カントー出身の俺氏、南国で教師をする。 (静かなるモアイ)
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1時限目

DLCで良いんだ…エンペルトとウルガモスを剣盾に出してくれ。推しが…リザードンとバンギラスしか出てこないじゃないか。そんなの…あんまりだよ…返してくれよ!ゲーフリさん!!

私は思った。リストラされたなら、二次創作でエンペルト達を出せば良いとな!!


皆さんは転生という物を御存知だろうか?転生とは文字通り、死んだら生まれ変わったりする仏教等の輪廻転生の事だ。

 

単刀直入に言うと、俺はそれを経験して23年が経っている。生まれ変わってから、23年の月日が経っている訳だ。別に、これぐらいならそんなに驚く事じゃない。前世で良く見た、世界仰天ニュー○でも前世持ちの人間の特集がやってた程だし、実は皆が覚えていないだけで前世という物や転生という概念は端から存在しているかもしれない。

 

ま…俺が一番驚いているのは、この世界で俺の前世で世界的な人気を誇ったポケットモンスター…縮めてポケモンの世界だったんだよ。

 

しかも、生まれはカントー地方(前世で言うと関東)のマサラタウン出身だし…隣にレッドとグリーン住んでるし、向かいの家にブルー(ぶっちゃけファイヤーレッドの女主人公かと思った)住んでるし、少し離れた所に俺達よりも遥かに年下のサトシらしき幼子も居た。

つまり、この世界はゲームとアニメが見事にフュージョンした世界と言う訳だ。うん、放送年月から考えてサトシがアローラに向かう頃にはアラサーに成ってるな…俺じゃなくてサトシが。それはサトシがアラサーに成るは冗談だが、本当に大変な人生だった。

 

いや、だってよ…ポケモンの強さ、マジで半端無いんだよ?グリーンのバンギラスとレッドのピカチュウ様は天変地異程の強さを誇るし、誰かさんのサザンドラなんて軽く街を滅ぼせるし、俺がマサラタウン出身じゃ無かったら確実に死んでるわ。と言うか、レッドが冗談抜きで強すぎる…グリーンがトキワシティのジムリーダーに成ってるからサトシとシゲル君はハードモードだろう。ロケット団が例の一匹と二人(ムコニャ)を除いて壊滅(主にレッドの手で)してるし、どちらかと言うと有る意味イージーか?

 

そういや、俺の話をしていなかったな。俺はリンドウ。転生者だが、特典やチートは無し。レッド達と共にマサラタウンを飛び出して、日本がモデルに成った地方のポケモンリーグ本選で優勝と入賞を経験したポケモントレーナー兼学校の先生だ。高専の在学期間中には、ホウエンのチャンピオンも経験した…卒業と同時にチャンピオンの座を返上し、前のチャンピオンこと前任者が代理に成ったけど、その前任者は現チャンピオンの大誤算ことツワブキ・ダイゴにボッコボコにやられましたとさ。

 

今はアローラのメレメレ島で、ポケモンスクールの教師をしてる。取り敢えず、ゲーフリよ。はやく、エンペルトの復活はよ…俺、剣盾二度と出来ないけど。

 

 

 

 

 

―――――

 

アローラ地方。そこは観光的な地方として有名であり、独自の文化が根付いている。他の地方と異なり、ポケモンリーグが存在しないし、ポケモンリーグが無いゆえにジムも存在しない。代わりと言えば、島々を巡る…島巡りと呼ばれる試練が存在する。

 

アローラは年中、世界中から観光客が訪れており、都市部等の観光地は年がら年中、様々な人で賑わっている。

 

そのアローラの島の1つ、メレメレ島に有るポケモンスクール。その廊下を黒い髪で、明らかに現地民ではない平たい顔族(日本人)が出席簿を持って歩いていた。その平たい顔族の身長は170cm程で、引き締められた肉着きをしており、服装として青紫のカッターシャツに下はスーツのズボンという出で立ちだ。

 

彼こそが、カントー地方出身でホウエン地方の元チャンピオンのリンドウ先生である。

 

「先生!アローラ!」

「アローラ!お前達、廊下は走るんじゃないぞ!」

 

アローラとはアローラ地方でこんにちわ、おはようと挨拶として扱われる言葉である。

走り去る生徒達を見て、挨拶を交わしたリンドウ。この学校はポケモンやトレーナーとしての事を学ぶ学舎であり、多くの生徒達がポケモンをモンスターボールから出して行動している。先程の生徒達も、自分の大切なパートナーをボールから出して行動しているのだ。

 

先程の子供達もいわタイプのガントル、かくとうタイプのゴーリキーを連れて歩いていた。アローラのポケモンスクールでは一般的な事である。

 

すると、リンドウの腰に提げてある6つのモンスターボールの1つが勝手に開いて、中から一匹のポケモンが飛び出した。そのポケモンは6つの羽を持つモフモフとした蛾のようなポケモンだ。

 

そのポケモンはウルガモス。イッシュ地方等に生息している、ほのお、むしの2つのタイプを持つポケモンだ。

 

「ウル!!」

「どうしたモスラ?」

 

モスラと言うのはリンドウがウルガモスに着けたニックネームである。モスラは何事もなく、リンドウの頭の上に鎮座する。どうやら、彼女(♀)は甘えたがりのようだ。

 

因みに彼女ともう一体のポケモンは、唯一…リンドウの手持ちでチャンピオン時代を経験していない。チャンピオンを辞退し、高専を卒業してからアローラのポケモンスクールで就職する前に出会ったポケモンなのだ。

 

「先生!ウルガモス!新入生を連れてきました!」

 

ふと、教え子でリンドウがクラスを受け持つ子の声が聞こえて、声の方を見る。そこには緑色のツインテールの髪型をした少女 マオ、そしてポケモンファン(前世)なら誰もが知っている少年と黄色のネズミが居たのだ。

 

(サトシ君じゃないかぁぁぁぁぁあ!!)

 

何と言う事でしょう。マオが連れてきた新入生とは、我らがポケモンアニメの主人公 サトシとその相棒のピカチュウだったのだ。

 

まさかの主人公サトシとピカチュウの登場に驚くリンドウ。アローラ地方にはポケモンリーグは無く、まさかやって来るとは思わなかったのだ。と言うのも、リンドウ本人は前世でサンムーンをやっていたが、サンムーンのアニメは見ていなかったのだから。

 

「サトシ、ピカチュウ。此方は私達の担任の先生のリンドウ先生!

ポケモン勝負が物凄く強くて、ポケモンリーグも何度も制覇した凄い人なんだ!」

「先生!?それにウルガモスだ!初めまして、俺マサラタウンのサトシ!此方は相棒のピカチュウ!」

「ピカピ!」

 

――うん、知ってる。

 

何やら、リンドウの心の声が聞こえたが気にしてはいけない。

 

「アローラ!サトシ。このポケモンスクールで、研究員をしながら先生をしてるリンドウだ。

俺もマサラタウン出身でな、オーキド校長が言っていた来客は君の事か」

 

確かに今日、このポケモンスクールの校長からカントー地方から来客が来ると聞いていたリンドウ。それが、サトシとは思わず、心の中で驚いたが平静を装う。

 

「はい!俺のママとバリヤード、そしてブルーさんが来ませんでした?」

 

―いま?なんつった?えっブルーくんの?

 

どうやら、サトシの他に彼の母親とバリヤード。そして、リンドウの幼馴染みであるブルーまでやって来ると言う事態まで起きていたのだ。

 

「えっ?ブルー居るの?マジで?」

「もしかして、グリーンさんと博士が言っていた知人ってリンドウさんだったんですか?」

 

ズボンのポケットに仕舞ってたスマートフォンを取り出して、トキワシティのジムリーダーをしている幼馴染みにメッセージを送り、事実確認を行うリンドウ。

 

時差の問題は有るが、トキワシティのジムリーダーであり幼馴染みのグリーンは直ぐに返信を行った。

 

『ブルーも現地に居るから、末長く宜しくな!』

 

確かに異国の地で、友人は少なく寂しい思いをしていたが、なんの連絡もなしとは思わなかったリンドウ。

 

「まあ…俺もマサラタウンの出身でな。だとすると、校長室だな。

案内するよ。マオ、お前も一緒に来い。その子は新入生じゃなくて、お客さんだよ」

「えっ!?そうなの!?」

 

驚くマオに頷くサトシ。

 

「だったら、校長の姿にビックリするぞ。ついてこい、此方だ」

「ビックリ?」

「ああ、マサラタウン出身なら絶対に驚くぞ?俺も就任初日は驚いた」

 

当たり前である。逆にマオ達はマサラタウンのオーキド博士を見たら、確実に驚くだろう。

 

その後、リンドウの案内で校長室に向かう。そして、校長室の扉の前に辿り着いたが、リンドウは扉を開けない。

 

「先生?」

「間違いない。扉の向こうに居るんだな」

 

扉を叩き、リンドウは校長室に入る。すると、扉の先には仁王立ちした茶髪の髪をして、黒いノースリーブに水色のパレオ姿の美女が立っていた。

 

「アローラ!リンドウ!博士からの手伝いで来たわよ!」

 

そう…彼女こそ、ブルーである。

 

「アローラ。とは言え、通るぞ。サトシはブルーとは知り合いだったな、この人が校長先生だ」

 

サトシはリンドウに紹介された人物を見る。その人物はサトシの母親と、その家族であるバリヤードは褐色肌の人物と話していた。

その人物は男性であり、此方を振り向く。その人物はサトシも良く知る、オーキド博士にそっくりだった。

 

「オーキド博士!?」

「最初はそうなるだろ?俺もそう思った」

「私もね。てっきり、日焼けサロンで焼けたかと思ったのよ」

 

そう…この人物は余りにもオーキド博士にそっくりだったのだ。違いが有るとすれば、日焼けしてて、髪型が違う位だろう。

 

「この人はナリヤ・オーキド校長。このポケモンスクールの校長先生で、ポケモン博士でも有るぞ」

 

彼はナリヤ・オーキドこと、オーキド校長。このポケモンスクールの校長先生であり、あのオーキド博士の従兄弟でも有るのだ。

 

「私はナリヤ・オーキド。君の知っているオーキド博士の従兄弟だよ。宜しクチート」

 

次の瞬間、オーキド校長が駄洒落を言ってクチートのような顔に一瞬だが変わった。

 

「えっ?」

「ピカ?」

 

これにはサトシとピカチュウも驚くが、これがオーキド校長である。オーキド博士が川柳を嗜むのなら、オーキド校長は駄洒落を嗜むのだ。

 

「校長先生は…駄洒落が好きなんだ」

「うん…何時もの事だから、気にしない方が良いよ」

 

とは言え、無事に校長室にたどり着いたサトシであった。

 

しかし、リンドウには未だ仕事が残っている。

 

「それじゃ、校長。俺は仕事が有るので」

「待つのだ、リンドウ君。折角だから、ブルー君を案内してやりナッシー!」

 

ふと、校長の顔がナッシーのように分裂した気がしたが気にしてはいけない。

 

「はい!許可は降りたし!行くわよ!」

「おまっ!?手を引っ張るなって!!」

 

リンドウはブルーに手を引っ張られて、校長室の外に連行されて。連行されたとしか言えないだろう。

 

「行っちゃった…」

「ピカピ…」

 

ブルーに連行されたリンドウを見送り、サトシとピカチュウはそう言った。

 

 

連行されたリンドウはと言うと、ブルーに連れ回されて、ポケモンスクールの敷地内を案内していた。

 

「先生!その人だーれ?」

「先生の彼女?」

 

だが、アローラは他の地方と比べれば人口も少ない。その為か、突如としてアローラにやって来た美女のブルーが居るためか、直ぐに生徒達が集まってしまった。

 

「いや…先生の幼馴染みなんだが」

「はーい!皆!お姉さんとリンドウ先生は幼馴染みでーす!」

「「すごーい!お姉さん!ポケモン見せて!!」」

「はーい!見てなさい!これが、お姉さんの相棒よ!」

 

ブルーはそう言うと、モンスターボールを高く放り投げる。ボールは最高到達点である5メートル程の高さで開き、中から一匹のポケモンが飛び出した。

 

「ガメ!!」

 

そのポケモンはカメックス。2門のキャノン砲が特徴的な、大きな亀のポケモンであり、ゼニガメの最終進化系だ。

 

「「「すごーい!」」」

「でしょ?因みに私は先生と同じぐらい強いわよ?」

「カントーリーグの決勝トーナメントで当たったしな。俺が勝ったけど」

「余計な事を言うな!!」

 

リンドウのほっぺたを引っ張るブルー。すると、リンドウの頭にしがみついていたウルガモスが飛び、リンドウに何かを伝えようとする。

 

「ウルッ!」

「なに?俺も出せって?」

 

どうやら、ウルガモス…モスラはリンドウの仲間達も外に出して欲しいようだ。

 

「出してやりなさいよ。ウルガモスちゃんだって、そう言ってるでしょ?」

「仕方無いな」

 

リンドウが腰に提げてる6つのボールの内、5つを手に取り。そのボールの中には、ウルガモスの他の大事な仲間達が入っているのだ。

 

「そら!お前達、出てこい!」

 

ボールは一斉に開き、中から5匹のポケモン達が飛び出してきた。

 

「エンペェェェ!!」

 

先ずは…みず、はがねタイプのエンペルト。ニックネームはペンペンである。

 

「フィア!」

 

次はイーブイの数有る進化系の1つであるリーフィア。タイプは草であり、リンドウが初めて手にしたポケモンが進化した…正に最初の相棒だ。

 

「グォォォ!」

 

次はリンドウの切札でもあるリザードン。首には首輪が巻かれており、その首輪にメガストーンXが装備されている。一応、飛んで移動する為かリンドウお手製の鞍が背中に付けられている(アローラ地方ではライドポケモンに登録しなければ、乗って移動出来ないため)。ニックネームはリンドウが前世でやっていた某有名ゲームから、レウスである。

 

この3匹が現在の手持ちの最古参であり、残りの2匹とウルガモスは新人の方に入るだろう。

 

『御呼びですか、親方様!!』

 

先ずはルカリオ。鋼、かくとうタイプのポケモンであり、ウルガモスの先輩に当たるポケモンだ。加入時期はホウエンチャンピオンを引退し、再び冒険を始めた頃。

因みに、リンドウが前世でポケモンの映画 波動の勇者を見た影響の為か、リンドウが試しに訓練した結果、喋れるように成った。だが、無駄に熱い漢である。ニックネームはルカである。

 

「グゥォ」

 

少し…いや、普通に臆病…なのだが明らかに図体に似合わないポケモンが最年少。我らが600族の一角であるバンギラス。

特性が珍しく、きんちょうかんであり…オーキド博士曰くだが、心の無いブリーダーやトレーナーが赤子の時に捨てた個体の可能性が高い。赤子の時に逃がされ、さ迷っていた所をリンドウが保護して此処まで育てた。ニックネームはバンチョーorバンちゃんである。

 

「「「相変わらず!凄い!!」」」

(ゲームと違って、マジで育てるのは大変でしたよ)

 

そう…ゲームと違い、育てるのはかなり難しい。確りと、信頼関係を築かねばポケモンにトレーナーは殺される時も有るし、危ないのだ。

 

「すげぇぇ!これがリンドウさんのポケモン!?」

 

何やら、声が聞こえたらと思うと…マオと共にサトシがやって来た。

 

「オーキド博士の所にも何体か預けてる。ボーマンダとか、ボスゴドラとか」

「それ、ホウエンチャンピオン時代の手持ちよね?」

「えっ!?リンドウさん!?チャンピオンだったんですか!?」

 

どうやら、サトシはリンドウがチャンピオンだった頃を知らないようだ。無理も無い。彼がチャンピオンだったのは数年前だ。

 

「昔だよ。昔。レッドには基本的に負けてたしな」

 

そう…彼は今はチャンピオンではない、唯の教師なのだから。

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

ポケモンスクールから程近い所に有るログハウス。そこは社宅であり、リンドウの今の家だ。ポケモンスクールの教え上、ポケモンの事も考えられており、庭も広く、屋内でもある程度はポケモンを出せる。

 

「なんでお前が此処に居るの?ホテルじゃないの?」

「あら?言ってなかったわね。今はオーキド博士の助手をしていて、暫くはアローラに居るの。だから、暫く泊まっていくわ。

感謝しなさい、美女とルームシェア出来るなんて光栄よ!」

 

リンドウ…ブルーとルームシェアが決定。一方、サトシはリンドウがやって来た影響で学年主任に成ったククイ博士の家に居候である。

 

 




ククイ博士は学年主任に成りました…確り出るので、御安心を。


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2時限目

ゲーフリさん…マジでエンペルトはよ


「美味しそう!てか、リンドウって料理出来たのね。カントーを旅していた時、非常食やカップ麺で過ごしていた貴方が」

 

翌日、同居人と成ったブルーとそのポケモン達の為に料理を作り、朝食を振る舞うリンドウ。勿論、自分の分と大切なパートナー達の分も忘れない。

とは言え、ブルーはオーキド研究所にポケモン達を預けて来たのか、今の手持ちはピッピとカメックス、メガニウムだけのようだ。

 

本日のメニューはスクランブルエッグ、サラダ、そしてフレンチトーストだ。ポケモン達には木の実の盛合せとポケモンフードである。

 

「流石にカップ麺だけじゃ、マサラタウンで教師をしてる親父に怒られてさ。それで、覚えたんだよ」

 

流石にカップ麺や非常食では最低限の栄養しか補えず、栄養は良いとは言えない。木の実の種類が豊富なホウエンに来た際に、改めて料理を覚えたのだ。

 

「ブルー。飲み物は?コーヒーと牛乳、木の実ジュース位だけど」

 

続けて今度は飲み物の段取りを行うリンドウ。

 

「そうね…コーヒーで」

「おけ、油は入れるか?」

 

一瞬、ブルーは目眩がした。今、リンドウは何と言ったか?確かにコーヒーに油を入れるか?と言った筈だ。生粋のカントー人であるブルーは文化の違いか、目頭を押さえて問う。

 

「ねぇ…私の聞き間違いじゃなかったら油を入れるの?コーヒーに?」

「入れるぞ、アローラじゃ普通だしな。MCTオイルっていう、消化に良い油を入れるんだ。この油は消化吸収に良く、ダイエットや美容にも良いぞ」

 

このMCTオイルを入れたコーヒーは、現実世界でアローラのモデルに成ったハワイでも定番であり、最近では日本でも広まりつつ有るのだ。

 

「えっ!?美容に良いの!?試しに飲むわ!」

 

そして、この現代っ子であり、女性として美容に欠かせないと知るや…ブルーはコーヒーに油を入れる事を決意した。

 

「そい、お待たせ」

 

待つこと、約3分。ミルクと砂糖が少々入ったコーヒーをマグカップに注いだリンドウが、テーブルに戻ってきた。ブルーの前に1つのマグカップを置き、リンドウはブルーの向い側に座る。

 

「頂きます」

「頂きます」

 

いざ、ブルーは料理の前にコーヒーを一口飲む。すると、想像以上の美味しさの為か、笑みを浮かべた。

 

「なによこれ!滅茶苦茶美味しいじゃない!リンドウ!アンタ、飲食店やりなさいよ!」

「絶対にしんどいから、俺には無理だ。マジで飲食店を経営する人は凄いよ、俺には向いていない」

 

そう…飲食店で働くのは勿論、それを経営するのは大変なのだ。リンドウは前世でのバイトから、それを身をもって知っている。

 

「てか、メガニウムなんか持ってたか?」

「カロスで捕まえたのよ」

 

カロス地方のサファリパークのような所は様々なポケモンと出会えるそうだ。中には珍しい特性を持つポケモンや、初心者向きの御三家の誰かと出会える事も有る。

なお、リンドウはカロスには少ししか足を運んで無いので、そのサファリパークには一度も行っていない。

 

「カロスか…そこの四天王とエキシビションマッチをチャンピオンだった頃にしたな」

「どうだったのよ?」

「ボスゴドラ1体で、半数は倒せた」

 

――あのボスゴドラか…とブルーは苦笑いを浮かべてそう言った。リンドウのボスゴドラは一撃に特化したようなポケモンだった。もろはのずつき…岩タイプ最強クラスの攻撃を無反動で放ち、相手を一撃で粉砕する。

 

「そのボスゴドラを倒しても、控えにボーマンダやペンペンちゃん、リーフィアちゃんがいて、トドメにメガリザードンXでしょ?」

 

あの時は本当に挑戦者が可哀想であった。もろはのずつきを連発するボスゴドラを倒しても、控えにボーマンダやエンペルト、一番練度の高いリーフィアが出てくる。彼等を気合いで倒しても、今度はメガリザードンXが出てくるのだ。悪意しかなかっただろう。

 

「しかも、その時代は水タイプ絶対倒すマンと成った、フリーズドライを覚えたラプラスも居たからな。今はオーキド研究所でのんびり過ごしているが」

「ラプラスは世界的に絶滅危惧だもんね…ご馳走さま!」

 

この世界のロケット団は運が良かっただろう、もし…オーキド研究所に攻めていたら…例のボスコドラとボーマンダ、ラプラスの手で返り討ちに遇ったのだから。

 

「ご馳走さま。片付け位は手伝ってくれよ。皿洗いは出来るだろ?」

「当たり前よ!」

 

その後、食後の片付けを終えて着替え終えたリンドウとブルー達はポケモン達をボールに戻し、戸締まりをして外に出る。

 

「ブルー。お前はどうするんだ?」

「言ってなかったけど、私もポケモンスクールの臨時講師として働くから」

 

―へ?今…なんつった?

 

「助手の仕事はどうした?」

「博士からさ、序にリージョンフォームの事を直接見てくれって言われたの。オーキド校長からも許可を貰ったわ!」

 

ブルー先生、ここに爆誕したのだった。

 

 




次回!サトシの入学。そして…ムコニャがアローラに上陸する。


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3限目

サトシ…入学!!


社宅であるログハウスからポケモンスクールは歩いて数分の所に有る。その為か、余程寝坊しない限りは遅刻する事は無いだろう。

 

それに、リンドウやブルーは少年時代からカントー地方を初めとした様々な地方を巡ってはトレーナーとしての腕を磨いていた。その為に自然と早起きする事が出来る。何故なら、早起きしないと出会えないポケモンも居るためであり、シロガネ山のような危険地帯でキャンプをしようなら、必然的に早起き体質に成るだろう。

 

「今日からブルー先生の授業が始まるわよ!」

「いや、待てよ…ブルー…お前は物事を教えた事は有るのか?」

 

教師とは物事を教える仕事だ。一般科目は兎も角、ポケモンスクールならばポケモンバトルのコツや捕獲のコツ、更にはポケモンの特性や生態等の知識を教える必要は有る。

ブルーが今までのトレーナーとしての経験を伝える事が出来れば、問題は無いかも知れない。だが、自分でやるのと教えるのは別なのだ。

 

「無いわね…でも、成るように成るわね!リンドウで出来るなら、私でも出来る!」

「まあ…実践しか無いよな」

 

そう…実践して成長するしかない。リンドウも前世を含めて、今のポケモンスクールが初めての教師としての学校だ。

高専等で一応は指導方法を習っては居たが、習うと教えるは全く別物であり、最初はククイ博士やオーキド校長の指導方法を参考にしたりして成長したのだ。

 

そうこうしてると、2人はポケモンスクールの正門に到着する。だが、朝早いとは言え、何人かの生徒達は2人よりも先に登校しており楽しく遊んでいた。

 

「「リンドウ先生!アローラ!」」

「アローラ!朝から元気だな!」

「「ブルーお姉さんもアローラ!」」

「アローラ!今日から、お姉さんも先生だから、宜しくね!」

 

そう…今日からブルーも臨時講師で先生だ。その事を知ると、子供達は嬉しそうに声をあげた。やはり、子供達は美女なお姉さん先生の方が子供受けが良いのだろう。

 

事実、ブルー先生はあっという間に人気者に成った。と言うか、昨日の時点から人気者である。

 

「「えっ!?本当に!?」」

「勿論よ!カメックスことカメちゃんと共に宜しくね!」

「「やったー!」」

 

嬉しそうな子供達。そして、子供達はキャンパスの奥に向かって去っていった。

 

「あっ!リンドウ先生、ブルーお姉さん、アローラ!」

 

その声が聞こえ、声の方を振り向くリンドウとブルー。声の方には青色の髪をして、水タイプのポケモン アシマリを連れた少女が立っていた。リンドウが担当する生徒の一人である、スイレンである。

 

「アローラ!実はなスイレン、ブルーも今日から先生何だよ」

「えっ!本当ですか!ブルーお姉さんって、確かカメックスを持ってましたよね!?同じ水タイプ使いとして、見せてください!」

 

スイレンは水タイプの使い手、マオは草タイプの使い手、ブルーは未だ会っていないが…リンドウの担当する他の生徒でマーマネは電気タイプ、カキは炎タイプの使い手、そしてリーリエは未だ自分のポケモンを持っていないのだ。

 

「ふっふふ!良いわよ!出てきて!カメちゃん!」

 

ブルーはそう言うと、モンスターボールからカメックスを出した。因みにカメちゃんとは、ブルーがカメックスに付けているニックネームであり、彼女も基本的にニックネームを付けているのだ。

 

「ガメ!!」

「おぉぉぉ!これがカメックス!」

「ばぅぅ!!」

 

始めてみるカメックスの姿に感激するスイレンとアシマリ。

 

「因みにカメちゃんはリンドウのリーフィアと同じく、校長先生の従兄弟から貰ったのよ!私の初めてのパートナーね!」

 

そう…ブルーは旅立の日にゼニガメを貰い、グリーンはヒトカゲを貰い、レッドはフシギダネを貰い、リンドウはイーブイを貰ったのだ。

ゼニガメはカメックスに進化し、フシギダネはフシギバナに進化し、イーブイはリーフィアに進化した。そしてグリーンのヒトカゲはリザードンに進化し、現在はオーキド研究所の番長と成っている。

 

「そういや…先生は最初にイーブイを貰って、リーフィアに進化したんですよね?

それじゃあ、先生のリザードンは?」

 

そう…リンドウのリザードンはオーキド博士から貰っていない。

 

「俺のリザードンは……ヒトカゲの時に、元の持ち主に捨てられていた所を保護した」

「えっ?」

 

予想外の答えに、スイレンは言葉を失い…事情を知るブルーは視線を背ける。

 

「トキワシティの近くでな。元の持ち主は分かったが、雑魚は要らないって言われてな。

あの時のリザードン…いや、そん時はヒトカゲだったな。捨てたトレーナーに、当時…イーブイだったリーフィアと俺はそのトレーナーに挑んだが…ボッコボコにされた」

「したんじゃなくて、ボッコボコにされたんですか!?」

「そりゃ、そうだよ。だって、その時の俺は旅を初めて3日後だよ?相手は経験を積んだトレーナー…ボコボコにやられたわ」

 

どんなに強いトレーナーでも、弱いときは有る。それはリンドウも同じだったのだ。

 

「ヒトカゲを引き取ってな…俺はヒトカゲを育てた。その後、そのトレーナーとはカントーリーグの予選トーナメントの1回戦で再会してな、リザードン単騎でボコボコにした」

「今度はボコボコにしたんですか!流石は先生とリザードンです!」

 

そう…今度はリザードンだけで倒したのだ。とは言え、最後は隠し球であるメガシンカを披露して、とある技を応用した必殺を相手の切り札であったプテラに直撃させて、一撃で倒したのだ。

 

「あの時は凄かったわよね。まさか、飛行タイプに地面タイプの…それも…じしんをワンポイントで直撃させる応用をリザードンがしたもの。

私達の記憶を映像に出来れば良いんだけどな」

「カメ」

 

ブルーとカメックスも、当時のリザードン無双を思い出してそう言った。しかし、その時は予選トーナメントであり、映像記録には残っていないのだ。

 

すると、リンドウの腰に提げられているボールの1つが開き…中からリザードンが飛び出した。噂をすればであり、その張本人が飛び出したのだ。

 

「ぐぉぉお!!」

「おっ!レウス!お前も混ざりたかったか?」

 

リンドウの問いに答えるように、リザードンは頷いた。

 

嘗て、身勝手なポケモントレーナーの手で捨てられたヒトカゲは…元ホウエンチャンピオン(チャンピオン時代無敗)の絶対的なエースに成長したのだ。世の中、何が起こるか分からないだろう。

 

「先生!レウス!アローラ!」

「先生!レウス!アローラ!」

「先生!ブルーさん!アローラ!」

 

ふと、アローラ地方独特の挨拶が聞こえてリンドウ達は声の方を見る。

その方向からマオ、そして小柄でふくよかな体格の少年とハリネズミのような小さなポケモン、そしてライドポケモンとしてのリザードンを連れた褐色肌の少年がやって来た。

 

「アローラ!マオ、マーマネ、カキ!」

 

マオと共にやって来た少年2人はカキとマーマネ、そして2人のポケモンであるトゲデマルとカキのリザードンである。

以後、ややこしいので他者のリザードンが側に居るときはリンドウのリザードンをレウスと地の文で表す。

 

「ブルー。この子達は俺の生徒でな、マオやスイレンと同じく俺が受け持つクラスの子達だ。カキ、マーマネ。彼女はブルー、俺の幼馴染みで今日から臨時講師として共に過ごす人さ」

「カキです」

「マーマネです」

「アローラ!ブルーです。此方は相棒のカメちゃん!」

「ガメ!」

 

元気に挨拶を交わすブルーとリンドウの教え子達。

 

すると、今度は明らかに高級階層の人が乗ってそうなリムジンがやって来た。このポケモンスクールの関係者でリムジンを用いて通学するのは一人しかいない。

リムジンの後部座席の扉が自動で開き、白い帽子を被り、白い衣装を着た金髪の少女が出てきた。彼女が教え子の一人 リーリエである。

 

「先生!皆!アローラ」

「「「アローラ!」」」

「アローラ!リーリエ、彼女は俺の幼馴染みで今日から臨時講師のブルーと相棒のカメックスだ」

「アローラ!リーリエ!カメちゃん共々宜しくね!」

 

取り合えず、リンドウの教え子全員と顔見知りに成ることが出来たブルーであった。

 

「それじゃあ、俺はブルーを職員室に案内するから又後でな」

「じゃあね皆!後でね」

 

しかし、臨時講師と成ったブルーには授業が始まる前に職員室に案内したり、教師として何を担当させるかを伝える必要が有るのだ。

リンドウはブルー、カメックスとレウスを連れてお先に職員室の方に向かっていった。

 

 

 

職員室…そこは多くの先生達が既に集まって無かった。未だ時間が有ることと、アローラ自体がカントー等と比べると穏やかな人柄が多い故か、多くの先生達はゆっくりと出勤するようだ。

 

「あら?人が余り居ないけど?」

「何時もの事だ。此処が俺の席で、ブルーの席は此処だ」

 

リンドウはブルーを彼女が使うデスクに案内する。ブルーのデスクはリンドウの隣であり、分からない所が有ればリンドウに聞けば良いだろう。

 

「此処ね。それで、私は何を教えれば良いの?校長先生からはリンドウに聞けって言われたけど」

「何でもだ。ポケモンの捕まえ方、フィールドワークをしながらポケモンを探したり、座学でポケモンの特性や知識を教えたりな」

 

教える事は基本的にざっくり決められていない。ある程度の教育カリキュラムはオーキド校長とククイ博士の手で決められているが、基本的に先生によって違うのだ。

 

「えっ?そうなの?」

「基本的な教育カリキュラムは決められているけど、それを大幅に外れない限りは担当する教員の自由だ」

「そうだぜ、ブルー先生。君のトレーナーとしての経験と、ポケモンの愛情を生徒達に教えてくれたら、それで良いんだ!」

 

その声が聞こえ、ブルーとリンドウは声の方を見る。そこには帽子を被り、日焼けしてサングラスのような眼鏡を掛けた男が立っていた。歳はリンドウやブルーよりも歳上だろう。彼はククイ博士、ポケモンの博士であり、同時にこのポケモンスクールの学年主任である。

 

そして、ククイの側には右腕にZリングを着けたサトシと彼の肩に乗るピカチュウが居たのだ。

 

「ブルー。彼はククイ博士、俺の上司で学年主任だ」

「宜しくな。そうだ、リンドウ…君のクラスにだが、サトシを頼めるか?」

「サトシは転入するんですか?俺は全然構いませんよ、同じカントー出身ですし」

「はい!これから宜しくお願いします!リンドウ先生!」

 

こうして、サトシはメレメレ島ポケモンスクールに入学したのだった。

 

 

時間は流れ、朝礼の時間。

 

リンドウはブルーとサトシを連れて、教室にやって来た。

教室には既にリーリエ達が自分の席に座っており、空席はサトシが座るための席である。

 

「諸君!アローラ!皆も知ってると思うが、今日からサトシがこのクラスに転入し、ブルーが臨時講師と成った。宜しくな」

「紹介にあったブルーでーす!皆、分からない所はお姉さんに遠慮なく聞いてきてね!」

「マサラタウンからやって来たサトシです、此方は相棒のピカチュウ。皆…宜しく」

 

こうして、史実とは少し違うがサトシのメレメレ島でのスクールライフが始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、メレメレ島の森側の海岸に丸太で作ったイカダが上陸した。

 

「コジロー、ムサシ、ここはどこにゃ?」

「どこでも行くしかないさ!サカキ様とアポロ様達が行方不明に成っても、ロケット団は不滅だ!」

「そうよ!それに、サカキ様が何時でも戻ってきても大丈夫なように…沢山ポケモンを捕まえないとね!」

「ソーナンス!」

 

レッド様のお陰で、帰る場所を完全に無くした愉快なマフィアの皆様である。

 

だが、彼等は知らない。このアローラライフが彼等だけ、とあるチートポケモン(最強キテルグマ)の手でシュールライフの始まりであると。




次回!サトシの歓迎会!?



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4時限目

さあ…サプライズを始めよう。


放課後から約3時間後。多くの生徒達が放課後のお楽しみタイムを終えて、家々に帰っている頃。

 

リンドウは職員室で黙々と作業をしていた。研究者としてポケモンの資料の纏めるのは勿論のこと、今日残業してるのは別の理由も有る。サトシの事である。

サトシも今日から改めてポケモンスクールの生徒に成ったのだ。そのサトシの為にも、彼のデータを纏めるのは担任として…彼が一人前の優れたトレーナーに成るためにも必然的に行う必要が有る。

 

「流石に…様々な地方を冒険し、ジムバッジを集めただけは有るな。こりゃ、少し鍛えて型を仕込めばリーグ制覇も出来るんじゃないのか?」

 

纏めた今のサトシの資料と、自分が担当する他の生徒の資料を見比べる。

 

「Z技に頼らず、機転に優れる。ふむ…それに比べて、カキは同世代の中では強いが…Z技に頼りすぎる所が有るからな」

 

自分の担当する生徒には強くなってもらわねば困る。少なくとも、リンドウが更正(物理と指導)させた元チンピラ集団 スカル団のボスで今はカントーやジョウトを巡ってる虫使いのトレーナーの修行前程まで強くなって貰わないと困るのだ。

少なくとも、再来年…いや、来年までにだ。今年中に課題点に到達すれば万々歳だろう。

 

「リーリエは兎も角、アイツ等にはアローラリーグが開催し、本格的に()()()が始まる頃までにはジムリーダーを務めて貰わないとな」

 

サトシ達のデータをファイルに仕舞い、リンドウは1枚の資料を引き出しから取り出した。

 

その資料にはアローラリーグ本格開催の草案が書かれていたのだ。今年度には第一回を開催し、第一回は記念すべき大会なので各自エントリー制。そこから暫くした年からは通過儀礼である《島巡り》を達成した者かアローラリーグ公認のジムに挑み、8つのバッジを手に入れたトレーナーで予選を行い、残ったトレーナーで本選、本選を勝ち抜いた一人が…ジムリーダーと島キングを含めたトーナメントで戦い、最後に勝ち残った者がチャンピオンと戦う流れである。

 

とは言え、正式にジムリーダーが決まるまでは暫くの時間を有するのは間違いない。候補は既に絞られているが、未だ育つには時間がかかるのだ。

 

現在、リンドウを含め…ククイ博士を筆頭とした人物はアローラリーグを開催する為の準備を行っており、その中でもリンドウは未来を担うジムリーダーの選抜を任されているのだ。

 

「遅いと思えば何を見てるのよ」

 

その声が聞こえると、何者かがリンドウの持つアローラリーグの資料を奪い取る。何事かと思い、リンドウが後ろを振り向くと…ポケモンスクールのカフェテリアで待っていた筈のブルーだった。

 

「ブルー…カフェで待ってろと言っただろ?」

「遅いから来たのよ。もう、カフェは閉まっちゃったわ。

あら?何々?アローラリーグ開催の草案?アローラでポケモンリーグを開くの!?」

 

リンドウは仕事が遅くなると思い、ブルーにカフェテリアで待つように伝えていた。ふと、左手首に付けている腕時計を見るリンドウ。確かに時間は午後7時であり、カフェテリアは見事にラストオーダーを終えて閉店を迎えていた。

 

「こりゃ…確かに遅すぎたな。ブルーの歓迎会もしないといけないし、今晩は俺の奢りで食べに行くか。ポケモンも一緒に行ける、旨い店が有る」

「それは良いわね!ご馳走になるわ。あれ…これ、四天王は無いの?」

 

そう…アローラリーグは将来的にジムリーダーの就任は決まっているが、四天王の事は一切書かれていないのだ。四天王はジムリーダーよりも強く、チャンピオンの所に辿り着く前の最後の関門だ。カントーやホウエンは四天王を採用しており、リンドウがチャンピオンだった時代でも四天王達がリンドウに挑む程のチャレンジャーか確かめていた程だ。

 

「流石に…四天王を探し、選ぶには時間がかかり過ぎる。それに、今は四天王が居ない地方も多いしな…ガラル等が正にそれだ。

唯でさえ、ジムリーダーを選ぶのにも優秀な子供を鍛えないといけないのに…四天王なんざ、探せる訳が無い」

 

アローラの人口はカントー等と比べると遥かに少なく、その分優秀なトレーナーの数も限られる。そんな中で、四天王を任命しようとすればジムリーダーさえもマトモに探せないだろう。

 

「成る程ね…」

「既にノーマルと虫のジムリーダー候補は決まってる。後、6人だ…だが、4人の候補は既に見付けてある」

 

そう…4人の候補は決まってる。タイプもある程度は拘りが有り、その上素質も高い。打ってつけの候補が4人も居るのだ。

 

「まあ…他の地方と同じくジム制兼島巡り制に成るのは早くて2年位だけど」

「でしょうね…」

 

炎、水、草、電気。その4つのタイプを使うジムリーダー候補なら既にリンドウが教室で鍛えているのだ。

 

「そのアローラリーグのこと、カキ達には言うなよ?完全なサプライズだからな」

「勿論よ!」

 

リンドウはブルーからアローラリーグの草案を返して貰い、大事そうに引き出しの中に仕舞った。

 

「ところで、何処に食べに行くの?」

「マオの実家であるアイナ食堂だ。味は物凄く旨いぞ」

 

 

 

アイナ食堂。そこはマオの実家であり、メレメレ島に存在する。木の実や自然本来の食材を用いた美味しそうな料理は大変人気であり、マオの父親が店長、マオが看板娘として切り盛りしてるのだ。

 

そのアイナ食堂は大勢の客が入れる屋内は勿論、雨天は使えないが大型のポケモンとも共に食事を楽しめるテラス席も有るのだ。

 

そのアイナ食堂の屋内ゾーンの一角には、看板娘のマオ、マオのパートナーであるアマカジ、スイレンとアシマリ、マーマネとトゲデマル、カキ、リーリエが座ってジュースを飲みながら会議を行っていた。

 

「それじゃあ…作戦会議!サトシとブルーお姉さんの歓迎会の企画を話し合うよ!」

 

マオがジュースが入ったコップを掲げ、リーリエ達が頷く。そう…彼女達は新たにクラスの仲間に入ったサトシとピカチュウ、そして臨時講師(ぶっちゃけ副担任?)のブルーの為に歓迎会を企画している所なのだ。

 

「ここは…皆で1つ、サプライズを用意してブルーさんとサトシを楽しませるのは?」

 

そう言ったのはリーリエだ。

 

「確かにそうだね…サトシはポケモン勝負が好きと言ってたけど」

「様々なレクリエーションを含めた勝負は?駆けっこ+水泳対決や、風船割りごっことか」

「サプライズとしてのポケモン勝負はククイ博士と先生にしてもらおうか…流石にチャンピオンだった先生と普通に戦えるブルーお姉さんの相手は厳しいよ」

 

マオが考え込むように言うが、誰も返事をしてくれない。

 

「おっおい…マオ、後ろ…」

「あっ…終わった」

 

カキとスイレンがマオの後ろを指差す。何事かと思い、マオが後ろを振り向くと…なんとリンドウとブルーが居たのでした。

 

「あっ…ブルーお姉さんと先生」

「マオ…俺達は聞かなかった事にしとく。安心しろ」

「うん、安心して。明日のお姉さんのサプライズが丸聞こえでも、お姉さんは初見を演じるからね」

 

サプライズ…見事に露見してしまった。

 

見事にその場は沈黙してしまう。しかし、ブルーはパンパンと手を叩いて、笑みを浮かべた。

 

「はい!仕切り直し!仕切り直し!笑顔よ!笑顔!そんなんじゃ、運勢が逃げていくの!

今日はリンドウの奢りでパーと楽しみましょう!!」

 

確かにリンドウは貯蓄が沢山有る。リーグ優勝、準優勝、入賞の賞金は勿論の事、ホウエンチャンピオン時代の給与や現在の教師としての蓄えも沢山有る。

 

「「「ゴチになりまーす!」」」

 

――オーマイガー…まぁ、良いか。

 

そしてブルーの言葉により、リンドウはブルーと生徒達に晩飯をご馳走する事に成ったのだった。

 

場所をテラス席に移したリンドウとブルー、そして生徒達。今日は満点の星空が輝いており、彼等は外に有る席に座り、大型で店内で寛ぐのが難しいポケモン達もボールから飛び出して楽しそうに寛いでいた。

 

「ご注文は何にしますか?」

 

嘗て、リンドウの手で更正(物理)された元スカル団(チンピラ)だった女性店員が注文を聞きに来る。

 

「取り敢えず、本日のオススメ盛り合わせをパーティーサイズ、俺は飲み物でビールのグラスを」

「そんじゃ!私は生!」

「生?ですか?」

 

ブルーは生…生ビールを頼もうとしたが、それで生ビールと通じるのはカントーやホウエン、シンオウだけなのだ。

アローラで頼む際は生と言っても伝わらないのである。

 

「ビールの事だ」

「はい!所で、このお姉さんは兄貴の嫁さんですか?」

 

因みに元チンピラ集団の皆様は何故か、リンドウの事を兄貴呼ばわりしており、更正されてから非常に慕っている。

 

「いや、幼馴染みだ。所で、お前達は何か頼むか?」

 

注文を終えたリンドウとブルー。しかし、マオ達は未だ自分の飲み物は残っている。

 

「私達は飲み物が残ってるので…アローラサラダ盛り合わせ!!」

「じゃあ、私はアローラのZ魚尽くし!」

「俺はZステーキの大盛りを!」

「僕はZメガ進化パフェ!」

 

マオ、スイレン、カキ、マーマネが頼んだ品…それはこのアイナ食堂でも、中々にお高い料理であった。

 

「それじゃあ…あの、私はミックスジュースのおかわりを。ご飯は皆さんのを頂きます」

 

しかし、リーリエがリンドウに気を使い、リンドウの財布の負担は抑えられた。

 

 

 

そして、宴が終わる頃には…

 

「それじゃあ…お前達。気を付けて帰れよ」

 

見事に酔ってグロッキーに成ったブルーを背負い、レウスの背中の鞍に跨がったリンドウが生徒達を見下ろしていた。

そう…ブルーは物凄く酒が弱いのだ。

 

「うぐ!?はきしょう…」

「吐くなよ!?此処で吐くなよ!?普通にビール3杯…いや、ビールと飲みやすいカクテルだけで辞めとけよ!!

マジでゲロインに成るなよ!?数十秒の辛抱だからな?それじゃあ、また明日!」

 

リンドウがそう言うと、レウスは空高く飛び立ち…リンドウの社宅まで最短距離で帰っていった。

 

 

 

翌朝…7時半。

 

「お前達、準備は良いか?」

「「「「はい!」」」」

 

ポケモンスクールの正門の影に隠れサトシが来るのを待っているリンドウとその教え子、そしてブルー。

 

「あー…頭がズキズキする」

「ブルー…当分禁酒な?俺も呑まないから守れよ?あの後、お前の看病で俺は大変だったからな?」

 

二日酔いに成ったブルー。そして、その看病で殆んど寝ていないリンドウ。そんなリンドウの事を思ってか、後ろに控える彼のポケモンとブルーのポケモンは「うんうん」と頷いていた。

 

「ははは…ごめんね」

 

すると、ひそひそするようにマオがスイレンの耳に小声で話し掛けた。

 

「ねぇ…先生って絶対に良いお父さんに成れるよね」

「うん、成りそう。そしてブルーお姉さんが嫁さんに成りそう」

 

しかし、彼等が朝早くやって来た訳は単純だ。全てはサトシのサプライズの為である。サトシがやって来て、校門を潜る瞬間にアシマリのバルーンでサプライズを行い、それに続くように全員で出てくるのだ。

 

「今思ったんだが、サトシは何時位に家を出てるんだ?」

「ククイ博士の家で暮らしてるし、朝は早いんじゃないかな?」

 

カキとマーマネがそう言う。確かにサトシがいつ頃やって来るか分からない。

 

「8時半を過ぎるぐらいかもな。今日は起こさずに俺が先に出てきたから」

 

その声が聞こえると、リンドウ達の後ろからサトシの保護者であるククイ博士がイワンコをだっこして現れた。

 

「えっ?」

「起きれない事は無いんだが…年相応だな」

 

なんと言う事でしょう、サトシ君はお寝坊の可能性が出てきたのだ。

 

「とは言え、此処で待っていたら来るだろう」

 

だが、待てばサトシが必ずやって来る。

 

「レウスは大きいから目立つな…モスラ、空で待機して、サトシが来たら合図してくれ」

「ウル!」

 

ウルガモスはリンドウの指示に従い、空高く飛び上がる。そして、空中で停まった。

 

すると、暫くしてウルガモスが大きく旋回しだした。どうやら、サトシが近くに来ているようだ。その証拠に…

 

『親方様!!サトシ殿が300メートル範囲に入りましたぞ!!』

 

波動を用いた探索を行えるルカリオが告げる。

 

「サトシがもうすぐ来るぞ!」

「アシマリ!バルーン!」

「パウ!」

 

アシマリもバルーンを準備し、サトシとピカチュウを迎える準備は万端だ。

 

何やら「遅刻だー!なんで、博士は起こしてくれなかったんだ!?いや、走れば間に合う!行くぞピカチュウ!」とサトシの声が聞こえる。それから数秒後、サトシが校門を潜ろうとした。

 

しかし、アシマリのバルーンが炸裂してサトシは尻餅を着いてしまった。

 

「なんだ?」

「ピカピ?」

 

突然の事で何だか分からないサトシとピカチュウ。すると、サトシとピカチュウの前にリンドウ達が出てきた。

 

「「「「アローラサプライズ!!」」」」

「サプライズ?」

「そっサプライズだ。今日の授業はサトシとピカチュウの歓迎会だ。

サプライズはマーマネ、スイレン、カキ、マオ、リーリエの順番で行き…最後は俺達だ!」

 

此処に、サトシ君とピカチュウのサプライズが始まったのだった。

 

「あっ、私も戦うから」

「ブルーさんとも戦えるのか!?燃えてきたぞ!ピカチュウ!」

「ピカピ!!」

 

さあ…歓迎会を始めよう。




スカル団…リンドウの手で更正されていた(笑)

次回!サトシとピカチュウ…アローラサプライズを受ける。


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休み時間 キャラ紹介

休み時間は基本的に、説明と番外編です


リンドウ。

 

名前の由来は植物の竜胆と青紫の別名である竜胆から。転生者だが、特に特典は無し(マサラタウン出身で充分チートとか言わない)。レッドやグリーン、ブルーと幼馴染みであり、彼等と共に旅立つ。

戦歴は1年目カントーリーグ準優勝(レッドが優勝、グリーンが準決勝でレッドに敗北、ブルーが準決勝でリンドウに敗北)。2年目ジョウトリーグ優勝(賞金だけかっさらう)。3年目シンオウリーグ優勝(賞金だけかっさらう)。4年目ホウエンリーグ優勝し、四天王とチャンピオンを倒してホウエンチャンピオン就任…以後、トクサネの高専に通いながら卒業まで無敗を貫く。その後、高専の卒業と共にチャンピオンを辞任して世界をプラプラして、アローラのポケモンスクールの教師に就任。そして、ダイゴは家業であるデボングループを継がなければならないと、チャンピオンの座を譲られ、チャンピオンに復帰する。

 

リンドウのポケモン達。なお、技はアニメと同じく4つ以上覚えられる。ゲームと違い、性格は能力に反映されない。

 

リーフィア

 

リンドウの初めてのポケモンであるイーブイが進化した姿。なお、進化の仕方はリーフの石を与えてみた所、進化してしまった。リンドウ最古参の3匹の一角であり、主力メンバーで唯一ニックネームが付いていない。

 

リザードン(戦闘時メガリザードンX)…ニックネーム レウス。

 

リンドウが2番目に手にしたポケモンであり、最強の切り札。心無いトレーナーに捨てられた所を保護し、リンドウが引き取って育てた。メガリザードンXにメガ進化する事ができ、近接戦で圧倒的な強さを発揮する。じしんの応用技が恐ろしい程に強烈らしい(ブルー曰く)。因みにブラストバーンは何処から見てもメガフレア。

技 じしん?、かえんほうしゃ、ドラゴンクローその他。

 

エンペルト…ニックネーム ペンペン。

 

リンドウが3番目に手にしたポケモン。元々は別のトレーナーのポケモンであったが、クチバシティに訪れたサントアンヌ号に入った時に、そこの客から譲られた。リンドウの手持ちでテンションが高い部類のメンバーであり、カントー時代から活躍している。

技、ラスターカノン、ハイドロポンプ、冷凍ビーム、ねっとう、その他。

 

ルカリオ…ニックネーム ルカ

 

リンドウがチャンピオンを辞任してから、ゲットしたポケモン。元々はリオルだったが、リンドウが進化させた。その後、前世で見た波動の勇者の影響を受けて、リンドウが試しに試した結果…喋れるように(厳密にはテレパシーに近い)。バサラの幸村如く熱い漢だ。因みにジャイロボールと波動を組み合わせ、某白眼忍者の回転を再現して攻撃を防ぐ。

技、はどうだん、神速、みやぶる、はっけい、ジャイロボール(ぶっちゃけ防御技)、その他。

 

ウルガモス…ニックネーム モスラ

 

リンドウがルカの次に捕まえたポケモン。最初はメラルバだったが、育て上げて進化させた。甘えたがりであり、現在の手持ち唯一の♀。体がリーフィアと同じく教室でも問題ない大きさなので、リーフィアと同じく良く学内で見掛ける。

技、ちょうのまい、ほのおのまい、かえんほうしゃ、むしのさざめき、ギガドレインその他。

 

バンギラス…ニックネーム バンチョー及びバンちゃん(名付け親ブルー)

 

日本が誇る600属の一角であり、リンドウが仕事でカントーに戻った際に保護したポケモン。珍しくきんちょうかんの特性を持っており、出した際に砂嵐が起きない。臆病だが、戦う時はやる子である。余談だが、リンドウの手持ちでは一番弱い(現段階)。

技、じしん、ストーンエッジ、かみくだく、こうそくいどう、その他。

 

 

 

ブルー。

 

今作のヒロイン。皆御存知、ポケスペ以外の公式から20年程、攻略本登場から忘れられていた少女(何気にゲームデビューはピカブイ)。

リンドウ達の幼馴染みであり、作中最強クラスに強い(ブルー、リンドウ、レッド、グリーンが頭抜けてる)。現在はオーキド博士の助手をしており、今はオーキド博士の紹介も有ってかメレメレ島のポケモンスクールで臨時講師をしている。

 

ブルーの手持ち

 

カメックス…ニックネーム カメちゃん

 

ブルーの初めてのポケモンである、ゼニガメが最終進化した姿。ブルーの手持ちの中で最強であり、メガ進化も出来る。

 

ピッピ…ニックネーム ピッくん

 

ブルーがイワヤマトンネルで捕まえたピッピ。リンドウとグリーン曰く綺麗なピッピ…理由はレッドのピッピが出てきた時に明らかに成るだろう。

 

メガニウム…ニックネーム チコちゃん

 

ブルーがカロス地方で捕まえた、ジョウト御三家のチコリータが最終進化した姿。現在のブルーの手持ちでは今の所、一番弱い。

 

 

レッド

 

今作の最強のトレーナー。ゲーム仕様の為か、物凄く無口。原点にして頂点である。

 

ピカチュウ…ピカ様

 

作品最強のぶっ壊れピカチュウ。レベルは軽く100であり、メガ進化ポケモンすら倒してしまう。

技 でんこうせっか、かわらわり、10万ボルト、ボルテッカー、アイアンテール、爆裂パンチ…その他諸々。

 

ピッピ(レッドの)

 

ギエピー…分かる人には説明不要で分かる。

 

フシギバナ…メガフシギバナ

 

レッドの手持ちの中で胃痛持ち。日頃からピカ様とギエピーに振り回されて、同僚のラプラスに慰められている。

 

 

グリーン

 

レッドのライバル…なのだが、原作と違い…ポケモンリーグはアニメ方式なので、チャンピオンには成れなかった男。現在はトキワシティのジムリーダーをしてる。世界最強のジムリーダーであり、カントーとホウエン以外の地方なら間違いなくチャンピオンに成れている。

 

バンギラス…メガバンギラス

 

グリーンの切り札。歩く天災、災害級の強さを持っており、本気を出せばオーキド研究所が更地に成る。そのメガバンギラスを停めるために、レッドのピカ様とリンドウのメガリザードンX、ブルーのメガカメックスが出動してマサラタウンは崩壊する。

 



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5時限目

さ…サプライズを始めよう。


遂に始まったサトシとピカチュウのサプライズ歓迎会。

 

「それじゃあ、サトシには私達で考えたバトルを行ってもらうね!バトルと言っても、ポケモン勝負以外にミニゲームのような物も有るから楽しんでいって。

先ずはマーマネとトゲデマル!」

 

司会のような物を行うマオがそう言うと、マーマネとトゲデマルが一歩前に踏み出した。

 

「先ずは僕とトゲデマルとの勝負だ!内容は簡単、彼処に用意した風船をどちらが早く全部割るかだよ!」

「トゲ!!」

 

ビシッとマーマネが指指した所を見ると、そこには大きなタライにたっぷりと山盛りに入れられた風船が2山も存在していた。この風船をサトシとピカチュウペア、マーマネとトゲデマルペアでどちらが早く全部割るかを競い合うのだ。

因みにこの風船の山…朝6時からリンドウがブルーの朝食を用意し、ブルーが朝食を食べている間に1人で用意した。そのお陰も有り、リンドウは物凄く眠い。

 

――今日は早めに寝よう。

 

心に誓ったリンドウであった。

 

「うぉぉおお!面白そう!!頑張ろうぜ!ピカチュウ!!」

「ピカピ!!」

「それじゃ!始め!!」

 

マーマネの挑戦が始まる。マーマネから開始の合図が出されて、ピカチュウとサトシ、マーマネとトゲデマルは各々の山に向かって走り出す。

そして、風船を手にしてサトシ達は風船を割ろうとするが…中々割れない。当然だ、この風船…リンドウが腹癒せに空気をパンパンに詰め込んでおり、その上…風船を買う時間がなかった為に、ポケモンスクールのイベントで用いる物を使ったのだ。

 

「あっあれ!?メチャクチャ固いな…」

「トゲ!?」

 

それを知らないサトシ達とある意味首謀者のマーマネ。だが、マーマネは未だ知らない…マサラタウン出身者の驚異的な身体能力を…

 

「ふん!!」

 

サトシは風船を挟むように持つと、力を込めて破裂させる。やはり、マサラタウン出身者故か、歳離れした身体能力をお持ちのようだ…流石は嘗てヨーギラスを軽々と担いだだけは有る。

 

「これはキツいな…ピカチュウ…大丈夫か?」

「ピカ!」

 

だが、そこで策士マーマネの作戦が発動する。

 

「あっ!ポケモンの技も使って良いよ」

「良し!行くぞピカチュウ!!10万ボルトだ!!」

「ピカチュウ!!」

 

だが、マーマネは勝ち誇ったように笑みを浮かべる。トゲデマルの特性はひらいしん、電気タイプの技を自分に受けて己の力をパワーアップさせる事が出来るのだ。

 

その結果、ピカチュウから放たれた10万ボルトは風船に当たらず、トゲデマルに吸い寄せられるように吸収される。

 

「今だ!トゲデマル!!びりびりチクチク!!」

「トゲ!!」

 

そして放たれるトゲデマルの電気技。だが、此処で残念なお知らせが存在する。この風船等は一式リンドウが用意したのであり、元々はポケモンスクールでのイベント等に使われるものだ。

 

だが、現実は無情であり…びりびりチクチクでも風船は割れなかった。

 

「あれ?」

「トゲ?」

 

普通の風船なら、幾ら絶縁体のゴム素材でもポケモンの電撃に耐えられず…中の空気が膨張して破裂してしまう。だが、この風船はポケモンスクールのイベント等で使う物…ポケモン達が遊んでいる最中に破裂しないように特別なコーティングが施されているのだ。

 

「あっ!言い忘れた。この風船、俺が用意した物でな。電気タイプや炎タイプのポケモンがじゃれついても破裂しない物なんだ。

元々はポケモンスクールでイベントとかで使う奴でな…破りたかったら、他のタイプの技で物理的に壊すしか無いぞ」

 

現実をリンドウから告げられたサトシとマーマネ、ピカチュウとトゲデマル。

 

「ピカチュウ!アイアンテールだ!俺も手伝うぞ!」

「トゲデマル!ミサイルばり!」

 

数のミサイルばり、一撃のアイアンテール+マサラ人のサトシの腕力。その結果、見事に両陣営は互角の戦いを繰り広げて…引き分けと成った。

 

「楽しかった!ありがとな、マーマネ!」

「此方も楽しかったよサトシ!」

 

ここに、新たな友情が芽生えたのだ。

 

「はーい!次は私とアシマリだよ」

 

なんと、次の挑戦者はスイレンとアシマリであった。

 

「私とアシマリは陸上と水上のポケモンレース、ポケスロンをサトシとピカチュウに挑むよ」

 

ポケスロン…陸上と水泳を兼ね揃えたポケモン達のレース種目だ。

 

「ポケスロンか!行くぞ!ピカチュウ」

「ピカピ!!」

 

水中ならアシマリの圧倒的有利、地上ならばピカチュウの有利という事だろう。

 

だが、ここでまさかの乱入者が現れた。

 

「ちょっと待った!!此処はお姉さんとカメちゃんも飛び入りで参加するわ!!」

 

まさかのブルーお姉さんと、そのパートナーであるカメちゃんの参戦である。

 

「ブルーお姉さんにカメックス!?」

「ブルーさんとカメックスとも!よっしゃ!燃えてきた!」

 

ここにカメックス、ピカチュウ、アシマリの三つ巴のポケスロンが始まったのだった。

だが、カメックスは甲羅と体格を利用した耐久力と圧倒的な火力で相手を粉砕するポケモンだ。ポケスロンでは機動力に優れるピカチュウとアシマリ相手に有利とは言えない。有利な水中に入る前でも、大差を地上で付けられてしまうだろう。

 

そして、スタートラインに並ぶカメックス、ピカチュウ、アシマリ。

 

「それじゃいい?よーいどーん!」

 

スイレンが合図を出して、一斉にピカチュウ達は動き出した。真っ先に先頭に出たのはピカチュウ…いや、まさかのカメックスであった。

 

「ピカ!?」

「ぱぅ!?」

 

カメックスは手足と頭部を甲羅の中に仕舞っており、砲塔も格納している。その状態で甲羅を高速回転させて地面を転がり、水上は水切りショットのように滑るように移動していく。

これにはピカチュウとアシマリも唖然としてしまい、その場で固まっている。その結果、カメックスはぶっちぎりで一位でゴールしたのだ。その時間…僅か3秒、圧倒的なゴールだった。

 

「いぇーい!流石はカメちゃん!」

「カメ!」

「いや、手加減してやれよ」

 

そんなブルーを見て、リンドウは突っ込みを入れるのだった。

 

「次は俺とサシでケンタロスに乗って、レース勝負だ」

 

なんと、次の相手はカキであった。しかも、パートナーの力を借りず、ケンタロスに乗ってサシでのレース勝負。

 

「あぁ!良いぜ!俺もケンタロスやギャロップには乗った事が有るから、自信が有るぞ!」

「ふっ、俺も…牛乳の配達や牧場の手伝いで様々なポケモンに乗るからな…良い勝負が出来そうだ」

 

そして、カキとサトシのケンタロスレースが始まった。だが…

 

「ねぇ…リンドウ、なんかシンプルね」

「そんな事を言われてもな」

 

カキとサトシのレースの腕前は互角。牧場仕事と通学で磨いたカキの腕前、これまでの冒険で磨いたサトシの経験。そのレースは互角の戦いを見せて…2人はほぼ同時にゴールした。

 

「カキ!凄いじゃないか!」

「お前も良いライドだったよ!」

 

ここに、男同士の新たな友情が芽生えた。

 

すると、サトシのお腹の虫が鳴り出した。

 

「さてと、次は私のサプライズ!アイナ食堂看板娘である私が、料理を振る舞ってあげましょう!!」

 

一先ず、お昼休憩である。




次回!ご飯からのサプライズ……?

リンドウ「…あれ…俺のサプライズは!?」
リーリエ「次は私の番ですわ…えっ?」
??「カプコケェェェェ!!」


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6時限目

マオのサプライズ


お昼ご飯兼、マオのサプライズ。それはアローラの特産とも言える素材が沢山使われた美味しそうなご飯の数々だ。

 

サラダ、メレメレ島で良く取れる魚介類のシーフード、アローラの家庭料理であるアローラプレートやアローラ名物のロコモコにマラサダ等が皿の上に盛られて、机の上に並べられていた。

 

「はーい!アイナ食堂の看板娘、マオの手作り料理だよ!たーんと召し上がれ!」

「アマ!」

 

そう、この料理の数々はマオが作った代物だ。食べ盛りなサトシ達は勿論の事、日頃からの業務で多くの食事を必要とするリンドウやククイ博士も満足なボリュームである。

 

「それと、ポケモン達は此方ね!」

 

だが、それとは別にポケモン達の食べ物も用意したマオ。此方のポケモン達が食べる木の実の盛り合わせとポケモンフーズは、先日にリーリエが考案したメニューをマオが実践した物だ。

 

「「「頂きまーす!」」」

「ピカピ!」

 

お手を合わせ、サトシ達は嬉しそうにマオ特性のご飯を食べ始めた。

 

「このお魚は私のお父さんが取って来た物だよ」

「この牛乳は俺の実家だな」

 

スイレンの父親は漁師をしてあり、カキの実家は牧場を経営している。勿論、この特製ランチにはスイレンの父親が取ってきた魚やカキの実家で取られた牛乳等が使われているのだ。

 

「因みに、カキの家の牧場で作られたアイスは物凄く旨いぞ?」

「フィ!」

 

リンドウとリーフィアがそう言う。そう、カキの実家で作られたアイスは絶品であり、取れたてのモーモーミルクから作られるアイスは格別なのだ。

 

「アイス!俺、カキの家に行ってみたい!」

「牧場!?ちょっとリンドウ!私もそこに連れていきなさいよ!!」

 

年頃のサトシは勿論のこと、女性は甘い物が大好きだ。それ故か、ブルーもカキの家である牧場が気になるようであり、2人は行ってみたいようだ。

 

「俺は良いけど、カキにも事情が有るだろ」

「俺は事前に言ってくれたら、何時でも構わないけどな…俺の家はメレメレ島じゃなくてアーカラ島に有るんだ」

 

アーカラ島。メレメレ島と同じく、アローラ地方の島であり、活火山が有る島だ。その島は観光地の中心であるメレメレ島と比べれば発展はしていないが、アローラ独自の進化を遂げたポケモン等が生息している。

 

「「アーカラ島?」」

「行くのなら、船かリザードン等に乗っていくかだな。とは言え、サトシもブルーも今はライドポケモンの登録をした飛行タイプは持っていないしな…ブルーは俺の後ろに乗せてレウスで行くとして、サトシは学校のライドポケモンを貸すとするか」

 

アローラ地方ではライドポケモン登録を済ませたポケモン以外に乗って移動する事は禁じられている。その為か、ポケモンに乗って移動したい人は自分のポケモンをライドポケモン登録するか、ライドポケモンをレンタルするしか無いのだ。

レンタルできるライドポケモンは訓練されており、戦闘以外では他者のポケモンでも普通に言うことを聞いてくれるのである。

 

「リンドウ先生も行くのか!?」

「当たり前だ。てか、俺もカキんちのアイスを久々に食べたいしな」

 

そして、リンドウもカキの家で作られるアイスが大好きなのだ。

 

「そういや、貴方ってジョウトに初めて行ったとき…モーモーミルクのアイスの為に二時間並んでいたわね」

「一緒に並んでいただろ」

 

ブルーとリンドウ、2人はジョウト地方に初めて訪れた際にモーモーミルクから作られたアイスクリーム…モーモーソフトを手にする為に二時間も並んだのだ。それで良いのか、元ホウエンチャンピオン。

 

「その後、私達はカントーチャンピオンの仕事を放り出してシロガネ山でキャンプするレッドを見付けたのよね」

「あんな危険地帯でキャンプ出来る、レッド本人とレッドの手持ちはマジで理不尽の塊だからな」

「レッド?…レッドてもしかして、()()()()()()()()のレッドですか!?」

 

リンドウとブルーがレッドの名前を出した瞬間、リーリエは身を乗り出して問う。いや、リーリエだけではない、サトシやカキ、スイレン、マオ、マーマネも箸を停めている。

全てのポケモンに関わる人に取って、この世で唯一のポケモンマスターの称号を持つレッドという青年は憧れなのだ。

 

レッドは彗星の如く現れ、瞬く間に頂点へと駆け上がり、カントーチャンピオンの座に就任した。その後も圧倒的な実力で全ての挑戦者を倒し、それどころか各地方のチャンピオンと交流戦(エキシビション)を行い、他の地方のチャンピオンを全員倒してしまった程の実力を持つ。

チャンピオン時代のリンドウは勿論、故郷であるジョウト地方のチャンピオンに成った前カントーチャンピオンのワタルも、シンオウチャンピオンのシロナも、イッシュチャンピオンのアデク、カロスチャンピオンのカルネ、ガラルチャンピオンのダンデも…全員がレッドに敗北している。

 

カントーリーグが行われている期間以外は過酷な環境(シロガネ山等に)籠っていると噂されており、その強さは天井知らず。最強のポケモントレーナー故に、彼はポケモンマスターと称えられる。

 

「そうさ!ポケモンマスターのレッドと、リンドウ先生とブルー先生、そんで世界最強のジムリーダーと言われるグリーンは幼馴染みさ!」

「「「「えっえぇぇぇぇぇ!!」」」」

 

驚きの事実を知ってしまい、生徒達は驚く。とは言え、事前に言ってなかったリンドウ達にも責任は有るだろうが…

 

「いや…だってな、聞かれなかったし」

 

だが、その後はレッドの話で盛り上がる事は無かった。何故なら…

 

「ケェェェーー!!」

 

その声が聞こえ、サトシの帽子が何者かに取られてしまう。異変に気付いたリンドウ達が声の方を見ると。そこにはサトシの帽子を被ったメレメレ島のカプ・コケコが浮かんでいた。

 

「ケェェ!」

 

カプ・コケコは「帽子を返して欲しければ、付いてこい」と言わんばかりにサトシを見て告げ、中々の速度でポケモンスクールの裏手に有る森に消えていく。

 

「俺の帽子!!」

 

そして、サトシとピカチュウは帽子を返してもらう為に、真っ先に駆け出した。

 

 

 

「はっ!?俺のサプライズは!?」

「5番目のサプライズは私です!」

 

カプ・コケコの乱入により、サプライズが無くなったリンドウとリーリエであった。

 

 




此処のレッド様はカントーチャンピオンのままです。

暫く、FGOのイベントで更新スピードは遅くなります。



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7時限目

カプ・コケコさん…強すぎ(笑)


「俺の帽子!!」

 

突如として現れたメレメレ島の守り神であり、伝説のポケモン カプ・コケコ。カプ・コケコは伝承に曰く、守り神と言えど悪戯好きや好奇心旺盛と言われており、昔から気に入った人物にポケモン勝負やアローラ相撲、そして悪戯を仕掛けてくるそうだ。

 

その為か、カプ・コケコはサトシの被っていた帽子を奪い、ポケモンスクールの裏手に有る森に向かって飛んでいく。勿論、大事な帽子を奪われて好きに出来るサトシではない。サトシとピカチュウは帽子を取り返すために、カプ・コケコを追って森に入っていく。

 

「おっおい!サトシにピカチュウ!?」

 

勿論、サトシとピカチュウだけを向かわせる訳にもいかないので、リンドウ達もサトシを追いかけて森に入る。

森に入ったのは良いが、サトシの運動能力と体力は桁外れだったのか…後から出たとは言え、リンドウ達とぐんぐん距離を離していく。

 

距離としてはカプ・コケコ>>サトシ>>>リンドウ、ブルー>>>マオ達+ククイ博士と言った感じだ。

 

「おい…ブルー、サトシは本当に今年で11歳か?」

「速すぎるでしょ!サトシはレッドと一緒で、スーパーマサラ人なの!?」

 

勿論…マサラタウン出身で、マサラ人であるリンドウとブルーも普通の人と比べれば身体能力は高い。過去、未だ例の愉快なトリオを除いたロケット団が元気に悪事を働いていた10年程前…ロケット団の構成員を倒したのは良いが、逆上されて生身で向かってきたロケット団を拳や蹴りで返討にさせた事が有るのだ(因みにブルーは野生のゴーリキーにも勝てる、リンドウはバンギラスを持ち上げられる)。

そんなマサラ人の大人2人を軽々と上回る速度で走るサトシ。彼は少し前、大切なポケモンで今は諸事情でカロスに置いてきたゲッコウガと同等の速度で走った事が有るのだ…つまり、そう言う事である。

 

「サトシは兎も角、先生とブルーお姉さん速すぎでしょ!」

「まぁ…あのカントー出身だしな…うん」

 

マオ達は若干置いてけぼりを喰らってしまったが、気にしてはいけない。マサラ人と一部のニビ人(岩の妖精)が可笑しいのだ。

 

何とかリンドウとブルーがサトシ達に追い付くと、そこはポケモン勝負をするには打ってつけの開けた場所だった。

その天然のバトルコートの中央で、カプ・コケコは浮かび…サトシとピカチュウを真っ直ぐ見る。

 

やがて、マオ達とククイ博士も追い付くと…突如として身構えた。

 

――私と戦え

 

カプ・コケコは言葉を発しないが、サトシとピカチュウに向けてそう告げた。

 

「カプ・コケコ…バトルしようって言うんだな!」

「ピカピ!!」

 

カプ・コケコの意思を理解し、サトシとピカチュウも身構えた。

 

「えっ?なにこれ、凄い展開に成ってない!?」

「俺達…完全に蚊帳の外だな」

 

伝説のポケモンとポケモンマスターを夢見る少年の勝負。横槍は許されない事であろう。

 

その結果、見事にリンドウ達は蚊帳の外に成ってしまい、見守る以外の選択肢が無くなったのだ。

 

「ケェェェ!!」

 

突如、カプ・コケコが叫ぶと戦いの始まりを宣言するように周囲に電気が迸る。エレキフィールドと呼ばれる物で、電気技の威力が上昇して周囲の者は誰もが眠ることが出来ない状態だ。

 

カプ・コケコは電気・フェアリーの複合タイプと伝えられている。つまり、カプ・コケコは自分に有利な状況をこの場で作り出したのだ。

 

「行くぞピカチュウ!10万ボルトだ!」

「ピカチュゥゥ!!」

 

ピカチュウの赤い頬っぺが電気をバチバチと出し、ピカチュウは全身から激しい電撃を放つ。ピカチュウの得意技であり、最も多用してきた必殺技…10万ボルトだ。だが、カプ・コケコも電気タイプであり、10万ボルトは効きにくいかも知れない。

それに、これはゲームではなく現実だ。命中率の低い技が力量で何度も当てられたり、命中率の高い技がかわされる事も多々ある。それ故か、カプ・コケコは左手で10万ボルトを受け流し、ピカチュウ向けて高速で接近する。

 

「速い!?」

「ピカ!?」

 

そのまま、カプ・コケコは右手でピカチュウを殴り、ダメージを与える。

 

「ピカ!?」

「ピカチュウ!!よし、今度は電光石火からのアイアンテールだ!!」

 

フェアリーは鋼の技が抜群だ。電気と比べればダメージを与えやすいだろう。

 

ピカチュウは電光石火で加速し、カプ・コケコに接近する。最高速度に到達し、ピカチュウの尻尾が鋼のように固くなる…技、アイアンテールを発動したのだ。

 

「ピカ!!」

 

電光石火の速度が合わさり、ピカチュウは物凄い速さでアイアンテールをカプ・コケコに振り下ろす。だが、カプ・コケコは右手でそれを受け止める。やはり、実力の差が有りすぎるのだろう。だが、その衝撃は凄まじく、カプ・コケコの右手は震えている。

 

――面白い。それでこそ、私が見込んだポケモンとその相棒だ

 

だが、カプ・コケコはピカチュウを払い飛ばし、目にも見えない速さでサトシの前に移動する。そして、サトシの右手にはめられたZリング…いや、Zリングに備えられた黄色のクリスタルこと電気クリスタルに触れた。

 

――使え、さもなくば今の君達では私に一矢報えない

 

「Zリング…Z技を使えってことか!?」

 

――そうだ。君達の絆を私に見せてくれ

 

カプ・コケコはフィールドの中心に移動する。そこは丁度、ピカチュウとサトシの視線の先であり…Z技の射線上だ。

 

――私の真似をするんだ。そうすれば、Z技が射てる。そして、覚えておけ…今からするのが電気タイプのZ技の振り付けだ。

 

カプ・コケコは手を交差する。サトシとピカチュウもカプ・コケコの見様見真似を行い、次々とポーズを決めていく。

やがて、サトシの思いがZリングとZクリスタルを伝わり、ピカチュウに流れ込む。

 

「これが…俺達の全力だ!!」

「ピカピカーー!!」

 

サトシとピカチュウは同時に拳を放ち、ピカチュウは莫大な熱量を誇る電撃の必殺を解き放つ。

 

「スパーキング・ギガボルト!!」

「えっ!?そんな名前なの!?電気タイプのZ技!」

 

ククイ博士が解説し、リンドウが言う。そして、スパーキング・ギガボルトはカプ・コケコに直撃し…辺り一面に大きな爆発と衝撃波が広がり…森が揺れた。

 

「やったのか?」

 

風が吹き、煙が晴れると…そこには無傷で立っているカプ・コケコが立っていた。

 

――これだから…人は面白い。また会おう、少年

 

カプ・コケコは頷き、メレメレ島の何処かに向かって飛んで行った。

 

「カプ・コケコ!?」

 

飛んでいったカプ・コケコを見送るサトシであったが、Zリングに嵌めていたZクリスタルが役目を終えたように、割れてしまった。

 

 

 

 

 

その頃の緑君。

 

「グリーン。急ぎで悪いが…今からアローラに行ってくれんかの?」

「お爺ちゃん!?カントーからアローラなんて、飛行機の手続き等も含めたら4日はかかるぞ!?」

「分かっておる。この子をサトシに渡してくれ、送っても良いが…直接渡して欲しいのじゃ。この子はカロスでの一仕事を終えて、戻ってきたサトシの大事なパートナーなのだ」

 

グリーン…近々、アローラにやってくる模様。あの水タイプの忍者を連れて




次回!ロトム図鑑、そしてムコニャ…キテルグマに拾われる(笑)


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8時限目

ロトム図鑑…


――夢を見ていた。旅立の時だった。

 

「リンドウ、ブルー!悪いが、俺は一足先にポケモンを選んだぞ」

 

もう、10年以上前の事だ。10年以上前、未だリンドウやブルーがサトシ達と同じ年だった時だ。

 

オーキド研究所にウキウキルンルンな気分でやって来たリンドウとブルーだったが、彼等を待っていたのはフシギダネを抱いたレッドとヒトカゲを抱っこしたグリーン、そして2人を待っていたオーキド博士であった。

 

「………」

 

レッドは相変わらずの無言であり、オーキド博士はゴホンっと咳払いを行う。オーキド博士の側にはモンスターボールが2つ置かれており、リンドウの前世からの知識からすれば1つはゼニガメで間違いない。

 

「リンドウ、ブルー。この2匹はどちらも、ワシが選んだ初心者向けのポケモンだ」

「流石は博士!良し、リンドウ!いっせーのーで、選びましょう!」

 

ブルーはそう言うと、1つのモンスターボールを選ぶ。いっせーのーでと言いながら、先に取るのだからいっせーのーでなど関係がなかった。

 

「残り物には福が有るって言うしな」

 

リンドウはそう言うと、残された1つのモンスターボールを取ろうとする。しかし、リンドウが手にする前にボールは勝手に開き、そのポケモンは飛び出してリンドウの胸元に飛び込んだ。

 

「イーブイブイブイ!!」

「おわ!?」

 

咄嗟の事で驚くリンドウであったが、なんとか飛び出してきたポケモン…イーブイを落とさずに抱くことが出来た。

 

これが…イーブイ、後のリーフィアとリンドウの出会いであったのだ。

 

 

「朝か…」

 

昨日のサプライズを終えて、昨日は早めに就寝したリンドウは目覚めた。

しかし、酔い潰れたブルーの介護やサプライズの小道具等の準備を行った結果…昨日は殆んど寝ていないリンドウは随分と寝てしまったようだ。

 

ふと、時計をみると…時間は6時半。普段よりも30分も寝過ごしたが、全然問題はない時間だ。

 

「しかし、良く寝たな。さてと、ポケモン達やブルーの為に朝食を作って………なんだこの臭いは?」

 

やけに鼻腔を刺激する焦げ臭い臭い、更にリンドウの寝室で共に寝ている筈のリーフィアの姿が無い。良く見ると、寝室の扉が開いており…リーフィアが出た痕跡が有る。だが、当たり前のようにリーフィアはガスコンロを使える訳が無い、だとすると…ガスコンロを使う人物はリンドウを除いて一人しか存在しない。

 

「まさか…」

 

恐る恐る、起きた悲劇を大体察したリンドウはベッドから降りて寝室を出る。その足でキッチンに向かうと…キッチンでは半泣きのブルーがフライパンを持って立っていたのだ。

 

「うぅ…ごめんなさいぃぃ!」

 

フライパンには焦げ付いた何かが有り、間違いなくブルーは料理しようとして大失敗したのだろう。

 

「大体の事は理解できた。それで…何を作ろうとしたんだ?」

「卵焼き…卵を焼いたら、大体出来ると思って」

 

確かに卵焼きは卵を焼く料理だが、焼いたからと言って卵焼きではない。卵を焼いたら目玉焼きやオムレツなど、他の料理も卵焼きと成ってしまうのだ。

いや、話がそれた。ブルーの作った卵焼きは何処から見ても卵焼きは愚か…オムレツでもスクランブルエッグでも、ましてや目玉焼きでも無い。漆黒のダークマターと成ってしまったのだ。

 

なんと言う事でしょう、ブルーは卵焼きを作ろうとしてダークマターを創造してしまったのだ。恐らく、そのダークマターを食べれば…どんなポケモンの体力も一撃で瀕死まで持っていく事が出来るだろう。それほどの出来であった。

 

ブルーの足元にはブルーがダークマターを作るのを阻止しようとしていたリーフィアが居ており、彼は阻止できなかった為か…申し訳無さそうな顔をしていた。

 

「フィ…」

「お前は悪くないさ。所でブルー…料理の経験は?」

「カップ麺なら」

「ですよねー。分かった、今から適当に作るから…お前はポケモン達のご飯の段取りをしてくれ」

 

こうして、リンドウ宅の料理当番は必然的にリンドウに成ったのだった。

因みに…リンドウは知っている。ブルー以上に料理が出来ず…ダークマターを通り越してネオ・ダークマターを創世させるシンオウチャンピオンのダメナさんを。

 

 

 

午前8時。

 

何はともあれ、無事にポケモンスクールに到着したリンドウとブルー。2人は職員室に荷物を置いた後、その足で教室にやって来た。

 

だが、そこにはリンドウの生徒達の他に浮遊する赤い何かが浮いていたのだ。一見するとポケモンのようだが、事実その様だ。

 

「「アローラ!」」

「「「先生!ブルーお姉さんアローラ!」」」

『アローラ!僕はロトム図鑑!元ホウエンチャンピオン リンドウ!それに、ポケモントレーナー ブルー!ヨロトしく!』

 

そう、この赤い浮遊する図鑑はロトム図鑑。最新式のポケモン図鑑に、ゴースト・電気タイプのポケモン ロトムを入れる事で完成する最新式の図鑑なのだ。

ロトム自身が内蔵された知識と共に学習していく最新型図鑑であり、今後は一般家的に普及すると言われている。

 

「おっ!?喋った!?」

「ロトム図鑑か…これは珍しいな。今はスマホのアプリがポケモン図鑑に成る時代だが、これはアリだな」

 

そう、今はスマホが図鑑に成る時代なのだ。リンドウもブルーもスマホのアプリを図鑑として使っているが、ロトム図鑑のように自立して動く図鑑もありだろう。

 

「そうだ…それじゃあ、今日の授業はフィールドワークにするか!

アローラには面白いポケモンが沢山だ。サトシ、このアローラでの初ゲット、頑張れよ!」

「はい!」

 

こうして、今日の授業はフィールドワークに決まった。フィールドワークでは実際にポケモンが生息している所に向かい、そこで調査したり学んだり、ポケモンを捕まえてみたりするのだ。

 

 

 

 

その頃のムコニャ

 

ロケット団の生残り、ムサシとコジロウそして喋るニャース、ロケット団壊滅後に仲間に成ったソーナンスはポケモンスクールの裏手に有る森を歩いていた。

 

彼等は主にレッドとピカチュウ様そしてギエピー達の手で、帰る場所だったロケット団を潰されてからは世界をさ迷っているのだ。

そんな彼等は色々あって、このアローラ地方のメレメレ島に流れ着いたのである。

 

「もう…此処は何処なのよ」

「ニャーも分からないにゃ…もう、お腹がペコペコにゃ」

「全くだよ…」

「ソーナンス!!」

 

しかも、ムコニャ達はニャースとソーナンス以外のポケモンを、研究所以外で預かりサービスを行っているポケモンマニアのマサキに預けてきた。

 

「てか、あのポケモンマニアに大事なポケモンを預けて良かったの?」

「アローラに入れば、アローラに従えってね」

 

すると、木々がガサガサと揺れて…ムコニャの前に着ぐるみのような熊のポケモンが現れた。そのポケモンの名称はキテルグマ、ノーマル・格闘タイプのポケモンである。

 

「キー!」

 

その瞬間、ムコニャは運命に出会った。




次回!ロケット団とサトシ達、遭遇する…

リンドウ「カラカラのお母さんを覚えているか?シオンタウンでの…カラカラのお母さんの事だ…お前達は絶対に赦さん…レウス!!ブラストバーン!!」
ブルー「同感ね…蹂躙なさい…カメちゃん!!ハイドロカノン!!」
メガリザードンX「メガフレア!」
メガカメックス「波動砲!!」

ニャース「それ…ニャー達じゃない!ウンギャーー!?」

カラカラのお母さんの件は…子供には刺激が強すぎた


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休み時間 その2

カラカラのお母さん事件を知らない人の為に、休み時間としてシオンタウンの出来事を書きます。


リンドウ達がロケット団と関わり、二度と忘れる事の無い事件が有る。それはシオンタウンと呼ばれるカントー地方の町で起こった事件が原因だ。

 

その事件は未々健在だったロケット団が、とあるガラガラを殺した事が発端であった。当たり前だが、ポケモンを殺す事は犯罪だ。何かの補正なのかメガリザードンXのブラストバーン(メガフレア)、メガバンギラスの破壊光線(ゴジラブレス)の直撃を受けても戦闘不能で済む(威力は何処から見ても環境破壊)。しかし、ロケット団は容赦なくポケモンや人間を殺し、ポケモンに至っては臓器や骨や剥製を密売する時も有るのだ。

狙われたのはガラガラとカラカラの親子。ガラガラやカラカラが被っている、頭部の骨は高額な値段で取引されており…金儲けの為に親子は狙われたのだ。ガラガラは何とか、我が子であるカラカラを逃がす事が出来た…がガラガラは我が子の目の前でロケット団に無惨に殺されてしまい…亡骸を弄ばされたのだ。

 

そんな物騒な事件が起きた現場に、ポケモンリーグ(カントー地方、当時はリーグの無かったジョウトと共同だった)への挑戦権を得るためにジム巡りの旅を行っていたリンドウは来ていた。

 

「ここがシオンタウンか…取り合えず、今日は此処で1泊するか」

 

当時のリンドウは青紫色のベストを羽織り、中に赤いTシャツを着ていてジーパンという出で立ちであった。

 

――本当に前世の知識なんて、宛に成らないな。ジムリーダーとか。当然だよな、俺達はサトシ達よりも遥かに歳上で、タケシよりも歳上だもんな。

 

それに、この世界…いや、時代と言うべきか。カントーのジムリーダーは異なる人物がやっている所が有ったのだ。

ニビジムはタケシの父親、ハナダジムはカスミの姉達(タケシ親の5分の1の強さ)、タマムシジムはエリカの母親と…各々違う人物がやっていた。マチスは同じくクチバシティのジムリーダーをしていて、調べた所ではキョウやナツメ、カツラも同じくジムリーダーだったがゲームやアニポケ本編と比べると若かった。あと、ヤマブキにはジムが2つ有り、どちらを選んでも良い…その1つが後に統一戦で負けた格闘道場である。

 

そんなリンドウは現在グレーバッジ、ブルーバッジ、レインボーバッジ、オレンジバッジを持っている。次はキョウか、ヤマブキのどちらかのジム辺りに挑むべきだろう。

 

「しかし…疲れた。ポケモンセンターで泊まるか」

 

ポケモンセンターはポケモン達の治療は勿論の事、トレーナー達の宿泊施設も兼ねているのだ。だが、定員という物が有り、運が悪ければ泊まれない。大きな町ならポケモンセンターの他にトレーナーズホテルと呼ばれる、ポケモントレーナーなら格安で泊まれるホテルが有る。

そして、そのどちらも無理なら…他のホテルに泊まるか、金の為に野宿かの二択しか残されていないのだ。

 

「しかし…ポケモンリーグに挑戦するのは大変だよな」

 

リンドウが嘆くのも無理は無い。ポケモンリーグに挑むためにはリーグ公認のバッチを8つ全て集める必要が有り、全て集めてもポケモンリーグの予選、本選へと勝ち進む必要が有るのだ。

しかも、これはゲームと違い…そう簡単にはいかない。一部のジムリーダー(タケシ親やマチス等)はチャレンジャーの持っているジムバッジで使うポケモンを変えるが、それでも難しいのだ。

 

先ず…旅立ったポケモントレーナーは最初の数年で、ポケモンバトルやポケモンの特徴、戦い方を学び…それからポケモンジムに挑み、ジムバッジを集めてポケモンリーグに挑む。

ポケモンリーグの本選に進めるには早い人でも、全てのバッジを集めるのに数年はかかり、平均出場年齢は20代だと言われている。

 

リンドウは既に4つのバッジを手にしており、恐ろしい程のペースだ。いや、彼だけではない。ブルーやグリーン、そして後のポケモンマスター兼カントーチャンピオンのレッド、アニメ主人公で今は幼子のサトシを含めると彼等は世間から見れば正にぶっ壊れた才能を秘めているだろう。

 

ポケモンセンターを見つけ、そこに入るリンドウ。当時のポケモンセンターは現在と違い、フレンドリショップとは別の建物なのだ。サトシの時代ではポケモンセンターの中で傷薬等の薬を買えたが、この時代は別々でありポケモンセンターでは買えないのだ。

 

不思議な事に、ポケモンセンターは空いている。リンドウは真っ直ぐ受付のジョーイさんの所に進み、腰に提げていた4つのモンスターボールを預ける。

 

「お願いします」

「はい、分かりました。ポケモンを元気にしますね」

 

預かったモンスターボールを回復装置にセットするジョーイさん。すると、回復装置の頭上に有るモニターに回復中のポケモンの画像が映し出される。

エンペルト、リザードン、イーブイ、コドラが映し出された。現在のリンドウの手持ちであり、このコドラは後にホウエンチャンピオンリーグに挑戦してきた数多のチャレンジャーのトラウマ(ワンパンもろはのずつき)を植え付ける事になる後のボスゴドラである。

 

「はい、お預りしたポケモン達は元気に成りましたよ」

 

元気に成ったポケモン達を受けとるリンドウ。だが、彼は未だジョーイさんに聞かなければ成らない事が有るのだ。それは勿論、このポケモンセンターの宿泊部屋が空いているかどうかである。

シオンタウンにはトレーナーズホテルが存在しない。その為に、お金の事を考えれば野宿である。

 

「あの…宿泊部屋って」

「空いてますよ。今日はリンドウさんを覗けば3人のお客さんしか居ません」

「ありがとうございます、それじゃお願いします」

 

なんとか、部屋が空いていたリンドウ。一先ず、ポケモンセンターの中に有る宿泊施設のロビーに向かう。そこには…

 

「あっ!誰かと思えばリンドウが来たっピ!」

「………やぁ……」

「ピカッ!」

 

後のポケモンマスターとなる赤い少年レッド。

 

「リンドウじゃない。こうして、4人が揃うのは久し振りじゃないの?」

 

ブルーまで居た。更にブルーは4人が揃うと言った事から、グリーンが居るのは確定的だろう。

 

「グリーンは?」

「グリーンならロケット団を懲らしめ+ポケモンを捕まえるために、ポケモンタワーに向かったピよ」

 

レッドの言葉を代弁するように、レッドの手持で中々の戦力を誇り…そして究極の問題児なギエピーなピッピが告げた。

 

ポケモンタワーとは、このシオンタウンに聳えるポケモンのお墓である塔であり、多くのポケモン達が埋葬されていてそれ故かゴーストタイプのポケモンも出るのだ。

 

「成るほどな…それと、やけに人の活気が少ないよな…この町」

 

ふと、リンドウが言う。確かにシオンタウンは他の町と比べると人の活気が少い。巷で話題のポケモンマフィアであるロケット団が居ても活気が少なすぎる。

 

「リンドウ、貴方…聞いてないの?」

「何が…あった?」

「このシオンタウンで、ロケット団が金に成るからって理由でガラガラ、カラカラ親子を襲ったのよ。カラカラは何とか逃げ出してシオンタウンのポケモンの家って保護施設で保護されたけど、母親だったガラガラは無惨に殺されて…遺体を弄ばされたそうよ」

 

ブルーの言葉を受けて、リンドウは言葉を失う。彼はこの世界に生まれてから、様々なポケモンと触れあってきた。時には共に戦って勝ち、時には負けて、時には共に苦楽を共にした。

野生のポケモンでもそうだった。彼等は人と同じように生きている。前世と違い…データではなく生き物として生きているポケモン達。トレーナーならば、ポケモンがどのような存在なのかは理解出来るだろう。そんなポケモンがロケット団に殺されたのだ。

 

「野生のポケモンから聞いたけど…ガラガラとカラカラが被ってる骨は人間の闇ブローカーで高値で取引されるらしいっピ。

カラカラのお母さんはカラカラを逃がしたけど…ロケット団に殺されてしまったピよ」

 

普段はふざけてばかりのギエピーだが、悲しそうに言う。すると、レッドは立ち上がった。

 

「……ポケモンタワーに行く」

 

レッドは短くそう言うと、ピカチュウを肩に乗せてロビーを後にする。

 

「まてっピ!」

 

そしてギエピーもレッドに続いてロビーを出ていった。

 

「仕方ない!私達も行くわよ!!」

「へっ!?」

 

ブルーはリンドウの首根っこを掴んで、レッド達に続くようにポケモンセンターを後にしたのだった。

 

ブルーに連れられるままに、ポケモンセンターを出たリンドウ。

 

ポケモンセンターの前に出ると、何やらレッドとギエピーが年下の少女と話していた。

 

「レッド、知り合い?」

「……うん」

「この子はレイナちゃんだっピ。ポケモンの家で、お母さんを失ったカラカラちゃんの面倒を見ている女の子だっピ」

 

この子はレイナ。シオンタウンの住民で、件のカラカラの面倒を見ている女の子である。

 

「初めまして、レイナです。あの…ポケモンタワーにフジお爺ちゃんが向かって…グリーンさんが助けに行ったんです…カラカラちゃんがポケモンタワーに行っちゃったんです!!

多分…死んだお母さんと、フジお爺ちゃんを探しに」

 

なんという事でしょう。件のカラカラはポケモンタワーに向かってしまったのでした。

 

「………」

 

レッドは頷き、ピッピの首根っこを掴んでポケモンタワーに向かっていった。

 

 

 

その頃の緑

 

「タチサレ…此処からタチサレ…」

「うわぁぁぁぁああああ!!」

 

グリーンは幽霊と遭遇した。グリーンは逃げ出した。




次回!緑…赤、青紫、青に回収される。そして…ロケット団、殺られる。


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休み時間 その3

ロケット団の悲劇(笑)


カラカラ、フジ老人と呼ばれる男…そして先行したグリーンを連れ戻す為に、レッド、リンドウ、ブルー、彼等のポケモン達はポケモンタワーを登る。

 

ポケモンタワーはポケモンのお墓が有る施設であり、一階には参拝する人を受付する受付の人や嘗てのパートナーを想い、涙を流す人達が居た。

しかし、リンドウ達は彼等に想いを掛ける余裕は無い。ポケモンタワーはロケット団が占拠しており、更にフジ老人が囚われているのだ。もしかすれば、カラカラとグリーンも囚われているかも知れない。

 

ポケモンタワー3階…そこは頭の可笑しい祈祷師は勿論、ゴーストタイプのポケモン達がうようよしている所だ。

そんな空間をリンドウ達はレッド、ギエピー、リンドウ、ブルーの順番で進む。

 

「出ていけ…呪ってや」

「邪魔だっピ!」

「ほんげぇぇぇ!?」

 

しかし、そんなリンドウ達の道中を祈祷師とゴーストタイプのポケモン達は邪魔する。だが、此方には我等が理不尽な名前だけのピッピ(ギエピー)がゴーストタイプと祈祷師をぶっ飛ばして、リンドウ達は問題なく進める。

 

「この調子なら、俺達のポケモンは必要なさそうだな」

「そうね…てか、このポケモンタワー…何だか血の臭いがしないかしら?それに地味に寒いんだけど」

 

リンドウとブルーはギエピーのお陰で、ポケモン達を温存出来ている。この調子なら、ロケット団と遭遇するまでギエピーだけで充分そうだ。いざとなれば、レッドの肩に乗っているピカチュウもといバグチュウの力を借りれば問題は無いだろう。

 

「………?」

 

ふと、レッドが足を停める。続けてリンドウ達も足を停める。

 

「レッド?」

 

リンドウが問うが、相変わらず無口なレッドは答えない。だが、何やら上でドタドタと足音が聞こえる。やがて、その足音は上階に向かう為の階段の向こうから聞こえ来た。

何事かと思い、リンドウ達は階段の方を見る。すると、階段を物凄い速さで何かが下り、その人物は真っ直ぐ此方に向かってきた。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

それは…まるで見てはいけない存在でも見てしまったのか、ポッポがアトミックバズーカの直撃を受けたような表情をしたグリーンであった。

 

「「グリーン!?」」

 

グリーンはリンドウ達の側に全力で駆け寄り、まるで腰が抜けてしまったのか…崩れ落ちるようにレッドにしがみついた。

 

「でた…出たんだよ!!お化けが出たんだよ!!」

「「へぇー」」

「ゴースと間違えたんじゃないかっピ」

 

リンドウとブルーは「何言ってるんだ?この緑」と言いたげに冷めた視線をグリーンに送り、ギエピーはゴーストタイプのポケモンと見間違えたのか?と告げた。

 

だが、グリーンの顔が何度も横に振られる。その振られる早さは正に高速移動であり、リンドウは人間が否定のジェスチャー最速の首振りを見てしまう。

 

「マジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジでマジで本当に幽霊なんだよ!!立ち去れ立ち去れって襲い掛かって来るし!!マジなんだよ!!」

 

グリーンは恐怖の余り、立ち上がる事が出来ない。しかし、レッドはグリーンの首根っこを掴んだ。

 

「案内しろ」

「案内しろって!?嫌だ!!俺はマジで無理だからな!!」

 

グリーンは何とか逃げ出そうとするが、右足をリンドウに、左足をブルーに確保されて持上げられる。

 

「「良し、旅は道連れ」」

「お願いです!放してくださぁぁぁぁぁい!!」

 

グリーン、後の世界最強のジムリーダー。後のホウエンチャンピオンとカントーチャンピオン、女性最強トレーナーに確保されて強制拉致&案内である。

 

ポケモンタワー…6階。

 

そこはポケモンタワーの上から2番目の階層であり、グリーンがお化けを目撃した場所である。

 

フロアの一番中心地でリンドウ達はグリーンを解放し、グリーンは「いて!?」と声を出して尻から床に落ちた。

 

「ねぇ…本当にお化けなんて出るの?」

「マジだよ!マジだから!!……あっあれ!!あれ!!」

 

グリーンが真っ青な顔をして指差した所を見るリンドウ達。グリーンの指先が示す先には、明らかにこの世の存在ではない、何かが浮かんでいた。

 

『立ち去れ…此処から立ち去れ!!』

 

その何かは間違いなく幽霊であり、リンドウ達に立ち去れとハッキリと告げている。

 

「マジで出やがった!!!!」

「ギエピー!!でたっピ!!」

「ぎゃぁぁぁあああ!!本当に出た!!」

 

上からリンドウ、ギエピー、ブルーの叫びだ。しかし、一行の一人であるレッドは特に驚かず…鞄の中から何かを取り出した。それは双眼鏡のようだが、双眼鏡ではない。

その正体はシルフスコープ。シルフカンパニーが開発した代物であり、お化け等の正体を見破る事が出来るアイテムなのだ。

 

レッドはそのシルフスコープを用いて、幽霊の正体を見破る。やがて、幽霊の靄が消えていき…シルフスコープを持っていないリンドウ達の目でも幽霊の正体がハッキリと見えるように成った。

 

幽霊の正体は…メスのガラガラだったのだ。やがて、ガラガラの言葉もハッキリと聞こえるように成る。

 

『此処に居てはいけない!!奴等にロケット団に殺されてしまう!!お願いだから、此処から立ち去って!

此処はロケット団が居て私達を殺したの…貴方達に危ない目に逢って欲しくない…お願いだから立ち去ってほしい』

 

ガラガラはロケット団に殺された。しかし、未練が有るのか成仏出来ず…このポケモンタワーにやって来る人達に、ロケット団が危ないから逃げてくれと警告していたのだ。

 

「マッマー!!」

 

すると、何処から声が聞こえた。何事かと思ったリンドウ達であったが、直ぐに声の正体を理解した。声の正体は未成熟の幼いカラカラであり、間違いなくレイナの言っていたカラカラで…この幽霊ガラガラの子供だろう。

 

『カラカラ…』

「安心してほしい…俺はそのロケット団を必ず潰す。もう、アンタみたいな犠牲者を出さない為にも」

 

レッドはそう告げ、リンドウ達も頷いた。

 

『…あぁ…安心した……』

 

ガラガラはそう言うと…天に成仏していった。母が逝ってしまった為か、カラカラは小さく…悲しそうに声を出してしまった。

そのカラカラを優しくブルーは抱き抱える。

 

「行きましょう…まだフジって人を助けないと」

 

今思えば、この時がそうだったのだろう。ロケット団の滅亡が決定した瞬間が。

 

 

 

ポケモンタワー屋上。大きな祭壇が有る場所では縄で拘束された一人の老人、そして老人を包囲する黒装束のロケット団数名とロケット団の屈強なポケモンが居たのだ。

 

その老人の名前はフジ。嘗ては有数な科学者であり、現在はポケモンの家の主で、拠り所を失ったポケモン達を保護しては面倒を見ているのだ。

 

だが、フジは過去の功績等から…ロケット団に目を付けられてしまい、こうして誘拐されてしまったのだ。

 

「言った筈だ。私は2度とロケット団に協力はしない」

「はっ!笑わせるぜ!!メガ進化を発見し、更に最悪のポケモンを作り出した男のくせによ。

良いのか?此方がその気なら、アンタの施設の子供やポケモン達を全員…誘拐したり殺したりしても良いんだぜ?安心しな…女は殺さないよ、使い道が色々と有るしな」

 

嘗て…フジはロケット団に協力していた。

 

「大人しく…メガ進化の資料とミュウの居場所を教えろ、そしてもう一度ミュウツーを産み出せ」

「断る…私は2度と命を弄ばん。脅しても無駄だ」

 

脅しは無駄だと理解したのか、ロケット団は笑みを浮かべる。

 

「だったら…尋問と行こうか!アーボック!!この老人を毒に犯せ。さて…何時まで耐えられるかな?」

 

男の後ろに控えていたアーボックが、牙から毒液を出してきた。その牙で噛まれれば、フジは瞬く間に猛毒に犯されるだろう。

だが、フジが毒に犯せる心配は無い。何故なら…

 

「アボッ!?ぐぅばばばばば!?」

 

何かが高速で現れて、アーボックを吹き飛ばして…アーボックは壁にめり込んだ。その上、燃えている為に炎技を受けたのだろう。

 

「なんだ!?」

 

何事かと思い、ロケット団達は先程までアーボックが居た所を見る。

 

そこには…右手に真っ赤な炎を灯したリザードン…レウスが立っており、鋭い眼光を放っていた。

 

「「ふぁ!?」」

 

ロケット団が指示を出す前に、ロケット団のラッタはレウスの炎のパンチで殴り飛ばされ、一撃KO。

ゴルバットが応戦しようとするが、冷凍ビームの直撃を受けて凍ってしまう。

 

「今度はなんだ!?」

 

冷凍ビームの飛んできた方向を見ると、そこには2問の砲塔をロケット団に向けるブルーのカメックスが居たのだ。

 

カメックスは砲塔から波動弾、ねっとう、りゅうのはどうと…連続砲撃を放ち、レウスの援護をしながらロケット団とそのポケモン達を蹴散らしていく。

 

「今度はカメックスか!?」

「ぎゃぁぁぁあああ!?何なんだコイツ等!!」

 

カメちゃんの遠距離、レウスの近接…そのコンビネーションで吹っ飛ばされるロケット団とそのポケモン達。だが、追撃は終らない。

 

「おら!!やろー!!テメー等は赦さないっピ!!貴様が泣くまで、殴るのをやめないっピ!!」

 

ギエピーに何度も殴られ、意識を飛ばすロケット団員。更に黄色い閃光が駆けると…大勢のロケット団は黒焦げになり、感電火傷の重症に成った。勿論、黄色い閃光の正体は10万ボルトを放ちながらでんこうせっかを行ったピカ様である。

 

「「ひっ!!逃げろ!!」」

 

生き残ったロケット団は仲間も、ポケモンも見捨てて逃げ出す。

 

だが…下層へと向かう階段の前にはグリーンのユンゲラーがリフレクターを張っており、先には進めない。

 

「「出してくれ!!もう…悪さはしないから…出してくれ!!」」

 

リフレクターの壁をバンバンと叩き、悲痛な声を出すロケット団。だが、彼等は突如として後ろを振り向く。

そこには…(グリーン)の切札である緑の破壊神(バンギラス)が立っていた。

 

――なんですか…この化物は!?

 

それが、彼等のシャバ生活最後の言葉であった。

 

直後、バンギラスは咆哮を挙げてロケット団に襲い掛かり…シオンタウンに居座っていたロケット団の皆様は心と体に大ダメージを受けて、刑務所病院に入院。その後、トラウマを発症して精神病院で隔離されたとか。

 

翌朝…

 

「助けてくれたお礼だ。これには宝石としての価値は無いが、君達にあげよう」

 

フジ老人は密かに隠し持っていたキーストーンが埋め込まれた腕輪 メガバンクルをリンドウ、ブルー、グリーン、そしてレッドに授けた。

そしてリンドウにはメガリザードンXのメガストーン、ブルーにはメガカメックスのメガストーン、グリーンにはメガバンギラスのメガストーン、レッドにメガフシギバナのメガストーンを授けた。

 

だが、フジ老人は知らない。後日、ヤマブキ格闘ジムがメガリザードンXの圧倒的な戦闘力で崩壊し、格闘ジムは後日行われた統一戦でヤマブキエスパージムに敗北…格闘道場に成ったとか。

 

 

 

更に後日…

 

「フジお爺ちゃん!行ってきます!」

「カラ!」

「うむ、行っておいで。レッド君達に宜しくの」

 

フジの元でポケモン達の世話をしていたレイナ。彼女はレッドがポケモンマスターと呼ばれ始め、リンドウがホウエンチャンピオンに成った頃…パートナーとしてカラカラ、最初の御三家の一角 フシギダネを連れてポケモントレーナーとしての旅に出た。

 

成長したレイナがレッドやリンドウに挑戦するのは…また何時か語ろう。

 




次回!ムコニャ!逃げて!!メガリザードンXとメガカメックス、ピカチュウがupを始めたわ!!

現在…サトシの手持ちとして内定出演するのはゲッコウガとリザードンです。


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9時限目

ムコニャ…遂に邂逅


ピカチュウを模したような布を被ったポケモンが森をさ迷っていた。

 

彼…いや彼女?はミミッキュ。アローラ地方を主な生息地としているポケモンであり、ゴースト・フェアリーという珍しいタイプをお持ちのポケモンだ。

 

「ケケェ」

 

トレーナーの手で訓練されたミミッキュは大丈夫だが、野生のミミッキュの多くはピカチュウを敵視している。見れば問答無用にシャドーボールやマジカルシャインをぶっぱなして来る程に嫌っているのだ。

これは諸説あり、進化の過程でピカチュウ達に何かをされたのか…はたまた…ピカチュウの人気に嫉妬したとか様々な事が説として言われているが何一つ分かっていない。

 

因みにミミッキュ…リンドウの弟子2号(アローラ在住)も手持ちに加えている(しかも色違い)が、野生の個体はピカチュウを毛嫌いしており…このミミッキュは野生だ。だから、彼又は彼女はピカチュウを探しては森を歩く。

 

「何よ!あのポケモン!」

「初めてみたニャ!」

 

ふと、騒がしい声が聞こえてミミッキュは声の方を見る。そこには人間2人と人の言語を解するニャースが居たのだ。

 

「ケケェ…」

 

この日…ミミッキュは運命に出会った。

 

 

 

一方、授業のフィールドワークでポケモンスクールの裏側に有る森にやって来たサトシ達生徒諸君と教員であるリンドウとブルー。

彼等は野生のポケモンと触れあったり、野生のポケモンが実際に暮らしている現場を見ては、野生のポケモンを知り…あわよくばゲットする為に来ているのだ。

 

「此処がポケモンスクールの裏手に有る森だ。色んなポケモンが住んでいてな。アゴジムシ、デンヂムシ、アブリー、ツツケラ等の様々なポケモンが暮らしてる。

珍しい種類ではモクロー等も暮らしてるな。運が良かったら会えるぞ」

 

リンドウの説明を聞いて、期待に胸を膨らませるサトシとピカチュウ。2人に取ってはアローラでのポケモン達は驚きで一杯であり、楽しみで仕方がなかったのだ。

 

「楽しみだな!ピカチュウ!」

「ピカピ!!」

 

サトシとピカチュウは勿論のこと、カキ達も何処か楽しそうだ。カキ達も才能豊かとは言え、この期に他のタイプのポケモンを捕まえるのも有りかも知れない。

 

「ブルーお姉さんもゲットするんですか?」

 

ふと、アシマリを抱っこしたスイレンがブルーに問う。ブルーは少し考える素振りをして口を開いた。

 

「そうよね。お姉さんも新しいポケモンをゲットしたいわね。

本気のガチメンバーはカメちゃん以外、オーキド研究所に預けてきたからね」

 

ブルーは手持ちの主力メンバーの殆んどをオーキド研究所に預けてきた。その中にはメタグロス、トゲキッス、マニューラ、メタモン、キングドラという非常に強力なポケモン達も居た。

とは言え、リンドウも主力の中でも絶大的な実力を誇り、チャンピオン時代を支えたボスゴドラをオーキド研究所に預けている。ボスゴドラを預けている理由は…グリーンやレッドのお陰で魔境と化したオーキド研究所の治安をサトシのフシギダネ、グリーンのリザードンと共に守るためだ。

と言うのも……オーキド研究所には伝説の鳥ポケモンのサンダー、ファイヤー、フリーザー、世界で3体だけ産み出されたミュウツー(ハナダの洞窟)の一体、等々のヤヴェー奴等が居るのだ。更にグリーンが休みの日には破壊神バンギラスが加わると言うシロガネ山真っ青な魔境。

 

仲裁役のフシギダネ、番長のリザードン、暴力装置のボスゴドラが居て何とかオーキド研究所の秩序は守られているのだ。余談だが、破壊神バンギラスが癇癪を起こして暴走すればオーキド研究所は間違いなく崩壊する。

 

「リンドウもボスゴドラちゃんとかの主力メンバーを預けてるもんね」

「いや…多分、預けてなかったら…グリーンとレッドが根本的とは言えないけど原因でオーキド研究所が崩壊する」

 

日本をモデルにした地方のポケモン(アルセウス等の一体オンリーを除く)を全て捕まえて全国図鑑を完成させたレッド、ピカ様と互角に戦える破壊神(メガ進化必要)を持つグリーンの責任である。

 

「だっ…大丈夫だよな?俺のポケモン」

「グリーンのリザードン番長が居るから大丈夫だろう。シルバーのサザンドラがやって来たら、一瞬で崩壊する未来が見えるけど」

 

シルバー…赤髪の青年であり、元ロケット団の長サカキの息子。現在はジョウト地方でも腕利きのポケモントレーナーであり、彼のサザンドラが暴走すると…町が滅びる。

 

そのサザンドラと破壊神バンギラスが喧嘩を始め、そこから殺し合いに発展すればマサラタウンは間違いなく灰に変わるだろう。

 

「まあ…ミュウツーの捕獲以来、フリーザーはレッドの手持ちだしな。そんな伝説のフリーザーも、レッドのピカチュウに一方的にボコボコにやられるけど」

「あれ、凄いよね。マスコットに半殺しにされる伝説のフリーザー」

 

とは言え、その話しはリンドウ、ブルー、サトシの里帰りの際に語ろう。今はフィールドワークをしなければ成らない。

 

すると、茂みがガサガサと揺れて…ピカチュウの革を被ったようなポケモンが現れた。野生のミミッキュである。

 

「このポケモンは!?」

「ミミッキュだ。ばけのかわポケモン。ゴースト・フェアリーの複合タイプで、ばけのかわと呼ばれる特性でどんな攻撃も最初の一撃は効かない。

先ずは牽制のような攻撃でばけのかわを剥がし、それから本格的に攻めろ」

「流石はリンドウ先生!」

『僕の仕事ろと!!』

 

ロトム図鑑…リンドウに説明を言われ、少し虚しそうだ。

 

「良し!サトシ、ピカチュウ!頑張れよ。いざって時は助けてやる」

「行くぞピカチュウ!」

「ピカ!」

 

サトシとピカチュウはミミッキュを捕まえる気満々だ。

だが、ピカチュウの姿を視界に入れたミミッキュは殺気を放ち、ピカチュウに襲い掛かる。

 

「ピカ!?」

「早いな…本当に野生か?」

 

ミミッキュの尻尾の先端に、闇で出来た鋭利な鉤爪が発生する。シャドークローだ。シャドークローでピカチュウに襲い掛かるミミッキュだが、ピカチュウは後方に飛んで電気を放つ。

ばけのかわを剥がすのは弱い攻撃でも問題は無いのだ。電撃に当たり、ばけのかわが剥がれるミミッキュ。はがれた為か、首が90度曲がった。

 

「良し、攻め立てろサトシにピカチュウ」

「はい!」

 

ばけのかわは剥がれた。だが、その時…

 

「そのミミッキュは私達が見付けたのよ!」

「そうだ!」

「序にそこのピカチュウも頂くにゃ!!」

 

茂みから、ロケット団の衣装を纏ったムサシ、コジロウ、ニャース、そしてソーナンスが出現した。

 

「ロケット団!?」

「そうよ!どうしてジャリボーイが居るのか分からないけど、丁度良いわ!!」

「「ロケット団だと………殺すか」」

 

だが、相手がロケット団だと知ると、リンドウとブルーは殺気を放つ。その殺気を受けて、ムコニャは身震いを起こすが…リンドウはレウスを繰り出した。

 

「レウス…メガ進化だ」

「カメちゃん…貴方もよ」

 

ブルーもカメちゃんを繰り出し、カメちゃんとレウスはメガ進化して姿を大きく変えた。

レウスはメガリザードンXへとなり、カメちゃんはメガカメックスにメガ進化したのだ。

 

「「メガ進化!?」」

「シオンタウンのカラカラのお母さんを覚えているか?お前達が金の為に殺したガラガラの事だ。俺達はお前達を絶対に赦さん…」

「そうよ…一方的な理由でポケモンを殺す悪党。お前達なんざ、人間じゃねぇぇぇえええ!!」

「ポケモンを殺した?おい!!ロケット団!!どういう事だ!!」

 

シオンタウンの事をリンドウが口に出し、サトシは鬼の形相でムコニャを睨む。

 

「確かに…ロケット団にはポケモンを殺した奴もいたニャ!!でも…ニャー達は本当に殺してないニャ!!」

「知らん…レウス!!最大出力でブラストバーン!!」

 

レウスは四つん這いになり、大きく口を空ける。そして口から莫大な熱量を誇る熱線…何処から見てもメガフレアなブラストバーンが今正に解き放たれようとしていた。

 

「ニャー!!」

「死にたくね!!」

「本当に私達…ポケモンは殺して無いんです!!」

「ソーナンス!!」

 

だが、メガフレアが放たれる事はなかった。

 

「キー!!」

 

突如、キテルグマが出現して…ムコニャ一行とミミッキュを回収して何処かに去っていったのだ。

 

「へっ?」

 

不発に終わり、ブラストバーンを中断するレウス。そして、突然のキテルグマの乱入とロケット団のお持ち帰りで唖然とするリンドウ達であった。

 

 

 

翌日。

 

「えー…何々、私達は本当にポケモンを殺してません。奪おうとした事は有りますが、全部最終的に未遂に終ってます。律儀に手紙を出すとは」

 

ムコニャ、身の潔白を証明する為に手紙をリンドウに出していた。

 

 

 

その頃の緑。

 

「さてと…行くか!」

 

グリーン、サトシに手渡すゲッコウガ入りのモンスターボールを持ち、飛行機に乗り込んだ。

 

グリーンがアローラに入るまでもう少し。

 

 




次回!皆大好きモクローの降臨!!


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10時限目

モクローは可愛い。異論は認める。


メレメレ島の露天が並ぶ商店街。そこを力なく、観光客が着るような衣類を纏い、コジロウ、ムサシ、ニャース、ソーナンスが歩いていた。

 

彼等が元気が無いのは当たり前。ロケット団が完全に壊滅した事を知った為だ(今さら)。ロケット団は今から10年以上前に、リンドウ達(主にレッドの手で)崩壊しており、殆んどの主力人物も組織が壊滅してサカキが行方を眩ませてから…カントーチャンピオンの座をレッドに譲り、本業のポケモンGメンとして動きやすく成ったワタルの手で逮捕された。

その後、一部の幹部達はジョウトで復活したが…サカキの息子シルバー、シルバーのライバルでゴールド、そしてワタルとレッドの手で完全粉砕された。所要時間…僅か1週間での事だった。

 

「これからどうするよ?」

「まさか…ロケット団が崩壊していたなんて…私、嘘だと思ってたのに」

「もう…帰る場所が無いニャ」

「ソーナンス…」

 

ロケット団が潰滅し、帰る場所が無いムコニャ御一行。今はキテルグマの住居に世話に成っているが、人が人らしく暮らす為には金銭が必要だ。

今着ている衣類も、過去にバイトをして蓄えた貯蓄を崩して購入した物だ。

 

「ロケット団の服は当分、着れないわね。着たら、間違いなく殺されるわ」

「だよな…てか、なんでメガ進化使える凄腕トレーナーがこんな島に住んでるんだよ」

 

リンドウ、ブルーがメレメレ島に居る限りはムコニャは悪さを出来ない。仮にやろうとすれば、理不尽な強さを持つメガリザードンXのメガフレアで蒸発しかねない。

 

すると、グーグーとムコニャの腹の虫が鳴り響く。キテルグマに保護?されてから暫く経ったが、ムコニャは固形物らしいご飯を食べていない。

彼等が今まで食べたのはミツハニーの蜂蜜と木の実を擦り合わせた、キテルグマ特性ペーストだけだ。栄養価抜群で尚且つヘルシー…なのだが、直接殴るように口の中に放り込まれる為に、強引な感じで自分で食べた気がしないのだ。

 

「「ちゃんとした固形物が食べたい」」

「ソーナンス!」

 

だが、アローラの人は優しい。

 

「貴方達、お腹が空いてるの?良かったら食べない?」

 

ふと、声が聞こえて声の方を見るムコニャ。その方向には木の実の露店を切り盛りする年配の女性が居たのだ。女性の側にはアローラ地方の炎タイプのポケモン ニャビーが木の実を食べている。

 

「「「えっ?」」」

「アローラの教えでね…天の恵みは皆で分かち合うのよ。ほら…見て」

 

女性が空を見上げてそう言うと、空から小型の鳥ポケモンが沢山やって来た。

鳥ポケモンの名前はツツケラ。アローラ地方に多く生息するキツツキのようなポケモンであり、木の実が大好物だ。

 

だが、よく見ると…ツツケラの群の中にまん丸して可愛らしいフクロウのようなポケモンも混ざっている。このポケモンはモクロー。アローラに生息する草・飛行タイプのポケモンであり、音もなく相手に近付く事が出来るのだ。

 

ツツケラ達は露店の木の実等を持っていく。だが、誰もが咎めない。いや、咎める処か…ツツケラに木の実を分け与えているのだ。

 

「貴方達もお腹が空いてるでしょ?食べる?」

「ソーナンス!」

「「「頂きます!!」」」

 

ムコニャ御一行、女性の好意に甘えて旨い木の実を貰うのだった。

 

木の実をたらふく食べたムコニャはメレメレ島の町を探索する。折角アローラに流れ着いたのだ、アローラの街を満喫するのも良いだろう。

 

「しかし…これからどうするかだな」

「取り合えず、資金調達の為にバイトするしか無いわね」

「ソーナンス!!」

 

こうして、ロケット団の穏やかな?シュールな?アローラライフが本格的に幕を挙げたのだった。

 

ふと、ニャースは右を見る。そこにはポケモンスクールの広告ポスターが貼られており、そのポスターには飛びっきりの笑顔をしたリンドウとリーフィア、リザードンが写っていた。続いてコジロウ、ムサシもポスターを見るが…3人は唖然としてしまった。

 

『メレメレ島ポケモンスクール。新入生何時でも募集中!

 

元ホウエンチャンピオンやククイ博士等の優秀な教師達が、ポケモンの素晴らしさを教えます!

 

ポケモンを育てるに一番必要なのは愛情、次に愛情、三番目に愛情だ。愛情が無ければポケモンは育たないし、トレーナーにも力を貸してくれない。強いトレーナーは皆、愛情に溢れている。by元ホウエンチャンピオン、現ポケモンスクール教師 リンドウ』

 

おもいっきり、昨日にムコニャを吹き飛ばそうとした張本人が写っていた。しかし、昨日は余りの殺気にリンドウの事を良く見ていなかったニャース達。その為か、とある事に初めて…いや、改めて気付いたのだ。

 

「ニャャャァァァア!?この人…あの時、ホウエンでニャー達を助けてくれた恩人ニャ!!」

「ポケモンハンターからドガースやアーボは勿論、俺達のマタドガスやアーボックを助けてくれた恩人じゃないか!!」

「あの時と服装が全然違うから気付かなかったけど…バンギラスを使うポケモンハンターから、私達をやや褐色ぎみの女の子と共に助けた凄腕トレーナーじゃない!!」

 

そう、過去にムコニャとリンドウはホウエンで遭遇していたのだ。序にサトシとニアミスしている。

 

その際にリンドウは弟子一号(パートナー ゴニョニョ、ボーマンダ)と共にポケモンハンターを文字通り、粉砕しており…ムコニャにポケモン預かりサービスをしているマサキを紹介していたのだ。

 

その後、マサキに保護したドガース達とアーボ達を預け、彼等の護衛にパートナーのマタドガスとアーボックをマサキに預け…ムコニャの手持ちは地方を巡る度に変わることに成るのだった。

 

「謝罪の次は感謝の手紙ニャ!!」

 

果たして、リンドウはこの事を覚えているのか?

 

 

 

 

「なんか…ムコニャの事を何処かで見たことが有るんだけどな」

 

やや覚えていた。リンドウは休日を使い、ブルーと共にマオとサトシと一緒にアイナ食堂のテラス席で寛いでいた。

 

テラス席の机の上にはアマカジ、ピカチュウ、リーフィアは楽しそうに遊んでいる。

 

「リンドウ先生…ムコニャって?」

「アイツ等…ムサシ、コジロウ、ニャースだろ?だから合体させて縮めてムコニャ。でも…何処かで会った気がするんだけどな」

 

――アニメを時々、前世で見ていたからか?

 

と心の中で結論付けたリンドウ。本人は殆ど忘れていたのだった。あの時…ポケモンハンターに囚われたドガースとアーボ達を助けようとしていたトリオを助けた事は覚えているが、まさかムコニャだったとは思わなかった。

 

「ヒガナだったら覚えているかもな。俺はポケモンハンターをレウスとボス(ボスゴドラ)でギッタンギッタンのボコボコにしてたし、ヒガナは彼等の治療と檻の破壊をしてたしな」

「先生!ポケモンハンターって何ですか?」

 

ポケモンハンターの事を知らないマオは疑問を浮かべて、問う。

 

「ポケモンハンターってのは…ポケモンの密猟者の事さ。

ポケモンをパートナーとして捕獲するんじゃなくて、道具として捕獲して売り捌く。目的の為なら手段を選ばない奴等さ。過去、俺達は何度か会った事が有る。

魔境オーキド研究所にも攻めて来たし、ホウエンにもやって来たな。全員、ブタ箱送りに成ったけど」

 

ふと…リンドウは前を見る。前方からは空腹で意識が朦朧としたモクローがゆらゆらと此方に飛んできたのだ。

 

しかし、モクローは余程腹が減っているのか…マオのアマカジを木の実と間違えて襲い掛かってきた。

 

「プゥゥ!!」

 

しかし…

 

「アマ!!」

 

アマカジは蔕の部分を高速回転させて浮かび上がり、体当たりでモクローを返り討ちにする。

 

アマカジは見た目は勿論、甘い香りを撒き散らす為に果物と良く間違えられるのだ。

 

「モク!?」

 

体当たりの攻撃を受けて、モクローは吹き飛び…電線に足が引っ掛かってしまう。そして、モクローは意識を失い…電線から落ちてしまう。

 

「危ない!!」

 

だが、サトシが走り出して…モクローが地面に落ちる前に受け止めた。

 

この日、モクローは運命に出会った。

 

 

その頃のグリーン…

 

「着いたな…此処がアローラだな」

「ゲコッッ!!」

 

温暖なアローラに合わせ、アロハシャツにサングラス姿のグリーン、そして隣に立つサトシのゲッコウガはアローラのメレメレ島国際空港に降り立った。

 

グリーン、アローラに入国。

 

 

 

「此処がアローラか!」

「良し!仕事の始めと行こうか!!」

 

何の因果か、アローラ固有種の捕獲の為にポケモンハンターの2人が不法侵入してきた。

 

だが、ここには多くの冒険を経験したサトシ、ホウエン歴代最強の元チャンピオン リンドウ、世界最強のジムリーダー グリーンが居る。

 

密猟者…終了のお知らせである。

 

 

 

その頃の赤

 

最強のポケモントレーナー レッドはオーキド研究所で、自分のパートナーの一匹 フリーザーと模擬戦を行うリザードンを見守っていた。

そのリザードンはサトシのリザードンであり、現在は色々あってオーキド研究所で修行中だ。普段はグリーンの番長リザードンが面倒を見てるが、番長リザードンはリンドウのボスゴドラと共に暴走したサンダーとファイアーの鎮圧に向かってる。

 

その為か、代わりにレッドのポケモン達が代わりに鍛えているのだ。

 

「………グリーンのリザードンを越えるのも、時間の問題か。

フリーザー、下がって良いぞ。良し、ピッピ…いけ」

「えっ!?」

 

リザードン、サトシの元に戻る為に修行中。すると、サトシの歴代のパートナー達も、レッドの所に集まってきた。

 

すると、レッドは腰に提げたモンスターボールを投げる。現在、外に出してるのはギエピー、ピカチュウ、フリーザーの三匹なので他の三匹はそれで出てくる。

 

「お前達………サトシをびっくりさせたい?」

 

レッドの言葉に頷くサトシのポケモン達。

 

「フシギバナ…中型のポケモンを、フリーザー…飛べるポケモンを、ピッピ…やっぱり小型のポケモン達を、エーフィ…はピカチュウと共に俺と来い、ラプラスは大型のポケモン達をだ」

 

ギエピー、ピカチュウ、フシギバナ、ラプラス、フリーザー、エーフィ…自分のパートナーに指示を与えて、レッドはエーフィとピカチュウと共にサトシのリザードンを見る。

 

「行くぞ」

 

リザードンは力強く頷いた。

 

サトシの控え組…魔改造が進行していた。




レッドの現在の手持ち。

ピカ様、フシギバナ(メガフシギバナ)、ギエピー、フリーザー、エーフィ、ラプラス。強さ順です。


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11時限目

密猟者終了のお知らせ


――お腹…空いたよ…

 

そのモクローはツツケラの群の一員だ。厳密にはツツケラの最終進化系であるドデカバシが率いる群の末っ子だ。

モクローもとい、モクローの最終進化系であるジュナイパーは托卵の習性を持っている。托卵とは、産まれた卵を他のポケモンにこっそりと託し…そのポケモンに我が子を育ててもらう子育ての事だ。幸いにもモクローは一匹だけ姿が違うにも関わらず、義親であるドデカバシや義兄であるケララッパからは共に育ったツツケラと共に愛情を持って実の我が子同然に育ったのだ。

 

しかし、モクローは空腹だ。この季節に成ると弟達が産まれるためにモクローはツツケラ達と共に、産卵期に備えて木の実を集めていた。だが、ツツケラ達は木の実を巣に持ち帰ったが、モクローは木の実と間違えて民家に飾ってあった風鈴を間違えて持ち帰ってしまったのだ。当然、兄であるケララッパに怒られて…モクローは木の実を手に入れる為に、再び町にやって来たのだ。

 

だが、空腹の状態でアマカジに襲い掛かり、現在に至る。

 

「おい…大丈夫か?」

「ピカピ?」

 

ふと、そんな声が聞こえてモクローは目を開ける。モクローはベンチに座らされており、モクローの目の前には彼を心配するサトシ、ピカチュウ、ブルー、そしてリンドウとリーフィアが居たのだ。

 

「モク?」

「気が付いたか?」

 

リンドウの言葉を受けてモクローは周りを見回す。モクローはサトシが右手にバナナを持っているのを見ると、サトシの右腕に止まり…美味しそうにバナナを食べ始めた。

 

「うぉ!?足の力が凄い!」

 

モクローの足の力を直接感じて驚くサトシ。モクローは余程空腹だったのだろう、直ぐにバナナを食べ終えるとテーブルの上に有る皿を見る。皿には綺麗に切り分けられたメロンが置かれており、モクローはメロンを食べたそうだ。

 

「お腹が空いてるの?食べて良いわよ」

 

ブルーがその皿を差し出し、モクローは嬉しそうに皿に飛び付いてメロンを食べ始めた。物凄く食欲は旺盛であり、メロンはあっという間に失くなってしまった。

 

「モク…」

 

モクローはお腹が一杯に成ったのか、嬉しそうだ。すると、サトシがモクローの頭を撫でる。モクローの体は羽毛でふかふかであり、柔らかく肌触りが凄かった。

 

「うぉ!柔らかい!」

「モク…!」

 

撫でられてモクローも嬉しそうだ。だが、サトシ達は何かを感じて周囲を見回す。どうやら、何かが高速で近付いて来ているようだ。

 

「ボンジュール!!元気だったか?サトシ、リンドウ、ブルー!」

「ゲコ!!」

 

とっ我らが緑ことグリーンの声とゲッコウガの声が何処から聞こえた。

 

「えっ?ゲッコウガ!?それにグリーンさん!?」

「サトシ、上だ。上を見てみろ」

 

リンドウに言われ、サトシは上を見てみる。上空ではプテラの足に掴まって此方に向かってくるグリーンとゲッコウガが居たのだ。

本来、アローラではライドポケモンとして登録されたポケモン以外に乗ることは法律で禁止されている。しかし、これは乗ってなく掴まっているのでグレーゾーンだがセーフなのだろう。ライドポケモンに登録したかったが、グリーンは一刻も早くゲッコウガとサトシを再会させる為に…このような移動方法を選んだのだ。

 

「あら、ミドリムシ…グレーな方法で来たわね」

「うるさいぞ青汁。此方は最高速度でカントーから遥々やって来たんだぞ。てか、お前達!!カロスでの事件、本当に大変だったんだからな?なあ、サトシ!」

「今思えば、カロスリーグで起きた事件にリンドウ先生とブルーさんが居てくれたら」

 

地面に着地したゲッコウガとグリーン。グリーンはプテラをボールに戻し、サングラスを取る。

 

カロスリーグで起きた事件。主犯メガフラダリが引き起こした事件であり、正にミアレシティ処かカロスが崩壊しかけた事件だ。その際にサトシ、グリーンは勿論、カロスチャンピオンのカルネ、ホウエンチャンピオンのダイゴ、リンドウとブルーとも面識が有る伝説のポケモン…レシラムを使うブラックという15歳程の少年が活躍して事なきをえた。

とは言え…フラダリのメガギャラドスは勿論のこと、パーフェクトジガルデ、破壊神メガバンギラス、レシラム、メガサーナイト、メガメタグロスが本気を出した為か…事件を解決する為の二次被害の総額は計り知れないだろう。

 

「「それは…本当にすみませんでした」」

 

先ず、その時…リンドウはポケモンスクールで授業中。ブルーはオーキド研究所で仕事中。公務でカロスリーグを見に来たグリーンは加勢できたが、空港も全封鎖されており…リンドウとブルーは駆け付ける事が出来ないのだ。

 

「お前達の事情も分かるが…。サトシ、ゲッコウガのボールだ。ゲッコウガはカロスでの一仕事を終えて、帰ってきたぞ」

「ありがとうグリーンさん。お帰り、ゲッコウガ。また宜しくな!」

「ゲコ!!」

 

ゲッコウガのモンスターボールを受け取り、ゲッコウガは無事に大事な主人の元に帰還できた。

 

すると、アイナ食堂の中からマオがフルーツを持ってきた。どうやら、モクローの為にフルーツを取りに行ってたのだろう。

 

「おまたせ!モクロー未だ食べれる?……なにそのポケモン!?超格好いいじゃん!?いや、それより…このお兄さんもしかして…」

「マオ、コイツはグリーン。俺の幼馴染みでカントーのトキワのジムリーダーだ」

「アローラ!グリーンだ。宜しくな」

「そんで、コイツはゲッコウガ!俺の大事なパートナーなんだ」

 

グリーンとゲッコウガ。一人と一匹と出会ったマオだったが、モクローがマオの持つフルーツを足で掴んで森の方に飛んでいく。

 

「モクロー!?」

「諦めちゃダメよサトシ!!追いかけるわよ!!」

 

ブルーの言葉を受けて、リンドウ達はモクローを追いかけるのだった。

 

 

森の中を突き進むこと10分。先頭をゲッコウガ、リンドウ(頭の上にリーフィア)とサトシ、ブルーとマオ、最後尾にグリーンという隊列でリンドウ達は森を進む。

 

森を進み、拓けた場所に出る。そこは大木の切株を利用したドデカバシファミリーの大きな巣が存在しており、そこではモクローが楽しそうに家族と過ごしていた。

 

「モク!!」

 

サトシに気付いたモクローは此方に向けて飛んで来て、サトシの側でホバリングする。

 

「お前…こんなに沢山の家族が居たのか!?」

「しかし…ジュナイパーが托卵か…話には聞いていたが、実例を初めて見るなんて」

 

ジュナイパーは托卵を行う事で知られているが、カントーでも野生のリザードンが余り見られない事と同じく、アローラでも滅多に見られない。それ故か、ジュナイパーの托卵は珍しいのだ。

 

だが、次の瞬間。巣で過ごしていたドデカバシ達が大きな網で囚われてしまった。

 

「バシッ!?」

「ケララッ!?」

 

すると、大きな足音が聞こえて…ニドキングとアリアドスを引き連れた若い男2人が現れた。手には銃を持っている事から、只者ではない。

 

「へっ!アローラのポケモンは高く売れるから良いぜ!」

「だな!兄弟!おっ!彼処にもゲッコウガやリーフィア居るじゃん。奪おうぜ!」

 

どうやら、相手は密猟者…ポケモンハンターのようだ。

 

だが、相手が悪かった。

 

「ゲッコウガ!君に決めた!!」

「リーフィア!やれ」

「行きなさい!カメちゃん!」

「フーディン!行ってこい!」

 

ゲッコウガ、リーフィア、カメックス、そしてグリーンのフーディンが飛び出し…僅か5秒でポケモンハンターのニドキングとアリアドスは戦闘不能。

 

その上…

 

「ふん!」

「はっ!!」

 

マサラ人(大人)のリンドウとグリーンの手で、ポケモンハンター2人も倒され…ポケモンハンターは縄で拘束されてしまった。

ポケモンハンターの前にはリンドウとグリーン、その上リンドウとグリーンの後ろには2体のバンギラスがポケモンハンターを見下ろしている。

 

「どうするグリーン?晒し首にするか?」

「いや…此処はバンギラスで再起不能にするか」

「「ごめんなさい!!」」

 

密猟者、見事にご用となる。一方…

 

「バシッ!」

「モク!」

 

モクローはドデカバシからの後押しを受けて、サトシのリュックの中に入った。

 

「モクロー!俺と来たいのか?」

「モッ!」

 

モクローはリュックから飛び出して、サトシのモンスターボールに触れる。そして、モクローはサトシのポケモンに成ったのだった。

 

「やったじゃん!サトシ!」

「アローラ初のゲットおめでとう!!」

 

ブルーとマオから祝福の言葉を受けて、サトシはボールからモクローを出す。そして、モクローを掲げて…御決まりの言葉を言った。

 

「モクロー!ゲットだぜ!!」

「ピカチュウ!!」

 

こうして、新たな仲間にモクローを加えたサトシだった。

 

 

 

 

その頃の赤

 

「博士…あと、数日たったらリザードンをサトシの所に送ってくれ。俺の見込みなら、数日以内にグリーンのリザードンを越える。そうなれば、サトシのリザードンが勝てないリザードンはレウスだけだ」

「レッド…お前は…またシロガネ山に行くのか!?」

 

レッドは首を横に振り、告げる。

 

「仕事でアルトマーレに行ってくる」

 

 




次回!アシマリバルーン!?


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12時限目

リザードン…合流


ある日…サトシは教室に来る前に職員室に来ていた。職員室と校長室には転送装置が置かれており、これを使う事で遠くの地方に預けているポケモンもモンスターボールごと送ったり…送ってもらったり出来るのだ。

 

リンドウは職員室に置かれた転送装置を用いて、1つのモンスターボールをオーキド研究所から送ってもらい、それを手に取る。

 

「さてと、サトシ。レッド曰く…お前のリザードンは世界で2番目に強いリザードンに成ったぞ。

一番は俺のレウスだが、レウスは他のリザードンと比べると物理特化な戦い方を好む。オーソドックスな戦い方を行うリザードンとしては、間違いなく一番強くなったな。後は…お前がコイツのポテンシャルを限界まで導いて引き出すだけだ」

 

リンドウはサトシにそう言い、送ってもらったモンスターボールをサトシに手渡す。勿論、サトシもリンドウもこのモンスターボールに入っているポケモンは把握してるし…モニター越しで挨拶もしたのだ。

 

「良し!出てこい!リザードン!!」

 

サトシはモンスターボールからそのポケモンを繰り出した。

そのポケモンはリザードン。サトシの主力であり、過去…様々な戦いで活躍したゲッコウガと同じくエースだ。昔はリザフィックバレーに預けられていたが、その中で誰よりも強くなり…師をグリーンの番長リザードンに変えても修行を続けた。

その結果、最終的にはレッドと彼の手持ちに鍛えられ…遂に先日、レッドの指示が有ったとは言えグリーンの番長を倒して…強いリザードンに成ってサトシの元に帰ってきたのだ。

 

そこ、強くなりすぎなんて言ってはいけない。因みにグリーンは三日前、ジムリーダーの仕事が有るので朝一の飛行機で帰っていった。

 

だが…

 

「ぐぅおお!!」

 

リザードンは嬉しそうに、サトシの顔面に火炎放射を放った。何故か、サトシのリザードンは愛情表現でサトシの顔面に火炎放射をぶっぱする癖が有るのだ。

 

(事前に聞いてて、燃えちゃいけない書類しまってて良かった)

 

何はともあれ、サトシは大切なパートナーと無事に合流出来たのだった。

 

現在のサトシの手持ち。

 

アローラ手持ち。ピカチュウ、ゲッコウガ、リザードン、モクロー。アローラ控え(手持ちと自在に交換可能)現在は無し。

 

だが、サトシは知らない。彼は今後、様々な人(ポケモン含む)のお節介で、アローラ控えを含めた手持ちが大所帯と成るのだから。

 

数年後、打倒サトシの為にアローラリーグに挑戦したチャレンジャーは身を持ってサトシのアローラパーティーの恐ろしさを実感する事に成るだろう。

 

「それじゃ、教室に行くか。今頃はブルーが朝礼をやってるしな」

「ですね!」

 

リンドウとサトシはサトシのリザードンを連れて、職員室を出て教室に向かっていった。

 

 

一方、教室ではブルーが朝礼を行っていた。勿論、リンドウが事前に製作したカンペを読みながらであるが。

 

「えーと、これより朝礼を始めます」

 

カンペには朝礼の挨拶や連絡事項、言うべきこと等が記されており、教員未経験のブルーでも問題ない事が書かれている。

更に教卓の机にはリーフィアが座っており、ブルーの隣にはリンドウのウルガモスことモスラが浮かんでいる。良く、ボールから出て校内に出没するリンドウの手持ちが側に居るのだ。粗相を起こしても、フォローしてくれるだろう。

 

「それじゃ!アローラ!先ずは朝礼から始めるわよ!サトシは用事で職員室に居るから出席と。皆居るけど、返事してね?カキ!」

「はい!」

「スイレン!」

「はい!」

「マオ!」

「はい!」

「マーマネ!」

「はい!」

「リーリエ!」

「はい!」

「序にロトム!」

『はいロト!』

 

当たり前のように全員出席であり、ブルーは出席の所にチェックを付けていく。

 

「えーと…連絡としては、来月に授業参観が行われる予定?だそうだから、その時は親御さんが授業を見に来るから宜しくね」

 

来月には授業参観という大きなイベントが待っているのだ。勿論、多くの親御さんが授業を見に来るとは言え、このクラスは他のクラスと比べると人数が少ない。

 

「因みに授業参観では生徒全員でレポートを発表してもらうから、そのつもりでな」

 

その声が聞こえると遅れて教室にリンドウとサトシ、そしてサトシのリザードン、ピカチュウが現れた。

 

勿論、生徒達もサトシのリザードンが合流する為にリンドウとサトシが少し遅くなる事は事前に聞いていた為に、リザードンを見ても驚きはしない。

しかし、この男は別だった。

 

「それがサトシのリザードンか!」

 

炎タイプ大好きなカキである。自身もリザードンを持つトレーナーとして、サトシのリザードンに興味津々だ。

 

「ああ!俺のリザードンだ。ヒトカゲの頃にゲットしたんだ」

「そうか…立派なリザードンだ」

 

カキはサトシのリザードンを見る。良く発達した筋肉、だがそこまで肥大しておらず…質を上げて絞られている。

 

(凄いな…俺のリザードンの最盛期よりも強そうだ)

 

カキのリザードンは老体だ。元は亡くなった祖父のパートナーであり、カキが譲り受けたポケモンだ。リザードンの寿命は長く、まだ現役だが人間で言う最盛期は既に過ぎている。

 

しかし、リザードンを良く知るカキは有ることに気付いた。リンドウのレウスと随分と筋肉の付き方が違うかったのだ。

 

「先生。なんか、先生のリザードンとサトシのリザードン…筋肉の付き方が随分と違うような。

レウスは腕や胸部、背筋も凄かったですけど…サトシのリザードンはレウスと比べれば腕の筋肉は細いですよね?」

「良く気付いたな!そりゃそうだ。俺のリザードンは本来リザードンが高い特攻の才能が少し残念でな…昔から物理特化に鍛えたんだよ。勿論、特攻も使える程度には鍛えてある」

 

これは現実だ。だからゲームのように努力値(所謂、隠れステータス)は筋肉の付き方等で存在する。だが、努力値の合計ポイントとう概念はなく…許す限り鍛える事が出来るのだ。

だが…ゲームと違い…絞りすぎると耐久値が低くなったり、風邪を引きやすくなる。逆に筋肉を肥大させ過ぎると…自身の体重で長期戦が不利に成りかねないのだ。

 

(そこの…匙加減を見極めるのが大変なんだよな)

 

リンドウは様々なトレーナーや、ジム戦の戦いを通じてレウスのベストな肉体を導き…レウスを育て上げたのだ。

 

「それに…レウスはウエスト部分も引き締められてます…人間で言えば逆三角の筋肉です。あっ、それはサトシのリザードンもか」

「特攻は筋肉が影響しない。でも、物理攻撃は筋肉が影響するからな…さてと、話せば長くなるからカキ、この話はまた今度な。

俺から連絡事項だ。来週…転入生がこの教室にやって来る」

 

転入生が来週にやって来る。その事に生徒達は勿論、ロトムも驚いた。

 

「「「「えー!?転入生!?」」」」

「先生!それって誰ですか!?」

「少なくとも、サトシは絶対知らん。アローラ在住のゴーストタイプ使いの女の子だ」

 

転入生のお知らせ。だが、彼女がやって来るのは来週なので、未々時間は有るだろう。

 

「それじゃ…もう1つの連絡事項だ。明日、校外学習でライドポケモンに乗って海釣りを行うぞ。

明日はスイレンが色々と教えてくれるぞ?釣りや水ポケモンに関してはエキスパートだからな」

「はい!任せて下さい!」

「そんじゃ、今日の授業を行うぞ。今日はだな…」

 

こうして、今日も授業が始まるのだった。

 

 

 

 

その頃の赤、黒、Xヒロイン。

 

「わっ…私、今…凄い経験をしてる」

 

サトシと共にカロス地方を冒険した少女 セレナは現在、ホウエン地方を冒険してる。彼女は手持ちのポケモンは僅か3匹しか居ないが、彼女はジム巡りよりポケモンコンテストに熱意が有り、問題は無いだろう。

 

どうして凄い経験かと言うと…ここら辺にはポケモンセンターは無く、野宿確定なのでキャンプ確定であり、セレナは道中で出会った2人のポケモントレーナーと共にキャンプを合同でする事に成ったのだ。

 

その2人のポケモントレーナーの1人が超有名人であり、もう1人のトレーナーが連れてるパートナーがヤヴァかったのだ。

 

1人はポケモンマスターのレッド。もう1人はレシラムに選ばれ、2年前にイッシュリーグを制してチャンピオンのアデクを倒して殿堂入りしたが辞退した(チャンピオンを倒したが、チャンピオン就任を拒否した者。チャンピオンに成っても殿堂入りする)15歳の少年ブラック。

 

セレナの後ろや側には彼女のパートナーであるニンフィア、テールナー、ヤンチャムが居ており…彼女達も緊張している。

 

レッドはピカチュウもといバグチュウもといピカ様、そしてギエピー、何やらラティアスというポケモンを側に出している。

ブラックはレシラム、ダイケンキ、タブンネを出していた。

 

レッドは無言でセレナとブラック、そしてポケモン達の為にカレーライスを作っている。

 

「あの!レッドさんって…マサラタウン出身ですよね?サトシの事を知ってますか?」

「……彼は覚えてないと思うけど、遊んだ事は有る」

 

お玉でカレーを少し掬い、紙コップに入れて味見をするレッド。

 

「ハナコさんは伝えてないと思うけど…俺はサトシの親戚だから」

「「はいぃぃぃぃ!?」」

 

レッドの爆弾発言にセレナは勿論、メガフラダリ事件でサトシと共に活躍したブラックも驚く。

 

「モエルーワ!?」

 

これには伝説のレシラムもビックリだ。

 

「所で、君達は次の目的地が決まってるか?なんなら、久し振りにサトシに会いに行くか?」

 

赤、黒、Xヒロイン…次の目的地をアローラへと定める。

 

「サトシって今、何処に?」

「アローラだっピ」

「「ピッピが喋った!?」」

 

なお、チャンピオンはジムリーダーと比べて超暇なので…レッド様は長期滞在が出来る模様。




グリーン、チェレン「ジムリーダーは忙しいんです」

次回!サトシ、釣竿をスイレンから借りる。


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休み時間 キャラ紹介その2

ブラック

 

ポケモンブラックの主人公。今年で15歳であり、サトシが旅立つ2年前にトレーナーに成り、リンドウとブルーの助力が有ったとは言えプラズマ団を崩壊させた。

プラズマ団を崩壊させた後、改めてイッシュリーグに優勝して四天王に挑み…アデクを倒してチャンピオンに…成らず、チャンピオンの座を継ぐことを保留して旅をしている。因みに夏の観覧車が嫌いである…理由は実際に黒をプレイして、夏に観覧車に乗ろう!

現在はレシラム、ダイケンキ、タブンネ、だけを連れてイッシュを飛び出し…残りのパートナーはアララギ研究所に預けている。アローラ地方で新たなポケモンをゲットする予定。

BW2でブラックが出てこなかった訳は…もしかしたら、レシラムと共に世界を旅していたからかも知れない。

 

レシラム

 

ブラック最強の切札。イッシュ地方に伝わる伝説のポケモンであり、真実を求める英雄に協力するポケモン。とは言え、実はこの世界には複数個体が居ており、サトシが映画で出会った個体とは別個体だ。

だが、戦闘力は鍛えられたメガ進化ポケモンに匹敵しており…伝説のドラゴンに恥じない。ブラックとはキズナのような者をお互いに感じており…

 

ブラックレシラム

 

ネタバレ注意。後々に習得予定。ブラックの持つキーストーンとレシラムが呼応して変身する姿。サトシゲッコウガと違い、キーストーンを介してるとは言え…ブラックがスーパーマサラ人では無いためか、変身は1日に1度が限界(両者が寝て、体力を回復する必要が有る)。

容姿はホワイトキュレムに似てるが、色は全体的に純白でレシラムのように腕翼は勿論、背部には大きな天使のような翼が一対生えている。だが、この強化形態でもレッドのバグチュウには負ける(バグチュウがチートなだけ)

 

ダイケンキ ニックネーム ケン。

 

ブラックが旅立の際に、未だギリギリ二十代だったアララギ博士から貰った最初のポケモン ミジュマルが最終進化した。

レシラムに次ぐ実力を持っており、近接戦闘においては剣の舞を積んでからの戦闘で無類の強さを誇る。普段は四足歩行だが、戦闘時は2足歩行に成ってアシガタナを振るう。

 

タブンネ ニックネーム ネネ

 

ネネという可愛らしい名前だが、♂。もう一度言おう、男である。

戦闘には向いていない補助要員であり、寧ろマスコット。イッシュ地方を出る際に、ポケモンハンターに狙われている所をレシラムとケンで助けて手持に加えた。

 

 

 

 

 

セレナ

 

XYのヒロインであり、サトシが唯一自分から誘った旅仲間の女の子。

メガフラダリ事件の後、カロス地方を飛び出してホウエン地方でポケモンコンテスト等を巡っていた。しかし、その道中にレッドとブラックと出会い、アローラ地方にやって来る。因みにリンドウの事を知っており、幼い頃にリンドウと会った事が有る(リンドウ本人は覚えていない)。

アローラ地方で新たなポケモンをゲットする予定。

 

テールナー

 

セレナの初めての手持ちであるフォッコが進化した。セレナと共にホウエン地方を旅していたが、セレナと共にアローラにやって来る。

 

ヤンチャム、ニンフィア

 

セレナのポケモン。同じく共にアローラにやって来る。

 

 

弟子2号

 

真名…ゲームサンムーンのゴーストタイプのキャプテン。アニメ本編と違い、色違いミミッキュは幽霊ではなく肉体を持っている。

リンドウの指導の為か、手持ちも変わっており…ゴーストメインだが、様々な状況に対応できる。

アニメ本編と違い、転入してくる。

 

弟子1号

 

リンドウがチャンピオン時代に弟子にした少女。真名は「想像力が足りないよ?」

 

年上の後輩。

 

真名は大・誤・算。ホウエン地方の現チャンピオンであり、後に弟子1号とミクリ君を連れてアローラにやって来る。どうやら、リンドウに大事な話が有るようだ。

 

 

 

ブラックのライバルであり、ゼクロムに選ばれた少年。ブラックがイッシュリーグを制覇した後、イッシュを出て世界中をゼクロムと共に回っている。

だが、ギエピーがトラウマであり…ギエピーの事を悪魔と呼んでいる。

リンドウの説教物理のお陰か、プラズマ団をポケモン保護のNGOに作り替えた模様。別名ポケモンハンタースレイヤー。

 

ゼクロム

 

Nの切札。そしてNの保護者。もし、ギエピーがNに危害を加えるならギエピーにクロスサンダーをぶつける。

 

 

キュレム

 

サトシが映画で出会ったチート野郎ではなく、ジャイアントホイール在住。この世界ではブラックにスルーされ、ゲーチスは精神病院に入院した為か…忘れられていた。

だが、アニメに出てきた伝説大好き?さんが手持に加えたとか。

 

 




セレナ達は近々にやって来ます…レシラム特急で。勿論、一番熱い発動機(尻尾)にはギエピーがしがみ着くとか

「ギエピー!?」


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13時限目

釣竿を借りよう。


放課後。

 

サトシとピカチュウはスイレンと共にスイレンの家にやって来ていた。理由は簡単、明日借りる為の釣竿を借りに来たのだ。

明日の授業は釣竿が必要だ。なんせ、学校が保有するライドポケモンに乗って沖合いに出て水ポケモンを釣るための課外授業なのだ。

 

ライドポケモンは学校のをレンタルする為に問題は無いが、釣りを行う為には釣竿が必要だ。当初、リンドウがホウエンチャンピオン時代に使っていた良い釣竿を借りる予定であったが…スイレンの家には凄い釣竿が何本も有るためか、それを借りる事にしたのである。

 

「ここがスイレンの家?」

「ピカピ…」

 

スイレンの家はメレメレ島に有る海辺の所に有り、家の敷地に有る船着き場にはライドポケモンのラプラスが鎮座して放し飼いにされている。

 

「うん。お父さんは漁師だから滅多に帰ってこないけどね」

 

正に漁師家族と言った感じの家であり、1階建てだが広い作りだ。

 

「ただいま」

 

スイレンが帰宅の挨拶を行い、扉を開けて中に入る。玄関には魚のポケモンと思われる魚拓が飾られており、水ポケモンの置物等が置かれていた。

すると、家の奥からドタドタと騒がしい足音が聞こえてくる。そして、玄関にスイレンそっくりな小さな少女が2人も現れた。恐らくだが、双子だろう。それほどに容姿がそっくりだったのだ。

 

「「おかえり!ぎょぎょぎょぎょ!」」

「ぎょぎょぎょぎょ…えっ?」

 

独特な挨拶に驚くサトシであったが、スイレンの妹と思われる双子の少女は目を輝かせてサトシを見る。正確にはサトシの肩に乗っているピカチュウをだ。

 

「ピカチュウだ!」

「はじめて見た!」

「「かわいい!!」」

 

そして、幼子達は物凄い早さでサトシからピカチュウを奪うと、家の奥に消えてった。

 

「うん…ごめんね。妹のホウとスイなんだ」

「物凄く…スイレンと似てるな」

「うん…良く言われる」

 

幼子2人はホウとスイ。スイレンの妹であり、ホウとスイは双子である。誰が見てもスイレンと姉妹であると分かるほどにそっくりであり、近所でも評判だろう。

 

スイレンの案内で家のリビングに向かうと、ホウとスイがピカチュウと遊んでいた。いや、遊んでいると言うよりも双子が一方的にピカチュウとじゃれていると言えるだろう。

ピカチュウの頬っぺたを左右に引っ張ったり、ピカチュウをこねくり回したりしているのだ。そんな様子を見かねたスイレンが、腰に両手を当てて口を開く。

 

「ホウ、スイ!ピカチュウ困ってる!」

「「むむ!もっと遊びたい!それより、そのお兄さん誰?姉ちゃんのボーイフレンド?」」

 

ボーイフレンドとは勿論、彼氏の事である。そんな事を妹に問われたスイレンの顔はぼっと赤くなり、恥ずかしそうに返答する。

 

「ちっ違う!全然違うから!!」

「本当に本当に?」

「本当に本当に!!」

「俺はサトシ。スイレンの学校の友達で、今日は釣竿を借りに来たんだ。ピカチュウ…悪いけど、ホウとスイと少し遊んでやってくれないか?」

 

そう、サトシは今日…釣竿を借りに来たのだ。

 

「「本当に!?やったー!」」

「ピカチュウ!」

 

ピカチュウと遊べるためか、ホウとスイは嬉しそうだ。

 

ピカチュウにホウとスイの面倒を頼んだサトシとスイレンは、釣竿が置かれている所にやって来た。

そこには様々な凄い釣竿が置かれており、疑似餌は可愛いポケモンの顔がデザインされた代物だ。

 

「どれでも好きな物を選んで良いよ」

「本当か!?それじゃあ…このピカチュウの奴にするよ」

 

サトシが選んだのはピカチュウの顔が可愛くデザインされた疑似餌を持つ凄い釣竿だ。この凄い釣竿が有れば、ギャラドスは勿論…ミロカロスやホエルオーも釣り上げる事が出来るだろう。

 

 

 

翌日。

 

集合場所である海岸。そこに3匹のラプラスと3匹のホエルコのライドポケモンをスタンバイさせ、教員であるリンドウとブルー、ククイ博士はサトシ達を待っていた。

ラプラスは2人乗り、ホエルコは1人乗りだ。

 

「さてと…後はサトシ達が来るのを待つだけだな」

「ククイ博士、サトシは無事に起きれたのか?」

「大丈夫だ。今回は早めに起こしてきたし、問題は無い。時間通りに来る筈さ」

 

今回は遅刻しないように、ククイ博士はサトシをしっかりと起こして来たのだ。問題は無いだろう。

すると、前方の方向から各々が使う釣竿をもってサトシ達がやって来た。サトシはスイレンから借りた凄い釣竿、スイレンは凄い釣竿、マオは自宅に有った良い釣竿、カキは自宅に有った釣竿、マーマネは今回の為に発注した最新型の凄い釣竿、そしてリムジン通学を行うリーリエは凄い釣竿……と何処から見ても宇宙服な防護服を着ていたのだ。

 

「「へっ?」」

 

まさかの宇宙服のような防護服。アローラはホウエンよりも温暖な気候だ。その為か、物凄く熱い。ララキナマウンテンなどの一部の場所を除いて、一年中温暖な気候…専門用語では亜熱帯と呼ばれるような所だ。

 

そんな南国アローラで密閉された防護服を着てみればどうなるか?物凄く熱いに決まっている。

 

その証拠にリーリエは汗を額から流していた。

 

「おっおい…リーリエ、大丈夫か?」

「大丈夫です!これなら、私でもポケモンに触って釣りが出来ます!!」

 

確かにこれならリーリエでも釣りが出来て、ポケモンに触れることが出来るだろう。

 

「そっそうか…無理はするなよ。それじゃ出発と行くか!

ラプラスは2人乗り、ホエルコは1人乗りだ。各自、好きなライドポケモンに乗って出発と行くぞ!!」

 

ラプラスにはリンドウとブルーのペア。サトシとマオのペア、リーリエとスイレンのペアが乗る。ホエルコにはカキ、マーマネ、ククイ博士が乗って彼等は沖合いに向けて出発した。

 

 

 

 

その頃の赤、黒、Xヒロイン。

 

「ギエピー!?」

「うわわわわ!?ちょっと!早い!速すぎるよ!」

「クゥーン!!」

 

上空でギエピー、セレナ、ラティアスの悲鳴が響く。だが、音が響いた時には既に彼等はそこには居ない。何故なら、音を越えるマッハな速度でアローラに向かってるためだ。

 

「モエルーワ!!」

 

レシラムは前方に炎のバリアを張っており、そのバリアで上空の寒さと衝撃波から自分に乗っている人を守る。その為にマッハな速度で飛んでも問題は無いのだ。

 

レシラム特急便。スーパーマッハでアローラに向けて進行中。

 

「てかなんで僕だけ、発動機の尻尾なんだっピ!?滅茶苦茶熱いっピ!!」

 

しかし、ギエピーの声はレシラムには届かなかった。

 

 




次回!釣り…果たして、リンドウは釣ることが出来るのか!?

そして…ピンクの悪魔とバグチュウ、アローラに到着する?


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14時限目

遂に…あのお方がアローラに飛んで来る。


アローラ…メレメレ島の沖合い。

 

ライドポケモンに乗ってやって来たリンドウ、ブルー、ククイ博士の教師陣とサトシを筆頭とした生徒達は各々準備した釣竿を使って課外授業を行っていた。

 

しかし、今日の課外授業は水ポケモンを釣らなければ本格的に始まらない。水ポケモンをつり上げて、仲良くなり水ポケモンや海に生息するポケモンの事を勉強するのが目的なのだ。

 

「リンドウ…釣れないんだけど」

 

だが、ブルーはともかくリンドウも当たりが来る気配が無い。落ち着いて水ポケモンや魚がやって来るのを静かに待つしか無いだろう。

 

「いや…俺に言われてもな」

 

中々当たりが来ない。この辺はママンボウやラブカス、川から海にやって来たミロカロス、ギャラドス、ランターン等が生息している。しかし、運が悪いのかリンドウとブルーの竿には当たりが掛かってこない。

 

すると、スイレンの竿に当たりがかかり…スイレンはママンボウを釣り上げた。

 

「「おぉ!?」」

「すげー!」

「おう!ママンボウか!」

 

ママンボウを釣り上げたスイレンは馴れた手付きで疑似餌をママンボウの口から外し、頭を撫でる。そして、ポケモンフードをママンボウに挙げた。

 

「釣れたら、スキンシップしてポケモンフードを挙げて仲良くなるの!」

 

それから次々とスイレンはポケモンを釣り上げていくが、残念ながらリンドウとブルーの竿には当たりは一切来ない。悲しい位に当たりが来ない。

 

「あれ…可笑しいな釣れないな」

「私も全然釣れないんですけど」

 

リンドウとブルー、残念ながら坊主(一匹も釣れないこと)確定である。

だが、今度はサトシの竿に当たりがかかった。

 

「良し!!」

 

サトシは一気にリールを回して巻き取るが…タイミングが遅すぎたのか、掛かった魚は逃げてしまった。

 

「ありゃ?」

『タイミングが遅すぎるロト!』

 

だが、今度はマオの竿に当たりがかかった。だが…

 

「うっうわ!?」

 

今度は巻き取るタイミングが速すぎたのか、かかった魚は逃げてしまった。

 

『タイミングが速すぎるロト!』

 

失敗した為か、両者はロトムからダメ出しを喰らう。だが、それがサトシとマオの癪に障ったのか…マオとサトシはロトムをギロッと睨み…

 

「「いちいち…うるさーい!!」」

『ロト!?』

 

ロトム…完全に沈黙。この釣りを行う課外授業で口を出すことは多分、無いだろう。

 

「リンドウ、カキとマーマネも当たりが来ないみたいよ」

「そうみたいだな」

 

カキとマーマネも釣糸を垂らしているが、全然当たりが来ない。

だが、ここに当たりが来た生徒が居た。それはなんと、宇宙服のような防護服を纏ったリーリエである。

 

「うっうわ!?」

 

リーリエは慌てて釣竿を強くもち、リールを回す。すると、リーリエの釣竿に装備された疑似餌を加えたポケモンが跳び跳ねた。

そのポケモンはなんと、ミロカロスである。御存知、ホウエン地方を始めとして様々な地域に生息するポケモン ヒンバスが進化するポケモンであり、かなり美しくそして強いポケモンだ。

 

「みっ…ミロカロス!?」

「初めて見た…」

 

まさかのレアなポケモンがリーリエの釣糸に掛かった為か、サトシ達は驚く。直ぐにサトシとスイレンが助けに向かおうとしたが、ミロカロスは釣糸を引きちぎり…海の中に消えていった。

 

「そろそろ、休憩にするか」

 

リンドウはふと、腕時計を見る。時計が示す時間は釣りを初めてから大体一時間程の時間が経った頃を示しており、休憩するには良い時間だろう。

 

「時間が来たから、15分休憩を取ろうか。そこに小島が有るから、その小島で休憩な」

 

リンドウは笛を吹き、サトシ達の注意を此方に向けてそう告げた。

プライベートの釣りならともかく、今日は学校の授業の一環で来ているのだ。休憩は体力の限界が来たらではなく、時間の経過で取った方が良いのである。

 

 

 

その頃のムコニャ。

 

「おまちど!マラサダ、抹茶フレーバーです!」

 

キテルグマの絵柄が書かれた移動式販売の車でマラサダを売り捌くバイトで、コジロウとニャースは働いていた。

 

「コジロウ、働くのは良いけど…どうするニャ?」

「恩人の居るアローラでの悪事は辞めよう。恩を仇で返す事に成るしな。

しかし、どうやってジャリボーイ達に俺達が足を洗ったっと説明するかだ」

 

ムコニャは足を洗った。いや、洗わざるをえなくなったのだ。ロケット団は壊滅し、後ろ楯は無い。ロケット団が健在だった頃は窃盗等で逮捕されても、ロケット団と内通していた警察の手で逃がされた。しかし、今はそれも出来ない。

その上、ムコニャ達の根は誰が見ても善人だ。悪役だとしても心からポケモンを愛しており、ポケモンを虐待する者が居れば同じロケット団だとしても激怒する。

 

「ロケット団とはもう名乗れないしな…」

「でも、当分の生活は大丈夫ニャ」

 

ムコニャはキテルグマの住みかでお世話に成ってるし、バイトは探せば探すほど、メレメレ島に沢山有る。ナマコブシ投げとか店のバイト、探せば探すほどに沢山有るのだ。

 

「キテルグマの巣も、住みやすいようにリフォームしたしな!」

 

風呂有り、ウォシュレットトイレ有り、冷暖房有りとムコニャはキテルグマの巣穴もリフォーム済み。これも今までサトシのピカチュウや他のポケモンをゲットする為に培ったメカニックの経験が活きた物だ。

 

ふと、ニャースはアローラの太陽を見る為に空を見る。すると…アローラの上空を赤い何かが通過する。

 

「どうしたニャース?」

「気のせいかニャ?滅茶苦茶早い速度で何かが通ったニャ」

 

コジロウもニャースの言葉を受けて空を見るが、既に赤い何かは見えなくなっていた。

 

――ギエピー!!

 

しかし、細やかなだが、特徴的な悲鳴が空から聞こえた。

 

 

 

その頃の青紫と青、ジャリボーイ。

 

リンドウ達は小島で休憩を取っていた。だが、最初に異変に気付いたのは浜辺でゆっくりとしているライドポケモンのラプラスであった。

ラプラス達は耳が良い。何かを感じたのか空を見る。空からは何かが一瞬光り、高速で何かが此方に向けて飛来する。

 

「どうした…む?」

 

ふと、ラプラスの異変に気付いたククイ博士もラプラスと同じ方向を見る。ククイ博士に続き、リンドウとブルー、それにサトシ達もその方を見る。

やがて、肉眼でも何かが此方に向かってくるのを感じて、その何かは急に高度と速度を落とした。高度を海上から20メートル程の所まで落としたが、速度はそれでもライドポケモンを上回る速度で飛行している。

 

「なんだ?鳥ポケモンか?いや…」

「ねぇ…あれ…人が乗ってない!?」

 

その何かを確認したカキとマオは指を指すが、その何かは白い体が特徴の3メートル程のドラゴンタイプだった。

 

「……おい、ブルー。アレ、レシラムだよな?」

「間違いなくレシラムね。良く見なさいよ、ブラックの後ろに女の子2人が乗ってるわ。アノ子、何時からハーレム野郎に成ったのよ…えっ?リンドウ!レシラムの尻尾を見なさいよ!悪魔が居るわ!!」

 

その高速で飛来するのはレシラム。その背にはブラック、セレナ、茶髪の少女、レッドとバグチュウが跨がっており、尻尾の部分にはギエピーが捕まっていた。

 

「ブラックにセレナ!?おーい!!」

 

サトシはカロスを共に旅したセレナ、そしてカロスで出会ったトレーナーのブラックを見たためか嬉しそうに手を振る。

 

「ギエピー!?」

 

ギエピーはレシラムの尻尾から落ちてしまい、ライドポケモン達の側に落下する。

だが、そんな事を知らずにレシラムは小島の中心に緩やかに着地した。

 

「おいおい…マジかよ!?確か、2年前に復活した伝説のポケモンだよな!?」

 

ククイ博士もレシラムの事は知っている。と言うのもブラックがレシラムに選ばれ、レシラムが復活したのは多くのポケモン業界の中で話題に成った。

 

だが、レシラムのインパクトが強すぎた為か…彼等はその人物に気付くのが遅れた。

レシラムの背に乗っていた人物達はその背から降りて、小島に足を着ける。

 

「えっ!?あの人って!?」

「ポケモンマスター!?」

 

そう、ポケモンマスターのレッドである。

 

「ハハハ…なぁ、リンドウ。これって夢だよな?」

「おもいっきり、現実ですよ。ククイ博士」

 

イッシュ地方の神話に伝わる伝説のポケモン、そして最強のポケモンマスターの登場の為かククイ博士は軽く放心状態に成ってしまっていた。

 

「やあ…君が幼子の時以来だな…」

「サトシ!」

 

放心状態のククイ博士は置いといて、やって来たレッドとセレナはサトシに話し掛ける。

 

「えっ?セレナは兎も角、俺とポケモンマスターが!?」

 

サトシが疑問に思うのも無理は無い。サトシはレッドと会った事が無いのだから。すると、レッドは懐から1枚の写真を取り出してサトシに手渡す。

その写真には未だ物心着く前の幼いサトシ、そのサトシを抱っこするサトシママことハナコ、そしてチャンピオンに成り13歳位のレッドが写っていた。

 

「これ…幼いサトシ!?」

「可愛い!」

「私にも見せてください」

 

幼いサトシを見るためか、マオやスイレン達…サトシのクラスメートはサトシが持っている写真を覗き込む。

 

「ブルー…」

「どうしたの?リンドウ…」

 

――あー…アニポケ最大の秘密をレッドは暴露するのか

 

「レッドの奴、言うぞ」

「そうね」

 

そして…セレナと茶髪の少女がサトシとの再会を喜ぶ前にレッドは超ド級の爆弾を投下した。

 

「ハナコさんは伝えてないと思うけど、俺と君は従兄弟の関係だ。それに…一時期一緒に暮らしてたよ」

「「「「なんだって!?」」」」

 

ここに超ド級の爆弾が投下された。

 

これには先程までレッドと共にホウエンに居たブラックとセレナも唖然として言葉が出てこない。

 

「えっ!?サトシとレッドさんが従兄弟!?」

「あぁ…ロケット団を完全に根絶するまでは人質に取られる可能性も有ったから、言えなかった」

 

ロケット団…レッド様の手で完全に根絶された模様。

 

すると、レッドはセレナと茶髪の少女の肩を軽く叩く。

 

「さあ、次は君達の番だ。俺は…ピッピを回収してくる」

 

レッドはそう言うとピカ様と共に海に向かって歩く。海では溺れないように泳ぐギエピーが浮かんでおり…レッドはラプラスをボールから出してギエピーを回収に向かった。

 

ギエピーの事はレッドに任せ、サトシは目の前のセレナと茶髪の少女を見る。

 

「うん、久し振り…セレナにカノン。セレナはともかく、まさかカノンが来るなんてな…」

 

カノン。嘗てサトシがスーパーニビ人とスーパーハナダ人と旅をしていた頃、アルトマーレで出会った少女だ。

しかし、目の前のカノンは頬をプクーと膨らませて、不機嫌そうだ。

 

「えっ!?それじゃ…ラティアス!?」

 

するとカノン?はとびっきりの笑顔を見せて、眩い光を放つ。すると、カノンは赤と白のドラゴン・エスパータイプのポケモンに変化した。

 

そのポケモンはラティアス。伝説のポケモンだが、フリーザーやレジ系列と同じく探せば普通に?居るポケモンであり、持っているトレーナーも居るのは居る。

 

ラティアスは嬉しそうにサトシとじゃれ合い、ピカチュウともじゃれ合う。

 

「でも…どうしてラティアスが?」

『テレパシーを使えない彼女の代わりに私から説明しよう』

 

ふと、サトシ達の心に声が直接響き、レシラムが歩み寄る。

 

「話せるの!?」

『私がテレパシーで伝えるのは基本的にブラックだけだ。それ以外は余程の緊急事態か、必要性が有ると判断した時だけだ』

 

レシラムは女性のような声でサトシ達に告げる。

 

『彼女はサトシ、君と共に居たいそうだ。モンスターボールに入れてゲットすると良い。

あぁ…安心したまえ。アルトマーレには新たなラティオス達がやって来て…彼等に引き継ぎも済んでいるそうだ。つまり、彼女は完全なフリーだ』

 

ラティアスはサトシの仲間に成りたそうで、つぶらな瞳でサトシを見る。

 

「ラティアス…お前、俺達と来たいのか?」

「クーン!」

 

そして、サトシはバックからモンスターボールを取り出してラティアスに近付ける。すると、ラティアスは自分からモンスターボールに入った。

 

その日、ラティアスは再び運命に出会った。

 

現在のサトシの手持ち ピカチュウ、リザードン、ゲッコウガ、ラティアス、モクロー。アローラ控え 無し。

 

 

 

「リンドウ…ブラック、手伝ってくれ」

「おら、ギエピー!なんで溺れてんだ!!」

「早く引き上げてくれっピ!」

「仕方無い!俺も手伝おう!てか、このピッピ…普通のピッピよりも重いな!?」

「ピッピ…お前…またポフィンとか勝手に食っただろ」

 

ギエピーはレッド、リンドウ、ブラック、ククイ博士の手で無事に救助されました。

 

 




次回!セレナとブラックの転入!?そして…ムコニャ、足を洗った事を伝える!?


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15時限目

ある日…レッド、バグチュウ、セレナ、ラティアス、ブラックがレシラム特急に乗ってアローラに上陸してから数日後。

 

ブラック、レッド、ギエピー、サトシは町役場にやって来ていた。理由は単純、自分達のポケモンをライドポケモンとして登録する為だ。

 

「はい、ライドポケモンとして登録するのはレッドさんのフリーザーとラプラス、ブラックさんのレシラム、サトシさんのリザードンですね。

此方の書類にサインをしてください。それでライドポケモンへの登録は完了です」

 

アローラ地方ではライドポケモンとして申請されたポケモン以外に乗ることは出来ないと法律で決まっている。つまり、ポケモンに乗って移動するにはライドポケモンとして登録されたポケモンに乗るしか無いのである。

登録はどのポケモンでも基本的には大丈夫であり、中にはガブリアスやジバコイルをライドポケモンにしているトレーナーも居るのだ。

 

「あの…ライドポケモンってやっぱり、あの鞍みたいのを着けないと駄目なんですか?やっぱり、素で乗るのに馴れてますし、彼女もそうなので」

 

ふと、ブラックが目の前の公務員に向けてそう言った。確かに彼はレシラムを目覚めさせてから、レシラムに鞍無しで跨って様々な地方を旅している。

 

「あの…俺のリザードンもです」

「一応…出来ます。ですが、ライドポケモンの申請を受けた証として、証明に成る腕章やスカーフを着けて貰いますよ」

 

因みに腕章やスカーフで大丈夫な制度は最近できた。リンドウがアローラに来た頃は、スカーフや腕章は無く。仕方無くリンドウはお手製の鞍を自作してレウスに装備させたのだ。

 

「此方がそのスカーフと腕章です。お好きな物を選んでください」

 

公務員が机の上にスカーフと腕章を置く。すると、サトシはボールからリザードンを出して、ブラックはレシラムを出した。

 

「「どれが良いんだ?」」

 

自分で選らんで挙げても良いが、実際に着けるのはリザードンとレシラムだ。その結果、リザードンは腕章を選らんで、レシラムはスカーフを選んだ。

 

「はい。ありがとうございます。レッドさんは何れにしますか?」

「じゃあ、鞍で」

 

レッド様のフリーザー。オーソドックスにライドポケモン用の鞍に成るのだった。勿論、ラプラスも同様である。

 

こうして、無事に彼等のポケモンはライドポケモン申請を終えたのだった。これで、サトシ達の行動範囲は一気に広がっただろう。メレメレ島は勿論のこと、カキの自宅が有るアーカラ島も行けそうだ。

 

 

 

翌日。

 

サトシと同じくククイ博士の自宅に居候させてもらったセレナは、テレビ電話でとある女性と通話していた。その人物はサキ、セレナの母親で世界的に有名なサイホーンレースのレーサーである。

 

「それじゃあ…ママ!私、当分はアローラに居るから」

『まぁ、若い時は好きにしなさい。サトシ君やククイ博士に余り迷惑をかけちゃダメよ?』

「分かってるよ!それじゃあ、行ってきます!」

 

セレナのスクールライフが今から始まろうとしていた。

 

 

 

一方その頃、リンドウの自宅でも…新たな居候が旅立ちを迎えていた。

 

「それじゃあ、アララギ博士。当分は旅を中断してアローラの学校に通います」

 

ブラックはリンドウの自宅に居候だ。と言うのも彼は2年前、旅を始めた頃はリンドウとブルーと共にイッシュを巡った。ならば、親しいリンドウとブルーと共に行動した方が良いだろう。

 

ブラックが見るモニターの画面には30代前半(独身)のアララギ博士が映っている。

 

『好きにしなさい。でもね、ブラック。貴方はイッシュの次期チャンピオン…アデクさんも引退を考えてるし、公務も貴方がそろそろ代理で行わないといけない物も有るわ』

 

アデクの現役はもう短い。それはブラックも分かっていた。無理をいってチャンピオン就任を辞退し、こうして旅をしてるがそれも近々に終るかも知れないのだ。

 

『まぁ…アデクさんも貴方が成人するまでは頑張るって言ってるから、色んな事を学んで来なさい』

 

すると、アララギ博士の後ろから複数のポケモンが現れた。ランクルス、ウォーグル、ウルガモス(色違い)、ジバコイル…彼等はブラック、ダイケンキ…ケン、レシラムと共にイッシュリーグで共に戦った大事なパートナーだ。

 

『この子達は私達に任せて、頑張りなさい!長期休暇にはイッシュに帰ってくる事よ!貴方…連絡しないときは三ヶ月も連絡しないんだから!!』

「はい!行ってきます!」

 

ブラックはそう言うと、通話を切った。

 

だが、リンドウの家の居候はブルーとブラックだけではない。

 

「今のはブラック君のお母さんです?」

 

その声が聞こえ、ブラックは後ろを振り向く。そこには色違いで白色のミミッキュを連れた紫色の髪の毛をした少女が立っていた。

彼女の名前はアセロラ。ウラウラ島に住んでいたポケモントレーナーであり、リンドウの弟子2号である。家族は既に亡くなっており、リンドウの英才教育を受けた為か、かなりの腕前を誇るだろう。

そしてこの色違いのミミッキュはミミたん。アセロラのパートナーの一匹で、中々の腕前だ。

 

「博士だよ。イッシュ地方のね」

「ふーん、あのオバチャン、焦ってそう!」

「婚期を逃さないように大変だからね」

 

――おい、君達。同じ女性として伝えておこう。彼女に向けてオバチャン等は言わない方が良い

 

ふと、レシラムの声が聞こえてきた気がした。

 

「そんな事より!時間だよ時間!ししょーはもう行っちゃったよ!」

「もうそんな時間!?」

 

白き英雄とそのパートナー、早々に遅刻寸前に成る。

 

 

 

その頃…ポケモンスクールの応接間では…

 

「「「あの時はありがとう御座いました!そして、私達はもう犯罪行為をしません!!」」」

 

苦笑いを浮かべたブルーとリンドウの向い側にはムコニャの3人が土下座しており、足を洗った事の報告と感謝と謝罪を行っていた。

 

「そうか…取り合えず、レッドとギエピーの前でロケット団なんて言うなよ?マジで殺されるからな?」

「「はい!あの…会って欲しい人が居るので、テレビ通話を借りますね」」

 

ムコニャはそう言うと、応接間に有るパソコンを用いてネット通話を始める。すると、ムコニャが画面の向こう側の人と何かを話して、画面をリンドウとブルーに見せる。

 

そこには満悦な笑顔を浮かべるマタドガス、アーボック、そしてその進化前のポケモン達が居たのだ。

 

「貴方が…貴方が助けてくれたから…あの時、この子達を逃がさずに済んだの!」

「あの時…ポケモンハンターとそのバンギラスを倒してくれて…ありがとニャー!!」

「本当にありがとう!!」

 

ムコニャは涙を流しながら、感謝する。マタドガス、アーボック、その進化前…そしてポケモンハンターとバンギラス。そのキーワードをリンドウが思い浮かべた時、リンドウは思い出した。

 

「あっ!あの時、ドガースとアーボを助けようとした3人組か!」

 

リンドウ、思い出す。

 




次回!…セレナ達の初授業、ムコニャの学校見学、そしてサプライズの準備!?


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16時限目

セレナのスクールライフ…スタート!!


朝礼までの間に転入生であるセレナ、アセロラ、ブラックは職員室にやって来た。

セレナやアセロラは11歳位だが、ブラックは今年で15歳。クラスに馴染むのは違和感が有るかも知れないが、別に問題は無い。何故なら、ポケモンスクールへの入学には年齢は関係無く…幅広い世代の人々を受け入れる。とは言え、多くの生徒は未成年であり…ムコニャと同年代の生徒達は現在在籍していない。

 

「ここが職員室でな。多くの先生は授業が始まる前に、此処で授業の準備をするんだ」

 

担任と成るリンドウは転入生の3人に職員室を紹介する。学校見学を序に希望したムコニャの相手は学年主任であり、ポケモンの技を研究しているククイ博士にお願いしてきた。

 

セレナはテールナーを、アセロラはミミたん、ブラックはレシラムを出している。ポケモンスクールでは基本的にパートナーを出しているトレーナーが多く、セレナ達もそれに習ったのだ。

その証拠にリンドウはリーフィアを出していて、他の先生もポケモンを出して側に控えさせて居る。他の先生の手持ちにはカイリキーやギャロップ等が居た。

 

「他の先生もポケモンを出してますね」

「ポケモンスクールだからな。ククイ博士は滅多にパートナーをボールから出さないけどな」

 

ククイ博士も常にパートナーを連れている。しかし、彼は他の先生と違ってボールから出すことは余りしないのだ。リンドウもたまにしか、ククイ博士のパートナーを見ていない。

 

「それじゃあ、先生方を紹介するぞ。先ずはサオリ先生だ。サオリ先生!」

 

リンドウがそう言うと、日本人系の顔立ちをした筋肉質の女性が立ち上がりパートナーのカイリキーと共に此方にやって来た。

 

「セレナ、アセロラ、ブラック。挨拶」

「セレナです!カロス地方から来ました」

「古代のプリンセス、アセロラちゃんです!」

「ブラックです。イッシュから来ました」

 

リンドウに言われてセレナ達が挨拶をした。すると、リンドウにサオリと呼ばれたmuscleな女性は胸を張って自己紹介を始める。

 

「私はサオリ、ジョウト地方出身の教師だよ。元々はポケレスリングというポケモンと共に戦うレスリングの選手だったけど、色々有ってここの教師に成ったの。

担当教科はポケモン体育よ。体育をする時は先生と学ぶ時が有るから宜しくね。此方は相棒のカイリキーよ!」

「リッキー!!」

「私とカイリキーはカントーリーグにも出た事が有るの。リンドウ君程では無いけど、バトルのアドバイスも出来るわ」

 

彼女は某霊長類最強女子そっくりな外見をした体育教師 サオリ先生である。因みに身体能力の方はスーパーマサラ人に軽く匹敵する。

 

――アンタ、絶対に本人が戦った方が強いだろう。

 

初対面のリンドウは嘗て、こう囁いたとか。

 

「ククイ君やリンドウ君の他にも、君達がお世話に成るかも知れない先生が居る。けーね!」

 

サオリ先生がそう言うと、けーねと呼ばれた白髪の若い女性が席から立ち上がった。彼女は側にズガイドスとギャロップを連れて此方に来る。

 

「サオリ…今は勤務中だぞ」

「相変わらず、けーねは生真面目だな」

「リンドウ!お前もだぞ!げふん!失礼、私はケイネ。生徒指導と文学を任されている。此方はパートナーのギャロップとズガイドスだ。

実は…私はホウエンリーグに優勝したことが有ってな。チャンピオン時代のリンドウと戦った事が有るんだ」

 

けーねこと、ケイネ先生はホウエンリーグに挑戦した事が有り、そこでチャンピオン時代のリンドウと戦った事が有るのだ。

だが、チャンピオン時代のリンドウは公式戦無敗の為に…結果はお察しください。

 

「ボス(ボスゴドラ)だけで勝てたけどな」

「お前のボスゴドラは本当に理不尽過ぎる…」

 

ボスを倒しても、エンペルトやリーフィア、止めにメガリザードンが控えているのだから…尚も理不尽である。

 

「私は別のクラスの担任を持っていてな…生徒指導位でしか関わらないが、宜しくな」

 

何はともあれ、セレナ達はお世話に成る先生方の事を知れたのだった。

 

 

 

職員室の先生方を知れたセレナ達はリンドウの案内で教室に向かう。その道中、やはりレシラムやテールナーはアローラでは珍しいのか(レシラムは当たり前)多くの生徒達がリンドウ達を見ていた。

 

「ここが教室だ。広いからレシラムでも寛ぐ事は出来るぞ。ポケモンスクールはトレーナーは勿論、ポケモンの為の学舎だからな」

 

リンドウ達が教室に着くと、既にブルーが出席を済ませており…サトシ達は律儀に席に座って待っていた。教室には新たな空席が3つ用意されており、勿論…セレナ達の席である。

後ろの空間にはバクガメスやサトシのリザードン、ゲッコウガ、人の姿に変身したラティアスが寛いでいる。

 

「アローラ!諸君!皆、転校生を連れてきたぞ!セレナから自己紹介!」

 

教壇にリンドウが立ち、その隣にブルーが立つ。そして、セレナ、ブラック、アセロラの順番で3人は教壇の前に立った。

 

「セレナです!アローラでのポケモンの事を学ぶ為に来ました!カロスではトライポカロン、ホウエンではコンテストをしてました!」

「古代のプリンセス、アセロラちゃんです!ししょー…じゃなくてリンドウ先生の元でもっと学ぶ為に来ました!」

「ブラックです!普段はレシラムと一緒に旅してばかりで、次期チャンピオンの資格が有るのかも疑わしいけど…ポケモンの事をもっと学ぶ為に来ました!」

「良し!皆、セレナ達の事を頼むぞ!とは言え、アセロラ以外は校外学習の時に知り合ったんだったな」

 

こうして、セレナ達のスクールライフが本格的に幕を挙げたのだった。

 

 

「なんだろう…リンドウのクラスが日に日にヤヴァイメンバーに成ってきたな(ジムリーダー候補、ポケモンマスターの従兄弟、エーテル財団の娘、イッシュリーグ次期チャンピオン…マジでどうなってるの)」

 

ククイ博士はリンドウのクラスの凄さを見て、ムコニャ達と共に唖然とするのだった。

 

「伝説のポケモンまで居るぞ…」

「もう…ジャリボーイに危害を加えるのは止めるニャ」

 

サトシに危害を加える=正体を明かした従兄弟、そして教師が本気で殺しに来る。

 

ムコニャは心の底で足を洗って良かったと思った。

 

 

 

その頃の赤

 

「レッド君!是非とも、君の冒険談を聞かせて欲しイーブイ!」

 

校長室でオーキド校長と話をしていた。

 

「クスッ…」

「レッドが今の駄洒落で笑ったピ!?」

 

 




次回!セレナ、ブラック、アセロラ、レッドの為にリンドウ主催でBBQパーティー!?

しかし、その裏でマオ達の手でサプライズの準備が着々と進むのだった。


えっサオリ先生が某霊長類最強なのかって?彼女、サンムーンのCMに出てたし、カイリキーマジで持ってますよ


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17時限目

BBQである。


その日の晩。

 

ククイ博士の家の直ぐ前に有る浜辺。そこではセレナ、ブラック、アセロラ、レッドとギエピー、そして足を洗ってポケモンスクールの用務員に就職(副業でバイトは続ける)ムコニャ達の歓迎会であるBBQが行われていた。

 

そのBBQには上記のメンバーの他に、サトシとセレナの保護者であるククイ博士、リンドウとブルー、そしてオーキド校長とサオリ先生も来ており、彼等のパートナー(ククイ博士は除く)もボールから出ており、BBQを楽しんでいた。

 

「なによこれ!?滅茶苦茶旨いじゃない!!」

「今のうちに固形物を食べるニャ!!」

「ソーナンス!!」

「マジでこの肉旨い!!」

 

足を洗い、綺麗な職業に転職したムコニャ。彼等は周囲を見回し、生きている事に感謝した。

彼等の周りには元ホウエンチャンピオンであるリンドウの手持ちであるレウス、エンペルト、リーフィアを初めとしたメンバー。ブルーのカメちゃんや綺麗なピッピ、メガニウム。そしてレッド様のバグチュウとギエピー率いる最強メンバー等のヤヴェーポケモン達がBBQを楽しんでいる。

その上、サトシのラティアスやブラックのレシラム等の伝説のポケモンも居るのだ。

 

「私達、足を洗って良かったわね」

「だよな…」

「ソーナンス!!」

 

戦い慣れていないラティアスは兎も角、古代からの戦いや現代のイッシュリーグを戦い抜いたレシラムは経験を積んだメガシンカポケモンに匹敵する。

 

ムコニャの犯罪者ライフはアローラに来て、完全に終了する運命だったのだろう。

 

ムコニャは過去の事を気にせず、数日振りの固形物を食べるために延々と肉を焼いては食べるのだった。

 

一方、リンドウ達は楽しそうにBBQを楽しんでいた。このBBQはリンドウの主催であり、遥々海を越えてきたセレナとブラック、それにレッド達とアセロラの歓迎会を兼ねてリンドウが主催した物だ。

ククイ博士、オーキド校長、レッド、ギエピーはビールがたんまりと入ったビールジョッキを持っており…酒を飲みながらBBQを楽しんでいる。一方、未成年のサトシ達と禁酒中のブルーと同じく酒を飲まないリンドウや元アスリートの為に酒を飲まないサオリ先生はソフトドリンクを飲みながらBBQを楽しんでいる。

 

「お前は禁酒だからな?」

「リンドウのケチッ!!」

 

ブルーお姉さん。直ぐに酔い潰れるためか、リンドウの手で禁酒の真っ最中であった。

だが、そんな事を気にせず…ククイ博士やオーキド校長、レッドにギエピーはビールジョッキでビールを飲んでいく。

 

「くぅぅー!!やっぱり、BBQには冷えたジョッキで飲むビールが最高だっピ!!」

「リンドウ…このピッピは本当に何者なんだ?お酒を呑むポケモンは居るのは居るが、このように人間のように酒をグイグイと呑むポケモンなんて、普通は居ないぞ?」

 

ククイ博士が冷や汗を流しながらリンドウに問う。そんな事を言われても、レッドのポケモン達に常識という言葉を当てては成らないのだ。

 

「いや、そんな事を言われてもな。レッドのバグチュウとギエピーに常識と言う言葉は無いんだよ。特にレッドのピカチュウは理不尽の塊だから」

 

そう、レッドのピカチュウは理不尽の塊だ。カントーリーグ時代…レッドの主力だったメガフシギバナとギエピー、カイリューを倒したリンドウのメガリザードンを数秒で倒す程の実力を持っている。いや、それだけではない。レッドに挑戦してきたチャレンジャーを瞬く間に撃退する程の実力やロケット団を完全壊滅させる程の理不尽をピカチュウとギエピーは持っているのだ。

 

「そうよね…レッドなんて本当に理不尽よ。この前、カントーリーグに優勝してレッドに挑んだ全手持ちが幻と伝説のポケモンを使うトレーナーをフルボッコにしてたしね」

 

ブルーは思い出す。未だブルーがアローラに来る少し前、ブルーは実家で母親の作ってくれた夕飯をテレビを見ながら食べていた。

その日のテレビには昨シーズンのシンオウリーグで優賞したトレーナーが、カントーリーグで優勝して四天王を倒し、世界最強のチャンピオンレッドに挑む姿が映されていた。

 

ブルーは思い出す。確か、そのトレーナーはタクトという男で…年齢は自分達よりも少し歳上の男だった。

 

レッドは何時も通り、エーフィを出した。だが、あろうことかタクトという男はダークライを出したのだ。

 

――ふぁ!?

 

オーキド研究所の助手であるブルーはオーキド研究所にサンダー、ファイヤー、レジスチル、レジギガス、レジロック、レジアイス、そしてミュウツーが暮らしている事を知っている。だが、彼等はレッドが全国図鑑を完成させる冒険の末に捕まえた伝説のポケモンだ。

伝説のポケモンは複数生息しており、探せば全国的に見付かるファイヤーやサンダー、レジ系は出会える事が出来る。だが、捕まえて言うことを聞くかどうかとすれば話は別だ。

彼等はレッドという理不尽を体現したポケモントレーナーだからこそ、捕まえられた。その上、捕まえてもレッドに懐き…力を貸したのはフリーザーだけである。

 

世界的にもフリーザーやラティオス、ラティアスを使うポケモントレーナーは多い。とあるジョーイさんもラティアスを使うし、文献や神話に伝説を残す珍しいポケモンという解釈も出来る。

 

だが、ダークライというポケモンは違う。間違いなく、レッドでも捕まえていないポケモンであり…存在事態も珍しいでは表現できない。そんなポケモン…幻のポケモンだ。

 

これにはレッドと共にエーフィを見守るフシギバナ、ギエピー、ラプラス、バグチュウ、フリーザーも驚きである。

 

だが、レッドのポケモンであるエーフィは何とかダークライを倒す。しかし、次にタクトが繰り出したのはラティオスだった。いや、ラティオスは世界的に持っているトレーナーも多く、未だ理解は出来る。

エーフィはラティオスも倒し…問題は次だったのだ。なんとタクトはレックウザを出してきたのだ。

 

これを見たブルーは箸を落とした。レックウザはメガ進化したポケモンに匹敵する伝説のポケモンすらも簡単に倒せる。何故なら…レックウザは文献によるが、単独でグラードンとカイオウガを倒せる実力が有るのだ。

 

しかし、エーフィを倒されたレッドはバグチュウを繰り出し、バグチュウの力でレックウザを倒す。だが、今度はタクトはグラードンを繰り出した。

 

――これは驚いた

 

さすがのレッドも驚いた。しかし、バグチュウの蹂躙は続き…バグチュウはグラードンを粉砕しタクトの繰り出したデオキシスさえも倒す。

 

――強い!流石は最強のトレーナー!!だが、僕は勝つさ!

 

次にタクトはイベルタルというポケモンを出したが、バグチュウの敵では無かった。

 

最後にタクトはキュレムという図鑑のデータに記されていないポケモンを出したが、レッドはバグチュウを休ませる為にボルトチェンジでバグチュウを戻し…ネタ要員 ギエピーを繰り出す。

 

結果はレッドの勝ちだった。

 

「という事が有ったのよね。てか、タクトって人…何処でポケモンを捕まえたかしら」

 

伝説のポケモンとして知られるが、世間的には珍しいポケモンという立ち位置のラティオスやラティアス、そしてフリーザー達。持っているトレーナーも居るのは多く、使う人も居る。

それに対し、禁止伝説と一部の人から言われるレックウザやレシラム、カイオーガやグラードンは殆ど出会えない。仮に捕まえたとしても、レシラムとブラックのような事情が無い限りはパートナーには成らないだろう。

 

「「「はい!?伝説のポケモンを従えてる!?」」」

 

驚くアセロラ、セレナ、ブラック。

 

「いや、ブラックは人の事を言えないだろ」

「何はともあれ、そのタクトって人は俺達でも想像出来ない程の冒険をしたんだろうな。ほい、新しい肉が出来たぞ、お前達も食べろ」

 

リンドウが焼き立ての肉を大きな皿に盛り付け、子供達に渡していく。

 

「どうだ?旨いか?」

「はい!美味しいです!」

「流石はししょーの選んだお肉!旨い!」

「イッシュでもBBQは盛んですけど、海沿いで星の見えるBBQって良いですね!」

 

BBQを楽しむセレナ、アセロラ、ブラック。

 

(((良し!!計画通り!!)))

 

そんな彼等を見て、ククイ博士とサトシ、そしてリンドウは心の中で囁いた。と言うのもこのBBQは言わば囮である。

全ては明日行われる、セレナ、アセロラ、ブラックのサプライズの準備をバレずに行う物だ。現在進行形でアイナ食堂ではマオ、スイレン、リーリエ、カキの手で作戦会議が行われているのだ。

 

 

 

「良し!皆!明日は頼むよ!!」

「「「勿論!!」」」

 

さあ…サプライズを始めよう。

 

 




次回…サプライズ!?

そして…アローラ組は知る。ギエピーを(笑)


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18時限目

サプライズ…


翌日。リンドウが担任を務める、サトシ達のクラスの教室は朝早くからやって来たマオ達の手で見事にデコレーションされていた。

 

全ては新しく学びの仲間と成ったセレナ、ブラック、アセロラの歓迎会の為である。

教室の壁は折紙や木の実の花等で飾り付けられており、黒板には歓迎される3人と彼女達のパートナーのデフォルトされた似顔絵が描かれ…『ようこそ!メレメレ島ポケモンスクールへ!!』とデカデカと書かれていた。

 

「良し!準備OK!!」

 

全ての準備を終らせ、マオはどや顔でそう言う。今回はあの時(サトシ歓迎会)とは別のサプライズも準備してきたし、3人は楽しめる筈だ。

 

「僕達も早起きしたかいがあったね!」

「だな。俺は早起きは馴れているが」

 

マオ達は普段よりも一時間も早く起きて、教室の準備をしていた。牧場の仕事で普段よりも早起きなカキは兎も角、マオ達は頑張って起きてきた。

 

「レッドさんはどうするのかな?」

 

ふと、スイレンがそう言う。セレナ、アセロラ、ブラックはメレメレ島ポケモンスクールに転入だ。だが、彼等と共にアローラにやって来たレッドはどうするのだろうか?

レッドはカントー地方のチャンピオンであり、最強のポケモントレーナー ポケモンマスターの称号を持っている。そんなレッドだが、教師として赴任するとか何の連絡も来ていないのだ。

 

「教師としてなら、リンドウ先生から連絡がある筈ですよね?」

「リーリエの言う通りだな。ブルーお姉さんの時は当日とは言え、先生が教えてくれた。だが、それはブルーお姉さんがやって来た翌日だったし…レッドさんはアローラに来てから数日は経っている。教師として赴任するなら、先生が言ってくれるだろう」

 

リーリエとカキが考え込むようにそう言う。

 

すると、何かの視線を感じてマオ達は後ろを振り向く。そこにはピカチュウもといバグチュウを頭の上に乗せて、側にギエピーとフリーザーを連れているレッドが居たのだ。

 

「「「レッドさん!?」」」

「俺は暫く……メレメレ島を拠点にして、アローラを探索するさ。来シーズンまで時間は有るし」

「そう言う事だから、宜しくだっピ!!」

 

レッド、教師として赴任しないが…暫くはこのメレメレ島を拠点にしてアローラを探索するようだ。事実、彼は危険地帯シロガネ山に好んで籠り、キャンプを行う程の冒険家でも有る。

カントー地方から見れば、観光地という認識のアローラを探索して新たな見聞を見付けるのも良いだろう。

 

(本当はアローラリーグ創設の手伝いだけどな)

(ピカピ)

(ピェェェ)

 

だが、本当の理由はカントーリーグチャンピオンとして、リーグ創設の手伝いを行う為だ。最初はブラックとセレナをサトシと再会させる為にアローラにやって来たが、アローラリーグ委員長の予定のククイ博士に頼まれて引き受けたのだ。

それにアローラリーグ創設の手伝いという仕事が有れば、カントー四天王のシバ(muscle)、キョウ(忍者パパ)、カンナ(氷お姉さん)、キクコ(ゴーストオババ)に怒られる心配は無い…と言うのもシロガネ山で籠った際にキョウとキクコに怒られたのだ。

 

「それじゃあ!レッドさんとピカチュウとも居れるんですか!?」

 

マオが嬉しそうに言うと、レッドのピカチュウも嬉しそうに声に出す。

 

「ピカ!!」

 

ふと、スイレンが外を見る。窓から見えるポケモンスクールの広場ではリザードンに乗ったサトシとセレナ、レシラムに乗ったブラック、気球のようなポケモン…フワライドに掴まったアセロラがポケモンスクールに登校した。

 

「皆!ブラック達が来たよ!」

「よーし!皆…クラッカーの準備!!折角だし、レッドさんも!」

 

マオは各員にクラッカーを手渡していき、そしてレッドとギエピーにも手渡す。

 

サトシとアセロラがボールにリザードンとフワライドを戻し、此処まで歩くのを考えると大体3分位。

 

すると、一足先に出席簿を持ったリンドウ、ブルーが教室にやって来た。

 

「先生!ブルーお姉さんも!」

「どうしたスイレン、これを使えば良いんだな?」

「誰に使うの?」

「「「勿論!セレナ達です!」」」

 

リンドウとブルーもクラッカーを持ち、サトシ達がやって来るのを待つ。

 

「今日の授業は何かな?」

「楽しみだね!」

「ピカチュ!!」

「モエルーワ!」

「ミミッ!!」

「昨日のBBQは美味しかったね」

 

サトシ達の声が聞こえる。特に特徴的なレシラムの鳴き声は間違える訳が無いのだ。

 

やがて、サトシ達が教室に入ってきた。サトシ達…いや、サトシはサプライズが有ることを知っていた為にそこまで驚かないが、完全に知らされていなかったブラックにアセロラそしてセレナは飾り付けられた教室に驚く。

 

そして驚きを整理する前に、一斉にリンドウ達が持つクラッカーが鳴り響く。

 

「「「アローラサプライズ!!」」」

「……」

 

鳴り響くクラッカー、そして歓迎するリンドウ達の声…と無言なレッド。

 

突然の事に驚くセレナ達であったが、サトシがセレナ達を見て告げる。

 

「今日はさ…3人の歓迎会なんだよ!!」

「「「歓迎会!?」」」

「そうさ!セレナ達の為に、俺達で準備してきたんだよ!」

 

セレナ達の為にサトシ達は密かに準備してきたのだ。そして今日、そのサプライズがやって来たのだ。

 

「はい!先ずは私からです!私のサプライズは…ポケモンクイズ対決です!!」

 

最初のサプライズはリーリエからのクイズ対決だ。教壇にリーリエは立ち、サトシ達は自分の席に座る。彼等を見回して、リーリエは口を開いた。

 

「ルール説明です!先ず、クイズ対決ですが…ハンデが有ります。

アローラに来てから日が浅い、セレナとブラックは最初に回答出来ます。次にセレナとブラックが回答してから、アセロラとサトシが回答出来ます。マオ、スイレン、カキはアセロラとサトシが回答してから回答権を得れます!」

 

つまり、はや押し問題のような物だが…セレナとブラックが回答してからサトシとアセロラに回答でき、サトシ達が終ってからマオ達が回答出来る仕組みなのだ。

 

「てっことはアローラの問題?」

「はい!ですが、教科書を事前に読んでいたら…セレナ達でも充分に回答できます!

先ず…第一問!ニャースのタイプは「ノーマル!」ですが、アローラ地方のニャースのタイプは?」

 

ブラック…早々に間違える。そう、アローラのニャースはノーマルタイプではないのだ。

 

「良し!」

 

セレナはブラックが間違えた為か、ゆっくりと考えられる。その為か…セレナは落ち着いて考える。一方、答えが分かったサトシとアセロラは物凄い早さでボタンを連打していた。

 

セレナの導きました答えは……

 

「悪!!」

「正解です!!」

 

セレナ、答えに導く。アローラのニャースは悪タイプでズル賢いのだ。

 

「では次の問題です。メレメレ島の守り神は?」

「カプ・コケコ!!」

「ブラック!正解です!!」

 

その後もクイズは続いていき…

 

「最終問題です!!この問題は全員に回答権が初めから有ります。

ホウエンリーグ4代目チャンピオンは?」

「「「リンドウ先生!!」」」

 

最後の問題は全員正解である。

 

「次のサプライズは私、スイレンです。私のサプライズはビデオ鑑賞会だけど…リンドウ先生とレッドさんに深い関わりが有るものです」

 

スイレンはDVDをレコーダーにセットする。教室のテレビに映し出された映像は…

 

「なつ!?カントーリーグの決勝戦じゃないか!?」

 

10年以上前のカントーリーグ決勝戦…レッド対リンドウの試合である。

 

『ギエピー!!』

『メガリザードンのブラストバーンが決まった!!ピッピ、戦闘不能!!』

 

「懐かしいな」

「そうね」

「黒歴史は封印されたっピ!!」

 

ギエピー、決勝戦でメガフレアの直撃を受ける。映像はノーカット版であり、決勝戦と言えど二時間というボリュームの有る物だった。

 

「次のサプライズは私、マオのサプライズで…カレー作り対決だよ!」

「カレーか…俺達も出るか」

「ピカピ」

 

カレー対決…マオ、ブラック、セレナ、レッドの仁義なき戦いが始まろうとしていた

 

 




次回!カレー対決からの…ポケモン勝負!?


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19時限目

カレー作り、ガラル地方でも盛んです。


マオからのサプライズ…それはサトシの時には行われなかった挑戦サプライズであり、まさかのカレー対決であった。

 

「ルールは簡単!私、マオちゃんとカレー料理対決をしてもらいます!

材料は此方で用意した豚肉、牛肉、モーモーミルクチーズ、ソーセージ、スイレンのお父さんが釣ってきた魚…好きな物を選んでくれて構いません!

勿論!隠し味として、木の実も容れるように!マオちゃんからのコツとしては…木の実は水分が多いので、木の実の水分量とルーを作る際の水を良く考えて作ること!木の実と水の合計水分量が多すぎると…シャバシャバのカレーに成ってしまいます!!」

 

場所を教室からポケモンスクールの広場に移動したリンドウ達。

そこには既にククイ博士、リンドウ、ブルーの教師陣の手で見事な即席野外キッチンが出来ていた。大きなテーブルの上には色取り取りの様々な木の実、新鮮な食材が並べられており…何れでも好きな物を使っても良いのだ。

 

「ご飯は此方で用意したから…美味しいルーを頼むぞ!」

 

教室からのサプライズには参加しなかったククイ博士。彼はなんと、既にマオのサプライズの為に1人で白米とサフランライスを沢山炊いており…美味しいカレーの下準備をしていたのだ。

 

そんなククイ博士は『審査員席』と書かれた長いテーブルにリンドウとブルーと共に座っており、2人と共に審判を務めるのだ。

 

「調理器具も此方で用意したので、安心して下さい!

それと…審査員の先生方は料理上手のククイ博士、同じく料理上手のリンドウ先生、そしてリンドウ先生の手料理で舌が肥えたブルーお姉さんの3人です!

勿論!審査が終わったカレーは皆で美味しく頂くので、皆のお昼ご飯に成ります!制限時間は二時間…それじゃあ、スタート!!」

 

マオの宣言でカレー対決が始まった。では…今回の出場選手を紹介しよう。

 

先ずは主催者であり、アイナ食堂の看板娘マオとパートナーのアマカジ。

 

「良し!アマカジ、アイナ食堂看板娘の意地を見せるよ!」

「アマっ!!」

 

アマカジとマオもやる気と元気は一杯だ。日頃から料理を行い、父親と共にアイナ食堂を切り盛りする看板娘…料理の腕前には自信が有り、この中では一番の優勝候補である。

 

エントリーNo.2 アセロラとパートナーの色違いミミッキュことミミたん。

 

「ミミたん!アセロラちゃんも頑張るから…頑張ろう!」

「キュー!!」

 

アセロラはリンドウがアローラに来てから弟子入りした少女、ポケモン勝負の腕前は兎も角…料理の腕は未知数だ。だが、簡単な料理なら教えてもらえているかも知れない。

 

エントリーNo.3!サトシと共にカロス地方を旅したポケモントレーナー セレナ、そして彼女のパートナーであるテールナーである。

 

「良し!勝てるか分からないけど、頑張ろう!」

「テール!」

 

セレナはそこそこ料理が出来る。事実、セレナはサトシと旅をしている時…シトロン不在の際は料理をしていたのだ。その上、カロスからホウエン地方に旅発った後、自分でキャンプもした事は有るので必然的に料理の腕も上達した。

 

エントリーNo.4!次期イッシュチャンピオンであり、数少ない禁止伝説級(メガ進化ポケモンに素で匹敵する伝説のポケモン)をパートナーにした少年 ブラック、そのパートナーであるレシラムとタブンネのネネ。

 

「料理したことねぇぇぇええ!!」

 

ブラックは慟哭した。ブラックが旅に出た頃はお湯を注げば直ぐに、そして簡単に出来るインスタント料理のバリエーションが増えていた。

レッドやリンドウの時代はカップ麺位だったが、ブラックやサトシの頃はインスタントカレー、インスタントチャーハン、インスタント釜飯等々…沢山のインスタント料理が出ていた。お湯を注ぐ、或いは袋のまま茹でる…それだけで美味しい食事の出来上がりだ。

事実…ブラックは旅路の飯として、ポケモンセンターで食べる食事以外はそのインスタントだ。それに…ブラックやサトシの時代では道路にもポケモンセンターが有り、野宿の機会はリンドウ達の子供の頃と比べると随分と減った。

 

『諦めてはいけない。私が何とかアドバイスするわ』

 

レシラムがブラックだけに聞こえる声で告げ、タブンネもガッツポーズする。1人と2匹の戦いは始まったばかりである。

 

「タブンネ!!」

 

ブラック…人生初の本格的な料理が幕を挙げたのだった。

 

そしてエントリーNo.5。最強のポケモントレーナーであり、趣味は危険地帯(シロガネ山)でのキャンプの我等がポケモンマスターレッド…とパートナーのバグチュウもといピカ様。

シロガネ山でのキャンプがバレた際は、四天王のカンナやキョウに怒られ…そしてハナコママに電話で怒られる。シロガネ山キャンプで磨いたカレーの実力を見せつける事が出来るのか?

 

「………」

 

レッドはピカチュウの可愛らしい絵柄がプリントされたエプロンを纏い、愛用のフライパンを軽く持つ。言葉を話さないが、彼のやる気はバッチリだ。

 

「ピカチュウ!!」

 

ピカチュウもやる気満々であり、何処から取り出したのかコックさんの帽子を被っている。

 

「なんで…僕はお留守番なんだっピ?」

 

されど、ピッピことギエピーはお留守番もとい待機である。何故なら…

 

――お前…絶対摘まみ食いするじゃん

 

心の声とは言え、ギエピーに尻目を送るフリーザーとフシギバナがそう囁く。このギエピー、ポフィンは勿論…アローラに来てからはポケマメを良く摘まむ。その結果…心なしか太った気がしてきたのだ。

 

「フシギバナ、フリーザー…もしもの場合はやって良いぞ」

「ピカ!」

「僕は何もしないっピよ!!……多分」

 

何はともあれ、出場選手が出揃った。

 

先ず…材料を手にする為に、ピカ様達は走り出す。ピカ様、セレナ、アセロラ、ブラック、マオは先ず…味の決め手?と成る木の実の選別に取り掛かる。木の実を入れなくてもカレーは出来るが、それでは基本的なカレーしか出来ない。甘口、ほろ苦い、そして辛味…それは木の実を加える事でよりアクセントが光るのだ。

 

だが、レッドはピカ様に木の実選別を任せると…一人で材料コーナーに向かう。そこで、レッドが手にしたのは骨付きウインナーと本格的なカレーのスパイスだ。

 

「ふむ…これで良いか」

 

なんと言う事でしょう。レッドは市販のカレー粉を選ばず、スパイス等を組み合わせて本格的なカレーを一から作ろうと言うのだ。

だが、忘れてはいけない。レッドはチャンピオンに就任してから最初の2から3年までは幼いサトシとハナコと共に暮らしていた。当然、休みにはハナコの手伝いもしていたし、料理の腕も高いだろう…事実、レッドはホウエン地方でセレナとブラックにカレーを作っては御馳走している。

 

「見てみなさいよ、リンドウ。レッドの奴、本格的にカレーを作る気よ」

「まあ…レッドはサトシのママさんでレッドの叔母であるハナコさんから、料理の手解きを受けてるしな。

アイツ、無口だけどやることは凄いからな」

 

完全に実況と解説者に成ったブルーとリンドウ。

 

「リンドウ!ククイ博士!他の子達は木の実を選び終えたわ!」

 

ブルーがそう言い、ククイ博士とリンドウは木の実コーナーを見る。そこではブラック達が木の実を選び終わり、野外キッチンで調理に取りかかっていた。

 

マオはアマカジと共に選んだ木の実を磨り潰し、カレーの下準備に取り掛かる。

アセロラとセレナもそれは同じく、やはり木の実入りのカレーは木の実を磨り潰していれるのが基本のようだ。事実、ピカ様も擂り鉢で木の実を磨り潰している。

 

「レシラム…やっぱり、擂り潰した方が良いかな?」

『モモンとキー、ヒメリは磨り潰して、オレンの実はあらごしにする。ネネ、貴方はブラックと一緒に木の実を磨り潰して。

私は適当に食材を選んでくる』

 

伝説のポケモン レシラム。完全にブラックチームのブレインと成るのだった。

 

全てのチームが木の実を選び終わり、本格的に調理を始めた頃。この男がそわそわとしだした…そう、レッドの手持ち最強?の問題児ギエピーである。

 

「ねぇ…リンドウ、ピンクの悪魔がそわそわとしてるわよ」

「奴め…虎視眈々と摘まみ食いのチャンスを狙ってるな」

 

ギエピー、虎視眈々と摘まみ食いを狙う。勿論、ギエピーに反省の余地は無いのだ。

 

(少し位なら…もんだいないっピ!」

「おい、ギエピーの奴…途中から心の声が丸聞こえじゃないか。誰か停めてやれよ」

 

ギエピー…遂に善心が心の誘惑に負けてしまう。

 

ギエピーの心が誘惑に負けた頃、既にレッド達はカレー作りの大詰めに入っていた。大きなお鍋(レッドだけ大きな中華鍋)で木の実と食材が入ったカレーを煮込み、グツグツと煮込んでいく。

 

だが!!此処に、ピンクの悪魔が降臨した!!

 

ギエピーはコップとお玉を持つと、コソーとレッド達に近付く。先ず、ギエピーが狙いを定めたのは料理上手と評判のマオの所だ。

マオの所にやって来た我等がギエピーは、静かに近付き…バレないようにお玉でカレーを掬い…コップに入れて極々と飲む。

 

(流石は食堂の看板娘だっピ!!)

 

やはり、マオの作ったカレーは旨かった。

 

続いてギエピーが狙いにつけたのは…セレナの所であった。

静かに、音を立てずに近付くギエピー。そして、マオの時と同様にお玉でカレーを盗み…コップに容れて極々と飲んでいく。

お玉で直接飲んでも良いのだが、お玉で飲むと…流石にレッド達の手で殺されかねない。最悪、バグチュウの必殺コンボ、サトチュウのボルテッカー、カメちゃんのハイドロカノン、レウスのブラストバーン、レシラムのクロスフレイムが飛んで来る。そうなれば、流石のギエピーでも命の保証は無い。

 

(やはり、此方も美味だっピ!)

 

続いてギエピーはブラックの所に目をつける。だが、ブラックの所に向かおうとすると…レシラムが殺意の籠った視線をギエピーに向けていた。

 

――わかってるな?ピンクの悪魔

 

視線だけで人を何万と殺せそうな殺気をレシラムはギエピーに向けていた。勿論、これは不味いと理解したギエピー。下手をしなくても、クロスフレイムどころか青い炎が飛んで来る。

 

我が身の可愛さ故か、ギエピーは何事と無かったようにそそっと退散しようとする。しかし…

 

「ピカチュウ…やれ」

「ピカ!!」

「ちょっ!?待てっピ!!」

 

ピカ様は神速を用いて消え、ギエピーの後ろに現れる。そのままアイアンテールで打ち上げ、ギエピーが最高到達点に上がる前に…ピカ様はその最高到達点に到着する。

そして、ピカ様は続けて爆裂パンチを放ち…ギエピーの顔面にクリティカルヒットさせる。音さえも置き去りにする程の勢いで地面に激突するギエピー。だが、悲劇は未だ終わらない。

 

「ピカ!!」

 

ピカ様は青い雷撃を纏う。本来はゼクロム専用技の雷撃と呼ばれる必殺だ。その雷撃を用いて、青い雷と化したピカ様はギエピーに全力でぶつかり…

 

「ギエピー!!」

 

ギエピーは見事に成敗された。

 

「ピカ!」

 

このピカ様もといバグチュウ…どや顔である。因みに先程の蹂躙劇…僅か3秒の間であった。

 

「「「「………」」」」

 

ピカ様の圧倒的な実力の片鱗を見たサトシ達は言葉が出ない。当たり前だ、このピカ様に勝てるポケモンは世界中を探してアルセウス様位である。

 

「出来たぞ」

「ピカチュウ!!」

 

レッド様、カレーを完成させる。何とか、マオ達のカレーも完成させて…無事にカレーは完成した。

 

 

 

いざ、実食。ククイ博士、リンドウ、ブルーの目の前にはマオ、アセロラ、セレナ、ブラック、そしてレッドが作ったカレーが揃う。

 

「先ずは…マオのカレーだな」

 

リンドウがそう言い、マオのカレーを食べる。マオのカレーはカレーの上に、こんがりと焼かれたネギが置かれており、香ばしい香りが食欲をそそる。

 

「これはアリだな」

「うん、うまし」

「旨い!流石はマオちゃん!!」

 

3人の審査員からの評価は上々。続いてはセレナのカレーだ。

 

セレナのカレーはスライスしたリンゴをトッピングし、辛味の木の実をチョイスした代物だ。

 

「リンゴ…いや、蜂蜜の甘さ…木の実の辛さが良いアクセントを出してるな」

「上手く…バランスが組合わさってるな」

「旨い!流石はセレナちゃん!!」

 

セレナもこう評価を貰った。続いてはリンドウの弟子2号のアセロラちゃんだ。

 

アセロラのカレーは甘味の特徴な木の実を用いて、素材に水辺のハーブことワサビをすりおろしたのを使ってる。

 

「旨いが…ワサビが苦手な人はキツイかもな」

「俺は好きだな、この味」

「旨い!流石はアセロラちゃん!」

 

賛否両論が別れそうな味。だが、ワサビが苦手ではない人は好むような味なようだ。

そして、さっきから旨いしか言わないブルー…それで良いのか?

 

続いてはブラックのカレーだ。ブラックのカレーはイッシュ地方でも良く食べられる、イワナ等の魚のステーキをこんがりと焼いてトッピングした代物だ。

 

「あの…初めてなんで御手柔らかに」

 

ブラック、人生初の本格的な料理である。

 

「そういや、ブラックはリンドウとブルーと共にイッシュを旅してたな?と言うことは…リンドウの弟子1号ってブラックか?」

「いや、弟子1号はホウエンに居ますよ。どちらかと言うと…ブラックはブルーの弟子ですかね?」

「よーし!ブラック!お姉さんが貴方の味を見てあげるわ!!」

 

ブラック作のカレー。レシラム完全監修の為に、問題は無さそうだ。

 

「「初めての料理にしては超上的だな」」

「旨い!ブラック!貴方、料理できるじゃない!」

 

ブラック…取り合えず、食える代物だった模様。そしてレシラムはどや顔をするのだった。

 

最後に我等がレッド様のカレーだが、一口食べたククイ博士とリンドウは…

 

「「参りました!!」」

 

見事に降参。首を傾げたブルーもレッドのカレーを一口食べると…

 

「降参です!!滅茶苦茶美味しいんですけど!!」

 

レッド様…完勝である。

 

「「ですよね」」

 

レッドのカレーの味を知るセレナとブラックは結果が分かってたようにそう言った。

 

その後、出来たカレーは全員で美味しく頂きました。

 

 

食後…次のサプライズは…

 

「それじゃあ…次のサプライズは!」

「「俺達、男子3人が企画する!!籤引きマルチトリプルバトル!!」」

 

空に成ったカレーのトレイを持ちながら、マーマネ、サトシとカキがそう言った。

彼等が企画したのは複数のチームバトルであるマルチトリプルバトル、そのトリプルバトルのチームを籤引きで決めて戦う代物だ。

 

勿論、籤引きを引くのはサトシ、カキ、マーマネ、セレナ、アセロラ、ブラックの6人だ。ポケモンバトルが本業ではないセレナと最年少のマーマネはアレだが、ブラックとサトシは当たり籤と言えるだろう。

 

いざ、彼等はマーマネが用意した籤を引こうとしたが…

 

「マーマネ、俺が代わりに出て良いかな?」

「レッドさん!?」

 

ポケモンマスター…まさかの飛び入りである。

 

「どっどうぞ!」

「ありがとう。そこのトゲデマル…良く懐いてるな、愛情を持って育ててる証拠だよ」

 

レッド、代打で参戦する。そして、改めてレッド、サトシ、ブラック、カキ、セレナ、アセロラの6人で籤を引いた結果……

 

「おっおい…マジかよ」

 

カキは冷や汗を流していた。彼の隣に居るのがレッドと言う事も有るが、相手側の3人が固まっていた。

 

カキチームの相手はサトシ、セレナ、ブラックであり…サトシはピカチュウ、セレナはテールナー、ブラックはレシラムを出していた。

 

必然的にカキチームはカキ、レッド、アセロラの3人だ。カキはバクガメスを繰り出し、アセロラはミミッキュのミミたんを出した。

 

(レッドさんは誰を出すんだ?)

「行け、ピッピ。さっきの摘まみ食いをチャラにするほどの活躍をしろ」

「ギエピー!?」

 

レッド様…ピカ様ではなく、ギエピーを繰り出す。とは言え、ピカ様はチート過ぎるので仕方無いだろう。

 

だが、サトシ達は知らない。ギエピーの戦い方を。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の大誤算

 

「僕は実家の会社を継がねば成らない。ミクリもコンテストやトライポカロンをバトル以上に発展させるという夢が有る…だから、彼にチャンピオンを継がせるのは厳しい。

今は通信技術の発達で、最重要以外の書類仕事は遠くに離れていても出来る時代だ。頼めるか?リンドウ君」

 

ホウエンリーグ本部 サイユウシティの一室で、とある青年は1枚の写真を手に取る。その写真にはチャンピオン時代…青紫のコート姿のリンドウが写っていた。

 

大誤算が友人のミクリ君とリンドウの弟子1号を連れて、自家用ジェットでホウエンを出たのは…その3日後であった。




次回!ギエピー…レシラムとサトチュウ相手に奮闘する!!

ギエピー「これで…青い炎をふせぐっピ!!」


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20時限目

安定のギエピー。


ポケモンスクールの広場。そこにはポケモンバトルを行う為のバトルコートが有り、今から3対3でのマルチトリプルバトルが行われようとしていた。

 

片側のチームはサトシのピカチュウ、セレナのテールナー、ブラックのレシラム。一方はカキのバクガメス、アセロラのミミッキュ(色違い)、そしてレッドのピッピ(ギエピー)だ。

 

総合的な実力は大体同じだろう。幾度の冒険を繰り広げたピカチュウと伝説のレシラム、Z技を使えてスクール屈指の実力を持つバクガメスとポケモンマスターのギエピー。

これはまたと無い名勝負?の予感がしてきた。特にギエピーの問題児っぷりは僅か数日でアローラのポケモンスクール中に広まっており…メレメレ島全体に広がるのも時間の問題だろう。

 

「それでは…これより、歓迎エキシビジョンマッチを始める!それじゃあ…始め!!」

 

ククイ博士の号令で、遂に勝負が始まった。

 

「テールナー!神秘の守り!!」

 

先ず、最初に動いたのはセレナとテールナーだった。神秘の守りとはポケモンが使う技であり、味方を状態異常を防ぐ効果が有る。

バクガメスは炎タイプであり、ミミッキュはゴーストタイプ。火炎放射や鬼火等の火傷、更には怪しい光での混乱を用いた同士討ち…それらを防ぐ効果が有るのだ。

 

「私とテールナーが支援するから、ピカチュウとレシラムはオフェンスをお願い!」

 

サトシチームは見事に役割分担が出来ているようだ。バトルが本業ではなく、ポケモンのパフォーマンスを得意とするセレナとテールナーが支援を担当する。そして、彼女達のサポートを受けたサトシとピカチュウ、ブラックとレシラムがオフェンスだ。

ピカチュウもピカ様程では無いが、種族の壁を突破しており戦闘力は高い。勿論、伝説のポケモンであり素の状態でメガ進化ポケモンと互角に戦えるレシラムの強さは言わずもがな。この2体で攻めるのだ。

 

レシラムは大きくスタンスを開き、ピカチュウは頬からバチバチと電気を出して走り出す。

 

「レシラム!!龍の波動!!」

 

ブラックの指示が轟、レシラムが口から熱線を放つ。龍の波動…ドラゴンタイプの特殊技の中でもポピュラーな物であり、レシラムが使うドラゴンタイプの1つだ。

 

熱線は真っ直ぐにバクガメスに向かって直進する。その速度はかなり速く、瞬く間にバクガメスは直撃を受けてしまう。

バクガメスはドラゴンタイプも持っており、直撃すれば大ダメージは免れないだろう。

 

「かっ…ガメス!?」

「…ピッピ、サイドチェンジだ」

 

レッドが指示を出すと、ギエピーはどや顔をして技を使う。すると、ギエピーとバクガメスの居場所は瞬時に入れ替わったのだ。

サイドチェンジは味方との場所を入れ替わる技であり、このように味方と場所を入れ換えて代わりに技を受ける事も出来るのだ。

 

「僕にドラゴンタイプの技は効かないっピ!」

 

ピッピのタイプはフェアリー。フェアリーはドラゴンタイプの技を無効にする事が出来るのだ。故に、レシラムの龍の波動はピッピにダメージを与えることが出来ない。

 

しかし、ギエピーの側面からサトシのピカチュウが襲い掛かる。

 

「ピカ!!」

「ピカチュウ!アイアンテールだ!!」

 

ピカチュウの尻尾が鉄のように固くなり、ピカチュウはアイアンテールを放つ。アイアンテールは鋼タイプの技であり、ギエピーには効果は抜群だ。

 

「バリアーだっピ!!」

 

本来、ピッピはバリアーを覚えない。しかし、ギエピーはバリアーを使えるのだ。ギエピーはバリアーを展開し、アイアンテールを防ぐ。腐ってもカントーチャンピオンでありポケモンマスターのパートナー…並大抵の相手では無いのだ。

 

「かけ上がれ!」

「ピカ!!」

 

だが、サトシのピカチュウはバリアーの壁を一気に駆け上がり、空高くジャンプする。

 

「えっ?」

 

すると…レシラムが巨大な火炎の球体を放った。レシラムの必殺技、クロスフレイムである。

 

「これはよけれないっぴ!!」

 

焦るピッピ。そして…迫り来るクロスフレイムはピッピのバリアーを一撃で粉砕し、ピッピに直撃した。

 

「「取り合えず、ギエピーから倒そう」」

 

ギエピー…サトシとブラックからもギエピー呼ばわりされて、いきなりターゲットに認定される。

 

だが、ギエピーもピカ様程では無いが種族値の壁を突破したポケモン。過去にはグリーンのドサイドンやリザードン等を奇策を用いたとは言え倒した程の実力を持っているのだ。

 

「やろー!!やってくれたっピ!」

 

故にこの程度では倒れない。流石はギャグ補正の塊と言える男だ。

 

だが、セレナはある異変に気付く。それはアセロラのミミッキュの姿が何処にも無いことだ。確かにバトルが始まった時はコートの中に居た筈だが、現在はコートに姿が見えない。

 

しかし、突如としてミミッキュはテールナーの真後ろに現れた。まるで瞬間転移したように現れたのだ。ゴーストタイプの技、ゴーストダイブだ。一時的に消えて、現れて奇襲したのだろう。

 

「なっ!?テールナー!!」

 

気付いたセレナが声を出すが、既に遅い。テールナーが振り向いた時にはミミッキュはテールナーに攻撃を加える寸前だった。

 

「ミミたん!!シャドークロー!」

 

ミミッキュの尻尾から鋭利な影の爪が出現し、ミミッキュはテールナーの急所にシャドークローを当てる。テールナーは進化すると炎・エスパータイプに成るが、テールナーの時は未だ炎タイプ。等倍とは言え、急所の攻撃は手痛い。

 

「きゅぅぅ」

 

テールナーは一撃で倒れ、戦闘不能に成った。

 

「やった!アセロラちゃん大勝利!」

「奇襲が上手く行きましたね」

「あぁ…だが、此処からだ」

 

奇襲が成功し、一手を取ったレッド達。相手は電気、炎・ドラゴン…対しレッド達はフルメンバーでフェアリー、炎・ドラゴン、ゴースト・フェアリーが居る。

 

「レシラム相手に此方は有利ですね。バクガメスはドラゴンだし、ピカチュウの電気も大丈夫です」

「タイプ相性ならな……(だが、炎はフェアリータイプの攻撃に対し耐性が有る。絶対的有利とは言えん)」

 

レッドは冷静に状況を分析する。

 

「モエルーワ!!」

 

――ピカチュウ、私の背に

 

「ピカチュウ!」

 

ピカチュウはレシラムの背に飛び乗り、レシラムは翼を羽ばたかせて飛び始める。

 

ブラックが考えたのか、はたまたレシラムの考えなのか分からない。

 

(何をするきだ?)

 

レッドは無言で考える。

 

「ミミたん!!もう一度ゴーストダイブで消えて!」

 

アセロラはミミッキュに指示を出し、ゴーストダイブで消える。恐らく、奇襲を仕掛ける為だろう。

 

「カキ、バクガメスが覚えてるドラゴン技は?」

「ドラゴンテールです」

「この距離で当てるのは厳しいか…ピッピ、トリックルームだ」

「あいよっピ!!」

 

トリックルームは足の遅いポケモンが速くなる技だ。これにより、レシラムやピカチュウと比べて足の遅いギエピーとバクガメスの俊敏性を上げる技だ。

 

「ミミッキュの攻撃に合わせて走れ」

「あいよっピ!!」

「ガメス!!」

 

トリックルームが有る限り、ギエピーとバクガメスはレシラムとピカチュウよりも速く動ける。

 

そして…レシラムの背に乗ったピカチュウの背後にミミッキュが現れるが…突如としてレシラムはもうスピードで急降下して、加速した。

 

「龍の舞いの加速か…」

 

レッドが囁き、ギエピーとカキは唖然とする。

 

(レシラムはテレパシーを使える。それを応用し、サトシとブラックから言葉を介さずに遣り取りをしてるのか。それもピカチュウとも)

 

そして…レシラムとピカチュウは上を向いた。

 

「レシラム!火炎放射!!」

「ピカチュウ!!10万ボルト!!」

 

レシラムの口から放たれる火炎放射、ピカチュウの10万ボルトが炸裂し…ミミッキュは一撃で倒れてしまった。

 

「ミミたん!?」

 

ミミッキュ…戦闘不能。これで2対2だ。

 

「やろーー降りてこいっピ!!」

 

――宜しい、ならば望み通りに降りてやろう

――ピカチュウ!!

 

ギエピーの脳裏にレシラムの声と、レシラムを介して伝えられたピカチュウの声が響く。

そして…レシラムは地上に降りたが、口からは青色の炎が出ており…明らかに何かを放とうとしていた。

 

「ピ!?」

「レシラム!青い炎!!」

 

青い炎…レシラムが用いる最強必殺であり、だいもんじの実質上位互換の炎技だ。

 

レシラムは口を開けて、青色の炎を爆光…熱線として解き放った。青い炎は亜光速でギエピーに向かって直進する。このままでは直撃を受けたギエピーは間違いなく、戦闘不能に成ってしまうだろう。

 

「こうなったら…光の壁だっピ!!」

 

光の壁。それは光の壁を張って特殊攻撃を防ぐ技だ。ギエピーはそれを展開し、あろう事か…青い炎を受け止めた。

 

その上…受け止めながら前にギエピーは進みだしたのだ。

 

「嘘だろ…マジか!?すげぇぇ!凄いぞ!レッドさんのピッピ!!」

 

ギエピーの快挙に喜ぶカキ。

 

「おい…ちょっと待て…なにやってんだ?お前」

 

だが、カキはそんな声を聞いて隣を見る。そこでは顔を真っ赤に染めて、怒りの形相を浮かべたレッドが居たのだ。

 

「それは…俺愛用の鍋だぞ…」

 

鍋?その場にいた全員が疑問を浮かべる。恐る恐る、カキとアセロラ、更にサトシとブラックにセレナも移動してギエピーの手元を見る。いや、彼等だけではない…観戦していたククイ博士やリンドウ達もギエピーの手元を確認する。

 

なんと言う事でしょう。ギエピーはレッド愛用の中華鍋で青い炎を防いでいたのだ。これにはレッド以外の全員がズッコケた。

 

「はっはは!青い炎破れたり!!これで近付いて、じゃれつくで倒してやるっピ!!」

「…ピカチュウ、横から10万ボルト」

「ギエピー!!」

 

だが、ギエピーはピカチュウの10万ボルトを横から受けて、鍋を落としてしまう。その結果、青い炎の爆光の直撃を受けた。

 

「ギエピー!?」

 

だが、ギャグ補正故か、未だ戦闘不能に成らない。すると、レッドはギエピーの首根っこを掴んで持ち上げた。

 

「レッド!?」

 

その上、レッドの後ろにはバグチュウ、フリーザー、フシギバナが居たのだ。

 

「すまん、ちょっと抜ける」

「誰か……助けてっピ!!」

 

アローラの空にギエピーの悲鳴が響いた。レッドの乱入?という形で幕を閉じた歓迎会。

 

何はともあれ、レッド、セレナ、ブラック、アセロラはメレメレ島の一員に成ったのだった。




レシラムさんのCVイメージはスカサハ師匠です。

次回!卵当番は誰?と大誤算の降臨!?

「リンドウ君、君にチャンピオンに戻ってもらう。あっ、リーグの防衛戦は来週だから」
「今シーズン位、気合いで何とかしろよ!!御曹司!」


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21時限目

大誤算!!


アセロラ、ブラック、セレナ+レッド(ギエピー?知らんな)の歓迎会が終ってから数日後。

 

リンドウとブルーは自分の生徒達を連れて、校長室にやって来ていた。校長室にはオーキド校長とククイ博士が彼等を待っており、机の上にはケースに仕舞われたポケモンの卵が2つ置かれていた。

1つはサトシがブルーと共にオーキド研究所から持ってきた赤いポケモンの卵。そして、もう1つがアローラリーグ本部の予定地であるララキナマウンテンでククイ博士が見付けてきた卵だ。

 

「お前達にはこのポケモンの卵を1つ、育てて欲しい。勿論、産まれた子供はお前達誰かのパートナーと成るんだ。さてと…誰が育てるんだ?」

 

このポケモンの卵だが、ククイ博士とオーキド校長はどのポケモンが産まれるのかを知っている。知らないのはリンドウとブルー、そして子供達だけだ。

 

今回、サトシ達が行う授業は卵の観察であり、卵の日々を観察する授業なのだ。

 

「とは言え…もう、誰がやるのか、お前達は決まってるようだな」

 

リンドウが笑みを浮かべながらそう言うと、サトシ達は1人の生徒を見つめる。その生徒とはリーリエの事だ。リーリエはポケモンに触ることが出来ず、この中で唯一パートナーが居ない。

一応、人間に化けたラティアスなら触ることが出来るが…普通のポケモンは勿論、元の姿に戻ったラティアスには触ることが出来ない。触ってしまうと、見事に気絶してしまうのだ。

 

「えっ?私ですか?」

「「「当然!!」」」

 

サトシ…ピカチュウ、ゲッコウガ、モクロー、リザードン、ラティアス。

 

セレナ…テールナー、ヤンチャム、ニンフィア。

 

カキ…バクガメス。

 

マオ…アマカジ。

 

マーマネ…トゲデマル。

 

スイレン…アシマリ。

 

ブラック…レシラム、ダイケンキ、タブンネ。

 

アセロラ…ミミッキュ、フワライド、???(草・ゴースト)、???(ゴースト・ドラゴン)。

 

見事に生徒達でリーリエ以外はパートナーが最低一匹居ており、リーリエは居ない。ならば、リーリエがやるべきだろう。

 

「それに…人に変身したラティアスに触れたなら、卵もいけるでしょ?何時かトレーナーに成るんだから…」

 

ブルーもそう言う。確かに卵から触れていれば、その卵から孵化する子供には触れるように成るかも知れない。

 

「はっはい!やってみます!!」

 

リーリエは力強く頷き、白い方の卵に触れる。どくんどくんと卵が鼓動しているのを感じており、間違いなく卵が生きている事をリーリエに告げている。

それに…リーリエは卵とは言え、ポケモン(卵)に触ることが出来たのだ。

 

「さっ…触れた」

 

久しく生きたポケモンに触れた為か、リーリエの表情は嬉しそうだ。

 

「では…リンドウ君のクラスには、その白い卵を頼むよ。私はサトシとブルー君が持ってきてくれた、この赤い卵を育てるよ」

 

オーキド校長はそう言うと、赤色の方の卵を優しく抱き抱える。

 

「それとリンドウ君。君に来客だ」

「来客?」

 

リンドウに来客…その事を言われ、リンドウ本人は兎も角…サトシ達も首を傾げる。それにさっきから珍しくオーキド校長が駄洒落の1つも言わないのだ。

その来客と何か関係が有るのかも知れないし、関係が無いかも知れない。そして、オーキド校長はゴホンっと咳払いを行った。

 

「かなり重大な話だ。午後の授業はブルー君、そしてサオリ先生に任せる。

君は私とククイ博士と共に、来客と会談だ」

 

授業を行えない程の大事な来客とその来客との会談。サトシ達が心配しそうな顔でリンドウを見詰める。すると、校長室の扉が叩かれて3人の人物が入ってきた。

その人物は15歳程の少女、そしてサトシも良く知る超有名人が2人も入ってきたのだ。

 

「師匠!ダイゴに頼まれて、やって来たよ!」

「やぁ、僕の方がカッコいいけど、僕よりも強いリンドウ君」

「トレビアーン!リンドウ君、元気だったかい?君の先輩である私が遥々やって来た!」

 

15歳程の少女はリンドウの弟子1号であり、ドラゴンタイプや化石ポケモンの使い手であるヒガナ。ヒガナだけなら、旅行の序にリンドウに会いに来たで済むが…残りの2人が問題だったのだ。

 

「ダイゴ!?それにミクリ…なんで此処に!?」

 

ホウエンリーグ 現チャンピオンであり、大企業デボンコーポレーション社長 ツワブキ・ダイゴ。

ホウエンリーグ 前々チャンピオンであり、ポケモンパフォーマー(ポケモンコンテストやトライポカロン)の頂点に君臨する優雅な水使い ミクリである。

 

「彼女はヒガナ。リンドウ君がチャンピオン時代に弟子にした凄腕の少女だ。将来の四天王候補とも言われてるよ。

彼はツワブキ・ダイゴ氏。ホウエンリーグの現チャンピオンであり、リンドウ君の次にチャンピオンに成った人だ。

最後にミクリ氏。彼はリンドウ君の前のホウエンリーグのチャンピオンであり、その前はジムリーダーだった。今はポケモンコーディネーターの頂点、コンテストマスターと呼ばれており、日夜…ポケモンコンテストのメジャー化の為に活躍している」

 

サトシ達にヒガナ、ダイゴ、ミクリを紹介するオーキド校長。勿論、サトシとセレナ、ブラックはダイゴとミクリを知っているが…テレビを見ない限りはダイゴとミクリの事を知れないカキ達は大きな声で驚いた。

 

「「「えっぇぇええええ!?」」」

「宜しく。ふむ、リンドウ君の教え子達は皆、面構えが良いな。

さてと…リンドウ君。単刀直入に此方の用件を告げよう…僕は家業であるデボングループを継がなければ成らない。チャンピオンが負けることなくチャンピオンを辞任する際はポケモンリーグの規定により、そのリーグで殿堂入りしたトレーナーにチャンピオンの座を譲る事が出来る。よって、君にチャンピオンの座を返上する」

 

――デスヨネー…遂に来てしまったか。

 

そう…チャンピオンが辞任する際は殿堂入りしたトレーナーを後任者として選ぶ事が出来るのだ。

 

リンドウはミクリとの戦いで勝ち、彼からチャンピオンの座を譲られて殿堂入りした。その後は無敗を貫き、チャンピオンの座を辞任して…リンドウは後任者にミクリを選んだのだ。

その後…ミクリはダイゴに敗北し、彼の夢であったポケモンコンテストの普及に努めることに成るのだった。

 

「「「チャンピオン!?」」」

「そろそろ…場所を応接間に変えようか」

 

ククイ博士がそう言い、ククイ博士はリンドウとオーキド校長、そして来客である3人を連れて応接間に向かった。

 

残されたサトシ達だが…

 

「どうしよう!先生がホウエンに帰っちゃう!」

「落ち着け!未だ決まった訳じゃない」

 

慌てるリーリエに宥めるカキ。

 

「大丈夫大丈夫!リンドウはこの学校を辞めないわよ。仮に、彼がチャンピオンに戻ってもね」

 

ブルーは胸を張り、サトシ達を安心させるように言う。

 

「彼…絶対に物事を投げ出さない人だから。まあ…チャンピオン辞任は例外だけどね」

 

幼馴染みだからこそ、リンドウの事を良く知るブルーであった。

 

 

応接間。

 

「何時かは来るかもと思っていたが…」

 

応接間でククイ博士、リンドウ、オーキド校長はヒガナ、ダイゴ、ミクリと向かい合うようにソファーに座っていた。

 

「ホウエンチャンピオンのダイゴ。リンドウは今のアローラには必要不可欠な人材だ。アローラリーグの開設、いやその後に選抜されるジムリーダーの教育…俺ではなく、リンドウじゃないと出来ない事なんだ」

「ククイ博士。それは御安心下さい。リンドウ君にはこの学舎の教職員を辞める必要は一切有りません。今は通信技術等の発達で、遠方に居てもチャンピオンの仕事を続ける事が出来ます。

確かにチャンピオン防衛戦、リーグシーズンの開会式等…ホウエンで無ければ出来ない仕事も有ります。ですが、それ以外は自由に過ごしてもらっても構いません」

 

確かに今はチャンピオンはリンドウが現役だった頃と比べて随分と自由に動ける。それはシンオウ地方のチャンピオンであるシロナを見れば分かるだろう。

リンドウがチャンピオンだった頃はチャンピオンの業務をしながら、高専の学業や研修等も行っていた。今よりチャンピオンが自由に動けず…彼はハードワークで過労で倒れかけた事も有る。

 

「これはホウエンリーグの委員長も君の自由を尊重すると言っていた。

それに君は引退会見の時…何かが有れば何時でも呼んでくれと言っていたよね?」

 

どや!とダイゴは言い、当時の引退会見の写真を出してきた。

 

「わかった…それに、ホウエンは俺の第二の故郷でも有るしな。でもなダイゴ、俺は第三の故郷であるアローラを離れるつもりは無い。

ポケモンスクールの教師も辞めるつもりは無い」

「勿論。君の意思は尊重する…それが、ホウエン四天王とリーグ委員長、そして僕の意思だ。

あっ!四日後、防衛戦だから宜しく!」

「それ…先に言えー!!てか、1週間位…頑張れよ!御曹司!!」

 

リンドウは後に語る。「あの時、応接間で叫んだのは間違いじゃない」と。

 

 

 

後日、サイユウシティ。ホウエンリーグの本拠地であり、何処から見ても首里城を模した施設。そこの控え室で、リンドウはオーキド校長と画面越しで話していた。

 

「それじゃあ、校長。俺がチャンピオンの仕事をする時はモスラとバンチョーを頼みます」

『うむ!テレビ越しとは言え、応援してルンパッパ!』

 

チャンピオンに復帰したリンドウはホウエン地方に有る、サイユウシティに来ていた。今の彼は青紫のコートを着ており、アローラとは衣類が異なる。

画面の向こう側には、オーキド校長と共にウルガモスとバンギラスが映っているが、リンドウの腰にはモンスターボールが6つフルでセットされていた。

 

アローラの教員ではなく、ホウエンチャンピオンとしての手持ちを連れて…挑戦者を倒す。

 

「すごーい!見てよスイレン!この雑誌、美味しそうなご飯が沢山!」

「ホウエンって水ポケモンが豊富なんだ!」

 

だが、控え室にはリンドウの他にジャンケンで勝利し…少数校外学習(ホウエン旅行)の権利を得たスイレン、マオ、そしてリンドウの同居人であるブルーとブラックそしてアセロラだ。

 

「お前達な…遠足じゃないんだぞ?…時間か」

「「「えっ!?もう?」」」

 

もうすぐ防衛戦。だが、随分とリンドウはリラックスしている。

 

「所で…君達はリンドウの本気を知りたい?今日、分かるよ」

 

ブルーは意味深にそう言った。

 

 

 

 

 

その日のチャレンジャーは浮かれていた…それもそうだろう。何故か、四天王は戦わずに先に進めと言うし、元チャンピオンのダイゴはチャレンジャーと戦う前にチャンピオンを引退した。

 

「ついてる!これは…俺がチャンピオンになる時代なんだ!」

 

だが、先にはダイゴよりも強い…歴代最強のチャンピオンが控えている事を彼は未だ知らない。

 

30分後…

 

「クロマル…影分身。相手を翻弄しろ、そこでイカサマだ」

 

――なんなんだ…なんなんだ!?このチャンピオンは!?

 

チャレンジャーは焦っていた。何故なら、たった一匹のポケモンだけで手持ちを3体倒されたのだ。

 

クロマルと呼ばれたミカルゲは影分身で自身の分身を幾度もつくり、相手を翻弄。その上、的確にチャンピオン…リンドウの指示に従って相手を倒していく。

 

「みょーん」

 

イカサマが炸裂し、チャレンジャーの四体目のポケモン…ウインディは倒れた。

 

クロマルはリンドウがイッシュ地方で捕まえたポケモンだ。とは言え、普段はオーキド研究所の抑止力の為にオーキド研究所に預けてる一匹である。

 

「くそう!!いけ!!ボーマンダ!!」

 

チャレンジャーはボーマンダを繰り出した。

 

「クロマル、バトンタッチ」

 

クロマルはリンドウの手持ちに戻っていき、リンドウはボスゴドラを繰り出した。

 

「ボス、諸刃の頭突き」

 

ボスと呼ばれたボスゴドラは地面を蹴り、バトルフィールドの床を凹ませ、圧倒的な加速で…全力でボーマンダに突撃し…勢いは停まらず、ボーマンダを壁に叩き付けた。

 

「ボス、ゼロ距離で冷凍ビーム!!」

 

諸刃の頭突きを受け、更にゼロ距離射撃で冷凍ビームを受けるボーマンダ。その一撃を受けて、ボーマンダは倒れた。

 

「ボス。すまないが、戻ってくれ。

さてと…今から改めて教えようか…このホウエンで、誰が一番強いのかを改めて教えてやる!」

 

次、リンドウはリザードン…レウスを繰り出した。勿論、ホウエンでは鞍を着ける必要が無いので鞍は外されている。

 

すると…レウスは眩い光を放ち、黒い体色で青い炎を吐き出すメガリザードンXにメガ進化した。

 

「お前だけが頼りだ!!」

 

チャレンジャーはドサイドンを繰り出した。確かに岩タイプのドサイドンならば、炎タイプのメガリザードンとも有利に戦えるだろう。

 

だが、ドサイドンが気付いた時には…レウスはドサイドンの目の前に移動しており、レウスは右の拳を握っている。

 

「ストーンエッ「遅い!!レウス…じしんだ!!」」

 

じしん…地面タイプの技で、文字通り地震を起こす大技だ。

だが、レウスのじしんは厳密にはじしん?であり、普通のじしんではない。

 

レウスの右腕に地震を起こす震動エネルギーが目に見える程に集まる。本来ならば、この震動エネルギーを解放して地震を起こすのだ。

だが、あろうことか…レウスはその震動エネルギーを圧縮して…パンチとして繰り出したのだ。そう…レウスのじしんとはじしんを応用し、じしんパンチとして繰り出す必殺技である。

 

「ドサイッッ!!」

 

じしんパンチとして解き放たれたじしん。それはゼロ距離でドサイドンにダイレクトに震動が伝わり、ドサイドンに大ダメージを与える。

更にレウスは物理特化に鍛えられたリザードン、そしてメガリザードンXに成るとリザードンは物理特化に強化される。

 

最強の近接格闘能力を持つメガリザードンXのゼロ距離じしん。その直撃を受けたドサイドンは吹き飛び、壁に衝突して、壁は大きく亀裂が入った。

 

「勝者チャンピオンリンドウ!!」

「リンドウ…リンドウ?……えっ!?ダイゴの前にチャンピオンをしてた、無敗のチャンピオン!?」

 

チャレンジャー…ようやくチャンピオンの正体を知る。

 

 

 

その頃の教え子。

 

「モフモフ!」

「ウルガモス…リンドウ先生が仕事でホウエンに居るからって寂しいのは分かるけど…リーリエが怖がってるから」

 

モスラ、やることが無いのでリーリエの持つ卵に被い被さる。

 

「ひっ!?」

「モフ?ウル?」

 

だが、モスラは知らない。この特性のお陰でリーリエの持つ卵が早く産まれることを。

 

 

 

その頃のオーキド研究所

 

「リンドウ!!早く…早くボスゴドラとミカルゲを送り返してくれんか!!サンダーとファイヤーが謀反を起こした!!」

「ダネフシ~!!」

 

オーキド研究所、今日も魔境であり…オーキド博士と助手のケンジ君は今日も胃薬を飲む。




次回!サトシの島めぐりの始まり…その一。

リンドウ「サトシ、大試練は良いが…島めぐりで主ポケモンと戦う際はゲッコウガとリザードンは最後の奥の手な?
当分はモクローとラティアス(レベルは低い為)で頑張り、時点でピカチュウだ」

そして…サオリ先生に続く、公式CMキャラが登場!?


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22時限目

サトシの試練が始まるのだった。


リンドウがチャンピオンに戻り、圧倒的な実力でチャレンジャーを倒した数日後。

 

「安いよ!安いよ!!今日は特にオボンが安いよ!傷薬もどうだい!今なら安いよ!!」

 

アローラ地方を主な商業拠点としている大型チェーンスーパー メガヤス。その敷地内である広場では多くの人達で賑わっており、1人の女性が広場で行われている特売を他の店員やパートナーのポケモンと共に切盛りしていた。

 

「アンタ達が来るのを、コイツと首を長くして待ってたのよ!ほら買った買った!」

「ナッシー!」

 

彼女の名前は元スカル団のイモト。最近、メレメレ島のテレビ局のディレクターと結婚したポケモントレーナーであり、日頃からパートナーのナッシー(アローラ)と共に珍獣を探したり、バイトしたりして家庭を支える新婚さんである。

アローラのナッシーはカントーやホウエンのナッシーと違い、首が物凄く長い。これはアローラの気候が非常に関係しており…亜熱帯のアローラはホウエンやオレンジ諸島と比べるとタマタマとナッシーに最適な環境だったのだ。その為か、ナッシーはぐんぐんと首を伸ばして…何処から見ても滅茶苦茶首が長い草・ドラゴンタイプのポケモンに成ったのだ。

 

オーキド校長やアローラの人々はアローラのナッシーこそ、本来のナッシーでは無いのかと考えている。と言うのも、普通のナッシーは成長不足の身体を補う為にサイコパワーに目覚めたが…アローラのナッシーはそれすら不要で五体に眠るドラゴンの力に目覚めているのだ。

そして何より、アローラナッシーは首が長く…滅茶苦茶目立つので客を集めるのに最適だ。

 

「はい!買った買った!今ならもれなく、アローラの大地で育ったオリーブオイルも着いてくるよ!!」

 

今日も順調に商売繁盛と…思っていたイモトとパートナーのナッシー。だが、その考えはその数秒後に打ち砕かれる事に成るのだった。

 

「「「「チューチューチュゥゥ!!」」」」

 

突如、やけに野太い声でネズミのような声が聞こえてきたのだ。何事かと思い、イモトとナッシーが声の方を見ると…300近くは居るラッタの大群が此方にやって来たのだ。

 

「なんじゃありゃ!?」

 

アローラのラッタはカントー等のラッタと違い、黒い体毛とよりゴツい肉体が特徴だ。ゴツくなり、体が丈夫に成った分俊敏性は下がっている。

そのアローラ地方独特のラッタが数多の群れで迫ってきたのだ。ラッタはピカチュウよりも大きいし、それが大群でやって来るのだ。想像して欲しい、悪夢としか言えない程の惨事であろう。

 

イモトのナッシーはレベルはそこそこ有り、カントーのジムバッジならば3つ位は取れる程の実力を持つ。しかし、この大群を一人で迎え撃つのはイモトとナッシーには不可能だ。

 

「のわわわわわ!!」

「ナッシィィィイ!!」

「ぎゃぁぁぁーー!!」

 

ラッタの大群は瞬く間にイモト達を呑み込み…大群が去った後には数多のラッタの群れに踏まれて、体に多くの足跡を刻まれた来客とイモト…そしてナッシーだった。だが、被害はこれで終わらず、屋外ブースは壊滅…木の実や野菜等の食材はラッタ達の手でどさくさに奪われてしまった。

 

「なっ…何が!?」

 

何とか気力を振り絞り、前を向いたイモト。彼女の眼前には道路を渡り、農家の木の実畑を蹂躙するラッタの姿であった。

 

このラッタ達は誰かが停めねば被害はどんどん拡大していき、メレメレ島の農業に大打撃を与える事は間違いないだろう。誰かが止めなければいけない…そう…サトシの試練が近付いてきたのだ。

 

 

翌日。

 

「アローラ!諸君!今日も太陽がまぶ……サトシ?」

 

朝礼の時間に成り、教室にやって来たリンドウとブルー。しかし、何やらサトシは考え事をしているのか頬杖を着いて何やら考え事をしている。

 

「サトシ!朝礼を始めるわよ!お姉さん達の方を向きなさい!」

 

ブルーが名指しでそう言って、漸くサトシは此方を向いた。

 

「あっ…すみません」

「悩みごとか?ホームシックか?」

「いえ…そんなんじゃ無いんですけど…実は斯々然々で…」

 

サトシは訳を話し出した。

 

元スカル団のイモトとナッシーがバイト中にラッタの大群に襲われた頃、ポケモンスクールは休みだった。その為か、サトシはククイ博士とセレナ、ラティアスの4人で買い物に出掛けていた。

その際にラッタの被害を受けた農業地区に訪れ、そこで島キングのハラと出会ったそうだ。

 

「ふむ…ハラさんと?確かに島キングと知り合わないと、島巡りは出来ないしな。続きを」

「はい…そんで」

 

その後、ハラと共に農業地区の片付けの手伝いを行ったサトシ達はハラの自宅に招かれた。その際にサトシはハラから1つの課題を告げられたのだ。

 

――では、サトシ君。君はあのラッタ達をどうやって追い払いますか?勿論、バトルを行わずにです。それが分かりましたら、君に島巡りの試練を受けさせましょう。

 

「バトルを行わずにラッタを追い出すか。確かにサトシのゲッコウガとリザードンなら、あのラッタの大群相手は何とか成るだろう。

島巡りはただ強いポケモンとトレーナーを育てるだけじゃない。正しい心を持ったトレーナーとポケモンを育てる他にも、自然との向き合いかたを問うからな」

「でも…どうしたら良いのか分からなくて」

 

確かに普通はラッタ達とバトルして、ラッタ達を追い出す選択を取るだろう。それはメレメレ島にやって来る前のリンドウも同じだ。

 

「そう言えば…聞いた事が有ります!嘗て、メレメレ島にやって来たラッタ達の大群を追い払う為に、他の地方からデカグースを連れてきたという話が有ります!」

 

ふと、リーリエがそう告げた。デカグースはアローララッタの天敵であり、少し威嚇しただけで野生のラッタ達は本能で逃げていくだろう。

 

「メレメレ島の有名な絵本だな。サトシ、デカグースの力を借りればどうだ?」

「はい!それで、やって見せます!!」

 

デカグースの力を借りれば、サトシ本人とパートナーはラッタと戦わない。条件は合っている。

 

 

その日の夜。

 

「で?OKは貰えたか?」

 

仕事が終わり、自宅でリンドウはサトシに電話をかける。

 

『はい!明日にも試練を受けさせてくれるみたいです』

「それは良かった。だけどな、サトシ…俺からの課題を言って良いか?」

『先生からの課題?』

「お前は強い。その歳で1年以内に様々な地方のバッジを集めてるし、素質は有る。だけど…今後の為にもモクローやラティアスにも経験を積ませて欲しい。

お前のパートナー、特にゲッコウガとリザードンは強い。俺達もゲッコウガとリザードンが相手なら本気を出す必要が有るほどにな。

島巡りの試練は形は様々だが、ハラさんの試練は十中八九…ぬしポケモンと呼ばれる特別なポケモンと戦う物だ。ゲッコウガとリザードンならばぬしポケモンにも負ける事は無い、俺が保証する」

『もしかして…ラティアスとモクロー、そしてピカチュウで出来るだけ試練を受けろって事ですか?同じことをククイ博士からも言われましたし、俺もそうするつもりです!』

 

ゲッコウガとリザードンの力が有ればぬしポケモンは簡単に倒せる。だが、それではモクローやラティアスの経験には成らない。それをサトシも理解しているようだ。

 

「あっ!ハラさんと戦う大試練では…ゲッコウガとリザードンを使っても良いぞ?もしかしたら、ハラさんはやや本気で来るかも知れないしな」

 

サトシの試練が始まる。




次回!ぬしポケモン…

サトシ「でかすぎだろぉぉおおおおお!!」
モクロー「くるっっっ!?」
ピカチュウ「ピカ!?」
ラティアス「クゥーン!?」


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23時限目

結論、アシストパワーは偉大(笑)


リンドウとの電話を終えたサトシ。

 

彼はラティアス(人モード)と共にテレビの前に座り、サトシは膝の上にピカチュウを乗せて、ラティアスはモクローを膝の上に乗せてテレビを見ていた。2人ないし2匹の視線はテレビに釘付けと成っており、他の事には興味を一切示さない。

 

「ククイ博士、サトシが見てるのってもしかして」

「リンドウのチャンピオン時代の戦闘記録だ。今もチャンピオンだけど」

 

セレナがククイ博士に問い、ククイ博士が教えたようにサトシ達が見てるのはリンドウがチャンピオン時代(ダイゴさんの引退でチャンピオンに戻ったが)…高専在籍中のチャンピオンだった頃の防衛戦の映像だ。

ダイゴさんとミクリ君がアローラに来たとき、ダイゴさんからサトシ達の後学の為に渡された映像記録であり…ネットを探せば見れない事も無いが…やはり、手元に有るのならそれを見るに越した事は無いだろう。

 

「「…………」」

「ピカチュ…」

 

『リーフィア!マジカルリーフで翻弄しろ!』

 

画面に映るリンドウは若い。歳は十代半ば程だろう。彼のパートナーであるリーフィアはマジカルリーフを用いて、無数の葉っぱを生み出し…それを自在に操る。

 

やがて、葉っぱは相手のポケモンであるトドセルガを覆い、リーフィアはその場から消える。

 

『何処に…何処に行った!?』

 

相手のトレーナーは焦る。あろうことか、リーフィアはマジカルリーフの葉っぱを足場にして、立体的に電光石火で移動しているのだ。

その上、移動しながら剣劇の音が聞こえる。リーフィアの攻撃を強める剣の舞いと呼ばれる変化技(一部の廃人は積み技と呼ぶ)だ。

 

『トドセルガ!後ろだ!!』

 

チャレンジャーが叫び、トドセルガは後ろを振り向く。しかし、時は遅い。リーフィアはリーフブレードの一撃でトドセルガを倒してしまった。

 

『リーフィア、バトンタッチ。行け…ボス』

 

リンドウはリーフィアをバトンタッチで戻し、次にボスゴドラを繰り出した。

 

『諸刃の頭突き!諸刃の頭突き!諸刃の頭突き!!そして諸刃の頭突きだ!!』

 

その後はチャレンジャーのトラウマであった。リーフィアの何度も積まれた剣の舞いで攻撃力が跳ね上がり、その力をバトンタッチで引き継いだボスゴドラの諸刃の頭突き。最早、オーバーキルと言える代物であり、その上ボスゴドラは特性 いしあたまの影響で諸刃の頭突きの反動を一切受けない。

その結果…見事にチャレンジャーは他のポケモンをボスゴドラの手で粉砕されて、見事に敗北した。

 

「凄いな…」

 

だが、参考に出来る部分は多い。モクローの木の葉はリーフィアのマジカルリーフと同じく、弾幕と目眩ましに使えるかも知れない。それで時間を稼ぎ、ラティアスには瞑想で能力を上げて戦う戦法だ。

ククイ博士から聞いた事だが、ぬしポケモンと戦う際はダブルバトルに成るそうで…それならば、木の葉の目眩ましからのラティアスの積み等が充分に可能だ。

 

色々と学ぶ所は多い。サトシはリンドウのビデオを後、二種類ほど見てから明日に備えて眠るのだった。因みにそのビデオには、けーねことケイネ先生が若リンドウに倒される動画も有った。

当時のけーね先生の手持ちはギャロップ、ラムパルド、ズガイドス、バッフロン、ハガネール、ヘラクロスであった。

 

 

翌日。

 

サトシはハラに連れられて、ぬしポケモンが住まう神聖な洞窟の前にやって来ていた。

勿論、サトシの肩にはピカチュウが乗っており、隣には人モードのラティアスが立っていて、リュックにはモクローが入っている。

 

「サトシ君。この洞窟にはデカグースとヤングースが住んでいます。そして、住まうデカグースの一匹はぬしポケモンと呼ばれていて…カプ神から力を授けられておりますぞ。

ぬしポケモンは島巡りの試練にも昔から協力し、君達がぬしポケモンであるデカグースを倒せば無事に試練は達成です」

「ハラさん。ぬしポケモンを倒しても…彼等は力を貸してくれるんですか?」

 

例え、ぬしポケモンであるデカグースを倒しても…彼等がメレメレ島で悪さをするラッタ達を退治するのに協力してくれるかは分からない。

あのラッタ達を追い出さないと、農業の人や、商業の人達、そして野菜や木の実をスーパーや露店で購入するククイ博士やリンドウが迷惑するのだ。

 

「大丈夫ですぞ、ぬしポケモンは力を認めた相手には必ず力を貸してくれます。では行きますぞ」

 

ハラはそう言い、サトシ達は洞窟の奥に進む。すると、ポケモン勝負を行える充分に広い開けた場所にやって来た。

 

「ぬしポケモンデカグース!島巡りの試練を行う為に、チャレンジャーが来たぞ!

試練の相手をしてやってくれ!!」

 

ハラが告げると、何処からかヤングースとデカグースが出てきた。

 

「ハラさん、あれがぬしポケモン?」

「いいえ違いますぞ。彼等はぬしポケモンの仲間です。ですが、戦う必要は有ります」

 

言わばぬしポケモンの前座のような役割、カントーやホウエンのポケモンジムで例えればジムリーダーの前に戦うジムトレーナーのような役割だろう。

 

「彼等はリンドウ君曰く、カントーのジムトレーナーのような役割ですな。ぬしポケモンに挑む資格が有るのかをバトルで確かめますぞ」

「良し!ラティアス!君に決めた!」

 

サトシがそう言うと、ラティアスは頷いて人の姿からポケモンの姿に変わる。

話には聞いていたが、ラティアスが人からポケモンに変わった為か、ハラは驚いて目を開く。

 

「そしてモクロー!君に決めた!!……アレ?」

 

サトシは続いてモクローを繰り出そうとした。しかし、モクローは鞄から出てこない。不審に思ったサトシは鞄を覗くと…モクローはグースカ、グースカと眠っていた。

 

「モクロー!?」

「ピカピーカー!!」

 

モクロー、気持ち良さそうに眠っているが…サトシに叩かれて起きる。

 

「くる?ぽっ!」

 

目を覚ましたモクローは鞄から飛び出して、ラティアスの横に並び立つ。これで、戦う準備はバッチリだ。

 

「では…これより、島巡りでの試練を始める!!試合始め!!」

 

ハラの声と共にデカグースとヤングースは走り出した。それと同時に砂を巻き上げるように投げる。砂かけを用いた撹乱だろう。

砂が巻き上げられ、上手くヤングースとデカグースの姿が見えない。突然の事で驚くモクローとラティアスだったが、考える暇を与えさせてくれるほど敵は優しくない。

 

刹那、モクローとラティアスに強い衝撃が襲い掛かる。ヤングースとデカグースの体当たりだ。

 

「くる!?」

「クーン!?」

 

死角からの体当たり。その上、モクローとラティアスは戦い出してから日が浅く、ピカチュウは兎も角…ゲッコウガやリザードンというサトシの切札と比べるとレベルも未だ低い。

中々の痛手を受けたが、直ぐにラティアスとモクローは敵の方を見る。デカグースとヤングースは大きく口を開けている。噛み付く攻撃だろう。悪タイプの技であり、直撃を受ければ効果抜群でラティアスはひとたまりも無いはずだ。

 

「ラティアス!モクロー!飛ぶんだ!!」

 

ラティアスとモクローは空を飛べる。それに対してデカグースとヤングースは飛べない。空からの攻撃が有利だろう。

飛び上がり、噛み付く攻撃を回避したモクローとラティアス。サトシは続いて指示を出すのだ。

 

「モクロー!あの時、テレビで見た時のように木の葉で撹乱だ!!

ラティアスは木の葉の影に隠れながら、瞑想だ!」

 

モクローは木の葉で弾幕を作り、敵を撹乱する。その間にラティアスは瞑想を続けて行う。瞑想は特攻と特防を上げる技であり、ラティアスは今の内にそれを何度も続けて行う。

 

「デカ!!」

「ヤン!!」

 

しかし、木葉の撹乱も時間稼ぎ程しか行えない。ヤングースはデカグースが砂を投げて、木の葉が消えた隙からラティアスを見付ける。

 

「モクロー!体当たりだ!!」

「くるっぽぉぉぉおお!!」

 

モクローは音もなく消えることが出来る。モクローはそれを利用し、既にヤングースの真後ろに回り込んでいたのだ。

不意打ち同然のモクローの攻撃を受けたヤングースは一撃で倒れる。

 

「デカ!?」

 

その事に気付いたデカグース、だが遅い。

 

「ラティアス!アシストパワー!!」

 

アシストパワーは瞑想等で自分の能力が1段階上がると威力が20づつ上がる技だ。今の間にラティアスは瞑想を三回行っており、アシストパワーの威力は140…タイプ補正と上がったラティアスの特攻も考えればとんでもない爆発力を誇る。

 

「デカグースゥゥゥ!?」

 

強力な衝撃波がデカグースを襲い、デカグースは一撃で倒れてしまった。恐るべし、アシストパワー。

 

「良し!」

「ピカピカ!」

「クー!」

「クルッポ!」

 

先ずは前座の2匹を倒し、ぬしポケモンへの道を切り開いたサトシ達。だが、ずしんと音が響いて前を見ると…先程のデカグースの3倍以上の大きさを持つデカグース…ぬしポケモンが現れたのだ。

正にぬしグースと呼べる程の体躯を誇り、雄叫びを挙げただけで衝撃波が周囲に響く。

 

「デカグゥゥゥゥス!!」

「でかすぎだろぉぉおおおおお!!」

「彼こそがぬしポケモン!!サトシ君、今こそ力を証明するのです!!」

 

そう、このぬしポケモンことぬしグースを倒さねば、試練は達成できない。

ぬしグースは砂を手に一杯持ち、それを投げるために大きく振りかぶった。

 

「ラティアス!リフレクターだ!斜めに張ってくれ!」

 

嫌な予感がしたサトシはラティアスに指示を出し、リフレクターを斜めに展開させる。斜めにリフレクターを張ることで、衝撃を斜めに受け流し…より攻撃を防ぐ事が出来るのだ。此方はグリーンの教えである。

 

「デカ!!」

 

デカグースは全力で砂を投げ付ける。投げられた砂は散弾銃の弾丸のように飛んで行き、凄まじいパワーを誇る。

 

最早、砂が凶器…それほどの力をこのデカグースは持っているのだろう。

その証拠にリフレクターは一撃で大きな亀裂が入ってしまった。

 

「デカ!!」

 

ぬしグースが手にしたのは…大きな石だ。その石を投げつけ、リフレクターを破壊してラティアスを倒すつもりだろう。

 

「モクロー!さっきと同じく木の葉だ!ラティアスは高速移動でその場から逃げろ!!」

 

モクローが木の葉で弾幕と目眩ましを行い、ラティアスは高速移動で素早さを上げてその場から消える。

 

ぬしグースに投げられた石はリフレクターを一撃で粉砕し、大きな衝撃を与えた。

 

「一撃でも食らったら不味い!!ラティアス!アシストパワーだ!!」

「クーン!!」

 

高速移動でパワーアップしたアシストパワー。その威力は破壊光線を上回る180…その衝撃波は凄まじく、ぬしグースを一撃で壁に叩き付けた。

 

「デカグ!?」

「モクロー!体当たりだ!!」

「くるっぽぉぉぉおお!!」

 

モクロー渾身の体当たりはダメ押しのようにぬしグースにダメージを与え、ぬしグースはその場に崩れ落ちた。

 

「この試練!挑戦者サトシの勝利!!」

 

サトシ、無事に試練を突破する。だが、サトシ達はぬしグースが心配なのか…ぬしグースに近付く。

 

「デカグース…」

「デカグ…」

 

大丈夫だと言うかのように立ち上がるぬしポケモン。すると、ぬしグースはサトシに1つの何かを手渡した。それは…なんと、ノーマルのZクリスタルだったのだ。

 

「良いのか?」

「デカグース!」

(まさか…ぬしポケモンがZクリスタルを手渡すとは…サトシ君、君はやはり…不思議な子だ。カプ・コケコが気に入るのも当然だ)

 

サトシ、ノーマルZを手に入れる。しかし、未だ終わりではない。

 

「デカグース…町からラッタを追い出すのを手伝ってくれないか?」

「デカグース!!」

 

ぬしポケモンは力を認めたトレーナーには進んで力を貸し出す。それが島の為なら当然だ。アローララッタ終了のお知らせである。

 

翌日、ぬしグースとデカグース、ヤングースにボコボコにされて、メレメレ島で悪さをしていたラッタ達はメレメレ島を後にしたらしい。

 

「サトシ君。君は面白い子だ。私の身勝手ですが…大試練の際…私の本気のパートナーを2人、加えても宜しいですかな?」

「えぇ!!俺達もです!!ハラさんの本気のパートナーとも戦いたいです!!」

 

サトシ。モクロー、ラティアス、ピカチュウ、リザードン、ゲッコウガ。

ハラ。???、???、???、ハリテヤマ。

 

ハラは島巡りを初めて行うチャレンジャー向けの2匹、そして本気のパートナー2匹を連れてサトシの大試練を行う。

 

「大試練は明後日。最高の勝負を行いますぞ!」

 

 




次回…大試練の前に日常パートを2から3挟みます。

次回!モスラのお陰で早まったシロンの孵化!?


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24時限目

シロン!誕生!!


サトシが無事に試練を終えて、ノーマルZを手に入れ、そしてぬしグースとデカグースにヤングースの力でラッタ達がメレメレ島から追い出された翌日。

 

リンドウとブルーは職員室で朝礼の準備を行っていた。

 

彼等の周りには同じく朝礼や授業の準備を行うサオリ先生やケイネ先生、そして他のクラスを受け持つ先生やサオリ先生のようにクラスを持たないが専門課目を受け持つ先生は授業の準備を行っていた。

とは言え、ポケモンスクールの教員は其処まで多くない。リンドウ等の常勤講師が10名程、ブルーのように非常勤講師が数名程で…十数名程しか居ない。となると、スクール全体のクラスの数も其処までは多くないのだ。

 

「リンドウ君、ブルーさん。卵の調子はどうなの?オーキド校長が見ている卵は未々かかるみたいだけど」

 

ふと、リンドウの近くの作業をしていたサオリ先生が2人に問う。卵とは勿論、ラナキラマウンテンで発見された卵だ。現在、その卵はリーリエが面倒を見ており、卵の観察という題目でリンドウのクラスの課題と成っている。

 

「この前見たときは…ゴロゴロと動いていたな。産まれるまでもう直ぐって所ですかね」

 

ゲームと違い、ポケモンの卵が孵化するのは時間が掛かる。ゲームでは自転車に乗って廃人ロードと呼ばれる育てやor預かりやの前に有る長い道を往復すれば直ぐに産まれるが、現実は大きく異なる。

アニポケの要因が有るこの世界では実際の卵が孵るように、長い時間がかかるのだ。

 

「随分と早いな?」

 

だが、リーリエの卵はもうすぐ産まれそうなのだ。これにはリンドウと同じく朝礼の準備を行っていたケイネ先生も驚いた。

当然だが、オーキド校長が面倒を見ている卵は「未々時間がかかりそう」だ。それに比べてリーリエの卵は「もうすぐ産まれそう」だ。随分と違いが出たものだ。

 

「サトシから聞いたんだが…俺達が防衛戦でホウエンに行ってる間、モスラがリーリエの卵を良く暖めていたらしい。

モスラ…ウルガモスの特性は炎の体だ。触れた敵を火傷状態にする他に、卵を早く孵す効果も有る。もしかすれば、それで早く産まれるように成ったかも知れないな」

「あっ!それ、聞いた事が有るわよ!イッシュ地方では多くの卵とウルガモスを連れたトレーナーも居るって聞くわ」

 

ウルガモスやファイアローのように炎の体を持つポケモン達が側に居れば、卵が早く産まれる。その為か、先程ブルーが言った通りに、イッシュ地方ではウルガモスを連れたトレーナーが沢山の卵を抱えて旅している珍現象も有るのだ。

 

そしてリーリエが預かる卵の事は学校中が注目しており、サオリ先生もケイネ先生も皆が注目している。とは言え、ククイ博士とオーキド校長はなんの卵なのかを知っているが。

 

 

一方その頃、教室ではリーリエを含めた生徒達が1つの机を囲っていた。その机の上にはリーリエが預かっている卵が置かれており、その卵の上には黄色い羽を持つウルガモスが卵を暖めていた。

 

「どうして…ウルガモスというポケモンは卵を好んで温めるんだ?」

「俺が聞きたいよ…」

 

このウルガモスはブラックのウルガモスであり、試しにブラック達がテレビ電話でアララギ博士に卵を見せた所…モフガモス(イッシュ産のウルガモスの通称、イッシュでは良くトレーナーと共にウルガモスが卵を暖める)の本能を刺激されたブラックの色違いウルガモスがアローラにやって来たのだ。

 

「モフ?モフモフ!!」

 

突如、ウルガモスは飛んでレシラムの頭に移動する。すると、リーリエの卵が光だしたのだ。

 

「うぉ!?」

「卵が光った!?」

「これは…なっなんだ!?」

 

各々の反応を見せるサトシ達。すると、卵が割れて真っ白な毛並みを持つロコンが産まれたのだ。

だが、カントー等で産まれるロコンではなく、アローラでのロコンだ。毛並みは白く、生息地であるラナキラマウンテンでの雪山での保護色の役割をしている。

 

「コーン?」

 

生れたてのロコン…その誕生を目にして、サトシ達は感動する。すると、そこに

 

「アローラ!席に着いてくれ!朝礼を始め……マジか」

「アローラ!…のは!?卵から白いロコンが産まれてるじゃない!?新色の色違い!?」

 

いえ、ブルーお姉さん。リージョンフォームです。

リンドウとブルーが朝礼を行う為にやって来た。少し遅く、卵の誕生には出会えなかったが、無事に卵が孵って何よりである。

 

「はい!無事にシロンが産まれました!」

 

リーリエは産まれたばかりのロコンの事をシロンと言った。

 

「「「シロン?」」」

「はい…白くてコロコロと転がるので、シロンです」

 

どうやら、リーリエは卵の頃からロコンの事をシロンと呼んでいたようだ。

 

「成る程な…ほい」

 

リンドウはポケットから空のモンスターボールを取り出して、リーリエに手渡した。

 

「モンスターボールに入れたポケモンは、法律が守ってくれる。それに、この子もリーリエの手持ちに成りたそうにしてるぞ?」

 

シロンは尻尾を振りながら、リーリエを見つめる。シロンはリーリエのポケモンに成りたいようだ。

 

「はい!行け!モンスターボール!!」

 

リーリエはモンスターボールをシロン目掛けて投げる。だが、ボールは明後日の方向に向けて飛んで行き、先ずはリンドウの顔面に当たる。

 

「ごは!?」

 

次にボールはブラックの頭に直撃する。

 

「いて!?」

 

そしてブラックの頭でバウンドしたボールは、落下の運動エネルギーで加速していき、サトシの能天に直撃した。

 

「ひでぶ!?」

 

まさかのピタゴラススイッチのように動いたモンスターボール。そのボールはようやく運動エネルギーが無くなり、教室の床をコロコロと転がる。

 

そしてシロンは自分の意思でボールに触れて、リーリエの手持ちに成ったのだった。

 

この日、リーリエとシロンは互いに運命に出会った。




次回!リンドウ先生、色んなクラスを巡る。

ケイネ先生のクラスには何処から見ても、あの作品とあの作品の子供達とあばれる君が居て、サオリ先生の体育が炸裂する!?

ケイネ先生のクラス

「マスタースパーク!」パートナー ムウマ
「夢想封印!!」パートナー メラルバ
「あたいったら、最強だい!」パートナー タマザラシ
「いっけーー!ヒポグリフ!」パートナー ワシボン
「あばれる君です!!」パートナー ドロバンコ
「ちょむすけ!エクスプロージョン!!」パートナー ニャビー



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25時限目

あばれる君はサンムーンのアニメに出てきますよ。マジで


翌日。

 

サトシ達はクラスメートと共に運動場にやって来ていた。今日の授業は体育とククイ博士の授業であり、リンドウとブルーは居ない。

 

「さてと!皆も朝礼で聞いたと思うが、今日はリンドウとブルーは別のクラスの授業を受け持つんだ。定期的にこんな時が有るけど、宜しくな!」

 

ククイ博士の言う通り、リンドウはたまにだが別のクラスの授業を行う日が有る。当然だ、リンドウはホウエンチャンピオン(ちょっと前まで元ホウエンチャンピオン)であり、バトルの腕前は世界トップレベル。ポケモンの育て方もトップレベルであり、個体値攻撃以外残念!なヒトカゲを世界最強のリザードンに育てたのだから当然だろう。

故に多くの生徒達もリンドウの教育を受けたいし、バトルのアドバイスを受けたい。だから、リンドウは定期的に他のクラスの指導を行うのだ。

 

その代わり、そんな日は学年主任であるククイ博士がサトシ達の面倒を見るのだ。

 

「今日は私達と一緒にポケモン体育!楽しく、ポケモンと行えるスポーツを教えるわ!」

「リッキー!!」

 

この時間はポケモン体育。故に先生はスペシャリストのサオリ先生(霊長類最強女子)と彼女のパートナーであるカイリキーだ。

サオリ先生の前には体操服に着替えたサトシ達(人モードのラティアス含む)、いつも通りのピカチュウ達が座っている。

 

「今日はポケモンフットボールよ!」

 

ポケモンフットボール…それはポケモンと人間が力を合わせて行うサッカーであり、世界的に人気のスポーツだ。

 

 

一方その頃…リンドウとブルーはとある教室の前に来ていた。

この教室で学ぶ生徒達は基本的にサトシ達よりも年上であり、歳はブラックと同年代の10代前半が大半だ。言わば、サトシ達の先輩であり…経験もサトシ達と比べて豊富なのだ。

 

「リンドウ…このクラスって?」

「けーねが担任を務める所だな。バトルの素質は高い子が多いが…うん、キャラが濃いな」

 

リンドウはそう言うと、ブルーと共に教室の中に入る。勿論、サトシ達の教室と同じで教室には扉はなく廊下から直接入るような形をしている。

教室の中も大体同じ様な作りをしており、生徒達は各々のパートナーをボールから出して側に連れている。

 

リンドウは生徒達全員の名前と顔を知っているが、ブルーは初対面だ。その為か、ブルーは顔写真付きの名簿を見て生徒達の名前と顔を瞬時に覚える。

 

1人の生徒は10代前半の少女で、巫女服に赤いリボンが特徴の少女だ。パートナーはメラルバのようで、恐らくだが裏手の森で捕まえたのだろう。彼女の名前はレイム、実家はメレメレ島に有る日本風の神社だ。

 

もう1人の生徒は金髪で魔女っこと言った具合の10代前半の少女で、パートナーはムウマのようだ。名前はマリサ、実家は小売店を営んでいる。

 

次の少女は10代前半の少女で同じく魔女っこだが、此方は黒い髪に紅い瞳が特徴だ。パートナーはニャビーのようだ。名前はメグミン、妹と両親の四人暮しだ。ニャビーのニックネームはちょむすけである。

 

次は10代前半の少女…ごほん!!失礼、何処から見ても女の子な男の娘のようで、ピンク色の髪の毛が特徴だ。パートナーはワシボンだ。名前はアストルフォ、パートナーのワシボンのニックネームはヒポグリフだ。

 

次は唯一の10代未満位の少女で、青い髪が特徴的だ。アローラではカントー等のポケモン保持法が無く、10歳未満でポケモンを持てる。パートナーはタマザラシのようだ。彼女はチルノ、卒業生にアストルフォの幼馴染みである兄が居るようだ。

 

最後の1人は丸坊主頭が特徴的な、10代前半の少年だ。イシツブテが描かれたTシャツを着ており、現実世界の人に分かりやすく言えば…あばれる君リリィだろう。名前はヒロキであり、渾名もあばれる君だ…なんの因果だろうか?因みにパートナーはドロバンコだ。

 

(サトシ達と比べると…キャラが濃いわね)

 

魔女っこ2人、巫女1人、男の娘1人に幼女そして丸坊主のあばれる君。うむ、個性豊かなメンバーが集まっているだろう。

 

「皆!リンドウ先生とブルーお姉さんが来たぞ!挨拶をするんだ」

 

教卓に立つケイネがそう言うと、生徒達はリンドウとブルーの方を向いて「アローラ!」と元気に挨拶を行う。やはり、挨拶は大事なのだ。

 

「アローラ!諸君!今日はブルーと共に宜しくな!」

「「宜しくお願いします!!」」

 

元気一杯なけーね先生の生徒達。ふと、ブルーは生徒達の腕を見る。最年少のチルノは未だだが、チルノを除いた彼等の手にはZリングが填められていたのだ。つまり、彼等は島巡りに参加して大試練を突破した事を示していたのだ。

 




あばれる君…原作より早く、Zリングを手に入れる。初登場の時は未だ着けてませんでした。


次回!レイム達にバトル指導をするリンドウ達…やはり、メグミンは此処でも爆裂だった!?

因みにチルノちゃんのお兄ちゃんは、十二勇士のオリヴィエ君です


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休み時間 先生方とけーねクラス

ククイ博士達の紹介。


ククイ博士

 

リンドウが居るためか、学年主任。そしてサトシのパパ代わりなのは変わらない。ポケモン勝負も常勤の職員に限定すればリンドウの次ぐらいに強い。と言うのも、嘗てはカントーリーグとジョウトリーグに挑戦したことがあり、レッドにはボロ負けしたが…ワタル相手には良い所まで行った実力者。実力は間違いなくチャンピオンレベルは有る。

リンドウや親友、サオリにはバレているが…アローラで超絶大人気の覆面プロレスラー兼トレーナーのロイヤルマスクの正体。プロテインはビーレジェンド。

 

ガオガエン

 

ロイヤルマスクもとい、ククイ博士のパートナー。子供に優しくファンサービスを忘れない。彼とククイ博士は5歳の頃からの付き合いである。

 

ウォーグル

 

ククイ博士の周囲に認知された数少ないパートナー。

 

 

サオリ先生

 

モデルは霊長類最強女子のあの人。と言うか、公式CMや彼女のカイリキーが配布された為か、半ば公式キャラ。

ポケレスリングの世界王者だったが、引退を期にポケモンスクールの教員に成った経歴を持つ。リンドウやククイ博士の事を君付けで呼ぶことから、2人よりも歳上だと思われる。

ポケモンの腕前も高く、4~5年でカントー地方のジムバッジを全て集めてカントーリーグに挑みながらポケレスリングの強化選手としての練習も行っていたのだから、トレーナーとしての腕前もかなり高い。因みに筋肉だけでロイヤルマスクの正体を見破った凄い人。

手持ちはカイリキー(切札)、ニョロボン、オコリザル、ゴロンダ、チャーレム、ゴウカザル。

 

ケイネ先生

 

モデルは某弾幕ゲームのワーハクタク先生。とは言え、この作品では純粋な人間である。

教員の勉強をしながら、ホウエンリーグに挑んだ先生。その上、四天王を倒してリンドウに挑んだのだから相応の実力は持っている。サトシ達とは別に個性豊かな生徒達の面倒を見ている。怒るとヘッドバッドが炸裂する。

手持ちはギャロップ、ラムパルド(切札)、ズガイドス、ハガネール、バッフロン、ヘラクロス。

 

 

ケイネ先生の生徒達。

 

レイム

 

モデルは某弾幕ゲームの巫女。年齢は14歳。

メレメレ島に有る神社の娘で、両親はカントー地方出身らしい。トレーナーとしての才能は高いが、いかんせん…本人はあまり努力を行わず、咄嗟的に機転を見付ける事を得意とする。

パートナーは現在の所、メラルバだけ。

 

マリサ

 

モデルは某弾幕ゲームの人間の魔法使い。年齢は14歳。

レイムの幼馴染みで、両親は小売店を営んでいる。努力を惜しまぬ努力家だが、レイムとの勝負ではレイムに負け越している。

パートナーはムウマ。

 

メグミン

 

モデルは某爆裂娘。年齢は13歳。

両親と妹と四人暮らし。黒い髪に紅い瞳が特徴的であり、昔テレビで見たリンドウとレッドとのエキシビションマッチの影響でド派手な技を好むように成ってしまった。

パートナーはニャビーのちょむすけ。

 

アストルフォ

 

モデルは某英霊召喚課金ゲーの男の娘。年齢は14歳。

ポンコツ男の娘であり、良くケイネに怒られる。歳上の幼馴染みは全員卒業しており、今は良くクラスメート達と遊んでいる。

パートナーはワシボンのヒポグリフ。

 

チルノ

 

モデルは某弾幕ゲームの氷の妖精。年齢は8歳。

8歳だが、アローラ地方は他の地方と比べてポケモン保持法の年齢制限が無く、ポケモンを所有できる。しかし、保護者や定められた人の同伴が無ければポケモンを捕まえることが出来ない。

アストルフォの幼馴染みの妹で、クラスではアストルフォに一番懐いている?

パートナーはタマザラシ。

 

ヒロキ(あばれる君)

 

実は原作キャラ。原作初登場はサンムーン19話。原作での背丈から歳はサトシ達よりも歳上…恐らく10代半ばだと思われる。

既にZリングを手にしており、大試練を突破してる(原作でも後々に手に入れる)。

パートナーはドロバンコ。

 

 

卒業生。

 

イリマ

 

伝説を数多く残した卒業生で、今はカロスに居る。ノーマルタイプの使い手で、リンドウとククイ博士から直々にジムリーダーにスカウトされる。

近々…アローラに帰ってくる模様。手持ちはイーブイ、ドーブル、ガルーラ(メガガルーラ)、???、???。

 

オリヴィエ

 

アストルフォの幼馴染みでチルノの兄。名前の由来はシャルルマーニュ十二勇士のオリヴィエ。年齢は16歳。

チルノが周囲に迷惑をかけてないか、そしてチルノがポケモンスクールで確りとやっているか心配している。

現在はリンドウとククイ博士の意向で四天王の居ないポケモンリーグの有る、ガラル地方に行ってきて…最近帰ってきたらしい。

手持ちはエルレイド(メガエルレイド)、アローラサンド、グレイシア、アーマーガア、ドラパルト、バグフーン。因みに…リンドウとククイ博士の手でジムリーダーに推薦された過去が有るが、タイプがバラバラ故か保留に成っている。

 

ローラン

 

アストルフォの幼馴染みでイリマの悪友。イリマとオリヴィエの胃を何度も決壊させた問題児。

だが、ポケモン勝負の腕前は非常に高いために何とも言えないのが現状だ。しかし、裸族…何処だろうと脱ぐ、兎に角脱ぐ。イケメンだから質が悪い。余談だが、実力が有るが素行でジムリーダーに推薦されなかった哀れな裸族。

手持ち、ギルガルド(ニックネーム デュランダル)、???、???

 

サナエ

 

名前の由来は某弾幕ゲームの現人神。

レイムとは違い、ウラウラ島の神社在住。天然らしい。ジムリーダーに推薦されたが、神社の家業優先で断った。

手持ちフシギソウ、ジャローダ(夢特性)、ポワルン。




因みにローランの残りの手持ちは格闘タイプが入ってます(笑)



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26時限目

先ずは座学。アニメに出てきたイワーク(オレンジ諸島の姿)を皆さんは覚えてるだろうか?


「さてと…チルノを除いてはそこそこ在籍している君達だが、今日の座学はリージョンフォームに付いてのお復習…そしてアローラ以外のリージョンフォームの事を勉強しようか」

 

ケイネ達のクラスに勉学を教えるリンドウ。今日、彼とブルーはケイネと共にレイム達に勉学を教えるのだ。

最初の授業は座学でリージョンフォームに付いての復習、そして応用だ。それからバトルに関しての実践授業とフィールドワークを行い、ポケモンの捕獲を行うのだ。

リンドウにケイネという常勤の教員が共に居れば、10歳未満のチルノもポケモンを捕獲する事が出来る。新しいパートナーを見付けるのも良いだろう。

 

教壇に立ったリンドウはレイム達を見回して、黒板に文字を書いていく。

 

「それじゃあ…チルノ。アローラのサンドのタイプを答えてもらおうか。これは君のお兄さんも手持ちに加えているから、分かるだろ?」

「あたい知ってるよ!サンドのタイプは氷だーい!」

 

アローラのサンドは氷タイプ。これはアローラの常識であり、アローラでも珍しい雪山等に向かえば普通に出会えるのだ。

 

だが、他の地域では異なる。

 

「その通り!だけど、カントー地方やホウエン地方ではサンドは地面タイプなんだよな。

この通り、住む環境や気候等により…元は同じ種類のポケモンでも生体や姿が異なる事をリージョンフォームと言うんだ。

リージョンフォームはアローラで有名だが、勿論…アローラだけの話ではない。ガラルやホウエンでもリージョンフォームという物は存在する」

 

そう…リージョンフォームはアローラだけではない。ガラルやカントー等でも見られるのだ。勿論、カントーのニャースやディクダはアローラからすればリージョンフォーム(原種なので厳密には違う)なのだが…有名なのはカントー地方に属するオレンジ諸島のポケモン達だ。

 

「ポケモンには未々分からない事がいっぱいだ。所で、お前達はこのポケモンを知ってるかな?」

 

リンドウは何処からか、1枚の写真を取り出して黒板に貼る。それはジグザグマとマッスグマの写真であり、ホウエン地方で撮られた物だ。

 

「おっ!私は知ってるぜ!ジグザグマとマッスグマだろ?」

「その通り!マリサ御名答!。だけど…ホウエン地方等で見られるマッスグマとジグザグマは原種…本来の姿ではなく、リージョンフォームだと言われている」

 

世間一般ではホウエン等で見られるジグザグマとマッスグマの姿こそ、本来の姿だと言われていた。しかし、それは最近の研究で大きな間違いである事が判明したのだ。

 

「「「えぇぇ!?」」」

「マジっすか!?」

「そう…マジだ。ガラル地方に生息する、此方の姿が原種であると最近の研究で明らかに成ったんだ」

 

リンドウは新たな写真を黒板に貼った。それには白と黒色のジグザグマとマッスグマが映っている。

 

「マッスグマとジグザグマは本来、寒冷地であるガラル地方で暮らしていた。しかし、遺伝子学と地理歴史からの観点から研究した結果…温暖で餌の豊富なホウエンに流れ着いた結果、皆の良く知る姿に変化したと言われているぞ。

折角だ、ケイネ先生。ハガネールは連れてますか?」

 

リンドウがケイネに問うと、ケイネは腰から1つのモンスターボールを手に取る。

 

「リンドウ先生、勿論居るぞ」

「良し!それじゃあ…()()()()()()のリージョンフォーム…それもハガネールを生で見ようか!」

 

レイム達はケイネの手持ちは何度か見たことが有る。しかし、見たことが有るのは常にケイネが連れ出してるギャロップかズガイドス、そしてケイネの切札であるラムパルド位だ。

 

「ケイネのハガネール!?」

「はいはーい!けーね先生!僕もハガネール見たい!」

「俺も俺も!!」

 

レイム、アストルフォ、ヒロキことあばれる君も見たいようだ。どうやら、ケイネはこのクラスを担当してから一度もハガネールをボールから出して生徒達に見せたことが無いようだ。

 

「出てきなさい!ハガネール!」

 

ケイネはボールからハガネールを出した。呼び出されたハガネールは教室の後ろに有る広いスペースに鎮座し、大きな体の為か、蜷局を巻いている。

 

「ネール!」

 

そのハガネールは一般的に知られるハガネールと違い、鉄のような色ではなく、宝石のサファイアのように青く輝いていたのだ。それに、口からは冷気のような物も出ていて心なしか寒い。

 

「へっ…氷タイプ?いや…まさか」

 

ブルーも初めて見るハガネールのリージョンフォーム。とは言え、リンドウはチャンピオン防衛戦でこのハガネールを見たことが有るので、あんまり驚かない。

 

「私のハガネールは…鋼・水タイプ。進化前は氷タイプだったの。進化した事で氷が鋼に変わり、より強度が増したのさ。

進化前の影響か、氷タイプの技も使えるわ。特性 氷使いって物のお陰でどの技も氷タイプのように使えるの」

 

オレンジ諸島の一部のイワークは体が水晶で出来ており、氷タイプで水の中を泳げる。メタルコートを用いて進化させることで、鋼・水タイプに変わり…水圧がキツすぎる深海でも平然と暮らせるように成ったのだ。

 

原種と違い…防御の種族値は少し下がったが、その分特防が上昇している。

 

ハガネールのリージョンフォーム…未知の特性である氷使い、明らかに成る新情報にブルーは勿論、レイム達も驚く。

 

「触っても良いですか!?」

「メグミン、触っても良いわよ。私のハガネールはお利口さんだから。勿論、他の子も触って良いわ」

 

レイム達、そしてしれっと混ざってケイネのハガネールを触るブルー。やはり、ハガネールのタイプが違うためかひんやりして気持ちいい。

 

すると、チャイム変りのオーキド校長のパートナーであるネッコアラの鐘叩きが響く。

 

「おっと、もう休み時間か。それじゃあ…次の時間は外で行うぞ」

 

次は外に出てバトル実習。だが、ブルーは知ることに成る。ケイネのクラスの子供達の濃さを。




クリスタルイワークの進化したハガネールは勿論、二次創作あるあるの独自設定です。

クリスタルのイワークの実装は未だですか?ゲーフリさん。

次回!レイム達の実践授業。


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27時限目

レイム対あばれる君!!


「ドロバンコ!!にどげり!!」

 

ポケモンスクールの広場。そこではリンドウが各々の課題点を見ながら、生徒達のバトルを見ている。

今バトルをしてるのはあばれる君ことヒロキ、そしてメラルバ一匹で大試練を突破したレイムの戦いだ。

 

ケイネのクラスは最年少のチルノとレイムを除き、全員が2匹以上のパートナーを持っている。そもそもアローラではポケモンを2匹以上持っているトレーナーは少なく、4体以上の手持ちを加えているトレーナーは極僅かだ。

それはポケモンリーグが未だなく、多くの人達が他の他方と比べてリーグ挑戦等をテレビでしか見たことが無いからかも知れない。

 

しかし、メレメレ島ポケモンスクールでは本格的にバトルの実技指導等を行う。現にケイネのクラスは11歳未満のチルノ以外は全員が島巡りを行い…Zクリスタルを手にしてるのだ。

 

「メラルバ!糸を吐くを応用して移動しなさい!」

 

迫り来るドロバンコのにどげり。だが、あろうことか…レイムのメラルバは前方斜めに糸を吐くで糸を放ち、それを一気に巻き取る事で高速で移動して回避する。

 

「なに!?」

「糸を吐く!」

 

にどげりを回避したメラルバはドロバンコの方を向き、再び糸を吐く。吐かれた糸はドロバンコの足に絡まり、ドロバンコの自由を奪った。

糸を吐くは相手に糸を纏わせて、素早さを下げる技だ。勿論、強引に引きちぎって振りほどく事も可能だ。だが、引きちぎるまでの時間等で隙がどうしても生まれてしまう。

 

「どっどろば!?」

「ドロバンコ!引きちぎるんだ!」

「遅い!!メラルバ…捨て身タックル!!」

「ルバ!!」

 

その隙を用いて、メラルバ渾身の捨て身タックル。それは身動きが出来ないドロバンコに大ダメージを与え、ヒロキのドロバンコは一撃で倒れてしまった。

 

「ドロバンコ!!」

「ドロバンコ!戦闘不能!!この勝負、レイムとメラルバの勝ち!」

 

審判を務めるケイネの声が響き、レイムは嬉しそうにガッツポーズを行う。

 

「負けたよ!」

「私の勝ちね」

「次は負けないぞ!ドロバンコもそうだけど、コイツも鍛えないとな」

 

ヒロキは腰に提げたボールを1つ手に取る。その中にはアローラで彼が捕まえた、アローラでのイシツブテが入っているのだ。とは言え、イシツブテは未だ捕まえたばかりで、ドロバンコよりも弱い。まだ経験が必要なのだ。

 

「はーい、そこまで。良いファイトだった。それじゃあ、見ていた人達に感想を聞こうか。先ずはマリサから」

 

リンドウが手を叩き、注目を集める。自分なりのアドバイスを言う前に生徒達自らの意見を聞くのだ。

 

「糸を受けてからドロバンコの動きが鈍った」

「そう…ポケモンの技には変化技と言うのが有る。マリサ、お前のムウマも覚える事が出来るが…自分の能力を上げたり、逆に相手の能力を下げる事が出来る技だ。

ダメージを与えれないが、此方に有利な状況を作り、逆転や圧勝の勝機を産み出せる。とは言え、ポケモンの技には応用が存在する。先ほど、レイムとメラルバが見せてくれたように…糸を吐くを移動にも利用できる。

これとは少し違うが、先生もリーフィアと一緒にマジカルリーフを目眩ましに使ったり、移動の足場に用いる事も有る」

 

そう…ポケモンの技には各々の応用が効くのだ。それを使い、持ち味を活かすも殺すもトレーナーの采配しだい。

 

「良く覚えてほしい。ポケモンは愛情をもって育てれば、必ずトレーナーの力に成るために力を発揮する。そして、発揮されたポケモンの力を全開に引き出せるのは俺達トレーナーだ。

世の中には強いポケモン、弱いポケモンが居る。でもな、使い方しだいでどんなポケモンも必ず勝機を手にして、チームを勝利に導ける。本当に強いトレーナーなら好きなポケモンで苦楽を共にする。そして、ヒロキ」

 

リンドウはレイムに負けて少し気分が落ち込んでいるあばれる君ことヒロキを見る。

 

「トレーナーは敗北から学ぶ事の方が大事だ。俺も子供の頃は良く負けたよ。

最初に挑んだニビジムなんて、酷い有り様さ。同期の友人の中で唯一の黒星スタートだったよ。でも、お陰で俺はホウエンのチャンピオンに成れた。

良いか?泣いたって良いんだ、負けても良いんだ。その涙と敗北を明日の笑顔と勝利に変えれば良いんだよ」

 

そう…トレーナーは負けてから学ぶ事の方が多い。負けることでポケモンの特性、技の応用、相手の戦法、等々…格上の戦い方を直接肌で学べるのだ。

 

「ヒロキだけじゃない、お前達もだぞ?」

「「「はい!」」」

 

元気に返事をするレイム達。ふと、レイムが気になる事が有ったのか…手を上げた。

 

「あっ…そう言えばリンドウ先生とブルーお姉さんって子供の頃、旅をしていたのよね?その旅費ってどうしたの?

やっぱり、トレーナーにポケモン勝負をして勝って賞金を集ったの?」

「いや、そんな事はしないさ。と言うか、それはおもいっきり強盗に入るからな?」

 

リンドウ達はトレーナーと戦い勝っても賞金を受け取らない。それはゲームの世界だけだ。

では…リンドウ達はどうやって金を集めていたか?単純である。

 

「旅先でバイトしてた。ナマコブシ投げたり、コイキングの世話したり、ポケセンの手伝いしたり」

「「「バイト!?」」」

 

そう…バイトである。




次回!サトシの大試練……サトシとハラさんの勝負。

ハラ「最初の2匹は島巡り初心者が初めて行う大試練用のパートナーですが、あとの2匹は本気のバトルですぞ?サトシ君!!」


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28時限目

大試練!!


ぬしグースとヤングース、デカグースの手で野生のラッタ達が追放されてから三日後。

 

約束通りにサトシの大試練の日がやって来た。大試練、それは通過儀礼(参加自由)の島巡りの節目として行われる試練であり、島巡りの試練を終えた挑戦者が島キング又は島クイーンに挑み力を示す行事だ。

 

島キングは島の守り神であるカプ・コケコ等のカプに定められた人達であり、人格及び実力も高い。普通に戦えば子供達は先ず勝てない。

その為か、島キングや島クイーンは挑戦者の実力に合わせて相応しいポケモンを使う。初めて島巡りに挑んだ子供達が戦う大試練では…そこまでレベルが高くないポケモンであり、発展途上のポケモンしか島キングは使わない。それに対し、経験を踏んで他の島の大試練を終えた挑戦者にはそれ相応の力を持ったポケモンを繰り出してくるのだ。

 

しかし、相手は島キング。実力は高く、弱いポケモンを使ってるとは言え…生半可な実力では勝つことは不可能だ。

 

「レッド…サトシの奴、大丈夫だっピ?」

「………」

 

大試練を行うのはメレメレ島に有るハラの自宅。その前に有るバトルコートであり、ハラとサトシはバトルコートの対極の場所に立っており、お互いにボールを投げる準備をしている。

 

審判を務めるのは学年主任であるククイ博士であり、ギャラリーとしてレッドとピカ様そしてギエピーが来ている。だが、サトシのクラスメートやリンドウ達は来ていない。当たり前だが、リンドウ達は授業が有り…サトシは公欠という形で大試練を行うのだ。

 

「……ピッピ。サトシは俺を越えると言った。ならば…出来るさ」

 

サトシの夢はポケモンマスター。最強のポケモントレーナーに成ることであり、現ポケモンマスターでありカントーチャンピオンのレッドを越えることだ。

ならば…従兄としてはサトシの夢を応援し、何れは挑戦者として挑みに来るサトシを応援するだけである。

 

「ハラさんの本気は四天王に匹敵する。そのハラさんの本気のパートナーを2匹と、島巡りの最初に行う大試練用のポケモンを相手にするんだ。

大試練のポケモンは兎も角、本気のパートナーは強いだろうし…仕込みはしている。だが、サトシのリザードンとゲッコウガも四天王クラスのパートナーには匹敵する」

 

レッドはゲッコウガ以外のサトシのパートナーの事を良く知っている。ゲッコウガもカルネから貰ったカロスリーグの映像越しだが、普通のゲッコウガでは無いことは知っている。

その彼の経験からして、レッドが最後の仕上げを行ったサトシのリザードン、前代未聞の力を秘めたゲッコウガがサトシと力を合わせれば本気のハラのパートナーを倒すことは充分に可能だ。しかし、ハラは現役何十年というベテラン。その経験を用いて、サトシの不動のエースであるリザードン、切札であるゲッコウガを倒すことも出来るだろう。

 

「ピカチュウ…ピカピカ」

「そうだな…俺達は見守るしか出来ない。だから、サトシ…必ず這い上がってこい。頂にて、お前を待つ」

 

レッドはそう言い、ピカ様と共にサトシを見る。サトシの肩にはピカチュウが乗っており、隣には人モードのラティアスが立っている。だとすると、サトシが持っているボールは間違いなくモクローが入ったボールだろう。

 

審判を務めるククイ博士がハラとサトシを交互に見る。そして彼は大試練の開始を告げた。

 

「これより、メレメレ島の大試練を開始する!

島キングのハラさんに挑むのは挑戦者のサトシ!ハラさんの使用する手持ちは4匹、サトシの使用するポケモンは5匹とする!では始め!」

「行きなさい!マケンカニ!!」

 

ハラはボールを投げて、カニのようなポケモンを繰り出した。

 

「マケケン!!」

 

このポケモンはマケンカニ。格闘タイプのポケモンであり、アローラ地方に生息するポケモンだ。ボクシンググローブのようなハサミで殴ったり、挟んだりして戦うポケモンである。

 

「さてと…サトシ君。最初は誰で来ますかな?モクロー君?それともラティアスさん、又はピカチュウ君ですかな?」

「最初はコイツって決めてます!!行け!モクロー!」

 

サトシはボールを投げて、モクローを繰り出した。

 

「くるっぽ!!」

 

モクロー、今日は大試練の日だった為か、珍しく起きていてやる気はばっちしだ。当然だ、彼もこの大試練の為に島巡りの試練を受けて、ラティアスと共にぬしグース達と戦ったのだ。

先鋒として、既にやる気MAXであり、眠気の心配も無いだろう。

 

「モクロー!つつく!」

 

マケンカニは格闘タイプだ。その為に草・飛行であるモクローの方が断然有利であり、つつくは効果抜群だ。

 

「マケンカニ!グロウパンチで迎え撃ちなさい!!」

 

マケンカニの拳が光る。格闘タイプの技であり、攻撃と同時に攻撃力を上げるグロウパンチだ。つつくとグロウパンチが激突し、辺りに衝撃波が巻き起こる。モクローは嘴を用いて攻撃しているが、マケンカニはまだ片腕が空いている。

 

マケンカニは空いた片腕で、モクローの足を挟むように掴んだ。

 

「くる!?」

「ぶんまわし!!」

 

マケンカニはまるで、円を描くようにモクローをブンブンと振り回す。このことにより、モクローの体は前後左右にシェイクされ…脳が揺さぶられて意識が飛びそうに成る。

 

「モクロー!!」

「そして当て身投げ!!」

「マケケン!!」

 

マケンカニは渾身の力で地面に向けてモクローを投げ付ける。モクローは物凄い音と共にワンバウンドして、地面に倒れるが何とか立ち上がる。

 

「モクロー…大丈夫か!?」

「くる!」

「よし、モクロー!試練の時と同じく木の葉で目眩ましだ!!」

 

モクローはサトシの指示に従い、木の葉で弾幕を放って姿を眩ます。

すると、モクローはマケンカニの真後ろに音も立てずに移動していたのだ。

 

「モクロー!つつくだ!」

「くる!!」

 

不意打ち同然のつつく。それは急所に当たり、マケンカニは一撃で倒れてしまった。

 

「マケンカニ戦闘不能……えっ?」

 

審判を務めてるククイ博士はマケンカニの戦闘不能を確認した。しかし、それと同時に…………モクローの睡眠も確認したのだ。

 

モクロー、疲れはてて眠る!!

 

「きっと、疲れてて眠ってしまったのでしょう」

 

ハラはマケンカニをボールに戻し、次のポケモンが入ったボールを取り出す。

 

「そうか…ありがとうモクロー。良し!次はピカチュウ!頼むぞ!」

「ピカピ!!」

 

サトシはボールにモクローを戻し、代わりにピカチュウを繰り出した。ラティアスでも大丈夫だったが、ラティアスは試練で活躍した…しかし、ピカチュウはモクローとラティアスの活躍で試練での出番は無かった。だから、今はピカチュウの出番なのだ。

 

「ほう!ピカチュウ君ですか。では行きなさい!マクノシタ!」

「マク!」

 

ハラはマクノシタを繰り出した。マクノシタはハラの切札でもあるハリテヤマの進化前であり、最初の大試練を行う挑戦者の最初の関門として立ちはだかるポケモンだ。

 

「ピカチュウ!電光石火だ!」

「マクノシタ!ビルドアップ!!」

 

ピカチュウは電光石火で加速し、マクノシタはビルドアップで全身の筋肉を肥大させる。

 

「ピカ!?」

「マクノシタは初めて大試練を受ける子供達の関門。簡単には突破出来ませんぞ!ピカチュウ君!!」

 

されど、進化したマクノシタの筋肉の前にはピカチュウの物理攻撃は無意味。ピカチュウの電光石火はマクノシタの分厚い胸板で防がれてしまった。

 

「マクノシタ!つっぱり!!」

「ピカピーー!!」

 

そしてパワーアップした腕力を用いて、マクノシタはピカチュウを突っ張で吹き飛ばす。

 

大ダメージを受けたピカチュウだが、彼はサトシと共に多くの冒険を経験した。この程度では倒れない。

 

「ピカチュウ!もう一度電光石火だ!!」

「さあ!来なさい!!サトシ君!ピカチュウ君!!」

 

ピカチュウは電光石火で加速し、あろうことかマクノシタの足元にしがみつく。

 

「今だ!!ほっぺすりすり!!」

 

ほっぺすりすり。可愛らしい技だが、効果は凶悪だ。相手を麻痺状態にして、尚且つダメージを与えるのだ。

 

麻痺状態に成ったマクノシタは上手く動けない。

 

「そして!!レッドさんのピカチュウ直伝のじゃれつく!!」

「ピカピ!!」

 

じゃれつく。フェアリータイプの物理技であり、格闘タイプに効果抜群だ。じゃれつくを用いたピカチュウは…可愛らしいエフェクトと共にマクノシタをじゃれつくようにボコボコにする。そして、アッパーと共にマクノシタを倒した。

 

「ピカ!!」

「マクノシタ戦闘不能!」

 

マクノシタ…戦闘不能。ピカチュウとサトシ、本来なら大試練は達成だが、今回はハラの希望で特別ルールでハラの手持ちが増えている。

 

「流石ですな…ではサトシ君!!此方も本気で行きますぞ!!」

 

ハラは倒れたマクノシタをボールに戻し、新たなポケモンを繰り出した。それはより拳が発達し、白い体が特徴のマケンカニの進化系 ケケンカニである。

 

「ケケーン!!」

「さあ!サトシ君、次は誰で来ますかな?」

「ピカチュウ!戻ってくれ!次はコイツだ!」

 

ピカチュウはサトシの側に戻り、サトシは新たなポケモンを繰り出した。

 

それは自身のエースとも言えるポケモン リザードンであった。

 

「ぐぉぉおおお!!」

「頼むぞ!リザードン!!」

 

正に本気のバトルが始まろうとしていた。

 

「リザードン!火炎放射!!」

 

リザードンは大きく口を広げ、口から火炎放射を放つ。火炎放射は真っ直ぐにケケンカニに向かっていき、直撃を受ければケケンカニはひとたまりも無いだろう。

 

「ケケンカニ!ストーンエッジで壁を作り、火炎放射を防ぎなさい!!」

「ケケーン!!」

 

ケケンカニは地面を叩き、ストーンエッジを使う。ストーンエッジを応用し、岩棘の壁を作り出して火炎放射を防いだ。

 

「なっ!?」

「グロウパンチ!!」

 

更にケケンカニはグロウパンチで拳を固くして、岩壁を殴る。そして、砕けた岩壁を掴み…

 

「リザードンに向けて投げつけなさい!!」

 

リザードンに投げつける。アップした腕力から投げられた岩片はマッハで飛んでいくが、リザードンは冷静に回避する。

 

――遅い…俺が修行したオーキド研究所にはお前ほど強い奴は沢山居た。

 

だが、ハラとケケンカニは知らない。リザードンが修行したオーキド研究所というシロガネ山真っ青な魔境の存在を。

ファイヤー、サンダー、ミュウツーが謀反を行い…レッドとグリーンとリンドウとブルーが嘗て鍛え上げたポケモン達、レッドが捕獲した伝説のポケモン達が居る魔境を。

 

そんな魔境で修行し、その上でレッドの手で直接鍛えられたリザードン…どちらが勝つのかは誰にも分かるだろう。

 

「リザードン!竜の舞いで加速し、フレアドライブだ!!」

 

竜の舞いで加速したリザードン。そしてそのままフレアドライブで、全身に火炎を纏ったリザードンはケケンカニに突撃し…ケケンカニを一撃で倒してしまった。

 

――悪いが、ケケンカニ。俺は越える壁が二つ有る。1つは最強のじしん?を使うリザードン、もう1つは…

 

リザードンはサトシの元に戻り、レッドのピカチュウを見る。

 

――いつか、必ずそこに俺達は這い上がる。

 

「ケケンカニ戦闘不能!!」

「サトシ君、リザードン君…お見事ですぞ!いきなさい!!ハリテヤマ!!」

 

遂にハラは切札であるハリテヤマを繰り出した。

 

「リザードン…次はコイツを使って良いか?」

 

サトシの意思を尊重し、リザードンは頷く。そして、サトシはボールを投げて切札を出した。

 

「行け!!ゲッコウガ!!」

「コウガァァ!!」

 

サトシが誇る絶対切札が…アローラに来てから遂に戦う時がやって来た。

 

「ハリテヤマ!!腹だいこ!!」

 

腹だいこ。それは自分のお腹を太鼓のように叩き、闘争心を全開にして攻撃力を限界まで引き上げる技だ。

 

「そして…つっぱり!!」

 

ハリテヤマは地面を蹴り、瞬時にゲッコウガの眼前に移動する。サトシとゲッコウガは僅かな一瞬で理解した、先程までハリテヤマが立っていた所は…大きく抉れており、ハリテヤマは跳ね上がった攻撃力を用いて地面を蹴り瞬時に移動したのだ。

 

「ゲッコウガ!身代わりだ!!」

「コウガ!!」

 

ゲッコウガは瞬時に身代わりを用いて、ハリテヤマのつっぱりを瞬時に回避する。直撃を受ければ、間違いなく倒される。

 

「おみごと」

「ゲッコウガ!つばめがえし!!」

 

ゲッコウガは水の忍者刀を産み出し、ハリテヤマに斬りかかる…だが、限界まで腕力が上昇したハリテヤマの豪腕はダメージを受けない。

 

「えっ!?」

「あてみなげ!!」

 

ハリテヤマはゲッコウガの腕を掴み、地面に投げつけた。

 

「ゲッコウガ!!」

「ピカピ!!」

 

効果は抜群だ。だが、何とかゲッコウガは立ち上がる。

 

「キズナ変化を使うべき…待てよ…ノーマルZが有ったよな?

ゲッコウガ!!Z技を使うぞ!!」

「コウガ!!」

 

サトシはノーマルZとZリングが有る。ならば、Z技を解き放てる筈だ。

その上、ゲッコウガはノーマルタイプの技も覚えているし、使える。

 

サトシはZリングにノーマルZをセットし、ゲッコウガと心を1つにしてZ技のポーズを決めていく。

 

ゲッコウガと心が1つになり、サトシのZ技は解き放たれた。

 

「これが…俺達の全力だ!!」

「コウガァァ!!」

「ウルトラダッシュアタック!!」

 

目にも見えない程の速度、そして凄まじい程のオーラを纏ったゲッコウガは一筋の光に成ってハリテヤマに突進する。

 

ここで1つ。サトシとゲッコウガは…前代未聞と言える程のキズナ現象を起こしている。キズナ現象には絆や信頼関係が必須だ、それは心を1つにしなければ使えない。Z技も同じであり…キズナ現象を使えるサトシとゲッコウガがZ技を使うと…

 

「やまぁぁぁ!?」

 

腹だいこで超パワーアップしたハリテヤマの筋肉にも衝撃が通り、ハリテヤマは一撃で倒れてしまった。

 

「ハリテヤマ戦闘不能!!この勝負!挑戦者サトシの勝ち!!」

 

サトシ、無事に大試練を突破する。

 

「サトシ君、大試練を突破した君にこれを…なっ!?」

 

――すまんなハラ。この子には格闘Zより、此方の方が良い

 

ハラはサトシに格闘Zを渡そうとしたが、何者かの手で電気Zにすり替えられていた。

 

「ピカチュウ…見えたな」

「ピカピ」

 

そして、その何かの正体にレッドとピカ様だけが目にして、誰なのか理解できていた。

 

とは言えサトシは無事に大試練を突破し、電気Zを手に入れたのだった。




次回…卒業生の帰還。

イリマ、自称現人神、裸族、チルノ兄、他の地方の偵察から帰還する。戻ってきた訳?パンケーキです


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29時限目

パンケーキレース…のお知らせ


「帰ってきましたね」

「まさか、3人同じ時間にアローラに帰ってくるとわ」

「サナエは既に家に着いてるらしいぞ。ああ、それにしても、やっと上半身の服を脱げる」

 

アローラの国際玄関口と言っても過言ではない、メレメレ島国際空港。そこのロビーに3人の男が帰ってきた。男達は3人とも顔は整っており、1人はピンクの髪の毛をしており、もう1人は水色の髪、最後の1人は金髪の髪をしている。

この3人の共通点は歳が16歳であること、片腕にZリングとメガバンクルを嵌めている事だ。つまり、3人ともZ技とメガ進化の使い手であり、アローラでの島巡りを終えてメガ進化を使えるほどに強いポケモントレーナーである事だ。

 

「イリマはどうする?」

「イリマは取り合えず、実家に帰ります。オリヴィエは?」

「俺も実家かな…チルノが心配だ。取り合えず着替えたいな。ガラルは寒かったけど、アローラは温暖だしな」

「妹さんが心配なんですね。所でローランは…」

 

ピンクの髪の少年と水色の髪の少年は帰省してからの方針を話している。だが、金髪の少年からは返事が来ない。

 

不審に思った2人は金髪の少年を見る。そこでは金髪の少年が鍛えられたmuscleな肉体美を見せて、ブーメランパンツ一丁に成っていたのだ。

アローラではカキの上半身裸や、ククイ博士のように上半身裸の上から白衣を羽織る人は多い。だが、パンツ一丁に成るのは海水浴中の海パン野郎位だ。

 

「あぁ…やはり、アローラは良い。俺には裸が必要だ、裸は良いものだ!!」

 

更にあろうことか…彼はブーメランパンツさえも脱ごうとしたのだ。

 

「「服を脱ぐな!!」」

「ほんげーー!!」

 

メレメレ島国際空港のロビーに、パンツ一丁のmuscleが宙を舞った。

 

裸族が粛清されている頃、メレメレ島ポケモンスクールの職員室ではとある物が話題に成っていた。

ポケモンスクール処か、メレメレ島に一年以上は暮らしている人々からすれば実に楽しみなお祭りがもうすぐやって来るのだ。

 

その祭りとは…メレメレ島パンケーキレースである。

 

パンケーキレースとはメレメレ島の町興しの為に行われ出したお祭りであり、メレメレ島の都心部と言っても良い町 ハウオリシティからスタートしてメレメレ島のメインスポットをパンケーキを落とさずに巡るレースだ。

レースの参加資格はポケモンとペアで出ること。それが参加資格であり、それが満たされれば誰でも自由に参加できるのだ。

 

先ず、トレーナーが多重にも積み重なった大盛のパンケーキが盛られた皿を持ち、落とさずに障害物を攻略しながら進む。障害物エリアを過ぎると、次はカーゴに乗ったポケモン達が待っており、トレーナーはポケモンにパンケーキを託し、カーゴの紐を引っ張って登りメインの道を進むのだ。それが終わると、今度はポケモン達がパンケーキを落とさずに進み…ゴール地点まで届けるレースである。ポケモンとトレーナーが力を合わせて進み、パンケーキをゴールまで届ける。

 

因みに昨年度、重さ約200キロのバンギラスを引っ張り、男では1位(全体3位)という仰天記録を打ち立てた教師が居たとか。

 

「今年もやるのか」

 

ポケモンスクールの職員室。そこでリンドウは1枚のビラを見ていた。このビラは今日の放課後に全校生徒に配布予定の広告であり、メレメレ島ポケモンパンケーキレースの概要が書かれたチラシだ。

ビラには昨年度の優勝者である喫茶店の若い女性店員と彼女のパートナーであるライチュウ(アローラ)がレースに用いるパンケーキを担いで堂々と写っており、右下の方には『ホウエンチャンピオンであり、ポケモンスクールの名物教師が爆走します』とリンドウの顔写真付きで写っていた。

 

「いや、確かに出るけど…」

 

リンドウ。メレメレ島名物に片足を突っ込む。

 

「リンドウ!何よそれ…ポケモンパンケーキレース?」

 

ブルーはメレメレ島名物であるパンケーキレースを知らないようだ。最近ではガイドブックにも載っている程の知名度を誇るが、ブルーはサトシ親子と共に来たときはガイドブックを読まずに楽しんでいたのだ。

 

「メレメレ島名物のパンケーキレースだよ。メレメレ島に有る喫茶店及びパンケーキ専門店でパンケーキ食べ放題の年間パスが貰えて、只でどんなパンケーキも食べられる。

2位と3位はその店で使える金券だな。そんで、これが去年の写真だ」

 

リンドウはそう言うとスマホを操作して、1枚の写真をブルーに見せる。その写真は表彰台に登った人物が3人写っており、1位の所にはウェイトレスとアローラライチュウ、2位はサオリとカイリキー、3位はリンドウとバンギラスのバンチョーであった。

 

「バンギラスはちょっと重かったぞ」

「でしょうね」

 

リンドウ、昨年はバンギラスを引っ張りながら爆走した模様。いや、マサラ人であるブルーとリンドウは何も思っていないが、あえて突っ込まさせて貰おう。バンギラスの体重は200キロを越えている。普通の人がトロッコやカーゴ、キャリアを使ったとしてもバンギラスを押せたり引けたり出来るか?ぶっちゃけ無理である。

 

「いや、お前とサオリ先生は本気で可笑しいからな?」

 

ケイネが殆どの先生代表でそう言い、同意するように大勢の先生や職員は頷く。

 

トレーナーが走る区間ではぶっちぎりの走りを行った霊長類最強女子、そしてバンギラスを引っ張って何事も無く男1位に輝いたリンドウ。端から見れば、その2人が可笑しいのだろう。

 

「ふふふ…悪いが、本気で俺は優勝させてもらう。何故なら、今回のレースにはリーフィアを出すからな。パンケーキ年間パスは俺の物だ」

 

優勝すればメレメレ島のパンケーキが一年間、無料に成るのだ。故にこの学校教師23歳兼ホウエンチャンピオンは本気を出すのである。

リンドウの手持ちで軽い上に機動力が高いのはリーフィアだ。レウス重い、ペンペン(エンペルト)重い、ルカ(ルカリオ)軽いが…別の意味で熱い、モスラ(ウルガモス)軽いが機動力ならリーフィアの方が上、バンチョー…重い。その結果がリーフィアなのだ。

 

だが、ブルーはリンドウの右肩を掴み…

 

「年間パス?違うわよリンドウ、貴方は今年も2位以下。何故なら…その年間パスは私の物よ!!」

 

ブルーお姉さん、参加を表明する。

 

 

その日の放課後。

 

リンドウとブルーはメレメレ島の観光街であるハウオリシティに来ていた。勿論、ポケモンパンケーキレースのビラは放課後の際にサトシ達教え子に手渡しており、彼等は今からマオの家であるアイナ食堂でパンケーキレースの練習を行うそうだ。

 

「で?私達は何処に行くの?」

「買い物、そんで、ポケモンパンケーキレースに関わるパンケーキを今から食べに行く…まあ、本題は他の地方に向かってた卒業生から意見を聞くことだな」

 

卒業生?と言われ、ブルーは首を傾げる。

 

「飛び級で卒業したんだよ。あのクラスは全員色んな意味でぶっとんでたからな。

俺達程では無いけど、本気のジムリーダー相手なら互角に戦えるし、四天王にだって食らい付けるかも知れない」

「そりゃ凄いわね。む?色んな意味でぶっとんでた?」

「ノーマルタイプのジムリーダーに内定した奴は普通、チルノの兄も普通だがぶちギレたら爆発する。格闘と鋼を使う奴はジュンサー一族の一人だけど…何処でも脱ぐ変態。

あと…マシな部類では草タイプ使いの神社の子、バトルジャンキーなアストルフォの姉(一ミリも似てない)、ガラル出身のメイドな女の子位か」

 

当時、そのクラスはククイ博士が担任をしており、今のブルーのように補佐で新人だったリンドウが面倒を見ていた。

 

「結局、全員飛び級で卒業して…俺が面倒を見れたのは1年有るか無いかだったんだけどな」

 

リンドウが彼等の面倒を見れたのは極僅かな期間だった。

その後、彼等は他地方へと冒険に出かけ…各々の旅路を始めたのだ。ノーマルタイプのジムリーダーに内定した少年はカロスに、チルノの兄はガラル地方に、全裸に成りたい問題児はジョウトに向かったのだ。

 

「おっ!ここのパンケーキのお店がそうだな」

 

目当てのパンケーキのお店が見えてきた。その店の前には褐色ぎみの肌にピンクの髪の毛の少年、水色の髪に和服をアレンジした動きやすそうな衣類の少年、そして上半身裸の金髪イケメンが立っていたのだ。

 

「リンドウ先生、お久し振りです」

 

ふとピンクの髪の毛の少年がリンドウに気付き、挨拶をする。

 

「アローラ。良く来てくれた。

ブルー、この3人はククイ博士の嘗ての教え子だ。イリマ、オリヴィエ、ローランだ。この3人はアローラリーグの話は知ってるから、問題は無いぞ。

イリマ、オリヴィエ、ローラン。知ってると思うが…俺の幼馴染みのブルーだ」

 

ピンクの髪の毛の少年はイリマ、水色の髪の毛をした少年がオリヴィエ、そして裸族がローランである。

 

「そんじゃあ、店に入ってお前達の話を聞くとするか」

 

リンドウはそう言うとブルーと卒業生の3人を連れて店の中に入る。

店内にはアローラライチュウを連れたウェイトレスが居ており、良く見るとポケモンパンケーキレースの広告に写っているトレーナーとそのポケモンであった。

 

「いらっしゃいませ!」

「ライライ!」

「五名です」

「そこの窓際の席が空いてますよ」

 

リンドウ達は窓際に空いていたファミリー席に座り、リンドウとブルーは隣同士、2人と向かい合うようにイリマ、オリヴィエ、ローランが座った。

 

「初めまして、イリマです」

「オリヴィエです」

「ローランだ」

 

イリマ、オリヴィエ、ローラン。この3人はポケモンスクールの中でも色んな意味で伝説として語られている。年齢的には全員、未だポケモンスクールに在籍しても可笑しくない年齢だが…あろうことか、この3人を含め彼等のクラスメートは全員飛び級で卒業したのだ。

 

「イリマはノーマルタイプの使い手でな、アローラリーグが本格開催された際のジムリーダーに内定してる。勿論、ノーマルタイプだ。

オリヴィエもジムリーダーにスカウトしたんだが…タイプがバラバラでな、今は保留に成ってる。

ローランは人格故にジムリーダーには推薦してないが、リーグ創設の手伝いをしてもらってるんだ」

「子供の頃の私達より立派ね。感心するわ」

 

リンドウからのイリマ達の紹介を聞いて、ブルーはメニューを手に取り、全員に見えるように机の上に置く。

メニューのメインは10段重ねのパンケーキと成っており、トッピングやソース等の様々なフレーバーが有ったのだ。

 

「それじゃあ、俺はげきうまチョコ風味だな」

「僕はプレーンでお願いします」

「俺はメロメロメロン味で」

「私はそんなバナナ味で」

「俺はベリベリベリー味で」

 

上からリンドウ、イリマ、オリヴィエ、ブルー、ローランのご注文であった。

 

イリマ以外、作者とククイ博士が愛用している某プロテインの味と同じだが、気にしてはいけない。

注文は備え付けられたタブレットから行い、店員を呼ぶ必要は無いのだ。

 

「それはそうと、他の地方の感想を聞こうか。先ずはイリマから」

「はい。リンドウ先生やククイ博士の仰ってた通り、ポケモンリーグは凄かったです。ですが、先生の言っていたカントーと異なり、ジムリーダーの中で実力に大きなバラつきを感じました」

「だろ?次はオリヴィエだったな。お前の話は非常に気になる。なんせ、ガラルは後々のアローラと同じく四天王が無いポケモンリーグだからな」

 

ガラルはポケモンリーグが有るが、四天王は居ない。後々のアローラのポケモンリーグもガラルと同じく四天王を置かない予定なので、リンドウはオリヴィエの話が非常に気になる。

 

「実は…ポケモンリーグに挑めませんでした」

「「へっ?」」

 

リーグに挑めなかった。その言葉を聞いてリンドウとブルーは驚き、聞いてなかったイリマとローランは無言で唖然とする。

イリマとローランは各々、ポケモンリーグに挑戦した。だから、オリヴィエも挑戦したと思っていたのだ。

 

「なんでだ?お前の実力なら全然問題は無いだろ?」

「それが…ガラルリーグに挑戦するには…ジムリーダーやリーグ委員等の有力者から推薦状を貰い、推薦されたトレーナーしか受けれないんですよ」

 

ガラルリーグは他の地方と異なり、有力者から推薦されたトレーナーしかリーグに挑めない。つまり、実力や才能が有っても推薦されなければリーグに挑めないのだ。

 

「ガラルのそこだけは採用しないでおくか。やっぱり、リーグはカントーやホウエンのジム制度に限るな。

それで…ガラルはどうだった?」

「なんとか現地の調査をしながら、ジムリーダーと戦えないか打診して…リーグ委員の人から『リーグスタッフ10人連続で倒したら、ジムリーダーとのエキシビションマッチを考えなくても良い』と言われたので、10人連続で倒して何とかジムリーダーとは戦えました」

 

ガラルは他の地域と比べて敷居が高く、コネクションが要る地方のようだ。

 

「本気のジムリーダー…キバナさん以外倒せたんですけど、俺の事を聞いたチャンピオン ダンデと戦って…ボコボコにやられました」

「上出来だ。むしろ、その歳で本気の…それもガラルのジムリーダー倒すとか凄いな」

「あと…彼女が出来ました」

「それは後々、イリマとローランに自慢しながら話しておけ。ローランは?」

 

リンドウに言われ、ローランは口を開く。

 

「ポケモンリーグに挑戦した時はワクワクした。だが、上半身の服を脱いだだけでジュンサーに怒られた。

リーグに優勝してポケモンリーグにも挑んだが…ジョウトは美人が沢山だった。アカネさん、ミカンさん、カリンさんと言い…美女が沢山だった。オレンジ諸島も良かった…彼処はパン1に成っても咎められない…良いところだったよ」

「後半の話はぶっちゃけ要らなかったな」

 

そうこうしてると、店員がパンケーキを持ってきてくれた。パンケーキはタワーのように10段重ねに成っており、かなりのボリュームが有る。

 

「たか!?」

「そうそう、レースで運ぶパンケーキはこの大きさだから」

「「因みに俺(僕)達も出ますよ!」」

 

パンケーキレース、中々の激しい戦いに成るだろう。

 

 

その頃のムコニャとククイ博士。

 

ムコニャはククイ博士に連れられて、海岸の調査に来ていた。

 

「うわ!?なんだ!?」

「おっ!それはヒドイデだな……滅茶苦茶コジロウの方を見てるぞ」

 

その日、コジロウとヒドイデは運命に出会った。




次回!サトシとセレナ、リンドウとブルー、カキの家に向かう。

しかし、そこには既にレッドが居た!?

因みにオリヴィエの彼女はオリキャラでは有りません(笑)


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30時限目

カキの牧場…


アーカラ島。そこはヴェラ火山が聳える火山島であり、炎タイプのポケモンは勿論、活火山が自然に与える影響なのか水タイプや草タイプの生息する種類がメレメレ島よりも多いのが特徴だ。

 

そのアーカラ島のとある場所に大きな牧場が有る。この牧場はアローラの観光ガイドブックにも載っており、カキの実家である。

 

「やはり…アローラは良いな。リンドウが気に入るだけは有る」

 

表向き(サトシ達)にはアローラの探索、事実(リンドウ達は知ってる)はアローラリーグの創立の手伝いの為に、ポケモンリーグ本部の人物としてアローラに滞在してるレッドと彼のポケモン達。

彼等はアーカラ島の大体の探索を終えて、カキの実家である牧場にやって来たのだ。

 

「ピカチュウ!遊ぼう!」

「ピカピ!」

 

優雅にコーヒーを飲み、丸太の机と椅子で寛ぐレッドは自分のピカチュウことバグチュウ或いはピカ様と遊ぶ幼子を見る。

その幼子はカキと似た髪質に肌の色をしており、事実カキの妹なのだ。彼女の名前はホシ、カキの大事な妹であり幼いながらも牧場の手伝いを行っているのだ。

 

「レッドさん…すいません、妹が」

 

今日はポケモンスクールは休み。休みなので当然、カキは牧場の手伝いをしてるのだ。

 

「いや、良いさ。子供は遊ぶのが仕事だろ?それに…ピカチュウも楽しそうだ」

「そうですか…それにしても、レッドさんとサトシって似てますね。従兄弟というより、人によっては歳の離れた兄弟に見えますよ」

 

カキの言う通り、レッドとサトシは似ている。人によっては兄弟と言う人も居るだろう。

 

「途中まで、兄弟のように育ったからな……俺は色々有って両親が早く亡くなった。その後は叔母であるサトシのお母さんに育てられたからな。サトシのお母さんとは年齢的に姉弟に良く間違えられるけどな」

「そうだったんですか…」

 

レッドは幼い時に両親を亡くしている。その後、祖母と暮らしていたハナコと共に暮らし、チャンピオンに成って暫くするとリーグ本部やシロガネ山で暮らすことに成ったのだ。

 

「このソフトクリームはうまいっピ!」

 

ギエピー。レッドが大金を持っているからと、沢山のモーモーミルクソフトを食べまくる。

 

「ピッピを止めなくて良いんですか?」

「明日、下痢に成るだけだ。その場合は…一人でポケモンセンターにお留守番だ」

 

ギエピーよ、そんなにアイスを食べまくると間違いなく下痢に成ってしまうぞ。

 

「今日、サトシとセレナ、そんでリンドウ先生とブルーお姉さんが遊びに来ますよ」

 

今日はカキの牧場にサトシとセレナ、リンドウとブルーが遊びにやって来る。ククイ博士は研究仲間の所に行き、アセロラとブラックはマオの所でパンケーキレースの練習らしい。

 

「そうか…噂をすればだな」

 

レッドがそう言い、ふとカキは空を見上げる。空には2体のリザードンとラティアスが飛んでおり、良く見るとリザードンの背中にはリンドウとブルー、サトシとセレナが乗っている。勿論、リンドウとブルーが乗っているのはレウス、サトシとセレナが乗ってるのはサトシのリザードンだ。

 

2体のリザードンはラティアスと共に大きく円を描いて旋回すると、徐々に高度を落としながら円を描く。やがて、高度が大分降りてくると…ラティアスと2体のリザードンは各々のトレーナーを乗せたままカキとレッドの前に着地した。

 

「アローラ!……レッド!?」

「誰かと思えばレッドじゃない。と言うか、ギエピーを止めなさいよ…物凄くアイス食べてるわよ」

 

リンドウとブルーはそう言うと、レウスから降りてリンドウはレウスをボールに戻した。

ブルーも言っていた通り、ギエピーは黙々と美味しそうにアイスを食べていたのだ。これまでに彼は数多のアイスを食べており、何時お腹を降しても可笑しくは無いのである。

 

「「カキ!アローラ!レッドさん!?」」

「くーん!」

「ピカチュウ!」

 

同じくレッドが居るとは思わなかったサトシとセレナ、そしてピカチュウとラティアス。されど、ピカチュウとラティアスはレッドと会えて嬉しそうだ。

サトシもリザードンをボールに戻し、ラティアスも人の姿に戻る。

 

「よっ!良く来たな、楽しんでくれ!」

 

カキの牧場。そこはサトシが今までの旅で訪れた牧場と同じく、規模の大きな所だった。

ヴェラの火山の恵みで育ったケンタロスやミルタンク、そしてアローラ原産とするポケモン ドロバンコやドロバンコの進化系であるバンバドロ等の多くのポケモン達が暮らしていたのだ。

 

「それにしても、カキの牧場は何時見ても凄いな。全部で何匹居るんだ?」

「ドロバンコだけで62、ケンタロスで70、ミルタンクが50、バンバドロは5匹ですね」

 

中々の規模だ。それもそうだろう、毎年のようにポケモンの卵が見付かるのだから、考えればどんどん増えていくのだ。

 

「あと、食用の肉牛や鳥も含めるともっと多いですね」

 

アーカラ島の牧場…貴方も是非、アーカラ島に訪れた際は如何ですか?

 

 

 

 

その日の夜。

 

「いててて!!お腹が痛いっピ!!」

 

ギエピー、腹を下す。




次回!!サトシ、ククイ博士と共にパンケーキレースのチャンピオンの所に行く。

そして…ガラルから来客が…その時、この作品でのガラルの時間軸?がソードかシールドか分かるだろう(笑)


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31時限目

剣盾から彼等が参戦。


「アローラは暑いですね。母さんに勝ったオリヴィエ君の故郷とは言え、随分と暑い」

 

アローラの平均気温は25度程だが、常夏の国と言われるように日差しが強く湿度はスコールが降る時以外は低く過ごしやすい。

だが、この男は違った。つい先日、リンドウとブルーが卒業生の3人と共に訪れた喫茶店。そこの1つの席に座るサングラスを掛けてふくよかな体型の若者にとっては非常に暑かった。

 

この若者が今まで過ごしていた地域はガラル地方。アローラと比べて非常に寒い。とにかく寒く、家には暖房の器具が常備されている程だ。

しかし、この若者はアローラでの気温の事を考えなかったのだろうか?服装はジャケットに長袖、間違いなくアローラでは熱中症に成ってしまいそうな服装だ。

 

彼の名前はマクワ。ガラル地方のジムリーダーの一人 メロンの長男であり、母親からジムリーダーの座を継ぐように言われたが…専門タイプの違いと岩タイプの道を極めたいマクワは反対して、こうして家を飛び出してきたのだ。

 

家を飛び出して修行中と言い訳を作れば、十二分に岩タイプを極める事も出来るだろう。

 

「一先ず…資金には余裕が有るので、アイスコーヒーを飲みながら今後の予定を立てましょう」

 

ガラルのポケモントレーナーはジムスタジアム等で試合を行い、ファイトマネーが懐に入るのだ。ガラル地方ではポケモン勝負はサッカーと同程度の人気が有り、スポーツ選手としての側面も有る。ガラルの首都 シュートシティで行われるトーナメントに参加すれば、中々のお金が入るのだ。

 

その為か、マクワの軍資金にはかなりの余裕が有る。

 

「ふむ…パンケーキも名物ですか…これも頂きましょう。む?」

 

ふと、マクワは何かに気付いて壁を見る。壁には写真が飾られており、昨年行われたパンケーキレースの写真だった。

その1つの写真にマクワは惹かれる。その写真にはカーゴに乗せたバンギラスを引きながら爆走するリンドウの姿が写っていた。

 

「バンギラス…良いセンスです。この人はホウエンチャンピオンですか。だとすると、オリヴィエ君の先生ですね。

次の目的地はオリヴィエ君の母校で決まりですね」

 

その後、マクワは目的地をポケモンスクールと定め、パンケーキとアイスコーヒーを注文するのだった。

 

だが、彼は知らない。ガラルからアローラにやって来たのはマクワだけでは無いことを。

 

 

その頃、サトシは同居人であるセレナ、ククイ博士、ラティアス(人モード)、ピカチュウとイワンコと共に買い物帰りの帰路に着いていた。

随分と沢山の食品を購入したサトシ達。と言うのも、セレナとラティアス(人間と同じものを食べる)は普通位の食事なのだが…育ち盛りのサトシと身体を鍛えているククイ博士は良く食べる。その上、イワンコやピカチュウ、モクローも良く食べる。その為か、ククイ博士一家の食事の買い出しの量は随分と多いのだ。

 

「こんなに買っちゃって大丈夫なの?」

「大食らいの居候が居てね」

「誰だろうね」

「くーん」

 

大食らいの居候とククイ博士に言われて、サトシは首を傾げる。勿論、大食らいの正体を知ってるセレナとラティアスは笑みを浮かべてサトシを見るのだった。

 

「えっ?」

 

しかし、当のサトシは気付いていない。まあ、彼は幾度も様々な人からの好意(異性)に関して気付かなかったほどのにぶちゃんなので、仕方がないだろう。

 

ふと、ククイ博士はとある喫茶店の前で止まる。そこは先日にリンドウとブルーが訪れ、現在はマクワが休憩している喫茶店だった。

 

「ここのパンケーキは旨いぞ。それに、ここの喫茶店にポケモンパンケーキレースの優勝者が働いているんだ。俺の奢りだ、食べていくか?」

「「はい!」」

「くーん!」

「ピカチュウ!」

 

ククイ博士のご好意に甘え、サトシ達は喫茶店でパンケーキを食べることにした。

 

「いらっしゃいませ!」

 

喫茶店に入ったサトシ達。彼等を出迎えたのはリンドウから貰ったチラシに堂々と写っていたウェイトレスとそのパートナーであるアローラのライチュウである。

 

「やあ、ノアさん。空いている席は有ります?」

「はい、ククイ博士。勿論、有りますよ。ファミリー席で宜しいですね」

 

ウェイトレスはノア。アローラの名物 メレメレ島パンケーキレースで、超人であるリンドウやサオリ等の超人教師を差し置いて優勝したパンケーキチャンピオンである。

 

サトシ達はノアとライチュウの手で、ファミリー席に案内される。その席は偶然にもマクワが座っている席と隣通しであり、マクワとククイ博士は背中合わせに座っている。

 

「ご注文はタブレットからお願いしますね」

「勿論だ。サトシ、ノアさんとライチュウは凄いぞ?リンドウとサオリ先生を差し置いて優勝したんだ」

「マジですか!?」

「そうよ。でもね、トレーナーが走るところでは流石にリンドウ先生とサオリ先生に負けちゃったわ。ポケレスリングの世界王者だったサオリ先生は兎も角、バンギラスを引いてたリンドウ先生もすごかったの。そこに写真が有るわ」

 

ノアが指差した所には多くの写真が貼られており、どれもパンケーキレースに関するものだ。ぶっちぎりで優勝したノアとライチュウ、カイリキーを引きながらトップで走る霊長類最強女子、バンギラスを引っ張るリンドウ、サイドチェスト(ボディービルのボーズ)を行う半裸のローラン等が写っていた。

 

「……安定のローランだな」

 

ローラン、彼は歴代最強の問題児としてポケモンスクールの殿堂入りを果たすのだった。

 

「ククイ博士、ローランってどんな人ですか?」

 

ふと、セレナが問う。

 

「ポケモンスクールを飛び級で卒業する程の実力を持っているだが、裸族だ。俺やカキ以上の裸族だ。何処でも脱ぐし、とにかく裸族だった。

だけど…本当にポケモンが大好きで、愛情をもってポケモンを育ててた。そんな奴さ。

 

だが、俺とイリマとオリヴィエはローランの問題行動で胃痛に成った」

 

ククイ博士の暴露により、サトシとセレナは苦笑いを浮かべる。

 

すると、オリヴィエやローランの名前を聞いた為か、ふと若者ことマクワが振り向く。

 

「む?ローラン……ククイ博士?もしかして、オリヴィエ君の恩師であるククイ博士ですか?」

 

ふと、マクワがそう言うとククイ博士はマクワの方を見る。

 

「そうだが…君は?」

「これは失礼しました」

 

マクワはサングラスを取る。サングラスの下はくりくりとした、可愛らしい瞳が有ったのだ。肉体とのギャップが凄く、普段から彼はサングラスをかけているのだろう。

 

「僕はマクワ。ガラル地方のトレーナーで、岩タイプの使い手です。

貴方の事はオリヴィエ君から聞いてますよ。技の研究家で、学生時代の恩師だと」

「えっ!?オリヴィエの友人かい!?折角だ、一緒に食べようじゃないか!!」

 

マクワ、友人の恩師と邂逅する。

 

一方その頃、リンドウは言うと…

 

「…結婚式には呼べよ?」

「いや…その前に先生方の方が早く結婚しそうですけど」

 

オリヴィエ君。デート現場をリンドウとブルーに見られる。

 

因みにオリヴィエ君の彼女は灰色の髪にリボンのようなカチューシャを付けた同年代の少女だ。因みに手持ちは格闘タイプがメインらしい。




次回!パンケーキレース開始!!

リンドウがブルーが、サトシがマオが、カキがスイレンが、マーマネがリーリエが、霊長類最強女子とけーね先生が、そしてククイ博士とオーキド校長も爆走する。
勿論、卒業生や色んな人が参戦する!!

リンドウ「パンケーキは俺の物だ!!」
ブルー「私の物だ!!」
ククイ博士「いや!!俺だ!!」
サオリ「違うわ…私よ!!」

サトシ「大人が…本気を出した」

パンケーキレースは合計3話の予定です。




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32時限目

パンケーキレース…


サトシ達がパンケーキレースの練習をしたり、リンドウが仕事をしたり、ククイ博士がレッドと共にアローラリーグ創設の準備をしている頃。

 

ギエピーとムコニャのニャースは密会していた。

 

「レッドはピカチュウと出るらしいっピ」

「コジロウもムサシもアローラで捕まえたポケモンで出るニャ」

「だったら…僕達で手を組まないかっピ?」

 

ギエピーは右手を差し出し、ニャースは差し出された右手を右手で握って握手を行う。

 

「勿論ニャ。ニャー達は悪事から足を洗ったけど、法に触れない事は平気でやるニャ」

「それじゃあ、当日はそのように頼みっピ」

 

ギエピーとニャース、パンケーキレースで手を組むのだった。今回はラティアスもイワンコと共に手を組んでラティアスが人モードでトレーナー枠として参戦する。つまり、人の姿に成れるか人語を解せて二足歩行出来て申請出来ればポケモンでもトレーナー枠として参加する事が出来るのだ。

 

「僕がトレーナー役で出るっピ」

「ならば、ニャーとソーナンスが手筈通りにポケモン役で参加するニャ」

 

この2人、新たな騒動を起こそうとしていた。別に悪事を働く訳ではなく、法に触れていない。確かに2人が行おうとしているのはルール違反だが、バレなきゃ問題は無いのだ。

 

今回のアローラパンケーキレースは間違いなく、大波乱を引き起こすだろう。過去最大の参加者、前代未聞の参加者、ホウエンチャンピオンとカントーチャンピオンの参加、これは歴史に残るだろう。

 

 

 

「さてと…遂にやって来たな」

「えぇ…そうね」

 

レース当日。レース会場のスタート地点にリンドウとブルーはやって来ていた。

会場には観客と参加者を含め、大勢の人が集まっていて上空には空撮ドローンやカメラを構えたカメラマンを乗せたライドポケモンが空を飛んでいる。当然だろう、このメレメレ島で行われるパンケーキレースはアローラ全域で生放送される予定で、大きなお祭りなのだ。

 

ふと、ブルーは受付した時に貰ったパンフレットを見る。パンフレットには事前に参加を決意して、事前に登録した参加者ペアの名前が載っているのだ。勿論、そこにはリンドウとリーフィア、ブルーとカメックスの名前も書かれている。

 

「結構、知ってる人も出るわね」

「当然だろ?このパンケーキレースはアローラ全域で生中継される。レースだけど、アローラの町興しを兼ねたお祭りなんだよ」

 

リンドウはブルーと共に参加者名簿を見る。

 

参加者

 

リンドウ&リーフィア。

 

ブルー&カメックス。

 

ククイ&ウォーグル。

 

ノア&ライチュウ。

 

オーキド・ナリヤ(オーキド校長)&ネッコアラ。

 

サトシ&ピカチュウ。

 

セレナ&テールナー。

 

レッド&ピカチュウ。

 

ブラック&レシラム。

 

アセロラ&ミミッキュ。

 

マオ&アマカジ。

 

スイレン&アシマリ。

 

マーマネ&トゲデマル。

 

カキ&バクガメス。

 

リーリエ&ロコン。

 

ケイネ&ズガイドス。

 

サオリ&カイリキー。

 

ムサシ&ミミッキュ。

 

コジロウ&ヒドイデ。

 

特別参加枠ラティアス&イワンコ。ピッピ(ギエピー)&キテルグマ。

 

とリンドウ達と日頃から関わりが有る人達だけで、こんなに参加するのだ。

 

「皆…出るわね」

「おい、見てみろ。卒業生やけーねの教え子も出るぞ」

 

イリマ&イーブイ。

 

ローラン&ギルガルド。

 

オリヴィエ&グレイシア。

 

マリサ&ムウマ。

 

レイム&ウルガモス。

 

メグミン&ニャビー。

 

アストルフォ&ワシボン。

 

ヒロキ(あばれる君)&ドロバンコ。

 

チルノ&タマザラシ。

 

「レイムのメラルバがウルガモスに進化しとるだと!?」

「所でリンドウ、このサクラって子とサクヤって子は?」

「イリマの同期の卒業生だな。因みにサクラはアストルフォの姉だぞ」

 

サクラ&トリトドン。

 

サクヤ&マフォクシー。

 

サナエ&フシギソウ。

 

マクワ&セキタンザン。

 

サイトウ&カポエラー。

 

イモト&ナッシー。

 

「…オリヴィエ君の彼女が居るわよ」

「観光客も出るからな」

 

このレースは様々な人が参加する。参加ペアは100を越えており、最後のポケモンだけで走る所にたどり着きゴール出来るのはこの中でも極僅かである。

 

『出場選手はパンケーキを受け取りに来てください!間も無く、レース開始時刻です』

 

では此処でポケモンパンケーキレースのルールを改めて説明しよう。

 

原則、ポケモンとトレーナーのペアで参加すること。パンケーキを運んでいる道中に皿からパンケーキが崩れたり、落ちたりしたら即失格である。勿論、落ちそうなパンケーキを直接触ったりしてもルール違反で失格。

 

レースは全部で3つ。先ずトレーナーだけで走り、障害物等を越えていく。

次にパートナーであるポケモンが乗ったカーゴを引っ張り、険しい坂を登っていく。このレースからパートナーにパンケーキの乗った皿を持って貰う。

最後にポケモンだけでパンケーキをゴールまで運ぶレースである。

 

さあ…アローラ最速のパンケーキレースを今こそ始めよう。

 

 




次回!パンケーキレース…開始!!そして、いきなり最初の脱落者がポケモンスクール関係者から出る!?


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33時限目

爆走する彼等。


「リンドウさん?どうして俺達は最前列じゃなくて、真ん中らへんなんですか?」

 

パンケーキレース開始直前。スタート位置に着いているポケモンスクール組。しかし、彼等はリンドウのアドバイスで最前列のグループではなく、少し下がった真ん中位の所に居る。

勿論、スタートするなら最前列が有利だろう。しかし、あろうことかリンドウは真ん中が良いと生徒達全員に言ったのだ。

 

「始まって2秒で分かるから安心しろ」

 

疑問を投げ掛けたブラックに向けてそう言うリンドウ。既に彼等はお皿に盛られたパンケーキを持っており、何時でもスタート出来る。

 

「えっ?」

「最前列に居たら…直ぐにリタイアしてしまう危険も有るからな。サオリ先生以外は」

 

リンドウは去年のパンケーキレースを思いだし、溜め息を吐き出した。だが、憂鬱で過ごせる時間を時は与えない。何故なら、もうスタートしてしまうからだ。

 

『では…パンケーキレーススタートです!!』

 

号砲と共に始まったパンケーキレース。勿論、パンケーキ食べ放題の年間パスを手にするためか、大勢の参加者は一斉に走り出す。しかし…突如として最前列のグループが弾けるように吹き飛んだ。吹き飛んだ参加者の中にはヒロキことあばれる君の姿も有ったのだ。

 

「だから言っただろ?」

 

予想外の事態に、サトシとブラックは唖然とする。何故なら最前列にはこの御方が居たためだ。

 

「年間パスは私の物よ!!」

 

霊長類最強女子ことスーパーマサラ人を上回る瞬発力の持ち主、サオリ先生である。

サオリはスタートの合図と共にコンクリートを蹴って瞬時に加速したのだ。そのコンクリートを蹴った時の衝撃波で最前列…それもサオリの直ぐ側に居た参加者は衝撃波で吹き飛び、見事にお皿からパンケーキが落ちた及び吹き飛んだ為に失格と成ってしまった。

 

ぐんぐんと加速するサオリ。

 

「それじゃあ…俺達も行くか」

 

最前列の選手(サオリ以外)がリタイアしたのを見てから、リンドウ達も一斉に走り出す。

 

先ず、スーパーマサラ人であるサトシとレッド、マサラ人であるブルーとリンドウが前に出て加速していく。その後ろをスーパーイッシュ人(スーパーが付いてもマサラ人より弱い?)であるブラック、伝説のポケモンで人モードのラティアス、昨年チャンピオンのノアが出てきた。その後ろを更にククイ博士やマオ、オリヴィエ、イリマが追い掛け、その後ろをスイレン達が追い掛ける。

 

しかし、一人…置いてけぼりを喰らってしまった人が居た。それは…

 

「皆!!待ってよ!置いてかないで!!」

 

リンドウのクラスの一人であり、電気タイプの使い手であるマーマネであった。

ぶっちゃけると、マーマネは運動が苦手だ。それ故か第一レースのトレーナーだけの区間で大きく皆と差が付けられてしまった。

 

「お先っピ!」

 

マーマネ…アローラに来てからメタボの階段を再び歩みだしたギエピーにも抜かされる。

 

だが、マーマネは急ぎたくても急げない理由が存在していた。それはマーマネ自身の体力と言うよりも、パンケーキであった。パンケーキは重心を確りとしてないと左右に揺れてしまい、ほんの些細なきっかけで崩れてしまう。事実、マーマネの後ろではバランスを崩してパンケーキを溢してしまい、失格と成ってしまった選手達が居たのだ。

 

「失格には成りたくない!トゲデマルが待っているんだ!」

 

マーマネにはトゲデマルが先に進んだ所で待っている。彼女(トゲデマルはメスです)の為にも負けられないのだ。

 

その頃、先頭を突っ走るサオリを視界に納めたリンドウ達は障害物…平均台に差し掛かっていた。

 

『おっと!毎年…この区間と次の区間だけ先頭を行くサオリ選手は兎も角、ホウエンチャンピオンに戻ったリンドウ選手、カントーチャンピオンのレッド選手、そしてリンドウ選手の教え子の皆さん、ククイ博士、次期イッシュチャンピオンのブラック選手に特別参加の人に変身できるサトシ選手のラティアス選手は平均台に差し掛かった!!』

 

実況が告げ、リンドウ達は平均台に差し掛かる。リンドウ達はパンケーキを更に多重に乗せており、少しのバランスを崩せばパンケーキは崩れてしまう。

その状態で平均台を渡るのだから、此処で多くの選手は脱落してしまうだろう。

 

「……!!」

 

だが、あろうことか最初に渡ったのはレッドだ。レッドはジャンプするように平均台を渡り、僅か2歩で平均台を渡ってしまった。

 

「待てレッド!」

「逃がさないわよ!!」

 

そんなレッドを追い掛けるため、リンドウとブルーも走って平均台を渡りきる。

 

「待てよ3人とも!!」

 

そしてククイ博士が渡りきり、残ったのはノアとサトシ達生徒軍団だ。

 

「俺達も行くぞ!!」

 

サトシ達は渇をいれて、リンドウ達を追い掛ける為に平均台を渡りきる。しかし、この中で一番運動に馴れていないリーリエがこの平均台で遅れてしまう。

 

「皆さん!先に行ってください!!」

 

リーリエ、サトシ達に後を託して自分のペースで進みだす。これはお祭りでも有り、自分のペースで進んでも良いのだ。とは言え、年間パスが本気で欲しいリンドウ達は全力で突き進むだろう。

 

リンドウ達が先に進んでから暫くし、マーマネが平均台にやって来た。マーマネの視線には何とか平均台を渡りきったリーリエが見えており、リーリエはマーマネに気付かず先に行ってしまう。

 

「まって!!」

 

マーマネも急いで平均台を渡ろうとするが、足を踏み外してしまい、マーマネは落ちてしまった。落ちた衝撃で皿からパンケーキは落ちてしまい…マーマネはリタイアである。

 

一方その頃…リンドウ達はポケモン達が待つ区間にやって来た。

この区間ではパートナーであるポケモンにパンケーキを託し、リンドウ達はパートナーが乗ったカーゴを引っ張って長い登り坂を登る区間である。

 

「おい…ちょっとまて…これは本当にキテルグマなのか?」

 

しかし、ギエピーのパートナーと思われるキテルグマは何処から見てもキテルグマではなく…キテルグマ?であった。中に誰かの気配を感じるし、何より除き穴のような物まで有ったのだ。

 

「リンドウ!先に行くわよ!!」

「カメ!!」

 

だが、大事なパンケーキ年間パスが掛かっている。その為にリンドウとブルー、そしてサトシ達は先行するレッドとサオリを追い掛けるのだった。

 

約2名を除いて。

 

「お前達!俺の事はほっといて先に行け!!」

 

重量級のポケモンを選んでしまった、選ばずには居られなかったカキとブラックである。

 

バクガメスの重さは200㎏以上、レシラムに至っては300の大台に乗っている。バクガメスとレシラムはカイオーガやハガネールと比べるとそこまで大きくなく、教室で普通に寛げる大きさだ(バクガメス 2メートル、レシラム 3メートル)。

 

「そうだ!!先に行くんだ!!」

 

登り坂に差し掛かり、カキの足は完全に停まってしまい、ブラックの歩みも遅くなる。と言うか、登り坂に差し掛かる所までバクガメスとレシラムを引っ張れただけで2人も充分に人間を辞めてる

 

女性で有りながらカメックスを引っ張り爆走するブルーお姉さん?彼女はマサラ人なので例外。

 

「…ゴメン!!行くぞ、皆!!」

 

サトシ達は覚悟を決めて前を振り向き、軽量級のピカチュウ達を引っ張って先に進む。前方を大人げなく爆走するリンドウ達の背中を見てだ。

 

カキの足は完全に止まってしまったが、徐々にブラックは前に向けて進んでいる。ほんの僅かなスピードだが。

 

 

一方その頃、後続グループだったケイネと彼女の生徒達(あばれる君は除く)とムサシとコジロウはポケモンと共に走る第二区間の所にやって来た。

 

しかし…

 

「ヒドイデ!!ヒド!!ヒド!!」

「ちょっま!?ヒドイデ!!アーーーー!!」

 

コジロウ。自分の事が大好きなヒドイデに飛びかかれ、パンケーキを落として失格。

 

「マタドガスかマイーカで出れば良かったじゃない。所でニャース知らない?」

「私達も知らないぜ?」

 

どうやら、ムサシとコジロウもニャースの居場所が分からないようだ。当然であるニャースとソーナンスは…

 

「ヤロー…滅茶苦茶重いっピ。グリーンのドサイドンと同じぐらい重いっピ」

 

ギエピーが引っ張るカーゴ…そのカーゴに積載されたキテルグマ?の中に居るのだから。

 

「当然ニャ。このキテルグマ君には最新型のニトロターボエンジン等が積まれていて超加速の回転に耐えられるチェーンやモーター、そして摩擦熱にも耐える特別製のタイヤを使ってるニャ!」

「ソーナンス!!」

 

この3匹…当たり前だが反則してた。登り坂さえ終われば、ターボエンジンで一気に加速し、優勝を貰う予定である。

 

 

一方、リンドウは…

 

「後は頼むぞ、リーフィア。レッドのピカチュウを頑張って追い抜いてくれ!俺達はゴールで待ってるからな」

「フィー!!」

 

第二区間を終らせ、リーフィアの戦いが始まろうとしていた。




次回!ポケモン達の爆走。

勝つのは誰だ!?ギエピーかリンドウか、レッドか、それともブルーとサトシか!?


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34時限目

明けましておめでとうございます。


先頭をバグチュウことレッドのピカチュウが走り、その後ろ200メートル差を付けられてリンドウのリーフィアが走る。

 

『おっと!!試合は正にデッドヒート…では有りませんが、カントーチャンピオンとホウエンチャンピオンのパートナー同士の一騎討ちと言っても過言では有りません!!

ですが、パンケーキレースは毎年何が起こるのか分かりません!!他のポケモン達も優勝できる可能性は充分に有ります!!』

 

パンケーキレースは毎年、何が起こるのか分からない。今はリンドウのリーフィアとレッドのピカチュウの一騎討ちと言える状況だが、何が起こるのかは分からない。何らかのアクシデント等で、他のポケモン達が優勝するという可能性も捨てられないのだ。

 

この第三区間ではトレーナーは一切の指示を出すことが出来ない。その為に、第二区間をクリアしたリンドウやブルー達、そして他のトレーナー達はゴールテープの先でポケモン達を待ちながら、モニターを見守るしか出来ない。

 

「頼んだぞ…俺達の年間パスはお前に掛かっている」

 

モニターを見つめ、リンドウはリーフィアの戦いを見る。既に彼の側にはブルーやサトシ達…教え子達が集まっており、リンドウの関係者で第二区間を終らせていないペアはブラックとカキだけであった。

 

無理も無い。カキはバクガメスを選び、ブラックはレシラムを選んだのだ。どちらも100㎏処か200を越えており、レシラムに至っては300を越えている。重量級故に第二区間で止まってしまっているのだ。

 

「皆…お待たせ…」

 

すると…くたびれた声が聞こえ、声の方を見るとなんとブラックがやって来たのだ。それにブラックは満身創痍と成っており、側にレシラムは居ない。だとすると、レシラムを引っ張って第二区間を終らせたという前代未聞の記録を打ち立てたのだ。

 

「ブラック…残念なお知らせだけど、レシラム…早速リタイアしたみたいよ」

 

ふと、ブルーが苦笑いを浮かべてモニターを指差す。そのモニターは未だ第三区間の前半を走るポケモン達を映したモニターであったが、自分の速度が速すぎて空気抵抗を受けてパンケーキを落としてしまったレシラムが映っていた。

恐らく、レシラムはブラックの思いを受け継ぎ…最高速度を出そうとしたのだろう。確かにレシラムが最高速度を出せば一瞬で優勝できるが、同時にあまりの速さに空気抵抗などが産まれる。何時もは炎の壁で空気抵抗等を抑えているが、今回はそれが許されず…普通に最高速度を出した結果…見事にパンケーキは崩れてしまったのだ。

 

ブラック&レシラムリタイア。

 

一方その頃…第三区間に突入したギエピーチームのキテルグマ?の中に入っているニャースとソーナンス。2人はリーフィアとバグチュウを抜かすために、秘密の装置を起動させた。

 

「さてと行くニャ!ニトロターボ!!発動ニャ!」

「ソーナンス!」

 

ニャースが備え付けられたボタンを押すと、キテルグマ?ことキテルグマ君の尻尾が開き、そこからスラスターのような物が出現する。すると、そこから炎を吹き出してキテルグマ君は一気に最高速度の200kmまで加速した。

 

「ニャハハハハ!!」

「ソーナンス!!」

 

しかも、キテルグマ君の右手に持たれたパンケーキのお皿は特別技術で密着しており、どんなに速度を上げても落ちることは無い。つまり、ニャースとソーナンスはキテルグマ君の速度をどんなに上げてもパンケーキが落ちることなく、加速できるのだ。

 

キテルグマ君はどんどん進んでいき、やがては車輪から火花を撒き散らす程に加速する。

 

そして、サトシのピカチュウ、昨年度覇者のライチュウ等々の参加者を抜き去っていく。

 

既にゴールは目の前、ニャースの視界にはゴールテープと先頭を走るバグチュウにバグチュウを追い掛けるリーフィアが見えてきた。

 

「この勝負!!ニャー達の勝ちニャ!!」

「ソーナンス!!」

 

リーフィアを…バグチュウを抜き去り、キテルグマ君は先頭に出た。優勝したのも同然だ、ゴールまで100メートル、誰もキテルグマの勝ちを停められない。

 

「ふっ!!僕達の勝ちだっピ!」

 

勝ち誇ったギエピー。しかし…突如として

 

「キーーー!」

 

と声が聞こえてきて、何かがゴール付近に降り立った。それはムコニャの衣食住の面倒を見ている、メレメレ島最強の存在であるキテルグマさん。彼女は不正を働いたニャースとソーナンス序でにギエピーを制裁し、お仕置きしてニャースとソーナンスを回収する為に現れたのだ。

 

「やめるっピ!!」

 

キテルグマの意図を理解したギエピーはキテルグマを止めるために、コースに飛び出す。だが、無情にもキテルグマの繰り出した見えないほどの速度を誇る拳を喰らい…

 

「ギエピー!!」

 

ギエピーは星に成った。ギエピーはキテルグマさんの拳を受けて、空の彼方に吹き飛んでしまって。まあ、ギエピーはギャグ補正の塊で出来たギャグポケモンだから、数日経てば勝手に復活してるだろう。

 

次にキテルグマさんは本来のターゲットである、キテルグマ君に狙いを定めた。そして、キテルグマ君に渾身のラリアットを喰らわして…キテルグマ君は無惨な姿に成って爆散する。

すると…爆煙の中から何事も無く、右手にソーナンスとニャースを確保したキテルグマさんが出てきたのだ。

 

『おーと!!キテルグマは偽物だったようです。勿論、ルール違犯なので失格です』

 

ギエピー&ニャースとソーナンス…失格。

 

「キー!」

 

キテルグマさんはニャースとソーナンスを確保すると、地面を蹴って何処かに飛び去った。

 

その様子を唖然と見ていたリーフィアとバグチュウであったが、その隣を転がりながらパンケーキを運ぶ何かが通り過ぎる。

 

それは…運良く此処まで転がってきたオーキド校長のネッコアラであった。

 

「ピカッ!?」

「フィー!?」

 

バグチュウとリーフィアが反応するが、既に遅い。優勝はオーキド校長のネッコアラが頂いてしまった。

 

 

午後4時。

 

大会も終わり、参加者の多くは大会から出された美味しいパンケーキを食べている。

 

「おい、ちょっとまて。カキは?」

「「「あっ」」」

 

だが、この場にカキは居ない。当然だ、カキは未だ…一人でレースを行っていたのだ。

 

第二区間の登り坂…をカキは未だバクガメスを引っ張りながら登っていた。

 

「絶対に棄権はしないぞ!!」

 

カキ…後日、大会側からがんばリボンと、努力賞としてパンケーキ限定で使える食事券を手に入れる。

 

 

 

 

 

アローラ国際空港。そこのロビーで…

 

「「「「あっ…」」」」

 

リーグ本部の仕事でやって来たカントー四天王と、アデクからの指令でブラックの様子を見に来たイッシュ四天王は見事に遭遇していた。

 

だが…

 

「留守番とは解せぬ」

 

カントーのmuscle四天王と、イッシュの格闘使い。奇しくも似たタイプを使う2人は留守番と成っていた。




次回!!

四天王降臨(シバとレンブ以外)。そして始まる…カントー対イッシュ!?


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35時限目

カントー対イッシュ!?


パンケーキレースはオーキド校長の優勝で終わりを告げて、数日後。

 

今日も今日とてメレメレ島ポケモンスクールでは子供達が学び、子供達に指導を施す教員達も物事を教える立場から新しい事を学ぶ日々が続いている。

 

職員室では教員の皆様が勉学を教える準備をして………居なかった。

 

「よーしよーし!可愛いロコンちゃんですね!炎のロコンは懐かしいわ!私も一時、カントーを旅してた子供の時は手持ちに入れてたのよね!

今はキュウコンに進化してオーキド研究所に居るけど、やっぱりロコンは可愛いわ!」

「こーん!!」

 

何故なら、オーキド校長が世話をしていた卵が遂に孵ったのだ。勿論、オーキド校長が育てていた卵からもロコンが産まれたのだ。

元々はこのロコンの卵とシロンの卵を用いて、卵から産まれる命の事とロコンのリージョンフォームの事を学ぶ取り組みだったのだ。

 

そのロコンは現在…所用で席を外したオーキド校長とククイ博士の代わりに、リンドウ達が職員室で面倒を見ており、今はブルーが遊び相手に成っている。

 

「もしかしたら、特別授業が入るかもな」

 

ブルー、そしてブルーと遊ぶカントーのロコンを眺めてリンドウはそう囁いた。そう、今日は特別授業が入るかも知れないのだ。

何故なら、このメレメレ島ポケモンスクールには普段は絶対に訪れない特別ゲストがやって来ている為である。

 

それはカントーの四天王、イッシュの四天王だ。とは言え各四天王で来てるのは3人づつであり、1人…計2人は各々のリーグでお留守番している。

 

カントー四天王で来てるのはカントーリーグこと、ポケモンリーグ本部の3人であり、少なくとも世界上位から数えた方が早い程の腕前を持つトレーナーだ。

赤い髪にナイスバディが特徴で眼鏡を掛けたお姉さん、カンナ。老いを感じさせないゴースト使いの大ベテランのお婆さん、キクコ。毒タイプのエキスパートで、元ジムリーダーのお父さん、キョウ。

 

そして、イッシュリーグの四天王ので来てるのはこの3人だ。超能力者で1日に物凄く眠る、イッシュの眠り姫でありエスパー使いのお姉さん、カトレア。副業小説家であり、ブラック及びNを題材にした小説を書いた事が有るゴースト使いのお姉さん、シキミ。悪タイプの使い手であり、趣味がギャンブルとサーフィンのお兄さん ギーマ。

 

彼等は全員が各々のリーグで圧倒的に強いトレーナー達であり、レッド…そして後々にブラックに挑む資格が有るトレーナーなのかを最後に見る関門でも有るのだ。

 

先ず…ポケモンリーグのチャンピオン(リンドウ、レッド)に挑む為には指定されたリーグのジムバッジを集めなければ成らない。その後、年に一度行われる各々のリーグで優勝しなければ成らない。

優勝すると、出たリーグの四天王に挑戦する権利を与えられ、その四天王全員を倒すとやっとチャンピオンに挑戦できるのだ。

 

「カントー四天王を倒しても、レッドが待ってる(無敗)。ジョウト四天王を倒しても、ワタルさんが待ってる(レッド以外無敗)。シンオウ四天王を倒しても、ダメナさんが待ってる(無敗)。ホウエン四天王を倒しても俺が居るしな(無敗)…」

 

リンドウやレッドはあっさりチャンピオンに挑み、あっさりチャンピオンに成った。

とは言え…旅に出てその年のリーグにチャンピオン(次期チャンピオン)に成ったのはレッドとブラックの2人だけであり、リンドウを含めてシロナやワタル等のチャンピオン達も数年は経験を積んでからチャンピオンに成ったのだ。

と言うのも、旅に出たその歳にポケモンリーグに出たリンドウやブルー、グリーン、そしてレッドとサトシ…他地方を含めればブラックやNがイレギュラーと言えるのだ。

 

「そうよね…私達は雑誌にも載って話題に成ったけど、世間じゃ普通は20代前半で初めてリーグに挑む物だからね」

 

ブルーがロコンの顎の下を撫でてそう言う。ロコンは気持ち良さそうだ。

 

「そういや、ブルー。確かサトシはグリーンの弟の他に、同じ日に旅に出た子が2人居たな?」

「2人とも…未だカントーリーグに挑めて無いわよ。今はアンズちゃんの所で苦戦してるって」

 

サトシとシゲルと共に旅に出たトレーナーは2人居る。しかし、その2人はサトシとシゲルと異なり、未だカントーのジムバッジを全部集めれていない。これが普通…いや、その歳でジムバッジを複数集めれたのだから、むしろかなり早い。

 

「遅いとか言えないよな。俺達がリーグに出たときも、周りは大人ばっかりだもんな」

 

リンドウ達がカントーリーグに出場した際、未成年はリンドウ達4人だけ。周りは全員大人、右を見たら青年、左を見たらお姉さん、前を向いたらオッサンという状況だったのだ。

 

「だよね…てか、ククイ博士にオーキド校長遅いわね?もしかすれば、特別授業かも知れないから…職員室に待機とか言われてもね」

 

はぁ…とブルーが溜め息を吐きながらそう言うと、何処からピンポンパンポーンと音が聞こえる。この音は校内放送が流れる際に流れる音だ。

 

『ごほん!どうも諸君!オーキド校長ダンゴロ!さてと、突然だが予定の変更があルンパッパ!

全校生徒と全職員は今から運動場に集合してほしいナッシー!!』

 

何時ものポケモン駄洒落を組み合わせた放送を流したオーキド校長。集合と言われれば、行かねば成らないだろう。

 

いざ、リンドウを含めた全職員及び全校生徒は運動場に出てみる。既に多くの生徒達は外に出ており、オーキド校長とククイ博士はとある集団と横並びに並んでいた。

そのとある集団とは、レッドとカントー四天王…ブラックとイッシュ四天王である。オーキド校長とククイ博士を真ん中、そして右側にレッドとカントー四天王、左側にブラックとイッシュ四天王が並んでいた。しかし、ブラックは余りの緊張で顔色が悪そうだ。

 

「ブラックの奴…何があった」

「それよりも、リンドウ!こういう時はどうするの?」

「生徒達をクラス毎に整列させる。まぁ、見ておけ」

 

その後、学舎から出てきたサトシ達生徒を、担任を受け持つリンドウ達はクラス毎に整列させる。

全ての生徒が整列した所で、ククイ博士は咳払いを行い…全校生徒とその担任達を見回して口を開いた。

 

「皆!このアローラにカントー地方とイッシュ地方の四天王が来てるのは知ってるな?

四天王はポケモンリーグが有る地方に四人だけ居る、リーグ公認のトレーナーの中でもジムリーダー(グリーン以外)よりも強いトレーナーなんだぜ!

今日は特別授業として、カントー四天王とイッシュ四天王、そしてカントーチャンピオンと次期イッシュチャンピオンのバトルを見てほしい。カントーチームはチャンピオンであるレッドさんを大将として、その下にカントー四天王。イッシュチームは次期チャンピオンであるブラックを大将として、その下にイッシュ四天王だ。

1人1匹づつポケモンを使い、4対4のスペシャルマッチだ!」

 

レッドとカントー四天王、ブラックとイッシュ四天王の対決。勿論、そのドリームマッチを見たい生徒達は一斉に黄色い歓声を上げて『見たい!!』と叫んだ。

 

「俺もだ。リンドウ先生に匹敵する凄いポケモントレーナーの勝負が今日、タダで見れるぞ!!」

 

そして…

 

運動場にあるバトルコート。その対局の位置にカントーチームとイッシュチームが立ち、カントーの先鋒は最高齢のキクコ、対するイッシュは同じくゴースト使いのシキミである。

 

審判を務めるのは我らが学年主任のククイ博士であり、博士が合図を出すと…シキミとキクコは同時にボールを投げてパートナーを繰り出した。

 

「行きな!ゲンガー!!」

「行きなさい!シャンデラ!!」

 

キクコが繰り出したのはゲンガー。カントー地方を始めとし、様々な地方で確認されるゴーストタイプのポケモン。タイプはゴースト・毒であり、今話題のフェアリーに対して有利に戦えるが…毒故にエスパーの技も大ダメージを受けてしまうポケモンだ。だが、浮遊の恩恵で地面技を基本的に受けず、高い戦闘力が特徴である。

 

シャンデラ。シキミの切札であり、イッシュを原産地とするゴースト・炎タイプのポケモンだ。ヒトモシの最終進化系であり、ゴーストタイプ処か炎タイプ最高クラスの特殊攻撃力が特徴だ。その特殊攻撃力の高さは、メガシンカや伝説に匹敵する。

 

「「シャドーボール!!」」

 

シキミとキクコ、奇しくも同じ技を選択し…シャンデラとゲンガーは闇の球体を同時に発射する。

放たれた闇の球体はお互いを相殺……せずにシャンデラのシャドーボールがゲンガーのシャドーボールを粉砕してゲンガーに迫る。

 

「ゲンガー!シャドークローで逸らしな!」

 

キクコは新たに指示を出して、ゲンガーは右手に闇を纏う。そして、シャドークローでシャンデラのシャドーボールを逸らしてシャンデラに接近する。

シャンデラは確かに強力なポケモンだ。だが、近接戦闘なら明らかにゲンガーの方が強い。

 

「シャンデラ!炎の渦!」

 

だが、相手は同じく四天王。近接戦闘に持ち込まれた際の対策などは既にしている。

炎の渦がシャンデラを中心に展開され、近付いていたゲンガーはダメージを受けてしまう。

 

「ゲゲゲ!?」

「今です!シャドーボール!!」

 

特攻オバケ(二重の意味)であるシャンデラのシャドーボール。その威力は桁違いであり、直撃を受けたゲンガーは致命傷なダメージを受けてしまう。しかし、未だゲンガーは倒れない。

 

あろうことか、ゲンガーはシャンデラにしがみつき…何かを行おうとしている。

 

「なっなにを!?」

「ゲンガー!最後の足掻きだよ!道連れさ!」

 

道連れ…それはゴーストタイプの技であり、瀕死になる攻撃を受けた際に相手も一緒に道連れにする技である。その技を用いた時、ゲンガーは倒れてしまい…同時にシャンデラも倒れてしまった。

 

「ゲンガー!シャンデラ!両者戦闘不能!!」

 

ククイ博士の宣言で、シキミとキクコは引き分け。

 

「良し…私が行こう」

「ならば…次は拙者である」

 

カントーチームはキョウ、イッシュチームはギーマだ。

キョウとギーマは同時にボールを投げて、パートナーを同時に繰り出した。

 

キョウのパートナーはクロバット、ズバットの最終進化系であり…毒タイプ最速クラスのポケモンであり、タイプは毒・飛行だ。

対するギーマはキリキザン、コマタナの進化系でタイプは鋼・悪とキョウのクロバットに対して絶対的な有利を得ている。

 

「キリキザン!剣の舞い」

 

キリキザンは先ず始めに剣の舞いを行う。御存知、攻撃力をぐーんとupさせる積み技であり、これを行う事でより多くのダメージを与えることが出来るのだ。

 

「ファファファ。クロバット、影分身」

 

すかさず、クロバットは影分身を行い…自身の残像を幾つも生み出す。影分身は回避率を上昇させる技であり、これを行う事で相手の攻撃を回避し、此方のダメージを与えることが出来るのだ。

 

幾重にも増えるクロバットの分身。その分身は本体と全く同じ動きをしており、キリキザンを翻弄する。

 

「続けてアクロバット!!」

 

アクロバット…飛行タイプの技であり、道具を持たせていなかったら威力が倍に成る技だ。

効果は今一つだが、クロバットの連続でキリキザンは次々とダメージを受けていく。

 

本体と分身の違いが見ている限りは分からない。その為か、キリキザンは連続でアクロバットの攻撃を受けていく。

 

「キリキザン…騙し討ちです!」

 

騙し討ち…それは必中の技。キリキザンはまるでヨボヨボの老人のように膝を着く。その好機を見逃すクロバットではなく、クロバットはトドメのアクロバットを放つ。

だが、その刹那…キリキザンはカウンターを決めるかのように、手刀でクロバットを弾き飛ばした。このヨボヨボとした姿は騙し討ちでダメージを与えるための演技であり、まだまだキリキザンは戦える。

 

その上、キリキザンの攻撃力は剣の舞いで上昇しており、一撃の威力はかなりの物だ。その為か、クロバットは一撃で絶大なダメージを受けてしまい…残りの体力も残り僅かで、ダメージを受けた影響で影分身も解けてしまった。

 

「辻斬り!!」

 

キリキザンがトドメを刺そうと動く。だが、キョウはマスクの裏で笑みを浮かべた。

 

「クロバット!熱風!!」

 

熱風…それは炎タイプの技であり、灼熱の熱波でダメージを与える技だ。

クロバットが翼をはためかせ、爆風がキリキザンを襲い…効果は抜群だ。キリキザンは一撃で倒れてしまった。

 

「キリキザン戦闘不能!!」

 

キリキザン戦闘不能…イッシュチームの次のトレーナーは四天王最後のカトレアだ。

 

何処から見ても眠そうなカトレア。そんな彼女を見て、教員達は大丈夫か?と疑問に思うが、彼女を知るリンドウ達は「あっ、平常運転だ」と呟く。

 

「行きなさい…メタグロス」

 

カトレアが繰り出したのはメタグロス。イッシュ地方のジャイアントホイール等に生息するポケモンであり、鍛え上げれば相応の強さを発揮する。

 

コートに降臨したカトレアのメタグロス。それを見てキョウと彼のクロバットは身構える。

タイプ相性は圧倒的にメタグロスが有利だが、悪タイプやゴーストタイプの技を使えば…クロバットでも充分にメタグロスにダメージを与える事が出来る。

 

「クロバット!か「メタグロス…バレットパンチ」なぬ!?」

 

メタグロスから放たれる弾丸のようなバレットパンチ。疲弊したクロバットでは避ける事は叶わず、クロバットはその一撃で倒れてしまった。

 

「クロバット!戦闘不能!」

 

クロバット戦闘不能…これで、カントーチームも最後の四天王が出てきた。

 

「さてと…私の番ね」

 

カントーが誇る最強の氷使いカンナはそう言うと、腰に提げたモンスターボールを手に取り、ボールを投げてパートナーを繰り出した。

 

「いきなさい!ラプラス!!」

 

カンナが繰り出すのは彼女の切札であるラプラス。その吐息は白く、触れただけで凍りそうだ。

 

「ラプラス!絶対零度でフィールドを変えなさい!!」

 

カンナはいきなり、大技を繰り出した。絶対零度、御存知…氷タイプ最強の技であり、威力は一撃必殺。

ラプラスはそれを用いて、フィールドを氷の世界へと変えていく。

 

「メタグロス…電磁浮遊」

 

対し、メタグロスは電磁浮遊で浮かび上がり、氷の魔の手から逃げる。

メタグロスは電磁浮遊で空を飛び、難を逃れたがコートは氷の大地へと姿を変えて、ラプラスに対して絶対的に有利と成った。

 

「ラプラス!氷を滑って移動しなさい!!」

 

ラプラスは氷の上を滑り、高速で移動する。

 

だが、電磁浮遊で飛ぶメタグロスには氷の大地は関係無い。

 

「メタグロス!アームハンマー!!」

 

メタグロスは空を高速で移動し、ラプラスに拳を振り下ろす。

 

「ラプラス!リフレクター!!」

 

ラプラスはリフレクターを展開し、その壁でアームハンマーを防いでしまった。

 

「ラプラス!絶対零度!!」

 

零距離で放たれるラプラスの絶対零度。圧倒的な威力を誇る冷気は瞬く間にメタグロスを凍てつかせ、氷像に変えてしまった。

 

「メタグロス!戦闘不能「それは早いですわ」えっ?」

 

刹那、氷が砕かれてメタグロスが復活した。

 

「メタグロス!ギガインパクト!!」

 

零距離で放たれたギガインパクト。リフレクターを粉砕して、ラプラスに絶大なダメージを与えた。

大地の氷を粉々に砕き、辺りに氷の欠片と砂煙が舞う。

 

砂煙が風で消え去ると…そこには倒れ付したラプラス、四本の足で立つメタグロスの姿が有った。

 

だが、メタグロスも力尽きて…その場に倒れてしまった。

 

「メタグロス!ラプラス!戦闘不能!!」

 

最後は大将戦だ。

 

「ピカチュウ。行ってこい」

 

レッドは早速ピカチュウことバグチュウを繰り出した。

 

「レシラム…頼めるか?」

 

それに対し、ブラックはレシラムを繰り出す。レシラムはブラックの問いに答えるように頷き、バトルコートに降り立った。

 

「レシラム!火炎放射!!」

 

レシラムは口から火炎放射を放ち、火炎放射は真っ直ぐにピカチュウに向かって突き進む。だが、百戦錬磨のピカチュウは容易く回避し、右の拳を握る。

 

「爆裂パンチだ」

「ピッカ!!」

「距離を取るんだ!」

 

近接戦闘は明らかに不利、それはバグチュウの今までを見てきたブラックとレシラムの感想だ。

しかし、2人の想像以上にバグチュウは強すぎた。連続で爆裂パンチを放ち、レシラムに大ダメージを与えるピカチュウ。

 

開始数秒でレシラムは限界だ。だが、何かを感じたのか…バグチュウは突如として距離を取った。

 

「なんだ?」

 

その異変に次に気付いたのはリンドウ達だった。何やらブラックもおかしい…まるで、レシラムと同じくダメージを受けたのか、腹部を突如として抑えだしたのだ。

 

「モエルーワァァァ!!」

 

突如…レシラムが空に向けて咆哮を挙げる。すると、レシラムは青い炎に包まれ、青い炎が消え去ると…中から姿を大きく変えたレシラムが出てきた。

 

「あの姿は…キュレム?いや、違う」

 

その変化を見て、初めて口を開いたのはサトシだ。サトシは過去、レシラム、ゼクロムと共に産み出されたドラゴン…キュレムを思い出す。

サトシが出会ったキュレムは思い思いに姿を変えることが出来て、今のレシラムはキュレムがレシラムの力を用いて変身したホワイトキュレムに似ていたのだ。

 

だが、キュレムの氷としての肉体はなく、レシラムをホワイトキュレムのような姿に変化させたと言った方が良いだろう。

 

――どうやら…昔の私を…より、私向きにしたような姿だな?

 

「レシラム!?」

 

――ブラック。貴方の思考は私には何故か共有出来る。それを利用して、今の私の技を貴方に伝える。今の私なら…ゼクロムとキュレムと1つだった頃の技が使える筈だ。

 

どうやら…今の姿は過去のレシラムとゼクロムとキュレムが合わさった本来のポケモンとしての姿を…レシラム純度100%にしたような姿だ。

 

「良し!レシラム!!コールドフレア!!」

 

レシラムから伝えられた技をブラックは指示し、レシラムは口から全てを凍てつかせる炎を吐き出す。

 

「……ピカチュウ…レウスとグリーンのバンギラス以来だな。本気を出すのは」

「ピカッ!!」

 

次の瞬間…ピカチュウは黄色い閃光に包まれ、最終的に立っていたのは…黄色い悪魔だけだった。

 

 

 

 

 

「…レシラムのキズナ現象か…ブラックがキーストーン持ってるからって、有りかよ。

でも…メガストーンの代わりを何とか見付けないとな。レシラムとブラックの負担が大きすぎる」

 

試合後、保健室で泥のように眠るブラックを見てリンドウはそう言った。




次回!サトシがイワンコの特訓をしてる頃、ブラックは校長とリンドウに呼び出されていた!?


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36時限目

イワンコ…ゲットされる。


メガレシラム?それともキズナレシラム?様々な仮称が出てきたが、一先ずサトシとゲッコウガのサトシゲッコウガから取ってブラックレシラムとレシラムのメガシンカ?の名称は決まった。

 

翌日…昼休みの休憩時間を利用して、ククイ博士とリンドウはカロスリーグ時代のサトシのバトルを見つつ、最近何やらインパクトが少なってきたロトムが観測したレシラムとブラックのデータを見ていた。

 

「どうおもう?リンドウ…」

 

ククイ博士は技等の研究を行う研究者だ。Z技等も研究しているが、Z技がメガシンカと同じくトレーナーとポケモンの信頼関係が必要だと言う事も理解している。

 

「どうと言われてもな……」

「メガシンカに限っては、俺よりも詳しい筈だ。理論やデータではなく、直感的な物なら間違いない。俺はキーストーンを持ってないからメガシンカは出来ない。だけど、お前はメガシンカを子供の頃から使ってた」

 

ククイ博士に言われて、リンドウは映像記録であるが…ゲッコウガがサトシゲッコウガに成った瞬間とレシラムがブラックレシラムに変化した瞬間を改めて見る。

 

「俺の仮説ですが……少なくともメガシンカに極めて似た現象…或いは、メガシンカの()()()()だと思います。

メガシンカには本来、トレーナーが持つキーストーンとポケモンに持たせたメガストーンが必要です。ここを見て下さい」

 

リンドウは映像を巻き戻し、ブラックレシラムに変化する瞬間で映像を止める。

 

「この時…ブラックの右腕に填められたメガバンクルのキーストーンが反応して光を出してます。ですが、トレーナーとポケモンを繋ぐべきメガストーンが無いにも関わらず…うっすらな光ですが、レシラムに繋がってます」

「つまり…ブラックレシラムはメガストーンを介さずに、メガシンカしたのか!?」

「恐ろしい事に、サトシはメガストーンはおろか…キーストーン無しでゲッコウガをメガシンカさせています。

俺達は其々の石を介してポケモンをメガシンカさせてますが、この2人は少なくもメガストーン無しでメガシンカを行っている。もしかすれば、これが本来のメガシンカなのかも知れません。ですが…」

 

リンドウはパソコンのコンソールを操作する。次に出たのは心拍数と血圧、体温を表した図だ。しかし、その図は誰が見ても荒れており、明らかに正常ではない。

 

「これはブラックレシラムの状態を維持している状態の…ブラックの心拍数、血圧、体温等のグラフです。ロトムが気を効かせて計測してくれましたけど、明らかに正常じゃない。肉体の負荷が半端ないですよ」

「だとすると…石を介さずに強引にメガシンカさせたから…体の負担が激しいのか!?」

「可能性は有ります。仮説ですが…メガストーンはトレーナーの負担を下げる作用が有るかも知れません。ダイレクトに繋がりませんからね。サトシとゲッコウガはともかく、ブラックはレシラムという…唯でさえメガシンカしたポケモンに匹敵するポケモンをストーン無しでメガシンカさせた。肉体の負担は俺達の想像よりも激しい筈です」

 

リンドウの仮説を聞いて、ククイ博士は暫し考える。

 

「待てよ…そう言えば…サトシゲッコウガがダメージを受けた時、サトシまでダメージを受けていたよな?

だとすると…ポケモンが持つメガストーンはメガシンカした際に、トレーナーとの繋がりのクッション材に成るのか?」

「かも知れませんね…ゲッコウガは兎も角、レシラム本人から聞いたんですけど…あのレシラムの姿はレシラム本来の姿に近いらしい。

それに…レシラム曰く、ゼクロム、キュレム、レシラムの3体に別れた際にこの3体と元のオリジナルの記録が記された遺伝子の楔と呼ばれる物が産まれたそうです。それを使えば、メガストーンの代用に成るかも知れません。とは言え、そんな直ぐに見付かりそうに無いですけどね」

 

遺伝子の楔。名前とゲームでの効果なら、リンドウは前世の知識で知っている。

この楔を使うことで…キュレムはレシラムかゼクロムを取り込む事で、フォルムチェンジする事が出来るのだ。レシラムを取り込む事でホワイトキュレムに、ゼクロムを取り込む事でブラックキュレムに進化できる。

 

しかし、この世界のキュレムは遺伝子の楔無しでホワイトキュレム及びブラックキュレムに成れるとか。

 

「念のために…考古学者の知人に遺伝子の楔の事は伝えておきますね。レシラムからも許可は貰ってますし」

 

リンドウ…ブラックの今後を考え、知人の考古学者に遺伝子の楔の事をメールで伝える。リンドウの知人で考古学者は2人居ており、1人はシンオウ地方の愛称ダメナさん、もう1人はアララギ博士のお父さんで愛称はパパラギ博士である。

 

(というか…パパラギ博士はレシラムとゼクロムの神話を調べていたし、遺伝子の楔に関しても何か知ってるかも知れないしな)

 

とは言え、ブラックレシラムの事は一先ず置いておこう。

 

「そういや、ククイ博士。サトシから聞いたけど…あのイワンコ、居候だったんですね」

 

そう、ククイ博士のポケモンかと思われていたイワンコ。実はククイ博士のポケモンではなく、居候だったのだ。

随分と前からククイ博士の家に居座っており、随分と懐いていた為にリンドウもククイ博士のポケモンかと思っていたのだ。

 

「ああ!ポケモンフーズをやったら、着いてきてな。その流れって奴さ。なあ…リンドウ、俺はイワンコをサトシに託したいって思ってる」

 

イワンコをサトシに託したい。それはククイ博士がイワンコの為に思った事だ。

 

「サトシは俺なんかよりも、イワンコの為に頑張ってくれてんだ。サトシだけじゃない、ピカチュウもラティアスも、モクローも…ゲッコウガもリザードンも…イワンコの為に力を貸してくれたんだ。だから、イワンコは俺なんかよりも、サトシ達と居るべきなんだよ」

 

今はイワンコの事をククイ博士よりもサトシの方が思ってるし、懐いてる。自分と居るよりもサトシと居るべきだとククイ博士は判断したのだ。

 

「そうか…アンタがそうしたら良いと思ったら、そうしたら良いさ」

「ああ!そうするさ。所でリンドウ…ブラックにあの件を話すのか?」

 

あの件とはブラックレシラム関係とは別の事だ。ブラックの実力はチャンピオンクラス、ぶっちゃけリンドウとブルーを除いた教師陣全員倒せる力を持っている。

 

「俺は良いと思いますよ?ブラックの良い経験に成る」

「よーし!そんじゃあ!家庭教師ブラック君計画を始動させるか!!」

 

家庭教師ブラック君計画。それはブラックの今後の為にも、リンドウとククイ博士そしてオーキド校長が考えたポケモンスクールの新たな計画?である。

 

そもそも人は教わる事で学びもするが、教える側も教える事を通じて様々な事を学ぶのだ。

次期イッシュ地方のチャンピオンの為にも、家庭教師という役割でポケモンスクールの色んな生徒の家などに向かったり…図書館等で勉学やバトルを教えたりする催しである。

 

 

 

その日の夜。

 

ククイ博士は無事に技 いわおとしを習得して、強くなったイワンコと戯れるサトシ達を見ていた。

 

この数日間、サトシはイワンコの力に成るために献身的に力に成っていた。そんなサトシだからこそ、家族であるイワンコを授けたいと思ったのだ。

 

「なあ…サトシ…お前が良ければだが、イワンコをゲットしないか?

これは俺の我が儘だが、イワンコはお前の事を気に入ってる。それに、イワンコが強くなったのはお前達のお陰なんだ」

「でも…博士、博士はイワンコの事が大事なんですよね」

「大事だからこそ、お前に任せたいんだ」

 

この日…イワンコは運命に出会った。

 

現在のサトシの手持ち。ピカチュウ(常時確定)、ラティアス、ゲッコウガ、リザードン、モクロー、イワンコ。

 

アローラボックス(ククイ博士宅)。現在なし。

 

 

 

「ブラック、お前の今後の経験の為に家庭教師をしてもらうから。

あっ!安心しろ…アララギ博士とカトレア、アデクさんから許可は貰ってる」

「家庭教師!?」

 

ブラック…家庭教師に成る。

 

「いや…だってお前、チャンピオン級の強さ持ってるじゃん。高評価だと、オーキド校長が小遣いくれるぞ?マジで」

「喜んで行かしてもらいます!!」

 

 




次回!!ロケット団が足を洗った為か、オリジナルエピソード。

家庭教師をオーキド校長達の陰謀で始めたブラック。そんな彼にサトシとセレナが付いていく!?



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37時限目

ブラック…働く。だってね…トレーナー倒しても賞金として、金をむしり取れないので仕方がない!!


サトシがイワンコを手持ちに加えて数日後。

 

サトシとセレナはメレメレ島の観光街を歩いていた。今日は休日であり、学校は休みだ。普段なら何時ものクラスメートと一緒に遊ぶのだが、生憎と皆の予定は埋まっている。

カキは家の手伝い、マーマネは家族と共にショッピングモールに買い物、スイレンも予定有り、マオは先日に進化したアマカジ改めてアママイコと共に店番、アセロラはウラウラ島の孤児院に遊びに向かったのだ。

 

「なんだか…こうして2人で出掛けるのも、久し振りね」

「そうだな…」

 

今日は久しぶりの2人での外出。ククイ博士は自宅の研究室で仕事中であり、ラティアスやイワンコ…そして鞄に入って爆睡中のモクローはククイ博士と共に留守番だ。

その為か、セレナ、サトシ、ピカチュウを除けば同行者はボールに入っている手持ちのポケモンだけである。

 

休日では久し振りの2人だけの時間。すると、サトシは何かを見付ける。それは何かが書かれた紙を見て、じっと紙を見詰めて考えるブラックとレシラムが居たのだ。

 

「ブラックにレシラム!?」

「あっ!本当だ…何してるんだろう」

「ピカチュウ…」

 

疑問に思うサトシ達であったが、彼等の視線に気付いたブラックとレシラムが此方を向いた。

 

「あっ…サトシ達、アローラ!」

「モエルーワ」

「「アローラ!」」

「ピカ!!」

 

挨拶を交わし、サトシ達はブラック達の側にやって来る。

 

「なにやってたんだ?」

「家庭教師の仕事でさ…希望が有るポケモンスクールの在校生やポケモンスクールに興味の有る、子供達に勉強やポケモンの素晴らしさを教えに行く所だったんだよ。でもさ…道に迷ってな…」

 

どうやらブラックは家庭教師の仕事の真っ最中だったようだ。

ブラックの家庭教師の事ならサトシ達も知っている。ブラックのポケモンのバトルに関する知識なら、既に学生の領域を越えている。実力も既にチャンピオンクラスは有り、リンドウ以外の先生ではバトルを満足に教える事は出来ないほどだ。

 

しかし、ブラックは自分の成長の為に旅を中断してポケモンスクールにやって来た。そんな彼等の成長の為に我等がオーキド校長が考えたのが、この家庭教師ブラック君計画である。

ブラックは物事を教える立場で教えながら新たな事を学び、家庭教師の派遣を希望した生徒はポケモンの事を学びながらブラックからバトルや捕獲のコツ等も教えてもらうのだ。これにはブラックの保護者であるアララギ博士も賛成しており、次期イッシュチャンピオンの成長も促し、尚且つアローラの子供達にもポケモンの知識が着くのだ。正にウィンウィンの関係だろう。

 

「今から行くのか!?」

「この辺りの筈なんだけどな…」

 

ブラックはサトシ達に住所が書かれたメモを見せる。そこはこの近辺の物だったが、ここら辺の土地勘が無いブラックには厳しかった物だった。

しかし、サトシはセレナやブラックと比べて長くアローラに滞在している。その為か、この住所が何処なのか理解できた。

 

「そこなら多分、この裏側だと思うぜ。ほら、3丁目だろ?3丁目はここの裏側に有るんだ」

「ピカチュ!」

「成るほどな!助かるよ」

 

ブラック、サトシのお陰で依頼先の住所を知ることが出来た。

 

「折角だし、俺達も行って良い?暇だったんだよ」

「私も!家庭教師ってどんな事を教えてるの?」

 

どうやら、サトシとセレナはブラックが最近始めた家庭教師の仕事が気になるようだ。

 

「それじゃあ…来る?と言っても、今日行くお宅は初めてのお客さんだけど」

 

こうして、サトシとセレナはブラックの家庭教師の仕事をに付いていく事にした。しかし、ブラックの言葉が正しければ、今から行くお宅は初めてのお客さんらしく…ブラックと初めて出会うお客さんのようだ。

 

 

 

依頼者のお宅。そこは一軒家のようだが…家の前には黒い髪に紅い瞳が特徴の幼女が仁王立ちしていた。

 

「おにーちゃんが家庭教師?」

 

どうやら、この幼女が依頼者のようだ。

 

「あっうん…君がコメッコさんかな?」

 

ブラックが確認の為に聞くと、コメッコと名乗った幼女はポーズを決めた。

 

「我が名はコメッコ!偉大なるポケモントレーナーに至る者であり、魔性の妹なり!!」

「うん…そうですか…はい。取り合えず上がって良いかな?親御さんにも挨拶をしないといけないし…」

 

コメッコは何処から見ても10代未満。流石にポケモンを捕まえたりする事は出来ず、やるとしても保護者の同伴が要る。ブラックには未だそれが出来ないので、捕獲やバトルの指導を行う前に親に確認をする必要が有るのだ。

 

「おにーちゃんには…捕獲を教えてほしい!」

 

 

 

場所は変わって近所の空地。草村があり、野生のポケモンも少なからず飛び出してくる場所だ。

 

ブラック、サトシ、セレナはコメッコ…そしてコメッコの母親であるユイユイと共に連れられてやって来た。

 

「ごめんなさいね。コメッコには姉が居るんだけど、コメッコがポケモンスクールに通うお姉ちゃんに感化されて、自分のポケモンが欲しくなったのよ」

 

そこでコメッコの母親であるユイユイから説明を受ける。どうやら、コメッコには姉が居ており、その姉はポケモンスクールの生徒でニャビーを手持ちに入れているそうだ。

しかし、幼いコメッコは姉とニャビーの関係を見て…自分もポケモンが欲しくなったのだ。

 

「私もポケモンが欲しい!」

「それじゃあ…お兄さんが捕獲の手本を見せるから、コメッコもやってみようか?」

 

ブラックの言葉にコメッコは頷き、ブラックはボールから色違いのウルガモスを出す。流石にレシラムやダイケンキはオーバーキルであり、タブンネは戦い慣れていない為だ。

 

すると、草村から一匹のキツネのようなポケモンが飛び出した。このポケモンはゾロア、ブラックのライバルであるNも使うゾロアークの進化前であり…アローラでは何故か普通に生息している。

 

「ウルガモス!手加減して火の粉!」

「ガモ!」

 

ウルガモスは手加減して火の粉を放つ。直撃を受けたゾロアはダメージを受けた。

 

「相手を攻撃し、弱らせてから…ボールを投げるんだ」

 

ブラックはモンスターボールを投げる。すると、あら不思議。ゾロアは簡単に捕まり、ブラックのポケモンに成りました。

 

「手本はこんな感じ。それじゃあ…ボールをあげるから捕まえて見ようか」

「うん!」

 

その後、コメッコはブラックの指導が有り…無事にポケモンを捕まえることが出来た。コメッコが捕まえたのはイーブイであった。

 

 

 

「ゴフゴフ!!」

「フニャッ!?」

 

その頃…リンドウの知らない間に、サトシ達と友人に成っていた野生のニャビー。そのニャビーは保護者である老いたムーランドが弱々しく成っていくのを、見ているしか出来なかった。

 

なんの気紛れか…2人の側には同じくかれかけの木が有り…その葉っぱは残り僅か。そして…風と共に葉っぱが1枚落ちた。




ムーランドの話、あれ…アニメであの絵面じゃなくてXYの姿だったら、絶対に泣いてるわ。

次回!!ムーランド…散る。ニャビー…旅立ちの時。


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休み時間 ナマコブシ

ナマコブシ…投げられる


ナマコブシ…それはナマコのようなポケモンであり、独特の可愛さを持つポケモンだ。特徴として高い耐久値を誇り、その上…柔軟な内臓を自在に出してコミュニケーションも取れるポケモンだ。

 

「ぶし…」

 

そんなナマコブシ。温暖なアローラは勿論のこと、世界中に生息している。

だが、アローラのナマコブシは温暖なアローラの気候の為なのか…物凄く沢山生息しており、気が付けば毎日のように毎朝の恒例のように浜辺に打ち上げられている。

 

「ぶし…」

 

そんなナマコブシは観光地であるアローラの海水浴場を利用する人と、経営する人からすれば迷惑なポケモンだ。ナマコブシ本人に罪が有るわけは無いが…これでは海水浴場の景観と利用客の気持ちに問題が生じる。

 

「ぶし」

 

その為か…メレメレ島を含めてアローラにはこんなバイトが存在する。

 

「ぶし?」

 

ナマコブシを投げるだけの簡単な仕事であり、朝早く起きる事が条件だが…日当は20000円。破格の支払いであり、短時間で終わるバイトだ。

 

そんなバイトの為なのか…

 

「ぶし!?ぶしし!!」

 

カントー出身のこの2人は休日を用いて朝早くから、海水浴場にやって来てナマコブシを構える。

 

「ぶし!?」

 

体を持ち上げられ…驚くナマコブシ。だが、時既に遅し…

 

「リンドウ!どっちが遠く飛ばせるか、競争しない?」

「良いぞ」

 

リンドウとブルー。カントー出身のヤヴェートレーナーに確保されたナマコブシは己の末路を思う。ナマコブシは頻繁に浜辺に打ち上げられるためか、何度も経験している事なのだ。

 

「どぉぉぉぉおおおりゃ!!」

「きゃおぉぉおおおら!!」

 

豪快に腕を振り上げ、或いは腰を捻らせる。そして、2人はナマコブシを投げた。

 

「「ぶしゃぁぁぁぁあ!?」」

 

投げられ、海に強制送還されるナマコブシ。アローラでは毎朝のように見られ、毎朝の恒例だ。

 

「ホウエンよりも、相場が高くて良いぜ!ホウエンのは日当5000円だからな!!」

「ぶしゃぁぁぁぁあ!?」

 

リンドウに投げられ、弾丸のようにジャイロ回転で海に強制送還されるナマコブシ。毎朝の事だ…ナマコブシも投げられる覚悟は出来ている。

 

「これだけで20000でしょ?美味しい仕事じゃない!」

「ナマコブシしゃぁぁぁ!?」

 

ポンポンと海に投げられるナマコブシ。今日もアローラで頻繁的に投げ込まれるナマコブシ。やがて、浜辺に居たナマコブシは全て強制送還された。

 

すると、何やらリンドウのスマホが鳴り響く。この軽快な着信メロディーはポケモンスクールの男子生徒からの着信だ。

 

「リンドウ、鳴ってるわよ」

「分かってる」

 

ズボンのポケットからスマホを取り出したリンドウ。着信相手はサトシのようで、リンドウは通話に出た。

 

「どーした?」

『先生!今すぐポケモンセンターに来てください!ムーランドが…』

「ムーランド?お前、ムーランドなんかゲットしたのか?」

『俺のじゃないんです!野生のムーランドなんですけど…』

 

良く聞くと、ニャビーと思われる声も聞こえる。御人好しのサトシだから、野生のポケモンに頼まれてポケモンを救助したのだろう。

 

「分かった…直ぐに向かう」

 

 



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38時限目

ニャビー…旅立ちの時


どんな物でも無限の存在ではない。この世の万物には必ず終わりと言う物が存在するのだ。

 

それは人の命でも、物の存在でも、ましてやポケモンの命でも例外(但し、創造神アルセウスは除く)ではないのである。

 

 

 

 

 

雨が降りだした。リンドウとブルーは折り畳み傘を差しながら、小走りでポケモンセンターに向かう。メレメレ島のポケモンセンターは一ヶ所しかなく、ハウオリシティの中に有る。

勿論、このポケモンセンターもジョーイさん一族が切り盛りしており、メレメレ島でポケモンセンターと言えばメレメレ島ハウオリシティ支店のポケモンセンターを指すのだ。

 

「いったいどうしちゃったのよ!」

「分からん。野生のポケモンの小競り合いや縄張り争いだと良いが…メレメレ島は基本的に縄張り争いは少ない。木の実も人々がポケモンに振る舞う位だし、基本的に餌には困らない。

だとすると……急病か観光客に虐められたかだな。そんな事は有って欲しくないが…」

 

サトシから伝えられたムーランドの事を案じながら、リンドウとブルーは急ぐ。やがて、ハウオリシティ支店のポケモンセンターに辿り着いた2人は自動ドアを潜ってポケモンセンターの中に入った。

 

「アローラ!リンドウ先生!ムーランドは奥だよ!」

 

中にはワシボンを抱き抱えた男の娘、アストルフォが居たのだ。

 

「えっ!?アストルフォ!?」

「ブルーは知らなかったな。アストルフォはジョーイさん一族で、家族と共にポケモンセンターに暮らしているんだ」

 

アストルフォはまさかのジョーイさん一族。アストルフォとその2つ年上の姉は歴代のジョーイさんと似ていない。しかし、一番上の長女はジョーイさんの顔をしているのだ。

 

「あっそうだったんだ」

「うん!今ね、一番上のお姉ちゃんがムーランドを見てるから、直ぐに元気に成ると思うよ!」

「分かった。奥だとすると、緊急用の処置室だな」

 

緊急用の処置室の場所はリンドウも知っている。過去、密猟者に傷つけられたポケモンを運んだり、スイレンのアシマリが彼女の手持ちに成る前にスイレンと共に運んだ事が有るからだ。

奥の処置室に向かうと…扉の前ではサトシとピカチュウ、人モードのラティアス、そしてサトシの手持ちではないニャビーが居たのだ。

 

ニャビーはムーランドが心配なのか…扉の前で声を出して、ムーランドを呼んでいる。

 

しかし、扉の先の処置室で処置を受けながら…点滴や栄養剤、薬品等を投与する為の管で繋がれたムーランドは返事が出来ない。

 

「先生!ブルーさん!」

「サトシ…」

 

リンドウ達に出来るのは何もない。強いて言うなら、ムーランドの処置が終わるまで待つことだろう。

 

「サトシ…そのニャビーは?」

「ムーランドの家族なんです。コイツ…ムーランドを親のように慕っていて、この前は火の粉をムーランドから教えてもらっていて、今は炎の牙をムーランドから教えてもらって練習してるんです。

ムーランドが居なくなったら…ニャビーは…」

 

このニャビーはリンドウの知らない所でサトシと交流を深めていたのだ。

本来…野生のポケモンが進んで人間に助けを求めるのは少ない。事実、人間の中にはポケモンを道具のように扱い、使い潰したり虐待する物も多いのだ。

 

「そうか…むっ?ブルー…どうした?」

「あのムーランド…随分とお爺ちゃんね」

 

ブルーはオーキド研究所で様々なポケモンと触れあってきた。だからなのか…ムーランドが高齢のポケモンである事を見抜いたのだろう。

 

「どれぐらい?」

「人間で例えるなら、100は超えてるわ」

 

人間で言えば100歳。何時亡くなっても可笑しくは無いだろう。

 

だからなのだろう…リンドウもサトシも、ピカチュウも言葉が出なかった。そして理解してしまった。もう、ムーランドが長く生きられない事を。

 

やがて、中からアストルフォの一番上の姉であるハウオリシティ支店のジョーイさんが出てきた。

 

「ジョーイさん!ムーランドは!?」

 

サトシはジョーイさんに問う。すると、ニャビーはムーランドが心配なのか…処置室の中に入ってムーランドの足をなめる。どうやら、ムーランドを心配させたくない為に、側に向かったのだろう。

 

「サトシ君。ムーランドは病気も怪我も無いの…リンドウ先生、これを」

 

ジョーイさんはそう言うと、リンドウにムーランドのカルテを手渡す。そこには様々な数値が書かれていて、サトシは理解が出来なかった。

 

「内臓に疾患は無し。なのに…脈拍、内臓機能が低下している…………そうか、そういう事か。

サトシ…残酷な事を言うぞ。でもな、言わないといけないんだ。ムーランドは近い内に亡くなる…怪我や病気じゃなくて、寿命でなんだ」

 

ムーランドはもう何時老衰しても可笑しくは無い。その事をリンドウから告げられ、サトシとラティアスは俯く。特に過去、アルトマーレで実の兄を亡くしたラティアスはニャビーに思う事が有るのか、悲しそうな視線をニャビーに向けるのだった。

 

「先生…ニャビーはこの事を」

「薄々…分かってるだろうな。野生のポケモンは敏感だ。それに、長い間…ムーランドと一緒に居たんだ」

 

恐らくはニャビーもムーランドの事を理解しているか、感ずいているだろう。

だが、これはニャビーとムーランド…野生のポケモンの問題。ポケモンセンターに運んだり、木の実を分け与える事は出来ても…それ以上の事をサトシ達は出来ないのだ。

 

しかし…別れの時はゆっくりと近付いている。

 

翌日、その日はポケモンスクールでの授業が有ったのだが、サトシはリンドウとククイ博士から許可を貰ってポケモンセンターにお見舞いにきた。勿論、彼が会いに来たのはムーランドとニャビーであり、ムーランドはポケモンセンターで入院する事に成ったのだ。

 

「ムーランド!会いに……てっいない!?」

 

だが、ムーランドはもぬけの殻と成っており、ポケモンセンターには居なかった。だとすると…考えられるのは

 

「きっと…彼処に違いない!!」

 

サトシはムーランドの居場所だと思われる所に急いだ。そこはサトシがムーランドを保護した小川が流れる橋の下であり、そこにムーランドは帰ったと思ったのだ。

 

そこに向かうと、ムーランドはニャビーと共に居た。ムーランドは今日もニャビーに炎の牙を教えている。しかし、ニャビーは未だ炎の牙が出来ず、不発に終わってしまう。

 

ふと、ムーランドはサトシに気が付いたのか…サトシを見る。

 

――頼む。今日だけは、この子と2人にしてくれ

 

サトシにそんな事を言いたいのか、ムーランドは小さく頷いた。

 

ムーランドの気持ちを察したサトシはその場から去っていく。だが、同時に枯れかけの木からまた1枚、葉っぱが落ちてしまった。その時が近いのかも知れない。

 

 

 

そして…その時が来た。

 

その日は雨が降っていた。大雨が降りしきる中、ニャビーはムーランドを呼ぶ。

 

「ニャー!ニャー!!」

 

だが、その叫びはムーランドには届かない。当然だ、ムーランドはもう其処には居ない。ニャビーが寝ている間に自分の意思で姿を消したのだ。誰にも…勿論、家族であるニャビーに悟られる前に姿を消したのだ。

 

「ニャビー…」

 

そんなニャビーの事を心配したサトシ。彼はリンドウとラティアス、セレナと共にニャビーとムーランドの所にやって来た。しかし、肝心のムーランドは居ない。だが、先日のムーランドの様子から察するに、サトシはムーランドがどうなったのか理解したのだろう。

 

「せっ先生!あのムーランドは……」

 

認めたくない、認めたくないからセレナはリンドウに問う。

 

「すまない…それは聞かないでくれ」

 

リンドウは分かってた。あのムーランドが遅くて数日、早ければ直に寿命が尽きてしまう事を。だが、悲しみにくれるニャビーを助けることは出来ない、それが出来るのは…

 

(さてと…サトシ。ニャビーはお前を頼ったんだ。お前しか、ニャビーは救えない)

 

この未来のポケモンマスター位だろう。

 

翌日。雨は止んだ。だが、側の木には葉っぱが1枚も無い。まるで、ムーランドの命と共に木も枯れてしまったのだろう。

 

――お師さん…何処に居るんだ

 

ニャビーはムーランドがどうなったのか理解している。でも、認めたくない。もし、認めれば…ムーランドの死を認めたことに成るからだ。

 

「探したぞ。やっぱり、ここに居たか」

 

その声が聞こえ、ニャビーは声の方を見る。そこにはサトシとラティアス、ピカチュウが居たのだ。

 

「辛いよな…でもな、ニャビー。乗り越えなくちゃなダメなんだ。

今日はさ…ラティアスが話をしたいんだよ」

 

サトシがそう言うと、サトシとラティアスはニャビーを挟むように座る。

 

――辛いよね、お爺ちゃんが居なくなって。私も知ってるんだ…大切な人がもう居ない辛さを

 

ラティアスの言葉を受けて、ニャビーは人と同じ姿をしているラティアスを見上げる。

 

――私さ…お兄ちゃんが居たんだ。物凄く強くて、サトシよりもカッコいいお兄ちゃん。でもね…もうお兄ちゃんは居ないんだ。お兄ちゃんは私の故郷を救うために、瀕死の身体を引き摺ってラスターパージを放って故郷を救ったの。

 

――だからさ…炎の牙、完成させようよ!私達と一緒に強くなってさ、ムーランドのお爺ちゃんがビックリさせよう!

 

ニャビーはラティアスの言葉を受けて頷く。だが、少し移動すると…ラティアス目掛けて身構えた。

 

――誘いは感謝する。だが、俺は筋は通す…俺と戦い、俺を実力で認めてほしい!!俺の仲間に相応しいかどうかを!!

 

ニャビーの言葉を受けてラティアスは笑みを浮かべると、変身を解いて本来の姿に変身した。

 

「ニャビー…バトルで認めろ…そう言う事だな!」

「ニャー!!」

 

その日、ニャビーはこの場から旅立ち…サトシのポケモンに成ったのだった。

 

 

「良かったな…ニャビー」

 

その一連の流れを橋の上から見守っていたリンドウであった。




えっ?サトシのポケモンが6体を越えたって?自在に預け引き出しできる、ククイさん家ボックスだから問題なし(笑)

出張先(メレメレ島以外での課外授業)では、人モードラティアスかククイ博士にボックス組のボールを持ってもらいます(笑)

次回!ギエピー…シロデスナに捕まる。

ギエピー「助けてっピ!!」
全員「自業自得だ」


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39時限目

ギエピー…


ニャビーがサトシの手持ちに加わり、涙の門出を迎えた翌日。

 

「シロデースナー!!」

 

怒りが頂点に達し、周囲の砂をかき集めて巨大な砂の城へと変貌したポケモン…シロデスナ。地面・ゴーストの複合タイプであり、特性の力で水タイプの攻撃が効かない強力なポケモンだ。

そのシロデスナだが、本来は頭の天辺にレーダーの役割をするスコップが付いているのだが…そのスコップの代わりに最近出番が殆ど無いロトムが逆さまで突き刺さっており…シロデスナの中には…

 

「助けてくれっピ!!」

 

ギエピーの姿が有ったのだ。

絶体絶命のギエピーとロトム。しかし、そんなギエピーを見上げ、囚われたギエピーには一切の同情を見せないリンドウ達。いや、寧ろ…自業自得であり、ギエピーの悪戯が無かったらこんな事には成らなかったのだ。

 

「「「自業自得だ」」」

 

事の発端は一時間前に遡る。

 

一時間前。

 

サトシは手持ちのポケモン達、ククイ博士とセレナ、そしてレッドとバグチュウ…問題児のギエピーと共にご近所の砂浜に来ていた。

 

「なんだか…久し振りだな、レッドさんと出掛けるの」

 

レッドは今までアローラリーグ開催の手伝いをしており、中々サトシ達に会う時間が無かった。しかし、今日は何とか自由な時間が取れて…こうしてサトシ達と共に出掛けたのだ。

 

砂浜にレジャーシートを広げ、海パン姿と成ったレッドとククイ博士は海で遊ぶサトシ達を見守る。マスコット(バグチュウ、ピカチュウ)、美少女(セレナ、人モードのラティアス)と戯れるサトシ……ぶっちゃけ、羨ましい光景だが気にしてはいけないだろう。

 

「しかし…サトシのラティアスはどうやって人に変身してるんだ?俺もトレーナーが使うラティアスは見たことが有るが、ああやって人に変身出来る個体は初めて見るぞ?」

 

サトシのラティアスは他のラティアスとは違う。人の姿に化けたり出来ており、明らかに普通の個体とは違うのだ。

 

「俺も…ラティアスとラティオスを持ってますが…彼等は人には成れませんよ」

「これはポケモンマスターも分からないか」

 

レッドもラティオスとラティアスを過去に捕まえて、今はオーキド研究所に預けている。しかし、レッドのラティアスとラティオスは人には成れないのだ。

 

ふと、レッドはギエピーの方を見る。ギエピーは何やら、スコップが上に付いた動く砂山をロトムと共に見ていた。この砂山には目と口が付いており、何処から見てもポケモンだ。

このポケモンはスナバア。地面・ゴーストタイプであり、シロデスナの進化前なのだ。

 

「バア?」

「変なスコップだっピ」

 

しかし、あろうことか…ギエピーは缶けりのように、スナバアの天辺に有るスコップを海に蹴り飛ばしてしまったのだ。このスコップはスナバアの感覚器官であり、人間で言えば鼻や耳と同じ役目をしている。

 

「すな!?すな!?バア!?」

 

スコップを失ってしまったのか、スナバアは慌てる。

 

「スナバアはスコップを感覚器官にして、周囲を探るロトム。スコップを失ったスナバアは、虫で言えば触覚を失ったも同然ロト」

 

ロトムの説明を受けて、ギエピーは考える。このままでは不味い、確かにスナバアの感覚器官であるスコップを海に蹴り飛ばしてしまったのはギエピーだ。

 

「代わりの物がいるっピ」

 

ギエピーは考える……スコップの代わりに成りそうで、尚且つスナバアの脳天に突き刺さり、感覚器官の代わりに成りそうな物を。

ふと、ギエピーはロトムを見る。ロトムの先端は尖っており、スコップの代わりにスナバアの脳天に間違いなく刺さるだろう。成らば、後は簡単だ。

 

ギエピーはロトムを掴む。

 

「良し!」

「なにするロト!?」

 

あろうことか…ギエピーはロトムを逆さまにして、スナバアの脳天に突き刺した。

 

「これでスコップの代わりに成るっピ!それじゃあ、僕はスコップを探して来るっピ!」

 

ギエピーは海に向けて歩き出す。ロトムがスナバアのスコップの役目を果たし、その間にスコップを探そうとしたのだろう。

しかし、スナバアの顔はどんどん怒りに染まっていく。

 

――この…変な物が妾のスコップの代わりだと!?ふざけてるのか!!

 

――実に嘗められた物だ!!妾の怒りを思い知れ!!

 

「ピ?」

 

スナバアの怒りは頂点に達した。すると…スナバアは眩い光を出しながら、形を急激に変えていく。これは進化の兆しだ。やがて、進化の光は収まり…スナバアは砂の城のポケモン…シロデスナへと変貌を遂げたのだった。

 

「シロデスナ!!」

「げぇぇぇ!?進化したっピ!?」

 

ギエピーはどさくさに紛れ、逃げ出そうとする。サトシ達の所に戻ればゲッコウガやバグチュウが助けてくれる。そう思って戦略的逃走を選択したのだ。

しかし、ギエピーは前に進めない。いや、寧ろ…どんどんシロデスナの方へと吸い寄せられていく。

 

「なんでだっピ!?」

 

確かにギエピーは前へ…前へと走っている。恐怖で冷や汗をかいたギエピーは足元を見る。ギエピーの周囲の砂はギエピーと共にシロデスナに吸い寄せられていたのだ。

恐る恐るシロデスナの方を振り向いたギエピー。シロデスナは周囲の砂を吸収しながら、どんどん体を大きくしており…現在の段階で3メートル程は有ったのだ。

 

「ぎぇぇぇええ!?どんどん大きくなっていくっピ!」

 

シロデスナの吸引力は身体が大きくなると、比例するように強くなり…周囲の砂とギエピーを一気に取り込んだ。

ギエピーを取り込んだシロデスナであったが、その大きさは10メートルを越える巨大な物に成っており…取り込まれたギエピーはシロデスナの体内から窓を見て…現状を知るのだった。

 

 

 

「なんだ?ありゃ?」

 

そして…買い物帰りのリンドウが遠くから、シロデスナの姿を確認する。リンドウはこのアローラで暮らしてから、スナバアやシロデスナの事も知っており…ここまでシロデスナが大きくなることは何かが有ったと理解した。

リンドウがシロデスナの所に到着すると、シロデスナの近くには…シロデスナと捕らわれたギエピー、そしてシロデスナの脳天に刺さったロトムを見上げるサトシ達が居たのだ。

 

「これは…何事?」

「ピッピがやらかした」

 

レッドの言葉を受けて、大体の事を理解したリンドウ。

 

「つまり…ギエピーがシロデスナのスコップをどっかにやって、代わりにロトムを突き刺した。その結果、シロデスナの逆鱗に触れて取り込まれたと」

「「その通り!!」」

「シロデスナ!!」

 

――スコップを探せ、さもなくば…このピッピの命は無い。

 

リンドウ達の脳裏にそんな言葉が聞こえたが…

 

「大丈夫。ソイツ、殺しても死なないから」

「俺のピッピはギャグ補正で甦るから安心しろ」

 

リンドウとレッドはシロデスナに向けてそう言った。

 

「と言うか…ギエピーの自業自得じゃないか」

「「「激しく同意!!!」」」

 

――えっ?仲間じゃないの!?そんな雑な扱いで良いの!?

 

「大丈夫。ピッピじゃなくてギエピーだから」

 

リンドウの言葉に同意するようにサトシとセレナが頷いた。

 

「だが…スコップは探してやらないとな」

 

その後…スコップは無事にリンドウ達の手で発見され、シロデスナに返却。ロトムとギエピーは無事に解放された。

 

 

 

 

 

「とりま……お前は反省文だ」

「ひどいっピ!」

 

ギエピー、反省文を書かされる。監督役のレッドの後ろにはバグチュウ、フリーザー、フシギバナ、そして四天王が仁王立ちしていた。

 




次回!保護者参観!?色んな人がやって来ます。


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40時限目

今回は短いです。暫く、ラティアスとウルガモス、メタグロスとゾロアークを剣盾に送る準備で頻度が遅く成ります。


ある日の事だった。

 

今日の授業が終わり、終礼を行っている最中。最後の一言としてリンドウはとんでもない事を告げたのだった。

 

「お前達、もう準備万端だと思うが…明後日は保護者参観だぞ。保護者は勿論、ポケモンスクールに入学を考えてる子供達もやって来るんだ。

俺が大分前に話した課題はもう出来てるよな?そうでなくても、8割程は終わってるな?まあ、明日は保護者参観の準備で休みだから…未だ出来ていない人は最後の仕上げを明日を使ってやってくれよ!」

 

明後日はポケモンスクールの保護者参観。保護者参観でも有るんだが、オープンキャンパスも兼ねており…ポケモンスクールに入学を考えてる子供や保護者は勿論、嘗てポケモンスクールに在学していた生徒達や近所の方もやって来るのだ。

そして、生徒達は各々の演し物を考えて発表するのだ。リンドウのクラスではポケモンに関する小レポートの発表、ケイネ先生の所では芸術作品、等々だ。

 

だが…リンドウは見逃さなかった。サトシ、カキ、マーマネの3人の表情が固まった事を。そしてリンドウは理解する。

 

(あっ…サトシ達はレポートが未だ終ってないな。俺の勘が正しければ、6割も終ってない)

 

そう…サトシ、カキ、マーマネはレポートを未だ終らせていない。

女子達は既に終らせて居るようで、男子だがブラックは家長であるリンドウ監修の元で真っ先に終わらされた…一番後に始めたのにも関わらずである。流石は最年長。

 

――あっ…やっべ…半分しか出来てない

 

――不味いな、家の手伝いをしてから全然出来てない

 

――ヤバイよ…ヤバイよ!

 

サトシ、カキ、マーマネは各々の心の中で感想を告げて冷や汗をかく。だが、追い討ちをかけるが如くリンドウは告げたのだった。

 

「喜べ!サトシ、セレナ、ブラック。お前達の為に、ハナコさんとセレナのお母さん、そんでアララギ博士には招待状を出しておいた!

3人とも、ノリノリでやって来るぞ!」

 

なんという事でしょう。リンドウはサトシのママ、セレナのママ、そしてアララギ博士に招待状を出しておいたのだ。

つまり、彼女達はアローラで日頃から勉強する我が子や近所の子を見るために遥々アローラにやって来るのだ。

 

「「「えっ?」」」

「エロ仙人…アデクさんにも出したんだが、あの人、引退後の生活の為に塾をオープンしたらしくてな、呼べなかった」

「エロ仙人にも出したんですか!?俺、初耳なんですけど!?」

 

エロ仙人とはイッシュチャンピオン アデクの別名である。アデクは妻子持ちで孫も居るのだが、美女が大好きなのだ。美女が居れば口説きまくる程で、シンオウ地方出身のシンオウチャンピオン 愛称ダメナさんも口説く程なのである。

その上、高い身体能力と何処か仙人のような人柄、丸で某魔法を使う忍者作品の自来也を思わせる人なので、自然とエロ仙人というアダ名が付いたのだ。

余談だが、エロ仙人は初代イッシュチャンピオンなので、そこは自来也ではなく柱間である。

 

(てか…ダメナさんも来るしな)

 

ダメナさんことシロナさんもやって来る。彼女としては、伝説のポケモンであるラティアスやレシラムと考古学者として生で見たいという欲望も有るのだが。

 

 

 

その頃の飛行機の中。

 

「楽しみね!バリちゃん!」

「バリバリ!」

「ふっ…リンドウ、ブルー。ワシが来るのはお前達にもサプライズだぞ?」

 

ハナコさん、バリヤード、そしてオーキド博士が飛行機に乗っていたのだ。

 

 

 

「リンドウ、研究所からメール着たけど、博士もくるって」

「へー」

 

オーキド博士、研究所からのリークでリンドウとブルーに来ることがバレる。




祝!ウルガモス復活!ウルガモス復活!流石はゲーフリさん!!


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41時限目

ポケモンホーム解禁!!しかし…


保護者参観及びポケモンスクールに入学を考えてる子供達がやって来るオープンスクールは明日に迫る。

 

だが、この少年は違った。その少年は黙々とレポート用紙に鉛筆で文字を走らせ、発表するレポートを仕上げていく。残念ながら、家の中に味方は居ない。同居人であるククイ博士とセレナは外出しており、他の家族はポケモンなので見守ることしか出来ない。人に変身出来るラティアスはお茶を入れたりしてサポート出来るが…レポートは基本的に彼一人で頑張らないといけないのだ。

 

「これなら…毎日コツコツと頑張ってたら良かった!」

 

ククイ博士の自宅にサトシの叫びが木霊する。サトシは半分程度しか発表するレポートを仕上げておらず…彼はセレナと比べて長い猶予時間が有ったにも関わらず、終わってないのだ。

セレナはコツコツとやっていたのか、既にレポートを終わらしており…残念ながら終ってないのはサトシ、カキ、マーマネの男子3人だけである(ブラック?彼は最年長の意地で一番最初に終らせました)。

故にサトシは明日までに、レポートを完成させて朝一にリンドウに提出しなければならないのだ。もし、運が悪ければ自分達のクラスメートは勿論、その保護者達の前で発表する事に成ってしまうのだから。

 

「でも…俺はやるぞ!!」

 

だが、サトシは諦めていない。彼は意地でも今日中にレポートを仕上げて提出するつもりなのである。

 

 

 

「今頃、サトシ、カキ、マーマネの3人は気合いと根性で課題をやっているんだろうな」

 

一方その頃、ポケモンスクールではリンドウが明日行われるオープンスクールの準備を職員や同僚達…そして手伝いに来てくれた生徒達と共に準備を行っていた。既に準備は9割ほど終わっており、ポケモンスクールの広場や正門前にはテントが設営されていて…明日は受付や出店等が行われる。

 

「てか…サトシは大丈夫なの?」

 

そんなサトシを案じてか、ブルーは言う。期日は明日、明日までに終っていなければ課題は未提出という事に成ってしまい…サトシの評価は下がってしまう。いや、それだけではない…最悪の場合はリンドウの手で全員発表という形に成れば公開処刑同然で「できてませーん!」とサトシは保護者と仲間が居る中で叫ばなければ成らないのだ。

そんな公開処刑を防ぐためにもサトシ…いや、サトシだけではない。カキ、マーマネもだ。その3人は意地でもレポートを仕上げなくては成らないのだ。

 

「サトシ処か…カキ、マーマネもだな。この3人はこの場に居ないし……そう言う事なんだろう」

 

サトシ、カキ、マーマネ以外のリンドウの教え子達は全員がオープンスクールの準備を手伝っており、件の3人以外はこの場に居ており…そう言う事なのだろう。

 

「時間が無かった……は、完全に言い訳にしか成らないからな。なっ?ブラック」

「デスヨネ…」

 

何処か遠い目に成った、次期イッシュチャンピオン。それもその筈、このブラックはリンドウの監修は勿論のこと…誤字脱字は勿論…最年長らしく完了されたのだ。その掛かった時間は僅か1週間、サトシ達は時間が無かったとは言い訳は絶対に出来ないのだ。

 

「なんか…ブラック、遠い目に成ってません?」

「成ってるよね…セレナ知らない?」

「私も知らない。スイレンは?」

「私も知らないな…アセロラは?」

「うん…取り合えず、最年長で次期イッシュチャンピオンは大変なんだねって事ぐらいだね」

 

そんなブラックの事を知らない女子達と事情を知っているが誤魔化そうとするアセロラ。そんな女子グループを眺め、レシラムも遠い目に成っていた。

 

――少女達よ。気にしたら敗けなのだ…そっとしておいてくれ。

 

とそんなボヤキが聞こえたような気がした。

 

「おおー!こんな所で会うとは久しいの!リンドウ!」

 

ふと、オーキド校長そっくりな声が聞こえ…リンドウとブルーは勿論、生徒達は声の方を見る。そこにはオーキド校長と全くおなじ顔をしており…肌の色が白くなったカントー地方の人物と…年若い美女ことサトシのママであるハナコさんが居たのだ。

 

「「「「オーキド校長!?」」」」

「の…従兄であり、ポケモン研究の第一人者であるオーキド・ユキナリ博士。そして、此方の女性はハナコさん、サトシのお母さんだ」

「あれ?驚かんのリンドウ?完全にサプライズの筈じゃったんじゃが?」

「そう言う時も有るさ」

 

リンドウとブルーが驚かない事に疑問を覚えるオーキド博士。当然だろう、オーキド博士としては完全にサプライズのつもりでやって来たのだ。しかし、オーキド博士が来ることはブルーの携帯にオーキド研究所の皆様がメッセージを送ってリークされていたのだ。

 

「ププ!見てみなさいよリンドウ!このお爺ちゃん、仲間に売られたと思っても無かったみたいよ!!」

「おい…ブルー…事実だとしても笑っちゃ駄目だろ?ここは笑うんじゃなくて、鼻で笑ってやるんだよ。

ケンジ達が嘆いてましたよ…魔境から逃げたって」

 

事実を暴露しながら大爆笑するブルーと鼻で笑うリンドウ。

 

「えっ?ケンジ達がリークしたの!?」

「「魔境を放置して逃げたって」」

「魔境に成ったのはグリーンとレッドの責任じゃろ!?あのサンダーやファイアー、そしてミュウツーと愉快な仲間達が原因ではないか!

今は防衛部隊にレッドのレジギガス、レジロック、レジアイス、レジスチルも参加してるから…大丈夫!」

 

そう…今のオーキド研究所には防衛部隊の新たな仲間としてレジギガス、レジロック、レジスチル、レジアイスという愉快で頼れる仲間が加入したのだ。

 

「えっ?それじゃあボス返して。あと、博士が土下座して加入させたサトシのフシギダネも」

「あっ!私もメタグロスとトゲチック返して」

「あっ…それは厳しい」

 

どうやらオーキド研究所の防衛はレジギガスと愉快なお供が防衛に参加しても魔境である事には変わり無いようだ。

 

「グッドモーニング!ブラック!元気だった?」

 

なにやら女性の声が響き、リンドウ達は声の方を見る。声の主はブラックの事を呼んでいた為に、間違いなくブラックの知り合いだろう。

 

「アララギ博士!?それにパパラギ博士!?」

 

声の主を見たブラックはそう言う。声の方には外見上は若い女性と壮年の男性が居たのだ。

女性はアララギ博士。御存知、イッシュ地方のポケモン博士であり、ブラックとは昔からご近所さんで御近所のお姉さんと近所の子供のような関係だ。パパラギと呼ばれた男性もアララギ博士だが、此方は考古学者でもあるのだ…しかし、アララギ博士だとアララギ博士とややこしく成るので多くの人は彼の事をパパラギと呼んでいる。

 

「そうだ…ブラック。君にこれを」

 

ふと、パパラギは鞄の中から何かの楔のような代物を取り出した。

 

「あの…これって?」

「遺伝子の楔だ。実はな……これ、今まで考古学的に価値の無い物だと思われていてな!博物館の奥で埃を被っていたのだ!ハッハハハ!」

 

遺伝子の楔…考古学的な価値は無いと判断され、博物館の奥で埃を被る。

 

「その後…カロスのプラターヌ博士にデータを見せた所、メガストーンと似たような波長を放っている事が分かった。

折角だ、レシラムに装備させてみてはどうかな?」

「はい!そうします!」

 

だが…ブラックは知らない。あと、遺伝子の楔は2本存在する事を。

 

そして同じく考古学的に価値の無い物として判断され、昔に売り飛ばされて色んな所に散らばっている事を。

 

 

その頃のダメナさん。

 

「あー悩む…どれにしようかしら…」

 

シンオウ地方チャンピオン シロナ。黄色い長い髪が特徴の彼女であるが、非常に悩んでいた。かれこれ…40分に成るだろう。兎に角悩んでいた。

 

「あの…お客様?」

 

店員も心配し、そう言う。シロナが悩んでいる物…それは

 

「ミルクかチョコにしようか迷うわ!!」

 

アイスクリームの味である。




レシラム、アローラロコン、カメックス「お先!」

ウルガモス、ラティアス、カイロス「はぁぁぁあ!?」

未だウルガモス達は剣盾に送れませんでした(笑)


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42時限目




オープンスクールであり保護者参観当日。

 

ポケモンスクールにはメレメレ島在住の人々は勿論の事、メレメレ島の外から通う生徒の保護者やポケモンスクールに入学を考えてる子供達の多くがやって来ていた。

普段からポケモンや生徒達で活気に溢れるポケモンスクールであるが、普段よりも大勢の人達とポケモンがやって来た為か大変賑わっている。

 

広場には学生や教員達が切り盛りする出店、展示ブース等が並んでおり…勿論、学舎の屋内もオープンスクール仕様に様変わりしている。

 

「本当に色々有るわね!」

 

屋内には学生達がこの日の為に製作した展示物等が展示されており、模型や絵、或いは写真と様々だ。

 

ではリンドウ率いるクラスの展示物とは何かと言うと…リンドウの教え子達が作成したレポートの発表である。しかし、発表は当たり前のようにクラスでの授業中に行われる為に未だ時間の余裕は有る。

 

「未だ…俺達は時間の猶予は有るな」

「そうだな…」

「そうだね…」

 

昨日…気合いと根性でレポートを仕上げたサトシ、カキ、マーマネの3人は何処か遠い目をして感傷に浸っていた。

保護者の前で公開死刑に成りたくない。その一心で何とかレポートを仕上げた3人。とは言え、流石のリンドウもクラスで公開死刑を行う事は流石にしない。もし、サトシ達がレポートを仕上げて無かったら…代表でブラックに発表してもらい、他の子達は後日にしてもらうというプランも有ったのだ。

しかし、そのプランを用いても期日までにレポートを仕上げて提出していない事実は変わらず、3人の評価が下がる事に成ってしまっただろう。

 

「だが、俺達は間に合った。それで良いじゃないか」

 

カキの言葉にサトシとマーマネがウンウンと頷く。彼等は期日までにギリギリとは言え、間に合った。そう、間に合ったのだ。だから、評価も下がる心配は無いのである。

 

「あぁ!それに…オープンスクールと言っても」

 

ふと、サトシは後ろを振り返る。そこには彼がこのアローラに来てから随分と見知った仲の人達が談笑していたのだ。いや、アローラに来る前から知っている人達もそこそこ居たのだ。

マオの父親…マオパパ。スイレンの妹であるホウとスイ、そしてスイレンのママ。カキのママ、そしてカキの妹であるホシ。リーリエの執事であるジェームズ。マーマネの両親であるマーマネパパとマーマネママ。アローラで知り合った人達でこれぐらいであり、アローラの外からやって来た人達では…我等がポケモンマスターのレッド、その相棒であるバグチュウもといピカ様、そしてギャグ補正の塊であるギエピー。サトシのママであるハナコさん…と何故かゲッソリとしたオーキド博士。カロスから遥々やって来たセレナのママ。イッシュからはアララギ博士とパパラギ博士。まさかのシンオウからは考古学者兼シンオウチャンピオンであるダメナさんこと、シロナである。

 

一般家庭の皆様から…最強のポケモントレーナー、シンオウチャンピオン、そしてポケモン研究の権威の博士がやって来たのだ。

その為か…教室の外では大勢の生徒や来客達が有名人を一目見ようと野次馬の如く集まっていたのだ。

 

「凄い集まりようだな…」

「だよね…シンオウチャンピオンは勿論、あのオーキド博士も来てるもんね」

 

シンオウ地方歴代最強のチャンピオン シロナ。彼女は美しい容姿とポケモンバトルの腕前か、大変人気が高い。その上、過去のシーズンで伝説のポケモンで手持ちの大半が埋ってるトレーナーからチャンピオンの座を防衛する程の腕前を持っているのだ。強いし、賢いし、美人…三拍子揃った人気のチャンピオンである。

 

そんなシロナさんは……

 

「ブラック君!!是非とも!レシラムとお話して良いかしら?個人的に色々と聞きたい事が有るの!!」

 

考古学者としての側面を持っているためか、過去の歴史を知りたいが故にレシラムと仲良く成りたいようだ。

 

「ダメですよ。昔にレシラムがパパラギさんに言ったんですけど、過去の真実を考察し導くのが考古学者の仕事でしょ?でしたら、過去の真実はレシラムから聞くんじゃなくて自分で探した方が良いですよ。俺もあんまり知りませんし」

 

レシラムの相棒であるブラックの手で制止させられ、過去の真実を聞けずにいたのであった。

 

「そんな…」

「シロナ君。それでも過去を探し、真実に辿り着くのが我々の仕事だぞ!」

 

そんなシロナを元気付けるパパラギであった。とは言え、彼も過去にレシラムから過去の事を聞こうとしたのは事実である。

 

「いや…お父さんもレシラムとゼクロムから過去の事を聞こうとしていたわよね?」

 

パパラギ…娘に指摘され、沈黙する。確かにゼクロムとレシラムから直接過去の事を聞けば、過去の出来事は一瞬で謎が溶けるのだが。

 

「それにしても…先生遅いよな?もうチャイムが鳴るぞ?」

 

ふと、サトシは腕時計で時刻を確認する。授業はもう一分程で始まる筈なのだが、リンドウとブルーはやって来ない。

普段のリンドウなら授業が始まる3分から2分位前には教室にやって来るが、リンドウは一向にやって来ない。

 

それもその筈…何故なら…

 

「嘘だろ…アデクさんが謎のトレーナーに負けた」

「コイツ!コイツよ!!レッドとの試合でレックウザとか、ダークライ使ってたの!!」

 

突如としてイッシュリーグからブラックを呼び戻して欲しいとの連絡を受けたのだ。勿論、突然の事で疑問を覚えたリンドウとブルーであったが「テレビを着ければ直ぐに分かる」とイッシュリーグの人間に言われて職員室のテレビを見たのだ。

 

『では!チャンピオン防衛戦に勝利した、暫定新チャンピオンのタクト選手にインタビューです!』

 

画面にはインタビュアーと…リンドウの知らぬ男が映っていた。インタビューは試合直後に行われているようで…真後ろのモニターには男が使ったポケモンの画像が映っていた。

 

ダークライ、ラティオス、レックウザ、スイクン、ランドロス、キュレム。正に伝説幻のオンパレードであったのだ。

 

『はい。ですが…僕は本当のチャンピオンに成れてません。彼……白き英雄に選ばれた殿堂入り達成者ブラック君を倒すまではね。

改めて、僕はブラック君に挑戦しよう。そして、彼と戦い…どちらが次のイッシュチャンピオンに相応しいのか決めようじゃないか』

 

この10分後…ブラックにエロ仙人敗北の事が伝えられた。




次回!オリエピソード!?

果たして、イッシュの頂点に立つのはどっち!?


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43時限目

筆が乗ったので…連投。


エロ仙人……ごほん!!失礼、初代イッシュチャンピオンであるアデクの敗北は瞬く間に世界中に広まった。アデクは50年以上もの間、イッシュチャンピオンの座を防衛してきた。

そのアデクが敗北したのだ……それも、嘗てアデクを唯一倒した少年 ブラックと同じくイッシュ地方の伝説に伝わる『真実と理想を持つ英雄』を待つと言われるドラゴンを連れたタクトという青年の手でだ。

 

キュレムは元と言えばレシラム及びゼクロムと1つだった。大昔、イッシュを救った双子の英雄と共に戦ったドラゴンポケモンだった。その後、歴史通りだと双子は決裂し、ゼクロムとレシラムに別れた。男としての精神は理想を求めるゼクロムに、女としての精神は真実を求めるレシラムと成った。そして…残された脱け殻としての肉体はキュレムと成ったと伝えられる。

 

「てか…あのタクトって人、手持ちからグラードンが居なくなってたわね」

 

数日後…リンドウの料理を手伝いながら、ブルーはそう言った。確かにブルーがタクトとレッドの試合を見た時はタクトはグラードンを加えていたのだ。しかし、アデクと戦った時にはグラードンは居なくなっていたのだ。

 

「預けたんじゃないのか?それか…言うことを聞かなくなり、外せざるをえなかったかだな。

ブルー、どうしてトレーナーとしての資格がカントーでは10歳からなのか考えたら分かるだろ?」

「ししょー!それがどう関係なんですか?」

 

テレビを見ていたアセロラが手を上げて問う。アローラでは誰でもポケモンをパートナーに出来るが、カントーを始めとした他の地方では年齢制限が有るのだ。

そのカントー等では特別許可書という書類が有れば、特例として規定年齢に満たなくてもポケモンを保有できる。しかし、それの審査に通るには相応の理由が必要なのだ。

 

「アローラ育ちのアセロラは知らなくても無理は無いかもな。

昔はカントーでも誰でもポケモンを持てたそうだ。オーキド博士がアセロラと変わらない年頃の話だがな。だがな、その時代…特に決まり事は無かった。だから強引な乱獲や、捕まえたのは良いが世話をせずにポケモンを餓死させる子供が大勢いた。いや、彼等だけじゃない。危険地帯のポケモンを捕まえたのは良いが、手懐けれず、殺されるという事件も起きた。

手懐けれず、殺される事件は今でも起きている。カントーにはシロガネ山と呼ばれる危険地帯が有ってな…」

 

シロガネ山。カントーとジョウトの境目に聳える山であり、レッドのキャンプ場……ではなくカントー最大の危険地帯と呼ばれる所だ。

出現するポケモンの強さは何れもが強い。勿論、中にはヨーギラスやヒメグマ等の可愛らしいポケモンも居るのは居るのだが、正に弱肉強食と呼ばれる危険地帯であり、毎年のように行方不明者が出てはカントーリーグの四天王とジョウトリーグの四天王が捜索を行っている。救助隊ではなく、四天王を派遣する訳だが…余りにも危険すぎて救助隊が野生ポケモンに殺されてしまう為である。

 

「シロガネ山で捕まえたポケモンの大半は何れもが強大だ。手持ちに加えれば、間違いなく手持ちをパワーアップ出来るだろう。

だが、言うことを聞くかと言えば別だ。ボールから出して手懐けようとした結果…殺された事件も過去に起きた。

伝説のポケモンは神話や伝承に名前を残すほど、強い力を持っている。あのレッドですら…パートナーに出来たのはフリーザー位だからな」

 

シロガネ山然り伝説のポケモン然り…捕まえるのとパートナーに出来るのは別だ。あのレッドですら、有効な関係を築けたのはほんの僅かであり、心から信頼出来るように成ったパートナーはフリーザーだけ。ミュウツーとサンダー、ファイアーは謀反を起こしまくるアンチ・圧政者に成ってしまった。

 

「俺やブルーでも、野生のバンギラスやアローラで言えばジャラランガを捕まえて直ぐにパートナーに出来る?と問われれば無理だな。そう言う事だ」

「なるほど!……所で、ブラック君…大丈夫かな?」

 

アセロラに言われ…リンドウとブルーは縁側の方を見る。其処では縁側に腰掛け…遠くを見るブラックを見る。

 

「さぁな…」

 

――なんじゃ?お前さん、一度負けたからとくよくよしよって!

 

――良いか?ポケモンもトレーナーを見る。ポケモンとトレーナー…2つの心が合わされば真の実力が発揮できるんじゃ。

 

――ポケモンの種類に強いも弱いも有るか!確かにな…ブラック、Nが復活させたゼクロムは強いの。だがな、ワシのドラゴンポケモンはクリムガン!ぶっちゃけ…オノノクスよりも世間的には弱いと言われとる。だがな?コイツは何度もチャレンジャーのオノノクスやサザンドラを倒してきたのだ!

 

――行くぞ!イッシュチャンピオン!!アデク!!挑戦者であるブラック、レシラム、ダイケンキ、ジバコイル、ランクルス、ウルガモス、ウォーグルを全力で迎え撃つぞ!!

 

思い出すアデクに励まされ続けたイッシュの道中。ブラックは溜め息を吐き出して星空を眺めた。

 

 

すると、ブラックのスマホが着信音を出して鳴り響く。画面には『エロ仙人』と書かれており、間違いなくアデクだろう。

 

「エロ仙人?」

『おおー!!元気そうだの!ブラック!!所で…タクジロー?タクタロー?まっ良いわ!アヤツと戦う前に、ワシの所によれ!

お前さんに渡す物が有るんじゃ!本当なら…ワシが引退し、お前さんがチャンピオンに成るときに渡したかったが……お前さんの衣装を渡す!チャンピオン決定戦の時はそれを着るのじゃ!』

「衣装?」

 

そう…アデクはブラックの為に衣装を用意してたのだ。

 

『うむ…だがの…ワシがしくじまっての…未だ羽織しかサイズを仕立て直せてないのだ。それに…ワシを越えるイッシュチャンピオンはお前しか居ない。頑張れよ』

 

アデクはそう言うと、通話を切った。

 

「ありがとう、エロ仙人」

「おーい。ブラック…飯できたぞ?」

 

リンドウが自分を呼ぶ声が聞こえ、ブラックはリビングに向かう。

 

「今行きますよ!」

 

 

 

当日。イッシュリーグ本部 特製スタジアム。

 

そこの観客席は当たり前のように満席。報道陣もスタンバイしており、バトルステージの対極の位置にはマントを靡かせるタクト、そして背中に青色の炎が裾と袖に描かれた黒い羽織を羽織ったブラックはお互いを見る。

既に両者の手にはボールが握られており、合図の音と共に両者はボールを投げた。

 

「いけ!ダークライ!!」

「行ってこい!ランクルス!!」

 

タクトが繰り出したのはダークライ。対しブラックが繰り出したのはランクルスだ。

 

「ダークライ!ダークホールだ!!」

 

タクトはダークライに指示を飛ばす。ダークホールはダークライだけに許された技であり、相手を眠らせる技だ。

ダークライに眠らされたポケモンはダークライの特性により、悪夢を見てしまう。その上、眠らされると動けず一方的に倒される。事実、タクトは今まで挑戦してきたジム……トキワジム以外のジムをダークライ1体で突破してきたのだ。

 

「ランクルス!神秘の守り!!」

 

だが、ブラックは神秘の守りをランクルスに指示し…ランクルスはダークホールの影響を受けない。

 

「ならばあくのはど「遅い!草結び!!」なっ!?」

 

タクトの指示が届く前にブラックはランクルスに草結びを指示し…地面から生えてきた蔓はダークライに絡み付く。

本来…草結びは相手の足元に蔓を生み出し、その蔓で相手を転ばしてダメージを与えるものだ。しかし、あろうことかランクルスはそれを応用し…ダークライの拘束に使ったのだ。

 

「ダークライ!振りほどけ!!」

「させるか!!ランクルス!電磁波!!」

 

電磁波…相手を麻痺させる技だ。ダメージを与えることが出来ず、相手を麻痺させるだけ。だが、様々と応用の効く技であり、上手いこと使えば機転を作ることも出来るのだ。

 

ランクルスから放たれた微弱な電気はダークライを麻痺させ、ダークライの動きを鈍らせる。

 

「ダークライ!?」

「ランクルス!!きあいだま!!」

 

ランクルスは両手を前に向け…莫大な熱量を誇るエネルギーの大きな塊を放った。

きあいだまは格闘タイプの特殊技であり、大きな威力が特徴だ。しかし、弾速が遅く普通に撃っては間違いなく避けられてしまう。

 

だが、今のダークライは麻痺しており…草結びを応用した蔓の縛りを未だ解けていない。

 

そして…ゆっくりと迫るきあいだまを避けられず、直撃を受けたダークライは一撃で倒れてしまった。

 

「バカな…効果抜群とは言え…ダークライが一撃で」

 

自分の信頼するパートナーのダークライが一撃で倒された為か、タクトは驚く。当然である…ブラックのランクルスは持ち物として命の玉を持っているのだ。

命の玉はポケモンが持つと、体力を徐々に削られる。その代償に技の威力が上昇するのだ。だが、ブラックのランクルスは特性 マジックガードの恩恵で命の玉のデメリットを無効にしてメリットだけを貰っているのだ。

 

その為に…ブラックのランクルスはとんでもない破壊力を持っているのだ。

 

『ダークライ!戦闘不能!!やはり…ブラック選手は今までの相手とは違った!!』

 

「ラティオス!頼んだぞ!!」

 

続いてタクトが繰り出したのはラティオス。シンオウ、カントー、そしてイッシュで活躍したポケモンだ。

 

「ラティオス!!流星群!!」

 

流星群…ドラゴンタイプ最強の威力を誇る技であり、空から隕石を降らせる技だ。

 

迫り来る隕石の雨。しかし、ブラックは冷静に指示を出していく。

 

「ランクルス!トリックルーム!!」

 

すると…バトルステージ全体に不思議な空間が広がっていく。

トリックルームは嘗て、ギエピーが用いた技であり…移動速度が遅いポケモンが早いポケモンよりも早く移動できる空間を産み出す技だ。

 

その上…ランクルスの移動速度は本来…物凄く遅い。その為か、トリックルームを使ったランクルスは消えたように高速移動した。

 

「なっ!?」

 

誰もが呆気に取られるが、ランクルスはラティオスの真上に移動していた。

 

「ラティオス後ろだ!!」

 

だが、ラティオスはトリックルームの影響で上手く動けない。

 

「ランクルス!!ピヨピヨパンチ!!」

 

ランクルスは右の拳を握り、ラティオスを殴る。

 

「クー!!」

「ぐぅおぉ!?」

 

ピヨピヨパンチはノーマルタイプの技だが、相手を混乱させる力が有り…その力でラティオスは混乱する。

 

「くるくる?」

「ラティオス!?」

 

混乱し、タクトの指示が届かないラティオス。

 

「ランクルス!!冷凍パンチ!!」

 

ランクルスは左の拳に冷気を集め、ラティオスの顔面を殴る。効果は抜群だ。

 

「グルっぽ!?」

「ランクルス!シャドーボール!!」

「クーーーー!!」

 

放たれたシャドーボール…勿論、命の玉で威力が上昇しており…一撃でラティオスを倒してしまった。

 

『ラティオス戦闘不能!!』

 

タクトはラティオスをボールに戻した。

 

「驚いたよ…たった1匹のポケモンで、僕のラティオスとダークライを倒すなんて。

だけど…次はどうかな?行け!レックウザ!!」

 

タクトはボールを投げ…緑色の大きな龍のようなポケモン…レックウザを繰り出した。

 

「ギュゥゥゥゥオオオオ!!」

 

――ほう、驚いた。レックウザは複数居たのだな。私が過去、ホウエンで出会った個体とは別だ。

 

なんという事でしょう。レシラム曰く、レックウザは複数個体が存在したのだ。ミュウツーが3体居るのだから、別に不自然では無いだろう。

 

「神速!!」

 

神速を用いて、レックウザはその場から消える。気が付けば…ランクルスはレックウザに噛み付かれて居たのだ。

 

「ランクルス!?」

「そのまま噛み砕け!!」

 

レックウザは技 噛み砕くを用いて、何度もランクルスを噛み砕くように顎で挟む。

 

ランクルスの悲鳴が響き…ランクルスは力なく倒れ…地面に落とされた。

 

『ランクルス戦闘不能!!』

 

ブラックはボールにランクルスを戻す。

 

――ブラック…次は私が行く。

 

「頼んだぞ!レシラム!!」

 

ブラックはボールを投げ…レシラムを繰り出す。そして、自分のメガバングルに触れて…レシラムをブラックレシラムにメガシンカさせた。

 

『なんだ!?なんなんだ!?この姿は!?レシラムがメガシンカした!?』

 

勿論、メガストーンの代わりに遺伝子の楔を使っている為に初回と異なり思考の共有は出来ない。その分、肉体の負担は大分軽いだろう。

 

「レックウザ!『遅い…私が1つだった頃戦ったレックウザはお前よりも強かったぞ?レックウザ』なっ!?」

 

ブラックレシラムはレックウザの眼前に移動しており、ブラックレシラムはドラゴンクローでレックウザを弾き飛ばす。

 

恐らくだが、レシラムのテレパシーを用いてブラックが指示を出したのだろう。

 

その上…レシラムは挑発するようにレックウザを煽る。

 

『どうした?見せてみろ……ブラックを鍛えた男と女が知っているレックウザはグラードンとカイオーガを同時に…それも単騎で倒せるぞ?見せてみるが良い……大空の守護者の力をな!!』

 

レシラムの言葉に刺激を受けたのか…レックウザは上空に上がり、大きな口を開ける。狙いは勿論、バトルステージに立つブラックレシラムだ。

 

「レックウザ!?」

 

タクトの指示を待たず…レックウザは大技である破壊光線を撃とうとする。だが…待ってましたと言わんばかりに…

 

「レシラム!!コールドフレア!!」

 

ブラックが叫び、ブラックレシラムが大きくスタンスを開いて上空を見上げ…口から全てを凍らせる爆炎を解き放つ。爆炎は亜光速の熱線となり…直撃を受けたレックウザは戦闘不能に成り、バトルステージに落下した。

 

「バカな…レックウザまでも」

「良し!レシラム!交代だ!」

 

しかし、ブラックはブラックレシラムを下げる。ブラックレシラムがブラックの後ろに控えると、ブラックは次にウォーグルを繰り出した。

 

「あぁ…やっぱり、君と戦えて良かった」

 

タクトはボールにレックウザを戻し、次に繰り出したのは……

 

「行け!イベルタル!!」

 

赤い飛行タイプのポケモンであった。

 

 

 

 

 

 

 

カランッボチャッ

 

「「ふぁ!?」」

「ピカピ!?」

 

テレビでブラックの応援をしていたサトシとセレナは余りの衝撃で、コップを落としてしまった。




次回!イベルタルVSウォーグル…タクトのリベンジが始まる。

そして…イッシュチャンピオンが決まる。


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44時限目

チャンピオン…決定


まさかのイベルタルの登場に唖然としてしまい、コップを落として飲み物を溢してしまったサトシとセレナ。2人は雑巾で溢してしまった飲み物を拭き終えて、ククイ博士と共にテレビを見守る。

 

「サトシにセレナ。あのイベルタルってポケモンを知ってるのか?」

 

ククイ博士はポケモンの博士とは言え、未だ年若く研究はポケモンの技だ。その為に知らないポケモンも居るのは居るし、研究者だとしてもイベルタルの名前は先ず知らない。知っていたとしても、資料や文献で名前を見た位しか無いだろう。

 

カロス地方の伝説のポケモンであり、破壊の伝説 イベルタル。目撃情報も殆んど皆無であり、文献に僅かな名前を残すぐらいだ。

 

「はい!俺達…カロスを旅していた時に、あのイベルタルと出会った事が有ったんです」

「その時に…眠りから覚めたイベルタルとNさん達が戦ったんですけど…」

 

イベルタルは破壊のポケモン。その力は未知数であり、文献には命をすいとる、枯らす、滅ぼすとも記されているのだ。

 

「イベルタルの攻撃を喰らうと……」

「なんだ!?まさか…石に成ったり、粒子レベルで粉々に成ったりするのか!?」

 

伝説のポケモンならば神に等しい力を持っていても可笑しくは無い。

 

「いえ…めちゃくちゃ空腹に成ります。生気を吸いとられて」

「空腹?」

 

セレナのまさかの答えを聞いてククイ博士は首を傾げる。

 

『おーーと!?ウォーグル戦闘不能!!これが伝説のポケモンの力か!?イベルタルが解き放った遠距離攻撃 デスウイングの一撃でウォーグルは倒されてしまった!』

 

テレビの実況が叫び、ククイ博士とサトシとセレナはテレビを見る。テレビの画面には…イベルタルが口から解き放ったビーム…デスウイングの直撃を受けて生気を奪われ…ガリガリに痩せ細ったウォーグルの姿が映し出された。

 

「なんじゃありゃー!?」

「あのビーム…植物に当たると、一気に枯れますよ」

 

植物は一瞬で枯れ果て、ポケモンや人間は生気をゴリゴリ奪われて一時的にだがガリガリに痩せ細る。

事実…サトシ達は自分達を庇い、ガリガリに痩せ細ったNとゼクロムを見てしまったのだから。とは言え、ポケモンや人間がガリガリに痩せ細るのは一時的であり、食事を取れば回復する。

 

「ありゃ…虫タイプの吸血、ギガドレイン等のすいとる技を過剰に受けた感じだな。まさか、只のビームがそんな力を持っているなんてな」

 

イベルタルのデスウイングの力を、他の技の特徴と照らし合わせて答えを導くククイ博士。流石は技の専門家であろう。

 

 

 

『ブラック選手どうする!?ウォーグルが手も足も出ずに倒された!!』

 

実況が響き、ブラックはウォーグルをボールに戻した。

 

「良し!頼んだぞ!ジバコイル!!」

 

ブラックはボールを投げて、次に選んだのはジバコイルだ。

 

確かに鋼・電気タイプのジバコイルなら、飛行タイプの技であるデスウイングのダメージを押さえる事が出来るだろう。

 

「ふむ…だったら、イベルタル!!あくのはどうだ!」

 

タクトの指示に従い、イベルタルは口から悪の波動を解き放つ。確かに悪タイプの攻撃は普通に鋼タイプに通用するので、ダメージを与えることは出来るだろう。

 

「ジバコイル!()()()()()だ!」

 

次の瞬間…ジバコイルはテレポートを使って消えた。

 

「「「なに!?」」」

 

これには観客も大驚きであり、驚く。確かにジバコイルはテレポートを覚える事は可能だ。しかし、今ではそれが厳しい現実に有る。

何故なら、ジバコイルがテレポートを覚える為には、今と成っては生産中止と成った…テレポートの技マシンを使う必要が有るためだ。このテレポートの技マシンだが、今から10年以上前…未だ技マシンが使い捨ての時代に作られた代物であり、今では入手不能。その骨董品であるテレポートの技マシンを使えばジバコイル…正確にはコイルとレアコイルにテレポートを覚えさせる事が出来るのだ(事実、初代赤では出来ました)。

 

「イベルタル!後ろだ!!」

 

タクトが叫ぶが、既に遅い。ジバコイルはイベルタルの背中に張り付き…U字磁石の腕をイベルタルの背中に張り付かせる。

 

「ゼロ距離で電磁砲を放て!!」

「コイルゥゥゥゥ!!」

 

解き放たれたゼロ距離の電磁砲。電磁砲は命中率に難が有るが、威力は高くその上…相手を確定で麻痺させる効果も有るのだ。

 

「ぐゅぅぅがが!!」

 

ゼロ距離で電磁砲の直撃を受けたイベルタルは背中にジバコイルを乗せたまま、バトルコートの中心地に落下する。

 

「良し!ジバコイル!十万ボルト!」

 

ブラックの指示を受けて…ジバコイルは全身に電気を迸る。しかし、十万ボルトを解き放つ前に……イベルタルは全身から熱風を解き放った。

ジバコイルは十万ボルトの準備でテレポートが行えず、全方位に向けて放たれた熱風を避けることが出来ず…ジバコイルは一撃で倒れてしまった。

 

『ジバコイル!!戦闘不能!!強い!強すぎるぞ!イベルタル!ブラック選手のウォーグル、ジバコイルを一撃で倒してしまった!』

 

ジバコイルをボールに戻したブラックは考える。

 

―残りはレシラム、ケン(ダイケンキ)、ウルガモスだけ。イベルタルのビームは多分…吸血と同じくすいとる系。イベルタルの見た目からして、多分…飛行タイプの技だと考えれば……ウルガモスは危険だ。

 

考えるブラック…彼が出したポケモンは

 

「頼んだぞ!ケン!」

 

レシラムに継ぐ実力者で、ブラック初めてのポケモン ダイケンキであった。

 

バトルコートに飛び出したダイケンキは足刀を抜刀し、二刀流で構えて二本足で立ち上がる。

 

「ふむ…次はダイケンキか。イベルタル!デスウイング」

 

タクトはイベルタルに指示を出し、デスウイングを使おうとする。確かにイベルタルのデスウイングならば、失った体力も回復してダイケンキを倒せる。しかし…

 

イベルタルは体が痺れて動けない。

 

「イベルタル!?」

「ケン!剣の舞だ!!」

 

イベルタルが動けない間を使い、ダイケンキは剣の舞を行って攻撃力を倍に引き上げる。

 

その上…麻痺状態は素早さが下がるのだ。

 

「アクアジェット!!」

「ダイケェェン!!」

 

ダイケンキはアクアジェットを用い、水を纏って高速で動けないイベルタルに突っ込む。アクアジェットの直撃を受けたイベルタルは…残り僅かな体力では耐えることが出来ず、力なく倒れてしまった。

 

『イベルタル!戦闘不能!!』

 

これでタクトは残り2体。対してブラックはダイケンキ、ウルガモス、レシラムの3体のポケモンが残っている。ダイケンキもダメージは受けておらず、状況はブラックが有利と言えるだろう。

 

「良し…行け!ライコウ!!」

 

タクトはボールを投げ、黄色い…虎のようなポケモンを繰り出した。5匹目なので、後のポケモンは恐らくはキュレムだろう。

このライコウというポケモンはジョウト地方の伝説のポケモンであるのだが、フリーザーやラティアスと同じくそこそこ生息しており…伝承や文献に名前を残してはいるがぶっちゃけるとフリーザーやラティアスと同じく珍しいポケモンだ。

 

「ライコウ!神速で駆け抜けろ!」

 

タクトの指示に従い、ライコウは神速でダイケンキを翻弄する。これではダイケンキの攻撃は当たりそうに無いだろう。

 

「早い!」

「十万ボルトだ!」

 

放たれた10万ボルト。勿論、効果は抜群であり…ダイケンキに絶大なダメージを与える。やはり…伝説のポケモンに相応しく、絶大な力を持っているようだ。

 

「止めだ。神速で近づき、喉元に雷の牙だ」

 

タクトの指示でライコウは駆け抜け、ダイケンキの喉元に噛み……つけれなかった。

 

「なに!?」

 

ダイケンキは守るを使い、バリアーを張ってライコウの攻撃を防いだのだ。

 

「アクアブレイク!!」

 

ダイケンキは激流を纏い、その流れでライコウに突撃する。

 

「こぅぅ!?」

 

剣の舞で攻撃力が倍に上がっており、その上…タイプ一致のアクアブレイク。確かに電気タイプは水タイプに強い、しかし電気タイプは普通に水タイプの技を受けるのでライコウに絶大なダメージを与えたのだ。

 

だが、ライコウは未だ倒れない。

 

「神速!」

「アクアジェット!」

 

両者は同時に攻撃を行い…攻撃はお互いに当たる。そして…両者は同時に倒れてしまった。

 

『おおーと!ライコウ、ダイケンキ!共にダウン!

これで、ブラック選手は残り2体…タクト選手は残り1体と成ります』

 

恐らく、タクトはキュレムを繰り出して来るだろう。ブラックとタクトは倒れたパートナーをボールに戻し、次のポケモンを繰り出した。

 

「いけ!ウルガモス!!」

 

ブラックは色違いのウルガモスを繰り出す。それに対し、タクトはハイパーボールを投げて最後のポケモンを繰り出した。

 

「キュレム!誰が頂点に立つべきなのかを証明してくれ!」

 

ゼクロム、レシラムを精神とするなら肉体とも言えるポケモン キュレム。イッシュ地方が誇る伝説のドラゴン、その1体がバトルステージに降臨した。

 

「ウルガモス!炎の舞!」

 

ウルガモスは炎の舞を使い…炎の熱波がキュレムに向かっていく。しかし、キュレムは吐息を吐くような氷の力でそれを防いだ。しかし、一気に高温と低温が混ざった為か…キュレムの周辺は水蒸気で見えにくくなる。

 

「なんだ?」

 

バチリ…バチリと電気の音が聞こえる。すると、水蒸気の煙からなにかが高速で飛び出し、強靭な腕でウルガモスを鷲掴みにしてしまった。

 

「モフ!?モフモフル!?」

 

短い手足と羽を動かし、何とか逃げ出そうとするウルガモス。しかし、逃げ出せない。

 

『バカな…何でお前がその姿に成れる?』

 

そう言ったのはブラックの後ろに控えるレシラムだった。

 

ウルガモスを鷲掴みにした何かは…ゼクロムのような姿に変身したキュレムだった。

 

「キュレム!絶対零度だ!」

 

キュレムを始点に全てを凍らせる冷気がバトルステージ全体に広がり…ウルガモスの身体は一瞬で凍り付く。

 

「モフモキュュュュュ!?」

 

ウルガモスの悲鳴が響き…ウルガモスは絶対零度の一撃を受けて倒れてしまった。無理も無いだろう…絶対零度は一撃必殺。頑丈等の特性を持っていないポケモンが受ければ…一溜りも無いのだ。

 

『ウルガモスダウン!!これで…ブラック選手もポケモンがレシラムだけに成ってしまったぞ!』

 

実況が響き…ブラックはウルガモスをボールに戻した。

 

「レシラム…」

『分かってる。任せておけ』

 

ブラックレシラムがブラックの前に出て、バトルステージに降臨した。

 

『久しいな…脱け殻よ。今はキュレムと言うのだったな』

『久しぶりだな…真実を求める女心。いや、今はレシラムだったな』

 

挨拶を交わすレシラムとキュレム。テレパシーを使い、あえて周囲に聞こえるように話した両者に、観客は勿論、撮影するメディアも喉を成らして注目する。

 

『我らを繋ぎ止めていた楔を使い、メガシンカか?いや、性質的にはゲンシカイキに近いな』

『ゲンシカイキとやらは知らんぞキュレム。言葉はもう不要だな』

 

ブラックレシラムの尻尾の発動機が赤く熱を帯び、ブラックレシラムは火炎放射を解き放つ。

だが、瞬時にキュレムはレシラムに似た姿に変化し、同じく火炎放射を放って相殺した。

 

「なんで?今度はレシラムみたいに…」

 

瞬時に変身するキュレムの能力にブラックは唖然とする。

 

「それもそうさ。キュレムはレシラムとゼクロムの嘗ての肉体。だからこそ、両者の遺伝子と力を脱け殻だとしても持っているのさ」

 

そう説明するのはタクトだ。

 

「キュレムのタイプは氷・ドラゴン。だけど…実質的に氷・ドラゴン・炎・電気、4つのタイプを持つ最強のドラゴンだよ!

ゼクロムに似た姿はブラックキュレム。レシラムに似た姿はホワイトキュレム…僕はそう呼んでる」

 

そう…キュレムは姿を瞬時に変えることで、属性を変える事が出来る唯一のドラゴンなのだ。

 

タクトの言葉にテレビ越しで見ていた世界中のポケモン学者はテレビにしがみつくように見る。

 

『ほう…聞いたかブラック?』

「勿論…それじゃ行こうか!」

 

ブラックレシラムは背中の翼で羽ばたき、それを追うようにキュレムもブラックキュレムに変化して飛び上がる。

 

そこからは…正に神話の再現と言える戦いであった。メガ進化?で昇華した力を振るうブラックレシラム…そして瞬時に力を使い分け、力を振るうキュレム。

 

その戦いに観客は唖然とし、取材陣は伝説のポケモン同士の戦いを未来に残すため…カメラを回す。2年前のNのゼクロム、ブラックのレシラムの戦いの反省も活かしてより頑丈なカメラを用意した。お陰さまで未だ撮影は出来る。

 

「こんな機会…2度と無いぞ!」

「わかってますよ!2年前のイッシュリーグ決勝戦を思い出しますね!」

 

爆炎が冷気が雷光が龍のオーラが周囲を巡り、イッシュが誇る伝説の三龍の内2体が戦っている。

 

『キュレム…お前は忘れたのか?その肉体から氷は消えない』

『ぐぁぁ!?』

 

ブラックレシラムのクロスフレイムがホワイトキュレムに直撃する。

ホワイトキュレムの時は炎を使えるはずだが、かなりのダメージを与えた。

 

『私達が1つだった頃から、氷は消えない』

 

そう…キュレムは姿を変えても耐性は氷・ドラゴンの頃と変わらないのだ。

その為か…ドラゴンでありながら、普通に炎タイプの攻撃は通るのだ。

 

ホワイトキュレムは普通のキュレムの姿に戻り、地面に逃げる。

 

『そろそろ…終わらせるぞ』

『そうだな…』

 

上空のブラックレシラムと地上のキュレムはお互いを睨み、大きく口を開ける。

 

「青い炎!!」

「絶対零度!!」

 

全てを凍らせる冷気の光線と全てを焼き尽くす青い爆光がぶつかり合い…空間が震える。

 

 

衝撃が収まった時…バトルステージに立っていたのは…白き英雄だけだった。

 

『キュレム!戦闘不能!!よってイッシュチャンピオン決定戦はブラック選手の勝利!!

此処に新たなイッシュチャンピオンが誕生しました!』

 

ブラック…イッシュチャンピオンに就任する。

 

 

ブラックがチャンピオンに就任してから翌日。

 

大きな宮殿を模したようなイッシュリーグ本部の広場に、タクトのポケモンである筈のキュレムがやって来ていた。

 

「あれ?キュレム?」

 

引き継ぎの書類を仕上げ、休憩時間を使って散歩していたブラックはキュレムを見つける。

 

「タクトさんと一緒じゃ」

『もう…俺はタクトのポケモンではない。奴を脅…話し合いをして自由の身に成った』

「今…脅しって言わなかった!?」

 

どうやら、キュレムはタクトと話し合い…逃がしてもらって自由の身に成ったようだ。

 

『俺は暫く…ゴッドストーン…平たく言えば、俺のライトストーンのような形だな。それに成って眠りにつく。

お前がレシラムと出会ったように、Nとやらがゼクロムと出会ったように……俺の氷を真実と理想の心で溶かしてくれる英雄を待つことにした。

ゴッドストーンはお前が適当にイッシュの何処かに隠してくれ。レシラムに認めれた真実の男よ』

 

キュレムはそう言い残すと、眩い光を放ちながら…野球ボール程のボールに変化してしまった。恐らく、それがゴッドストーンなのだろう。

 

「仕方がないな。でも…引き継ぎが終ってからだぞ」

 

 

 

 

その後のキュレム。

 

ブラックが正式にチャンピオンに成り、引き継ぎ作業を終え、メディアに引っ張りだこ状態でアローラに帰る準備をしてる頃。

 

『どうしてこうなった?』

「キュレム~ここどこ?」

 

何故かキュレムは復活して1人の少年のポケモンに成っていた。

少年の名前はホワイト。ブラックが殿堂入りを果たした2年後に旅立った新米トレーナーであり、トレーナー歴としてはサトシよりも新米だ。

 

そんな彼はまさかの初めての冒険の地として、ジョウト地方を選んだのだ。イッシュ出身で有りながら、ジョウトを冒険するという選択を選んだ彼は…なんの気紛れかキュレムを復活させ…アララギ博士の助手のベルからイーブイを貰い、ジョウトでウツギ博士からチコリータを貰ってジョウトを旅してる。

 

「あっ!彼処にポッチャマ連れてる女の子居るよ!道を聞こうよ!」

『ホワイト…言い忘れたが、序盤のジム戦で俺は使うなよ?』

「えっ?なんで?」

『当たり前だろ!!良いか?確かに俺は強い…けどな、お前のトレーナーとしての腕前とチコリータやイーブイも育たんだろ!!』

 

キュレム…完全に保護者となる。




ルビサファ主人公「俺は!?」
ダイパ主人公「俺は!?」
XY主人公「俺は!?」

いや…だってね…君達、ヒカリやハルカ、セレナが出てるじゃん(笑)

ホワイト君はブラック2の主人公ことキョウヘイ君です。

因みに……ゴールドも後々に出てきますよ。ゴールドは大体、20歳位です。


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休み時間 歴代主人公とヒロイン+α

ゴールド(金銀の主人公)

 

年齢20歳。ジョウト地方チャンピオンではないが、ジョウト地方最強のトレーナー。金銀での冒険を終えた後、少年時代に白銀山でレッドとの初邂逅を成し遂げてピカ様以外を倒すがピカ様に倒される。

今はウツギ博士の助手を行いながら、ウツギ博士からポケモンを貰って旅を始める子供達にアドバイスを送っている。

 

バグフーン。

 

ゴールドの初めての手持ちであり、ゴールドの相棒。昼寝が好きであり、良くウツギ博士の研究所のソファーで昼寝をしている。

 

キングドラ、バンギラス、サンダース、トゲキッス。

 

ゴールドの手持ちのレギュラーメンバー。チャンピオン級に相応しい実力を持つ。因みにキングドラ以外、卵から孵った。

 

ギラティナ(チビティナ)

 

ゴールドが調査で訪れたシントの遺跡で出会った伝説のポケモンの幼体。出会いはサトシがアルセウス様との事件を終えた頃。ウツギ博士の指示でシントの遺跡と呼ばれる遺跡にやって来たゴールドが神の気紛れか…創造神アルセウス様と出会う。

アルセウス様が「託そう」と神託を残してゴールドに託した卵から還ったギラティナ。とは言え、ギラティナなのだが……幼体なので大きさは2メートル程しか無い。強さも鍛えた600族よりも少し弱いほど。アルセウス様曰く…大人のギラティナに成るには百年かかるとか。ギラティナも卵から孵ったので、キングドラとバグフーン以外のゴールドのポケモンは全員卵から孵った事に成る。

 

シルバー(金銀ライバル)

 

ジョウトリーグ四天王。実はロケット団の元ボスであるサカキの息子であり、その事は余り知られていない。ワタルに匹敵する強さを持っており、ワタルと戦う前にはジョウト四天王最強のシルバーを倒さなくてはいけない。

 

サザンドラ

 

シルバーのサザンドラ…別名、第二の破壊神。シルバーがオーキド研究所に遊びに来た際に、グリーンの破壊神バンギラスと戦い……オーキド研究所が崩壊しかけた。

 

マニューラ、ゲンガー、クロバット、オーダイル、メガプテラ。

 

シルバーの手持ち。サザンドラと違って、そこまで危険では無い。

 

 

コトネ(クリスタル 女主人公)

 

ゴールド、シルバーと共に旅に出た少女。但し、ゴールドやシルバーと違ってそこまでブッ飛んだ強さは持っていない。

 

メガニウム、スイクン。

 

コトネのパートナー達。金銀の皆様の手持ちでは恐らく、一番平和。

 

 

ハルカ

 

御存知、サトシと共にホウエン地方を旅してたホウエンのヒロイン。未だサトシと違って国外には旅立っていない。後々に登場予定。現在は故郷のホウエンに居る。実はリンドウと知り合い。

 

マサト

 

ハルカの弟。10歳未満だが、念願の特別許可証を認可されて念願の手持ちを持っている。しかし、捕まえる際はジムリーダー等の許可された人物の指導と監視が必要。リンドウと面識あり。後々、サトシと戦う予定。

 

ジラーチ

 

マサトのポケモン。御存知、映画のあの子。本来は7日間しか目覚めないが……リンドウがアクア団とマグマ団を自然大好き慈善団体に物理調教した事と、ゲームの流れが有る為か…普通に元気である。

 

デオキシス

 

マサトのポケモンその2。勿論、あの時のデオキシス。ぶっちゃけ、ジラーチはマスコット要素が有るが…此方はバリバリの戦闘要員である。

 

ヒカリ

 

御存知、サトシと共にシンオウ地方を旅していたシンオウのヒロイン。彼女もサトシと違って国外には旅立っていない。現在、ジョウトに居る。

 

カスミ

 

御存知、サトシと共にカントーとジョウトを巡ったヒロイン。アニメ原作ではジムリーダーに成ったが、此処ではジムリーダーではなくトキワジムのメンバー(一時期、姉3人が旅行に出たのでハナダジムのリーダー代理は有る)。早い話、グリーンの弟子である。グリーンの指導の為か…アニメよりも遥かに強い。

 

メガギャラドス、コダック、キングドラ、ヒトデマン等々…

 

カスミのポケモン達。因みにキングドラはタッツーが進化した姿。コダックは安定のカナヅチである。

 

タケシ

 

我らがスーパーニビ人であり、ポケモンドクター兼ブリーダー。こう見えて、リンドウ達よりも年下で17歳である。安定のお姉さんが大好きであり、愛のハンターに成ることは御決まりである。

 

メガハガネール、ウソッキー、グレッグル、イシツブテ、クロバット等

 

タケシのポケモン達。特にグレッグルには愛のハンターに変身したタケシを制裁する任務が与えられているのだ。

 

デント

 

中の人はガンダムマイスターでイノベイターな、元イッシュのジムリーダーであり、サトシと共にイッシュを旅した仲間。現在は何処に居るのやら?因みにちょっと前までカロスに居た。

 

アイリス

 

平行世界ではブラックの代わりにアデクの後継者に成っていたアイリス様。御存知、サトシと共にイッシュを旅した仲間である。現在はジョウトの冒険を終えて…何処に居るのやら?

 

ケンジ

 

嘗てサトシと共にオレンジ諸島を旅した仲間。現在は伝説のポケモンが闊歩する魔境オーキド研究所で働いている。最近、授業参観を口実にアローラに国外逃亡したオーキド博士に、同僚と共にぶちギレた。

 

ホワイト(ブラック2の主人公)

 

新人トレーナーであり、右も左も分からない新人。イッシュ出身だが、何をとちくるったのか……最初の冒険の土地にジョウトを選んだ。旅立つ3日前にブラックが隠したゴッドストーンを運命的に見つけ、理想と真実を追う素質が有ったためかキュレムを復活させる。現在の手持ちはキュレム、イーブイ、チコリータ。

 

キュレム

 

ホワイトの保護者でありパパ代わり。元々は伝説厨のポケモンだったが、自由の身に成ってゴッドストーンに成っていたが…見つけたホワイトが復活させた。

 

トゥルーキュレム

 

ネタバレ注意。ホワイトがメガバンクルと、キュレムに持たせたら遺伝子の楔でメガシンカ?した姿。本来のキュレムの姿をした強化形態であるが…ブラックとレシラムと合体してない為か…戦闘能力は再現されていない。戦闘能力もブラックレシラムほど。

作者の完全なるフロム脳解釈です

 

ベル

 

ブラックの幼馴染みであり、アララギ博士の助手。新人時代と異なり眼鏡をかけている。本人はブラックやチェレンと違い才能が無いと思っているが、1シーズン以内に全てのバッチを揃えてるので素質は充分に有る。

手持ちはエンブオー、ムシャーナ等々。

 

チェレン

 

ブラックの幼馴染みであり、ジムリーダー。因みにこの作品世界ではアロエの代わりにサトシが戦ったジムリーダーである(アロエママは育休や博物館の仕事で引退)。ベルはアララギ博士の助手、チェレンはジムリーダー、ブラックはチャンピオン、Nは保護団体代表…何気にこの4人は凄い。

手持ちはオノノクス(色違い)、ジャローダ等々。勿論、ジム用のポケモンとプライベート用は別である。

 

 

 

 




次回!未だブラックは帰ってないが…リンドウには仕事が有る。

ククイ博士「ラナキアマウンテンのリーグ本部を作ってる建設現場に着いてきてくれ!」
リンドウ&ブルー「マジっすか…」


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45時限目

「じゃじゃーん!アイナ食堂の新名物!白黒カレーだよ!」

「アママイ!」

 

ブラックが未だアローラに戻れない今日。彼のクラスメイトであり、共にリンドウから日々指導してもらう子供達はマオの自宅であるアイナ食堂で新たなメニューの試食会を行っていた。

彼等が今食べようとしているのは白黒カレー。白いカレールーと定番の黒いカレールーの二色のルーが楽しめるカレーライスである。勿論、このカレーはイッシュチャンピオン決定戦で無事に勝利したブラックのチャンピオン就任記念にマオが考案したレシピである。

 

マオとアマカジ……ではなく、アマカジが進化したアママイコと共に考案したレシピであり…自信作だ。

 

「なにこれ美味しそう!」

「白いカレーなんて…初めて見るな」

「でしょでしょ?珍しい木の実も使ったんだ」

 

マオは良くポケモンスクールの裏側に有る森で、木の実を探す事が有る。今回も材料である木の実を探している最中に、アマカジがアママイコに進化したのだ。

 

「ブラックとレシラムは向こうで大変だしな…」

 

無事にチャンピオンに成ったブラック。ポケモン学者でも知らないような、伝説のポケモンの数々を繰り出してきたタクトを倒してチャンピオンに成ったブラックであるが…彼は未だ帰れそうに無いのだ。

連日のようにメディアに引っ張りだこで、様々な番組に呼ばれるのだ。とは言え、カントー、シンオウ、ホウエン、ジョウトの4つが同じ国であるようにアローラとイッシュも同じ国だ。その為か…アローラに居てもテレビでブラックの元気な姿は見れるのだ。

 

「チャンピオンって…大変そうだね」

「就任してすぐって事も有るかも知れないけどな」

 

一方…イッシュチャンピオンと未来のアローラチャンピオンの教師であるホウエンチャンピオンと言うと…

 

「おー…順調に出来てるな」

 

アローラでも数少ない降雪地帯であり、常に気温は氷点下を下回る場所 ラナキアマウンテンの山上にブルーとククイ博士と共に来ていた。

彼等の視線の先には今まさに建設作業が行われており、既にその建物は骨組み等が既に完成していて、部分的だが外観も明らかに成っている。

 

「だろ?半年以内にアローラリーグを開催できそうだ。勿論、今年は参加資格の制限は無い。記念すべき第一回だからな」

 

ラナキアマウンテンの山上に建設され、尚且つ天高く聳えるように作られているのはアローラリーグの本部。既にメレメレ島沖に作られた別会場であるスタジアムは完成しており、後はこのアローラリーグの本部だけなのだ。

アローラリーグの本部にはリーグ本部としての機能と仕事は勿論、他のリーグと同じようにチャンピオンと挑戦者との戦いが繰り広げられる予定なのだ。とは言え、アローラリーグは四天王を今の所は採用しない方針で…アローラリーグを制したチャレンジャーが本気のジムリーダーと戦うトーナメントを戦い…その覇者がチャンピオンとの防衛戦に参加する予定なのだ。

 

「ククイ博士…それじゃあ、アイツ等に告知して良いんですね?」

「勿論だ。開催の目処が立ったし、場所によっては建設中のリーグ本部は見えてしまうしな」

 

ククイ博士とリンドウの会話を聞いて、ブルーは首を傾げる。

 

「リンドウ…もしかして」

「ああ、サトシ達に伝える。まぁ、ジムリーダーの事は未だ伝えないけどな」

 

開催の目処が立ったなら、隠す必要は無い。それにアローラで最も標高の高いラナキアマウンテンの山上にポケモンリーグは建設されているのだ。

告知しなくても、何かが始まると分かってしまうだろう。

 

「だとしたら…サトシ達のスキルアップを兼ねて、カリキュラムの変更だ。

アーカラ島での課外授業、そんでその次は……カントー合宿でどうだ?リンドウ」

「良いですね…ただ、時間に余裕が有るのならホウエン合宿も入れたいですね。ライチさんにアポイントはお願いしますよ?」

「勿論だ。お前はカントーとホウエンのアポイントを頼むぞ?」

 

こうして…ククイ博士とリンドウの手でサトシ達の強化プランが進行していたのだ。

 

しかし…ブルーには1つ気になる事が有った。それは…

 

「所でククイ博士…寒くないの?」

 

リンドウは国内の姿である青紫のコートを羽織っており、ブルーも防寒具を纏っている。しかし、ククイ博士は何時もの半裸の上から白衣姿だったのだ。

 

「ハッハハ!寒くないさ……へぷし」

 

次の日…ククイ博士は風邪を引いた。

 




次回!リンドウとサトシ、マーマネと共にポケモン探し。

マーマネはデンヂムシを捕まえられるのか!?

そして…アローラリーグの開催が告知される。


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46時限目

マーマネ…デンヂムシを捕まえる。


「早く…学校に戻りたい」

 

日夜、テレビ出演、イベント出演、雑誌の取材などでイッシュの新チャンピオンであるブラックは疲れていた。無理も無いだろう、彼はポケモンリーグ史上初の様々な地方の伝説が集うバトルをレシラム+普通のポケモンで制したのだ。

 

「それにしても…ロケット団復活?か…」

 

イッシュリーグ本部のデスクに座り、手渡された資料を見る。そこにはロケット団復活?という文字が刻まれており…1枚の写真も納められていた。その写真には伝説のポケモンを引き連れるサカキらしき男、ロケット団の下っ端の服装だがRのマークが虹色の構成員…そして何やら様子が変なキュレムを連れたゲーチス?が写っている。

何故…サカキ?とゲーチス?なのかと言うと…サカキ本人はレッドに敗北し、再びトレーナーとしての熱い気持ちを取り戻した後はリンドウとブルーにバッチを手渡すという最後の仕事を終えた後は…刑務所に服役し、出所してから内縁の妻の所でひっそりと暮らしている。ゲーチスはブラックの手で倒された後は……駆け付けたギエピーの手で部下共々トラウマを植え付けられ…プラズマ団のゲーチス派の仲間と共に精神病院に入院。サカキもゲーチスも確認は取れており、間違いなく本人では無いのだ。

 

「でも…何処から見てもゲーチスだよな?それに…キュレムはベルから聞いたけど、ホワイトって子が目覚めさせたから違うし…」

 

キュレムとホワイトの無事もジョウトに居るウツギ博士から確認は取れている。

 

だとすると写真に映るサカキとゲーチス、キュレムは何者なのだ?メタモンが変化した訳では無いことは確からしく、物凄くそっくりさんの仮装という訳でも無さそうだ。

 

「分からん」

 

ブラック…取り合えず、考えるのを放棄した。しかし、ブラックは知らない。自分を含めたリンドウ教室の仲間達と+αの人達がこのサカキ?率いるレインボーロケット団と戦う事に成ることを。

 

しかし、考え事をしていた為か…ブラックは気付かなかった。スマホにリンドウからのメッセージで「半年以内にアローラリーグを開催するから、宜しく!勿論、俺とお前は選手として出れないけどな」と嬉しいお知らせが来ていたのだ。

 

ブラックとリンドウが出れない理由……チャンピオン掛け持ちなど、出来るわけが無いのでゲスト及び観客確定である。

 

一方その頃、アローラのメレメレ島ポケモンスクールの教室ではリンドウがサトシ達にアローラリーグの告知を行っていた。

 

「「「えぇぇぇーー!?アローラリーグの開催!?」」」

 

勿論、今までポケモンリーグの無かったアローラにポケモンリーグが出来、更に半年以内に開催される事が伝えられたのだ。

今までカントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロスと旅してポケモンリーグに参加したサトシは勿論、今までポケモンリーグの事をテレビ中継や記録映像でしか知らないアローラ出身のカキ達は驚きながら声を出してしまった。

 

「おう!どんなに遅くても半年以内には開催だ。

今年は記念すべき第一回だから、他方のリーグチャンピオン以外は誰でも参加できる。使用ポケモンも当たり前のように制限なし。

俺やブラック、レッドは他の地方のチャンピオンだから参加出来ないが…ゲストとして開催エキシビションマッチ等を行うから参加してくれよ?」

 

記念すべき第一回の為か…誰でも参加でき(チャンピオン以外)、どんなポケモンでも参加できる(これは他の地方もそうである)。

 

「因みに…優勝者は歴史に刻まれる、アローラ初代チャンピオンの称号を手に入れて…その後に行われるチャンピオントーナメントに参加できるぞ」

 

チャンピオントーナメント…聞き覚えの無い言葉を聞いてサトシ達は首を傾げるが、リンドウは続ける。

 

「チャンピオントーナメントはエキシビションマッチだが、様々な地方のチャンピオンが凌ぎを削る戦いだ。

参加を決めてるのは俺とレッド、シンオウのシロナさん、カロスのカルネさん、ガラルのダンデだな。未だ返事は来てないが…ブラックは参加と考えて……最低でも6人のチャンピオンとアローラチャンピオンが参戦する」

「うぉー!すんげー!!」

 

様々な地方のチャンピオンと戦う事が出来るチャンピオントーナメント。その話を聞いてサトシは参加したくて、うずうずし…ガッツポーズを行う。

 

「そして…これは俺と一部のアローラリーグの関係者しか知らないが…………アローラリーグの優勝者はアローラのヒーローとも言える()()()()()()()とエキシビションマッチを行う事が出来るぞ?これは確定事項だ」

「「「ロイヤルマスクと!?」」」

 

ロイヤルマスク…その名前を聞いたサトシとセレナ以外の生徒達は大声を出して驚く。無理もない、ロイヤルマスクは他の地方で言えばチャンピオンと同じ…いや、それ以上の人気を誇るポケモントレーナーであり、プロレスラーなのだから。

 

「だったら…私は出る!」

「スイレン!?私だって!ロイヤルマスクと戦えるなんて…こんな機会ないよ!」

「俺も出るぞ!ロイヤルマスクと戦えるなんて…夢のようだ!」

「ぼっ僕も出るぞ!!」

「ししょー!アセロラちゃんも出るぞ!」

 

アローラ在住のスイレン、マオ、カキ、マーマネ、アセロラが参加を表明した。それほどにロイヤルマスクの人気は凄いのだろう。だが、未だバトルに自信の無いリーリエは参加を表明せず、気まずそうな顔をした。

 

「リーリエ…でないの?」

「興味は…有るんですけど…自信なくて」

 

だが、リーグに興味を持ってくれたリーリエ。そして参加を表明してくれた他の生徒達の気持ちを聞いてリンドウは笑みを浮かべる。

 

「そうかそうか!先生は嬉しいぞ。それとだな…今後の予定としては、来週から校外学習としてアーカラ島で三泊四日泊まりながら勉強を行い、その後はカントー地方とホウエン地方に合宿が有るぞ!

アーカラ島に泊まるときはアーカラ島のポケモンセンター。カントー地方の時はサトシの実家である民宿。ホウエン地方に泊まるときは…俺の別荘だな」

 

アーカラ島の校外学習ではポケモンセンター、カントー合宿の際はサトシの実家である民宿兼レストラン マサラハウス、ホウエン地方に泊まる際はリンドウの別荘(ホウエン業務の際のキープハウス)である。

 

「えっ!?俺の実家!?」

「既にアポは取って有る。貸し切りだ!」

 

こうして…リンドウ達の今後の予定が固まっていくのだった。

 

その日の放課後…

 

「先生!僕…デンヂムシを捕まえたいんだ!」

 

と告げたマーマネの想いに答えるために、リンドウはサトシとラティアス(人モード)と共に裏手の森に来ていた。

 

サトシ、マーマネ、ラティアスは虫取網を持っており…準備は万端だ。

 

「デンヂムシは基本的に土の中に居る。勿論、地上に出てくる時も有るが…彼等は基本的に動くことは少ない」

 

リンドウの言葉を聞いてデンヂムシの理解を深めるサトシ達。

 

「それに…出現率も進化前のアゴジムシと比べて低い。手っ取り早い方法はアゴジムシを育てて進化させる事だが、頑張れば今日中に出会えない事もない。

だが…デンヂムシを見付けるためには地面を掘る必要が有る。だから…これを使うぞ!」

 

リンドウは何かを取り出した。それはスコップである。

 

「「スコップ?」」

「くー?」

「ピカ?」

「これで地面を掘ってデンヂムシを見付ける。さぁ!やるぞ!」

 

こうして…地面を掘ってデンヂムシを探す戦いが始まったのであった。

 

10分後…

 

「出ないな…アゴジムシなら出てくるんだが」

「アゴジム?」

 

20分後…

 

「出ないな…」

「ピカピ…」

「くーん」

 

30分後…日も傾いてきた頃にようやく奴は現れた。

 

「デンヂ?」

 

緑色の体色に四角いボディー。電車やバッテリーを思わせる長方形のボディーをした虫タイプのポケモン、デンヂムシである。

 

マーマネが堀当てたデンヂムシ。だが、友情ゲットする場合以外には基本的にバトルをして弱らせて、ボールを投げる必要が有るのだ。

 

「やった!」

「喜ぶのは早いぞ。バトルしてゲットだ!」

「うん!お願い!トゲデマル!」

「マジュ!」

 

マーマネはボールを投げて、トゲデマルを繰り出す。トゲデマルは避雷針の特性を持っており、電気タイプの技は効かない。電気タイプ相手には有利だ。

 

「デンヂ!?」

「トゲデマル!体当たり!」

「マジュ!!」

 

トゲデマルの体当たりを受けて、デンヂムシは怯む。

 

「良し!いっけー!モンスターボール!!」

 

マーマネはデンヂムシにモンスターボールを投げ、デンヂムシをボールの中に入れる。ボールは三回程揺れたが、揺れは収まり…デンヂムシはマーマネのポケモンに成った。

 

「やった!やったぞ!」

「マジュ!マッジュ!!」

 

この日…マーマネとデンヂムシは運命に出会った。

 

「喜んでいる所、申し訳ない」

 

ふと…何やら神々しい気配が感じられ…北から風が吹いた。何事かと思い、リンドウ達は上を見る。

 

「嘘だろ?」

 

その存在を見たリンドウは唖然としてしまい、マーマネは尻餅を着いてしまい、サトシは驚くが直ぐに笑みを浮かべる。サトシの表情は懐かしい友人に再会したような微笑みだ。

 

――創造神 ミワセウス様じゃないか!!

 

「む?青年、何やら失礼な事を考えなかったか?」

「イエ…ナンデモアリマセン」

 

彼らの上には…巨体を持つ白き神、そしてその神が造り出した同じく巨体を持ちドラゴンゾンビのような複数の脚を持つドラゴンポケモンが居たのだ。

 

「アルセウス!ギラティナ!久し振り!」

 

白き神はこの世界を産み出した創造神 アルセウス。彼の隣に立つのはアルセウスの子供と言える存在でサトシの友人である伝説のポケモン…反転世界にすむ荒ぶる神 ギラティナである。

 

「ギエー!」

「ピカチュウ!」

「マジュ!?」

 

ギラティナは嬉しそうにピカチュウとトゲデマルを自分の頭の上に乗せる。彼は久し振りにサトシ達と出会えて嬉しそうだ。

 

「サトシ…いきなりだが、私とギラティナをモンスターボールで捕獲するんだ。私は進んで捕獲されるが、やるべき事が有るから力は貸せない。

ギラティナは君への好意だ。誰かに捕獲されるなら、君が良いんだ」

 

なんという事でしょう。アルセウス様とギラティナはサトシに自分達を捕獲しろと告げたのだ。

 

「えっ…それって」

「話は捕獲されてからだ。頼む…世界のためだ」

 

この日…ギラティナは再び運命に出会った。

 

現在のサトシのアローラのポケモン。ピカチュウ、ラティアス、ゲッコウガ、リザードン、モクロー、イワンコ、ニャビー、ギラティナ(普段はボールではなく反転世界)。そして守護神アルセウス(強すぎるので手持ちには絶対に入れません)。

 

「あの…世界の為って?」

「平行世界から侵略者が来た。その侵略者はどんなポケモンさえも捕まえるボール…マスターボールを幾つも持っている。私も全てを把握している訳では無いが…平行世界のミュウツー等を従えていたな」

 

――えっ?まさかのレインボーロケット団!?

 

だが…誰かがボールで捕まえてしまえば、マスターボールでさえもそのポケモンを捕まえる事は出来ない。アルセウスは最悪の事態を想定し、サトシのポケモンに成ったのだ。

 

「アルセウス。アルセウスのボールはどうしたら良い?」

「私が亜空間で預かろう」

 

アルセウス様…ボールを破壊されるという事態も想定してか、自分のボールを亜空間に仕舞う。

 

 




因みに…この作品、ゲーム要素も有るので…ほしぐもは彼女の手持ちに成ります。


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47時限目

アーカラ島スタート。


アーカラ島。御存知、カキの実家である牧場が有る島であり…カプ神の一柱 カプ・テテフが守り神を務める大地と自然が豊富で火山の恩恵を受ける島である。

 

アーカラ島は島国であるアローラでは珍しく、なんの因果かポケモンの化石や宝石等も沢山見付かる。その上、メレメレ島と違い大きなショッピングモール等は無いのだが自然豊かな景観とヴェラ火山の為なのか、大勢の観光客がやって来る。

 

では…アーカラにやって来たサトシ達は何をしているのかと言うと?

 

「ムッフン!」

「なんだ?この不思議なピンクの石」

 

宝物を探す特技を持つライドポケモン ムーランドに跨がって授業の一貫として宝探しを行っていたのだ。このムーランド達はアーカラ島で訓練中のライドポケモンであり、サトシ達は訓練中のムーランドとの接し方を学べ、ムーランド達は正式なライドポケモンとしてデビューする事前練習が行えるのだ。

 

現在…サトシが見付けたのは光輝くピンクの石、そして汚れが酷くて分からないが…小さな丸い石だけだ。他にも小さな欠片等を見付けたが、此方はコレクターしか興味の無さそうな物で得点には成りにくい。

 

「これじゃ…優勝は無理かな?」

「ピカ…」

 

このピンクの石や汚れた石は何処か不思議な力をサトシは直感で感じていた。

だが、このお宝探し対決の得点が高いのは宝石や化石等であり、残念ながら不思議な石は高得点には成り得ない。しかし、サトシはそれを捨てずにポケットに仕舞うのだった。

 

サトシはこの時は知らない。この2つの石が自分達の新しい力に成ることを。

 

 

 

では生徒達はお宝探しを行っているが、リンドウは何をしているのかと言うと…アーカラ島のヴェラ火山にやって来ていた。

もくもくと煙を火口から噴き上げる活火山であるヴェラ火山は見る人を圧巻させる。もし、このヴェラ火山が噴火してしまえば、アーカラ島の街は大損害を受けてしまうだろう。過去、カントーにはグレン島と呼ばれる町が有ったが…グレン島は火山の噴火で見事にポケモンセンターだけに成ってしまったのだ。

 

(さてと…居るかな)

 

リンドウがヴェラ火山にやって来た訳は単純。とある人物にアポイントを取るためだ。会う為のアポイントと課外授業の特別教師に成ってくれるアポイントは事前にククイ博士が取ってくれたが、リンドウが取るアポイントは授業には関しない事だ。

 

(サトシの為にもな)

 

リンドウが今から会う人物はこのアーカラ島の島クイーンであるライチ。若い女性でありながら、カキの祖父から島の長である島クイーンを受け継ぎ、このアーカラを守り、島巡りの試練と大試練を引き受ける美女だ。

 

(そう言えば、ライチさんは美女でお姉さん、そして岩タイプの使い手だよな?

アレ?スーパーニビ人のポケモンドクターのドストライクゾーンじゃないのか?)

 

リンドウはライチの特徴から、彼女の事を間違いなく好きな伝説の女好きを思い出す。あの元ニビジムのジムリーダーであり、ポケモンブリーダー兼ポケモンドクターの岩の妖精は間違いなくライチさんの事がドストライクゾーンだろう。

 

(あと…ライチさんって島クイーンという重役故か、男が寄ってこないと嘆いていたな。俺達よりも歳上だし、やはり婚期が心配なんだろうな)

 

序にライチは島クイーンという立場の為に…男性が近付き辛く…恋人が居らず影で恋人を募集中なのだ。だが、残念ながら運命の男性は現れない。運命とは実に残酷である。

 

「リンドウくーん!!」

 

ふと…自分を呼ぶ声が聞こえてリンドウは後ろを見る。そこにはイワンコの進化系であるルガルガン(真昼の姿)を連れた褐色肌の美女が立っていたのだ。

彼女がライチであり、このアーカラ島の島クイーンであるのだ。

 

「ライチさん。忙しい所すみません」

「ククイ博士から聞いたけど、島巡りを受けさせたい子が居るんだって?」

 

どうやら、ライチはククイ博士から大体の話は聞いていたようだ。ならば話は早いだろう。

 

「サトシって俺の教え子が居るんですけど…彼に島巡りを受けさせてくれませんかね?

実力は保証しますよ。トレーナーとしての才能は勿論、心もね。事実、メレメレ島の大試練…それも本気のハラさんのパートナーを2体倒してますよ」

 

リンドウの話を聞いたライチは笑みを浮かべる。ハラの本気のメンバーの実力は同じく島の長として知っているライチ…その彼女が良く知るハラのパートナーを倒すほどのトレーナー。

そんな将来有望なサトシの事を聞いて、期待が高まるライチであった。

 

「良いわよ。但し、サトシ君には恒例として島巡りの試練を受けてから大試練を受けてもらうわ」

 

こうして…サトシの知らない所で、サトシ達の島巡りの準備が着々と進められていたのだ。

 

 

「中々…良いのが出ません」

 

その頃…リーリエはムーランドと共にお宝を探していた。しかし、何かの気配を感じたのか…ムーランドは歩みを止める。何事かと思い、リーリエが前を見ると…そこには誰も見たことが無いような…まるでほしぐものようなポケモンが倒れていたのだ。

小さく、星雲のようなポケモン。身体は傷だらけであり、何処から逃げてきたのだろう。

 

「だっ大丈夫ですか!?」

 

リーリエはムーランドから降りて、その小さなポケモンを介抱する。そのポケモンは疲れはてて眠っており、リーリエは安堵の溜め息を吐き出した。

 

「しかし…なんというポケモンなのでしょうか?」

 

リーリエはスマホを取り出し、図鑑アプリを立ち上げてそのポケモンをスキャンする。しかし…出てきた詳細は

 

「error?識別不能?該当データ無し?」

 

error…つまり、誰も確認した事が無いポケモンのようだったのだ。即ち新種である。

 

このポケモンは後に『ほしぐも』とリーリエに名付けられ、近い将来…リーリエの切札に成ることを誰も知らない。

 

この日…後の●●●●●は運命に出会った。




次回!ほしぐもちゃんとお宝の答え合わせ。

リンドウ「サトシ!?これ……おもいっきり、アレじゃないか!!」
サトシ「マジっすか!?」


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48時限目

お宝発表


リンドウがアーカラ島の島クイーンであるライチとのアポイントを取り終えて、アーカラ島のポケモンセンターに戻ってきた。

そろそろ、サトシ達の宝探しも終わっている頃なのだが…

 

「これは…何が起きた?てか、なんだ?そのポケモンは」

 

しかし、ポケモンセンターに戻ってきたリンドウを待っていたのは…ポケモンセンターのロビーで星雲を模した小さな可愛らしいポケモンを囲ったサトシ達だったのだ。

 

「きゅぅい!きゅい!」

 

その小さなポケモンはリーリエに懐いており、まるで子供が母親に甘えるように甘えていたのだ。

 

――なんで…なんでコスモッグが此処に居るんだよ!!

 

リンドウが心の中で叫んだ。当然だ、この小さなポケモンの名前は彼が前世でやっていたポケモンゲームに出てきたポケモン コスモッグ。コスモッグの時は可愛らしいマスコットだが、成長すれば禁止伝説級の名に恥じないポケモンに進化するのだ。

 

とは言え…この世界ではコスモッグは間違いなく未発見のポケモンであり、誰も見たことも聞いたことも無い筈なのだ。少なくとも…この世界に転生してからリンドウが知っている範囲だが。

 

「あっ!リンドウ遅かったじゃない」

「そうだぞ!新種の発見で、俺達も驚いてたんだ!」

 

リンドウがアポイントを取っている間に、彼の代わりにサトシ達の授業を見守っていたククイ博士とブルーがそう言う。

 

「新種か…図鑑のデータにも無いし、当然だよな」

「古代の文献には特徴等が載ってるかも知れないけどね。ほら、ギラティナやキュレムだってそうだったでしょ?」

 

サトシ達は新種であるコスモッグを囲い、元気に成ったコスモッグとコスモッグを抱っこするリーリエを見守る。

 

「先生、このポケモン…新種ですか?それとも、テレビで出たキュレムやサトシが捕まえたギラティナのように文献に名前だけ遺したポケモンですか!?」

「新種じゃないとしたら…そう言う事だよね!」

 

スイレンとマーマネも嬉しそうだ。

 

「まてまて…取り合えず、現代人が見た事が無いポケモンである事は間違いない。

俺がウラウラ島の図書館で読んだ文献には…ルナアーラやソルガレオという文献だけに名前を遺したポケモンも居た。だが、ソルガレオとルナアーラとは余りにも違う。

特徴とすれば……」

「ししょー、この子…星の子に似てない?ほら、ししょーが図書館で見付けた文献に載ってたポケモンに」

 

アセロラがそう言い、全員がアセロラの方を見る。

 

「確かに似ているが…あくまで頭の片隅に置いておこう。仮説だけならいくらでも作れるからな(はい、言いたくてもややこしく成るから言わないけど…そのポケモン、間違いなく星の子ことコスモッグです…はい)」

 

これ…コスモッグってポケモンで育てたらレシラムに匹敵するポケモンに成るとは言えないリンドウ。そもそも、コスモッグは文献にすら名前が載っておらず、有るのは『星の子』というキーワードだけ。

だから、言いたくても言えず知らない振りをするしか無いのである。

 

「しかし…珍しいと成れば、狙われる危険も有る。事実、タクロウだがタクサブローだか忘れたがブラックとチャンピオン決定戦で戦った伝説厨…ゲフンゲフン、伝説使いが伝説のポケモンを使いまくった。

そのお陰か、伝説のポケモンは存在するや伝説のポケモンを使えば勝てると思い出したトレーナーも増えてるし、欲しいと思うトレーナーも居るだろう。興味本位や強く成りたい願望なら未だましだ…中には金儲けに使う奴も確実に出てくる」

 

リンドウの言葉を聞いて…リーリエはコスモッグをしっかりと抱き締める。この小さなポケモンが金儲け等の為に狙われる恐れが有ると言われた為だ。

 

「だがな…ボールに入れたら、ボールの保護機能と法律がそのポケモンを守ってくれる」

 

リンドウはそう言うと、空のモンスターボールをリーリエに手渡した。

 

「リーリエ。どうするかは自分で決めるんだ」

「先生…私は…」

 

リーリエが結論を出す前に…

 

『きゅい!』

「ほしぐもちゃん!?」

 

コスモッグは自分から進んでモンスターボールの中に入っていき、リーリエのポケモンと成ったのだった。

 

「その子もリーリエの事が気に入ったみたいだな。

それじゃあ…宝探しの成果を教えてもらうぞ!アーカラ島は様々な物が見付かるからな!」

 

そう、本題はお宝探しの成果発表である。

 

カキ。頭蓋の化石、羽の化石。

 

マオ。根っこの化石。

 

マーマネ。黄色い欠片、鳥の化石。

 

スイレン。Zリングの核の部分、爪の化石

 

リーリエ。ほしぐもちゃんの面倒を見てた為に無し。

 

セレナ。ヒレの化石。

 

アセロラ。闇の石。

 

サトシ。謎の石とピンクの石。

 

「おっ!皆…色んな化石とか進化の石を見付けたな!やったじゃないか!」

 

サトシ達の見付けた物を見た宝物を見て…ククイ博士は嬉しそうだ。

しかし、リンドウとブルーは違った。何故なら…サトシの見付けた2つの石を見て唖然としている為である。

 

「サトシ…」

「おい…サトシ…マジか」

「ブルーさん?先生?」

 

そして…その2つの石を指差して…ブルーとリンドウは同時に口を開いた。

 

「「それ…メガストーンとキーストーンだ!!」」

「「「「なんだって!?」」」」

 

謎の石は汚れたキーストーン、ピンクの石はメガストーンだったのだ。

 




次回!その頃…あのヒロインは今!?



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休み時間 その頃のヒロインは?

ヒカリさんの登場である。


「なんだか…こうして誰かと旅をするのも久し振りだな」

「チャマ!」

 

嘗て…サトシと共に冒険した少女が居た。彼女の名前はヒカリ。元ポケモンコーディネーターの母親の影響を受けてポケモンコーディネーターとして旅しており、全国各地のポケモンコンテスト等にも参加している。

そんな彼女は現在、ジョウト地方で旅を行っていた。旅先で知り合った自分の2つ年下の少年と再び出会った嘗てのサトシの仲間と共に。

 

「さぁ!レッツテイスティングタイム!ホワイト君、共に戦おうじゃないか!」

「うん!行くぞ!」

 

イッシュ地方のジムリーダーであり、サトシがイッシュを旅してた頃の仲間でありポケモンソムリエ(自称も含めると、様々なソムリエ資格?も持つ)のデントという緑色の髪をした青年。

そして…ヒカリが再びジョウトでの旅を開始した時に出会った、抜殻の英雄キュレムに選ばれた新人トレーナー ホワイト。

 

この2人と共にヒカリはジョウトを巡っていた。現在、ヒカリ達はコガネシティに隣接している自然公園に来ており、ヒカリはパートナーであるポッチャマと共にバトルを見守っていた。

彼女達の目の前で行われようとしてるバトルは、デントとホワイトペア対通りすがりのカップルのペアが戦うマルチバトルだ。

 

マルチバトルとはダブルバトルのタッグ形式であり、2対2でトレーナーとポケモン達が戦う物である。

 

「さぁ!ヤナップ!レッツテイスティングタイム!」

「行け!ベイリーフ!」

 

デントは自分の相棒であるヤナップを繰り出し、ホワイトはチコリータが進化したベイリーフを繰り出した。

既にホワイトはジムバッジを3つ手に入れており、サトシやレッド等の有力なトレーナーと同じぐらいのハイペースで強くなっている。

 

「イーブイブイ!!」

『さてと…俺達は見学に徹するとするか』

 

ホワイトの後ろにはキュレムが控え、キュレムの頭の上にはイーブイがちょこんと乗っている。今回、この2人は見学に徹するようだ。

 

「良し!行くんだ!ブラッキー!」

「頼んだよ!エーフィ!」

 

カップルはブラッキーとエーフィを繰り出した。そして…バトルが始まり、勝ったのは…デントとホワイトのペアである。

 

「中々良い勝負だったよ」

「未だ若いけど、やるわね!君達!」

 

カップルはエーフィとブラッキーを抱き抱え、ホワイトとデントに称賛を送る。このカップルは中々のベテラントレーナーであり、様々なリーグでも本戦に出場して入賞する程の腕前を持っているのだ。

 

「いや~それほどでも」

「貴方達のエーフィとブラッキーも凄く育てられますね。ポケモンソムリエとして実に良いです」

 

そして…カップルと別れた2人はヒカリの所に戻って、今後の予定を話し合う。

 

「さてと…今度は何処に向かおうか。コガネでのコンテストは未だ時間が有るし、コガネジムのバッジは無事に手に入れたしね」

 

コガネシティではポケモンコンテストも行われるが、それまでは未だ3日ほどの猶予が有る。それに、ホワイトの為にもジムに行きたいところだが既にホワイトはイーブイとベイリーフの力でコガネジムのジムバッジを手に入れているのだ。

 

「僕は暇だし…せっかくだし、コンテストに出てみようかな?」

「うん!それも良いと思うよ!コガネシティのコンテストはビギナーの物も有るから、丁度良いんじゃない?」

 

コガネシティのコンテストはコンテスト初心者でも楽しめ、コンテストに興味を持ってもらう為のビギナー用の競技も行われる。そこならば、コンテスト初心者で興味を持っただけのポケモントレーナーもコンテストを楽しめるのだ。

 

『それは面白そうだな。コンテストならば、ポケモン個々の戦闘力は関係無い。早い話し、俺も平等に戦えるという事だ』

「良し!キュレムもそう言ってるし、ホワイトも出よう!」

 

キュレムが興味を持ってくれた為か、ヒカリはホワイトもコンテストに誘う。

 

だが、コンテストまで3日は時間が有り、その3日間をどう過ごすかだ。バイトをして資金調達という過ごし方も有るが、今はそれほど資金に困っていない。何故なら、先日に行われた小規模のバトル大会でホワイトは優勝して賞金(日本円で10万円。イーブイとベイリーフだけで)を貰ったのだ。

 

「3日有るし…新しいポケモンを捕まえたら?」

「それもそうだね。イーブイとベイリーフだけじゃ、この先のジム戦は厳しい物だ。キュレムを解禁したとしても、新しいポケモンは必要だ」

『確かにな。俺はフォルムを変えることで、炎技と電気技を使えるが…流石に3体だけではな』

 

ヒカリ、デント、キュレムがホワイトに告げる。

 

「うん!そうする!」

 

新しいポケモンを捕まえる決意をしたホワイト。すると、デントは笑みを浮かべながら1枚のチラシを取り出した。

 

《自然公園 虫取大会!!毎週金曜日開催!

 

参加者には実際に捕まえた虫ポケモンをプレゼント。

 

●月●日の虫取り大会では1位の方にメガバングルを、2位の方にカイロスのメガストーンであるカイロスナイト、3位の方にはネットボール×100個をプレゼント!》

 

とそのチラシには書かれていた。

 

「「虫取大会?」」

「虫取ソムリエとしては、是非とも出て見たかった試合なんだ!」

『いや…デントよ、お前は一体何のソムリエなのだ?』

 

だが、デントは知らない。その日、ヘラクロスを捕まえて優勝したと思ったが…色違いのカイロスを捕まえたホワイトの優勝に成ってしまうことを。

 

「私は4位か…でも、デントも2位じゃん!」

「いや…僕、カイロスもってないんだけど」

 

しかし、ヒカリは知らない。近い内に自分とデントと関わりが有るあの少年と再会する事に。

因みにカントーやジョウトではメガストーン等が発掘されにくく、カロスやアローラと比べると入手が厳しい。そこで試合での景品としてゲットするしかないのである。

 

 

 

一方、アーカラ島で初めての夜を迎えたリンドウとサトシだが…

 

「先生!あのメガストーン…なんのメガストーンか分かりました?」

「分からん。俺も初めて見る波長だった」

 

このアローラで一番メガシンカに詳しいのはリンドウだ。リンドウは持ってきたノートパソコンと簡易的な機材で、サトシが見付けたメガストーンを調べた。

しかし、このメガストーンが放つメガストーンはリンドウが今まで見たメガストーンの波長ではなく、カロスのプラターヌ博士にも連絡したが…初めて見る波長だったのだ。

 

「ただ…ラティアスには反応を見せているようだ。まさかとは思うが…」

「まさか…ラティアスの!?」

 

 




因みにホワイト君の後の手持ちはキュレム、イーブイ、ベイリーフ、カイロスめっ!!、第二のコイキングの進化系、北国のカラス。


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49時限目

ライチさんが試練と伝えなかった結果(笑)


翌日。

 

アーカラ島での校外学習二日目。サトシ達は早朝からポケモンセンターの前に整列しており、サトシ達の前には教員であるリンドウにブルー、ククイ博士とサトシ達が知らぬ褐色美女ことライチさんが立っていた。

 

「ライチさん!」

「あら、カキ!随分と逞しく成ったじゃない?」

 

当然、アーカラ島の大試練をバクガメスで突破したカキは島クイーンであるライチさんと顔見知りである。いや、カキの祖父は島キングだった為に…もしかすれば幼少期から知人だったかも知れない。

 

「さてと、紹介しよう。この人はライチさん。アーカラ島の島クイーンであり、岩のスペシャリストだ。

今日の特別講師であり、今日のスペシャル授業はライチさんが考えたペアで行動するカレー材料探しだ」

 

今日の授業はカレーの材料探し。とは言え、このアーカラ島をペアで行動し、指定された材料を見付けるという試みなのだ。

全員が無事に達成できれば、今日のお昼ご飯は美味しいカレーライスが出来るという事なのだ。

 

「ライチよ宜しくね!」

「「「宜しくお願いします!」」」

「良い返事ね。それじゃあ、ペアは事前に私が直感で選んでるから…このペアで行動してね!」

 

スッとライチは数枚のカードを取り出した。そのカードにはペアの名前と探しだす食材の名前が書かれているのだ。

カキ、スイレンのペアはカゴの実と木炭。マーマネ、アセロラは水辺のハーブとおいしい水。リーリエとセレナはオレンの実とヒメリの実。サトシとマオはナナの実と奇跡の種である。

 

ライチはペアの名前が書かれたカードと各々のペアに手渡す。勿論、ペアの組み合わせはライチさんが直感で選んだ構成であり…全くの予備知識無しで選んだのだ(サトシ以外)。

 

「じゃあ!頑張ってね!」

「「「はい!」」」

 

こうして、サトシ達はライチさんから指定された材料を探すためにアーカラ島を冒険し始めたのだ。

 

サトシ達が見えなくなってから、ククイ博士は笑みを浮かべてライチを見て告げる。

 

「アーカラ島は火山の恩恵を受けて、メレメレ島とは違った環境ですからね。あの子達も良い刺激を受けますよ!」

「ふふふ、そうよね。それじゃあ、私も行くわ!」

 

ライチは何処かに向かうのだろう。彼女はサトシとマオ、ラティアスが向かった先を眺める。どうやら、この材料探しは訳有りなのだろう。

事実、ライチはサトシだけは直感で選んでおらず…彼だけは真っ先にナナの実と奇跡の種探しと決めていたのだ。

 

「サトシ君の試練を影から見守らなくちゃね!」

 

そう、この材料探しはサトシが大試練を受けて良いかどうかを確める試練を兼ねていたのだ。

 

「「「えっ?試練?」」」

「そうよ?サプライズだけど…私の試練はこうして、サプライズ形式で行うの。試練だよって告げても緊張して本来の実力が発揮できない人も多いでしょ?だから、サプライズで行って終わったあとで試練だよって告げるの。

サトシ君とマオが受けた材料探しには奇跡の種が有ってね。奇跡の種は森に住まう、主ポケモンが守ってるの」

 

サトシが受けた材料探しの材料、その中の奇跡の種は主ポケモンが守っており…サトシはその主ポケモンを倒して奇跡の種をゲットしないといけないのだ。

しかも、ライチはこの事を事前にマオに伝えており、主ポケモンとの戦闘にはマオは参加しないようにと釘を刺してる。

 

「えっ?俺達初耳なんですけど?ククイ博士、ブルー知ってた?」

「いや、俺も初めて聞いた」

「私も」

 

だが、リンドウ達は初めて試練が行われる事を知ったのだ。その為か、リンドウ達の表情から血の色がみるみる消えていく。

サトシの身が危ないという理由ではない。彼等はサトシと戦う主ポケモンの安全を案じたのだ。サトシは優しい少年だから…オーバーキルにはしないだろう。だが、サトシのガチメンバーの戦力が強すぎるのだ。リザードンしかり、ギラティナしかり、そしてエースであるゲッコウガしかりだ。

 

「「ぬぉぉおおお!?これはヤバイぞ!!」」

「ヤバイ…ヤバイわよ!!このままじゃ…」

 

試練の際、サトシはリンドウとククイ博士からリザードンとゲッコウガ、ギラティナの使用は禁止されている。当然だ、伝説のギラティナは勿論…数多の激闘を繰り広げ…素の状態で伝説のポケモンやメガシンカポケモンと渡り合うゲッコウガとリザードンという絶対的エースを出せば…主ポケモンと言えど瞬殺されてしまう。

 

主ポケモン…オーバキルの危険である。このままでは主ポケモンがポケモンセンター送りに成ってしまう。

 

「ヤバイ?サトシ君の実力なら大丈夫なんでしょ?」

「サトシじゃなくて、危険なのは主ポケモンなんですよ!」

 

リンドウの言葉を聞いて、ライチはえっ?と驚いた顔をする。

 

「あー…ライチさんは知らなかったが…俺とリンドウはサトシが試練を受ける際のポケモンに制限をかけてるんだ。

サトシのリザードンとゲッコウガは他方のチャンピオンや四天王が使うポケモンに匹敵する程に強くて、何万と生きたギラティナも同じだ。そんなリザードンとゲッコウガを使えば、簡単に試練は突破出来るけど…サトシの他のポケモンが育たない。

だから、俺達は制限をかけてる。でも、今回…サトシは試練とは聞いていない。主ポケモンが突如として襲ってきたと思うだろう。サトシはマオを守るため、本気を出すだろうしな」

 

ククイ博士の言葉を聞いて、ライチもようやくリンドウ達が想像してる事を理解したのか顔を青ざめていく。

ライチはアーカラ島の主ポケモンとは友達だ。その友達が試練の為とは言え、子供達の試練としてサトシに襲い掛かる。

だが…サトシのリザードンとゲッコウガは理不尽の塊であり、その上…ギラティナまで降臨する。サトシの絶対的な力を持つ二大エース、そして友達である神が降臨するのだ。

 

「えっ?」

「サトシのゲッコウガとリザードン、ギラティナが相手ならリンドウも本気を出す必要が有るほどよ?」

「というか…サトシのリザードンはハラさんのケケンカニをあっという間に倒す程の強さだしな」

 

ブルーとククイ博士の言葉を聞いて、ライチは冷や汗も流し始める。

ライチもハラと同じく島クイーンと言えど、その実力はハラと比べれば劣る。そんな先輩であるハラのケケンカニがサトシのリザードンにあっという間に倒された。そんなリザードンの力が有れば、主ポケモンは直ぐに倒されてしまうに違いない。

 

「えっ…本当に?ハラさんのケケンカニが瞬殺?サトシ君、そんなに強いの?」

「間違いなくカキよりも強いな」

 

――リンドウ先生!!ククイ博士!!

 

何やら、遠方からサトシの声が聞こえてきた。声の方を向くと、空を飛ぶギラティナの背に乗ったサトシ達が此方に向かってきたのだ。

サトシの後ろにはグロッキーに成った主ポケモン ラランテスを支えるゲッコウガとリザードンが居り、想定内の結果で試練は終ってしまったのだろう。

 

「先生!このポケモンが!」

「OK、何が起きたのかはもう分かったから。取り合えず、俺はストレッチャーを持ってくるわ」

 

リンドウはラランテスをポケモンセンターの中に運ぶために、ストレッチャーを取りに向かった。

一方、ギラティナの背から降りたマオは苦笑いを浮かべてライチに言う。

 

「ライチさん…サトシの本気って凄いですね…」

「ごめんなさいね…私もサトシ君がこんなに強いなんて思わなかったの。あれ…大試練、私達…大丈夫?いきなりゲッコウガとか出してこないわよね?」

 

サトシ、気付かずとは言え…試練を突破する。何がラランテスの身に起きたのは…想像通りである。




次回!ラティアス…メガシンカの特訓!?一方、カキは一匹のガラガラと出会った。


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50時限目

サトシ「先生!記念すべき50回目ですよ!」
リンドウ「休み時間入れたら、とっくに越えてるけどな」


――いや…サトシとマオちゃんが危ないと思ったんですよ

 

――同感だな。まさか、試練とは思わんさ

 

――試練なら事前に言って欲しかった。

 

「ごめんなさいね…教えなかった私の責任だわ」

 

上からギラティナ、ゲッコウガ、リザードン…そして島クイーンであるライチはポケモンセンターの敷地内に有る広場の端っこで律儀に座っていた。

当然である、この3体のサトシの切札はサプライズ的なアーカラ島の島巡りの試練とは知らず、突如として現れた主ポケモンであるラランテス…主ラランテスとその取り巻きを見事に粉砕してしまったのだ。

 

そして…主ラランテス粉砕事件は元と言えば、試練である事を伝えれなかったライチの責任である。と言うのも、サトシが試練でゲッコウガ、リザードン、ギラティナというエース×2とジョーカーの使用禁止はゲッコウガ達も理解しており、この3体は試練という事を知らずに戦ってしまったのだ。

 

勿論…ギラティナ、ゲッコウガ、リザードンは悪気は一切ない。危険からサトシとその友人を守るのは彼等の仕事だ。しかし、彼等は主ラランテスが試練の相手とは知らずに戦闘を開始、ものの数秒で主ラランテスを倒してしまったのだ。

ゲッコウガの水手裏剣、リザードンのエアスラッシュ、ギラティナの波動弾。彼等はサトシの指示に的確に従い、主ラランテスを見事に撃破。そして、サトシが無事に奇跡の種を確保し…倒れた主ラランテスを介抱した最中…

 

『あのね…サトシ、これ…実はライチさんからの試練だったの』

 

マオから真実を知らされ…サトシは勿論…実行犯のゲッコウガ、ギラティナ、リザードンは揃って『やっちまった!!』と唖然してしまう。

倒れた主ラランテスをポケモンセンターに運び、治療しなければならず、ギラティナとリザードンそしてゲッコウガの3体は責任を持って主ラランテスをポケモンセンターに運ぶことにしたのだ。

 

そして、ライチさんと件の3体は反省の為か…広場の端っこで座ることに成ったのだ。

 

「なんだか…凄い光景なんだけど」

「言っちゃお仕舞いよ、マオ」

 

そんなライチさんと理不尽3体を眺め、ブルーとマオはそう言った。アーカラ島の代表である島クイーン、チャンピオン級の実力を誇るリザードンとゲッコウガ、そしてシンオウの荒神 ギラティナ。そんな凄いメンバーが反省の為に座っていたのだ、それは今後絶対に見れない光景だろう。

 

すると、ポケモンセンターの方から元気に成った主ラランテスと主ラランテスの付き添いをしていたサトシとリンドウが出てきた。サトシの後ろには、メガストーンが埋め込まれた腕輪を右手に着けた人モードのラティアスが居ており、此方の腕輪は人から本来の姿に戻っても問題は無い代物である。

 

実行犯であるゲッコウガ、ギラティナ、リザードンはラランテスが無事に元気に成った為か…安心するように立ち上がる。

 

「うぐぅ…ラランテス!良かった!元気になって本当に良かった!!そしてごめんなさいね!!」

 

ライチは自分がサトシに試練の事を告げていれば、ここまでラランテスがコテンパンにされる事は無かった事を理解しており、涙を流しながらラランテスに近寄る。しかし、広場に有った小石に躓き…ライチは盛大に転けてしまった。

 

「「「あっ」」」

「ライチさん!?」

「ピカピ!?」

「くーん!?」

「ララン!?」

「コウガ!?」

「ぐぉん!?」

「ギエー!?」

 

盛大にこけ、顔面から地面に向かってダイブしたライチ。間違いなく、顔面に絶大なダメージを受けたに違いない。

 

これにはリンドウ達とポケモン達も本気で心配してしまうが、ライチはすんなりと立ち上がる。しかし、真っ先にダメージを受けたと思われる

 

「だっ…大丈夫大丈夫」

 

――何処から見ても、大丈夫じゃねぇぇぇえ!!

 

リンドウ達の心が1つに成ったが、ライチは気にしない。恐らくだが、彼女が何かに躓いて転けてしまうのは日常茶飯事なのだろう。

 

「まっ…無事に主ラランテスも復活したし、一安心って所だな」

 

ふと、リンドウは腕時計を見る。サトシと愉快なポケモン達が主ラランテスを倒して直ぐに蜻蛉返りで帰ってきた為か…大分時間は有る。

カキやセレナ達が帰ってくるまで大分時間が有るだろう。

 

「ふむ…取り合えず、サトシとラティアスのメガシンカの練習でもするか。

サトシはZ技や、メガシンカよりも難しい絆変化をゲッコウガと共にやって来た。だから自然と出来る。だが、問題はラティアスだ」

 

リンドウはそう言うと、ラティアスを見る。

 

「メガシンカすると、確かにポケモンは爆発的に強くなり、伝説のポケモンすら一方的に倒してしまう事も有る。

でもな…メガシンカすると、メガシンカ前の戦闘スタイルがメガシンカ後の能力と噛み合わない事が有るんだ。

サトシの親しい人で言えば、シロナさんだな。シロナさんもメガシンカを行えるが…あの人はメガシンカをエースのガブリアスではなくルカリオで行っている。何故なら、メガガブリアスと普通のガブリアスは戦闘スタイルが異なる場合が有るからだ」

「それじゃあ、メガシンカを行えば…今までの戦い方が出来なくて逆に弱くなるポケモンも居るって事ですか?」

 

メガシンカという物をリンドウやブルー、そしてテレビ位でしか見たことがないマオ。そんな彼女の疑問に答えるようにリンドウは頷いた。

 

「俺のレウスもYの方のメガシンカなら…戦い方が噛み合わず、そこまで力を発揮できない。だが、サトシのリザードンやグリーンのリザードンがYのメガシンカを行えば比較的強くなる。Yはリザードンを特殊型に強化し、Xは物理だ。まあ、レウスは元々物理向きだったからこそ、Xのメガシンカで爆発力を発揮する。

マオもホウエンでの防衛戦に来てくれたが、その時に俺のボスゴドラを見ただろ?ボスゴドラはメガシンカを行うと特性が変わり、その都合で俺のボスがメガシンカを仮に行えば弱体化する」

 

メガシンカを行えば特性等も変わる者が多い。それに、これはゲームではなく…現実であるこの世界だからこその理由も有るのだ。

 

「メガシンカを行えば、体型も変わってしまう。一時的に進化してる訳だからな。

体重等も劇的に変わり、思った動きが出来ないポケモンも多い。それに関しては慣れさせれば問題は無いんだが…」

 

メガシンカは一時的にとは言え、ポケモンが進化している。進化してるが故に体型も変わってしまい、思ってた動きが出来ないポケモンも中には居るのだ。

 

「そうですか…良し!練習有るのみだな!」

「くーん!」

 

とは言え…練習して物にするしかない。サトシとラティアスはメガシンカの練習を行うのだった。

 

「あっ!サトシ君、大試練は明後日ね!」

 

サトシの大試練…日程はアーカラ島での校外学習最終日に決定となる。

 

 

 

その頃…カキとスイレンはと言うと…

 

「ガラッッガラ!」

 

一体のアローラガラガラと遭遇していた。そのガラガラは強く、だが…孤独で強さを求めるガラガラであった。

 

「くっ…強いな…」

「ガメスッッ」

 

そのガラガラ相手にカキとバクガメスは戦っていた。しかし、彼等は知らない。既に運命と出会っており、このガラガラはカキのポケモンに成ることを…彼等は未だ知らないのだ。

 

 

 

 

 

「ふう…ここがアローラか。あの男の言いなりに成るのは癪だが、今の俺は食客だしな…アクア団ではなくレインボーロケット団としての仕事を行おうかね!」

 

声だけはリンドウの友人であり、副業ボディービルダー本業自然保護の慈善団体アクア団代表のアオギリそっくりな男が複数の部下を連れてアーカラ島に上陸していた。

男の名前はアオギリ。だが、アオギリだとややこしいので虹アオギリとしておこう。その虹アオギリだが、リンドウの友人のアオギリと大きな違いが有る。

 

それはmuscleではなく、普通の肉体で悪の組織にアクア団を変えてしまった事だろう。何故なら、虹アオギリは異世界からやって来た存在なのだ。

 

「ふふふ…さてと、コイツの力を試すとしますかね」

 

虹アオギリは腰からマスターボールを取り出す。その中には伝説のポケモンが入っているのだ。

自分の元居た世界から連れてきた、海の化身が入っているのである。

 

 

 

「ロケット団死すべし、慈悲はない」

「ピカピ!」

「だっピ」

 

だが…虹アオギリは知らない。最強のロケット団スレイヤーが既にアーカラ島に入っていることを。

 

虹アオギリ…終了のお知らせである。




因みに……リンドウの教え子でサトシ、リーリエ、ブラック以外にあの子が後程禁止伝説を友情ゲットします。

果たして…その子は誰なのやら?因みに…リンドウの教え子であるアローラ組は全員、強化される予定です。

次回!カキとガラガラ、運命に出会う。そして…サトシのイワンコが!?


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51時限目

カキとガラガラ


「ガララ!!」

「ガメス!!」

 

ガラガラとバクガメスは同時に頭突きを放ち、周囲に高い音が響いた。既にスイレンとカキはライチから頼まれた材料はゲット出来たが、このガラガラと戦っている為に未だ帰れないのだ。

 

「アローラのガラガラは炎とゴースト。ホウエンやカントーのガラガラは地面らしいが…だが!」

「ガメス!」

 

バクガメスはドラゴンテールを放ち、直撃を受けたガラガラは吹き飛ぶ。だが、ガラガラは地面に落ちる時に綺麗に受け身を取り衝撃を最小限に抑えた。

 

「ガララ!!」

 

続けてガラガラは骨ブーメランを放つ。骨ブーメランは地面タイプの技であり、直撃を受ければバクガメスは大ダメージを免れない。鉄壁や殻に籠る等の防御を上げる技で凌ぐのもアリだが…何処までダメージを防げるのか分からない。

 

故に、カキはこの技を選択した。

 

「バクガメス!殻を破るだ!」

「ガメス!!」

 

殻を破る。それは自分の特防と防御を下げる事を代償にする事で、攻撃と特攻そして素早さを2段階引き上げる積み技である。

これを行う事でバクガメスの攻撃力と特殊攻撃力そして素早さは2倍に成り、バクガメスは上がった素早さを用いて消えるようにその場から消えた。

 

「ガラ!?」

 

投げた骨ブーメランが空をきり、戻ってきた骨ブーメランを掴んだガラガラは理解が出来なかった。その場からバクガメスが消え、自分に対する闘志は感じるのだが…バクガメスが何処にも居ないためである。

 

――何処だ!?何処に居るんだ!

 

ガラガラは周囲を見回すが…周囲にバクガメスの姿は無い。だが、ガラガラは有ることに気付いた。それは自分の所の影が自棄に大きく成っている事である。ふと、ガラガラは上を見上げる。

上からは…甲羅の部分を下にして、バクガメスがヒートスタンプを用いて落ちてきたのだ。

 

「ガララ!?」

 

だが、避けるのは時既に遅い。上から落ちてきたバクガメスの甲羅の下敷きに成り、ガラガラは下敷きに成る。それに、バクガメスの甲羅の表面は刺激を受けると爆発するのだ。

 

「良し!バクガメス!トラップシェルだ!」

 

本来、バクガメスのトラップシェルとはカウンターで使う技だ。しかし、この世界のカキはリンドウの教えで相手の意表を突く際などに、このように奇襲を仕掛けるオフェンスとして使う事が有る。

 

「ガメス!」

 

バクガメスの甲羅の下敷きに成ったガラガラは逃げる事が出来ず…

 

「ガラガラガラ!?」

 

トラップシェルの一撃から逃れる事が出来ず、大ダメージを受けてしまった。

 

トラップシェル…それも殻を破るの力で2倍に成ったトラップシェルを耐えられる訳がなく、ガラガラは倒れた。だが、あろうことか…カキはバクガメスをボールに戻してガラガラに近付く。

 

「ガラガラ…お前さ、強くなりたかったんじゃないのか?」

 

カキの言葉を受けて、ガラガラは起き上がり…カキを見上げる。ガラガラはカキの言葉に頷いた。

 

「俺達もさ…未だ発展途上なんだよ。俺の友達2人は俺よりも遥かに強い」

 

カキはその友人2人を思い浮かべる。1人は自分達の先生と同じマサラタウン出身であり、様々なポケモンと友達に成れる凄い奴。もう1人は伝説のポケモンに選ばれながら、その伝説のポケモンに頼らずともチャンピオンとして相応しい実力を持つ凄い奴。

 

「ガラガラ…」

「一緒に強くならないか?勿論…お前が良ければだが」

 

ガラガラは頷き、カキはモンスターボールを取り出してガラガラにぶつける。すると、ガラガラはモンスターボールの中に入ってカキのポケモンに成ったのだ。

 

「良し!ガラガラゲットだぜ!」

「やったじゃん!カキ!」

 

だが…カキは知らない。スイレンが後程に捕まえることに成る、スイレンの2体目のパートナーを知った際に唖然としてしまうことを…「最強ヒロイン爆誕したー!」と後にリンドウが叫ぶ事を。

 

「ふむ…見事だ。ポケモンはそうやって、捕獲するのか」

 

ふと、そんな声が聞こえてカキとスイレンは声の方を見る。

 

そこにはダンディーなお髭を生やして、独特の服装をした男性。そしてその男性の部下と思われ、同じ様な服装をした女性のだった。

だが…カキとスイレンはその2人が人間なのかどうか分からず、首を傾げてしまう。何故なら、その2人の肌の色は白人、黒人、黄色人種等の様々な人間の肌の色と異なる異質だった為だ。その肌の色は色素の薄い水色と言った所か、世界広しと言えど…様々な観光客がやってくるアローラでも2人が初めて見る人種だった。

 

「あの…貴方達は?」

「これは失礼。私はシオニラ、此方は私の秘書だ。我々はウルトラ調査隊と言って…我々の世界を救うためにウルトラホールを通ってやって来た」

 

その人物はシオニラ。彼の台詞から察するに…異世界からやって来たのだろう。

 

「「我々の世界?」」

「そうだ。では…また会おう」

 

シオニラはそう言うと、シオニラは秘書と共に何処かに去っていった。

 

「カキ…今の人達、まさか宇宙人?」

「宇宙人なんて居る訳が……マジで?」

 

 

 

その日の夜。サトシのイワンコはポケモンセンターを飛び出し、夜道を歩いていた。

 

イワンコはルガルガンに進化する間際…このように夜中にふらって抜け出したり、突如として行方不明に成ることが有るのだ。サトシのイワンコも進化が近いのか…こうして本能のままに抜け出したのだろう。

 

しかし…

 

「テテッー!」

 

――ねっ?私と遊ぼ遊ぼ遊ぼ!!

 

イワンコに無邪気で残虐なアーカラ島の守り神が襲い掛かる。

 

 

「イワンコ?」

 

イワンコが抜け出した事を知ったサトシは起き上がり…共にイワンコの異変を察知して起きたゲッコウガ、ピカチュウ、モクローを連れてポケモンセンターの外に出る。

 

「何処に行くんだ?」

 

だが、サトシが後ろを振り向いた時…サトシの視線の先にはリンドウと…サトシの他のポケモン達が居たのだ。

 

「全く…ガサガサと音がするし、ギラティナとラティアスが俺を起こしに来るし…何が起きた?」

「先生!イワンコが居なくなったんです!」

「進化が近いかもな…だが…この島はカプ・テテフという無邪気な神様が居る…ククイ博士が心配すんぞ?適当に俺が理由をでっち上げて、置き手紙をしてくるから……探しに行くのはそれからな」

 

こうして…サトシとリンドウはポケモン達を連れてイワンコの捜索を始めるのだった。




シオニラさん、ウルトラサンムーンやってた人は知っている…ネクロズマ社長の世界の人です(笑)

次回!イワンコ…進化する。


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52時限目

ルガルガン…遂に進化!!


リンドウはサトシと共にイワンコを探す事にした。現在の時刻は深夜3時。子供は勿論…大人も余程な事情が無い限りは森や山を探索してはいけない時間帯だ。

 

「取り合えずサトシ、準備は良いか?」

「勿論です!」

 

深夜3時、太陽が登り始め、明るく成るまで時間も少ない。出来れば太陽が登り…明るく成る前にはポケモンセンターに戻りたい物だ。

とは言え、ククイ博士やブルーも起きて何らかのアクションを起こすかも知れない。そこで、リンドウはポケモンセンターに待機するポケモンと探索に参加するポケモンとチームを分けている。

 

探索組がリンドウの手持ち。サトシの手持ちからはピカチュウ、モクロー、リザードン、ゲッコウガ、ギラティナだ。

待機組がラティアスとニャビーであり、側に最近…更に影が薄くなってきたロトムを側に付けてる。ロトムは図鑑としての機能は勿論…様々なアプリケーションが内蔵されており、スマホでの連絡アプリも入っている。その連絡アプリを操作して、ラティアスとリンドウ達…捜索隊で連絡を取り合うのだ。

 

「最低目標は当然、イワンコの発見。最高目標は最短で見付けて帰り、明日…いやもう今日か。今日に備えて寝ることだ!」

「はい!行きましょう!」

 

サトシはリンドウの言葉に頷き、サトシの肩に夜は元気なモクローが乗る。

リンドウの隣には波動が使えるルカリオのルカが立ち、サトシの側には気配を探知出来るゲッコウガが立つ。空にはサトシのリザードンとリンドウのリザードンことレウスが旋回しており、彼等と共にギラティナも飛んで居る。

 

「空からはレウスやリザードン、ギラティナが見てくれる。

気配ではゲッコウガが、波動でルカが見てる。大丈夫…イワンコは直ぐに見付かるさ」

「はい…」

 

そして…深夜3時から始まるイワンコの捜索は始まったのだった。

 

だが、探索を始めて森の中を歩くがイワンコは見付かる気配はしない。それどころか…

 

「コウガッッ」

「ゲッコウガ?」

 

ゲッコウガが良からぬ気配でも感じたのか…一層警戒を強めたのだ。アーカラ島も自然豊かで多くのポケモンが生息している。しかし、他の地方で言えばシロガネ山やチャンピオンロードと言ったように危険なポケモンはあまり生息していない。生息してると言えば、群れたヨワシ位だろう。

だが、ここは森の中。川や池では有るまいし…ヨワシの群は襲ってこない。だとすると…何か予想外の気配を感じようだ。

 

「ルカ…見えるか?」

『親方様、悪い知らせです。半径500メートルの範囲に複数の人影を探知。それに…何かが高速で近付いてきます…これは!!』

 

ルカリオがテレパシーを用いて、リンドウとサトシ達に知らせる。

 

『スイクンです!』

「「見たら分かる!!」」

「ピカピカッッ!!」

 

スイクン。ジョウト地方では文献に名前を残すほどのポケモンであり、それをパートナーに出来たのはウツギ博士の研究所に良く出入りするトレーナー コトネだけである。

清く、どんなに汚い水さえも綺麗にする事が可能なポケモンであり、水タイプなのだが氷タイプの技も自在に使えるほどだ。その強さ、見た目の美しさ、そしてラティオスやラティアスと同じ様に数の少なさから目当てに追い掛けるポケモンハンターも多いのだ。

 

そのスイクンが森の中を疾走し、あろうことかリンドウ達の目の前に現れたのだ。

 

「可笑しい…様子が変だ」

 

オーキド研究所在住のレッドのスイクン、コトネのスイクン…その2体を良く知るリンドウは現れたスイクンを見る。

スイクンは大人しいポケモンであり、余程の事が無い限りは人間に危害を加えない。しかし、目の前のスイクンはリンドウ達を視界に入れるや否や…威嚇し…臨戦態勢に移行したのだ。その上…不自然な事に眼が紅く発光している。

 

「グゥオオオ!!」

 

そのスイクンは大変狂暴であり、叫ぶやいなや…ハイドロポンプを最大出力でリンドウ達目掛けて放ったのだ。

御存知、スイクンは伝説のポケモンなのだが…文献に名前を残すほどで巷で噂の600族に匹敵する程の絶大な力を発揮する。

そんなスイクンのハイドロポンプ…それも最大出力で受けたならば、生身の人間は一溜りもないだろう。間違いなく骨は砕けるし、最悪だが内臓が破裂する可能性だって充分に有り得るのだ。

 

だが…それがリンドウ達に直撃する事は無かった。

 

「ルカ!ジャイロボール!」

『御意!!』

 

ルカリオはリンドウの指示に従い、ジャイロボールを使う。しかし、そのジャイロボールは普通のジャイロボールでは無かった。

本来…ジャイロボールとは鋼タイプの技であり、身体を弾丸のように回転させて相手に突撃してダメージを与える技である。威力だが、自分が相手よりも遅ければ遅いほどにダメージが上がっていく技であり…遅いハガネール等が使えば中々のダメージを与えることが出来る技である。

 

しかし、リンドウのルカリオであるルカは違った。先ず、足を支点にしてベイゴマのように高速回転する。その際に…身体から波動を放ち…波動と回転の力で相手の攻撃を防ぐのだ。早い話、忍術という名前の魔法が活躍するジャンプ漫画の八卦掌回天である。

 

ジャイロボールでスイクンのハイドロポンプを無効化させたルカ。その事にスイクンは驚くが、既に遅い。

ルカリオはスイクンの腹部に発勁を放つ。発勁は格闘タイプの技だが……使い方を極めれば相手の内臓にダメージを与えられる防御不可の攻撃に成るのだ。

 

「ぐぅぅほ!?」

 

ルカの発勁を受けて、内臓が高速で揺さぶられて倒れるスイクン。すると、リンドウはスマホを取り出してスイクンをスキャンする。だが、その直後…複雑そうな顔をして舌打ちを行った。

 

「サトシ!直ぐにギラティナとリザードンをボールに戻せ!不味い事に成ったぞ。

おい、レウス!ギラティナとリザードンを連れて降りてこい!」

 

リンドウの声を聞いて、レウスがリザードンとギラティナを連れて降りてくる。ボールの収納の光が届く範囲まで彼等が降りてくると、リンドウとサトシは2体のリザードンとギラティナをボールに戻した。

 

「先生?」

「直ぐにこの場を離れるぞ。離れ、早急にイワンコを探す……非常に不味い事態に成った」

 

リンドウ達は直ぐにその場から離れ、イワンコの捜索を再開する。だが、リンドウ達が離れて10分後位してからだろうか?3人の男達がその場にやって来た。

その男達は統一された制服を着ており、胸の部分には虹色で大きくRと書かれていた。彼等はレインボーロケット団の下っ端構成員であり、このスイクンを差し向けたのも彼等だ。

 

「まさか…スイクンを倒すなんてな」

「だが…未だ此方の手札は有る。必ずや、カプ・テテフを捕らえるぞ」

 

男達はスイクンをボールに戻した。だが、そのボールはマスターボールだったのである。

 

「だが…サカキ様が異世界で捕まえたスイクンは想定内だな!」

「ああ!理性を奪えて兵器としての実験は成功だな!」

 

スイクンは理性を奪われており、兵器のようにリンドウとサトシを襲ったのだ。

 

「ピカピ…」

 

しかし…そんな声が聞こえると、その下っ端構成員は丸焦げになり…瀕死である重度の感電火傷を負った。ロケット団スレイヤーからは逃げられない。

 

 

 

捜索開始から一時間。午前4時

 

「さてと…俺がさっき、離れるぞと言った訳だが…」

 

リンドウ達は場所を変え、ゲッコウガとルカリオが索敵とイワンコの捜索を行っているが…リンドウはサトシに言う。

 

「さっきのスイクンは誰かにゲットされたスイクンだった。図鑑アプリでスキャンすると、ボールに登録されたポケモンかどうか分かる。

俺はそれで見たが、スイクンは確かに誰かにゲットされたポケモンだった。だが、何かをされたんだろう。スイクンの理性は間違いなくなかった」

「そっそれじゃあ……」

「ロケット団よりも恐ろしい悪の手先に捕らわれたポケモンかもな。

さっき、ルカは人影も探知していた。それも複数な…敵は間違いなく数人は居る。スイクンをあのように使い潰すように使うんだ…スイクンと匹敵、或いはそれ以上のポケモンも持っているかもしれない」

「そっそんな…」

 

ポケモンを道具のように使う。そんな外道のトレーナー。そんな奴等にスイクンが良いように使われた為か、サトシは悲しそうな顔をする。

 

「コウガ!!」

『親方様!!イワンコ殿ですぞ!!』

 

ゲッコウガとルカがサトシのイワンコを見つけた。2匹の言葉を合図にサトシとリンドウは走り出す。

森を抜けたそこは海が見える崖と成っており、そこには倒れたイワンコと同じく傷だらけのポケモン…カプ・テテフ。そして地面に倒れ付したサンダーの姿だった。

 

「イワンコ!!」

「コウガ!」

「ピカチュ!!」

「クルー!!」

 

サトシはピカチュウ達と共に倒れたイワンコに駆け寄る。だが、リンドウは周囲を警戒しながら倒れ付したサンダーとカプ・テテフに近付く。

 

イワンコの外傷には電撃の跡はなく、カプ・テテフがサンダーを倒したのだろう。

 

「イワンコを守ってくれたのか?」

 

だが…カプ・テテフから返事は無い。それほどにカプ・テテフは消耗してるのだろう。

リンドウは念の為に、サンダーもスマホのアプリでスキャンする。結果は黒で、サンダーも誰かのポケモンだった。当然だ。サンダーはアローラでは野生化で生息していない。誰かが持ち込むしかないのだ。

 

『親方様…誰かが近付いてきます』

 

すると…レインボーロケット団の制服を纏った男達が数人やって来た。

 

「サンダーではダメだったか…」

 

レインボーロケット団の下っ腹はマスターボールの中にサンダーを戻した。

だが…その男が纏っている制服がロケット団の制服とほぼ同じだった為か、リンドウとサトシのヤル気スイッチを刺激してしまう。

 

「サトシ、イワンコ見つけたし、帰ろうぜ。コイツらを吹き飛ばした後でな」

「ですね。俺…先生とブルーさんの話を聞いて、ムサシとコジロウ達以外のロケット団は許さないって決めてるんで」

 

次の瞬間…サトシとリンドウのボールからレウス、リザードン、ギラティナが降臨した。その上、レウスはメガリザードンに…ゲッコウガはサトシゲッコウガにメガシンカしたのだ。

 

「「「「ふぁ!?」」」」

「リザードン、火炎放射!!ギラティナ、波動弾!ゲッコウガ、水手裏剣!!、ピカチュウ、10万ボルト!!」

「レウス、ブラストバーン!!ルカ、波動弾!!」

 

一斉に放たれる爆光、爆炎、爆雷、激流、波動の砲撃。それを受けたレインボーロケット団の構成員達は…星の彼方に消えていった。

 

「「「「グゥゥゥワァァァァ!!」」」」

 

二度と悪事を出来ない、再起不能のダメージを受けて。

 

星の彼方に消えてったレインボーロケット団。すると…朝日が登り始めたのか…朝焼けが空を紅く染め…地平線から太陽が上がっていく。だが、太陽が緑色に光ったのだ。

 

「グリーンフラッシュ……珍しいな」

 

グリーンフラッシュ…夕焼けや朝焼け…太陽が沈む時と登る時に現れる珍しい自然現象だ。

 

「くぅぅぅわん!!」

 

そのグリーンフラッシュを見るサトシのイワンコ。彼はリンドウとサトシ達がロケット団を吹き飛ばした時に、なんとか目覚めたようだ。

 

だが…そのグリーンフラッシュを見て、イワンコの体に変化が起きる。イワンコは眩い光に包まれ、進化を始めたのだ。

 

「進化!?」

「ピカピ!?」

 

朝日に…日の出に祝福されるように…イワンコはルガルガンに進化した。しかし、その姿は真昼の姿に似ているが…違った。色は朝日のように鮮やかで、瞳はグリーンフラッシュのように緑色だったのだ。

 

「嘘だろ……新種なのか?」

 

リンドウはスマホでサトシのルガルガンをスキャンするが、出てきた詳細はデータ無し。完全に未発見の新種として登録されたのだ。

 

「クォォオオオオン!!」

 

この姿は後に、ルガルガン黄昏の姿として発表され…リンドウが学会で発表する事に成る。

 

 

午前5時半。すっかりと明るくなり、サトシとリンドウ達はポケモンセンターに戻ってきた。ポケモンセンターの前にはリンドウ達を心配してか、ブルー達が前に出ていたのだが…

 

「遅かったなサトシとリンドウ。だが、サトシのイワンコも無事にルガルガンに成って良かったよ」

 

そこにはレッドがおり、レッドは何故かカイオーガとスイクンと共におり…レッドの側には半殺しにされてギエピーにキャラメルクラッチを固められている虹アオギリが居たのだ。

 

「おい…カイオーガとスイクンが何で居るんだ?てか、そのアオギリをヒョロガリにした男は?」

「自称アオギリだな。この男はカイオーガを使ってきたが、ピカチュウがマスターボールを破壊して自由にした。このスイクンも同じだな」

 

虹アオギリ…レッドに瞬殺された模様。その後、カイオーガは空を飛び…海に向かっていった。因みに虹アオギリはその後、精神病院に収監された。

 

 

翌日…

 

「覚悟は良いですね?ライチさん」

「さっサトシ君、御手柔らかにね?」

 

この日は大試練の日。しかし、ライチさんのドジで地獄を経験した主ラランテスの希望により、サトシは本気でライチさんと戦う事にしたのだ。

 

サトシの後ろにはメガラティアス、ピカチュウ、ルガルガン、リザードン、ギラティナ、そしてサトシゲッコウガが仁王立ちしている。

 

――あっ詰んだ

 

――勝てる気がしない

 

ライチのルガルガンと相方のダイノーズは諦めモードに突入した。

 

結果は言わないが……サトシは岩のZクリスタルを手に入れた。つまり、そう言う事である。




次回!スイレンパート。スイレン…彼をゲットする!?

因みにカイオーガは映画の如く、飛べます。



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53時限目

スイレン…彼を捕まえる。


「居たぞ!そこだ!」

 

――人間なんぞ…やっぱり大っ嫌いだ!!

 

「毒に犯せ!!全員でかかれば勝てる!!」

 

――俺を道具のように操り、()()に2度と帰れなくしやがって

 

「最後の一撃を与えた奴が捕まえることな!」

 

――ふざけるな…俺が…俺が何をしたって言うんだ

 

「伝説のポケモンを使えば…チャンピオンにも勝てるかも知れないしな!」

「そうだよな!タクトって人が伝説のポケモンで手持ちを固めて、あのアデクさんを倒して…新イッシュチャンピオンのブラックを追い込んだしな!」

 

――何が…海を広げろだ…雨は降らせても、俺にはそんな力は無い。それはこの世界の俺だろ…

 

「ドククラゲ!どくどくだ!」

 

――毒か!?力が…入らない……やめろ…そんな風に俺を好奇の目で見るな…来るな…来るな!!

 

 

嘗て、もう2度と帰る事が出来ない平行世界が有る。そこに彼は暮らしていた。彼は過去、その力で大雨を降らした事が有るし、天候を変える力を持っている。

だから…その力を虹アオギリ率いる平行世界のアクア団に狙われた。平行世界のアクア団は考えた、カイオーガの力で無限に雨を降らせれば陸地が増えると。だが、それは殆んど不可能だ。海を広げた等は、古代の人々の妄想なのだ。

 

彼の名前はカイオーガ。嘗て、住んでいた平行世界でアオギリにマスターボールの力で捕らえられ、アオギリがレインボーロケット団の首魁 虹サカキの手でこの世界にやって来た際も…道具のように使われた。

 

大きさもサトシのギラティナよりも小さく、4・5メートル程しかない。レシラムより少し大きい位なのだ。

 

レッドの手で入れ物であるマスターボールを破壊され、自由の身に成ったカイオーガ。だが、ここは彼が暮らしていた世界では無いし、ホウエンにはこの世界のカイオーガが未だ眠りに着いている。

 

「クュュュアアアア!!」

 

カイオーガの力で雨が降り続けるが、その影響で相手のライボルトが放った雷がカイオーガに直撃する。雨が降ると、ポケモンの技である雷は必中するのだ。

 

それに、相手のドククラゲの放ったどくどくの影響でカイオーガは猛毒を浴びている。猛毒状態は時間が経つ毎に、毒で受けるダメージが倍で増えていくのだ。

 

「良し!」

 

そんなカイオーガだが、ポケモンハンターや伝説のポケモンの力を欲しがるトレーナーからすれば格好の的だった。

誰も守ってくれないし、守る場所も居場所も無い伝説のポケモン。自由の代償故に様々な邪な思いを持つ人間からすれば捕まえても問題が無い伝説のポケモンなのだ。

 

だが、普通のトレーナー…1つのリーグのバッジを全部集めるのに3年以上かかるような普通のトレーナーは仲間と組んで、レイドバトルとしてカイオーガに挑む。そうすれば、勝てる確率が上がるし、どさくさに紛れて捕獲も出来るからだ。

 

「これで…俺もチャンピオンに!!」

 

しかし、伝説のポケモンを捕まえたからとチャンピオンに成れるか?それは否だ。特に、彼等のように伝説のポケモンを伝説のポケモンとしか見ずに、パートナーに成れない物は成れない。

確かに伝説のポケモンの力は強大だ。それはタクトがアデクを倒した事で世界中に証明された。パートナーに出来るとすれば…話は別であり、事実タクトのレックウザもタクトの言うことを聞かない時は有った。

 

「カイオォォォォオ!!」

 

カイオーガは渾身の力を振り絞り、口の中に莫大なエネルギーを圧縮する。そして…口から破壊光線を凪ぎ払うように放って、自分にレイドバトルを仕掛けてきたトレーナー達とそのポケモンを一掃する。

 

「ばっ…化物かよ……」

 

自分達のポケモンを倒され、そのトレーナー達は唖然とする。

 

――失せろ…そして、二度と俺の前に現れるな。

 

カイオーガはそう言うと…海の中に消えていった。空を飛んで逃げても良いが、空を飛べば別のハンターやトレーナーに追いかけられる。しかし、海中に潜れば追い掛ける物は少なく…逃げやすい。

 

――意識が朦朧としてきた……だが、逃げないと……もし、俺を……僕を…僕の事を唯のポケモンとして見てくれる人間と出会えていれば…それは叶わぬ夢か。

 

カイオーガはそう、囁き…意識を手放した。

 

 

 

アーカラ島での校外学習を終えて3日後。

 

「もうすぐ…カントー合宿か」

 

海辺の家に暮らす少女であり、リンドウの教え子であるスイレンは家を出た。今日は休日、だが…もう直ぐカントーに飛行機で向かってアローラリーグに備えるカントー合宿が始まるのだ。

 

「やっぱり、アシマリ…私、新しいポケモン捕まえた方が良いかな?」

「パウ!」

 

スイレンは自分の足元に寄り添う、アシマリに言う。スイレンはライドポケモンとしてラプラスを持っているが、ラプラスはライド用のポケモンであり…しかも家族共有のポケモンだ。

その為に、スイレン個人のポケモンとしてのパートナーは未だアシマリだけである。

 

「カキとマーマネも新しいパートナーと出会ったしね。その内見付かるよね!」

「パウパウ!」

 

現在…リンドウの教え子でパートナーを一匹しか持ってないのはスイレン、マオの2人だけだ。

チャンピオンであるブラックや他の地方を冒険してきたサトシは6匹以上。アセロラも複数所持しており、セレナも3匹所有している。カキとマーマネも先日にガラガラとデンヂムシを捕まえ、パートナーが2体に成ったのだ。リーリエもコスモッグを捕まえ、2体である。

 

「アローラリーグも有るし…今後の為にも仲間は必要だね!良し!」

 

新しい仲間と過ごす未来を思い、スイレンはガッツポーズを行う。出来ればパーティーは水タイプ、或いは水に関わるポケモンで6匹を固めたい。

 

カントーやホウエンにも沢山、水タイプは生息しており…合宿でも新しい仲間を見付ける事に期待を膨らませるスイレンとアシマリ。

 

「えっ?…アレって…」

 

しかし…スイレンとアシマリの思いはとある物を見てしまった瞬間に、思考が停止する。何故なら、家の直ぐ側に…完全にグロッキー状態のカイオーガが座礁していたのだ。

スイレンはアーカラ島でカイオーガが飛んだり、陸でも問題ない事をこの目で見て知ってるし、理解もした。しかも…

 

「あのカイオーガ…あの時、ボディービルダーで海の漢 アオギリさんの名前を驕った自称アオギリに捕らわれていたカイオーガだ!」

 

そう…スイレンがサトシ達と共に目撃した、自称アオギリが道具のように使っていたカイオーガが自宅の直ぐ側に座礁していたのだ。

御存知、カイオーガは飛べるので陸でも問題ない。それなのに座礁したと言うことは……飛べる元気がなく、危ない状態なのだ。

 

虹アオギリの名前を出した為か、カイオーガも目を開いてスイレンとアシマリを見る。その状態は誰が見てもしんどそうであり、ポケモンスクールに通うスイレンはカイオーガの状態を直ぐに理解する。

 

「毒?それも猛毒を浴びてるの!?ちょっと待ってて!」

 

スイレンは家の中に入り、直ぐに出てきた。スイレンの手には沢山の木の実が乗ったザルと…擂り鉢と棒が有り、スイレンはアシマリと共にカイオーガに駆け寄る。

 

「グルル…」

 

しかし、カイオーガはスイレンに威嚇する。

 

――お前も同じなんだろ?アオギリや、あの集団で襲ってきた人間のように。

 

当然だ。カイオーガは今まで、人間に散々に道具にされて、この世界では人間に力を求められて狙われ続けた。傷つけられた、追いかけ回された、ただ…強い伝説のポケモンという理由で。

 

「もしかして…人間に何かされたの?」

 

スイレンは良く海に向かい、ポケモンと触れ合う。だから知ってしまっている。珍しいという理由で、人間に酷い目に逢わされたポケモンの事を。

 

「パウ…」

 

アシマリは人間の事を嫌いには成らなかったが、人間に酷い苛めを受けたのだ。

 

そんなスイレンとアシマリだからこそ、カイオーガが人間に酷い事をされたと理解してしまった。

 

それに…リーリエがコスモッグを捕まえた時、スイレンはリンドウから珍しいポケモンや伝説のポケモンがハンターや力を求めるトレーナーから狙われている事を聞いた。

 

「もしかして………」

 

カイオーガ程の力が有れば、使いこなせばリーグ優勝も楽チンかも知れない。少なくとも予選で負けることは無いだろう。

 

「ギャァァグ…ぐゅっ!?」

 

しかし、カイオーガの毒は深刻だ。どくどくを受けてからかなりの時間が経過しており、毒で最悪は命を落とすかも知れない。

 

「大変!直ぐにこれを食べて!モモンの実を食べれば…毒は消えるから!」

 

モモンの実を食べれば毒は消える。それはトレーナーでは当たり前の知識だ。

スイレンはカイオーガにモモンの実を差し出すが、カイオーガは視線を背ける。それほどに、人間が信用出来なくなったのだろう。

 

「もう!これを食べないと本当に死んじゃうよ!仕方がない!」

 

スイレンは擂り鉢の中にモモンを1つ入れ、モモンをすりおろしてスープ状にする。そのスープを…カイオーガの口の中に流し込んだ。

 

「良し!」

「オーガ!?」

 

液体だから、瞬時に喉を通る。すると、カイオーガの毒はきれいさっぱり無くなったのだ。

 

だが、未だスイレンにはやることが有る。それはカイオーガの回復だ。

未だカイオーガの体力は癒えていない。毒と戦闘で弱った体力を回復させねば、ハンターや悪いトレーナーに返り討ちに遇うかも知れないためだ。

 

「次はこれを食べて。毒じゃない事はさっきので分かったでしょ?」

「パウ!」

 

次にスイレンが取り出したのはオボンの実だ。アローラは温暖で、木の実が沢山とれる。だから、他の地方では高めなオボンの実も安く鮮度の良い物が買えるのだ。場合によるが、唯で沢山貰える時も有るのだ。

 

スイレンからオボンの実を分けてもらい、カイオーガは何個か食べる。虹アオギリのポケモンに成ってから、満足に食べてなかったが…これは体に良い意味でカイオーガの体に染みてくる。

 

「良かった!」

 

――なんで…俺にこんな事をする?さっきは捕まえるチャンスだっただろ?

 

カイオーガは人間に対して偏見を抱いていたが、スイレンに対しては変わろうとしていたのだ。

 

――まぁ良いさ。どうせ、お前も…俺を…僕を…伝説という肩書きでしか見ないんだろ?

 

でも、本格的に変わるのは時間がかかりそうだ。

 

だが、そんなカイオーガの思いは良い意味で変わった。

 

「それでさ…今日は学校でこんな事が有ったんだ!」

 

「この子がスイ、こっちがホウ。私の妹だよ!」

「「うわ!おっきい!ギョギョギョ!!」」

 

スイレンとその家族はカイオーガを伝説のカイオーガではなく、カイオーガ個人として接してくれたのだ。

 

 

――悪くない。でも…何で…僕はあの世界で君達のような人に出会えなかったんだ。

 

カイオーガはこのスイレン達との奇妙な共同生活が気に入ってしまっていた。

 

 

「「私達も学校に行きたい!カイオーガ遊んで!」」

 

ある日のこと、カイオーガはスイレンの家の海辺で昼寝をしていた。

 

カイオーガの頭の上でホウとスイがジャンプして遊んでる。

 

だが……

 

「「「居たぞ!!」」」

 

聞きたくないトレーナー達の声が聞こえ、同時に雷撃や火炎が飛んでくる。

 

カイオーガは瞬時に目を開き、守るで周囲にバリアーを展開してホウとスイ、そして自分を守った。

 

「「カイオーガ……」」

 

背中のヒレに震えながら捕まるホウとスイ。カイオーガと双子の視線の先には…パートナーであるポケモンを出したトレーナー達が居たのだ。そう、レイドバトルと称してカイオーガを集団で襲ったポケモントレーナー達である。

彼らはヘルガー、ライボルト、ドククラゲを出しており…戦う気は満々だ。

 

「こんな所に隠れてなのかよ!」

「どうやら、ゲットされてないぜ!」

 

笑みを浮かべ、ポケモンに指示を出そうとするトレーナー達。彼等は側に民家が有ろうが、関係無いようだ。

 

側にホウとスイが居り、隣にスイレンの家がある。破壊光線は使えない。

 

「ちょっと!貴方達!私の家族に何をするき!」

「「お姉ちゃん!!」」

 

だが、そこにスイレンとアシマリが学校から帰ってきた。

 

「なに…俺達はあのカイオーガに用が有るだけさ!」

「そうだそうだ!!」

「カイオーガは私のポケモンじゃないけど…この子はもう、私達の大事な家族なの!!」

 

家族と…スイレンは自分の事を呼んでくれた。

 

だが…

 

「そうかよ…だったら、先ずは嬢ちゃんが俺達の相手をしてくれや!!ヘルガー!火炎放射!!」

 

火炎放射は御存知、炎タイプの技だ。しかし、レベル差が有るのか…本来は今一つの火炎放射でもアシマリに大ダメージを与えてしまった。

 

「ぱう!?」

「アシマリ!!」

 

――やめろ…やめろ……もう…僕の居場所を…孤独だった僕を家族と呼んでくれたスイレン達を傷付けるな!!

 

「グゥゥオオオオオオオ!!」

 

カイオーガが叫び…雷雲が轟く。晴れていた空は瞬時に曇り、大雨が降りだした。

 

そして…カイオーガの口の周囲に光る水の球が数個発生し…カイオーガはその水を数発の閃光として解き放った。

 

放たれた閃光は亜高速で飛び、水の閃光というよりも、大出力ビーム×数発に近いイメージと破壊力でヘルガー、ライボルト、ドククラゲを一撃で粉砕した。

 

この技は根源の波動。本来はメガシンカの有る世界のカイオーガしか覚えないが、カイオーガは怒りで覚えてしまったようだ。

 

――失せろ…次は人間、お前達を狙う。

 

次発の根源の波動を準備し、カイオーガはトレーナー達を睨む。

 

「「「ひっひぃぃぃぃい!!」」」

 

トレーナー達は自分達のポケモンを連れて、帰っていった。持っているポケモンからして、観光客かカイオーガの噂を聞き付けてやって来た人達だろう。

 

戦いが終わった為か、天気は元の晴れに戻った。

 

そのトレーナー達が消え、スイレンはアシマリを抱っこしてカイオーガに近付く。

 

「ありがとう。カイオーガ」

 

――スイレン…どうせ、誰かのポケモンに成るなら、君のポケモンに成りたい。

 

「えっ?カイオーガ…私のポケモンに成りたいの!?」

 

カイオーガは頷き、スイレンはダイブボールを取り出してカイオーガをボールの中に入れた。

 

この日、異世界からやって来た海神は運命に出会った。

 

 

翌日…

 

「先生!私も2匹目のパートナーを捕まえたよ!」

「カイオォォォォガ!」

「最強ヒロイン、爆誕しちゃったーー!!」




……あれ?アローラリーグ大丈夫?サトシのギラティナとリーリエのソルガレオorルナアーラも居るんだよ?



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54時限目 カントー合宿の始まり

カントー合宿スタート!


ある日…クチバ国際空港。

 

カントーの玄関口として有名なクチバシティ。新幹線、船、そして飛行機と様々な手段で多くのトレーナーの方々が最強のポケモンリーグが有るカントーに降り立つ初めての都市だ。

クチバはリンドウ達が子供の頃はサントアンヌ号がやって来る位の港町であったが、今は違う。大分栄えており、カントーでもトップクラスの都会へと変身を遂げたのだ。

 

「着いたぞ…ここがカントー。降りるのは年に数回の里帰り位だ」

「えぇ。まあ、私は数ヶ月ぶりだけど」

 

そのクチバ国際空港に一組の集団が降り立った。彼等はアローラから遠路遥々やって来たリンドウ率いるアローラ組であり、彼等は後に開催されるアローラリーグに備えてカントーに合宿に来たのだ。

 

青紫のコートを羽織り、チャンピオンの姿に成ったリンドウ。黒いシャツに青色のドレス姿…その他の地方の姿に戻ったブルー。やはり、彼はアローラでの服装ではなく普段の服装の方が良いのだろう。

 

「先生とブルーお姉さんがいつの間にか着替えてる」

「そりゃ、先生はカントー出身だしな」

 

アローラにやって来たメンバーはリンドウ、ブルー、サトシ、ククイ博士、セレナ、アセロラ、スイレン、カキ、マオ、マーマネ、リーリエ、ラティアス(人モード)の大所帯。更に、今日からブラックが復活し、ブラックはレシラム特急便の力で既にマサラタウンに到着してる頃だろう。

 

「そろそろ…お出迎えが…おっ!アレだな」

 

それに、今日はお出迎えが有るのだ。リンドウが何かに気付いてその方を見ると…3人の男女がリンドウ達を待っていた。

 

『メレメレ島ポケモンスクール御一行の皆様』と書かれたプラカードを持ったグリーン。グリーンの一番弟子であり、水のエキスパートであるカスミ。そして、恐らくは軟派をしてカスミとグレッグルに粛清されたのだろう…床には耳を赤くはらし、毒突きの影響で痙攣して倒れているポケモンドクター タケシが倒れていたのだ。

 

「おっ!カスミ、リンドウとサトシが来たぞ。タケシを起こせ」

「勿論ですよ。ほら、タケシ、何時まで倒れてるのよ。アローラから美人なお姉さんが来たわよ」

「マジっすか!!」

 

しかし、美人なお姉さんという単語を聞いたタケシは立ち上がり…元気な姿を見せる。だが、彼の視線の先のお姉さんはブルーしか居らず…だが、お姉さんよりも会いたかった嘗ての仲間が居たのだ。

 

「サトシ!!ピカチュウ!!」

「カスミ!タケシ!グリーンさん!!」

「ピカチュウ!!」

 

サトシとピカチュウにとって、カスミとタケシは初めて出会った仲間であり…家族のようにカントーとジョウトを共に旅した仲間だ。カスミはジョウトでの冒険を終えた後、グリーンの誘いを受けて抜けたが…タケシとはその後もシンオウ地方まで共に冒険した仲間である。

 

「おっ!サトシ!ラティアスも居るじゃないか!てか、レッドさんから聞いたけど…ギラティナまで一緒に居るのか!?」

「ギラティナも一緒さ!なぁ、ラティアス!」

「くーん!」

 

ラティアスも久し振りにタケシとカスミに出会えて嬉しそうだ。

 

しかし、グリーンは兎も角して…タケシとカスミの事を御存知でないセレナ達は首を傾げる。そんな生徒達の為に、リンドウはグリーン達を紹介する。

 

「ごほん、皆は知らなかったな。改めて紹介しよう。

サトシの初めての旅仲間であるカスミとタケシ、そしてサトシに初めてトレーナーとしての伊呂波を教えた世界最強のジムリーダー グリーンだ」

「「「はじめまして!」」」

 

挨拶は大事だ。

 

「俺はマオちゃんとは前に会ったけどな。俺はグリーン、トキワシティのポケモンジム トキワジムのジムリーダーだ。宜しくな」

「私はカスミ。元ハナダジムのジムリーダー代理で、今はトキワジムのジムトレーナーをしてるわ」

「俺はタケシ。元ニビジムのジムリーダーで、今はポケモンブリーダー兼ポケモンドクターをしてるんだ!」

 

グリーン…破壊神バンギラスという、サトシのピカチュウとゲッコウガやレッドのバグチュウそしてリンドウのレウス等と言った種族の壁を越えちゃったバンギラスを操る最強のジムリーダー。カントーとホウエン以外なら、余裕でチャンピオンに成れるらしい。

 

カスミ…水のエキスパートであり、グリーンの弟子。ジムトレーナーでありながら、他のジムのジムリーダーよりも強いのだ。そして、サトシと共に初めて冒険したトレーナーでもある。

 

タケシ…我らがスーパーニビ人。元ニビジムのジムリーダーであり、今はポケモンブリーダーとポケモンドクターを生業とする名医の卵である。欠点を上げるなら、女好きであり、ヒロインよりも女子力が遥かに高いのだ。

 

「カントー合宿では、彼等が共に行動してくれるぞ!」

 

そう、カントー合宿ではグリーン達と共に行動するのだ。しかし、リンドウ達は知らない。グリーン達の他にもう一組、ゲストが参戦することを。

 

 

 

その頃のマサラタウン。

 

マサラタウンはカントーでも錆びれ、過疎化が進み…観光名所は魔境 オーキド研究所位。

ポケモンマスター レッド、ホウエンチャンピオンのリンドウの故郷としては伝えられているが観光客は殆どやってこない。来るとしても、レッドとサトシが育った民宿兼お食事処のマサラハウスが有るぐらいだ。

 

しかし、それは少し前の話であり…今はそこそこ人が訪れたり活気が戻っている。何故なら、アローラにやって来る前のブルーとグリーンの姉 ナナミのお陰である。

 

先ず、夜間はイルミネーションのライトアップ。これにより、このイルミネーションを見るために観光客が訪れるように成った。そして、カントー地方のポケモンコンテスト絶対女王 ナナミの監修の元でマサラタウンにポケモンコンテスト会場兼ポケモンセンターが出来たのだ。

 

そのコンテスト会場の名前はマサラドーム。因みに最近完成したばかりであり、サトシも完成した姿を知らない。ポケモンセンターと複合してる訳だが、マサラタウンはポケモンセンターが今までなく、滞在する事もポケモンを治療する事も難しかった。

宿泊施設はマサラハウスしかなく、回復マシンはオーキド研究所には有るが…オーキド研究所には医師等は居ない。

 

「土地は余ってたから、良かったの!」

 

とはナナミ様の話。近日、ナナミ様が審査員を務めるポケモンコンテスト ナナミカップが行われるためか…大勢のコーディネーター及びパフォーマーがマサラタウンに訪れていたのだ。

 

しかし、彼等は既にアローラスクール組がマサラハウスを貸し切りにしてる為に、マサラドームのポケモンセンターに泊まるしかない。もし、無かったら野宿確定だろう。

 

「良し!何とか、ポケモンセンターの部屋を取れた!」

「うん!ナイスタイミングだ!」

「やった…もう、野宿は勘弁」

 

ナナミカップに出るために、ヒカリ、デント、ホワイト、キュレムもマサラタウンにやって来ていたのだ。

 

「でも…ホワイトもコンテストにはまってくれて良かった!」

「うん!両立で僕は頑張るぞ!」

 

そう、ホワイトはコンテストにもはまり、両立で頑張っている。

 

「でも!ジョウトの一部のジムリーダーが公務とプライベート、出張で1ヶ月居ないなんて、僕は聞いてないよ!」

「今はオフシーズンだからね」

 

ホワイトはジョウトのバッジを6つ手に入れた。だが、今は防衛戦が終わったオフシーズン。イブキ様等の一部のジムリーダーがオフシーズンの休暇を楽しんだり、出張したりしてるので…暫くは全てのバッジを揃えれないのだ。

 

「それじゃあ、イブキさんが帰ってくる前まではカントーでコンテスト巡りだね!」

 

しかし、ヒカリは知らない。サトシと再会する事に。

 

 

 

 

その頃の上空。

 

「皆…待ってろよ!」

「モエルーワ!!」

 

ブラック…急行する。




次回…ブラックの帰還、そしてヒカリとサトシの再会。なにこの…ヒロイン祭り


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55時限目

魔境…到着(笑)


『無事にマサラタウンに着きました。俺とレシラムはオーキド研究所で珈琲でも呑みながら、ゆっくりと待ちますよ』

 

クチバ国際空港からのレンタカーであるバスに乗り、マサラタウンを目指すリンドウ達。このバスは事前にククイ博士が頼んでいた物であり、運転手付きだ。だから、リンドウ達は客席に座っているだけで、後はマサラタウンに着くのを待つだけである。

 

「やっぱり、ブラックとレシラムはもう着いていたか。早いな、流石は音速飛行できる伝説のポケモン」

 

ブラックからのメッセージをスマホで確認するリンドウ。スマホのメッセージには写真も添付されており、写真には優雅に珈琲を飲む…私服の上ならチャンピオンとしての黒い羽織りを羽織ったブラックが写っていた。恐らく、タブンネか研究員辺りに撮って貰ったのだろう。

 

「てか…その羽織り、絶対気に入っただろ」

 

エロ仙人ことアデクさんお手製の羽織り。ブラックは気に入ったのか、熱帯な所以外では普通に着るようだ。と言うのも、エロ仙人が自分の為に作ってくれたと言うのも有るのだろうが。

 

「ブラックの奴、もう着いたのか早いな」

「流石はレシラムだね…この羽織り…気に入りすぎでしょ」

「ブラック君、元気そうですね!」

「そういや、スイレン。ブラックにカイオーガの事は伝えた?」

「未だだよ?でも、きっとビックリするだろうな!」

 

どうやら、サトシ達の会話から察するに…ブラックはクラスメート全員にメッセージを送ったのだろう。

 

「ピカッピカチュウ!」

「ピカチュウ。ブラックやレシラムに早く会いたいな!」

 

久し振りに友人に会えるためか、サトシとピカチュウも嬉しそうだ。だが、次のメッセージが届いた時…サトシとピカチュウは驚く。何故なら…

 

『サトシ!デントもマサラタウンに来てたぞ!マジで!』

 

とメッセージが届き、写真も添付される。その写真にはオーキド研究所の屋内で一緒に写真に写るブラック、デント、ヒカリ、ポッチャマ、ホワイト、キュレム、レシラム、ポッチャマ、ヤナップ、イーブイの姿だったのだ。

 

『この子はホワイト、サトシの2個下で最近旅に出た新人トレーナーだ。そんで、噂のキュレムの本当のトレーナーだぞ』

 

無論、サトシもホワイトがキュレムを再び復活させたのは知っている。伝説厨…げふんげふん、伝説使いのポケモントレーナー タクトの側をキュレムは離れ、ゴッドストーンに成ってホワイトが復活させたのは有名なニュースに成ったのだ。

だが、ホワイトが新人トレーナーだった事も有り、写真をテレビで映される事は無かった。だが、ホワイトはジム巡りをしながらコンテストにも出ており…そのマルチな才能で活躍してることはポケモンパフォーマーの間では有名な話なのだ。

 

「あっ!この男の子知ってる!最近、話題に成ってるポケモンパフォーマーだよ!サトシ、この記事を見て!」

 

サトシの隣に座るセレナは鞄から一冊の雑誌を取り出した。その雑誌はポケモンコンテストは勿論、カロスで話題のトライポカロンの情報が多く載っている雑誌である。

セレナはページを捲り、その記事をサトシに見せる。その記事にはホワイトの写真とキュレムの写真が写っていたのだ。どうやら2人のインタビュー記事であり、サトシはその記事を読む。

 

――ホワイト君とキュレムはカロスのトライポカロンの要素を取り入れた、パフォーマー部門で活躍してますが…ジムバトルの方も活躍は聞いてます。ですが、どうしてキュレムはジムバトルに参加しないんですか?

 

ホ『いや…それはキュレムが』

キュ『当然だ。俺はホワイトの為にそうした。確かに俺の力を使えば、簡単にジム等突破出来るだろう。事実、俺の前のトレーナーがダークライ一匹で殆どのジムを制覇したのだからな。だが、それではホワイトの為にも成らないし、イーブイやベイリーフ、カイロス、アーマーガアの為には成らない』

 

「セレナ?パフォーマー部門って?」

 

サトシは記事から目を反らし、セレナに問う。サトシは今までハルカやヒカリと旅した際に彼女達のコンテストを何度も観戦した。ヒカリやハルカのコンテストバトルはともかくして、パフォーマー部門とは初めて聞いたのだ。

 

「コンテストのパフォーマー部門はね、一言で言えばトライポカロンのポケモンコンテスト版かな?

コンテストにはコンテストバトルが有るでしょ?バトルだからトライポカロンと違って戦う。でもね、このパフォーマー部門にはトライポカロンと同じくポケモン達が直接戦う事は無いの。今までのコンテストと違って異質かも知れないけど、私は有り。

だって、これならトライポカロンに出たい男性も出れるし、色んな演技やパフォーマンスも見れるんだ」

 

パフォーマー部門とは一言で言えば、男でも輝けるトライポカロンである。

この部門を作ったのはミクリであり、彼は勿論カロスのトライポカロンも知っている。だが、トライポカロンは残念だが男は出れない、女性しか出れないのだ。そこで、ミクリはトライポカロンの重役の皆様であるカロスの人から許可を貰い…この部門を最近開設。なんと、それが大当たり。

 

「今ではトライポカロンに実は出たかった男の人も、このパフォーマー部門に出るためにホウエン等で活躍してるの」

 

むさいおっさん達が凌ぎを削るトライポカロン。サトシはそんなカオスを想像するが…有りかも知れないと思った。何故なら、再び記事に目を通した為である。

 

 

――キュレムはパフォーマー部門、イーブイや他のポケモンはコンテストバトルの有る従来の部門ですが…何か理由でも?

 

キュ『俺の独自の考えだが、パフォーマー部門は直接戦わず…技の美しさや見せや応用の演技も披露する。それに伝説のポケモン、普通のポケモンは関係ない。弱いポケモン、強いポケモン…様々だがバトルの実力は関係無い。

どんなポケモンでも対等に戦える。だから、俺はパフォーマー部門が好きだ』

ホ『うん!キュレムってコンテストの時は何時もよりイキイキしてるもんね!僕も好きさ!だって、トレーナーなら誰でもコンテストには出れるでしょ?』

 

誰でも平等に戦える。

 

「成る程な…」

 

サトシはそう言って、次のページを捲る。そこには写真が掲載されており、その写真にはキュレムとホワイトがコンテストで頑張ってる所が写っていた。

ホワイトはコンテストで着る派手な衣装。キュレムはフォルムチェンジ……いや、文を読むとメガシンカを行っていた。

 

その形態はトゥルーキュレム。ホワイトのメガバングルとキュレムに持たせたアイテム(間違いなく遺伝子の楔)を用いてメガシンカさせたのだろう。文章にはそれがキュレムの本来の姿と書かれていた。

 

トゥルーキュレムの姿は全体的に見ればホワイトキュレムに似ている。しかし、腕はホワイトキュレムよりも逞しくゼクロム程は有り、上半身は全体的に白く下半身は黒い。背部には大きな翼が有り、右の翼は黒く、左の翼は白い。尻尾の発動機は健在だが…ホワイトorブラックキュレムと同じく発動機からパワーケーブルが出ており、パワーケーブルは翼の根本と繋がっていた。

 

「これが…キュレムの本来の姿か…でも、テレビでのレシラムの言葉からすれば氷・ドラゴンなんだろうな」

 

だが、氷・ドラゴンである。妖精の力や筋肉には弱いのだ。

 

『まもなく、マサラタウンに着きますよ』

 

運転手のアナウンスが聞こえ、サトシとセレナは外を見る。バスの窓からはサトシとリンドウ、ブルーの故郷であるマサラタウンが見えてきたのだ。

 

「見えてきた!」

 

ポケモンスクール組。魔境マサラタウンに到着する。

 

 

マサラタウンの観光地と言えば、オーキド研究所だろう。

 

リンドウとククイ博士が引率するポケモンスクール組はオーキド研究所の前でバスを降りて、オーキド研究所の前で整列する。

 

「さてと、此処がオーキド研究所だ。しかし、オーキド研究所の敷地内には多くのポケモン達が生息している。

そのポケモン達はマサラタウン出身のトレーナーが預けたポケモンや、勝手に住み着いたポケモンが暮らしている。しかし、中にはミュウツーとかの危ないポケモンも居るので絶対に勝手な行動をしないように。分かったな?」

「「「はい!」」」

 

そう…オーキド研究所はシロガネ山真っ青な魔境なのだ。レッドとグリーンが捕まえたヤヴェーポケモン達が闊歩しており、中には伝説のポケモンも生息してるのだ。と言うか、世界に間違いなく複数居る伝説のポケモン(レジ軍団、エンテイとか)も居るのだ。

 

そんな危険?なオーキド研究所での授業。色んな意味で忘れられない日々に成るだろう。

 

リンドウ達はオーキド研究所の中に入る。屋内ではブラックとヒカリ御一行、そしてオーキド博士が談笑を行っていた。

 

「リンドウ先生!ただいまです!」

「「「ブラック!チャンピオンおめでとう!!」」」

 

ブラックの仕事が忙しく、ようやく言えたおめでとうの言葉。複数の伝説のポケモンをレシラム+普通のポケモンで倒したブラックは間違いなく、イッシュの歴史最強のチャンピオンに成るだろう。

 

「うん…ありがとう」

「サトシ!元気だった?」

「サトシ!元気だったかい!?」

 

久し振りにサトシと会えた為か、デントとヒカリは嬉しそうにサトシに駆け寄る。

 

「久し振り!俺は元気だったよ!ポッチャマとヤナップも久し振り!」

「チャマ!」

「ヤナッ!」

 

ヒカリとデントのパートナーであるポッチャマとヤナップとも再会したサトシ。彼等も元気そうでサトシも喜ぶ。

すると、デントとタケシが目が合う。すると、2人はお辞儀を行う。

 

「あっ、あの時の!」

「あの時はどうも」

「「「えっ知り合い!?」」」

 

そう…まさか、デントとタケシは知り合いだったのだ。

 

「皆、ようこそ。遠路遥々カントーへ!」

「「「博士、ボス(フシギダネ)(メタグロス)返して」」」

「あっ…それは厳しいの…」

 

オーキド博士、挨拶をしようとしたが…土下座をされてパートナーを借りられたリンドウ達の言葉を受けて挨拶が強制終了させられる。

 

「さてと、皆もオーキド博士は知ってるな。だから飛ばすぞ。

オーキド研究所の敷地内にはさっきも言ったとおり、多くのポケモンが生息している。直ぐ側の草原は安全地帯でな、危ないポケモンは居ない。そこで、皆のパートナーを出してやるとするか!」

 

魔境のオーキド研究所と言えど、安全地帯は存在する。それは直ぐ側の草原だ。そこならば、ミュウツーやサンダー、ファイアーの謀反三人衆は滅多に現れない。

 

 

魔境のオアシス。オーキド研究所の草原…

 

そこでも多くのポケモン達が暮らしており、池にはリンドウのラプラスやサトシのワニノコ達が暮らし、他にも様々なポケモン達が暮らしている。ケンタロスやポニータ、サイホーンや沢山の種類がだ。

 

「「「「うぉぉおお!すごーい!」」」」

 

だが、感激してる場合ではない。サトシ達は各々のポケモンをボールから出した。

 

サトシ。ラティアス(元から出てる)、ピカチュウ(元から出てる)、ゲッコウガ、モクロー、ニャビー、ルガルガン、リザードン、ギラティナ。

 

セレナ。テールナー、ヤンチャム、ニンフィア。

 

カキ。バクガメス、ガラガラ。

 

マーマネ。トゲデマル、デンヂムシ。

 

マオ。アママイコ。

 

リーリエ。シロン、ほしぐもちゃん。

 

スイレン。アシマリ、カイオーガ。

 

アセロラ。ミミたん(色違いミミッキュ)

 

ブラック。レシラム、ウルガモス。

 

「「「「ふぁぁぁあ!?カイオーガ!」」」」

 

だが、スイレンがカイオーガを捕まえている事を知らなかったタケシ、カスミ、デント、ヒカリは叫んでしまった。

 

「それじゃあ、僕も出そう!みんな!出てこい!」

「イーブイブイ!」

 

ホワイトも感化されたのか、全ての手持ちをボールから出した。

 

ホワイトの手持ちはキュレム、イーブイ、ベイリーフ、カイロス(色違い)、そして黒い鋼の鳥 ガラル地方のポケモン アーマーガアである。

 

「マカセロス、キラリンチョ」

 

何やらカイロスがそんな言葉を発したような気がしたが、気にしてはいけない。

 

「アーマーガアか…生では久し振りに見たな」

『俺達の頼れる仲間さ』

 

キュレムはリンドウの言葉に対してそう言った。だが、保護者であるキュレムが目を反らした為か、子供(仮)であるホワイトは近くの池に移動して一匹の貧相なバスを見ていた。

 

「君さ…どうしたの?元気ないね」

 

――関係ない…私は使えないからって捨てられたんだ。

 

貧相なバスは心の声でそう言った。

 

 

 

 

「さてと…ここには全国のポケモンが揃ってるロト!今の内に、カントーとジョウトとホウエンとシンオウのポケモンを撮るロト!!」

 

ロトムは魔境だと知らず、オーキド研究所の奥に進んでいた。その為か……

 

『おぉ…圧制者よ。汝を抱擁しよう!!全力の腕力とサイコパワーでな!』

 

魔境の元凶その1 ミュウツーに出会っていた。

 

 




次回!!ロトムを救え!!

伝説大決戦!?ロトムを救うために、サトシ達はどうする!?

ミュウツー『圧制者よ来るが良い!!』
リンドウ「アイツ…バグチュウとギエピーにやられて、スパさんに憑依されたんじゃないのか?」


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56時限目

レッドのミュウツーのキャラ崩壊が酷いです。マトモなミュウツーは、逆襲ミュウツーか虹サカキのミュウツーまでお待ちください。


――そのポケモンは筋肉(マッスル)だった。

 

「ロト!?データと全然違うロト!!」

 

この世界にはデータで測る事が出来ない事象や出来事が存在する。そのミュウツーもその体現者と言えるだろう。

データ状のミュウツーはスマートな肉体で、伝説のポケモンの中でも最強レベルのサイコパワーを誇っている。だが、それは記録に有るミュウツーであり、目の前のミュウツーはそんな限りではなくmuscleだった。

 

腕も逞しく、格闘タイプのポケモンなのかと見間違う程の強靭な筋肉。本来、そこまで筋肉が着きにくい純粋なエスパータイプで有るのだが強靭な筋肉を持っている。腕や足は勿論、胸部の大胸筋も発達しており、腹部のシックスパックも見事だ。更に鍛えるのが難しい背中の筋肉…特に素早さと物理攻撃力にも用いる広背筋はより発達しており…綺麗な逆三の肉体美をしている。日本刀やF1カーのような機能美…その筋肉と言えるような美しい肉体美。

 

握力だけでフレッシュ100%オボンの実ジュースを作ることが可能であり、サイコパワーを使わずにパイプ椅子を砲丸に変えることが出来るパワーを持っている。

 

「ミュウツーがなんで…なんで…こんなゴリゴリなんだロト!?」

 

ロトムの画面に映るミュウツーは世界が良く知る、スマートでスタイルの良いエスパーポケモン。しかし、目の前のミュウツーはmuscleなのだ。

無理も無い。このミュウツーはレッドのポケモンなのだが、捕まえる際に我らがバグチュウとギエピーが一時的に進化?したミュウスリー(顔だけギエピーのミュウツー。画像検索推奨)の力で倒され、捕獲された。

だが、ミュウツーは人間に使われるのが嫌であり、同じ思いを抱いたサンダー、ファイアーと共に何度も反逆を起こした。何度も何度も、反乱を起こしては鎮圧されてきた。

 

鎮圧され続けること数年。幾度のダメージと肉体の自己再生から産み出される超回復が、ミュウツーの肉体を進化させた。

より強い筋繊維が有ればダメージを減らせる、より強い筋繊維が有れば攻撃力が上がる、より強い筋繊維が有れば素早く移動出来る。その為か…ミュウツーの細胞が導きだした答えが…

 

『おぉ…圧制者よ。汝を抱擁しよう!!全力の腕力と全力のサイコパワーでな!!』

 

この筋肉(マッスル)なのだ。

 

「にっ…逃げるロト!!」

 

ロトムは自衛の為に電気ショックを放ち、ミュウツーを攻撃する。ロトム図鑑にフォルムチェンジしているが、元はゴースト・電気タイプのポケモン。

覚えている技は使うことが可能だ。だが、ロトムの電気ショックでは鍛えられた筋肉の防御を突破出来ず…ミュウツーはピンピンとしており、笑みを浮かべる。

 

『ふふふ…見たまえ、傷口と私の筋肉も笑っているよ』

 

ロトムは本能的に恐怖を感じた。大人しく、リンドウの言葉を聞いてサトシ達と安全地帯である草原に待機しておくべきだったと。

このミュウツーが相手なら…間違いなく一国が落とされる。伝説厨(タクト)の主力やスイレンのカイオーガでさえ、このミュウツーには勝てないだろう。このミュウツーを倒すためにはサトシのゲッコウガやリンドウのレウスとボス等の正にエースと呼ぶに相応しいポケモンが必要だ…それもチャンピオン級の。

 

すると、ミュウツーの後ろにやたらと目付きの悪いファイアーとサンダーが現れる。

 

『同士よ…さぁ!!今こそ圧制者に反逆しようぞ!!』

 

ミュウツーが叫ぶと…ミュウツーの後ろの木々が吹き飛び…そこにはリングマやサイドン、オニドリル等のポケモンが居たのだ。彼等はミュウツー、サンダー、ファイアーと同じく反乱軍の仲間なのだ。中にはライコウ、トルネロス、ボルトロス等の伝説のポケモンも居たのだ。

 

『『『『うぉぉおおおおおお!!今こそ、反乱を!!』』』』

 

ミュウツーに同意するようにミュウツー(スパさん)の配下達は叫んだ。人間にはポケモンの鳴き声に聞こえるが、ロトムはポケモンでも有るので彼等の言葉を理解できた。

間違いなく…ミュウツー達は今から謀反を起こすだろう。

 

『先ずは…目の前の圧制者を抱擁しよう!』

「逃げるロト!!!」

 

ロトムは叫び、命辛々逃げ出す。だが、彼を抱擁(攻撃)する為か…ミュウツー達が追い掛けてくる。

 

 

 

一方、スパさん+ベガ様inミュウツーと愉快な反乱軍からロトムが命辛々逃げてる頃。

 

リンドウ達は草原で、カントーならではの授業を行っていた。

 

「良し!それでは折角だから、アローラでは皆が良く知るポケモンがカントーの姿ではどうなのかを今日…実際に見てもらいたい。

今日見てもらうのはイシツブテ、ライチュウ、ナッシー、ダグドリオだな」

 

サトシやセレナ、ヒカリ、ブラック達は他の地方での姿を知っている。だが、アローラからやって来たカキ達はカントーでの姿を知らないのだ。

 

「カントーの姿か…どんなんだろうね!」

「ナッシーは教科書で有るけどな…」

 

カントーでの姿が楽しみなカキ達アローラ出身者。すると、そこに1人の男が現れた。彼はケンジ、嘗てサトシとカスミと共にオレンジ諸島を旅した仲間であり…現在は魔境オーキド研究所で働く職員だ。

 

「リンドウさん。此方を」

「サンキュー」

 

ケンジはリンドウに幾つかのモンスターボールを手渡す。すると、リンドウはそのボールからポケモンを繰り出した。

 

出てきたポケモンはイシツブテ、ライチュウ、ナッシー、ダグドリオである。

 

「ラッシャイ!!」

「ライライ!」

「なっーしー」

「ダグッッ!!」

 

出てきたのはアローラでの姿ではなく、カントーで生息するイシツブテ、ライチュウ、ナッシー、ダグドリオだ。

勿論、アローラともタイプが異なり姿も異なる。特にナッシーはアローラと比べると小さく…ダグドリオは髪の毛(髭とも言う)が無かったのだ。

 

「ナッシー小さい!」

「本当だ!」

 

各々を反応を見せていた。しかし、良くも悪くもアローラの伝統を大事にするカキはと言うと…

 

「ふぉぉおおおおお!?ダグドリオの神聖な髭が抜け落ちてるぅぅぅぅ!!」

 

有名な絵画 ムンクの叫びのように絶叫してしまった。と言うのもアローラのダグドリオは髪の毛のような物が生えており、古来よりこの髪の毛は神聖な髭と呼ばれていた。しかし、カントーのダグドリオは御存知のとおり、つるぱげである。

 

「このように、アローラではお馴染みのポケモンもカントーでは大きく姿を変えている。これがリュージョンフォームの面白い所だ」

 

しかし、そんな授業を見守っていたブルーとククイ博士は有ることに気付いた。それは、ロトムが居ないのだ。

 

「ククイ博士、ロトム居ないわよ」

「何処に行ったんだ?」

 

最近、出番が少ないためか…他の人はロトムの行方不明に気付かない。

 

だが、更に異変に気付いたポケモン達も居た。それはサトシのゲッコウガ、ギラティナ、ブラックのレシラム、ホワイトのキュレム、スイレンのカイオーガだ。彼等は一斉に遠くの森の方を見ており…森の方からは爆発や雷撃、轟音が響いていた。

 

「なんだ?」

 

その次にリンドウも森の方を見る。すると、森の方から何かが吹き飛んで来た…それはなんと、伝説のポケモン レジアイスだったのだ。

 

「「「「えっぇぇえええええ!!」」」」

 

飛んできたレジアイスだったが、リンドウがボールからレウスを出して、レウスがレジアイスを受け止める。だが、レジアイスの身体は傷だらけであり…かなりのダメージを受けてる。

 

「レジアイス!?」

「うそ!あれだよね?遺跡とか古戦場とかでたまに見付かるポケモンだよね!?」

 

生で伝説のレジアイスを生で見た為か…カキ達は驚く。だが、レジアイスを此処まで追い込むとは…かなりの強さを持ったポケモンなのだろう。

 

「レッ…レジ…」

「レジアイス!?何があった!?」

 

何が起きたのか理解出来ないリンドウ達。しかし、この男は違った…普段から魔境オーキド研究所で住み込みで働くケンジは違ったのだ。

 

「まさか…まさか……ミュウツー達が反乱を起こしたんだ!!」

「「「「反乱!?」」」」

 

魔境オーキド研究所の事を知らない子供達は反乱というキーワードに驚くが…リンドウとブルー、グリーンは苦笑いを浮かべた。

 

「始まったな…」

「そうね…」

「始まっちまったな」

 

ミュウツー率いる反乱軍とレジギガス率いる防衛軍の戦争が今回も始まったのだ。既に防衛軍の将 レジアイスは見ての通り戦闘不能であり、状況は反乱軍の有利だろう。

 

 

 

「カントーは魔境ロト…怖すぎロト!!」

 

ロトムは岩影に隠れ、ブルブルと震えていた。

 

何故なら…()()を転移してきた過去のテロリスト アカギそっくりな男 虹アカギがディアルガとパルキアを連れてやって来たのだ。

 

だが…そんな虹アカギであったが…

 

『おぉ!!圧制者よ!!汝を抱擁する!!』

「ぐぅぅぅあああ!!」

 

スパさんミュウツーの抱擁攻撃を受けて、全身の骨を砕かれて再起不能(リタイア)

 

『これで…君達は自由の身だ。だが、ごらんの通り、オーキド研究所は反乱軍の反乱が毎度起こる。

だがね…このオーキド研究所には戦えないポケモン達も居るんだ。そんなポケモン達を守るために、私達と共に戦わないか?』

 

虹アカギのマスターボールを破壊した防衛軍隊長 レジギガスは、自由に成ったディアルガとパルキアに握手を求める。

 

――勿論だ。私達も…理性を奪われながらも、非力なポケモン達を見てきた。

 

――我々はもう故郷に帰れない。私の権能である空間を操る力でもな。だが、此処が我々を受け入れてくれるならば、我々は力を貸そう。

 

ディアルガ、パルキア。防衛軍に参加する。

 

『ふふふ…来るが良い!!圧制者!!我々は自由を掴み取るのだ!!』

 

ミュウツーは虹アカギを投げ捨て、レジギガス隊長と新人隊員ディアルガとパルキアに戦いを挑む。

ミュウツーの愉快な仲間達は既に、リンドウのボスゴドラやブルーのメタグロス達の手で鎮圧された。後は自分だけ……

 

『サイコスマッシャー!!』

『ギガインパクト!!』

 

毎度の如く、オーキド研究所から莫大な衝撃波が発生する。

余談だが、サイコスマッシャーというポケモンの技は存在しない。ただ、スパさんミュウツーがサイコパワーを纏って相手に突っ込む必殺技である。

 

今回もレジギガス隊長率いる防衛軍は何とか勝てたのだった。

 

 

 

 

「カントーは魔境だったロト!!」

 

ロトム…泣きながら草原地帯に逃げてきて、命辛々生還する。




次回!オーキド研究所の前で皆でBBQ。そこで、リンドウはカキ達に告げる。

リンドウ「カキ、スイレン、マオ、マーマネ。お前達には将来、ジムリーダーを任せたい」


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57時限目

リンドウ、カキ達に告げる。


ロトムが魔境の元凶であるスパさんミュウツーとの邂逅するという、悲劇(喜劇)を経験したが…今日の夕飯はオーキド研究所の前の広場で行われるBBQだ。

 

「ありがとうございます!まさか…関係無い僕達も参加して良いなんて…」

「頂きます!」

「うわ…僕、BBQなんて初めて」

『この子達の代わりに礼を言おう。改めて俺達も誘って頂き、感謝する』

 

そのBBQだが、オーキド博士の全額奢りであり…下準備等はオーキド研究所の職員の皆様とサトシのママであるハナコさんが行ってくれた。

本来は学校行事の夕食なのだが…サトシの嘗ての旅仲間という事も有り、デント、ヒカリ、ホワイト達も参加する事に成ったのだ。勿論、誘ったのはリンドウとサトシである。

 

しかし、BBQは準備を行う所からスタートであり…未だ火起こしが始まった所だ。その火起こしは女子力MAXの男子達であるタケシとデント、リンドウとククイ博士の手で見事に完了された。

 

「しかし…まさか、デントがサトシと共に冒険してて、今はヒカリとも旅をしてたなんてな」

「僕もタケシがサトシの嘗ての仲間で、ヒカリと共に旅してたなんて思わなかったよ」

 

同じく料理男子であり、嘗てジョウトのとある町で共に戦ったデントとタケシは共に戦った。まさか、その2人にサトシと共に旅したという共通点が有るとは思わなかったのだろう。

 

火起こしが終わっても、肉が焼けるように成る間では少し時間がかかる。

 

その為か…リンドウは自分の教え子達を召集した。

 

「よーし!未だお肉は焼けないから、お前たち集合だ!」

 

リンドウの言葉に従い、サトシ達はリンドウの側に集まってくる。

 

「いきなりだが…言わないといけない事が有る。直ぐに答えを出さなくても良いんだが、お前達の今後に関わる事だ。

中には知っている人も勿論…居るんだが」

 

リンドウはカキ、マオ、スイレン、マーマネ、リーリエ、アセロラ、セレナ、サトシ、ブラックの順番に見回す。

 

「カキ、マオ、スイレン、マーマネ、アセロラ。お前達にはアローラリーグが本格始動した際に、ジム制度が始まったらジムリーダーを任せたい」

「えっ?ジムリーダー…ですか?」

 

では、ここでジムリーダーに付いてを復習しよう。ジムリーダーとはその地方のリーグ公認のポケモンジムの代表であり、挑んでくるトレーナー達の関門として立ち塞がる人の事だ。

チャレンジャーはジムリーダーを倒してバッジを貰う事に成るのだが、それが中々に難しい。それほどに強いトレーナーであり、タイプ相性の悪さでも戦える知識とトレーナーとしての腕前も必要なのだ。

 

「そう。ジムリーダー。今ばらすが、元々…俺のクラスはオーキド校長に頼まれてクラスに入れたリーリエと転入生のサトシ達を除いて、未来のジムリーダーに相応しいトレーナーを指導する特別クラスだからな」

 

なんという事でしょう。リンドウのクラスは元々、未来のジムリーダーを育成する為の特別クラスだったのだ。その事を知らなかったカキ達は唖然とするが、アセロラは驚いていない。どうやら彼女は昔から、ジムリーダーの事を知っていたのだろう。

 

「「「「なんだって!?」」」」

「おう。アセロラだけは前々から言ってたけどな…弟子にしたタイミングで。

まあ、直ぐにって訳じゃない。早くても2年後ぐらいからだな。既に虫とノーマルのジムリーダーは決まってるが、お前達にはジムリーダーに成れる素質が有る。それは間違いない」

 

リンドウの言葉を聞いて、カキ達はアセロラを見る。すると、アセロラはピースサインをして笑みを浮かべた。

 

「ししょーには未だ秘密にしてろって言われてさ」

 

確かにリーグが本格始動するならば、ジムリーダーとポケモンジムは必要だ。

 

「俺はやります!やらせてください!」

 

先ず、真っ先に言ったのはカキだった。そのカキに続くように…

 

「私もやります!」

「私も!」

「僕も!」

 

マオ、スイレン、マーマネもジムリーダーに成ることを決意してくれた。これには思わず、リンドウは笑みを浮かべてうっすらと涙を流す。

 

「やっぱり、お前達大好きだ!それじゃあ、明日からも全力で始動するぞ!

勿論…リーリエ、サトシ、セレナ、ブラックもだ。ブラックとサトシは俺やレッドを何時か倒して貰わないとな!特にリーリエ、ほしぐもを守れるように成らないとな」

 

だが、リンドウは知らない。数年後、無事にジムリーダーとして活躍するカキ、マオ、マーマネ、スイレンだったが…リーグ後の本気のジムリーダーとリーグ優勝者で戦うトーナメントでカキ達が余りにも強すぎて、どのチャレンジャーもチャンピオン(後のサトシ)に挑めない事を。

 

チャレンジャー全員「全員、メガシンカしてくるんですけど!!」

 

――あっ、鍛えすぎた。てか、コイツら…他の地方じゃチャンピオンに成れるんじゃね?ジョウトとカロスは絶対に行ける…てか、俺、チャンピオン引退する時、後継者をスイレンに任せようかな?カイオーガ居るし。と数年後に語るのは後の祭りである。

 

 

 

「ちょっと!ホワイト、勝手に研究所からポケモン連れてきたらダメでしょ?」

「だって…寂しそうだったもん」

 

姉ポジに成ったヒカリに怒られるホワイト。ホワイトの手にはジタバタと動く、一匹のメスの貧相なバスが居たのだ。

 

「そのヒンバスはの……マサラタウン出身のトレーナーが、此処で逃がしたのだ。弱いし、不細工という理由でな。

ミロカロスに進化させる事も出来るが、進化方法はなんとも言えん。強い能力もなく…殆どのトレーナーから見向きもされんのじゃ」

 

オーキド博士が、何処か悲しそうに言った。その貧相なバスはヒンバスというポケモンだ。一部の研究者はヒンバスがミロカロスという、美しく強いポケモンに成ることを知っている。しかし、ヒンバスの外見が正に貧相なバスであり、ヒレも生まれつきボロボロ。バトルでもかなり弱く、好んで使うトレーナーは先ず居ないのだ。

 

「じゃあ…僕が貰って良いの?コンテストには強さは関係無いからね!どんなポケモンでも、絶対に長所は有るさ!」

「ホワイト…」

 

そして、ホワイトはオーキド博士からヒンバスを貰った。だが、オーキド博士は知らない。このヒンバスが…キュレムに次ぐ、ホワイトのエースに成ることを。

 

そして後日、このヒンバスを捨てたトレーナーは…ホワイトの手でフルボッコにされる事を。




未来のアローラリーグのチャレンジャー達「ふぇぇぇ!?メガシンカ!?ゲンシカイオーガ!?勝てるきゃぁぁぁ!!」

未来のチャレンジャーは王者に挑む者を決める、チャンピオントーナメントで…叫んだのでした。Z技を解き放つメガシンカポケモンとゲンシカイオーガ…どうやって停めろと?


次回!ジム組とコンテスト組に別れます。

ジム組はトキワジムでのジム体験。コンテスト組はナナミ様の特別授業。


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58時限目

リンドウの家族が明らかに!?


懐かしい夢を見た。

 

「母さん!父さん!見て!初めてのポケモンを貰ったよ!」

「イーブイブイ!」

 

リンドウは初めてのポケモンであるイーブイを貰った後、実家に帰ってイーブイを両親と幼い妹に見せた。

13年前…リンドウが初めて旅に出た際、リンドウは両親と幼い妹と共に暮らしていた。母は専業主婦、父はマサラタウンに有る唯一の学校の教師だった。

 

「あら!可愛いじゃない!」

 

母はリンドウの初めてのパートナーであるイーブイを見て、嬉しそうに笑みを浮かべる。だが、父親は違った。

 

「そうか…」

 

あまり…リンドウの父親は関心が無さそうにそう言った。リンドウの父親はリンドウがポケモンを持つことには賛成だった…だが、トレーナーとして旅に出る事には良い気持ちをしてなかった。

旅に出て、成功するトレーナーは極僅か。嘗ての自分が挫折したようにリンドウも挫折して、上手く就職等が出来ないのでは?と思っていたのだ。事実、マサラタウンから旅に出てトレーナーとして大成したのはオーキド博士だけ。それ以外のトレーナーは殆どが挫折した。

 

サトシの父親と祖父(父方)が挫折し、行方を眩ましたように夢を見て挫折するトレーナーが後を絶たない。

 

「ちょっと!貴方!」

「リンドウも何時か、現実を知るだろう。私はリンドウがトレーナーとして挫折しても、良い所に就職出来るように根回しするだけだ」

 

だが、父親の予想とは裏腹にリンドウはトレーナーとして大成し、ホウエン最強のチャンピオンに成るのは誰もが知っている。そして、リンドウのチャンピオン就任を誰よりも喜んだのは父親だった。

 

 

 

「知っている天井だ」

 

翌日、リンドウは実家の自室で目覚めた。自分が独り立ちしてからでもたまに帰ってこれるように残された自室。リンドウとブルーは実家がマサラタウンに有るためか、サトシ達と違って実家に泊まってる。

 

自室のベッドから起きたリンドウは、寝巻きから何時もの服装に着替え…その上からカントーやホウエン等で活動する際の青紫のコートを羽織り、チャンピオンの姿に成る。

 

そして…腰のベルトにリーフィアとレウス達が入ったボールをセットすると、リンドウは部屋を出て階段を降りる。

リンドウの実家は2階建てであり、1階はリビングやキッチン等が有り…2階に各々の自室が有る感じなのだ。

 

「おはよう」

「おはよう!リンドウ!もう、お父さんは行っちゃったわよ!」

 

1階に降りると、リンドウの母親と黒い髪のツインテールの年頃の少女が食事を食べていた。

ツインテールの少女はリンドウの妹であるクルミ。今年で14歳だ。

 

「そうみたいだな…」

「ワンパ!ワンパ!イヌヌワン!!」

 

すると、リンドウの足元に犬種のコーギのような可愛らしいポケモンがやって来た。このポケモンはワンパチ。ガラル地方を原産とする電気タイプのポケモンであり、ガラルでも人気の高いポケモンだ。

このワンパチはクルミのパートナーなのだが、リンドウが過去にガラルで捕まえたポケモンである。

 

「あっ!ワンパチ!」

「おっ!元気だったか、ワンパチ。クルミとの散歩で引き摺られてばかりじゃ無いだろうな?」

 

リンドウが前回、実家に帰った時。リンドウは散歩中のクルミとワンパチと出会ったが…ワンパチは「イヤヤワン!」と叫びながら、移動するのが面倒だったのか…引き摺られて居たのだ。

 

「お兄様!そんな事は無いですわ!」

「それは良かった」

 

その後、ご飯を食べ終えたリンドウはオーキド研究所の方へと向かっていった。

 

 

「親父、相変わらず早いな」

「最近は子供達も早くてな」

 

だが、オーキド研究所に向かう前にリンドウはマサラタウン唯一の学校にやって来ていた。その学校はマサラタウンに暮らす子供達が通う学舎であり、10歳に成ったらポケモントレーナーとして旅立つ子供達も多く…10歳以後も通う子供は少ない。

 

その校門の前でリンドウはゴーリキーを連れた壮年の男と話していた。その男こそ、ゴーリキーのトレーナーでありリンドウの父親である。

 

「しかし…お前が教師か…」

「誰かさんの影響だよ。そんじゃ、俺は行くよ。今日の夕飯は家で食べるから」

 

リンドウはそう言うと、オーキド研究所の方へと歩いていった。

 

「嬉しいことを言うじゃないか……。お前は私よりも遥かに立派だよ」

 

父親はリンドウに聞こえないようにそう言った。

 

 

オーキド研究所の前の広場。そこが今日の集合場所だが、未だ誰も来ていない。しかし、リンドウが今日早く来たのは理由が有るためだ。

 

何故なら、今日の特別ゲストを招く為だ。今日の予定はトキワジムでのジム挑戦。トキワシティは此処から歩いて30分程で到着する場所に有るが、予定を変更してグループを2つに分ける予定なのだ。何故なら、セレナやヒカリのポケモンコーディネーターは勿論…コンテストに興味を持ってくれたリーリエの為である。

 

「あら!リンドウ君、随分と早いじゃない。弟達やレッド君も見習って欲しい位だわ」

 

声が聞こえ、リンドウは声の方を見る。そこにはコーディネーターorパフォーマーコースの特別講師を引き受けてくれたカントーの女帝であり、カントークイーンの称号を持つカントー最強のポケモンコーディネーターであるナナミが居たのだ。

ナナミはグリーンとシゲルの姉であり、リンドウやブルーそしてレッドが昔からお世話に成ってるお姉さんであり、リンドウとブルーは昔からナナミ様と呼んで慕っている。

 

「ナナミ様!お久しぶりです!」

「うん、てか…なんで君とブルーちゃんは様着けなのかな」

 

リンドウはナナミ様にグループを分ける事を既に伝えており、ヒカリやセレナとリーリエそしてホワイトの事をナナミ様に伝えている。

ナナミもコンテストに興味を持ってくれたリーリエや、コンテストの将来有望なヒカリやセレナそしてホワイトの事を指導したくてウズウズしてるのだ。

 

「一応、其方には引率でブルーを着けますんで…適当に使ってください。後、最年少のホワイト君が暴走しても保護者であるキュレムが居るので」

「ブルーちゃんが居るなら安心ね。そうそう、ホワイト君とキュレムのインタビュー見たけど、あの子…コンテストの素質抜群ね!私処か、ミクリさんを超えると思うわ!」

 

――ですよねー、原作ゲームでポケウッドの大俳優に成ったり、色々としてますんもね。

 

 

その頃のポケモンセンターが有る、コンテスト会場マサラドームでは…

 

「OK!似合ってるよ!バッチグー!あっ、これも食べて。僕の直感が正しければ、君は美しさの素質バッチグーさ!」

 

リボン等でデコレーションされたヒンバスに、ホワイトが美しさのポロックを食べさせていた。

 

――こんな事をしても…意味ないよ。そんなの、私が一番分かってる。

 

ネガティブなヒンバス。だが、そんな彼女が美しいミロカロスに成ることを誰が予想できたか。

 

 




次回!グループ分け行動

リンドウ「世の中には初心者狩りと言ってな。旅に出たばかりのトレーナーを狙う、陰険な奴が居るんだ。
ゲームで序盤の草むらに居るトレーナー達が居るだろ?彼等の半分がそれだ」

初心者狩り「トレーナーの厳しさを教えてやる!」

次回!初心者狩りのトレーナーに、無慈悲な裁きが訪れる!?

「ガメス!!」
「アママイ!!」
「カイォォォオオガ!!」



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59時限目

初心者狩り、終了のお知らせ。


「ここから…リンドウ先生達は旅立ったんだね」

 

一番道路…マサラタウン側の入口。そこにマオ、スイレン、マーマネ、アセロラ、カキは一列に並んでいた。この場にサトシ、ブラック、リンドウ達が居ない訳だが単純だ。何故なら、既にマオ達の強化プランは発動している。

 

マオ達を含め、サトシとブラックはジム挑戦プラン組なのだが…既にサトシとブラックはチャンピオン級の実力が有る。と言うか、ブラックはチャンピオンであり…サトシはベストメンバーならばシンオウやホウエンの四天王を倒せる可能性が高く、2人はお先に隣町であるトキワシティのトキワジムに居るのだ。

勿論…引率であるククイ博士とリンドウ、そしてトキワジムのグリーンとカスミ、ゲストのタケシはトキワジムで合宿訓練の準備を行っており…トキワジムに居るのだ。

 

マオ達に課せられた課題は2時間以内にトキワジムに到着すること。道は真っ直ぐであり、迷う筈が無く…徒歩30分以内に着くので楽勝だ。

その上、道中は時間の許す限り…自由に探索して良いとの許可を貰っているので新しいパートナーを探しながらのんびり向かっても良いだろう。

 

「良し!最初の一歩は皆で行くぞ!」

 

カキがそう言い、彼等は最初の一歩を一緒に踏み出し、嘗てのリンドウとブルー、レッドとグリーンと同じく第一歩を踏み出したのだ。

 

だが…彼等は知らない。この先に彼等を待ち受ける、初心者トレーナーを倒して優越感に浸りたい愚かなトレーナーが居ることを。そして、そんな初心者トレーナーを倒して優越感に浸りたい愚かなトレーナーの事を、リンドウとブルーは初心者狩りと呼んでいる。

 

 

「やるんだ…俺はやるんだ!」

 

彼の名前はタロウ。トキワシティ出身のトレーナー歴2年の男の子だ。

 

だが…残念ながら、タロウはジムバッジを1つもゲット出来ていない。と言うのも無理は無いだろう。

カントーのジムバッジは他の地方と異なり、相手の所有してるバッジの数で使うポケモンを変えてくるのだが、それでもジムリーダー。不利な相手との戦い方も把握しており、その上…カスミ+カントーのジムリーダーは全員がグリーンのブートキャンプを受けており、滅茶苦茶強いのだ。

その為か、グリーンがトキワジムのジムリーダーに成ってから…1年以内にカントーのジムバッジを揃えれたのはサトシとシゲル、そして種族値の暴力で勝った例の伝説厨位である。

 

タロウはニビジムに挑んだが、タケシの弟で現ジムリーダーのジロウのイシツブテにボコボコにされ…トキワジムに挑戦したがグリーンのポッポに半殺しされ、様々なジムにも挑戦したがフルボッコ。

別にタロウが弱いわけではない。これが普通なのだ。と言うか、1シーズン以内にバッジを集めるサトシとそのライバル達(アランやシゲル)、そしてリンドウと色彩軍団(ブルー、レッド、グリーン、ブラック、ホワイト、ゴールド、シルバー)+α(コトネ、チェレン、ベル、N)の素質が可笑しすぎるだけである。

 

先ず、最初の2~3でポケモンとの接し方と育て方、自分とポケモンの戦闘スタイルを身に付け。その翌年から数年で実力を上げてジムバッジを集め、20代半ばでポケモンリーグ初出場が平均的なのだ。

 

「サトシやイッシュチャンピオンみたいに俺だって勝ちたいんだよ…」

 

カントーでサトシも十二分に有名人だ。様々なリーグの決勝トーナメントは世界で中継され、様々なリーグで入賞したサトシは知っている人は知っているポケモントレーナーなのだ。

全世界生中継で例の伝説厨を倒したブラックの説明は不要だし、レッドに関しては知らない方が恥である。

 

「でも…初心者相手なら、俺だって勝てるんだ!」

 

なんと言う思考をしてるのだろう。だが、自分に自信を着けるのならそれも有りかも知れないが、初心者相手に 実力を見せて倒すのは明らかにタブーだ。

 

現在、タロウの手持ちはラッタとピジョン。この近辺で捕まえたコラッタとポッポが進化したポケモンだ。

 

「アママイコ!ここら辺は草タイプのポケモンが少ないから、先に行こうか!余った時間でトキワの森を探索しよう!」

「アママイ!!」

 

そんなタロウの前に格好の鴨が現れる。それはマオとアママイコであった。しかし、タロウは知らない……此処から、悲劇の3コンボが待っていることを。

 

「まて!」

 

そんなマオとアママイコの前に飛び出したタロウ。

 

「トレーナー同士の目が合ったら勝負だ!断るなよ!負けた人は勝った人に賞金を払うことな!」

 

と…タロウが言うが、実際の所はゲームだけである。と言うのも、もし…本当にそれなら今頃ジョウトはホワイトとキュレムの愉快な仲間達の手で……大勢のトレーナーの皆様は金銭を失っている。

キュレムもホワイトの身に危険が及ぶなら、奥の手として自分から飛び出すだろうし…ホワイトを標的にした初心者狩り兼強盗犯は最強の保護者の手で粉砕される。今ならば、成長したイーブイとベイリーフにカイロス達がフルボッコにするだろう。

 

「えっ?それは強盗じゃないの?私達の先生がカントー出身で、そう教えてくれたけど」

 

そう…普通の勝負に勝ったからと、相手から金銭を奪う事は強盗だ。

 

「うっ…だったら、ポケモン勝負だ!掛け金なし、それなら良いだろう!」

「それなら良いよ!行くよ!アママイコ!」

「アマイ!」

 

マオはアママイコを繰り出した。当然、カントーには生息していないポケモンであり、タロウはアママイコの事を知らない。

 

「いけ!ピジョン!!」

 

だが、見た目でタイプを理解したのだろう。タロウは飛行タイプであるピジョンを繰り出した。

 

「アママイコ!跳び跳ねる!」

「アママイ!!」

 

だが、マオは我らがホウエンチャンピオンから直接の指導を受け、更にブラックやサトシと言ったクラスメートからもアドバイスを受けている。

それ故に、苦手なタイプでもダメージを与えられる術を持っているのだ。

 

「えっ?」

「ピジョ!?」

 

空と言う優位に立っていたピジョンであったが、同じ高度まで上がったアママイコの蹴りを受けて地面に落とされる。

 

「往復ビンタ!!」

「アママイ!!」

 

そして、アママイコは往復ビンタを放ち…ピジョンを倒してしまった。

 

「ピジョン!!くそ!行け!ラッタ!!」

 

タロウはラッタを繰り出したが…

 

「アママイコ!草結び!」

「アマーイ!」

 

アママイコの草結びを受けて、ラッタは一時的に拘束されてしまう。これはブラックと伝説厨のバトルを参考に開発したのだ。

 

「からの…ローキック!そして往復ビンタ!!」

「アマーイ!!」

 

アママイコのフルコンボで…ラッタは倒れてしまった。

 

「チクショー!!」

 

タロウの手元に戦えるポケモンは居ない。タロウは目の前が真っ暗に成った。

 

 

 

「今度こそ!!」

 

ポケモンセンターでポケモンを回復させたタロウは再び一番道路にやって来た。

だが、ポケモンセンターでピジョンとラッタを回復させている間にアセロラがトキワシティに入ってしまった。

 

「この辺りは炎タイプのポケモンが居ないな。イーブイを探すという手も有ったが、イーブイは色んな所に居るしな。

バクガメスは炎・ドラゴン、ガラガラは炎・ゴーストだからな…タイプの相性的に炎・格闘も良いかも知れないな。いや…ヘルガーの炎・悪…虫・炎も有りかも知れない」

 

自分の未来のパートナーを考えながら、一番道路をのんびりと進むカキ。そのカキをターゲットに定め、タロウはカキの目の前に飛び出す。

 

「トレーナーとトレーナーが出会ったら、勝負だ!」

「良いぜ?行くぞ!バクガメス!!」

 

だが…ブラック、サトシ、アセロラの次に強いカキを倒せる訳が無く…

 

「良し!俺の勝ちだな!行こうぜ、バクガメス!」

「ガメス!」

 

バクガメスの火炎放射の一撃で、ピジョンとラッタは倒され…タロウは再びポケモンセンターにやって来ていた。

だが…その間にマーマネがトキワシティに到着してしまった。

 

「三度だ!三度目の正直だ!」

 

懲りないタロウ。そんな彼の目の前に、スイレンがやって来た。

 

「この辺りの水タイプのポケモンはコイキング位か。ギャラドスは魅力的だけど…アローラにも居るし……あっそうだ!化石ポケモンも良いかも知れない!

カブトやオムナイト、水タイプじゃないけど水に住んでたアノプスやアーマルド。ジムリーダーだからと言って、タイプを揃える必要はないしね!」

 

そう…ジムリーダーだからと、タイプを揃える必要は無いのだ。事実、グリーンはバラバラだし、ガラル最強のジムリーダー キバナもタイプはバラバラ(ジム用も)だ。

 

「トレーナーとトレーナーが出会ったら勝負だ!それも本気だぞ!!」

 

タロウはスイレンに勝負をしかける。

 

「えっ?本気で勝負?」

 

スイレンは確認の為にそう問うが、タロウは頷いた。それが自分の破滅を早めるとは知らずに。

 

「ああ!!カントーではポケモン勝負は本気でするものさ!!」

 

タロウはピジョンを繰り出した。一方、スイレンは腰に提げてあるダイブボールを手にする。

 

「相手は本気で戦いたいんだって…お願いできる?」

 

ボールは縦に頷くように動く。そして、スイレンはボールを投げた。

 

「お願い!カイオーガ!」

「カイォォォオオガ!!!!(僕と本気で戦いたいのは君?)」

 

スイレン絶対守るマンである、海神降臨。

 

「何ですか!?その化物は!?」

「えっ?私の家族だけど」

 

カイオーガの吐息のような攻撃!!ピジョンは倒れた、ラッタは倒れた。タロウは目の前が真っ暗に成った。そして、彼が2度と初心者狩りをすることは無くなった。

 

 

 

その頃…マサラタウンでは

 

『お前の敗因を教えてやる』

「アンタの敗因は只1つ!僕を…僕達を…本気で!」

『怒らせた事だ』

「マカセロス。キラリンチョリーン!」

 

嘗て、ホワイトのヒンバスを捨てた元トレーナーはマサラタウンに帰ってきていた。しかし、ヒンバスがホワイトに引き取られ、コンテストの練習をしていた所を見ると…

 

――へっ!気持ち悪いお前が、弱いお前がコンテストだ?夢でも見やがって!

 

そのトレーナーは成人を迎えていたが、ジムバッジを揃えることが出来ず…ホワイトを子供だからと見下していた。

 

――それじゃあ…そこのお兄さん、僕とポケモン勝負をしようか!

 

ホワイトは男に勝負を挑み、男の手持ちをカイロス一匹で5体倒し…最後の1体はキュレムの希望でキュレムが出陣したのだ。

 

「ひっ!?辞めろ!!」

 

しかも、キュレムとホワイト達は完全にキレており、男の身勝手な言葉とポケモンを捨てる行為に怒っているナナミとセレナとヒカリとリーリエ達もホワイトの味方であり、男を助ける者は誰も居ない。

 

「キュレム!!レッツショータイム!!」

『許しを乞うのは俺ではないな。自分の努力もせず、弱いからとヒンバスを捨てた。

ポケモンを預けるのは構わん。ホワイトも将来的にそうするだろうし、それは咎めはしない。だが、ポケモンは物ではなく家族だ。お前の一方的な思いで捨てられたヒンバスの代わりに、俺がテメーに裁きを与える』

 

しかも…キュレムはトゥルーキュレムにメガシンカしたのだ。

 

「ちょっとまって!!」

 

元ヒンバスのトレーナー。心にトラウマを負い、遠方に引っ越す。

 

すると、男達を倒した為か…ヒンバスの体が光る。どうやら、美しさのコンディションが既にマックスに成ってたようだ。

 

「えっ!?うそ!」

「進化なの!?」

「イーブイ!!」

 

そして…ヒンバスはミロカロスに進化したのだ。

 

「ねえ…ホワイト。もし、さっきの男の人がミロカロスを返せって言ってきたらどうする?」

「その時は……キュレム、どうしよう?」

『俺がオラオラで半殺しにする』

 

ヒンバスの元トレーナー。ホワイトに手を出した瞬間、キュレムパパの手でオラオラの刑が決定する。




次回!ナナミ様による、コンテスト講座。

マサラドームにも案内されたセレナ達。彼女達はそこで、様々な人に出会う。

「私の戦闘力(アピール力)は530000です」
「ミルたんのアピールがうなるにょ!!」
「お前は…アヴドゥル!!」
「イエス!アイ・アム!!」
「これが…私の全力だー!!」

セレナ「凄い!あの人達、全員がパフォーマー部門の凄い人だよ!」
リーリエ「個性が…凄いですわ」


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60時限目

コンテスト組です


ホワイトがヒンバス改めミロカロスの元トレーナーをフルボッコにしてから数分後。

 

「あんなトレーナーだけには成りたくないね」

「うん」

 

リーリエ、セレナ、ヒカリは改めてポケモンを『使えない、醜い』等の理由で捨てる非道なトレーナーになりたくないと改めて決意したのだった。

 

事実、ポケモンを道具に使うトレーナーも世界的に見れば多い。トレーナーの中には不要に成ったポケモンを売却して生計を経てるトレーナーも多く、それで稼いだお金はポケモンセンター等でバイトするよりも多額の金銭を得ることが出来るのだ。

過去、タマムシシティのゲームセンターで一部のポケモンが景品として売られていたり、最近でも一部の人がコイキング等を売っている場面が有るがそれはそう言う事である。

 

「さてと!仕切り直しね!ウザイ奴も、ホワイト君とキュレムにカイロスが吹っ飛ばしてくれたし、改めて私の授業を始めるわよ!」

 

ナナミが空気を切り替えるように、パンパンと手を叩いてそう言う。

今日、ナナミ様の授業を受けるのはアローラスクール組ではポケモンパフォーマーであるセレナとコンテストに興味の有るリーリエ。そして、マサラタウンでセレナ達が出会ったサトシの嘗ての仲間であるヒカリとヒカリの現在の旅仲間であるホワイトだ。あと、引率でブルーとデントも参戦している。

 

「この場ではリーリエちゃん以外はコンテストに参加した事が有るけど…リーリエちゃんは初めてよね?」

「はい!映像記録や雑誌などでは見たことが有ります」

 

リーリエはバトルに自信は無いが、昔からポケモンは大好きだ。その為にセレナがアローラに来てからはコンテストの事を色々と教えてもらい、雑誌等も読んでいた。

 

「宜しい!それじゃあ、簡単な説明で済みそうね。

コンテストは大きく分けて2つに分けられるの。従来通り、ポケモンのコンディションや衣装の出来映え、アピールと最後のコンテストバトルから成される従来のコンテスト。

そして、カロスでのトライポカロンと同じようなパフォーマンスを重視するパフォーマー部門ね。

どちらもポケモンのコンディションの仕上がり、衣装のデコレーションは有るの」

 

コンテストの事をテレビや雑誌でしか知らないリーリエはメモを取る。

 

「パフォーマー部門はバトルはなく、パートナーであるポケモンとそのトレーナーであるパフォーマーが発表されたテーマにそってパフォーマンスを行い、競い会うの。テーマは毎回ランダムで決まり、その日に発表される。限られた時間で、どのようにテーマを表現するかも大事ね。

コンテストバトルはコンディションや衣類の出来映えを見せるアピールは同じだけど、此方は最後にコンテストバトルを行う。普通のポケモンバトルと違うのは、各々ポケモンにゲージが有り…そのゲージは攻撃したり、攻撃を受けたりしたら減少するの」

 

コンテストバトルには当然、コンテストバトルが有る。だが、普通のポケモンバトルと異なり…此方は決められたゲージが存在するのだ。

 

「ゲージの減少だけど、闇雲に攻撃してたらゲージがあっという間に無くなり、無くなった時点で負け。

ではどうするのか?カッコ良く、可愛く、美しく、逞しく、賢く、そのポケモンの演技に応じた攻撃や受け身や回避で防ぐの。

分かりやすく言えば、演技をしながら戦うって感じね。攻撃も同じよ、どれだけカッコ良く見せるか、逞しく見せるか、可愛く攻撃するか、賢く攻撃、そして美しく攻撃するのか…ポケモンバトルと違ってコンテストは本当に奥が深いのよね」

 

ナナミは腰からモンスターボールを取り出し、ラプラスを繰り出した。そのはラプラス…極限まで美しさを強化されており、優雅だった。

 

「こっ…ここまで優雅に出来るんですか!?」

「凄い…凄すぎます!」

 

優雅を極めたようなラプラス。そのラプラスを見て、コンテスト経験者であるセレナとヒカリは驚きながら、目を輝かせる。

 

「それじゃあ…特別にマサラドームの裏側を見てみる?私が支配人だから、特別に見せてあげるよ!」

「「「本当ですか!」」」

「流石はナナミせんせー!」

 

セレナ達…今頃はトキワジムでジム実戦を行っているリンドウ達と比べて、遥かに貴重な体験を行おうとしていたのだ。

そう…マサラドームの支配人はなナナミ様であり、彼女の権力が有れば普段は入れない裏側にも入ることが出来るのだ。

 

「勿論!ブルーちゃんとデント君もね!」

「ありがとうございます!ナナミ様!!」

 

太っ腹なナナミ様である。

 

 

ナナミ様の案内でマサラドームのロビーにやって来たセレナ達。マサラドームはポケモンセンターにも成っており、ロビーにはポケモンセンターとしての受付やパソコン、そしてコンテスト会場の観客受付や選手の出場受付が有ったのだ。

そして…ロビーには各々のパートナーを出したトレーナー達が居ており、老若男女問わず様々な人達とポケモンで賑わっていた。

 

「凄い…人が沢山ね…それも個性豊かな」

 

だが、その人達を見たブルーは苦笑いを浮かべてしまった。当然だ、コンテストの為に集まったトレーナーの中には個性豊かな人達が居たのだ。勿論、外見は普通の人も居るのは居る。

 

「ふふふ…私の戦闘力(アピール)は53万ですよ、ザーボンさん」

 

先ずはエントリーNo.1何処から見てもFな宇宙人で人間なのか疑わしい姿をしてるが…背中にチャックが有ることからコスプレなのだろう。彼の名前はフリーザ。ポケモンのフリーザーとややこしいが、クリムガンのザーボンと共に各地のコンテストに出場している。

 

「ミルたんのパフォーマンスがうなるにょ!」

 

エントリーNo.2何処から見ても筋肉ムキムキゴリゴリで、カイリキーすら拳で倒せそうな魔法漢女 ミルたん。本名は不明だが、彼?彼女?は相棒のゴチルゼルと共にコンテストに参加する。

 

「お前は…アヴドゥル!!」

「イエス!アイ・アム!!」

 

次はエントリーNo.3とエントリーNo.4。銀髪でマッチョでありカロス出身のトレーナー ポルナレフとその友人である砂漠出身のトレーナー アヴドゥルである。

ポルナレフのパートナーはシュバルゴであり、ニックネームをシルバーチャリオッツと言う。一方、アヴドゥルのパートナーはバシャーモであり、ニックネームはマジシャンズレッドである。そこ、ニックネームが6文字越えてるなんて言わない。

 

「個性的な人達ですね!」

「あっ!あの人達知ってる!全員がパフォーマー部門の凄い人だよ!」

 

なんと言う事でしょう。彼等はパフォーマー部門の参加者だったのだ。

 

他にも女性としての参加者では何人か居るが、男の人達のインパクトが余りにも強すぎるのだ。

 

 

 

その頃の虹ロケット団。

 

ジョウト地方の何処か。

 

「兄者…アカギが殺られたそうだ」

 

平行世界のガラルからやって来た虹シーソーコンビの虹シルディと虹ソッドは優雅に紅茶を飲んでいた。彼等も平行世界から伝説のポケモンを連れてきており、虹サカキがもたらした理性を奪うマスターボールで使役している。

 

「弟よ…アオギリも殺られ、カイオーガを奪われたらしい」

「ふっ…だがな…兄者。アカギは我等がレインボーロケット団の幹部の中でも最強!!」

 

しかし…パルキアとディアルガを操っていた虹アカギが倒された。その上、虹アカギはレインボーロケット団最強の幹部だったのだ。副長のゲーチスよりも強く…ゲーチスの伝説はキュレムだけ。しかも、虹ゲーチスのキュレムは信頼関係が一ミリもなく…トゥルーキュレムには成れないのだ。

 

「「あれ?私達、この世界に来てからつんでね!?」」

 

すると…虹シーソーコンビが潜んでいた隠れ家の入口が吹き飛び…

 

「レッドさん、居ましたよ」

「良し…」

 

ジョウト最強トレーナー ゴールド、そしてポケモンマスター レッドが降臨。

 

「「ギャァァァア!!」」

 

虹シーソーコンビの悲鳴が響き…彼等はザシアンとザマゼンタを奪われた。いや、ザシアンとザマゼンタは解放された。

 

「「ロケット団死すべし、慈悲はない」」

「ピカピカ!」




次々と倒される虹ロケット団。後は虹マツブサと虹ゲーチス、虹フラダリと虹サカキだけである(笑)


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予習授業 ミヅキの章

今回は番外編ですね…少し、未来の話


――私はミヅキ…今年で10歳の女の子で、転生者だ。

 

これはサトシがアローラリーグを制覇し、その後もアローラに滞在して無事に全員がポケモンスクールを卒業してからのお話。

 

1人の少女がアローラに引っ越してきた。彼女の名前はミヅキ。何故か、ゲームの方のサンムーン女主人公に憑依してしまったのだ。所謂、リンドウとは異なる憑依転生という物だろう。憑依転生とはモデルに成った人物に転生してしまう物であり、物心着いた時にはミヅキも困惑した。

 

しかし…それでも10年間、ミヅキはミヅキとして…自分の思うように生きてきた。だが、ミヅキは少しだけ神様を恨んでいる…何故なら…

 

「どうせなら…もう少し早く転生させてよ!!」

 

ミヅキが嘆くのも無理は無い。と言うのも、ミヅキがアローラにやって来た時には既にサンムーンの物語は終っていたのだ。

とっくにロケット団は滅んでるし、サトシはチャンピオンに成ってアローラに滞在してるし…しかも無敗の絶対王者、カキ達は魔境アローラのジムリーダーをしてるし、ミヅキの知ってるアローラじゃない。

他の地方もレッドがポケモンマスターでカントーチャンピオンだし、ジョウトはワタルのままだし、ホウエンはリンドウが今だ健在だし、イッシュはアイリス様ではなくブラックがチャンピオンであり、ミヅキの知ってるゲームと大きく違う。

 

――リンドウって誰だよ!!

 

物心ついて、ホウエンの最強チャンピオンの名前を知った際の台詞がこれである。

 

「ミヅキ!今日から学校でしょ?早くしないと遅刻するわよ?」

「うん!」

 

だが、そんなミヅキも今日からメレメレ島のポケモンスクールで勉学に励むのだ。

 

「島キングの()()さんから貰うポケモンは決まった?」

「私はモクローかな?」

「そう?お母さんはあのスイレンさんの最初のパートナー アシマリが良いと思うわ!」

「考えておくよ!行ってきます!」

 

ミヅキは鞄を持ち、家を飛び出す。向かうはメレメレ島ポケモンスクールだ。転入前日に下見はしてるし、道は覚えてる。遅刻する心配は無しである。

 

それに…時間はたっぷり有るから、ミヅキは寄り道をしながらポケモンスクールを目指す。

 

「アローラリーグか…」

 

数年前から始まったアローラリーグ。最初は出来立てほやほやの弱小リーグだったが、それは初回の大会で見事に打ち砕かれる事に成ったのだ。

伝説のポケモンが降臨するわ、メガシンカのオンパレードだわ、遊び半分のお祭り気分で参加した参加者がちょっぴり後悔する程の戦いだった。

 

その翌年もアローラリーグは開催されたが、今度は世界中から集まった腕自慢のベテラントレーナー達が参加した。しかし、その全員が予選で敗退。理由は()()()()()()()()()()()()と戦った為だ。

更に翌年、ジム制度も本格指導したが…チャンピオンに挑む前のチャンピオントーナメントで、本気のジムリーダー達の戦いでリーグ優勝者は見事に敗退。勿論、テレビで全世界中継されるためかアローラは魔境、アローラを制すれば他のリーグの四天王真っ青と言った噂が流れた程だ。

 

だが、2度…チャンピオンがチャレンジャーと戦った事が有る。それは今ではコンテストマスターの称号を持つ イッシュが誇る映画会社 ポケウッドの大俳優 ホワイトとカロス出身のとある女性がノリで参戦した時だ。その時は本気のジムリーダーではホワイトとその女性を停められず、チャンピオンは女性とホワイトと戦った。

 

「それにしても…海が綺麗だな」

「でしょ?所で、君はリーリエが言っていたミヅキかな?」

 

その声が聞こえ、ミヅキは後ろを振り向く。そこには海の化身 カイオーガの上に乗り、釣竿を担いだ18歳程の若い女性が立っていた。

 

「えっ!?あっ…そうです…」

「私はスイレン。この子はカイオーガ、私の大事なパートナーだよ」

 

ミヅキも彼女は知っている。アローラに来る際に読んだ、観光雑誌…そこにはアローラが誇る最強のジムリーダーが8人も載っていたのだ。

 

その中でも、チャンピオンと共にホウエンチャンピオンの指導を直接受けた5人は圧倒的な実力を持っているのだ。

水ジムのスイレン、草ジムのマオ、炎ジムのカキ、電気ジムのマーマネ、ゴーストジムのアセロラ。特にこの5人はジムリーダーの中でも圧倒的に強く、本気を出せば理不尽な強さを持っているのだ。

 

余談だが…初代アローラリーグの予選から、スイレンとポケモンスクールの教師 リーリエが本気を出して大波乱に成ったのは有名な語り草である。

 

「それじゃあ、乗って!学校まで送ってくよ!私も学校に用が有ったしね!」

 

果たして…ミヅキはアローラリーグで優勝できるのか?それは誰にも分からない。

 

 

 

未来のキャラ紹介

 

ミヅキ

 

サンムーン主人公として転生したが、気が付いた時にはサンムーンの時代は終っていた少女。

今後…彼女がどのように活躍するのかは、誰にも分からない。実は転生者。

 

未来スイレン

 

アローラ魔境化の原因。パートナーはアシレーヌ、カイオーガ(本気モードはゲンシカイオーガ)、化石の虫、ホウエンの両生類、シャワーズ、ジョウトのカエル。チャンピオントーナメントでやって来た妹相手に本気になって泣かしてしまったのは、今では笑い話。

 

未来マオ

 

アローラ魔境化の原因。パートナーはアマージョ、シェイミ、ホウエンの草トカゲ、アローラの草虫、化石の草、草飛行のアレ。食堂を切り盛りしつつ、ジムリーダーとして仕事をしてる。

 

未来カキ

 

アローラ魔境化の原因。半裸は辞めた。パートナーはバクガメス、ガラガラ、炎地面のラクダ、マジシャンズレッド、リザードン(未だ現役)、炎のムカデ。

 

未来マーマネ

 

故郷を離れ、ウラウラ島でジムリーダーをしてる。アローラ魔境化の原因。パートナーはトゲデマル、鋼のUFO、クワガノン、電気のライオン、電気鰻、ガラル産の電気鳥。

 

未来アセロラ

 

アローラ魔境化の原因。パートナーはミミッキュ、ゲンガー、シロデスナ、シャンデラ、草ゴーストの錨、ガラルの600族。図書館をジムにした模様。

 

未来サトシ

 

最強レベル。アローラチャンピオン。パートナーは…色々!

 

 




次回…カキは本気のジムリーダーを知る


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61時限目

トキワジム…


トキワシティ。マサラタウンの隣に有る町であり、マサラタウンよりも遥かに栄えた都会である。マサラタウンはナナミ様と愉快な仲間達のプロデュースの元、段々と活気を取り戻してきているのだが、トキワシティは町興しが不要な程であり、多くの住民や旅人で賑わっている。

 

彼等はポケモンリーグ本部が有る、セキエイ高原に挑む為にグリーンに挑みに来たベテランのトレーナーが多いだろう。

トキワシティを西に進むとポケモンリーグ本部 セキエイ高原への道が有り、多くのトレーナー達はグリーンを最後のジムリーダーとして選んで挑むのだ。と言うのも、グリーンの腕は他のジムリーダーと比べると遥かに高く…手持ちのポケモン達を限界まで鍛えて何とか勝てるという感じなのだ。

 

事実、サトシもグリーンは最後に回して最後にグリーンを倒してグリーンバッジを手に入れたのである。

 

そんなトキワシティに有るカントーリーグ出場最後の関門 トキワジムにリンドウ達はやって来ていた。

 

「さてと、此処がトキワジムのバトルスタジアムだ。トキワジムは他のジムと違ってな、タイプの拘りは無い所さ」

 

グリーンの案内で、リンドウとククイ博士が引率するポケモンスクール御一行のジムバトル組はトキワジムの中に有る大きなスタジアムのバトルフィールドにやって来ていた。

今はフラットであり、なんの変哲もないノーマルなバトルフィールドであるが…このバトルフィールドはボタン1つで様々な環境に早変わり出来るのだ。水辺、荒地、草原、森林、強風地帯と様々である。

 

「「「おぉおおお!」」」

 

初めて訪れたポケモンジム。そのバトルフィールドに降り立ったカキやスイレン達は驚きながら、バトルフィールドを見回す。バトルフィールドを見下ろせるように、周囲には観客席が有り…今日は貸切で観客は居ないのだが普段はジムバトルを見るためかギャラリーがやって来るのである。

 

「懐かしいな…俺がカントーで最後に挑んだポケモンジムだしな」

「俺もですよ。俺、此処でグリーンさんから色んな事を学んで、ポケモンマスターに成るために改めて旅に出た所なんで」

 

そのトキワジムのバトルフィールドに立ち、リンドウとサトシはそう言った。

リンドウはカントー最後に挑んだジムであり、リンドウとブルーは前任のジムリーダー サカキが最後にバッジを手渡したトレーナーでもあるのだ。

 

――お前達!早く私を倒し、私の最後のジムリーダーとしての仕事を終らせて、早く警察に自首させてくれ!!

 

今でもリンドウの脳裏に思い出す、レッドとのバトルで嘗ての熱い気持ちを取り戻したサカキの言葉。リンドウとブルーはサカキ(本気モード 手持ち リザードン、メガスピアー、ドサイドン)に3回連続で敗れ、自首したくても出来ないサカキの嘆きを思い出す。

だが、あの時…サカキとの勝負が有ったからこそ、リンドウのレウスは必殺技であるじしん(ぶっちゃけ、じしんパンチ)を覚える事が出来たのだ。

 

一方、サトシはトレーナーとして右も左も分からない頃…初めてロケット団(ムコニャ)に遭遇してピカチュウを奪われそうに成った時に、グリーンに助けられてそのままトキワジム(中にグリーンの仮眠室有り)に泊めてもらい、トレーナーとしての伊呂波をグリーンから教えてもらったのだ。

サトシはグリーンにジム戦で2回負け、なんとかグリーンを倒してカントー最後のジムバッジを手に入れた所だ。サトシにとっては、始まりのジムでありカントー終幕のジムと言えるだろう。

 

「サトシは此処でグリーンさんに色々と教わったのよね!」

「そしてジム戦でグリーンさんにボコボコにやられたしな」

「後、リンドウとブルーは俺の前任者に3回負けてるけどな!俺は一発合格だけど」

 

カスミ、タケシ、グリーンがそう言う。しかし、リンドウが反論する。

 

「グリーン、お前はとっつぁんのジム用のポケモンが相手だっただろ?

俺とレッド、ブルーはとっつぁんのガチパートナー相手だぞ?いや、マジであのスピアーなんなんだよ…メガシンカしてるとはいえ、俺の手持半壊させる?」

 

グリーンはサカキのガチパートナーとは戦っていない。もし、グリーンがサカキのガチパートナーと戦えば…リンドウとブルー同じく瞬殺されていただろう。

 

因みにリンドウ達がサカキの事をとっつぁんと読んでる訳だが、元ロケット団のサカキという事を悟られない為である。

 

「ゴホン!まあ、此処は俺やリンドウ、そしてサトシが過去に戦ったポケモンジムだ。あと、ククイ博士も来たぞ!彼のガオガ「ゴホンゴホン!あー、グリーン君。そろそろ、カントーのジムが使うポケモンの制度も教えてくれるかな?」えっ?あっはい…」

 

嘗てはククイ博士もグリーンに挑み、グリーンバッジを手に入れた。

しかし、グリーンがククイ博士の一番信頼するパートナーを告げようとした為か、ククイ博士が咳払いで何とか阻止する。当然だ、ククイ博士がガオガエンを持っている事が知られ、そのガオガエンを見られれば…ククイ博士の正体が知られてしまう。

 

ロイヤルマスクとしての裏の顔が。

 

ククイ博士に阻止された為か、グリーンはジムリーダーやジムトレーナーがチャレンジャーと戦う時に立つ、所に立つと壁に触れる。

すると、壁がスライドして、複数のモンスターボールが出現した。グリーンはそれを2つ手に取ると、軽く投げる。

 

「ぽっぽぉー!」

「リッキー!!」

 

ボールからはポッポとカイリキーが飛び出したのだ。

 

「カントーではジムに挑む際の順番は無い。だが、相手の強さに合わせ…例えば、相手のバッジの数で使うポケモンを変えるのさ。

このポッポはバッジを1つも持ってないトレーナーと戦う際のポケモン。一方、此方のカイリキーはバッジを5つ以上持ってるトレーナー相手と戦う際のポケモンさ」

 

グリーンの説明通り、カントーのジムリーダーに挑む順番は決まってない。ジムリーダーとジムトレーナーはチャレンジャーの持っているジムバッジの数で使用するポケモンを変えるのだ。

 

「例えば…今、君達が俺にチャレンジャーとして挑むとしよう。その場合、俺はこのポッポともう1匹のポケモンで君達と戦うんだ。

対し、君達が他のジムに挑んでおり、複数のバッジを持っていたら、俺はこのカイリキーと他のポケモンを使うわけだ」

 

グリーンの言葉にポッポとカイリキーが胸を張る。

 

すると、カキが手を挙げた。

 

「あの…それじゃあ、ジムトレーナーは?」

「ジムトレーナーはジムリーダーに挑む、相応しい実力が有るトレーナーかどうかチャレンジャーを確かめる前座のようなトレーナーさ。

だが、カスミを始め…トキワジムのジムトレーナーは強いぞ?なんたって、俺が鍛えたしな!

折角だ…カキ、お前はリンドウから聞いたが…バトルが得意なんだって?折角だから、戦ってみるか?タケシと」

「良いんですか!?」

 

グリーンの言葉にカキが嬉しそうに言う。

 

「グリーンさん!俺も俺も!」

「俺もサトシの成長が気になるしな…サトシはカスミと戦ってもらうか!

そんで…リンドウ、久し振りにやろうぜ!」

「まあ、良いだろう。グリーンと戦うなんて、久し振りだしな」

 

ここに、カキVSタケシ、カスミ対サトシそしてグリーン対リンドウの対決が決まったのだった。

 

 

 

リンドウ達が観客席に移動し、バトルフィールドには対局の位置に立ったカキとタケシ。バトルフィールドはノーマルのステージから、鋼と岩や地面タイプが得意とする岩山のフィールドに変わった。

 

「後悔するなよ?カキ」

「だがな…俺はバトルは得意だぜ!行け!バクガメス!」

 

カキはバクガメスを繰り出した。

 

「ガメース!!」

「ほう!それがカキのポケモンか…それじゃあ、俺はコイツだ!!」

 

タケシはボールを投げ、パートナーを繰り出した。そのパートナーは余りにも大きく、大きさならカイオーガよりも大きい。丸で、鋼で出来た大蛇だ。

 

「ハガネール!!」

 

そのポケモンはハガネール。タケシの初めてのポケモン イワークが進化した姿だ。

 

 

 

「さてと…カキは何処まで食らい付けるかね?」

 

リンドウはそう小さくささやく。

 

だが、リンドウは知らない。このトキワジムに可愛らしい招かねざる客が来ていた事を。

 

「プリ?」

 

そして、その真似かねざる客のお陰で破壊神が激おこカムチャッカファイヤーに成ることを。

 

「プリリ!!」

 

 




次回!カキとバクガメスは…グリーンブートキャンプを受けた、タケシとハガネールを知る。

カキ「メガシンカだと!?」
バクガメス「ガッガメス!?」


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62時限目

タケシ対カキ!


ハガネール。原種は野生やタケシが持っているように、鋼と地面の複合タイプである。

イワークを上回る攻撃力と防御力を誇り、その強さは進化前のイワークと比べて遥かに強い。当然だが、イワークの攻撃力はどういう訳か……ゲームではポッポと変わらない程に弱く、耐久向きのポケモンだ。

 

しかし、この世界では現実。イワークは耐久と巨体を用いたパワフルな戦い方を行い、ハガネールに進化すればそれは更に磨きが掛かるのだ。

 

「使用ポケモンは御互いに一体のみ。フィールドはジムトレーナーとの試合を考慮し、ジムトレーナーに有利な岩山のフィールドで行います!」

 

審判を務めるのはグリーンの一番弟子であるカスミだ。彼女は日頃からグリーンと戦うチャレンジャーのジムバトルで審判を務めており、非常に馴れている。

 

「うわ…ハガネール大きい。カイオーガよりも大きいな」

「高さだけなら、サトシのギラティナよりも大きいんじゃない?」

 

タケシのハガネールを見て、スイレンとマオがそう言う。2人の言う通り、タケシのハガネールは大きい。当然だが、タケシとハガネールは5年の付き合いであり、その間で随分と逞しく成長したのだ。

 

「ハガネールは鋼タイプだから、バクガメスの圧倒的有利だね!」

 

マーマネはスマホのアプリを用いて、ハガネールのタイプを見てそう言った。確かにバクガメスの有利だろうが、それはどうだろうか?何故なら、ハガネールには地面タイプも有り、進化前が岩タイプだった為か岩タイプの技も豊富に覚えるのだ。

 

「さて…それはどうかな?ハガネールには地面タイプも有るし、進化前は岩タイプだ。地面タイプと岩タイプの技は炎に抜群で、その上…ハガネールはロックカット等の優秀な変化技も覚える。

ロックカットで素早さを上げ、重さと固さを利用した攻撃は強いぞ?それに…ジムリーダー及びジムトレーナーは苦手なタイプとの戦いも想定している。お前達、良く見ておけ…今から元とは言え、カントーのジムリーダーの本気が見れるぞ」

 

ニヤリと笑みを浮かべながら、リンドウはそう言った。

 

「ししょーはどっちが勝つと思う?」

「そうだな…間違いなくタケシだ。断言してやる。カキの素質も高いが…現時点ではタケシに勝てない。バクガメスは勿論、ガラガラの2体を使ってもな」

 

リンドウはそう言った。まるで負けて当然と言ったような感じであった。

 

「先生…」

「あのな…現時点って言っただろ?カキの素質は高いが、未だタケシには勝てない。未だだ…だが、近い内にタケシには勝てるように成るだろうな」

 

そう、現時点ではカキはタケシには勝てない。だが、カキは何れはタケシに追い付き、そして越える事が出来るとリンドウは確信している。

 

「そして、見ておけ。お前達もジムリーダーを目指すなら覚えておくんだ。苦手なタイプ相手にどう立ち回り、どうやって倒すかをだ。俺の知り合いのジムリーダー経験者は全員それを行えるし、ミクリに至っては水タイプだけでチャンピオンに成ったからな」

 

リンドウの言葉を受けて、スイレン、マオ、アセロラ、マーマネはバトルフィールドでお互いを睨むバクガメスとハガネールを見る。

 

先ず…動いたのはカキのバクガメスだった。

 

「バクガメス!鋼には炎だ!火炎放射!!」

「ガメッス!!」

 

バクガメスは口から火炎放射を放ち、炎は真っ直ぐにハガネールに向かっていく。だが、タケシはハガネールに指示を出した。

 

「ハガネール!ジャイロボールだ!」

「ハガネーール!!」

 

ハガネールは体の軸としての間接を高速で回転させ、バクガメスの放った火炎放射を受け流す。効果抜群の炎技とは言え、受け流した為かハガネールは一切のダメージを受けてなかったのだ。

 

どや顔を決めるハガネールとタケシ。

 

「火炎放射が効かない!?」

「ジャイロボールは元々、攻撃技だ。だが、応用する事で相手の攻撃も防げる。リンドウさんの試合をテレビで見たことは有るだろ?彼のルカリオがやっている事と基本は同じさ。向こうは波動も合わせて、殆どの攻撃を防ぐが……俺のハガネールでも火炎放射や水程度なら受け流せるさ!」

 

そう、タケシのハガネールが行った事は基本的にリンドウのルカリオが行っている事と同じだ。とは言え、此方は波動を放っていない分…全ての攻撃を防げるという訳ではない。だが、それでも火炎放射や熱湯、冷凍ビーム程度なら受け流す事が出来るのだ。

 

「今度は此方から行くぞ!ハガネール!ロックカットだ!!」

「ネーーール!!」

 

ハガネールの体に一瞬、線が入る。ロックカットは自身の素早さを2倍に引き上げる技だが…これを使う事で遅いハガネールが高速で動けるように成るのだ。

重く、その上で大きく、速く動けるように成ったハガネール。この時点で最早、驚異だろう。

 

「なっ!?」

「ガメッス!?」

 

ハガネールは目にも止まらない速度でバクガメスの前に移動する。

 

「締め付ける攻撃だ!!」

 

タケシの指示に従い、蛇のような長い体を用いてバクガメスを絞め上げるハガネール。万力のような力で、締め上げられるバクガメスにはかなりの負荷が掛かっている事間違いなしだ。普通ならば逃げられず、そのままダメージを受け続けて敗北してしまう。そう、普通ならば。

 

だが…カキのパートナーはバクガメス。バクガメスの背中は触れると爆発し、それを用いた技も有るのだ。

 

「バクガメス!!トラップシェル!!」

 

トラップシェル。御存知、バクガメスの必殺技。背中のトゲが爆発し、カウンターで相手に大ダメージを与えるバクガメスの必殺技だ。

 

「ガメシュ!!」

 

バクガメスの甲羅が輝き、バクガメスはトラップシェルを解き放つ。しかし、その刹那…

 

「ハガネール!!鉄壁だ!!」

 

ハガネールは鉄壁を用いて、唯でさえ高い防御力を倍に上げてトラップシェルのダメージを最大限に抑える。だが、トラップシェルの爆発と爆風で締め付ける攻撃は中断されてしまい、バクガメスはハガネールの締め付けるから解放された。

 

「ほーう、やるじゃないか。流石はリンドウさんの教え子だな」

 

タケシが余裕そうにそう言う。事実、トラップシェルの直撃を受けたハガネールは一切のダメージを受けておらず、ハガネールも余裕だ。

 

(これが…本気のジムリーダーか。今の俺とバクガメスじゃ…正攻法でも勝てないな)

 

しかし、カキは冷静に今の状況を理解する。そして同時に理解した。今の自分達ではタケシには勝てないと。

 

「それじゃあ…これはどう防ぐ?ハガネール!穴を掘るだ!!」

 

ハガネールは地面に潜り、地面からの奇襲を狙う。

 

「バクガメス!!甲羅を下に向けろ!!」

「それは早すぎたな…カキ!!ハガネール!!斜めから飛び出して、攻撃しろ!!」

 

本来、穴を掘るは真下から奇襲したり、相手を地面の中に引摺りこんだりする技だ。だからバクガメスは甲羅を下に向けてしまった。

 

だが、ハガネールは斜めから飛び出し、さらけ出されたバクガメスの腹部に向けて飛び掛かる。

 

「しまっ!?」

「ガメシュ!?」

 

もう…誰もがバクガメスの敗けを覚悟した。しかし…

 

「バクガメス!トラップシェルの爆風を使って飛べ!!」

「ガメシュ!!」

 

バクガメスはトラップシェルの爆風を利用し、飛んだ。

 

「「飛んだ!?」」

「ネール!?」

 

なんという事でしょう。バクガメスはトラップシェルの爆風で飛んで、ハガネールの攻撃を回避したのだ。

 

「ほー!まさか、トラップシェルをそう使うなんてな!」

 

これにはタケシも誉めた。

 

「ならば…そんなカキとバクガメスには改めて本気で行かしてもらおう!!」

 

すると…タケシは上半身の服を脱ぎ捨てる。タケシの首にはキーストーンのネックレスが提げられており、タケシはキーストーンに触れる。

 

「行くぞ!!ハガネール!!メガシンカだ!!」

「グゥオオオオ!!」

 

キーストーンから放たれた光と、ハガネールから出た光が繋がり…ハガネールはメガハガネールへとメガシンカを行い、大きい姿が更に大きくなったのだ。

 

「メガシンカだと!?先生やブラック、サトシと同じでメガシンカが使えるのか!?」

「あぁ!言い忘れたが、カントーのジムリーダー達は俺の弟を含め、カスミの姉以外は全員メガシンカを使えるぞ!」

 

なんという事でしょう。ハナダジムのジムリーダー以外のカントーのジムリーダーは全員、メガシンカを行えるのだ。間違いなく、グリーンブートキャンプの影響だろう。

 

「くそ…長期戦は不利だ!!バクガメス!Z技を使うぞ!」

「ガメシュ!!」

 

メガハガネールを前にして、カキとバクガメスはZ技を決意する。

炎ZクリスタルをZリングにセットし、カキは炎のZ技を解き放つ舞を踊る。

 

「アーカラのヴェラの如く、俺の炎の闘志よ燃え上がれ!行くぞ!!ダイナミックフルフレイム!!」

「ガメシュ!!」

 

解き放たれたZ技。あろうことか…メガハガネールは真正面から受け止める。

 

Z技の衝撃で…爆炎がメガハガネールを包み込み、辺りは煙で覆われた。

 

――あれ?これひょっとして、カキが勝ったんじゃね?

 

とサトシ達は思った。だが…

 

「ほーやるね!これが噂のZ技か!」

 

煙が晴れると、そこにはピンピンしたメガハガネールが居たのだ。

 

「なっ!?」

「だが、詰めが弱かったな!ハガネール!!ストーンエッジ!!」

 

ハガネールはストーンエッジを解き放ち、その一撃を受けたバクガメスは倒れてしまった。

 

「バクガメス戦闘不能!この勝負、タケシとハガネールの勝ち!」

 

カスミの判定が降され、この勝負はタケシの勝ちに終わった。

 

「流石だな…タケシは」

 

グリーンがそう言うと、腰に提げられたボールが勝手に開き…中から破壊神ことバンギラスが出てきた。

 

「バンギラス?なんだ、ハガネールとバクガメスの勝負に刺激を受けたのか?」

「グルル」

 

どうやら、バンギラスは先程の勝負に刺激を受けて速くバトルがしたいようだ。

 

「カスミ!俺が先に初めて良いか?」

「だったらグリーンさん、折角だしマルチでやらない?」

「それは良いな!構わんな、リンドウとサトシ」

 

グリーンはリンドウとサトシを見る。

 

2人の答えは…

 

「おう!俺は良いぞ。行くぞ、サトシ」

「はい!」

「ピカチュウ!!」

 

こうして、まさかのマルチバトルが実現した。

 

 

 

 

「プリリ?」

 

可愛らしい侵入者が破壊神(ポケモン界のGODZILLA)の逆鱗に触れるまで、残り10分。




次回!グリーンの破壊神(GODZILLA)……降臨!!

そして…可愛らしい侵入者の運命は!?


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63時限目

破壊神…激おこ


「レウス!!そのまま押さえてろ!!」

 

何故か、顔が落書きまみれのリンドウがレウスに指示を出していた。

 

「フーディン!ナッシー!リフレクターと光の壁を張って、周囲の被害を抑えてくれ!!プテラはマサラタウンに飛んで、リンドウのボスゴドラと俺のリザードンを呼んでこい!!出来たら、レジギガス隊長もだ!!」

 

リンドウと同じく顔に落書きを施されたグリーンが、自分のガチメンバーを動員して指示を飛ばす。

 

「サトシとブラックは皆を連れて、退避だ!言いか?マジで緊急事態だからな!?」

 

リンドウが同じく落書きされたサトシ達に指示を飛ばすと、リンドウはバトルフィールドの中心地を見る。そこにはメガリザードンXに成ったレウスが、同じくメガシンカを果たしたメガバンギラスを抑え込んでいた。

メガバンギラスは口から大出力の破壊光線……いや、もう威力が破壊光線ではなくGODZILLAの放射熱線なので放射熱線にしておこう。放射熱線を怒りのままに吐き続けるグリーンの破壊神の姿だった。

 

レウスは両手に地震エネルギーを常に圧縮しながら、右手でバンギラスの顎を持ち上げて放射熱線を上に向けさせる。

そうでもしないと、破壊神バンギラスの手でトキワジムが完全崩壊してしまう為だ。既に天井は貫通しており、バンギラスの怒りが収まらなければ……トキワシティは更地に変わってしまう。

 

「レッドぉぉおお!!こんな緊急事態に、お前は何処に居るんだ!!」

 

リンドウは嘆いた。唯一、アルセウス様を除いてこの破壊神バンギラスを停めることが出来る戦力を誇る、ポケモンを持つ人物の名前を叫んだ。

 

――何処だ!!何処に居る!!俺の…俺の…俺の!!顔に落書きを施したポケモンは何処だ!!それより、俺達の戦いを中断し、あまつさえ…眠らせて落書きを施すだと!!殺してやる!!

 

「おい…リンドウ。いっそのこと、あのプリンを生け贄にするか?」

「それは最後の手段で。マジであのプリンはバンギラスに殺される」

 

なんでこうなったのかと言うと、全ては歌うのが大好きな…

 

「プリリ…」

 

涙を流しながら、ククイ博士に連れられたポケモン。プリンのせいである。

 

 

 

数分前。

 

リンドウはメガリザードンX、サトシはピカチュウ。グリーンはメガバンギラス、カスミはキングドラを出してマルチバトルで戦っていた。

 

「バンギラス!破壊光線!!」

「グルガガ!!」

 

グリーンの指示に従い、バンギラスは溜め無しで破壊光線を解き放つ。バンギラスとしては手加減していて、威力よりも速射を重視して解き放った破壊光線。反動も一切なく、ピカチュウに襲い掛かる。

 

「ピカ!?」

 

しかし、レウスはピカチュウを掴むと…竜の舞で加速しながらその破壊光線を避ける。

 

「相変わらず、リンドウさんのリザードンは理不尽ね」

「カスミ。レウスは何としても懐に入れるな。俺のバンギラスなら大丈夫だが、お前のキングドラは絶対に一撃で倒される」

 

グリーンはリンドウとは長い付き合いだ。だから、レウスの強みも知っている。そのリザードンらしくない、近接戦闘の強さも。

 

「ピカ!!」

 

レウスの背中に乗ったピカチュウは考えが有るのか、レウスに何かを告げる。

レウスはそれを理解し、ピカチュウの意見に賛成のようだ。すると、レウスはリンドウの方を向いてアイコンタクトでリンドウに伝える。

 

「良し分かった!!レウス!ドラゴンクローを飛ばせ!」

 

ドラゴンクローを飛ばせ。確かにリンドウはそう伝えた。本来、ドラゴンクローとは腕に竜の力を込めて、切り裂く技だ。飛ばす事は不可能であり、出来る筈が無いのである。

 

しかし、レウスは違う。レウスは右手に竜の力を込めると…続けてじしんの力を腕に込める。

そして、腕を振ると…じしんの衝撃波に乗ってドラゴンクローの斬撃が飛んだのだ。

 

「「斬撃が飛んだ!?」」

 

高速でキングドラに向けて飛ぶ、ドラゴンクローの斬撃。だが、それがキングドラに当たる事は無かった。何故なら、この理不尽がこの場に居たためだ。

 

「バンギラス。ストーンエッジで壁を作れ。そして、その壁を飛ばせ」

 

グリーンのバンギラスはストーンエッジを応用すると、壁を作り出す。その壁はドラゴンクローの斬撃を防ぎ、鋭利な切り口が入っただけであった。

 

すると、その壁が突如として砕け散り…まるで散弾のようにレウスとピカチュウに襲い掛かる。何故なら、グリーンのバンギラスが拳でその壁を粉々に砕いた為だ。

 

「どんなパワーしてるんですか!?グリーンさんのバンギラスは!?」

「まあ…レッドのピカチュウと唯一、互角に戦えた理不尽だしな」

 

ホウエン最強のリザードン、理不尽なバンギラス、未来のアローラチャンピオンのピカチュウ、トキワジムトレーナーのキングドラ。その勝負は突如として終わりを告げることに成る。何故なら、乱入者が入ってきた為だ。

 

「プリリ!」

「む?プリン?」

 

その乱入者は可愛らしい見た目のポケモン、プリンであり、手にはマイクにも成るペンを持っている。

 

「バンギラス、ストップだ」

「レウス、お前もだ」

 

想定外の事態であり、リンドウとグリーンはレウスとバンギラスを制止させてプリンの所に向かう。

 

「どうしたんだ?此処は危ないから、観客席か外に向かってくれ」

「そうだぞ?マジで俺達のパートナーは危ないからな?巻き込まれたら、大怪我を負うぞ」

 

優しくプリンに話しかけるグリーンとリンドウ。しかし、突如としてプリンはそのペンをマイクのように持ち出した。

 

「まさか…このプリン!?」

「む?グリーン、どうした?」

「リンドウ!今すぐ耳を塞げ!!」

 

グリーンが叫ぶが、既に遅い。

 

「プープリリプッププ、プッリリリ」

 

プリンは歌い出した。それも普通の歌ではなく、ポケモンも歌うという技を使いながらだ。

ポケモンの技である歌うは、相手を眠らせる効果が有る。その歌声を聴いた存在は防音等の特性を持つポケモン以外は見事に眠ってしまうのだ。その結果…

 

「意識がとおの……グースピー」

 

例外なく、リンドウ達は眠ってしまった。メガリザードンやメガバンギラスだろうと、例外なく眠ってしまったのだ。

 

「プ?ムップー!!」

 

だが、その事にプリンは怒った。プリンは誰かに自慢の歌を聞いてほしかったのだ。しかし、プリンの歌声は無意識に技の歌うが発動してしまい、眠ってしまう。

しかし、その事を知らないプリンは自分の歌が詰まらなく、それで何時も皆が眠ってしまうと思うのだ。

 

そして、自分の歌がバカにされたと思ったプリンは…決まって行動するルーチンが有る。それはペンで眠ってしまった人の顔に落書きを施す事である。

 

「プリリ!!」

 

先ずは観客席に居るククイ博士やブラック達の顔に落書きを施し、審判台のタケシの顔にも落書きし、次はリンドウ達だ。

 

「プリリ!」

 

そして…プリンはメガバンギラスの顔にペンで一線を描く。その瞬間…

 

「プリ!?」

 

メガバンギラスは目覚め…手で払い除けるようにプリンを弾く。弾かれたプリンは壁にぶつかり、痛そうな顔をする。

 

「ギャァァァァアグゥゥオオオオ!!」

 

バンギラスは咆哮を挙げ、周囲に衝撃波が響く。

 

すると…バンギラスの背中が何故か光り、バンギラスは最大出力で破壊光線を解き放つ。その破壊光線は最早、破壊光線ではなく…放射熱線であり、と言うよりも内閣総辞職ビームと言った感じだろう。

 

辺りを焼き払い、怒りのままに放射熱線を解き放つ破壊神。その一撃で観客席の一部は消し飛び、大出力の攻撃でも壊れる事の無い…ジムの天井に穴が空いたのだ。

 

「なんだ?」

 

天井に穴が空いた程の衝撃で、リンドウ達は深い眠りから目覚める。

 

目が覚めたリンドウ達が目にしたのは……怯え恐怖でブルブルと震えるプリンと、今からプリンを殺そうとする破壊神の姿であった。

 

 

 

そして場面は最初の所に戻る。

 

「ぐぅおおお!?」

 

激おこな破壊神様の腕力で投げられ、レウスは壁に激突する。

 

「レウス!?」

 

そして、レウスは破壊神の放射熱線の直撃を受けて…メガシンカを解かれて一撃で倒れてしまった。

 

「おっおい…リンドウ…マジでヤヴェーぞ」

「なんで…お前のバンギラスは怒りで強くなるんだよ…何処の野菜星からやって来た戦闘民族だよ…」

 

この中で、唯一破壊神様と戦えるレウスがやられた為か、リンドウとグリーンは絶体絶命のピンチに陥る。

そう、何故か…グリーンのバンギラスは怒りで戦闘能力が限界突破して強くなるのだ。普通のポケモンバトルでは怒ることは無いが、何かの拍子で怒り…暴走すると辺りを怒りで滅ぼすのだ。

 

「グゥゥガガガ!!」

 

更に破壊神バンギラスは暴れ、グリーンのフーディンとナッシーを倒し…リフレクターと光の壁さえも破壊する。

 

「「あっ…終わった」」

 

トキワシティ…終了のお知らせ。と思ったグリーンとリンドウだったが、トキワシティが終わることは無かった。何故なら…

 

「待たせたな…」

 

何やら…レッドとピカ様が、大きな剣を咥えた犬のようなポケモンに乗って現れたのだ。

 

「ザシアンは待機。ピカチュウ…やれ」

「ピカチュウ!!」

 

その後、無事にバグチュウの手で破壊神は倒され、トキワシティに平和が訪れたのだった。

 

 

 

 

「マジで大変だったぞ」

 

その日の晩。マサラハウスで夕飯を食べる事に成ったリンドウ達。

 

リンドウは久し振りにビールを呑みながら、ブルーにそう言った。

 

「此方もよ…物凄く濃い人達がコンテストの為にやって来たし、凄かったわよ」

 

ハナコの作ったご飯を食べながら、ブルーもそう言う。

 

「宇宙人みたいなコスプレをしたパフォーマー、ムキムキのおっさんパフォーマーとか色々よ!」

「なにそれ、滅茶苦茶気になる」

 

 

「あの…ホワイト?私の顔に何か?」

 

ホワイトは首を傾げながら、リーリエを見ていた。

 

「似てるな…ねぇ、キュレム!リーリエってモーンおじさんの娘さんかな?」

『ホワイト。確かに面影は有るが、勝手に決め付けるな。モーンは確かに昔の記憶が無いと言っていたが』

 

モーン…その名前を聴いたリーリエは箸を落とした。当然だ…何故なら…モーンという男はリーリエの…

 

「お父様を知っているの!?」

「えっ?」

 

父親なのだから。

 

「うん?この人だけど…」

 

ホワイトはスマホを取り出して写真を見せる。その画面には旅し出したばかりのホワイトとキュレムが、ジョウトに降り立つ前に立ち寄った島で出会った…1人の男が写っていた。

 

「お父様……生きていたのですね!!」

 

新たな騒動が始まろうとしていた。

 

 

 




次回!オリジナルストーリー。

サトシと色彩軍団VS虹ロケ。果して…リンドウ達は世界を救えるのか!?そして、モーン博士は家族の所に戻れるのか!?

そして…星の子が覚醒する。


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64時限目

あの青年が出ます。


カントー合宿を終え、ホウエン合宿も有るが一先ずアローラに帰ってきたリンドウ達。

 

「モーン博士ね…」

 

ある日の休み時間。リンドウは職員室のパソコンで、モーン博士に付いて調べていた。

モーン博士は有名な博士であり、ポケモントレーナーとしても優秀であり、島キングのハラとも交流が有ったトレーナーだ。

 

専門は空間力学や亜空間…ポケモンで言えばパルキアやギラティナの力が専門的なのだろう。

エーテル財団の優秀な科学者であり、リーリエの父親。リンドウは実際に会った事は無いが、写真は見たことが有る。髪型はリーリエの兄と似ているが、体型は恰幅の良い男性と言った感じの優しそうな人なのだ。

 

「間違いなく、ホワイトがジョウトに辿り着く前に出会った男性はモーン博士のようだな」

 

パソコンの画面にはモーン博士の写真が写っており、リンドウはホワイトから送ってもらった男性モーンの写真を見比べる。

ホワイトが出会ったモーン博士の方が少し歳を取っているが、間違いなく同一人物と言わざるを得ないほどに特徴が一致している。

 

「これは…本人だな。もしかしたら…記憶喪失でも成ってるんじゃないのか?いや、そうだよな」

 

――だって、ゲームでモーンおじさん、家族の事を完全に忘れていたしな。

 

ゲームではモーンはリーリエの父親だ。しかし、モーンは数年前の事件で行方不明と成り、記憶を失ってしまった。その事をリンドウは前世でやったゲームで認知しており、だからこそリンドウは思う。

 

「なんとか…家族で幸せになってほしいな」

 

家族で幸せになってほしい。ゲームでは叶わなかった幸せを、この世界ではリーリエ達に手にして欲しいのだ。

 

「島の座標は既に分かってる。流石はキュレムパパだな」

 

それに、モーンが居ると思われる島の座標は既に判明している。と言うのも、ホワイトとキュレムが降り立った際にホワイトはキュレムのアドバイスで、島のGPS情報をスマホに登録していたのだ。そうすれば、気が向いた時にはモーンに会うことが出来るためである。

 

「場所は……思ってたよりも、アローラに近いな」

 

GPSからの情報では、モーンが居る島はアローラに近く。ヘリコプターやライドポケモン等の力を借りれば、直ぐに辿り着く事が出来そうだ。

 

「放課後…リーリエの所に行ってみるか」

 

リンドウはモーンが再び、リーリエ達と幸せに暮らせる為に決意するのだった。

 

 

 

その日の放課後。

 

リンドウは職員室で作業をしていると、何やら慌てた様子で足を洗って用務員と成っているムコニャ3人組が入ってきた。

 

「リンドウ先生!お客様にゃ!!」

「客?俺にか?」

 

どうやら、リンドウにお客様のようだ。リンドウはパソコンのデータを記録すると、パソコンをスリープモードにしてムコニャの所にやって来る。

 

「客ってどちら様?」

「その…なんというか、会えば直ぐに分かります!」

 

どうやら、そのお客様とは会えば直ぐに分かるような人のようだ。だとしてもレッドやオーキド博士では無いだろう。

レッドならば問答無用に入ってくるし、オーキド博士はケンジ達に半殺しにされる可能性が高い為に脱走はしない筈なのだ。

 

だとしたら、誰だろうか?ヒガナだとしても事前に連絡は入れると思うし、ミクリでは無いだろう。ダイゴは社長職が忙しく厳しい筈だ。だとすれば…誰なのだろうか?

 

「所で…そのお客様って何処に?」

「応接間に居ます!」

「ソーナンス!!」

 

どうやら、そのお客様は応接間に居るようだ。

 

しかし、客人を待たせる訳にはいかない。リンドウは早足で応接間に向かい、応接間の扉を開けると……そこにはmuscleな肉体の黒いドラゴンのポケモン、そしてソファーに座り数学の難しそうな本を読んでいる緑色の髪で白いスーツ姿の青年、紫色の髪をしたスーツ姿の若い女性が居たのだ。

 

『やれやれだぜ…N。お目当ての人物が来たぞ』

 

そう言ったのは黒いドラゴンのポケモン。彼はゼクロム。イッシュに伝わる伝説の三龍の一角であり、理想を求める英雄に付き添うと言われる伝説のポケモンだ。何やら声がジョセフ・ジョースターの孫のスタンド使いと同じ声だが、気にしてはいけないだろう。

因みにぶちギレると、両手に雷パンチを維持しながらオラオラオララッシュで相手を粉砕する。

 

「お久しぶりですね。リンドウさん」

 

青年はそう言って、本を閉じた。彼の名前はN。本名をナチュラル・ハルモニア・グロピウスなのだが、余りにも長いので皆はNと呼んでいる。

年齢は17歳。ブラックよりも少し歳上であり、現在はプラズマ団を改造したプラズマ自然保護団体という、ポケモン保護を行うNGOの代表である。

 

「これは想定外の客人だな」

「えぇ…最近、レイドバトルと称して珍しいポケモンに集団戦を挑むトレーナーが多くてですね…その事で、エーテル財団と協力する事にしたんです」

 

エーテル財団。アローラの沖合いに有る人工島 エーテルパラダイスでポケモン達を保護する財団であり、元々は遠方の地方で活動してたが…暫く前にアローラにやって来た財団だ。

リンドウとも良く会っており、彼等は怪我したポケモンの保護を行ったり、ヒドイデやドヒドイデ等のお陰で生活する場所を奪われたサニーゴの保護も行っているのだ。

 

「所で…そこの女の人は?リラを大きくさせたような人だし、まさかリラのお姉さんですか?」

 

リラ。その人物は間違いなく、この場に居ない。リンドウの知り合いの少女であり、ホウエンのフロンティアブレーンの1人だった。

だが、目の前の女性はリラそのままの容姿をしており、リラを十代後半から二十代前半程まで成長させたような姿をしていたのだ。

 

「えっ?私の名前を御存知なんですか?」

「はい?初めてお会いしましたけど?」

 

だが、リラの名前を出した瞬間…女性は自分の名前を御存知なんですか?と言った。

 

「ごほん!リンドウさん。彼女はリラ。僕の秘書ですよ。

元と言えば、元カルト集団だったプラズマ自然保護団体の監視として国際警察から派遣されたスパイですけどね」

「えっ?瓜二つなそっくりさん?えっ?」

 

そっくりで、リラと同じくリラという名前の彼女。リンドウは驚くが、Nは自分の口に手を添えて…「訳有りです」と合図を出す。どうやら、複雑な事情が有るのだろう。

 

「とは言え…彼女は真面目に秘書の仕事はしてくれますし、秘書は必要だった上に僕等は犯罪行為を2度としませんしね。せっかくなので、秘書になってもらいました」

「おっおう…そうか」

 

Nがリラの事を国際警察からの監視と見破ったのは、彼女のポケモンから聴いたのだろう。Nはポケモンの言葉が理解できるのだから。

 

「では…本題に入ります。リンドウさん、僕が倒したロケット団…彼等はレインボーロケット団と名乗ってましたが、彼等のポケモンが言うには平行世界から来たそうです。

その退治と行き場の無くしたポケモン達の保護を手伝って貰えませんか?」

 

レインボーロケット団。リンドウも何となく覚えている、様々な平行世界からやって来た悪の組織だ。

平行世界のサカキ…虹サカキを首魁、副長にゲーチスが居る巨大な組織であり…様々なポケモンの作品で猛威を振るった悪のリーダーが幹部を務める組織である。

 

今、リンドウが把握してる中で虹アオギリ、虹アカギ、虹シーソーコンビが倒されており…あと健在な幹部は虹サカキ、虹ゲーチス、虹フラダリ、虹マツブサだけである。

 

「それに関しては喜んでやってやる」

「ありがとうございます、ではお願いします。所で…リンドウさん…このポケモンを知ってますか?生憎…僕でも何を話してるのか分からないポケモンで、今はエーテル財団に預けてるのですが…」

 

Nは1枚の写真を取り出した。その写真に写るポケモンはmuscleな蚊であった。

 

「唯一分かった言葉が…そんなバナナ、激うまチョコレート、旨い!もう一杯青汁!、抹茶のちゃちゃちゃとかです」

「おい…それ、ククイ博士の愛用してるプロテインの味じゃないか」

 

 

 

 

「muscle!!マブシ!マッブシ!!」

 

そのポケモンはエーテルパラダイスで、プロテインを呑んでいた。

 

 




次回!リンドウはNとリーリエ達を連れて、モーン博士の回収に向かう。だが、モーン博士は記憶が無かった!?

ギエピー「記憶復元装置だっピ!」

しかし、鍵は過去に国際警察がネットに設計図を流出させた記憶復元装置!?果して、ギエピーはモーン博士の記憶を戻せるのか!?


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65時限目

モーン博士……復活?


「リンドウさん。この方角で良いんですよね?」

「ああ…ホワイトとキュレムがモーン博士と出会った島はこの先だ。モーン博士が移動して無ければ、その島に居る筈だ。

仮に居なくても、間違いなく手懸かりは残されている。行く価値は必ず有る!!」

 

リンドウはレウスに乗り、Nはゼクロムに乗ってモーンが居る島に向かっていた。

しかし、そんなリンドウの後ろにはリーリエが乗っており、Nの後ろには一匹のゾロアークが乗っていた。このゾロアークはモーン博士のパートナーであり、モーン博士が行方不明に成ってからメレメレ島の森の中をさ迷っていたが…Nがその特殊能力を使って見つけ出し、モーンの為に同行させているのだ。

 

「リンドウ先生!Nさん!お父様は…見付かりますよね!」

「見付かるさ。ホワイトとキュレムが出会ったのは…大体2ヶ月前。それに…キュレムが言うには…モーン博士のポケモンは居らず、モーン博士はポケマメを栽培しながら自給自足の生活を送ってたらしい。多分、未だ島に居る筈だ」

 

モーンが移動してなかったら、モーンはその島に居る筈だ。そして仮に居なくても痕跡は必ず残っている。

レウスとゼクロムは翼をはためかせ、その島に急行するのだった。

 

 

 

一方、メレメレ島に有るリーリエの自宅…のバトルコートでは何やらギエピーが作業を行っていた。

 

「母さん…リラさん…あのしゃべるピッピは何をしてるんだ?」

「私に言われても分からないわ」

 

モーンが何時戻ってきても良いように、リーリエの兄でブラックと同世代のトレーナー グラジオは島巡りを中断して家に帰ってきた。

同じくリーリエの母であり、エーテル財団の代表であるルザミーネも自宅に帰っており、2人の側には国際警察兼Nの秘書を務めるリラが護衛に付いている。

 

だが、彼等の視線の先には馴れた手付きで何かを作るギエピーが居たのだ。

 

「彼は恐らくですが、記憶復元装置を作ってるのでしょう。記憶復元装置は犯罪者が意図的に消した記憶を蘇らせる為に国際警察が過去に開発した物ですが、設計図が流出したと聞いてます。

私もネットで流出した設計図を元に開発された記憶復元装置を前に見ましたが、彼が作ってるのと良く似てました」

 

リラの言う通り、ギエピーが作ってるのは記憶復元装置だ。このギエピー…実はムコニャと同じく様々な物を作る才能も持っており、今回は主に廃材だけで記憶復元装置を作っているのだ。

 

「リラさん…本当に大丈夫なのか?」

「カロスに有る国際警察本部までモーン博士を連れていくにしても、私の権限では出来ません。ですが…私でも大丈夫なのかは分かりません」

 

こんな記憶復元装置で大丈夫なのか?グラジオ、ルザミーネ、リラがそう思うが仕方がない。

何故なら…ギエピーは主に廃材だけで記憶復元装置を作ってるのだ。不安しか無いだろう。

 

「ふふふ…僕に任せろっピ!!」

 

ギエピーは半分ノリノリで記憶復元装置を作っていくのだった。

 

 

 

一方その頃、リンドウとN達はモーン博士が暮らしていると思われる島にやって来た。

 

「ここですよね?」

「ここの筈だ…座標は間違いなく此処を示してるし」

 

その島は…大きなポケマメの木が一本有り、たった1つの丸太で作られた家しかない寂しい所だった。本当にポケモンは愚か、人間は暮らしているのか?リンドウ達は疑問だった。だが、そこには1人の男性が畑仕事をしていたのだ。

 

その男性は…間違いなく、モーン博士だったのだ。

 

「お父様!」

「ゾロロ!!」

 

モーンの姿を見たリーリエとゾロアークは、駆け足でモーンに近付く。

 

すると、モーンも畑作業を止めて近付いてきたリーリエとゾロアークを見る。感動の親子とパートナーの再会。その様子を、リンドウとNは見守っていた。

 

「お父様!私です!リーリエです!」

「ゾロロ!!」

 

娘とゾロアークは父親に訴えるが…父親であるモーンは

 

「すまない…確かに君は私と良く似ているが…私は過去の思い出が無いんだ」

 

しかし、モーンは記憶喪失。過去の事を一切覚えてなかったのだ。恐らく、モーンが覚えている事は自分の名前…だけなのだろう。僅かでもリーリエ達の事や、自分の事を理解していれば何としてもメレメレ島に帰ろうとする筈なのだから。

 

「それじゃあ……どうしてお父様は泣いてるのですか!?」

 

だが、モーンはリーリエとゾロアークを見てからドバドバと涙を流し出したのだ。リーリエに言われて、初めて涙を流してる事に気付いたのだろう。

モーンは涙を拭う。彼の記憶からは家族やパートナーの事は消えてしまったが、彼の心と身体は家族とゾロアークの事を覚えているのだ。

 

「あれ…可笑しいな…どうして…どうして…私は…私は…」

 

希望は有る。モーンは完全に記憶を失ってしまった訳では無いようだ。

 

 

 

 

 

 

リンドウ達はリーリエの自宅にモーンを連れて帰り、モーンはギエピーが製造した記憶復元装置の椅子に座らされた。

 

「おい、ギエピー…本当に大丈夫か?」

「大丈夫!大丈夫!任せろっピ!」

 

――不安しかねぇぇえええよ!!

 

その場に居る、ギエピー以外の全員の思いが1つに成ったのだった。

 

「それじゃ!始めるっピ!」

 

ギエピーはスイッチを押して、記憶復元装置を始動させる。すると、モーンの座った椅子は高速で回転し始める。

 

「うぉぉおおお!?」

「おい…ちょっと待て…これは本気で大丈夫なのか?」

 

物凄い遠心力を受けて回るモーンを見て、リンドウが心配そうに言う。

 

やがて、椅子はタイムショックのように様々な方向にも回り始める。

 

「お父様!?」

「父さん!?」

 

回転する速度はドンドンと早くなり…モーンの座った椅子は記憶復元装置から遠心力で飛んで、リンドウ達の前に不時着する。

すると、記憶復元装置は見事な大爆発を起こして、木っ端微塵に成ってしまった。

 

「うぅ…私は……思い出せない!!」

 

だが、モーンの記憶は戻らない。

 

「ゼクロム」

『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

「ギエピー!!」

 

ゼクロムのオラオララッシュを受けて、ギエピーは倒れ伏す。

 

しかし、その時…空から黒い光線が飛んできたのだ。

 

「なっ!?」

「ゼクロム!!」

『チッ!!やれやれだぜ!!』

 

ゼクロムはNの指示に従い、飛んできた光線を龍の波動で消し飛ばす。すると、空から色違いのイベルタルに乗った男が現れた。だが、その男は………死んだはずの男である。

 

「バカな…フラダリだと!?お前は…死んだはずじゃ」

 

カロスでの事件、その際に死んだはずのフラダリ。だが、リンドウ達の目の前に色違いのイベルタルを連れてフラダリは現れたのだ。

 

「リンドウさん…彼はこの世界のフラダリじゃ有りませんよ。勿論、あのイベルタルも」

「という事は…」

 

そう、Nの言う通りで、このフラダリはこの世界のフラダリではなく虹ロケット団のフラダリなのだ。

 

「始めまして。私はレインボーロケット団の幹部 フラダリ。

悪いが、君達は全員…ここで死んでもらう。そして…此処に有るマギアナとコスモッグは回収させて貰おう」

 

フラダリはイベルタルの背中から降りてそう言った。彼の視線にはリーリエ、いや…リーリエのボールの中に入ったほしぐもを見ていた。

 

「マギアナ……コスモッグ?」

 

その単語を聞いたモーンは頭を抑えた。

 

「イベルタル!デスウィングだ!!」

『遅い!鈍間か!!』

 

だが、イベルタルが技を使う前に…ゼクロムがイベルタルの懐に入り、雷パンチの一撃でダメージを与える。そして、トドメのクロスサンダーでイベルタルは倒れた。

 

「ほう…お前がゲーチスの言っていた、理想の英雄か。ならば…ドラゴンにはフェアリーだ!!ゼルネアス!」

 

フラダリは続いて、ゼルネアスを出そうとしたが…

 

「ピカッ!!」

 

突如として現れたレッドのバグチュウが、アイアンテールでそのマスターボールを破壊する。すると、中からゼルネアスが出てきたが……ゼルネアスは右足でフラダリの右足を踏み潰した。

 

「ギャァァァァア!!」

 

当然だろう。ゼルネアスは今まで、イベルタルと共に虹フラダリに道具のように使われてきた。反乱を起こすのは当然だろう。

 

「マギアナ……ゾロアーク……」

 

すると、モーンは立ち上がった。

 

「そうか…君がレッド君の言っていたリンドウ君か。有り難う、家族の事を思い出させてくれて。

ゾロアーク!!悪の波動!!」

「ゾロロロ!!」

 

記憶が戻ったのだろう。モーンはゾロアークに指示を出して、ゾロアークは口から悪の波動を解き放つ。

 

「ちょっ!?待って!?ァァァァア!!」

 

虹フラダリ…ゾロアークの悪の波動を受けて、リタイア。

 

「ただいま…ルザミーネ、グラジオ、リーリエ」

「アナタ!!」

「父さん!」

「お父様!!」

 

モーンは10年ぶりに家族の所に戻り、家族と熱い抱擁を交わしていた。その様子をリンドウ達、そして自由に成ったゼルネアスとイベルタルが見守っていた。

 

 

 

「記憶戻ったの…僕のお陰だっピよね!?」

 

ギエピー…結果的に無慈悲なオラオララッシュを受けて、大損するのだった。

 

 

 

翌日。

 

「リンドウ先生!!」

 

その声が聞こえ、リンドウは後ろを振り向く。そこにはシロンとほしぐもを腕に抱えたリーリエが、ロボットを可愛らしくしたようなポケモンと共に……イベルタル(色違い)の背中に乗って飛んできたのだ。

 

「ふぁぁぁぁ!?イベルタル!?いや…ちょっとまて、イベルタルは兎も角……まさか、そのポケモン」

「はいマギアナです!!」

 

リーリエの現在の手持ち シロン(氷ロコン)、ほしぐも(コスモッグ)、マギアナ…そしてイベルタル。

 

 

 

一方、リーリエの兄のグラジオはゼルネアスを連れていた。

 

「おい…本当に俺達のポケモンに成って良かったのか?」

『私達、伝説のポケモンには各々の役割が存在する。

イッシュ三龍は各々が定めた英雄に寄り添うこと。

カイオーガは海の化身として雨を降らし、干魃を止めること。

グラードンは洪水を止め、人々を水害から救うこと。

レックウザはやり過ぎたカイオーガとグラードンを停める事。

イベルタルは破滅をもたらし、生命のバランスを整えること。私は荒れた世界を再生させ、バランスを整えること。

だが、一部のポケモン…私達のように異世界から来た居場所の無いポケモンは自分が定めたトレーナーに寄り添う事も出来る。ですがグラジオ……私は貴方達の為にも、島巡りの戦いには参加しません』

「ああ…それで良いさ」

 

 

「モーン…良かったの?」

「イベルタルとゼルネアスが選んだ道だ。私は止めないさ…」

 

自宅でモーンとルザミーネはそう言った。しかし、夫婦は知らない…今頃、エーテルパラダイスは………

 

 

「クックク…サカキ様!」

「良く此方側に着いたな、ザオボー。ではコスモッグを奪還しろ…この世界を制服する為にな!」

 

虹ロケット団の手で制圧されてしまっていた。

 

「マブシ…muscle!!」

 

だが、一匹のmuscleが動こうとしていた。

 

 




リーリエ「えぇ!?私の手持ち、炎に弱すぎ!!」

シロン、マギアナ、ソルガレオ…炎が苦手!!イベルタルが倒された瞬間、リーリエはカキに負ける!!

次回!裏切りのザオボー…ほしぐもを誘拐!!

そして…青紫、青、赤、緑、金、銀、黒、白…色彩が集う


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66時限目

虹ロケット団完全終了のお知らせである(笑)


放課後…

 

「ほしぐもちゃん!!」

 

リーリエは傷だらけでボロボロに成っていた。ここはリーリエの自宅のバトルコート。リーリエは未だ自宅に滞在してるモーンとルザミーネの協力で、バトルの腕を磨こうとしていたのだ。

 

リーリエのポケモンでマトモに戦えるポケモンはイベルタルだけ。だから、シロンやマギアナもバトルに馴れてある程度は戦えるようにする為に、モーンからバトルを教えてもらっていた。

 

しかし、突如の乱入者のお陰でシロンもマギアナも戦闘不能。その上、モーンのゾロアークも倒されてしまった。

 

現在…リーリエ達の手持ちで戦えるのは満身創痍まで追い込まれたイベルタルだけ。

 

「ザオボー…どういうつもりだ!!」

 

モーンはリーリエよりも酷い怪我だが、何とか体を動かして乱入者を見る。その乱入者はエーテル財団の職員であり、モーンの嘗ての部下だった男 ザオボーである。

ザオボーは自分の切札であるフーディン、そして虹サカキから借りた伝説のポケモン ルギアの力でモーンとリーリエのポケモンを瞬く間に倒したのだ。

 

「久しぶりですね…モーン博士!」

 

ザオボーはフーディンのサイコキネシスで奪ったほしぐもを、厳重なケースに閉じ込める。このケースが有れば、ほしぐもはテレポートで逃げることが出来ず、捕らえたままに出来るのだ。

 

「これが…伝説のポケモンの力!!実に素晴らしい!!」

 

本来なら、ザオボーのようなトレーナーに伝説のポケモンが力を貸すことは絶対にない。では、どうしてザオボーがルギアを従えているかと言うと、このルギアは平行世界でサカキが例のマスターボールで捕まえて理性を奪っている為だ。

 

例のマスターボールのお陰でルギアはザオボーの忠実な僕に成っており、ザオボーはそのルギアを従えた為か自分の力に酔いしれる。

 

「私はレインボーロケット団に鞍替えし、この世界をサカキ様と共に支配する。去らばだ!!モーン博士…いや、モーンよ!!

ルギア!!エアロブラストで、この2人の人間を消し飛ばせ!!」

 

ザオボーはこの場に用がもう無いのか、フーディンをボールに戻してルギアの背中に乗る。

すると、ルギアは空を飛び…口を開けて莫大な熱量を誇る熱線 エアロブラストを解き放つ。この一撃を受ければ、間違いなくリーリエとモーンは死んでしまう。

 

ザオボーが高笑いをしながら、空から二人を見下し…ルギアのエアロブラストが迫る。

 

だが、エアロブラストがリーリエとモーンに当たることは無かった。何故なら、イベルタルが自分の身体を盾にしてリーリエとモーンを守った為だ。

 

「イベルタル!!」

 

リーリエの悲痛な叫びが響くが、イベルタルは絶対に退かない。自分のパートナーとその父親を守るためだ。

 

ルギアはエアロブラストの放出を停めたが…同時にイベルタルの限界が訪れ、イベルタルは倒れてしまった。

 

「ちっ!!生きているか…成らば!!もう一発!!」

 

ザオボーはリーリエとモーンが生きていた為か、もう一度…エアロブラストを放とうとする。しかし、突如としてザオボーの脳内に通信が入った。

 

『ザオボー…時間だ。コスモッグを奪取したならば、直ぐに戻ってこい』

「御意…」

 

モーンとリーリエの生死よりも、サカキの命令が優先だ。その為か、ザオボーはルギアを操って占領したエーテルパラダイスに帰っていった。

 

 

 

その日の夕方…

 

リーリエはルザミーネと共にポケモンセンターに訪れていた。勿論…ポケモン達の治療と、自分達の治療の為だ。

 

リーリエとルザミーネの前には処置室が見えており、処置室にはベッドに寝かされて絶対安静のモーン、ゾロアーク、イベルタル、シロン、マギアナが寝かされていた。

 

「お母様……」

「リーリエ…きっと大丈夫よ」

 

ルザミーネはリーリエを優しく抱き締める。ザオボーの裏切り、更にエーテルパラダイスに連絡をしたが…一切の連絡が帰ってこない。この事から、エーテルパラダイスは完全にザオボーと彼が寝返った虹ロケット団に占居されたのだろう。

 

エーテルパラダイスには大事な職員や保護したポケモン達が居る。彼等が虹ロケット団に人質にされたと思い、ルザミーネは胸が張り裂けそうな気持ちに成る。

リーリエは怪我を負い、モーンも大怪我。その上、モーンとリーリエのパートナーは大ダメージを受けてしまい…大事なパートナーであるほしぐももザオボーに奪われてしまった。

 

「どうして…こんな事に!」

 

ルザミーネは頭を抱え、涙を流す。

 

「大丈夫か?リーリエ、ルザミーネさん」

 

その声が聞こえ、リーリエとルザミーネは声の方を見る。そこには大急ぎで来たのか、肩で息をするリンドウの姿が有ったのだ。

 

「リンドウ先生!」

「リンドウ君!」

「取り合えず、ロビーに来てくれ!とにかく大変な事に成った!」

 

リンドウの言葉を聞いて、リーリエとルザミーネはリンドウと共にポケモンセンターのロビーに向かう。

 

ロビーにはブルーとサトシ達もリーリエが心配で駆け付けたのか、そこには居た。しかし、他の客もサトシ達もその視線はテレビが有り、その画面には……足を洗った筈の男 サカキが映っていた…だとすると、虹サカキだろう。

 

虹サカキが居るのはエーテルパラダイスのルザミーネのオフィスであり、側にはゲーチスが控えている。

 

『私は…此処とは別の世界からやって来たロケット団の代表サカキだ。私は幾度の世界を旅し、組織を大きくしてきた。

我々はレインボーロケット団。全てのポケモンを手に入れ、世界を支配する世界の支配者だ。我々は異世界のポケモン…ウルトラビーストの力で、この世界を支配するのだ!!その序章として、このアローラを征服しよう』

 

虹サカキがそう言うと、テレビの画面は消えた。どうやら、虹サカキは本気でアローラを征服しにかかるだろう。

 

「リーリエ…ちょっとの間、モスラとバンチョーを頼む」

 

ふと、リンドウがそう言うと…リンドウはリーリエにウルガモスとバンギラスが入ったモンスターボールを手渡す。

 

「先生!?」

「ちょっと…ブルーとブラック、そんでサトシを連れて本気でロケット団を潰してくる」

 

リンドウはそう言うが…腰には6つのモンスターボールが提げられている。つまり、リンドウは本気のメンバーで虹ロケット団を滅ぼすのだろう。

 

虹ロケット団完全終了のお知らせ。何故なら…ポケモンセンターの外には…

 

「ゴールド君。何時も息子が世話に成ってるよ」

「いえいえ!」

「親父…執行猶予中って事を忘れるなよ?俺は今、ポケモンGメンでも有るんだからな?親父に手錠はかけたくないぞ」

 

ジョウト最強のトレーナー ゴールド、トレンチコートで帽子を深く被りスピアーを連れた男、そしてジョウト四天王のシルバー。

 

「ロケット団死すべし…慈悲は無い」

「しかし、流石は神様だな!」

「キュレム!最盛期のキュレムと神様ってどっちが強いの?」

『断然アルセウス』

 

ポケモンマスター レッド、レッドのライバルグリーン、そしてキュレムを連れたホワイト。

 

「すまないな…君達、私に付き合ってくれて」

 

そして彼等を召集したアルセウス。

 

すると…ポケモンセンターからリンドウ、ブルー、ブラック、サトシが出てきた。

 

「全員揃ったな。行くぞ」

 

役者は揃った。サトシと色彩の名前を持つトレーナーは集い、彼等はアルセウスと共にエーテルパラダイスに転移した。

 

虹ロケット団完全終了のお知らせである。

 

 

 

「muscle!!マブシ!!」

「ぐっぅぅわ!?」

 

その頃、一匹のmuscleが孤独にも、虹ロケット団と戦っていた。




…次回!去らば…ザオボー

破壊神バンギラス様「何処に行くんだ?」
ザオボー「脱出用のポッドで逃げるんだ!!」
破壊神バンギラス様「一人用のポッドでか?」
ザオボー「ひっ…イッイヤァァァァア!!」

大体、こんなお話です(笑)


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67時限目

ザオボーさん…えっ?


虹ロケット団こと、レインボーロケット団は様々な世界からサカキが勧誘した…野望を達成した幹部達で構成されている。

 

各々がリンドウ曰くの禁止伝説を従えており、下っ端の構成員もフリーザーやエンテイ等の所謂準伝説と言われるポケモンを保有している程なのだ。

 

正に世界最強の犯罪組織であり、これまでも多くの世界を征服してきたサカキ率いる虹ロケット団。しかし、彼等は1つ、大きな誤算が有った。それはこの世界にやって来た事、ただ1つだ。

 

「くそう!?どうなってるんだ!!」

「俺達は…様々な世界を征服してきた…レインボーロケット団だぞ!!」

 

この世界は虹ロケット団が今まで征服してきた世界と異なり、野望を阻止する彼等が存在する事。様々な伝説のポケモンと友人に成れる素質を持つサトシ、そして各々の色彩の名前を持つ彼等が居たことだ。

虹ロケット団の世界にはサトシや色彩軍団は居なかった。それも有るし、サトシはとあるポケモンと友人に成ったのも大きな理由だろう。サトシはアルセウスと友達に成り、過去にアルセウス激おこ人類粛清事件を防いだのだ…そして、アルセウスはこの世界の神様であり、この世界を侵略者から救うためなら喜んで力を貸すだろう。それが…ポケモンを道具のように使い潰す、虹ロケット団が相手なら尚更だ。

 

「どうなってるんだ!!状況を報告しろ!!」

 

虹サカキはほしぐもことコスモッグが捕らわれたケースを持ち、苛立っていた。当然だ、彼はこの世界も征服するつもりだった。

しかし、突如として現れた神アルセウスに数名の男女。アルセウスは良いとしよう、最も捕獲したかったポケモンなのだから。だが、数名の男女は虹サカキの想像以上に強く、殆どの構成員は倒された。

 

『サカキ様!アルセウスは捕獲できません!!何者かに捕獲されて……ギャァァァア!!』

 

通信機から部下の断末魔が響く。しかも、その部下はアルセウスは何者かに捕らわれていたと告げた…つまり、既にアルセウスを捕まえたトレーナーが居ると言うことだろう。

 

「糞どもが!!」

 

サカキが苛立つのも無理は無い。人質として捕らえていたエーテル財団の職員も、保護したポケモン達も既に解放されていたのだ。たった一匹のmuscleなウルトラビーストの手で。

 

 

「どうして…私達を助けてくれたんですか?」

 

無事に救助されたエーテル財団の職員の皆様と幹部の女性 ビッケ。彼女達は同じく、保護したポケモンと共に捕らわれて人質にされていたが、一匹のmuscleのお陰で救助されたのだ。

 

「muscle!!マブシ!!muscle!!マッソォォォ!」

 

そのポケモンはマッシブーン。Nが先日に保護したポケモンであるが、何を言ってるのか分からず…見たことが無いポケモンだったので、エーテルパラダイスに預けたポケモンだ。

 

――プロテイン!ザバス!ホエイタンパク!!ビーレシェンド!激うまチョコ風味!!プロテインの恩義は返しましたぞ!

 

マッシブーンはサイドチェストで筋肉をアピールしながら、ビッケ達を救ったのだった。

 

 

 

「この私が…グラードンの力で大陸を広げた私が…」

「レウス!じしん!!」

 

次々と倒されていくレインボーロケット団の幹部達。虹マツブサもリンドウの手で倒され、虹ゲーチスは…

 

「よせ!!お前達!!私だ!ゲーチスだ!!分からないのか…グゥゥガガガ!!」

 

アルセウスの手でモンスターボールを全て破壊され、自分の手持ちだったキュレムの手で肉体を凍らされ、完全に再起不能。

 

『お前は英雄ではない…愚かにも程がある』

 

ゲーチスのキュレムはそう言うと…ゴッドストーンに成って眠りに付いた。

 

 

「ひっ!!ひっ!!こんな…こんな筈じゃ無かったんだ!!ひっひっ!!」

 

次々と仲間が倒されていく中、ザオボーは何とか逃げようとしていた。

アルセウスの手でマスターボールは破壊され、ルギアは自分を裏切って海に帰っていった。今からリンドウ達に土下座しようとしても、教え子を殺そうとした事をリンドウは許す訳がなく…間違いなくリンドウに殺される。

 

「私の…私の栄光成る出世が…何故だ!!」

「何故かって?お前は単純、リンドウの可愛い教え子ちゃんを殺そうとした。

リーリエは俺の姉ちゃんも気に入っててさ…リーリエとそのポケモンを殺そうとしたんだ。だから…姉ちゃんの代わりに俺達が殺してやるよ」

 

その声が聞こえると…ザオボーの後ろから青い破壊光線が飛んできた。ザオボーは爆風で吹き飛び…恐る恐る、後ろを振り向く。

そこにはザオボーに殺気を放つグリーン、そしてグリーンの切札でありマサラ最強の破壊神バンギラス…メガバンギラスが居たのだ。先程の破壊光線は恐らく、このバンギラスが放った物だろう。

 

「あの子はさ…リンドウの教え子で唯一、コンテストに興味を持ってくれてさ…姉ちゃんは本当に嬉しそうだった」

「来るな!!フーディン!!」

 

ザオボーは切札であるフーディンを繰り出したが…

 

「やれ…バンギラス」

「グラッシャォァァア!!」

 

フーディンはバンギラスに首を捕まれ、床に投げ付けられて一撃で倒された。

 

「ひっ!!私が何をしたって!!」

「バンギラス…特別だ…本気で暴れて良いぞ。俺が許す」

 

グリーンがそう言うと…何故かバンギラスから莫大なオーラが放出され、バンギラスの目が何処ぞの伝説の超野菜人のように白目に成り、空間が軋む。

 

「いけ!!お前たち!!私を守るんだ!!」

 

ザオボーは全ての手持ちを出して、時間を稼ぐように逃げ出した。もう、彼にとってはパートナーも捨て駒なのだろう。

 

しかし、本当に怒ったバンギラスを止めるには全然足りなかった。それでも、数秒は足止め出来ただろう。そのお陰か…ザオボーはとある場所に到着した。

 

「ははは…ここまで逃げれば…」

 

そこは非常用の脱出用ポッドが有る所であり、ザオボーはそれを使って何とか国外に逃げる算段のようだ。

 

「私に危害を加えた事を後悔させてやる。何時か…その報いを…受けさせてやるのだ!!」

 

ザオボーはこのままでは終わらない。先ずは国外に逃げて、体制を整える。そして、伝説のポケモン等の強力なポケモンをゲットし、再びリンドウ達の目の前に現れて復讐する事を誓った。

 

そして…ザオボーは脱出用ポッドのスイッチを押して、扉を閉める。後は勝手に射出されて遠方に飛ばされるだけなのだ。

ホウエンやカントーはダメだろう。リンドウやグリーンに見付かる。ジョウトはポケモンGメンのワタルとシルバーが居るからダメ、イッシュもブラックとNが居るから此方も無理だ。だとしたら、シンオウやガラル、カロス位だろう。

 

ザオボーは目を閉じて、新天地での新たな活動を思う。だが、ポッドは射出されなかった。何故なら射出されたポッドを………グリーンのメガバンギラスが腕力だけで掴んで居たためだ。

 

「はっーーーー!?」

 

有り得ない。脱出用のポッドは物凄い速さで射出されるのだ。それをあろうことか、このメガバンギラスは腕力だけで抑え込んだのだ。有り得ない、実に有り得ない事だ。

 

――何処に行くんだ?

 

ふと…ザオボーにそんな声が聞こえた気がした。

 

「あっあっアァァァァ!!」

 

もがくが既に遅い。ポッドはメキメキと音をたてながら、潰れていく。どうやら、メガバンギラスがその腕力で潰してるのだろう。

中に居るザオボーからすれば、恐怖でしかない。狭い脱出用のポッドとは言え…緊急用だ。強度も高いし、潰れるという事は絶対に無い。

 

それなのに…脱出用のポッドはどんどん潰れていく。ザオボーの棺桶に成ろうとしていたのだ。

 

――一人用のポッドでか?

 

グシャリ、グシャリ…グシャリとポッドは潰されていき、ザオボーの身体がポッドに挟まれていく。

 

「あっあっ!!潰れる!!」

 

「グゥオオオオオオ!!」

 

そして…ザオボーの悲鳴を響かせながら、メガバンギラスはグシャグシャに成った脱出用のポッドを遥か彼方に放り捨てた。その後、ザオボーがどうなったのかは…誰にも分からない。

 

 

 

その頃…虹サカキの前にはレッドとバグチュウ、そしてトレンチコート姿の男性がやって来た。

 

「やれやれ…私もワイフと出会わず、シルバーを授からず、そしてレッド君と出会わなかったら…こうなっていたのか」

 

トレンチコートの男は帽子を取る。その素顔は…虹サカキと全く同じだった。

 

 

 

その頃…メレメレ島のポケモンセンターでは…

 

「ダメですよ!!未だ貴方は安静しないと!!」

 

リーリエのイベルタルは強引に医療用のケーブルを抜くと、ロビーに出る。

 

まさかの事態にポケモンセンターはパニックに成るが、リーリエはイベルタルが何をしたいのか…理解してしまった。

 

「イベルタル…もしかして…ほしぐもちゃんを?」

 

リーリエの問いにイベルタルは頷く。

 

「ならば…私も連れていきなさい!!私は…貴方のトレーナーです!!」

 

太陽の聖獣の目覚めは……近い。

 

 




次回!レッド&サカキ様VS虹サカキ。

そして…10年ぶりに…奴が降臨する

「これで…僕もミュウスリーだっピ!!」


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68時限目

レインボーロケット団…終了(笑)


レッド、サカキと向かい合う虹サカキ。

 

既にレッドとサカキはピカチュウ、ギエピー、サカキのメガスピアーを繰り出している。

 

だが、虹サカキは不敵に笑う。当然だが、彼はザオボーに貸し与えたルギアの他にも強力な伝説のポケモンを複数保持しているのだ。

当然だろう。そもそも、虹サカキが沢山の伝説を保有していなければ…出会ったばかりのザオボーにルギアを貸すという事には及ばないのだ。

 

「ふふふ…そんな弱そうなポケモンを使うのか。老いたな、この世界の私よ」

 

虹サカキはそう言うと…3つのマスターボールを取り出した。間違いなく、その3つのマスターボールの中に虹サカキの切札である伝説のポケモンが入っているのだろう。

 

「いでよ…ミュウツー!」

 

虹サカキはそう言うと、3つのマスターボールを投げて3体のミュウツーを繰り出した。どうやら、虹サカキは元居た世界でフジ老人が作り出した3体のミュウツーを全部捕獲し、手持ちに加えたようだ。

 

「…やはり、持っていたか。それも3体も。フジの犯してしまった過ちを何とも思わんのか」

「ふっ…当然だろう?元々、ミュウツーは我々ロケット団が最強のポケモンを作る計画で産み出したのだ!!」

 

サカキの言葉に対し、虹サカキはそう言った。そう、ミュウツーは元と言えばフジ老人が最強のポケモンを作る計画で作らしたポケモンなのだ。

 

「そして!私はフジを殺して奪った、このメガストーンの力で…貴様達を屠ろう!!」

 

虹サカキがそう言うと…虹サカキが繰り出した3体のミュウツーの内2体の姿が眩い光と共に変化する。光が収まると…そこには異なるメガシンカを果たした2体のミュウツーが居たのだ。

 

「本来…メガシンカはポケモンとの絆が必要だ。しかし、私は独自の技術で絆無しでメガシンカを行う事が出来るのだ!!」

 

誇らしげに言う虹サカキ。しかし、この虹サカキは知らない。トレーナーとして持っていた熱い過去も、初めてビードルを捕まえた過去が無いこの虹サカキは知らないのだ。ましてや…レッドと出会う事が無いために…バグチュウの存在も知らない。

 

「ピカチュウ…」

「スピアー…」

「「良いぞ」」

 

次の瞬間、バグチュウとメガスピアーの姿が消える。次の刹那…虹サカキの目の前には戦闘不能に成った2体のメガミュウツーの姿が有ったのだ。

 

「あっ…有り得ん…有り得ん…そんなバカな話が…此方は伝説のポケモン、それもメガシンカしているのに…たかがピカチュウとスピアーごときに」

 

だが、虹サカキの悪夢は未だ消えない。すると、ギエピーが何処から注射器のような物を取り出して、自分に突き刺して薬品を注入したのだ。

 

「人為変態だっピ」

 

すると…ギエピーの身体が眩い光に包まれ…気が付けばミュウツーにそっくりだが、顔だけギエピーのポケモンがその場に居たのだ。

 

「これで僕はミュウスリーだっピ!」

 

説明しよう!ミュウスリーとは、ギエピーが色んな方法で変身する姿であり、例えば先程のようにバグ◯手術の薬品で変身する新たな姿である

だが、ミュウとミュウツーの力が有るとは言え…根本的にはギエピーの遺伝子が勝り…ギャグ補正の塊であるギャグポケモンである。

 

ミュウスリーの姿を初めて見た虹サカキと虹ミュウツーは唖然としてしまい、当然である。当たり前だが、虹サカキの世界にはギエピーのようなギャグポケモンは存在せず、こんな事は有り得ないのだ。

 

「そんな…事が有るかーーーー!!」

「それが当然の反応だよな」

「ピカチュ」

 

だが、ミュウスリーの変化は未だ終わらない…ミュウスリーが気を貯めると…ブォォォと…ミュウスリーから莫大な光が放たれる。

 

すると…そこには…

 

「これで僕はメガミュウスリーだっピ!」

「何処から見ても、超野菜人だろうが!!」

 

遂にサカキこととっつぁんの突っ込みが響いた。

 

当然である。今のミュウスリーことメガミュウスリーには金髪の逆立った髪が生えており、バチバチと電気を帯びていたのだ。

 

「ふふふ…今の僕ならミュウツーなんぞ余裕だっピ!」

 

すると…メガミュウスリーは掌を合わせ…まるで…アレを放とうとする。

 

「真空…波導弾だっピ!!!!」

「それ…何処から見てもかめはめ波だろうが!!著作権に引っ掛かるぞ!!このギャグポケモンが!!」

 

このギャグポケモン…著作権なんぞ知らんとばかりに、かめはめ波を繰り出した。

 

「そんな…そんなバカな!?私のミュウツーが!?」

「今の時代はミュウツーよりも、ミュウスリーだっピ」

 

虹ミュウツー リタイア。後は…虹サカキだけである。

 

「まだだ!このコスモッグを利用し…私は数多のウルトラビーストを呼んでやる!!そうすれば…いくら貴様達でも!!」

 

虹サカキはほしぐもを捕らえてあるケースのボタンを押す。すると…ケースから眩い光が放たれて…中からほしぐもの悲鳴が聞こえる。

 

『キュッ!?キュュュュュュユユユアア!!』

「はっははは!!私は終わりでも、この世界も終わらせてやる!!」

 

だが…その前に…床から鋭利な大地のトゲが剣のように生えて、虹サカキの右腕は根本から切断されて…ほしぐもを捕らえていたケースはレッドの足元に転がり、光は消える。

 

「なっ…何が……」

 

虹サカキは血潮が吹き出す根本を押さえる。すると、物凄い勢いで壁が吹き飛び……

 

「おっ!!上手く教えた通りに断崖の剣が出来たじゃないか!偉いぞ!」

「グラー」

 

自由の身に成った虹マツブサの元手持ちであるグラードン。そして、グラードンの背中に乗ったリンドウと彼のリーフィアである。

 

「後は…お前だけだ。とっつぁんと違い、熱い心を思い出さなかったサカキ」

 

右のリンドウ、左のレッドととっつぁんサカキ、前のピカ様とバグスピアーとミュウスリー。正に囲まれ…絶体絶命の虹サカキ。

 

「まだだ…私の世界に逃げ「逃がしません!!イベルタル!!デスウイング!!」ホンゲーー!!」

 

虹サカキ…外から飛んできたデスウイングの直撃を受けて…ガリガリに痩せ細る。完全にリタイアである。

すると…デスウイングが飛んできて、穴の空いた壁だが…その壁を突き破り…イベルタルに乗ったリーリエが現れたのだ。

 

「ほしぐもちゃん!!」

 

リーリエはイベルタルから降りると、ほしぐもが拘束されていたケースを開ける。だが…中にはほしぐもは居らず…何やら繭?を思わせるようなポケモンが入っていた。

 

「ほしぐもちゃん?…ほしぐもちゃんなんですね!」

 

リーリエは直感で理解し、確認の為にスマホでスキャンする。すると、そのポケモンは間違いなくリーリエ名義のIDで登録されており…間違いなくほしぐもであった。

 

「場所を変えよう。此処では全員が集まりきれん。君は確か…ルザミーネ代表とモーン博士の娘だったな…平行世界の私が迷惑をかけたな。何処か…広い所は無いかね?」

 

サカキが帽子を被りながらリーリエに問うと、リーリエは答えた。

 

「それなら…お母様とお父様が使ってる仕事用の別宅が有ります。その前の広場なら…皆さん全員が集まれると思います」

 

 

 

リーリエの案内で、リンドウ達はエーテルパラダイスの屋上に有る、ルザミーネの別宅の前の広場に集まっていた。

別行動を行っていたサトシや他の色彩軍団も全員が無事のようで、全員の無事を確認し終えると…代表でゴールドが口を開いた。

 

「取り合えず…皆さんのお陰で虹ロケット団とシルバーのお父さんそっくりな悪人は無事に倒されました。

そんで…リーリエ、ほしぐもちゃん?だっけか…姿が変わったんだよね?」

 

この中で一番進化に詳しいのはゴールドだ。ゴールドはポケモンの卵や進化を研究してるウツギ博士の弟子であり、日頃から研究してる。

 

「はい…」

 

リーリエは姿が変わったほしぐもをゴールドに見せる。

 

「分からない…俺も初めて見た。神様…アンタはどう思う?」

 

ゴールドさえも資料などでも見たことが無いポケモンだ。だとすれば…知ってそうなのはアルセウス位である。

 

「過去に…一度だけ有る。このポケモンは星の子と呼ばれる外宇宙からやって来たポケモンが進化した姿と同じだ。

リーリエ…すまない。どうやら、私は敵を調べる前に君を守るべきだったかも知れない」

「アルセウス様?」

「君の言うほしぐもは…私が作ったこの星のポケモンではない。ましてや、デオキシスのように宇宙ウィルスが突然変異を起こしたポケモンでもない」

 

アルセウスは…空を見上げる。

 

「それって……」

「異なる世界から来たのだ。平行世界よりも、大きく理の違う世界からやって来たポケモンなのだ。そして、進化すればキュレムやグラードン、そして君のイベルタルと同じぐらい強いポケモンに成長できる。

だが…平行世界のサカキが過剰にストレスを与えてしまった。最悪の場合…進化出来ずに死んでしまう可能性だって有る」

 

アルセウスの言葉を受けて…リーリエは動かないほしぐもを抱き締める。

 

「何とか…出来ないんですか?」

「私でも出来ない。だが……希望は有る。ポニ島に向かうと良い。そこには星の子の成体 ソルガレオを祭る神殿が有る。

所でサトシの恩師よ。君はグラードンをどうする?そのままにすると……確実に良からぬ者に狙われるぞ?幸いにも、グラードンは開放してくれた君に懐いている」

 

アルセウスはリンドウを見てそう言った。

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

「それで…結局、グラちゃんは捕まえたのね」

 

リンドウは結局、グラードンを捕まえた。あのままだと、確実にグラードンは嘗てのスイレンのカイオーガと同じく、良からぬトレーナーやハンターに狙われる。保護の意味合いも兼ねて、グラードンを捕まえたのだ。

 

「ああ…まさか、俺が伝説のポケモンをパートナーにするなんてな」

 

夕飯を食べ終え、リンドウはブルーと共に縁側に座る。庭では新しく家族に加わったグラードンが、リンドウとブルーのポケモン達と遊んでいた。

 

「でも、どうするの?貴方、6匹居るじゃない」

「オーキド校長の自宅に、教員はポケモンを預けられる」

「ふーん…私、未だ空きが有るから遠出の時は預かるわよ?」

「そうだな…そうするよ」

 

リンドウ、ブルーと遠出する時はブルーに預けるという戦法が出来た。

 

「オーキド校長には許可を貰った。ほしぐもを救うために、ポニ島の神殿に行くぞ。その前に……ウラウラ島で情報収集だけどな。

序でにその期間でグラードンの仕込みを行うか」

 

ほしぐもを救う戦いが始まった。

 




次回!リンドウ達、ウラウラ島で情報を集める!?

そして…ククイ博士の未来の嫁が登場!?


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69時限目

果たして…リンドウ達はほしぐもを救えるのか!?


ウラウラ島。アローラの4つの島の1つであり、展望台やカントーを始めとした様々な土地からやって来た移民の方々が暮らしている島である。

 

このウラウラ島には大きな図書館も存在しており、リンドウ達は今から其所に向かうのだ。

 

ほしぐもを救い、無事にソルガレオに進化させて命を救うためである。

 

 

メレメレ島の船着場。

 

そこでリンドウとブルーは早めに着て、グラードンの教導を行っていた。未だ集合時間まではかなりの時間が有るし、ブラックとアセロラも未だ家で朝食を食べている最中なのだから。

 

「随分と早くでたわね…」

「家の周囲でやっても良いが…グラードンの刺激にも良いと思ってな」

 

今日からクラス全員でほしぐもを救うための、試練が始まるのだ。

ほしぐも…彼も立派なクラスの仲間だ。その仲間を救うためにも、リンドウ達は全力で立ち向かわなければ成らないのである。

 

「特に…ポニ島はメレメレ島と比べれば生息するポケモンも強い。もしもの時の為にも、グラードンには戦い方を覚えてもらわないと困る。

グラードン…良く見ておけ、これが戦い方と言うものだ」

 

リンドウとブルーの隣にはグラードンが立っており、グラードンの視線の先にはリーフィアとルカリオが軽く模擬戦を行っていた。

リーフィアがリーフブレードを維持しながら、ルカリオに近接を挑み…ルカリオは咄嗟に距離を離して波導弾を放つ。だが、その波導弾をリーフィアはリーフブレードでルカリオ目掛けて打ち返す。

 

だが…ルカリオは波導弾に手を添えて…吸収した。当然だ。自分で産み出した波導弾なのだから、取り込んで再利用も可能である。

 

このリーフィアとルカリオの戦いだが、リンドウは一切の指示を出していない。当然だ…指示を出してなくても、基本的な動きが出来るようにリンドウは指導しているのだ。

 

「良し、リーフィアもルカも良いぞ」

 

リンドウがそう言い、リーフィアとルカリオは戦闘を辞める。

 

「グラードン。お前はダイヤの原石だ。才能はレウスに匹敵する…俺が保証する。

先ず、お前には俺の指示が無くても基本的なトレーナーのポケモンとして戦えるような型を覚えてもらうぞ」

 

リンドウやブルー、レッドやとっつぁんもそうだが…優れたトレーナーの多くはポケモンに事前に戦い方を教えていて、ここぞっと言うときに指示を出すのだ。

毎度、毎度、「かわせ!」や闇雲に指示を出してもポケモンは上手く動けるとは限らない。人間で例えれば、ポケモントレーナーは言うならば野球選手の監督、トレーナーのポケモンは野球選手と言えるだろう。監督が毎度の打席で指示は出さないし、毎度の投球で指示を一々出さない。つまり、そう言う事なのだ。

 

ポケモン一匹一匹の長所と短所を把握し、そのポケモンにピッタリの戦い方を教えて導く。それがトレーナーであるのだ。

 

「グラー!」

 

リンドウの言葉に答えるように、グラードンもやる気で満ちている。

この少しの間だが、リンドウはグラードンの素質を把握してきている。3メートル程の巨体だが…素早く動く事も可能だ。これならば、リンドウの主力(非常時以外はオーキド研究所の防衛軍)であるボスゴドラと同じ様なパワフルな戦い方が向いているだろう。

そして…耐久も有るので、自分よりも素早い相手が相手なら動きを見極め…カウンターで一撃粉砕するヘビー級の戦い方も出来そうだ。

 

「朝から元気ですな!リンドウ君!!」

 

その声が聞こえ、リンドウとブルーは声の方を見る。そこには島キングのハラが居たのだ。

 

「ハラさん」

「リーリエ君のポケモンの事は聞きましたぞ…役に立つか分かりませんが、これを」

 

ハラは太陽の紋様が付いたオレンジ色の縦笛を取り出して、リンドウに手渡した。

 

「これは古来から伝わる物でしてな。伝説のポケモン ソルガレオに纏わるものですぞ。

リーリエ君のポケモンがソルガレオに進化するなら、持っていた方が良いかも知れません」

 

その縦笛はリコーダーのような物だが、ソルガレオと関係が有るものだそうだ。と言うよりも、リンドウはこの縦笛を知っている何故なら…前世でやっていたゲームに思いっきり出てきた重要なアイテムだからだ。

 

「ありがとうございます。ハラさん」

「私が力に成れることはこれぐらいです。後は…頼みますよ」

 

――なんでソルガレオとルナアーラのイベント進化アイテムをアンタが持ってるの!?ナッシーアイランドに有るんじゃないの!?

 

そう…この縦笛はポニ島のとある神殿で、ほしぐもをソルガレオかルナアーラにイベント進化する際に必要なアイテムなのだ。

これともう1つ、月が描かれた縦笛が存在しており、それが有れば…神殿でほしぐもをソルガレオに進化させて命を救うことが出来るのだ。

 

「あれ?確か…私もチラッと文献が元に成った絵本読んだけど、ソルガレオにはルナアーラという対となるポケモンが居ませんでした?

それでしたら…なんか、ルナアーラの笛も有りそうなんですけど」

 

――うわー…俺の幼馴染み、勘がヤヴェー

 

そう…ルナアーラの笛も存在する。というか、ソルガレオかルナアーラに進化する場合、どちらでも2つの笛が必要なのだ。なので、リンドウ達がほしぐもを救うためにはもう一本の…月が描かれた笛が必要なのだ。

 

「伝承では有ると聞きますぞ。ですが…何処に有るのかは」

 

なんという事でしょう。ルナアーラの笛は行方不明と成っていたのだ。それが無ければ、リンドウ達はほしぐもを救えない。

 

「分かりました…何とかします」

「頼みますぞ」

 

ハラはそう言うと、去っていく。すると、今度は船の手配をしていたククイ博士が日焼け肌の美女と共にやって来た。

その美女はリンドウも知っている。エーテルパラダイスで働く若い博士であり、ダイビングが趣味のバーネット博士だ。

 

「リンドウ!船の手配は出来たぞ!」

「流石はククイ博士…所で、バーネット博士も?」

「えぇ、私もリーリエのパートナーを救うために同行するわ。エーテルパラダイスが未だ凄い荒れ模様でね…モーン博士とルザミーネからも、リーリエ達の手伝いをしてくれ、此方は大丈夫だと言われたの」

 

どうやら、バーネット博士はモーン博士とルザミーネから頼まれて、共に同行するようだ。

 

「良し…全員が揃い次第、ウラウラ島に行くぞ!手懸かりを集めて、全員でポニ島に行くんだ!そして…ほしぐもを救うぞ!」

 

ほしぐもを助ける。その意思を全員で共有し、生徒達が来てからリンドウ達はウラウラ島に向かった……のだが

 

 

 

 

 

「リンドウ…骨董品で…ルナアーラの笛が売ってるんだけど」

「誰だ!?売り捌いた人は!?今すぐ買うぞ!!」

 

月の縦笛…ウラウラ島で骨董品として、1000円で売られていた模様。

 

その後…手懸かりをある程度集め、リンドウ達のウラウラ島滞在は僅か二時間で終わった。

 

目指すはポニ島の大渓谷を進んだ先に有る神殿 日輪の祭壇である。




次回!…聖獣…覚醒。


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70時限目 聖獣の目覚め

ソルガレオ…遂に降臨する。


ポニの大渓谷。時刻は既に深夜を回っており、放射冷却と呼ばれる自然現象で随分と気温は下がっている。

だが、未知の土地で夜遅くに動き回るのは危険な為に…リンドウ達はポニの大渓谷の中にある、横穴の中でキャンプを行っていた。

 

見張り番として、ブルーとバーネットとレシラム、ククイ博士とリンドウのペアが交互で二時間交代で見張りを行っており…彼等は夜が開けて明るく成るまで仮眠と見張りを繰り返すのだ。

 

「所でブルー。貴方、リンドウ君の事はどう思うの?」

 

現在はブルーとバーネットそしてレシラムが見張りを行っており、リンドウとククイ博士は仮眠をしているが…爆睡している。特にククイ博士とリンドウは道中の危険なポケモン達…ジャラランガやクワガノン、バンバドロ等の危険なポケモンから生徒達を守るために戦ってた為か…物凄く熟睡している。

 

「どうって…どういう事で?」

「勿論異性としてよ!」

 

バーネットの言葉を聞いた瞬間、ブルーはうっかり飲んでいた珈琲を吹き出しかけてしまった。

 

「ゲホゲホ!?異性として!?」

「あー…バレバレよ。貴方。先に言っとくけど、私はリンドウ君の事を異性として意識してないわ。でもね、彼…物凄く人気よ?バトルの腕前は勿論、アローラでも人気の人だし、スカル団の更正から色々と活躍して彼を狙ってる人は多いわ。

本場のホウエンじゃ…もっと多いかも知れないわよ」

 

ブルーはバーネットの言葉を聞いて、顔を背ける。と言うのも、彼女はリンドウの事が好きなのだ。

子供…それも小さい頃からリンドウの事を知っているブルーだったが、何時からだろうか?何時から彼を意識し出したのか分からないが、間違いなくオーキド博士とグリーンにはバレている。

 

ブルーが特別講師としてアローラのメレメレ島にやって来たのも、実はと言うと…オーキド博士が気を利かしてくれたのも有るのだ。

だが、ブルーの思いとは裏腹に…中々彼女の恋は進展しない。事実、同居人に止まってるのが良い証拠だろう。

 

「いや……その…」

「あのね…幾ら幼馴染みとは言え、女性を唯で同居させる事は無いわよ」

「えっ…でもブラックとアセロラは…」

「ブラックはサトシとククイ君のような感じでしょうね。アセロラは両親がもう亡くなってるから、リンドウ君が親代わりというのも有るんでしょうけど」

 

確かにブラックはククイ博士で言えば、サトシとククイ博士のような関係だろう。アセロラに至っては余り知られていないが、既に両親が亡くなってる。だから、リンドウが親代わりな所も有るのだろう。

 

「それじゃあ…バーネット博士。ククイ博士の事はどう思うのよ?」

「うっ…それはね……」

 

今度はブルーから指摘を受けたバーネットが視線を逸らす。どうやら、彼女はククイ博士の事を意識しているようだ。

 

なには兎も角…この2人には狙っている男が居るのは確かのようである。

 

 

日が開けて、リンドウ達は行動を開始した。

 

長い道を抜けると、渓谷を抜けた先の大きな所に出る。そこはとても大きな祭壇と成っており、前方には太陽を模したオブジェクトが有り、床には太陽と月を模したレリーフが一対刻まれていたのだ。

 

「えーと…ここが日輪の祭壇で有ってるよな?」

「あぁ。間違いないな」

 

リンドウや他の者が思っていた疑問に答えるように、ククイ博士がそう言う。

 

ここは日輪の祭壇。嘗て、ソルガレオが降臨した場所と伝えられており、ソルガレオがカプ神と共に異世界からの訪問者と共に戦った所だと伝えられている。

ここはソルガレオを祭る神殿でも有り、アローラを救ったソルガレオとルナアーラはアローラの王族に星の子を託したとも伝えられているのだ。

 

「でも…ここでどうやってほしぐもを助けるんですか?」

「文献によれば、太陽が昇っている時間帯で笛を吹けば良いらしいが…」

 

チラッとリンドウは太陽と月のレリーフが描かれた床を見る。

 

「物は試しだ。あの床の上で、笛を吹いてみるか」

 

――ゲームと同じなら…それで不思議なパワーでソルガレオに進化できる筈だ。

 

リンドウは流石に今回ばかりは前世でやっていたゲームの知識に感謝した。ポケモンの進化方法等はカイリキーやフーディンのように、交換で進化させる必要が無くてもこの世界では進化できる。

だから…もしもの事を考えたが、笛が有るなら恐らくは大丈夫だとリンドウは思う。何故なら…レシラムの休眠状態であるライトストーンが、ゲームと同じく博物館の中に有ったのだから。

 

「俺が太陽のレリーフの上で太陽の笛を吹くんで、ククイ博士は月のレリーフの上で月の笛をお願いします」

「分かった」

 

リンドウはハラから託された太陽の笛を持ち、ククイ博士は骨董市で売られていた月の笛を持って…2人は各々のレリーフの上に立つ。

 

そして…縦笛を吹くリンドウとククイ博士。サトシ達は固唾を飲んで見守る。これが成功しないと、ほしぐもは助からない。

 

すると、ゴゴゴと大地が揺れる音が響き…2人の乗っていたレリーフが輝く。

 

「ふぁ!?」

 

――あっ…やっぱり、一緒か。でも助かった。

 

レリーフの輝きは掘られた溝に沿って広がっていき、目の前の太陽のオブジェクトまで伝わっていく。オブジェクトに描かれた大きな日輪の紋様が激しく光ると…そこから高密度のエネルギーが照射される。

 

「なっなに!?」

「何が起きてるんだ!?えっ!?」

 

まさかの出来事に、当然…サトシ達も驚く。すると、リーリエのボールから勝手にほしぐもは飛び出した。そして、ほしぐもはまるで引き寄せられるように、その高密度のエネルギーに飛んでいく。

 

「ほしぐもちゃん!?」

 

今まで…虹サカキの手で過剰にストレスを与えられて動かなくなっていたほしぐも。しかし、日輪の祭壇が産み出したエネルギーを見ると、動き出して…ほしぐもは自分からエネルギーに当たり…そのエネルギーをどんどん取り込んでいく。

 

「これは…進化か!?」

 

ほしぐもはそのエネルギーを全て経験値として取り込み…進化を行う。進化してる最中でも、祭壇から放たれるエネルギーを進化のエネルギーに利用して取り込んでいるのだ。

 

やがて…神殿からのエネルギーの放出が終わると、そこには…

 

「グゥオオオオ!!」

 

太陽を想起させる、白いライオンのようなポケモン ソルガレオに進化を果たしたほしぐもの姿が有ったのだ。

 

無事にソルガレオに進化し、死の危険が無くなったほしぐも。しかし…リンドウ達には新たな問題が出てきたのだ。

 

「リンドウ先生…こっからどうするんですか?」

「気合いと根性で帰るしか無いだろ」

 

再び、過酷なポニの大渓谷を抜けてメレメレ島に戻らないといけないのである。

 

 

 

 

数日後…

 

「本当に大変な1週間だったわね!」

「マジでそれな」

 

夕日が沈もうとしてる頃。リンドウとブルーは2人で、メレメレ島の海辺を歩いていた。

 

虹ロケがアローラに宣戦布告するし、ほしぐも…今はソルガレオを救うためウラウラ島やポニ島を冒険するし、日輪の祭壇でソルガレオへの進化をこの目で見ることに成るし、とても内容の濃かった1週間だったのだ。

 

だが…ブルーには未だ重要な任務が残されているのだ。それは…リンドウへの告白である。未だ若いから良いやと言っておけば、気が付けばリンドウは誰かの旦那さんに成っているかも知れないのだ。

シンオウのダメナさん、ライチさん、そしてポケモンスクールの女性教員の皆様とライバルは多い。だからこそ、此処でケリを着ける必要が有るのだ。

 

「ねぇ…リンドウ、私の事…どう思う?」

「むっ?そうだな…」

 

リンドウはそう言うと、夕日を見ながらズボンのポケットに手を入れる。

 

そして……

 

「ずっと昔から、お前の事が好きだった。結婚を前提に付き合ってくれ」

 

突如としてケースに入れられた指輪をブルーに見せ、告白したリンドウであった。

 

「えぇぇぇぇぇぇーーーー!!貴方も!?」

 

 

 

 

一方その頃、ククイ博士一家はと言うと…

 

「「結婚!?」」

「おう!」

 

ククイ博士とバーネットは結婚する事になり、一番に2人が報告したのはサトシとセレナであった。

 

すると…突如としてククイのスマホに連絡が入る。何事かと思い、ククイ博士は画面を見ると……

 

「なにーーー!?」

 

驚き、その画面をサトシとセレナ、バーネットにも見せる。そこには……

 

『私達、この度…結婚します。式の日程は改めて御連絡します』

 

との文章と…ブルーをお姫様抱っこするリンドウの姿であった。




次回!…ホウエン合宿の準備!?だが…ククイ博士は結婚式を挙げるつもりはない!?



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71時限目

ホウエン合宿はもうすぐである


リンドウとブルー、ククイ博士とバーネットの結婚は速やかにメレメレ島とマサラタウンに広まった。

 

とは言え…メレメレ島ポケモンスクールでは今日も授業が行われる。

 

その為か、改めて夫婦(未だ入籍だけ)に成ったリンドウとブルーは授業を行う為に教室に向かう。無事にほしぐももソルガレオに進化し、元気に成ったので…次の大きなイベントと言えばホウエン合宿位だろう。

 

「リンドウ、他のクラスも合宿とか行うの?」

 

リンドウのクラスは既にカントー合宿という強化合宿を終えており、次にホウエン合宿が迫っている。これも、リンドウのクラスが次代を担うジムリーダーを養成するという特別クラスという事を除いても、アローラリーグという大きなイベントが有るためだ。

アローラリーグというアローラ初のポケモンリーグに備えて、スイレン達を強くするという意味でのカントー合宿とホウエン合宿。しかし、他のクラスにもアローラリーグの事は伝えられており…あばれる君(本名 ヒロキ)が在籍するけーね先生のクラスも合宿を行っている可能性だって有るのだ。

 

「そうだな…ケイネ先生のクラスはサオリ先生も同行で、アーカラ島の合宿を行うと言っていたな。ケイネ先生の生徒はチルノを除いて、全員がメレメレ島の島巡りを終えてるし、この機会にアーカラ島の島巡りも経験させるつもりだろう。

あと…チルノの兄のオリヴィエとその彼女のサイトウが居るだろ?そのコネで、ガラル合宿を行うという話も出てるな」

 

どうやら、けーね先生のクラスを含め、他のクラスも強化合宿を考えては居るようだ。アーカラ島での島巡り合宿にガラル地方での強化合宿…やるべき所は他のクラスも確りとこなしているようである。

 

特に…ガラルは他の地方と比べて、特にポケモンバトルに力を入れており、リーグ挑戦さえも推薦された選ばれた人材しか受けられない所なのだ。そんな所で経験を積めば、間違いなく強くなるだろう。

 

「他のクラスも強化合宿を考えてはいてな…もう、アローラリーグに向けての準備をしてるんだよ」

「ふーん…だけど、残念ね。アローラリーグの初代チャンピオンに成るのは私よ!」

 

ドやと笑みを浮かべるブルー。そう、彼女もアローラリーグに参加を決めており、彼女は初代チャンピオンの座を狙っているのだ。

夫婦でチャンピオン、母でもチャンピオンを目指すブルー。彼女がその気に成れば、優勝候補間違いなしだろう。

 

「それは分からないぞ?もしかすれば、サトシ達かも知れないし…新たなるダークホースが出るかも知れないしな」

 

アローラリーグは本番のその時に成らなければ分からない。

リンドウとブルーは教室の中に入った。そこには既にサトシ達が集まっていたが、更に教室の人口密度が上昇していたのだ。

先ず…ほしぐもがソルガレオに進化し、更にイベルタルも居るのだ。その上、レシラムやカイオーガまで居るので…物凄い光景である。

 

「アローラ!今日も欠席者無しだな。それじゃあ…朝礼を始めるぞ。

来週からホウエン合宿に向かうが、そこで先生がオススメする…ポケモンが多く生息するポイントを巡るから、其所で色んなポケモンと触れ合ってほしい。

そんで…序にアローラリーグの事も教えるぞ」

 

リンドウはアローラリーグの概要を話し出した。

 

「アローラリーグは参加人数にもよるが…アローラ各地は勿論、他の地方からも参加者が集う可能性が高い。その為か、参加人数は物凄い規模に成るだろう。

そこで…人数が多すぎた場合は一体のパートナーを用いたバトルロイヤル形式で戦い、生き残った32人で本選トーナメントを行う予定だ。

本来はフルバトル…と言いたいが、生憎とアローラではパートナーが少数の人が多い。その為に本選トーナメントでも3対3のバトルを行い、片方の手持ちが3体未満成らば…少ない方の手持ちの数に合わせて戦うという変則なルールに成ってしまった」

 

予選は全員参加のパートナーを一体用いたバトルロイヤルで戦い、生き残った32人が本選に出場。

 

本選は基本的に3対3のバトルだが、片方の手持ちが3体未満で有るならば少ない方の手持ちの数に合わせて戦う事である。これに関しては仕方がないだろう…アローラではパートナーは1匹しか持ってないトレーナーも多く、バトル未経験の大人だって居るほどなのだ。

 

「先生…それって」

「例えばだ。セレナは3体手持ちに加えているが、マオは1体しか持ってないだろ?

セレナとマオが本選トーナメントで戦う場合はセレナも1匹しか使えないんだ」

 

リンドウの言葉を聞いて納得するサトシ達。確かに、アローラでポケモンを複数持っているトレーナーは少なく、それはポケモンスクール全体で見てもそうである。

 

「そして…これは他のリーグもだが…ポケモンの使用制限は無し!

カイオーガだろうが、グラードンだろうが、ダークライだろうが、キュレムだろうが、イベルタルだろうが、どんなパートナーでも使ってOKだ!」

 

だが…リンドウは知らない。アローラリーグ予選のバトルロイヤルで…メガカメックス(ブルー)、ソルガレオ(リーリエ)、カイオーガ(スイレン)、トゥルーキュレム(ホワイト)、ゼクロム(N)、メガラティオス(リラ)、マッシブーン(モーン博士)等が大暴れする事を。

 

「先生…先生とブルーさんって結婚式をあげますよね?」

「日程は未定だが、挙げるぞ…どうした?」

「実は…ククイ博士とバーネット博士、結婚式を挙げないみたいなんです」

 

そう、サトシの言うとおり…ククイ博士とバーネット博士は結婚式を挙げないつもりなのだ。

 

「ほう…だったら、話は早い。此方からサプライズで用意してやるか」

「そうね…結婚式は女子にとって、一生の大事なイベントよ!」

 

リンドウとブルー…そしてサトシ達の手で、ククイ博士とバーネットの結婚式が計画されるのだった。

 

「まぁ…準備はホウエン合宿が終ってからな」

 

しかし、リンドウは知らない。このホウエン合宿で…ブラックとリーリエ以外の教え子が新たなパートナーを手に入れる事を(サトシだけは厳密には再会)。




次回!ホウエン合宿…リンドウ達は先ず、オダマキ研究所を訪れるが…

「博士!リンドウさん!初心者向きのミズゴロウ、アチャモ、キモリが逃げ出しました!」

トラブル発生である。

そして…サトシが再会するポケモンとは!?ルビサファの映画を見た貴方なら…分かる筈!!

オマケ…サトシ達が捕まえる予定のパートナー

サトシ 「波動は…我に有り!!」

セレナ ダイヤモンド

マオ 御三家トカゲと化石

カキ 御三家ヒヨコとラクダ

スイレン 御三家両生類と化石

マーマネ 電気子ライオンとシラス

アセロラ ひともしー


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72時限目

今回のサブタイトルを付けるとしたら…復活のルカリオ


ミシロタウン。此処はホウエンのポケモン博士、オダマキ博士の研究所が有り、昔のマサラタウンよりは賑やかだ。

 

そんなミシロタウンの端っこに…リンドウの別荘が有るのだが…

 

「でけぇぇえぇ!?」

 

誰の声なのか、サトシなのかカキなのか…それとも、マーマネなのか…分からない。もしかしたら、3人纏めてかも知れない。

叫んでも当然だろう。リンドウの別荘はミシロタウンに有る住居では一番大きく、ぶっちゃけ言えば豪邸だった。と言うのも、リンドウがこんな立派な豪邸を買えた訳だが…チャンピオン時代の報酬を、高専の学費と食費とその他雑費以外使ってなかったのが原因であり、物凄く貯蓄が貯まっていた為だ。

 

そんなリンドウの別荘の前にやって来た、ポケモンスクールのリンドウクラスとククイ博士とバーネット博士。

 

「話には聞いていたが…随分と立派だな」

 

これにはククイ博士も驚きだ。そもそも、ポケモンのチャンピオンは防衛戦のファイトマネーや招待試合のファイトマネーで凄く報酬が有る。現実世界で言えば、K-1等の世界王者が一試合のファイトマネーでがっぽり稼ぐのと同じような物だ。

だが、リンドウは必要最低限以外を貯蓄していた。仕送りもしたが、両親に「自分で使え」と言われた為に…ホウエンでの活動拠点としてこの豪邸を購入したのである。

 

「チャンピオン時代の報酬を極力使わずに貯めてたら、こうなった。

長期休暇の時はホウエンでの仕事も有るしな。活動の拠点は必要だったんだよ」

 

リンドウはホウエンでは超有名人であり、ポケモンスクールが長期休暇の時はホウエンでの仕事も有る。その場合に、この豪邸を活動拠点として使うのだ。

 

だが…サトシ達には1つの疑問があった。こんな豪邸ならば、管理も大変な筈である。その上、リンドウは普段はアローラに居るのだ。

ホウエンに来る度に掃除や庭の手入れを行わなければ成らないが、見た感じでは庭も手入れがされており…豪邸も綺麗だ。

 

「リンドウ先生…掃除とかは」

「言い忘れた。普段はこの豪邸、人が住んでるから」

 

人が住んでる。確かにリンドウはそう言った。疑問に思うサトシ達だったが、問答無用にリンドウはインターホンを押す。

 

「ただいま。生徒達を連れてきたら、表に出てきてくれ。アセロラも居んぞ」

 

リンドウがそう言うと、豪邸の中から何やら足音が聞こえる。足音は複数であり、何人か既に居るようだ。

 

「妙だな…普段はヒガナとそのポケモンしか住んでいない筈なんだが」

「住んでいる人って…ヒガナさんですか!?」

 

そう、この豪邸はリンドウが不在の時はヒガナとそのポケモン達が暮らしており…家賃は勿論、タダである。

 

「おう…ヒガナとゴニョニョ、そんでボーマンダ、ジュカイン、チルタリス…とかだな。

基本的に俺が留守の時はヒガナが管理をしてるな。今日はヒガナも試合とか無いから、友達を誘ったんだろう…ルチア辺りを」

 

リンドウがそんな事を言ってると、豪邸の扉が開くと中から明らかに私服姿のヒガナ…そして。

 

「アローラ!カントー以来だな!ポケモンスクール御一行の皆様!」

 

何故かタケシと…1体のルカリオだった。

 

「久し振りだな…サトシにピカチュウ」

 

そのルカリオはサトシとピカチュウに向けてそう言った。確かにルカリオというポケモンは賢く訓練すれば人の言葉を話せるようにも成る。

だが、このルカリオはギエピーやニャースのように流暢に話したのだ。

 

「「「えっ知り合い!?」」」

 

リンドウを含め、ポケモンスクールのメンバーがサトシとピカチュウの方を向いて2人に問う。

それと同時に…リンドウは心の中で…

 

――えっ!?波動の勇者様!?なんで生きてるの!?生きてるの嬉しいけど!!

 

前世で見た映画の知識の為か、目の前のルカリオが何者か瞬時に理解してしまった。間違いない、この声と言いサトシとピカチュウを知っている事から間違いないだろう。

このルカリオは映画 波導の勇者ルカリオに出てきた、件のルカリオなのだから。

 

しかし、彼は映画の終盤で…力を使い果たし、消滅してしまった筈だ。だが、どうして彼が生きているのだろうか?

 

「…取り合えず、家の中で話をしないか?」

 

何時までも豪邸の前で話すわけにもいかない。彼等はリンドウの言葉に従い、豪邸の居間で話すことにしたのだった。

 

リンドウの豪邸のリビング。ぶっちゃけ、ククイ博士の自宅のリビングよりも遥かに大きく、そこそこの人数であるスクール組+ヒガナとタケシそしてルカリオが寛げる程は有り、全員が椅子やソファー、クッションに座って寛ぐ。

 

「サトシ…このルカリオはお前の友人…という事で良いのか?」

「あぁ!でも…あの時、コイツは…」

 

カキの質問に肯定するように言うサトシだったが、その表情は何処か悲しそうだ。それもその筈、このルカリオは始まりの樹を救うために…力を使い果たしてサトシの目の前で消滅した筈なのだから。

 

「そうだな…タケシには既に話したが、私はあの時…波導を使い果たして消滅した」

「待ってくれ!それだと…君は死んだって事だろ?だが、君は生きてるじゃないか」

 

ククイ博士の言うとおり、ルカリオは生きている。しかし、ルカリオは自分は死んだと言ったのだ。

 

「そうだ。事実、私は生きている。あの後、サトシ達がロータを去って暫くした時だったな」

 

ルカリオは自分の身に起きた事を話し出した。

 

「私は……とある鳥ポケモンの力で復活した。初めて見るポケモンだった…金色と言うべきなのか、虹色と言うべきなのか分からないが…鮮やかだった」

「「「「復活!?」」」」

 

死んだ筈のルカリオがご覧の通り甦っているのだから、復活は可笑しくは無い。だが、ルカリオは鳥ポケモンの力で復活したと言った。

鳥、ポケモン、復活、金色、虹色…そのキーワードから連想される伝説のポケモンをリンドウとブルーは知っている。様々な伝説のポケモンの中で、限りなく幻想に近いポケモンであり……唯一、正面に対面出来たトレーナーはレッドだけ。

 

「ねぇ、リンドウ。そのポケモンってまさか…」

「間違いなく、ホウオウだろうな。文献と伝承、そしてレッドが撮影した写真でしか存在を認知されていない…伝承のポケモン」

 

ホウオウ…聞いたことも無い名前を告げられて、サトシ達は勿論、ククイ博士も首を傾げる。

 

「ルカリオ…お前が見た鳥ポケモンはこのポケモンか?」

 

リンドウはスマホの図鑑アプリを起動させ、1体のポケモンを見せる。そのポケモンは幻獣 朱雀を想起させる鮮やかなポケモンであり…サトシにとっては忘れられないポケモンなのだ。

 

「ホウオウ!?コイツ…ホウオウって言うんですか!?俺とピカチュウは旅立ったその日に、ホウオウを見たんです!」

「「はぁー!?このポケモンを生で見たのは…レッドだけだぞ!?」」

 

そう、サトシはこのホウオウを旅立った時に見たことが有るのだ。という事は…レッドの他にもサトシもホウオウを見たことが有るという事だ。

 

「えっ!?レッドさんが!?」

「このホウオウの写真も…レッドが撮影した物だ。それより、ルカリオ…どうだ?」

「私が見たのは間違いない。このポケモンだ」

 

どうやら、ルカリオはホウオウの力で甦ったようだ。普通ならば有り得ないが、ホウオウの力が有ればそれが出来る。事実、ホウオウは火災で亡くなった3匹のポケモンを蘇生させ…傷まで治した程の力を持っているのだから。

 

「しかし…ルカリオこれからどうするんだ?」

「その事だが、サトシ…私を捕まえろ」

 

捕まえろ…つまり、サトシのポケモンに成るという事なのだ。

 

「えっ!?俺で良いのか?」

「そうだ。それと…サトシの恩師よ、頼みが有る」

 

 

 

「で?ルカリオ同士の対決って訳ね」

 

場所は変わってリンドウ別荘の庭。そこにはポケモンバトルを行う事が出来るバトルコートが有り、そこでサトシのルカリオとリンドウのルカリオ(ややこしいので、以後 ニックネームのルカ)が向かい合っていた。

 

「師匠、どっちが勝つと思う?指示無しの対決でしょ?」

「ルカもサトシのルカリオも人のように考え、動けるからな」

 

ヒガナとリンドウはそう言い、サトシ達もルカリオ同士の対決を見守る。

 

先ず、最初に動いたのはリンドウのルカだった。

 

『波動弾!!』

 

ものの数コンマで波動弾を生成したルカはルカリオ目掛けて波動弾を放つ。波動弾は必中の格闘タイプの特殊技…避けることは不可能だ。

しかし…ルカリオは右手を前に出して波導を放出する。やがて、波動弾はルカリオの右手に直撃する瞬間に…四散してしまった。

 

『成るほど…拙者の波動弾を波動のコントロールを応用し、四散させましたか』

「格上の波導使い波動弾は通用しない。だが、今ので種を見破るか…話に聞いただけだが、凄腕の戦士だと理解した」

 

ルカの言うとおり、ルカリオは波導のコントロールを応用してルカの波動弾を四散させたのだ。

 

すると…今度はルカリオの手に波導が集まっていく。

 

「ならば…今度は此方からいくぞ!波動弾!!」

 

ルカリオはルカよりも少し時間がかかったが、ルカよりも高密度な波動弾を生成し…ルカに目掛けて解き放つ。高速で迫り来る波動弾だったが、ルカは嘗てスイクンのハイドロポンプを受け流した…回天式のジャイロボールで波動弾を反らして防いでしまった。

 

「まさか…波導とジャイロボールを組み合わせるとはな」

『これでは…不毛ですな…では…此方から行きますぞ!』

 

ルカは神速を用いて駆け出し、ルカリオにインファイトを仕掛ける。だが、ルカリオはポケモンが殺し合いをしていた時期を経験してる戦士。波導の使い方は勿論、近接戦も心得ており、ルカの動きに対応してて応戦する。だが、そんな攻防が数秒続いた時……ルカの掌底がルカリオの腹部に当たると、ルカリオは腹部を抑えて片膝を着いてしまった。

 

『お主の敗けです、ルカリオ殿』

「ああ…私の負けだな」

 

ルカリオの敗因は発勁。ルカの発勁で内臓にダメージを受け、慣れてない内臓の負荷と内臓が高速で揺さぶられた事へのダメージだ。

 

「しかし…発勁にそのような使い道が有るとはな。参考に成る」

『他にもボーンラッシュの骨を槍のように使ったり、それで跳躍したりと…様々な方法が有りますぞ。

ですが、お主の波導は実に素晴らしい』

 

ここに…ルカリオ同士の友情が芽生えたのであった。

 

「お前達、そろそろオダマキ博士の所に行くから」

 

荷物を置いたら、次はオダマキ研究所の見学である。

 

 

 

「うん。この子達も順調だな」

「そうですね…博士」

 

オダマキ研究所では太っちょの博士 オダマキ博士とその助手が、新人用のポケモン…所謂ホウエン御三家のキモリ、アチャモ、ミズゴロウの面倒を見ていた。

キモリ、アチャモ、ミズゴロウはポケモンフーズを良く食べており、体調もバッチリである。

 

「チャモ!」

「ミジュ!?ミジュ!!」

 

しかし…アチャモがミズゴロウのフーズを奪った事で、事件は起きようとしていたのだった。




次回!脱走したホウエン御三家を探せ!?


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73時限目

ホウエン御三家と後のジムリーダーの出会い。


「こら!辞めないか!ミズゴロウにアチャモ!」

 

――僕のご飯!僕のご飯!!

 

――べー!悔しかったら、攻撃してみろよ!

 

オダマキ研究所では…ご飯を奪われたミズゴロウとアチャモも大乱闘が起きていた。

ミズゴロウを挑発するように笑みを浮かべるアチャモ。どうやら、このアチャモは物凄く悪戯好きのような性格のようだ。

 

「ミジュュュ!!」

 

対し、大好きなご飯を奪われたミズゴロウは怒る。無理もない、このミズゴロウは食べることが大好きであり、ご飯が生き甲斐だった。確かにトレーナーと共に未知の所に行きたい欲求や願望は有るが、食べるのが大好きなのだ。

 

ミズゴロウは水鉄砲を口から放つが、アチャモは軽やかな身のこなしで水鉄砲を楽々と交わしていく。ミズゴロウは怒っているが、アチャモは冷静だ。それ故に的確に避けていく。

 

「チャモ!」

「キャモ!?」

 

そして、アチャモはガードベント宜しくと第三者だったキモリを盾にして水鉄砲を防ぐ。

全く無関係だったキモリもこれで大乱闘に参加し、研究所は大混乱。

 

「博士!!」

「ハルカかマサトを呼んできてくれ!!いや…もうすぐリンドウが教え子と共に来る。それまで持ちこたえ…」

「博士ぇぇぇ!!」

 

だが、オダマキ博士の顔面に火の粉、水鉄砲、そしてタネマシンガンが直撃する。

 

「博士!?」

 

オダマキ博士が倒れた為か、研究所は更に大混乱。やがて、機材等にも攻撃が当たり…バチバチと火花を立てて爆発し…壁に穴が空いてしまった。

 

「チャモ!」

 

そして…アチャモはこの穴から外に脱出し…

 

「ミジュュュ!!」

「キモ!!」

 

アチャモを追い掛けて粛清する為か、キモリとミズゴロウも脱出してしまったのだ。

 

「なんて…事だ…」

 

初心者のポケモンであるキモリ、ミズゴロウ、アチャモの脱走。この事にオダマキ博士の助手は頭を抱えてしまった。

オダマキ研究所も他のポケモン研究所と同じく、ポケモンの預かりサービスを行っており、此処には様々なトレーナーが預けたポケモン達が生息している。勿論、野生のポケモンも多く生息しているのだ。

 

研究者の間で魔境として有名なオーキド研究所と比べると、オアシスと例えて良いほどに平和な環境だ。だが、それでも温室育ちなキモリ、ミズゴロウ、アチャモの3匹からすれば未知の環境であり、危険な目に遇うかも知れない。

 

「うわ…呼鈴ならしても誰も出ないから何事かと思えば、こんな有り様かよ」

 

ふと、そんな声が聞こえ…助手は後ろを振り向く。そこには教え子達とヒガナ、タケシ、ブルーとククイ夫妻を連れたリンドウであった。

 

「リンドウさん!!」

「えっ!?リンドウ!?呼鈴ならしてよ!!」

 

チャンピオンの降臨に助手は喜び、リンドウの名前を聞いたオダマキ博士は立ち上がる。

 

「鳴らしましたよ。10回位。そんで…オダマキ博士、顔…凄い事に成ってるけど…何が有った?」

 

煤が付いてるし、濡れてるし、軽い打撲の跡が残るオダマキ博士の顔面。無理もない…彼は火の粉、水鉄砲、タネマシンガンの直撃を受けたのだから。

 

「実は…初心者のポケモンの面倒を見ていたんだ…斯々然々でね」

 

オダマキ博士は事情を話し、リンドウ達は状況を理解した。オーキド研究所よりは超安全とは言え、野生のポケモンや鍛えられたポケモンが居るオダマキ研究所の敷地内。

そんな所に飛び出してしまった、か弱い御三家のポケモン3匹。

 

「成るほど…分かった。俺が見てくるよ」

 

リンドウが3匹を探しに行こうとするが…

 

「俺が行きます!」

「私も行きます!」

「私も!」

 

カキ、マオ、スイレンが立候補した。彼等は炎、水、草タイプの使い手。そのタイプのか弱いポケモンが危険な目に遇うかも知れないが故に、自分から捜索を決めたのだ。

 

「分かった。良いぞ」

 

リンドウから許可を貰い、スイレンとマオ、カキはお互いに頷いて御三家の捜索を始めたのだった。

 

 

 

 

「ミズゴロウ!何処?」

「パウパウ!」

 

スイレンはアシマリを出して、ミズゴロウの捜索を行っていた。リンドウ曰く、ミズゴロウは水辺に生息するポケモン。川の清流から少し汚れた池や沼地まで幅広く生息するポケモンだそうだ。

そのミズゴロウを探すために、スイレンとアシマリは池の周囲にやって来ていた。この辺りなら、ミズゴロウがやって来そうな為である。

 

「パウ!」

「あっ!ミズゴロウ居た!」

 

ミズゴロウは池の畔に居たが、お腹が空いたのだろうか…何だか元気が無い。

 

「ミジュ……」

 

グーと鳴り響くミズゴロウのお腹。当然だ、ミズゴロウは満腹に成る前にアチャモにご飯を奪われたのだ…少ししか食べておらず、直ぐにお腹が空いてしまったのだ。

 

「どうしたの?お腹が空いた?」

 

ふと、そんな声が聞こえてミズゴロウは前を見る。そこにはポケモン用のバーを取り出してミズゴロウに差し出すスイレン、そして彼女と寄り添うアシマリの姿であった。

 

 

その頃…カキは…

 

「ちょっ!?おま!?何をするだー!!」

「チャモチャモ!」

 

悪戯っ子なアチャモの手で、顔面に甘い蜜を塗られてしまい…カキの後ろから数多のスピアーが迫り来る。狙いはカキの顔面に塗られた甘い蜜だ。

 

「マジかよ!」

「ガメスン!?」

「チャモ!チャモモモ!」

 

数多のスピアーをカキとバクガメスに押し付け、アチャモは軽快にその場を去っていく。

 

これが、後のアローラ炎ジムのジムリーダーカキと、彼のマジシャンズレッド(バシャーモ)の出会いである。




次回!マオとキモリ、カキと後のマジシャンズレッド。

マジシャンズレッドとバシャーモって似てません?(笑)


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74時限目

「キモリ!何処に居るの?」

「アママーイ!」

 

スイレンがミズゴロウを保護してる頃、マオとアママイコはキモリを探していた。

ぶっちゃけ言えば、キモリはアチャモの悪戯に巻き込まれた被害者であり、アチャモのように何か悪戯を仕掛けてくる様子は無い…筈。

 

「キモリ居ないね」

「アマーイ…」

 

野生化ではキモリは主に密林等に生息しており、開けた場所が多いオダマキ研究所の敷地内では発見は簡単だ。しかし、林等…木々が多い繁る所も勿論有るのでマオとアママイコは其処を重点的に探してる。

 

しかし、彼女達は未だキモリに出会えていないのだ。

 

だが、アママイコには秘密の必殺技が有るのだ。それは甘い香りであり、その技を使えば野生のポケモンも多くやってくる。もしかすれば、キモリもアママイコの香りに誘われてやって来る可能性だって高いのだ。

 

「よーし!アママイコ!甘い香り!それでキモリを誘きだそう!」

「アママーイ!!」

 

アママイコは甘い香りを放出する。すると、アママイコの香りに誘われてか…多くのポケモン達が見えてきた。中にはアゲハントやヘラクロス、多くの虫ポケモンも見えてきた。

 

「アママイコ!ホウエンのポケモン達だよ!アローラじゃ見ないね」

「アマーイ!」

 

アゲハントやドクゲイル、キノココ等の様々なポケモンを見るマオとアママイコ。だが、肝心のキモリは姿を見せない。

別のポケモンに居る可能性も有る。マオとアママイコはポイントを変えようとしたが…その時。

 

――お姉さーーーーーーーーーーーーん!!

 

と…アママイコにはポケモンの声でそう聞こえた。すると、何やら目の色をハートにしたキモリが此方に向かって飛んでくるでは有りませんか。そう、このキモリこそ、マオ達が探してたキモリである。

 

「アマ!?」

「うわ!?飛んできた!?」

 

マオとアママイコの前で綺麗に着地するキモリ。その手には何処から取ってきたのか、モモンの実と葉っぱが有る。

 

「キモ!」

 

キモリは手刀でモモンを鮮やかなデザートに切り分けると、葉っぱをお皿にしてマオとアママイコに差し出した。

 

――デザートです。

 

「凄い!料理が出来るの!?私、マオ!こっちはパートナーのアママイコだよ!」

「アマーイ!」

 

このキモリ…なんと、料理が出来たのだ。

 

――マオさん、アママイコちゃんですね!?末長く…くそお世話になりまーーす!!

 

このキモリ…物凄く女好きであり、マオのポケモンになるき満々である。

 

食いしん坊のミズゴロウ、女好きのキモリ…そして悪戯っ子のアチャモ。一癖も二癖も有る初心者用のポケモンであろう。

 

 

 

一方…その頃、アチャモを探していたカキだったが…

 

「酷い目に有ったぜ!」

「ガメスン…」

 

カキとバクガメスは全身が泥だらけに成っていた。無理もない…彼とバクガメスは色々とアチャモの悪戯に巻き込まれたのだ。

最初は顔面に蜂蜜を塗られ、スピアーやドクゲイルに追いかけ回され…その後には落とし穴に落ちたり、兎に角大変な目に有ったのだ。

 

「風呂に入りてぇ…」

 

アチャモの悪戯に巻き込まれ…何だか目の色が無くなってきたカキとバクガメス。

 

「チャモ!チャモ!チャモ!!」

 

一方アチャモはカキとバクガメスを見て、捕まえて見せろと言いたいのか…挑発しながら前方を歩く。しかし、アチャモは前を良く見てなかったのか…何かにぶつかってしまう。恐る恐る、アチャモが前を見ると……そこには大きなポケモン ハガネールが居たのだ。

 

「チャモモモモモモ!?」

「ハガネー!!」

 

恐らく、誰かが預けたポケモンだろうか?そのハガネールはある程度は鍛えられており、タケシのハガネール程では無いがそこそこやる個体だと言うのは見て分かる。

 

すると、ハガネールはアチャモに襲い掛かる。アチャモに迫り来る絶体絶命のピンチ。

 

「仕方がない!バクガメス!やるぞ!」

「ガメスン!!」

 

バクガメスがハガネールの攻撃を受け止め、カキがその間にアチャモを確保する。

 

「バクガメス!ハガネールの足元に龍の波動だ!」

「ガメッシュ!!」

 

バクガメスはハガネールの足元に龍の波動を放ち、ハガネールの眼前は舞い上がった砂煙等で目眩ましに成ってしまう。

 

「グゥオオオ!!」

 

ハガネールは咆哮を挙げて、砂煙を吹き飛ばす。しかし、砂煙が晴れた先には…カキとバクガメスそしてアチャモの姿は何処にも無かったのだ。どうやら、どさくさに紛れて逃げたのだろう。

ハガネールは物に当たるように、地面に向けて尻尾を叩き付けると何処かに去っていった。

 

ハガネールが去り、暫くすると…もこもこと地面が盛り上がり、バクガメスとカキ…カキに確保されたアチャモが出てきた。

 

「ふー…もう大丈夫だな」

 

そう、カキはバクガメスの技 穴を掘るで地面の下に逃れており…ハガネールが去るのを待っていたのだ。

先ず、砂煙で撹乱し…その隙にバクガメスの穴を掘るで地面の下に逃れる。そうすれば、ハガネールは何処かに去ったと勘違いして見逃してくれる算段なのだ。

 

カキの思惑通りにハガネールは去っていき、カキ達は地面から出てくる。

 

「お前、もうこんな悪戯は辞めろよ?俺達が居なかったら、大怪我してたかも知れないぞ」

 

カキの言葉を聞いてか…アチャモは子供のように泣き出してしまった。

 

「チャモ!チャモ!チャモ!!」

「泣くな泣くな、帰るぞ」

 

無事にアチャモ、ミズゴロウ、キモリは確保されたのだった。

 

 

だが、一連の行動でカキ、マオ、スイレンに懐いたホウエン御三家を見たオダマキ博士は…

 

「その子達は君達に譲るよ。私から見ても、その子達は君達と一緒に居たいみたいだ」

「「「えっ!?良いんですか!?」」」

 

――ぉぉぉおおおおお!!マオさんと居れるんですか!?博士…今まで、くそお世話に成りました!!

 

等のキモリはオダマキ博士に頭を下げて、今までの感謝を述べるのだった。

 

だが、オダマキ博士のお陰でスイレン、マオ、カキはホウエン御三家をゲットしたのだった。

 

 

 

その日の夕方6時過ぎ。

 

リンドウ達は豪邸の庭に戻り、BBQの準備をしていた。

 

シュールに火起こしを手伝うレウスとグラードン、ヒガナのボーマンダが居るが気にしてはいけない。

 

すると、インターホンが鳴り響く音が聞こえた。

 

「来たか」

「「「来た?」」」

「言い忘れたが、今回のホウエン合宿はタケシとヒガナの他にゲストが居る。俺が高専チャンピオン時代から世話に成ってる家族の人だ」

 

リンドウはそう言うと、外門の方へと歩いていく。気になったサトシもリンドウに着いていくと…そこには

 

「リンドウさん!来ましたよ!もうすぐ、パパも来るかも…………サトシ!?」

「えっ!?サトシ!?なんで此処に居るの!?」

「「サトシだ!」」

 

サトシと嘗て共に冒険した仲間 ポケモンコーディネーター ハルカとその弟のマサト。そして、ハルカとマサトのパートナーであり幻のポケモンであるジラーチとマナフィが居たのだ。

 

「えっ?お前達、知り合い?…いや、待てよ?ハルカが前に言ってた、共に旅したピカチュウを連れたトレーナーってサトシだったのか!?」

「ハルカが昔言ってた…物凄く強いリザードンを連れたトレーナーってリンドウ先生だったんですか!?」

 

なんと言う事でしょう。リンドウが言っていたゲストとは、サトシの嘗ての仲間であるハルカとマサトだったのだ。

 

「サトシ、リンドウ教員。どうした?」

「グラー?」

 

更にややこしい事に、グラードンとルカリオまでその場にやって来た。

 

「「「ルカリオが生きてる!?てか、グラードン!?」」」

 

だが、ハルカ達は知らない。この後、スイレンのカイオーガが待っている事を。




キモリの中の人のイメージは……麦わら一味のコックさんです(笑)

次回!ホウエン合宿本格始動。

リンドウ達は水ポケモンや洞窟のポケモンが多く居る、ムロタウンに飛ぶ。

だが…そこにとあるポケモンを求めて…多くのポケモンハンターが!?

「えっへへ!このポケモンを使えば、一攫千金だぜ!」

だが…そのポケモンハンターは知らない……ホウエンチャンピオンがやって来ていた事を。



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75時限目

セレナ…ゲットする


――私は産まれた時から…両親や兄と違う姿で産まれてきた。

 

ムロに有る洞窟。その洞窟の中から外を眺める、一匹のフェアリー・岩タイプのポケモンが居た。

 

――でも…私は外が大好きだ。でも……。

 

そのポケモンは両親にメレシーを持つ。本来…ポケモンの子供は母親と同じ種族に成るという法則が有る。例えば、ピッピが父親で母親がピカチュウだとすると…産まれるのは進化前のピチューに成るのだ。

しかし、そのポケモンは両親であるメレシーとは異なる姿で産まれたのだ。

 

「おい!?本当に居るんだよな?」

「あぁ!間違いないさ!此処に…メレシーの突然変異であるディアンシーが居るらしいぞ!」

 

外から人間の声が聞こえる。風の噂で聞いた、白の英雄と本当の主に巡り逢う前の抜殻の英雄が戦ってから、この周囲には人間がやって来る。

 

――隠れなきゃ…

 

そのポケモンはディアンシー。極稀…本当に何万分の一という僅かな確率で、メレシーの雌が卵の段階から突然変異を起こして誕生するポケモンである。

メレシーの1頭身とは違い。顔と胴体が有り、メレシーと同じくピョンピョンと跳ねて移動する。

 

ディアンシーは出生の確率が物凄く低く、幻のポケモンと言われている。その上…ディアンシーは空気中の炭素を圧縮し…ダイヤモンドを量産できるのだ。

特に…最近はレイドバトルと称して伝説のポケモンや珍しいポケモンを集団で襲い、捕まえる事が流行っている。ディアンシーもその標的と成っており、ポケモンハンターや物好きのトレーナーに狙われるのだ。

 

ディアンシーがピョンピョンと跳ねて、洞窟の奥に向かうと…3人の男達が洞窟に入ってきた。

 

その男達はライボルト、ドククラゲ、ヘルガーを連れており…嘗てスイレンのカイオーガを捕まえるためにレイドバトルを挑んできた哀れな男たちである。

 

「おぅ!ダイヤモンド落ちてるじゃん」

 

その1人は洞窟の入口に落ちていたダイヤモンドを拾う。ダイヤモンドがこんな入口に落ちてるのは先ず有り得ない。その為か、男達は笑みを浮かべる。

 

「ディアンシーマジで居るんじゃね!?」

「ああ!カイオーガはあのクソガキがゲットしたが…ディアンシーはそんなに知られていない!これはチャンスだぞ!!」

「ディアンシーの力で荒稼ぎして、そんで裏ルートでマスターボールを購入して…伝説のポケモンで手持ちを固めるんだ!」

 

だが…男達は知らない。既に洞窟には……彼が居ることを。

 

 

 

「はーい!注目!此処が有名な古代人が描いた、壁画に成りまーす!」

 

ポケモンスクール組は現在、ムロタウンにやって来ているがグループを2つに分けていた。

リンドウ率いる洞窟探検組、そしてククイ博士率いる海辺での探索組だ。彼等はフィールドワークをしながらホウエンの事を学んでおり、リンドウ率いる洞窟探検組にはサトシ、セレナ、タケシ…だけである。

 

現在…リンドウ率いる4人は洞窟の奥に有る、古代人が描いた壁画の前に来ていた。その壁画には少し姿の異なるグラードン、カイオーガ、そしてメガシンカしたレックウザが戦っており、その戦いの余波から人間を守るために奮闘するレジギガス率いるレジ軍団の姿が有ったのだ。

 

「嘗て…ホウエンはカイオーガが海を広げ、グラードンが大地を広げたと有るが…それは最近の研究では古代人の創作話という結論が出た。

だが…グラードンとカイオーガは神話通りの力を発揮でき…この世界のホウエンに伝わる個体は各々の場所で眠りに着いている」

 

リンドウの言葉を聞くサトシ達。すると、何かが近付いて来る音が聞こえ、その方を見ると…そこにはディアンシーが居たのだ。

 

「へっ?ディアンシー?マジで?えっ!?」

「えっ?本物!?ウソ!?」

「マジか!?」

「ピカチュ!?」

 

幻のポケモン、ディアンシー。その姿を見たリンドウ達は驚くが…人間の姿を見たディアンシーは後ろに下がろうとする。

 

「メレシーーー!」

「メレ!!」

「メレメレメレ!!」

 

何やら、そんな声が聞こえると…ディアンシーを守るように3体のメレシーが出てきた。

メレシーは耐久力が高い岩・フェアリーのポケモンであり、DNA的にはディアンシーと同じポケモンである。恐らくだが、このディアンシーの両親と兄弟なのだろう。

 

そのメレシーを見た感じだが、間違いなく怒っている。まるで、リンドウ達がディアンシーを拐いに来た何かと勘違いしているのだろうか?

 

「落ち着け…俺達はその子に手を出さないさ。安心してくれ」

 

だが…リンドウ達に危害を加える気は皆無であり、リンドウはメレシー達を宥める。

 

メレシー達は信じられないのか、疑いの目でリンドウを睨むが…ディアンシーはリンドウ達を信じたいのか、ピョンピョンと跳ねてリンドウ達の前にやって来る。

 

「おっ?信じてくれるのか?お菓子をあげたいが…今は切らしてるんだよな?」

 

しかし、リンドウは現在…ポケモン用のお菓子が手元には無い。

 

すると…セレナがポケットから何かを取り出した。それはポロックケースであり、彼女はピンク色のポロックを取り出してディアンシーに手渡す。

 

「はい!ポロック。これはポケモンのお菓子だよ」

 

手渡されたポロックを持ち…興味深そうに首を傾げるディアンシー。匂いを嗅いで、食べ物だと判断したのか…そのポロックを口に運ぶ。

すると…甘い味がディアンシーの口の中で広がり、ディアンシーは美味しさで跳び跳ねる。

 

――なにゅこれ!?頂戴!頂戴!

 

「まだ有るよ。安心して」

 

だが…

 

「居たぞ!!」

 

その声が洞窟に響き、ディアンシーとメレシー達目掛けて火炎と雷撃、そして激流が飛んで来る。

 

「ルカ…防げ」

『御意』

 

だが…その攻撃はリンドウのボールから飛び出したルカがジャイロボールの回天で防いだ。

 

「まだだ!ディアンシーを捕まえて…えっ?」

「これで一攫千金…て?」

「ウソだろ…あれって…」

 

攻撃したのは勿論、件のトレーナー達だ。だが、彼等は同時に見てはいけない人物を見る。

 

「「「ホウエンチャンピオン!?」」」

「YES。ルカ…やれ」

『御意。そう言えば君達は…スイレン殿のカイオーガを虐めてた輩ですな?手加減はしませんぞ?』

 

数秒後……ポケモンハンター達はピンポンダマのように弾け…洞窟の外に吹き飛んでいった。

 

「「「あんまりだーーー!!」」」

 

ポケモンハンター…リタイア?

 

その後…無事にメレシー達とも打ち解けたリンドウ達だったが、別れの時が近付いてきた。

 

「それじゃ、俺達は行くわ。またな…」

 

洞窟から去り、ブルーやククイ博士と合流しようとするリンドウ達であったが…ふと、後ろを振り向く。そこにはあのディアンシーが着いてきていたのだ。

 

「どうした?俺達と来たいのか?」

 

リンドウの問いに答えるようにディアンシーは頷く。

 

「だっ…そうだセレナ」

「えっ!?私ですか!?」

「俺は既に6匹オーバーしてるし、それはサトシもだ」

「岩タイプだから…俺といきたいが…譲ろう!」

 

リンドウ、サトシ、タケシがセレナを見て…セレナはディアンシーの視線の高さまでしゃがむ。

 

「本当に私で良いの?」

『勿論!ですわ!』

「「「しゃべったー!?」」」

 

その後…無事にディアンシーはセレナにゲットされましたとさ




次回!突撃のデボン!まさに大誤算!!


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予習授業 ミヅキとアローラリーグ

ミヅキちゃん再び…ミヅキちゃんシリーズは不定期で書いていきます。


数年後のメレメレ島ポケモンスクール。そこはサトシが愉快なクラスメートと共に勉学に励んでいた時と比べて、随分と立派に成っていた。

 

嘗てはトレーナーとポケモンを導く学舎だったが、未来では正に大学と言って良い程に規模も大きくなっており、小学生程のルーキートレーナーから大人でポケモンを研究している未来のポケモン博士も通っているのだ。

 

とは言え…ミヅキは未だトレーナーに成り立ての10歳。未々分からない事も有り、前世で感じたゲームと違うポケモンとの接し方等…学ばなければ成らない所が沢山有るのだ。

特に…バトルが正にそれである。ゲームのポケモンなら交互に技を選択し、技を繰り出す。しかし、この世界のポケモンバトルは現実であり…ターン制なんて優しさは無いのだ。立体的にポケモンは動き、更に技も応用が聞くのでトレーナーは的確に指示を出さないとパートナーが一方的にやられるのを見ているしか出来ない。

 

「やっぱり…バトルは大変だな…」

「クルッポ!」

 

そんなミヅキも島キング(数年後の)ハウからモクローを貰い、パートナーとして日々学んでいる。

彼女とモクローが居るのは嘗て、アローラチャンピオンとジムリーダー達が学んだ教室だ。サトシ達が学んだ学舎はジュニアスクールクラスからジュニアハイスクールクラスの子供達が日頃から学ぶ校舎として使われており、ミヅキや他の子供達もそこで学んでいる。

 

だが、まだミヅキのクラスメートは来ておらず…ミヅキはスマホの動画でアローラチャンピオン サトシとカロス四天王 アランのエキシビションマッチの戦いを見ている。昨年度の戦いとは言え、今でも伝わる戦いであり…ミヅキは良く凄腕のポケモントレーナーの試合を見て勉強している。

 

――てか…アランがカロス四天王に成ってたんですね。

 

自分の前世と大きく違うポケモンの世界に段々と慣れてきたミヅキちゃん。ブラックがイッシュチャンピオンで黒白の主人公、ホワイトがコンテストマスターで黒白2の主人公等々…ゲームの主人公が実在する事でももうミヅキは驚かない。

 

カロスチャンピオンが未来のユリーカだったのが、一番の衝撃で………サトシ(ギラティナ)、ユリーカ(ジガルデ)、ホワイト(キュレム)、ブラック(レシラム)、スイレン(カイオーガ)等は余裕で禁止伝説を使ってくるわと…気にしてはいけない。

 

「アローラ!相変わらず、ミヅキは早いね!」

「アローラ!ミヅキちゃん!」

「アローラ!」

 

すると…ミヅキのクラスメートが続々とやって来た。

 

彼女のクラスメートは……ミヅキが何故か前世で知ってる別作品の子供達だが、気にしてはいけない。

 

「アローラ!ケイタ、イリヤ、ミユ、ジョウスケ」

 

未だクラスには数名の生徒しかいない。しかし、希望者が居れば増えていく。これは嘗てのサトシ達と同じだろう。

 

――もう慣れたけど…この世界ってポケモンだよね!?なんでfateと妖怪ウォッチのキャラが居るの!?てか、霊長類最強女子も居なかった!?スタンド使いも居るよね!?てか…ジョウスケって大きくなったら、ジョジョの仗助に成るよね!?

 

何故か…この世界には明らかに別作品な人も居る。当然、スタンド等の特殊能力は無い。

 

「アローラ!皆さん、席に着いてくださいね!」

 

すると…今度は18歳程に成長し、ナイススタイルの美女 リーリエがやって来た。このクラスはリーリエが担任であり、ミヅキ達はリーリエの教え子なのだ。

普段、ミヅキ達はリーリエからポケモンの接し方やバトルのコツ等を教えて貰い、日頃から色々と学んでいるのだ。

 

やって来たリーリエ先生の指示に従い、ミヅキ達は自分の席に座る。それを見届けたリーリエは笑みを浮かべて、話し出した。

 

「皆さん!今年もアローラリーグの季節がやって来ました!では、改めてポケモンリーグに関して説明しますね。

ポケモンリーグはカントー地方に本部が有る組織であり、各々のリーグには各々チャンピオンが居ます。年に一度、偉大なチャンピオンの座を手にする為に資格を満たしたトレーナー達が凌ぎを削り、激しい戦いを繰り広げます。皆さんもテレビで見たことは当然有りますよね?」

 

――うん、アニメとゲームやってたから知ってます。

 

「リーグに挑む為にはジムバッジを集める必要が有ります。

カントーやホウエン等では基本的に長い時間をかけてバッジを揃えます。中には短期間でその全てを揃える人も居ますけどね。

 

ですが、此処アローラやガラルではそのワンシーズン以内に全てのバッジを揃える必要が有ります。と言うのも、アローラは4つの島から成る島国の地方。他の地方と比べて、陸地の面積が少ないというのも有ります」

 

そう、他の地方…カントーやホウエンでは数年係でジムバッジを揃えても問題なくポケモンリーグには出れる。しかし、島国のアローラやスポーツ興行としての側面が大きいガラルでは事情が異なる。

アローラでは受付が始まる日から定められた規定期日迄にバッジを毎度揃える必要が有るのだ。だが、アローラの陸地面積が他の地方と比べたら少なく…その気になれば1ヶ月以内にバッジを揃えれる事が出来る為である。

 

「リーリエ先生。ジムに挑む順番で有りますか?」

 

ふと、ミヅキが質問する。

 

「有りませんよ。どのジムから挑んでも問題有りません。

ジムに挑み…様々な島を巡る事をアローラではジムチャレンジと言います。ジムは1つの島に2つづつ、計8つのジムが有ります。

メレメレ島には水と草のジム。アーカラ島には炎とノーマルのジム。ウラウラ島にはゴーストと電気のジム。ポニ島には虫と複合のジムが有ります。ジムリーダーはチャレンジャーの持つバッジの数で使うポケモンを変えてきます。なので、苦手な所から行くか…メレメレ島の水と草から挑むのはどうでしょうか?」

 

ジムリーダーが使うポケモンを相手のバッジの数に合わせる。これはカントーやジョウト等の地方と同じだ。

 

だが…リーリエは知らない。後日、ジムチャレンジの申請を行った生徒達がマオとスイレンに挑み、技量の差でフルボッコにされた事を。

 

後日。

 

「「「「リーリエ先生!あのアマカジとニョロモが倒せません!!」」」」

「ジムリーダーに挑むって事はそういう事です!」

 

果たして…ミヅキちゃんは今年のリーグに挑めるのか!?大丈夫…未だ期日まで半年は有るのだから。

 

 

 

オマケのキャラ紹介。

 

未来リーリエ。

 

数年後のリーリエ。教員資格を取得し、大学生程の年齢ながらも新人教師として奮闘する。ミヅキちゃん達の頼れる先生であり、凄腕のトレーナー。

手持ちはシロン、マギアナ、イベルタル、ソルガレオ、チルタリス(メガチルタリス)、ブリムオン。

 

未来アラン

 

サトシのライバル。カロス四天王であり、過去でも成ってるかも?勿論、パキラさんの後任である。

 

未来アイリス様

 

未来のイッシュ四天王。ギーマさんの後任である。

 

未来ギーマさん

 

元四天王。未来では凄腕のサーファーとして、アローラライフを満喫してるアラフォーおじさん。アイナ食堂の常連客。

 

未来ユリーカ

 

未来のカロスチャンピオン…というか、歴代最強のカロスチャンピオン。理不尽の一人。

使用ポケモン。プニちゃん、デデンネ、ギルガルド、マフォクシー、フシギバナ、ラプラス。

カルネさん曰く「あの魔境アローラを制圧しかけただけは有るわね…手も足も出ずに負けたわ」

 

未来ホワイト

 

未来のコンテストマスター。魔境アローラを制圧しかけたポケウッド俳優。

サトシ達よりも2個下なので、未だ高校2年生でもある。実はメレメレ島ポケモンスクールのハイスクールクラスに通ってる。

ワタルさん曰く「君…キュレム使わなくても、絶対アローラの本気ジムリーダー倒せるよね!?てか、カイロスとイーブイだけでイリマ君倒したよね!?」

手持ちは勿論、キュレム(トゥルーキュレム)、イーブイ、メガニウム、色違いカイロス(惑星カイロス出身?)、アーマーガア、ミロカロス。控えメンバー色々!!

 

未来ギエピー

 

彼の伝説は未だ、アローラで語り継がれている。説明不要のギャグポケモンである。

 

 




はい、ホワイトの他にアローラを制圧仕掛けたのはユリーカでした(笑)

勿論…プニ様は…メガシンカします(笑)


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予習授業 ミヅキとアイナ食堂

予習授業は基本的にミヅキちゃんの時代で行います。


「うぇぇぇん!スイレンさんが倒せないよ!」

 

此処はアイナ食堂。アローラ草ジムの隣に建てられたジムリーダー マオの実家であり、彼女の兄と父親が切盛りする食堂である。

 

時刻は午後7時。今日もアローラの未来のチャンピオンを目指すミヅキちゃんは学業に励みながら、ジムチャレンジに挑む。しかし、中々…手加減してジム用のポケモンを使ってるとは言え、スイレンを倒せないのだ。

マオは何とか倒し、草バッジを手に入れたミヅキ。彼女は捕まえたヤヤコマをヒノヤコマに進化させて、草と飛行の力を持つモクローと共にマオを倒すことが出来た。

 

だが…ジムリーダーは相手の持っているジムバッジの数で使うポケモンを変える。その結果、スイレンの使うポケモンはキャモメとカジリガメに変わり…ミヅキのヒノヤコマとモクローを瞬殺。見事にミヅキはボコボコに倒され、担任であるリーリエと共にご飯を食べに来たのだ。

 

幸いにもミヅキの母親は仕事で遅くなり、リーリエも今日はエーテル財団代表の兄と研究者の両親は遅く成るのでリーリエの奢りでアイナ食堂のご飯を楽しんでいるのだ。

 

「仕方が有りませんよ?ジムリーダー(アローラ限定)はポケモンを使う腕前は世界的に見れば四天王クラス(一部チャンピオン級)。普段は格下のポケモンを使うとは言え、普通にルーキーを返り討ちに出来ます。

先生が短大に通うためにカントーに留学してた頃ですが、カントーのニビジムのリーダーはイシツブテだけでルーキーのポケモン6匹を完封出来ますからね」

 

リーリエの口から語られる、ニビジムリーダーのジロウの恐ろしさ。そう…アローラも充分に魔境であったが、カントーも同じく魔境だったのだ。

 

「まぁ!カントーと違って、アローラのジムリーダーはジム戦ではメガシンカをしてこないので大丈夫ですよ」

「…先生、それ…慰めに成らないんですけど」

 

アローラのジムリーダーは全員がメガシンカを行える。マオはメガジュカインを使うし、スイレンはゲンシカイオーガを降臨させる。勿論、ジムリーダーでは無いがリーリエもメガシンカを行う事が出来るのだ。

 

「はいよ!お待たせ!リーリエがお任せプレートで、ミヅキが日替わりディナーだね!サービスで、アヒージョも置いておくよ!」

 

すると、料理が出来たのか…エプロン姿の美女である18歳程に成長したマオが、ウェイターでもあるジュカインとアマージョと共に料理を持ってきてくれた。

このアイナ食堂ではディナー限定で、マオや彼女のポケモン達も店を手伝っているのである。

 

「ありがとうございます!」

「ありがとうマオ」

「いーのいーの!何時もアイナ食堂を贔屓して頂き有り難うね!」

 

アイナ食堂はメレメレ島でも人気の食堂だ。とは言え、殆どの観光客はハウオリシティやホテルの高級レストランを利用するために、アイナ食堂は殆ど現地の人しか利用しないのである。

 

その為か、予約の電話を入れなくても混雑時でも少し我慢すれば普通に入ることが出来るのだ。

 

そんなアイナ食堂でリーリエが頼んだのはお任せプレート。海外でお馴染みのプレート料理だが、何をオカズなのかは完全に店主達の気分で変わるのだ。今日はロコモコや新鮮な野菜、そして魚が盛られている。

一方、ミヅキが頼んだのは日替わりディナーであり、毎日日替りでメニューが変わる物だ。今日は火曜日の為か、肉がメインである。

 

「今日はお兄ちゃんが作ってくれました!」

 

マオがそう言うと、店の奥でベロリンガと共にどや顔でサムズアップする20代半ば程の男性が居た。前世の知識があるミヅキは、彼がマオの兄であるウルと理解した。過去では料理修行の真っ最中でアローラに滞在してなかったウルだが、未来では帰ってきていた。

 

「実はマオのお兄さんも第一回のアローラリーグに出てるんですよ」

「本当ですか!?」

 

そう…アニメでは出ていなかったが、この世界ではマオ兄はアローラリーグに出場していたのだ。

 

「うん…見事な予選落ちだけどね」

 

マオから語られる真実。マオ兄は見事に予選敗退していたのだ。

 

「予選落ち?」

「確か…サオリ先生のカイリキーが放った気合いパンチの一撃で…」

 

――お前は未だ、本当の気合いパンチを知らない。

 

霊長類最強女子の言葉と共に、あっという間に溜められた渾身の気合いパンチ。それはマオ兄のベロリンガを一撃で粉砕したのだった。

 

「でも…未だ伝説のポケモンやメガシンカポケモンに粉砕されなかっただけ、未だマシじゃない?」

「ですよね。確か…ベテラントレーナーの大半はNさんのゼクロムが放つオラオラオララッシュで倒され、お父様のマッシブーンとゼクロムの戦いの余波で吹き飛んでましたもん」

 

結論、第一回からのアローラリーグから既に魔境。

 

muscle補正のマッシブーンとゼクロムがオラオラオラ合戦を行い、その余波で多くの参加者がリタイアしてしまったのだ。

 

なお、ゼクロムとマッシブーンは何事もなく生き残り決勝トーナメントに出ている。

 

「あと…スイレンのカイオーガやホワイトのキュレムに巻き添えを喰らった人とかね。ねっ?リーリエ」

「それに関しては私も人の事は言えませんからね」

 

初代アローラリーグは様々な伝説のポケモンが参戦したのだ。

 

「マオー!料理できたから運んでくれ!」

「はいはーい!それじゃ、またね!」

 

父親であるマオパパに言われ、マオは仕事に戻っていった。

 

「折角ですし、食べましょう」

「はい!頂きます!」

 

マオは行ってしまったが、リーリエとミヅキは料理を食べる。味は物凄く美味しく、ミヅキは頬っぺたが落ちそうに成る。

 

「おいひー!!」

「ですよね」

 

半分ほどを物凄い勢いで食べ進めるミヅキ。ふと、テレビを見ると…テレビにはホウエンチャンピオンの防衛戦が放送されていた。

 

『ボス!諸刃の頭突き!!』

 

ボスゴドラの一撃で粉砕されるチャレンジャーのポケモン達。

 

『強い…父親に成っても強すぎるぞ!勝者 チャンピオン リンドウ!!』

 

テレビにはボスゴドラの圧倒的な暴力で勝った、ホウエンチャンピオン リンドウが映っていた。数年前と変わらず若々しい外見をしており、無事に防衛戦を征したようだ。

 

「リンドウ先生。もうすぐアローラに帰ってきますね。

ミヅキ…あの人もポケモンスクールの先生ですよ」

「物凄く…強そうですね」

 

――この人か!アローラを魔境に変えちゃった人って!

 

当たりである。このリンドウの教えを受けたことで、リーリエ達は魔改造されたのだ。

 

「そういや…もうすぐパンケーキ祭りですね」

「パンケーキ祭り?」

 

パンケーキ祭り。ミヅキの記憶が正しければ、アニメからだが…メレメレ島にはポケモンと共にレースを行うパンケーキレースが有った筈なのだ。

 

「確か…パンケーキのレースですよね?」

「そうです!元々は町興しで行われた物でしたが、色々と盛られて…大食い対決等も増えたんです」

 

リーリエはそう言うと壁を指差す。壁には昨年度…いや、書かれた年代からすれば一昨年のパンケーキ祭りの写真が貼られており、そこには……赤い髪でナイスバディ、髪には星形のアクセサリーを着けた少女が写っていた。

 

――五等分の花嫁じゃないですか!!

 

ミヅキは前世の知識から、その少女を知っている。彼女の前世での友人が読んでいた漫画 五等分の花嫁のヒロインの一人 中野五月だったのだ。

 

「この子はサオリ先生の教え子です」

 

なんという事でしょう。写真の少女は霊長類最強女子 ヨシダ・サオリの教え子だったのだ。

 

現在、サオリ先生はハイスクールクラスの担任を受け持っているのだ。

 

「ほら…噂をすればですよ」

 

すると、アイナ食堂の扉が開いて数名の人が入ってきた。

 

「今から8名と大型ポケモン一匹、大丈夫かしら?」

 

先頭に霊長類最強女子 サオリ先生が立っており、彼女の後ろには顔立ちが良く似てるが髪型等の個性が異なる五つ子の十代半ばの少女、平たい顔族の少年、そして…伝説のポケモンキュレムとイーブイを連れた灰色のコートを羽織った十代半ばの少年が入ってきた。

 

「キュレムだぁぁぁぁあ!?」

 

ミヅキちゃん…カイオーガ、ソルガレオ、イベルタルに続き…遂にキュレムに遭遇する。なお、キュレムは常時トゥルーキュレムと成っていた。

 

――いや…なんで中野さん家の五つ子居るの?この世界はポケモンだよね?てか、この灰色コートを着た人ってホワイトだよね!?成長した黒白2の主人公だよね!?

 

「サオリ先生!それにホワイト達!テラス席が空いてますよ」

 

マオに言われ、サオリ率いる御一行は外に有るテラス席に向かっていった。

 

 

オマケ

 

未来キュレム

 

相変わらず、ホワイトの保護者。だが、ククイ夫妻やリンドウ夫妻の子供達からはジジイやマダオ呼ばわりされる。

 

未来ククイ博士

 

アラフォー。だが、相変わらずムキムキの肉体は維持しており、ビーレジェンドは欠かせない。二児(サトシとセレナ含めば4人)の父親である。実は過去に起きたとある事件で、ロイヤルマスクだという事がアローラ全域にバレている。

最近…悲しいことはサトシにもビーレジェンドを勧めたが、サトシがはまってくれなかった事だ。そして…アローラリーグのリーグ委員長である。

 

未来リンドウ

 

30の領域に突入した我らが主人公。ブルーとの間に子宝を一人授かっている。相変わらず、アローラ在住。

 

未来ブラック

 

普段はイッシュに居ており、アローラにはたまにしかやってこない。だが、それでも月一ペースでアローラに帰ってくる。

 

未来セレナ

 

カロスクイーン…ではなく、アローラクイーン。世界を飛び回りながら、アローラを拠点にしている。最近、バーネット博士とブルーに「逆プロポーズってありですよね?」と相談してる。

 

未来サオリ

 

霊長類最強女子。生身最強の女性キャラ。アローラリーグには毎年参加しており、その際に相棒のカイリキーと共に本選に毎度の如く出場し、捨て身タックルと気合いパンチが炸裂する。噂では、カイリキーよりも本人の方が強いとか。

 

霊長類最強女子の教え子

 

イチカ、ニノ、ミク、ヨツバ、イツキ。なにやら何処かで見たような五つ子。とその家庭教師なフウタロウ。彼女達と彼がサオリ先生の教え子でホワイトのクラスメートである。因みに…この6人とホワイト、2年前の中学3年生の時にバッジを集めきり、アローラリーグに出場している。

実は数年前、五つ子はポケモンを持つ前にブラックの家庭教師指導を受けている。

 




次回こそ…大誤算!!

大誤算「君達に…プレゼントが有るんだ!これは宝石としての価値は無いが、是非とも受け取ってくれ」
リンドウ「正に大誤算!!」


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76時限目

大企業…突撃の大誤算!!


デボンコーポレーション。知らぬ者は居ない大企業であり、ホウエン地方を代表する財閥だ。

 

元ホウエンチャンピオン ツワブキ・ダイゴを社長としており、前社長を会長に持つこのデボンコーポレーションにサトシ達はやって来ていた。

 

デボンコーポレーションはカナズミシティに有るのだが、最早…城と例えた方が良さそうな景観に外観。その規模に圧倒されるが…

 

「やあ、待っていたよ。メレメレ島ポケモンスクールの皆さん」

 

ダイゴこと大誤算!が待っていた社長室はもっと凄かった。社長室の彼方此方に珍しい宝石や化石がショーケースに仕舞われており、中には何かの遺伝子が入った琥珀等も展示されている。

進化の石全種類は勿論のこと、ポケモンの化石の一部、そして石や化石ではないが…ダイゴがバリバリのトレーナーだった頃に受賞した賞状やトロフィーにリボン等も展示されている。

 

壁には数年前に撮影されたと思われる写真が飾られており、そこには未だ十代の頃のリンドウと今よりもほんの少し若いダイゴとミクリ、そして10歳頃のヒガナが写っている。

 

「それじゃあ、皆も知ってると思うけど…デボンコーポレーションの社長さんであるツワブキ・ダイゴさんだ。とは言え、皆は会ったことが有るんだったな」

 

そう…此処に居る殆どの人物はダイゴに出会った事が有るのだ。

ダイゴは過去にメレメレ島に訪れており、そこでリンドウの教え子達と出会っている。サトシとはホウエンやカロスで会っており、アセロラとは別のプライベートな事で会っているのだ。

 

「今日はデボンコーポレーションの社内見学だ!こんな機会は無いから、楽しんで行けよ?」

 

そう…リンドウの言う通り、今日はデボンコーポレーションの社内見学。ホウエン在住の子供達でも滅多に出来ない事であり、貴重な体験が出来るのだ。

 

「僕が言うのもなんだけど、楽しんで行って欲しい。

折角だ…遥々アローラから来てくれたから、これを君達に渡そう。なに、これは宝石としての価値は無い…でも、君達なら真価を発揮できるよ。

おや?既にサトシ君とブラックは持っているか…それじゃあ、君達2人にはこれを」

 

ダイゴは数個の腕輪を取り出して、それをマオ、スイレン、カキ、リーリエ、アセロラ、セレナに手渡す。

そして…サトシには丸い石、ブラックには何やら宝石らしい物を手渡した。

 

「これって…メガストーン!?」

「なんのメガストーンなのかは言えないよ。それは自分で気付いてくれ」

 

サトシに手渡したのはメガストーン。だが、なんのメガストーンなのかは教えてくれないようだ。一方、セレナ達に渡したのは…

 

「これ…受け取れませんよ。こんな貴重な物を…」

 

ダイゴがセレナ達に渡したのは…なんと、キーストーンが埋め込まれたメガバンクルだったのだ。確かにホウエンやカロスではキーストーンやメガストーンは探せば普通に出てくるが、それでも貴重な代物なのだ。

 

「君達への出資だよ。君達なら、それを正しく使える筈だ。

所で…君達は化石は持ってないかい?」

 

化石…そうダイゴが問うとスイレンとマオは鞄から化石を取り出した。

その化石は主ラランテス悲惨事件が起きたアーカラ島での課外授業の際に、スイレンとマオがムーランドと共に見つけた根っこの化石と爪の化石である。

 

「カキも持ってなかった?」

「家に置いてきてしまった」

 

カキ…あの時見つけた化石を家に置いてきた模様。とは言え、此処にスイレンとマオが見つけた爪の化石と根っこの化石が有る。

 

「ふむ…保存状態の良い化石だね。君達が良ければ、その化石のポケモンを蘇生出来るけど…どうする?」

 

化石のポケモンを蘇生出来る事はスイレン達も知っている。事実、化石から復元蘇生されたプテラやカブトを手持ちに加えているトレーナーも居るのだ。

 

「良いんですか!?」

「ただし…君達が面倒を見て育てられる事が条件だよ。

手持ちに入れる、入れないは別としても愛情を持って育てて欲しい。折角、甦る訳だからね」

 

ダイゴの言葉にスイレンとマオは元気良く頷く。

 

その後複製されたアノプスとリリーラだが、2人の手持ちに入り…今後も活躍する事に成るのだった。

 

 

 

 

しかし、ダイゴは知らない。今日、キーストーンをリンドウの教え子全員に配布した為か……アローラリーグの予選からメガジュカイン、メガバシャーモ、メガライボルト、メガゲンガー、メガディアンシー、カイオーガ、ソルガレオ等が大暴れする事を。

 

「これは…嬉しい意味でも大誤算だ!」

 

とダイゴは苦笑いを浮かべながら、後にテレビでのアローラリーグ予選を見て言うのだった。

 

正に大誤算!!




次回!観光のフエンタウン!?

温泉街にやって来たリンドウ達は…ラクダと傷付いたラクライに出会う!?



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77時限目

カキとマーマネ…新しいパートナーに出会う。


フエンタウン…そこは火山の恩恵で温泉や温泉街が有名の町であり、リンドウも高専チャンピオン時代はプライベートで良く訪れていた。

 

「あー…やっぱり、足湯に浸かりながらアイスを食べるのは格別だわ」

 

今は自由時間。リンドウはその自由時間を使い、ブルー、アセロラ、ヒガナ、ブラックと共に足湯に浸かりながらアイスを食べている。リンドウが抹茶味のアイスであり、ブルーがソーダ味のシャーベット、ヒガナがイチゴ、アセロラがブドウ、そしてブラックが一人ソフトクリームである。

 

温かい足湯に浸かりながら、冷たいアイスを食べる。実に通な食べ方だろう。温泉の温もりを感じながら冷たく美味しいアイスを食べるのだ。それは正に、炬燵で温もりながらアイスを食べるのに通じる物が有るだろう。

 

「いや…流石はホウエンチャンピオンね!こんな食べ方を知ってるなんて!」

 

夫の教えてくれた美味しいアイスの食べ方を楽しみ、ブルーは笑みを浮かべる。

しかし、ブルーは知らない。このリンドウが産み出した足湯に浸かりながらアイスを食べる楽しみ方は……彼が高専チャンピオン時代の時に、課題をやる暇が無く…現実逃避で足湯に浸かった事で編み出された代物だと言うことを。

 

――当時のチャンピオンは……マジで多忙だったんですよ

 

リンドウが高専の時、チャンピオンは激務だった。リーグでの書類作業や、招待試合のバトル、テレビ出演から高専の勉学(これはリンドウだけ)等々の様々な仕事が有ったのだ。

 

今は随分と楽であり、今のリンドウやブラック、シンオウのダメナさんを筆頭にチャンピオンは召集等が無ければ実に自由である。自由とは言え、テレビ出演や招待試合等も有るのだが昔と比べたら比較的自由だろう。

事実…カントー最強のレッドは基本的にシロガネ山に籠ってはカレーを作ってる位なのだ。

 

カントー、ホウエン、イッシュ、そして後のアローラのチャンピオンはこんな感じだが…積極的に働いているガラルのチャンピオンがそれを知ると…どんな反応をしてしまうのだろうか?間違いなく、もっと働けよ!or俺も休みが欲しい!と言ってしまうだろう。

事実…リンドウのメル友兼呑み友のダンデはガラルのバーでリンドウに「ちょっとは休みが欲しい。まだ買ってから被ってない帽子が有るんだ」と言っていた。

 

「そういや、リンドウ。結婚の事は皆に報告したの?」

 

女性は勿論、男性に取っても結婚式は大事な人生のイベントだ。

 

「おう、したぞ。取り合えず…両家の両親とクルミだろ?ハナコさんだろ?オーキド研究所にも送ったが…間違いなく博士は脱走の口実に使うな」

 

オーキド博士…間違いなくリンドウとブルーの結婚式を利用し、再び脱走するだろう。

 

「オーキド博士…また性懲りも無く脱走するんですか?」

「その場合はジョウトリーグのシーズンが始まるまで、カントーでホウエン巡りをしてるホワイト、ヒカリ、デントに絞めてもらうか。あっ無理だわ、ホワイト達にも招待状を出すからな。

まあ…絞めてもらうは冗談で、博士にも来て欲しいけどな」

「良し、リンドウ。レジギガス隊長に任せましょう。今の防衛軍なら大丈夫よ」

 

今のオーキド研究所防衛軍はレジギガス隊長の部下に、新たにディアルガ、パルキア、ザシアン、ザマゼンタを始めとした平行世界の伝説のポケモンが複数加入した。今なら問題は無いだろう。

 

「後はナナミ様とグリーンにカスミ、そんでタケシだな。とっつぁんは前職が前職だから自分から呼ぶなって連絡してきたしな」

 

ナナミ様とグリーンにカスミ、そしてタケシは参加の予定。そしてとっつぁんことサカキは前職が前職の為に辞退である。

 

「カントーでは後、レッドだな。

ホウエンのジムリーダーではトウキ、ツツジ、センリさんが意地でも行くって返事してきたな」

 

トウキはムロタウンでジムリーダーをしてる青年で、格闘タイプの使い手だ。実は過去にホウエンリーグの決勝トーナメントでリンドウと戦っている。

ツツジはカナズミシティのジムリーダーであり、ブラックと歳は変わらないが、リンドウが教育実習で指導した初めての生徒でもある。

センリはハルカとマサトの父親であり、トウカシティでジムリーダーをしている。実はジョウト出身であり、ジム用のポケモンとプライベート用のポケモンは別である。

 

「四天王とミクリ、ダイゴは既に参加を決意してるし…ルチアも来るし…イッシュではアデクさんも来るからな」

「エロ仙人…絶対にナンパしますよ?」

 

アデクさんことエロ仙人は美女が居たら、取り合えずナンパするのだ。そんなブラックの心配を既に予期していたか、リンドウが笑みを浮かべる。

 

「そんな事も予期済みだ。取り合えず、アデクさんは野郎しかいない席に座ってもらおう。隣はパパラギさんとハチクさんだ」

 

――なんか…ワシの扱い酷くね!?

 

なにやら女好きの仙人の声が聞こえた気がした。

 

「良し!いっそのこと、サオリ先生の隣に座らせよう!」

 

さりげなく凄い事を告げたアセロラ。流石のエロ仙人もナンパする勇気は無いだろう…なにせ、霊長類最強なのだから。

 

「アセロラ。サオリ先生って…もしかして、あのヨシダ・サオリ選手!?」

「そのサオリ選手」

 

ヒガナ…サオリ先生の正体を知り、アデクの悲惨な末路を思い浮かべるのだった。

 

「拳で大地を割り、自分とカイリキーを戦わせて鍛えているヨシダ・サオリか……」

 

サオリ先生…彼女の強さ(ポケモンではなく本人の)は………世界的に有名である。

 

 

その頃…カキとマーマネはフエンタウンの近くの山道を探索していた。

 

「良し!」

 

カキは地面に落ちてるモンスターボールを広い、手に取る。このモンスターボールは先程、カキが捕まえたポケモンが入っており…アチャモの初陣も兼ねて戦って捕まえたのだ。

 

「ここら辺は火山のお陰か、炎タイプのポケモンが多いな」

「チャ!」

 

新しい仲間を捕まえ、喜ぶカキとアチャモ。すると、カキはボールからその新しい仲間を出した。そのポケモンはラクダのようなポケモンであり、ホウエン地方が原産のドンメルというポケモンである。

 

「ドメドメ!」

「これから宜しくなドンメル!」

「ドメ」

 

カキ、バトルで新しい仲間をゲットするのだった。

 

「マーマネ!そっちはどうだ?」

「大変だよ!カキ!!」

 

すると、草村がガサガサと揺れて…緑色の犬のようなポケモン ラクライをだっこしたマーマネが出てきた。しかし、ラクライは傷だらけであり、ぐったりとしている。

 

「なっ!?大変だ!直ぐにフエンタウンのポケモンセンターに行くぞ!」

「うん!」

 

2人は傷付いたラクライを連れて、フエンタウンのポケモンセンターに向かったのだ。

 

 

 

 

「へっ!此処にグラードンが居るらしいぜ!」

「何処に居るんだか…売却の為に捕らえたラクライにも逃げられるしよ」

 

二人組のポケモンハンターがやって来た。彼等の後ろには鉄籠が有り、その中には本来はホウエンに生息していない筈のシビシラスとヒトモシが囚われていたのだ。

 

「まあ!噂ではヒードランが住んでるしな!ヒードランはグラードンよりは珍しくないが…かなりの高額で取引出来るぜ!」

「でもよ…良いのか?本来なら別のポケモンハンターと共に、5人でレイドバトルを仕掛けるんだろ?」

「仕方がないだろ?ソイツ等…ディアンシーを捕まえに行って何故か病院送りに成ったんだからよ」

 

どうやら、彼等はリンドウのルカリオにボコボコにヤられたポケモンハンターの知人のようだ。

 

だが…彼等は知らない。知人と同じくホウエンチャンピオンに吹き飛ばされる事を。

 

 




次回!回復したラクライからポケモンハンターの事を聞き…リンドウは現場に向かう。

「お前達…グラードンが見たいのか?良いだろう…そんなに見たいのなら見せてやる。但し、二度と悪さは出来ないと思え」

グラードン降臨


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休み時間 初めてのアローラ

リンドウの過去です。


5年前…未だリンドウが18歳の頃。

 

青年と少年の狭間な年頃のリンドウは多忙な激務から一時的に逃れ、恩人 センリ達の手で一人…アローラの慰安旅行に来ていたのだった。

 

「ここがアローラか…常夏だが、真夏のホウエンと比べると随分と過ごしやすいな」

「フィー!」

 

サングラスをかけ、青紫のコートの代わりにアロハシャツを纏った若きホウエンチャンピオンはアローラの大地に降り立った。

彼の側には初めてのポケモンであり、大事なパートナーであるリーフィアがボールから出て側に付いている。観光ブックを読んだが、アローラではボールからパートナーを出すトレーナーが多いようだ。その上、ライドポケモンと呼ばれる資格を持ったポケモン以外の騎乗は禁じられている…ホウエンと比べれば変わった所だろう。

 

「ヒガナもセンリさんに預けてきたし、今日は俺達だけで楽しむぞ!」

「フィー!!」

 

リンドウ、日頃の激務から解放されて常夏を謳歌。慰安旅行の日程は移動日を除いて1週間。この1週間をフルに使い、彼はアローラを満喫するつもりなのだ。勿論、それはリーフィアやボールに入った他のポケモン達も同様である。

 

それに…此処はホウエンやカントーではない。リンドウの事を知っている人は少ない。と言うのも、当時のアローラにはポケモンリーグは無く、他のリーグの試合も当時はBS等にしないと見れなかったのだ。

 

「ホウエンやカントーだと…忙しいのにサインを迫られる時が有るが…此処ではのんびり出来そうだ」

 

リンドウはそう言うと、リーフィアを連れてメレメレ島国際空港を出て探索に向かう。

 

先ず向かった先は観光地としても有名なハウオリシティである。そこはメレメレ島では一番大きな都市であり、大型のショッピングモールや地元の観光局も其処に有り、アローラの様々な情報を見ることが出来るのだ。

 

「ミナモシティとは違った雰囲気が有るな」

 

リーフィアと共にハウオリシティを満喫するリンドウ。すると、何やら大きな音が鳴り響く。爆発音も聞こえることから、誰かがバトルでもしてるのだろう。

だが、何処か可笑しい。ポケモンバトルの割には何やら悲鳴のような声も聞こえる。不審に思ったリンドウはリーフィアと共に現場に向かうと、そこには髑髏を模したコスチュームを纏ったチンピラ集団が町を荒らしていたのだ。

 

「なんだ?あのチンピラは?」

 

このチンピラこそ、5年後ではすっかりと更正されたスカル団なのだが…生憎とリンドウはチャンピオンと高専の勉強という激務で一時的に前世のゲーム知識の半分が無くなっており、スカル団という名前に気付かない。

 

「彼等はスカル団よ」

 

ふと、そんな声が聞こえ…リンドウは隣を見る。そこには……最近引退した筈の霊長類最強女子 ヨシダ・サオリが居たのだ。

 

――霊長類最強女子!?なんでアローラに居るの!?てか、アンタポケモンの力借りなくても大丈夫だろ!?本人が戦った方が強いだろ!

 

現実世界の霊長類最強女子と全く同じ外見のこの世界の霊長類最強女子。彼女もゲームで彼女のカイリキーが配布されたり、公式CMにも出てたから…ある意味公式のポケモンキャラと言えるだろう。

 

「スカル団?」

「そう。ロケット団よりはマシなチンピラ集団だけど、人のポケモンを盗んだり…野生のポケモンを虐めたりする人達よ」

 

――スカル団?どっかで聞いたような…

 

疑問が出てくるリンドウだったが、次の瞬間…唖然としてしまう。何故なら、そのスカル団の中に現実世界で大人気の芸能人 珍獣ハンターのイモトが居たのだ。

 

――珍獣ハンター居る!?てか、首の長いナッシー連れてんぞ!!

 

そう、未だスカル団だった珍獣ハンターもその場に居たのだ。それに、珍獣ハンターはアローラナッシーを連れており、カントーのナッシーと比べて物凄く首が長いのが特徴だ。長い…カントーのナッシーと比べて何倍も有る。

 

イモトを含めたスカル団の皆様は花壇を荒らしたり、壁に落書きをしていたのだ。ここがメインストリートでは無いとは言え、アローラは観光地。こんな事をすれば、今後…ハウオリシティの評判は下がってしまう。

 

すると、リンドウとイモトは目が合ってしまった。

 

「おいおい、目が合ったな?お前、よそもんか?良いポケモン持ってんじゃねぇか?お前達!コイツのポケモンを奪うぞ!」

 

イモトはリーフィアを気に入ったのか、リンドウに仲間でレイドバトル宜しくと勝負を仕掛ける。だが、相手が悪かった。

 

「いけ…ボス」

 

リンドウはモンスターボールからボスゴドラを繰り出した。

 

「グゥゥゥゴゴゴギャ!!」

 

辺りに響くボスゴドラの咆哮。対し、イモトと愉快な仲間達のポケモンは…イモトのナッシー、ズバット、ラッタ等である。

 

――えっ?何ですか?その化物は?

 

ボスゴドラの眼光は鋭く、イモトとその仲間、そしてポケモン達を睨み付ける。今まで何人と殺ってきたんですか?と問いたい程の眼光に、イモト達はガクガクと震える。

 

「こっこれは…武者震いだ!」

 

イモト達は恐怖を圧し殺すが…

 

「貴女達…いくら何でも無謀よ…」

 

サオリはリンドウがチャンピオンである事を知ってるし、リンドウの強さも知ってる。

 

「ボス、動いて良いぞ」

 

ボスゴドラがリンドウの言葉を受け、地面を蹴る。その3秒後…

 

「「「覚えてろ~!」」」

「ナッシー」

 

イモトとナッシー、そして愉快な仲間達は吹き飛んでいった。

 

「いや!見事なボスゴドラだ!やっぱり、ホウエンチャンピオンは凄いな!」

 

ふと、その声が聞こえてリンドウは声の方を見る。そこには年若い青年が立っていた。とは言え、二十歳は過ぎてるだろう。

 

「俺はククイ。ポケモンスクールの新人教師さ!」

 

これが…ククイ博士とリンドウのファーストコンタクトであった。




リンドウ、ククイ博士は勿論、霊長類最強女子と後の珍獣ハンターと出会ったのだった。


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78時限目

ハンター…終了のお知らせ


ポケモンセンターに運ばれ、元気に回復したラクライ。だが、リンドウには1つ気になる事が有ったのだ。

 

「妙だな…この辺りは野生のラクライは居ない。それなのに…どうして野生のラクライが傷付いて倒れていた?」

 

ポケモンセンターのソファーに座り、ラクライのカルテを険しい顔で見つめるリンドウ。明らかにラクライは野生のポケモンとの縄張り争いで怪我をしたような状態ではなく…

 

「ポケモンハンターか…」

 

可能性として挙げられるのはポケモンハンターに襲われ、一度は脱走した事だ。

ラクライの怪我は裂傷や打撲、凍傷等であり…どう考えてもこの辺りに住むポケモンの傷ではない。特に裂傷がそうだ。ポケモンの切り裂く等ではなく、どう考えても道具で出来た傷。恐らくは鉄格子等の刺々や罠だろう。

 

「未だ…ホウエンにもこんなトレーナーが居るのか。いや…ブラックと伝説廚の戦い以来から増えたな」

 

ポケモンハンターや珍しいポケモンを求めるトレーナー達は日頃から珍しいポケモンや伝説のポケモンを捕まえるために、レイドバトルを仕掛けている。

それはブラックとタクトの戦いから確実に増えてる。あの試合、リンドウを含め多くのトレーナー達の感想は「技量ではブラックの方が上」と判断している。だが、事実…ブラックはレシラム以外を倒された。この事から、勝つには伝説のポケモン等を使えば良いと考えるように成ったトレーナーが増えたのだ。

その後…ポケモンハンターの疑いを感じたリンドウは、自分のルカリオに通訳を頼み、回復したラクライから聞いたのだ「2人の人間に襲われた。ボールではなく、刺々した檻に入れられた」と。

 

「くすぐったいよ!ラクライ!」

「ワンワン!」

 

じゃれあうラクライとマーマネを見て、リンドウは決意する。

 

このラクライに危害を加えた愚かなトレーナーに鉄槌を降すことを。

 

「恐らく…ポケモンハンターは火山に居るな。フエンの側に有る火山には…この世界のグラードンが眠りに付いてる。目覚めただけなら問題は無いが、ハンターの狙いは恐らくグラードンだろうな」

 

フエンタウンの直ぐそこには火山が有り、そのマグマ溜まりの奥にはグラードンが眠っている。ポケモンハンターの狙いは恐らく、グラードンを復活させてレイドバトルの末に捕まえる事だろう。

いや、グラードンだけではない。火山にはヒードランと呼ばれる珍しく、伝説のポケモン(厳密にはラティアスやフリーザーのように文献に名前を残す珍しいポケモン)が住んでいる可能性が非常に高いのだ。

 

「だが…グラードンを起こす事は絶対に不可能だ。だとすると、ポケモンハンターはヒードランの所に行くだろうな。良し…」

 

リンドウは腰から4番目の所に提げたモンスターボールを手に取り、ポケモンセンターを出ていく。

現在リンドウのボールの順番はリーフィア、エンペルト、バンギラス、4番目、ルカリオ、レウスの順番であり…4番目のボールには彼が入っている。

 

フエンタウンの側の火山こと、えんとつ山。

 

そこの山頂で二組のポケモンハンターがグラードン、ヒードランを探していた。

 

「やっぱり…グラードンは諦めて、ヒードラン一手に絞るか」

「自信が無いのか?グラードンさえ手に入れたら、ウハウハだぞ?」

 

その男達の狙いはやっぱり…グラードンとヒードランであり、その序にホウエンのポケモンを売却目的で捕らえていたのだ。

男達の後ろには檻が有り、その中にはシビシラスやヒトモシという本来はホウエンに生息しないポケモンも居ており、他はエアームドやドンメルにバネブーと言ったここら辺に生息するポケモン達が入れられていたのだ。

 

「たっく!遥々イッシュで捕まえたヒトモシとシビシラスは取引先が潰されてて売れないしよ…どうすんだよ?」

「剥製にして売り捌くか?そしたら、金持ち連中も雑魚ポケモン相手だろうが買ってくれるしな」

 

ポケモンハンターは場合によってはポケモンの剥製等も売るのだ。その際、剥製にされるポケモンは勿論、殺される。檻の中に居るポケモン達は恐怖でブルブルと震えるが、知らんと言わんばかりに男は笑みを浮かべた。

 

「コイツ等を売るより、ヒードランの方が高く売れるけどな」

「まぁ!金に成るなら喜んで剥製にしてやるさ!」

「へー…それは良かった。心置きなく、お前達を半殺しに出来る」

 

その声が聞こえ…ガシャンと音が聞こえ、男二人は檻の方を見る。そこには壊された檻に逃げ出すポケモン達、そして…逃げてもホウエンに居場所の無いシビシラスとヒトモシ、ホウエンチャンピオンであるリンドウの姿だった。

 

「「なっ!?」」

 

リンドウが何時現れたのか理解できず、男達は唖然とする。それもその筈、男達が檻を確認した時はリンドウの姿は無く、此処に来るためには基本的に登山道やロープウェー、空を飛ぶを使うしか無理だ。

しかし、それらの方法を使えば普通に分かるし、確実に来るとわかる。

 

だが…此処にリンドウが居るとすればハンターのやることは1つ。証拠隠滅の為にリンドウを始末することだ。顔は見られた為に、訴えられたら指名手配は確実。その上…相手はチャンピオン…ポケモンを出されたら確実に負ける。

だから…リンドウがポケモンを出す前にリンドウを自分達のポケモンで殺すことを彼等は選んだ。

 

「「死ねぇぇぇ!!」」

 

ハンターは叫び、ボールを投げてカブトプスとハブネークを繰り出した。

 

「バカだろ?」

 

リンドウがそう言うと、地面から赤い手が飛び出し…カブトプスとハブネークを地面の中に引きずり込む。地面からバキバキと音が聞こえ、戦闘不能に成ったカブトプスとハブネークが地面の中から放り出された。

 

「さてと…お前達。グラードンを金儲けに使いたいんだって?そんなに見たいなら、見せてやるよ。二度と悪さは出来ないけどな」

 

リンドウがそう言うと、地面の中から赤いポケモン…グラードンが出てきたのだ。

 

「グラードン!?なんで…」

「俺がアローラで保護して、家族に迎え入れた。ホウエンの個体じゃないさ」

 

ホウエンチャンピオン…世界でもトップクラスに強く、エキシビジョンマッチではレッドとグリーン以外に負けた事はなく、チャンピオン時代は公式戦無敗。そんなリンドウがグラードンを使う…正に悪夢だろう。

 

「「ヒッヒャァァァァア!!」」

 

その後…えんとつ山からハンターの悲鳴が聞こえた。

 

 

 

「もしもし、リンドウさん?モーン博士のあの時以来ですね。えぇ、分かりました。僕達も調べておきますよ。

僕としても、レイドバトルを仕掛け…ポケモンを道具のように使う奴等を許すつもりはありませんから」

 

イッシュの某所。そこではイッシュの土地で眠るレジロックを捕まえようとしていたポケモンハンターを粉砕していたNとリラ。そんな中、Nが倒れたハンターを踏みながらリンドウの通話に出て、ハンターのポケモンを片手で粉砕するゼクロムを見る。

 

そのゼクロムは…メガ進化しており、ブラックキュレムに似た姿と成っていた。

 

「所で…ゼクロム。メガ進化の調子はどうだい?」

『問題ない。まあ、これはゲンシカイキに近いがな。メガストーンの代わりに遺伝子の楔を使ってるしな』

 

 

一方、アローラでも。

 

「やあ、リンドウ君。私はすっかり元気だよ。今はアローラの海に住み着いたルギアを狙う、ハンターをハラと共にお仕置きした所だよ」

「muscle!!」

 

モーン博士が新たにパートナーに加えた異世界のポケモン マッシブーンを連れて通話に出る。

 

「…分かった。私も協力しよう。彼等はポケモン達を不幸にするからな」

「muscle!!」

 

 

勿論、カントーでも

 

「おっ!リンドウ!結婚おめでとう!姉さんと一緒に結婚式行くからな!」

「えっ!?リンドウさん?」

 

カントーのトキワの森。そこをグリーンはホワイト、ヒカリ、デントと共に居た。彼等の側には野生のピカチュウを捕らえ、密輸しようとしていた哀れなハンターが転がってる。

 

「安心しろ!此方は任せておけ!今はオフシーズンだしな!」

 

そう電話で言うグリーンの視線の先には……破壊神バンギラス、ヒカリのバグフーン、デントのイワパレス、ホワイトキュレムに囲まれた哀れなハンターの皆様が居たのだ。

 

 

えんとつ山…

 

そこでは半殺しにした1人のハンターを足蹴し、もう1人の首を右手の握力で絞めたリンドウが耳からスマホを離す。

 

「俺は絶対にお前達のような奴等を許さない」

 

ポケモンハンター…完全終了のお知らせであった。

 

「シビビ…」

「ひともしー」

 

取り合えず、居場所の無いシビシラスとヒトモシはリンドウに着いていく事にしたのだった。

 

本当のパートナーと巡り会うその日まで。




次回!一先ず…ホウエン合宿を終えてアローラに帰ってきたリンドウ達。

結婚式の準備は勿論…目処が立った矢先…

リーリエ「私!試練を受けます!!」

リーリエ…島巡りを決意する。

因みに…結婚式にはサトシの歴代旅仲間が全員集結します。


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79時限目

着々と進む結婚式の準備。


ホウエン合宿を終えて数日後。

 

今日は休日。マオの実家であるアイナ食堂にはリンドウ率いる、リンドウクラスの生徒達が集まっていた。

 

「良し…それじゃあ、結婚式の打ち合わせを始めるとするか」

 

貸切状態のアイナ食堂。そこにリンドウとブルーは勿論、彼の教え子が全員集結していた。全ては…リンドウとブルー夫妻、そしてククイ博士とバーネット夫妻の合同結婚式を行うためである。

 

「俺達夫妻の招待客には事前連絡を送ったが、後はククイ博士とバーネット博士の招待客だな」

 

結婚式の日程とウエディングの準備は粗方、リンドウとブルーの手で終わらせており、既にリンドウ夫妻の招待客への招待状は既に送り終わっている。

リンドウ夫妻が招待した主な人物は両家の家族、グリーンとナナミ、レッドとオーキド研究所の皆様、ハルカとその家族、ホウエン四天王にヒガナ、ダイゴにミクリ、他にも沢山呼んでいる。というか、折角なので色んな人を呼んでいる。

 

「リンドウ先生!ククイ博士の知り合いってどんな人が居ますか?」

 

ふと、マオが手を挙げてそう言う。ククイ博士とバーネット博士は結婚式を挙げない予定だ。つまり、これは完全に2人にはサプライズであり、自分達でククイ博士側の招待客の招待を行わなければ成らないのだ。

 

「俺の知ってる中でな…研究仲間以外の完全なプライベートなら、ダグレオのDJレオだな。後はウラウラ島のマーレインさん位だな。

ククイ博士と親しい人も誘うとすると、俺の知っている中でだが」

 

リンドウはメモ用紙にククイ博士と親しい人達のリストを作り、サトシ達に手渡す。そこにはそこそこ、サトシ達知っている人達の名前も載っている。

 

「結構…知ってる人は居ますね…」

「あっ!マーさんなら僕も知ってるよ!」

 

マーレインはマーマネの知り合いであり、親戚でも有るのだ。

 

「マーレインさんはポケモンの腕前も凄いからな?彼のメタグロスとクレッフィーは中々強いぞ。

それはさておき、問題は……」

「バーネット博士が着るウエディングドレスよね」

 

リンドウの言葉に続くようにブルーがそう言う。リンドウとブルーは既に、結婚式で着る衣装とドレスを既に準備してるが、バーネット博士の分は未だ用意していない。完全なサプライズの為にも…バーネット博士には伝えられないのだ。

 

「その心配は大丈夫です!お父様とお母様から、身長と体重、スリーサイズを既に聞いてます!ドレスも、既にビッケさんが発注してくれてますよ!」

 

だが、此処にはバーネット博士が働くエーテルパラダイスの長女 リーリエが居る。リーリエは既にドレスの心配を感じており、両親とビッケの協力の元でバーネットのウエディングドレスを発注していたのだ。

 

「それなら安心だね!あと、ご飯に関しては大丈夫!私のお父さんにお兄ちゃんが作ってくれるから!」

 

そう…結婚式の食事はアイナ食堂が担当しており、既に当日のメニューも決まっているのだ。

 

「ケーキはノアさんが作ってくれるし…」

 

ウエディングケーキはアローラパンケーキ祭りの時に、リンドウ達とデッドヒートを繰り広げた、パンケーキ屋さんのトレーナー ノアが焼いてくれる。

 

こうして、着々と準備が終わる中…リーリエが手を挙げた。

 

「私、島巡りに挑みます!」

「あっ…だったら私も!折角、Zリングが有るんだもん」

 

島巡りへの挑戦を決意するリーリエとスイレン。しかも、スイレンの右手にはあの時、アーカラ島で拾ったZリングの核から作られたZリングが装備されていた。

 

「良いぞ。でもな…普通の試練でカイオーガ、ほしぐも、イベルタルは最終手段な?」

 

リンドウの言葉を受けて、ボールの中でカイオーガ、ソルガレオ、イベルタルは「えっ?」と驚く。いや、当たり前である。というか、彼等を最初から解放すれば余裕でスイレンとリーリエは試練を達成できるだろう。それでは試練とは言えないのだ。

 

「サトシはウラウラ島の試練だな」

「はい!」

 

現在…サトシの試練用の手持ちはピカチュウ、モクロー、ニャビー、ルガルガン、ラティアス、ルカリオ。ガチ戦闘要員としてゲッコウガ、リザードン、ギラティナ。

 

(しかし…何時言えば良いんだろうか?ポニ島の島キング及び島クイーンが不在で、今はポニ島の試練が受けれない事を)

 

だが、今はポニ島には島キングは不在。試練を受けることが出来ないのだ。サトシも何れはその時を知ることに成るだろう。

 

 

 

 

 

 

その頃の船着場。

 

「ふむ…此処がアローラか。噂の新種のポケモン…異世界のポケモンが居るんだ。

だが…ホワイトだったか?何故、君がキュレムに選ばれた?孤児院で育ち、なんの取り柄も無い君がどうして選ばれた……僕だって理想と真実を追う資格は有った筈だが」

 

新種のポケモン(ウルトラビースト)を追い求め、あの伝説廚がやって来ていた。

 

因みに彼、キュレムに見捨てられた後に、キュレムがホワイトを選んだ事を良く思ってないようだ。

 

 




式までの日程が有り、その間にリーリエとスイレンは試練に挑む!?

因みに伝説廚さんはウルトラビーストを探しに来ました(笑)


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80時限目

一足早く、グリーンが到着!?


メレメレ島国際空港。御存知、他の地方とアローラを結ぶ玄関口に彼等が降り立った。

 

「アローラか…やって来るのはサトシのゲッコウガを届ける、あの時以来だぜ」

 

サングラスを着けた我らがトキワジムのジムリーダー グリーンがカスミとタケシ、姉であるナナミ様、そしてグリーンと瓜二つの少年を連れてメレメレ島に降り立った。

 

「てか、兄貴…こんなに早く降りたって良かったのか?リンドウさんの結婚式まで、2週間以上の時間が有るけど」

 

そう言うグリーンと瓜二つな少年はシゲル。グリーンとナナミ様の歳の離れた弟であり、サトシの初めてのライバルだ。今はナナカマド博士の元でポケモンについて色々と学んでおり、魔境オーキド研究所と比べてオアシスなナナカマド研究所で色々と勉学に勤しんでいるモテ男だ。

 

「良いんだよ。やっと…俺にオフシーズンの休暇が回ってきたんだ。とことん、アローラを満喫してやる!」

「ふふふ!当然よ!アローラの水に住まう、可愛い水ポケモンが私を待ってるわ!!」

 

アローラを満喫する予定のグリーンとカスミ。そんな2人を見て、シゲルは苦笑いを浮かべるのだった。

 

「おっ…お姉ちゃんは良いの!?」

「私はミクリ君と一緒にアローラにコンテストを広める仕事で来たもの。

ミクリ君は未だ来てないけど、折角だしお姉ちゃんも楽しもうかな?」

 

ナナミ様は仕事で来たが、少し早くアローラに入り、観光する気満々である。彼女はミクリと共にアローラにコンテストを広める仕事で来たが、やはり観光も楽しみたいのだろう。

 

姉、兄、兄の部下は観光気分が満載だ。リンドウの結婚式まで時間が有るとは言え、随分と楽しそうである。

 

「タケシ…お前も何か言ってくれ」

 

シゲルは最後の頼みとして、我らがポケモンドクター タケシの力を借りようとするが…既にタケシはシゲルの側に居なかった。

疑問に思ったシゲルが周囲を見回すと…既に美人なアローラお姉さんにナンパを行う我らがタケシが居たのだ。

 

「お姉さん。私はタケシです…遥々お姉さんに会うために、このアローラにやって来ました!!」

 

安定のタケシ、安定の困惑するお姉さん。すると、タケシのボールが開き、中からグレッグルが飛び出す。

 

グレッグルの拳が紫色に輝く…技、毒突きを放つのだ。

 

――正義、執行!!

 

放たれた毒突きはタケシの横腹…リバーに当たり、毒突きのリバーブローを受けたタケシは悶絶し、その場に倒れてしまった。

 

――執行…完了

 

タケシを倒したグレッグルはタケシを引き摺り、グリーン達の側に戻っていった。

だが、タケシは知らない。このアローラに…グレッグルとカスミを含め、マサトも降臨して執行人3人が集結する事を。そして、自分とは理由が違うが…同じく若いお姉さんを求める後継者(ユリーカ)と出会う事を。

 

 

 

一方、グリーンがアローラに入ったが…アローラリーグ設立の手伝いを行っていたレッドはその頃、ガラル地方に居たのだった。

 

ガラルリーグ…今年は残念ながら、中止に成ってしまった。

 

理由はリーグ委員長 ローズが活性化させたムゲンダイナが暴れた事、そしてムゲンダイナを沈めるためにこの世界のザシアンとザマゼンタが降臨したこと。ムゲンダイナを沈めるために、ガラル王者 ダンデがレッドとザシアン、ザマゼンタ…そして将来期待のトレーナー ダンデの弟 ホップとその友人 ソードがムゲンダイナを倒した事。

更にその後に、自称王族のソッドとシルディがレイドバトルと称してテロ行為を行った事等々が原因だ。

 

『今年のガラルリーグは様々な理由で中止に成ってしまいました…ですが!!此処に素晴らしいエキシビジョンマッチが実現しました!!

前代未聞のマルチバトルです!!では…選手の紹介を行いましょう!!先ずは我らがチャンピオン ダンデ!!そして、ポケモンマスター レッド!!』

 

ガラルの首都 シュートスタジアム。

 

そこにレッドとダンデが入場する。

 

『未だ終わりません!!今回はマルチバトル!!ダンデと共に戦うのはダンデの弟で伝説のポケモン ザマゼンタに選ばれたホップ選手!!

そしてレッドと共に戦うのは伝説のポケモン ザシアンに選ばれたソード選手です!!』

 

実況が叫び、伝説のポケモン ザシアンに跨がった日系人の少年がバトルフィールドに降り立ち、レッドの隣に立つ。彼の名前はソード、本来ならダンデと王者防衛戦で戦う予定だった少年だ。

 

一方、ダンデの隣には彼の弟であるホップがザマゼンタと共に降り立った。

 

「お前達…いきなりザシアンとザマゼンタを使うのか?それじゃあ、俺も使うか!」

 

ダンデがそう言うと、ダンデはボールを投げてムゲンダイナ…紫色の骸骨ドラゴンのようなポケモンを繰り出した。

 

「いけ、ピッピ」

「なんでっピ!?ここはどう考えてもピカチュウだっピ!!」

 

ギエピー&ザシアンVSザマゼンタ&ムゲンダイナの戦いが始まった。

 

「ピッピ…これ、生放送だから下品な言動なしな?コントや振りじゃないぞ」

 

 

 

 

 

「これは…これは凄いことに成ってますな」

 

そのテレビ中継をリーリエとスイレンは島キングのハラと共に見ていた。

 

「ギエピーならギャグ補正で何とかしそう」

「ですね」

 

ギエピー、リーリエとスイレンからギャグポケモンとして認定される。

 

「ごほん、試練でしたな。許可しましょう。リーリエさんはソルガレオの件、スイレンさんはカイオーガの件で正しい心を身に付けてますな。

それでは…主ポケモンの所に参りましょう。幸いにも、メレメレ島には主ポケモンは2体居ます。君達には一体ずつ、戦ってもらいますぞ!」

 

――ギエピーィィィィイ!!

 

テレビからギエピーの悲鳴が聞こえたが、気にしてはいけない。

 

――良し!ムゲンダイナ戻れ!行け!ゴリランダー!

 

――ザシアン戻れ!行け!インテレオン!

 

――ザマゼンタ戻れ!行け!エースバーン!

 

――えっ!?僕、前座扱い!?ヤロー!!許さないっピ!

 

チラッとリーリエはテレビを見る。テレビではダンデのゴリランダーが挑発を使っていた。

ゴリランダーはゴリラのようなポケモンであり、本来はドラムを使うポケモンなのだが…何故か、ダンデのゴリランダーはドラムを使わず…スマ◯ラのドンキーのアピールのような挑発を行っていたのだ。

 

――ゴリランダー!気合いパンチ!!

 

――バリアー…張れないっピ!?

 

ギエピー…変化技を使えず、ゴリランダーの気合いパンチ(ドンキーパンチ)を受けて、倒れる。

 

――いけ、ピカチュウ

 

そしてピカ様が降臨した。

 

「テレビも気になりますな。それでは…リーリエさんにはデカグースの主ポケモンに、スイレンさんはラッタの主ポケモンに各々挑んで貰いますぞ!」

 

なにはともあれ、スイレンとリーリエの試練が決まった。




次回!サトシ、シゲルと再会する。リンドウ、伝説廚と遭遇する。

因みにダンデがムゲンダイナを持っている訳ですが、レッド様がその場に居たので病院送りに成りませんでした。

ダンデのゴリランダーの中身は任天堂繋がりでドンキーです(笑)


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81時限目

伝説廚…再び


グリーンと愉快な皆様がアローラに上陸してから1時間後。

 

シゲルはパートナーであるブラッキーをボールから出して連れ歩き、メレメレ島の町並みを探索していた。兄グリーンとカスミはライドポケモンとしてのサメハダーに跨がり、海を大絶賛満喫中。タケシは美人なお姉さん探し…そして本命のお姉さん アーカラ島のライチさんに巡り会う為に単独行動。姉ナナミ様は仕事序でに観光しており、大絶賛観光中。

 

一応…彼等はグリーンの奢りでメレメレ島の高級ホテルに滞在するのだが、場合によってはポケモンセンターの宿泊部屋も利用するだろう。と言うか、ホテルに泊まらずとも、アローラの観光客はポケモンセンターに泊まるという選択肢も有るのだが……多くの観光客はホテルに泊まるために、ポケモンセンターには泊まり放題なのだ。

 

と言うか…アローラのポケモンセンターは基本的に、島巡りのチャレンジャー位しか使わない。

 

「そういや、サトシがメレメレ島に居るんだっけ?」

「ブラッ」

 

ブラッキーと共にハウオリシティを歩くシゲル。すると、前から良く知る人物が人モードのラティアス、ルカリオ、ピカチュウと共に歩いてきた。

 

「サトシ!」

「シゲル!?どうしてアローラに!?」

 

サトシとシゲル、久し振りに再会するのだった。

 

 

 

 

一方、その頃。リンドウは海辺を1人で歩き、時間潰しを行っていた。ブルーはマオとアセロラと共に結婚式のウェルカムボードを作っており、ブラックは家庭教師のバイト。その結果、1人で散歩する事に成ったのだ。

 

「しかし、1人で散歩なんて久し振りだな…」

 

此処最近は1人での行動が以前より少なくなったリンドウ。今はブルー、アセロラ、ブラックという同居人と共に行動する機会が増えており、こうして1人での散策等は実に久し振りだ。

 

すると、何やら見覚えの有る風貌のマント姿の男が、何やら見覚えの有る御一行と口論をしていた。その見覚えの有る御一行はアローラにやって来ていたヒカリ、デント、ホワイト、キュレムの御一行であり…主に口論をしてるのはキュレムとマント姿の男だった。

 

「どうしてだ…どうしてだキュレム!なんで僕じゃダメなんだ?」

『何度も言わせるな。お前は英雄に値しない』

「それはその子供だってそうじゃないか?彼は誰が見ても未熟な子供で…」

 

マント姿の男はリンドウもテレビで見たことが有る。ダークライやレックウザ等の普通は先ずゲット出来ないであろう、ポケモンを複数所持していたトレーナーの…

 

「ヒカリ達に…えっと…タクトだったか?」

 

リーリエさえ真っ青の伝説廚のタクトである。だが、少なくともある程度の水準を満たしたトレーナーとしての実力は有るだろう。伝説のポケモンを捕まえてるし、何よりリーグ優勝は果たしているのだから。

 

リンドウはキュレムとタクトの口論を聞きながら、彼等に近付いていく。

 

『確かに…お前の言う通り、ホワイトは子供だ。俺やヒカリ、デントが見ていないとぶっちゃけ何をするか分からん。

でっ?それがどうした?誰だろうと、最初は世の中を知らぬ子供なのだ』

「そっそれはそうだけど…」

『それに…お前にとって俺達はなんだ?』

「何って…伝説のポケモンだろ?」

『……下らん。話にすらならない。あの時までは消耗していたとは言え、俺をボールに入れた義理から力を貸していただけに過ぎん!

やはり、あの時…俺と同じく義理で力を貸すイベルタルとレックウザのボールを破壊するべきだったな』

 

話を聞く限り、キュレムはジャイアントホイールに居た時は常に消耗していたのだろう。そこにタクトは現れ、頑張ってボールに入れた。その後はボールに入れられた義理で、キュレムは力を貸していたようだ。

 

『伝説のポケモンには役目が有る。

俺達 イッシュの三龍は自分が定めた英雄に寄り添うこと。レックウザは大空を守護し、荒れすぎた天候を沈めること。イベルタルは破壊の力で破壊し、バランスを整えること。ダークライは悪夢を見せる。

お前のポケモンで言えばこんな物か。忘れるなよ?二度はない。伝説のポケモンは伝説と呼ばれるが故の力を持っているのだ。

大いなる力には大いなる責任が伴う。俺達イッシュ三龍は戦時では無いために、只の保護者同然だが…それでも英雄を導く責任が有るのだ』

 

なにやら全身タイツの蜘蛛男の名言を言ったキュレム。

 

余りの迫力に伝説廚のタクト君は腰が抜けて、尻餅を着いてしまう。そりゃ、誰だって激おこな伝説のポケモンを前にすればそうなってしまうだろう。

 

と…このまま見物だけに徹していたら、間違いなくキュレムパパの手でタクトは半殺しにされかねない。アローラの青空の下とコバルトブルーの海の側で半殺し事件なんぞ起きれば、大変だ。

リンドウは半殺し事件を阻止する為にも、キュレムとタクトの間に割り込んだ。

 

「はい、ストップ!そこまでだパパさん」

「リンドウさん!?」

「リンドウさん!?」

 

リンドウの登場に驚くヒカリとデント。

 

「リンドウせんせー!」

 

と…カントー以来のリンドウとの遭遇に喜ぶホワイト。

 

『…何故停める?』

「アンタだって息子同然のホワイトの前で物騒な事は出来るだけしたくないだろ?俺個人としても、この伝説廚には言いたい事が有るからさ、此処は俺に預けてくれないか?」

『…良いだろう』

 

キュレムもリンドウの意見を尊重し、キュレムはホワイトの後ろに下がる。

 

「さてと…ちょっと此方にこい」

「ちょっ!?引っ張らないで!?」

 

リンドウはタクトの首根っこを掴み、ずりずりと引き摺ってキュレム達から距離を離す。大体200メートル程離れた所だろうか?リンドウはタクトから手を放した。

 

「良し…ここいらで良いだろうか?」

「うっ…それで話って…なんだ?」

 

リンドウはタクトを見て目を細め、告げる。

 

「お前…このままじゃ、トレーナーとして大切な物まで失うぞ?」

「えっ!?」

「自分の胸に手を当てて良く考えてみろ。何処かで慢心処か、酔いすぎてただけじゃないのか?

その為に、パートナーの事を良く理解していない。レックウザが特にそうだな…パートナーとちゃんと触れ合ってるか?このままじゃ、キュレムの言っていた義理とやらも無くなり、レックウザはお前に牙を向くぞ?間違いなくな」

 

リンドウの言葉を聞いて、タクトは思い返す。確かに自分は過去、普通のポケモンも使っていた。そんな時、傷付いていたダークライに出会った。

その後もダークライや他のパートナーと冒険を続け、様々な出会いをしてきた。ラティオスと出会い、その後も様々な伝説のポケモンに出会い…なんとか捕獲してきた。

だが…タクトは凡人だ。それ故に、勝つためには強いポケモン…伝説のポケモンを使うしかなかった。だから、その後も昔のパートナーを預け…伝説のポケモンを使ってきた。預けた後は…まともに会話もしていない。普通のポケモンのパートナーは勿論、言うことを聞かなくなったグラードンもそうだ。

 

しかし、それ以上に…伝説のポケモンが持つ巨大な力に酔ってしまったのだ。

 

「覚えておけ。離れていても…自分のポケモンは家族だ。

それが伝説だろうが、普通のポケモンだとしてもだ。俺だって、預けた(ボスゴドラは強制)ポケモンにも中々会えない。でも、地元に帰ったら会って触れ合うし、画面越しでも定期的に話すさ。お前は?」

 

リンドウはマサラタウンに帰れば、ボスゴドラ達と必ず触れ合う。

 

「会ってない…話もしてない」

 

呆れるようにリンドウは溜め息を吐き出した。

 

「強いポケモン、弱いポケモン、伝説のポケモン。使う使わないは人の勝手だ。でもな…忘れるな…パートナーに最も必要なのはトレーナーの愛情だ。

未だ間に合う…パートナーと触れ合え。逃がした訳じゃ無いんだろ?」

 

リンドウの言葉にタクトは頷く。

 

 

 

「やれやれ…良い歳した男が号泣してやんの」

 

ポケモンセンターの外から中を除くリンドウ。中では久し振りに懐かしいパートナーと会えて話した為か、男泣きするタクトとダークライ、ラティオスの姿が有った。

良く見るとオーダイル、レントラー、サイドン、トロピウスの姿が有り…その4匹がタクトが過去手持ちに入れていた普通のパートナーなのだろう。

 

リンドウがその場を去ろうとするが…

 

「待ってくれ!」

 

リンドウに声をかけたタクト。

 

「貴方のお陰で…僕は大切な事を思い出させた…彼等と一緒に改めてホワイト君に挑みたいんだ」

 

タクトの言葉を聞いて、リンドウはホワイトに電話をかける。すると、リンドウは「伝えておくよ」と告げて電話を切った。

 

「さっきの砂浜。彼処でやっても良いってさ」

「ありがとう!」

 

その後、タクトはホワイトに挑んだが…フルボッコにやられたらしい。そして、彼は武者修行の旅に出たとか出てないとか。

 

因みにタクトが過去に捕まえた伝説のポケモン…レックウザ、グラードン、イベルタル、ランドロス、等々だが…イベルタルはエーテルパラダイスに預け、他はリンドウの推薦でオーキド研究所に預けられる事に成ったのだった。

 

 

 

その頃の黒…

 

「…レシラム。どうすれば良いの?てか、見分けれる?」

『多分、無理』

 

ブラックは家庭教師としての訪問に来ていたが、そこには可愛らしい五つ子の少女(今年で10歳)が待っていた。

 

「イチカ!」

「ニノ!」

「ミク!」

「ヨツバ!」

「イツキ!」

 

――そっくり過ぎて、わかりませーーん!!

 

マンションの廊下にイッシュチャンピオンの声が響いた。

 

余談だが、この五つ子の誰かが約13年後…ホワイトと結婚します。




伝説廚さん…伝説をダークライとラティオスだけにして修行の旅に。

実は彼、キュレムパパの手で完全ボコボコにしようか最後まで迷いましたが、レイドバトルが流行ってしまった元凶でも有るので……罪滅ぼしをさせる事を決定。

ホワイトの嫁さんですが、五等分の花嫁を最後まで読んだ人…フー君の嫁さんとは別の方です。つまり、四分の一(笑)


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82時限目

結婚式…遂にスタート


「えっ!?それじゃあ、君達もサトシと共に旅をしていたのか!?これは凄いな…」

 

リンドウとブルー、そしてククイ博士とバーネット博士の結婚式。その会場であるホテル…メレメレ島の高級ホテルの控え室。

そこに式の参列者が早々と集まっており、その一角にはタケシやカスミ、ヒカリやデントを始めとしたサトシの此までの旅の仲間達が全員揃っていたのだ。

 

カントー及びジョウトを共に旅したカスミとタケシ(タケシはシンオウまで共に)。

 

オレンジ諸島を共に旅したケンジ。

 

ホウエン地方を共に旅したハルカとマサトの姉弟。

 

シンオウ地方を共に旅したヒカリ。

 

イッシュ地方を共に旅したデントとアイリス。

 

カロス地方を共に旅したシトロンとユリーカの兄妹。本来ならこの場にセレナも居るのだが、セレナはクラスメートと共に使命が有るためにこの場には未だ到着していない。

 

「その上…サトシは出会った伝説のポケモンと殆んど友達に成ってますもんね」

 

人間との出会いは勿論だが、サトシは伝説のポケモンとの遭遇率も凄い。全てのミュウツーに遭遇し、様々な伝説のポケモンや幻と呼ばれるポケモンと出会っては親しい関係に成ったほどだ。

 

「サトシって凄いお兄さんだったんだな…」

 

一応、同じ席に席に座っているホワイトだが…会話に入る余地が無いためかオレンジジュースを飲みながら話を聞いていた。

 

「聞いてくださいよ!サトシは何時も無茶をしてたんですよ!」

「「やっぱりか!」」

 

シトロンの言葉に同意するように、タケシとデントはそう言った。やはり、サトシは過去にも何度も無茶な行為をして仲間から心配されたようだ。

 

「あら?皆、もう来てたの?」

 

その声が聞こえ、サトシの嘗ての仲間達は声の方を見る。そこには黒いドレスを纏った美女 シンオウチャンピオンのシロナが居たのだ。勿論、彼女も結婚式に招待された来賓の1人であり…周囲にはダンデやダイゴ、ミクリにレッド、アデクやカルネと言ったチャンピオンやチャンピオン経験者も来ている。

リンドウの関係者はホウエンやカントーの人達、そして個人的に付き合いの有るトレーナー達だ。チャンピオンやチャンピオン経験者の他にはグリーンやオーキド博士、Nにリラ、ホウエンの四天王やセンリ夫妻にホウエンのジムリーダーも何人か来ている。

 

ククイ夫妻の関係者として、アローラの人達も続々と集まっており式には大勢の関係者が集うようだ。中には島キングのライチ、エーテル財団のルザミーネやモーン博士、グラジオ、ビッケ……プロテインを飲みまくるマッシブーンの姿もある。

 

しかし、この場には…彼等が居たのだ。

 

「シロナさーーん!お久し振りです…どうですか?一緒に紅茶でも呑みませんか?」

「お姉さん!お願い!お兄ちゃんのお嫁さんに成ってください!シルブプレ!」

 

お姉さん大好き漢 タケシ、そして彼の後継者と言えるお兄ちゃんの嫁さん候補を見付けるユリーカである。

2人は美女であるシロナさんに声をかけ、早い話ナンパを行ってしまったのだ。

 

安定のタケシ、安定のユリーカであった。だが、ユリーカは兎も角…タケシには残念ながら執行人全員が揃っているのだ。

 

「「はい、いい加減にしなさいね」」

「イデデデデ!?」

 

先ず、執行人1号と2号のカスミとマサトがタケシの両耳を引っ張り、シロナから引き下がらせる。そして、タケシのボールからグレッグルが飛び出し、グレッグルは毒突きでタケシの背部を攻撃。

 

「ケケ…」

「しっ痺れびれ……」

 

タケシ、見事な3コンボによりノックアウトしてしまった。その哀れにも程が有る惨劇を見てしまい、当事者のシロナとユリーカは唖然としてしまう。

 

そして…ユリーカは兄のシトロンに優しく肩を掴まれて後ろに下げられたのだ。

 

「あっ!?そう言えばアデクさんは!?」

 

何かを思い出したのか、デントが言う。そう、ナンパ職人はもう1人居るのだ。平然と妻子処か孫が居る身だが、問答無用に美女相手にナンパを繰り返す我らがイッシュ地方のナンパ職人 元イッシュチャンピオンであるアデクである。

 

「あっ!アデクさんは彼処よ!」

 

アイリスがアデクを見付け、全員がアイリスの指示した方向を見る。そこには…カロスチャンピオン カルネにナンパしようとして、見事に来賓の1人だった霊長類最強女子 サオリ先生に制止させられるアデクの姿だった。

 

人類最強の身体能力を持ち、生身でカイリキーさえも粉砕するサオリ。そのサオリを前にして、我らがエロ仙人はガクガクと震え、ナンパを諦めるのだった。

 

エロ仙人…無念!

 

「ドーモ!ドーモ!私、珍獣ハンターのイモトです!」

 

だが、タケシ達のテーブルに新たな人物が現れた。その人物は同じく来賓の1人であり、元スカル団現珍獣ハンターのイモトであった。

 

「「「どうも」」」

「皆さんには是非、ククイ夫妻とリンドウ夫妻へ向けた一言メッセージカードを書いて欲しいんですよ!」

 

イモトはそう言うと、折り畳み式のメッセージカードをタケシ達は勿論、シロナそしてキュレムに手渡した。

 

『俺も書くのか?』

「是非とも!書き終わりましたら、彼方の箱に入れてくださいね!」

 

イモトがそう言うと、受付担当であるミクリとマーレインの側に箱が置かれている。どうやら、その中に入れるようだ。

 

「それじゃあ!お願いしますね!!」

 

イモトはそう言うと、去っていく。そして、ダンデやダイゴが座ってるテーブルに向かった事から、来賓者全員にメッセージカードを書いてもらうつもりなのだろう。

 

結婚式が始まるまでもう少し。

 

「ふっふふ、たらふく食べてやるっピ!」

 

ギエピー…結婚式でたらふく食べる模様。だが、彼は知らない。バイキングはデザート位で、殆んどのメニューはコース料理だと言うことを。

 

 

 

 

「お前達……本当にありがとう!!」

 

その頃、ククイ博士とバーネットは自宅の前で、サトシとそのクラスメートから結婚式の真実を知らされ泣いていていた。

 

「博士!バーネット博士!いきますよ!」

「あぁ…本当にありがとう!!」

 

結婚式は出来ないと思っていた。だが、リンドウ夫妻の教え子とリンドウがあろうことか、リンドウとブルーの結婚式と共に自分達の結婚式を用意してくれたのだ。

 

ククイ博士は涙を拭い、リンドウの教え子と共にホテルに向けて旅立った。

 

 

 

 

一方…リンドウは…

 

「緊張でヤバイ。初めてリーグに挑んだ時よりヤヴァイ」

「てか、なんで俺とアセロラは親族席なんですか!?」

 

リンドウ、緊張でヤヴァイ状態に成る。ブラック、アセロラ、ヒガナ、リンドウ側の親族席に座る事に成る。




次回!結婚式…果たしてブーケをゲットするのは誰だ!?ライチさん?シロナさん?それとも…霊長類最強女子!?


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83時限目

結婚式である


現実世界とポケモン世界の結婚式は少し異なる。

 

先ず…式場には花嫁と花婿は一緒に入場する。その際だが、花婿と花嫁はパートナーであるポケモンが居れば共に連れ歩くのだ。

 

リンドウ夫妻とククイ博士夫妻の結婚式に参列する為に、参加した来賓の方々は会場であるメレメレ島リゾートホテルの屋上会場で、二組の新婚夫婦の登場を待つ。

青空が輝き、アローラの潮の良い香りが来賓者達を包み込み、サトシ達はカメラを構えてその時を待つ。

 

屋上会場で行う理由だが、来賓の方々はメインなパートナーをボールから出しており、アローラのルールに沿って出迎える。来賓者の数が数であり、流石に屋内会場では全員と全員分のパートナーがのびのびと楽しめない為である。

 

「凄いよな…ピカチュウ!」

「ピカピ!」

 

サトシはピカチュウと共に周囲を見回す。来賓者が来賓者な為か、周囲には正にチャンピオン級の名に恥じないポケモン達が自分の主人と共に、花婿と花嫁の入場を待っていた。

代表的な例を挙げるなら、ダンデはゴリランダーとリザードン。シロナはガブリアス。ダイゴはメタグロス(色違い)。カルネはサーナイト。アデクはウルガモス。ミクリはミロカロス。レッドは我らがバグチュウとギエピー。現役チャンピオン及び経験者がそれであり、他にもサトシと親しい人達もポケモンを出している。

タケシはハガネール。カスミはコダック。ハルカはバシャーモとマナフィ。マサトはジラーチにデオキシス、ラルトス。ヒカリはポッチャマ。デントはヤナップ。アイリスはキバコ。シトロンはレントラー。ユリーカはデデンネ…そしてジガルデ(50%)。

 

他にもシゲルもカメックスを出してたり、クラスメートも各々のパートナーを出しており、ホワイトはイーブイとキュレムだ。

 

「では…新郎新婦の入場です。皆様…暖かい拍手で迎えて下さい」

 

司会の人がそう言うと、タキシード姿のリンドウとククイ博士、純白のウエディングドレス姿のブルーとバーネット博士が現れた。

ククイ博士はウォーグルを連れており、バーネット博士はゴンベだ。

 

ククイ夫妻は一匹づつ、しかし…問題はリンドウとブルーであった。何故なら、この夫婦は今まで出会った全てのパートナーを連れ出していたのだ。とは言え、リンドウとブルーもグリーンとレッドと比べればそこまで捕まえたポケモンの数は多くなく、30も越えていない。

 

リンドウの付き添いが…リーフィア、レウス、ペンペン(エンペルト)、ボス(ボスゴドラ)、ラプラス、ムクホーク。此処までは初めてのカントーリーグ1年目の手持ちだ。その次にボーマンダだ。そこまでが、高専チャンピオン時代のパートナーであり、続いてルカ(ルカリオ)、クロマル(ミカルゲ)、バンチョー(バンギラス)、モスラ(ウルガモス)、そしてグラードン。

 

ブルーの付き添いが…カメックス、綺麗なピッピ、メタグロス、キュウコン(カントー)、マニューラ、トゲチック。此処までがカントーリーグ1年目の手持ちであり、続いてキングドラ、ヌメルゴン、メガニウムと続いていた。

 

「アイツ等…全パートナーをマジで出したな」

 

リンドウから居候であるシビシラスとヒトモシを預かったグリーンは、その行列を見て唖然としていた。

 

「懐かしいな…」

 

一方、リンドウの高専チャンピオン時代の恩人であるセンリはボスゴドラ、ボーマンダ、ラプラス、ムクホークを見てそう言った。

当時のリンドウはエキシビジョンマッチの時は、レウス、リーフィア、エンペルト、ボスゴドラの初期四人集は必ず入れていたが…ボーマンダ、ラプラス、ムクホークはランダムで使い分けていたのだ。余談だが、高専チャンピオン時代…ムクホークは手持ちに入れない時は、センリ夫妻に預けていた。

 

「マサトは覚えてないが、あのムクホークとボーマンダはマサトとハルカが幼い頃、遊び相手に成ってくれたんだぞ?」

「うそ!?」

「うん、あの時のマサトは2歳だったし、覚えてないかも」

 

センリから明かされる、ハルカ一家の過去であった。

 

やがて、二組の新婚夫婦は神父役を務めるオーキド校長の前に辿り着く。

 

「夫と成るもの。リンドウ君とククイ君。如何なる困難も伴侶と共に乗り越える事を誓いますか?」

「「誓います」」

「妻と成るもの。ブルー君とバーネット君。もし、夫が浮気すればフルボッコにしてでも連れ戻しますか?」

「「誓います」」

「「ふぁ!?」」

 

オーキド校長の言葉に笑みを浮かべ、拳を握って誓うブルーとバーネット博士であった。

 

「まぁ…それはじょうだンゴロ!リンドウ君の緊張が余りにも酷すぎたのでジョークジョークヌギダマ!

では改めて、妻と成るもの。如何なる時も、伴侶の帰るべき所を守ると誓いますか?」

「「誓います」」

 

新郎新婦の誓いを聞いて、オーキド校長は笑みを浮かべる。

 

「では…続いて指輪の交換」

 

次は指輪の交換である。指輪はリンドウ夫妻の物はヒガナが持ってきて、ククイ夫妻の物はサトシが持ってくるのだ。

指輪の入ったケースを持ったヒガナとサトシが夫妻の前に現れるが、サトシはガチガチに緊張して動きがロボットのように固くなってる。

 

――サトシーーー!!昨日、予行練習しただろ!?

 

サトシは念の為に、昨日に予行練習をリンドウ達と共に行ったのだ。しかし、彼も先程のリンドウと同じくガチガチに緊張してしまってる。

 

ヒガナは何事も無く、ケースを開けてブルーの指輪をリンドウに手渡す。しかし、サトシはガチガチに動いてククイ博士に指輪を手渡した。

 

そして、リンドウはブルーに、ククイ博士はバーネット博士にその指輪をはめる。

 

「では最後に誓いのキスを「ゴゴーン!」ほんげ!?」

 

最後に近いのキスが待っていたのだが、オーキド校長がそれを告げる前にバーネット博士のゴンベがオーキド校長の唇を奪い…凄い吸引力でキスをしたのだった。

 

「ゴンベ!?」

「あらら」

 

これに関してはリンドウ達は苦笑いを浮かべてしまうのだった。

 

そして…遂にブーケトスの時間がやって来た。

 

「さて…やるわよ」

 

そう言ったのはサオリ先生。既に30を越えており、そろそろ結婚しないと婚期を逃がしてしまいかねない、霊長類最強女子である。

 

「同感ね」

 

次に言ったのは我らがアララギ博士。彼女も30を越えており、ギエピーからオバサン認定された哀れな女性だ。同じく未婚である。

 

「ブーケトスが遂に来たわ!」

 

そしてライチさん。未だ上の2人と比べたら若いが、それでも島クイーンという立場故か…結婚したいが男性が依ってこないのである。

 

と…3人はヤル気MAXであり、他者を蹴落としてでもブーケをゲットするき満々である。

 

「ブーケトスが来たね!」

「はい!」

 

と…十代の少女達は軽い気持ちで参加する。

 

そんな女性達の気持ちを知らずに、幸せ一杯のブルーとバーネット博士はブーケを投げる構えを取る。

 

「それじゃ…行くわよ!」

 

ブーケトスで投げられたブーケを取れれば、次の花嫁に成れると言い伝えで言われており…是非とも未婚で婚期がヤヴァイ女性達は是非ともブーケが欲しいのだ。

それに、今回…ブーケは二個有り、チャンスが普段と比べて2倍なのだ。

 

そして…投げられた2つのブーケ。だが、そのブーケは最高到達点に辿り着いた瞬間、神速で動く何者かが、2つとも奪ってしまったのだ。

 

「なっ!?」

「私の…ブーケが…」

 

ブーケが奪われ、悲痛な表情をするアララギ博士とライチさん。そして…ブーケを掴んだのは勿論、この御方である。

 

「これで…次は私の物よ!!」

 

そう…我らが霊長類最強女子 サオリ先生である。

 

「でも、あれって言い伝えだから確定事項じゃないんだよね」

「ちょっとヒガナ!分かってても言ったらダメじゃない!」

 

ヒガナとその友人でありミクリの姪 ルチアの言葉を受けて、心にダメージを受けるサオリ先生であった。




次回!ダイゴの友人代表スピーチから始まる披露宴

そして…イモトが仕組んだ、あのメッセージカードが騒動を起こす!?

ギエピー「コース料理なんて、聞いてないっピ。食べ放じゃなかったのかっピ…」


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84時限目

披露宴です。


結婚式も終わり、次は披露宴だ。披露宴と結婚式は同じもの捉える人も多くいており、事実…マオやスイレンを始めとした多くの子供達は同じものだと思っていた。

 

結婚式は教会やチャペルで行う、指輪の交換や夫婦の近いの事であり、食事などは一切出てこない。

 

披露宴はその後に行うパーティーであり、友人代表スピーチや料理を楽しむのは披露宴である。

 

リンドウ夫妻とククイ夫妻の結婚式は無事?(サオリ先生が本気を出したとは言ってはいけない)に終わり、披露宴が始まろうとしていた。

披露宴の会場はホテルの屋上から、屋内に変わり、中庭が見える大きな会場で行う。

 

サトシ達を含め、多くの来賓者は指定された席に座っている。とは言え…

 

(えっ?なんで…俺達、親族席!?)

 

サトシ、セレナ、ラティアス(人モード)はククイ博士の両親と共にククイ博士側の親族席に座っている。

まさかの親族席に戸惑う、サトシとセレナであったが…2人はチラッとリンドウ側の親族席を見る。そこには同じく親族席に座らされたブラック、アセロラ、ヒガナが居ており、3人はリンドウの両親と妹と共に親族席に座っている。

 

(サトシ、皆はそこね)

(俺達は例外だけど…やっぱり、皆はグループ毎に分けられているんだな)

 

サトシとセレナは周囲を見回す。自分達は親族席の為に後ろの方だが、友人や職場関係者のダイゴやサオリ先生達は新郎新婦の席に近いところに座っていた。

 

主な人物のグループを告げるとすれば…

 

友人(ホウエン) ダイゴ、トウキ、ミクリ、ツツジ、ルチア。

 

ホウエン2 アオギリ、マツブサ、カガリ、イズミ。

 

地元 グリーン、ナナミ、シゲル、オーキド博士、ケンジ。

 

ホウエン センリ、ハルカ、マサト、ハルカママ。

 

ホウエン 四天王 ゲンジ、プリム、フヨウ、カゲツ。

 

地元2 レッド、ハナコ、ギエピー、バリヤード、カスミ、タケシ。

 

職場 サオリ先生、けーね先生、オーキド校長、ムサシ、コジロウ、ニャース。

 

シンオウ シロナ、ヒカリ、ホワイト、デント、アイリス、キュレム。

 

「って…デントとアイリスがシンオウの所に居る」

「ホワイトの為じゃない?」

 

イッシュ アララギ博士、パパラギ、アデク、チェレン、ベル。

 

カロス カルネ、シトロン、ユリーカ、プラターヌ博士。

 

ガラル ダンデ、ソニア、ソード、ホップ。

 

生徒 スイレン、カキ、マオ、マーマネ、リーリエ。

 

エーテル財団関係 モーン、ルザミーネ、ビッケ、グラジオ、N、リラ。

 

新郎親族 リンドウ父、リンドウ母、クルミ、ブラック、アセロラ、ヒガナ。

 

と…リンドウ関係者の一部でこれである。

 

ククイ博士の方には…

 

友人 マーレイン、DJレオ、マサヒロ・タナカ、オルオル。

 

「ポケベースのメジャーリーガー…コイキングスのオルオル選手、ゴルーグスのマサヒロ選手だ…」

 

スカル団 グズマ、プルメリ、イモト、ボルト。

 

「ポケ陸上の世界王者 ボルト選手も居る!?」

 

と中々…個性豊かな人々が集まっている。他にもブルーとバーネット博士側の友人達も集まっており、中々の人物が集っている。

 

『では…これより、披露宴を開宴いたします。先ず、最初に友人代表スピーチとしまして、新郎リンドウ様の友人である元ホウエンチャンピオンのツワブキ・ダイゴ様のスピーチがございます』

 

司会の人の声が響き、サトシ達は一斉にその方向を見る。そこにはマイクスタンドがあり、そのマイクスタンドの前に立ち、今から友人代表スピーチを始めようとするダイゴの姿が有った。

本来…友人代表スピーチはレッドにやってほしかったリンドウとブルーだったが、レッドは無口であり…グリーンはレッドの結婚式でのスピーチを行う(期日完全未定)なので…結果的にダイゴに成ったのだ。

だが、ダイゴが一番適任だろう…それも間違いなく。

 

「皆さん、こんにちは。リンドウ君の友人で、元ホウエンチャンピオンのツワブキ・ダイゴです。

リンドウ君、ブルーさん。そしてククイ博士とバーネット博士…ご結婚おめでとうございます」

 

挨拶から始まったダイゴのスピーチ。その話をサトシ達は耳を傾けながら静かに聞く。

 

だが…コイツだけは違った。

 

「えっ?バイキングじゃなかったのかピ!?」

 

安定のギエピーであった。ギエピーは食べ放題だと大真面目に思っていたのだ。しかし、席に有った品書きを見れば、メニューはコース料理。

ドリンクも呑みやすいカクテルは何種類か有り、ワインやウィスキー、シャンパン等も豊富だ。しかし…メタボの階段を上り始めたギエピーは酒よりも飯の方が気になるのだ。

 

「私とリンドウ君の出会いは…彼が高専に通いながら、チャンピオンだった頃です。当時、私は二十歳…彼は18歳でした。

共通の友人であるミクリを倒した彼の話を聞いて、私は大学の有るイッシュから遥々ホウエンに帰り、彼に戦いを挑んだのが馴れ初めです」

 

と…ダイゴのスピーチは続いていくが…

 

「コース料理なんて…聞いてないっピ……」

 

ギエピーは誰にも気付かれる事なく、嘆いていた。披露宴のコース料理はガッツリ!豪快に食える物ではなく、人によるがそこまで酒もガッツリ呑むわけではない。

確かに、ビールも呑めるが…飲食店での定番である生では無かったのだ。

 

「私…いえ、僕の次にカッコよくて、僕よりも強いリンドウ君。結婚おめでとう。改めて祝福します。ツワブキ・ダイゴより」

 

こうして…ギエピーは殆んど耳を傾ける事なく、ダイゴのスピーチは終わるのだった。

 

「此方…前菜のスモークサーモンとオボンの実を使ったムースサラダで御座います…」

 

料理が運ばれてきたが…コース料理故に小さい。ギエピーがその気なら、一口さら三口で食べれる程だ。

 

「レッド、これは何を使えば良いのかしら?」

「スプーンやナイフは外側から使うんだよ」

 

一方、ハナコやレッドは楽しそうに披露宴の食事を楽しんでいる。

 

「リンドウ先生!ブルーお姉さん!写真とろうよ!」

「おう!」

 

サトシ達を含めたリンドウの教え子達も、リンドウ夫妻やククイ夫妻と共に集合写真を撮っていた。他の人物も実に楽しそうである。

 

食が不満なギエピーは兎も角、披露宴の楽しい時間は直ぐに去っていく。

 

すると、スタンドマイクの所に…来賓の方々が書いたメッセージカードを入れた箱を持ったイモトがやって来た。

 

「あれ…俺、こんなサプライズは用意してないぞ?サトシやミクリか?」

 

ボソッと、リンドウがウィスキーのハーフロック(ウィスキーと水を一対一で割ったロック)を呑みながら、そう言う。

念の為に、リンドウはアイコンタクトでミクリやダイゴ、センリや教え子達にアイコンタクトを送るが、全員…首を傾げて知らぬ素振りをした。

 

――いや、私は知らないぞ!

 

――リンドウ先生!俺達も知らないです!

 

そう…これはイモトが企画した企画なのだ。

 

「ドーモ!ドーモ!イモトで御座います!いきなりですが、皆様…メッセージカードを書いたのは覚えてますね!

今から…この箱に入ったメッセージカードを、リンドウさんとククイ博士に交互に引いてもらい…引かれた人は前に出て簡単なスピーチをしてもらいます!!」

 

そう…あのメッセージカードは…この為に書かれた物だったのだ。

 

リンドウとククイ博士…そして、その嫁さんへの祝福へのメッセージのだったが、この余興の為に利用される事に成ったのだ。

 

「では…リンドウさん!」

「おっ…おう、引けば良いんだな?」

 

リンドウはイモトから箱を受け取り、中をガサガサと探って一枚のメッセージカードを取り出す。

 

「おっ!アデクさん!」

 

そのメッセージカードはアデクの物だった。

 

「うぃぃぃぃ…呼んだかの?」

 

だが…エロ仙人は完全に酔っぱらっており、出来上がっている。

 

「リンドウ!なんでアデクさんのを引いたのよ!此処はマトモ枠で、トウキやセンリさん、ゲンジぃ辺りを引きなさいよ!」

 

リンドウ…よりによってエロ先生(酔っぱらい)を引き当てる。

 

「うぃぃぃ!世の中には3つの大切な袋が有っての。その1つは給料袋!お袋!そんで…キンタマ袋じゃ!

いや…やっぱりエロい「はいストップ!そこまでエロ仙人!」ちょっま!?えっ!?」

 

エロ先生、このまま話続ければ、エロ話に展開しそうなので…ブラックとNの手で強制退去されてしまった。

 

何はともあれ…披露宴も楽しく混沌に過ぎていくのだった。

 

 




次回!ウルトラレンジャー!?

現れた第二のマッシブーン!?彼を保護する為に、秘密戦隊が動き出す!?


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予習授業 ミヅキちゃんと×五◯四等分の花嫁

ミヅキちゃんシリーズ


サトシ達の時代から13年後、ミヅキがアローラに来てから5年後。

 

ミヅキは高校生と成っていたが、残念ながら未だアローラチャンピオンには成れていない。それでも、次世代のトレーナー達の中ではかなりの上位に食い込むトレーナーに成長しており、世界ランク100位から30位までのハイパークラスのトレーナーに成長していた。

 

「けっ…結婚式か…先輩達は今頃、結婚シーズンだもんね」

 

初代アローラリーグが開催された後、改めて強いトレーナーの世界ランクを定める事が決められたのだ。そのランク上位者は当然ながら、リーグチャンピオン経験者及び現役チャンピオンが名を連なっており、リーグとは別の強さの基準として注目されている。

と言うのも…アローラのジムリーダー等々のチャンピオン級に相応しいトレーナー等が沢山居た為だ。

 

年に一度はトップ30位以内の強さを持つ、世界最高峰のマスターランクのトレーナー達のトーナメントが行われており、日頃から大きな喝采を浴びている。とは言え…マスターランクに優勝するのは決まってポケモンマスターのレッドであるが。

 

そして…今日はマスターランク3位の腕前を持つ、凄腕のトレーナーの結婚式。そのトレーナーはミヅキのポケモンスクールの先輩であり、在学中も小学生と高校生という関係ながらも時々、色々と教えてもらったのだ。

 

受付にやって来た高校生ミヅキ。受付にはアラサーに成長したイッシュチャンピオン ブラック、そして30代の壁を突破したデントが受付担当を行っていたのだ。

 

「やぁ!ミヅキちゃん。 待ってたよ」

「あっはい…取り合えず、これ…御祝儀です」

 

ミヅキも大会などで活躍しており、高校生ながら働いているも同然だ。その為に、三万の御祝儀を用意したのだ。

 

「ありがとう。一応、ここに御記帳してほしい」

 

ブラックに言われ、ミヅキは記帳する。

 

「しかし、ブラック。ホワイトのお嫁さん…五つ子なんだって?」

「そうだよ。そんで、件の五つ子ちゃんがポケモンに興味を持ったのは俺の家庭教師訪問のお陰さ」

 

そう…結婚するのはホワイトであり、その嫁さんはなんと五つ子だったのだ。

 

「先月はホワイトのお義姉さんである、ホワイトのお嫁さんのお姉さんが結婚したよね」

「だよな…」

 

因みにホワイトのお嫁さんは五つ子であり、そのお嫁さんの姉は先月に同級生と結婚したのだ。

 

――お陰で、五等分の花嫁のネタバレが先月の結婚式で分かっちゃいましたよ!

 

だが…先月の結婚式のお陰で、ミヅキは五等分の花嫁の壮大なネタバレを知ってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食堂か…初めて利用するな…」

 

5年前…サトシ達の年代から数年後。我らが未来の主人公 ミヅキちゃんはポケモンスクールの食堂にやって来ていた。

カフェテリアや小さな食堂ならば数年前から存在はしていた。しかし、ポケモンスクールの規模が大きく成ると共に、食堂も大きくなったのだ。その為か、現在の食堂は大きく…ジュニアハイスクールやハイスクール等の生徒達に多くの職員が食堂を活用している。

 

今日、ミヅキの母親は諸事情で弁当を用意する事が出来ず、ミヅキは食堂を使う事に成ったのだ。

 

周りの人は全員が中学生以上、対し小学生はミヅキ一人だけである。その為か、物凄く目立つ。

 

食券を買い、食堂のオバチャンに手渡す為にミヅキは行列に並ぶが……目立つ。小学生で食堂を利用する人物は珍しく、ミヅキは周囲の学生から好奇な目で見られてしまった。

 

やがて、ミヅキの順番がやって来たのか…ミヅキはオバチャンの前に立ち、食券を手渡す。本日、ミヅキが注文したのはオムライスであった。

 

「オムライス下さい」

「あいよ!ソースはどうするの?デミグラス、ケチャップ、それとも…中華餡?」

「デミグラスでお願いします」

 

ミヅキは即答でデミグラスソースにするのだった。定番のケチャップは兎も角、中華餡でオムライスを注文する人は極僅かか…余程の天津飯が大好きな人しか注文しないだろう。

 

注文すること…3分。オムライスが出来て、ミヅキはオバチャンからオムライスを受け取る。

 

「ジュニアスクールの子が食堂を利用するなんて、珍しいね!頑張りな!特別に大盛にしてあげたよ!」

「あっ…ありがとう御座います」

 

ミヅキ、オバチャンからエールも受け取り、オムライスを大盛にサービスしてもらう。

 

だが…ミヅキに新たな問題が出てきた。それは…食堂の席である。前世の経験が有るミヅキ……だが、既に食堂の多くの席は中学生と高校生の手で埋まっており、ミヅキに相席を頼む勇気は無いのだ。

 

「どうしよう…」

 

困るミヅキ。だが、その時…救いの女神が現れる。

 

「どうしたの?場所が無いのならお姉さん達と食べない?」

 

その声が聞こえ、ミヅキは声の方を振り向く。そこにはショートカットのお姉さんが居たのだ。

 

「困った事が有ったら、このイチカお姉さんに相談するんだぞ?」

 

ミヅキ…本格的に五等分の花嫁の一人と出会う。




因みに…マスターランクの三分の一はアローラ関係者です。アローラは魔境(笑)

それと…五等分の花嫁を全部読んだ人には…ホワイトの嫁さんが完全に分かりましたね?フウタローの嫁さんの妹…そう言う事です


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予習授業 ミヅキちゃんと世界ランキング

再びミヅキちゃん


ある日のこと。

 

「やっと…スイレンさん倒せた」

 

ミヅキは何とか…アローラでも最強クラスと称されるジムリーダー スイレンを2番目に倒すことに成功した。

これで、ミヅキはメレメレ島のジムを制覇した事に成り、次は他の島…アーカラ島やウラウラ島、ポニ島等に挑む事に成るだろう。いや、Z技を身に付ける為に島巡りの試練に挑むのも良いかもしれないのだ。

 

「凄いねミヅキ。私達、未だジムバッジを一個しか持ってないよ」

 

現在…ミヅキのクラスメートではミヅキが二個、イリヤとミユが水バッジ一個、ジョウスケが草バッジ一個、ケイタが0個である。別にケイタが弱いわけではなく、寧ろ…これで当然なのだ。

 

「皆は良いよ…俺なんて、未だバッジを1つも持ってないんだよ?」

「ウィスー…」

 

ケイタとケイタのパートナーであるヨマワル(ニックネーム ウィスパー)がそう言う。とは言え…ジムバッジを1つもゲット出来ないトレーナーも多く、ケイタも成長すれば必ずゲット出来る筈なのだ。

 

「それなら…ゴーストタイプとタイプ相性を助け合えるポケモンを入れたらどう?

私だってモクローは草タイプでヒノヤコマは最終的に炎・飛行のファイアローに進化するでしょ?ヒノヤコマの苦手な水ポケモンはモクローで戦い、逆にモクローの苦手な炎タイプは炎と普通に戦えるヒノヤコマってね」

 

ミヅキは前世の知識と経験から、ある程度の知識は有る。勿論、特殊な進化方法も知っているのだ。

 

「成るほどな…それじゃあ、俺は手持ちにズルッグとヤナップが居るし…ズルッグは格闘、ヤナップは草だから…飛行と戦えるポケモンを入れたら良いのか!」

 

ジョウスケの手持ちはズルッグとヤナップであり、残念ながら飛行タイプには弱い。だとすると彼は飛行に強い氷や電気タイプ、岩タイプ等のポケモンを入れれば良いだろう。

 

「ミヅキは凄いね…」

「知識ならミユより凄いんじゃない?ジュニアハイスクールの先輩以上かも!」

 

ミユとイリヤから褒め称えられ、ミヅキは照れ臭そうにする。しかし、内心では……

 

――言えない…前世からの知識だなんて死んでも言えない。

 

転生者ならではの言えない秘密を抱えていた。

 

すると、教室にリーリエが入ってきた。

 

「さて!楽しい休み時間は終わりですよ!席に座ってください」

 

リーリエ先生の言葉に従い、ミヅキ達は自分の席に座る。

 

ミヅキ達が全員、自分の席に座った事を確認するとリーリエは笑みを浮かべて話し出した。

 

「この時間は世界ランキングに付いてお話ししますよ!」

 

世界ランキング。ミヅキが前世でやっていたポケモンのゲームでのオフラインでは、馴染みのない言葉だ。

とは言え…大体の予想は着くし、この世界でもテレビを見てバトルの大きな試合等を見ていれば、世界ランキングの事はある程度は知ることが出来るのだ。

 

「世界ランキングとは様々な地方のリーグ関係無しの常に変動する、トレーナー達のランキングです。

この世界ランキングですが…勝率や勝ち負け等でも変わっていき、順位でランクも分けられています」

 

リーリエの言う通り、世界ランキングは順位によってランクが異なり…ランク外のトレーナーは主にモンスターボールクラスと呼ばれており、上位100位から30位までをハイパークラスと呼ばれているのだ。

 

「先ず、ランキング外のトレーナーは基本的にモンスターボールクラスと呼ばれます。皆さんも含め、大勢のトレーナーがこのモンスターボールクラス…かっこ悪く言えばランキング外の選手です。

次に…上位100位から30位までの選手をハイパークラスと呼びます」

 

ハイパークラスの上は何なのか?それはマスターランクである。

 

「そして…一番上のランクをマスターランクと呼びます。此方は世界にたった30人しか居ません。

アローラではチャンピオンであるサトシが4位、ジムリーダーのスイレンが13位、マオが15位、マーマネが23位、カキが14位、アセロラが16位です。

そして…不動の1位がポケモンマスターと呼ばれる生ける伝説のトレーナー レッドさんです。

余談ですけど…私は22位でマスターランクのトレーナーです」

 

レッド…安定の1位であった。そしてリーリエ先生、マスターランクの22位の実力者であった。

 

「マスターランクの人達は年に一度…マスターズトーナメントと言う、マスターランクだけの試合を行い…激しいバトルを繰り広げます。此方は皆もテレビで見たことは有りますね?」

 

リーリエの言葉を聞いて、ミヅキはカントーに居た頃を思い出す。そう言えば、テレビ中継でリンドウのグラードンとダンデのムゲンダイナが激しい戦いを繰り広げ、その後にリザードン同士の戦いを行っていた事を。

ガラル最強のジムリーダー キバナのジュラルドンが、ホワイトの色違いカイロス(黄金の角を持つ紫の珍虫)の手で倒されたりと、見ている側も楽しかった試合だ。

 

「俺も何時かは出てみたい!!」

 

だが、トレーナーはコンテストやバトルなど…様々なやり方は有れど…頂点を目指したい物だ。その為か、ケイタは何時かは出たいと声にだし、ジョウスケやイリヤにミユも声には出さないが…興味津々である。

 

「その時は…先生と本気で勝負ですね。手加減はしませんよ?」

 

手加減はしない。つまり、リーリエはイベルタルにソルガレオも使うと言う事である。

 

「そして…このマスターズトーナメントですが、なんと今年はアローラでの開催が決まりました!

日時としてはアローラリーグが終ってからですが、世界中から強いトレーナーの皆様が集結しますよ!」

 

そう、今年のマスターズトーナメントはアローラでの開催が決まったのだ。

 

「これは折角なので、全員で見に行きますよ!」

 

こうして…ミヅキ達はマスターズトーナメントの観戦を決めたのだった。アローラリーグが終ってからなので、最低でも半年後だが。

 

 

その日の放課後。

 

ミヅキはクラスメートと共に、ポケモンスクールの裏手に有る森に来ていた。

 

「それじゃあ…新しいパートナーを探そう!」

「「「おぉーー!」」」

 

現在…ミヅキの手持ちはヒノヤコマとモクロー。イリヤがフォッコとガラルポニータ。ミユがポッチャマとムックル。ジョウスケがズルッグとヤナップ。ケイタがヨマワルだけである。

 

「特に…ケイタはジム戦の突破の為にも、新しいパートナーを探さないとね!」

「勿論!」

 

森の奥に進むミヅキと愉快な仲間達。

 

「やっぱり…ピカチュウは欲しいね!可愛いし!」

「「わかる!」」

 

そして…未来でもピカチュウは世界的に人気に成っていた。但し、捕まえたのなら最期まで責任を持ちましょう。

密漁目的での捕獲は立派な犯罪である。

 

「オラ…」

 

そんなミヅキを見つめる、二足歩行の黄色い猫のようなスタイリッシュなポケモンが木上に居た。彼がミヅキと出会う日も近い。

 

 




ミヅキを見ていた猫のようなポケモン…果して、何オラなのだろうか?


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85時限目

ウルトラガーディアンズ!?


リンドウ達がホウエン合宿を行ってる頃。

 

サトシ達に内緒で、ポケモンスクールは工事が行われていた。

 

「ふむ…こんな物で良いか」

「muscle!!」

 

その工事を指揮するモーン博士と彼のマッシブーンは、作業を見守りながらそう言った。外見上の変化は一切起きていない。しかし、サトシ達の知らない所でポケモンスクールはパワーアップしているのだった。

 

「ウルトラガーディアンズの出番は近いぞ!」

「muscle!!」

 

モーン博士はジョジョ立ちのポーズを決めて宣言し、マッシブーンはボディービルのポーズ ダブルパイセップスを決めて誇らしげに言うのだった。

 

 

 

 

ある日の事、リンドウは普段通りにサトシ達に勉学を教えていた。

結婚式と披露宴から数日程の時間は流れたが、何気ない日常が続いている。

そんな中…チャイム担当であるオーキド校長のネッコアラが鐘を鳴らす。だが、不自然に何度も何度も連続で物凄いペースでネッコアラは鐘を鳴らし続けるのだ。

 

「なんだ?何時もと様子が変だな…」

 

カキがそう言い、サトシ達は一斉に窓から外を…ネッコアラが居る所を見る。だが、それでもネッコアラは連続で鐘を鳴らし続けるのだった。

 

事情を知らないサトシ達は首を傾げるが…リンドウとブルーは特に反応を示さない。もしかしたら、2人は何かを知ってるのかも知れない。

すると…リンドウはチョークを突如として置いて、黒板の下を持つ。

 

「先生?」

 

突如のリンドウの行動を見て、サトシ達は首を傾げる。だが、次の瞬間…リンドウは黒板を上にスライドさせたのだ。上にスライドさせて黒板は商店街のシャッターのように収納され、黒板の有った所には大きなボタンが出現した。

 

「「「えっ?ボタン?」」」

「良し、お前達…出動だ」

「「「出動!?」」」

 

出動という言葉を聞いてますます訳が分からないサトシ達。

 

「ウルトラガーディアンズの諸君。出番が来たぞ、さあ!出動だ!!」

 

リンドウはそう言うと、ボタンを拳で叩く。すると、サトシ達の足元が開き…サトシ達は落ちてしまった。

 

「うわ!?」

「頑張れよ!アローラの平和はお前達にかかっている!」

 

落ちた先には滑り台が有り、サトシ達は滑り台に滑られながらどんどん下に落ちていく。

その道中、気が付けば…サトシ達の服装は滑り台の上で変化し…戦隊ヒーローが着るような統一感溢れる服装に着替えられたのだ…いや、違う。元から着ていた衣類の上から戦隊ヒーローのようなコスチュームを着せられたのだ。

 

「なんじゃこりゃ!?」

「ピカピ!?」

 

サトシのコスチュームは青色。そして…ピカチュウには青色のペンダントのような物が装備された。

やがて、サトシ達は…何やら戦隊ヒーローの秘密基地のような場所に辿り着く。

 

ふと、サトシは周囲を確認する。サトシ以外の人物も戦隊ヒーローのコスチュームを着ており、色は全員バラバラだ。

サトシは青、カキは赤、マーマネは黄色、マオは緑、スイレンは水色、アセロラは紫、リーリエはピンク、セレナは白、ブラックは黒色だった。

 

「えっ?皆も同じような格好だ…」

 

更に、ピカチュウ以外もシロンやアママイコ、アシマリ、ラティアス等のポケモン達もバッジやリボンを付けられている。

雄であるピカチュウやルカリオ、キモリ等はペンダントだが…雌であるアママイコやラティアスはペンダントにリボンが着いている…

 

「レシラムもリボンが着いてる」

 

レシラムにもリボンが付けられている事から、これは性別以外にもジェンダーが関係するようだ。

 

滑り台で滑り落ちながら、統一感の有るコスチュームに着替えさせられ…落ちた場所は特撮に出てきそうな秘密基地。大きなモニターも有るし、機械感溢れる環境にサトシ達は困惑するが…

 

「ピクシー!」

 

何やら…一匹のピクシーが基地?に現れる。

 

「お母様のピクシー!?なんで此処に?」

「「「えっ!?」」」

 

そして…このピクシーはルザミーネのピクシーだったのだ。ピクシーはモニターの下に有るボタンを押す。すると、モニターに映像が映し出される。映像はテレビ電話と成っており、画面にはルザミーネとモーン博士、そしてゾロアークとマッシブーンが映ったのだ。

 

「お父様にお母様!?」

「リーリエのお父さんにお母さん!?」

『突然ですまない。リーリエ…それに学友の皆、手を貸してほしいのだ』

 

モーンはそう言うと…大きく息を吐き出した。

 

『君達のポケモンへの想い、そして腕前を見込んで頼みが有るんだ。

私のマッシブーンとリーリエのソルガレオが異世界からやって来たポケモンだと言うことは、皆も知っていると思う。私のマッシブーンとリーリエのソルガレオはこの世界に永住を決めているが、異世界から事故で迷いこんでしまったポケモンも出てくるし…彼等は困惑してトラブルを起こしてしまうかも知れない。

彼等もこの世界では完全に異質だが、ポケモンである事には変わりは無いんだ。そんな彼等を保護し、この世界に住みたいのなら居場所を与え、故郷に帰りたければ帰してあげる。力を貸してくれるかな?』

 

そう…マッシブーンやソルガレオはこの世界に永住を決めている。だが、異世界からやって来たポケモンの中には事故で迷いこんでしまった異世界のポケモンも多く居るだろう。

モーンの頼みとは…彼等を保護し、元の世界に帰れるように手助けするという事なのだ。

 

「勿論です!」

 

代表でサトシが言い、セレナ達も笑みを浮かべて頷く。

 

「有り難う。では改めてウルトラビーストに付いて説明しよう。

異世界からやって来たポケモンには大きく分けて二つ有る。先ず、スイレンのカイオーガのようにこの世界と非常に似た世界…平行世界と呼ばれる所からやって来たポケモン。そして、此処とは完全に異なる異世界から迷いこんだポケモン…これはマッシブーンやソルガレオがそうだ。

この完全に異なる異世界からやって来たポケモンの総称を…我々はウルトラビーストと呼んでいる。最近、例のレインボーロケット団がやって来た影響なのか、自然にウルトラホールと呼ばれる…異世界への入口が開いてしまうように成ってしまってね…ウルトラビーストが事故で迷いこんでしまうように成ってしまったんだ。これは今朝の映像だ」

 

完全に異なる異世界からやって来たポケモン…彼らの事をウルトラビーストと呼ぶようだ。つまり、ソルガレオやマッシブーンもウルトラビーストという事に成るだろう。

 

すると…モニターの半分だけ映像が切り替わり、花畑や街中で困惑するマッシブーンの映像が映し出された。映像のマッシブーンはどうしたら良いのか分からず、野生のポケモンと戦ったり、窓ガラスの前でサイドチェスト(ボディービルのポーズ)を行ったりしている。

 

「「「マッシブーン!?」」」

『勿論…私のマッシブーンとは別の個体だ。彼は事故で迷いこんでしまったようでね…かなり困惑している。

彼の保護を頼みたいんだ』

『勿論…此方も出来るだけ支援は行うわ。ピクシー』

 

ルザミーネの言葉を聞くと、ピクシーは救急箱をリーリエに手渡す。その中には回復の薬や満タンの薬、なんでも直しや元気の塊、オボンの実等の沢山の回復アイテムが入っていた。

 

「こんなに沢山…」

『ウルトラビーストが傷付いていたり、巻き込まれて怪我した野生のポケモンは勿論、君達のポケモンが傷付いていたりしたら喜んで使ってね』

 

この回復の薬等は勿論、ルザミーネ率いるエーテル財団の奢りである。

 

『後は…保護する際に使うボールだ』

 

モーンの言葉を聞いて、ピクシーは1つの箱をブラックに手渡す。

ボールだから、モンスターボールだろうか?疑問に思ったブラックが箱を開けると…モンスターボールの一種だと思うが、明らかに今までのモンスターボールとは異なるデザイン…未来感溢れるモンスターボールが沢山入っていた。

 

「なんだ…これ?」

 

疑問に思ったサトシとカキも箱の中を見る。勿論、サトシとカキもこんな捕獲用のモンスターボールは見たことが無い。

 

「あの…モーン博士?なんですか?…これ」

『これはウルトラビースト用に開発されてウルトラボールだ。ウルトラビースト限定だが、ハイパーボールよりも捕獲がしやすいぞ!』

 

このボールはウルトラボール。ウルトラビースト限定に使う為に、新たに開発されたボールだ。

 

「「「「ウルトラボール?」」」」

『うむ。ウルトラビーストは普通のモンスターボールが反応し辛いんだ。自分で入ってくれる分には問題はなく、私もリーリエもマッシブーンとソルガレオを普通のモンスターボールで入れている。

だがね…投げて捕獲すると話は別なんだ。そこで、我々は我々よりもウルトラビーストに詳しい彼等の協力で、このウルトラボールを開発したんだ』

 

すると…画面の向こうであるモーンとルザミーネ達が居る部屋に四人の男女が入ってきた。

しかし、その男女は誰もが肌の色が青白く…地球人とは思えない。肌の色さえ気にしなかったら、この地球で暮らす人達と変わらぬ姿をしているが…

 

「あっ!?あの時の!」

「たしか…シオニラさんとその秘書…だったよな?」

 

その四人の2人は嘗て、アーカラ島の校外学習でスイレンとカキが遭遇したシオニラと秘書だったのだ。

 

「「「知り合い!?」」」

「あぁ…ガラガラを捕まえる時に会ったんだ」

『うむ…あの時以来だな。見知らぬ人の為にも名乗ろうか、私はウルトラ調査隊の隊長 シオニラだ。此処とは完全に異なる世界からやって来た』

 

そう…シオニラ率いるウルトラ調査隊はウルトラビーストが生息する、完全な異世界からやって来た異世界人なのだ。平たく言えば、地球人とガミラス星人のような感じだろう。

 

『シオニラ隊長の秘書 ミリンです』

 

シオニラの秘書の名前はミリンと言うようだ。

 

『ダルスだ。よろしく頼む』

 

生真面目そうな長身の青年はダルス。

 

『アマモです!宜しくね!』

 

サトシ達と歳の変わらないであろう少女はアマモと言うようだ。

 

『我々ウルトラ調査隊は我々の世界に起きたとある異変を解決する術を見付けるために、この世界にやって来た。

以後もよろしく頼むよ』

 

シオニラはダンディーな髭を触りながらそう言う。

 

今後もウルトラビーストに関わる事が有るのなら、彼等と関わりを持つのは当然だろう。

 

『ごほん!話がそれたが…件のマッシブーンはメレメレ島に居る。頼んだぞ、ウルトラガーディアンズ!』

「「「「了解!」」」」

『あっ!そこはウルトラジャー!でお願い!』

 

ウルトラガーディアンズの返事はルザミーネの希望により、ウルトラジャーに成るのだった。

 

『空を高速で飛ぶ手段の無いマーマネ、マオ、セレナには此方でライドポケモンを用意した。頼んだぞ!ウルトラガーディアンズ!!』

「「「「ウルトラジャー!」」」」

 

こうして、ウルトラガーディアンズの初任務が始まったのだ。

 

そして…各々のガーディアンズは出撃する為に、ハッチに向かう。

 

サトシの場合…

 

「ギエー!」

「おっ!ギラティナ!そんな所に居たのか!」

 

ギラティナ…鏡を使い、ボールから一足先に反転世界を経由してハッチに到着してた模様。その背中には…サトシの他に、ラティアス、ルカリオの普段からボールの外に出てるパートナーも乗せられる鞍が装備されていた。

 

カキの場合…

 

「俺のはおまえか!」

「ぐぅおお!」

 

カキのリザードン。ずっとスタンバイしていた模様。

 

マーマネの場合…

 

「うぉ!メタングだ!」

「メタ!!」

 

マーマネに貸し出されるライドポケモンはメタングのようだ。

 

ブラックの場合…

 

『私に乗れ!』

「ですよねー」

 

ブラック…安定のレシラムであった。

 

セレナの場合…

 

「グルル!」

「うそ!?ボーマンダ!?」

 

セレナ…まさかの600族のボーマンダさん。惑星カイロスから派遣されるカイロスさんの天敵である。

 

マオの場合…

 

「宜しくね!フライゴン!!」

「ゴーン」

 

マオ…ホウエンのドラゴンで唯一、メガシンカ出来ないフライゴンさん。だが、それでも充分に強いポケモンである。

 

スイレンの場合…

 

「良し!出てきて!カイオーガ!」

「カィィオォォオオガ!!」

 

スイレン…切札であるカイオーガを出して、その背中に鞍を装着して乗る。

 

アセロラの場合…

 

「うん!出てこい!ドラえもん!!」

 

アセロラはボールを投げる。すると、中からステルス戦闘機を彷彿させるドラゴン・ゴーストのポケモン ドラパルトを出した。

 

「ドラッパーー!!」

 

アセロラ…ドラパルトの背中に乗る。

 

リーリエの場合…

 

「ほしぐもちゃん!?何時の間に居たんですか!?」

 

ソルガレオ…テレポートを使い、先回りしていた。

 

 

 

ポケモンスクールの池が割れ、そこからカタパルトが現れ、各々のライドポケモンに乗ったサトシ達が出撃していく。

それを見送り、リンドウとブルーはサムズアップするのだった。

 

「負けるな!ウルトラガーディアンズ!頑張れ!ウルトラガーディアンズ!!」

 

だが…リンドウは知らない。後日…彼もウルトラガーディアンズの助っ人として、コスチューム姿で参戦することを。




次回!頑張れ!ウルトラガーディアンズ!!野生のマッシブーンを保護するのだ。


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86時限目

あぁ…muscleは偉大である。筋肉を崇めよ、プロテインを讃えよ。鍛え上げた攻撃力の努力値は絶対に我々を裏切らない。


メレメレ島の花畑。そこに彼女は居た。

 

「ドーモ!ドーモ!イモトで御座います!!」

 

メレメレ島の大地と海が育んだ珍獣ハンター イモトだ。彼女は嘗て、スカル団という元は存在したチンピラ集団の一員だった。だが、それも過去の話。

今では主にYouTuber等で珍しいポケモンや変わった生態を持つポケモン…俗に言う珍獣と呼ばれるようなポケモンと触れ合う事を生き甲斐にする珍獣ハンターである。

 

珍獣ハンターはポケモンハンターと違い、ポケモンを道具のように扱わず、対等に接する。ハンターという称号が付いているが、必ずしも捕らえるという事では無いのだ。

 

寧ろ…イモトの活躍を見れば冒険家やフィールドワークの調査員に近いだろう。わざわざ現地まで向かい、珍獣と触れあって生態を記録するのだ。

 

そんなイモトであるが、彼女はパートナーであるアローラナッシーとルージュラのマサコを連れて珍獣探しにやって来たのだ。

 

「良し!今日も珍獣を探すぞ!」

 

彼女達が今まで見付けた珍獣は…カイロスやポッポと同じ攻撃力のイワーク等々のカントー三大珍獣は勿論、様々な珍獣と触れ合ってきた。

 

だが…イモト達の目の前に…………サイドチェストを華麗に決めた筋肉ムキムキの赤いポケモンが現れた。

 

「マッブシ!!プロテイン!!」

「なんじゃありゃ!?」

 

珍獣ハンターイモト。アローラに漂流してしまった件のマッシブーンと遭遇してしまった。果たして、どうなるイモト!?どうなる珍獣ハンター!?

 

 

一方その頃、我らがサトシ君率いるウルトラガーディアンズは各々のライドポケモンに乗って現場に急行している。

 

先頭からサトシのギラティナ、ブラックのレシラム、カキのリザードン、スイレンのカイオーガ、マオのフライゴン、セレナのボーマンダさん、リーリエのソルガレオ、アセロラのドラパルト、マーマネのメタングと続いている。

半分が伝説のポケモンであり、物凄い集まりだが今さら気にしてはいけない。

 

すると…サトシ達の視線の先にホログラム状だが、モーン博士が映し出された。どうやらウルトラガーディアンズのコスチュームには通信の映像を映し出す効果が有り、こうしてモーン博士がホログラム状だが登場したのだろう。

 

『諸君!大変だ!!珍獣ハントを行っていた珍獣ハンターが、件のマッシブーンに襲われた!

直ぐに救援に向かってほしい。座標は…此処だ』

 

モーン博士から指令を受け、モーン博士は珍獣ハンターがマッシブーンに襲われた場所をサトシ達に送る。その現場は直ぐ側であり、ライドポケモン達の力が有れば一瞬で辿り着くような所だ。

 

「「「ウルトラジャー!!」」」

 

モーン博士から指示を受け、現場に急行するサトシ達。とは言え、ウルトラガーディアンズの事を知らない民間人からすれば…ギラティナ、カイオーガ、ソルガレオ等々の伝説のポケモンに跨がった特別コスチューム姿の少年少女が飛んでいる事しか理解できないだろう。

 

やがて、現場に到着したサトシ達。そこには…倒され、グロッキーに成った珍獣ハンター イモト、そのパートナーであるナッシーとルージュラのマサコの姿が有ったのだ。

 

「イモトさん!?」

 

倒されたイモト。特にナッシーは吸血系統の技を過剰に受けたのだろう…ガリガリに痩せ細っており、栄養の補給が必要だ。

 

「あの…あのプロテインが…プロテインが…ガクゥ…」

「イモトさん!?」

 

珍獣ハンター イモト 筋肉には勝てなかった模様。イモトもアローラの中では指折りに強いポケモントレーナーだ。そのイモトが倒されたとなると、件のマッシブーンは強力なポケモンなのだろう。

 

だが…イモトを倒した筋肉の化身…作者が選ぶ最も好みなウルトラビースト堂々のNo.1 マッシブーンはイモトから少し離れたところで、華麗なサイドチェストを決めていた。

 

「マッブシ!!」

 

見よ…この腰の括れ、そして逞しい2つの腕と腰のコントラストが産み出すサイドチェストを…と言いたげなプロモーションから繰り出されるサイドチェスト。

間違いなく、カントーボディービル協会から表彰される事は間違いないだろう。だが…今はボディービル処では無いのだ。サトシ達は何としてでも、このプロテインの化身を捕らえて保護しなければ成らないのである。

 

「仕方ない…俺とブラック、カキでマッシブーンの相手をするから、女子とマーマネはイモトさんとそのパートナーを!」

「「「了解!!」」」

 

イモトとナッシー達を女子とマーマネに託し、サトシとブラックそしてカキはマッシブーンと対峙する。

 

「それにしても…凄い筋肉だな」

「モーン博士が言うにはタイプは虫と格闘…ヘラクロスとかと同じだ」

 

マッシブーンを捕まえるとは言え、危険な相手以外は成るべく平和に保護したい。先ず、始めにサトシ達が選んだ手段は話し合いだ。

 

「ルカリオ…頼めるか?」

「ピカピ!」

「任せておけ」

 

それに、ここにはサトシのパートナーであり人語もポケモン語もどちらも理解しているルカリオが居る。交渉役にはうってつけだろう。

 

ルカリオは一歩前に踏み出し、マッシブーンとの対話を試みる。

 

「マッブシ!!muscle!!プロテイン!!」

「えっ?なんて?えっ?」

 

マッシブーンはニーパイセップスからのダブルニーパイセップスで二頭筋と大胸筋をアピールする。

 

「ルカリオ?」

「わからん…何を言ってるのかさっぱりわからん。唯一聞き取れた言葉が…筋肉、プロテイン、ザバス、サイドチェスト、ビーレジェンド激うまチョコ風味だけだ。

だが…これだけは分かる。マッシブーンは此方に敵意は無いようだ」

 

どうやら…住んでいる世界が違うためか、ルカリオでもマッシブーンの言葉は理解できないようだ。しかし、ルカリオは波動等で相手の気持ちも理解できる。その為か、マッシブーンが此方に敵意が無いことを理解したのだ。

 

「しかし…戸惑っているようだ」

 

無理も無い。マッシブーンはこの世界に突如、事故で迷い混んだのだ。人だって、突然…飛行機等の不時着や小型船舶の漂流で見知らぬ国に辿り着いてしまえば、きっと同じような思いを抱くだろう。

 

「そうか…そうだよな」

 

マッシブーンが起こした破壊行動も、イモトへの攻撃も不明な世界にやって来た故の混乱と不安、正当防衛からであった。

 

「マブシ……」

 

すると…マッシブーンは…

 

「マッブシ!!muscle!!」

 

手を後ろに回し…腰を少し捻って、サイドトライセップスを行った。

 

「マブシ!」

「サトシ!言葉が通じたぞ!!彼らのコミュニケーションは…ボディービルのポーズらしい!!」

「「「そんな訳があるかーーー!!」」」

 

なんと言う事でしょう。マッシブーンという種族の中でのコミュニケーションは…ボディービルのポージングだったのだ。

 

「マブシ!!」

「彼と友好な関係を気付くには…私達もやるしかない」

「「「マジで?」」」

「ピカ?」

 

だが…マッシブーンと友好な関係を築く為にはサトシ達もボディービルを行うしか無いのだ。現実は非常である。

 

「マッスル?」

「マッスル!」

「マッスル!!」

「ピカピカ!」

「マッスル!」

 

その為に…サトシ、カキ、ブラック、ルカリオ、ピカチュウは最も逞しいボディービルのポーズ モストマスキュラーを行う。

 

「muscle!!」

 

続き、マッシブーンも手本を見せるようにモストマスキュラーを披露する。

 

――見た前…この大胸筋と二頭筋が織り成す芸術を…あぁ…筋肉は素晴らしい。私にはそれが必要だ!!

 

何やら…マッシブーンからそんな声が聞こえたが、気にしてはいけない。

 

そして…この場は急遽、ボディービル大会へと変貌してしまった。

 

「muscle!」

「マッスル!」

「ピカピカ!」

 

だが…マッシブーンとのコミュニケーションを知らないセレナ達と被害者であるイモトは苦笑いを浮かべ、そのポージングを見守っていた。

 

『おい…ボールは投げないのか?』

「そうでした!」

 

レシラムに言われ、サトシはウルトラボールを取り出してマッシブーンに投げる。

 

「muscle!まぶ!?」

 

そして…マッシブーンはウルトラボールの中に入り、無事にゲットされたのだった。

 

 

だが…マッシブーンは手持ちや家族の一員に加えるためのゲットではない。保護する為のゲットなのだ。

だから…必ず、別れが有る。

 

「ほしぐもちゃん!お願い!」

「グルォォオ!!」

 

ソルガレオが咆哮を挙げて、マッシブーンの故郷へと通じるウルトラホールを開く。

 

そして…ボールから解き放たれたマッシブーンは歓喜の喜びに沸いた。

 

「muscle!マブシ!マッブシ!!」

 

彼は理解したのだ。このウルトラホールの先に自分の故郷が有ることを。

 

いざ…帰るためにホールを潜ろうとするマッシブーン。しかし、マッシブーンをサトシ達が呼び止める。

 

「マッシブーン!」

 

そして…サトシ達は…

 

「「「「マッスル!」」」」

 

各々…ポーズは違うが、サイドチェスト、ダブルニーパイセップス、モストマスキュラー等を披露する。

 

「muscle!!」

 

そして、マッシブーンはサイドチェストを決めながら、ウルトラホールを潜った。

 

そのサイドチェストは……美しく、そして逞しいサイドチェストであった。

 

あぁ…やはり、muscleは偉大である。




皆さん、新型コロナが流行してます。作者も仕事や必要最低限の買い出し以外は外に出ないようにしてますので、本当に気を付けて下さい。



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87時限目

今回は短いです


ロイヤルマスクというポケモントレーナー兼プロレスラーがアローラには居る。

 

彼はアローラでは熱狂的な人気を誇り、アーカラ島に有るロイヤルドームと呼ばれるバトルドームで行われるポケモンバトルのバトルロイヤルでは負けなし。その上、ボクシングや柔道とは違い、パフォーマンスという側面も有るプロレスの戦いでも力強いファイトを見せる為にポケモン勝負とプロレス勝負…どちらでも根強い人気を持っているのだ。

 

だが…そのロイヤルマスクの正体が日頃からプロテイン ビーレジェンドを愛用するククイ博士だとは余り知られていない。真実を知ってるのはククイ博士の親友であるマーレイン、リンドウ、そして筋肉の造形で見破った霊長類最強女子のサオリ先生と一部の関係者だけである。

 

「へー…この人がロイヤルマスクね?」

 

ある日の夕食後。ブルーはソファーに座りながら、同居人であるブラックとアセロラと共にテレビを見ていた。

テレビの画面には複数のポケモンをパートナーのガオガエンと共に倒したロイヤルマスクが決めポーズを行っていたのだ。

 

『エーンジョイ!』

『ガオォ!』

 

ロイヤルマスク…今日もバトルロイヤルを制する。確かにブルーの目から見ても、ガオガエンは強く鍛えられている。何より、プロレスリングのようなバトルドームのリングで戦い続けた故か…全方位からの攻撃にも耐えられる。言うならば…受けからのカウンター戦法に転じれば、ガオガエンに死角は無くでんこうせっかや影分身での撹乱は意味無いのだ。

 

『テレビを御覧の皆!ロイヤルマスクからお知らせだ!

来週の日曜日。なんと、私とバトルする事が出来るぞ!全員とは言えないが……会場であるロイヤルドームに来てくれれば、抽選だが私と戦える。それにその日はポケモンファイト以外に私のプロレスファイトも有るので是非とも来て欲しい!』

『ガオガエ!』

 

なんと言う事でしょう。来週の日曜日にはロイヤルマスクと戦う事が出来て、その上…ロイヤルマスクのプロレスファイトがロイヤルドームで行われる事に成ったのだ。

 

ブルーはあんまり興味は無いのか…夫の入れた紅茶を呑む。だが、この子は違った。

 

アセロラは何も言わずに立ち上がり、ずかずかとキッチンで洗い物をしているリンドウの側にやって来る。

 

「ししょー!!私もロイヤルマスクと戦いたい!」

「アローラリーグで優勝したら戦えるだろ?」

「来週にロイヤルドームでロイヤルマスクと戦えるんだよ!本当だよ!これは行かないと!!」

 

ロイヤルマスクはサトシ達の年代の子供達からは大人気だ。それはアセロラもそうであり、アセロラは来週の日曜日に行われるロイヤルドームのイベントに参加したいのだ。

 

「来週?」

「そう!テレビを見てよ!」

 

アセロラに言われ、リンドウは身を乗り出してテレビを見る。テレビの画面にはロイヤルマスクのインタビューが未だ行われており、画面下のテロップには『スペシャルマッチ ロイヤルマスクVSレジェンド ヨシダ・サオリ。勿論、プロレスの試合です』と書かれていたのだ。

つまり、来週の日曜日にはロイヤルマスクとサオリ先生がプロレスで戦うと言う事である。生ける伝説のレスラー サオリ先生とロイヤルマスクの試合。これは是非とも…

 

「良し、行くぞ…サオリ先生とロイヤルマスクの戦いなんて滅多に無いからな」

 

リンドウも見てみたい代物であった。

 

大黒柱のリンドウ。長女(アセロラ)にせがまれ、来週の予定を速攻で決める。

 

「ねぇ?ブラック。ロイヤルマスクってククイ博士に似てないかしら?」

「気のせいじゃ?確かに……肌の色は同じですし、背丈も同じですけど」

 

そしてブルーお姉さんの勘は核心まで迫ろうとしていたのだ。女の勘は実に鋭い。




次回!ロイヤルマスクVSサトシ達…そしてロイヤルマスクVSレジェンド サオリ先生……こっちがメインです(笑)


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88時限目

お久し振りです…


ロイヤルドーム。アーカラ島に有るバトル施設だが、今日は普段よりも大勢の人々が集まっていた。

 

普段…ロイヤルドームでポケモンの試合やプロレスの試合がある日でもこんなに人は集まらない。だが、今回は満席処か普通に会場外で見なければならない程に観客が集まっていたのだ。

これには理由が2つほど有る。1つがロイヤルマスクとのバトルロイヤル形式でのバトル…アローラでも絶大な人気を誇るプロレスラー ロイヤルマスクとポケモンバトルが出来るためか、彼とのバトルを行う為に大勢の人々が集まっているのだ。もう1つの理由がロイヤルマスクとサオリ先生とのプロレス試合である。プロレス界の伝説的存在であり、ポケレスリングの偉大なる世界王者 ヨシダ・サオリ…エキシビジョンとは言え彼女の戦いが見れるのだ。その為なのか、大勢の人が集まっているのだ。

 

「何はともあれ…入れたな」

 

しかし、大勢の観客が集うロイヤルドームの観客席には教え子達と共にリンドウの姿が有った。と言うのも、リンドウ達が無事に入れたのはククイ博士のお陰と言っても良いだろう。

 

「サトシ。後でククイ博士に礼を言わないとな」

「違いますよ先生!博士じゃなくてロイヤルマスクにですよ!ロイヤルマスクが博士に渡して、博士が俺達にくれたんですから!」

 

リンドウ達が無事に座れたのはククイ博士ことロイヤルマスクのお陰だ。ロイヤルマスクとしての顔も持つククイ博士は特別な招待券も用意できる、その招待券をククイ博士は用意してサトシ達には「ロイヤルマスクから貰ったけど、俺は仕事で行けない」と言って手渡せば準備は完了だ。サトシ達はチケットを入手し、ククイ博士はアリバイを作れてロイヤルマスクとしての正体を隠す事が出来るのだから。

 

「しかし…本当に招待券が無かったら間違いなく入れなかったな」

 

リンドウが嘆くのも無理は無い。このロイヤルドームの観客席に座ることが出来なかった来場者は観客席の倍は居ており、彼等はロイヤルドームの前の広場や地方公民館等…もしくは自宅に帰ってテレビで見るしか出来なかったのだ。

 

ふと、リンドウは周囲を見回す。周囲には運良くロイヤルドームの観客席に座ることが出来たギャラリーの皆様が揃っていたのだ。

 

「見せて貰おうか…ロイヤルマスクの肉体の性能とやらを」

 

「おら、わくわくすんぞ!」

「海賊王に俺はなる!!」

 

「唆るぜ!これは!」

 

「青コーナーも赤コーナーも皆仲良くすれば良いのに。ねえ?トミオカさん」

「無理な話だな…プロレスが有る限りは」

「だから、ボッチって言われるんですよ」

「俺はボッチじゃない」

 

と…個性豊かな人々が観客席に集まっていた。

 

だが…次の瞬間、観客席は1つに成る。何故なら、リングにロイヤルマスクが現れた為だ。

 

「カモン!!ガオガエン!!」

 

リングに現れたロイヤルマスクはガオガエンを呼ぶ。すると、赤コーナーの選手入場口からガオガエンが走ってきて、ガオガエンもリングに降り立った。

 

「ガオガ!!」

「諸君!今日はロイヤルドームに来てくれてありがとう!今日は是非とも楽しんでくれ!勿論、会場に入れず…広場やテレビで見ている諸君もだ!」

 

だが…そこに乱入者が現れる。それはサトシのニャビーであった。

 

「プニャー!!」

 

ニャビーはテレビでロイヤルマスクとガオガエンを見てから、彼等と戦いたかったのだ。それ故か、一刻も早くロイヤルマスクと戦いたいが故にリングに上がってしまったのだ。

 

「どうしたんだい?」

 

ロイヤルマスクは優しく話しかけるが…ニャビーはロイヤルマスクの体臭で正体を理解してしまった。

 

「ニャニャ!?」

 

ロイヤルマスクの正体はサトシのホームファザー…ククイ博士だと。

 

(えっ…もしかしてバレた!?大丈夫…俺の正体はリング関係者とマーレイン、リンドウとサオリ先生しか知らないはず!!)

 

「すいません!そのニャビー…俺のなんです…」

 

ニャビーを回収する為に、サトシが駆け寄るが…ロイヤルマスクは笑みを浮かべる。

 

「だったら、最初のチャレンジャーは君達だ!!」

「えっ!?良いんですか!?」

 

サトシ、ニャビーのお陰で挑戦権を得る。




次回!ロイヤルマスクVSサトシ達…


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89時限目

安定の……ギエピー。


ロイヤルマスクから指名させられ、ニャビーと共にリングに上がったサトシ。そんな彼を見てか、観客の皆様は『がんばれー!』『良いなー!』と様々な声を挙げた。本来ならポケモンレスリング関係者以外ではアローラリーグの優勝者しか体験できないロイヤルマスクとの試合。それを体験出来るためか、サトシを見た来場者は羨ましいのだろう。

 

「いい面構えだ。それじゃあ、あと2人だ。所で君は友達と来たのかな?」

 

――サトシはちゃんとリンドウ達と来たみたいだな。良し!

 

ククイ博士…もといロイヤルマスクはサトシにマイクを向けてそう言う。この際にロイヤルマスクはサトシの友人でエキシビジョンマッチを希望する子供達ともバトルするつもりなのだ。

 

「はい!そうです!」

「それじゃあ、第一試合の後の2人は君の友達で行こうか。彼処に座ってる子供達かな?」

 

ロイヤルマスクは分かってるように、サトシが座っていた観客席を指差す。ロイヤルマスクの指先にはカキ達が居たのだ。

 

「はい!そうです!!」

「よーし!そこの褐色肌のブラストバーンな少年、そしてその隣のラクライを連れた子供よ!カモーん!!」

 

ロイヤルマスクがそう言うと…カキとマーマネが座っている座席にスポットライトが当てられ…2人は注目の的に成ってしまう。

 

突然の事で慌てるカキとマーマネ。2人は注目の的に成ってしまい、多くの観客から注目を集めてしまう。しかし、ロイヤルマスクと戦える為か嬉しそうに笑みを浮かべてリングにやって来た。

 

「では…初めの挑戦者は自己紹介を頼むよ!」

「サトシです!」

「カキです!」

「マーマネです!!」

「よーい返事だ。それじゃあ、始めようか!」

 

いよいよ始まるロイヤルマスクとのエキシビジョンマッチ。ロイヤルマスクを含め、サトシ達チャレンジャーはリングの四隅のコーナーに移動する。ポケモンレスリングではトレーナーはこの四隅から指示を出すのだ。

 

ロイヤルマスクは勿論、ガオガエンを使う。それに対してサトシは本人の希望でニャビーを繰り出し、カキはガラガラ、マーマネはラクライだ。

 

『さーて!始まりました!ロイヤルマスクとのエキシビジョンマッチ!実況は私、珍獣ハンター イモトがお送りします!!

そして、本日の解説はこのお方。後に行われるプロレスエキシビジョンマッチの出場者 レジェンド サオリの同僚であるポケモンスクールの教師 けーね先生です!!』

『どうも、カミシラサワ・ケイネです。本日は宜しくお願いします』

 

実況はイモト、解説はけーね先生である。

 

「ガラガラ!!かえんぐるま!!」

「ラクライ!スパーク!」

 

先ず、始めに動いたのはカキとマーマネである。2人の狙いは勿論、ロイヤルマスクのガオガエンであり…2人のガラガラとラクライはガオガエンに襲い掛かる。

 

『おーーと!!狙いはロイヤルマスクのガオガエンだ!』

 

「ガオガエン!DDラリアット!!」

 

ロイヤルマスクの指示を受けて、ガオガエンはDDラリアットと呼ばれる技を使い…ベイゴマのように回転しながらラリアットを解き放つ。その一撃を受けたガラガラとラクライは一撃で倒れてしまった。

 

『おおーーと!強いぞ!ロイヤルマスク!!』

『やはり、一筋縄では行かんな。おや?ニャビーが何か言ってるぞ』

 

けーね先生とイモトがそう言うと…注目は未だ生き残ってるニャビーに向けられる。ニャビーは何かをロイヤルマスクとガオガエンに伝えようとしていた。

 

「ニャー!!ニャーー!!」

「ニャビー!?」

 

(ニャビー…お前は本気のガオガエンと戦いたいのか?だがな、ニャビー…ガオガエンの本気はグリーン君のフーディンよりも強いぞ?俺の切札だからな)

 

ロイヤルマスクのガオガエンははっきり言ってチャンピオンが使うポケモンに匹敵する。今のニャビーと比べたらその実力差は計り知れない。だが、ニャビーは本気でガオガエンと戦いたいようなのだ。

 

ククイ博士…ロイヤルマスクの気持ちを読み取ったガオガエンは頷く。

 

「ガオガエン…お前…」

「ガオガエ!!」

 

本気を出しても良い。ガオガエンはそう言ったのだ。

 

「分かった!それじゃ本気で行こうか!」

「えっ!?良いんですか!?」

 

ロイヤルマスクの言葉を受けて、ガオガエンはスタンスを広げてファイティングポーズを取る。

 

「良し!ニャビー!!炎の牙!!」

「ニャーー!!」

 

ニャビーは炎の牙を使い、ガオガエンに襲い掛かる。しかし…

 

「地獄突き!!」

 

ガオガエンの抜手がニャビーの喉元に直撃し…ニャビーは一撃で倒されてしまった。

 

サトシとカキ、マーマネのエキシビジョンマッチは此処に終結したのだった。

 

 

そして…様々な人がエキシビジョンマッチを楽しんだが、未だメインイベントは始まっていない。そう、ロイヤルマスクとレジェンド サオリとのエキシビジョンマッチのプロレス試合である。

 

『では選手の入場と行きましょう!!彼女を知らずはプロレスの恥!!伝説的な女性レスラー!!

ヨシダァァァァア!!サオリィィィィイ!!』

 

イモトが叫び、青コーナーに日の丸のユニフォームを纏ったレジェンド…ヨシダ・サオリが舞い降りた。

 

「「「フォォオオオオオ!!」」」

「伝説が帰ってきた!!」

「「レジェンド!!」」

 

偉大なる世界王者(女子プロレス)がこの日を限りに復活した為か、会場は大盛り上がり。

 

同時にククイ博士ことロイヤルマスクは武者震いをしてしまう。当然だが、サオリ先生はプロレス界のレッドであり、全てのレスラーの憧れ。一ファイターとして是非とも戦いたかったのだ。

 

(負けるのは分かってる。だが、それでも俺はやるぞ!)

 

ロイヤルマスクはファイティングポーズを構えるが、レジェンドは悠々と近付いていく。

 

「さてと…準備は良いかしら?」

「勿論だ!レジェンドと戦える機会なんて…無いからな!」

 

レジェンドの前ではロイヤルマスクと言えど、只の一ファイター。

 

先ず、最初に動いたのはロイヤルマスクだ。彼はチョップを繰り出すが、手で払い除けられ…サオリのタックルを受けてロープ端まで吹き飛ばされてしまう。

 

「ほご!?」

 

強い…強すぎる。自分と余りにも実力差が有りすぎる事をロイヤルマスクは実感した。

 

だが…そこに乱入者が現れる。その人物はロイヤルマスクのマスクを被った…ギエピーだった。

 

「乱入だっピ!!」

 

ギエピー改めギエピー仮面。まさかの参戦!!

 

しかし、ブーイングは起こらず観客は楽しそうに歓声を上げるのだった。乱入もプロレスの醍醐味、不測の事態とは言え観客が楽しむために時には必要なのだ。

 

「あら?可愛らしい乱入者ね?でも、試合で私の前に立った…という事は覚悟は出来てる?」

「ふふふ…そんなの当たり前だっピ!!」

 

ギエピーは走り出すが、サオリ先生のクロスチョップを受けて大ダメージを受ける。更に打ち上げられ、空高く上がってしまった。

 

「ギエピー!?」

「さてと…行くわよ!!ククイ君には使えないけど、貴方ならこれが使えるわ!」

 

サオリ先生はジャンプで打ち上げられたギエピーと同じ高度まで上がると…ギエピーの上下を逆にし、ギエピーの頭部を自分の頭部の隣に近付け肩で固定する。更にギエピーの足を腕で掴み、左右に広げた。

 

「やっ…ヤロー!!まっまさか!」

「行くわよ!キン肉バスター!!」

 

筋肉バスター…御存知、偉大なる筋肉の王 キン肉スグルことキン肉マンの必殺技であり、最強クラスの間接技である。

 

そして…キン肉バスターで固められたギエピーと共にサオリ先生はリングに舞い降り、その衝撃でギエピーは大ダメージを受けてしまった。

 

「ぎっ…ギエピィィィィィイ!!!!」

 

キン肉バスターの一撃を受けて、ぐったりと倒れるギエピー。

 

「ワン!ツー!スリー!!ピッピ!戦闘不能!!」

 

ギエピー、キン肉バスターの一撃で戦闘不能。勝者はレジェンド サオリ先生である。

 

「さてと…次はロイヤルマスクね!」

「うぉぉおお!!」

 

ロイヤルマスクはレジェンドに立ち向かう。しかし、サオリ先生の十八番である捨て身タックルで倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー…てっ!?博士どうしたんですか!?」

「悪い…サトシ…今晩の夕飯は作れそうにない」

 

その日の夕飯はククイ博士がサオリ先生から受けたダメージの為か、ククイ博士は料理が出来ず…サトシ達はアイナ食堂で食べたそうだ。




次回!ロイヤルマスクのガオガエンに負け、特訓を行うニャビー…そこにレジェンドサオリが!?

ククイ博士「本来なら…俺がやるんだが…1日でダメージが回復出来なかった…ぐふ!?」


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90時限目

ニャビー…進化する!!


ロイヤルマスク主催のロイヤルドームでのイベントが行われた翌日。

 

サトシは自分のパートナーと共に、自宅前の砂浜で打倒ロイヤルマスクのガオガエンに燃えるニャビーの特訓を行っていた。

 

「行くぞ!ニャビー!」

「ニャー!!」

 

アローラで絶大な人気と実力を誇るロイヤルマスクとガオガエンに圧倒的な実力差で敗北したニャビーは、闘志に燃えている…心を燃やしていたのだ。

 

そんなニャビーはサトシのリザードン相手にスパーリング形式での特訓を行い、リベンジの為に鍛えている。ロイヤルマスクのガオガエンはレベルや体格そして経験全てにおいてニャビーを上回る。ならば、ガオガエンと同じく体格が大きく経験でも豊富なサトシのリザードンが特訓相手に相応しかったのだ。

 

しかし、残念だが…リザードンとガオガエンでは必然的に戦い方が異なる。対ガオガエンの特訓は出来ず、出来るとすればニャビーの特訓と言えるだろう。

その上、リザードンが現在覚えている技で今のニャビーが覚えられそうな技は少なく…その技をニャビーに教えても直ぐな戦力強化に成るとは限らない。

 

「リザードンの技でニャビーが使えそうな物は少ないしな…」

「ピカ…」

 

かえんほうしゃ、切り裂く辺りは覚えられそうだ。とは言え…直ぐに覚えられると言えば話は別だ。ニャビーは早く強くなりたいが、それらの技は直ぐに覚えれそうに無いのだ。

 

「サトシ!おやつ出来たけど…休憩にしない?」

「くーん!」

 

すると、家の窓が開いてセレナとラティアスが顔を出してきた。確かに修行でも休憩は必要であり、サトシ達が選んだ選択は…

 

「うん!直ぐに行くよ!」

 

休憩を選ぶことにしたのだった。

 

 

家に上がり、焼きたてのクッキーを食べるサトシ達。

 

「そういや、サトシ…聞いた?」

「何を?」

「今度、アローラリーグの会場である人工島 マナーロスタジアムで、試合が行われるんだよ!」

 

マナーロスタジアム…メレメレ島沖に作られた人工島 マナーロの真ん中に有るスタジアムであり、今年に開催されるアローラリーグの会場でもある。マナーロにはショッピングモール等の複合観光施設も有り、未だ一般にはオープンしていないが…オープンすれば観光客は勿論、ショッピング目的でアローラの人々も訪れる観光地に成ることは間違いない。

 

「マジか!?」

「うん!これを見て!」

 

セレナはスマホを取り出して、その画面をサトシに見せる。確かにセレナのスマホの画面にはマナーロオープンの記念にセレモリー大会が行われる広告が書かれており、エントリーの受付は明日からだ。

 

「セレモリー大会!?」

「うん、なんでも…優勝者はリンドウ先生かブラックとエキシビジョンマッチが出来るそうなの」

「リンドウ先生と!?てか、ブラックとも戦えるのか!?」

 

リンドウかブラックのエキシビジョンマッチ…とは言え、リンドウの教え子であるサトシ達は頼めば何時でも時間が許せば出来そうであるが。

ブラックの場合はリンドウよりも高い確率で行えるだろう。そもそも、ブラックは学生でありリンドウよりも時間の余裕が大きい。

 

すると…呼び鈴が突如として鳴り響き、サトシは玄関の扉を開ける。

 

「どちらさまですか?………サオリ先生!?」

 

なんと、玄関の前にはゴウカザルを連れたサオリ先生が居たのだ。

 

「こんにちわ、サトシ君。ロイヤルマスクに頼まれてね…君の様子を見に来たのよ!

私のゴウカザルは今のニャビーでも使えそうな技も覚えてるから…どう?ニャビーの特訓に付き添うわ!」

「えっ!?良いんですか!?」

 

サオリ先生はロイヤルマスク……ククイ博士から直々に頼まれ、強くなりたいニャビーの為に特訓の手伝いをしてくれる事に成ったのだ。

 

一先ず、休憩を終えたサトシ達は再び浜辺にやって来た。

 

「さてと…ゴウカザル!見本を見せるわよ!ニトロチャージ!!」

「ウッキー!!」

 

サオリ先生の指示を受けて、ゴウカザルは炎を纏って加速した。サトシもこの技は知っている。嘗て、サトシが手持ちに入れていたファイアローも使っていたニトロチャージという技だ。

攻撃と同時に素早さも上げることが出来、相手を素早さで撹乱させる事も出来るのだ。

 

「ニャー!」

「さて、やるぞ!」

 

しかし…いざやるとニャビーのニトロチャージは…ニトロと言うよりもとろ火チャージと言った感じに成ってしまった。

 

「あれ?」

「ふむ…そうね。良し!ゴウカザルに目掛けてやってみて!ゴウカザルは迫り来るニャビーを払い除けるか、掴みとってね!」

 

此処でレジェンド サオリ先生が自身のゴウカザル目掛けて技を放つように指示し、ゴウカザルとニャビーは頷いて実行に移す。

 

しかし、ニトロ…とろ火チャージを行ったニャビーの攻撃は簡単にゴウカザルに払い除けられてしまう。

 

「良し!ニャビー!何度も何度も行うんだ!」

「ニャー!!」

 

繰り返すこと…十数回…その時は来た。

 

「ニャー!!」

 

ニャビーのとろ火チャージがニトロチャージに成り、サオリのゴウカザルにダメージを与える。

 

「良いぞ!その調子だ!!」

「ニャー!!!!」

 

だが…その時、ニャビーは光輝き…ニャヒートに進化したのだった。

 

「進化しても今の感覚を忘れないで!!どんどん打ち込んで来なさい!!」

「はい!」

「ニャー!!」

 

そして、ニャビー…ニャヒートは特訓の末にニトロチャージを覚えることが出来たのだった。

 

 




次回!若きリンドウにロリマオ、ロリスイレンの出会い!?


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休み時間 若リンドウと森のお爺ちゃん

リンドウの過去です


リンドウ初のアローラ旅行。実はその時、リンドウは未来の教え子に成るマオとスイレンと出会っていたのだ。

 

「ふーん…メレメレ島にはタツベイが生息しているのか」

 

観光雑誌を見ながら、学生リンドウはリーフィアを肩に乗せてメレメレ島観光を楽しんでいた。今は滞在3日目、ある程度はアローラのルールも覚えてきて警察に怒られる事も無くなった。

なんで警察に怒られるか?それは喧嘩を売ってきたチンピラことスカル団を吹き飛ばした事ではなく、アローラの法律を破る事になりかけた為だ。それはライドポケモンに認定されたポケモン以外のポケモンに乗っては行けないことである。リンドウはホウエン等ではボーマンダやリザードン(レウス)に乗って移動しているが、残念ながらこの2体はライドポケモンに認定しておらず……アローラで乗ってしまえば警察のお世話に成ってしまうのだ。

 

「良し…折角だから出てこい!ボーちゃん!!」

 

リンドウはモンスターボールから1体のボーマンダを繰り出した。そのボーマンダの右目には傷が入っており、何故か………竹串を咥えている。もはやちゃんではなく親びんと言った方が良さげだが、ボーちゃんは後の嫁が着けたニックネームなので彼はボーちゃんである。

 

「ボー…」

 

序に鳴き声がボーなのも要因だろう。しかし、彼がボーちゃんというニックネームに成った時はタツベイだったので、なんでもかんでもちゃん付けする癖?の有るブルーのネーミングだろう。

 

「フィーフィー!」

「どうした?リーフィア……おっ!食堂か!旨そうな飯が有りそうだな」

 

その食堂こそ、後にリンドウも常連客となるマオの実家であるアイナ食堂である。とは言え、未だオープンの時間ではなく準備中なのだろう。扉にかかっている札はclauseと成っており、未だ開店していない。

しかし、店の前では2人の男女が仲良さそうに話を行っていた。その2人はマオパパとスイレンママであり、恐らくは食材の納品がてらに世間話を行っているのだろう。

 

だが…チャンピオンと高専の両立という激務故か、転生者の特典とも言える原作知識の大半を一時的に忘却したリンドウはその事に気付かず、一観光客としてマオパパとスイレンママに近付いていく。

 

「すいません。観光で来た者ですが…ここの食堂ってポケモンも利用できますか?」

「む?勿論大歓迎さ!イワーク等の大型のポケモンでも、テラス席を利用すれば一緒に美味しいご飯が食べられるよ!」

 

この頃からテラス席での食事はOKであり、既にアイナ食堂を利用するポケモントレーナーの多くは既に常連客と成っていたのだ。

だが…スイレンママとマオパパはリンドウとリーフィア、ボーマンダを見て何かを思ったのだろうか?お互いに顔を見合せ…マオパパは手に持っていた雑誌を広げてとあるページを開く。

 

「なぁ!この子…もしかして!」

「そうよね!そうよね!凄い人がやってきたわね!」

 

マオパパが開いたページには世界で有数のポケモントレーナーが紹介されている所であり、丁度そのページではリンドウの紹介が書かれていたのだ。

 

だが…そのページを見ていないリンドウはなんの事か分からないが…マオパパが笑みを浮かべ、少し緊張しながらリンドウに話し掛ける。

 

「きっ君はホウエンチャンピオンのリンドウさんですよね!?」

「えっ…あっはい」

「凄い!私達、本当に凄い人と出会ったのね!」

 

当時のアローラではポケモンリーグの試合は余り知られておらず、リンドウがチャンピオンという事を知っている人は少ない。

知っている人が居るとすれば、BSテレビを見てるか、他の地方からやって来た人か、2人のように雑誌等を読む人達である。

 

「アローラは凄い所ですから…是非とも楽しんでくださいね!」

「あっ…ありがとうございます」

「この辺りの森は珍しいポケモンも多いですよ?私の娘も妻と共に、彼処の森を良く探索してるんですよ!」

 

店の開店までは未だ時間がある。アイナ食堂開店までの時間潰しの方針が決まったリンドウは…

 

「それでは…俺も森を探索しますね」

 

リーフィアとボーマンダを引き連れて、森の探索に向かったのだった。

 

公道を外れ、森に入るとそこはもうポケモン達の楽園だ。

 

「おー!見たことが無いポケモン達が一杯だな」

 

リンドウは懐からオーキド博士から託されたポケモン図鑑を取り出して、未知のポケモン達をスキャンする。スキャンされたポケモンはアブリー、アブリボン、アマカジ等のカントーでは一切見掛けないポケモン達ばかりである。

 

とは言え、逆にリンドウのリーフィアやボーマンダはメレメレ島の森では珍しいのか…彼等の側には好奇心旺盛なアブリー達が集まってくる。

 

「アブリ」

「アブブ!」

「可愛い虫ポケモンだな!キャタピーも可愛いが、こっちはモコモコしてるな」

 

アブリーやアブリボンはその見た目の為か、好きな人が多い虫ポケモンだ。その上、人懐っこく…花粉団子という技で作られた食用の団子をプレゼントする事も有るのである。

 

すると…何やら茂みがガサガサと動き…そこから何やら慌てた様子の幼女2人が出てきた。この幼女こそ、後にリンドウの教え子となるスイレンとマオである。

 

「「うわ!?」」

「どうした?嬢ちゃん達?」

 

何かから逃げてきたのか、慌てた様子のロリマオとロリスイレン。しかし、ヒガナという弟子を教育中であり幼い妹も居るリンドウは幼子の扱いも馴れており、視線の高さを2人に合わせて口を開いた。

 

「俺はリンドウ。ホウエン地方から観光で来たんだ。こっちは俺の相棒のリーフィアとボーマンダだ」

「フィーフィー!」

「ボー」

 

勿論、リーフィアとボーマンダも子供の扱いには慣れている。ホウエンでの恩人 センリ夫妻の子供2人と遊んでいる為か、此方も慣れている。

 

「可愛い!」

「うわ…大きい!」

 

初めて見るリーフィアとボーマンダという未知のポケモンに触れた為か、なんだかスイレンとマオも嬉しそうだ。

 

「他にも居るぞ?お前達、出てこい!」

 

リンドウは他のパートナー達もボールから繰り出した。先ず出てきたのは我らが切札 レウス、やけにテンションが高いエンペルトのペンペン、チャレンジャーのトラウマ ボスゴドラ、そしてアローラで段々と数を増やしてきたラプラスだ。

 

「うわ…水タイプのポケモンだ!」

「エンペェェェェン!!」

 

しかし、リンドウには1つ気になる事が有った。それは自棄に茂みの奥から視線を感じる事である。

スイレンとマオの相手をリーフィア達に任せると、リンドウはレウスと共に茂みに近付く。すると、茂みから正にお爺ちゃんと言っても過言ではないドラゴンタイプのポケモンが出てきたのだ。

 

「ムッフ!」

「おっ…見たことが無いポケモンだな?爺さんや、もしかしてあの子達と遊びたいのか?」

 

リンドウの言葉に肯定するようにそのお爺ちゃんは鼻息を鳴らした。そのポケモンはジジーロン、アローラ地方原産のドラゴンタイプのポケモンである。

 

 

 

 

 

 

 

そして時は現代。

 

「もう!2人とも何処に行ってたの!」

 

時刻は夕方の日没間際。水平線の彼方に太陽が沈もうとしている時間だ。

 

スイレンの目の前には泥んこに成った妹のホウとスイが居ており、スイレンの後ろには心配してた故の眼差しを双子に送るカイオーガにアシマリ、ミズゴロウ、アノプスが居たのだ。

 

「「森!!そこでお爺ちゃんに会ったの!!」」

「お爺ちゃん?……もしかして、あの時の?」

 

スイレン…ジジーロンの事を思い出す。




次回!サトシの島巡り…ウラウラ島。

そこでサトシ達はククイ博士の親友と元国際警察に出会う。


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91限目

皆さん…ダイパリメイクやりました?私はノモセジムで水没しました(笑)


「ウラウラ島か。来るのはほしぐもを助けた、あの時以来だな」

「そうね。あの時は滞在時間が1時間もなかったけどね」

 

ウラウラ島。アローラ地方最大の島であり、地理的には南東部に存在している。此処は高低差が最も激しい島として有名であり、低い所は南国らしさ満天な温かさは勿論のこと砂漠のように乾燥した所もある。

では高い方はどうなのかと言うと、大きく分けて2つの高い山が存在している。満天の星空を観測でき、世界で最も大きな天体望遠鏡が存在するホクラニ岳。此処は隕石が降るとも言われており、メテノと呼ばれるポケモンが落ちてきて良く目撃されている。このメテノ…大気圏で生息している金平糖に殻を被せたようなポケモンなのだが、地上では殻を失えば半日程で死滅してしまう…なのでメテノが良く目撃されるホクラニ岳の頂上にあるホクラニ展望台にはクイックボールが大量にある。メテノはボールに入れば殻を再生できるので、メテノの命を助ける目的も有るのだ。そして、ホクラニ岳より高い山もウラウラ島に存在する。その山の名前はラナキラマウンテン、高すぎて氷点下を下回り雪が年中降り注ぎ山頂にはアローラリーグの本拠が存在しているのだ。

 

「はーい、それじゃあ整列。と言っても今日は班事にメンバーを別けてるから少数だけどな」

 

そんなウラウラ島にポケモンスクールの教師を務めるリンドウは嫁のブルーと共に生徒達を連れてやって来ていた。

とは言え、今回は()()()()()()()なのか班を別けておりクラスで見ている教え子全員は連れてきていない。

 

リンドウが連れてきた教え子はサトシ、セレナ、スイレン、リーリエ、アセロラの5人。ボールから出ていて人に変身しているラティアスを含めれば6人の子供達をブルーと共に引率してるのだ。

彼等がやって来たのは島巡りとコンテスト。サトシ、スイレン、リーリエはウラウラ島の島巡りが目的。そして、ウラウラ島に新たに新設されたコンテスト会場のオープニングセレモニーに参加である。なにせ、セレナは勿論のことリーリエはコンテストに興味を持っており、コンテストに参加するのもアリである。

 

「ウラウラ島か!!よし、ここの島巡りが楽しみだぜ!!」

「私も!!メレメレ島以外で、初めての島巡りだもん!!」

 

島巡りをやりたいサトシとスイレンもやる気はバッチリ。勿論、彼女達もそれは同じだ。

 

「私は島巡りは勿論ですが、初めてのコンテストが有りますから…本当に楽しみです!!」

「アローラでコンテストが出来るなんて!!」

 

ポケモンパフォーマーであるセレナ、そして島巡りは勿論のこと初めてコンテストに出場する事になるリーリエである。

トライポカロンをカロスで経験してきたセレナは大丈夫であるが、リーリエからすれば人生初のコンテスト。なに、やってみないと分からないし始まらない。それにコンテストならば伝説のポケモンも種族値が低いポケモンと共に同じスタートから始められるのだ。これにはリーリエの提げられたモンスターボールの中に居るソルガレオとイベルタルもやる気はバッチリだ……この2体は島巡りの試練に参加できないと言うのも有るのだが。

 

「所で先生。アセロラは居るけど、ブラックは?」

「家庭教師として派遣。まあ、今頃はお子さんの面倒を見ているんじゃないのか?」

 

アセロラは島巡りもコンテストも参加しないが、彼女は着いてきた。アセロラが居るなら最年長生徒であるブラックも居そうだが、彼はこの場に居ない。何故なら家庭教師としての仕事が有るためだ。

 

「おっ!!リンドウ!!ポケッター(この世界でのTwitter)を見たんだけど、ブラック…デントと遭遇したみたいよ!!」

 

ふと、スマホを確認したブルーがそう叫んだ。ポケッターとはSNSの1つであり、写真や呟きを投稿できるSNSの事である。そんなポケッターを確認したブルーはリンドウやサトシ達にもスマホの画面を見せる。そこには、ブラックとレシラムと共に写る緑色の髪をしたポケモンソムリエ(自称を含めると数多)のデントが写っていたのだ。

 

デントがアローラにいる…つまり。

 

「あっそう言う事ね。リーリエ、セレナ、コンテスト頑張れよ?ヒカリとホワイトも十中八九出るわ」

 

デントは現在、ポケモンコーディネーターであるヒカリ、新人トレーナー(実力エリートトレーナー真っ青、素質チャンピオンクラス)のホワイトと共に旅をしている。恐らくはアローラ初のコンテストに参加するために、キュレムの背中に掴まっては音速飛行でアローラにやって来たのだろう。相変わらず、イッシュ三英雄の飛行速度は便利にも程が有るだろう。

 

ヒカリとホワイトはコンテストで実際に結果を残してるし、間違いなくメレメレ島のコンテストにも参加するだろう。セレナは兎も角、リーリエには厳しい戦いかも知れないだろう。

 

「よし!!ヒカリが相手でも私は負けないよ!!」

「その意気だセレナ。リーリエ、お前は楽しんで行けよ?負けても勝っても、泣いても笑っても、初めてのコンテストだからな」

「はい!!」

 

 

 

しかし、船着き場で話していても仕方がない。リンドウ達は船着き場からウラウラ島で一番の栄えた町、マリエシティに移動した。

 

マリエシティ。オリエンタルな雰囲気が漂う街であり、珍しいデザインの建造物が多い。

 

日本、特にカントーやジョウトの影響を受けているのだろう。ジョウト地方をモチーフにした庭園やジムオブカントーと呼ばれるバトル施設が有り、日本食が食べられるレストランも有るのだ。

 

そんなマリエシティの交番。沢山のアローラニャースが住み着いているが、此処はちゃんとした交番だ。だが、今のアローラで犯罪が起こることは極稀でありちょっと勤務怠慢でもさほど問題はない。

 

「ふぁー、やれやれ。今日はリンドウの野郎が、教え子を連れて来るんだったな」

 

そんな交番では2人の人物が働いている。1人はどこかくたびれたオジさんなお巡りさん。彼はクチナシ。この交番に勤務する1人であり、実は元国際警察でありなんとウラウラ島の島キングである。

 

「クチナシさん。島巡りの件、前々から言われてたでしょ?で、ちゃんと段取りは済ませたのか?」

 

とクチナシに注意するように問い掛けたのは1人の婦警。彼女はプルメリ。毒タイプの使い手であり、元はスカル団のNo.2だったがスカル団が更正(物理)されてからはここの婦警として働いている。因みに前の島キングの孫という噂が。

 

「おうよ。まあ、この島の主ポケモンは()()だからな。主さんに手伝ってもらう試練は噂のサトシ君だけにしてもらうさ」

 

クチナシはそう告げて交番を後にした。

 

 

 

一方のリンドウ達はクチナシに会うためにマリエシティを歩いていたのだが…

 

「あは!リンドウ君、ブルーさん。それにサトシ君に同級生の皆じゃない!!ククイ博士の結婚式以来ね?元気だったかしら」

「シロナさん?なんで、アンタが此処に居るの!?」

「観光よ!」

 

「サトシ!!それに、セレナ達!!皆もコンテスト?」

「ヒカリ!!コンテストでは負けないよ!!」

 

「やっほー!お姉さん達!!」

『元気そうでなによりだ』

 

まさかのダメナさんことシロナさん、ヒカリ、ホワイト、そして保護者であるキュレムことキュレムパパと再会であった。

 

「元気そうでよかったわ。所でヒカリとホワイトは親御さんには定期的に連絡はしてるの?」

「私はツキイチでしてますよ。なに、ブルーさん。私はだいじょーぶです!!」

 

旅をしてるなら定期的に親に報告はした方が良い。なにせ、過去にレッドはチャンピオン成り立て時代にシロガネ山に籠りすぎて連絡を一切しなかった為か、捜索隊が派遣された事が有ったのだ。なお、その捜索隊はリンドウ、グリーン、ブルーである。

 

「それは良かった。ホワイトは?お母さんとか心配してない?」

 

ブルーはホワイトに問うが…ホワイトは首を傾げ

 

「お母さんって誰?」

 

まさかの発言。その瞬間、人生経験豊富なリンドウ、ブルー、シロナは何かを悟る。そして、恐らくは自分と同じだと理解したアセロラは視線を背けてしまった。

ヒカリは恐らく知ってるのだろう、なにやら物凄く焦りだしている。

 

「えっ?でも…ほら、お父さんとかは?俺もお父さん居ないけど」

「お父さん?キュレムのこと?ヒカリちゃんがキュレムの事をお父さんみたいだね!って前に言ってたし」

 

そしてホワイトの言葉を聞いた子供達も完全に理解した。ホワイトは物心着く以前から親と呼ばれる存在を知らなかったのだろう。

 

「むご!?」

「はい!!そこまで、そこまで!!皆、弟がごめんね!!」

 

これ以上、ホワイトが喋ってしまえば場の空気が重くなりすぎてしまう。だからか、ヒカリはホワイトの口を手で覆った。

 

「それもそうだな。よし、お姉ちゃんや、弟と一緒にそこの店でテイクアウトのジュースをお願いしていい?お金は俺が出すから」

「はい。行くよ、ホワイト」

 

リンドウはヒカリにお金を手渡し、ヒカリはホワイトの手を引っ張って近くのカフェに入っていった。

 

「さてと、パパさん。いや、キュレム…アンタは知ってたのか?」

『ああ。あと、ヒカリとデントも知ってる』

 

 

 

「しかし、あの時の赤子も随分と大きくなったな。オジさん、感心だよ。

ジョウト地方のバッジを最短記録で集めて、しかもジムではキュレムを使わなかったんだろ。本当に立派に成ったな」

 

そして、その場にクチナシが現れた。

 

「おっ、クチナシさん」

「よ、リンドウ。さてと、おじさんがここの島キングのクチナシだ。まあ、気軽におじさんって呼んでくれや」

 

クチナシはどこかダルげに自己紹介を行う。

 

「ねえ、クチナシさんだっけ?さっきの言葉だけど、貴方…ホワイト君の事を知ってるんですか?」

 

シロナがクチナシに問う。そう、クチナシは先ほどホワイトの事を知っているような事を言っていた。

 

「おう。てか、赤子のあの子を拾って孤児院に預けたのは俺だ」

「「「ッッ!?えっ!?」」」

 

クチナシは語る。今から10年ほど前…クチナシがバリバリの国際警察で島キングに成る前の事だった。

 

「おじさんは昔、バリバリの国際警察だったのさ。たまたま仕事でアローラに訪れた際に、砂浜に生後間もないあの子が落ちていた。いや、空間が割けてウルトラホールから降ってきた

白い布に包まれていてな。遺伝子の楔を持っていた。だが、それだけだ。だが、遺伝子の楔って言う物騒な物を持っていた。国際警察に渡せば何をされるか、利用されるか分からない。だから、イッシュの片田舎の孤児院に預けた」

 

そう、ホワイトを元々拾ったのは国際警察時代のクチナシだったのだ。

 

「まあ、それより試練だったな。

そこの兄ちゃん…サトシだったな?主ポケモンが会ってやっても良いらしいぜ?深夜2時からな」

「「「深夜2時!?」」」

 

ウラウラ島の主ポケモンは夜が好き。




次回!!超巨大ミミッキュがサトシに襲い掛かる!!

そしてミヅキちゃんシリーズ、ミヅキちゃん…魔改造パンケーキ祭りを知る!?

どちらか出来次第投稿の予定。


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92時限目

サトシ…主ミミッキュと戦う。


ヒカリがその事を知ったのはリンドウとブルーそしてククイ博士とバーネット博士の結婚式が終わり、ホワイトとデントと共にカントーのコンテスト会場を巡っていた時だった。

この頃、ホワイトはコンテストで身に付けたポケモンのパフォーマンスを応用した()()()技の応用力を身に付けており、圧倒的な力でイブキ様を瞬殺(カイロスさんとミロカロスだけで)しジョウト地方のジムバッジを全てゲットしていた。当然、ポケモンバトルとコンテスト両方で凄い結果を残すのは現コンテストマスター ミクリ以来の快挙であり、ホワイトは良く雑誌等に記事が載っていた。

 

「孤児院?みなしご?」

 

マスコミをマスゴミと称する事は多々ある。ゴミと称するからには厄介な事をしてくれるのだ。無責任な報道は勿論のこと、事実無根だが噂話を記事にしたりと様々だ。

 

クチバのポケモンセンターに滞在し、コンテストまでの時間潰しを行っていたヒカリ御一行。だったが、ヒカリはたまたま手に取った雑誌に書かれていた言葉に衝撃を受けたのだ。

 

『コンテストとバトルの超新星、ポケモンパフォーマー ホワイトは孤児院出身の孤児であり、シンデレラの階段を駆け上がるシンデレラボーイだった!?』

 

と雑誌には記されていたのだ。

 

「ヒカリ、どうかしたの?」

 

そんな記事を見てヒカリは複雑になる。ポケモントレーナーが活躍すれば一躍有名に成るのは確かだ。あのシロナは勿論のこと、リンドウやレッドだって1年以内にジムバッジを集めきったのだから当時は大きな注目を集めた。ヒカリとしてもホワイトが有名に成ってきたのは喜ばしいが、こんな秘密を大々的に報道して良いのだろうか?と疑問に思ってきたのだ。

 

「デント、これどう思う?」

 

ヒカリはデントにも件の記事を見せる。その記事にはホワイトが孤児院出身であり、どのように育ったかまで記されており、両親の詳細は一切不明と記されていたのだから。

 

「マスコミは真実を報道する事は勿論だ。だけど、彼等はお金の為なら何でもやる負の側面が有るからね。

実際に嘘を報道しても彼等は罰則は無いし、やりたい放題。カントーやジョウトじゃマスゴミなんて呼ばれかたも有る程だ。気にしない方が良いよ」

 

マスゴミと呼ばれるマスコミの記事をイチイチ気にしてはいけない。だったのだが……

 

「うわ~凄いねマスコミって。わざわざ、イッシュのヒオウギシティまで行ったの?」

 

ぴょこっとデントとヒカリの間に割って入るようにホワイトが入ってくる。

 

「えっ?」

「確かに僕、ここの施設出身だけどな」

「お父さんやお母さんは?」

「お父さん?お母さん?それってどういう意味?」

 

 

 

 

 

場所と時は変わって現代 ウラウラ島のポケモンセンター。

 

「私とデントがホワイトの真実を知ったのは、その雑誌が切っ掛けだったんです」

「チャマ…」

 

午後10時。子供は寝る時間だが、大試練が待ち受けているサトシ、大人であるリンドウとブルーにシロナ、そしてホワイトの保護者であるヒカリは起きていてポケモンセンターの休憩室に居たのだった。

ポケモン組ではピカチュウ、ポッチャマ、シロナのガブリアス、リーフィア、そしてキュレムが出ている。

 

「マスコミってやっぱりマスゴミよね」

「まあ、マスコミも生活がかかってるからな。しかし、これは無いな」

 

マスコミはマスゴミだったと評価を告げるブルー。マスコミの事情は有るがやって良い事とダメな事は別けるべきだと持論を述べるリンドウ。

 

『マスゴミは半殺しにしてはダメか?』

「辞めときなさい。正当な理由とは言え、悪人ではない民間人に伝説のポケモンが技を振るってはいけないわ。最悪、その事を悪くネットニュースに書かれるわよ」

 

そしてマスゴミに対して怒りをぶつけようかと考えるキュレムパパとキュレムを宥めるシロナであった。

 

「まあ、キュレムの音速飛行を知らないマスコミはホワイトがアローラに居ることは知らないだろ。マスコミの捜索が終わるまで、アローラに滞在したらどうだ?」

 

リンドウが提案する。確かにカントーとジョウトのマスコミの皆さんはキュレムのスーパーマッハ飛行までは流石に知らないだろう。まあ、いずれ知っていても何処にキュレムが飛んだのかは捉えてはいない筈だ。ならば、マスコミの手が届きづらいアローラに滞在すれば良いだろう。

 

「そうね。それなら私の別荘に泊まっていく?最近買ったのよ」

 

するとシロナも提案した。何でもシロナは観光の他に、考古学者としての仕事でアローラにやって来たそうだ。アローラは独自の風習や文化、更には古来より守り神を祀っていた遺跡等もあり、調べることは多いのだ。

 

「良いんですか?」

「勿論よ」

 

ほとぼりが冷めるまで、ヒカリ御一行…アローラに滞在。

 

「しかし…それにしてもだな。ホワイト、冗談抜きで素質がエグいぞ?バトル一本ならレッドを越えれるんじゃ無いのか?」

 

そんな休憩室。テレビも置かれており、テレビではヒカリが録画していたホワイトのジム巡りの記録映像が流されていた。

 

―-まあ、ゲームじゃレッド公式で倒すわ、トーナメント形式で歴代のジムリーダーとチャンピオン倒すから素質がエグいのは理解してたけど。

 

と心の中で思うリンドウ。確かにゲームでのホワイトはぶっ壊れ主人公だった。レッドをトーナメントで倒すわ、ポケウッドの俳優になるわ、とんでもスペックの主人公であったのだから。

 

「ミロカロスとアーマーガア、そして珍虫カイロスだけで悉く後半のジムを倒してるな」

 

特にミロカロスはコンテストでの技の応用を使っている。波乗りでフィールドを水浸しに変えたあと、瞬時に冷凍ビームで凍結。その後、フィールドを砕き…散った氷をサイコキネシスで操り全方位からの攻撃。地上での苦手な移動もサイコキネシスで高速移動し、あろう事か冷凍ビームとハイドロポンプをサイコキネシスやミラーコートで曲げてフレキシブルに相手にぶつけたりと使い方がエグい。

 

アーマーガアもそうだ。特性が珍しいミラーアーマーであり、クリアボディの上位互換。しかもコンテストに出ているためか、軽やかなフットワークで動きが読めない。

 

カイロスは…

 

『マカセロス』

「俺達の専売特権!!」

 

ハサミで挟み、ゼロ距離でじしんを相手にぶつけていたのだ。しゃべるし、この色違い珍虫は一体、なんなのだろうか?インファイト使うは、じしん使うわ、苦手なタイプさえも倒すわ、普通のカイロスを越えている。例えるなら、サトシのピカチュウと同じだろう。

 

「サトシ…マジでウカウカしてたら不味いぞ。数年以内…早かったら3年以内にホワイトの手でどっかの地方のチャンピオンは間違いなく変わるぞ?てか、このままじゃアローラリーグ攻略されるぞ」

「マジっすか!?」

 

しかも恐ろしい事に最古参であるキュレムとイーブイ、ベイリーフは使っていない。

 

 

 

 

 

深夜2時。

 

「サトシの兄ちゃんや。此処が主ポケモンとの試練の場所さ」

「此処が…なんだか廃墟ですね」

「当然だ。ここの主ポケモンはゴーストタイプ、それも狂暴でな。

メレメレ島とアーカラ島…2つの島での大試練を終えた子じゃないとここの主ポケモンとは戦えないようにしてるんよ」

 

サトシは島キングであるクチナシの手で、とある場所にやって来た。そこは海沿いの廃墟であり、スーパーメガヤスの看板が朽ち果てるように残っていた。

 

「メガヤス?」

「此処はおじさんがアローラに来る前か。前の島キング…おじさんの部下の婦警のお爺さんの反対を押しきってな…メガヤスの会社が守り神さんの遺跡を壊してメガヤスを建てたんだ。そりゃ、守り神さんであるカプは怒ってな、此処を壊して廃墟に変えたのさ」

 

クチナシは教えてくれた。なんでもここの廃墟は看板から分かる通り、スーパーメガヤスだった。しかし、クチナシの前任者が反対したのにも関わらず、メガヤスの会社はスーパーメガヤスを建造。だが、此処はウラウラ島の守り神であるカプ・ブルルの遺跡だったのだ。当然、遺跡を壊されてメガヤスを建てられた守り神は激怒し、此処を廃墟に変えてしまったのだ。

 

「お陰か此処は誰も住んでいないし寄ってこない。主ポケモンの住みかにはピッタリだったって訳よ。じゃあ、夜は遅いが試練頑張れや」

「はい!!」

「ピカピ!!」

 

サトシはピカチュウを連れて廃墟の中に入っていった。

 

 

 

「相手はゴーストタイプだったな」

「ああ」

 

廃墟を歩き、主ポケモンを探すサトシ。サトシはピカチュウを肩に乗せて、ルカリオとルガルガンを出して歩く。

現在、サトシの試練に参加できるポケモンはピカチュウ、ルカリオ、ルガルガン、モクロー、ニャビ-、ラティアスの6体。残念ながら切り札であるリザードン、ギラティナ、ゲッコウガは強すぎて試練に参加できないのだ。

 

ゴーストタイプが相手ならエスパータイプのラティアスは分が悪い。ドラゴンタイプの技で対抗は出来るが、サトシが今まで戦った主ポケモンはどれもアローラで初めて見たポケモン達ばかりだった。

 

だとすればシロデスナかミミッキュだろう。しかし、シロデスナは浜辺に暮らしている。海沿いとは言え廃墟に暮らすだろうか?だとすれば主ポケモンはミミッキュの可能性が高い。アセロラやムサシのお陰か、ミミッキュの特性とタイプは理解しているサトシ達。ミミッキュはフェアリー・ゴーストでありラティアスの天敵。ならば、彼女は今回の戦いには参加できず、ボールの中で待機である。

 

そして…ソイツは現れた。

 

「ミミッキュゥゥゥゥ!!」

 

自棄に低いミミッキュの鳴き声が廃墟に響く。すると、サトシ達の前に3メートル程の巨大なミミッキュ…主ミミッキュが現れたのだ。

 

「デカイ!!コイツが主か!!」

「ワン!!」

 

初めて主ポケモンと対峙するルカリオとルガルガンは巨大なミミッキュを見て、驚く。

 

その瞬間、主ミミッキュは目にも停まらぬ速さで消え、腕をルガルガンとルカリオに振り下ろす。

 

「はっ!!」

 

だが、此方も唯ではやられない。ルカリオはルガルガンを抱え、神速を使って素早く回避する。

 

「サトシ!!」

「ああ、分かってる!!あのミミッキュ…今までの主ポケモンより遥かに強いぞ!!」

 

 

 

 

「なあ、クチナシさん。サトシ君だったか?別にあの主ポケモンじゃなくてホクラニ岳の主ポケモンでも良かったんじゃないのか?」

「なに、あの兄ちゃんなら乗り越えられると思って難しい方を与えたのさ」

 

廃墟の外。そこでは島を巡回してたプルメリがクチナシと合流し、そんな会話を行っていた。

2人の会話からも分かる通り、実はウラウラ島の主ポケモンはもう1体存在している。そのもう1体はホクラニ岳に居るのだが、現在進行形でサトシが戦っている主ポケモンと比べたら狂暴性は低いのだ。

 

「なーに、レッドの従弟だろ?俺達の代わりにロケット団を滅ぼしたトレーナーの従弟なんだ…このぐらい乗り越えてもらわないとな」

 

ニヒルな笑みを浮かべてクチナシはそう言った。

 

 

 

 

「ぐっ…」

「ガルル…」

 

戦闘開始から結構の時間が経過した。なんとかルカリオとルガルガンは主ミミッキュの化けの皮を剥がす事に成功したが、防戦一方。このままでは倒されてしまうのはサトシも分かっていた。

 

だが…まだ此方には切り札が残っている。そう、サトシが大誤算…げふんげふん、ダイゴからもらった秘密兵器が。

 

「よし!!ルカリオ!!出し惜しみはなしだ!!」

「行くぞ!!」

 

サトシのメガバングルとルカリオのメガストーンが輝き、ルカリオは眩い光に包まれてメガシンカを発動させる。そう、サトシがダイゴから貰ったのはルカリオのメガストーンだったのだ。流石は鋼が大好きな大誤算!!

 

「ルカリオ神速だ!!」

 

ルカリオは神速で主ミミッキュを翻弄。そして

 

「神速のスピードを乗せてコメットパンチ!!」

「ハァァァ!!」

 

神速の速度が乗せられた状態で、メガルカリオのコメットパンチが解き放たれる。コメットパンチは主ミミッキュの腹部に直撃し、ミミッキュは九の字に身体が曲がる。効果は抜群だ!!

 

「ケケ!!」

 

だが…主ミミッキュは未だ倒れない。

 

主ミミッキュはシャドーボールを解き放つ。しかし…

 

「ルガルガン!!アクセルロック!!」

「ワン!!」

 

ルガルガンのアクセルロックが主ミミッキュの背後から直撃する。

 

「ルカリオ!!今だ!!」

「ハッ!!」

 

そして再び放たれたコメットパンチ。そして…ようやく主ミミッキュは沈黙した。

 

サトシ、メガシンカという奥の手を使ったがなんとか主ミミッキュと戦う試練を突破する。

 

 




数年後のアローラリーグ。サトシVSホワイトでエグい事に成ったとか(笑)


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予習授業 ミヅキちゃんのライバル!?ユウリちゃん!!

ユウリちゃん、まさかの登場。


未来のアローラ。そこでは今日もミヅキちゃんは元気に学友達と共に、アローラの大自然の元で学んでいた。

 

『さあ!!行こうか!!キュレム!!レッツショータイム!!』

『ジュラルドン!!キョダイマックス!!全てを吹き飛ばせ!!』

 

テレビで報道されているのはエキシビションマッチ。ガラル最強のジムリーダー キバナと、とある人物のバトルであった。

そのとある人物とはミヅキの先輩であり、高等部2年生のホワイトだった。コンテストマスターであり世界ランク3位のホワイトVS世界ランク14位でありガラル最強のジムリーダーであるキバナの対決。勿論、テレビで見ることが出来た人達はテレビにしがみつくように見てるし、現地のスタジアムで観戦できた人々は固唾を飲んで特等席で眺める。

 

『解説のシロナさん。どう見ますか?』

『そうですね。ホワイト君はガラルのバトルを良く理解してますね。どうすればファンが喜ぶのか、良く分かってます。前はカイロスだけでキバナさんを追い込んでましたからね』

 

解説を行うのは元シンオウチャンピオンだったシロナさん。元と付いている訳だが、極最近…とある少年にチャンピオンの座を譲ったのだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()VSガラル最強のジムリーダー!!遂にお互いの切札が降臨した!!

ドラゴン同士の対決!!キョダイマックスVSイッシュの英雄!!どちらが勝つのか!?』

 

キョダイマックスを行い、とてつもなく大きくなったジュラルドン。そんな巨大ジュラルドンの眼下には両翼を広げ、空に飛び立とうとするトゥルーキュレムの姿が有ったのだ。

 

『ジュラルドン!!粉々に破壊しろ!!』

『キュレム!!レッツフィニッシュターイム!!』

 

そして決着は着き、最後まで立っていたのは真実の姿と成った英雄だった。

 

 

 

 

 

「一体、何年頑張れば彼処まで強くなるのかな?ね、モクロー」

「くるっぽ!!」

 

翌日。モクローを肩に乗せてミヅキちゃんはポケモンスクールへの道を歩く。昨晩にテレビで見たホワイトVSキバナのエキシビションマッチ。前回では黄金の角を持つ紫の珍虫が大暴れした為か、ちょっとアレだった。だが…今回は視聴者に配慮された形なのか珍虫の出番はなくラストバトルにはキュレムが降臨するというファンサービス。

 

「アローラ!!ミヅキ!!」

「ミヅキ、アローラ」

 

するとミヅキのクラスメートであるイリヤとミユがやって来た。転生者であるミヅキからしたら、イリヤとミユは何処から見ても某英霊召喚アニメのキャラと瓜二つだが、もう気にしてない。なれた。

そんなイリヤはガラルポニータを出しており、ミユはポッチャマを出している。なに、この時代でもアローラではボールからパートナーを出すトレーナーは多いのだ。

 

「アローラ!!イリヤ、ミユ!!」

 

もう色んな作品のキャラクターそっくりのトレーナーが居ることにイチイチ驚けなくなってしまったミヅキ。テレビを着けてコンテストを見てみれば戦闘力53万な人、スタンド使いが出てくるのだから仕方がない。なお、ガタイが良いマッチョなのにアピール力はパートナー共々高いのだから。

 

「そうそう、ミヅキ。再来週はパンケーキ祭りだよ?練習した?」

 

そして再来週には大きなイベント パンケーキ祭りが控えている。数年前は町起こしの一端で始まった、お皿に盛った十枚重ねのパンケーキをパートナーと協力してリレー形式で運ぶレースだった。

だが、今は盛りに盛りまくってか唯のレースだけでは飽きたらず、大食い対決等も行われるのだ。

 

「あっ…練習してないや」

「それなら練習しようよ!!優勝したらパンケーキが無料で食べ放題の年間パスが貰えるんだよ!!」

「練習するよ!!」

 

ミヅキちゃん。パンケーキが1年間、タダで食べられるようになる年間パスはやっぱり欲しい。その為にパンケーキ祭りに向けて練習を決意するのだった。

 

 

 

「ミユ、ミヅキ、お金有る?」

「ないよ」

「私も」

 

ミヅキ、ミユ、イリヤはパンケーキ祭りで一躍有名となったパンケーキのお店にやって来た。このお店、数年前にサトシがククイ博士達と共に訪れてノアさんと出会ったお店である。

だが…ミヅキ達のお小遣いでは10枚重ねのパンケーキをテイクアウト出来る余裕はない。買えなくもないのだが、貴重なお小遣いをパンケーキ祭りの練習の為だけに使って良いのだろうか?子供にとって1000円も500円も立派な大金なのだ。

 

外から窓を覗き、店内を伺う3人。お金が有れば、中に入って美味しくパンケーキを食べて、食べ終われば練習用のパンケーキをテイクアウトしてパートナー達と共に練習だったのだが、残念ながら小学生にはお金事情は厳しいのだ。

 

「どうしたの君達?もしかして、リーリエの教え子かな?」

 

ふと、声をかけられる。

 

「はい、そうですけど」

 

ミヅキはそう告げ、後ろを友達と共に振り向く。そこにはポッチャマを連れた美女が立っていたのだ。しかし、ミヅキはその女性を何処かで見覚えがあるような気がするのだ。

そして…その女性の隣には

 

(ユウリちゃんだぁぁぁあ!!)

 

ミヅキが心の中で絶叫してしまうのも無理はない。美女の隣にはポケモンソード&シールド…通称剣楯の女の子主人公ことユウリちゃんが居たのだ。

 

「私、ヒカリ。ポケモンコーディネーターで、今は講師としてポケモンスクールの子供達にポケモンコンテストの素晴らしさを教えるためにアローラで働いているの。此方は私のパートナーのポッチャマ」

「チャマ!!」

 

なんという事でしょう。美女はあのヒカリだったのだ。

 

「そして彼女はユウリ。私の教え子で、先日ガラル地方からやって来たの」

「ユウリよ。宜しくね」

 

 

(えっ?ミヅキ…えっ!?サンムーンの物語完結したのにミヅキが居る!!

てか、アローラなんなの!?トレーナーが強すぎて魔境なんだけど!!)

 

そして御互いに知ることは無いのだが、ユウリも転生者であった。

 

(サトシ強すぎるし、ブラックホワイト2の主人公がヒカリの弟に成ってるし此方も強すぎるし、伝説のポケモンが町を闊歩してるし、アローラって本当になんなの!!)

 

ユウリちゃん。推薦が受けられず、ガラルリーグに挑戦できず、アローラのメレメレ島ポケモンスクールに留学。だが、そこで魔境アローラのイカれ具合を改めて知ったのだった。因みにユウリちゃんは13歳、ジュニアハイこと中学生だ。

 

「もしもーし?どうしたのホワイト?えっ、もうすぐアローラに着くって?

パンケーキ屋さんの前に居るから。うん。

皆、ホワイト帰ってくるって。あと10秒で」

 

ヒカリがスマホを持ってそう言った瞬間…空からトゥルーキュレムとキュレムに乗ったホワイトが降臨した。

 

「キュレムだぁぁぁあ!!」

 

ユウリちゃん。町で目撃したカイオーガ、グラードン、ギラティナ、ディアンシーに続きキュレムと遭遇する。




ユウリちゃんはミヅキちゃんのライバルですか?はい、ライバルです(笑)


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93時限目

サトシ、ポニ島の事を知ってしまう。


「ゲッコウガ!!居合い斬りで受け流せ!!」

「コウガ!!」

 

サトシの深夜2時の大決戦こと主ミミッキュの試練から翌日の正午。充分な睡眠と休息を取ったサトシはクチナシの大試練に挑んでいた。

 

大試練では本気の島キングor島クイーンとの戦いになる(サトシ等の極一部限定。普通は挑戦者の実力に合わせて大試練程度に島キングは手加減してくれる)。だが、大試練でサトシは本気の島キングと戦う事に成るが、大試練ではサトシの切札達が使えるように成るのだ。

 

そう、ゲッコウガ、リザードン、ギラティナの3体の解禁である。サトシはゲッコウガをサトシゲッコウガにメガシンカ(実際にはキズナ変化と呼ばれる唯一無二であり、メガシンカの上位互換)を発動させてクチナシが繰り出したアローラペルシアンと互角に渡り合う。

クチナシのペルシアンが繰り出したふいうち、それを水で作った忍者刀で受け流すサトシゲッコウガ。そして…そのまま

 

「ゲッコウガ!!辻斬り!!」

「コウガ!!」

 

タイプ一致から放たれる辻斬り。ゲッコウガは左手にも水の忍者刀を作り出し、ペルシアンの背後を取るように忍者刀でダメージを与える。

 

「兄ちゃんや、あの試練を突破するだけはあるな。おじさんの部下より強いんじゃないの?」

「クチナシさんも強いですよ!」

 

『島クイーンに成ってから、そんなに年月が経ってない私と比べないで』

 

何処からライチさんの声が聞こえたような気がした。ライチさんだって弱くはない、普通にカントーの本気を出したジムリーダー(グリーン以外)と互角以上に戦う実力はある。

だが、ハラの本気は四天王に匹敵しており、クチナシは国際警察時代にロケット団を追い続けていた。この2人は島クイーンの中でも若いライチさんと比べたら遥かに強いのだ。

 

「ペルシアン!!じゃれつく!!」

「ゲッコウガ!!水手裏剣!!」

 

お互いの技が同時にぶつかり合う。そして立っていたのは…

 

「コウガ!!」

 

ゲッコウガであった。この大試練、サトシの勝利である。

 

「ピカピ!!」

「よし!!」

 

見事、勝利し…喜ぶサトシとピカチュウ。そして…クチナシは健闘したパートナーをボールに戻し、笑みを浮かべてサトシに1つのZクリスタルを手渡した。それは悪のZクリスタルであった。

 

「おじさんに勝った証に、これをやるよ。良く頑張ったな」

「ありがとうございます!!」

「ピカ!!」

 

これでサトシはウラウラ島、アーカラ島、メレメレ島3つの大試練を達成した事になる。後はポニ島の大試練だけとなった。だが…此処でクチナシは想定外の言葉を出したのだ。

 

「一先ず、兄ちゃんは3つの島での島巡りを終えたな。次はポニ島…って言いたいが、一先ず島巡りは中断だな」

 

島キングであるクチナシの口から島巡りの中断が告げられたのだ。

 

「えっ?それって…」

「リンドウやククイから聞いてなかったのか?

ポニ島の島キングは昨年亡くなった。未だ後任の島キングも島クイーンも決まってない。だから、ポニ島の試練は受けれないんだよな…」

 

試練を受けるためには島キングor島クイーンから認められないと出来ない。なにせ、通過儀礼のような側面が有るためだ。

だが…それは島キングが健在だったのならの話。島キングだって人間だ、病、事故、そして寿命には勝てない。それに島キングor島クイーンはその町のカプが決定するので、カプが認定するまでその島の島キングor島クイーンは不在なのである。

 

「多分。ポニ島の守り神さんは嬢ちゃんが成長するまで待ってるんだろう。そう言う事だ、ポニ島の島クイーンが誕生するまでは次の試練に備えて勉強して強くなる事だな」

 

クチナシはそう告げて、サトシの目の前から去っていった。

 

 

 

サトシの試練は終わった。しかし、未だリーリエとスイレンの試練は残っているし、大きなイベントが1つ残っている。それはマリエシティでのポケモンコンテスト会場のオープニングセレモニーと、ポケモンコンテストである。

 

「そういや、セレナ。俺はコンテスト出たことは無いから知らないが、コンテストの衣装はどうしてるんだ?」

 

サトシが大試練を頑張ってる頃。

マリエシティのポケモンセンターにある広場。そこでリンドウ、ブルー、アセロラ、リーリエ、スイレン、セレナは各々のポケモン達を出して寛いでたりコンテストの練習を行っていた。

 

マリエシティのコンテスト会場は我等がナナミ様が設計開発に関わっているので初心者でも安心だ。しかし、リンドウだってテレビやニュースでポケモンコンテストの事は結構見るし、気になる点があったのだ。それはコンテストしかりトライポカロンしかり、出場者は綺麗なドレスやタキシード等の衣装を身に纏っていたのだ。

 

「自前の時も有りますし、レンタル品も有りますよ。最近は自作してますね」

 

なんという事でしょう。セレナは自分でドレス等を用意してるのだ。

サトシが前に言っていたが、セレナは裁縫の技術が凄いらしく最近は自分でドレスを作っているそうである。

 

「えっ?自作!?マジで?」

「はい!でも、ホウエンやナナミさんが支配人のマサラドームはレンタル衣装も有りましたよ。

でもパフォーマーやコーディネーターの多くは自前だと思いますよ。カロスのトライポカロンは名家の女の子が多くて、彼女達は自前でしたね」

 

真のパフォーマーたる者、自分でパートナーと自分のドレスは用意するべきである。

 

「成る程な…じゃあ、コンテストでのライバルにも聞くとしようか」

 

ウラウラ島でのコンテストにはヒカリとホワイトも間違いなく参加するだろう。む?そこ、マスゴミは大丈夫なのかって?アローラのコンテストはパンケーキ祭り同様、アローラでしか報道されないので御安心を。

 

そんなヒカリとホワイトはシロナさんの別荘に暫く滞在している。気になったリンドウとセレナはシロナさんの別荘に向かうことにした。

 

ハウオリシティの外れ。そこに大きな豪邸が一軒建っている。そこがシロナさんの別荘であり、暫くの間…ニホンのマスゴミから身を隠すためにヒカリ御一行が滞在している所である。

 

『すまんな、セレナと先生よ。日を改めてくれ』

 

そんなリンドウとセレナを出迎えたのはエプロンを装備し、右手に箒、左手に塵取りを装備したブラックキュレムであった。ブラックキュレムに成った訳だが、手を使いやすくする為であろう。

 

「何があったの?パパさんや。もしかして、ダメナさんの事だから軽くゴミ屋敷に成ってたの?」

『そう言う事だ』

 

なんという事でしょう。シロナさんは掃除、整頓、料理を含めた家事基本スキルが壊滅的に無いのだ。その為か極最近買ったばかりの別荘は既にゴミ屋敷の階段を登ろうとしていたのだ。

 

「これ何処に置いたら良いの?捨てちゃう?」

 

「ホワイト!!それ、研究資料!!シロナさんの大事な研究資料!!」

 

「本当に…ごめんなさいね」

 

「マカセロス」

「チャマ!!」

「イーブイブイ!」

 

「うーん、これはヒドイ!!」

 

耳を済ませばヒカリ御一行とダメナさんの声が屋敷の中から聞こえる。恐らく、大掃除の待った中なのだ。

 

「そりゃ…悪かった」

『なに、気にするな。想像以上にヤバかっただけだ』

「ねえ、キュレム。ヒカリやホワイトの衣装はどうしてるの?」

 

セレナはキュレムに問う。するとキュレムはあっさりと答えてくれた。

 

『ヒカリがタケシと旅してた時はタケシが作ってたそうだ。

今はヒカリの衣装もホワイトの衣装も俺が作ってるぞ』

「アンタが作ってるの!?」

 

キュレムパパ。ヒカリとホワイトのコンテスト衣装を作ってるそうだ。

因みに、後日…材料収集の為か財布を握りしめたキュレムと色違いカイロスがホームセンターに入るのが目撃されたとか。

 




次回!!ウラウラ島のポケモンコンテスト会場オープンセレモニー。


因みに女子力の高い順

タケシ、レッド>デント、シトロン、リンドウ、ククイ博士>キュレム>セレナ>>ヒカリ>ハルカ、カスミ>ブルー>>>越えられない壁>>ダメナさん!!


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94時限目

ナツミショックはサンムーンでも健在であった(笑)

因みに私はキャラの脳内再生はXYの作画にしてます。なので美男美女ばっか


「りっリンドウさん!!俺達は先に帰りますからね!!」

「モエルーワ!!」

 

サトシが大試練を突破し、スイレンとリーリエはクチナシの提案した主ポケモンとは戦わない試練を突破した後日。今日はウラウラ島のポケモンコンテスト会場のオープニングセレモニーが行われる日なのだが、なにやらブラックは青ざめた表情をしてレシラムに跨がってブルブルと震えていた。

 

「ブラックどうしたんだよ?」

 

そんなブラックの普段と異なる様子を見てか、サトシは疑問を浮かべてしまう。

 

「もしかして観覧車か?」

 

観覧車…リンドウがその単語を出した瞬間にブラックは物凄い速さで何度も顔を上下する。しかし、観覧車が一体どう関係してるのか分からないサトシ達は疑問が深まり、首を傾げてしまう。

 

「ブラックどうしたんだろうね?」

「観覧車の何処が怖いんでしょうか?」

「ブラックってレシラムに乗ってるから高所恐怖症って事はない筈だもんね」

 

スイレン、リーリエ、セレナはそんな事を言ってしまう。いや、別にブラックだって観覧車は苦手ではない。ちょっと2年前、彼は夏の観覧車でとある悲劇を体験しただけなのだ。

 

「あっ、夏の観覧車の事だね」

 

養父ポジのリンドウから真実を事前に聞かされていたのだろう。アセロラがふと、そんな事を言ってしまう。

そう、ブラックは訳有って夏の観覧車が()()()()()()()()()()()()に成ってしまったのだ。リンドウ曰く、その一夏の悲劇はナツミショックと呼ばれている。

 

ナツミショック…それはブラックが駆け出しトレーナーであり、リンドウとブルーから色々教えて貰っていた時代の時に起きた悲劇の事だ。

ライモンシティには遊園地があり、そこには2人乗りの観覧車が存在している。1人では乗ることが出来ず、2人でしか乗れないのだ。リンドウとブルーはペアで乗り、ブラックは相席という形で他人と乗ることに成ってしまったのだ。その人物こそが…

 

『うほっ!!少年!!僕と一緒に乗らないかな?そしてヤらないか?』

 

やまおとこのナツミと呼ばれるガチホモな人であった。もう一度言おう、ガチガチなホモぉであり美少年が大好きな人だった。

 

『ふふふ!!少年!!暑くてムシムシするな!!少年の汗が僕の肌を伝ってきて、僕は嬉しいぞ!!』

 

当然…ブラックは観覧車で襲われる(意味深)事は無かったが、観覧車が終わった瞬間に全速力でリンドウの元に逃げたのは鮮明に覚えている。

 

「サトシ……やまおとこが背後に近付いたら、一目散に逃げるんだぞ!!

それじゃあ、お先!!」

 

そしてブラックはレシラムに跨がって一目散にメレメレ島に帰っていった。

勿論、やまおとこのナツミの好みのタイプ仲間であるサトシにも忠告を忘れずにである。

 

「「「行っちゃった…」」」

「てことはだ…ブルー」

「あの伝説のやまおとこがアローラに上陸したわね。しかもウラウラ島に」

 

伝説のやまおとこ ナツミ。アローラ、しかもウラウラ島に上陸した模様。

 

 

 

 

ウラウラ島マリエシティ。そこに新しく出来たコンテスト会場が有った。マリエシティは著名人が別荘として購入した土地や、前島キングが生前に出した条例のお陰か開発に多少の制限がかけられており自然と文化遺産の保護が行われている。まあ、これらはメガヤスがカプの遺跡を破壊してまでメガヤスを建てたのが大きな原因ではあるが。

その為か、マリエコンテスト会場はマサラドーム等の大規模コンテスト会場と比べたら小さい。まあ、それでも通常のコンテストバトルは問題ない大きさである。大きさも、カントーのポケモンジムと比べたら少し大きい広さだがマリエシティではこれが限界だった。

 

「リンドウ君、ブルーちゃん、サトシ君!!此方よ!!」

 

そんなオープンを今日に控えたマリエコンテスト会場。そんなコンテスト会場の前にはきらびやかなドレスを纏ったグリーンの姉 ナナミ様がリンドウ達を待っていた。

 

「「お久し振りです、ナナミ様!!」」

「ナナミさん。リンドウ先生とククイ博士の結婚式以来ですね!!」

「ピカチュー!!」

「本当に久し振りね。リーリエちゃん、セレナちゃん、スイレンちゃん、アセロラちゃんも久し振りね!!皆、元気そうで良かったわ!!」

「「「お久し振りです!!」」」

 

ナナミ様とはリンドウの結婚式以来であり、久し振りの再会だ。

因みにメレメレ島にもポケモンコンテスト会場が現在進行形で造られており、そっちはウラウラ島の会場よりも大きく大規模会場と成っておりより大勢の観客が入ることが出きるのだ。

 

「今日はオープニングセレモニーに来てくれてありがとうね!!」

「いえいえ。それよりもナナミ様。なんか、報道陣多くないですか?」

「そう?私、アローラの報道陣の事は良く分からないわ」

 

しかしマリエコンテスト会場には多くの方々が集まっていた。ナナミ、リンドウ御一行は勿論の事だがアローラ地方の報道陣、そして前々からコンテストに興味を持っていたアローラ地方の人達(その中に、あばれる君ことヒロキに珍獣ハンターイモト、ポケモンパフォーマームサヴィことムサシそして人類物理最強のサオリ先生も混ざっている)や他の地方から観光で来ていたコーディネーターやパフォーマーも集まっている。

だが、アローラ地方の報道陣ではなく、良く見ればイッシュやニホンの報道陣も居たのだ。イッシュはアローラと同じくアメリカ国内だから分かるが、どうしてニホンの報道陣が居るのだろうか?リンドウは考えていると、1つの仮説を思い付く。

 

「ブルー。ちょっとポケッターを見てくれ」

「ポケッター?別に良いけどどうしたのよ」

 

今の世の中は情報社会だ。ポケッターやポケライン(LINE)等のSNSが普及しており、瞬時に情報が出回ってしまう。有名人を見つけてもあっという間にパパラッチやポケッターを使う人達の手で写真が撮られて出回る時代なのだ。

 

「げっ!?リンドウ!!これ見て頂戴よ!!」

 

ブルーが驚きながらリンドウにスマホの画面を見せる。

 

「やっぱりか-!!」

 

《凄いポケモン連れた男の子がお姉さんとお母さんらしき人と一緒にアイス食べてる!!美味しそう!!》

 

と誰かがポケッターに投稿してた1枚の写真。そこにはキュレムとイーブイを連れたホワイトがシロナ、ヒカリと共にアーカラ島のカキの実家でアイスを食べていた。

カキの実家は牧場であり観光地でもあり、旅行客も観光でやって来る。その為か、シロナさん達と遭遇した事情の知らない観光客がポケッターに挙げてしまったのだろう。此の世でキュレムを手持ちに入れてるのはホワイトだけであり、シロナさんはニホンでは超有名人。その結果、瞬時にニホン在住の方の手であっという間に広まってしまったのだ。

 

流石は情報社会。あっという間に世界にヒカリ御一行がアローラに居ることがバレる。

 

「流石はマスコミ…仕事が速すぎる」

 

リンドウ先生、マスゴミの仕事の速さに頭を抱える。マスコミ、ポケッターから出回った記事を入手して大急ぎでアローラにやって来た模様。なんと速すぎる仕事であろうか。

 

「来たぞ!!」

 

1人のマスコミがそう告げた。すると、コンテスト会場前の広場にホワイトキュレムが降り立った。ホワイトキュレムの背中にはホワイト、ヒカリ、シロナさん、デントが跨がっており…彼等が降りるとキュレムは通常形態に戻る。だが、ニホンとイッシュからやって来た一部のマスコミはホワイトに詰め寄った。

 

「ホワイトさん!!やっぱり、チャンピオンに成った後はレッドさんを倒してポケモンマスターを目指すのですか!?」

 

「それともミクリさんと一緒でコンテストのグランドフェスティバル優勝とリーグ制覇を成し遂げるんですか!?」

 

「どうするんですか!?レッドさん以来となる、最年少チャンピオンを目指すんですか!?それとも、史上初…今年度の複数リーグ制覇をこの歳で成し遂げられるんですか!?」

 

等々、レッドを越える事を期待してかマスゴミはホワイトを完全包囲して質問を次々と繰り出す。当然、キュレムはグルルルと喉を鳴らして威嚇し、ヒカリとデントもマスゴミを制止しようとするがマスゴミには関係無い。

 

『貴様ら…いい加減に』

 

キュレムがそう告げた瞬間…シロナがキュレムを手で制止させる。そして、彼女はホワイトの肩に手を置いて告げた。

 

「本日付で、ホワイト君を私の養子に迎えます。それと、私の息子に付きまとい捏造記事を出した方々、行き過ぎた報道を行った方々へは法的措置を検討しております。覚悟して下さいね」

 

冷徹に告げたシロナ。その瞬間、多くの報道陣は逃げるように去っていった。行き過ぎた報道と捏造記事を出していた事は自覚していたのだろう。

 

「あの…シロナさん?」

「ヒカリさん。この子の事をクチナシさんから聞いた時には決意してたの。ごめんなさいね、弟を取っちゃって」

「いえいえ……」

「えっ?どういうこと?」

「そうだね…シロナさんがホワイト君のお母さんに成るって事だよ。だとすると、ヒカリがお姉さんで僕がお兄さんかな?」

「うーん、デントは近所のお兄ちゃんかな?」

「いや、なんで!?」

 

ホワイト君。シロナさんの息子になる。まあ、シロナさんは年齢的に20代後半…ナナミ様と同年代なのでホワイト位の息子が居ても違和感は無いだろう。サトシのママも若くしてサトシを出産してたし。

 

そしてその様子を見たリンドウとサトシは……

 

「シロナさん。既に後継者探しを完了させたな…あれだな。カントーの次はシンオウが魔境に変わるのか」

「先生…アローラも魔境になりそうな気がするんですけど」

 

 

 

何はともあれ、マスゴミが去り綺麗なマスコミだけが残ったマリエコンテスト会場。無事にオープニングセレモニーが終わり、リンドウはと言うと…

 

「はーい!!それじゃあ、これからビギナークラスのコンテスト入門を始めます!!」

 

コンテスト初心者に向けた、ナナミ様が教えながらのコンテスト大会に出場する事に成っていた。

 

ビギナークラスのコンテスト入門に参加するのメンバーは

 

リンドウ&リーフィア。

サトシ&ラティアス。

シロナさん&ガブリアス。

ブルー&カメックス。

アセロラ&ミミッキュ。

スイレン&アシマリ。

リーリエ&シロン。

あばれる君(ヒロキ)&ドロバンコ。

デント&ヤナップ。

サオリ先生&カイリキー。

そしてやまおとこのナツミ&ギガイアスである。

 

「うほ!!僕の好みピッタリな男の子が居るぞ!!」

 

やまおとこのナツミ、サトシをロックオン。

 

「シロナさん。コンテストやったこと有ります?」

「無いわ。ブルーさんはどうなの?」

「私も無いわね。サオリさんはどうなの?」

「私もないのよ。だから今日は楽しみだわ」

 

リンドウ、ブルー、シロナさん、そして人類物理最強のサオリ先生はコンテストの経験がない。言わば、今回が初めてのコンテストなのだ。

 

「俺はジュカインとかと一緒にやった事は有りますよ」

 

そう、サトシはポケモンコンテストの経験があるのだ。

 

「サトシ…今すぐマスタークラスにエントリーしてこい。そしてセレナ、ヒカリ、ホワイト、ムサシにフルボッコにされてこい」

「なんでさ!?」

 

「はーい。そこまでそこまで、それではコンテストについて説明しますね」

 

ナナミ様は改めてポケモンコンテストについて説明してくれた。

トライポカロンの男性でも出れる版であるパフォーマー部門ではなく、昔からホウエンやシンオウでメインに慕われていたコンテストの事を教えてくれた。

先ずコンテストバトルの方の部門は一次審査と二次審査に分けられる。一次審査はポケモン達が技使ったり応用してアピールする審査であり、二次審査は()()()()()()()()()()()()()()出来るのかを競うバトル。だから、ポケモンの純粋な強さはそこまで関係無いのだ。

 

「なのでバトルで圧勝しても華が無ければ得点に成りませんよ。分かりました?そこのバトルチートの3人!!」

 

ナナミ様はその部分を強調してリンドウ、ブルー、シロナを指差した。当然である。一瞬で相手を倒しても得点には成らない…演技が必要なのだ。

 

「「「分かりました!!」」」

「先生とブルーさん、シロナさんが敬礼した!?」

 

その結果……

 

「フィー……」

「ガメ…」

「ガブリ…」

 

「なあ、ブルー、シロナさん。俺達にコンテストは無理だった」

「「そうね…」」

 

ホウエンチャンピオン、シンオウチャンピオン、そしてブルーお姉さん。コンテストの才能はなかった模様。練習でこの有り様。

 

一方で

 

「シロン!!良いですよ!!そこで粉雪を上に放ってステップ!!」

「コーン!!」

 

「アシマリ!!バルーン!!そのバルーンを凍らして玉乗り!!」

「パウ!!」

 

「ミミたん。ステップターン、更にそこで剣の舞を組み合わせてダンス!!」

「ミミッキュ!!」

 

教え子の女の子3人は素質有り!!

 

「カイリキー!!その岩を壊して逞しさと力強さをアピールよ!!」

「リッキー!!」

 

サオリ先生は持参した巨岩をカイリキーの手で壊させて力強さと逞しさをシンプルベストにアピール!!なお、その隣でサオリ先生自身がカイリキーより大きな巨岩を粉砕してたのは内緒である。

 

 

 

「ポケモンパフォーマームサヴィ改め、ポケモンパフォーマームサシの始まりよ!!」

 

元ロケット団、現ポケモンスクール用務員ムサシ。今さらポケモンパフォーマー ムサヴィとしてファンの歓声に答えられると知り、コンテストの有力選手として出場!!

 

マスタークラス出場者。

 

セレナ。ヒカリ。ムサヴィ改めムサシ。ホワイト。珍獣ハンターイモト。そしてギエピー&ニャース&ソーナンス&ロトム図鑑!!

 

ギエピーは……何処まで抗えるのか!!




次回!!コンテストマスタークラス!!

ムサヴィ改めムサシの挑戦が始まる!!


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95時限目

コンテスト(マジ)


「ムッフフ!!ここは好みのタイプが多いぞ!!」

 

2年前、ブラックの心に絶大なトラウマを植え付けた伝説のやまおとこのナツミ。彼は青いツナギの良い男と関係を持った予備校生と同じく、ガチホモな人物である。しかし、思い込みも激しい人物であり…約半年前にカロスの友人に恋人(ブラック)が出来たと言った程だ。勿論、ブラックからすれば風評被害である。

 

そんなやまおとこのナツミの好みは勿論、年頃の美少年。残念ながら年頃の少年と言えど顔の好みからヒロキ(あばれる君)は対象外なのだ。良かったね、ヒロキ!!

 

そんなナツミ。サトシは勿論のこと、10歳ホヤホヤのホワイトもタイプである。ああ、何と言う事だ…好みの男性が2人も居るこの喜び!!

サトシに色目を使いたかったが、残念な事にサトシはギラティナやラティアスにセレナと言う女の子連中がガードしていて手が出せない。セレナがマスタークラスの準備で居ない瞬間を着いてもラティアス…そしてギラティナが降臨する。残念だが、ナツミの手持ちではギラティナというボディーガードを突破できない。残念だが、サトシのお尻を堪能する事は出来ないのだ。

 

「ここにピチピチの男の子が居るのか!!」

 

出場者 男性更衣室。そう扉に書かれた所に立った我らがナツミ(38歳独身。非処女)。この扉の奥では最年少でコンテストのマスタークラスに参加権利を取得したホワイトきゅんが生着替えを行っている。なに、女子更衣室に入る訳じゃないから犯罪ではない。いざ、ナツミは男性更衣室のドアノブに手をかけたが…

 

「その更衣室。出場者以外、入れないぞ」

 

何者かに声をかけられたナツミ。後ろを振り向くと、そこにはリーフィアを出して右手にモンスターボールを持ったリンドウが立っていた。世界最強クラスのホウエンチャンピオン、まさかの登場。

 

(うほ!!良い男の子!!だけど、ちょっと歳を取りすぎかな?)

 

だが、ナツミは立ち去らない。扉の向こうには花園が待っているのだから。

 

「忠告はしたが…やっぱり無駄か。セコムさん達がヤヴァイから停めに来たが」

 

リンドウは大きな溜め息を吐き出した。と言うのも…

 

「私の息子に何か用かしら?」

 

リンドウからナツミ容疑者の事を教えて貰ったシロナさん、蟀谷に怒りマークを出して登場。しかも、切り札であるガブリアスを出している。

 

ガチャリ…女子更衣室の扉が開かれる。すると、キュレムお手製で黒い真珠を彷彿させる黒いきらびやかなドレスを纏ったヒカリが出てきた。しかも、手持ちの中でトップクラスに戦闘力が高いバグフーンとマンムーを出している。その気になれば、噴火とギガインパクトが炸裂するだろう。

 

「弟に何かようですか?」

 

ヒカリお姉ちゃん。シロナママに続き、怒りマークを出している。

 

これは不味い。ナツミはいざ、逃げようとしたが…

 

『よう…ホワイトに用が有るのか?』

 

物理特化のフォルムであるブラックキュレムと成ったキュレムパパ、指の間接をボキボキと鳴らして登場。その気に成れば、冷凍パンチと雷パンチが炸裂する!!

 

母、姉、パパ。まさかの揃い踏み。そのガードはサトシ君以上であった。

 

「ごめんなさーい!!」

 

ナツミ…命辛々其処から逃げ出す。これぞ、正に本当の意味でのナツミショック!!

 

「中性的な美少年が狙われるのか…カキとマーマネは多分大丈夫だな」

 

そしてガチャリと男性更衣室の扉が開かれ、青い王子様風のコスチューム(キュレムお手製)に着替え終えたホワイトが頭にイーブイを乗せて現れた。

 

「あれ?何か有ったの?」

「「「『何もなかったよ』」」」

 

末っ子、真実を知らず。いや、知らなくて大丈夫です。

 

 

 

 

 

30分後。

 

いよいよ、アローラ地方初のポケモンコンテストが始まった。今回、他の地方でポケモンコンテスト及びトライポカロンで結果を残してきたパフォーマー及びコーディネーターが出場するマスタークラスに出場する選手は全部で6組。

 

「よし!!頑張るよ!!ヒカリ、恨みっこ無しだからね」

「勿論!!」

 

ピンクを基調としたきらびやかななお手製のドレスを纏ったセレナ。キュレムお手製のドレスを纏ったヒカリ。セレナはディアンシーとテールナーを出しており、ヒカリはバグフーンとミミロルを出している。

 

「さあ、ポケモンパフォーマームサヴィ改め、ムサシの挑戦よ!!」

 

自作で作った紫のドレスを纏い、モノクロ仮面を装備したムサシ。彼女はカントーのポケモンマニア マサキの所に預けていたポケモンを引き取ったが、生憎と古参であるアーボックはパフォーマンスが未だ出来ない。そこで彼女はメガヤンマとハブネークを選択している。

 

そして我らが珍獣ハンターイモト。しかし、彼女は何処に居るのだろうか?代わりにイモトのアローラナッシーが居るのだが…

 

「コンテストとか、久し振りだぜ!!行くぜ、相棒!!」

 

アローラナッシーの顔の部分からイモトの声が聞こえる。居るのは居るようだ。

 

「ふふふ…僕達の時代がくるっピよ!!」

「そうニャ、ニャ-達の時代がくるニャ!!」

「ソーナンス!!」

『そうだロト!!ロトム達の時代だロト!!』

 

そして最近、出番がめっきりと減った人語を解するポケモン+αチーム!!汚いピッピことギエピー、元ロケット団のニャース、ソーナンス、そしてロトム図鑑のロトムである。

 

「うわ、大きなナッシーだっけ?」

 

キュレムお手製の王子様衣装を纏ったホワイト。彼はポケモン図鑑(XYモデル)でイモトのナッシーをスキャンして調べる。彼はミロカロスとアーマーガアを出していた。

 

この6名が参加者である。

 

「初めてのコンテストにしては豪華なメンバーが集まりましたね!!

カントー生まれカロス地方出身のセレナ選手!!トライポカロン、ホウエンでのコンテスト。双方で優秀な成績を残してます!!私としては同郷のよしみなので、頑張って欲しいです!!

 

シンオウ地方出身のヒカリ選手。シンオウ、ジョウトを含めニホン国内でのコンテストで優秀な成績を残してます!!最近、血の繋がらない弟が出来てお姉ちゃんとしても立派に成りましたしね!!頑張って欲しいです!!

 

キャンディームサリーナ改め、ムサヴィ改めムサシ選手!!昨年度までは芸名を用いてコンテストとトライポカロンに出場し、どちらでも優秀な成績を修めてます。自身を華麗にぶっ飛ばす演技が今回も見れそうですね!!

 

そして超新星ホワイト選手!!出身はイッシュ地方ですが、本籍はシンオウ地方カンナギタウンに成るそうです。灰色の英雄、今日はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか!?姉弟対決も気になります!!」

 

と…ナナミ様が紹介する。此処までが優勝候補の4人だ。

 

「そして珍獣ハンターイモト選手!!海外ロケでコンテストとトライポカロンに挑戦した履歴があり、珍獣と共に挑戦します!!……所で彼女は何処でしょうか?

 

そして私の弟の親友レッド君のパートナー ピッピと愉快な仲間達!!今回は特別参加です!!」

 

珍獣ハンターイモト、ギエピーと愉快な仲間達の紹介も終わった。いよいよ、ポケモンコンテスト マスタークラスのスタートである。

 

「誰から行くの?私から行こうか?」

「それならムサシさんから行きます?」

 

特に順番は決まっていない。ムサシが一番で行こうとした時だった。

 

「悪いな!!私からだよ!!」

 

最初に動いたのは珍獣ハンターだった。珍獣ハンターは何処に居るのか分からないが、アローラナッシーは一番に動いてフィールドの真ん中に立った。

 

「どーもどーもイモトです!!私は今、何処に居るでしょうか?」

 

まさかのイモトを探せの発動である。

 

「えっ?何処に」

 

「何処なのよ」

 

「むー、分からないや」

 

「本当に居るの?」

 

セレナ、ムサシ、ホワイト、ヒカリもイモトを探すが分からない。一体、何処にイモトは居るのだろうか?

 

「ここでーす!!ここ、ここ!!私はここにいまーす!!」

 

イモトは現れた。イモトはボディーペイントを施して、アローラナッシーの顔と幹に成り済まし…身を潜んでいた。

 

「いや、分かんないよ!!」

 

セレナは叫ぶが、分かるわけがない。こうして、イモトのパフォーマンスは終わった。

 

イモト、地面に降り立つ。1人だけボディーペイント…デフォルトで裸なギエピー達はともかく、コンテスト衣装を纏った他の参加者ばかりなので物凄く目立つ。

 

「「「なんだろう…物凄く場違い感が」」」

「気にすんなって、目だって良いだろ?」

 

そして次はギエピーの番である。

 

「ソーナンス危機一髪だっピ!!」

「ソーナンス!!」

 

樽に入れられたソーナンス。そんなソーナンスが入った樽に剣を突き刺していくギエピーとニャース、ロトムの3匹。

 

「えい!!」

「ソーナンス!!」

「ニャ!!」

「ソーナンス!!」

「ロト!!」

「ソーナンス!!!!」

 

すると、黒髭危機一髪の要領でソーナンスが吹き飛んだが、ソーナンスは華麗に地面に着地した。

 

「「「これ、ポケモンの技…関係有る?」」」

 

ギエピー…パフォーマンス終了!!

 

そして次は優勝候補であるムサシの出番である。

 

「とう!!」

 

ムサシはジャンプする。そして、ハブネークが尻尾でムサシを弾き飛ばし…ムサシは空中で体操選手のように回転する。そして着地地点にはメガヤンマが待機しており、メガヤンマは吹き飛ばしを用いてムサシを真上に吹き飛ばす。

 

吹っ飛ばされるのがムサシの演技であり、彼女は素手でハブネークを倒せる程に身体能力が優れており、体操選手の技を次々と決めていくのであった。

 

「次は僕だね!!お姉ちゃん、行ってきまーす」

 

次はホワイトだった。フィールドの中央に立ったホワイトはアーマーガア、ミロカロスと共に観客に向かってお辞儀する。

 

「レッツ、ショータイム!!」

 

ホワイトはそう告げ、アーマーガアと共にダンスを踊り出す。華麗なステップを踏んで手と翼を繋いだり、スピンしたりして踊る。

 

ミロカロスは上空に向けてハイドロポンプを放ち…そのハイドロポンプがサイコキネシスの力で数多の光線のように枝分かれして、フィールドに降り注ぎ、動き回る。だが、ダンスを踊るホワイトとアーマーガアにはギリギリ当たらない。まるで計算されたように当たらないのだ。

 

「ミロカロス!!チャンスターイム!!」

 

ホワイトが指示を出すと、ハイドロポンプで打ち出された水が大きな水の球体になり、ミロカロスはそれに向けて冷凍ビームを放つ。球体は氷り、アーマーガアは翼を広げて飛び上がる。

 

「アーマーガア!!フィニッシュターイム!!」

 

アーマーガアは鋼の翼と高速移動を併用し、高速で動き…鋼の翼で氷を削っていく。すると…氷はスワンナの氷像に瞬く間に削られたのだ。

 

「静聴…ありがとうございます」

 

そして最後にアーマーガア、ミロカロスと共にお辞儀してホワイトの演技は終わった。

 

 

次はヒカリの演技だ。

 

「む?この曲はアナ雪!?」

 

ポケウッドで有名なアニメの主題歌の音声が聞こえ、耳にアイドルや歌手が装備するマイク着きイヤホンを着けたヒカリがゆっくりとフィールドに歩いてきた。すると、ミミロルが冷凍ビームを放ち、バグフーンが炎で加工していく。瞬く間に氷の階段となり、ヒカリはその階段を登っていく。

 

「ありの~ままの~姿見せるのよ!!」

 

ヒカリはポケウッドの有名某アニメの曲を歌い、バグフーンとミミロルは次々と作品を仕上げていく。

 

「ありの~ままの~自分を見せて!!」

 

氷の城が出来上がり、ヒカリは歌いながらダンスを踊る。

 

「なーにも~怖くない!!」

 

そして…

 

「少しも寒くないわ」

 

完成した氷の城。その躍り間でヒカリはスカートの裾を軽く持ち上げてミミロル、バグフーンと共にお辞儀した。

 

 

そして最後にセレナの出番がやって来た。

 

「さあ、行くよ!!」

 

テールナー、ディアンシーと共に手を繋いでセレナはフィールドに入場する。

 

ディアンシーはダンスを躍りながらダイヤモンドを次々と産み出し、フィールドの造形を変えていく。そしてテールナーとセレナはダンスを躍り、テールナーは灯りを灯していく。

 

「さあ、行くよ!!」

 

セレナは左手に着けた、大誤算ことダイゴさんから貰ったメガバングルを掲げる。

 

「ディアンシー!!メガシンカ!!」

「「「なに!!」」」

 

ディアンシーは眩い光に包まれ、ディアンシーはメガディアンシーにメガシンカ!!更に増大した能力でフィールドをライブステージに作り替え、右手を高く上げて指を挙げる。

 

「ミュージックスタート!!」

 

そして音楽が鳴り響き、セレナはダンスを歌いながら踊る。

 

 

 

 

「「レベルが違いすぎるんですけど(だっピ)」」

 

ノリで出たイモト、ギエピー。レベルの違いを実感し、軽く後悔していた。




次回……マナーロ・アイランド完成記念の大会スタート!!

優勝者はリンドウorブラックと戦えるエキシビションマッチがあり、サトシ達は出場する!!

サトシ、セレナ、アセロラ、カキ、マーマネ、スイレン、マオ、リーリエのリンドウの教え子達は勿論。

ヒロキ(あばれる君)、サオリ先生、イモト等の現実でありアニポケ&公式CMキャラも参戦!?

いや、彼等だけではなく…ヒカリ、ホワイト、デントそしてモーン博士も参戦!?

そして……アローラは魔境へと成っていく。

ククイ博士「……これ、本当にマナーロ完成記念の大会だよな?リーグじゃないよな?」

参加したエリートトレーナーとベテラントレーナーは後に語る。

「アローラ?彼処は…観光で止めておけ…トレーナーが強すぎる…魔境だ」


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96時限目 セレモニー大会 プロローグ

中間結果の大会スタート!!


マナーロ・アイランド。アローラの海に浮かぶ人工島(ジオフロート)であり、世界基準のバトル大会が行える複合施設である。マナーロ・アイランドはアローラリーグの開催と商業施設の開業の為にククイ博士とエーテル財団が作り上げた人工島であり、中央の巨大なバトルフィールドは様々な地方のポケモンバトルスタジアムに匹敵…いやそれ以上の広さを誇っており、その気に成れば200人以上のトレーナー同士でバトルロイヤル形式のバトルも行うことが出来るのだ。

 

ポケモンバトルだけではない。ここは複合施設であり、ショッピングやレストランも楽しめるのだ。大型ショッピングモールが入っており、イッシュ地方のような都会と同じ様な物も購入できるのである。

 

しかし、どうして海上…それも人工島としてアローラリーグの会場を作ったのか?理由は簡単だ。アローラ地方はぶっちゃけると開拓できる土地が限られている為だ。アローラは主に4つの島から出来ている地方であり自然も豊かであり、おいそれと開拓はやりたくても出来ないのだ。なので、ラナキアマウンテンの山頂にリーグ本部、人工島にアローラリーグの会場兼複合施設を作ることに成ったのだ。

 

 

 

 

中央にあるバトルフィールド。そのバトルフィールドには観客に見えるように巨大な電光掲示板が表示されており、左半分にはサトシの顔、右半分にはホワイトの顔が写し出されている。両者の顔の下にはモンスターボールが6つ並んでおり、サトシの所には×が5つ、ホワイトの所には×が5つ表示されている。

 

フィールドには息がかなり荒れたトゥルーキュレムが浮遊しており、キュレムはかなりのダメージを受けているのかゲームで言えば残り体力は半分以下の黄色と言った所だろう。

 

「よし、頼んだぞ!!ゲッコウガ!!」

「コウガ!!」

 

サトシは最後のポケモンとしてゲッコウガを繰り出し、ゲッコウガをサトシゲッコウガに絆変化させる。

 

「メガシンカ2体とか、お兄さん無茶苦茶だよ!!でもさ、勝つのは僕達さ!!優勝するのは僕達だ!!」

『簡単に言ってくれるなホワイト…だが、間違ってはない』

 

「いや、違うな。勝つのは俺達だ!!そうだろ?ピカチュウ!!ゲッコウガ!!」

「ピカピ!!」

「コウガ!!」

 

お互い…最後の切札が激突する。

 

「……なあ、リンドウ。これ、オープン記念の大会だよな?リーグ決勝戦じゃないよな?」

「ポケモンマスターの従弟VSシンオウチャンピオンの息子。リーグ処か、四天王以上の戦いですね」

 

そんな戦いを見ながらククイ博士とリンドウは告げ…

 

「あっ…アローラは魔境だ!!」

 

そして観客スタンドから1人のベテラントレーナーが嘆き、観光がてらに参加した複数のエリートトレーナーが物凄い速度で頷いた。因みにこのベテランとエリート、初戦敗退である。

 

 

 

 

 

時は遡ること大会開始前。

 

リンドウはククイ博士と共にマナーロ・アイランドにお先に上陸し、オープン記念の大会の開催準備を行っていた。大会開催まで残り5時間を切っており、マナーロ・アイランドは既にオープンしている。ショッピングや観光がてらにお客さんは続々と集まっており、もうすぐサトシ達も新しく開通した定期船に乗ってマナーロ・アイランドに到着するだろう。

 

「リンドウ…マナーロ・アイランドでの大会が始まるな!!」

「丁度、サトシ達の中間結果が見れますからね。俺個人としては楽しみですよ。ですが、サトシ達は油断出来ない状態ですけど」

 

リンドウの持つタブレットには出場者のリストが載っており、多くの人々がエントリーしている。

 

リンドウの教え子は全員参加(主催者側のブラック以外)。教員達ではサオリ先生がエントリーしており、ケイネ先生の教え子であるあばれる君ことヒロキも参戦。

学外からはモーン博士、珍獣ハンターイモト、ヒカリ、ホワイト、デントが参戦。

更に他の地方でのリーグ出場経験のあるベテラントレーナーやエリートトレーナーも興味本位とリンドウorブラックとエキシビションマッチが出来る為か参戦している。

 

「所で…スタジアムの強度だが」

「問題ないですよ。俺のレウス(メガリザードンX)とブラックのレシラム(メガシンカ済み)でバトルしたので、強度は完璧ですよ」

「もうやったのかよ!?」

 

マナーロ・アイランドのフィールドは超頑丈。メガシンカを行ったレウスとブラックのレシラム…当然ならメガシンカ済みが激しくバトルを行っても壊れないのだ。なお、そのバトルはレウスのじしんパンチがレシラムの腹部に直撃してゲームセットに成ったとか。

 

「それじゃあククイ博士。俺はサトシ達を迎えに行ってきます」

 

リンドウはそう告げ、船着き場に向かっていった。




1位と2位…プロローグの段階から決定(笑)そりゃ、そうだわ

次回!!サトシ達、マナーロ・アイランドに上陸!!


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97時限目

セレモニー大会…開幕!!


マナーロ・アイランドは既にオープンしている。その為か、マナーロ・アイランドで観光やショッピングをしたいお客様は勿論のこと、ノリで観光がてらにセレモニー大会にエントリーした腕自慢の皆様が上陸してはその時を待ちながら自由に行動していた。

 

「優勝したら…あのリンドウさんかブラック君とエキシビションマッチが出来るんだろ!?観光で来たかいが有ったよ!!」

 

「しかし、あのリンドウが育て上げているとは言えアローラは出来立てホヤホヤの弱小リーグ。宜しい、ベテラントレーナーである私の力を見せてあげよう」

 

観光は旅行が出来れば誰だってやりたいものだ。それにアローラは観光地として有名だし、更にリージョンフォームを含めた固有種のポケモンが多く生息している事で有名だ。新しいパートナーを求めたり、純粋で観光に来ていたエリートトレーナーやベテラントレーナーもエントリーしている。

 

そんな彼等のセリフを聴きながらリンドウはニヤリと笑みを浮かべている。当然だが、彼等はリンドウの手で日に日に強くなっているリンドウの教え子達の強さを知らないのだから。

 

「さてと…彼等には悪いが、俺の生徒達はどんな戦いを見せてくれるのかな?」

 

それにリンドウの教え子だけではない。アローラにはモーン博士、珍獣ハンターイモトを含めた他の地方でも通用する強いトレーナーが普通に居るのだ。それにリンドウの教え子であるサトシ達以外にもケイネ先生の教え子であるあばれる君ことヒロキも参戦する。ヒロキは既に島巡りをメレメレ島とアーカラ島のを達成しており、当然ながらゼット技は使える。

 

「純粋なアローラだけでこれだからな。此処にホワイトとヒカリ、デントも出るわけだからな」

 

純粋なアローラではない。しかし、シロナさんの別荘で暫く滞在するヒカリ御一行もこのセレモニー大会に参戦する。ジムリーダーでもありポケモンソムリエであるデント、ポケモンコーディネーターでありながらバトルの素質も高いヒカリ…そしてレッドに匹敵する素質を持って降臨した灰色の英雄ホワイト(10歳なりたて)。いや、本当に未来が楽しみな逸材が沢山出てくることは間違いない。

 

「マッシブーン!!ゾロアーク!!メタモン!!目指すは勿論優勝だ!!だが、楽しんで悔いの無いバトルをするぞ!!」

「muscle!!」

「ゾロロ!!」

「もーん」

 

そんな声がマナーロに響いた。どうやらモーン博士は娘であるリーリエよりも早くマナーロ・アイランドに上陸し、最終調整をパートナーと共に行っていた。

モーンが連れてきたパートナーはゾロアーク、メタモン、そしてモーン博士の切札であるmuscle補正が着いた筋肉とプロテインが大好きなウルトラビースト マッシブーンである。

 

「ドロバンコ!!ゴローン!!オニゴーリ!!優勝するのは俺達だぞ!!」

「ドロバ!!ドロバ!!」

「ラッシャイ!!」

「オニゴー!!」

 

そしてリンドウ教室以外、ポケモンスクールから参加した生徒であるあばれる君ことヒロキ。ヒロキのパートナーは増えていた。アローライシツブテはアローラゴローンに進化しており、新たにオニゴーリが加入している。ゴローンとオニゴーリは格闘タイプに弱いが、ドロバンコは格闘と戦える。ドロバンコは水と草に弱いが、アローラゴローンは電気・岩の複合タイプであり水と戦えるし、オニゴーリは氷なので草と戦えるし…フリーズドライを覚えたら水とも有利に戦える。格闘対策に飛行タイプ辺りを入れたら、バランスはもっと良くなるだろう。

 

そうこうしてると、リンドウは船着き場に到着した。そこでは定期船が丁度到着したようで、定期船からはブルーとバーネット博士が引率するリンドウの教え子達、シロナさんが引率するヒカリ御一行が出てきた。とは言え、定期船に大きさの都合で乗れ無かったのだろう…レシラムとキュレムはボールに入っていたようで、サトシ達が定期船を降りた瞬間に自分の意志でボールから出てきた。

 

「先生!!」

「よっ!!ようこそ、マナーロ・アイランドへ。アローラリーグ本番も此処で行われるから、フィールドの感触を覚えておくように!!それじゃあ、ざっくりルール説明だ!!」

 

 

マナーロ・アイランドオープニングセレモニー大会 概要。

 

基本的に1度のバトルで使用できるポケモンは3体まで。尚且つ、どちらかの手持ちが3体未満の場合は数が少ない方の手持ちの数に合わせてバトルを行うこと。

 

基本的に手持ちは3体までだが、どちらも手持ちが6体でありどちらも了承した場合に限りフルバトルを許可する。ただし、これは決勝のみとする。

 

使用ポケモンの制限は無し。

 

優勝者にはホウエンチャンピオン リンドウ及びイッシュチャンピオン ブラック、どちらか好きな方とエキシビションマッチを行うことが出来る。それとマナーロ・アイランドのショッピングモールとメレメレ島で使える商品券50000円分の商品券をプレゼント。

 

「アローラリーグまでの中間テストと思って出せる全てを使っていけ。健闘を祈る。そして、お前達の誰かが優勝して俺とエキシビションマッチをするのを楽しみにしとくよ」

 

バトルでの中間テストを兼ねたセレモニー大会…開幕!!




あばれる君…アニメより強化される(笑)オニゴーリの中の人もしてましたからね。

次回!!1回戦開始!!

サトシVSエリートトレーナー

スイレンVS腕自慢の観光客A

などなど…


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98時限目

ゲンシカイオーガ……降臨(笑)


マナーロ・アイランドオープニングセレモニー大会。それが行われるマナーロスタジアムの観客スタンドは大きく分けて2つの観戦スタイルに分けられている。

1つは他の地方のポケモンスタジアムと同様に、観客が椅子である観客席に座って観戦できるスタイル。だが、此方では人間用のサイズなので、座って共に観戦できるポケモン達は小型や大きくても人間より少し小さめや人間に近い体型や体つきをしたポケモン達に限られてしまう。しかし、アローラ地方ではパートナーであるポケモン達を外に出しているトレーナーが数多く居ており、そんな人達とパートナーの事も考えられているのがこのマナーロスタジアムの観客席だ。マナーロスタジアムのもう1つの観客席は少し斜めの傾斜に成った人工芝が敷き詰められたスペースと成っており、そこは椅子という概念が存在しておらず地面に座る感覚で観戦を行えるのだ。このお陰か、どんなパートナーをボールから出して共にピクニック感覚で観戦する事が出来るのである。

 

「「「伝説の英雄って一体……」」」

『あのな。イッシュ三龍は英雄ではない。英雄に寄り添う存在だぞ?』

 

そんな人工芝の方の観客席。そこにリンドウの教え子達とヒカリ御一行+シロナママは各々のパートナーを出して寛いでおり、あろうことか律儀にピクニックシートも引いて寛ぐ準備は完璧だ。

しかも、あろう事かこのピクニックシートはピカチュウやイーブイの可愛らしいイラストが施されており、なんとキュレムお手製の逸品らしい。伝説のポケモンの女子力もヒロイン達を上回る勢いに成っており、間違いなくセレナ(裁縫+料理)とマオ(料理プロ級)以外のヒロイン勢より女子力が高いのは間違いない。

 

リンドウはリザードンとリーフィア。

 

ブルーはカメックス。

 

アセロラは色違いミミッキュ。

 

セレナはテールナーとディアンシー。

 

スイレンはアシマリとミズゴロウ。

 

マオはアママイコと女好きキモリ。

 

カキはバクガメスとワカシャモ。

 

マーマネはトゲデマルとラクライ。

 

リーリエはシロンとマギアナ。

 

ヒカリはポッチャマ。

 

デントはヤナップ。

 

ホワイトはキュレムとイーブイ、そして我等がカイロさん。

 

シロナさんはガブリアスとグレイシアである。

 

サトシがこの場に居ないわけだが、もうすぐ第一試合が始まり…サトシはその第一試合に出場するためだ。相手は他の地方でのジムバッジを何度も集めた正にエリートなトレーナーだそうだ。

ブラックとククイ博士がこの場に居ないのは主催者陣営としての仕事が有るためである。なお、リンドウの主催者陣営としての仕事はトラブルが発生しない限り無いので、リンドウは子供達と共に居るのだ。

 

「いつの間にかカキのアチャモが進化してる」

「パウ」

 

ウラウラ島の島巡りとコンテストに参加していたスイレン、リーリエ、アセロラはカキのアチャモがワカシャモに進化していた事を今知ってしまう。恐らくだが、リンドウ達がウラウラ島に居る間に進化したのだろう。

 

「ああ!!サオリ先生のゴウカザルに鍛えて貰ってな、進化したんだ!!」

「シャモ!!」

 

カキ、マオ、マーマネ。リンドウ達が居ない間は我等が人類最強であるサオリ先生から鍛えてもらった模様。その間にカキとそのパートナーはサオリ先生のゴウカザルに鍛えてもらい、アチャモはワカシャモに進化したのである。

 

そんなカキの手にはトーナメント表が握られており、カキはトーナメント表のタイムテーブルを見る。トーナメント表にはリンドウが気を利かしたのか、リンドウの教え子達とヒカリ御一行は1回戦で戦う事はなく他の地方からの参加者+サオリ先生と戦う事に成っていた。これで、最低でもお友達同士で戦うのは2回戦に成ってからである…デント以外は。

 

「全員がちゃんと2回戦に上がれたら、こう成るのか」

 

もし…全員が2回戦に上がれると。

 

サトシVSカキ。リーリエVSモーン博士。スイレンVSイモト。マーマネVSマオ。セレナVSヒカリ。あばれる君(ヒロキ)VSホワイト。アセロラVSデントorサオリ先生。と成っている。

 

「あら、でもデント君はあのサオリさんとの勝負ね。彼女、レスリングでは地球最強でポケモンバトルでもかなり強いわよ」

 

当然、シロナママも我等がサオリ先生の実力は知っている。

誰かが2人、身内同士が戦う事に成ってしまうのであれば年長者のデントと我等がレジェンド ヨシダ・サオリが戦う事に成ってしまったのである。

 

「あの伝説のレスラー、ヨシダ・サオリとポケモン勝負出来るなんて、光栄ですよ!!」

 

だが、デントは知らない。本当の気合いパンチと捨て身タックルを。

 

 

 

そして、そうこうしてる内に1回戦第一試合が始まる。

 

サトシVSエリートトレーナーA。なお、サトシの後ろには人モードのラティアスが居るから、サトシは使うポケモンとしてラティアスを3体の内1体にしてるのだろう。

 

「良し、ニャヒート!!君に決めた!!」

 

先ず、サトシはニャヒートを繰り出した。ニャヒートはウラウラ島での島巡りで出番が無かったが、今回は出番がある。先ず、サトシはニャヒートを先鋒として繰り出したのだ。

 

「炎タイプか。だったら、此方は水タイプだ!!行け、ルンパッパ!!」

「ルンパッパ!!」

 

エリートトレーナーAはエリートだ。エリートと呼ばれてるだけはあり、僅か3年で故郷のジムバッジを全て揃えてリーグ本選出場を果たし…その翌年からは僅か1年単位で他の地方のバッジを集めてリーグ本選に出場したのだ。

む?サトシやそのライバルにリンドウ、そして色彩軍団はワンシーズン以内だって?いや、彼等はイレギュラーだから。

 

「ルンパッパ!!ハイドロポンプ!!」

 

エリートAはルンパッパに指示を出し、ルンパッパはハイドロポンプを解き放つ。だが、サトシは負けていない。

 

「ニャヒート!!電光石火で回避!!そしてニトロチャージで加速だ!!」

「ニャヒ!!」

 

ニャヒートは迫り来るハイドロポンプを電光石火で回避し、ニトロチャージを繰り出して加速していく。どんどんニャヒートの素早さは上がっていき、ルンパッパは翻弄されていく。

 

「ルンパッパ!!後ろだ!!」

「ルンパ!?」

「ニャヒート!!火炎放射!!」

 

そしてルンパッパの背後に回り込んだニャヒートが火炎放射を解き放ち、ルンパッパは直撃を受ける。確かにルンパッパは水タイプだが、草タイプとの複合。炎の技は普通に受けてしまい、ルンパッパはダメージを受ける。

 

「ルンパ!?」

 

そして…ルンパッパの眼前にニャヒートが襲いかかってきた。

 

「炎のキバ!!」

「ニャー!!」

「ルンパ!?」

 

ルンパッパは炎のキバを喉元に受け、戦闘不能。倒されたルンパッパをボールに戻したエリートAは次に繰り出したのはクロバットであった。

 

「クロバット!!頼んだぞ!!」

「クロバ!!」

 

繰り出されたクロバット…しかし

 

「ニャヒート!!捨て台詞!!」

「ニャーニャー!!」

 

ニャヒートはなにやら言葉を吐いてサトシの所に戻っていく。捨て台詞とはポケモンの技であり、相手に捨て台詞を吐いて他のポケモンと入れ替わる技である。なお、その際に相手の攻撃力と特攻を下げる力が有るのだ。

 

「いけ!!ラティアス!!」

「くーん!!」

 

すると人モードのラティアスがフィールドに体操選手のような動きで飛び出して、瞬時にポケモンとしてのラティアスに変身した。

 

「クロバ!?」

「人がポケモンに変身した!?いや、ポケモンが人に変身していたのか!?メタモン以外で聞いたことが無いぞ!!」

 

驚くエリートAとクロバット。しかし、ラティアスは高速移動を使いながらスピードを上げていき、クロバットの視界から消える。

 

「速い!?クロバットが追い付けない!?」

「ラティアス!!サイコキネシス!!」

「くーん!!」

 

ラティアスのサイコキネシスが炸裂し、クロバットは一撃で倒される。

 

「マジかよ…いけ、ドンカラス!!」

「悪タイプか…ラティアス!!バトンタッチ!!ピカチュウ、君に決めた!!」

「ピカピ!!」

 

エリートAはドンカラスを繰り出し、サトシはバトンタッチでラティアスを下がらせてピカチュウを繰り出した。御存知、バトンタッチは能力値の変化を次のポケモンに引き継がせる変化技。なのでラティアスの次に出たピカチュウはラティアスの素早さを引き継いだ状態だ。つまり…

 

「10万ボルト!!」

「ピーカヂュゥゥゥ!!」

「ドンガァァ!?」

 

ドンカラスはピカチュウに追い付けず、10万ボルトの一撃を喰らってドンカラスは戦闘不能。サトシ、楽勝で1回戦を突破する。

 

 

「マッシブーン!!行くぞ、筋肉の可能性を見せるんだ」

「muscle」

 

モーン博士。マッシブーン1体でエリートトレーナーBを三縦を決めて、圧勝。

 

「はい、腰が回ってる!!腰が回ってる!!行くぜ相棒!!ウッドハンマーじゃ!!」

「なっしー!!」

 

珍獣ハンター イモト。アローラナッシーの力で1回戦を何とか突破。

 

 

 

1回戦第4試合。

 

スイレンVS腕自慢の観光客A。

 

「君は水タイプの使い手かい?だったら、僕は草タイプを使おう!!ウツボット!!」

「ボート!!」

 

腕自慢の観光客Aはカントー地方在住の観光客。だからサトシの実力は知ってるし、シロナの養子と成ったホワイトの事も知っている。だからこの2人と初戦から当たらなくてホッとしているのだ。理由は瞬殺される自信しか無いから。

 

「草タイプか…良し、アノプス!!頼んだよ!!」

「プス!!」

 

スイレンの手持ちはアシマリ、カイオーガ、ミズゴロウ、アノプスの4体。その中で使えるのは3体だけであり、尚且つ草タイプに対抗できるのはアノプス(タイプ的に)だけだった。

 

「アノプス!!アクアジェット!!」

 

アノプスは元々水生のポケモン。岩タイプであり、水タイプの技が弱点だが水タイプの技を使うことが出来るのだ。アノプスは素早さが低い、故に先制技で近づき、虫タイプの技で攻撃するつもりなのだ。

 

だが…

 

「ウツボット!!つるのむち!!」

 

しかし、側面からウツボットのつるのむちが襲いかかる。観光客Aとは言え、腕自慢。ジムバッジも幾つか持っており、今のアノプスと比べたらレベルが高い。アノプスがアクアジェットで懐に入り込むよりも早く、つるのむちがアノプスに当たってしまう。

 

「危ない!!アノプス!!鉄壁!!」

「プス!!」

 

アノプスは鉄壁をつかい、防御を上げてつるのむちのダメージを出来るだけ抑える。しかし、実力差があるのかアノプスはダメージを受けてしまった。

 

「プス!!」

「効くだろ?僕のウツボットの攻撃。僕はカントーのジムバッジを5つゲットした実力者だからね!!」

 

だが…その時だった。突如としてアノプスの身体が眩い光に包まれて姿を変えていく。これは進化だった。

 

「なに!?」

「アノプスが進化するの?」

 

小さかった体躯は変わり、スイレンの身長よりも大きくなり二足歩行と成った姿。そう、アノプスはアーマルドに進化したのである。

 

「アーマァァァ!!」

 

おめでとう!!スイレンのアノプスはアーマルドに進化した!!

 

「それでもだ!!ウツボット!!今度はパワーウィップだ!!」

 

観光客Aは指示を出し、ウツボットはつるのむちの超絶強化番とも言える技 パワーウィップを繰り出した。しかし、あろうことかアーマルドはあろうことか、脇で挟むようにパワーウィップを受け止めると…

 

「アーマルド!!投げちゃえ!!」

「アーマー!!」

 

そのままウツボットをぶん投げて地面に叩きつけてしまったのだ。

 

「うっうつぼ!?」

 

地面に激突し、大きなダメージを受けたウツボット。そんなウツボット目掛けてゆっくりと、アーマルドが歩いて迫ってくる。

 

「アーマルド!!シザークロス!!」

 

アーマルドの攻撃!!ウツボットは倒れた。

 

「岩タイプには水タイプで行こうか!!」

 

観光客Aは倒されたウツボットをボールに戻し、今度はぺリッパーを繰り出した。

 

だが…その瞬間。快晴だった天気が突如として急変し、雨が降りだしたのだ。

 

「これって、まさか!?」

 

スイレンはこれを非常に良く知っている。と言うのも、スイレンはカイオーガをパートナーにしており、カイオーガの特性はあめふらし。カイオーガが臨戦態勢に入れば天気が変わり、雨が降りだすのだ。それと全く同じ事が起きている。つまり、相手のぺリッパーはカイオーガと同じ特性を持っているのだ。

 

「そう。僕のぺリッパーの特性はあめふらし!!ぺリッパーが戦う気に成れば、雨が降りだすのさ!!

さあ、ぺリッパー!!ハイドロポンプ!!」

 

雨が降れば水タイプの攻撃力は上昇する。当然、今からぺリッパーが繰り出すハイドロポンプも威力は絶大であり、アーマルドは直撃を受ければ先ず耐えられない。

 

だが…観光客Aは知らない。スイレンのアーマルドの特性を。

 

「ペリー!?」

 

ハイドロポンプが解き放たれる瞬間。スイレンのアーマルドがぺリッパーの目の前から消えた。

 

スイレンのアーマルドの特性はすいすい。雨が降れば、素早さが2倍に成るのだ。今のアーマルドの素早さはクロバットやプテラに匹敵する素早さを誇っており、ぺリッパーの真後ろに回り込んだのだ。

 

「ストーンエッジ!!」

 

スイレンの指示を聞いたアーマルドはストーンエッジを繰り出し、真下から繰り出されたストーンエッジを受けたぺリッパーは一撃で倒されてしまった。

 

「マジかよ…ぺリッパーまで」

 

観光客Aはぺリッパーをボールに戻した。観光客Aが使えるポケモンは残り1体。そこで彼はピジョットを繰り出した。

 

「ピジョー!!」

「よし、ピジョット!!メガシンカだ!!」

 

そして直ぐ様、観光客Aのピジョットはメガピジョットにメガシンカしたのだ。

 

「君。このメガピジョットは僕の切札だ。さっきまでの子達とは遥かに違うぞ」

 

そう、メガシンカを行ったポケモンは伝説のポケモンすら一方的に倒してしまう。そして…観光客Aはスイレンの左腕にメガバングルが有ることに気付いた。

 

「君もメガシンカを使えるのかい?ならばアーマルドを下げてメガシンカを行えるパートナーを出したまえ。このままじゃ、フェアでは無いからね」

 

と親切にも観光客Aは言った…いや、言ってしまった。

 

「うん。良いよ、でも……後悔しないでね?アーマルド、戻って」

 

スイレンの指示に従い、アーマルドはスイレンの側に戻る。そして…アーマルドが戻ると、スイレンは腰のベルトからダイブボールを取り出した。

 

「お願い!!カイオーガ!!」

 

む?カイオーガ?観光客Aは勿論、スイレンの言葉を聞いた観光客やエリートにベテランは耳を疑った。そして…

 

「カイォォォォガァァ!!」

 

スイレンが持つ絶対的エース カイオーガが降臨する!!

 

「はぁぁぁぁあ!?」

「まだまだ!!本当はサトシかホワイトと戦うまで、温存したかったけど。あんな事を言われたらやるしかないね!!カイオーガ、メガシンカ!!」

 

その瞬間…カイオーガが眩い光に包まれた。

 

実はスイレンがウラウラ島に向かうちょっと前。精神病棟に入院している虹アオギリが奇妙な物を持っていたのだ。それはウルトラゲートを通り、虹アオギリがこの世界に持ち込んだ藍色の珠。この藍色の珠はカイオーガに妙な反応を示していたので、エーテル財団経由でスイレンがカイオーガに持たせてみた所…まさかのメガシンカする事が出来たのだ。

 

「カイォォォォガァァ!!」

 

なお、原作ゲームではそのメガシンカはゲンシカイキと呼ばれており、スイレンがカイオーガをメガシンカさせた姿はゲンシカイオーガだが気にしてはいけない。

 

ゲンシカイオーガにメガシンカしたカイオーガは2倍程の大きさに大きくなっている。

 

そして誰にも変えられない原初の雨が降りだした。

 

「カイオーガ!!根源の波動!!」

 

ゲンシカイオーガの攻撃!!メガピジョットは一撃で倒された!!

 

アローラ…魔境への階段を上がる。




エリートトレーナーと観光客が次々と犠牲に成っていく(笑)


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99時限目

あの人、まさかの登場(笑)


「トゥース!!」

 

1回戦第5試合。マーマネの対戦相手は遠路遙々日本からやって来たボディービルダーであった。

 

「リンドウ。あの人知ってる?」

「いや、知らね。シロナさんは?」

「私も知らないわ」

 

そんなマーマネの対戦相手。実は日本では結構有名な人であるが、残念な事にリンドウ、ブルー、シロナさんといい大人3人は知らない人物であった。彼の名前はカスキング(芸名、本名カスガ)。ボディービルとフィンスイミングで優秀な成績を残すポケモントレーナーであり、今日は観光序でに参加したポケモントレーナーである。

 

「こっこここ、コイキング」

 

そんなカスキングのパートナーは金色のコイキング。つまり、ホワイトのカイロスさんと同じく色違いのポケモンである。色違いのコイキングでは有るが、限界まで努力値を高めたのだろう。そのコイキングはムキムキであり、強靭な体幹で直立していた。

 

「さあ、来なさい!!このカスガはこのキンキングだけで君に勝利しよう!!と言うか、このキンキングしか手持ちに居ないのだ!!」

 

そう、カスキングの手持ちはコイキングだけ。なのでどう足掻いてもコイキングしか使えないのだ。後はカントーに置いてきたカイリキーの皆様が居るが、彼等は連れてきて居ないのだ。因みにキンキングとはカスキングのコイキングのニックネームであり、持ち物はかわらずの石。つまり、ギャラドスには成れません。

 

「ラクライ。10万ボルト」

「ワン!!」

 

なのでマーマネも特別ルールでポケモンが1体しか使えず、ラクライを選択。そのラクライの10万ボルトの直撃を受けたコイキングは…

 

「オニガワラーーー!!」

「キンキング!!」

 

いくら努力値を高めようが、10万ボルトの一撃で倒されてしまった。カスキング、初戦敗退!!

 

 

 

「これがあばれる君の根性じゃ!!」

 

あばれる君。観光客Bに何とか勝利し、2回戦進出。

 

 

「シロン!!こなゆきで身を隠して!!それでわるだくみ!!」

 

リーリエはエリートトレーナーBと戦ったのだが…シロンの保護色をした体毛を利用しみ、粉雪で姿を眩ましてわるだくみで特攻を上げる。そして…

 

「バトンタッチからのイベルタル!!」

「なにーー!!」

 

そして色違いイベルタルにチェンジし、イベルタルの悪の波動とエアスラッシュでエリートトレーナーBを無事に撃破。リーリエ、2回戦進出。

 

 

「キモリ!!君に決めた!!」

「アマーイ!!」

 

--アママイコちゃんとマオさんの声援!?うぉぉぉお!!力が漲って来たぞ!!

 

マオはエリートトレーナーCとの対決だったのだが、マオとアママイコの声援を聞いたキモリ(恐らく、中の人 麦わらのコック)はどういう訳か全能力が上昇。そして…

 

--行くぜ!!美女の声援が着いている!!

 

ジェプトルに進化してしまった。

 

「「「進化した!?」」」

 

そして飛び蹴り、2度蹴り、リーフブレード、メガトンキックのフルコンボで敵を瞬く間に調理した女好きジェプトルの力でマオも2回戦進出。

 

 

「バクガメス!!鉄壁からのボディープレス!!」

「ガメスン!!」

 

カキ。とうぜんながら2回戦進出。

 

 

「いっけ!!ドラえもん!!」

「ドラッパー!!」

「どっドラパルトだと!?」

 

アセロラ。ドラパルトを繰り出し、見事にエリートトレーナーDから三縦を奪い2回戦進出。

 

 

「ニンフィア!!ムーンフォース!!」

 

「バグフーン!!噴火!!」

 

セレナとヒカリ。観光客をフルボッコにして2回戦進出。

 

 

 

「ふっ…遂に私の出番か」

 

ベテラントレーナー。それはエリートトレーナーたる者が20年以上の経験を積み重ね、渋いおじさんやおばさんと成ってもトレーナーとしての腕前を比較的高めたエキスパート。そんなベテラントレーナーの1人がこのセレモニー大会に出場したのだ。勿論、目指すのは優勝だ。なに、今回はたまたま観光で訪れた気分次第であるが、彼は何度もリーグ本選に出場しては若いエリートトレーナー達に格の違いを見せつけてきたし、今回もアローラの子供達に実力を見せつけるつもりだったのだ。

 

「なに…誰が来ても勝つ自信があるさ」

 

そしてバトルフィールドに出たベテランを待ち受けて居たのは…

 

「準備OK?僕たちは何時でもオールOK!!」

「ブイブイブイ!!」

 

トレーナーゾーンにはライドポケモン用とは別の鞍を背中に装備させたホワイトキュレム。そのキュレムの背中に跨がったホワイト、そしてホワイトの頭の上に乗っかったイーブイ、そして…

 

「マカセロス……ボーマンダ、ユルサナイロス」

 

キュレムの足元には紫の珍虫が居たのだった。

 

「噂の彼か…私としては、バトルかコンテストどっちかに絞って欲しいがね。専門で日々、チャンピオンやトップコーディネーターを目指してる人に失礼だ。

両立という困難な物を行くか…私が彼に勝って引導を渡してやるとするかね」

 

そう、ベテランの相手はホワイトだったのだ。

 

「ゆけ、ゴロンダ!!」

「ゴロンン!!」

 

ベテランが繰り出したのはゴロンダ。ヤンチャムの進化系であり、タイプは悪と格闘の複合タイプ。格闘タイプでは有るのだが、悪タイプも入っておりエスパータイプの技が効かないのだ。だが、フェアリータイプの技は4倍と成ってしまう為にそこは気をつけないといけないのである。

 

「よし、イーブイ?レッツ、ショータイム!!」

「イーブイブイ!!」

 

だが、どういう訳かホワイトはイーブイを繰り出した。

 

「タイプ相性を知らないのか?コンテストでは無いのだぞ!!やれ、ゴロンダ!!」

 

ベテランはゴロンダに指示を出し、ゴロンダはイーブイに向かって突っ込んでくる。

 

 

 

「シロナさん!!」

「大丈夫よ、サトシ君。ホワイトのイーブイ、普通のイーブイじゃないの。突然変異で()()()()()()()()()()()普通じゃないのよ」

 

 

 

 

「ゴロンダ!!瓦割り!!」

 

迫り来るゴロンダの手刀。

 

「イーブイ!!ビリビリエレキ!!」

「ブイ!!」

 

次の瞬間、イーブイが10万ボルトに匹敵する電気技を繰り出したのだ。

 

「「「イーブイが電気技!?」」」

 

高圧電流を浴びたゴロンダは苦しそうに声を出し、片膝を着いてしまう。

 

「さらに続けてメラメラバーン!!」

「ブイ!!」

 

今度は炎技だ。イーブイは爆炎を纏いゴロンダに突撃し、ダメージを与える。

 

「そしてきらきらストリーム!!」

「ブイブーイ!!」

 

今度はフェアリータイプの技だ。妖精の力を帯びた突風がゴロンダを襲い、ゴロンダを倒してしまったのだ。

 

「バカな…そんな技、聞いたことがない」

「うん。僕が名付けたもん」

 

ゴロンダを倒されたベテラン。次にベテランが繰り出したのはドサイドンだった。

 

「ドサーイ!!」

「うおー!!おっきい!!イーブイ、戻って!!レッツ、ダンスターイム!!ミロカロス!!」

 

ホワイトはイーブイを戻し、ミロカロスを繰り出した。

 

「ミロカロス。レッツ、ドレスコード!!」

「ミロォォォン」

 

ミロカロスは口から水を吐き出し、それをサイコキネシスで操作してあろうことか…綺麗な水のドレスを纏ったのだ。

 

「じゃーん!!ミロカロス、ドレスモードでーす!!」

 

ホワイトの言葉に便乗するようにドヤ顔を決める、水のドレスを纏ったミロカロス。しかし、ベテランは我慢できなかった。これはポケモンバトルだ、コンテストではない。

 

「ふざけおって…ドサイドン!!メガホーン!!」

 

ドサイドンはベテランの指示に従い、物凄い速度でミロカロスに突撃する。しかし、ホワイトはニヤリと笑みを浮かべて

 

「引っ掛かった」

 

ドサイドンの攻撃がミロカロスのドレスに当たった瞬間、水のドレスが炸裂するような反応を見せて、ドサイドンを吹き飛ばした。

 

「なんだ!?」

 

「何が起きた!?」

 

「まさか…サイコキネシスとミラーコートを応用して、水のリアクティブアーマーを作ったのか!?」

「どうした急に!?」

 

これには観客もザワザワと騒がしくなる。

 

「リンドウ先生!?何が起きたんですか!?」

「成るほどな。ポケモンコーディネーターやポケモンパフォーマーでなければ、思い付かない戦法だな」

 

ホワイトの行った戦法をリンドウは仮説では有るが、理論を立ててサトシ達に解説してくれた。

 

「先ず。あの水のドレスをサイコキネシスで纏う。そして、相手の攻撃がドレスに当たった瞬間にミラーコートを発動…それかサイコキネシスで纏っている水のドレスを炸裂させる。そうする事で、水のドレスがリアクティブアーマーとなり…物理攻撃してきた相手にダメージを与えるって事か。言うならば、カウンターシールドの1種だな」

 

 

 

「ドサイドン!!何が起きた!?」

「ミロカロス!!ハイドロポンプ!!」

 

吹き飛ばされ、動けないドサイドン。そこへ、容赦なくハイドロポンプが襲い掛かり…ドサイドンは倒されてしまった。

 

「ドサイドンまで…くっ、クリムガン!!」

 

ドサイドンを倒されたベテラン。そんな彼は13年前の事を走馬灯のように思い出していた。

13年前、カントーリーグに挑戦した時だった。僅か10歳の赤い帽子(レッド)を被った少年に手も足も出ずにフルボッコにされた事を。

 

「あの赤い少年(レッド)、緑の少年(グリーン)、青い少女(ブルー)、青紫の少年(リンドウ)の事を今に成って思い出す!!この目の前の少年も、彼等と同じくイレギュラーだと言うのか!!」

「ミロカロス!!冷凍ビーム!!」

 

ホワイトの指示で放たれた冷凍ビーム。クリムガンは横に避けたが、あろうことかその冷凍ビームは屈折し、曲がり…死角からクリムガンに直撃してクリムガンを倒してしまったのだ。

 

ベテラントレーナー。13年ぶりに10歳の子供に負ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のエーテルパラダイス。

 

「カイロスだ!!」

「カイロスじゃねーか!!」

「カイロスめ!!」

「惑星カイロスのカイロス!?どうしてこの世界に!?」

 

シオニラ隊長率いるウルトラ調査隊。ホワイトのカイロスをテレビ越しに見て、そう言った。




惑星カイロスは輝き様イベントで関わります。カイロスファンの皆、楽しみにしてね!!

次回!!デントVSサオリ先生。そして…デントは知る…本当の気合いパンチとサオリ直伝捨て身タックルを


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100時限目

記念すべき100回目!!メインキャラは当然の如く、サオリ先生!!


サオリ先生VSデントの対決。そしてこれは同時に1回戦の最終試合と成るのだった。

 

「あら、私を倒そうだなんて度胸有るじゃない。私が鍛え上げたコイツと勝負してみる?」

 

ポケモンスクール教員のサオリが勝負を仕掛けてきた!!サオリはカイリキーを繰り出した。

 

 

 

 

「これが…レジェンド ヨシダ・サオリのカイリキー。なんて、マーベラスに鍛えられたんだ」

「ヤナッ……」

 

そんなサオリ先生と戦うのはサンヨウジムのジムリーダーの1人であり、弟2人にジムを任せポケモンソムリエとしての見聞を広めるために旅してるデント青年。そんなデントとパートナーであるヤナップの視線の先には鍛えられたカイリキーがポージングを行い、筋肉をアピールしながらデントのパートナーが出てくるのを待っていた。

デントはポケモンソムリエであると同時にジムリーダーだ。言わば、ポケモンのプロであり相手のポケモンの肉体を見れば、大体は分かる。しかし、サオリのカイリキーはデントが今まで見てきたカイリキーの中でも間違いなく最強だと言えるほどの力を持っているのだ。それも戦う前から判断出来る程に。

 

「凄いでしょ?なにせ、私が直々に鍛えてるからね!!」

「リッキー!!」

 

サオリ先生(本人が)は地球最強クラス。ポケモンさえもあっという間に倒してしまう人間最強。そんなサオリ先生は自分のポケモン達と自分を戦わせ、ポケモンを日頃から鍛えているのだ。これはレスリング界のレジェンド サオリ先生だからこそ行える事であり、他の人はやってはいけない事である。

 

「デント君。だれで来るのかしら?」

「勿論決まってますよ!!貴女がカイリキーを出すなら、僕は彼だ!!レッツヤナップ!!テイスティングターイム!!」

「ヤナップ!!」

 

サオリ先生がカイリキーを出すならデントも一番のパートナーを出すしかない。そこでデントは一番のパートナーであるヤナップを繰り出した。

 

デントは一切の慢心はない。なにせ、相手は最強のリーグであるカントー地方のジムバッジを全て集めてリーグ本戦に出場した猛者。それも自身のポケレスリングとしての強化選手…ニホン代表としての忙し過ぎる日々の合間を縫ってのバッジコンプリートだ。並みの相手ではない。

 

「先手は譲るわ。かかってきなさい!!」

「リッキー!!」

 

サオリ先生とカイリキーは先手を譲ってくれた。ならばこそ、デントとヤナップも期待に応えなくては成らないと言うことだ。

 

「勿論です!!ヤナップ!!タネマシンガン!!」

「ヤナップ!!」

 

ヤナップは口から数多の種を弾丸の如く…いや機関銃のように解き放った。タネマシンガン、草タイプの連続攻撃であり名前の通り植物や果物の種をマシンガンの如く速射する技である。放たれた種のマシンガンは物凄い速度でカイリキーに向かって直進する。だが、サオリ先生のカイリキーは逃げる素振りを見せない。何故なら、避ける必要が無いためである。

 

「教えて上げるわ。ポケモンの力はね…技だけじゃないのよ。私達人が、パートナーに技術を直伝させる事も出来るのよ。

古来より、人はパートナーであるポケモン達と力を合わせて様々な技を作ってきたわ。それは現代でも変わらない。子供達、良く見てなさい!!カイリキー!!廻し受けよ!!」

「リッキー!!」

 

廻し受け。それは空手等の様々な武術にある受け技の事であり、相手の攻撃を手で円を描くように受け流す武術の事だ。

 

カイリキーは2本の腕を使って廻し受けを行い、迫り来るタネマシンガンを全て払い除けてしまった。ポケモンの技術ではなく、正真正銘の武術。その気に成れば人間も出来る武術を見て、観客はどよめいた。

 

「矢でも鉄砲でも撃ってきなさい。私は破壊光線すら廻し受けで弾く事が出来るわ」

 

サオリ先生の友人であり戦友オロチ・ドッポは矢でも鉄砲でも廻し受けで弾く事が出来る。なお、サオリ先生は破壊光線すら廻し受けする事が出来る…と言うかブラストバーンやハイドロカノンさえも廻し受け出来る。

 

「こっこれはまさか!?武術!?」

「さすがね、デント君。私のポケモン達は私が鍛え上げた(物理)の。パートナーよ!!」

 

そう、サオリ先生のパートナーは誰もが人間の武術を習得してるのだ。その武術を使うことで、()()()()()()を使うことなく相手と戦う事が出来るのだ。例えばエスパータイプやフェアリータイプは格闘タイプの技は今一つだが、ポケモンの技を使わない攻撃ならダメージは低いが普通に通じるしゴーストタイプにも当たる。

そしてそれらをサオリ先生のポケモン達はサオリ先生から格闘術を教えてもらっており、ポケモンの技に遜色ない領域まで高まっているのだ。

 

「さあ…今度は此方から行くわよ!!カイリキー!!」

「リッキー!!」

 

サオリ先生の指示を受けてカイリキーは踵で踏み込み、物凄い速度で走り出した。

 

「ヤナッ!?」

「速い!?」

「捨て身タックル!!」

 

サオリ先生の十八番は御存知捨て身タックル。そんな彼女直伝の捨て身タックルはヤナップを一撃で吹き飛ばし、たった一撃で戦闘不能に追い込んでしまった。

 

「ヤナップ!!」

 

強いとは知っていた。だが、まさかデントもヤナップがたった一撃で倒されるとは思ってもいなかったのだ。

 

そして次にデントが繰り出したのはイワパレスだった。

 

だが…

 

「デント君。君は本当の気合いパンチを知らない…だから、此処で教えるわ!!」

「リッキー!!」

 

剛体術と呼ばれる体術が存在する。剛体術…それは拳が直撃するインパクトの瞬間に身体の間接を停めて、体重の全てを拳の1点に届ける事が出来るのだ。

サオリ先生のカイリキーの体重は筋肉量等の影響か、普通のカイリキーよりも重く140キログラム。カイリキーの渾身の打撃+気合いパンチの破壊力+剛体術による体重補正140キロが1点に加わり、僅か一撃でイワパレスさえも倒してしまった。

 

「パレース!?」

「イワパレス!?」

 

これぞ、サオリ式気合いパンチ。動きが鈍い(カイリキーより)相手にしか使えないが、圧倒的な力でハガネールさえも粉砕できる。事実、カウンターで放った気合いパンチでケイネ先生のハガネールをワンパンで倒しているのだから。

 

そして…デントが繰り出したマッギョに関しては…

 

「カイリキー!!ドレス!!」

「リッキー!!」

 

サオリ先生直伝の必殺技 ドレス。またの名をポケモン(人間)ヌンチャクで振り回され、カイリキーが纏う半透明のドレスの如く振り回された。

 

「マギョョョ!?」

 

そして最後にはベチョっと放されて…マッギョは倒れた。

 

ポケモンソムリエ…伝説の霊長類最強女子に敗れる!!

 

 

 

 

「サオリ先生!!凄い!!チャンピオンなれたんじゃない?」

「日の丸背負ってたから忙しかったのよ。だから四天王に挑む前に辞退したの」

 

マオの質問に対してそう答えたレジェンドサオリ。なお、その質問を聞いたリンドウは苦笑いを浮かべる。もしかしたら、自分の前のホウエンチャンピオンやレッドの前のカントーチャンピオンはサオリ先生に成ってたかも知れないのだから。




次回!!2回戦スタート!!

サトシVSカキ!!リーリエVSモーン博士!!


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101時限目

メガガルーラの放送事故って知ってます?


2回戦。サトシVSカキ。リーリエVSモーン博士。スイレンVSイモト。ホワイトVSあばれる君(ヒロキ)。マオVSマーマネ。セレナVSヒカリ。アセロラVS霊長類最強女子サオリ先生。

 

「悔しいです!!」

 

ヒロキ。ホワイトのカイロスさん1人の力で三縦を見事に決められて敗北。その際に特徴的な顔芸を決めて、あばれる君はレッドに匹敵する天才には勝てなかった。

ヒロキ、自分より5歳も年下の子供に負ける。ポケモンバトルに年齢は関係無いとは正にこの事だろう。

 

「こっこの私が!?」

 

イモト。スイレンと戦い、カイオーガ…ではなくアシマリとアーマルドの2体でフルボッコにされる。イモトはイワーク、マサコ(ルージュラ)、アローラナッシーを繰り出した。しかし、イワークをアシマリの手で秒殺されてしまい、マサコとナッシーに関してはアーマルドの手でワンパンキルされてしまったのだ。

 

スイレンとホワイト、3回戦への出場をアッサリと決める。なお、3回戦は人数の都合上、2回戦を勝ち上がった1人はランダムで1人はシード権(コンピューターでランダム選出)が得られ3回戦をパスしていきなり準決勝に出ることが出来るのだ。

 

 

そして次はカキとサトシの対決であった。

 

「ワカシャモ!!飛び蹴り!!」

「シャモォォォオ!!」

 

ワカシャモの強烈な飛び蹴りが、サトシのルガルガンに直撃する。カキのワカシャモは炎・格闘タイプ、一方のサトシのルガルガンは岩タイプ。タイプ相性的にはカキのワカシャモの方が圧倒的に有利と言えるだろう。

それに飛び蹴りは外した際に、ダメージを受けてしまうデメリットも存在する。だが、その分威力もかなり高い。効果抜群な飛び蹴りを受けてしまったルガルガンは絶大なダメージを受けてしまうのだが…

 

「ルガルガン!!だったらカウンターだ!!」

「ワン!!」

 

ルガルガンの瞳が紅く光る。だが、面白い事にタイプや個体値に種族値の合計数だけでバトルは決まるわけではない。どう、各々のポケモンの良し悪しを見極めてその力を万全に正しく…導けて引き出す事が大事なのだ。

 

カウンターと呼ばれる技がある。カウンターは受けた物理技のダメージを倍にして相手に返すカウンター系列の技であり、ルガルガンが受けた飛び蹴りは効果抜群の一撃。つまり、実数4倍近いダメージがワカシャモを襲うことに成るのだ。

 

「シャモォォォオ!?」

 

ルガルガンがカウンターで放った頭突き。その一撃を受けて、先ほど自分が放った飛び蹴り×4のダメージを耐えられるわけがなくワカシャモは一撃で倒されてしまった。

 

「ワカシャモ!?くっ、やっぱりサトシは強いな」

 

カキは倒されたワカシャモをボールに戻し、変わりに彼を繰り出した。

 

「良し、次はお前だ!!ガラガラ!!」

「ガラガーラ!!」

 

次にカキが繰り出したのはアローラガラガラ。カントー地方のガラガラと異なり、炎・ゴーストタイプであるが地面タイプの技も使うことが出来る。

ワカシャモが倒された今、カキの手持ちで最弱のドンメルを除き選抜3体の中でルガルガンと有利に戦えるのは彼ぐらいであった。

 

「ルガルガン!!アクセルロック!!」

 

アクセルロック。それは岩タイプの技であるが、電光石火やアクアジェットと同じく先制攻撃する事が出来る速度に優れた技であり、ルガルガンは目にも見えない程の速度でガラガラに突撃し、ガラガラはそこそこ大きなダメージを受ける。

 

「ガラ……」

 

しかし、ガラガラは倒れない。アクセルロックの一撃を受けて少し吹き飛ばされたが後ろ回りを行って受け身を取り、衝撃を抑えることに成功する。だが、岩タイプの攻撃が効果抜群である事には変わりはない。

 

「行けるか?ガラガラ!!」

「ガラ!!」

 

カキの言葉に対して、ガラガラはサムズアップして答える。痛い一撃を喰らいはしたが未だ全然問題ではない。しかし…

 

「ワン!!」

 

一方のルガルガンは隠し持っていたオボンの実を食べて体力を回復させる。オボンの実やオレンの実は傷薬等のポケモンの回復薬品の原料と成っており、食べることで体力を回復させる事が出来るのだ。

これでルガルガンは飛び蹴りの一撃で大きくダメージを減らされたが、体力を瀕死寸前から黄色程まで回復させる事が出来た。

 

「ガラガラ!!岩タイプは地面タイプの技が効果抜群の筈だ!!骨ブーメラン!!」

 

骨ブーメラン。ガラガラが持つ骨を投擲武器として投げ、相手にダメージを与える地面タイプの技だ。当然、岩タイプであるルガルガンには効果抜群であり、絶大なダメージを期待できる。

だが、サトシは機動力に優れるポケモンに関しては熟した導きかたを心得ている。サトシの歴代のエースはリザードン、ジュカイン、ゴウカザル、ゲッコウガと誰もが素早い戦闘に優れている。当然、ルガルガンも機動力には優れており…

 

「ルガルガン!!アクセルロックでかわせ!!接近と共に噛み砕く!!」

「ワン!!」

 

投擲された骨ブーメランをアクセルロックでかわし、ガラガラに噛み砕くを与えるルガルガン。効果抜群であり、ガラガラは甚大なダメージを受ける。だが、ブーメランとは投擲武器であるが投擲した後、戻ってくる性質が有るのだ。

 

「危ないルガルガン!!」

「遅いな、サトシ!!」

 

そして戻ってきた骨ブーメランはルガルガンの後頭部に直撃した。

 

「ワン…」

「ガラ…」

 

アクセルロックからの噛み砕くを受けたガラガラ、そして骨ブーメランを受けたルガルガンは同時に倒れてしまった。

 

戦闘不能になったルガルガンとガラガラ。サトシとカキはパートナーをボールに戻し、新たなパートナーを繰り出した。

 

「良し、ゲッコウガ!!君に決めた!!」

「バクガメス!!頼んだぞ!!」

 

お互いに繰り出したのは各々の切札であるバクガメスとゲッコウガであった。

 

「行くぞ、バクガメス!!Z技だ!!」

 

「だったら、此方もZ技だ!!」

 

カキもサトシも島巡りの試練を突破してるので、両者もZ技を扱う事が出来る。

カキはアーカラ島での島巡りしか行っておらず、岩と炎のZクリスタルしか持っていないが…今の手持ちでは全然問題はない。

サトシはメレメレ島、アーカラ島、そしてウラウラ島…3つの島での島巡りを終えておりZクリスタルは複数保有している。岩、ノーマル、悪、そして電気のZクリスタルを持っているのだ。

 

バクガメスは炎・ドラゴンタイプ。ゲッコウガは水・悪タイプ。カキは炎のZクリスタルをZリングにセットし、サトシは悪のZクリスタルをZリングにセットした。

 

「ダイナミックフルフレイム!!」

 

「ブラックホールイクリプス!!」

 

大規模爆炎と大規模ブラックホールがぶつかり合い、バトルフィールドはZ技同士の激突により激しい衝撃によって揺れてしまう。

 

そして…

 

「ガメスン…」

「コウガ!!」

 

Z技同士の激突に勝ったのはサトシのゲッコウガであった。

 

サトシVSカキ。サトシの勝ちにより、サトシは3回戦以上に進むことと成った。

 

 

そしてマオVSマーマネなのだが…

 

「ジュプトー!!」

 

女好きジュプトルの攻撃!!デンヂムシにメガトンキックが炸裂した!!

 

「デンヂム!?」

 

デンヂムシは倒れた。

 

「ジュプ!!」

 

女好きジュプトルの攻撃!!ラクライにトリプルキックからのリーフブレード!!

 

「ワンワ!?」

 

急所に当たった。ラクライは倒れた。

 

「凄い!!凄いよ!!ジュプトル!!」

 

このままマーマネ相手に三縦を決める勢いを見せるジュプトル。しかし、彼には大きな弱点が有ったのだ。

 

「マジュ!?マジュジュ!?」

 

マーマネの三番手として出てきたトゲデマル。しかし、トゲデマルはメスだ、女の子だ。そしてジュプトルは女の子が大好きだ。その為か…

 

「ジュプトル!?」

 

ジュプトルは何も言わず、マオの所に下がってしまったのだ。

 

――俺はレディを蹴れない!!技もレディには打てない!!

 

ジュプトルは女の子にダメージを与えることが出来ないのだ。その為か…ジュプトルは自分から下がってしまった。

 

「しょうがない、アママイコ!!」

「アマーイ!!」

 

何とか、アママイコを出してマーマネに勝ったマオ。しかし、このままでは大変だ。ジュプトルは女の子が大好きで、メスのポケモンとは戦えない。早く、何とかしなければ。

 

マオとジュプトルに大きな課題が出来てしまった。

 

 

 

そして次はリーリエVSモーン博士の親子対決だ。

 

だが…そこで我々はメタモンの恐ろしさを知ってしまう。

 

「モーン」

 

先ずモーン博士は最初にメタモンを繰り出した。メタモン…様々なポケモンに変身する事が出来るポケモンなのだ。だが…このアニポケの世界観も含めたこの世界では、一度の戦闘でメタモンが変身できる回数に限りはなく…相手のモデルも必要としない。つまり…

 

「シロン!!オーロラビーム!!」

「メタモン!!変身だ!!」

 

モーン博士の言葉に従い、メタモンはセミの脱け殻のようなポケモン ヌケニンに変身する。メタモンは姿形からステータス、更には特性さえもコピーする。

ヌケニンの特性はふしぎなまもり。効果抜群以外の技のダメージを無効化する恐ろしい特性だ。もっともその特性を持つヌケニンの体力は1固定であり、当たれば即死ではあるが。

 

シロンの放ったオーロラビームをヌケニンの姿で防ぎ、次にメタモンはキノガッサの姿に変身し…マッハパンチを繰り出した。効果抜群だ。

 

「コーン!?」

「シロン!?」

 

当然、シロンは一撃で倒されてしまった。

 

「マギアナ!!」

 

次にリーリエはマギアナを繰り出した。マギアナはメタモン目掛けてラスターカノンを解き放つ。だが…

 

「モーン」

 

メタモンは再び変身し、空に逃れる。その姿は伝説の炎の鳥ポケモン ファイアーであった。

 

「ファイアーに!?」

「火炎放射!!」

 

ファイアーに変身したメタモンは火炎放射を放ち、レベルの差があるのか…マギアナさえも一撃で倒す。

 

「イベルタル!!お願いします!!」

 

リーリエは色違いイベルタルを繰り出す。ほしぐもを出しても、今のメタモンはファイアーに変身している。ならば、効果抜群が少ないイベルタルで戦った方が良いと判断したのだ。

 

「メタモン!!変身だ!!」

 

モーン博士の指示に従い…今度はまさかのメガラティオスの姿に変身する。そしてメタモンは高速移動を用いてその場から消えた。

 

「イベル!?」

「どこに行ったの?」

 

周囲を見回し、消えたメタモンを探すリーリエとイベルタル。

 

「イベルタル!!真上!!」

 

リーリエの言葉を聞いてイベルタルは真上を見る。すると、グラードンに変身したメタモンがヘビィーボンバーを使ってイベルタルに向かって降ってきたのだ。

 

「イッ!?」

「もう遅い!!逃げられんよ!!」

 

グラードンの体重は900キロオーバー。1トン近くはあり、その莫大な体重から繰り出されたヘビィーボンバーの一撃を受けてイベルタルは一撃で倒されてしまった。

 

「リーリエ。覚えておくんだ。強いポケモン、弱いポケモン。そんな物は無いんだ。

ポケモンの個性や特徴を活かし、どう導くのかが大事なんだよ」

 

モーン博士。メタモンの特徴を見事に使い、リーリエに圧勝。

 

なお、同じく。

 

「ドラえもん!!」

「私の勝ちね。アセロラさん」

 

我等がサオリ先生。中国武術を覚えた常時はっけいのチャーレムの力でアセロラのドラパルトを倒し、続いてミミッキュとゲンガーさえも倒す。なお、チャーレムは三色パンチ(冷凍パンチ、炎のパンチ、雷パンチ)をはっけいで放つことが可能である。

 

なお、このチャーレム。消力(シャオリー)と呼ばれる中国武術の奥義を納めており…1/3で物理攻撃と一部の遠距離技が効かないとか。

 

「モーン博士のメタモンは凄いわね。でも、弱点を見つけたわ」

 

なお、サオリ先生。モーン博士のメタモンの弱点を発見する。

 

 

そして2回戦最終試合。

 

セレナVSヒカリのヒロイン対決。

 

「えっ?」

 

セレナは困惑した。何故ならヒカリがバクフーンを出した瞬間、ヒカリは突如として帽子を取ったのだ。そして帽子が脱がれた頭には髪飾りが着いており、それはキーストーンであった。

 

「バクフーン!!メガシンカ!!」

「「「「なにー!!」」」」

 

不遇御三家が1人バクフーン。メガシンカを行う。

 

メガバクフーンVSメガディアンシーの対決が始まる。




次回!!ヒロイン対決!!

なお、メガバクフーンは現実には存在しません。出ても可笑しくは無いけど


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102時限目 XYヒロインVSダイパヒロイン!!

ヒロイン対決!!


メガバクフーン。ヒカリが帽子の下に隠していた髪飾りとしてのキーストーン、そしてバグフーンに持たせていたメガストーンが共鳴を起こし…トレーナーとパートナーが心を1つにした時にバクフーンがメガシンカを果たした姿。

 

「バグフーンが…メガシンカだって!?」

 

セレナはカントー地方のマサラタウンから幼少の頃、カロス地方に引っ越した。なので彼女はカロスで育った。カロスはホウエンと並び、メガシンカを行うトレーナーが多いのが特徴だ。メガシンカに必要なキーストーンやメガストーンもその気になって探せば、何かしらは直ぐに見付けることが出来るほどに出土率もそこそこ高い。

そんなカロス地方でも未発見のメガシンカは沢山有るのだ。事実、バクフーンのメガシンカは聞いたことが無いし…バクフーンを含めた多くのポケモンもメガシンカが存在していると仮定すると……未だ未だ未発見のメガシンカが有るという事なのだ。プラターヌ博士を始め、多くの博士達が日々ポケモンの事を研究したりメガシンカを解明しようとしてるが真実が明らかに成る前に新たな事が次々と発見してきりがないのだから。

 

そんなメガバクフーン。炎の扱いに長けたのか、炎を吹き出す部分が背中以外にも増えている。増えた炎の吹き出し口は手首、腰、足、腹部であり…元から有る背中を合わせると7つの吹き出し口が有るのだ。

腹部と足から吹き出した炎は紅い溶岩のように熱を持ちながら固まり…頑強な具足と鎧と成っている。手首から吹き出した炎は剣、鞭、槍と様々な形を変えており…武器に成るようだ。背中の吹き出し口からは炎が翼のように吹き出され、腰からはジェットエンジンのように炎が吹き出し、メガバクフーンは宙に浮かんでは飛翔している。

 

炎の翼で飛翔し、腕を振るう度に炎の武器が陽炎と共に姿を変える。

 

「良し…バクフーン!!雷パンチ!!」

「バグフーン!!」

 

バクフーンの右腕に雷の力が宿り、腰から炎をジェット噴射させてメガバクフーンは物凄い速度でセレナのメガディアンシー目掛けて突進する。

 

「ディアンシー!!ダイヤモンドで壁を作って!!」

『勿論ですわ!!』

 

メガバクフーンのタイプは間違いなく炎タイプは入っている。だからこそ、メガディアンシーはタイプ相性的には有利だ。だが…此処でトレーナーとしてのバトル経験が大きく出てくる可能性が出てくる。

 

そもそもセレナはバトルではなく、コンテストやトライポカロン等のパフォーマンスに重点を置いたトレーナーだ。それにポケモンは10歳の誕生日にフォッコを受け取っていたが、セレナはテレビでサトシがカロス地方に来てると知るまで旅に出た事はない。彼女は今年12歳の年齢の時に初めて家を飛び出した。

だが…ヒカリはセレナより1年と少し速く冒険に出ており、バトルの経験も豊富だ。タイプ相性を考えなかったらヒカリとメガバクフーンの方が有利だと言えるだろう。

 

メガディアンシーはダイヤモンドを作る個性を用いて、ダイヤモンドの壁を造り出す。御存知、ダイヤモンドは最も固い宝石として言われている。だが、此処で豆知識を言っておこう。ダイヤモンドは宝石の中ではもっとも固く、引っかき傷は着かない…だがトンカチで簡単に粉々に砕けるのだ。

 

早い話…ダイヤモンドは剣では斬れないが、ハンマーでは砕かれるのだ。

 

「バグシャァァ!!」

 

メガバクフーンは右腕に雷と炎を纏い、雷パンチを解き放つ。すると、ダイヤモンドの壁は粉々に砕け散ったのだ。

 

「うそ…」

 

きりさくや遠距離砲撃は防げただろう。だが、パンチや尻尾で叩き付ける等には弱いのだ。ダイヤモンドを持っているお金持ちor宝石やアクセサリー大好きな皆様、衝撃や打撃には注意しましょう。

 

「だったら、ディアンシー!!ダイヤストーム!!」

『ですわ!!』

 

メガディアンシーは掌を合わせて、数多のダイヤモンドを精製してメガバクフーンに向けて解き放つ。メレシーの突然変異であるディアンシーだけが使える専用技 ダイヤストーム。名前の通り、ダイヤモンドの嵐が相手を襲う恐ろしい技である。

 

「よーし、だったら此方は炎を噴き出しながらジャイロボール!!」

 

メガバクフーンはヒカリの指示を受けてジャイロボールを使い、高速で回転する。更に回転しながら炎を噴き出し、炎の防壁を瞬時に造り出してダイヤストームを弾いてしまったのだ。

 

「ダイヤストームを弾いた!?」

『こんなのありなのです!?』

「リンドウさんのルカリオが使ってるジャイロボールをヒントにしたの。波動は使えないけど、炎でもある程度の事は出来るって思えたの」

 

そう、言わばリンドウのルカリオが相手の攻撃を防ぐ際に使う回天式ジャイロボールの波動の代わりとして炎を用いた防御としてのジャイロボール。勿論、防御性能はリンドウのルカリオが使う回天式ジャイロボールには劣るが、タケシのハガネールが使う防御としてのジャイロボールよりも防御性能は高いと言えるだろう。

 

「そして回転を利用してアイアンヘッド!!」

 

ヒカリの指示を受けて炎を纏った高速の弾丸となり、メガバグフーンはメガディアンシーにアイアンヘッドを与える。アイアンヘッドは鋼タイプの技であり、それはジャイロボールもだ。

アイアンヘッド+ジャイロボールを岩・フェアリーのディアンシーにぶつければ4倍ダメージとなり…メガディアンシーは

 

『あんまり…ですわ……』

 

バタンキューと倒れてしまった。

 

その後、セレナのニンフィアとテールナーを種族値の暴力で粉砕し、3回戦に駒を進めたヒカリであった。

 

 

 

しかし、ヒカリは知らない。後日、姉でもヒロインでも先輩(魔改造ハルカ)とその相棒(メガバシャーモ)にフルボッコにされる事を。

 

3回戦。

 

サトシVSマオ。ヒカリVSホワイト。スイレンVSモーン博士。シード権 サオリ先生(ヒカリorホワイトと戦う予定)。

 

 

 

 

 

「へー、イッシュでも視れるんだね。リンドウさんが主催してるアローラでの大会。ガラガラ、フシギバナ、リンドウさんとブルーさん映ってるよ」

「ガラガラ!!」

「む?彼はサトシ?」

「知ってるの?ミュウツー?」

「ええ、レイナ。ゲノセクトの件で少々」

 

イッシュ地方でのポケモンセンター。そこを19歳位の年若い女性がパートナーと共にマナーロ・アイランドセレモニー大会のテレビ中継を見ていた。

 

彼女はボールからガラガラ(カントー)、フシギバナ、そしてミュウツー(雌)を出して共にテレビを視ている。なお、この女性とガラガラはリンドウと13年前にシオンタウンで会ったことがあり、ミュウツーはサトシと会ったことがある。




ヒカリに迫る魔改造ハルカの影(笑)ヒロイン最強対決(女子力含む)もやりたいですね……ダントツでタケシが優勝しそう(笑)

そして人気投票アンケート。セレナ以外のヒロイン、現時点だがタケシに負ける(笑)うん、そんな気がしてた


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休み時間 年齢修正と年表

結論、サトシ10歳はやっぱり無理だわ(笑)スケジュールカツカツ処じゃない!!


先ずお詫びます。サトシの年齢がアニメ通り10歳、今年11歳とすると矛盾が発生してしまいました。矛盾が起きない場合でも1年が我々の地球よりも異常に長いか、サトシの冒険スケジュールが超濃密ハイペース(具体的に1つの地方を2ヶ月ほど…無理!!)に成ってしまいます。

1年目で日本国内(カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ)、2年目で国外(イッシュ、カロス)からのアローラnowとします。

 

なので本編開始時点で年齢をこうします。

レッド世代(リンドウ、ブルー、レッド、グリーン)今年24歳。変わらず。

 

ゴールド世代(ゴールド、シルバー)今年21歳。此方も変わらず。

 

タケシ今年17歳。

 

ブラック世代(ブラック、チェレン、ベル)変わらず今年15歳。

 

サトシ達、今年12歳。

 

ホワイト、旅立の時に10歳に成る。

 

 

 

年表。

 

うん億年前。アルセウス様、地球を造る。からの生命誕生。

 

3000年前。カロスで最終戦争が終結し、AZさんとAZのフラエッテ、寿命の際限が無くなる。

 

3000年前。ムゲンダイナさん、隕石と共にガラルにやって来る。そしてザマゼンタとザシアンに倒される。その後、ザシアンとザマゼンタに協力した人物が後のシーソーコンビの御先祖である。

 

2000年前。トゥルーキュレム、双子の英雄を拾い…我が子のように育てる。だが、双子が仲違いを起こしてレシラムとゼクロムに分裂。残されたキュレムさん、ジャイアントホイールに御隠居し、約2000年もホワイトを待つ。

 

2000年前。ゼクロムとレシラム、そして双子の英雄の兄弟ゲンカ勃発。イッシュは焼け野原になる。

 

1500年前。ゼクロムとレシラム、戦争を続ける双子の末裔にぶちギレ…完全にイッシュを1度更地に変えてライトストーンとダークストーンと成って眠りにつく。

 

本編28年とちょっと前。ハナコママ、ナナミ様、シロナさん産まれる。

 

本編23年前とちょっと前。リンドウ、レッド、ブルー、グリーン、マサラタウンで産まれる。

一方、ガラルではダンデ、ソニア、キバナが産まれる。

 

本編15年前。レッド、ギエピーとバグチュウと出会う。この頃からレッドはハナコさんの所で暮らしている。なお、リンドウは妹のクルミちゃんが産まれる。

 

本編13年前。レッド、リンドウ、ブルー、グリーン。ポケモン図鑑とパートナーを貰い、冒険に出る。その際、ギエピーの手でグリーンは自転車を失う。

 

本編13年前。レッド、リンドウ、ブルー、グリーン。史上最年少のカントーリーグベスト4に選出される。なお、優勝はレッドでありレッドはそのまま四天王とワタルを倒して、史上最年少でカントーチャンピオン処か全地方含めて史上最年少のチャンピオンとなる。

あと、ロケット団が壊滅した。

 

本編12年前。リンドウ、ジョウトリーグ優勝。しかし、賞金だけかっさらい…別の地方へ。なお、当時はジョウトリーグには四天王とチャンピオンが存在せず、ジョウトリーグはカントーリーグと合同であった。なので、実質当時はカントーリーグとも言えた。

そしてサトシ、セレナ、カスミ、ハルカ、ヒカリ、アイリス、そしてアローラ組産まれる。

 

本編11年前。ワタル、ジョウト地方に帰還。そしてジョウトリーグを本当の意味で設立させ、ジョウト地方の四天王を選び自身はチャンピオンとなる。

一方のリンドウはシンオウ地方のリーグを優勝。だが、此方も賞金だけかっさらう。

そしてダンデ、ガラルリーグのチャンピオンとなる。13歳の時であった。

 

本編10年前。リンドウ13歳、ホウエンリーグを制覇。その後、ホウエンチャンピオンに就任。家賃が安いからという理由でミシロタウンに拠点を構える。その際に、ジョウト地方から引っ越してきたセンリさん御一家と知り合う。

ホワイト。赤子の時に並行世界からウルトラホールを通ってアローラの砂浜に落っこちる。そしてクチナシさんに保護され、イッシュの孤児院に預けられる。

 

本編9年前。リンドウ、高専に入学して教員免許を取るために勉強を始める。そして本格的に料理を学び始める。なお、最初の料理の師匠はセンリパパの奥さんであるミツコママであった。

マサト産まれる。

 

本編8年前。リンドウ、トクサネ高専入学。多忙の始まりであった。そしてリンドウ、流星の滝でヒガナを拾う。

フジ老人が面倒を見ているレイナちゃん、フシギダネとカラカラと共に旅に出る。

アクア団とマグマ団。リンドウと出会い、運命が変わる。

 

本編7年前。リンドウ、多忙で倒れかける(笑)

ケイネ先生、ホウエンリーグを優勝してリンドウに挑むがボスゴドラ単騎で返り討ちに会う。

 

本編6年前。レッドのミュウツー…スパさんミュウツーことmuscleになる。ミュウツー・マサラの姿誕生であった。

 

本編5年前。リンドウ18歳、アローラに初上陸。そしてスカル団を物理更正させたりククイ博士やサオリ先生と知り合う。そして孤児のアセロラを引き取る。

 

本編4年前。リンドウ、教員研修でツツジちゃんと知り合う。そしてリンドウ、豪邸を建てる。

 

本編3年前。リンドウ、高専卒業と共にチャンピオン辞任。

 

本編2年前。引き継ぎ終了し、遅い卒業記念にイッシュを旅行中にブルーと遭遇し、ブラックと出会う。

ゲーチス、ギエピーの手でトラウマを植え付けられ強制入院。レシラム、ゼクロム、各々の英雄を見付けて復活。そしてブラック、殿堂入り。

その後、リンドウはククイ博士に誘われてメレメレ島のポケモンスクールに就職。

 

本編2年前。サトシ、シゲル、その他2人…マサラタウンを旅立つ。なお、サトシとシゲルは大成したがその他2人はアンズちゃんを倒せず止まる。

リンドウ、イリマ達の副担任となる。第一次チート学年の誕生であったが…裸族ローランのお陰かイリマとククイ博士の胃は決壊した。

 

本編数ヶ月前。サトシ、国内とイッシュの冒険終了。そしてカロスに向かう。同時にイリマ、ローラン、オリヴィエの3人はリンドウの指令の元で各々の地方に向かった。

 

本編ちょっと前。リンドウ、オーキド校長とククイ博士の指令を受けてジムリーダー候補(マオ、スイレン、カキ、マーマネ)とリーリエの先生となる。後の第二次チートクラスの誕生であった。

 

本編開始。サトシとブルー、アローラに上陸。

 

後は本編通り。

 

 

 

7年後。

 

時系列 予習授業。ミヅキちゃん、メレメレ島ポケモンスクールに転入。




本編で書いちゃった年齢は発見次第直します


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103時限目 OTONA対アローラを担う子供

モーン博士…強くし過ぎたかも(笑)


3回戦。マオVSサトシ、スイレンVSモーン博士、ホワイトVSヒカリ、シード権サオリ先生。

 

「やっぱりサトシは強いな…」

「アマーイ」

 

マオ。クラス最強クラスのサトシと戦い、手も足も出ずに負ける。なお、サトシは女の子と戦えないマオのジュプトルの事を考えて雄しか使わなかった模様。

 

「うん、知ってた。ホワイトは私より強いもんね」

「チャマ…」

 

ヒカリ。弟でもあるホワイトの圧倒的な成長速度に驚きつつ、見事に敗北する。確かにヒカリも素質豊かだが、あのレッドに匹敵する素質を持つ最強の10歳には勝てなかった模様。

 

サトシとホワイト、底を見せず準決勝に駒を進める。

 

 

 

そしてスイレンはモーン博士と戦う事に成ったのだが、モーン博士は初っ端からメタモンを繰り出した。モーン博士のメタモンの恐ろしさはスイレンも理解しており、スイレンは初っ端から切札のカイオーガを降臨させた。

モーン博士のメタモンは何が恐ろしいかと言うと、様々な伝説のポケモンに変身できる事ではない。様々な大きさや体重のポケモンに変化できても自在に戦えるという点だ。つまり、何度も鍛練を繰り返して様々な大きさ体格に馴れていると言うことだ。

 

だが、モーンは当然ながらスイレンのゲンシカイオーガの対策を考えていたのだ。

 

「カイオーガ!!メガシンカ!!」

「カイォォォガ!!」

 

スイレンのメガバンクルとカイオーガに持たせた藍色の玉が繋がり、カイオーガはゲンシカイオーガにメガシンカして始まりの雨が降り注ぐ。

始まりの雨はカイオーガの元の特性であるあめふらしの上位互換の特性だ。海を広げたと言われている超古代ポケモンであるカイオーガの権能、それを具現化させたとも言える力だ。

 

誰にも変えられない雨であり、ひでりでも砂嵐でも変えることが出来ない。誰にも変えられないのだ。この始まりの海の前では炎は全て消え去り、火は着火できない。

 

「そうか!!ならば、メタモン…アイツに変身だ!!」

 

メタモンは一度視認した存在に変身する事が出きるのだ。そしてゲンシカイオーガに対抗できる素質を持った存在が1人だけ存在する。それはカイオーガと同じく超古代ポケモンであるグラードンの事だ。

そして…モーン博士とメタモンは事前にリンドウを通してグラードンのメガシンカを確認している。

 

虹アオギリと同じく精神病院に入院しているグラードンの元トレーナーである虹マツブサ。そんな虹マツブサはグラードンのキーアイテムと言える、紅色の玉を持っていたのだ。エーテル財団が一先ず、その紅色の玉を持っているのだが…スイレンのカイオーガがゲンシカイオーガにメガシンカ出来ると知ったモーン博士とルザミネーネはリンドウとグラードンに協力を要請。その結果、リンドウはグラードンに紅色の玉を持たせてメガシンカを行うことが出来たのだ。

 

『グラードン!!今すぐメガシンカを解くぞ!!今のお前の特性は余りにも危険すぎる!!』

『グラー』

 

だが、グラードンがメガシンカを果たした姿 ゲンシグラードンの特性は影響がないゲームと異なり、余りにも危険だったのだ。

その特性は終わりの大地。名前の通り、地上の水分を全て喪わせて海さえも乾上がらせる恐ろしい力だった。その力はグラードンがメガシンカを維持し続けると、30分程でエーテルパラダイス周辺の海が沸騰し…やがて蒸発してしまう程だったのだ。

 

「グラガァァァァア!!」

 

勿論、メタモンが変身した姿はゲンシグラードン。終わりの大地をもたらす、大地の化身。ゲンシグラードンに成った瞬間に始まりの雨は止み…代わりに全てを乾上がらせる終わりの大地が始まる。

 

「暑い!?なに…これ?」

 

ゲンシカイオーガの特性で雨が降り続き、バトルフィールドは水浸しに成っていた。だが、メタモンがゲンシグラードンに成った事で一瞬でバトルフィールドの水分は蒸発して瞬く間に乾燥してしまった。

 

「カイオーガ!!根元の波動!!」

 

このままでは不味い。スイレンはゲンシカイオーガに指示を出す。だが、カイオーガは根元の波動が使えなかった。いや、カイオーガは根元の波動を使おうとしたが…繰り出した水は瞬く間にあっという間に蒸発して不発に終わったのだ。

 

「水タイプの技が使えない!?」

「メタモン!!今のうちだ!!」

 

そこからは一方的なフルボッコだった。必殺の水タイプの技が使えないゲンシカイオーガはゲンシグラードンと成ったメタモンに良いように攻撃を受け続け、倒れてしまったカイオーガに戻ってしまった。

 

「カイオーガ!?」

 

カイオーガ。戦闘不能。だが、ゲンシグラードンに変身して特性を維持するのはスタミナを消費するのだろう。メタモンはメタモンに戻り、モーン博士はメタモンを下がらせた。その為か、終わりの大地は終わった。

 

「よし、マッシブーン!!」

「muscle!!」

 

筋肉の化身が降臨する。アーマルドとアシマリは筋肉には勝てなかった。

 

スイレン、3回戦敗退。モーン博士、準決勝進出。

 

 

 

準決勝 サトシVSモーン博士。ホワイトVSサオリ先生。

 

「サトシ。あのメタモンの対策、お前ならどうする?」

 

試合前。サトシは入場口の通路をゆっくりと歩きながらルカリオと話をしていた。今回、モーン博士戦でサトシが使うポケモンはルカリオ、リザードン、ギラティナである。完全にガチ仕様だが気にしてはいけない。

 

「変身する前に倒すしかないよな」

「そうだ。攻撃するなら、その瞬間しかない。それか、変身から変身する間だ、それがあのメタモンの弱点だ」

 

サトシとルカリオも気付いている。あのメタモンは変身する瞬間、変身から新たに変身する瞬間に攻撃を与えれば元のメタモンのステータスとしてダメージが通る。ならば、その瞬間にダメージを与えて変身を中断し…ラッシュを仕掛けるか効果抜群の格闘タイプの技を与えるしかない。

 

「先制技が使えるルカリオ、お前が頼りだ」

「任せておけ」

 

そしてサトシとルカリオはバトルフィールドに入った。

 

 

 

「マブシ!!」

「待っていたよ、サトシ君」

 

モーン博士とマッシブーンはお先にバトルフィールドに入場しており、バトルフィールドではマッシブーンが綺麗なサイドチェストを決めていたのだ。

 

「む?マブシ…」

 

だが、そこでサトシはある違和感を感じる。それはモーン博士のマッシブーンが普段とは異なる鳴き声をしていたのだ。それにサイドチェストの捻りも少し甘い。

モーン博士のマッシブーンの鳴き声はmuscleだった筈だ。マブシではないし、もっとサイドチェストは鮮やかだった。つまり…目の前のマッシブーンは十中八九ゾロアークかメタモンだ。

 

「ルカリオ!!頼んだぞ!!」

「任せておけ!!」

 

違和感に気付き、マッシブーンではないと判断したサトシはルカリオを繰り出した。当然、速攻でメガルカリオにメガシンカである。

 

「神速だ!!」

「おう!!」

 

ルカリオは神速を使い、瞬時にマッシブーン?の懐に飛び込み…飛び込んだ瞬間にコメットパンチを叩き込む。その瞬間…

 

「ゾロロ!?」

 

イリュージョンが解かれた。マッシブーン?の正体はゾロアークだったのだ。

 

「波動弾!!」

「はっ!!」

 

そして解き放たれた波動弾。波動弾は必中技であり、壁や技で相殺しなければ必ず当たる。波動弾の直撃を受けたゾロアークは一撃で倒れてしまった。

 

「ギラティナやラティアスさんを誘い出すためにゾロアークをマッシブーンに化けさせたが…裏目に出たか。よし、メタモン!!」

 

そして次にモーン博士が繰り出したのはメタモンだった。当然、メタモンは何かに変身しようとするが…させまいとルカリオがメタモンに神速で急接近する。そしてメタモンを掴み、変身を中断させた。

 

「モーン!?」

「はっ!!」

 

ルカリオは直ぐ様、メタモンにインファイトを仕掛けてメタモンを確実に倒す。

 

「流石だ、サトシ君!!メタモンの弱点に気付くなんてね!!」

 

そして筋肉の化身 マッシブーンが降臨した。

 

「muscle!!」

 

マッシブーンは出るなり、本当のサイドチェストを繰り出した。恐らくはビルドアップだろう。ビルドアップは筋肉を意識し、筋肉をパワーアップさせて攻撃と防御をUPさせる変化技。しかし、筋肉がUPするという事は脚力もUPする。

 

「muscle!!」

「ぐぅぅわぁぁあ!?」

 

筋肉の化身はパワーアップしたmuscleパワーを使い、地面を踏み込んで消える。そして…ルカリオの眼前に現れて、爆裂パンチの一撃でメガルカリオを倒してしまった。

 

「muscle!!」

「よし、頼んだぞ!!ギラティナ!!」

「ギエェェェ!!」

 

次にサトシはギラティナを繰り出した。しかし、繰り出されたギラティナは瞬時にその姿を変えた。普段のギラティナは脚が6本あるドラゴンゾンビのような姿をしているが、此方は現実世界にいる間の姿であり…アナザーフォルムと呼ばれている。

ギラティナが普段…生息している反転世界と呼ばれる所に居る時はオリジンフォルムと呼ばれるムカデのように手足がない機動力特化の姿に成るのだ。此方は反転世界にいる間限定なのだが、バトルフィールドに出たギラティナは瞬時にこの姿に変化した。

 

実はと言うとサトシ。考古学者であるシロナからとあるアイテムを貰っていたのだ。そのアイテムは白金玉。このアイテムはギラティナと関係がある物らしく、シロナさんが見付けたものだ。この白金玉を持たせていると、ギラティナはメガシンカ…までとはいかないがステータスが上昇し、現実世界でもオリジンフォルムに成ることが出来るのだ。

 

そしてオリジンフォルムはアナザーと比べて、素早さが高く…サトシお得意の機動力を行かした戦い方を好む。

 

「龍の波動!!」

 

ギラティナはサトシの指示に従い、龍の波動を解き放つ。しかし、モーン博士のマッシブーンは腹筋に力を入れてモストマスキュラーを行い…筋肉を活性化させて受け止めてしまった。

 

「muscle!!」

 

筋肉は偉大である。

 

「マッシブーン!!見破るからの、馬鹿力!!」

「muscle!!」

 

モーン博士の指示を受けてマッシブーンはギラティナに向けて突撃する。マッシブーンとギラティナが接触する瞬間…ギラティナの姿がぶれて消えてしまった。

 

ギラティナの専用技…シャドーダイブだ。異世界に消え、相手に攻撃する技である。

 

「muscle!?」

 

そしてマッシブーンの背後からギラティナが現れ、マッシブーンはシャドーダイブの一撃を受けてしまう。だが、鍛えられたmuscleボディの為か…致命傷は受けていない。

 

「ギエ」

「ギラティナ!!シャドーボール!!」

 

今度はシャドーボールが解き放たれるが、マッシブーンは拳で払い除ける。

 

「マッシブーン!!DDラリアット!!」

「muscle!!」

 

マッシブーンはベイゴマのように回転し、物凄い勢いでギラティナに突撃する。DDラリアットは悪タイプの技であり、ギラティナに効果は抜群だ。

 

「ギエ!?」

 

だが、ギラティナは未だ倒れない。

 

「ギラティナ!!流星群!!」

 

その時…数多の星が降り注ぐ。流星群、ドラゴンタイプの技でトップレベルに威力が高い技であり…数多の星が相手を襲う技だ。

 

「muscle!?」

 

迫り来る全ての星を回避できず…マッシブーンは数多の星の直撃を受けてマッシブーンは煙に包まれて見えなくなる。だが、煙からボロボロに成ったマッシブーンが物凄い速度で突き抜けて来たのだ。

 

「なに!?」

「ギエ~!?」

 

「muscle!!」

 

ボロボロに成っても解き放たれた爆裂パンチ。その一撃を受けてギラティナは倒れてしまい…アナザーフォルムに戻ってしまった。

 

「頼んだぞ、リザードン!!」

 

最後にサトシが繰り出したのはリザードンだった。

 

「リザードン!!ブラストバーン!!」

「マッシブーン!!ギガインパクト!!」

 

爆光が混じる爆炎とmuscleパワーをフル動員した突撃。その2つがぶつかり、バトルフィールドに強烈な衝撃が発生し…立っていたのはサトシのリザードンであった。

 

サトシ、なんとか決勝に出場する。

 

 

 

「お見事よ、ホワイト君」

 

サオリ先生。ホワイトに負ける。そして……

 

 

 

 

『実況を担当します、ドーモドーモ!!イモトです!!

決勝戦は本人達の意向により、6対6のフルバトルを行います!!』

 

サトシVSホワイトの決勝戦はフルバトルで行われる事と成ったのだ。

 

サトシ。ピカチュウ、ゲッコウガ、リザードン、ルガルガン、ルカリオ、ギラティナ。

 

ホワイト。イーブイ、カイロスさん、アーマーガア、ベイリーフ、ミロカロス、キュレム。

 

「マカセロス、キラリンチョ」

「よし、ルガルガン!!お前に決めた!!」

 

サトシはルガルガンを繰りだし、ホワイトは我等がカイロスさんを繰り出した。

 

ポケモンマスターの従弟VSシンオウチャンピオンの息子の決勝が始まる!!

 




次回!!経験とZ技を使うサトシVSコンテストで磨いた技の応用のホワイト。



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ポケットモンスターギエピンク 1

ギエピンクはレッド視点からのリンドウの過去です。


『初代ポケモンマスターレッドの奇跡』

 

サトシが旅立ってから50年後。伝説の存在として未来永劫語られる事に成った伝説のトレーナー レッド。彼の功績を称えるためか、多くの出版社がレッドの歩みを書籍として出版した。

 

だが、一部の人限定でリンドウが編集し、リンドウの娘であるリーフが関係者だけに配った真実100%なギャグ9割(ギエピーのせい)と成ったリアリティーを追求したレッドの歩みが描かれた非売品書籍が存在する。

 

「サトシお兄ちゃん。これ、マジ?」

「マジらしいぞ、レイ」

 

その書籍の名前はポケットモンスターギエピンク。思いっきり、あのギャグポケモンがタイトルに成りました。

 

 

 

 

 

 

レッドが10歳の時だった。当時15歳だったハナコさんはマサラハウスの前に立ち、これから巣立ちを迎える弟同然に見てきた甥っ子を見送る。

 

「もう行くのね…」

 

ハナコの言葉に対し、レッド少年は無言で頷く。腰には3つのモンスターボールが提げられており、1つには先ほどオーキド博士からもらったフシギダネが入っていて、後の2つのボールからはこの2体が出てきた。

 

「ハナコさん。レッドの事は任せておけっピ!!」

「ピカチュウ!!」

 

2年ほど前にレッドとハナコがマサラタウンで保護した()()()()()()()ピカチュウ、そしてピカチュウの従兄であり人の言葉を話すピッピことギエピーである。

 

「行ってきます」

 

レッドはそう告げて、ハナコに別れを告げてギエピー、ピカチュウと共にマサラタウンを旅立った。次にマサラタウンに帰ってくるのは何時に成るのだろうか?そんな事を考えているのか不明だが、レッドはマサラタウンと国道の境目にやって来る。そこには…

 

「あら、レッドじゃない。遅かったわね」

 

オーキド博士からゼニガメを貰ったブルー。

 

「ハナコさんに行ってきますは言ったのか?」

 

後のホウエンチャンピオンであり、オーキド博士からイーブイを貰ったリンドウ。

 

2人ともレッドの幼馴染みであり、あと1人…オーキド博士の孫であるグリーンも含めたらレッドの幼馴染みは3人居るのだ。

 

「あっ、地味な青紫と青汁だっピ」

「「その呼び方やめろ、汚いピッピ」」

 

レッドはピカチュウとギエピーを旅立つ前から特例で手持ちに持っており、グリーンはジョウトやカロスに留学してた事でバンギラス含め手持ちを何体か持っていた。この2人は訳有って、特別許可証と呼ばれる仮免を持っていて10歳未満の時からトレーナーとしての経験を積んでいた。

だが、リンドウとブルーは違う。2人はレッドやグリーンと異なりトレーナーとしての経験は全くなく…初めてのポケモンもさっきオーキド博士から貰ったばかりなのだ。

 

「ハッハハ!!お先に行くぜ、自転車を使わない手は無いだろ?」

 

そんな彼等の隣を自転車に股がったグリーンが爽快にペダルを漕ぎながら、通り過ぎていく。マサラタウンは当時、過疎化が進行しており自転車を買うには他の街に向かうしかなかったのだ。だが、このオーキド・グリーン(10歳)はジョウトやカロスに留学してただけは有り、自転車や様々なハイテクマシーンを所有している。

 

自転車に乗れば徒歩30分以内で到着できるトキワシティまで10分程で辿り着ける。いや、道が整備されているトキワに着けば自転車はその本領を発揮して物凄く広いトキワさえも簡単に走破して今日中にニビシティにさえ着いてしまうだろう。

 

「やろー…僕たちは自転車を持ってないのに、金持ちは許さないっピ!!」

「おい、それだと公務員の息子の俺も含んでないよな?」

 

教師は公務員。つまり、リンドウは公務員の息子である。

 

「こうなったら……破壊光線だっピ!!」

 

そしてギエピーは指先を自転車で爆走するグリーンに向けると…

 

「デスビーム!!」

「「アウト!!」」

 

何処から見ても戦闘力530000さんが解き放つ必殺技と瓜二つな破壊光線を放ち、その破壊光線はグリーンの自転車に直撃し……

 

「ホンゲェェェ!?」

 

グリーンは軽く吹き飛び、グリーンの自転車は見事に黒焦げと成ったのだった。

 

「このピンク、やっちまった!!」

「なにやってるのよ!!破壊光線をぶつけて良い人間はオーキド博士とテロリストだけよ!!」

 

グリーンの自転車を見事に壊した為か、ギエピーはどや顔を決め、レッドの腰に提げられているモンスターボールの中でフシギダネは胃を抑えていた。

 

「やってくれたな…」

 

だが、グリーンもマサラ人。破壊光線ごときでは倒れない。

 

「行け、バンギラス!!」

 

勿論、このギエピーを粛清するために破壊神バンギラスを降臨させる。

 

「グォォォギャァァア!!」

 

彷徨だけで大地を揺らし、天変地異を物理的に起こして地図を書き換える必要がある化物 グリーンのバンギラス。そのバンギラスが主人の命令で動き出した。

 

「ヤバイぞ、ブルー逃げるぞ!!」

「ええ、こんな所で死にたくないもん!!」

 

そしてリンドウとブルーは全力疾走でトキワシティに向かって走り出した。

 

「レッド!!ピカチュウを出すっピ!!………あれ?」

 

一方、ギエピーはレッドに助けを求める。しかし、レッドは珍しいポケモンが居たのか、ピカチュウを連れてリンドウとブルーを追いかけていった。

 

「これで喜んでヤれるな」

「グルルル」

 

味方は0!!どうするギエピー!!迫り来る激おこなグリーンと破壊神バンギラス。その時、ギエピーは…

 

「逃げるんだよ!!」

 

全速力で逃げ出した。

 

「バンギラス!!破壊光線!!」

 

全速力で逃げ、リンドウとブルーそしてレッドを追いかけるギエピー。そんなギエピーを追いかけるグリーンと破壊神バンギラス。そんな騒がしい騒動と共にポケモンマスターレッドの冒険は始まったのだった。

 

 

 

 

「全く…アイツ等は。旅立ちも大人しく出来んのか」

 

そんな様子をオーキド博士は影から見ていた。この時は未だオーキド研究所は魔境ではなく平和であった。




なお、ギエピンクのパッケージはミュウスリーです。


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104時限目 アニメ主人公VS白

サトシVSホワイトはーじまーるよ


サトシ。ピカチュウ、ルガルガン、ルカリオ、リザードン、ギラティナ、ゲッコウガ。

 

ホワイト。イーブイ、カイロスさん(色違い)、アーマーガア、ベイリーフ、ミロカロス、キュレム。

 

遂に始まったマナーロ・アイランドオープニングセレモニー大会の決勝戦。決勝戦はお互いに望めばフルバトルが可能であり、サトシとホワイトはお互いにフルバトルを望んだ。それ故に、決勝戦はフルバトルで行われることに成ったのだ。

 

先ず、始めにサトシはルガルガン、ホワイトは我等が珍虫カイロスさんを繰り出した。タイプ相性的にサトシのルガルガンが有利では有るが、カイロスはインファイトや馬鹿力等の優秀な格闘タイプの技を覚えるために一概には言えないだろう。

 

「ルガルガン!!岩雪崩!!」

 

サトシがルガルガンに指示を出す。その瞬間、ルガルガンは数多の岩石を産み出して…それらは岩石の雪崩のようにホワイトの珍虫目掛けて襲い掛かる。

 

右に避けても雪崩に巻き込まれる。左に避けても雪崩に巻き込まれる。これらを喰らえば怯み、更に痛いダメージを受けてしまう事は間違いないだろう。それにカイロスさんは宿敵?ライバル?でもあるヘラクロスやクワガノンと違って空は飛ぶことは出来ない。ジャンプ出来ても間違いなく岩石の雪崩に飲み込まれてしまう。正に絶体絶命、だが避けられる場所が1つだけ存在する。

 

「カイロスさーん!!穴を掘るで潜伏!!」

「マカセロス」

 

それは地面の中だ。じしんやマグニチュード、じならし等の地面を揺らす技の追撃がある可能性が有るがカイロスさんは虫タイプ。岩タイプの岩雪崩の方がダメージは大きく、地面に潜って岩雪崩を回避した。

 

『おーと!!紫の珍虫!!地面に潜ってルガルガンの岩雪崩を回避した!!』

 

そして2回戦敗退の珍獣ハンター、実況者となる。

 

此処でカイロスの生態について補足しておこう。カイロスさんは野生化では地面に潜り、角だけを出して寝る。そしてカイロスさんはクワガタではなく…実際には蟻地獄をイメージされたポケモンである。故に、カイロスさんは地面の中でも戦えるのだ。

 

「ルガルガン!!跳べ!!」

「ゴー!!カイロスさん!!」

 

サトシの指示を聞いたルガルガンは地面を蹴って高く飛ぶ。だが、地面からカイロスさんが回転しながら飛び出して大きな角でルガルガンを挟もうとしてくる。カイロスさんの挟む力は強く…捕まれたら0距離で地震を受けてしまう。

 

だが、ルガルガンはカイロスさんの角には挟まれず…逃れる事に成功する。もし、跳ぶのが少し遅かったらカイロスさんの角に挟まれ、じしんや挟みギロチンの餌食に成っていただろう。

 

「ニゲラレタロス」

「ワン!!」

 

少し離れた所に着地したルガルガンとその場に降り立った色違い珍虫。

 

「ルガルガン!!アクセルロック!!」

 

だが、ルガルガンの動きは速かった。ルガルガンはサトシの指示を聞くなり、アクセルロックを用いて珍虫カイロスさんに襲い掛かる。

 

「ロス!?」

 

当然、カイロスさんは虫タイプ。そしてルガルガンは岩タイプであり、アクセルロックはタイプ一致補正が働いて威力が増してカイロスさんに絶大なダメージを与える。

 

だが

 

「ワン!?」

 

カイロスさんは自信に激突したルガルガンを離さない。しっかりと腕でルガルガンの胴体を掴み、捕まえた。

 

「カイロスさん!!投げちゃえ!!」

「マカセロス!!」

 

ルガルガンの攻撃が産み出した運動エネルギーを利用し、カイロスさんは後ろ回りするようにルガルガンを投げた。当て身投げ、格闘タイプの技であり相手の物理技を受ける必要が有るが確実に相手を捕まえてダメージを与えることが出来る技である。

 

「ワン!!」

 

しかもこの当て身投げ。ゲームとは異なり、柔道や体術の身体捌きを応用することで相手の力を利用してダメージを与えることが出来る。ルガルガンはかなりの速度でカイロスさんにアクセルロックを放った為に、その力を利用されてはかなりのダメージを受けてしまった。

 

「ヤッタロス」

 

だが、ルガルガンは倒れない。しかし、サトシは同時に理解した。このまま戦っていれば、あの珍虫にルガルガンが負けてしまうと言うことを。

確かにタイプ相性と素早さならばルガルガンが勝っているが、カイロスさんは優秀な格闘タイプの技を覚えており…迂闊に攻撃すれば確実に痛い反撃を受けてしまう。そこでサトシは使うことにしたのだ。Z技を。

 

「ルガルガン!!使うぞ!!」

「ワン!!」

 

現在サトシが所有してるZクリスタルはノーマル、電気、悪、岩の4つ。1度の試合に対して同じクリスタルは1回しか使えないと考えても4回はZ技を撃てる。

 

サトシはZリングに岩のZクリスタルをセットした。

 

「行くぞ、これが俺達の全力だ!!

ワールズエンドウォール!!」

「ワォォォオ!!」

 

解き放たれるサトシとルガルガンのZ技。その一撃は回避不可能であり、巨大な岩盤と成ってカイロスさんに襲い掛かった。

 

「カイロスさん、まもる!!」

 

ホワイトが指示を出すが、それは無意味だ。何故ならZ技やキョダイマックスを行ったポケモンの技に対してまもる等の防御系の技は慰めにすら成らない。少しクッションに成るだけで防ぐことは出来ないのだ。

 

「マカセロス」

 

カイロスさんはまもるでバリアーを張るが、Z技はそれすらも粉砕してカイロスさんを倒してしまった。

 

「ヤラレタロス」

 

紫の珍虫…見事に轟沈!!カイロスさんは倒れてしまった。

 

「うん、ありがとうカイロスさん。よし、Let's Go!!イーブイ!!」

「ブイブイ!!」

 

カイロスさんをボールに戻したホワイトはイーブイを繰り出した。当然、サトシもこのイーブイがどんな存在なのかは知っている。

イーブイのタイプはノーマルタイプだ。しかし、ホワイトのイーブイはどういう訳か様々なタイプの技が使えるのだ。この大会でホワイトのイーブイが使用した技のタイプは電気、炎、フェアリー。どれも全て進化先と同じタイプだ。

 

(もしかして…)

 

場に出たイーブイを見てサトシは思う。もしかすればホワイトのイーブイが使えるタイプの技はノーマル、そしてイーブイの進化先である水、炎、電気、エスパー、悪、草、氷、フェアリーの8種類なのでは?と。

最悪、全てのタイプの技を使えるという恐ろしい可能性も否定は出来ない。だが、進化先のタイプと本来イーブイが覚える技しか使えないのなら地面タイプしか効果抜群がないピカチュウはそこそこ有利だろう。

 

だが、ピカチュウ以外なら間違いなく効果抜群を与えられて倒される危険性がある。それは全てのタイプが使えると考えればピカチュウも同じだ。

 

「ルガルガン…行くぞ。頼めるか?」

「ワン!!」

 

だが、既にルガルガンの体力は少ない。此処でルガルガンを温存するより、ルガルガンで出来る限り未知過ぎるイーブイの情報を集めることにした。

 

「ルガルガン!!アクセルロック!!」

 

目にも止まらない速度でルガルガンは襲い掛かる。

 

「イーブイ!!電光石火で避けて!!」

「ブイ!!」

 

イーブイも電光石火を用いてアクセルロックを回避し、ホワイトは新たな指示を出した。

 

「イーブイ!!どばどばオーラ!!」

「ブイ!!」

 

すると、イーブイはエスパーの力を持ったオーラを解き放ち、ルガルガンに攻撃する。すると、どういう訳かイーブイを光の壁と同一の効果を持つバリアーが包んだのだ。

 

「光の壁?」

 

『おぉぉっと!!ホワイト選手のイーブイ!!攻撃と同時に光の壁を纏った!?壁ではなく、バリアーのように身を包んだ!?これはどんな技だ!?』

 

これにはサトシや実況の珍獣ハンターもビックリ。そして、残り体力が少なかったルガルガンはこの一撃で倒れてしまった。

 

「よし、ピカチュウ!!君に決めた!!」

「ピカピ!!」

 

サトシはルガルガンをボールに戻し、続いてピカチュウを繰り出した。

 

サトシの初めてのポケモン ピカチュウ。ホワイトの初めてのポケモン イーブイ。進化を拒むピカチュウ、突然変異で進化が出来ないイーブイ。初めてのポケモンでありマスコット対決が始まる。

 

 

サトシ 残り手持ちピカチュウ、ゲッコウガ、リザードン、ルカリオ、ギラティナ。戦闘不能 ルガルガン。使用可能Z技は電気、ノーマル、悪。

 

ホワイト 残り手持ちイーブイ、アーマーガア、ベイリーフ、ミロカロス、キュレム。戦闘不能 紫の珍虫カイロスさん。




次回!!マスコット対決…からのホワイトが追い込まれていく!?

「先生!!サトシが勝ちそうですね!!」
「でもな。今のホワイトは冒険に出て半年も経ってないぞ?」

そして追い込まれた白は最強の保護者 キュレムを降臨させる!?


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105時限目 決着…勝ったのは?

遂に決着!?


「ブイ!!」

 

「ピカチュウ!!」

 

繰り出されたのは常にボールの外に連れ出され、初めてのポケモンであり、進化を拒む(進化出来ない)共通点を持つパートナーであると言うこと。

 

サトシのピカチュウ、ホワイトのイーブイは同時にバトルフィールドに飛び出した。現時点では両者ともに1体のパートナーが倒された状態であり、現時点ではZ技と経験の差でかサトシが有利と言えるかもしれない。しかし、それだけでポケモンバトルが決着するという保証は全くない。何故なら、ポケモンバトルに年齢は一切関係無い。それはレッド、リンドウ、グリーンと言ったレジェンド連中は勿論のこと、シロナやワタルと言った先駆者が証明している。

 

「ピカチュウ!!電光石火からの10万ボルト!!」

「ピカッ!!」

 

最初に動いたのはサトシのピカチュウだ。ピカチュウは電光石火で素早く動き、十八番と言える必殺技 10万ボルトを解き放つ。

 

今のイーブイは先程、ルガルガンを倒したどばどばオーラ(タイプ エスパー)のお陰か光の壁を纏った状態だ。故に特殊技である10万ボルトの通りは低い…しかし、ホワイトのイーブイは旅に出てから半年も経っていない。その為か、経験の差でサトシのピカチュウに負けてしまう可能性だって高い。

 

「よーし!!イーブイ!!今度はわるわるゾーン!!」

「ブイ!!」

「「「わるわるゾーン!?」」」

 

わるわるゾーン。またも聞き覚えのない技を指示し、実行するホワイトのイーブイ。するとイーブイは黒いオーラを全身から解き放ち、それを攻撃に転用して迫り来る10万ボルトを防ぐ。

 

オーラと雷撃がぶつかり合い、目映い閃光が迸る。

 

『わるわるゾーン!?なんじゃそりゃ!?珍獣ハンターの私も知らんぞ!!解説のククイ博士、何ですか!?あれは!?』

『俺も初めて見た。悪の波動等の悪タイプの特殊技に近い攻撃だが、見てくれ!!あのわるわるゾーンを放ったイーブイはリフレクターらしきバリアーを纏っている。と言うことは、わるわるゾーンは攻撃しながらリフレクターを纏えるのか!?』

 

と…実況の珍獣ハンターといつの間にか解説者に成ったククイ博士がそう告げる。

 

だが、わるわるゾーンを解き放ったイーブイはリフレクターをバリアーのように纏っており、これでイーブイはリフレクターと光の壁を2つ同時にバリアーとして纏っている事に成るのだ。

サトシのピカチュウとはレベルの差は歴然と言えるかもしれない。だが、今のイーブイは特殊と物理、どちらもリフレクター+光の壁の恩恵で軽減できる。この勝負、どっちが勝つのか分からないだろう。

 

「イーブイ!!スピードスター!!」

「ブイブーイ!!」

 

進化出来ない代償に様々なタイプの技を覚えている。だが、それとは別に本来イーブイが使うことが出きる技も使えると言うことだ。

イーブイは追尾機能を持つ必中攻撃、スピードスターを使う。スピードスターは数多の星が相手を追尾し、必ず当たる攻撃だ。当然、此方も物理技で弾くか、特殊技で相殺するor打ち消す、変化技で防がない限りピカチュウを追尾する。

 

「よし!!ピカチュウ!!電光石火しつつ電気ショックだ!!」

「ピカッ!!」

 

すると、ピカチュウは電光石火で高速移動しながら初歩レベルの技である電気ショックとは言え、電撃を放ちながら電光石火を使ったのだ。

リンドウのリザードンやリーフィア、そしてレッドのピカチュウ(バグチュウ)と同じく異なる技の同時使用をサトシのピカチュウは為し遂げたのだ。それが初歩的な技と電光石火とは言え、侮れない。これが出来ればやがては10万ボルトを使いながら電光石火を用いた高速移動、更には瓦割りとアイアンテールの同時使用さえも何れは出きるように成るのだ。

 

『おおぅと!?サトシ選手のピカチュウ!!電光石火で高速で動きながら電気ショックを放った!?

そして電気ショックで迫り来るスピードスターを壊した!?』

 

ピカチュウは電光石火でイーブイとの距離を積め、迫り来るスピードスターを電気ショックで破壊する。そしてイーブイとの距離が0に成った瞬間に、瓦割りでイーブイが纏っていた光の壁とリフレクターを打ち砕いた。

 

「ピカッ!!」

「イーブ!?」

 

パリンとガラスのような物が砕ける音が響き、イーブイを護っていた光の壁とリフレクターは一気に砕け散る。こうなってしまえばイーブイは丸裸だ。

様々なタイプの技が使えるとは言え、イーブイがピカチュウ単独に勝ってる点はこれで消え失せたと言えるだろう。

 

「ピカチュウ!!10万ボルト!!」

「ピカヂュゥゥゥ!!!!」

 

そしてイーブイが弱体化した隙をついて解き放たれた十八番の10万ボルト。当然、レベルの差等からイーブイが耐えられるわけがなくイーブイは一撃で倒されてしまった。

 

「ブイ…」

 

バタンキューと倒れてしまったイーブイ。

 

「ごめんね、イーブイ」

 

イーブイが倒れ、ホワイトはイーブイをボールに戻す。これでホワイトは手持ちを2体倒された状態と成ってしまい、電光掲示板の×は更に1つ増える。

 

『おおっと!?ホワイト選手、どうする!?イーブイが倒されてしまった!?』

 

ホワイトの残りの手持ちはアーマーガア、ベイリーフ、ミロカロス、キュレムの4体。この中ではアーマーガアとミロカロスは電気タイプの技が効果抜群であり、ピカチュウと戦うには余りにも不利すぎる。特にアーマーガアは鋼も入っており、ピカチュウ相手に友好的な技が限られる。キュレムを繰り出すにも未だ早すぎる。そこで、ホワイトが繰り出したのは…

 

「よし、ベイリーフ!!Ready Go!!」

「ベーイ!!」

 

草タイプであり、電気タイプに対して耐性があるベイリーフであった。

 

『ベイリーフが来ました!!今回は初参戦!!果たして、どんな技を見せてくれるのでしょうか!?』

 

因みにホワイトは今回のセレモニー大会でベイリーフを初使用。その為に、このベイリーフがどんな動きを見せるのかサトシは勿論、観客もリンドウも実況の珍獣ハンターさえも分からない。

 

「ベイリーフ!!ストーンエッジ!!」

「ベイ!!」

 

ベイリーフは草タイプであり、炎タイプと飛行タイプそして虫タイプの技が苦手だ。当然ながら覚えられるなら炎、飛行、虫タイプに有利な技である岩タイプのサブウェポンは覚えておくのがベストと言えるだろう。

 

「ピカチュウ!!回避だ!!」

「ピカッ!!」

 

だが、当たらなかったら問題はない。ストーンエッジは足元等から鋭利な岩の刺が襲ってくる攻撃。だが、良く見れば何処から攻撃が来るのか分かるのだ。その為か、ピカチュウはサトシの指示に従い、地面から迫り来るストーンエッジを回避する。

 

「シロナさん。息子さん大丈夫か?経験の差も有るが、サトシに大差で負けるかも知れないぞ」

「そうね。でも、あの子のベイリーフ相手じゃ初見ならば攻撃を喰らうわ。余程の相手じゃない限りね」

 

観客席で見ていたリンドウの言葉に対してそう答えたシロナ。何故なら…

 

「あのストーンエッジ。陽動とベイリーフが()()()()()()()()()()()()()なのよ」

 

シロナがそう告げた瞬間…

 

「ベイリーフ!!のしかかり!!」

「ピカチュウ!?」

 

ストーンエッジに蔓の鞭を伸ばし、ワイヤーアクション…何処かの調査兵団のような立体的な動きで高速移動したベイリーフがピカチュウにのしかかりを喰らわしたのだ。

 

「そのまま地震!!」

「ベイ!!」

 

そして発動するじしん。じしんは威力100であり、電気タイプに効果抜群。実数200以上のダメージを受けたピカチュウは…

 

「ピカピカ…」

 

倒されてしまった。

 

「よし…次は…「私が行く。まだリザードン達は対キュレムに温存しとけ」ルカリオ!?」

 

なんと次にサトシが繰り出したのは人語を解する波動の勇者ルカリオであった。ルカリオはバトルフィールドに出ると、戦闘不能に成ったピカチュウを抱えてサトシの所に一旦戻り、ピカチュウをサトシに手渡す。

 

「メガシンカするか?」

「それはミロカロスまで取っておけ。対策されるかも知れん」

 

ルカリオには未だメガシンカが残っている。だが、此処でメガシンカをして直にホワイトに掌を見せ続けると…あのトリッキー過ぎるミロカロスの手で対策を立てられてしまう恐れがある。そこでルカリオは考えた、ミロカロスとキュレム以外は通常で倒し…あの2体が出てきたらメガシンカを使うのだ。幸いにもサトシのZ技は未だそこそこ残っている。

 

そしてルカリオは再びバトルフィールドに降り立った。

 

「ベイリーフ!!フラッシュ!!」

「ぐっ…目眩ましか…だがな!!」

 

フラッシュ。目映い閃光を放ち、相手を妨害する技だ。直接ダメージを与えるわけではないが、一瞬でも相手の視力を奪えるのは強い事だ。なにせ、人間を含め五感の1つを一時的に封じられては戸惑うのは当然なのだから。

 

しかし、ルカリオは波動の力を使い…濃霧の中でも普通に物や気配を感じ取る事が出来る。なので彼の前ではフラッシュや霧、影分身は時間稼ぎにすら成らないのだ。だが、一瞬でも眼を瞑る時間を与えた為か、ルカリオは波動で感じる。

 

(バトルフィールドに大小の岩の突起が生えてるな。これらを用いてさっきピカチュウに急接近したように奇襲を仕掛けてくるか)

 

波動で見てみればバトルフィールドに大小の岩の突起が生えている。恐らくはルカリオが眼を瞑った間にストーンエッジで生やしたのだろう。だが、それと蔓の鞭を使った奇襲なら先程見た。問題はない。

 

「来たか!!」

「ベイ!!」

 

目映い光で目が見えないとは言え、ルカリオには関係無い。

ルカリオ目掛けて、立体的な鞭を用いた軌道方法でベイリーフは襲い掛かる。だが、波動を使えるルカリオには見えてるも同然であり…迫り来るベイリーフに対応するようにルカリオは構える。

 

「ベイリーフ!!蔓の鞭!!」

 

ホワイトの指示に従い、ベイリーフは蔓の鞭でルカリオに攻撃する。だが、ルカリオは蔓の鞭を払い除けて…ベイリーフが逃げないように蔓の鞭を掴んだ。

 

「よし、ルカリオ。コメットパンチ!!「今だ、じしん!!」なに!?」

 

その瞬間、ルカリオが掴んだ鞭を伝わってじしんが発動し、ルカリオはダメージを受ける。

 

「ぐっ!?」

「ルカリオ!?」

 

だが、ルカリオは一撃では倒れない。効果抜群とは言え、ピカチュウより耐久力が高い彼は一撃で倒れないのだ。

 

「ルカリオ!!鞭を放せ!!」

「ぐっ!!」

 

ルカリオは蔓の鞭を放す。だが、じしんの振動エネルギーを帯びた鞭がルカリオを攻撃しようと襲い掛かる。

 

「ルカリオ!!懐に飛び込んではっけいだ!!」

「おう」

 

じしんを帯びた鞭を潜り抜けて、ルカリオはベイリーフの懐に飛び込む。そして、はっけいを繰り出した。

だが、リンドウのルカリオとサトシのルカリオの戦いを見たことがある皆様は御存知だろう。はっけいは使い方によっては相手の内臓を直に揺らし、防御力を無視してダメージを与えることが出来るのだ。ホウエン合宿でサトシと合流したばかりのルカリオはこれが出来なかったが、今では出来る。その為か、内臓攻撃を受けたベイリーフは…

 

「ベイ…」

 

バタンキューと一撃で倒されてしまった。

 

続いてホワイトはアーマーガアを繰り出したが…

 

「甘い!!」

「ガアーー!!」

 

アーマーガアは鋼タイプも入っており、格闘技は通じる。その結果、練度の差も含めてルカリオに倒されてしまった。

 

『おおーと!?ホワイト選手、遂に残りの手持ちは2体!!サトシ選手がこのまま勝つのか!?』

 

サトシは残りルカリオ、リザードン、ギラティナ、ゲッコウガの4体。対してホワイトは残りミロカロスとキュレム。

 

そしてホワイトはミロカロスを繰り出した。

 

「ミロカロス!!波乗り!!」

「来るぞ、ルカリオ!!メガシンカだ!!」

 

ミロカロスは口から莫大な量の水を吐き出し、津波を発生させる。対し、ルカリオはメガシンカを発動させて戦闘能力を大幅に向上させる。

 

だが…津波はルカリオの数メートル手前で停まる。

 

「「えっ?」」

 

波乗りは莫大な量の水を吐き出し、その水で津波を起こして相手を流す水タイプの技だ。しかし、あろうことかミロカロスが繰り出した波乗りの津波は途中で固まって停まったのだ。

 

「ミロカロス!!全砲門…ファイアー!!」

 

その瞬間…停まった津波から水の光線が何発…いや何百も繰り出され、ホーミングしながらルカリオを攻撃し出した。

 

「ルカリオ!!神速で回避だ!!」

 

全方向から襲い掛かる水の砲撃。ルカリオは神速を用いて回避を続けるが、この水はミロカロスのサイコキネシスで動かされてるので外れても追尾する。

そこ、波動弾を射てば?と思うかもしれない。だが波動弾は必中攻撃であり、ミロカロスは特防が高くミラーコートで跳ね返しますよと言われるのも同然だ。その上、ルカリオは格闘技が効果抜群で特防も低い。射てば逆にヤられるのだ。

 

「弾だけ見てたらいけないよ、お兄さん」

 

その瞬間…何百もの水の砲撃を捌いていたルカリオの背後から水を纏ったミロカロスがサイコキネシスを用いて高速移動し、ルカリオを締め付ける。

 

「ぐっ!?」

 

その瞬間。ミロカロスが纏っている水が急激に熱を帯びる。ミラーコートとサイコキネシスを応用し…水が水蒸気爆発を起こしたのだ。

 

なお、メガルカリオはルカリオと比べて特防とHPは全く変わらない。その為か、ルカリオは大打撃を受けてしまい…

 

「無念…」

 

ルカリオはメガシンカからルカリオに戻り、戦闘不能に成ってしまった。

 

「戻れルカリオ。さてと…」

 

サトシは考える。ギラティナを出しても曲がる冷凍ビームを受ける、ゲッコウガを出しても水を利用される恐れがある。というか、先ずはミロカロスがサイコキネシスで操る元津波の水が余りにも危険すぎる。

 

先ずは水を何とかしなければ成らない。その上、ピカチュウはもう戦闘不能。だとすれば…あの水を真っ先に消し飛ばさないといけない。

 

「よし、リザードン!!君に決めた!!」

「リザードン!?」

 

これには観客もおおっと驚き。当然だ、炎のリザードンは水のミロカロス相手には余りにも不利すぎる。普通は…

 

サトシはリザードンを繰り出すと直ぐ様…

 

「ブラストバーン!!」

「グォォオオ!!」

 

ブラストバーンを指示し、爆炎と爆光がリザードンの口から解き放たれた。

 

ブラストバーン。其々の地方の初心者向けポケモンの炎タイプの最終進化系だけが使える大技であり、その破壊力は破壊光線やギガインパクトに匹敵する。

 

「ミロカロス!!水で防御だよ!!」

 

爆炎の広さから避けるのは不可能と判断したホワイト。彼はミロカロスに指示し、ミロカロスはサイコキネシスで自身を包むように全ての水を纏った。だが…

 

ブラストバーンの一撃はその水を全て蒸発させ…ミロカロスは少しヒリヒリと焼けたような跡がある。

 

『おおっと!?なんて破壊力だ!?ミロカロスの周りの水が全て蒸発した!?』

 

これでミロカロスは水技を使わない限り、オールレンジ攻撃は出来ない。

 

「ミロカロス!!ハイドロポン「させるか、リザードン!!ミロカロスの口を塞いで地球投げだ!!」こんなのありなの!?」

 

ハイドロポンプは口から出る。ならば、口を塞いでしまえば良いだけだ。サトシのリザードンはミロカロスの口を手で塞ぎ…大空に飛んで地面に向かって投げ飛ばした。懐かしき大技、地球投げである。

 

「ミロ!?」

「そしてソーラービーム!!」

 

リザードンの対苦手なタイプ用の技であるソーラービームが炸裂し、ミロカロスさえも倒されてしまった。これで後はキュレムだけである。

 

「キュレム?レッツショータイム!!ARE YOU READY?」

 

ホワイトはキュレムを繰り出し、キュレムは場に出ると同時にトゥルーキュレムにメガシンカを果たした。

 

『さてと…流石だなサトシ』

「キュレム!!絶対零度!!パターンB!!」

『良かろう』

 

パターンB?一体なの事か分からないが、取りあえず絶対零度なのは間違いない。だが…その絶対零度はリザードンを直接襲わない。

 

「なんだ!?」

 

リザードンの逃げ道を塞ぐように氷の防壁が一瞬で建てられた。

 

「グゥォォ!?」

 

逃げ道を防がれたリザードン。そして、キュレムの口から蒼い光が漏れだし、尻尾の発動機が物凄い勢いで稼働する。

 

「キュレム!!エネルギー充填120%!!波動砲…発射!!」

 

そしてキュレムが口を開き、口から莫大なエネルギーを帯びた波動砲が解き放たれた。

 

「キュレムってもしかして惑星イスカンダル出身?」

「そんな分けないだろ、ブルー」

 

解き放たれた波動砲。まあ、多分正式名は絶対に別に存在するが、ホワイトが波動砲と言ってるのだろう。何処から見ても波動砲だし。

 

だが、リザードンは逃げようにも絶対零度が作り出した防壁で逃げられず直撃コース。そして、直撃を受けたリザードンは倒れてしまった。

 

倒されたリザードン。続けてサトシが繰り出したのはギラティナであった。

 

「ギラティナ!!君に決めた!!」

「ギエ!!」

 

繰り出されたギラティナは白金玉の力でオリジンフォルムに変化する。

 

「ギラティナ!!波動弾!!」

 

波動弾は追尾する必中攻撃であり、威力もそこそこ高い。使い勝手が良く、ギラティナが繰り出した波動弾はキュレムに直撃し、キュレムはそこそこのダメージを受けてしまう。

 

「よーし、だったらキュレム!!ドレスアップ!!」

 

ホワイトの指示に従い…トゥルーキュレムは冷気に包まれる。冷気が風で流されると、そこには氷の鎧を身体の各所に纏ったキュレムが立っていた。

 

ーーお前、何処のイヴェルカーナ!?

 

リンドウが心の中で突っ込みをいれたが、イヴェルカーナとは某狩りゲーに出てくる氷の鎧を纏うドラゴンである。そのイヴェルカーナと同じく、キュレムは氷の鎧を纏ったのだ。

 

「ギラティナ!!シャドーダイブ!!」

 

サトシの指示に従い、ギラティナは消える。その時…キュレムの発動機からビシビシと微弱な電気が流れ出した。

 

『成る程な。電気タイプのポケモン、その中でもマッギョやシビルドン等は微弱な電気で周囲を探るが。それと同じ方法でギラティナの出現場所を探るつもりか』

 

と解説のククイ博士が教えてくれた。そう、電気タイプは微弱な電気を用いて周囲の様子を探ることが可能であり、キュレムはそれを用いてギラティナの出現場所を探ろうと言うのだ。

 

「ギェェェエ!!」

 

そして影より、ギラティナが出現し…キュレムに奇襲をしかける。だが、キュレムは電気で周囲を探してた為かギラティナの奇襲に反応でき、ギラティナのシャドーダイブを受けたがギラティナを掴むことに成功する。だが、シャドーダイブを受けた為か、氷の鎧はボロボロと砕けてしまった。

 

「ドラゴンクロー!!」

「此方もドラゴンクローだ!!」

 

キュレムは手でドラゴンクロー、ギラティナは翼でドラゴンクローを放ち…お互いにダメージを受ける。どちらも効果抜群であり…どちらもかなりのダメージを受けている。

 

ギラティナ、キュレム。両者ともに距離を取り…

 

「よし!!キュレム!!出し惜しみは無し!!ブリザードランスやっちゃうよ!!」

『やれやれ。だが、手はないな』

 

キュレムは絶対零度を応用してか、氷の巨槍を造り出す。そして氷の槍を…発動機から産み出した電磁力+己の筋力でぶん投げた。

 

――カムカムカーム!!訳「それ、余の技なんだが!!」

 

遠いガラルの田舎から声が聞こえた気がしたが気にしてはいけない。

 

全力投擲されたブリザードランスはギラティナに直撃し、ギラティナは倒されてしまった。

 

そして…両者は共に残りの手持ちはラスト一体。サトシは当然の如く、サトシゲッコウガである。

 

 

「これってセレモニー大会だよな?リーグ決勝戦とかじゃないよな?」

 

解説を忘れ、ククイ博士が唖然としながらそう言ってしまう。

 

「ワールドイクリプス!!」

「最大出力で波動砲発射!!」

 

そして……余りの衝撃でバトルフィールドはズタボロに成ってしまい…

 

『おぉぉっと!?両者とも立っている!?立っているぞ!!ゲッコウガもキュレムもどっちも立っている!!』

 

煙が徐々に晴れていく。

 

そして霧が完全に晴れると……

 

「コウガ…」

 

なんとか立っているゲッコウガ。一方、キュレムは…

 

『立ったまま意識を飛ばしてる!?息子の前で倒れるわけには行かないのか、この保護者…立ったまま力尽きてるぞ!!』

 

立ったまま力尽きていた。

 

決勝戦 勝者サトシ。

 

 

 

 

 

 

 

なお、この後のエキシビションマッチであるが。

 

「レウス!!じしん!!」

「やっぱりワンパンKOだ!!」

 

サトシ君。リンドウに挑んだが、竜の舞いを詰んだメガリザードンXのじしんパンチのワンパン×3で見事な3立てを決められるのであった。

 

 




次回!!

リンドウ先生「えー、久し振りにポケモンの授業らしい事をします。お前達、明日からの土日の2日間だけパートナーを1体、交換してもらいます。他人のポケモンを預り、面倒を見ることで分かることも有るからな」
サトシ達「交換!?」

サトシ×リーリエ、セレナ×アセロラ、スイレン×カキ、マオ×マーマネで2日間交換!?

サトシ「先生!!ブラックは?」
リンドウ「イッシュリーグの仕事で、デント連れてイッシュに行ったぞ。来シーズンに備えての会議が有るからな」

そしてデント、ちょっとまイッシュに強制送還(笑)


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中間代わりのセレモニー大会後
106時限目


サトシがセレモニー大会で優勝し、リンドウとのエキシビションマッチで見事にワンパンKOされてから数日後。

 

「それじゃあ、リンドウさん、ブルーさん。イッシュリーグの仕事で、暫くイッシュに戻ります」

「おう、初めてチャンピオンとしてのシーズンが始まるもんな。頑張れよ」

 

リンドウの社宅前。そこでは今日から約一ヵ月の間、ブラックがイッシュに仕事で戻るためかレシラムの背中に跨がっていた。だが、ブラックの後ろにはとある人物も跨がっていた。その人物とはヒカリとホワイトの旅仲間であるデントであった。忘れてはいけない、ポケモンソムリエ+様々なソムリエ(笑)であるデントの本業はジムリーダーであり、リーグ準備等の会議には当然ながら参加である。

 

そしてレシラムの尻尾の発動機が起動し、レシラムは翼をはためかせて上昇していき…発動機からジェットエンジンのように炎を吹き出してあっという間にイッシュに向けて飛んでいった。まあ、レシラム、ゼクロム、キュレムの機動力は恐ろしい程に速く…最早、空を飛ぶを通り越して天を飛ぶだ。1日で地方を飛び越えることも可能であり、気が付けばイッシュリーグに着いてるだろう。

 

「ししょー、何でブラックはリーグの会議で1ヶ月もかかるの?」

 

リンドウ家の長女アセロラがそうリンドウに問う。

 

「最強のポケモンリーグと名高いカントー、カントーと近縁であるホウエン、シンオウ、ジョウトはともかく。他の地方は歴史が浅いからな。

それにジムリーダーごとの実力も大きくバラバラだ。バトルに力を入れすぎてスポーツとしての側面が強すぎるガラルは別だが、他の地方は何か…アピールできるポイントがないと残念ながら目立たないと言えるからな」

 

そう最強のポケモンリーグであるカントー、そしてカントーの近縁であり同じ国内に存在するホウエン、シンオウ、そしてジョウトの4つはレベルが高い。その為か何も特にアピールすることなく、挑戦者が続々と集まっていく。ジムリーダーに挑む順番が決まっていたり(ホウエン、シンオウ)、挑戦者のバッジの数で使うポケモンを変える(カントー、ジョウト)所だ。ジムリーダーの質もかなり高く、チャンピオンの実力は言わずもがな世界最強ランク。

 

しかし、他の地方はどうだろうか?ジムリーダーに挑む順番は決められておらず…ジムリーダー毎に実力に差がある。

 

ガラルは元リーグ委員長であるローズが委員長に成った際に、ダイマックスを導入したり…スポーツとしての側面に力を入れて他の地方との差別化を果たして大きく注目を集めている。それに、推薦された一部のエリートだけしかリーグに挑戦できない狭き門だ。少なくとも運や家柄も関係する。

 

イッシュ、カロスはどうなのかと言うとだが魔境ニホンと比べて優れている所は作るしかない。カルネ率いるカロスリーグは勿論のこと、新チャンピオンとなったブラック率いるイッシュリーグもそれは同じだ。

 

「自分達のリーグをより注目が集まり、多くの人々に夢を与える為にもチャンピオンは大変なんだよ。ニホンの各チャンピオンは俺、レッド、シロナさん含めて好き勝手にしてるけどな」

「そっか、大変なんだね。チャンピオンって」

 

そして今、ブラックが抱えてる課題を翌年…サトシとククイ博士も抱える事になるがそれはまた別のお話であった。

 

 

 

 

 

 

 

「アローラ諸君!!今日も朝日が眩しいな!!」

 

それから2時間後。ポケモンスクールの教室にリンドウがやって来た。リンドウが教室に着くと、サトシ達は自分達の席に戻っていく。

 

「ブラックは公欠として…全員いるな。それじゃあ、朝礼を始めるぞ。

来週はハウオリシティのポケモンセンターで職業体験が有る。アローラじゃポケモンセンターでバイトする事は無いからな、お前達には新鮮な体験かも知れないぞ」

 

来週はポケモンセンターでの職業体験が行われる。リンドウやブルーが小学生の頃、マサラタウンはウルトラド田舎(当時の観光地はオーキド研究部だけ)であり職業体験は存在していなかった。しかし、メレメレ島は自然も豊かであると同時にハウオリシティという栄えた町もあり、そこには当時(13年前)のマサラタウンと違ってポケモンセンターも有るのだ。

アローラのポケモンセンターはフレンドリーショップが中に存在しており、より複合施設としての意味合いが強い。ポケモンセンターなのでポケモンの治療や回復は勿論のこと、宿泊施設も兼ねている。更にフレンドリーショップも有るので、生徒達は宿泊、治療、トレーナーグッズの販売も体験できる事に成るのだ。

 

「ポケモンセンターでの職業体験!?」

 

「面白そう!!」

 

「どんな事を体験するんだろうね?」

 

来週の職業体験が楽しみなのか、サトシ達は楽しそうに話している。

 

「はーい静かに。それとだな…明日は土日だろ?そこで、2日間だけ籤引きで決めた相手とパートナーを交換してもらうぞ!!」

「「「パートナー交換!?」」」

「そう。パートナーを1体、土日だけ…明日から2日間交換してもらう。他人のポケモンを預る事で、色んなポケモンの事を知れるし、新しい事も発見できるんだ」

 

まさかのパートナー交換。とは言え2日間だけとは言え、他人にポケモンを預け…その他人からポケモンを預かる。他人のポケモンを預り面倒を見ることで新たに見えてくるという事も有るのである。

 

その結果…

 

「俺とリーリエ?」

「そういう事ですね」

 

サトシ×リーリエ。つまり、サトシとリーリエでパートナーを交換する。当たり前だが、伝説のポケモンはダメである。

 

「アセロラ、お願いね」

「勿論!!」

 

セレナ×アセロラ。つまり、セレナはゴーストタイプを預かる事に成るのだ。

 

「私はカキだね」

「ああ、宜しくな」

 

スイレン×カキ。スイレンは炎タイプのポケモンを預り、カキはカイオーガ以外の水orアーマルドを預かる訳だ。

 

「マーマネ。私のパートナーを宜しくね」

「勿論だよ」

 

マオ×マーマネ。なお、マオの後ろでは我らが女好きジュプトルがマオと離れたくないのか…物凄く嫌そうな顔をしている。いや、もしマオの相方が女性ならば喜んで行っていたかもしれない。

 

教え子達は相方は決まった。するとリンドウはモンスターボールをマーマネ、アセロラに預ける。

 

「先生?」

「ししょー」

「折角だし。俺から2人にはコイツらを預けるよ」

 

どうやらリンドウは授業の一貫として、自分からアセロラとマーマネにポケモンを預けるようだ。どんなポケモンなのか気になったマーマネとアセロラはボールを開ける。その中には…

 

「シビビ!!」

「ヒトモシー」

 

リンドウがえんとつ山でハンターから保護したシビシラスとヒトモシであった。勿論、マーマネがシビシラスで、アセロラがヒトモシである。

 

「それじゃあ、2日間頑張れよ!!」

 

こうしてパートナー交換の土日が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「リンドウ、あのシビシラスとヒトモシ。マーマネとアセロラに託すつもりで預けたでしょ?」

「おう」

 

なお、アセロラが寝た後。ブルーの質問に対してリンドウはそう答えた。そう、シビシラスとヒトモシはアセロラとマーマネに託すつもりで預けたのだ。

 

 

一方のサトシ君はと言うと……

 

「フーズをあんまり食べてくれてない……リーリエはシロンに普段からどんなエサをあげてたんだ!?」

 

早速、人のポケモンを預かる事の大変さを知ったのだった。




次回…ポケモンを預かる事の大変さと新たな発見を得るサトシ達!!


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107時限目

アルセウス…ヤバい、楽しすぎる!!なお、レベルはそこまで関係ない(笑)


翌朝の土曜日。パートナー交換2日目の朝を迎えたが、リーリエからアローラロコンことシロンを預けられたサトシは大いに悩んでいた。

 

「クルッポ」

 

「コウガ!!」

 

「ニャー」

 

「グォオ!!」

 

モクロー、ゲッコウガ、ルガルガン、ニャヒート、リザードンは問題なくいつも通りのポケモンフードを食べてくれている。図体が大きなギラティナは窓から顔と首だけを家に入れてご飯を食べているし、此方も問題はない。

 

「うまいうまい」

「くーん」

 

なお、サトシやセレナと同じく机で人間用の食事をルカリオとラティアスも食べているが…そこは気にしなくて良いだろう。ラティアスは人に変身できるし、ルカリオは戦国時代から当時の人々と同じ様な食事を食べていたと思われるし問題はないだろう。

 

だが…サトシの視線の先ではリーリエから預かったシロンが食事をとっているのだが、シロンはあんまりご飯を食べてくれないのだ。慣れない環境と言うことも有るのかも知れないが、ご飯を食べてくれないと此方も心配してしまう。

事実、シロンと同じくククイ博士宅にやって来たアセロラの色ちがいミミッキュはと言うと…

 

「キュー!!」

 

元気モリモリにポケモンフードを食べていた。

 

「シロンどうしたのかな?」

「だよな…このフーズってロコンが好きな物らしいから、味が嫌いって事はないと思うけど」

 

そんなシロンを見て、どうすれば良いのか迷うサトシとセレナであった。

 

「そうだ!!木の実を使おう!!」

 

その後、サトシはその足で商店街に向かった。

 

 

 

一方のアーカラ島の牧場ことカキの自宅。

 

「さてと…どうすれば良いか」

 

カキは悩んでいた。サトシとは別ベクトルの問題を抱えてしまっていたのだ。

カキはスイレンからアシマリを預かったのは良かったのだが、カキが今まで面倒を見てきたポケモン達は牧場に在住してるケンタロスやミルタルク達を除けば全部が炎タイプである。

バクガメス、ワカシャモ、アローラガラガラ、ドンメルといいその全てが炎タイプ。水タイプのポケモンの面倒を見るのは人生初めての経験であったのだ。

 

「パウ?」

 

困惑するアシマリに見上げられ、カキは考える。我らがバクガメスはアシマリと交換でスイレンの自宅に預けられており、どうしようかと悩む。牧場の手伝いはワカシャモとガラガラでやるしかないのはそうだが、流石に2日間しか居ないアシマリに牧場の手伝いをさせるのはどうなのか?

 

「あっ!!アシマリだ!!可愛い!!」

「パウ!」

 

だが、そんなカキに救世主が現れた。それは妹のホシである。

 

「ホシ、アシマリと遊んでおいで!そろそろアイスも固まってる頃だと思うしな!」

「うん!!行こう!!アシマリ!!」

「パウ!!」

 

幼いホシと遊んであげればアシマリも喜ぶ筈だ。一先ず、ホシにアシマリの遊び相手を任せてもらい…カキは牧場の仕事を行うのであった。

 

 

一方、カキと同じく妹が居るスイレンの自宅。

 

スイレンはアシマリと一時的な交換でバクガメスを自宅に連れてきたのだ。

 

「大きい!!アーマルドと同じくらい大きい!!」

「大きい!!でもカイオーガより小さい!!」

 

そんなスイレン宅にやって来たバクガメス。背丈はアーマルドと同じくらいで大きく、バクガメスを見上げてスイレンの妹であるホウとスイは目を輝かせていた。

 

「でもカイオーガより小さい!!」

「うん、カイオーガやギラティナと比べたらダメだよ」

「ガメスン…」

 

困惑するバクガメス。そんなバクガメスを慰めるためか、アーマルドはバクガメスの肩に手を置いたのだった。

 

 

一方のメレメレ島の都心とも言えるハウオリシティ。そんなハウオリシティに家があるマーマネは2体のポケモンを預かっていた。

それはマオから預かったアママイコ、そしてリンドウから手渡されたシビシラスである。

 

「うーん、シビシラスは電気タイプだから分かるけど。草タイプって何が好みなんだろう?」

 

マーマネ、お得意のパソコン等を用いてアママイコの事を調べるのであった。

 

 

一方、リンドウ達も日頃からご利用するアイナ食堂のマオはと言うと…

 

「ジュプゥゥ!!」

「あのね、ジュプトル。アママイコはお嫁に行ったんじゃないからね?」

 

アママイコがマーマネの所に嫁に行ったと勘違いした、我らが女好きジュプトルが大号泣していた。ジュプトル、女の子が大好きとは言え大好きなアママイコちゃんがマーマネの所に行ったためか、精神的ダメージを受ける。

 

「マッジュ、マジュ!!」

 

そんなジュプトルを元気付けるレディが1人…いや1体居た。それはマーマネの所から2日間限定でやって来たトゲデマルである。

 

「ジュプ!!」

 

ジュプトル。レディに励まされれば復活しないわけがない。レディの声援でキモリからジュプトルに進化した程だ、彼はレディが居るだけで何度でも甦る。

 

「よーし!それじゃあジュプトル。窓拭きお願いね?」

「マジュ!!」

 

そしてジュプトルは窓拭きを完了させた。僅か10秒で。

 

 

 

 

一方のリンドウ宅。

 

アセロラは何事もなく、セレナから預かったテールナーの面倒を見れていた。しかし、そんなリンドウ宅に珍しい来客が訪れていたのだ。

 

「シロナさん、珍しいな」

 

そのお客様とはシロナであった。とは言え、ヒカリとホワイトを連れずにまさかの1人での来訪である。

 

「ええ、今日は仕事の関係で来たのよ。リンドウ君はポケモンのリージョンフォーム及び分岐進化に関しての研究もしてるわよね?」

「まあ、学士号は取得してるんで。博士号は未だ貰ってないですけどな」

 

実はこう見えてリンドウ、ポケモン研究員の1人でもある。本業はポケモンスクールの教師であるが、それと平行してポケモンの研究も行っており、主な専門分野はリージョンフォームやポケモンの分岐進化についてである。博士号は貰っていないが、サトシのルガルガン等の論文は幾つか出している。

 

「お婆ちゃんとカンナギに居る姉から送られた資料なんだけど…これ、見てくれないかしら」

 

リンドウはシロナから貰った資料を拝見する。そこには120年ほど前…シンオウ地方の写真や資料だったのだが、色ボケては居るが…ポケモンが写っている。

 

「シンオウ地方は開拓などで環境が変わった所って聞いたが、これはクレベースか?そんで…このゾロアークに似たポケモンは髪が尻尾じゃなくて前に向いてるな」

「ミオの図書館に有った物らしいけど…良い研究材料じゃないかしら?」

 

今から120年ほど前の明治時代。シンオウ地方はヒスイ地方と呼ばれ、殆ど人の手が入っていなかったとされている。その為か、リンドウやオーキド校長の知らないリージョンフォームのポケモンが生息していたようなのだ。

 

「て!?ディアルガとパルキア!?」

 

だが、その次の写真を見たリンドウは驚いて声に出してしまった。何故なら白黒写真ではあるが、ヒカリと瓜二つの少女が伝説のポケモン ディアルガとパルキアを手持ちに加えていたのだ。

そして、そのヒカリと瓜二つの少女。何故かスマホ?を持っており、服もアイヌ民族のような服から明治時代にはそぐわないTシャツとデニムパンツまで着ている。意味が分からないが、ディアルガの力を使えばタイムスリップも出来るので…もしかしたらタイムスリップしてスマホとデニムを買ったのかもしれない。

 

「シロナさん?この写真は……合成か?」

「そんな訳ないわ。ナナカマド博士のご実家から出てきたそうよ。

虹ロケット団の侵略の際、アルセウスはサトシ君にギラティナを託したけど……ディアルガとパルキアは託さなかった。まさかとは思うけど」

「ディアルガとパルキアは明治時代にヒカリの御先祖様が捕まえてたと…初期型モンスターボールは明治初期には開発されてたから、今のようにボールが小さくなる機能はないが他の機能は現代でも変わらないから他人はディアルガとパルキアを捕獲できない訳か」

 

なお、数年後。リンドウはこの写真の真相を知る。

 

「リンドウ君。次の長期休みの時に、このシンオウ地方のリージョンフォームについて調べてくれないかしら?」

 

リンドウ、夏休みの仕事が決まる。

 

 




ショウちゃん、登場確定。なお、この世界でのヒカリの御先祖様はテルくんです。

此処でのショウちゃんの手持ちディアルガorパルキア、ヒスイジュナイパー、???、オヤブン???等々の予定。


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予習授業 ミヅキちゃん、リンドウと出会う

ミヅキちゃん…遂にリンドウと出会う!!


パンケーキ祭りが迫るなか、ミヅキちゃんはアローラの大自然で新しいパートナーを探していた。

 

「よし、新しいパートナーを見つけるよ!!」

「クルッポ!!」

 

そんなミヅキちゃん。彼女はパートナーであるモクローをボールから出してアローラの大自然を満喫しつつ、頼れる新たな仲間を探している。と言うのも彼女がパートナーを探すのには訳があるのだ。それは今シーズン中に無事にジムバッジを全て集めきり、アローラリーグに参戦する為である。だが、今のミヅキの手持ちはモクローとヒノヤコマであり、どんなタイプにも通じると言えば通じない。ヒノヤコマは炎と飛行タイプ、モクローは草と飛行タイプだ。

 

次、ミヅキが挑む予定のアーカラ島にある炎のジムリーダー カキと有利に戦えるかと言えばそうではない。ヒノヤコマは最終的に炎と飛行タイプのファイアローに進化し、モクローは最終的に草とゴーストのジュナイパーに進化する事を考えても新しいパートナーはほしいのだ。出来れば炎に強い水タイプや岩タイプが欲しいところである。

 

「水タイプは何にしようかな?」

 

ミヅキは前世からの知識をフル動員して、どれを捕まえようか悩む。だが、そんな前世からポケモンをゲームとして楽しんでいたミヅキでは有るのだが、この世界ではポケモンバトルはターン制で交互に技を繰り出す物ではない。その気に成れば、ポケモン達は連続で技を繰り出してくる事も有るし…技の応用だってその気に成ればやりたい放題だ。

 

じしんをパンチに応用してゼロ距離で直撃させるリザードンやグラードン、出鱈目な強さを誇るバグチュウだったり、ミヅキの前世から有った固定概念は見事に打ち砕かれてきた。

 

「アローラのポケモンを使うべきか、他の地方にも住んでいるポケモンか。悩むよね」

 

アローラならラプラス、オニシズクモ、ヨワシ(群れた姿)、アシマリ等々有力な水タイプが暮らしている。他の地方にも共通するポケモンならコイキングやギャラドス、ドジョッチからナマズン、トリトドン等々も強いと言えるだろう。

 

そんなメレメレ島の外れ付近にある海沿い。そこを探索していたミヅキとモクロー。勿論、ポケモントレーナーに成ったからには目標は大きい方が良いに決まっている。ならば目指すは勿論…ポケモンマスターだ。

ポケモンマスターを目指す。それは数多のポケモントレーナーの最終目標であり、その称号を持ってるのはレッドただ1人。最強のトレーナーの代名詞であり、ミヅキだって持てる目標は大きい方が良いのだから。

 

「ちょっと、遠くに出ちゃったな」

「クルッポ」

 

しかし、少し遠くに出てしまった。だが、トレーナーに冒険は付き物だろう。冒険のし過ぎは別に悪いことではない。カントーやジョウト地方では10歳の誕生日を迎え、初めてのポケモンをパートナーとして貰った子供達は未来に希望を膨らませて旅に出るのだ。

ミヅキはポケモンスクールの学生であり、同時に旅をするにしても総合陸地面積の小さなアローラでは一人旅をすることは難しい。ミヅキの独り旅は学校を卒業して他の地方を旅するまでお預けと言えるのだから。

 

アローラは他の地方と異なり、土地の開拓が条例で制限されている。その為か、人里を大きく離れればとても強力な野生のポケモンと出会うことに成るのだ。メレメレ島で例えれば、野生のボーマンダだろう。

 

「えっ?」

 

まさか、メレメレ島で野生のボーマンダに遭遇するとは思わなかったのだろう。ミヅキは呆気に取られてしまった。

 

ボーマンダ。御存知、600族のメンバー。ホウエンを主な生息地としているドラゴンと飛行のポケモンであり、カイロスさんの天敵である。

タツベイの最終進化系であり、今でもエリートトレーナー等の有力なトレーナーに使用される人気のポケモンだ。だが、手持ちに入れるのは並大抵の努力では片付けられないこと間違いなしだ。

タツベイからボーマンダまで育て上げるのは根気が必要であり、どんなに頑張ってもかなりの時間がかかる。その上、野生のボーマンダを捕まえても直ぐにボーマンダが言うことを聴くかと言えば…聴かないだろう。信頼関係を結ぼうとしても……それが出来るのは極一部の凄腕だけ。事実、10年以上まえ…少なくともポケモンマスター レッドが旅に出る前の出来事だ。腕自慢のエリートトレーナーが気合いで危険地帯シロガネ山に生息するバンギラスとリングマを必死で捕獲できたのは良いが…言うことを聴かず、そのリングマとバンギラスに殺されてしまった事件も起きているのだから。

 

そんな事件が起きている為に、アローラ以外の地方ではポケモンの所得年齢に制限が掛けられているのだ。ニホン(カントー、ホウエン、シンオウ、ジョウト)では10歳未満は特別許可証と呼ばれる仮免許を認められない限りはポケモンを所持できない。と言うのも、ポケモンを所持したのは良いが世話をしなかったり、無責任なトレーナーが居たり、シロガネ山等の危険地帯で捕まえたのは良いが…結果的にそのポケモンに殺された事件が起きたためだ。

 

「無理無理無理無理無理だって!!なんでボーマンダが居るの!?原作の知識なんて宛に出来ないから居るかもしれないけど、流石に今の私じゃボーマンダの相手は無理だって!!」

「クルッポォォオ!!」

 

そんなボーマンダ。伝説やメガシンカ、一部の例外(レッドのバグチュウ、サトシのピカチュウ、ホワイトの珍虫、ギエピー)等は別として他のポケモンをフルボッコに出来るスペックは軽く持っている。当然、ミヅキの今の手持ちで何とか出来ると言えば…それは無理な話だ。

だから、ミヅキはモクローを強く抱っこしてその場から逃げ出した。逃げ出すことしか出来なかった。モクローとヒノヤコマじゃ、どうあがいても勝てない…勝つことが出来ない。

 

ボーマンダに背を向けて全速力で逃げ出すミヅキちゃん。

だが、悲しいことにシンオウにはこんな言葉が残されている。

 

『敵から逃げる際は木の実等で注意を反らし、パートナーの力を借りて素早く逃げる。それが出来なければ、相手を刺激せずにゆっくりと相手を見ながら後ろ向きで下がり…充分に距離を取ってから逃げる』

 

と有るのだ。と言うのも…シンオウ地方では都市開発のお陰か、野生のリングマやガチグマが街に出没する事件が最近頻度を増している。そんなリングマやガチグマに背を向けて急いで逃げ出せば…リングマを刺激してしまい…逆に襲われてしまうのだ。

 

「げっ!?ボーマンダ来てる!?」

 

勿論、そんな事をすれば野生のボーマンダも刺激してしまう危険性もある。ボーマンダは空を飛べる分、速い。ボーマンダの鋭い顎がミヅキの直ぐそばまで迫っていた。

 

「あっ…」

 

だが、そんな時だった。

 

「レウス、彼女を守れ!!」

 

突如として男性の声が響いた。すると、物凄い速度で赤いドラゴンのようなポケモン、リザードンがミヅキを庇うようにボーマンダとの間に割ってはいり…リザードンはボーマンダの首を掴んでミヅキとモクローを守ったのだ。

 

「えっ!?リザードン!?」

 

そして…そのリザードンは物凄い膂力を用いてボーマンダを投げ飛ばし、投げられたボーマンダは地面を転がり数メートルほど地面を転がって停止する。だが、野生の環境で育った600族のボーマンダ。タフネスなのか、ボーマンダは何事もなく立ち上がり…翼を広げて飛び上がる。

 

「グゥォォオオ!!」

 

だが、リザードンは大きな咆哮を挙げる。するとボーマンダはリザードンには勝てないと悟ったのだろう。その場から逃げ出していった。

 

「たっ助かった…」

 

ボーマンダに襲われる。危険な野生動物に襲われるという、前世でも経験したことがないとんでもないトラブルを経験してしまったミヅキちゃん。そりゃそうだ、ポケモンだって前世でのゲームキャラではなくこの世界では一生懸命生きているのだから当然と言えるだろう。

 

そんなトラブルを経験し、安堵したミヅキは安堵してその場にしゃがみこんでしまった。

 

「よくやったレウス。しかし、君…ちょっと深入りし過ぎじゃないのか?

強いポケモン、珍しいポケモンをパートナーに加えたい気持ちは分かるが…この辺は人の手が全く入ってないからな。さっきのボーマンダのような強いポケモンが出てくるぞ」

 

安堵したミヅキに語り掛ける声。何事かと思い、ミヅキは声の方を見る。そこには先程、ミヅキを救ったリザードンの隣に立ちリーフィアを連れた二十代後半程のニホン人だと思われる男性が立っていた。恐らくはリザードンのトレーナーだろう、その男性はリザードンをボールに戻した。

 

「む?もしかして、君…リーリエの生徒か?ジュニアスクールの」

 

そんな男性…ミヅキに見覚えが有ったのか、そんな問いを投げ掛けてきた。

 

「えっ?あっはい…そうですけど」

「彼女の授業、分かりやすいだろ?なんたって、俺はリーリエの先生だったからな」

 

男性はそう告げて、親指で自分自身を指差して自己紹介を行いだした。

 

「俺はリンドウ。ポケモンスクールの教師で、今は進路に悩むジュニアハイスクールの2年生の担任をしている。

こう見えて、リーリエ達の学生時代は担任として面倒を見てたんだ。宜しくな」

「リンドウ先生ですね、私はミヅキです」

 

そう、この男性こそ全く更けてないアラサーの階段を昇るリンドウだったのだ。

 

「えっ?リンドウ?……」

 

そんなリンドウの名前を聴き、ミヅキは思い浮かべる。そういや先月位だったか。母親の帰りが遅くなり、リーリエの奢りでアイナ食堂に行った時だ。

スイレンにフルボッコにされ、リーリエに慰められながらアイナ食堂のご飯を美味しく頂き…序に霊長類最強女子が五等分の花嫁+家庭教師+ホワイトとキュレムを連れて来店した時だった。テレビを見ればホウエンリーグのチャンピオン防衛戦が行われており、そこではリンドウというチャンピオンがチャレンジャーを圧倒的な実力で粉砕してたような…

 

「あのホウエンチャンピオンだったりします?」

「ああ。あとポケモン博士でも有るぞ?」

 

転生者1号リンドウと転生者2号ミヅキちゃん。ファーストコンタクトであった。

 

 

 

ハウオリシティ。

 

リンドウの案内で無事に生還したミヅキちゃんとモクロー。そんな彼女はポケモンセンターに居た。

 

「カキを倒すために水タイプ等の強力なポケモンを、ね」

「はい。今年のシーズンで、アローラリーグ本選に出たいんです!!」

 

そんなミヅキちゃん。ポケモンセンターの休憩室でリンドウと話をしていた。カキは勿論、他のジムリーダーを突破するためにもホウエンチャンピオンからアドバイスを貰いたいのだ。

 

「焦ることはないんじゃないか?1年目でリーグ制覇出来るのは極一握りの天才だけ。世間的に天才と呼ばれてる人でも3年程はリーグ本選出場までかかるからな」

 

ポケモンリーグの本選出場はかなり厳しい。デビューした年でリーグ制覇出来たのはレッド、ホワイト位だ。

本選出場を旅に出た年に成し遂げたトレーナーはサトシを含めて複数人居るのは居るが、そんなトレーナーは本当に限られた天才だけであり…普通は天才と呼ばれてるエリートトレーナーと言えど数年ほどはかかり、リーグ本選の参加平均年齢は20歳…早くても18歳と言われている。

 

「リンドウ博士は?」

「1年目はカントーリーグ準優勝…勿論、その時の優勝はレッド」

「出てるじゃないですか!」

「俺なんて可愛い方だぞ。ホワイト見てみろホワイト、アイツ…デビューした年でジョウトとシンオウの殿堂入りを成し遂げて、シンオウ歴代最強のトレーナーと呼ばれてるんだぞ」

 

ですよねー。心の中でミヅキちゃんは同意する。

公式で唯一、レッドを倒せる天才 ブラックホワイト2の主人公であるホワイト。そんなレッドに匹敵する天才だからこそ、その年で2つのリーグの殿堂入り…つまり2人のチャンピオンとその下に居る四天王を倒せたのだ。

 

「新しいポケモンが欲しいなら、明日は暇か?明日は俺の生徒と共にフィールドワークに出るから…来るか?」

「えっ?良いんですか!?」

 

ホウエンチャンピオンとのフィールドワーク。またともないチャンスがやって来た為か、ミヅキは喜んだ。

 

 

 

 

そして翌日。ミヅキはリンドウの教え子達がいる所にやって来た。

 

「おっ!お主がミヅキじゃな?ワシはノブナガじゃ!!気軽にノッブと呼んでくれ!!」

 

fateのノブナガが居る!?ミヅキは心の中で叫んだ。因みにノッブのパートナーはヘルガー。

 

「私、ホシ!!此方は私のパートナーのバンバドロ」

 

そして成長したカキの妹のホシ。出しているパートナーはバンバドロ。

 

「ホウだよ!!」

「スイだよ!!」

 

そしてスイレンの妹であるホウとスイ。ホウはエンペルトを出しており、スイはグレイシアを出している。

 

そして…

 

「えっ!?ヒカリさんに似てる!?」

 

そこには少女時代のヒカリにそっくりな少女が居たのだ。いや、そっくりではない…気味が悪いほどにそっくりだ。

 

「ヒカリさんにはもう会った?私はショウ、戸籍的にはホワイトさんの妹なの。宜しくね」

 

そんなヒカリそっくりな女の子。彼女はショウ。ショウはボールからパルキア、ジュナイパーに良く似たポケモン、2回り大きいイーブイを出していた。

 

「えっ?何ですか?そのジュナイパーにそっくりなポケモンは?」

 

ミヅキちゃんはスマホを出して図鑑アプリを起動させ、ジュナイパー?をスキャンする。すると…

 

「えっ?ジュナイパーのシンオウの姿!?御三家の御当地フォームってどう言うこと!?」

 

ミヅキちゃん。転生前は知ることは無かったヒスイジュナイパー(今の時代ではシンオウ)を知るのだった。

因みにヒスイジュナイパーのタイプは格闘と草である。波動弾が音もなく炸裂する。

 

「てか、パルキア!?パルキアっ!?えっ?えっぇぇぇ!!」

「カンナギのカラシナ考古学研究所に、ディアルガも居るよ。今はディアルガとパルキアは定期的に入れ換えて使ってるんだ」

 

 

 

その頃のニホン、シンオウ地方のカンナギタウン。

 

シンオウチャンピオン親子ことシロナとホワイトの故郷。そんなカンナギタウンにはシロナさんのお婆様であるカラシナ博士とその孫(シロナさんの姉)が切り盛りする研究所が存在している。

そんなカラシナ考古学研究所。手持ちを入れ換えるシロナ、ホワイト、ショウのポケモン達を預かっているのだが…そこは第二のオーキド研究所と成り果てていた。

 

「レジ」

 

「レジ」

 

「レジ!!」

 

「レジ!!」

 

シロナさんの仕事の付き添いで遺跡にやって来たホワイトが捕まえたレジ軍団が…アイドルグループ顔負けのキレキレっなダンスを踊っていたり。

 

「ディグゥゥルル」

 

ショウのディアルガがごろ寝してたり…なんか、いように大きなポケモン達が居たりする魔境と成り果てていた。だが、オーキド研究所のようにミュウツー・マサラの姿が人々にアッセイしてこないので安全ではある。

 

「…本当にシロナ伯母さんとホワイトは勿論、ショウのポケモンってどうなってるんだろう。あのヘラクロスやギャロップ…デカすぎない!?」

 

そんな第三の魔境カラシナ考古学研究所に預けられたポケモン達を世話するシロナさんの姪 映画ヒロインことマコトは唖然としていたのだった。




マコトとシロナさんは公式でも親戚らしいです。


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幕間 ショウは異世界人

ショウちゃんって、一歩間違えれば闇落ち間違いなしですからね。

アルセウスのネタバレが有りますので、やってない方はご注意


「並行世界の私がやらかした。手を貸して欲しい」

 

ミヅキが転入する半年前。

シンオウチャンピオンを引き継ぐ準備でシンオウ地方に滞在していたホワイト青年17歳。そんなポケモンスクール高校二年生に成長していたホワイトの目の前に、アルセウスが降臨したのだ。

 

「神様どうしたの?」

 

この世界の神とも言える圧倒的力を誇るアルセウス。一応、かつて滅んだ虹ロケット団等の並行世界からやって来た悪い連中に捕まえられないように、ID上はサトシのポケモンと成っている神様である。

そんなアルセウスがサトシでもレッドでもなく、まさかのホワイトを頼って現れたのだ。

 

「神様のお願いならサトシお兄ちゃんや、レッドさんが適任じゃないの?」

「いや。タイムパラドックスが起きない事を考えれば君が一番望ましい」

 

タイムパラドックスが起きる。神様であるアルセウスはそう告げた。と言うことは時間が関係し、もしかすれば過去に飛ばされて過去で何かを行う必要があるのだろう。

過去、サトシも少年時代にヒカリとタケシと旅していた際に、人類への怒りで人間を全て滅ぼそうとしてしまったアルセウスの怒りの根本を断つためにディアルガがサトシ御一行を3000年前のシンオウに送った事も有るのだ。

 

「なんで僕?」

「サトシを送り込んだ場合、まだ荒神だったギラティナがその時点で懐く等のハッピーエンドなタイムパラドックスが発生する。だが、そうなるとこの時代で存在する一部の人間が存在しなくなってしまう。

レッドかリンドウを送り込むと、事件の元凶が再起不能、そしてナナカマドの祖父もリンドウとレッドの逆鱗に触れて再起不能。この3人を送り込むと、間違いなくタイムパラドックスが起こる。だが、君を送り込むとタイムパラドックスの影響は限りなく少ないし…実力的に問題はない」

 

どうしてホワイトなのかと言うと、これには訳があった。

先ず、我らがアニメ主人公であるサトシ君を送り込むと…その時代では間違いなく大団円なハッピーエンドを迎えるだろう。だが、その結果的に未来が変わり本来生まれるべきだった人間が産まれなくなってしまう可能性も出てくるのだ。

 

そしてレッドとリンドウを送り込んだ場合。黒幕はギエピーの手で再起不能なトラウマを植え付けられ引きこもり化。ナナカマド博士の祖父とミツルの曾祖父は教育者であるリンドウの逆鱗に触れて半殺しにされ、そしてギエピーの手でトラウマを植え付けられてコトブキシティが歴史から消滅する。

 

「だから君だ」

「へー」

「実はな…」

 

アルセウスはそう告げ、更に説明してくれた。

何でも並行世界のアルセウス(女性人格)がポケモンが存在しない世界から、ヒカリのそっくりさんであるショウという女の子をこの世界の明治時代に送り込んでしまったのだ。しかも、録にバックアップ体制無しで送り込み…その時代では人間とポケモンは未だ信頼関係を結べておらず、兎に角危ない時代。科学技術もなんとかモンスターボールが開発されたばかり(ボールがちっちゃくなる機能は無し)という頃で、並行世界から飛ばされたなんて言えば間違いなく怪しまれ…最悪は野垂れ死んでしまう。

 

「君の任務は1つ。並行世界の私が録なサポートもせずに送り込んだ少女…ヒカリの瓜二つな少女 ショウのサポートをしながらショウを()()()()()から守ってくれ。

かつて、君がヒカリやシロナ、リンドウやサトシからしてもらったようにだ」

「オーケー!!任せて!!」

「序に現地での活動資金の為に、金の玉300個を託そう」

 

明治時代なのでホワイトが持ってるクレカや今の現金は使えない。なので必要ならば現地で金の玉を売り、活動資金を作れと言うことである。

因みに当時(明治時代)1円=今の3800円の価値である。そしてレジェンズをプレイした皆、我々がシュウゾウに渡した金額…現代で言えば三億円以上のお金を渡している事に成るのだ。鬼かシュウゾウ!!

 

「えっ?現金じゃないの?」

「当時の円と今の円の価値は違うし、今の円は使えないのだ。それに当時は4円有れば、Switch買えるぞ」

 

こうして、ホワイト青年は明治時代に飛ばされた。

 

そしてアルセウスはショウを送り込んだ別世界のアルセウスにお説教を行うために何処かに行った。

 

 

明治時代。

 

ホワイトがアルセウス様のサポート付きでタイムスリップしてから1ヶ月後。ホワイトは旅芸人と称して当時のシンオウ地方……ヒスイ地方に滞在していた。なお、その時に拠点として未来のカンナギタウンの場所にある古の隠れ里に住まう…シロナの色違いとも言える女性 コギトだけには正体を明かして居候させて貰っていた。

 

「しかし青年。お主、ハルモニア王の御子息に瓜二つじゃの。末裔か?」

「ハルモニアって誰ですか?」

 

なお、居候の際にそう問われたらしい。

 

「おお!!ハルモニア王の息子である王子か!!大きくなったな?3000年ぶりだ、カロスの王AZだ!!元気だったか?」

「人違いです」

 

なんか、物凄く背丈が大きな男性にも絡まれたが…気にしてはいけない。

 

その後、ホワイトは無事にコトブキ村(後のコトブキシティ。当時唯一の村)に出入りする資格を得て、コトブキ村に入る。そして、ヒカリそっくりの少女 ショウとコンタクトに成功し、ショウの先輩であるテルやラベン博士、シマボシ隊長とコンタクトに成功。彼らとも友好的な関係を結べたが…ある日のこと。

 

「あれ?もしかしてショウちゃん?」

 

なんか、空が怪しげな空に成った頃。当時のマサゴタウン付近で、意気消沈しているショウをホワイトは見付けたのだ。

 

「ホワイトさん…実は…」

 

ショウは語り出す。

ショウはポケモンが存在しない世界から、アルセウスと名乗る声に導かれてこの世界に来たらしい。ショウが暮らしていた世界ではポケモンは存在せず、代わりに動物と呼ばれる生き物が住んでいたそうだ。そんな平和な世界から、ポケモンが暮らす魑魅魍魎な世界に飛ばされたショウ。元の時代と異なり、明治時代に飛ばされ…生きるために今日のご飯を食べるために仕方なくギンガ団に所属した。

その後、ポケモンを捕まえてポケモンの研究に貢献したり、荒ぶるキングを沈めたりと活躍していた。村の人達のお願いも良く聞いていた。だが、今朝…空に異変が生じてショウはコトブキ村の長であるギンガ団の団長デンボクの言葉でコトブキ村を追放。ギンガ団調査隊の身分も剥奪され、ベースキャンプも使えない。言うならば「外で野垂れ死にしろ」と命令されたも同然なのだ。

 

だが、ショウを庇う人物は少ないが居た。それは先輩であるテル、ラベン博士、シマボシ隊長、そして前からヒスイ地方に住んでいた部族であるコンゴウ団とシンジュ団の団長であったセキとカイだ。

しかし、味方に成ってくれたのはこの5人だけ。他の人はショウへの恩義も全て忘れたかのように拒絶。誹謗や罵声を浴びさせ拒絶するように村から追い出した。

こうみえてショウは食文化も栄えた時代と世界出身の為(平成産まれ)か、この世界の人々(明治産まれ)より発育は良く…15歳と言う事に成ってるが本当は13歳の中学生。こんな無茶振りと酷すぎる仕打ちなんて、耐えられない。

 

「大丈夫!君の事は僕が護るさ!!」

 

だが、ホワイトは此処では旅芸人と名乗ってる。ショウを助けても問題はない。

 

「でも…その前に…ガブリアス。撮影に使う位手加減して破壊光線。目標はギンガ団本部の3階。但し、絶対に殺すな。

ミロカロスはサイコパワーで此処から確実に銀河団本部3階に破壊光線が当たるようにサポート」

 

ホワイトは腰ベルトに提げたショウの知らないモンスターボールらしき小さな球を2つとると、真ん中のボタンを押す。するとボールは大きくなり、中から少し小柄なガブリアスとミロカロスが飛び出した。

 

その1分後。

 

「ホンゲェェェェーー!!」

「団長の部屋がぶっ壊れた!?」

 

コトブキ村にある赤レンガのギンガ団本部の3階。そこに超遠距離から破壊光線の狙撃が直撃し、デンボクの部屋は木っ端微塵に破壊され…デンボクはアフロと成った。なお、ホワイトのガブリアスが撮影程度に手加減した為か、一応無傷。

 

「誰かは知らんが…良くやった(ボソボソ声)」

「シマボシ隊長…声に出てますよ」

 

 

その後。ホワイト、コギト、その後合流したカイとセキの助力で神器 赤い鎖をゲットしたショウ。

 

彼女はホワイト、カイ、セキと共にテンガン山に登り山頂の神殿を目指す。のだが、その道中で白い装飾を纏った忍者が襲い掛かってきた。

 

「悪いが、お前達は此処で始末する。死んで貰うぞ」

 

と忍者が言ってきた。始末する…つまり、この後はホワイトとショウをポケモンと忍の技で殺すのだろう。ポケモンバトルで勝ったとしても、此方を物理で殺してくるかも知れない。なので…

 

「イーブイ、()()()()()()()()。カイロスさん、あの忍者を拘束して」

「ブイ!!」

「マカセロス」

 

忍者のポケモンはイーブイの手で秒殺。その後、カイロスさんのボディーブローで忍者は完全に沈黙した。

 

「ワシは…殺すつもりはないんじゃが…ぐふ」

「じゃあ、足留めって言いなよ。リンドウ先生が昔言ってたロケット団と同じかと思ったじゃないか」

 

忍者こと芋爺さん、沈黙!!

 

 

 

その後、なんやかんやあってショウちゃんがディアルガとパルキアを捕まえて無事に事件は解決。だったのだが…

 

「うむ!!流石はショウだな!!」

 

「凄いじゃないか!!」

 

「ありがとよ!!俺は信じてたぜ!!」

 

デンボク、あと何故か包帯グルグル巻きと成った料理人のムベ、ギンガ団の警備隊を含めた村人達が掌を再び返してショウを称え出したのだ。

 

掌返して認められる→掌を返して追放…実質の死刑宣告→事件を解決すれば三度掌を返して英雄扱い。

 

そんな境遇に年頃の少女が耐えられる筈がなく…ショウの心はダメージを負ってしまう。

 

「ショウちゃん。僕の時代に来る?」

 

これ以上、コトブキ村に居ればショウの心が危ない。そう確信したホワイトはショウを令和の時代に連れ帰る事を決意した。

 

なお、寿命が無いディアルガとパルキアは現地滞在、未来で合流である。

 

 

 

 

 

 

 

「リンドウ先生。戸籍ってどう作るの?」

「えっ?ディアルガを連れた写真の少女?ヒカリの御先祖じゃ無かったのか!?」

 

そしてリンドウ、数年越しにディアルガとパルキアを手持ちに加えた少女の意味を知る。

 

「てか、ホワイト。そこのマイキーみたいな青年と薄着の女の子は誰だ?」

「なんで2人いんの!?」

 

あともう2人、タイムトラベルしてしまった模様。

 

「カイとセキが未来に来てもタイムパラドックスは起きないからな」

 

アルセウス様のお言葉であった。

 




ウォロ「プレート、未来に持っていかれた!!」

ウォロさん。ホワイトのお陰で野望が潰える(笑)なお、ホワイトに勝負を挑んでも限界強化キュレムが降臨するので、野望は達成出来ない模様。



因みにサトシが送り込まれるとハッピーエンド(ハッピーエンド過ぎてタイムパラドックス発生)なのだが、タイムパラドックス発生。

レッド派遣=芋爺さん、黒焦げ。デンボクはギエピートラウマで再起不能、銀河団本部…倒壊!!あと、ウォロさん…ギエピーの手でトラウマコース

リンドウ派遣=子供(ショウ)を蔑ろにするデンボクと村人の行為が逆鱗に触れ、メガリザードンXとゲンシグラードンが降臨する。銀河団本部は粉砕、コトブキ村は干からびる。


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休み時間 7年後のキャラ紹介

7年後のメインキャラを取りあえず纏めました。


リンドウ

職業ポケモントレーナー、ポケモン博士、教師。

肩書き ホウエンチャンピオン。

手持ち リーフィア、エンペルト、ボスゴドラ、ルカリオ、キズナグラードン、メガリザードンX。控えメンバー ミカルゲ、ボーマンダ、その他諸々。

説明。御存知、この作品の主人公。30の壁を突破したが外見年齢は全く老けていない。世界ランク2位~3位を転々としており…そろそろサトシ達には自分を越えて欲しいと思っている。サトシ達が卒業した後でも遠くに離れていても連絡を取り合い、アドバイスを送っている。なお、近年の防衛戦ではリザードンとグラードンの出番がなく…ボスゴドラの諸刃の頭突きで終わる。

 

ブルー

職業ポケモントレーナー、専業主婦(但し料理は出来ない)。

肩書き ホウエンチャンピオンの嫁。

年齢と体重は完全に秘密扱いである。

説明。リンドウ、レッド、グリーンと共にマサラタウンから旅立った始まりの4人の1人。今でもポケモントレーナーとしてトップレベルに強いが、チャンピオンシップには不参加であり世界ランクには登録されていない。相変わらず、料理は出来ず…卵焼きは真っ黒に焦げる。一児の母親だが、実質アセロラも含めれば二児の母親。

 

ホウエン四天王

実はプリムとゲンジが脱退し、2人の人物が加入。因みにゲンジは定年退職。果たして…誰なのやら?

 

サトシ

職業ポケモントレーナー、リサーチフェロー(アローラの)

肩書き アローラチャンピオン、新世代筆頭の1人

説明。我等がアニメ主人公の成長した姿。成人しているが、アローラではお酒は21歳からなのでククイ博士やリンドウと一緒に酒を飲むことは出来ない…あと数ヶ月待つのだ。御存知、この頃では作中トップレベルに強くアローラリーグのチャンピオンの座を無敗で護っている。相棒は勿論ピカチュウであり、選抜メンバーはその時の気分で変えているが…ホワイトが中学最後の思い出作りでアローラ制圧に乗り出した時は流石にガチメンバーを選出した。

アローラリーグのシーズン中はチャンピオンとして多忙だが、シーズンオフ時はククイ博士やリンドウ博士…あとオーキド校長のリサーチフェローとして色んな所を冒険して調査している。

だが、女性の好意には全く気付いていない。彼と結ばれるには…逆プロポーズしかダメだろう。

 

セレナ

職業ポケモントレーナー、ポケモンパファーマー、ポケモンスクール教員。

肩書き 女子力最強ヒロイン(ヒロイン連中の中では)、アローラクイーン。

説明、多分…サトシの将来の嫁。捕まえたポケモンはサトシヒロインの中ではダントツで少なく…ボックス預けは利用しなくて良い程である。サトシのヒロインでは料理が物凄く上手であり、裁縫上手でもある。

コンテストでも日々活躍しており、ポケモンスクールでは学年問わず生徒達にポケモンコンテストの素晴らしさを教えたり、演技指導等を行う実技教員であった。しかし、現在はトライポカロンに再チャレンジを行うためかカロスに居ており…セレナの代理でヒカリが実技の臨時教員と成っている。余談だが、スタイル抜群で中高生からの人気は凄く…ファンクラブが有るとか。

 

ククイ博士

職業ポケモントレーナー、ポケモン博士、ポケモンスクール教員、プロレスラー、アローラリーグ委員長。

肩書き ロイヤルマスク。

説明、サトシの養父であり名実ともにもう1人の父親とも言える男。サトシとセレナを含め、バーネット博士との間に二児の子宝に恵まれた四児の父親。

現在はアローラリーグ委員長として日々活動しており、多忙だが充実した日々を過ごしている。アローラリーグの開催が近付くと休みがほぼ無くなるが、その頃はセレナやラティアスが家事を代行してくれるので問題はない。そしてビーレジェンドは変わらず愛用しているが……サトシははまってくれなかった。

 

レイ

職業 ポケモンスクール学生(ジュニアスクール)

肩書き サトシの弟。

説明 新無印にも出てきたククイ博士の息子。7歳であり、父や兄に憧れてかニャビーを最初のパートナーに選んだ。

 

リーフ

職業 幼稚園児

肩書き リンドウの娘。

4歳であるリンドウとブルーの愛娘。母親に物凄くそっくりであり、成長するとファイヤーレッドの女主人公に成長する。まだ自分のポケモンは持ってないが、最初のポケモンはカントー御三家が良い模様。

 

ミヅキちゃん

職業 ポケモントレーナー、ポケモンスクール学生。

肩書き 転生者2号。リーリエの教え子。

サトシのアローラチャンピオン就任7年後にアローラ地方にやって来た、産まれるのが7年ほど遅かったウルトラサンムーン主人公。島キングのハウからモクローを貰い受け、モクローと頑張って魔境アローラを満喫中。クラスメートは全員…何処かで見たような作品の方々。

 

ミヅキちゃんのクラスメート。

ミユ、イリヤ、ケンタ、ジョウスケ。何処から見ても別作品の方々であった。因みにミユのパートナーはポッチャマ、イリヤはガラルポニータ、ケンタがヨマワル、ジョウスケがヤナップとズルズキンだとか。

 

リーリエ

職業 ポケモントレーナー、ポケモンスクール教員。

肩書き エーテル財団代表の妹。

大人に成ったリーリエ。ポケモンスクールの高等部卒業後、短大で教員免許を取得してポケモンスクールの教員に成ったリーリエ。スタイル抜群の美女であり、手持ちはフェアリータイプが多く…イベルタルとソルガレオを手持ちに入れたヤヴェー若手教師。教え子に何かがあると、ソルガレオとイベルタルが降臨する。因みにミヅキ達が初めて受け持つ教え子であるとか。

 

スイレン

職業ポケモントレーナー、ジムリーダー。

肩書き アローラ最強のジムリーダー。

大人に成ったスイレン。伝説のポケモン、カイオーガを切札に持つアローラで最強のジムリーダー。アローラとニホン以外では間違いなくチャンピオンに成れるヤヴェーお方。なお、ホワイト降臨事件と覚醒ユリーカ降臨事件以外ではスイレンが決まってチャンピオン防衛戦でサトシと戦う事に成るとか。

因みに手持ちはガチガチの雨パ。

 

マオ

職業ポケモントレーナー、アイナ食堂の看板娘、ジムリーダー。

肩書き アローラトップクラスのジムリーダー。

大人に成ったマオ。手持ちであるアマージョ、女好きジュカイン、ユレイドル、シェイミがお店を手伝ってくれる事もある。ヒロイン勢の中では料理の腕前は最強(タケシ除く)であり、彼女の作る料理はリンドウやミヅキちゃん達も大満足。

 

カキ

職業ポケモントレーナー、ジムリーダー、牧場マン。

肩書き アーカラの燃える男。

半裸は辞めてTシャツを着ている。アローラでも指折りに強いジムリーダーであり、シーズンオフはポケモンを鍛えながら牧場を運営している。因みに未だにシスコンであり、ホシがアローラリーグ本選でホウに負けた際は大号泣してしまった。

 

マーマネ

職業ポケモントレーナー、ジムリーダー、ホクラニ展望台スタッフ。

肩書き 雷撃のメカニック。

実家であるメレメレ島を離れてウラウラ島で暮らしている。アローラが誇るジムリーダーであり、ジムリーダーの中では実力は上位に食い込む。電気タイプの使い手であり、シーズンオフはホクラニ展望台でパートナーのポケモン達と共に宇宙に関する発明を行っている。

 

アセロラ

職業ポケモントレーナー、ジムリーダー、図書館館長。

肩書き 古代のプリンセス。

ウラウラ島の図書館をジムに改装した古代のプリンセス。勿論、手持ちは全てゴーストタイプで構成されており、孤児だった頃にリンドウに育てられた経験の為なのかオフは様々な絵本を持ってウラウラ島の孤児院に言っては読み聞かせを行っている。なお、毎週日曜日には必ずリンドウ宅に帰ってくるとか。

 

レッド

職業ポケモントレーナー、ポケモンリーグ本部スタッフ、マサラハウス不定期シェフ。

肩書き 原点にして頂点、ポケモンマスター、カントーチャンピオン。

説明。この作品最強のポケモントレーナー。彼に勝つことが出来るのは…居ません!!ワンチャン、ホワイトがコンテストすててバトルに専念してたら勝てる可能性が有った模様。因みに7年後でもリンドウやブルーと同じく全く老けておらず…老い知らず。

趣味は白銀山でキャンプであり、彼の作るカレーライスは世界でトップレベルに美味しい。カントーリーグがシーズンオフ限定だが、運が良ければマサラタウンのマサラハウスでシェフをしている。料理の腕前だが、あのタケシより旨いとの噂がある。

 

ギエピー

ギャグポケモン。ギャグ補正の塊であり、説明不要。絶対に死なない(笑)

 

タケシ

職業 ポケモントレーナー、ポケモンブリーダー、ポケモンドクター。

肩書き 伝説の保護者ヒロイン(?)

御存知、ピカチュウを除き…もっともサトシの隣に立ち続けた偉大なる男。7年後の未来でもポケモンドクターとして活動しており、色んな所を転々としている。因みに相変わらずお姉さんが好きであり…一度ライチさんとくっつきかけたとか。そのライチさんとの出来事は本編で明らかになる模様。因みに作者がアニポケで一番好きな人間はタケシである!!

 

ヒカリ

職業 ポケモントレーナー、ポケモンコーディネーター、ポケモンスクール臨時講師。

肩書き シンオウ地方トップコーディネーター

セレナの代理としてセレナのトライポカロン再挑戦の間だけ、ポケモンスクールでコンテストの実技教員を担当する事と成った臨時講師。なお、彼女が選ばれた訳はコンテストの経験豊富で…アローラに滞在場所(ホワイトの別荘)が有った為である。なお、トップコーディネーターに成った翌年…弟はニホン全てのトップコーディネーターに同時に成ってミクリ以来のコンテストマスターと成ってしまった模様。

ケンゴ某さんに好意を寄せられてるが…ホワイトが「お姉ちゃんとショウがお嫁に欲しいなら、本気の僕の手持ちを半壊させて…キュレムとディアルガとパルキアの面接を突破してね」と言った為か…ケンゴ某さん達は告白出来てないとか。

 

ホワイト

職業 ポケモンスクール学生(高等部)、ポケモントレーナー、ポケモンパフォーマー、ポケモンプロデューサー、俳優、デザイナー、リサーチフェロー(主にシロナさんの)

肩書き 白い悪魔、コンテストマスター、シンオウチャンピオン、灰色の英雄、○○イッシュの○子(見抜いたのはコギトとAZだけ。本人は気付いていない)、ポケウッドの俳優、流派東方不敗免許皆伝。

説明。高校生に成ったホワイト。既にリンドウやグリーン、サトシ程に強くなった天才。なお、彼の本業はポケモンバトルではなく、コンテストやパフォーマンスであり、俳優やポケモン衣装のデザイナーとして活躍している……バトルに専念したらどれほど強くなったのだろうか?

因みにデントやタケシから料理を教わった為か、料理の腕前はタケシに迫りつつある。アローラ滞在時はメレメレ島の別荘に滞在しており、そこでヒカリ、ショウ、カイとセキと共に5人暮らし。なお、ホワイトが仕事で遠出するとヒカリ達はアイナ食堂を利用したりする。

シロナさんのリサーチフェローとして活動する時は、遺跡等に赴く。

因みに…ホワイトと結婚する場合……シロナママ、ヒカリお姉ちゃん、キュレムパパの面接を突破する必要がある。なお、突破できたのはアローラルートでは五等分の花嫁の1人、ifルートで突破出来たのはカイだけ。

手持ちは相棒イーブイ、カイロスさん、ミロカロス、コライドン(メガシンカ可能)←確定メンバー。鬼札としてトゥルーキュレム(訳有って常時トゥルーキュレム)。入れかえメンバー→メガニウム(シンオウのリージョンフォーム)、ガブリアス、アーマーガア、シンオウウォーグル、レジアイドル軍団、等々。

 

ホワイトのクラスメート。

中学時代はホワイトと共にリンドウから教えられ、高校生からはレジェンド サオリ先生から教えて貰う。

主なクラスメートは何処かで見た五等分の花嫁+その家庭教師、そして高校2年生からカイとセキが編入する。

 

セキ

職業ポケモントレーナー

肩書き コンゴウ団団長。

アルセウス様の導きでタイムスリップした兄気風の男。タイムスリップしてからモンスターボールにパートナーを登録してる。自販機やウォシュレットに驚く日々が待っている。

 

カイ

職業ポケモントレーナー

肩書き シンジュ団団長

アルセウス様の導きでタイムスリップしたホワイトと同年代の少女。メンヘラの気質が有るとか。

 

ショウ

職業ポケモントレーナー、ポケモンスクール学生。

肩書き 自称なろう小説を経験した少女。

レジェンズアルセウスの女主人公。並行世界のアルセウスの気紛れでポケモンが存在しない世界から、この世界の明治時代のヒスイ地方に飛ばされた少女。

この世界のアルセウスがショウを想い、ホワイトを派遣した結果…ホワイトの決断で令和にタイムスリップ。一応、戸籍的にはホワイトの妹だとか。ヒカリの少女時代と瓜二つの見た目をしている。

手持ち シンオウジュナイパー(ヒスイジュナイパー)、シンオウダイケンキ(ヒスイダイケンキ)、ディアルガorパルキア、オヤブンイーブイ←確定メンバー。入れかえメンバー→シンオウゾロアーク(ヒスイゾロアーク)、バサギリ、ムクホーク、レントラー、ルカリオ等々。

 

シンオウ四天王。

全員変わってる。なお、四人中三人はダイパに出てきました(笑)

 

ショウのクラスメート。

ショウと共にリンドウの元で勉学に励む仲間。

ホウとスイ、スイレンの妹2人。カキの妹であるホシ。織田信長(ポケナガ)の子孫であるノッブがクラスメート。

ホウはエンペルト、スイはグレイシア、ホシはバンバドロ、ノッブはヘルガーを連れ歩きのパートナーとしている。因みに…ノッブの御先祖は色違いのレックウザを手持ちにしてたとか。

 

ユウリ

職業ポケモントレーナー、ポケモンスクール学生

ミヅキちゃんの後のライバル。ミヅキやリンドウと同じく転生者だが、お互いに転生者だとは知らない。ガラルリーグの参加推薦が受けられず…仕方なくアローラ留学した過去を持っている。なお、ショウに勝負を挑み…敗北した過去がある。現在はけーね先生ことケイネ先生が担任である。コンテストにも興味があり、ヒカリからコンテストの指導も受けてるとか。

手持ちはエースバーン、ウオノラゴン、ウールー。

 




果たして…新たな四天王は誰なのやら(笑)


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108時限目

ディアルガとパルキア…早まる(笑)


ショウのディアルガとパルキアはサトシが過去に遭遇した個体とは別個体である。と言うのもサトシがかつて遭遇したディアルガとバカヤロー!!と叫ばれて精神的にダメージを受けたパルキアの他にも……ディアルガとパルキアは存在しているのだ。

 

と言うのもディアルガとパルキアとギラティナ。アルセウスがその気に成れば無から産み出すことが可能であり、アルセウスは昨年度にも無からギラティナの卵を産み出してはゴールドに挙げた事もある。

サトシのギラティナは勿論、サトシのギラティナと同時期に産み出されたシンオウ映画皆勤賞のディアルガとバカヤローのパルキアは怪獣サイズはあり…ショウのディアルガとパルキアより一回りほど大きい…言うならばオヤブン個体とも言えるだろう。ショウのディアルガは5メートル程だが、サトシがかつて遭遇したディアルガはそれよりも大きかったのだ。

 

「ディァァルガ!!」

「パルキュュア!!」

 

そんなディアルガとパルキア。まさかのアローラの大地に降臨。メレメレ島の朝日を浴びてか神々しく輝いており、サトシとセレナの目の前に現れたのだ。

 

「サトシ!?このポケモンって…」

「ああ!!ディアルガとパルキアだ!!俺の友達だよ」

 

サトシは今まで数多の伝説のポケモンと出会っては友達と成ってきた。ミュウツーは次男(逆襲)と妹(覚醒姉御)と心を通わせたし、ルギアだって友達と成った。更には神とも言えるアルセウスとも友人となった男である。

しかし、そんなサトシはアローラに遊びに来たディアルガとパルキアを良く見て違和感に気付く。

 

「あれ?」

「ピカッ?」

 

なんか…前会ったときと比べて縮んだ?

 

そう、目の前のディアルガとパルキアはサトシが過去に友達と成ったディアルガとパルキアよりも小さいのだ。だが小さいと言えど…成体と成っている伝説のポケモン。サトシが過去に出会ったディアルガよりは小さいが、それでも5メートルはあり…キュレムやレシラムと同じぐらいの大きさをしており、充分に大きい。

 

「いや…そんな訳は」

 

ディアルガとパルキアがこの世界に2頭いた。別に可笑しな話ではない。伝説厨のタクト君だってレックウザとグラードンを持ってたし、もしかしたらアルセウスが複数造ってたかも知れないのだから。

 

「記録!!記録ロト!!」

 

だが、珍しいポケモンが居れば記録してしまうポケモン図鑑が此処に居た。最近、めっぽう出番が少なくなり最早…空気と成り果ててきたロトム図鑑であった。

ロトムはディアルガとパルキアを記録するためか、カメラ機能でスキャンする。だが、ある意味それが間違いだったのかも知れない。何故なら、このディアルガとパルキアは

 

「ロト!?大変ロト!!そんな事がある筈ないロト!!」

 

明治初期にモンスターボールが捕獲されており、IDが存在していた。しかもディアルガとパルキアのIDは同一、つまり同じトレーナーがこのディアルガとパルキアを捕獲してパートナーにしたのである。

 

「このディアルガとパルキア…明治時代に捕獲されてるロト!!そんな…そんなバカな事が有るのかロト!?モンスターボールが発明されたばかりの頃だロト!!

ボールの性能も今より低く、ポケモンの事が良く分かってなくて多くの人々がポケモンを恐れてた時代だロト!!手持ちだって6匹全部埋めてた人は誰も居なかった筈なのに!!」

 

あり得ない…そうあり得ないのだ。ディアルガとパルキアを捕まえることがあり得ないのではない。

ロトムは図鑑の莫大なデータを蓄えて記録している故に、ポケモンの本格的な記録が始まってからの歴史は詳しい。そんなロトムは知っているのだ、明治初期とそれ以前に存在していたポケモンと人間の壁と言える魑魅魍魎な時代の事を。

事実、明治以前の江戸時代末期の事だ…ジョウト地方の怒りの湖にはかつて集落が存在していた。しかし、江戸末期に怒りの湖に生息していたギャラドスが大勢の人々を襲い多くの被害者が出たのだ。多くの人がポケモンを恐れ、ポケモンに恐怖を抱いていた。狂暴なポケモンに集落を潰されるなんて結構有った残酷な時代であった。

 

「グルルル!!」

「ガルルル!!」

 

だが、ロトムの言葉が気に入らなかったのか…ディアルガとパルキアは唸り声を小さく挙げる。そして、ロトムの脳内にテレパシーを使い直接話し掛けてきた。

 

『貴様…ショウを…俺達のお嬢がなんだって?』

 

先ずディアルガがテレパシーで伝え

 

『我等のお嬢に文句が有るのですか?』

 

パルキアがテレパシーで伝える。勿論、ロトムだけにテレパシーを使ってるのでサトシ達には伝わっていない。

 

『『む?あれは……ホワイト先輩!!キュレムの叔父貴!!そしてマイエンジェル!!』』

 

だが、パルキアとディアルガは何かに気付いたのか…メインストリートの方を向いて笑顔を浮かべた。彼等の視線の先にはマラサダを食べながら歩くヒカリとホワイト、そして2人を見守るキュレムが居たのだった。

 

『まてパルキア。ホワイト先輩…なんかちっちゃくね?俺達の知ってる先輩は身長176センチは有るよな?』

『なんか、あのホワイト先輩…小学生位だな。マイエンジェルより小さくないか?はっ!?まさか、今は平成!?来る時間間違えちまったよ!!数年早かったよ!!』

『てっ事はあのマイエンジェルはマイエンジェルではなく、ヒカリの姐さん!?姐さんじゃないか!!ポッチャマ連れてるしよ!!』

 

その瞬間…ディアルガとパルキアは何かが有ったのか…突如としてムンクの叫びのような表情をしたのだ。

何故ならこのディアルガとパルキア…実はショウのディアルガとパルキアであり、のんびり100年以上の永い年月、令和にタイムスリップしたショウを待っていたのだ。そんなディアルガとパルキアは久々…地上に出てきて文明が発展した事を受けて時が来たと思いやって来た。しかし、時が7年早すぎたのだ。

 

『帰るぜブラザー。俺達は速すぎたんだ』

『だな。7年後…またアローラに来よう』

 

そしてサトシとセレナには伝わらず、ディアルガとパルキアは帰っていった。

 

「どうしたんだろう…」

「なんだったんだろうね」

「ピカ…」

 

なお、サトシがさっきのディアルガとパルキアと再会するのは7年後であった。

 

 

 

 

「マーマネ、アセロラ。お前達には黙っていたがシビシラスとヒトモシはお前達に託すつもりで預けた。お前達が良かったら、このままパートナーにしてくれ」

「いいの!?」

「本当に!?」

 

一方…マーマネとアセロラ。リンドウから正式にシビシラスとヒトモシを貰い受ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、此処から遥かに遠い所。

 

「シカリ…シカリ……シカリ!!」

 

光を喪いし、光の神が助けを求めて我を忘れて動き出す。

 

――見えない…何も見えない。照らせない…照らせない…誰か…誰か…私を殺してくれ…もう抑えられない。我が友アルセウス…貴方ならどうする?貴方と違い、我が星の人間に裏切られた私はどうすれば良い?誰か…光を……光を…。

 

その神はかつての姿と異なり黒ずみ…光を無意識に求める。




ポケセン体験が終わり次第……輝き様を救えが始まります。


マスターオブパープル(リンドウ)、レジェンドオブレッド(レッド)がウルトラガーディアンズに参戦するまでもう少し。

???「おおう、圧政者よ」

序にまさかのアイツが登場フラグ!?どうなるの?輝き様救出編!!


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109時限目

ポケセンは便利である。今の世の中では無くてはならない代物だ。


ポケモンセンター。今の時代と成っては旅するポケモントレーナーに無くてはならない国営の施設であり、最早…生活の一部と成っている。

 

「ポケモンの回復をお願いします!!」

 

では此処で全てのポケモントレーナーが無料で使うことが出来る設備を教えよう。先ずは定番と言えるパートナーの回復が行えることである。ポケモンと共に旅を行うポケモントレーナーはポケモンの回復が必須と言えるだろう。ポケモントレーナーの中にはコンテストやパフォーマンスを目的とするコーディネーターも居るのは居るが、ポケモントレーナーの多くはチャンピオンを目指して各地方のジムリーダーに戦いを挑んではバッジを集めてリーグに挑んでいく。しかし、ポケモンを戦わせると言うことはパートナーはダメージを受けてしまう。そんな時は傷付いた仲間を回復させるために、ポケモンセンターに向かうのだ。

 

「はい。ではパートナーをお預りしますね」

 

普通に戦闘不能程度のダメージならば、僅か一瞬で回復できる。ポケモンセンター(あとオーキド研究所等々)には回復マシーンと呼ばれる物が設置されており、その回復マシーンにはモンスターボールをセットする所が6つある。どうして6つなのかと言うと、手持ちの上限は6つの為だ。

その回復マシーンにパートナーのポケモンが入ったボールをセットする。そしてポケモンセンターの職員さんが装置を操作するとあら不思議、あっという間にパートナーは全快するのだ。しかも無料…何百使ってもタダなのだ。さあ、ポケモントレーナーの皆!!パートナーが傷付いたらポケモンセンター…縮めてポケセンを使おう。

余談だが、この回復マシーン。モンスターボールを大きくした状態でセットするので…明治初期に開発された初期型モンスターボール(レジェンズアルセウス世代)でも使うことが出来る。最も初期型モンスターボール(パルキア入りオリジンボール)をジョーイさんに手渡すトレーナーは未来でも1人しか居ないのだが…。

 

「すいません。ディアルガやジュナイパー達は今のボールに鞍替えしたんですけど、パルキアだけは明治時代のボールなんですが大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ」

 

ボールにさえ入ってくれれば直ぐに回復できる。未来でショウちゃんとパルキアも御安心だ。

 

「すいません!!ピカチュウの治療をお願いします!!」

「ピカピカ!!」

 

「ごめんなさい!!このポッポ、野生なんですけどお願いします!!」

 

勿論…野生やボールに入ることがイヤなパートナーの治療も行ってくれる。その場合はジョーイさんやポケモンドクターの資格を持つ獣医が直接治療してくれる。少しめんどくさいかも知れないが、此方も無料で行ってくれる。

 

そして回復マシーンでは回復出来ないダメージを負ったポケモンは…

 

「タケシさん!!このニドラン息をしてません!!バ!!」

「奥に運んでくれ。それと採血の準備を」

 

緊急用の処置室でジョーイさんやポケモンドクターが直接治療を行い…何としてでも命を救う。なお、此方も無料である…本当に無料である。何故ならポケモンセンターは国費で運営されてるのだから。因みに人間の治療も行えるが、余程の重症ならば人間用の病院に行くべきである。

 

回復や治療は此処まで至れり尽くせり。だが、サービスは此処だけではない。

ポケモンセンターにはテレビ電話が行えるパソコンが置かれており、そのパソコンを通じることでポケモン預りサービスを行ってくれる人々や故郷に居る御家族とお話が出来るのだ。

 

「シロナ君、ヒカリ君久し振りだな」

「ええ、お久しぶりですナナカマド博士。それと、この子が手紙で前に伝えた息子のホワイトです。まあ、ヒカリさんの弟でも有るんですけどね」

「む?ホワイト?ホワイト!?………祖父の日記に記されていた恐ろしい程に強いポケモン使いと同じ名前だな。まさかとは思うが…金色の角を持つ紫の喋るカイロスや、地震の震動爆発で消えるように高速移動する小柄なガブリアス、異常に強いイーブイ、別次元に出鱈目なミロカロスとか持ってないよな?はは…」

 

なお、ナナカマド博士はホワイトの名前を聞いて何故か冷や汗を書いていた。ナナカマド博士の御先祖は生前に何かが有ったのだろう。

そして地元の博士やポケモン預りの人と連絡を取り合い、ポケモンを預けたり…ポケモンを送って貰う事も出来るのだ。科学の力ってスゲー!!しかし、ポケモンを送って貰うにはそのポケモンを登録したボールに入れる必要がある…なのでボールを嫌がるパートナーは瞬時に送れない。

 

 

そして旅をするトレーナーに嬉しい機能と言えば勿論、これである。

 

「ピエーイ!!ポケセンの宿泊はやっぱり旅の醍醐味だっピ!!」

「………」

「ピカピカ!!」

 

ポケセンにはトレーナーとその同行者限定だが、無料で利用できる宿泊施設が存在する。ポケモントレーナーは全国処か世界各地を旅する。リーグ制覇する為にバッジを集めて地方各地を巡る者、ポケモンの事を知りたくて純粋に世界各地を歩く者、トップコーディネーターに成るためにコンテストの頂点を目指す者…様々だが彼等はポケモントレーナーであり旅をしている。そんな彼等は旅先での宿でポケセンを利用できるのだ。しかも、中の食事もタダ、部屋代もタダ、お風呂も入れる。

今は昔と違ってポケセンの数も増えてきており、野宿する機会は物凄く減っている。とは言え、アローラではポケセンよりホテルに宿泊する観光客が大勢居ており…メレメレ島ハウオリ支店のポケモンで寝泊まるのはポケモンマスターレッド位である。

 

「どうぞ…此方当店自慢のブルーマウンテンです」

「………うん、良い味だ」

 

アローラのポケモンセンターでは中に喫茶店も存在しており、優雅にコーヒーや甘味も楽しめる。因みに此方は有料である……残念ながらタダでは無いのだ。

 

「いらっしゃい。今日はハイパーボールがオススメです」

 

アメリカ(イッシュやアローラ)、そしてカロスやガラル等の欧州ではフレンドリーショップがポケセンの中に併設されており、ポケモンの治療の傍らで旅の必須品を購入することが出来る。モンスターボール、傷薬、旅先での必要な物はお金に余裕が有れば購入しよう。

 

何と言う事でしょう。ポケモンセンターだけで宿泊、手持ちの回復、カフェでリフレッシュ、手持ちの交換、そして物資の購入…何でも出来るのだ。そんな旅人の守護神とも言える存在と成ったポケモンセンターにサトシ達は職業体験に向かうことと成ったのだ。

 

だが…此処で残念なお知らせが起きてしまった。

 

「ゴホゴホ!!頭がぼーとするわ」

 

世界中各国のポケモンセンターはジョーイさん一族が切り盛りしている。勿論、ジョーイさん一族で有りながらポケモンセンターのスタッフ以外の職に就くのは自由である。しかし、ポケモンセンターの勤務は国からお給料が支払われ、必用経費も国が負担してくれる。だが、その代わりと言って忙しいのだ。

 

その為か…メレメレ島ハウオリ支店のポケモンセンターに勤務するジョーイさんは風邪を拗らせてしまったのだ。

 

「うわ!?これは行けないわよ!!今日は休みなさい!!」

 

パートナーのハピナスとキュワワーに看病される20代前半のジョーイさん。彼女は母親である壮年のジョーイさん(以後ジョーイママ)とカフェ店長であるジョーイパパから休むように言われていた。

無理はない。ジョーイさんは発熱38度の高熱を出して、見事にダウンしていたのだ。

 

「でも…お母さんは夜勤でしょ?」

「それはそうだけど」

 

ジョーイママは悩む。何故なら今日はリンドウ率いるポケモンスクールの皆様が職業体験に来るのだ。ジョーイさんの代わりに、ジョーイママが指導しても良いのだがジョーイママは夜勤。ポケモンセンターは24時間営業なので、誰かが夜勤を勤務しないと回らないのだ。

 

「よーし!!僕に任せてよ!!」

 

と言ったのはハウオリ支店の末っ子ことアストルフォくん。彼はリンドウの同僚であるケイネ先生の教え子であり、サトシ達の先輩だ。

 

「いや、アストルフォは回復マシンしか使えないだろ」

 

だが、アストルフォくんは回復マシンしか使えない。それで良いのか、ジョーイ一族の男よ。

 

ママは夜勤、末っ子男子は回復マシンしか使えない、パパは中のカフェ店長兼料理担当。長女は風邪で行動不能、どうするべきか悩んでいると…

 

「ただいま」

「ぽわぐちょ」

 

新たな人物が帰ってきた。その人物はジョーイママの娘なのか、ジョーイ一族特有のピンクの髪をしており、歳はイリマ達と同年代だと思われる。あと、東の姿のトリトドンを連れ歩きしている。

 

「サクラ!!良いところに帰ってきたわね!!」

 

彼女はかつてリンドウの教え子であり、イリマや問題児ローランと共に青春を過ごした第一次問題児(チート)学年の紅一点の1人だったサクラである。なお、顔立ちはジョーイさんに似てない。

 

「お母さん、どうしたの?げっ!?姉さん、物凄い熱じゃない!?」

「サクラ。ポケモンドクターに成れたの?」

「えっ?まあ、成れたけど」

 

 

リンドウとククイ博士の教え子だったイリマ達。彼等は卒業後、各々の夢やリンドウの指示の元で様々な地方に向かった。イリマはカロス地方でカロスリーグに参戦したのだが…サトシとは当たることはなく本戦敗退。問題児ローランはジョウトリーグ優勝したがシルバーの手で瞬殺され、その後はオレンジ諸島をパン一で満喫。オリヴィエはガラルに飛んだのは良いがリーグの推薦が受けられず参加できなかったが…リア充に成った。

 

ではそんなサクラちゃんは何をしていたのか?それはカントーの医療学校でポケモンドクターに成るために勉学に励んでいたのだ。なお、医療学校の同期には我等がタケシも居る。無事にポケモンドクターの資格をゲットしたサクラは実家に帰ってきた…という訳である。余談だが次席であり、主席での卒業はタケシだったとか。

 

「じゃあ、日勤帯は任せたわよ!!今日、リンドウさんが貴方の後輩連れて職業体験に来るから!!」

「はぁぁぁあ!?」

「ぽわぐちょ!?」

 

 

 

 

 

 

「あれ?サクラ、ジョーイさん…お前のお姉さんは?」

「リンドウ先生。姉は風邪でダウンしました」

 

ジョーイさんは風邪でダウン。ジョーイママは夜勤。ジョーイパパは医療の力は最低限しかない。末っ子の男の娘なんて回復マシンしか使えない。

 

そして始まるポケセンでの職業体験。

 

新米ドクター+ホウエンチャンピオン+リンドウの教え子とブルー。果たして、どうなるの!?




次回は職業体験の始まり始まり。

サトシ達は知る。ジョーイさんの大変さを。

ポケモンの回復は勿論、チェックイン、フレンドリーショップとしての販売……多忙であった。

リンドウ「覚えておけ。俺達が使う分には便利だが、その分…その便利を支える皆様が居ることを。世の中は誰かの仕事で出来ている」


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110時限目 世界は誰かの仕事で出来ている

なんで更新が遅かったかって?

筋トレ依存症に成ってマッシブーンみたいな日常送ってました


今日は待ちに待ったポケモンセンターでの職業体験。貴重な職業体験の授業であり、今は旅をしていないポケモンスクールの学生達に取っては初めてで貴重な体験と成ることは間違いない。

 

だが、そこでリンドウの教え子であるサトシ達、引率であるリンドウとブルーを待っていたのはポケモンセンターハウオリ支店の顔と言える若いジョーイさんではない。ジョーイさんの妹であり、顔はジョーイ一族特有の顔立ちではなくジョーイ顔が遺伝しなかったジョーイさんの妹でありアストルフォの姉であるサクラという新人ポケモンドクター、そして彼女のパートナーであるトリトドンであった。

 

と言うのも今回の職業体験だが、ジョーイさんのお手伝い等を行いながらポケモンセンターというポケモントレーナーに無くてはならない設備がどういう所なのか実際に体験しながら改めて知るというのが目的であった。なので、今回の特別講師はジョーイさんに成る筈であった。

だが、こうしてリンドウを出迎えたのはジョーイさんではなくジョーイさんの妹でありイリマ達と共にかつてポケモンスクールを飛び級で卒業したサクラとトリトドン。

 

「リンドウ先生、お久し振りです」

「ぽわぐちょ」

「サクラ。此方に帰ってきたのか。と言うことは、ポケモンドクターに成ったのか」

「はい。無事に成りましたよ」

 

サクラと呼ばれた少女は羽織った白衣を見せるためか、その場でくるりと1回転回った。そんな彼女の腰にはモンスターボールが6つセットされている。1つがトリトドンだとしても後、5体のパートナーが居るのだろう。

 

「リンドウ先生…この白衣の人と知り合いなんですか?」

「そういや、サトシ達は初めましてだったな。この子はサクラ、もう2年ぐらい前か?俺が副担任として面倒を見てた子でな。卒業後はポケモンドクターに成るためにカントーに留学してたんだよ。つまり、お前達の先輩だ。ほれ、挨拶」

 

サクラはイリマ達と同じクラスだった…つまりリンドウが初めて担当した教え子の1人であり言うならばサトシ達の先輩なのである。

 

「「「初めまして」」」

「初めまして」

「所でサクラ。ジョーイさん……お前のお姉さんはどうしたんだ?」

 

だが、肝心のジョーイさんはこの場にいない。ジョーイさん一家はポケモンセンターハウオリ支店が家なので、此処で暮らしてる筈なのだがどうしたのだろうか?出てこないとなればなんらかのトラブルが発生したのだろう。

 

「リンドウ先生。姉は風邪を拗らせて…今日は表に出てこれないんです。母は夜勤で今は夜に備えて寝てます。なので、急遽私が担当って事で」

「ジョーイさんが体調不良でママさんが夜勤か…それはしょうがないな」

 

肝心のジョーイさんは風邪を引いて高熱が出てしまい、寝込んでいる。もう1人のジョーイさんと言えるジョーイママは24時間勤務であるポケモンセンターの夜を担当するためか、本日は夜勤なので日勤の時間帯は夜に備えて眠っている。

なので、職業体験でやって来たサトシ達の面倒を見ることが出来るのは今日実家に帰ってきたこの若きポケモンドクターの少女しかいないのである。

 

「実家に帰ってきて早々……大変だな」

「でも…やるしかないんですよ、しゃんなろー!!」

 

なお、末っ子のアストルフォ君はクラスメートの所に遊びに行っている。理不尽であった。

 

ジョーイさんだって人間だ。24時間営業のポケモンセンターを家族ぐるみで経営していれば、いつかは限界が来てしまうし休みだって殆ど無いだろう。カロス地方のとあるジョーイさんは激務のお陰か少しやさぐれており、ポケモンバトルの施設でバトルを行いストレスを発散させているとか。

 

だが、それでもやるしかないだろう。こうして、リンドウの教え子達が学ぶポケモンセンターの職業体験が始まったのだった。

 

 

ご存知、ポケモンセンターのお仕事は大きく分けて2つ存在する。それはポケモンの回復と治療、そして旅するポケモントレーナーの宿泊である。

 

 

「取り敢えず、姉さんが事前に研修着を用意してくれたのでコレに着替えてくれる?

男の子は流石に腕章だけどね」

 

しかし、職業体験を開始する前にやるべき事がある。それは回復マシーン等の基本的な業務の説明、そしてポケモンセンターという職場で働くのだからそれに相応しい研修着ことナース服にお着替えである。だが、男の子は流石に腕章であった。考えてほしい…男の子とは言え、男の女装ナース服を見てみたいと思うだろうか?サトシならまだ良いだろう、だがリンドウやカキのナース服を進んでみたいという物好きは極少数である。

 

「てっきり、俺も女装されるかと」

「えっ?サトシ、女装したことがあるの?」

 

なお、リンドウは知らないことだがサトシは過去に多々…女装した事がある。

 

 

女子生徒+ブルーはナース服に着替え、サトシ含む男子生徒は腕章を着けて準備は完了である。では此処でポケモンセンターの業務に関して説明しよう。

 

その1回復マシーンの使い方。

 

「これがご存知、回復マシーンね。旅先でポケモンセンターでのバイトを経験したら使うも知れないから覚えておいて。

この穴にポケモンが入ったモンスターボールを大きくしてからセット」

 

先ずは回復の基本である回復マシーンの使い方からであった。

職業体験先の先生と成ってしまったジョーイさんの妹でポケモンドクターであるサクラはトリトドンをボールに戻し、トリトドンを含めたパートナーが入ったモンスターボールを大きくしてから回復マシーンの窪みにセットする。

すると回復マシーンの上にあるモニターに、セットされたモンスターボールの中に入ってるサクラのポケモン達が映し出された。

 

「サクラ先輩のポケモン達!?」

「見たことがないポケモンが一杯だ!!」

「記録ロト、記録ロト!!」

 

画面に映し出されたポケモン達はトリトドン、キュワワー、ヌメルゴン……但しカタツムリのような貝殻を背負ってる、サーナイト、アローラキュウコンが映し出されたのだ。

 

「ボールをセットしたら、先ず最初に画面を操作してポケモンを診断。これは一瞬で終わるから、それが出来たら画面に回復って表記されるからそれをタッチ。するとね、回復マシーンにセットされたポケモンは元気になるの」

 

回復マシーンの操作は簡単だ。先ずはボールに入ったポケモン達を預り、マシーンにセット。次にタッチパネルに表示されたボタンを押して自動的にポケモンを診断。それが終わると回復という表示が出るのでそれをタッチ。するとあら不思議、一瞬でポケモン達は元気に成るのであった。

 

「後は宿泊の手続きとかだけど、これはお父さんがやってくれるからお父さんから聞いて。まあ、近くにホテルが有るから、このポケセンに宿泊する物好きは少ないけどね」

 

ポケセンには宿泊する事が出来る。他の地方ではリーグ挑戦の為に、各地のジムを巡りながらジムバッジを集めるポケモントレーナーやコンテストに出場するコーディネーターorパフォーマーが良く利用する。

当然、ジムやコンテストが盛んなニホンの地方では多くの旅人がポケモンセンターで宿泊している。しかし、メレメレ島ハウオリ支店のポケセンでは近くにホテルがあり、やって来るのは観光客がメインであり…そんな観光客の皆様はホテルに宿泊するのでポケセンに宿泊する人は極少数である。

 

そしてサクラから一通りの説明を受けたサトシ達の…

 

「「「ようこそ!!ポケモンセンターへ!!」」」

 

国家公認実質ブラック企業(場合による)の体験が始まるのだった。

 

 

「ポケモン回復させてくださーい!!」

 

「俺のも!!」

 

「お願いします!!」

 

「バトルに負けて悔しいです!!」

 

そして多くのトレーナー達が一斉にポケセンに雪崩れ込む。

 

「えっ!?私がポケモンスクールに通ってた頃はこんなに忙しく無かったですよね!?」

「あー、多分…アローラリーグが開幕するからだろうな。アローラの人々もバトルに興味を持ってくれた証拠だ」

 

アローラリーグが迫るためか、ポケセンは2年前より多忙と成るのだった。

 

「モンスターボールを10個下さい!!」

「フレンドリーショップは10時からオープンです!!」

 

果たして…サトシ達の運命は!?後半に続く!!




次回!!救世主としてやって来るタケシ!!デュエルスタンバイ!!


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111時限目 ポケセンは大変です

この作品あるある。ポケモン新作が出たら再開する


ポケモンセンター……縮めてポケセンは毎日多くの方々が利用でき、連日多くの方々が利用する。世界共通としてポケモンの回復やトレーナーの宿泊(食費含めて無料!!)は勿論のこと、パソコンを通じてポケモンの送り合いや預かり、故郷の両親や博士との連絡も出来るのだ。だが、日本国内のポケモンセンターで出来るのは主にこんだけであるが、海外のポケモンセンターはこれら+出来ることがあるのだ。

 

今現在、リンドウ達が滞在してる及び暮らしているアローラ地方やブラックの故郷であるイッシュ地方、セレナの故郷であるカロス地方、世界で3番目に強いチャンピオンであるダンデ(この世界じゃリンドウ+レッドが居るため)が暮らすガラル地方等ではポケモンセンターの中にフレンドリーショップが有るのだ。

 

 

午前9時半。サトシ達の職業体験inポケモンセンターメレメレ島ハウオリ支店の駐車場に1台のトラックが到着した。トラックは4トントラックであり、そこそこの荷物は積載できるのだ。

 

「ふぅー、ゴーリキー。今日も仕事がやって来たな」

「ゴゴ!!」

 

そんなトラックの運転席と助手席には、フレンドリーショップの店員さん…そして店員さんのパートナーであるゴーリキーが座っている。そう、この店員さんはポケモンセンターの中にあるフレンドリーショップで働く店員さんであり、シフトの都合上……なんとリンドウの教え子が職業体験を行っている日にやって来たのだ。

 

店員さんとゴーリキーはトラックから降りて、荷台を開けて本日の付属品である商品を荷台から下ろしていく。最近、アローラリーグが開催される為かモンスターボールや傷薬が結構売れるのだ。フレンドリーショップとしては利益が上がって嬉しい限りだ。今年のボーナスは期待が持てるぞ!!

因みにフレンドリーショップは完全週休二日制のシフト制。つまり、この店員さんは家族営業で年中無休のポケセンハウオリ支店のジョーイさん一家と違って充分に休めるのだ。

 

「おはようございます!!フレンドリーショップでーす!!」

 

店員さんはゴーリキーと共にポケセンの門を潜る。そこで待っていたのは……

 

 

 

 

「モンスターボール10個下さい!!」

 

「いや、俺が先だぞ!!友達と深く探検して新しいパートナーを探したいんです!!傷薬を下さい!!」

 

「俺もモンスターボールを!!」

 

「私はお小遣いに余裕が有ります!!ハイパーボールを3つ下さい!!」

 

「俺も!!」

 

「俺も!!」

 

「私も!!」

 

「僕も!!」

 

朝早くからポケセンセンターにやって来てはフレンドリーショップの前で列を作っていた、少年少女の行列が店員さんに雪崩れ込んできたのだ!!

 

「えっ!?ちょっ!?わぁぁあ!!」

「ゴゴ!?」

 

 

 

「どうやら、店員さんも1時間前の俺達と同じ状態に成ったな」

「笑い事じゃないですよ、先生。私んち(ポケセン)にはバトルコートもあるんです。あの子達がバトルしたら、直ぐに此方でポケモンを回復させますよ。無限ループですよ……私がカントーに居た間に……こんなに忙しくなるなんて」

 

そして客の雪崩に揉みくちゃにされる店員さんとゴーリキーを眺める人物が居た。それはポケセンの職場体験の引率としてやって来たのは良いが、開幕早々のお客様ラッシュに巻き込まれて少しくたびれたリンドウ先生。そんなリンドウ先生の後ろでは同じく疲れはてたジョーイさん一族次女(顔は似てない)のサクラ先輩がカルテを眺めていた。

 

「先生…暇に成ったらバトルに付き合って下さい。やっぱりストレス発散はポケモンバトルに限ります!!」

 

このサクラ先輩、バトルジャンキーの素質もあった。まあ、無理もないだろう。彼女の親戚にあたるとあるジョーイさんもブラック環境まっしぐらのポケセン勤務でのストレスをバトル施設で発散しているのだから。

 

「俺は良いけどな。サトシ達がしたいって言ったら、サトシ達としてやってくれ。あの子達の良い経験になるしな」

「でも噂のサトシくんは別として、私は本気でやりたいんですよ!!向こうじゃ、タケシ位しかマトモに相手出来なかったので」

「おけ、だったら話しは別だな!!」

 

ニヤリと笑みを浮かべるリンドウ。かつての教え子の実力を直接確かめるのも良いだろう。なに、マトモにタケシと戦えるなら少なくとも今のカキ達より強いだろう。戦い方次第ではスイレンにも勝つことが出きるだろう。

 

すると、ポケセンの自動ドアが開く音が響き……1人の若い女性がやって来た。

 

「あっ!いらっしゃいませー!!」

「レイナじゃないか!!此方に来たんだな!!」

 

「はい。私がホウエンリーグに挑戦し、貴方に挑んだ以来ですね。リンドウさん」

 

その女性はカントーのガラガラを連れ歩きしていた。

 

 

 

一方のサトシ達。

 

サトシ達……ポケモンスクールの学生の諸君+ブルーはジョーイパパから宿泊施設の準備の説明を受けていた。

 

「うちじゃアローラが観光に力を入れてるためか、多くの旅行客はホテルに泊まる。だからうちに宿泊するトレーナーは少ないんだ。

今、連泊してるのはレッドさんだけだね。だけど、急な宿泊客が来るかも知れないから準備だけは行うことね」

 

御存知、メレメレ島のポケセンに宿泊するトレーナーは少ない。居るとすれば他の島のトレーナーが島巡りやパートナー探しで宿泊したり、レッドのような物好きが宿泊する位だ。他の島々……ウラウラ島やアーカラ島そしてポニ島のポケセンにはメレメレ島ポケモンスクールの生徒達が良く宿泊してるが、ポケセンハウオリ支店を宿泊場所に選ぶのは物好きや賃金を安く抑えたい人ぐらいである。

 

「君達に今からして貰うのはベッドのセッティング、掃除だね。普段は私がカフェのオープン前に全部やってるけどね」

 

なお、宿泊部屋の掃除は全てジョーイパパが御一人で休まずにやっている。しかもカフェがオープンする迄にである。その後は必要であれば宿泊客の昼食を作ったり、夕飯の仕込みを行ったりだ……何時休んでるのだろうか?

 

「大変ですね…」

「だけど、日々頑張って夢を追うトレーナーの皆様を思えばへっちゃらさ!!」

 

との事である。宿泊部屋のセッティングを終わり、ロビーに戻ってきたサトシ達であったが……そこでは

 

「ほー、シンオウリーグじゃシロナさんに挑めて、イッシュリーグは決勝まで進めたのか」

「はは……でもイッシュリーグじゃタクトって人に負けちゃいましたね」

 

リンドウと親しげに話す若い女性が居たのだ。だが、その女性を見たブルーは嬉しそうに笑みを浮かべて、その女性に近付いていく。

 

「レイナ?レイナじゃない!!物凄く大きくなったわね!!あっ!!このガラガラ……あの時のカラカラちゃんでしょ!!」

「ブルーさん!!お久しぶりです!!」

 

そう、お気づきの方も居るだろう。彼女はレイナ、かつてシオンタウンに訪れたレッド、リンドウ、ブルー、グリーンが出会ったポケモンハウスの子供である。そんな彼女も年月と共に成長し、今では立派なトレーナーに成長したのだ。

因みに戦績はカントーリーグ優勝(ただしレッドに敗北)、ホウエンリーグ優勝(ただしリンドウに敗北、ボスは突破できた)。シンオウリーグ優勝(シロナさんに敗北)と……普通に四天王をボコボコにしてチャンピオンに挑める強さを持つ。

 

因みに現在の手持ちはガラガラ(カントー)、フシギバナ、リザードン、シャワーズ、そして……イッシュで出会った2体である。

 

「ライチさーん!!ライチさんはいらっしゃいますか!?」

 

そんな時だった。ポケモンセンターの入口が開き、1人の人物が入ってきた。その人物とは遠路遙々、今回は単独でアローラにやって来たポケモンドクター タケシである!!

 

「「「タケシ!!」」」

「「「「タケシだ!?」」」」

 

そして……タケシは美女……お姉さんが大好きだ。その例に漏れず、タケシはレイナの手を握り、声をかけてしまった。

 

「お姉さん!!私はタケシと申します!!遠路遙々、カントーから来ました!!」

「奇遇ですね。私もカントー出身なの」

 

その時だった。レイナの5番目と6番目のモンスターボールが開き、そのパートナーがレイナとタケシの間に割って入ってきた。

 

「失礼。私はフジ博士の代わりにレイナを導く義務が有る」

 

それは女性の声で話すミュウツー。そして紫色でタガメをサイボーグにしたようなポケモン……ゲノセクトであった。

 

「ミュウツー!?」

「あっ……お前、もしかして!!」

「元気そうで良かったですよ、少年」

 

なお、このミュウツー。サトシと過去に会っていた模様。詳しくは神速のゲノセクトを見よう!!

 

「これが普通のミュウツー…スリムだ」

 

「ああ、俺達が最初に聞いたミュウツーは筋肉の化身だったからな」

 

「うん。muscleじゃないんだね!!」

 

そしてポケモンスクールの生徒達であるスイレン、マオ、リーリエ、カキ、マーマネ、アセロラ、セレナはようやく普通のミュウツーと出会う。

 

「えっ?muscle?」

「ああ、お前のお兄さんだが……レッドが捕獲したのは良かったが……反逆を繰り返してな。反逆と鎮圧を繰り返し、気が付けばmuscleボディーを手に入れたんだよ。ミュウツー・マサラの姿だな」

 

リンドウがスマホの写真……ミュウツー・マサラの姿を見せ、ミュウツーは額を抑えた。

 

「兄上……おいたわしや」

 

うん。何年も会っていない長兄が筋肉の化身に変わってたら、誰だってそうなる。

 

 

「宿泊するなら、此方の帳簿にサインをお願いします」

「「あっはい」」

 

なお、ポケセンに宿泊する人は帳簿にサインが必要である。ポケセンに宿泊するため、レイナとタケシはサインした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シッ……シカリ!!」

 

光を喪った異世界の神が、コウモリのようなウルトラビーストを追い掛ける。

 

「マナペーヤ!!」

 

そのウルトラビーストは必死に逃げる。間違っても惑星カイロスには逃げたくない、ならば逃げる先はアルセウスが統べる太陽系の惑星 地球の世界だ。




次回!!ジョーイママが起きてきて、無事に今日の研修は終了。サトシ達もゆっくり出来ると思った矢先……

ブルー「リンドウ!!空から知らないポケモンがぁぁあ!!」
リンドウ「なんじゃありゃ!?(ルナアーラ降ってきた!?)」

輝き様編スタート!!

レジギガス「もう大丈夫…なんでかって?私が来た!!」

???「おお、圧政者よ!!」

強力な助っ人もやって来る!!

レッド「悪いが、今回はお前の力を借りるぞ……」

そしてレッドの禁止伝説ポジが明らかに!!ヒントは本当に特別なヤツ(アニメ)。

ブルー「よし、お姉さんと来なさい!!」

ブルー……新たなポケモンをゲットするってよ。


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112時限目 異次元からの来訪者 輝き様と嘗て呼ばれた者

皆さんはポケモンどっち買った?因みに私は両方買った(笑)


「シッシカリ!!シカリ!!」

 

その者は地球ではアルセウスと同等の強さを誇り、別次元の地球?では唯一の神様として崇められていた。その星では地球で言えば太陽のような恒星が有らず、その者が太陽の代わりに人々や星のポケモン達に光を恵んでいた。

彼は嘗て……光のドラゴンであった。大きな翼を広げ、人々とポケモンを見守りながら光を与えていた。だが、有る時……彼は守ってきた人々に結果的に裏切られた。

 

「シカリ!!シガァァァァリ!!」

 

彼はその星の人々の手で身体を弄くられた。その星の人々は彼の力を科学でコントロールしようとしたのだ。だが、現実は非情であり科学の力で神の力をコントロールする子とは出来るわけがない。その実験の代償で彼は肉体の大半を損失し、彼は残った肉体を何とか自力で繋ぎ合わせ……なんとかポケモンとしての形を保っている。だが、人間やポケモンなら誰もが持っている筈の老廃物の処理(汗、排泄等々)が出来ず……彼は光輝いていた肉体が黒く濁ってしまい嘗ての面影は殆んど残っていない。

 

既に意識は喪われ、彼の意思とは裏腹に暴れる危険な存在と成り果てた。彼の名前はネクロズマ、ウルトラ調査隊と呼ばれる異世界からやって来た人々の故郷の神であり光をもたらしていた存在だ。

だが、そのネクロズマはただ周囲を暴れ……光を求める危険な存在と成り果て……彼は……

 

 

 

「マナペーヤ!!」

 

「シカリ!!」

 

エネルギーを奪おうと追い掛けたコスモッグの雌個体の最終進化 ルナアーラを追い詰め、地球に逃げてきたルナアーラを追い掛けて地球にやって来たのだ。

 

なお……このネクロズマさん。身体の8割を失い、残りの2割を何とかくっ付けて組み合わせて肉体を構成しているのだが……その状態でも伝説のポケモンをフルボッコに出来る強さを誇る。まあ、元がアルセウスに匹敵する神様なのだからしょうがないだろう。彼もまた、ポケモンを越えた何かである事は間違いない。

 

「マナペーヤ!!」

 

シャドーボールは撃った、サイコキネシスも使った、必殺技であるシャドーレイも使った。だが、その全てをネクロズマは正面から捩じ伏せた。ネクロズマが狙うのはルナアーラのエネルギーだ、ネクロズマは命辛々逃げるルナアーラの頭部を掴み……そのエネルギーを奪い取る。

 

「マナビャァァァァア!!」

 

身体のエネルギーを奪われ、苦しそうに踠くルナアーラ。しかし、ネクロズマはその手を離そうとはせず、ルナアーラが宿すエネルギーを全て奪い尽くす。そして、エネルギーを奪われルナアーラは力を無くしたように動きを停めた。

 

「シカリ!!」

 

だが、エネルギーはまだまだ足りない。こんな物では満足できない。ネクロズマは力を奪ったルナアーラを遥か眼下に見える地面に向かって投げ捨て、雄叫びをあげる。

 

「シガァァァァリ!!」

 

もっと光を!!もっと光を!!寄越せ、寄越せ!!

 

光を奪われ肉体を奪われた彼は正常な意識を喪い、ただ光を求めるおろかな存在と成ってしまった。

 

「シカリ?」

 

だが……ネクロズマは感じる。ルナアーラの雄個体であるソルガレオの気配を、ソルガレオから光を奪えば飢えも少しは満たされる。ネクロズマは次の標的をソルガレオに定め、ソルガレオの気配がする方に向かっていった。

 

なお、そのソルガレオはリーリエのほしぐもちゃんである。つまり、ネクロズマはリーリエの所に向かっていったのだ。

 

 

 

 

一方の地上 メレメレ島ハウオリシティのポケモンセンター。

 

「さてと、解散!!今日の職業体験に思った事は来週の月曜日までにレポートに書いて提出な!!」

 

ポケモンスクールに通うサトシ達。彼等は激務と言えるポケモンセンターの職業体験を終えて、今から家に帰ろうとしていた。勿論、疲れはてたのは彼等の担任であるリンドウもそうなのだが。

 

「「「「はい!!」」」」

「うん、良い返事だ。今日は早めに寝ろよ?」

 

いざ、激務を終えたサトシ達も帰ろうとした時だった。しかし、残念ながらリンドウ達は今日はお家に帰ることは出来ない。何故なら…この瞬間から外宇宙のポケモン達と神を救う争いに巻き込まれるのだから。

 

ズガッシャァァァァーーーン!!

 

物凄い音と共にポケセンの天井に穴が空いてしまい、ロビーにコウモリを模したような大きなポケモン ルナアーラが落ちてきたのだ。

幸いにもリンドウや子供達は天井の部分崩壊とルナアーラの下敷きに成っておらず、怪我人は居ない。天井は見事にルナアーラの形に穴が空いており、綺麗にルナアーラは落ちてきてしまったようだ。

 

「リンドウ!!なんか空からポケモン降ってきわたよぉ!!」

「みりゃ分かるわ!!てか、なんじゃあのポケモン!!(ルナアーラ!?なんで!?なんで空から降ってくるの!!)」

 

空からルナアーラ、天井を突き破り落ちてくる。これにはリンドウ達もビックリであり、ポケモンセンターで働くジョーイさん一家も奥から出てきた。

 

「シカリ」

 

と…次の瞬間……ポケセンの入口が爆発で吹き飛び……漆黒のポケモン ネクロズマが現れた。

 

「ブルー!!子供達を連れて奥から逃げろぉぉお!!コイツヤヴェェェェ!!(なんだ!?この気配、本当に種族値600の普通のネクロズマ!?いや、違う!!中身はもっとヤバい!!これじゃ……まるで)」

 

アルセウスと同格。リンドウはふと、そう感じてしまったのだ。

 

「シカリ!!シカリィィィィ!!」

 

ネクロズマは感じる。リーリエの腰からエネルギーを秘めた存在、ソルガレオを感じたのだ。

 

「シカリ!!」

 

エネルギーが有るなら奪えば良い、ネクロズマは地面を蹴り……サイコパワーを纏ってリーリエに襲い掛かる。しかし、ネクロズマの眼前に突如としてリンドウのグラードンが割って入る。

 

「なに、人の生徒に手を出してるんだ!!グラードン!!じしん!!」

「グラァァア!!」

 

右手に振動エネルギーを溜め込んだグラードンのじしんパンチ……それもメガリザードンXと成ったレウスのじしんパンチと異なり、タイプ一致のじしんパンチ。それは内部まで振動エネルギーが絶大なダメージを与えて……ネクロズマを吹き飛ばし、爆破された入口から追い出した。

 

 

 

「シカリ!!」

 

だが、このネクロズマはゲームと異なり本来の姿ならアルセウスに匹敵する存在。グラードンのじしんパンチをリーリエに(正しくはボールに入っていたソルガレオ)執着していた為に直撃されたが、ダメージはさほど入ってなかったのだろう。何事もなく立ち上がる。

 

「レウス!!じしん!!」

 

だが、立ち上がったネクロズマを待っていたのはメガリザードンXに進化したレウスのじしんパンチであった。眼前に迫り来るじしんパンチをネクロズマはサイコキネシスを用いて押し退けようとする。

 

「シカリ!!シカリィィィィ!!」

「グゥオオオ!!」

 

だが、レウスは押し退けられ、じしんパンチを直撃させる事が出来ない。

 

「グルル!!」

「グラァ」

「注意しろ。アイツは普通のポケモンじゃない……伝説を含めてもな」

 

ネクロズマと対峙するのはメガリザードンXとグラードン。本来ならメガリザードンとグラードンに軍配が上がりそうだが、このネクロズマは普通のネクロズマではない。

 

『懐かしい気配がすると思い、跳んでみればお前か』

 

その時だった。リンドウ、メガリザードンX、グラードンとネクロズマの間に入るように1人の神が割って入った。アルセウスである。

 

「Mr.神様!?」

『本当にお前なのか?ネクロズマ』

 

アルセウスはネクロズマに向けて確認するようにそう告げた。

 

「シカリ……シカリ……」

 

するとネクロズマは頭を抱えて、苦しむ。

 

『アルセウス……第三惑星の人間よ……私を……停め……殺してく……れ』

 

ネクロズマはテレパシーでそう伝えると発狂するように声を叫び、何処かに跳び去ってしまった。

 

「知り合いか?」

『私の友人だ。私が太古……レッドのレジギガスと戦ってた頃に知り合ったな。

彼はネクロズマ。ウルトラビーストにとっての私だ。どうしてああなったのかは分からないが、本来の彼は光をもたらすドラゴンタイプだった』

 

アルセウスは悲しそうにそう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

「ピカピカ」

「レッド……それって」

「ああ、ピカチュウ、ピッピ。アイツの力を借りるぞ、レジギガスも連れ出す。初めて本気を出すか」

 

レッドは鞄から()()()()を取り出した。

 




次回!!ホワイトくん……ウルトラビーストに追い掛けられる!?

ホワイト「リンドウせんせー」
カイロスさん「タスケテロス」

リンドウ「なんでこんなに沢山のウルトラビーストが!?」

ウルトラホールを一度潜った存在はウルトラビーストに狙われやすいらしい。

リンドウ「てか、ホワイトくんや。なに?そのモトトカゲを派手にしたような大きな化石」
ホワイト「えっへへ、拾ったんだ!!」

ホワイトの化石ポジ……アイツ!!なお、復活は未だ先の予定。

???「もう、大丈夫!!私が来た!!」

そして隊長、海を越える。


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113時限目

ミイラ化石って知ってます?


数ヵ月前 別次元の星 惑星カイロス。そこはカイロスの顔を模したような惑星であり、珍虫カイロス達が幸せに暮らしている惑星である。地球からの行き方はウルトラホールを潜るしか行くことが出来ず、人間ではどうやっても行くことが出来ない。

 

「君に頼む。この銀河の危機を救う手立てを見つけて欲しい」

「マカセロス」

 

そんな惑星カイロス。実はネクロズマが治めていた銀河の中に存在しており、距離感はネクロズマの惑星からだと…地球と火星位の距離感であった。惑星カイロスの住民達はネクロズマに異変が起きた事を薄々感じており、その異変を解決する為に1匹の色違いカイロスを地球に派遣したのだ。

 

「キラリンチョ」

 

その色違いカイロスは後に、ホワイトにゲットされたカイロスさんであったが……彼はすっかりと任務を忘れてしまいホワイトとの旅を楽しんでいるのは内緒である。

 

 

 

そして時は現代。時間的にはルナアーラがポケセンに墜落し、ネクロズマ襲撃事件から翌日である。

 

「うっ……ごめんなさい。どうしても力が出ないわ…」

 

「うー……力が出ないな。プロテインを飲んでもこれか…」

 

「今日は店仕舞いだ……」

 

「何処にも行きたくない……」

 

「今日は疲れた……もう寝る」

 

ネクロズマはポケセンを襲撃し、リンドウと戦った後姿を眩ました。間違いなく、アローラの何処かに潜んでいるのは間違いないのだが残念ながら居何処は掴めていない。それどころか、アローラの色んな所にウルトラホールが観測されており、何時…何処でウルトラビーストがやって来るのか分からない。

そして同時に奇っ怪な事が起きていたのだ。それはどういう訳か分からないがアローラ中の殆んどの大人達が元気を無くしており…無気力状態や倦怠感を訴えているのだ。そのお陰か、普段は活気に溢れているアローラ町は人が殆んど出ておらず、ポケモンスクールも先生達が殆んど出勤出来ておらず……臨時休校と成っているのだ。

 

「ミュウツー。此方にブルーシートを投げてくれ」

 

だが、元気な大人が僅かに確認されている。それはリンドウ、ブルー、レッド、そして超人サオリ先生である。なお、無気力or倦怠感に成った大人はお酒が呑める21以上の方々である。

 

翌日経ってもリンドウとブルーは家に帰れておらず、一先ずリンドウとブルーの娘ポジであるアセロラを除いた子供達をお家に帰した。

しかし、ご覧の通りポケセンはルナアーラの墜落とネクロズマの襲撃によって入口は爆破、天井はルナアーラの形で穴が空いており……雨が降れば雨水が入ってくる。なので無気力&倦怠感まみれなジョーイパパ、ジョーイママ、ジョーイさんに代わってリンドウがブルーシートを被せる等の応急処置を行っている。

 

「投げるぞ」

 

なお、レイナはギリギリセーフだったようでもう少し早く産まれていたなら精力を失っていただろう。

 

 

 

なんとか急造の屋根で応急措置を施したリンドウは梯子を伝って屋根から降りる。

 

「しかし、私達以外の大人が無気力に成ったら町のインフラも止まったのも同然よね」

「私も力を吸いとられた感じはしたけど。私でこれなら他の方々は動くのも大変よ」

 

ポケセンの中ではレッド作の朝食を食べ終えたブルー、レイナ、アセロラ、そして駆け付けたサオリ先生が話を行っている。サオリ先生が言うには元気を何者かの手で吸いとられそうな感覚を感じたらしく、サオリ先生はそれを気合いで振り払ったそうだ……流石はサオリ先生である。

 

「皆……大丈夫かな?」

「アセロラちゃんや私を見る限り、お酒が呑めない年齢の人は大丈夫みたいだけど」

 

アローラでのお酒は21から。その為か21未満の人々は力を吸いとられておらず元気であった。しかし、どうして23歳であるリンドウ達は無事だったのだろうか?

 

「それは私が守ったからだ」

 

するとサトシ、セレナ、人モードのラティアス、そして美輪明宏そっくりな誰かがポケセンに入ってきた。

 

「えーと……アンタは?」

「人に化けて会うのは初めてだな。私だ」

 

美輪明宏?は外に出ると眩い光と共に大きく姿が変わった。それはなんと、アルセウスだったのだ。

 

「アンタかーい!!」

 

そしてアルセウスは再び美輪明宏の姿……ミワセウスになる。ネクロズマの事もあり、アルセウスは事件が解決するまでアローラに留まるつもりなのだろう。しかし、アルセウスの姿で動けば大きいので目立つ目立つ目立ってしまう。だが、ミワセウスの姿なら怪しまれる事は無いだろう。

 

「だが、私の力でも守れる人数には限りがある。故に、事件を解決を優先してか君達に絞った」

 

ミワセウスはそう告げ、リンドウ、ブルーそしてパソコンで何やら操作をしているレッドを指差す。序でに「彼女は何もしてないがね」とサオリ先生を指差してそう言った。

 

「だが、無気力に成ってる人も時間が立てば復活する。体力を吸いとられただけだからな。

だが、問題はどうやってネクロズマを助けるかだ。ネクロズマを元の肉体に戻し、その上で莫大な生命エネルギーを注ぎ込むしかない」

 

と……アルセウス様は告げた。ネクロズマの肉体は欠損している状態との事で、先ずはネクロズマの肉体を復元させて莫大な生命エネルギーを注ぎ込むしかない。まあ、ネクロズマの生命エネルギーは光なので、電気なりなんなりの光をぶつければ良いだろう。

 

そんな時だった……

 

「リンドウせんせー!!」

 

ふと、外から元気な声が聞こえる。何事かと思ってリンドウが外に出てみると……

 

「ホワイト!?てっ!?なんだ!?そのウルトラビーストの大群は!?」

 

数多のウルトラビーストに追い掛けられるホワイト、カイロスさん、そして大きなミイラ化石(保存状態が良く皮膚もくっきりと残ってる)の全身化石を担いだキュレムだったのだ。

 

「せんせー!!すっごい化石見つけたんだ!!見てみて、見たことがない化石だよ!!」

 

ウルトラビーストに追い掛けられているとは言え、ホワイトくんは見たことがない保存状態が良すぎる化石を見つけて、早く誰かに見せたかったようだ。

 

「この化石……凄いな。ミイラ化石なんて滅多に出るものじゃない」

 

その化石はアローラから遠く離れたヨーロッパの地方の1つ パルデア地方の生息するポケモン ノーマルとドラゴンの2つのタイプを持つモトトカゲに非常に似ている。だが、大きさが大きく……モトトカゲの大きさが原付とすれば超大型バイク程の大きさをしているのだ。

 

「てっ!?そうしてる場合じゃない!!」

 

そんな化石の話も必要だが、今はそんな話をしているのではない。追い掛けてくるウルトラビーストの事だ。

 

「ニゲルロス」

 

カイロスさんは立ち止まったホワイトと違い、状況を理解してるのか走り出す。するとウルトラビーストはホワイトではなく……カイロスさんを元から追い掛けていたのだろう。カイロスさんを追い掛けていった。

 

「カイロスさーん!!」

「珍虫!?」

 

「あのカイロス……この星の生まれではないな」

 

アルセウスが逃げるカイロスさんを見てそう告げた。

 

そんな時だった……

 

『ふふふ、もう大丈夫。なんでかって?私がカントーから来た!!』

 

逃げるカイロスさんと追い掛けるウルトラビーストの間にレジギガスが割って入ったのだ。

 

「レジギガス。メガトンパンチ」

『SMASH!!』

 

レジギガスはレッドの指示を受けてメガトンパンチを解き放ち、数多のウルトラビースト達を無力化した。そう、このレジギガス……魔境オーキド研究所で防衛軍の隊長を務めているレジギガス隊長である。

 

「久し振りだな。オリジナルのレジギガスよ」

『丸くなったな……神よ。私の身体を8割破壊し、私を著しく弱体化させたあの頃が懐かしいな』

「貴殿も私のレジェンドプレートを破壊しただろ。御互い様だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふふふ……圧政者の気配を感じる。アッセイ!!』

 

ミュウツー・マサラの姿。大地を蹴り、南国に向かって跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

「シオニラ隊長!!」

「ああ……輝き様……我等のせいで……」

 

リンドウ達が事件の真相を知るまでもう少し。




次回は目覚めたルナアーラ。そしてカイロスさん、任務を思い出す。

「アッセイ!!」

muscle……アローラに立つ。だが、虹ロケの残党?もやって来る!?


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114時限目 オオ!!アッセイ!!

アッセイ!!


「これがモトトカゲの写真な。ホワイトが拾ってきた化石と似てるだろ?」

 

ホワイト(正しくはカイロスさん)を追い掛けてきたウルトラビーストの軍勢がレジギガス隊長の一撃で無力化されたあと、一先ずリンドウ達はポケモンセンターの中に入り……リンドウはスマホの画像検索で調べた『モトトカゲ』と呼ばれるポケモンの写真をサトシ、セレナ、ラティアス、アセロラ、ホワイトに見せていた。

モトトカゲはカロスのお隣、スペインことパルデア地方に生息するノーマル・ドラゴンのポケモンである。ドラゴンタイプでは珍しく、人を乗せることに喜びを感じるポケモンであり……これは人を乗せて人の体温で変温ポケモン(気温で体温が変わる)の体温を暖める性質も有るそうだ。なにはともあれ、人と古くから共存してきたポケモンである。

 

このモトトカゲ。確かにホワイトが拾ってきた化石と非常に良く似ており、違いがあるとすればそれば大きさ……そして頭部と腰部分の羽根飾りであろう。

 

「もしかしたら、モトトカゲの種族的な先祖かもな。人間とお猿さんのようにな」

 

考えられるとすればモトトカゲの種族としての進化前。過去の姿と言えるだろう。

 

 

『ピッピ青年。後は何が必要かね?』

「これでOKだっピ!!」

 

なお、その大変貴重なモトトカゲの古代の姿のミイラ化石は大絶賛……レジギガス隊長とギエピーの手で蘇生されようとしていた。なんでもギエピーがネットサーフィンで発見した、ポケモン考古学の権威 オリーム博士がタイムマシンを研究中の夫フトゥー博士に対抗して開発した新型化石復活マシーンを再現して蘇生させようとしていたのだ。

因みにこのミイラ化石。間違いなく、博物館や国に売り付ければとんでもない金額で取引される事は間違いないとは言っておこう。実際の話だが、恐竜のミイラ化石…それもほんの少しの部位で一億円以上で取引された事から……数兆円は間違いないだろう。

 

 

 

 

一方その頃のエーテルパラダイス。

 

精力を吸いとられたウルトラ調査隊。彼等は最年少のアマモを除き、倦怠感でマトモに動くことが出来なかったがエナジードリンクをなん本もイッキ飲みして、動こうとしていた。

 

「輝き様……」

 

彼等はネクロズマが統べていた星で産まれた。しかし、約100年ほど前にウルトラ調査隊のご先祖は過ちを犯したのだ。それは神であるネクロズマの力を自分達の科学でコントロールしようとした。しかし、それは大失敗に終わり、ネクロズマは肉体の殆んどを欠損。星から光は喪われてしまい、ネクロズマも老廃物を処理する事が出来なくなり……やがて身体が黒く染まったのだ。

ウルトラ調査隊は星を救うために地球にやって来た。光が喪われ、蓄えていた光とエネルギーもやがては底をついてしまい死の星に成ってしまう。それを防ぐためにも彼等は星の全ての命を代表して地球にやって来たのだ。

 

だが、その時だった。大きな打撃の音と共に壁が崩壊し……1人のmuscleがやって来た。

 

『おおう……圧政者を知るものよ』

 

そのmuscleはミュウツー・マサラの姿であった。

 

「「「ぎゃぁぁぁあ!!」」」

 

ミュウツー・マサラの姿はウルトラ調査隊の隊長 シオニラを拉致し、

 

『ハハハハ!!圧政者の事を教えよ!!』

「ヒィィィイ!!」

 

跳んだ。なお、跳んだ方向はメレメレ島が有る。

 

 

「キラリンチョ!?」

 

その時、カイロスさんは思い出した。マラサダを食べている時に思い出したのだ。惑星カイロスから送り出された訳を、どうして自分が地球にやって来たのかを。

 

「マカセロス」

 

いざ、カイロスさんは動き出す。3ヶ月も任務を忘れて美しい地球を楽しんでいたが、それでも伝えなければならない。

 

「なんとな元気に成ったぞ!!」

「マナペーヤ!!」

 

しかし、ポケセンはそれどころの空気ではなかった。ロビーではタケシの治療を受けて万全に回復したルナアーラが元気になり、皆の前に姿を現していた。

 

「なんのポケモンかな?」

 

そしてギエピー&レジギガス作の化石復元装置から、モトトカゲの古代の姿の復活をワクワクする子供達。

 

そのお陰か、カイロスさんは皆に話し掛けられる状態ではなかった。

 

 

 

 

 

「ほしぐもちゃん!!」

 

一方のリーリエ。

 

リーリエはソルガレオを所持している。その為か、ネクロズマに狙われてしまい……ネクロズマはソルガレオを襲撃した。

ネクロズマの強さはソルガレオを圧倒しており、ソルガレオのエネルギーを吸収する何処か……ソルガレオその物を取り込んでしまったのだ。

 

――レッドから急な呼び出しかと思いましたが……これはそうですね。

 

ふと……その時だった。リーリエの前に虹と共に赤い巨大な鳥ポケモンが金色の光と共に現れたのだ。

 

「えっ?」

 

そのポケモンを見たことがないリーリエはそのポケモンをスマホアプリでスキャンする。出てきた情報はホウオウ、それも既に誰かに捕獲されていたのだ。

ホウオウは過去、サトシとレッドの前にしか現れていない。サトシはホウオウを捕獲していない、その僅かな情報からホウオウをゲットしたトレーナーが誰なのかもう分かるだろう。

 

「シカリ!!」

 

ソルガレオをエネルギーは勿論、肉体さえも取り込んだネクロズマはホウオウに襲い掛かる。

 

「失せなさい。異世界の神よ」

「喋った!?」

 

ホウオウは一瞬でネクロズマの背後に回り込み、ネクロズマの背中を掴み……莫大な生命エネルギーを注ぎ込み……なんとソルガレオの肉体を復元させてネクロズマとソルガレオを分離させる。そして、ネクロズマを弾き跳ばし……巨大な火柱でネクロズマを燃やしたのだ。

 

「シッカリ……」

 

ネクロズマはウルトラホールを産み出し、そこを潜って何処かに行ってしまった。

 

ソルガレオとネクロズマ、そして救援に現れたホウオウが暴れた為か……リーリエの自宅の庭はボロボロだ。しかし、ホウオウが地面に降り立ち……金色の光が溢れると……暴れた影響で荒れた庭の草花や木々は元通りに甦ったのだ。

 

「彼は彼処か。ふむ、ルギアの知人も居るのか……いや、あの少年はあの時の」

 

ホウオウはそう告げ、翼を広げて何処かに飛び去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッセイ!!』

「話すから……話してくだしゃい」

 

シオニラ隊長。スパさんミュウツーに拉致され、メレメレ島ポケモンセンターに到着。そして、事件の真相をリンドウ達に話したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サカキ様や幹部達を助けるぞ!!」

「「「おおう!!」」」

 

あと、ウルトラホールを潜り、虹ロケの残党もやって来た。その1人はモトトカゲを大きくしてサイボーグ化させたようなポケモンやロボットのようなポケモンを引き連れていたのだった。

 

 




次回!!ブルーお姉さん。青紫の伝説(この作品では他のパラドックスポケモンとあんまり大差なし)を捕まえるってよ。

ブルー「リンドウと色合い似てるじゃん!!お姉さん、ライドポケモンゲットしたわよ!!」
リンドウ「バトルでも使ってやれよ」

そして復活のコライドン。果たして、中の人は誰だ!?

コライドン「俺のこの手が真っ赤に燃える!!お前を倒せと轟叫ぶ!!必殺!!爆熱ゴッドフィンガァァァア!!」
ウルガモス?「この馬鹿弟子が……ダークネス・フィンガー!!」
ギエピー「キャラが濃いっピ」
エルレイド?「シュツルム・ウント・ドランクゥゥゥ!!」

リンドウ「俺……ポケモンの言語理解してたら絶対苦笑いしてるわ。だって攻撃からして、このポケモンの中身……あの人達だろ」


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115時限目 並行世界?いや、古代と未来との遭遇

この作品でのミライドンとコライドンは準伝説or600族のように扱います。
うん、SVのストーリーの蓋を開ければ設定上はただのパラドックスポケモンですからね(笑)


◯月◯日。エリアゼロは晴れ。

タイムマシンが大体完成した。ワイフは僕と違い、過去に拘っていたな。良く化石ポケモンの資料や書籍を読んでいた。まあ、気持ちは分からなくはないよ。僕も未来という未知に憧れたからね。

 

◯月✕日。エリアゼロは雨。

未来から連れてきたモトトカゲの未来種…ミライドンは凶暴すぎる。マスターボールのお陰か捕まえられたが、世に出したら危険すぎる。彼はこのまま、エリアゼロに置いとくとしよう。そう言えば……ミライドンのもう一体はペパーとワイフに預けたままだったな……あのままペパーに懐けば、彼にあげよう。あのミライドンは他のミライドンと比べて大人しく、人懐こいからね。

 

◯月△日。エリアゼロは曇り。

未来と過去のポケモン……パラドックスポケモン達はそのスペックが高すぎる。今では可愛らしいプリンやデリバードすらも、古代と未来の彼等なら強さはカイリューやボーマンダに匹敵する。それは現代では並み程度のドラゴンポケモンであるモトトカゲの未来種 ミライドンもそうだ。まさか、未来でモトトカゲとデリバードがカイリューやボーマンダに匹敵するポケモンに成ってるなんてね。

 

◯月✕✕日。

タイムマシンが不調だ。やはり、まだ調整が必要のようだ。少しトラブルが起きてね、ジュラ紀の時代からキルリアの古代種らしきポケモンが流れてきたが……マシントラブルで未来に行ってしまった。キルリア?には申し訳ない事をした。

 

◯月✕△日。

たまにはワイフとペパーに連絡を入れよう。おや?タイムマシンから何かが出てくるようだね。

 

日記は此処で途切れている。なお、日記の主はフトゥーという博士である。その上、日記は数年前から更新が途絶えている。

 

 

 

 

『モトトカゲのご先祖と思われる化石かい?それは興味深い!!しかもミイラ化石とはね……買い取りたいが、生憎とそんな予算は無いのでね』

「まあ、でもレッドのピッピとレジギガスがアンタがうっかりネットに流しちゃった新型化石復活マシーンで蘇生中なんで叶わぬ願いですよ」

 

一方のアローラ。一先ず、方針は決まったリンドウ達であったがそれには準備が必要だった。先ず、ネクロズマが何処に居るのかを調べ……ネクロズマを母星に強制送還させる。まあ、これは調べて見れば何者かがネクロズマを母星に強制送還させたようなので、一先ずOKだ。次にレッドが呼び出した秘密兵器がアローラ中の人々を元気にし、その後に合流との事でその秘密兵器と合流……なんでもレッドとアルセウス様曰く、その秘密兵器の力が有ればネクロズマの肉体を元に戻せるそうだ。

秘密兵器と合流した後はメンバーを選出し、ウルトラ調査隊(シオニラ隊長はミュウツー・マサラの姿の手で確保)と共にウルトラ調査隊の星に向かって作戦開始だ。もっとも、そのメンバーはウルトラガーディアンズ&レッド+リンドウそしてアルセウスに成りそうであるが。

 

では母星にはどうやって行くのか?それはシオニラ隊長率いるウルトラ調査隊がやって来た方法を用いて、母星へのウルトラホールを開き……ウルトラ調査隊から防護服を借りてそれを着込み……向かうのである。生身でウルトラホールを潜れば記憶喪失のリスクがあるために防護服は必要なのだ。

 

「まあ、今からちょっと野暮用が有るので……写真のデータは送っときますね」

『ええ、お願いするわ』

 

因みにリンドウはレッドの秘密兵器と合流する間にモトトカゲ等のパルデア地方のポケモンに詳しく、更にポケモン考古学の権威でもある博士とポケモンセンターのパソコン越しでテレビ通話を行っていた。

その博士の名前はオーリム。パルデアのポケモン博士の1人、フトゥー博士の奥さんであり一人息子が居るのだ。

 

リンドウはそう告げ、通信を切ろうとしたのだが……

 

『母ちゃん!!母ちゃんが蘇生中の化石が蘇った!!』

『マフ!!』

『本当にペパー、マフティフ……てっ!?なによ!?このウルガモス!!腕組んでるんだけど!!』

 

その画面に蘇ったばかりのウルガモス?が床を蹴り、画面に割ってはいる。なぜ?が着いてるのかと言うと、そのウルガモスは二足歩行で歩いており……羽は大きな背鰭のように自由には動かせないようでその上、恐竜のような尻尾が生えている。

 

あと……なぜか腕を組んで仁王立ちしてる。

 

(なんだろう……なんかデジャヴを感じる)

 

なお、リンドウがそのウルガモス?を知るのは学会でパルデア地方に行ってからである。

 

――弟子が世話に成る。この東方不敗!!マスター・ウルガモスの弟子が甦るぞい!!

 

とウルガモス?が言ってるが、リンドウの耳には聞こえるはずがなく……オーリム博士の息子 ペパー青年がウルガモス?を捕まえようとすると、ウルガモス?はペパー青年をアッパーで軽く吹き飛ばし映像は途切れた。

 

「なっ……なんだ?あのウルガモス」

 

 

 

 

 

 

「隊長!!サカキ様達は何処に行ったのでしょうか……」

「分からん……だが、必ず助けるぞ!!」

 

一方の虹ロケのは複数のグループで分かれており、行動を行っていた。全ては色彩軍団+サトシに敗れた虹サカキと愉快な仲間達を救うためだ。その為に、未来からのポケモンも用意したし……準備は万端だ。過去と未来のポケモンはその多くが600族に匹敵する強さを誇り、過去のボーマンダはメガシンカに匹敵する力も持っているのだから。

 

「あら?コスプレかしら?それとも、本物のロケット団?」

 

と女性の声でそのような声が聞こえる。何事かと思い、虹ロケが声の方をみるとそこにはボールを構える若い美女が立っていた。まあ、ブルーなのだが。

 

「隊長!!」

「此処は俺がやる!!お前達は先に行け!!」

「「イエッサー!!」」

 

なお、隊長は殿を務めるのか部下を先に行かせてブルーと戦うことを決めたようだ。

 

「行け!!ハリテヤマ!!」

「行きなさい!!トゲちゃん!!」

 

ブルーはトゲキッスを繰り出し、虹ロケ隊長はハリテヤマを繰り出した。しかし、そのハリテヤマは電気を纏い……機械のような外見をしていたのだ。

 

「はい!?なんなのよ!?そのポケモン!?」

「ハリテヤマ!!10万ボルトだ!!」

「10万ボルト!?トゲちゃん!!神速で回避なさい!!」

 

そのハリテヤマ?はあろうことか、電気タイプの技を繰り出したのだ。トゲキッスは10万ボルトを回避し、エアスラッシュを繰り出す。しかし、ハリテヤマ?は効果抜群ではないのか平然としている。

 

「格闘タイプでしょ?」

「ふふふ……どうやら此方のタイプを知らないようだな!!」

 

その時だった。突如……直ぐ側の噴水から大きな水柱が立ち上がり……その上に……

 

「なっ!?アイツ!?この時代まで追い掛けて来やがったのか!!あのエルレイド!!」

 

メガエルレイドを機械のようにしたようなポケモンが腕を組んで仁王立ちしていたのだ。

 

そのメガエルレイド?両腕の剣を反転させ、クナイのようにサイコカッターをハリテヤマ?に投げまくり、目にも止まらぬ動きでハリテヤマの隣に移動してサイコカッターで切り伏せ、ハリテヤマ?を倒した。

 

「えっ?あの……味方よね?」

 

ブルーの問いにメガエルレイド?はそう頷く。

 

『私はエルレイド。生まれはジュラ紀だが、訳あって遥か遠くの未来からやって来た』

 

そのメガエルレイド?はサイコパワーを使い、ブルーとトゲキッスの脳内に直接語りかける。どうやらメガエルレイドではなく、未来のエルレイドのようだ。

 

「うん?ジュラ紀?へっ?遥か遠くの未来から!?へ!?」

『説明は後だ。私のタイプはフェアリー・格闘。奴は未来のポケモンを使う、未来のポケモンは電気タイプが多い……来るぞ!!』

 

取りあえず、なにやらこのエルレイドは味方のは確定だ。そしてエルレイドは腕の剣をなんと……取ってしまいダブルセイバーのように構えてしまった。いや、どうなってるの?

 

「ちっ!!この世界の未来に送り込んだロケット団を潰したエルレイドめ!!いけ、バンギラスとサザンドラ!!」

 

行きなりのダブルバトルとなり、虹ロケ隊長は未来のバンギラスと未来のサザンドラを繰り出した。未来のバンギラスはバンギラスをロボットのようにし、背鰭が電気と成っている。未来サザンドラはあのサザンドラをロボットにしたまんまだ……うん、そのまんまだ。

 

『未来のサザンドラは弱体化している。タイプは飛行・悪だ』

「あっ、じゃあ……私とトゲちゃんでやるわ。トゲちゃん!!マジカルシャイン!!」

「チョゲ!!」

 

未来サザンドラ……ブルーのトゲキッスの手で秒殺!!

 

『シュツルム・ウント・ドランクゥゥゥ!!』

 

そして未来バンギラスはエルレイドがベイゴマのように高速回転しながら……せいなるつるぎを連発し、瞬殺してしまった。なお、余談だがゲームの未来エルレイドはせいなるつるぎを覚えません!!

 

「おのれ!!だったらマスターボールで操り人形に変えたミライドン!!」

 

虹ロケ隊長は続いて、モトトカゲを大きくし……サイボーグにしたような青紫色のポケモンを繰り出した。

 

『ふん。ポケモンと信頼関係を結ばず、特別なボールで縛るからそうなる』

 

エルレイドはダブルセイバーを投擲し、男がミライドンと呼んだポケモンのボールを破壊した。

 

その瞬間……繰り出されたミライドン?は正気に戻り、キョトンとするのであった。

 

そしてそのダブルセイバーはサイコパワーで操られ、エルレイドの手元に戻り……エルレイドは峰打ちで虹ロケ隊長を行動不能にした。

 

『四代目シンオウチャンピオンに伝えてくれ。弟を頼むとな』

「四代目シンオウチャンピオンって誰!?シロナさんは三代目よ!?」

 

そしてエルレイドは地面を蹴り、忍者のような身のこなしで何処かに去っていった。そして、現場にはブルーとミライドン、そして動かぬ虹ロケ隊長が残されていた。

 

 

 

 

 

 

 

一方のポケセン。

 

「やめるっピ!!今開けるからやめるっピ!!」

 

ホワイトが持ってきたミイラ化石の蘇生が完了した。だが、そのポケモンは扉を開ける前に拳で扉を破壊し……復元装置から出てきたのだ。

 

「なっ……なんだ……あのポケモンは?」

 

なお、ポケセンの外ではリンドウとレッドが虹ロケ下っ端と戦っていたのだが……その蘇生が完了したポケモンを見た者達は唖然とする。

 

モトトカゲを大きくし、原付サイズから超大型バイク程に大きくした赤いポケモン。そのポケモンはモトトカゲと異なり、頭部に長い羽根飾りが着いている。

 

「君……もう動けるの!?」

 

そんなモトトカゲ?にホワイトは話し掛ける。

 

――お前が俺を甦らしたのか?

 

「言葉は分からないけど……うん!!そうだよ!!」

 

――そうか。やり残した事が有りすぎたからな。礼を言う。あと、下がっていろ。

 

モトトカゲ?は四足歩行から立ち上がる。その瞬間、頭部の羽根飾りが一気に広がり、腰の羽根飾りも広がり……伸びたのだ。

 

「変形した!?」

 

言うならば変形……フォルムチェンジだろう。

 

モトトカゲ?は虹ロケ下っ腹のポケモン……未来ハリテヤマを標的とすると、モトトカゲの右手?に莫大なエネルギーが集まった。

 

――俺のこの手が真っ赤に燃える!!勝利を掴めと轟叫ぶ!!

 

大地を蹴り、地面に深く足跡が刻まれる。

 

――ばぁぁくねつ!!ゴッドフィンガァァァア!!

 

そして目にも止まらぬ速さで未来ハリテヤマの頭部を右手で掴み、莫大な熱量を未来ハリテヤマが襲う!!なお、原理はパルデアに伝わる誰でもフォトンゲイザーことテラバーストを掌にエネルギーとして凝縮し、0距離ブッパである。

 

「ハッ……メカハリテ!?」

 

――ヒートエンド!!

 

0距離ブッパされたエネルギーは一撃で未来ハリテヤマを倒してしまった。

 

「なんだろう……どっからみてもゴッドフィンガー……Gガンダム?スパさんミュウツーとサンジみたいなキモリの次はガンダムファイター?」

 

そしてリンドウは誰にも聞こえないようにそう言った。

 

「ひゃほーーー!!速いじゃん!!ミライドンちゃん!!貴方サイコー!!」

 

そしてバイクに変形したミライドンを乗り回すブルーが戻ってきたが、ブルーが虹ロケ下っ端を曳いたのは内緒である。

 

 

 

 

 

 

 

「あのーいつ出れば?」

 

そして出るタイミングを失ったホウオウさんであった。

 

 

ミライドンはともかく、流派東方不敗?の使い手だと思われるモトトカゲ古代種はリンドウの手でコライドンと命名され……後々、パルデアの学会で発表される事となる。なお、流派東方不敗?の事は発表しない、当然である。

 




次回!!ウルトラガーディアンズ……出撃!!

ホワイト「僕も行きたい!!」
リンドウ「お前は留守番だ。それに、お前とブルーが居るから俺とレッドが行けるんだ」

ホワイト、ブルー留守番確定。そしてリンドウ達がネクロズマを救ってる間……ククイ博士は石破天驚拳を知る!?


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116時限目 いざ、ネクロズマの星へ

中の人(魂)が居るポケモンもっと出す?(笑)一応、あとゾロIN???は考えてる。


――この男を知ってるか?俺の兄さんなんだが……

 

ホワイトが拾ってきたミイラ化石から蘇生したモトトカゲ?は一先ず、リンドウがブルーが連れてきた謎のポケモン ミライドンと似ているということも有ってかコライドンと名付けられた。表向きの種族名の意味としては古来+ライドオン=コライドンである。

そんなコライドンは一先ず、ホワイトのポケモンと成ったのだが……どういう訳か器用に鉛筆で先程書いた絵をリンドウは勿論のこと、改めて集合したリンドウの教え子達ウルトラガーディアンズ(ブラック以外)やそのポケモン達にも聞いて回っている。む?ブラックはどうしたって?彼はまだデントと共にイッシュでお仕事ナウなので召集できないのだ。

 

「いや、俺達に聞かれても分かるわけないだろ?流石にジュラ紀のポケモンの居場所は分からん」

 

その絵には幼いコライドンを肩車する……キルリアの古代種と思われるポケモンの絵であった。なんでもコライドンと共に育った兄らしく、コライドンは赤ん坊の頃に群をはぐれた所を古代サーナイト夫妻とその長男だった古代キルリアに拾われたそうだ。

コライドン曰く、キルリアは変な穴からコライドンを庇い……突如として目の前から居なくなったそうだ。しかし、その穴はウルトラホールと似て異なる物だったらしい。

 

「まさかタイムマシンだったり?」

 

と……バイクモードのミライドンの背中に乗ったブルーがそう言った。まあ、確かにブルーは未来から連れてこられたポケモンと戦ったし、同時に未来からやって来た謎のエルレイドと共に共闘した。

 

 

 

 

『……すまない弟よ。お前に真相を話したいが、それはまだ出来ない』

 

そんな彼等をポケモンスクールの屋根の上から見下ろす、未来エルレイドが立っていたが誰もその存在に気付かない。いや、レッドのピカチュウことバグチュウとアルセウスだけが気付いており……未来エルレイドを見上げていた。

 

その未来エルレイドは何処から取り出したのか、()()()()()()()()()()()()覆面マスクを取り出して被り、その場から消えた。

 

『私は第二の私を産まないためにも、フトゥーの開発したタイムマシンを破壊しなければならない』

 

コライドンが兄と再会(兄弟として)するのはパルデアに成るようだ。

 

 

 

 

 

 

 

2時間後。

 

「で……防護服ってウルトラガーディアンズの服だったのかよ」

 

リンドウとレッドの元にウルトラホールを潜るための防護服が手渡された。

しかし、蓋を開けてみれば……防護服はウルトラガーディアンズのコスチュームその物だったのだ。因みに、リンドウのガーディアンズコスチュームは青紫であり、レッドのガーディアンズコスチュームは赤色……マント付きであった。そのガーディアンズコスチュームに着替えたリンドウとレッドであったが……しかし、どうやってネクロズマの惑星に行くのだろうか?

 

「私達の宇宙船で向かう!!」

 

とシオニラ隊長が教えてくれた。しかし、シオニラ隊長は長い間スパさんミュウツーにアッセイ!!された影響なのか……顔がパンパンに腫れていて首にグルグルと包帯を巻いている。うん、アッセイ!!

 

 

 

 

 

 

「僕も宇宙に行きたかった!!足手まといじゃないのに!!」

「まあ、最低でも誰かが残らないと行けなかったら妥当じゃないかしら?」

 

一方のメレメレ島。

 

メレメレ島に残ることと成ったブルー、ホワイトは復活したククイ博士と共にメレメレ島のパトロールを行っていた。リンドウやレッドという最強チート戦力がネクロズマと別の銀河系を救いに出掛けている今、メレメレ島を守るためにはチャンピオン以上の実力を誇るブルー、チート少年 ホワイト、そしてプロレスラー兼ポケモン博士のククイ博士の力が必要なのだ。

 

「いや、この場で足手まといは間違いなく俺なんだが」

 

と苦笑いを浮かべるククイ博士。

 

『まあ、気を落とすな』

 

と……同じく義父同士の為かキュレムが優しくククイ博士の肩を叩く。しかし、キュレムとククイ博士はこのあと……コライドンのお陰か怒涛のツッコミラッシュが待っていることを知らないのである。

 

そんな時だった。

 

「あっ!!虹ロケが居るわよ!!」

 

ブルーお姉さんが前方を指差した。そこにはアローラで悪さ(正しくはこの世界で行方不明と成った幹部達の救援)にやって来た虹ロケを見付ける。向こうの虹ロケも丁度3人である。

 

「ちっ!!見付かった!!お前ら……やるぞ!!あのへんなエルレイドも今は居ない!!」

「「おうよ!!」」

 

虹ロケはメガプテラ……いや、メガ進化をしていない。と言うことはプテラの古代種の可能性が高い。最近の研究でプテラのメガ進化は本来の姿に戻してると言う研究結果が出ている。だとすれば、あれが本来のプテラ……古代プテラなのだろう。

 

虹ロケはボスゴドラを繰り出し、このボスゴドラをメガ進化させた。

 

虹ロケはラッタ(日本)を繰り出した。うん、この最後の虹ロケだけ定番であった。

 

「行きなさい!!カメちゃん!!最初から全開よ!!」

 

ブルーはカメックスを繰り出し、メガ進化させる。此処に伝説さえも粉砕する移動式波動砲 メガカメックスが降臨した。

 

「よし!!此方もだよキュ「ぐぅおお!!」へ?」

『行かせてやれ。古代には古代で立ち向かうべきだ』

 

ホワイトはキュレムを繰り出そうとしたが、その前にコライドンが場に出てしまった。なお、コライドンは場に出ると同時に戦闘形態(バトルフォルム)に成っており……何故か腕を組んでいる。

 

「よし!!此方もだ!!ガオガエン!!」

 

そしてククイ博士は真の切札であるガオガエンを繰り出した。

 

「ガオガエ!!」

 

なお、このガオガエン。ロイヤルマスクのガオガエンと同一である。つまり、そう言うことだ。

 

 

「グゥルルオ《ポケモンファイト!!!》」

 

古代プテラが両手を大きく広げ、なにやら叫ぶ。

 

「ギャォォン!!《レディィィイ!!ゴォオオオオ!!》」

 

同時にコライドンも何かを叫び、両者は地面を駆け出して激突した。

 

『ポケモンファイトレディーゴーってなんだよ!!』

 

とキュレムが突っ込んだ。

 

ジュラ紀代表ポケモンファイター コライドンVS白亜紀代表ポケモンファイター 古代プテラのポケモンファイトが始まった。

 




次回!!ガンダ◯ファイトレディィィイゴー!!とリンドウ達、星に到着。

古代プテラ「これが銀色の脚だ!!」←ハイパーボイス
コライドン「ゴッドフィンガァァァア!!ヒィィートエンドォォオ!!」


リンドウ「真っ暗だな……草木が1本もない」

この温度差よ(笑)


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117時限目

輝き様編はもうすぐ終ります。


『いや、なんだよ!!ポケモンファイトレディィゴォォーって!!』

「えっ?ポケモンファイトレディゴー!?コライドンと相手のプテラらしきポケモンは間違いなくそう言ったのか!?」

 

リンドウとレッドがウルトラガーディアンズ、そしてウルトラ調査隊と共にネクロズマを救うためにウルトラ調査隊の宇宙船でネクロズマの母星に向かっている頃。いや、宇宙船の速度的にもう到着している頃だろうか?

一方の地球、メレメレ島では旅立ったリンドウ達の代わりにブルー、ホワイト、そして復活したばかりのククイ博士が大人達が動けないメレメレ島を護っていた。メレメレ島は未だ虹ロケ残党が生き残っており、ブルー達は虹ロケ残党と戦っていたのだが……

 

「グルギャァァ!!(喰らえ!!銀色の脚!!)」

『いや、脚じゃないだろ!!』

「脚!?えっ?脚!?どっから見てもハイパーボイスだろ!!」

 

常識があるキュレムパパとククイ博士は、虹ロケが繰り出した妙にキャラの濃いプテラ(古代の姿)とホワイトのコライドンの戦いを見ながら突っ込みを入れていた。

なお、ククイ博士だってサボってたわけではない。ついさっきまで、切札であるガオガエンを繰り出して圧倒的な力で虹ロケのラッタを瞬殺したのだから。

 

「もしかして相手のプテラ?も古代や未来の姿かしら?でも、メガシンカしたプテラに似てるわね。もしかして、一部の科学者が言っていたメガプテラこそが本来のプテラの姿だって仮説が正しかったのかしら?」

 

そんな古代プテラを眺めるブルーお姉さん。なお、ブルーはメガカメックスの圧倒的な力で相手のメガボスゴドラを粉砕し、現在はカメックスのカメちゃんと共にホワイトのコライドンと相手の古代プテラの戦いを見学である。

 

「グルゥ!!」

 

古代プテラが解き放った銀色の脚……ゲフンゲフン!!ハイパーボイスは大地を削りながら音速で迫り、コライドンは両腕を交差させて顔の前に構えて防御の姿勢を取る。なお、お腹を晒してる訳だが……コライドンのお腹の前輪部分は超硬質化した浮袋であり頑丈だ。故に、ガードするなら頭部に限定した方が効率が良いのだ。更にハイパーボイスが直撃する瞬間にコライドンは全身の力を込めてビルドアップを行い……防御力と攻撃を同時にあげる。

 

「よし!!コライドン!!ドレインパンチだ!!」

 

筋力が上がればキック力も当然ながら上昇する。そしてコライドンは素の状態で20メートル以上を軽く跳躍する事が出来るのだ。

パワーアップした脚力で大地を蹴り、コライドンは古代プテラの眼前に飛び上がり……プテラの顔面に体力をすいとる力を秘めた拳の一撃 ドレインパンチを解き放つ。

 

「ビギァァ!!」

 

ドレインパンチの一撃を受けたプテラは体勢を崩し、地面に落下する。だが、その隙を見て更に追い討ちをしかけるコライドン。

 

「ローキックだよ!!」

 

ホワイトの指示に従い、ドレインパンチでの運動エネルギーを利用して回転を加えたローキックを放ち、ローキックはプテラの臀部に直撃してプテラは凄い勢いで地面に落下した。

 

「ぶて!?」

「グルル」

 

コライドンは地面に降り、ホワイトの方を見る。そしてホワイトはサムズアップを行う。

 

「よし!!コライドン!!石破天驚拳でトドメだよ!!」

『えっ!?なに!?石破天驚拳ってなに!?俺、知らないんだけど!!』

「俺も知らないわ!!てか、そんな技初耳なんだけど!!」

 

なにやらコライドンには石破天驚拳という必殺技が有るようだ。だが、技の専門家であるククイ博士が知らないように石破天驚拳なんてポケモンの技は存在しない。いくら、この天才児ホワイトくんでも出会って即のコライドンに技の応用を用いた必殺技を考えるのは無理だ。

それもその筈、この石破天驚拳はゴッドフィンガー(ゼロ距離テラバースト)と同じくコライドンが生前に使っていた必殺技である。ホワイトは事前にコライドンからどんな事が出来るのか聞いており……ホワイトはコライドンの必殺技を全てもう頭に叩き込んでいる。

 

「なんだか良く分からないけど……お姉さんが許す!!やっちゃいなさい!!」

 

ブルーの言葉が響き、コライドンはまるで波動弾を解き放つように両手の掌を合わせる。すると、コライドンは波動弾のエネルギーを掌に溜めだした。だが、それと平行するようにコライドンは大地の力を使ったのか……地面からエネルギーが溢れだす。

本来なら大地の力は大地からエネルギー解き放ち、相手にダメージを与える技だ。だが、コライドンはあろうことかそのエネルギーを自分のバフに使ったのだ。

 

「大地の力を強化に使ったのか!?そんな使い方……聞いたことが無いぞ!!てか、そんなのアリか!?」

 

ククイ博士の突っ込みが轟、コライドンは掌の間に溜まったエネルギーを解き放った。

 

「コライドン!!石!破!天驚拳!!」

「グルルガァァア!!(石!破!天驚拳!!)」

 

放たれた莫大なエネルギーは一撃で……

 

「プテェェェェエ!?」

「「「ほんげぇぇぇーー!!」」」

 

古代プテラを倒し、序でに虹ロケも粉砕した。

なお、後日……ククイ博士の分析により石破天驚拳は波動弾+竜の波動+大地の力(バフ)、ゴッドフィンガーはゼロ距離テラバーストorゼロ距離波動弾orゼロ距離竜の波動という結論が出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

「此処が……ネクロズマの星か」

 

リンドウ達はネクロズマの惑星に到着した。そこは科学技術が地球より遥かに進んだ惑星であるが、惑星の都合上なのか太陽の光が星に降り注がず漆黒の空が広がっていた。

高い高層ビルの数々は光が灯されているが……これらは先祖がネクロズマを実験し、力を支配しようとした際に得てしまったネクロズマの欠損した肉体から得られた光から灯されているとか。

 

「リンドウ先生……ここの人達って」

「肌が青いな」

 

シオニラ隊長達を見て分かると思うが、この惑星の人達は肌が青い。何故ならネクロズマの放つ太陽の代わりの光を浴びずに世代をなん世代も重ねた為なのか……人間の肌が青いようだ。

 

だが、リンドウは知らない。

 

ゲンシグラードン+ホウオウ+アルセウス+ピカ様VSウルトラネクロズマの戦いでこの摩天楼は一瞬でボロボロに成ることを。




次回!!ウルトラネクロズマ……降臨!!しかし、暴走は停まらず……やむを得ず戦う!?

「グラードン!!準備は良いな!!」

なお、リンドウのグラードンはゲンシカイキ(メガシンカ)を使った時だけチートに成ります(普段のバトルでは使いません)。だって、1分で大地が乾上がり……30分有れば海が乾上がるもん(笑)

そして……

「マカセロス!!」

「マカセロス!!」

「マカセロス!!」

「マカセロス!!」

あの惑星から助っ人が沢山現れる!?


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118時限目 ウルトラネクロズマ降臨!!

ネクロズマ……覚醒!!


「作戦を説明するぞ」

 

ここはネクロズマの星、そしてエーテルパラダイスに居候していたウルトラ調査隊の故郷。その星とネクロズマを救うために現地で作戦会議を行っていたウルトラガーディアンズ+神様ことアルセウス、ホウオウ、そしてリンドウとレッド。

先ず、作戦の概要はこうだ。ホウオウが死者蘇生の力と自然再生の権能を用いてネクロズマの肉体を再生させる。その後、肉体の機能が回復したネクロズマは身体の代謝機能で身体に溜まりすぎた不純物+排泄物を浄化出来るようになり、正気に戻ると言うもの。この作戦だけで済めば、リンドウ達はネクロズマと戦う必要がなく被害も本当に最小限に済むだろう。だが、これだけでは終わらないという想定も必要だ。

 

「ああ。身体の修復が完了してもネクロズマは身体に溜まりすぎた不純物と老廃物の為に発狂しても可笑しくない激痛に襲われている。その痛みが直ぐに取れるという保証もないし、正気に戻らず襲い掛かってくる可能性もある」

 

アルセウスが告げた。そう、ネクロズマの肉体を再生させてもネクロズマが正気に戻るとは限らない。最悪の場合、理性が直ぐに戻らず……肉体が完全体となったネクロズマとの戦闘に成ってしまう。

本来のネクロズマはアルセウスに匹敵、いや……違う。アルセウスは本来の力であるオリジナルのプレート…1枚でプレート全部の力を持っていたレジェンドプレートを喪っている。レジェンドプレートを本来のレジギガス(レッドのレジギガス隊長の過去の姿)レジギガス・オリジンと人類が産まれる遥か昔に激突し……その衝撃でレジギガス・オリジンは肉体の8割を喪ってレジギガスとなり、アルセウスはレジェンドプレートを喪って弱体化した。

 

「だが、その場合の策はある。サトシの恩師よ、どうして君はスイレンと異なりグラードンのゲンシカイキを使わない?」

 

しかし、その場合の策はあると言う。そしてその策はリンドウとグラードンが関係しているのか、アルセウスはリンドウに問う。

当然ながらリンドウもアルセウスの言いたいことが分かっている。というかリンドウはグラードンのメガシンカ……正しくはゲンシカイキを使いたくても使えないのだ。スイレンがカイオーガをメガシンカ(ゲンシカイキ)させた時は止まない雨が降るだけだ有るが、リンドウのグラードンはそんな程度ではすまない。

モーン博士のメタモンがゲンシグラードンに変身し、その特性 終わりの大地を使った。だが、リンドウのグラードンはその程度の規模でない。

 

「神様……アンタ。分かってて言ってるな?最悪、グラードンがゲンシカイキを行って戦闘を3分以上行えば熱量でこの街は熔解するぞ?」

 

リンドウがグラードンをメガシンカさせたのはたった1度だけ。しかも僅か数秒だけだ。その数秒の間にエーテルパラダイスの一エリアの草木はゲンシグラードンが放つ熱量で灰に変わり、川の水は一瞬で蒸発した。

 

「鉄骨も関係ないぞ?」

「ああ、私は君のグラードンが何者なのか……大体予想は付いてるよ。

だからこそだ。それに、町の被害は諦めるが……人とこの星のポケモンの命は安心した前。私が安全な所に避難させ、ホウオウが天災の被害を最小限に抑える」

 

最悪のプランがこれである。ネクロズマの完全体……ウルトラネクロズマが暴走を開始した瞬間に発動。アルセウスが民間人と周辺のポケモンを空間転移で避難させ、その後にリンドウがグラードンのゲンシカイキを発動させ……グラードンの本当の力を解放させる。力を完全に解放したゲンシグラードンがウルトラネクロズマを押さえ込む……なお、ホウオウとアルセウスが天変地異の被害を最小限に抑えながら援護、レジギガスがサトシ達の守護、レッドとバグチュウが遊撃である。む?スパさんミュウツーはどうするかって?

 

「アッセイ!!」

 

言うこと聞かなさそうなので、自由に暴れてもらう。以上!!

 

 

 

「始めるぞ……」

 

ホウオウが大きく翼を広げ、空に飛び立つ。そして身体が虹色に輝き……虹が広がる。

 

虹が漆黒の夜空に広がり、その虹が傷を癒すために休眠しているネクロズマに降り注いだ。

 

「シッ……シカリ!!シカリィィィイ!!」

 

ネクロズマの声が夜空に響き、爆光が夜空を照らす。眩しすぎる光故に、リンドウ達は眼を一瞬瞑る。爆光がやんだので、眼を再び開くと。先ほどまでの漆黒の夜空とはうって変わり、青空が空一面に広がっていたのだ。

 

「夜空が青空に変わった」

「ピカピ……」

 

「何がどうなって……サトシ!!先生!!皆、あっち見て!!」

 

セレナが何かに気付き、空を指差す。セレナが指差した方角には

 

 

 

 

 

「シカリ!!シカリィィイ!!」

 

 

 

 

金色の翼を持つ数十メートルサイズの巨大な光のドラゴンタイプのポケモンが宙に浮かんでいたのだ。

 

「ネクロズマ……元の姿に戻ったのだな」

 

アルセウスが安堵するようにそう言った。そう、この姿はウルトラネクロズマ。ネクロズマの本来の姿であり、ウルトラビースト達にとっての神としての姿である。ホウオウの再生能力の力で肉体を再生させられ、本来の姿を取り戻した。

本来の姿に戻ったネクロズマは光を司る権能を用いて、この星に朝をもたらしたのだ。この星に光輝く朝がやって来たのは何年振りだろうか?

 

だが、アルセウスの安堵は最悪の展開で終る。

 

「シカリ!!」

 

肉体は戻った。だが、ネクロズマの理性は戻っておらず、ネクロズマは目に映る存在全てを敵と認識。ネクロズマは口を大きく広げ、隕石の雨を降らせる。ネクロズマが解き放つ流星群だ。アルセウスと同格から解き放たれる流星群、その破壊力は一発当たっただけでも一撃でノックアウトは間違いない。

その規模は正にマップ兵器。この世の終りかと思う程の隕石が降り注ぎ、辺りを破壊していく。

 

『アルセウス!!』

「分かっている!!レジギガスはサトシ達を護れ!!」

 

レジギガスはサトシ達を護るために、子供達の楯になるように身体を使って身を護る。隕石が何発も当たろうが、レジギガスはサトシ達を護るために絶対にその場から動かない、倒れない。

 

「付近の住民の避難は出来た……なっ!?」

 

だが、隕石の雨は終わらない。その上、ウルトラネクロズマは此方に向かって攻撃を開始した。迫り来る爆光の光弾……フォトンゲイザー。全て捌くのは不可能に近い……だが、そんな時だった。

 

「マカセロス!!」

 

ホワイトのカイロスと同じく独特な言葉で喋る普通?のカイロスが何処からか現れ、守るでフォトンゲイザーを防ぐ。なお、色違いではない。

 

「マカセロス!!」

 

「マカセロス!!」

 

「マカセロス!!」

 

「マカセロス!!」

 

更に次々とカイロス達が現れて守るを用いてリンドウ達を手助けする。

 

「「「えっ?カイロス?」」」

「我々は惑星カイロスのカイロスだ。君達は太陽系第三惑星のポケモンとトレーナーだな?そうか、あの色違いは仕事を成したか……我々の銀河の救援を受けてくれて感謝する!!」

 

と……困惑するリンドウ達であったが、流暢に話すカイロスが教えてくれた。彼等はこの星と同じ銀河系に存在する惑星カイロスと呼ばれる星から来たようで、前々からこの星とネクロズマの異変に気付き、アルセウスの居る第三惑星 地球に銀河系とネクロズマの危機を知らせる為に使者を送り込んで救援を頼んだそうだ。

 

「我々が時間を稼ぐ……と言いたいが、我々ではネクロズマを停められない。守るでほんの一瞬だが、稼ぐ……頼むぞ!!」

 

喋るカイロスはそう告げ、サトシとレッドに何かを手渡した。それは黄色のZクリスタルだ。

 

「これは?」

「我々の先祖がネクロズマから託された()()なピカチュウのZクリスタルだ。莫大な光を産み出せる!!だが、時間とエネルギーが必要だ……」

 

そのZクリスタルは惑星カイロスの嘗ての王がネクロズマから託されたZクリスタルであり、特別なピカチュウだけに反応するZクリスタルだそうだ。だが、ネクロズマを正気に戻せる程の光を放つには時間とエネルギーが必要なのだ。

 

「アッセイ!!」

 

ミュウツー・マサラの姿がニコやかな笑みを浮かべ、リンドウにサムズアップを行う。

 

「リンドウ先生!!」

 

「先生!!」

 

「先生とグラードンなら大丈夫!!」

 

「先生!!」

 

教え子達に声援を送られ、リンドウは覚悟を決めてグラードンのボールを取り出し、グラードンをボールから出す。

 

「グラードン……メガシンカ……いや、ゲンシカイキを使うぞ」

「グラー!!」

 

今はアルセウスとホウオウが付いている。更に子供達の安全はレジギガス隊長とカイロス達が護ってくれる。今こそ、グラードンは天変地異を引き起こす真の終わりの大地を使うのだ。

 

「アッセイ!!」

「グラー!?」

 

ミュウツー・マサラの姿がグラードンをネクロズマに向けてぶん投げる。物凄い速さで飛んでいくグラードンであるが、リンドウがメガバンクルからゲンシカイキを発動させたのか……グラードンをΩの紋様が描かれた光に包まれ……

 

「シカリ!?」

 

その光が砕かれた瞬間、爆熱の熱波が吹き荒れ……

 

「グラァァァア!!」

 

体長数十メートルの巨体を誇る終焉の化身 ゲンシグラードンが降臨した。ゲンシグラードンは立っているだけで天変地異を引き起こし、その熱で周囲の鉄骨は熔解していき、空気中の水分が蒸発していく。

 

「シカリ!!」

 

ウルトラネクロズマは竜の波動を解き放つが……

 

「グラァァァア!!」

 

ゲンシグラードンは熱波を全方位に解き放ち……竜の波動を打ち消し、大地からマグマを放出して飛び上がり、ウルトラネクロズマの腹部に……

 

「グラードン!!じしん!!」

「グラァァァシャァァア!!」

 

渾身のじしんパンチを撃ち込んだ。その熱量と破壊力故に空間がネジ曲がり、震動エネルギーが一気に解き放たれた為か空間に亀裂が生じる。

 

 

 

リンドウ人生で最初で最後。グラードンの真の力を解放した全力戦闘の始まりである。

 

なお、地球でやれば地球の環境が終るので絶対に出来ない模様。




次回!!ゲンシグラードンVSウルトラネクロズマ!!ファイ!!

喋るカイロスCV山ちゃん「さあ、今だ!!皆、第三惑星の諸君!!光を……サトシくんとレッドくんに!!」
サトシ&レッド「1000万ボルト!!」

ネクロズマが本当の意味で元に戻る。





因みにリンドウのゲンシグラードンが地球でガチ戦闘すれば5分以内にメレメレ島は生物が生息できなくなります(笑)
なので、皆さん……真のゲンシグラードンが見れるのは今だけですよ!!
なお、ゲンシカイキしなかったら我らがレウスより弱い模様。


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119時限目 復活の輝き様。

ゲンシグラードン(ホウエン個体とリンドウの)が地球で戦えばどうなります?

地球が冗談抜きで終わります。


ゲンシグラードンが解き放ったゼロ距離じしんパンチ。その破壊力は普段の状態で解き放つじしんパンチと比べて遥かに破壊力が増した異次元の一撃であった。

先ずリンドウのグラードンもそうだが、ゲームのポケモンをやった事がある方々は良く理解しているだろう。確かにゲームの伝説のポケモンは種族値は高いが、実際に戦ってみると普通のポケモンでも充分に対処が可能だ。事実、スイレンのカイオーガやリンドウのグラードン、そしてリーリエのイベルタルとソルガレオも鍛えぬいたポケモンで対処は可能である。これらはチャンピオン決定戦でブラックが某伝説厨相手に証明した。だが、リンドウの場合はトレーナーとしての技量がトップクラスなのでお察しして下さい。

 

「シッカリィィィイ!?」

 

ゲンシグラードンは大地の莫大なエネルギーがポケモンの形をした化身とも言っても良いだろう。立っているだけで莫大な熱量で草木を塵に変え、大地を乾上がらせ、海を蒸発させて終わりの大地を具現化させる。数十メートルもの巨体はマントル(地球内部の物)が流体として蠢いているものと理解できる程であり、技を使わず殴る、熱量を解放するだけでも相手を粉砕する……いや消してしまう。

立っているだけでも周囲に天変地異を引き起こし、生物が生息できない終焉の大地を造り上げる為に地球では絶対にゲンシグラードンに成ることは出来ない。成れるとしたら、今回のようにアルセウスとホウオウという二大チートがバックアップで周辺の被害を極力抑える事でしか出来ないだろう……まあ、それでもゲンシグラードンとウルトラネクロズマが激突した場所はクレーターorマグマ溜まりそして終焉の大地に成ってしまうだろう。

 

空間がネジ曲がる程の莫大な震動エネルギーと熱量が解き放たれたじしんパンチの直撃を受けたウルトラネクロズマ。拳の一撃で空間がネジ曲がり、同時に空間に亀裂が生じてウルトラネクロズマは斜め下後方に吹き飛び地面に激突する。

 

なお、この時点でゲンシグラードンの周囲は真っ赤に染まった灰のクレーターに変わっており、摩天楼の鉄骨も完全に熔解してしまっている。もし、これがホウオウとアルセウスのバックアップ無しで行われていた場合、アローラの海は間違いなく蒸発してアローラ及び近辺の生物は死滅しているだろう。

 

「先生のグラードンは私のカイオーガと違って、メガシンカしたらこんなにもパワーアップしてるんですか?明らかにポケモンの常識を超えてますよね?」

 

ゲンシグラードンの圧倒的な力に、同じくホウエンの伝説をパートナーに持つスイレンが震えながら言う。スイレンはカイオーガをゲンシカイキさせて戦っているが、スイレンのカイオーガがメガシンカしてもパワーアップは常識の範囲内だ。伝説のポケモンがメガシンカを行った程度である。

だが、リンドウのグラードンはどうだろうか?メガシンカ……ゲンシカイキを行う前は至って普通の伝説のポケモンだ。常識の範囲のポケモンだった。それは日頃からリンドウの他のパートナーと共にグラードンと触れあっているサトシ達は知っている。ちょっと甘えん坊で何処か天然なグラードンがゲンシカイキを行った瞬間……常識なんて物差しを置き去りにし此の世に終焉をもたらす大地の化身と成ったのだから。

 

ゲンシグラードンは熱波を放ちながらゆっくりとウルトラネクロズマに歩み寄る。勿論、この瞬間にもゲンシグラードンが前進している為か……終焉の大地が次々と出来上がっており、摩天楼が熔解しては焦土に変わっていく。

 

「それは私から説明しよう」

 

アルセウスが名乗り出た。

 

「恐らくだが、リンドウのグラードンはこの世界のえんとつ山に眠りについているホウエンのグラードンと同一個体だ。

眠りについているグラードンは自分の意志で眠りについている。何故ならゲンシカイキを行い、真の力を解き放てば世界に終焉をもたらす終わりの大地を具現化させる為だ」

 

「そのグラードンは何億年も昔……終焉をもたらす力で大地を造り出した。普段の強さは並みの伝説のポケモンと変わらないが、ゲンシカイキを行えば終末をもたらす化身と成るのだ」

 

始まりの海をもたらす海神 カイオーガ、終焉の大地を造り上げる終末神 グラードン。この2体はホウエンの各所で自分の意志で眠りにつく超古代ポケモンであり、他のグラードンやカイオーガとは一線をかく存在だ。そして、その終末装置の2体が暴走した時に降臨する究極の暴力装置ホウエンの守護神 レックウザ。そんな彼等と並行世界の同一個体であるリンドウのグラードン……普段は普通であるが、ゲンシカイキを行うことで終末神として大地を造り上げる破滅を行使するのだ。

 

もし、ホウエンのグラードンとカイオーガが目覚めゲンシカイキを行って戦えば終末の大地と始祖の海が激突し瞬く間に生命が生息できなくなり、それを停めるために守護神レックウザがゲンシカイキを行って降臨し……暴虐の嵐が暴力装置として武力介入する。よく残ったな、超古代の地球。

 

「いけ!!グラードン!!お前の力は終末をもたらすだけじゃない!!俺達がついてるし、ホウオウとアルセウスが俺達と人とポケモン達を護ってくれている!!だから……思いっきりいけぇぇ!!」

 

リンドウが叫び、グラードンは大きな咆哮をあげる。だが、その瞬間……ウルトラネクロズマが吹き飛んだ咆哮から爆光の光弾が飛来する。ウルトラネクロズマが解き放ったフォトンゲイザーである。

だが、ゲンシグラードンは熱波を最大出力で解放してフォトンゲイザーを受け止める。激突するフォトンゲイザーと爆熱の熱波、それが産み出した爆風と爆熱は大気を焦がし空間がネジ曲がってしまう感覚を覚える。

 

「シカリ!!」

 

ウルトラネクロズマが大空から飛来する。ウルトラネクロズマは口を大きく広げ、爆光のレーザーを天に放つ。すると、数多のレザーの雨が意志を持っているかのようにゲンシグラードンに降り注ぐ。

 

「グラードン!!ソーラービーム!!」

「グラァァァア!!」

 

ゲンシグラードンは咆哮をあげ、横面の突起が緑色に輝く。その瞬間、横の突起全部と尻尾からソーラービームが解き放たれた。解き放たれたソーラービームは意志を持っているように動き出し、迫り来るレーザーを凪払う。

なお、此方は出力は全然異なるが通常状態でも使える。まあ、主に迎撃や牽制で使われるが。

 

しかし、終末神と成ったゲンシグラードンの場合は出力は段違いである。もはや、拡散波動砲とも言えるだろう。

 

「シカリ!!」

「グラードン!!ソーラーブレード!!」

 

リンドウが叫び……ゲンシグラードンは右手を上に掲げる。すると、右手が爆光に包まれ……城さえも真っ二つに両断できる程のビームブレードが放出される。その出力は常識外れであり、宇宙まで届く程の長さであった。

 

「長すぎだろぉぉおお!!」

「ピカピィーー!?」

 

サトシとピカチュウの突っ込みが響くが、気にしてはいけない。規模が桁外れのパワーアップから解き放たれたソーラーブレードは振り下ろされ……現在進行形で構築される終末の大地を切り裂き、ウルトラネクロズマを地面に叩き付けた。

 

「シカリ……」

 

その瞬間……グラードンは体内を循環するマントルエネルギーを圧縮。ぶしゅぅーと頭から煙を出して身体が通常サイズ程まで圧縮する。

 

「なんだろう……残火の太刀みたい」

 

リンドウがボソッと誰にも聞こえない程度の声でそう告げる。

身体のマントルエネルギーを圧縮したゲンシグラードンはゲンシグラードンのままだが、身体のサイズが数十メートルから3メートルまで縮んでいる。だが、頭部から煙が出ており……まるで某最強老人死神の卍解を彷彿させる。

 

熱波も放出する事は無くなったのか……放出する熱量も無くなった。その為か、ネクロズマは起き上がり……フォトンゲイザーをゲンシグラードンに解き放つ。

 

「グラードン!!」

 

リンドウが叫ぶが、グラードンはリンドウ達を見て大丈夫と言いたげに微笑む。そして迫り来るフォトンゲイザーを迎え撃つように指先で触れる。その瞬間、フォトンゲイザーが熱量で押し負けたのか一瞬で消し飛んだ……てか炭に成る前に燃え尽きた。

 

「まさか……あのグラードンは体内に流れるマグマとマントルを通常の姿まで縮むように圧縮し、体外に出る熱量を極限まで身体で圧縮しているのか!?」

 

アルセウスが叫ぶ。そう、グラードンは短期決戦を行うためなのか身体の莫大過ぎるマントルエネルギーを圧縮したのだ。マントルエネルギーを圧縮し、大きさを通常サイズまで縮ませる。だが、圧縮した分……そのエネルギー総量は変わらず、その上……熱量が外に排出せず極限まで高められた為か……最早歩く太陽と成ったのだ。

 

ちょんとグラードンが指先で地面に触れる。その瞬間、大地は一瞬で亀裂が入り……莫大なマグマが噴出した。

 

「どんな力だよ!!」

 

カキが悲鳴を出すように叫ぶが気にしてはいけない。

 

グラードンは圧縮して高まったエネルギーを用いて大地を蹴り、飛び上がる。なお、飛び上がった衝撃で大地は粉々に砕けたが今さら気にしてはいけない。

 

「グラードン!!じしん!!最大出力!!」

「グラァァァァア!!」

 

力を圧縮した残火の太刀(仮称)から解き放たれる最大出力のじしんパンチ。その一撃はネクロズマの腹部に直撃し、擬似的なブラックホールさえも発生させる程の衝撃を引き起こし……

 

「シッシカリ……」

 

ネクロズマを完全にノックアウトした。ネクロズマをノックアウトにし、ゲンシグラードンはゲンシグラードンからグラードンに戻る。その瞬間、蒸発していた全ての水分が戻ったのか大雨が振りだした。

 

 

 

 

「準備は良いな!!サトシくん、レッドくん!!」

 

グラードンを回収し、今度はネクロズマに莫大な光を与えて正気に戻す。世界に終末をもたらす(比喩膨張なしで)ゲンシグラードンの圧倒的な力でノックアウトしたウルトラネクロズマが起き上がる前に、光を与えなければならない。

 

「良いぞ」

「はい!!」

 

喋るカイロスの言葉に従い、レッドとサトシは頷く。勿論……

 

「「ピカッ!!」」

 

この2人のスーパーマサラ人のパートナーであるピカチュウも頷いた。

 

「頼むぞ!!銀河を……ネクロズマを救ってくれ!!」

 

サトシとレッドは喋るカイロスから貰ったZクリスタルをZリングにセットする。因みにレッドは喋るカイロスからZリングを貰った。

 

「行くぞ」

「はい、レッドさん!!」

 

サトシとレッドはトレードマークとも言える帽子を投げ、その帽子をピカチュウとバグチュウが受けとり被る。

 

「「1000万ボルトォォォオオ!!」」

「「ビィィガァァヂュゥゥウ!!」」

 

解き放たれる特別なピカチュウだけが使えるZ技。かつてもしもの時の為にネクロズマが惑星カイロスに託した、希望の雷撃がネクロズマを救うためにウルトラネクロズマに降り注ぐ。

 

「シカリ?」

 

その雷撃をネクロズマは受け止め、エネルギーとして変換する。莫大なエネルギーはネクロズマの傷を瞬く間に癒し、溜まっていた不純物の毒素と老廃物を瞬く間に浄化する。

 

そして…………

 

「世話をかけたな。アルセウス、それに第三惑星の人々よ」

 

ウルトラネクロズマは輝き様として戻ったのだ。

 

輝き様救出プロジェクト、無事に完了!!




ゲンシグラードン、この作品での戦闘終了!!地球が壊れるからね(笑)

次回!!戦後処理、1週間後。

ホワイト「シンオウ制圧RTAやったよ!!」←キュレムを移動以外で使わず3日でジム制覇、シンオウリーグ優勝(キュレムを使わず)。
シンオウジムリーダー「白い悪魔だ……」
シンオウ四天王「キュレムを使わずにコレだと!?」

ブラック「ただいま。てっ、ブルーさん!?リンドウさん!?なんですか、そのポケモン!?」

ブラックの帰還。そして……

リンドウ「いや、どうする?この子達」

行き場の無くしたパラドックスポケモンどうするの?

ブラック「てか、リンドウさん?なんでボスが此処に?」
リンドウ「スパさんミュウツーが少し丸くなってな。スパさんがオーキド博士を脅して返して貰った」

そして我らがボス。レギュラー化!!


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120時限目

事件が終わり、リンドウは論文に追われていた!?


1週間後。

 

リンドウ達が輝き様を救出し、正気に戻して1つの銀河系を救ってから1週間の日時が流れていた。まあ、その代償にあの星の一部は終末神ゲンシグラードンが大暴れした影響なのか終焉の大地と成り果てたが……あの星の科学力ならきっと大丈夫だろう。

 

「やっと帰ってきた!!」

 

アローラも突如、どさくさの騒ぎにやって来た虹ロケ残党やウルトラビーストの問題も解決して平和を取り戻している最中。イッシュでのお仕事を終えてかブラックがレシラムに乗って帰ってきた。イッシュ三龍の飛行速度はマッハを超えており、国家間の移動は勿論のこと遠方への移動も直ぐに終わる……なにせ飛行機を乗り継いで移動するよりも速く移動できるのだ。その気になれば1日でアローラからニホンに移動することも全然出来るのだから。

 

「モエルーワ」

 

ブラックはレシラムの背中から降りて歩き出す。イッシュでのお仕事も一段落ついて、これからは公欠で休んでいた分……勉強も大変だろう。

 

なお、一緒にイッシュに旅立ったデントくんは居ない。彼は何でもカレーライスソムリエとしての運命か、今度はガラル地方に旅だったのだ。何でもガラル地方ではカレーライスがソウルフードのようであり、ソウルフードであるカレーをカレーライスソムリエとして極めるためだそうだ。所で彼は一体幾つのソムリエを持っているのだろうか?

 

 

 

 

一方のリンドウ先生。

 

リンドウはパソコンと向かい合っていた。何故なら大絶賛、近い内に行われる学会に向けて論文を作っていたのだ。

学会とはポケモン博士や研究者が集まり、公に研究成果を発表したり、交流したりして新たに得られた研究の結果やデータを話し合う事により研究成果を普及する場でもあるのだ。それに学会で高い評価を得られれば博士に成ることも出来るので、リンドウの研究者(副業)としての進退がかかっていると言えるだろう。

 

「少し……目が疲れたな」

 

1週間前の輝き様救出プロジェクト。更に後始末と言えるアローラに来てしまったウルトラビーストの問題解決、虹ロケ残党が連れてきてしまった未来や古代のポケモン……タイムパラドックスからとってパラドックスポケモンの問題解決や保護と言った多忙により少し疲れが溜まっているのだ。

 

目が疲れた為に、目薬を両目に点眼するリンドウ。少し疲れが溜まっているが、ポケモン達の事を思ったり生徒達の頑張りを思えば全く辛くないししんどくない。

なお、リンドウが作っている論文は現在2つある。サトシのルガルガンである黄昏の姿に関しての論文、そしてホワイトがミイラ化石から復元させたコライドンに関する論文だ。ルガルガン黄昏の姿に関しては既に一度、論文で新種としてリンドウが発表しているがその時はデータが少なく……新種として認められたが評価は高いとは言えなかった。なので、時が経ってデータが集まり改めて論文で発表である。

コライドンに関しては完全に新種として発表であり、化石の写真も掲載して発表。復活の前に炭素測定で年代も調べており、ジュラ紀に生きた個体だと判別も終っており新種としての発表は充分だ。だが、コライドンに関しては化石がホワイトの発見した1つしか保存状態の良い化石が発見されておらず、復元されたのはホワイトのコライドンだけだ。DNA検査でモトトカゲの先祖……古代の姿である事は分かっているが、戦闘データや特性に関してはホワイトとヒカリが送ってくれるデータ待ちである。

 

「データ待ちだからな。肝心のホワイトがシンオウに飛んだし」

 

現在……ホワイトとヒカリはアローラに居ない。何故なら輝き様救出プロジェクトが終わった直後……シロナさんがシンオウリーグに呼ばれたのだ。何故なら5日後にシンオウリーグ本戦が開催されるためだ……1週間前から5日後、つまりもうシンオウリーグ本戦は終わり、今シーズンの四天王とチャンピオンに挑むトレーナーは決まっただろう。

 

「そういやシンオウリーグ本戦は誰が優勝したんだ?」

 

そんな事を思い、リモコンを使ってテレビを見てみると。

 

『はい!!今からシンオウリーグに優勝し、これから四天王に挑むホワイト選手にインタビューをしたいと思います!!』

「ふぁ!?」

 

これから四天王に挑むシンオウリーグ優勝者がインタビューを受けるところだったのだが、そのトレーナーがなんとホワイトだったのだ。

ホワイトがシンオウに渡ったのはシロナさんと同じタイミングであり……逆算的に考えてリーグ締め切りの事もあり、僅か3日から4日で全てのジムバッジを揃えた事に成るのだ。

 

「へー、凄いじゃない!!ホワイトの素質って私達以上じゃない?てか、あの子……トレーナーに成って何日?」

 

と……そこに洗濯物を取り込んでいたブルーとアセロラがやって来た。

何が恐ろしいかって?ホワイトきゅんはトレーナーに成って、まだ2ヶ月も経っていないのだ。それなのに3日でジム制覇、そこからリーグ制覇……まさにシンオウ制圧リアルタイムアタック……いやタイムアタックを超えた蹂躙、RTC……リアルタイムコンプリートと言えるだろう。次元が違う。

 

『ホワイトくんはですね。なんと、ジム戦とリーグ本戦ではキュレムを使ってませんからね!!本当にお母さんそっくりですね』

 

なんと言う事でしょう。ホワイトはジム戦とリーグ本戦ではキュレムを使うこと無く、圧勝。それを聞いたリンドウは呆れるように笑った……次元が違いすぎる。

 

「レッドに匹敵するか。もし、バトル一筋の道を選んでたらどうなってた?」

 

ホワイトはポケモンコンテストやパフォーマンスの方が興味がある。リンドウやレッドのようにバトル一筋ではない、彼はパフォーマーやコーディネーターなのだ。

 

「サトシをもっと本気で鍛えるか。いや、サトシも分かってるだろうな。焦れよ、少年達…いや、俺達もか…天才少年が飛翔で()()()()()()()のも時間の問題だ」

 

なお、ホワイトがリーグ本戦で使ったポケモンは

 

1カイロスさん

 

2シンオウウォーグル(ヒスイウォーグル)

 

3ミロカロス

 

4シンオウメガニウム(タイプ フェアリー・草)

 

5コライドン(この作品では種族値600)

 

6相棒イーブイ

 

である。

 

「なっ!?御三家のご当地リージョンフォーム!?ウォーグルのシンオウの姿!?ホワイト、いや、今はインタビューで電話受けれないか……仕方ない!!ヒカリ!!今すぐデータを送ってくれ!!」

 

次の日、リンドウは送られてきたデータを論文に纏めるためか……徹夜した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、サトシ。なんでサトシには懐くんだ?」

「俺が聞きたいんですけど」

 

一方のククイ博士とアニメ主人公が暮らすククイ博士の家。そこの庭では簡易的な柵が一先ずククイ博士の日曜大工スキルで作られ、そこには保護された一部のパラドックスポケモン達が寛いでいた。

 

「muscle!!ザバス!!」

 

エントリーNo.1!!色違いマッシブーン。

 

「メカハリテ」

 

エントリーNo.2!!第4の壁の先で多くの方々がレイドでお世話になる未来ハリテヤマ。

 

「メカバンギギ」

 

エントリーNo.3!!背中から雷撃の背鰭を出すロボットのようなバンギラス……未来バンギラス。

 

「ブリュゥ!!」

 

エントリーNo.4!!プリンを大玉まで大きくしたような八重歯が特徴の可愛らしいポケモン!!古代プリン!!だが、化石が発見されてないので論文で発表出来ない!!なお、此方はセレナにも心を開いている。

 

「グルル!!」

 

エントリーNo.5!!ボーマンダをメガシンカさせたメガボーマンダに何処か似たポケモン、多分古代ボーマンダ。特攻は全く無いが、その恩恵のお陰かメガボーマンダに匹敵する強さを誇る。

 

「ククイ博士。論文で発表しないの?」

「コライドンと違って化石が発見されてないしな……未来の方はどうやって説明すれば良いんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

ニホン シンオウ

 

「本当に立派に成ったわ。キュレム……父親に頼らずよくぞ私を追い詰めました。だけど、勝負は最後まで分からないわよ」

「うん、お母さん」

 

ポケモンリーグのスタジアム。そこではチャンピオン シロナ(母親)VS最強のチャレンジャー ホワイト(息子)の親子対決が行われていた。

 

ホワイトの掲示板にはカイロス、シンオウウォーグル、シンオウメガニウム、ミロカロス、コライドンの所に×マークが着いている。この事からホワイトの残りのポケモンはイーブイ1匹である。

 

一方のシロナさん。シロナさんもミカルゲ、トゲキッス、メガルカリオ、ミロカロス、ロズレイドの所に×マークが着いており……既に場に出ているガブリアスが最後のポケモンだ。

 

「さあ、イーブイ?レッツショータイム!!」

 

イーブイが場に飛び出し、お互い最初のパートナー同士のバトルが始まった。

 

 

 

シンオウ歴代最年少殿堂入りが誕生する。

 

「僕はまだチャンピオンに成りません。アローラリーグとジョウトリーグにも挑むからね!!」

 

焦ろ、サトシ達。才禍の怪物が来るぞ。




次回!!お帰り、ボスゴドラとフシギダネ

スパさん「圧政者よ……戦友のパートナーを解放せよ。さもなくば汝を包容せん!!」
オーキド博士「分かったから……包容しないで!!ワシ、死んじゃう!!」

解放されたボスゴドラとフシギダネがアローラにやって来る!!

そして……郊外学習のお知らせ?

リンドウ先生「ポニ島に向かうぞ……島クイーンor島キング居ないけど」


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121時限目 みんなのトラウマ ボスゴドラ、アローラに渡る

ボスゴドラ、解禁。みんな(チャレンジャー)のトラウマが海を渡ったよ!!


『ボス!!冷凍ビーム!!』

『特殊型のボスゴドラ!?いや、これは退路が塞がれた!?不味い!!ファイアロー!!』

『諸刃の頭突き!!』

 

『諸刃の頭突き!!諸刃の頭突き!!諸刃の頭突き!!』

『私のラムパルドが諸刃の頭突き同士の打ち合いで負けただと!?』

 

『諸刃の頭突きだぁぁあ!!』

『ドラパルト!?』

 

『諸刃の頭突き!!』

『コノヨザル!?』

 

えー、皆さん。リンドウのボスゴドラをご存知であろうか?このボスゴドラは特性 いしあたま、必殺技は数多のチャレンジャーにトラウマを植え付けた諸刃の頭突き(無反動)である。諸刃の頭突きは岩タイプの中でも化物染みた威力をしており、反動のダメージは大きいが相手を粉砕できる代物である。この諸刃の頭突きだが、特性がいしあたまなら反動ダメージを受けること無く連射する事が出来る。

とあるチャレンジャーの手持ちを1体で粉砕したり、チャレンジャーとしてやって来たケイネ先生ことけーね先生の手持ちを単独で壊滅させたり、チャレンジャー処かエキシビションマッチでだがカロスの四天王を半壊させたり、数多の人々にトラウマを植え付けてきた。

 

『諸刃の頭突きからの冷凍ビーム!!』

 

『諸刃の頭突き!!10万ボルト!!』

 

『諸刃の頭突き!!破壊光線!!』

 

なお、ボスゴドラは技のデパートと称される程に覚えれる技が豊富だ。その為か、リンドウは諸刃の頭突きで大ダメージを与えた時に0距離で技を当てる戦法で数多のチャレンジャーを粉砕してきた。お陰様で、6割の人々にはこう思われている。

 

リンドウの切札はボスゴドラであると。

 

だが、皆さんご存知の通りリンドウの切札はボスゴドラのボスではない。メガリザードンXにメガシンカし、0距離でじしんを当てるじしんパンチが代名詞のレウスである。しかし、そんなボスゴドラのボス、現在でもリンドウのベストメンバー上位に君臨する主力なのだが……残念ながら最近まで防衛戦や緊急事態以外は手持ちに入れれなかった……何故なら。

 

『リンドウ!!お前、チャンピオン辞任したじゃろ?今はフリーだろ?ワシの為にも……オーキド研究所の平和の為にもボスを預けてくれんか!!』

 

オーキド博士が魔境と化したオーキド研究所の平和を守るためにも、ジャンピング土下座をした為である。そのジャンピング土下座を1週間で42回行ったオーキド博士の頑張りの為か、リンドウは渋々研究所防衛メンバーとしてボスを預けたのだ。

 

のだが……

 

「ぐぅおお!!」

 

そのボスは現在、リンドウ一家が暮らす社宅で美味しそうに朝食を食べている。昔馴染みのレウス、リーフィア、エンペルトのペンペン、主力のルカリオのルカ、主力ではないがリンドウの家族であるバンギラスのバンチョーにウルガモスのモスラ、そして超絶期待の新人 グラードンと共に美味しそうにご飯を食べているのだ。

 

ではどうしてボスがリンドウと共に行動できて居るのか?それには訳があるのだ。

 

『おおう……圧政者よ……圧政者ユキナリよ。宣言しよう、私は英雄(レジギガス)との腕試し以外では反逆を起こさない。だがね、我が戦友のパートナーを解放せよ……さもなくば汝を包容しよう』

『博士。これに関しては私は停めんよ……むしろ賛成だ』

 

とミュウツー・マサラの姿とレジギガス隊長に脅され、オーキド博士は強制的に預けたポケモン(リンドウのボス、ブルーのメタグロス、サトシのフシギダネ)を解放したのであった。うん、アッセイ!!

 

サトシのフシギダネが解放された……なので

 

「ダネフシー!!」

 

フシギダネ、魔境オーキド研究所から解放された為に涙目でサトシの所に急行。

 

 

 

 

 

翌日。ポケモンスクール リンドウ達の教室。

 

今日も欠席者は0。全員、席に座っておりメレメレ島の天気は快晴だ。

 

「諸君!!アローラ!!今日も良い天気だな!!」

「アローラ!!良い天気ね!!」

 

リンドウは論文に追われている為か、目の下に隈が出来ている。まあ、ようやくその論文も終わりの兆しが見えだしておりこのペースで行けば学会には余裕で間に合いそうだ。なに、ヒカリとホワイトからもコライドンの戦闘データと特性のデータも送られており、カンナギタウンでのんびりと過ごすコライドンのデータもバトルフォルム……完全形態、ライドフォルム……制限形態どちらの映像も送って貰った。あと、ホワイトがコライドンの背中に乗りマサゴタウンでコライドンの機動性を証明したりしている。お陰でコライドンの論文は問題ないだろう。

 

「出席とるぞ。カキ」

「はい!!」

 

「マーマネ」

「はい!!」

 

「マオ」

「はい!!」

 

「スイレン」

「はい!!」

 

「リーリエ」

「はい!!」

 

「サトシ」

「はい!!」

 

「セレナ」

「はい!!」

 

「アセロラ」

「はーい」

 

「ブラック」

「はい!!」

 

当然ながら全員出席である。

 

「よし、それじゃあ授業の前に朝礼を始めるぞ。先ず、明後日からポニ島での校外学習が始まる。島キング……または島クイーンは訳あって不在だが、良い経験をしてくれ。但し、ポニ島は危険なポケモンが生息してるからな……前にも言ったが勝手な行動をとらないようにな?特にエンドケイブ等の奥地に行かないように」

 

ポニ島は人の手が殆んど入っていない自然豊かなアローラの中でも最も自然豊かな場所である。なので危険なポケモンや手強いポケモンも多く生息しており、野生のポケモンも強いのが多いのが特徴だ。

リンドウとその教え子達はリーリエのソルガレオがほしぐもと呼ばれていた頃、ほしぐもを救うためにポニ島に降り立った事がある。しかし、その時は学習なんてしてる余裕なんてなく全速力で渓谷を抜けて祭壇まで向かっていた。だが、今回は学習で行くのだ。ポニ島の自然、文化、ポニ島に生息するポケモンの事を学べるだろう。

 

「皆、先日のニュース見たか?ホワイト、頑張ったな」

「ああ、俺達もうかうかしてられないな!!」

 

ホワイトが史上最年少でシンオウリーグ殿堂入り、それも切札であるキュレムを使わずだ。キュレムを使っても充分偉業だがあの子は父に頼らず、普通のパートナーだけで母親を超えたのだ。

 

「ブラック……正直に答えてくれ。今のお前なら今のホワイトと戦えば勝てるが、殿堂入りしたばかりの頃のお前と今のホワイト、戦えばどっちが勝つ?」

「間違いなくホワイトですね」

 

イッシュチャンピオンの言葉ゆえに重みがある。そんなブラックはリンドウの質問に対して、こう言ったのだ。殿堂入りしたばかりの頃なら、間違いなくホワイトに負けてると。

今のブラックなら()()()のホワイトと戦えばブラックが勝つだろう。だが、殿堂入りしたばかりのブラックと今のホワイトが戦えば間違いなくホワイトが勝つと言うことだ。

 

「そうだ。お前達、うかうかしてられないぞ?あの子はアローラリーグに挑むと言っていた。それに、シロナさんとの防衛戦を見た感想、そして日頃から面倒を見ているお前達の実力を見て言おう」

 

リンドウはそこで言葉を一度切る。教育とは実に難しいだろう。だが、ここで言わねばならない、厳しい事を言うがこのままではサトシ達は間違いなくアローラリーグでホワイトに負ける。教え子には勝ってほしい、だから告げるのだ。

 

「厳しい言葉だが……お前達がホワイトと戦えば確実にブラック以外は負ける。サトシはキュレムを出してくるだろうし、他はキュレムを出す前に勝負が着く」

 

今のままではホワイトには勝てないと。

 

「先生!?でも、俺は勝ちましたよ!?」

「サトシ。確かにお前はセレモニー大会では勝つことが出来た。だが、少し考えて見てくれ……お前はあの子と違ってZ技を使えるな?メガシンカは2回出来るな?伝説に関してはお前もギラティナを使った。もし、条件が同じならあの時勝てたのは?」

 

サトシとホワイトが最初に激突したセレモニー大会、その決勝。

サトシはZ技を使え、ホワイトはZ技を使えない。メガシンカはサトシゲッコウガとメガルカリオに使った、ホワイトはキュレムに使った。伝説のポケモンに関してはサトシはギラティナを選び、ホワイトはキュレムを繰り出した。

 

もし、御互いにメガシンカが一度きり(ゲンシカイキ、キズナ変化も含めれば3回出来るので)でZ技無しなら勝てたのは?

 

「ホワイト?」

「そう。それにあの子はその時より数段強くなっている。あれでパフォーマー志望なんて、どんな素質だ……レッド2号かよ」

 

サトシはホワイトに負ける。このままでは間違いなく。

だが、幸いなのはホワイトはパフォーマー&コーディネーター志望なのでバトル一筋ではないこと。サトシはバトル一筋だ。だから、突き詰めたらまだサトシは再び勝てる可能性はある。

 

「改めて、俺はお前達の教育に力を更に入れる。勿論、俺達の鍛練もな。良い意味で焦れよ?まだアローラリーグまで時間はある。さあ、今日からビシバシと気合いを入れてやっていくぞ!!」

「「「はい!!」」」

 

リンドウはサトシ達の発破を促した。だが、それは自分自身にも言っているようにも聞こえた。なお、余談だが……リンドウは自分自身も鍛えだしたお陰か……

 

7年後

 

「なあ、お前達……そろそろ俺を超えてくんね?実質メガシンカ2回使えんじゃん、サトシはZ技有るだろ?まあ、俺も含めて全員テラスタルあるか」

 

7年後でも世界2~3の順位を同じく切磋琢磨しだしたグリーンと維持するようになり、サトシとホワイトにブラックはを3~7を維持するように成ったとか。

 

「「いや、それは先生達が強すぎるだけじゃ」」

「僕、コンテスト本業だよ?」

 

なお、1位は不動のレッドである。




次回は本編ではポニ島にレッツゴー!?危ないところは行かないが。

マオ「なにこのポケモン!?」

マオ、ハリネズミ?拾うってよ


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休み時間 その頃のヒロインは?その2

魔改造ハルカ……降臨。


ハルカ。皆ご存知、アドバンスジェネレーションのヒロインであり、かつてはサトシと共にホウエン地方を冒険した旅の仲間だ。彼女はコンテストでは非常に有名であり、ホウエンの舞姫と称される凄腕のポケモンコーディネーターでもある。

 

しかし、そんな彼女にはホウエンの舞姫の他に現在アローラ地方で教師をしているホウエンチャンピオンが存在するお陰なのか、もう1つの異名が存在する。

 

「ボスゴドラ!!諸刃の頭突き!!」

 

「バシャーモ!!じしん!!」

 

リンドウの弟子0号、そして女番リンドウと影で呼ばれているとか。

しかし、どうしてハルカが此処まで魔改造されてしまったのか?その発端はリンドウがチャンピオンを辞任して自分の夢であるトレーナーの教師となる事を追うために、ホウエンを旅立つ4年前から始まった。

 

4年前。クチバシティ クチバ空港。

 

まだ8歳だったハルカは両親、そして弟のマサトと共にとある人物の見送りを行っていた。その人物とは高専を無事に卒業し、自分の夢を追うために無敗のままチャンピオンを辞任したホウエン最強のトレーナー リンドウであった。

 

「リンドウさん、本当に行っちゃうの?」

「ああ。どうしても先生に成りたいからな」

 

当時、ハルカはリンドウがずっとホウエンに居てくれると思っていた。ホウエンにずっと居て、現役を終える頃までホウエンの頂点に立ち続けると思っていた。ジムリーダーである父センリより遥かに強く、ハルカの知る限り誰にも負けない最強のトレーナーだったのだから。

 

「なに、定期的にホウエンに帰ってくるさ。血の繋がりは無くても、お前は俺の妹のような感じだからな」

「ホウエンでも先生は出来るよ?」

「そうだな。でもな、俺はまだ自分の視野が狭いから、本格的に先生に成る前に見聞を広げたいんだよ」

 

当時のチャンピオンは今の時代と比べて、なかなか自由に動けるような物ではなかった。リーグから召集はしょっちゅうあり、問題が起きればチャンピオンが自ら出向いて問題を解決しなければならない時も多々ある。だから、チャンピオンのままでいれば旅に出るのは難しく、立派な教師に成るためにも見聞を広げて視野をもっと拡大する為にも旅をする為にはチャンピオンを辞めるしか無かったのだ。もし、今のように自由に動ける仕組みが当時にも有れば……リンドウはチャンピオンを辞任せずホウエンに居続けたかもしれない。

 

「ハルカも旅をするようになれば分かるさ」

 

そしてリンドウは旅立ったのだが、定期的にホウエンに戻ってきてはハルカや内弟子のヒガナの面倒を見たりしていた。そうする内に4年が経過し、ハルカがトレーナーに成ってから2年が経過した現在。

ハルカは定期的に帰ってくるリンドウの指導を受けた結果、自分の意思で受けた結果……魔改造と言える程の強化を受けてしまい四天王なら余裕で倒せると言える程の強さを手に入れてしまったのだ。

 

そして時は流れ現代。ハルカはオダマキ博士からのお使いを完了させるために、シンオウ地方のマサゴタウンに訪れていた。どうしてマサゴタウンにいるのだろうか?それはマサゴタウンにあるナナカマド博士に、オダマキ博士から託された資料を届けるためだ。とは言え、本来なら郵送やファックスで送れば良いだろうと思うかもしれないが、その資料はかなり古く明治時代の資料との事で手渡しで届けた方が安全なのだ。なんでも、明治時代にシンオウ地方を開拓した開拓グループ ギンガ団の副団長(当時)のムベという人物が記した手記との事だ。

ハルカも中を読んだが、かつてヒスイと呼ばれたシンオウには今まで知らされた姿とは別のウォーグル(此方はホワイトが復活?させた)や原種とは異なるニューラにクレベースにゾロアーク等々の写真や資料も掲載されている。なんでもこの絶滅したと思われるポケモンを調べた人物の名前は消されているが……手記によると少女との事だ。

 

「シンオウ地方はかつてヒスイと呼ばれていたんだ……なんだが凄いかも」

 

魔改造ハルカの手持ち。

 

1グレイシア

 

2ラティオス(メガシンカ可能)

 

3カメックス

 

4フシギバナ

 

5ボスゴドラ(いしあたま 諸刃の頭突き)

 

6バシャーモ(メガシンカ可能 じしんパンチ継承済み)

 

である。そこ、思いっきり近所のお兄さん(リンドウ)の影響を受けたとか言ってはいけない。

 

「そういや、手記に『ホワイトというポケモン使いは化物だ』なんて書かれてたけど、まさかヒカリの弟じゃないよね?タイムスリップはないしね」

 

あと、手記にはムベが出会った異次元の強さを誇るポケモン使いの事が1行だけ記されていた。そのポケモン使いはホワイトと名乗り、喋る色違いカイロス、異次元に強いミロカロス、出鱈目なイーブイ、じしんの震動爆発で消えるように移動するガブリアス等々だ。あと時の神と空間の神と対峙した時、見たことがないドラゴンタイプのポケモンを一瞬だけだしたらしい。

 

まあ、そのムベとデンボクが恐れたポケモン使いは未来でタイムスリップしたホワイト本人(なお、実力は現在のリンドウ以上)なのだがハルカがそれを知るのは7年後である。

 

「ここだね……」

 

そしてハルカはナナカマド研究所にたどり着く。ナナカマド研究所の前ではなにやらナナカマド研究所で働く研究員がカメラやセンサー機材をだしており、そこではナナカマド研究所で働くトレーナー兼研究員 オーキド・シゲルがとある人物とダブルバトルを行っていた。

 

「でろぉぉおおお!!コライドォォオオオン!!」

 

その人物はホワイトであり、ホワイトは場にシンオウウォーグルを出している。シンオウウォーグルを出しているが、ダブルバトルなのでホワイトはもう1体のパートナーを出さなければならない。しかし、ホワイトが大声でコライドンの名前を呼び、指パッチンを鳴らす。すると、腕を組んだ体勢で完全形態と成ったコライドンが飛んで来たのだ。

 

なお、このコライドンを呼ぶ際の仕草……発案者はコライドン本人である。

 

「博士!!」

「うむ。70年ぶりに此の世に現れたシンオウ地方ウォーグルのデータ、しっかりと記録するのだぞ」

 

なお、ナナカマド博士はポケモン進化の権威でもあり、数十年ぶりに現れたシンオウウォーグルのデータ採集を目的としているようだ。因みにナナカマド博士の御先祖 デンボクもシンオウウォーグル(当時はヒスイウォーグル)を手持ちに入れていたとか。

 

この後、ハルカはお使いを完了させ……なんやかんやあってヒカリとバトルすることに成るのだが……姉としても先輩、ヒロインとしても先輩として先輩としての貫禄を見せ付けて圧勝したのは内緒である。

 

 

 

 

 

 

一方のリンドウ先生

 

「なんだお前か。なに?今はポニ島に居るって?奇遇だな、俺達も明日ポニ島に行くんだよ。また話を聞かせてくれよ。それじゃあ」

 

とある人物と電話をしていた。




次回こそ、ポニ島に到着。因みにリンドウ先生が最後に電話した人は黒百合、かぶり防止さんが執筆している外伝の主人公です。


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122時限目 ポニ島上陸。だが、島キングは居ません

ポニ島に到着!!


ポニ島。

 

ここには大試練発祥の地であり島巡りの聖地とも言えるだろう。島の殆んどが手付かずの大自然が残っており、ポニの大渓谷ではシンオウ地方のテンガン山のように特別なエネルギーが発生しており一部のポケモンの進化に影響するのだと言われている。ここの大渓谷で経験を少し積めば、ノズパスがダイノーズ、レアコイルがジバコイル、そしてマーマネがパートナーとしているデンヂムシはクワガノンに進化する事が出来るのだ。

 

その他にも豊かな自然が残っており、エンドケイブと呼ばれる花畑を超えた先にある洞窟も存在していたり、なんかめちゃくちゃデカイ謎の木(ゲームでのバトルツリー)も存在している。

これらの事からアローラの島の中でも一番神秘的な島であり、ポニの大渓谷を抜けた先にはソルガレオを祭る遺跡も存在している。

 

「よっいしょ!!」

 

そんなポニ島。人々が暮らしているのは海の上に作られた海の民の村が基本であり、ポニ島の島内にある住居は基本的に1組しか暮らしていない。暮らしているのは亡くなった先代島キングの妻、そしてその孫娘だけである。

 

「うむ!!良い大根じゃ!!」

 

大根を収穫してるのは小柄な少女 ハプウである。歳はサトシ達と変わらない程であり、彼女は先代島キングの孫娘で祖母と二人暮らしで普段はポニ島で特産品であるポニ大根を栽培して生計を立てているのだ。

彼女は実はと言うと島キングの後継者であり、次の島クイーンに成ろうと立候補した過去がある。だが、ポニ島の守り神カプ・レヒレから認められず島クイーンに成ることが出来なかった。だからか、ハプウは先日まで島巡りではないがアローラを巡り……見聞を広めたり自分の腕を高めるために腕試しを行っていたのだ。当然、マナーロ・スタジアムのセレモニー大会にも参加を考えて見に行った程だ。だが、参加は見送り……観戦だけにとどまった。マナーロでの大会が終わった後もアローラを旅し、ミライドンに乗って爆走するお姉さん(ブルー)、石破天驚拳をぶっぱする赤いトカゲ(ホワイトのコライドン)、プロテインを飲むmuscleなウルトラビースト(モーン博士のマッシブーン)、喋るギャグ補正のピッピ(ギエピー)等々と遭遇もした。

 

「今度こそ……認めて貰うんじゃ!!」

 

ハプウは強く決心し、ポニ大根を収穫する。因みにポニ大根はエンジュ銀行のCMでもお馴染み「なが~いお付き合い。エンジュ銀行」のCMにも出てきた長い大根である。なお、味は辛く、大根おろしにするとかなり辛い。

 

 

 

一方の船の上。ポニ島へと向かうフェリーにはリンドウと教え子であるリーリエ、マオ、アセロラ、セレナ、ラティアス(人モード)が乗り込んでいる。彼等はポニ島での校外学習の為に向かっており、ポニ島での校外学習は二泊三日行われる予定だ。この三日間でサトシ達は是非とも、ポニ島の文化や環境、ポケモンの事を是非とも学んで欲しいものだ。

 

「おーい、ホワイト君や。そっちは夜だが、どうだ?そろそろ落ち着いたかな?」

 

ポニ島まで時間があるのでリンドウはそろそろ、メディアに引っ張りだこ状態から解放されたと思われるホワイトに連絡を取っていた。リンドウのノートパソコン越しでのテレビ電話だが、ホワイトと電話を行っていた。どうやらホワイトはシロナさんの実家……カンナギタウンにあるカラシナ考古学研究所と隣接する屋敷から対応しているようだ。

 

『大変だったよ!!いろんなテレビに出てね。コトブキのテレビ局にも行ったんだ!!』

 

チャンピオンは言わばその地方の代表だ。まだ自由にやりたい事が多いこの少年がシンオウチャンピオンに改めて就任するのは7年後であるが、それでもシンオウの女神を倒した新たなシンオウの象徴 灰色の英雄(一部の人からは白い悪魔)と呼ばれるホワイト。

 

「そっか。俺も殿堂入りした最初の数日間は引っ張りだこだったよ。

データ、ありがとうな。お陰でコライドンの論文は出来たよ」

『よかった!!ところで……せんせー……疲れてる?』

「2徹だからな」

 

リンドウ先生。論文を終わらせるために2徹した模様。と言うか、フェリーに乗り込んで1時間ほど寝ていた程だ。

 

「それはそうと……データ収集の前金で渡したベルト、気に入ってるか?」

『へへ、勿論だよ!!』

 

実はと言うとリンドウ先生。ホワイトにデータ収集の前金として、ホワイトとヒカリにある物をプレゼントしたのだ。それは最近発売されたばかりのパルデアにあるファッションブランドが開発したトレーナーベルト(ボールをセットする奴)であり、そのトレーナーベルトは普通のベルトでは6つしか装備できないモンスターボールをなんと9つ装備出来るのだ。内訳は手持ち6匹、ライドポケモン3匹である。

このお陰でホワイトはライドポケモンとしても利用できるシンオウウォーグルやアーマーガア、そしてコライドンをカラシナ考古学研究所に預けることなく使えるのだ。

 

因みにリンドウとブルー、サトシとセレナ、ブラックとアセロラも同じベルトを使っている。別にライドポケモン用のスロットにセットしても、戦闘で使ってはいけないという決まりは無いからだ。まあ、バトルでは6匹までなのでそこは守らなければ成らないが。

 

「じゃあ、当日……パルデアの空港でな。お休み」

『うん!!お休みなさーい!!』

 

そして通話は切れ、リンドウはノートパソコンを閉じて鞄の中にしまう。そして、フェリーの甲板に出て海を眺める。

 

「ほら、頑張れ!!もうすぐ島だぞ!!ライドポケモンと心を1つにして波を乗りこなすんだ!!」

 

そのリンドウの視線の先では……

 

「さあ、残りもうすぐだぞ!!マンタイン!!」

 

「マンタイン!!ここでジャンプだ!!波に乗るぞ!!」

 

「うわ……おっと危ない……落ちるかと思った」

 

「ここでトルネード!!」

 

「ライチさんが見ているかもしれない……うぉぉおお!!」

 

公共ライドポケモンのマンタインをサーフィンのように乗りこなしてポニ島に向かうサトシ、カキ、マーマネ、ブラック、そしてタケシの姿が有ったのだ。この4人は鍛練も兼ねて公共ライドポケモンのマンタインの背中でサーフィンをしてポニ島に向かうのだ。

一般的にアローラで島から島へ移動する手段は主に3つある。ライドポケモンで飛ぶor海を渡る、フェリーを使う……そして公共ライドポケモンのマンタインでサーフィンして向かうのだ。

 

「貴方達!!ポケモンが襲ってきても頑張って撃退しなさいね?落ちたら助けるわよ」

 

だが、落ちた場合の救助も万全だ。ミライドン…バイクモードにブルーが乗り、後ろから見守る。更に空からはレシラムが、斜め後ろからはスイレンが乗ったカイオーガが居る。体勢は万全だ。落ちても安心、ポケモンが襲ってきたら自力で撃退、野生に負けたらブルー達が救助である。

 

「あと、20分で到着だ。体幹を意識して技を華麗に決めろよ?」

 

サトシ達を見守りながらリンドウはそう告げた。まもなく、ポニ島に到着する。

 

「ポニ島はエリートトレーナーやベテラントレーナーが渓谷や草原で修行しているからな。腕試しにもってこいかもな」

 

ポニ島は過酷な環境の為に多くのベテラントレーナーやエリートトレーナーも腕を磨く。サトシ達の修行にも持って来いだろう。

 

「シェイミ!!」

「む?」

 

ふと、なにやら声が聞こえてリンドウは声の方を見る。

 

「シェイミおるぅぅぅう!!!!」

 

そこにはマオの肩に昇るハリネズミのような可愛らしいポケモンが居たのだ。そのポケモンはシェイミ、ハリネズミを彷彿させる可愛らしいポケモンであり針の代わりに草花が生えている。

シェイミは大変珍らしいポケモン……ではなく数は普通に居るのだが、花畑や草原では見事に同化するように擬態してしまう為に発見が困難であり幻のポケモンと称される。なお、リンドウはシェイミを生で見たことはなく写真でしか見たことがない。

 

「マオ!!マオ!!肩見ろ!!肩!!」

「先生どうしたの?……うわ!?なにこのポケモン可愛い!!」

 

マオ、シェイミと運命的な出会いをする。

 

そしてリンドウ達はポニ島に到着した。到着と言っても、海の民の村なので厳密には島ではない。




次回はハプウさん、登場!!生徒達は自分達の目的を決めて校外学習を開始!!


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123時限目

サトシ、悩む!!


ここはポニ島。島巡り発祥の土地であり、アローラでも手付かずの神秘や自然が残る島である。そんなポニ島にやって来たリンドウ達であったが、1人迷うサトシが居たのだった。

 

「うーん……なにをしようか」

 

サトシは悩んでいた。本来なら島巡り最後の島であるポニ島の試練に挑み、大試練を受けるのがベストであった。しかし、考えて欲しい。残念な事にポニ島には島の長である島クイーンor島キングは残念ながら居ない、昨年度に亡くなったばかりで後任の島キングor島クイーンは決まっておらず誰もポニ島の試練を受けることが出来ないのだ。

 

「自由気ままにポニ島を冒険してみたらどうだ?珍しいポケモンや力試しをしているトレーナーがポニ島には居ると思うぞ?

大渓谷や広野、草原に樹林といった自然溢れる所は学べる事が多いし珍しいポケモンが多い。エンドケイブや巨大なツリーとかの奥地に踏み込まなかったら好きに動いて良いぞ?」

 

と悩むサトシにアドバイスを促すリンドウ。リンドウとサトシはポニ島 海の民の村にあるポケモンセンター ポケセン海の民店のロビーにまだ残っており、サトシはなにをすれば良いのか考え込み……リンドウは眠気覚ましにコーヒーを飲みながらパソコンでなにやら作業を行っていた。パルデア グレープアカデミーで行われるポケモン学会まであと僅かなので、研究者でもあるリンドウは研究職としての仕事も有るのだから。

 

「奥はダメなの?」

「サトシ。お前はシロガネ山に入った際、許可を得てから入っただろ?」

 

シロガネ山。カントーとジョウトの境目に聳えるニホンでトップクラスに危険な野生のポケモンが生息する危険地帯。かつてエリートトレーナーの多くがシロガネ山に生息するリングマやバンギラスを捕獲しようと、パートナー達を連れて数多のハイパーボールを手にシロガネ山に入った。弱者は淘汰される危険な環境であるシロガネ山の生態系を生きてきたポケモン達はどれもが強力であり、従うことが出来ればとても強いパートナーと成るだろう……従うことさえ出来れば。

だが、その多くのエリートトレーナーが悲惨な目に有ってきた。五体満足で生きて帰れたトレーナーは最も良い方だろう、手足を喪うのはザラ、シロガネ山の厳しすぎる環境で死亡事故も起きており、中には運良くボールに入れることが出来ても言うことを聞かず……食い殺されたケースも有るのだ。

 

「シロガネ山は危険という意味でだが、一部の場所は自然保護という意味で無許可で入ることが制限される場合がある。

エンドケイブやポニ島の巨大ツリー周辺もそれでな。彼処はフィールドワークの資格を保持しているトレーナー、俺のように何処かのリーグでの殿堂入りしたトレーナー、ブルーやグリーンのように実力が認められ殿堂入りしてなくてもリーグ公認のトレーナーに認定された人達じゃないと立ち入り出来ないな」

 

シロガネ山、ハナダの洞窟……この2つは危険という意味でだが、世界中にある一部の場所は自然保護等を目的として立ち入りが制限される場合があるのだ。

この制限エリアに入るためには2つの方法がある。1つは許可を貰ってから入る、もう1つは資格を得てから入るである。

入るための資格を得るためには主に3つのルートが存在する。1つはフィールドリサーチの資格を得る。この資格を得ることで危険地帯や保護地帯に立ち入れるのだ。2つ、ポケモンリーグで殿堂入りすること。これは早い話、トレーナーとして実力を高めて何処かのリーグで四天王とチャンピオンを倒すことだ(該当者 リンドウ、ブラック、ホワイト、レッド等々)。3つ、リーグ本部から実力を認められたトレーナー。此方は殿堂入りはしてないが、チャンピオンや四天王に匹敵する実力を認められた者が公認トレーナーになり、入れるものだ……此方は主にブルーやグリーンである。

 

「なっ感じ。因みにシロガネ山で遭難事故が起きると、もれなくニホンの各リーグの四天王(経験者含む)や各リーグのチャンピオン、殿堂入りトレーナー、公認トレーナーの4名以上で直ぐに向かえるトレーナー達で即席の救助隊を結成して派遣される。

バカなボンボンと映えを狙った動画実況者が遭難した時は……俺、レッド、グリーン、ワタルさんでチームアップして向かったな」

「シロガネ山ぶっそうすぎません!?」

 

なお、シロガネ山でそうなん事故が発生すると……もれなく歴代チャンピオンor歴代四天王or殿堂入りトレーナーor公認トレーナーでの即席救助隊が結成され、救出作戦が決行される。

なお、シロガネ山での遭難は運が良くないと大惨事であり多くの人々に迷惑をかけるから辞めようね?

 

「それはそうとリンドウ先生は?」

「学会が近いからな予備知識を着けようとな。論文の本格的な発表は学会で行われるけど、新種の発表情報や革新的な情報は先に出回るんだ。コライドンの存在はもうニュースで出回ってるぞ」

 

論文の本格的な発表は学会で行われるが、リンドウが公表したようにコライドンは存在が既に世界各国に知れ渡っている。ルガルガン 黄昏の姿も同様だ。このように新種の情報や革新的な技術は一足先に情報だけ世に出回るのである。

 

「パルデアのクラベル博士とその助手ジニアが新種のポケモン コレクレーを発見。更にクラベル博士はコレクレーの進化系 サーフゴーを発見。

ナナカマド博士はシンオウウォーグルと原種ウォーグルの分岐の仕組みを見付ける。

ウツギ博士は助手ゴールドと共にリージョンフォームの卵の法則を確認。これにより、他の地方でもリージョンフォームの繁殖方を確立。ほら、学会前でも色んなニュースが出回るだろ?」

 

リンドウはそう告げ、パソコンの画面をサトシに見せる。そこには学会で発表される新種や革新的な技術の事前情報が報道されていた。

リンドウが発表するコライドンの存在……まあ、これは既に世界に広まってるが。オーリム博士が発表する古代プリンと古代ウルガモス。クラベル博士とその助手が発表するコレクレーとサーフゴー。ナナカマド博士が再発見したシンオウウォーグル(ヒスイウォーグル)と原種ウォーグルの分岐の仕組み。ウツギ博士とゴールドによるリージョンフォームの卵の法則。ウィロー博士による発見された新種メルタン。そしてフトゥー博士による異なる年代のポケモン……未来のポケモン パラドックスポケモン。

 

「む?フトゥー博士だと?数年間、音沙汰が無かった筈だぞ?

てか、ミライドンってアンタが見付けたのか!?フトゥー博士!?」

 

そのフトゥー博士の記事を見た瞬間、リンドウは首を傾げた。なお、リンドウの原作知識は剣楯初期で停まっており、その状態でリンドウがコライドンの種族名をコライドンに出来たのは運命なのか?運命なのか?たまたまなのか?

 

 

 

 

「カプよ……島クイーンの役目。拝命いたします…………よし!!」

 

新たな島クイーンが誕生し、神殿から出てからガッツポーズを行うハプウさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルナアーラちゃん?リンドウには内緒よ?」

「マナペーヤ!!」

 

リンドウが終末神ゲンシグラードンの力で銀河系を救ってる頃、ちゃっかりルナアーラを捕まえていたブルー。なお、ルナアーラはまだ夫には秘密であり、サプライズ発表の予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パラドックスポケモンの発表!?パラドックスポケモンを公表する前に、私達に連絡を寄越せよ!!8年も連絡を寄越さないくせに!!」

「母ちゃん!?落ち着いてちゃんよ!!」

「ばう!!」

「ンギャウ!!」

 

なお、そのフトゥー博士の妻子は連絡を寄越さない事に大激怒。パラドックスポケモンの公表する前に、人としてやることが有るのだから。

 

そんな時だった……インターホンが鳴り。

 

「あの……俺、バイオレットって言います。ご近所に引っ越してきました。ママの代わりに挨拶に……」

 

最新の色彩が引っ越してくる。なお、ポケモンをクラベルから貰うのは1年ちょっと後である。

 

「ンギャ?」

 

そんなバイオレットに近づくオーリムさん家のミライドン。

 

(ミライドン。彼で良いんだな?)

 

そんなミライドンを見て何かを決心するオーリス博士。そしてオーリム博士は1つのモンスターボール……ミライドンのボールを手に取り、バイオレットに近付いた。

 

「少年。命を預かる覚悟はあるかい?」

 

なお、バイオレットは本籍がジョウトなので10歳にならないとポケモンを保持出来ない。

 

「あの……俺、まだ10歳に成ってないんだけど」

「パルデアでは年齢の縛りがない。それに私の権限で特別許可書を発行しよう」

 

その時、紫は最高の相棒に出会った。




なお、バイオレットくんは転生者では有りません。リンドウ(青紫)以外の色彩は全員、非転生者です。


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124時限目

実はまだアローラに居たアイツ(笑)


島クイーン ハプウが誕生した。サトシと同年代の島クイーンが誕生した事を受けて、ポニ島(殆どは海の民)に住まう大勢の島民はお祭りのように賑わった。当然だ、島の象徴であり島の代表であった島キングが亡くなってから暫く。先代の志を受け継ぎ、その孫娘が新たな島クイーンに選ばれたのだ。

 

「大試練は少しまって欲しい。そうじゃ、ポニの大渓谷の最奥に行くのはどうじゃ?彼処はじい様も試練で使っていた。その最奥にたどり着き、無事に帰ってきたら大試練を始めよう!!サトシの最後の大試練であり、ワシが初めて行う大試練を行おう!!」

 

と島クイーンのハプウは仰った。ハプウは幼き頃から生前の祖父を見ており、ポニ島での試練がどのような物なのかは大体は知っている。ポニ島以外の島で試練を全て終えたチャレンジャーには過酷なポニ島の大渓谷を突破するという厳しいものを与え、他の島を全て終えてない者にはナッシーアイランドでの試練を与えるのだ。

サトシはポニ島以外の島巡りを全て終えている。なので、サトシには過酷なポニの大渓谷での試練を受けるのだ。だが、ポニの大渓谷は奥に進めば進むほど環境が過酷に成っていき、生息するポケモンもジャラランガ等の600族が闊歩する所となるのだ。

 

なので……サトシはポニの大渓谷に足を踏み込んだ。ポニの大渓谷には海外から珍しいポケモンや腕試しの為か、多くのエリートトレーナーやベテラントレーナーが居る。彼等と戦うことでも充分に修行が出来るだろう。

 

「そうだ……此処で強くなってアローラリーグで優勝するぞ!!」

 

サトシは強く決意を表明し、大渓谷を進む。

 

『今のままでは白い少年は倒せんぞ!!未来のチャンピオン!!』

 

その声が聞こえ、サトシは声の方を見る。そこには何故かグロッキーと成ったカキとマーマネ、そして何故かドイツ国旗を模したマスクを被った未来エルレイドが立っていたのだ。

 

「よっ……サトシ」

「サトシ……このメガエルレイドとサーナイトをロボットにしたようなポケモン訳が分からないよ……理不尽に強いし」

 

カキとマーマネは個別で修行をしていた筈だ。カキは腕試し、マーマネはデンヂムシをクワガノンに進化させるためにポニの大渓谷で校外学習を行っていた筈。しかし、この2人はどうやら未来エルレイドに捕まってしまい、強制的に新たな修行を受けさせられたようだ。

 

「カキ!?マーマネ!?」

『泣きたくないなら必死で修行することだな。君では此処で普通に修行するだけでは白い少年には勝てない。だか、私が君達を鍛えよう』

 

だが、普通に修行してでも才禍の怪物と言える素質を持ったホワイトに勝てるのだろうか?

ホワイトの素質ははっきり言って異常だ。間違いなくポケモンマスター レッドに匹敵する。しかし、幸いなのはホワイトはサトシと違ってバトル専門ではなくパフォーマンスやコーディネートがメインだと言うことだ。ホワイトは色んな方面に手を伸ばしているが、サトシはバトルに専念できる。しかし、だからと言ってサトシは勝てるのだろうか?サトシはトレーナーに成ってから既に2年が経過しているが、まだ殿堂入り処かリーグ制覇も出来ていない。しかし、ホワイトはリーグ制覇処かチャンピオンを倒して殿堂入りを成し遂げたのだ……トレーナーに成って2ヶ月以内で。

 

「お前は……一体!?」

「ピカピカ!?」

『年長者は敬うんだ。私はポケモンだが、君より長く生きてるぞ』

 

未来エルレイドはそう告げ、両腕のブレードが起動してスライドする。

 

『パートナーを出したまえ。今の君達がどれほど動けるのか確かめたい。いざ、尋常にポケモンファイトだぁぁぁあ!!』

 

未来エルレイドはブレードを抜刀し、連結してサトシに勝負を挑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲッコウガとリザードンを使ったのに負けた……」

『馬鹿者!!膝をついてどうする!!前を向け、一度の敗北でショックを受けてどうする!!お前達の修行は始まったばかりなのだぁあ!!』

 

未来エルレイドの手による、サトシ&カキ&マーマネの大自然ブートキャンプが始まるのであった。

 

なお、未来エルレイドはサトシがポケモンを交代してる間に自己再生を行って体力を回復させていたのは内緒である。

 

 




次回!一方のリンドウ先生。黒百合、かぶり防止さんが執筆してる外伝主人公に会う。

そしてGガンブートキャンプを受けたサトシ達と出会う(笑)


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125時限目

クロスオーバータグを増やしました。……中の人ポケモンが増えすぎたのと、中の人ブーストをやります(笑)


サトシ、カキ、マーマネの3人がネオドイツのガンダムファイターが中の人だと思われる未来エルレイドにビシバシと鍛えられている頃。リンドウはポニの花畑に訪れていた。

 

「この先に居るのか。アイツ、今はウィロー博士の所でバイトしてるんだっけ?」

 

このポニの花畑を越えればエンドケイブと呼ばれる神秘的な洞窟が待っている。ドラクエ等の冒険RPGで言えば、エンディング後の隠しダンジョンであり、リンドウが知る限り剣楯初期までの原作知識ではアグジキングやジガルデが潜んでいる洞窟である。

とは言えゲームではエンディング後に行ける隠しダンジョンであるが、此処では自然保護により殿堂入りトレーナーやフィールドリサーチ資格持ちトレーナーそして公認トレーナーでしか無許可では立ち入る事は許されない。資格を持ってないトレーナーは許可を得てからしか入ることが出来ないのだ。つまり、リンドウのクラスでは殿堂入りトレーナー(現役チャンピオン含む)のリンドウとブラック、公認トレーナーであるブルーしか入ることを許されないのだ。

 

しかし、どうしてリンドウがエンドケイブに向かっているのかと言うと。今はポケモンGOで有名と成ったイケテル中年ことイケおじの風格を出す行動派の博士……ウィロー博士の元でバイトとしてフィールドリサーチを行う少年の所にだ。

その少年とリンドウが出会ったのは今から数年前。リンドウが高専チャンピオンだった頃。課題とチャンピオンとしての多忙に終われていて、現実逃避をしたくてフエンタウンの足湯に浸かりながらアイスを食べている時であった。

その後もなんやかんなあり、高専を卒業してチャンピオンの引き継ぎを終えてホウエンの全ジムリーダーにお別れを言うためにフエンタウンに訪れた時に少しトレーナーとしての手解きを行ったのだ。

 

ポニの花畑の奥。エンドケイブとの境目の付近、そこにリンドウが探していた少年が居たのだ。

その少年は首元にキーストーンが埋め込まれた首輪……チョーカーを着けており、リンドウやサトシ達と同じく日本人だと思われる顔立ちをしている。その少年は休憩の最中なのか、パートナーだと思われるポケモン達を出して寛いでいた。

 

(カビゴン、ラグラージ、ファイアロー、オリーヴァ、ピカチュウ、ボスゴドラは相変わらず元気そうだな。む?アレは昔資料で読んだザルード!?ふぇ!?ザルードって人に懐くの!?ふぇ!?)

 

その少年はカビゴン、ラグラージ、ファイアロー、オリーヴァ、ピカチュウ、ボスゴドラ、ザルード……そして

 

(レックウザおるぅぅぅ!?何処で捕まえた!?てか、ちっちゃくね?)

 

レックウザが居たのだ。だが、そのレックウザは伝説厨タクトが過去に連れていたレックウザと比べて小さく、怪獣サイズがデフォルトのレックウザと比べて小さかったのだ。まあ、それでもレックウザなので大きいが。

 

カビゴン、ラグラージ、ファイアロー、オリーヴァ、ピカチュウ、ボスゴドラ、そしてザルードとレックウザ。合計、8匹のポケモンを従えたその少年。まあ、今はライドポケモンも連れ歩ける9匹対応のベルト(手持ち6匹、ライドポケモン3匹)も有るので問題はないだろう。

 

「よっ。思ってたよりも元気そうで良かった。久し振りだな、ネット」

 

リンドウはそう告げ、少年に声をかけた。リンドウに気付いた少年とそのパートナーはリンドウの方を向いた。

 

「お久しぶりです。リンドウセンセ」

 

その少年はネット。ホウエン地方のフエンタウン出身のトレーナーである。普段は色んな所を飛び回っており、ウィロー博士とも仲良しだ。

 

「所でセンセ……オーキド研究部に居たミュウツーは何ですか?」

「アレか?アレはミュウツー・マサラの姿だよ。オーキド研究部が誇る伝説のポケモンだ」

 

 

 

一方のサトシ。

 

『良い顔付きに成ったな。これからも精進するんだ。此処で私が教えられる事は時間の都合上、少ないからな』

「「「ハイ!!」」」

 

ポニの大渓谷の崖に立ち、腕組みをしながら仁王立ちする3人の男と未来エルレイドが居たのだ。3人は未来エルレイドの修行を受けた為か、一時的とは言えGガンダム風の画風と成っていた……一時的なので直ぐに戻るだろう。アニメでもサトシ達は一時的に画風が変わった時があったので。

 

『明鏡止水を忘れるなよ?わだかまりの無く、染み透った心境だ』

「「「ハイ!!」」」

 

そして未来エルレイドと彼に鍛えられた男3人……サトシ、カキ、マーマネは大渓谷を去っていく。その時、彼等のボールが開き、彼等のパートナーが出てきた。同じく未来エルレイドに鍛えられた為か彼等もパワーアップしており、カキのワカシャモはバシャーモに進化しており……マーマネのラクライはライボルトにデンヂムシはクワガノンに進化している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの……ワシ、島クイーンに成ったばかりなんじゃが」

 

対才禍の怪物(ホワイト)を想定して鍛えられたサトシとそのパートナー。彼等は圧倒的な実力で大試練を突破し、サトシは堂々とじめんのZクリスタルを掲げる。

 

 

 

 

 

 

ポニ島での校外学習が終わった後。

 

「行くか。遊びじゃないけど」

「お姉さんも頑張るわよ!!」

 

リンドウとブルーはブラックとアセロラをリーリエさん家に預け、メレメレ島国際空港に訪れていた。これから飛行機でパルデアに向かうのだ。

なお、リンドウはまだ博士ではなく研究者なので……随伴できる同行者には2人という制限がある。なのでコライドンの発表も考えれば同行者(リンドウの権限で参加できる助手枠)はブルーとホワイトの2名に成ったのだ。

 

「噂のポケレスリングの新星……ビワさんから手紙が来た事だし……私も行くわよ!!」

 

そして人類最強(物理)サオリ先生、パルデアに向かう!!

 

次回!!劇場版 リンドウのドキドキ学会発表会+ホワイトくんのパルデア制圧タイムアタック!!スタート!!

 

 

グレープアカデミーの腐敗(隠蔽教頭+いじめ)でリンドウぶちギレ事案まで残りちょっと。果たして、リンドウ達はスター団の運命を変えれるのか!?

 

「ボタちゃぁぁぁあん!!お父ちゃんが今から行くぞぉおおお!!」

 

そして娘のいじめを知ったガラルの鋼の大将もパルデアに向かった!?




ネットくんは黒百合、かぶり防止さんが執筆している外伝の主人公です。

次回!!リンドウ夫妻、パルデアに立つ。ホワイトくんと合流し……いざテーブルシティへ!!

笑いあり?涙あり?ギエピーあり!?劇場版が始まるよ!!

なお、ラスボスはウルベ・イシカワ(教頭)です


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劇場版パルデア リンドウ夫妻+白+霊長類最強 パルデアに立つ

劇場版スタート!!なお、サトシ達はアローラでククイ博士とシロナさんそしてタケシに鍛えられているとか(笑)


此処はパルデア地方。かつて2度も文明が崩壊し、かつては帝国が存在していたが今では中央に大きなクレーター状の大穴……通称パルデアの大穴が空いている地方である。此処では豊かな自然が勿論のこと様々なポケモンが生息しており、ポケモンリーグも他の地方とは少し異なるのが特徴だ。

 

パルデア地方のポケモンリーグは他の地方と異なり、リーグの大会は存在しない。

カントー、ホウエン、シンオウ、ジョウトはジムバッジを集め、ポケモンリーグに挑戦して本選に出場。リーグ優勝者が四天王に挑み、その後はチャンピオンと戦う流れである。これはイッシュやカロス、そして四天王の代わりに本気のジムリーダーを交えたチャンピオントーナメントを行ってその勝者がチャンピオンと戦うガラルと後のアローラも似たような物だろう。だが、パルデアは他の地方とは全く仕組みが異なるのだ。

 

パルデア地方のリーグはジムリーダー、四天王は存在する。しかし、リーグの本選は存在しない。何故ならパルデアのチャンピオンは最強の称号ではなく、資格のような物なのだ。

パルデア地方ではチャンピオンが複数存在しており、ジム挑戦を終えて四天王に挑み……リーグ委員長(試験用の手持ち)に勝利すれば晴れてチャンピオンの資格をゲット出来るのだ。そして、その複数人居るチャンピオンの頂点に君臨するのがトップチャンピオンと呼ばれる人物であり、その人物は現在のリーグ委員長と同一人物である。

 

パルデアの大穴……そこは通称エリアゼロと呼ばれており、未知のポケモンが多く生息しており、噂では中生代の環境がそのまま残っており、未知の食材やポケモンが生息していると言われている。なんでも昔に此処を探検した博士は此処で、ドンファンに似た何かを2種類確認しているのだとか。

 

『やはり……入れんか』

 

そんなパルデアの大穴。どういう訳かバリアーが張られており、入ることが出来ない。入ろうとしても入ることが出来ず、強引に破ろうとしても直ぐに修復されてしまうので入ることが出来ないのだ。

正規の入口は電気が止まっているのか動かすことが出来ず、残念ながら現在はパルデアの大穴を潜り抜けエリアゼロに入ることが出来ないのは確かである。

 

『これではフトゥーの開発したタイムマシンを破壊することが出来ない。不味いな、このままでは未来の機械とそのポケモン達がタイムマシンを掌握に乗り出すぞ!!』

 

そんなパルデアの大穴の上ではバリアーの上に立つ1体のポケモンが存在していた。彼はアローラ→パルデア行きの飛行機の前輪格納庫に忍び込んでパルデアに不法入国した……ドイツの覆面マスクを被ったゲルマン忍者未来エルレイドである。このゲルマン忍者、タイムマシンを破壊するという目的の為にパルデアに渡ったが、残念ながらタイムマシンが存在するエリアゼロに向かおうとしたがバリアーでエリアゼロの中に入ることが出来ないようだ。

 

『なんだ?』

 

何かを感じ、未来エルレイドは後ろに飛び下がる。サイコパワーを用いて空に浮かび、様子を見ると……

 

「ンギャル!!ンギャ!!」

「モキュ!!モキュ!!」

「ムーマ!!」

 

傷付いたミライドン、古代ウルガモス(通常……流派東方不敗は使えません)、古代ムウマがバリアーに何度も体当たりをしており、何かから逃げ出そうとしていたのだ。バリアーに当たり、何度も傷付いても彼等は気にしない。必死に何かから逃げ出そうとしていたのだ。

 

『なっ!?』

 

彼等を追う何かを未来エルレイドは見てしまう。その何かはエリアゼロの入口を覆う雲でよく見えないが、此れだけは分かる。それは余りにも危険だと。

 

『仕方有るまい!!』

 

未来エルレイドは渾身の力でインファイトを使い、バリアーに穴を小さく空ける。そして、その穴を腕力を用いて強引に大きく抉じ開ける。

 

『ヌォォオオオ!!』

 

抉じ開けられたバリアー。だが、バリアーはどんどん修復されていき、いくら未来エルレイドが普通の未来エルレイドと違って中の人補正(中の人補正 ゲルマン忍者)でめちゃくちゃ強いと言っても直ぐに閉じてしまう。

 

『何をしている!!早く逃げるのだ!!』

 

未来エルレイドが叫び、ミライドンと古代ムウマに古代ウルガモスは命辛々……バリアーの外に脱出する。それと同時に未来エルレイドはバリアーから手を放す。すると、バリアーは瞬く間に修復され、彼等を追ってきた何かはバリアーに弾かれて大穴の奥に消えた。

 

『未来……既に手を出してきたか』

 

バリアーの上では必死に命辛々全力で逃げてきたのだろう。ミライドン、古代ムウマに古代ウルガモスが安堵したように疲れはてていた。

 

『仕方無いか。着いてこい……先ずは怪我を治すのが先だな。だが、町中のポケモンセンターには寄れないな』

 

未来エルレイドは彼等を連れて何処かに向かった。エリアゼロの攻略には未来エルレイドだけではきっと不可能だ、もう1人……いや優秀な仲間が多く必要だ。この現代のパルデアを救うためにも、なんのかしなければ成らない。

 

『そう言えば今は学会だったな。弟とそのトレーナーを巻き込みたくないが……ホウエンチャンピオンの力は借りたいな』

 

未来との決着を早く付けなければならない。

 

 

 

テーブルシティ。パルデアの中心地とも言える街であり、中心にはサグラダ・ファミリアを彷彿させる巨大な学舎 グレープアカデミーが聳えており、グレープアカデミーは創設800年を超える長い歴史を持つ学舎である。

 

テーブルシティ国際空港。テーブルシティから地下鉄で繋がっている空港に、1人の男が普段とは異なるチャンピオンとしての青紫色のコートを纏い、2人の人物と共にパルデアに降り立った。

 

「此処がパルデアか。降り立つのは初めてだな」

 

リンドウ、南国のYシャツ姿ではなくコート姿でパルデアに上陸。

 

「いやー良い所じゃない!!着いてきて良かったわ!!」

 

そして遊び半分で着いてきたリンドウの嫁であるブルー。なお、今回……リンドウは学会の発表で来ているのでリンドウに随伴する為か今日はリンドウの付き添いで参加である。

学会に参加するリンドウは兎も角、付き添いの人はリンドウと同じIDが書かれた証明書付きのネームプレートを首から提げないと学会の会場には入れず、ブルーはそれを大事そうに大切な物入れに仕舞っている。

 

「そういや、ブルーは俺の付き添いだけど。サオリ先生、貴女は?」

 

だが、1人……学会とは関係ないがアローラから訳有ってやって来た人物が居た。それはポケレスリングの伝説的覇者であり、レジェンド、そして自分の力(物理)で自身のパートナーを鍛え上げた人類最強(物理)サオリ先生である。

 

「ポケレスリングの将来有望な逸材であるビワさんがグレープアカデミーに在籍していてね。彼女から手紙が届いてやって来たのよ!」

 

グレープアカデミーは学力やポケモン関係は勿論のこと、スポーツでも有名だ。そんなグレープアカデミーにポケレスリングの強化選手として推薦入学を果たしたビワという将来有望な生徒が通っており、サオリ先生はビワから手紙を受け取り遠路遙々南国のアローラからパルデアにやって来たのだ。

 

「そろそろか」

 

ふと、リンドウがそう告げ腕時計を見る。すると、空に一筋の赤い飛行機雲が現れる。その飛行機雲は此方に向かって徐々に高度を落としてきており、旋回をしながら周囲に気を使いながら速度を落としながら此方に向かってきているのだ。

 

「時間ピッタリね」

 

ブルーがそう告げた瞬間、リンドウ達の視線から数メートル先……テーブルシティ国際空港の広場に星が堕ちた。

 

その星は逆噴射も華麗に決めて地面に衝撃が伝わらないように降り立った。それは蒸気が風で消えたと共に姿が現れる。

 

「リンドウせんせー!!ブルーおねえさーん!!」

 

それはホワイトキュレムに跨がったホワイトであった。ホワイトはキュレムの背中から降りると、華麗にステップを刻みながらリンドウとブルーに近付き、そのままブルーに抱き付いた。

 

「これこれ、甘えるな甘えるな。リンドウ!!なんで、シロナお姉様より早くホワイトを養子にするって言わなかったのよ!!」

「いや、誰も名乗りあげなかったらそうしたけど。その場合、クルミ(リンドウ妹)は5歳しか変わらない甥が出来るぞ」

 

 

 

 

 

 

 

テーブルシティ。地下鉄に乗って空港から移動したリンドウ達。勿論、キュレムは大きいためにモンスターボールの中に戻し、ホワイトはイーブイとコライドンを場に出しており、リンドウはリーフィアを連れ歩きしている。

 

「ねえ!!せんせー!!ポケセンで泊まるの?」

「俺もパルデアの事を調べる前はそうするつもりだったんだが、残念だがパルデアのポケセンは宿泊施設は無いんだよ」

 

テーブルシティを含め、パルデアのポケモンセンターには宿泊機能は存在しない。

その証拠にリンドウが指差したポケモンセンターには宿泊室は愚か食堂も存在しておらず、有るのはドライブスルー形式の回復マシンとフレンドリーショップ、そしてポケモンの落とし物から作る使い捨てのわざマシン……わざレコードを作り出す無人販売マシーンだけであった。

 

「ええー!!それじゃあ、何処に泊まるのよ!!」

 

ブルーが驚愕に満ちた声で叫んだ。まあ、無理はない。ポケモントレーナーにとって宿泊先はポケモンセンター、これが基本だ。宿代はかからず、食費も掛からない。そんな夢のような宿泊施設が使えないのだとしたら、何処に泊まるのだろうか?

 

「ホテル。学会に参加する研究者と博士、その付き添いは経費でテーブルシティの五ツ星ホテルに宿泊できるぞ」

「「五ツ星ホテル!?」」

 

だが、御安心を。リンドウや世界中のポケモン博士や博士号はまだ認められてないが優秀な研究者は五ツ星ホテルに優先的に宿泊でき、その上……なんと経費から出るのでお金は気にしなくて良いのだ。

宿泊先が五ツ星ホテルと知らされた為か、ブルーとホワイトは年頃の子供のように目を輝かせている。まあ、ホワイトは年頃の子供であるが。

 

「俺達は経費から出て五ツ星ホテルですけど、サオリ先生は?」

「私はビジネスホテルよ。有給を使って来たからね」

 

なお、サオリ先生は経費から出なかったので自腹でビジネスホテルである。まあ、あのレジェンド・サオリが来たと知ればそのビジネスホテルは繁盛するだろうし、良いだろう。

 

 

 

「それじゃあ、私はビジホに荷物を預けてグレープアカデミーに行くわね」

 

 

サオリ先生と別れ、リンドウ達は五ツ星ホテルに向かう。五ツ星ホテルに到着すると……

 

「うわ…………雑誌やテレビで見たことがある博士ばっかりよ!」

 

そこには学会の為に世界中から集結したポケモン博士や研究者、その付き人や助手等々……大勢の方がロビーに居たのだ。

 

我等がオーキド博士は勿論のこと、ウツギ博士にゴールド、オダマキ博士、ナナカマド博士など日本の研究者が大勢集まっている。その中にはオレンジ諸島のウチキド博士も居たのだ。

 

欧州ではプラターヌ博士、ガラルのマグノリア博士にその孫でリンドウと同じく博士号の取得がかかっているソニア。パルデアのポケモン博士であるクラベル博士とその助手であるジニア、そしてポケモン考古学の権威であるオーリム博士……息子のペパーはグレープアカデミーに居るのだろう。他にもゲームには登場しない多くの博士や研究者が集っており、オーキド研究部で働いていた過去があるブルーは集った博士達を見て驚いていた。

 

「やあ、誰かと思えばリンドウ君にブルーさんじゃないか。大きくなったね」

 

ふと、そんな声が聞こえてリンドウは声の方を見る。そこには眼鏡をかけた男性が妻子と思われる女性と少女に幼子、そして複数の助手を連れてホテルにやって来た。

 

「サクラギさん!?アンタも来たのか!!」

「誰かと思ったらサクラギさんじゃない!!懐かしい!!オーキド研究部を退職して以来ね」

 

その男性はサクラギ博士。数年前までオーキド研究部で働いていた博士であり、リンドウやブルーとも面識がある博士なのだ。

 

「やあ。リンドウ君、コライドンの事をニュースで見たよ。そして君が噂のホワイト君だね。レッド君以来の天才だと……ニホンじゃ有名だよ!!」

「うん!!そうだよ、宜しくね!!」

 

ホワイトとも挨拶を交わすサクラギ博士。そしてサクラギ博士とその妻子に助手達はコライドンを見る。此の世で唯一、化石からの蘇生に成功した貴重なコライドンを見てサクラギ博士と助手達は息をのむ。

 

「これが……後の四代目シンオウチャンピオンの切札か。はは、凄いね」

「切札と言うか……エースの1人かと、切札はキュレムが居ますからね。それに、今の姿は移動に特化したライドフォルム……制限形態です。完全形態の迫力はもっと凄いですよ」

 

リンドウの説明を聞き、サクラギ博士とその助手達はコライドンを見る。

 

「ねえ、此処でバトルフォルムに成っちゃう?」

「注目が凄いからやめてくれ」

 

バトルフォルムはロビーではやめましょう。何故ならテーブルシティではバトルする場所が決められており、此処でバトルフォルムに成れば多くの注目を集めてしまう。

 

「そうだ!!リンドウ君!!紹介するよ、娘のコハルと息子のソウタ、そしてコハルの友人のゴウだ」

 

とサクラギ博士は付き添いでやって来た娘 コハル、息子の幼子ソウタ、そしてコハルの友人であるゴウを紹介してくれた。

 

「コハルです」

「俺はゴウ!!いづれ全てのポケモンを捕まえてミュウに辿り着くんだ!!」

 

コハルはまだポケモンを持っておらず、ゴウは同じくポケモンを持っていないがいづれは全てのポケモンを捕まえてミュウに辿り着くそうだ。

 

「ミュウを?」

「オーキド博士主催のキャンプで会ったんだ!!」

「そのミュウ、レッドのミュウよ。残念だったわね……既に捕獲されてるわよ」

 

ゴウ君、ミュウを捕獲したがったが……そのミュウは既にレッドが捕獲しており……夢は叶わず!!

 

「でっでも他の伝説も」

「役目を担ってない伝説なら良いと思うぞ?俺も役目を担ってないグラードンをパートナーにしたしな。

だが、伝説のポケモンは役目が存在する。レックウザは大空の守護者として、ルギアは海の神として、ディアルガとパルキアは時空を司り、イッシュの三龍は自らが定めた英雄を導くこと。伝説のポケモンは伝説と呼ばれるために役目が有る。それと心を通わせてパートナーにするんだぞ」

 

リンドウはそうゴウに告げた。ゴウが伝説のポケモンを求めるのは構わない、だが……願わくばポケモンハンターのようには成らず、パートナーと心を通わすトレーナーと成ってほしい。

 

「歳は?見たところ……ホワイトよりも歳上だな。12歳位かな?最初のパートナーは決まった?」

「ミュウが良い!!」

「ゼニガメにしなさい!!」

 

そしてブルーお姉さん。ゴウ君にゼニガメをお勧めするのだった。

 

 

 

 

「此処がパルデアか。来るのは久し振りだな……」

 

そしてウィロー博士。アシスタントであるチームリーダー達とネットを連れてパルデア入り。

 

 

リンドウがグレープアカデミーの腐敗を知り、ぶちギレるまで残り1時間。




次回!!リンドウ、激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム事件!!

リンドウ「いじめを黙認?証拠を隠滅?これが……教師のやることかぁぁあ!!いじめを受けた生徒のフォローと保護は勿論のこと、いじめっこを正しく導かないとか何様じゃ!!」

???「記録ロト!!」

あと、影が物凄く薄くなったアイツ。パルデアに密入国。


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グレープアカデミーの腐敗 序

グレープアカデミーの腐敗は……序破急の3部構成です


一先ずホテルにチェックインしたリンドウ達。リンドウとブルー、そしてホワイトに宛がわれた部屋は随分と大きな部屋であり、三ツ星ホテルでは充分にスイートルームと言える程の高級な部屋であった。

 

「すごーい!!ねえ!!本当にこんな部屋で寝て良いの?僕さ、ホテルに泊まるの初めてなんだ!!」

 

と……部屋にやって来るなり、ホワイトは大喜び。それもその筈だ、ホワイト少年は赤子の時にクチナシさんに保護されて孤児院に預けられ→旅に出た→宿泊先は基本的にポケセンかシロナさんの別荘orヒカリの実家、なのでホテルに泊まったのは人生初である。しかも人生初のホテルはリンドウが学会に参加するために宛がわれた高級ホテルの良い感じの部屋である。

 

宿泊部屋なのに寝室、リビング、ベランダ等が別々で存在しており、冷蔵庫の中には高級そうなワインやジュースが有ったのだ。勿論、これには遊び半分で着いてきたブルーも大興奮。

 

「リンドウ!!見てみなさいよ!!美味しそうなワインが有るわよ!!」

「出すなよ?冷蔵庫から出した瞬間に買ったと同意義でお金が発生するからな?」

 

しかし、そんなリンドウ先生。嫁であるブルーに釘を指すように注意した。それもその筈だ、この冷蔵庫の中に入っているワインやジュースは冷蔵庫から出した瞬間に買ったと判断され……チェックアウトの時に追加料金を支払う事に成るのだ。リンドウ達は学会に参加するのでこのホテルに泊まっているのであって、出来れば追加料金は払いたくないのだ。まあ、紅茶や珈琲等は部屋に有る分は無料なのでそれを飲むのが良いだろう。

 

「そうだ!!皆、でてこーい!!」

「ふっふふ!!私も出すわよ!!出てきなさい!!」

 

リビングはハガネールやホエルオー等の超大型のポケモンは流石に厳しいが、普通の大きさのパートナーなら問題なく出すことが出来る。その為か、荷解きを行うリンドウの側でブルーとホワイトは自分達のパートナーを出していく。

 

「イーブイ!!」

 

「ガメ!!」

 

「メガ!!」

 

「トゲチー!!」

 

「グルルァア!!」

 

「もーん」

 

「マカセロス!!」

 

「マナペーヤ!!」

 

「ンギャル!!」

 

だが、その1つの声をリンドウは聞き逃さなかった。

 

「む?マナペーヤ?いや……そんなバカな……」

 

恐る恐るリンドウは後ろを振り向く。そこにはルナアーラを連れたブルーが居たのだった。

 

「へ?いや、なんでルナアーラ!?しかも、この個体……ハウオリシティのポケセンの天井を突き破って堕ちてきたルナアーラ!?」

「ふふふ!!実はね、私が捕まえたのよ!!この子、メレメレ島が気に入ったみたいでね!!」

 

パチッとウィンクを決めるブルー。そう、ブルーはメレメレ島ハウオリシティのポケセンの天井を突き破って堕ちてきたルナアーラをパートナーとして捕獲していたのだ。勿論、捕獲したタイミングはリンドウが終末神ゲンシグラードンの力で暴走していたウルトラネクロズマを鎮圧していた時であり、その時にブルーはルナアーラを捕まえていたのだ。

 

「ホワイトは知ってたのか?」

「うん。だってリンドウせんせーが宇宙に行っている間にブルーお姉さんが捕まえたもん」

 

なお、ホワイトはブルーがルナアーラを捕まえた事を知っていたようだ。まあ、ホワイトはブルーとククイ博士と共に、リンドウが銀河系を救っている間にメレメレ島の平和を守っていたので……その時に知ったのだろう。

 

「ふふふ……ビックリしたでしょ!!」

「いや、お前が何か隠してるな~とは薄々感じてた」

 

しかし、リンドウの驚きは直ぐに冷めてしまった。と言うのもリンドウはブルーが何かを隠しているな……とは薄々感じており、その感じてた物が分かった為か驚きは無くなってしまったのだ。

そしてリンドウが旅行鞄を開けた時であった。

 

「ぴえーい。やっと出れたっピ」

「パルデアに着いたロト!!」

 

小さくなるを4回ほど使い、30センチ程に縮んでいたギエピーとロトム図鑑が何食わぬ顔顔でリンドウの旅行鞄から出てきたのだ。旅行鞄から出てきたギエピーとロトムは小さくなるを解除し、元の大きさに戻ると冷蔵庫を開けようとするが……

 

「ボス。やれ」

「グルルルギャァァァ!!」

 

史上最強のボスゴドラの手でギエピーとロトムは一瞬で鎮圧された。

 

「ギエピィィイ!!」

「ロトォォォオオ!!」

 

なお、ポケモンが小さくなるのは大昔から有名である。

明治初期、まだシンオウ地方(当時はヒスイ地方)の開拓が始まる随分と昔。当時のタマムシ大学でポケモンの研究を行っていたニシノモリ教授がオコリザルに投与した麻酔の量を誤り、過剰に投与してしまう。しかし、その瞬間にオコリザルは防衛本能の為か……身体が小さくなりニシノモリのメガネケースにすっぽりと身体を胎児のように丸めて入ってしまったのだ。

このポケモンが持つ本能的な縮まる能力を発見し、ニシノモリ教授はぼんぐりからモンスターボール(初期型)の開発に成功し、カントーやジョウト、ホウエンでモンスターボールは広まり……そしてシンオウ地方(ヒスイ)に広まったと言われているのだ。

 

「密入国しやがって、このギャグポケモンが。ホワイトの教育に悪いだろうが、ホワイトがギエピー色に染まったらどうする?シロナさんとキュレムパパの手でカントーは更地に変わるぞ」

「だって唯でパルデアの高級ホテルに泊まるって羨ましいっピ」

「ボクは珍しいポケモン目当てロト」

 

しかし、レッドやサトシに無断でパルデアにやって来たギエピーとロトム。このままでは食べるものにも困り、お腹が空いてしまう。

モンスターボールに入っている間、ポケモンは代謝機能が良い意味で低下しており……ご飯を食べなくても平気なポケモンは居るのは居る。だが、ギエピーは入るためのボールが無く……本能での小さくなるの休眠状態もそんなに出来る物ではない。

 

「分かった。但しギエピー……お前はホワイトの教育に悪いから、寝る時はオーキド博士の部屋だ!!」

「なんでだっピ!?」

 

そしてギエピー。寝る時はオーキド博士の部屋、決定である。

 

「荷物の整理が終わったら名門のグレープアカデミーを見に行くか。下見になるし、個人的に気になる」

「僕も行きたい!!」

「私も行くわよ!!」

 

リンドウ、ブルー、ホワイト。荷物の整理が終わり次第、パルデアが誇る名門校グレープアカデミーに向かう模様。だが、リンドウは知らない。グレープアカデミーは虐め、教員の汚職等で腐敗しており、マトモな教師は片手で数える程しか居ないことを。

 

 

 

 

 

 

「恥を知りなさい……教師に虐めを正当化するなんて事は赦されないわよ」

 

一方のグレープアカデミー。眼鏡をかけてイーブイのバックを背負った少女を庇い、怒りのボルテージが上がるサオリ先生。余りの怒りと迫力に空間に亀裂が生じていた。




次回からスター団の子達が出てきます。

いじめっこ「おいおい、コイツやろうぜ!!」

リンドウ(激おこ)「あっ?」←ホウエン最強……作中強さNo.2~3

ホワイト「ねえ?なんで殴るの?水をかけるの?その子嫌がってるよ?」←シンオウ最強……作中才能断トツの頂点

汚職教員「我が校の生徒を虐めないでくれませんかね?部外者さん」
リンドウ「ギエピー……ヤれ」
ギエピー「お前が泣くまで、タルタルソースに漬け込んでやるっピ!!」


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グレープアカデミーの腐敗 破

グレープアカデミーの腐敗が明らかに!!


グレープアカデミー。それは約、800年の長い歴史を持つ学舎であり、現代ではポケモンの事を学べる名門のポケモンスクールとして世界的に有名だ。転生者の皆様にとってはガウディが設計したサグラダ・ファミリア大聖堂そっくりな外見上……二度見しそうに成ってしまう。なお、第四の壁の先に存在するサグラダ・ファミリアは2026年に完成予定だが、この世界でのサグラダ・ファミリア=グレープアカデミーはポケモン達の活躍によってか意外と直ぐに完成した。その為なのか、グレープアカデミーは800年の長い歴史の中で何度か改修工事が行われており、現在のグレープアカデミーはモンスターボールをイメージした部分が存在する。

 

そんなグレープアカデミー。入学制限は存在せず、様々な年代の学生達が通っている。グレープアカデミーは夜間にも対応しており、昼は社会人として働いたりバイトして生活費を稼いで夜に授業を受ける人達も居るのだ。それに、パルデアではポケモンを保有できる年齢制限が全く無く、その為なのか可愛い幼女と髭の生えたおっさんが同じクラスメートと言う風景も見れるのである。

 

「此処が世界的に名門校!!グレープアカデミーか……前から気になってたんだな」

 

そんなグレープアカデミーの長い地獄のような階段。その階段を登りきると、サグラダ・ファミリアそっくりなグレープアカデミーの校舎が聳え立っている。そんな地獄のような階段の前に1人の男、1人の女、1人の天才少年、1匹のギャグポケモンと自立図鑑が聳えるグレープアカデミーを見上げていた。何を隠そう、リンドウとブルーにホワイト、そしてギエピーとロトムである。

 

「大きいわね。私達が物事を教えてる学校より大きいじゃない!!」

「メレメレ島ポケモンスクールも国立(公費で運営)されているが、流石はパルデア1の学舎だな。スケールが大違いだ、大きさも歴史もな」

 

リンドウ達が普段から物事を教えてるメレメレ島ポケモンスクールも国立であるが、その規模はグレープアカデミーと比べると雲泥の差であろう。別にメレメレ島ポケモンスクールがショボいのではなく、グレープアカデミーが凄すぎるのだ。

大きさ、敷地面積……その全てが規格外。広大なテーブルシティのど真ん中に聳える雄大な学舎は迫力満点だ。

 

「それじゃ、行くか」

 

リンドウがそう告げ、リンドウ達は地獄のような階段を登り始める。エンジュシティのお寺の参道に匹敵する程の果てしない階段はキツいが、普段から動いているリンドウやブルー、ホワイトには全くもって問題ではない。

 

だが、コイツは違った。

 

「ぜは……ぜは……階段が長いっピ」

 

メタボの階段を登るギャグポケモン、ギエピーである。このギャグ漫画からやって来ても違和感が全く無いギエピーは日々の不摂生からメタボの階段をロケットのように登っており、下腹をつまめる程の脂肪が有るのだ。体脂肪%はカビゴンやヨクバリスに匹敵……まあ、カビゴンやヨクバリスは種族の都合上健康には問題ないがギエピーの場合は健康に悪い……ダイエットをしなければ心筋梗塞や高脂血に糖尿病のリスクが有るのだ!!(リアルトレーナーの作者の心の叫び)

 

「ピッピってなんで痩せないの?」

「うぐ!!子供の悪意無き言葉は心に響くっピ!!」

 

ギエピー、階段を苦しそうな顔で登るためかホワイトに心配され、悪意無き言葉を告げられる。

 

「ダメよ、ホワイト。ギエピーはギエピーよ……コイツをピッピ扱いしたら世の中のピッピちゃん達に失礼よ!!ギエピーと呼びなさい!!敬意を込めてよ!!」

「そっか!!うん、ギエピー!!頑張れもうすぐだよ!!」

「いや、敬意処か侮蔑に近くなりそうだな……」

 

そしてブルーお姉さんの導きにより、ギエピーはホワイトくんからもギエピー呼びされる。仕方ないね、ギエピーだもん。

 

 

「ようやく登りきったな。ギエピーのお陰で遅くなったが」

「ごめんっピ……」

 

ギエピーはぜはぜはと息を切らしているが、なんとかリンドウ達は地獄のような階段を登りきり、グレープアカデミーの校舎に到着した。

 

だが、そんな時であった。

 

「やっやめるでござる!!それは拙者の大事な……大事な!!」

「あっ?気持ち悪い趣味しやがってよ。オタクはキモいんだよ!!学校をやめちまえ!!」

 

現役教師として聞き捨てならない言葉が聞こえ、その言葉の直後に殴る蹴る時に聞こえる打撃音が響いたのだ。

 

「リンドウ!?」

「ぜは……まってくれっピ!!」

 

その声と打撃音を聞いた瞬間、リンドウは考えるよりも先に身体が動いてしまった。そして走り出した、リンドウが動くのも無理はなかった。何故なら、身体が反応したのは訳がある。それはいじめを聞いてしまったからだ。

いじめ……教育に関わるなら避けて通れない道だ。これはニホンの学校や自治体は勿論のこと、世界中で問題となっている。いじめとは当該者生徒(大人含む)が何らかの関わりを持つ他者から、心理的または肉体的に或いはその両方の攻撃を受けた事による精神的苦痛を感じるものである。

 

いじめは絶対に有っては成らないことだ。それに被害者の声と打撃音が聞こえた位置からして、場所は近い。

 

「なにやってんだ……?」

 

リンドウは現場に着いた瞬間に、これまでホワイトには一切見せた事がない怒りを込めた目付きと成った。そこでは白髪のイケメンな生徒が複数人の生徒から暴行を受けており、複数人の生徒の代表格と思わしき生徒はアニメの漫画を持っており……そのアニメの漫画を地面に叩き付け……足で踏みつける。その後……

 

「ウデッポウ。水鉄砲だ」

「ポウ!!」

 

代表格はパートナーのポケモン、ウデッポウを出した。そのウデッポウは水鉄砲で漫画をぐちゃぐちゃに潰したのだ。

 

「ああ……拙者の大事な漫画が……」

 

いじめの被害者は余程、その漫画が大切だったのだろう。悲しそうな顔をした。だが、その被害者の顔に容赦ない拳が突き刺さる。

 

「ぐっふ!!」

 

その瞬間、リンドウのなにかが切れた。

 

「おい……何をやってる?何が楽しくてそんな事をしてる?その子の気持ちを考えた事はあるか?なんで人を殴って、大切な物を壊して、いじめて笑ってる?」

 

リンドウは彼等に近付き、そう告げた。だが、帰ってきた言葉は……

 

「なにいってんだよおっさん!!まじウケる!!」

 

「コイツの趣味が気持ち悪いから調教してるんだよ!!」

 

「おいおい、建前はよせよ?純粋に気持ち悪いからいたぶったるんだよ!!弱いやつ、気持ち悪いやつを一方的にいたぶるって気持ちいいからな!!」

 

と帰ってきた言葉はこんな物だった。

 

「おっさん。コイツを庇うのか?コイツはシュウメイって言うオタクでな、気持ち悪いんだよ。コイツを庇うなら」

 

代表格がそう言った。どうやらいじめられている少年はシュウメイと言うようだ。

 

「おっさんも仲間にいれてやるよ!!いじめられる側のな!!」

 

代表格が叫び、代表格に続くようにいじめっこ達はパートナーのポケモンを繰り出していく。

代表格のウデッポウ、そして仲間のハブネーク、ブービック、ワナイダー等々のポケモンが飛び出してリンドウに襲い掛かる。

 

「加減しろよ?ボス、レウス」

 

その瞬間……物凄い衝撃と共にいじめっこ達のポケモンが一瞬で戦闘不能になり、砂煙が晴れるとリンドウの前にはボスゴドラとリザードンがいじめっこ達を睨んでいたのだ。

 

「ひっ!?俺はジムバッジを3つゲットした天才なんだぞ!!才能の塊なんだぞ!!」

「うせろ……このままじゃ俺が体罰を加えそうだ。ロトム、記録したな?」

 

リンドウがそう言うと、リンドウの背後からひょっこりとロトムが現れる。

 

「勿論ロト!!遠くからズームして録画してたロト」

「拡散しろ、博士達と教育委員会にな!!」

 

ロトムは遠くからズーム機能を用いて、いじめの現場を撮影していたのだ。このいじめが教育委員会とパルデアに集っている博士達に広まれば、学校は嫌でも事実を認めなければならず保護者達も間違いなく動き出す。

 

「いじめってまだ居たのね?なに、私も久し振りに怒りそう」

『抉られたいか?ガキども』

 

そしてそこにブルー、ホワイト、ギエピーが合流する。なお、いじめを無視できなかったキュレムが自分の意思でボールから飛び出しており、ブラックキュレムに成ってはいじめっこに殺意を込めた視線を送る。

 

「「「ヒィィイ!!先生に言い付けてやる!!先生は俺達の味方だからな!!」」」

 

そしていじめっこ達は逃げ出そうとした。どうやらこのグレープアカデミーの先生達はいじめっこの言葉を聞く限り、いじめっこの味方でありいじめを黙認していたようだ。

 

「残念だけど……それは無理よ」

 

その瞬間、空間が軋む。すると、これまでに見せた事がない怒りを纏ったサオリ先生が現れたのだ。サオリ先生は眼鏡をかけたイーブイのもふもふリュックを背負った少女、体格が良い筋肉質な美少女を連れて現れた。なお、サオリ先生の両手にはサオリ先生に粛清されたのだろう……2人の男が握られていた。

 

「サオリ先生!?」

「リンドウ君。正当防衛よ、向こうが手を出してきたら手を出したわ。事実、私は攻撃を1度しか出してないし、殺してないわ」

 

なお、サオリ先生が本気(本人の)を出せばグレープアカデミーは倒壊したかもしれない。

 

「この学校は腐ってるわ。いじめは黙認、教師もいじめに参加する者が多々おり、資金の横領も沢山。教頭は事実を隠蔽しようとしており……私の存在に気付いて逃げたわ」

 

サオリ先生は悪徳教師を雑巾のように投げ捨て、教えてくれた。

グレープアカデミーは世界的に名門校であるが、長い歴史と共に腐敗してしまったのだ。いじめは黙認され、教師の一部もいじめに参加するほど、更に教育委員会や理事長に問題が明るみに成らないように教頭が事実を隠蔽してた有り様なのだ。

 

「マトモな教師は?」

「1人だけね。校長もいじめを何とかしようとしてたけど、8割の教師と教頭に敵対されて身動きが出来なかったみたいよ」

 

更にサオリ先生は教えてくれた。マトモな教師は1人だけであり、その教師以外の教員はいじめを黙認していたのだ。そのマトモな教頭の他にも校長もいじめを何とかしたかったが大勢の教師に敵対されて動くことが出来なかったのだ。

 

「嘔吐が出るな……天下のグレープアカデミーも落ちぶれたな」

 

リンドウ……激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームとなる。

 

だが、いじめの問題は大切な事もある。それは被害者と加害者のアフターケアだ。被害者には心の傷を取り除き、加害者には気付きを与えて導く為にだ。

 

「大丈夫か?少年……直ぐに助けてやれなくてすまないな。立てるか?」

「助けてくれてありがとうで御座る。拙者は大丈夫……」

 

リンドウは少年……シュウメイに手を差し出す。シュウメイはリンドウの手をとって何とか起き上がる。

 

「拙者はシュウメイ。スター団に所属している者でござる!!」

「スター団?」

「スター団とはいじめられっこで結成したレジスタンスで御座るよ!!」

 

因みにいじめられっこはいじめられっこ達で団結を組み、スター団というレジスタンスを結成していじめに立ち向かっていたのだ。

 

なお、リンドウはこの時は知らなかった。スター団とホワイト、そしてコライドンの絆がパルデアの大穴に巣くうラスボスを打ち倒す一撃に成ることを。




次回はスター団とマトモな教師が出てくるよ。なお、教頭は命辛々……サオリ先生から逃げれました(笑)

サオリ先生「逃がさないわよ?」

そしてクラベルが一足先に新たな校長に!?


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グレープアカデミーの腐敗 Q

ボタンちゃんの父親はフロム脳的解釈で彼に成ってます。まあ、十中八九彼なんだけど(笑)


スター団。それはグレープアカデミーでいじめ被害者達が結成したレジスタンス組織であり、みんなでいじめに立ち向かう為に団結した集団である。グレープアカデミーのいじめは名門グレープアカデミーという看板を護るために教頭が情報操作を行い……外に流すことが出来なくなり、長い歴史と共に教員達も汚職に手を出すように成ってしまい、被害者達は教師に相談しても手を出してくれなかった……その為に自分達で団結していじめに立ち向かうしかなかったのだ。

 

「それがスター団でござるよ」

 

とシュウメイはリンドウ達に教えてくれた。

スター団を結成したのはマジボスと名乗る正体不明の生徒であり、シュウメイ達も顔を見たことがないという。だが、シュウメイ達を誘って共にスター団を結成したのだ。そのマジボスも正体は分からないがいじめを受けており、いじめと立ち向かう為に仲間を集めて組織を作ったのだ。

 

「成る程な……」

「助けてくれた先生は先月赴任してきたアンリ先生だけでござるよ」

 

そしてシュウメイは更に教えてくれた。なんでも先月に赴任してきた若い女性の教師だけはスター団や他のいじめられっこの味方に成ってくれたそうだ。その女性は他の教師とは一線をかく強さをしており、チャンピオンランクを保有している教頭より強い強いとか。

 

「しかしアンリ先生は多忙ゆえ、リーグの公務で学校から離れる時がある」

「リーグ?」

「そう言ってたでござる」

 

だが、そのアンリ先生という若い女性は忙しいのか、突如として学校から居なくなる事が有ったようだ。

 

「そのアンリ先生や君達がスマホやパソコンでいじめや汚職をリークすれば良かったんじゃない?」

 

ふと、ブルーがそう告げた。しかし、シュウメイ……そしてサオリ先生が連れたガタイの良い美少女は首を横に降った。

 

「私達は何度もやりました。でも学校のパソコンや学校から支給されたスマホは汚職やいじめを秘匿するように成っていて、プライベート用のスマホは学校のWi-Fiを繋ぐと汚職やいじめの情報が流せなく成るんです。

教頭はそれらの専門家でも有って、ネットで情報は流せないんです」

 

だが、ネットで情報を流そうにしても出来なかったのだ。なんでも学校指定のスマホやパソコンは汚職等をリーク出来なくなっており、電話で助けを呼ぼうにも特定のキーワードを言えば相手に伝わる前に通話が突如として切れるようなのだ。

学外で助けを求めても教頭や汚職教師達が旨いこと誤魔化すためか、助けを呼ぶことが出来なかったのだ。

 

「その後にアンリ先生が赴任してくれて、アンリ先生がマジボスにアドバイスを送ってアンリ先生経由でリーグ委員会やガラルにいる凄腕トレーナーであるマジボスのお父さんに手紙を送ったんです。とは言え、私達はマジボスが誰なのか分からないけど」

「そっか……所でお姉さんだれ?」

「私はビワ。宜しくね」

 

とガタイの良い美少女は名前も教えてくれた。彼女はビワ、ポケレスリングの強化選手でありスポーツ特待生で入学した秀才である。サオリ先生は当初、彼女に会うためにパルデアにやって来たのだ。

 

「で?君は誰だっピ」

 

ギエピーがサオリ先生の後ろに隠れる、もふもふイーブイリュックを背負った少女に問う。

 

「ウチ……ボタン」

 

と少女はボタンと名乗った。どうやら少女の名前はボタンと言うようだ。その時だった……

 

「ボタちゃぁぁぁあん!!お父ちゃんが助けにきたぞぉぉぉお!!」

 

なにやらおっさんの声で物凄い勢いで地獄の階段を爆走する足音が辺りに響く。何事かと思ったリンドウ達が声の方を振り向くと、投獄された筈のガラルリーグ委員長 ローズと瓜二つだがマッシブボディのおっさんが此方に向かって走ってきたのだ。

 

「てっ!?ピオニーのおっさん!?なんで此処に居るんだ!?」

 

リンドウはそのおっさんを見て、ピオニーと呼んだ。彼の名前はピオニー。ガラルリーグの元チャンピオンであり、元鋼ジムのジムリーダー、現在は探検家の男性である。二児の父親であり、多くのガラル人から現役復帰を望まれているポケモントレーナーだ。

 

「ボタちゃん!!うぉぉおお!!無事で良かったぞ!!」

「うげ!!父ちゃん!!あつくるしいっし!!汗臭いし!!」

 

そしてピオニーはボタンちゃんに思いっきり、はぐした。どうやらピオニーとボタンは親子のようであり、全く似てないが親子のようだ。まあ、ピオニー隊長の奥さんは白人だし……お母さんに似たのか複雑な事情が有るのだろう。

 

「手紙でいじめの事を伝えられて……パパはどうにか成りそうだった!!ボタちゃん!!いじめで辛いなら、学校なんて行かなくて良いから!!

辛い思いをしてまで学校に通わなくて良いから!!パパの責任だ……グレープアカデミーが世界的名門校だと、それだけでボタちゃんに勧めたからだ……」

 

ピオニーはそう告げ、涙を流す。父親として娘に辛い思いをさせてしまった為だ。

 

「学校は他にもある!!そこのホウエンチャンピオンが教師してる所だったり、他にもポケモンの学校は有るから!!」

「「「えっ?ホウエンチャンピオン?」」」

 

ギッギギと錆びた歯車のように首を動かしてリンドウを見るシュウメイ、ビワ、ボタン。

 

「おう。そうだ。あと、南国アローラで先生もしてるぞ!」

「「「えぇぇえ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、パルデアじゃ知名度は無いんだな」

 

ピオニーも一行に参加し、彼等はボタンとビワそしてシュウメイの案内でスター団が集まっている部屋に向かっている。あと序でにボタンがスター団の創設者 マジボスである事が判明したが、気にしてはいけない。

 

グレープアカデミーのエントランスは図書館のように成っており、様々な書籍が並んでいる。なんでも理事長であるオモダカというトップチャンピオンが設計したのだとか。

 

エントランスを抜けて階段を移動し、辿り着いた教室。そこでは多くの生徒達が居たのだ。

 

「紹介するでござる!!スター団の大切な仲間でござるよ!!」

 

彼等は全員がいじめの被害者であるスター団の仲間達。いじめに立ち向かう為に手を取り合った大切な仲間達だ。

 

「僕はピーニャ!!宜しく!!」

 

とヘッドホンをして帽子を被った少年はピーニャ。元は生徒会長であったが、校則が厳しすぎるためか謀反にあい、生徒会長を辞めさせられて虐められた過去を持っている。

 

「俺はオルティガ!!」

 

と小柄な少年はオルティガ。有名ファッションブランドの御曹司であり、現校長を執事に持つ人物だ。口が悪くて癇癪持ちで超絶金持ちの為か……多くの生徒から虐められた事がある。

 

「オレはメロコだ。此方はカルボウのボウジロウ」

「ホウボウ!!」

 

と赤い髪の美少女はメロコと名乗った。メロコは見た目が可愛い為に虐められており、いじめに立ち向かう為にスター団に入ったのだ。なお、パートナーはカルボウのボウジロウである。

 

と彼等がスター団の主力メンバーだ。なお、ビワはスター団のメンバー達に護身術を教えたり、ポケモン勝負の指南もしているとか。

 

「私はタナカです」

「急に日本人が出てきたっピ」

 

「私はスレッタです!!」

 

「ミオリネよ」

 

「ニカです」

 

「おじさんだよ。やっぱり、SEGAは良いよ」

 

等々、他のメンバーも自己紹介をしてくれた。なお、その中には令和のアニメキャラも混ざっていたが……残念ながら平成の世から転生してきたリンドウは気付いていない。

 

「リンドウ。おじさんがいるっピ」

「いじめに年齢は関係ないからな。あとギエピー、少し静かにしてくれ」

 

パルデアのグレープアカデミーには年齢制限はない。その為か、おっさんの生徒も居るのだ。別におじさんなスター団の生徒も居ても不思議ではない。

 

「因みにおじさんは入学してから20年経ってるんだよ!!はっはは、まだ卒業出来そうにないね」

「「なが!?そんなに在籍出来るの!?」」

 

なお、おじさんは入学してから20年経っている。10歳から入学したとしても、今年で30だ。時代の流れは残酷であった。

 

すると、赤色の髪をした若い美女が入ってきた。

 

「ふー、皆お待たせ。はっ!?ホウエンチャンピオン リンドウに次期シンオウチャンピオン ホワイト!?どうして此処に!?」

 

その女性は身長150cm代であるが、スタイルは良く普通に巨乳であった。そして令和の転生者が居れば、ブルーロックの帝襟アンリちゃんおるぅぅ!!と叫んでいるだろう。

 

「「「アンリ先生!!」」」

「「アンリ先生!!」」

 

とスター団の生徒達はその女性に向けて、アンリ先生と呼んだ。どうやら彼女がシュウメイとビワが言っていたアンリ先生で間違いないだろう。

 

「せんせー!!僕って有名人?」

「少なくとも、自分で思っている1000倍で有名人だな」

 

ホワイトの無邪気な言葉に対して、リンドウはそう告げた。

 

「えーと……貴女は?」

「初めまして。私はポケモンリーグ本部の新人職員で、訳有って現在はパルデアリーグに出向しているアンリです」

 

と彼女は自己紹介をしてくれた。彼女はアンリと言うようで、ポケモンリーグ本部から訳有ってパルデアリーグに出向しており、更にパルデアリーグからの要請でグレープアカデミーの教師をしているようだ。

あとポケモンリーグ本部の職員ならレッドの部下なのだろう。

 

「私は訳有って出向職員で有りながら、パルデアリーグの四天王もしてます」

 

あと……恐らくだが、出向期間限定でパルデアリーグの四天王をしているそうだ。恐らくだが、シュウメイの言っていたアンリ先生の公務とは四天王の事だろう。

 

 

 

 

 

「なにか……言い訳は有りますか?」

 

2時間後。汚職教師といじめっこはロトムの拡散を受けて事実を知ったポケモンバトルに腕の覚えのある博士達がグレープアカデミーに乗り込み、リンドウと合流。

 

リンドウのレウス(当然ながらメガシンカ)とグラードン、ブルーのカメちゃん&ルナアーラ(カメちゃんはメガシンカ)、ホワイトのトゥルーキュレム&コライドンそしてカイロスさん、ギエピー、オーキド博士のリザードン、クラベル博士のサーフゴー、ジニアのウインディ、プラターヌ博士のメガガブリアス、ウィロー博士とそのアシスタント達、リーグ本部職員兼マトモな教師のアンリ先生のグレンアルマ&シャワーズ(炎テラスタル)、元ガラルチャンピオンであるピオニーのボスゴドラ、そして生身のサオリ先生で見事に鎮圧された。

 

「「「ヒッヒィィイ!!」」」

 

汚職教師は即刻逮捕。成人しているいじめっこは暴行罪に詐欺罪(カツアゲ)に脅迫罪で逮捕&退学処分、未成年のいじめっこは無期停学と成ったのだった。

 

「教頭のウルベ・イシカワは逃げたみたいです……」

「あら?じゃあ、私が捕まえるわ」

 

諸悪の根元の教頭。サオリ先生から本気でロックオンされる。

 

「クラベル博士……私の代わりに校長に成ってくれませんか?」

「私がですか!?」

 

そしてクラベル博士。現校長のイヌガヤに託される形で校長に就任する。なお、強制であった。

 

「逃げるんだよ!!」

 

なお、裏口から逃げた一部の職員だが……

 

「残念ね。此処は私の母校でも有るのよ。プリン!!ムーンフォース!!」

「マフティフ!!噛み砕く!!」

 

裏口で待ち構えていたオーリム博士とそのパートナーである古代プリン、オーリム博士の息子である在校生のペパーとそのパートナーであるマフティフ……そして

 

「さあ、トゲキッス!!波動弾っすよ!!」

 

オーリム博士とペパーが最近、浜辺で拾った記憶喪失で謎の居候である凄腕のトレーナー ウォロのトゲキッスの手で粉砕された。なお、ウォロは初期型モンスターボールを保有しており、その姿はシロナさんを男性に性転換させたような見た目であった。

 

グレープアカデミーの腐敗。強引に除去されたのであった。




次回はいよいよ、学会が始まる!!リンドウの博士号をかけたコライドンの発表!?

ホワイト「ね!!吹き抜けなら空から現れてOK?」
リンドウ「残念だが、発表は大講堂だからな……空からは無理だぞ」


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学会が始まる!!リンドウ先生の運命は!?

コライドン……発表!!


『ぶっはは!!パルデア到着早々、トラブルが起きすぎだろ!!』

「うるせーな。てか、グリーン。テンション高くね?」

 

此処はパルデア地方。御存知、アローラともカントーともホウエンとも異なる地方であり、ガラルやカロスと同じく1つの地方が国を形成するアローラやイッシュ等のアメリカやニホン各地の地方と異なる国家だ。

一応、ポケモンの世界の言語としての共通語は日本語(俗に言う前世でリンドウが使ってた)であるが、これはもしかしたらアルセウスが世界を作った事が関係しているのかもしれない。それはそうと、リンドウは現在、ホワイトが持つスマホロトムという最新グッズ(まだ発売未定)でアローラの人々と電話を行っていた。

 

『てか、お前達今何してるの?』

「テーブルシティの喫茶店でパンケーキ食ってる。俺の自腹(ギエピーはオーキド博士のツケ)でな」

 

現在、リンドウ達が下見したかったグレープアカデミーは腐敗が発覚。その後、リンドウとロトムが各博士や助手達にリークし、圧倒的な戦力差でグレープアカデミーの悪徳教師と不良生徒を文字通り粉砕。

悪徳教師は即刻逮捕&免職。成人している不良生徒は暴行罪、詐欺罪、窃盗罪、器物損害罪、逮捕&即刻退学処分。未成年の不良生徒といういじめっこ達は無期停学……ヒドイ生徒は少年鑑別所に送られ後々に退学処分と少年院に送還と成るのであった。

 

まあ、そんな事も有ってかグレープアカデミーは警察がパルデアリーグ職員と共に家宅捜査すており、残念ながらグレープアカデミーとは無関係なリンドウ達は立ち入る事が出来ずパンケーキを食べながら時間を潰しているのだ。

 

『学会は?』

「明日に延期。とは言え、そこから討論会等も有るから短くても2週間はパルデアに居るな」

『そっか。サトシ達は安心しろ、俺様が最強に育てておくぜ!!』

 

実はと言うとグリーン、アローラリーグが迫っている事も有ってかアローラに滞在する事にしたのだ。その上、アローラにはレッドもいる。

リンドウがパルデアで学会の発表や討論会、他の博士達や助手達と共にフィールドワークに出かける間……サトシ達はグリーンやレッドの指導の元で実力を高めるだろう。もしかすればリンドウとは別の視点から指摘を受け、リンドウの指導も合わせて実力をアップさせるかも知れないだろう。

 

「人はどうしても見たくない物は見ようとしない生き物だ。だから多角的に考える力が強くなるには必要だしな……俺からの指摘に合わせ、レッドやグリーンの視線から見えたものも合わせればサトシ達は強くなるな」

 

人は見たくない物は見ようとしない。だから自分では問題に気付けない事が多々ある。しかし、問題意識を明確に持つことで思考回路と見える景色が一変する。

サトシはそれ故か、リンドウに指摘されるまで全く同じ条件ならホワイトに負けた事を伝えられるまで理解できなかった。だが、サトシはリンドウの指導で問題意識を明確に持てたし、そこにレッドやグリーンからの指摘も加わる。Z技(ゲームと違いZクリスタルの保有数だけ使える、連発出来る)というアドバンテージも有るので、今度も勝てるかもしれない才禍の怪物に。

 

「てか、ホワイト。そのロトムをスマホにしたようなアイテムなに?」

 

リンドウがグリーンと喋ってる間、ブルーはパンケーキを食べながらホワイトと話しており、ブルーはリンドウが今使ってるホワイトのスマホ?であるロトムスマホを指差した。

このスマホロトム。自由に喋る事は無さそうだが、ロトム図鑑のように自在に浮いており自在に動けるようだ。充電も不要であり、ポケモンフーズを与えれば充電?出来るようだ。

 

「これ?スマホロトムだって。ロトム図鑑から得られたデータを元に、ロトム図鑑の本当の開発者が作ったんだって!!

その開発者さん、怖い顔してたけど。多分、優しい人だよ?沢山のロトムに囲まれてて世界中のロトムが人々と幸せに暮らせるのが夢なんだって」

 

とホワイトは教えてくれた。なんでもこのスマホロトム、ロトム図鑑のデータを元に開発された代物であり、スマホにロトムが取り付いた最新アイテムである。開発者はホワイト曰く怖い顔のおじさん(Mr.アンチェインと化したアカギ)であり、そのおじさんは「曾祖母からの願いでも有るしな。曾祖母からの伝言だ……ショウを頼むとな」とホワイトに言っていたとか。

 

 

 

 

翌日。

 

グレープアカデミーの大講堂……の近くの控え室。リンドウ御一行に割り当てられたその控え室で、律儀にスーツ姿に着替えたリンドウ、ウーマンスーツ姿のブルー、そしていつも通りの服装のホワイトが発表の準備を行っていた。

 

「えー、お前ら。残念ながら悪いお知らせがある。抽選の結果、俺達のコライドンに関する論文が1発目に成ってしまった」

 

なお、今回の学会の発表は抽選で順番が決められるようであり……リンドウは運が悪いのか良いのか1発目と成ってしまったのだ。

 

「じゃあせんせー!!お姉さん!!僕さ、手筈通りに登場してOK?」

「お姉さんが許す!!やっちゃいなさい!!」

 

ノリノリな天才少年と嫁を見て、リンドウは胃を軽く押さえたのであった。

 

その1時間後。

 

大講堂……数多の博士とポケモン研究者やその付き人達が集まる発表場所。その壇上に緊張が解れないリンドウは人生で2番目に緊張しており、緊張をなんとかポーカーフェイスで隠して壇上に上がる。

 

「ではリンドウ学士。発表をお願い致します」

 

司会の物に言われ、リンドウはノートパソコンを取り出して線を繋げる。すると、大講堂のモニターにコライドンの様々な詳細なデータが記された。

 

「これがコライドン………」

 

「古来より甦ったモトトカゲの先祖か」

 

と一部の学者が興味深そうにモニターを眺めた。

 

「ごほん。では始めますね。

コライドンは今から約2億年前から1億4千万年前のジュラ紀に生息していたポケモンです。個体としてはカラシナ・ホワイトが発見したミイラ化石から復元できた個体しか現在は現存しておらず、種族としての狂暴性は断言出来ません。これは化石ポケモン全般に言えることでは有りますが」

 

因みにカラシナ・ホワイトとはホワイトの現在の本名であり、シロナさんはカラシナ・シロナである。

 

「コライドンはDNA検査の結果、モトトカゲの直接的な種族としての先祖である事は明らかです。卵グループはモトトカゲと同じく陸上。これは妻がパートナーにし、フトゥー博士が公表したモトトカゲの未来の姿 ミライドンも同じです」

 

コライドンとミライドンはゲームと異なり、卵を作ることが出来る。だが、残念ながらリンドウの仮説では普通に子供を為せば生まれるのはコライドンではなくミライドンでもなく、モトトカゲの可能性が高いのだ。

 

「しかし、リュージョンフォームの事を考えれば産まれるのは現代に適した姿であるモトトカゲとして産まれる可能性が高いです。

これは妻のミライドンが妻のメタモンと卵を作りましたが、産まれたのはモトトカゲでした」

 

「話がこのままではそれますね。本題のコライドンの話しに移りましょう。

コライドンの特性は私のグラードンやコータスと同じく『ひでり』と当初は考えました。コライドンが臨戦態勢に成れば日差しが強い天候に成りますが、同時にコライドンの攻撃ステータスが増していました。故に、コライドンの特性はひでりに日差しが強い状態だとステータスに強化がされる新しい特性であると分かりました。それを裏付ける事に、天候が雪や雨に変わるとコライドンの攻撃ステータスは低下……いえ本来のステータスに戻ります。私はこれを新しい特性『ひひいろの鼓動』と名付けました」

 

コライドンの特性はひひいろの鼓動。それはひでりの上位互換であり、日差しが強い状態の天候に変え、その上……日差しが強いとコライドンのステータスが上昇するのだ。

 

なお……リンドウはSVの存在を知りません。本当にたまたまです。

 

「コライドンのタイプは格闘・ドラゴン。2つのフォルムを持っています。

1つは移動に特化した制限形態。主に移動に使われ、空、陸、海、その全てを走破出来ます」

 

画像が切り替わり、画面には制限形態のコライドンを乗り回すホワイトの写真が写る。とは言え、SV本編とは違ってホワイトのコライドンは地面を走破する時と飛ぶ時は尻尾を丸めておらず、前輪の浮き袋も膨らませてない……恐らくは邪魔に成るからだろう。海の上を移動する際は前輪浮き袋を肥大化させて尻尾を丸めていたが。

 

「そしてこれがコライドンの本当の姿……バトルフォルム 完全形態です!!

完全形態はカロリーの消費が多くなりますが、その分……カイリューやボーマンダ、セグレイブに匹敵する種族の強さを誇ります」

 

画像が切り替わり、様々なトレーナーのポケモンとバトルするホワイトのコライドン(完全形態)が映る。そこ、シンオウ四天王オーバのゴウカザルの顔面にゴッドフィンガーしないとか言わない。

 

「それじゃあお待ちかね。本物のカラシナ・ホワイト君とジュラ紀の覇者 コライドンに登場してもらいましょう」

 

その瞬間……凄まじい衝撃と共に完全形態のコライドン、コライドンの右腕に掴まったホワイトが跳んできたのだ。

 

 

 

 

だが、リンドウは知らない。ウツギ博士とゴールドの発表を受けて、リュージョンフォームの卵の法則が広まり……未来ではミライドンがちょっぴり増えている事を。

 

「ホワイト先輩!!ミライドンどうやったら停まるの!?うぐぅ!?ミライドン!!もっとゆっくり……うぐ!?吐きそう!!」

「ギャウル!?」

 

「ミヅキちゃん?ほら、風を感じるんだよ!!」

 

7年後ではその増えたミライドンに乗るウルトラサンムーン主人公が、チートの仲間入りした才禍の怪物(17歳)からコライドン&ミライドンのライドの手解きを受けてるとか。




次回はフトゥー博士のオンライン発表!?まあ、オンラインには訳が有るんですけどね(原作ネタバレ)

そしてオモダカさん現れる!?


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オンラインなんてアリですか!?フトゥー博士!!

フトゥー博士?(原作ネタバレ)登場


「ふー……やっと休憩か」

 

パルデアの学会には大勢の研究者やポケモン博士が集っている。しかし、その全ての博士が発表するとは限らないが、一度の発表でも最短30分程の時間は要する。その為に3人の研究者が発表すれば一時間半も時間が経過する。発表された最新情報のオンパレードが一時間半も続けば、脳も疲れて甘いものが欲しくなる。

 

大講堂を出て休憩の為か、広場に出てきたリンドウはブルー、ホワイトと共に自販機で飲み物を購入する。パルデアはニホンの各地方と異なり、自販機の数は少ないが、それでも学校等の場所では自販機は普通に置かれている。

ゴトン!!と音がしてリンドウは自販機から購入した飲み物を3つほど取り出した。1つはリンドウが飲むコーラ、もう1つはブルーが飲む紅茶、最後の1つはホワイトが飲むミルクティーだ。

 

「大変ね、私達は聞いてるだけだもん」

「うん。でも良く分からないことだらけだったな……」

 

リンドウから飲み物を受け取り、1口飲んでからブルーとホワイトは各々の感想を告げた。オーキド研究所で助手として働いていた経験を持つブルーは学会での発表を理解できているが、ホワイトはまだ子供の為か学会での発表に関しては全く理解できてなかった。ただ、この天才少年は「ポケモンの進化や卵の孵化って色々有るんだな……」と思う程度であった。

 

「しかし、クラベル博士……いやもう校長か。クラベル校長が発表したサーフゴーの進化……あんなの分かるか!!」

 

広場にリンドウの叫びが響いた。

リンドウの後に発表を行ったのはジニアとクラベル、そしてその後にウツギ博士とゴールドが発表した。ジニアとクラベルは新種のポケモン、コレクレーを発表。コレクレーはゴーストタイプのポケモンであり、宝箱に入ったようなポケモンだ。ありふれたポケモンであったが、今までは宝箱だと思われていたりした為か……誰も気付かず、ポケモンだと発覚して発表されたのだ。更に、コレクレーはサーフゴーというポケモンに進化できるのだが、その進化条件が……

 

『コレクレーが持つコインを999枚集めてコレクレーに与えると、進化します』

 

との事だ。いや、初見で分かるわけがない。その進化条件を発表された瞬間、リンドウはブルーと共に心の底から叫んだ。しかも、サーフゴーの肉体の原料はコレクレーが集めたコインで出来ており……その身体は黄金に輝いている。

 

パルデアのポケモン達は戦闘の後、希に落とし物を落とすのだが……コレクレーはそれでコインを約1000枚集めなければ成らないのだ。余りにも大変すぎる進化である。

 

「でもゴールドとウツギ博士凄いわね」

 

しかし、ゴールドとウツギ博士が発表した新事実も凄いものであった。

2人が発表したのはリージョンフォームと卵の関係性であったのだ。リージョンフォームはその地方に根付いた姿であり、どういう訳か両親がニホンの姿でもアローラで卵を作れば産まれればアローラの姿となる。そして、ニホンで出来た卵をアローラに持ち込めば……アローラで産まれてもニホンの姿となる。これは有名な話であり、サトシとブルーがオーキド博士からのお使いでオーキド校長に手渡した卵からはニホンのロコンが産まれている。

 

だが、ゴールドとウツギ博士はその事実を覆す発見をしたのだ。なんと、リージョンフォームの親にかわらずの石を持たせて卵を作ると……別の地方でも親と同じリージョンフォームで誕生するのだ。この法則のお陰でウツギ博士はジョウト地方でアローラロコンとパルデアケンタロスの繁殖に成功し、この方法を使えばミライドンとコライドンの繁殖も可能であり……シンオウニューラやバスラオ(白筋)等の野生化では絶滅したリージョンフォームのポケモン達の繁殖や復活も充分に可能である。

 

「これなら卵から産まれるリージョンフォームのポケモンや野生化では絶滅したリージョンフォームの姿のポケモン達の復活も充分に可能だな」

 

リンドウはそう告げ、コーラを飲み干した。さあ、休憩は終わりだ。大講堂に戻ろう。

 

 

 

「あれ?そういや、フトゥー博士って来てたか?」

 

大講堂の席に座り、キョロキョロと周りを見回すリンドウ達。それもその筈、次の発表はフトゥー博士なのだが肝心のフトゥー博士は誰も見ていない。それどころか、グレープアカデミーに来校した所を見た人物は誰も居ないのだ。そのお陰か、リンドウの他の研究所達もキョロキョロと周りを見回している。

 

『やあ、ハローハロー!!僕はフトゥー!』

 

その時だった。大講堂のモニターにフトゥー博士の映像が映る。

 

『失礼。オンラインで発表させてもらうよ。今、僕は博士の最後の研究の為か、エリアゼロを出れなくてね』

 

とフトゥー博士は告げ、モニターに様々なポケモンの情報が映り出す。フトゥー博士がタイムマシンで現代に連れてきた未来のポケモン達、そしてエリアゼロという白亜紀の環境を残している神秘故か白亜紀の時代から生きている大昔の古代のポケモン達……その2つを含めてパラドックスポケモンというポケモン達を紹介していく。

 

『先ずはタイムマシンで未来からやって来たポケモン達、現代のポケモン達の十万年後の子孫を紹介しよう。

デリバードの未来の姿、僕はテツノツツミと呼んでいるよ。ハリテヤマの未来の姿、テツノカイナ、バンギラスの未来の姿であるテツノイバラ。そしてリンドウ学士の発表でも少し触れたね?モトトカゲの未来の姿、ミライドンだ。パラドックスポケモンは圧倒的な力を誇り、どれもがカイリューやボーマンダに匹敵する強さを誇るよ。しかも、ボーマンダの古代の姿はメガボーマンダに匹敵する』

 

オンラインでフトゥー博士は未来のポケモン達 パラドックスポケモンを紹介する。なんでもフトゥー博士曰く、オーリム博士が発表する予定の古代ウルガモスと古代プリン……そしてリンドウが発表したコライドンも古代のパラドックスポケモンだと言う。

 

「……フトゥー博士。あんた、博士の最後の研究と言ったよな?アンタは本当にフトゥー博士本人なのか?」

 

だが、そのフトゥー博士の言葉に疑問を覚えたリンドウは誰にも聞こえないほどの小さな声でそう告げた。

 

「お前は……誰だ?フトゥーじゃないだろ……夫は何処だ」

「俺には分かる。お前は父ちゃんじゃないだろ」

 

そしてオーリム博士とペパーはフトゥー博士ではなく、別の誰かと決め付けて画面に映るフトゥー博士を睨むのであった。

 

 

 

 

「実りある若い果実がどれ程なのか、楽しみですね」

 

そしてグレープアカデミーの理事長。グレープアカデミーに向かう。彼女の一言が、ホワイトによるパルデア制圧RTAの切っ掛けに成るとは思わず。




次回!!学会の発表は終わり、ホワイトの物語?が始まる。

クラベル「さあ、宝探しの始まりです。私の教育方針としての課外授業として、皆さんは自由に冒険して自分だけの宝物を探して下さい!!」

第一回宝物スタート!?スター団や他の生徒達と共にホワイト(保護者ブルー)がコライドンと共に旅に出る!?

コライドン「その気配は兄さん…………てっ!!誰だお前は!!その仮面を脱げ!!」
未来エルレイド「だが、断る!!それは出来んのだぁぁあ!!」

古代ウルガモス?「このバカ弟子が……」

なお、旅先でシャッフル同盟ポジのポケモンが出てきます。皆は分かるかな?(笑)

オモダカさん「ジムリーダー達は本気で貴方の壁に成りますよ、ホワイト少年。貴方は突破出来ますか?」
ブルー「9日持てば上出来よね?」


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パルデア制圧RTAスタート!?

パルデア制圧RTAスタート!!のプロローグ!!


学会での発表が無事に終わり、時刻は既に夕方と成っていた。

 

「はじめましてですね。ホウエンチャンピオン リンドウ、そしてシンオウチャンピオン ホワイト」

 

大講堂を出て少し歩き、少し広い場所に出たリンドウ達を出迎えたのは長い髪が特徴的でスーツの用な服装を着た30代程の女性であった。

 

「僕はまだチャンピオンじゃないよ?辞退したし、やりたい事があるもんね。ところでおばさんだれ?」

「ホワイト。この人はパルデアリーグの委員長兼トップチャンピオンのオモダカさんだな。はじめまして、オモダカさん。俺の連れがすいませんね」

「いえ、私も他の地方では知名度は低いですから、お互い様ですよチャンピオン リンドウ」

 

その女性はオモダカ。このグレープアカデミーの理事長であり、パルデアリーグの委員長を務めており、更にはパルデアリーグのトップチャンピオン(チャンピオンランクのトレーナーの頂点、他の地方でのチャンピオン)なのだ。多忙な3足の草鞋を履きこなし、それを涼しい顔で行う超人である。

睡眠時間は1日3時間。分単位でスケジュールは決まっており、彼女は将来有望な人材を求めては若いトレーナー達を試しているのだ。

 

「チャンピオン ホワイト。貴方が未来有望なトレーナーである事は私も分かっています。私はパルデアのポケモンリーグを発展させるために、将来有望なトレーナー達を探していました。

そこで貴方に挑戦状を出して宜しいでしょうか?」

 

パルデアの頂点に君臨するトップチャンピオン オモダカ。彼女はホワイトに挑戦状を出してきたのだ。その内容とは……

 

「私は本気のジムリーダー達の実力も優れていると自負しております。中にはチャンピオンランクを保有しているリーダーもいます。そんな彼等の本気と戦い、勝利しパルデアリーグに挑戦してくれませんか?

勿論、私も本気で行きますよ?私はポケモンバトルには一切の妥協が出来ないのです」

 

パルデアリーグVS天才少年ホワイトという構図の挑戦状であったのだ。

パルデアリーグのジムリーダー達はチャレンジャーと戦う時は、リーグ用に調整されたポケモンを使うのだが……当然ながら本気の手持ちも別で存在している。そんな本気のジムリーダー達を全て倒し、更に本気の四天王を突破して本気のオモダカとの勝負である。

 

「面白そう!!」

「それは良かった。貴方が挑戦してくれる事を喜びますよ」

 

とオモダカからの挑戦に対し、ホワイトも乗り気のようだ。ここにホワイトVSパルデアリーグの熱き?戦いが幕を挙げたのだった。

 

「9日持てば良い方ね……」

 

ボソッとブルーが告げる。なお、此処での9日持てば良い方とは……パルデアリーグの事であり、ブルーの予想が正しければ9日でパルデアリーグはホワイトの手で制圧されてしまうのだ。

 

「その時は……彼の才能がそこまでだった、実力が実ってなかったという事です」

 

とオモダカが無慈悲に告げたが……ここでのそこまでだったとは、ホワイトの素質or実力がそこまでだったという事である。

 

 

 

 

 

 

「ピエーイ!!本物のウィロー博士だっピ!!サインくれっピ!!あと、ビール奢ってくれっピ!!」

「出たな、ギャグポケモン!!私はホワイト君と話したいのだよ!!」

 

あと、ウィロー博士VSギエピーが勃発したが、気にしてはいけない。




次回はクラベル校長からの宝物スタートからの旅立ち!!




あと、もしかしたら一部の構成を見直す&書き直すかもしれません。外伝の設定と矛盾が出ますので。

その場合、サトシはアローラチャンピオンになれず、ホワイトはシンオウチャンピオンにはなれません。


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さあ、パルデアの大地を冒険しよう

いざ、宝探しへ!!


「俺は討論会とかであんまり自由に動けない。だから、ブルー。ホワイトの事は頼んだぞ」

 

翌朝。学会での発表は無事に終わり、これからリンドウは他の研究者やポケモン博士達と共に科学や研究を飛躍させるために、長い長い討論会が待っている。恐らく、その討論会は短くて1週間はかかり長くて2週間程は行われるだろう。それにフィールドワークを専門とするウィロー博士やオダマキ博士の付き添いでフィールドワークもするとなると、2週間位はホワイトに構ってあげられない。

それにホワイトはオモダカさんから、宣戦布告とも言える挑戦状を突きつけられた。本気のパルデアリーグVS才禍の怪物ホワイトという熱き戦い、本気のジムリーダーを倒して、その後は本気の四天王を倒し、その後は本気のオモダカと戦うという前代未聞の対決。もし、ここでホワイトがパルデアリーグに負ければ……必然的にニホン<パルデアという方程式が出来てしまう。同じく、ニホン人であるリンドウからすれば是非ともホワイトには圧勝してもらいたい。

 

「ふふふ!!任せておきなさい!!」

 

リンドウは討論会で動けない。サオリ先生は諸悪の根元の教頭 ウルベ・イシカワを取っ捕まえて筋肉バスターを喰らわす為に同行できない。そこで、討論会には参加せず自由に動けるブルーが保護者としてホワイトに付き添うのだ。

ホワイトはコライドンに乗って移動するし、ブルーはミライドンを持っている。コライドンに匹敵する機動力を誇るミライドンならば、問題なく旅路は移動できる。崖も登れるし、空も飛べるし、陸路も走破でき、海も渡れる。問題はない。

 

「面白そうだから僕も行くっピよ!!」

 

あと、ギエピーも参戦した。しかし、ギエピーはどうやって移動するのか?

 

「てか、ギエピーどうするのよ?」

「コライドンかミライドンに乗っけてもらうっピ!!」

 

なんと、ギエピー。コライドンとミライドンに乗っけてもらうようだ。だが、それはコライドンとミライドン次第だと言える。その証拠に……

 

「アギャッス!!(嫌です)」

「ギャルグ!!(だが、断る!!)」

 

ミライドンとコライドンからの返事はこれであった。つまり、コライドンとミライドンはギエピーを乗っけるつもりは皆無だ。

 

「まあ、公共ライドポケモンのモトトカゲが借りれたと思うから。それに乗ったらどうだ?」

「そうするっピ!!」

 

しかし、パルデア地方は移動の為にもライドポケモンのモトトカゲが自由にレンタル出来る。その為に、ギエピーはモトトカゲをレンタルして使うことにしたのだ。空は飛べないが……陸路はミライドンやコライドンに匹敵する速度で走れるし、海は波乗りを覚えれば問題はない。

 

「まあ、崖は公共ライドポケモンのビーダルさん。空はコライドンに頭を掴んでもらって飛んだらどうだ?」

「ビーダルさんはともかく、この筋肉武人コライドンに頭を掴まれたら死んじゃうっピ!!」

 

議論の結果、ギエピーは壁はオーキド研究所に居る万能ライドポケモン 秘伝達人ビーダルさん。空は空飛ぶタクシーに決まった。なお、空飛ぶタクシーの料金はオーキド博士に請求である。

 

 

「おっ!!ホワイトいたいた!!」

「マフ」

 

ふと、そんな声が聞こえるとペパーとウォロが近付いてきた。実はと言うと、ペパーも学会にオーリム博士の付き添いとして参加していたが……話をあんまり良く理解できておらず、休憩時間等でホワイトと仲良くなっていたのだ。

なお、ペパーはマフィティフを連れ歩きしている。

 

「あっパイセン」

「その呼び方は辞めてくれよ……まあ、いっか」

「しかし、貴方。シロナさんにそっくりよね?」

「ジブン、良く言われるんですよ!!」

 

なお、ウォロはシロナさんに気味が悪いほど似ており……シロナさんを性転換させたような外見をしている。

 

「記憶喪失に成って浜辺に打ち上げられていたので、もしかしたら親戚かもしれないっすね!!」

「だったら僕とオジさんは親戚だね!!お母さんの親戚ならそういう事だよ」

 

もし、ウォロとシロナが親戚ならば戸籍的にはホワイトとも親戚に成るだろう。実際の所……同じ御先祖を持つ古代シンオウ人の末裔なのだからしょうがない。

 

「ところでパイセンどうしたの?」

「おっとそうだった!!スター団の皆がホワイトを呼んでたんだよ」

 

ペパーパイセンは教えてくれた。クラベル博士改めてクラベル校長に校長が変わったのだが、クラベル校長は学校の自由主義として1つの校外学習を定期的に取り入れる事を決めたのだ。

 

その校外学習とは宝探し。宝探しに答えはなく、その校外学習でパルデアの大地を自由に冒険し、自分だけの宝物を探してみるのだ。パルデアリーグに挑むのもよし、新しいパートナーを探すのもよし、パルデアを自分達で旅して自分を見つめ直すのもあり、答えはなく……自分自身の宝物を探すために旅を行う校外学習である。なお、宝探し期間中のタクシー代とホテル代はグレープアカデミーが出してくれるが、その他雑費は流石に出してくれないので他の地方の冒険と同じく日雇いのバイトを行う必要が有るだろう。

 

「宝探しの門出を一緒に行いたいそうですよ。ジブンはペパーさんの旅路を支えながら、本気のジムリーダーにカチコミしましょうか。ジブン、こう見えてバトルには自信があるんですよ」

「ウォロさんは本当に強いちゃんだぜ!!チャンピオンランクに匹敵するぐらいによ!!」

 

ペパーはこの旅で新しいパートナーを探しながら、父が家に置いてきたオカルト雑誌に記された秘伝スパイスとやらを探すらしい。

 

「「「秘伝スパイス?」」」

「パルデアの主ポケモンや、テラスタルの結晶に潜んでるポケモンが持っている事が多いんだ。かなり栄養分ちゃんが入ってるそうなんだよ!!」

 

ペパーは新しいパートナーを探しながら秘伝スパイスの捜索。まあ、この作品ではマフィティフは最初から元気なので興味本位でスパイス探しを決めたようだ。

 

ウォロは学生ではないが、ペパーの旅路を手伝いながらジムリーダーにカチコミを仕掛け……本気のジムリーダー相手に腕試しを行うようだ。

 

 

 

 

「おっ!!ホワイト君が来たぞ!!」

 

「ブルーさんも一緒か」

 

討論会に参加するリンドウと別れ、ブルーとホワイト……そしてギエピーはウォロとペパーの案内でグレープアカデミーの正門前にやって来た。そこにはスター団の皆、そしてボタンの父親であるピオニー隊長も居たのだった。

 

「皆は宝探しどうするの?僕はね……パルデアリーグと本気で戦うことかな?」

 

合流次第、ホワイトはスター団の皆を見ながらそう言った。

 

「ウチは取りあえず、冒険」

「ボタちゃん!!パパが付いてるぞ!!」

「父ちゃん!!近い近い!!」

 

スター団のリーダーであるボタンは一先ず、冒険。そして保護者のピオニーはボタンちゃんの付き添いである。

 

「私は自分磨きとジム挑戦かな?ジム挑戦も宝探しで推奨された目的の1つだし、パルデアの大自然で己の肉体を鍛えるの。そしてサオリ先生や彼のようなトレーナーに!!」

 

ビワはパルデアの大自然を利用してのトレーニング、そしてジム巡りである。ビワは将来も有望されるトレーナーでもある。ジム巡りをしながらサオリ先生のように肉体を鍛えるのも良いだろう。サオリ先生は分かるが、ビワの言う彼とは誰なのだろうか?

 

「拙者は忍者としての力を着けるために、旅をするでござる!!取り貯めたアニメとは暫しお別れ!!」

 

シュウメイは立派な忍者に成るための力を着けるため。その為にも取り貯めたアニメとは暫くお別れだ。

 

「オレはボウジロウを立派なグレンアルマに進化させるために、旅をする」

 

メロコはカルボウ……ボウジロウを立派なグレンアルマに進化させるために旅をする。なんでもカルボウを進化させるためには特別な鎧が必要とのことで、それを探すのだとか。

 

「俺は実家に頼らなくても出来ることを証明するんだ!!」

 

オルティガは実家が世界的な大富豪。しかし、この宝探しで家の力に頼らなくても出来ることが有ることを証明するのだ。事実、彼はスター団に入った時に実家には頼らないと皆で決めたのだから。

 

「僕はDJとして自分磨き!!伝説のラッパー ライムさんに会ってみたいしね!!」

 

ピーニャは自分磨き。そしてDJでもあるので、伝説のラッパー ライムさんに会ってみたいとの事だ。

 

「私も……ビワちゃんのようなトレーナーになりたい!!」

「わっ私はどうしよう!!何も考えてない!!」

「スレッタ……あんたね」

「私はどうしようかな?」

 

タナカはビワのようなトレーナーを目指し、スレッタ(10歳)は何も考えておらずこれから。ミオリネ(10歳)はスレッタの言葉を聞いて溜め息を吐き出し、ニカ(10歳)は悩んでいた。

 

「おじさんはSEGA SATURNを買うんだ」

「もう中古っピ」

 

なお、スター団のおじさんはSEGA SATURNが欲しいとのこと。

 

 

 

 

「さあ、皆?準備はOK?」

 

それから10分後。

 

グレープアカデミーの正門にはコライドンに乗ったホワイト、ミライドンに乗ったブルー、公共ライドのモトトカゲに乗ったギエピーとスレッタにペパーとウォロ、自分のライドポケモンとしてのモトトカゲに乗ったスター団の諸君、アーマーガアに乗ったピオニー隊長、そして自転車に乗ったおじさんが横一列に並んでいた。

 

「宝探しにしゅっぱーつ!!」

 

いざ、宝探しが始まった。ホワイトの最初の目的地はセルクルタウンである。

 

 

 

 

 

「さてと私もパルデアのジムにカチコミに行くか」

 

そしてファイアーに乗った褐色肌の女性が空から旅立つスター団とホワイト達を見下ろしていた。彼女はキャンデラ、ウィロー博士のアシスタントの1人である。

 

 

チャンプルジムのジムチャレンジ、ホワイト&ウォロ&キャンデラのお陰で荒れること確定である。

 

『エンテイとファイアーいんぞ!!この人、強すぎる!!』

 

『ガブリアスとミロカロスが激突した!?ひっ!?波乗りが途中で止まって遠隔ウォーターカッターのオールレンジ攻撃!?ガブリアスは流星群を放ってからの中央突破!?』

 

チャンプルジムの受付『町が壊れるので……外でやってください!!先日もファイアーを連れたトレーナーで大変だったのに!!そこのウォロさんとホワイト君、聞いてます!?』

 

アオキさん『焼きおにぎりが食べれません』

 

果たしてアオキさんとチャンプルタウンの運命は!?後程明らかに!!




次回はいざ、セルクルタウンへ!!だが、その道中に未来エルレイドが現れる!?

「私はネオドイツ代表のポケモンファイター!!エルレイドだ!!」
「ネオドイツってどこっピ!!」

未来エルレイドは傷付いたミライドン、古代ムウマ、古代ウルガモスを連れており?その三匹を治療するのは未来の養護教員!?

中の人が居るポケモンまとめ居る?(笑)


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休み時間 中の人が居るポケモン その1

中の人紹介(笑)


中の人が居るポケモン達は中の人補正が存在しており、魂の中の人の特技や必殺技を使うことが出来る。だが、同時に中の人の魂に引っ張られてしまうのでその中の人の弱点も引き継いでしまう場合があるのだ。

中の人の弱点を引き継いでしまう例としては、マオのキモリ(ジュプトルとジュカイン)がそうであろう。マオのキモリは中の人補正で様々な蹴り技を扱えるが、残念な事にレディを蹴ることが出来ないのだ。

 

ミュウツー・マサラの姿。中の人 FGOに出てくるスパルタクスことスパさん。

解説 皆大好き、筋肉の化身でミュウツー・マサラの姿であるスパさんの生まれ変わり?彼は後天的に中の人補正を得た稀有な例であり、レッドのバグチュウとギエピーが変身したミュウスリーの力でフルボッコされ、度重なる鎮圧故に中の人補正が覚醒してミュウツー・マサラの姿と成ったのだ。スパさんの筋肉でサイコパワーを纏って相手を粉砕する。なお、妹と同じく自力でメガシンカ出来る。

 

レジギガス(レッドの)。中の人 伝説のHERO。

解説 日頃から魔境オーキド研究所の平和を守るレジギガス。オーキド研究所の防衛軍の隊長をしており、HEROとしての脅迫概念に近い心情でミュウツー・マサラの姿率いるアッセイ軍と日々戦っていた。しかし、輝き様の事件以降はミュウツー・マサラの姿と和解してレッドと旅をしてるとか。

因みにレジギガスのオリジナルでもある。だが、十億年……少し荒ぶっていたアルセウス様と本気で殺し合いを行い、レジギガスは肉体の8割を欠損し……アルセウス様はレジェンドプレートを失った。世界中で見つかる他のレジギガスはレジギガスの失った肉体の8割から誕生した個体である。なお、本来の大きさはアルセウス様と同じく怪獣サイズであった。強い。スロースターター?HEROにそんな物はないのだぁぁあ!!

 

マオのキモリ。中の人 麦わら海賊団のコック。

解説 我らが女好きキモリ。レディが大好きであり、レディの香りに引かれてマオの手持ちに成った漢。料理も出来、女性にかなり甘い。中の人補正で蹴り技を得意としており、ジュカインになるとブレイズキックを解き放てる。だが、残念な事にレディに危害を加えることが出来ず……レディと戦うときはアママイコ(アマージョ)達と交代する。

「助けてーーアママイコちゃーーーん!!」

 

ショウのシンオウダイケンキ(ヒスイダイケンキ)。中の人 麦わら海賊団の剣士。

解説 ショウちゃんがラベン博士から貰ったミジュマルが進化したダイケンキのヒスイ(シンオウ)の姿。足刀を巧みに使い、額の角も含めて三刀流で戦う。7年後で登場予定、残念だが方向音痴。ショウのディアルガとパルキアからは兄貴呼ばわりされる。

 

ギエピー。中の人というか穴久保ピッピ本人(笑)

解説 任天堂のピッピアイドル路線を木っ端微塵に潰したヤヴェー奴(実話)。ギャグ補正の塊である。絶対に死なない。

 

古代ウルガモス。中の人 東方不敗マスター・アジア。

解説 中の人ガチャ堂々の最高ランク。お前のようなチヲハウハネが居るか!!流派東方不敗を極めし、最強の古代ウルガモス。なお、ミュウツー・マサラの姿や覚醒ミュウツーと同じく単独でメガシンカ出来る。メガシンカすると、マスターガンダムのような羽に変わり、古代と未来が合わさったマスターウルガモスになる。

 

ホワイトのコライドン。中の人 ネオジャパンのガンダムファイター。

解説 マスターウルガモスの弟子。ホワイトが見つけたミイラ化石から蘇生したポケモンファイター。ジュラ紀出身であり、幼少期の頃に群れをはぐれてしまい、古代サーナイト夫妻に拾われて義兄に古代キルリアを持つ。その為か、コライドン特有の狂暴性はない。マスターウルガモスから流派東方不敗を伝授されており、免許皆伝。ホワイトの手持ちでは兄貴的な感じ。なお、飛ぶ時と走る時は邪魔になるのか他のコライドンと違って尻尾は丸めないし、前輪浮き袋は膨らませない。

 

未来エルレイド。中の人 ネオドイツが誇るゲルマン忍者。

解説 コライドンの義兄であった古代キルリアがフトゥー博士の開発したタイムマシンに巻き込まれ、未来で進化した姿。なお、変則的なタイムスリップを3度経験した為か、特性はきれあじであり、聖なる剣を覚えてる。

弟とホワイトをパルデアの事件に巻き込ませたくないため、現在……タイムマシンと黒幕を停める方法を探してる。

 

???のミライドン。中の人 ガンダムエアリアル。

解説 ゲルマン忍者がパルデアの大穴から脱出を手助けしたミライドン。中の人がガンダムエアリアル……つまり、主人は彼女である。

 

グリーンの破壊神バンギラス。中の人 GODZILLAとブロリー。

解説 2つの中の人補正があるヤヴェー奴。ぶちギレるとマサラタウンやトキワシティが消し飛ぶ。白目に成ったら激おこの証拠である。

 

シルバーのサザンドラ。中の人 キングギドラ。

解説 破壊神2号。同じくぶちギレると白目になる。激おこサザンドラと激おこ破壊神バンギラスが対決すると、地図が変わるとか。

 

リンドウの超メガゲンシグラードン。中の人 ハリウッドGODZILLA(バーニング仕様)+残火の太刀。

解説 2度と出番のないチート。普段は甘えん坊なグラードンであり、ゲンシカイキすると中の人補正が始まり……やがて地球が滅ぶ。超メガゲンシカイキを解除すると、蒸発していた水分が雨に成って降り注ぐ。

 

 

 

muscle補正。筋肉に愛された存在達。モアイ作品あるあるであり、muscleである分強くなる。

該当者はサオリ先生(本人)、モーン博士のマッシブーン、サトシの色違いマッシブーン等々。




次回は本編です。

外伝との矛盾が発生したので、前話とプロット少し修正します。

ウィロー博士のアシスタント達はゴールドと同じぐらいの強さとのこと………………あれ?サトシとホワイトにブラック大丈夫?チャンピオンシップのベスト10無理じゃね(笑)てか、アローラリーグ大丈夫?サトシとホワイト以外の子供達、1回戦敗退じゃね……





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ゲルマン忍者……再び

コライドンのお兄ちゃん再び!!


テーブルシティの城門を抜けてスター団とペパー&ウォロ、そしてホワイト&ブルーお姉さん序でにギエピーは各々の目的地に向かうために城門を飛び出し、ホワイト達は南二番エリアにやって来た。パルデア地方は他の地方と比べても道路という区切りはされておらず、エリアという名称で区切られており、エリア毎に自然豊かな景色や景観……更には古代の遺跡だと思われる代物が残されている。

 

「うわ……凄いな。へっへへ、この景色をお姉ちゃんやお母さんにおーくろ!!」

 

そんな自然溢れるパルデアの大地の冒険は始まったばかりであり、基本的に全寮制(テーブルシティ在住の生徒は実家から)のグレープアカデミーに通う生徒達は自由に冒険出来ると聞いてか……嬉しそうに各々の宝物を見付けるために目的地に向かう。

スター団の子供達(1人、明らかにおじさんが居るが)は自分達の宝物や大切な経験をする為にも旅立ち。ペパーはウォロの付き添いが有るとは言え、秘伝スパイスを探すために冒険に繰り出し、ボタンも父親が側に居るが……引きこもりを脱して外への冒険を楽しんでいる。

 

「良い景色ね。カントーやジョウトは指定された所以外は開発が進んでるし、クチバも私達が子供の頃とはうって変わってしまったもんね」

 

自然が残っている事は良いことだ。人にも、そこで暮らすポケモン達にとっても。そんな昔から残る景色を楽しみながら、ブルーはどんどん変わっていく祖国を思い浮かべ、ホワイトは母と姉に景色の写真を送るためにスマホロトムで撮影を行う。

 

「ふっふふ、次の町には美味しいケーキ屋さんがあるっピ!!博士から貰ったお金でたらふく食べるっピよ!!」

 

ギエピーは笑みを浮かべながら公共ライドポケモンであるモトトカゲの上で涎が垂れそうに成っている。まあ、ギエピーの気持ちも分からなくは無いだろう。

ホワイト達が一先ず向かっているのはセルクルタウン。虫タイプのジムがある町であり、ここのジムリーダーは凄腕のパティシエでも有るのだ。お陰様か、セルクルタウンのケーキ屋さんは大評判であり、美味しいケーキが食べれるのだ。

 

「ギエピー。先に行くわよ」

 

だが、ギエピーが涎を垂らしている間にブルーは景色を堪能し終え……ホワイトは写真を撮り終えた。その為か、ゆっくりめにコライドンは走りだし、ミライドンはホイールを回転させて動き出した。

 

「おさき」

「まってくれっピ!!」

 

遅れるわけにはいかない。ギエピーはモトトカゲを走らせて、コライドンとミライドンを追い掛けた。

 

 

 

「一先ず休憩としましょう」

 

南二番エリアにはガソリンスタンドのような感じのポケモンセンターが存在しており、休憩したりパートナーを回復させたりする事が出来るのだ。

パルデア地方のポケセンは基本的にガソリンスタンドのような姿をしており、宿泊施設は備え付けられていない。出来るのはポケモンの回復、フレンドリーショップでの物品の購入や不要品の売却、そして他の地方では見れない技レコードの製作マシンだけである。他に有ることを強いて上げれば……敷地内に置かれたテラス席で休憩することが出来る位だ。

 

「僕、まだ大丈夫だよ?」

「僕も行けるっピ」

 

しかし、旅は始まったばかり。ホワイトもギエピーも元気たんまりであり、道中で野生のポケモンとの戦闘やトレーナーとのバトルも無かった。ではどうして休憩が必要なのか?

 

「私やミライドン、ホワイトやコライドンは元気だけど。ギエピーが乗っているモトトカゲちゃんよ!」

 

ブルーはそう告げ、ギエピーが乗っているモトトカゲを指差す。モトトカゲは走る速度ならミライドンやコライドンに匹敵し、更に戦闘の速さならミライドンとコライドンを上回る。だが、ギエピーはメタボだ、メタボの階段を登るフェアリーだ。

その重さは従来のピッピを上回り滅茶苦茶重い。本当にピッピなのかと疑う程に重く……モトトカゲの普段はかなり大きいのだ。その証拠にギエピーが乗っているモトトカゲは少し疲れており、汗をかいているし……表情も疲れが出ている。

 

「あっ本当だ。ギエピー降りなよ」

「早く降りなさい、メタボ」

「そんな事を言われてもっピ!!」

 

ギエピーはモトトカゲの負担を減らすためにもモトトカゲから降りて、一先ずホワイト達はポケモンセンターのテラス席で休憩を取ることにする。

 

「ギエピー。痩せろ……私が令呪で命ずる!!自害せよ、ギエピー!!」

「そんな事を言われても急に出来ないっピ!!」

 

ギエピーが痩せれば、モトトカゲはいつも通りに移動できる。そうなれば直ぐに町から町へと移動できるだろう。しかし、ギエピーが痩せなかったらモトトカゲの負担は減らず……パルデアの旅路の終盤では蓄積疲労で動けなくなってしまうかもしれない。

 

「じゃあ、お前はケーキ無し!!私とホワイトで美味しく頂くわ!!」

「うん!!それが良いかも!!」

「ギエピィィイ!!堪忍だっピ!!」

 

もし、ギエピーに痩せる意志が無ければセルクルタウンのケーキはギエピーだけお預けである。

 

「あっ!!そうだ!!」

 

ホワイトが何かを思い付く。

 

「ソリにしたらどう?公共ライドポケモンのビーダルもある程度は出来るし、パワー凄いんだよね!!」

 

そう、車輪つきのソリを即席で作り……そのソリの上にギエピーが乗る。そのソリをモトトカゲとビーダルで牽引するのだ。そうすればモトトカゲの普段はかなり軽減する。

 

「それよ!!いや、このメタボにソリは勿体ないわ!!走らせる!!」

「へ?あの……ブルーさん?僕はどうなるっピ?」

 

ブルーはニヤリと笑みを浮かべ、穴抜けの紐を取り出す。今ではすっかりと見なくなってしまったそのアイテムを用いて、ギエピーのお腹とモトトカゲの鞍と万能ビーダルさんの鞍とくくりつける。これでモトトカゲの普段はへり、嫌でもギエピーは走って体脂肪を燃焼出来るのだ。

 

「これでよし。良かったわね、痩せるわよ」

「ギエピィィイ!!嫌だっピ!!」

 

因みにモトトカゲはスタミナの事を気にしなかったら最大200キロ程の速度で走ることが出来る。これは競技用のバイクが出せる速度であるが、もしモトトカゲがその速度で走ればギエピーは時速200キロで引き摺られる事に成るのだ。そうなれば、死ぬ気で走らなければ引き摺られて大変な事に成るだろう。

 

そんな時だった。突如……コライドンが何かの気配を感じる。

 

「アギャッス?(兄さん?)ギャッス(兄さんだな)グルルギャッギャス!!(兄さん!!俺だよ、出てこいよ!!)」

 

コライドンが感じた気配は懐かしい兄……古代キルリアの気配だったのだ。コライドンはその気配は感じた所に顔を向ける。

 

「兄さん?えっ?此処は平成だっピ。ジュラ紀じゃ無いっピ」

「お兄さん見つかったの?」

 

ギエピーはポケモンなので、コライドンの言葉を理解できる。そしてホワイトはコライドンの事情……行方不明の兄の行方を探している事も知っている。故に、2人はコライドンが顔を向けた方を見る。

 

「いや、まさかな……」

 

ブルーは思い出す。あのゲルマン忍者な未来エルレイドと共闘した時だった。未来エルレイドは「四代目シンオウチャンピオンに伝えてくれ。弟を頼む」とブルーに伝えていた。

その時、シロナさんは無敗のチャンピオンであり四代目シンオウチャンピオンが誰なのか分からなかった。しかし、ホワイトはシロナさんを倒して殿堂入りを成し遂げた。その為か、四代目チャンピオンはホワイトなのだろう。その上、コライドンは古代キルリアの兄を持ち、ゲルマン忍者はジュラ紀産まれだと言っていた。という事はコライドンの兄はゲルマン忍者な未来エルレイドなのだろう。

古代キルリアから未来エルレイドに成ったのは……リージョンフォームの進化と同じだ。ガラガラもカントーとアローラで違うし、そう言う事であろう。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

まさかと思い、ブルーは彼等の視線の先を見る。そこではドイツ国旗の覆面マスクを被った未来エルレイド。未来エルレイドと共に行動するミライドン、古代ムウマ、古代ウルガモス、そしてミライドンと古代ムウマに古代ウルガモスを治療するポケセンの医療スタッフが居たのだ。

 

「なんか、変な覆面居るよ!!」

「ドイツ国旗って主張が激しいっピ!!」

『私は怪しい物ではない。私はネオドイツのポケモンファイターでゲルマン忍者のエルレイドだ。宜しく頼む』

 

と自己紹介をする未来エルレイド。その為か、余計に怪しい。

 

「アギャッス!!(誰だお前は)ギャウギャウ(そのマスクを脱いでみろ)!!」

 

兄と同じ気配を感じた為か、コライドンは未来エルレイドに覆面を脱ぐように要求する。しかし、未来エルレイドからの返答は……

 

『それは出来ん!!』

「アギャッス!!(何故だ)」

『この覆面はわけあって、着けているのだ!!決して、趣味ではない!!』

「アギャッス!?(その訳は)」

『話す訳にはいかん!!いかんのだぁぁあ!!(というか、弟よ……お前とホワイト少年をパルデアの事件に巻き込みたくないのだ!!だから言えん!!)』

 

覆面を脱ぐ事を拒否であった。

 

「まあ、その変にしなさい。あなたにどんな事情があるのか分からないけど。彼は別に悪いポケモンじゃないわ」

 

と別のミライドンと古代ムウマ、古代ウルガモスの治療を行っていた医療スタッフの女性が告げた。彼女はジョーイ一族では無いようだが、ポケセンで働く医療スタッフのようである。

 

「貴女は?」

「私はミモザ。養護教論の試験に落ちちゃった残念なスタッフ」

 

ミライドン達の治療を行っていたのはミモザ。ジョーイ一族ではないが、ポケセンでの回復スタッフとして働く人物である。

 

『ミモザ君、この子達を頼んだ。そしてホワイト少年、コライドン。絶対にパルデアの大穴には近付くな』

 

そして、未来エルレイドは大地を蹴って忍者のような身のこなしでその場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そこの者。何をしている?』

「別にただ、私は()()()()()の提案に乗っただけですよ」

 

未来エルレイドは()()()()()()()()()()()()ヘアースタイルをしている()()()()()()()()()()()()()()()人物と向かい合っていた。

 

「かのアルセウスは言いました。白い少年の存在を消すのに力を貸せば……世界を目の前で作ってくれるとね。

私もプレートを未来に持っていかれ、少し腹がたっているんですよ。どうして()()()()()()()()()()は異世界人の救援に白い少年を送り込んだ?お陰で、私とアルセウス……どちらの目的も潰れました」

 

この男はウォロなのだろうか?声も同じだ。だが、ペパーと共に行動するウォロではない。ウォロは現在、ペパーと共に旅を楽しんでポケセンでコーヒーを優雅に飲んでいる。

 

『だから……なんだ?』

「簡単ですよ。私とアルセウスは考えた。()()()()()()()()()()と違い、アルセウスはレジェンドプレートが健在だ。私は時を超えれば良いだけだが、アルセウスは世界の壁を超える必要がある。世界の壁を超えればこの世界のアルセウスにばれる。

だから遠い未来でアルセウスは世界の壁を超え、タイムマシンを掌握してこの時代に来た。この時代なら白い少年はまだ弱い!!確実に倒せるとね!!」

『狙いはホワイト少年か…それに未来の暴走の犯人は貴様等か…させんぞ!!』

 

未来エルレイドは両手のブレードを起動させる。

 

「ギラティナ……打破せよ!!」

 

次の瞬間、黒い影が出現し……未来エルレイドに襲い掛かった。

 

『バカな……ギラティナだと!?ギラティナはアローラチャンピオンの』

「知らないのですか?このギラティナは()()()()()()()()()()()が新たに産み出したのですよ!!」

 

1時間後……騒ぎを聞き付けたリーグ職員が駆け付けると、現場は無数の斬撃の跡と抉れた大地があり、その場には誰も居なかった。




黒幕……発覚!!ところでなんでランセ地方(この世界での四国)はなんでアルセウスの形をしていると思う?劇場版を最後まで見たら分かるよ(愉悦)


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セルクルタウンに到着だっピ!!

到着だっピ!!


南5番エリア。岩山が目立つ渓谷のような場所であり、そんな場所で満身創痍な状態まで追い込まれた未来エルレイドが身を隠すように、岩肌に身体を凭れさせて休んでいた。

 

『ぐっ……自己再生が追い付かないか』

 

身体が大怪我をしてしまったのか、それともウォロそっくりの怪しいアルセウスヘアーの男……タイムスリップと過去を変えようとする悪いターミネーターから名付けてTウォロと仮に呼ぼうか。Tウォロのパートナー達とギラティナの連戦の為か、未来エルレイドはそこそこ大きな怪我をしてしまっている。ギラティナを倒したと思えば、ギラティナが復活してフォルムチェンジ。そのギラティナを倒せば……今度は()()()()()()を行ったのだ。そのゲンシギラティナを倒しきれば……今度は量産型のアルセウス(体長3メートル)が6体も出てきたのだ……幸いなのが、量産型アルセウスは各々タイプが違うが変化せず、何故か倒せば泥のように成って消えた事だろう。しかし、腐っても量産型アルセウスであり、強さは伝説のポケモンに匹敵。この九連戦は未来エルレイドが猛者でもキツすぎた。

 

この未来に適合した身体の為か、肉体は睡眠を必要としないし……幼少期の頃は生存競争が激しいジュラ紀で育った。その為か、脳を休める為の一瞬の睡眠方法 マイクロスリープも修得している。

だが、マイクロスリープでの『ねむる』は普通のねむると違い、体力は全快しない。そりゃそうだ、リフレッシュする為に一瞬から長くて数秒しか寝ないのだから。因みにマイクロスリープは動物の中では自由に使えるものもいるが、人間は基本的には自由には使えない。皆も勉強中に一瞬、意識が眠くて飛んで、一瞬だがかくんと成ることが有っただろう。それがマイクロスリープである。

 

『あの男はウォロと名乗ったな?アイツは危険だ』

 

並行世界からやって来たアルセウス……通称、邪神アルセウスとその仲間であるTウォロ。邪神アルセウスは明治時代後期に成長しタイムスリップしたホワイトの手で企みが阻止させられ、Tウォロも悪事を阻止されたのだ。

邪神アルセウスとTウォロは考えた。どうすらば自分達の企みが成就出来るのか?それは簡単だ、明治時代にタイムスリップして企みを阻止した元凶……ホワイトを消せば良い。それを確実にする為に、ホワイトが未熟な今を狙ってきたのだ。

 

邪神アルセウスは世界を渡れば、この世界のアルセウスこと三輪セウスに感ずかれる。事実、明治時代での企みは三輪セウスにバレてホワイトを送り込まれた。

だからこそ、邪神アルセウスは遠い未来まで待ち、遠い未来で世界を超えてこの世界の未来にやって来てはタイムマシンを掌握。その後は明治時代後期からTウォロを召喚し、タイムマシンを通ってパルデアにやって来たのだ。

 

『どうすれば良い?』

 

どうすれば弟とそのトレーナーを守れる?巻き込ませずに事件を解決できる?事件の真実を言うか?いや、言っても信じてくれるとは限らない。

それに邪神アルセウスとTウォロの狙いはホワイトだ。邪神アルセウスはバリアーのお陰でエリアゼロから出れないが、やがてはバリアーを無力化して姿を表すかもしれない。そうなればホワイトが何処に居ても殺しに行くだろう。この世界のアルセウスと違い……1枚で全知全能の力を持つレジェンドプレートが健在の邪神アルセウス。この世界のアルセウスでも勝てるかどうか分からない。

 

『だが、アイツは言っていたな?プレートが未来に持っていかれたと』

 

Tウォロは言っていた。プレートが未来に持っていかれ、プレートが無いことを。だとすれば邪神アルセウスはレジェンドプレート以外のプレートは無い。レジェンドプレートを何とか無力化する事が出来れば、邪神アルセウスの不死性を無くし、タイプ変化もさせなくできる。

 

だとすればなんとか成るだろう。そう思い、眠気には勝てず……未来エルレイドは意識を手放して十数年振りに寝るのだった。

 

「ウォロさん。主ちゃん何処に居るんだ?」

「居ませんね。お先にジムをカチコミしましょうか?」

「そりゃ良いな。結晶のテラレイドでも秘伝スパイスは手に入るし…………てっ!?そこのロボットちゃん!?大丈夫か!?」

「なっ!?大丈夫っすか!?手作りの回復の薬なら有りますよ!!」

 

そんな未来エルレイドにペパーとウォロが近付くのだった。

 

 

 

 

 

一方。ホワイト達。ホワイト達はテーブルシティから1番近いポケモンジムが存在するセルクルタウンにやって来た。

セルクルタウンはオリーブの栽培が盛んであり、年に一度はオリーブ転がし祭りと呼ばれる豊作を祝うお祭りが有るのだ。パルデアではかなりの知名度がある祭りであり、海外メディアからも取材が来たことがある所でもあるのだ。美味しいケーキ屋が有ることでも有名であり、ジムリーダーのカエデは美味しいケーキを作っては野生のポケモンやジムスタッフに配っているのだとか。

 

「ついた!!」

「アローラと一緒で、ポケモンと人間が良い感じに共存してるわね」

 

セルクルタウンはポケモンと人間が良い感じに共存している。ミニーブ等のポケモンがオリーブ油を人間に提供し、人間がその油で調理したりドレッシングを作っている。ポケモンと人間が手を取り合い、野生のポケモンも関係なく仲良く暮らしていたのだ。

 

「もう……脚が限界っピ」

 

なお、ギエピーはモトトカゲとビーダルさんに引き摺られないように全力疾走した為か……脚にパンパンに筋肉痛が出ている。因みに体脂肪率は28%。

 

だが、ホワイトは知らない。ジムに挑むためには……ジム事のジムチャレンジを突破しなければ成らないことを。

 

 




次回はジムチャレンジ!?からの蹂躙のイーブイ

ホワイト「五連式回転空砲蹴撃!!」
コライドン「ホワイトの運動指導は俺が行った!!」
ジムスタッフ「嘘でしょ……一撃でゴールIN?」

そしてカエデさん……出鱈目イーブイとホワイトの理不尽技の応用を知る。


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VSセルクルタウン ジムチャレンジはオリーブ転がし!?

ジムチャレンジとバトルは分けます。


セルクルタウンのジム。と言うか、パルデア地方のポケモンジムはジムの中では一切、ポケモン勝負を行わない。何故ならポケモンバトルを行うバトルコートは別で存在しており、ジムチャレンジもジムの中では行わず屋外で行われるのが主である。

ではポケモンジムでは基本的に何が出来るのか?ジムチャレンジャーが出来るのはジムの受付だけであり、それだけである。まあ、言うならばポケモンジムの建物としての役割はどちらかと言えば町役場のような物とも考えられるだろう。少なくともチャレンジャーが出来るのはジムに挑戦するために受付を行う事だけである。

 

「えーと……シンオウ地方 カンナギタウンのカラシナ・ホワイト君ですね。はい、リーグ委員長からお話は伺っておりますよ」

 

ホワイトの目的はオモダカからの挑戦を受けて、本気のパルデアリーグを制圧すること。その為にはパルデア全てのジムリーダーと戦う必要が有るのだ。ジムリーダーと戦う為に、ホワイトは保護者であるブルーと共にセルクルタウンのポケモンジムの門を潜っては受付を行っている。ん?ギエピーはどうしたかって?ギエピーはジムバトルが行われるバトルコートの真下に存在するケーキ屋でケーキを爆食している……オーキド博士から貰ったお金を使ってだ。

 

「じゃあ、さっそく!!バトルバトル!!」

「それが……オモダカ委員長からのお言葉で……ホワイト君は他のジムチャレンジャーと同じく、ジムチャレンジを受けてからリーダーとのバトルとなります」

 

だが、残念ながら直ぐにジムリーダーとバトルという訳では無いようだ。パルデア地方のチャレンジャーはジムチャレンジと呼ばれるジム事に異なる試験を突破し、突破出来たチャレンジャーがジムリーダーと戦えるのだ。

 

「じゃあ、それが終わればウチの子はジムリーダーとバトル出来るのね?」

 

と……ホワイトの頭を撫でながらそう言うブルーお姉さん。完全に親戚のお姉さん気取りである。

 

「はい。本来はそうなのですが……1時間ほど前にウィロー博士のアシスタントを名乗る女性がやって来て、特例で本気のリーダー カエデと勝負したんです」

 

本来は……しかし、何かが有ったのだろう。ジムの受付のお姉さんは教えてくれた。なんでも1時間ほど前にウィロー博士のアシスタントを名乗るキャンデラという女性がやって来ては本気のカエデとの勝負を特例で行ったそうだ。

 

「それで?」

「カエデは手も足も出すことが出来ず、一方的に負けました」

 

なんでもキャンデラとカエデは本気で戦ったのだが、カエデは手も足も出すことが出来ず一方的に敗北。キャンデラはファイアーを出していたが、ファイアーは戦闘には使わず別のポケモン1体だけで一方的な強さでカエデのパートナーを倒したのだ。恐らくだが、その強さはチャンピオンに匹敵し……もしかしたらワタルやシロナが相手でも苦戦する事なく倒せるだろう。

 

「ですから少しでも良いです。リーダーのパートナー達に休憩を与えてください。体力は回復マシーンで回復しきれても、スタミナはまだ戻ってません」

「うん!!分かったよ!!先にジムチャレンジをやれば良いんだね?」

 

事情は分かった。ならばお先にジムチャレンジを行うだけである。

 

「はい。ありがとうございます。ではジムチャレンジの概要を説明しますね」

 

セルクルタウンのジムチャレンジは『オリーブ転がし』オリーブ転がし祭りで使われる大きなオリーブボールをいりくんだ特設コートを転がしながら移動し、ゴールを決めればチャレンジクリアだ。

しかし、コートは三角コーン等でいりくんでおり、更にはジムトレーナーやミニーブ達が妨害しにくるので、その妨害を防ぎながらボールを転がさなければならない。その上、オリーブ転がしで使われるボールはラグビーボールのような形をしており、不安定で転がるので当たりが悪ければ何処に転がるのか分からないのだ。

 

「それでは郊外にありますコートに移動してください。そこにご案内致します」

 

そして、ホワイトとブルーは受付のお姉さんの案内で、郊外にあるオリーブ転がし祭りのコートに向かった。

 

「ホワイト。間違ってもウィロー博士のアシスタントにバトルを申し込んじゃダメよ?」

「なんで?」

「今の(此処重要)貴方じゃ絶対に負ける。殻を破りなさい……」

 

なお、このパルデア期間でホワイト、そしてレッド&グリーンブートキャンプでサトシとブラックも魔改造されるが……それは後程のお話である。

 

ワタル「あっ、これアカン奴や」

 

覚醒(第一段階)ホワイトVS覚醒サトシのアローラリーグ決勝でワタルさんはコガネ弁でそう言うのは内緒である。

 

 

 

 

「此処がオリーブ転がしのコートです。三角コーンの位置は動かさないでください。それと、ジムトレーナーとミニーブちゃん達が妨害しにくるので、そのつもりでお願いします」

 

オリーブ転がしの会場。そこは三角コーンを用いて迷路のようにいりくんだサッカーコートであり、ホワイトの目の前には大玉2つ分程の大きな緑色のラグビーボールことオリーブボールが鎮座していた。

 

「よし!!頑張るぞ!!」

「ではホワイト君がボールに触れた瞬間に始まります」

 

受付のお姉さんがそう告げる。なお、コートの外ではブルーお姉さん、ホワイトのポケモン達である相棒イーブイ、カイロスさん、ミロカロス、シンオウメガニウム、コライドン、アーマーガア、シンオウウォーグル、そしてキュレムパパが心配そうに見つめている。

 

「パパさん、大丈夫?流石に運動は……」

『あっ……それなんだが……』

 

ブルーの言葉に対して、なにやら冷や汗をかきながらキュレムが告げる。

 

『ホワイトが流派東方不敗に興味を持ってしまってな……』

「東方不敗?」

『コライドンの武術だ。そのお陰かな……』

 

そして、ホワイトがボールに触れる。ゲームスタートであり、ジムトレーナーはボールを奪う為に走りだし、ミニーブちゃん達は妨害するためにスクラムを組んだ。

 

「「行くぞぉぉぉ!!フットボールの本質はエゴイストだぁあ!!」」

 

キャンデラに一瞬で突破された為+カエデのポケモン達の為に時間をもっと稼ぐ為にジムトレーナーはボールを奪う為に、突き進む。もう、惨めなゲームは見せられない。彼等はストライカーとしてのエゴイズムでボールを奪いに行く。

 

「よいしょ」

 

だが、ホワイトはボールを蹴る。だが、その瞬間……()()()()()疑わしい足の速さで蹴ったボールに追い付き、自分でトラップを決めてジムトレーナーをかわす。

 

「1回!」

「なっ!?」

 

「2連!!」

「いっ!?本当に子供か!?速すぎる!!」

 

「3連!!」

 

「4連!!」

「ミニー!?」

 

「五連!!」

 

蹴る→トラップ等を繰り返し、ゴール前の守備が薄くなった瞬間。

 

「五連式回転空砲蹴撃!!」

 

ホワイトは10歳とは思えない脚力でボールを蹴り、ボールは弾丸ライナーでゴールに突き刺さった。これにはゴールキーパー役のミニーブちゃんも驚きである。

 

『コライドンがホワイトに運動を指導してな……なんか人間辞めてきた。実はホワイトの元居た世界って戦国時代のイッシュじゃないよな?俺の最初の孫に似てる気がする』

 

キュレムの言葉でどや顔を決めるコライドン。そう、ホワイトの身体能力が爆上がりしたのはコライドンが指導した為である。まあ、これはゲルマン忍者ブートキャンプを受けたサトシもなのだが。

余談だが、7年後のホワイトはアイドル顔負けの容姿をしているが……服を脱げばムキムキ(外見肉体レベル ブルロの凪)なのでアローラでも灰色のコートを着ており、サオリ先生以来……生身でジャラランガ鎮圧を成し遂げる。

 

「ゴール…………歴史が変わる!!」

 

ホワイト、セルクルタウンのジムチャレンジクリア!!

 

「あの……これ、差し上げます。ジムリーダーはケーキ屋のパティシエールでも有りますので」

 

そしてホワイトとブルーはジムリーダー カエデが経営するケーキ屋で使える、ドリンク1杯とケーキ1つがただで食べられるサービス券を貰った。想像以上に速く終わったので、カエデのベストパートナーが回復するまでこのチケットで時間を稼いで欲しいという事だろう。

 

 

 

バトルコートの下にあるケーキ屋。

 

「あら!!スタッフから連絡で聞きましたよ?凄いシュートを決めたんですね!!」

 

そこではセルクルタウンのジムリーダー カエデがパティシエールとして働いており、日々ポケモンや住民に観光客の為に美味しいケーキを作ってくれている。

 

カエデはホワイトとブルーを出迎え、笑みを浮かべてくれた。

 

「あれ?太ったギエピー……げふんげふん!!ピッピが来ませんでしたか?」

 

ギエピーはお先にお店でケーキを堪能していた。しかし、お店の席にはギエピーの姿が見当たらない。

 

「あら、そのピッピちゃんならお金が全然足らなくて……皿洗いをしてますよ」

 

カエデは語ってくれた。なんでもギエピーはケーキだけで100000円程食べてしまい、オーキド博士から貰ったお小遣いを全て使いきってしまったのだ。

 

「自業自得ね。私はザッハトルテと紅茶……ホワイトは?」

「僕はね。イチゴケーキとココア!!」

 

そしてブルーお姉さんとホワイト、皿洗いをしているギエピーを可哀想とは思わず……サービス券でケーキを堪能するのであった。

 

 

 

 

 

「おら!!働け働け!!食べた分だけ、足らない分だけ働け!!」

「ギエピー!!」

 

ギエピー……皿洗いの真っ只中であった。

 

そしてカエデのパートナーのスタミナが回復し、バトルが始まる。




次回こそバトル!!そして、ボタンちゃんから救援メール!?

ボタン「大変!!ウチの父ちゃんとアーマーガアがデカヌチャンに誘拐された!!」

ピオニー隊長とそのアーマーガア……蛮族デカヌチャンに誘拐される!!


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VSセルクルタウン 天才少年の蹂躙が始まる

ホワイト少年……これでもまだ覚醒前だぜ(笑)


ケーキ屋の真上に存在するジムバトルのためのバトルコートが存在する。そのバトルコートを囲うようにギャラリーの人々が集まっており、そのギャラリーの多くがセルクルタウンで暮らす人々だ。

 

「カエデさんの本気のバトルが見れるよ!!」

「カエデさん頑張って!!」

 

とギャラリーの人々の大半が応援するのは決まってか、ジムリーダーのカエデだ。まあ、当然だろう。パルデアのジムリーダーはその全てが地元で愛されていると言っても過言ではなく、地元での人気はかなり高い。

 

そして、そんな地元に愛されたカエデに挑むチャレンジャーは流星の如く現れた天才少年 ホワイトである。ホワイトとカエデは対局に並び立つようにコートの端と端に立っており、両者はポケモンバトルを行うためにパートナーを繰り出すモンスターボールを手に構えている。

 

「さてと……あの子はどんな進化を遂げてるのかしら?」

 

勿論、ホワイトサイドにも応援する者が1人居た。それはホワイトの保護者として彼の旅路を現在支えているブルーお姉さんである。

ブルーお姉さんがホワイトの戦闘スタイルを知ったのは、先月であるマナーロスタジアムで行われたマナーロアイランド完成セレモニー大会での事だった。ホワイトの戦闘スタイルはコンテストで磨いた?天性の才と発想から繰り出される異次元の技の応用から繰り出されるオリジナリティーな戦法である。ミロカロスが水を使えば……サイコキネシスで常時操ってミラーコートと掛け合わせてリアクティブアーマー(炸裂装甲)にするわ、水のオールレンジ攻撃するわ、追尾の冷凍ビーム打つわ、ゼロ距離じしんを見ただけでコピーするわ、絶対零度を武器生成や障壁生成に使うわとなんでもあり。リンドウも「あの子、戦法と発想ヤヴェー……あと理解力」と言う程である。

 

そんなホワイト少年がシンオウ制圧RTAを成し遂げ、他にもコンテストを制覇してきた今……彼の独創性は何処まで進化しているのだろうか?

 

「さあ、エクスレッグちゃん!!出番よ!!」

「トゥゥオ!!」

 

先ず、カエデが繰り出したのはエクスレッグ。バッタのようなポケモンであり、タイプは虫・悪の複合タイプ。特性のお陰か、実質的に相手に与えるダメージは効果今一つに成らない戦う相手を選ばないポケモンである。

 

「イーブイ?ARE YOU READY?レッツショータイム!!」

「ブイブイ!!」

 

対するホワイトは進化できない代償に、進化系全タイプの技を使用可能という特別なイーブイを繰り出した。最早、進化できないデメリットを完全に喰っているほどメリットが大きすぎるとか言ってはいけない。

 

「エクスレッグ!!であいがしら!!」

 

カエデが指示を出す。その技はであいがしら……虫タイプの強い技であり、場に出た瞬間でしか使えないが強烈な一撃を先制で繰り出せるのだ。

 

「イーブイ!!メラメラコチコチかくれんぼ!!」

「ブイブイ!!」

「「「そんな技……あるかぁぁぁあ!!」」」

 

ホワイトがイーブイに指示した技を聞いた大勢のギャラリーが叫びながら突っ込みをいれる。

ホワイトが指示した技の名前はメラメラコチコチかくれんぼ。いや、どんなネーミングだ。てか、そんな技は実在しない……恐らくだが、メラメラバーンやビリビリエレキのようにホワイトがネーミングした技だろう。

 

「ブイ!!」

 

その瞬間……イーブイは爆炎と冷気を同時に解き放ち、濃度の高い水蒸気でバトルコートは視界が悪くなる。これにはカエデやエクスレッグも驚きであり、これでは何処にであいがしらを打てば良いのか分からない。

 

「エクスレッグ!!そこよ!!」

 

その時だった。風が吹き、水蒸気が少し晴れてくる。水蒸気が濃く……色までは見えないが見えた。イーブイの影らしき物だ。エクスレッグはそこに目掛けて渾身のであいがしらを放つ……当たれば絶大なダメージを与えることが出来るだろう。

 

「嘘……あの一瞬で?」

「レッグ!?」

 

だが、エクスレッグが攻撃したのは精密に作られた()()()()の氷像であったのだ。勿論、作ったのはイーブイであり水蒸気で隠れている間に作ったのだ。

 

しかもであいがしらが起こした衝撃により、水蒸気が完全に晴れる。そこには同じくイーブイの氷像が幾つも存在していたのだ。

 

「「「なにぃぃぃい!!」」」

 

これにはギャラリーも驚きだ。

 

「フィニッシュターイム!!イーブイ!!」

 

その瞬間、エクスレッグの背後に本物のイーブイが襲い掛かった。反応が遅れたエクスレッグ……攻撃を防ぐことは完全に出来ない。

 

「メラメラバーン!!」

「ブイ!!」

 

爆炎を纏い、イーブイはエクスレッグに突っ込み……エクスレッグは一撃で倒されてしまった。

 

『水蒸気の原理と水蒸気爆発は俺が教えた』

 

どや顔のキュレムパパ。そう、キュレムパパがホワイトに水蒸気の事を教え、あろうことか息子とそのパートナーは様々な事を武器にしてしまった。唯でさえ、突然変異で様々なタイプの技を使えるのに、これでは鬼に金棒処か戦車である。

 

「ヘラクロス!!」

「イーブイ!!コチコチメラメラインパクト!!」

 

次にカエデはヘラクロスを繰り出したが、イーブイが大規模水蒸気爆発を引き起こし……ヘラクロスは一撃で倒されてしまった。

 

「フォレトス!!お願いですわ!!」

「イーブイ!!すくすくメラメラフレイム!!」

 

今度はフォレトスを繰り出したが、今度は油分が含まれたツタがフォレトスを拘束する。植物には油分が含まれる物が存在する。植物性ワックスだったり、オリーブ油や菜種油など様々だ。中には自分の油で発火し、周りの植物を焼いてライバルを焼き払う植物も居る(マジです)。

 

そしてツタがフォレトスを拘束した瞬間……イーブイは火炎放射を解き放ち……フォレトスは油分のツタ+火炎放射で一気に燃やされ、一撃で倒されてしまった。

 

「行きなさい!!リングマ!!」

 

カエデは切札のリングマを繰り出し、リングマはカエデが投げた何かでタイプが変わった。それはテラスタル……パルデア地方で見られる現象及び強化スタイルであり、不思議な結晶に覆われてタイプを変更できるのだ。

なお、同じタイプにテラスタルした時は技の威力が激しく上昇できる。メガシンカとは違った強化であり、より戦術も考えられる物だ。

 

「イーブイ!!ブイブイブレイク!!」

「ブイブイ!!」

 

イーブイは専用技 きりふだ の莫大なエネルギーを身に纏い、爆光と共にボルテッカーが如くリングマに激突する。

ホワイトのイーブイはノーマル単体だ。いくら様々なタイプの技を使えるとは言え、タイプ補正の力は受けない。だが、ノーマルの技ならタイプ補正が乗り威力が上がる。

ブイブイブレイクの威力は148+α!!そんな代物にタイプ一致が乗れば……

 

「グマァァァア!?」

 

リングマはくのじで悶絶し、一撃で倒れてしまった。

 

ホワイトVSカエデ。WINNERはホワイトであった。

 

「本当に強い子。オモダカ委員長の予想を上回る程ですね」

 

その後、ホワイトはカエデが作ったケーキをカエデにご馳走になり、記念写真を一緒に撮ったのだった。

 

 

 

だが、パルデアは知らない。サイコパワーでATフィールド貼れるシンオウウォーグル(ヒスイウォーグル)、変化技を跳ね返し物理では絶対に沈まないアーマーガア、真数千手を出してくるシンオウメガニウム、更にパワーアップしたヤヴェーミロカロス、流派東方不敗免許皆伝コライドン、そして黄金の角を持つ紫の珍虫と最強の保護者が待っていることを。

 

『メールです。メールです』

 

スマホロトムにGPS位置情報付きのメールが届く。相手はボタンであり、内容は……

 

『父ちゃんとアーマーガアが誘拐された!!』

 

ピオニー隊長……誘拐される!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌチャ!!カヌチャン!!ヌチャ!!」

「ヌチャ!!ヌチャ!!ナカヌチャン!!」

 

ピオニー隊長とそのアーマーガアは十字架に貼り付けにされ、その下ではパルデアに生息するフェアリー・鋼のポケモン、カヌチャンとその進化系であるナカヌチャンの群れが踊っていた。ナカヌチャンとカヌチャンは蛮族のような習性を持ち、彼等のお陰かパルデアでアーマーガアは空高く飛ぶことが出来ないのだ。

 

「デカヌチャン!!」

 

そんな群れを総統するのはカヌチャンの最終進化系のデカヌチャン。だが、そのデカヌチャンはコライドンの完全形態ほど大きく、その手には鎖で繋がった巨大鉄球のハンマー……グラビトンハンマーが握られていた。




取りあえず、本来のプロット通り進めるため……ホワイト&サトシは魔改造させます。外伝込みの超インフレに対応出来るように。7年後のキャラ紹介弄くらないとな(笑)
あと、リンドウ先生の強化どうしよう?ゲンシグラードン2度と使えないけど……別の強化を探るか(笑)

次回!!ピオニー隊長救出任務!?

???「答えよ、コライドン!!流派東方不敗は!?」

そしてお待ちかね。あの古代ウルガモスが出ます。


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拐われたピオニー隊長!! 前編

師匠……降臨!!


ホワイトがセルクルタウンでのジムバトルを終えて、カエデから沢山のケーキをご馳走になっている頃。1人の男に悲劇が起きていた。

 

「ボタちゃん!!どうしてボタちゃんはお父ちゃんの後ろに乗らないんだい?空の旅は良いぞ!!ハッハハ!!」

 

ボタンのお父さんであり、ガラルの元チャンピオンであるピオニー隊長だ。ボタンはモトトカゲに跨がってはパルデアの大地を冒険しているが、ピオニー隊長はモトトカゲをレンタルしておらず所持もしていない。そこでピオニー隊長は自分のアーマーガアに乗っては娘と共にパルデアの大地を冒険していたのだ。

 

「父ちゃんうるさい!!てか、父ちゃん……アーマーガアに乗らないほうがいいっし」

 

だが、皆さん……特にガラル地方に思い入れのある方々はお気付きだろうか?パルデアはガラルやカロスと同じくヨーロッパなのだが、不思議な事に野生のアーマーガアは空を飛んでいない。実はこれには訳があるのだ。パルデア地方に含まれるアーマーガアは羽に含まれる豊富な鉄を目当てに、とある鋼・フェアリーのポケモンに狙われており……パルデアの大地でアーマーガアは姿を見せなくなってしまったのだ。

アーマーガアの進化前であるアオガラス等は見かけるし、トレーナーが持つアーマーガアは普通に存在している。だが、野生のアーマーガアは見かけないし……空を飛ぶタクシーもアーマーガアではなくイキリンコと呼ばれる別の鳥ポケモンが行っている程なのだ。

 

そして、パルデアの大空にアーマーガアが居ない訳をピオニー隊長はその身を持って知ることとなる。

 

「なっなんだ!?」

「父ちゃん!?」

 

その時だった。突如、鉄の重りで投げやすく改良された投網が何処から投げられてピオニー隊長とアーマーガアを拘束する。網とは実に便利な文明の力だ……これほど便利で太古から姿を変えていない道具は無いだろう。

網はもがけばもがくほど、絡み付くように成っており……今日も密漁者や漁師さんが使っている。だが、ピオニー隊長に投網を投擲して捕まえようとした存在はそのどちらでもなかった……と言うか、人間ですらなかった。

 

「ヌチャ!!ヌチャ!!」

「ナカヌチャン!!」

 

それは野生のモトトカゲを暴走族の如く……いや世紀末の蛮族の如く乗り回すポケモン。ナカヌチャンとその進化前であるカヌチャンの群れであった。その群れは大変裕福なのだろう、群れの構成員全員がモトトカゲを乗り回しており……カヌチャンとナカヌチャンは数の暴力でピオニーとアーマーガアをフルボッコにしてしまい……

 

「ヌチャ!!ヒャッハー!!」

「ナカヌチャン!!ヒャッハー!!」

 

誘拐してしまったのだ。暴走族の如く、去っていた蛮族ことカヌチャンとナカヌチャンは何処かに去っていった。

 

「行っちゃった……直ぐに助けを呼ばなきゃ!!」

 

父親が拐われ、少し唖然としたボタンであった。だが、直ぐに正気に戻ってはスマホを用いてスター団とペパー、そしてホワイトに救援メッセージを送ったのだった。

 

 

 

 

南三番エリア。

 

ボタンから救援メッセージを受け取ったホワイトとブルーは借金返済中のギエピーを放置し、コライドンとミライドンの力でこの渓谷にやって来た。なんでもボタンからGPS情報を受け取った誘拐現場の反応が此処であるからだ。

 

「しかし、何が起きたのかしらね?」

「うん。ピオニー隊長って強いの?」

「強いけど、私より弱いわね。現役復帰を望まれる声が多々あるけど」

 

そんなピオニー隊長誘拐現場の近くにやって来たホワイトとブルー。だが、そんな時だった。

 

「アギャッス!!(伏せろ!!)」

 

突如としてコライドンが叫ぶ。何事かと思うと、岩影から銃器を構えた謎のロボットが複数現れたのだ。そのロボットは映画ターミネーターに出てきそうな殺戮ロボットであり、そのロボットが持つ銃器の銃口はホワイトを狙っている。

 

「ホワイト!!逃げなさい!!」

 

その事に気付いたブルーお姉さんが叫ぶが、その時だった。

 

「答えよ!!コライドン!!流派東方不敗は!!」

 

その老人のような声が響き、高さが完全形態のコライドンと同じぐらいの古代ウルガモスが現れては……コライドンの武術に似た動きで殺戮ロボットを粉砕していく。

 

「アギャッス!!(師匠!!)」

「ふん……子供を狙うとは愚の骨頂!!この東方不敗、マスターウルガモスが相手をしてやろう!!」

 

古代ウルガモス……いや師匠ウルガモスと呼ぼう。師匠ウルガモスは圧倒的な動きで殺戮ロボットを破壊し、糸をはくを応用して手から長い布を作り出すと……その布を武器にして次々と殺戮ロボットを破壊した。

 

『ターゲットの抹殺を断念。撤退……』

「甘いわ!!ダークネスフィンガー!!」

 

師匠ウルガモスの右手が漆黒のオーラ……テラバーストのエネルギーに包まれ、師匠ウルガモスはその抜手で最後の殺戮ロボットを破壊した。

 

「カッコいい……あのお爺ちゃん」

「お爺ちゃん!?」

「お爺ちゃんか……フハハハ!!好きに呼ぶが良い!!我が弟子のトレーナーなら家族も同然!!」

 

ギエピーの代わりに最強の古代ウルガモスが一行に加わった。なお、ホワイトもブルーも師匠ウルガモスが喋る事に関しては全く突っ込みをいれるつもりは無いようだ。

 

 

なお、……7年後……

 

「答えよ!!ホワイト!!流派東方不敗は!!」

「うん!!お爺ちゃん!!王者の風よ!!」

「全新!!」

「系列!!」

「天破狂乱!!」

「「見よ、東方は赤く燃えている!!」」

 

アローラのとある浜辺で見られた光景であった。なお、7年後のホワイトは銃弾を素手でさばけるとか。




ギエピーは後で合流します。ご安心を(笑)

次回!!ピオニー隊長救出ミッション!!ボルトガンダムと化したデカヌチャン(親分)が出てくるよ!!



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拐われたピオニー隊長!! 後編

ピオニー隊長救出!!


流派東方不敗の始祖であり同時に極めし最強の古代ウルガモスである師匠ウルガモスが一行に加わり、ホワイト達はピオニー隊長救出ミッションを依頼したボタンと合流した。

 

「ホワイトにブルーお姉さん。てっ!?なに、その古代ウルガモス!?明らかに普通のウルガモスじゃないよね!?」

 

ボタンは手持ちが趣味に全振りしている趣味パであるが、トレーナーとしての実力は高い。現時点のスター団では特待生であったビワの次に高く、トレーナーとしての実力は父親に似ているのは間違いないと断言できる。それ故か、ポケモンを見抜く力も高く……ボタンはホワイトの隣で腕を組んでいるヤヴェー老人=師匠ウルガモスを見て驚く。無理もないだろう、この師匠ウルガモスの強さはシロナさんを倒したホワイトの主力メンバーであるミロカロスやコライドンより遥かに強く……メガシンカした伝説のポケモンに匹敵するのでは?と思われても可笑しくないオーラを放っていたのだ。

 

「小娘よ。見込みがあるな……このワシの素性を僅かに気付くとはな!!」

「えっ!?喋ったし!!オーリム博士と一緒にテレビに出てた古代のウルガモスはもふもふしてたけど、喋ってなかったし!!」

 

オーリム博士は御存知、古代ウルガモスを論文で発表しており、その古代ウルガモスは古代プリンと共にお先にメディアで公表されていた。オーリム博士は古代ウルガモスを2体蘇生させていて、1体がこの師匠ウルガモスであり、もう1体は後日に蘇生できた一般的な古代ウルガモスである。

 

「ふっ……ポケモンも頑張れば人の言葉を話せるようになる。ポケモンは皆が、人の言語を理解できるのだ」

 

とどや顔で言う師匠ウルガモス。

 

「ホワイト、ブルーお姉さん……なんなの?このポケモン」

「お爺ちゃんだよ!!最高にカッコ良いお爺ちゃん!!」

「ホワイトのコライドンのお師匠って事は間違いないわね。コライドンはこのお爺ちゃんから流派東方不敗を教えてもらったそうよ」

 

とホワイトとブルーお姉さんの説明を受けて、余計に師匠ウルガモスの事が分からなくなったボタンであった。だが、こうしている時間は少ない、今は拐われたピオニー隊長とピオニー隊長のアーマーガアを救出しなければ成らないのだ。

ピオニー隊長とアーマーガアが世紀末なナカヌチャンとカヌチャンの群れに拐われてから、既に1時間が経過している。早く助けに行かなければピオニー隊長は身ぐるみを剥がされて全裸で放置されてしまい、アーマーガアは武器の材料の為に羽毛を根こそぎ引っこ抜かれてしまう。命は大丈夫だが、ピオニー隊長とアーマーガアがトラウマを発症してしまう恐れが有るために成るべく早く救出しなければならないだろう。

 

 

 

 

ボタンはピオニー隊長のスマホのGPSが分かるとの事で、その反応を追って奥に進んでいくと直ぐにピオニー隊長とアーマーガアは見付かった。

 

「世紀末ね。貼り付けにされてるわ」

 

ブルーは昔に流行った漫画 北斗の拳(ポケモンバージョン)を思い出しながら、物陰に隠れてナカヌチャン達の集落を眺める。ホワイトとボタンも物陰に隠れながらピオニー隊長を見つめる。

ピオニー隊長とアーマーガアは十字架に貼り付けにされており、ピオニー隊長は衣類を脱がされておらず、アーマーガアも鉄の羽毛を剥がされていない。だが、ピオニー隊長はバッグを荒らされており……ピオニー隊長が持っていた食料は既にナカヌチャン達に奪われており、ナカヌチャン達とカヌチャン達は奪った食料を用いて鍋料理を作っては美味しそうに食べていた。

 

「ヌチャ!!ヌチャ!!」

「ナカヌチャン!!」

 

美味しそうに鍋を食べるナカヌチャンとカヌチャン。鍋の具材は確認できる中で、マトマ、ハム、牛ハラミ、ワサビ、ゆで卵、サンドイッチのパン等だ。恐らくはピオニー隊長がパートナーや娘のボタンと共に食べようとしていたサンドイッチの材料だろう。

 

「デカヌチャン!!」

 

そして群れのボスだと思われる大きなデカヌチャン……背の高さが完全形態のコライドンに匹敵する程に大きな個体が現れた。デカヌチャンは普通のハンマーではなく、鎖で鉄球が繋がったグラビトンハンマーを得物にしており……優雅にベーコンを食べている。勿論、このベーコンはピオニー隊長から奪った食料からである。

 

「あのデカヌチャンは危険ね。コライドンやお爺ちゃん位、個体値が優秀よ」

 

とブルーお姉さんが告げる。あのデカヌチャンは危険だ。純粋なパワーでホワイトのハチャメチャコンテスト戦術というオバケ級の技の応用を多少(此処重要)突破し、コライドンの流派東方不敗を突破するだろう。その証拠に、ブルーはホワイトが勝手に出ていかないようにホワイトを抱き締めている。そこの健全男子……ホワイトくんに「そこを代わってくれ!!」とか言わない。たとえ、ホワイトの後頭部がブルーお姉さんの巨乳に当たっていたとしても!!

 

「ふむ。あのピオニーという男を救えば良いのだな?行くぞ、コライドン!!」

「アギャッス!!」

 

だが、師匠ウルガモスとコライドンが立候補してくれた。コライドンが完全形態に形態移行し、日差しが強くなる。その為か、特性で師匠ウルガモスとコライドンの攻撃ステータスが上昇する。

 

「デカヌチャン!!」

 

だが、デカヌチャンが気付き……グラビトンハンマーを振るって鉄球が飛んで来る。デカヌチャンだけが使える超火力技のデカハンマーだ。

 

「ふん!!」

「アギャッス!!」

 

だが、師匠ウルガモスとコライドンは蹴りでデカハンマーを弾き、弾かれた鉄球はピオニー隊長とアーマーガアを拘束している十字架を根元から破壊し、その衝撃で十字架から解放されたピオニー隊長とアーマーガアが宙を舞う!!

 

「うおおお!?俺、なんで此処に!?」

「があー!!」

 

そんなピオニー隊長とアーマーガアをコライドンがキャッチし、師匠ウルガモスが煙玉を使ってデカヌチャン達に目眩まし……ホワイト達のピオニー隊長救出ミッションは無事に成功した。

 

 

 

 

 

1時間後

 

『シャッフル同盟の素質を持つデカヌチャンよ。パルデアを救うために、手を貸してくれ。

これは前金で渡すが……未来の殺戮マシーンの残骸から取り出したレアメタルだ』

「デカヌチャン!!」

 

なお、グラビトンハンマーを使うデカヌチャンは未来エルレイドに勧誘され……シャッフル同盟とやらに加入した。

 

『あと弟が迷惑をかけたな。これは迷惑料だ』

「デカ?」

 

そして未来エルレイドは弟の代わりに、デカヌチャンに沢山の玉石(モンスターボール等の材料になる鉱石)を手渡した。




次回!!ホワイト、アヴァンギャルド!!の町にやって来る。

そして……ホワイト個人(此処重要)の修行も始まる!?

師匠ウルガモス「行くぞホワイト!!コライドンの強さを引き出すためにも、お前も流派東方不敗を覚えるのだ!!」
ホワイト「OK!!頑張るよ、お爺ちゃん!!」



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ボウルタウン最速RTA

劇場版は少しだけ早足で進めます。なので、一部のジムリーダーがナレ倒し(俗に言うナレタヒ)しますが、御了承下さい。このまま行けば長すぎる!!


ボウルタウン。空から見下ろすとモンスターボールのようにも見える花と芸術、そして風車が特徴の綺麗な町である。町には沢山のキマワリ達が暮らしており、キマワリと人々は元気に過ごしている。因みにキマワリの中にはバトルジャンキーなキマワリも中には居ており、そのキマワリに勝負を挑まれてバトルし勝つと……なんと、貴重な進化の石の一つ太陽の石をくれるのだ。まあ、今の御時世……進化の石はお店で購入できるので、一部の石以外は困ることは無いだろう。

 

「ついた!!」

「此処がボールタウンね。お洒落な町ね」

 

とそんなボールタウンにやって来たのはホワイト、ブルー、そして新たにホワイトのお爺ちゃん?に成った最強の古代ウルガモスこと師匠ウルガモスである。

彼等はピオニー隊長救出ミッションをやり遂げ、ちょうど近くに有って尚且つジムもあるボウルタウンにやって来たのだ。今の時刻は丁度昼過ぎであり、少しお腹が減ってきた。今日にもボウルタウンのジムを制圧する事を考えれば……単純計算で3日から4日程でパルデアリーグは天才少年の手で蹂躙されてしまうだろう。

 

「でもお腹が減ったな……」

「そうね。折角だし、レストランに入ろうかしら!!」

「修行にも腹ごしらえは必要よ!!特にホワイトはまだ身体も伸び代が十分にある未熟。しっかりと食べて、立派な武闘家に成らねばな!!」

 

実はと言うと、ホワイトは師匠ウルガモスに弟子入りしてしまった。理由は元からコライドンの武術 流派東方不敗に興味を持っており、尚且つコライドンの素質を200%引き出すためには自身も流派東方不敗を修得したほうが良いためである。なお、元からコライドンの手解きを受けていた為か……これからは身体を仕上げながら沢山食べて成長させて武術を納めるのである。

まあ、その為か……大人に成ったホワイトはサトシよりも身長が高くなり、コートを脱げばムキムキの着痩せmuscleな肉体美を持っていることは内緒である。

 

(家にやって来た或いは実家に帰ったら子供が祖父母に構われ、寂しい父親の気持ちはこんな感じか)

 

なお、ボールの中で祖父に子供が取られた為か……キュレムパパは祖父母が遊びに来たor実家に帰った場合の父母の気持ちを味わっていたのだった。

 

「おや?ホワイトさんではありませんか」

「ホワイトじゃんかよ!!」

 

すると、目の前からウォロとペパーが歩いてきた。どうやら、彼等はホワイト達より早くボウルタウンにやって来たようだ。それもその筈、ウォロとペパーはテーブルシティの次にやって来たのはこのボウルタウンだったのだ。

 

「此処は良いところですよ。それと、お先に草ジムのジムバッジ……ゲットしましたよ!!」

 

ニコニコとどや顔でジムバッジを見せてきたウォロ。ウォロはホワイトと同じく、本気のジムリーダー相手にジム巡りをしており……彼はこの町のジムリーダー コルサに勝ったようだ。

 

「ふふふ、僕も持ってるもんね!!」

「ホワイトさんは虫のジムを最初に突破しましたか。自分達も今から向かうところでしたよ」

 

とウォロとペパーは次の目的地にセルクルタウンを選んだようだ。ウォロとペパーのライドポケモンはモトトカゲであり、ホワイトやブルー(超人身体能力で着いてきている師匠ウルガモス)のようにコライドン&ミライドンは持っておらず強引なショートカットは出来ないのだ。

 

「ではホワイトさん。また旅先で」

「頑張れよホワイト!!お前なら全ジムリーダーなんて倒せるさ!!」

 

そしてウォロとペパーは去っていった。

 

 

 

 

「ウォロさん……ホワイトに言わなくて良いのか?」

「良いんです。あの子は子供だ、巻き込ませる訳には行かない。()()()()()()()()()悪い私は私が停める」

 

ウォロとペパーは実はと言うと、Tウォロと邪神アルセウスの事を知っている。彼等は道端で力尽きていた未来エルレイドを救助し、治療した時に未来エルレイドから教えてもらったのだ。

そしてウォロの決意に答えるように、腰に提げた初期型モンスターボールの1つが揺れる。その初期型モンスターボールの中には未来エルレイドからシャッフル同盟認定されたオヤブンロズレイドが入っているのだ。

 

因みにウォロの手持ちはシンオウゾロアーク、ガブリアス、ルカリオ、シンオウウインディ、親分ロズレイド、トゲキッス。ライドポケモンとしてモトトカゲである。

 

 

 

昼食を食べ終えたホワイト達。昼食はブルーお姉さんの奢りであり、ギエピーが居ない分……安く食費はすんだ。腹拵えを済ませた所で、ジムに行ってはジムチャレンジに挑戦した。その内容は……

 

「ホワイト君には町中のキマワリ達、合計20匹をこのキマワリ広場に連れてきてください」

 

との事だ。ボウルタウンの町中に散らばったキマワリ達を探して、このキマワリ広場まで連れてくることが出来ればジムチャレンジOKである。

 

「はい!!見っけ!!」

「キマワリ!?」

 

「うん!!そこ!!」

「キマ!?」

 

「OK!!みーつけた!!」

「「キマ!?」」

 

だが、ホワイトは道中で師匠ウルガモスから流派東方不敗の指導を受けており、気の気配で逃げ出したキマワリ達の場所が分かってしまった。お陰様か、キマワリ達は次から次へとホワイトに見付かってしまう。

 

「キマァァア!!」

 

中にはバトルジャンキーなキマワリも居たが……

 

「キマァァア!!」

 

ホワイトの背後に立つコライドン、ミロカロス、キュレムパパに睨まれてジャンピング土下座した。ホワイトは太陽の石を貰った。

 

開始5分で全てのキマワリはホワイトの手で確保されたのだった。ジムチャレンジ……完了!!

 

 

そして肝心のジムバトルであったが……

 

「カイロスさん」

「マカセロス、キラリンチョ」

「なんだ!?その珍虫は!?口がモゴモゴと動いており、愛嬌が有るが独特な感性のポケモンは!?」

 

パルデア地方にはカイロスは生息しておらず、ホワイトが繰り出したカイロスさんを見て……ジムリーダーのコルサは驚いた。

 

「カイロスさん……であいがしら」

「マカセロス」

「アヴァンギャルド!?」

 

そしてコルサは珍虫1体で蹂躙されたのであった。ボウルジム、制圧完了!!

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ!!あのタイプ変えるのどうやるの?」

「テラスタルの事かね?あれはグレープアカデミーで講習を受ければ誰でも使えるぞ!!アヴァンギャルドな少年よ!!」

 

そしてホワイトはコルサからタイプの変え方……戦術の無限な広がり、テラスタルの事を教えて貰うのだった。さあ、テラスタルを覚えるためにテーブルシティに戻ろう。

 

「リンドウせんせー!!テラスタルってなに!?」

「いや、俺も詳しくは……」

「僕が教えます。テラスタルの授業も今度から僕が教えることと成ったので」

 

空を飛んでテーブルシティに戻ったホワイトとブルーお姉さん。夕方からはテラスタルの授業が始まるよ?

 




次回はジニア先生のテラスタルの授業。リンドウ、ブルー、ホワイトがテラスタルの授業を受けてるよ!!

あと、リンドウ先生の強化プランが決まりました(キズナグラードン。地球は壊れません)なので、過去に投稿した一部の話のセリフを少し修正します。

それと外伝込みのハイパーインフレに対応したこで、ミヅキちゃんシリーズの矛盾を発見次第に直していきます。ネタバレに成るかもしれない部分もあるので、御了承下さい。


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テラスタルってなーに?

リンドウ先生、テラスタルを覚える。


本日の討論会が終わり、グレープアカデミーの1つの教室に4人の人物が集まっていた。

グレープアカデミーの教室はメレメレ島ポケモンスクールと異なり、原則的にパートナーを一部の授業と指定された場所以外では出すことが禁止されている。その為なのか、グレープアカデミーの教室はメレメレ島ポケモンスクールの教室と異なり、席と席の間隔が狭く……後ろのパートナー達が寛げるスペースは全くと言って良い程に無いのだ。

 

「同じポケモンスクールとは思えないな。まあ、国が違えば文化が違うとも言うしな」

 

そんな教室に集まったのはリンドウ、ブルー、ホワイト、そして新たにグレープアカデミーの教員として赴任が確定したジニアである。

だが、此処はアローラのポケモンスクールではない。国が違えば当然ながら文化も異なる。グレープアカデミーでは決められた場所や一部の授業以外では原則的にパートナーを出すことが出来ず、リンドウ達もグレープアカデミーのルールに乗っ取ってパートナーを出さず、ジニアが行うとある授業を受講する事に成ったのだ。

 

「あの……ホワイト君?ウルガモスをボールに戻してくれませんか?」

「ふん。眼鏡の小僧、ワシに指図をするか。この東方不敗マスターウルガモスは法律の関係でボールに登録されたが、ワシのボールは此処には無いのだ」

 

とホワイトの後ろで堂々と仁王立ちで腕を組む師匠ウルガモス。まあ、師匠ウルガモスの場合は形式上はオーリム博士のポケモンであるが、ボールには戻らず好き勝手に動いているので気にしては行けない。オーリム博士もマスターウルガモスに関しては投げ遣りで考えるのを放棄した程だからだ。

 

「そっそうですか……これは失礼。それはそうと、ブルーさんとリンドウさんはスマホの図鑑アプリを使ってますね?実はそのアプリを開発したのは僕なんですよ」

「「なんだって!?」」

 

教壇に立つジニアは笑みを浮かべながらそう告げた。今は技術の進歩でスマホがポケモン図鑑になる時代であり、ポケモン図鑑本体を使ってるのはスマホを旅立ちの時に買えなかった子供達やレッド等の一部の物好きである。

リンドウの周辺ではホワイトがXYモデルのポケモン図鑑を使っており、レッドが初期型ポケモン図鑑(赤)を使っている。サトシもスマホをゲットしてはロトムが居ない時はそのスマホのアプリを図鑑にしており、今ではスマホのアプリを図鑑として使っているトレーナーが殆どだ。ではそのアプリを作ったのは誰なのか?何をかくそう、この目の前の男 ジニアである。

 

「アンタが作ったのか?」

「そうですよリンドウさん。どうでしょうか……使った感想を欲しいのですが。今後の改良の為にも」

「そうだな。確かに従来の図鑑より手軽だが、欠点を言うならば変装しているポケモンをスキャンすればerrorが出る時がある。後はポケモンが泥などを浴びすぎて分かりにくい時は出るまで時間がかかるとかだな。ポケモン図鑑なら変装や泥でカモフラージュしてても一瞬で看破出来るからな。まあ、現状の代物でも充分に満足できると言える」

 

リンドウがスマホ図鑑のアプリの感想を告げると、ジニアは笑みを浮かべて「ありがとうございます」と告げたのだった。しかし、このままではスマホ図鑑の授業に成りかねない。今回はスマホ図鑑の授業ではなく、テラスタルに関する講義だったのだから。

 

「ごほん、失礼。それじゃあテラスタルの講義を始めますね。この講義を受けた後、筆記テストを行っていただきます。それに合格しますと……晴れて皆さんはテラスタルを使うことが出来るように成りますよ」

 

テラスタルを使うためには講義を受け、その後に筆記テストを受けて合格すれば使うことが出来るようになるのだ。

テラスタルは基本的に試験を受けて合格したら使えるように成るが、別のやり方で使用許可を取って使うことが出来るようになる方法がある。その方法はパルデアのチャンピオンランク保有者から推薦され、許可が通って認可されればテラスタルを使えるように成るのだ。

 

「テラスタルはこのテラスタルオーブを用います。これを使うことで、ポケモンをテラスタルさせてタイプを変えることが出来ます」

 

テラスタルさせる為にはテラスタルオーブが必要だ。テラスタルオーブは黒いモンスターボールを模したカプセルの中に結晶が入ったアイテムである。このテラスタルオーブにエネルギーが満ちていると、テラスタルを使うことが出来てポケモンをテラスタルさせる事が出来るのだ。

 

「テラスタルはメガシンカのように1バトルごとに使える……という事ではありません。

テラスタルは1度使うとテラスタルオーブにエネルギーがチャージ出来てないと使えません。テラスタルオーブへのチャージはポケモンセンターで出来ます。これは世界中のポケモンセンターで使うことが出来ますので、御安心して下さい」

 

メガシンカはバトル事に使うことが出来る。だが、テラスタルは少しだけ事情が異なり、1バトル事に毎回使えるという訳ではない。

テラスタルオーブのエネルギーが無ければ使うことが出来ず、テラスタルオーブへのチャージはポケモンセンターで行うことが出来るのだ。つまり、使う事にポケモンセンターに行ってはチャージを行う必要があると言う事である。

 

「テラスタルを使うことでタイプが変わります。これはポケモン事に違いますが、チャンプルタウンの食堂でとある料理を食べさせる事でテラスタルで変わるタイプ……テラスタイプを変更させることが出来ます。

テラスタルを使うとタイプが変わりますが、元々有ったタイプの技を使う際のタイプ補正は無くならないので御安心して下さい」

 

テラスタルで変更されたタイプをテラスタイプと呼び、テラスタルでタイプが変更されても元のタイプの技を使う際はタイプ補正が無くならない。つまり、テラスタルを使ってタイプを変更すると最大で3つのタイプの技がタイプ補正が乗るのである。これなら安心だ。

 

「なお、元々のタイプと同じタイプにテラスタルすると……技の威力が遥かに上昇します」

 

では元々のタイプにテラスタルすれば意味が無いのでは?と思うかもしれない。だが、元々のタイプにテラスタルすればなんとタイプが同じ技の威力が遥かに上昇するのだ。これにより、危機的状況を脱する事は勿論のこと苦手なタイプを克服して弱点を無くすのは勿論のこと戦略的な奇襲する事も出来るのだ。

それにメガストーンの都合上、パワーアップ出来るポケモンが限られているメガシンカと異なりテラスタルは全てのポケモン平等に行える。これならば戦略的な幅がぐーと広がるだろう。

 

「これがテラスタルです。では今から筆記テストを行いますね」

 

ジニアはテラスタルを使うための筆記テストを配り、リンドウ達は筆記テストを行った。その結果、リンドウとブルーそしてホワイトは無事にテストに合格してテラスタルを使う免許とテラスタルオーブをゲットしたのだった。

 

 

 

 

 

だが、その結果……

 

「コライドン!!ばぁぁぁくねつ!!ゴッドフィンガァァア!!」

「ちっチルタリス!!」

 

「ミロカロス!!全砲門ファイアー!!」

「リップのフラージェスが……あんなの……どうやって防げと」

 

テラスタルという新たな力をゲットしたホワイトの手でナッペ山のジムとベイクタウンのジムは制圧された。

 

ホワイト初日の成果。初日で4つのジムを制圧。残りのジムは4つ。

 




次回はホワイト……ハッコウシティに向かう!?逃げて、ナンジャモちゃん!!ナンジャモイベントはノーカットなので、御安心下さい(笑)

あと、ウィロー博士……ようやくリンドウとホワイトに挨拶できる。なお、初対面であった(笑)

そして……ギエピー……開放される。


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ウィロー博士、ようやく挨拶できる。

ウィロー博士……やっと挨拶できる。妨害してくるギエピーが居ないからね。


パルデアリーグ本部。そこはテーブルシティから洞窟を潜り抜け、花畑の登り坂を登った先に存在する所であり、そこではパルデアの全てのジムバッジをゲットした猛者が面接と四天王&リーグ委員長との5連戦を成し遂げてチャンピオンランクをゲットする試験会場でもあるのだ。

四天王は全員チャンピオンランクを保有しており(出向者であり、臨時の四天王であるアンリ以外)、試験用の手持ちとは言え全員を倒すのは困難を極める。そのお陰と試験用の手持ちとは言えリーグ委員長であるトップチャンピオン オモダカを倒さなければならない為かチャンピオンランクを手に出来るトレーナーは極僅か。最後にチャンピオンランクを手にしたのはジムリーダー最強(実質はジムリーダーの強さNo.2)であるナッペ山ジムのグルーシャしか出てこなかった。

 

「我々は……とんでもない少年に喧嘩を売ったのかもしれませんね」

 

そんなパルデアリーグ本部で4人の人物が話を行っていた。1人は顔は見えないがスーツ姿のくたびれたサラリーマン、もう1人は金髪の男、そしてイケメンと称される程の男性にも見えないことはない女性、あとトップチャンピオンのオモダカだ。

 

オモダカが深刻な顔でそう告げた。オモダカは宣戦布告とも言える挑戦状をホワイトに叩き付け、ホワイトはパルデアを制圧する為に動き出した。だが、その結果はどうだろうか?オモダカの予想を遥かに上回る勢いでホワイトはパルデアのジムリーダーを蹂躙、僅か1日で半数のジムリーダーが倒されたのだ。その中には最強のジムリーダーと称されるグルーシャも含まれている。

 

「噂のキュレム使ってないんやろ?それにカエデとコルサに関してはテラスタル無し、噂のメガシンカすらも使わず一匹で勝った。ほんまの化物やで……あの少年。勝てるビジョンが見えんわ」

 

とコガネ弁で話すイケメンの女性はチリ。地面タイプの使い手であり、パルデアリーグの四天王だ。彼女は資料でホワイトの戦闘を……パルデアのジムリーダーを蹂躙する所を見たが、とても勝てるビジョンが全く見えなかったのだ。

 

「小生の同郷であるワタルさえも彼に勝てるか分かりませんな」

 

と告げたのは金髪の男。彼の名前はハッサク。芸術家であり、同時にパルデアリーグの四天王だ。出身はジョウトのとある里であり、家督を継ぐのが嫌でパルデアにやって来た男である。なお、使うのはドラゴンタイプのポケモンであり……その事から彼の出身地は恐らくだがあそこだろう。

 

「それで……正真正銘、四天王最強で最強のジムリーダーどころかトップチャンピオンの次に強い営業マンはどう思うんや?」

 

ちらりとチリは何故か顔が隠れたスーツ姿の男を見る。

男は普段はリーグの営業部で働く営業マンだ。社畜のように働き、孤独のグルメを愛し、副業としてチャンプルタウンのジムリーダーと四天王を兼任する最強の社畜である。好きなタイプはノーマルタイプであり、四天王では飛行タイプを使い、本気の戦闘では飛行とノーマルを使うパルデアで2番目に強い男……早い話、オモダカの次に強い男である。

 

「営業の時間ですので。それに私が本当の本気を出すのは四天王戦で宜しいですね?」

「ええ、勿論ですよアオキ」

 

オモダカは万全の信頼を寄せるように男をアオキと呼んだ。アオキ、それがパルデア最強のジムリーダーであり四天王の名前である。

 

 

 

 

 

 

一方のテーブルシティ。

 

グレープアカデミーを出て、テラスタルという新しい力をゲットしたリンドウとホワイト、そしてブルーの3人。そ?な3人に近付く人物が1人居た。その人物は40代程の人物であり、普段から活発に動いているのだろう……白衣の下からは動きやすい服装と逞しい肉体が見えていた。

 

「リンドウ君、ホワイト君、少し待ってくれないか?」

 

その人物はリンドウとホワイトに声をかけて2人を呼び止める。彼はウィロー博士。オーキド博士の弟子であり、サクラギ博士よりお先にオーキド博士の所を出たのでリンドウと接点がないのである。

ウィロー博士は様々な所でフィールドワークを行うためか、人脈が広く。リンドウやホワイトを含めた色彩軍団の事を一方的に知っているのである。

 

「だれ?おじちゃん」

「ホワイト。この人はウィロー博士。色んな所をフィールドワークしている行動派の博士だな。

初めましてウィロー博士。こうして挨拶するのは初めてですね」

 

ウィロー博士の事を知らないホワイトは首を傾げたが、リンドウは研究者としてのウィロー博士は知っている。だが、リンドウはウィロー博士とは初対面である為に、初めましてと挨拶したのだ。

 

「うん、初めまして。私がウィロー博士だ。そしてブルーさんはお久し振りだね」

「そうねウィロー博士」

 

なお、ブルーはウィロー博士とは顔見知りであった。ブルーはアローラに来るまでカントーのオーキド研究所で働いていた。ならばオーキド研究所での仕事の都合上、ウィロー博士と会うことも会っただろう。

 

「ホワイト君。おじさんからのアドバイスだ。モトトカゲにはメガシンカが存在する。もしかしたら、モトトカゲのメガストーンを使えばコライドンもメガシンカ出来るかもしれないよ」

 

ウィロー博士はそう告げる。と言うのもウィロー博士がそう言うのには根拠が有ったのだ。何故ならウィロー博士がフィールドワーク先で見つけたラベン博士が残した手記から切り取られた色褪せた写真があり、その写真には……

 

槍の柱で激突するホワイトを成長させたような少年、Tウォロらしき男。ホワイト?の背中に庇われる感じのヒカリと瓜二つの少女。そして激突する2体のアルセウスと片方のアルセウスに加勢するレジギガスとトゥルーキュレム。ギラティナを粉砕する古代と未来の力が融合したコライドンらしきポケモンの姿であった。

 

そのコライドン?いや、メガコライドン?はコライドンの胴体に青色の装甲が追加され、胸部の車輪浮き袋はエネルギーホイールに変更されている。更に腕部は青色、脚部は白色の機械仕掛けのような具足を装備しており……腰部の羽は1対の機械仕掛けの翼に変わっていた。

 

(この写真……公表したら学会で干されそうなんだよな)

 

との事で写真はウィロー博士は心の中と、アルバムに封印するのだった。

 

だが、ウィロー博士は知らなかった。ミライドンは兎も角、コライドンのメガシンカはモトトカゲストーンをただ持たせるだけでは出来ないことを。モトトカゲストーンが()()()()()()()()()()()()()()()()()が必要であることを。

 

 

 

翌日。

 

「ハッコウシティにはパルデアの人気YouTuber ナンジャモがジムリーダーをしてるそうだ。会いに行ってきたらどうだ?」

 

リンドウの何気ない言葉で、ホワイトの次の標的はナンジャモとなる。逃げてナンジャモちゃん!!




次回、上陸のナンジャモちゃん!!逃げて!!ナンジャモちゃん!!


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到着 ハッコウシティ

ナンジャモちゃん登場!!


ハッコウシティ。そこはパルデアでもかなり栄えた港町であり、ネオンの輝きが夜さえも輝き照らしている所である。様々な企業の広告看板に映像が灯されており、人々はスーツを着ており仕事に追われている。

そんなハッコウシティは環境や景観保全の為かレトロな昔ながらの建物が残るテーブルシティ等の町と異なり、タワマンや鉄筋コンクリートで出来たコンクリートジャングルの大きな建造物が沢山有るのだ。

 

そんなハッコウシティのジムリーダーは大人気YouTuberのナンジャモ。ナンジャモはピンクと水色の独特なグラデーションが特徴の髪色が特徴の外見年齢15歳程の少女だ。数年前から相棒のハラバリーという電気カエルのようなポケモンと共にYouTubeの配信で活躍しており、毎日動画配信やライブ配信でお金を稼ぐ、パルデアを賑わせている有名配信者だ。

 

「ドナドナー……昨日の配信はさんざんだったよ」

 

そんなナンジャモちゃん。実年齢はリンドウとさほど変わらない程の女性だが、外見が幼いという事も有ってか永遠の少女を自称しており、年齢は非公開と成っている。だが、そんなナンジャモちゃんだが元気がない。と言うのもこれには訳がある。

ナンジャモは先日、ジムに挑戦に来てくれたチャレンジャーとのバトルを動画配信で全世界に公開しているのだが、先日に挑戦してきたキャンデラという女性が「本気で戦いたい。敗北を知りたい……」と戦闘狂なオーラを纏って挑戦してきた。

 

『敗北を知りたいって何処の最強死刑囚!?さあ、ナンジャモンジャTVの始まりだよ!!みんなの瞳にエレキネット!!今日は本気のナンジャモが見れるぞぉぁおお!!』

 

だが、結果はキャンデラの圧勝。キャンデラはポケモンを1体しか使わず、圧倒的な強さでナンジャモを蹂躙。その後、新たな強敵を求めてハッコウシティを去っていった。

 

《ナンジャモちゃん!!元気だして!!》

 

《あのキャンデラっておねえーさんやヴぇ~な》

 

《ナンジャモちゃん!!これで元気だして》5000円スパチャ

 

と多くのファンに応援されたナンジャモちゃん。だが、ナンジャモちゃんには1つ問題が有ったのだ。ナンジャモもジムリーダーであり、パルデアリーグ委員長であるオモダカからホワイトVSパルデアリーグの概要は教えてもらっている。

だが、雑談生配信でVSキャンデラでの心の傷を皆に癒して貰っていた時にリーグから報告が来たのだ。ジムリーダー4人がホワイトの手で陥落、その中にはジムリーダー最強でチャンピオンランク保有者 グルーシャも含まれていた事を。

 

「うわー!!グルーシャを倒すなんて誰が停めれるんだよ!!ナンジャモちゃん、ジムリーダーの中じゃ真ん中なんだよ!!

ボク……このままじゃボコボコにされちゃうよ!!」

 

キャンデラに引き続き、ホワイトにボコボコにされてしまう。このままでは連続でボコボコにされてしまい……ナンジャモちゃん本気でボコられるが2夜連続でトレンドに載ってしまう。

 

そして恐れていた事態が起きてしまった。

 

「ナンジャモさん!!大変です!!ホワイト君が……ハッコウシティに入りました!!」

「嘘でしょ!!」

 

マネージャー兼ジムスタッフのお姉さんがナンジャモに報告する。そう、ホワイトがハッコウシティに入ってしまったのだ。

 

「こうなったら……ジムチャレンジで時間稼ぎだよ!!マネちゃん!!」

「イエスマム!!」

 

ハッコウシティでのジムチャレンジはナンジャモの動画をバズらせること。ジムトレーナーとのバトルでもOK特技でバズらせるのもOK!!兎に角バズらせるのが合格ラインだ。

 

だが、ナンジャモは知らない。突如現れたゲルマン忍者と諸事情で現れた謎のジェントルマン、ギエピーの手でチャレンジ配信の後半が乗っ取られる事を。

 

 

「「「あっ」」」

「だれ、おじさん達?」

 

そしてホワイトとブルー、外伝主人公と同行者スパークと出会う。

 

「お前は……(しかし、何故素顔を隠す?弟であるコライドンの事が大事なら、正体を明かす筈じゃが。何を隠しているのだ?)」

 

なお、師匠ウルガモスは摩天楼を見上げる。その視線の先には摩天楼の上に立つ未来エルレイドが立っていた。

 

『キングオブハート、マスターウルガモス。この時代に甦っていたか』

 

ナンジャモンジャTV……乗っ取られるまでもう少し。




次回、ホワイトとブルーお姉さん……外伝主人公とスパークと交流を深める。

そしてナンジャモが彼等の前に現れ、チャレンジ配信が始まり、ナンジャモちゃんはなんとか時間稼ぎを行うが……

ナンジャモ「音楽配信も今は有るんだよ!!」
ホワイト「ピアノひけまーす!!」←孤児院にピアノ有ったから弾ける。

ナンジャモ「いっeスポーツって知ってるかな?」
カイロスさん「マカセロス」

ナンジャモ「ほっほら今はダイエットや筋トレ動画も」
マスターウルガモス&ホワイト&コライドン「流派東方不敗は!!」

ナンジャモ「助けてー!!ジェントルマン!!」
クラベル「はい。御呼びですか?」

そして配信が乗っ取られる!!

未来エルレイド「フハハハハハ!!どうしたどうした!!私はここだ!!」
ギエピー「ふふふ、僕の時代だっピ!!」
クラベル「おや、見つかってしまいましたか」


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ナンジャモンジャTV!!乗っ取り前

おはこんハロチャオー!!ナンジャモンジャTVの時間だよ!!


スパーク。ポケモンGOをやっていた皆さんは御存知であろうか?ウィロー博士のアシスタントの1人であり、パートナーにサンダーやライコウ等の電気タイプのポケモンを使う人物であり、ベイビーポケモンのエレキッドでポケモンハンターの手持ちと互角に戦える程の高い技量を持つ男である。そんなスパークは外伝主人公のネットと共にパルデアを食べ歩きしているとのことで、討論会が終わるまではのんびりとパルデアを食べ歩くようだ。

 

「へー、おじちゃん大変だね。どうやって広いパルデアを食べ歩いてるの?タクシー」

「おじちゃん!?俺はこう見えてまだ20代なんだよな……そんなに老けてたか?」

 

なお、第四の壁の先に居るマグルの我々が良く見る3Dデザインのスパークは皺がよっており老けてみえるとか。

とは言え、ここのスパークは老けていない。だが、考えてほしい。スパークは20代後半だ。年齢から言えばホワイトの母親であるシロナさんとも年齢が近く、サトシのママであるハナコさんも19歳でサトシを産んでいる。10歳の少年から見れば充分、スパークはおじさんだったのだろう。

 

「確かに俺達は君のようにコライドンは持ってないし、化石も見つけていない。公共ライドポケモンもレンタルはしてないな。だが、俺達は俺達で頼れる相棒がついてるのさ」

 

ではスパークと外伝主人公のネットはどうやって広いパルデアの大地を冒険しているのか?それは自分のパートナーの背中に乗ってパルデアの大地をまたに駆けているのだ。

スパークはレントラー、ネットはガラル地方で捕まえたガラルギャロップである。

 

とスパークは教えてくれて、買ったソフトクリームをホワイトに手渡した。

 

「ありがとう!おじちゃん」

「……うん、それで良いや」

 

 

「てか、アンタ。レックウザなんて捕まえたのよ?ルナアーラを捕まえて、ミライドンをゲットした私も人の事を言えないけど」

 

一方のブルーお姉さん。外伝主人公のネットと話していた。

実はと言うと外伝主人公。レックウザを手持ちに加えている。この仕事柄、ブルーも色んな伝説のポケモンを見てきたが……まさかグレープアカデミーの極悪教師に向けて破壊光線をぶっぱするレックウザを見れば思わず2度見してしまうだろう。

 

「そりゃ、勿論……レッドさんを超える最強に成るためですよ!!」

 

なお、ネット君の目標はレッドを超える最強に成ることである。確かにポケモントレーナーを志した者、最終目標としてポケモンマスターを目指す者は多いだろう。

しかし、そこでネットは見てしまう。ブルーの指に嵌められた1つの結婚指輪を……

 

「ブルーさん。結婚してたんですか?」

「あれ?知らなかったの?因みに夫はリンドウよ」

「はいぃぃぃ!?」

 

外伝主人公……此処でブルーが結婚していた事を知る。結婚式は諸事情でお察しください。

 

「あと、ニュースと学会で有名だけど。ホワイトはシロナさんの子供よ」

 

ブルーがそう告げた瞬間。師匠ウルガモスはネットの表情が僅かに変化したのを目撃した。序でに師匠ウルガモスはネットの身体に作用している何らかの成分の気配を感知する……それは外宇宙由来の成分であった。

 

「ふむ……所で小僧。なにやら毒素が入ってるようだな?ツボ押しで抜いてやろうか?」

「いえ、結構です!!」

 

「まあ、最強を目指すなら目指してみると良いわ。でも立ち止まったらダメよ。それにレックウザに頼らず、メガシンカにも頼らず、チャンピオンを倒す力を身に付けなさい。事実、ホワイトはそれを成し遂げたわ」

「勿論です」

 

トレーナーに成って2ヶ月以内に天才少年はチャンピオンを超えて殿堂入りを成し遂げた。トレーナーとしての高みに挑む人々からすれば「あの子は天才だから、特別だから」と投げ出してしまうのか、それとも「負けてられない」と奮起するのかどちらかだろう。

 

「ホワイト君に勝てば……俺はシロナさんと並べます。俺はアローラリーグに出ますよ、サトシとの決着も有りますから」

 

拳を握りしめて、ネットはそう告げる。

だが、ネットはこの時は思わなかった。アローラリーグの予選バトルロワイヤルで、伝説のポケモン達、筋肉の化身、メガシンカポケモン、完全体トゥルーキュレムが大暴れする魔境を見てサトシと共に唖然としてしまうことを。

 

 

 

 

「実はよ、俺はナンジャモとは親戚でな。ジムチャレンジをこっそりと教えてやるよ!!」

 

アイスクリームを食べ終えて、スパークはホワイトとブルーにハッコウシティでのジムチャレンジの概要を教えてくれた。なんでもスパークは一応、ナンジャモとは親戚のようでジムチャレンジの内容を知っているようだ。

 

「内容はナンジャモのYouTubeチャンネル ナンジャモンジャTVをバズらせること。YouTubeを見た感じだと、やり方は様々だったな。ジムトレーナーとのバトルや、街角で見かけた人を探すミニゲームとかな」

 

その内容はナンジャモの動画をバズらせること。なんと、ハッコウシティのジムチャレンジは始まった瞬間に、動画実況でのライブ配信で全世界に配信され、その生配信をバズらせることである。だが、全世界に公表なので上手く行けばアピール出来るが……同時に無様な結果を見せてしまえば晒し者に成ってしまう。

 

「YouTubeね。まあ、今の時代あるあるね」

「そうだ。頑張れよ、俺としてはジャモを応援したいが未来輝く若者を応援するぞ!!」

 

と、サムズアップを行うスパーク。しかし、そんな彼とはうって変わってネットはスマホを取り出してニヤニヤと笑みを浮かべて……

 

「ごめん。ちょっと席を外す」

 

とスマホの画面を見ながらホワイト達から離れてしまった。一体、どうしたのか?

 

(そういや、アイツ……ナンジャモンジャTVのリスナーだったな。まさか!?)

 

なお、ネットはナンジャモのファンであり生放送は出来る限り見ている。それにハッコウシティのジムチャレンジは生配信……まさかとスパークが思っていると……

 

「皆のものーーー!!ナンジャモンジャTVの時間だよ!!

貴方の瞳にエレキネット!!何者なんじゃ?ナンジャモでーす!!」

 

と声が響き、カメラマンや音声スタッフを引き連れたナンジャモがホワイトの目の前に歩いてきた。

 

「おはこんハロチャオー!!今日のナンジャモンジャTVは凄いよ!!見てみて、今日の特別ゲストはこのホワイト少年でーす!!」

 

ナンジャモがホワイトとブルーの間に入り、カメラマンが彼等をカメラに納める。

 

「ジムチャレンジに挑んでくれるんだね?それじゃあ、一緒に動画を盛り上げようじゃないか!!

さあ、ホワイト少年!!リスナーの皆に挨拶してみてよ!!」

 

ナンジャモは手を振りながらそう告げる。

 

ポケキン《ナンジャモちゃーーーーーん!!》

 

《白い悪魔、パルデアに現れる!!》

 

シャインガー《ナンジャモちゃぁぁぁぁん!!今日は生で見ているよ!!》

 

《ホワイト君!?本物のホワイト君!?》

 

と番組も始まっているために、リスナーの方々がコメントを次々と打ち込んでくれる。

 

「はーい!!お姉ちゃん!!お母さん!!見てる?」

 

と……ホワイトは画面の向こうにいるヒカリとシロナさんに向かって手を振る。

 

《本物だぁぁあ!!》

 

《コライドンおるぅぅぅ!!本物だぁあ!!》

 

《ポケッターで拡散だ!!本物のホワイト君がナンジャモンジャTVにでてるぞぉぉおおお!!》

 

「マカセロス」

 

あとカイロスさんが勝手にボールから飛び出した。

 

《キラリンチョ》

《キラリンチョ》

《キラリンチョ》

 

《出たな珍虫!!ホワイト君の手持ちで唯一のキモカワポジション!!》

 

「うぉぉおお!!同接が50000000人!!どんどん増えてる!!なんで!?こんなの初めてだよ!!」

 

視聴者が次々と増えていき、ナンジャモはなにもしてなくても大バズりで大喜び。

 

《ナンジャモちゃん?ホワイト君の事を知らないの?》

 

《実質のシンオウチャンピオンだよ!!最年少殿堂入り記録を打ち立てた!!》

 

アヤコ《ホワイト!!もう1人のお母さんが許します!!派手にやりなさい!!》

 

「あっ!!アヤコママ見てくれてるの?」

 

それもその筈。このナンジャモの隣に居る少年は実質のシンオウチャンピオンであり、史上最年少殿堂入りを成し遂げ、あろう事か史上初の複数リーグ同時制覇をこの歳で行おうとしているのだ。なお、史上初の複数リーグ同時制覇の標的はジョウトとアローラそしてパルデアである。

 

「えっ?チャンピオン……そりゃグルーシャを1体で倒せるよ!!」

 

シンオウの女神《格の違いを見せてきなさい》

白の姉《やっちゃえ!!ホワイト!!》

 

ナンジャモちゃん。ホワイトの素性を知る。更に保護者がポケッターで出回った情報から配信にたどり着き、コメントに現れる。

 

「やったなジャモ。バズったな……ホワイト目当てだけど」

「いや、まだだよ!!ホワイト少年にはYouTubeあるあるをしてもらうよ!!」

 

ナンジャモちゃんは必死だ。このままジムチャレンジを行えばボコボコにされるのは確定。それではトレンドに再び「ナンジャモボコられる」がトレンド入りしてしまう。それは嫌だ、だから時間稼ぎを行うのだ!!その時間稼ぎはYouTubeの様々なジャンルをホワイトに行ってもらうのだ。

 

「ホワイト少年!!音楽は出来るかな?YouTubeには歌ってみたや、楽器の演奏が有るんだよ?ではショッピングモール!!」

 

場所は変わり、ハッコウシティのショッピングモール。そこの広場では歌うためのマイク、ストリートピアノが有ったのだ。因みにこのストリートピアノは元から有るものである。

 

「ホワイト少年!!歌は出来るかな?」

 

《これはホワイト君には難しいか……》

 

《ホワイト君はコンテストとバトルは天才だけど……流石に》

 

「ピアノで良い?僕弾けるよ」

 

だが、大勢のリスナーやナンジャモの予想に反してホワイトはストリートピアノに座る。背筋を伸ばして、指を鍵盤に置いた。

 

「ホワイト少年!!何を弾いてくれるのかな?」

「パッヘルベルのカノンひきまーす!!アレンジ加えるよ?実はさ、僕が育ったイッシュの孤児院にピアノが有ったんだよね。僕、ゲームとか買って貰えなかったからTVゲームの楽しさは分からないけど」

 

《ホワイトきゅん!!ピアノ弾けるの!?》

《ホワイトきゅんはシロナ様に引き取られる前は孤児院に居たから、ゲームを買って貰えなかったのか……星のカービィは良いぞ!!やってみて!!》

《ホワイトきゅん!!マリカーも良いぞ!!おじさんのお勧めだ!!》

 

コメント欄も賑やかになり、ホワイトは演奏を始める。その旋律はゆっくりとカノンを弾き始めるが……

 

「アレンジくわえまーす!!」

 

ホワイトの演奏が加熱し、カノンのテンポが高まりロック風にアレンジされたカノンの旋律が響く。

 

《うめぇぇえ!!プロ成れるだろ!!》

 

シンオウの女神《流石は私の息子です》

アヤコ《私の息子でもありますよ》

 

「ブイブイ!!」

「マカセロス」

「ミロロン!!」

 

更にホワイトのボールからイーブイ、ミロカロス、カイロスさんが飛び出して即興でダンスまで踊ってくれたのだ。

 

《イーブイかわいぃぃ!!》

《でたなカイロスさん!!》

世界のピッピ《カイロスめぇぇ!!》

 

「はーい!!次は何が聞きたい?画面の前の皆!!リクエストは?」

 

ナンジャモの配信の主役に成った天才少年。画面の前の皆にもサービスは忘れない!!

 

《レッドのテーマ!!》

《リンドウのテーマ(VSホウエンチャンピオン)》

シャインガー《シロナさんのテーマ》

 

「OK!!任せてよ!!」

 

ホワイトの即興コンサートが始まるのであった。

 

 

 

 

「つっ次はeスポーツだよ!!」

 

eスポーツ。それはエレクトリカルスポーツの略であり、TVゲーム等をスポーツのように競い合う事から新たなスポーツとしての枠組みを広げたゲームである。実際にこのゲームだけで生計を立てるプロゲーマーも居るのだ。

 

「僕ゲームしたことないんだ」

 

だが、ホワイトはゲームをしたことがない。

 

《これはホワイトきゅん無理だろ!!唯一の弱点だ!!》

《よし、ナンジャモちゃん!!このスパチャでホワイトきゅんが途中まで育った孤児院にSwitchを!!》スパチャ一万。

 

「赤スパありがとう!!さあ、ホワイトきゅん!!僕と……このナンジャモお姉さんとマリカー対決だ!!」

 

場所はエディオンハッコウシティ支店。そこでeスポーツ対決と成ったが、肝心のホワイトはゲームをやった事は勿論のこと触ったことすら無いのだ。

 

「マカセロス」

 

だが、カイロスさんがまさかの代理で立候補!!

 

《珍虫!!頼んだぞ!!》

《珍虫!!》

《珍虫じゃない!!俺達のカイロスさんだ!!》

 

その結果……

 

「僕が……負けた!?」

「カッタロス」

 

ナンジャモちゃんのピーチ姫VSカイロスさんのワルイージの勝負はカイロスさんのワルイージの勝ちであった。

 

 

場所は変わってハッコウシティの広場。

 

「ホワイトきゅん!!今度はエクササイズのYouTubeだよ!!」

 

YouTubeの中にはエクササイズや筋トレを教えるものもある。有名どころではなかやまきんに君、サイヤマン等だろう。

 

「ほう、ならば早い!!行くぞ!!コライドン!!ホワイト!!」

「アギャッス!!」

「うん!!お爺ちゃん!!」

 

「「「流派東方不敗は!!」」」

 

《謎の演舞が始まった!!》

シャインガー《この演舞はまさか……》

 

そして突如として始まる流派東方不敗の演舞!!余りの熱量に画面が震えた。

 

《ホワイトきゅんのジュニアプロテイン代に》3000円スパチャ

《ナンジャモちゃんも流派東方不敗をやれば?》

シャインガー《ナンジャモちゃんはムキムキに成らないで!!》

世界のサオリ《良いセンスね。身体を鍛えれば成長ホルモンも多く分泌されるわ。これ、ホワイト君の運動着に使って》赤スパ5000円

 

サオリ先生……コメントにも現れる。

 

 

 

(ヤバい、ヤバい……このままじゃ時間稼ぎが終っちゃう!!)

 

そんな時だった。

 

『フハハハハハ!!楽しんでいるな?少年!!』

 

その時だった……運河から巨大な水柱が立ち上ぼり、その水柱の上にはゲルマン忍者の覆面を被った未来エルレイドが腕を組んで立っていた。

 

《なんか来たぁぁぁあ!?》

「「なんか、来たぁあ!?」」

「あっ忍者」

 

『とう!!』

 

未来エルレイドは水柱からジャンプし、ホワイトとナンジャモの前に現れる。

 

《なに!?ポケモン!?ロボット!?》

《新種?メガエルレイド?サーナイト?》

 

『TVの前の諸君。私はネオドイツのポケモンファイター エルレイドだ』

 

《ネオドイツってどこぉぉおおおおお!!》

 

ネオドイツ、トレンドに上がる。その時だった。

 

「僕もこれで人気者だっピ!!」

 

YouTubeを見て、ハッコウシティにホワイトが居ることを理解したギエピー。放送に乱入。

 

「おやおやホワイト君でしたね?プラターヌ博士からこれを……」

 

別件でTV局に来ていたクラベル校長、放送に悪意無しで飛び入り参加。その手にはプラターヌ博士からとの事でモトトカゲストーンが握られており、クラベル校長はそれをホワイトに手渡した。

 

『さあ、TVの諸君!!新しいコーナー!!ゲルマン忍者とジェントルマンを探せが始まるぞ!!』

 

ナンジャモンジャTV……ゲルマン忍者に乗っ取られる。果たしてどうなるの!?




乗っ取られたナンジャモンジャTV!!

「フハハハハハ!!私は此処だ!!」
「おや、見つかってしまいましたか」

「「ポケモンファイトォォオオオ!!レディィイゴォオオオオ!!」」

視聴率は限界を超える!!


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ジェントルと忍者を探せ!!レディィイゴォォオォオ!!

仕事で遅くなったよ……


「あの……なんでこうなったんだろう」

 

大人気YouTuber ナンジャモは嘆いた。YouTubeでの配信を初めて10年の時が流れ、YouTubeの収益だけでもタワマンに住めるほどの月収を稼げるように成ってきた有名YouTubeの大御所の仲間入りを果たそうとしていた。

チャンネル登録者は昨日の段階で153万人を突破しており、金の盾をGoogleから貰えた程だ。今日はシンオウの大地が産んだ?天才少年ホワイトがやって来たという事も有ってか、生配信の同接は8000万人を軽く突破し、もうすぐ一億人届こうとしていた。ナンジャモはうはうはであり、スパチャの金額だけでもナンジャモの平均年収を軽く上回る勢いだった。しかし、ナンジャモは気が付けば配信を何処からやって来た怪しげなゲルマン忍者とギエピー、ゲルマン忍者に誘われたジェントルマンことクラベル校長に乗っ取られたのだ。

 

「まあ、元気だしてよナンジャモちゃん!!」

 

と乗っ取られる前の配信で大バズりをもたらせてくれたホワイト少年(10歳)に慰められるナンジャモちゃん(24歳)。そのホワイト少年の後ろでは完全形態にフォルムチェンジしたコライドンが腕を組んでは立っていて、ナンジャモちゃんを見下ろしていた。

 

《コライドンさんうっす!!》

 

《コライドンの兄貴!!うっす!!》

 

《兄貴うっす!!良い筋肉ですね!!》

 

《ホワイトきゅんの手持ちの中で普通の技?だけど、バチクソ強い兄貴うっす!!》

 

「なんで君、そんなに人気なんだい!?コライドンさんよ!!」

 

ナンジャモちゃん……コライドン(ドモン・アギャッス)にコメ欄の人気度で負けてしまう。

 

シャインガー《大丈夫!!可愛いよ、ナンジャモちゃん!!》

「シャインガー氏ありがとう……なんだよ、なんでこの配信は僕の周りはみんなキャラが濃いんだい!?」

 

ナンジャモちゃん……遂に泣き出してしまう。

 

『所で概要を説明して良いか?』

 

そんな時だった。ホワイトのスマホロトムから未来エルレイドの声が聞こえてきた。スマホロトムはホワイトのポケットから出てきて、宙に浮いては画面をホワイト、ブルー、ナンジャモ、スパークに見せる。

 

その画面には何も映されておらず、ゲルマン忍者の声だけが聞こえてくる。

 

『君達には3回ゲームを行って貰う。それはゲルマン忍者とジェントルを探せだ。

私とクラベル校長は指定するポイントに隠れている。君達はその指定のポイントから私達を探せば良い。まあ、おじゃま虫のギエピーも隠れては居るがね』

 

ゲルマン忍者は概要を説明してくれた。今からホワイト達に行って貰うのはゲルマン忍者が考案してくれたゲーム、ゲルマン忍者とジェントルを探せである。

指定されたエリアに未来エルレイドことゲルマン忍者、ジェントルことクラベル校長が隠れている。2人を探して見つければOKだ。だが、同エリアにはおじゃま虫であるギエピーも隠れているために気を付けなければならない。

 

ゲームは3回行われる。1回目が喫茶店等が建ち並ぶ、飲食店エリア、2回目がポケセン近辺、最後がバトルコートである。

 

『頑張りたまえ。我々は既に隠れてるよ』

 

《ゲルマン忍者……渋い!!憧れる!!》

《忍者ふぉぉおおお!!》

シャインガー《いや、何処から見てもテツノ……いや、なんでもない》

 

忍者は世界各国に人気。常識だね。それはそうと、ジェントルとゲルマン忍者が隠れたとの事で、ホワイト達は喫茶店等が建ち並ぶ飲食店エリアに向かうのだった。

 

 

飲食店エリア。

 

「で、何処に居るのよ?クラベル博士と忍者は?」

「人混みに紛れてやがるな……」

 

保護者であるブルーとスパークが探すが、クラベル校長とゲルマン忍者は見付からない。なお、ギエピーは美味しそうに立ち食いしている……オーキド博士の金で。

 

「あっ!!クラベル校長だ!!」

 

そんな時、ホワイトがクラベル校長を見つける。クラベル校長はテラス席に座っており、優雅に紅茶を飲んでいたのだ。だが、テラス席にはクラベル校長が2人居ており、どっちかがクラベルでどっちかが未来エルレイドだろう。

 

《変装しとるーーー!!どっちが忍者!?》

《変化の術!!お色気の術だってばよ!!》

《流石は忍者、クラベルに成りきっとる!!》

 

「どっちが校長だよ!?」

 

ナンジャモちゃん、少し素が出かけている。果たして、どっちが本当のクラベルなのだろうか?

 

「此方がクラベル校長で、此方がゲルマン忍者さん」

 

すると、ホワイトはどちらかの違いが分かったのか、2人のクラベル校長を各々指差して答えを告げた。その瞬間、ホワイトがクラベル校長だと告げた方は笑みを浮かべて……

 

「おや、凄いですね。お見事です」

 

どうやらクラベル校長のようだ。では、もう1人のクラベルは誰なのかと言うと……

 

『フハハハハ!!流石だ!!私は此処だ!!』

 

変装を解除し、スパイのように身ぐるみを一瞬で脱いでは未来エルレイドに成った。先ずは第1問は正解だ。

 

 

 

2問目。ポケセン近辺。

 

「クラベル校長とギエピーは居るわね」

 

ポケセン近辺に未来エルレイドの姿は見えない。だが、ジョーイさんの場所にクラベル校長が立っており、少し離れた所にギエピーが立っている。しかし、ゲルマン忍者の姿は見えない。

 

「まさか、ポケモンマスターのピッピに変装してるんじゃないのか?」

 

ふと、スパークがそう告げる。すると、ギエピーは笑みを浮かべて……己の顔を引っ張り出す。

 

「まさか……」

 

ナンジャモが言う。ギエピーの皮は延びてきて、本当に顔の下に未来エルレイドの顔が有るのだろうか?

 

「お前は誰だ!!」

 

スパークが告げた。

 

「いででででで!!やっぱり無利だっピ!!」

 

しかし、ギエピーだった。ギエピーはバズると思い、自分の顔を引っ張ってはカッコいいスパイを演じようとしたがダメだった。

 

《ギエピー!!》

《ギエピー!!》

《ギエピー!!》

 

シャインガー《カンバー。チェスト関ヶ原》

 

その瞬間……何処からレックウザが現れ、爆音の咆哮を轟かせた。なお、チェスト関ヶ原はホウエンの隠語で「ぶち殺せ」という意味である。

 

「ギエピィィイ!?なんでレックウザがいるっピ!?」

 

《レックウザ!?》

《レックウザ!?》

《レックウザだと!?ホワイトきゅんの伝説はキュレムパパだ!!誰のレックウザだ!?》

 

そして、レックウザは口から破壊光線を解き放ち、ギエピーを一撃で粉砕してしまった。

 

「ギエピィィイ!!」

 

ギエピー、KO。レックウザの降臨にその場が更に騒がしく成ってしまい、2問目は強制終了であった。

 

そして3問目。バトルコートなのだが……

 

 

『フハハハハ!!どうしたどうした!?東方不敗!!マスターウルガモス!!老いたか?キングオブハート!!私は此処だ!!』

「笑わせるわ!!青二才が!!」

 

気合いだめを使い、何故か金色に輝いた未来エルレイドと師匠ウルガモスが激しいバトルを繰り広げており、クラベルを探す処ではない。

 

「石破天驚拳!!」

『シュトルムウント・ドランクゥゥウ!!』

 

おめでとう、ナンジャモちゃん。同接は二億人を突破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、ブルーお姉さん。モトトカゲナイト、コライドンと反応するけどメガシンカ出来ないよ?」

「この反応……ストライクやバサギリにハッサムナイトを使った感じと同じよね?」

 

休憩時間。ホワイトはモトトカゲナイトでコライドンをメガシンカさせようと試みたが、出来なかった。どうやら似たような事例は過去にも有ったようで、それはストライクやバサギリにハッサムナイトを用いた事例とそっくりだと言う。

 

なお、ブルーがモトトカゲナイトを借りてミライドンをメガシンカさせた場合は出来た。

 

しかし、ブルーは知らなかった。コライドンのメガシンカの為にはパルデアの大穴で()()したモトトカゲナイトが必要だと言うことを。




次回はナンジャモとのバトル!!やったね、ナンジャモちゃん!!同接が凄い事になるよ!!

なお、メガコライドン降臨のBGMは明鏡止水orヴィルキス~覚醒~です


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VSナンジャモ!!ナンジャモちゃん泣かないで!!

VSナンジャモちゃん!!


無事に?ライブ配信が一時的に終了し、ナンジャモとホワイトはお互いに向き合うようにバトルコートに立った。ジムチャレンジとしてのYouTubeライブは同接二億八千万という桁違いの記録を産み出し、スパチャの料金だけでもナンジャモちゃんはGoogleに差し引かれる分を除いても3年程は余裕で自堕落に毎食高級フレンチを食べ放題で働かずに暮らせる程の儲けが出ている。

 

《頑張れよ!!ナンジャモちゃん!!負けないで!!》

シンオウの女神《格の違いを見せてあげなさい》

 

遂に始まる大人気YouTubeと天才少年のバトル。ホワイトの戦いを見守るブルー、スパークの所にはいつの間にか戻っていたネットが居たのだ。なお、ネットはスマホの画面を交互に見ている。どうやら、ナンジャモンジャTVのチャットが気になるようだ。

 

「コライドン!!ARE YOU READY?」

「ダイカイデン!!頼んだよ!!」

 

ホワイトはコライドン、ナンジャモはダイカイデンを繰り出した。ダイカイデンは飛行電気の複合タイプのポケモンであり、ハッコウシティ周辺にも生息しているカイデンの進化系である。

 

「ダイカイデン!!エアスラッシュ!!」

 

先手必勝!!ナンジャモはダイカイデンに指示を出し、ダイカイデンはエアスラッシュを解き放つ。迎え撃つコライドンは……

 

「コライドン!!ギアチェンジ!!」

 

ギアチェンジ。それはギギギアルやモトトカゲが覚える変化技であり、身体のギアを変えることで素早さを格段に上げて攻撃力も上昇させる竜の舞いの上位互換の技である。

ギアチェンジで素早さがぐーんと上がったコライドンは地面を蹴り、圧倒的な瞬発力で文字通りにその場から消える。

 

「いっ!?」

「カイデン!?」

 

次にコライドンが現れたのはダイカイデンの目の前だ。速すぎる、ダイカイデンとナンジャモちゃんは咄嗟の事で反応が遅れた。

 

「じしんパンチ!!」

「アガァァッシャー!!」

 

次の瞬間……リンドウの十八番と言える必殺技 じしんパンチがダイカイデンの腹部に直撃してダイカイデンを一撃で倒してしまった。

 

《じしんパンチ!?》

《じしんパンチ!?》

《じしんパンチ!?》

 

此処で皆様に思い出して欲しい。ホワイトきゅんがシロナさんの息子になる少し前、ホワイトがヒカリの弟と成ってからリンドウ達に孤児である事が知られた時であった。

ホワイトきゅんは当時に独学でカイロスさんに0距離じしんを覚えさせる事に成功しており、ベイリーフ(当時)も蔓の鞭を用いた0距離じしんを使えた。そんなホワイトきゅんがリンドウを間近に見てじしんパンチを見ればどうだろうか?じしんパンチを習得できるのは朝飯前だろう。普段からじしんパンチ真っ青の技を考えて実行しているのだから。

 

「ダイカイデンが一撃!?仕方ない!!テラスタル無しだよ!!ムウマージ!!」

「ムー!!」

 

次にナンジャモちゃんはムウマージを繰り出した。ナンジャモちゃんは普段、ムウマージを電気テラスタルで繰り出している。こうすることで、ムウマージの特性浮遊と合わせてムウマージの弱点を無くすことが出来るのだ。

しかし、コライドンは格闘・ドラゴン。格闘とノーマル技を無効化する事が出来るゴーストタイプでコライドンと戦う事を決意したのだ。

 

だが……

 

「コライドン!!ドレインパンチ!!コメットパンチ!!」

「アギャッス!!」

 

悲しいことにコライドンの格闘技はムウマージにダメージを与える。というか、攻撃が当たる。

 

《なんで当たるの!?》

世界のサオリ《私が説明するわ》

 

そんなリスナーの諸君に分かるようにサオリ先生が教えてくれた。

何でも心頭滅却し、わかだまりのない澄んだ心……明鏡止水を用いれば技術だけで特性 きもったまを再現出来るのだとか。つまり、コライドンは明鏡止水の心できもったまの力を得たのだ。なお、サオリ先生の手持ちは全員……サオリ先生の指導で明鏡止水の心を習得している。うん、サオリ先生だからしょうがない。

 

「ゴッド……フィンガー!!」

 

ゴッドフィンガーこと0距離テラバーストがムウマージの顔面に炸裂し、ムウマージは一撃で倒れてしまった。

 

「そっそんな……頼んだよ!!ハラバリー!!」

 

ナンジャモは幼い頃からのパートナー。ハラバリーを繰り出した。これが、最後の手持ちだ。

 

「よし!!コライドン!!戻って!!ナンジャモちゃんの動画をバズらせよう!!Let's Go!!メガニウム!!」

 

それに対して……ホワイトはメガニウム(シンオウの姿)を繰り出した。

 

「メガニウム。真数千手(ハードプラント)

 

その瞬間……千の手を持つ巨大な仏が降臨し、千の手が起動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝てるわけないじゃん」

 

ナンジャモちゃん。動画は大バズりであったが、ボコボコにされた。

 

炎のキャンデラ《ふふふ、実ってるようね。狩りごとえが有るわ。私はね……敗れさりたいのだよぉ!!どのジムリーダーも骨が無いわね……さてと、チャンプルジムはどうかしら?》

 

最後に現れた炎のキャンデラと名乗るGoogleアカウントがコメントを残し、ライブ配信は終わった。だが……

 

「「アイツなにやってんだよぁおおおお!!」」

 

スパーク&ネット。キャンデラの現在を知り、キャンデラの暴走を停めるために一時的にホワイトとブルーに着いていく事を決めたのだった。




次回はスパークと外伝主人公。ブルーとホワイトに付いていく。残りのジムバッジは後、3つ。果たして、何日持つの?


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ホワイトの秘密?

かなり駆け足に成ってしまった。


ホワイトは夢を見ていた。

 

「はっはっはっ……大丈夫……お母さんが絶対に護るから」

 

業火に焼かれ焼け落ちる雄大な城。その城はニホンのランセ地方等に伝わる日本風の城ではなく、カロスやイッシュ等に聳える洋風の城であった。城は無惨にも焼け落ちてしまい、城の眼下に聳える城下町も滅んでしまった。肉の焦げる臭いが辺りに充満しており、街には逃げ遅れた人々やポケモンの焼け焦げた死体が転がっている。

 

その夢は赤ん坊の視点であり、赤ん坊は母親と思われる若い女性に抱かれている。その女性はホワイトと何処か似ており……ポニーテールの髪型をしており……黒い魔法使いが纏うローブを羽織っている。歳はだいたい、十代後半ほどであり……女性はレシラムの背中に跨がっている。

 

「レシラム!!もっと飛ばして!!」

『無理を言うな!!これでも最大出力だ!!』

 

レシラムは女性と赤子を乗せて最大出力で何かから逃げる。その時、燃え付きようとした城が爆発し……その城を突き破り……何かが現れた。それは

 

(神様?)

 

アルセウスであった。だが、そのアルセウスはなんとなく分かる。サトシが一応……ボールに入れて誰のポケモンに成らないうようにした神様三輪セウスではない。

 

「やっと見つけた。私の野望を阻止した……白の少年。貴様を殺して存在を消せば、私はショウが苦しむ様を見れるんだ!!神の戯れを潰したお前は此処で消してあげましょう」

 

声が異なる。性格も全くことなり、人間の事をなんとも思ってなかった。まるで人間やポケモンとは異なる伝承での神としての性格をしていたのだ。

 

そんな神としての暴虐を行うアルセウスを足止めする為に、Nに非常に良く似た青年と武装した人々と武装したポケモン達がアルセウスに立ち向かう。

 

「時間を稼げ!!命を捨てて良いと思う者だけ、我に続け!!」

「はい!!ハルモニア王!!英雄様……いえ、王妃様と王子を逃がすためにも時間を稼ぐぞ!!」

 

だが、そのアルセウス……邪神アルセウスの力の前では時間を稼ぐ事が出来ず、ハルモニア王と呼ばれたNに良く似た男性と仲間達は一瞬で蒸発した。

 

「まあ、コライドンも居ない、キュレムも居ない君を殺すのは朝飯前ですね。赤子の掌を捻るより簡単でしょう、赤子なのですから」

 

邪神アルセウスは裁きの礫を解き放つ。放たれた裁きの礫はホーミングレーザーのようにレシラム……正確にはレシラムの背中に乗る女性に抱き抱えられた赤子目掛けてだ。

レシラムは裁きの礫を回避しようとするが、当然の如く迫り来る裁きの礫全てを回避するのは不可能であり、右翼に直撃してしまい……レシラムはバランスを崩して地面に落下していく。だが、レシラムは女性と赤子を護るために腹部から不時着する。

 

「赤子を渡しなさい。なぜ、その赤子を守る?その赤子が死ねば死んでしまった者を復活させましょう。神である私の力が有れば、容易いことです。

ゼクロムとそのパートナーである貴方の弟は勿論のこと、貴方の夫であるハルモニア王も蘇生させましょう。赤子なんて、また作ればよいでは有りませんか」

 

迫り来る邪神アルセウス。邪神アルセウスは死んだゼクロムが変質したダークストーンと、男性の生首を異空間から取り出した。

だが、母親の決意は決まってる。子供は渡さない……絶対だ。

 

「そうですか……なら子供もろとも死になさい!!」

 

アルセウスは街一つ消し飛ばせる程のエネルギーを圧縮させて破壊光線を繰り出そうとする。だが、その時だった。

 

『子供を此方に投げなさい。私はネクロズマ……その子を逃がす準備が此方にはある』

 

その言葉が聞こえた瞬間、女性の背後にウルトラホールが出現した。女性は覚悟を決め、赤子の首に……王位継承の証である遺伝子の楔をかけ、ウルトラホールに投げ込んだ。赤子がウルトラホールを潜り、安全な所に向かった刹那……女性は破壊光線の熱量で蒸発し、レシラムは肉体が破壊されてライトストーンに変質してしまった。

 

 

 

 

 

 

「なんだろう。今の夢?」

 

深夜3時。ホワイトは夢から覚めて起き上がる。

 

「ニャー!!」

 

そんなホワイトの側には、新しく捕まえたパートナーのニャオハが見上げていた。

全てのバッジをゲットし、水のジムリーダー ハイダイ、ノーマルのジムリーダー アオキ、岩のジムリーダー タイムを倒したホワイト。だが、スパークと外伝主人公が探しているキャンデラとは遭遇する事が出来なかった。

 

「どうしたの?ホワイト、おトイレ?1人で大丈夫?」

 

ホワイトが起きた為か、側で寝ていたブルーお姉さんも起きてくる。

 

「ホワイト?なんで泣いているの?」

 

ホワイトはどういう訳か、涙を流していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんは!!」

「……なあ、ネット。お前……人間辞めてきたな。ホワイトのこと、言えなくなってんぞ」

 

一方、外伝主人公は親分サイズでシャッフル同盟認定された親分エビワラーとボクシング対決を行っていた。

 

 

 

 

 

「ポケモンとは言え、いじめっこに気付きを与え導くのは教師の役目だからな」

 

なお、リンドウ先生。エリア・ゼロを抜け出してきたいじめっこ気質のミライドン……登録上ではフトゥー博士のミライドンを教育指導していた。

 

 




次回……エリアゼロに乗り込むリンドウ先生!?

オーリム「私も連れていきなさい!!」
ペパー「俺もだ!!父ちゃんの偽者を問い詰めてやる!!」
リンドウ「いや、俺個人は討論会抜ける覚悟なんだけど、オーリム博士も!?」

そして次々と明らかになるホワイトの出生の秘密!?

サオリ「私も行くわ。パルデアじゅうを探したけどウルベが居なかったの」

リンドウ「なんか……おるぅぅう!!」
ブルー「?」

なお、転生者には幽霊?が見えるようで…………

Tウォロ「なんだ!?そのグラードンの姿は!?」

グラードン……覚醒!?

邪神アルセウス「バカな……もう白の少年の覚醒は終わったのか!?キュレムは空間転移でアローラに飛ばした!!貴様達のポケモンは卵に戻した!!なんでコライドンは卵に戻らない!!二億年も遡らさないといけないのか!?」
メガコライドン「グュルルルルギャァァァア!!」

そして……コライドンはパルデアを救い、伝説になる。

邪神アルセウス「わっ私は……こんな所で!!」

所でヨーロッパのおとぎ話では、予言を防ごうとした結果の行動が予言に繋げてしまった例があるとか


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突撃!?いざ、パルデアの大穴へ

パルデアの大穴に入る!!


翌朝。リンドウはフトゥー博士のミライドンの指導の為か、満足に睡眠が取れていないが朝食前にホテルの自室でブルーとホワイトと共にお話を行っていた。パルデアにやって来てから5日目(初日、グレープアカデミー鎮圧。2日目、学会。3日目と4日目、ホワイトによるジム制圧)と成ったがリンドウが思う個人的にだが……パルデアはどうも可笑しくなってきているのでは?と思えてきたのだ。

 

「なあ、ブルーにホワイト。パルデアを軽く回ってどうだった?可笑しな事は無かったか?」

 

リンドウはソファーに腰掛け、コーヒー……ではなく自販機で購入したエナジードリンク モンスターエナジー(海外仕様 カフェインやアルギニンたっぷり)を飲みながら告げた。そんなリンドウの隣には登録上はフトゥー博士のポケモンであるが、モンスターボールが行方不明と成っているいじめっこ気質のミライドンがライドフォルムで座っている。

 

「そう言えば……なんか良く分からないターミネーターに出てきそうなロボットが銃を構えて、ホワイトを狙ってたわね。そのロボットはお爺ちゃんに壊されていたけど」

 

とブルーは先日に起きた、殺戮ロボットとの遭遇を告げた。そのロボットは明らかに現代の技術で作った代物ではなく、未来からやって来たロボットと言った方が現実味がある。その上、そのロボットはホワイトを狙っていたのだ。

 

「ロボットね……それ以外は特にないか?」

「無かったわね」

「そうか。まあ、俺も討論会でなかなか出れず……パルデアを回ったのはコイツにいじめは行けないことと、教える時だけだったな」

 

リンドウは語り出す。リンドウは討論会でパルデアを自由に冒険する事は出来なかった。だが、昨晩……パルデアの大穴を抜け出し……強靭なバリアーを突破して傷だらけで脱走したフトゥー博士のミライドンをリンドウは発見。そのミライドンはいじめっこ気質だったので、いじめが行けないこと教え、その後は誰も居ない深夜のパルデアをミライドンの背中に跨がっては自由に冒険した。良い夜更かしだったが後悔はしていない。

 

「なにやってんのよ、博士号かかってるんでしょ?」

「せんせーだって夜更かしするんだ」

「俺だってぶっちゃけ、パルデアを自由に冒険したかった」

 

結論、リンドウだって自由にパルデアを冒険したかったようだ。仕方ない、彼は()()()()()()()を持つ外伝主人公と違って剣盾初期で原作知識は停まっており、パルデアの大地は余りにも新鮮過ぎた。資料でしか見たことがないポケモン達に、未知の力であるテラスタルといい、冒険心を久しく刺激されたのだから。

 

「だが、そこで物陰に隠れながら見たんだが…………複数匹のアルセウスを引き連れたシロナさんそっくりの怪しい男が居た」

 

リンドウはそう告げ、スマホで撮った写真をブルーとホワイトに見せる。その写真は複数のアルセウスとギラティナを引き連れた怪しい男 ウォロ……Tウォロが写っていたのだ。

 

「変な髪型」

「そうよね。あと、ウォロそっくりね。もしかしたら、並行世界の闇落ちしたウォロじゃないかしら?」

「恐らくな。実際にウォロとペパーとは連絡が着いてるし、アリバイが証明できてる。この怪しい男はウォロじゃない。名付けるなら虹ロケに因んで虹ウォロだな」

 

そしてリンドウはウォロとペパーと連絡が着いており、この写真の男……Tウォロがウォロとは≠の存在だとは既に判明している。

 

「あと、こっそり……パルデアの大穴の上空も飛んだんだが。パルデアの大穴は謎のバリアーが張られていてな。そのバリアー目掛けて、多くのポケモン達が体当たりをしていてな。何かかから逃げ出そうとしていた。そのポケモン達はレウスとグラードンで強引にバリアーに僅かな穴を開けて、助けたが……パルデアの大穴はとんでもない事に成っていることは間違いない」

 

そして次にリンドウは図鑑をアプリを起動させて、どういう訳かアルセウスの画像を出した。

 

「ポケモン達を助けたあと、そのポケモン達とミライドンにルカ経由で誰に襲われたか聞いたんだ。ミライドンも俺が見つけた時は傷だらけだったしな」

 

「全員、満場一致でアルセウスに襲われたと教えてくれたよ。だが、俺は此処で思う。俺達の知ってる神様はこんな事はしないだろ?だとすれば、並行世界からやって来たアルセウスじゃかいかとな」

 

フトゥー博士のミライドンも、バリアーから頑張って抜け出そうとしてたポケモン達もアルセウスに襲われた。だが、人間もポケモンも大好きなミワセウスがそんな事をするだろうか?間違いなく否だろう。そこで、リンドウは思ったのだ。虹ロケが居るなら、並行世界からやって来たアルセウスも居るだろうと思ったのだ。

 

「ポケモンに危害加えるし、変な変人と居ると言うことは神様というか邪神みたいだな。よし、失礼だが邪神アルセウスと呼ぶか。む?ホワイト、どうした?」

「怖い夢を見たんだ……」

 

ホワイトは語り出す。なんでも怖いを見たとの事で、夢は赤ん坊の視点。大きな城が燃え尽き、アルセウスが全てを破壊する夢。赤ん坊は母親に抱かれ、母親はレシラムに乗っていた。だが、母親は突如開いたウルトラホールに赤ん坊を逃がし、その直後にレシラム共々……母親は殺された。

 

「夢でしょ?考えすぎよ」

「いや、どうだかな。唯の夢にしてはハッキリしすぎてる。赤ん坊の頃の記憶が夢に出てきたって説もあるが……エリアゼロにはフトゥー博士の偽者曰くタイムマシンが有るからな……未来のロボットがホワイトの命を狙ってたなら、その虹アルセウスがタイムマシンから連れてきたのかもしれない。俺の考えすぎかも知れないがな」

 

 

現在の時刻は朝5時。まだ多くの人々は寝ている時間であるが、リンドウ達+ギエピー&ロトムは朝日が高く昇る前にホテルを後にした。その後はコライドン、ミライドン、ミライドンの機動力で素早くテーブルシティを後にしてチャンプルタウンにやって来た。

なんでも調べてみると、チャンプルタウンの近くにパルデアの大穴……エリアゼロに突入するための正規の入口が存在していたのだ。

 

だが、腹が減っては戦は出来ぬ。チャンプルタウンの喫茶店に入ってみると……

 

「ちょうど良いところに居たわね。リンドウ君」

「すまないね。君達、私達親子の問題に着いてきてくれないかな?」

 

そこではモーニングセットを頼んでは食べるサオリ先生、オーリム博士とペパー親子。あとウォロが居たのだ。

 

「サオリ先生にオーリム博士?」

「私達、エリアゼロに乗り込もうと思うのよ。私とウォロ君だけじゃ、護衛が力不足かと思ってたのよ」

 

オーリム博士は語る。オーリム博士とペパーは護衛にウォロとサオリ先生を連れて、エリアゼロに突入しようとしていたのだ。

オーリム博士とペパー曰く、学会にオンラインで参加したフトゥー博士はフトゥー博士ではなく全くの別人との事だ。だから、真実を確かめる為にオーリム親子はサオリ先生とウォロを護衛に連れてエリアゼロに入ろうとしていたのだ。

 

「「「やっぱり偽者だった」」」

 

だが、フトゥー博士が偽者だと言うことはリンドウ達も薄々感じており、オーリム親子の言葉を受けて仮説が確信に変わる。

 

「それにウルベ・イシカワが居なくてね。居るとしたらエリアゼロしかいないと思ったのよ」

 

あとサオリ先生がエリアゼロに入る訳は……パルデア中を探して見つからなかった。居るとしたらエリアゼロという結論である。

 

「分かりました。しかし、エリアゼロは本来より危険な所と成っているかも知れませんよ」

 

リンドウの言葉を受けてオーリム親子とウォロは頷いた。まあ、サオリ先生は肉体が伝説のポケモン真っ青だから問題は無いだろう。

 

 

 

エリアゼロの正式な入口。

 

「此処が正式な入口よ」

 

オーリム博士の案内で正しい入口にやって来たリンドウ達。このシャッターの先にはエリアゼロへと降下できる入口が存在する。

 

オーリム博士とギエピーがポチポチと機械をいじくり、電源が復活してシャッターが開く。この先がエリアゼロである。

 

「よし、準備は良いか?」

 

リンドウがフトゥー博士のミライドンの背中に跨がり、手綱を握る。その後ろではウォロとギエピーが乗り込む。

 

「勿論よ!!何時でも良いわ!!」

 

ブルーはミライドンの背中に跨がり手綱を握る。その後ろではオーリム博士とサオリ先生が乗り込んだ。

 

「OK!!僕達も準備OK!!」

 

ホワイトがコライドンの背中に跨がる。その後ろではペパーが乗り込んだ。

 

「ふん、降下途中の敵はワシ等に任せよ」

『お前達の安全は俺達が守る』

 

なお、降下途中にも野生のポケモンや邪神アルセウスの妨害が来る可能性が高い。なので、師匠ウルガモスとホワイトキュレムにフォルムチェンジしたキュレムが護衛を行うのだ。

 

いざ、降りようとした時だった。

 

「「「「アギャーーース!!」」」」

 

空いたシャッターの先から大慌ててで沢山のミライドンが全速力で逃げ出しており、ミライドン達はリンドウ達には目もくれず、大慌てでその場から逃げ出してパルデアの大地に解き放たれた。その数、低く見積もっても50は上回っており、大勢のミライドンが何かから逃げていることは間違いない。

 

「へ?」

 

ミライドン……50体、パルデアの大地に解き放たれる!!

 

だが、そのミライドンに構っている時間はない。リンドウ達はエリアゼロに降下した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギエピー!!お前、体重なんキロ有るんだ!!落ちるぅぅう!!ミライドンの出力がお前のウェイトに負けるなんてどういう事じゃ!!」

「落ちますよ!!落ちてますよ!!リンドウさん!!」

「ギエピー!!僕のせいじゃないっピ!!3人のってるからっピ!!」

「だまらっしゃい!!ブルーのとこも同じだろうが!!なんで俺達だけ落下速度が異常に速いんだよ!!」

 

なお、リンドウ、ウォロ、ギエピーのトリオ。ギエピーの体重がミライドンのジェネレーター出力を上回り、物凄い速度で落下。その結果、リンドウとウォロ、ギエピーの3人は一足お先に最下層にたどり着くのだった。

 

 




落下したリンドウ、ウォロ、ギエピーの3人。そんな3人の目の前に……怪しげな髪型のもう1人のウォロが現れる!!

ウォロ「自分と同じ顔!?本当に居たんですか!!」
リンドウ「これが虹ウォロか!!」
Tウォロ「虹ウォロはそっちの男のほうだ!!私こそが、この世界のウォロですよ!!」

リンドウ&ウォロVSTウォロ……ファイ!!そして……グラードンが覚醒する。


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リンドウとギエピー。最下層に落ちる

悲報 DNSのプロテイン、超値上げ!!3キロサイズが無くなり、2キロサイズが登場!!なお、お値段は一緒!!

ビーレジェに戻すか


此処はエリアゼロ……パルデア地方の中央に大きく広がるパルデアの大穴、その中の空間の最深部だ。パルデアの大穴の中心地から恐怖を圧し殺してスカイダイビングする事が出来れば、綺麗に最深部まで真っ逆さまに辿り着く事が出来る。

エリアゼロの上層部は草木や花が咲き誇り、綺麗な川が流れており……滝のように水が中心の最深部に向かって真っ直ぐに流れ落ちている。此処はアーマーガアやパモット、ウルガモス等の珍しいポケモンが生息しており……特に野生のアーマーガアはパルデア地方で唯一エリアゼロが元気に過ごせる場所である(だいたいデカヌチャンのせい)。そんな上層部の景色を楽しむ事が出来ず、リンドウ、ウォロ、2人が乗っていたフトゥー博士のミライドンそしてギエピーはギエピーの重さで最深部に落下してしまった。流石のミライドンでも体脂肪率28%のギエピーの重さで飛べなかったようだ。

 

「リンドウさん!!リンドウさん!!」

「アギャッス!?」

「いてて、起きてるよ。マサラタウン生まれの身体の丈夫さで助かった」

 

本来ならリンドウ達は3グループに別れ、安全にコライドン、ミライドン×2の飛行能力でゆっくりと降下する予定であった。リンドウ、ウォロ、ギエピーの1グループ。ブルー、オーリム博士そしてサオリ先生の2グループ。ホワイトとペパーの3グループで降下だったのだ。

しかし、ギエピーの体重が余りにも重すぎたので……リンドウが手綱を握っていたフトゥー博士のミライドンはエンジン出力が落下エネルギーを下回ってしまい……物凄い速度、ほぼ落下と言える程の速度でエリアゼロの最深部に不時着してしまったのだ。

 

「ギエピーのヤツ……どこ行った?まあ、いっか。ギャグ補正の塊だから死んでないだろ」

 

なんとか起き上がるリンドウ。すごい速度でエリアゼロ最深部に不時着してしまったが、リンドウとウォロ、ミライドンは大きな怪我はない。ミライドンはウォロの手作りの回復の薬のお陰か体力も万全だ。

 

エリアゼロの最深部は吹き抜けのように成っている岩肌の洞窟だ。しかし、吹き抜けの穴から降り注ぐ太陽の光と最深部にある巨大な結晶体のお陰か中は明るい。

結晶は壁にも見られ、永い年月を得て侵食したのか様々な物が結晶に覆われている。

 

「それにしても……此処は本当にエリアゼロなのでしょうか?」

「全くだ。ありゃ……建物がテラスタルしたような代物だな?」

「アギャッス」

 

リンドウ達の視線の先には巨大な結晶体……いや厳密には違う。正しくは作られた研究所のような施設が結晶に包まれており、まるでポケモンがテラスタルしたように結晶に建物が包まれていたのだ。

見るからに怪しい建物であり、フトゥー博士の研究所なのかも知れない。だが、入口だと思われる所は厳重に閉じられており、入ることは出来なさそうだ。

 

「どっから見ても近未来的な建物だよな?だが、テラスタルのような結晶で包まれてるしな」

 

と考えるリンドウ。その建物の入口らしき物だけはテラスタルの結晶で覆われておらず、もしかしたらその覆われてない入口のような場所が唯一の出入口なのかもしれない。だが、その入口は厳重に閉じられており、中に入るのは難しい。入るとすれば、内側から開けられるのを待つか……強引に扉を破壊して侵入するしか無いだろう。

 

「ギエピー!!コイツら……なんだっピ!!」

 

ふと、ギエピーの悲鳴が響く。何事かと思うと、悲鳴の方からギエピーがサザンドラをロボットにしたようなパラドックスポケモン、ウルガモスをロボットにしたようなパラドックスポケモンに追いかけられていたのだ。

 

「仕方ないな。ボス、やれ」

 

リンドウはボスを繰り出してギエピーを助けようとするが、どういう訳かボスゴドラを繰り出す事が出来ない。何故か、ボールが反応しないのだ。まさかと思い、レウスとエンペルトのボールも確認を行うがボールを起動する事が出来ない。

 

「ボールが使えないだと!?」

「リンドウさん!?自分は使えますよ」

 

だが、ウォロはボールが使えるようでガブリアスを繰り出した。ウォロはガブリアスを繰り出し、ギエピーと共にパラドックスポケモンと戦う。

 

「ピッピさん。大丈夫ですか?自分達は未来ウルガモスを何とかしますんで、そっちは自分でお願いしますよ!!」

「任せろっピ!!」

 

未来ウルガモスのタイプは炎と毒、ガブリアスの地震でワンパンで倒すことが出来るだろう。未来サザンドラは現代のサザンドラと比べて少し弱体化しており、タイプは飛行と悪だ。ギエピーなら問題ないだろう。

 

(どうなってる?なんで、俺の主力メンバー全員のボールが封じられている?使えるのは……主力メンバーとは明らかに実力に開きがあるバンギラスとウルガモス、後はグラードンだけか)

 

リンドウはウォロとギエピーが戦っている間に自分の状況を確認する。レウス、エンペルト、ルカリオ、ボスゴドラ、リーフィアと言った主力メンバーのモンスターボールは封じられて開くことが出来ない。

対して使うことが出来るポケモンは主力メンバーと比べると実力は劣るバンギラスとウルガモス。そして期待の新人であるグラードンだけだろう。

 

(封じられたメンバーは全員、俺がエキシビションマッチや防衛戦で使った事があるメンバー。後はエキシビションマッチや防衛戦では使ってないメンバーだな……)

 

使えなくされたメンバーは全員エキシビションマッチや防衛戦で使った事があり動画記録等で世界に知られたポケモンだ。対して使えるメンバーは防衛戦やエキシビションマッチでは1度も使ったことがないメンバーである。

今、使えるメンバーでTウォロのポケモンと互角に戦えるのはグラードンだけだろう。グラードンの事を相手が事前に知っていれば、間違いなくグラードンを真っ先に封じる筈だが……封じてない事を見ると相手はリンドウがグラードンを持っていることを知らないのだろう。

 

「これは不味いな……」

 

主力、グラードン以外全員使えず!!モンスターボールを封じるというまさかの戦法に乗り出した相手にリンドウは苦笑いを浮かべる。今からでも撤退するか?その考えがリンドウの脳裏に浮かび上がる。

 

(モンボ封じるなんて、普通やるか!?邪神アルセウスの殺意、ロケット団より高くね!?)

 

リンドウは心の中で邪神アルセウスに悪態を吐くが、実はと言うとこの相手のモンスターボールを封じてポケモンで無力化したトレーナーを殺す戦法……原作のフトゥー博士も平然とやっている。いつからポケモンは物騒な物語に成ったのだろうか?

 

「なんとか、なりましたね」

「本当だっピ。てか、リンドウ……なんでポケモン出さないっピ?」

 

なんとか、パラドックスポケモンを退けたギエピーとウォロ。2人がリンドウの側に寄るが、リンドウの言葉をきき……

 

「多分、敵に俺の主力を封じられた。ボールがうんともすんとも反応しない」

「「えぇぇー!!」」

「一応、コイツ等は使えるが……話を聞かれてるかも知れないから誰が使えるかは言わないぞ?」

 

リンドウはそう告げ、ベルトに提げたバンギラス、ウルガモス、そしてグラードンのボールに触れる。だが、主力であるメガリザードン達が使えないのは余りにも痛すぎる。一応、ミライドンもリンドウの指示には従うがフトゥー博士のポケモンだし……ギエピーはギャグ要員だし。

 

「ふふふ、確実に白い少年を消すために、今の時点では白い少年より強い貴方の主力を封じる事は当然でしょう」

 

すると、テラスタルの結晶に覆われた建物の入口が開き……謎の民族衣装に身を包みアルセウスを模した可笑しな髪型の男ことTウォロが現れたのだ。しかも、Tウォロはアルセウスを小さくした量産型アルセウスを6匹も引き連れている。

 

「出たな!!並行世界からやってきたウォロこと虹ウォロ!!」

「でやがったなピ!!」

「虹ウォロ?…………私こそがこの世界のウォロですよ!!そっちの現代の格好をした男こそが、どっちかと言えばそっちの男が虹ウォロです!!」

 

そう、リンドウ達は知らなかったがTウォロこそがこの世界のウォロであり、ウォロこそがどちらかと言えば並行世界のウォロこと虹ウォロだったのだ。

 

「なんだってピ!!」

「私は白い少年を消すために、遥々過去からタイムスリップしたのですよ!!」

「なるほど、歴史を変えるためにタイムスリップか。つまり、ターミネーターウォロ略してTウォロか。T800?それともT1000?」

「リンドウさんピッピさん。TXかも知れませんよ」

「なんの茶番ですか!!ですが、どうですか?チャンピオンリンドウ。フトゥー博士が遺した侵入者を排除するためのシステムを応用し、パートナーを使えなくなった感想は?」

 

Tウォロは親切に教えてくれた。何でも、フトゥー博士は考え方が人間を辞めており……タイムマシンを破壊しようとした存在or不法侵入したトレーナーを排除するために1つの防衛システムを組み込んでいたのだ。

その防衛システムは認可したトレーナー以外のモンスターボールを封じて、フトゥー博士のミライドン等の選りすぐりの戦闘能力を持つパラドックスポケモンで相手を直接殺すという物である。Tウォロはサオリ先生から逃れてきた、元教頭ことウルベ・イシカワの協力の元でそれを改良。その結果、相手のポケモンを指定することが出来るように成ったのだ。

 

(つまり、グラードンの存在が知られたら真っ先に封じられるな)

 

「あれ?自分はポケモン使えますよ?」

「貴方と私は同一存在の別人ですからね。貴方のボールを封じたら、同じIDの私もボールを使えないでしょ!!それに旧式モンスターボールは対象外なんですよ」

 

ウォロがパートナーを使えるのはTウォロとIDが同じこと、そしてボールがインターネットが開発される前のボールである旧式モンスターボールだった為だ。

 

「まあ、白い少年は対象にしてませんよ?我が神が直接手を掛けたいそうでね!!」

 

なお、ホワイトは邪神アルセウスが直接殺したいのか対象外らしい。

 

「もう1人の私、そして白い少年の師である貴方は此処で消しましょう!!さあ、やりなさいアルセウス達よ!!」

「よし、いけギエピー!!お前のギャグ補正を見せてやれ!!」

「おう!!」

 

いざ、始まる量産型アルセウスVSギャグ補正のギエピー、ウォロのポケモン達の戦いが始まった!!

 

「アルセウス達!!重力!!」

「ギエピィィイ!!」

 

先ず、先手を繰り出したのは量産型アルセウス。量産型アルセウスはTウォロの指示に従い、重力を応用してギエピーを空の彼方に吹き飛ばしてしまった。

 

「ターミネーターよ。お前はギャグ補正を知らないようだな」

 

リンドウはふと、ギエピーが空の彼方に飛んでいった大穴を見上げてそう言った。その数秒後……

 

「我が魂はゼクトと共にありぃぃぃいい!!」

 

仮面ライダーケタロス……ではなく、仮面ライダーカブトのコスプレを行い、2頭身の仮面ライダーカブトと成ったギエピーが炎と共に落ちてきたのだ。しかも、彗星さえもビックリな速度で落ちてきた、これぞ元祖仮面ライダーメテオである。

 

「なにぃぃい!!」

 

宇宙からの落下速度+ギエピーの重さがのしかかり、ギエピーカブトの落下の衝撃に巻き込まれた量産型アルセウスは2体見事に倒されてしまった。

 

「「いや、そんなバカな」」

 

これには唖然としてしまうTウォロとウォロ。すると、落下の衝撃の煙が晴れて……カブトのライダースーツが破損して生身に戻ったギエピーが出てきた。

 

「苦労して作ったライダーシステムが壊れたっピ」

「ゼクトの技術再現したの!?お前、すげーな」

 

「くっ!!ですが、まだアルセウスは居ますよ!!」

「ちっ!!やろー!!これならどうだっピ!!」

 

あと4体……量産型アルセウスは残っている。すると、ギエピーはそこらへんに落ちていた普通の木の枝を拾い上げ、その木の枝を杖のように構えて量産型アルセウスに向ける。

 

「なんとかかんとかパトローナム!!」

 

ギエピーは魔法を唱えた。しかし、何も起こらず沈黙が場を支配する。

 

「…………なにがしたいのですか?」

 

これには数秒間びくびくしたTウォロも肩透かしを食らったのか、溜め息を吐きながら告げた。だが、その瞬間!!突如して4体の量産型アルセウスが爆発し、見事にKOされたのだ。

 

「そんな……バカな!?」

「「うそーん!!」」

「アギャッス!!」

 

これで量産型アルセウスは全滅!!やはり、ギャグ補正が最強であった。だが、Tウォロは笑みを浮かべる。何故なら、彼にはまだ切札が残っているのだから。

 

「ふふふ……なら仕方がありませんね。白い少年のキュレムを倒すために温存してましたが、此処で切札を使うしか無いようだ」

 

その瞬間……辺りの結晶の鏡のように成っている面に大きな影が映る。その影は生き物のようにうごめき、飛び出した。

 

「ギュルルルギャァァァア!!」

 

その影は怪獣のような雄叫びを上げて飛び出してきたギラティナ。

 

「ギラティナ!?」

「ええ、私の神が新たに産み出したのですよ。さあ、ギラティナ……打破せよ!!」

 

Tウォロが御決まりの決め台詞を吐き出すと。ギラティナを金色の光が包み込み……ギラティナがその光を突き破る。すると、ギラティナの姿が変わったなにかが降臨していたのだ。

 

「なんだ……その姿は?」

 

前世の知識が全く通用しない。オリジンでもアナザーでも異なるギラティナの姿。アルセウスを模した馬のように4本足の化身と成り果てたギラティナが居たのだ。

 

「ええ、ギラティナの正真正銘真の姿ですよ。アルセウスが宇宙を産み出した頃に、アルセウスが誕生させたギラティナの姿。名付けるなら、ゲンシギラティナですね」

 

そのギラティナはゲンシギラティナ。ギラティナの宇宙創世記の頃の姿だという。だとすれば、ギラティナがメガシンカを果たした強さを持っているのだろう。

 

「さあ!!やりなさい!!ギラティナ!!」

「リンドウ!!逃げるっピ!!」

 

その瞬間……ゲンシギラティナは影を操り、影は鋭利な刃となり……ギエピーではなく直接リンドウを殺しにかかる。だが、その瞬間……莫大な熱波が影を焼き払い……

 

「グラードン!!地震!!」

 

焼き払われた影から()()()()()()()()()()()()()()()()()が飛び出し、ゲンシギラティナの腹部に地震パンチが突き刺さる。

 

そのポケモンは深紅の色をしており、横の突起は金色になり、背部には棘のような背鰭が生えている。

 

変えることが出来ないひでりが辺りを照らす。

 

「なんだ……そのポケモンは……アルセウスから教えて貰った全てのポケモンの姿に無かったはず」

 

地震パンチの一撃で膝をついたゲンシギラティナ。そのゲンシギラティナの背後で、Tウォロは呟いた。

 

 




次回……キズナグラードン……大暴れ!!なお、終わりの大地✕終末の大地◯じゃないのでご安心を。環境に優しいです(相手には優しくない)。


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終末の使徒 キズナグラードン

キズナ進化って理論上、誰でも出来るだろう……多分。


「なんだ……その姿は?」

 

深紅の体色をしたグラードン。そのグラードンはTウォロが異世界から自分の野望を遂行するためにやって来たアルセウスこと邪神アルセウスから聞いたグラードンのどの姿にもない代物だった。Tウォロは自身の経験と邪神アルセウスのお陰か、外伝主人公と同じく本来の原作知識+成長したホワイトの手持ち(6割)を把握している。原作には一切登場しないトゥルーキュレムやメガコライドンは勿論のこと、未来含めた全ての原作の知識を把握している。だが、リンドウが突如として繰り出したグラードンは邪神アルセウスから教えてもらった知識には載ってない代物だったのだ。

 

「error……図鑑には載ってない姿って事ですよね?」

 

ウォロがスマホでグラードンをスキャンして呟く。スマホに出てきたのはerrorの文字、つまり図鑑にも登録されていない未知の姿である。

深紅のボディー、突起は金色に成っており、背中からは背鰭と刺が生えている。まるでグラードンが突然変異したのかはたまた未知の進化をしたのかと言いたげな状態だ。

 

「なんだ……こりゃ?」

 

と……肝心のグラードンを出したリンドウ本人は一番困惑していた。と言うのもリンドウはグラードンにべにいろのたまを持たせてないし、メガバングルも使っていない。だが、グラードンがメガシンカ?ゲンシカイキ?してるわ、何故か頭の中に色んな情報が雪崩れ込んで来るわ、脳内にグラードンの視界が映るわ、何が起きてるのか理解できていない。

 

(まさか……これ、キズナ変化!?キズナ進化!?ファイ!?グラードンに起きたの!?なに!?この肝心!?キーストーン通してないからか知らんが……頭にすんごい情報が流れて来るんですけど!!てか、サトシはXY時代はこれを何度もやってたのか!?)

 

そう、なんとグラードンはメガシンカ……ではなくキズナ変化をしていたのだ。それも石をどれも介さずにキズナ変化を行っているのでリンドウの負担は大きい。その上、頭の中にリアルタイムでグラードンの情報が流れ込むを通り越して雪崩れ込んでくるのでリンドウの負担が物凄く大きい。次やる時は……せめてキーストーンを介そう。過労死するかもしれないし、脳がオーバーヒートしてしまう。

 

だが、お陰か今のグラードンのスペック等を知ることが出来たのだ。

 

キズナグラードン タイプ地面&炎 特性 終末ノ使徒 ひざしが強くなり一部の特性を除いて上書き不可。自身が受ける水タイプの技を無効、ひざしが強い時は自身の攻撃力が上昇。

 

「なに、このぶっこわれ」

 

と脳内に流れたグラードンのスペックを知り、ふとぶっこわれと言ってしまう。なにこれ?ゲンシカイキの上位互換?天変地異のメガゲンシカイキと比べたら平和だが、ゲームで考えたらゲームでのゲンシカイキの上位互換だ。

 

「よし、グラードン!!行くぞ!!」

「グラァァア!!」

 

「ちっ……ゲンシカイキではない!?まあ、良いでしょう。ギラティナ!!シャドーボール!!」

「グルルガァア!!」

 

Tウォロのゲンシギラティナはシャドーボールを解き放とうとする。だが、リンドウが石なしキズナ進化の特性を用いて脳内でキズナグラードンに指示を出していた、その技は断崖の剣。ゲンシギラティナの下から大地の剣がせりだし、ゲンシギラティナの喉元に突き刺さった。

 

「指示無しで技を?そんなバカな!?」

 

だが、ゲンシギラティナは喉元に断崖の剣を受けてシャドーボールが不発に終わる。その上、喉元は多くの人間は勿論だがポケモン達でも急所であり、急所に直撃したゲンシギラティナは辛そうに「がぁ……がぁ……」と声に出すのも辛そうだ。

 

「じしん!!」

 

ギラティナの腹部にじしんパンチが突き刺さる!!

 

「噛み砕く!!」

 

更にじしんパンチを打った後に、鋭利な指でしっかりとゲンシギラティナをホールド。そのまま喉元に噛み砕くを用いる。

 

「熱波を解放しろ!!」

 

その瞬間……キズナグラードンから莫大な熱波が解き放たれ、ゲンシギラティナを爆熱の熱波が襲い燃やすのだった。

 

「ギィィガァァア!!」

 

なんで……僕がこんな目に逢うの?

 

ゲンシギラティナは産まれてからぶっちゃけ1ヶ月も経っていない。何も知らない子供だ。

 

善も悪も知らない。

 

勝手に造られてうみだされて、創造主の命令で変な髪型の男の元で何も分からないから言うことを聞くだけだった。感情も分からないし、自分の気持ちも良く知らない。

 

熱波が止むと、そこにはキズナグラードンに見下ろされる、小さく怯えてガクガクと震えるゲンシカイキが解除されたギラティナの姿があったのだ。

 

「ギィギィ……」

 

キズナグラードンの力に怯え、人生?で初めて明確な恐怖を感じたギラティナはその場で丸くなってしまう。ポケモンバトルのようなバトルではなく、殺し合いのようなバトルしか経験してないのだ……敗北=下がるか死である。死の恐怖ゆえか、ギラティナはガクガクと震えてしまう。

 

「グラードン。そこまでだ。子供に気付きを与えるのも俺達の仕事だぞ」

「グラー」

 

リンドウの言葉を聞いて、キズナグラードンは後ろに下がる。だが、まだキズナ進化は解除していない。

 

「ちっ!!使えないゴミめ。貴様もあの荒神のように、でき損ないか!!」

 

Tウォロが唾を吐く。だが…………

 

「さーてギエピー。善悪も知らない子供には更正のチャンスを与えるが……善悪の区別が付く大人はどうしようか?やれ」

「勿論だっピ!!」

 

デデーン!!Tウォロ、ギエピーの刑である!!

 

ギエピーは手慣れた手付きで、Tウォロの手足を縛る。

 

「なっ……何をするきですか!!私に乱暴するきですか!?エロ同人みたいに、エロ同人みたいに!!」

「どこで覚えたそんな言葉」

 

そしてギエピーはいつの間に用意したのか『ギエピウス3号』と書かれたガラクタで作ったロケットを用意する。このギエピウス3号、人1人は入れる広さをしており、そこに手足を縛ったTウォロを入れたのだ。

 

「やっ……やめ!!」

「アディオス、アミーゴス!!バイバイきんだっピ!!」

 

ギエピーがボタンを押す。するとギエピウス3号はジェットエンジンで飛び上がり……瞬く間に吹き抜けの地下空間を飛び越えて地上に到達。

 

「ブルーお姉さん、なにあれ?」

「みちゃダメよホワイト。岩の妖精よ」

 

上層エリアで思いっきり、上層エリアに無事に着地したホワイトとブルー達と遭遇したがギエピウス3号はぐんぐん高度を上げて空を目指す。

 

「誰か……助けてくれー!!」

 

Tウォロの叫びも虚しく、ギエピウス3号はエリアゼロのバリアーを突き破り、雲を突き抜けて成層圏を突破する。やがて……

 

 

Tウォロは2度と地球には戻れなかった。鉱物と生物の中間の生命体となり、永遠に宇宙空間を漂うのだった。やがて、Tウォロは考えるのを辞めた。

 

 

 

「んな訳があるか!!」

「どうしたっピ?」

 

そしてリンドウは突っ込みを入れると同時に、キズナ変化の副作用で体力が尽きてしまい、その場に倒れるのだった。同時にグラードンのキズナ進化も解けた。




次回は無事にエリアゼロに着地したホワイト達。彼等は先に不時着したリンドウ達と合流するために地下を目指す。

ゲルマン忍者「また会ったな!!少年!!」

そこではゲルマン忍者が先に居るわ

???「キラフロー!!」
ペパー「あれは……トップのポケモン!?こんな所に生息していたのか!!」

トップチャンピオンオモダカのエースが唯一生息する場所でもあったのだ。


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元凶…邪神アルセウス

この作品あるある、ポケモン新作が出たら復活する


エリアゼロ。パルデア地方の中心に大きく穴の空いた空間は幻想的な景色が広がっていた。

 

ジュラ紀より遺された古代の自然は勿論のこと。古代の時から姿を変えずに生き延びている古代のパラドックスポケモン達は勿論のこと、他にも地上では珍しいポケモン達が生息していたのだ。特に、パルデアの地上では蛮族デカヌチャンに羽を狩られる運命にあるアーマーガアの皆さんが自由に空を飛べる数少ない世界となっており……アーマーガアの皆さんはデカヌチャンに怯えなくて良いエリアゼロの空間を自由に飛んでいたのだ。

 

エリアゼロの上層部はデカヌチャンに狩られる心配の無い、アーマーガア達のパラダイスであり同時に古代ポケモン達のオアシスと化していたのだ。事実、生きた化石として現存している古代ウルガモスや古代プリン達が自由に伸び伸びと生きていたのだ。

 

「しかし、此処はへんな所ね。地面の一部が結晶化してたり、木にも結晶が着いてるわね」

 

エリアゼロ上層部を探索しながらリンドウ達が落ちていった最下層目指して、ホワイト、ブルー、ペパー、オーリム博士、そしてサオリ先生は進む。だが、道中は地上の景色とは違い、一部の木々が結晶化してたり、幻想的な光景が広がり何処か気味が悪い。更には道中で出会ったポケモン達は何かに怯えているようであり……エリアゼロ突入時にミライドン50体が全速力で逃亡した事実が有ることから間違いなく何かが起きたのは間違いない。

 

「野生のミライドンが何十匹も大急ぎで逃げ出した。此処は我々の常識が通用しないのは間違いない、細心の注意で行かなければな…」

 

オーリム博士が告げる。

エリアゼロは何処も全てが元から危険地帯なのは変わりがない。だが、ミライドンが何十匹も大急ぎで逃げ出したと成れば、エリアゼロは間違いなく大きな異変が起きているのは間違いない。特にフトゥー博士のミライドン…狂暴な個体として有名だった彼が命辛々最下層から逃げ出した程だ。地下では一体、何が起きているのだろうか?

 

「キラフロォォー!!」

 

そんな時だった。一行の前に花弁と結晶思わせる謎のポケモンが現れた。しかし、ホワイトは勿論のことブルーさえもそのポケモンを見たことはなかった。

 

「なに?このポケモン」

「図鑑で見てもデータがないや」

 

ホワイトがポケモン図鑑でスキャンしてみるが、残念ながら結果はerror。見たことがない未知のポケモンであった。しかし、パルデア在住のオーリム博士とペパーは違った。何故なら、パルデア在住でパルデアのチャンピオンリーグをテレビ中継でも見たことがある人なら、この未知のポケモンがなんなのか分かるのだ。

 

「これ、トップチャンピオンのポケモンちゃんじゃんかよ!?」

「キラフロル……まさか、エリアゼロのポケモンだったとはね」

 

そのポケモンはキラフロル。パルデアリーグのトップチャンピオン オモダカの切り札であり、絶対的なエースとして君臨するポケモンだ。キラフロルを現在、手持ちに加えているトレーナーは全世界を見回してもオモダカ1人であり、研究データも圧倒的に不足している。オモダカが何処で捕まえたのか、一切詳細は不明だったのだ。

そんなキラフロルがエリアゼロに生息していた。これでキラフロルの生息地がエリアゼロだと判明したが、分かるまでは本気でキラフロルはポケモン研究者の間で……探せばトレーナーが見付かるラティアスやラティオスそしてヒードラン等の珍しいポケモンと違って、本気で幻のポケモンだと思われた程なのだから。

 

「キラフローー!!」

 

キラフロルは襲い掛かってきた!!道中の護衛を担当する師匠ウルガモスとキュレムが飛び出した!!

 

「キラフロォォー!?」

 

だが、空から何かが降ってきて、一撃でキラフロルを粉砕してしまい…師匠ウルガモスとキュレムの出番は無かった。何故なら、空からは……

 

『突如現れたミライドンの群れの対処のお陰か、遅くなってしまった……急がなくてはな』

 

少しボロボロと成ってきたドイツ国家のマスクこと、ゲルマンマスクを被ってゲルマン忍者と成った未来エルレイドが降ってきたのだ。未来エルレイドは着地と同時に、サイコカッターの一撃でキラフロルを粉砕してしまい…キラフロルは見事に倒されてしまったのだ。

 

「あっ!忍者だ!!」

『久し振りだな少年。悪いことは言わん、君は速やかに此処から戻ることを勧める。ではな!!』

 

未来エルレイドはそう告げて、煙玉を用いてその場から消えた。多分だが、一足御先に最下層に向かったのだろう。

 

 

 

 

「でも、僕行っちゃうよ!!」

 

だが、此処まで来たら引き返す訳にはいかない。ホワイト達は地道にコツコツと40分ほどかけて、最下層に進む。道中で機械仕掛けで動く殺人ロボットのスクラップが大量に転がっていたが、多分…未来エルレイドがぶっ壊して進んだのだろう。

 

「よぉ…やっと来たか。悪いが……俺は戦力に数えない方が良いぞ。ミライドン(実質借り物)と出してるグラードン以外、封じられた」

「何があったのよ!?リンドウ、グロッキーじゃない!!」

 

そして最下層ではフトゥー博士のミライドンに跨がり、体力を使い果たしてグロッキーと成り果てたリンドウ、少し疲れを感じるグラードン、少し衣類が汚れたウォロ、そしてギエピーと合流した。

 

 

 

「此処がフトゥーの研究施設よ。タイムマシンもこの中にある筈だわ」

 

全員揃った所で、移動してタイムマシンがある筈のフトゥー博士の研究施設の前にやって来たご一行。だが、その入口は鋭利な刃物で切り裂かれたように開かれており、恐らくは未来エルレイドが強行突破したのだろう。入口から奥を覗いてみると、未来ハリテヤマや未来サザンドラ等のパラドックスポケモンと殺人ロボットが戦闘不能で放置されている。

 

「必ず戦闘で使うポケモンは出していた方が良いぞ。相手はボールを封じる手段があるからな」

「へー、もしかしてリンドウ貴方……」

「主力を封じられた。グラードンでTウォロ…悪い方のウォロを倒した後、気絶してな。目が覚めたら出していたグラードン以外のパートナー全員が封じられた」

 

だが、リンドウは場に出していたグラードンと借り物であるミライドン以外は使うことができない。フトゥー博士が構築し、邪神アルセウス一派が使ったボール封じのシステムのお陰で主力は勿論のことサブメンバーであるバンギラスとウルガモスも封じ込められたのだ。

 

「へー、だったら私もだそ………てっ!?なによこれ!?」

 

だが、時既に遅し。ブルーはボールが封じ込められており、パートナーを出すことが出来ない。使えるのはライドポケモンとして出していたミライドンだけだろう。

 

「私もね…くそ」

「俺もだ。マジかよ…」

 

同じくペパー、オーリム博士もそのようだ。

 

「私は拳でなんとかするわ」

 

なお、サオリ先生は本人がパートナーより強いので問題なし。まあ、サオリ先生は最悪の場合は本人がなんとかするだろう。

 

「僕はなんともないよ?」

 

しかし、ホワイトは問題なくパートナーを使うことができる。これは恐らくだが、邪神がホワイトを自身の力で殺したいという我が儘が関係しているのかも知れない。

つまり、この場での戦力はリンドウのグラードンとミライドン、ブルーのミライドン、ホワイトとそのパートナー達と師匠ウルガモスそして旧式モンスターボールの為にパートナーを封じられなかったウォロそしてギャグポケモンのギエピーだけである。

 

 

「フフフ、これならホウエンチャンピオンも非力な物だな」

 

すると、施設の奥から1人の人物が現れた。その人物はウルベ・イシカワこと隠蔽教頭である!!教頭はエリアゼロに逃げ延びており、あろうことか持ち前のネット知識でフトゥー博士の防衛システムを改良して邪神アルセウス一派と協力関係を結んでいたのだ!!

 

「だが、私は神に用済みとされてね…私の手持ちも封じられたのだ」

「いや、知らんがな」

 

だが、教頭も手持ちが封じられたようだ。しかし、教頭は

 

「私は捕まりたくないのでね……此処で君達を倒させてもらおう。何故なら…この日の為に鍛え続けたこの身体!!がある!!」

 

服を脱ぎ捨てた。そこにはどうやって着痩せしてたんですか?と言いたげなmuscleボディーが有ったのだ!!そう、教頭はハッカーやポケモントレーナー以前にファイターだったのだ!!

 

「ほう、だったら私が相手ね。リンドウ君、ブルーさん。先に行ってて。彼を倒したら、直ぐに合流するわ」

 

そして勃発する人類最強VS極悪教頭のリアルファイトが始まった!!

 

「まあ、サオリ先生は大丈夫か…行くぞ」

 

サオリ先生なら問題はない。リンドウ達は研究施設の中に突撃する。その最中、フトゥー博士のミライドンのボールであるマスターボールを確認して、リンドウは大事な所入れにしまった。

 

最深部……そこは巨大なタイムマシーンが存在する空間であった。そこではアルセウス……いや

 

「遅かったですね。白き少年。まさか、貴方から来るとは好都合です」

 

邪神アルセウスが居たのだ。邪神アルセウスは戦闘不能に成った未来エルレイドを足蹴にしており、戦闘不能と成った未来エルレイドをまるでゴミを蹴るように蹴り、未来エルレイドをリンドウ達の前に転がす。

 

「アギャッス!?(兄さん!?)」

 

未来エルレイドは素顔が丸分かりと成っており、その素顔を見たコライドンは自身の兄だと理解する。

 

「喜んで殺してあげましょう……先ずわ」

 

邪神が権能を使う。すると、ホワイトの手持ちの中でもキュレムとコライドン以外が卵に戻ってしまったのだ。

 

「えっ?何が起きたの?」

「神の力を使えばこの程度、朝飯前です」

 

ニッコリと邪神は笑みを浮かべ、異空間から何かを取り出してホワイトの前に転がす。それは人の生首と50センチ程の炭の塊、ライトストーンとダークストーンだ。

 

「なによ……これ?」

「ええ、白き少年の実の家族の成れの果てですよ?この生首は伯父、炭の塊は母親、ライトストーンとダークストーンは母親と伯父のパートナーだったレシラムとゼクロムですね」

 

ブルーの言葉に対して邪神アルセウスは平然と答える。

 

「安心しなさい。君も両親の所に行かしてあげましょう。神は寛大ですから」

 

邪神アルセウスは手持ちが封じられたリンドウ達もろとも消すために、破壊光線を放とうとする。

 

『お願い…お父さん。世界が違うけど…私達の子供を助けて』

 

『親父!!親父が本当の力を取り戻せばこんな神ごとき、倒せるだろ!!ゼクロムとレシラムを吸収しろ!!じゃなきゃ、今度こそ守りたい物守れないぞ!!』

 

そんな時だった、ホワイトとキュレムの前に幽霊としてか、双子の英雄が現れる。だが、ホワイトとキュレムはそれが見えていない。しかし、1度死を経験した者は見れるのだろう……

 

(ホワイトのお母さん、トウコそっくりだなおい!!)

 

転生者のリンドウには見えていた。

 

『キュレム、私を吸収しろ』

 

『同じくだ。今こそ、オリジンに戻れ』

 

霊体としてのゼクロムとレシラムまで現れる。

 

『確認したい。どうして並行世界とは言え、俺の子供を殺した?』

 

静かに怒りを燃やし、キュレムが邪神に問う。

 

「神の戯れを邪魔したからですよ」

『そうか…お前は殺す』

 

キュレムがノーマル状態に戻る。すると、ホワイトは遺伝子の楔をキュレムに投げた。

 

「キュレム!!」

 

キュレムは遺伝子の楔を飲み込む。次の瞬間…キュレムの羽から紫色の触手が出現し、キュレムはライトストーンとダークストーンを取り込んだ。

 

「なっ!?だが、それがどうした!!」

 

ライトストーンとダークストーンの吸収。それはつまり、真のキュレムの復活を意味している。アルセウスはチャージがまだ終ってないが、破壊光線をキュレムに解き放つ。だが、その瞬間…雷撃と炎の合わさった柱が出現して破壊光線を防ぐ。破壊光線をかきけして、柱が消えると……

 

『お前に此の世で最も恐ろしい生き物を教えてやる。それは子を守る親だ』

 

ゼクロムとレシラムを吸収して、本来のトゥルーキュレムへと戻ったキュレム・オリジンが現れたのだ。

 

完全体キュレム・オリジンVSレジェンドプレート健在邪神アルセウスファイ!!




オーガポンが可愛いんじゃ!!

次回…邪神、レジェンドプレート破壊されるってよ


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キュレム・オリジン

キュレム大暴れ


昔、昔。1匹の孤独なドラゴン・氷タイプの強さだけが取り柄のポケモンがおりました。

 

その時代、人間はモンスターボールを作るより遥かに大昔でした。なのでポケモンと友情を結んだのはごく僅かであり、人々は領土を求めて争ってばかりでした。

 

そのポケモンがおりましたのは北米大陸。後にイッシュと呼ばれる事になる所であり、そこではカロスやパルデアから渡ってきた人々が領土争奪戦を繰り広げていました。

 

そのポケモンは物凄く強かった。ドラゴン・氷のタイプしか有りませんが、炎と雷の技もタイプ一致のように使えて尚且つ、フェアリータイプにドラゴンの技がどういう訳か当たるポケモンでした。その強さも有ってか、彼は危害を加えてきた人間や他のポケモンを返討にする日々を送っていました。

 

ですが、ある日のこと。彼は荒らされた傭兵集団のキャンプの側を通りすぎようとしました。その傭兵集団のキャンプは何者かの襲撃を受けたのでしょう。生存者は居らず、食料や武器も何もかも奪われた後でした。

 

『オギャー!!』

『オギャー!!』

 

いえ、生存者は2人だけ居ました。ですが、このままでは死んでしまう運命でした。それは布に包まれた双子の赤ん坊でした。本来なら捨て置くべきなのかもしれません。ですが、彼はそれが出来ませんでした。初めて抱いた感情…その双子を死なせたくないという思いが芽生えた彼は双子を育てる決心をしたのです。

幸いにも彼はテレパシーが使えました。お陰で双子に教育や言葉を教える事が出来ました。子育ては人間の見様見真似ですが、彼は双子を育てきりました。そして名前の無かった彼は我が子でもある双子から名前を貰いました……キュレムと

 

そして時は流れ2000年後。イッシュ神話の頂点に君臨する英雄の保護者が、並行世界から流れてきたゼクロムとレシラムの亡骸を吸収してパルデアの大地に完全復活を果たしたのだ。

 

「ガハッッ!?」

 

タイムマシンが存在する最深部。そこでトゥルーキュレム(完全体)と邪神アルセウスが死闘を繰り広げていた。邪神アルセウスは腹部にキュレムのドラゴンクローを受けて悶絶し、壁に叩き付けられる。邪神アルセウスは理解が出来なかった、なぜ?自分がこんな格下の唯の伝説と語られただけの権能もなに1つもないドラゴンに押されている?

確かにアルセウスの言い分も一利有るだろう。邪神アルセウスは我らの神様アルセウスと同じ能力スペックを誇る。だが、邪神アルセウスは神様アルセウスと違い…己の創造神としての無限に近い圧倒的なパワーを用いた戦い方や戦いしか知らない。神様アルセウスのように太古にレジギガス隊長と出会い、レジギガス隊長の手で己の過ちを正されたような事もなかった。アルセウスという種族値の暴力でなんでも出来た、だが邪神アルセウスは知らない。キュレムが経験してきた()()()()という殺し合う本当の戦いを。

 

「くっ!!フェアリータイプなのにドラゴンを無力化出来ない!?」

 

そこに追撃のコメットパンチがアルセウスの腹部に突き刺さる。壁を利用した完全なハメ技だが、キュレムは容赦はしない。

 

孤独だった時代の記憶がキュレムに力を与える!!キュレムの攻撃力と素早さがぐぐぐーんと上がった!!

 

双子を拾い、右も左も分からないで子育てを奮闘した思い出がキュレムに力を与える!!キュレムの防御と特防がぐぐぐーんと上がった!!

 

ホワイトと出会い、あの子の父親となり…祖父でもある事実がキュレムの力を限界まで高める!!特攻がぐぐぐーんと上がった!!キュレムの状態異常を防ぐ!!

 

「くっ!!ならば…」

 

アルセウスはテレポートで脱出し、キュレムに背後から破壊光線を浴びせる。タイプ一致の破壊光線。それが全てのポケモンを遥かに凌駕する能力から解き放たれた。だが、その破壊光線を突き破り、キュレムが蒼と黒い雷撃を纏い突貫してアルセウスに絶大なダメージを与える。

 

『グラァァア!!』

「がぁぅあ!!なぜだ!!なぜ……私が押される!?なぜだ…何故なのだ!!」

 

レジェンドプレートのお陰で不死身の邪神アルセウスであるが、キュレムの猛攻に理解が追い付かない。だが、レジェンドプレートが有る限り邪神アルセウスは無敵であり不死身だ。どんな致命傷を負っても瞬く間に回復してしまい、死ぬことはないのだ。つまり、このままジリ貧に持ち込むことが出来れば邪神アルセウスの勝ちだ。キュレムのスタミナまで無尽蔵では無いのだから。

 

『良いか?子供を守るためなら親はどんなに強くなれる。例え……血の繋がりが無くてもな!!』

 

『俺はどうして気づけなかった?ホワイトがトウコの息子であることを…………ハルモニア王に髪質は似ているが、髪色と顔立ちはトウコにそっくりだ。

お前は俺の娘と息子を奪い……娘の夫を奪い、国を奪い……俺の孫であり今を生きる息子を殺そうとしている。ならば絶対に生かしておけるか!!』

 

余りの殺気に邪神アルセウスはずり下がる。レジェンドプレートには既に皹が入っており、壊されるのも時間の問題だ。

 

尻尾の発動機が完全起動し、キュレムの尻尾から蒼と赤、そして紫の粒子が報酬される。キュレムは右手に巨大な氷の槍を産み出した。ブリザードランス、それを解き放つつもりである。

 

「キュレム!!ブリザードランス!!」

 

「消えろ!!消えろ!!イレギュラーが!!突然変異で産まれて、双子を拾っただけで伝説のポケモンに登り詰めた奴が!!お前さえ居なければ白の少年を消せるんだ!!」

 

邪神アルセウスはレジェンドプレートが壊される前に、神の力を用いてキュレムを遠方……パルデアから遠く離れたアローラに空間転移させようとする。

キュレムのブリザードランスが放たれるか、キュレムへの転移が成功するのか……速かったのは……

 

「ぐぁぁぁぁあ!!」

 

ブリザードランスであった。だが、キュレムがブリザードランスを投擲した直後、邪神の転移が発動されてしまい……キュレムはアローラに飛ばされてしまった。

ブリザードランスの直撃を受けた邪神は壁から壁まで吹き飛び、レジェンドプレートは粉々に砕けちってしまう。

 

「レジェンドプレートが…………私の神の力が」

 

粉々に砕けちったレジェンドプレート。レジェンドプレートを喪い、邪神アルセウスは全てのプレートを喪いタイプ変更の力と神としての不死性を喪った。だが、邪神は勝ち誇ったように笑いだす。

 

「ハハハハ!!だが、キュレムは消えた!!キュレムが最高速でパルデアに来ても最速で5時間はかかる!!ならば、その前に白の少年を殺せば良いのだ!!後は雑魚だけだ!!簡単に殺せますよ!!ハッハハ!!」

 

キュレムは消えた。邪神アルセウスはレジェンドプレートを喪い、不死性とタイプ変更が無くなった。だが、それでも他の伝説を凌駕する種族値を誇る。

 

「コライドンだけでどうすると?ただ戦闘力600の赤トカゲ風情で神たる私に勝てるとでも?」

 

史実のコライドンなら勝てるかもしれない。だが、此処でのコライドン&ミライドンは種族値600のパラドックスポケモンor化石ポケモンであり、勝てるかは分からない。

 

『諦める事はない。お前だからショウを託したのだホワイト』

 

『ホワイトくん!!貴方なら偽りのシンオウ様に勝てます!!未来の貴方は一方的に追い返しました!!今の貴方でも確実に勝てます!!』

 

『ホワイトさん!!貴方が勝てなかったら、誰が勝てるんだよ!!』

 

その時だった。ホワイトの背後にリンドウの知らない人だが、何処か面影を感じる3人が現れた。1人はアカギの祖母であるシマボシ隊長、もう1人はラベン博士、更に1人はヒカリのご先祖様であるテルだ。

 

『ホワイト!!お前だからこそ、カイを託したのだ!!偽りのシンオウ様なんぞ、吹き飛ばせ!!』

 

『ホワイトさん、コライドンさん……貴方なら勝てます』

 

『セキの兄貴のダチの貴様ならあんな奴、フルボッコであろう!!』

 

更にリンドウは知らないが、コンゴウ団とシンジュ団の方々の幽霊も応援に駆け付ける。なお、ハマレンゲ先生の肉体はサオリ先生に匹敵するとか。

 

(なんか……入口の片隅に忍者とナナカマド博士そっくりのおっさんがガクブルしてるけど良いの!?)

 

なお、入口ではこっそりと様子を見に来たデンボクとムベがブルブルと震えていた。因みに転生者であるリンドウにしか見えていない。

 

「ロト!!スター団にホワイトが戦ってると、キュレムが戦ってる間にメッセージを送っていたロト!!

返事が来たロト!!」

 

影が薄くなっていたロトム図鑑が、ホワイトとコライドンにメッセージを見せる。その瞬間、ホワイトとコライドンは勇気が沸いてきたのか笑みを浮かべる。すると、コライドンに持たせていたモトトカゲナイトがテラスタルの結晶に包まれる。

そしてホワイトには見えてないが、ホワイトの実母とレシラムの幽霊がモトトカゲナイトに触れる。するとモトトカゲナイトを覆っていた結晶が砕け散り、モトトカゲナイトは全く別のメガストーンに変質した。それはコライドンと強く反応している。

 

『行ってらっしゃい』

 

実母が優しく微笑み、それにつられて応援の幽霊達も笑みを浮かべた。

 

『勝て。そして大きくなって俺(私)達に会いに来るんだ』

 

ギンガ団(明治)、シンジュ団、コンゴウ団の応援を受けてホワイトはキーストーンを起動させる。

 

「コライドン!!メガ進化ぁぁあ!!」

 

コライドンを眩い光が覆い、光が砕け散るとメガ進化を果たしたコライドン……いやメガコライドンが降臨した。

 

「アガャッッシャァア!!」

 

コライドンの胴体は機械仕掛けの強化装甲を纏い、胸部の浮き袋はエネルギホイールに変化している。

腕部は青色の機械仕掛けの装甲に包まれ、脚部は白色の機械仕掛けの装甲に覆われており……脚部の装甲にはブースターまで見える。

腰部の飾り羽は大きく変質し、フレキシブルに稼働するストフリのような両翼と成っていたのだ。

 

メガコライドン(種族値700)

特性 ツバサノオウ 効果 ドラゴンタイプと格闘タイプの技を無力化されず、特攻と攻撃の高い方でダメージ計算する。場に出る限り日差しが強くなり、日差しが強い間は攻撃ステータスが上昇する。なお、隠し効果としてコライドンナイトを持っている間、テラバーストはテラスタル中と同じ扱いを受ける。

 

「己!!白の少年の覚醒は終っていたのか!!ならば、こっちはテラスタルだ!!」

 

邪神アルセウスは対抗の為にノーマルテラスタルを発動させる。

 

邪神アルセウス終了まで残り10分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギエピーくん。タイムマシンを起動させる」

「オーリム博士!?なにをやるっピ!?」

「あの邪神を大地が産まれた四十四億年前に転送させる」

 

オーリム博士、えげつない事をやるようだ。




次回、さよなら邪神!!そしてランセ地方誕生の秘密が明らかに(笑)


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コライドン大勝利!!希望の未来へレディゴォ-!!

さよなら邪神


メガコライドン。それは本来なら有り得ざる存在である。

 

コライドンの生きた時代はメガ進化という存在が誕生する遥か古来、ジュラ紀の時代だ。基本的にメガ進化は全てのポケモンに例外無く存在すると言われているが、石を介して行うメガ進化は例外だ。何故ならメガ進化に必要な石は限りが存在しており、そのどれもが現在の野生化で現存しているポケモン達であり……プテラに関しては不完全な蘇生で現代に適合したリージョンフォームと言えるだろう。

 

「バカな……お前はそうやって誕生したのか!!メガコライドン!!」

 

邪神アルセウスは過去を思い出し、悔しそうな声をだす。明治時代、ショウの苦しむ様を見たくてショウの保護者?であるホワイトを始末するためにディアルガを派遣した。しかもキュレムが別行動中の時を狙ってだ。だが、あろうことかホワイトはコライドンを繰り出し…………メガ進化させてディアルガを瞬く間にフルボッコ!!その際に「ホワイト!!コライドン!!やりすぎ!!ディアルガ様泣いてるから!!もう暴走止まってるから!!」とセキが言っていたのは内緒だ。

 

「コライドン!!爆裂パンチ!!」

「アギャッッシャ!!」

 

機械仕掛けの翼を展開し、ブースト+脚力で一気に加速したメガコライドンの爆裂パンチが邪神の腹部に直撃する。メガコライドンは特性による強化を含めて素の攻撃力が万能特化過ぎるアルセウス一族を上回る。

メガコライドンのメガ進化によりパワーアップした強力な一撃が、邪神アルセウスに絶大なダメージを与えたのだ。

 

「ねえ、悪い神様。1つ教えてあげる。確かに神様と同じ存在な悪い神様は最強で万能かも知れない。でも、そんな万能でも極めた1つには太刀打ち出来ないよ。

強いポケモン、弱いポケモン、それは関係ないんだ。たった10年しか生きてないけど、それだけは分かるよ」

 

孤児院で過ごした寂しい10年。キュレムやイーブイと出会ってトレーナーに成ったあの日。旅先で姉となったヒカリと出会ったこと、サトシとピカチュウ、そしてリンドウや手持ちに入れたパートナーとの日々が1人の少年を立派なトレーナーとして強くしたのだ。

 

「バトルが苦手な子も、バトルは好きだけどコンテストはいまいちな子でもそれは変わらないんだ!!」

「この…………ガキがぁあ!!どれだけ神である私を愚弄すれば気が済むのだ!!明治時代と良い、今と良い……この異世界出身の孤児がぁあ!!」

 

邪神は裁きの礫を解き放つ。アルセウス一族が解き放つ、必殺の一撃であるが。

 

「コライドン!!ギアチェンジ!!」

 

ホワイトの指示に従い、メガコライドンはギアチェンジを発動し、素早さと攻撃を上昇させてその場から文字通り圧倒的な加速で消える。

次の瞬間、メガコライドンは再び邪神の眼前に現れる。そして再び解き放たれた爆裂パンチは邪神に絶大なダメージを与え、邪神は端まで吹き飛び……悶絶したように足がガクガクと震える

 

「くっ!!自己再生だ!!」

 

不死性が無くなったとは言え、技が使えない訳ではない。邪神は自己再生を行い、ダメージを回復させる。だが、邪神はホワイトへの憎しみですっかり忘れていた。コライドンが誇る専用技は効果抜群の時に与えるダメージが上昇するとんでも格闘技だった事を。

 

「コライドン!!アクセルブレイク!!」

 

ホワイトの指示に従い、メガコライドンの機械翼と頭部の羽が全開に広がる。メガコライドンは飛び上がり、胸部のエネルギホイールが電気を放ちながら高速で回転し、エネルギーが高まる。

 

そしてメガコライドンは身体を高速で回転しながら、神速で邪神アルセウスを轢いた。

 

「ぐぁぁあ!!」

 

邪神アルセウスに絶大なダメージが入る!!だが、終わりではない。アクセルブレイクを終えて、ホワイトの前に戻ったメガコライドンはホワイトの一言奥の手を発動させる。

 

「コライドン!!レッツ……フィニッシュターイム!!気合いだめ!!」

 

気合いだめ。それは気合いを貯めて、はりきらせて攻撃が急所に当たりやすくなる技だ。だが、コライドンを含めて流派東方不敗の担い手や一部のポケモンがそれを使うと……

 

「「なんか、知らないけど……金色になったぁぁあ!!」」

 

金色に輝く!!

 

ブルーとペパーのツッコミが響き、リンドウは「あっ、これ中の人は間違いなくドモンだな。ドモン・アギャッシュだな」と心の中でぼやいた。

 

「よし…………超!!究極!!石破天驚拳!!」

 

ホワイトが叫び、メガコライドンの全身を覆っていた黄金の輝きが掌に集まり……圧倒的エネルギ-密度を誇る石破天驚拳が構築され、メガコライドンはそれを解き放った。

 

「アギャッッシャ!!」

 

解き放たれた石破天驚拳は邪神を一撃で粉砕し、テラスタルを解除させて邪神は倒れた。もう自己再生でも追い付けない程のダメージを受けた邪神は成すすべき事は出来ず、勝負は終ったかと思った。だが……

 

「まだだ!!」

 

邪神は気合いだけで立ち上がる。

 

「ならば……私の命と引換に大爆発を使ってこの銀河もろとも消し飛ばしてやる!!」

 

邪神は自分の命と引換に全てを滅ぼそうとする。しかし……

 

「此処はお前の世界ではない。私達の世界なのだ!!神を名乗るなら、人の旅路に介入するではない!!」

 

空間に裂け目が入り、神様としてのアルセウスことミワセウスが降臨した。それもアローラに飛ばされた筈のキュレム・オリジンを連れてである!!

 

「この世界のアルセウス!!」

『言った筈だ……俺はお前を殺すとな』

 

キュレムが絶対零度を発動させ、邪神の自爆を防ぐ。それと同時に…………

 

「皆、あの邪神から離れて。タイムマシンの起動が終ったわ」

 

オーリム博士が指示を出して、ミワセウス、キュレム、メガコライドンはホワイトやリンドウ達の側に下がる。

 

「座標は四十四億年前のホウエン地方!!時空閉鎖弁解除!!タイムホール展開!!」

 

「えっ?それってまさか……」

 

ミワセウスは悟った。邪神の末路を。

 

タイムマシンが発動し、邪神は呑み込まれて過去に飛ばされた。

 

 

 

四十四億年 ホウエン地方

 

「ここは……は!?ここは不味い!!不味い!!ふざけるな!!レジェンドプレート無しで此処だと!?間違いなく死ぬ!!」

 

そこは大地が産まれた所だ。そして邪神アルセウスを見下ろすのは全長100メートルを越えるグラードン……いや、素の状態がメガゲンシ状態となった終末神ゲンシグラードンであった。

 

「グラァァァシャァァア!!」

 

邪神アルセウスは終末神ゲンシグラードンに勝てるわけがなく、あっという間にフルボッコにされた。そして邪神はランセ地方と成ったのだった!!死にたくても死ねず、日本国の一部と成ったのだった!!

 

 

 

一方の現代。

 

「おまたせ」

 

教頭を半殺しにしたサオリ先生が合流。だが……なんとサオリ先生はフトゥー博士を連れていた。しかし、そのフトゥー博士がフトゥー博士では無いことはリンドウ達は知っている。

 

『はじめまして。僕はフトゥー博士の残したアンドロイド、フトゥーAIだ。結論から言おう、博士は既に死んでいて肉体はない』

 

フトゥーAIはペパーとオーリムに『博士からの遺言だ』と称してデータ渡す。恐らく、有事に備えて遺していたのだろう。

 

『チャンピオンリンドウ。ミライドンを導いてくれてありがとう。ミライドンのボールだ』

 

そしてリンドウにはミライドンのモンスターボールである、マスターボールを手渡した。

 

『ありがとう。今とこれからの未来を守ってくれて』

 

フトゥーAIはそう告げ、機能を停止させた。どうやら動いているのがやっとの状態だったのだろう。

 

 

午前7時。パルデア上空。

 

「動いたらお腹減ったな」

 

キュレム・オリジンの背に乗り、パルデアの大穴に突撃したリンドウ達は無事に脱出した。リンドウのベルトにはミライドンのボールであるマスターボールが新たに提げられている。因みに邪神が過去に飛ばされたお陰か、ホワイトの手持ちは元に戻った。

 

「ねえ、リンドウ。ホテルの朝食って何時から?」

「7時半だな。あと、突撃した事は内緒だぞ」

 

その後、リンドウ達はホテルに戻り……朝食でオーキド博士やサクラギ博士から怪しまれる事はなくしれっとご飯を食べたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「こんな……ことって」

 

オモダカさん(本気)、覚醒を果たしたホワイトの手でフルボッコにされる。なお、キラフロルが伝説のポケモンと未だに勘違いしているリンドウ達のアドバイスで、メガコライドンが降臨したのは内緒だ。

 

「エルレイドくん……史上初、ポケモンでありながら先生と成ってくれませんか?」

『構わんさ』

 

そして未来エルレイドことゲルマン忍者。世界初、ポケモンでありながらグレープアカデミーの教員となる。

 




キタカミの里、何処から見ても我が家です。いや、本当に作者の実家あんな感じ!!

次回からアローラに戻るよ!!パルデア編の小ネタや駆け足で飛ばしたら所は幕間な感じで出します


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126時限目 リンドウ博士爆誕あとククイ博士は忙しい

アローラに戻ったので、タイトルに時限目が復活


パルデア地方での2週間の滞在が終わった。リンドウは他の博士の皆さんと学会で話し合ったり、パルデアリーグをフルボッコに完全鎮圧したホワイトの自由気ままなパルデア探索が行われたり、色々合ったがそれらが終ってリンドウ達はパルデアからアローラに帰ってきた。

 

「帰ってきたか……アローラに」

 

飛行機の窓から見える、メレメレ島。リンドウとブルーはようやくサトシ達が待つメレメレ島に帰ってきたのだ。リンドウ達が不在の間はアローラリーグ開催まで暇を持て余したレッドやグリーン達の指導を受けてか、サトシ達もメキメキと実力を上げていると聞いている。

サトシだけではなく、カキやスイレン、マオ達も強くなっているのは間違いない。手持ちのポケモンも進化しており、アローラリーグ開催までの強化はバッチリと言えるだろう。

 

「で?どうするのよ?博士」

「博士って呼ばれるのはまだ馴れないな……」

 

ブルーがリンドウの事を博士と呼んだ。実はと言うと、リンドウはついに念願の博士号を取得したのだ。これから先生だけではなく、博士の称号もゲットしたリンドウ。もちろん、専門分野はポケモンの分岐進化やリージョンフォーム等である。

 

あと、人脈も広くなった。世界中の名高い博士達とのコネクションは勿論だが、他にもゲームやアニメ(リンドウは剣盾初期までしか知らない)に出てこない博士や研究者とも繋がりが出来たのは大きいだろう。あと、ホワイトが探索道中にリコという内気な幼女と出会っていたり、リンドウとブルーは学会を抜け出したフリードという若い研究者とも仲良くなっていた。

名門であり、グラベル校長が学長と成ったグレープアカデミーとの繋がりが出来たのは大きいだろう。これからは合同で林間学校を行えたり、交換留学も行えるかも知れない。

 

 

 

 

 

 

リンドウを乗せた飛行機がメレメレ島国際空港に降り立っている頃、アローラリーグの委員長を務めるククイ博士はアローラリーグ開催に向けて激務に追われていた。

アローラリーグは記念すべき第一回の開催であり、参加制限は一切無し!!強いて言うなら他の地方のチャンピオンは参加でないであり、他のジムリーダーや四天王ももしかしたら観光序でに参戦する可能性も高い。それにアローラはパルデアと同じく、ポケモン所有に年齢の制限はない。故に十歳未満のトレーナーも参戦できる。遊び半分で参戦するアローラの方々は勿論のこと、マジと読んで本気と書いた他の地方の凄腕トレーナーも参戦してくるのだ。

 

「アローラリーグの希望者がすごい数だな」

 

アローラリーグへの参戦を希望しているトレーナーは、現時点で300人を超えている。アローラ各地は勿論のこと、同じ国内のイッシュから。リンドウが開催側とレッドの根回しそしてホワイトが参戦する為にニホンの各地方全土で放送が決定しており、ニホンの各地方であるカントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、リーグとしてはマイナーだがキタカミ(東北)やランセからも凄腕のトレーナーが集まるのだ。

いや、国内とニホンだけではない。リンドウ達学会組(特にホワイト)がパルデアで大暴れした為なのか、なんとグレープアカデミーの希望者と新たな教師陣が参戦を決意。更にはジムリーダーで有りながら視聴率確保の為にナンジャモが参戦を表明したのだ。なお、コメント欄では『またホワイトきゅんにぶっとばされるぞ!!コライドン兄貴がメガ進化修得したし!!』『ホワイトきゅんに唯一、地を着けさせたサトシの兄貴も居るんだぞ!!』と言われたとか。

 

「ククイ博士、手伝える事はないか?」

「ククイ君。大変そうね、私達にも出来ることはないかしら?」

 

リーグ開催に向けて多忙な日々を送るククイ博士に対し、同じく教師であるケイネ先生とサオリ先生が話し掛ける。

メレメレ島ポケモンスクールの教師はリーグ委員長であるククイ博士とホウエンチャンピオンであるリンドウを除き、全員が参戦を表明。つまり、ケイネ先生とサオリ先生もサトシ達と共にアローラチャンピオンの座をかけてバトルを繰り広げるのだ。

 

「サオリ先生にケイネ先生か。大丈夫だ、これはリーグ委員長としての仕事だからな」

 

現時点での優勝候補は次期シンオウチャンピオンであり、パルデアリーグ完全制圧を成し遂げたホワイト。そのホワイトに唯一、公式戦で勝利したサトシ。最強の女性トレーナーでありリンドウの嫁であるブルー。この3人がダントツでトップであるが、他にもホウエンリーグ優勝経験があるケイネ先生や我等がサオリ先生も言えるだろう。

 

「そうか。所で……優勝候補は?やっぱりサトシ達やホワイト君か?」

「そうだが、他にも沢山出てるな」

 

ククイ博士はケイネ先生の問いに対してそう告げて、トレーナーとしても優秀なククイ博士が個人的に思う優勝候補を纏めたメモをサオリ先生とケイネ先生に手渡した。

勿論そこにはサトシやブルー、ホワイトの名前が記されているが……他にも強いトレーナーの名前が記されていた。

 

我等が岩の妖精タケシ。タケシと共にサトシと旅をしたカスミ。女版リンドウと化したホウエンの舞姫ハルカ。サトシの初代ライバルであり、夢はポケモン博士のシゲル。カロスでのサトシのライバルであり、カロス四天王に内定しているアラン。等々の名高いトレーナーが参戦しているのだ。

リンドウとも縁が深いと言えば、ブラックのライバルのN、Nの秘書のリラ、モーン博士まで参戦するのだ。

 

「確か、ケイネ先生の所に新たに転校生来たわね?ウィロー博士の助手って言ってた」

「ああ、ネットて子でな。トレーナーとしての実力は非常に高くてな……私じゃ教えられる事が少ないんだよな」

「まあ、2学期からはホワイト君が学年は違えど、リンドウ君のクラスに入学するものね。ケイネ先生の所のチルノちゃんみたいに」

 

あと、ケイネ先生のクラスに全作品の原作知識をもつ外伝主人公が転入した模様。

 

「一応…リンドウ君がホワイト君に、予選のバトルロワイヤルでポケモンスクールの皆は狙わないでって言ってるけど……」

「俺もサトシ達にはバトルロワイヤルで御互いを潰さないようにと伝えてるけどな……」

 

果たして、バトルロワイヤルはどうなるの!?

アローラリーグの復習だが、予選は参加者全員参戦のバトルロワイヤル。バトルロワイヤルを生き延びた32名の猛者が本選トーナメントに出場。本選はアローラでポケモンを複数手持ちに入れている人が少ないので、今回は変則的と成っている。手持ちは決勝以外は3対3であり、相手の手持ちが少なければ相手の手持ちの数に合わせるという事に成っているのだ。決勝は両者の合意が有った場合は6対6のフルバトルとなる。なお、決勝戦はマナーロスタジアムではなく、ラナキラマウンテンの頂きにあるアローラリーグ本部のバトルフィールドで行われる。

 

Z技+メガ進化+絆変化のサトシ(ガチ)VSメガ進化+テラスタルのホワイト(覚醒済み)とのガチバトルがラナキラマウンテンのアローラリーグ本部で行われるまで、もう少し。

 

 

 

 

 

「ここは」

「ピカピ?」

 

サトシは気が付けば、今より栄えていないハウオリシティに立っていた。サトシはレッドやグリーンに修行を着けてもらって強くなっていたが、ポケモンスクールの側の森でカプ・コケコと遭遇したのだ。折角なので、強くなった自分達をカプ・コケコに見てもらいたくて勝負を挑もうとした。だが、その突如……幻のポケモンであるセレビィと遭遇。その結果、セレビィの力で時を超えてしまったのだ。

 

足元に落ちている新聞を見れば、今から約20年も昔だったのだ。

 

「20年前!?」

 

「あっ!!サトシのお兄ちゃんもこの時代に来たの?」

 

とホワイトの声が聞こえる。声の方を向いたサトシだったが、そこに居たのはサトシの知るホワイトと違って、5歳ほど成長し中3……14歳~15歳ぐらいとなったホワイト。そしてホワイトと共に行動する白髪の男性、帽子を被ったピカチュウ、内気な12歳程の少女、褐色肌で前髪が赤い10歳程の少年であった。

 

この後、ククイ博士の幼少期との遭遇も有る。




エクスプローラーズ終了のお知らせ!!


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127時限目 ドキドキ!?タイムスリップ!!

リコとロイ、フリード博士のゲスト登場!?


サトシはセレビィの力で、20年前のハウオリシティにタイムスリップしてしまった。だが、そこで同じくタイムスリップしたホワイト達と出会ったのだが、どうやらホワイトはサトシの知るホワイトと異なり成長(物理)しており身長もサトシより高く160cmは超えている。

 

「まあ、僕達はサトシお兄ちゃんより5年後の未来から飛ばされたからね」

 

とホワイト(15歳)は教えてくれた。ホワイト、そしてホワイトと共に行動している青年と少年少女はサトシが暮らしている5年後の未来からやって来たとの事で、此処から25年後の未来からやって来たのだ。

 

「そうなんだ。えーと……貴方は?」

「俺はフリード。一応はポケモン博士の称号をもつ、冒険家だ。ライジングボルテッカーズのリーダーをしていてな、此方は俺のパートナーのキャプテン・ピカチュウだ。キャップと呼んでくれ」

「ピカッ!!」

 

ホワイトと共に行動する青年はフリード博士。一応、ポケモン博士の称号をもつ研究者だが今は冒険家をしており、ライジングボルテッカーズという旅団を率いては世界を回っているとか。

そして帽子を被っているのはキャプテン・ピカチュウ。ライジングボルテッカーズからはキャップと呼ばれており、ライジングボルテッカーズの飛空艇 ブレイブアサギ号の艦長もしているのだ。

 

「はい、フリード博士!!宜しくお願いします」

「博士と言うのはやめてくれよ……」

 

あと、フリード博士は他人から博士と呼ばれるのは苦手なようだ。なのでホワイト達は博士呼びをしておらず、フリード呼びをしているのだ。

 

「そんで、此方は僕の弟分と妹分のロイとリコだよ」

「ロイです!!」

 

元気一杯な男の子はロイ。そして内気な少女はリコと言うようだ。

 

「わたしはリコです……(ほっ本物のアローラチャンピオン!?凄い……私、凄い人と生で会っちゃった!!)」

 

と心の中で思うリコちゃんであった。リコちゃんは少し内気な所があり、心の中で色々と思うことが有ったようだ。

 

「まあ、未来でのサトシお兄ちゃんは有名人だからね。リコとロイもお兄ちゃんの事を知ってるよ」

「いや、お前もどっこいどっこいだからな?」

 

サトシはまだ知らないが、5年後のサトシは世界的にも有名人と成っており、リーグでは無敗のアローラチャンピオンとして君臨しているのだ。とは言え、未来が変わってしまう恐れがあるのでフリード達はその事実をサトシに教えることが出来ない。

 

「所でホワイトは未来では何してるんだ?」

「リコちゃんのボディーガードをしながら、インターンでライジングボルテッカーズに所属してるんだ」

 

5年後のホワイトはインターンでライジングボルテッカーズに期間限定で所属しているとの事で、ライジングボルテッカーズの皆と共に世界中を回っているそうだ。

何でもホワイトは殆どのジュニアハイスクールでのカリキュラムを終えてしまい、後は色々有ってリモート授業を受けながらインターン生活を満喫しているのだ。

 

「セレビィの時渡りに巻き込まれてな……俺達もこの時代に来てしまった訳だ」

 

フリード博士が話す。何でもフリード博士、ホワイト、リコとロイ達もセレビィの時渡りに巻き込まれたそうでこの時代にやって来たようだ。

 

「だが、此処で問題がある。1つ、俺達の免許とトレーナーIDは使えない可能性がある」

 

フリード博士が問題点を上げてくれた。1つはフリード博士が持つ免許、そしてサトシもあるトレーナーIDが使えない可能性が高いのだ。何故ならこの場で最年長のフリード博士を含めてサトシ達はこの時代では産まれていないorトレーナーIDをゲット出来る年齢ではないので、トレーナーIDが使えないのだ。なのでポケモンセンターを使えない可能性が高い。回復マシンは使わせてくれるかも知れないが、少なくとも宿泊は出来ない。

 

「2つ、俺達の時代の現金は使えない。クレジットカードもだな」

 

2つ、金銭の問題だ。サトシのお小遣いとフリード博士達の現金とクレカはこの時代では使えない。お金には何年何月何日と発行された日付が記されており、残念だがサトシ達のお小遣いはこの時代では使えないのだ。

 

「3つ、セレビィを見付けないと元の時代に帰れない事だ」

 

そしてセレビィを見付けないと、元の時代に帰れない事だ。

お金は使えない、ポケセンの宿泊は使えない、トレーナーIDも使えない。まさに絶望的な状況であり、野宿をするしか無いのだが残念な事に今のサトシにキャンプセットはなくてサトシは素で野宿をするしか無いのだ。

 

「まあ、旅は道ずれだ。サトシ、この時代に共に居る間はブレイブアサギ号に来いよ!俺達は船ごと、この時代に来たからさ」

 

だが、フリード博士から助け船が出た。そう、ライジングボルテッカーズは母艦であるブレイブアサギ号ごとこの時代にタイムスリップしており、今はホワイトとキュレムの入れ知恵で搭載したステルス迷彩で隠して停泊してるとの事で、そこを拠点として使って良いと提案されたのだ。

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

「タメ口で良いさ。その方が楽だしな」

 

同じピカチュウをパートナーにしている為か、サトシとフリード博士は意気投合していた。

 

 

「もしもし?僕だけど、大急ぎでサトシお兄ちゃんがアローラチャンピオンだと分かる写真は急いで隠して」

 

なお、サトシに未来の事が悟られないようにホワイトはスマホロトムのアプリで、ブレイブアサギ号の仲間に連絡をいれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナンバ博士!!此処がアローラですね!!」

「ふむ。珍しいポケモンが沢山いる、そのポケモンを捕らえて新たな道具にするのも良いだろう」

 

だが、この時代はロケット団が健在だった時代だ。故に悪の組織としてのロケット団が悪事を働いていた時であり、20年前のアローラに危険が迫っていた。

 




ナンバ博士の運命はお察し下さい(笑)

次回はショタククイ博士の登場!?



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128時限目 サトシとライジングボルテッカーズ!!

5年後のホワイトの手持ちが明らかに!?


メレメレ島の某所にひっそりと着岸された飛空艇 ブレイブアサギ号。元を言えば漁船だったアサギ号を突貫作業で僅か数日という匠も真っ青な技術で建造された飛空艇である。電子制御で動いており、電子技術や知識がからっきしなフリード博士でも問題なく動かす事が出来る代物だが、残念な事に操舵や様々な事を電子制御に頼ってるので、電子制御に支障が出ると……旋回すら出来なくなってしまう弱点もある。

そんなブレイブアサギ号であるが、翼は変形してバトルフィールド&フリード博士のリザードンとキュレムそしてコライドンの着艦場に成ったりもする。なお、バトルフィールド展開時は落下防止のバリアーが張られるので落ちる心配は皆無だ。とは言え、ライドポケモンの着艦の瞬間はバリアーが一時的に解除されるのでその瞬間は落下の危険性が有るのだ。

 

「紹介するぜ。俺達、ライジングボルテッカーズの頼れる仲間だ!!」

 

ライジングボルテッカーズはリーダーのフリード、インターン学生のホワイト、艦長のキャプテンピカチュウことキャップ、見習いのロイとリコの他にも頼れる仲間がいるのだ。

 

「オリオよ、宜しくね。ライジングボルテッカーズの整備士をしてるの」

「メタァ!!」

 

先ずは1人目。ブレイブアサギ号の整備士を行う、オリオだ。なかなかのナイスバディの持ち主でフリードの幼馴染み。ブレイブアサギ号を僅か数日でスピード建築したのは彼女であり、パートナーはメタグロスだ。

 

「俺はマードックだ。此方はパートナーのイワンコ」

「ワン!!」

 

丸坊主頭でフォークやナイフの剃り混みがある大男はマードック。こう見えて女子力は非常に高く、料理の腕はサトシの歴代男性同行者に匹敵しており……ライジングボルテッカーズの食事面のサポートをしているコックさんだ。あと、他の女子力も非常に高く裁縫も得意。パートナーはイワンコだ。

 

「モリーよ。宜しく」

「ラッキー!!」

 

ジョーイさん一族特有のピンク色の髪をした若い女性。彼女はモリー、ブレイブアサギ号の船医をしておりクルーや同居しているポケモン達の体調管理を行っている。相棒のラッキーとは家にいた頃の付き合いで長い。

 

「あと、じっちゃんとドットが居るんだけど…ドットは出会えたらラッキーかな?」

 

そして後のクルーはジージロンの擬人化のような老人ランドウ。情報収集とYouTubeによる資金調達も担当するマードックの姪っ子ドットがいる。

ランドウはブレイブアサギ号の改造前であるアサギ号の所有者であり、普段は釣りをしたりして食料調達もしてくれている。そして深い意味の助言もしてくれる長老ポジションのお方である。

なお、ドットは出会えたらラッキーなキングメタルスライムのような出現確率であり、滅多に部屋から出てこない。

 

「僕も忘れたら困るっピよ!!」

「レッドさんのピッピ!?なんで!?」

 

あとサトシの驚きから分かると思うが、レッドのピッピことギエピーも乗船していた。実はと言うと、これには訳がある。

 

「実はな……5年後ではかつてのロケット団のように、悪事を働く秘密結社 エクスプローラーズという悪い組織が居るんだ」

 

フリード博士は教えてくれた。5年後の未来ではエクスプローラーズと呼ばれる、かつてのロケット団のように悪事を働く悪名高い秘密結社が居るのだ。

エクスプローラーズはリコの持つペンダントを狙っており、リコは彼等から狙われている。ホワイトが戦えばエクスプローラーズは瞬殺出来るが、エクスプローラーズの幹部の強さは四天王やジムリーダーの本気に匹敵する。フリード博士もバトルの腕は高いが、フリード博士とホワイト以外の船員のバトルの腕はそこまで高いとは言えない。その為に、レッドが派遣してくれたのだ……ギエピーの飯代を振り込みながらである。

 

 

『危機感が足りない。フリードとホワイトが居ない時、どうするんだ?』

 

とロケット団を単独で滅ぼした経験があるポケモンマスターが派遣してくれたのだ。そしてレッドのフシギバナは胃痛の原因が無くなり、思いっきりガッツポーズしたとか。

 

「後は善意で協力してくれる住み込みのポケモン達も居るな」

 

フリード博士の言うとおり、ブレイブアサギ号には住み込みのポケモン達も多く居る。例えばマグマッグは動力担当であり、ユキワラシは冷蔵庫、マホイップはお菓子作りを手伝ってくれている。なお、ノズパスは羅針盤の代わりを担ってくれる。だが、彼等は善意で協力して共生関係を結んでいるポケモンであり、危険には巻き込めない。

まあ、荒事は基本的に流派東方不敗を免許皆伝し、超人と成ったホワイトくん15歳とそのパートナー(バトル向け)あとフリード博士とギエピーが行ってくれる。

 

「サトシお兄ちゃん。僕のパートナー見る?あれから増えたよ」

「マジで!?見たいみたい!!」

 

5年も経てばホワイトの手持ちも当然ながら変化が起きる。レギュラーメンバーであるコライドン、イーブイ、ミロカロスは常に連れているが他のメンバーは入れ換えて使うのだ。なお、有事の際は保護者 キュレム・オリジンが降臨する。

 

「皆!!集合だよ!!」

 

ホワイトが叫ぶ。すると、ホワイトの腰に提げたボールが開いてパートナーが飛び出したり、ブレイブアサギ号の奥から控えのパートナーが次々と出てきた。

イーブイ、ミロカロス、コライドン、カイロスさん、キュレム・オリジンの何時ものメンバーは勿論のこと、前からパートナーだったアーマーガア、シンオウウォーグル、シンオウメガニウムが出てくるがまだまだ停まらない。

 

「ニャー」

 

マスカーニャ。これはホワイトがパルデアで捕まえたニャオハが進化したのだろう。

 

「ぐぅおおん」

 

小柄な♂のガブリアス。ガブリアスはシンオウ地方を始め、様々な地域に生息している。世界を旅すれば出会える頻度はかなり高いだろう。

 

「ぽにおー!!」

「なに!?このポケモン!?」

 

次に出てきたのは鬼を何処か彷彿させる超絶可愛い草タイプのポケモン。羽織を羽織ったような子供とも見れ、瞳は星形に輝いている。

気になったサトシはロトム図鑑が居ないので、スマホの図鑑アプリでスキャンするがerror。つまりサトシの時代では認知されていないポケモンだったのだ。

 

「さっサトシさ……じゃなくてサトシ!!私のスマホロトムなら見れます!!」

 

リコが自身のスマホロトムの図鑑をサトシに見せてくれた。そのポケモンはオーガポン、ニホンの東北ことキタカミの伝承に伝わるポケモンであり……原生地はパルデア地方やカロス地方である。だが、非常に珍しいポケモンである事は変わらない。

 

「可愛いでしょ?僕がアローラポケモンスクールに入学した後、林間学校で友情ゲットしたんだ!!ニックネームはぽにちゃんだよ」

「ぽにー!!」

 

ニックネームはぽにちゃんである。何でも被ったお面でタイプが変わるそうで、ホワイトはぽにちゃんの性格もあるのかバトルよりコンテストで使ってるとか。む?キタカミでの林間学校?第2の劇場版を待て。

 

「ガメガァア!!」

「なんか、カメックスに似た怪獣が来た!?」

 

今度は転生者+異世界転移者のショウならば「リアルガメラおるぅぅ!!」と叫びたく成るようなカメックスをリアル怪獣チックにして黒い甲羅を持つポケモン。

 

「この子はカメックスだよ。ちょっと特殊なリージョンフォームだけど。因みにブルーお姉さんのカメちゃんとリンドウ先生のレウスの子供」

 

ホワイトはそのガメラをカメックスと呼んだ。リコが見せてくれた未来の図鑑でもカメックス(エリアゼロ)の姿と称される。タイプは水・炎の複合タイプのようだ。

図鑑を編集したのはリンドウであり、リンドウはポケモンが進化する場合周囲の環境に合わせる事があると論文で発表しており、アローラガラガラや原種ガラガラの分岐の仕組みも発表している。

ガメラカメックスと原種カメックスの分岐だが、カメールが恐竜時代の環境が残るエリアゼロで進化した事を受けて、恐竜時代の遺伝子が表面に出てパラドックスポケモンに近くなったと考えられるのだ。

なお、進化した訳はインターン3日目の時に、立ち入り禁止バリアーが消えたエリアゼロに無断侵入して救難信号を出した迷惑系YouTuberを救助するためにリンドウ、ホワイト、フリードで乗り込んだのが切っ掛けだ。

 

「位かな?後はおばあちゃん家にレジエレキとラプラスが居るぐらいかな?」

「レジエレキってなに!?」

 

ホワイト、色々と捕まえていた。

 

「さてと、顔合わせを済んだし。元の時代に戻るための作戦会議だな」

 

キングメタル扱いのドットは別として、フリード博士が主体と成って作戦会議が始まった。

 

「マードック。食料の貯蔵は?」

「今は問題ないが、多いことには越したことはない。だが、育ち盛りの子供が4人、もう1人増えたこととピッピも居ることだ」

 

人間が生きるためにはご飯も大事だ。ポケモンはモンスターボールの中に入れば代謝機能が低下するので、食料は多少は節約できるが……居候のポケモン達はボールに入ってないのでご飯は必要だ。

サトシは育ち盛り、リコとロイも育ち盛り、ホワイト(15歳)も食べる食べる。子供達の発育の為に食料は多い方が良いだろう。

 

「オリオ。船の状態は?」

「問題なし。タイムスリップしたけど、特に損傷はないわ。ネットに繋がらないのは仕方がないけど、時代が時代だからね」

 

ブレイブアサギ号は特に損傷無し。タイムスリップしても有事はなかった。だが、インターネットやGPSに接続できない。これはまだインターネットが普及していない時代だから仕方がないだろう。

 

「よし。サトシ、ルガルガンは連れてるか?」

「ああ!!連れてるよフリード!!」

「だったらルガルガンはブレイブアサギ号の外ではボールから出すなよ?ルガルガンはアローラの人々に親しまれている。その新たな姿が出たら、インターネットに疎くても島中で広まってしまうからな」

 

サトシはルガルガンを出すことがNGと成ってしまった。無理もないだろう。サトシのルガルガンは新種の姿であり、この時代では発見されていない。まだ観光地と成っていないメレメレ島と言えど、直ぐにルガルガン黄昏の姿の事は広まってしまう。

 

「分かったよ…」

「ホワイトもキュレムを連れていくなよ。コライドンやカメックスは誤魔化せるが、流石にキュレムは目立ちすぎる」

 

そしてホワイトもキュレム・オリジンの連れ歩きはダメと成ってしまった。仕方あるまい。

 

「あと、俺も含めてだが…………この時代でポケモンに乗って移動するのはダメだぞ」

 

そしてライドポケモンに乗るのは禁止だ。アローラは法律で許可されたライドポケモン以外の騎乗は法律で禁止されており、サトシ達は元の時代では許可を貰ってるがこの時代では当然ながら許可を貰っていない。しかもライドポケモンをレンタルする為に必要なIDも使えないので、レンタルも出来ない。自転車or歩きしか無いのだ。

 

 

 

「金の玉を売って金策するしかないよね」

 

ミーティングから少し休憩をとり、サトシはホワイト、リコ、ロイそしてフリード博士と共に昔のハウオリシティを探索していた。お金が無いのならば作ればよい、ライジングボルテッカーズで集めていた換金アイテムを売ってお金を作り、食料や珈琲等の嗜好品、傷薬等の消耗品の調達も行うのだ。

なお、連れているポケモンだが。サトシはピカチュウ、ルカリオ、ルガルガン、モクロー、ニャヒートである。ホワイトはイーブイ、コライドン、ミロカロス、カイロスさん、ガメラカメックス、マスカーニャ。リコはニャオハとミブリム。ロイはホゲータとカイデン。フリードはリザードンである。

 

各々の連れ歩きとしてはサトシがピカチュウ、ホワイトがイーブイ、リコが手持ち全部、ロイがホゲータ、フリードはリザードンだ。

 

「あっ!!珍しいポケモンが居る!!」

 

ふと、サトシは此方を指差す誰かに気付く。それは幼い少年……ククイ博士そっくりの幼子だった。その幼子はニャビーを連れていたのだ。

 

(もしかしてククイ博士!?)

 

「ククイ、行くわよ」

「うん!!」

 

そしてショタククイ博士は母親と思われる人に連れられて、何処かに消えた。

 

だが……その時だった。

 

「お前ら!!!動くな!!ここはロケット団が占拠した!!」

 

銃声が響き、懐かしきマフィア ロケット団が現れたのだ。ロケット団は数人で行動しており、アーボックやコラッタ(ニホン)等のポケモンを出したり、機関銃を構えては人々を威圧していた。突然の銃声で人々はパニックに成るが、

 

「ダサい格好だね……コスプレ?」

「おい、ホワイト!!」

 

だが、古代ウルガモスこと師匠ウルガモスとコライドンに流派東方不敗を叩き込まれたホワイトは違った。腰からモンスターボールに手をかけ、ニヤリと笑みを浮かべてロケット団を挑発する。

 

「ガキが……分からせてやれ!!ラッタ!!」

 

ロケット団はラッタを繰り出した。

 

「カメックス?ARE YOU READY?レッツショータイム!!」

 

ホワイトはカメックス(エリアゼロの姿)を繰り出した。

 

「カメックス。プラズマ烈火球!スライダーで」

 

プラズマと呼ばれる現象がある。プラズマは水蒸気等の気体に高熱を加えて加熱する事で発生する自然現象であり、ざっくり言えば太陽や雷である。

ガメラカメックスは体内でプラズマを産み出し、プラズマと火炎放射を組み合わせてプラズマを帯びた火炎弾……プラズマ烈火球を精製して口から解き放つ。しかも、それはガメラカメックスが下で変化球の回転を加えたのだろう……高速スライダーと成って側面からラッタに直撃して一撃で倒してしまった。

 

「「へ?」」

「ねえ、おじさん。このラッタに愛情注いでないでしょ?バレバレだよ」

「ちっ!!やれ!!アーボック!!」

 

今度はアーボックが襲ってきた!!

 

「カメックス。バニシングフィスト!!」

 

ガメラカメックスの右腕がプラズマと火炎に包まれる。これは炎のパンチ……いや違う。メガトンパンチにガメラカメックスが持つ水蒸気の超加熱、プラズマ生成と炎技を組み合わせた……じしんパンチのような派生技。

 

そしてガメラカメックスはその拳をアーボックの腹部に叩きつけ、爆炎と共にアーボックは一撃で戦闘不能に追い込まれてロケット団の所まで吹き飛ばされた。

 

「レッドおじちゃんとリンドウ先生の教えその3!!ロケット団はサーチアンドデストローイ!!

カメックス!!水蒸気大爆発!!芸術は……爆発だ!!」

「ガメ!!」

 

ガメラカメックスの肩部の甲羅が開き、鱗に包まれた2問の大砲砲身が出現する。そしてガメラカメックスは大砲からハイドロポンプを解き放ち、口から火炎放射を解き放つ。その2つがロケット団に当たった瞬間、水蒸気爆発が起こり、ロケット団のご一行は一撃で粉砕された。

 

 

 

 

 

 

「なんだ!?何が起きた!?」

 

爆炎が吹き上がり、ナンバ博士の乗った戦艦は沈没しようとしていた。

 

「ヤロー……許さないっピ!!ロケット団は粉砕してやるっピ!!」

『安心しろ。殺しはしない』

 

ナンバ博士、キュレム・オリジンとギエピーの手で粉砕される。なお、キュレム・オリジンとギエピーはナンバ博士達のカメラに補足されることなく、慣れた手付きで証拠を残さずにお仕置きを済ませた。




次回はセレビィを探して探索開始!!

サトシ「モクローのお腹の調子が悪いみたいで……」
モリー「モクローを含め、一部の鳥ポケモンは消化を助けるために胃の中に小石を入れてるんだ」

モクローの好きな石も探すことに?

フリード「まて、サトシ!!その石はかわらずの石だ!」
リコ&ロイ「かわらずの石?」
サトシ「もしかして……」
ホワイト「進化できないって事だよ!!」
リコ、ロイ、サトシ「吐き出せ!!」
モクロー「いやっぽー!!」

モクロー……進化を辞めるってよ(笑)


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129時限目 夕飯を食べよう

夕飯を食べよう。


その日の夜。ホワイト(15歳)が理不尽で圧倒的な強さでロケット団を粉砕した後、周りの人達やまだ数少ない観光客も唖然としたが無事に当時の現金を換金でき、更に嗜好品や消耗品もゲット出来たサトシとライジングボルテッカーズ。

 

「ナリヤ!!なんだ……あのカメックスを恐竜化させたようなポケモンは!?炎技を使ったぞ!!写真を撮りたいが、もう何処かに行ってしまった!!」

「ユキナリ。それは残念ネンドール!!」

「てか、俺より間違いなく強い。笑えないぐらいでな」

「ポケモンリーグチャンピオンのお前よりも!?」

 

なお、その現場に従兄弟に会いに来ていたアラフォーなオーキド博士、同じくアラフォーなオーキド校長の若かりし頃がホワイトの蹂躙を見ていたが気にしてはいけない。

 

 

無事にお使いを完了させたサトシとライジングボルテッカーズ。だが、動けばお腹が空いてしまう。しかし、今日の夕飯はサトシとピカチュウ、他のパートナー達の歓迎も含めてか豪華な夕食となるようでサトシは物凄く楽しみだ。

 

「夕飯どうなんだろう?楽しみだな!!」

「いっぱい用意してるから安心しろ!!俺達は過去でサトシに会ってるから、サトシが大食いだって知ってるしな」

 

だが、サトシの料理センスはご存知ダークマター製造器レベル。アニメ原作ではククイ博士不在の中、料理をして激マズ料理を作った事があるのだ。

今のご時世では仕方がない所もあるだろう。ポケモントレーナーとして全国各地のジム巡りをしたり、コンテスト巡りをしたりなど様々な目的があるがトレーナーはポケモンセンターに停まれば美味しい料理を食べられるし、今はインスタント食品の味も向上している。料理が下手でも充分に生きられる時代となったのだ。

 

なのでメシマズなサトシはフリード博士と共に待機であり、フリード博士やライジングボルテッカーズのメンバーが撮影した珍しい写真を眺めていた。勿論、サトシ=アローラチャンピオンと判別できる写真は全力でオリオとマードック、そしておじいさん……ランドウが隠した。

 

「サトシ……お前、アローラリーグに出る寸前じゃないのか?」

「なんで分かるの!?」

「実はな……アローラリーグに俺とオリオは出てるんだよ。俺の心に炎を灯す切っ掛けの1人、ホワイトが出るって聞いてな。あと、コライドンの事を知ってるし……キュレムの姿に驚いてなかったしな」

 

実はと言うとフリード博士やオリオはサトシがアローラリーグ開催寸前の時から来たことをある程度察していたのだ。何故ならフリード博士とオリオもアローラリーグに参戦しており、結果はお察しな感じだったが魔境に成ったのだから仕方がない。何十人ものエリートトレーナーとベテラントレーナーが予選で粉砕されたのだから。

 

「結果はさんざんだったけどな」

 

フリードはそう告げて、スマホロトムに1枚の写真画像を見せる。そこには飛びっきりな笑顔を浮かべてVサインをするホワイト(10歳)を挟み、フリード博士とオリオ、そしてホワイトの保護者であるシロナとヒカリが写っていた。

なんでもフリードは結成されたばかりのライジングボルテッカーズと共に参戦を決意。ブレイブアサギ号の処女航海でアローラに飛んできて参戦したが、結果はお察し下さい。当時のメンバーはフリード、キャップ、オリオ、ランドウの僅か3人+1匹だけであった。当時のご飯はレトルトやフリードとオリオの作る簡単な食事、ランドウの漁師飯だったとか。

 

「それに対して、ホワイトは圧倒的な実力で決勝まで進出だ。だけど……そのホワイトの()()()()()でさえ決勝は……いやなんでもない。だけど、アレを生で見れたのは人生の宝物だな」

「ホワイトに匹敵するトレーナーが?パルデア地方の一番強いチャンピオンや、シロナさんより強いホワイトを倒す人がアローラリーグに!?」

「それは俺の口からは言えないな?だが、一歩間違えればその人もホワイトに負けてたな」

 

サトシにはその言葉が自分に告げられている気がしてきたのだ。

 

「俺からその人に言えるのは……全てを出し切れ。出し切れなかったら間違いなくホワイトに負けるぞってな」

 

サトシが何かを言い返そうとした時だった。

 

「ご飯出来たよ~ほら集合集合!!」

「旨いもん沢山作ったぞ!!ほら、ウィングデッキに集まれ!」

 

館内放送でホワイトの声とマードックの声が響く。因みにウィングデッキとは、翼が変形したバトルフィールドor発着場の事である。

 

 

ウィングデッキことバトルフィールドに移動したサトシ達。そこではアローラの月明かりと満天の星空に照らされた夜空が綺麗であり、サトシとフリードがやって来た時にははぐれメタル的な遭遇率となったドットを除いたライジングボルテッカーズのメンバー全員と様々な居候のポケモン達が勢揃いしていたのだ。

 

今日のご飯はカレー、パエリア、ハンバーグ等々の子供が好きそうな物が沢山だ。

 

「美味しい!!このカレー……なんだろう、タケシを思い出す!!」

「それ作ったのホワイトだぞ」

 

「このパエリア……デントに近いけど、なんだか少し違う!!野菜や海鮮の旨味が滲み出てる!!」

「それも作ったのホワイトだぞ」

 

「ふっふーん!!リンドウ先生とタケシ、デントから料理教わったんだ!!」

 

ホワイトがどうして料理を勉強したのか?それはカンナギタウンのお婆ちゃん家、シロナの実家に滞在した時だった。シロナさんは完璧美女だと思われているが、私生活は物凄くだらしないとして有名だ。料理はダークマターなので、冷蔵庫の中にはジュースとアイスしか入っていない。3食全て外食であり……『あれ?このままじゃホワイトもシロナの影響受けて、メシマズにならね?それはさせぬ!!』と決意したキュレムパパのお陰である。

お陰様でホワイトはタケシからはカレー、デントからはパエリア、リンドウからは基本的に色々教わったのだ。む?なんでリンドウからもだって?サトシはまだ知らないが、ホワイトはポケモンスクールの中等部卒業まで別荘ではなく、リンドウ先生に預けられた為だ。俗に言う、ククイ博士とサトシのような関係だろう。

 

「沢山食べな。成長期は沢山食べないと、背が延びないぞ」

 

医師でもあるモリーがサトシに御代わりを促す。確かに沢山食べないと背も大きく延びないし、身体も大きくならないのだから。

 

「そうそう、せめてフリードを越える位大きくならないとね!!ホワイトはこのまま行けばフリードより大きくなりそうだし、ロイとリコはこれからだしね」

 

オリオにも言われて、サトシはガツガツとご飯を食べる。

 

サトシに釣られてか、サトシのパートナー達も沢山ご飯を食べる。だが、どういう分けかモクローは普段と比べて食欲が無いのか、食べる速度が遅い。

 

「サトシ。君のモクローは石を食べたことはあるか?」

「モリーさん!?いや、食べてないですよ!」

「だからか。モクローを含めた一部の鳥ポケモンやその進化系は消化を助けるために、胃の中に小石を貯めるんだ」

 

モリーはモクローの食欲不振の原因を直ぐ様見抜き、サトシに教えてくれた。

鳥ポケモンは歯がなく、嘴だ。物を租借するのは苦手であり、丸のみが多い。そんな鳥ポケモンの多くは胃の中に胃石と呼ばれる石を溜め込み、この石で胃に入れた食べ物を磨り潰して消化をしやすくするのだ。それは現実の鳥にも見られる事である。

 

「モクローの今後の為にも、胃石になりそうな丸い石を探した方が良いかもな」

「はい!!それじゃあ、明日はそうします!!」

 

だが、サトシは知らない。このお陰で、モクローは進化出来なくなってしまうことを!!永遠に可愛いモクローに成ることを!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作5年後のある日(リコ&ロイ時系列)

 

「だからサトシさんのモクロー、進化できないんだね」

 

ライジングボルテッカーズが未来のアローラに降り立ち、リコは未来のサトシのモクローだけなんで進化しないのか悟るのだった。

 

「ホワイト。帰ってきて早々だが、ブルーベリー学園から招待状が届いてる。リコも連れてこいって書いてあるな……」

「リンドウ先生。罠かな?」

「その場合は捩じ伏せてやれ、俺も行く」

 

あと、ホワイトとリコ宛にブルーベリー学園に来ないか?と招待状が届いていた。

キタカミ林間で、史実以上に強さを欲するあまり拗らせたスグリ君との再会も迫る。




スグリ(中等部)「うへへ、友達出来た……サトシ、ホワイト、リンゴアメ食べる?」→スグリ「ホワイトは特別なんだな……だから強いんだ」→スグリ「オーガポンは俺がパートナーにする。俺と戦えよ、ホワイト。お前にオーガポンは渡さない!!」

魔改造?スグリ(高等部)「待っていろよ、ホワイト……サトシ……力こそが全てだ。だから、それ以外は捨てた。Ineedmorepower!!」

此処でのスグリくん、一般ポケモン化伝説(ヒードラン、ラティオス、ミラコラ、フリーザー、サンダー、ファイヤー)やちゅうポケばっかに成りそう!!

次回!!ライジングボルテッカーズとの別れからの、アローラリーグ開幕!!


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130時限目 始めよう……アローラのリーグを!!

魔境アローラ、始まる


1週間後。サトシがライジングボルテッカーズと別れて、無事に未来に戻れた後だった。

 

「オーキド博士!俺が決勝に上がれたら、アイツ等を連れてきて下さい!!」

『うむ。分かった。なに、当日はワシも応援に行くからの!!』

 

サトシは本気でアローラの頂点を取りに行く。ポケモントレーナーとして旅に出てから早2年の月日が流れたが、オーキド博士に歴代のメンバーの召集をお願いしていたのだ。アローラリーグは間違いなく激戦と成るだろう、記念すべき第一回開催という事も有ってか、大勢のアローラの人々が参戦を決意しているし……なによりアローラの外からも大勢の参加者が集まっている。他の地方のジムリーダーからベテラントレーナー、エリートトレーナーと言った凄腕のトレーナーも集まるのだ。

 

『所でサトシ……メルタンは元気かの?』

 

メルタン……それはリンドウがブルーとホワイトと共にパルデアの学会に行っている間、サトシが見つけた謎のポケモンだ。新種かと思われたが、学校でウィロー博士が発表したポケモンであり……世にも珍しいポケモンだったのだ。タイプは鋼単体であり、鉄分を主な食料にしているのだ。

 

「はい!!元気ですよ…………家のフライパン食べてましたけど」

『そうか……まあ、元気ならよいじゃろう(本当ならワシも出場したかったんじゃがの)』

 

だが、オーキド博士はかつては凄腕のトレーナーであり、ポケモンリーグチャンピオン(オーキド博士現役時はニホンのリーグはカントーだけ)だった。その為にトレーナーとしての血が騒ぎだして、本気で出場を考えたほどなのだ。

 

 

そしてアローラリーグ当日。

 

マナーロスタジアム。そのゲスト席にリンドウはブラック、レッド、ダンデと共に座っていた。む?シロナさんはどうしたかって?シロナさんは観客席で愛息子の応援である。

 

「なんだろう……無性にイヤな予感がしてきた」

「イヤな予感ってなんだよ?」

 

リンドウはどういう訳か、イヤな予感がしてきたのだ。そのイヤな予感とは誰かが死んだりとかそう言うイヤな予感ではなく、少しギャグよりで誰かが大暴れしそうな予感である。リンドウ個人としては是非とも教え子達には活躍してほしいが、様々な地方から凄腕のトレーナーが集っているためにどうなるかは分からない。

 

『これより、記念すべき第一回アローラリーグを開始する!!今回は沢山の人に集まってもらった。なので、予選はバトルロワイヤル形式で、32名になるまで戦ってもらう。

予選で使えるパートナーは1匹だけだ。30秒後に始めるぞ!!』

 

リーグ委員長であるククイ博士が告げ、集った300人以上のパートナーは各々のパートナーをボールから出していく。

 

「よし、行くぞピカチュウ!!」

「ピカピ!!」

 

サトシが選んだのは勿論、旅立から共に行動をしている頼れるパートナーのピカチュウだ。

 

「えっ?」

 

だが、次の瞬間……サトシは我が目を疑った。

 

「よし、返り討ちにしてやるぞ!!」

 

カキはバシャーモを繰り出してメガ進化させていた。いや、カキだけではない。アセロラもゲンガーを出してメガ進化をしているし、マーマネもライボルトをメガ進化させており、マオもジュカインを出してメガ進化させている。だが、この4人はまだ可愛い方であった。

 

「ほしぐもちゃん。蹂躙の時間ですよ」

 

リーリエはなんの抵抗もなく、ソルガレオをボールから呼び出した。

 

「さあ、カイオーガ。始めよう……私達の戦いを」

 

スイレンも当然の如く、カイオーガを降臨させる。

カイオーガ出てくるわ、ソルガレオが出てくるわ。何も知らずに他の地方からやって来たエリートトレーナーやベテラントレーナーは驚く。だが、それだけで収まるわけがなかった!!

 

「さて、ゼクロム。準備は良いかな?」

「ラティオス。貴方もよ」

 

Nが最初からゼクロムを降臨させて準備は播但。Nの秘書のリラお姉さんもメガラティオスを繰り出しており、これは本当に予選ですかと言いたげだった。

 

「マッシブーン!!プロテインの補給はバッチリだな!!」

「muscle」

 

モーン博士も切札であるマッシブーンが鍛え上げられた大胸筋を、モストマスキュラーで披露している。此方も準備は万端である!!

 

「さあ、カメちゃん。蹂躙の時間よ」

 

ブルーお姉さんは指の関節をボキボキと鳴らして、メガカメックスを降臨させた。目指すは夫妻でチャンピオン!!ママでもチャンピオン!!……ママでチャンピオンはシロナお姉様に先を超されたが、まだ問題はない。

 

「サトシは準備はOK?」

「セレナ、俺は大丈夫…………えっ?」

 

セレナ、お前もか。そこ言葉がサトシの脳裏に浮かぶ。何故ならセレナはディアンシーを繰り出しており、メガ進化させていたのだ。メガコライドンと同じく種族値700の暴力が敵を粉砕させるのだ!!

 

「サトシお兄ちゃーん!!」

「ホワイト……お前のはアウトだろぉぉお!!」

 

なお、ホワイトはキュレム・オリジンを出しておりキュレム・オリジンの背中に跨がっている。この天災10歳、最初から保護者を出しており手加減の手すらも知らないようだ。

 

『それじゃ……アローラリーグスタート!!』

 

次の瞬間……カイオーガ、ソルガレオ、キュレム・オリジン、ゼクロム、マッシブーン(muscle補正)、数多のメガ進化ポケモンの皆様の手で他の地方からやって来たベテラントレーナーとエリートトレーナーは粉砕された。




次回、サトシツッコミのアローラリーグ予選。メガ進化ポケモンと伝説のポケモンが大暴れ!!


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131時限目 こうしてアローラは魔境と成った

コロナに感染して昨日まで瀕死でした(笑)


歴史に語られ、数多のトレーナーが「アローラ?彼処は魔境だから観光だけにしておけ!!」と半泣きになりながら告げた伝説の予選 バトルロワイヤルを見ていこう。

アローラリーグの予選は記念すべき第一回の大会と言う事も有ってか、遊び半分や面白そうという理由で参加した現地人や観光客、そして優勝を目指して参戦したのは良いが予選で粉砕されたベテラントレーナーとエリートトレーナーさんの悲劇であった。

 

「どーもどーも!珍獣ハンターイモトです!!」

「皆の者!!何者なんじゃ?ナンジャモでーす!!」

 

YouTubeの動画を撮影しながら、ナンジャモ……そしてナンジャモンジャTVにゲスト出演する事となった珍獣ハンターイモトは全速力でパートナーであるアローラナッシーとハラバリーを連れて逃げていた。

別に逃げるのは悪くない。バトルロワイヤルは最後の32人に成るまで生き残れば良いのだから、戦うのも良し……誰かと手を組んで優先的に優勝候補を潰すのも良し……戦わずに逃げ続けてやり過ごすのも良いのだから。

 

「マジふざけるなよ!!これ、予選が一番地獄じゃんかよ!!」

「死んじゃうよ!!バズる為に参戦したのに死んじゃうよ!!」

 

逃げ続けるイモトとナンジャモ。2人の背後では……

 

『オラオラオラオラオラオラオラ!!』

『muscle!!muscle!!muscle!!』

 

Nのゼクロムとモーン博士のマッシブーンがオラオラッシュとmusclパワーによるラッシュ対決が行われており、その余りの余波で数多のベテラントレーナーとエリートトレーナーのパートナー達が巻き込まれており、彼等の周辺にいたチャレンジャーは次々とリタイアに成っていく。

 

「ぐぅぁあ!!」

 

「ひでぶ!!」

 

「きっきんにくめ!!」

 

マッシブーンとゼクロムの戦いに巻き込まれ、リタイアしたペアだけでも30名ほど居ており、多くのベテラントレーナーとエリートトレーナーが倒されてしまった。

 

「良い?皆、自分達が生き延びる事を考えなさい!!」

 

中には記念すべき事なので、遠路はるばるパルデアから参加したご一行も含まれている。それはリンドウと愉快な学会の仲間達+サオリ先生が腐敗を一掃させたグレープアカデミーからの希望者とグレープアカデミーの新教師陣が参戦を決意してくれたのだ。グレープアカデミーとはこの縁を用いて、これからもメレメレ島ポケモンスクールと友好的な関係を築いて行く為にも良いだろう。

 

「ルッカ先生!!」

「大丈夫よ……事前にホワイトくんには此方を狙わないようにと伝えてるから、巻き添えさえ気を付けたら……」

 

グレープアカデミーの新たな教師達はほぼ全員がバトルの腕が高いと言えるだろう。校長のクラベルは勿論のこと、クラベルの付き添いで教師となった図鑑アプリの開発者であるジニア先生、そしてオーリム博士の所で手伝いしながらであるが薬学の教員と成ったパルデアチャンピオンランク保有者 ウォロも参戦しているのだ。

教師陣で参戦したのはクラベル、ジニア、ウォロ、ルッカ(リコのママ)、体育のキハダ先生、歴史のレホール先生、家庭科のサワロ先生が参戦しているのだ。

 

「バトルロワイヤルだから生き延びれば惨めでもOK。ウォロ先生!!生徒達が1人でも本選に出れるように、1人でも多く倒してくれよ!!」

「キハダ先生!?そう言うなら、キハダ先生も戦ってくれませんかね!?さっきから自分しか戦ってませんよ!?」

 

グレープアカデミーご一行は出来るだけ固まって行動していた。別々で別れて行動しても良いが、別々で行動すると生徒をいざって時に助ける事が出来ないので集団で動いているのだ。

 

「ガブリアス!!ドラゴンクロー!!」

「ぐぅおお!!」

 

現在、グレープアカデミー最高戦力であるウォロがガブリアスを繰り出して最前線で子供達を守りながら戦っている。なお、ウォロだけで現時点で16人ほどのトレーナーとそのパートナーを倒している。

 

「しかし……数が多いですね」

「ウォロ、ガブリアス。ワガハイとブリムオンで回復させましょう、ブリムオン、いやしのはどう!!」

 

同時に集団で行動するという事は何時でも手を差し伸べて援護できるという事である。

ドラゴンボールのパラガスやサリーちゃんのパパを彷彿させる、お髭がダンディーで筋骨隆々な大男 サワロ先生がパートナーのブリムオンに指示を出して、ウォロのガブリアスを回復させる。

 

「助かりました、サワロ先生」

「お互い様ですぞ。ウォロ先生は我々の代わりに最前線で戦ってるでは有りませんか」

 

「ほんげー!!」

 

1人のグレープアカデミーの生徒の声が響く。その生徒のパートナーは誰かに倒されてしまったようだ。

 

「後ろからですか!?」

「此方は大丈夫だから、ウォロ先生は前から来る相手を倒してちょうだい!!」

 

黄色のイキリンコを出しているルッカ先生が告げる。1人の生徒は倒されてしまったが、覚悟して参戦したトレーナーだ。出来るだけ自分で自分の身は守るしか無いのだろう。

 

 

 

「優勝候補のホワイトは此処で倒すぞ!!」

「卑怯とは言うまいな……」

「すまないな、これはバトルロワイヤルなんでな!!」

 

バトルロワイヤルに卑怯なんて言葉はない。誰かと手を組むのも良し、孤独に戦うのも良し、逃げ続けるのも良し……好きに戦うのも良いだろう。そして集団で手を組み、1人では絶対に勝てない優勝候補を此処で倒すのも良いだろう。事実、数名のベテラントレーナーが手を組んではホワイトとキュレム・オリジンにレイドバトルを仕掛けていたのだ。

 

「えい」

「「「うんぎゃー!!!」」」

 

だが、パルデアでの冒険を終えて覚醒を果たした才禍の怪物ホワイトを停めることが出来ず、ベテラントレーナーとエリートトレーナーはキュレム・オリジンの攻撃の前に粉砕された。因みにホワイトはキュレムの背に跨がっており、危ないかも知れないが……彼としては此処は核シェルターより安全なのだろう。

 

「ホワイト!?なんでキュレムを出したの!?そこはせめて、コライドンとミロカロスだろ!?」

「ピカ!!」

 

そんなホワイトに向けて、サトシが叫ぶ。確かにホワイトにはキュレムの他にもコライドン(この作品では600族扱い)やミロカロスと言ったエース達が勢揃いしている。彼等を使っても良かったはずなのだが……

 

「だって、此処でしかキュレム使えないじゃん」

 

とホワイトは告げた。ホワイトは他のリーグでもキュレムは使っていない。それに今回のアローラリーグは記念すべき第一回であり、お祭りとしての側面もある。なので、ホワイトは場を楽しませる目的も含めてキュレム・オリジンを降臨させたのだ。

 

「それに僕さ、襲ってきた人しか攻撃してないよ?お兄ちゃんも頑張ってね?」

「おおう……やりすぎるなよ」

「ピカ」

 

だが、やりすぎてるのはホワイトだけではない!!ホワイトは襲ってきた人しか攻撃を加えてないが、他のメンバーはと言うと……

 

「さあ!!ほしぐもちゃん!!メテオドライブ!!」

 

「カイオーガ!!根源の波動!!」

 

リーリエとスイレンという普段から伝説のポケモンを使っている2人のパートナーの手で、数多のトレーナー達とそのパートナーが吹き飛んでいく。この2人はホワイトと違って此方から攻撃を加えているから、より危ない!!

 

「リーリエ、スイレン!?やりすぎだよ!!」

 

サトシがツッコミを入れながら叫ぶ。

 

「よぉ……サトシ……」

「シゲル!?」

 

今度は全身ズタボロで満身創痍と成ったシゲルとカメックスが現れた。

 

「アローラは…………魔境なんだな」

「ガメ……」

「しっかりしろ!!此処を生き延びたら本選に出れるんだから!!」

 

リーリエ&スイレンのソルガレオとカイオーガの力で粉砕されるトレーナーの皆さん、カキやブルーお姉さん達のメガ進化したパートナーの力でぶっ飛ばされるトレーナーの皆さん。アローラは正に、魔境と成り果てていたのだ。

 

「後は頼んだぜ、サトシ」

「ガメガ……」

「シゲルぅぅぅう!?」

 

シゲルくん、力尽きる。リタイアであった。

 

 

 

「なあ、ダンデ……これ予選だよな?なに?この神話大戦みたいな絵図……」

「俺に言われてもな……お前、教え子魔改造しすぎじゃね!?」

 

伝説のポケモンが大暴れするわ、メガ進化ポケモンが大暴れするわ、muscleが大暴れするわ、凄い光景が広がっていた。

 

「いや、リンドウさんとダンデさんも人のこと言えないでしょ。シロナさんなら文句言っても良いかも知れませんけど」

 

リンドウ手持ちにグラードン入ってる、ダンデ手持ちにムゲンダイナ入っている。はい、この2人は目の前の地獄に文句を言う資格は有りません。

 

「お前はまだ本当の気合いパンチを知らない。カイリキー!!気合いパンチよ!!」

「リッキー!!」

 

そしてサオリ先生のカイリキーが解き放った気合いパンチの一撃が、マオの兄であるウルのベロリンガの顔面に直撃して絶大なダメージを与える。勿論、ワンパンであった。

 

 

地獄の予選、アローラ=魔境と決め付けるには充分の予選が終了した。

 

予選通過者

1サトシ

2ブルー

3ホワイト

4カキ

5スイレン

6マーマネ

7マオ

8アセロラ

9リーリエ

10セレナ

11ウォロ

12ハルカ

13タケシ

14カスミ

15モーン博士

16ルザミーネ

17グラジオ

18サオリ先生

19クラベル校長

20アラン

21N

22リラ

23ムサシ

24コジロウ

25フリード

26珍獣ハンターイモト

27レホール

28ペパー

29ビワ

30サワロ

31ネット(外伝主人公)

32ジニア

 

 

「ククイ博士。イリマ達はどうした!?」

「それが……イリマとクズマ、ジムリーダーに内定しているメンバーはNとモーン博士のオラオラオラオララッシュに巻き込まれたり、伝説のポケモンの流れ弾に巻き込まれたりしたそうだ」

 

結論、アローラリーグの予選突破には運も必要のようだ。その結果、来年度からはバトルロワイヤルは廃止に成る模様。

 

 




次回は予選を終えて。まだお肌がピチピチのフリード博士が出てくるよ



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132時限目 予選を終えて

予選を終えたサトシ達。


アローラリーグ予選を終えて、マナーロスタジアムの大規模バトルフィールドは現在進行形で急ピッチによる整地が行われていた。その間、惜しくも予選敗退してしまったチャレンジャーはパートナーの傷を癒したり……気持ちを切り替えて観戦や観光を楽しんだりしている。元々、マナーロスタジアムのあるマナーロアイランドはバトルの無い時は観光地としても使えるように、中にはショッピングモールや食べ歩きを楽しむために様々な飲食店が並んでいるのだ。

 

「くやしいです!!」

 

と久し振りに出てきたヒロキことあばれる君。原作アニメと違ってドロバンコがバンバドロに進化してたり、アローラゴローニャを手持ちに加えてたりと大幅なパワーアップを成し遂げた彼であったが、残念な事に予選を敗退してしまったのだ。原作アニメのアローラリーグなら良いところまで行ったかも知れない、だが……此処はリンドウが介入した結果……様々な因果が関係して魔境となったアローラ。残念な事に、粉砕されてしまったのだ。

 

「私だって悔しいわ!!」

 

あと、あばれる君の担任であるケイネ先生も悔しそうに嘆いた。ケイネ先生はホウエンリーグ優勝経験もあり、優勝候補と目された。しかし、残念な事に予選敗退してしまった。ケイネ先生のクラスは全員がアローラリーグに参戦したが、残念な事に担任のケイネ先生を含めてほぼ全員が予選敗退。唯一、教え子で決勝に進出したのは全ての原作知識を持つ外伝主人公のネットだけであった。

 

「どなどなどな~~ホワイトきゅんにフルボッコにされるの次は、謎の記憶喪失イケメン薬剤師ウォロにフルボッコにされ、今度は流れ弾で吹っ飛ばされたよ~」

 

ナンジャモちゃん、残念ながら予選敗退となる。パルデアのジムリーダーとして、優れた腕前を披露しようとした。しかし、アローラは魔境と成り果てており……バトルロワイヤルでは伝説のポケモンやメガ進化ポケモンの必殺技が四方八方から飛び交う地獄絵図。ナンジャモちゃんは珍獣ハンターイモトと共に命辛々逃げ出そうとしたが、流れ弾に当たってしまいワンパンKO。

今はパートナーのハラバリーのダメージも癒えて、今はマナーロスタジアムの芝生席でハラバリーと座りながらコーラを飲み、雑談配信を行っている。ホワイトきゅんパルデア制圧RTAのお陰でチャンネルの登録者数もシビルドル登りと成っているが、アローラで知名度は低いのだろう。ナンジャモちゃんをチラッと見てもアローラの方々は通り過ぎていく。

 

「こうなったら……アローラリーグの本選トーナメントを実況だよ!!ハラバリー!!」

「バリバリィ!!」

 

ナンジャモちゃん、アローラリーグのYouTube実況を決意する。果たして、ナンジャモちゃんはアローラでも人気をゲット出来るのか!?

 

 

「ホワイトくんはネタに走ると思ってましたけど……アローラはやっぱり凄いですね」

「ウォロ先生。そう言ってる場合では有りませんよ……」

 

グレープアカデミーご一行。彼等は傷付いたパートナーの回復を終えて、芝生席に大きくビニールシートを引いて場所を確保して陣地を形成していた。

グレープアカデミーはホワイトやリンドウと出会った事、グレープアカデミーの腐敗をリンドウやサオリ先生の活躍で正してくれた事も有ってか、進んでアローラリーグへの参戦を表明。だが……いざ出てみれば新教師陣で本選に出れたのはウォロ、クラベル校長、ジニア、レホール、サワロしか居らず、生徒で本選に出れたのはペパーとビワ位であった。

グレープアカデミーは件の腐敗を受けて教職員を総入れ替えを行った。昔から岩タイプのジムリーダーであったタイム先生が新たに教頭先生に赴任、更に人格一応問題なしと判断されてバトルの腕が立つ人物や教師としての経験があるパルデア在住の人を新たな教員に選んだのだ。

 

「ふふふ……パルデアには見られない伝説のポケモンが多く居るな……興味が湧いてきたよ!!」

 

という褐色美女はレホール先生。知識欲や願望が凄そうな歴史の先生であり、バトルの腕も一定量はある。

 

「やっぱり、パルデアと違ってアローラはバトルの腕前が凄いね……」

 

「ホワイトくんも前の大会では優勝できなかったそうなんだって。その大会ではサトシって人が優勝したそうだよ」

 

スター団やペパーと言った、ホワイトと共にパルデアの大地を満喫していたグレープアカデミーの学生達も参戦したが残念ながら本選に参戦できたのはペパーとビワだけだった。

 

「行けると思ったんですけど……」

「アギャッス……」

 

あと、スレッタが手持ちにミライドンを加えていた。このミライドンは古代ムウマと古代ウルガモスと共にミモザに保護されていたミライドンである。

 

 

 

 

「さてと、お前達!!色々ツッコミたい所有ったけど……本選トーナメント出場おめでとう!!此処からが本番だぞ」

 

一方その頃。リンドウは無事に本選トーナメント出場を決めた教え子達+ブルーとホワイトの所にやって来ていた。

まあ、予選バトルロワイヤルでのハチャメチャはアレだったのだが、見事にサトシ達は本選出場を決めた。

 

(リーリエとスイレンの大暴れで犠牲に成ったチャレンジャーには心の中で謝ろう)

 

と、リンドウは心の中でリーリエとスイレンの大暴れで犠牲成ったor流れ弾で犠牲となったチャレンジャーに心で謝るのだった。遠路遥々、南国のアローラでポケモンリーグが開かれるという事もあって参戦したのは良いが、可愛そうな事にソルガレオとカイオーガに粉砕されたり、メテオドライブや根源の波動の流れ弾を受けてしまったり……どう転んでも同情しかない。

 

だが……今度は運よりも実力が物を言う本選トーナメントが始まる。32人で争うので、1度勝てばベスト16、もう1度勝てばベスト8、更に勝てばベスト4、それが終わればいよいよラナキラマウンテンのリーグ本部で決勝戦である。

 

「全てを出し切れ……勝負だから勝ち負けはある、だけど後悔だけはするな!!」

「「「はい!!」」」

 

サトシの戦いが始まるのだった。

 

 

サトシの1回戦 VSイモト

 

「おら!!行くぞ!!ナッシー!!」

「リザードン、火炎放射!!」

「ナッシーィィイ!!」

 

珍獣ハンター……瞬殺!!普段からのリンドウブートキャンプ及びリンドウがパルデア滞在中のレッド&グリーンブートキャンプを潜り抜けたサトシの相手ではなかった。




外伝の更新が長いこと止まってるようで、アローラ編が終ってからネット君やウィロー博士御一行どうしようか……

次回……サトシ、準決勝までかけ登るってよ


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133時限目 サトシ、決勝に出るってよ

コロナは……ただの風邪ではない


勝者が出れば敗者も同じく存在する。なに、難しい話ではない。ポケモンリーグという戦いの事を考えればそう言う事だ。

毎年、セキエイ高原で行われるカントーリーグは予選から500人以上の凄腕のポケモントレーナーが集結しては頂点を求めて戦い合う。それはカントーリーグだけではなく、ジョウトリーグ、ホウエンリーグ、シンオウリーグと言ったニホン国内の様々なリーグは勿論のことイッシュリーグやカロスリーグと言った国外……海外の地方も同じだと言えるだろう。

 

「これ、お祭り気分で参加した参加者の方々……後悔して無かったら良いんだけどな?」

 

来賓席でリンドウは大きく溜め息を吐き出した。アローラリーグは来年から毎年開催される事と成ったのだが、残念な事に普通の参加者からすれば大惨事な結果と成ってしまう事は間違いないだろう。伝説のポケモンはノリノリで降臨するわ、メガ進化したポケモンは大暴れするわと、大惨事も大惨事!!ちょっと一般参加のアローラ住民とグレープアカデミーから興味本位の参加した生徒には本気で同情したくなった。む?エリートトレーナーとベテラントレーナー?知らんな。

 

本選ではキュレム・オリジンというチートは降臨することは無かったが、それでもカイオーガとソルガレオは何食わぬ顔で降臨しては大暴れしている。トーナメントは進むごとに参加者が半分に減っていき、今は既に16名の参加者がリタイアしているし、これからどんどん減っていく。そして最終的には僅か2人だけと成ってアローラリーグ本部の上で頂上決戦が始まるのだった。

 

「どうなるか分からんな……」

 

サトシがいるグループとホワイトが居るグループは別であり、この2人は決勝に進むまで戦うことはない。リンドウからすれば誰が勝っても可笑しくはない戦いであり、個人的には誰にでも優勝してほしいとは思っている。旗から見た感じではダントツの才能の頂点に立つホワイト、次点でベテランのブルー、そしてレッド&グリーンブートキャンプを受けたサトシが勝つのでは?とも期待していたのだ。

 

その時だった。

 

「リンドウさん。来客です」

「来客?俺に?」

「はい」

 

リンドウに来客が来たとリーグスタッフが話しかけ、リンドウはリーグスタッフに案内されて来賓席を出る。そこでは……パルデアでちょろっと出会って少しだけ話したフリード博士(まだお肌ピチピチ)と同じく少しだけ若いオリオが居たのだ……とは言え、オリオの手持ちのメタグロスには進化してなかったのか、この現代ではまだメタングであった。

 

「フリードじゃないか!」

「ホワイトにはさっき会ってきましたよ。実は俺達、今は冒険家としてライジングボルテッカーズをしてるんですよ」

 

フリードは語る。何でも最近、ライジングボルテッカーズという冒険家集団を結成。フリードの知人だったライドウという漁師の老人が持っていた漁船 アサギ号をフリードの幼馴染みでカイナシティの造船所で働いていたオリオが僅か数日で飛行艇ブレイブアサギ号に改造。現在はフリード、オリオ、ライドウの3人とそのパートナーで冒険家集団ライジングボルテッカーズを結成して世界中を飛び回ってるとか。

 

「そうか、冒険家か……楽しそうだな」

 

なお、今から約5年後にこのライジングボルテッカーズにインターンとして、ホワイトを託するのは内緒である。

 

「なんだ!?あのポケモン!?」

 

「レックウザがメガ進化!?」

 

「おいおいおい……なんなんだよ……なんだ!?あのぶっ壊れわ!!」

 

突如として騒がしくなる。何事かと思い、リンドウはバトルフィールドを見る。確か、この時間はサトシの決勝をかけた戦い……準決勝が行われている筈だったのだが。

 

「ふぁぁぁあ!?なんじゃありゃぁぁあ!!てか、レックウザなんか引き連れたトレーナーなんか居たか!?」

 

そこにはメガレックウザ……いや違う。それとは別の風の化身がそこには居たのは。リンドウだって剣楯未満のポケモンはそこそこやり込んでいたので、メガレックウザは勿論のこと知っている。だが、それはメガレックウザではなく他の進化系だったのだ。

 

「レックウザなんか手持ちに入れたトレーナー居たか!?」

 

直ぐ様、電光掲示板でサトシの相手を確認するリンドウ。その相手は外伝主人公ことネットであった。メガレックウザ?いや、これはゲンシカイキしたレックウザとの事で、詳しくは外伝に出てきている。

ゲンシレックウザは圧倒的な強さでサトシのリザードンを瞬く間に倒した。電光掲示板では既にサトシはルカリオ、リザードンが倒されており残りはゲッコウガだけだ。

それに対してネットは2体のパートナーが倒されており、残りはゲンシレックウザただ1人。

 

だが、サトシはなんとか満身創痍に成ってしまったがZ技を使って勝つことが出来た。

 

サトシ、決勝進出である。

 

 

 

「ハハハハ……負けてもこんなに清々しく成ったのはいつ以来かしらね?」

 

ブルーお姉さん。ホワイト相手に負けて、決勝進出はホワイトに決まった。

ブルーとしては負けるのは分かっていた。パルデアの旅路で、この天才で天災な少年の成長を見守っていた。パルデアでの過酷で笑いあり?な激動の2週間の宝探しはホワイトの殻を幾つも破り、ブルーより高みにしてしまった。宝探しを行う前から、メガ進化とキュレムを使わずにシロナを倒すのだから当然だろう。

 

その時だった。空から突如としてウルトラホールが開き、腕も口となったとても大きな口を持つウルトラビースト アクジキングが現れたのだ。

 

「大丈夫かね!?君たち!!」

 

だが、ブルーとホワイトの手持ちが疲弊している今では危険だ。速やかにロイヤルマスクに変身したククイ博士……ゲフンゲフン!!ロイヤルマスクがガオガエンと共に救援に来たのだ。

 

「大丈夫だよ……えーと、ククイ博士だよね」

「ノンノンノン!!私はロイヤルマスクだよ!?」

 

ククイ博士、ロイヤルマスクだとホワイトに看破される。だが、此処で認めてしまえば全世界にロイヤルマスク=ククイ博士だとバレてしまう。それだけは防ぐ必要があるのだ。

 

「ホワイト、ロイヤルマスクもお金とか色々あるのよ」

「そうなんだ!」

「余計ね事を吹き込まないでくれないかね!?それより、君達は避難を……」

『その必要はない』

 

空からキュレム・オリジンが現れた!!キュレム・オリジンはドラゴンテールの一撃でアクジキングを打ち上げ、口から爆光として熱線を解き放ち、アクジキングは……

 

「ア゛ーーーー!!」

 

な声を出してウルトラホールを潜り帰っていった。しかし、キュレム・オリジンがそこそこの力で熱線ぶっぱした為なのだろう。ロイヤルマスクの仮面は吹き飛んでおり、素顔がバレバレだったのだ。

 

「「やっぱりククイ博士だ(ね)」」

「ノォォォオーー!!」

 

明日の一面、ロイヤルマスク=ククイ博士であるに決定である。




次回……決戦……決戦は完全ノーカットでお送りします

サトシ「ククイ博士から許可は貰ったから何でも良いってよ。特別枠+本気の6体だ!!」
ホワイト「OK!!」



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予告?皆が楽しみなキタカミの里 時系列2年後

キタカミの里の予告


予告 キタカミの里はアローラ在住の3人のチート……内訳 教師でポケモン博士で序でにホウエンチャンピオン1人、ジュニアハイスクール2年生でアローラチャンピオン、ジュニアスクール6年生で次期シンオウチャンピオンでジョウトとパルデアを完全鎮圧させた才禍の怪物の3人+アルファで林間学校に向かうお話である。

 

「喜べ。キタカミ……ニホンの東北の事だな。シンオウとカントーの間の地方で林間学校を行うことが決まった。但し、抽選でな……このクラスでは2人だけ参加と成っちまった!」

 

リンドウ先生のクラスから2名、林間学校に特別参加が決定!?但し林間学校は他のクラスからも参加者が集うためか、リンドウのクラスからは2名だけと成ってしまった。リンドウのクラスはサトシ達ジュニアハイスクールとホワイト単独のジュニアスクールの組と成っておりそこから2人だ。

 

「「「よし、ホワイトに譲ろう」」」

「えっ?やったー!!」

 

枠の一つはクラスのお姉さんお兄さん達の優しさでホワイトに決まり、もう1つはくじ引きでサトシに決まった。

 

林間学校は他の学校と合同で行うらしい。パルデアのグレープアカデミー、イッシュのブルーベリー学園そしてアローラのメレメレ島ポケモンスクールの合計3校が参加するのだ。

 

飛行機でカントーに飛び、そこからは空港でグレープアカデミーのグループとブルーベリー学園のグループと合流してバスで移動だ。

 

「「「宜しくお願いします!!」」」

「ヴァイオレットです!宜しくお願いします」

「宜しくですよ」

 

グレープアカデミーからはメガネをかけたツッコミ出来そうな青年生徒、お姉さんのような生徒、ショタっ子のような生徒、ミライドンを連れた新しいパルデアチャンピオンランク保有者のヴァイオレット、引率でウォロだ。

 

「私はブライア。ブルーベリー学園で教師をしてるんだ」

 

そして超が着く程の御立派な胸を持ったブルーベリー学園の教師 ブライア先生。なんでもエリアゼロを過去に探検したヘザーの末裔だとか。

ブライア先生が言うには、ブルーベリー学園からの参加生徒はキタカミ出身の事で、先に林間学校が行われるスイリョクタウンに行ってるとか。

 

バスで揺られること数時間、遂にキタカミに到着し、更にバスを乗り換えることスイリョクタウンに到着した。

 

「気分が優れないよ……」

 

だが、グレープアカデミーのショタボーイが体調を崩してしまう!?

 

「ウォロ。薬は?」

「調合しようにも、税関の都合で木の実と薬草は持ってきてません」

「なるほど、分かった。それじゃあ、生徒達を頼む。ホワイト、行くぞ」

「OK!!」

 

なのでリンドウはミライドンを出し、ホワイトもコライドンを出してスイリョクタウンの公民館に向かって全力ライド!!

 

「おっと!!余所者は入れないよ?どうしてもって言うなら私と勝負ね!!スグリ、貴方も手伝いなさい!!」

「なんでだよ姉ちゃん……」

 

キタカミ出身のゼイユとスグリの姉弟が勝負を挑んできた!!

 

「時間がない……ボスやれ」

「ゴーカイロスさん」

「なによ!?その珍虫!!」

 

キタカミの里にはカイロスは居ないらしい(笑)

 

なんやかんやあって、始まる林間学校。

 

「おっ俺と組んでくれべ……」

 

林間学校は2人ペアで行動するようで、ホワイトはなんの縁かスグリと組むことと成ったのだ。

 

 

キタカミの里には鬼が住まうと言われている。

 

「ぽにー」

 

その鬼を命と引き換えに追い返したと言われる、ともっこと呼ばれる三匹の英雄 イイネイヌ、マシマシラ、キチキギスは丁重に祭られている。

スイリョクタウンではこの3匹を称えてか、お祭りが行われている。

 

「ぽにーお!?」

「落としたよ?」

 

その祭りにはお面で素顔を隠した、可愛い鬼が遊びに来るそうだ。サトシとリンドウとはぐれてしまったホワイトはゼイユと共に、その鬼と出会う。

 

「その鬼は……いや……ポケモンはオーガポンだ」

 

ゼイユとスグリの祖父はともっことオーガポンの事件の真相を御先祖から語り継がれており、真実をホワイト、ゼイユ、リンドウとサトシに話す。

オーガポンは数百年前に1人のパルデア人の男性と共に、キタカミに流れ着いた。だが、迫害されてしまい……ゼイユの御先祖が哀れだと思いお面をプレゼント。お面のお陰か、町の人々にも受け入れられた……だが、お面を狙ったともっこの手で男性は殺された。激怒したオーガポンは残されたお面を被り、ともっこを殺した。しかし、事情を知らない村人はともっこを正義の味方、オーガポンを悪としたのだ。

 

 

「ヌンダフル!!」

 

「マシー!!」

 

「キチチ!!」

 

そして甦るともっこ!!ともっこはオーガポンに襲いかかる!!

 

「おい……ともっこよ」

「お前達!!」

「甦った事を後悔させてやるわ」

「ねぇ……いじめはダメって倣わなかったの?」

「事情は察しました。手伝いますよ」

「俺も手伝いますよ」

 

だが、ともっこをぶちのめす為にサトシ、ホワイト、ゼイユ、そしてリンドウ、途中から合流したウォロとヴァイオレットもやって来てともっこをフルボッコ!!

 

「ちっ!!逃げやがった!!」

 

「ぽにー」

 

オーガポンの保護に成功したリンドウ達。だが、ともっこには逃げられた。

 

マシマシラ「ふふふ……村人がたくさん飯を食わしてくれたぜ!!」

 

イイネイヌ「秘伝スパイスたっぷりのご飯だ!!勇気元気百倍よ!!」

 

キチキギス「私の美しさも更に高まったわぁぁ!!」

 

しかし、何も知らない村人の手でともっこがウルトラ強化!?

 

だけど……

 

リンドウ「レウス……加減はするな。メガ進化してじしんだ」

 

ホワイト「コライドン……全力でガイアインパクト」

 

察してください!!

 

イイネイヌ「そうじゃ……そうじゃ……ワシらは……メガリザードンとメガコライドンの手で」

 

マシマシラ「犬とキジも倒された!!ただ人間1人殺したぐらうで……血も涙もねぇぇえ!!」

 

キチキギス「救いは……ともっこに救いは……救いはねぇのか!!このままじゃ俺ら……死……死んで!!」

 

こう言う事である。

 

ともっこはフルボッコし、全てが終ったあと。

 

「ぽにおー!!」

 

オーガポンはホワイトと別れたくないようで、ホワイトのポケモンに成りたいようだった。ホワイトがオーガポンを捕まえようとした瞬間、そのボールがスグリの手で弾かれる。

 

「まてよ……オーガポンは俺が先に好きに成ったんだ……俺の方がオーガポンに相応しい……俺だってオーガポンと一緒に居たいんだよ!!」

 

スグリは我慢できなかった……オーガポンが誰かのパートナーに成ることが。

 

「そんな考えだからオーガポンは振り向かないんだよ。スグリ……お前、ポケモンは法律上は所有物扱いだがな……所有物じゃ無いんだよ!!家族なんだよ!!良いか!?ポケモンの気持ちが揃って、本当の意味でパートナーに成れるんだ。オーガポンの気持ちをお前は考えたか?考えてないだろ!!自分の気持ちでしか考えてないだろ!!」

 

始まるリンドウのガチ説教。

 

「スグリ……オオタチはどうした?爺さんの所にも居なかったし、お前はボックスは何処使ってる?」

「はっ!?スグリ……嘘でしょ」

 

「それがどうかしたの?ホワイト……俺と戦えよ、勝った方がオーガポンのパートナーだ」

「ぽにぃ……」

「ねぇ、スグリ。オーガポン怯えてるよ?なんでそうなったの?」

「黙れよ!!特別なお前には分からない話なんだよ!!良いから戦えよ!!オーガポンを賭けてな!!」

 

どうなるの!?

 

 

 

 

「俺に従え、猿ども。待っていろ……ホワイト」

「マッシー!?」

 

闇墜ちした男の運命は!?




まあ、5年後ホワイトがオーガポン捕まえてるので、結末はお察し!!


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134時限目 激突!!アローラリーグ決勝!!

アッセイ!!


1段、1段、また1段とサトシは階段を昇る。この階段を昇りきったら、アローラリーグ本部の屋上バトルステージ……アローラで最も天に近いと言われるラナキラマウンテンの天辺に到達する。

 

「ピカピ!」

「分かってるよ、ピカチュウ」

 

アローラの天辺で行われるのは文字通り、アローラ同士の天辺対決。いや、アローラだけでは収まらない。ニホンが誇る天才十代同士の世界最強の子供同士で行われる究極のポケモンバトルだ。

カントー地方マサラタウン出身ポケモンマスターレッドの従兄弟であり、ホウエンチャンピオンリンドウの教え子 サトシ。カントー→ジョウト→ホウエン→シンオウから海外に渡りイッシュ→カロス→アローラへとやって来たサトシのアローラでの集大成が此処で発揮されるのだ。

 

「よっ…」

 

階段をどれほど昇ったのだろうか?最後の階段の先にある扉、その扉の前ではサトシの恩師でありアローラでポケモンバトルのノウハウは勿論のこと、様々なポケモンの知識やポケモンと人々の関係や接し方等を教えてくれた恩師が待っていた。

 

「リンドウ先生」

 

リンドウは階段の上からサトシとピカチュウを見下ろし、サトシとピカチュウとの出会いから今までを思い出す。

リンドウにとって前世ではサトシとピカチュウはアニメでのヒーローだった。前世リンドウの幼い頃からアニメ ポケットモンスターは放送されており、当時からサトシとピカチュウは子供達に多くの夢を与えてきた。そしてリンドウがこの世界に産まれ落ちてからも、サトシとピカチュウという名コンビが与えてきた事はリンドウの中から消えない。

 

(お前が居てくれたからこそ前世からポケモンを好きになれた)

 

アローラに来てから沢山の事を勉強してくれた。強くなることは勿論のこと、強くなることよりも絶対に大事なポケモンとの接し方や過ごし方もサトシは他の子供達と楽しく学んでくれた。

サトシがトレーナーに成ってから早2年。サトシはもう新米トレーナーではなく、サトシの後からも旅立ってきた多くのトレーナーの先輩の1人となった。事実、サトシは同じクラスの友達に意見交換としてバトルに関しては積極的に意見を出したり、他のクラスの子供達にもアドバイスを送ってきた。

 

(強くなったなサトシ)

 

「サトシ……そしてピカチュウ達。お前達が今から戦うのは唯の天才じゃない。才能だけならレッドを越えているいっちゃ悪いがイレギュラーだ、ドミナントだ」

 

サトシがこれから戦うのは再来月からサトシのクラスメートとなり、同時にサトシの後輩となるポケモントレーナーだ。

その素質ははっきりいってドミナント、イレギュラー、才禍の怪物、最も才能に愛された天才児と……次々と言葉が出てくる程のトレーナーだ。旅に出てから半年と経っておらず、それなのにジョウト地方のバッジ全てを手に入れ、コンテストのマスターランクまで登り詰め、シンオウ地方の殿堂入りを成し遂げ、そしてパルデア地方を完全制圧して5秒だけパルデアトップチャンピオンと成っていた男だ。

 

「だけどな……ポケモンに素質は関係無い。可愛いポケモン、カッコ良いポケモン、強いポケモン、バトルが苦手なポケモン、沢山のポケモンがいる。だが、これだけは言える。世の中、千匹以上……いやリージョンフォームとか未発見のポケモンも含めると数え切れない程のポケモンが居るが、本当に強いトレーナーは自分の好きなポケモンを使って強くなっている」

 

「さあ、行け。そして自分達の全てをぶつけてこい。立場上……俺は片方だけに肩を貸すことは出来ない。

さあ、1人は入学前だがアローラ頂上決戦!!そしてメレメレ島ポケモンスクール最強決定戦!!リンドウクラス最強決定戦を決めてこい!!」

「はい!!」

「ピカ!!」

 

リンドウの隣を通りすぎ、サトシとピカチュウは扉を潜り抜ける。

 

少し薄暗い階段を昇りきり、太陽が真上に輝くバトルフィールド。バトルフィールドを四方から囲う観客席には満席で、大勢の人々がアローラ……いやサトシと縁のある人も含めれば世界中から集っていたのだ。

 

「サトシ!!負けたら承知しないわよ!!」

「そうだぞ!!サトシ!!」

「頑張れよ、サトシ!!」

 

カスミ、タケシ、ケンジ

 

「サトシ!サトシなら勝てるかも!!」

「サトシ!絶対にチャンピオンに成ってね!!来年、僕絶対に挑戦するから!!」

 

ハルカ、マサト

 

「ホワイトとサトシ……どっち応援したら良いの!!」

 

ヒカリ

 

「サトシ!!私、四天王候補に選ばれたから!!サトシもチャンピオンになりなさい!!」

「サトシ!!ホワイトは強いけど、君なら勝てるよ!」

 

アイリス、デント

 

「サトシなら行けるよ!!ホワイトがどんなに強くたって!」

「サトシ」

「サトシ!!」

 

セレナ、シトロン、ユーリカ

 

「サトシ!!此処まで来たなら優勝だぞ!!」

「そうだよ!!打ち上げの準備は任せて!!」

「サトシ、僕達の分まで!!」

「サトシ!!私達の分まで!!」

「勝ってください!!」

「サトシ~アセロラちゃんの仇をとって!!」

 

カキ、マオ、マーマネ、スイレン、リーリエ、アセロラ

 

サトシと共に旅をしたり、学んできた仲間達がサトシを応援する。

 

「ああ……そして来たか」

 

唯でさえ此処は雲より高い山頂に作られたバトルフィールド兼リーグ本部。その頂より高く、紅い彗星が空を横切った。その彗星はギュゥン!!と方向を急転換させて此方……バトルフィールドに向けて高速で堕ちてくる。そしてその彗星は逆噴射を決めて、周囲に被害を出すこと無く降り立った。

 

「やあ、お兄ちゃん」

 

それはパルデアでの冒険を終えて常時完全体と成っているキュレム・オリジン。そしてキュレムに育てられている、今……もっとも強いトレーナーの1人 古代イッシュ出身(厳密には並行世界)、イッシュ育ち本籍はシンオウ地方カンナギタウンのホワイトである。

 

ホワイトはキュレムから降りる。ホワイトの腰にはライドポケモンを含めて、腰に7つのモンスターボールがセットされている。1つはキュレムの物であり、後はバトルで使うものだろう。

 

『さあ、此処でお待ちかねの選手が揃ったな!!決勝はフルバトル……なんだが!!なんと普段はバトルで使えない伝説のポケモンを含めた7対7の特別フルバトルで行うぞ!!

とは言え、リーグ公認試合と成るから伝説のポケモン同士のバトルは勝敗に関係無い。だけど、盛り上がること間違いなしだ!!』

 

決勝は本人同士の意向によりフルバトルで行われる。だが、折角の決勝だ。どうせなら完全体キュレムも見てみたいと思った人達も多い。そこでククイ博士ことリーグ委員長は考えた。特別に枠を1つ増やし、その枠で完全体キュレムVS伝説のポケモンとすることにしたのだ。

リーグ公認試合なので、特別枠のキュレム・オリジンVS伝説のポケモンはエキシビション扱いと成ってしまうが別に良いだろう。

 

「じゃあ、キュレム?レッツショータイム!!」

『良かろう』

 

翼を広げ、発動機が起動してキュレム・オリジンがバトルフィールドに降り立った。

 

「良し……出番だぞ!!ミュウツー!!」

 

サトシは考えた。キュレム・オリジンと互角に戦うことが出来る伝説のポケモンを、ギラティナはタイプ相性が悪い。アルセウスを呼ぶと頂上決戦でアローラが大変なことに成る。そこでサトシはレッドと相談した、その結果……とあるミュウツーをレッドから譲り受けたのだ。

 

『おおぅ圧政者よ、汝を包容せん』

 

ミュウツー・マサラの姿が再びアローラに顕現された。

 

「「「おまえかーーーーい!!」」」

 

そしてミュウツー・マサラの姿を知る人々から一斉に、ツッコミが響いた!!

 

アローラリーグ決勝戦……スタート!!




次回、ツッコミククイ博士、解説リンドウによるミュウツー・マサラの姿VSキュレム・オリジン


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アローラ神話決戦!! 筋肉VS英雄の保護者

スグリくん……本当に闇落ちしてるみたいになっとるやんけぇぇぇ!!


そのミュウツーは筋肉(マッスル)だった。

 

『アッセイ!!』

 

逞しい二の腕!!

 

『アッセイ!!』

 

見るものを魅力する、分厚い鍛え上げられた胸板!!

 

『アッセイ!!』

 

銃弾どころか破壊光線すら通さない、極限まで鍛えぬかれた腹直筋!!

 

『アッセイ!!』

 

太く、逞しく!!女性のウエストよりも遥かに太い脚部!!

 

『アッセイ!!』

 

そして全身の動作を行うのに必要な広背筋は、限界まで鍛え上げられてパンプアップしており、殴る!!蹴る!!走る!!跳ぶ!!その全てでフル稼働することが出来るのだ!!

 

「「「おまえかーーい!!」」」

 

実況席に居るリンドウ、そして観客席に居るオーキド博士やサトシのこれ迄の仲間達が一斉に叫ぶようにツッコミを入れた。

だって、この伝説のmuscleであるミュウツー(マサラの姿)が来るなんて誰が予想できたのだろうか?多くの観客はてっきり、ギラティナやアルセウスを出してくるのだろうと期待していた。だが、よくよく考えればアルセウス(ミワセウス)はマジもののチートであるし……ギラティナはタイプ相性と戦闘力は完全体に戻ったキュレム・オリジン相手には余りにもパワー不足。だからと言って、この筋肉の英雄であるスパルタクスに憑依されたミュウツー・マサラの姿を出すのはいかがな物だろうか?

 

『お前がくるんかーい!』

 

同じく、アルセウスが来るだろうと思って身構えていたホワイトの鬼札であり、保護者のキュレム・オリジンもミュウツー・マサラの姿ことスパさんミュウツーが来るとは1ミリも思っておらず、出てきたミュウツー(マサラの姿)を見て驚いてしまった。

 

「うわ、筋肉のおじさんだ!」

 

ピクピクと大胸筋を動かすスパさんミュウツーを見て、サトシの相手である天災少年 ホワイトきゅんは眼を輝かせる。思春期を迎えていない、この10歳の少年には筋肉の化身は輝いて見えてしまったのだろう。

 

「「「お願いだから、ホワイトはああはならないでね!?」」」

 

アローラスクール組とヒカリが懇願するように、ホワイトに向けて言う。確かにこの天災少年が頑張って筋トレばかりしてしまったら、こうなってしまう恐れが僅かにあるから仕方がないだろう。

 

だが、このスパさんは果たして……怒りパワーで戦闘力が限界突破していたとは言え、邪神を一方的にボコボコにしたキュレム・オリジン相手に戦えるのだろうか?

それはご安心を、何故なら……スパさんミュウツーは日頃から激しいワークアウトを繰り返しており、なんとキーストーンやメガストーンの力を介さずに

 

『アッセイ!!』

「「「メガシンカした!?」」」

 

メガシンカを使うことが出来るのだ。しかも自力で。

スパさんミュウツーこと、ミュウツー・マサラの姿がメガシンカを果たした姿は、メガミュウツーXであり格闘タイプが追加されて攻撃力の種族値が物凄く上昇しているのだ。

 

スパさんはメガシンカを果たした。これで準備は完了だ。

 

『では……これよりアローラリーグ決勝を行います!!

手持ちは特別枠の伝説のポケモン+6体による、エキシビション+フルバトルで行われます!!』

 

実況がそう叫ぶと、液晶モニターにサトシとホワイトが決勝用に登録した手持ち……特別枠の伝説+6体のパートナー達が映し出された。

 

サトシ

特別枠スパさんミュウツー。ピカチュウ、リザードン、ゲッコウガ、ジュカイン、ゴウカザル、カビゴン。

 

ホワイト

特別枠キュレム・オリジン。イーブイ、メガニウム(シンオウ)、コライドン、ミロカロス、色違いカイロス、ウォーグル(シンオウ)。

 

のフルバトルである。

 

『アッセイ!!』

 

最初に動き出したのはサトシであった。メガシンカを果たしたスパさんミュウツーは、地面を蹴って加速する。鍛えぬかれたハムストリングスと広背筋から繰り出された瞬発力は、バトルフィールドを蹴りぬいて瞬間移動にも匹敵する加速力を産み出した。

だが、スパさんミュウツー……否!!メガスパさんが近接戦闘を行うのはホワイトとキュレムも最初から理解しており、キュレムは防壁として……瞬時に絶対零度を用いて氷の巨壁を産み出した。触るだけでも凍りそうな壁であるが、この筋肉には関係ない!!

 

心臓は全身に血液を送り出す臓器であり、同時に筋肉でもあり発熱器官でもある。当然ながらスパさんミュウツーはどういうわけか?心臓の筋肉もmuscle補正で鍛えぬいており、鍛えぬかれた心筋は莫大な熱量を産み出し……更には全身に血液を送り込む速度を瞬間的に上げて身体能力を上昇させる!!

 

『アッセイ!!』

 

『おぉぉぉと!!メガミュウツー!!筋肉の力で絶対零度の防衛を突破する!!冷気なんて、この筋肉には関係なかった!!』

 

故に、絶対零度や凍り技はこの筋肉の化身には意味をなさない。筋肉の化身は大地を蹴って、氷の防壁を砕いて行くのだ。

 

やがて、最後の防壁を撃ち破る筋肉の化身。だが、全ての防壁を撃ち破ると……そこには

 

「キュレム!!出力限界突破!!出力、80、90、出力120%!!レールカノン!!最大出力!!」

 

口を開け、尻尾の発動機をフル稼働させて赤色と青色の粒子を放出させているキュレム・オリジンが……最大出力で電磁砲を解き放とうとしていたのだ。

 

「ファイアー!」

『外しはしない』

 

その距離僅か、5メートル。ほぼ至近距離で放たれた最大出力の電磁砲(初速 亜音速)を避けることが出来るわけがなく、スパさんミュウツーはくのじで吹き飛び、大の字で仰向けに倒れてしまった。

 

『ふふふ。流石だね。私の腹筋も笑っているよ』

 

だが、鍛えぬかれた腹筋は様々な攻撃を防ぐ。スパさんミュウツーはアッセイする為に、魔境オーキド研究所で数多のバトルを繰り広げていた。その為に、対人戦闘の経験は豊富であり、毎日のように反逆をしては鎮圧されていた。

その経験から、スパさんは電磁砲が当たる瞬間に真後ろに跳んで、勢いを少し相殺。更に直撃の寸前にありったけの力を腹筋に込めて固めてダメージを最小限に抑えたのだ。しかし、特攻オバケなキュレム・オリジンの電磁砲を至近距離で受けたために多少のダメージを受けてしまったようだ。

 

スパさんミュウツーは何事もなかったように立ち上がり、使いなれた自己再生で傷を治してしまった。

 

だが、急加速でキュレム・オリジンがスパさんミュウツーに接近する。その瞬間、発動機から莫大な熱量を帯びた電気がキュレムを覆う。

 

「キュレム!!アサルトアーマー!!」

 

アサルトアーマー。それはキュレムがホワイトの寝ている間に、科学のテレビを見たり雑誌を読んで現代知識を蓄えて思い付いた必殺技。莫大な熱量の電気を生み出し、それで氷粒子を一気に爆発させて……プラズマによる爆光による目眩ましと周囲に全体攻撃を行うことが出来るプラズマ爆発の技である。

今、それがスパさんミュウツーに使われようとしているが……

 

「よし、こっちもだ!!」

『アッセイ!!』

 

だが、此方もアサルトアーマーを使えばよいのだ。スパさんミュウツーはサトシの言葉を聞いて、目に見えない速度でスクワットを何百と一瞬で行なう……スパさんミュウツーは綺麗な汗を沢山流し、その汗を一気に身体に力を込めることで熱量を上げて水蒸気爆発を引き起こすのだ。

 

水蒸気爆発によるアサルトアーマー(筋肉)VSプラズマ爆発によるアサルトアーマーは同時に炸裂し、バトルフィールドは莫大な衝撃波と閃光に包まれた。

 

 

 

「なあ、ククイ博士。筋肉を鍛えたら、あんなの出来る?」

「いや、無理に決まってるだろぉぉおお!!」

 

プロテインを愛好しているククイ博士の言葉が、実況席に響いた。




所で、このリンドウ先生シリーズでは新無印しないの?

しません、外伝主人公とゴウくんなので。アローラ編が終わったら→2年後のキタカミの里→小話→ホワイトに主人公バトンタッチしてリコロイ(イージー&ハードモード+リンドウ先生のWeb授業)の予定です。


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強化サトシVS覚醒ホワイト 

アッセイ!!


アローラリーグ神話真っ青の決勝戦は全世界に生放送で、中継されている。

 

『アッセイ!!』

『オラァァァ!!』

 

サトシが魔境オーキド研究所から出してきた、イレギュラーのmuscleの化身 メガスパさんミュウツーVSホワイトの保護者でありパルデア地方の冒険の終盤で並行世界のゼクロムとレシラムを吸収して、本来の姿を取り戻したキュレム・オリジンとの神話真っ青の決戦。

黒い雷撃が、筋肉の波動が、灼熱の青い炎が、上腕二頭筋とサイコパワーの共演が、絶対零度の氷が、広背筋が生み出した鬼の顔からのフィジカルが、バトルフィールドを追い込んでいく。空間が軋み、ポケモンバトル史上初のトレーナーと伝説のポケモンが心から信頼し有った決戦が目の前で行われていたのだ。

む?サトシはスパさんとそんなに親しくないんじゃないかって?数多の伝説のポケモン達と友人となったサトシだ。スパさんとも、仲良くなれるさ!!

 

 

キタカミの里 スイリョクタウン

 

「スグリ!!貴方も見なさいよ」

「俺、オタチと一緒に鬼様探してくるべ」

 

2年後、ホワイトとサトシそしてリンドウ先生と共に、とある事件……後にともっこ粉砕事件orスグリくん闇落ち事件と語り継がれる出来事が語られる事になる田舎町。余談だが、田舎具合は作者の実家と全く同じぐらいである。

そんな田舎のスイリョクタウンでもサトシVSホワイトのアローラリーグ決勝戦は中継されており、1人の姉は生中継を食い入るように見ており……その姉の2つほど年下の弟でホワイトと歳が近いと思われる少年は、テレビよりも大事な事が有るのか、パートナーのオタチと一緒に外に出掛けてしまった。

 

 

カントー クチバシティ 開業間近のサクラギ研究所

 

パルデアの学会でリンドウやホワイト達と関わり、更にはリンドウが転生する事がなかった世界では……メレメレ島ポケモンスクールを休学したサトシをリサーチフェローとして歓迎した男、サクラギ博士は助手達と共にスパさんVSキュレム・オリジンの決戦を観戦していた。

本音を言えば、生で見たかったのだが……サクラギ博士は開業間近のサクラギ研究所の事も有っての事と……海外開催故にチケットを取る事が出来ず、普通にテレビで観戦である。

 

「凄いな……しかし、ホワイトくんのキュレムはあんな姿だったっけ?」

 

因みにリンドウ達は世界を救うためとは言え、エリアゼロに侵入した事は秘密にしている。なのでエリアゼロでキュレムがキュレム・オリジンに戻った事は誰にも言っておらず、世間的には「キュレムがファザーパワーで素の状態がオリジンに成った」と思われているとか。

 

「というか……あのバトルフィールドはどうなってるんですか!?」

 

助手の女性が叫ぶ。まあ、無理もない。muscleパワー全開で、サイコパワーを上乗せしたスパさんミュウツーの格闘技が繰り出される。それに対抗し、キュレム・オリジンも発動機のエネルギーを全開にして氷+電気+炎そしてドラゴン技の応酬を繰り出していく。

バトルフィールドは悲鳴をあげており、いつまでもつかどうかも分からない。だが、これだけは確実に言える。

 

「この決着は早々に着くかも知れないな……」

 

サクラギ博士はそう告げた。そう、この勝負は早々に決着が着くかもしれないのだ。

 

 

 

『おっっっと!!ミュウツーの爆裂パンチがキュレムの腹部に突き刺さった!!』

 

実況が叫ぶ。

 

スパさんミュウツーの爆裂パンチが、キュレム・オリジンの腹部に直撃したのだ。効果は抜群であり、キュレム・オリジンに致命的なダメージが入る。

キュレム・オリジンは炎、電気、氷、そしてドラゴンの技をタイプ一致で繰り出せる。だが、ポケモンのタイプは基本的に2つまでであり……キュレム・オリジンのタイプは氷とドラゴンだ。故に格闘技を受けると絶大なダメージに襲われる。

 

『ぐぅぅがぁ!?』

『アッセイ!!』

 

ここでキュレム・オリジンの現時点での個人的な弱点を伝えておこう。

ホワイトがトレーナーとして一人前に成った現在、キュレム・オリジンは対邪神アルセウスなどの余程な緊急事態やアローラリーグ予選等の特別な時でしか戦っていない。もう、ホワイトとそのパートナーはキュレムという保護者に頼らなくても戦えるし、キュレムは保護者として一歩引いていた。その為か、キュレム・オリジンは持久力がスパさんと比べると無いのだ。

一歩引いていたキュレムと異なり、スパさんは日々筋トレをしているし、なんなら最近までオーキド研究所でアッセイ!!していた。故に体力は有り余ってるし……長期戦になればスタミナが有り余ってるスパさんミュウツーに軍配が上がるだろう。

 

誰もが思った。スパさんの勝ちだと。

 

だが……父親はこんな所で沈まない!!

 

キュレムはまだ動く。キュレムは左手でスパさんミュウツーの腕を握る。これでスパさんミュウツーは振りほどかない限り、キュレムから離れる事が出来ない。

 

『悪いな……親とはいつも、我が子を背中で導かねば成らないからな』

 

『親が道を間違えた時、子供は親を反面教師にして新たな道を探せば良い。親の道が正しければ、子はその親が作った轍を通って新たな未来を掴めれば良い』

 

キュレムの右手に冷気が集まり、氷のパイルバンカーが生成される。ブリザードランスをぶっぱしようにも、ブリザードランスはその特性上、ある程度の距離は必要だ。そこでキュレム・オリジンは考えた。パイルバンカーにして、電磁加速で撃てばゼロ距離で撃てるんじゃね?

 

「キュレム!!ブリザードランス!!」

 

ホワイトの言葉と共に、キュレムはスパさんミュウツーの腹部にパイルバンカーを叩きつける。その瞬間、電磁加速で氷の杭が射出されて……スパさんミュウツーにゼロ距離で絶大なダメージを与える。

 

『アッセイ!?』

 

急所に当たった。スパさんミュウツーは倒れた。しかし、キュレムも先程の爆裂パンチで絶大なダメージを負っていたのだろう。パイルバンカーが腕から外れたと同時に瞳を閉じて、戦闘不能に成った。

 

両者戦闘不能。これより、フルバトルでの決戦が始まる!!

 

「カビゴン!!君に決めた!!」

「カビカビカー!」

 

サトシはカビゴンを繰り出した。

 

「ウォーグル?ARE YOU READY?Show TIME!!」

「キェェェエ!!」

 

ホワイトはウォーグル(シンオウの姿、またのなもヒスイの姿)を繰り出した。

 

さあ、始めよう。アローラリーグの決勝を!!




今思った……アニメ仕様のZ技……めちゃくちゃ強くね?複数回使えるし

ククイ博士「俺、あの2人と戦ったら瞬殺される気しか無いんだけど」

因みにBGMは一応、サトシが主人公側なのでVSホワイト(シロナさんのテーマをアレンジして、クラシック楽器からエレクトーンやエレキギター等々)が個人的には流れてます(笑)


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強化サトシVS覚醒ホワイト 決着

決着です。


「カビゴン!!岩雪崩!!」

「カビ!!」

 

食費が大変だからとの理由で、かつてのサトシの手持ちから抜かれたカビゴン。だが……カビゴンは強いことは間違いない。サトシのトレーナーとしての戦い方は機動力を活かした高速戦闘が得意であり、カビゴンはその重量級の外見にはそぐわず、機敏な動きが可能なのだ。

カビゴンは遠距離としての用いることが出来る、攻撃技……岩雪崩を用いて空を舞うシンオウウォーグル(ヒスイ)を攻撃する。しかし、見えないバリアーのような物で防がれたのか、岩雪崩はシンオウウォーグルには直撃しない。

 

「キェェェエ!!」

 

シンオウウォーグルのタイプは、パルデアでの学会で発表されたがエスパーと飛行の複合タイプ。それに原種ウォーグルと異なり、特殊アタッカーとしても運用することが可能であり、豊富なエスパー技を使うことが出来る。

ホワイトのシンオウウォーグルは攻撃が当たる瞬間に光の壁やリフレクター、更にはバリアーを組み合わせてATフィールドのように使うことが出来る。これにより、ダメージを防ぐことが出来るのだ。だが、流石に攻撃技と同時併用は()()()()なのだろう。攻撃の瞬間にはATフィールドは解除され、展開されていても光の壁やリフレクターだけとなる。

 

「ウォーグル!!ゴッドバード!!」

 

その時だった。シンオウウォーグルが眩い光を放ちながら、高速でカビゴンに突っ込んだ。

飛行タイプの超火力技であるゴッドバードだ。しかし、ゴッドバードは本来なら多少の貯めが必要なのだが、シンオウウォーグルは攻撃と同時に素早さを高める特殊技 サイコウイングを覚える。サイコウイングで高まった素早さで、あっという間にゴッドバードを貯めて解き放ったのだ。

 

「カビィィ!!」

「カビゴン!!」

 

爆光と共にウォーグルはカビゴンに突撃し、カビゴンに後ろに倒してしまった。砂煙が晴れると、シンオウウォーグルはカビゴンの上に乗っており、カビゴンに反撃されないように強靭な脚の鉤爪でカビゴンを取り押さえている。

 

「ウォーグル!!破壊光線!!」

 

ウォーグルが口を開けて、ゼロ距離で破壊光線を解き放とうとする。特殊型のシンオウウォーグルが解き放つ破壊光線……直撃を受ければ流石のカビゴンでも不味い。

 

だが、サトシのカビゴンは両手が塞がれて取り押さえられても技を出せるようにとある技を覚えさせている。それは食いしん坊のカビゴンだからこその技である。

 

「カビゴン!!ゲップだ!!」

「へ?ゲップ!?」

 

ゲップという技がある。本来なら木の実を食べた後にしか出せない、食いしん坊なポケモン達が覚える毒タイプの技である。威力はなんと120であり、ご飯や木の実を食べないと使えないが連発出来る技と考えれば使い勝手は抜群だ。

 

そして放たれたゲップ!!生中継ではモザイク必至な攻撃が解き放たれ、効果は今一つだとしても余りの匂いと衝撃に……シンオウウォーグルは悶絶し、脚の力を緩めてしまう。脚が緩まればカビゴンの力が有れば脱出は可能だ。カビゴンはウォーグルの拘束から抜け出すと、今度はウォーグルの首を掴んだ。

 

「投げ飛ばせ!!」

「カビィィ!!」

 

臭いで悶絶してウォーグルは技を……バリアーを使えない!!そしてカビゴンはウォーグルを投げ飛ばした、それも投げ飛ばすという技を用いてだ。効果は抜群であり、ウォーグルは悶絶して動けない。シンオウウォーグルは今までバリアーやリフレクターを用いて、ATフィールドとしてダメージを防いできたのだろう……打たれ成れてはいない。それが重大な隙を産み出してしまった。

 

「ガァ……ガァ……」

「ウォーグル!?自己再生!!」

 

鳥類は基本的に嗅覚に疎いが、ポケモンは別である。ウォーグルはゲップ→投げ飛ばしで動けず、自己再生で回復しようにももう遅い。サトシのカビゴンののし掛かりが炸裂し、ウォーグルは瞬く間に戦闘不能に追い込まれた。

 

ウォーグル!!戦闘不能!!

 

「よし……ARE YOU READY?カイロスさん!!」

「マカセロス、キラリンチョ」

 

次にホワイトが繰り出したのは我らが紫の珍虫。結局、ゲームではパルデア地方に密航出来なかった、哀れな虫である。

カイロスは確かに格闘タイプの技を覚えれたり、フェイント等の沢山の技を覚えることが出来る。飛行、メインウェポンである虫、格闘、岩、地面、などなど沢山のタイプの技を覚えることが出来る。

 

「悪い……出し惜しみはしないから」

 

サトシは負けられない……何としてでもホワイトに勝つ。少しでもベストを尽くせれなかったらホワイトに確実に負ける。だからこそ、サトシは全部を出し切るのだ。

ウォーグルだって耐久が高いカビゴンじゃなかったら、手持ちが何匹か倒されていた可能性も高い。カビゴンだってゲップを覚えていてなかったら、間違いなくゼロ距離破壊光線で倒されていた可能性も有るのだから。

 

「カビゴン!!ウルトラダッシュアタック!!」

 

全部を出す。だからこそ、サトシは必ずこの紫の珍虫を倒すために、Z技を解き放った。Z技は必中であり、メガシンカをしたポケモンや伝説のポケモンさえもワンパンで倒すことも出来る。

サトシは複数のZ技を保有しており、それはホワイトにはないサトシのアドバンテージであると言えるだろう。

 

「カビィィ!!」

 

迫り来るウルトラダッシュアタック。直撃を受ければカイロスさんは間違いなく散る。守るで防ぐことは不可能であり、Z技を避けることは不可能。どうあがいてもカイロスさんはZ技を受けてしまう。

 

誰もが珍虫の敗亡を思った。珍虫の耐久では耐えれないし、影分身をしてもZ技は悲しいことに絶対に当たる←重要なのでもう一度言うが、Z技は基本的に絶対に当たる!!

 

『珍虫が逝ったぁぁぁあ!!』

 

実況の叫びが轟き、ウルトラダッシュアタックが炸裂した。だが……

 

「もう、見たからどうすれば良いのか分かってるよ、お兄ちゃん」

 

しかし、ホワイトはZ技の対処法を編み出していた。避けるのは基本的に不可能、守るは貫通して大ダメージ。穴を掘ったり、空を飛んだりしてもダメ。ではどうするのか?

 

「マカセロス」

 

身代わりである。カイロスさんは体力を削って身代わりを産み出して、身代わりにZ技を受けてもらって回避したのだ。

だが……Z技の絶大なダメージのお陰か、カイロスさんの産み出した身代わりは消えてしまった。だが、防げると分かれば充分だ。カイロスさんはカビゴンの後ろに張り付いており、その角でカビゴンを挟む。

 

「カイロスさん!!吸血!!」

 

えー、皆さん。カイロスさんは大きな角が有るのだが、クワガタではない。カイロスさんは元々はクワガタではなく、蟻地獄をモチーフとしたポケモンである。故に、角はなんと補食器官を兼ねているのだ。

カイロスさんは吸血で身代わりを作る際に消費した体力を回復させる。それに背中側ならゲップは飛んでこない。

 

「カイロスさん!!そのままインファイト!!」

「マカセロス」

「カビゴン!?」

 

そしてウォーグルとの戦闘でダメージを負っていた、サトシのカビゴンは吸血+インファイトに耐えることが出来ず、ものの見事にKOされてしまった。

 

これで5対5。お互いにパートナーが1体倒された状態だ。

 

「行け!!リザードン!!」

 

そしてサトシはエースの1人であるリザードンを繰り出した。と言うか、サトシの今回の手持ちはサトシの歴代の手持ちの中からでも、エース軍団を召集したドリームチームだ。

その中でもリザードンは歴代エースの中でもトップクラスに強く、最古参のメンバーでもある。タイプ相性的に、カイロスさんの天敵である。

 

「リザードン!!火炎放「所がどっこい!!サトシお兄ちゃん。此方も奥の手だ!!」へ」

 

火炎放射が放たれるが、ホワイトは慌てる素振りを見せない。ホワイトは1つのモンスターボールのような物を取り出した……それはテラスタルオーブであり、現時点ではパルデア地方でしか主に確認されていない現象を用いる秘密アイテムである。

 

「カイロスさん!!レッツ……ドレスアップ!!テラスタル!!」

 

ホワイトはそれを用いて、カイロスさんが結晶に包まれる。結晶が砕け散ると……そこには

 

「スーパーマカセロス!!」

 

岩タイプに変化した、我らが珍虫の姿がそこには有ったのだ。岩タイプに変化したカイロスさんは火炎放射の直撃を受けるが、ピンピンしている。

 

「嘘だろ!?」

「カイロスさん!!ストーンエッジ!!」

 

岩タイプに変化したカイロスは岩タイプをタイプ一致として繰り出すことが出来る。解き放たれたストーンエッジは……タイプが変わるというまさかの事態に故に、一瞬判断能力が鈍ったサトシとリザードンの隙をついて直撃し、絶大なダメージを与えた。

タイプ一致から繰り出された効果抜群×2のストーンエッジ。それは一撃でリザードンを倒すには充分であった。

 

「リザードン!?」

「お兄ちゃんはZ技、此方はテラスタル。おあいこだよ」

 

リザードン、戦闘不能!!サトシは残り4体、ホワイトは残り5体である。しかし、考えてほしい。現在のカイロスさんは攻撃タイプ補正以外では虫タイプが失われた状態である。つまり、本来なら有利な筈の草タイプが効果抜群なのだから。

 

「ジュカイン!!リーフブレード!!」

「やられたロス!!」

 

つまり、ジュカインのリーフブレードでワンパンである。

 

これでホワイトも残り4体。

 

「ミロカロス!!ARE YOU READY!?レッツShow TIME!!」

「ジュカイン!!迂闊に近付くな、遠距離からリーフストーム!!」

「シンプルイズベスト!!ミラーコート!!」

 

その後も応酬が続き、やがてホワイトは残り2対、サトシは残り3体と成ってしまった。サトシは残りはゲッコウガ、ゴウカザル、ピカチュウだ。対してホワイトはコライドンとイーブイだけ。

どちらもメガシンカは使っていないが、サトシはまだZ技と絆変化というアドバンテージが残っている。それに対して、ホワイトはコライドンのメガシンカしかアドバンテージが残されていない……テラスタルは一度の戦闘につき、一回しか使えないのだ。

 

「でろぉぉお!!コライドン!!そしてメガシンカ!!」

 

ホワイトが右腕を上に上げて、指パッチンを行う。その結果、ボールから勢いよく完全形態にフォルムチェンジしたコライドンがバトルフィールドに飛び出し……それと同時にメガシンカを行った。

 

バトルフィールドに機械の翼を広げ、降り立ったメガコライドン。日差しが強制的に晴れとなり、メガコライドンの攻撃ステータスが上昇する。

 

『でたぁぁあ!!パルデアを鎮圧し、パルデアで新たな力を身につけたコライドンが遂に現れた!!』

 

「ホワイト。メガシンカを覚えたのは、お前とコライドンだけじゃない!!ゴウカザル!!君に決めた!!」

「ウキィー!!」

 

サトシはシンオウ時代のエースであるゴウカザルを繰り出した。だが、それと同時にサトシは袖を捲り、メガバンクルを出した。

 

『こっこれはまさか!?』

「ゴウカザル!!メガシンカだ!!」

「ウキィィイ!!」

 

ゴウカザルを莫大な光が包み込み、光が砕け散ると……そこには青い炎を纏い、頭髪の炎が青く燃えるマッシブに成ったゴウカザル……いやメガゴウカザルが現れた。

メガゴウカザル 特性 あまのじゃく。つまり、インファイトや馬鹿力を使えば、使うほど理不尽までに強くなっていくのだ。なんなら特殊型にしてオーバーヒートを連発しても良いだろう。

 

「グルルル!!アガッシャ!!」

「ウギィィイ!!」

 

ギアチェンジ→爆裂パンチ、馬鹿力→更に馬鹿力がぶつかりバトルフィールドが衝撃波に覆われて……会場が文字通りに震えた。

 

 

 

ガラル地方の某所 ポケモンセンター

 

「強くなったな……本当に」

 

サトシのシンオウ時代のライバルであり、サトシのゴウカザルのかつてのトレーナーだったシンジは更に強くなったゴウカザルとサトシを見て、感激する。

だが、彼はテレビを消すと直ぐにポケモンセンターを出てはワイルドエリアに向かっていった。うかうかしてはいられない、強くなったサトシは勿論のこと、そのサトシに匹敵……いやZ技の数からすればサトシさえも上回る潜在スペックを誇るホワイトを見てしまえば、仕方がない。

 

「待っていろ……俺達もいずれ、そこに!!」

 

高みを見せられては血が滾るのだから。

 

 

 

「よし!!ゴウカザル!!Z技だ!!」

 

場面は再びアローラ。サトシはメガゴウカザルの攻撃が高まった事を利用し、ゴウカザルでZ技を繰り出す。サトシがあと出すことが出来るZ技は格闘Z、電気Z、サトピカZの3種類だけだ。だとすると、電気ZとサトピカZはピカチュウに置いておくとすると、格闘Zしか使えない。

 

「ウキィィイ!!」

 

解き放たれる全力無双激烈拳!!

 

「コライドン!!しっぽきり!!」

 

しっぽきりという技がある。これはモトトカゲ一族が覚えることが出来る身代わりの一種であり、控えに戻り控えのポケモンと交代することで……後続に身代わりを残すことが出来る。

コライドンは本来なら覚えないが、ホワイトのコライドンはグレープアカデミーの生徒達が持つライドポケモンとしてのモトトカゲから教えてもらったのだ。

 

「身代わり!?またかよ!?」

「ブイ!!」

 

そして場に飛び出したイーブイ。Z技はコライドンが残した身代わりが防ぎ、ホワイトは……

 

「サトシお兄ちゃん。何時から僕がZ技使えないと思ってたんだい!」

「お前……Zリング!?試練突破したのかよ!!」

 

鞄からZリングを取り出して左手につけた。ZリングにはZクリスタルが1つしか填まっておらず、恐らくは試練を1度しか受けてないのだろう。そのZクリスタルは……イーブイZ。Zクリスタルでも数少ない、攻撃ではなく変化技としてのZ技だ。

 

「イーブイ!!レッツダンシング!!OK?

ナインエボルブースト!!」

「ブイブイ!!」

 

そして何処から現れたイーブイの進化系の皆様が、イーブイに力を注ぎ込み……イーブイの全能力が限界突破する。

 

「イーブイ!!バトンタッチ!!」

「ブイ!!」

「コライドン?ARE YOU READY!?」

「アギャッス!!」

 

そしてバトンタッチで限界突破された能力変化を受け継いだ、メガコライドンがバトルフィールドに降臨する。ただでさえ強いメガコライドンが全能力限界突破したのだ。

 

「コライドン!!ゴッドフィンガー!!ヒートエンド!」

「アギャァァシャ!!」

 

コライドンの抜き手がゴウカザルの腹部に直撃し、テラバーストのエネルギーがゼロ距離爆発を引き起こし、サトシのゴウカザルは倒れて戦闘不能に追い込まれた。

 

「ホワイト……分かってたよ。お前は本当に強いよ。だから……いや、だからこそ」

 

サトシはメガバンクルを外した。サトシのゲッコウガはメガバンクルがなくても、絆変化が出来る。それにメガバンクルという安全装置を外すことで、サトシゲッコウガとはリアルタイムで脳内で指示を出せるのだ。

 

「本当の絆変化を使うぞ」

「コウガ!!」

 

安全装置を外された本当のサトシゲッコウガが……カロス地方の決戦以来で降臨した。

 

 

 

カロス地方 ミアレシティ プラターヌ研究所

 

サトシのカロス地方でのライバルの1人であり、四天王を辞職したパキラの後任としてカロス四天王に内定した男がテレビで、サトシVSホワイトの決戦……安全装置を外されたサトシゲッコウガVS全能力限界突破のメガコライドン(残り体力黄色)の伝説真っ青のバトルを見ていた。

 

「今の俺達じゃ……勝てないな。だが、それでも……追い付くぞ」

 

彼はアラン。かつてはメガシンカの謎を追い求めた、リンドウと同じくメガリザードンXを使うトレーナーである。

 

 

再びアローラ。

 

『メガゲッコウガ!!沈黙!!だが、コライドンはまだ戦えるのか!?誰の目から見ても限界だぞ!!』

 

「あっぐぅはぁぁ……はぁぁ……まだだ……行くぞピカチュウ!!」

「ピカッ!!」

 

サトシゲッコウガは倒され、ダメージのフィードバックでサトシは絶大なダメージを受ける。だが、メガコライドンはいつ倒れても可笑しくはない。

右腕の強化外骨格からはバチバチと電気が出ており、右腕を満足に動かせれない。利き腕でのゴッドフィンガー、そして両手を使う波動弾はこれで封じた。

 

「ピカチュウ!!スパーキング……いや、10000000ボルトだ!!」

「ピカチュウ!!」

 

サトシはピカチュウに帽子を投げ渡し、最高火力のZ技を解き放つ。

 

「コライドン!!左手で地震パンチ!!」

 

だが、コライドンはまだ左手が残っている。メガコライドンは翼を広げ、脚部のスラスターを吹かして高速で10000000ボルトを解き放とうとするピカチュウに近づく。

 

しかし、解き放たれた10000000ボルト!!ご存じ、もうコライドンは身代わりを出す体力はない。だが、あろうことか体力が無くてもメガコライドンは全能力限界突破している状態であり、地震パンチ(利き手じゃない)で10000000ボルトを受け止めた。

 

「「嘘だろ!?」」

「アギャァァシャ!!」

 

だが、その全てを受け止められる事が出来ず……遂にメガコライドンは沈黙し……倒れてメガシンカが解かれてしまった。

 

『コライドン!!遂に陥落!!これで残りは最初のパートナー同士の対決と成った』

 

「イーブイ……ありがとう」

「ブイ!!」

 

身代わりをイーブイは覚えていない。守るは貫通する。そしてサトシはまだZ技を1つだけ使うことが出来る。

 

「ピカチュウ!!スパーキングギガボルト!!」

 

 

こうして初代アローラチャンピオンが誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅぅぅうぇぇぇぇん!!」

「泣くな未熟者!!」

 

ホワイトはサトシに負けた。そんなホワイトは控え室のベンチで、人生で初めて悔し涙を流しており……戦闘不能と成ったパートナーの代わりに……遠路遙々パルデアから駆け付けた流派東方不敗の開祖こと古代ウルガモス(中の人、ヤツ)こと師匠ウルガモスから励まされていた。

 

「悔し涙を流せるなら、お前達はまだ強くなれる!!その涙の悔しさをバネに……明日から修行開始だ!!」

 

なお、1ヶ月後。ジョウトリーグでワタルさんはホワイトにフルボッコにされたのは内緒である。

 

 

だが、悔しい思いをしてたのはサトシも一緒だった。

 

「リンドウ先生……俺は……俺達は負けてたかも知れません。いや、Z技が無かったら負けていたんです!!」

 

もしホワイトと全く同じ条件なら?ホワイトが絆変化を使えたら?Z技をサトシと同じ数だけ使えたら?

 

「なら、明日からまた勉強だな。あの子からお兄ちゃんなんて慕われてるだろ?だったら追い付かれないように頑張るぞ。まあ、俺もだがな……

だけど、今だけは心のそこから喜べ。前を向くんだ、今日からお前はチャンピオンの1人だからな」

 

リンドウはそう告げ、サトシの頭を撫でた。

 

「リンドウ先生……俺、夏休みの間……カントーに帰ります。そして色々勉強して、強くなってアローラに帰ってきます!!」

「お前の冒険だ。お前の自由にするんだ」

 

そしてサトシは1週間後……レッドと共にカントーに帰っていった。

 

む?ロイヤルマスクとのエキシビションマッチ?ウルトラ強化サトシくんが相手なので、御察し!!




次回!!サンムーンアニメ最終回!!夏休みを終えたサトシの帰還!!

リンドウ先生「出席とるぞ」


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新学期 これからもスクールライフは続いていく

一応、アローラチャンピオン編は完結ですね……長かった。


1ヶ月後。

 

季節は巡り、新学期がやって来る。

 

「お世話になりました」

「もう、行くのか?ブラック」

 

この世界線ではサトシは旅立たない。サトシは1ヶ月の間の夏休みで、レッドと共にカントーに巡ってはレッドと共に世界各地を巡っては修行していたが、休学する事はなく今日アローラに戻ってくる。だが、新学期が来ると言うことは誰かが旅立つかも知れないという事である。

今日、ブラックはポケモンスクールを卒業してリンドウの家から旅立つ。本人としてもこの短い間だったが、ポケモンスクールでバトル以外の事を学べ、沢山の見聞も出来た。

 

「はい。イッシュ地方も新しい学校を作るそうなので、そのお手伝いも有りますけどね」

 

カントーやアローラ、そしてパルデアだけではない。今、世界各地でトレーナーの学校を作ろうとする動きがあるのだ。

サトシとホワイトの激突から1ヶ月。今まではトレーナーを志した子達は10歳から学校に通わず、パートナーと共に旅に出るのが普通だった。しかし、その普通が変わろうとしており……トレーナーとして旅立つ前にポケモンスクールで生徒として学び、実力と知識を付けてから旅を始めようという流れが主流に成りつつあるのだ。

 

「もしかしたら数年後、俺も先生に成っているかも知れませんよ?」

「そうなったら嬉しいな。なに、俺の教え子が先生に成るんだからな」

 

ブラックはレシラムの背中に跨がる。レシラムは空高くに、モエルーワと告げて翼を羽ばたき、発動機を起動させて空高く飛んでいく。そしてある程度の高度に達すると……ブラックを乗せたレシラムはマッハでイッシュ地方に飛んでいった。

 

「寂しくなるわね」

「本当だね……」

 

リンドウの社宅からブルーとアセロラが出てきた。ブラックは確かに巣だって、リンドウの社宅は少し寂しく成ったのかも知れない。

だが、実はと言うと……ブラックが巣だってもこの社宅で暮らす人数は変わらない。何故なら数日前からもう1人、ホームステイが増えたのだ。そのホームステイは全く知らない人物ではない、というか……リンドウやブルーそしてアセロラも非常に良く知っている。と言うか、知名度なら世界で最も有名な10歳だろう。

 

「ねえ、リンドウせんせー!!準備できたよ?」

 

その人物とはホワイトであった。ホワイトは今日から新学期が始まるリンドウのクラスに転入するのだ。本来なら年齢的に他の先生の受け持ちにする予定だと思うが……良く考えてほしい。

シロナさん、オモダカさんを倒してシンオウ地方を殿堂入りからのパルデア完全制圧、そしてこの1ヶ月の間にジョウトリーグに出場してあっさりと優勝……そしてワタルを粉砕してジョウトリーグさえも制圧し、人類史上初の複数リーグ同年制覇……しかもトレーナーに成って半年以内である。そんなぶっ壊れを指導できる教員なんて、リンドウそして生身で伝説のポケモンを粉砕するサオリ先生位だ。なので、ホワイトが中等部を卒業するまではリンドウが保護者として面倒を見ることと成ったのだ。

 

「よし、行くか!!早くしないと、始業式に遅刻するしな!」

 

 

 

 

 

 

 

「1ヶ月ぶりだ」

 

サトシ、単身1人でポケモンスクールの正門に立つ。

アローラチャンピオンに就任し、これから高等部の卒業までは第二の父親とも言えるククイ博士の所にホームステイしながら、ポケモンの事についてこれからも学んでいくのだ。

チャンピオンとしては勿論、1人のトレーナーとして沢山……これからも学ばなければならない事がある。

 

「行こうぜ、ピカチュウ!!皆に会うのが楽しみだな!!」

「ピカッ!!」

 

サトシは今日もピカチュウと共に登校する。一緒に暮らしているセレナは先に登校しており、サトシは正門を超えて坂を上り……校舎に入った。

 

 

 

「アローラ!!サトシ、そしてピカチュウ!!帰ってきました!!」

「「「アローラ!!」」」

 

教室に入ると何時ものクラスメートが向かえてくれた。

カキ、スイレン、マオ、マーマネ、リーリエ、アセロラ、そして共に暮らしているセレナに人モードのラティアス、そしてブラックと入れ違いで転入した学年違いのホワイト。

 

教室の後ろではクラスメートのパートナー達が寛いでおり、そこにはククイ博士に預けていたアローラでの手持ちメンバーの姿もあった。かわらずの石を飲み込んで進化しなくなったモクロー、ニャヒートからガオガエンに進化したガオガエン、ルガルガン。サトシのアローラでのパートナーも1ヶ月ぶりだが元気そうだ。

 

「よし、全員揃った事だしな。新学期の始まりだな!」

 

リンドウとブルーが教室に入ってきた。リンドウは教壇に立ち、出席簿を開いた。

 

「出席とるぞ!!全員出席だけど、一応な!!」

 

新学期もポケモンの事を沢山、学ぶ楽しい学校生活が続いていくだろう。

 

 

 

 

 

 

『初代アローラチャンピオン サトシ、灰色の英雄 ホワイトを導いた者 リンドウの半生。カントー出身の俺氏、南国で教師をする』著者 二代目アローラチャンピオン リーフ。

 

「お父さんが初代チャンピオンをチャンピオンになるまで導いたお話はこれで完結。さて、続きを書かないとね」

 

ブルーに瓜二つで、リンドウと同じ瞳の女性は筆を置いたのだった。




リーフ「さてと……次は灰色の英雄編だね」

本編は一応、完結だけどまだまだ続くよ。


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2年後 キタカミの里~ともっこ終了のお知らせ
解きは流れて2年後 キタカミの里へ


翠の仮面スタート!!


2年後。

 

「林間学校ですか?」

 

リンドウは相変わらずポケモンスクールで勤務しており、ホウエンチャンピオン+ポケモン博士+ポケモンスクールの名物教師として働いていた。

リンドウは2年の月日が流れてもサトシ達の担任をしており、サトシ達は中等部に進学してホワイトは初等部6年生に成った。とは言え、リンドウが面倒を見ることは変わりはない……何故ならリンドウ以外で「このチート軍団を導けますか?出来てサオリ先生だけですよね!?」と数多の教師達から問答無用に言われたからだ。まあ、無理はないだろう……サトシはアローラチャンピオン、ホワイトは次期シンオウチャンピオンでありパルデアとジョウトを鎮圧済み、他のメンバーも四天王真っ青の強さまで育てたし、スイレンなんてアローラと次期シンオウそしてカントーとホウエン以外なら間違いなくチャンピオンに成れるだろう。

 

そんなチート揃いのヤヴェークラスとレボリューションしたリンドウの受け持ちクラスであるが、オーキド校長からある事を言われたのだ。

 

「うむ!!実はパルデアにあるグレープアカデミーからのお誘いソーナンス!!」

 

実はと言うと……グレープアカデミーは年に何回か、他のポケモンスクールと合同で林間学校を行っているとのこと。今まではカントーの名門学校だったセキエイ学園と一緒に行っていたが、ホワイトがパルデアを救ったこととグレープアカデミーの腐敗を取り除く切欠を与えた事を加えて、今回からメレメレ島ポケモンスクールもグレープアカデミー主催の合同林間学校に参加することが決まったのだ。

 

「それは光栄ですね」

「参加するのは我がメレメレ島ポケモンスクール、グレープアカデミー、そして最近出来たばかりのブルーベリー学園の3校アーボック!!」

 

今年はセキエイ学園は参戦しないようだが、メレメレ島ポケモンスクールと出来立てホヤホヤのイッシュ地方にあるブルーベリー学園の3校である。

だが、参加できる生徒は限りがある。グレープアカデミーでも参加出来るのは抽選で選ばれた極僅かな生徒だけであり、それはメレメレ島ポケモンスクールでも変わりはない。サトシ達は行けるかも知れないし、行けないのかも知れない。

 

「と言うわけで、リンドウ君のクラスで参加生徒を2人選んでほしいナッシー!!」

 

しかし!!オーキド校長はリンドウのクラスから2人を選出して良いと言ったのだ。ただでさえ少ない参加生徒の枠を優先的に、使って良いと言ってくれたのだ。

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

「うむ。でもリンドウ君、引率として参加宜しくタマタマ!!」

 

その条件としてリンドウ先生、引率としてキタカミの里への林間学校に強制参加である。

 

 

 

その結果……

 

「キタカミか……日本だけど行くのは初めてだな」

「リンドウ先生!!俺、すっげー楽しみ!!」

「そういや、僕って飛行機で移動するの初めてだな」

 

引率のリンドウ、くじ引きで勝ったサトシ、そして最年少と言う事でクラスの皆から譲ってもらったホワイト。アローラからはこの3人が日本のトウホク……キタカミ地方にある里、スイリョクタウンで林間学校を行うことに成ったのだ。

 

「現地での予定を確認するぞ。キタカミ国際空港に降りたら、ロビーでパルデアからやって来たグレープアカデミーのメンバー、イッシュからやって来たブルーベリー学園のメンバーと合流。その後、バスに乗って3時間揺られてスイリョクタウンに到着だ。

お前達のスマホロトムに栞のデータを送ってるから、今の内に確認するんだぞ」

 

サトシがアローラチャンピオンに成ってから2年の月日が流れており、スマホからスマホロトムへと進化している。2年前はMr.アンチェインとレボリューションしたアカギが開発した1号を、ホワイトが持っていただけであるが、今では世界中の様々な人がスマホロトムを保有しているのだ。

 

「宿泊するのはホテル!?ポケモンセンター!?」

「残念だけど、公民館だ。遊びで行くんじゃないから、別に良いだろ」

 

宿泊するのは公民館である。スイリョクタウンは3年前のマサラタウンと同じく、ポケモンセンターは残念ながら存在しない。珍しいポケモンが生息しているためか、民宿はちらほらと有るのだが……林間学校でやって来たポケモンスクールの御一行は公民館で宿泊だ。

一応、公民館に回復マシーンは用意されているので、ポケモンを回復させたりテラスタルオーブにエネルギーをチャージするのは問題はない。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ……僕が紛れ込んでいる事にリンドウは気付いてないっピよ」

 

そしてギエピー。再び小さくなるを多用し、リンドウの旅行バックに潜入していた。キタカミの里でのお祭りでの屋台……終了のお知らせである!!




この頃のスグリくんは初々しかったな……


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アローラチャンピオン編のあとがき

本編での後書き忘れてた(笑)


いきなりですが、一応の本編が完結したのであとがきを書きました。

リンドウ先生がサトシ達、アローラポケモンスクール組を導いて1人前に育て上げた物語は一先ず完結。いや、長かった……エンペルトと我らがボスゴドラが剣盾初期に出てこなかった事から始めたこの作品ですが、本編だけでも100話オーバーな話数に成ってしまいました。いや、我ながら本当に多くなったな(笑)

 

しかし、話数が増えれば……原作のポケモンが進めば「こうしてたら良かったな」や「コイツ、パートナーコイツにしたらピッタリじゃね」が沢山出てきました、というか初期のプロットから大分変わった(笑)その中でも最新作であるスカーレット・バイオレットは実際に学校が舞台ですし……リコロイではセキエイ学園まで出てきましたしね!それに蒼の円盤で出てきたブルベリ学園ではイッシュジムリーダーの縁者まで出てきました。ポケモンの原作はまだまだ新しい事が次々と出てきますからね。

 

初期構成では当たり前ですが、リンドウはミライドンゲット(というかフトゥー博士から託された)しないし、ホワイトも我らがコライドン兄貴ゲットしませんからね。

初期の予定ではサトシはアローラチャンピオンに当たり前ですが就任予定なんですが、決勝の相手はホワイトではなくブルーの予定でした。ホワイトに関してもアローラ編ではなく、アローラ編が終ってから出す予定でした(と言うか、最初期構成ではリンドウ夫妻の義息……リンドウが親として若すぎるとして辞めた)でしたしね。

長期連載になれば後々に「こうすれば良いんじゃね?」とか色々思い付いてしまいますしね。あと、新無印やミツルくんとか気になる方々はどうしてるの?どうするの?と気になる方も多いかもしれません。ですが、ごめんなさい……他の作者さんが外伝を書いてくれているのですが、私も外伝の設定を全部把握していません。なので……ミツルくんは出したくても……設定や手持ちが分からないので。まあ、外伝主人公くんのネットのライバルの1人との事で、強くなってると思いますが。

新無印の中でもゴウくんパートは外伝主人公のネットくんが活躍するとの事で、楽しみに待ちましょう。新無印の時間軸では学校は夏休みですからね……海外の夏休みは日本で言えば春休みですから。

あと、私……ポケモンGOやってないから、外伝からでしかウィロー博士とその助手達のキャラが分からないんですよ。だからウィロー博士達は出したくても出せません。ウィロー博士達の活躍は外伝でお楽しみ下さい、外伝の作者が言うにはウィロー博士の助手のチームリーダー達はゴールド位強いらしく……ウィロー博士はそれ以上らしい。つまり、ワタルさんフルボッコ!!

 

しかし、リンドウ先生は私が執筆した作品の主人公では間違いなく普通の人だったと断言できるでしょう。うん、だって私の作品の主人公……基本的に頭のネジが数本外れてるし(笑)某円卓のギャーさんとか筆頭に。しかし、普通だからこそ書きやすかった所も有りますし……ギャーさん位キャラが濃かったらポケモン不要に成っちゃいますしね。

 

リメイクとは?と思う人も多いかもしれません……リメイクは書きません。ですがifはいつか書くかも知れませんね。サオリ先生やあばれる君のように、アニメやCMで出てきたキャラ以外のコラボキャラは全く出ず、アニメやゲーム+CMのキャラだけで「リンドウ先生、パルデアで教員」「リンドウ先生、キタカミの里で寺子屋営む」とかは書けそうですね。別にリンドウ先生だけではなく、サトシのアニポケ世界に色彩組が居たら?やグレープorオレンジアカデミーにリンドウ先生に育てられた初期プロのホワイトを派遣(留学)させるという事も出来ますね。ただ、アローラのポケモンスクールの教員としてのリンドウ先生は、この作品が最初で最後と成るでしょう。

 

実はリンドウは漢字で竜胆……青紫色の別名でもありますし、同時にポケモンの登場人物で良く用いられるように植物でもあります。

主人公の名前を考えているときに「あれ?これ、花でもあるし色じゃん!!」と閃いてリンドウと成りました。

 

リンドウは真っ先に思いつき、次にレッド達やブルーの設定が出来ました。レッドやグリーンはゲームに出てきましたし……ギエピーはコロコロコミックですが(笑)

リンドウの地元組の次にキャラ設定が固まったのはまさかのスパさんミュウツー(笑)いや、なんでこうなったんだろう。プロテイン飲み過ぎたのかな?

主要人物で最後に設定が固まったのはホワイト(連載中)でしたね。書いてて「あれ?ブラホワ2ってブラックホワイトの2年後だよな?」となってブラックの旅立ちから2年以上経過してたので「ホワイトだせるじゃん!!でもヤヴェー!!キュレム、もう伝説中さん使ってるよ!!どうやって遭遇させるんだよ!!あっゴッドストーンの設定あったわ!!」となったのは良い思い出。

 

色彩組で職業のためなのかゴールドとシルバーの影が、他の色彩組と比べたら薄かったのが反省点ですね。シルバーは四天王だし、ゴールドはウツギ博士の所に居るからアローラに降臨が難しかった。

 

サトシは中学生に進学しますが『カントー出身の俺氏、南国で教師をする』はネタが思いつく限り書きます。

 

あと、最後に………今さらですが後付けで爆誕した事を書きます。コライドンやオーガポン等の新作のポケモンのゲットとかではなく他の後付けです。

外伝込みのハイパーインフレについていけるように、完全体キュレム・オリジン降臨、メガゴウカザル誕生、メガコライドン爆誕、キズナグラードン爆誕……そしてゲンシグラードンはマジ物の終末兵器と化す。

 

シロナさんホワイトのお母さんとなる。これはギリギリまでリンドウ夫妻orヒカリの実家で引き取るか迷ってた。リンドウは年齢的に考えて若すぎると判断し、ヒカリ家はマサゴタウンがマスゴミに溢れかえると思い、カラシナ家に。

 

グレープアカデミーの諸悪の根元である前教頭の名前。アンケートでゴッドフィンガーが決まった瞬間、元ネオジャパンの代表に決定。サオリ先生の筋肉バスターの犠牲となったのだった。

 

邪神アルセウス。邪神だから仕方がない。ゴールデンアルセウスでもフルボッコにされる予定(笑)

 

等々ですね。今後も、リンドウ夫妻とその教え子達の活躍を見守って下さい。4年間、ありがとうございました!

 

リンドウ「続くから安心しろ」




2019年の11月からだから……長かったな(笑)


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到着のキタカミ

日本、再び。


飛行機が日本に降り立ち、リンドウ達はキタカミ国際空港にやって来た。入国手続きを終えて、更衣室で南国アローラの姿から日本を含めた過ごしやすい気温での活動に適した衣類に着替え終えた。

 

「日本か、やって来たのは年末の帰省以来だな」

 

リンドウ、アローラでの姿から日本の姿に着替え終える。南国での活動に適した薄着から、夏を迎えたとは言えシンオウ地方と同じく北国にやって来たならば……他の地方での活動に適した衣類の方が良いだろう。その為か、リンドウは青紫色のコート姿と成っていた。

 

「此処がキタカミか~結構都会だね!!」

 

なお、リンドウ家の長男ポジションに収まってしまった、ホワイトくん12歳。リンドウ先生のアドバイスにより、2年の年月で成長期の始まりを迎えた少年は今までの衣類も当然ながら、入らなくなり……灰色のジャケットに中は青色のシャツ姿と成っている。髪質が少しN(と言うか実父であるハルモニア王)に似てきた。

まあ、ホワイトには人間の父親は居ないので、そう考えるとリンドウが人としての父親とも呼べるだろう。

 

「キタカミか。俺も初めてだな!!」

 

一方のアローラチャンピオンのサトシくん中学2年生。下は長ズボン、上はTシャツと結構なラフな仕様と成っている。ピカチュウは旅に出てから4年の年月が経過しているが、相変わらずマスコットである。

 

「俺達は私服だが、他校の参加者は制服姿の筈だぞ」

 

リンドウがそう言う。そう、メレメレ島ポケモンスクールには制服という概念は存在せず、入学式も卒業式も何もかも私服で行うのだ。

それに対して、今回……共にキタカミの里での林間学校に参加するグレープアカデミーとブルーベリー学園は基本的に制服であり、学校行事で参加している以上はその2校の生徒達は制服姿であろう。

 

「せんせー!!僕達の制服ないの!?」

 

制服のないポケモンスクールでは、制服は無縁な代物だ。だからこそ、ホワイトは制服に興味津々であったのだが……此処でリンドウが無慈悲な現実を告げる!!

 

「ない。制服は確かに憧れるが、学校行事や普段から着っぱなしだから飽きるぞ」

「がーん」

「元気出せよホワイト。制服なくても、俺達は服装自由なんだからさ!」

 

そしてホワイトを励ますサトシお兄ちゃんであった。因みに今回の林間学校ではサトシとリンドウは一部のガチメンバー以外の、ガチ手持ちはアローラに置いてきており……本人達も「流石に事件は起きないだろう」と思っている。

 

 

 

ロビー。そこでは既にグレープアカデミーの生徒達4人、引率の教員、そしてブルーベリー学園の引率の教員がリンドウ達を待っていた。

 

「リンドウさん、ホワイトさん。お久しぶりです」

「ウォロ、お前か!元気そうで良かったぞ」

 

グレープアカデミーの引率は、薬学の教師となったウォロだ。パルデアに来た当初は記憶喪失(恐らくウルトラホールを潜って世界線を越えた)に成っているがそれでもパルデアに順応しており、今では子供達に薬学の事を教えている。なお、元々……商売人だった為なのか、計算も得意である。

余談だが、ボールは明治時代の旧式モンスターボールから、令和のモンスターボールに変わっていた。

 

「皆さん。メレメレ島ポケモンスクールの皆さんに挨拶ですよ」

「「「おはようございます!!」」」

 

グレープアカデミーの生徒は4人参加しており、皆は元気いっぱいだ。

ホワイトと同い年だが、ホワイトよりしっかりしていると思われるバイオレット。1年生であるが、入学して僅か2ヶ月程でパルデアチャンピオンランクを保有した天才と、地元では呼ばれている。パートナーはミライドン、グレンアルマ、ウェニーバル+αである。

 

「バイオレットだ。宜しく」

「アギャッス」

「俺はサトシ、こっちはピカチュウだ」

「ピカピ!」

 

サトシとバイオレット、ミライドンとピカチュウは早速仲良くなっていた。

 

「宜しく頼むよ」

 

2人目は眼鏡をかけた高等部だと思われる少年。なんだか、ツッコミ適正が高そうだ。

 

「宜しくお願いします!!」

「宜しくお願いします!!」

 

もう1人は中等部だと思われる黒人の少女。もう1人はホワイトよりも年下で初等部だと思われるショタっ子だった。

 

「ああ、宜しくな。俺はリンドウ、メレメレ島ポケモンスクールの先生でポケモン博士でもあるぞ」

「僕はホワイト!!宜しくね?」

「アギャッス!!」

 

そしてリンドウとホワイトもグレープアカデミーの生徒達に挨拶を行う。なお、その最にホワイトのコライドンがボールから飛び出して、完全形態に変化しては腕を組んで堂々と立っていた。

 

「なるほど……これがコライドンか。コライドンは化石がなかなか見つかってなくてね、現物は初めてみるよ」

 

フムフムと興味深そうに、コライドンを見上げる金髪爆乳の宝塚美女がそう告げた。

 

「失礼ですが、貴女は?」

「私はブライア。科学者でも有るが、私はブルーベリー学園の教員だよ」

 

その宝塚美女はブライア。ブルーベリー学園の教員であり、なんでもエリアゼロをかつて探索したヘザーの末裔なんだとか。手持ちのパートナーは居らず、今時では珍しくポケモンを保有していない。

 

「そうでしたか。ブライア先生、ブルーベリー学園の生徒達は?」

「林間学校が行われるスイリョクタウン出身でね。もう向こうに居るよ」

 

今、此処に居るブルーベリー学園の関係者はブライア先生のみ。なんでもブルーベリー学園からの生徒の参加者は林間学校が行われる町、スイリョクタウン出身との事で既にスイリョクタウンに向かっているとの事だ。

 

 

だが、リンドウは知らない。ブライア先生の探求心故に、3年後……ボールに登録してなかったとは言え、リコの大切なパートナーが利用され……ブルーベリー学園が大変な事になり、海の藻屑に変わりかける大事件が起きかける事を。

 

「それではメレメレ島ポケモンスクールの一行も来てくれたことだ。バスを用意しているから、行こうか。片道3時間程かかるが……良いかな?」

「「「3時間!?」」」

 

「せんせー!!キュレムで飛んで行ったらダメ?」

「移動も学習だ。車酔いしそうなら……コライドンな乗るのも良いぞ。俺も酔ったらミライドン乗るし」

 

キタカミの都会からキタカミの里ことスイリョクタウンまでは車で3時間かかる。ロングドライブの始まりだ。

 

 

 

 

 

 

「田舎じゃん!!」

「畑と田んぼばっかりじゃん!!コンビニねぇ!?」

「コンビニは!?デパートは!?」

 

スイリョクタウンに到着した林間学校御一行。バイオレット、眼鏡くん、黒人の少女は驚きながら言う。彼等は基本的に都会で育った為に、こうも田舎とは思わなかったのだ。

 

「昔のマサラタウン思い出すわ。懐かしいな……」

「マサラタウンを思い出すな……昔のマサラタウンってポケモンセンター無いんだよな」「ピカ」

「カンナギより栄えてるよ?」

 

なお、マサラタウン出身のリンドウとサトシ、カンナギタウンに本籍がありメレメレ島育ち?のホワイトにとってはこの程度の田舎は懐かしさを感じてしまうのであった。

 

「うっぷ……気分が優れないよ……」

 

だが、到着し降車して直ぐにグレープアカデミーのショタっ子が気分を悪くしてしまった。早速トラブル発動である。




次回、田園風景が広がるキタカミの里に到着。

そしてカイロスさん、ゲームでは叶わなかったキタカミの里に不法入国!!



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おいでませ、スイリョクタウン

珍虫、上陸。


「気分が悪いよ……」

 

キタカミの中心地、センダイシティと比べると物凄く田舎で映画館もなくコンビニもなく、ボウリングもなくカラオケもない田舎町であるスイリョクタウン。

キタカミ国際空港から車で3時間かかる果てしない、道を潜り抜けてリンドウ達はスイリョクタウンに到着した。しかし、リンドウ達はスイリョクタウンの入り口にやって来ただけであり、此処から徒歩20分ほど歩かなければ成らないのだ。バスから降りた事だし、これから皆で田んぼ道を満喫しながら向かおうとした時だった……グレープアカデミーからの参加者であるショタっ子が3時間のロングドライブの為に体調を崩してしまい、気分が悪くなってしまったのだ。

 

「大丈夫か?車酔い、更には遠いパルデアからやって来た事で気候の変化もあって体調を崩したんだな……」

 

リンドウはショタっ子の背中を優しく擦りながらそう言う。幼い子供が親元や地元を離れ、林間学校とは言え何時間もかけて日本のキタカミにやって来たのだ。疲れも貯まってるだろうし、仕方がないだろう。

 

「ウォロ。薬有るか?」

「残念ですが、税関のお陰で手作りの薬は持ち込めなかったんです」

 

此処には薬学のスペシャリストであるウォロがいる。だが、国が違えば飛行機で国に入る最は税関で荷物のチェックを受ける。そこでは手作りの薬品、材料等の持ち込みが厳しく……ウォロはお手製の薬を持ち込めなかったのだ。

 

「リンドウさん。自分は子供達を見てますので、先に公民館に向かってくれませんか?公民館の人にこの成分が入ってて、この効き目がある薬をもってきてもらうようにお願いします。無かったら薬草とオレンをお願いします……この場で調合するので」

「分かった。頼むぞ」

 

ウォロとリンドウという頼れる大人組のお陰か、速やかに行動に移る。なお、ブライア先生が動く前にリンドウとウォロがテキパキと動いた為に、ブライア先生は出番がなかった。

 

「ホワイト行くぞ」

「はーい!」

 

リンドウはウォロから薬のメモを受け取り、ミライドンをボールから出して跨がる。勿論、ボールはフトゥー博士の形見でもあるマスターボールのままだ。

何かが起きても大丈夫なようにホワイトも連れていく。公民館の管理人さん達に、リンドウが呼び止められてもホワイトに薬を届けてもらう為だ。

ホワイトもボールからコライドンを繰り出し、ホワイトはコライドンに跨がった。

 

今居るバス停から公民館までは徒歩20分ほどかかるが、コライドンとミライドンならあっという間に公民館に到着できる。

リンドウを乗せたミライドン、ホワイトを乗せたコライドンは駆け出して田園風景の田舎道を通り……スイリョク公民館に向かっていった。

 

 

スイリョクタウン。そこは日本の古き良き田舎であり、田んぼに畑、りんごが名産の田舎町だ。ポケモンセンターはなく、公民館が町の中心に存在している。

 

「あら、残念だけど……余所者はスイリョクタウンに入れてあげないよ?」

 

だが、公民館の入り口前にある広場では2人の良く似た姉弟と思われる少女と少年が立っていたのだ。しかし、制服はブルーベリー学園の制服を着ており、間違いなくブルーベリー学園からの参加者だろう。

姉はゼイユ。歳はサトシと同年代であり、キタカミの里出身のポケモントレーナーだ。ポケモンバトルの関して専門的に学べるブルーベリー学園の生徒でもある。

弟はスグリ。歳はホワイトと同世代だ。今年、ブルーベリー学園に入学したばかりであり、バトル専門学校でもあるブルーベリー学園では内向的な性格もあってか……友人が居ないのだ。

 

「まあ、どうしてもって言うならバトルすれば入れてあげるわよ?」

「姉ちゃん……戦いたいだけじゃない?」

「スグ!!アンタは黙ってなさい!手、出るよ!!」

 

世の中にはこんな言葉がある。兄と妹は非常に仲が良い、兄と弟は友人関係、姉と妹は非常に仲が良い、そして姉と弟は仲が良いor舎弟上下関係である。

 

「時間がない。俺がやろうか?」

「僕でも良いよ!」

 

だが、此処を突破しなければ薬はゲット出来ない。なのでリンドウとホワイトは強行突破を決意。

 

「よし!!マルチね?スグ、アンタも手伝いな!!行きなさい、ヤバチャ!!」

「チャー!」

 

ゼイユは抹茶のようなポケモン ヤバチャを繰り出した!

 

「うう……俺は戦いたくないのに。オタチ、お願い」

「オタチ―!」

 

スグリはオタチを繰り出した。

 

「時間がない。やれ、ボス。但し、手加減しろよ」

「グラッシャァァア!!」

 

リンドウはボスゴドラのボスを繰り出した!!ボスゴドラの余りの迫力に、ゼイユ、ヤバチャ、スグリ、オタチはビビる。

 

「ゴー!!カイロスさん!!」

「マカセロス、キラリンチョ」

 

ホワイトは我らが紫色の珍虫を繰り出した。

 

「なによ、その珍虫!?」

 

だが、我らが珍虫はパルデア地方は勿論のこと、キタカミの里では生息しておらず、ブルーベリー学園でも生息していない。その為か、ゼイユは初めて見る珍虫に驚いてしまった。

 

「なんか、口がモゴモゴしてキモカワいいんですけど!?」

「あっ、お姉さん。カイロスさんの良さ分かるの?」

 

しかし、そこでゼイユは有ることを思い出した。ゼイユは2年前、テレビでアローラリーグの初代決勝戦を見ていたことを。そこでホワイトが出ていた事を思い出した。

 

(あっ、これ無理だわ。相手が悪すぎたわ。てか、あの大人の人……ホウエンチャンピオンよね!?ボスゴドラ単騎でチャレンジャー粉砕してたわよね!?)

 

そしてリンドウの事も気付く。

 

「カイロスさん!!出会い頭!!」

「ボス。加減してやれ、とっしんで良いだろう」

 

その結果、ヤバチャとオタチはトラウマが出来ない程度に倒された。ワンパンで。

 

 

 

 

 

 

 

「ギエピーさん。最期に言いたい事は有りますか?」

「ピェェエ!かんにんだっピ」

 

ギエピー。リンドウが旅行カバンをバス停に置いたことで、宿に着いたと思ってカバンから出る。だが、小さくなるを解除した瞬間……そこはバス停であり、シンオウウインディ(石頭)を出したウォロに捕まるのだった。

 

「ウインディ。いつでも諸刃の頭突きを出せるように」

「それ死んじゃうっピ!!サトシ、助けてくれっピ!!」

 

だが、サトシは笑顔でサムズアップした。

 

「ウインディ!!諸刃の頭突き!!」

「ギエピィィィイ!!」

 

「えっ?あのピッピ……どうなってるの?ブライア理解できない」

 

ブライア先生、ギエピーを理解できず、一時的に幼児退行する。




次回は公民館での歓迎会。からのペア分け。


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林間学校の始まり、始まり

そういや、原作での林間学校って公民館で寝てたよな?大部屋なのかね?


「見てみて~これ、僕が暮らしているメレメレ島。自然が豊かでしょ?

そんで、これがお婆ちゃんや曾婆ちゃんが暮らしているカンナギタウン」

 

リンドウが管理人さんにウォロから貰った薬のメモを手渡し、歩いて20分ほどかかるバス停から公民館までの距離を考慮してか……管理人さんや地元の青年団の有志運転でのハイエースや軽トラで、サトシ達を迎えに行っている間。ホワイトは公民館前で待機しており、さきほどマルチバトルで戦ったゼイユとスグリにスマホロトムでメレメレ島の風景やカンナギタウンの町並みの写真を見せていた。

 

「わやじゃ……海外はこうも違うんじゃな」

 

スグリは純粋に目を輝かせて、ホワイトが撮影した風景の写真を見る。スグリはキタカミの里出身であり、現在は姉のゼイユと共にイッシュ地方のブルーベリー学園に通っている。安くない学費を遠方で働く両親に出して貰い、海上研究施設としての側面ももつ人工島のブルーベリー学園で普段は過ごしており、学園の仕組み上……海外に居ると言う実感が無いのだ。

 

「へー……貴方も田舎から来たのね」

 

スグリは興味深そうにメレメレ島やカンナギタウンの写真を見ているが、ゼイユは一歩引いて眺めていた。

と言うのもゼイユはぶっちゃけ言うと、この少し閉鎖されたと言っても過言ではない田舎であるスイリョクタウンが大好きだ。その大好きなスイリョクタウンに、林間学校とは言え余所者が来るのが嫌だった。

それはブルーベリー学園の仲間でも同じであり、2つしかない林間学校の参加枠を弟と共に頑張ってゲットしたのは内緒である。だが、こう見えて弟思いであり……学園では友人の出来なかったスグリが余所者とは言え、ホワイトと仲良く話していて少しほっとしている。

 

(スグにも友達が出来るなら、余所者が来るのも悪くないわね)

 

ブルーベリー学園には部活があり、スグリとゼイユはリーグ部と呼ばれる学内リーグを行う部活に所属している。ゼイユはそこそこ友人は居るが、残念な事にスグリは友人が1人も出来なかった。ゼイユの友人である鋼使いのネリネ、リーグ部長でソウリュウジムのジムリーダー シャガの孫であるカキツバタはスグリの事を気に掛けてくれているが、ホワイトのように話せる人物は誰も出来ず……教室でも孤立していたのだ。

 

「待たせたな」

 

そうすると数分後。薬を届け終えたリンドウがミライドンに乗って現れた。リンドウの後ろでは乗り物酔いで気分が悪くなったショタっ子が乗っており、乗り物酔いに成っていないサトシ達+ギエピーは地元の青年団や管理人さんが運転するハイエースや軽トラに乗せてもらって現れた。

 

 

 

 

「よし、全員整列したな。これから林間学校を始めるぞ」

 

学校ごとに整列し、今から林間学校を行う。

メレメレ島ポケモンスクールからの参加者は引率リンドウ。生徒はサトシとホワイトの2人。

グレープアカデミーからは引率ウォロ。生徒はバイオレット、ショタっ子、黒人の女の子、眼鏡くんの4人。

ブルーベリー学園からは引率ブライア先生。生徒としてはキタカミの里出身のゼイユとスグリの姉弟である。

 

「これから皆には2週間の林間学校を行ってもらうぞ。

この町は自然豊かだし、更には興味深い伝承も残っている。勿論、珍しいポケモンも居る。オリエンテーションとしては2人1組に成ってスイリョクタウンの歴史を学んでもらう。折角、3校の生徒達が参加するんだ……出来れば別の学校の子達とペアを組むことをお勧めするよ」

 

リンドウが引率代表として告げた。これから林間学校が始まるのだが、折角別々の学校の生徒達も参加しており、どうせなら他の学校の生徒とペアを組むのも良いだろう。

因みに宿泊する場所は公民館であり、現地出身のゼイユとスグリは実家であるが……他の参加者は基本的に公民館の大部屋を借りて宿泊だ。当然、野郎共(リンドウ、サトシ、ホワイト、ウォロ、眼鏡くん、バイオレット)は大部屋、女子+児童(ブライア、黒人の女の子、ショタっ子)は民宿である。

 

「それじゃあ、今からペアを組んでオリエンテーション開始だ!!但し、ギエピーは残れ」

「なんでだっピ!?さっき、ウォロからお仕置き受けたっピ!?」

 

なお、密入国のギエピーはリンドウからガチ説教である。

 

 

(よし……私がスグの友達に成れるか、見定めちゃおう!)

 

ゼイユお姉さん。ホワイトに声を掛けようとする。しかし……

 

「ゼイユさんですよね!?僕とペアを組んでくれないかい!?」

 

眼鏡くんが高速移動でゼイユに話しかけた。しかも、鼻の下を伸ばして自棄に興奮気味である。パルデアにも美女は多い筈だが、早い話……眼鏡くんはゼイユに一目惚れしてしまったのだろう。

 

(だるー……なんとか断ろう)

 

断ろうと探るゼイユ。しかし……

 

「ホワイト……俺とペアを組んでくれべ」

「オーケー!!良いよ!!」

 

ゼイユが組もうとしていたホワイトはスグリが組んでしまった。

 

「バイオレット!ミライドン!!俺達と回ろうぜ!!」

「良いぜ、サトシにピカチュウ」

「ピッカ!!」

「アギャッス!!」

 

サトシとバイオレットはペアを組んでしまった。この他にもショタっ子と黒人の女の子は同じ学校同士であるが、ペアを作成。その結果、ペアを組んでいないのはゼイユと眼鏡くんだけとなり、必然的にゼイユは眼鏡とペアを組まなくては行けなくなってしまった。

 

「はあ……仕方ないわね」

「やったー!!頑張れるぞ!!参加して……良かったぁぁあ!!」

 

眼鏡くんのやる気がくぐーんと上がった。ゼイユのやる気はがくーんと下がった。

 

 

「さあ!!しゅっぱーつ!!」

「その前に荷物を整理しろよ」

 

ホワイト、いざオリエンテーションを始めようとしたが……リンドウに止められる。なお、リンドウの背後にはギエピーをボコボコにしたボスが立っており……ボスの手には顔面が潰れたあんパンのように変形したギエピーが握られていた。

 

だが、キタカミの里は知らない。オモテ祭りの屋台を食い荒らすピンクの悪魔をォォオ!!




次回、各々のペアで看板巡り!?

眼鏡くん「ゼイユさんどこ行った!?」

サザレ「いい写真だね……おや?あれは後の英雄ホワイトさんかな?我が家の書物に記された」

ギエピー「屋台が楽しみだっピ!!」

ペパー「俺も行きたかったぁあ!!」

鬼面集「「スタンバってます」」


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オリエンテーション……開幕!!

多分、SV主人公も公民館で寝てたから、雑魚寝だと思う。


「分かってたけど、雑魚寝か」

 

林間学校に参加した野郎共(児童は除く)は公民館で寝泊まりだが、生憎と人数分の個室は用意できる訳がなく、公民館の大きな会議室を宿泊部屋として使うことと成ったのだ。

食事に関しても朝と夕食はスイリョクタウンの方々が用意してくれるが、お昼は自分達でなんとかしなければならない。オリエンテーションとしてキャンプ場を用いたBBQやカレーライス作りも有るので、問題はないだろう。それにポケモンスクールの生徒や児童達も、やがてはトレーナーとして旅に出る。多少のサバイバルを学ぶ良い機会だ。

 

「リンドウ先生、お風呂はどうするんですか?」

「確かに、公民館って流石にお風呂はないもんな」

 

サトシがリンドウに問い、バイオレットも公民館には流石にお風呂が付いてないので気になるようだった。

別に今ほど、トレーナーへのサポートが充実している現代と違ってリンドウの世代はインスタント食品はあんまり美味しくないし……ポケセンの数も少なかったし、トレーナーズホテルもそこそこ値段がした。なのでリンドウはぶっちゃけ野宿で2~3日程ならお風呂に入らなくて平気だ。なんなら、川の水をそこら辺のドラム缶に入れてリザードンに沸かしてもらって入った事もある。

 

「安心しろ。風呂はあるさ。但し、公民館じゃなくて銭湯のお風呂だけどな。料金はもう払ってるから、何回入っても良いぞ。

朝風呂、夜も入って良いし、昼に入って汗を流しても良いしな」

 

風呂は問題ない。現代っ子はお風呂に毎日入りたいのだ。

サバイバル経験豊富なサトシは別にお風呂に入らなくてもへっちゃらだが、残念な事にグレープアカデミーやブルーベリー学園の子達は毎日お風呂に入りたいのだ。

そんな子達の為にリンドウは既に手を打っており、公民館から少し離れた銭湯でお風呂に入ることとなったのだ。お金は既に払っており、何回でも入っても問題はない。

 

荷物の整理も終わった事なので、リンドウ達は公民館の外に出る。これから先ほど組んだペアで、オリエンテーションの始まりなのだが……

 

「初めましてお姉さん。私はポケモンドクタータケシ!此処には技術支援で派遣された医師です!」

「あっ……そうなの……」

 

表で待っている筈のスグリとゼイユ姉弟、ブライア先生率いる民宿宿泊の女子チームが居るのだが……ブライア先生はリンドウとサトシが非常に見覚えのある男に軟派されていたのだ。

その軟派男は糸目であり、今年で19歳の二十歳間近の男だ。ポケモンバトルの腕はそこら辺のエリートトレーナーをフルボッコにし、メガシンカ……そして今ではテラスタルとZ技さえ使いこなし……なんなら岩ZのZ技を石破ラブラブ天驚拳にしてしまった男である。もう、お分かりだろう……彼は岩の妖精の非公式二つ名をもつ男 タケシである!!

 

「「タケシ!?きとったんかわれぇぇ!?」」

「タケシだ!!やっほー!!」

 

リンドウとサトシはタケシが来ていた事に驚き、リコロイorXYZの作画から、サンムーン御用達の顔芸を見せて驚きながら叫んでしまう。

なお、純粋なホワイトきゅんはタケシが来ていた事に嬉しそうで、タケシに手を振っていた。

 

「ケケ……」

 

だが、その時……当然ながらタケシのお仕置き係が降臨する。カスミもマサトも居ない今、このポケモンだけが頼りである。

そう、タケシのグレッグルである!!

 

「ケケ……ケケ(正義、執行!!)」

 

そして解き放たれる毒手による毒づき!!タケシは倒れた!!

 

「しびれびれ」

「ケケ」

 

そしてお約束として、タケシは足を引っ張られてフェードアウトした。

 

 

オリエンテーションの課題としてはキタカミの里に伝わる歴史、ともっこ伝説を巡るものだ。

スイリョクタウンやその近辺に、ともっこ伝説の詳細が記された看板が置かれており、その看板全てを巡って写真を撮ればOKである。看板巡りをしている間だが、自由に冒険をしてもよし、新しいパートナーを育てるのもよし、キタカミのポケモントレーナーとバトルするのもよし。なんでもありだ。

 

 

 

「さあ!!スグリ、乗りな!!」

 

なお、移動手段はなんでもあり。ライドポケモンに乗るのもよし、キタカミ周辺はパルデアと比べると農家さんのトラックやバイクが通るためなのか……道は整備されており、自転車に乗って移動するのもよし、なんならシンプルイズベストに歩いて行くのも良いだろう。

 

コライドンもOKであり、ホワイトはコライドンを出しては背中に跨がった。2年前と比べて技術は進歩しており、他の化石ポケモンと同じく……コライドンも部分的な化石や普通の化石で完全な復元が可能となったが……コライドンは生息の絶対数が少なく、なかなか化石が発見されない。なので、コライドンはミライドンと比べると数が物凄く少ないのだ。しかも、ライド出来るとなればもっと少なくなる……と言うのも、化石復元での復活で増えて分かった事だがコライドンは肉食恐竜のように狂暴な個体が多く、ホワイトのコライドンは例外中の例外だったのだ。

 

「いや……俺は良いべ。少し、離れて歩くから大丈夫だ」

「そう?そんじゃ先に行くよ。えーと、何処から行けば良いの?」

「この先のりんご農園、アップルヒルズを越えたらともっこプラザがあるけん。そこで集合じゃ」

「ともっこプラザね!!オーケー!!先に行くよ!!」

 

ホワイトの合図を受けて、コライドンは走り出して物凄い速さで、りんご農園……アップルヒルズを通りすぎて、ともっこプラザの曲がり角で直角ドリフトを決めてともっこプラザに向かった。

 

「ホワイトはまるで……物語の主人公のようじゃ。特別だから強いんだ……俺も特別に成りたいな……」

 

スグリはあっという間に見えなくなったホワイトとコライドンを見て、小さくそう告げて近道でともっこプラザに向かった。

 

 

 

「フハハハ!!我らは鬼面集!!」

「そこの若きトレーナーよ!!」

「我々の挑戦を受けないかな?」

 

一方、自由にオリエンテーションを満喫してたサトシとバイオレット。暇をもて余した凄腕トレーナー集団、キタカミ青年団+OBorOGの選抜チームである鬼面集からの挑戦を受けていた。

 

「良い写真が撮れそうだ!!コライドンに乗った可愛い男の子も撮れたし、スランプを抜け出せるかも」

 

シンオウガーディを連れた1人の若い美女が遠くから、サトシとバイオレット、ミライドンを撮影していた。

 

 




次回!!オモテ祭りのお知らせ

ホワイト「オモテ祭り?」
ゼイユ「そっ。今日からだから、家に来なさい。私のお古で良いなら、じんべえあげるわ……サイズもピッタリだと思うしね」

「「「ふふふ!!彼は鬼面集の中でも最強!!……あれ?なんで最強が真っ先に倒されたの!?」」」
サトシ&バイオレット「俺じゃねーよ!!」



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オリエンテーション~ドキドキハラハラ!?

スグリくん……マジでどうしよう。予告の時は蒼の円盤でて無かったしな……取り敢えず、ブライアさんは自重しろ


スグリは上機嫌にともっこプラザへの近道を歩いていた。人生で初めて友人が出来たのだから当然だろう。ポケモンの友人なら10歳の誕生日の時に、姉と共に捕まえたオタチが居るが……人間の友人は初めてだった。

ブルーベリー学園は実力主義な所もあり、バトル特化なのでスグリのように個性を伸ばせず、友人も出来ずに孤立してしまうような子供も出てきてしまう。そう、スグリのようにだ。

 

「友人か……初めて出来たべ……えへへ」

 

スイリョクタウンは悪く言えば排他的、良く言えば古き良き田舎と言えるだろう。過疎化の影響も有るのだろうが、スグリとゼイユには同世代の友人がキタカミの里には居なかった。小学校は分校であり、生徒はスグリとゼイユの2人だけだったし……中学と小学校は共通。スグリの小学卒業と共に2人はブルーベリー学園に入学したので、今では分校の生徒は幼い児童だけとなった。

 

「新しいパートナーも捕まえたべ……早くホワイトに見せたいんじゃ」

 

スグリは道中でカジッチュを捕まえていた。カジッチュは最近、リンドウの研究で新しい進化が発表されたポケモンでもある。今まではアップリューとタルップルの2種類であったが、今では新たにカミッチュと呼ばれるポケモン……更にはカミッチュからカミツオロチに進化する事が出来るのだ。

 

「ホワイト。お待たせだべ……待った?へ!?」

 

近道でともっこプラザにやって来たスグリを待っていたのは……

 

「アギャシャァァア!!」

「ヴヴゥゥゥラ!!」

 

ホワイトのコライドンとバチバチにインファイトバトルを繰り広げる、熊のような格闘ポケモン ウーラオス(一撃の型)とそのトレーナーであった。

なお、ウーラオスのトレーナーは筋骨隆々であり、鬼のお面を被っている。鬼のお面はオモテ祭りと呼ばれる、この時期のお祭りになると沢山売られるが……お祭りは今日の夜からであり、まだ今季の分は販売されていないし、祭りまで時間が有ることからまだ基本的にお面は誰も被っていない。

 

しかし、例外がある。キタカミの里ではトレーナー達や観光客にイベントとして、バトルを申し込む鬼面集と呼ばれる凄腕のトレーナー達が居るのだ。

鬼面集は主にスイリョクタウンの青年団とそのOGorOBで構成されており、めちゃくちゃ強い。だが、鬼面集を倒すと記念品等が貰える良い特典付きなのだ。

 

「このユウジロウ……敗北を知る時か!?」

「えぇぇえ!?鬼面集最強のユウジロウさんだべ!?」

 

スグリの予想通り、ホワイトと戦うトレーナーは鬼面集最強のトレーナー ハンマ・ユウジロウであった。

ハンマ・ユウジロウと言えば、あのヨシダ・サオリと肩を並べるポケモントレーナーでありグラップラー。日頃からパートナーのウーラオスと共に厳しい鍛練を行っており、その実力はキタカミ処か北日本でもトップクラス。しかし、そのユウジロウの相手は北日本最強のホワイトであったのは内緒だ。

 

「ゴッドフィンガー!!」

「アギャシャァァア!!(ばぁぁぁくねつ!!ゴッドフィンガァァア!!)」

 

ホワイトのゴッドフィンガーがユウジロウの顔面に炸裂、更にコライドンのゴッドフィンガーがウーラオスの腹部に炸裂した。ウーラオスは一撃で戦闘不能となり、ユウジロウの仮面が割れて素顔が明らかになる。

 

「ふふふ、お互いにメガシンカを使ってないとは言え、このユウジロウを倒すか」

「ウーラ」

 

バトルには勝ったが、ウーラオスとユウジロウは何事もなく立ち上がった。

 

「えっ!?リアルバトルまでしてんぞ!?あのホワイトって子なんなの!?てか、人間ってゴッドフィンガー使えんの!?確かゴッドフィンガーってゼロ距離テラバーストって解説で言ってたよな!?」

 

偶然にもゼイユとはぐれた(ゼイユはわざとはぐれた)眼鏡くんも現場に居ており、ホワイト(普通に本気)VSユウジロウ(リアルファイトは手加減)、コライドン(メガシンカなしのガチ)VSウーラオス(メガシンカなしのガチ)を見てしまったのだ。

 

「その歳で随分と鍛えたな……優秀な師が居るのだろう。

俺に勝った餞別だ。受けとるが良い」

 

ユウジロウはホワイトに、彗星の欠片×10、わざマシン(真空波)、わざマシン(インファイト)を譲った。

 

「鬼面集全員に勝つと、もれなく特性パッチとおしゃれボールのプレゼントだ。俺に勝ったのだ、全員に勝てるだろう?」

 

ユウジロウはそう言い残し、ウーラオスと共に大地を蹴って何処かに消えた。

 

「スグリお待たせ!!」

「アギャッス!」

 

スグリは思った。筋肉を鍛えれば強くなれるのでは?と。

 

 




蒼の円盤でスグリくんが可哀想だったので、緊急アンケートとります。

でもブライアさんは変わらないので、蒼の円盤が大変な事に!!


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スイリョクタウンはまんま作者の実家

スイリョクタウンにジャスコとコンビニを足すと、もれなく作者の実家に(笑)


生徒達が各々、オリエンテーションを頑張っている間。リンドウ達、引率の教員達は公民館で待機しながら各々の学校に関して話し合っていた。

 

「ほー、グレープアカデミーとブルーベリー学園は姉妹校だったのですね。双方の校長同士が幼少期からのお知り合いで」

「そうよ。それにブルーベリー学園は私の研究の成果で、パルデア以外で唯一……人工的に自然のテラスタル現象を再現しているんだ」

 

リンドウは外伝主人公やミヅキちゃん(7年後)と違って原作知識は剣楯初期で止まっている。その為に、パルデア地方は勿論のこと、SVのダウンロードコンテンツであるキタカミの里やブルーベリー学園は知らないことばっかりだ。

そんなリンドウに、ブルーベリー学園の教頭でもあり、ゼイユの担任でもあるブライア先生は色々教えてくれた。ブルーベリー学園は昨年度創設されたばかりの、バトルを専門的に学ぶ教育機関。元々はイッシュ地方の近海に作られていたシアノ(ブルベリの校長)が保有する、海上資源を研究および採掘する為の研究施設をブライア先生などの優秀な科学者達が学園に作り替えたのだ。

 

『面白そうだから、学校にしよう!!』

 

とシアノ学長の言い出しっぺから始まり、突貫工事で学校に生まれ変わって昨年度に創設された。その為か、保健室等はなく、カリキュラムもバトル専門なので座学の全てはポケモンバトルに関することばかりであり、専門学校に近いだろう。その為にバトルに挫折してしまえば……別の道を歩むことも出来ず、学校を辞めるしかない。グレープアカデミーやメレメレ島ポケモンスクールではバトル以外の事も教えており……生徒の未来の事を案じてくれるがブルーベリー学園にはそれがないのだ。

 

「しかし、座学やカリキュラムはバトルだけですか?」

「バトル専門の学校だからね。それ以外は必要かね?」

「もし……バトルに挫折したら?バトル以外の道を歩みたくなったら?」

「生憎と、選択の授業はない」

 

リンドウの疑問に対して、ブライアはそう告げる。

 

「それに……我が校がバトル専門に成ったのは君のお陰だよ、リンドウ博士」

 

だが、ブライア先生が言うにはブルーベリー学園がバトル専門に成った一因はリンドウが関わっているとのこと。リンドウには全く心当たりがなく、首を傾げる。もしかしたらウォロなら心当たりが有るのかも思い、ウォロに助け船を借りたいが……ウォロは別件で公民館の人と打ち合わせをしており、近くには居ない。

 

「俺が?シアノ学長とは接点が有りませんし、ブライア先生とも今回がお初ですが?」

「君はそう思うだろう……だけどね、君は……いや、君の教え子は成し遂げたじゃないか!!」

 

ブライア先生は興奮するように立ち上がり、少し眼がイって狂人のように高らかに叫ぶ。

 

「イッシュ神話は知ってるだろう?分離する前のキュレムが人間の子供と共にイッシュを救い、やがてその子供の1人がイッシュ王国の王妃となる物語だ」

「それがどうか?」

 

「イッシュの子供なら誰もが絵本で読む童話だ。だが、その童話を君の教え子ホワイトは現実にした!!イッシュチャンピオン ブラックやそのライバルであるプラズマ保護団体会長のNでさえ出来なかったキュレムの完全復活だ!!

科学者としてこれほど興奮したことは無かったよ!!そして、そのキュレムを完全復活させた少年とアローラチャンピオンとの決戦だ!!興奮したさ……僅か10歳子供とは思えない!!

それにシアノ学長もバトルはお好きでね……我々は考えたのさ!!バトル専門に導いたら第2、第3のブラックやサトシ、そしてホワイトが出てくると!!伝説のポケモンさえも従えるトレーナーが出てくると!!やがては私が追い求めるテラパゴスを手にする事も出来るのではとね!!」

 

↑メチャクチャ早口で、リンドウは半分ほど聞き取れていません。

 

「ブライア先生?落ち着いてくれませんか?早口で何を言ってるのか……てか、テラパゴス?」

「ごほん……失礼。興奮するといつもこうでね。

でもこれだけは言えるよ。あと5年……いや3年すればブルーベリー学園の生徒達の強さは、ジムリーダーの本気さえ凌駕し、地方の四天王さえ届くとね」

 

確かにブライア先生の言う通りであり、3年後にはブルーベリー学園の生徒達の強さは、普通の生徒でさえジョウト地方のジムリーダー(本気)を制圧する事が出来る強さを誇るバトル専門の超絶エリート校となる。

だが、その反面……バトル以外の道をなかなか学べない所となり……ブライア先生のとある目的(テラパゴスのペンダント)の為に、学園に招待されたホワイトとリコ達の手でブルベリ学園は鎮圧される(というか、ホワイトの手で)

 

「そうか……所でアンタ。生徒の事を見てるか?スグリの奴、随分と思い詰めてるぞ……バトルしか学べない所にいたらきっと心に大きなダメージを受けるかも知れない。

あの子にはもっとバトルだけじゃなく、沢山の事を経験させて見聞を広くさせる必要がある」

 

リンドウはスグリの持つ、心の弱さを薄々と感じていた。ブルーベリー学園では原則的にバトルだけであり、リンドウはスグリ&ゼイユと戦ってみて分かったことがある。

スグリは学校でバトル以外に触れあえず、更にはバトル専門の学校と言うことと内気な性格のお陰か孤独なスクールライフを送っているのだと。

 

リンドウはそう告げて、公民館を出る。少し、外の空気を吸いたくなったのだ。

リンドウ個人としてもキタカミの里を自由に冒険したい気持ちもある。キタカミの里ではシンオウ地方では絶滅した、シンオウバスラオ(ヒスイバスラオ)の生息が近年の調査で確認されており、シンオウバスラオはイダイトウに進化する事が可能なのだ。調査も兼ねて、シンオウバスラオを捕まえたかったが……ブライア先生がアレなのでなかなか自由に動けない。

 

(てか、ブライア先生……研究者としては優秀かも知れないが、先生に向いてないだろ)

 

「リンドウせんせー!!リンドウパパ!!」

 

ふと、そんな時だった。ホワイトの声が聞こえてきた。

 

「ギャァァア!!ホワイト!!アンタね!!飛ばしすぎなのよ!!」

「うっぷ……やっぱり歩いて着いていくべきじゃ……」

 

その刹那、ホワイトが跨がったコライドンが公民館の前に、ドリフトターンを決めて現れた。ホワイトの後ろにはゼイユとスグリが乗っており、コライドンの余りの速さにゼイユは半分ほど起こっており、スグリは顔面蒼白に成っていた。

 

(ライドポケモン処か、車などの乗り物にあんまり乗らない子からしたら大型スポーツバイクのような速さで移動するコライドンやミライドンって恐いよな……普通は)

 

「貴方ね、この子の父親なら注意しなさいよ!!」

「確かに保護責任者だが、父親じゃないぞ。父親は別(キュレム)がいる。

で、どうしたんだホワイト?」

「今日からのオモテ祭りね、ゼイユとスグリが服をくれるの!!」

 

オモテ祭り。リンドウもそれは知っている。スイリョクタウンの神社で行われる祭りであり、ともっこ様や鬼を祭る人気のお祭りだった筈だ。お面を被って参戦する事が多く、多くの市民も出店を開く青年団やそのOB達も殆どの人がともっこor鬼のお面を被っているのだ。

 

「服?」

「ええ、私のお古の甚平なんだけど。サイズはピッタリだと思うの」

 

ゼイユが話してくれた。スグリは勿論のこと、ホワイトはゼイユとも仲良くなっていた。そして今日からオモテ祭りが開催され、ゼイユはホワイトにも折角お祭りを楽しんでほしくて、ホワイトにお古の甚平をプレゼントする事にしたのだ。

 

「そうか!ホワイト、折角だ……楽しんでこいよ。後で甚平姿をシロナさんやヒカリ、ブルーにも送ってやるからな!」

「うん!!」

 

ホワイト、オモテ祭りの姿爆誕まで残り4時間。

 

 

 

 

 

一方のサトシとバイオレット。

 

「私はサザレ。フリーのカメラマンだ」

 

大人のお姉さんであり、美女のカメラマンであり稀少種と成っているシンオウガーディを連れた人物 サザレさんと出会っていた。




次回!!ホワイト、オモテ祭りの姿 爆誕!

因みに此処でのアオイちゃんことスカーレットは、アンナちゃんで行きます。つまり、大型犬(原作通り)と化したコライドンのトレーナー


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劇場版予告 蒼の円盤~テラパゴス覚醒

蒼の円盤の予告。アンケートのネタバレでもあるよ


「ない……ない……バカな!?ヘザーの記録では此処にテラパゴスが眠っていた筈なのに!!誰が……誰が持ち出した!?」

 

キタカミの里での林間学校から半年後。ブライア先生はパルデア政府に要請し、なんとかエリアゼロでの探索許可を貰ってパルデア四天王及び元イッシュ四天王であるギーマの護衛の元で、エリアゼロの最深部より更に奥地を探索していた。

ブライア先生はヘザーが記した、伝説のポケモン……ゼロの秘宝と呼ばれしテラパゴスを探していた。ヘザーの記述が正しければ、テラパゴスは結晶として此処に眠っている筈なのだから。だが、残念な事にテラパゴスは其処には居らず、何もなかった。それもその筈、今から約100年ほど前に英雄ルシアスの手でテラパゴスは外に出されたのだから。

 

ブライア先生はテラパゴスを諦めなかった。持てる全ての伝を使い、テラパゴスを捜索した。探し出してから3年後……遂に念願のテラパゴスを確認したのだ。

 

「えっ?私」

 

監視カメラにテラパゴスの結晶であるペンダントを着けた少女、リコの存在を確認したブライア先生は歓喜の喜びを上げた。だが、リコの側には……

 

「ふぁぁあ~中学のカリキュラム全部終わっちゃったしな~」

 

シンオウ最強のトレーナー、才禍の怪物 ホワイトが居たのだから。ホワイトがインターンでライジングボルテッカーズに所属しており、リコの護衛をしている今では強引な手段は取れない。どうやってリコのペンダントを奪取し、テラパゴスをゲットするかブライアは考えた。

 

そうだ!リコとホワイトを交換留学として、自分達の根城ブルーベリー学園に招こうと!!そこでテラパゴスを確保すれば良いのだ!!ホワイトとリコが離れた隙を狙ってだ!!

 

「ホワイト。お前とリコを御指名で、ブルベリから招待状が来てるぞ。()()()()()()()()()研究機関成り上がりの専門学校からな。ぶっちゃけ怪しすぎる」

 

「なら俺も行こう。俺もブルベリは短い間だったけど、居たわけだし」

 

だが、怪しいと判断したリンドウ先生の手で、派遣するメンバーが増やされる。

先ずは物語完結して5年経っても、まだホウエンチャンピオンのままのリンドウ。そして……髪型が夏油傑のように成ったが、タッパ180cmに伸びて少し筋肉質に逞しくなり……林間学校の後でリンドウ先生の手でポケモンスクールに転校した闇堕ち前の聖人夏油スグリと化したスグリである。

 

リコ、リンドウ先生、そしてメレメレ島ポケモンスクール中等部が誇る最強の問題児であるホワイト&スグリがブルベリ学園に向かう!!

 

 

「やあ、待っていたよ。僕がシアノだよ、ここはね、アレでね、こうでね」

 

変人らしいジェントルマン シアノ学長に歓迎されるが……シアノ学長はぶっちゃけ録に案内もしてくれず、案内は……

 

「ホワイトさんですね、初めまして。私はタロです」

 

眉毛がヤーコンそっくりな美少女 タロが案内をしてくれた。タロはヤーコンの愛娘との事で、歳はホワイトと同い年。もし、ホワイトがイッシュ地方に居たままだったら……旅先で共に冒険をしていた可能性も有るだろう。

 

「スグリさんも随分と……その……大きくなりましたね。背、伸びすぎじゃないですか?」

「アローラはご飯が美味しいからね」ムキムキ

 

そして闇堕ち前夏油スグリさんと成ったスグリ(声変わりしてVC櫻井)、タロちゃんを含めて大勢の成長前のブルベリ生徒に驚かれる。

 

「ホワイトさん!!案内しますね!」

 

タロちゃんは積極的にホワイトを案内してくれる。

 

「リンドウ先生、タロってもしかして」

「スグリ……ホワイトのヤツはああ見えてモテるからな。サトシ程じゃないけど」

 

 

「ふふふ……侵入成功だっピ!!」

 

そしてギエピー、二度ある事は三度ある。再び密航完了!!

 

「おー、スグリ。デカク成ったな。そんで、お前がホワイトだな?オイラはカキツバタ、気軽にブラザーと呼んでくれよ、兄弟」

 

そして現れる元ブルベリーグチャンピオンであり、ブルベ四天王のカキツバタ。あのシャガの孫であり、イッシュ四天王であるアイリスの兄弟子……なのだが規格外の素質を持つアイリスを間近で見てしまい、1度は心が折れたが進路に迷ってわざと留年しまくる高等部2年生(19歳)である。

 

「ブラザー……ブルベリーグに挑戦してくれるか?」

 

カキツバタは説明する。なんでも今から3ヶ月前。ブライア先生が何処から連れてきた仮面を被った謎の生徒 ラクツという転入生が異次元の強さを見せつけ、瞬く間にブルベリーグのランクをかけ登り、四天王を瞬殺してカキツバタさえも圧倒……その結果、素顔を隠した謎の生徒ラクツがブルベリーグのチャンピオンと成ったのだ。

ブルベリーグのチャンピオンはリーグ部の部長としての権限も持ち、ラクツはリーグ部を超絶規則が厳しい物に変えてしまったのだ。お陰様で、カキツバタのマイフレンドだった元四天王はブルベリ学園を自主退学してしまった程だ。

 

「ホワイトさん……部外者の貴方を巻き込むのはアレなのは分かってます。お願いします……リーグ部を皆で楽しい部活に戻して」

 

涙眼のタロちゃんに懇願されて、ホワイトとスグリはブルベリーグに参戦を決意!!

 

「スグリ!!」

 

「雑魚が良く戻ってきたな!!」

 

「姉の後ろに隠れていた軟弱者が!!」

 

そしていじめっこに絡まれるスグリ!!だったのだが……

 

「オオタチ。お片付け、バトンタッチ。ガオガエン、炎のパンチ」

「ギャァァア!?」

 

「オオタチ。悪巧み、バトンタッチ。カミツオロチ、きまぐレーザー」

「ひでぶ!!」

 

「くそぉぉぉ!!なら黒い眼差し!!これでオオタチはバトンタッチは出来ないな!!しねぇぇ!!」

「ふむ。そうだね、オオタチを倒すとはやるじゃないか。行け、ミライドン……メガシンカだ」

「なっナンデサーー!!」

 

スグリさん大暴れ。なお、リアルファイトを持ち込まれたが……サオリ先生直伝の格闘技でいじめっこを粉砕した。

 

 

「なんで、教師が学園の問題に介入しないんだ?本当に学校なのか?学校と言えるのか?」

 

ホワイトとスグリが無双しており、リコもブルベリスクールライフを満喫している間……リンドウはギエピーと共に、ブルベリ学園の内部調査を行っていた。

 

「ラクツ……分かってるわね?何としてでも、ホワイトを倒しなさい!!なんの為にタイムマシンを起動させ、貴方をこの時代に招いたと思ってるの?」

「テラパゴスだったな。まあ、()()()()の戦いだが、俺とアイツは中身は別人に成ってるよ」

 

ブライア先生はテラパゴスを確保して、ゼロの秘法としての力を解き放つ為に、先ずはリコの護衛であるホワイトとスグリを倒すことを決断。

 

「ウソ!?リーグ四天王全員がホワイトとスグリに突破されたの!?」

 

四天王陥落!!

 

「バカな……ゼクロムだと!?」

「俺にゼクロムを使わせるとは……対したヤツだ」

 

スグリ、ラクツに敗北!!だが、ホワイトはスグリの奮闘のお陰かラクツの手持ちが知れた。

ラクツはケルディオ、ゲノセクト、ダイケンキ、ゼクロム、未来ビリジオン、未来コバルオンという理不尽な組み合わせだったのだ。

 

「同じ顔?」

 

そしてホワイトVSラクツが勃発し、ラクツの仮面が砕ける。

 

「魂は全くの別人となったがな……俺はお前だよ、お前と同じDNAを持つ≠の存在さ。俺は此処から遥か未来からやって来た」

 

そして決着から翌日。リコのペンダントに異変が!?

 

「パゴー」

「「「カメになった!?」」」

「そういや、時々亀さんになってリコちゃんを助けてたね」

 

だが、ペンダントが変異した亀さんを理不尽にブライア先生がマスターボールで捕獲!?

 

「すまないが、この子はまだ君のポケモンでは無いのだろう?テラパゴスは研究のためにも、私が引き受ける」

 

「さあ、見せてくれ!!ゼロの秘宝の真の力を!!」

 

好奇心と探求心にかられたブライアは、立ち入り禁止としたテラリウムドームでテラパゴスを繰り出し、テラスタルをさせる。だが、テラスタルを行ったテラパゴスの力を人間が制御できる訳がなく、テラパゴスはその力を大暴走!!ブルーベリー学園は崩壊寸前となり、一部の区域は破損し、深海故か爆縮してしまった。このままでは全校生徒は勿論のこと、テラリウムドームに住まうポケモン達が危ない。

 

「これが……これこそが!!ゼロの秘法!!素晴らしい!!」

 

だが、テラパゴスはブライアのマスターボールさえも破壊し、もう誰も制御できない。

 

「おい、そんな事をしてる場合か!?」

「おらっピ!!」

 

ブライア先生はギエピーの手で鎮圧して貰ったが、時間がない。ブルーベリー学園崩壊まで残り僅かであり、タイムリミットが迫る。

 

「キュレム。絶対零度を最大出力!!爆縮を防ぐために、周りの海水を凍らせて!!」

 

リコの大切な仲間であるテラパゴスを救うため、ホワイトは暴走したテラパゴスに立ち向かう。タイムリミットは残り、20分!!

 

「カキツバタ!!離して、離して!!ホワイトさんがホワイトさんが!!」

「全校生徒は全員避難だ!!」

「これはいけないね……緊急避難のマニュアルを作っていないぞ!!」

 

避難を始めるブルベリ学園の生徒であったが、ブルベリ学園は避難訓練さえも行っておらず、パニックになる生徒達……ではなく教員連中!!

 

「スグリ。この子達を頼んだ」

「リンドウ先生!?」

「息子を連れ戻してくる」

 

そしてリンドウ、全校生徒+役に立たない教員を避難させた後、ホワイトの救援に向かう。

 

「テラパゴスの力は凄い!!因果さえも運命さえも書き換えるのか!!これこそが……ヘザーが見た秘宝の力!!なるほど、どうりでタイムマシンのような有り得ない事も作れる筈だ!!」

「ギエピー。亀甲縛りで動けなくしろ」

「あいよっピ!!」

 

リンドウが駆けつけた時、テラリウムドームの大半は結晶に覆われてエリアゼロのように変化していた。

 

「ホワイト!!ダブルバトルの要領はブルベリで覚えたな!!」

「勿論だよ!!」

 

降臨するメガリザードンXとキズナグラードン、キュレム・オリジンとメガコライドン。

 

ブルベリ学園処か、イッシュの海辺終了のお知らせ!!

 

 

「行こう!!テラパゴス!!」

「パゴ~!」

 

「ようこそ、ライジングボルテッカーズへ!!歓迎するよ、スグリ、タロ!!」

 

 

 

シロナ「カキツバタくん。シンオウリーグに興味はないかしら?ホワイトがチャンピオンに就任してからの四天王を探してるのよ」

カキツバタ「オイラがブラザーの地方で!?」

 

果たしてどうなるの!?鏡開き以降、執筆予定!!




サンゴ「あの……帰って良いですか?」
オニゴーリ「おっ……オニゴォォォ!?」←迫り来る地震パンチ

ホワイト、夏油スグリ、強化タロちゃん、リンドウ先生「覚悟は良いか?俺達は出来ている!!」

ダイアナ「城を潰さないでくれよ」

↑なお、こうなる模様(笑)


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オモテ祭り 鬼との出会い

ギエピーを作って兄と対戦した結果、ウーラオスにワンパンされました(笑)


「似合ってるじゃない。流石は素材が良いだけは有るわね」

 

青色の甚兵を纏ったゼイユがニヤリと笑みを浮かべ、その後ろでは白色の甚兵を纏ったスグリがウンウンと頷いている。

此処はそこそこ大きな日本家屋であり、場所は公民館から歩いて5分程の所にあるゼイユとスグリ姉弟の実家。両親は海外で働いており不在だが、普段は祖父母が暮らしており、ゼイユとスグリが帰ってきた時は基本的に4人で過ごしているのだ。そんな2人の実家にホワイトはやって来ていた。

 

「似合ってるべ……ホワイト」

 

ホワイトが此処にやって来た訳は、ゼイユからお古の甚平を譲って貰う為だ。スグリの祖母の手で甚平を着せてもらい、緑色の甚平姿となっている。

 

今日から暫くはオモテ祭りが行われ、大きな賑わいを見せる。神社の本殿……キタカミセンターまでの登り参道ではスイリョクタウンの青年団やOBorOG、それに地元の有志の方々が出店を開いており、焼き蕎麦や焼き鳥、お好み焼き、唐揚げ、ベビーカステラ等の美味しそうな屋台が沢山並んでいるのだ。

屋台の料理はどれもがワンコイン未満で手に入り、食べ物だけではなくスーパーボール掬い、ヨーヨー釣り、型抜き等々の沢山の面白そうな遊びの屋台も有るのだ。楽しむ価値は充分に有るだろう。

 

「ねぇどう?」

「バッチリよバッチリ!!スグもホワイトぐらい素直ならね……」

 

お祭りの衣装に着替えた。準備は完了であり、これからキタカミセンターに向かおうとした時だった。

 

キュルルとタイヤのブレーキの音が家の外で聞こえる。すると、玄関先でミライドンに跨がったリンドウが現れた。リンドウはミライドンから降りると、ミライドンの頭を撫でてから「お邪魔します」と一言告げて敷地内に入ってきた。

 

「よっ、ホワイト。準備はバッチリか?サトシ達は先にキタカミセンターに行って、祭りを楽しんでるぞ」

 

実はと言うと、サトシを含めた他の生徒達はオモテ祭りをお先に楽しんでいる。サトシ達は甚平に着替えるつもりはなく、と言うか甚平を持ってないor持ってきていない。私服姿に着替えて、オモテ祭りを楽しんでいるのだ。当然、屋台を楽しむのならお小遣いは必要だが仕方がないだろう。

 

「うん!!準備はバッチリだよ!!」

「そうか。それじゃあ、お前達……一列に並んでくれ。記念撮影だ!!」

 

リンドウがそう言うと、ゼイユとスグリはホワイトを挟むように並んでポーズを決める。それと同時にホワイトのボールからイーブイと「マカセロス」の言葉と共に我らがカイロスさんも飛び出してきた。

 

「はい、チーズ」

 

リンドウはその言葉と共にスマホロトムで写真を撮った。

 

「今はチーズなんて言わないわよ」

「リンドウ先生、わやじゃ」

(今の子は言わないのか!?)

 

そしてリンドウ、カルチャーショックを受ける!!

 

 

 

キタカミセンター。そこでは祭りが行われていたのだが……リンドウはスグリを呼び出して、2人でベビーカステラを食べながら話をしていた。

 

「スグリ。ブルーベリー学園はどうだ?」

「ボチボチだべ……」

「そうか……単刀直入に言うぞ。君はこのままじゃ、ポッキリ折れる」

 

リンドウの言葉に対して、スグリはえっ?と驚きながらリンドウの方を見る。

 

「ブルーベリー学園の事は資料で見たことと、ブライア先生から聞いたことでしかわからない。

バトルを専門にしているようだが、バトルに向かない子やポケモンも居るんだ。イッシュには知人も居てな、少しだけ調べて貰った。

親御さんに高い授業料を出して貰っているとは思うけど、君は色々その眼で見て……視野や見聞を広めた方が良い」

 

ブルーベリー学園はバトル専門であり、バトルに関してしか授業を行わない。バトル関連の授業しかないので、バトルの腕前はメレメレ島ポケモンスクールやグレープアカデミーと比べても、確実に強くなりやすいだろう。だが、バトルに挫折してしまえば?辞めるしかない。最早、学校と言うよりは訓練所と言った方が良いかもしれない。

 

「まあ、よく考えて見てくれ。戦う事だけがトレーナーじゃない。

だが、君は良いトレーナーに成ると思うぞ?オタチと戦っている時は嬉しそうだったしな」

 

「人の教え子を勧誘ですか、リンドウ先生」

 

すると、イカ焼きを食べながらブライア先生が現れた。

 

「いーや、沢山ある人生のヒントを与えただけですよ、ブライア先生」

 

 

 

 

「む?」

 

一方のホワイト。ホワイトはゼイユとはぐれてしまったが、キタカミセンターから山への登山道に続く近くで、お面を被った小柄な子供?を発見する。

 

「ぽにお?」

 

その子供?はホワイトに向けてそう言う。

 

「ぽにおーん!!ぽにぽに!!」

「遊びたいの?」

 

「あっ!!ホワイト!!こんな所に……鬼退治フェスしない?アンタ、コライドンと一緒なら出れるわよ」

 

すると、ホワイトを見つけたゼイユが近付いてきた。だが、ゼイユの言葉を聞いた子供?は脚の強靭なバネで後ろに跳び、山への登山道の階段を一気に後方に上がる。だが、その瞬間……お面が外れてしまう。

 

「ぽにぃ!?」

 

そのお面の下は超絶可愛らしい顔があった。だが、顔の色が黄色だった事から人間ではなくポケモンなのだろう。

 

「ぽに……」

 

そのポケモンは両手で顔を咄嗟に隠そうとする。両手と言っても、法被の袖に見えるような手だが。

 

ホワイトは堕ちてしまったポケモンのお面を手に取る。そのお面はエリアゼロで見かけるような結晶が装飾に使われた、豪華な緑色のお面であった。だが、これはあのポケモンのお面であり、ホワイトが貰う訳には行かない。

 

「これ、落ちたよ」

「そうよ。それに、夜の山は危ないわよ……今日は遅いし、私の家に泊めてあげるから」

 

ホワイトはポケモンにお面を返そうとお面を差し出し、ゼイユはポケモンに夜の山は危ないと告げて降りてくるように言う。だが、ポケモンは逃げるように山に登っていった。

 

「どうした2人とも……てか、なんだ?それ」

「姉ちゃん、ホワイト。お待たせだべ」

 

しかし、間が悪いことにリンドウとスグリもやって来てしまい、リンドウとスグリはホワイトの持つお面を見てしまう。

 

「せんせー!!ポケモン居たよ!!物凄く、可愛くてアイドルに向いてそうな子!!その子がお面を落としたんだ」

「ポケモン?お面?」

「きっと鬼様だべ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっなんだっピ!?これは毒!?桃の臭い!?くそ、敵が見えないピ!?ギェェピィィー!!」

 

一方のギエピー。未知の敵に襲われ、取り憑かれる。




次回!!操られたギエピー!?

そして、ホワイトはゼイユとスグリの祖父母から鬼……オーガポンの事実を話される。

ギエピー?「ククク……ともっこは甦らせてもらうぞ。このお面も私が貰おう」
ホワイト「ギエピーじゃない!?ギエピーはもっと言葉が下品だもん」



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語られる鬼……オーガポンの真実

ぽにおーん!!


翌日。

 

『ホワイトだべな?良かっだ、姉ちゃんから番号聞いて家の電話でかけたべ。俺、スマホもってなが』

 

朝食を食べ終えたホワイトのロトムスマホに、スグリから着信が届いた。スグリはこのご時世では珍しく、スマホを持っておらず、家の黒電話を用いてホワイトに連絡をしてきたのだ。今のご時世、旅を始めた10歳のポケモントレーナーですらスマホを持ち歩く時代であるが……スグリはブルーベリー学園に通っている事も有ってか、スマホをまだ買っていないようだ。因みにゼイユは緊急連絡用として、両親から買って貰っている。

 

『お面の事で爺ちゃんが話があるべ。ウチに来てくれ』

 

スグリはそう告げて、電話を切った。なんでもスグリの祖父はホワイトとゼイユが昨晩出会った、可愛い謎のポケモンの事を知っているとのことで……話があるとの事。

ホワイトは早速、ゼイユとスグリの実家に向かうことにした。コライドンに乗れば一瞬で辿り着く事が出来る。

 

「ゼイユさん!!なんで今日はダメなの!?僕達、看板巡り1つも制覇出来てないよね!?」

 

公民館のロビーで、スマホロトムでゼイユと話しながら眼鏡くんが叫んでいるが気にしては行けない。今さらだが、眼鏡くんはゼイユに惚れており、ペアを組んだ時はテンションが天元突破していた。だが、ゼイユは眼鏡くんとオリエンテーションをするやる気は0であり、今日もスグリやホワイトと共に行動する予定である。眼鏡くん、どんまい!!

 

そんな眼鏡くんの慟哭をBGMにして、ホワイトは公民館を出てコライドンに跨がってスグリとゼイユの家に向かった。

 

 

 

スグリとゼイユの実家。そこでは縁側に座ったお爺さんとスグリ、壁に凭れたゼイユがホワイトの到着を待っていた。

 

「そろそろ来るわね……」

 

とゼイユがそう言った瞬間、コライドンが慣性ドリフトを決めて門から入り、華麗にゼイユ達の前でコライドンは停まった。そのコライドンの上ではホワイトが跨がっており、ホワイトは何事も無かったようにコライドンの背中から降りてニッコリと笑顔を浮かべた。

 

「おはよー!!スグリ、ゼイユちゃん!」

「アンタね、普通に来なさいよ!!なにコライドンもドリフト決めてるのよ!!リンドウ先生とミライドンみたいに、普通に停まりなさいよ!!」

「アギャッス?」

 

コライドン、慣性ドリフトで現れる。しかし、これで全員は揃ったことだ。スグリの祖父は深く息を吐き出して、ホワイトを見る。

 

「ホワイトくん。君はキタカミの伝承をどこまで知ってるかな?」

「伝承?うーんと、ともっこってポケモンが鬼からお面を奪ったんだっけ?看板にはそう書いてたよ?」

 

此処でキタカミの伝承を話しておこう。

スイリョクタウンが今から100年以上前。スイリョクタウンという町ではなく、1つの集落だった頃の話だ。山には鬼が住んでおり、その鬼は様々なお面を被ることで姿を変えることが出来たとされている。しかし、そんな鬼が有るとき、集落に現れた……鬼は我を忘れる程で暴れており、そんな鬼から集落を守るために居合わせていた3匹の毒タイプのポケモンが立ち上がり……鬼に戦いを挑んだ。毒タイプのポケモンは命と引き換えに鬼を撃退し、鬼を弱らせた。

人々はその毒タイプのポケモンを『ともっこ』と呼び、丁寧にともっこプラザの祠の下に埋葬した。そして、ともっこが鬼から奪ったお面はキタカミセンターに保管されている。

 

「でもさ、伝承って人の言い伝えだから事実と違う所も有るんじゃない。お母さんが言ってたよ」

「そういや、君は考古学の権威であるカラシナ博士の孫で、シンオウチャンピオンシロナさんの息子だったの。そうだ、君の言う通り……伝承は正しく伝わらない時もあり、人々が勝手に書いてネジ曲がる事もある」

 

お爺さんは下を向き、何かを決意してゼイユ→スグリ→コライドン→ホワイトの順番で見回す。

 

「今から言うことは村の人には絶対に言ってはいけないよ?」

 

お爺さんは語りだした。お爺さん、ゼイユとスグリのご先祖様はお面職人だったらしい。そしてそのお面職人は……鬼、いやオーガポンの真実を知っているとの事だ。

 

本当の歴史。今から100年以上前……海を越えた場所から1人の男とポケモンが現れた。そのポケモンこそがオーガポンであり、その男はオーガポンのパートナーだった。

しかし、当時の人々はやって来たオーガポンと男を見て、その男の容姿に驚き……鬼と判断して集落から追い出した。集落から追い出された男とオーガポンは、山……鬼が山の洞窟でひっそりと暮らした。オーガポンと男はそれでも問題はなかった、御互いが居ればそれだけで満足だった。

 

だが、1人のお面職人は2人を哀れに思った。お面職人は2人の為にお面を作った。そのお面は草、炎、水、岩をイメージした物であり、材料は男が母国から持ってきた宝石が作られた。そしてお面職人はお面を被り、祭りを楽しむ行事……オモテ祭りを作り、オーガポン達に楽しんで貰おうと働いた。

男とオーガポンはお面のお陰か、集落にやって来る事が出来た。オモテ祭りも楽しみ、2人が被るお面はたちまち遠方からも評判が集まった。だが、良いことだけではなかった。

 

有る時、4匹のポケモンがそのお面を奪おうと現れたのだ。その3匹が後のともっこであり、1匹はともっこの親分であった。ともっこはオーガポンが留守の間に、住み処の洞窟に侵入。洞窟には男が留守番をしていたのだが、ともっこは男に襲い掛かり……お面を奪いにかかった。

男は必死に抵抗して、お面を護ろうとした。だが、一部の例外を覗いて人間がポケモンに叶うわけがなく……男は草のお面を護ることが出来たのだが、他のお面を奪われてしまったのだ。

オーガポンが住み処に戻ると、そこには男が護り抜いた草のお面だけが残され、床には人間の致死量を遥かに越える真っ赤な血だけが残されていた。大切な男を奪われたオーガポンは残された草のお面を被り、文字通りの鬼となり、怒りのまま集落でお面を掲げていたともっこを撲殺。だが、事情を知らない集落の人々から悪役と判断されたオーガポンは寂しく山に戻るしかなかった。これが、真実の歴史である。

 

「なによ……それ……オーガポンかわいそう……ともっこマジで赦さん!!」

 

その場の全員の意見を代弁するようにゼイユが叫ぶ。

 

「でも……お面は返さないとね。残ったたった1つのお面だもん」

 

スグリがそう告げる。ホワイトが鞄の中に大事に仕舞ってるオーガポンのお面、このお面はオーガポンに遺された大切な人の形見でもある。だから、これだけでもオーガポンに返さなくてはならない。

 

「うん。ちょっとかけてたけど、僕が寝てる間にカイロスさんが直したよ」

「アンタのカイロス、マジで何者よ……」

 

お面はオーガポンが落としてしまった時に少し、欠けてしまったが、ホワイトが寝ている間にカイロスさんが直してくれたのだ。

ホワイトが鞄から草のお面を取り出した。そのお面は我らが珍虫が夜なべして修復したのか、新品同様に輝いている。

 

「てか、ともっこの親分はどうなったのよ?オーガポンが倒したのはともっこだけなんでしょ?」

「桃のポケモンはルシアスという若者が明治時代に倒して封印したそうじゃ」

 

「『ルシアスか……ククク……忌々しい名前を久しく聞いたな』」

 

その時だった。上からギエピーの声と何かの声が重なったような声が聞こえる。ホワイト達が上を見上げると、ピンク色のオーラに取り憑かれたギエピーが浮いていたのだ。

 

「ギエピー?」

「グルルル!!」

 

だが、そのギエピーを見たコライドンは素早く臨戦態勢に突入し、完全形態に変化した。

 

「いや、お前……ギエピーじゃないね!!ギエピーはもっと下品な言葉を使うもん!!」

「『ほう、この器はギエピーと呼ばれているのか。まあよい、このモモタロウの邪魔はするなよ?』」

 

ギエピー?はモモタロウと名乗り、ギエピーが覚えている技 トリックを使い、ホワイトの持つお面を強奪した。

 

「それはオーガポンの物だよ!!」

『「それは知らんな」』「やろー!!僕の身体であそぶなっピ!!このピーチドンめっピ!!お前は必ず、」『ちっ!!この器、魂の大きさ強すぎだろ!!』

 

だが、モモタロウ?ピーチドン?名前は分からないが、ギエピーの身体を完全には乗っ取れてないようだ。

 

『ちっ!!まあ良い……これは頂く。そして我が配下 イイネイヌ、キチキギス、マシマシラを蘇生させよう』

 

そしてピーチドン?はともっこプラザの方へ飛んでいった。

 

「姉ちゃん、ホワイト……あのピーチドン?とモモタロウ?ともっこ様を甦らせるなんて言ったてべ?」

「言ってたわね……てっことは……」

「ともっこが出ちゃうの!?」

 

そしてピーチドンはともっこを蘇生させると言っていた。このままでは不味い、ともっこは目的のためならば平気と人間を殺害するポケモンだ。何としてでも、復活を阻止しなければ為らない。しかも、ともっこは現代のキタカミでは英雄扱いされている。他のスイリョクタウンの人々はともっこをもてなすだろうし、護ろうとするだろう。何としてでも防がなくては!!

 

 

 

ともっこプラザ。

 

「『ほう、追い付いてきたか……』」

 

完全形態のコライドンに跨がり、瞬く間にともっこプラザに到着したホワイト、ゼイユ、スグリの3人。そこにはギエピーに取り憑いた仮称ピーチドンの姿があったのだ。

 

「『このモモタロウの力をみせて』「コライドン!!地震パンチ!!」ぐぅぅひー!!」

 

リンドウ先生の教えその一!!外道は容赦するな。

此処に来るまで、コライドンはギアチェンジを3回積んでおり、圧倒的な加速力で仮称ピーチドンの顔面に地震パンチをねじ込む。だが、ピーチドンはギエピーの肉体を乗っ取っている為に効果抜群にはならない。

 

「『くっ!!ならば邪毒の鎖!!』」←ゆびをふるで出てきた技、多分ピーチドンの専用技。

 

「コライドン!!石破天驚拳!!」

 

ピーチドンは謎の毒々しい鎖を出したが、それはコライドンの石破天驚拳でかきけされ、ピーチドンは石破天驚拳のダメージを受ける。

 

『「おっ己……てか何故、まだ生きているのだ!!てか、なんであの時より幼くなってる!!」』

「?」

 

ピーチドンが訳の分からない事をほざくが、気にしてはいけない。

 

「『貴様のタイプは分かってるぞコライドン!!100年前、貴様はヒスイで大暴れしてたからな!!くらえ、ムーンフォース!!』」

 

ピーチドンはギエピーの技を使い、ムーンフォースを解き放つ。当たればコライドンには4倍ダメージだ。

 

「コライドン!!テレポート!!」

 

その瞬間、コライドンは圧倒的身体能力でその場から消える。コライドンの立っていた場所にはコライドンが踏み込んだ後が残ってる事から、コライドンは思いっきり地面を蹴って消えたのだろう。ビシュン!って空気が震える音も聞こえたし。

 

「「それ、テレポートじゃねぇぇ!!テレポート(物理)!!」」

 

ゼイユとギエピーのツッコミが響くが、コライドンはピーチドンの真後ろに現れる。

 

『「なっ?」』

「連続で爆裂パンチ!!」

 

ピーチドン……もといギエピーの顔面にコライドンの爆裂パンチが突き刺さる。だが、コライドンが右手を引いた瞬間、コライドンの左手の爆裂パンチがギエピーの顔面に突き刺さる!!続いて左手が引いた瞬間に右手の爆裂パンチが突き刺さる!!それは何度も繰り返され、怒涛の爆裂ラッシュが繰り出される。

 

『「ぐっぐ!!まっまもるだ!!」』

 

ピーチドンはまもるを使おうとするが、ラッシュに捕まりまもるを発動できない。

 

「なにをまもるって?人の物とったら泥棒だよ!!」

「アギャッッシャァァアー!!」

 

『「ぐぅぅあ!!」』

 

そしてピーチドン?はギエピーの身体から抜け出した。しかし、その事にホワイト達は誰も気付いてない。

 

「待てっピ!!僕はもう大丈夫だっピ!!ちょっっまてやぁぁぁあ!!」

「アギャッシャァー!!」

 

そして渾身の右ストレート(コメットパンチ)がギエピーの顔面に炸裂し、ギエピーはともっこの社まで吹き飛び、社は粉々に砕け散った。効果は抜群だ!!

 

「よくやったわ、コライドン、ホワイト。誉めてつかわす!!」

「姉ちゃん、確かにそうだけどやりすぎだべ……」

「ギエピー……災難だっピ……」

 

ギエピー、元に戻る。そして奇跡的にオーガポンのお面は無事であり、ホワイトはそれを大事な物入れにしまった。

 

『ぐっ……バカな……これ程の力が!!ルシアスも居ないから、此の世の春が来たと思ったのに!!』

 

すると霊体のピーチドンが現れた。しかし、どういうわけかモザイクがかかっている。

 

『まあ、良い!!あと3年ちょっとは現世に介入出来ないが、我が魔力の最大限の解放を見せてやるわぁぁあ!甦るが良いぃぃぃい!!我が家来達よ!!』

 

ピーチドン?は不思議な力を使い、社が建っていた場所から巨大なピンクの光の柱が立ち上る。光の柱が止むと、そこには3匹のともっこが世に解き放たれた。

 

「ヌンダフル!!」

 

「マキッシャー」

 

「キチキー!!」

 

犬のポケモン、イイネイヌ。猿のポケモン、マシマシラ、雉のポケモン、キチキギス。キタカミの伝承に伝わる伝説のともっこである。

 

そして、ともっこ達はオーガポンに御礼参りをするかのように、山に向かって行った。

 

 




次回!!ともっこ、ヤヴェー奴等を怒らせる。

リンドウ「甦った事を後悔させてやる」

ホワイト&リンドウ「レギュラー(ガチパ)満タンで」
ブルー「オーケー!!粉砕してきなさい」



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管理人「ともっこ様が甦った!……えっ?イイネイヌ様がぁあ!?」

ともっこ、終了リアルタイムアタックスタート!!

イイネイヌ「そうじゃ、ワシらはメガリザードンとメガコライドンの手で……」


突如として甦ったともっこ3匹。甦ったともっこ達は、まさか本当にともっこが甦るとは思っておらずポカーンとしているホワイト達を残し、笑みを浮かべて鬼が山の方へと向かって行った。

 

「本当に甦っちゃった」

「わやじゃ……ともっこが甦った」

「化石復活マシーンやホウオウ以外で、復活出来るヤツって居たんだ」

 

だが、その間にともっこ3匹は見えなくなってしまった。恐らくだが、ともっこは一般的な伝説ポケモン(所謂、準伝説)に匹敵する戦闘力を持っているのだろう。仮称ピーチドンor仮称モモタロウの配下になり、大幅パワーアップしたとしても凄いことだろう。

 

「いででで、コライドン!お前、いくら何でもやりすぎだっピ!!」

「アギャッス」

「腕を組みながら言うなっピ!!なになに?あのピーチドンがヤバい存在だから手加減しなかった?僕じゃなかったら大惨事だっピ!!」

 

ギエピーも一先ず、元に戻って何よりだろう。ギャグ補正の塊だから、ぎったんぎったんのボコボコにしても次の瞬間には復活してるし。

だが、考えてほしい。ともっこは生前、ぶちギレたオーガポンの手でフルボッコにされて散った。そしてオーガポンはお面を被ることでパワーアップを果たす。だが、お面がないオーガポンはぶっちゃけると、アイドル級に可愛いポケモンでしかない。そんなオーガポンがともっこと戦えばどうなるのだろうか?確実にフルボッコにされる事は間違いないし、なんなら3対1という絶望的な状況で殺されてしまうかも知れない。

 

「大変だよ!!アイツ等、オーガポンを虐めるつもりだよ!!」

 

ホワイトがそう叫び、ゼイユとスグリも気付く。あのともっこは間違いなく、オーガポンの所に向かったのだと。

 

「それはヤバいじゃない!!」

 

だが、ゼイユの手持ちはチャデスとポチエナだけであり、スグリの手持ちもオタチとカジッチュだけだ。とても伝説のポケモン相手に戦えるかどうかすら分からない。

超絶手加減したリンドウの手でワンパンされた程であり、いくらバトル専門校であるブルーベリー学園の生徒とは言え、間違いなくともっこと戦えば蹂躙されてしまう。

 

「仕方がない!!スグ、今すぐリンドウ先生呼んできて!!

私とホワイトで先にオーガポンの所に向かうわ!!」

「姉ちゃん!?」

「私とスグじゃ、ともっこに勝てない!!でもホワイトとリンドウ先生なら勝てる!!」

 

ゼイユは簡単に作戦を説明してくれた。御存知、ゼイユとスグリではともっこに勝つことは不可能……なんならワンパンされて手持ちのパートナーは勿論のこと、ゼイユとスグリ自身も悲惨な事に逢うかもしれない。だが、ホワイトとリンドウならともっこと戦え、粉砕することが出来る。

オーガポンの所に駆けつけたら、ホワイトがともっことバトル、ゼイユはオーガポンを救助してチャデスの技でオーガポンの治療である。

だが、ともっこの強さは実の所分からない。オーガポンは当時、邪神をボコボコにしたキュレム・オリジンのように怒り補正で超絶パワーアップしていた可能性も有るのだから。ホワイト単騎より、もう1人の助っ人も必要だ。そこでスグリはお面の事を知っており、なおかつホワイトと同様にメチャクチャ強いトレーナーであるリンドウを呼んでほしいのだ。

 

「わっわかった!!呼んでくる!!」

 

スグリは大急ぎでリンドウを呼ぶために、走っていった。

 

「私達も行くわよ!!」

「うん!!」

「アギャッス!!」

 

コライドンはギエピーを掴むと……思いっきり振りかぶって鬼が山に向かって投げた。

 

「ギェェピィィー!!」

 

ギエピーは鬼が山まで物凄い早さで飛んでいった。

 

「投げた!?」

「あー……多分、コライドンはギエピーを乗せたくないんだよ」

 

ギエピーが飛ばされた後、コライドンは制限形態に変化して、ホワイトとゼイユに乗るようにアイコンタクトを行う。ホワイトとゼイユがコライドンに乗り込むと、コライドンは頭部の翼を広げて、全速力で鬼が山まで飛んでいった。

 

「でもさ、ゼイユちゃん。1つ問題があってね……」

「なによ」

「僕とリンドウせんせー、本気のメンバーの大半をお家に置いてきたんだ」

 

鬼が山までもう少しの時、ホワイトはそう言った。そう、ホワイトとリンドウは本気のメンバーの大半をアローラのお家に置いてきたのだ。

ホワイトが連れてる本気メンバーはイーブイ、カイロスさん、コライドンだね。後は育てるために連れてきたニャオハ、フカマル、ゼニガメ(レベル1、両親はリンドウのレウスとブルーのカメちゃん)だ。

リンドウはリーフィア、レウス、破壊神ボスゴドラ、ミライドン、研究用のカミツオロチ、研究用のアヤシシだけだ。

 

「勝てるの?」

「勝つさ」

 

コライドンは更に加速した。制限形態でも一部の技は使うことが出来る。コライドンはギアチェンジを用いて、更に加速した。

 

 

 

「ヌンダフル!!」

「ぽにおー!?」

 

鬼が山にあるオーガポンの住み処の洞窟の前。そこではともっこの3匹がオーガポンを包囲して、リンチしていた。怒りのパワー補正とお面によるパワーアップ(全部の技1.2倍)がないオーガポンなど、ともっこの敵ではない。

オーガポンは猛毒に犯されており、イイネイヌの蹴りがオーガポンの腹部に直撃してオーガポンは絶大なダメージを受けてしまう。

 

「キチキチ」

 

キチキギスはニヤリと笑みを浮かべ、オーガポンを脚で掴むと……オーガポンを崖から落とした。

ともっことしては、オーガポンは自分達を1度殺した敵であり、今の自分達とオーガポンが人間からどう思われているのかも理解している。オーガポンを殺して、その亡骸を差し出せば管理人達は喜んでくれる事は間違いなし!!

 

「なんとか間に合ったね」

 

声変わりを向かえる前の子供の声……だが、確実に怒っている声が聞こえた。それも、オーガポンを突き落とした崖からだった。

 

「コライドン?ARE YOU READY?」

 

すると、崖下から古代と未来が合わさったファイター メガコライドンが現れたのだ。

メガコライドンの肩にはホワイトが捕まっており、ホワイトは片手でオーガポンを優しく保護しており、ゼイユも反対側の肩に捕まっている。

 

メガコライドンが降り立つと、ホワイトとゼイユは肩から降りる。ホワイトは更にイーブイをボールから出した。

 

「ブイブイ!!」

「ゼイユちゃん。ぽにちゃんをお願い」

「ぽにちゃん?」

「この子のアダ名」

 

ホワイトがオーガポンにもうニックネームを着けているが、気にしてはいけない。ゼイユはオーガポンに治療を施す。だが、手持ちの薬にも限度があり、自身のチャデスの特性 おもてなし、技である命の水でオーガポンを回復させる。だが、オーガポンのダメージが深刻であり……限度がある。

 

「さてと……君たち……全員、地獄行き」

 

ホワイトがそう告げた瞬間、マシマシラとキチキギスがホワイトに襲い掛かる。

 

「イーブイ、手助け。コライドン、ゴッドフィンガー」

 

マシマシラの腹部に、メガコライドンの抜き手が突き刺さる!!その手は既に真っ赤に燃えており、爆熱がマシマシラにダメージを与える。

 

「マシマシ!?マシィィー!?」

 

ゴッドフィンガーはゼロ距離テラバーストである。そしてメガコライドンは特性により、テラバーストはテラスタル中と同じ効果を得る。つまり、タイプ一致で別タイプの技を繰り出せるのだ。

ホワイトは宝食堂でコライドンに定食を食べさせ、テラスタイプを格闘から炎に変更させており、ゴッドフィンガーは文字通りの爆熱ゴッドフィンガーと成ったのだ。

 

「アギャァァシャー!!(ヒートエンドォ!!)」

「マキィィィーー!!」

 

爆発が起き、マシマシラは後方に吹き飛んで壁にめり込み、一撃でノックアウトにされた。

 

「キチキー?」

 

その時だった……

 

「ギェェピィィー!」

 

空からギエピーが降ってきた!!ギエピーの体重はメチャクチャ重く、ギエピーはキチキギスに落下してキチキギスに絶大なダメージを与えた。

 

「キチキィィイ!?」

 

バキバキと骨がきしむ音が響き、キチキギスはKOされた。

 

「ぬっヌンダフル!?」

 

このままでは全滅する。そう判断したイイネイヌは、キチキギスとマシマシラを連れて、撤退した。撤退した方向はキタカミセンターであり……キタカミセンターにはこの時期、ひでんスパイスから作られた栄養満点のお餅がある。それを食べて復活するのだろう。

速やかに追って撃破したかったが、今はオーガポンの治療が先決だ。ホワイト達はオーガポンを連れて、キタカミセンターとは別方向から下山してスイリョクタウンを目指す。スイリョクタウンなら、タケシがいる筈であり、タケシならオーガポンを治療できる筈だ。

 

 

スイリョクタウン

 

「無事だったか!?」

「姉ちゃん、ホワイト!!てっ、鬼様がヤバい事に!?」

 

スイリョクタウンに到着すると、リンドウとスグリがホワイト達を向かえてくれた。だが、スイリョクタウンはいつも以上に人が少ない。何が有ったのだろうか?

 

「変ね、人が少なすぎるわ」

「ああ、それがな……」

 

リンドウは説明してくれた。リンドウがスグリと合流し、今からホワイトとゼイユの救援に向かおうとしていた時だった。

町内放送で『ともっこ様が復活し、キタカミセンターに来ました!!』と放送が流れると住民のほとんどはともっこ様を一目見る為にキタカミセンターに向かったのだとか。しかも、ともっこ様を励ますためにひでんスパイスや木の実を持っていってである。

 

「準備が出来たぞ!その子がオーガポンだな!?」

 

そしてホワイトとゼイユの帰還を待ってましたと言わんばかりに、公民館から白衣姿のタケシが出てきた。オーガポンはボールに入れてないため、治療するにはジョーイさんやポケモンドクターの力が必要である。

 

「うん!!」

「後は俺に任せろ」

 

タケシに任せたら、オーガポンは一先ず安心だ。

 

すると、リンドウのスマホが鳴り響く……

 

『リンドウさん。自分です』

「ウォロか。そっちはどうだ?」

『ええ、キタカミセンターで情報集めしてるのですが……』

 

通話の相手はウォロであった。ウォロはリンドウからの依頼を受けて、キタカミセンターで情報収集をしていたのだ。

 

『管理人さん達はともっこ達の味方のようでして……ともっこ達にオモテ祭りで用意された、ひでんスパイスがたっぷり使われたキタカミ餅を全部与えました』

「えっ?」

 

なんと言う事でしょう。管理人さん達はともっこをパワーアップさせるかのように、オモテ祭りで用意されたキタカミ餅をぜーんぶ……ともっこに献上して、ともっこはそれらを食べてしまったのだ。

 

『ひでんスパイスを急激に過剰摂取した影響なのか、ともっこ達は大きさが2倍~3倍程に巨大化してます。薬剤師から言わせてもらえば、強くなる代償に内臓にかなりの負担がかかってます。

悪人と言えど、ポケモンですから……救いの手を指し伸ばすなら速やかに鎮圧させる必要があります』

 

更に、ともっこはひでんスパイスを急激に過剰摂取した影響で大きさが2倍~3倍程に巨大化しているとのこと。ただ、薬師でもあるウォロからすれば急激なパワーアップの代償として内臓に大きな負担がかかっており、早く鎮圧する必要があるとのこと。

 

『管理人さんがともっこに、オーガポンさんのお面をプレゼントしてました』

「おけ、本気で鎮圧するから安心してくれ。お前は予定どおり、他の生徒の安全確保を頼む……まあ、サトシとバイオレットは大丈夫だろう。あの2人は暁ってガチグマの捜索をしてるし、ともっこと戦っても問題はない」

『ええ、そうですね』

 

ともっこ鎮圧リアルタイムアタックの始まりである。

 

 

 

『リンドウ!ホワイトどうしたのよ?』

『グラ~?』

 

公民館にはパソコンが備え付けられており、テレビ電話や手持ちの入れ替えが出来る。そこでリンドウとホワイトは、アローラの社宅で留守番をしているブルーに連絡を入れた。

 

「「レギュラー(ガチパ)満タンで」」

『OK!!蹂躙しなさい』

 

手持ちを入れ替えて、準備はOKである!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌンダフル!!」

 

イイネイヌは全長8メートル程まで巨大化しており、寛いでいた。だが、その時だった……

 

「甦った事を……後悔させてやるわぁぁぁぁ!!」

「ボコボコだぁぁあ!!」

 

声が聞こえ、イイネイヌは起き上がる。なに、今の自分はひでんスパイスの過剰摂取でパワーアップしている……どんな敵も……

 

「レウス!!最大出力で地震!!」

 

だが、イイネイヌの眼前に限界まで竜の舞いを積んで、素早さと攻撃力が天元突破したメガリザードンXが現れた。メガリザードンは両手に地震エネルギーを圧縮し、マシマシラの腹部に右手の地震パンチをぶちこむ。

 

「ぬんだふるぅぅぅ!!」

「もう一発!!」

 

続けてもう一発の地震パンチがイイネイヌの顔面に炸裂し、イイネイヌは後方に吹き飛ばされた。

 

「今だ!!ホワイト!ぶちこめ!!」

 

イイネイヌが飛ばされながら後ろを振り向くと、限界までギアチェンジを積みまくったメガコライドンが立っていたのだ。更にメガコライドンは気合いためを使って金色に輝いている。

 

「ゴッドフィンガー!!」

「アギャァァシャー!!」

 

気合いため+限界までギアチェンジというバフを重ねた、メガコライドンのゴッドフィンガーもといゼロ距離テラバースト。それは地震パンチ×2を受けてほぼ瀕死に追い込まれたイイネイヌを……

 

「ヒートエンド!!」

「ヌンダフルぅぅぅ!?」

 

オーバーキルで戦闘不能に追い込んだ。これにより、イイネイヌは倒されてしまい……イイネイヌは元の大きさに戻って奪われたオーガポンの仮面を落とした。

 

ともっこ、残り2体。

 

 

 

 

管理人「イイネイヌ様が戦闘不能で倒れているだと!?何が起きているんだ!?バカな……ひでんスパイスたっぷりのキタカミ餅でパワーアップした英雄を!?」

 

なお、管理人がキタカミの本当の歴史を知るのは後の話だとか。




次回!!キチキギス終了のお知らせ

キチキギス「救いは……ともっこに救いは!?俺たち、このまま……死……死んで……」



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管理人「キチキギス様までも!?」

ともっこ、終了のお知らせ


英雄イイネイヌ、戦闘不能!!未知の敵に遭遇して僅か10秒の出来事であった。

 

「ぽにおー!!」

「ぽにちゃん、元気になった?はい、お面。取り返してきたよ」

 

そのイイネイヌを粉砕したのは勿論、ホワイトとリンドウであるがこれはキタカミの人々には知られていない。

ホワイトとリンドウが公民館に戻ると、そこでは既に元気になったオーガポンが2人を出迎えてくれた。オーガポンはタケシの治療を受けて元気になっており、今はタケシが作ってくれたカレーを美味しそうに食べている。

 

「ちょっとオーガポン。口元拭きなさい、はしたないわよ」

「ぽに?」

 

しかし、よっぽどタケシの作るカレーが美味しかったのだろう。オーガポンはがっつくようにカレーを食べており、食べ終える頃には口元にカレールーが着いていたのだ。そんな口元に着いたカレーをゼイユはハンカチでとってあげていた。

 

「これで、あと2つだな。だけど、オーガポンが元気になったら外に連れ出した方が良いかもな」

 

ふと、リンドウがそう言った。と言うのもこれには訳がある。

 

「町の人々からはオーガポンは悪い鬼と伝えられてるしな。反対にともっこ集団は英雄扱いだ、此処に居たら古い考えの町民達からオーガポンは勿論……ともっこを倒そうとする俺達も悪者扱いされるかもしれない」

 

伝承がねじまがって伝えられた為に、オーガポンは被害者から悪者扱いされている。それに対してともっこは強盗殺人の犯罪者から英雄扱いだ。しかもともっこは甦り、大半の人々からはチヤホヤされている。そんな英雄扱いされているともっこを倒そうとするリンドウ達も悪者扱いされる可能性が高いし、悪い鬼としてもっと酷く迫害されて討伐隊まで結成される可能性も高い。

だからこそ、オーガポンが元気になったらオーガポンを連れ出した方が良いだろう。

 

「それに関しては同感だな。町のジジイどもは考えが固いし、古い思想が有るしな」

「そうそう…………って誰ぇぇぇ!?」

 

公民館の壁に凭れるように、いつの間にか筋骨隆々の男 ハンマ・ユウジロウが立っていたのだ。勿論、リンドウとユウジロウは初対面であり、リンドウはいつの間にか現れたユウジロウに驚きながら声を出してしまった。

 

「「ユウジロウさぁぁぁん!?」」

「安心しろや。俺はそこの可愛い鬼ちゃんを否定はしないさ。

俺達若い世代(40代未満)にとって、ともっこの伝承は昔話でしかない。目の前の真実だけが全てさ」

 

ユウジロウを含め、鬼面集の連中はオーガポンに対してそこまで距離感は持っていない。と言うか、自分達で鬼面集なんて名乗ってるので、鬼様の事が好きなのかもしれない。

 

「それによ、ともっこを倒してお面を取り返しても窃盗罪にされるんじゃないか?今の所有者はキタカミセンターで、管理人だからよ」

「「「あっ」」」

 

だが、考えてほしい。ともっこに取られたお面はキタカミセンターに保管されていた。そのお面の書類上の管理者は管理人であり、管理人はともっこに譲渡してしまった。

リンドウとホワイトがともっこをボコボコにし、お面を取り返してオーガポンに渡しても……頭の固い管理人や町民達はオーガポンがともっこからお面を奪ったと認識してしまうかもしれない。

 

「そこはおじさんに任せておきな。管理人がアレなら拳で黙らせる」

「それ、死んじゃうっピ」

 

だが、鬼のことを悪く思っておらず愛着を抱いていた鬼面集はオーガポンの名誉回復運動を決意してくれた。それが果たされて、正しい歴史が認知されれば公的にお面をオーガポンの物に出来る。

 

「俺も手伝うべ……俺、出来たら鬼様の為にリンドウ先生やホワイトと一緒にともっこと戦いたかった。でも、今の俺じゃ……足手まといじゃ。

だから……自分で出来ることを頑張るべ!!」

「そうね、スグだけじゃ心配だし……鬼面集なら兎も角……ユウジロウさんなら手(物理)が出るから。私も行くわよ」

 

鬼面集とスグリ、ゼイユはスイリョクタウンでオーガポンの名誉回復運動を行うことを決めた。これでオーガポンの名誉が回復し、ともっこ粉砕が合法的に出来るし、お面も改めてオーガポンの物に出来るのだから。

 

「じゃあ、頼んだぞ」

「僕たちはともっこをボコボコにして、お面を取り戻そう!!」

「勿論だっピ!!」

「ぽにおーん!!」

 

そしてともっこお仕置き部隊がリンドウ、ホワイト、ギエピー、そしてオーガポンである。最も、オーガポンはホワイト達に着いていくだけであり、戦闘には参加しない。

 

 

 

「キチチ!」

 

鬼が山。そこでキチキギスは8メートル程に巨大と成っており、強く美しくなった自分に自惚れていた。だったのだが……

 

「ボス!!諸刃の頭突き!!」

 

その瞬間、岩テラスを用いた破壊神が物凄い勢いで……全身全霊で突っ込んできた。

 

「キチチ!?」

 

キチキギスが気付いた時には既に遅かった。キチキギスの腹部に、リンドウのボスゴドラの諸刃の頭突きが突き刺さり、絶大なダメージを与える。

ボスゴドラが岩タイプにテラスタルすることによって、諸刃の頭突きの破壊力は絶大な物となり、深刻なダメージをキチキギスに叩き込んだ。

 

「からのメテオビーム!!」

 

そしてゼロ距離から解き放たれたメテオビーム!!それはキチキギスを突飛ばし、大ダメージを与えた。だが、キチキギスは立ち上がり、翼を広げて逃げようとする。

 

「可笑しい……アイツ、飛行タイプじゃないのか?」

 

キチキギスは何処から見ても飛行タイプであり、恐らく毒飛行だとリンドウは考えた。しかし、諸刃の頭突き+ゼロ距離メテオビームを受けて動けるとは……どう考えても飛行ではない。

 

「プラン変更だ!!ホワイト!!」

「OK!!コライドン!投げ付ける!!」

 

すると、ギエピーを持ったメガコライドンが現れた。メガコライドンはギエピーを振り上げて……キチキギスに向けてぶん投げた。

 

「オラァァァア!!」

「ギェェピィィー!!」

 

ぶん投げられたギエピーは物凄い速度でキチキギスに向かって飛ばされ、キチキギスの股間にギエピーが直撃する。

 

「キチキス!?」

「やべー落ちるっピ!!」

 

ギエピーは咄嗟に何かを掴んだ。それは

 

 

 

 

キチキギスの金の玉(隠語)であった。妙に生暖かったが、ギエピーは落ちないためにそれを掴んでしまう。

 

「ぎぃぃぃぢぃぃ!?」

 

そう、こんなナリだがキチキギスは♂である雄なのである。なので金の玉(隠語)は付いているのだ。

 

「落ちるっピ!!」

「ぎぃぃじぃぃ!?」

 

タマタマ(隠語)がギエピーの重たい体重で下に引っ張られ、キチキギスは男の尊厳を喪いそうに成ってしまう。

 

「ホワイト。アイツ、飛行じゃないな」

「うーん、タイプ分からないな……」

「よし、最大火力だ」

 

リンドウはボスを戻すと、レウスを繰り出した。そしてレウスがメガリザードンXにメガシンカを果たす。

 

「レウス。最大出力でブラストバーン!!」

 

レウスは四つんばいになり、口を大きく開ける。莫大な熱量がレウスの口部から漏れだしていき、蒼い炎が見えてきている。そして、最大チャージまで溜められたブラストバーン……何処から見てもメガフレアが放たれた。

 

爆光と共に解き放たれた蒼い炎の熱線はタマタマ(隠語)でもげそうに成っているキチキギスに絶大なダメージを与えた。

 

「ギェェピィィー!!やっぱりこうなったピィィイ!!」

 

そして序でにギャグポケモンにも絶大なダメージを与えてしまった。

 

キチキギス!!リタイア!!リンドウとホワイトはお面を取り返した!!

 

 

 

 

これで、残るはマシマシラだけであり……

 

マシマシラ「犬と雉も殺されてしまった!!人間1人殺しただけで…………血も涙もねぇぇ!!」

 

その1時間後。マシマシラの所に、メガリザードンXとメガコライドンがトレーナーと共に現れ、フルボッコにしたのはお決まりである。

 

 

 

「ぽにおー!!ぽにぽに!!」

 

オーガポンは思った。誰かと再び歩めるなら、祭りでも気にかけてくれて、お面も取り戻してくれたホワイトと共に歩もうと。

 

「オーガポンどうしたの?」

「ぽにおー!」

「うん分かった」

 

ホワイトは鞄からおシャボの1つ、フレンドボールを取り出した。そしてオーガポンは自分の意思でボールに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大人のお姉さんと同じテントで寝泊まりってどうなの!?」

 

ガチグマを探して3日目。バイオレットくんは性癖が歪みそうに成っていた。

サトシはサバイバルに慣れており、美女と共にテント生活をしても特に問題はない。だが、バイオレットくんはテント生活が初めてであり、しかも狭いテントの中でサザレさんとサトシと共に生活である。

 

「助けてぇぇ!!アンナ、ボタン、ネモ、ペパー!!俺、性癖が変に成っちゃう!!」

 

果たして、ガチグマは見付かるの!?




次回!!

ブライア「えっ!?エリアゼロ探索の許可が!?ふふふふハハハハ!!よし、林間学校は切り上げよ」

スグリ「ブライア先生、俺……ブルーベリー学園、辞めるべ」

 スグリの旅立ち。そして綺麗な夏油スグリ誕生へ

ククイ博士「今日から、君も家族だ」

勿論、プロテインが始まる!!成長期の子供にも良いよ!!


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キタカミの里~スグリの旅立ち

スグリ、旅立つ。


ともっこ粉砕から翌日。

 

「ええ!!それは本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

電話をしていたブライア先生は物凄く嬉しそうだった。それもその筈、ブライア先生の念願がようやく叶いそうなのだ。

ブライア先生はヘザーの末裔であり、ヘザーはかつてエリアゼロを探索した時に……謎のポケモン テラパゴスと遭遇した。テラパゴスはブライア先生の予想と仮説が正しければテラスタルを司る神に等しき力を持つポケモンであり、同時に理想と願望を叶え、更には運命や因果を書き換える力を持つのでは?と考えているのだ。

机上の空論であるが、ブライア先生はそれが真実だと半ば考えている。運命を書き換える力を持たなければタイムマシンなんて作れないし、どんなポケモンでも使えるテラスタルの力を産み出すなど不可能だ。それにタイムマシンを仮に人類の叡知だけで作れたとして、タイムマシンをポンポンと使えばタイムパラドックスが沢山起きてしまう。しかし、タイムパラドックスが全く起きていない。これは間違いなく、テラパゴスに運命を書き換える力が有ることが有力だ。

 

そのテラパゴスが眠っていると思われるエリアゼロへの調査、それがついに叶ったのだ。エリアゼロは基本的に立ち入り禁止であり、危険地帯でもある。

2年前のリンドウやホワイトのように「バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」と言わんばかりに入らない限り、入るお馬鹿はほとんど居ない……居ても迷惑YouTuber位だろう。

 

「四天王の護衛と監視付きとは言え、エリアゼロへの探索が出来る!!遂に……遂に私はテラパゴスに会えるんだ!」

 

あまりの興奮に、ブライア先生は高らかに笑う。周りの人から「あっ、コイツやべーヤツだ」と見られているが、自身の探求心と欲求が抑えられないブライア先生はそんなこと気にしない。

 

「これは林間学校処ではないな」

 

ブライア先生はスマホロトムを操作し、スグリとゼイユにメッセージを送った。それは『ブルーベリー学園は林間学校を中止し、直ちに学園に帰還。その後、準備が出来次第にパルデアのエリアゼロに向かいますよ』との事だった。勿論、余りにも突然すぎるので仕方がないが、別によいだろう。

だってブルーベリー学園はバトル専門であり、こんな地方でのフィールドワークはカリキュラムには関係無い、本音を言うと必要ないのだから。

 

「テラパゴス、私の願いは叶う!必ず、証明して見せるとも!!」

 

なお、今から3年後……ブルーベリー学園崩壊の原因だとは言わないでおこう。

 

 

 

 

 

「俺はブルーベリー学園には帰らないべ……俺、メレメレ島のポケモンスクールに転校する」

「スグ……いえ、スグリが自分自身で悩んで決めた事です。私は弟を尊重します」

 

ブライア先生の召集連絡を受けたゼイユとスグリの姉弟は、ブライア先生の所に集まった。だが、そこでスグリは自分の意見を伝えた。そう、スグリはリンドウからの誘いも有ったが、バトル専門校であるブルーベリー学園を辞めて、ポケモンスクールに転校する事にしたのだ。

 

「どうしてかな?あと3年ほど頑張れば、君でもジムリーダーと同じぐらい強くなれるよ?」

「俺、知ったんじゃ。ポケモントレーナーの道はバトルだけじゃないって。ポケモンと一緒に沢山の選択肢が有るって。バトルは好きだけど……俺、自分に何が向いてるのか探すためにも……ホワイトやサトシさんと勉強するべ!!」

「そう……まあ、良いでしょう。ゼイユ、1時間後に出発よ」

 

ブライア先生はそう告げ、去っていった。

 

「スグ、やっと自分で道を選べたね」

 

ゼイユは優しい眼差しでスグリを見下ろして、そう言った。

今までスグリはゼイユの後ろで隠れたり、他人の意見に合わせて動いていた。ブルーベリー学園もゼイユが入学するから一緒に進路を選んで付いてきただけだった。だけど、そんなスグリも林間学校でホワイトやリンドウと出会い、一緒に冒険して成長したスグリは初めて自分で選択したのだ。

 

「次、何時会えるのか分からないわ。でも、たまにで良いから連絡しなさいよ……」

「うん……」

「私も準備があるから行くわね」

 

そしてゼイユもスグリの前から去ろうとする。もう、弟は大丈夫だ、いつまでも自分の後ろで怯えて隠れる弱い弟じゃない。自分で道を選んで選択できたのだから。

 

「そうだ、スグ。これ、鬼面集の方々から」

 

ゼイユは1つのプレミアボールを取り出して、スグリに手渡した。その中には……

 

「ダクマ!!」

 

小熊を武道家にしたような小さなポケモン、ダクマが入っていた。恐らくはユウジロウさんのお家のポケモンなのだろう。

ダクマは非常に珍しいポケモンだが、繁殖で増えることが可能であり(ゲームでは準伝扱いなので卵出来ません)使う人はそこそこいる。武術を極めることでウーラオスと呼ばれる強いポケモンに進化可能で、扱う流派でタイプが変わるとか。

 

「ダクマ!?なんで!?」

「ユウジロウさんから伝言。強くなりたければ喰らえ!!(ユウジロウの声真似)だってさ。いっぱい御飯食べて、強くなれよって事じゃないかしら?」

 

託されたダクマ。そして鬼面集最強の男であり、人類最強のヨシダ・サオリのライバルであるユウジロウから託されたのだ。ダクマに恥じぬ、身も心も強いトレーナーになろう。スグリはそう決意した。

 

 

 

 

 

 

「スグリ!!アローラに帰ったら、一緒に暮らすんだ!!さん付けはするなよ?家族なんだからな!」

「うん、サトシ……」

 

スグリはアローラに着いたら、これからはサトシも暮らしているククイ博士の自宅でホームステイする。

なに、今でもサトシとセレナ、ラティアスが暮らしているのだ。それに新たに産まれたククイ博士の実子であるレイも含めれば三男二女とククイ博士&バーネット博士の大家族と成るが賑やかで良いだろう。

 

 

 

 

 

 

2年後。BGM 青のすみか。

 

中等部に成長したホワイト。サトシ達はハイスクールに進学し、中等部のクラスはスグリとホワイト+一般学生の混合と成った。中途でポケモンスクールに入学する児童や生徒も増えてきたし、良いだろう。バトルは兎も角、座学のカリキュラムはホワイトのようなイレギュラーでも一般人でも共通であり、問題はない。

 

「やあ、ホワイト。君もかな?」

「そうだよ、スグリ。朝御飯は食べた?」

 

コライドンに跨がろうとしたホワイトは声の方を見る。そこでは夏油傑ヘアーとイメチェンし、声変わりを終えてVC櫻井のイケボと成って……身長180cm体重筋肉で90キロオーバーへと長身イケメンへと進化したスグリの姿があった。

スグリはミライドンに跨がっており、このミライドンはパルデア合宿でスグリがリアルファイトで調教して捕まえた個体である。

 

「朝御飯は勿論食べたよ。筋肉の維持の為に、1日5食は食べたいけどね」

「食べすぎじゃない?」

「その分、鍛えてるからね。君はもう少し食べた方が良いよ?」

 

ククイ博士やサトシと共に過ごし、内気な性格も改善されたスグリ。あれからキタカミの里には1度も戻れてないが……それでもゼイユにはこまめに連絡しており、ブライア先生に振り回される姉の愚痴は良く聞いているとか。

 

「アンタ達!!遅刻するわよ!!」

「ぽにおー」

 

ホワイトの家……と言うかリンドウの研究所兼社宅の扉が開き、エプロン姿のブルーが幼い子供……リーフを抱っこしながら現れた。

オーガポンも出てきたが、子守りを手伝ってるのか……エプロン姿である。

 

「そうだった!行ってきます!」

 

そしてホワイトを乗せたコライドン、スグリを乗せたミライドンはポケモンスクールに向かって進んでいった。

 

スグリ(中等部)の手持ち

 

オオタチ。カミツオロチ。ウーラオス(連撃)。ガオガエン(ククイ博士から貰ったニャビーが進化)。ミライドン(拳で倒した)。メガヤンマ。控えメンバーとしてメタグロス&アローラゴローニャ(筋トレに役立つ)

 

である。因みに、スグリはバトルの素質はないとブルーベリー学園の誰からも思われていたのだが……それは内気な性格が関係していたようで、ククイ博士やサオリ先生と共に筋トレや格闘技を頑張って内気な性格が治った瞬間に素質がめちゃくちゃ開花。中等部ではホワイトの次に強い特級レベルと成ってしまった。

 

その中等部の生徒2人問題児、正し最強。




因みにスグリくんはミヅキちゃんの時代では、身長190cm体重筋肉で100キロに進化してます。



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5年後 ポケットモンスターW2+リコ&ロイ
蒼の円盤~テラパゴス覚醒、ブルベリ退学RTAだっピ


鏡開きからだと言ったな。アレは嘘に成った……だってブルベリ編は書けるもん(笑)


サトシがアローラチャンピオンに就任してから5年後。

 

ホワイトがジュニアハイスクールでのカリキュラムを全て終わらせて、インターンでライジングボルテッカーズに所属して世界中を旅している頃。

リンドウはホワイトがインターンで抜けたが、教え子達を導きながらアローラで教師を行っていた。

 

「全く、インターンでもトラブルに巻き込まれるな……あの子は」

 

仕事の休憩時間。リンドウは5年前と比べて広くなり、職員の数も物凄く増えてきた職員室でスマホロトムを眺めていた。スマホロトムの画面にはホワイトが定期的に送ってきた旅先での写真が自動スクロールで写し出されている。保護者としてキュレムも居るし、なんならライジングボルテッカーズの頼れる大人達(バトル面で頼れるのはフリードだけ)も居ることだし、問題はないだろう。

旅先で合流し、ライジングボルテッカーズの仲間入りと成ったリコとロイ、そして少しは外に出るようになったドットとの写真も写っており、サトシ達にとっては末っ子(戦闘力特級)として扱われていたホワイトが兄貴分へと成長していた事にリンドウは嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

『君達さ、ポケモンに対してはしっかりと愛情注いでるね。うん、だからこの程度にしてあげる』

 

写真付きのメッセージではホワイトからの定期報告も載っており、リコやロイがライジングボルテッカーズに入ったこと以外にも旅先でのトラブルも書かれていた。

リコが合流する時、リコのペンダントを狙ってエクスプローラーズと呼ばれる悪名高い連中が襲撃。まあ、ホワイトの敵では無かったが。

その時、アメジオというホワイトより少し年上だと思われる少年がホワイトと戦い、更にアメジオの部下であるジルとコニアも襲ってきたが、ホワイトが単独でボコボコにした。しかし、アメジオ達はパートナーに愛情を注いでいた為か、ホワイトは撃退に留めたとか。

 

しかし、次のエクスプローラーズからの刺客はそうではなかった。

 

『ホワイト?ポケモンを使わせなかったら良いじゃないか』

 

エクスプローラーズ初のギエピーの被害者とも言えるスピネルという人物は憐れであった。

ポケモン使わせなかったらホワイトなんて、ただの子供だろ?と思った彼はマネーイズパワーと言わんばかりに、お金で傭兵を雇いホワイトを闇討ち。しかし、皆さん……ホワイトくんはコライドンから流派東方不敗を教わっており、銃弾なんて素手で捌けるので、傭兵集団はホワイトが腕に持った……

 

『ギエピー!?何をするきだっピ!?』

 

ギエピーをヌンチャクのように振り回し、傭兵をフルボッコ。その後、スピネルの手持ちを粉砕し、逃げようとしたスピネルはギエピーに捕まり……う◯こ(ギエピー容疑者は大福と言い張る)を喰わされてエクスプローラーズの本部に搬送された。

 

「む?」

 

その時だった。リンドウのパソコンにメッセージが届いた。相手はブルーベリー学園のブライア先生からだった。

ブルーベリー学園とは3年前の林間学校から一切の接点も持っていない。どういうわけか、あの林間学校以来……ブルーベリー学園は姉妹校であるグレープアカデミーとの合同行事を中止しているとか。

だが、ブルーベリー学園は今となっては世界で最もバトルに力を入れている学舎として注目を集めている。国内外から問わず、多くの強くなりたい学生が入学しており、並の生徒でさえ地方のジムリーダーの本気を凌駕する強さを持っている。その実績とブライア先生のマネジメントが上手く行ったのか、本来ならメレメレ島ポケモンスクールやグレープアカデミーに入学を考えていた生徒達もブルーベリー学園に入学を変えた程である。

 

そんなブルーベリー学園の教頭に就任したブライア先生からメッセージが届き、リンドウは開いてみる。

 

「なになに?ホワイト、そしてリコを特別留学生として招待したい?それに希望者が居るなら同じく特別留学生として迎え入れる準備があるだと?」

 

それはホワイトとリコ、+αの希望者を特別留学生としてブルーベリー学園に迎えるという物であったのだ。

 

「いや、どう考えても罠だろ、これ。ホワイトとポケモンスクールの希望者なら兎も角……なんで籍としてはセキエイ学園のリコも呼ばれんの?」

「なら、此方から迎えて返り討ちにすれば良いんじゃないですか?」

 

その声が聞こえ、リンドウは後ろをみる。そこではタッパ180cmオーバーと進化した夏油スグリへと成ったスグリが立っていた。

 

「俺も行きますよ……いじめっこへの御礼参りですね」

「良いけどよ……ほどほどにな?お前、マッスルボディーもぶっ壊れに成ったからな?」

 

夏油スグリ(闇落ち?知らんな)、ホワイトとリコと共に特別留学に参加決定である。

 

「だが、俺も参加する」

「リンドウ先生も?」

「ああ、この学校が本当に学校として機能してるのかも調べようと思ってな」

 

そしてリンドウ先生も参加を決意である。

 

「ホワイトには俺から連絡する。ブライア先生は間違いなく、リコの何かを狙ってるな……俺は学園の内部調査で多分、動けない。スグリ、ホワイトと共にリコを護れ」

「勿論です。俺達は……最強ですから」

 

ブルーベリー学園終了のお知らせである。なお、後日……『本当にブルーベリー学園終ったピ。物理的に終ったピ』と崩壊する事に成るのだが、それは此処では言わないでおこう。

 

 

2週間後。

 

イッシュ地方の近海にある海底研究施設。そこを改造して作られた最新鋭の研究設備と施設を兼ねた、バトル専門の学舎 私立ブルーベリー学園は存在している。

ブルーベリー学園はフロントロビー以外は海中に埋まっており、向かうためには波乗りでイッシュ本土から向かうか、ライドポケモンで飛んで行くか、学園長であるシアノが手配したヘリや飛行機で向かうしかない。当然ながら、学校が海の中なので帰ることが出来ず……全校生徒や職員は全員が寮暮らしである。

 

「此処がブルベリか……ずいぶんリッチな所だな」

「本当に海の中だね。災害時どうしてるの?」

「久しぶりだな……変わってないな。見た目はね」

(此処がブルベリ!?なんで私まで来ることに!?てか、私は名指しだったよね!?)

 

上陸したヘリからリンドウ、ホワイト、夏油スグリ、そしてホワイトと共に名指しで招待されたリコが降り立った。

 

「やあ、待っていたよ。僕はシアノだよ、ここの学長なんだ」

「初めまして、メレメレ島ポケモンスクールから来ましたリンドウです。

此方は私の教え子のホワイト、スグリ、セキエイ学園所属のリコです」

 

リンドウは代表として、出迎えてくれた人物……シアノと挨拶を交わす。リンドウの目の前に居る男性はシアノ、ブルーベリー学園の経営者であり同時に学長を務める人物だ。

 

「スグリくんは久しぶりだ…………ね。えっ?君、本当にスグリ!?大きく成りすぎだよ……

ようこそ、僕のブルーベリー学園へ。折角だ、人数分の制服用意してるから来てくれないかな?リコちゃんとホワイトくんは標準的なサイズで問題ないね……スグリくんは厳しいかな」

 

シアノはホワイトとリコの制服を用意してくれていた。一応、スグリの制服も用意してくれていたのだが……スグリがまさかムキムキでノッポに成ってるなんて思わず、スグリの分は恐らくだが入らない。

イッシュの方々は身長が高い人が多いのだが……マッチョ体型には適応出来なかったようだ。

 

「じゃあ、スグリだけ私服か」

「仕方ないよ。3年でこんなに背が伸びるなんて俺も思わなかったからね」

「Tシャツならなんとかいけるかも……」

 

シアノ学長が気まずそうに、Tシャツなら行けると言われて……スグリはブルーベリー学園のTシャツ(XL)を貰うことと成った。

 

10分後

 

「じゃじゃーん!!リンドウ先生!!どう?僕、似合ってる?」

 

先ず、更衣室から出てきたのはホワイトだった。ホワイトが選んだ制服はブルーベリー学園の春制服。白い制服に、白い短パンが特徴だ。

 

「リンドウ先生。わっ私も着替えました……」

 

リコは特別に用意された春制服であり、短パンがスカートに成っている。

 

「後はスグリか……しかし、スグリ遅くね?」

 

待つこと更に10分。スグリは現れた。その制服は一応、ブルベリ学園のジャージセットなのだが……ジャージの上着はスグリの筋肉に耐えられず無くなっており変わりにTシャツ。下半身のスパッツと短パンだが、スパッツはスグリの大腿四頭筋に耐えられず動く度にブチブチと悲鳴をあげている。

 

「大人用のサイズは無いんですか」

 

そしてリンドウ達の前に出た瞬間、ぶちーん!!と切断音と共にスパッツは逝った。ダメージジーンズ真っ青のズタボロと成った……着てから3分で。

因みにジャージ短パンもゴムが限界まで伸ばされており、次脱いだらゆるゆるだろう。横の腹筋と背筋郡を鍛えすぎた。あと、逞しい大胸筋のお陰でシャツも少しパツンパツンに成っている。

 

「うっ血する所でしたよ。俺のサイズで秋制服用意して下さい」

「分かったよ……大至急用意するよ」

 

シアノ学長は特注サイズの夏油スグリさん(身長180cm体重90キロ体脂肪率7%)の制服を用意してくれる事を約束してくれた。

 

「シアノ学長。留学生の方は来ましたか?」

 

そんな声が聞こえると、次はヤーコンさんそっくりな眉をした美少女がやって来た。髪の毛はピンク色であり、年齢はホワイトと同世代だろう。

 

「タロちゃん。紹介するよ、ブルーベリー学園の四天王の1人 タロちゃんだよ?

お父さんはジムリーダーのヤーコンさん。強いよ」

「学長!!生徒のプライベートを言うのはどうかと思います!!」

 

彼女はタロ。今はホテル街としてイッシュ観光の本場として、多くの観光客が宿泊するホドモエシティのジムリーダー ヤーコンの愛娘との事だ。

 

「タロです。宜しくお願いします」

「リンドウだ。メレメレ島で教師をしている。ほら、お前達も」

「僕はホワイト!!宜しくね!」

「スグリ。メレメレ島ポケモンスクールの学生さ」

「わっ私はリコです!!カントーのセキエイ学園に在籍してます!!」

 

「宜しくお願いしますね…………えっ?君、スグリくん!?」

「そうだよ、タロさん。まあ、あの時と比べて身長も伸びて筋肉も付いたからね!!」

「いえ……背が……身体が……大きくなりましたね」

 

実はと言うとタロとスグリはほんの少ししか、接点は無かったが同級生であり、更に同じ部活だった。とは言え、スグリはゼイユのあとに着いていって部活に入っただけで、内気な性格の為なのか友人は出来なかったが。

そして当然ながら、内気で弱虫なスグリくんから筋骨隆々の夏油スグリさんに進化したスグリを見て、タロは宇宙猫のように成りそうだった。

 

「嘘だろ!?あの巨人が弱虫のスグリ!?」

 

「アローラで何があった!?筋肉の化身か!?」

 

「なに食べたらそうなるんだよ!」

 

だが、フロントロビーに居た多くの学生達も漸くスグリと判断できたのだろう。ざわざわ騒ぎだした。

 

「貧栄養児で栄養価が偏った君達では理解できないよ。ましてやdieエットを考える君達ではね」

 

と、そんな学生達に向かってスグリは言うのだった。因みに、スグリの肉体を維持するためには膨大な食事とトレーニングが必要であり、良い子は真似しないでね?真似したらトレーニングで挫折してギエピーになるよ?

 

「貴方が……ホワイトさん?」

「うん。そうだよ?」

「あの、私が学園を案内して良いですか?」

 

一方、タロはホワイトと話してるのだが少し顔が赤い。

 

「リンドウ先生、タロってもしかして」ヒソヒソ

「スグリ、そう言うことだ」ヒソヒソ

(ホワイトさんに春が来た!?これが所謂、アオハル!?)

 

そしてタロによる、ブルーベリー学園の案内が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此方、レジギガス。準備は良いかね?ギエピーくん」

「何時でも行けるっピ!!」

「では作戦通り、海中ダクトからブルベリに潜入だ。頑張りたまえ」

 

ギエピー。再び密航する。なお、今回はレジギガス隊長のサポート付きである。




リンドウ達、テラリウムドームを満喫する!?

タロ「ブルレクという課題が有りまして、それをクリアすると学園で使えるポイントが手に入ります。技レコードが買えたり、学食で使えたり様々ですよ」
ホワイト「ポケモンのコンテスト用の衣装の材料も買えるの?」
スグリ「プロテインは買えるかな?3年前は買えなかったけど」

アカマツ「誰か……ツッコミ呼んできて!!もしかして、俺以外ツッコミいない感じ!?」

あと……ホワイトの嫁さん設定、変更します。なので7年後はカイとタロの修羅場が(笑)だってね……此処まで続くなんて思わなかったもん!!

ホワイト「複数人で作るサンドイッチ、これで有ってる?」選んだ食材 トマト、レタス、ハム、焼きベーコン

スグリ「うん多分ね」選んだ食材 ハンバーグ、ステーキ肉、豆腐、とりむね、ブロッコリー

タロ「多分大丈夫ですよ」選んだ食材 イチゴ、生クリーム、ブドウ、あんこ

アカマツ「アウトォォォォオオ!!てか、なんでそんな高さから落としてるの!?」


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此処はテラリウムドーム

テラリウムドーム、上陸!!


「此処はテラリウムドーム。シアノ学長が設計した海中庭園です。様々なポケモンが生息してますし、4つのエリアに分けられてます」

 

ブルベリ学園の滅茶苦茶長いエレベーターで、フロントロビーから深海800メートル付近に作られた特別エリアに向かって降りるリンドウ達。

そのエレベーターの中で無言はあれなので、タロがリンドウ達にブルベリ学園の事を教えながらテラリウムドームとやらに向かう。テラリウムドームとは近年になってシアノ学長が莫大な資産(社長子女であるタロがドン引きする位)を用いてブライア先生と共に開発した海中庭園である。ヤマブキドーム(東京ドーム)なん10個ぶんという莫大な敷地であり、4つのエリアに区分されており……野外教室や様々な野生ポケモンが生活する超巨大ビオトープだと思えば良いだろう。1つは亜熱帯なサバンナを再現したサバンナエリア。もう1つはトロピカルでアローラを思わせるコーストエリア。3つ目は山岳をイメージしたキャニオンエリア。そして最後の1つはポーラエリア、此処は試される大地真っ青の氷の世界である。

 

「タロ。資料とかはないのか?」

「有れば渡したいんですけど、私の権限じゃ渡せないんです。でも、自由に探索は出来ますよ?私の好きなコーストエリアはアローラの生態系が再現されていて、アローラのリージョンフォームのポケモン達も生息してるんです」

 

更にこのテラリウムドームでは自然界のリージョンフォームも再現しており、アローラのリージョンフォームは勿論のこと……明治時代のシンオウ地方(ヒスイ)のリージョンフォームさえも再現したのだ。

 

「それは凄いね!でもさ、タロちゃんはライドポケモン使ってないの?」

 

しかし、こんなに広ければ移動も大変である。ホワイトやスグリは超人だし、なんならライドポケモンの頂点 コライドンorミライドンを持っているから何処でも行ける。

とは言え、タロ達はどうしてるのだろうか?ライドポケモンは何かしら持ってるかも知れないが……モトトカゲはパルデアorメレメレ島位でしか普及されておらず、テラリウムドームがこんなに広かったら移動も大変であるのは間違いない。

 

「一応、そらをとぶタクシーが有ります。ブルベリの生徒は使えますよ」

 

だが、広すぎては目当ての場所にたどり着く事は難しい。なのでブルベリとしては生徒達がテラリウムドームでの移動を助けるために、そらをとぶタクシーを導入しているのだ。

 

「でも、決められた場所にしか送ってくれないのは少し不便ですけど」

 

とは言え、タクシーも便利ではない。決められたポイントにしか降ろしてくれず、更には決められたポイントでしか乗れないのだ。そう言う点ならライドポケモンの方が便利と言えるだろう。

 

「しかし、3年でこんなにも変わるんだね」

 

というスグリ。3年前から身長が40センチ以上伸びて体重も50キロ(筋肉で)増量した元ブルベリ生徒が言うのだから仕方がない。

 

「それ、全ブルベリ生徒はお前にだけには言われたく無いと思うぞ?」

「なんでですか!?」

 

テラリウムドーム新造<夏油スグリさんというインパクトの壁であった。

だってこうしてる間に、ブルベリジャージのタイツが更にピシピシと破れており、タイツの原型が無くなっていてTシャツもスグリの上腕の筋肉に耐えられず袖が破れてタンクトップ(笑)と成り果てた。

 

「てか、フリーサイズ無いんですか?今時は多様性の時代ですよ。グレープアカデミーも、メレメレ島ポケモンスクールも大人も通えるんですから……」

「大人でもスグリよりゴツいの、サオリ先生とユウジロウさんしか居ないからね?」

 

ホワイトにも突っ込まれたスグリ。そうこうしてる間に、エレベーターはテラリウムドームの場所に到着して、リンドウ達はエレベーターを出て通路に出た。そして通路を歩くこと、100mほど……

 

「此処がテラリウムドームです」

 

通路を抜けると、そこはサバンナだった。

 

「これが海の中か……信じられんな」

 

「凄いね!!探索のやりがいが有るぞ!!可愛いポケモンもカッコ良いポケモンも沢山居る!!」

 

「良いね……」

 

「本当に……これが作られた自然?」

 

上からテラリウムドームの感想を述べるリンドウ、ホワイト、スグリ、リコであった。サバンナエリアだけでも壮大なのに、他にはアローラの自然を再現したコーストエリア、山岳のキャニオンエリア、試される氷河のポーラエリアと様々なエリアが存在しているのだ。

 

『そうか。ホワイト、折角だ……充分に遊んでこい。リコは俺が守ろう』

 

その声がホワイトのモンスターボールから響く。すると、ボールが勝手に開き、キュレム・オリジンが降臨した。

 

「キュレム?」

『自由に遊べるのは今だけだ。高等部に進学すればチャンピオンとしての仕事も入る。楽しめ……今をな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後。

 

サバンナエリアとコーストエリアに滞在しており、ホワイトとスグリに勝負を仕掛けたブルベリ学園の生徒達はボコボコにされた。

 

「あら、スグリが帰ってきた?まあ、良いわ。学園で一勝も出来なかったあの子が、今のブルベリで勝てるわけないわ」

 

とある目的の為にホワイト対策を考えていたブライア先生、教員仲間からスグリが戻ってきた事を知らされ、資料を手渡される。

だが、ブライア先生からすればスグリは眼中になかった。3年前のスグリはゼイユの影に隠れる弱虫な弟であり、バトルに一勝も出来ず……ポケモンの捕獲も上手く出来ずブルレコも稼げなかった。

 

「はぁぁぁぁ!?なによこれ!?」

 

だが、手渡された資料を見てブライアは叫んだ。

スグリはブライアの知る弱虫コミ力不足から、筋肉マッスル長身の夏油スグリさんにワープ進化してるし、戦績もワープ進化していた。

メレメレ島ポケモンスクール転入後1年目 特になし。

メレメレ島ポケモンスクール転入後2年目 拳でミライドンを鎮圧、パルデアリーグを制覇してパルデアリーグチャンピオンランク保有者に

メレメレ島ポケモンスクール転入後3年目(今) アローラジムリーダー(本気 ただし最強ジムリーダースイレン以外)相手に勝利してジムバッジを揃える。

 

「嘘でしょ!?何が起こったのよ!!」

 

更に生徒指導(バトルを促す教員)からの連絡で、スグリとホワイトにバトルを挑んだトレーナー30人が倒された事を知る。

 

 




次回!!1時間の惨劇(笑)

タロちゃん「1時間後、コーストエリアの野外教室で集合ですよ!!」
キュレム「遅れるなよ」
リコ「ホワイトさん、スグリさん……何だろう、嫌な予感が」


学生「目を合わせれば勝負だぜ!!」
スグリ「へー。じゃあ、君はアローラとパルデア以外の人か。ガオガエン、筋肉ドライバー」

学生「俺は……スペシャルで特別で……特別なんだよ!!」
ホワイト「カメックス、ハイドロスチーム」
学生「バカな……バカな!?日差しが強いんだぞ!!」



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1時間の惨劇(笑)

ブルベリ一般生徒(そこら辺のジムリーダーの本気より強い)終了のお知らせ!!


テラリウムドームの入口から歩いて30秒の所に有る休憩エリア。そこには生徒達や研究者、パートナーのポケモン達が休憩できる机や椅子等が備えられている。

椅子や机は兎も角、休憩エリアやブルベリーグの四天王と戦うスクエアは四角形のキューブが幾つも組合わさった物で作られており、何処か近未来感やVR世界を思わせる。そんな入口の休憩エリアで、ホワイト達はタロからブルベリ学園の事に着いて教わっていた。

 

「ブルベリでは基本的に自動販売機以外では現金もクレジットカードも使いません」

「へー、じゃあ購買とかどうしてるの?」

 

タロ曰くだが、自動販売機以外では現金を使うことが無いそうだ。テラリウムドームの中に備え付けられた自動販売機では回復薬、モンスターボール等を購入できる。しかし、現金を使うのは現状は自販機でしか使わないのだ。

ではどうするのか?それはブルレクと呼ばれる課題をクリアすることで、学園からBPと呼ばれるブルベリで使える仮想マネーを貰えるのだ。それを用いて食堂でご飯を食べたり、購買部で物品を買えたり出来るのだ。

ブルレクは『ポケモンを捕まえる』『バトルで勝つ』『テラリウムドームの野生のポケモンを10匹倒す』などがあり、こなしてBPを貯めるのだ。

 

「食堂もBPに成ったのかい?随分と変わったね。流石に食料は貰えるようにしないと、死ぬよ……いや本当に」

 

スグリが在籍していた頃もBPのシステムは存在しており、当時は購買で一部のわざマシンや技レコードとの交換だけであった。しかし、今では極論を言えば生徒の生き死に関わる食堂のご飯にさえも関わるようになったのだ。

 

「研究所としては優秀みたいだな」

 

テラリウムドーム、そしてブルレクをこなして貰えるBP。それらを客観的に見てリンドウはため息を吐き出してそう告げた。

そう、テラリウムドームとブルレク……そして生徒に報酬として支払われるBPは研究所としては合理的に出来たシステムなのだ。ブルベリ学園は生徒達にブルレクを頼み、それで研究データを大量に集める。そして生徒はブルレクを頑張り、学校生活を楽しい物にするためにBPを貯めて食堂で美味しい料理を食べたり……強い技レコードや進化アイテムをゲットする。

 

「だが、学校としてはどうだろうな」

 

ブルベリはバトル専門校。それ以外は捨て去った最新鋭の学舎。それは果たして学校と言えるのだろうか?スグリが在籍していた3年前の段階でもバトル専門であり、数学や家庭科(と言うかサバイバル)等々の生きるための授業は先ず無いのだ。思春期に色んな経験をさせて人生の実りを増やして文化的な知識を授ける、美術や技術に音楽と言った授業も行われて無いのだから。

 

「ねえ、タロちゃん。ブルベリの授業はどんな感じ?

メレメレ島はね?自然豊かで、その自然を活かしたフィールドワークは勿論!家庭科とか、算数とかさ、色々有るよ!!」

「家庭科と言うか、アレはサバイバルだけどね」

 

ホワイトがメレメレ島ポケモンスクールの楽しさを話したり、それに賛同するが少し訂正も入れるスグリ。この2人の言葉を聞いたタロは少し、下を向いてしまった。

 

「本当に……楽しそうで良いところなんですね。メレメレ島は。

私も最初はメレメレ島ポケモンスクールに通う予定だったんです。でも、私のパパや周りの人がブルベリの方が良いって言って、此方に通うことに成ったんです」

 

そう、タロが複雑に思ってしまった訳はメレメレ島ポケモンスクールに通う予定だったが、父親を含めた周りの人の薦めで最新鋭の学舎であるブルーベリー学園に通うことと成ったのだ。

 

「昔、私が10歳の時にメレメレ島ポケモンスクールの事がテレビで報道されていて、凄く楽しそうだったんです。

ポケモンとトレーナーが一緒に学べて、同じ教室で楽しそうに……笑ってたんです。今のブルベリじゃ考えられないほど、良い所でした」

「何があったの?」

 

タロの何処か悲しそうな声を聞いて、ホワイトはタロの顔を覗き込む。今のブルベリは何が起きているのだろうか?

 

「いえ……大丈夫です」

 

と強く見せるタロ。しかし、タロはその前に小さな声で「助けて……」と囁いた。

 

(大丈夫、助けてって言われたら絶対に助けるよ)

 

タロのSOSを聞いてしまったホワイトは頼まれた場合、或いはタロが限界を迎える前兆を出した時に助ける決意を決めたのだった。そして、ホワイトの意思を理解したスグリも同じく笑みを浮かべる。

 

(まあ、生徒に此処まで追い込ませるんだ。ここの教員はバカか?それとも気付いていて放置してるのか?)

 

タロの囁きは聞こえなかったが、リンドウも教員歴が長くなった為に、タロが何かを抱えていることを理解する。

 

そんな時だった。

 

『今から1時間後にコーストエリアの野外教室で、授業を始めます。希望する生徒は1時間後に、コーストエリアの野外教室に集まってください』

 

と校内放送が流れる。どうやらテラリウムドームでの授業はこうして、放送でお知らせしてくれるようだ。メレメレ島ポケモンスクールのように時間割等が有るわけではなく、参加したい授業に参加する所は大学に近いとも言えるだろう。

 

「そうだ!!皆さんでコーストエリアの授業に出ませんか?」

 

タロはホワイト達を授業に誘った。だが、これがブルベリ学園の生徒30名の地獄とも知らずにだ。

 

 

「じゃあ、お前達……楽しむことは良いが、遅れるなよ?来年からは高校生なんだからな?」

「ホワイトさん、スグリさん。迷ったら電話して下さいね」

「何だろう……嫌な予感が」

『羽目は外すなよ?2人とも』

 

リンドウ、タロ、リコ、そしてリコを守るために出てきた皆の保護者キュレム・オリジンは真っ直ぐ直線距離でコーストエリアの野外教室に向かう。

しかし、ホワイトとスグリは……

 

「じゃあ、僕たちは探索しながら行くね!時間が少なくなったら飛んでいくから」

「俺も楽しもうかな。元とはいえ、通っていた学校がこんなに変わったら楽しまないとね」

 

サバンナエリア~コーストエリアを制限時間1時間で探索しながら、コーストエリアの野外教室に向かうのだ。

 

コライドンに跨がったホワイト、ミライドンに跨がったスグリ、そしてタロとリコと共にお先に野外教室に向かうリンドウ&キュレムは各々別の道を歩きだしながら1時間後の合流を約束して三方向に別れて進み出した。

 

 

サバンナエリア

 

「スグリ!!」

 

「良くも帰ってきたな!!弱虫が!!」

 

スグリがホワイト達と別れて10分後。サバンナエリアを気ままに冒険していた時だった。

かつてのスグリを知るいじめっこがスグリに襲いかかってきた。

 

「へー、久しぶりとも言えば良いかな?」

 

スグリはオオタチを繰り出した!!更にカミツオロチを繰り出した!!

 

「いけ!!カイリュー!!フライゴン!!」

 

いじめっこAはカイリューとフライゴンを繰り出した。

 

「フライゴン!!ステルスロック!!」

 

フライゴンはトレーナーの指示に従い、ステルスロックを繰り出した。これにより、浮いた岩がスグリのパートナー達の周囲に漂い、迂闊に動けばオオタチとカミツオロチはダメージを受けてしまう。

だが、スグリの最も信頼するパートナー オオタチにはこれがある!!

 

「オオタチ。お片付け」

「たちー!!」

 

お片付け。それはステルスロックや毒ビシを片付け、更に自身の素早さと攻撃を上昇させる変化技だ。これにより、ステルスロックは無くなった。

 

「なに!?」

「カミツオロチ。きまぐレーザー」

 

そしてスグリのカミツオロチがリンゴから7つの首を出し、7本のレーザーを放ち……カイリューとフライゴンを瞬く間に倒した。

 

「バカな!?俺がスグリに!?」

「さあ、次は誰が来るのかな?」

 

スグリの後ろにウーラオス、ガオガエンがニヤリと笑みを浮かべて立っていた。

 

 

 

 

 

コーストエリア

 

スグリより一足先にコーストエリアにやって来たホワイト。しかし、その後ろでは……

 

「化物か……」

 

「これが……シンオウの白い悪魔」

 

ホワイトに倒されたトレーナー達が力無く、崩れ落ちていた。

 

「ここのトレーナー達、メレメレ島のトレーナーと違って違和感有るんだよな……あれかな?愛情もって育てて無いからかな?」

 

コライドンから降りて、のんびり歩きながら自販機で購入したアイスクリームを食べるホワイト。そんな時だった。

 

「君、次期シンオウチャンピオンのホワイトだろ?強いんだってね。私はコークン、勝負しないか?」

 

ブルベリ生徒のコークンが勝負を挑んできた!!

 

「良いよ……カメックス!!ARE YOU READY!?」

 

ホワイトはカメックスを繰り出した。だが、そのカメックスは訳有ってエリアゼロで最終進化を迎えた為か、恐竜的要素を持つ……ガメラと化したカメックスだった。

カメックス(エリアゼロの姿)通称 ガメラカメックス。タイプは炎と水。

 

「なっ!?いけ!!エンテイ!!コータス!!」

「カメックス、ハイドロスチーム!!」

 

コークンはエンテイとコータスを繰り出したが、ガメラカメックスは肩部の甲羅が開き、黒い鱗に包まれた2問の砲身が出てきた。その砲身から超高熱の水蒸気の砲撃が、エンテイとコータスに大ダメージを与えた。

しかし、コータスの特性のお陰か日差しが強くなっている。本来なら水タイプの技は弱くなるのだが、ハイドロスチームは反対に日差しが強くなると威力が強まるのだ。

 

威力の高まったハイドロスチームを受けて、エンテイとコータスはWノックアウトと成ってしまった。

 

「なら……プテラだ!!」

 

コークンはプテラを繰り出した。しかし、プテラの眼前にガメラカメックスが迫り、ガメラカメックスの左手に振動のエネルギーが圧縮される。

 

「カメックス!!地震パンチ!!」

「ガメガァァ!!」

「ブデェェェェラ!?」

 

卵技で継承された地震パンチ。レベル1から鍛練してきたその一撃はプテラをワンパンした。

 

 

 

 

 

1時間後

 

「なんとか間に合ったね」

 

ホワイト、コーストエリアの野外教室に到着。

 

「俺も間に合ったよ」

 

スグリ、コーストエリアの野外教室に到着。

 

その代償として、いじめっこ+コークン達は授業に出席できず、心に大きなダメージを負ったのだった。




次回!!カキツバタ(後のシンオウ四天王)登場からの入部!!



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カキツバタ、後のシンオウ四天王である。

徐々に明らかに成るブルベリ学園の闇


「随分と……短期間でバトルをしたんですね……」

 

野外教室での授業が終ると、生徒指導の教員がホワイトとスグリに話しかけてきた。ブルベリはバトル専門校であり、生徒指導の教員のお仕事はメレメレ島ポケモンスクール等の学校の生徒指導と異なり……生徒達が積極的にバトルをしているかどうかのチェックである。

生徒指導の教員は端末で生徒達が積極的にバトルをしている確かめており、一定期間以内に指定人数の生徒とバトルを繰り広げて尚且つ勝った場合はBPのボーナスと技レコード等のプレゼントを行っている。この野外教室に辿り着く前に、ホワイトとスグリは襲ってきたトレーナー×30を返り討ちにしており、そのボーナスを貰える資格を得たのだ。

 

「ええ、勝負を挑まれたので答えただけですよ」

「うん!ブルベリの人達ってバトルに積極なんだね!でもさ、バトルだけじゃなくてポケモンと冒険したり、コンテストとか他の事にも興味をもって欲しいな!!」

 

と何事もなく、相手をボコボコにしたスグリとホワイトのお言葉である。

 

「此処はバトル専門校ですからね……コンテストは畑違いですよ(あり得ない……既に学園の水準はジムリーダーを上回ってる。なのに、この2人は何者なのよ!?)」

 

心の中で悟られないようにする生徒指導の先生であった。因みに生徒指導の先生達は戦えない者も多く、ブルベリは元々は研究設備だった事もありブライア先生のように研究者から上がった教員も多く、全員がポケモンバトルが上手とは言えないのだ。

余談だが、コーストエリアの生徒指導の先生がホワイトと戦えば……秒殺されるので、平均的な生徒達よりも弱い。

 

「しかし、ここの学生はバトルには熱心ですが、バトルに趣を起きすぎてませんか?最低限の信頼関係しか結べてない子が多い」

 

同じ教員としてか、リンドウが思った事を生徒指導に告げる。実はと言うと、リンドウもホワイトやスグリ程では無いのだがブルベリの学生から勝負を挑まれた。

戦ってみてリンドウが分かった事だが、バトルの腕前の水準は非常に高い。中等部のホワイトとスグリ、高等部のサトシ達と少数精鋭のぶっ壊れが多いメレメレ島ポケモンスクールと比べてブルベリは生徒達の実力の中央値は非常に高いと感じたのだ。だが、パートナーポケモンとの信頼関係がそこまで高く築けてないのでは?と感じる場面も有ったのだ。

 

「それに、テラリウムドームの野生のポケモン達ですが、強力なポケモンが多い分……新入生が新しいポケモンを捕まえるのは難しく有りませんか?」

 

それとテラリウムドームに生息するポケモン達の大半が、非常にレベルが高いことも特徴だろう。ツツケラやヒノヤコマ、各地方の初心者向けポケモン(所謂、御三家)等の扱いやすいポケモンも生息しているが……ツンベアー、アローラナッシー、アローラゴローン、サイドン、フライゴン等の強力で初心者では捕獲も難しいポケモンが多く生息しているのだ。しかも、その個体の強さも高く……ホウエンのチャンピオンロードより高い。学生には少し危なくないだろうか?

 

「そうでしょうか?我が校の生徒達は皆が優秀ですから」

 

だろうな。こんな所じゃ、バトルの素質のない子達は辞めるしか無いからな。リンドウが心の中で嘆く。そう、ブルベリ学園はバトルに素質のない子達は排除されるような仕組みと成っているのだ。

豊かな学園生活を送るためにはブルベリのブルレクをこなすしか無いが、こんなチャンピオンロード真っ青のテラリウムドームでブルレクをこなすのは難しい。捕獲は勿論のこと、倒すのも難しく……バトルの素質がない子or3年前のスグリのように素質が開花する前の子ならタスクをこなせず、食堂で食事も食べることも出来ない。

 

「…………そうか。なるほど参考になりますね」

「でしょ?是非ともメレメレ島でも採用してくれますか?」

 

--反面教師としての参考じゃボケェェェ!!こんな選民思考な学校が有ってたまるかぁぁあ!!

 

心の中で怒りが噴火したリンドウであった。そしてリンドウは退学者の数を調べる決意を決めた、こんな所じゃ素質の子や開花してない子は満足に学べない……そんな学校が有って良いのだろうか?いや、素質がないからと切り捨てるのは学校や教師の風上にも置けない。

 

 

 

授業が終わればお腹が空いてくる。ホワイトとスグリもブルレクをこなし、トレーナーバトルでのボーナスも稼いだ事で数日分の食費を稼ぐことが出来た。

 

「此処が食堂です。ホワイトさんとスグリさんはBPを稼げましたし……リコちゃんのは私が出しますね!」

 

リンドウは「調べたいことがある」と告げて、リンドウと別れたホワイト達はタロの案内でブルベリの食堂にやって来た。

 

「「なにこの……ジャンクの塊」」

「凄く……イッシュ感ですね」

 

だが、メニューは明らかにTHE・イッシュと呼べるメニューばっかりであった。しかも日本人が想像する、ステレオタイプでのTHE・イッシュな料理ばかりである。

ハンバーガー、分厚くチーズたっぷりのピザ、巨大パフェ、唐揚げうどん+グミ+フライドポテト(チーズどっぷり)+プリン&ドーナツというビタミンの事を1ミリも考えられていない。唯一、野菜が入ってるのはハンバーガーだけである……それもレタスとトマトだけ。

因みに食堂のメニューは全てシアノ学長が決めた……それも自分の好物で固めたのである。

 

「タロちゃん。これ栄養大丈夫?」

 

ホワイトがメニューを指差しながら、不安そうに言う。と言うのもホワイトはデント、我らがタケシ、そしてリンドウパパの手で料理を教えて貰ったので栄養の大事さは理解している。だからこそ、成長期の子供の栄養面を1ミリも考えれていないブルベリのジャンクなメニューには疑問しかなったのだ。

 

「美味しいんですけど……ちょっと胃もたれが。

BPを購買で払えば、食材を買えるので、それで自炊してる人も居ますね」

「まあ、折角だ……たまにはジャンクも良いよ。チートデイで良いじゃないか」

 

だが、たまには良いだろう。スグリは代表して前に出た。

 

「学生定食を1つ!!」

「あいよ!!」

 

筋肉の化身であるスグリはあろうことか……シアノ学長考案のカロリーオバケ 学生定食を頼んでしまった。

 

「じゃあ、僕はハンバーガーセットで。飲み物は紅茶で」

「飲み物はコーラ、メロンソーダ、ビール、ハイボールが有ります」

「なんでお酒有るの?じゃあメロンソーダで」

 

ホワイトは一番カロリーがマシそうなハンバーガーセットを注文。だが、飲み物はイッシュ人が好みそうなコーラ、メロンソーダ等の炭酸飲料と何故かお酒だけであった。

 

「私もハンバーガーセットで!」

「この子の分は私が払います。同じので」

 

リコとタロはハンバーガーセット。ただし、リコの分はタロの奢りである。

 

 

「おっ!!スグリじゃねぇーか。お前、本当に帰ってきたんだな。元気だったか!!」

 

と、声が聞こえてホワイト達は後ろを振り向く。そこには間もなく成人を迎えるだろう青年が立っていた。

白髪の青年であり、彼はカキツバタ。イッシュ地方のソウリュウジムのジムリーダー シャガの孫であり、イッシュ四天王アイリスの兄弟子である。強い。

 

「カキツバタさん!!」

「ゼイユから聞いたけどよ、南国で元気にしてんだってな!!…………てか、デカク成りすぎじゃね!?オイラより大きいなおい!!」

 

カキツバタとスグリはスグリが覚醒前からの知人であり、カキツバタはいつもゼイユの後ろにかくれて友人の居なかったスグリの事を気にかけてくれていたのだ。

 

「しかし、カキツバタさんはもしかして先生に?」

「いーや、また留年してよ。まだ高等部3年なんだわ」

「えっ?いや、アンタたしか姉ちゃんの3つ歳上だよね!?」

 

なお、カキツバタは三留している。

 

「で、お前さんがホワイトだな!?そっちがリコか!

オイラはカキツバタ。まあ、気軽にブラザーやツバッサンと呼んでくれよい。オイラもブラザーって呼ぶからよ」

 

そしてホワイト、カキツバタから問答無用にブラザー認定される。

 

「ブラザー?」

「心の兄弟ってつうことだ。ブラザー、いやスグリとリコも食後に部室に来てくれ。此処じゃ言えない事が有るんだよ」

 

カキツバタはホワイト達に用があるようだが、少し表情が深刻そうだ。きっと何か問題を抱えているのだろう。

 

「カキツバタ!?ホワイトさんを巻き込むんですか!?」

「オイラ達じゃラクツを停められない。教員も動かねぇ……ブライア先生も何を何を考えてるか分からねぇ。

ラクツに勝てるとすればイッシュチャンピオンのブラック、そんでイッシュ最強のジムリーダーチェレンだけだよい……チェレンでも難しいかもしんね。だけどよ、ブラザーが来てくれた……こんなチャンスはないよい」

 

そしてホワイトとスグリはブルベリ学園が抱える問題に巻き込まれる。




次回、リーグ部。

カキツバタ「此処がリーグ部の部室だよい」

ギエピー「HQ、HQ!此方ピッピ!!咄嗟にロッカーに隠れたっピ!!」


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僕が来た理由だっピ

ギエピーの上陸理由


リンドウがホワイトとスグリ、リコを連れてブルベリ学園に突入する1時間前。

 

ライジングボルテッカーズはリンドウ達を見送った後、ブルベリ学園から一番近いイッシュの漁港に停泊していた。彼等としても旅仲間であるリコとインターンであるホワイトがブルベリ学園に特別留学している事もあってか、その間はこのイッシュを活動の拠点としてポケモンの研究や冒険を行うこととしたのだ。

 

「しかし、リコとホワイトは留学か……いいな、俺も行ってみたかった!!」

「だけどな、ドット。リンドウさんも言ってただろ?間違いなく罠だってな」

 

そんなライジングボルテッカーズの母艦であるブレイブアサギ号のバトルコートで、寝転がりながらフリードとロイ、そしてギエピーは日光浴をしていた。

 

「その通り。あの学園の現状は兎も角、リコ君のペンダントは狙われているのは間違いない!」

「あのペンダントが悪用されれば、それこそブルベリ学園は終わるかも知れないな」

 

ふと、聞きなれない言葉が側から聞こえる。フリードとロイは「誰だろう?」と言いたげに起き上がり、声の方を見る。だが、声の方を見た2人はマメパトがアトミックバズーカーの直撃を受けたかのような表情で唖然としてしまい、言葉が出てこない。

だが、ギエピーは違った。ギエピーは日頃からこの人物の声を聞いたことが多々あり、冷や汗をダラダラと流して叫んでしまった。

 

「ギエピィィィイ!!なんで神様とレジギガス隊長そしてレッドが此処に居るんだっピ!!」

 

バァァァーンと音が響いてきそうな勢いで、レジギガス隊長と創造神ミワセウスがジョジョ立ちをしており、2人に挟まれるように立つ絶対的頂点レッドとピカ様が仁王立ちしていたのだ。

 

「ギエピーよ、今からブルーベリー学園に潜入してホワイト達、リンドウのサポートをしろ」

「勿論、私達も裏側からサポートは行う」

 

アルセウスとレジギガス隊長はギエピーに、ブルベリ学園への潜入及びホワイト達のサポートを依頼してきたのだ。

 

「なんでだっピ?」

「ブライア先生はリコのペンダント……伝説のポケモン テラパゴスを狙っている。狙ってる理由は探求心、好奇心という有る意味質の悪い物でな……」

 

アルセウスは語る。そう、リコのペンダントはテラパゴスという伝説のポケモンが休眠状態と成っている状態との事で、テラパゴスはアルセウスさえ全てを把握している訳ではない未知のポケモン。

エリアゼロを摩訶不思議の環境や結晶だらけの状態にしたのもテラパゴスであり、テラパゴスがその気なら死者の魂を現世に呼び戻す事も出来るそうだ。パラドックスポケモンやタイムマシンが完成したのもテラパゴスの力の余波がエリアゼロで働き続けている為である。

 

「テラパゴスがその気なら、環境そのものを変える……いや運命や因果さえも書き換えてしまう。テラパゴス本人の性格からして、それをテラパゴス自身が行わないのだが……ブライアの好奇心がテラパゴスを暴走させてやりかねない。最悪、第2のエリアゼロ……いやエリアゼロすら魔境となる古代や未来そして冥府さえごちゃ混ぜの魔境にブルベリ処かイッシュは変わってしまう!!」

「「「思ってた想像の百倍ヤバい事に成ってる!!」」」

 

そしてブライアの目的は好奇心目的に、テラパゴスの力の完全解放!!しかも目的が悪い組織の人間みたいに、新世界の創造や大地を増やしたいor海を増やしたいではなく、純粋に好奇心と探求心という有る意味質の悪い理由。

 

「でもっピ。今のホワイトは強いっピ。リンドウでも油断すれば負けるし、グラードン使わないとダメなほどだっピよ?」

「そうだ。当然、ブライアもリコ少女の側にホワイト少年が居ることを理解している。だからこそ、ブライアはタイムマシンを用いて未来から秘密兵器を用意した」

 

レジギガス隊長がそう深刻そうに告げて、アルセウスを見る。

 

「ブライアはタイムマシンを用いて、この世界のホワイト……古代イッシュ王子の遺骨を未来に送って、ホワイトと同一存在である王子のクローンを作成してこの時代に呼び戻した。そのクローンはラクツと呼ばれており、ホワイトと同程度の素質で圧倒的な力でブルベリの頂点に君臨した。性格もホワイトとは正反対で、冷酷な未来から飛ばされたから当然だろう」

「「実質ホワイトのクローン!?」」

「てか、ホワイトさんって王子様だったの!?いや、それよりこの世界!?それじゃ……まるでホワイトさんってこの世界の人間じゃないの!?」

 

なんという事でしょう。ブライア先生だってホワイト対策は当然の如く、バッチリと行っている。

ブライア先生は科学者としてのコネをフル活用し、この世界のホワイトこと白き英雄妃トウコとハルモニア王の子息の遺骨の一部をゲットし、その遺骨を未来に送ってクローンを作成。ホワイトと同一存在のチート人物を新たに産み出して……タイムマシンで現代に呼び戻したのだ。

そしてホワイトの秘密……赤子の時にウルトラホールを通ってこの世界に来たことを知らないロイは驚いてしまった。

 

「まあ、生後直ぐにこの世界に来たから……実質この世界出身だけど。それにホワイトはキュレムとリンドウという2人の父親、シロナにブルーという2人の母親がいる。王子やラクツとは育った環境が違うから中身は別人と言えるぞ」

「おい、神よ……」

「ゲフンゲフン!!まあ、ブライアはホワイト対策をバッチリ練っているという事だ。ラクツだけではない、ブライアはブルレクと呼ばれる課題を頑張った生徒達におやつ親父と呼ばれる人物から手に入れたおやつを手渡している。このおやつは、ライコウやテラキオン等の伝説のポケモンがよってきてな……一部の生徒達はそれで伝説のポケモンをゲットして、カキツバタやタロ等の善良な四天王や生徒さえも落とそうとしている」

 

おやつ親父。SV原作ではブルレクを頑張った生徒達(というか主人公)に伝説のポケモンと出会えるオヤツをくれる頼もしい、眉毛が凄いおじさん。ブライア先生はシアノ学長経由で知り合ったおやつ親父から、おやつを入手して積極的にブルレクを頑張る生徒に伝説のポケモンと出会えるおやつを渡しているのだ。ホワイトがフルボッコにしたコークンもそれで、エンテイをゲットしている。

流石に設定上世界(ウルトラホールで持ち込めば別)に単独しかいないキュレムやゼクロム&レシラム、ホウオウ、ミワセウス等は呼べないが……スイクンやコバルオンにフリーザーは呼べてゲット出来る。その為にブルベリの生徒達は伝説のポケモンの力で四天王であるタロやカキツバタを倒して自身が四天王やチャンピオンを血気盛んで目指しているとのこと。因みにブルベリの四天王は入れ替わり制なので、コロコロかわるとか。

 

「まあ、その……アレだ。頑張って探せば出会える伝説のポケモンがゴロゴロいる訳だ。レックウザとかルギアとか、イベルタルとかな」

「「一般生徒が使うの!?魔境じゃん!!」」

 

恐るべしおやつ親父、恐るべしブルベリ!!

 

「あとブルベリは学校としては機能していなくてな……私とレッドで調べたが、公開されてないが自主退学者が沢山居るんだ。だからこそ、内部調査も頼むよ」

 

そしてレジギガス隊長とレッドが調べてくれたが、ブルベリはブルレクをしないとご飯が食べれなかったり、バトル専門でバトルに折れたら終わりという自主退学者が続出する所であり、行政機関の手を借りたい程なのだ。

 

「ピカピカ!!」

「ピッピ。今から出発だ。レジギガス、ピッピを投げろ」

「うむ。行くぞ、ギエピー君!!」

「ギエピィィィイ!?」

 

そしてギエピーはブルベリ学園に潜入する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は現在に戻る。

 

「此処がブルベリのリーグ部の部室だよい」

 

カキツバタの案内で、ブルベリ学園のランク制度 ブルベリーグを運営するリーグ部の部室にやってきたホワイト達。そこはそこそこ広い部室だが、部室には誰もいない。机の上には食べ始めだと思われるお菓子の箱が置かれており、その賞味期限は昨日切れていた。

 

「このお菓子、賞味期限切れてるよ?」

「ブラザー。切れてても3日ぐらい大丈夫だよい!!オイラは腹を下した事はないよ」

 

だが、ホワイト達は知らない。ギエピーは今、この部室に居ることを!!

 

(やっべぇぇぇ!!机の上に置いてあったお菓子を食べたらお腹が痛くなってきたっピ!!でも、ホワイト達が居るから外に出れないっピ!!)

 

ギエピー。咄嗟にロッカーに隠れたが、カキツバタの食べ残しのお菓子を食べてしまい、お腹を下してしまう。だが、ホワイト達が居るので外に出れない。




おやつ親父って何者なんですかね?いや、マジで

次回こそ、ホワイト達……今のブルベリを知り、ギエピーはお腹の限界を迎える!!


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タロ「ホワイトさん、助けてください」

リーグ部。それはブルベリ学園の学園内リーグ、通称ブルベリーグを運営する部活である。ブルベリの部活動には原則的に……と言うか全く教師陣は関わらず、学生だけで運営される。

 

「まあ、ブルベリにはブルベリーグというリーグが有ってよ。3ヶ月前、ラクツの奴が入部するまでは学園全体じゃなくてリーグ部だけだったんだよい」

 

賞味期限が切れたお菓子を食べながらカキツバタが説明してくれた。

本来、ブルベリのブルベリーグはリーグ部所属の生徒だけで行われた。リーグ部の中で腕を競いあい、ランクに分けて切磋琢磨に頑張って上位を目指す。リーグ部の上位5名でチャンピオンとブルベリーグの四天王を出して、部活の皆で楽しくバトルの腕前を磨いていた。

 

「それは知ってるよ。俺もリーグ部だったからね」

 

此処まではスグリは良く知っている。と言うのも、スグリは姉であるゼイユと共に在籍時はリーグ部に所属していた。当時は内気な性格の為か、バトルの腕が伸びなかったがパートナーのオタチ(当時のオオタチ)と共に純粋にバトルを楽しんでいた。

 

「そうだよい……だが、スグリがアローラに行って、ブライア先生がエリアゼロの探索から戻ってから徐々に可笑しくなってきた」

 

可笑しくなったのはスグリがアローラに行き、ブライア先生がエリアゼロの探索を終えた後だった。ブライア先生はエリアゼロから採掘したとある素材を用いて、シアノ学長の財力でテラリウムドームを開発。まあ、これは良いだろう、沢山のポケモンの事が学べるし……同時にテラリウムドームに生息するポケモンなら自由に捕まえてパートナーに出来るのだから。

しかし、ブライア先生は出張が増えて色々と忙しく出掛けまくり、更にブルレクの範囲が拡大されてBPを使わないと食品の購入や食堂の利用が出来なくされたり……どんどんと変わってきた。

 

「3ヶ月前か……ブライア先生がパルデアの調査から戻ると、仮面を被った謎の転入生ラクツを連れ帰ってきた」

「「ラクツ?」」

「今のブルベリーグのチャンピオンです……恐ろしいぐらい強くて」

 

ラクツという聞き覚えのない名前にホワイトとスグリは首を傾げるが、カキツバタの代わりにタロが答えてくれた。だが、よほどそのラクツが強かったのだろう……タロは少し震えている。

 

「感情が有るの分からん男だよい。分かるのは性別だけで、普段から仮面を被っとる。食堂も使っとらんしな、部室にもこない。分かるのは……オイラ処かアイリスより強いことは間違いない」

 

ラクツは圧倒的な実力で瞬く間にブルベリーグをかけ登り、タロを含めた四天王をポケモン2匹 ダイケンキとケルディオだけで倒してしまった。因みにブルベリーグは基本的にダブルバトルが主流であり、もしダブルバトルではなかった場合……タロ達はダイケンキ単騎で負けていた可能性も有るそうだ。

 

「そして当時、チャンピオンだったオイラはラクツと戦った。オイラも頑張ったし、ただで負けるわけには行かなかったしよ……

だけど、アイツの手持ちは今のポケモンじゃ無かった」

「今のポケモンじゃない?それって……」

 

カキツバタの言葉に気になる事があった。それは今のポケモンではないと……どういう事だろうか?その言葉が気になったリコはカキツバタに問い、続けてホワイトを見る。

仮に化石ポケモンだとしても、化石復活装置で甦る事が出来る。この事からコライドン、古代ウルガモス、カブトプスにプテラ等の化石で見つかるポケモンではない事は間違いない……だとすれば……

 

「未来のパラドックスポケモンだったんだね?」

「そうだよい……イッシュの童話にも出てくるビリジオンとコバルオン、その2匹をサイボーグにしたようなパラドックスポケモンだった」

 

だが、カキツバタだって決して弱くない。と言うか、普通に学生チャンピオンとは言え様々な地方の四天王と善戦出来るし、あろうことか勝ってしまう実力は有るのだから。

 

「オイラだって頑張ったさ……だけど、ラクツの最後のパートナーは分からなかった」

 

カキツバタだって奮闘したが、ラクツの最後のパートナーは分からなかった。カキツバタもメガシンカやテラスタルと言った持てる全てを使ったが、ラクツには勝てなかった。

 

「ラクツがチャンピオンに成った後、ラクツはリーグ部処かブルベリの規則を大きく変えました。

ブルベリーグにリーグ部以外の生徒も参加できるようにする。これは良いんですけど、他には厳しすぎる制度を沢山入れて……兎に角ブルベリの皆は強さを追い求めるように成ったんです。他には四天王は負けた場合、チャレンジャーが望めばその場で四天王を辞めるとか……色々です。只でさえ実力主義の学校がもっと徹底的な実力主義に変わったんです!!」

「それによ、ブライア先生が全校生徒にテラスタルオーブの配布、更にブルレク頑張った生徒には変なオヤツで伝説のポケモンを捕まえるわと、あの時から変わっちまったよ」

 

そしてブライア先生による頑張った生徒には、おやつ親父のオヤツをプレゼント。これにより、ブルベリの生徒の半数以上は伝説のポケモンをパートナーに加えたのだ。

 

「恐いんです……伝説のポケモン達を仲間に加えて、皆さんは力に酔ってます!こんなの……こんなの……あんまりなんです!!」

 

強くなりたい生徒はブルベリを頑張り、伝説のポケモンをホイホイとオヤツの力で捕まえて強くなり、更にバトルで使う。だが、教師達は変わってしまった生徒達に全く干渉せず「バトル頑張ってるね」と生徒指導なんて有ってない。

 

「スグリ、ゼイユから聞いたよい?強くなったんだな……あの時と心は変わらずによい。今のお前ならブラザーと一緒で任せられる。

スグリ、ブラザー。ブルベリーグに挑戦してくれ……ラクツを倒して元に戻してくれ」

「ホワイトさん……お願い、助けて」

 

その言葉を聞いた瞬間、ホワイトはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「やっと言えたね、タロちゃん。大丈夫、絶対に助けるよ」

「ホワイト。なら決まりだね……カキツバタさん、大丈夫ですよ。俺達は最強なんだ」

 

 

 

 

2時間後。

 

「ミロカロス!!なみのりで全方位封鎖!!カメックス、殻を破るからの噴火!!噴火!!大・噴火!!えっ?貰い火?ミロカロス!!なみのりをそのまま圧縮!!」

 

「オオタチ!!悪巧み!!バトンタッチ!!ミライドン!!破壊光線!!」

 

「「「ギャァァァ!!」」」

 

その後、蹂躙された伝説のポケモン達の姿がテラリウムドームで確認された。ホワイトとスグリ、ブルベリーグに挑戦する権利をゲットする。

 

 

 

 

「アカマツどうしたよい?」

「なんか、俺のロッカーからうんこの臭いするんですけど!!」

 

(でてしまったピ。でも、無事に撤退できたっピ)

 

ギエピーのターミナルアーマー(隠語)は突破されてアサルトアーマー(隠語)で大爆発からの濁流(隠語)してしまったピ




次回、スグリ、ゼイユと再会。

「スグ…………なっなにがあったのよぉぉぉお!!」


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予習授業1時限目 ミヅキちゃんシリーズ リメイク

SV~碧の円盤+リコロイの設定も入れるのでミヅキちゃんシリーズやり直します。


サトシがアローラリーグを優勝して7年後。ここにもう1人の転生者の物語が幕を上げた。

 

「ミヅキ。準備は出来た?今日から学校でしょ?」

「ちょっと、待ってよママ!!」

 

彼女はミヅキ。何処から見てもポケモンサンムーンの女主人公だが、気にしてはいけない。ミヅキは今年で10歳であり、今日から超絶名門校であり……リーグチャンピオンを2名輩出更にチャンピオンランク保有者ならもっと沢山出してきたメレメレ島ポケモンスクール。規模も7年前から比べると大きくなっており、初等科~中等部に高等部は勿論のこと、今ではポケモンの研究やポケモンに関する生活に纏わる事も専門的に学べる大学部も新たに設立されたのだ。

 

「もう!!早くしなさい。ママの生まれ故郷のアローラに慣れないのは分かるけど……」

「うん……でも実感がなくて」

 

ミヅキは大好きなお母さんと共に、カントーからアローラに引っ越してきた。カントーとは違って南国だが過ごしやすいメレメレ島で楽しくも愉快な日々が始まるのだが、ミヅキちゃんはその事を知らない。

 

しかし、ミヅキちゃんには誰にも言えない秘密があるのだ。それは……

 

(てか、神様!!もっと早く私を転生させてよ!!サトシの物語処か、リコ&ロイも終わってるじゃん!!)

 

ミヅキちゃんは転生者なのである!!しかも、リンドウと違ってリコ&ロイのアニメ化報道がされた瞬間までの原作知識持ちであるが、残念ながらSV発売前なので……SVの原作知識はギリギリない。好きなタイプは飛行タイプであり、苦手なタイプは晴れパ……理由は前世で勉強ばっかして過労死した医大生の兄のトリックルーム&太陽神キマワリィ!の手でボコボコにされた為だ。

ミヅキちゃんも転生したが、既に10年。此処がどんな世界なのかは理解しているのだが……

 

(てか、リンドウって誰だよぉぉお!!てか、コライドンとミライドン!!パケデンじゃ無かったのかよ!!)

 

この世界のぶっ飛び具合を既に体感している。

レッドは強すぎだわ、誰も勝てないわ、ギエピーはギャグポケモンだわ。

サトシがアローラチャンピオンで、アローラに定住してるわ、めちゃくちゃ強いけど新無印のルカリオじゃなくて波動の勇者使ってるわ。

ホウエンチャンピオンがダイゴorミクリじゃなくてリンドウとか言うポケモン博士兼ポケモンスクールの先生に成ってるわ。地震のゼロ距離パンチってアリですか?

シロナさんがシンオウチャンピオン辞めてるわ。BW2の主人公であるホワイトがイッシュスルーして、ジョウトとパルデアとシンオウ制圧してシンオウチャンピオン成ってるわ……コライドンよ、パケデンの風格は何処にやった?キュレムをバトルで使ってやれよ……コンテストばっかじゃん!!VSサトシ以外でも使ってあげて!!

 

とミヅキの理解力を越えた世界となっていた。

 

「それに、ミヅキ。ポケモンスクールからお迎えが来るんだよ?そろそろじゃない?」

 

と、少し色々思っていたミヅキに母親が話しかけ、ミヅキの意識は現実に戻る。そう、今日からポケモンスクールに通うのだが、あろうことかミヅキが道に迷わないようにと……道中にポケモンと遭遇しても良いようにポケモンスクールから頼れる先輩達が迎えに来てくれるのだ。

 

ピンポーン!!インターホンが鳴り響き、ミヅキは慌てて外に出る。そこには……

 

「アローラ!僕はホワイト!!高等部2年生の先輩だよ?一応、シンオウチャンピオンでコンテストマスターだね」

「ブイブイ!!」

 

灰色のコートを纏った身長170後半に成長したBW2の主人公であるホワイトが、右肩にイーブイを乗せて立っていた。ホワイトの他にも数名の人物が立っていた。その人物達は……

 

「やあ、私はスグリ。ホワイトと同じく高等部2年生さ。こんな成りだが、シンオウリーグの四天王をやってるよ」

「オターチ!」

(夏油さんおるぅぅぅぅ!?えっ!?傑じゃなくてスグリ!?)

 

身長190センチ!!体重は筋肉で100キロ!!体脂肪率1桁!!相棒であるオオタチと共に今日も筋肉と勉強に励む夏油スグリさんである。因みにミヅキちゃんは蒼の円盤は知らないので、スグリの事を知らない……いや知ってたら「なにがあったのよぉぉぉお!!」と心の中で叫んでいるに違いない。因みにシンオウ四天王。

 

「私はタロです。君は可愛いのは好きかな?

ホワイトさんとスグリさんと同じく高等部2年生で、一応シンオウ四天王をしてますよ?」

 

次は2年の歳月で成長したタロ。因みにシンオウ四天王まで登り詰めており、日本最強のフェアリー使いである。因みにヤーコンさんの娘であり、タロがシンオウ四天王になる時にヤーコンさんは2つの意味で泣いた。

 

「まあまあ、3人とも。なに、他の地方単独で鎮圧出来るメンバーで迎えに行くのよ……てか、ここ暑いわね。

私はカイ。高等部2年生だよ。あっ、私はこの3人と違って四天王とチャンピオンじゃないから安心してね!?」

(カイ?もしかしてシンジュ団のカイ!?なんで此処に!?てか、髪の毛伸びてるぅぅ!?)

 

4人目は訳有って去年に明治時代からタイムスリップしたカイ。レジェアル時代と比べて髪の毛が伸びており、肩甲骨辺りまで髪の毛が伸びている。

 

「アギャッス」

(コライドンおるぅぅぅぅ!?てか、仁王立ちして腕組んでいるんですけど!!)

 

そしてホワイト達の後ろでは、ホワイトのコライドンが完全形態で腕を組んで立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、ルシアスさんや。オイラはなんでお留守番なんだよい?」

「カキツバタはそもそも生徒じゃないだろ?確かにシンオウ四天王だが」

「ルシアス。俺は行くべきだと思うんだが……」

「セキはレポートの再提出が残ってるだろ?」

 

シンオウ四天王カキツバタ、学生ではないのでお迎え出来ず。因みにアローラには寂しいので遊びに来た。

セキ、彼は年齢的に大学生だが訳有ってホワイト達と同じクラスなのだが……レポートの再提出の為にお留守番で……副担任で甦った伝説の冒険家ルシアスの元でレポートを作っていた。

彼等の近くではキュレムがホワイト達を待っており、その側では初心者用のポケモンであるモクロー ニャビー アシマリがいる。

 

『ルシアス。ホワイト達が新入生を連れてきたぞ』

「そうか!セキ、中断だ」

「ふー、肩が凝るぜ。どうも筆記作業とパソコンは苦手だ」

 

ジュラルドンって進化するんかぁぁい!!完全体キュレムおるぅぅ!?と心の中で叫ぶのは内緒だ。




SV以降の世代はミヅキちゃんの時代orそれ以降とします。


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ブルベリ制圧大作戦の始まりだっピ!!

ブルベリ制圧大作戦だっピ!!


ブルベリ学園は全職員と全校生徒は当然ながら寮生活であり、在学中は訳有って学園の外に出ない限りは学内で生活の全てが完結するようになっている。

生徒はブルレクを頑張ってBPを稼げば充分に贅沢な生活は出来るし、職員も学長であるシアノが笑えない程の大金持ちであり給与は物凄く良い。だが言い換えれば、余程の用事が無い限りは学校の外には出ることは出来ず、自力でブルベリの外に出るのはほぼ不可能に近い。

 

「お前達、遅かったな。学校は楽しかったか?」

 

当然ながら留学生であるホワイトとリコ、そして自分から参戦を決意したスグリと引率のリンドウにも仮の住まいとして部屋が割り当てられている。ブルベリの寮はホテルのように成っており、一応……自炊は出来るのだが火災を出来るだけ防ぐようにガスコンロではなく、IHヒーターでオーブンもない。一応、電子レンジはあった。

しかし全員別々の部屋ではなく、少し大きめのホテルの部屋のような所で4人で宿泊なのだ。その部屋にホワイトとスグリ、リコがやって来た時には既にリンドウが彼等を待っていた。

 

「リンドウ先生」

「リンドウパパはどうだったの?」

「む?まあ、色々参考に成ったよ」

 

とスグリとホワイトに告げるリンドウであったが、リンドウはメモ帳に何かを書くと3人を見る。

 

『会話は聞かれてる。どうでも良いことと、聞かれても問題ない事は普通に言っても良い。だが、聞かれたら不味い事はメモに書いて見せろ』

 

とメモには書かれていた。実はと言うとリンドウ、ホワイト達がタロの案内で別の所を案内されている間に、ギエピーと遭遇していたのだ。リンドウはギエピー……ではなくテレパシーでミワセウスからリコのペンダントが伝説のポケモン テラパゴスであること、テラパゴスがブライアに狙われている事を教えて貰った。

部屋に着くなり、念のためリンドウはルカリオを出して波動で調べてもらった結果……あろうことか盗聴器が見つかったのだ。

 

「「マジで?」」

(スパイ映画の世界なの!?)

「流石にネタだと思うぞ。未成年のプライベートにヅカヅカと踏み込むのはどうかだけどな」『大マジだ。てか、お前達がリーグ部の部室でタロとカキツバタとの会話も聞かれてるかも知れない』

 

リンドウは言葉で話しながらとメモ帳でホワイト達に真実を伝え、盗聴しているブライアには似せ情報を流している。

 

「だよね、僕達もブルベリーグに挑戦するよ?」『なんでリンドウパパ知ってるの?部室にパパ居なかったよね?』

「そうか、頑張れよ」『実はと言うと、お前達が部室で話してる時、リーグ部のアカマツって子のロッカーにギエピーが潜入してた。ギエピーはお前達が去った後、うんこを漏らして盗聴器を発見したそうだ』

 

因みにギエピーのうんこでアカマツという生徒の替えのシャツとジャージは御臨終と成ってしまったとか。

 

「しかし、ここの生徒指導の先生達はなかなか教えるのが旨そうだ」『教育機関として破綻してるよ、この学校はな』

「へー!バトル熱心なんだね!」『てかさ、ブライア先生が伝説のポケモンのお菓子を使って、ブルレク頑張った生徒はそのお陰で伝説のポケモン使えるんだって。僕とスグリもそんなトレーナーと戦ったよ…………カイオーガ使いはスイレンの十分の一だったけど』

 

ホワイトとリンドウの言葉(他愛ない話しor似せ情報流し)とメモ帳による情報交換(マジ)を見て唖然とするリコ。そんなリコとは対照的にスグリは個人的に色々と考えていた。

 

(しかし、ブライア先生はなにが目的なんだ?どうして伝説のポケモンを使うトレーナーを増やしてる?伝説のポケモンを使うのは勝手だけど、スイレン先輩のように信頼関係が有れば別だけど、無かったらちょっと強いポケモンでしかないよ)

 

「しかし、色んなポケモンと出会えたよな!お父さん大感激だよ」『ブライア先生の狙いはリコのペンダントだ、リコ……お前のペンダントはテラパゴスという伝説のポケモンが休眠状態と成っている状態との事だ。

リコから確実にペンダントを奪い取れるように、伝説のポケモンを使うトレーナーを増やした……序でに伝説のポケモンの研究も出来るしな。だが、流石にホワイトは停められない……だからブライア先生は未来から古代イッシュの王子のクローンを連れてきた……それが今のブルベリチャンピオンのラクツだ。早い話、ホワイト……お前のクローン』

「「「なんだってぇぇぇぇえ!!」」」

 

リンドウがミワセウスから伝えられた情報を聞いたホワイト、スグリ、リコは大きな声を出して驚いてしまった。いくらなんでも情報が多すぎる。ラクツが実質的にホワイトのクローンだわ、リコのペンダントが伝説のポケモン テラパゴスだわと沢山だ。

 

「まあ、俺はなんとかしたいんだけどな」『ラクツだってお前達と歳は変わらん。いや、未来の技術で作られて急成長したなら生まれたてなのかも知れない。当然、伝説のポケモンの力に酔って道を踏み外しそうな生徒も、ラクツも俺は助けて導きたい。手を貸してくれるか?勿論、リコとテラパゴスを護るのが優先だが……』

 

リンドウとしては道を踏み外しそうな生徒達を助けたい、このままではブルベリの生徒達は取り返しのつかない事になる。だが、誰も彼もが生徒達をしっかりと導かない……先生達はあんまり干渉せず。

そしてラクツ。対ホワイトとして作られたのは良いが、彼は今後……どうなるのだろうか?クローン人間だとバレれば世間からの風評は?ブライア先生が非難されても同時にラクツも世間から厳しい目で見られる。子供に罪はない、だからこそリンドウはラクツも助けたいのだ。

 

「勝つよ……僕。パパとサトシお兄ちゃん、レッドおじちゃん以外には絶対に負けないから」

「だったら、この勢いのまま俺も超えてくれ」

 

 

と、その時だった。

 

「スグ、居るんでしょ?カキツバタから聞いたわよ。入るわね」

 

ガチャンと扉が開き、ゼイユが入ってきた。ゼイユはあの頃から全く変わってなかった。背は女性にしては高く、170は超えているだろう。お陰で、大きくなったホワイトよりも背が高い。

 

「やあ、姉ちゃん。久しぶり」

「なにがあったのよぉぉぉお!!」

 

実はと言うとゼイユ。スグリとは電話のやりとりは有るが、大きくなったスグリを見るのは初めて。なので声は分かるのだが、長身夏油スグリさんに成った弟を見るのは初めてだったのだ。

 

「てか、服どうしたのよ!!なんでジャージのタイツが原型とどめてないぐらいボロボロなのよ!?」

「ちょっと動いたらこうなったんだよ」

「てか、なんでそんなムキムキなのよ!!」

 

ゼイユとスグリ、3年ぶりに再会する。

 

「まあ、良いわ。ついでだし……四天王に挑む前の四天王チャレンジのコツを教えるわ。

伝説の力に溺れたアホどもは絶対にカキツバタのチャレンジはクリア出来ないし、まあ……ホワイトとスグなら余裕よね」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「来いよ……来いよ……ホワイト!!俺は何時でも待ってるぞ!!」

 

アカマツという中等部1年生の男の子が居りました。彼は初等部で四天王に成りました。そんなアカマツ君であるが、彼はとある理由でホワイトを敵視していた。その理由は……

 

(タロ先輩が惚れたんなら、俺の敵じゃぁぁぁあ!!)

 

アカマツくんはタロちゃんの事が物凄く好きだったのでした。いつ、告白しようか、いや過程をすっ飛ばしてプロポーズしようか迷ってました。そんな時でした……

 

アカマツは物陰から見てしまった!!タロがホワイトに一目惚れした瞬間を!!

その数時間後、部室のロッカーは誰かのうんこで汚れてたし、最近のアカマツは全くついていない!!

 

「激辛サンドイッチで良いんだったね……最高に辛いの持ってきたよ」

 

だが、そこにホワイトが現れた!!ホワイトは右手に真っ赤なサンドイッチを持っており、ホワイトの隣には特製激辛サンドイッチを摘まみ食いしたのか……唇が真っ赤でプルプルに膨らんだギエピーが歩いている。

 

「えっ……限度が有るんですけど!?なに入れたの!?」

「はい。お食べ……ごめん、本当に時間が無いから」

 

テラリウムドームの朝日に、アカマツの悲鳴が響いた。

 




次回VSアカマツ!!

ホワイト「ごめん……でも、本気で行くよ。ミロカロス!!キズナ進化!!」
アカマツ「はい?」

ギエピー「お前、ツッコミ適性高そうだっピ。だから連れていくっピ」
アカマツ「なんでさぁぁ!?」

アカマツくん、ツッコミ係として拉致決定。

因みにホワイトのゲットする御三家は、マスカーニャ以外……最終進化が全員リージョン(未来or古代含む)に成ります


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ようこそ、アカマツ……貴重なツッコミよ

VSアカマツ


ホワイトがギエピーと共にサバンナエリアのサバンナスクエア……四天王アカマツの居城に攻め込んでいる頃。リコはキュレムの護衛の元で、ゼイユとタロと共にコーストエリアを冒険していた。

 

「しかし、ホワイトが兄貴分になるなんて、時の流れは早いわね」

『おい、弟の成長(物理)から目を背けるな』

 

ゼイユは軽く放心状態と成っていた。昨日、リンドウ達が寝泊まりするゲストルームに来たのは良かった。久し振りにリンドウやホワイト、そして弟であるスグリと再会できたのだから。しかし、数年振りに再会した弟は身長180cmオーバーの筋肉の化身と成り果てたのだ。

 

「だって、私より大きくは兎も角……何食べたらあんなにデカクなるのよ!!私なんて、デブらないように食後のジョギングが大変なんだから!!」

 

ゼイユは残念ながら自炊技術がない。その為か、ブルベリに居る時は基本的に食堂やリーグ部の部員仲間であるアカマツが作ってくれた辛い食事を食べている。しかし、ブルベリの食事は御存知の通り、カロリーお化けな料理ばかりだ。野菜は基本的に使われてないし、チーズたっぷりの分厚いピザ、全部のせの学生定食、1番ヘルシーなのがハンバーガーという時点で栄養が偏っている。

事実、ブルベリ学園は世界中の名門校の中では最も肥満率が高いのだから。

 

「で、リコ。君は料理できるの?」

「私達のご飯、基本的にマードックやホワイトさんが作ってくれるんです。たまにオーガポンも手伝ってくれますけど……」

「ホワイト、料理できるの!?なによ、完璧超人じゃない!!」

 

ゼイユはリコから現在のホワイトの様子を色々と聞いており、ホワイトのチート具合に軽くドン引きしていた。

 

(まあ、確かにアイツは料理も出来るように成ったが……昔から変わらず自由人で、目を離すと何をしでかすか分からん)

 

と心の中でキュレムが溜め息を吐き出すように告げた。そう、ホワイトはどんなに強くなっても自由人である事は全く変わっておらず、保護者が目を離せば何をするのか分からない。相変わらず、ヤヴェー代物を拾ってくるし、なんならトラブルに巻き込まれて自力で解決して何事もなく戻ってくるし……そこは変わっていない。

 

と、そんな時だった。タロとゼイユのスマホロトムにブルブルと通知が来る。

 

「あっ通知だ。えーと、2件ですね。えっ!?ホワイトさん、もうアカマツくん倒したんですか!?」

 

タロが驚きながらスマホロトムをリコとゼイユに嬉しそうに見せた。そのスマホロトムの通知には、ホワイトがブルベリ四天王の1人アカマツを倒した事が書かれていたのだ。

 

「当然でしょ?……ねえ、タロ……もう1つの通知、教員からだわ」

「えっ?」

 

だが、もう1つの通知を見た瞬間、タロとゼイユはお互いに顔を見合わせた。何故なら、それは学校からの通知で『特別留学生であるカラシナ・ホワイトを倒した者には一万BPをプレゼント。次期シンオウチャンピオンに、ブルベリの強さを見せつけよう!!』と書かれていたのだ。これを出したのがブライア先生なのか、それともブルベリの生徒の強さがチャンピオンに匹敵すると思ってきた教師達なのかは分からないが……まあ、随分と無謀な事である。

 

「ホワイトさん大丈夫かな!?」

「リコちゃん。大丈夫ですよ、多分……」

「取り敢えず、BPに目が眩んだ哀れな生徒に合唱ね」

 

 

 

 

通知が届く20分前。

 

料理人風に制服をカスタマイズした少年、ブルベリ四天王の一角であるアカマツ。

 

そして異世界出身、メレメレ島育ちの我らが天災児ホワイト。

 

両者はサバンナスクエアのバトルコートで対峙しており、お互いに2つのモンスターボールを取り出した。

 

「さっきのは辛かったよ!!俺でも辛かったよ!!」

「うん、ゼイユちゃんからアカマツくん?だっけ?君は辛いのが好きって聞いたからね」

「限度が有るんだよ!?てか、そこのピッピ大丈夫!?唇がまだプルプルに腫れてるよ!?」

 

これから行うのはブルベリ四天王アカマツVSホワイトのバトルであり、アカマツはファイアローとヒートロトムを繰り出した。

ファイアローの機動力を活かして、素早く日照りを展開。その後、ヒートロトムを含めた炎ポケモンや日照りに有利なポケモンで相手を一方的に倒すのだ。

 

「さあ、どうする?先輩で留学生だとしても、俺はいつも通りするだけさ!!」

 

ダブルバトルは戦略がかなり広がる。単独ではバトルに活かすのが難しい技やポケモンでも、サポートに徹して相方のポケモンで相手を蹂躙したりと様々な戦いかたが出来るのだ。

 

「ごめん……タロちゃんと約束したから。だから、僕もパートナーも手加減は一切出来ないよ」

 

だが、ダブルバトルはホワイトの()()()()()()と非常に相性が良かった。ミロカロスやイーブイ等のコンテストでも活躍するパートナーはサポート?にも向き、そのメンバーのサポートを受けたバトルオンリーなパートナー(コライドン、ガメラカメックス)で一方的に粉砕するのだから。

 

「ARE YOU READY?準備は良いかな?僕達は出来ている!カメックス!ミロカロス!オンステージ!!」

「ガメガァ!!」

「ミローン!」

 

ホワイトはガメラカメックス、ミロカロスを繰り出した。炎には水、これは鉄則と言えるだろう。

 

「やっぱり水だよね?ファイアロー!!日照……へ!?」

 

その瞬間、莫大な量の波乗りが展開された。ホワイトは言葉で指示を行っていない、トライポカロンやパフォーマー部門等のコンテストでは演技力も必要であり言葉以外での指示も必要不可欠。ホワイトが出した指示は右足のステップ、それだけで言葉を出す前に『波乗り』の指示を与えたのだ。

 

そして波乗りの産み出した波は、ミロカロスのサイコキネシスで生き物のように動き出し、それの後押しを受けてからを破るを積んだ高速アタッカーと化したカメックスが迫る。

 

「不味い!?ロトム!!十万ボルト!!」

「知ってる?僕も授業で知ったけど、水って本当は電気を受け流すんだよ」

 

放たれた十万ボルト。だが、ミロカロスが操る水が電気を受け流す。

 

「カメックス!!しおふき!!最大出力!!」

「ガメガァ!!」

 

放たれたしおふきは……ファイアローとヒートロトムを粉砕した。だが、ファイアローは気合いの襷を装備しており、なんとか踏ん張る。だが、そこに無慈悲にミロカロスが操った水が全方位からレーザーとして襲い掛かる。

 

「ファイアロー!?」

「ア゛ーー!?」

「ギエピー!?なんで僕も巻き込むっピ!!」

 

序でにギエピーが巻き込まれたが、気にしてはいけない。バトルフィールドは水に包まれた。

 

「僕言ったよ?全力で行くって……ミロカロス……ネクストステージ!!」

 

ホワイトが叫んだ瞬間、ミロカロスが光に包まれる。それと同時にホワイトのキーストーンが光輝いた……間違いない、これはメガシンカだ。しかし、ミロカロスはメガストーンを装備していない。

 

「バカな!?これは……なんだ!?」

 

モニターを見ていたブライア先生が台バンの如く、机を叩いた。そう、これは……

 

「ミロカロス。ドレスアップOK?さあ、行くよ」

 

光が砕け散ると……そこには天女のような美しい羽衣を彷彿させるヒレを持つ、キズナ進化を果たしたミロカロスが漂っていた。

 

「キズナ進化だって……それじゃあ、君はメガシンカを一度のバトルで2回使えるのか!?」

 

アカマツだってバトル専門学校であるブルベリで優秀な成績を修めている。当然ながらキズナ進化やメガシンカの事も理解しているし、キズナ進化とメガシンカは同じバトルで共に使えることも理解している。なので、ホワイトがこの後にメガコライドンさえも降臨する事が出来ることを理解し、呆然としてしまう。

 

「ミロカロス、雨ごい」

 

その瞬間、警報レベルの豪雨が降り注ぐ。だが、何故かホワイトは濡れない……と言うかミロカロスがホワイトに雨が当たらないようにしてるのだろう。

 

「カメックス!!しおふき!!しおふき!!しおふき!!ドロポ!しおふき!!ハイドロカノン!!」

 

攻撃をしようにも、キズナミロカロスが水を楯にしてガメラカメックスを守り、ガメラカメックスがしおふきを乱射……たまにハイドロポンプやハイドロカノンがとんでいるが。

 

「これが……本物のリーグチャンピオン……」

 

アカマツくん、実力の差を見せられて敗北する。

 

「で、どうするんだっピ?君はそのままで良いんだっピ?」

 

そんなアカマツにギエピーは声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のスグリ。スグリはキャニオンエリアにやって来ていたが……

 

「お久しぶりですね、スグリ」

「ネリネさん!お久しぶりですね!」

 

そこでスグリはブルベリ四天王の1人でゼイユの親友であるネリネと再会した。

 

「スグリ(すっっっっっっっっっうぅぅぅぅぅぅぅぅきぃぃぃぃぃぃい!!)」

 

しかし、スグリは知らない。ネリネはスグリ好きガチ勢だった事を。

 

 




リンドウ「コンテスト&バトルを両立してるトレーナーがダブルやったら、ヤバくね?」

次回!!ホワイトに合流した(された)ツッコミのアカマツ。

ホワイト「お腹空いた……襲ってきたトレーナー撃退したらカロリーが……ガクゥ」
コライドン「ガス欠アギャッス」←完全形態カロリーの消費増加+メガシンカ連発。

アカマツ「よし、サンドイッチ作ろう!!ってちょっとぉぉおおまてぇぇ!!」


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ホワイト、コーストエリアに立つ

ホワイト、コーストエリアに到着。


「ふー……流石に疲れたよ」

 

サバンナエリアとコーストエリアの境目を過ぎて、ホワイトはコーストエリアに入った。だが、ホワイトはコライドンに乗ってないし、なんならボールから出していない。これには訳がある。

コライドンは確かに種族値600族(この作品では)の中では超優秀な部類に入るだろう。しかし、コライドンには明確な弱点が存在する。それは4倍弱点のフェアリーではなく、燃費である。コライドンは平時、ライドフォルムこと制限形態で生活しており、戦闘時や気分が乗った時はバトルフォルムこと完全形態となる。だが、完全形態はカロリーの消費が多いのだ。カロリーの消費が多い、つまり身体に蓄えたエネルギーが普段よりも早く消耗するのだ。そして、ホワイトのコライドンは他のコライドンと異なりメガシンカも使う……メガシンカを使えば更にカロリー消費が激しくなり、連発すればお腹ペコペコで動けなくなるのだ。

 

「流石にメガシンカとキズナ進化の同時と連発は身体に来るな」

 

どうしてトレーナーの皆さんが一度の戦闘で、メガシンカを基本的に1度しか行わないのか?理論上はパートナー全員にメガストーンを持たせれば、全員メガシンカは出来るだろう。しかし、それは出来ない……何故ならトレーナーの身体が持たないからだ。

メガシンカはトレーナーとパートナーの心が1つになって使うことが出来る。故に、使えばトレーナーにも多少の負担が来る。

 

ホワイトは鼻から鼻血を出してしまう。肉体に負担のかかるメガシンカやキズナ進化を多用すれば、いくら超人であるマサラ人や古代イッシュ人+流派東方不敗でも限界は来る。

ポケットからハンカチを出して、鼻血を拭う。ホワイトに勝負を挑んできた生徒は数多に居たが、その大半が伝説のポケモンをパートナーに出来た為か、力に溺れてリンドウ曰くの()()()()を失っているという。

そして、ホワイトは感じていた。伝説のポケモンをゲットした生徒の8割以上が、捕まえた伝説のポケモンと信頼関係が巧くいってなかったのだ。当たり前だが、ポケモンは道具ではない……家族だから当然だ。

 

「ちょっと、無理しすぎたかな?」

 

コーストエリアのトロピカルなビーチに辿り着いたホワイトは、備え付けられた南国式のベンチに腰かけた。まだ手持ちのパートナーは元気だが、エースのミロカロスはキズナ進化の連続使用で疲れているし……コライドンに関してはカロリー切れでガス欠。カロリーオバケの学食はデリバリー出来ないのだろうか?と考えていると……

 

「ホワイトさん!こんな所に居たんですか!?心配したんですよ……鼻血!?」

「タロ、急に走らないでよ」

 

ホワイトの姿を遠くから確認できたタロとゼイユが此方に向かって走ってきた。その後ろでは人質に取られないように、キュレム・オリジンの背中に乗せられたリコも此方にやって来た。

 

『ホワイト、メガシンカとキズナ進化を多用したのか?

多くのトレーナー達が一度のバトルで、メガシンカを沢山使わないのは身体の負担が大きいからだぞ?お前もそれは分かってる筈だ』

 

キュレムがホワイトに注意するように、いや怒るように告げる。当然だ、キュレムにとってホワイトは息子であり……並行世界とは言え愛娘が遺してこの世界に飛ばした孫でもある。

ホワイトがメガシンカとキズナ進化を多用して、動けなくなってしまえば大変だ。故に、祖父でもあるキュレムはホワイトの事を心配して叱るのだ。

 

「ごめんよ、だってさ……流石に数が多かったし、その人達がリコを狙ってきたら?きっとブルレクのポイント目当てに、教師達から言われたらリコはまだ未熟だし……流石に振り払えない……だから誰かが助けてあげなくちゃ。もう、僕は守られるだけの子供じゃないから」

 

とホワイトは言うが、意識を手放すように気を失ってしまう。よほど、無理をしたのだろう。無理もない。ホワイトがキズナ進化を会得して多用したのは初めてであり、リンドウやサトシと違って長い間(5年ほど)使い続けた訳ではない。メガシンカと比べてホワイト自身の体力の消耗も大きいのだ。

 

「ホワイトさん!?」

 

咄嗟にタロがホワイトに手を伸ばそうとしたが、誰かがホワイトを抱えた。

 

「全く、そこまで責任感持たなくて良いんだよ……お前は」

 

その人物はリンドウであり、リンドウの後ろではミライドンがワンちゃん座りをしている。だが、ミライドンの後ろでは急ブレーキの後が着いており、猛スピード→フルブレーキングで駆けつけたのだろう。

 

「「リンドウ先生!?」」

「リンドウ先生……」

 

「よっ、お前達。所でリコ、怪しいヤツに狙われてはいないか?」

「はっはい!キュレムが護ってくれたので……」

 

ブライア先生の目的はテラパゴスの確保。テラパゴスはリコのペンダントであり、リコも当然ながら狙われる危険性も有るのだが……そこはキュレムが護ってくれたようだ。

 

「そうか……それは良かった。さてと」

 

リンドウはそう告げ、ホワイトをタロに託した。ゼイユにはお弁当箱とサンドイッチを手渡した。

 

「この子を頼む。20分位したら起きると思うけど。ホワイトが起きたらこの弁当を食わせてやれ、コライドンにはこのサンドイッチだ」

「えっ!?」

「俺は……あのアホどもに実技授業してくるよ」

 

リンドウはベルトに提げた1つのモンスターボールを手に取った。と言うのも、リンドウの視線の先ではニヤニヤとしながら伝説のポケモンを繰り出した、おやつ親父のオヤツで勘違いしてしまった哀れな学生の諸君が立っていた。

レックウザ、ライコウ、スイクン、サンダー……本来なら余りの珍しさに卒倒しそうになる伝説のオンパレード。だが、彼等はブライア先生や他の教員達の計らいで、おやつ親父のオヤツをゲットして……楽して伝説のポケモンと出会えたに過ぎない。

 

「今がチャンスだよ!!ホワイトって生意気なガキは疲れて寝てるしよ!!」

「そうだな!!」

「やれやら、どこが英雄なんだい?俺より弱そうなガキじゃないか」

「「流石はスワマ!!言うことが違う!!」」

 

哀れな学生の諸君はすっかり、伝説のポケモンの力に虜に成っているようだ。ならば本物を見せてやるしかない、ホワイトがキュレムをリコの護衛に回してるなら、リンドウがそれを行うだけだ。

 

「グラードン。俺が許可する……()()()()()()

 

その瞬間、日差しが強くなる。

 

「おい……俺達の息子をバカにするなよ。少なくとも、浮かれるお前達の100倍男前だわ」

「グラァァァァ!!」

 

リンドウのボールから飛び出したグラードンは、断崖の剣をカタパルトのように応用し、その場から飛ぶように消える。次の瞬間、右手に限界まで地震エネルギーを圧縮したグラードンがレックウザの前に現れた。

 

「い!?」

「「「お前もオヤツの力でか!?」」」

「グラードン、地震!!」

 

「ぐゅゅゅぁぁあ!?」

「グラァァ!!」

 

解き放たれた地震パンチは……レックウザを一撃で粉砕した。ホウエンチャンピオンであるリンドウからすれば、相手のレックウザはトレーナーとの信頼関係が皆無であり、ホウエンの守護龍(最終暴力装置)レックウザを知るリンドウからすれば、もはやキュウリであった。

 

「どうした?伝説のポケモン以外のパートナーも居るだろ?安心しろ、お前達が伝説以外を使えば俺もグラードンを下がらせて別のパートナーを使うさ」

 

レックウザを一瞬で鎮圧したグラードンの圧力に怯え、哀れな生徒達はずり下がる。

 

「なんだよ……なんでそのグラードンはそんなに懐いてるんだよ!!」

「トレーナーとポケモンは信頼関係が出来た瞬間、改めてパートナー同士になる。グラードン……本物を教えてやるぞ」

 

空気が震え、グラードンの雄叫びがコーストエリアの空に響いた。

 

 

 

 

「うめうめ、やっぱりパパのお弁当美味しいな。ブルーママとお母さんの百倍旨いよ」

「アギャッス!!」

 

そしてホワイトとコライドン、目が覚めて……リンドウのお弁当とサンドイッチを食べて復活。なお、その背後では伝説を使うトレーナーの皆さんがリンドウとグラードンの手で粉砕されていく。

 

 

 

 

 

「ギャァァア!?落ちるぅぅぅ!!」

「ギエピー!!セルフダイビングになったピ!!」

 

ギエピー、持ち直したアカマツくんと共にコーストエリアにタクシーで現れた。だが、ギエピーの余りの重さでタクシーの籠紐が切れてしまい、ギエピーとアカマツはスカイダイビングの如く投げ出された。

 

「しってるかっピ?時速60キロの風圧を掌で受けたら、女性のおっぱいと同じ感触らしいっピよ?」

「今、そんな豆知識いる!?でも、それが事実なら俺は今、全身でタロ先輩のおっぱいを堪能してるのか!?てっそんな訳があるかぁぁぁぁあ!!柔道部位の固さじゃねぇぇぇぇか!!」

 

バシャーン!!ギエピーとアカマツはコーストエリアの海に不時着し、リンドウとキュレムに救助されたのだった。




リンドウ「とりあえず、ピーチドンはW地震パンチが決まった」

ピーチドン(本名はネタバレなので)「わっ私は……こっこんな所でぇ……あっあっあ゛あ゛あ゛!!」←バキバキに潰される音
メガコライドン「良い、みあげ話が出来た」


ゼイユ「てか、カキツバタの試練の為にドームでポケモン捕まえた?コライドンやオーガポン使えないのよ?」
ホワイト「捕まえたよ?はい、直ぐにヒトカゲからリザードに進化したけど」

リンドウ「テラリウムドームのポケモン、全体的にレベルが高いな。だからヒトカゲとかと直ぐに進化してしまう子が多いのか」


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メンツは揃った……いざ行かん!!

リンドウ「どうやって行政機関にリークするか」
紫のカイロス「ハッキング、マカセロス」


「いやー、さいなんだったピ」

「なんで空を飛ぶタクシーの紐が切れるの!?普通は切れないよね!?君、どんだけ重いの!?」

 

パンツ一丁となったアカマツとギエピー。2人は無事に、問題児生徒を粉砕という名の実技授業で粉砕したリンドウ、そしてキュレムの手で救助され、コーストエリアの浜辺で焚き火を焚いて暖をとっていた。此処が温暖なコーストエリアだったお陰か、アカマツとギエピーは風邪を引かなくてすんだが……もし、此処がカキツバタの根城 ポーラエリアならばマイナス何度という氷河期のような気温で一瞬で風邪を拗らせる処か……最悪は凍死してしまう恐れだってあっただろう。

しかし、ブルベリの教員達はいざとなれば生徒を助ける準備は出来ているのだろうか?コーストエリア、サバンナエリアは比較的温暖で強いポケモンが生息していること以外は比較的に安全だろう。だが、山岳地帯であるキャニオンエリアと氷河期であるポーラエリアは環境だけでも危険だ。現実でも山岳地帯では事故が起きているし、ポーラエリアでは一歩間違えれば凍死してしまう恐れもある。

 

「しかし、なんで空から降ってきたんだ?」

 

そんなパン一となり、服を乾かしているアカマツとギエピーを案じてかリンドウが問う。そりゃそうだ、問題児達を粉砕していた時に、空からギエピーとアカマツがスカイダイビング真っ青でパラシュートも無しで飛んできたのだから……いや落ちてきたのだから。

 

「タクシーの紐が切れたんですよ……」

「そんなアホな……いや、有り得るな」

 

本来ならギエピーの体重がどんなに重くても空を飛ぶタクシーの籠紐が切れる訳がない。いや、切れるかもしれない。

過去、今から5年前。ギエピーはリンドウ、ウォロと共にミライドンに跨がったさい……ギエピーの体重が余りにも重すぎて、ミライドンのエンジン出力を上回る速度で落下エネルギーが発生。3人を乗せたミライドンは真っ逆さまにエリアゼロの最下層に落下したのだ。空を自由に飛び回る力を持つミライドンが空を飛べず、あろうことか真っ逆さまに落っこちる……この事からギエピーの体重はミライドンのエンジン出力より高いのだから。

 

「ギエピー、お前そろそろダイエットしろよ。お前のせいでブレイブアサギ号が沈没したらどうするんだ?そうなったら、地震パンチの刑だからな?」

 

リンドウの言葉に反応するように、ボールからリオレウス……レウスが飛び出してゴキゴキと指の関節を鳴らした。メガシンカして攻撃特化のメガリザードンXの攻撃力+龍の舞+かたいツメから放たれる地震パンチ……ギエピーもその破壊力は知っており、ぶっちゃけ食らいたくない。

 

「嫌だっピ!!」

「じゃあ、痩せろ」

「断るっピ!!」

「仕方ない……ミライドン、フォトンブラスターだ」

 

リンドウが指パッチンすると、リンドウのミライドンはバトルフォルムことコンプリートフォームに変形した。

 

「痩せるっピ」

 

ギエピー、ミライドンの超必殺技 フォトンブラスターは受けたくないので速攻で土下座を決める。

 

「土下座はや!?さっきの態度はどうしたの!?」

 

そしてすっかり、ツッコミ係になったアカマツくんであった。

因みにこの場にホワイト達は居らず、居るのはリンドウとギエピーにアカマツだけである。と言うのも、ホワイトとコライドンは無事に軽く寝て更にリンドウが持ってきたお弁当&サンドイッチを食べて完全回復。カロリーも補給し終え、ブルベリ四天王の1人でもあるタロとバトルする為にコーストスクエアに向かった。恐らく、今頃はタロとホワイトが戦っている頃だろう。

 

「てか、リンドウ。そっちの調査はどうだっピ?」

「ああ、ハッキング関係はホワイトのカイロスに任せたが、ぶっちゃけるぞ?此処は教育機関じゃない、教育機関の皮を被った研究施設だよ。子供達を利用したな……」

 

ギエピーの言葉に返事をしたリンドウは、静かに怒りを見せてそう告げた。そう、ブルベリ学園は教育機関ではない……形上は教育機関と成っているが、此処は生徒達に仮想通貨であるBPや伝説のポケモンと出会える&楽に捕まえられるオヤツをエサにしてタスクをこなしてもらい、莫大なデータを収集する研究機関だったのだから。

 

「バトルに挫折した生徒の事は全く関係無し。生徒が道を踏み外しても自主性を尊重すると言い訳を述べて、子供達に干渉しない教師の風上にも置けない奴らばかりさ。

こんな話を、ブルベリの生徒であるアカマツくんの前で話す事じゃ無いんだが……悪いな」

「いえ、俺も思うところは有ったんで」

「そうか。確かに此処は研究施設としては合理的だ。おやつ親父とかいう訳がわからんおっさんの協力で、沢山の伝説のポケモンを確保して生徒達に戦わせる。他の研究機関や研究者では先ず、集めるのが不可能に近い莫大なデータを集めることが出来る。それだけじゃない、伝説のポケモン以外にも戦闘データや捕獲のデータは沢山集まり、研究が捗る。更にパルデアでしか確認されていないテラスタルも再現し、生徒全員にテラスタルオーブを支給して使わせることでパルデアでも進んでいないテラスタルの研究も一気に進む。だが、子供達を出汁に使うのは気にくわないな」

 

それに水温-や低体温の危険がつきまとうポーラエリアでさえ、生徒指導や他の教員達は常に見ておらず……最悪の事態が起きれば生徒達は命の危険があるのかも知れない。

本当に学舎なら、危険な所なら常に教師達が目を輝かせているがブルベリではそう言う事はない……つまり、最悪の場合は生徒が学内で遭難……そこから死亡という危険さえも有るのだから。

 

「このテラリウムドームは研究施設としては非常に魅力的だ、それは認める。

しかし、生息しているポケモンのレベルは非常に高い……いや高すぎる。初心者用と一般的に言われるヒトカゲやアチャモもレベルが高いためか、初心者の言うことを素直に聞くかどうかさえも怪しいぐらいだ」

 

テラリウムドームのポケモン達はどれもが非常にレベルが高い。ヒトカゲやワニノコ等の初心者向けポケモンでさえも「お前、本当に初心者用!?」と言いたげにレベルが高く強い個体が多いのだ。つまり、魔境 白銀山まではいかないが、ポケモンに襲われて大怪我をしてしまうケースも有るだろうし、最悪のケースは苦労して捕まえた強力なポケモン(メタグロスやオノノクスとか)に殺される……食い殺されるケースも有るのだから。実際に白銀山では多々起きている。

 

「なにそれ恐い!?」

「ポケモンは信頼関係を結べば、どんな時でも力を貸してくれる。だが、信頼関係が無ければ……そう言うことだ。

伝説のポケモンを捕まえ、自惚れた子達はオヤツの加護が無くなった時……どうなるんだろうな?スワマとかいうヤツは一ミリも信頼関係無かったしな(む?スワマ……どっかで聞いたこと有るような……見たこと有るような)」

 

リンドウから語られる白銀山で実際に起きたデンジャラスな事件、そこから考えられるブルベリで起きるかも知れない最悪のケースを話されたアカマツは顔がどんどん白く成っていく。

 

「えっ……本当ですか?」

「まあ、間違いないっピ。だいたい、オノノクスが野生として闊歩するなんて白銀山に匹敵するっピよ?キャニオンエリアとポーラエリアの危険度は普通の子供が関わっちゃいけない位だっピ」

「仮に捕まえても、仲良くなるのが失敗すれば良くて大怪我、最悪は食い殺される。ポケモンは頼りに成るが、危ない生き物でもあるんだ」

 

ポケモンは危ない生き物です。明治時代にラベン博士も仰っていました。

 

と、その時だった。アカマツのスマホロトムに通知が来た。それは四天王のタロがホワイトに敗亡、四天王のネリネがスグリに敗亡したという知らせだった。

 

「タロ先輩もやっぱり勝てなかったのか……」

「学園四天王とリーグチャンピオンの差は歴然だっピよ」

 

 

 

「オーガポンちゃんは本当に可愛いですね!可愛くて強くて素敵です!!」

「ぽにおー!!」

「ぽにちゃんはコンテスト向けだけどね」

 

四天王戦を終えたホワイト達が此方に戻ってきた。タロはオーガポンと早速仲良くなっており、手を繋いでいる。

 

「てか、ホワイト。カキツバタのチャレンジはドームの中で捕まえたポケモンだけよ?此処でポケモンは捕まえたの?」

 

ゼイユが告げる。そう、カキツバタのチャレンジはドームの中、現地調達したポケモンしか使えないのだ。つまり、今までのパートナー、そしておやつ親父のオヤツでゲットした伝説のポケモンは使えないのだ。だからこそ、伝説のポケモンの力に酔った自惚れた子達はカキツバタに挑むことは不可能である。

 

「勿論!沢山、友だち作ったよ!!」

 

しかし、ホワイトはカキツバタとの戦いに備えてドームの中で新たなパートナーを捕まえていたのだ。

 

「よし、みんな……でてこーい!」

 

ホワイトがドームの中で捕まえたポケモンは……

 

「ガァオー!」

 

サバンナエリアで捕獲したヒトカゲが速攻で進化したリザード。

 

「キマキィ!!」

 

力に溺れたトレーナーが逃がしたキマワリ。因みに特性がサンパワーである。つまり、太陽神である。命の玉を持たせて、日差しが強ければ全てを破壊する。

 

「コー!!」

 

そして太陽神キマワリの力を最大限発揮してくれるコータス。勿論、ひでりである。

 

 

「そう、なら行くわよ!ポーラエリアへ!!」

 

役者は揃った。次はポーラエリアに向かう、試された大地……今、太陽神キマキィの力が解き放たれる!!

 

 

 

 

 

 

「スグリ!!何処に行ったのですか!?私と一緒に食堂に行きませんか!?スグリ!!」

 

一方のスグリはネリネに追い掛けられ、電気石の岩窟に隠れていた。

 

「ネリネさん……何が有ったんだろう?」

 

そりゃあ、思い人が長身イケメンになればこう成りますよ。

 




次回、ブリザードが吹雪くポーラエリア。

カキツバタ「おーす、未来のチャンピオン。良く来たなブラザー。つばっさんとの戦いじゃ、現地調達のポケモンだけだよい。勿論、オイラもだ」
ホワイト「オーケー!!行け、キマキィ!!」
キマワリ「キマキ……キマキマ……オォォォオエルデンリィィィイング!!」←命の玉+サンパワー+ひでり+ソーラービーム

アカマツ「ソーラービームの破壊力じゃねぇぇぇえ!!」



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極寒の大地 ポーラエリア

ポーラエリアとキャニオンエリアは個人的に、危険だから教員がしっかりと見ておかないといけないと思う。


リンドウと再び別れたホワイト達(ホワイト、タロ、キュレム、リコ、ゼイユ、アカマツ、ギエピー)は極寒の大地ポーラエリアにやって来た。

 

「「「さぶぶぶぶ!!」」」

「貴方達ね……冬の制服着なさいよ」

 

もう吹雪が大地に降り注ぎ、隣接するコーストエリアとキャニオンエリアと比べると寒暖差は驚異の30度以上。先ほどまでホワイト達が滞在していたコーストエリアの平均気温が25度ほどだとすると、ポーラエリアは驚異の平均-18度。余りの寒さに、水に濡れたタオルを振り回せば凍りついてしまう程に寒いのだ。何れぐらい寒いかと言えば、ポーラエリアに落としてしまったオレンの実で釘が打ててしまう程に寒いのだから。

 

「寒い!!本当に寒いんですけど!さっきまで私達、南国みたいな所に居たよね!?どうしてこんなに違うんですか!?」

 

余りの寒さに、あんまり冒険に馴れていないリコが震えながら叫ぶ。普段は内気なリコでも、余りの寒さに話してしまうようだ。スカートの為か余計にブルブルと震えている。

 

「テンガン山より寒いね……へっぷし!!」

 

ホワイトが大きなくしゃみをしてしまう。なんという事でしょう……ポーラエリアは日本が誇る最高峰 テンガン山の山頂より遥かに寒く、ほぼ常に暴風雪が降り注いでおり、氷タイプや寒冷地に生息するポケモンにとっては天国とも言える環境なのだが、人間にとっては余りにも過酷な場所であった。

油断して身軽な服装で行けば、低体温症や凍傷……最悪の場合は凍死してしまう危険もある。こんな場所ですっぽんぽんに成れるのは、ヒスイの大地が産んだ筋肉超人ハマレンゲ先生だけであろう。

 

「どうしよう……持ってきた食材が凍ってる……久し振りにポーラに来たけど、ここ寒すぎだよ!!」

 

料理人でありツッコミ職人のアカマツは持ってきた食材が凍り付き、残念な事にリンゴやバナナが凶器と言って良い程に凍り付いている。

 

「此処は本当に寒いです……早くカキツバタを倒して戻りましょう!」

 

タロの言う通り、ポーラエリアは本当に危険が付きまとう。このままポーラエリアに居たら低体温症の危険が付きまとうし、猛吹雪で視界が悪い状態で遭難してしまえばそれこそ死に繋がってしまう。

 

「ギエピィィイ!!なんでこんなに寒いんだっピ!!てか、ここ学校だっピ!!学校で遭難なんて前代未聞だっピ!!」

 

気温は-を軽く下回り、タオルを振れば凶器の完成、バナナさえハンマーと成り果てる極寒の大地。洗濯物だって振り回してしまえば凍り付き、その氷を剥がせばフリーズドライ方式で乾いてしまう程の極限環境。選ばれた存在でしか生息できない、危険地帯である絶対零度の世界……氷河や氷山を再現したポーラエリア。ここは余りにも過酷な為なのか、伝説キッズの自惚れ生徒や教員としての役割を果たしていない教師達も余程の事がない限り、やって来ない。だって死にたくないもん。

 

「寒いっピ!!あー!!ホワイト!!とっとと、カキツバタってヤツぶっ倒して次のエリアに行くっピよ!!」

 

脂肪たっぷりのボディのギエピーでさえ、このポーラエリアの寒さは身に染みる。事実、冬服を着ているゼイユもかなりしんどいが耐えられているのだが……他のメンバーは春服や秋服のカスタムであり、ギエピーなんて裸……ポーラエリアの寒さは危険領域なのだ。

しかし、雪山で大声を出してならない訳がある。大声を出したり、大きな衝撃を起こすと……雪山では危険すぎる自然災害……雪崩が発生する。

 

ゴゴゴゴ!!氷山の上から山が震えるような音が鳴り響く。その瞬間、危険を感じた野生のポケモン達が我先へと全速力で逃げ出して……ホワイト達の横を通りすぎていく。

 

「これって……もしかして……」

『間違いない……雪崩が起こるぞ』

 

その瞬間!山頂付近から爆発音に近い轟音が鳴り響き、大津波が起きたように斜面の雪が崩れさり、生き物のように動いて全てを飲み込んでいく。そう、雪崩が起きたのだ。

 

「ぎゃぁぁあ!?」

「おわったぁぁあ!!」

 

リコとアカマツが絶望を感じるように大きな声を出してしまう。

 

「お仕舞いよ!」

 

ゼイユは北国であるキタカミの里出身であり、雪崩がどれほど危険な物なのか理解している。雪崩に巻き込まれると雪の重みで身動きが取れず、最悪の場合は15分程で窒息死してしまう危険もあるのだ。

 

「大丈夫、大丈夫。奥の手使うから」

「ホワイトさん?」

 

だが、ホワイトが前に出る。しかし、奥の手とはなんなのだろうか?炎タイプの技で溶かすのだろうか?ダメだ、雪崩は雪が溶け出す時……もっと大きな雪崩が発生するし、それほどの巨大な雪崩も溶かしてしまうと今度は洪水となって津波のように押し寄せる。

 

「ホワイトさん!!雪崩は溶かすと、津波のように洪水となって襲ってきますよ!」

「うん。知ってるよ、だから……吹き飛ばす」

 

右足を前に出して構えをとるホワイト。所で皆さんは覚えているだろうか?我らがスーパーマサラ人でありアローラチャンピオン サトシ、そして岩の妖精でポケモンドクターのタケシはポケモンの技 高速移動を生身で使うことが出来るのだ。

つまり、人間も訓練次第ではポケモンの技を使うことが出来るのである。そして、ホワイトはコライドンと古代ウルガモス(中の人 東方不敗)から訓練を受けており……流派東方不敗を修めている。

 

「流派東方不敗が最終奥義」

 

「「「お仕舞いだ(っピ)!!」」」

 

リコ、アカマツ、ギエピーは最悪を想定してキュレムにしがみつく。

 

ホワイトは掌を合わせると……掌に気で出来たエネルギーの球体が現れた。

 

「「「あれって……まさか」」」

「石破!!天驚拳!!」

 

ホワイトは石破天驚拳を解き放ち、なんという事でしょう。石破天驚拳を受けた雪崩は一気に吹き飛んでしまったのだ。これにはリコ達は勿論、野生のポケモン達も開いた口が塞がらない。

 

「よし」

「人間って鍛えたらこんな事出来るの!?いや、マジでどうなってるの!?」

『カントーの人間は高速移動も使うし、飛び膝蹴りでゴーリキーを倒すぞ』

「そうだっピ」

「カントーの人どうなってるの!?てか、日本人怖すぎなんですけどぉお!!」

 

雪崩が吹き飛び、平和が戻った雪山にアカマツのツッコミが響いた。

 

「私はそんなこと出来ないからね!?ホワイトやスグ、リンドウ先生やアローラチャンピオンが可笑しいだけよ!?」

 

そしてアカマツのツッコミに対して、ゼイユが反論をあげるのだった。

 

 

 

 

ポーラスクエア。

 

そこではカキツバタ、そしてスグリがホワイト達を待っていた。

 

「やあ、ホワイト、姉ちゃん」

「おーす、未来のチャンピオン。待ってたぜブラザー」

 

では、此処でカキツバタとの勝負のルールを説明しよう。

ルールはテラリウムドームで捕まえたポケモンだけをしよう。それはカキツバタも同じであり、カキツバタはドーム内でゲット1ヶ月未満のポケモンを扱い、チャレンジャーはテラリウムドームで捕まえたポケモンならどれも使っても良い。但し、パートナーポケモンに同意して一度逃がして即ゲットしたのは禁止である。

 

「このルールなら伝説も糞もないよい。純粋にトレーナーの腕前だけで勝負出来る。パートナーと早く信頼関係を結ぶこともな」

 

「だね。良いよ、僕は3匹捕まえてきたから」

 

両者は笑みを浮かべ、カキツバタはフライゴンとドサイドンを繰り出した。フライゴンとドサイドンも進化前及び本種がサバンナエリアに生息している。

 

「よし!!コータス&キマキィ!!ARE YOU READY!?レッツSHOWTIME!!」

 

ホワイトはコータス、そしてキマワリを繰り出した。コータスの特性 ひでりで日差しが強くなる。その瞬間……キマワリは覚醒する!!

 

「キマキィィィイ!!」

 

特性 サンパワーが発動、更に持ち物の命の玉がキマワリの体力と引き換えに絶大な力を授けるのだ。

 

「「「へ?」」」

「ソーラービーム!!」

 

キマワリ……いや、伝説さえワンパンで吹き飛ばす太陽神キマキィの降臨である。

 

「キマキマ……キマキィ!!!!キマァァァア!!エルデンリィィィイング!!」

「「「エルデンリングってなに!?」」」

 

解き放たれたソーラービーム。それはソーラービームと言うには強すぎた、余りにも太く……高出力で最早……メガ粒子砲を飛び越えて波動砲と成ったのだ。

故に太陽神。その力は100超えの特殊攻撃力種族値を1.5倍に引き上げ、命の玉で更に1.3倍に上昇してタイプ補正を受ける。全てを文字通り破壊する。

 

「ドサイィィィン!?」

「ふらぁぁぁ!?」

 

その破壊力は一撃でドサイドンとフライゴンをノックアウトし、まだ威力を衰えずに突き進む!!そしてテラリウムドームの天井にぶら下がる……ブライア博士お手製の秘密テクノロジー テラリウムコアさえも木っ端微塵に打ち砕いてしまった。

 

「…………………………サレンダーするよい」

「「「ですよね」」」

 

VSカキツバタ、ホワイトの勝利で決まった。

 

 

 

 

 

 

そしてキャニオンエリア。

 

「私はネリネ。初めまして、次期シンオウチャンピオンホワイト。

私は部外者である貴方がブルベリーグに参戦するのは反対です……規則ですから。ですが、周りが認めたからネリネも貴方の挑戦を認めます……あと私はスグリの嫁です」

「へー……へ?嫁?」

「違うからね!?本当に違うからね!?」

 

ホワイト、恋を拗らせて更に拗らせたネリネと出会う。普通にホワイトは勝ったのだが……

 

「タロ。恋はハリケーンです。先手必勝です……私と貴方は良き友として協力しましょう」

「ネリネ先輩!?はっ!?ネリネ先輩……もしかしてスグリさんの事が……」

 

恋はいつでもハリケーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、何億すると思ってんじゃ!!あのヒマワリ!!」

 

ブライア先生、テラリウムコアを破壊されて御立腹!!そしてスグリも普通に四天王を突破し、台パンするのは内緒だ。

 

まあ、最終的な物損被害はテラリウムコア処に収まらない事は言っておこう。

 




次回!!ラクツ降臨。

ブルベリ崩壊(物理)まで残り2日


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白と黒2

白黒対決はーじまーるよー!!


翌日。

 

「良いのかい?ホワイト……ベストメンバーを使わなくても」

「うん。だからこそだよ……ラクツってもう1人の僕は、きっと感情が無いんだと思う。それに愛情も注がれて無いんだろうね」

 

スグリとホワイトはじゃんけんを行った結果、ラクツと戦うのはホワイトという事となった。ラクツの実力は未知数だが、少なくともカキツバタの証言からすればイッシュ地方の四天王より強いのは間違いなく……イッシュ最強ジムリーダーであるチェレンより強い可能性が高い。

 

「もしもの事がある。だからイーブイとカイロスさんにはリコの側に居てもらうんだ」

 

シンオウリーグ公認のリーグ手袋を強く着け直し、ホワイトは腰のベルトに提げたメンバーを再確認する。最も汎用性が高い初期メンバーである相棒イーブイ、そして戦闘以外でも様々と役立つ我らが紫の珍虫カイロスさんはリコの側に居てもらい、キュレムと共にリコを守ってもらう。

 

「それに……僕が普段戦いで使うメンバーは戦い方が知られてるし、データとして向こうも頭には入ってると思う」

「確かにそれはそうだけど……」

 

ホワイトも次期シンオウチャンピオン、シロナの息子、そしてリンドウとブルーの義息という事もあり様々なリーグやバトル大会に招待される事は多々ある。そしてポケモンのバトル大会は全国ネットで放送される事が多々あり、ホワイトが普段からバトルでも使ってるメンバー イーブイ、カイロス、ミロカロス、そしてコライドンと言ったベストメンバーは戦い方が知られている。ネットには対策サイトまで作られた程だ……有象無象のトレーナー相手では意味が無かったが。

 

「だから、何時もと違うやり方で行くよ。ギエピーも手伝ってくれるし」

 

そう、今回のラクツとのバトルではギエピーが助太刀してくれるのだ。ギエピーはレッドと共に十数年戦い続けた経験、そしてサイドチェンジやトリックルームと言ったサポートに特化した技を持っており、サポート体制も万全だ……ギャグポケモンなので何が起こるのか分からないが。

 

「作戦が全部ぶち壊されたら?」

「えっ?コライドンでゴリ押し」

 

ホワイトはそう告げて、決戦の場所であるエントランスロビーに向かった。エントランスロビーの前は大会でも使える規模のバトルフィールドが存在しており、そこでチャンピオン戦が行われるのだ。

 

「やあ、待っていた」

 

感情が無いのか……ホワイトと比べて冷酷な声で仮面を被った少年 ラクツが冷たく告げた。

ラクツはホワイトとギエピーが来るのを待っており、仮面のお陰かはたまた感情が無いのか……何を思ってるのかさっぱり分からない。観客席ではホワイトの勝利を祈るタロ、リコ、ゼイユ、カキツバタ、リコの護衛を行うイーブイとカイロスさんにキュレムが居る。だが、ホワイトとラクツが戦う為なのか……大勢の生徒が集っており、中にはラクツの勝ちを確信している生徒指導の先生達も笑みを浮かべていた。

 

「これで……ラクツくんが勝てば!!」

「ええ、正真正銘……ブルベリの強さはリーグの本場である日本を凌駕した!!世界最強のトレーナー養成所と証明できます!!」

 

と浮かれている生徒指導の皆さん。

 

「最早……言葉など意味をなさない」

 

ラクツは無機質にそう告げて、ボールを2つ投げる。投げられたボールからは幻のポケモン ケルディオとダイケンキが繰り出された。

 

「見せてみろ、お前の…………オリジナルの力を」

 

「オーケー。君たち、ARE YOU READY?今から僕達のSHOWTIMEが始まるよ?」

 

ホワイトはボールを1つ取り出してパートナーを繰り出した。それはコータスであった。コータスを繰り出した事で、ひざしが強くなり炎タイプの技が強くなり、水タイプの技は弱くなる。

 

「コー!!」

「そして!ギエピー!!出番だよ!!」

「まかせろっピ!!」

 

そして我らがギャグ補正の塊である、我らがギエピーが観客席から飛び降りるように現れた。だが、かっこつけての着地だった為に、ギエピーは……

 

ぐぎり!!

 

「ギエピィィイ!!足を捻挫したっピ!!」

 

足を捻挫してしまった。

 

「なにやってんのぉぉぉおお!!」

 

ギエピー!!足を捻挫する。アカマツくんのツッコミが響いたが、ギエピーはなんとか復活してコータスの隣にたった。

 

そしてバトルが開始である!

 

「ダイケンキ……アクアジェット」

 

バトルが始まった瞬間、ラクツはダイケンキに指示を出して、ダイケンキはアクアジェットでコータスを攻撃する。ひでりで威力は下がってるとはいえ、コータスは大きくダメージを受けてしまった。だが……これはホワイトの作戦である。

 

「コー……」

 

手持ちに戻るコータス。そう、ホワイトはコータスにとある道具を持たせていたのだ。それは脱出ボタン、攻撃を受けると手持ちに戻るポケモンの道具である。

 

「脱出ボタンか……コータスは機転か。だとすると、古代のポケモンか?」

 

ラクツはコータスが脱出ボタンで戻った事を確認し、ハンドシグナルだけでケルディオに後方に下がるように指示を出す。近づき過ぎては、フェアリータイプであるギエピーに倒される可能性もあるし、遠距離から攻撃することを選んだようだ。

 

「キマキィ!!」

 

そしてコータスと入れ替わるように現れたのは

 

我らがキマワリである。そして今はひでりの為か、キマワリは太陽神キマキィに超絶パワーアップする。

 

「そう、来るか。ケルディオ、冷凍ビ「させないよ!ギエピー!!今だよ!!」「あいよっピ!!トリックルームだっピ!!」なに!?」

 

ギエピーはトリックルームを発動する。不思議な空間が広がり、素早さの遅いポケモンから活動できるように成った。

 

「キマワリだって!?そんな雑魚で何が出来るんだよ!」

「やっちまえよ!!ラクツ!!俺、お前と喋ったこと無いけどよ!!」

 

だが、キマワリという種類のポケモンが持つ破壊力を知らない野次馬達はキマワリを繰り出したホワイトを侮辱するように叫んだ。

しかし、彼等は知らない。キマワリというポケモンが最強に至れる方法が1つだけ存在する。それは日差しが強いこと、トリックルームが展開されていること、キマワリをワンパンでき……尚且つキマワリより遅いポケモンが場に居ないこと。この3つの条件が揃ったとき、キマワリは最強に成れるのだ。

確かに野次馬の言葉も一理ある。特攻以外の数値が貧弱なのと条件からしてキマワリの強さを発揮できるのは難しく、サンパワーを発動させてもトリックルーム展開前に潰される事も多々ある。だからこそ、彼等は知らないのだ……マイナー過ぎるキマキィの強さを

 

「キマワリ!ソーラービーム!!」

 

トリックルームが展開され遅いキマワリは優先的に動ける、日差しが強い。サンパワーが発動され、キマワリの持ち物はHPと引き換えに全てを消し飛ばす命の玉!!儀式の条件は揃った……今こそ、太陽神の降臨である!!

 

「キマキィ……キマキマ……オウゴンジュのカガヤキヲォォ!!エルデンリィィィイング!!」

 

そして解き放たれる波動砲真っ青の激ぶとソーラービーム!!

 

「はっ?」

「ケルディィィオオオ!?」

「ダイケェェェェン!?」

 

避けることは不可能であり、ケルディオとダイケンキをワンパンKOさせた。因みに太陽神キマキィのソーラービームはHP全振りのガブリアスを確定でワンパンさせる事が出来る、圧倒的な破壊力を誇る。

 

「なんでキマワリがあんなに強いんだよ!?可笑しいだろ!!」

「ふざけるなよ!!キマワリなんて、雑魚ポケモンだろ!!」

 

野次馬が煩いが、ホワイトはその野次馬に向けて告げる。

 

「ポケモン達に弱い、強いなんてないよ。短所と長所、そのどちらもしっかりと活かしてプロデュースするのが僕達トレーナーだよ」

 

「面白い……そんな使い方が有るとはな」

 

だが、ラクツは他の野次馬……伝説の力に自惚れた生徒とは違うようだ。しかし、太陽神キマキィのソーラービームの余波で仮面に皹が入ったのか……仮面が砕け散る。その素顔はやはり……ホワイトと全く同じ顔であった。

しかし、目の輝きはない。それに右頬に痣のような後があり、その痣を超良く見ないと分からないのだが……621と数字が記されている。

 

「「「同じ顔!?」」」

 

ようやく、ラクツの顔が見れた生徒達、リコやタロ達は驚く。リコはリンドウから事前知識として知らされていたが、ホワイトとラクツの顔が全くの同じだった為に驚いてしまう。

 

「ああ、そうだ。俺の本名は識別番号621。自然資源が枯渇した10000年後の未来、そこは殆どの人間もポケモンも機械化した世界からやって来た。

俺はブライアがタイムマシンを使い未来に送った古代イッシュの王子の遺骨から作られたクローン……その621体目が俺だ」

 

ラクツから語られた事実、その言葉に周囲の人は驚いてしまう。

 

「俺の味方は誰も居なかった……教育係と成ってくれたビリジオン、残酷な未来で実験台だった俺を何故か護ったコバルオン、煩い親父だったテラキオン、そして試験管から出た俺を乗せて空を飛び……成功作だった1号ではなく俺を平和ボケした現代に逃がすように飛ばしたミライドンしか居なかった。

人間の指針なんか強さでしか分からない。お前を倒せば…人間が分かるかも知れない」

『ラクツ!!何をペラペラと喋ってるの!!貴方の使命は』

 

ラクツの耳に着けた通信機からブライアの音声が響く。だが、ラクツはそれを耳から取った。

 

「『誰に向けて話してる?この子を利用しようとした貴様らブルベリの連中にはもう手を貸せんな』」

 

ラクツのボールから女性の声が響いた。その瞬間、ビリジオンをサイボーグにしたようなポケモンが飛び出した。

 

「『だから欲にまみれた人間は信用できない』」

 

ビリジオン……未来ビリジオンはそう告げ、念力で通信機をラクツからもらい受けると……踏み潰した。

 

『「灰色の英雄ホワイト。まだ貴方は英雄に至ってない子供かも知れない、だがラクツを救ってくれ。この子の母代わりとしての願いだ」』

 

未来ビリジオンはホワイトにそう告げ、前に飛び出した。

 

「ビリジオン……」

「『もう……お前はもう621ではない。我々がラクツと名付けた。名前には意味がある……それを忘れるな』」

「『そう言う事だ。お前をこの時代に逃がしたミライドンの思いを忘れるな……幸せに成って人間として過ごして欲しい……というあの子の思いを無駄にするな』」

 

更にラクツのボールが開き、今度はコバルオン?が飛び出した。そのポケモンはコバルオンをサイボーグにしたようなポケモン……つまり未来コバルオンであろう。

 

「うん。分かったよ……だって僕はポケモンエンターテイナーだからね。必ず、笑顔にさせてあげる!!

キマキィ!!ウェザーボール!!」

「キマキマ……キマキィンンンンンマァ!!キングストーンフラァァァァアシュ!!」

 

太陽神キマキィは自身の体力と引き換えに、巨大な太陽を産み出して未来コバルオンと未来ビリジオンに向けて解き放つ。だが、絶大な破壊力と攻撃範囲と引き換えに、サンパワー+命の玉の代償でキマキィは倒れてしまった。

 

「コバルオン。テッテイコウセン。

ビリジオン。エレキフィールド」

「『任せろ』」

 

未来ビリジオンはエレキフィールドを展開。これにより、未来種である未来ビリジオンと未来コバルオンは能力が上昇し、未来コバルオンは自身の体力の半数を引き換えにテッテイコウセンを解き放つ。

 

強化されたテッテイコウセンと超絶強化されたウェザーボールはお互いにぶつかり合い、大爆発を引き起こした。爆風が消し去ると、余波でボロボロと成った未来コバルオンが片膝を着いていた。

 

『「ぐ……これが太陽神キマキィの力か」』

「チャンスだっピ!!」

 

ギエピーはチャンスだと判断した。しかし、ギエピーは気付けなかった。未来ビリジオンがその場から消えており、ギエピーが気付いた時には……ギエピーの背後に居たことを。

 

「へ!?」

「ビリジオン、サイコブレード」

 

未来ビリジオンの首筋の発振器からピンク色のレーザーブレードが出現し、ギエピーを切り裂いた。サイコブレードはエレキフィールドの時、威力が増大してギエピーに大ダメージを与える。

 

「ギエピィィイ!!」

「『流石は古典ギョエピンクに記されたギャグポケモン、この程度では沈まんか』」

「「「ギョエピンク!?」」」

 

古典ギョエピンクなんて聞こえたが、気にしてはいけない。

 

「よし、準備はOK?レッツゴー!!マスカーニャ!!」

「ニャー!!」

 

続いてホワイトが繰り出したのはマスカーニャだ。

 

「そうか、ならば聖なる剣だ」

 

ラクツが未来ビリジオンに指示を出す。だが、マスカーニャはサイドチェンジでギエピーと場所を入れ換えた。その瞬間、マスカーニャのタイプがエスパータイプに変化した。

 

「ギョェェピー!?マスカーニャ!?やろー!!」

「ニャハ。手品~にゃ」

 

その瞬間、マスカーニャは手品の煙と共に消えて未来コバルオンの後ろに現れる。

 

「コバルオン。後ろだ」

「マスカーニャ!辻斬り!!」

 

マスカーニャの辻斬りが炸裂し、未来コバルオンは倒れてしまった。

 

「コバルオン!?」

「『やっと……感情を表に出せたな』」

 

未来コバルオンはそう告げ、戦闘不能になる。そしてマスカーニャがギエピーを未来ビリジオンに投げると、ビリジオンは咄嗟にカウンターの構えをとる。

しかし、再びサイドチェンジでギエピーと場所を入れ換えたマスカーニャが未来ビリジオンの前に現れる。

 

「なっ!?」

「マスカーニャ!シャドークロー!!」

「ニャハ!」

 

マスカーニャはゴーストタイプに変化し、未来ビリジオンのカウンターを受け流した。そして今度は虫タイプに変化し、シザークロスで未来ビリジオンを倒してしまった。

 

『「流石のトリックスターだ。悪くない……」』

 

未来ビリジオンは戦闘不能に成ってしまったが、自力でラクツの背後に戻る。

 

『「ラクツ……笑えたな」』

「俺が?」

「『ああ、今のお前は楽しそうだよ』」

 

ラクツが最後の2体を出そうとした時だった。

 

「セレビィ?」

 

誰の声だろうか?すると、バトルフィールドにセレビィが現れたのだ。セレビィはラクツの側を飛んでおり、微笑んでいる。

 

「セレビィがいる!!捕まえろ!!」

「チャンスだ!」

 

しかし、野次馬達がボールを投げる。彼等としてはセレビィを捕まえるチャンスだと思ったのだろう。しかし、そのボールは突如として粉々に切断され、序でに野次馬達が腰に提げていた伝説のポケモン達が入ったボールも破壊された。

 

「「「俺達の伝説が!?」」」

 

切断されたボールから伝説のポケモン達は自由になり、何処かに去っていく。彼等としてもお菓子で釣られただけなので、義理はない。

 

「『余りにも哀れすぎる。これで良いだろう、役立たずの風上にもおけん奴らめ』」

 

とロビーの端でテラキオンをサイボーグにしたようなポケモンが囁いた。どうやらこのポケモンが伝説キッズのボールを破壊したのだろう。

 

「『ラクツ!!貴様の遠足はまだ終わってない!!愉快な遠足はここからだ!!貴様をこの時代に逃がしたG13(ミライドン)の願いを忘れるな!!』」

 

その未来テラキオンが瞬時にラクツの側に現れた。今回のメンバーから外されているが、ラクツのパートナーなのだろう。

 

「ああ、そうだ。しかし、なぜセレビィが?古典には時を超えるとか……」

 

その瞬間……時を超えて1体のミライドンがラクツの前に現れた。ミライドンと入れ違いでセレビィは居なくなったが……ラクツはそのミライドンを良く知っている。

 

「お前なのか……ミライドン」

「アギャス!!」

「無事だったのか?処分されて無かったんだな?」

「アギャス!!」

 

そのミライドンはラクツをこの時代に送り、命を救ったミライドンである。どうやらセレビィに導かれてこの時代に来たようだ。そして、ラクツは瞳から涙を流してモンスターボールを取り出し、ミライドンを捕獲する。

 

「審判。俺の敗けだ。但し、勝負は最後までやらせろ……選んだメンバー以外のポケモンを使う」

『ラクツ!!何を言ってるのよ!!』

 

校内放送でブライアの言葉が響くが、ラクツは無視してボールからミライドンを繰り出した。

 

「ゲノセクト……悪い。今日はお前の出番はない」

 

ラクツは1つのモンスターボールにそう話しかける。このモンスターボールにはゲノセクト(本来の姿 虫&岩)が入っているのだ。

 

「これが最後だ……ゼクロム……時間だ」

 

ラクツはベルトからモンスターボールを取り出し、上空に投げる。その瞬間、空が響き!!雷が鳴り響き、ゼクロムが現れた。

 

「「「なぁぁぁぁにぃぃぃい!!」」」

『やりなさいラクツ!!エーテル財団から話をつけて手に入れた、並行世界のダークストーンから復活させたゼクロムの力を!!』

『哀れな女だ。621……いや、ラクツ……仕事を始めるぞ』

 

ラクツのゼクロムは地面に降り立った。

 

「OK!!じゃあ、こっちもだ!マスカーニャ?戻って!!ARE YOU READY!!コライドン!!ポケモンファイト……レディィイゴォォオーー!!」

 

ホワイトがそう告げ、空からメガコライドンが現れた。メガコライドンはずっとロビーの天井でスタンバイしてたのだ。

 

天候が再び日差しが強くなる。

 

「どっちも頑張れ!!」

 

アカマツの声が響く。

 

「ホワイト!!君なら勝てるさ!!そしてラクツを救えるのは君だけさ!!私じゃ多分ダメだった……」

 

スグリの声が響く。

 

「ラクツ、お前……今のお前さんは楽しそうだよい。今なら好きに成れそうだ」

 

カキツバタの声が響く。

 

「御二人とも!!どっちもがんばれぇぇ!!」

 

リコの声が響く。

 

「ラクツ、アンタ……そんな事情が有ったら仕方ないわね。まあ、良いわ!!アンタの人生は始まったばかりでしょ!!利用されるとか知らないわよ!!

このさい、勝敗は知らないわよ!!楽しんだもん勝ちよ!!」

 

グレートシスター ゼイユの声が轟く。

 

「ラクツ……よし、ホワイトさん!!勝ってください!!ラクツを救う、この仕事は貴方にしか出来ません!!勝ってブライア先生からの呪縛から解き放ってください!!」

 

タロの応援が響く。

 

「こうなっては仕方有りませんね。ホワイト、勝ってください。あと、スグリと私の結婚式での司会をお願いします」

「いや、今それかんけいないよぉぉ!!」

 

ネリネの本音とアカマツのツッコミが響く。

 

「チャンピオンがんばれぇぇ!!」

「折角友達と再会したんでしょ!!勝ってよ!」

「チャンピオンは厳しいけど……事情が事情だったもんね!!お願いだから勝って!!」

 

伝説キッズに染まっていない、普通の一般生徒がラクツに応援を送る。

 

『621……そうか、お前にも友人が出来た。なら、行くぞ……火をつけろ、燃え残った闘志に!!』

 

ゼクロム……いやゼクロムパパの発動機が完全に稼働する。

 

「ゼクロム……雷撃!!」

 

僅かに感情が出てきたラクツがゼクロムに指示を出し、ゼクロムが漆黒の雷撃と青き稲妻を纏ってメガコライドンに突っ込む。

 

「コライドン!ワイルドインパクト!!」

「アギャッシャァァア!!」

 

メガコライドンのエネルギーホイールが回転し、翼が全開まで広がり……メガコライドンは全身にエネルギーを帯びてゼクロムに突っ込んだ。

 

その莫大なエネルギーがぶつかり合い……

 

「アギャス!?」

「ギエピィィイ!?」

 

戦い慣れていないミライドンとギャグポケモンのギエピーは余波で戦闘不能となり、爆光で辺りは見えなくなる。

 

そして……勝ったのは……

 

『6……2……1…』

 

ゼクロムは意識を手放し、立っていたのはメガコライドンであった。

 

「えっ?」

 

その時だった。メガコライドンとゼクロムが産み出したエネルギーに当てられたのか、リコのペンダントが光輝き……亀のようなポケモンに変わったのだ。

 

「テラパゴー!!」

 

そう、この小さな亀こそがテラパゴスである。

 

「計画とはかなりずれたけど、良かったわ」

 

しかし……その瞬間、テラパゴスは何者かの手でマスターボールで捕獲されてしまい……マスターボールは投げた物の手に戻る。

 

「ごめんなさいね。だけど、私の悲願はようやく叶うわ」

 

その人物はブライア先生であり、ブライア先生はニヤリと笑みを浮かべており……置くに消えた。その数分後、大きな爆発音と共にブルベリ学園が揺れた。

 

ブルベリ学園崩壊まで残り、1時間!!

 

 




次回!!ブルベリ学園崩壊(物理)

ブライア先生「これが……これがテラパゴスの輝き!!素晴らしい!!素晴らしい!!」


ホワイト「リコの友達を……返せ」



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ギエピー「ブルベリ学園終わったっピ。物理的に」

ブルベリ終了!!


「にげろぉぉおお!!」

 

「どうなってるんだよ!!」

 

「ひっ……ひぃぃいー!!」

 

ブライア先生がテラパゴスを強奪してから10分後。ブルーベリー学園はパニックに成っていた。

テラリウムドームでは異次元のエネルギー現象が起きており、地面から結晶が生えてきたり……植物や岩が結晶に覆われたり……時空を超えて古代のポケモンや未来のポケモンが現れたりと異常事態が起き続けている。それだけではない、ブルーベリー学園は海中の中にあるのだが、一部の区域が破損してその部分が深海の圧力に耐えられず爆縮を引き起こしてペッしゃんこに潰れたのだ。他にも通路や教室が突如として結晶に包まれたり……嘘か信か幽霊まで現れたりと異変が起き続けている。

 

「これは……何が起きたんべ?」

 

緊急事態の為か、標準語ではなくキタカミ弁が出てしまったスグリ。ホワイト、スグリ、タロ、リコ、ゼイユ、カキツバタ、ネリネ、ツッコミのアカマツ、ギエピー、そしてさっきまでホワイトとやりあっていたラクツはロビーに居るのだが……ロビーのモニターには学内の様子が写し出されていた。

学内では未来のポケモン……パラドックスポケモンから逃げ惑う人々、海水が侵入した区域ではパニックになる研究者、一部の職員なんてお先に救命ボートで逃げ出す程だ。生徒達は勿論、教員達もパニックに陥っており……ブルベリの中は大混乱。

 

「お前達!!無事か!?」

 

その時だった。ロビーの扉が開き、大慌てでリンドウが現れた。

 

「「「リンドウ先生!?」」」

「お前達、今すぐ此処から逃げろ。中の教員達はぶっちゃけ使い物に成らないし、パニックに我先へと逃げようとしている」

 

リンドウの言う通り、学内は超絶大パニックが起きている。ブルベリは教育機関と言うよりも、研究機関に近く……なんなら避難訓練は一度も行っていない。その為か、避難訓練を経験していない教師達はどう動けば良いのか、全く分からず自分が助かるために大パニックして身勝手な行動を取りまくる。生徒達も人生最大の危機にパニックになって走り回る。

 

「アルセウスにも連絡はした。パニクってるアホ教師や生徒達も、空間転移で一番近い漁港に転移してもらえる……勿論、テラリウムドームのポケモン達もだ。

お前達も自分の安全を第一に……」

「嫌だよ……リコのお友達が拐われた。だから、僕は……僕達は助けに行く」

 

ホワイト達も本来なら此処から速やかに逃げないといけない。しかし、ホワイトは逃げるつもりは1ミリもない。何故なら、助けにいかないといけない存在がいるのだ。

それはブライアに強奪に近い形で捉えられたテラパゴスの事だ。モニターにはブライア先生とテラパゴスらしき姿が映っており、ブライア先生は高らかに笑っており……足元には壊れたマスターボール……そして未知のテラスタルを使いテラリウムドームを未来と過去そして因果や運命さえも書き換えられた魔境に変貌させてしまったテラパゴスの姿が映る。

 

「ところでリンドウ先生。どこ行ってたのよ?ホワイトとラクツの世紀の一戦見てないで」

 

しかし、皆気になっていただろう。ゼイユが皆を代弁して言ってくれたが、ホワイトとラクツが戦っていた時……リンドウはロビーには居なかった。何故かと言うと……

 

「ブルベリの悪徳教師どもが隠していた退学者の数、切り捨てた学生のこと、自主性とか言い訳にしてポーラエリアやキャニオンエリアで大怪我してたけど秘匿してた事とかを……イッシュの教育機関にばら蒔いてた」

 

なんと言う事でしょう。リンドウはブルベリ学園の悪徳教師の皆さまが隠していた事実、バトルに挫折して自主退学した生徒の数、ポーラエリアやキャニオンエリアで遭難して大怪我をしたが秘匿した事実等を発見してイッシュの教育機関にばら蒔いていたのだ。つまり、どうあがいてもブルベリは終わりである。

 

「「「この人、学園にとどめ差しちゃった!?」」」

「生徒を見捨てる選民思考の学校……いや自称学校の研究機関なんて滅んでしまえ!!」

 

リンドウ、ブルベリにとどめ(行政的)を差す。

だが、こうしてはいられない。速やかに此処から逃げる……いやテラパゴスを助けに行かなくては。

 

「ホワイトさん……」

「大丈夫、リコ。テラパゴスは絶対に助けるから」

 

ホワイトは決意を変えない。だが、誰がホワイトと共にテラパゴス救助隊を行うのだろうか?

 

「少なくとも、アルセウスに飛ばされた生徒達を束ねるため……影響力のある四天王はそうしてもらいたい」

 

とリンドウが告げる。そう、いきなりアルセウス様の手で転移されて安全な場所に飛ばされても、間違いなくパニックに成ってしまう。そうなった生徒達+役立たずの教員を纏めるため、出来れば影響力のある生徒は其方に向かって欲しいのだ。

 

「ならば、ネリネが其方に向かいましょう」

 

スグリ好きガチ勢のネリネが立候補してくれた。確かにネリネはカキツバタと違ってしっかりしてるし、多くの生徒から慕われている問題はないだろう。

 

「ネリネだけじゃ、纏められるか分からねぇよい。オイラとアカマツもそっちだな」

「なんで俺も!?」

 

しかし、全校生徒+教員を含めれば500人は軽く超えるだろう。だからこそ、ネリネだけではなくカキツバタとアカマツも生徒を束ねる方に向かった。

 

「私はホワイトと共にテラパゴスの救援に向かうわ……どうせスグもそっちでしょ?私は……今度こそ足手まといじゃない!!あれから強くなったのよ!!」

「私も行きます!!」

「私もです……テラパゴスは……私を何度も助けてくれた。今度は私が助ける!!」

 

ゼイユ、タロ、リコは救援部隊に立候補。

 

「だそうだスグリ」

「ええ、俺も行きますよ。当然です」

 

当たり前だが、スグリとリンドウも参加である。

 

「俺も行こう。未来のポケモンが襲ってきたら、弱点の解説も必要だ」

 

ラクツも救援部隊に立候補。ラクツは未来で作られた存在の為に、パラドックスポケモンに詳しい。未来のポケモンとのバトルに成っても、彼の解説があれば苦手なタイプが分かるのだから。

 

「ギエピーは参加として」

「おう!!あのおっぱい魔人にお仕置きしてやるっピ!!」

 

そしてギャグ補正の塊であるギエピーは当たり前だが、参加である。

 

救援部隊はホワイト、リンドウ、スグリ、ゼイユ、タロ、リコ、ラクツ、そしてギエピーである!!

 

 

「「「「アギャス!!」」」」

 

コライドンにはホワイト、タロ、リコ。

リンドウのミライドンにはリンドウ、ギエピー。

スグリのミライドンにはスグリ、ゼイユ。

ラクツのミライドンにはラクツが各々跨がり……テラパゴス救助隊は強引にゲートを突破して、テラリウムドームに乗り込んだ。

 

 

 

テラリウムドーム。

 

「なんじゃこりゃぁぁあ!?」

 

ホワイト達はテラリウムドームに到着した。しかし、そこは既にブライアの手で強引に力を引き出されたテラパゴスの影響を受けて、第二のエリアゼロと成り果てていた。いや、こうしてる間にも影響を受け続けており、木々が結晶に覆われたり……地面から結晶が突如として出現したりと……次々に異変が起きている。それだけではない、環境が変化してしまい、古代と未来を合わせたような独特な環境に成り果てていた。

 

「見たことないポケモンまで歩いてるわよ……てっ!?なによ、あれ!?」

 

デリバードをサイボーグにしたようなポケモン、古代ボーマンダだったり、テラパゴスが因果や運命を変えてしまい時空をねじ曲げて古代のポケモンや未来のパラドックスポケモンが現れてしまったようだ。

 

「マジで時間が無いかもな……急ぐぞ」

 

とリンドウが告げた瞬間、ホワイトのボールが開いてリザードが出てきた。

 

「どうしたの?」

 

ところで皆様……レジェアルを行った方ならご存じだろう。御三家のリージョンフォームは最終進化がリージョンフォームに成ってしまい、ヒスイ地方のリージョン御三家をゲットするなら一々SVからレジェアルに送らなければならない。

そして……今、テラリウムドームはブライア先生のお陰で未来と古代がごちゃ混ぜに成ってしまい……因果と運命さえも書き換えられている魔境と成っている。そんな状態で進化すればどうなるのだろうか?

 

「ぐぅぅおぉぉ!!」

「ギョェェピー!?リザードがすんごい見た目のリザードンに進化したっピ!!リザードン処か、バハムートだっピ!!」

 

答えは未来と古代が合わさったリージョンフォームに進化してしまう。

 

(最後の幻想10に出てきたバハムートに成っとるぅぅ!!ガメラの次はバハムートかーい!!)

 

てんてんてーんててててーん!!ホワイトのリザードはリザードン(パラドックスの姿)に進化した!!

古代の恐竜的フォルムと大型した図体、そして未来のスタイリッシュが合わさり……FF10のバハムートと進化してしまった。メガリザードンXが黒色の為なのか、リザードン(パラドックスの姿)も黒色であり……背中に機械仕掛けの方陣もあり……何処から見ても10のバハムートである。因みに尻尾の炎は電気と成っている。

 

「ラクツ解説!!」

「未来のリザードンは黒色でドラゴンだが、こんなんじゃない」

「「古代も混ざりやがった!?」」

 

あと、めちゃくちゃ態度もデカイ。腕を組んでいる。しかし、ホワイトの言うことは聞くようだ。

 

 

 

そして中心部に向かうと……

 

「あら、来たのね!!だけど、関係ないわ!!これこそがテラパゴスの輝き!!ヘザーは正しかった!!運命も因果も時さえも自在に産み出すテラパゴスの輝き!!素晴らしい!!素晴らしい素晴らしい!!さあもっと見せてくれテラパゴス「ギエピー。黙らせろ」「おけー!!」ひでぶ!?」

 

テラスタルし、巨大な地球に跨がったウミガメのような状態と成ったテラパゴス。だが、テラパゴスは強引にテラスタルさせられ、その力を暴走させており……このままでは此処は勿論、テラパゴス自身も危ない!!

 

そして興奮気味で、早口で半分何を言ってるのか分からないブライア先生はギエピーの手で黙らせてもらい……目隠しと耳栓に猿轡そして亀甲縛りで身動きを封じた。

 

(ふーんふーん!!見せてくれ!!テラパゴスの輝きをぉぉぉおお!!)

 

五感を封じられたブライア先生。だが、そんなのは知らない。後は……テラパゴスを助けるだけだ。

 

「テラ……テラパゴォ……」

 

無理やり力を引き出されたテラパゴスは苦しそうだ。そして同時に、ビキビキとブルベリ学園が崩壊する音が響く。残された時間は残り、僅かだ。

 

「リンドウパパ、どうするの!?」

「全員の持てる最高火力を同時にぶつけて、テラパゴスのテラスタルを解除して保護する。全員、準備は良いか!?」

 

リンドウの言葉を聞いて、全員……モンスターボールを構える。

 

「キュレム?ARE YOU READY!?レッツショータイム!!」

『良かろう』

 

「ゼクロム……時間だ」

『621……仕事を始めるぞ』

 

キュレム・オリジン、ゼクロム……イッシュを代表する伝説が降臨する。

 

「グラードン……行くぞ、全部だ!!キズナ進化だ!!」

「グラァァア!!」

 

リンドウはグラードンを繰り出し、グラードンはキズナ進化を行い……天候が強制的に晴れとなる。

 

「さてと、ミライドン……メガ進化だ」

 

スグリはメガバンクルを起動させ、ミライドンがメガシンカを発動させる。背中に巨大な機械仕掛けの翼が現れ、その翼には折り畳まれたキャノン砲が内蔵されており……メガミライドンの周囲には攻防一体の大型ファンネルが自在に空を飛んでいる。

 

「私達はサポートよ!!」

「はい!!」

「勿論です」

 

ゼイユはヤバソチャを繰り出し、怒りの粉が発動。これにより、テラパゴスは必ずヤバソチャを攻撃する。

 

「ニャオハ!!嘘泣き!!」

「ニャー!!」

 

リコはニャオハを繰り出し、ニャオハは嘘泣きを使う。これにより、テラパゴスの特殊防御は下がった。

 

「マホイップ、デコレーション!!」

 

タロはマホイップを繰り出し、マホイップは支援技デコレーションで攻撃要員の攻撃力と特攻を上昇させる。

 

「グラードン!!断崖の剣!!最大出力!!」

 

「キュレム!!ブリザードランス!!リミットブレイク!!」

 

「ゼクロム……ギガインパクト!!」

 

「ミライドン!フォトンブラスター!!」

 

各々の最大必殺がテラパゴスに直撃し、テラパゴスの結晶が砕けちり……テラパゴスは元の亀さんに戻った。

 

「テラパゴス!!」

「にゃ~!」

 

リコとニャオハは我先へと、テラパゴスに駆け寄る。

 

「パゴ……」

 

テラパゴスは「もう、大丈夫……ありがとう」と言いたげにリコとニャオハに微笑んだ。

 

だが、皆さん……すっかり忘れていないだろうか?

 

「お前ら!!テラパゴスは助けたから、急いで逃げるぞ!!マジで死ぬ!!」

「「「そうだった!!」」」

 

そう、ブルベリ学園崩壊へのカウントダウンがギリギリまで来ているのだ。テラリウムドームも崩壊秒読みであり、あらゆる所が結晶に覆われており、テラリウムドーム以外の場所は結晶に包まれたか……文字通り海の藻屑に変わったのかどちらかだ。

 

ホワイト達はキュレム、ゼクロムに各々別れて乗り込む。時間がない、速やかに脱出だ。

 

「コイツも連れていくっピ!!」

「早くしろ、ギエピー!!」

 

キュレムにはホワイト、タロ、リコ、テラパゴス、リンドウが乗り込んだ。

ゼクロムにはラクツ、スグリ、ゼイユ、ギエピー、そして亀甲縛り+五感を封じられたブライア先生を乗せた。

 

キュレムとゼクロムは全速力で飛び上がり、テラリウムドームの天井を破壊して……真っ直ぐ上に飛び続ける。下からは海水が迫ってきており、時間は少ない。

 

そして……ゼクロムとキュレムが海上に飛び出して無事に脱出した瞬間、ブルーベリー学園は完全に海に沈んだ。

 

 

 

ブルーベリー学園、事実上の廃校。とは言え、テラパゴスとリコのプライバシーを守るため……ブライア先生の暴走は表向きには隠される事となった。

 

「リコ。今度はちゃんとボールに仕舞うんだよ?法律が守ってくれるからね」

「うん」

 

リコはホワイトからモンスターボールを受け取り、そのボールにテラパゴスを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所で神よ。この古代種と未来のパラドックスポケモンはどうするのだ?」

「仕方がない……オーキド研究所に預けるか」

「しか、ないな」

 

テラリウムドームのポケモン達はアルセウスの手で無事に転移完了。正し、行き場のないパラドックスポケモンはオーキド研究所送りである!!




次回、ブルベリ編のエピローグ。

リンドウ「取り敢えず、ブルベリの生徒の皆さんは他の学校に転校してもらいます。正し、教員ども……貴様等はダメだ!!」
タロ「メレメレ島希望で!!」

ゼイユ「私は少し、休学して実家で考えるわ」

シアノ「僕の財産が……」
ブライア「テラパゴスを見せてぇぇえ!!うえーん!」





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ブルベリ編 エピローグ

ブルベリ学園?知らんな


ブルベリ学園崩壊から数日後……

 

リコは目が覚めた。此処はブルーベリー学園の学舎ではなく、ブレイブアサギ号の自室だった。

 

「朝か……」

 

ブレイブアサギ号が停泊しているのはイッシュ地方ではなく、アローラのメレメレ島。

あれから色々あった。リコは子供なので政治的な事や、難しい話は分からない。だが、リコが言えるのは幾つかがある。先ずは1つ、テラパゴスのトレーナーとしてこれから、大いなる責任が伴うこと。2つ、ブルーベリー学園は海の藻屑と成ってしまい……ブルベリが保管していたテラスタルやブルレクを用いて集めた莫大なデータは全てが消えてしまったこと。3つ、ブルベリ崩壊の原因と言えるブライア先生だが、表向きには罪状はかけられる事は無かった、これはテラパゴスとリコの今後のプライバシーを守るため、そしてブライア先生が対ホワイトの秘密兵器として未来で産み出すようにしたホワイト(正しくは古代イッシュの王子)のクローンであるラクツがクローンである事を世に知らしめない為だ。

 

「パゴ~」

「にゃ~」

 

テラパゴスとニャオハはまだすやすやと寝ている。

 

「おーい、リコ。起きてるか?ホワイトとリンドウさんが呼んでる。ホワイトの家に来てくれってよ」

 

そんな時だった。ライジングボルテッカーズのリーダーであるフリードが、リコの扉をノックして扉を開けた。

ライジングボルテッカーズは暫くの間、長旅への補給も兼ねてメレメレ島に滞在している。とは言え、補給が終われば直ぐに旅立つ予定だが、それまではこの南国で刺激が強すぎたブルベリでの日々の疲れを取ってもらうつもりなのだ。

 

「ホワイトさんのお家!?」

「あっ、言ってなかったな。アイツ、ポケモンスクール在籍中はリンドウさんの家で暮らしてるんだよ。戸籍上の母親より、リンドウさん夫妻で育った日数の方が長いし……アイツにとっては実家のようなもんなんだろうな。

俺達もポケモンスクールから依頼を受けて、資金調達するし……リコ、お前もこの南国でリフレッシュしたらどうだ?」

 

ライジングボルテッカーズはメレメレ島に滞在してるが、その間……リコと共にブルベリで大暴れしたホワイトはブレイブアサギ号ではなく、リンドウの家こと実家で過ごしている。

何処から見ても最後の幻想10に出てきたバハムートと化したリザードン(パラドックスの姿)を含め、様々な研究の事もあるからリンドウも大変だろう。

 

「そういや……フリード。ブルベリはどうなったの?」

「ああ、潰れた。シアノ学長も不憫だよな……何千億の損失だってよ、研究データも含めれば兆単位でだけど」

 

フリードはリコに分かりやすいように、言葉を選び……説明してくれた。

当たり前だがブルベリ学園は海のそこに消えてしまい、当然ながらブルベリ学園は廃校。更にリンドウが行政機関に流しまくった、隠された退学者の情報やポーラエリア等の危険地帯で生徒が遭難したのに対策を練ってない経営陣と教師陣、様々な情報を受けてブルベリの教師達は教員免許を剥奪……調べれば教員免許がいらない講師として籍を置いており……教員実習等を受けてない先生ばっかりだったとか。

シアノ学長は何千億円、データも含めれば兆単位での損失を受けてしまった。不憫だが、哀れだろう。

ブルベリの生徒達は学校が無くなったので、学校を出てトレーナーとして旅をするのか、グレープアカデミーやメレメレ島ポケモンスクールに転校する等の選択肢が与えられた。とは言え、ホワイトにフルボッコにされた伝説キッズはメレメレ島ポケモンスクールに来ることは無いだろうが。

 

「あの……ブライア先生って?」

「実家で引きこもったそうだ。表向きにはテラパゴスを利用して大惨事を引き起こした事は知られてないけど、普段からのテラパゴスバカだから大体察してると思うぞ?」

 

ブライア先生、表向きには罪状にさらされなかったが……これはリコとテラパゴスのプライバシーを守るためだ。リコとテラパゴスの関係が知られれば、昔のホワイトのようにマスゴミに狙われる。だからこそ、リンドウ達はブライア先生を表向きには起訴しなかった。

だが、リンドウの知人にはシロナさんやパパラギ博士、ソニア博士等の考古学で有名な博士もおり、彼女達はしれっとブライア先生がテラパゴスでやらかした事を話したとか。

 

「そうなんだ……」

「俺よりリンドウさんやホワイトの方が詳しいと思うぞ?」

 

 

 

リンドウの家。

 

「ホワイト、その資料取ってくれ……えーと、転校希望者はこんだけか……」

「大変だね、リンドウパパ。そうそう、僕のリザードンの戦闘レポート何処に置けばオーケー?」

「それはそこ、タイプは炎と電気だったか?」

「炎とドラゴンだったよ」

 

ブルベリ事件が終わり、一段落という訳ではない。リンドウは自宅でブルベリ学園からの転校生のリストを纏めており、更にホワイトがテラパゴスの影響で魔境と化したテラリウムドームで進化させたリザードン(パラドックスの姿、別名バハムート+リザードン=バハードン)のデータ、とか様々な事を纏めていた。

 

「ホワイトさん!リンドウ先生!!手伝いますよ!」

「タロはブルーが変な料理作らないか、見張ってくれ」

「勿論です!!」

 

ブルベリ学園からの転校生の中にはタロの姿もあった。

メレメレ島ポケモンスクールにはまだ学生寮はなく、生徒達は原則的に実家やホームステイしている家から通う。転校生は現在、タロ、アカマツであり、タロはリンドウ宅にホームステイ、アカマツは料理人繋がりでマオの実家であるアイナ食堂にホームステイだ。

因みに……ネリネは嫁入り修行?としてグレープアカデミーに向かった。

 

 

 

「スグ。私は日本に帰るわね……ちょっと休学扱いで、何をするのかゆっくり考えるわ」

「そうか……」

 

だが、急な転校とブルベリ学園崩壊は在校生にとって、大きなインパクトを与えた。その為か、考える時間が必要であり……ゼイユは故郷のキタカミの里に帰ってどうするのか、少し考えるようだ。

 

「ねえ、君……カキツバタくんでしょ?」

 

学園を去ったものも居る。ブルベリ学園が崩壊したあと、カキツバタは故郷のイッシュを旅していた。その時、1人の女性に話しかけられた。

 

「私はシロナ。来年、シンオウチャンピオンを辞める予定のトレーナーよ。

カキツバタくん、貴方をスカウトしに来たわ。来年、私の息子 ホワイトがチャンピオンと成った時に……四天王に成って欲しいのよ」

「オイラが……ブラザーの地方で四天王に!?」

 

カキツバタ、ヘッドハンティングされる。

 

 

 

拝啓 ソニアとダンデへ

婚約おめでとう。こっちもリーフも大きくなったし、あの末っ子だったホワイトもしっかりしてきた。子供の成長には毎回驚かされる。今回、手紙を寄越したのは訳がある。ネットのメールなら国際警察や変な組織にハックされるかも知れないから、古い感じだけど手紙を送った。

単刀直入に言おう……ソニア博士、ブライア先生がテラパゴスを使って大惨事を起こした事は教えただろ?その話しにはもう1つある。ブライア先生はホワイト対策に、タイムマシンを用いて未来のテクノロジーで、ホワイトの実質クローンを産み出した。しかし、子供には罪はない……だから、その子供 ラクツをお前達に任せたい、お願いだ……ラクツに愛を教えてくれ。

俺はホワイトが居るし、ラクツも気まずいだろう。レッドなんて、何処を歩いてるか分からない。最初はグリーンかと思ったが……アイツは独り者だから無理。

PS 実力は感情を知れば、間違いなくワタルをボコボコに出来る。

 

リンドウからの手紙を受け取った、ソニアとダンデ。そんな2人の前に、ゼクロムに跨がったラクツが現れた。

 

「ようこそ、ガラルに!」

「君の事は聞いたよ、入った入った!」

 

1ヶ月後。人並みの感情が出てきたラクツが、ソニアそしてピオニー隊長からの推薦でグレープアカデミーに転校する。しかし、ホワイトと瓜二つ(違いはアザだけ)の為に、パルデアのジムリーダーはトラウマを刺激させられ発狂するとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモモモモモ!!此の世の春が来たぁぁぁあ!」

 

暫くした後、仮称ピーチドンが復活した。W地震パンチがピーチドンを待っている事を知らず。




今回の騒動、一番可愛そうなのは?
ダントツの不憫は出番がほぼなく、なん兆円の損害が出たシアノ学長(笑)

暫く、ライジングボルテッカーズINアローラ書いてから
番外編 ピーチドンの逆襲に行きます(笑)


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番外編予告 ピーチドンの逆襲~我の名はモモワロウ

キビキビパニックはギャグホラーの予定です。


ライジングボルテッカーズがアローラ出国の目処が経った頃。

 

「ホワイト。姉ちゃんから連絡なんだけど、キタカミに遊びに来ないかって」

 

スグリのスマホに連絡が入る。ゼイユからであり、キタカミに遊びに来ないか?と連絡があったのだ。キタカミの里は3年前の林間学校以来であり、なんにも変わっていないが是非とも遊びに行きたい。

ゼイユ曰くだが、パルデアのグレープアカデミーのバイオレット達にも声をかけているとの事。バイオレットもネリネなどブルベリ学園からアカデミーに転校した生徒達と仲良くなっており、ネリネ→ゼイユ経由でグレープアカデミー側の友人が来るそうだ。

 

「本当に行く行く!」

 

ホワイトも久しぶりにキタカミに行けるためか、嬉しそうだ。しかし、ただで行くのはあれだ。そこで……

 

「ねえ!!家族旅行しない?家族旅行!!リーフも2歳に成ったしさ!!」

「「「家族旅行!?」」」

 

リンドウ一家(父リンドウ、母ブルー、長男ホワイト、末っ子リーフ、ホームステイのタロ)で全員参加の家族旅行と成ったのだ。この作品の中で伝説の野原一家に匹敵する頻度で、トラブルに巻き込まれるリンドウ一家がスグリと共にキタカミの里に旅行を行うことと成った。

 

「俺も行きたい!!」

「私も……行きたいです!」

 

リンドウ一家+スグリの予定だったが、リコとロイも飛入り参加。

 

「ふふふ……再び密航だっピ!!へ?」

 

ギャグパートのスパイス、ギエピーも当たり前のように参戦!!だが、今回は密航が途中バレてしまい……

 

「やめるっピ!!僕にイタズラするつもりだっピ!?エロ同人みたいに!!エロ同人みたいに!!」

 

ホワイトのバハムートリザードン(以降、バハムート)とリンドウのレウスに睨まれ……WドラゴンクローからのWメガフレア(ブラストバーン)を受けるのだった。

 

「やあ!!私、ネモ!!ねえ!!君達強いんでしょ!!」

 

スイリョクタウンに無事に着いたが、そこでは一足早く到着したパルデア御一行が居たのだ。そして、その中ではバイオレットの御近所さんで7歳の時にパルデアにやって来たバーサーカー ネモが居たのである。

 

「うん、良いよ。でも僕、ベストメンバーじゃないよ?スタンバイオケー!!リザードン!!」

「「「何処から見てもリザードンじゃねぇぇぇ!!」」」

 

そしてパルデア御一行、リザードン(パラドックスの姿)を見て怒涛のツッコミを響かせる。

パルデアからはバーサーカーネモの他に、バイオレット、ペパー、ボタン、ゼイユの友人ネリネ、そしてバイオレットの妹であるアンナ(同学年)であった。

 

「ボタちゃぁぁあん!!お父ちゃんも来たぞ!!探検のロマンがあると思ってな!!」

 

そしてピオニーパパ、乱入!!

 

だが、その日の夜……事件が起こる。

 

「キビキビ!!」

 

「キビキビィィ!!」

 

「うぉぉぉおおおお!!キビィィ!キブイ!!」

 

「とゅわわわん!!」

 

「ピオニーのおっさんだけ、なんか違うぞぉぉ!!」

 

町民が次々と謎のダンスを踊り始め、濃いピンク色の餅を食べた住民が次々と何者かに洗脳されたのか……キビキビと奇声をあげ始める。

その異変は町民だけではなく、リンドウ達にも迫り……パルデア御一行全員は餅を食べてしまった。

 

「で?リンドウパパ……なんで僕達はなんともないの?」

「ホワイト、俺の仮説だが……俺達はたまにブルーが作った手料理、毒物真っ青のダークマターを食べているからだろう」

「ちょっと!!そんな訳無いでしょぉお!!」

 

正気を保ってるのは餅を食べなかったスグリ、リコとロイ、ギャグ補正+過去にその毒素を受けたギエピー、そしてブルー作の手料理(ダークマター)を食べてその程度の毒ではびくともしなくなったリンドウ一家たけであった。キタカミの運命は……この一家の双肩に託された!!

 

「モモモモモモ!!ルシアスはもういない!!更に、パルデアチャンピオン達も元ガラルチャンピオンも傀儡に変えた!!私の勝ちだ!!」

 

そして現れる今回の黒幕、ピーチドン!!

 

「我が名はモモタロウ!!真名はモモワロウ!支配の権能を見せてやろう!!行くぞ、イイネイヌ!マシマシラ!キチギチス!!へ?」

 

ピーチドンはお供であるともっこを引き連れようとしたが、ともっこはリンドウ達の気配を感じて全力逃走!!

 

「まあ、良いか。此方はチャンピオンランク保有者が沢山居るし」

 

リンドウ&ホワイト「地震パンチ!!」

ピーチドン「ぐぁぁあ!!」

 

ブルー「ただのチャンピオンランク保有者に私の夫と息子を停められる?地方のトップチャンピオン呼んでこい」

 

だが、ピーチドンは知らない。この一家の恐ろしさを……

 

ギエピー「コライドン!!これを使うっピ!!」

 

W地震パンチを受け、絶大なダメージを受けて逃走をはかるピーチドン。しかし、そこにギエピーが鋼タイプの落し物で作成した秘密兵器をメガコライドンに投げ渡す。それは……鉄血ペンチであった。

 

ピーチドン「わっ私は……こっこんな……ところでぇぇぇ!」

 

しかし、いくらポケモンとは言え、悪人にも情けをかけようという言葉はある。

 

『タロウ……もう良いんだ……』

『ワシらがお前に甘えた……盗みはいけないと教えなかったこともある』

 

テラパゴスの力で冥府から、ピーチドンの育ての祖父母が現れる。

 

「じゃあ、情けで再教育センター送りで勘弁してやる」

 

ピーチドンの過去を知ったリンドウ達。一先ず、ホワイトの手で捕獲されて即ボックス送りに。その場所は……

 

「おおう、圧政者よ。ようこそ、オーキド研究所に」

「ノォォォォオオ!」

 

死より地獄な魔境オーキド研究所であった。

 

ピーチドン「もう盗みはしません!お餅は毒を抜いたのしか作りません!!お願いだからホワイトさん!!別のボックスに移し変えるか、手持ちに入れて!!オーキド研究所やだぁぁあ!!」

「アッセイ!!」

 

バレンタインまでには多分、執筆開始!!




ピーチドンが目を覚ますのが1ヶ月遅かったら、ダンデソニア夫妻とラクツが来てます(笑)しかも、ソニアの手でお面を被った状態で


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リコとロイ、魔境アローラを知る

リザードン(パラドックスの姿)何処から見てもバハムート(最後の幻想10)大きさ250cm 体重?種族値580。
未来と古代が混ざり合う空間でリザードが進化したリザードン。古代の荒々しさと未来のスタイリッシュ差を併せ持つ。現時点では環境が再現できず、確認できるのはカラシナ・ホワイトのパートナーのみ。
図鑑編集者 リンドウ。


アローラは魔境。多くのエリートトレーナーとベテラントレーナーは口を揃えて、そう告げた。伝説のポケモンが普通にハウオリシティを歩いているわ、水ジムのジムリーダーがカイオーガに乗って移動してるわ、ポケモンスクールの敷地内でソルガレオが昼寝をしてるわ、キュレム・オリジンと色違いカイロスがホームセンターで衣装素材を購入してるわと様々な報告が上がっている。

伝説のポケモンが闊歩しているだけではない。アローラのトレーナーは異様に強いことでも有名だ。アローラで学んだトレーナーの大半が大成しており、アローラチャンピオンであるサトシは勿論のこと、サトシの同級生達であるリンドウクラスの初代メンバーは世界最強レベルの実力者……スイレンなんて日本(ジョウトを覗く)とアローラ以外では間違いなくトップチャンピオンに到達できる戦闘力がある。

 

『アローラ?あそこは……あそこは……観光で停めておけぇぇ!!イヤァァァア!!』

 

とかつて、アローラリーグ?対した事はないだろと思ったベテラントレーナーはボコボコにされてトラウマを植え付けられたとか。そんなアローラであるが、リコとロイはやって来ている。

 

「アローラか……楽しみだな!!ホワイトさんも此処で育ったって言っても過言じゃないんだよな!!」

「うん。私、アローラに来れるなんて……夢みたい!!」

 

リコとロイは2人で、メレメレ島の安全な場所を探索していた。と言うのも、これには訳がある。理由は暇だったからだ。

フリードはメレメレ島ポケモンスクールからの依頼で、フィールドワークのお手伝い+自身の見聞を広めるため。

オリオはアローラ滞在が終わり、出発に備えてエーテル財団やギエピーのバックアップ付きでブレイブアサギ号の改良。

ランドウことお爺ちゃんはお留守番。

マードックは経費集めの為に、ポケモンスクールの学食でお手伝い。

モリーはポケモンスクールでの保健室でのお手伝い。

ドットはグルミンとしての動画撮影&編集。

 

と言うことで、リコとロイ以外のライジングボルテッカーズは各々の用事で忙しいのだ。その為、暇をもて余したリコとロイは各々のパートナーを連れ歩きしながらメレメレ島を自由に冒険している。

 

「ほげー……」

「やっぱり、25年前のアローラと違うね」

「こんなに建物いっぱい無かったしね」

「にゃー」

 

サトシの時代参照だが、ライジングボルテッカーズは過去にタイムトラベルを経験して、25年前のメレメレ島を経験している。

だが、25年の歳月が違えば当然ながら、ハウオリシティの印象とガラッと変わる。当時はロケット団のテロ活動等も有ったが、今日は平和にアローラを満喫出来ると思っていたリコとロイ。だが、此処はアローラ……カントーの常識は通用しない。

 

「あっ、君達!もしかして……ホワイトが言っていたリコちゃんとロイくんかな?」

 

ふと、後ろから声をかけられた。2人は後ろを振り向くと、そこにはスク水の上から白い羽織を羽織った17歳ほどの少女が立っていた。それだけなら別に驚きはしないだろう……アローラは海が直ぐ側であり、スク水なら直ぐに泳げるのだから。

 

「にゃぁぁあ!?」

「ほげぇぇぇ!?」

 

ニャオハとホゲータがビックリしたのか、驚きの声を辺りに響かせた。リコとロイも驚きで言葉が出てこなくて、顎が外れそうになるぐらい口を大きく開けて唖然としている。

何故なら、目の前の女性はとあるポケモンの上に乗っていた。その女性は伝説のポケモン カイオーガの上に乗って普通に立っていたのだから。

 

「私はスイレン。メレメレ島ポケモンスクールの卒業生だよ?」

 

そう、彼女はあのスイレンが大きく成長した姿である。スイレン達が卒業生と有るが、実はと言うと……サトシ達が中等部を卒業する頃、まだ高等部は存在しておらず、サトシ達は中等部で卒業したのだ。カントーのタマムシ大学で教員の免許を取ろうと頑張っているリーリエは現在、アローラにはたまにしか帰ってこないが、他のメンバーは現在、アローラに滞在しているのだ。

 

「「町に出て数分で伝説のポケモンとジムリーダーに遭遇したぁぁあ!?」」

「まあ、気にしない、気にしない。所で2人ともお腹空いてない?アイナ食堂っていう美味しい所有るよ?」

 

アイナ食堂。そこはホウエンチャンピオンでもあるグレートティーチャーリンドウも常連なお店であり、草のジムリーダーマオが料理を振る舞う美味しいお店である。

 

 

「うん。リコとロイもアローラに馴染めてるな……よし」

 

そして遠くからリコとロイを見守るホワイトであった。ホワイトはタロと共にコライドンに跨がっており、ホワイトの後ろにタロが座っている。

 

「そういや、タロちゃん。僕の後ろで良かったの?ブルーママに言えば、モトトカゲやパパが研究目的でパルデアから連れてきたミライドン達にも乗れたよ?」

「私は此処が良いんです」

 

タロちゃん。ライドポケモンを貰わず、理由はホワイトの後ろに乗れるためである。

 

運が良ければ伝説のポケモンとも出会える、アローラ地方。観光とリーグ挑戦にいかがだろうか?だが、アローラ地方には現在、目があったら勝負の文化はない……何故なら様々な地方のチャンピオンが居るためである。その文化でメレメレ島にやって来た腕自慢のトレーナーはサトシは避けたのだが、知らずに目と目が合ったら勝負の文化でリンドウとホワイトに挑んでしまい、ボコボコにされたとか。




この作品、コライドンのトレーナー……ホワイトとアンナちゃん(ビリビリに出てくる女の子)以外に出てこないの?

仮に出しても、本来のコライドンは狂暴なのでライド出来ません(公式)なので化石から復活しても、大人しい個体じゃないと乗れません。


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キビキビパニックの始まり始まり

仕事が忙しくて遅れたよ……


リンドウ一家の朝は騒がしい。特に普段から料理を作るリンドウorホワイトにとっては死活問題と言っても過言ではない程に、忙しいのだ。家族4人+ホームステイのタロの食事を作らなければ成らないためではない!!確かにそれも大事なのだが、リンドウとホワイトには意地でも止めなければならない物があるのだ。それは……

 

「料理って数を踏めば上達するわよね!!」

 

ブルーのダークマター製造と言える、朝食作りを何としてでも死守しなければ成らないのだ。

御存知、ブルーの料理はダークマターであり猛毒さえも凌駕する。シロナさんの手料理ことネオダークマター(食べれば数日間の記憶が飛ぶ)までとは言わないが、食べれば絶大なダメージを受けてしまうのだ。しかも、ブルーはご近所のママ友であるバーネット博士、ママ先輩であるスイレンのママやマーマネのママから「料理は数をこなせば上手に成るよ!!」と教えられた為か、リンドウの制止空しく料理を行おうとしたのだ。

 

その結果、リンドウとホワイトはブルー作のダークマターを何度も食べさせられたお陰か……様々な毒物が一切効かない(と言うか耐性が出来てしまった)状態となったのだ。例えるなら痛み止のお薬を短期間で服用し続ければ、効果が薄くなるのと同じであり、ブルーのダークマターを何度も食べさせられたリンドウとホワイトそして製作者のブルーは数多の毒が効かないor耐性が出来てしまったのだ。ブルーの手料理恐るべし!!

 

「ねえ、リンドウパパ。これって」

「ホワイト、今回も俺達は負けたようだ」

 

寝巻き姿のリンドウ、パジャマ姿のホワイトはキッチンの前で自分達の運命を悟った。そう、2人は今回、敗北してしまったのだ。

2人の視線の先ではエプロン姿のブルーが、手料理と言う名前のダークマターを製造している。ブルー本人としては、夫と子供達に美味しい手料理を御馳走する為、料理の腕を磨くために場数を踏みながら朝食を作っており、悪気は1ミリもない。そしていつも夫と息子に料理を作ってもらっては、母親であり妻である自分のプライドがもたない為なのだ!!

 

「さあ、ご飯が出来たわよ!!今日は自信があるわよ!!」

 

そして出来立てのダークマターが入ったお皿を掲げるブルー。このダークマターを食べ続けて早5年、お陰様でこの程度のダークマターでは体調が崩れなくなったリンドウとホワイトだが、流石にタロとリーフがこれを沢山食べなければ成らないかと思うと……あれなのでダークマターは母親、父親、長男の手で9割片付けた。そして、改めてリンドウとホワイトの手で、リンドウ一家の朝食が作り直されたのだった。これが、リンドウ一家の朝の始まりである。

だが、リンドウ達は知らない。このダークマターを食べ続けたお陰で、リンドウ達はピーチドンの毒攻撃を受けないことを、そのお陰でキタカミの里……スイリョウタウンの危機を救うことが出来たことを。

 

 

 

 

お昼過ぎ。

 

ポケモンスクールの食堂。5年前は食堂はなく、サトシ達はお弁当を持参してお昼ご飯を食べていたが、ホワイトとタロはブルーのダークマター事件で、リンドウがお弁当箱を用意できず、食堂で食事を食べていた。今はないブルーベリー学園の栄養価の偏りすぎた食事と違って、メレメレ島ポケモンスクールの食堂のご飯は子供達の発育や活発に動くトレーナー達の栄養を考えて作られており、栄養豊富である。同じハンバーガーでも、野菜が沢山使われており、栄養が全然違うのだ。

 

「キタカミの里に?」

 

そこでホワイトはタロ、スグリと共にお昼ご飯を食べていた。ホワイトがオムライス、タロもオムライス、スグリはククイ博士から持たされた筋肉に優しい五重箱の巨大お弁当箱である。

 

「そう。姉ちゃんから連絡が来てね、遊びに来ないかってさ」

 

スグリは語る。キタカミの里で、自分を見つめ直しているゼイユからスグリ+ホワイト達宛にキタカミの里に遊びに来ないかと、招待状が届いた。

ブルベリが滅んで海の藻屑に変わってしまい、現在は海底で未知の生態系(未来+古代)を形成している元ブルベリであるが、通っていた生徒達は各々自分が選んだ新たな進路を選んでは歩きだしている。タロやアカマツのようにメレメレ島ポケモンスクールに転校した生徒達も居れば、ネリネのようにグレープアカデミーに転校した生徒達も多い。だが、ブルベリはホワイト達が見てしまったように、学校と言うよりは研究施設という側面が強くて、心の整理が出来ない生徒も多い。そんな生徒達は心の整理をつけるために、実家に帰ってるのだ……ゼイユがそれに当たるだろう。

 

「へー、僕達に?」

「だけじゃない。グレープアカデミーのネリネさんにも送ってるそうだよ」

 

そんなゼイユから届いた招待状はスグリ、ホワイト、タロ+αだけではなく、グレープアカデミーに転校したネリネを含めたグレープアカデミー組にも届いている。グレープアカデミー組の選別はネリネが行うだろうし、大丈夫だろう。

 

「ネリネ先輩、向こうでもお友達が出来たそうですよ」

 

タロが告げる。そう、実はと言うとネリネも向こうでも友人が出来ており、ネリネは後輩であるタロや未来の夫(ネリネの自称)であるスグリに連絡は入れていた。

その友人とは、パルデアチャンピオンランク保有者のバイオレット、バイオレットのライバル?であり戦闘狂のカロス出身のネモ、ピオニー隊長の娘であるボタン、故フトゥー博士とオーリム博士の長男であるペパーぱいせん、バイオレットの妹でありホワイト以来となるコライドン(最早、大型犬)をライドポケモンとしたアンナ(ビリビリの主人公)である。あろうことか、ネリネの友人は全員がパルデアのチャンピオンランクを保有するぶっ壊れ集団だったのだ。

 

「そっか。でも、スイリョウタウンか……もう3年か、早いね」

 

ホワイトがスイリョウタウンに初めて向かったのは、今から3年前。まだ小学生だった頃、林間学校でリンドウとサトシと共に向かった所である。当時のスグリはホワイトより身長が低かったし……今はデカすぎるが。古きよき田舎で、自然が豊かで良いところだった、そこでオーガポンと出会った懐かしい所だ。

 

「俺の今があるのも、スイリョウタウンでホワイトやリンドウ先生と出会った事がきっかけだったしね」

「私もその林間学校参加したかったです」

 

スイリョウタウン、そこにもう一度行きたいとホワイトは思った。ホワイト、スグリ、タロは確定として……後は誰で行こうか?

 

「チケットはスグリが持ってるし、サトシお兄ちゃんやククイ博士と?」

 

チケットはスグリが持っているし、スグリが選ぶのだろうか?だとすればスグリの養父であるククイ博士、義兄とも言えるサトシや義姉であるセレナやラティアスだろうか?

 

「いや、ククイ博士はリーグ運営会議で忙しくて無理だってさ。サトシはククイ博士からの依頼で、今はカロスに出張。セレナもコンテストの授業の打ち合わせで難しいってさ」

 

だが、ククイ博士一家は色々あって忙しい。だとすればホワイトとタロと参加するから、リンドウ一家が良いだろうか?

スグリが見せてくれたチケットはホワイト、タロ、スグリの確定メンバーを除いて残りは5枚。

 

「5枚か……あっそうだ。リンドウパパとブルーママ、リーフを除いても2人呼べるんだ。だとしたら、この子達かな?」

「宛があるのかい?ならホワイト、行くメンバーは君が決めてくれ」

 

スグリから許可は貰った。ホワイトは直ぐ様、リンドウとブルー、そしてリコとロイに連絡した。リンドウもキタカミでバスラオ(日本の姿、またの名を白筋の姿、絶滅危惧種。イダイトウに進化できる)の調査と捕獲をしたかったし、前回の林間学校ではブライア先生のゴタゴタのお陰か出来なかったのだから。

 

 

 

1週間後。

 

「お前達、家族旅行の準備は良いか?」

「「「オー!!」」」

 

キャリーバッグを引きずるリンドウ、ホワイト、ブルー、ブルーに抱っこされたリーフちゃん(2歳)、タロ、一人だけ身長と筋肉が凄い夏油スグリさん、そしてホワイトから誘われたリコとロイがメレメレ島国際空港に現れた。

 

(ふふふふ!!リンドウはまたしても、気付いてないっピ!鞄の中に僕が居ることに!!)

 

ギエピー、再びリンドウのキャリーバッグの中に小さくなるを多用して潜り込む。

 

「二度あることは三度あるって言うよな?」

 

リンドウは念のため、キャリーバッグを開ける。キャリーバッグのファスナーが徐々に開けられていき、キャリーバッグの中身に光が差す。

 

(なに!?なんでバレるっピ!!やろー!!開けるなっピ!!リンドウ、開けるなっピ!!)

 

そして、ファスナーは全開に開けられてた。

 

ギエピー、バレる。




次回、ギエピー……Wリザードンの手でフルボッコ!!

「やろー!!やってやるっピ!!」

メガリザードンX&パラドックスリザードン(バハムート)VSギエピー、御察し下さい。


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ギエピー「ばれたっピ」リザードンズ「お仕置だ」

此処でのリコちゃん、何処を冒険させようか?アニメ通りパルデアに行こうか(パルデア四天王+オモダカさん、ホワイトのトラウマ再発ルート)それとも、アローラルート行こうか……


キャリーバッグを開けたリンドウ達であったが、キャリーバッグから二度あることは三度あると言いたげにギエピーが出てきた。ギエピーも小さくなるを多用し、鞄に潜り込むのは馴れた模様で、何事もなくキャリーバッグから出てきて小さいからだでスタスタと歩いて、元の大きさに戻る。

 

「あの……ギエピーさん?」

 

リコが言うが、ギエピーは振り返らない。

 

「ギエピー、何か言わないの?」

 

ロイも言うが、ギエピーは絶対に振り返らない。ギエピーが取るべき手段は既に決まっている……このままでは間違いなくリンドウとホワイトにボコボコのギッタンギッタンにされてしまう。

ギエピーは確かに実力は高く、ギャグポケモンであるのだが……お仕置パートではギャグポケモン故にボコボコにされてしまう運命がある。いや、そうでなくてもリンドウやホワイトは間違いなく主力メンバーを出すであろう。今回は何が来るのだろうか?初めてキタカミの里に言ったときみたいに、ウォロのシンオウウインディの諸刃の頭突き→リンドウのボスゴドラの手でボコボコだろうか?はたまたホワイトの手でボコボコにされるのだろうか?今回は筋肉の化身と成っている夏油スグリも居るので、スグリの手で筋肉バスターだろうか?

 

「スピードワゴンはクールにさるぜ」

 

ふっと笑みを浮かべ、ギエピーはその場から逃げだろうとした。

だが、遅かった。ギエピーが目の前を見ると、メガシンカを果たしたリンドウのリザードンこと、レウスが口から蒼い炎を漏らしながら立っており、指先がビキビキと力が入っている。

 

後ろを見ると、ホワイトのリザードン(パラドックスの姿)が腕を組んで立っており、未来と古代が合わさったバハムートリザードンがヤル気満々でギエピーを見下ろしていた。

 

「………………オーマイガー」

 

ギエピー、まさに絶体絶命!!ギエピーは最後の望みをかけて、タロを見る。きっと可愛いが大好きなタロなら、フェアリータイプの自分を助けてくれると。だが、現実は非情であった。

 

タロちゃんはニッコリと笑顔を浮かべて、サムズアップした。つまり、逃げられない。ギエピーの最後の望みは潰えてしまい、ギエピーは……

 

「逃げるんだよぉぉぉおおお!!」

 

全速力で逃走を開始した。だが、同時にWリザードンが動き出して技を繰り出そうとする。

 

「皆!穴久保先生の最新作、サウナウォーズをよろしくだっピ!!」

「「W!!ドラゴンクロー!!」」

「ギェェェピィィイー!!」

 

レウスのドラゴンクローがギエピーの顔面に炸裂、バハムートリザードンのドラゴンクローがギエピーの右脇腹に炸裂、本来ならギエピーはフェアリータイプなので物理運動エネルギーしかダメージを受けず、最小限に抑えることが出来る。だが、ギャグ補正が無くなって……普通にギエピーはダメージを受けた。

 

「ヤロー!!良くもやってくれ…………へ?」

 

レウスとバハムートリザードンが横一列に並び、四つん這いになる。レウスとバハムートリザードンが四つん這いに成ると言うことは……そう、御三家の炎タイプが解き放つあの炎技をぶっぱなすのだ!!

 

「「ブラストバーン!!」」

 

レウスの口から莫大なエネルギーが漏れだし、バハムートリザードンは背中の方陣を回転させてエネルギーを溜めだした。

 

「ファイヤー!!」

「撃てぇ!!」

 

そして解き放たれるWブラストバーンもとい、何処から見てもメガフレア!!

 

「ギェェェピィィイー!!やっぱり、こうなったピ!!」

 

ギエピーは直撃を受けた。急所に当たった、ギエピーは倒れた。

 

 

 

「それじゃあ、改めてキタカミに出発だ」

「前が見えないっピ」

 

ギエピーは顔が潰れたあんパンのようになり、家族旅行への同行が許可された。そして、飛行機が飛び立ち、リンドウ達はキタカミの里へと旅だったのだ。

 

 

 




ネモ「ねえ、勝負しよ!!強いんだってね!!」

キタカミにバーサーカーが顕現する。



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再びのスイリョクタウン~キビ!?

キビキビ


スイリョクタウン。御存知、ホワイトとオーガポンが出会った場所であり、スグリとゼイユの故郷である。此処は自然が豊かで、カントーやシンオウの野生化では絶滅したバスラオ(白筋)が生息してるなど、手付かずの自然が豊富だ。そんなスイリョクタウンに再び、リンドウ達が降り立った。

 

「しかし、バスの本数は相変わらず1時間に1本、夕方4時で終わりか。本当に少ないな、マサラタウンのバスより少ないぞ」

 

バスから降りて、再び別方向に走り去っていくバスを見送ったリンドウ一家+スグリにリコとロイそしてギエピー。

今日からゼイユに招待され、数日間の楽しいキタカミ旅行が始まるのだ。前回の林間学校と違って、今回は民宿を借りての宿泊なので大部屋での雑魚寝ではない……ぐっすりと眠れる筈だ。

 

「ぽにおー!!」

「ぽにちゃんも久し振りのキタカミだね」

 

そして、ホワイトのボールから可愛さの化身 オーガポンが飛び出した。オーガポンとしても久し振りのキタカミの里であり、懐かしさに誘われて出てきたのだろう。

ホワイトは前回の林間学校以来、キタカミの里には降り立っていない。つまり、オーガポンも久し振りのキタカミの里なのだ。まだキタカミの里には、オーガポンをいじめた3バカこと……ともっこも居るがともっこはメガコライドン+メガリザードンXの手でトラウマを植え付けられた後であり、今頃はキタカミの何処かでビクビクしているだろう。

 

「さあ、姉さんが待っているし……行こうか」

「「「「おー!!」」」」

「ぽにおー!!」

 

キタカミ出身、筋肉の化身と成った夏油スグリが先頭を歩き、それに続いてホワイト、タロ、リコとロイの子供組にオーガポン、最後尾にリンドウ、リーフを抱っこしたブルーと続く。

 

「くそ……全員の荷物を持つなんておもたいっピ」

 

そしてそれより後ろではギエピーが全員分の荷物を持っており、ギエピーの真後ろではギエピーが良からぬ事をしないようにとリンドウのボスゴドラこと、我らがワンパンマン(石頭+タイプ一致+諸刃の頭突き)のボスがギエピーを見下ろしながら歩いている。

 

歩くこと20分ほど、日本古来よりある古きよき田園風景を眺めながら歩いていると、スイリョクタウンの中央とも言える公民館前の広場にやって来た。

そこではホワイトがかつてパルデア地方、キタカミの里、そして最近のブルーベリー学園崩壊RTA事件で戦った人物の姿があった。

 

「おっ!!ホワイトじゃん!!元気ちゃんで良かったぜ!!」

「ホワイトだ!!身長伸びてる!!」

 

パルデア地方で関わったペパーぱいせん、ピオニー隊長の娘であるボタン。

 

「えーと、たしかサトシの後輩だったホワイトくんだよな?」

「アギャス」

 

サトシと共にガチグマ(暁)をキタカミの里で探索した、パルデアチャンピオンランク保有者であるバイオレット、そしてそのパートナーであるミライドン。

 

「わが夫スグリ、元気そうで良かったです」

 

キリッとメガネを輝かせて告げるネリネ。服装はブルベリの制服から、グレープアカデミーのニュー制服冬服に着替えている。

 

「いや、夫じゃないからね!?」

 

そしてツッコミを入れて否定するスグリであった。

 

だが、リンドウとホワイトの知らない少女が2人居たのだ。

 

「はじめまして。私はアンナです!バイオレットの妹です!!」

 

その1人はYOASOBIのビリビリおよび小説「きみと雨上がりを」の主人公であるアンナである。どうやらバイオレットの年子の妹であり、同学年とのことだ。

パートナーはコライドン、ラウドボーン、ゲンガー等々である。パルデアチャンピオンランク保有者。

 

「私はネモ、宜しくね!!」

 

そしてもう1人はネモ。バイオレットとアンナの同級生であり、パルデアチャンピオンランク最年少保有者(バグキャラのホワイトを除く)であり、こう見えてカロス出身なのだ。

だが、ネモにはもう1つの異名が存在する。それは……

 

「ねえ!!バトルしよう!!誰が私と戦ってくれるの??強い人とバトル出来るって聞いて、私……ウキウキしてたんだ!!」

 

誰とも構わず、バトルがしたいスーパーバトルジャンキー……いや、バーサーカーなのだ。

 

「君が私と戦ってくれるの!?」

 

ネモは腰から1つのモンスターボールを取り出して、そのボールをロイに向ける。

 

「いっいや……」

「じゃあ、君かな?バトルしようよ!!」

 

次にネモはリコにボールを向ける。そう、ネモは兎に角バトルがしたくてしょうがないのだ。パルデアを出たのが先日であり、電車→飛行機→バスを乗り継いでキタカミの里にやって来たのは良いのだが、長い時間バトルが出来ておらず……早くバトルがしたいのだ。

 

「君?それとも貴方?それとも全員で?私は早くバトルがしたいんだー!!」

 

このままでは早くバトルがしたいネモの手で、キタカミの里のトレーナー達はバトルでボコボコにされてしまう。なんとかしなければ……

 

「しょうがないな……僕が相手になってやる!!」

 

誰かがしなければ成らない。そこでホワイトは立候補して、1つのボールを取り出した。

 

「ニヤ!!そうこなくっちゃ!!次期シンオウチャンピオンと戦えるなんてラッキー!!同じチャンピオンとして、実り有る勝負をしようよ!!」

「えっ?僕有名人?」

「トップが君の事を言ってたからね!!本気のトップを倒すなんて凄いね!!ふふふ、実ってる」

 

そう、ネモはパルデアのトップチャンピオン オモダカさんと親しく……オモダカからホワイトの事を聞いていたのだ。当時、オモダカから話を聞いたネモはオモダカより強く、自分より年下のトレーナーが居ると知ってウキウキしていたが……VSホワイトが軽くトラウマと成っていたオモダカさんはガクガクしていたとか。

 

「シンオウチャンピオンのお手並み拝見!!ケンタロス!!」

「モー!!」

 

ネモはケンタロス(パルデア)を繰り出した。パルデアのケンタロスは黒く、格闘タイプである。

 

「OK?それじゃあ、リザードン!!ARE YOU READY?Show TIME!!」

 

ホワイトは連れてきているパートナーで一番未熟なリザードンを繰り出そうとして、ボールを投げた。

リザードンと聞いて、バイオレットやペパーのパルデア組は普通のリザードンを思い浮かべる。リンドウに育てられた実質リンドウの息子であるホワイトがリザードンを使っても別に不思議ではないし、林間学校ではゼニガメを連れていた。

しかし……そんなペパー達の予想に反して現れたのは……

 

「グゥオオオ!!」

 

背中に機械仕掛けの方陣を浮かせ、腕を組んで仁王立ちする何処から見ても最後の幻想10のバハムートと化したリザードン(パラドックスの姿)であった。

 

「「「ちょっとまてぇぇぇえ!!それ、何処から見てもリザードンじゃねぇぇ!!」」」

 

バイオレット、ペパー、ボタンのツッコミが響く。そう、ホワイトのリザードンは何処からみてもリザードンではなくバハムートである。

 

「いや、だってさ……過去と未来が混ざったところで進化させたらこうなったんだよ!!」

 

ホワイトが言い返し、それに答えるようにバハムートリザードンがどや顔を決める。

 

「強そう!!そのリザードン……なかなかに実ってるね」

 

ニヤリと笑みを浮かべたネモ。そう、ホワイトならば自分と互角以上に戦える!!

ホワイトによるパルデアRTA事件での被害者オモダカさんから聞いたホワイトの手持ちはコライドン(メガコライドン)、ミロカロス、イーブイ、カイロスさん、シンオウメガニウム等々……実りがいがあるメンバーが充実している。そこから更に増えてるとなると、バトルしがいがあるのだ!!

 

「先手は貰ったよ!!ケンタロス!!レイジングブル!!」

 

ネモのケンタロスがバハムートに突っ込む!!レイジングブルはケンタロス族の専用技であり、ケンタロスの姿でタイプが変わる攻撃技だ!!

 

「よし!!リザードン!!ドラゴンクロー!!」

 

そしてリザードン(パラドックスの姿)は右腕からドラゴンクローを繰り出した。そこ、何処から見てもグランドスマッシャー(バハムート族の物理攻撃)とか言わない。

 

 

「ネモさん……相変わらずだな……」

「「「えっ!?知り合いだったの!?」」」

 

バハムートVSケンタロスの激闘をBGMにして、タロが衝撃の爆弾発言。なんと、タロとネモは知り合いだったのだ。

 

「はい。パパの会社が開いたパーティーで出会ったんです。ネモさんのお父さんも携帯電話会社の重役で、そこで知り合ったんです。

ネモさん、ドレス姿でパパにポケモンバトルを挑もうとしてたんです」

 

なんという事でしょう。そのパーティーでネモはヤーコンさんに、ドレス姿でバトルを挑もうとしていたのだ。様々なセレブの皆様が集う場所で!!

 

(しかし、姉さんから返信が来ないな?既読も着かないし)

 

スグリはスイリョクタウンに着いたときに、姉であるゼイユにメッセージをいれたのだが、どういう訳か返信は帰ってこないし……既読もつかない。少し、心配しているスグリであったが、バトルに動きがあった。

 

「モ!?」

 

バハムートリザードンがケンタロスの首根っこを両手で掴み、そのまま地面にパイルバンカーとしてぶつけたのだ。

 

「凄いね!!私のケンタロスを倒すなんて!!バトルは此処から本番だよ?」

 

ネモは倒されたケンタロスを戻し、続いてゲッコウガを繰り出した。

 

「うん、本気のパートナーを連れてきて良かったよ!!」

 

ゲッコウガはネモの期待に答えるように臨戦態勢に入る。その瞬間、ゲッコウガが眩い光に包まれた。

 

(メガシンカか?いや、ネモはキーストーンを装備してないな)

 

リンドウはキーストーンを装備しているかどうか確認するが、それらは装備していない。

光がやむと、そこには全身サイボーグと化したゲッコウガが立っていたのだ。

 

「なにぃぃい!?ゲッコウガがサイボーグになった!?」

「これ?ブルベリが海底に沈んでから暫くした後かな?私のお父さんが、出張でイッシュに行った帰りに……宝石のような物を持って帰ったの。それをゲッコウガや他のポケモンに装備させたら、バトルのときに未来の姿や古代の姿のようなフォルムになって物凄く強くなるの!!」

 

リンドウ達の疑問に答えるようにネモが教えてくれた。

ブルベリが海の藻屑に成ってから暫くして、イッシュ地方の海岸に未知の宝石のようなアイテムが打ち上げられるように成ったとか。その宝石をポケモンに持たせて、バトルに出すと古代の姿や未来の姿に進化したような姿になり、メガシンカに匹敵するパワーアップをするようだ。

 

(早い話、ゲンシカイキとその未来版かーい!!

確かにゲームでもメガシンカと一緒に使えたし、グラードンやカイオーガ以外にも古代や未来の姿が有るならゲンシカイキも有りそうだが……えっ?マジで出来るの!?)

 

早い話、ゲンシカイキorゲンシカイキの未来バージョンである。オメガルビーを前世でやっていたリンドウにとって、ゲンシカイキとメガシンカが一緒に使えるのは知っていた。だが、ゲームではゲンシカイキは専用のアイテムが必要でグラードンとカイオーガ専用だった。

古代のポケモンの存在が明かされたことで、他のポケモンもゲンシカイキの可能性が出てきたが……まさか本当に出来るとは驚きだ。これが普及すればバトルの環境は更に変わるだろう……ガラルだけでしか出来ないダイマックスは別だが、Z技とメガシンカとテラスタルそして今ネモが使ったゲンシカイキor未来は場所を選ばない……キズナ変化も含めれば5つのパワーアップ及びZ技を使えるのだ。メガシンカ、ゲンシカイキ、キズナ変化でタイプを変えたり純粋にパワーアップ、テラスタルでタイプ変更……戦略の幅が余りにも広くなっていく。

 

「リンドウ先生。ホワイトさんのリザードンは未来と古代が混ざった姿ですよね?それがネモさんのゲッコウガのようにパワーアップしたら、どうなるんですかね?」

「タロ、考えるのはやめよう……なんかヤバいフラグに聞こえる」

「ですよね」

 

恐らくだが、古代のポケモンや未来のポケモンはこのゲンシカイキを使うことは難しいだろう。元から未来や古代の存在だし、それは古代の側面を持つホワイトのカメックス(エリアゼロの姿)もそれだと言える。

だが、未来と古代が混ざったホワイトのリザードンはどうなるのだろうか?なにやらフラグになりそうなのでリンドウとタロは、その事を考えるのをやめた。

 

「さあ、反撃開始だよ!!ゲッコウガ!!」

 

今こそ、ネモの反撃が開始!!ゲンシカイキ?いやミライカイキ?それともミライシンカ?の全身サイボーグ忍者と成ったゲッコウガが動こうとした瞬間。

 

「キビキビ」

 

バトルの現場にゼイユが現れた。肘を上下に動かして脇を開いたり閉じたりする謎のダンスを踊り、キビキビと言いながら。

 

「姉ちゃん!?」

「キビキビ」

 

だが、明らかに様子が変だ。果たして、ゼイユの身に何が起きたのだろうか?




キビキビがだんだん広がっていく!!



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ゼイユ「キビキビキビキビ」

キビィー!!キビキビ!!


「キビキビキビキビ!キビ!!」

「姉ちゃん、何があったべ!!わやじゃ!!一向に返事ないとおもっちゃが、キビと変なダンス踊っとるがな!!」

 

突如として、脇を開いたり閉じたりを繰り返しながら変なダンスを踊りながら「キビキビ」と言いながら現れたゼイユ。そんなゼイユが変なダンスを踊りながら現れて、しかもホワイトとネモのバトルに割って入って現れたためにバトルは中断。

しかし、ゼイユは気にせず「キビキビ」と繰り返しながら告げながら変なダンスを踊り続けている。一体、何があったのだろうか?余りの出来事にゼイユと面識のないパルデア組はポカーンとしており、バトルが中断した為なのかネモのゲッコウガもゲンシカイキ?を中断して元の状態に戻ってる。

 

「キビキビ!」

「姉ちゃん!?ホワイト達に久か会えかって、嬉しすぎべ!!」

 

だが、姉の変わりっぷりに、夏油スグリさんはアローラで3年間過ごした為に忘れてしまったキタカミ弁が久方ぶりに出てきて驚いている。

 

「落ち着けスグリ。しかし、これは間違いなくただ事じゃないな」

 

リンドウがスグリの肩を軽く叩いて告げた。そう、ゼイユは明らかに普通じゃない。なんか、良くみたら目も紫色ぽっく成ってるし……何やら紫色のオーラもうっすらと見える。間違いなく、何があったのは確かだろう。

 

「リンドウ先生。ごめんなさい、取り乱しました……」

「さてと……どうするかだな。これは旅行処じゃ無いかもな」

 

キタカミ家族旅行でやって来たのは良かったが、どうやらトラブルに巻き込まれるのは確定のようだ。

最初にキタカミに来たときは、自称モモタロウが甦らせたともっこの騒動に巻き込まれ、その次はエクスプローラズのトラブルに巻き込まれ、ブルベリではブライア博士のテラパゴス騒動でブルベリが海の藻屑に変わるわと……どうも最近はトラブル続きだ。

 

「ゼイユはお祓い行った方が良いんじゃないかっピ。行く先々でトラブルって呪われてるっピ」

 

ギエピーが告げる。そう、ゼイユはどういう訳か行く先々で何らかのトラブルに巻き込まれる(原作通り)

林間学校ではともっこ騒動、ブルベリではブルベリ崩壊RTA、そして今回は真っ先に何かに巻き込まれたのだろう……目が紫色に成ってるし、変なダンスを踊ってるし……何かが有ったのだろう。

 

「ゼイユ!!こんな所に居ったのか!!」

 

すると、そこにスグリのお爺さんが現れた。

 

「爺ちゃん!?」

「スグリか、帰ってきたところで申し訳ないのだが……ゼイユを家に運ぶのを手伝ってくれんかの?」

「おっおう……分かったよ」

 

そしてゼイユは夏油スグリ(身長180センチ)の手でお家に強制搬送された。そのときも「キビキビ」と変な声をあげながらであったが、気にしてはいけない。

 

「ねえ、リンドウパパ。何があったんだろうね?」

「さあ、でも間違いなくやっかいごとだろうな」

 

今回もただ事ではない、リンドウは大きな溜め息を吐き出した。

リンドウの原作知識は剣盾初期で終っており、残念だがそれ以降のゲーム原作とアニメ原作での原作知識は全くなく、しかも20何年も生きてきた為なのか原作知識も薄れてきた。もし、リンドウが外伝主人公のように全ての原作知識が有れば「ピーチドンの仕業じゃないか!!餅は食べないように!!」と出来たが、そんな御都合主義はないのだ。

 

「そこの旅の親子さん。お餅いかがですか?」

 

と、そこに駄菓子屋のおばちゃんがざるに乗ったお餅を持ってきた。そのお餅は紫色に近い濃いピンク色であり、リンドウとホワイトにお餅を勧める。

 

「お餅ですか?ありがとうございます。1ついただきますね」

「僕もいただきまーす!!」

 

リンドウとホワイトはお餅を1つとり、食べる。餅は程よく甘く……美味しい口当たりであった。

だが、ピーチドンの物語をやった人々は御存知だろう。このお餅を食べると、ピーチドン(真名は伏せてます)の傀儡……操り人形にされてしまうのだ。

 

「うん。旨いな」

「美味しいね!」

 

お餅の味に舌鼓をならすリンドウとホワイトの親子。だが、遠く離れた所でニヤリと笑う桃を逆さまにしたようなポケモンが笑みを浮かべていた。そう、この桃こそゼイユに異変を起こしたポケモンであり、林間学校のときはギエピーの身体を乗っ取りともっこを甦らせた元凶である。

ピーチドンは訳有って……明治時代からの目的の為に、スイリョクタウンの人々を支配しようとしたのだ。その先ず第一歩としてゼイユを操り人形に変え、続いて駄菓子屋のおばちゃんを操り人形にして、一番の障害だったリンドウとホワイトを操り人形に変えるためにお餅を食べさせた。

 

「モモモモ!!これで邪魔だったリンドウとホワイトは消えたモモモモ!」

 

だが、どういう訳かリンドウとホワイトはお餅の影響を受けない。

 

「どういう事だモモ!?なんで効かないモモ!!」

 

これには訳がある。リンドウとホワイトはブルーの作ったダークマターを食べ続けたお陰で、この程度の毒ではびくともしないのだ。

 

「僕もいただくっピ!!」

 

だが、ピンクの悪魔であるギエピーがザルのお餅を全て……驚異的な吸引力ですいとって食べてしまった。

 

「げふ……旨かったピ」

「「全部食べやがった!?てか、掃除機みたいに吸い込んだ!?」」

 

ギエピー……それは吸引力の変わらないただ1つの掃除機。

しかし、ギエピーも食べてしまったら影響が出るのでは無いのだろうか?だが、皆さんは覚えているだろうか?ギエピーはピーチドンの手で一度乗っ取られてピーチドンの毒を受けていた。そのお陰か耐性が出来ており、乗っ取られなかったのだ。

 

「がおぉぉぽに!!」

「ぽにちゃん?」

 

誰もがピーチドンの存在にはまだ気付いていない。だが、オーガポンだけがピーチドンの気配を感じており、普段のアイドルとは思えないほどに殺気を出していた。

 

 

 

「ぼたちゃぁぁぁん!!パパも来たぞ!!」

 

そして洗脳or催眠と言えばこのお方、ピオニー隊長、キタカミに上陸!!

 

「ぼたちゃん達の為に、イッシュから噂のゲンシカイキの宝石持ってきたよ!!」

 

ピオニー隊長はボタンとその友人達の為に、イッシュからゲンシカイキorゲンシカイキ未来バージョンのアイテムを持ってきたようだ。だが、これのお陰でリンドウとタロの言ったフラグが見事に回収されることとなる。




次回からキビキビの異変が加速する!!


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キビキビパニック リンドウとギエピーサイド

キビキビキビィー!!


「なんで、僕もなんだっピ?」

「明らかに怪しいだろ……お前が居るとギャグ補正でなんとか出来そうだしな」

 

その日の夕方。子供達はスイリョクタウンの公民館で交流会を楽しんでいる頃であるが、大人組?のリンドウとギエピーはスイリョクタウンやその周辺で調査を行っていた。

昼間に出会ったゼイユであるが、明らかに普通ではない。間違いなく、何かの影響を受けたとしか考えられず、子供達を巻き込む訳には行かず……心配をさせないためにも子供達にも訳を話さず、子供達には「ギエピーとフィールドワークしてくる」と告げて出てきたのだ。まあ、ブルー居るし……なんとか成るだろう。

 

「町の様子は特に変わりは無いようだな」

 

とは言え、スイリョクタウンの様子は変わりはない。強いて言うなら、3年前にコライドンが盛大に渾身の爆裂パンチとコメットパンチでピーチドンに乗っ取られたギエピーを吹き飛ばしたときに壊した『ともっこ像』が元通りに戻された位だろう。

 

「む?あれはピオニーのおっさん?」

 

夏場のキタカミにはいくらなんでも暑すぎると思われる、探検家の服装をした男がリンドウの視界に入る。民家の物陰に隠れているが、間違いなくピオニーだろう。大方、娘であるボタンが心配で来たのだと思い、リンドウとギエピーはピオニーに挨拶をすることにした。

 

「ピオニーのおっさん、パルデア以来じゃないか。久しぶりだな」

「おっさん!!久しぶりだっピ!!今度はキタカミで探検なのかっピ!!」

 

民家の物陰に隠れていたピオニーに話しかけたリンドウとギエピー。だが、ピオニーからの反応はなく、ピオニーは目が紫色と成っており、虚ろになって反応がない。

そして、ようやく此方に気付いたと思えば……

 

「キビキビとぅわわわーん」

 

ゼイユと同じく『キビキビ』と言っているが、脇を上下に動かす謎の踊り……取り敢えずキビキビダンスと言っておこうか、そのキビキビダンスを踊っておらず、両手を下げて指を反らした謎のポーズを取っていたのだ。

 

「おっさん?おーい、大丈夫か?」

 

リンドウがピオニーの前で手を振るうが、ピオニーからの反応はない。しかも、ピオニーがいつも背負っているバックパックは荒らされてたのか……中身が空いており、食材が落ちているのか……目印のようにキタカミの森に続いている。

 

「リンドウ、食材が森に続いているっピ!!」

「おっさんの荷物を荒らした犯人が居るのかも知れないな。おっさんとゼイユはキビキビと言ってたし、もしかしたら犯人は同一人物かも知れない……違ってもなにか手掛かりは有るかもな。行くぞ」

 

森に続く食材、その食材を追って進むリンドウとギエピー。一先ず、ピオニー隊長は放置で良いだろう、とぅわわわーんと喋ってるが……その場から動く気配が見られない。

森に入っていき、お肉、ベーコン、トマト、レタス等々の食材の後を辿って森を進むリンドウとギエピー。やがて、食材の後が途切れた所にたどり着くと、そこは拓けた所であり……

 

「キビキビ!」

「キビキビ!」

 

ゼイユと同じく、謎のダンスを踊るスイリョクタウン在住の町民が居たのだ。ゼイユと同じ症状が出ており、目が紫色だし、謎のダンスを踊ってるし、キビキビ言っている。

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

リンドウが町民に話しかけると……町民はリンドウとギエピーの所を向いてニヤリと笑みを浮かべてきたのだ。

 

「「キビキビ!」」

「へ?」

 

その瞬間、町民はポケモンを出して襲いかかってきたのだ。町民はゴルバットとアゲハントを繰り出してきており、まさかのリンドウに向けてダイレクトアタックである。

 

「バリアーだっピ!!」

 

だが、ギエピーがバリアーを展開してゴルバットとアゲハントの攻撃を防いだ。まさか、善良な市民が正気を失って攻撃してくるとは思わず、リンドウが驚くがギエピーが瞬く間にゴルバットとアゲハントを倒した。

 

「すまん、助かった」

「市民が攻撃なんて驚いたっピ!!」

 

「「キビキビ……」」

 

手持ちを倒された町民は意気消沈としたが、異変は治らずまだキビキビと言ったままであり、謎のダンスをまだ踊り続けている。

 

「取り敢えず、これで1つ分かったな。おっさんの荷物を漁ったやつと、ゼイユと彼らに何かした犯人は多分関係有る」

「だなっピ。てか、なんで荷物を荒らす必要があるんだっピ?」

 

その瞬間、木々が薙ぎ倒される音が響いた。音は徐々に大きくなっていき、リンドウ達の前に有る木々が粉砕されると……そこから

 

「グュゥゥゥゥルルガァゥア!!」

 

アーボックを巨大させ、原始の力を解き放ったようなポケモンが現れたのだ。大きさは5メートルを超えており、めちゃくちゃデカイ。恐竜的フォルムを持ち、アーボックと歴史上最大の蛇ティタノボアを合わせたような姿をしている。

 

「なんか、アーボックを魔改造させたポケモンが出てきた!?なんじゃコイツ!!」

「僕にお任せだっピ!!」

 

ギエピーの攻撃!!アーボック?にメガトンパンチ!!だが、全然効いてない。アーボック?の攻撃!!アイアンテール!!ギエピーに直撃した!!効果は抜群だ!!

 

「ギョエピィィイ!!」

 

ギエピーに絶大なダメージを与えた!!

 

「リンドウ!!コイツ……ただのポケモンじゃないっピ!!メガシンカポケモンや伝説のポケモンぐらい強いっピ!!手加減すんなっピ!ネタ抜きでだっピ!!」

 

ギエピーがギャグ抜きで警告する。そう、このアーボック?はメガシンカポケモンや伝説のポケモンに匹敵する戦闘力が有るのだ。

 

「アボォォオオ」

 

アーボック?はリンドウに狙いを定めるが、リンドウは冷静に対応する。見た目からして、アーボックやアーボの系列だとすれば間違いなく毒タイプだし、地面が効果抜群だろう。リンドウはグラードンを繰り出した。

 

「グラァア!!」

「グラードン!!じしん!!」

 

そしてゼロ距離で解き放たれるじしんパンチ。効果は抜群であり、努力値を振っていないこととレベル差の事もあり、アーボック?は一撃で戦闘不能と成った。

戦闘不能と成ったアーボック?は宝石が砕け散るエフェクトと共に、普通のアーボックに戻り……側にはネモがゲッコウガに持たせていた宝石と同じアイテムが落ちている。

 

「このアイテムって確か、ネモが言ってた奴だよな?

ゲッコウガをゲンシカイキさせたり、未来の姿にゲンシカイキ(未来)させたりしてたな」

「間違いないっピ。でも、なんでアーボックが持ってるっピ?てか、なんでゲンシカイキできたっピ?」

「ゲンシカイキはトレーナーの意思は必要ないのかも知れないな……」

 

その宝石を大事な物入れに仕舞い、リンドウとギエピーはスイリョクタウンに戻ることとした。幸いにも、まだ地面に落ちている食材が目印に成ってるから迷わずにスイリョクタウンに戻ることが出来る。

スイリョクタウンに戻ると、既に日が暮れてきており、夜に成っていた。

 

「リンドウパパ~!!」

 

その時だった。ホワイト、涙目に成ったタロ、スグリが此方に向かって走ってきた。

 

「リンドウ先生!!いや、お義父さん!!パンデミックです!!パンデミック!!なんか、お餅を食べた人が可笑しなことに!!」

「リンドウ先生!!俺の爺ちゃんと婆ちゃんも変に成りました!!」

「リンドウパパ!!なんか、ゲンシカイキしたポケモン達が居たんだけど!!」

 

ホワイト、タロ、スグリは物凄く焦っており、きっとリンドウとギエピーが調査している間に何かが起きたのだろう。その証拠に……

 

「まて……町民の気配が無いぞ」

 

リンドウは今気付いたが、町民の気配が全く無い。

 

「ギャァァァア!!」

 

その時、ブルーの悲鳴が響いた。

 

「ブルー!?」

「ブルーママ!?」

「お義母さん!?」

「ブルーさん!?」

 

「あんた達、絶対にお餅を食べるんじゃないわよ!!」

 

暗闇から、リーフを片手で抱っこし、必死の形相でリコとロイと共にダッシュしてきたブルーが現れた。ブルーを追い掛けるように、謎のダンスを踊りながらボタンとペパーが追い掛けてきたのだ。

 

「リンドウ!!なんとかしなさいよ!!ここ、何時からバイオハザードに成ったのよ!!」

「リンドウ先生!!ホワイトさん!!」

「ここヤバいよ!!町の皆が正気を失ってる!!」

 

リンドウ一家+α、集結!だが正気を保ってるのは彼らだけであった。

 

「まって、いや、まって。俺とギエピーが調査してる間に何があったの!?」

「それはね……」

 

迫り来る正気を失ってる町民!!リンドウとギエピーが調査していた間の出来事を、ホワイトは教えてくれた。

 

「犯人は桃のポケモンみたいだよ」

「ぽにぉおおおおがぁぁおお!!」

 

なお、オーガポンはヤル気MAXであった。




次回はホワイト、タロ、スグリサイド。

スグリ祖父「ちょっ婆さんまたんか!?ぐぁぁあ!?」
スグリ「爺ちゃんが婆ちゃんの手で、口にお餅を突っ込まれた!?」
スグリ祖父「キビキビ」
タロ「なにこの……バイオハザード!?」

管理人「キビキビキビィー!!」
ホワイト「神社が地獄に成ってる!!」


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キビキビパニック ホワイト、タロ、夏油スグリサイド

キビキビ!!


「ネモちゃん遅くない?」

 

リンドウがギエピーと共に調査に乗り出してる頃、ホワイト達は公民館で交流会を行っていた。そこではボタンがパルデアから持ってきたNintendo Switchを使って、全員で大乱闘スマッシュブラザーズで遊んでいた。

しかし、罰ゲームとしてブルーのお金でネモが売店で全員分の飲み物を買いに行った筈なのだが、遅い。ネモが買い出しに行ってから既に30分ほど経っている筈だが、ネモが帰ってこない。

 

「遅いな。売店まで歩いて1分もかからないんだけどな」

 

スグリが溜め息を吐きながらそう告げた。飲み物や駄菓子屋が売られている売店……駄菓子屋までは公民館から歩いて1分もかからず、迷うことはほぼ無い。

日が暮れた山は危険がいっぱいだから、スグリは珍しいポケモンに引かれたネモが山に入って遭難したのでは?と心配する。だが、冷静に考えてほしい……ネモはパルデアチャンピオンランク保有者で、めちゃくちゃ強い。キタカミで遭難はあり得ないし、迷子に成っても飛行出来るポケモンで空に飛んで戻ってくるだろう。だとすれば……

 

「キタカミの強いトレーナーや、リンドウ博士にバトルを挑みに行ったんじゃないかな?」

「ネモちゃんなら有り得るね。日頃からバトル、バトルって言ってるもん!」

 

しかし、バトルジャンキー ネモのことをよく知るバイオレットとアンナからすれば別の理由だった。ネモはバトルジャンキーであり、キタカミの里では鬼面集を含めた強いトレーナーも多く、彼らにバトルを挑んでいる可能性が高いのだ。

 

「だとすればキタカミセンターか。ちょっと見てくるよ」

「じゃあ、僕も行こう」

「ホワイトさんが行くなら私も行きますね」

 

ここまで遅いなら呼びに行くしか有るまい。腕が立ち、キタカミの地理に詳しいスグリとホワイト、同じく2人の事をしるタロが立候補した。

ホワイトの実力は特級だし、スグリはポケモンスケールではホワイトの次に強いし、タロの強さはブルベリ四天王だったから問題はない。

 

「じゃあ、お願いね。私はここで皆を纏めとくわ」

 

眠たそうなリーフを抱っこするブルーがそう告げる。ホワイト達はもう個別で動いても大丈夫だし、一応ポケモンの世界では15歳から様々な運転免許(タケシは色々やった)はとれるから問題はない。

 

「スグリが行くからネリネも行きましょう!!」

「いや、俺達は地理に詳しくないから、お留守番ちゃんまたは近所でネモの探索ちゃんだな」

 

ネリネも行きたかったが、ペパーに停められた。

パルデア組とブルー、リコとロイがお留守番or近所での探索。そしてホワイト達3人がネモの探索と決まった。

 

 

「あれ?こんなに静かだっけ?」

「おかしいな……人気がないな……」

「昼間と比べて随分と静かですね」

 

公民館の外に出たホワイト、タロ、そして夏油スグリ。今はオモテ祭りのシーズンであり、夜中でも人気はある筈だ。だが、人気は少なく、町には誰もあるいていない。

 

「いくら娯楽がパチンコ、銭湯、サウナ、イオン位しかないけど……今は祭りシーズンだ」

 

あまりの静けさに不気味さを感じる3人。そんなときであった、キタカミセンターに向かう道の向こうにネモらしき人影を見てしまう。

 

「今、ネモさん?」

「うん、ネモだね?」

「多分、ネモさんだね」

 

ネモがキタカミセンターに向かうなら、ホワイト達もキタカミセンターに向かうだけだ。

 

だが、この3人は知らない。これからホラゲー真っ青の恐怖体験が待っていることを。

 

歩いてキタカミセンターに向かうが、不自然と道中で誰ともすれ違わず……本来なら人気でいっぱいの筈なのに、誰もいない。今ではオモテ祭りで沢山の人々が行き来してる筈だが、誰もいない……それどころか祭りの賑わいの声も聞こえてこない。

 

「あれ?スグリのお爺ちゃんじゃん」

「本当ですね」

「爺ちゃん?」

 

キタカミセンターへの敷地内に入る鳥居の前、そこではスグリのお爺ちゃん……ユキノシタが立っていたのだ。

 

「ホワイトくん、タロさん、それにスグリ。こんな所で何をしているのだ?」

「実はかくかくしかじかで」

「そうか……その子は見てないな……」

 

ユキノシタはネモを見ていないそうだ。だとすると、ネモは途中からライドポケモンに乗り換えて何処かに行ったのだろうか?

 

「それで、爺ちゃんはなんでここに?」

「ゼイユの好きな焼き蕎麦を買いに来たんだ。あのこも好きな物を食べれば元に戻るかもしれんしな」

 

ゼイユは焼き蕎麦が大好きだ。特にオモテ祭りの焼き蕎麦は絶品であり、ゼイユはそれが大好きだ。そんなゼイユも好きな焼き蕎麦を食べれば元通りの元気になるのかも知れない……ユキノシタはゼイユの為に焼き蕎麦を買いに来たのだ。

 

「しかし、屋台に誰も居なくての……今から帰ろうとしてたのだ」

 

だが、お祭りの屋台に本来なら居る筈の店員は居らず、ユキノシタはこのまま帰ろうと思っていたのだ。

 

「爺さん、爺さん……お餅はいかが?」

 

その時だった。キタカミセンターの階段を降りてきたスグリの婆ちゃん……ヒエが現れた。だが、ヒエの瞳は紫色に成っており、紫色のオーラを放ってる。しかも、その両手には紫色のお餅……昼間にリンドウとホワイト、そしてギエピーが食べたお餅が沢山持たれていたのだったのだ。

 

「婆さん!?何処に行っていた!?」

「お餅をお食べ、キビキビキビィー!!」

 

その瞬間、ヒエはユキノシタの口を強引に開けて……お餅を押し込んだ。

 

「むごむご!?」

「キビキビ!!」

 

指で強引にお餅を押し込んで、ユキノシタの胃に落とされたお餅。

 

「うぐぐ!?」

「爺ちゃん!?」

 

ユキノシタは突如として胸を押さえて苦しみだした。世間ではお餅が喉につまり、老人や幼児が窒息してしまう事件が多い。スグリは祖父に最悪の事が起きたのでは?と思ってしまうが、直ぐにユキノシタは元気に成った……だが。

 

「キビキビ!!キビィー!!」

「爺ちゃん!?」

「スグリのお爺さんがバグった!?」

 

ゼイユと同じく、キビキビと叫んで謎のダンスを踊り出したのだ。

 

「と言うことは……もしかしてゼイユ先輩はお餅を食べて可笑しくなった!?」

「てっ事だよね!?爺ちゃんもお餅を食べて可笑しくなったし!!」

 

お餅を食べる=キビキビと異変が起きる。目の前で起きた事から、そのことを理解したスグリ、タロであったが……皆さん思い出してほしい。2話前、時間軸では昼過ぎ……

 

「あの……僕、お昼にあのお餅食べたんだけど」

 

冷や汗たらたら流してホワイトが苦笑いを浮かべた。そう、ホワイトはリンドウとギエピーと共に、今ユキノシタがヒエから食べさせられたお餅を食べてしまったのだ。

 

「ホワイトさんはなんともないんですか!?」

「いや、なんともないんだけど……」

「古代イッシュ人って肉体が頑丈なの!?いや、リンドウ先生もなんともなかったし……」

 

どうしてホワイトとリンドウ、あとはギエピーだけ平気なのかは分からない。だが、考える時間はない、何故なら……

 

「キビキビ!!」

「キビキビ!!」

 

ユキノシタとヒエはポケモンを出して、ホワイト達に襲いかかってきた。

ユキノシタはアーボック、ヒエはシャンデラを繰り出したのだ。

 

「爺ちゃん!?婆ちゃん!?どうしたの!?

仕方がない、爺ちゃんと婆ちゃんは凄腕のトレーナーだよ!!気を付けて……へ?」

 

スグリとゼイユの祖父母は凄腕のトレーナーであり、めちゃくちゃ強いとの事だ。だが、スグリがそう告げた瞬間……

 

「アギャッシャー!!」

「しゃんでらぁぁあ!?」

 

コライドン=ドモン・アギャッスの地震パンチがシャンデラの顔面に叩き込まれ、一撃でシャンデラを粉砕した。

 

「ドリュウ!!」

「アボー!?」

 

タロのドリュウズが十万馬力をアーボックの腹部に、飛び蹴りを喰らわせるように叩き込み、一撃でアーボックを粉砕した。

 

「「よし」」

「この2人、人の祖父母を手加減なしで粉砕したよ!?」

 

ユキノシタとヒエ、ホワイトとタロの手で粉砕された。

 

「キビキビ……」

「キビキビ……」

 

倒されたユキノシタとヒエは意気消沈した……だが、キタカミセンターの上から

 

「「キビキビ!!」」

「「キビキビ!!」」

「キビキビキビキビ!!キータカミカミ!!」

 

管理人さんを筆頭に、大勢の人々が「キビキビ」と声を出しながら走ってきたのだ。

 

「うおお!?」

「うわ!?」

「ひっ!?」

 

それだけではない……

 

「ヘラグゥゥゥロォオオオ!」

 

ズガシャァァァン!!と大きな音が響き、へラクロスを古代ウルガモス(チヲハウハネ)のように恐竜的進化を遂げさせて3メートル程に巨大に成ったポケモンが現れたのだ。

 

 

「「「なんじゃこりゃぁぁあ!!」」」

 

ホワイトは咄嗟にポケモン図鑑(XY仕様)を取り出してへラクロス?をスキャンする。すると、データ上ではへラクロスと出てきた。と言うことは……なんからの手段でへラクロスがパワーアップしたのだろう。

だが、へラクロスのメガシンカは別にあるし、だとするとへラクロスがゲンシカイキなどの別のパワーアップを受けたと言うのだ。

オーリム博士曰くだが、古生代ペルム期の酸素濃度はめちゃくちゃ高く、現代より酸素濃度が高かったジュラ紀より酸素濃度が高い。その為に、虫タイプが大きくなりやすいのだ。

ゲンシカイキをしたへラクロス(推定種族値600)+キビキビした町民軍団。その全てを同時に相手する余裕はホワイト達にはない。ならば、やる事は1つだ。

 

「こうなったら……」

 

コライドンが完全形態から制限形態に変化し、ホワイトとタロが跨がる。

スグリもミライドンをボールから出して、ミライドンに跨がった。

 

「逃げるんだよぉおお!!」

 

そこから全速力で撤退した。

 

 

 

 

「ネモ居ないわね……」

 

一方のブルー達。ブルー達は売店の前でネモを探していたが、一向に見つからない。だが、その前に妙な事を目撃したのだ。

 

「なあ、ボタン。本当に居たの?」

「本当だし!!なんか、見たことがない未確認飛行物体が飛んでたし!!」

 

ボタンが未確認飛行物体を目撃したのだ。なんでもまるっこく、桃色だったとか。

 

「ほらほら、喧嘩しない喧嘩しない。あら?ホワイト達が帰って……「ブルーママ!!緊急事態だよ!!緊急事態!!キュレムの使用許可がいる!!今すぐ、アローラのブレイブアサギ号からキュレムを呼ぶよ!!」どうしたのよ?」

 

コライドンはドリフトブレーク(通称 金田バイクスライドブレーキ)で停まり、ミライドンは急制動で停まった。

 

「キビキビパニック!!」

「「「キビキビパニック?」」」

「町の人達がバイオハザードみたいに!!」

「「「バイオハザード!?」」」

「爺ちゃんと婆ちゃんもやられたよ。それにゲンシカイキの野生ポケモンまで現れたんだ」

「「「ゲンシカイキ!?」」」

 

キビキビパニック、バイオハザード、ゲンシカイキ、色んな単語で告げられてブルー達は困惑するが……その時だった。

 

「皆さん!!あそこ!!」

 

リコが何かを発見した。売店の上に、何かが飛んでいた。それは桃を反対にしたような、未確認飛行物体であった。

 

「UFO!?」

「いや……あれはポケモン?」

 

その瞬間、その未確認飛行物体が2つに割れた。2つは殻のようであり、浮いており、中には桃太郎を人魂にしたような物が入っている……間違いないポケモンだ。

 

「モモモモワーイ!!」

 

その瞬間、殻から沢山の餅が解き放たれた。その餅はユキノシタがヒエの手で食べさせられ、身体に異変が出た餅そのものである。

 

「ぽにおーーん!!」

 

ホワイトのボールが勝手に開き、オーガポンが岩戸のお面を被って飛び出した。オーガポンはリコとロイ、ブルーに迫ってたお餅を弾き飛ばした。

 

「あぶな!?」

 

スグリはお餅を回避し、ホワイトも回避した。タロはお餅が危ない物だと理解してるので、おもいっきり口を閉じて防いだ。しかし……

 

「おっ、うまいな!!」

「甘くておいしー!!」

「けっこういける!!」

「程よい甘さだし」

「美味です」

 

上からバイオレット、アンナ、ペパーパイセン、ボタン、ネリネはお餅を食べてしまったのだ。その瞬間……

 

「「「キビキビ!!」」」

「「「えっ?えぇぇぇぇーーー!!」」」

 

彼らはキビキビに染まった。

 

「「キビキビ!!」」

 

アンナとバイオレットは普通のキビキビ

 

「きっキビ」

 

ペパーは恥ずかしいのか、堅苦しいキビキビ。お陰で大胸筋アピールに見える。

 

「うぉぉおおおおおおおおおお!!キビィー!!キヴィィビィィィブイ!!」

 

ボタンは超アグレッシブ!!

 

「スグリィィイィイ!!スキィィィイ!キビビィ!!サインキビビィ!!」

 

ネリネは何処から持ってきたのか、婚姻届を振りかざしながらキビキビ。

 

「モモモモワーイ!!フハハハハ!!我が傀儡は集まった!!さあ、鬼よ!!このモモタロウに仮面を寄越せ!!」

「がぁぁおおお!!ポニィィイ!!」

「「その声は…………昔、ギエピーを操っていたピーチドン!?」」

 

勝ち誇ったように笑う桃色の未確認飛行物体……いや、ピーチドン。だが、そのピーチドンの顔面にコライドンの地震パンチが叩き込まれた。

 

「ぐぅぅぁあ!!己!!一時撤退だ!!」

 

ピーチドンは操り人形に変えたペパー達の手を借りて、一時撤退した。

だが、リンドウがホワイトと合流したときには、ブルーはペパーとボタンに追われていたから、その頃には復活したのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てっ事があったんだ」

「大変だったな」

 

ホワイトからの報告を聞いて、リンドウはどことなく納得した。




次回……遂に反撃開始!!

リンドウ「停めれるものなら、停めてみろ!!」
ホワイト「おりゃぁぁぁあ!!」

ピーチドン「こいやぁ!!こちとら、傀儡に変えたパルデアチャンピオン、元ガラルチャンピオン、そして元ガラルチャンピオンから奪った宝石でゲンシカイキさせた強力なポケモン達よ!!仮面を奪うのだ!!」


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キビキビパニック ピーチドン終了のお知らせ

キビキビパニック、終了!!


「情報を整理すんぞ」

「ところで、リンドウパパ。ペパーぱいせんどうするの?」

「まだ捕まえておけ」

「きっキビ……」

 

ピーチドン率いる操られた町民+操られてゲンシカイキさせられた野生のポケモン達から身を隠しながら、リンドウ達は情報を整理していた。リンドウ達の側ではブルー、リコとロイを追いかけていたペパーを捕虜として捕えており、ペパーはまだ正気に戻っておらず……恥ずかしげにキビキビと大胸筋アピールに見えるキビキビダンスを踊っている。

 

「先ず1つ。ともっこの親玉に餅を食べさせられた奴は基本的に正気を失って操り人形にされてしまう。ただし、どういう訳か俺、ホワイト、ギエピーは操られない」

「これに関しては、僕は心当たりがあるっピ」

 

ピーチドンが放つお餅を食べさせられたor食べた人間やポケモンは正気を失い、ピーチドンの操り人形にされてしまう。

だが、どういう訳かリンドウとホワイト、ギエピーは操られない。リンドウとホワイトが操られない意味は分からないが、ギエピーは自分自身が操られない心当たりがあるという。

 

「僕は林間学校のとき、あのピーチドンに肉体を乗っ取られたッピ。そのとき、多分だけどあいつの毒素の耐性がついたっピ」

「なる程な。しかし、俺とホワイトはなんで無事だ?林間学校では餅を食べてないし……なにか別方法で耐性でもついたのか?」

「僕も心当たりがないよ?」

 

ギエピーは耐性がついていて正気を失わずに済み、ピーチドンのお餅はただの甘くて美味しいお餅になった。

だが、ホワイトとリンドウはどうして無事だったのだろうか?2人は林間学校のときはもちろん洗脳を受けてないので耐性はついていない。

ギエピーのように耐性がついて無事になるなら、理由は1つ。ピーチドンの毒素よりもっと危険で危ない物を身体に長期的に取り込み続け、それでそれ以下の毒素に対して抗体が出来てしまったという事だろう。

 

「「あっ……」」

 

それで心当たりが出来たのか、リンドウとホワイトはゆっくりとブルーの方をみる。ピーチドンの毒素より危ない毒物など、この世に恐らくだが2つしか存在しない。それは日頃から夫と息子の制止空しく作り続けるブルーの手作り料理こと……ダークマターである。

 

「「あのダークマターか!!」」

「ちょっと、そんな分けないでしょ!!」

「いや、有り得ますよ!!だってホワイトさんとお義さ……げふんげふん!!リンドウ先生がお餅を食べたのに無事なら、それしかありません!!だって、あれ、ものすっごく不味いんです!!」

「タロ!!お姉さん泣いちゃうからストレートに言わないでよ!!」

 

だが、一度……ブルーのダークマターを食べたことがあるタロがどストレートに告げる。そう、ブルーのダークマターは物凄く不味く、悲しいことに食べ慣れてしまったリンドウとホワイト以外は意識を手放すほどなのだ。

どれぐらい不味いのかと言うと、先ず失敗することは有り得ない焼き蕎麦でも意識を手放すぐらい不味く作ることが出来る。病院に運んでも、科学的毒素?は検知されず、食中毒の病原菌も検知されず、原因不明のダメージと成るのだ。

 

「よし、確かめましょう!!ペパーさんに、ブルーさんの手料理を食べさせたら元に戻るかもしれません!!」

「リコまで!?」

 

もし、ダークマター料理が理由なら……ダークマターのダメージで毒素が裏返り、ダークマターを食べると元に戻るかもしれない。リコの言葉に、ブルー以外の全員が頷いた。

 

 

「食材ならあるッピ!!ピオニー隊長のリュックからこぼれ落ちていた食材を使うっピ!火を通せば問題ないっピ!!」

 

ギエピーはピオニー隊長(まだとぅわぁぁんと成ってる)からパクったベーコンをブルーに手渡した。調理器具からペパーのバックパックに有るから、それを使えば料理は出来る。

 

「あのね……私を嘗めすぎでしょ?ベーコンぐらい美味しく焼けるわ」

 

ブルーは大きく溜め息を吐きながら、ムスッとしてフライパンを構えて調理に取りかかる。だが、普通にベーコンを焼いた筈のだが……

 

「あれ?おかしいわね」

「「「やっぱりだー!!」」」

 

おめでとう!!ベーコンはダークマターに進化した!!

 

そして出来立てほやほやのダークマターを……

 

「オラー!!」

「キビ!?」

「「「口にぶちこんだ!?」」」

 

ギエピーがペパーの口の中にぶちこむ。その結果、ペパーは白目を向いて、口から泡を吹いて倒れた。ダークマターの想像以上の破壊力に、ダークマターを食べたことがないリコとロイ、スグリは唖然とするが……

 

「あの……リンドウ先生、ホワイトさん?」

「ホワイトさん……これ、ペパーさん大丈夫なの?」

「ホワイト、リンドウ先生、これ……死んでません?」

 

「「死にはしない(よ)」」

「「「でも絶大なダメージ受けてるから!!一撃必殺だから!!」」」

 

待つこと数秒、ペパーは目を開いて起きた。目の色も紫から元に戻っており……

 

「はっ!?俺はいったい……」

 

これにより、毒餅<ブルーのダークマター<シロナさんのネオダークマターという方程式が成り立ってしまった。

 

「まあ、かくかくしかじかでな」

 

リンドウ達は正気に戻ったペパーに状況を一通りに説明する。

 

「そうだったのか……それじゃあ、あれはやっぱりポケモンちゃんか」

「そう。ところでぱいせん、なんかゲンシカイキしてる野生のポケモンが居たけど……なにか知らない?」

 

ホワイトは続いて、ゲンシカイキをしている野生のポケモンのことをペパーに告げた。

ゲンシカイキはポケモンの内なるDNAに刻まれた太古の情報が活性化し、表に出てきてポケモンがパワーアップするメガシンカとは別の強化形態である。特性でゲンシカイキに近いことをしているイルカマン以外は、特別なアイテムが必要であり……それはカイオーガやグラードンもそれである。だが、ネモが証明したように……イッシュで発見されたアイテムを使うことで他のポケモンもゲンシカイキor未来のパワーアップが出来るようになった……十中八九、海底に沈み未来と古代が混ざった特異点と変貌したブルベリが関わっていると思われるが。

 

「そういや、ボタンのお父さん……ボタパパが俺達へのお土産で沢山用意したって言ってたな……」

 

だが、ここでペパーが新しい証言を告げた。ボタパパことピオニーが、娘とその友人のためにゲンシカイキの宝石をイッシュ地方から用意して、それをボタン達のお土産として用意したとのこと。

 

「おっさんかーい!!ゲンシカイキポケモンが出てきた原因!」

 

リンドウは「とぅわわわーん」と洗脳状態にあるピオニー隊長の方を向いてそう告げた。

そう、ピオニー隊長はボタンやバイオレット達に、真っ先にゲンシカイキの宝石を渡したくて……キタカミの里にやって来たのは良かったが、ピーチドンの魔の手にかかり……洗脳されて行動不能。そこから推測だが、鞄を荒らされて……ゲンシカイキをするアイテムが流失してしまったのだ。

 

「とりあえず、このサンプルはホワイト、お前が持っとけ。俺が持っててうっかり……グラードンをゲンシカイキさせたら地球が終わるから」

「おーけー!」

 

多分だが、この宝石は爆乳テラパゴスバカこと、ブライア博士がテラパゴスをテラスタルさせて力を暴走させてしまい、誕生した特異点(未来+古代)が関わってるのだろう。特異点となったブルベリはきっと、深海で未知の生態系を構築してると思われ、そこから出てきた宝石が海流にのってイッシュの海岸に流れ着く。

リンドウがうっかりグラードンをゲンシカイキさせると地球が終わるので、リンドウは一先ずホワイトにその宝石を手渡した。

 

「とりあえず、リザードンに持たせよ!」

 

フラグ回収の目処が立ってしまったようだ。

 

「で?作戦はどうするの?」

「プラン、晴れパ情けなしだ!!」

「おーけー!!リンドウパパ!!情けなしだね!!」

 

 

 

 

 

 

ともっこ広場。そこではピーチドンが洗脳した全ての手下を集めており、ホワイト達をフルボッコにしてオーガポンのお面を奪い取る準備を進めていた。

 

「モモモモワーイ!!準備は万端だ!!」

 

ゲンシカイキさせたポケモン数体、ペパー以外の町民の皆様を集め、ホワイト達を倒す準備はバッチリだ。

ピーチドンは明治時代……実はシンオウ地方(当時はヒスイ地方)で開拓民としてやって来た老夫婦の所で暮らしていた。ギンガ団(明治)がヒスイを開拓し、とある目的の為に明治時代にミワセウスの手でタイムスリップしたホワイトが大暴れしていたが……ピーチドンは老夫婦の所で幸せだった。ホワイトが令和に帰ってから、老夫婦からキタカミのお面が欲しいと頼まれて……ピーチドンはともっこを引き連れてオーガポンのお面を奪いにやって来た。だが、ともっこはオーガポンの逆鱗に触れて粉砕され、自分自身はルシアスの手で封印された。

 

「こいよ!!ホワイト!メガコライドン!パルデアチャンピオンを仲間に入れた私の敵ではないわ!」

 

と、その瞬間……

 

「作戦開始!!やれ!!」

「エルデンリィィィィング!!」

 

日差しが強くなり、極太ソーラービームが支配下に置いたトレーナー達の手持ちを粉砕する!!

 

「エルデンリィィィィング!!ンンンンゥゥンン!キマっ!!」

 

更に解き放たれる極太ソーラービーム!!次々と配下が倒され、煙が晴れると……

 

「決着の時間だ」

 

「覚悟はおーけー!?僕たちはおーけー!!」

 

リンドウとホワイトの最強親子、ここに降臨!!

 

「ぐらー」

「キマっ!!」

 

グラードンがキマワリを持ち、固定砲台と化したサンパワー+命の玉で太陽神キマワリの弱点である機動力を確保。更にはタロのマホイップが癒しの波動で太陽神の回復+デコレーションでただでさえ異次元の火力を底上げである。

 

これで大体の有象無象はコテンパンに出来る。

 

「きなさいよ!!ボコボコにしてあげるわ!!」

 

「そうですね、お義母さん」

 

ブルーはルナアーラ、メガカメックスを出している。タロはアシレーヌを出している。

 

「さあ、人の家族を良くも道具にしてくれたね……お仕置きの時間だ」

 

夏油スグリ、メガミライドンとカミツオロチを繰り出した。ヤル気マックスである。

 

「ポケモンや人々を操り人形にするなんて、ゆるせません!!テラクラスター!!」

「テラパゴォォー!!」

 

リコ、テラパゴスを繰り出して……リンドウから借りたテラスタルオーブでテラパゴスをステラフォームに進化させて……種族値の暴力で相手を粉砕する。そのとき、流星の雨が降り注いだ。

本当のパートナーが使ってるため、暴走は全くない。

 

「リコに皆!やりすぎだよ!!オーバーキルだよ!」

「やりすぎちゃんだよ!」

 

ロイとペパーぱいせん、ツッコミに回る。

 

「ホワイト、コイツらは俺達が抑える。ピーチドンをヤってこい」

「おーけー!!」

「ぽにおぉぉおお!!」

 

なお、リンドウはレウス(当たり前だがメガシンカ済み)を出しており、ヤル気MAXである。

 

ホワイトはオーガポンを出しており、オーガポンは釜戸のお面を被ってテラスタルしている。本気でオーガポンはピーチドンをヤルつもりである。

 

 

「ムムム!!ネモ!ホワイトを停めろ!!」

 

だが、ピーチドンはネモを差し出した!!

 

「キビキビ勝負!!」

「元に戻らないと、2度とバトルしてあげない!!」

「それは困るよ!!」

「「自力で戻った!?」」

 

ネモ、ホワイトから元に戻らないと2度とバトルしてあげないと告げられて、自力で正気に戻る。

 

「モモモ……だったら、ゲンシカイキさせたジャラランガも!!」

 

続いてピーチドンはゲンシカイキさせたジャラランガを繰り出した。背丈は5メートルを越えており、より恐竜的にマッシブやフォルムと成ったジャラランガ。種族値は700オーバーだと思われ、並みのポケモンではマトモに戦うことが出来ない。

 

「モモモ!!これでお仕舞いだな!!フフフハハハハ!コライドンの戦いかたは既に知っている!!」

「OK。レッツゴー!!リザードン!!」

 

ホワイトはリザードン(パラドックスの姿)を繰り出した。その瞬間、ホワイトが半分ノリでリザードンに持たせていたゲンシカイキを起こせる宝石がリザードン(パラドックス)に反応し、リザードンが光に包まれる。光がやむと……

 

「グルゥゥゥガァァア!!」

 

リザードン(パラドックス)こと最後の幻想Ⅹのバハムートから、バハムートⅩが最強の軍神 バハムート零式(最後の幻想Ⅹ風味)とゲンシカイキしたリザードン……リザードン零式が君臨したのだ。

銀色に変化しており、翼は機械化しており、機械の駆動部から青白い炎のブーストが吹き出している。更に背中の方陣は翼の中央に移動しており、計二個と成っていたのだ。

 

「あの……お義父さん、フラグ回収しましたね」

「したな(バハムート零式、まさかのFFⅩ仕様になっとるぅぅぅ)」

 

リザードン零式 推定種族値680!!ゲンシジャラランガ(推定種族値700)とバトルが始まった。

 

「ギエピィィイィィ!!今度はバハムート零式に成ったピ!!」

 

ギエピーが叫ぶが知ったことではない。

 

「モモモ!!ジャラランガ!!げき「リザードン!!グランドスマッシャー!!」なんだと!?」

 

リザードン零式のドラゴンクローがゲンシジャラランガの顔面に炸裂し、ジャラランガはダメージを受ける。ジャラランガが体勢を建て直そうとするが、更にドラゴンクローことグランドスマッシャーを受けて怯んでしまう。

 

「よし!!ブラストバーン!!」

 

リザードン零式が空に飛び上がり、口を大きく開ける。翼の中央にある2つの方陣が高速で回転し、エネルギーを溜めだした。

 

「発射!!」

 

そして口から解き放たれたブラストバーンことテラフレア。テラフレアはサテライトキャノンのように解き放たれ、ともっこ像もろとも、ピーチドンとゲンシジャラランガに絶大なダメージを与えた。

 

「ぐぅぅぅあああ!!」

「じゃらぁぁぁ!?」

 

ともっこ像、再び壊れる!!そしてジャラランガは元に戻り、ピーチドンはなんとか無事であったが……

 

「ぽにぃぃいい!!」

「ぐへぇぇ!?」

 

直ぐ様、オーガポンの蔦こん棒を受けて大ダメージを受けてしまう。

 

「くっ……逃げなければ……はっ!?」

 

逃げようとしたピーチドン。だが、その背後にレウスが回り込んでおり、町民とポケモン達を制圧したリンドウ達がホワイトの隣に立っていたのだ。

 

「ホワイト!!合わせろ!」

「OK!!でろぉぉおお!!コライドン!!」

 

ホワイトはコライドンを繰り出し、同時にメガシンカさせたメガコライドンが降臨した。

 

レウスの右腕に地震エネルギーが集まり、圧縮される。同じく、メガコライドンの右腕に地震エネルギーが圧縮される。

 

「「W地震パンチ!!」」

「もんげぇぇぇぇええーーーーー!!」

 

前後から挟み込むように、放たれたW地震パンチ!!効果は抜群であり、ピーチドンに絶大なダメージを与えてしまった。

 

「まだ終わりじゃないっピ!!コライドン、これを使えっピ!!」

 

ギエピーは更に秘密兵器を取り出した。それは工具と言うには余りにも大きく、正に鉄の塊であった。

 

「僕が作った、鉄血ペンチだっピ!これで一撃必殺だっピ!!」

 

それはギエピーが鋼タイプのポケモンの落とし物で開発した、ガンダムグシオンリベイクフルシティの鉄血ペンチを再現した代物だ。これがあれば、鋼技としてハサミギロチンを撃てるのだ!!

 

「アギャッス」

 

メガコライドンはそれを受け取ると、構えてピーチドンを挟む。そして渾身の力でピーチドンを潰しにかかる!!

 

「わぁぁあ!?私は……こんな所で!?」

 

身動きがとれないピーチドンに、鉄血ペンチのミシミシと潰される恐怖が襲う!

 

「ぽにおー!!」

「ガァァアオォウ!!」

 

更に、右からオーガポン、左からリザードン零式が力を貸して潰す力がアップする。

 

「ぁぁあぁぁあ!!あがぁぁぁうあ!!じいじとばあばにお面をあげたかっただけなのに!!もっと愛して欲しかっただけなのに!!」

「ぽにぉぉぉおおおおお!!(おまえがぁぁぁぁあ!!)」

 

メガコライドン、オーガポン、リザードン零式による鉄血ペンチでのハサミギロチン!!一撃必殺!!

 

「よし、再教育センターに送ろう」

 

ホワイトはプレミアボールで、ピーチドンを捕まえて……再教育センターことオーキド研究所に送った。

 

 

 

翌日……

 

「おおう!!圧政者よ!!」

「イヤァァァァア!!」

 

オーキド研究所では、ミュウツー(マサラの姿)の手で教育されるピーチドンの姿があった。




ホワイト「リンドウパパ、ピーチドンの学名(正式名)どうするの?」
リンドウ「ピーチドンでいっか。どの文献に載ってないしな」←原作知識無しの弊害

モモワロウ「モモワロウって名前が有るんですけどぉぉおおお!!」


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キビキビパニックの後。

一応、キビキビのエピローグ


「リンドウさん。ここでも仕事?」

「ロイ、折角だからホワイト達と遊んでこいよ。忘れない内に、纏めたいからな」

 

キビキビパニックから数日後。スイリョクタウンは元通りの活気を取り戻し、オモテ祭りで盛り上がっていた。

だが、リンドウは目の下に隈が出来ており……カタカタとパソコンで資料を纏めていた。そんなリンドウの側ではオスメス、2体のイダイトウが宙を泳いでおり……リンドウのパソコンを覗き見していたロイを不思議そうに眺めている。

 

「噂のイダイトウの?でもイダイトウでっかいね!!」

「野生ではほぼ絶滅だ。キタカミは日本でも数少ない、バスラオ……白筋の姿が生き残っていて、イダイトウは白筋の姿からしか進化できないからな」

 

このオスメスが異なるイダイトウはリンドウが捕まえた白筋のバスラオがついさっき、進化した姿である。イダイトウは野生では絶滅しており、進化前であるバスラオ(白筋)も数が減少傾向にあり、進化の方法も伝わっていない。

リンドウは明治時代に記された資料をあさり、なんとか進化の方法を見つけ出してイダイトウに進化できたのだ。

 

「あと、ピーチドンのな。完全な新種だし、どこの文献にも載ってなかった」

「結局、ピーチドンに成ったんだ」

 

そしてピーチドン。本来ならモモワロウと語られることになるポケモンであったが、幻のポケモンは文献が残されていないケースが多い。ジラーチやミュウ、マナフィのように資料が残されていればモモワロウに成っていたかも知れないが、残念ながらモモワロウは語り継ぐ文献も名前を記した記録も残っていない。そのため、原作知識が剣盾初期で終わったリンドウが発表したため『ピーチドン』と図鑑に記される事となったのだ。

 

「支配ポケモンのピーチドン。モモンを模した殻から毒性のある餅を精製し、相手に食べさせる。その毒性は感情が大きくなったり、欲深くなり、場合によればピーチドンの支配下に置かれる。そしてピーチドンの特性 どくくぐつにより、毒を受けると混乱状態になる。

図鑑のテキストはこんなもんかな」

 

もし、この場に全ての原作知識を持つ外伝主人公や、SVのダウンロードコンテンツの原作知識を持つ転生者が居れば間違いなく……心のなかでツッコミを入れるだろう。

こうして、モモワロウはモモワロウとして語られることは無くなり……ピーチドンと成るのだった。

 

「リンドウ先生!!助けてくれっ!!」

「リンドウ先生助けて欲しいっし!!」

 

そのとき、公民館の扉が開いて……リンドウに助けを求めるようにペパー、ボタンが入ってくる。その後に続いて、くたびれたスグリとゼイユが続く。

 

「どうしたお前ら?」

「ネモに……バトル挑まれ続けたんだ……もう、この数日で50回以上戦わされ続けて……観光どころじゃない」

 

疲れはて、ソファーに崩れ落ちるように倒れたペパー。

そう、リンドウは調査や仕事があったのでネモにあまり絡まれなかったが、他のメンバーはネモに絡まれまくってバトルの地獄が幕を開けたのだ。

ネモのバトルジャンキーに巻き込まれ、暇が有ればバトルに付き合わされ、バトルバトルバトルバトルバトル、ときには更に3人も巻き添えにマルチバトルバトルバトル!!リコには対テラパゴス(普段は600族)を除いて捕まえたてホヤホヤのポケモンで挑んだりと、完全にヒソカと成り果てたのだ。

 

「私……かれこれ80は越えてるわ」

「姉ちゃん、それは言い過ぎだ」

 

流石の筋肉の化身 夏油スグリの顔にも疲れが見れる。日中はバトルバトルバトルバトル、夜はオモテ祭りで楽しみつつ更にバトルと大変なのだ。

 

「そうか……で?ゼイユ。進路は決まったか?」

 

リンドウはデータを保存して、パソコンを閉じてゼイユに問いかける。ゼイユはまだ休学中であり、グレープアカデミーorメレメレ島ポケモンスクールあるいはセキエイ学園に転校するのかをまだ決めてなかった。

 

「はい。私はグレープアカデミーに行くわ。スグやタロが居るし、そして貴方の教えを受けてみたいけど……改めてテラスタルの事を学びたくて」

「そうか。それで良いさ」

 

ゼイユは進路をグレープアカデミーに決めたようだ。グレープアカデミーの教師たちも良い人が多いし、クラベル学長、ジニア先生、ウォロを含めたバトルの腕や人格も揃った人が居るし……良いだろう。

 

 

 

「ボタパパ!!チャンピオンなんでしょ?強いんでしょ!!やろうよ!!」

「チャンピオンならホワイトの坊主が居るだろ!!」

「ホワイトとはさっきやったの!!ボタパパやろうよ!!」

 

公民館の前ではピオニー隊長がネモから追いかけられており、その様子をホワイト達は眺めていた。

 

「ねえ、バイオレット。ネモっていっつもあんなの?」

「大体な……それに今回はお前が居るし、リンドウ先生やボタパパも居るからかな?」

 

「アンナちゃんのポケモンも可愛いですね!!」

「タロちゃんのポケモンも可愛いよ!!」

 

ホワイトとバイオレット、タロとアンナは連絡先を交換した。

 

「そうだ!!ネモ!!おじさんが強いやつ紹介してやる!!ガラルチャンピオンの息子で、ゼクロムをパートナーにしてるから飛んでこれるぞ!!」

 

ピオニーはそう叫び、スマホロトムでとある人物に連絡を入れる。その人物はラクツであった。

 

 

 

パルデア ハッコウシティ。

 

「悪いな、おっさん。転入準備とジム巡りで諦めろ」

『ラクツ坊!?』

 

ラクツはピオニーからの電話を一方的に切り、前を見る。ラクツの前では唖然としているナンジャモちゃん(29歳、外見年齢変わらず)が立っており……バトルの真っ最中であった。

 

「さあ、続きだ。フシギバナ……ゲンシカイキ」

「ホワイトきゅんの声をクールガイにした双子ですか!?ボク、大ピンチなんだけど!!」

 

ラクツの手首にはメガバンクル、ダイマックスバンドが装備されていた。

 

ラクツのパルデアでの手持ち。

ミライドン(メガミライドン)

フシギバナ(任意でゲンシカイキorキョダイマックス)

ダイケンキ(悪テラス)

ケルディオ(水テラス)

ゲノセクト(岩テラス)

未来コバルオン(鋼テラス)

 

控え ゼクロム、未来テラキオン、未来ビリジオン、ラウドボーン、ドラパルト




ラクツはダンデパパやホップおじと戦うときは、ゼクロムを使いムゲンダイナVSザマゼンタVSゼクロムが勃発するとか

リコロイのアニメがパルデア留学ですか……ここでなら絶対魔境になる(笑)


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ライジングボルテッカーズはガラルへ

ガラルに到着


時は流れて数日後。ブレイブアサギ号はアローラを出発し、ガラル地方に到着した。

 

「ガラル地方か。校外合宿で行ったときだけだったな……」

 

展望室から海の向こうに見える島国、リアルイギリスことガラル地方を眺めるホワイト。

ガラルには有力なトレーナーが多く居ると言われており、ガラル地方はバトルを興行として力を居れている程なのだ。ガラルリーグの敷居は高く、ガラルリーグは推薦されたトレーナーしか参加することは出来ないのだ。ジムリーダーも多く居ており、ジムリーダーはポケモンのタイプの数だけ……つまり18人存在しているのだ。だが、ガラルリーグのジムにはマイナーとメジャーがあり、上位成績9名のジムリーダーがメジャーとなって、下位成績9名がマイナー落ちと成るのだ。つまり、ゲーム剣盾で出てこないタイプのジムリーダーはマイナー落ちしているという訳である。

 

「強いトレーナーが多いんだっけ?楽しみだね、ホワイト」

「パパも言ってましたよ!ガラルのトレーナーは日本のトレーナーに匹敵するって」

 

そんなホワイトに2人の人物が声をかけてきた。その人物は新たにインターンとして、ライジングボルテッカーズに所属した夏油スグリ、タロであった。2人もホワイトと同じく、インターンで色んな経験を積むために乗船したのだ。

とはいっても、スグリとタロはホワイトと違ってカリキュラムは全部終わってないので……定期的にリンドウにレポート提出及びオンラインで授業参加が決定しているが。

 

「ブイブーイ!」

「プラ!!」

「マイ!!」

「オターチ」

 

なお、そんな3人の後ろでは各々のマスコットポケモン(戦力は超一級)である相棒イーブイ、プラスルとマイナン、オオタチが遊んでいる。

 

『ピンポンパンポーン!ホワイト、スグリ、タロの3人は大至急会議室に来なさい。これからの方針を話し合うわね』

 

オリオから呼び出しが入り、ホワイト達3人はブレイブアサギ号の会議室に向かった。

 

ブレイブアサギ号の会議室。そこではホワイト達を除いたメンバー全員が集まっていた。窓から顔だけを入れたキュレムを含めて、ギエピー、フリード、キャプテンピカチュウことキャップ、マードック、ランドウ、オリオ、モリー、そして子供組であるリコとロイもいる……とは言え、ドットはまだ引きこもってるようだ。

 

「来たな。今からガラルに居るリコのお婆さんに会いに行くんだが………2組に別れて移動する」

 

フリードが告げる。リコのペンダント改めテラパゴスの事もあり、エクスプローラーズに狙われている。特にエクスプローラーズには敵対者でありながら、カタギには手を出さないしポケモンにも愛情を注いでいるアメジオ御一行は良いが……スピネル(ギエピー被害者)のように手段を選ばない悪人も居るのだ。

 

「先ずは俺、ホワイト、スグリ、タロ、リコとロイで陸路で移動する。電車を使ったり、コライドンやミライドン、レンタカーとかを使って移動だ。

陸路を移動すれば相手も此方を捉えにくい。対してブレイブアサギ号は悪い意味でも目立つからな……こっちはキュレムに護衛を頼んでるから、迂回して後で合流だ」

 

ブレイブアサギ号は悪い意味で目立ってしまう。空を飛んでいくので、最短距離で進めるが目立つので狙ってくださいと言っているような物だ。そこでブレイブアサギ号側は迂回しつつ、後で合流である。

 

「置いていって、全員で陸路で行くかと思ったけど」

「光学迷彩で隠れようかと思ったが、スピネルのやつが傭兵雇って襲撃してきただろ?

エクスプローラーズがアメジオ達のように、芯のある奴らならそうしたけど……全員がそうじゃない。手段を選ばない奴らが居るし、悪名高い事をしてる奴らも居るしな」

 

置いていったら破壊される恐れもあるので、ブレイブアサギ号は迂回である。まあ、キュレムが居るから襲撃者はお察しである。

 

「残念なお知らせだけど、今日は電車は運休してるみたいね。最短で行くなら、危険なワイルドエリアを突っ切るしかないみたいね」

 

端末を見ながら、オリオが告げる。今日は電車が運休であり、リコのお婆さんが居ると思われる場所、古城が多くあるシュートシティに行くためには危険なワイルドエリアを突っ切る他は無いのだ。

ワイルドエリアは天候が時間単位で急変し、ダイマックスしてるポケモンも歩いていたり、レベルの高いポケモンが沢山居る魔境であり、腕試しや修行としてトレーナーの皆さんが頑張っている所でもある。早い話、トレーナー初心者のリコとロイには危ない所なのだ。

 

「ワイルドエリアか……ホワイトとスグリなら問題ないけど、あそこは天候が急変するし、気温も時間単位で30度前後からマイナス5度ぐらいまで急に変わると言われてる。

一気に突っ切るほかないな」

 

ワイルドエリアは天候や気温が急変する試される大地でもある。天候はまだ良いが、天候と共に気温が猛暑~極寒まで変化するところであり、身体の弱い人なら気温の変化で体調を崩しやすい所でもあるのだ。

 

「オーケー!!じゃあ、すぐに出発しよう!!」

 

時間がもったいない。今すぐに出発して、リコのお婆さんの所に向かった方が良いだろう。

 

 

だったのだが……

 

「おかしいな?なんで車輪が空回りしてるんだい?」

 

外に出て、陸路チームは早速……リコのお婆さんの所に向かおうとした。だが、スグリ、フリード、ロイが乗っているスグリのミライドンのタイヤが空回りして前に全然進めないのだ。

 

「どうしたの?」

 

少し前に進んだコライドンに乗ったホワイト、タロ、リコがスグリ達を見る。良く見ると、ミライドンは前輪が浮いており、後輪が軽く地面にめり込んでおり……そこには

 

「スグリ。もっとアクセルをひねるっピ」

「アクセルなんてないよ…………おまえかーい!!」

 

ギエピーが乗っており、ギエピーの重さでコライドンが後ろに傾いて進めずに居たのだ。

 

「アギャッス」

「コライドン?」

 

コライドンはホワイト、タロ、リコを降ろすと完全形態にフォルムチェンジして……ギエピーの頭を掴む。

 

「アギャッス」

「えっ?シュートシティか?あっちだぞ?」

 

フリードがシュートシティの方向と……だいたいの距離をコライドンに説明すると、コライドンはギエピーを振り上げる。

 

「やめろっピ!!」

「アギャッシャァァァア!!」

 

そしてギエピーをシュートシティ近辺に向けて、渾身の力でぶん投げてギエピーは遥か彼方に飛んでいった。

 

こうして、ライジングボルテッカーズのガラルでの冒険が始まった。




カプさん「僕の出番は!?」
ギエピー「あるから心配すんなっピ」
ガラルファイアー「スタンバってました」

サンゴちゃん、フルボッコまでのカウントダウン……開始!


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W2+リコロイ編の独自設定の説明と主要人物紹介

リコロイ編の設定です


ミライドンとコライドン。

ゲームではパッケージ伝説であり、種族値は禁止伝説のポケモン。リンドウ編から読んでいる皆さんはご存知だが、ミライドンとコライドンは蓋を開ければただのパラドックスポケモン、モトトカゲの未来と古代の姿であり……此処では600族扱いとしてしている。600族扱いなので、変わらずの石を持たせれば繁殖も出来るので、パルデア地方やリンドウの研究所ではミライドンが少数繁殖しているとか。コライドンも化石ポケモンでもあり、化石が見付かれば復活が可能だが……原作設定通りプテラのように狂暴な個体が多く、ライド可能なコライドンは少ない。あと、メガシンカ可能。

 

ゲンシカイキ。

アルファサファイアとオメガルビーから出てきた強化システム。此処では後述のブルベリ崩壊事件から、イッシュ地方の海岸に流れ着く宝石のアイテムをポケモンに装備させる事で、グラードンやカイオーガと同じくゲンシカイキor未来の姿に進化させることが可能。ゲームでは場に出た瞬間にゲンシカイキしていたので、此処ではアイテムを装備すれば、ポケモンの意思だけでゲンシカイキが出来るとしている。

 

オリジナルリージョンフォーム

様々な地方あるし、エリアゼロのようにジュラ紀からの気候を保つ場所があるなら様々なリージョンフォームがあるとしているので、原作ゲームには出てこないオリジナルのリージョンフォームのポケモンが沢山出てます。

例えるならホワイトのシンオウ(ヒスイ)メガニウム、カメックス(エリアゼロ)、リザードン(パラドックス)等々。

 

オリジナルメガシンカ。

不遇ポケモン救済+αとして様々なメガシンカポケモンがこれからも登場予定。

 

ブルーベリー学園

学校の皮を被った研究機関。海の藻屑に変わり、一般ポケモンのゲンシカイキ解禁のアイテムが爆誕することに。海底に沈んだが、噂では海底で未来と古代が混ざった特異点を産み出してるとか。

以降、ゲンシカイキのアイテムが海岸に流れ着き、イッシュ地方で自然発生のテラスタルが確認されたとか。

 

 

主要人物紹介

 

ホワイト(15歳) 戦闘力特級。

養父母 キュレム+リンドウとブルー夫妻。戸籍上の母親シロナさん。実母 初代レシラムのパートナー、実父 ハルモニア王。

ブラックホワイト2の主人公。並行世界出身であり、赤子の時にこの世界にウルトラホールを通って流れ着いた。リコロイ編からの主人公であり、自由人。ただでさえ、素質オバケがリンドウ夫妻の英才教育のお陰か、バグキャラに成ってしまった。現在はライジングボルテッカーズの所でインターンに励んでいる。

手持ち 相棒イーブイ、コライドン(メガコライドン)、色違いカイロスさんが確定メンバー。入れ替えメンバーがミロカロス(キズナ進化可能)、カメックス(エリアゼロの姿)、マスカーニャ、オーガポン、シンオウメガニウム、シンオウ(ヒスイ)ウォーグル、アーマーガア(夢特性)、太陽神キマワリ、リザードン(パラドックスの姿、ゲンシカイキ)等々。あと保護者としてキュレムオリジンが居る。

 

スグリ(15歳) 戦闘力特級。

身長180センチ!!体重筋肉で90キロオーバー!!

林間学校でアローラに渡り、ククイ博士と共に筋トレを頑張り、サオリ先生から武術を学んだ結果……リアル夏油スグリ(闇落ち前)となったスグリ。ホワイトと共にインターンでライジングボルテッカーズに参加、強い。

手持ち オオタチ、メガヤンマ、ウーラオス(連撃)、ガオガエン、ミライドン(拳で捕まえた)、カミツオロチ。控えメンバー アローラゴローニャ、メタグロス。

 

タロ(15歳) 戦闘力一級→特級

ブルベリ崩壊事件を得て、アローラのポケモンスクールに転校した女の子。フェアリータイプの使い手であり、可愛いポケモンが大好き。ヤーコンさんの娘であり、社長令嬢でもある。ライドポケモンは持たず、ホワイトの後ろに乗せて貰ってる。

 

ギエピー ギャグポケモン。

説明不要のギャグポケモン。レッドがライジングボルテッカーズの道を案じて、派遣したギャグ補正の塊。これからもギエピーの被害者を沢山産むだろう。

 

リコ 戦闘力これからが楽しみ

アニメの二代目主人公。ホワイトとライジングボルテッカーズに守られながら、ポケモンの気持ちを考えられる優しいトレーナーを目指す。アニメと違って、テラパゴスが戦えて手持ちに入ってる。

手持ち テラパゴス(テラスタルしなかったら600族扱い)、ニャオハ、ミブリム。

 

ロイ 戦闘力これからが楽しみ

アニメ二代目主人公の一人。ライジングボルテッカーズの見習いであり、これからが楽しみな1人。

手持ち ホゲータ、カイデン。

 

ドット 戦闘力これからが楽しみ

YouTuberグルミンとして活躍する引きこもり。こうみえてブレイブアサギ号のシステムを担当しているスペシャリスト。

手持ち クワッス、後にカヌチャン

 

フリード 戦闘力一級

ライジングボルテッカーズの実質リーダー。ポケモン博士でもある。

手持ち キャップ、リザードン。

 

オリオ 戦闘力三級

フリードの幼馴染みであり、ライジングボルテッカーズの飛空艇ブレイブアサギ号を建造したメカニック。因みにフリードの幼馴染みであり、メタグロスをパートナーにしてるが、トレーナーの腕前は高いとは言えない。

 

マードック 戦闘力三級

ライジングボルテッカーズのコックさんで、ドットのおじさん。イワンコをパートナーにしており、ライジングボルテッカーズの胃袋を守っている。

 

ランドウ 戦闘力一級、肉体は特級

ライジングボルテッカーズの初期メンバーのおじいさん。皆からはじっちゃんとも呼ばれており、昔は凄腕の船乗りだったとか。脱げば……オールマイト並みのムキムキとなる。伝説のヒーロー マイティGとして密かに活動している。

 

モリー 戦闘力三級

ライジングボルテッカーズの船医。ジョーイさん一族であり、昔はポケモンセンターで働いていた。戦闘で傷付けば、モリーにお任せである。

 

リンドウ 戦闘力特級

アローラ編の主人公。リコロイ編では現地にやってきたり、オンライン越しでホワイトやリコ達に授業をしてくれる。本気でぶちギレると、メガリザードンXとキズナグラードンが降臨する。

 

ルシアス 戦闘力特級

伝説の英雄。ゴールデンアルセウスから合流予定。つよい

 

ショウ 戦闘力一級→特級

邪神アルセウス様、今から殴りに行きます。ゴールデンアルセウスから合流予定。ポケモンのない世界からやって来た異世界人。

手持ち オヤブンイーブイ、シンオウジュナイパー、シンオウダイケンキ、シンオウバグフーン、ディアルガ、パルキア等々。

 

カイ 戦闘力二級ぐらいかと

ゴールデンアルセウスなら合流予定。タロとの修羅場待ったなし!!

 

 

エクスプローラーズ

後のギエピーの被害者。スピネルはギエピーの手でうんこ(ギエピー容疑者は大福と言い張る)を食べさせられ、トラウマを植え付けられた。多分、このまま行けば半分以上のメンバーがトラウマものに。

 

サトシ 戦闘力特級

我らがレジェンド、アローラチャンピオンであり強い。




ギベオン様「…………あれ?詰んでね?」


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予習授業2時限目 ミヅキちゃん、初登校!!

ミヅキちゃんのクラスメート、はい、リメイク前と変えました(笑)


「よし、準備はOK!!」

「くるっぽー!!」

 

ミヅキちゃんは結局のところ、アローラ御三家はモクローに決めた。前世の兄(とある世界線で頭のネジが外れたギャラハッドことギャーさんとして無双中)が生前に使っていた頭の賢い人が使わねば出来ない方法ではなく、分かりやすいゴリ押し戦法が大好きで、好きなポケモンで戦いたいポケモン大好き女の子だった。

 

(やっぱり、飛行タイプやとりポケモンは可愛いもん!)

 

モクローの頭を撫でて、ミヅキちゃんはモクローと共に家を出る。今日はミヅキちゃんの初登校なのだ。行きウイウイと家を飛び出したミヅキちゃんであったが……

 

「アローラ!!ミヅキちゃん。今日は良い天気だね!!」

 

家を出て5秒でバグキャラであるホワイト先輩にエンカウントしてしまった。ホワイト先輩はコライドンに乗っており、コライドンには他にも相棒イーブイ、タロ先輩もライドしている。

 

(家を出て5秒で裏ボス真っ青の先輩とエンカウントしてしまったぁぁあ!!)

 

「あっアローラ!!先輩奇遇ですね!!」

「うん。僕んち、彼処だから。ポケモンの研究所でも有るから、わからない事があったらアポ無しで来ても良いよ?土日ならリンドウパパ居るし」

 

ホワイト先輩が後ろを指差す。ミヅキの家から歩いて5分ほどの所、元々はポケモンスクールの職員用の社宅だった場所を買い取って改装した研究所。

リンドウ研究所と書かれた看板があるそこは、ホワイトの実家であり、庭先には沢山の研究用で飼育されているミライドンやアヤシシ、イダイトウなどが暮らしている。その中に混ざってグラードンが昼寝してるのは内緒だ。

 

「グラードンおるぅぅ!!」

「うん。僕のパパの手持ちだよ」

「てか、ミライドンあんなに居るの!?なんで沢山いるの!?」

「ミライドンは珍しいポケモンですけど、変わらずの石を持たせて繁殖させれば増えますよ。パルデアは既に、500頭のミライドンが登録されてます」

 

タロ先輩がミヅキちゃんの疑問に答えるように、そう告げた。そう、リンドウ研究所だけでも30頭ほどのミライドンが飼育されているが、本場のパルデアでは50頭+αから500頭ほどに数が増えているのだ。変わらずの石がないと子孫が遺せないし、遺せても石がなかったらモトトカゲとして産まれるから野生化では居ないし問題ない。

仮にエリアゼロで繁殖しても、産まれるのはコライドンに成るから此方も問題はない。

 

「500頭!?(パケデンじゃ無かったの!?一般ポケモンじゃん!!)」

「うん。コライドンは今、全部で100頭も居ないけどね。化石から復活した個体位かな?化石からの個体は狂暴な子が多いからライドに不向きだけど」

 

コライドンは元々の母数も少ない。ミライドンはフトゥー博士が開発したタイムマシンのお陰で、現代にやって来たが……コライドンは化石を発掘するしかなく、化石も全然出てこない。そのお陰か、個体数がミライドンと比べてあんまり増えないのだ。

 

「てか、先輩……リンドウパパって?」

「うん。僕の養父でホウエンチャンピオンだよ?」

 

ミヅキちゃんの脳裏に浮かび上がる、幼少期に見たバトルビデオの映像。

 

『レウス!!じしん!!』

 

チャレンジャーの手持ちの顔面に、ゼロ距離じしんのパンチをぶちこむメガリザードンXの姿。そして、そのメガリザードンXに指示を出す男。

 

『ムゲンダイナ!最大出力でダイマックス砲!!』

『グラードン!!じしんパンチ!!最大出力!!』

 

ガラルチャンピオンダンデVSホウエンチャンピオンリンドウによる、ゲンシカイキして骨組みから肉と皮が修復されて邪龍と覚醒したムゲンダイナ(ゲンシカイキ)VSキズナ進化を果たしたキズナリザードンによる最大出力同士のぶつかり合い。

本業ガラルリーグ委員長VS本業ポケモン博士兼教師による絶大な頂上決戦を見て、ミヅキちゃんは唖然としたのを覚えている。

 

「なに!?このチート一家!?」

「因みに私も一緒に暮らしてますね」

 

この時代のリンドウ一家は大黒柱リンドウ(ホウエンチャンピオン)、母親ブルー、長男ホワイト(シンオウチャンピオン+コンテストマスター)、ホームステイのタロ(シンオウ四天王)、長女???、ホームステイ2のリコとロイ、末っ子のリーフ(後のアローラチャンピオン)である。

 

「そうそう、妹と同じクラスに成るからさ……ショウに会ったら宜しくね!!僕のお姉さんと瓜二つだから、直ぐに分かるよ」

 

そして、ホワイト先輩は去っていった。

 

「えっ?姉さん?瓜二つ……ショウって確か……レジェアルの主人公だよね?てっことはお姉さんがヒカリ!?」

 

 

 

驚いた事は有ったが、ショウはメレメレ島ポケモンスクールに辿り着いた。今日から本格的に学ぶことに成る、年齢制限のない学舎……ポケモンスクール。

メレメレ島のポケモンスクールは今では世界三大学校の一つに数えられる名門であり、カントーのセキエイ学園、パルデアのグレープアカデミーと共に有名なのだ。地方のトップチャンピオンを2人も輩出しており、チャンピオンランク保有者を全世界に送り出している凄いところ。

 

他方からやって来る生徒のために、ホームステイ制度や学生寮も完備。働きながら学びたい人のため、夜間も対応している凄いところである。

 

「よし……行こう!!」

「くるっぽー!!」

 

気合いを入れて、ミヅキちゃんは学内に入る。ミヅキちゃんが配属されたクラスは初等科だ、年齢制限のない学舎なのでもしかしたらおっさんやおばさんと同じクラスかも知れないが、同世代の子の方が多いだろう。

 

「えーと……初等科Aは……どこだろう」

 

モクローをだっこしながら、廊下を彷徨うミヅキちゃん。そんな時だった。

 

「新入生か?」

 

前から髪の毛が半分白髪の青年が歩いてきた。歳は十代後半だろう、少なくともミヅキより遥かに歳上だが……ミヅキは前世知識で彼を知っている。

 

(エクスプローラーズのアメジオ!?)

 

そう、エクスプローラーズのアメジオである。しかも、ソウブレイズを連れ歩きしてる。

 

「おーい、アメジオ。ルシアス先生に出す前に、このレポート見てくれ」

 

すると、第三者がミヅキの後ろから現れた。それはレジェンドアルセウスの主要人物だったセキであった。

 

「セキか。なんで、俺に頼む?」

「いや、だってよ……ホワイトは次元が違いすぎて論外、スグリは脳筋、女子達は『自分で頑張れ』だしな、結果お前」

「ちっ、見せてみろ」

 

どうやらアメジオはここの学生になったようで、セキからレポートを受け取って見てみる。

 

「おい、早速誤字があるぞ。印刷する前に確認しろ」

「マジかよ!?これだからパソコンは苦手だ……」

 

セキ、早速誤字が出る。レポートはやり直しとなった。

 

「で?お前は?」

 

セキにレポートを返し、アメジオがミヅキちゃんを見て問いかける。ミヅキちゃんとしてはアメジオ=アニメの事前情報に出てきたヴィランというイメージのお陰か……上がって言葉が出てこない。

 

「アメジオ、怖がらせるなよ。ほら、この子はミヅキちゃんだ。俺も前に会ったが、あの時はレポートのやり直しで挨拶出来なかったんだよ」

「そうか。アメジオだ、高等部2年生だ」

「俺はセキ、宜しくな!」

「はい!!宜しくお願いします!!」

 

アメジオとセキとのファーストコンタクトを終えて、ミヅキちゃんは次に進む。

 

なんとな教室にたどり着き、そこでは……

 

「うわー授業オニダル」

 

VCサトシのピカチュウのサンゴちゃん

 

「今度さ、何処に冒険行こうか!」

「ロイは元気だね……」

「私も週末どうしようかな?」

 

ちょっぴり大きくなったリコ、ロイ、ドット。

 

「お嬢さん達、そろそろ席に座りなさい」

 

サンゴちゃんの相方で大柄な紳士のオニキス。勿論、生徒である……おっさん枠だ。

 

「パルキア。そろそろ先生来るよ」

 

パルキア、親分イーブイを連れ歩きしたヒカリと瓜二つで、リコと同世代と思われる少女ショウ。

 

「クラスメートが濃いメンバーしかいない!!」

 

頑張れミヅキちゃん!!負けるなミヅキちゃん!!そして担任は……

 

「はい、席に着きなさい。今から朝礼を始めますね」

 

アローラキュウコンとソルガレオを連れ歩きした、若い美女 新人教師と成ったリーリエであった。

 

「教師が伝説のポケモン連れとるぅぅぅぅ!!」

 

これぞ、アローラクオリティ!!




スピネルどうなったの?ギエピる(隠語)されました


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予告 劇場版ポケットモンスターW2+リコ&ロイ ゴールデンアルセウス

ゴールデンアルセウスはキンカムネタ沢山の予定。


「ホワイト!!今すぐタイムスリップしてくれ!!並行世界の私がやらかした!!」

「あっ、邪神がついにやったんだね。OK!」

 

ある日のこと。

 

突如としてミワセウスがホワイト達の前に現れた。なんでも並行世界のアルセウスこと、現在はランセ地方に成り果てた邪神アルセウスがやらかしたとのこと。邪神アルセウスは明治時代に、ポケモンが存在しない世界から10歳の少女をこの世界の明治時代に送り込んだのだ……それも録に加護も与えず、強いて言うなら変なスマホだけである。

 

「てか、サトシお兄さん達じゃダメだったの?」

「タイムパラドックス起きるからダメ。それと、オーガポンは置いていきなさい……誤魔化しが難しいから」

「ぽにおーん!?」

 

オーガポン、お留守番確定!!

 

「手持ちの入れ替え、金銭面のサポートは私が責任を持つ。明治時代の邪神が送り込んだヒカリと瓜二つの少女、ショウを救い……導いてくれ!!」

「OK!!そして邪神を半殺しだね?」

「あと、令和の格好だと怪しまれるから……イッシュ王族の衣装用意したからこれに着替えて」

 

ミワセウスは邪神と違って全面サポートを約束。金銭面、時空を越えたボックス管理とモンスターボールなどの手配を約束してくれた。

そして、ホワイトがミワセウスの力でタイムスリップした後……

 

『ククク、この世界の神は雑魚ですね。レジェンドプレートが無いとは。それになにやら使いを送りましたね?並行世界のイッシュの王族ですか?まあ、良いでしょう。私はショウが苦しむ様を見たいのだ』

 

なお、邪神にとっては過去なのでホワイトにフルボッコにされる前なので、ホワイトのバグ具合を知らない。

 

 

「君は……何処から来たんだい?俺はルシアス。此方は相棒のレックウザ、ストライク、オリーヴァだ」

 

100年前、冒険家だった生前のルシアスとタイムスリップした海岸で出会ったホワイト。

 

「色んな所を旅したんだよ?僕はホワイト、宜しくね!」

「ホワイトか、宜しく頼むよ」

 

ここは始まりの海岸とも言われ、当時のシンオウ……ヒスイ地方を開拓する事となった屯田兵の第一が上陸した所でもあったのだ。

 

始まりの海岸を歩き、コトブキ村と呼ばれるヒスイを開拓しだした屯田兵……明治時代のギンガ団が纏める場所であった。

 

「ワシがデンボクだ」

「ルシアスです。旅でここに来ました」

「ホワイトだよ?僕も旅の途中なんだ!(ナナカマドのじっちゃんそっくうりぃぃい!!)」

 

そこでホワイトとルシアスは、コトブキ村の村長でありギンガ団の団長であるデンボクと出会う。デンボクはナナカマド博士のご先祖であるので、ナナカマド博士にそっくりであった。

 

「誰だ!?あんた達!?」

 

更にはヒカリのご先祖であるテル(中学生に見えるが、栄養価の都合で15歳)と出会ったり……

 

「旅の者か。滞在するなら調査を手伝ってもらう」

 

Mr.アンチェインであり、スマホロトムの開発者 アカギのご先祖であるシマボシ隊長とも出会う。因みにシマボシ隊長の母性はEXである。

 

「えーと……ショウです。私も遠いところから来たんです。なんで、他の人はポケモンを恐れてるんですかね?」

 

ポケモンの存在しない世界から飛ばされた10歳の少女、ヒカリと瓜二つの彼女はショウ。ハワイと呼ばれる場所から来たとか。10歳だが、明治時代の人々からは発育が良く見られるのか15歳と思われてるとか。

 

「大丈夫。確かにポケモンは凄い力があって、危ないところもあるけど……恐くないよ」

 

ホワイトはショウにそう告げる。

 

「だとしても……ポケモンは危ない生き物です」

 

ポケモンは危ない生き物だと断言するギンガ団の博士、ラベン博士であった。

 

「私、カイ!シンジュ団の長なんだ」

「俺はセキ、時間は有限だぜ?」

 

ショウに言わせればアイヌの人々こと、シンジュ団とコンゴウ団の団長が挨拶にやって来た。

シンジュ団の団長はカイ、ホワイトと歳の変わらない少女であり、ヒスイの土地なのに薄着である。

コンゴウ団の団長はセキ、少しせっかちそうな兄気風の男であった。

 

「ホワイトさん!!見てください!!大きなイーブイ捕まえたんですよ!!可愛いですよね!!」

 

「ホワイトさん!!ピカチュウが言うこと聞いてくれない!!ルシアスさん!!ムックルはどんな技を教えたら良いですか!?」

 

「ホワイトくん!!ですからポケモンは……はぁぁぁあ!?襲ってきたゴーリキに握力勝負で勝ちやがった!?」

 

と、ホワイトとルシアスも滞在許可のためにポケモンの調査に協力。その際、ラベン博士にドン引きされたのは内緒だ。

 

「ホワイト!一緒にイモモチ食べよう!!ショウも居るわね?よし、3人で食べましょう!!」

 

「じゃあ……テル、ルシアスさんは俺と一緒に離れて食べようか。恋する女の子邪魔は出来ねぇよ」

 

セキやカイと共に友情を育んだり……

 

「ホワイト、なんだ?この報告書は?やり直せ。

ルシアス、日本語で書け」

 

ゴッドマザー シマボシ隊長に指摘されつつ、優しくも厳しく手解きを受ける。

 

「人がガチグマとヤってる!?」

「マジかよ!?マジかよ!?アネハタシトンすげぇぇぇ!!」

 

ショウ、カイドン引き。ホワイト唖然。ルシアス、セキ、驚愕のガチグマ事件(笑)

 

「だから言ったでしょ……ポケモンは怖いって」

 

三毛別ガチグマ事件!?貯蓄した食べ物がガチグマに食べられた!?

 

 

「見てくれ……ストライクがバサギリに進化したぞ!!」

「やったじゃん、ルシアス!」

「ポケモンって道具でも進化するんですね!!」

 

だが、楽しい時間は終わる。異変や事件を解決するホワイト、ルシアス、ショウであったが……ショウが異変の首謀者にされてしまうのだ。

 

「ショウを追い出せ!!」

 

「いや、殺せ!!」

 

「これだから空から落ちてきた人間は……」

 

「イェェェェェイ」

 

コトブキ村の人々からは見捨てられ、デンボクの手で追放されたショウ。しかし……

 

「ホワイト、ルシアス。頼みがある……ショウを守ってくれ。私は立場の都合で動けない……あの子を守ってくれ」

 

シマボシ隊長、テル、ラベン博士はショウの味方であった。だが、立場の都合で動けない。そこでシマボシ隊長はホワイトとルシアスにショウの事を託したのだ。

 

「OK!!任せてよ……頼まれなくてもそうしたよ」

「そうだな、当たり前さ」

 

ホワイトとルシアスは当然ながらOK。ここに、ホワイト、ルシアス、ショウの追放珍道中が始まった。

 

「あ!!いたいた!!」

 

と、そこに直ぐ様……カイも合流。四人組での真相究明冒険が始まる。

 

「えーい!!どういうことだ!!ショウの苦しむ様をみたい私の邪魔をするな!!」

「アルセウス、どうするんですか?私とギラティナじゃ限界が有りますよ」

 

なお、首謀者は当然の如く、邪神と当時のTウォロであった。

 

 

「やはり、余所者には任せられん!!ワシが出る!!」

 

鎧を装備したデンボク団長まで出陣し、忍者のムベと共にホワイト達に立ちはだかる!?

 

「最初に謝るよ、ごめん。ミロカロス、本気を出して良いよ」

 

ホワイト、デンボク団長をフルボッコにして先に進む。

 

そして現れる暴走状態のディアルガとパルキア。しかし……

 

「あまりおいたしちゃ、ダメだよ?」

 

メガコライドンとルシアスのメガレックウザの手でボコボコにされる2体!!

 

「大丈夫?」

『『お嬢!!一生ついていきます!!』』

 

ディアルガとパルキア、ショウに優しくされて即ゲットされる!!

 

平和に成ったと思った矢先……

 

「私の願いを潰した少年よ……古代イッシュの王子よ……どうして貴様が居るのか分かりませんが……殺す!!」

「ギラティナ!!打破せよ!」

 

邪神降臨!!序でにTウォロ現れる!!だけど……

 

「キュレム……ARE YOU READY?」

 

邪神半泣きまで5秒。

 

「ホワイト……また会おう。お互い、生きてたらな……なに、直ぐに会えるさ」

 

ルシアスとの別れ。

 

「カイ、お前はそれで良いのか!?お前の人生だ!!お前が決めろ!!」

「はい……ハマレンゲ先生……私、未来に行きます!!」

 

カイ、未来に向かう決意を決める。

 

「シマボシ隊長……ラベン博士……テル先輩……くそお世話に成りました!!」

 

ショウ……ホワイトの時代に向かう決意を決める。

 

「俺はやること終わってから、ディアルガ様に頼んで行くわ。引き継ぎとかあるしな」

 

セキは遅れて行くとの事。

 

 

劇場版ゴールデンアルセウス!!キンカムネタをめちゃくちゃ入れて、後日執筆開始!!

 

ルシアス「これがラッコ鍋か……」

セキ「なんだ……この感じ!?」

ハマレンゲ「お前達、そんなにセクシーだったか!?」

デンボク「よし、相撲だ!!」

 

ラッコ鍋もあるよ!!




蝗害は勿論、飛んできたエクスレッグ(ヒスイの姿)にやってもらおう……当時の北海道は蝗害あったし(笑)


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リコのお婆ちゃん、ダイアナ

サンゴちゃん、相手が悪かった模様


シュートシティの最寄り駅。そこに、ワイルドエリアを突っ切ってきたホワイト達が到着したが、残念ながらギエピーは見つからない。

 

「あのギャグポケモン……何処に行ったんだろう?」

「アギャッス」

「いや、コライドン……お前さんが全力投擲したからだろ」

 

ギエピーが見つからないためか、辺りを見回すホワイトとギエピーを投げた張本人であるコライドン。そんなコライドンに対して、フリードの突っ込みが軽く出たが、気にしてはいけない。

だが、近くにギエピーが落下したと思われる後、それもギエピーの形でくっきりと何かが落ちた後が有るために間違いなくギエピーはここに、落下して何処かに移動or連れ去れた可能性が高い。しかし、ギエピーの落下後の側にギエピーの足跡らしきものが残されており、ギエピーは自力で何処かに移動したようだ。

 

「まあ、くそ重たいギエピーを持ち上げられるポケモンや人間は限られているし、自力で移動したのが有力だね」

 

スグリが告げる。確かにギエピーはめちゃくちゃ重たい。例えるなら、滑空中のミライドンがギエピーの重さで落下してしまったり、後輪が重さで沈んでしまって前輪が空回りしたりする程に思いのだ。そんなギエピーを持ち上げて引っ張れるのは極僅かの存在だけだ。人間ではスーパーマサラ人や古代イッシュ王族、超人の皆様(サオリ先生、夏油スグリ)等々の一部位だろう。

 

「でも、足跡は直ぐに消えちゃってますね。落下した後の柔らかい土が足跡として落ちてるけど、数歩歩いて足跡は消えてますね」

 

次にタロが告げる。ギエピーの足跡は数歩位しか残されておらず、恐らくだがこの足跡はギエピーが落下して地面に埋まった後、自力で出てきて……地面の中の柔らかい土が足跡として残っただけだ。数歩歩いてく、その柔らかい土が全部とれてしまい、その後の足取りは分からない。

 

「よし……臭いと振動探査で探そう。この子の出番だ」

 

ホワイトは腰から1つのモンスターボールを手に取った。

しかし、ホワイトの手持ちで臭いでの探索が出来るポケモンが居ただろうか?犬のようなポケモン(ワンパチ、ルガルガンなど)やガチグマ類は嗅覚が凄く発達していると言われている。

 

「ホワイトさん、犬のようなポケモン持ってたっけ?」

「持ってないよ?でもね、嗅覚が凄いパートナーはいるさ!」

 

ロイの疑問に対して笑みを浮かべて答えるホワイト。そう、嗅覚が凄いポケモンは別に犬やガチグマだけではない。現実の動物でも犬やヒグマは勿論だが、魚類も嗅覚が凄いと研究で明らかになっている。シャケは臭いで産まれた川を判断して川を登っていき、サメは一滴の血を百万倍に薄めても判別できると言われている。

 

「ガブリアス!!ARE YOU READY!?スタンバイ!!」

 

ホワイトが軽くボールを投げると、そこから背丈170cm……一般的には小柄なサイズのガブリアスが飛び出した。

ガブリアスは嗅覚が発達しており、現実のサメの嗅覚も凄いし……ガブリアス系列は砂漠や洞窟で生息しており、臭いで獲物を探すことが出来る。

 

「ガブリアス!!地震!!」

「ホワイトさんアウト!!」

 

ホワイトがガブリアスに地震の指示を出す。だが、地震は地面タイプの攻撃技で命中率と威力が非常に優秀な技であり、とあるホウエンチャンピオンとその義息はパンチとして使っているが。

 

「だいじょーぶ、リコちゃん。僕のガブリアス、地震だけで5パターン有るから」

 

ホワイトのガブリアスは地震たけで5つの使い分けが出来る。

先ずは普通の地震としての広範囲攻撃、一般的な地震と言えばこの地震である。

2つ目、我らが地震パンチである。

3つ目、防御の地震……別名アサルトアーマーである。

4つ目、超高速移動の地震、原理は地震による振動操作での振動爆発を応用した超高速移動……別名クイックブーストorアサルトブーストである。

そして5つ目、これは振動による超音波や音を用いた探査であり、現実では超音波を使ってコウモリが、音の反響を使ってウマや訓練すれば人間も可能だと言われている。

ホワイトが今、ガブリアスに指示したのは5つ目だ。その地震をガブリアスが使った瞬間……超弱く……辺りに軽い音が出るような微弱な震えが空気を震わせる。

 

「…………えっ?今、揺れた?何も起きなかったよね?」

 

ロイが首を傾げる。そう、5つ目の地震は全く揺れを感じず、普通の人は何が起きたのか全く分からないのだ。

 

「グオン!!」

「さっすがガブリアス!!皆、ギエピー見つけたって、あと年配の女の人も見つけたってさ!!もしかしたらリコのお婆ちゃんかもね!!」

 

だが、ガブリアスはその振動による探索と優れた嗅覚で、直ぐにギエピーと年配の女性が近くにいることを理解して、ホワイト達に伝える。

 

「よし、それじゃあ……しゅっぱーつ!!」

 

ガブリアスを先頭に、ホワイト達はガブリアスの案内で道を進みだした。進むこと5分ほど、とある古城の前に辿り着いたが、その門は石の門で閉ざされており、開きそうにない。

 

「閉まってるね……ここであってるの?」

「あってるはずだよ?ガブリアスだって、ここからギエピーの臭いと女性の影を地震探知で見たってさ」

 

だが、ガブリアスの嗅覚と地震探知が正しければ間違いなく、ここにギエピーと年配の女性が居る筈なのだ。と、その時だった。

 

「ワォォォォォン!!」

 

遠吠えが聞こえ、神速で古城の屋上からウインディが疾走してきて、ガブリアスに襲いかかる。完全に先制を許してる状態であり、本来なら防ぐことは不可能だ。しかし……

 

「ガブリアス!!地震!!クイックブースト!!」

 

その瞬間、パンっと破裂音が響いた。その瞬間、ガブリアスの姿が瞬間移動したようにウインディの視界から消えた。

 

再びパンと破裂音が響く。その瞬間、神速……いやガブリアスの素早さ種族値を考えるとそれ以上の速度で、ガブリアスが側面からウインディに襲いかかり、ウインディが反応するより早く、ウインディを城壁に押さえ付けて拘束してしまった。

 

「はやい……てか、地震にそんな使い方あり!?」

「ありありだよ」

 

「参ったね、ちょっと試すつもりが……実力は本物みたいだね。流石は灰色の英雄だよ」

 

と新たな声が響く。その瞬間、石の門……いやポケモンのイシヘンジンが動いて扉が開いた。そこから、一足お先に到着していたギエピー、そして何処かリコと似た老婆が現れた。その老婆は年齢の割には現役バリバリと考えられ、背筋もしっかりと伸びてるし……体力の衰えも感じられない。

 

「お婆ちゃん!!」

「やあ、リコ。よく来たね」

 

その老婆こそ、今回の目的であったダイアナであった。

 

 

 

「しかし、大変だったね……このピッピから話は聞いたけど、テラパゴスが目覚めるし、おっぱいオバケに狙われたんだってね」

「「「おっぱいオバケ?」」」

「ブライアのことだっピ」

「「「あいつか」」」

 

ダイアナはギエピーがホワイト達を待っている間に、テラパゴスが目覚めたこと、目覚めたテラパゴスがブライア博士に囚われたこと、そして元に戻してリコのパートナーになったこと。リコがエクスプローラーズに狙われていることを話してくれたようだ。

 

「ここまで疲れたろう……ご飯にしようか」

 

ワイルドエリアを突っ切ってきたこともあり、ホワイト達はお腹が空いている。そんな彼等のために、ブライアは食事を用意してくれた……その食事は

 

「こんなのしかないけどね」

 

缶詰であった。スイートコーンの缶詰、コンビーフの缶詰、乾パンの缶詰、ぜーんぶ缶詰、デザートも缶詰、缶詰しかない。

 

「御馳走さまだっピ!!」

 

なんという事でしょう……リコ達が手をつける前に、ギエピーが全部食べてしまったのでした。

 

「「なに、お前1人で食べとんじゃぁぁぁあ!!」」

「ギョエピィィィイ!!」

 

そんなギエピーに、スグリとフリードのアッパーが炸裂した。

 

「仕方ありませんね。一応、非常食持ってきたから、これを食べましょう」

「ありがとう、タロ」

「タロってギエピーと違って頼りになるな!!」

 

タロはポーチから非常食を取り出してくれて、それをリコとロイに渡してくれた。これで一先ず、リコとロイのお腹は大丈夫だろう。

 

 

 

その時だった……

 

ズガシャァァァァン!!と大きな音が響いた。

 

「まさか……侵入者かい!?」

 

ダイアナが叫び、辺りを警戒する。その時だった……

 

壁が吹き飛び、その壁の周辺が煙に包まれる。間違いなく、何かが起きた。フリードとダイアナはリコとロイを後ろに下げて、ホワイトとスグリ、タロがモンスターボールを構えて準備を行う。

 

「コイツ……化物!!ホワイトだけじゃなかったのかよ!!オニヤバイ!!」

「サンゴ、お前やスピネルが好き勝手にするからエクスプローラーズが悪名高い集団だと思われるんだ。だが、これは……これ程とは!!」

 

煙が晴れると、そこには一撃で戦闘不能にされたのか、倒れたキョジオーン。キョジオーンの側には大男(後のクラスメートであるオニキス)とサトシのピカチュウと声が似ている少女 サンゴ、そしてサンゴのパートナーであるオニゴーリである。

 

「オニゴーリ!自爆!!」

 

サンゴは最後の手段なのか、奥の手としてオニゴーリに自爆を命じる。だが、その瞬間……ドラゴンクローだと思われる龍気を帯びた斬撃が地震エネルギーと共に飛んで……オニゴーリに大ダメージを与え、オニゴーリを怯ませて自爆を防ぐ。

 

その瞬間……煙が一気に吹き飛び、口から青い炎を出しているメガリザードンXが飛び出した。

 

「「「あのメガリザードンは!?まさか!?」」」

 

その瞬間、メガリザードンXの右腕に地震エネルギーが瞬時に集まり一点集中される。

 

「「「あの地震パンチはまさか!?」」」

 

「レウス!!地震!!」

 

めっっっっっちゃくちゃ聞き覚えのあるホワイトの保護者の声が響き、メガリザードンの地震パンチがオニゴーリの顔面に炸裂した。地震パンチとして打ち込まれた地震エネルギーは一点集中され、オニゴーリに絶大なダメージを与えて、そのままオニゴーリを吹き飛ばし……文字通りKOにしてしまった。

 

「あわわわわわ…………」

 

あまりの格の違いに、サンゴちゃんは脚がガクガク震えてしまい、その場に座り込んでしまった。

 

「やれやれ、出張でガラルに来てみれば怪しげな集団が居るわ。声をかけてみれば襲いかかってきたから、正当防衛したらこの様か……全く、ついてないな」

 

穴が空いた壁を通り抜け、その人物が現れた。

 

「リンドウパパ!?」

「「リンドウ先生!?」」

 

出張でガラルに偶然にも来ていたリンドウであった。

 

「よっ、お前達奇遇だな」

「なんでリンドウパパいんの?」

「出張。ガラルも将来的に、ポケモンスクール作りたいんだってよ、それで来たんだ。で、来たら、怪しげな集団が居たから声をかけてみたら、この有り様さ」

 

 

なお、壊れた壁の向こう側では

 

「岩テラスのボスゴドラの諸刃の頭突きからのゼロ距離メテオビームは無しでしょ……がく」

 

理不尽ボスゴドラにワンパン+ゼロ距離メテオビームで粉砕された、老紳士のハンベルさんとそのパートナーのヨノワールが倒れていた。

 

 

 

 

「お腹空いてるか?シュートシティに旨いステーキ屋さんが有るらしい。ダンデから旨いって聞いててな……行こうぜ?奢るよ」

「「「やったー!!」」」

「ただし、ギエピー。お前は自腹だ」

「なんでだっピ!?」

 

その後、リンドウの奢りでステーキを食べたホワイト達であった。




次回、ダイアナの婆さんの加入。

ダイアナ「ルシアスの痕跡は殆ど残されていない。でもシンオウなら残されていて、カンナギの博物館に浪人としてのルシアスの記述が残っているんだ。
それに……ルシアスの手記にホワイトってトレーナーの事が記されている。ホワイトはデタラメに強いミロカロス、理不尽なイーブイ、喋る珍虫カイロス、小柄なガブリアス、コライドンというモトトカゲの変わったリージョンフォーム、手品を使うマスカーニャ等々を使っているそうだ」
スグリ「十中十中で君だろ」




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