃器の運搬も可能としている
また、動力源に複数の戦術人形用バッテリーを採用による軽量、小型化により運動性の低下を必要最小限に留め、人間サイズの銃火器も問題なく使用できる

更に汚染地帯での活動に必要な空気浄化機能等も備わり、まさしく人型装甲車とも言える性能を有している
その代償に通常時よりも二周りも大型化している

今回アラマキは普段の対アブノーマル用のM14や斧、コルトガバメントに加え、対湾曲障壁兼用弾頭を装填した多連装小型ロケット砲、バッグパックから弾薬給弾されるFNMAG汎用機関銃、グレネードランチャーや各種大型手榴弾を装備している

外見のイメージはボトムズのスコープドックと水星の魔女のデミトレーナー(チュチュ専用機)を足して2で割ったようなイメージです
特に頭部とバックパックはデミトレーナー(チュチュ専用機)に近いイメージです


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