東京喰種主要キャラ全員救済RTA (宗方)
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初投稿です。
過去編その1


皆さんどうもこんにちは!

主人公に優しくない世界に定評のある東京喰種RPGのRTAはぁじまぁるよ~!

 

というわけでですね。

今回走っていくゲームはこちらの『東京喰種』!

 

原作は知っていましたが少々2部からの駆け足感が気になっていたのと、そもそも漫画のゲーム化は苦手だったので少し不安でしたがやってみてびっくり!

ダークな雰囲気そのままのイラストやBGMにクオリティの高いゲーオリシナリオの数々が原作キャラRPでもオリキャラRPでも楽しめてしかもフルボイス!!

あぁ^~本当にこれ8100円(税込)でいいのかよって質で。うp主、堕ちちゃいましたね(確信)

 

とまあ、前置きはこの辺にしておいて本RTAの説明に入りますよー。

今回は、このゲームに登場する主要キャラたち(一部除く)を全員生存させた状態でゲームクリアすることで手に入る称号『偽善者』を最速で手に入れるRTAとなっております。

ここでいうゲームクリアの条件は『一部を除くVと和修の撃破』ですね。一部ってのは政とか旧多とか有馬とか。

 

 

ヨシ!では早速キャラクリに入ります!

種族は喰種。人間だとステータス上限が喰種以下な上、CCGに入るのが確定で自由行動がほぼ無いので恐ろしくRTAに向いてないです。人間くんさぁ…そんな性能で大丈夫?恥ずかしくない?

 

男女の差は無いんでどちらでも好きにしていいんですが、どっちでもいいと言われたら男にするしかないんだよなあ。

 

続いてRCtypeは鱗赫。

界隈では常識ですが(隙あらばマウント取り)速度を求めるRTAにおいて鈍重な甲赫や、決め手に欠ける尾赫はオススメできないです。瞬間火力の高い羽赫か鱗赫を選んで戦闘はビャッ!と済ますのがセオリー。今回は回収するイベント的に鱗赫の方が良いと判断しました。

 

お次に原作開始時年齢ですが39歳でいきます。これにもちゃんと意味があるので後程。諦めてイケおじをすこれ。

 

名前は蓬莱 守。略してホモくんとします。

 

その他諸々の設定は飛ばして、ラストの異能設定にGO。

異能ってのは他のゲームでいうところのスキルやアビリティみたいなやつで、キャラクリのときに一個だけ選択式で貰えるんですが、今回は『驚異的な回復力』を選択。

これは一部イベントで有効なのと、戦闘での安全性を考慮してます。

裂いても潰しても死なないホモルディカイくん目指してやっていきましょう。

 

てことでキャラクリ終わったので早速始めちゃいましょう。

ゲームスタートのボタンを押して画面が暗転したと同時にタイマースタート、タイマーストップはエンディング終了後に称号獲得のテロップが出た瞬間とします。

はい、よーいスタート。

 

 

 

 

 

さて、始まりました『東京喰種RTA』

ただいま画面にはスキップできないOPが流れております。和修の歴史がつらつらと語られてますね。はぁ~(クソでか溜め息)諸悪の根元さっさと滅べよ。

 

それはそうと、ちょうどいいのでこの画面を背景にしつつ今回のRTAについて、さっきの年齢設定についても説明しときたいと思いまスゥー

 

とりまこの称号取得RTAについて。先駆者様はいらっしゃいますが少ないです。

だってこのRTAめっちゃ時間かかるもん…ゲーム内年数で50年近くかかるとかイカれてますね。現実時間でも3日くらいかかるのでやっぱイカれてるんじゃないですかね(諦め)

まあ、某鬼ヌッ殺す刃RPGのパワハラワカメ原作再現ロールプレイとか某うずまき忍者RPGの六道ジジイロールプレイとかよりはマシです(確信)

お前ら(のやってるゲーム)人間(のやるもん)じゃねぇ!

 

…っとと、脱線しちゃいました。

話を戻しますが、このRTAはさっきも言った通り本ゲームのRTAの中でも屈指の所用時間を強いてきます。

 

なぜかと言いますと、それはずばりアオギリの喰種『ノロ』のせいです。

大きな口だけが象られた不気味なマスクにオールバックの髪の毛が特徴的な彼なんですが…実は原作開始時において、死んでる人扱いなんですよね……

 

彼、原作でははっきりとしてませんが本ゲーム、エトのサブイベより

赤子のエトを功善から譲り受けた喰種、ノロことノロイは24区に逃げ込みますが何らかの形で死亡。

その後、成長したエトによって赫胞を埋め込まれ、自立駆動式の赫子の化け物、いわゆるゾンビの様なものと化した。

ということになってたらしいです。

 

察しがいい人は気づいたかも。

そんな彼、主要キャラの一員なので彼が死んでると称号、取れません。無慈悲ィ!

よって、称号獲得の為にはノロイが死ぬ前にどうにかしないといけないんですねぇ。

ノロイが功善からエトを託されるのが原作開始の22年前、このゲームのオリキャラプレイ開始時年齢は15歳で固定なので原作開始時年齢を39歳とすると22年前には17歳となる。

ゲームスタートしてから2年間で準備してエト託される前にノロイどうにかしようぜということです。その為の39歳だったんですね。

 

具体的にどうするかというのはこの後のお楽しみということで。とはいえ、割と想像つきやすいとは思いますけど。

 

長いOPも終わりTKも聞き終わったところで本編スタートですね。

 

開幕ですが喰種の場合は親族無しの20区浮浪児スタートです。人間だと家族構成はランダムなんですが、喰種は固定です。

 

さて、とりあえずこの一年の目標としてはモブ喰種と戦闘をして経験値を稼ぐのと倒した喰種を食らって赫者になることがメインになってきますので早速20区近辺のCレート狩りから始めちゃいましょう。見所はないから倍速ダオラ。

てことで、イクゾー!!デッ…(カーン)

 

 

 

 

 

高速移動ホモくんを垂れ流しつつ、そろそろ三ヶ月ほど経ったでしょうか。

今ではBレート相当なら捻れる程でAレートにもまあ勝てるくらいには仕上がって来たかなと思います。

え、成長速度が速すぎる?いや、このゲームの難易度的には妥当です。

赫者は…まだまだですね。やっぱ覚醒してからあの短期間で半赫者まで持ってったカネキってすごいですよ。

 

 

 

 

 

えー、そろそろ11ヶ月が経つくらいですかね。

ホモくんはというと相も変わらず触手使ってモブをぷちぷちしてます。大体1年も経てばSレート程度なら瞬殺ですしSS相当にも対して苦労しなくなってきたので狩り場を24区メインにし始めました。赫者に関しては半分越えたくらいでしょうか。3/4赫者くらいかな。

 

あ、そういえば喰種ばっか食べてて人間は月1くらいでしか殺してない筈なんですが流石に強くなってきたせいかCCGにも認知されちゃいましたね。確かレートはS+とかでした。実力はSSクラスだけど被害がほぼないからどうたら……高いほど差し向けられる捜査官の質が上がるからあまり高いのは嫌なんですが…

 

というか、私が操作してるから当たり前ですけど、余りにもすぐ強くなっちゃうので、自分のことな○う系主人公か何かと勘違いしちゃいますね…

 

誤って車道に飛び出してしまったノロイを助けた代わりにトラックにぶつかったホモ。気づいたら神様と名乗る緑髪包帯ぐるぐる巻き痴女がいて……って感じですかね。愉快だ。

 

 

と、無駄話はこの辺で。もうすぐこのRTA最初の山場が来ますので気を引き締めましょう。

現在ホモくんはとある喫茶を訪れています。その名も『antique』

そうです。功善と憂那が初めて出会った場所ですね。

というか、実際ホモくんの目の前には功善と憂那がいます。

しばらく彼らの談笑を眺めるだけなので色々と説明しようと思いやーす。けっ!イチャイチャしやがって!

 

まず、これからホモくんにはVに入って功善の好感度上げに勤しんでイタダキャス…功善はこの段階で好感度がMAXまでいくと、ルート分岐が発生するんですが、それを狙います。

Vに入るのは功善と知り合いになるためには不可抗力ですね。この時代のVに所属するのに大した害はないですし、普通にVでやりたいこともあるので喜んで芥子に尻尾振っちゃいましょう。わんわん。

 

で、功善と接触する為にはこの喫茶『antique』に来るしかないんです。他の所では絶対に彼とは遭遇しません。

だからホモくんこんなリア充ムーブを見せつけられなきゃならないんですね。あの温厚なホモくんが怒りに震えてますよ。え、それ主だろって?そうかもね。

 

ところで、まだ話してんのかなコイツら。功善ニキ憂那さんとの話遮って話しかけたらホモくんと初対面の癖に好感度最低点まで下がって丸一年棒に振っても好感度MAXいきませんからね(1敗)

さながら下落の様はオウルショックってか。笑えん。

 

あ、店出た。追いかけなきゃやくめでしょ。

 

 

 

 

 

功善を絶妙な速さで追いかけること数分。

止まりましたね。それと喋りましたね。

 

「……最近は大分と顔が売れてきたのか喧嘩を売ってくる馬鹿も減ってきた、と思っていたんだが」

 

「まだお前の様な命知らずがいたとはな。死ね」

 

はい、戦闘開始ですね。

あの後功善を追っかけていくとこんな感じで有無を言わさず戦闘が始まります。無慈悲ィ!(2回目)

ちなみにですが功善ニキ死ぬほど強いです。というか死ぬから強いんです(7敗)

 

何が強いって距離取ったら爆弾みたいな羽赫飛んできますし、距離詰めたら詰めたでカッチカチの赫子で攻守共にこなしやがります。

やっとこさ一撃入れても再生力レベチ。並みの鱗赫は超えてます。

 

普通はねぇ…羽赫に巨大なブレードなんて羽赫の利点であるスピード潰しちゃって器用貧乏になるんですけどねぇ…

なーんでスピード保ちながらそのブレード振り回せるのかなあ!くっそ重いよ!?

まあでも、この戦いに関しては5分たったら強制終了だし、異能で多少無茶できるので気楽に、回避に専念しつつチクチク殴っていきませう。

 

 

 

 

 

「そこらへんにしておけ…ニチャ」

 

はい。先程も言ったように、5分経過するとこんな感じでニチャリストが乱入してきて強制的に戦闘終了となります。あのままやってたら死んでたのホモくんだしありがとナス!

そんでもって今は芥子がホモくんをVに勧誘してますね。

なんでも功善に用があって来た芥子さんがホモくんの戦いぶりを見て、お前強いからとりま、ウチ来ない?って思ったらしいです。

若干のご都合主義を感じますが断る理由もないので『はい』を選択しましょう。

 

「ふむ……ニチャ…良い返事が聞けて嬉しいよ。これからは君も目的を共とする同志だ…ニチャ……がんばろうではないか…ニチャ」

 

うーん…きしょい!でもVって強くなるだけならめちゃくちゃ効率良いですからね。

功善とも一緒に殺し合いという名の最高効率のレベリング出来ますし、上司以外は良い職場ですよね。ニチャ野郎これで強いんだから腹、たちますねぇ!

とまあ一年の我慢ですしがんばって自己研鑽に努めましょうか。

 

 

 

 

 

というわけで一年程経ちまして。

早すぎる?え、お前ら延々とVの命令通り喰種も人も殺し続けて休みの日は功善とかいうおっさんの好感度を上げるだけのプレイ動画見たい?見たいなら後で音無しで動画上げますけど。ちょっと作業用BGMにしても難易度高いんじゃないすかね…

あ、でもエトしゃん誕生イベは神でしたねぇ!幼いエトしゃんも可愛かったですが憂那さんも人妻力高くてたまらんかったです。久々の女性らしい女性に視細胞が尊すぎて悲鳴あげてましたね。おめめとけちゃ^~↑う。

 

 

ところで今何をしているかというと功善に呼び出されたので素直に彼のもとへ向かってます。

いや、(告白じゃ)ないです。ルート分岐です。

 

到着しました。功善さんエトしゃん抱きながら思い詰めた感じで立ってます。まあ妻ヌっ殺した後なんで仕方ないんでしょうが。

はい。この功善さん、原作通り憂那さんを殺すハメになりました。憂那さんを助ける方法は有りはしますが、主要キャラ扱いじゃないので完全に無駄な努力です。今回は諦めましょう。

それで、憂那さんのことはVにバレた訳ですけど子供のことまではまだバレてないのでそのエトさんをなんとかして逃がそうとしているところです。

もう分かりましたかね。

 

「……娘と共に生きてやってくれないか」

 

そう言って頭を下げる功善ニキ。勿論選択肢は『はい』で。

よし、勝ちました。

好感度MAXの状態で憂那殺害イベントが起こるとこんな感じでエトをホモくんに託してきます。これによってノロイさんの死亡フラグが折れます。

そもそもノロイさん24区の喰種だしエト託されるくらいだから絶対弱くないんですよね。守りながら戦うって難しいことだってはっきりわかんだね。

ホモくんがフラグ折ったおかげで守るものが無いノロイさんですが、やっぱりつおい。ゲームクリアまで何もしなくても生き残り続けます。

というか、最終盤で登場します。アレはちょっと主が初見時興奮したアツいゲーオリ展開なので楽しみですねぇ…

 

と、赤子のエトしゃん受け取ったところで今回はここらへんで!さよ~なら~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い頃から生きるために仕方のないことだと、人も喰種も構わずに喰らった。私に元々素質があったのか、それとも無我夢中で生にしがみついたからか。

私はいつの間にか同種の中でも別格と呼ばれる存在…赫者の域にまで至った。

周りに私の相手になる敵は居なかった。『V』と呼ばれる組織にも所属し、穏やかな生活も手にいれた。何の不自由もなかった。

しかし、それと引き換えに、いつまでたっても孤独という名の大きな洞穴が埋められることはなかった。

 

そんなとき、出会ったのが後の伴侶である憂那と……彼だった。

憂那は不思議な人間だった。好奇心が旺盛で勘が鋭い…それでいてどこか抜けていて愛くるしい女性であった。

心のどこかではやめた方がいいとは分かっていた。彼女は人間で私は喰種。それも特別凶悪な殺人鬼。碌なことにはならぬと知っていた。

しかし、日毎増す思いは際限を知らなかったのだ。

私も憂那も、逢瀬を繰り返すうちに惹かれ合っていった。彼女といる間だけは殺戮の日々も、一人の夜も忘れられた。

 

 

 

 

 

ある日。

私はいつも通り、憂那が勤めている喫茶店に訪れては穏やかな時間を過ごしていた。少し客足が落ち着いてきて、此方にやって来る憂那に頬が緩むのを感じながら、談笑などに花を咲かせるこの時間が日々の癒しだった。

 

だがその日、その時は突如として消え去ることとなる。

 

 

 

 

 

冷たい殺気を感じる。

どこからだ、と顔は動かさず、平静を保ちながら目線だけをさりげなく動かす。

意外なことに、その犯人はまだあどけなさの残る青年であった。珈琲を喉に通しながら、しかしその野獣の如き眼光は確かに私を貫いていた。

本物だ、と思った。彼は間違いなく強者だと本能が察知する。

私も伊達に掃除屋をやっていない。相手の力量も解らずに喧嘩を売る馬鹿とそれを知った上で本気で殺しに来る者との差くらい簡単に理解できる。彼は紛れもなく後者だった。

で、あればその覚悟を受け取らないのは野暮というものだろう。

 

 

どうしたの、と顔色を窺う憂那に用事が出来た、また来る、とだけ告げて店を後にする。

彼女を心配させてしまったことに対して気の利いた言葉一つかけられない自らを情けなく思いながらも、意識は常に後ろをつけてくる彼。

しばらく歩いて、人気の無い高架下まで行くと振り返る。

そこには、待ってましたと言わんばかりに瞳をぎらつかせた青年の姿があった。この様子では前置きは要らないだろう。

 

 

「……最近は大分と顔が売れてきたのか喧嘩を売ってくる馬鹿も減ってきた、と思っていたんだが」

 

「まだお前の様な命知らずがいたとはな。死ね」

 

 

そう言い切って、赫子を展開しながら突進する。

無論、彼が猛者なのは解っている。ありきたりな挑発というやつだ。

しかし、彼はそんな言葉に全く動じる素振りを見せず。

 

振るわれた私の赫子を、粉砕した。

 

「……ッ!!」

 

「甲赫ね…それ、得意だ」

 

不敵な笑みを浮かべる彼の腰の辺りから伸びるのは巨大な二又の触手……すなわち、鱗赫。

私の赫子はアレに巻き取られ、握り潰されたのだった。確かに彼の言う通り、鱗赫は甲赫に相性が良い。

 

__だが、私の赫子は『甲赫』ではない。

 

 

バキキッ…という赫子独特の展開音と共にソレは振るわれた。まるで一つ一つがミサイルの様に強大なエネルギーの塊。

羽赫の一斉掃射だ。

 

相手は甲赫である、と思い込んでいたその致命的な勘違い。それから単純に振るわれた羽赫の質の高さ。それらが相まって青年は避ける間もなく直撃した。

咄嗟に赫子で防いだとしても半身は吹き飛ぶだろう。これで終わったと思った、その瞬間だった。

 

 

「………は…」

 

羽赫による煙幕が晴れ、気づいたときには__彼の赫子が私の腹を貫いていた。

 

「……ッハハ、やっぱおっさん強いよ!!24区からわざわざ出張ってきた甲斐あったぜ……体吹っ飛ばされたのなんか久しぶりだ!!」

 

口から血を垂れ流し、右の胸から腕にかけて千切れ飛んでいながらも彼は笑っていた。

 

……そして私はそんな彼を見て、いつの日か落とした『恐れ』という感情を拾い上げた。

 

 

 

 

 

血を流しすぎたのか、それから先のことはあまり覚えていない。

後からその戦いを諫めた芥子に聞いてみると、あのままいけばどちらとも死んでいたかもしれなかったらしい。

お前に死なれては困る。しっかり頼む、等とあの芥子に釘まで刺される始末と散々であった。

 

 

あれから、私と同じくVに入った彼とは、雨降って地固まる…とは少し意味合いが違うかもしれないが、そこそこの仲になっていった。

彼は物心ついた時から親族が誰一人も居らず、生きるために人も喰種も構わず食い続け、いつの日か力を付けた彼は、生きる意味を闘争へと落とし込み、強者を求め各区をさ迷っていたらしい。

 

それを聞いて私は、何から何まで私の生き写しの様だと思った。愚かにも、罪を重ね続けた過去の私に酷く似ていたのだ。そして、だからこそ、私は彼の孤独を知ることが出来た。

やがて、私は憂那が私にしてくれたように彼に色々なことを教えた。

文字の読み書きや言葉、美味しい珈琲の淹れ方など。受け売りではあるが、新たな知識を得て、日に日に色を帯びる彼の瞳を見ていると何故か自分まで嬉しくなっていった。

路頭に迷う喰種たちを導く。そんな人生も良いかもな、と夢想したりもした。

 

彼は、善さん善さんと、私を慕っていた。

 

 

 

 

 

「はえー…やっぱ善さんの赫者ってゴツいっすね…なんか、アレみたい!あの……ガ、ガム?ガムなんとかみたいな名前の!」

 

「…ガム?………ガンダム?」

 

「あ、そうそう!それです!いっそのこと俺の鱗赫クインケにして善さん装備します??」

 

「…絶対嫌だね」

 

 

 

 

「善さんの赫子ってめっちゃうるさいから暗殺とか無理そうっすね」

 

「お前は口がうるさいから暗殺無理そうだな」

 

「ハハッ、辛辣」

 

 

 

 

 

「お、おぉー!これが赤ちゃんっすか!初めて見ました!可愛いっすねぇ……触っても?」

 

「力加減解らなさそうだからダメ」

 

「え、えぇ……」

 

「フッ…冗談だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで……なんでぇ!!」

 

「なんで憂那さんを殺したんですか…!」

 

青年は絶叫する。

まだ年若いその顔をぐしゃぐしゃに歪めて。

 

「……憂那は、Vを調べていたジャーナリストだった。組織の為に、殺すしか、なかった」

 

「そんなこと、聞きたくない……善さんの力でVから逃げることくらい出来なかったんですか!」

 

青年はかぶりを振る。

しかし、内心ではそのような事実はわかっているのだ。生まれてからずっと戦いに明け暮れた彼であっても、この組織に1年と身を置けばどれ程組織が強大か、など簡単に理解できた。

それでも彼は認められないと否定する。自らの矛盾に気がつきながらも否定する。

 

「……無理だよ」

 

たった四文字の言葉は、心身共に憔悴しきった功善が絞り出した悔恨と諦めの結晶であり。

昂った青年の牙を抜くのには十分であった。

 

「じゃあ、俺なら……俺と善さんなら…」

 

少し落ち着いた、というよりは肩を落としたような様子で青年は尋ねる。

 

「……そうかもな。だけど、お前を危険に晒したくはなかった」

 

否定はしない。

確かにそれは、功善の考えていた一つのシナリオだったからだ。

この青年とは少ない時間ではあったが深い信頼関係で結ばれていた。そして、強い。

相談すれば応と頷くことは想像できた。

だが、それを功善は選ばなかった。

なぜなら__

 

「それは…体裁の良い言い訳だ!逃げているだけだ!その結果憂那さんが死ぬことくらい予想ついたでしょう…!何で俺に言わなかったんですか……俺は…頼って欲しかったのに…俺なら……」

 

功善の意図が読み取れない青年は、ただただ功善を責める。

なぜ頼らなかったのかと。頼って欲しかったと。

力はある。なぜ信用してくれなかったのか、と吠えた。

 

 

「頼る。頼る、か……頼りたかったさ。救いたかったさ。憂那と、君と、エトと…生きたかったに、決まっている。だがな、他でもない憂那の最期の望みを潰えさせるわけにはいかなんだ」

 

そう、功善は独白の様に吐き捨てた。

 

「憂那は…最後に、こう言っていた。エトと一緒に生きて、と。意味が解るか?もう、彼女は自らの生を諦めていたんだよ。ただ、私と娘とを案じていた」

 

「それは……」

 

言葉が詰まる。

 

 

「私は、私が下した結果について、彼女を都合の良い言い訳にしているのかもしれない。あのとき君を頼らなかった根拠にしたいだけかもしれない」

 

「……だが、もう過ぎたことだ。今更後には退けない。君にも、エトにも恨まれることになっても、情けないと思われようとも…止まれないんだよ」

 

「これが私の決めた道だ。私は憂那の言葉を、そういうものと解釈した。私一人生き延びるくらい造作もないが、エトは私と共に居ればすぐにVに目をつけられるだろう。まともな生活を送れる筈もない。最悪殺されるかもしれない。奴等は臆病だ…隻眼というだけで排斥される可能性は十二分にある」

 

 

暫しの沈黙。少しの躊躇いを振り払って功善は切り出した。

 

「私はせめて憂那の願いを叶えなければいけない。しかし、私には直接的には叶えられそうもない」

 

「だから、あの時君には何も言わなかった。情けない話だが、直に君に頼る以外の方法が無くなると分かっていたから」

 

そう言って功善は自らの手元に抱いている娘を一瞥し、天を仰ぐ。

暗闇の中でも、彼の目元の光るのは見間違いではない。

 

「……長々とすまなかった。頼みたいことは一つだ」

 

 

 

 

 

__どうか、娘と共に生きてやってくれないか。




功善とV時代を共にしたつよつよおじさんが書きたかった。
つづくかも


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過去編その2


やがてSSSレートに至る化け物を育てるRTA、はーじまーるよー。

 

前回は功善ニキからエトを引き取ったところで終わりましたが、現在ホモくんはというと原作同様に東京大地下こと24区に身を寄せております。

テレビもねぇ!ラジオもねぇ!どころか、電気もガスも水道も含めありとあらゆるものがねーです。でも喰種捜査官は一月一度来る!

 

いや、私だって畜生じゃないですからもうちょっとマシな所で住まわしてあげたかったんですけどね…だってほら、ホモくんVに顔割れてますし…離反者扱いだから普通に命狙われてておっぶえおっぶえ。エトしゃん守りながらだと100死ゾ。

って感じなので魔境と化した24区先輩以外のとこだと常に死の危険が付き纏います。

少なくともエトが自立するまではこんなクズ底暮らしのホモエッティ状態が続くんで…ざっと10年くらいですかね。ホモくんの20代は劣悪環境での子守バイトに消えるのだ。

可哀想だけどガチでこれが最適解なので我慢しろよホラホラ男だルォォン?!

てことで、ホモくんには向こう10数年はモグラ叩きにやってくる捜査官を食糧に生き延びる生活をしてもらいます。しばらく(何のイベントも起き)ないです。ひたすらに心を無にして日程を消化しましょう。あ、画面は倍速でお送り致します。

てことで、はい、よーいスタート(棒読み)

 

 

 

 

 

チカレタ…(小声)

さてと、そろそろ10年が経ちますね。現実時間では2時間くらいかかってますかねぇ……はーつっかえ…このRTA頭おかしいよ……

と、私感ですがこのチャートの最大の難所はここと言っても過言じゃないです。同じ作業を延々とこなすだけなのでここで一気に集中力が持ってかれますし疲れも溜まります。

それによってこれから先でとんでもないガバをしでかして泣く泣く再走なんてことも…

戦闘中の多少のミスとかなら見逃すんですけどね。5、6秒のロスなら誤差ですよ誤差。やけどお前、好感度管理ミスとかルート分岐でミスるのはあかんやろお前(3敗)

エトのフラグ管理忘れててうっかりCCG滅ぼした時は虚無りましたね。もうどうでもよくなっちゃってそのデータで生まれて初めて全員殺害のGルートやっちゃいました。エウデッテデッデーデデデデ

 

元を辿ればこんな思いしてるのもノロのせいだから。シウサマに熱いヴェーゼをもらって、どうぞ。

 

 

さて、愚痴もここらへんにしておいて本編に戻りまっしょい。

まあ10年も経ったってことでね。うちのエトさんもね、可愛らしく育たれて。母親似でよかったですね。顔で殺し屋バレしてそうな父親似じゃなくてよかったよかった。

語彙力が天元突破してらっしゃるので同年代の童と比べると若干ふてぶてしいですけど、それも含めてエトしゃんの魅力よな(娘全肯定bot)

 

 

と、そんな麗しの彼女ですがここで重大イベントが発生します。

その名も闇堕ちイベ、とか言われてるやつです。

まあ一応闇堕ちさせないルートもありはしますが…好感度カンストさせてホモくんに依存させる腑抜けルートってやつですね。いや、そっちのルートは別の方向に堕ちてるやんけお前…と。

エトを絶対にハッピーエンド行きにさせない制作者の鋼の意思を感じる。まあエトは生まれたこと自体が不幸ってそれ1。

 

 

……とかく、知らない方がほとんどだと思いますので簡単に説明しますと、原作の方でエトが自らのことやVのことを知るきっかけとなった『くぜんさん学習ノート』こと憂那さんが遺したノートですが、原作と違い今回のチャートではホモくんが保管しております。

まあ、当たり前っすね。大人がいるなら大人が管理するでしょうと。

今回のイベントは、言ってしまえばそのノートをエトがたまたま見てしまうというだけの内容です。

そこで親の事やこの国の闇を知ってしまって、原作同様アオギリ結成、CCGと敵対という流れになります。

どうしてホモくんそんな簡単にノート見つけられてしまうん…?

仕様だからしようがないんですけどね(激うまギャグ)

 

……闇堕ちに関しては若干どころかかなりのご都合を感じますが、原作の方でもそんな感じなんで見逃してください何でもしますからってやつ。

原作でも、エトの行動の規模に対して動機が弱いっていうのは色々な人の考察の種になるくらい謎な部分で。

確かに父親が母親を殺した等憤慨するポイントは有りはしますが、一度も会ったことない親ですし、Vのことにしろ10歳そこらの少女が完全に理解するのは無理がないかな、と…

 

生まれた時から、自らの存在を認めてくれる者さえもいない。何もかもを失っていた、これ以上失う物が無かったからこそ軽率に復讐に自らの存在価値を落としこんで、気づけば引き返せなくなっていた……なんてのは私の妄想ですが。

そんな妄想が捗るくらい原作でも謎な部分なのでご都合は仕方ないと思います。変にオリジナル設定入れると『それは違うよ!』とか文句を言い出す厄介ファンは多いですし。

 

 

話が脱線しましたが、このイベントが起こることによってアオギリ結成はほぼ確実。ここに関しては絶対に原作通り結成させた方がいいです。

この東京喰種という作品、途中から殆どの出来事にアオギリ、もしくはエトが絡んでくるのでアオギリ結成を阻害したりすると、後々のシナリオが原作と大幅に乖離しますからね。対処は出来ますが運要素が出てきたり、特に有馬辺りのフラグ管理が死ぬほど面倒くさくて長引くのでタイム的にここは触れないが吉です。

 

お、そんなこんなで解説してたらゲーム画面の方はイベント結構進んでますね。ホモくんとエトさんの問答ももう中盤くらい。内容は見飽きて興味ないのでA連打。おら会話あくしろよ!

 

 

『私は、功善もVも、私を貶めた何もかもを赦さない!顔も知らない奴等のせいで私の生が左右される道理はない!それがこの世の理などとは認めない!そんなものは、片っ端から壊れてしまえばいい…!』

 

 

カットインが入って意味深な台詞と共にイベントは終了。

この後エトに付いて行くか、エトの下を去るかの2択を選べますが、今回は付いていく方を選びます。

ワンワン!僕は忠犬だワン!と尻尾を振りましょう。芥子の時にもこんなんやった記憶がありますめぇ…

 

とまあ、そんな過去のことは置いておいて、どっち選んでも全員生存は可能なんですけど多分アオギリに寄生した方が早いんですよね。

アオギリには好感度上げてイベント起こしまくらないとすぐ死に急ぐ面倒な奴いますし。タタラって言うんですけど。

どうしてタタラくんすぐ法寺さんに喧嘩売るん?

試走で流島攻略戦含め色々カットしたチャートで走ってたらタタラさん最終決戦の時に法寺さんに奇襲かけた挙げ句反撃で普通に逝きましたからね。

試走の時はこんな面倒なこと知らなかったので呆気にとられたなあ。ほんとアオギリはチャートブレイカー多くて困っちまうよ~頼むよ~

 

 

とまあ、とりあえず、これからはエトを超強化して化け物一歩手前くらいまで育成した後、この陰気な地下を抜けて原作開始までは各地のサブイベをこなしていきます。

原作開始までまた10年以上あるんでイベントは回収しつくして大丈夫です。というかそれ以外することないんで誰でも全回収すると思われ。

 

さて、これからの方針も語り終えたところで、今回は早いですがここら辺で終わりとします。サブイベまで全部纏めてたらめちゃくちゃ長くなっちゃいそうなんで。

おそらく過去編はサブイベだけ等速でお送りして後は全部倍速じゃないっすかね。

その後は皆さんお待ちかねの原作開始なのでお楽しみに、というところで終わり。

お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親と呼ぶにはいささか頼り甲斐がない。それに親なのかという問いに彼は否と答えていたし、親と呼ぶのは不適。かといって兄と呼ぶには歳がいきすぎている。これも違う。

だから私は彼を『おじさん』と呼んでいた。

 

彼は、物心ついた時から私のそばにいて、私にとって彼がいる日常は当たり前だった。

今思えばあの地下は酷い所だった、という言葉以外の形容は見つからないが、幼く、その場所と彼と愛すべき文字の群れしか知らなかった私には、そんな最底辺の生活でも人並みには幸せだった。

 

だが、そんな生活はいつまでも続かなかった。

一つ釘を刺しておくと、これは幸福の終わりを意味しているのではない。そういう意味では今も昔も私の人生に変わりはない。変わらず幸せだとも。

ただ、無知であった私が知恵を手にし、己が生の在るべきところ、向かうべきところを定め、歩み始めたというだけの話である。

 

 

話を戻そう。

過程、時、場所。そんなものはとっくに忘れてしまったが、あるとき、私はその身に余る事実を得た。それだけは確かだ。

幼い頭では全てを完全に理解する事は不可能だったが、しかし、それでも私は、私だけはその事実を決して赦してはならぬということは完全に理解した。

 

そして、私の思いは簡単にその本能とも啓示とも呼べるものの指し示す方向に傾いた。

何故なら、私には敬愛する彼と愛好する文字と、それだけしか無かったから。それだけでいいと他でもない私自身が考えていたから。更に、それらは自分が手放さない限り失うことはないと思っていたから。

 

つまるところ、私は『そちら側』を選ぶリスクを実感することができなかったのだ。

ただ愚かに、軽率に選んだだけなのに、おそらく同年代の人より少しだけ利口だった私は、尤もらしい理屈で選んだ風に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、功善もVも、私を貶めた何もかもを赦さない!顔も知らない奴等のせいで私の生が左右される道理はない!それがこの世の理などとは認めない!そんなものは、片っ端から壊れてしまえばいい…!」

 

 

その日、私は反逆者と成った。

彼の目前で、半ば自らに言い聞かせる様に高らかに言い放ってみせた。

とはいえ、彼にとってはそんな私の姿は子供の癇癪にしか見えなかっただろうが。

それ故か、それとも私の思いが本物と解ってかは知らないが、結果的に彼はそれをやんわりと止めたのだった。

曰く、一時の感情に身を任せるのは危険だ、私の往こうとする未来は想像以上に残酷だ、と。

今となってみれば尤もだ。駄々をこねる子供には尤もな理屈だった。

だが、その言葉はおおよそ正しいだけでしかなかったのだった。欲望も信念も全て捨て置いて、ただ理性と常識の枠に当て嵌めたつまらない単語の羅列。

そんな言葉は、決まって最後の最後で力に欠けるものなのだ。その時の彼の言葉は私を止めるだけの力は持たなかった。持てなかった。

そして、私はそれを良いことに更に彼を追い詰めたのだった。

 

 

「確かにそうかもしれない。危険で残酷なのかもしれない。いや、絶対にそうだと私も思う」

 

「けど、私は自分の人生を生きられない方がよっぽど酷だと思ってる。奴等に見つからないように生きる、怯えながら生きる。それでは余りに自由がない、救いがない。そんなものは死んでいるも同然でしょう」

 

 

ならば私は抗う、と。

我ながら狡い言い方だった。そんな感情は彼だって理解できないものではないのだから。

私たちはVによって排斥された喪失者であるからして、Vに対してそういった感情を抱くことは不可解でも何でもない。ただ、それを妄想に留めておくに飽きたらず、行動に移すことのリスクを考えたからこそ彼は止めたのだ。

対する私はどうだ。感情論に次ぐ感情論、正論ではあっても現実を見ていない。

端的に言って愚かだった。他の話題なら、ここで彼が無理にでも止めて、馬鹿だと笑われて、それで私が少し拗ねて。それでもまあいいか、と終わっていた。

だがこればっかりは終わらなかったのだ。終わらなかったからこそ地獄は今尚続いている。結局のところ、彼も私も似たようなものだったということだろう。私の熱に、きっと彼も狂ってしまった。

心の奥底では彼もそう思っているだろうという当時の私の都合のいい解釈は、一途な想いは、ここでは寸分違えることなく当て嵌まってしまっていた。

 

彼の顔が見るからに悲痛そうに歪む。それはきつく閉じられた唇と対照的に、饒舌に彼の心情を物語っていた。

しかし、それでも彼は、お前がそれをする必要はないと言った。

お前の存在はまだ組織にはバレていない。だから、足跡の付かない戸籍を手に入れ、自立できる年齢になり、俺の下を離れれば人並みに暮らせる、と。

 

でも、それは駄目だ。それでは駄目なんだ。

 

 

「___それじゃ、おじさんが報われない」

 

 

絶句、それがトドメだった。

 

確かに、それなら私は助かるのだろう。だが断じて幸せなどではない。

彼を犠牲にして、変わり身にして。彼は鎖に繋がれたままで。それで私だけ生き延びて、暮らして、死んで。そんな一生が果たして幸せであろうか。そんな醜い生き方が幸せと呼べるのだろうか。無論、それだけは許されないだろう。

その結末を否定する為の言葉は、恐ろしく早く口を衝いて出てきたのだった。

 

 

さて、そんな私の言葉を聞いた彼の顔はといえば、それはもう本当に愉快という言葉に尽きる。悲哀という下地に諦感で輪郭を描き、驚愕で色を付け、感激でグラデーションした、そんな色々な感情が内混ぜになった酷くだらしのない顔だった。

そして、彼は頭を掻き掻き、言うのだ。本当に後悔しないのかと。

それに私は首肯する。瞳を輝かせながら、その内に憎悪の灯りを大事に抱えながら。

 

彼は、ふぅと息を一つ吐いて、吸って、向き直って。獰猛な瞳が私を貫いて、私は___あぁ、もう戻れないのだ、と悟った。

 

 

「___なあ、エト。お前が俺の幸福を望んでくれている様に、俺もお前の幸福を望んでいる。だからこそ止めた。お前の選ぼうとしていた道は、数多の屍を積み上げて、踏みしめて進んでいくものだからだ。俺がかつて迷い込んだ道だからだ。どんだけ覚悟してようが、結局は辛いし、苦しいし、何より罪深い」

 

 

もう彼に、迷いや躊躇は見当たらない。そこにあったのは親代わりとなってくれた、頼もしく暖かいだけの姿というより、寧ろ___

 

 

「もう一度言うが、俺はお前に幸せになって欲しい。ああ、そうさ。だから、お前にとっての幸せがその道の先にあると言うのなら、俺はせめてお前が進むにあたってぶつかるだろう過酷から全身全霊で守ろう。お前に降りかかる苦難も困難も全て払い除けよう、お前を殺そうとする輩は例え神様でも殺してくれよう」

 

 

「今日から俺とお前は共犯者だ。精々頼れ、な?」

 

 

___そう。寧ろ、ただ優しいだけでなく軽口を叩き合う様な、絆で繋がっている悪友、共犯者としての彼。

今までより良いも悪いも無いのだが……あぁ、これはしかし。

何か彼にとって特別な存在になれたようで、とても気持ちの良いものだった。そう記憶している。

 

彼はやがて、私の手を取った。

物騒なことを言っていたのに、綺麗に笑う彼があんまり楽しそうだったので、私もつられて笑ってしまった。

 

___私はこの思い出を死んでも放さないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「共犯者、なんてよく言ったもんだよねえ。全く」

 

「この年齢になって思い返してみたら、おじさんってば頼れ頼れって言うばっかり。自分が頼ることは想定なんてしちゃいない」

 

全くもって詐欺だよ、と呟く。

エトの自分語りを散々聞いてくれていた相手は、話が一段落付いたと見るや長い溜め息を吐いた。

 

「……終わりました?」

 

エトが肯定で返すと、青年は立ち上がり、伸びをしながらに言う。

 

「……話があるっていうから作戦のことか何かか、と身構えて聞いてみればただの昔話とは。まあ、貴女方の昔話には興味が惹かれたので最後まで聞かせてもらいましたが」

 

「結局、目的は何なんですか。貴女、何の考えも無しにそういうのするタイプじゃないでしょう」

 

青年は如何にもといった呆れ顔で言う。

深読みをした彼に反して、エトにはその実何の裏も無かった。ただ、聞いて欲しかっただけである。

エトが正直にその事を告げると、更に青年は深く溜め息を吐いて、目に見えて肩を落としてみせた。

その姿があんまり可愛らしいと、エトの顔に思わず笑みが溢れる。

 

「あはは、すまなかったって。もうすぐ全部終わりかと思うと少し感慨深くてね。アオギリは話が合う人が少ないからさ。主に知能レベル的な意味で。そんな時に君を見つけてしまったものだから。無駄話に花を咲かせてしまおうというものだ」

 

___お礼に今度直筆サインでも書いてあげよう。

エトがそう言うと、青年は眉根をぴくりと動かして、言質取りましたからねとはにかんだ。その実、この青年は作家であるエト、もとい高槻泉のファンなのだ。

エトにとって、こういう昔と変わらない無邪気な振る舞いはとても好ましかった。口こそアオギリの雰囲気の影響か、はたまたおじさんの影響かで多少悪くはなったが、そこに明確な敵意はなく、それすらもいっそ魅力の様。

このようなギャップもまた青年が人を惹き付けさせてやまない原因であるのだと、大変だったろうに良くやるものだと、エトはそう考え、目を細めた。

 

 

「やっぱ主人公くん、だなあ」

 

「…は、誰が」

 

「君が、に決まっているだろう。そうだな、本当にただの無駄話であったのだけれど……君がそこまで言うのであれば、この話に目的を付けさせてもらおうか。幸いなことに今しがた、君に私から頼みたいことが出来た」

 

乱暴だ、と青年は若干後ずさる。

___ふふふ、青年よ、意見を通すのはいつも乱暴なヤツで、私は乱暴なヤツなのだよ。

 

「私の願いはただ一つ。難しいことかもしれないが、けして危険なことではないから安心してくれ」

 

生唾を呑む。

 

 

 

 

 

「___おじさんを救ってやってくれないか。ついぞ私だけではどうにも出来なんだ。まあ、具体的にどうしろってのは無いのだけど」

 

たった一言だか二言だかというのに、喉から絞りだすのにこうも力むものかとエトは己のことながら嘲った。これでは自らにとって彼の存在がどれ程か白状している様なものである。

幸い、そんな風にして内心焦るエトに対して当の青年は言葉を噛み砕いている途中であり、エトの心配は察されるまでもなく早々に杞憂に終わっていたのだが。

やがて、まだ納得しかねるといった様子で青年は口を開く。

 

「……意味が解らない。それに、彼に対して貴女に出来ないことが僕に出来るとは、到底」

 

「いいや、出来るさ。青年、私を買い被っている様だがな、むしろ単体なら君の方がまだ可能性は高いぞ?」

 

疑問符を浮かべる青年。

 

 

「私は産まれた瞬間から、というか私の存在自体が彼の後ろめたさとして彼を縛っている。私が生きている限り、彼は自らの生を謳歌することなど出来ないし、私が死んだら死んだで罪悪感が彼を縛り続ける」

 

『芳村 愛支』という存在がこの世に在り続ける限り、『彼』に幸せになって欲しいというエトの原初の願いは本当の意味で叶うことは無い。

 

「そんなに背負わなくていいと何度か言ったことはあるが…その度にはぐらかされ、成果は0だ。終いにはエトの幸せが俺の幸せだ、なんて宣ってきたよ」

 

 

___きっとその言葉は嘘ではないのだろう。きっと彼は果てで幸せだと笑うのだろう。それは嬉しいが、違うだろう。それだけじゃ、駄目だろう。

 

 

「かつて、私は能動的に彼に執着したが、彼は違う。その時の状況に、我が親の望みによって彼は彼の意思と関係無く、強制的に私に縛り付けられた」

 

 

___もう充分だ。私は彼から沢山貰ったのだから。そろそろ解放してやるべきだ。

 

 

「しかしそのことに、彼自身気が付いていない。あたかも自分の意思でそうしているのだと疑わない。気付かせようにも原因が私な分、私の言葉だけでは彼は揺るがない。だから、その時が来たら君にも言ってやって欲しいんだよ」

 

エトはそう、一息で言い切った。息が切れる。動悸が速くなる。ふと、言い切った後になって不思議と怖くなった。果たして何が恐ろしいのやらとエトは思考する。答えはすぐに見つかった。

 

___否定、か。

 

これを言って青年に杞憂を嘲われるのが怖いのだ、と理解した。エトがこの感情を他者に吐露することは一度も無かったため、否定されることもまた、無かった。

故に耐性が無い。いっそ途中から『彼』の為に闘ってきた部分のあるエトであるが、その原点を否定される経験が無かった。そしてそれは、エトにとってとても怖いものに思えたのだ。

なまじ頭が回るだけ、こんなことにまですぐ気付いてしまう。思い返してみればそんなことばかりがエトの脳裏をよぎった。白痴であれば良かろうものを、籠の鳥は不釣り合いな頭と翼を手にしてしまった。

 

やがて錆び付いた機構の様にゆっくりと顔を上げ、エトは青年の顔を覗き見た。

青年は___

 

 

「……そういうことなら、喜んで」

 

 

___微笑んでいた。

柔和に、穏やかに、『嘲っている』のではなく『笑っていた』

青年は確かに、裏表の全く無いこの上なく晴れやかな笑顔で、エトの生を肯定したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___たったそれだけで、どこか救われた気がした。




エトとホモくんについての掘り下げ回でした。

今回はRTA要素少なかったですね。そちらを楽しみにしていた方は申し訳ないです。
如何せん過去編は内容が薄いのと、筆者の喰種で最も好きなキャラがエトでして…小説パートでゴリゴリに書きたいという欲が合わさった結果の産物でした。

一応ですが、誤解を招かない様に言っておくと、エトがホモくんに向けている感情は親愛であって恋心ではないです。loveではなくlikeです。
あと、小説パートはエトが青年くんに過去のことを話している、という設定です。次系列飛び飛びで見辛くてすみません。
青年くんって一体誰なんでしょうね(すっとぼけ)


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Jack of

過去編その番外


残念ながら今回も過去編なRTA、はーじまーるよー。

 

本当はもう無印始めちゃおうかなあって思ってたんですけど、原作キャラが出てくるサブイベのダイジェストを編集してたらJack編が予想以上に長くなっちゃって……

戦闘とかもあって見所さん満載だったので…纏めちゃいました。

すまんな、もうちっとだけ続くんじゃ。

 

前置きはこの辺にしといて、さっきも言いましたが、今回やるシナリオは東京喰種のOVAに当たる『東京喰種-Jack-』

Jackの二つ名を持つ無敗の捜査官、有馬貴将の青年期にスポットライトを当てた、喰種の中でも随一に有名な番外編ですね。

ざっと言ってしまうと、高校生の有馬とその同級生である富良が13区内で暴れる喰種『ランタン』を追う、という物語。

気になった方は見てみてね!でも、この作品は紙媒体は無くてweb漫画かアニメしかないから注意するんだゾ!

 

とまあ、媚を売ったところで。

時間も惜しいですし、目標をちゃちゃっと説明して早速ストーリーを進めちゃいましょう。イクゾー!デッデッデデデデ!

 

 

 

 

 

さあやってまいりました13区。

今回のストーリーは種族で始まり方が異なるんですが、人間だと有馬たちと接触するところから、喰種だと大森八雲、後のヤモリですね。彼と接触するところからのスタートです。

あらすじのところでは全く触れなかったんですけど、JackではCCGに捕まる前で性癖がねじ曲がってないヤモリも登場します。

綺麗なヤモリ、劇場版ヤモリとでも言いましょうか。

まあ、この時でも人殺しまくってますし、なんなら普通の喰種よりかは凶悪なんですけどね。

無印のヤモリが酷すぎるんで、此方のヤモリが輝いて見えるだけです。

 

お、そんなこと言ってたらホモくんもヤモリと接触出来ましたね。

今回はホモくん、アオギリに入ってるんで、会話中の選択肢の中に『アオギリに勧誘する』コマンドが入ってます。そちらをポチっと。

ヤモリは別に今じゃなくても後々勧誘出来るんですけど、ここで加入させることでアオギリ所属にして、部下持たせたり、行動範囲を管理したりすればCCGに捕まるイベントを回避出来るのでここで誘います。

さっきも言いましたけど、ヤモリはCCGに捕まっちゃうと性格が豹変して極度のサディストになりますからね…そこに生来のエゴイストっぷりも加わって、ただただ御し辛い。

なので、私のチャートではもうここで勧誘しちゃってます。

 

さて、この後も会話は続いて、文面上だとヤモリは入ることを拒絶してますが、ゲーム的にはこの選択肢を選んだ時点でイベント終了後に確定で加入させられるので、もう事実婚みたいなものです。

もう!ヤモリってぱツンデレなんだから!(ニコ並感)

おい、ホモくん同類だろ。この雰囲気なんとかしろよ。

 

 

……ストーリー進めていきましょう。

ヤモリのフラグは立てたので、今度はランタンの番ですね。

この時期のランタンは人間を装って有馬たちと喰種狩りを行っているので、学生が自由に行動できる時間…すなわち放課後や休日なんかに裏路地に行ったりすると遇うことができます。

行動範囲としては13区内のみとまだ狭い方なので、喰種の膂力をもってすれば平均して3日くらいで見つかります。

万一、時間かかっても原作開始前なのでロスというロスでもないです。そりゃあ早く終わるに越したことはないですけど、急ぎすぎてミスっても世話ないですから。

平静を保ってゆきましょう。なんてったって公式チートさんとの戦闘も控えてますしね(小声)

be cool ボクゥ…

 

 

 

 

 

……お、見つかりましたね。2日で見つけられたのでまだ早い方です。

件のランタンですが、此方には気付いていない様子で路地裏をてくてくと歩んでいます。

やっぱこうして見るとただの可憐な女子高校生にしか見えませんね、ランタン。

 

まあ、それは置いといて、気付かれていないのは丁度いいです。後ろからランタンに話しかけて__

 

と、そこで背後から足音が二つ。振り返ってみれば、男が金属バットを振りかぶっていました。冷静に回避しましょう。

 

『チッ、避けられたか……』

 

金属バットで殴りかかってきたのは、制服を随分と着崩した金髪の青年でした。彼こそ後の上等捜査官、富良太志。

そして__

 

『太志は下がって。俺がやる』

 

富良の後ろから時間差で突っ込んでくる、死神。

彼はクインケ『ユキムラ』を二刀、展開しながら更に加速。回避後で体勢が崩れてますし、避けきれません。赫子を前面に発現させて受け止めます。

少しの鍔迫り合いの後、有馬が退きました。あのまま続けてたら先に折れていたのはユキムラの方ですから賢明な判断ですね。

 

 

とまあ、こんな感じでランタンみーっけ!と思って近付くと、思いっきり奇襲をかけられます。

何故かと言いますのも、喰種狩り集団の戦術の基本パターンが『人間のふりをした可愛いランタンちゃんに囮になってもらい、彼女に釣られた喰種を男性陣が後ろからタコ殴りする』ってものだからですね。

ホモくんは、絶賛その作戦中に近付いたもんだから攻撃されてしまったというわけです。

しかしまあ、奇襲と言えど分かっていれば当たりませんので。しかも片方は戦闘に関してはズブの素人ですし、私が操作するホモくんに敵うわけがありません。こんなの初見で見切れて当たり前。ここでミスって死ぬ人はRTA向いてないです(2敗)

 

さて、画面の方では現状はお互いに出方を窺っている、という感じ。強キャラムーブをしつつ、このままデュエル開始……にはなりません。逃げます。

ランタンを助けるだけだったらここで有馬と富良を殺しゃいいんですけど、このRTAのレギュ的に出来ませんからね。

有馬が主要キャラじゃないわけないだろ!いい加減にしろ!なんなら富良さんも主要キャラだよ!

 

じゃけん、ランタンに唾つけてから大人しく逃げましょうね~。

なァ、ランタンちゃんよォ……明日、ヤモリん家で待ってッからよォ。来ねぇと…分かってるよなァ……と去り際に彼女の耳元で囁いてから帰りましょう。

 

 

 

 

 

翌日、夕暮れ時。

約束通りランタンが来てくれましたね。ヤモリには何も言ってなかったのでなんやかんや喚いてますけど無視無視。だって共通に把握できる待ち合わせ場所お前の家しかないんだもん。

と、ここでランタンになんで正体に気付いたのか問われますんで適当に返しましょう。

私は、膨大な施行回数によって得られたデータをもとに、文字の入力スピードと好感度上昇値を考慮して、いつも『臭かったから』と答えてます。もし走る方がいらっしゃれば参考に、どうぞ。匂い立つなァ…。

 

そんなことを言っている間にも会話イベントは更に進んで、ランタンも『アオギリに勧誘する』コマンドが出てきますんでポチッ。

すると、今度有馬と富良を殺す作戦があるから、それ手伝ってくれたら入ってやってもいいよ(要約)と言ってきます。

勿論回答はYesで。決行日は3日後だと言うのでそれまでフリーです。好感度上げるなりレベリングなりして待ちましょう。

 

 

 

 

 

そして3日後、夜。決戦の日です。

作戦の概要は、ランタンが有馬と富良にヤモリを標的にするように仕向け、ヤモリを尾行させる。そして、人気の無いところまで誘導ができたら、ランタンが裏切って挟み撃ちをするというもの。

ホモくんの役割は戦闘が始まった後、敵に気を取られている有馬に奇襲をかけて殺すことです。まあレギュの都合上出来ないんですけど、そんなこと言えないので暗殺する体で話を合わせて待機しとります。

てか、彼女はこの時点で有馬が自分の手に負えないってことには気付いてるんですよね。さすがランタンちゃんは賢いなあ。

 

 

そんなことを言っていたら戦闘が始まっちゃいました。

とはいえ、有馬を殺す気はさらさら無いですし、下手に介入して有馬が富良を助けられなかったら不味いので、とりあえず有馬が床ぶち抜いてヤモリをグサー!するところまでは傍観しましょう。

 

___いや、しかし。いつ見てもこの頃の有馬は速いですね。

有馬を含め、半人間は肉体的に非常に早熟なんで肉体はともかく、反射神経なんかの全盛期は言うなればこの時期。クインケがユキムラなのでまだマシですがこの頃にフクロウとか持ち出してたらエンカウント=死だったんじゃないかなあ…

交戦しているランタンも単体でSレートに数えられるくらいなので絶対に弱くはないんですが、これは…正に次元が違う。

 

襲いかかる赫子を受けるか躱すか判断、そしてそれと同時に本体に一撃、その後の相手の動きから次の攻撃パターンを予測。このサイクルが1秒と少しの時間で何回も何回も行われている。

サイクルの最後に行われる予測行動によって、次のサイクルの始まり、則ち『相手の攻撃への対処』はどんどん無駄がなく、洗練されたものになっていく。

つまり、1サイクル目よりも2サイクル目、2より3、3よりも4…と時間が経過すればするほど有馬の動きは円滑に、苛烈になる。

そして、それは相手の焦りを掻き立て、致命的な隙を生じさせるに至る___

 

…決まりましたね。

大振りになってしまったランタンの攻撃は有馬に完全に弾かれ、体勢を崩された。もう、何をするにも遅い。

神速の斬撃が彼女の胴を無慈悲にかっさばく。

ついでに死角からヤモリも貫かれる。

 

ほんとこいつ、RTA走者のお手本みたいなムーブしてんな。正体TASかなんかか?

理論的には可能だけど、行動を無意識に動けるレベルまで体に刻み込むとか、時間経過による集中力の低下をなくすとかの到底不可能なことやってる辺りガチでTASくさい。

まあ、TASだろうが何だろうがランタン助ける為には挑まなきゃなんですけどね。いっちょやってみっか!

 

 

てことで、颯爽とランタンの前に登場。(一人に)しないよ(イケボ)

 

『……お久しぶりです』

 

ばっちぇ警戒してますね、有馬くん。

流石に前の戦闘のとき余裕で捌きすぎたかな。敢えて食らってたら油断させられてたかも。まあ、誤差でしょ。

本気有馬の速度とはいえ、うちのホモくんはボタン一つ押すだけで行動させられるんじゃい。それに化け物クラスの再生もあるから多少の無理も出来る。地力が違いますよ。ちゃちゃっと撃退しちゃいましょう。

てめえがついてこい__!!

 

 

と、啖呵を切ったはいいんですけど、こいつやっぱ強い。それに私の調子も良くないのかもしれません。

さくさくっと撃退してランタン連れて帰ろうと思ってましたが、撃退せずにどさくさ紛れで回収して逃げちゃうのもアリだな。

とりま攻撃を受けつつ反動でランタンのとこまで接近を__ってぇ!!

 

 

一体誰ですか!私に石投げて来た人は!人に石投げちゃダメって小学校で習わ……あ、やべ有馬から目離しちゃ__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____あぁ~…!!チルチルすんなぁ~!!

 

いや、まさかここで富良くん乱入してくるとは。有馬との戦闘が長引けば乱入確率上がるとか書いてありましたね、そういえば……

試走でも全然来なかったからこの可能性完全に捨ててましたよ。

そんで虚を突かれて首チョンパ。

異能で『驚異的な再生力』選んでなかったら死んでましたね。やっぱ人権スキルですよこいつは。デメリットもあるけど……まだ大丈夫やろ(震え声)

うん、RTAなら多分、大丈夫。

 

回生を果たした(違う)ホモくんを見て、有馬くんも富良くんも流石にビビってますね。

なら、今の内にランタン回収して逃げましょう。サラダバー!

 

 

 

 

 

ふむ、追ってくる気配は無いですか。見た感じユキムラの耐久値が限界そうだったのでそれも有るかもしれないですね。運が良いのやら悪いのやら。

 

さて、山場を越えたところで、こっからはピロートークもとい後書きですね。見所さん無いんで倍速します。

えーと、アオギリにランタン持ってって回復させて……後は二人の後日談こなして……

うし!ランタンは傷で動けないので半強制的に、ヤモリも流石にCCGを恐れたのか、再度勧誘したらすんなり了承してくれました。

これでどっちもアオギリ入り完了で、Jackイベは終了、今回の動画もここらへんで終わっときましょうか。

ちょっと予想外の自体はありましたが、結果的にガバることなく、やりたいこと全部出来ましたし良かったです。

次こそ無印、原作に突入するんでお楽しみに!

お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちの馬鹿娘が二区でどんぱちやってくれたお陰で知名度上がったもんで、ちょっと有名所の奴らでも勧誘しようと来てみれば面倒な事に巻き込まれちまってよ」

 

男は、眼前の光景を眺めながら悪態をつく。

 

「素人かと思ったら、クインケ持ってるわクソ速いわで名前聞いてみたら有馬だと。和修の駒じゃねえか。一応見に来てはみたが、奇襲なんざ成功しねえよ」

 

物陰から顛末を見届けながら、誰ともなしに呟かれた言葉はまた、何者でもない暗闇へと消え去った。

男が目にしているのは、およそ男の半生においては見慣れたであろう人と喰種との殺し合い。強いて珍しいことを挙げるとすれば、人間側が徒党を組んでいないことか。

人間と喰種の間にはどうやっても埋まらない、種としてのスペックの差がある。それはこの世に生きる上で誰しもが知り得る事実であり、故に人は数の利を重要視するのだが。

この場にある死合いの状は、喰種と人間が一対一で向かい合うというものであった。

喰種に人間が襲われている、のならこの光景は納得が出来るだろうが、しかし。人喰いの悪鬼に目をつけられた筈の人間、有馬には恐怖も諦観もなく。

さも立ち向かうことが当たり前だと言うように、刀を手にし、薄い鏡を通して触手を手元で遊ばせる喰種の女を冷ややかに瞥していた。

 

やがて、劇の幕が上がる。

述べた通り、圧倒的な種としての差がある筈の戦闘。並みの人間であれば生きている内にその肢体に触れることすら叶わず、臓物を弄ばれるのが精々であるが、しかし。

此処に有ったのは、人間による完膚なきまでの蹂躙であった。

可憐な花は二刀の下に手折られ、家守は尻尾に刃を突き立てられる。それを成した人間には、僅かに頬に一筋の切り口が残るのみ。

歴戦の猛者である男の目でなくとも容易に勝敗が判る程の惨劇。男の目をもってすれば尚の事明らかであった。

 

 

「…分かっちゃいたが、あの嬢ちゃんには無理だったな。金髪も合流したし……もうダメかね。悪いが見捨て___」

 

 

そんな結末に少し残念そうに、憐れみを送るように眉根を下げて。

男が去ろうとしたその時だった。

何があったのやら、倒れ伏していた喰種の女が立ち上がったのだ。文字通り、命を燃やして。

その瞳は宵闇に爛々と赫く輝き、激情に魅せられている様に男には見えた。誰が、何故、彼女をそうさせたのかはやや離れた所から見届けていた男には知り得ない。故に興味が湧いた。

付き合いは数日間ほどと短いものではあったが、その中でも、彼女がこうして感情を有るがままに吐露することは男の目には新しかったのだ。

死の間際で彼女はどんな言を放つのだろうか、と。不謹慎を思う感情こそあれど、死という概念に慣れすぎた男にそれは、行動を縛る枷にはなり得なかった。

 

 

ある者は無感情に、ある者は悲しげに。各々が各々の心持ちで見つめる中で喰種の女、ランタンは口を開いた。

発されたのは、彼女の願いの丈と、行動理念。

強者として、種を喰らう者として生まれながらも、彼女が焦がれたのは群れなければ何も出来ない、生まれついての弱者としての日々だった。

だが、どれだけ願ってもそれだけは叶わない。種族の差とは今世の内に乗り越えられる代物でなく。どんなに焦がれ近付いても、それは近付くだけであり、永遠に交わることのない漸近線。

だから、主軸線上に在りながらそれを恵まれていると満足せず、凶行、横行に走る人間種が赦せなかったのだと。

 

それを愚かだと断じてしまうことは簡単である。

願いを、ではない。そも願いとは、個人が誰かに一心不乱に想うものなのだから、どんなものであっても馬鹿になど出来よう筈もない。

憧れるのは自由なのだ。実際にそういった願いを持ち、人間社会に紛れる喰種も一定数いる。

しかし、彼女の愚かなのは行動であった。

彼女の焦がれた『一般的な人間』は、少なくとも人を簡単に殺めることはしないのだ。殺すにしろ、えもいわれぬ理由が有っての末だ。

いけすかないから殺した、だのはまさしく彼女が異形の化け物だということを自ら示していた。

 

 

ランタンは言いきって崩れ落ちる。

元より回復すらままならず、血を垂れ流しながらの絶叫。死に体の身体に鞭打つ行為。彼女にそう時間は残されていなかったのだ。

もうどう転んだとしても死ぬ。放置されていてもいつか事切れるだろう、刀で貫かれても死ぬだろう。

どちらが長く生きていられるかすら彼女には関係が無かった。最早痛みすらも感じないが、しかし身体も動かせない。何秒生きていようが同じことである。

本人を含め、誰しもが彼女の生を諦めた___ただ一人、男を除いて。

 

 

彼女の行為は、紛れもない彼女自身の思いと反する行い。矛盾である。愚行であった。

しかし、確かに願いは本物だったのだ。

では、それを果たせないまま逝ってしまってもいいのか。断じて否である。

彼女の行いは事実として許されない、罪だ。しかし、彼女が成就せぬ願望を抱いたその日から、苦しんでいたこともまた事実だ。

では、その分くらいは救われても罸は当たらないだろう。いずれ自らの罪と向き合う日が来るとしても、その日は今日ではない。

___男はそう思った。

 

 

 

 

 

女は意思を手放す前、最後に。

喉を何かが通っていくのと、傍に在る英雄の姿とを認識した。

 

「……お久しぶりです」

 

死神は俄に笑う。

 

「ああ、俺の出る幕じゃないんだろうが我慢してくれ。この手のヤツは刺さるんだよ。俺は優しいからな」

 

男の纏う気迫は、鋭利な刃物の様に尖っている。その剣気は相手を射抜き、死神に自らの死を幻視させる程であった。

対して死神と呼ばれた___いや、そうあれかしとされた青年、有馬はただ無感情に見つめ返していた。

清流と激流。沈静と胎動。静と動。殺す者と生かす者。極端に在り、拮抗する。

互いの出方を窺い、読み合う間は時間にして1、2秒の事であったが、傍観者にとっては永遠にも思えた。

 

 

やがて、先手を切ったのは有馬だった。

以前相対した時のように、誰その血に濡れた刃を振るい、接近する。

それでいて以前と違い、初めから全速で。悲鳴を上げる足を無視し、腕をしならせ、斬り裂くは首。

 

「____ッ…!」

 

男は僅かにたじろいだが、しかし。脅威の反応で、上身を捻らせ躱して見せた。

喰種の身体能力が可能にした超人技。並みの相手ならとうに終わっていた一撃。

どちらも絶技と呼ぶに相応しい。

しかし、当の両者は共にその業に感嘆することもなく、次の動きへと身体を滑らせていた。

有馬は、虚空をかいた刀に力を込め、下から上へと振るう。

逆袈裟の形である。

 

___ぞぶり、と。避ける暇も与えず、有馬の刃は確実に男の肉を、骨を裂いた。

腕の可動域的に首を断つには至らないと考え、胴に通した選択は間違いではなかった。男の腹は斜めに斬られ、完全に離れている。おまけに左腕も成り行きで持っていった。

後は心臓でもいい、首でもいい、脳でもいい。回避する術を持たぬ者の命を絶つのは、有馬にとって些か簡単が過ぎる。

___故に無意識に気が抜けた。

とは言っても、常人のそれではない。有馬の全力と比べ、たかが2秒ほどだけ離別の一撃を放つのが遅れただけである。

 

しかしその2秒は、致命的な隙だった。男が自らの肉と肉を繋ぐのには充分すぎたのだ。

 

有馬が仕留めようと切っ先を向けたそのとき。目の前に在ったのは、断面すらも見えないほどに綺麗に結合された男の肢体。

有馬にも、再生力の高い喰種との戦闘記録はあるが、しかし。ここまでの再生、異常とも言える再生とは予測をしていなかった為、一瞬だけ動きが止まる。

有馬が見せた初めてにして唯一の隙であった。

 

男はそれを見逃さず、当たり前のように己と有馬とを瞥すると、赫子を瞬く間に発現させ、自らの身を裂いた一刀を触腕で掴む。

有馬は己の一刀が折られることを察した。

そして、焦った有馬は無意識に、渾身の力を込めたもう一刀で男の赫子を叩き斬った。

焦ったのだ、焦ってしまった。

それに気付いた時には遅い。男の次の行動を躱しきれない、と悟った。

 

「___ハァッ!」

 

男の攻撃はただの蹴りであった。人間の膂力の何倍か、という一点を除けば。男の蹴りはヒトの生身を貫き、死に至らしめる。

しかし有馬も流石に天才。反射で蹴りを刀で受け止める、が___細身の刀身では防ぎきれない。吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

一時的に距離を取った両者。

有馬は、辛うじて保っているとはいえ掴まれてボロボロの一刀を捨て置き、懐からもう一刀を取り出した。そして、展開。

彼のクインケの銘はユキムラ、『ユキムラ1/3』である。刀は全部で三振あったのだ。

対する男は、落ちた左腕を無造作に左肩に押し付けつつ、有馬に近付く。

しばらくして男が手を離せば、肩口は何事も無かったかのように腕と結合していた。

男の特異性、異常回復の面目躍如である。先程から男の命を救ってきたのも『それ』であった。

 

共に態勢を立て直し、向かい合う。戦局は第二ラウンドの様相を呈していた。

先程までの激しい闘いが嘘であったかのように、沈黙が場を覆う。

両者共に、初めと同様相手の出方を窺っている。

 

さても、今回口火を切ったのは男の方であった。喰種の驚異的な身体能力でもってして肉薄する。

有馬は刀を構え、応戦。まともには打ち合わず、受け流すようにして男の攻撃を捌いていく。

動きにも殺意にも、無駄や不足は一切なし。

その上で、有馬の全速力も男の再生能力も、お互いに知るところとなった。初見殺しはもう、ない。

 

 

 

 

 

___打ち合いは続く。

有馬の攻撃は速い。

が、男程の手練れであれば反応は出来る。不可避の状況に陥ることは有れど、そこは身を斬らせて押し通った。男にしか出来ない芸当である。

男の攻撃は確かに重い。

が、有馬を仕留めるには鈍重が過ぎた。有馬の真核を貫くに能わない。

 

 

端で眺めていた富良には、彼らの戦闘はいっそ永遠に続く舞にすら見えた。

洗練された殺しの技術と技術のぶつかり合い。有馬は速いが僅かに浅く、男は強いがやや重たい。お互いの力がほんの少しだけ相手の命に届かない。

故に奇妙なバランスを取り持って、打ち合いこそすれ拮抗状態に陥っている。

結末は、集中力欠如によるどちらかのミスか、相討ちか。

 

富良はどちらでもダメだ、と思った。

前者は不確定であり、どちらが致命的ミスをするかなど分からない。後者は無論ダメだ、有馬が死んでしまう。

どちらも有馬に死のリスクが伴うのだ。

___何か、ないか。安全に、友の勝ちを引き寄せる為の何か。

 

そうして思案を続けた富良は、やがて活路を見出だす。

富良の目に移ったのは、先のランタンとの戦闘の余波で彼女の赫子が削り取った、廃ビルの外壁。もっと言えば、その削られたコンクリートだった。

 

___それを投げて男に当て、注意を惹く。

 

簡単そうに見えて、これが中々どうして難しい。

ミスは許されない。ミスをすれば逆に有馬が窮地に陥る可能性がある。

そんな無数の最悪な可能性が富良の頭を巡る。伸ばした手を降ろしてしまいそうになる。意思を曇らせてしまう。

しかし、それでも富良は震える指先で手頃な塊を手に取った。そんな富良の背後では、今も有馬と男が闘っている。

闘っているのだ。

有馬にはそんな気は無いと分かってはいるが、事実として有馬によって富良は喰種から守られている。

富良には、その事実が有るだけで充分だった。己なら出来ると確信した。

根拠と呼べるものはたった一つだけ。自分を奮い立たせる為の慰めの言葉すら必要ない。そんなみっともないことしなくたって、絶対に当てられる。

なぜなら___

 

 

___必死こいて戦ってる、ダチの為に投げるからだ!!

 

 

 

 

 

根拠と呼ぶには剰りに合理性に欠けている。

それでも。

富良の投げた意思は、男のこめかみを撃ち抜いたのだ。

喰種の皮膚は頑丈で、人間の腕力で投げられた石では傷一つ付かない。

しかし喰種だとしても、一定量の質量が顔に当たれば、当てられた者の目線と意識はブレる。

天才相手にその隙は致命的だった。

 

 

「……ナイスボール」

 

 

残像すら浮かぶ、神速の刹那。

赫色の凶刃は、やっと辿り着いたと言わんばかりに。男の首の肉を喰らい、脈を千切り、筋を断ち、骨を穿つ。

有馬一人では至る事の出来なかった業。

生命を刈り取る、会心の一撃。

 

だが。

 

 

「___悪いが、死ねぬのよ。その程度じゃ」

 

 

まだ、死なない。いや、死ねない。そこに男の意思は介在せず、ただ存命であるという結果のみ。

男は傷一つ無い自らの首を撫でながら、あっけらかんと言い放った。

 

「人間喰種問わず、首が胴と別れても何秒かは意識があるもんだ。脳を動かす新鮮な血が、頭に数秒分残ってるからな」

 

「その数秒。常人なら意識があるだけですぐ死ぬんだろうが……俺は意識があるうちに再生しちまうから、悪いな」

 

理屈は解るが実践されては堪らない。

富良も、有馬ですらも『化け物』と呼ぶ以外の言葉を持てない。

呆気に取られる二人を尻目に、男は興が冷めた様子で倒れ伏していたランタンを担ぎ、言う。

 

 

「久しぶりに楽しかったぜ、お前ら___じゃあな」

 

 

男は闇夜に消えていく。

青年らはその後ろ姿を呆然と、目で追うことしか出来なかった。




擬音ぞぶり。好きですねえ。
有馬くんとの戦闘が書きたすぎたけど数ヶ月明けにこんなの出したら怒られそうだったから意地で書き上げました。


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救済

無印編1話


(ようやく)やがて王になる、なRTAはーじまーるよー

 

前回までで過去編も終わりということで今回からは皆さんお待ちかねの本編スタートです。やったぜ!!(迫真)

ここまでは殆どモブ顔しか居なくてオアシスといえばエトくらいなものでしたがこれからは美男に美女に馬糞にと画面が彩られること間違いなし。これには夢女子姉貴もガチ恋兄貴も大満足だあ……みんなも推しをコメント欄で教えてくれよな!

 

と、露骨なコメ稼ぎをかましたところで早速やっていきましょう。

えーっと…区切りの良さを考慮して、今回は笛口の辺りまで進めていこうと思います。

このシナリオといえば、序盤の癖に真戸呉緒が完全に初心者が相手にするレベルではないということで、初見プレイヤーに立ち塞がる壁として有名ですよね。

このゲームの仕様上、必ずしも原作介入しなければいけない訳ではないので戦闘回避も出来るんですが……大抵の初見プレイヤーはこのシナリオで死んでしまう笛口マッマを助けようとして戦闘の最中にガンガン突っ込んで行っては散って逝きます。

 

知らない人の為に説明しておくと、笛口ママンは喰種の転生やら逆行モノのssやらで助けるのが最早テンプレ化してるくらいの死んでほしくなかったランキング上位キャラでして……このゲームにおいてもそれは例外でなく。みんな初見で情報も実力も無いまま助けに行っちまうんだなあ。

 

そしてNSOK…じゃなかった、真戸おじに殺られてがめおべら、と。彼、言っても准特等クラスですしクインケ操作技術だけなら作中キャラの中でもトップクラスの実力者ですからね。奇襲だったとはいえセンスだけで相手しちゃうヒナミがおかしいのよ。

ま、人気キャラは手に入れにくくて普通だし(ソシャゲ並感)難易度高くても多少はね?

……いや、今回のホモくんは過去の下積みあるんで特に救出に苦戦はしませんが。(フラグじゃ)ないです。

 

え、笛口ママを手に入れる(意味深)つもりかって?ええ手に入れますよ(物理)

だって彼女も主要キャラですし、それに今回のチャートでは彼女にやってもらいたいこともあるので助けなきゃいけません。

手に入れる、もとい洗脳することも出来ますけど、彼女自体は対して強くないですからあんま意味ないです。強キャラを堕とすのは割と価値あるんすけどね。盲目的に何でも言うこと聞いてくれるバケモンはそりゃ強い。

でも、笛口マムみたいな非力な人妻一人堕としたところで薄い本が厚くなるだけなんで…ナオキです……

私個人としてはRTAじゃなきゃ人妻にバブみ感じてオギャるのも良いと思うんですけど(天下無双)

 

 

おっと、碌でもねえこと話してたら原作に追い付きましたね。突如ゲーム画面が暗転して、20区での鉄骨落下事故を知らせるテレビニュースのムービーが流れてきます。

これでカネキが喰種になり、それをトリガーとして無印編がスタートするんですね。

 

あ、別にカネキを喰種にしないでスタートすることも出来ますよ。今回は特にそうする意味もないので放っときましたが、リゼやら旧多を事前に殺しておくとかそれ以外にも色々方法は有って割と簡単です。

これの何が面白いって、当たり前ですけど彼って主人公なんでストーリーに関わらないと大きく原作が変化して結果として高難易度化するところですよね。それを縛りとしてプレイ動画出したりRTAしたりしてる兄貴も多いです。

 

ですが、私のレギュにそんなことは関係無いのでここら辺でこの話は止めにして本編に戻りませい。

画面の方に戻れば絶賛無印編が始まっているわけですが、まずは喰種になったばかりのカネキとの接触からやっていきます。

 

具体的にはニシキとの再戦が終わって食欲に呑まれかけてるシーンですね。もうちょっと早く接触も出来ますが、ここで助けることでカネキの好感度爆上がりが狙えて無駄な好感度上げをしなくて済むので今回はここで接触していきます。

 

ちなみにこのシーン、原作の方ではトーカがカネキを助けるわけですが、トーカは人間飯の所為で著しく戦闘力が下がっており、最初期のクソ雑魚カネキくんといえど暴走状態には割と苦戦するのでそこに颯爽と介入していきましょう。

なお、ここまでしてもトーカの好感度は上がりません。むしろ余計なことをするな、とキレられます。

いやあ、攻略難易度高いヒロインは流石だね。今時ツンデレとか流行るわけないだろ!反省しろ!

 

 

てことで説明終わり!閉廷!以上!解散!到着あーんど出国!!

とりあえず20区の戦闘現場には着いたので暫くは観戦です。がんばえぷいきゅあ〜〜

 

───っと思ったんですけど、もう始まってる!カネキ覚醒しちゃってるよ……マジで穴開く5秒前……

 

 

『死ぬッ!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬッ!!死ぬゥゥゥゥ!!!!』

 

 

いやあ、ニシキの名言は何度聞いてもイイっすね。心に響くものがありますよやっぱ(棒読み)

まあ怒った陰キャは何するか分からないって言いますし。舐めプして怒らせたニシキの自業自得だから、仕方ないね(諦観)

 

しかし、ニシキは直接手を下さない限り基本何やっても死なないことに定評あるから安心して見過ごせるの良いですね。このチャートの数少ない良心ですよ。それに比べてアオギリは……以下略。

 

さて、そんなこんな言ってる間に件のカネキですが自分でボロ雑巾みたいにしたニシキには目もくれず、トーカとの戦闘を始めていますね。正妻には勝てなかったよ…

 

と、そんな感じで戦闘なんですが、トーカは羽赫で牽制をしつつ壁を蹴って縦横無尽に跳ね回りながら一撃を入れていってますね。良い戦術ではありますが……やっぱり動きが重たい上に擦り傷の治りすらも遅いですね。人肉も食べてはいるのでしょうが、やっぱり人間飯という名の毒物を摂取している以上こうなってしまうのも自明というか。

カネキもトーカの動きに無意識ながら対応してきてるのでそろそろホモくんの出番でしょうかね。

 

あ、ちなみに先も言った通りこのカネキは最初期ということで取るに足らないのでサクッとワンターンキルしちゃいます。見とけよ見とけよ〜

 

ってことで初手ですが、片方の赫子でカネキの三本の赫子をまとめて握り潰して、もう片方の赫子で首を締め上げる。ザ・エンドってね。

これ、かつてレベリング時代に近接赫子持ちに対して行ってた確殺コンボだったりします。まあ今回は殺さないから締め上げるに収まってますが、レベリング時はねじ切ってましたね。

思い出されるのは幾度となく繰り返された(再走)原作開始前…癖になってんだ……確殺ムーブ決めるの(震え声)

 

ちょっと嫌な記憶が過りましたが、結果として簡単に捕まえられましたね。今のカネキは本能で動いてるので当然ながら背後なんてケア出来る筈も無かった……

 

さて、こっからどうすっかな〜俺もな〜と考えていると突然、トーカがカネキの顎を蹴り上げて脳震盪を誘発。

はえ^〜惚れ惚れするハイキックだあ…と感心していると、流れるような動きでホモくんもトーカに蹴り飛ばされて、気絶したカネキを奪われます。

そして、そのままホモくんと言葉を交わすこともなくカネキを抱いたまま逃げるトーカ。

 

え、何それは…(困惑)と初見では思いましたが幾度も再走をした私に隙はありません。トーカのこの行動については確定で起こるので心配ないです。

 

心配兄貴の為にざっくりと説明すると、トーカの逃走の理由としては、

 

①カネキを気絶させて暴走は止めるのは最優先の確定行動。

②しかしその後、この時点では敵か味方かも分からないホモくんに気絶した仲間を抱えながら対峙するのは分が悪い。

③じゃあいっそ相手が喰種ならCCGへの通報の心配も無いし逃げればいいのでは(天啓)

 

という考えかららしいです(攻略本ガン見)

 

ファッ!?普通に冷静な判断…トーカたそめちゃくちゃ有能やんけ!

そうです。トーカは怒って視野狭窄にさえならなければクッソ有能なんです。

 

あの状況で拘束されたカネキの意識を瞬時に刈り取って撤退という判断を即座に実行するとかめっちゃ賢明ですよ。

まあ、カネキとの関係がそこまで深まってない序盤だからこそ起こったんですけど。中盤以降だと普通にブチギレるのでこんな判断出来ません。

 

冒頭の方でキャラを堕として言うこと聞かせる手法がある、みたいなこと言いましたけど、それで闇落ちさせて依存させたトーカは突き詰めていったらめちゃくちゃ強いですからね。

感情の針がプレイヤーにしか触れないのでプレイヤーが無事である限り常に冷静沈着完全無欠のスーパーヒロインになります。ポテンシャルなら作中女性喰種の中でも高いですからね。序列だとエト、ロマ、ヒナミの後に付けるくらい。

 

 

さて、そんなところでカネキを奪取されちゃった訳なんですが…とりあえずトーカの行先はあんていく以外に無いので普通に追いかけましょう。

 

───え、ニシキ?うーん……放置で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───おっ、(あんていく)開いてんじゃーん!

店内に入ってみると夕暮れ時ということで客足は疎らですね。しかも匂いで判別した感じ客は全員喰種みたいですし立ち回りやすくて良き。

 

早速功善に気さくに挨拶かますと、功善は珍しく目を丸くして驚いている様子。まあ無理もありません。あの日エトを預かって以来ずっと会ってませんでしたからね。

だって来る意味ないし…四方さんは4区時代で殆どイベント取り切ってて、他にイベント進めたいキャラも居ませんし、後はあんていくに行く度にエトの好感度が下がるのがなあ。

あ…言った側から下がったし。なんでホモくんがあんていくに行ったのすぐバレるんでしょうか。GPSでも付けられてるんでしょうかねえ。束縛系娘は洒落ならん怖いめう…

 

ってちょっとした闇を垣間見た所で、何でこんな場繋ぎのトークをしてるかというと…さっきから功善が珈琲を煎れてくれてるからなんですね。そんなことしなくていいから(良心)

正直とんでもないロスなんですがそれは……マジでやめてほしい(語録無視)

万感の思いでも込めてるのかクソ時間かけて珈琲煎れてるよ……やべぇよ…やべぇよ…

 

───はい、無心で待つこと数秒。珈琲が提供されました。功善の好感度下がるのは嫌なので一口だけ飲んで早速本題に入りましょう。

功善さん、私をカネキのとこに連れてって、やくめでしょ。原作介入がしたいんだ。

 

『……そうか、トーカちゃんから聞いていたが、君だったのか……わかった、付いてきなさい』

 

 

 

 

 

 

うっす、お邪魔しまーす。

カネキくんはもう目を覚ましてますね。ソファに座って本を読んでいました。

 

『カネキくん、彼が───』

 

部屋に入った此方に目線を向けたカネキに対して軽く紹介をする功善。それを聞くやいなや頭を下げるカネキ。

 

『あの、さ、さっきは助けていただいてありがとうございました!』

 

おっすおっす、そんな気負わなくていいっすよ。この礼はたっぷり身体で返してもらうんで。

謝罪とか時間の無駄ってことで早速おじさんと会話イベ、しよやぁ。あ、見所とか無いんで倍速でお送りしますよ。アクセルワールド‼︎

 

と、背景では4倍速な訳ですが、みなさまのためにぃ〜会話の内容を説明しとくと、カネキが喰種になった経緯についてホモくんが質問してる感じですね。そしてこの会話をこなすことによって嘉納と接触できるようになります。

 

私たちは原作を知ってるのでアレですけど、ホモくんはカネキの喰種化は嘉納によるものとは勿論知らないので、ここでカネキに話を聞いて初めて

 

『本人は赫胞を移植されてないのに喰種化したと思っている』

 

ことを知り、そこに疑問を持って執刀医の胡散臭さに気付ける訳ですね。

 

ちなみに普通のルートだとこのタイミングで勘付けるかはランダムなんですが、今回は事前にVに加入して喰種化、半人間辺りの情報は集めるだけ集めたので確定で気付ける様になっております。

そのためのV所属だったんですね。いや、それだけじゃないけど。

 

とまあそんな感じで、遅かれ早かれ嘉納はアオギリ入りしますが彼には開発して欲しい代物が幾つかあるのでアオギリの庇護下に置くのが早いに越したことはありません。ぱっぱとイベント起こしてアオギリに拉致しましょう。

 

後は──よし、しっかり好感度上がってましたね。

カネキは、というか大抵のキャラでもそうなんですが好感度を一定まで上げると特訓コマンドが選択出来ます。そして、今しがたカネキがその条件を満たしました。

 

詳しい説明は省きますが…特訓とは、自分より能力が高いキャラと特訓すると自分の能力が上昇、低いキャラだと特訓したキャラの能力を上昇させることができるといったコマンドですね。24区に住んでたときもこれ使ってエトのステをひたすら上げてました。お陰で立派に育たれて…もう赫者になれそうな体だね。

 

と、今チャートのカネキは、残念ながら赫者までは育てきれずともそこそこには育成します。

というのも、少々原作と違う成長曲線なので序盤時点でしっかり鍛えてあげないとマジ逝き案件なんですよね。

とはいえ鍛えすぎると月山編が崩壊するのでバランス調整は必須ですけど。

 

さて、会話イベでやりたい事としてはこれで終わり。とりあえずこれからは、嘉納のアオギリ勧誘とカネキに接触して好感度上げ&レベリングで笛口親子到来まで待つ感じになります。

ということで、育成風景を垂れ流しつつ倍速継続!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……はい、来ましたね。

今日も今日とてカネキと特訓しようとあんていくに行ったところ、突如ムービーが挟まれ、笛口親子の来店を知らせてくれます。

 

とはいえ、今回ホモくんは特にこの二人と接することはありません。好感度はどうせ助けるときにある程度上がるのでそれで十分、今時点で特に起こしたいイベントも無いので放置です。

強いて言えばちょっとウタのところに行かなければいけないくらいでしょうか。

 

てことで折角倍速終わったところではありますが再び倍速のお時間です。もっと人妻見たいノンケ兄貴はもうすぐたんまり見れるから我慢してくれよな〜頼むよ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……さて、外はしとどに濡れた雨模様。笛口リョーコの命日候補及び決戦の日ですね。

既に笛口親子はあんていくを発っており、カネキもバイトを終え帰路に就こうとしています。

 

本来であればカネキが帰り道の途中で白鳩から逃げてきたヒナミと遭遇して、リョーコを助けに向かうのですが、結果何も出来ずに彼女の殺害現場をヒナミと共に目撃してしまうという最悪のシナリオが待っています。

 

後に東京喰種:reでもヒナミは、この出来事よりカネキは変わってしまったと語っています。事実、この出来事がカネキの心の奥底の後ろめたさとして残ったのは間違いないでしょう。なにせハイセになっても尚ヒナミを庇ったくらいですからね。

 

そんな大事な出来事ですが、今回リョーコを助けるためにはそれをブレイクせねばなりません。今回難しいのはまず相手にするのがレギュレーションで殺せない亜門と真戸というところ。その上で亜門のイベントを進める為にカネキを亜門と戦わせなければいけないというところの二点ですね。

 

原作ではこれはもう少し後になって、トーカや四方との特訓で強化されてカネキも亜門と戦えたわけなんですが、今回はここでリョーコを助けるに当たって事前にホモくん自ら亜門と戦えるように特訓したわけなんですね。

 

よし、それでは死亡キャラを救済しにいきましょう。

 

──あっ、そうだ(唐突)

戦うに当たって一人助っ人を連れて行かなければ……ランタンちゃーん!!

 

 

 

 

 

到着!あれ、カネキくんそんな物陰に隠れちゃってどうしたんだい?主人公なら悪党には立ち向かわなきゃ……ほらいくどー。

あ、ランタンちゃんはヒナミちゃん連れてあんていく戻っといてね。

え、カネキくんマスク無いの?仕方ないからワイの貸したるわ。ワイは赫者マスクするさかい。

ホラホラホラホラ、早くしないとリョーコさん死んじゃうよー

 

……さて、カネキも言いくるめましたし戦闘開始ですね。

カネキにはとりあえず亜門を相手にするように言いつけたので、ホモくんはなんだこのオッサン!?(真戸)とその他ヒラ捜査官が相手ですね。

まずは…ヒラ捜査官みんな邪魔なので一掃しちゃいます。

 

なあ捜査官共、この赫子はどんくらい延びるかわかる?

──13kmや(大嘘)

 

そう言って、言うほどじゃないけど思いの外延びたホモくんの赫子で射殺される捜査官たち。

……まあギンも嘘ついてたしセーフやろ…っと、とりあえずこれでモブは片付けられましたしタイマンですね。

真戸に関しては殺しはしませんが片腕くらいは持っていきます。そんぐらいしないとコイツ20区から撤退しませんからねぇ。てかそんぐらいしても暫くしたら義手で捜査官として復帰しますから。

喰種絶対殺すマン生き残るのやめてくれよ…(絶望)

このRTAやってて一番思うのは、原作で真戸が死んだのってすごく良かったんだなってことですね(小並感)

 

と、やんや言いましたがマスクをカネキに渡したせいで仕方なし赫者状態になってるので早いとこ決着付けたいんですよねぇ…この身体燃費悪すぎんよー…まあホモくん39歳だしステの減少がなあ。

 

こうやって話してる間にも真戸に攻撃をしかけてはいるんですが、真戸の得物、笛口パパのリーチが長すぎて中々近づけないんですよねえ……ふむ、仕方ないので荒技に出るとしましょう。自らの身体で受け止めます。いいよ!来いよ!

 

ザクッとホモくんの身体をクインケが貫くと同時に異常回復発動!クインケが体内に刺さってる状態での再生でクインケを固定します。暴れるなよ……と、さすがに真戸も驚いてますね。んじゃ、驚いてる間にクインケごと引き寄せ…る!

喰種の力に成す術なく引き寄せられる真戸。射程圏内に入ったと同時に片腕、綺麗に攫っていきます。

 

よし、当初の目的はこれで達成ですね。後はカネキと亜門のイベントですが……そちらも終わっている様子。

いつ呼んだのやら白鳩の増援も来たっぽいのでリョーコを赫子でキャッチ&カネキもキャッチして逃げましょう。背後から真戸が何やら悪口言ってきますが無視無視。

俺だってお前みたいなやつ殺した方が楽だけど無理なんだよ。こっちの事情も考えてよ(棒読み)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ふぅ、なんとかあんていくに転がり込んで事なきを得ましたかね。ランタンとヒナミも既に着いてたらしく、よかったよかった。

 

あ、言ってませんでしたがランタンこと三波麗花ちゃんはあんていくにアオギリの間者として送り込んでます。ちなみに今までもカネキが来たタイミングとかを知らせてくれていて、ロスを減らす意味で多大な貢献をしてくれていました。

本人も人間らしい生活したがってたしアオギリ居るよりいいんじゃないんすかね、知らんけど。

今回は戦闘でホモくんもカネキもヒナミを見きれないのでランタンに手伝ってもらったわけですね。

 

さて、これでリョーコとヒナミを救出、そして真戸の負傷、撤退により今回のシナリオはここで終わりになります。

 

ここから先ですが、笛口親子はさすがにあんていくにはお世話になれないので、他の区を転々として過ごしていくことになります。このルートだとヒナミちゃんをアオギリの戦力に出来ないのは少々痛いですが、まあこれもレギュレーションの都合上、仕方ないですね。

というところで今回は終わり。お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんて、なるわけないでしょ。

考えてみてください。笛口親子はもうバッチリ顔がCCGに割れてるんですよ。指名手配犯みたいなものです。それが普通に暮らしていて生き延びれるとでも思いますでしょうか。

 

残念ながら不可能です。このまま笛口親子を放っておくと絶対に死ぬんですね。いつ死ぬかはまちまちですがどこかのタイミングで白鳩に殺されてしまいます。

 

 

だから、まずは別の区へと旅立った笛口親子をウタに襲撃させます(唐突)

主要キャラをどうして襲う必要があるんですか。まずいですよ。あほたれ。

などなど、一般視聴者ホモキッズたちの言いたい気持ちはよくわかります。

ですが、私だってちゃーんとしたチャートでもって走っているので、決して自暴自棄になった訳ではありません。

 

では、この行動の理由はどういうものかと言うとですね、単純に面倒が見きれないから、なんですよ。

 

笛口親子はこのまま放っておけば死にます。それは良くない。

では、この二人をCCGから守ろうとすると、好感度上げをして行動を共にする仲になるとか…シンプルにストーカーするとか…普通のプレイングだと、どの選択肢を取っても時間をかけるハメになります。

 

そこで思いついたのが、今回の作戦。

リョーコに関しては気絶させて拉致。ヒナミに関しては丸め込んで拉致。

その名もコ◯◯ョ大作戦!!(強靭な伏せ字)(垢BAN怖い)

 

 

というのも、今回のチャートの特徴として、早い段階で嘉納をアオギリに引き込んでいるので、嘉納が瀕死状態だったリゼや功善を延命させるのに使っていたあの高そうなコフィンをホモくんも利用できるんですよ。

このRTAのレギュレーション的には生きてれば何でもいいので、リョーコはボコボコにして瀕死にした後、嘉納に処置してもらい、これまたリゼ同様人工喰種開発用の赫胞製造機にします。

 

そうなると最早意識も無い、身体も動かせないといった植物状態ですけど一応生きてはいますからね。全く問題はありません。

 

──え、人間の屑がこの野郎?ノンケ兄貴がお怒りのようだ…いや、普通に死ぬよりはマシでしょ(正論)めちゃくちゃ救われてるでしょうに。

 

 

と、それにしても彼女の赫子、作中喰種の中では珍しい防御ガン振りの赫子で使い道がかなりあるんですよねぇ。

というか、そんな希少な赫子だからこそ嘉納はコフィンの使用を許可してくれたんですけど。

便利だからといって原作で死亡する奴を全員ここに詰め込んでRTA終わり!という訳にはいかないんです。ええ、残念なことに。

 

 

あ、そうだそうだ。

言い忘れてましたが、ヒナミの方はリョーコが必死に逃すんですけど、エトに先回りさせてヒナミとエトが遭遇するように仕向けます。

そんでもって、エトには逃げてきたヒナミの心を上手くCCGへの恨みへと誘導してもらいます。これが最初に言ってた丸め込みってやつですね。

ちなみにウタに襲わせるのもここに関わってきます。

 

というのも、ヒナミは潜在能力が抜群で、将来的にアオギリの戦力にしたい魂胆もあり、リョーコとは違う形でアオギリに回収したいと思っていたのですが、無理矢理だと言うこと聞いてくれなくなるので自発的に加入させたかったんですよ。

 

そこで、ヒナミを『お母さんが殺されたのはCCGの所為』という方向に誘導して、アオギリに自ら加入させます。

ウタに襲わせたのは、彼が『ノーフェイス』という通り名の通り、自由自在に顔面を変えられるので、喰種捜査官に変装してもらい、あたかもリョーコが喰種捜査官に殺されたかのようなシチュエーションを作り上げてエトの誘導を楽に進めるのが目的でした。

 

──いや、それにしてもヒナミってめちゃくちゃ鼻も耳も効くから捜査官でなく喰種ってことには気付かれると思ってたんですが……何でかこの時は気付かないんですよね。一応試しといて良かった。怒りで気が回ってなかったとかそういうアレかな。

まあ、仕様にしろ設計ミスにしろ全てを駆使して走るのが走者の鑑だから、抜け目の無いチャートを褒めていただきたいなと。

 

 

さて、これで両方生存させつつ、原作通り、なんなら早い段階でヒナミはアオギリに加入。リョーコは自由行動不可にすることで生き残ったことによる原作とのズレのリスクを最小限にすることが出来ました。

 

まあ、最後の方はあんていくの目の届かないところで好き放題やるという結果になりましたが…亜門とカネキのイベントを進めつつ速度も求めるとこうなるのは仕方ないね。

 

ということで、二度目にはなりますが、これをもってしてこのシナリオは終わりです。次回は月山編以降ですね。

今度こそ、お疲れ様でした。




生は必ずしも救済ではない。





多数の評価ありがとうございます。


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覚醒

無印編1話・裏
(小説パートのみ)


 張り詰めていた意識が解けた。カネキの視界には男が横たわっているのが見える。

 

──血だ、と。

 

 見つめる最中、どこか他人事でそう思っている。

肩を上下させ、血反吐を吐きながら。いかにも満身創痍という風貌で。

 カネキは、生まれて初めての我が犯行を眺めていた。

 

 

 眼前の男…名を『西尾錦』

カネキと同じ上井大学に通う大学2年生。

 

 ふと、カネキが件の男の姿を見直せば、腹には大穴が開き、そこから吹き出した大量の鮮血は彼の栗色の髪と服をドス黒く染め上げていた。

 誰による負傷なのか、などは言うべくもない。それは間違いなくカネキであるし、カネキに取ってしてもそれを弁明することはないのだから。

 それは、紛れもなくカネキの行いであった。

 

──だがしかし、これはなんというか。

 

 カネキは途方に暮れた。

 

 

 

 

 

 『金木研』は冴えない青年である。

本人にとってしても、どこか諦めに近いような確信を持ち合わせるほどに。

 運動神経は最悪、性格は内向的で、趣味は読書。勉強こそ出来たが、それは上記の内容が導いた当然の帰結──他にする事がない──であった。

 その上、いくらマンモス校の上井大学に受かったとして、上には上がいる。勉学に励むのが素晴らしいことではあるが、しかし、取り立てて長所かと言われると疑問符が浮かんだ。

 

 絵に描いたような内気かつ凡庸な青年。喧騒とは無縁な生活を送っていた。

 

 

──筈なのに。

 

 

 我が手は血塗れ、己が刺した男は生死も判らぬ様子で突っ伏している。

 

 

──くう、とお腹が鳴った。

 

 

 どこか現実味が無い。ふわふわとした、夢見心地の様な感覚。ある種の高揚感すら覚えている。

そんな気分に侵蝕されるように、確固たる何かが見えなくなった。

 

 

──ああ……私、とてもお腹が空いている。

 

 

 喰種であるから、こんな場違いな感情に身をやつすのか。

 否、と心が叫んだ。だって事実、人間だ。

喰種に堕ちた男は、せめて心だけはと人間に縋りついたのだから。どんなに空腹に苛まれようとも、決して種の本能には従わなかった。

 

 だから、カネキケンは人間だったのだ。

 

 

「ええ……(わたし)、とてもお腹が空いているの…ッ!」

 

 

──そうして。意地汚くも人間を張り続けた結果がこれだった。

 

 夢見とは是即ち人の残滓。

 現実味の無さとは、喰種として覚醒した己に切り離された『人間』が、人ならざる己に付いていけずに思考停止したが故の数瞬の呆け。

 

 目覚めてみればすぐさま気付いた。

他者を害することへの躊躇いの無さも、赫子なる触手も、まだ人間を捨てる理由には至らなかっただろう。

 ただ、親友を目にして涎を垂らすのは、どう足掻いても人間ではないだろうさ。

 

 そうして、自らのどうしようもない喰種性を自覚したカネキの下に、(リゼ)は顕れるのだ。

 それはカネキにとっての喰種の象徴故。自我崩壊を回避する為の身代わり人形でしかないが、それでも。

 女は嗤いながら甘く囁くのだ。狂おしい程に愛らしい…その甘露を求めるように、と。

 

 渇きのみで満たされていく。決して満たされない欲望のみで満たされていく。

 

 

 

 

 

 やがて、酔いが覚めた。

冷えた頭で現実を見た。醜い化け物が立っていた。

 

 俯瞰して、そっと舌なめずりをする。女は嗤う。酔いは覚めても狂気は止まない。

だから止まれない、戻れない。

 

 

 また、くう、と鳴いて──その刹那、燐光。

羽音が轟いて、微睡む様にもたれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カチリ、カチリと音がした。ドク、ドクと脈打った。青年は確かに生きていた。

その口に罪の色を纏わせて。

 

 

「──ッ……は…ぁ……」

 

 

 忙しく、藻掻くようにしてカネキは飛び起きた。窓からは斜陽が差し、彼が随分と眠っていたことを知らせる。

 

 

「──そ…うだ、ヒデ……!」

 

 

 そして、意識が覚醒するにつれ、醜い事実を思い出した。

 暗転する前、最後に。狂気に呑まれた己が見ていたのはその親友の姿だったこと。己には、親友が至極得難いご馳走にしか見えていなかったこと。

 恐ろしかった。耐え難いと思った。故に確かめようとした。

 

 

「──君の友達なら、大丈夫だよ」

 

 

 ふと、そこで。大層落ち着く、バリトンの様な声が響いた。一度記憶した声だった。

 そして──全くもって考えていなかったが──ここが何処かということも理解した。

 

 

「あ、なたは……」

 

「…起きた様だね。随分と焦っているようだけれど、お友達なら別の部屋で休んでいる。ちゃんと無事だ」

 

 

 現れたのは行きつけの喫茶店の店長、芳村。見知った彼の一言に安堵して、カネキはようやく深く息を吐いた。それだけで救われた気分だったのだ。安直に『良かった』と思った。

 そんな自分に嫌気が差した。

 

 

 

 

 

 やがて、喫茶『あんていく』の店長、芳村は未だ眠りこけるヒデの下へとカネキを案内し、諸々を話したのだった。

 

 曰く、カネキに飢えを脱させる為、人肉を食べさせたこと。

 曰く、暴走したカネキはトーカに介抱してもらったので、後で礼をしておくこと。

 そして、カネキに対して、この喫茶店で働かないかという旨のお誘い。

 喰種としての生き方を学ぶことで人間としての自らの居場所を守れるようにと。

最早、喰種でも人間でもない、なり損ない。それを、どちらにも居場所を持てる存在だと言い切って。

 

 

 

 

 

──本当はどちらも分かっている。方便、偽善、まやかしの類。

 当人がどう思おうと、人を喰わなければ生きてはいけないのであれば、他者から見てそれは喰種でしかない。

 しかし、カネキという名の喰種は、自らは人間であると宣った。一笑に付すのは簡単か、否定してしまうのは簡単か。

 

 少なくとも、それは芳村には出来なかったのだ。

 

 彼は、かつて限りなく人間に近づいていたのだから。彼は確かに、この世界での人間と喰種の在り方の境界を超えていたのだから。

 そして、その在り方を失ったのだから。

 

 だからこそ。今、芳村の目の前にいる青年は紛れもなく昔日に掴み損ねた希望であったから。

で、あるならば──笑えよう筈もなかった。

 

 

 そして、功善は慰みの様に虚辞を連ねた。当然、カネキはその言葉に縋りついた。

 故に、これは家族を護ることが出来なかった老父の過去の後悔と、人間で在りたいと願う青年の理念の一致でしかなく。

 きっと、どちらも互いを見てはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暮れ。未だ『あんていく』の一室に佇むカネキの周りには誰も居ない。

 ただ、彼の本の頁を捲る音とコーヒーカップの往来で器の擦れる音のみが響いている。

 

 カネキが読んでいるのは三島由紀夫の『金閣寺』

この物語の主人公を思い出し、読み返す気になったのだった。

 

 『金閣寺』の主人公は初め、自らの美の象徴となった金閣寺を疎ましく思い、自らの死すらも望んで金閣寺に火を付けた。しかし、結局は生き延び、その果てに極端に在った筈の生を見つけた。

 

 喰種にも人間にも成りきれず、孤独な己。思えばどこか死滅願望があった。では自分は、果たして生を見つけるのだろうか、と。

 

──かっこよく死にたい、なんて。

 

 きっとこんなことを言えばヒデは止めるんだろうなあ、とカネキは独り言ちる。

 この死滅願望は喰種になってから日に日に増していた。自らが生きてはいけない生き物だという大義名分がある故だろうか。

 

──でも、きっと僕は死ねない。

 

 この物語の主人公の様に、最終的に生にしがみつくのは分かりきっていた。カネキには、仮に生きる気力が無いとしても死ぬ勇気は無い。

 

──死にたいのではなく、生きる理由が無い。

 

 生きる欲が無い──それが本質だった。『金閣寺』の主人公も同じではないかと思った。

 『金閣寺』の主人公にとっては、いっそ憎む程に心を占めていた金閣寺を燃やすことこそが、物理的にも消し去ることこそが、生きる欲へのファクターだった。

 

 

 では、カネキにとっての金閣寺とは。

そして、それはこの物語の主人公のように壊さなければ生きていけないものなのか。はたまた、ただ在るだけで生きるに足るものか。

 

 そも、本質的にそれを見つけたくないのか、やはり根底では死を望んでいるのか──

 

 

 というところで部屋の扉が開いた。カネキは見上げる瞳に親友の姿を幻視した。

 実の所、ここで時間を潰していたのは重篤のヒデを家まで送り届けるため、彼の目覚めを待っていたからなのだ。

だが、実際に現れたのは彼ではなく。

 

 

「うっす、お邪魔しまーす」

 

 

 胡散臭い壮年の男。顔は童顔の部類にも見えるが、伸ばした髭と地味な服装で調和を取って歳相応の大人びた…というよりは、寂れた様な。そんな雰囲気を作り出している様に感じられた。

 

 

「カネキくん、彼が──」

 

 

 その後ろから芳村が顔を出す。

そして、芳村はこの突然現れた男こそが、実はトーカと共にカネキを鎮圧させていた人物だと紹介した。

 カネキに事情を説明していた段階では、助けに入った人物が誰か分かっていなかったため、芳村は混乱を避ける目的でカネキには話さなかったのだとも話す。

 

 それを聞いたカネキはといえば──唖然。助けてくれたのはトーカだけではなかったのか、と単純な驚き。

 

 続けて芳村に詳しく話を聞く内に、忘れかけていた自らの醜態を思い出し、何か恥ずかしい様な気がして。

 兎にも角にもといった様子で、カネキはすぐさま頭を下げたのだった。

 

 

「あの、さ、先程は助けていただいてありがとうございました!」

 

「うん?そんなこと全然気にしなくていいのに」

 

 

 男はカラカラと笑う。

爽やかな、こちら側まで気持ちの良さを感じる様な笑い方だった。

 やがて男は着ていたコートを掛けてはソファに座るのだが、すぐさま、ずい、と身を乗り出した。燻る煙の様な香りがカネキの鼻腔を突いて、男の瞳は爛々と輝く。

 好奇心に依るものとあからさまに見て取れた、そんな男の行動は歳不相応に幼い。

 と、そこで。対する男は、そのような雑感に興じているカネキにとある要求を提示するのだった。

 

──君に聞きたい事があるんだけど、助けた礼ってことで受けてくれないかな、と。

 

 先程の笑顔とはまた違う、獰猛な笑みがカネキを貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次いで、忘れていた様に男はマモルと名乗り、カネキの返答を待っていた。

 本当にカネキを助けたことはどうでもいいらしく、早く本題に入りたい旨がありありと見てとれる。

それが分かったカネキは、助けた恩義には代えられないということもあり、やや勢いに押されながらも承諾したのだった。

 

 

 

 

 

「──じゃあ早速一つ目。君、隻眼だよね。片目だけ赫眼になってたけど」

 

 

 尋問が始まる。

しかし、一つ目に関しては質問というよりも確認というニュアンスの強い問いであった。

 カネキは自らの付けていた眼帯を取り、赫眼が現れる方の目を晒す。

未だカネキには赫眼の制御が利かず、空腹から解放され、落ち着いている現状の瞳では何の証明にもなりはしないが、男はそれでも納得した様子だった。

 

 

「それじゃあ、君が手術を受けて…その、隻眼の喰種になったっていうのは本当かい」

 

 

 続けて、先程芳村から聞いたという事実を付け加えて男は言った。疑い半分という様な表情だった。その細めた瞳からはぎらぎらとした怪しい光が顔を覗かせている。

 

 

「ええと、僕とリゼさん──ああ、喰種の方なんですけど…」

 

 

 空中で目が泳いだ。カネキは必要な言葉を、適切な言葉を選びとっている。

 そも眼前の男がどこまで信用出来るのか分かっていない。真実を話すべきかと尻込みしたが、芳村も同伴であるということは信用に値するということだと結論付けた。事の顛末は自らの口で紡いでいく。

 

 

「……僕らどっちも鉄骨落下事故に巻き込まれて、リゼさんが即死だったらしくて。執刀医の人は彼女が喰種だって知らなかったから臓器を僕に移植して、僕は…喰種に…」

 

 

 途中途中、言葉を詰まらせながらもカネキが言い終えると、男はやはり怪訝な顔を見せたが、すぐさま薄らと笑みを浮かべ、確認する様に呟く。

 

 

「えっと、それじゃカネキ君は…鉄骨落下事故に遭って、喰種の臓器を移植されて…喰種になった、と」

 

 

 男は納得してないとでも言いたげな、曖昧な口振りで話を纏めた。

 その言葉にカネキが相槌を打てば、男は思案するように腕を組み、やがて細かい質問を幾つか繰り出すのだった。

 どこの病院に運ばれたのか、執刀医の名前、事故に遭った場所、果てはリゼの苗字まで。

 暫く一問一答が続いて、男は満足した様にソファから腰を上げると、カネキに向き直り、口を開いた。

 

 

「よし、色々とわかった。じゃあ質問は終わりで、こっから提案なんだけど──」

 

 

 男は不敵に笑った。対するカネキは、尋問の末に出された突然の提案に呆気に取られる。

そんなカネキを尻目に、男は自信ありげな笑みを崩さない。何を言い出そうというのかカネキには見当もつかず、振り下ろされる言葉をただ待った。

 男は言葉を溜めに溜め、やがて切り出した。

 

 

「──カネキ君のこと、俺が鍛えてあげようかなって思ってるんだよね。こう見えても俺ってまあまあ強いからさ。それに、鱗赫なら俺と一緒だし、教えられることは沢山あると思うんだ」

 

 

 どうかな、と男は尋ねた。同意を確信している様な声色だった。

 しかし、期待とは裏腹に当のカネキからは素っ頓狂な声が漏れる。

なぜなら、この話の流れで何の説明も無しに、であるから。

 これでは、端的に言って──

 

 

「ちょっと、その、意味が分からないんですけど……」

 

 

──意味が分からない。

 言ってみれば、いっそ無情なまでの静謐。

カネキだけでなく芳村すらも呆然としている裏で、男は何が悪いのか分からない様子で首を傾げていた。全くもって、男が天然なのが救えないところである。

 やがて、芳村は大きな溜め息混じりに呟いた。

 

 

「……すまない。この男には一度決めたら相手のことなど考えずに物事を運ぼうとする癖があるんだった…」

 

 

 簡明に言うならば、彼はせっかちなんだ、と。しかも無自覚の。先天性の自己中心的思想の持ち主、とも言えるかもしれない。

 一度自分の中で決めたことは、相手の思考や事情を考慮せずに押し進めようとする。そんな、どこか急かされているかの様な生き方。

 失念していたという風に芳村は頭を抱えてそう言った。

 

 しかし、その口元は呆れた様な言葉とは対照的に弧を描いていて、その声にはどこか幸せな響きがある。

 カネキは確かにそこに情の類を感じたが、どうにもぎこちなさを覚えるのだ。本心ではないような、しかし全てが虚偽という訳でもない──

 

 等と、カネキがそんなことを考えているとは露知らず、芳村はカネキに謝りつつ、続けて言葉を投げかけた。

 

 

「説明が不足していたから伝わらなかったろうが、これでも彼なりに喰種になったばかりの君の事を心配しているんだ。人間のときとは違って争い事は多々あるだろうし、隻眼というだけでも狙われる危険性はある」

 

 

──こんなところかな、と芳村は男の方を向いた。

 視線を向けられた、提案をした筈が説明を丸投げした当の男は満足そうに頷いていた。あまりにも自然に行われた芳村のフォローであったので、このやり取りは一度や二度のものではなく。二人の関係性の深さがカネキにも感ぜられた。

 そして芳村は、この男の提案自体には賛成であることも示した。理由に関しては芳村の言葉通りである。

 人間の在り方を損ないたくないとはいえ、喰種の肉体を持つ以上争い事は免れないことがある。隻眼ならば尚更。

 万年帰宅部という事もあり、訓練、鍛錬といった単語とは無縁であったカネキではあるが、芳村にまで後押しされては断ることなど出来る筈もなく、半ば流される様にして男の提案に同意した。

 

 

──ふと、ちらりと、横目で見た。だって、芳村の顔に翳りが差していた気がする。

 カネキは先程から感じる違和感を少し疑問に思ったものの、大したことではないだろうと見切りをつけて、記憶の片隅へと流してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 打ちつける水の温度が心地良い。運動とはこんなに良いものだったのか、とカネキは少しばかり筋肉質になった己の身体を眺めた。

 蛇口を捻ってシャワーを止める。身体を拭いて、セットはしないが髪の毛を乾かす。『あんていく』の制服に着替えていると、見知った顔と出くわした。

 

 

「おっ、今日もやってたのかい、特訓」

 

 

 はい、とカネキは言葉を返した。話しかけてきたのは『古間猿児』

20区の魔猿と呼ばれた喰種集団を率いた強大な喰種であるが、普段の彼の姿は能天気なおじさんにしか見えない、という総評の人物であった。

 ちなみに、評を投じたのは総勢2名。カネキとトーカである。

 

 

「いやあ、にしても大変だろう…相手があの『アンカー』じゃあ」

 

 

 アンカー、と。聞き慣れぬ言葉に、カネキは再度古間に問うた。

 すると、古間がそっと手を顎にやる。鼻息が聞こえるほどにふん、と鳴った。自慢話等、得意気に話す内容の時の古間の癖だ。

 

 

「──なんだ、知らなかったのかい」

 

「『アンカー』ってのは彼の通り名さ。何でも、巨大な二対の鱗赫を広げた姿が彼の身体を含めて船の錨みたいだからそう呼ばれてるらしいよ」

 

 

 確かに、とカネキは納得する。言われてみれば、赫子を発現させた姿も、その重厚な攻撃の圧も、錨そのものの様な質量が意思を持って向かってくる様にも思えた。

 

 

「まあまあ良いネーミングセンスだよねえ、『魔猿』には負けるけどさっ!」

 

 

 苦笑いを返してその場を後にする。カネキと入れ替わりでシフトに入っていた古間は、るんるんと楽しげに帰り支度を始めるのだった。

 

──古間さんと話すのは楽なんだけど、最終的に自慢話になっちゃうのがなあ。

 

 カネキは一人こぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、お疲れ様。鍛錬にバイトにと大変ね、カネキ君は」

 

 

 店内へと足を運ぶと、声を掛けてきたのは、こちらも20区で恐れられていたブラックドーベルという名の喰種集団、その頭領──『入見カヤ』であった。

 入見は食器類を洗いながら、徐に男の話題を口に出した。

 

 

「にしても、アンカーがねぇ…気を許し過ぎないようにね。良い噂はあんまり聞かないから……まあ、芳村さんが居るから大丈夫だとは思うんだけど」

 

 

 そう言って入見は表情を曇らせた。

芳村も古間も、本人からもそのような暗い話は聞かされていないカネキは単純に疑問を呈す。

 

 

「…あ……初耳よね…それはそうよね…店長は友達だから教えないだろうし、古間は馬鹿だからそういうの知らないだろうし…他のみんなは世代じゃないものね…」

 

 

 どやされちゃうわ、等とはにかむ入見。焦った風だが言葉の端々から余裕さが窺える。

 ここまで話してしまえば、むしろ覚悟が決まったのか、困惑するカネキを見て、入見は周りを見渡し、喰種客しか居ないことを確認するとひっそりと口を開くのだった。

 

 

「……大したことではないんだけれどね。私が現役の時は、彼、喰種も人間も見境なく殺し回って一年で何百人と殺してたし…今は今で何か悪い組織と繋がってるって噂もあるみたいなのよ」

 

「まあ、前者に関しては私も沢山殺したから彼のこと言えないし、後者は噂でしかないから…過度に怪しむ必要はないけれど、かといって信用しすぎるのはやめた方がいいと思うわ」

 

 

 入見は男に対する配慮の様に言葉を付け足したが、その実本心からの心配であるのが感じられたカネキは、その言葉を素直に受け取ることにした。

 

 芳村やカネキに向けられた穏やかな笑顔。その裏には得体の知れない何かが有るらしい。

 火のないところに煙は立たぬとはよく言ったものだが、生憎とまだ喰種になって日の浅いカネキには、それは漠然と存在するだけであり、火かも煙かも分からぬ。

蓋を開けてみれば人畜無害な代物かもしれないが、パンドラの箱である可能性も孕んでいる。なんなら今のカネキには、その箱を開ける鍵すらも持ち合わせていなかった。

 故に、得られたものはただただ不審を感じる心だけ。

 

 

 やがて、二人はそれっきり話を切り上げ持ち場に戻ったが、数秒経って。入見が小さく声を上げ、カネキの方へと振り向いた。

 

 

「──言い忘れてたけど、カネキ君」

 

 

 すっと、言葉が聞こえて振り返った。そうして入見から目が離せなくなった。

 先程の話の雰囲気とはまるで違う。しかし、それは怒っている訳でも、悲しんでいる訳でもなかった。何か特別な態度を取っている訳ではないのだ。

 ただ、全てを悟った様な、見透かす様なその瞳。それに吸い込まれた。

 きっと、今から入見が放つ言の葉は、漏らしてはならない真実だ。

 

 

「──『痛み』を忘れないでね」

 

 

 ただの、一言。

何を意図するのか計りかねて、鸚鵡の様に『痛み』という同じ単語を繰り返した。

 入見はやや微笑んで、口を開く。

 

 

「……痛みとは、力そのものには無関係だけれど、その力に意味を持たせる為には必要なもの。己の感じる痛み、他者の感じる痛み。私はそれを忘れないでいて欲しい」

 

「善悪は置いておくとしても、少なくともアンカーは忘れているだろうから。カネキ君まで、そうはならないで」

 

 

 そう言って入見は目を伏せた。遠く、懐かしむ様な瞳だった。経験則であることをカネキは察知した。

 それ故の言葉の重み。入見が話す前に纏っていた、不思議な雰囲気の所以。

 

 

 

 

 

 痛みを忘れるとは、謂わば心が欠けるということ。本来必要な、一つの感情が欠落するということ。

 そしてその、痛覚は何も物理的なものだけじゃない。同情、痛みを共有するという、感傷としての痛み。むしろ入見の意図するところとしては、こちらの意味合いが強かった。

 痛みを想うから他者を思いやれる。逆もまた然りで、自分が傷付けば自分のことを想ってくれる誰かが存在する。

 

 想い想われる。それは時として行動に現れる。誰かが他者を想って、その結果守ろうとするその行為。

 それは両方向に作用する。則ち、守り守られる。それが力の本質、振るう意味。争いに許された正当性。

 それを忘れてしまえば、待ち受けるは孤独。どうしようもないまでの孤立。

 

 

──言い換えれば、痛みを忘れるとは、人と寄り添えなくなるということなのだ。独りよがりで、相手がどんなに想おうと本人が拒絶をするならばそれまで。

 そんな状態で、何を成そうとも側から見れば虚しいだけだった。自分で気付くのなら尚の事、いっそ笑えるくらい。

 人も喰種も精神性が同じなら、他者が居なければ生きていけないのに。

 

 入見はそれを憂慮した。

かつての自らの過ち。ただただ強さを追い求め、そばに居てくれた仲間を蔑ろにした。自分が想われていたことに気付かなかったのだ。

 入見は『あんていく』に入って、やっと。そのことに気付き、深く後悔した。自らの情けなさに憤慨した。今もまだ自らの愚かを痛感しては、来たる断罪を粛々と待ち受ける。

 

 かたやアンカーは──まだ気付いていない。あるいは、気付いていても省みることをしていない。孤独を良しとして生きている。

 入見にとってすれば、そんなアンカーはどうでもいいとしてもカネキは別だった。

もうカネキは『あんていく』の一員なのだから。歴は短くとも、確かにカネキは想われる存在へと成っているから。

 

 で、あれば。孤独になんてさせてたまるものか、と。

 入見の言葉は、アンカーにカネキが何を教わったとしてもカネキに我々と同じ道を征かせてはならないという、その意思から出た忠告だった。

 

 

 

 

 

 やがて入見は、カネキに鍛錬でアンカーの戦闘は見たのかと問うた。

カネキは若干気まずそうに頷いた。心当たりがあったのだ、入見の意図するであろうところに。

 模擬戦でも、攻撃を意図的に食らうなどの戦術を当たり前の様に実践する。自分の体が傷付くことを厭わない、最早何とも思っていないのは明白だった。

 入見の言葉を借りれば、痛みを忘れている。この例は物理的なものだけだが、同じことだった。

自分の傷に頓着がない、自分で自分を顧みない時点で、他者がどれだけ自分の心配をするかなど考える筈がない。

 外面だけは治るから、誰も中身に気付かない。本人でさえ。

 

 入見の忠告を受けての、アンカーへの疑念。それはカネキの中で確信めいたものに変わっていた。

アンカーのあの笑みはただ純粋なものではない。仮面の裏には計り知れない何かが渦巻いている。

 

 

 

 

 

 やがて、入見との会話も終わり、持ち場に着いたカネキではあるが心此処にあらずで業務をこなしていた。

 というのも、先程から思考が逡巡している。

考えるのは、やはりアンカーとの鍛錬は止めた方がいいのか、そもそもアンカーについて何も知らないのは不味いのではないか、等といった内容。

 思案は深まっていく。元々読書家であるからして、スイッチが入れば思考の沼に嵌るのは簡単であった。

 

 

──すると突然、脇腹に鋭い痛みが走る。

 その痛みの方向に顔を向けると、そちらにはカネキを助けた少女、トーカが拳を携えて立っていたのだった。カネキがバイト中にも関わらずに呆けていたのがお気に召さなかった様である。額には青筋が浮かび、視線はそれだけで人を射殺せそうなものだった。

 

──痛みって言ってもこんなのじゃないよなぁ…

 

 なんて、カネキは謝りながらも考えた。

だって、違うけれど──この痛みですら忘れてしまうのは少し寂しい様な気がしたのだ。

 

 

 




──俺はアンタを殺すよ。だから、その代わりといってはなんだけど、俺も死ぬことにしたんだ。




 RTA書くと反動で小説パートクソ長くなりがち。
 金閣寺は小説に組み込むに当たってめちゃくちゃ内容端折ってるので気になった方は調べてみてください。良い作品です。
 こんな書いたのにこの回、正直何も話進んでないです。入見に喋らせた内容は作者の妄想です。公式要素皆無。
 よってこれは自己満足回でしたごめんなさい。なので1月中に続き出します。良かったら見てね。


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