【凍結】戦姫絶唱シンフォギア 〜戦姫とLOVE&PEACEを掲げる者〜 (絆蛙)
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プロローグ
ビルドが創った新世界



注意 作者はGXまでしかシンフォギアを知らなくて小説書くのがはじめての初心者です!それでも良い方は是非読んでいただけると嬉しいです!


————ある場所で世界を掛けた一つの戦いがあった。

一人は仮面を被り、愛と平和のために戦う赤と青の戦士。

もう一人は地球を滅ぼすためにやってきた何処か赤いコブラを彷彿とさせる怪物。

今まさに二人の戦いは終わりを迎えようとしていた。

 

『ついに初期フォームかァ!どうやら答えは出たようだなァ』

 

赤と青の戦士…否ビルドの方が弱体化の度合いが大きい為勝利を確信する怪物…地球外生命体エボルト。

 

『どうかな?』

 

するとビルドが付けているドライバーに挿されている赤いフルボトル、ラビットフルボトルが輝き出し普段の赤いフルボトルから金色のフルボトル、ゴールドラビットフルボトルへと進化を遂げる。

ゴールドラビットフルボトルを抜き、取り出したフルボトルバスター、バスターモードに相棒が自分に託してくれた銀色のフルボトル、シルバードラゴンフルボトルと一緒にフルボトルバスターに装填する。

 

ラビット!ドラゴン!

 

ジャストマッチでーす!

 

『ハハハ…!今さらそんな攻撃が俺に通用すると思っているのかァ!』

 

『…思ってるさ』

 

左脚にあるタンクローラーシューズの裏にあるキャタピラを利用してエボルトに突進していくビルド。

対するエボルトは相手を捩じ伏せようと向かってきたビルドに赤いオーラを纏った振り下ろしを行うが、ビルドは直前で右脚のバネであるホップスプリンガーを利用し地面を踏み込むことで回避する。

そして下降しながらも勢いを乗せた金と銀のエネルギーを纏った斬撃を振り下ろす。

 

ジャストマッチブレイク!

 

音声と共に繰り出し、そこからさらに横薙ぎの一撃。

 

『俺と万丈は…!最高の…コンビなんだよッ!』

 

ビルドの斬撃が決まり、流石に大ダメージを受け、大きく後ずさるエボルト。すぐに反撃しようとすると突然エボルトに異変が起きる。

 

『ガアッ!?な、なにィ…!?何故また体がァ…!』

 

エボルトに異変が起きるとエボルトの中からビルドの相棒の声が聞こえる。

 

『戦兎ォ!バッキバキに目ぇ覚めたぞっ!』

 

『万丈ゥ…!』

 

エボルトは一度完全に抑え込んだはずの万丈龍我の意識が再び覚醒したこともあり体の制御を奪われてしまう。

そのチャンスを逃すはずもなくビルドドライバーに挿されている青い色のフルボトル、タンクフルボトルを抜き、先程使ったゴールドラビットフルボトルとシルバードラゴンフルボトルを手に持ち、いつもの台詞を言う。

 

『さぁ、実験を始めようか』

 

二つのフルボトルを振ると新たな実験を始める合図かのようにビルドの周りから様々な数字が現れる。

そしてフルボトルを活性化させると二つのフルボトルをビルドライバーにゴールドラビットフルボトルから挿し込む。

 

ラビット!ドラゴン!

 

Are You Ready?

 

覚悟はいいか?初めてする実験。それが成功するかどうかも分からない。が、そんなことは百も承知。

いつも自分が変身しているように覚悟を決め、あの言葉を言う。

 

『ビルドアップ!』

 

同時に、金のラビットのアーマーと銀色のドラゴンのアーマーを形成したスナップライドビルダーがビルドを挟む、白い蒸気と共に今まで見たことがないビルドが現れ、現れたと共に戦兎の強い想いに答えるように音声が流れる。

 

ベストマッチ!

 

勝利の法則は、決まった!

 

手のひらに拳をぶつけ、銀色の複眼をなぞるようにしていつものポーズを取る。

そしてビルドドライバーのレバーを回し、必殺技を発動する。

 

Ready Go!

 

音声と共に新たなビルド 仮面ライダービルド、ラビットドラゴンフォームとなったビルドが空高く跳躍する。

対するエボルトも動けない体を無理矢理動かし必殺技を発動するためレバーを回す。

 

Ready Go!フィーバーフロー!

 

VOLTEX ATTACK!

 

音声と共にラビットタンクの時のようなグラフに沿ってビルドがキックを放つ、エボルトも負けずとフィーバーフローでビルドのボルテックアタックを防ごうとするがそのエボルトを押し込み、途中でラビットドラゴンフォームからラビットタンクフォームに戻りつつも、勢いの差は歴然。

 

これで最後だ!

 

セリフと共にビルドは限界を超えてさらに押し込もうとする。

ビルドを止めようとすることも出来ずエボルトは押されていく。

 

『この俺が滅びるだとッ!?そんな事があって堪るかァ!』

 

『人間共がァァァァァッ!』

 

エボルトはそのまま押され最後まで見下し続けた人間への憤りを叫びながら爆散。

新世界を創造するためのエネルギーとして遂に完全消滅したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場所は変わり地球に残り、二人の帰りを待つ二人の女性、バングルを付けている女性から既に消えたと思われていたベルナージュの意識が再び出てきた。

 

『エボルトが消滅した』

 

『えっ…?』

 

もう一人の女性が驚いたようにベルナージュを見る。

 

『これで…役目は終わった…』

 

そう告げるとバングルが発光。バングルを付けてた女性、石動美空から今まで取れなかったバングルが外れた。美空はバングルを大切に抱える。

 

『ベルナージュ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また場所は変わり、次元の狭間のような場所で一人の男性がもう一人の意識がない男性へと必死に手を伸ばしていた。

必死に伸ばしている男性は先程地球外生命体とギリギリの戦いを繰り広げ、勝利した愛と平和を掲げる戦士、仮面ライダービルドに変身していた桐生戦兎。

意識がない男性は彼を支え、最後にエボルトを倒すチャンスとエボルトを倒すための力を託してくれた彼の大切な相棒、万丈龍我。

 

『万丈ぉぉぉおぉおぉぉおぉおぉおおおおおおおおお!!』

 

新世界創造の衝撃で巻き起こる旋風の中、必死に万丈に手を伸ばす戦兎だったが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして地球ではもう一つの地球が落ちてきてスカイウォールやパンドラタワーが崩れ、人々は悲鳴をあげていた。

そしてしばらくしてすぐに二つの地球がぶつかり、とある戦士たちのお陰で二つの世界は無事に融合したのだった…。

一人の異物を残して…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





◆←回想や現在などの変更 〇←視点変更
はい。クロスオーバーの癖にシンフォギアキャラ出てませんね!ごめんなさい!!次回は、次回こそは少し出ますから!因みに私が書くのは頭に浮かんでたのと思いついたもの、ビルドの本編10週くらいした記憶を辿って書いております。つまりシンフォギアを書くにはオリジナル回以外はアニメを見るかゲームで見るしかなく…アニメ見て「あ、こんな表現がいいかな?」って思えばそんな感じでやるので頑張っていきます。良かったら見てやってください…なんでもしますから!
あとプロローグは短いと感じるかもしれませんがだんだんと伸ばせるように頑張ります。


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無印編 ルナアタック
第一話 新たなる新世界



一話投稿です。プロローグはビルド最終回だけでしたけど知らない人居たらという理由で書かせていただきました。見てくださった方はありがとうございます。
ここからクロスオーバー入っていきます…本当はライブからしたかったけど文章力なさすぎるのと覚えて無さすぎて無理です。ただ分からない方も居るかもなのでどういう事件があったのかは説明の場面で内容に書きます。
はい···文章力ないですが少しずつ良くしていくのでよろしくお願いします。
ということであらすじ紹介どうぞ。
因みにあらすじ紹介は台本形式になります。嫌な方は飛ばすか台本形式じゃねーか!蛙食わすぞ!とでも感想ください。
それとオリジナル回?です。
 
 
















 
戦兎「仮面ライダービルドであり!天ッ才物理学者の桐生戦兎は新世界を創造するためエボルトとの最終決戦に挑む!戦っていく内に初期フォームに戻ってしまい、もう手はないかと思われた。けどそこは流石俺!機転を利かし、無事にエボルトを倒すことが出来たのでした!」
 
??「おい!戦兎!なにお前一人で倒したみたいになってんだよ!?俺がエボルトの動きを止めたからだろ!ってなんで俺は名前がないんだ!?」
 
戦兎「うるさいよ!それはお前まだ本編名前と少しのセリフしか出てないからだろ?バナナやるから今はあっちいってなさいよ!どうせまだ出ないんだからさ」
 
??「ウッキー!バナナだー!じゃねえよ!って今回俺の出番はないのか!?」
 
戦兎「さて、こんなうるさい馬鹿はほっといて新世界でも大活躍するビルドが主人公な第一話をどうぞ!」
 
バカ「バカってなんだよ!せめて筋肉付けろよ!ってちょっと待て!名前までバカになっt・・・」




 

 

 

 

 

 

風に吹かれながらある所に一人の男性が眠るようにして倒れていた。その男性の顔はどこか穏やかそうにしていた。

 

「————ですか?」

 

(んっ・・・?声・・・?)

 

「大丈夫ですか?」

 

重い瞼を開ける。ゆっくりと痛みに耐えながら立ち上がる、そよ風に吹かれ、周りを見渡すと空はどこまでも続く青空でどうやら何処かの街のようだ。

そして俺に話しかけたのは目の前にいる茶髪の何処か活気の良さそうな少女だろう。服装からして学生だろうか。

 

「あ、あぁ・・・大丈夫だ。すまない、ありがとう」

 

「いて・・・こんな所で寝ていたら危ないですから」

 

「そうだな・・・気をつけるよ」

 

まずはここが何処なのか、新世界は本当に創造されたのか、その確認をしなければならないだろう。

 

「響ー!」

 

「ん?」

 

すると茶髪の女の子が振り向いて黒髪の女の子に向かって手を振っていた。

 

「未来ー!こっちだよー!」

 

「もう・・・相変わらず何かあるとすぐ突っ走ちゃうんだから」

 

「あはは・・・ごめんごめん」

 

「それでこの人は?」

 

響と呼ばれていた茶髪の少女と未来と呼ばれていた黒髪の少女が話していると、どうやら俺に気づいたようだ。

 

「そうだ!あの・・・服もボロボロだし怪我もしてますけど本当に大丈夫ですか?もしかしてノイズに襲われたとか・・・」

 

本当に心の底から心配してるかのように聞いてくる。こんな子に嘘をつくのはなんだかあれだが・・・。

 

「いや少しやらかしてな・・傷はその時に出来た傷だよ。ん?ノイズ?」

 

流石に地球外生命体と戦ってました。とは言えないから誤魔化してすぐ去ろうと思っていた・・・が、ノイズとはなんだろうか?もしかしてエボルトが来なければ居たはずの存在か?仮にここが新世界なら俺たちとは違う10年の歴史を歩んでいるはず・・・。

 

「あれ?ノイズを知らないんですか!?」

 

茶髪の、いや響と呼ばれていた子が驚いたように声をあげている。

ということはどうやらノイズとやらはほとんどの人が知っているようだ。

 

「あ、あぁ少し頭をぶつけたのか、記憶が混雑していて・・・」

 

「そうなんですか・・・。えっとノイズというのは人類を脅かす特定特異災害で人だけを狙って襲うんです。ノイズは触れた人間を自分ごと炭素の塊に変えて時間経過でも勝手に炭化します。でも、通常の兵器は通用しなくて基本的な対応としては、シェルターに逃げて自壊するのを待つしかないんです」

 

未来と呼ばれていた黒髪の少女が丁重に教えてくれた。

つまりここにはスマッシュも居なく、兵器で”あった”仮面ライダーもないということになるのか・・・でもエボルトたちとは違い、別の脅威があるみたいだ。

 

「そうか・・・わざわざ教えてくれてありがとうな。ちょっと急ぎの用事が出来たから行くよ。君たちはその服装からして学校か?」

 

「あ、はい!入学式は明日からなんですけど下見に!」

 

「そうか。じゃあ一度しか学校生活はないんだ。学生らしく頑張れよ?」

 

「「はい!」」

 

二人の少女に手を振りながら戦兎は歩き出す。ここが本当に新世界なのか調べるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが新世界なのか?」

 

街並みを見て回ったが明らかに街が違う。スカイウォールもなければパンドラタワーもない。

いや俺たちの世界がおかしかったのだろう。本当は今の時代では戦争なんて起こらず今みたいに平和なはずだ。

地球外生命体エボルトを消滅させ、新たな新世界を創る。

父さんである葛城忍と俺たちの悲願・・・。人々は会社に向かったり、学校に行ったり、子供たちは無邪気にはしゃいでいたりと俺たちが望んだ平和な世界だ。それを”くしゃっと”した表情で見ながら考え続ける。

この光景を見た感じ、やはり本当に新世界なのだろう。

それに新世界でなければ、幻さんや東都の首相だった氷室社長の名前や北都の首相多治見喜子や西都の首相だった御堂の名前はないだろう。

パンドラボックスの影響がないからこの三人が居ても問題ないだろうな。

現に戦争は起きていないようだ。

 

「父さん・・・ようやく父さんと俺たちが望んだ新世界を創ることが出来たよ・・・」

 

そう彼が呟いた時だった。

 

『どうやら新世界を創ることが出来たようだね・・・』

 

聞き覚えのある声が頭の中で聞こえた。

もう一人の俺であり、前の世界では悪魔の科学者と呼ばれていた葛城巧だ。だが俺は知っている。葛城 巧は本当は科学が大好きなだけで彼は彼なりに地球を救おうとしていたこと。戦争に加担したことに罪悪感を持っていること。実際にこいつ(葛城巧)が居なければエグゼイドの力を借りることが出来ずに最上魁星に勝つことは難しかっだろう。

 

「ああ、ようやく実現することが出来たんだ」

 

エボルトを倒して新世界を創造することが出来た。

 

『だけど本当にいいのかい?君は創造主としてこの世界に残った。この世界のたった一人の異物として』

 

そう、新世界の創造は出来た、だが本来桐生戦兎はエボルトがいなければ葛城巧は殺されず、佐藤太郎も殺されなかったため本来は居ない存在。

何故ならば桐生戦兎は葛城巧の体と佐藤太郎の顔から造られた・・・エボルトが居なければ絶対にいないはずの存在だからだ。

 

「一人ではないさ、俺には仲間たちがいた。その想いは今も俺の中にある。それにあいつらが平和に生きてくれてるなら・・・それだけで満足だよ」

 

そう言って彼は、自分の相棒が最後に託してくれたフルボトル―――色は既に普通の青色に戻っているが、ドラゴンフルボトルを握り締めて言う。

 

そう、よく俺たちに情報を提供してくれた滝川紗羽さん。記憶がなく家族の居なかった俺に家族として接してくれた石動美空。あの時散っていき、俺たちに託してくれた猿渡一海こと[仮面ライダーグリス]

氷室幻徳こと[仮面ライダーローグ]

最後に力を貸してくれた万丈龍我…俺の相棒の[仮面ライダークローズ]

みんなが居てくれたからこそエボルトに勝つことができたんだ。

 

『そうか・・・そろそろ時間のようだ・・・。君はこれからも誰かの笑顔を・・明日を創っていくのかい?』

 

「当たり前だろ?ここにはノイズという脅威がある。ならそいつらから人々を守るのが俺の・・・仮面ライダーの役目だ」

 

そうだ。新世界を創造出来たといっても脅威が去ったわけではない。今度は俺があの人達(レジェンドライダー)みたいに戦争の兵器としてではなく仮面ライダーとして守っていくべきなのだろう。

 

「それを聞けてよかったよ・・・。楽しかったよ正義のヒーロー(仮面ライダー)

 

その言葉を最後に葛城巧の声が聞こえなくなった。つまり彼もこの世界の自分と融合し、旧世界の記憶はなくなったのだろう。

 

「ふっ・・・最後にあいつがあんなこと言うなんてな。さて、とりあえずは色々と整理出来る場所を見つけますか!」

 

まずは場所がなければ何も始まらない。

 

「それに葛城にはああ言ったが、ノイズにライダーシステムが通用するかも分からない。もし出会えばホークガトリングで戦ってみるのがありかも知れないな」

 

一人誰にも聞こえない声でぼそぼそと呟きながら何かを悩むように戦兎は街を歩いていくのだった・・・。そう、ボロボロの服や傷を忘れ、周りからしたら明らかにやばい人としか思われない状態で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最っ悪だ・・・。どうにか人が居なさそうな空き家を見つけたからビルドのアイテムを出してみた、やっぱりハザードトリガーは起動してもスパークリングにフルフル、ジーニアスフルボトルが起動しない」

 

ビルドフォンの収納アプリを起動し、取り出したラビットタンクスパークリング缶とハザードトリガー、フルフルラビットタンクフルボトル、ジーニアスフルボトルを収納すると今度は武器を出す。

 

「武器はどうやら最終決戦で使った武器は全滅、フルボトルバスターは多分あれが原因で壊れてるか」

 

一番バレてはまずいだろう武器をすぐ収納すると壊れた原因を考える。

原因は恐らくエボルトとの最終決戦。

スパークリングに戻された時にドリルクラッシャーや他の武器たちを使った。

恐らくそこでエボルトに壊されたのだろう・・・。まぁこっちは環境が整えればすぐに直せるから問題はないんだが・・・。

 

問題はフルボトルバスターだ。

これはあの金と銀のフルボトルのエネルギーが強すぎて耐えれなかったのかもしれない。

あの時はラビットタンクだったしな。流石にこれは環境が整ってもすぐには直せそうにない。

エボルト見たいなのが来ない限りは素手でも問題ないと思うが、ノイズに触れられるかどうかは分からないから、出来れば武器がいいんだよな。

 

「環境が整ってない以上今は考えても仕方がないか。とりあえずノイズと出会うまではライダーシステムは使わないようにした方がいいな」

 

といっても、ライダーシステムを使うような場面なんて他にないと思うが。

 

「さて・・・もう夕方になるがいくらなんでも情報が少なすぎる。街をもう少し見回った方が良さそうだ」

 

そう言うと彼はビルドフォンにライオンフルボトルを挿し込み、外に投げる。

 

【ビルドチェンジ!】

 

音声と共にビルドフォンがバイクに変形し、それに跨って彼は夕方の街をバイクで走るのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に周りは夜になっておりバイクをスマホに戻して歩いていた戦兎はやはり新世界に来たばかりなのもあり、考えるのも多く悩みながら歩いていた。

 

「さて、これからどうするか。しばらくは何処かに泊まりたいんだがこの世界で旧世界のお金って使えるのか?・・・見て見ないと分からないか。とりあえず泊まれるところを——-」

 

「うわあぁああぁあぁぁあ!ノイズだぁぁあああぁああ!!」

 

「ッ!?」

 

すると突然聞こえた叫び声に驚きつつも前方を見ると、叫び声とともに場が一気に混乱に陥り、みんなが逃げるように一斉に走り出す。

その最中に反応した戦兎は一人、人々とは逆にウサギのように人混みを潜り抜けながら騒ぎの中心が見えるところまで行く。

辿り着くと、そこには半透明な異形が居た。

全てなんらかの生物のような形をしており鳥型だったりカエル型だったり人型だったり様々だ。

 

「あれは・・・いやあれこそがこの世界の脅威である『ノイズ』か!」

 

実際に見てみると今まで自分たちが戦ってきたスマッシュや他の怪人とは違い、どちらかというとただ人間を滅ぼすために造られた、まるで戦争のための道具にされた仮面ライダーのような兵器にも見える。

 

「とりあえずは急がないとまずいよなっ!」

 

あくまで見えるところまでのため忙いで中心に行こうとするが流石に騒ぎの中心だからか、人が多くなかなか進まない。そしてようやく近づいてきたその時だった。

 

「うわあああああぁ!」

 

大学生くらいの青年が脚を引っ掛けてしまったのか転んでしまった。すると気づいた一体のノイズがすぐさまその大学生くらいの青年の足に絡みついた。するとその青年はノイズと共に喋る間もなく炭化、塵となった。

 

「なっ・・・一瞬で炭化なのはいくらなんでも早すぎんだろ!?くそっ・・・すまない・・・!」

 

目の前で救えなかったのに謝罪しつつ悔しんでる場合ではないと考え、すぐに戦兎はウサギ型の赤いフルボトル、ラビットフルボトルをポケットから取り出しては一気に振り、ボトルの成分を活性化させる。その動作の間にも前方で襲われていたが間に合わなかった。その時---

 

「きゃあ!」

 

声が聞こえ、急いで周りを見ると少し離れたところで幼い少女が転んでしまう。当然周りの人は既に逃げており、後ろを向く余裕がなく逃げるので必死で気づいていない。

やはりと言うべきかノイズはその少女に気づくと少女に向かって先程の青年のように絡みつこうとする。

 

「ひっ・・・!?」

 

後ろを見た時にノイズが近づいてくるのが分かったのか恐怖で目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、いつまでも炭化する様子がない。なぜなら当たる寸前で何者かが幼い少女を人間が出せるスピードじゃない速度でノイズから間一髪で救ったからだ。

不思議に思った少女は目を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?怪我はない?」

 

少女を助けた男は少女をそっと降ろしてから優しい声で少女に声をかける

 

「う・・・・・うん・・・」

 

少女は怖かったのか涙目で身体を震わせながら頷いている。当然だろう。まだ幼い少女にも関わらず死の恐怖に出会ったのだから。

 

「怪我がないならよかったよ。大丈夫、正義のヒーローが今からサクッと救ってやるから大人しくしてるんだぞ?」

 

優しく頭を撫でながら心配させないように笑顔で語りかける。

 

「・・・うんっ!」

 

少女が頷く、安心したからかもうあまり震えていないようだ。

 

「よし!いい子だ!それじゃ、行きますか!」

 

男---いや桐生戦兎は少女を巻き込まないため少し前に進み、目の前の大量のノイズに対して多くの人を殺し、こんなにも幼い子でさえ殺そうとしたノイズを冷静で居ながらも怒りを静かに宿して睨みつける。

そのまま戦兎はビルドフォンから出していた手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械を戦兎は腰に宛てがう。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定する。

これは戦兎が旧世界で何度も正義のヒーローとして戦ってきた戦兎を仮面ライダーへと変身させる重要なアイテム。

そのアイテムの名は『ビルドドライバー』

そしてそれだけではなく戦兎はよく自分が使う二本のフルボトル、赤い色のウサギの模様を施されているボトル、『ラビットフルボトル』とポケットから新たに取り出したもう一本のフルボトル、青い色の戦車の模様を施されている『タンクフルボトル』。

 

「さあ、実験を始めようか」

 

いつものお決まりのセリフと共に戦兎はラビットフルボトルとタンクフルボトルを振り始める。すると以前のように戦兎の周りに数式が現れては流れていく。ボトルの中にある成分・・・トランジェルソリッドが活性化するとフタの部分であるシールディングキャップをボトルの正面に固定した。そしてそのままラビットフルボトルとタンクフルボトルをビルドドライバーに挿し込む。

 

ラビット!タンク!

 

ベストマッチ!

 

ベルトからそのような音声が流れるが、聞き慣れている戦兎にとっては何も思わない。そのまま戦兎はビルドドライバーにあるレバー、ボルテックレバーを回す。

するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それが戦兎の周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、赤と青の液体が流れ、そして、戦兎の前後にそれぞれ、形を形成していく。

ウサギと戦車、二つのアーマーが形成されると戦兎は"あの言葉"と共に人類を守護する英雄(ヒーロー)へと姿を遂げる。

 

Are You Ready?

 

覚悟はいいか? この世界で仮面ライダーとして、そして今も苦しんでいる人達を守るため、後ろにいる少女を守るため、愛と平和のために戦う覚悟はあるのか?と。

その答えは既に決まっている。何故ならば彼は、いや桐生戦兎はみんなのヒーローで、愛と平和を掲げ、誰かの明日を創る仮面ライダーなのだから。

 

変身!

 

ファイティングポーズを取りながら叫び、アーマーを形成したスナップライドビルダーが戦兎を挟む。

形成されたアーマーが戦兎の体を着装され、そして白い蒸気を噴き上げながら、赤と青の装甲を身に纏い、新たな世界を創造した戦士が再び誕生する。

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!

 

しっかりと忘れず決めポーズを取りながら戦兎---仮面ライダービルドは言う。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧世界で兵器と言われながらも愛と平和を胸に戦い、最後には兵器ではなく英雄(ヒーロー)となった戦士が新たな世界で再び人類のために立ち上がったのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





はい、ごめんなさい。いやね?本当はね?戦兎くんにビッキー救って貰おうと思ったんだけど早すぎね?と思ったのと誰もビルドのこと知らないのは、ねぇ?
ということでオリ幼女とモブ召喚 本来は幼女がやられて戦兎以外周りの人全滅ルートにしようと思ったけど辛かったので変更。
因みに夜になんで人多い?とか聞かれたらあれなので仕事帰りと何かのイベント終了後ということで…。
あとラストアジャストバインドとかはわざわざ調べて書いてます。これが実は大変だったり


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第二話 新世界での戦い


本当は今日投稿する予定はありませんでしたがここで投稿しないのもどうかと思うのとゼロワン放送があるので、二話も投稿させていただきます。
ゼロワンどうでしたか?私は恐らく寝てます。


ということで今回は戦闘シーンであり、雑魚戦でもあります。ではあらすじ紹介どうぞ。


戦兎「仮面ライダービルドであり!天っ才(てぇんさい)物理学者の桐生戦兎はエボルトとの激闘の末、ついに新世界の創造に成功する!
そして新たに創造した世界にも脅威があることを知った俺はこの世界でも仮面ライダーとして戦っていく決意をする」

?「そして夜の街を歩いていた時、前方から騒がしくなったのを感じ、ノイズが現れたことを知る。目の前でノイズに灰化させられていく人々を救えなかったことに後悔をする暇もなく、転んでしまった幼い少女が視界に入ったのでした」

筋肉「少女を救うため、ラビットの能力で少女をノイズから避難させ、ついに桐生戦兎はノイズ相手に新世界にて仮面ライダーに変身するのだった!」

?「しかし何故私までしなくてはならないのだ!私はまだ出ていないだろう!?」

筋肉「お前は今回出てるからいいじゃねえか!俺なんてまだ出てないぞ!?」

戦兎「ちょっと!まだ本編始まってないんだから軽いネタバレでもそれはやめなさいよ!」

筋肉「じゃあ俺の出番はいつなんだよ!?」

?「作者の都合ではないか…?少なくとも私は元よりすぐに出すつもりだったらしいが」

戦兎「こら!あぁもう!二人にはプロテインラーメン作ってやるから大人しくしとけ!さて裏話もそこまでしてビルドが大活躍しt」

筋肉「ビルドが大活躍して辛いに決める第二話を是非見てくれッ!」

戦兎「なっ!?それ俺のセリフなんだけど!?」

?「いやもっと大事な部分があっただろう!?読み方に突っ込まなくていいのか!?」








 

 

 

 

 

 

 

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

いつものポーズとセリフを言い変身を完了した仮面ライダービルド。

するとその彼に向かって一体の鳥型ノイズが彼に向かって突撃してくる。

 

「さて、ノイズに通用するか分からないが試させてもらうぞ!」

 

彼は構えると突撃してきたノイズに最小限の動きで避け、右脚で空中に蹴り上げるように脚を上げる。すると触れた瞬間本来炭化するはずが逆に蹴られたノイズが吹き飛び、一瞬にして鳥型のノイズはそのまま炭素の塊と化す。

 

「やっぱ効くのか!」

 

おおよそ効くとは思っていたようで、何処か確信したかのように呟く。そしてダメージが通るとなれば旧世界で世界を破滅しかねない凶悪な敵と戦った彼を簡単に止めることは出来ない。

 

そのままビルドは腰を落とし、左脚のバネ『ホップスプリンガー』を利用し、敵の中心へとすばやく突撃していく。

するとノイズは突撃してくるが次々と彼の攻撃に耐えることは出来ずに吹き飛んでは炭素の塊に戻る。

 

「くそっ・・・通用すると言っても流石に敵が多いなッ!」

 

一体一体は大したことないが複数の相手に一人はなかなか手強い。もちろん彼に武器があれば違ったのだが今の彼には武器が破損しているため使える武器がない。それに今の彼は後ろにいる少女を守れる位置にいるため攻めにいけないのもあるのだろう。

 

「仕方がない。ベストマッチはできる限り使いたくはないから・・・これで行くしかないか」

 

するとビルドは新しいフルボトル、ハリネズミの柄が入ったフルボトルを取り出す。ラビットフルボトルを抜き、変わりにハリネズミフルボトルを挿し込む。

 

ハリネズミ!

 

音声がなると共にボルテックレバーを回す。ボルテックチャージャーが回転するとスナップライドビルダーがすぐさま展開し、そのパイプの中を白い液体が流れ、新たなアーマーを形成する。

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

その言葉と一緒に新たに形成された白い装甲が、赤い装甲の上に重なるようにビルドに装着される。

白い装甲が重なると同時に赤い装甲は粒子となって消え、そして白い装甲がビルドの新たな装甲となって合着する。

それは彼が先ほど呟いたベストマッチとは違う、いわゆる『トライアルフォーム』と呼ばれるものだった。

ベルトからもベストマッチとは違い、音楽のようなものが流れるだけだ。

だがノイズはそんな彼のことなんて知るかとでも言うように今度は一度に大量に向かってくる。しかしビルドは腕を空に向かって上げるだけで何もしようとしない。そしてノイズがある程度の距離に入ってきた時、彼は動いた。

右手を包むグローブから串刺しにするように鋭い棘が彼の周囲に居たノイズを纏めて一掃したのだ。

これこそがビルドの特性。”ハザードレベルでは測れない強さ”。そしてベストマッチよりかは力が出ないがトライアルフォームで多種多様な攻撃が出来るのがビルドの強みだ。

 

「うぉぉぉぉおぉぉぉ!!」

 

すぐに針は戻り、彼は未だに大量に襲ってくるノイズに向かって針を伸ばして攻撃したり右脚の『タンクローラーシューズ』の裏にあるキャタピラを利用し相手を削るように蹴り飛ばしたりなどし減らしていく。

 

「ったく・・・どんだけいんだよ!?未だに囲まれてるし奥には居るしで全然減ってるように感じねぇな!!」

 

そして再びノイズに向かって突撃しようとした時だった。彼の耳にバイクのエンジン音が聞こえた。

 

「ん?これは・・・バイクか?」

 

よく見れば一人の少女がノイズを押し退けて突っ込んでいく姿が見えた。

 

「なっ!?あいつ何してるんだ!?くっ・・・邪魔だ!」

 

流石にやはいと感じ、止めようとするビルドだったが彼の邪魔をするようにノイズは彼に向かって一気に突撃してくる。そうなるとビルドにはノイズを倒していくしか選択肢はなく、右手のグローブから針で攻撃したり左手で投げたりして対抗していく途中。彼の耳には”歌”が聞こえた。

気づいたらさっきバイクでノイズを押し退けて突っ込んできていた少女が高く飛び上がっていた。その少女の髪は青く、ビルドの強化された視野から姿をはっきりと確認することが出来た。新世界に来たばかりの戦兎にも記憶に新しく残っている。

 

「あいつは、確かネットの記事に書かれていた・・・!」

 

この世界の者なら知らない人はほとんど居ないであろうツインヴォーカルユニット、ツヴァイウイングの片翼。風鳴 翼だ。戦兎もここが新世界かどうか調べていた時たまたま見た記事で名前と姿を見ただけだが恐らく本人だろう。今はソロで歌手をしているという。

 

そしてその少女が歌を口すさんでいた。

 

「―――Imyuteus amenohabakiri tron―――」

 

その瞬間少女---翼を眩い光が包み込む。そしてその姿を全く違う姿、鎧を纏った姿へと変化させる。

そして翼が鎧を纏った瞬間、何らかのフィールドが展開され、翼の手には一つの刀があり、ノイズに向かっていった。

 

「よく分からないが・・・今は味方ということでいいのか?それにあの鎧は恐らく旧世界に存在していた俺たち仮面ライダーの代わりみたいなものだろう。このノイズに対抗するための力ってとこか」

 

何故そう思ったのか、それはビルドがノイズを倒していきながらも鎧を纏った少女、翼を見ていたからだ。明らかにノイズを刀で倒しては慣れてるかのような戦っている。

するとビルドが倒していたノイズの近くに今までとは大きさが違う芋虫型のノイズが一体居た。

 

呼称は、強襲型(ギガノイズ)

 

 

「うおっ!?でかっ!?今までとは大きさが違うが、こいつが多分ボス見たいなものか?とりあえずは倒さねぇと!」

 

そう言うとハリネズミフルボトルを抜き、もう一度ラビットフルボトルをベルトに挿し込む。すぐにボルテックレバーを回し白い装甲を纏っていた姿から赤いウサギを想像させるアーマーへと姿を変えた。

 

ビルドアップ!

 

ラビット!タンク!イエーイ!

 

「一気に決めさせてもらうぞ!」

 

ビルドはボルテックレバーを何回か回すとすると成分がより活性化する。

 

Ready Go!

 

「ちょーっと待っててね」

 

音声が流れたと共にビルドは何故かギガノイズから背を向けてX軸の方向へと走る。その先でビルドが地面を思い切り蹴ると地面が抜け、そこからビルドが消えた。だがすぐに地面が盛り上がり白いY軸のグラフに沿うようにビルドが飛び、グラフは相手を拘束する。そしてそこへビルドがキックを放つ。

 

VOLTEX FINISH!イエーイッ!!

 

タンクローラーシューズの無限軌道により威力を強化されたビルドのライダーキックがギガノイズにぶつかる。膨れ上がったエネルギーは勢いよくギガノイズの胴体を貫き、軽い爆発が起こっては炭素の塊にへと還すことが出来たのだった。

 

「ふぅ・・・どうやらちょうど向こうも終わったようだな」

 

ビルドが呟くと向こうの方で戦っていた翼も大量の小さい刃を落としてノイズたちを纏めてとどめをさしているところだった。

 

千ノ落涙

 

「よし!さて・・・怖くないか?大丈夫だったか?」

 

周りを見渡すと既に炭素の塊とビルド、翼と戦兎が守っていた少女のみだった。

戦っている途中他に人が居なかったから無事に逃げれていたようだ。救えなかった人は居たが今は目の前の少女を救わないと。

 

「うん・・・!おじさんかっこよかった!」

 

そう考えながら話しかけると少女は目を輝かせて笑顔で嬉しいことを言ってくれた。少女が泣いていた姿から笑顔になってくれて心の底から安心した。でも一つ修正しなければならないだろう。

 

「そうか? でも一つだけ違うぞ。俺はおじさんじゃない、お兄さんだ」

 

そう言いながらぽんぽんと優しく少女の頭を撫でる戦兎。

 

そしてその姿を翼は警戒しているかのように見つめていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———数十分後

自衛隊のような人達が来て、すぐに立ち入り禁止と書かれているバリケードを設置。

どうやら炭素の塊の回収などをして事態の収拾をしているようだ。それも慣れたように。

 

「ということは何度も経験してきたのか・・・」

 

隠れながら仮面の下で少し悲しそうに見つめながら思う。確かにいつまでも塊を残しておくわけには行かないからな。

ただ出来れば少しでも回収したかった。でも俺には出来そうにない・・・今はバレてないだろうが正直ラビットの能力を使わないと逃げるのはきついだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————時は少し遡り

自衛隊が来る少し前

 

「すまないがお兄さんはもう行かして貰うよ、正義のヒーローは長く居られないんだ。ごめんな?あそこにいるお姉さんが君を保護してくれるはずだ・・・後はあのお姉さんの言うことをしっかりと聞くんだぞ?」

 

本当は俺自身でお母さんに合流させてあげたいが、まぁ少なくとも彼女が本当に風鳴翼ならば人類の味方だろう。仮に違ったとしたら攻撃しなかったはおかしいし、本当に敵なら少女を狙えば俺を倒すことは出来たはず。ならば任せても問題はないはずだ。

 

「う、うん・・・でもおじさんもう行っちゃうの・・・?」

 

寂しそうな表情をされる。心が痛いが仮面ライダーは見た感じこの世界には居ない・・・。また戦争の道具にされる可能性もある。だから今は逃げるのが先決だ。

 

「おじっ・・・いやうん。もう行かなきゃならないんだ」

 

頭をもう一度ぽんぽんと撫でる。そして後ろを向いて『ホップスプリンガー』で離れようとするが---。

 

「待て!貴様は一体何者だ!?」

 

そう言いながら風鳴翼であろう少女が刀をこちらに向けてくる。

 

「・・・俺か?俺の名前はビルド、仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のbuild(ビルド)だ。だ。以後お見知りおきを。See you!」

 

名前ぐらいはいいだろうと思い、葛城巧がやっていたように自己紹介すると相手が刀を構えたまま向かってくる前にホップスプリンガーで地面を蹴り、離れる。

 

「なっ・・・逃がさんぞ!」

 

そう言って此方に飛んで向かってこようとしたが---。

 

「その子のことは頼んだよ!まだ安全だと決まったわけじゃないから!」

 

「くっ・・・!!」

 

大声で叫ぶと、すぐに連続で飛んでいきながら後ろを振り返る。どうやら危ないのは理解していたようで保護を優先してくれたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———-そして現在

 

「まあ、だから変身を解いてないわけだが・・・」

 

小声でそう呟き目の前を見る。すると

 

「わあ!お母さん・・・・・!」

 

保護された少女とその母親らしき女性が抱き合っている姿を見る。もちろん見つかってもいつでも逃げれるよう警戒しながらだ。

でもよかった・・・やっぱり子供には笑顔が一番似合うからな。

そう思いながらもこの世界でも誰かの力になれたことに戦兎は仮面の下で“くしゃっ”と笑うのだった。

 

「うん、見れたならもういいな。そろそろ離れるか」

 

そう言うと慎重に『ホップスプリンガー』で離れる。

そして路地裏に入るとラビットフルボトルとタンクフルボトルを抜き、ポケットに入れてからベルトも収納する。

これで俺が仮面ライダーだということは分からないだろう。

ひとまず先ほど風鳴翼であろう少女が使ってた鎧について調べるか。

 

そう考えながら仮面ライダービルドである桐生戦兎は人が居なさそうな場所へと移動していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ビルド本編みたいにしたかったんです。と言ってもこちらは指名手配はないですけど…ということで逃走させました。
そもそも戦兎くんならこの世界にライダーシステムがなく、変身してしまった時点で警戒すると思うんです。
やっぱり戦争の道具にされた経験持ちなので。
そしてなんでシンフォギアのことを調べてないかと言うと未来さんにノイズのことを聞いたためノイズ関係の優先を後回しにしてました。
そしてあの人達にビルドのことを知らせたかったので…それが終わったためここから本格的にシンフォギアと繋がっていきますよ。多分。
ではまた次回…良ければ見てください。そしてアドバイスも歓迎です。


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第三話 二度目の出会い


感想、評価ありがとうございます!一言送られるだけでもとても嬉しく、励みになります!しばらくの間は毎日投稿出来ればしていくので楽しんで頂ければ嬉しいです!

今回は戦闘シーンは流石に連続では今はないです。どちらかと言うと整理回と日常編みたいな。
それとこの回は裏話をすると一度全部消してしまった回であるため、もしかしたら違和感があるかも知れないです。その場合すみません。
では、あらすじどうぞ!









戦兎「仮面ライダービルドであり、天↑才↓物理学者の桐生戦兎は新世界を創造するためエボルトと死闘を続ける。そしてエボルトとの死闘の上ついに新世界を創造することに成功するのだった!そして新世界にて人々を守るためもう一度仮面ライダーとして戦うのでした!」

筋肉バカ「仮面ライダーとなり、ノイズと戦う桐生戦兎はライダーシステムがノイズに通用することにどこか確信したかのように納得する。しかし武器がエボルトとの戦いのきわに…おい戦兎これどうやって読むんだ?」

戦兎「破損な?は そ ん。それと“きわ”じゃない”さい“だ。ったくこれだからバカは…」

筋肉バカ「い、い、い、言われなくても分かってたっての!それにバカじゃねえよ!筋肉つけろ!筋肉!」

戦兎「じゃあなんでお前の台本には読み方書いてるのに分からないんだよ!この筋肉バカ!」

筋肉バカ「あぁ?小さくて読めねえんだよ!もう少し大きく書けよ!それと筋肉を…ってあれ?」

戦兎「文句ばかり言うんじゃないよ!全く…あらすじ紹介を…」

翼「すまないが、そこでコントしている間に時間がなくなったぞ。ということで今回は整理回らしい。良ければ見てやってくれ」

戦兎「あぁ!今回も言われた!?俺、主役なのに…」

万丈「なっ!?いつの間に終わってたんだよ!?」

戦兎、翼「「気づくのが遅いぞ(な)!?」」



 

響side

 

私の名前は立花響、15歳!誕生日は九月の十三日で血液型はO型!趣味は人助け!

最悪のある事件から二年経った。この二年間色々とあったけど、この春、私は晴れて女子高生になる。

私の通う学校の名前は「私立リディアン音楽院」。ここには憧れのあの風鳴翼さんが通っている。

できることなら何かの偶然で出会えないかと思って苦手な受験勉強も親友の未来に手伝って貰って頑張った。

ただ、私が翼さんに会いたいのは憧れだけじゃなくて私は、あの二年前のことを少しでも知れたらと知りたいと思っているのだ。

あの日私の見た光景、大量のノイズに向かって不思議な衣装と武器で戦うツヴァイウィングの二人の姿。私を救ってくれたのは確かにあの二人だった。

けどあの事件から目覚めた私が見たニュースではあのライブ会場にいたたくさんの人が亡くなったこと、その中にはあの時戦っていた奏さんも含まれていることだけで、戦っていた二人のことについては何も触れられていなかった。

 

だから私は知りたくて学校に入学したのだ。

あの日一体何があったのか。

あの日の真実を、私は知りたいんだ。

知りたいのだが―――

 

「立花さん!!」

 

「は、はいっ!」

 

目の前の先生の叫び声に私はピクリと肩を震わせる。

 

「あ、あの・・・木に登ったまま降りられなくなった子猫がいましてですね・・・?」

 

「それで?」

 

「きっとお腹空かせてるんじゃないかと―――」

 

「立花さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

「たはぁ~!疲れたぁ~!!」

 

入学初日の授業を終えた私は寮の部屋に帰ってくるとすぐに床に倒れこむ。

 

「入学初日からクライマックスが百連発気分だよ~・・・。私呪われてる~・・・」

 

「半分は響のドジだけど、残りはいつもの響のお節介でしょ?」

 

「人助けと言ってよ~!人助けは私の趣味なんだから」

 

幼馴染にして同室の未来に私は唇を尖らせて言う。

 

「響の場合度が過ぎてるの。同じクラスの子に教科書は貸さないでしょ?普通」

 

「私は別に未来から見せてもらうからいいんだよ~」

 

未来の言葉に私は笑いながら言う。

 

「あ、そう言えば人助けって言えばね?」

 

「今日木に登ってしまって降りられなくなっていた子猫がいたんだけどね?」

 

「今朝先生に怒られてたやつね」

 

「うっ・・・そ、それはそうなんだけど・・・」

 

未来の言葉で今日の先生の剣幕を思い出して顔を顰める私。

 

「ま、まぁとにかくその時にね?私と猫を助けてくれた人が居たんだ」

 

「へぇ〜知り合い?」

 

未来の言葉に私は少し悩みながら答える。

 

「うーん一度会ったことがあるかな?未来も覚えてる?昨日私が声をかけた服がボロボロで傷があった不思議な雰囲気の男の人」

 

「うん。今時ノイズのことも知らない人がいるとは思わなかったよ。その人がどうしたの?」

 

「えっとね・・・確か・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎side

 

っと街に来たのはいいが何か情報がないとな・・・どこかに手がかりは――ん?

 

「にゃ〜?」

 

「ど、どうしよう・・・子猫を助けられたのはいいけど思ってたより高いところに登ってたから抱えたままだと降りにくいよ」

 

猫の声が聞こえたから木の方を見てみたが・・・どうやら少女が困っているようだ。周りの人は、恐らく気づいている人はいるだろうけどこの時間帯だと仕事や学校がある人達ばかりだから助けに行けないか。

よし!ここは正義のヒーローとして小さいことでも解決しなきゃな!

 

「おーい!君!どうしたんだ!?」

 

なるべく聞こえるように大きな声で聞く戦兎。

 

「あっ・・・す、すみませ〜ん!子猫助けようと木に登ったら思ったより高くて降りれなくなってしまって・・・」

 

あれ?聞き覚えのある声だな?いやまずは助けることが先だ。

 

「なるほどな、少し待ってくれるか?今助けにいくよ」

 

長引かせると、もしかしたら、があるかも知れない・・・仕方がないか。戦兎はラビットフルボトルと忍者フルボトルをポケットの中で握りしめて軽く振る。

 

「は、はい!お願いします!」

 

「よっと」

 

フルボトルが十分に活性化すると軽く飛んで少女---立花響がいる場所までいくと振動を与えないように軽く木に着地する。

 

「う、うわわ!?す、すごっ・・・」

 

響は戦兎の跳躍力と音と振動を立てずに木に着地したのに驚いたようについ声に出してしまう。

 

「大丈夫か?嫌かも知れないけど少し失礼するよ」

 

優しそうな声と表情でそう言って戦兎は響をお姫様抱っこで抱える

 

「わわわわ・・・!?」

 

流石に女子高生で年齢=彼氏いない歴の響には恥ずかしく、顔を赤めるがしっかりと猫を落とさないように抱えるのは流石だろう。

 

「ほいっ」

 

軽い様子で戦兎は高いところにも関わらず木からジャンプし、対した反動を残さずスタッと地面に降りると響を降ろす。

 

「あ、あの・・・」

 

「あ、すまない。やっぱり見ず知らずの人にされるのは嫌だったか?」

 

顔を赤くしているし怒っているのかと思い、謝る戦兎。

 

「い、いえ!大丈夫です!えっと助けていただいてありがとうございます」

 

「そうか。別に気にしなくていいよ。困ってたら助け合うのが人間だろ?」

 

以前、一度一緒に戦ったことがある先輩ライダーのセリフに似たようなことを言う戦兎。

 

「はい!」

 

「ん?って君はもしかして昨日の・・・」

 

聞いたことがある声だなと思ってはいたが茶髪の髪に昨日見た制服。

 

「あ、私は立花響です!えっと貴方は昨日倒れてた人でしたよね?」

 

どうやら相手も俺のことは覚えていたようだ。・・・あんな服で傷だらけだったら覚えているか。

 

「あぁ、名乗ってくれてありがとう。俺は戦兎、桐生戦兎だ。よろしくな」

 

「戦兎さん、ですね。本当に助けてくださってありがとうございます!」

 

「さっきも言ったけど気にしなくていいよ。響が無事だったならよかったしさ。それよりも学校は大丈夫なのか?もうそろそろ時間だとは思うが・・・」

 

明らかにもう周りには学生はいない。ということはこのままだと遅刻だが・・・。

 

「あぁー!そうだった!すみません、私学校あるので急ぎますね!本当にありがとうございます!」

 

そう言って響は走り出した。白い子猫を抱えたまま---ってちょっと待て!

 

「ち、ちょっとストップ!響、学校に猫は恐らくダメだろ?」

 

「あっ・・・!そうだった・・・でもどうしよう。この子置いていくなんて可哀想だし・・・」

 

「まったく・・・ほら、なら俺が責任を持って預かるよ」

 

「えっ!?」

 

「学校に猫を持って行くことは出来ないし俺も猫を置いていくなんて出来ないしさ」

 

「で、でも・・・」

 

「いいからいいから、ここは大人の俺に任せときなさいって。それでもって言うならまた出会ったとき猫の世話手伝ってくれるか?」

 

「・・・分かりました!あの、この子のことお願いしてもいいですか?もしまた会うことが出来ればその時はお世話手伝わせていただきますから!」

 

響から子猫をしっかりと受け取り離さないように抱える。

 

「あぁ、その時はよろしくな?」

 

「はい!」

 

・・・子猫のために高い所に登ったり見ず知らずの俺に話しかけたり、見た感じだが響は優しくて活発な子なんだな。

でも何故だろうか・・・俺は響とはまた出会いそうな予感がする。

なんでそんな予感がするのか俺には分からないが、きっと出会うことになるだろう。

 

「それじゃ学校頑張れよ?」

 

「はい!本当にありがとうございました!!」

 

そう言って響は走って学校へと向かっていく。

多分だが周りに学生が居ないのを見るに間に合わないだろうな・・・。

さて・・・とりあえず受け取ったからにはこいつ(子猫)ためにお金がいるか・・・。戦兎はそう考えると旧世界のお金とはいえ売れば多少はお金が貰えるだろうと思い、ビルドフォンを取り出して買取屋へと向かっていく。無理なら即席で何か開発すればいいだろうと考えながら----。

 

戦兎side our

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「って感じだったよ。」

そう言って響は未来に今日の出来事を話す、少し省きながら(主にお姫様抱っこと身体能力)

 

「へぇ〜そんなことがあったんだね。昨日のあの人は戦兎さんって言うんだ」

 

「うん。そうらしいよ?また会うとは思わなかったなぁ」

 

「昨日会った人と会うって早々ないもんね。というか・・・その戦兎さんって人は響に劣らずお人好しだね」

 

「そう?」

 

「うん私はそう思うな。それと・・・響、聞いてた感じ、戦兎さんが来たからよかったけど居なかったら大変だったよ?相変わらず考えなしで動くのは響らしいけど気をつけてね?」

 

「あはは・・・うん気をつけるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある山の中で、周りが暗くそろそろ仕事帰りで帰ってくる人が多いだろうともいえる時間に立ち入り禁止のバリケードを置き、誰も入れさせないようにしている人達がいた。

この街の人達なら何故立ち入り禁止のバリケードが貼られているのか分かるだろう。

そしてバリケードの中に一人の青い髪の少女が居た。

ツインヴォーカルユニット、ツヴァイウイングの片翼。トップアーティストであり、二年前のある事件を境にソロ活動をし、リディアン音楽学院に通いながらシンフォギア装者として己を剣とし、日々戦っている防人。名を風鳴翼と言う。

翼は鎧を纏い、刀を持ってある敵を斬り裂く。斬り裂かれた相手は炭素の塊となる。

さきほど斬り裂かれた相手はノイズ

何故少女がノイズと戦っているのか?何故少女ではなく大人が兵器で戦わないのか?

それはノイズの特性である「位相差障壁」が挙げられる。

位相差障壁とは、ノイズの存在を人間の世界とは異なる世界に跨らせることで、通常の物理法則下のエネルギーによる干渉をコントロールする能力である。

ノイズ自身の「現世に存在する比率」を自在にコントロールすることで、物理的干渉を可能な状態にして相手に接触できる状態、相手からの物理的干渉を減衰・無効化できる状態を使い分ける。

 

要するに、ノイズは物理法則から切り離された状態で活動できるのである。

 

これにより、人間の行使する物理法則に則った一般兵器では、ノイズに対してゼロから微々たる効果しか及ぼすことができない。

ただし、存在比率が増す瞬間にタイミングを合わせたり、効率を考えず間断なく攻撃を仕掛ける長時間の飽和攻撃によって殲滅は可能。

しかし、どちらも効率的・有効な対策とは言えず、特に後者に関しては周囲にノイズよりも深刻な被害をもたらす結果となった事例も報告されている。

 

シンフォギアシステムは、攻撃が命中した時に固有振動を発生させることでノイズの在り方を「調律」、強制的に人間世界の物理法則下に引きずり込んで位相差障壁を無効化することができる。

 

そしてそのシンフォギアシステムを使うためには聖遺物。

古の時代の異端技術(ブラックアート)の結晶が必要となる。

現代の技術では製造不可能で、遺跡から発掘される物は破損が激しい欠片の状態のものが大半を占めており、従来の力を遺した物はほとんど存在しない。しかし、損傷が少なくほぼ完全な姿を保っている「完全聖遺物」と呼ばれるものが僅かに存在する。

 

ただし、聖遺物を起動させられるのは誰のどんな歌でも可能という訳ではなく、シンフォギアに適合した者の発する歌でのみ起動する(経年劣化の無い完全聖遺物のみはその限りではなく、歌によって起動した後は適合者でなくても運用出来る)

このため適合したシンフォギア装者である翼以外だと犠牲者を出さなければノイズを倒すことはほぼ不可能に近い。

そのため翼はシンフォギアを纏い、戦っているのだ。

だが一人例外がいる。いや例外が確認されたというべきだろう。

確認された例外の名前は仮面ライダービルド。シンフォギアでもない見たことも無いベルトとアイテムで戦い、ノイズを何故か倒すことが出来る戦士。

 

すると戦いが終わったのか少女、風鳴翼がバリケードの中から出てくる。

慣れた様子でバリケードの傍に居た人達が中へと入っていき、

炭素の塊を回収していく。

 

「何故奴は姿を現さない・・・?一体何が目的だと言うのだ・・・」

 

戦いを終えた翼は小声で呟く。未だに正体が分からない仮面ライダービルド。ノイズが出てくれば姿を現すと思ったが最初に会った時以来姿を現さない。

 

「翼さん。お疲れ様です」

 

そう言って翼に話しかけた一人の男性、特異災害対策機動部二課に所属するエージェントであり、主に機密保護や情報操作、隠蔽工作など、「裏方まわり」を全般的に引き受けている。

表向きは「小滝興産株式会社」に所属するマネージャーとして風鳴翼のアーティスト活動を支えている。名を緒川 慎次と言う。

 

「緒川さん。いえ・・・この程度どうということもありません」

 

「・・・ビルドのことですか?」

 

「ッ!?」

 

「すみません・・・彼の事はまだ僕たちでも分かっておりません。ただ分かることは翼さんが持って帰ってきた情報である仮面ライダービルドと言う名と男性だったということだけ。彼が一体どんな目的で何のために戦っているのかは未だに不明です」

 

「・・・例え彼が何者でどんな目的があろうと私の前に立ち塞がるのであれば斬り伏せるだけです」

 

「そうですか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼たちとは離れた所で一人の男性が翼の戦闘を見ていた。

 

「最っ悪だ・・・また先を越されちまった。やっぱり組織のようだな。出来ればノイズの成分を入手したかったんだが・・・」

 

隠れた所で、男は落ち込んだようにため息を吐く。

 

「せめて旧世界でスマッシュを見つけてた装置を応用してノイズを見つけられるのを造りたかった。でも、成分を回収しないと出来ないし今回は諦めるか・・・」

 

この男性こそが桐生戦兎。天才物理学者であり、翼たちが探している謎の存在の正体、仮面ライダービルドだ。

 

「まっ、でもシンフォギアの戦闘データを取れただけマシかもしれないな・・・。恐らく次会う時はもしかしたら戦闘になるだろう。出来れば話し合いだけで済めばいいんだが・・・あの様子では無理だろうなぁ。でも今回取ったデータを過信しないが相手の技を知らないのと知っているのとではかなり違ってくる」

 

それは彼が旧世界で苦戦させられたからこそ、一番分かっているのかもしれない。

 

「相手が組織である以上、利用される可能性がある。捕まるわけにはいかない。仮面ライダーの情報はそれ程までに秘密にしなければならないんだ」

 

そう言うと、戦兎はポケットから赤いボトル、ラビットフルボトルを取り出しては振り始め、成分を活性化させる。

 

「よし!それじゃ今日はもう無駄だろうし引き上げますか!」

 

「にゃ〜」

 

すると、彼の服の中がもぞもぞと動き、襟から顔だけ出して白い子猫がお腹が空いたとでも言うように鳴く。

 

「悪いな。もう用事は済んだから後は帰るだけだ。それまでちょっと我慢してくれよ?」

優しい声で言いながら猫の頭を優しく撫でる。そして一度振り返ると少ししてラビットフルボトルを握ったまま人間とは思えない高速スピードで山を降りて行くのだった----。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

俺は今回の話でビッキーがシンフォギアを纏うところまで行くと思っていたらいつのまにか全く進んでいなかった。
な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何故進んでいないのかわからなかった… 。
頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ…断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を、味わったぜ…。

すみません!いや普通二課のイベントもないんだからこの時点でビッキー覚醒しないのおかしくない?二課入ったなら武器修復+リディアン音楽学院に教師で働く、もう一度ノイズとの戦闘挟んでそこで翼との戦闘を挟むつもりだったけどそれないのに覚醒かその寸前のところまで行かないとか…。

本当にごめんなさい!次回辺りから本当にストーリー動くかと…!
というかヒロインどうしようかなぁ…居なくてもいいけどヒロインいるならよくいるキャラのヒロインじゃなくて珍しいキャラのヒロインにしたい。そうなると二期のキャラか三期のキャラにもなりそう。こういうのはアンケートか活動報告がいいのかな?
あと戦兎くんって他人のことならともかく自分のことになると鈍感になるタイプだよね絶対()
ではまた次回。良ければ見てください!


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第四話 覚醒の鼓動


今回は長いです。いや1万文字超えるとは思わなかったんです…出来れば4000〜7000ぐらいが見やすいかなと思ってたんですが読んでくれるだけでも嬉しいのに感想や評価までくれる読書様のことを考えるとだんだんと小説書くの楽しくなってきて1万文字超えちゃいました。
是非お楽しみください!


そして今回オリジナル?フォーム(本編でも出来るけど本編に出てないだけ)が一つ登場します。予想しつつお読みください。
ではあらすじ紹介もどうぞ!




戦兎「仮面ライダービルドであり、てぇんっさぁい!物理学者の桐生戦兎は地球を滅ぼそうとする地球外生命体エボルトを他のライダーたちと共に阻止し、新世界の創造に成功した!新世界でも脅威があることを知った俺は、この世界でも戦っていくことを決意する。」

響「えっと・・・これ読めばいいんですか?情報を集めるために街に来ていた戦兎さんは猫を抱えて降りれなくなっている私に出会い、もう一度再開する。そして戦兎さんは私を助けてくれたのでした!」

万丈「助けたあと、猫を抱えながら響は学校に行こうとしていたため正義のヒーローである桐生戦兎は小さなことにも…おせちかい?を焼き、猫を引き取るのだった」

翼「そして一人山の中でノイズと戦う私は仮面ライダービルドが一向に出てこないことに疑問に思いながらもノイズを無事撃破する」

未来「翼さんが戦闘していた様子を離れた所から見ていた戦兎さんはノイズのデータを取ろうとしていたけれど、先を越されて回収されたためノイズのデータの回収に失敗しました。けど、戦兎さんはシンフォギアの戦闘データだけは回収することに成功するのでした」

戦兎「おい万丈!今回はあらすじ紹介するために突っ込まなかったがそれはおせっかいな?なに一人だけ間違えちまってんだよバカ」

万丈「はぁ?間違ってるわけ・・・あぁ!?本当に間違ってんじゃねえか!」

戦兎「だからそういったでしょうが!」

万丈「仕方ねえだろ!文字ちいせぇんだから!」

戦兎「それは前回聞いた。他の人達は難しい漢字以外ひらがな書いてないけど、お前の台本だけは俺が全部ひらがなをわざわざ書いてるんだから頑張りなさいよ!」

万丈「それは感謝してるけどよ・・・」

響「あ、あの、時間が・・・」

未来「そ、そろそろ本編に行きませんか?」

翼「そうだな。二人はほっておいて本編に行くか。ではビルドがか---」

戦兎「ビルドの活躍と共に俺には及ばないけどもう1人が活躍する第四話をどうぞ!」

響「わっ!?急に!?」

未来「・・・翼さん。いつもこんなのなんですか?」

翼「あ、あぁ・・・基本的にはこういう感じらしい」


 

 

 

 

 

 

 

side ?

 

ラビットタンク!イエーイ!

 

真夜中とも言える時間であり、何処かの森で一人この世界の脅威であるノイズと戦ってる戦士がいた。

その戦士は仮面を被り、赤と青の姿している。

その名は仮面ライダービルド。何故かシンフォギアの他にもノイズを倒すことが出来る戦士だ。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

そのセリフと共にベルトに付いているレバー、ボルテックレバーを何回か回して成分をより活性化させる。

 

Ready Go!

 

音声が流れると同時にビルドはノイズの攻撃を避けながら空に向かって高く飛ぶ。

 

VOLTEX FINISH!イエーイッ!

 

そのまま勢いを乗せたライダーキックを真下にいるノイズたちに放つ。

そしてその衝撃でノイズはまとめて炭素の塊となったのだった。

 

「よっと」

 

ビルドは倒したノイズに向かってボトルを向ける。そのボトルは『エンプティフルボトル』何の成分も入っていない空のボトルであり、向けた対象の成分を吸収することが可能なフルボトルである。

するとエンプティフルボトルに成分が入っていき、フルボトルの形が変化する。

フルボトルは何処かスマッシュフルボトルのような形に似ており、それをさらに透明な感じにしたフルボトルだった。

名付けるなら安直に『ノイズフルボトル』だろう。

成分の回収を完了するとフルボトルのキャップ『シールディングキャップ』をしっかりと閉め、成分が出ないようにする。

 

「よし!これでスマッシュの時の技術を応用して、ビルドフォンでノイズの位置が分かるようにすればこれからの出現位置が割り出すことが出来るかもしれない」

 

何故彼がノイズの成分を採ったのかと言うと別に悪用するわけではなく、ノイズの場所をすぐに発見するためだ。

彼は誰よりも誰かの明日を創り、愛と平和のために戦いたいと思っている。

そんな彼がノイズの成分を採って悪用するはずがないだろう。

 

「用が済んだのなら早く去らないとな・・・ノイズが居なくなったことには組織の連中も気づいている頃だろ。ちゃんと処理されたか確認したいが・・・捕まるわけにも行かないからな」

 

そう言うとビルドは変身を解きながら徒歩で森を抜け、しばらく歩いた後ビルドフォンにライオンフルボトルを挿し、傍に投げる。

 

ビルドチェンジ!

 

音声が鳴ると先ほどはスマホだった物がバイクへと変形する。そのバイクの名前は『マシンビルダー』彼はバイクに跨ると離れるようにして去っていくのだった。

そして戦兎が去ったあとすぐに自衛隊を乗せた車が来て、炭素の塊は回収されたのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自衛隊、特異災害対策機動部による避難誘導は完了しており、被害は最小限に抑えられた。・・・だって」

 

入学式翌日、学園の食堂で昼食を取っていた響は幼馴染の未来が携帯端末を見ながら昨夜起こったニュースを聞いてた。・・・もちろんご飯を食べる箸の手は止まることはなかった。

 

「ここからそう離れていないね」

 

「うん・・・」

 

口に含んでいるご飯を咀嚼しながら未来の言葉に頷く響。

事件の時間帯、既に彼女たちはベッドの中だった。自分たちが何の変哲もない平和な日常を過ごしている中、裏ではそういったどうしようもないし惨状が広がっている。殺傷事件などが良い例だろう。

そして自分は二年前、そのどうしようもない事件のところに居た。

そのことを思い出していると自分を助けてくれた人のことが頭によぎった時だった。

 

「ねえ!風鳴翼よ!」

 

「芸能人オーラ出まくりで近寄りがたくない?」

 

「孤高の歌姫って感じね!」

 

周りがそう言ってざわざわとなってきた時、響はさっきまでの考えをやめてその会話の中に出てきた人を探そうとし、立ち上がった。

 

「っ!?」

 

思わず自身の横を歩こうとする人にぶつかりそうになる。

咄嗟に謝ろうと相手の顔を見れば、その人物はちょうど噂されていた本人『風鳴翼』だった。

風鳴翼は日本を代表するトップアーティストであり、二年前のあの日自分を助けてくれたかもしれない人物の一人が突然目の前に来たこともあり、頭が真っ白になって思う言葉が出ない響。

 

「あ、ああぁ・・・あ、あのぉ・・・・・・」

 

あわわとずっと出会ったら言おうと考え続けていた言葉が言おうにも緊張で出てこない。

お椀と箸がガタガタと揺れている所からして彼女がどれだけ緊張しているのか分かるだろう。

 

そのまま無表情だった翼は自身の口元を指さす。

 

「へ?」

 

するとその動作に釣られて自分自身の口元に手を触れる響、何かの感触を感じそれを見ると先ほど自分がかき込んで食べていたご飯の粒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜もうだめだぁ・・・。翼さんに完璧おかしな子だって絶対思われたよ〜・・・・」

 

そう言って放課後の教室で課題に取り組む未来の隣で落ち込んだように机に突っ伏す響。

 

「間違ってないんだからいいんじゃない?」

 

「そんなぁ・・・・」

 

幼馴染の未来にも言われたこともあり、うう・・・とさらに嘆く。

 

「それ、もう少しかかりそう?」

 

「うん」

 

未来は課題をする手を止めずに響の言葉に答える。

 

「そっか。今日は翼さんのCDの発売だったね。でも今時CD?」

 

「うるさいなぁ〜♪初回特典の充実度が違うんだよ〜CDは〜♪」

 

さっき落ち込んでたのは何処に行ったのか響は元気になって答える。

 

「だとしたら売り切れちゃうんじゃない?」

 

「あっ!?」

 

未来言葉に確かに、と思いガバッと顔を上げた響は大慌てで未来に断りを入れながら急いで最寄り駅のモノレールに乗り、CD店へと向かう。

 

「フゥ!フゥ!CD!!フゥ!フゥ!特典!!フゥ!フゥ!CD!!フゥ!フゥ!特典!!」

 

期待に胸を膨らませながら少しでも早く、と急いで向かっていく響。

走りながらもその表情はとても幸福感に満たされている顔だった。

そしてCD店が見えてきたところでさらにスピードを上げて角を曲がる。

流石にかなりの速度で走ってきた為、一旦CD店の目の前で立ち止まり、膝に手を置いて息を整える。

 

「はぁ〜・・・えっ・・・・・?」

 

息を整えるといざ入ろうとした時だった。風が吹き、灰のような物がうっすら飛んでくる。それに釣られるようにCD店の中を見ると、そこには灰が積もっているおり、よく周りを見てみるとそこら中に灰が積もっていた。

この世界でこれほどの灰なんて考えられる原因は一つしかなく――――――

 

「ノイズ・・・!?」

 

「いやぁあああぁぁ!」

 

「っ!?」

 

その叫び声を聞くと響は叫び声が聞こえた方向へと急いで向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ・・・はっ・・・はっ・・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」

 

先ほど叫び声を上げたと思われる少女と一緒に手を繋いでを走る響。そのまま真っ直ぐ走っていた響たちだったが―――

 

「そんな、うそ・・・!?」

 

路地裏を出た先にはなんと前方に川、そして周りにはノイズがいた。

 

「お姉ちゃん・・・・・!!」

 

そう言って響に抱きつく幼い少女。

仕方がないだろう大人でさえ逃げ出すノイズに囲まれているのだから。

幼い少女には何倍も怖いはずだ。

 

「大丈夫、お姉ちゃんが一緒にいるから・・・!」

 

そう言って少女を安心させるように自身の方へと抱き寄せる。そのまま抱えるようにして川の中へとダイブするのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響が川の中へと入る数十分前

 

 

 

彼、桐生戦兎は明らかにボロボロでノイズの被害にあったことが原因で空き家になっているであろう家の中に居た。

もちろんそんな中で暮らすのはとても無理があるため、彼はそこにある仕掛けをしていた。

それは彼が前日猫のご飯と自分のご飯を買う時についでに買ってきた上と下で開けれる冷蔵庫。

それをコンセントがある端の場所に置いてあり、なんと下の方を開けると彼が旧世界で暮らしていた『nascita』の地下、自分たちがよく居た秘密基地を彼はノイズを倒して帰ってきた後、少し仮眠を取ってから急ピッチで作り上げていたのだ。

旧世界では、結構な人が入っても問題なかった場所とは違い、作業する場所を入れて四、五人くらい入ればいいだろうぐらいの大きさである。

 

何故彼がパンドラボックスもなければビルドフォンに収納されていた白いパンドラパネルしかないのに作れたのか?それはフルボトルの能力である。

 

彼は仕方がなく、ニンジャとコミックのフルボトルを使ったフォーム『仮面ライダービルド ニンニンコミックフォーム』に変身し、破損している武器に無理をさせることに罪悪感を感じつつも分身しながら自分で穴を開け、コミックの左腕の『リアライズペインター』にある能力、ペンで描いた絵を実体化させることができ、また、実体化した絵は描き手のイメージどおりの能力や効果を発揮するという能力を大きく利用しながら掃除機、UFOの能力を行かして補強しつつも綺麗になった状態に作りあげることが出来た。

 

その周りは前と同じ秘密基地の素材や色でできている。

 

そして階段を降りてすぐにある寝室を左に曲がり、そこの部屋の右端にあるテーブルに置いてある決して性能がいいとは言えないパソコンを繋げ、ビルドフォンと接続し、ノイズフルボトルを利用したノイズの位置を特定するためのアプリを今彼は急いで作成していた。

つい1時間前に秘密基地を作り終えてからすぐだ。

当然時間はなく、買っていたモノ(カ〇リーメ〇ト)を食べ、水分補給をしながらである。

 

「あと少し・・・これをこうして・・・!」

 

一人小さい声でそう呟きながら完成へとだんだんと近づけていく。

本来簡単に作れるものではないはずなのにノイズと戦闘を終え、成分を回収し、戻ってきてから用事(基地の作成と子猫の世話)を済ませ、時間がそれなりに経っていないにも関わらず大本の部分は完成させていたのは流石自分で天才を自称することだけのことはあり、恐らく周りがこの様子を見ていたなら彼が実際に天才と言っても信じてしまうだろう。

 

「これで・・・・・完成だ!」

 

そうしている間に後はビルドフォンに組み込む所まで行くことができ、すぐにビルドフォンへと送っていく。

彼の部屋はアプリを組み立てるために様々な計算用紙などが散らばっている。

だがその計算用紙は雑に床へと置かれているわけではなく、綺麗好きなこともあって整って置かれている。

 

「後はこれを試さないとな。もう夕方ならばもしかしたらノイズが既に居て、誰かを追ったり既に灰化させたりしているかもしれない」

 

そう、彼が急いでいるのは時間がないからだ。

彼がこの世界に来て一週間も経ってないが、彼はノイズと既に何度か出会っている。それも朝や昼ではなく、夕方〜夜中までの間にだ。

そして今は外を見る限り夕方である。

そう考えるとノイズが今も人を襲っているかもしれない。

だから彼は急いでいるのだ。

 

「くっ・・・やっぱりこのスペックは流石に遅いな。旧世界で使っていたパソコンが使えるならいいんだが・・・」

 

もう三分も経っているが、ダウンロードまでようやく12%だ。

 

そして数分が経つとダウンロード率がようやく100%になる。

すると彼はすぐにビルドフォンでノイズの位置を特定するアプリを開ける、問題なく開けることを見ると、接続していたビルドフォンのコードを外し、パソコンの電源を落としてビルドフォンの画面を見る。

画面を見るとかなりの数の赤い点---つまりノイズの位置が現れ、まるで誰かを追っているかのように大量に移動している画面が移る。

 

「なっ!?既に誰か追われでもしているのか!?なら間に合ってくれよ!」

 

ビルドフォンにライオンフルボトルを挿し入れながら彼はいつものコートを着て急いで外に向かう。

これ以上誰かが死ぬことを避けさせるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、川の中へと入っていた響と少女は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷはぁ!はっ・・・はっ・・・!」

 

少女が息を出来るように顔が出るようにしながら出来る限り全力で響は川の中を泳ぐ。すると、川はそこまで長くなかったのが幸いし、先に少女を抱き上げて陸へと上げる。

少女が陸へと上がると響も陸へと上がっていき。

もう限界そうな姿を見ると、響は少女を背中に背負ってもうすぐ夕陽が沈みそうな工場地帯の道を走っていく。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・どうしよう・・・!シェルターから、離れちゃった・・・!はぁ・・・!」

 

既に走ったあと、川までも泳いだため彼女自身も体力がかなり消費している。

その上彼女は少女を抱えて走っているのだから尚更体力の限界が近づいてくる。それでも響は少女を離さない。

たとえ少女を置いていけば自分は逃げられるという状況になっても響は置いていかないだろう。

そしてシェルターから離れてしまったことに気づいてもその足を止めずに、ノイズから逃げるように走り続ける。

だが響も人間、彼女が超常的な力を持っているのであれば簡単に解決することが出来たのかも知れない。

でも響は今そのような力もなければ仮にあったとしても使い方が分からないだろう。

 

「わっ!?」

 

走り続けた脚に限界が近づいてきたのか脚が縺れてしまい、転んでしまう響。

少女が飛んで行かないようにしっかりと離さず持っていたため少女に怪我はないようだ。

 

「はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・・」

 

目を開けることでさえきついのか目を閉じたまま息を整えようとする。

そして目を開けるとあれだけ逃げたにも関わらずノイズが追ってきている姿が視界に入る。

流石に体力も限界、もう走れなく、ここが最後なのかと一瞬頭の中で考えてしまう。

 

 

 

 

 

---すると何処からかバイクのエンジン音が聞こえてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side戦兎

 

ノイズの反応を追って急いできたが、誰か倒れている。あれは響か?それに知らない幼い少女もいる。

ということはあの少女を助けるために一緒に逃げてきたのか・・・?!

 

「おい、響大丈夫か!?」

 

バイクを途中でスマホに戻し、すぐさま急いで響の元へと駆け寄る戦兎。

すると響も戦兎の存在へと気づいたようで驚いた表情で聞いてくる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・。せ、戦兎さん・・・・・。どうして・・・?」

 

響の近くに来ると分かったが、息の荒さからして彼女がどれだけ走ってきたのか分かる。

 

「あぁ・・・今は俺のことはどうでもいいだろ?それよりノイズから逃げてるのか?」

 

ノイズを追ってきた、など言うわけには行かず、誤魔化すようにして幼い少女と響をゆっくりと立たせる戦兎。

 

「は、はいっ。ありがとうございます・・・」

 

息を整えながら響は戦兎に答えながらも礼を言う。

 

「そうか・・・分かった。なら響はその少女を連れて早く逃げてくれ。ここは俺がノイズの囮になるよ」

 

見た感じ響はもうずっと走り続けるのは無理だろう…ならここは俺が囮になるのが一番いい。

それに響が逃げてくれるのなら変身してノイズを倒すことも出来る。

 

「えっ!?で、でもそれじゃあ戦兎さんが!相手はノイズなんですよ!?」

 

心配そうに叫ぶ響。自分の方がもう体力がないというのに。

 

「分かってる。でも響は体力がもうあまりないだろ?俺はまだまだ体力はあるし、何も死ににいくためにノイズの囮になるわけじゃないさ」

 

彼の言葉は正しく、バイクで来たのもあり、息が一つも乱れていない。

 

「それに響はこの子を救うために一緒に逃げてきたんだろう?なら最後まで一緒に居てやってくれ」

 

「お、おじさん・・・?」

 

「おじ・・・俺のことは心配しなくても大丈夫だよ」

 

そう言って不安そうな表情をしていた幼い少女の頭を安心させるように笑顔で優しく撫でる戦兎。

 

「でも・・・」

 

それでも響は悩んでいるようだ。

仕方がない・・・。

 

「それじゃあ約束だ」

 

「約束・・・ですか?」

 

「あぁ。俺は絶対に無事に戻って来れるようにする。そしてまた会えたら前約束した猫の手伝い、今度こそしてくれるか?」

 

そう言って小指を出す戦兎。

 

「ッ!」

 

それでも――と悩んでいた響だったが突然脳内に二年前のあの時自分を助けてくれたツヴァイウイングの一人の言葉を思い出す。

 

『生きるのを諦めるな!』

 

思い出すと共に響はついに折れ、戦兎の提案に乗る。

 

「・・・はい!絶対に無事でいてくださいね!そして今度こそまた会えたら猫の世話しますから!」

 

そう言って響は戦兎の小指と自分の小指を絡めて約束をしたのだった。

 

「よし、約束だ。それじゃあいいな?絶対に後ろを振り返るな。逃げることだけを考えるんだ・・・あいつらは俺が何とかするから」

 

響のことも安心させるようにポンポンと頭を撫でると戦兎はノイズを引きつけるためにも響の後ろに行く。

 

「はい!まだ走るけど動ける?」

 

「う、うん!」

 

「そっか。じゃあお姉ちゃんともう少しだけ頑張ろっか?」

 

「うん!おじさん頑張って!」

 

響は少女の手を離さないようにしっかりと繋いで走っていく。

背後にいる戦兎のことを心配しながらも響は戦兎に言われた通りに振り向かず屋上へと行ける階段を少女と一緒に登っていくのだった。

 

「行ったか・・・こっちだ!」

 

わざと大きい声を出し、戦兎はラビットフルボトルを握って振ると、ノイズに当たらないように壁を利用して大量のノイズを飛び越え、引き付けていく。響たちの方へと行かせないように反対方向へと。

 

 

戦兎side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に周りは暗く、夕陽が沈んだ時間帯に先ほど戦兎によって逃がされた響と少女は響が少女を背負いながらも、梯子を登っていた。

 

「ねぇ・・・お姉ちゃん、おじさん大丈夫かな・・・?」

 

不安そうな声で聞いてくる幼い少女。

 

「きっと大丈夫ッ!だってお姉ちゃんと約束してくれたんだからッ!」

 

そう言って少女を少しでも安心させるために力強く答える。

もちろん響自身だって戦兎のことが心配だ。

自分を二度も助けてくれた上に今回は私たちの代わりにノイズの囮になったのだから。

それでも約束を果たすためにもこの子を安全な場所へ避難させてあげないと、という意志を保って逃げている。

すると梯子を登り終えると体力の限界を迎えてしまい、端までなんとか行って倒れる。

 

「はぁ・・・はぁ、はぁ・・・」

 

「お姉ちゃん・・・おじさんも私たちも死んじゃうの・・・?」

 

それでもやはり幼い少女には不安が消えないようで響に向かって聞いてくる。

響は息を整えながら安心させようと首を横に振る・・・が、後ろを向いた時よりさっきよりノイズはかなり減っているが、それでも大量と言えるくらいのノイズを見て目を見開く。

 

「ひゃぅ・・・!」

 

少女もノイズに気づいたようで響に抱きついてくる。響は少女を抱きしめながら突然二年前のことを思い出した。

あの日、あの時、私は間違いなくあの人に救われた。

私を救ってくれたあの人はとても優しくて力強い歌を口すさんでいた。

 

「私に出来ること---」

 

ドクンっと胸の内から何かが浮かび上がる。聞こえてくる”何か”がある。

 

「出来ることがきっとあるはずだ・・・!」

 

先ほどから聞こえてくるものは何処か歌のようで―――

 

「生きるのを諦めないでッ!」

 

そして私は、気づけば胸の内から聞こえてくる何かを口すさんでいた。

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron―――」

 

瞬間、光が迸る。

黄色く、いや黄金の光が彼女の心臓付近からその場に拡散し、真っ暗な夜を明るく照らす。

すると響の体の中で変化が起きていた。

まるで体の中の細胞一つ一つが書き換えられていくかのような想像もしたくないような激痛が体中を駆け巡る。

細胞の全てが侵略され、彼女を人ならざる者へと姿を変え果てる。

だが彼女は人の形を保ち続ける。

 

「うっっ―――――ぁあああああああぁぁぁああああぁあああぁぁああああッ!!」

 

激痛に耐えるように四つん這いになって絶叫してしまう。

すると彼女の背中からまるで機械のような物が飛び出したり元に戻ったりを繰り返す度に白い鎧のようなものが纏われていく。

完全に彼女の装着を終えたと同時に鎧の隙間から煙が一気に吹き出る。

その姿はまるでアニメや神話にも出てくるような戦士のような鎧――――――

 

 

間違いなく、それは立花響の戦士としての姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして響が鎧を纏う少し前。

 

ノイズの囮になり、ノイズを引き付けていた戦兎はある夜になりかけているのもあり、真っ暗な工場の中へと入っていた。

 

「流石に変身しないときついか!」

 

そう言いながら彼はビルドドライバーを取り出すと腰に宛てがい、黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、ビルドドライバーを腰に固定する。

そしていつも使っているフルボトルではなく、茶色でゴリラ模様を施されているフルボトル『ゴリラフルボトル』、水色で宝石の模様を施されている『ダイヤモンドフルボトル』その二つを取り出し戦兎はフルボトルを振り始める。

当然ノイズは待ってくれるはずもなく戦兎に攻撃を仕掛る。

フルボトルの成分『トランジェルソリッド』を活性化させると『シールディングキャップ』をボトルの正面へと固定する。

向かってきたノイズの攻撃を避けながら戦兎はいつものセリフ共にゴリラフルボトルとダイヤモンドフルボトルをベルトに挿す。

 

「さあ、実験を始めようか」

 

ゴリラ!ダイヤモンド!

 

ベストマッチ!

 

ビルドドライバーに付いているレバー、ボルテックレバーを回す。

するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働し、ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それが戦兎の周囲を守るように囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を茶色と水色の液体が流れ、戦兎の前後に形を形成していく。

ゴリラとダイヤモンド、二つのアーマーが形成され、ベルトから問いかけられる。

 

Are You Ready?

 

その問いかけに対し戦兎はいつものように答える。

 

変身ッ!

 

ファイティングポーズを取りながら叫び、アーマーを形成したスナップライドビルダーが戦兎を挟む。

形成されたアーマーが戦兎の体を着装され、そして白い蒸気を噴き上げながら、ラビットタンクとは違い茶色と水色のアーマーに右腕には明らかにやばいと思わせる巨大な右腕、『サドンデストロイヤー』と左腕にダイヤモンドが付いている『BLDプリズムショルダー』がある形態。

 

輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ…!

 

これこそ『仮面ライダービルド ゴリラモンドフォーム』

手数こそ減るが相性が良いため純粋な戦闘力ではトライアルフォームよりも強い形態。

ベストマッチフォームだ。

 

「時間がないからすぐに決めさせて貰う・・・。勝利の法則は決まった」

 

落ち着いたような言いながらゴリラの方の複眼をなぞるようにしてポーズを取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「反応、絞り込みました!位置、特定!」

 

とある場所にある組織…特異災害対策機動部二課、風鳴翼が所属する組織だ。

その施設内で複数の人員が端末を操作している。

その中の一人が画面に出た情報を正面の大きなディスプレイに表示する。

 

「ノイズとは異なる高出量エネルギーを検知!」

 

すると先ほどの人物とは違う人物が情報を新たに報告する。

 

「波形を照合!急いで!」

 

その報告を聞いた頭に長い茶髪をまとめ、メガネを付けて白衣を着ている女性が反応し、指示する。

そして自身のディスプレイに表示された情報を見て驚いた様子で息を飲み込む。

 

「まさかこれって・・・アウフヴァッヘン波形!?」

 

女性が言葉を発すると目の前の巨大なディスプレイにその正体の名が表示される。

 

Code : GUNGNIR

 

GUNGNIR(ガングニール)だとッ!?

 

その場に居た者たち全員が驚いたような様子で画面を見ており、中でも中心に居る赤髪で服も赤い大柄の男性、ここのトップであろう人が驚愕とともに声を上げる。

中でもその表示された名前にこの場の全員よりも動揺を見せたのは恐らく出口に一番近い所にいるこの場の誰よりも歳が低いだろう人物。風鳴翼。

彼女は驚愕と困惑、二つの感情が混じったかのような表情で画面に浮かぶ文字を見ていた。

 

「新たなる、適合者・・・?」

 

白衣の女性の言葉と一緒に画面が変わる。それは何処かの監視カメラからの映像のようで。

工業地帯の何処かの屋上らしい場所でノイズに囲まれる中でぴったりとしたボディスーツと機械的な籠手にブーツ、頭には一対の尖った角みたいなヘッドギアを身に着けた少女、立花響がそこにいた。

 

「だが、いったいどうして・・・?」

 

「そんな・・・だってそれは奏の・・・・・!」

 

変わらずに驚愕と困惑した表情のまま誰にも聞こえない小さい声でつい呟いてしまう。

だがそんな声は次の言葉ですぐに掻き消される。

 

「なっ!?これはっ!?司令っ!」

 

「どうした!?」

 

驚愕が疑問へと変わり、考えていた赤髪の大柄な男性だったが、驚愕しながら司令と呼んだ男性に対して冷静になると何があったのかと聞く。すると司令と呼んだ男性はすぐに情報を伝える。

 

「近くの監視カメラにアクセスしてみたらこのような映像が・・・!」

 

そう言いながら自身の端末を操作し、大きいディスプレイにその映像を移す。

すると響が映っていた映像が少し横にズレ、新たな映像が中央に来る。

そこには工場の中ではなく、既に外で戦っているため、ダイヤモンドの部分に人工的な光に反射して光が当たっている部分が宝石のようにキラキラと輝いている茶色と水色のアーマーを纏った戦士。

その姿は姿は違えど誰がどう見ても―――――

 

ビルド、だとォ!?

 

自分たち特定特異対策機動部二課がどれだけ探しても見つからなかった正体不明の未知の存在(アンノウン)

その存在が、今まさにノイズと戦っているではないか。

 

「ッ!?」

 

またしても驚愕する男性の言葉に睨みつけるようにして画面を見る翼は身を翻し、出口へと走っていく。

 

「待て!翼!」

 

男性が慌てて翼を制止しようと叫ぶが、翼は話を聞く耳を持たずそのまま走って部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ready Go!

 

音声と共にビルドは向かってきたノイズをダイヤモンドで拘束する。

 

VOLTEX FINISH!イエーイッ!

 

そして今度は拘束したノイズのダイヤモンドをサドンデストロイヤーで思い切り叩く。

するとダイヤモンドは砕かれ、まるで石つぶてのように大量のダイヤモンドがノイズへと向かっていき、敵を一気に一掃するのだった。

するとすぐに後ろを振り返って向かってきていたノイズをダイヤモンドで固める。

 

そしてすぐさまフルボトルの入れ替えを行う。

 

ゴリラ!タンク!

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

そう言うとスナップライドビルダーが青色だけのハーフアーマーを形成し、水色のアーマーに形成したアーマーが重なると茶色と青のアーマーを纏った姿。

トライアルフォーム ゴリラタンクフォームへと姿を変えるビルド。

 

Ready Go!

 

するとすぐにボルテックレバーを回して成分をより活性化、必殺技を発動する。

 

VOLTEX ATTACK!

 

タンクのキャタピラを利用して滑るようにノイズたちの周りを走り、引き付けてから用意していたダイヤモンドをもう一度サドンデストロイヤーで思い切り殴って同じようにダイヤモンドの石をぶつけ、今度こそノイズを全て倒すことに成功する。

 

ラビットタンク!イエーイ!

 

そして彼は休む暇もなく、響たちが向かったであろう方へと左足のバネ『ホップスプリンガー』での能力を利用することでビルドフォンでアプリを起動しながらまだ反応があるノイズの方へと急いで向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇 そして響が鎧を纏った時刻

 

 

 

響はようやく自分自身に起こった変化について認識した。

 

「うぇえ!?な、なにこれ!?私どうなっちゃってるの!?」

 

「お姉ちゃん・・・かっこいい!」

 

困惑しながら着いている鎧のようなものを見ていると少女が目をきらきらと輝かせて自分のことを見てくる。

 

「あっ・・・ふふ」

 

少女のことを見ると自分が何をするべきか思い出した。

そうだ。私がしないと行けない確かな事は戦兎さんが囮にまでなって託してくれたこの子を守ること…お母さんの元に無事届けるのが私の役目なんだ。

 

「――――絶対に離さない、この繋いだ手は」

 

すると自然と響が歌を歌っていた。知らないはずの歌。でも何故かどういう風に歌えばいいのかがわかる。

しかもどういう訳か歌を歌っているとさっきより力が湧いてくる・・・。

少女と手を繋ぎ、離さないように抱き抱える。

そして逃げるために脚を踏み込みジャンプした時だった。

 

 

 

 

 

明らかに人間では飛べないぐらいの高さまで飛んでしまったのだ。

 

「えっ?う、わぁああぁぁあ!?な、なに!?」

 

どうやら自分でも予想外だったらしく驚いている。

そのまま行けば少女が危ないため自分の強化されている身体能力を信じて体勢を整えて地面に両足を付けて着地する。すると、ノイズも追うように落ちてくる。

響はタイミングを測り、脚に力を入れて思い切り横に飛ぶ。

もちろん少女をしっかりと抱えながらだ。

 

「くっ・・・!」

 

避けることには成功するが、その程度でノイズが死ぬわけもなく、また突撃してくる。

もう一度脚に力を入れてジャンプするが、まだ初めての感覚に慣れておらず吹き飛ぶようにして飛んでいく。

すると貯蔵タンクのような所に思い切り背中をぶつけながら咄嗟に落ちないようにパイプのようなものを見つけ掴む。

が、安心する暇もなく巨人型のノイズが振り下ろしてくる。すぐに手を離し、地面に着地すると振り向く。

だが、再びノイズの一体、カエル型のノイズがすぐに向かってくる。

 

「―ッ!」

 

いい加減しつこいと思い、歌を自然と口で紡ぎながら触れては行けないことを忘れてついノイズ相手に拳を握りしめ、前に出して殴ってしまう。

すると響がそのことを思い出すより早く殴られたノイズが一瞬で炭素の塊と化したのだった。

 

「私が、やっつけたの・・・?」

 

困惑しながらノイズの方を見ているとバイクの音がと共に目の前のノイズを蹴散らしながら緑色のバイクに乗っている女性、風鳴翼が響の脇を通り抜け、奥にいる巨人型ノイズへと突っ込んでいく。

寸前にバイクに跨っていた翼は高く上空へと飛び上がり、運転手が居なくなったバイクはそのままノイズに突っ込んでいき爆発。

上空で回転するように体勢を整えながら翼は歌を口すざむ。

 

「―――Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)―――」

 

そして翼は綺麗に着地を成功させると響に向かって呟く。

 

「呆けない!死ぬわよ!」

 

「えっ・・・?」

 

「貴女はそこでその子を守ってなさい!」

 

「翼さん!?」

 

ノイズに向かって走っていく翼に驚きながら見ていると彼女の体が輝きを放ち、光が収まると、まるで自分と似たような鎧を纏う翼の姿が目に映った。

その手には一つの刀があり、どうやら聞こえてくる歌は翼が口ずさんでいるかららしい。

そして翼は走りながらも剣を構えると剣を大きさがなんと大きくなり、翼自身の身の丈を超えるほどの大きさの刀へと変化させるとそれと同時に相手の刀を思い切り振りかぶる。

すると剣から青い光の斬撃からノイズへと向かっていく。

翼の攻撃、【蒼ノ一閃】は前方に居たノイズを纏めて吹き飛ばす。

そしてそのまま形の戻っている剣を持ちながら走っていく。

走るのを止めずに脚に力を入れ、踏みしめると翼は上空へと高く飛び上がる。

その状態で両手を広げると翼の周囲に大量の青い光が湧きだし、それがひとつひとつ同じような形の小さな両刃の剣の形になり、大量の小さな両刃――【千ノ落涙

 

それきのり、残ったノイズたちにまるで雨のように降り注ぐ。

さらに大量に炭に変えると翼はノイズに突っ込んで文字通り蹴散らしていく。

 

「すごい!やっぱり翼さんは・・・!」

 

その光景に思わず感嘆の声を漏らしてしまう響。

 

「ふぇっ・・・!」

 

「ん・・・?あっ・・・!」

 

と、響の傍で振り返った少女は息を飲む。

少女の声に反応した響は自分も振り返ると巨大なノイズが二人に向かって歩み寄っていたのだ。

 

「うっ・・・!」

 

翼はまだ後ろで戦っているため助けは見込めない。そして響はまだ戦い方もよく分からない状態。

それでも私が時間を稼ぐしか…と考えた時だった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「立ち上がらずにしゃがめ!」

 

何処からともなく声が聞こえる。それは後ろから聞こえてきたが、翼のような女性の声ではなく、明らかに男性の声のようで―――

 

「えっ!?う、うわわ!」

 

言われた通りに少女を抱えて小さくなる響。すると後ろからグラフのようなレールが出てき、そのまま巨人型の大型ノイズを拘束。

そこから赤と青のアーマーを纏った戦士がノイズに対してキックを放つ。

 

VOLTEX FINISH!イエーイッ!

 

音声共に巨人型のノイズの胴体を突き抜けるビルド。

そして突き抜けるのと同時に巨人型のノイズは爆発、そのまま炭素の塊と化したのだった。

そのままビルドはキックの体勢を元に戻し、綺麗に着地。

着地を終えるとゆっくりと後ろを振り返り、振り返った先で響と目が合う。

周りが暗いこともあってビルドの複眼はとても綺麗に見えた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





何故タンクか?ゴリラの重さにも耐えられ、ゴリラを生かせる能力を考えたらタンクなら行けるんじゃないかと思ったのです。

そして基地についてですが、正直パンドラボックスかエボルトいなければ作れなくね?と思いましたけどビルドといえばやはり地下、ならば冷蔵庫さんに任せるしかない!ということでここも本編と同じになっちゃいました。

これがフルボトルの有効活用…無理があったらなんとかして変えるかと。



そしてここで報告が…実は万丈出すならまだまだ先になります。(出すタイミング見失って遠くなったなんて言えない…)クリスと一緒に出すかも知れないですし突然出すかも知れません。ただ戦兎と合流させて一緒に行動させたいのでその辺りは考えながらやっていきます。

因みに実はこれ、ようやくアニメのシンフォギア、第二話の5分くらいの所なんですよね。
えぇ…(ドン引き) 個人的には4話くらい進んでると思いたかった…!

ではまた次回!長いのに読んでくださった方はありがとうございました!


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第五話 剣と創造と歓迎パーティー


やばい…戦闘シーン書くのが楽しすぎる。あと戦兎くん書くのが楽しすぎて文字数いつの間にか1万文字超えるというね。
そして投稿時間ギリギリで書き上がりました。ギリギリな理由は後書きに。

あ、それと評価と感想ありがとうございます!感想と評価貰うと嬉しくて家でジカンデスピアーをブンブン振り回して足に落とすとかいうアホなことをするぐらい喜んでおります。
本当に自分が満足の行くビルドの物語を書いているだけなのに今のところ感想は批判もなく、むしろ私の妄想を肯定してくれる方が居て嬉しいです。
とっても優しい読書に感謝を。そして皆さんのためにこれからも満足して頂けるようなビルドとシンフォギアの物語を出して行けるように頑張ります!

ではあらすじ紹介どうぞ!











戦兎「仮面ライダービルドであり、自称イケメンで天才物理学者の桐生戦兎は―――って誰だよ!こんなこと書いたやつは!?おい万丈目逸らすな!お前か!?」

万丈「な、なんの事だよ?俺は知らねえぞ?(目だけじゃなく顔逸らしながら逃げようと)」

戦兎「嘘下手か!出番がないからって俺に八つ当たりするんじゃないよ!とりあえずこっち来なさい(服の襟内掴みつつ引きずって連れていく天才バカ)」

万丈「お、おい!あらすじ紹介はどうすんだよ!?(情けなく引きずられていく筋肉バカ)」

翼「・・・こほん。仮面ライダービルドであり、自称天才物理学者の桐生戦兎はノイズを見つけるためのアプリを作成し、反応がある場所に向かうとノイズに追われていた立花響と幼い少女を救うために自らノイズの囮になる」

響「そして戦兎さんによって私たちは逃がされましたが、他にも追ってきていたノイズによって窮地に追いやられます。そして胸の内から浮かんできた歌を歌った時、私はよく分からない鎧を纏っていました。」

未来「その同時刻、ノイズの囮になって逃げていた戦兎さんは十分離れるとノイズの攻撃を避けながら仮面ライダーに変身し、すぐにノイズを倒し、響たちの元へと向かうのでした」

戦兎「慣れない鎧と戦闘に困惑してた立花響は自分と同じような鎧を纏った風鳴翼と仮面ライダービルドに変身する桐生戦兎に助けられるのだった」

響「あれ?戦兎さん万丈さんは何処に?」

戦兎「あぁ、それよりもお前らコーヒー淹れて来たから飲まないか?」

翼「コーヒー?そうだな・・・どうせなら頂くとしよう。立花も小日向も一緒に飲むか?」

響「はい!いただきます!」

未来「そうですね。折角淹れて貰ったのでいただきます」

戦兎「ほらよ」

三人「いただきます(コーヒー飲む少女達)ッ!?」

響「ゲホッゲホッ!?」

未来「に、苦いっ!?」

翼「き、桐生!なんだこれは!?」

響「ゲホッ・・・あ、あれ戦兎さんは?」

戦兎「まったく・・・これだから筋肉バカは。うん?」

翼「おい桐生!コーヒー物凄く苦いぞ!どういうつもりだ?事と次第によっては・・・」

戦兎「はぁ?コーヒーなんて俺は淹れてないぞ?何言って・・・(置いてあるカップを適当に取って飲む戦兎)うわっまじぃ!?」

戦兎「こ、これはまさか・・・と、とりあえず第五話をどうぞ!」





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら間に合ったようだな」

 

そう言ってビルドは安心したように響を見つめながら呟く。

 

「えっ?」

 

当然彼女は離れた所にいるため、その声はうっすらとしか聞き取ることが出来ずにきょとんとする。

すると後ろの方で既に倒し終えたようで翼が戻ってくる。

 

「今度は逃がさんぞ」

 

響の脇を通り抜けるとビルドの方へと剣を向ける翼。対するビルドは何も反応せず沈黙を貫く。

 

「・・・・・」

 

「私も鬼にではないのでな。今降参するのであれば傷つけずに拘束してやろう」

 

そう言って一挙一動も逃すものかとでも言うかのようにビルドを強く睨みつける翼。

 

「それはできないな」

 

ついにビルドが口を開き、翼の言葉を拒否する。

そして逃げようとするかのように脚に力を入れた時だった。

 

「逃がさぬと言っただろう!」

 

逃げられると思い、物凄いスピードで翼はすぐさまビルドに斬りかかる。

 

「くっ・・・!」

 

すぐに構えると斬りかかってくる翼の攻撃を横に飛んで避けるビルド。するとそれに反応し、横に避けたビルドに対して上段から切り降ろしを行う。

その攻撃を速度の早く、威力が左に比べたら低い右手で逸らすように剣の横を殴って避けさせる。

だが相手も手慣れ、逸れた剣を横薙ぎの一閃へと変えて攻撃してくるが、戦い慣れている彼はそれに気づくと左足のバネ『ホップスプリンガー』を使いバック宙で回避。

そして互いが離れると再びさっきと同じ状況になる。

 

「えっ?えっ?」

 

響は目の前で何故二人が戦っているのか(と言ってもビルドは翼に対しては攻撃してないが)分からずに唖然と困惑したような表情で見ている。

 

「どうして戦おうとしない?」

 

当然翼もビルドが攻撃する気がないのに気づいており、油断なく見つめながら問いかける。

 

「戦う必要がないからだ」

 

そう、戦兎は出来れば戦いたくはない。ライダーシステムを人に、それも必要な時でもなければ悪人でもない相手に使うのは彼自身あまりしたくないことだからだ。

話し合いで済むならば彼は間違いなくそちらを選ぶだろう。

捕まると絶対に聞かれるであろうライダーシステムについて聞く相手が組織でないのであれば、だが。

 

「そうか・・・。だが、私にはある!」

 

そう言って再び斬りかかってくる翼。

 

「やっぱり来るよな!」

 

ビルドは右腕の『BLDラピッドショルダー』で素早く反応、剣を受け止める。するとタンクの左腕にある『ヘビーアサルトアーム』で剣を上空に弾くようにアッパーをする。

さっきより重い攻撃につい手を離してしまうが翼は剣を取りに行くのではなく、逆立ちしながら横回転、脚部のブレードを展開してビルドに攻撃する。

 

逆羅刹

 

「なっ!?」

 

剣を取りに行くと思っていたようで脚からブレードが出るとは思わず少し反応が遅れるビルド。するとブレードが自身のラビットハーフアーマー、『ワイルドチェストアーマー』に当たる。

ビルドを保護する軽量装甲でスマッシュの通常攻撃に耐え得る強度を備えているアーマーにも関わらず翼の横回転しながらの攻撃にダメージを負う。

そのままダメージを受けた反動を行かして一瞬だけ自身の行動を高速化、すぐさま体勢を崩すように翼の手に足を掛けようとするが、それに反応。

すぐに手の力を利用して空中へ飛び上がり、空中で回転しながら空中に飛び上がっていた剣を回収。

 

「ハァッ!」

 

気合いが籠った声を上げながら落下の勢いを乗せて斬り降ろしを行う。

 

「っ!」

 

ビルドは左腕で受け止めるが落下の勢いがあるのもあり、地面に少しクレーターを生み出す。

翼は剣で押し込もうとしつつもそこでさらに回転、ビルドの顔に蹴りを繰り出す。

そしてビルドはその攻撃に反応、顔を逸らして攻撃が掠りつつも腕で思い切り弾き、翼が持っている剣に向かって右腕の『クイックラッシュアーム』で逃がさないように素早いパンチを繰り出し、剣と一緒に翼を吹き飛ばす。

吹き飛ばされた翼は体勢を整えてもう一度斬りかかろうとした時だった。

 

「ま、待ってください!翼さん!」

 

なんとさっきまで見ていた響がビルドと翼の間に割って入り、止めるように翼の方へと体を向けて両手を広げていた。

 

「ッ!そこを退きなさい!」

 

割って入ってきた人物に驚きながらも流石に斬りかかるのをやめ、一度止まる翼。響に対して退くように言うが―――

 

「う・・・ど、退きません!あの人は私を助けてくれたんです!」

 

彼女は退かない。でも無理をしているのは分かるほどで響の脚を見れば震えているのが分かる。

それはそうだろう。彼女はついさっきまではこんな鎧を纏うこともなければ二年前のあの事件に巻き込まれたこと以外人助けが趣味なただの少女だったのだから。

 

「・・・・・・」

 

その後ろ姿を見て、ビルドは茶色と水色のフルボトルを取り出す。

 

「それがどうしたと言うのだ?今奴をここで逃がせば厄介なことになるかもしれないだろう」

 

「でもッ!」

 

そう言いながらも退かない響に対して翼は―――

 

ビルドアップ

 

輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ…!

 

「え?」

 

後ろから聞こえた音声に起こそうとしていた行動を止め、ビルドの方を向く響と翼。するとビルドは右腕に『サドンデストロイヤー』と左腕にダイヤモンドが付いている茶色と水色のアーマーを着装している形態、ゴリラモンドへと変化していた。

 

「ハアァッ!」

 

ビルドはサドンデストロイヤーを地面に向け、思い切りその地面を殴る。するとその威力に大きいクレーターができ、土煙が風で翼たちがいるところまで舞う。

 

「うわぁ!?」

 

「くっ・・・!?」

 

すぐさまビルドの思惑に気づいた翼はしまった、とでも言うような表情をし、せめて少しでもダメージを・・・と思い小刀をビルドに向かって放つ。

が、カキン!と金属が何か硬いものにぶつかる時のような音がなり、小刀は弾かれたように地面に刺さる。

そしてすぐに土煙が消えるが――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既にその場所にはビルドの姿形はなく、あったのは先ほど咄嗟に投げた翼の小刀だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルドが居なくなって数分後、自衛隊と黒いスーツを身に包んだ人達が現れ大量の灰を処理する事後処理に追われていた。

 

少し離れていたところでコートを被され、座って温かい飲み物を飲んでいる少女を見ると響はほっと安心したかのように笑みを浮かべる。

 

「あの・・・・・・」

 

「へ・・・・・?」

 

響は話しかけてきた女性へと視線を送る。そこにいた女性は周りの自衛隊や黒いスーツを身に包んでいる人とは違う服を着ており、紺色の制服のようなものに身を包んでいた。

女性は短髪で髪の色も紺色を少し薄くした感じの髪色で、その女性が紙コップを手に持って差し出してくる。

 

「温かいもの、どうぞ」

 

「あっ・・・・・温かいもの、どうも」

 

湯気の上がる紙コップを受け取ると左手を紙コップの底に手を添え、右手を紙コップの横に手を添ると、ふぅふぅと火傷しないように息を吹きかけ、少し冷ます。そろそろいいかなと思うと響はそのまま口を付ける。

 

「ぷはぁ〜!」

 

と間の抜けた声を上げながら生き返ったかのように笑顔になる。

あれだけ走ってさらに鎧の力があったとはいえノイズから逃げていたのだ。喉が乾いていても不思議ではないだろう。

すると飲み物も安心したかのように気を抜いたからか、その身を光が突然包み込む。

 

「へっ?」

 

どうして光出したか分からず困惑して呆けているうちに一層光は強まり、パリンッとガラスが割れたかのような音と一緒に鎧が弾け、その反動に紙コップを落としながら後ろに体勢を崩してしまう。

 

「うわっ!?わわわっ!?」

 

そのまま転けると思われた響だったが背後から歩み寄って受け止めてくれた人によって転けることはなかった。

 

「わわ・・・あぁ!ありがとうございま――あっ」

 

慌てて身を起こしながら倒れそうになった自分を受け止めてくれた人にお礼と共に頭を下げる。そして自分を助けてくれた人の顔を見ようと頭を上げると自分を助けてくれた人は風鳴翼だった。

「ありがとうございます!」

 

そこにはさっきまで自分と同じ鎧を纏っているのではなく響と同じリディアン音楽学院の制服を着ている翼につい二度お礼を言ってしまう。

しかし翼はお礼を言ってくる響に対して何も答えずに去ろうとする。

 

「実は、翼さんに助けられたのは・・・これで二回目なんです!」

 

そう言いながら二回目ということを示すように響は指をVサインでも作るように笑顔で言う。

 

「二回目?」

 

つい立ち止まって響の方に顔だけ向けながら少し驚いたように口に出してしまう。

 

「エヘヘ・・・」

 

だが響は嬉しそうな満面の笑顔を浮かべている。

 

「ママ!」

 

さっき自分が助けた少女の声が聞こえて手を降ろしながら声が聞こえた方へと顔を向ける。

 

「よかった・・・!無事だったのね・・・・・」

 

すると少女の母親が少女を抱き締めながら安心したかのように頭をを優しく撫でている。頭を撫でている母親に紺色の制服を着た女性が近づく。

 

「それでは、この同意書に目を通したあと、サインをしていただけますでしょうか?」

 

タブレットを差し出しながら近づいた女性が渋々と言う。

 

「本件は国家特別機密事項に該当するため、情報漏洩の防止という観点から、あなたの言動、及び言論の発信には今後一部の制限が加えられることになります。特に外国政府への通謀が確認されますと政治官邸で起訴され――――」

 

女性の言葉に母親と子供がポカーンとしている様子を見ると響は苦笑いで笑う。

 

「あ、アハハ・・・じゃあ私もそろそろ―――」

 

と翼に視線を向けると、いつの間に着たのか黒いスーツとグラサンを付けた人たちがずらりと横に並んでいた。

 

「あなたをこのまま返すわけには行きません」

 

「な、なんでですか!?」

 

翼の言葉に思わず響は素っ頓狂な声を上げてしまう。が、翼はその疑問に答えることはなく---

 

「特異災害対策機動部二課まで同行していただきます」

 

と冷たく響に言い渡すと、直後に響の隣に歩み寄ってきた男性、翼のマネージャーの緒川慎次が響の腕にガコン!と大きな手錠を掛けるとピィーっと言った音ともに緑色のランプが赤色のランプへと変わり、ロックが掛かる。

 

「へっ?あ、あのぉ・・・・・」

 

「すみませんね。あなたの身柄を拘束させていただきます」

 

謝罪と申し訳なさそうなに微笑みながら告げられる。

 

「だからぁ!なんでぇぇぇぇぇ!?」

 

疑問の声を大きな声で上げる響だったが、誰一人その言葉に答えてくれる人は居らず、車に押し込まれて何処かへと連れていかれる。

逃げるつもりは元からないにも関わらず両隣を挟まれながらだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side戦兎

 

一方、響が連れていかれる同時刻に翼との戦闘(防御に徹してただけ)を終えて逃走に無事成功した桐生戦兎はマシンビルダーに乗り、無事に自分が拠点としている家の前へと帰ってきていた。

その家は見た目も中身も明らかにボロボロであり、この近辺は既にボロボロにされすぎているせいで時間が掛かりすぎることから現在は放置されているようで、住んでいる人は誰も居ない。

 

戦兎からしてみたら今は住所も戸籍もない状態。贅沢を言えないしむしろ人が居ない方が拠点にしやすいため有難かったりはする。この惨状を有難いとは思わないが。

 

閑話休題(話を戻して)

 

戦兎はマシンビルダーをスマホに戻し、ポケットの中に突っ込むと、扉を開ける。

その際ミシミシと鳴っていたことから扉は錆びていることが分かるが、戦兎は気にせずに扉を閉めては真っ暗な中を迷わず一直線に端まで歩いていく。

そこには他と別で新品のように上と下がある綺麗な冷蔵庫があった。

戦兎は普通の家庭でもよく開けるように下の方の冷蔵庫を普通に開ける。

そして冷蔵庫の中へと入っていくとしっかりと扉を閉めて短い螺旋の階段を降りていく。

すると冷蔵庫の中・・・否ボロボロだった家とは別で地下があり、その地下はまさしく旧世界で戦兎たちの秘密基地と同じような外見をしていた。

もちろん浄化装置はなく、旧世界のよりかは広くはないが。

 

「ただいま」

 

そう言って階段を降り終えると戦兎は作業場に入りながら言葉を発する。

だがその言葉に反応する人の気配は全くなく、誰も反応をしない。そう、”人間“は。

 

「にゃ〜」

 

以前響が助けた白い子猫が戦兎が帰ってきた気配と声を感じたのか、尻尾をピーン立てさせながら戦兎の元へと駆け寄って出迎えてくる。そしてまるで『おかえり』とでも言うように鳴きながら戦兎の足に頬を擦り付けていた。

 

「おっと。悪いな一人にさせちまって」

 

流石にノイズ相手にするのであるならば猫を連れていくわけには行かず、一人にさせてしまってたことに申し訳なさそうな表情で戦兎は猫を抱えて優しく撫でる。優しく撫でながら今日の出来事を思い出す。

 

(そう言えば響のやつシンフォギアを纏ってたな。出来ればこれ以上日常にいた響に悲しいことが起きる前に戦いから離れて欲しいんだが・・・)

 

「にゃぅ・・・にゃぁ」

 

考えごとをしつつ撫でてると猫は気にするなとでも言うように戦兎に鳴きながら気持ちよさそうに喉を鳴らしている。

 

「そうか。それじゃ遅くなったけど飯にしますか!」

 

戦兎自身猫の言葉が分かるわけではないが、知識としては猫の愛情表現を知っていたためだいたいは理解しているのと何故か通じ合っている戦兎。

いつか言葉が分かるようなアイテムを作るかなにかをしてあげたいとは思っているが現在はビルドのアイテムもまだ修理出来てないため後回しになるかもしれないだろう。

 

「にゃー」

 

戦兎の言葉に肯定するかのように鳴いて頷く猫。

この二人は出会ってあまり時間経ってもいないのに長年居たかのように通じ合っているのは戦兎の性格や雰囲気のお陰もあるのかもしれない。

 

そして戦兎は猫を連れて自身のご飯を用意しつつも猫のご飯も用意し、準備を終えると猫と一緒に遅くなった夜食を摂るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

そして車が走って数十分と経った頃だった。響は見えてきた建物に疑問を持つなぜならそれは―――

 

「なんで・・・学院に?」

 

響や翼が通っている学院、リディアン音楽学院だからだ。

そして車が止まると翼と響に手錠をかけた男性、緒川に連れられるように既に夜のため暗い校舎歩く響。

 

「うぅ・・・あ、あの・・・」

 

するとさっきから尽きない疑問と何の会話もない沈黙に耐えきらなくなってきたのか少し遠慮がちに前を歩く翼たちに声を掛ける。

 

「ここって先生たちが居る中央棟・・・ですよね?」

 

しかし、相変わらず二人は響のその疑問に一切答えることもなく、ただ前を歩いてどんどん進んでいくだけだ。

そうなると流石に響も何かを言うことも出来ずに黙ってついて行くしか出来ないため、二人に置いていかれないように進んでいく。

そして少し歩くと一つのエレベーターの前で止まる。

先頭に居た緒川がエレベーターのスイッチを押すとすぐに扉が開かれ入っていく姿を見ると素直について行く響。

そして緒川が二人がエレベーターにしっかりと乗ったのを確認すると向かいの端末に何かの機械をかざす。

すると光が認識しようとしてるのか点滅しており、完了するとピコンと音が鳴る。

その音が鳴ると後ろの扉が閉じ、その扉を覆うようにして今度はシャッターが現れる。

翼は変わったエレベーターの中、手すりのような物が出てきた所に移動して手すりを持つ。

 

「あ、あの・・・これは・・・?」

 

移動した翼に対して何処か助けを求めるかのような視線で翼を見つめながら声を掛ける。

だが翼はそんな響には答える気がないようで後ろを向いている。

すると翼の代わりに緒川が響に近寄り、警告する。

 

「さ、危ないから捕まってください」

 

「えっ?危ないって・・・」

 

手錠された響の手を取り、手すりに掴ませる。そのことに疑問を持った響は聞こうとするが―――その直後。

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

今まで乗ったことがあるエレベーターとは違い、明らかに高速で降りるエレベーターに対してつい絶叫マシンに乗るかのように響は叫んでしまう。

そしてエレベーターの階層表示の所が順番に高速で明滅を繰り返す。

 

「あ・・・あははは・・・・」

 

響は手すりな掴まりながらも訳がわからない様子で翼たちに笑顔を向ける。だがそんな響に対して翼は―――

 

「愛想は無用よ」

 

先ほどと変わらない様子で冷たく言い放つ。

 

「うっ・・・あっ」

 

笑顔が消えて不安そうな表情になる響。

そして同じような光景が上へと流れていくだけだったエレベーターが突然周りが明るくなる。

 

「わあ・・・・・!」

 

その光景に響は感嘆の声を漏らしてしまう。

何故ならまるで宗教のような壁画のカラフルな色彩の模様が壁一帯に刻まれていた。

そんな光景を見ながらもエレベーターは変わらず降りていく。

唖然とそんな光景を眺める響に対して翼は後ろで無表情を貫きながら響に対して先ほどと同じように冷たく言い放つ。

 

「これから向かうところに、微笑みなど必要ないから」

 

ようやくエレベーターがつき、エレベーターの扉が開いて案内された先には―――

 

パンッ!という音ともに突如クラッカーが破裂した。

天井からは『熱烈歓迎!立花響さま☆』と『ようこそ2課へ!』と書かれた垂れ幕と横断幕に何故か不思議と視線が行ってしまう『必勝!』と書かれている赤いダルマ、豪華な食材に拍手する人たちと―――――

 

「ようこそ〜!人類守護の砦!特異災害対策機動部二課へ!」

 

その中心で赤いカッターシャツに服と同じような髪色で、ピンクのネクタイ、服の上からでも分かるくらいの筋骨隆々の大柄な男性がシルクハットを被りながら愛想が振り撒くこの中で一度とも言えるくらいとびきりの笑顔を見せて出迎えるのだった。それに対して響は―――

 

「え・・・?」

 

困惑したような唖然としたような表情で見つめるのだった。そして後ろに居た二人、翼は頭が痛いとでも言うかのようにため息と共に頭を抑え、緒川は苦笑いをするだけであった。

 

「さぁさぁ、笑って笑って?お近づきの印にツーショット写真~!」

 

白衣の服を着てメガネを付けて茶色の髪を上にまとめている女性が響を抱き寄せて写真を撮ろうとしてきた。

 

「い、嫌ですよ!?手錠したままの写真なんて、きっと悲しい思い出として残っちゃいます!」

 

「そ、それにどうして初めて会うみなさんが私の名前を知っているんですか?」

 

流石に手錠をしながらは嫌なようで写真を拒否しつつも女性から離れ、すぐに天井にある垂れ幕に自分の名前が書かれていることを思い出し、疑問に思ったため聞く響。

すると赤いカッターシャツに筋骨隆々の大柄の男性がシルクハットを被り直して棒のようなモノを持ちながら言う。

 

「我々二課の前身は大戦時に設立された特務機関なものでね。調査などお手のものなのさ」

 

そんなことを言いながら何気なくマジックのようにポンっという音ともに花を出す男性。

すると何処からか取り出したのか撮ろうとしてきた女性が何故か見覚えのあるカバンを見せる。

 

「あぁーっ!?私のかばーん!?何が調査はお手のものですかっ!カバンの中身、勝手に調べたりなんかして!?」

 

「はぁ・・・緒川さんお願いします」

 

腕を胸元で組みながらその様子を見て再びため息を吐く翼。そして手錠を外すようにとお願いする。

 

「はい」

 

緒川は少し苦笑いをしつつ翼の言葉に返事する。

 

そして響はようやく手錠を外して貰い、うっすらと手錠の跡がついている手を擦りながらそのことに関してお礼を言う。

 

「あっ・・・ありがとうございます・・・」

 

「いえ、こちらこそ失礼しました」

 

「では改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者だ」

 

そう言って赤いカッターシャツの大柄の男性が自己紹介する。

 

「そして私はデキる女と評判のある櫻井了子。よろしくね?」

 

それに続くように白衣を着ている先ほど写真を撮ろうとしてきた女性が自己紹介をする。

 

「あぁ・・・こちらこそ、よろしくお願いします」

 

そう言って手を前に組みながら礼儀正しく頭を下げながら背中を曲げる響。

 

「君をここへ呼んだのは他でもない。協力を要請したいことがあるのだ」

 

「協力って・・・?あっ・・・!」

 

一瞬なんの事かと脳内で首を傾げるがここに来る時鎧を纏った時のことを思い出し、なんの事か理解する。

 

「教えてください。あれって一体何なんですか?」

 

それを聞くとは赤いカッターシャツの男性、風鳴弦十郎が白衣の女性、櫻井了子へと視線を送る。

その視線で理解した了子はこくりと頷き、響に近寄ると親指と人差し指、長指を伸ばして言ってくる。

 

「うん。あなたの質問に答えるためにも、二つばかりお願いがあるの。まず、一つは今日のことは誰にも内緒。そしてもう一つは・・・」

 

響の質問に答えつつ腰辺に手を添えて抱き寄せる。そして響の耳元で囁く。

 

「とりあえず脱いでもらいましょうか?」

 

「え?だからぁ・・・!なんでぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

私呪われてる〜・・・と心の中で呟きながら、再び響の絶叫が響いた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまぁ〜・・・」

 

そう言って響は疲れたように寮の扉を開けて入ってくる。

 

「響?もうっ・・・!こんな時間までどこに行ってたの?」

 

そんな響を彼女の幼馴染である心配そうな声で顔を覗かせて未来が出迎える。

 

「ごめん・・・」

 

扉を閉めて中に入ると響は色々とあり過ぎて疲れからかすぐに床にバタッと倒れ込む。

 

「近くでまたノイズが現れたってさっきもニュースで言ってたよ?」

 

さっきまで居なかった響に対して情報を伝える未来。

 

「うん・・・でも、もう大丈夫だから・・・」

 

そう言いながらテレビから風鳴翼が海外展開の打診があったことを聞きつつ響は重要なことを思い出す。

 

(そうだ!色々なことがあって考える暇がなかったけど戦兎さん・・・。どうなったんだろう・・・?私たちの代わりに囮になってそこから一度も会えてない・・・。無事だといいんだけど心配だな・・・)

 

自分たちのために自分自身の危険を顧みずに囮になって逃がしてくれた男の人。

そして短い期間で私を二度目も救ってくれた命の恩人だ。

正直あの人が居なければ逃げれなかったと思う。

 

「(うん…でもきっと大丈夫だよね?だって約束してくれたんだから…)」

 

そう考えながら響は戦兎が無事でいてくれることを心の底から願うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャワールームにて壁に手をついてシャワーを浴びている少女がいた。

彼女は風鳴翼で昔のことを思い出している。

それは彼女の相棒であった人物がまだ生きていた頃で―――

 

『二人一緒だったら、何も怖くないな』

 

それはとても大切な人で、自分が憧れていた歳上の相棒だった。

 

「あのギアは、奏のモノだ・・・」

 

そう言って今日出会った少女、響が纏っていたモノを思い出しながら呟く。

 

「そしてビルド・・・。奴は私を相手にしようとしなかった・・・!私に攻撃しようとせず、防御や避けるばかり・・・今度は会ったときこそは必ず・・・!」

 

そして今日のことを思い出して悔しそうに呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜が明け、朝になった頃だった。

 

「ん?朝か・・・」

 

秘密基地にベッドがあり、そこで寝ている男性。桐生戦兎が目を覚ます。

そして戦兎は自分のお腹辺りに何が乗っているのを感じ、毛布を捲るとそこにはすやすやと心地よさそうに寝ている子猫がいた。

 

「・・・起こさない方がいいな」

 

彼は起こさないように猫をそっと抱き上げて、枕の場所に猫をそっと置く。

戦兎は猫を置いてから洗面所に行き、顔を洗う。

顔を洗ったあとはポップアップトースターにパンを入れておき、猫のご飯である人間一人が食べるくらいの豚肉の野菜炒めを作る。

なぜならこの猫はかなり食べるらしく、作りすぎて一度一人分くらい余った料理を置いてたとき猫がドッグフードなどには一切手をつけなく、置いていた料理をじーっと見て、いつの間にか全て平らげたのだ。

それから何か不調がないか心配になり、戦兎は生物の体調や病気が分かる装置をすぐさま作って調べたが、猫に何の変化もなく、むしろ逆に元気になって体調も良くなっていたのだ。

食べてから猫は料理を作って食べようとする戦兎の顔をじーっと見て物欲しそうに見てくるようになり、戦兎は心配であまり食べさせたくなかったが視線に折れて食べさせてしまう。

それからは猫も一緒に料理を食べるようになり、猫に何も悪い変化がないか確認しても症状は何も生まれない。

 

「猫って玉ねぎとかは食べすぎたら貧血になるはずだよなぁ。なんであの猫は大丈夫なのだろうか」

 

そう考えながらも料理を終え、戦兎は豚肉の野菜炒めを皿に盛ってそれを運んでいく。

するとちょうどパンも焼き上がったようでポップアップトースターから出てくる。

 

ポップアップトースターのパンが出てくる時のカチッという小さい音に猫は目を覚まし、秘密基地のパソコンがある反対側の方の端のテーブルに豚肉の野菜炒めがある皿と焼きあがったパンにコーヒーを置いている戦兎に近寄る。

 

「にゃ〜」

 

すりすりと足に擦りながら猫は鳴く。

 

「ん?起きたのか」

 

声と足に擦りつく感覚に気付くとそう言って手を差し出し、猫が戦兎の手に乗り、そのまま肩に乗ってからテーブルに乗る。

猫がいるテーブルの反対側に戦兎が座り、両手を合わせる。

 

「いただきます」

 

声に出して呟く戦兎。すると猫が目の前の自分の主人となった男性が食べ始めてから自身の目の前にある豚肉の野菜炒めを食べ始める。

 

こうしてまるで長い間一緒にいたかのように戦兎たちのいつもの朝が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は既に午後になり、放課後のため家に帰っていく学生や何処に寄るか、遊ぶかなど友達と相談しながら帰っていく学生が増えていった時間の頃。

 

 

 

「ビッキー!」

 

「ん・・・?」

 

独特のニックネームで響の名前を呼ぶ人はこの学院には響は一人しか知らなく、カバンに入れようとしてたノートを持ちながら傍に寄ってきた響のニックネームを呼んできた人物。

黒鉄色のショートカットをしており、響と同じ年齢の少女。名前は安藤創世。

顔を上げると響の周りにはいつものグループが集まっていた。

幼馴染の未来。

どこかおっとりした雰囲気があり、長いロング髪で金髪が特徴の少女。寺島詩織。

“アニメ”を比喩表現に使う程にアニメ&アニソンが大好きな髪型がツインテールで茶髪の少女。板場弓美。

 

「これからふらわーに行ってみない?」

 

そう言って提案してくる創世。

 

「ふらわー?」

 

知らない場所のようできょとんと首を傾げる響。

 

「駅前のお好み焼きさんです。美味しいと評判ですよ」

 

すると人差し指を立てながら詩織が代わりに笑顔で答える。

 

「ぁあ〜・・・今日は別の用事が入っているんだ・・・・・」

 

少し残念そうな表情を浮かべながら言う。

 

「また呼び出し?あんたってばアニメみたいな生き様しているわね」

 

腕を胸元で組みながら弓美が言ってくる。

 

「仕方ない・・・。また今度誘ってあげるね」

 

「うん・・・」

 

頷きながら何かを秘密にするかのような響に未来が少し悲しそうな表情する。

 

「それじゃあ」

 

「まったね〜」

 

そう言って詩織と弓美が響に向かって言いながら四人は教室で出ていく。

外は既にもう夕方になっていた。

 

「はぁ・・・私、呪われてるかも・・・・・」

 

ノートを全部カバンの中に入れると響はため息を吐きながらつい、いつもの口癖を呟いてしまう。

そして響は立ち上がると後ろから扉が開いて閉じる音が聞こえる。

そちらに顔を向けるとそこには翼がいた。

 

「重要参考人として、再度本部へと同行してもらいます」

 

昨晩と変わらずに翼は無表情で渋々と響に言い放つ。

 

「なっ・・・なんでぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

こちらも昨晩と変わらずエレベーターの中に入ると手錠をかけられ、高速で降りていくエレベーターの中に響の叫び声が響き、反響したのであった。

 

 

 

 

 

 






戦兎くんに癒し作ってみた。もしかしたら猫と戦兎の話だけで1万文字行けるかも知れない…!望む人居たらしますね!(おい)



はい。それではあらすじ紹介で言った通りギリギリになった理由言います。まだ1期も書き終えて居ないのにオリジナルライダーの名前と能力、ベルトに変身音声と必殺技音声を考えてたからです。でも変身者は不明。

いや早すぎだろ先1期終われよって方居ると思いますけど…欲望に負けたんです!それにオリジナルライダーは瞬瞬必生では無理だと思ったので…。
しかもそのせいで早く出したい!って思うようになるというね。バカですみません…!

因みにあらすじ紹介で出てきた人の正体、皆さんは分かりますよね?あの人が確定二枚とガチャで1枚、つまりシティウォーズで三枚抜きで来たので出せという事かと思い、出しちゃいました。

そして感想ですが、ちゃんと全部読んで返させていただくので安心して皆さん送ってくれても大丈夫です!でも批判はあまりしないで貰えると…(小声)

そして私気づいたんです。あれ?これ翼ヒロインにすることは絶対出来なくね?と…だってうちの戦兎くん逃亡してるんですもん。未来さんや響なら絡めれるけど外で翼は難しい…彼女トップアーティストなので。

後は万丈出すことは確定致しました。
というか早く出さないとクリス出てきてタイミングがもうないので…。

では次回もお楽しみください!もしかしたら毎日投稿無理で二日投稿になるかもしんないです!

因みに今回はあるライダーのタイトル風にしております。

最後にもう一つだけ、アンケートよかったらお答えしてくれると嬉しいです。
あ、言い忘れてましたが、そんなガッツリ出しはあるライダーたち以外はしないです。
基本的には恐らくよく映画で行われてた最新ライダーとして登場するような感じになります。つまり主人公たちにアドバイスとか…ジオウがわかりやすいですね。
まぁ、瞬瞬必生なので詳しくは私にも分かりません。
ただオリジナルではなく、ご本人登場ではありますよ。
まぁ…あのピンクの人はガッツリ絡んでくる可能性がありますけど()
アンケートは一週間ぐらい置いておきますね。


※第一話に少し追加しました(葛城が出てきた所)


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第六話 胸に宿るものとはなにか


今回は1万文字行かなかった…いや説明回が本当に長いし難しいので書くのに時間がかかったんです。
やっぱ説明回は書きにくいんやなって……ガチで自分で書いてから納得しました。

今回は説明回と本当に少しタイトル変えただけのレジェンドライダーのサブタイトルです。このライダーが推しの人なら何話かでさえ気づくんじゃないだろうか…?

では、あらすじ紹介です。




戦兎「仮面ライダービルドであり、てぇんさぁい!物理学者の桐生戦兎は大型ノイズを一撃で倒し、ノイズから響たちを助ける。そしたらなんとシンフォギアを纏った翼が逃げようとした俺に斬りかかってきたのでした!優しい俺はそんな翼に対して警察に連絡することなく、華麗にいなしてあしらっていき、無事に逃走するのだった」

万丈「ダメージ受けてたくせに何言ってんだよ?」

戦兎「仕方ねぇだろ!あんな技使ってくるなんて思わなかったんだよ。それよりあらすじの邪魔だぞ(万丈を連れていく天才)」

響「え、えっとその後、自衛隊のような人達が消えて事態を収拾していく中、助けた少女と母親が再開するのを見えて笑顔になりつつ、私は何故か手錠をかけられてどこかに連れていかれました」

万丈「連れて行かれた先はリディアン音楽学院。エレベーターで地下にいき、連れて行かれた部屋には大きな部屋に響を歓迎するかのような人達が歓迎パーティーを開くのだった」

未来「寮に戻ってきた響はそのまま疲労で倒れるように寝転びつつ、自分を助けてくれた戦兎さんの心配をします。そして次の日の放課後、響は翼さんにまた昨晩と同じく連れて行かれるのでした」

万丈「戦兎はなんで猫と会話してんだよ?」

戦兎「いやそれが分からないだよな・・・。でも何故か分かる。」

響「でも私が助けた子猫、戦兎さん本当にお世話してくれてるんですね!」

戦兎「猫には罪ないしたまに手伝ってくれるからな。迷惑はまったくしてないよ」

未来「私も会ってみたいな」

翼「まぁ内容が進めば会えるだろうな。少なくとも私は今敵対しているような状態だ」

戦兎「それじゃあまだまだ終わりが見えてこない無印編の第六話どうぞ!」

万丈「ところで、俺はいつ出るんだよ?」

戦兎「・・・・・・」

万丈「おい!戦兎!何か言ってくれよ!?もしかして俺はまだまだ出ないのか!?」

戦兎「・・・・はいはい!みんな解散だ!」

万丈「お、おい!?戦兎ー!?」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨晩と同じく、二課の本部でエレベーターから降りると今度は昨日とは別の道に案内される。

突き当たりにある自動ドアを潜ると部屋に入る。

部屋に入ると一番最初に目に付いたのは、前方の壁一面に広がっている巨大なモニター、昨日歓迎パーティに使われた多目的ルームの2、3倍はあるのではないかと思われる大きく部屋。

 

了子と同じく弦十郎が響を出迎え、弦十郎にここはどういう部屋なのか尋ねると、ここはどうやら二課本部の司令室らしく、何故広いのかそれで納得した。

昨晩の男性ではなく別の職員の人が響の元へと来ると手についている手錠を外して手錠を持っていく。

 

「すまないな。友達と遊べる貴重な放課後に呼び出してしまって」

 

すると、弦十郎申し訳なさそうに謝ってくる。

 

「いえ、それよりも、今日は・・・・」

 

謝罪を受けながらも仕方がないとでも言うような両手を横に振りながら首も振る。

そして本題に入ろうと聞こうとする。

 

「はいはーいッ!それでは――メディカルチェックの結果発表〜♪」

 

そう言って了子が話を話し始め、響はそちらに向く。

 

「初体験の負荷は若干残ってるけど、身体に異常はほぼ見られませんでした〜♪」

 

「ほぼ・・・ですか?」

 

そう聞きながらも座らされた響は手錠をつけられてた手を擦りながら聞き返す。

 

「うぅんそうね。貴女が聞きたいのはこんなことじゃないわよね」

 

「教えてください。あの力のことを」

 

そう響が聞くと弦十郎が後ろを顔だけ動かす。その視線は後ろにいる翼に送ったもののようで。

翼は視線を受けて意図が分かると首元からある赤い宝石のような石のようなモノを取り出す。

 

「天羽々斬、翼の持つ第一号聖遺物だ」

 

そう言って何を取り出したのか教えてくれる。

 

「聖遺物・・・?」

 

それが何なのかよく分からずにきょとんとした様子で首を傾げながら聞く。

 

「聖遺物とは、世界各地の伝承に存在する現代では製造不可能な異端技術の結晶のこと」

 

「多くは遺跡の中から発掘されるんだけど、経年による破損が著しくて、かつての力をそのまま秘めた物は本当に希少なの」

 

「この天羽々斬は刃の欠片、ごく一部に過ぎない」

 

すると、スクリーンの映像が変わり、先ほど見せられた聖遺物の欠片がスクリーンに映る。

 

「欠片にほんの少し残った力を増幅して、解き放つ唯一の鍵が、特定振幅の波動なの」

 

スクリーンに映っている聖遺物の欠片が開き、まるでヘリコプターのような見た目に変わる。

そしてスクリーンが両手両足を開いている顔のない人の代わりみたいな画像になる。

 

「特定振幅の波動・・・?」

 

よく分からない単語に疑問で返す響。

 

「つまりは歌。歌の力によって聖遺物は起動するのだ」

 

弦十郎が響にもわかりやすいように説明してくれた。

 

「歌・・・?そうだ、あの時も胸の奥から歌が浮かんできたんです」

 

昨晩のことを思い出してそう言う響。

 

「歌の力で活性化した聖遺物を一度エネルギーに還元し、鎧の形で再構成したものが、翼ちゃんや響ちゃんが身に纏うアンチノイズプロテクター、シンフォギアなの」

 

説明している間にも画像は変わっており、エネルギーが周囲に行くような描写をされていたり、鎧のようなものが腕や足に着いている映像になる。

 

「だからとて、どんな歌、誰の歌にも聖遺物が起動させる力が備わっているわけではないッ!」

 

翼の力強い声に辺りは静まる。その時間はとても長く、ほんの数秒だとは思えないくらい長く感じられた。

 

「聖遺物を起動させ、シンフォギアを纏う歌を唄える僅かな者を我々は適合者と呼んでいる。それが翼であり、君であるのだ」

 

そう言って弦十郎が立ち上がって人差し指を立てたり、両手わ広げたりしながら先ほどの沈黙の空間を破り、説明してくれた。

 

「どう?あなたの中で目覚めた力については、少しは理解してくれたかしら?質問はどしどし受け付けるわよ」

 

それに続くように、了子が笑顔で言う。

それに対し響は―――

 

「あの・・・・・」

 

「どうぞ響ちゃん!」

 

響に対して質問者を当てるかのように指差す。

 

「全然、わかりません・・・」

 

「だろうね」

 

と最初出会った時に響に温かいものを渡してくれた女性、友里あおいがそう答え、

 

「だろうとも」

 

と響に最初手錠をかけた男性、緒川慎次二人が納得したかのように呟く。

 

「いきなりは難し過ぎちゃいましたね。だとしたら、聖遺物からシンフォギアを作り出す唯一の技術、櫻井理論の提唱者がこの私であることだけは、覚えてくださいね」

 

「はあ・・・」

 

納得したような納得してないような表情でそう答える響。そしてその聖遺物を自分が持ってないことに疑問を持った響は聞いてみることにした。

 

「でも・・・私はそんな聖遺物という物を持っていません。なのに何故・・・」

 

そうして再び画像が切り替わる。その画像はどこか見たことがあるもので――

 

「これが何なのか君には分かるはずだ」

 

「はい!二年前の怪我です。あそこに私も居たんです」

 

「っ?」

 

その言葉に響の方へと身体と顔を向ける翼。

 

「心臓付近に複雑に食い込んでいるため、手術でも摘出不可能な無数の破片。調査の結果、この影はかつて奏ちゃんが身に纏っていた第三号聖遺物、ガングニールの砕けた破片であることが判明しました」

 

そして了子が続けて長いロングのような赤髪の女性。天羽奏が二年前戦闘していた時の映像を見せながらも説明していく。

彼女は二年前のライブの時、フォニックゲインを高めて起動しようとしていた完全聖遺物『ネフシュタン』その起動のため翼と一緒にライブを行ったが、起動しようとしていた実験施設は爆発。

弦十郎や了子たちがここに居ることから死ぬようなことはなかったが、その時に上空から突如現れたノイズたち相手に戦い続け、逃げ遅れた少女―――立花響を庇うために攻撃を防いでいたが、徐々に追い詰められ、自身のアームドギアが破損し、その破損したガングニールが飛んで言って響の心臓付近に当たってしまい、『生きるのを諦めるな!』とのセリフとともに響が目を開けるのを確認したあと、奏はシンフォギア装者最大最強の攻撃手段。

絶唱を使った。

絶唱とは、歌唱にて増幅したエネルギーを一気に放出し、対象に強烈なダメージを与える反面、そのバックファイアはシンフォギアを身に纏い、強化された肉体であっても負荷を軽減しきれないほどに絶大というまさに諸刃の剣といえる奥の手。

バックファイアのダメージは、適合係数の高さに伴って軽減されるのだが、奏は了子が開発した聖遺物の力と人体を繋ぐための制御薬、『LiNKER』を使って無理矢理適合係数を上げていたため、適合者として認定された翼よりも適合係数が低い奏にはバックファイアはとんでもなく高く、彼女は絶唱を使って消滅してしまったのだ。

それも翼の目の前で。

 

絶唱は本来、 エネルギーの運用効率を高めるアームドギアを介して放たれる。また、絶唱にはシンフォギアごとの特性があり、 それはアームドギアの延長に位置付けられるとされている。

 

そして先ほど説明した『LiNKER』とは、シンフォギアの装者たりえない常人であっても、ある程度の資質(適合係数)さえあれば、その「ある程度」を無理矢理引き上げることで、後天的適合者へと即席させる効果がある。

当然、資質の引き上げ幅が大きいほど人体への負荷も大きく、被験者は通常、ショック症状に見舞われ昏倒。適合者を生み出す以前に死者や廃人を大量生産するという、危険なまでに激しい薬理作用を示す。

だが奏はそうはならずにシンフォギアを纏めるようになったが、絶唱による影響でもう居ない。

 

「ッ!?」

 

「奏ちゃんの・・・置き土産ね」

 

翼は、了子の発言により、響の心臓付近にある聖遺物の欠片が奏の聖遺物だと分かり、彼女の全てを賭けて手に入れた奏だけの無双の力であるガングニールが響にあることが信じられないような、信じたくないような表情で足元がおぼつき、身体を震わせながら倒れかける。

倒れないように手を使って堪えるが、片手で自分の顔を抑えて、顔を俯かせながら部屋を出ていってしまう。

そしてその姿を響以外の人達は全員原因を知っているため、何も言うことは出来ずに翼を見送る。

 

「あの・・・」

 

すると、何かを考えて悩んでいた響が突如声を出す。

 

「どうかしたか?」

 

弦十郎は他に気になることでもなにかあったのかと思い、響の言葉に答える。

 

「この力のこと、やっぱり誰かに話しちゃ行けないんでしょうか・・・る」

 

「君が、シンフォギアの力を持っていることを何者かに知られた場合、君の家族や友人、周りの人間に危害が及びかねない。命に関わる危険すらある。」

 

「命に・・・関わる・・・?」

 

そう言って響の脳内に浮かぶのは、自分の近くに一番居る大切な幼馴染の未来。

 

「俺たちが守りたいのは機密などではない。人の命だ。そのためにもこの力のことは隠し通して貰えないだろうか」

 

「あなたに秘められた力はそれだけ大きなモノだってことを分かってほしいの」

 

「人類では、ノイズに打ち勝てない。人の身でノイズに触れることは即ち、炭となって崩れることを意味する。そしてまた、ダメージを与えることは不可能だ。たったひとつの例外があるとするなら、それはシンフォギアを纏った戦姫だけ。日本政府、特異災害対策機動部二課として、改めて協力を要請したい。立花響くん、君に宿ったシンフォギアの力を、対ノイズ戦のために役立ててはくれないだろうか?」

 

「私の力で・・・誰かを助けられるんですよね!?」

 

目の前の大人二人がこくりと頷くと一瞬悩むような表情になるが、すぐに自分の趣味であり、誰かを助けられるならば、と戦う決意する。

 

「分かりました!・・・あっ」

 

すると、響はさっきの言葉に違和感を持つ。

なぜなら”シンフォギアを纏った”戦姫だけ”という発言についてだ。

 

「あの・・・昨日私が出会ったあの人はどうなるんですか?あれもシンフォギアなんですか?」

 

昨晩響はある仮面の戦士に出会った。巨大なノイズ相手に自分がやるしかないと戦おうとした時男性の声とともにノイズを倒した赤と青の姿をした戦士。

彼が一体何者なのか、そしてもし会えるのなら感謝の気持ちを伝えたいと思い、何か情報がないか聞いてみる。

 

「あの戦士のことか。実はだな響くん。俺たちはまだあの者については調べることが出来てないのだ。分かっていることは男性であり、シンフォギアではないにも関わらず、ノイズを倒すことが可能で仮面ライダービルドと名乗っていたらしいことだけ。目的も、戦う理由も一切分かってないのだよ」

 

「それに昨日の戦闘を見る限り、防御に徹してたとはいえ、翼ちゃんと互角に渡りあっていたみたいじゃない?つまり彼の・・・ビルドの戦闘技術は翼ちゃんより上である可能性が高いわ。つまり相手がどんな目的があるか分からないけど注意はするべきね」

 

名前は知っていたようで仮面の戦士の名前が仮面ライダービルドであることを教えて貰った。そして大人二人にビルドについて注意と情報を素直に教えてくれたことからして会ったばかりとはいえ信用されてるのだろう。ならその信頼に答えるようにも頑張らないと!

 

「あの!私、翼さんとお話したいので失礼します!」

 

断りを一応入れるとそのまま部屋を出ていき、翼が行ったであろう方角へ向かっていく。

 

すると案外近くに居たようで軽く走って傍に寄っていく。

 

「私戦います!慣れない身ではありますが、私頑張ります!一緒に戦えればと思います!」

 

そう言って響は振り向いて響の方へと身体を向けている翼に対して、手を差し出す。が、翼はその響に対して顔を逸らしてしまう。

 

「あ、あの・・・一緒に戦えればと・・思います・・・」

 

もう一度言うと突如周りが暗くなり、アラームの音が鳴り出す。

 

「ノイズの出現を確認!」

 

端末を操作している一人の男性、濃い茶色の髪をした藤尭朔也が報告する。

 

「本件は我々二課が預かることを一課へと通達!」

 

藤尭の情報を聞くとすぐに判断を下す弦十郎。すると

 

「出現地特定!座標、出ます」

 

今度はもう一人の端末を操作している友里が大きなスクリーンに報告とともに座標を表示させる。

 

「はっ・・・!リディアンより、距離200!」

 

驚いた様子で、だがしっかりと正確に伝える友里。

 

「近い・・・・・!」

 

「迎え撃ちます!」

 

すぐに身体を反転、そのまま翼は外へ向かうように部屋の出口まで走ってそのまま出ていく。

 

「あっ・・・ッ!」

 

走っていく翼の後ろ姿を少しの間止まって見つめる響。

すると、覚悟を決めたかのように響も翼の後を追おうとする。

 

「待つんだ!君はまだ・・・!」

 

それに気づいた弦十郎は響を制止しようと呼びかける。

 

「私の力が誰かの助けになるんですよね?シンフォギアの力でないとノイズと戦うことは出来ないんですよね?だったら、行きます!」

 

すぐに振り向いて弦十郎に覚悟を揺らすことなく伝える。そしてすぐに翼の後を追うために走っていくのだった。

 

「危険を承知で誰かの為なんてあの子、いい子ですね」

 

「果たしてそうなのだろうか?」

 

そう言った弦十郎の少し、えっ?と驚いたように声を出す藤尭。

 

「翼のように幼い頃から戦士としての鍛錬を積んできたわけではない。

ついこの間まで日常の中に身を置いていた少女が、誰かの助けになるというだけで命を賭けた戦いに赴けるというのは、歪なことではないだろうか?」

 

「つまり、あの子もまた、私たちと同じ、こっち側ということね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side戦兎

 

そして特異災害対策機動部二課がノイズの反応を検知した時だった。同じような、またはそれ以上の機能を作った桐生戦兎がノイズの出現に気づかないなんてことはなく、彼はノイズ反応でビルドフォンで何もしてない時のみ、アプリが強制起動するようにしていたのだ。

そのため、ノイズが現れたとともに現れた場所を見る。

 

「これは・・・思ったより遠いみたいだな」

 

彼が今いるのは自分で作った地下である。

だからなんじゃないかと思われるだろうが、天才である戦兎がそのような対処をしてないはずがなく、前日に完成させた直後のままではなくアプリを少し弄って地上にいた場合のX軸とY軸、地下にいた場所のX軸とY軸座標がしっかりと表示されるように改良を加えていた。

 

「出来ればあと一つぐらい直したかったが、正義のヒーローとしてここは頑張りますか!」

 

すると武器の修理を終えたある”二つの“武器を収納アプリを起動して収納する。

そしていつも着てるコートを着て準備していると。

 

「にゃ〜?」

 

寝ていた猫が突然起き上がると戦兎に対して何処かに行くのかとでも言うように鳴く。本当に猫なのだろうか?

 

「あぁ、少し正義のヒーローとしての仕事するだけだよ。すぐ戻ってくるさ。だから留守番、お願いできるか?」

 

猫の言葉が伝わったのかそう言い出す戦兎。

まるで同じ人間同士で話すかのように会話が成立している。

 

「にゃん」

 

こくと猫が頷く、すると戦兎は猫の頭をそっと撫でてから部屋を出て階段を登っていきながら呟く。

 

「行ってきます」

 

「にゃ〜」

 

しっかりと階段の下まできて行ってらっしゃいとでも言うように猫が鳴いている。その猫の鳴き声を聞きながらドアを上げ、またドアを開けると戦兎は誰も想像出来ないだろう冷蔵庫の中から出てきて飲み物を取ってから閉める。

そして作業をし続けていたこともあって水分補給を忘れてたため、キャップを開けて戦いに行く前に軽く水分補給。

 

「さてと、ノイズを相手にするならボトルの能力は必要だからな。それにいくらなんでもノイズが出現しすぎじゃないか?まるでファウストの時と同じでスマッシュのように・・・ノイズで言えば、誰かが呼び寄せてるのか召喚しているのか―――いや、有り得ないか」

 

一瞬そんなことを考えてしまうが、首を横に振ってその考えを消す戦兎。ミシミシと音が鳴りながらドアを開き、外に出ながらドアを閉めて戦兎はビルドフォンにライオンフルボトルを挿入する。そして傍に向かって投げ---

 

ビルドチェンジ!

 

音声とともにスマホがバイクに変化。戦兎は変化したバイクに跨って収納アプリを起動、ヘルメットを被るとエンジンを掛ける。

もちろん安全のためにヘルメットを被るのもあるが戦兎がヘルメットを被る一番の理由は、特異災害対策機動部に顔バレをしないためでもある。監視カメラで正体がバレる可能性があるのは避けたいからだ。

バイクなら仮に見つかっても偶然にすればやり過ごせるだろうし、いざとなれば移動手段はビルドに変身して移動することにも出来る。だが顔はエボルトが使っていた力でもない限り誤魔化すことは出来ない。そのためヘルメットを被るのだ。

 

・・・まぁこの世界にも居るだろう似たような男の佐藤太郎ということにして誤魔化すことも出来るだろうが迷惑を掛けるのは悪いしそんなことする訳には行かないだろう。

それにずっとあの組織の奴らが監視カメラにアクセスするわけでもないしいざとなればハッキング辺りはしとくか。

 

と思いながら念の為、前回一緒に作っておいた監視カメラに生身の姿と変身していても声のみノイズがかかるアプリを戦兎はそのまま収納アプリを閉じてから起動、起動したままノイズを見つけるためのアプリ―――『ノイズ探知アプリ』とでも名付けようか。

それを起動してエンジンの掛かったバイクで移動していく―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼たちが向かったリディアン音楽院の近くの方ではなく、あちらに行くべきだと戦士としての勘が騒いでいる真逆の街区の方に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本政府特異災害機動部よりお知らせします」

 

「先程、特別警報が発令されました」

 

「速やかに最寄りのシェルター、または退避所へと避難してください」

 

アナウンスを聞きながらノイズたちの前に佇む翼。

目の前にはカエル型の大型ノイズと大量のノイズ。

それを見ながらも翼は歌を、聖詠を唄う。

 

「――― Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)―――」

 

翼の身体を光が覆い、光が収まったかと思うと聖遺物、天羽々斬のシンフォギアを纏った翼が姿を現す。

そして剣を持ちながら歌を歌い出す。

 

『―――颯を射る如き刃

麗しきは千の花

 

そして歌いながら地面を思い切り蹴って前進。人型ノイズを斬り伏せていく。

 

「くっ・・・キリがないな・・・。だが、いくら数が増えようともこの防人の剣に斬れぬものは無いと知れッ!」

 

そう言って大量のノイズを剣で切り伏せたり、脚で攻撃したりして時間をかけて殲滅していく。

 

しばらくすると数が減り、大型ノイズが体にくっついている葉のようなものを刃のようなモノに変えて翼目掛けて放つ。

それを翼は綺麗にジャンプして回避。

 

『―――今宵に煌めいた残月

 

哀しみよ浄土に還りなさい。

 

そして昨晩ビルドに攻撃した時と同じように脚のパーツがブレードに変形、ノイズの放った刃のような攻撃がブーメランのように戻ってきた向かってくるのを予想してたかのように脚のブレードで全て切り裂く。

 

永遠に―――』

 

「はあッ、はあッ、はあッ・・・」

 

着地すると息を荒くして呼吸をしている。

 

(くッ、調子が出ない・・・ッ!何をしている、いつもの戦場を思い出せ、風鳴翼ッ!)

 

いつもならばこの程度、何もここまで呼吸が早くなることはなく、問題ないはずなのに異常に体力を消耗している。

 

「ッ!?しまったッ!?(気を急ったッ!)」

 

そんなことを考えていたからか、攻撃をしかけてくる大型ノイズに気付かずに躱せない状態に陥る。すると―――

 

「こぉのぉぉぉぉぉぉ!」

 

「ッ!?」

 

声が聞こえてきたと思えばシンフォギアを纏った響がノイズに対してキックを炸裂させていた。

 

「翼さん!」

 

「ッ!(全てわたしの無力が原因だッ!だが、今は目の前のノイズを切り伏せることだけ考えろッ!)」

 

響の声を聞きながら剣を大きくして跳躍する翼。すれ違いの時、響は嬉しそうな表情をしており、翼は何処か複雑そうな表情でノイズに向かって巨大化させた剣を構える。

 

「これで終わりだ!ハアァァッ!」

 

力強い声とともにノイズに向かって空中から地面に斬撃『蒼ノ一閃』を繰り出す。

するとノイズは何の抵抗も出来ずにダメージを受ける。そして爆発するのだった。

 

「(倒しはした。倒しはしたが・・・。あの時、あいつが来なければ・・。いやッ!わたしは、ひとりでもッ!)」

 

「翼さーん!」

 

翼の名前を呼びながら走って翼の元に駆け寄ってくる響。近くまで寄ると響は翼に向かって言う。

 

「私、今は足手まといだと思いますけど一生懸命頑張ります!だから、私と一緒に戦ってください!」

 

「そうね」

 

翼は響とは反対のノイズが爆発している所を見ながら言う。

 

「あはっ!」

 

翼の返答に嬉しそうな表情と声をつい出してしまう響だったが―――

 

「あなたと私、戦いましょうか」

 

響の方へと身体を向けながら翼は剣を突きつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翼が戦闘をしていた頃、司令室では。

 

「これはっ!?」

 

藤尭が端末を操作していると驚いた様子で声を漏らす。

 

「どうした!?」

 

ここのトップである弦十郎が声を上げて聞く。

 

「そ、それがノイズの出現を確認したのですが、反応がだんだんと消えていきます!」

 

彼が驚いた理由はこれである。

そして装者は二人既にどちらも出動しているため、何処にも居ない。

だが、そうなるとノイズを倒せる者は一人しか居なく―――

 

「何っ!?速やかに監視カメラにアクセスして映像を出せ!」

 

考えうる一つの可能性を考えながらも違う可能性を考えて指示を出す。

 

「監視カメラにアクセス!映像、出ます!」

 

そしてもう一つの端末を操作している端末を友里が監視カメラにアクセスをし中央の大きいスクリーンに映像を出す。

すると翼が戦闘している所と二分割になり、その片方の映像には赤と青の姿をしていて、これで見るのは三度目だが、見たことがない武器を持っているビルドの姿が映る。そしてそこには――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにッ!?もう一人のビルド、だとォ!?」

 

そう、ビルドと同じような姿とアイテムを付けており、何処か龍を思わせるもう一人のビルドがノイズを相手に格闘していたのだ。

 

 





※第五話シンフォギアを纏った響に対して戦兎がどう思ったか急ピッチで追加しました。なのでまた変える可能性もあります。

というか歌の歌詞ってどこまでがいいんだろ?よくわかんないんですよね。

そしてアンケートは今のところ作者に任せるがぶち切りですね…。

あと万丈のフォームはどうしようか…無印ラスボス戦のフォームはビルドは決まってるんだけど万丈は後々てきにオリジナルがあった方が良さそうだし…。
だって2期から敵も強くなるしね。

うーんラスボス戦に行く前に考えないと不味い気がする…。

それじゃあ次回もお楽しみに!


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第七話 ドラゴンの目醒め、そして雄叫び


※本文が十一話と同じになってたという報告があったので上げ直しました。気づかなくてすみません。

シティウォーズで星5エボルトがまた来たので初投稿です。

多分二話構想のオリジナル戦闘回とオリジナル型のノイズ出してみました。まだ二期のノイズ出すわけにも行けないので…。
早く本編行きたい。









戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は強敵エボルトとの決着の末、新世界の創造に成功する。そして新世界で脅威があると知った俺は仮面ライダーとして戦うのだった」

万丈「一方、リディアン音楽学院に連れて行かれた響は自分が纏ったシンフォギアのことについて説明を受けるのだった」

翼「立花の胸に宿るシンフォギアがガングニールの欠片だと知った私は複雑な気持ちで居ながらもノイズとの戦闘に向かう」

未来「ノイズとの戦闘に向かった翼さんとは別で戦兎さんはある武器を修復しました。修復したあと何故か戦兎さんはノイズが現れた方とは逆の方に行くのでした」

響「そして司令室では監視カメラの映像からなんと、もう一人のビルドが戦っているのを見つけるのでした・・・ついに来たかァ」

戦兎「ん?響お前今日なんか雰囲気違くないか?」

未来「実は今日ここに来た時からなんだか別人みたいに雰囲気が違くて」

翼「確かに言われて見ればどこかいつもの立花とは違う気がするな・・・」

響「えぇ!?そんなことないですよ!もー疑うなんてやだなぁ・・・」

戦兎「こういう時はあれしかないな・・・おい万丈」

万丈「おう。じゃあこれにコーヒー淹れてみろ!」

響「これでいいですか?」コーヒーを淹れる響(?)

万丈「・・・戦兎。俺が飲むのか?」

戦兎「いいやここは俺たち二人で飲むぞ。仮にあいつでもまだ俺たちの方がコーヒーの耐性があるはずだ」

万丈「お、おう嫌だけど仕方ねぇか・・・」

二人「(コーヒーを飲む天才とバカ)まずっ!?お前絶対エボルトだ(な)ろ!?」

エボルト「バレちまったかァ!よォ、戦兎、万丈?」

未来「えぇ!?ひ、響がおかしな仮面ライダーになった!?」

翼「こ、これは一体・・・!?」

エボルト「クックック・・・まァ、いいじゃねぇかァ。それより第七話見てやってくれよォッ?」

戦兎「ちょっ!?色々言いたいことあるけど俺のセリフ取られた!?」

万丈「ったく、敵であるエボルトが居ると何か変な感じがしちまうぜ・・・」






 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に夕方になりかけていた頃、街の路地裏から脚を出しながらある男性が倒れていた。

その男性は怪我をしており、服もボロボロで茶色の髪色をしていた。けどその表情はまるで自分が信じている相棒に全てを託して安心したような穏やかな表情をしていた。

 

「おや?あんた、大丈夫かい?」

 

すると通りかかった年寄のおばあさんが倒れている男性を揺する。

 

「んんぅ・・・?」

 

声に倒れていた男性は反応し、重たい瞼をゆっくりと上げる。するとまず一番に浮かんできた者は年寄よりのおばあさんで―――

 

「うおっ!?」

 

流石に驚いた様子で倒れていた男性は慌てて立ち上がって少し下がる。

 

「ふふ・・・こんなところで寝ていたら危ないよ」

 

そう言って不思議な雰囲気を持つおばあさんにそう言われて男性はとりあえず頷く。

 

「あ、あぁすまねぇ・・・。なんかよくわかんねーけどおばちゃんありがとうな!」

 

そう言いながらしっかりと頭を下げて背中を曲げる男性。

 

「いいよいいよ。気にしなくて」

 

「お、おう。あんたがそう言うなら・・・じゃあ、俺はここで―――」

 

と続きを言おうとした所だった。彼のお腹がぐぅ〜と鳴り出したのである。

そしてついお腹を両手で抑えてしまう男性。その男性は分かりやすく、物凄くお腹が空いたような表情をしていた。

 

「あらお腹が空いているのかい?なら何か食べて行ったらどうだい?」

 

そう言って提案してくる優しそうなお年寄りなおばあさん。

 

「いいのか?あ、でも俺は今持ち合わせが・・・」

 

ここが新世界なのかどうなのか、相棒が今どうしているのか彼は分からないが少なくとも”旧世界“では逃亡生活をしてから”エボルト”との決戦まで基本的には『あんたにお金任せたら怖いから任せれない』『お前はバカだし無くしちまいそうだからな。不安だから服以外の買い物は紗羽さん辺りに任せておく』と言われていたから彼はお金を持つことがあまりなかったのだ。――まぁ流石に否定したが一度無くしたことがあったために最終的にそこを突かれて何も言えなくなってしまった。

 

「そうなのかい?じゃあ今回はおばちゃんが奢るから今度来た時払ってくれればいいよ」

 

そんなことを言ってくれるおばあさんを見て男性は心から嬉しくなり、あぁ・・・こういう人達がいるからこそ、どれだけ人々に望まれてなかろうが非難されようが、俺たちが、相棒が一生懸命守りたかった物なんだろうなと思うのだった。

 

「い、いいのか?あんたがそう言うなら行かせて貰うけど…でも俺がまたあんたのお店に来るかは分かんねえだろ?」

 

そして申し訳なさそうな表情になりながらもおばあさんにそう聞く男性。

 

「これでもあんたより長生きしてるもんさ。人を見る目はこれでも持ってるつもりだよ」

 

「ッ・・・悪い、分かった。お願いしてもいい・・・ですか?」

 

流石に奢ると言ってお世話になる相手にタメ口はダメといつも相棒にバカバカ言われてる彼でも分かったのか、敬語に直して頭を下げながらお願いする。

 

「あぁ・・・構わないよ。こっちさね」

 

そう言って案内してくれるおばあさんについて行く男性、するとどうやら本当に近いところで自分を見つけたようで、数秒歩いただけで着いた。

お店の名前は看板通りならば『ふらわー』というお店だった。

 

「ここは・・・?」

 

「お好み焼き屋だよ。ほら早く入らないとお腹がまた鳴っちまうよ?」

 

笑いながら男性に向かってそう言ってくる。

 

「わ、わかっ・・分かりました!」

 

慣れない敬語を使いつつ急いでお店へと入っていく男性。

 

「ふふ・・・無理して敬語使わなくて普通に喋っていいんだよ。なに食べるんだい?」

 

無理していることがバレていたようで、男性に向かって敬語を使わずに普通にしてくれて良いと言ってくれる。

 

「・・おう。そう言うなら。 それと、注文は―――このお店で一番安いもんでお願いしていいか?」

 

やはり、奢られる側であるがため、遠慮ガチに一番安いものを注文する。

 

「はいよ」

 

そう言ってお好み焼きの準備をするおばあさんを見て男性は心の中で状況を整理する。

 

(確か俺は・・・あん時エボルトに吸収されちまって戦兎が俺を追ってきてエボルトと戦ったんだよな?そして戦兎の攻撃で意識が覚めてエボルトの動きを止めていたところまでは覚えているが、そこから先はちっともわかんねぇ・・・。ここは戦兎が言ってた新世界なのか?見た感じこの街にスカイウォールやパンドラタワーがなかった・・・。でもそれならあいつはどこ行ったんだ?なぁ、戦兎・・・お前もここにいるのか?)

 

考えれば考えるほどわけが分からなくなってくる。

そして男性は自分が考えることが苦手なのを理解している。だからこそ、彼の相棒がいつも整理して分かりやすく言ってくれるのだが、彼は今自分の傍に居ない。

そして彼がエボルトとの戦いで生き残れたのかどうかも分からないのだ。

もしかしたらエボルトは生きているかもしれない、戦兎が勝ったのかも知れないしエボルトと同時討ちになった可能性も―――

 

と彼が深く考えてた時だった。

 

「出来たよ」

 

そう言って”一番安いもの”と言ったにも関わらずにおばちゃんが通常のお好み焼きの三倍ぐらいの大きさはあるだろうか、というぐらいの大きさのお好み焼きを目の前に置いてくる。

 

「えっ?な、なあ・・・おばちゃん?俺安いものって言ったんだが・・・」

 

そう言っておばちゃんの方を向く男性。

 

「確かに言ってたね」

 

「なら・・・!」

 

何故こんなに量が多いのか分からずに困惑している様子でおばちゃんに聞こうとする男性。

 

「いいからいいから。おばちゃんのただのお節介と思って、ね?」

 

そう言って初めて会ったのにも関わらずにそう言ってくる。

・・・絶対にお礼するためにここに来ないとな、と男性は改めて誓ったのだった。

 

「分かった。そう言うなら頂くよ、おばちゃん」

 

男性の方が折れてお礼を言う。

 

「それじゃ、冷めないうちに食べてね」

 

「おう。いただきます」

 

感謝を込めて両手を合わせ、基本的にカップラーメンしか食べてなく、”ある戦い”をして空腹を物凄く感じていた男性は数分で大量のお好み焼きを平らげたのだった。

もちろん、ここのお好み焼きが美味しかったのもあるだろう。

 

「ごちそうさまでした。おばちゃんありがとな。お腹が反復になったよ」

 

しっかりと両手を合わせてお礼を言う。そして男性はいつも相棒にバカと言われる原因の発言をしてしまう。

 

「ふふ・・・。それ言うならお腹が満腹になったじゃないかい?」

 

おばちゃんは笑いながら流し、修正の言葉をかけてきた。

 

「うっ・・・そ、そうとも言うな!そ、それじゃ俺は行かせて貰うな?この恩を返すためにも絶対また来るから!」

 

「はいよ。待ってるからね」

 

「あぁ!」

 

元気よく男性は声を出してお店を出ていく。感謝を込めて出る前に頭を下げてからだ。

 

そうして彼は満腹になったお腹を擦りながら街を歩いていくのだった。それは奇しくもリディアン音楽院とは真逆の方へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男性が街を歩き続けながら未だに考え事をしている。

自分がどれだけ考えても無駄だとわかっていても心配なのだ。

本人が居たら絶対に言えないし口に出したら負けだと思っているが、男性は相棒である戦兎のことをとても大切に思っている。

何故なら彼は何度も自分を支えてくれて、新しい自分を創ってくれて、自分を何度も助けてくれた命の恩人でヒーローなのだから。

そんなヒーローがエボルトに負けるはずがないと思っているが―――。

 

でも周りが平和そうに、それも日常を謳歌するように楽しんでいる姿を見て、彼は安心する。

この光景を見たら自分の相棒は”くしゃっ“と笑うんだろうな・・・と心の中で思いながらだ。

 

そして考え続けてまたしばらく歩いた時だった。

彼は流れてきたアナウンスに不思議そうな表情をする。

 

「日本政府特異災害機動部よりお知らせします。先程、特別警報が発令されました。速やかに最寄りのシェルター、または退避所へと避難してください」

 

「どういうことだ?シェルター?なんで避難を・・・」

 

疑問を感じていると、周りに居た人達はすぐさまシェルターと避難所やらに行こうと慌てて走り出す。

 

「お、おい!?」

 

よく分からない男性は目の前から走ってきた男性を止めて特別警報とやらが何かを聞く。

 

「はあ?あんた知らねえのかよ?ノイズが出たんだよ!半透明な怪物見たいなのが!俺は避難所に行くからあんたも避難しろよ!」

 

軽くだけ教えてくれてその男性は走っていった。恐らく言ってた通り避難するために避難所に向かって行ったんだろう。

 

「ノイズってなんだよ・・・」

 

そうさっき走っていった男性の話しを聞いてた男性が呟く。

唖然と立っていると、目の前がだんだんと騒がしくなってきた。

 

「の、ノイズだあああぁああぁぁああああぁ!に、逃げろォ!」

 

その声とともにさっきとは比較にならない人数が走ってくる。

 

「うおっ!?」

 

慌てて邪魔にならない、というか走ってくる人達に巻き込まれないように端のところまで行く。

すると、人数が少し減って前方が見えるようになったため、端に避難した男性は気になって目の前を見つめる。

 

「うわあああああああああ!?」

 

そのタイミングで一人の男性が転けると、そこに見たことも無い半透明な異形。

それは様々な形をしていて、まるでカエルのように見えるやつも入れば、人型にも見えるやつがいて、さらには鳥のような形をした怪物までもが端にいる男性の目に止まる。

 

「な、なんだよ・・・あれはッ!?」

 

旧世界でも見たことがない異形の姿に驚いた表情になる。

すると先ほど転けてしまった男性に異形---ノイズが気づくと人型のノイズが転けてしまった男性に触れる。

するとその男性は瞬く間もなく炭化、そのまま一瞬で崩れていってしまう。

 

「なっ!?人が・・・・・・!?」

 

人が目の前で死んだことにショックを受けるも、その男性が一番驚いたのは触れた瞬間ノイズと共に一緒に人が崩れてしまった所だ。

しかもそういうことはあそこにいる大量のノイズも同じような能力があるかも知れない。いや彼の戦士としての勘が告げている。全員同じような力があり、触れたら自分でも死ぬだろうと。

そんなことを考えてるとだ。

 

「わあ!」

 

「きゃっ!」

 

その声に反応すると、なんと自分が届く範囲で二人組の親とはぐれてしまったであろう姉弟と思わしき子が手を繋いで逃げてたからか、弟の方が転けて一緒に姉の方も転けてしまうではないか。

するとその声にノイズが反応し二人の姉弟は涙目になり、だが涙目にもなって怖いであろうにも関わらず姉の方が弟に庇うように覆いかぶさってノイズに―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んなこと、させっかよ!!」

 

声を上げながら二人を抱えてノイズに触れられる直前で二人を助け出す男性が居た。

その男性は茶色の髪色で服がボロボロで怪我までもしている男性だった。

 

「おい!大丈夫か?とっとと逃げろ!」

 

二人の姉弟をその男性は助けるとすぐさま手を繋がせて逃がそうとする。

 

「は、はいっ。ありがとうございます!」

 

「う、うん!ありがとう!」

 

二人は返事してそのまま走って急いで去っていく。

それを確認した男性は立ち上がり、目の前のよく分からないが、とりあえずは人類の脅威であろう異形に両手を力強く握って怒りを滲ませて睨みつける。

 

そして彼は懐からこの世界で初めて現れたシンフォギアの他にもノイズを倒すことが出来る戦士と同じ見た目のした手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械を彼―――旧世界で桐生戦兎が変身する仮面ライダービルドと新世界を創るために他のライダー二人と一緒に戦い、最後に地球外生命体エボルトの動きを止めて彼の唯一無二の相棒、桐生戦兎に全てを託し、桐生戦兎が新世界を創造する前に助けようと必死に手を伸ばしてた男性、万丈龍我はそれを腰に宛てがう。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定する。

そしてベルトを付けたのと同時に---

 

「キュイーッ!」

 

どこから現れたのか、そんな声とともに小さなドラゴンが万丈の傍に現れる。

これは、彼の相棒である桐生戦兎が万丈龍我のお目付け役として葛城巧殺害事件の真相を追っていた時に開発したドラゴン型自立行動メカ。『クローズドラゴン』だ。

そして万丈はクローズドラゴンが来たのを見てフルボトルを取り出そうとポケットの中を探り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくら探ってもフルボトルが見つからないことに気づく。

 

「あ、あれ!?ボトルがねぇ!?・・・やべえ!?どうしたらいいんだ!?って待ってくれ!頼む!頼むから!」

 

さっきの様子は何処に行ったのか、急に焦り出して焦燥の表情を浮かべながらズボンも胸ポケットも全て探るが、何処にもない。

何処かでフルボトルを落としたのかと考えるが―――。

 

 

 

本人は知らないが、万丈の手にフルボトルがないのは当然だろう。なぜなら万丈がエボルトとの最終決戦で相棒である桐生戦兎に渡し、それから万丈は戦兎に出会っていない。

つまりフルボトルを渡すタイミングが何処にもなかったのだ。

だからこそフルボトルを探しても何処にもないのだが、仲間たちにバカ、筋肉バカと呼ばれている彼が気づくはずもなく、ついには彼の必死の願いも無駄に終わり、かなり近くまでノイズが寄ってきてつい男性は両腕で顔を庇いながらしゃがみ込む。

 

するとクローズドラゴンが彼の目の前に行き、『やれやれ』といった感じでわざわざまるで人間のように万丈の目の前で首を振る。

 

「お、おいバカ!危ねぇぞ!」

 

あれ?こいつこんな人間っぽかったか?と万丈は思いつつ顔を腕で庇うのをやめてロボとはいえ、彼のもうひとつの相棒でもあり、戦兎がいなければ修理することが出来ないため、クローズドラゴンに注意する。

 

「キュッー!」

 

すると、『お前には言われたくない。失礼な!』とでも言うように万丈に向かって口から薄いオレンジ色の炎を吐き出す。

 

「あっつ!?熱いんすけど!い、今はこんなことしてる場合じゃねえだろ!?」

 

クローズドラゴンの炎をまともに受けて熱がる万丈。炎の色が蒼じゃなく、薄いオレンジ色の炎である点からしてクローズドラゴンが如何に加減して万丈に炎を放ったのか分かるだろう。

まぁそれでも人間からすれば火傷するレベル・・・というか火傷するが。

万丈や戦兎たち仮面ライダーなら大丈夫だろう。

そしてこの状況ですることじゃないと注意してくる主人に向かい。

 

「キュルー!」

 

クローズドラゴンは『分かってる。けど原因は自分だろ?』とでも言うように鳴くとついに目の前に来てしまっている大量のノイズに向かい、炎を―――それも明らかに旧世界に居た時と比べものにもならない範囲と威力で蒼炎の炎を吐き出す。

すると目の前に来ていた大量のノイズたちは全滅。

もちろん目の前にいたノイズを全滅させても後ろにもまだまだノイズたちは大量にいるがスマッシュの何体かぐらいは今の炎だけで倒せるんじゃないかと思うレベルの炎を見た万丈は―――

 

「はっ?」

 

万丈はポカーンと素っ頓狂な面を見せながら目の前の光景に驚きを通り越して何も言葉が出てこなくなる。

 

「キュルキュー♪」

 

まるでクローズドラゴンが『えっへん。どうだ 、凄いだろ』とでも言うように鳴く。

心なしかドヤ顔しているようにも見える。

いや間違いなくドヤ顔していた。

ついには万丈はこいつ本当にロボットか?変わり過ぎじゃね?とまるで関係のないことを考え出す始末である。

 

すると、バイクのエンジン音が聞こえる。そのバイクは歯車型のパーツから回転光刃を展開し、空中を回転するのと同時に向かっていったノイズを切り裂いていた。

そしてダイナミックに着地、目の前に着地すると、そのバイクに服装はどう見ても見たことがあり、万丈がずっと探していた相棒の姿で―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、万丈。やっぱサブキャラのお前には荷が重たかったようだな?」

 

バイクから降りて、ヘルメットを外し、いつもの軽やかな感じとニヒルな笑いでそう問いかけてきた。

 

「なっ・・・戦兎!?って誰がサブキャラだよ!」

 

探していた相棒を見つけることが出来て嬉しそうな表情で立ち上がり、いつもの乗りで戦兎に言葉を返す万丈。

 

「お前しか居ないに決まってんでしょうが!この物語は俺が主役なの!」

 

と、此方も今までノイズと戦いながらも探し続けてようやく見つけた相棒に対していつもの軽口とお互いに隠し切れてない嬉しそうな表情を隠してるつもりで言い合う。

もちろん、二人ともそのことには触れないし気づいていても言ったら負けだと思っているため突っ込まない。なぜなら自分もその表情をしていると返されるだけと分かっており、認めることになってしまうからだ。

 

「はぁ?何わけわかんねえこと言ってんだよ!?流石に今回は俺が主役に決まってんだろうが!」

 

何処かメタい話しをする二人、他の人が居たら喧嘩しているのか?とも思うような争いだが、喧嘩はしてなく二人にとってこれこそがいつもの日常で、いつもの関係なのである。

むしろこれがなければこの二人らしくないだろう。もしかしたら何かあったのかと思うレベルで。

・・・仮にあってもこの二人には深い絆とお互いを信じている想いがあるため、何かあったらすぐ気づくのだが。

 

「は?お前こそ何言ってるんだよ?こんな遅く登場するやつが主役なわけないでしょ!」

 

「あ?ヒーローは遅くやってくるってお前が言ってたじゃねえか!」

 

と、相変わらず一単語でも間違えたら意味が変わる言葉を間違える万丈。その万丈に対して彼の相棒である戦兎は―――

 

「遅くやってきたら意味ないでしょうが!遅れてくるからこそ意味があんだよ!」

 

違いが分かる戦兎はそう言うが―――

 

「何が違えんだよ!少し言い方が違うだけだろ!」

 

万丈には全く分からないようで分からない人がよく言いそうなことを騒いで言う。

 

「遅くと言うのはただ時間がすぎてる、時間がかかって遅いだけだよ簡単に言えば学生で言う遅刻な。遅れてやってくるは期限に間に合いながらも来るって意味だ。こっちはギリギリでも遅刻せずにやってきた場合」

 

と渋々意味を教えて正論をぶつける天才物理学者。しかも、分かりやすく物事に例えて説明しているのが万丈の扱いをよく分かっている証でもあるだろう。

 

「ぐっ・・・うるせえな!この天才バカ!」

 

こういうことになると万丈は弱い。何故かと言うと彼には言い返せるだけの発想力もないからだ。

そして褒めているのか貶しているのか分からないような言葉をつい吐く筋肉バカ。

 

「褒めてんのか貶してんのかどっちだよ・・・」

 

予想の如く、戦兎に突っ込まれる万丈。すると―――

 

「キュー!キュルルルーッ♪」

 

いつもの調子が戻ってきたのかクローズドラゴンまでもぐるぐると戦兎たちの頭の上で嬉しそうな声を出しながら回る。

因みに何故ノイズが襲って来なかったかと言うと戦兎たちがコントしてる間に時間稼ぎしてたからだ。やだ、何この子優秀。

そのため戦兎たちはクローズドラゴンが時間稼いでたのは知らない。

 

「おっ、お前も居たな。ん?あれ?こいつこんなにも表情豊かで綺麗な鳴き声出す機能なんてあったっけ・・・?」

 

自分で作ったにも関わらずにクローズドラゴンに起こっていることについて分かってない天才バカ。

 

「いや作ったのお前だろ?お前もわかんねーのかよ・・・」

 

そして今度は逆にバカに突っ込まれる戦兎。

 

「うるさいな!新世界に来たからそん時の副作用が何かで異変が起きたんだろ!それよりも、だ。戦えるか?万丈」

 

適当にでっち上げて身体をノイズの方に向けながら顔だけ動かして万丈を見ると話題を戻す戦兎。

というか流石にいつまでもノイズを放置することが出来ないからだ。

クローズドラゴンが引き付けてくれたお陰で今は攻撃してこなかったが。

 

「ったく・・・あぁ。いつでも戦えるぜ」

 

そう言ってやれやれと言った感じでノイズの方を向く万丈。

 

「そうか。ならほらよ、お前のボトルだ。あの時(最終決戦)に俺が使ったからな。それがないと変身出来ないだろうから渡しとく」

 

ノイズの方に今度は油断なく顔を向けつつ万丈を横目で見ながら左側に立っている万丈に左手で渡す。

 

「あ?俺のボトル?お前が持ってたのか・・・落としたわけじゃなくてよかったぜ」

 

安心したようにほっ、と息を吐きながらフルボトルを受け取り、万丈は空を飛んでいるクローズドラゴンに向かって手を伸ばす。

 

「お前・・・逆に落としてたら大変なことになってたじゃねぇか。フルボトルは一本でも十分脅威になるんだからな?」

 

そうやって呆れたような表情で万丈に注意しつつ彼も先ほど万丈が付けた手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械『ビルドドライバー』腰に宛う。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定する。

そして二つのフルボトル、赤色の『ラビットフルボトル』、青色のフルボトル『タンクフルボトル』を取り出してフルボトルを振り始める。

 

「い、言われなくとも分かってるっての」

 

注意を聞き流しながらも戦兎から貰ったフルボトル、青色のフルボトルでドラゴンの模様が施されており、彼の恋人の形見でもある『ドラゴンフルボトル』だ。

万丈も戦兎と同じくフルボトルを振り始める。

 

「ならいいけどな。あと一つ言うと、この敵はノイズって言うんだが、人間を一瞬で炭化させることからして俺たちも変身しなければ炭化させられるかもしれないから気をつけろよ?」

 

戦兎自身も聞き流してることには気づいているが、万丈自体が落としたらマズイのを理解してることを知っているため、気にしていない。

そして万丈にノイズについて注意するが、

 

「つまりどういうことだよ?」

 

降りてきて、自分から折り畳んで万丈の手のひらに収まるクローズドラゴン。

しっかりと持ちながら戦兎に聞き返す。

 

「生身では絶対に触れるなってことだよ」

 

簡易に言いながら戦兎は十分にフルボトルの中にある成分、『トランジェルソリッド』を活性化させると、フルボトルのキャップ『シールディングキャップ』を正面に固定、そのまま有機物からビルドドライバーに挿入する。

 

ラビット!タンク!ベストマッチ!

 

「そういうことか・・・分かった」

 

流石に簡易に言われると万丈でも分かるようで真剣に頷く。いくら周りから見たらふさげてるように見えてもこういう時は真剣になるのがこの二人だ。

 

そして万丈も十分にフルボトルの中にある成分、『トランジェルソリッド』を活性化させると、戦兎と同じくフルボトルのキャップ『シールディングキャップ』を正面に固定。戦兎とは違い、ドラゴンフルボトルをクローズドラゴンへと挿入し、折り畳まれているクローズドラゴンをビルドドライバーへ挿入。

 

Wake Up!CROSS-Z DRAGON!

 

 

二人はビルドドライバーにあるレバー、ボルテックレバーを回す。

するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがそれぞれ戦兎と万丈の周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、戦兎の方には赤と青の液体が流れ、万丈には青の液体が流れる。

そして、戦兎の前後にそれぞれ形を形成していき、赤と青のラビットハーフボディとタンクハーフボディ、二つのアーマーを形成する。

万丈の方には前後と左にそれぞれ形を形成していき、戦兎とは違い前と後が同じ青いドラゴンハーフボディのみを形成、そして左にはドラゴンの羽根と頭と顔を思わせるものを形成。

するとベルトから声が聞こえる。

 

Are You Ready?

 

二人に対してベルトが問いかけてくる。覚悟はいいか?と当然、二人はその言葉に迷わずに覚悟は既に決まっている。

戦兎は変わらずにこの新世界でもノイズから守るため、人々のために愛と平和の仮面ライダーとして力を使うことに対して。

万丈は何もよく分かっていないが、ノイズとやらが人々を襲っていること、そして彼の相棒が戦おうとしているならば一緒に戦うという覚悟を決めて。

戦兎はシュートボクシングのようなファイティングポーズを、万丈は両肩を回すようにしてから左手に右拳をぶつけ、ボクシングのファイティングポーズを取りながらあの言葉と一緒に二人は仮面ライダーへと変化を遂げる。

 

「「変身ッ!」」

 

その声と共に二人は両腕を力強く振り下ろし、戦兎の方には先ほど赤と青のアーマーを形成した『スナップライドビルダー』が戦兎を挟み込むようにスライドし、万丈の方は青色のアーマーだけを形成した『スナップライドビルダー』が挟み込むようにスライドし、ドラゴンの羽根のような見た目をした増加装甲『ドラゴライブレイザー』とドラゴンの頭と顔のような見た目をした頭部の出力調整装置『フレイムエヴォリューガー』がアーマーを挟んだあと、後ろに移行して包み込むかのようにして着装される。

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!

 

Wake Up Burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!

 

 

そして白い蒸気を噴き上げながら、赤と青の装甲を身に纏うウサギと戦車の複眼をした戦士。仮面ライダービルドと別人にも見える、まるで燃え盛る龍の姿をした戦士。仮面ライダークローズがこの新世界にて初めて二人の仮面ライダーが一緒に現れた瞬間であった。

 

そして音声と共にビルドはクローズに当たらないようにしながら左拳を左に伸ばし、右拳は胸元に置き、左拳を開けて腕を回しながらビルドドライバーを腰に固定する『アジャストバインド』の黒い部分を持つように触れ、右拳は右に持っていきながら開いて薬指と小指以外を伸ばし、こちらの腕も回すと再び薬指と小指以外は開いた独特のポーズを取る。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

ポーズをやめると戦兎は今度はセリフと共に右のタンクの複眼を右手でなぞるようにして親指と人差し指で丸を描いてから開く。

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!」

 

対するクローズは変身前と同じように左手に右拳をぶつけてセリフを言う。

 

「行くぞ、万丈!ハアッ!」

 

クローズに声を掛けながら先陣を斬るように左脚にあるバネ『ホップスプリンガー』を利用して高速で大量のノイズたちの前に行くビルド。すると、彼は前回まで素手だった時とは別で、『ビルディングモジュール』により、ビルドドライバーに搭載された『高速ファクトリー』が展開、『スナップライドビルダー』である武器を形成する。

それはドリル型の武器であり、ビルドがフルボトルバスターを作る前によく使っていた武器『ドリルクラッシャー』だ。時間があったため、修復を終えたのだろう。

そしてドリルの型をしているだけあり、彼はその武器をドリルのように『ドリスパイラルブレード』を高速回転させノイズを斬り裂いていく。

 

「おう!うおぉおおおおぉぉぉ!」

 

クローズはビルドのように高速で移動する手段を持ち合わせてないため、全力で走ってノイズにボクシングのような戦い方で殴って炭化させていく。

 

「万丈!」

 

いくら二人とはいえ大量のノイズ、だがそのノイズたち相手に戦兎は万丈の名を呼ぶ。それだけで理解したのかクローズはその場にしゃがみ、ビルドは再びラビットの能力を使ってクローズの背後に来ていたノイズにライダーキック。

 

「オラァ!」

 

そしてライダーキックで炭化させた後にビルドにノイズが迫ってくるが、クローズが殴って炭化させ、ビルドはまるでわかってたかのように前方のノイズを斬り裂く。

その二人の息が合いすぎている”ベストマッチ” な二人を止めることが出来ずに大量のノイズがあっという間に消えていく。

 

大量のノイズはこのままでは勝てないと悟り、急に溶け始めた。

 

「あ?なんだよこれ?」

 

急に相手が溶け始めたことに疑問を感じたのか不思議そうに見つめて相棒に聞く。

 

「いや悪いが、俺もこの光景は見たことがない。

 

そう答えながらどんなのがきても良いように構えるビルド。

すると溶けていたノイズたちがだんだんと合体していき、そこにはなんと大型のカエル型が二体、芋虫型が一体に巨人型が二体、そして空を飛んでいるツバメ型のノイズが一体囲むようにして現れたのだった。

 

「んなっ!?合体しちゃったーッ!?」

 

「で、でけぇ!?しかも囲まれてるぞ!?」

 

初めて見る光景につい驚くビルドと初めて見たノイズの大型の大きさに驚くクローズ。

するとチャンスだと思った巨人型のノイズがビルドたちに拳を振り下ろす。

 

「ちょっ!?」

 

「うおっ!?」

 

慌てて巨人型の攻撃を避けるビルドとクローズ。

 

「とにかく一体ずつでも倒すしかねぇな!こいつらは通常の攻撃なら一発じゃ簡単に死なないから油断すんなよ!」

 

「あぁ!なら必殺技を使えってことだろ?簡単じゃねぇか!」

 

いつものように分かっているような分かってないかのようにそう言うクローズにビルドは。

 

「ふっ・・・じゃあ行くぞ!」

 

笑みを仮面の下の中で浮かべながら目の前の大型カエルのノイズを見据え、言葉とともに走って突撃していく。

 

「おう!」

 

クローズもビルドの言葉に返事をしながら突撃していき、巨人型の振り下ろし攻撃を回避、その腕に乗ってクローズはジャンプ。そこに大型のツバメ型のノイズが襲ってくるが、蒼炎を纏いパンチ。攻撃は外れるがツバメ型のノイズは大きく離れる。

するとその隙にクローズの脚部『ドラゴラッシュレッグ』で上空から蒼炎を脚に纏いつつニードロップで巨人型をダウンさせて目の前に降りると蒼炎を纏いラッシュ、ダウンした巨人型はそんなクローズに対して掴もうとするが、回避してそこに蒼炎を纏ったたま膝蹴りをして逆にダメージを与える。

 

「これでトドメだッ!」

 

その言葉とともにベルトについてあるレバー、『ボルテックレバー』を勢いよく何回か回すとボトル内の成分をより活性化させる。

 

Ready Go!

 

必殺技発動の待機音声が聞こえると、腰を曲げて右腕に『クローズドラゴン・ブレイズ』を纏い、左に身体を捻って溜めるようにすると右に腕と身体を動かして右後ろに蒼炎と龍の顔を纏った右腕を持っていく。

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

「セイヤーッ!」

 

音声と共に目の前の巨人型ノイズに向かって龍を纏った蒼炎のアッパーカット。そしてそのアッパーカットと一緒に溜めていた『クローズドラゴン・ブレイズ』を放つのだった。

 

当然その攻撃には耐えれずに巨人型のノイズは炭化する。

 

「よっしゃあ!」

 

と喜んだ瞬く間に後ろに迫ってきていた大型カエルのノイズがクローズに体当たり、クローズは吹き飛ぶ。

 

「グアッ!?」

 

さっき言われた言葉を忘れて早速油断してしまったクローズはそのまま家に思いっ切り突っ込み、家が崩れて下敷きになる。

 

「くそっ・・・やるじゃねぇか!なら俺もこいつで行かせてもらうぞ!」

 

すぐさま下敷きになっていたクローズは木材を吹き飛ばしながら立ち上がる。

するとクローズも同じようにビルドドライバーに搭載された『高速ファクトリー』が展開、『スナップライドビルダー』から剣型の武器を形成してそれを掴む。

これは戦兎が万丈のために作った仮面ライダークローズの専用武器『ビートクローザー』である。

 

「オラッ!」

 

すぐさま目の前に走っていくと大型カエルのノイズの脚に斬りかかる。巨人型のノイズがやられたのを見て受けては行けないと思ったのか、カエル型のノイズは当たる前に後ろに大ジャンプする。

 

「んなっ!おい!こっちこい!!」

 

高く飛んだ相手に文句を言い出すクローズ。そしてカエル型のノイズは離れた所に着地すると体についている葉のようなものを刃のように変えて飛ばしてくる。

その相手に対してクローズは焦らずに剣の持ち手の一番下にある『グリップエンドスターター』を操作、クリップエンドを三度引っ張る。

 

ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!

 

「フッ・・・!オラァアアァァァアア!」

 

同じ音声が三度流れるとビートクローザーに取り付けられたメーター『ビートアップゲージ』が赤色になっている。

これは技発動時のエネルギーを生み出す内部発動機『ビートアップチャージャー』の稼働状態を示しており、メーターの色が上昇する程攻撃の威力が増大し、赤色になると最大威力の技を使えるというものだ。

 

カエル型ノイズの攻撃を地面を蹴って、近づきながら避けていき目の前に行く。攻撃手段のなくなった隙を付いてクローズは持ち手の部分にあるトリガーを引く。

 

メガヒット!!

 

だがその前にクローズが回避したはずの刃のようなものが戻ってくる。しかし、必殺技発動の音声とともにビートクローザーの刃『ドラグバーンスラッシャー』が赤色のオーラを纏い、そのまま回転斬りを決める。

回転斬りを決めるとまるで棒のような赤いモノがクローズを囲むように出てき、ノイズが飛ばした刃と一緒にノイズは爆破して炭化する。

 

「こっちは終わりだ!」

 

そう言って二体撃破したクローズは残りの四体と戦っているであろう相棒の元へと急ぐのだった―――。

 

 

 

 

 

 





こんだけ投稿してるのに二話から進まない作者が居るってマ?

何気に初めて文章で表してみたビルドのポーズ!一話配信されてるやつ開けて0.25倍で見た感じこんな感じでした…間違ってたらすみません。

実は本当は戦闘すぐ終わらせて行くつもりが思い切り伸びました。おばちゃんの口調よくわかんない()因みに遅くなる、遅れての意味は多分あってると思いたいけど作者自身途中で混乱して諦めました。
そして万丈と戦兎が動かしやすいのが悪い。逆にこの頃の響と翼は動かしにく過ぎる…。

あと結局万丈のオリジナルフォームは出ます。被らないように調整しないと行けないから大変だ…。
読んだことのある人の小説にあるフォームと同じのないかしっかり確認してしないと行けないんで…。

ただ感想にあった通り万丈のヒロインをクリスにするならクリス出てきてから万丈のお仕事増えますね。
戦兎くんとは一切別行動にしないと行けないしクリスには正体バレしないと―――いや正体バレなしでも別行動なしでも行けそうか?行けるならするしかない(鋼鉄のブルーウォーリア)
万丈なら言葉だけでも重みがあるから何回か話したら説得出来そう…特に逃げ出した時に落として貰うしかないですね。
まぁ確定じゃないです。ヒロインクリスじゃないのがいいって方もいるかと思いますので…うーんアンケート取るか活動報告するか?
もちろん香澄一筋のヒロインなしでもいいんですけど。

※第六話のラストの戦闘シーンと翼が響に宿ったガングニールについてどう思ってるか変更しました。


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第八話 ベストマッチな二人


※上げ直しです。そしてあとがき書き忘れもあったので。

やばい…毎日投稿きつい……睡眠時間2、3時間ぐらいしかねぇ!?もしかしたら日曜日(0時)投稿は出来ないかもです…。 仕事ない日は書く時間いっぱいあるんですけど…原作に沿って書く話はDX起動してアニメをひたすら書くシーン戻して見ながらやってるので時間かかるんです。
スマホより(個人的に)打ちやすいPCさえあればなぁ…。
後はオリジナル武器とか考えてると時間が……。

ではあらすじ紹介どうぞ。











戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は新世界の創造に成功し、この世界の脅威ノイズと戦う日々を過ごしていた」

万丈「そんな桐生戦兎がある日、勘で向かった先にはなんとこの俺、万丈龍我が居た!そして二人は変身し、俺が大活躍な戦いをするのだった!」

万丈「あれ?今日なんか台本短くね?」

戦兎「だからか、俺たち二人しかいないな」

戦兎「ってかあのドラゴンどうなってんだ?少なくともスマッシュをまとめて殲滅できそうなレベルの威力なんて俺作ってないんだが・・。」

万丈「お前が知らないんだったら俺もわかんねぇよ…とりあえず第八話見てくれッ!」










 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

 

ドリルクラッシャーを高速回転させながらビルドは大型ノイズの一体、カエル型に斬りかかる。

ノイズはその攻撃を回避、そして身体についている葉のようなものを刃のように飛ばしてくる。

 

「ちょっ!?」

 

慌てて離れるとドリルのように回転させて斬りかかっていた『ドリスパイラルブレード』の部分を外して『ボルテックメーター』が薄いオレンジの方の斜め上にブレードを反対にし、『ガンスパイラルマズル』を挿し込んでガンモードへと変化させたビルドは飛んでくる刃を高速回転と共に標的を貫く加速光弾『スピニングビュレット』をカエルのノイズの刃に向かって発射する。

するとその攻撃は見事当てることが出来たようで、ノイズが放ってきた攻撃は全て撃ち落とされる。

すぐさまビルドはブレードモードへと変え、白色のフルボトルでまるでそれは伝説の生き物である”一角獣”のフルボトル『ユニコーンフルボトル』をビルドは取り出す。

そしてボトルの中の成分『トランジェルソリッド』を活性化、フルボトルのキャップである『シールディングキャップ』を閉じてブレードモードへと変えたドリルクラッシャーのフルボトルスロットにユニコーンフルボトルの挿入する。

 

ユニコーン!

 

Ready Go!

 

音声が鳴るとドリルクラッシャーにスカイブルーのようなオーラが纏わりつく。

 

VOLTEX BREAK!

 

音声とともに『タンクローラーシューズ』のキャタピラを利用して高速

走行しながらノイズの目の前に行く。ノイズは当然攻撃しようと体当たりしてくるが、ビルドはブレードモードを高速回転させ、武器があるリーチを活かしてユニコーンの角を模したエネルギーを纏わせて相手を貫き、貫かれたノイズは炭化する。

 

「ガッ!?」

 

そして必殺技を発動した硬直が解かれて次に行こうとした時、後ろから巨人型の攻撃を受けて吹き飛ぶ。

 

「くっ・・・お前にはこれだ!」

 

体勢を立て直すとビルドは茶色の『ゴリラフルボトル』と水色の『ダイヤモンド』フルボトルを振って中の成分『トランジェルソリッド』を活性化、そのまま『シールディングキャップ』をすぐさま正面に固定させて素早くビルドドライバーにラビットフルボトルとタンクフルボトルを抜いて、入れ替える。

 

ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!

 

そしてビルドドライバーのレバー、『ボルテックレバー』を回すと再びドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがビルドの周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、茶色と水色の液体が流れると前後に二つのアーマーを形成。

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

戦兎がそう声に出すと赤と青のアーマーに重なるようにして新たなアーマーが重なる。重なると同じタイミングで赤と青のアーマーを粒子となって消え、そこには右腕に巨大な『サドンデストロイヤー』を持ったビルドと、左肩には『BLDプリズムショルダー』がある姿になる。

 

輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ…!

 

「ハッ!」

 

ゴリラモンドとなったビルドは巨人型の振り下ろしの攻撃に対して右腕で防ぐ。すると明らかに体格差があって押し潰されるはずのビルドが巨人型の攻撃を受け止めていた。

そして左拳で巨人型の攻撃を逸らし、今度は巨人型は右腕で振り下ろしを行うが、今度はビルドはダイヤモンドのような綺麗な光の防壁を貼ることによってノイズの攻撃を防ぐと今度はこちらがお返しとでも言うかのように防壁を解除すると共に右腕のサトンデストロイヤーで下から上への思い切りのアッパーカットで空に浮かす。

 

「フッ!」

 

空に浮かんでたノイズは落下してくるが、そこにビルドは構えて待っていた。そして落ちてきたと同時に再びアッパーカット、そのまま落ちてくる度にアッパーカットをしてダメージを与えていき、かなりダメージを与えたかと思うと今度は落ちてきたタイミングに合わせて真っ直ぐにぶん殴ってノイズを吹き飛ばす。

そして吹き飛んだノイズの方へと歩いていきながらビルドはレバーの『ボルテックレバー』を回して成分をより活性化。

 

Ready Go!

 

 

目の前に行くと左のダイヤモンドの腕でアッパーカットして空中に上げる。

すると、巨人型のノイズを巨大なダイヤモンドが閉じ込めて拘束、そのまま落下してくるとビルドはサドンデストロイヤーでダイヤモンドに瞬間的に強力なパンチを繰り出す。パンチが当たるとダイヤモンドは砕け、ノイズも炭化するのだった。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!

 

「ッ!」

 

今度はツバメのような巨大ノイズがビルドに突撃してくる。それを察知したビルドはダイヤモンドの防壁を貼ることでガードするが、少しダイヤモンドが削られてしまう。

 

「オリャッ!」

 

すぐさま反撃に出るビルドだが相手はすぐに飛んで回避。機動力がないのをあって当たらない。

そしてもう一人のノイズの芋虫型がビルドの近くに体液を吐き出す。するとそこから小型ノイズの人型1と2、蛙型が現れる。

 

「これは・・・ノイズを産み出せるのか!?」

 

すぐに飛び掛ってくる人型1と蛙型に隙が出てしまう右腕ではなく左腕で殴って対処していくが、だんだんと産み出されては飛び掛ってくるノイズ相手に後ろに下がったり防壁を貼ったりして防御していく。

このままじゃ埒が明かないと思い、別のフォームに変えたいが、人型2が持つ刃状の手で斬りにかかってきたり、ツバメ型のノイズが攻撃してきたりで変えれるタイミングが見つからずに敵をひたすら倒すことしか出来ないビルド。

だが、敵は一向に減らずむしろ増えてきたんじゃないかと思うレベルでノイズだらけになっているのを見て仮面の下で思わず戦兎は顔を顰める。

するとそこに―――

 

「オラァ!邪魔だ!」

 

ビートクローザーを片手に敵を倒しながら腕や脚を使ってノイズを倒してクローズが近づいてくる。

 

「!ナイスだ。万丈!」

 

クローズに気づくとノイズがクローズの方にも向かう。そうなるとビルドはフォームを変えれる隙が出てしまう訳で、ビルドは目の前に巨大な防壁を貼ってノイズの進行を防ぎ、新たなフルボトル、橙色のフルボトルでそれは鳥、鷹の模様を施されているかのようなフルボトル『タカフルボトル』とまるで兵器そのものの機関銃の模様を施されている灰色のフルボトル『ガトリングフルボトル』をビルドは取り出す。そして二つを振って成分を活性化、そのままシールディングキャップを正面にしてからゴリラフルボトルとダイヤモンドフルボトルをベルトから抜き、タカフルボトルを『ツインフルボトルスロット』の右側に挿れ、ガトリングフルボトルを反対側の左に挿入。

 

タカ!ガトリング!ベストマッチ!

 

そしてビルドドライバーのレバー、『ボルテックレバー』を回すと再びドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがビルドの周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、橙色と灰色の液体が流れると前後に二つのアーマーを形成。

それは新たなアーマー、鷹の羽根と目が目立つタカハーフボディと複眼は機関銃のような形がしているガトリングハーフボディ。

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

ビルドの声とともにその二つのアーマーが重なる。重なると同時に先ほどと同じように茶色と水色のアーマーは粒子となって消え、そのままビルドは新たなフォームへと変身する。

 

天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!

 

これこそが空中戦をもっとも得意とし、機動力が高いフォーム『仮面ライダービルド ホークガトリングフォーム』

 

そしてその右手に持つ武器はここに来る前に戦兎が修復したタカの意匠が入ってあり、機関銃の銃口と標準センサー、マガジン、トリガーがオレンジ色で他は黒色の武器。ホークガトリングの性能をもっとも活かせる『ホークガトリンガー』だ。

 

「フッ!」

 

ホークガトリンガーを持ちながらビルドはスライディングするように滑って『シッスクガンマズル』から着弾部分を爆発と共に消し去る殲滅光弾「バレットイレイザー」を発射する。

それが人型1に当たると炭化。

目の前に来たノイズには『BLDガンナーグローブ』の特殊火薬で覆っている爆発を伴うパンチで敵を吹き飛ばしていく。

そうして相手の数を減らしていきながらクローズの目の前に行く。

 

「オラ!オリャッ!」

 

ひたすら敵を殲滅しようと攻撃しているとクローズはビルドの存在に気づき、背中合わせになるようになりながら聞く。

 

「おい、なんでこんな増えてんだよ!」

 

合体してから量が減ったはずのノイズを見て万丈が聞いてくる。

 

「あの芋虫型のノイズが召喚してな・・・しかも空を飛んでるツバメ見たいなノイズが邪魔するせいで攻撃しづらいんだよ」

 

実際に芋虫型が召喚してからまるで連携するかのように攻撃してきたために反撃が大変だったために言う。

 

「じゃあこいつらは俺が何とかするから上のやつ頼む」

 

すると万丈がそんなことを言ってくる。

 

「行けるのか?」

 

そう言って今度は万丈に聞く戦兎。

 

「あぁ時間稼ぎぐらいなら行けんだろ。それに俺は空飛べないからな」

 

そう、クローズにはジャンプすることは出来ても空を飛ぶことは出来ないのだ。

 

「確かにそれもそうか。なら俺が来るまで耐えろよ!」

 

そう言ってからビルドは装着されている可変飛行ユニット。『ソレスタルウィング』を開くためにクローズから少し離れてから開く。

 

「ハッ!お前が来る頃には終わらせてやるよ!」

 

そんなクローズの頼もしい声を聞きながらビルドは空を未だに飛んでいるツバメのようなノイズを追うように空を飛んでいく。

そしてクローズはノイズを少しでも倒すために突っ込んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんのっ!」

 

空を飛んだビルドはツバメ型のノイズとの高速での空中戦を繰り広げていた。

ビルドはひたすら追いながらホークガトリンガーで射撃、対するノイズはそれを避けながら攻撃が出来るチャンスがあればビルドに突撃して攻撃を仕掛けていた。

 

「とっととやられなさいよ!」

 

攻撃を仕掛けてくるツバメ型のノイズを避けて掴むとホークガトリンガーを持った右手で叩き落とそうとするが、暴れてビルドを吹き飛ばす。吹き飛ばした瞬間ノイズはビルドにタックル、軽くさらに吹き飛ばした。

ビルドは鷹の翼を利用することで少しでも吹き飛ばないようにホバリングして軽減しつつすぐさまホークガトリンガーを連射する。

だがまるでツバメ型のノイズはわかってたかのように旋回して回避、ビルドに対してツバメとはいえ、大型のため巨大な羽根で回転してビルドに攻撃してくる。

 

「ぐうっ・・・!?こいつ他のノイズと何処か違う・・・!?」

 

ぐるぐると回転しながら落ちていき、ホバリングして体勢を戻すと相手のノイズを見る。

 

「ならッ!」

 

すぐに上空へと高く飛んでいき、あっという間に雲の上まで飛んで行くと、そのまま降下、回転しつつもホークガトリンガーで射撃することでツバメ型のノイズの範囲を逃がさないように弾丸が飛んでいく。するとそのノイズに出来ることはビルドに対して攻撃することしか出来なく、ビルドの”計算通り“に突っ込んでくる。

 

「よし・・・今だッ!」

 

すぐさま上空で高速回転、ツバメ型のノイズ方に脚を向けて右脚に隠している鋭い爪、『スカイクローシューズ』を展開する。ノイズは気づいたようで逃げようとするが、スピードで勝っているようで、ノイズの羽根を斬り裂く。

すると空を飛ぶのが保てなくなったのか、ダメージを受けて落下していく。

ビルドはそれを追ってノイズより先に下に行き、左手にガトリングを持ち変えると右腕部の『フライハイアーム』により、高圧エアを利用して高速で横に飛ばすようにパンチ、パンチした先に空気を蹴って高速で移動すればそのまま回転することによって突風を引き起こす。そして突風でノイズを上空へ吹き飛ばしながら落下するノイズより空に上がり、ビルドドライバーのレバー『ボルテックレバー』を回すことで成分をより活性化、活性化させながらホークガトリンガーの『リボルマガジン』を回転させる。

 

Ready Go!

 

テン!トゥエンティ!サーティ!フォーティ!フィフティ!シックスティ!セブンティ!エイティ!ナインティ!

 

音声とともに球状の特殊フィールドを形成、ツバメ型のノイズをフィールド内に隔離すると最後の一回を回転させる。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!

 

ワンハンドレッド!フルバレット!

 

音声と一緒にノイズに向かってトリガーを引く、すると銃口から数え切れないほどの弾幕が飛び、弾が出なくなると、被害が出ないようになっているフィールド内で爆発、炭化するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ビルドが倒した頃クローズは―――

 

「ハッ!オラ!おりゃあ!そりゃ!」

 

安心して攻撃に転じれるため、ひたすらノイズを炭化させて大型の芋虫型ノイズの目前まで来ていた。

すると芋虫型のノイズが体液を吐き、またノイズを増やした。

 

「またかよ!?クソッ!」

 

また突撃しようとした時だった。

空中から弾が飛んできて生まれたばかりのノイズがまとめて倒された。

 

「あっ!?」

 

見たことがある攻撃にクローズが上を向くとクローズの目の前で鷹の翼を縮めて元の大きさに戻してから地面に降り立つビルドの姿だった。

 

「倒したのか?」

 

ビルドの隣に行くと一瞬だけビルドの方を見るクローズ。

 

「あぁ、バッチリだ」

 

そんなクローズに対してホークガトリンガーを目の前に構えながら頷く。

 

「そうか。なら後はあいつだけだな?」

 

敵の数に自信がないクローズはビルドのそう聞く。

 

「お前が二体倒したんだったら最後だよ。それよりも一気に行くぞ」

 

ラビットタンク!イエーイ!

 

ホークガトリングからラビットタンクに戻るビルド。

 

「おう!」

 

ビルドの声に返事をすると、二人はビルドドライバーのレバー、『ボルテックレバー』を回して成分をより活性化させる。

 

Ready Go!

 

音声とともに二人のライダーは高く飛び、ビルドはレールに乗るようにジャンプしてキックの体勢に、クローズは背後に『クローズドラゴン・ブレイズ』が出現し、キックの体勢になる。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

必殺技の音声が鳴るとビルドはそのまま滑るようにしながらライダーキック。

クローズは出現した『クローズドラゴン・ブレイズ』の吐く火炎に乗り、蒼炎を纏った右脚でボレーキック。

まだ少しいるノイズが攻撃してくるが、二人のライダーキックを止める術は持たずに炭化、大型の芋虫型ノイズの胴体と下半身を二人のライダーキックが貫いてノイズは爆発。こちらも炭化したのだった。

 

「よっ、と。ふぅ〜・・・ようやく終わったな」

 

着地するのと同時にビルドは少し疲れた様子で一息。

 

「だぁ〜!疲れたぁ〜!」

 

クローズは地面に背中を付けて倒れるようにして言う。

 

「さて、倒れてる所悪いが、すぐに行くぞ?」

 

ビルドフォンを取り出してライオンフルボトルを挿入してから傍に投げる。

 

ビルドチェンジ!

 

バイクへと変化させるとバイクとなったマシンビルダーに跨る。

 

「あ?何処にだよ?」

 

立ち上がりながらビルドの傍へと近づく。

 

「拠点だよ。変身したままとっとと乗れ」

 

クローズを早くするように急かす。

 

「お、おう」

 

素直にビルドの後ろに跨り、乗ったことを確認したビルドはそのままマシンビルダーを走らせようとして―

 

「あ、そうだ」

 

思い出したかのようにタカフルボトルと太めの赤色のモバイルバッテリーを取り出すビルド。

 

「ん?戦兎、それってなんだよ?」

 

クローズが気になったようで後ろから覗いて見てくる。

 

「俺の発・明・品!まぁ見てなって」

 

そう言いつつもモバイルバッテリーの裏面にあるフルボトルスロットにタカフルボトルの成分を活性化させて挿入する。

すると―――

 

 

 

 

 

リカナザスホーク!

 

音声とともに変形、そこには自動でモバイルバッテリーの状態から両横が蓋でも開けるかのように上に開くと両翼のような翼が生えて広げ、上面から後ろに倒れるかのように魚の尻尾のようなモノを生やしたものへと変わり、開いた上面の所から可愛らしい顔のようなモノが前に倒れるかのようにして出てきて変形する。

実はこれが桐生戦兎が武器を二つしか直すことが出来なかった最大の理由でもある。

 

「おぉっ!?な、なんだこれ!?」

 

相棒が自分の知らないところでまたよく分からない物を発明していたことに仮面の下で驚いた表情しつつ反応をする。

 

「名前はまだ決めてないが・・・そうだな。今すぐ決めるのだったら『タカアウランティウムモバイル』かな?」

 

と、名前は考えてなかったようでうーんっと少し唸ってから咄嗟に考えた名前を言ってみる。

 

「あぁ?たかあらてぃ・・・なんだ?」

 

名前を自分でも言ってみようと思ったが、よく分からずに途中で首を傾げるクローズ。

 

「タカアウランティウムモバイルな?」

 

名前がわかっていないクローズに向かってもう一度言うビルド。

 

「お、おう・・・で、これは何するためのモノなんだよ?」

 

結局名前を呼ぶのを上げてこれ呼ばわりしながらもどういうことをするためなのか気になるようで聞いてくる。

 

「はぁ・・・これはちっとある奴らを監視するための発明品だよ。心配はしなくとも日常を監視するわけじゃない」

 

ため息を吐きながらこいつ名前覚えれてないなと心の中で思いながらもバカだし仕方がないか、と納得してしまう。

そしてどういったことに使うかビルドは説明する。

 

「監視?なんで監視すんだよ?ってか監視するならどんな機能あるんだ?」

 

誰を監視するのか、どんな機能があるか知らないクローズは気になるからかすぐに聞いてくる。

 

「そこは後で教える。機能については・・・見た方が早いか。じゃあタカちゃんさっきノイズの反応があった場所に行ってくれるか?」

 

『ヒュー!』

 

『分かった』とでも言うように鳴き声を出すとタカフルボトルを使ってるだけあってタカちゃんはかなりの速度で浮かんで飛んでいく。しかも透明になりながらだ。

 

「はっ?消えた!?」

 

かなりの速度で移動したのもだがクローズは消えたことに驚いたようだ。

 

「消えたのは俺が搭載した機能、ステルスだよ。もちろん他にも俺のビルドフォンにタカちゃんの位置、何処に移動しているかが分かるようになってる。そしてタカちゃんには俺のビルドフォンの位置が分かるような機能を付けていて戻ってこいとか簡単な命令ならばどれだけ離れていても出来るぞ。それにあれは監視するために作ったものだから当然リアルタイムで音声と映像も一緒に撮影出来てどうでもいい音声はビルドフォンから操作すれば周りの騒音を消して会話とかだけを聴くことも可能だ。すごいでしょ?最ッ高でしょ?天才(てぇんさぁい)でしょ!?」

 

早口で捲し立てながら説明しつつ、いつもの口癖を言いながらビルドは拠点がある方へとバイクを走らせていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなたと私戦いましょうか。』

 

そう言って響に剣を向ける翼。

 

「な、何をやっているんだ、アイツらはッ!おい、やめるんだ、翼!」

 

その様子を見ていた弦十郎は司令室で思わず声に出して言ってしまう。既に映像はまるで妨害をかけられてるかのようにビルドたちの戦闘は見れても声は聞こえてなく、映像は消えており、一つの画面のスクリーンになっている

 

「青春真っ盛りって感じね」

 

「ったく・・・」

 

翼の突然の行動に驚いたのは響だけではない。

特異災害対策機動部二課の職員全員が同じような反応を示していた。

 

「司令、どちらへ?」

 

仕方なくエレベーターに乗り込む弦十郎に端末を操作していた友里が聞く。

 

「誰かがあのバカどもを止めなきゃならんだろうよ!」

 

周りにノイズが既にいない。ならばこの男が行けばどうなるか、察しのよい読者は分かるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え・・・ふえ・・・?そ、そういう意味じゃありません!私は、翼さんと力を合わせ―――」

 

困惑しつつも少し焦ったように言葉を紡ごうとすると――

 

「わかっているわ、そんなこと」

 

言葉を遮ってまで答えてくる翼に。

 

「だ、だったらどうして?」

 

ますます響は困惑が隠せなくなっている。

 

「・・・私があなたと戦いたいからよ。私はあなたを受け入れられない。力を合わせあなたと共に戦うことなど、風鳴翼が許せるはずがないッ。あなたもアームドギアを構えなさい。それは常在戦場の意思の体現。あなたが何者をも突き通す無双のひとふり、ガングニールのシンフォギアを纏うのならば・・・。―――胸の覚悟を構えてごらんなさいッ!」

 

「か、覚悟とか、そんな・・・わたし、アームドギアなんてわかりません・・・」

 

自分の胸に手を置きながら言葉を紡ぐ。

 

「わかっていないのに構えろなんて、それこそ、ぜんぜんわかりませんッ!」

 

そう言ってくる響に対して翼は剣を降ろす。

彼女とは恐らく相容れない。ならばここで彼女の戦う意思を折る他道はないだろう。

そのまま後ろを向いて歩き出す。

 

「覚悟を持たずに、のこのこと遊び半分で戦場に立つあなたが・・・奏の―――奏の何を受け継いでいると言うのッ!」

 

顔だけ響の方へと向けると睨むように見る。

 

『―――去りなさい!無想に猛る炎 神楽の風に滅し散華せよ 闇を裂け 酔狂のいろはは唄よ

 

凛と愛を翳していざ 往かん…心に満ちた決意真なる勇気胸に問いて嗚呼絆に

 

すると翼はその場で空高くジャンプ、そのまま剣を空中で投擲させると蒼ノ一閃を越えるほどに二回り、三回りは超えるであろうかと思われるくらい巨大化させる。

そして柄のない諸刃の鍔に当たる部分からは六基のバーニアが点火、その中央を脚部スラスターのバーニアを点火させ、勢いをつけてまるでライダーキックのように蹴り込む。

 

天ノ逆鱗

 

合計八基のバーニアの推進力により、凄まじい速度で加速していく諸刃での一撃。

逆鱗に触れ、天から龍でも落ちてきたかのような一撃、そして歌を唄っているからしてどれだけ本気で心情を表しているか分かるだろう。

 

すべてを賭した閃光の剣よ―――』

 

それを目にして呆けている響は目と鼻の先になる。だが生身ならともかくシンフォギアを纏っているのであれば死ぬことはないだろう。せいぜい怪我をするくらいだ。

すると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンッ!」

 

突如赤い服と髪をした筋骨隆々とした男性が翼と響の間に割ってはいる。それも”生身”でだ。

その男性は天ノ逆鱗を拳一発で受け止めて霧散、余剰の力を中国拳法で知られる発勁で打ち消し、驚いて弾かれる翼を見ながらそれだけでは収まらずにアスファルトが砕け、周囲の地面は一気に砕けて、排水溝からは水が吹き出てるレベルで周囲に被害が及んでいる。そして後ろにいた響は座り込みながら驚いてシンフォギアを纏っていない状態に戻っていた。

まさに正真正銘の化け物である。

 

「あ〜あ、こんなにしちまって・・・何をやってるんだお前たちは」

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

響は未だによく分からないままつい謝ってしまう。

 

「この靴高かったんだぞ?一体何本も映画が借りられると思ってるんだ?」

 

とむしろ何故靴だけで済んでるのかと言いたいレベルなのだが―――

 

「らしくないな、翼。ろくに狙いもつけずにぶっ放したのか、それとも―――お前泣いて?」

 

翼に対して言葉を呟きながら目の前まで近づく。すると少し驚いたような表情をしてからまるで聞くかのように呟く。

 

「―――泣いてなんかいませんッ!」

 

「涙なんて、流していません・・・。風鳴翼はその身を剣と鍛えた戦士です・・・。だから・・・ッ!」

 

「翼さん・・・」

 

弦十郎が翼をそっと立ち上がらせる。

 

「あの!私、自分が全然ダメダメなのは分かっています。だから、これから一生懸命がんばって―――奏さんの代わりになって見せます!」

 

「ッ!」

 

その響の言葉に翼は唇を噛み締め、響の頬にビンタをする。だが目から流れているものは明らかにただの水ではなく涙で―――

響の胸の中には涙を流す翼の姿が痛く響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その姿を戦兎が作ったモバイル型のガシェット、タカちゃんがステレスによって隠れてその光景を全て撮り、自分自身でもうこれ以上は居ても何も無いだろうと戦兎のビルドフォンの位置を探して自ら戦兎たちが居る方へと帰っていくのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎side

 

 

そして戦兎たちは今、変身を解除してボロボロな空き家の目の前にいた。

 

「・・・戦兎?なんだこれ?」

 

目の前の家が拠点なのかと思いたくないのか、つい戦兎に目の前の家がなんのか尋ねる万丈。

 

「拠点だが?贅沢言うんじゃないよ。ここは新世界だ・・・つまり明らかなイレギュラーとしてこの世界に残った俺と恐らくエボルトの遺伝子が原因でこの世界に残った異物。万丈はこの世界の万丈の戸籍がある。なら俺たちには戸籍も住居もないってわけだ。それに中に入ったらどうかわかるさ」

 

そう言って戦兎はミシミシと音が鳴るドアを開けて入っていく。ビルドフォンにライトフルボトルを挿して周りを明るくしながらだ。

 

「そ、そうか・・・ってちょっと待ってくれよ!?」

 

納得したような納得してないよな表情で居ると戦兎が置いていって先々行ってるのが分かって慌てて後ろにつく万丈。

 

「確かにこの家はボロボロだけどその代わりに旧世界でもあったように家を荒らされる心配はないだろ?」

 

そう言いつつ冷蔵庫の目の前で戦兎は止まる。

 

「いてっ!おい急に立ち止まんなよ」

 

文句を言いつつ立ち止まった戦兎の隣に行くとそこには冷蔵庫があり――

 

「ってお、おい・・・まさか・・・」

 

何処か気づいたような様子の万丈、なぜならこれはまさしく旧世界で自分たちが拠点にしてたようなところで---。

 

「そうだよ。多分お前が考えてる通りだ」

 

そう言って下の方の冷蔵庫を開ければ、そこには人が通れるような通路があり、戦兎は迷わずに入っていく。後ろの万丈にドアを閉めるように注意しながらだ。

 

「あ、おい!」

 

相変わらず置いてきぼりになる万丈ぱ慌てて入る。言われた通りにしっかりとドアを閉めつつ戦兎の後を追う。するとそこには旧世界とは別で大きな浄化装置や広さはないが見慣れた十分旧世界と同じような配置で―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「nascitaの地下の秘密基地じゃねぇか!?」

 

万丈は驚いた様子で声を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、万丈これで分かったろ?」

 

ここが新世界で仮面ライダーはなく、旧世界とは別の脅威ノイズが居ることやノイズとやらの能力に存在。自分が今特異災害対策機動部という組織からこれ以上旧世界のように戦争を起こさないように仮面ライダーの力が狙われることを警戒して逃げていること、ある特別な少女たちが仮面ライダーのような戦う力(シンフォギア)を持っていること、シンフォギアの力について、自分はこの新世界で人々を守るために仮面ライダーとした戦ってたこと。

それを数時間かけて何度もしてようやく万丈に説明を終えた。

 

「つまり・・・仮面ライダーの力は知られないようにノイズと戦えばいいってことでいいのか?」

 

確認するように戦兎に確認する万丈。

 

「あぁ俺たちの正体も、だ。旧世界についても絶対に話すなよ?」

 

念押しに言っておく。

 

「お前がそういうなら話しちゃ危険だったりするのか・・・。分かったよ」

 

実際には信頼も出来ない組織の連中やシンフォギアというハザードレベルが高い仮面ライダーと互角に渡り合える明らかな危険なモノを使っている奴らをまだ信用出来ないからだ。もちろん彼らが人々を守るために戦ってはいるのは見た感じそうだろうが、それでも捕まれば仮面ライダーの情報を取られるしその組織に黒幕、またはスパイがいる可能性があるからだ。彼は旧世界での経験を生かして今こういった行動を取っている。

 

「悪いな。恐らくここに来ちまったばかりなのにこんなこと言って」

 

今まで万丈の姿を見なかったことから推測して言う。何故かと言うとこの男も昔ならともかく今なら他人のために戦えるからこそ今までノイズが出現して現れないのはおかしいのだ。まぁ本人には言わないし現れたとしてもフルボトルは俺が持っていたせいで変身出来ないことには気づいてなかったようだが。

 

「気にすんなよ。俺はここのことはよく分からねぇからな・・・お前に従うだけだ」

 

「そうか・・・じゃあこの辺りで話はやめるか。それじゃ、万丈お前風呂入った方がいいぞ?旧世界と構造は同じだから分かんだろ。タオルとか服は適当に見積もって何枚か買ってるからそれ使ってくれ。あとズボンのチャック開いてるぞ」

 

汚れていて匂いも少し臭い万丈に向かってそう言う。

 

「お、おう分かった―――ってはぁ!?おい!いつから開いてたんだよ!?」

 

風呂に入るためた本当かどうか確かめるために立ち上がるとズボンのチャックが思い切り開いていた。

 

「エボルトとの決戦前から」

 

冷静にそう言ってくる戦兎に対して万丈は・・・。

 

「そんな前から!?なんで言ってくれないんだよ!?」

 

驚いた反応をしつつ戦兎の肩を掴む万丈。

 

「なんで言わなきゃならないんだよ?自分で気づけこのバカ!」

 

全く持ってその通りなことを万丈に言う。

 

「ば、バカってなんだよバカって!せめて筋肉つけろよ!」

 

何も言えなくなった万丈はバカと言われたことを文句言う。戦兎の強く肩を揺らしながら。

 

「おいバカ!揺らすな!ってかとっとと風呂いけ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして二人の旧世界でよくやってたコントをしつつ戦兎と万丈の二人だけの場合のいつもの日常は帰ってきたのだった―――。

 

 

因みに部屋は万丈が風呂に入っている間に調子に乗って旧世界と同じレベルで増築して広げすぎたと変身したまま後悔する天才物理学者の姿があったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





あらすじ雑になっちゃった……!?

そしてやべーやつ登場。エボルトが憑依したら勝てるライダー下手したら居ないな……。だってこいつ……いつも不意打ちとか惚れた男の弱みとかでしか負けてないんですよ?

今回出てきたツバメは仮面ライダーあるある初期登場だけ強いパターンになる可能性出てきそう…

因みに今回出てきたオリジナルアイテム『タカアウランティウムモバイル』ですが、イメージはタカウォッチロイドです。
そしてアラウンティウムはラテン語で(確か)オレンジを意味します。
リカナザスホークはホークはそのままタカを英語に、リカナザスは英語の『reconnaissance』つまり日本語で偵察ですね。私のクソゴミ英語力があっているのであれば多分…!

そしてやっとやりたかったすごいでしょ?最高でしょ?天才でしょ?と発・明・品!出来た……逃走させたせいでやる相手がね…?


アンケートですが、もうどうなってもほぼ作者に任せる確定なので締め切らせて頂きます。アンケートしてくださった方々ありがとうございました。

もう一つまたアンケート取らせていただきます。因みに物語には影響ないです。タグにもある通りに何度も言いますけど瞬瞬必生なので。
その場その時に瞬間瞬間必死に書いてるんだッ!(睡眠時間削りながら)



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第九話 夜にすれ違う


何とか間に合いました。
説明回だと文字数が伸びないなぁ……。出来れば1万文字安定させたかったけど。
そしてお気に入り登録がかなり増えてとても嬉しいです。とりあえずの目標は100目指すことなので……まだ全然シンフォギア最初なのにお気に入り登録されてあるのはやる気出ますからね。
そして毎秒投稿しろって言われたい…!

そしてXDでは三人娘実装されましたね。私はイノセントシスターがまだなのでそれをするのに時間かかっております。
セレナ可愛い。可愛いくない?


ではあらすじどうぞ。






戦兎「前回は短かったからあらすじしっかりするぞ。普通の女子高生である立花響はガングニールのシンフォギアを纏い、戦う運命に―――って今度は台本変えたの誰だよ!」

万丈「実は俺だ」

響「実は私です」

未来「えっ?えっと私です?」

翼「と思わせておいて実は私だ」

了子「私かも知れないわよぉ?」

戦兎「いや結局誰だよ!?了子さんに至ってはあんたはまだ俺たちと出会ったこともないでしょうが!なんでノリノリについてこれてるんですか!?未来を見習ってくれ・・・」

了子「いいじゃなぁい?別にここはあまり本編とは関係ないんだから!」

未来「そ、それは言ったらダメなような・・・?」

翼「事実ではあるからな・・・問題ないのではないか?」

響「確かに私と翼さんに至っては今話しづらい状況のはずですもんね!」

万丈「戦兎に至ってはビルドの姿でしか翼と出会ってないしなぁ・・・」

戦兎「ちょっ誰か他にストッパー居ないのかよ!?一人ぐらい俺以外に誰か突っ込みに回りなさいよ!1人じゃ処理しきれないからな!?もう!早く本編行っちゃって!」




 

 

 

 

 

(翼さん・・・泣いてた・・・。わたし、何か間違えちゃったのか・・・な・・・)

 

そんなことを考えているとだんだんと瞼が重たくなり、開けられなくなって目を閉じてしまう。

 

「・・・響、寝たら間に合わないよ」

 

すると目を閉じている響に気づいた未来が注意する。

 

「うん・・・」

 

わかってはいるのか、返事をする響。

 

「そのレポートさえ提出すれば、追試免除なんだからさ」

 

「わかってはいるんだけど・・・はぁ・・・」

 

そう言いつつも響はどこか疲れた様子で身体を起こさない。

 

「だから、寝ちゃだめなんだって」

 

再び未来は注意はするが---。

 

「寝てないよぉ・・・起きてるよぉ・・・。ちょっと目をつぶってるだけ・・・」

 

と、よくそんなことを言って寝ようとしてる人が言いそうな言い訳をする。

 

「最近、なんだか疲れてるみたいだけど・・・」

 

するとその様子を見ていた未来が心配そうに見つめながら言う。

 

「へいき・・・へっちゃら・・・」

 

いつも彼女がよく使うもうひとつの言葉を言いつつ返事をした。

 

「・・・もう、仕方ないなぁ。そんなところで寝たら風邪ひいちゃうんだから」

 

起こすのは諦めたのかせめてここでは寝ない方がいいと言うが……響は動く様子を見せない。すると彼女のアラームが鳴り始めて響は携帯を取って見る。そこには『二課で定例ミーティング17:30〜』とメールで書かれていた。

 

「あっ・・・」

 

「まさか、朝と夜間違えてアラームを設定したとか?」

 

「あ、あはは・・・」

 

どこか誤魔化すように笑う響。

 

「夜間外出とか、門限とかは私でなんとかするけど・・・」

 

「う、うんごめんね・・・」

 

迷惑をかけてることは響は分かっているため謝る。本当ならば素直に話したいが未来に危険が及ぶと思うと話せないのだろう。

 

「こっちの方はなんとかしてよね?前に話した一緒に流れ星見ようって話しのこと、響は覚えてる?」

 

そう言ってパソコンを響の方へと向けて画面を見せる。それは流れ星のようで。

 

「ん?えーっと・・・何だっけ?」

 

未来は知らないが、響は自分の周りで非日常なことが起こりすぎていたため、流れ星については分かっているが、記憶からうろ覚えになっていたようだ。

 

「こと座流星群。もう・・・一緒に見ようって約束したでしょ。山みたいにレポート抱えてちゃそれも出来ないでしょ?」

 

「あっ・・・う、うんなんとかするからッ。だからごめん・・・」

 

そう言って立ち上がると着替えにいく。

 

「・・・もう、ほらバンザイして」

 

苦戦している響の目の前に行くと、よく分からないことになって着替えに時間かかっている響を手伝う。

周りから見ればそれはまさにお母さんみたいに見えるだろう。

 

「私このままじゃだめだよね・・・」

 

突然彼女がそんなことを言い出す。

 

「ん?」

 

急に言い出した響に未来は聞き返す。

 

「しっかりしないといけないよね・・・。今よりも。ずっと、きっと、もっと・・・」

 

「・・・・・?」

 

なんのことか分からない未来は首を傾げたのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなりましたー」

 

言葉とともに響は自動ドアを潜る。

 

「すみません・・・」

 

そう言って小走りに了子の目の前に行くと謝る響。

 

「では。全員揃った仲良しミーティングを始めましょ」

 

ちらっと翼の方を見る響。そこには目を閉じて黙って飲み物を飲んでいる翼の姿で---二人の中で間違いなくギスギスとした雰囲気があった。

 

「さて、モニターを見てくれ。どう思う?」

 

「・・・いっぱいですね」

 

ちらっと見た響が即答する。何故ならモニターを見るとそこら中が赤くなっていたからだ。

 

「はは、その通りだ。さて、ノイズについて響くんが知っていることは?」

 

素直な反応をする響に笑いながらもノイズについて何処まで知っているのか聞く。

 

「テレビのニュースや学校で教えてもらった程度ですが・・・まず無感情で、機械的に人間だけを襲うこと」

 

言いながら響は一つ目と示したいのか、人差し指を立てる。

 

「そして、襲われた人間が炭化してしまうこと」

 

次に二つ目と示すかのように中指も立てる。

 

「時と場合を選ばずに、と突然現れて周囲に被害を及ぼす、特異災害として認定されていること・・・」

 

三つ目と示すように薬指までも立てる。そんな響の様子を周りは優しそうな表情と視線で見ていた。

 

「意外と詳しいな」

 

少し意外そうな表情で弦十郎が呟く。

 

今まとめているレポートの題材なんです」

 

えへへと照れているかのように響は後部を撫でて言う。

 

「そうね。ノイズの発生が国連での議題に上がったのは今から13年前のことだけど、観測そのものは前からもっとあったわ。それこそ、世界中に太古の昔から」

 

説明する了子に続くように弦十郎も続けて言う。

 

「世界の各地に残る神話や伝承に登場する数々の異能は、ノイズ由来のものが多いだろうな」

 

「ノイズの発生率は決して高くないの。この発生件数は誰の目から見ても明らかに異常事態」

 

すると僅かに考えるかのように少しだけ目を閉じ、すぐに目を開ける了子。

 

「だとすると・・・そこに何らかの作為が働いていると考えるべきでしょうね」

 

そう言って結論を出す。

 

「作為・・・ってことは、誰かの手によるものだというんですか?」

 

それは奇しくもある天才物理学者が考え、信じたくなくて否定した言葉とまるで同じであった。

 

「・・・中心点はここ。私立リディアン音楽院高等科。我々の真上です。サクリストD---デュランダルを狙って何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」

 

すると突然今まで黙って目を閉じて飲み物を飲んでいた翼が目を開けて言葉を紡ぐ。

 

「あの、デュランダルって一体・・・?」

 

この中で唯一特異災害対策機動部二課に入ったばかりで知らない響はどういうのか分からないため聞く。

 

「この二課の司令室よりも更に下層、アビスと呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理下にて我々が研究している、ほぼ完全状態の聖遺物。それがデュランダルよ」

 

今までモニターを端末にて操作していた友里が説明をする。

 

「翼さんの天羽々斬や響ちゃんの胸のガングニールのような欠片は、力を発揮するのにその都度装者が歌ってシンフォギアとして再構成させないと、その力を発揮できないけれど、完全状態の聖遺物は一度起動した後は100%の力を常時発揮し、さらに装者以外の人間も使用することができるであろうとの研究の結果が出ているんだ」

 

と続きを藤尭が言う。

 

「それが私の提唱した櫻井理論ッ!だけど完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね」

 

そう言いながら了子は両手を広げてやれやれと言った感じにする。

 

「ん、ん〜・・・?」

 

難しくていまいちパッと来ない響は首を傾げる。

 

「あれから2年。今の翼の歌ならば、あるいは・・・?」

 

立ち上がりながら弦十郎はそう呟く。

 

「ッ」

 

目を再び閉じると翼は飲み物を飲み干すように傾ける。

相変わらず二人の間にはギスギスとした雰囲気が漂っていた。

 

「そもそも起動実験に必要な日本政府からの許可って下りるんですか?」

 

その間にも友里がそんなことを言っていた。

 

「いや、それ以前の話だよ。安保を楯にアメリカが再三のデュランダルの引き渡しを要求してきているらしいじゃないか。起動実験どころか、扱いに関しては慎重にならざるをえない。下手を打てば国際問題だ」

 

すると藤尭がそんな友里に許可を取れる取れないの問題ではなくそれ以前の話をする。

 

「まさかこの件、米国政府が糸を引いているなんてことは・・・?」

 

そんな話を聞いていた翼は既に飲み終えて空っぽになっている紙コップをメキッと音ともに握り潰す。

 

「調査部からの報告によると、ここ数ヶ月の間に数万回に及ぶ本部コンピューターへのハッキングを試みた痕跡が認められているそうだ。さすがにアクセスの出処は不明。それらは短絡的に米国政府の仕業とは断定出来ないんだ」

 

さっきの了子と同じように両手を広げながら言う弦十郎。ある彼のために言っておくと、何処かの天才物理学者は何もしていない。全く関係ない話である。

 

「もちろん痕跡は辿らせている。本来こういうのこそ、俺たちの本領だからな」

 

「・・・風鳴司令。お話中のところすみません」

 

緒川が謝りながら翼の方へと近づく。

 

「あ、そろそろか・・・」

 

思い出したかのようにそう言う弦十郎。

 

「翼さん。今晩は、アルバムの打ち合わせの予定が入っています」

 

仕事のスケジュールを翼に伝える緒川。

 

「ほえ・・・・・?」

 

呆けたような表情をしながら響がきょとんとする。

 

「表の顔では、アーティスト風鳴翼のマネージャをやっています」

 

眼鏡を掛けながら響にそう言うと名刺を取り出してスっと差し出す。

 

「わあ!名刺もらうなんて初めてですッ!こりゃまた結構なものをどうもッ!」

 

名刺を受け取りながら元気よく受け取る響。

 

そして翼と緒川はそのまま出口に行き、退出する姿を見送る。そして弦十郎が椅子に座る。

 

「私たちを取り囲む脅威はノイズばかりではないんですね」

 

座った弦十郎の方を見ながら響が思ったことを口に出す。

 

「うむ」

 

すると頷きながら弦十郎がどこかどうしようもないことに関して少し悲しそうな表情になる。

 

「どこかの誰かがここを狙ってるなんて、あんまり考えたくありません」

 

響は信じたくないような不安そうな表情をする。

 

「大丈夫よ。なんたってここはテレビや雑誌で有名な天才考古学者櫻井了子が設計した、人類史最後の砦よ。先端にして異端のテクノロジーが悪いやつらなんか寄せ付けないんだから」

 

安心させるように笑顔でそう言ってくる了子。

 

「よろしくお願いします」

 

その言葉を信じるように安心して笑顔で響は頭を下げながらお願いするのだった。

 

「うん」

 

そんな響に対して了子は笑顔で返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次に、月末に予定しているライブですが・・・。あまり時間がありません。あとでリハーサルの日程表に目を通しておいてください」

 

歩きながらメモを読んで翼に予定や情報を伝えていく。

 

「それから、例のイギリスのレコード会社からのお話ですが・・・」

 

その言葉に翼は振り返る。

 

「その話は断っておくように伝えたはずです。私は剣。戦うために歌を唄っているのにすぎないのですから」

 

翼はまるで怒っているかのような言い方と表情をしていた。

 

「翼さん、怒っているんですか?」

 

そんな翼に気づいた緒川は少し首を傾げるようにしながら聞く。

 

「怒ってなんかいません!剣にそんな感情など備わっておりません」

 

そう言うと翼は歩き始める。

 

「感情がなかったら、歌が歌えないと思うんだけどな・・・」

 

メモを懐に直すと緒川は走って翼の元へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして私たちは・・・」

 

両手で飲み物を持っている響が休憩している時に言い出す。

 

「ん?」

 

その言葉に了子は飲むのをやめて反応する。

 

「ノイズだけでなく、人間同士でも争っちゃうんだろう?どうして世界から争いはなくならないんでしょうね?」

 

顔を少し俯かせながら暗い表情で言う響。

 

「―――それはきっと、人類が呪われているからじゃないかしら?」

 

響の耳元で囁くように呟くと、了子は響の耳をはむっと咥える。

 

「ひゃああああああ!?」

 

思わず驚いて響は立ち上がって離れる。

 

「あら、おぼこいわね。誰かのものになる前に、私のものにしちゃいたいかも」

 

面白そうな表情でそう言ってくる了子。

 

「うぅ・・・」

 

周りはそんなからかう了子に苦笑いするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒュゥ〜!」

 

ある家の目の前にタカのような見た目をしたのが居た。それは先ほどビルドに変身していた戦兎が放ったモバイル型偵察ロボ、『タカアウランティウムモバイル』通称タカちゃん(戦兎命名)だ。

タカちゃんはまるで意識があるかのようにその家の扉を開けて閉める。

すると暗いにも関わらずにタカちゃんは迷わずに冷蔵庫を開ける、しっかりと閉めてから階段を降りると―――

 

 

 

 

 

 

 

何故か子猫と格闘してる万丈の姿と呆れながら万丈と子猫の様子を見ている自分の主人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「万丈・・・お前いつまでやるつもりだよ?」

 

呆れながら言うのはタカちゃんを作った天才物理学者である桐生戦兎。

 

「あ?んなのはこいつに言えよ!」

 

そう言って猫に指を刺しながら文句を言うのは万丈龍我。主人の相棒らしい。

 

「ふしゃ〜!」

 

そして未だに万丈を威嚇しているのは主人が助けた女の子から受け取って育ててる猫みたいだ。

 

「なんでこいつは俺だけ引っ掻くんだよ!?」

 

どうやらただ猫に引っ掻かれているだけの様子。

 

「猫は縄張り意識が強いからな。意外にヤキモチを妬くから他のやつを受け付けない傾向があるんだよ」

 

流石主人。自分に様々な機能をつけて作っただけある頭脳の良さがある。本人は天才物理学者らしいが、天才科学者でいい気はする。

 

「こういう時どうしたらいいんだ?」

 

分からないようで主人に聞いている万丈。『流石に主人も分からないんじゃないだろうか?』その思いはすぐに消えることになる。

 

「まず大声を出さないようにする。追いかけまわす、じっと見る、無理にかまうをしたらだめだ。一度警戒するとなかなか猫は警戒心を解かないからな・・・。そして猫を刺激しないようにゆっくり行動する、同じ目線で話す、おやつやエサをやる、自分から触りにいかない、優しい口調ってのが話すが一度いいかもな。あとは猫から来て貰うのをじっくり待って懐いて貰うしかないな」

 

少し長々と言うと猫の特徴をだいぶ知っているようで正しいであろうことを主人は言う。

 

「お、おう・・・分かったぜ」

 

納得したかのように頷くと万丈が寝転んで同じ目線になる。じっと長く見つめないようにもしているようだ。

『というかいつまでもこうしていても意味がないだろう。主人に情報を送るためにも主人の元へと行かねば』と思うとステレスを切って主人の傍へと戻る。

 

「ヒュー」

 

傍に行くと猫を驚かせないように小さな声で鳴く。

 

「ん?タカちゃん戻ったのか?無事に戻ることも出来るとは・・・流石俺の発明品だな?」

 

そう言いながら戦兎はタカちゃんを優しく撫でる。心做しか気持ちよさそうな顔になっているようにも見える。

 

「ちゃんとどうなったか確認出来たか?」

 

「ヒュァ」

 

すると頷くように動けば置いてあったビルドフォンに目から光を出してビルドフォンに当てるタカちゃんに搭載されている『センディングホークアイ』だ。目から録画、保存したものを送ることが可能で、録画と保存する際にもこれが使われる。そしてデータを送る際は目から光を出す。

そしてしばらくするとデータの送信を終えたのか目の光が消える。

 

「終わったかな?」

 

ビルドフォンを開けて動画ファイルを開ける。すると明らかに鎧を纏っている姿が見えたため問題ないみたいだ。

 

「よし、ちゃんと出来てる」

 

もう一度褒めるように頭を撫でる。

 

「ヒュー♪ヒュゥ」

 

嬉しそうに一度鳴けば疲れたのか翼を縮めて裏を見せる。

 

「ん?あぁ・・・戻りたいのか。じゃあまた必要な時頼む」

 

行動に納得するとタカフルボトルを抜く。抜いた瞬間頭や尻尾も収納され、誰がどう見ても裏面を見ない限りただのモバイルバッテリーにしか見えない形へと戻る。戦兎はそれを手に取るとビルドフォンの収納アプリでなおし、ヘッドホンを繋げると先ほどのビルドフォンの録画を見始める。・・・未だに猫に警戒されないようにしようと格闘している万丈を放置して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仰ぎ見よ太陽よ よろずの愛を学べ」

 

朝になると、リディアン音楽院にて歌を唄っている生徒たちがいた。そこには響の姿もあり、響は廊下を歩く翼を見つける。

 

「朝な夕なに声高く」

 

「あっ・・・」

 

唄うのをやめて翼の方を見てしまう。

 

「立花さん!?」

 

すると先生が怒鳴る。

 

「うぃ・・!」

 

「はぁー・・・・」

 

その様子を見ていた未来が心配そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人類は呪われている!」

 

昼になるとレポートをノートに書きながら急にそんなことを言い出す響。周りにはいつものグループがいる。

 

「むしろ、私が呪われている!」

 

そんなことを言いながらも創世にウインナーを食べさせて貰い、弓美にはだし巻き玉子を食べさせてもらう。

 

「ほら、おバカなことやってないで。今日の放課後がレポートの提出日よ」

 

お弁当を持ちながら響に対して注意をする。

 

「だから、こうして全開で挑んでるんだよ・・・」

 

と、響は口の中でもぐもぐと咀嚼しながらレポートを書いている。

 

「まあ、アニメじゃないんだし、こんなことして、捗るわけないしね〜」

 

すると弓美が立ち上がる。

 

「え?手伝ってくれてたんじゃないの?」

 

手伝ってくれてたと思っていた響は驚きながら問いかける。

 

「これ以上お邪魔するのも、忍びないので屋上にてバトミントンでもいかがでしょう?」

 

同じように立ち上がった詩織がそう提案した。

 

「お、いいんじゃない?ヒナはどうする?」

 

「うん、今日は響に付き合う。レポート手伝うって、そう約束したし」

 

ヒナとはどうやら未来のことだったようで、小日向の苗字から取ったあだ名らしい。

 

「わあ・・・!」

 

一人残らされて渋々レポートをやらなければならないことになる心配がなく未来が居てくれることに嬉しそうな表情をする。

 

「仲がよろしいことで。んじゃ、あたしらは行くね」

 

一言入れてから弓美は走って向かっていく。恐らく言ってた通りに屋上でバトミントンなどをするのだろう。その姿を響と未来は手を小さく振りながら見送っていた。

 

「ありがとう、未来。一緒に流れ星見よう」

 

嬉しそうな表情のまま未来に感謝と共に言う。

 

「うん!」

 

すると未来も嬉しそうに笑みを浮かべてから微笑むのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は既に放課後で夕陽が見えてる時間帯だ。その職員室に入った響を待つ未来の姿があった。

 

「あ・・・先生、なんて?」

 

出てきた響に気づいた未来はさっそく響に聞く。

 

「壮絶に字が汚いって・・・まるでヒエロなんとかみたいだって言ってた・・・」

 

どこか落ち込んだような表情と落ち込んだ風に響は未来に言われたことをそのまま伝える。

 

「そうじゃなくて、時間過ぎてたけどレポート受け取ってもらえたの?」

 

心配そうに見ながら顔を向けない響に聞く。もしかしたら受け取って貰えなかった可能性もあるため不安なのだ。

 

「今回だけは特別だってッ!なんとか受けとってもらったよ〜!」

 

先ほどの表情とは一転、笑顔になりながら未来の方へと向いて手を出しながら言う。

 

「やったね、おつかれさまッ!」

 

その手にハイタッチをしながら響を労う未来。

 

「これで流れ星見られそうだッ!」

 

安心したように嬉しそうに言い出す。

 

「それじゃあ、響はここで待ってて。教室から鞄取ってきてあげる」

 

そう言うと未来は後ろを向いて走っていく。

 

「いいよ、そんなのー」

 

後ろ姿に響はそう言うが。

 

「響は頑張ったから、そのご褒美」

 

角を曲がる前に壁に手を置いて止まると、覗くようにして響に言い出してからまた走り出す。

 

「やっぱ未来は足速いなぁ、さすが元陸上部・・・」

 

すると突如ピリリリリという音が流れる。それは自分のポケットに入っている携帯から鳴っているものでこのアラームは本部からのということはつまり―――

 

「・・・はい」

 

電話から出た響は本部からの言葉を聞く、予想通りそれはノイズの出現の報告であった。

運命は残酷なことを知る。たった二人のとても小さなささやかなお願いでさえ、あっさりと簡単に壊してしまうのだから---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?響?」

 

カバンを取って戻ってきた未来は廊下に響が居ないところを見る。そして走って寮にも戻るが、そこにも響の姿はどこにもなかった。

 

「あっ・・・」

 

ピリ、ピリと音が携帯がある位置から流れる。それに気づいた未来は響からだと思うと携帯を取って出る。

 

「響?あなた・・・」

 

少し怒ったような表情と言い方をしてしまう未来。仕方がないだろう。カバンを取ってきたのにそこには誰も居なかったのだから。

 

「ごめん・・・また急な用事が入っちゃった・・・。今晩の流れ星、一緒に見られないかも・・・」

 

「ッ・・・!また、大事な用なの?」

 

未来は一度携帯を遠くし、自分が息を飲んだのを拾わないようにしてから再び近づけて響に聞く。

 

「・・・うん」

 

すると元気がない返事が返ってきた。

 

「そっか・・・なら仕方ないよ。部屋の鍵あけておくから、あまり遅くならないでね」

 

平常を保ちながら響に未来は言う。約束してたことが潰れて自分もショックを受けてるはずなのに。

 

「ありがとう・・・ごめんね」

 

その言葉と共に電話を切られる。そしてカバンを置くと、未来はその場に立ったまま動かないようになり、何かを決意した表情で携帯だけを持って外に出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ・・・!?万丈、ノイズだ」

 

二課がノイズの反応を探知したということはこの男も探知したわけで、ビルドフォンを見ながらなんとか猫に認めてもらって筋トレをしている万丈に向かって報告する。

 

「・・・行くのか?」

 

筋トレを止めると戦兎に向かって聞く。

 

「もちろんだ・・・と言いたいが俺は色々と買い足さないと行けないものが出来た。それにノイズなら一人だけでも十分だろ?だから万丈、お前が行ってくれるか?」

 

もちろん他にも理由があり、仮に二人行ってしまえば別のところに現れたノイズに対抗出来ない可能性があるため、戦兎は万丈に頼む。

 

「なら仕方がねぇか。けど、俺道分からないぞ?」

 

万丈は基本的に基地内から出てなかっために道が分からない。戦兎は見通してたかのように万丈にビルドフォンとライオンフルボトル、モバイルバッテリーとタカフルボトルを差し出す。

 

「そう言うと思った。これでタカちゃんが道案内してくれるからそれについて行ったらいいだけだ。それならバカでも分かるだろ?」

 

しっかりとタカちゃんにもノイズの位置が探知出来るようにして対策はしているようだ。

 

「バカじゃねぇよ!せめて筋肉付けろ!」

 

いつものやり取りをしつつ万丈はしっかりと受け取っておく。

 

「はいはい。じゃあ、頼んだぞ。絶対に正体は明かさずに。ノイズ以外との戦闘になったらどうにかして逃げるかタカちゃんに知らせてくれ」

 

わかってはいると思うが、一応戦兎は万丈に釘を刺しておく。

 

「分かってるっての。行ってくる」

 

そう言ってから万丈は階段を登っていく。冷蔵庫が開く音がしたため向かったのだろう。

 

「俺も行くか。・・・っとこれだけは持っていかないとな」

 

ノイズの位置をタカちゃんを通して場所が表示され、タカちゃんからの緊急の情報だけは見れるバングルだ。試作品だから安い素材で作ったためにビルドに変身して戦えばすぐに壊れるだろうが、仮に何かあったら万丈のところに行けるように付けてから戦兎も階段を登っていく。

 

「行ってくるよ」

 

下にいるであろう猫にも一言だけ掛けておく。

 

「にゃ〜」

 

案の定、返事が返ってきたが、戦兎はそのまま外へと向かうと、既に万丈が居ないことからしてマシンビルダーでノイズの元へと向かったのだろう。そして戦兎も街の方へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





※作者は猫について詳しくないです

間に合わなかったら読書様に土下座してました。
そして昨日上げ直ししてすみません。0時にセットしてたはずなのにいつの間にか投稿押してました……多分ミスって時間リセットされたのに投稿押したからですね。0時にまた投稿しましたが、本当にすみませんでした。もうこんなことは起こらないように気をつけます。

そしてやばい…未来との約束シーン書いてた側も少し辛かった()
次回はようやく彼女が登場します。

それと……もう書き溜めはないため毎日投稿は無理になる可能性があります と言っても書き溜めの役目を果たしてなかったですけど…。
ただ時間があれば投稿出来る時に投稿します。
投稿する可能性がある時間は0時、21時、日曜日は9時30分ですかね。
休みの日に書き溜めしなきゃ!(使命感)

というかしし座なのかこと座なのかどっちなんですかね?アニメの方採用しましたけど……。

ではそろそろオリジナル要素盛りだくさんになっていくであろうこの小説を良ければ読んで楽しんでくださると嬉しいです。

感想、評価、お気に入りはとても励みになります。
よければこの作者にしてあげてください。作者が嬉しくて持ってないライドヘイセイバー買います。……ハザードトリガー買ってから…(ぼそり)




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第十話 苦悩


よーし、書き終わったぞ!プリキュア始まるまで寝るか!あ、その前に評価どうなってるかな?→一人評価してくださった方増えて黄色バー。ファッ!?書かなきゃ生き残れない!→書き始める→4時間しか寝れてない。

前半はシリアス、後半はもうヒロインにしか見えない()
誰が書いたんだよ?あ、私でした。

あらすじ紹介どうぞ










響「ガングニールの装者である私、立花響は今日も今日とてノイズや聖遺物について説明を受けていた!そしてレポートを無事に終え、未来との約束の流れ星を見るという約束は出現したノイズのせいで約束は果たせなくなるのでした・・・」

戦兎「そういえばもう10話になるな」

万丈「未だに全く進んでないよな」

未来「オリジナル回のせいで進まないって嘆いてましたね・・・」

翼「アニメで言う第3話までしか進んでないからな」

戦兎「まあ、そろそろかなり進むようになるだろ?」

未来「実は今回もあまり・・・」

万丈「んなこと言うより本編見た方が早いだろ?ということで、本編へ行ってくれ!」


 

 

 

 

電話を切って携帯をなおした響は後ろの階段からだんだんと登って目の前の響を灰化させようと近づいてくるノイズを睨む。

そして響は聖詠を口ずさむ。

 

「―― Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)―――』

 

光が響を包み込み、収まるとそこには聖遺物『ガングニール』を纏った響が姿を現す。

 

『―――絶対に離さない 繋いだこの手は

 

こんなにほら暖かいんだ 人の作る温もりは

 

歌を唄いながら響は階段をジャンプをして降りる。そして人型ノイズの前に行くと右拳で殴って吹き飛ばす。だが殴った際に響が目を瞑ってたことからしてどれだけ戦い慣れてないのか分かるだろう。

響は隣にいたカエル型のノイズに左足でキック、向かってきたカエル型ノイズには肘打ち、目の前にきた人型のノイズには正拳突きして灰化させる。前回までの彼女とは違い、ほんの少しだけマシになっているだろう。

 

「小型の中に、一回り大きな反応が見られる。間もなく翼も到着するから、それまで持ちこたえるんだ。くれぐれも無茶はするな 」

 

スクリーンに表示されているノイズの反応から弦十郎が響に向かって報告しながら時間稼ぎでも構わないと言う。

 

「分かってます!私は、私に出来ることをやるだけです!」

 

駅の中へと入るとそこには他のノイズとは明らかに見た目が違い、ぶどうみたいな形をしたノイズがいた。

そして響はそう言うとともに駅の改札口を高くジャンプして乗り越えるようにして人型のノイズにタックル。向かってきたカエル型には右脚の蹴りで吹き飛ばすと、ついに葡萄型のノイズが動き出す。自分の体についてる葡萄を地面に落として響の傍まで転がる。すると爆発し始めた。

 

「うわっ!?」

 

一つが爆発するとそれはまるで爆弾のように連鎖して爆発していく。

 

「わわっ!?」

 

爆発から身をしゃがめながら顔を腕で覆う響。その間にも大爆発を起こし、瓦礫が崩れてくる。そして爆発させた葡萄型のノイズは階段を下って逃げていく。

 

「見たかった・・・・・」

 

ふと、瓦礫に埋もれている響が呟く。そして瓦礫を吹き飛ばしながら物凄い速度でノイズに飛んでいく。

 

「流れ星、見たかったッ!」

 

人型ノイズを正拳突きで灰化。

 

「未来と一緒にッ!」

 

そのまま走ってカエル型を殴ってさらに倒し。

 

「流れ星が見たかったッ!」

 

カエル型を蹴って灰化させるとそのままだんだんと周りにいるノイズを吹き飛ばしていく。

 

「うぅぅぅぅぁああああああっ!」

 

隠しきれない怒りを現すかのように叫ぶ。

そして葡萄型のノイズはまるで”人間が操っている”かのように人間臭い動きで逃げていく。その後を響は追っていく。

 

「あんたたちが・・・」

 

言葉とともにバンッと壁を右手をぶつける。すると壁にはヒビが入っている。

 

「誰かの約束を侵し---」

 

その目はどこか赤くなり。

 

「嘘のない言葉を、争いのない世界を、何でもない日常を・・・剥奪すると、言うのならッ!」

 

向かってきたカエル型のノイズを蹴り飛ばし、人型ノイズも蹴り飛ばして次はカエル型のノイズを掴み、そのまま引きちぎり、人型のノイズを馬乗りで押し倒して頭のような角を握るとまた引きちぎる。そしてカエル型をパンチで腕ごと貫きながら人型を掴んで地面に叩きつける。そして脚で踏みつけるとグリグリとさらに押し付けるようにしていた。

それはいつもの響の戦い方でもなく、まるで獣のような戦い方をしていた。

そして顔から首辺りまで黒くなっており、目がガングニールを纏った時に出てきた光と同じような色をしている。

すると、先ほど爆発したぶどうのような物が響に向かってくる。

響は爆発する直前に気づいたように両手をクロスしてガードし、少しすると、爆発が晴れる。

 

「あっ!?待ちなさい!」

 

爆発の衝撃で元に戻ったかのように黒くなってた顔や黄色になっていた目が元に戻っていた。

線路の方に葡萄型のノイズが降りて向かい、それを響は追っていく。

葡萄型のノイズはぶどう爆弾を投げつけて天井を崩す。

近かったこともあって爆発の際に出てきた煙が響の方へと向かう。

それを両腕で顔を防ぐと晴れた瞬間ノイズは居なくなっていて、すぐさま上を見ると、とんでもない速さで登って地上へと出てしまう。

その時、いつの間にか夜になっていてすっかり夜空が見える頃に響の目には流れ星のようなものが見える。

 

「流れ、星・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否それは流れ星ではなく、キラーンと一度輝くとまるで斬撃のように蒼白いものを逃げていたノイズに向かってピンポイントで放たれていた。

 

去りなさい!無想に猛る炎

 

そして葡萄型のノイズにそれは直撃し、地面を剣のような斬撃が削りながら葡萄型のノイズは真っ二つになりつつ灰化する。

 

嗚呼 絆に 全てを賭した閃光の剣よ―――』

 

歌が終わると共に翼は着地。響はノイズがやられる前には地上に出てきていたようで、翼に声が聞こえるように少し距離を詰める。

 

「私だって守りたいものがあるんです!」

 

必死に自分の心からの想いを伝えるように声を出す。

 

「・・・・・・」

 

バーニアが元に戻りながらも翼は振り向きもせずに何も答えない。

 

「だからッ!」

 

響は拒まれるのか怖いのか、続きの言葉が出なくなってしまう。

 

「・・・・・・」

 

だが、そんな響に翼は答える様子も見る様子も見せずに、ただ剣を見つめている。

 

「だから?んで、どうすんだよ?」

 

何処からか、女の子の声が聞こえる。

 

「ッ!」

 

その声にようやく翼は反応し、聞こえた方向を見る。

 

「え?あっ・・・」

 

響は前方を見ると、影で隠れて見えないが森の中から歩いてきたようで、声を出したであろう人物を見る。

 

「ネフシュタンの、鎧・・・・・!?」

 

月で明るくなると、そこには目を青い仮面のようなもので目を覆い隠している白い髪の女の子に、二年前のライブで行方不明になったはずの完全聖遺物『ネフシュタンの鎧』であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?どうしたよ?」

 

声を出した万丈龍我は既に変身しており、と言っても勝手にクローズドラゴンが出てきて変身しろとでも言うように炎を吐いてきたから変身しただけだが―――。

閑話休題(話を戻して)

声を出した相手は戦兎が道案内のために渡したタカアラウンティウムモバイル長いため、通称『タカちゃん』だ。

するとタカちゃんがバイク止めろとでも言うように目の前で翼を広げる。通じたのかバイクを止めたクローズは不思議そうにしている。

そして止まったのを確認したタカちゃんは翼で器用にポチポチとマシンビルダーを操作、ノイズ探知レーダーアプリを開けると反応が消えてることを示す。

 

「何にもねぇな・・・つまり終わったってことか!?」

 

気づいてしまったクローズは驚きの声をつい出してしまう。

 

タカちゃんは『どうする?』とでも言うかのように首を傾げている。

 

「いや・・・でも俺の第六感は嫌な予感を感じ取ってるんだよな・・・わりぃが道案内とすぐに何かあったら戦兎に連絡出来るように出来るか?」

 

タカちゃんは今の主人は戦兎ではなく、万丈のため仕方がなしに『分かった』とでも言うように頷く。そして仕事をするために道案内を続けるのだった。その道は現在、翼と響が謎の少女との出会いを果たしている所である―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、買わないと行けないのは――ん?」

 

買い物に行く途中にいつの間にかリディアン音楽院の近くまで来ていた戦兎。

すると、目の前をある少女、自分が一度この世界に来て二番目に出会った少女が走り去る。

時間帯はもう夜、周りは暗くなっており、こんな時間に女子が出たら心配になる時間だ。

 

(気になるな・・・なんであの子は”暗い顔”をして走り去ったんだ?・・・追うか)

 

本来こんなことはお節介で相手からしたら迷惑かも知れないだろう。

だが誰よりも愛と平和を掲げ、誰かの明日を、笑顔を作ってあげたいと願う彼は放っておけないのだ。

それに彼の目には捉えることが出来た。まるで涙を我慢するかのように暗い顔を俯かせて走り去る少女の姿が。

 

「相談に乗ることぐらいは出来るだろうしな・・・」

 

そう言って走り去る少女を追うために自分も走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎が追っていた少女はしばらく走り続けてある森の中にいた。

中央が広く開けており、まるで座れる場所として残しているように何本か切株が綺麗にされて設置されており、森の木々が囲うようにある。まさに星が見えるならば、とてもいい星空スポットになるであろう場所だ。

 

「響と、一緒に見たかったな・・・」

 

ふと、星空を見上げながら未来は呟く。

何故彼女がここにいるかと言うと一緒に星空を見る約束をした幼馴染が突然の用事で行けなくなってしまったのだ。

けどそれでも見たいからこそ、彼女は一人でここにいる。

なぜなら次はいつ見えるのか分からないからだ。

 

「っ・・・」

 

自然と用事が入って来れなくなった幼馴染のことを考え、そして周りには人の気配もなく、ただ風が吹いていて風の音しか耳には入らないことを感じると、そんな場所に一人で居て、孤独感を感じた彼女は今まで我慢してきたものが溢れてきたかのように目元に涙が貯まる。

本来ならここには二人で居て、一緒に見るはずだった場所。

二人なら孤独感もここまで感じることはなかっただろう。

 

「うっ・・・うぅっ・・・ひっく・・・響、寂しいよ・・・」

 

そしてその孤独感に不安になってきた未来は声を我慢しながら貯めてた涙を流し、その場に座り込んで自分の心の言葉を表に出してしまう。いくら女子高生とはいえ、夜にこんな開けていて人の気配もなく、精神状態が悪い状態だったのであれば孤独感を感じて寂しくなってしまうのは無理もないはずだろう。

 

「・・・えっ?」

 

すると、涙を流してた未来にふと、手が置かれる。

その手はどこか慰めるかのように優しく撫でており、彼女を落ち着かせるように撫でられていた。

誰に撫でられているのか分からない未来は少し戦々恐々する。

けど、何故か心が暖まるような、不思議な感じがするのに気がついた未来は好奇心により、涙を流しながら自分を撫でている人を見上げる。

 

その撫でている人は大人の男性で、ベージュ色のフード付きのトレンチコートを着ており、赤と青の靴を履いていてどこか不思議な雰囲気がある服は違えど、間違いなく自分が入学式の前日に出会ったことがあった一人の男性であった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side戦兎

 

少し前

 

 

 

 

「あの子確か響と仲良さそうにしてた子だよな?名前は---未来って響が呼んでたな」

 

詳しくは知らないが、名前だけは一度出会ったこと時に知っており、向こうが自己紹介もしてない男性のことを覚えているのかどうか分からないにも関わらずに放っておくことが出来ない戦兎は向かう。

 

「ここは・・・?」

 

音を出してびっくりさせるのは行けないと思い、忍者フルボトルの力で足音を消しながら戦兎は森の入口に立って上を見る。

そこには森の木々に囲まれながらも空を見上げると、森の木が空を覆い尽くすのではなく、木が邪魔しない程度に夜空と木が見える所のようだ。

 

「星空スポットにはいいのかも知れないな・・・んっ?」

 

小声でぼそりと呟くと中央にいる未来が顔を俯かせながら座り込んでいた。どうしたのかと不思議に思い、近づいていきながら声をかけようとした時だった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来は泣いてたのである。何故泣いてるのか、何でここに居て、響の名を呼んでたのかは戦兎は知らない。

だけど戦兎は泣いている未来が自分のことを覚えているか分からないために声をかけようにもどう掛ければいいか図りづらい。

だが見ているだけでは未来を慰めることも、落ち着かせることも出来ない。

それに何もしてやれないというのは戦兎には出来ず、心苦しいため、つい戦兎は未来の頭へと手を置き、優しく撫でてしまったのだ。

一度撫でてしまったらもうどうしようも出来なくなり---『最悪だ・・・。やっちまった。通報されないだろうか・・・』と心配になりながらも戦兎は落ち着かせるように優しく撫でている。

そして優しそうな表情と目で見ながら心の底から心配しているかのような表情だった。

 

「・・・えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

「こんなところで一人で泣いて、どうしたんだ?」

 

撫でる手は止めずに、優しく問いかける戦兎。

 

「貴方は、確か響が言ってた・・・?」

 

未来は涙を未だに流しながらも驚いたような、ほっとしたような表情になっていた。

 

「俺は戦兎。桐生戦兎だ。覚えているか分からないが・・・最初君たちと会った時はボロボロで倒れてたな。それよりほら、これで拭いて」

 

改めて自己紹介しながらも戦兎は空いてる手でポケットを探り、未来にハンカチを差し出す。

 

「あっ・・・ありがとう、ございます・・・・・」

 

未来は差し出されたハンカチと戦兎をチラッと見れば遠慮がちに受け取る。

 

「いいって。あ、気にせずに拭いてくれていいからな?どうせ変わりはあるんだからさ」

 

未来にそんなことを言いながら戦兎自身、撫でるのをやめるタイミングがなくなって心の中だけは焦っていた。

因みにこんな感じである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やばいやばい!?どうすればいいんだ?こんなの見られたら絶対やばいやつとして通報されるよな!?しかも撫でるのをやめるタイミングが分からない!くそっ…こういう時あの筋肉バカなら分かるかも知れないが研究一筋だった(葛城巧)の記憶には経験がなかったせいでどうすればいいか分からない!けど放っておくなんて正義のヒーローにあるまじき行為だから仕方がなかったわけで―――って誰に言い訳してんだよ!こういう時はあれだ。質量保存の法則について考えてたらいいんだ。

質量保存の法則ってのは化学反応の前後で物質の総質量は変化しないという法則だ。

例えば、水素と酸素による水の生成反応であれば、まず化学反応式に直す。水素と酸素を化学反応式で現すと2H2+O2→2H2Oになる。そして、水素4g、酸素32gで反応させると2H2(4g)O2(32g)→2H2O(36g)で水が36になる。反応の前後で全体の質量が変わっていないのがわかるだろうか?反応前は水素4gと酸素32gで全体の質量は36g、反応後は水が36gあるから全体の質量は36gになっている。このように化学反応の前後で物質の総質量は変化しないことを質量保存の法則という。

因みに質量保存の法則の発見者はフランス人のラボアジエ、発見した年は1774年だ。テストに出るから覚えとけよ?・・・よし、落ち着いた)

 

と言った感じであった。

 

「あ、あの……・・・?」

 

すると涙を吹き終えたようで、自分が何をされているのか気づいたような未来は顔を赤めながらこちらをじーっと見つめていた。

 

「ん?あ、あぁ悪いッ!」

 

気づいた戦兎は顔を赤くしているのは怒っているからでは―――と思い、慌てて手を退ける。目の所が赤くなっていることからして拭き終えたのだろう。

本人としては怒っている訳ではなく、泣いてるところ見られたのと異性に撫でられていることに恥ずかしくなっていたからであるのだが、全く気づかないのは流石は研究一筋で生きてきた男である。

 

「あっ・・・・・・」

 

すると何故か残念そうな表情をされる。戦兎は怒っているわけじゃなかったのか?と困惑しつつそんな表情をされるのはどこか嫌なため、恐る恐る手を置き、再び撫でる。

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

するとまた顔が赤くなっていたが、さっきのことで反省。

撫でる手を休めない。もちろん優しく、だ。

そこだけはしっかりと気を使っているのも流石だろう。

 

(何故だろう・・・撫でられてるとさっきの気持ちが嘘みたいに消えちゃった・・・。不思議な感じがする。でも迷惑じゃないかな・・・?)

 

そんなことを思っている未来に対して気にせずに撫でている戦兎。

彼としては『まぁ、これだけで未来が落ち着くのならいいか』と思っているだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてしばらく経った頃だった。

 

「あ、あの、もう大丈夫です。ありがとうございました・・・」

 

顔は変わらずに赤いが、どうやら落ち着いたようで、戦兎は撫でるのをやめる。

 

「いいよ。俺も放っておくこと出来なかったからしただけだしな。それよりも、もう大丈夫なのか?」

 

戦兎としては何故泣いていたのか気になるところだが、聞くのはどうかと思いとりあえず優しく問いかけながら心配する。

 

「はい。お見苦しいところ見せてしまい、すみませんでした・・・」

 

そう言ってまた謝ってくる。

 

「気にしなくていいって。人間なんだから泣きたい時ぐらい誰にだってあるだろ?そういうもんだよ」

 

そもそも戦兎自身が助けてあげたいと思ったからしただけである。だから彼は気にしなくていいと言ったのだ。

 

「はい・・・。あの、聞かないんですか?」

 

そう思っていると未来が本題を聞いてくる。

 

「人には色々な事情があるからな。君――未来でいいのか?とにかく、君が話してもいいって言うなら話してくれたら相談乗ること出来るし、アドバイスぐらいはできると思うよ」

 

少なくとも恋愛のことについては無理かも知れないが・・・と心の中だけで呟く戦兎。

 

「あ、私は小日向未来です。好きに呼んでください。・・・じゃあお話聞いて貰えますか?」

 

と、自己紹介を忘れていた未来が自己紹介をしてくれる。そして、悩んだ素振りをしたあと決意したような表情でそう聞いてきた。

 

「あぁ、俺でいいなら聞くよ」

 

そう言ってから、戦兎は未来をそっと立たせてあげて切株のところに座らせてあげるのだった。

未来の話を聞く前に戦兎は未来に響については二度会ったことをあるから名前は隠さないでも大丈夫と言ってから話を聞く。

因みにその時に、最初から聞かれてしまってた事にバレた未来は恥ずかしくなり、顔を赤めて頬を膨らませた。そんな未来に戦兎は慌てて謝っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな・・・幼馴染である響と本来は今日ここでこと座流星群を見るつもりだった、と」

 

戦兎は未来から話を聞いた。要約すると『最近響の帰りが遅くなった 』『いつも疲れたように帰ってくる』『心配なのに何も言ってくれない』『今日も大事な用事と言って一緒に流れ星見ることさえできなかった』だ。

 

「はい・・・」

 

少し落ち込んだ風に未来が頷く。

 

「未来はどうしたいんだ?」

 

戦兎は恐らく特異災害対策起動部---風鳴翼が居たところと同じとこに居てノイズ退治してるってところか、そして言わないのは口封じでもされてるのだろう、と予想付ける。

しかもその予想は実は当たっているのである。話を聞いた戦兎は未来にそう問いかける。

 

「私は・・・ですか?」

 

言葉の意味が理解出来なかったのか、首を傾げている。

 

「いや、質問が悪かったな。未来は彼女・・・響にどうして欲しいんだ?」

 

質問の内容が分かりにくかったのかと思い、戦兎は質問を変える。

 

「私は、相談ぐらいして欲しいです。いつも遅いと何があったのか分からないから・・・例え言えない事情があったとしても、心配なんです」

 

そう言って少し辛そうに言う未来。

 

「そっか・・・正直響が君に隠しているのは俺は未来や他の人たちのためだと、思うぞ?」

 

恐らくあの力について、だろう。周りに力について知っている悪意ある存在が居れば間違いなく響の力について知っている人を狙ってくる。

響はそんなことを組織の人に言われでもしたのだろう。事実それは否定出来ないからな。

 

「私や他の人達のため・・・?」

 

分からないのか、きょとんとした風に聞いてくる。

 

「じゃあ質問だ。例えば未来は仮に・・・そうだな分かりやすくよくニュースやドラマにあるやつにしよう。強盗犯でも窃盗犯、殺人犯でも誰でもいい。その誰かがを人質に取っているとする。そして警察に連絡すれば人質に取っているやつを殺すとそいつらに言われたら未来は警察に連絡するか?」

 

分かりやすいように話を作ってから戦兎は質問する。

 

「いえ、だってしたらその人が死んじゃうので・・・でもこの質問が関係あるんですか?」

 

悩む素振りもなく、未来が答える。そしてこの質問がよく分からないようだ。

 

「響も同じ状況なんじゃないか、ってことだよ。もちろん殺すとかそういうのではないと思う。多分人助け関係のことだろう」

 

出来る限りノイズと戦っているってことを知らせないようにする。誤魔化しが聞くようにしっかりと本当のことを言ってだ。もし俺が真実を言って未来に危険が行くのがダメだからな。

響が話してないなら恐らくそういうことのはずだ。響は筋肉バカと同じで嘘下手っぽいしな。

 

「じゃあ、響は私や周りの人にこれ以上迷惑かけないために・・・?」

 

少し考えると答えを出す。あながち間違っていないだろうと戦兎は肯定する。

 

「多分な。響も響で周りの人はともかく、未来にだけは伝えようとはして、未来に何かあると怖くて伝えなかったんだと思う。・・・それで未来はこれを聞いてどうしたいと思った?」

 

答えを伝えるだけでなく、しっかりと戦兎は考えさせるように質問していく。

 

「私は・・・響に居なくなって欲しくないです」

 

考え始めると、少し経ってからそう返してきた。

 

「じゃあ未来は響の応援をしてあげて。響にとっては君に応援された方が力出ると思うしさ」

 

いい答えだ。と褒めながら答えを聞けて褒美にと戦兎はアドバイスを送る。

 

「お、応援ですか?」

 

予想外の言葉に首を傾げてしまう未来。

 

「うん。響が響のまま変わらずに成長するなら、な?変わって大切な人が成長するなんて、嫌だろ?後は自分の気持ちを伝えればいいと思うぞ」

 

そう言ってから戦兎は立ち上がる。

 

「なるほど・・・そうですね。明日、伝えてみたいと思いますッ!」

 

すっかりと元気になったようで、元気よく返してくれた。

 

「あぁ。っとそれより未来は帰るだろ?近くまで送るよ。流石に女の子を放っておくなんて出来ないからな」

 

もう時間は夜である。

なんの力も持たない少女を一人置いていって自分で帰ってなんて桐生戦兎には絶対言えないのだ。

 

「あ、はい・・・その前に少し待って貰っていいですか?」

 

そう言ってから未来は制服のポケットから携帯を取り出す。

 

「ん?構わないが・・・携帯?」

 

何故取り出したか分からない戦兎は首を傾げる。

 

「響のためにも、流れ星を撮ろうかなって」

 

そして空に向けると、撮影ボタンを押して録画する。

すると、そのタイミングでちょうどよく一つの流星が落ちてきたのだった。

 

「あっ・・・流れ星・・・」

 

つい言葉を呟いてしまう。実際にはそれは流れ星なのではなく、シンフォギアを纏った翼がノイズに空中から攻撃を放っただけのなんだが……この二人は現場にいなかったため知らない。

 

(なるほどな・・・やっぱり二人ともいい子じゃないか)

 

撮影している未来を黙って戦兎は優しく見守っている。

そしてしばらくすると、満足したのか撮影の中止をした未来が立ち上がる。

 

「すみません・・・時間かかっちゃって」

 

ほんの一分くらいだったのだが、謝ってくる未来。

 

「大丈夫。じゃ、行くか?」

 

未来にしっかりと確認を取る。彼女がまだ居たいなら戦兎は付き合うつもりだ。

ノイズが襲ってくる可能性も無くはないからだ。特に最近はよくノイズが出現しているため、心配なのである。

 

「はいッ」

 

元気よく未来が答えると、未来が戦兎の隣に行き、戦兎は歩幅を合わせてから歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてしばらく歩くと。無事に何事もなくリディアン音楽学院の目の前まで行くことが出来た。

 

「あ、私寮なのでここまでで大丈夫です。戦兎さんありがとうございました」

 

流石に学院に関係なく、しかも学院だけではなく女子寮にまで戦兎が行くと色々と問題が起きるため、校門の前まで行くと、未来が頭を下げてお礼を言う。

 

「そうか、確かに学院に入るわけにも行かないもんな。流石に捕まりたくないし・・・じゃあ、いつ会えるか分からないが、またな?」

 

校門の目の前でいいと言う未来の発言にすぐさま納得したかのような様子で頷く。そして戦兎はそのまま去ろうと、後ろを向こうとするが―――。

 

「あ、あのっ・・・ひ、一つお願いしてもいいですか・・・?」

 

突然未来が申し訳なさそうな、不安そうな表情で、聞いてくる。戦兎は後ろを向くのをやめて未来の方へともう一度向く。

 

「どうした?」

 

未来の方へ振り向いた戦兎はまだ悩みがあるのかと思い、ならアドバイスでも、と思いながら聞く。

 

「そ、その、もう一回だけ撫でて・・・欲しくて・・・」

 

恥ずかしそうに顔を赤めながら申し訳なさそうにお願いしてくる。

未来自身何故自分がこんなことを言ったのか。よく分かって居らず、でも撫でられるとどうしてか心が暖まって安心ということはわかっていた。それはまるで響の傍にいる時と同じくらいで―――。

 

 

 

 

 

 

 

「お、おう。それぐらいなら・・・」

 

言われて面と向かってやるのは慣れてないため---これが恐怖や泣いてたりするなら問題ないのだが、戦兎は言われてすることがなかったため少し戸惑いつつも未来の頭を少しだけ撫でる。

 

「ん・・・」

 

未来は気持ちよさそうについ声を出してしまう。戦兎は何故か少し罪悪感を感じつつ少し撫でてからやめて手を放す。

 

「あ、あぁそうだ。これ、俺の番号な?何かあったら呼んでくれ。正義のヒーローが駆けつけてやっから」

 

少し気まずくなった空気を変えるため、戦兎はメモに自分の番号を書いて未来に差し出す。

 

「あっ・・・は、はいありがとうございます」

 

言ってしまった自分が原因とはいえ、話題を変えてくれたのは助かったと思いながらメモを受け取る。

 

「それと、響に伝えて欲しいことがあるんだが・・・お願いしていいかな?」

 

今度は戦兎からのお願い。相談に乗ってくれて、どうすればいいのか教えてくれた恩人に未来が断るはずもなく。

 

「はい、構いませんよ。えっと、どう伝えればいいですか?」

 

何を伝えたらいいのか分からないため、戦兎に聞く。

 

「そうだな。俺は元気だってことを伝えてくれたらいいかな?」

 

流石にノイズから逃げ切ったとか、無事に生き残れたと言うわけにもいけないため、問題ないようなことをお願いする。

 

「分かりました。しっかり伝えておきますね」

 

未来はしっかりと覚えておくようにし、伝えるということを言う。

 

「ありがとう。それじゃ、おやすみ。またな?」

 

そう言って戦兎は振り向いてから歩いていく。

 

「はい!おやすみなさい!」

 

声が聞こえるように少し大きな声で言いながら未来は感謝の気持ちを込めて手を振る。

 

「あぁ」

 

聞こえてないであろう声で言いながら声の代わりに後ろに手を振って答える。

そして戦兎はリディアン音楽学院から離れると、そのまま歩いて買い物空いてるか分からないが、行こうとした時だった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼のバングルからタカちゃんからの緊急事態と要請が来たのは。

そしてそれを確認した戦兎は一人路地裏に入るのだった。

 

 

 

 

 

 





質量保存の法則合ってるかな?理系は苦手だから分からない。

戦兎くんって絶対鈍感だと思うんです()いやだって本編での万丈の気持ちに気づかなかった人だよ?自分のことに関してだけは本当に気付きにくいからね、この人

私にはこの程度しかだめだ……少しのイチャイチャで砂糖吐きかけました。ってか未来さん落とすなら響とのダブル攻略しないと下手したら病むしグレちゃうので頑張らないと。いやってかもうデアラの世界行けよ私のとこの戦兎くん。多分精霊封印出来るから!きっと!
一応デアラなら展開ほぼ決めてたけど!他にもFGOでもよかったけど作者は第三章までしか知らないです。やったことないので なのでシンフォギアにしたという裏話が…


(やば、クリスヒロインになるんだったらどう動かせばいいんだ…?どうやっても正体バレるわまずヒロインとして機能出来ないわで…きつくね?てかクリスみんな好きだな!?どうしようかなぁアンケート取ったからには読書様の意見には答えたいけど内容が浮かばないぞ……?それに万丈の場合香澄忘れるなんて絶対ありえないしなぁ……自分のせいで殺してしまったようなものでもあるし、まぁなんとかなるわ)


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第十一話 謎の少女とUnknown?


今回はサブタイトルはエグゼイドっぽくしてみました。エグゼイドのサブタイトル難しい。

やっとここまで来たよ……ってか戦兎くんがリディアンに居ないせいで原作通りにしか基本的に進まないからなぁ……因みに原作の話をカットしたら多分無印はクリスとの勝負や解決、ラスボスで5話くらいで終わりますけど()
戦兎の方でキャラと関わらせてオリジナル展開しないとね。
そこが少し難しいです











翼「トップアーティストであり、シンフォギア天羽々斬を纏う風鳴翼は立花響が逃したノイズを空から斬撃を放つことで仕留める。そして現れた新たな敵は二年前に私の不始末で行方不明になったはずのネフシュタンの鎧を纏った少女だった」

戦兎「あれ?俺は?」

万丈「前回別に変身してねえからな。どっちかと言うと翼の方がメインっぽかったろ」

響「えぇ!?なら私はどうなるんですか!?」

未来「響は前回あったでしょ」

万丈「ん?つまりこの順番で行くと次は俺じゃ・・・」

戦兎「なわけないでしょうが!次は主役の俺に決まってるだろ?」

翼「また私かも知れんぞ?」

響「翼さんは今回したのでないのでは・・・?私だってなかったんですし!」

未来「収拾つかなさそうだね。えっと、それじゃあ今回も本編見てね」

戦兎「あっ!」

万丈「あん?」

戦兎「お気に入り登録が100件突破したんだよ!」

万丈「は?んな訳---って行ってんじゃねえか!」

響「わあ!本当だ!?」

翼「作者自身も初めて投稿した時は読まれるのか、面白くないんじゃと思って投稿してたからな・・・未だに不安はあるがそれでも評価してくれた人や感想くれる人のお陰で安心して投稿出来るようだ」

未来「皆さん本当にありがとうございます。そしてこれからもまだまだ続くので見てください!」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

5年前

 

『連れてこられたその少女は、まるで手負いの獣であった・・・』

 

「離せよ!クソ!あたしを自由にしろ!」

 

そう言って暴れている赤い髪でロングの少女は、暴れても問題ないように痛くない程度に縛られていた。

 

「この少女が、報告書にあった・・・?」

 

弦十郎が横にいる黒い制服にサングラスを掛けている人に聞く。

 

「天羽奏、14歳。ノイズに襲撃された長野県皆神山聖遺物発掘チーム唯一の生存者です。襲撃当日は休日でしたが、家族を発掘現場に連れてきていたのでしょう。そこを襲われたようです」

 

目の前の少女についての情報を弦十郎が聞いていると。

 

「お前ら、ノイズと戦ってるんだろ?だったらあたしに武器をよこせ!奴らをぶっ殺す力をくれ!」

 

そう言って奏が暴れながら騒ぐ。

 

「辛いだろうが、ノイズに襲われた時のことを教えてくれないか?我々が君の家族の仇を取ってやる」

 

目を合わせるように弦十郎がしゃがんで奏に向かって言う。

 

「眠てーこと言ってんじゃねーぞ、おっさん! あたしの家族の仇はあたしにしか取れねぇんだ!あたしにノイズをぶち殺させろ!」

 

すぐさま言い返してくる奏に対して弦十郎は―――

 

「それは、君が地獄に落ちることになっても、か?」

 

覚悟を確かめるかのように目を細めて力強い視線で奏の目を見る。

 

「奴らを皆殺せるなら、あたしは望んで地獄に落ちる!」

 

一切目を逸らしたり、瞬きもせずに即座に言葉を返しながら覚悟が決まっているように言う。

 

「・・・・・・・」

 

弦十郎は無言で奏の頭を撫でる。その時奏は驚いた表情をしてたが、弦十郎は構わずに抱きしめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖遺物が入ったペンダントが作られている。

 

『ノイズとの戦いを望んだ少女は厳しい特訓と薬物の投与を繰り返すことで、聖遺物第3号、ガングニールへの適合を試みる』

 

寝転がっている奏は、ガングニールへの適合をするために薬物の注射をされる。

 

「うああああああーっ!」

 

とても痛々しい声を出しながら苦しんでいる少女を見る幼き翼と、弦十郎。

幼き翼はその姿に心配そうな表情で、弦十郎はその手が拳で握られ、力強く握られている。

そして端末を弄っていた了子に向かって頷くと、了子も同じように頷く。

 

「ここまでして適合ならず、か。やっぱり簡単には行かないみたいね」

 

そう了子が呟いていると中では、がしゃーんという音ともに寝転んでいた所から落ちた奏が自分の首に注射を押し当てていた。

 

「よせ!」

 

それを止めようと弦十郎が大きな声で注意する。

 

「ここまでなんてつれねーこと言うなよ」

 

その言葉と一緒に注射を自らしてしまう。

 

「パーティ再開と行こうや、了子さん」

 

すると、突如警報がなり始める。

 

「適合係数が飛躍的に上昇・・・?第一段階、第二段階突破。続いて三段階・・・」

 

了子が端末に表示されていたことを報告する。

 

「う・・く・・・か・・・かはっ!」

 

首を抑えてた奏が血を吐血させる。その血の量は地面を赤く染めるレベルでかなりの量を吐き出していた。

 

「何をしている!?中和剤だ!」

 

外に居る弦十郎ごすぐさま慌ててる研究員たちに指示を出す。その間にも奏は血を吐いていた。すると、突如研究員たちが吹き飛ぶ。そして奏は血まみれの手をガラスに当てた。

 

「手に入れた・・・!」

 

その言葉が呟かれると突然聖遺物の欠片は発光、奏が聖詠を唄う。

 

「―――Croitzal ronzell gungnir zizzl(人と死ても、戦士と生きる)―――」

 

「これが・・・奴らと戦える力・・・!」

 

すると、シンフォギアガングニールを奏が纏う。

 

「あたしのシンフォギアだ!」

 

血を流しながらも笑みを浮かべながら奏は嬉しそうに言った。

 

『それは、私のように偶然から始まった力ではない』

 

『自ら求め、血反吐にまみれながら歌い、勝ち取った力』

 

『そして、シンフォギアを纏った私たちはノイズを討つ戦士となった』

 

奏が目の前の人型ノイズを槍で斬り裂き、翼は剣でノイズを斬り伏せる。

そして走りながら奏で高く跳躍、槍を回転させる。

 

「ぬうううううっ!もらったッ!」

 

LAST∞METEOR

 

言葉と一緒に槍に纏わせた風を大型の芋虫ノイズに叩きつける。それはまるで竜巻のような風で、芋虫型のノイズはその竜巻のような風に当たって上昇。爆発とともに灰化する。

 

「大丈夫か?」

 

瓦礫を投げて救助すべき人を助ける。ノイズ殲滅後は救助活動をしているのだ。

 

「ありがとう」

 

「えっ?」

 

奏が困惑したように聞き返す。

 

「瓦礫に埋まっていても、ずっと歌が聞こえていた。だから諦めなかった」

 

肩を借りて立っている男性がそんなことを言う。

 

「あ、ああ・・・」

 

曖昧な返事しか奏は返すことが出来なかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、翼」

 

走りながら翼の名前を奏が呼ぶ。

 

「ん?」

 

翼は奏に呼ばれると、返事をする。

 

「誰かに歌を聞いてもらうのは存外気持ちのいいもんだな」

 

突然奏が走りながらそんなことを言い出した。

 

「どうしたの?唐突に・・・」

 

当然の反応をする翼。

 

「別に。ただ」

 

奏はそう言ってさらに速度を上げて一番上まで登り切る。

 

「この先もずっと翼と一緒に歌を歌っていたいと思ってね」

 

奏は汗を拭きながら翼に対して微笑む。

 

「あ・・・ふふっ」

 

そんな翼は奏に対して嬉しそうに満面の微笑みを浮かべるのであった。

 

『そして私たちは、共に歌う、ツヴァイウイングになった・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

モニターにて『Nehushtan(ネフシュタン)』 と表示されていた

 

「バカな!現場に急行する!何としても鎧を確保するんだ!」

 

名前をみて驚きの声をあげた弦十郎はすぐさま指示を出す。

 

「ええ、行きましょう。・・・急がないと、翼ちゃんが唄うかも知れないわ」

 

それに頷いた了子が可能性の話をする。

 

「唄うって・・・まさか絶唱をッ!?」

 

藤尭が驚いたかのように声を出しながら聞く。

 

「あの鎧は二年前のあの日に奪われた物だ。それを前にして、翼が冷静でいられるとは思えない・・・」

 

理由を藤尭に説明しつつ最悪の可能性を考える。

 

「絶唱・・・装者への負荷を厭わず、シンフォギアの力を限界以上に引き出す諸刃の剣・・・」

 

絶唱について簡易に了子が説明してくれる。

 

「絶唱を口にすれば無事に済まない。翼、早まってくれるなよ・・・」

 

そう願いつつ弦十郎たちは現場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネフシュタンの、鎧・・・?」

 

驚いたように声を出す翼。

 

「へぇ・・・ってことはあんた、この鎧の出自を知ってんだ?」

 

「2年前、私の不始末で奪われたものを忘れるものかッ!。何より、私の不手際で奪われた命を忘れるものかッ!」

 

去りなさい。夢想に猛る炎

 

歌を唄いながら翼が剣を大型にしたまま構える。すると、謎の少女も鞭のような武器を構える。

 

(奏を失った事件の原因と、奏が残したガングニールのシンフォギア。時を経て、再び揃って現れるという巡り合わせ!)

 

(だがこの残酷は・・・私にとって心地いい!)

 

嗚呼絆に 全てを賭した閃光の《―――』

 

「やめてください!翼さん!」

 

そう言って響がまさに戦おうとしていた翼を止めるように抱きつく。

 

「相手は人です!同じ人間です!」

 

と説得しようと翼に言葉を投げかける響だったが---

 

「「戦場で何をバカなことを!」」

 

翼と謎の少女の二人に同じことを言われてしまう。

 

「むしろ、あなたと気が合いそうね」

 

と同じことを言った謎の少女に言葉を投げかける。

 

「だったら仲良くじゃれあうかい?」

 

その言葉ともに謎の少女が鞭を翼目掛けて振り下ろす。

翼は邪魔な響を突き飛ばし、動けるようになるとジャンプして空中に回避。

すると空中で一回り回転すると剣を構えて蒼い雷のようなものを剣に纏う。

 

蒼ノ一閃

 

蒼白い斬撃を翼は謎の少女目掛けて放つ。少女はその斬撃に鞭を振るうことで弾く。

そして不敵な笑みを少女が浮かべる。

 

「っ!?」

 

翼はあっさりと弾いたことに驚きの表情を少し浮かべた。

そして翼は空中の降下の勢いを乗せての振り下ろし、だが少女は後ろにジャンプすることによって回避。

即座に連続で横薙ぎするが、バッグ宙で回避され、さらに振り下ろしを行うが今度は鞭で受け止められ、謎の少女は笑みを浮かべるとまた鞭で受け止める。

 

「あっ・・・!?」

 

鞭で剣を弾かれ、鞭は回避するが、弾かれたことによってまともに蹴りをくらってしまう。

 

(これが完全聖遺物のポテンシャル・・・!)

 

「ネフシュタンの力だなんて思わないでくれよな」

 

吹き飛ばされながらも着地する翼。

 

「私の天辺はまだまだこんなもんじゃねーぞ!」

 

その言葉とともに鞭を振るう謎の少女。翼はそれを走って回避し、木に着地するとまた鞭が来るがそれも回避し、連続で攻撃をしてくるのをひたすら回避する。

 

「翼さんッ!」

 

心配そうに声を上げて構える。

 

「お呼びではないんだよ。こいつらでも相手してな」

 

謎の少女は杖のようなものを構えると発射。なんと、ノイズを召喚する。

 

「ああっ!?ノイズが操られている!?」

 

召喚されたノイズに囲まれながら驚いた表情を見せる。

 

「ううっ・・・」

 

思わず逃げ出すが、駝鳥型のノイズは嘴から粘性のある液体を吐き出し、響を拘束する。

 

「うわっ!?そんな・・・うそっ!?」

 

「その子にかまけて、私を忘れたか!?」

 

剣を構えて突進。受け止められるが、足払いをし、回し蹴りをする。だが謎の少女はそれも避け、そのまま回し蹴りされるが、腕で受け止める。

 

「お高くとまるな!」

 

翼の足を掴んで投げつける。そして吹き飛んだ翼に先回りして翼の顔を踏みつける。

 

「のぼせ上がるな人気者。誰も彼もが構ってくれるなどと思うんじゃねえ!この場の主役だと勘違いしてるなら教えてやる。狙いははなっから、こいつを搔っ攫うことだ」

 

そう言って響を親指で指す。

 

「えっ!?」

 

驚いたように響が反応する。

 

「鎧も仲間も、あんたには過ぎてるんじゃないのか?」

 

と謎の少女は煽るように翼を挑発する。

 

「繰り返すものかと、私は誓った!」

 

翼は剣を斜めに傾けて天に向ける、空が一度輝くとそこから大量の小さな刃が落ちてくる。

 

千ノ落涙

 

謎の少女はそれをジャンプして避ける。その間に翼は起き上がって移動。周囲が爆発しながら戦いあっている

 

「そうだ!アームドギア!」

 

響が思い出したかのように右拳を見る。

 

「奏さんの代わりになるためには、私にもアームドギアが必要なんだ! それさえあればッ!」

 

「出ろ!出てこい!アームドギア!」

 

いくら響が願ってもアームドギアは何も変形としなければ反応しない。

 

「何でだよ・・・どうすればいいのかわかんないよ・・・」

 

その間にも二人は激しい攻防を繰り返していた。

 

「鎧に振り回されているわけではない・・・この強さは、本物ッ!?」

 

「ここでふんわり考え事たァ。度し難えッ!」

 

謎の少女は翼目掛けて蹴り、だが翼が回避すると謎の少女はノイズを大量に召喚する。そして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ready Go!

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

「オリャァ!!」

 

横から飛んできた『クローズドラゴン・ブレイズ』がノイズをまとめて一掃したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の少女が大量のノイズを召喚する前

 

 

「おいノイズの反応はないのじゃねぇのかよ!?」

 

さっきは居なかったはずなのにノイズの反応が出てきており、そこから消えてない。

タカちゃんも『何でか分からない』と首を振っている。

 

「くっ・・・戦兎に連絡しておいてくれッ!俺は先に行く!」

 

もうこの森を抜けたら目の前に反応があるためビルドフォンを元に戻して戦兎に教えて貰った通りにライオンフルボトルを収納する。

そしてクローズは走っていくのだった。

その様子を見ていたタカちゃんはやれやれと首を動かすと緊急要請を主人に送ってステルスになって情報を撮るためにクローズについて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

「っ!?」

 

突然現れたビルド---否ビルドに似ているようで違う龍の戦士を翼は見る。

 

「ちっ・・・こんな時にビルドかよ!」

 

謎の少女はビルドと言うが―――。

 

「俺はビルドじゃねえ・・・仮面ライダークローズだ!」

 

現れたとともに自分の名を明かす。

 

「そんなの知るかよッ!」

 

そう言ってクローズへと謎の少女は鞭を振るうが、クローズは転がることで回避。そしてそのまま少女の元へと走ると蒼炎を纏うことで殴りにかかる。少女は鞭でガードしながらもあまりもの威力に軽く飛ばされる。

 

「どうだッ!」

 

吹き飛ばした少女に対してそう言いながらも油断なく見る。

 

「ちぃ・・・!やっぱりやりにくいな!これでも相手してろッ!」

 

すると少女は杖ではなく、銃のようなモノと”フルボトル”を取り出す。

 

「なっ!?てめえ・・・どこでそれを!?」

 

クローズが驚いた反応を見せる中、翼は少女を睨みながらクローズも警戒しており、響は何が何なのかあまりわかってないようだ。

 

「ハッ、んなこと言われて教えるバカがいるかよ!」

 

フルボトル・・・

 

何処かトランスチームガンやネビュラスチームガンを思わせる形だ。違う所と言えば塗装だろう。何も塗ってなく・・・いやよく見れば塗られており、それはノイズを思わせるかのような透明感がある灰色の色だった。

その銃の名前は『リコールソウルガン』そして少女は銃のトリガーの前にある縦長のフルボトルスロットにフルボトルを挿入。

 

・・・SUMON・・

 

「ほらよ!」

 

音声が認識されると、そのままクローズにトリガーを引くとクローズの目の前に怪人が現れる。

機械的で全身の装甲が黒くなっており、右腕には大きなハンマー、そして左腕には大きな剣を手に持っているのではなく、そのままハンマーと剣としてある。それはまさに自分たちが旧世界で戦ってきた怪人と同じ見た目で―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで・・・なんでスマッシュが居るんだよ!?」

 

クローズはそのことに信じられないかのように声を上げてしまうのだった。

 

「スマッシュ・・・?この怪人のこと知っているのか?」

 

翼がクローズの隣に歩みながらクローズに目の前の怪人について聞く。

 

「怪人を・・・生み出した・・・?」

 

響は目の前で新しい---自分が一度も見たことも無いようなノイズでもない怪人が現れて驚きの表情を隠せてない。

 

「こいつらはスマッシュ・・・一切の意思疎通が不可能で無差別に人間を襲って辺りを破壊し尽くす生命体だ」

 

一瞬説明するべきかどうか悩んだクローズだったが、この程度ならば問題ないと思い、情報を提供する。

 

「スマッシュは俺がやる。お前は女の方任せていいか?」

 

クローズは目の前のスマッシュを睨むかのようにして構えながらとりあえずの所今まで戦ってたであろう翼にお願いする。

 

「スマッシュだがなにか知らないが・・・私の前に立ち塞がるのであれば斬り伏せるのみッ!」

 

そう言って剣を構えながら突撃していく翼。

 

「あ、おい!待て!」

 

慌ててついていくクローズ。何故ならスマッシュはどんな能力があるか分からないが、基本的にどのスマッシュも厄介な能力や装甲を持っているからだ。

 

「ハアッ!」

 

謎の少女に向かっていた翼の前にスマッシュが現れる。翼はそんなスマッシュを斬り伏せるようと蒼ノ一閃を再び放つ。だがスマッシュはそんな攻撃を右腕のハンマーの方で上から下に振りかぶることで地面に弾く。

 

「なにッ・・・!?」

 

あっさりと弾かれたことに驚きの様子を隠せないが、すぐに放ってくる左腕の剣の攻撃を剣でガード。しかしその攻撃力は凄まじいほどで、翼が弾かれて吹き飛ぶ。

 

「オラッ!」

 

吹き飛んだ翼の代わりに来たのはクローズ。クローズはスマッシュの首元を掴むと、そのまま引き離すように森の中へと引っ張っていく。

 

「追加でこっちもだッ!」

 

森の中へと行ったクローズをわざと見送ると翼の方へと杖を向ける。するとそこから大量のノイズがまた現れる。

 

「くっ・・・!」

 

翼は向かってきたノイズに対して剣を横にして人型2のノイズの刃状の攻撃を受け止める。

そして弾いて切断、あっさりとノイズを斬り裂くと空中を高く飛んで千ノ落涙を大量のノイズに放つが、謎の少女がまだまだ召喚してくる。

倒してもキリがない翼は謎の少女を狙うべきかと考えた時だった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ready Go!

 

VOLTEX FINISH!

 

すると今度は音声とともに水色のアーマーと白いアーマーを身につけたビルドが、ノイズの周りを左腕からまるで”ロケット“のように噴出させながらノイズを囲み、巨大化させた右腕の爪でノイズをまとめて倒すのだった。

 

「ハッ!」

 

そして倒したビルドはすぐさま方向転換、響の元へと向かうと響を拘束している駝鳥型のノイズをロケットパンチで攻撃、そのままノイズが炭化するとビルドは粘性のある液体で拘束されてた響が急に拘束されたのが消えて倒れそうになったのを優しくそっと抱き抱える。

 

「うわっ!?わわ・・!あ、ありがとうございます・・・!」

 

助けられた響はビルドに感謝の気持ちを伝える。

 

「・・・」

 

ビルドは何も喋らずに、だが無視しているわけではなかったようでこくりと頷く動作だけはして響を巻き込まないために少し遠くの場所まで避難させる。

 

(なんだろう・・・?何か以前に戦兎さんに抱えられた時と同じような感じがするのは、気のせいかな・・・?)

 

響はビルドに抱えられた時にそんなことを思ってしまう。まるで以前戦兎に助けられた時と同じ感覚がしているのだ。が、実はそれは当たっているのだが、本人は違和感を少し持つだけでビルドの正体には気づかなかった。

 

「・・・その杖はなんだ?」

 

いつの間にか響を避難させた後、謎の少女の元へと近づくとノイズを召喚していた杖について聞く。

 

「これか?ソロモンの杖だよ。ノイズを操る能力もこれのお陰って訳さ。それよりもあんたはもう一人の仮面ライダーの所に向かわなくていいのかい?」

 

素直に情報を明かす謎の少女だったが、ビルドに向かって余裕そうな笑みを浮かべながら言う。

 

「なに?」

 

そんな少女に向かってビルドは意味が分からないとでも言うように声を出してしまう。すると、

 

 

「がッ!?」

 

クローズがビートクローザーを手に森の中から吹き飛ばされるようにして転がってきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルドが来る前

 

「うおおおおおおお!オラァ!」

 

森の中へとスマッシュを連れて行っていたクローズはそのままノイズ投げつける。が、スマッシュはまるで人間かのように一回転、無事に着地する。

 

「ガアアアアアアアアア!」

 

そして叫び声のようなものを上げながらスマッシュがかなりの速度でクローズに近づいて剣を振りかぶる。

 

「あぶねえ!?」

 

ビルドドライバーに搭載された『高速ファクトリー』が展開、『スナップライドビルダー』からクローズは剣を形成してそれで受け止める。

 

ビートクローザー!

 

「オラッ!ハアッ!」

 

ビートクローザーで剣を弾くと、スマッシュに攻撃する。だがスマッシュは高く跳躍し、アクロバティックに動きながらクローズを惑わせる。そして連続でまるで”ウサギ”のように跳んでクローズに近づくとハンマーで空中に吹き飛ばすようにアッパー、回避が間に合わないと思ったクローズは両腕をクロスするが、そのハンマーの威力はとんでもなく、ガードが崩されるのと同時に空中に吹き飛ばされる。

吹き飛んだクローズに対してスマッシュ高く跳躍。そのままもう一度ハンマーで地面に叩きつける。

 

「ぐあッ!?な、なんだこの強さ・・・!?通常のスマッシュの何倍よりも強えぇ・・・!」

 

地面に叩きつけられたクローズはそんなことを呟く。

そう、彼が通常のスマッシュ相手ならばここまで苦戦することはない。

なぜなら現在の彼のハザードレベルならば通常のスマッシュぐらい変身しなくても倒せるのだ。だが、そんな彼でも苦戦している。

そして苦戦している一番の理由はスマッシュが特に跳躍力が高く、スマッシュの両腕の攻撃がとんでもなく重たくて防御しても上から潰してくるのだ。

すると空中から再びハンマーをスマッシュが振り下ろしてくる。

 

「うおおっ!?」

 

慌てて転がることで回避、そしてすぐさま向かって斬りにかかってくる剣を同じように剣で向かいうち、ハンマーをぶつけるようにスマッシュが出してくるとクローズは左手に蒼炎を纏った攻撃で向かい打つが、あっさりと吹き飛ばされてしまう。

 

「くそっ・・・!ならこいつで!」

 

クローズはビートクローザーに付いている下のグリップエンドスターターを操作、二度クリップエンドを引っ張る。

 

ヒッパレー!ヒッパレー!

 

以前使った技とは違い、ビートアップゲージが緑色で赤色のゾーンに行く直前で止まっているクローズは自らスマッシュに近づいてから持ち手の部分にあるトリガーを引く。

 

ミリオンヒット!

 

スマッシュにビートクローザーを振り下ろす。振り下ろすと刀身から波形状のエネルギー刃が伸び、衝撃波として飛ばして連続でダメージを与えていく。

 

「グガアァァァアアアァア!?」

 

すると、ようやくダメージが入ったかのような反応を見せるスマッシュ。

 

「よっしゃあ!これなら行けるッ!」

 

ヒッパレー!

 

今度は一度だけクリップエンドスターターを操作。今度は緑色のゲージが半分ぐらいしかない。

そして再び剣のトリガーをクローズが引く。

 

スマッシュヒット!

 

ビートクローザーの刀身に蒼炎纏わせ、そのまま再び近づくとのと同時にスマッシュに向かって横薙ぎ、横薙ぎはバックステップで避けられるが、そこから蒼炎の斬撃が出てき、スマッシュを吹き飛ばす。

 

「ウガアァアアアアァァァ!」

 

すると怒ったかのように叫びながら近づいてくる。そしてクローズに向かって左腕の剣でそのまま斬りかかってくる。

クローズはその攻撃を最低限に避けて攻撃しようとした時、もうひとつの右腕のハンマーが来てることに気づき、すぐに後ろに下がるが、スマッシュが地面を蹴ってクローズに急接近。

間に合わないと察したクローズは両腕に蒼炎を纏ってガードしようとする。

スマッシュは気にせずに思い切りハンマーをふつけてクローズを森の中から外へと思い切り吹き飛ばすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

「ば---クローズ!?」

 

ビルドが吹き飛んてきたクローズに驚いたように声を上げる。

 

「ハッ!流石戦力としてあいつがかなり使えるって言ってただけあるぜ」

 

そう謎の少女が言うと、先ほどクローズを吹き飛ばした相手、全身が黒い装甲を纏っていて、巨大なハンマーと剣が両腕にあるスマッシュが制御されているかのように謎の少女の隣へと行く。

 

「スマッシュ!?おい大丈夫か?」

 

スマッシュの存在を確認して驚くが、それよりも先にクローズを立ち上がらせる。

 

「あぁ、気をつけろ。あいつめっちゃくちゃ強えぞ・・・!」

 

先ほど一戦を交えたクローズは正直今の形態しか変身出来ない状態では一人では勝てる気がしない。と悟ったのだった。

 

「今のお前がそこまで言うレベルか・・・。なら全力で行かないときつそうだな」

 

そう言ってからビルドがスマッシュを見ながら構える。

 

「・・・ビルド」

 

そうしてると翼がビルドの隣へと近づいてくる。ビルドは一瞬この時にまで拘束しようとしてくる気かと身構えるが、攻撃の意思を感じないことに気付く。

 

「今回ばかりはスマッシュとやらを任せて構わないだろうか?ネフシュタンの彼女は私がやる」

 

剣を構えながら言ってくる翼。

 

「なるほどね。つまり一時的な共闘ってとこか。分かった、スマッシュは俺とクローズでやる。だからあの少女は任せるぞ」

 

すぐに納得したビルドは翼の共闘の申し込みに乗る。

正直クローズが苦戦した相手に鎧を纏っている謎の少女相手はきついからだ。そして翼が共闘を申し込んだ理由は謎の少女を攻撃しようとしてもスマッシュが防いできて、しかもスマッシュ同じくらい強いことを知ったためにだ。

 

「じゃあ行くぞ!」

 

その言葉とともにビルドがロケットのエンジンを使ってスマッシュへと突撃。そのままスマッシュと少女を離すかのように森の奥へと連れていく。

 

「・・・気をつけろよ?」

 

その言葉を残してクローズはビルドの後を追っていくのだった。

 

「あの二人に助けを求めなくてもよかったのか?」

 

そしてネフシュタンの少女はそんな二人を見送りつつも翼に向かって言葉を発する。

 

「必要ない。それに彼等にはスマッシュとやらを相手して貰える方が安心して集中出来るのでな」

 

そんな少女の言葉を聞き流しながら答える。

 

「ハッ、そうかい!」

 

そう言うと謎の少女が鞭を振るう。それは戦闘の合図となり、翼は鞭を弾く、そしてそのまま剣を振り下ろして攻撃。少女は翼の剣を手で受け止める。それを弾けば翼に向かって回し蹴り、それをしゃがんで回避しつつ剣を振るうが、それも当たらずに避けられる。

そしてジャンプしながらの蹴りを放つが回避され、すぐさま翼は小刀を三本投げる。

 

「ちょっせぇ!」

 

それを少女は鞭で弾き、一本の小刀が空中を回る。そして少女は走りながら高く跳躍。鞭の先に白い玉に黒い稲妻があるエネルギーを集める。

それを地上にいる翼に振り下ろす。

 

NIRVANA GEDON

 

「っ!」

 

そのエネルギー玉を翼は巨大化させている剣を横にしてなんとか受け止める。

 

「翼さんッ!」

 

その姿を見た響は声をつい上げながらも自分が行けば余計に邪魔になると理解しているため助けに行けない。

 

「くっ・・・!」

 

そして受け止めていたエネルギーの玉が爆発。翼はその爆発に吹き飛ばされるように飛んでいき、地面を転がってうつ伏せに倒れていた。

 

「ふん。まるで出来損ない」

 

そう言って鼻で笑う謎の少女。

 

「確かに、私は出来損ないだ」

 

うつ伏せに倒れながら翼が声を出す。

 

「あぁん?」

 

それに笑みを浮かべながら見つめる少女。

 

「この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに、あの日、無様に生き残ってしまった・・・。出来損ないの剣として恥を晒してきた・・・」

 

そう言いながらも剣を地面に刺し、それを支えにするかのように立ち上がる。

 

「だが、それも今日までのこと。奪われたネフシュタンを取り戻すことで、この身の汚名を雪がせてもらう」

 

身体をしっかりと起こしてそう断言する。

 

「そーかい・・・脱がせるものなら脱がしてみ---何ッ?」

 

攻撃を仕掛けようとすると少女は身体が動かないことに気付く。そして後ろを見るとなんと先ほど翼が投げて空中を回った一本の小刀が地面に刺さり、少女の影を刺していたではないか。

 

影縫い

 

「くっ・・・こんなもんであたしの動きを・・・!まさか、お前・・・!?」

 

余裕のあった顔はどこいったのか、悔しそうな表情になるとすぐに何かに気づいたように驚きの声を上げて焦り出す。

 

「月が覗いてるうちに、決着を着けましょう」

 

その言葉通りに空にあった雲は月を開けて月が覗いて見ていた。

 

「歌うのか・・・!絶唱を・・・!」

 

少女が気づいたことを言葉に出す。

 

「翼さんッ!?」

 

絶唱と聞いて驚いたような表情になる響。

 

「防人の生き様、覚悟を見せてあげる!あなたの胸に。焼き付けなさい!」

 

響の方に振り向いて言いながら剣を向ける。それはちょうど胸の辺りを示していた。

 

「やらせるかよ!好きに、勝手に・・・!あっ・・・!?」

 

抜け出そうとするが、少女は影縫いで動けないまま言葉を発することしかできない。

 

翼が空に向かって剣を向ける。そしてそのまま歌いながら少女へと近づいていく。

 

『―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――』

 

『―――Emustolronzen fine el baral zizzl―――』

 

『―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――』

 

Emustolronzen fine el zizzl―――』

 

その間にもソロモンの杖を放つが、既に翼は目の前にいて遅い。翼は少女の両肩に手を置き、歌い終わったと共に口から血を出しながら笑みを浮かべたのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





なんだこのスマッシュ!?

ずっと考えてたオリジナル登場です。因みに強さはハードスマッシュぐらい(クローズチャージで戦えるレベル)です そしてビルドたちはハザードレベルのお陰で戦えてます。

このスマッシュが実は重要になったりならなかったり!?
作者も分からないです!

そしてお気に入り100件行きました。ありがとうございます!内容が未だに後半に行かない鈍足な小説ですが、これからも頑張って行くので良ければ感想、評価、お気に入り登録の方もお願いします!


アンケートは多分クリス確定になりますけどちょっと無理があるくない?と思われる正体バレなしか無理がない正体バレあり、どっちがいいですかね?因みに正体バレの方だとクローズには展開的にオリジナルフォームを出来るので出します。因みに全員に正体バレではなく、クリスのみです。二課にまだ入ってない頃なのでシンフォギア知ってる人なら分かると思いますが、話数進んだ後のクリスならバレても展開に問題ないですからね。
この話からアンケート出しておきます


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第十二話 煩・悶・憂・苦


サブタイトルは「はんもうゆうく」と読みます。四字熟語ですね。

アイエエエ!?オレンジ!?ナンデオレンジ!?しかもこの作品に10評価してくださった方が……ありがとうございます!本当に嬉しいです!

しかしやっとシティウォーズなんとか覚醒行けたァ!250万貯めるのしんどすぎる……エボルト特効あったから助かった。ひたすらサウザーをブラックホール蹴りしてましたよ。二日でやってほぼ徹夜で小説も書いてた作者は隙がなく、頑張ったと思います。

さて、話を戻して前回クローズが戦ったスマッシュからです。ここでスマッシュの能力とか色々分かるかな?

一体どんなのか予想してみてくださいね。






戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎はタカちゃんからの報告で現場に向かうことにする。向かった先にはネフシュタンの鎧を纏った少女に追い詰められる翼、そしてノイズに拘束されていた響が居た。すると謎の少女が向かってきたクローズになんとスマッシュを召喚する!そして大量のノイズを再び召喚した正体だったが、そこで主役である俺が登場!ノイズをまとめて倒して、響を救うことに成功するのでした!」

万丈「まさかスマッシュ召喚するとはな」

戦兎「俺も驚いた。明らかに従ってるのがな・・・」

響「それよりもです!前回翼さんが絶唱使いましたよね?大丈夫なんですか?」

未来「あっ・・・確かにここにも居ないね」

戦兎「あぁここに居ないのは居たらダメだと思って呼ばなかった」

万丈「毒を受けたくせにあらすじ紹介に出てたやつが言っても説得力ないと思うけどなぁ」

戦兎「そりゃあ、大人の都合だろ」

響「えぇー・・・それは言っていいんですか?」

未来「ま、まぁ今回のは別に本編とは関係ないから・・・」

戦兎「そういうこと。それではビルドが大活躍するかもしれないししないかもしれない第十二話をどうぞ!」

戦兎「あれ?台本また変わってない?」




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼が絶唱を使う前

 

「フッ!ここでなら問題ないだろ!」

 

そう言いながらロケットで運んでいたスマッシュ目掛けてついでとばかりにそのままロケットミサイルとして発射。そのまま着地し、スマッシュはしばらく吹き飛んで木にぶつかると共に爆発する。

そしてビルドはフルボトルを抜き、マリンブルーのフルボトルで骸骨にバツ印の模様を施されている『海賊フルボトル』と電車そのものの模様を施されている黄緑色の『電車フルボトル』を取り出してボトルの成分『トランジェルソリッド』を活性化、ビルドドライバーに挿入する。

 

海賊!電車!ベストマッチ!

 

音声とともにビルドはボルテックレバーを回す。するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがビルドの周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、マリンブルーと黄緑色の液体が流れると、二つのアーマーを形成する。

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

ビルドが声を出すのと同時にスナップライドビルダーがスライドし、ビルドを挟む。空色と白のアーマーは重なると同時に粒子となって消え、マリンブルーのアーマーの方には右腕に『マルチセイルマント』があり、黄緑色のアーマーの方の左腕にはまるで電車の信号を表すかのように赤と青の丸があった。

 

定刻の反逆者!海賊レッシャー!イェーイ!

 

『仮面ライダービルド 海賊レッシャーフォーム』

 

そしてその手には彼が修復をした弓型の武器で船の錨、海賊船、電車がモチーフの海賊レッシャーの専用武器「カイゾクハッシャー」が握られていた。

 

「戦兎!」

 

フォームチェンジを完了すると、クローズが追いついてきたようで、名前を呼びながら近づいてくる。

 

「来たか、万丈。この世界に何故居るのか分からないが、スマッシュを倒すぞ!」

 

カイゾクハッシャーを構えて隣にきたクローズへとそう言う。

因みに今名前で呼んでいるのはもう近くに装者が居ないからである。

 

「おう!」

 

そしてクローズも手にある武器『ビートクローザー』を構えてスマッシュを見る。

スマッシュはロケットの爆発を受けたにも関わらずして、平気そうに向かってきていた。

 

「ハアッ!」

 

ビルドが先行してスマッシュに斬り掛かる。スマッシュはそれに反応し、左腕の剣でビルドを迎え撃つ。

鍔迫り合いになるビルドとスマッシュ。ビルドは押し込もうとするが、押し込めきれない。するとスマッシュが右腕のハンマーの方で殴りにかかってくるが、ビルドはそれをしゃがむことで回避、手を地面に付けてスマッシュ目掛けて右脚の『レールウェイシューズ』の足裏に組み込まれた車輪を高速回転、スマッシュの装甲を斬り裂くように蹴りを入れる。そしてすぐさま近づき、左腕の攻撃速度を4倍に引き上げる電磁加速装置が組み込まれている『トレインガントレット』の電磁加速装置を高稼働させ、電車型の電気エネルギーをまとった電撃車両パンチを繰り出す。

 

「ガアアアアアア!?」

 

するとダメージが効いたように吹き飛んでいくスマッシュ。吹き飛んでいくスマッシュの先には先回りしていたクローズが居た。

クローズは鍔の中央に錠前の模様を模している黄土色の『ロックフルボトル』をセットする。

 

スペシャルチューン!

 

クローズはビートクローザーに付いているグリップエンドを一回引っ張る。

 

ヒッパレー!

 

そして剣を構えながらクローズはタイミングを測って剣の持ち手にあるトリガーを引く。

 

スマッシュスラッシュ!

 

スマッシュが来ると横にズレて剣を後ろから蒼炎を纏わせた斬撃で一閃、そのまま振り返って蒼炎の斬撃を繰り出す。

その間にもビルドが電車型攻撃ユニット「ビルドアロー号」を引っ張ることでエネルギーを海賊船型攻撃ユニット「ビルドオーシャン号」からチャージ。すると音声が流れる。

 

各駅電車!急行電車!快速電車!出発!

 

という音声とともに青白い弓矢のようなモノを発射。クローズの斬撃をさらに援護するようにスマッシュにヒットし、爆発する。

 

「やったか!?」

 

ビルドの隣に来たクローズが声を出す。

 

「いや、まだだ」

 

ビルドがそう言うとともに爆発が晴れる。そこには少し傷があるスマッシュが居た。

 

「んなっ!?」

 

「あれだけやってもダメージがそんなにないのか・・・!?」

 

クローズとビルドの二人はダメージをあまり受けてないスマッシュを見て、驚く。

彼らのハザードレベルは既に人間の限界値を超えている。つまり余程のスマッシュならば今の一撃でやられるはずなのだ。

 

「グガアアアアアアアアア!」

 

すると怒り狂ったかのようにクローズを相手をしてたような跳躍力を見せずにとんでもない速さでスマッシュが目の前に来る。

 

「速えっ!?」

 

「こんのっ!」

 

すぐにビルドとクローズが反応してカイゾクハッシャーとビートクローザーで攻撃しようとするが、スマッシュの方が僅かに速く、クローズの方にはハンマーで吹き飛ばし、ビルドの方には横薙ぎで横に吹き飛ばす。

 

「がはっ!?」

 

「うあっ!?」

 

そのまま吹き飛ぶと、木を何本か削りながらようやく止まる二人。

 

「なんつう馬鹿力だよ・・・!」

 

すると、一番近かったビルドにスマッシュが反応。再び物凄い速度で近づいてくるが、ビルドは右肩部からの『BLDボヤージュショルダー』からワイヤー付きの銛を射出、木に突き刺すと何処かの蜘蛛男の如く避ける。

 

「あいつ、なんで急に速くなった!?」

 

ロストスマッシュでもこんな能力は見たことがなく、完全な未知の存在に警戒度をさらに引き上げる。

そしてクローズも復活したようで傍に来た。

 

「おい戦兎どうすんだよ?」

 

戻ってきたクローズはスマッシュを見ながらビルドに聞く。

 

「こうなったら必殺技で決めるしかない。行くぞ」

 

そうビルドが言うと、スマッシュ目掛けてビルドが弓矢を放ちながら近づいていく。

 

「ガアッ!」

 

が、スマッシュは少し防御してから必要ないと思うとガードをやめてビルドに左腕の剣で攻撃を仕掛ける。ビルドが先ほどのように鍔迫り合いに行くと、今度は右腕のハンマーで攻撃してこようとするが、そこにクローズが乱入。ハンマーの部分をビートクローザーで地面を削りながら受け止め、なんとか受け止めるとビルドと一緒にタイミングがあった蹴りをする。そしてクローズがビートクローザーのクリップエンドを三度引っ張り、ビルドはカイゾクハッシャーのビルドアロー号を最大まで引っ張る。

 

ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!

 

各駅電車!急行電車!快速電車!

 

メガスラッシュ!

 

海賊電車!発射!

 

音声とともに放たれるは二人の仮面ライダーの必殺技。クローズはビートクローザーの刀身に蒼炎を纏い。

 

「ハアッ!」

 

ビルドは力強い声を出しながらビルドアロー号を離して緑色と青色のオーラを纏った電車、『ビルドオーシャン号』と小さな『ビルドアロー号』を発射。

 

「ガウアッ!?」

 

ビルドの攻撃がスマッシュに直撃。それだけにと止まらずにビルドオーシャン号とビルドアロー号はスマッシュに当たっても再び跳ね返るかのように戻ってきて攻撃。二、三回当たるとスマッシュが自ら両腕を振るうことで破壊。

その隙に大ジャンプしたクローズが攻撃をする。

 

「オリャア!」

 

その斬撃は蒼炎を纏った刀身でスマッシュを斬りつけ、鍵型のエネルギーで斬撃を繰り出す。それがヒットすれば、今度は大爆発が起きる。

 

「これでどうだ・・・!?」

 

「流石に倒した、よな?」

 

少し経つと、爆発は消える。

そしてビルドとクローズは見たのだ。スマッシュがやられたにも関わらず、”まるでゾンビ”のように復活する姿を。

 

「はあ!?」

 

「そうか!スマッシュは俺たちの攻撃が効いてなかったわけじゃなくて、復活していたのか!?」

 

驚きの声を上げるクローズとさっきの攻撃でやられなかった理由を理解したビルド。

 

「ウグググ・・・!」

 

すると今度は速度は落ちているが、スマッシュが左腕の剣で攻撃を仕掛けてくる。

 

「くっ・・・同じことしたって!」

 

ビルドが反応し、攻撃を先ほどと同じように鍔迫り合いに―――することは出来ずに斬られて吹き飛ぶ。

 

「うぐあっ!?」

 

「戦兎!?」

 

さっきと同じようにしたはずなのに吹き飛んでいくビルドに驚愕しながらも、今度は右腕のハンマーでスマッシュが攻撃してきて防御しようとするが、先ほどのビルドが吹き飛んだのとクローズの直感が避けろと警報を鳴らし、クローズは慌てて避ける。クローズが避けると、ハンマーは地面にぶつかり、なんとハンマーで殴った地面の直径5mくらいの範囲でクレーターを作る。

 

「ぐっ!?」

 

その凄まじい威力にクローズはダメージはないが、吹き飛ぶ。

 

忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イェーイ!

 

分身の術!

 

火遁の術!火炎斬り!

 

風遁の術!竜巻斬り!

 

音声とともにビルドが”六人”となって飛び出す。その姿は左の複眼が手裏剣のようになっており、忍者のボディは紫色だ。右の複眼は漫画のページとペンを模しており、コミックのボディの色は黄色である。

そして三人は火遁の術で刀身に火炎を纏った4コマ忍法刀で斬りにかかり、残りの三人は竜巻を刀身に宿しながら六人で囲むようにして斬りにかかる。

これならば倒せると思われたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その予想は大きく外れることになる。

なぜなら斬りにかかったはずの六人のビルドが”弾かれた”からだ。

 

「んなぁ!?そんなのありかよ!?」

 

弾かれたビルドを回転することによってまとめて吹き飛ばし、ビルドの分身は全て消え、本体も吹き飛ばされてしまう。吹き飛ばされた先はちょうど立ち上がったクローズが居た。

 

「ちょ、戦兎!?ぐあっ!」

 

目の前から飛んできたビルドに慌てるが避ける暇も、受け止める暇もなく一緒に吹き飛んでしまう。

 

「っ・・・わ、悪い万丈」

 

退きながら立ち上がり、万丈に謝りつつスマッシュがいるであろう前方を見ながら四コマ忍法刀を構える。

 

「い、いや大丈夫だ・・・それよりこれ本当にどうすりゃいいんだよ?」

 

クローズも立ち上がってビートクローザーを構える。

 

「流石に制限があるとは思うが今のところあのスマッシュの分かっている能力は四つだ。一つは高速移動、二つ目は怪力、三つ目は硬化、四つ目は一番の問題の不死身っぽい能力。正直一番最後のが問題だな」

 

先ほど攻撃を仕掛けた際に見た能力をクローズに伝える。

 

「はあ!?んなの勝てねえじゃねえか!」

 

その言葉を聞いたクローズが驚いたように言う。

 

「いや多分だが、スマッシュは同じ能力を連続で使うことは出来ない」

 

あくまで推測だが、と言葉を付け足す。

 

「つまりどうするんだ?」

 

どういうことか分からないクローズは話を催促する。

 

「一度倒してもう一度倒す。そして成分を回収するんだ」

 

クローズにも分かるように簡易に説明して戦闘準備に入る。

 

「そういうことか」

 

クローズが納得するとスマッシュが気づいたようにビルドとクローズに近づいてくる。

 

「とにかく、行く---なんだ!?」

 

言葉を発して行動した時だった。何か巨大なエネルギーが後ろから迫ってきていたことに気づいた。

 

「ん?ってこれやばくねえか!?」

 

クローズも気づいたようで、慌て出す。

 

「まずい!万丈こっちだ!」

 

四コマ忍法刀のトリガーをビルドが四回鳴らす。

 

隠れ身の術!ドロン!

 

音声とともにクローズを掴んで煙を起こす。そして煙が晴れるとビルドたちは姿を消したのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

 

 

 

 

「ああああああああっ!?」

 

絶唱を受けた少女を凄まじい威力が襲う。それだけでなく、周りに出したノイズでさえも余波で吹き飛ばし、少女は絶唱のエネルギーで吹き飛んでいく。それでどれだけ強い力だったのか、分かるだろう。

そしてしばらくすると少女は止まり、ちょうどビルドたちがさっき居たところまで吹き飛んで倒れていた。絶唱を受けてもなお、生きていたが、ダメージは甚大のようだ。

 

「ちぃ・・・!」

 

そして鎧が再生し始めたのを見ると、近くにいたスマッシュをリコールソウルガンで再びフルボトルに戻し、そのまま飛んで逃走していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれはシンフォギアの力なのか・・・」

 

無事に巻き込まれる前に逃げれたビルドたちは二人してその威力に驚いていた。

 

「と、とんでもねえな・・・」

 

思わず、といった風にクローズが声を漏らす。

 

「あぁ。だが何のデメリットも負担もなく打てる技ではないだろ・・・悪いけど万丈。少し見てくるから待っていてくれ。俺一人なら逃げやすいからな」

 

そう、クローズは空飛ぶことも出来ないが、ビルドは空を飛ぶことも、いざとならば先ほどのように煙で逃げることも可能だ。

 

「お、おう。分かった」

 

それを知っているからか、クローズは何も文句は言わずに頷く。そしてビルドは放った人物が居るところに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?翼さーん!」

 

その威力にぼーっとしてして驚いた様子で見ていた響が立ったまま動かない翼の元へと向かおうとする。

 

「翼さ・・・うわっ!?」

 

が、途中で転けてしまう響。そして身を起こすと横に弦十郎たちが乗ってきた自動車が止まる。

 

「無事かッ!?翼!」

 

自動車から出て自動車のドアを閉めると、弦十郎が声を上げる。

 

「私とて、人類守護の務めを果たす防人・・・」

 

そう言いながら振り向いた翼は絶唱の影響で胸元から血が垂れ、既にかなりの量の血が足元に落ちていた。

 

「こんなところで折れる剣じゃありません・・・」

 

そう言って目元と口から血を出しながら力尽きたかのようにうつ伏せで倒れるのだった。倒れた翼に走って向かう弦十郎。

 

「翼さあああああああん!」

 

そしてそんな弦十郎を見ながら響は叫ぶのだった。

 

「ッ!?」

 

すると、響の近くに降り立ったビルドが仮面の下で驚いた反応をする。

 

「了子!救急班を呼べ!」

 

そう指示する弦十郎に。

 

「既に呼んであるわ!」

 

流石と言うべきか、既に手配してた。

 

「くっ・・・!」

 

現れたビルドは、一瞬悩む素振りを見せるが、仮に捕まったとしても命を放っておくことが絶対に出来ない。

そしてビルドは悩むのも時間の問題かと思うとすぐに翼の元へと向かった。

 

「ちょっと、そこの人!」

 

そう言って弦十郎に声をかける。戦兎としては弦十郎の戦闘映像を見てから出来れば一番出会いたくなかった相手である。

 

「なっ・・・ビルド!?」

 

声をかけられた相手に驚いたように弦十郎は身構える。

 

「何もしないっての!それよりその子は大丈夫なのか!?」

 

人の命が関わってるため、ビルドは早口で捲し立てる。

 

「・・・それは分からないが、問題は治療する前に力尽きないかだ」

 

一瞬弦十郎も敵である可能性があるビルドを警戒するが、ビルドに戦う意志どころか敵意を感じず、むしろ明らかな心配している雰囲気を感じ取って話す。

 

「ちっ・・・ならその子のこと、ほんの一瞬で構わない!任せてくれないか?頼む・・・!」

 

そう言って頭まで下げてきてお願いしてくるビルドに。

 

「・・・救えるのか?そして信じてもいいのか?」

 

弦十郎はしっかりと仮面越しに見るようにビルドの黄色と紫色の複眼を見つめる。

 

「あぁ。絶対に救う」

 

ビルドは一切目を逸らさずに見つめる。

 

「・・・分かった。だが、翼に何かしようとしたら分かっているな?」

 

完全に信用した訳じゃない弦十郎は釘を刺す。

 

「分かってる。その時は煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

 

ビルドは頷いてそんなことを言うと、弦十郎が退いたのを確認し、と言っても横にいるが―――構わずに『フェニックスフルボトル』を取り出して成分を十分に活性化させ、翼の手にそっと握らせる。

そして離れていくのだった。

 

「・・・何をした?」

 

その姿を見ていた弦十郎が理解出来ずに、ビルドに向かって聞く。

 

「時期に分かるよ。それより、絶対に治療する時も、そのフルボトルをその少女から取るな。あくまで応急処置ぐらいにしかならないと思うけど、取らない方が治りも早くなるはずだ」

 

そう言ってからビルドは四コマ忍法刀を取り出す。

 

「そうか・・・だが、待ってくれ。何処に行こうとする?貴様の目的はなんだ?」

 

返事をしつつもそれでも弦十郎としては立場的にビルドを逃すわけにも行かずに情報を少しでも引き出そうと聞く。

 

「今は言えない。けど・・・LOVE&PEACE」

 

そう最後だけボソリと小さく呟き、トリガーを四回引いて音を鳴らす。

 

「む?」

 

最後の部分が聞こえなかったのか、弦十郎が聞き返す。

 

隠れ身の術!ドロン!

 

ビルドは返事をせずに、ビルドの姿だけ覆う煙が出ると、煙が晴れた後には姿が消えていた。

 

「あっ・・・」

 

すると翼を見ていた響が声を漏らし、その声を聞き取った弦十郎が翼の方へと振り向くと―――

 

 

そこにはビルドが持たせたフェニックスフルボトルが赤い輝きを放ち、そこから炎が出てきて傷口に炎が入り、徐々に絶唱の負荷で大怪我を負ったはずの翼の怪我を癒していた。

 

「これは・・・!?」

 

それに弦十郎が驚いた反応を見せ、そしてすぐに救護班が来て、翼は運ばれるのだった。

ビルドが言った通りにフルボトルを翼から取らずに持たせたまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいのかよ?」

 

そう言ってクローズ---いや変身を解除している万丈龍我が聞いてくる。

 

「何がだ?」

 

そんな万丈に答えるのはバイクを運転しながら先ほど翼にフェニックスフルボトルを渡したビルド本人。

 

「ボトルだよ。データ取られるのがまずいから逃げてたんだろ?」

 

万丈は既に彼がどう言うのか、だいたい予想しているがそれでも聞く。

 

「人の命が掛かってるからな・・・仕方がないさ。それにあの人たちが風鳴翼からフルボトルを取るとは思えない。仮に取ってもあのフルボトルの能力がバレるだけだろうな」

 

そう言って戦兎はバイクを運転し続ける。

 

「だよな。そう言うと思ったぜ」

 

桐生戦兎とはそういう人間だ。万丈は一度聞いたことがある。

 

『人助けのビルドと自分の記憶どっちが大事なんだよ?』

 

『決まってんだろ。ビルドだよ』

 

と彼は即答してみせた。そして”あの時”も誰も味方が居なかったにも関わらずに彼は人々のため、一人で立ち向かっていた。

そんな彼が命が掛かってる時に命よりも自分にとってマイナスになることでも自分を優先することなんてない。

いつでも桐生戦兎は自分を犠牲にしてでも誰かを助けようとする。

 

「それより万丈。お前またチャック空いてるぞ」

 

呆れるようにして言ってくる戦兎。そして万丈は『んな訳・・・』と思い、見れば本当にチャックが空いていた。

 

「本当じゃねえか!?なんでいつももっと先に言ってくれないんだよ!」

 

後ろに居るにも関わらずに大声で言ってくる。

 

「だから自分で気つけっての!バカ!」

 

正論を返す戦兎。

 

「バカってなんだよ!筋肉付けろって言ってんだろ!」

 

運転している戦兎の肩を思い切り万丈は揺らす。

 

「ちょっ揺らすなって!運転してるだろ!」

 

といつものコントをしながら戦兎たちは拠点へと帰っていくのだった。

そしてタカちゃんはそんな主人たちを見ながら後ろからついて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一命は取り留めました。ですが、容態が安定するまでは絶対安静です。ある程度治療されたかのように治っていたのでそれが大きいでしょう」

 

「ッ・・・!よろしくお願いします」

 

医者に頭下げてお願いする。そして弦十郎は医者の最後の言葉を聞いて心の中で『未だに何者なのか分からないが、ビルドに救われたな……』と思い、心の中でビルドに感謝する。

 

「俺達は鎧の行方を追跡する。どんな手がかりも見逃すな!」

 

そして即座に後ろにいる黒服にグラサンをかけてる人達に指示を出し、戻るために歩いていくのだった。

 

 

弦十郎たちとは違い、待合所で俯きながら落ち込んでいる響。

 

「あなたが気に病む必要はありませんよ」

 

緒川が真横を通り、自販機の元へと行く。

 

「翼さんが自ら望み、歌ったのですから」

 

そう言いながら自販機に端末を当ててピロンという音ともに飲み物を購入する。

 

「緒川さん・・・」

 

響は顔を上げて緒川を見る。

 

「ご存知とは思いますが、以前の翼さんはアーティストユニットを組んでいまして・・・」

 

「ツヴァイウイング・・・ですよね?」

 

そう言って確認するように聞いてくる響にコーヒーを渡す。

 

「はい。その時のパートナーが天羽奏さん。今はあなたの胸に残るガングニールのシンフォギア装者でした。2年前のあの日、ノイズに襲撃されたライブの被害を最小限に抑えるため、奏さんは絶唱を解き放ったのです」

 

「絶唱・・・翼さんも言ってた・・・」

 

響は思い出すかのように呟く。

 

「奏者への負荷を厭わず、シンフォギアの力を限界以上に撃ち放つ絶唱は、ノイズの大群を一気に殲滅せしめましたが、同時に奏さんの命を燃やし尽くしました」

 

思い出すかのように緒川は目を閉じて言葉に出していく。

 

「それは、私を救うためですか?」

 

響はあの場に居たのは自分であったためにそう思い、聞く

 

「奏さんの殉職。そしてツヴァイウィングは解散。一人になった翼さんは奏さんの抜けた穴を埋めるべく、がむしゃらに戦ってきました。同じ世代の女の子がしてしかるべき恋愛や遊びも覚えず、自分を殺し、一振りの剣として生きてきました。そして今日、剣としての使命を果たすために死ぬことすら覚悟して歌を歌いました。不器用ですよね。でも、それが、風鳴翼の生き方なんです」

 

コーヒーを一口飲んだあと目を開けて、緒川自身は分からないため、答えずに続きを説明してくれる。

 

「そんなの、酷すぎます・・・。そして私は、翼さんのこと何にも知らずに、一緒に戦いたいだなんて・・・奏さんの代わりなるだなんて・・・」

 

その言葉を聞いていた響は本人でもないのに涙を流す。そしてさらに酷いことを言っていたことに気づいた響は涙を流すのを止められない。

 

「僕も、あなたに奏さんの代わりになってもらいたいだなんて思っていません。そんなこと、誰も望んでいません。ねぇ、響さん。僕からのお願いを聞いてもらえますか?」

 

その様子を見守っていた緒川が言う。

 

「えっ・・・?」

 

涙を手で拭きながら耳を傾ける。

 

「翼さんのこと、嫌いにならないでください。翼さんを世界で一人ぼっちになんてさせないでください」

 

優しそうな表情で緒川は響に対してお願いをする。

 

「・・・はい」

 

その言葉に響はしっかりと頷いて返すのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたら翼は真っ逆さまに空から落ちていた。すると、自分がよく知っている赤髪が見えた。そしてそれは、まさしく天羽奏の姿だった。

 

「片翼だけでも飛んでみせる!どこまでも飛んでみせる!だから、笑ってよ!奏!」

 

翼が手を伸ばしながら言うが、手は届かずにむしろ落ちていく。それでも必死に伸ばすが彼女は翼に頷いて見るだけで笑おうとしない。

 

「ああっ・・・」

 

そして翼は落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奏さんの代わりだなんて・・・」

 

リディアン音楽学院の屋上にて、響はベンチに座りながら昨日の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想

 

『ネフシュタンの鎧を纏った少女が召喚した怪人について、どう思う?』

 

司令室にて弦十郎が話を切り出す。

 

『あ・・・龍みたいな仮面の人---クローズさんって人がスマッシュと呼んでました。そして一切の意思疎通が不可能で無差別に人間を襲って辺りを破壊し尽くすって』

 

現場に居た響が思い出すようにして答える。

 

『スマッシュか・・・。そしてもう一人のビルドはクローズという名前だったのか』

 

もう一人のビルドということしか分からなかったために名前を初めて知ったようだ。

 

『クローズは英語で閉じるを意味するわ。名前から情報を得るのは無理でしょうね』

 

英語じゃない可能性もあると言えばあるが、可能性は低いだろうと思いつつ了子が言う。

 

『クローズがビルドの仲間だと言うのならば今は放っておいても構わないだろう。目的などは分からないが少なくとも人の命を救いたいという思いはあったようだ。それよりもスマッシュとやらが問題だ』

 

今日の出来事を思い出す。少なくとも翼が危険な状態と知ったビルドはわざわざ頭を下げてまで救おうとしてきたのだ。そして実際にビルドのお陰で翼は一命を取り留めたらしい。

 

『新たな脅威がこれからも現れる可能性がある・・・ですか?』

 

藤尭が考えて出した答えを呟く。

 

『それにスマッシュってネフシュタンの鎧を纏った少女が召喚したのよね?』

 

当時モニターで見てた友里が聞くように声を出す。

 

『あぁ、ビルドと同じボトル・・・フルボトルとやらと謎の銃らしきもので召喚していた』

 

『そしてビルドたちが驚いたことからして知らないのは向こうも同じの可能性が高いわね。関係性は薄いかも』

 

車に乗っている間もタブレットで映像を見ていた了子が思い出すように言った。

 

『うむ。そしてもう一つ気になるのはネフシュタンの鎧を纏った少女の狙いが響くんだってことだ』

 

そして弦十郎が話を切り替える。

 

『それが何を意味しているのかは全く不明』

 

なにやらタブレットを弄りながら了子が言う。

 

『いいや、個人を特定しているならば、我々二課の存在も知っているだろうな』

 

即座に了子の言葉を否定して言葉を紡ぐ。

 

『内通者・・・ですか?』

 

藤尭が聞くように呟き。

 

『なんでこんなことに・・・』

 

友里がこんなことになったのが分からないとでも言うように呟くのだった。

 

『私のせいなんです。私が悪いんです・・・。2年前も、今度のことも・・・。私がいつまでも未熟だったから、翼さんが・・・シンフォギアなんて強い力を持っていても、私自身が至らなかったから・・・』

 

すると目に涙を貯めていた響が立ち上がって階段の前に行く。

 

『翼さん、泣いていました。翼さんは強いから戦い続けてきたんじゃ、ありません。ずっと、泣きながらも、それを押し隠して戦ってきました。悔しい涙も、覚悟の涙も誰よりも多く流しながら・・・強い剣であり続けるために・・・ずっとずっと、一人で・・・』

 

すると響が目に涙を貯めながら振り向く。

 

『私だって守りたいものがあるんです!だから!』

 

回想終わり

 

「っ・・・!」

 

ふと、昨日のことを思い出していた響が目を開ける。

 

「響」

 

名前を呼ばれた響はそちらに視線を送る。

 

「未来・・・」

 

するとそこには後ろに手を組んで見つめてきていた幼馴染の未来が居た。

 

「最近一人でいることが多くなったんじゃない?」

 

未来がそんなこと言って響に聞いてくる。

 

「そうかな?そうでもないよ・・・。私一人じゃ何にも出来ないし・・・。ほら、この学校にだって未来が進学するから私も一緒にって決めたわけだし」

 

響がそう言っている間に話しを聞きながら未来は隣に座る。

 

「あ、いや、なんていうか、ここって学費がびっくりするくらい安いじゃない?だったら、お母さんとおばあちゃんには負担かけずに済むかなーって、あはははー」

 

頭に手をやって誤魔化すかのように言葉を呟く響。すると、未来が何も言わずに響の手を取る。

 

「あっ・・・やっぱり未来には隠し事はできないね」

 

と、諦めたかのように笑顔を消して落ち込んだような表情になる。

 

「だって響、無理してるんだもの」

 

未来は響の顔を覗くようにして見つめる。

 

「うん・・・でも、ごめん。もう少し一人で考えさせて。これは私が考えなきゃいけないことなんだ」

 

申し訳なさそうな表情になった響が言う。

 

「わかった」

 

未来はそう言って納得したかのような言って立ち上がる。

 

「あのね、響。例えどんなに悩んで考えて出した答えで一歩でも前進したとしても、響は響のままで居てね」

 

「私のまま・・・?」

 

「そう、響のまま変わらずに成長してくれるんだったら私は応援する。だって響の代わりは何処にもいないんだよ。どれだけ同じような性格の子が居たとしても、響が私の幼馴染で親友なんだから。そんな子この世界でどれだけ探しても響だけだよ」

 

未来は昨日言われたことを思い出すかのように上を向いて響に向かって言う。

 

「私、変わらないで居ていいのかな・・・?」

 

悩んでたことを少し表に出すかのように呟いて未来に聞く。

 

「響は響のままだからいいの。響じゃなくなるのは私凄く嫌だよ」

 

その答えはすぐに返ってきて、響は俯いてた顔を上げる。

 

「・・・・・」

 

そしてちらっと未来の方を見ると、未来は響に微笑みかけていた。

すると響は立ち上がって翼が入院している病院を見る。

 

「ありがとう、未来。私、私のまま変わらずに何か行ける気がする」

 

感謝の言葉とともに未来の方を向く響。そんな響に対して未来は微笑んでいる。

 

「そうだ、こと座流星群みる?動画で撮っておいた」

 

携帯を取り出し、昨日一緒に居てくれた戦兎のことを思い出しつつも録画したものを開く。

 

「えぇーっ!?」

 

驚きながら未来に貸して貰い、画面を見る響。

 

「んん?何にも見えないんだけど・・・?」

 

じーっと画面を見続ける響だが画面は真っ暗なままだ。

 

「うん・・・。光量不足だって」

 

苦笑いを浮かべてそう説明する。

 

「ダメじゃん!」

 

そう言ってから二人で笑い合う。

 

「おっかしいなあ、もう・・・涙が止まらないよ・・・。今度そこは一緒に見よう」

 

響は涙を指で拭く。

 

「約束。次こそは約束だからね」

 

その言葉を聞きながら響は後ろを向く。

 

(私だって守りたいものがある。私に守れるものなんて、小さな約束だったり、なんでもない日常くらいなのかもしれないけれど、それでも、守りたいものを守れるように。私は私のまま強くなりたい)

 

そう心の中で決断する。

 

「そうだ、響に伝言があるんだ」

 

未来は昨日最後に別れた後に言われたことを思い出す。

 

「へっ?伝言?」

 

誰からのか全く予想できない響は首を傾げる。

 

「うん。戦兎さんから。俺は元気にしてるって言ってたよ」

 

しっかりと昨日言われたことを伝える。

 

「えぇ!?ほ、本当!?」

 

自分がシンフォギアを纏ってから一度も会ってなく、様々なことがありすぎて考えてる時間がなかったが未来からの言葉に信じられないような表情をする。

 

「う、うんほら証拠だよ」

 

未来は昨日貰った電話番号と、撮らせて貰った写真を見せる。

 

「あっ・・・本当だ。よかったぁ・・・」

 

ほっと安心したかのように息を吐く。

 

「って未来。昨日戦兎さんと会ってたの!?」

 

今さら驚いた風に反応する響。

 

「まぁね。昨日相談に乗って貰ってたんだ。戦兎さんって・・・本当に不思議だね」

 

ふと、つい撫でられた箇所に触れながら未来は会ったのは二回目なのにあんなに安心出来て心が暖かくなったのかと考えるが、答えは出てこないため考えをやめる。

 

「あはは・・・確かにそれは言えてるね」

 

響が思い出すのはシンフォギアを纏う前のこと。偶然現れたかと思うと自らノイズの囮になって約束通りに無事に逃げ切ったようなのだ。

 

「もし、また会えたら話してみたいな・・・」

 

ふと響が呟く。

 

「電話したら会えるんじゃない?してみる?私も会いたいし・・・」

 

電話番号を貰ったためいつでも出来るからか未来が提案する。

 

「えっ!?い、いやあ・・・まだちょっと心の準備が・・・そ、それに迷惑になっちゃうかもだし、ね?」

 

「そっか。戦兎さんなら迷惑とは思わないと思うけど・・・じゃあいつかまた会いにいこっか」

 

昨日の戦兎を見る限りわざわざ自分に声をかけて慰めてくれたことからそう推測しつつ提案する。

 

「うんっ」

 

その言葉に響は頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たのもぉー!」

 

次の日響は風鳴弦十郎がいる風鳴家に来ていた。

 

「なんだ、いきなり?」

 

大きい屋敷から出てきた弦十郎が外に来て響に聞く。

 

「私に、戦い方を教えてください!」

 

元気よく響は弦十郎にお願いする。

 

「この俺が、君に?」

 

「はい!弦十郎さんなら、きっとすごい武術とか知ってるんじゃないかと思って!」

 

弦十郎の言葉に頷くとともに理由を説明する。

 

「俺のやり方は厳しいぞ」

 

腕を組みながら響を見つめて言う。

 

「はい!」

 

「ところで響くん。君はアクション映画とか嗜む方かな?」

 

「はい?」

 

こうして響は弦十郎の弟子入りするのだった―――。

 

 

 

 

 

 





光量不足は因みに戦兎くんなら問題なく出来ます。ただ普通に戦兎くんは忘れてました。be the oneや本編でもたまにバカなことやガバやらかしてるのでそういった感じに。例えばビルドの13話のパスワードで万丈に小指でやれよ!小指で!と言われてましたしね。

うーんしかしあっちゃー……やべぇ未来が響に言う嘘つきイベントが戦兎が慰めたために消えてしまった……よし、でも思い付いたから多分こっちは問題ないしヒロインがビッキーと未来さんになるけど気にしない。むしろこの展開になってるのにヒロインにならなかったら作者はびっくり。
そして喧嘩の話が一気にカットになるから結構早く進むかな?

問題は……最終決戦に戦兎をどうするかとどうクリスを万丈に惚れさせるか……後者が難しいんですよね。と言うかアンケートが僅差じゃなくなってる!?今回ばかりは結果分からないとその場面だけは書けない……!まだ行ってないからいいけどね。
それとスマッシュも対応しなきゃ……本来はこの話で倒すはずだったので()いや本当になんでこいつこんな強くなってんの……?もちろん理由はしっかりありますけど……!
次倒せなかったら間違いなく最終決戦で倒さないと二期の考えてたこと出来ないからやばいねこれ。


あと正体バレについてですが、戦兎の場面は書く前から決めてるので戦兎は変えません。というか正体一期の何処かで明かさなかったら戦兎くん二期出番一気に減るからね。つまりこの無印は本編で言うフルボトル争奪戦かな?あっちはまだ隠してた方だったので。
そしてどうでもいいですけどビルド見る度に私泣きそうになるんですよね。13話とか、涙線はあまり緩くないんですけど。

俺、戦い終わったお前におかえりって言うの好きなんだよ。なんか家族って感じがしてさ。



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第十三話 束の間の日常


遅刻したぁ!?ゲームのログインと残業のせいですね……。
ガチで書き終えたばかりの内容です。

今回はオリジナル回ですが、最終決戦にも繋がるであろう重要なオリジナル回となりますので!と言うか慌ててこの話書きましたからね。あ、この二人どこにも関係性がない!?と思ったので接点作らないとね。
あらすじどうぞ!













戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は未知なるノイズとの戦いに苦戦してしまう!その中、俺たちは絶唱の攻撃で飛んできたのを避けるために撤退するのだった!そしてなんと絶唱の負荷で倒れてしまった風鳴翼に桐生戦兎はフルボトルを渡してしまうのでした・・・!」

万丈「そして、これが後の悲劇を生み出すのだった」

響「とは書いてませんからね万丈さん」

未来「これ。だんだん台本通りじゃなくなってない?」

エボ「まあいいじゃねえかァ。その方が楽しいもんだろォ?」

戦兎「いやなんでここに居る!?」

万丈「ってかどっから入ってきたんだよ!」

エボ「そりゃあ・・・冷蔵庫開いてあったら誰でも気づくだろォ?」

未来「え?最後入ってきたのって・・・」

響「あ、あれ?開いてました?」

戦兎「響かよ!?」

エボ「クックックッ・・・それにこんなモノも落ちてたからなァ」鍵を取り出す地球外生命体

戦兎「あっ」

万丈「いや今度はお前かよ!?」

戦兎「ごめーん!多分ビルドフォン取り出す時に落ちたかもしれない」

響「わ、私もすみません・・・」

未来「ま、まぁ過ぎたことは仕方ないから・・・」

エボ「それじゃあ!本編良ければ見てくれよなァ!チャオ!」

万丈「あいつこれ言うためだけに来たのか・・・?」

戦兎「言われたぁ!?なんでどいつもこいつも主役である俺に言わせずに言うんだよ!」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ戦兎?」

 

猫との格闘をしなくなった万丈が突然声をかけてくる。

 

「どうした?」

 

戦兎はパソコンを操作しながら万丈の言葉を聞く。

 

「猫って・・・普通の飯食えんのか?」

 

さっきまで戦兎が世話していた猫を万丈が見ていた。

 

「・・・食えるものもあるが、基本的には専用フードが一般的だな」

 

一度手を止めると猫をちらっと見る。そして戦兎は再びパソコンを弄りながら万丈に聞かれたことを答える。

 

「だよな・・・」

 

明らかにこいつ本当に猫か?とでも言うかように万丈が猫を見ていた。

 

「にゃ〜?」

 

猫が不思議そうに万丈を見つめる。そしてぷいっと向くと戦兎の方へと行き、彼の膝の上で丸まったのだった。

 

「うお・・・俺の膝でも気に入ったのか?最近よく来るが・・・」

 

一通り終えたのか、パソコンの電源を落として椅子を回転させて万丈の方を向きつつ猫の頭を優しく撫でる。

 

「にゃぁ・・・」

 

『ここがいい』という風にすりすりと頬を擦りつけながら気持ちよさそうに鳴く猫。

 

「そうか・・・まあいいけどな?」

 

撫でながら相変わらず何故通じているのかと言いたくなるように言葉を猫に返す。

 

「戦兎は戦兎でよく猫と通じ合えるよな・・・俺にはなんて言ってるか分からないぞ」

 

はてなマークが浮かんでいるのではないかと言うくらい首を傾げていた。

 

「俺もなんとなくしか分からないよ。ってか実際にこんな猫いるもんなのかね・・・俺は飼ったことないしな」

 

いくら研究者とはいえ、彼の専門は物理。動物学ではないため動物について詳しいというわけではない。一般の人よりかは知識もあるしそっち方面も勉強すれば出来るだろうが。

 

「俺もないな」

 

そもそも万丈は動物に関して興味を持つことがなかったという理由ではあるのだが。

 

「そりゃ万丈に飼われたらみんなビビると思うぞ?」

 

と戦兎がからかうように言ってきた。

 

「はあ!?なんだよそれ!そんなことねえに決まってんだろ!」

 

そしてそれに引っかかった万丈は戦兎に食いつく。

 

「じゃあほら、やってみろよ?」

 

猫をそっと抱き抱えて万丈の方に差し出す戦兎。

 

「やってやるよ!ほらこっちだぞー・・・」

 

言葉を宣言したとともにそっと猫に手を出していく万丈。

 

「にゃぁ!」

 

そして猫が万丈の方に飛ぶ。それにやっぱり大丈夫じゃねえかと余裕そうな笑みを浮かべるが---猫は無常にも戦兎が前に注意してたお陰で引っ掻きはしなかったが、タックルしながら急な攻撃に倒れた万丈の上に乗って顔を叩くだけだった。

 

「ちょっ、や、やめろって!」

 

いくらなんでも相手は猫のためいつものような取っ組み合いなどが出来ずに殴られている万丈。

 

「・・・ったく何やってんだか」

 

戦兎が呆れた表情になると、椅子から立ち上がって猫を抱える。

 

「で、どうだった?」

 

戦兎は猫を椅子に座らせると万丈の方を見る。

 

「こ、この猫だったからダメだっただけだ・・・」

 

立ち上がりながら諦めた様子はない万丈が少し毛が付いた顔を擦る。

 

「まっ、確かにそれもあるか。そういえばクローズドラゴンも何か可笑しくなってたよな?」

 

ふと、万丈と再開した時のことを思い出した戦兎は万丈に向かって聞く。

 

「ん?あぁ、あいつ何故か鹿みてえのがあんだよな」

 

万丈も思い出したかのように言ってくる。

 

「自我な。んでクローズドラゴンはどこいったよ?」

 

万丈の言葉を修正しつつクローズドラゴンが見当たらない。

 

「いや気づいたら居なくなってさ。変身する時はすぐ来るんだが俺もさっぱり分かんねぇ」

 

そう、変身する時は何故か来るのだ。多分そこだけは意思に応えてくれてるのだろう。

 

「外に行ったのか?それだとしたらまずいな・・・今のクローズドラゴンは流石に怪しすぎて確保されるかもしれない」

 

あんな攻撃の火力を持っていて何処か人間臭いペットロボなんてバレたらすぐに捕まるだろう。

 

「じゃあ探さねえと―――」

 

「キュー!」

 

万丈の言葉を遮るように上から万丈の頭に落下してくる。

 

「いてぇ!?」

 

気づかなかった万丈は思わず頭を抱えてしゃがみ込む。クローズドラゴンはそのまま頭に弾かれホバリングで普通に耐えれたようだ。

 

「あぁ、そこに寝るための作ってたのか」

 

戦兎はクローズドラゴンが落ちてきた所をみると、旧世界でクローズドラゴンが使ってた巣のようなものが似た感じに作られていた。

 

「キュイ?」

 

きょとんとした風に見つめてくる。

 

「いやなんでもないよ。ただ出来れば一人で外には出ないでくれよな?」

 

戦兎は優しく注意しつつ未だにしゃがんでる万丈を立たせる。

 

「いてて・・・なんで俺に降ってきたんだ・・・?」

 

理由が分からないといった表情の万丈。

 

「偶然だろ。ちょうど巣がある場所はお前の真上だしな。そのまま落下したのであれば頭に落ちる位置だ」

 

場所からして測った戦兎は万丈に言う。

 

「ったく・・・今日は災難だぜ」

 

猫に攻撃されるわクローズドラゴンが頭から落ちてくるわで朝から散々な目に合っている万丈は歩いていく。

 

「ん?どこ行くんだ?」

 

戦兎が歩いていく万丈に声をかける

 

「筋トレ」

 

一言言ってから万丈は端っこで筋トレし始めた。

 

「いやそこまで離れるってどれだけさっきのこと根に持ってんだよ・・・まぁいい。俺は出掛けるからな?」

 

万丈に一言かけてからビルドフォンを持って階段を登っていく。

 

「おう」

 

筋トレしながら戦兎の言葉に返事をした万丈だった。

そしてその言葉を聞いた戦兎は階段を登って冷蔵庫から出てきたあと閉めてから外に向かい、ビルドフォンにライオンフルボトルを挿入。

 

ビルドチェンジ!

 

音声とともにバイクに変形したマシンビルダーに乗って戦兎は街の方へと行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある山奥の場所に一つの豪邸があった。

 

 

『ソロモンの杖・・・我々が譲渡した聖遺物の起動実験はどうなっている?』

 

そこには一人の女性がいて、何者かと連絡を取っていた。

 

『ご報告の通り、完全聖遺物の起動には相応レベルのフォニックゲインが必要になってくるの。簡単にはいかないわ』

 

女性が流暢な英語を口に出しながら相手と連絡している。

 

『ブラックアート・・・失われた先史文明の技術を解明し、ぜひとも我々の占有物としたい』

 

この豪邸は彼女の家でもあり、隠れ家でもある。それは何処かの天才と同じような理由で、とある組織から身を隠すための拠点にして起点である。

でなければ、誰もが彼女の姿に目を奪われていただろう。

まるで天然のような長い髪に金髪。

そして一番の問題なのは、そのグラマラスな体が服を着てないために完全に晒されているという事だ。

着ているのはハイヒールの靴に黒いニーソに黒のアームカバーのみである。

 

『ギブ&テイクね。あなたの祖国からの支援には感謝しているわ。今日の鴨撃ちも首尾よく頼むわね』

 

『あくまでも便利に使う腹か。ならば見合った動きを見せてもらいたいものだ』

 

『もちろん理解しているつもりよ。従順な犬ほど長生きするというしね』

 

その言葉を最後に女性は電話を切る。

 

「野卑で下劣。生まれた国の品格そのままで辟易する。そんな男にソロモンの杖が既に起動していることを教える道理はないわよね」

 

そしてその全身素っ裸の女性が、椅子から立ち上がろうとした時だった。再び電話がかかってくる。そして女性は椅子に座りなおし、電話を取る。

 

『どうかね?私が提供したフルボトルとリコールソウルガンは?』

 

すると今度は何処か若く、30代後半と言った男性の声が日本語で聞こえてくる。

 

『あら・・・。えぇお陰で邪魔な仮面ライダーを抑えることが出来ているわ』

 

男性の声に実際に役に立ったことを知っている女性は素直に話す。

 

『ふっ・・・そうか。私はある親子に復讐さえ出来ればいいからな。そのために仮面ライダービルドを殺したいのだ』

 

その男性がビルドを名指して言う。

 

『そう。でも仮面ライダーを抑えるための”聖遺物”を提供してくれたのは助かるわ』

 

『なに、あれは偶然の産物だ。リコールソウルガンはそれを使うために作っただけの物だからな。私こそ、まさか聖遺物の欠片と成分が入ってないボトル、そして”ある物”が融合するなんて思わなかったからな』

 

『ふぅん。まあ私の計画を邪魔しないのであれば好きにして構わないわ。ビルドがどうなろうが、関係ないしね』

 

『フフ・・・そうさせてもらおうか。だが一つ注意はしておくぞ?仮面ライダーを舐めすぎるのはダメだ。"最上魁星"のデータを盗んできたデータを見たが、仮面ライダーというものはどうも逆境で強くなるらしい。もちろん、弱点もあるがな』

 

『・・・そんな余計な心配はしなくても大丈夫よ。けど弱点と言うのは聞いておくわ』

 

『弱点とは仮面ライダーは自分を犠牲にしてでも誰かを助けるということだ。大抵のやつらはな。そして間違いなくビルドは絶対にする。ピンチになったら他の戦闘不能になってるやつとかを狙えばいいさ。君ならいらぬ心配だろうがな』

 

『私は仮面ライダーについて何も知らないわ。だからからこそ、それは頭の中には留めておくわね』

 

『あぁ、そうしておくといい』

 

その言葉を最後に電話が切られ、女性は再び椅子から立ち上がる。すると、巨大な食堂から座っていた場所からテーブルの横に行ってそのままある装置に拘束されたボンテージにされている銀髪の少女がいる場所まで向かう。

 

「ねぇクリス?」

 

女性がその少女―――クリスの頬を撫でれば、苦し気に俯き目を閉じていたクリスがゆっくりと目を開ける。

 

「う・・・あ・・・」

 

その少女は何処か苦しそうに声を出している。

 

「苦しい?可哀想なクリス。あなたがグズグズ戸惑うからよ。誘い出されたあの子をここまで連れてくればいいだけだったのに。手間取ったどころか空手で戻ってくるなんて」

 

叱責しながら女性は顔を歪ませ、笑みを浮かべる。そしてクリスの顎を持ち上げて女性は見下すかのように言う。

 

この少女、クリスこそが前日響を誘い出し、そして翼と戦闘をしてスマッシュを呼び出したネフシュタンの鎧を纏っていた正体である。

 

「これで・・・いいんだよな?」

 

ふと、クリスが弱々しく聞くように呟く。

 

「何?」

 

何のことを聞いてるのか分からない女性は疑問を浮かべながら聞く。

 

「あたしの望みを叶えるには、お前に従っていればいいんだよな・・・?」

 

「そうよ。だから、貴方は私の全てを受け入れなさい」

 

女性はクリスから身を翻し、機械に繋がるレバーに手をかける。

 

「でないと嫌いになっちゃうわよ」

 

その言葉とともにレバーを降ろす。

 

「うあぁぁああああぁぁああああぁぁああっ!」

 

すると、途端に機械が発光し、少女が絶叫して痛みに藻掻き苦しむ。レバーを引くことで発生した電気がクリスの体を迸り、筋肉を痙攣させ、激痛を与える。

それを見ながら女性は楽し気に笑みを浮かべて見ている。

 

「可愛いわよ、クリス。私だけがあなたを愛してあげられる」

 

数秒後、絶叫を続けていた少女へ恍惚とした表情で言った女性はレバーを元に戻し、電流を止める。

 

「はぁっ・・・はぁっ・・・!」

 

電流の痛みの余韻に目を見開き、荒い息を吐いて汗もかいているクリスの頬に再び、女性が愛おしそうに手を這わせる。その手にクリスは女性へと顔を向ける。女性はそのままクリスぴったりと密着し、愛おしそうに少女の顔を撫でる。

 

「覚えておいてね、クリス。痛みだけが人の心を繋いで絆と結ぶ。世界の真実ということを・・・」

 

この言葉を聞いたら愛と平和を掲げているあの男がどう言うのだろうか。

 

「さあ、一緒に食事をしましょう?」

 

その優しい言葉に、クリスは、僅かにほっと安心して笑みを浮かべ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間には、また同じようにレバーにを下ろした女性によって電流を流されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!フッ!」

 

声に出しながら立花響は弦十郎に弟子入りしてから数日経ち、今はサンドバッグを殴っていた。

 

「そうじゃない。雷をくらい、稲妻を握りつぶすように打つ!」

 

響は声に出して言う弦十郎に顔を向ける。

 

「言っていること全然分かりません!でも、やってみます!」

 

普通の反応だろう。むしろこれで意味がわかる人が居れば驚く。

そして響は再びサンドバッグに視線を送り、拳を構える。

ドクンっと胸の鼓動を感じながら腕を引いて全力でパンチ。

すると、サンドバッグを吊り下げていた木の枝が折れ、サンドバッグは池の中へと落ちた。

 

「あはっ・・・!」

 

それをまた響は嬉しそうな表情になっていた。

 

「よし、こちらもスイッチを入れるとするか」

 

そう言ってパンチングミットを両手に嵌めた弦十郎が言う。

 

そしてそんな響を見てるとふと、弦十郎は数日前の出来事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前

 

「響くんが弟子入りを頼んできたのは驚いたが、やはり引き受けたのならばしっかりと育てなくてはな」

 

そう呟いた弦十郎が何処にいるかというと、武術についての参考にするためのアクション映画を借りるために来てたのだ。

すると何本か選んだ弦十郎はレジに向かう。

 

「ありがとうございましたー」

 

店員の声を背中で聞きながら店に出る。

 

「ちょっと!?幸祐!今はそっちは・・・!」

 

「ん?」

 

すると突然慌てたような母親らしき人の声が聞こえた方を弦十郎が見ると、そこにはボールが車道に行ってしまい、それを追いかけてる小さな男の子が居た。しかも信号は赤である。

 

「まずい!?」

 

そのことに気づいた弦十郎はすぐに助けるためにも足に力を入れるが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わあああああああああ!?」

 

既に車が目の前に来ていて明らかに間に合わないタイミングだった。

そして周りの人や母親も気づいたようで、この後起こるであろう悲惨を目にしたくないのか、目を閉じてしまう。

そして男の子も怖くなってしまい目を閉じる。その時だった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっと」

 

すると、軽い感じの声が聞こえたかと思うと、車が直撃する直前で一人の男性が物凄いスピードで男の子を搔っ攫い、ついでとばかりに片手でボールを掴んで車から間一髪で助けて歩道に入る。

周りの人たちは何かがぶつかった音もしなく、軽い男性の声に不思議に思ったのか目を開ける。

そして男の子も痛みが来なくて、しかも抱かれてる感覚に不思議に思ったようで目を開ける。

 

そこには灰色のフードにベージュ色のコートを着ていて、赤と青の靴を履いてる男性。他の人は知らないが、最近ネットで都市伝説として騒がれるようになっている仮面ライダービルドとしてノイズと戦ってる者---その正体である、桐生戦兎だ。

彼はいつもの飄々とした調子で、男の子を抱き抱えたまま歩道に居た。

因みにネットについては本人も知らないし都市伝説になっている理由はノイズを倒せるはずないという理由で信じられてなかったりする。

 

「君、大丈夫か?それと、これで合ってるかな?」

 

男の子を降ろしてから戦兎は目線を合わせて聞きながらボールを差し出す。

 

「う、うんなんともないよ。ありがとう・・・」

 

唖然としながら渡されたボールを受け取りつつ驚いてる男の子。

 

「そうか。よかった。これからは気をつけるんだぞ?」

 

安心したように優しく戦兎が微笑むと、男の子の頭を優しく撫でる。

 

「幸祐・・・!」

 

母親が名前を呼んで涙を浮かべながら子供の元へと近づいていく。

 

「お母さん・・・!」

 

すると子供の方も気づいたようで、幸祐と呼ばれた子は母親に抱きつくのだった。

その様子を見ていた戦兎が近寄っていく。

 

「すみません。貴女が母親ですか?」

 

お互い涙を浮かべながら抱きしめながら撫でてる母親と抱きついてる子供を見つつも確認しなければ行けないため、戦兎は声を掛ける。

 

「あ、はい・・・あの、貴方は?」

 

誰か分からない母親は戦兎に向かって聞く。

 

「どうも、てん---ただの物理学者の桐生戦兎です」

 

思わずいつもの勢いで天才と言いそうになったが、戦兎は気づいて自己紹介する。

 

「あ、どうも・・・私はこの子の、幸祐の母親の仲里真衣と言います。幸祐を助けていただき、ありがとうございました!!」

 

そう言って立ち上がりながら頭を下げてくる。子供も同じように下げてくる。

 

「いえいえ!それよりお子さんがご無事で何よりってもんです」

 

見知らぬ人のためにいつもとは別で敬語を使いつつ戦兎が言う。

 

「子供の命を助けて頂いた桐生さんにはどうお礼をすれば・・・」

 

と母親がそんなことを言ってくるが。

 

「たまたま通りかかっただけですし、お礼はいりませんよ?」

 

戦兎が当然とでも言うように呟く。

 

「えっ?」

 

母親が驚いたような、困惑したような表情になる。

 

「それよりも、その子が無事ならよかったです。君、次はもうこんな事にならないようにな?」

 

再び目線を合わして子供に向かって優しく言い聞かせるように言う。

 

「うんっ!おじさんありがとう!」

 

母親と再開出来て安心したのか笑顔で子供が戦兎にお礼を言う。

 

「うっ・・・おじさんじゃない。お兄さんだ」

 

無邪気な子供の言葉に戦兎は僅かに新世界に来て三度目の悪気のない無邪気なおじさん呼びに精神的ダメージを僅かに食らいつつも子供が笑顔になったことを見ると、”くしゃっ”と笑みを浮かべて立ち上がる。

 

「じゃあ俺はこれで。仲里さんもお子さんがもうこんなことがないように気をつけてくださいね。それでは」

 

そう言って戦兎は母親に一言かけて去ろうとする。

 

「は、はいっ!ありがとうございました!」

 

「おじさんありがとうー!」

 

母親が再び頭を下げ、子供は元気に手を振るのだった。

因みに周りは無事だと思うと、ほっとしてそれぞれの道へ向かっていったりする。

そして戦兎は子供が手を振ってることに気づいて、後ろに向けて手を振りながら角を曲がる。しばらく歩くと―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、少しいいか?」

 

「はい?」

 

何処かで聞いたことがある声だな、と思いつつ振り向くとそこには赤いカッターシャツの筋骨隆々の赤髪の男性。風鳴弦十郎に声を掛けられたのだ。

 

(あっ・・・やべ)

 

汗を少し流しつつも戦兎は断ることが出来ず、そのまま喫茶店に連れていかれることになったのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

 

弦十郎に連れていかれた戦兎は―――と言うより怪しまれないためについて行った戦兎は喫茶店に居た。

 

「二名だ」

 

弦十郎がすぐに言葉を発する。

 

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

 

そう言って案内してくる学生であろうアルバイトについていく二人。片方---弦十郎は普通に。もう片方の戦兎は内心が荒れている。

因みにこういった感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(嘘だろ!?この人って多分だけど風鳴翼が居る組織のトップだよな!?明らかに見た目違うし、戦い見た感じ下手したらまだなれないけどスパークリングになれても勝てる気がしない相手だったし!なんでそんな人がここに居るんだよ!?というか、会うなんて誰が予想出来るよ!俺は本当に偶然事件に出会しただけだぞ?狙って遭遇出来るならむしろ逆に嫌だわ!俺がビルドってことはバレてないよな?拘束されてないし。こうなったらどうやってでも誤魔化しかない!!)」

 

と言った感じである。

 

「ご注文が決まりましたらそちらのボタンを押していただければ注文を取りに行きますので。では、ごゆっくりどうぞ」

 

そう言ってからアルバイトの子は去っていく。

 

「む?座らないのか?」

 

弦十郎が座りながら未だに座らない戦兎に向かって聞く。

 

「あ、いや失礼します」

 

考えを一瞬で頭の中で消すと戦兎は弦十郎と反対の方へと座る。

 

「すまないな。君にも用事があるだろうに時間を貰ってしまって」

 

戦兎が座るのを見て弦十郎が謝ってくる。

 

「いえ・・・大事な用事という訳ではないので。それで貴方は?」

 

事実今日は街を歩くだけのつもりだったために戦兎は気にしてないため言う。

 

「そうか。俺は風鳴弦十郎。君は?」

 

名前を聞かれた弦十郎は自己紹介し、戦兎に向かって聞く。

 

「戦兎。桐生戦兎です」

 

そして戦兎もしっかりと名前を教える。

 

「戦兎くんか。それと、俺に敬語は必要ないぞ?君の楽にしてくれ」

 

すると戦兎が元々の口調ではないと気づいたようでそう言ってくる。

 

「・・・そう言うならそうさせて貰うよ。それでなんでここに連れてきたんだ?」

 

素直に戦兎はいつもの口調に戻る。

 

「うむ。それはだな戦兎くん・・・君武術をしたことあるかね?」

 

弦十郎が戦兎の顔を見ながらそう言ってくる。

 

「はい?」

 

戦兎はラビットの能力を使ったことに何か言われるのかと身構えていたため、突然別のことを聞かれて思わず敬語に戻る。

 

「あぁ、すまない。見た感じあの身こなしに君の身体を見るに何か武術でもやってたのかと思ってな」

 

弦十郎の言う通り戦兎は万丈よりかはないが、科学者の割に明らかに武術でもしてたんじゃないかというぐらい筋肉はある。

と言うかそもそも仮面ライダーになった人たちはある一人を除いてみんな筋肉はかなりあるのだ。

 

「え、えぇ。まぁシュートボクシングを・・・」

 

嘘は言っていない。事実彼の戦い方は他の武術はもちろん、シュートボクシングも入っており、変身する時のポーズはそのままシュートボクシングだ。

 

「おぉ!やはりか。いつか手合わせをお願いしたいものだな」

 

当たっていて戦兎が実際に武術をやってたことを知った弦十郎はどこか嬉しそうに言葉を発する。

 

「は、はぁ・・・それだけですか?」

 

あの戦闘を見た戦兎は出来れば勘弁願いたいとは思ったが、言わない。

 

「いや、本題に入ろうか。君はどうやってあの子供を助けた?明らかに間に合わなかったはずだ」

 

店から出てきたばかりとはいえ、弦十郎でさえ間に合わなかった……まぁクレーターを作るレベルでやれば店が大丈夫じゃなくなる代わりに間に合っただろうが。

 

「そりゃあ---俺の発明品のお陰ですよ!」

 

よくぞ、聞いてくれましたとでも言うようについ敬語になりつつも表情を輝かせて言う。

 

「はっ、発明品?」

 

弦十郎が何か分からないために首を傾げる

 

「えぇ実は俺のところには人間ではあるんですけど身体能力が明らかにおかしい友人がいまして。その人に協力して貰って速度が早くなる装置を作ったんです・・・まぁそれは一度しか持たないのでこうなってるんですが」

 

戦兎がそう言うと靴から何かを剥がしたような音ともに粉々になっている装置のような物を取り出す。

 

「ふむ・・・確かに粉々になっているせいで何か分からないな」

 

それを聞いて見た弦十郎は納得する。

 

「試作品ですからね。ぶっちゃけ失敗作です。まぁ子供を守れただけいいんですけど」

 

本当に守れてよかったと言った後に戦兎は嬉しそうにくしゃっと笑う。

 

「なるほど・・・君の技術力は確かに俺から見ても凄いし俺の知り合いに匹敵、いやそれ以上かもしれん。しかし君はそれを何に使うつもりだ?」

 

その様子を見つつも弦十郎が目を力強くしながら戦兎を見つめる。仮に悪用するためならば今すぐにでも襲いかかるといった風に。

 

「決まってるでしょ?人助けですよ。俺は誰かを助けるために科学者になったんです」

 

だが、弦十郎のその目に怯む様子を見せずに戦兎は力強く見返して弦十郎に即答してみせる。

 

「・・・ははっ!すまないどうやら君に聞くのは間違いだったようだ」

 

すると優しい表情になって弦十郎が笑う。

 

「いえ、実際に俺は自分が明らかに危険なことをしている自覚はあります。あの一瞬で子供を助ける速度があるならば犯罪なんて簡単でしょう。けど科学は正しいことで使うことで人々を幸せに、今回みたいに誰かを救えるってことを俺は信じてますから」

 

気にしてない、と言いながら弦十郎に自分の考えを話す。

 

「それはいいことだな。ならば君に聞きたいことがある」

 

弦十郎が戦兎に向かって見つめながら声に出す。

 

「聞きたいこと?」

 

戦兎は何か分からずに今度は戦兎が首を傾げる。

 

「いつか君のその試作品が完成したらどう使う?なんの為に?何を目的に助ける?」

 

再び力強く見つめ質問をしてくる。

 

「・・・俺、くしゃってなるんです」

 

戦兎が少し小さめの声で、しかし確かな力強さを感じさせる声で言う。

 

「うん?」

 

弦十郎はその言葉の意味は理解出来なくて不思議そうにする。

 

「誰かの力になれたら心の底から嬉しくなって、くしゃっとなるんですよ。俺の顔。それに、見返りを求めたらそれは正義とは言いませんから」

 

そうまた即答して力強く戦兎は宣言した。

 

「ふっ・・・やはり君に心配する必要はないようだ。気に入ったよ。これは俺の連絡先だ。もしかしたら君にお手伝いをお願いするかもしれん。その時は人類のために戦ってくれるか?」

 

弦十郎が紙に明らかに連絡先だと分かるメモを渡してくる。

 

「人類のため・・・ですか?そうですね、俺が誰かの力になれるのであれば是非」

 

戦兎はそう言ってからメモを受け取るとポケットに直しながら思ってたような感じではなくて心の中で驚く。

 

(もしかしてこの人たちは悪い人ではないかも知れないな・・・けど今回の・・・万丈とタカちゃんの情報であったネフシュタンの鎧とやらの事件が解決するまでは出来れば正体は明かしたくない。そしてタカちゃんが拾った音声に響を狙ってたって言ってた。つまり、響の正体を知っている人間。間違いなく、この人たちの組織にスパイか黒幕が居る・・・ライダーシステムがバレたら情報を知られるからまずいな)

 

「さて、今回は戦兎くんにわざわざ来て貰ったのだ。今回は俺が奢ろう。好きに頼んでくれ」

 

ふと、気づいたら弦十郎がそんなことを言ってきていた。

 

「そうですね・・・俺はコーヒーとショートケーキで」

 

メニューを開くと別にそこまでお腹が空いてるわけではないため糖分を取れるものにする。

 

「ふむ、ならば俺も同じ物を頼むか」

 

そして弦十郎は店員に頼み、二人は世間話をして楽しんだあと、お互い離れて帰っていったのだった---

因みに弦十郎は戦兎が必死にビルドという事を悟らせないように頑張ってたため、ただの武術を経験したことのある科学者としか思ってなく、正体に気づいてないが、仮にあの時LOVE&PEACEと言ってたことが聞かれてたらバレてただろう。

なぜなら二度くらい戦兎は本音を出してしまってたからだ。・・・主に誰かを救うことに関して。

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

「師匠?」

 

響は不思議そうに見つめていた。

 

「いやなんでもない。では響くんやるか!」

 

思考を元に戻した弦十郎は再び響と訓練を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜・・・朝からハード過ぎますよ〜・・・」

 

疲れた様子でソファーに寝転がっている響。

 

「頼んだぞ。明日のチャンピオン」

 

「はい、ご苦労様」

 

そう言って飲み物を差し出す友里。

 

「あっすみません!」

 

有難く響は友里からスポーツドリンクを受け取る。

 

「んぐっ、んぐっ・・・ぷはぁっ。あのー、自分でやると決めた癖に申し訳ないのですけど、何もうら若き女子高生に頼まなくてもノイズを戦える武器って、仮面ライダーの他に無いんですか? 外国とか」

 

スポーツドリンクを飲んだ響がそんな質問を上げる。

 

「公式にはないな。日本だって、シンフォギアを最重要機密事項として、完全非公開だ。それに仮面ライダーにしても俺たちが所有しているわけでも何故ノイズと戦えるのかも分からないからな」

 

「えー・・・。私、あまり気にしないで派手にやらかしてるかも・・・」

 

壁とか壊した記憶がある響は思い出すかのように呟く。

 

「情報封鎖も二課の仕事だから」

 

「だけど、時々無理を通すから・・・。今や我々のことをよく思ってない閣僚や省庁だらけだ。特異対策機動部二課を縮め、” 特機部二(とっきぶつ)”って揶揄されてる」

 

「情報の秘匿は政府上層部の指示だってのにね・・・。やりきれない」

 

「それに、いずれシンフォギアの有利な外交カードにしようと目論んでいるんだろう。けど最も、首相、それも首相補佐官がそれを許さないだろうけどね」

 

「EUや米国は、いつだって回転の機会を伺っているはず。シンフォギアの開発は、既知の系統とは全く異なる所から突然発生した理論と技術で成り立っているわ。日本以外の国では到底真似できないから、猶更欲しいのでしょうね」

 

「結局やっぱり色々とややこしいってことですよね・・・」

 

話を聞いてた響がぐったりと倒れる。

 

「あれ?師匠。そういえば了子さんは?」

 

居ないことに気づくと、響は身体を起こしながら聞く。

因みに師匠とは弦十郎のことである。響は弟子入りしてから弦十郎のことを師匠と呼ぶことにしたのだ。

 

「永田町さ」

 

「永田町?」

 

「政府のお偉いさんに呼び出されてね。本部の安全性、及び防衛システムについて関係閣僚に対して説明義務を果たしに行っている。仕方のないことさ」

 

「ホント、何もかもがややこしいんですね・・・」

 

「ルールをややこしくするのはいつも責任を取らずに立ち回りたい連中なんだが、その点、広木防衛大臣と、氷室首相。そして、氷室幻徳首相補佐官は・・・了子くんの戻りが遅れているようだな」

 

続きを言おうとした弦十郎が時計を見て呟くのだった。そして、彼らは知らないし、本人も知らないが、今出た名前の中にはかつてのビルドたちの大切な仲間の名前があったのだった―――。

 

 

 

 





すみません……毎日投稿きついんですヤバいです これ溜めはもうないから深夜に書かないときついんですよね 私一番深夜が発想思いつくので。

そして今回入れたオリジナル回のせいで進まなくなるという。

あとね……オリジナルフォームは出せるっちゃ出せます。けどいりますかね?これもアンケート出しとくのでお願いします。いや本っ当にアンケート多くてすみません。
やっぱりもう私の作品ですけどそれだけではないようなものなので聞いて書いた方がいいと思ったので。

そして……ヒロインについてはもう決定だろうしアンケート切らせていただき、正体バレに至ってはしないになりそうですね。

……万丈でどうにかして絡ませるかぁ しかしクリスって大人嫌い言ってるから嘘つくと好感度下がらないだろうか?万丈も大人だし……まぁなんとかします多分。未来の私頑張れ!

あと、毎日投稿出来なくなるかと、一日で1万文字以上ってやることは他にもあるせいできつくて……これ、私も様々な作品見てきましたけど他の作者様たちが言った通りに感想や評価、お気に入り登録がガチでやる気に繋がりますね。なかったら私月投稿になってたかも……。
書いてから気持ちが物凄く分かります。もちろん批判されてないかな?大丈夫かな?とか不安はありつつ感想見るのですけどそれで褒めてくれてる方が居たら物凄くほっとしたり、助かってます。長い感想も、短い感想でも歓迎ですよ。作者はしっかり見て返信しますので!

そしてまた評価10入れてくれた方ありがとうございます!とても嬉しいです!ここから物語が多分加速すると思うので!


なんかちょっと自信ついたっていうかさあ、さっき家の仕事してて、俺思ったんだよね。こう、自分のいるべき場所があるって、いいなって。



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第十四話 輸送作戦


ようやくシンフォギアの五話なのか……?これ二期になったらどうなるんですかね?オリジナル回入ると思うし物凄く伸びそう…。日常編も入れたいし予告編も書きたいし…予告編は後書きでもいいか。

そしてまだ知らない方も居ると思うので…というかほとんどの方が知らないと思うので、報告を。
活動報告書きました。時間があれば見てください。この小説に関してのお知らせになります。

では、あらすじをどうぞ










戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は事故にあった男の子を助けたことによって、二課のトップをしている風鳴弦十郎に見つかってしまう。そんな俺は質問に答えながら焦りつつもなんとか誤魔化すように成功するのでした!」

万丈「前回あんま進んでなかったな」

響「アニメでいう第五話の冒頭らへんですからね」

未来「作者自身もどうしようか悩んだけど入れた感じらしいから」

戦兎「えぇ・・・また裏話しちゃうの?そろそろ本編にこう、関わることを・・・」

万丈「つっても台本なくね?」

戦兎「台本通りに行かないから書くのはもうやめたんだよ!」

響「あはは・・・ら、乱入とかありましたし」

未来「仕方がない・・・のかな?」

戦兎「ったく・・・台本通りに行かないなら意味ないからな。あと台本書くの地味に疲れるからやりたくないんだよ」

万丈「お、おう・・・なんかわりぃ」

未来「えっと本編行っちゃおっか」

響「だ、だね!第十四話どうぞ!」

戦兎「よし俺は寝るからな?しばらく寝てくるからな!」

万丈「分かった分かった!戦兎のやつ、徹夜しておかしくなってねえか?」




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある海の底にでも居るのかという暗い場所で彼女は、風鳴翼は居た。それは何処を見ても暗くて―――

 

「私・・・生きてる・・・?違う。死に損なかっただけ・・・。奏は、何のために生きて、何のために死んだのだろう?」

 

ふと、沈みながらそんなことを考えてると、突然真っ暗だった暗い場所に明るい太陽のような明るさで周りを照らす。そして”それ”は間違いなく翼の後ろから照らされてるもので、”それ”は不死鳥のような、エジプト神話に出てくる霊鳥フェニックスを炎で現していた。そしてフェニックスは形を変え、翼の記憶にある天羽奏本人へと姿を変える。

 

「真面目が過ぎるぞ、翼」

 

翼の耳には間違いなく懐かしい――二年前失ったはずの大切な人の声が聞こえた。

 

「ッ!?」

 

そして気づいたら奏に後ろから翼は抱きしめられている。

 

「あんまりガチガチだと、そのうちぽっきり行っちゃいそうだ」

 

この声は絶対に見間違えるはずがなく、間違いなく奏の声だ。

そして振り向いた先には実際に奏の姿があり、翼は嬉しそうに笑う。

 

「一人になって私は一層の研鑽を重ねてきた。数え切れないほどのノイズを倒し、死線を超え、そこに意味などを求めずにただひたすら戦い続けてきた。そして気づいたんだ・・・。私の命に価値や意味もないと・・・」

 

「戦いの裏側とか、その向こうには、また違ったものがあるんじゃないかな?あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた」

 

そして気づけば翼と奏は背を合わせて二年前の悲劇を生み出したライブ会場に居た。

 

「それは何?」

 

翼は奏の方に顔を向けて分からないため聞く。

 

「それは自分で見つけるものじゃないかな」

 

遠い前方を見ながら奏が翼に答える。

 

「奏は私に意地悪だ」

 

そう言いながら翼を頬を膨らませて膨れ顔になる。

 

「でも、私にイジワルな奏はもう居ないんだよね・・・」

 

翼は落ち込んだように、寂しそうに顔を俯かせる。

 

「そいつは結構なことじゃないか」

 

翼に言葉を返しながら奏が元の場所に帰るように空へと上がっていく。

 

「私は嫌だ!奏に傍に居て欲しいんだよ!」

 

翼は立ち上がって叫ぶように言う。

 

「あたしが傍にいるか遠くにいるかは翼が決めることさ」

 

すると、奏だった姿はだんだんと炎へと変わっていく。

 

「私が!? だったら私は・・・」

 

翼が言葉を言い終える前にその姿はフェニックスへと戻り、まるで命を託すように周りを一気に照らし出す。そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここは・・・)

 

翼の意識が覚醒し、そのままゆっくりと瞼を開ける。

 

「先生!患者の意識が・・・」

 

一人の看護師が意識が目覚めていることに気づく。

 

「各部のメディカルチェックだ。急げ!」

 

そして先生と呼ばれた人はすぐさま指示を出していた。

翼の視界には見覚えの無い病院の服だろうか。その白い服を着た人々が見える。

少し見渡せば、様々な機材がそこに置かれており、脈拍を測るもの、点滴の管、何かのレントゲン写真といった様々なものが確認出来た。

すると、僅かに聞き覚えのある歌が聞こえてきた。それが気になった翼はそこに視線を送り、そこには確かにリディアン音楽学院が見えた。ということは学院の校歌だろう。

 

(不思議な感覚・・・まるで世界から切り抜かれて、私の時間だけゆっくり流れてるような・・・)

 

そして思い出すのは自分は任務でも仕事でもないのに学校は休んだことがなかったことを。

 

「皆勤賞は絶望的か・・・。心配しないで奏。私、あなたが言うほど真面目じゃないからポッキリ折れたりしない。だからこうして今日も無様に生き恥を晒している・・・」

 

場違いなことを考えつつも、もう居ない奏に向かって僅かに涙を流しながら言う。

ふと、手が何かを握っていて、少し熱くなっているのを感じられた。

恐らく意識が戻って少し時間が経ったから脳が動いたお陰だろう。

それが何なのか気になった翼は重たいはずが、不思議と簡単に動かせた腕を手に握っているものが見える位置に持っていく。

その時にフルボトルは僅かにだが、確かに”振られた”。

それは、明らかにビルドが使っていたモノで、夢の中で出てきた彼女と同じようなフェニックスの模様が施されており、翼が視界に治めると”生きるのを諦めるな”とでも言うかのように一瞬だけうっすらと輝いたのだ。

 

(これは・・・ビルドが使っていた・・・。そっか、あれだけ攻撃して、拘束しようと武器を向けたのに彼は救ってくれたんだ・・・悪いことしちゃったかな)

 

自分はビルドの目的が分からないからと話し合おうとは一切せずに斬りにかかった。正体不明であり、シンフォギアでしかノイズを倒せる術がない今だと警戒して拘束して情報を聞き出すために斬りにかかるのは仕方がないといえば仕方がないのだが。

しかしビルドは普通の人ならば反撃するだろうが、反撃をせずに逃げに徹していた。反撃してもアームドギアを攻撃して離すことだけだったのだ。

すると申し訳ない気持ちが湧いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変長らくお待たせしましたー!」

 

その日の夜、遅く、帰ってきてなかった了子が二課へ帰ってきた。

 

「了子くん!」

 

それに気づいた弦十郎がすぐに振り向いた。仕方がないだろう。

なぜなら。

 

「何よ?そんなにさみしくさせちゃった?」

 

からかうように了子が言ってくる。

 

「広木防衛大臣が殺害された」

 

が、弦十郎は気にせずに本題言う。

そう、大臣が夕方に殺されていたからだ。

 

「えぇっ!?ホント!?」

 

驚いたように了子が近づきながら聞いてくる。居なかったのだから知らないのは無理はない。

 

「複数の革命グループから犯行声明が出されている。詳しいことは把握出来てない。目下全力で調査中だ」

 

そしてモニターに画像を出しながら弦十郎が説明する。

 

「了子さん、連絡も取れないから皆心配してたんです!」

 

そして実は響が言った通りでもある。連絡が付かなかったのだから心配になるのは仕方がないだろう。

 

「え?・・・・・壊れてるみたいね」

 

不思議そうにした了子は連絡をするための機械を取り出すが、何も反応しなくて苦笑いになりながら呟く。

 

「あは・・・」

 

同じく安心したような苦笑いをしてしまう。

 

「でも、心配してくれてありがとう。そして……政府から受領した機密司令は無事よ。任務遂行こそ、広木防衛大臣の弔いだわ」

 

そう言ってソファーにアタッシュケースを置くと開いてメモリーのようなものを見せながら言う。

弦十郎たちはアタッシュケースに血が着いていることには気づかなかったのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私立リディアン音楽院高等科。つまり特異災害対策機動部二課本部を中心に頻発しているノイズ発生の事例から、その狙いは本部最奥区画アビスに厳重保管されている・・・サクリストD。デュランダルの強奪目的と政府は結論付けました」

 

了子が大きいモニターの横で説明する。

そこには人がたくさんいて、二課に所属している人達が集まっていた。会議室のようなものだろう。

もちろん、響の姿もある。

 

「デュランダル?」

 

響は疑問を浮かべて名をもう一度言う。

 

「EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理保管することになった数少ない完全聖遺物の一つ」

 

すると、最初から説明するつもりだったようで、了子が続けて説明していた。

 

「移送すると言ったってどこにですか? ここ以上の防衛システムなんて・・・」

 

藤尭がここ以上にある防衛システムはあまりないために聞いてくる。

 

「永田町地下の特別電算室。通称記憶の遺跡。そこならば、と言うことだ。どの道、俺たちが木っ端役人である以上、お上の意向には逆らえないさ」

 

弦十郎が代わりに説明をする。

 

「デュランダルの予定転移日時は明朝0500。詳細はこのメモリーチップに記載されています」

 

0500。つまり朝の5時00分からと言うことである。

 

「あそこがアビスですか?」

 

モニターを見ていた響が聞く。

 

「東京スカイタワー3本分。地下1800メートルにあるのよ。はい!じゃあ予定時間まで休んでなさい。あなたのお仕事はそれからよ」

 

ウインクをしながら了子がそう言ってくる。

 

「はい」

 

返事をすると、響は荷物を取りに行くために、寮へと帰っていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!朝からどこ行ってたの!?朝から修行って書かれた紙だけを置かれても・・・!」

 

寮へと戻ると、早速心配したような様子の未来に問い詰められる。

 

「あーと、えっと、そのー・・・つまり、ですね・・・」

 

訳があって、説明出来ない響は焦った様子で頭を擦っている。

 

「ちゃんと説明して!」

 

説明しようとせずに言葉を濁す響に説明を求めようとする。

 

「あー・・・わわ!ごめん!もう行かなきゃ!」

 

会話を切ると逃げるようにして部屋を響が出ていく。

 

「・・・心配もさせてくれないの?」

 

そう、未来としては応援するとは言ったが、心配ではあるのだ。だからこそ、問い詰める形になったのだが響は行ってしまったために答えを聞けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対未来を怒らせちゃったよね・・・。こんな気持ちじゃ寝れないよ・・・」

 

ソファーに足を乗せて膝を丸める響。すると、偶然目の前のテーブルに置いてあった新聞を手に取り、開いてみる。

そこにはグラビア雑誌にあるであろう写真が乗ってあった。

それも若く、ピンク色の下着を着けており、明らかに自分より大きい女性が乗ってあったのだ。・・・どこがとは言わないが。

 

「ひっ!?お、男の人ってこういうのとかスケベ本好きだよね・・・」

 

慌てて閉じて顔を赤めながら響は顔を逸らして新聞をテーブルに置く。

 

(・・・せ、戦兎さんもこういうのとか好きなのかな?私じゃ―――って私何考えてるの!?戦兎さんは何度か助けてくれたけどそんなまだ関わってないし、年上の人だし・・・で、でも何か、戦兎さんがこういうの他の人に興味あるなら・・・こう、もやもやする・・・ような。なんでだろう?)

 

つい、写真を見て自分を助けてくれた男性を思い出すが、首を振って考えを消そうとする。

けど、一度考えてしまったことはそう簡単に忘れれずに響は年齢=彼氏居ない歴で、恋愛というものを経験したことのないために”その”感情が分からないまま悩むが、目の前にあった記事によって脳内から追い出すことには成功するのだった。

その新聞には『本誌独占スクープ 風鳴翼過労で入院』と言った事実とは全く違う内容が書かれていた。

 

「あ・・・」

 

そしてそのことに気づいたお陰で響はさっきの思考はどこかに行く。

 

「情報操作は僕の役目でして・・・」

 

声が聞こえた方に響は視線を向ける。

 

「緒川さん」

 

そこにはちょうど目の前に緒川慎次が来ていた。

 

「翼さんてすが、一番危険な状態を脱しました」

 

すると、緒川が朗報を言ってきた。

 

「わあっ・・・!」

 

その言葉に安心したような、嬉しい表情を浮かべる。

彼女は風鳴翼のファン・・・いや、二年前に大ファンになったために二重の意味で安心したのだ。

 

「ですが、しばらくは二課の医療施設にて安静が必須です。月末のライブは中止ですね。さて、ファンの皆さんにどう謝るか。響さんも一緒に考えてくれませんか?」

 

そう言ってソファーに座る。

 

「あ・・・・・」

 

響は自分にも原因があるために落ち込んだような表情になるのだった。

 

「あっ!いや、そんなつもりは・・・」

 

その表情を見た緒川がすぐに否定しようとするが。

 

「あっ・・・ふふ」

 

その姿を見た響が思わず笑ってしまう。

 

「ごめんなさい。責めるつもりはありませんでした。伝えたかったのは、何事もたくさんの人間が少しずつ色んなところでバックアップしているということです。だから、響さんももう少し肩の力を抜いても大丈夫じゃないでしょうか」

 

緒川が響に顔を向けながらそう言ってくる。

 

「優しいんですね、緒川さんは」

 

表情が暗くなくなって少し笑顔で緒川に向かって聞いてた響が言うと。

 

「怖がりなだけです。本当に優しい人は他に居ますよ」

 

そう言いながら緒川は僅かに顔を俯かせる。

 

「少し、楽になりました。ありがとうございます。私張り切って休んでおきますね」

 

響は立ち上がると、両手を前にしながら頭を下げてお礼を言う。

そして響はそのまま睡眠を取ってしっかりと休むために走っていく。

 

「翼さんも響さんぐらい素直になってくれたらなぁ・・・」

 

それを見た緒川は思わずしみじみと思ってしまうのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに響が考えてしまった彼が何をしているのかと言うと。

 

「戦兎?帰ってきてからずっと作業しかしてねえけど何してんだ?」

 

万丈がパソコンを弄りながら何かを作ってる戦兎に向かって聞く。

 

「武器作ってんだよ。あのスマッシュの強さ見ただろ?スパークリングは元々パンドラボックスの残留物質を使った強化アイテムだ。パンドラボックスがない状態で作り直すのは今の俺たちの状況じゃまだ無理だ。もちろんフルフルやジーニアスもな」

 

万丈に答えながら理由も説明する。

 

「そうか。俺のスクラッシュやマグマは?」

 

そう、万丈はあくまでエボルトの乗っ取られただけで戦ってない。たがらと聞いたのだが。

 

「それもだめだ。マグマに至っては全く武器にも使えないレベルでボロボロ、スクラッシュは恐らく新世界を創るときに故障したと思う。元々無茶な方法で新世界を創ったからな。壊れていても不思議ではないしスクラッシュはビルドやクローズとはベルトが違うために今直したら余計に警戒されんだろ」

 

万丈の装備についても戦兎は説明する。なお、作業する手は休めてない。

 

「なるほどな・・・ん?ハザードトリガーは?」

 

万丈は珍しく戦兎が言わなかったことを逃さずに聞く。

 

「・・・使えるが使うわけには行かねえだろ?今のお前じゃ、ハザードになった俺を止める前に被害が酷くなる可能性すら有り得る。ただでさえ俺たちのハザードレベルは高いんだ。スクラッシュもないお前じゃ止めれるかも分からない」

 

彼は一瞬”あの時”のことを思い出して顔を歪ませる。今は使えるまで回復しているが、戦兎は過去に一度トラウマを作ってしまい、変身することが出来なくなっているのだ。

 

「否定はしてえけどお前の言う通りだな・・・」

 

万丈自身もその時の戦兎を知っているために、今の状態で俺が止めてやるから使え、など言えない。

そのため黙ってしまう。

 

「・・・まっ、今作ってる武器さえ完成すれば作戦の幅は広がるだろ。それに完成してなくても次スマッシュに会えばその時に倒せばいいだけだ。俺の計算が正しければあのスマッシュは同じ能力を二度使えないからな」

 

空気を変えるかのように戦兎はそう言う。

 

「それもそうだな。でもどう倒すんだよ?必殺技なら倒せるっぽいけどあいつ普通に戦えば一人じゃきついレベルで強いぞ?」

 

一度一人で戦ったことのある万丈が戦兎に向かって言ってくる。

 

「まあ俺たちのどっちかがすぐにノイズ倒して駆けつけるしかないな。それに問題は倒した直後に倒さないと行けないってとこだ」

 

冷静に状況を考えて自分の考えを伝える戦兎。

 

「確かに倒せねえと意味ないもんな・・・」

 

戦兎の言葉に納得したように頷いていた。

 

「能力使わせる前にだ。まずどっちかの高火力をぶつける。そしてもう一人が復活した相手を即座に止めを刺すって感じだな。が、結局は必殺技打つ前は俺たち二人が揃ってないときついというのがあれだけどな・・・」

 

戦兎も僅かとはいえスマッシュと交戦したために強さは身で思い知っている。ニンニンコミックの総攻撃も防ぐ時点で必殺技を発動する前にあれをされると必殺技でも倒せるか微妙だろう。・・・スパークリングだけでも復活させることが出来たらいいのだが、どれだけかかるか分からなく、ノイズの出現とノイズを操ることの出来る少女が居るためにそんな長い作業をする訳には行かないのだ。

 

「そういえばその武器ってどのベストマッチの武器だよ?」

 

思い出したかのように万丈が聞いてくる。戦兎のベストマッチには大体はそれに合った武器があるためにどれかのベストマッチかと判断したのだ。

 

「・・・これは俺のじゃない。お前のだ万丈」

 

戦兎が今作ってるのは遠距離型の武器。クローズの戦闘データを元に万丈でも使えるように作っている。

 

「はあ!?俺のだったのかよ!?どんな武器なんだ!?」

 

全くの予想外だったらしく驚いた反応をして戦兎に武器について聞こうと問い詰めてくる。

 

「まだ全部は出来てないからな!?ただ遠距離とフルーツの鎧武者の仮面ライダー。仮面ライダー鎧武が居ただろ?彼の武器を参考にしたもので近接に対応可能な武器だよ。銃を剣に変えて薙刀になる感じな?ほらビルドドライバー貸せ、お前のベルトにいつでもこの武器を生成、収納を出来るようにすっから」

 

そう言って戦兎は万丈に早くと言う風に手を差し出す。

 

「お、おう。でも遠距離か・・・」

 

クローズの戦闘スタイルは近接である。遠距離は何度か使ったことはあるが、基本的に使ってたのは近接だったために自信があまりない様子で戦兎にビルドドライバーを渡す。

 

「心配すんな。バカなお前のためにアシスト機能は付けてるよ。多分それを使えばなんとか扱えるだろ」

 

ビルドドライバーとビルドフォンを繋げてパソコンで戦兎はビルドドライバーに新型の武器が自由に収納や生成を出来るように弄っていく。

 

「誰がバカだよ!筋肉付けろよ!けどそれなら確かに使えるかもしれねぇな・・・」

 

ほっとしつつ相変わらず場違いなツッコミをする万丈だったが戦兎は慣れているからかもう突っ込まない。

 

「ほらよ」

 

すると終わったからか、繋げていた線を抜いて万丈にビルドドライバーを返す。

 

「もういいのか?」

 

この作業は初めて見たために思ってたより早くて驚いた様子で万丈は受け取る。

 

「あぁ武器の名前は・・・いや今は秘密の方がいいか。出した時の楽しみにしておいてくれ。・・・それと出来る限りまだ完成してないとはいえ、使えると言えば使えるが、簡単に使うなよ?スマッシュが倒せなかった時、それか誰かを助けたい時にしてくれ」

 

あまり情報を知らせる訳には行かないために、そしてまだ完成には至ってないために戦兎がそう言う。

 

「お、おう。わかった」

 

まぁ完成してないと言ってたし、と思うと万丈が頷く。

 

「中身は使えるまでは完成しているが、外はまだ未完成なんだ。もう少しで完成する・・・多分あと二日あれば行けると思う」

 

出なければ万丈のビルドドライバーに武器をいつでも出せるようにはしないだろう。

 

「まっ、もう時間も時間だ。いつノイズが出るか分からないから寝るぞ。朝早くから出る可能性だってあるんだ」

 

そう言ってから戦兎はパソコンを消して電気を消す。因みに猫は既に寝てたりする。

 

「んじゃおやすみ」

 

「おう。おやすみ」

 

そして二人はそれぞれ部屋に戻って寝るのだった・・・。実は階段を登る前にベッドもあるが、基本的にそこは疲労した時や怪我してる時以外は使わないようにしてたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「防衛大臣殺害犯を検挙する名目で検問を配備!記憶の遺跡まで一気に駆け抜ける!」

 

朝の5時00分になった頃だった。外はまだ僅かに暗く、太陽はまだ完成に姿は現していない。

そこに響の姿はあった。そしてその後ろには一つのピンク色の車、他は黒の車がある。

 

「名付けて、天下の往来独り占め作戦♪」

 

弦十郎の隣にいる了子がそう言っていた。

そしてそのまま全員が車に乗ると、そのまま出発していったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発してからしばらく経ったあと、既に太陽が出ており、朝になった時に了子のピンク色の車を囲むようにして4台の車が走っていた。その了子の隣には響が居て、後部座席にはデュランダルが入っている箱がある。

上空には二課のヘリもあってそこには弦十郎が目を光らせて警戒して見ていた。

そして了子の隣にいる響は車の窓を開けて、そこから外の様子をしっかりと覗いてチェックし、警戒をしている。

 

「あっ!」

 

すると、響が何かに気づいたように声を出す。それは橋にヒビが入り、一部が崩壊して橋の欠片が下にある海へと落ちていく。

 

「了子さん!」

 

それを見た響はすぐさま了子の名を呼ぶ。

慌てて了子はハンドルを右に切ることによって了子は落ちないように回避することに成功する。

しかし、代わりに護衛の車が一つ落ちてしまい爆発したのだ。

 

「ああっ!」

 

思わず後ろを向いて確認した響が悲痛な声を漏らしてしまう。

 

「しっかり捕まっててね。私のドライブテクニックは凶暴よ」

 

気にする暇もないのか、了子は前を向いたまま響に注意をする。あくまで一番の目的はデュランダルを届けることのため心配するより余裕はないのだ。

 

『敵襲だ! まだ確認出来ていないがノイズだろう!』

 

弦十郎がヘリから無線で通信するための機械を使って情報を送る。

 

「この展開、想定してたより早いかも!」

 

そう言いつつも了子の車がマンホールの上を通過した時だった。後ろについていた護衛の車が急にマンホールが開くのと同時に下水道から出てきたと思われる水が吹き上がり、車がそれによって吹っ飛ばされたのだ。

 

「ひぃっ!?」

 

普通では有り得ない光景につい響は表情を固く強張らせてしまう。

 

『下水道だ!ノイズが下水道に集まって攻撃してきている!』

 

確認出来たのか、そう報告してくる弦十郎だがどう考えてもノイズしか考えられないだろう。そしてまた目の前に居た護衛の車が狙われたかのように水によって吹き飛ばされる。

 

「ぶ、ぶつかる〜!!」

 

響の声を聞き流しながら了子がギリギリの所で華麗にそれを回避、しかし隣でその車が爆発し、その衝撃波のせいか車がブレて詰まれたゴミの山に突撃し、飛んでくるゴミを車で蹴散らせながらしっかりと運転は出来ていた。

 

「弦十郎くん。ちょっとやばいんじゃない?この先の薬品工場で爆発でも起きたらデュランダルは・・・」

 

通信をしている弦十郎に了子はそう言う。

 

『わかっている!さっきから護衛車を的確に狙い撃ちしてくるのは、ノイズがデュランダルを破損させないように制御されているように見える!』

 

無線を通して弦十郎の声が聞こえてくる。

 

「チッ」

 

響には聞こえなかったが、確かに了子は弦十郎の言葉を聞いた瞬間に何故か”舌打ち“をしたのだった。

 

『狙いがデュランダルなら、敢えて危険な地域に滑り込み、攻め手を封じるって寸法だ!』

 

弦十郎にも聞こえていなかったのか、何も言うことはなく、再び弦十郎の声が無線を通して聞こえてくる。

 

「勝算は?」

 

車のバックミラーを見ながら弦十郎へと了子は聞く。

 

『思い付きを数字で語れるものかよ!』

 

その弦十郎の指示に従って残り護衛の車が1台となってしまった二両は薬品工場へと突っ込んでいく。

すると、再び目の前のマンホールが吹き飛ぶ。また水が来ると思われたが、今度は水ではなく、ナメクジのようなノイズが前方にあった護衛の車に飛びかかり、そのまま車の画面を隠すように二体のナメクジ型のノイズが上に乗ったままになる。

そしてその制御の失った護衛の車はノイズ乗せたまま大きい柱のような建物に激突。車から爆発が起こる。

護衛に乗っていたSPは寸前で飛び降りることで爆発に巻き込まれずに、ノイズから逃げるように慌てて離れていく。

ノイズはデュランダルを乗せた車にまるで躊躇するかのように動いており、爆発に巻き込まれないように動いているようにも見える。

 

「狙い通りです!」

 

響がその様子を見ることでつい声を上げてしまい、喜ぶのも束の間。了子が運転していた車が何かを踏んだようで、車が斜めに傾く。

 

「う、うわわわああああああー!?」

 

一度斜めいて傾いてしまった車は元の体制には戻せない。そのまま車は見事上下が逆さまになってしまい、綺麗な横回転をしながら止まらずに転がっていき、金属がぶつかりあった時のような摩擦熱が車から出てきながら少しの間回転を続けて止まる。

 

『南無三!』

 

思わず弦十郎がヘリから身を出しつつ叫んでしまう。

そして上下逆さまになって止まった車両の両扉が開き、そこから響と了子がなんとか車から出てくることに成功する。

 

「あっ・・・!」

 

しかし、出てきた響が目の前で見たのは視界を覆い尽くすかのような大量なノイズ。さらには翠色色のような光が出ると、そこにはノイズが召喚されて、増えてしまう。

それを見た響はすぐに車に入っているデュランダルの箱を取り出す。

 

「了子さん、これ、重い・・・!」

 

持ち上げたデュランダルの箱を抱えながら走って逃げるのは無理そうなほど重たいようだ。

そして、先ほどノイズを召喚していたネフシュタンの鎧の少女が高いところからそれを見下ろしていた。

 

「だったら、いっそここに置いて私たちは逃げましょ」

 

了子がそんな提案をしてくる。

 

「そんなのダメです!」

 

その提案を響は振り向いてすぐさま断る。

 

「そりゃあ、そうよね・・・」

 

苦笑いしながらもノイズに囲まれているのに何処か余裕そうな雰囲気を了子は纏っていたが、響は必死で気づかない。

 

すると、人型1と2のノイズが響たちがいた場所へと身を紐状へと変えて突撃してくる。

響たちはそれに気づいて慌てて逃げるが、後方の車に突き刺さったようで、真後ろで大爆発。

 

「わあっ!?」

 

巻き込まれて響は抱えていたデュランダルの箱と一緒の場所へと吹き飛ぶ。

 

「ちぃっ!何も見えん!」

 

上空からヘリで見ていた弦十郎は車の爆発で起きた煙のせいで、何も見えないようだ。

そしてノイズは止めを刺すかのように再び紐状にして響たちに突撃しようとするが、響を庇うように目の前に出た了子が何故か片手を前に突き出し、そこから紫色の半透明な障壁のようなものが了子の目の前で広がってまるで弾丸のように飛んできたノイズを弾いたのだ。

攻撃の余波で眼鏡がどこかに飛んでいき、纏めていた了子の髪が解けて長い茶髪が風で靡く。

 

「了子・・・さん・・・?」

 

身体を起こした響が唖然とした様子で了子を見つめている。

 

「しょうがないわね。あなたのやりたいことをやりたいようにやりなさい」

 

了子が言いながら傍らの響に視線を送る。

 

「私、歌います!」

 

立ち上がった響は宣言し、目を閉じて聖詠を歌うのだった。

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回出た武器は、クローズのオリジナルフォームの専用武器です。言わなくても多分分かったと思いますけどね。本編にはないので。

それと正体バレのアンケート締め切らせていただきます。
いやぁ……結果はバラさないになりましたね。頑張って見ますけど無理だったらバラしてしまうのでその辺りはご了承ください。流石にそうしないと書けないので……。どうやってやるべきかな…?戦兎くんの方も頑張ってもらわないとね。
そしてスマッシュの伏線は何処で回収しようかな……一期中には出したいところ。

追記

うっそやろ…?後半まだやってないけど予告見た感じ死ぬの?やっぱりシンフォギアってモブ厳しくない?

戦います、オレ!こんな奴らのために、これ以上誰かの涙を見たくない!みんなに笑顔でいてほしいんです!だから見ててください!オレの!変身!!


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第十五話 Dの力/似た者同士

 
はい遅れました(真顔)なんでシティウォーズって無料ガチャは大抵出ないんですかねぇ…フッ!ハッ!の真似した時はゴースト出たんだけどな?まぁビルドガチャでジーニアスくん出たのでいいです。ところでブレイクの実装まだ?10万くらいなら課金するよ運営さん!
あとゼロワンやっとお仕事五番勝負終わりましたね…ゼロワンと言うか仮面ライダーの世界ってウルトラさんの世界と同じで民が酷いこと多いよなぁ……ネットの腹筋筋肉太郎との勝負は面白いから視聴をおすすめするゾ!不破さんの新フォームのランペイジバルカンはドライブのトライドロンみたいに既に別けられている感じなのね。或人の影響を不破さんも受けてるの好き。個人的には二章のおじさんは好きな回もあるけど微妙だったから新章面白そうで楽しみだなぁ。
遅れた件については詳しいことは後書きで話すのであらすじどうぞ


















戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎はスマッシュの対策のために新アイテムを作っていた!一方、立花響等が所属する特異災害対策二課はデュランダルの輸送作戦を始める!けどテンプレの如くノイズの襲われてしまい、戦闘へ移行するのでした」

万丈「俺の新武器かぁ・・・早く使ってみてぇな!」

響「でも凄いですよね!新しい武器を短時間で作っちゃうなんて!」

未来「けど、あんまり寝る時間がなさそうだね・・・」

戦兎「まぁ、そうしないと間に合わないからな。一応睡眠は少しは取ってるぞ。流石に戦闘に支障が出るレベルなのはまずいからな」

翼「ふむ・・・いつか手合わせしてみたいものだな。どれだけ強いものなのか気になる」

戦兎「いつかは出来るとは思うが、いつになるかはわからないな」

万丈「俺たちまだ敵対してる状況みたいなもんだもんな」

響「投稿スピードいつの間にかかなり下がっていて作者もあんまり前みたいに思い付きで浮かばないらしいので・・・」

未来「ま、まぁ一年以内には二期までは終わるだろうし・・・」

翼「どうなるかは未来の作者次第って感じだな」

戦兎「だな。それより本編行っちゃいますか!」

全員「では、本編どうぞ!」
 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響たちが車で逃げている時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?この反応・・・ノイズか!?しかもこの軸はまさか・・・下水道?」

 

二課がノイズを感知したということは、この男。桐生戦兎が感知出来ないことはないだろう。しかも二課の人たちとは違い、ノイズの反応を『ノイズ探知アプリ』でより正確に、早く探知することに成功していた。しかもいつの間にか実際の場所が見える地図のアプリまで追加していたため、地下という考えではなく、下水道ということを理解することに成功している。

 

「しかもこれを見る限りノイズが移動している・・・前回の少女が誰かをノイズで追わせているのか?分からないが、行くしかないな」

 

そう呟いたあと、戦兎はすぐさま用意するべきアイテム。タカフルボトルとタカちゃんを手に持ち、ビルドフォンを着ていたコートのポケットに突っ込む。

 

「おい!万丈!ノイズが出たから現場に向かうぞ!」

 

未だに起きてから朝から筋トレしてるであろう相棒の万丈に向かって戦兎は大声で言う。

すると、中からバタバタしたような音が聞こえてきた。

慌てて服を着て準備しているのだろう。

 

「しかしどうする?バイクじゃあまりにも離れすぎている・・・。フェニックスフルボトルはないし万丈を運ぶためにもロケットパンダが一番いいか」

 

別にホークガトリングでも問題ないのだが、万丈を運んでだとロケットパンダならばノイズと戦う前に降ろしてからロケットを放つことで足止め出来るからだ。ホークガトリングならば万丈を持ったままだと、ホークガトリンガーを出さないと行けないため、その間にすぐにノイズに攻撃される可能性もあるからだ。

他にもタカちゃんが使えなくなる。

 

「戦兎!ノイズが出たのか!?」

 

『キュイーッ!』

 

考えていると、万丈が準備を終えて部屋を出てきた。すると『ようやく来たか』とでも言うようにクローズドラゴンが自分で作った巣のような寝床から降りてきて万丈の隣に並ぶ。流石にこの時まで万丈に嫌がらせしたり攻撃したりはしないようだ。

 

「あぁ。多分誰か追われてる。けど遠いからバイクじゃ無理だ。変身して行く」

 

時間がないかも知れないという理由で戦兎は万丈に簡易に説明する。

 

「わかった!」

 

納得したように頷く。

 

「ちゃんとフルボトルあるか?それとこれも預けとく。連絡手段にもなるからな」

 

万丈に確認させつつ手にあるモバイルバッテリー型の偵察AIタカアウランティウムモバイル、そしてタカちゃんから連絡などを聞ける前回ぶっ壊れた試作品から耐久を上げたバングルを差し出す。もちろんタカちゃんには連絡手段や簡単な命令はビルドフォンがなくても可能で予め命令は聞くように設定されている。

ビルドフォンがなければ離れていたらダメだが。

 

「おう!しっかり入れてる。確かにそれがいいか」

 

ちゃんと確認した万丈はタカちゃんとタカフルボトルを受け取ってポケットに入れる。

バングルは腕に装着したようだ。

 

「じゃあ行くぞ」

 

そう言って戦兎は一声猫にかけてから戦兎と万丈は冷蔵庫から出てくる。そして、最後だった万丈がクローズドラゴンが出てきたのを確認してから冷蔵庫の扉を閉め、相変わらずミシミシ言うドアを開けた戦兎について行ってまたドラゴンが出たのを確認してからドアを閉める。

 

少し歩いた所で戦兎と万丈の二人は手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械『ビルドドライバー』を腰に宛う。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定する。

それから戦兎は空色のフルボトルでロケットの模様が模している『ロケットフルボトル』白色のフルボトルでそのままパンダの模様が模している『パンダフルボトル』を取り出して上下に振る。

万丈は空に左腕を掲げ、『キュルルルーッ』と鳴いたクローズドラゴンが自分から頭と羽を折り畳んで万丈の左手に収まり、万丈は龍の模様が模している恋人の形見である『ドラゴンフルボトル』を上下に振る。すると二人のフルボトルの成分『トランジェルソリッド』を活性化、『シールディングキャップ』を正面に固定。

戦兎は『ツインフルボトルスロット』の右側に有機物であるパンダフルボトル。左側に無機物であるロケットフルボトルを挿入する。

 

パンダ!ロケット!ベストマッチ!

 

万丈はクローズドラゴンにフルボトルを挿入。そしてドラゴンフルボトルが入っているクローズドラゴンをビルドドライバーに挿れる。

 

Wake Up!CROSS-Z DRAGON!

 

二人はビルドドライバーにあるレバー、ボルテックレバーを回す。

するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがそれぞれ戦兎と万丈の周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、戦兎の方には空色と白色の液体が流れ、万丈には青の液体が流れる。

そして、戦兎の前後にそれぞれ形を形成していき、右拳に装着されたパワークロー。『ジャイアントスクラッチャー』が特徴的なパンダハーフボディ、左肩部に取り付けられたロケットパーツ。『BLDロケットショルダー』が特徴的な水色のロケットハーフボディ、二つのアーマーを形成する。

万丈の方には前後と左にそれぞれ形を形成していき、戦兎とは違い前と後が同じ青いドラゴンハーフボディのみを形成、そして左にはドラゴンの羽根と頭と顔を思わせるものを形成。

音声が流れる。

 

Are You Ready?

 

戦兎はシュートボクシングのようなファイティングポーズを、万丈は両肩を回すようにしてから左手に右拳をぶつけ、ボクシングのファイティングポーズを取り、二人は当然の如く答える。

 

「「変身ッ!」」

 

その声と共に二人は両腕を力強く振り下ろし、戦兎の方には先ほど形成された空色と白色のアーマーを形成した『スナップライドビルダー』が戦兎を挟み込むようにスライドし、万丈の方は青色のアーマーだけを形成した『スナップライドビルダー』が挟み込むようにスライドし、ドラゴンの羽根のような見た目をした増加装甲『ドラゴライブレイザー』とドラゴンの頭と顔のような見た目をした頭部の出力調整装置『フレイムエヴォリューガー』がアーマーを挟んだあと、後ろに移行して包み込むかのようにして装着される。

 

ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ! イェーイ!

 

Wake Up Burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!

 

そして白い蒸気を噴き上げながら、ビルドは空色と白色の装甲を身に纏い、複眼がロケットとパンダそのものに見える形態『仮面ライダービルド ロケットパンダフォーム』へと姿を遂げ、クローズは白い蒸気を噴き上げながら龍の姿を現す。

 

「よっ」

 

ビルドはクローズを右手のパンダの方で掴む前にノイズ探知アプリをビルドフォンで見ながら掴むと同時にビルドはロケットの大推力の複合エンジンを噴出させてかなりの速度で空を飛んでいく。

 

「うぉぉおおお!?」

 

叫ぶクローズを無視して―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして聖詠を歌った響

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に離さない この繋いだ手は

 

歌いながら響は両腕を構える。その構えはもう以前の戦い方のように分からないような人がする構えではなかった。

すると、カエル型のノイズが身を紐状にして飛んでくる。響はそれ最小限の動きで回避し―――

 

「あった・・・かい!?」

 

パイプにヒールの取られてしまい、つい倒れる。

響がすぐに立ち上がると、同じようにカエル型のノイズも響を囲む。

 

(ヒールが邪魔だ・・・!)

 

そう思った響は、迷いなく両足の踵のヒールを破壊して、いつも履いている靴と同じようにして動きやすくする。そして、両手を閉じていた拳を開けて前に突き出し、再び閉じて拳を構えるという独特な構えでノイズと向き合う。

 

響は油断なく、何処からでも来ても対象出来るようにしっかりと両目で左右を見て警戒し、目の前からノイズが飛んでくる。すると、響は迎撃するために足で踏み込み、発勁。以前とは比べものにもならない威力でノイズを倒す。

再び飛んできたノイズに振り下ろしの攻撃、後ろから来ていたノイズには肘打ち、目の前からまたきたノイズには横蹴り、人型2のノイズが刀状の手を振り下ろしてくるがそれを最小限の動きで回避、そして回し蹴り。横から別の個体が刀状で斬りにかかってくるが、頭と背中を少し動かすことで回避してからもう一度斬りに掛かってくる刀状のノイズの腕を掴むことで防ぎ、懐に入り込むようにして人型ノイズ2のお腹辺りに肘打ちをぶつけて高く吹き飛ばす。その戦い方はもう別人のようだ。

響はノイズへ近づいていくと、ジャブで倒してから振り向きと共に両腕を上げて前蹴り、両手を後ろに広げてお腹辺りに張り手。

 

目の前のノイズには跳び蹴り。そして踏み込みからのストレート、物凄い手刀で風圧とともに周りにいるノイズも倒す。

 

「こいつ・・・戦えるようになっているのか?」

 

驚いた様子でそれを見ているのはネフシュタンの鎧の少女……クリスだ。

 

「あっ・・・?この反応・・・まさかっ!?」

 

了子が振り向いた先にはアタッシュケースが赤く点滅し、開いたように煙が吹き出ていた。

響はまだいるノイズに膝蹴り、ナメクジ型のノイズが触手を飛ばしてくる。

 

響はそれを左右に動きながら綺麗に回避、時に弾いたりしながら近づくと正拳突き、次のノイズには横蹴りすると鞭が飛んでくる。すぐに気づいた響はジャンプして避け、空中で回転して体勢を戻す。

 

「今日こそは物にしてやる!」

 

その言葉とともに空中にいる響に跳び蹴りを放つが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!」

 

横から飛んできたクローズがクリスの攻撃を妨害するようにして当たる前に掴むことで一緒に落ちていく。

 

「なにッ!?」

 

突然飛んできた相手に驚いた反応をしながらクリスは反応出来ずに落ちていく。そして響の方はと言えば、

 

「ほいっ・・・行けるか?」

 

クローズをぶん投げた(本人の許可有り)ビルドは響をロケットの噴出によって下にいるノイズから離れるように抱えて降ろしていく。

 

「あっ・・・ありがとうございますッ」

 

突然の乱入に驚いたのはクリスだけではなく響も驚いたようで、気づいたら警戒するということも忘れて頭を下げながら礼を言っていた。

 

「おっとッ」

 

するとノイズの存在に気づいたビルドがロケットパンチ。まだいた周囲のノイズをロケットを操ることによって倒す。

 

「いいよ。・・・もう、戦えるか?」

 

戦兎自身は戦闘の状況を見ていたとはいえ、あまり戦わせたくないのだが、恐らく止まらないだろうということで響に向かって聞く。

 

「はいッ!」

 

その言葉に対して響は元気よく頷く。

 

「じゃあここは協力するぞ。あの少女はクローズが抑えるだろうから気にせずにやれ!」

 

そう言ってからビルドはフルボトルを変える。それは黄色で百獣の王の模様を模している『ライオンフルボトル』そしてもう一本は灰色の機械のようなものが模様で模している『ロボットフルボトル』。ロケットとパンダフルボトルを抜いてビルドは成分を活性化させてから入れ替える。

 

ライオン!ロボット!

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

ボルテックレバーを回すことでスナップライドビルダーがアーマーを形成。黄色のライオンハーフボディで目立つのはやはり『BLDバトライオグローブ』に搭載されている右拳を覆う強化グローブ。『レオメタルクロー』だろう。まるでライオンの顔に見えなくもない。もう一つ形成されたのはそのままロボットのような無機質さを思わせる黒いロボットハーフボディでこちらは左腕にあるアーム『デモリションワン』だろう。

両腕を力強く振り下ろし、ビルドは先ほど形成された黄色と黒色のアーマーを形成した『スナップライドビルダー』がビルドを挟み込むようにスライドし、先程の空色と白色のアーマーに重なったのと同時に水色と白色のアーマーぱ粒子として消え、ビルドに新しいアーマーが付けられる。

『仮面ライダービルド ライオンロボットフォーム』トライアルフォームである。

 

(まだシンフォギアを使いこなせてない・・・!どうすればアームドギアを・・・)

 

さっきクローズが出てこなければ攻撃を受けていたために悩んでいるようだ。

 

「ん?なんだ、あれ?」

 

ビルドが気づいたように言うと、アタッシュケースが中からこじ開けられ、デュランダルが自ら姿を現していた。

 

「覚醒!?起動?」

 

デュランダルが黄金の光を放っていた。

 

「デュランダル!?」

 

響が驚いたようについ声を出してしまう。

 

「デュランダル?確かデュランダルってローラン持つ聖剣で不滅の刃を意味する剣…・・・イーリアスに登場するトロイアの英雄ヘクトールも使ってたと言われてたな・・・なんでそれが?」

 

響の言葉から知識にある人物と意味を呟くビルド。

 

「あれがデュランダルか」

 

クリスがデュランダルを見て呟く。

 

「あ?」

 

クローズは分からないみたいで首を傾げる。

その間にクリスはデュランダルを掴むために飛び、

 

「って行かせねえよ!」

 

クローズがすぐさま足を掴んで逃がさない。

 

「テメェ・・・!?」

 

クリスは抵抗するために鞭を振るう。しかしクローズは鞭を弾くとのともにクリスを投げてデュランダルから離させる。

 

「とにかくあれを安全に確保したいならまずはノイズを殲滅するぞ!」

 

ビルド自身も聖遺物について知らないために何かは分からないが、それよりも目前の敵を倒すためにノイズに鋭い爪のレオメタルクローを展開、それで斬り裂いていく。

 

「は、はいッ!」

 

その声に頷いた響がデュランダルを安全に確保するためにもノイズに格闘戦を挑んでいく。

 

「ハアッ!」

 

ビルドが右脚の『ディストラクティブレッグ』から重たい衝撃の蹴りを決めてノイズを吹き飛ばし、左腕の『ディストラクティブアーム』から重たい衝撃のパンチを繰り出す。

ノイズがビルド目掛けて攻撃してくるが、ビルドは防御に回らないし避けもしない。なぜなら『ライオチェストアーマー』は物理攻撃を通さない、ノイズの攻撃は近接しかしてこないためにダメージを通さないのだ。

傷つけるには防御無視する攻撃か彼の爪のレオメタルクローでしか傷つけることは不可能である。

そしてビルドは両手両脚の強烈な攻撃で処理していく。

 

「フッ!ハッ!」

 

100パー全開!握った夢をぶつけよう

 

涙なんて 流している暇はないから

 

響は歌いながらアッパーカットや正拳突き、前蹴りや回し蹴り、投げ技など教えられた武術で戦っている。ふと、戦っていると響は心の中で思う。

 

(なんだろう……?物凄く戦いやすい!)

 

何故戦いやすいと感じたのかと言えば当然ここにいる相手はビルドしかいなく、ビルドはノイズを相手しながら響が戦いやすいように死角からの敵を倒したりしていたのだ。お陰で響は戦いやすくなっている。

 

オクトパス!掃除機!

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

ビルドが素早く成分を活性化、シールディングキャップを正面に変えて同時に入れ替える。そしてボルテックレバーを回してスナップライドビルダーがアーマーを展開。ピンク色のオクトパスハーフボディを形成し、右肩にある『フューリーオクトパス』がそのままタコが付いているために印象に残るだろう。もう一つは青緑色の掃除機ハーフボディ、左腕に装着されている『ロングレンジクリーナー』のそのままの掃除機が目立つであろう二つのアーマーがビルドに重なる。同時に黄色と黒のアーマーが粒子となって消え、新しい形態『オクトパス掃除機フォーム』へと姿を変える。

 

「ハッ!」

 

ロングレンジクリーナーから物凄い吸引力が出てきてノイズを引き寄せていく。そして右肩部の『フューリーオクトパス』の触腕を補助筋肉として右腕全体に巻き付け、パンチを繰り出す。その威力はとんでもなく、周りに居たノイズが風圧で炭化し、まとめて殴ったノイズは思い切り吹き飛んで炭化した。

 

解放全開!イっちゃえHeartのゼンブで

 

ノイズを掴むと投げつけ、そして跳び蹴りを入れながら次のノイズを殴り、肘打ちと手刀で周りのノイズを響は倒していき、ジャンプしてその場にキックし、アスファルトを砕いて岩ごとぶん殴ることでビルドがやっていたようなゴリラモンドと同じ使い方を奇しくもしていた。

 

サイ!ドライヤー!ベストマッチ!

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

超熱大陸!サイドライヤー!イェーイ!

 

ビルドが即座にベストマッチフォームへと切り替える。姿は右の複眼がブラックグレーのサイの顔を模してあり、左の複眼は熱風を放つドライヤーを模している。

そして左肩にはサイの角、右腕にはドライヤーのようなものがあった。

 

『仮面ライダービルド サイドライヤーフォーム』

 

そしてすぐにビルドはボルテックレバーを回す。

 

Ready Go!

 

「避けろ!」

 

進むこといが―――

 

「えっ!?わわっ!?」

 

ノイズを殴り倒してた響がその声に反応して慌ててジャンプする。

 

VOLTEX FINISH!イェーイ!

 

それを見たビルドは音声とともにドライヤーから高熱を発射。ノイズを熱と風によってまとめて硬め、肩のサイの角で突進していく。その際灰色のオーラを纏って速度を強化。かなりの速度でノイズを打ち上げ、炭化させていき、ビルドは最後のノイズを仕留めるまで止まらなかった。

 

「ふぃー・・・」

 

ビルドは止まると、何処かの魔法使い見たいに息を吐く。

 

「あ、あの!」

 

すると、響がビルドに近づいてくる。

 

「ん?」

 

ビルドが反応して振り向く。

 

「ありがとうございました!今回も・・・初めて会った時も助けて頂いて・・・!」

 

ずっと言いたかった響は今しかないと思い、ビルドに頭を下げて今までの事を言う。

 

「気にすんなって。人は助け合いでしょ?」

 

かつての先輩ライダーのようにビルドは言いながら響の頭をぽんぽんと撫でる。

 

「あっ・・・ふふ。それ以前私に同じこと言ってきた人が居ました」

 

響が撫でられてどこか落ち着くような感じがしつつ何故か本人は分からず、そう笑いながらビルドに向かって言う。

そしてビルドは忘れていたが、実は戦兎が一度同じようなことを言っていた。

言われて思い出したそのビルドは仮面の下で少し焦っていた。

『やらかした・・・』と。顔を知られてないのと、言った相手が響でよかったと言うべきだろう。

 

「そ、そうなのか?やっぱり似たようなこと考える人も居るんだな」

 

なんとかなるか?と誤魔化すかのようにビルドはそう言ってみる。

 

「確かにそうですね!あのビルドさんはどうして・・・」

 

流石響。戦兎だということには気づくことはなかった。そして何かを聞こうとし―――。

 

「それよりあれ回収しなくていいのか?」

 

ビルドが話題を変えるように指を差した方には、クローズがクリスにしがみついて必死に逃がさないように。と言ってもクリスはデュランダルを取ろうとしてるだけなのだが、必死で気づかないクローズはそのまま掴んで逃がさないようにしていた。

 

「あ・・・い、急がないと!」

 

そして気づいた響がデュランダルに向かっていく。これがあることを引き起こすということをビルドは知らずに、見送っていくのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェさっきからなんなんだよ!?あたしの邪魔をするなッ!」

 

そう言って鞭を振るうのはネフシュタンの鎧を纏っているクリス。

 

「クローズだ!」

 

何処か違う返し方をしながらクローズは鞭を避け、弾いたりしてクリスに近づいていく。

 

「誰も名前なんて聞いてねぇよ!」

 

近づいてくるクローズにクリスは鞭を横薙ぎする。

 

「じゃあなんだよ!?」

 

慌ててそれを避けるために後ろにジャンプ。そして何故か仲が良いのかとでも言いたくなるレベルで話していた。

 

「チッ・・知るかッ!」

 

当たらなかったことに舌打ちしたクリスは再び鞭を縦に振るう。

 

「っぶねえ!・・・ハアッ!」

 

横に転がることで回避したクローズはクリスに向かって近づいて拳を振るう。

 

「ッ!」

 

鞭を盾にしてそれを防御したクリスは後ろに下がってしまう。

 

「・・・やっぱり似てるな」

 

クローズが何度か拳を交えると何かに気づいたように呟く。

 

「ああ?」

 

どうやら下がったとはいえ、声が聞こえたようでクリスは声を出す。

 

「お前家族居ねぇだろ?」

 

「なッ・・・黙れェ!お前に何が分かる!?戦争でパパとママを殺されたあたしの気持ちが!まだ会ったのも二回目なお前に!何が分かるんだよ!!お前ら大人が力を振りかざすから、戦争がなくならなくて大切な人を無くす人々が現れるんだ!力がある奴は必ず誰かを傷つける!だからそんな世の中を消すために私は今こうして・・・!」

 

つい、彼女の禁句に触れたようで激情してしまい、言わなくても良いようなことまでもクリスはクローズに向かって言ってしまう。

 

「分かるんだよ・・・お前の思いが、俺の拳を通して分かったんだよ。お前のその気持ちが!俺も両親は居ねぇからこそ分かる!確かに大人が力を振りかざすからこそ戦争が起きるのかもしれねぇ!けどな、あいつは・・・!あいつは戦争を・・・力を持ってるからこそ自分を犠牲にしてでも無くそうとした!そんな奴だって居んだよ!!」

 

クローズがはっきりと伝えるように声を上げながらチラッとビルドが戦っている場所をクローズが見る。それに釣られてクリスもビルドを見てしまう。

 

「ッ・・・!」

 

唇を噛み締めて睨むようにクローズをクリスが見る。

 

「本当にお前のそのやり方で戦争がなくなると思ってんのかよ!?もっと別の方法があるだろうが!」

 

その言葉には納得するほどの重みがあった。なぜなら万丈は一度戦争を止めるために北都へと侵略しようとした。それが戦争を余計に引き起こすということを考えずにただ敵を倒せば戦争はなくなると。暴走していたのだ。

そして万丈はそのせいで自身の大切な相棒に”トラウマ” を作らせてしまった、愛と平和を掲げている彼にとって一度辛いことが起こってしまったのだ。

だからこそクローズの言葉には重みがあった。

 

「お、お前・・・なんで・・・そんな経験した見たいに・・・!?」

 

「お前は俺に似てる!だからこそお前は俺が絶対にこれ以上悪いことに進まねえように止めてやる!!ウオラアアアアァァア!!」

 

クリスの問いかけには答えず、狼狽えているクリスに対してクローズは”思いを込めて”ぶん殴る。

 

「こいつ!さらに力が!?ぐぅぅぅ!?」

 

その拳を鞭で受けたがクローズが防御を貫いて拳を受けたクリスはあまりの威力に吹っ飛ぶ。

 

「うぐ・・・クソッ!クソクソ!なんなんだよ・・・なんなんだよあいつは!!」

 

鎧が再生していきながらクローズの言葉を否定出来なかったクリスは悔しそうに癇癪し、すぐにクローズが近くまで来ていた。

すると、クリスの近くで黄金の光が見える。

そこにはデュランダルがあったのだ

 

「そうだ・・・今はあいつよりあれを取らねえと・・・あたしはまた一人になるかもしれねぇ!」

 

クリスはそう言うと、デュランダルに向かって飛んでいく。

 

「待て!!」

 

クローズがそんなクリスに向かって再びしがみついた。

 

「ぐっ・・・また邪魔を!!」

 

鞭を振るうにも近すぎるために振れないため、クリスはクローズを落とそうと殴る。

 

「いたっ!?痛え!痛えっての!お前一人になんのが怖いのかよ!?」

 

殴られて飛べないクローズは抵抗出来ないためしがみつくのだけで精一杯だ。そしてクローズはさっきしがみつく前に聞こえたようでクリスに聞く。

 

「うるせぇ!悪いかよ!?一人になるのが怖いのが!悪いのかよ!!」

 

何故かクローズを相手にしてから冷静でいられなくなっているクリスはクローズに向かって言ってしまう。

 

「別に悪くねえよ。俺が言いてえのはな・・・もっと人を信じろってことだ!!」

 

「大人の言うことなんか信じられるか!いいか、アタシは大人が大っ嫌いだ!戦争で死んだパパとママも大嫌いだ! パパとママはあたしを一人にして置いていった!とんだ夢想家で臆病者!何がおセンチで難民救済? 歌は世界を救えるだ!!それに大人は力を振りかざして弱者を蹴落とす!いつも自分の事しか考えてねえ!お前だってそうだろ!お前だって―――」

 

イラついたような、怒りの表情でクリスがクローズに向かって言うが。

 

「確かに!俺は昔は自分のことしか考えてなかったバカだった!!けどな、あいつが教えてくれたんだ!誰も信用出来なくなった俺はいつも一人で誰かを救おうとするあいつに・・・いつの間にか憧れたんだよ。愛と平和を掲げて戦うあいつを見てたら俺も誰かの役に立ちたいって、愛と平和のために戦いたいって思えたんだよ!!」

 

クローズはクリスの言葉を途中で遮って話す。

万丈は一度裏切られ、自分が唯一信じていた恋人が死んだ時に心を完全に閉ざしていた。

けど、戦兎が万丈を救って万丈はいつの間にか戦兎に惹かれて一緒に戦っていた。

そして誰かのために戦っているその姿を見ていると万丈も知らぬ間に一緒のことを考えるようになっていたのだ。

 

「ッ〜!!いい大人が夢見てんじゃねえ!!お前もあたしを独りにするんだろ!?そんな夢物語を持った奴からみんな居なくなるんだ!!」

 

重みのあるクローズの言葉にクリスは何も言い返せなくなる。そしてクローズを叩きまくってより落とそうとしてくる。

 

「ガッ!お、大人も子供も関係ねぇよ!それにお前の両親はただ死ににいったわけじゃねえだろ!?お前のために両親はやったんじゃねえのかよ!!それに俺は―――グッ!?」

 

言葉を紡ごうとしたクローズがダメージを受けて喋れなくなり、途中で途切れる。

 

「うるさい!うるさいうるさいうるさい!」

 

ついに何も言えなくなったのか、クリスは同じことを言ってクローズを落とそうとする。

 

「あっ!?うわあああああぁぁぁぁ!?」

 

すると耐えれなくなったクローズがようやく落ちていったのだった。

 

「ハァ・・ハァ・・・(なんだよ・・・あいつの言葉が頭から離れねぇ・・・!!それになんだこの感情は・・・!?)」

 

クリスはクローズを落とせて息を整えながら安心したのと同時に心の中には確かに”何か”が芽生えていた。

 

「けどデュランダルを・・・!」

 

頭を振って今は気にしないことにしたクリスはデュランダルに向かって手を伸ばす。

 

「渡すものかぁぁぁ!!」

 

そう言って響が背中にタックルしてきた。

 

「ガッ!?」

 

そしてクリスは伸ばしてた手が届かなくなり、響はデュランダルを確かに”掴んだ“

その瞬間。間違いなく何かが破綻した

 

「ちょ!?があっ!?」

 

「は?うわあ!?」

 

立ち上がってもう一度来ようとしていたクローズが落ちてきたクリスにぶつかってクリスがクローズの上に倒れる。

 

「いてて・・・おい大丈夫か?」

 

流石にダメージを少し受けたクローズが落ちてきたクリスを心配して起こそうとする。

 

「ッ!」

 

それに気づいたクリスは抵抗しようとするが、何故か身体が言うことを聞かずに出来なかった。

すると、二人の耳には唸り声が聞こえてきた。そこには響が居て、間違いなく響から聞こえてきている。

そしてその手にはデュランダルが両手で握られており、より一層輝いていた。

 

「ウゥ・・・ゥウウウゥウゥゥゥウ・・・!!」

 

低く、まるで獣のような唸る声を漏らしながら何かを抑え込もうとするように響は歯を食いしばる。そして次の瞬間、響が初めて『シンフォギア』を纏った時のような、何倍も強い黄金の光が天を貫くように迸る。

その光の中で、剣が形を変え、一本の黄金の大剣へと変わる。同時に響の姿がいつの間にか禍々しい黒に変わっており、目が赤くなっていた。

 

「なっ!?」

 

響を追ってきたビルドが驚いたような反応をしていた。

 

「ッ!?」

 

そして万丈が最初にその姿を見た時、彼の脳裏にはハザードトリガーを使って暴走した相棒のことが過ぎた。

 

「ウゥゥゥアアァァァァァァ!!」

 

おおよそ人の物へとは思えないような唸り声を叫びながら、理性の飛んだ淀んだどす黒い感情の渦巻く視線で響はただ虚空を見る。

 

「こいつ、何をしやがった・・・!?」

 

思わず困惑したように呟いたクリスが後ろを見る。そこには恍惚とした表情でその光景を見る了子の姿があったのだ。

 

「チッ!そんな力を見せびらかすな!」

 

その響の姿に舌打ちとともにソロモンの杖をクリスは向け、光弾を発射して響の近くにノイズを召喚する。

 

「おいバカ!」

 

嫌な予感がしたクローズは召喚したクリスに言い。

 

「まずい・・・この感じは!?」

 

ビルドは守るために受けようと、フェニックスフルボトルを取り出そうとして―――ないことを思い出した戦兎はフルボトルを即座に入れ替えてゴリラモンドへと変身していた。

 

そうして召喚されたノイズに反応した響は、視線を召喚されたノイズに向ける。

その眼を見た瞬間。クリスは息を飲み込み、数歩後ずさってしまう。

 

「ウゥゥウウゥゥウウアアアアァ!!」

 

獣のような雄叫びを上げながら響はその輝く剣を振りかぶる。その動きに合わせて空に立ち昇る光も動き、そのまま響はそれをノイズへと振り下ろし、その後ろにはノイズを召喚したクリスがいる。

 

「ひっ・・・!?」

 

それが振り下ろされると、逃げようとしてたクリスが恐怖を感じて動けなくなってしまう。戦場ではそれが命取りとなり、そのままデュランダルはノイズを炭化、薬品工場を穿ち、爆発を起こしながらクリスに振り下ろされ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ready Go!

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

「オラアアアアァァァァァ!!」

 

る前に音声が聞こえたと同時にクローズが割って入り、腕にドラゴン・ブレイズを纏わせてクリスを片手で抱きしめながらデュランダルの光のエネルギーに必殺技をぶつけていた。

 

「お前・・・!?」

 

命に関わるかも知れないのに急に割って入ってきたクローズに驚いた反応を見せる。

 

「言ったろ!?お前を止めるって!ここで死んだら止められないだろうがッ!!」

 

余裕がないために早口で捲し立てて言う。

 

「あたしはお前にあんだけ言ったんだぞ!?何故あたしを大人が救おうとする!?」

 

今も押されていくクローズを見ながらクリスは訳が分からないとでも言うようにクローズに向けて言う。

 

「俺が救いたいと思ったからだ!それに言い忘れてたことがあった!俺はもう意識もないやつに誰かを殺させる訳には行かねぇ!お前を独りになんか絶対にさせねええええぇぇぇ!!」

 

そう言いながら現実は無情にも、ドラゴン・ブレイズが薄れて少しずつ消えていく。

 

「ウオオオオオォォ!!」

 

気合いを入れ直すように再び薄れていたのが戻るが、押し返されてきている。

 

「もう無理だろ!?なんで逃げないんだよ・・・!!」

 

腕の中でクリスがそう言ってくる。

 

「逃げたらお前が危ねぇだろ!クソっ!スクラッシュがあれば・・・!!」

 

ないものをねだるように呟きながらも、出していたクローズの腕がだんだんと戻されて限界と思われた時だった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サブキャラの割には随分頑張ったじゃねぇか」

 

ドラゴン・ブレイズが消えると同時にクローズの目の前には、ダイヤモンドの防壁が何重にも重ねて貼られることによってデュランダルの光は直撃することもなく、受け止められる。

 

「けど、主役は俺だぞ?だから、後は任せろ。行け」

 

相変わらずの飄々とした態度でビルドがクローズの傍に来て肩を叩いて言ってきた。

 

「・・・ったく遅せえよ。後は任せた」

 

クローズはその姿を見て、安心して仮面の下で笑みを浮かべて腕を降ろす。相棒がそう言うなら考えがあるのだろうと、クリスを抱えてすぐに傍を離れていくのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
(クローズに)落ちたな(確信)

まだアニメ五話なのに15話まで使ってもまだまだ中盤な作者がいるってマジかよ……。

ビルドって本編で一番出たトライアルフォームは掃除機なんですよね。なので使ってみました。
サイドライヤーはガンバライジングにも出てないから能力は予想です。早く出してくれないかな……特にチートそうなタートルウォッチはガンバライジングには出てるけどもっと詳細を()

はい、遅れた理由について本当に申し訳ありません…理由としては何個かあり、大雑把に言わせて貰うとパソコン買って設定や某ゲームのMODについて苦戦してました。パソコン買うのは初めてだったために色々とよく分からずに小説やる時間なかったのです。
二つ目は展開に迷ってました。思い切り発想の問題じゃねえーか!って話になるんですけどクリスが難しいんです…くそう!ビルド本編みたいにバラしたくないプライドさえなければ…!これは譲れないしなぁ……もちろん正体バレは考えてる話でしますけど今はさせたくないんですよね。それと二期に繋がる部分もあるのでそれを考えてたのもありますけど展開的にヒロイン増えそうで困る(戦兎の)
三つ目は仕事帰ってきて飯食ったら眠すぎて寝てました。
四つ目はゲームのイベントが……はいすみません私が原因ですってかこれと二つ目がほぼ原因です。シティウォーズのストーリー長すぎるんですよ!しかもあれで完結じゃないし…やっとHARD12までクリアだよ疲れるよ。しかもイベントまで周回しなきゃだし……RXだから諦めてもいいけど他にもアズレンがね…とにかくすみませんでした。
これからも週投稿出来なくなる日があったら大抵ゲームか展開迷子になってます。
因みにそのせいか書き終えたのが29日の23時35分でした。(どうでもいい情報)

実は他にもこの話には気合い入れたかった(万丈の部分)って理由もあって書いたら考えてた内容とは全く違うようになったけどこれもまた一興だよね()最後のビルドなんて切りどころさんがなかったから急遽入れた内容だしね。本当は次回だったけど入れなかったら二万文字になるとこだった。
これからも不定期になる可能性あるかもだしプライムビデオのお陰で二期まで早く終わらせなきゃ!ってなるかもしれないです。

ではまた次回もお楽しみにしていただけると嬉しいです。

世の中にはいろいろな人間がいる。すごいと思える人、尊敬できる人、また会いたいなと思える人。そんな人たちと出会って自分は強くなっていくんだ。


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第十六話 Dの力/完全聖遺物デュランダル

 
よし!間に合ったな!(間に合ってない)
ゼロワン新章見たけど今のところ面白そうですね!二章は正直個人的に微妙だったので三章微妙だったら見る気はあんまりなくなってたかも知れない……。
さてゼロワンは今後楽しみとして、実はシティーウォーズ周回しながら仮面ライダーの映画見てたら別のライダーが書きたくなってきたんですよね……。書くなら平行世界の本人かオリ主かなぁ…?作品はまだ考えてないけどドライブか鎧武書きたいなと思ってますね。龍騎は私が考えたらBADしか思い浮かばなかったから無理だ…。
それからヒロアカ五期おめでとうございます!多分A組B組対決やってヴィラン連合の話したら終わりそうだけど原作に追いついてきてますね…作者は最新巻はまだ読んでないですけど時間あるとき読みます。ヒロアカも書きたいんだけどね!あっちは既に考えてたネタが結構使われてる作品多いからなぁ…無個性なためにやりやすいんでしょうね。
逸れましたけどあらすじどうぞ!(ネタなくてきついなんて言えない)











戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は反応があったノイズの場所に赴き、立花響と共闘することでノイズを殲滅していく」

万丈「そんな中、仮面ライダークローズである万丈龍我はクリスとの説得を試みるが、失敗してしまう」

響「そして完全聖遺物であるデュランダルを私が掴んだ時、なんと暴走をしてしまうのでした……私どうなるんでしょう!?」

戦兎「それは今回を見てくれよ?」

クリス「さりげない宣伝…あたしじゃなければ見逃してたな」

万丈「あれ?なんでお前がいるんだよ!?」

未来「名前出てたからもう出そうかなって思って忘れてたとの作者のメモが……」

クリス「そうなんだよ。あいつは後で〆るとしてここは本編とは関係ないんだろ?」

戦兎「まぁそれはそうなんだが……」

響「まぁまぁ、翼さんが居なくて一人減ってたしちょうどいいんじゃないんですか?」

未来「そうだね。翼さんが帰ってきたら今度は五人になっちゃうかな…?」

戦兎「この章終わったらどうせ何人か増えるからな…今のうちに慣れておくのはありか。さて!それでは前回主役らしい活躍を最後にした俺が活躍する十六話をどうぞ!」

万丈「そういえばエイプルフールの話はどうしたんだよ?」

戦兎「惜しい。エイプリルフールだ」

クリス「あ~何かエイプリルフールいるか?ってなったらしいな。本編早く進めろって言われそうだったから書かなかったらしい」

響「今回もギリギリだったから仕方ないよね」

未来「あとトラブルも……」

戦兎「そこは作者が後書きで言うと思うぞ」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響・・・お前に俺と同じようなことは絶対にさせない。それに、未来がお前の帰りを待ってんだろ・・・!」

 

戦兎の脳裏にはかつての自分の過ちと寂しそうに泣いていた未来の姿が浮かぶ。彼女の元に帰るためにも絶対に助けないといけない。

そしてビルドはダイヤモンドの防壁をさらに貼る。

 

ラビットタンク!イエーイ!

 

防壁を残したままビルドはラビットタンクに変身し---

 

「持つか分からないしまだ使いたくなかったが・・・仕方がないな。フルボトルバスター!」

 

ビルドが声を出すとともに高速ファクトリーが展開、スナップライドビルダーから今まで使ってきていた武器とは別の大型の武器が召喚され、ビルドはそれをバスターモードで持ち手のグリップ『フルブレイグリップ』ともう一つの補助グリップ『フルアシストグリップ』を両手で持つ。

 

「この威力・・・今持ってる火力で行けるか?全力でやって相殺するしかない!」

 

ビルドはフルボトルバスターの持ち手の部分『フルブレイグリップ』を傾け、『クアッドフルボトルシリンダー』にフルボトルを装填していく。

 

ラビット!ゴリラ!クマ!タートル!

 

ビルドが装填したフルボトルは速度の速いラビット、力の強いゴリラ、力と持久力が高いクマ、防御力のあるタートル。有機物のみのフルボトルならば現状のビルドではかなり強いフルボトルである。

 

アルティメットマッチデース!

 

音声の待機音が鳴る中、ビルドは傾けていたフルブレイグリップを元に戻し、バスターモードに戻す。そして補助グリップであるフルアシストグリップと持ち手のグリップを持ち、バスターモードにしたフルボトルバスターを右斜め上に構えて待機する。

準備を終えた頃には既にダイヤモンドの防壁が次々と割られ、最後のダイヤモンドの防壁もヒビが入っていた。

そしてデュランダル。その名には「不滅不朽」の意味があり、圧倒的なエネルギーを無尽に生み出すためにデュランダルの勢いは止まらない。ビルドは当然デュランダルの名については既に知っているため、エネルギーが衰えるところを感じないことから無尽蔵のエネルギーがあるのだろうと推測していた。

ならば、巨大な力には強力な攻撃を使って防ぐしか方法がないがためにビルドは切り札であったフルボトルバスターを使おうとしていた。

すると今まで耐えていた最後のダイヤモンドの防壁にますますとヒビが広がり、防壁が砕けるように弾け、デュランダルの光によって消滅させられる。そのままビルドの方へと向かい―――。

 

ビルドが動いた。フルボトルバスターのバスターモードの刀身には赤色、茶色、黄色、緑色の様々な色が混ざった大きなエネルギーを纏い、それをビルドは構えている。

 

「ハアーッ・・・」

 

持ち手のグリップにあるトリガー『ブレイクマッチトリガー』をビルドは目の前にデュランダルの攻撃が来たのと同時にトリガーを指で押す。

 

アルティメットマッチブレイク!!

 

「ハアァーッ・・・フンッ!」

 

力強い声とともに未だに振りかぶられているデュランダルの剣のエネルギーに向かってフルボトルバスターを上段から振り降ろすことでデュランダルの巨大なエネルギーとフルボトルバスターの強大な威力をぶつける。

 

「グッ・・・!?うぐぐ・・・!!」

 

だが、彼が現在使っている形態はラビットタンクである。本来フルボトルバスターを使うためにはハザードトリガーとフルフルを使ったあるフォームかビルドの最強形態になる必要があるのだ。そのために強大な力を扱うのはとても難しく、武器の威力は問題ないがラビットタンクのスペックが追い付けてなく、だんだんと地面を削って下がっていってしまう。

 

「思ってたより・・・強い!?こんのっ!!」

 

ならば、とタンクのキャタピラを使用。無理矢理にでも下がらないようにしていき、フルボトルバスターを持つ両手にさらに力を入れる。そして二つのエネルギーは拮抗していくがビルドの方はあくまで剣を振り降ろして止めているだけだ。このままではビルドが先に尽きるか力のエネルギーに耐えれずにデュランダルのエネルギーとフルボトルバスターのエネルギー同士が爆発してビルドは不味い状況になってしまうだろう。

 

「ッ!このままじゃ吹き飛んでしまう・・・!!けど逸らすことが出来るほどの余裕がない・・・!」

 

両手やキャタピラで必死に堪えているだけ、しかもビルドは現在もう一つの技を使うためのボルテックレバーを回すことが出来ないのだ。そのためこのまま斬撃を出せば薬品工事は爆発して被害が酷くなってしまうだろう。

 

「ぐッ・・・アアアアァッ!!」

 

しかし、このまま押し負ければ工事地帯のみでは済まないしビルド自身も消滅はしなくとも死にかけはするだろう。

そして予め人は居ないことは知っていたためにビルドはついに苦渋の決断して、全力で振り降ろすことで斬撃を飛ばす。

ビルドが出した斬撃は中央辺りでデュランダルのエネルギーと拮抗。ビルドは斬撃を繰り出すために全力で振り降ろしため疲労で体勢を僅かに崩し、自分の手に持っているものからビキッ、パキッとした音が聞こえつつもぶつかり合っているエネルギーを見つめる。

そのままほんの一瞬だけ拮抗していると、強いエネルギー同士が長くぶつかり合ったこと、周りが薬品工事ということがあったがために中央で大爆発が起こる。

 

「がっ!?」

 

当然近くにいたビルドは爆発の威力に吹き飛ぶ。しかしそのダメージを負いながらもビルドは響が心配なのか響が居る方を見て、彼は確かに見たのだ。

その爆発の中、確かに茶髪の女性で、科学者らしい服を着ている女性が謎の紫色で薄い透明な防壁なものを貼ることで、響と自分を爆発から守っていた姿が。

 

「まさか、デュランダルの力なのか・・・?」

 

弦十郎はビルドたちが爆発の中まで突っ込んでいったことは確認出来たが、相変わらず爆発の煙のせいで見えてなかった。

そのため、再び爆発が起きたのを見た弦十郎がそう呟いたのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何?今の力・・・私、全部吹き飛べって、体が勝手に・・・)

 

少し経った後、響は意識を取り戻して目を開ける。その手にはデュランダルがあり、響は身体を起こして周りを見る。

そこには、自衛隊が既に来ていて処理をしつつも目の前には髪を纏めている了子の姿があった。

 

「これがデュランダル。あなたの歌声で起動した完全聖遺物よ」

 

それに気づいた両親はは纏めながら響に向かって背を向けて言ってくる。

 

「あの、私・・・それに了子さんのアレ・・・?」

 

響が言っているのは響がシンフォギアを纏う前に了子が守ってくれた紫色の薄い透明な防壁のようなものだろう。

 

「ん?いいじゃないの、そんなこと。二人とも助かったんだし、ね♪」

 

そう言ってから了子は通信端末を使って計画の中断の話をしに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつが・・・あの組織のスパイ、または黒幕なのか?」

 

先ほどエネルギーのぶつかりで吹き飛んでいたビルドは、ニンニンコミックになってその様子を見ていた。明らかに怪しいその姿を。

そしてすぐにビルドは隠れ身の術を使うことで見つかる前に逃げるのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!離せ!」

 

そう言って暴れているのはネフシュタンの鎧を纏ったクリス。

 

「うおっ!?わ、わかったから暴れんな!」

 

暴れているクリスを抱えていたのがクローズで、クリスが暴れるのをやめてから降ろす。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

そしてお互いどう話せばいいのか分からなくなって少しの間見つめ合う。

 

「ッ!」

 

すると、クリスが後ろを向くのと同時に逃げるように飛んでいくのだった。

 

「あ、おい!?・・・仕方がねぇ。また会えんだろ」

 

諦めたクローズは自分も既に帰っているであろう相棒を考えて自分も帰っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい戦兎ー?」

 

既に変身解除して戻ってきた万丈は階段を降りながら地下へと向かっていく。するとそこには―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎が髪をボサボサに、そして顔も黒く明らかにボロボロの姿で仰向けになっていた。

 

「戦兎!?どうした!?」

 

その姿に驚いて何かあったのかと万丈が近づく。

 

「ん?あぁ万丈帰ってきてたのか」

 

戦兎が身体を起こして何かのグリップを持っていた。

 

「おう・・・ってなんだよそれ?」

 

ふと戦兎が何かを持ってることに気づいた万丈は戦兎に向かって聞く。

 

「・・・フルボトルバスター」

 

目をどこか遠い目をしながら戦兎がぼそりと呟く。

 

「は?いやなんでそうなってんだよ!?」

 

万丈がこう言うのは無理がないだろう。なぜならフルボトルバスターは大型の武器であってそんなグリップだけの武器ではないのだ。

 

「仕方がねえだろ!思ったよりデュランダルとやらの力が強すぎたんだよ!フルボトルバスターの修理なんて全くしてなかったんだ。あの攻撃にフルボトルバスターを高出力で使うのはダメだったのは分かってたけどあれでも結構ギリギリだったからな・・・最ッ悪だ」

 

ポイっと諦めたようにフルボトルバスターのグリップを投げる。すると、既に限界だったのかあっさりと崩れて行った。因みに彼の顔が黒くなっているのは近くまで帰ってきたあとに急にフルボトルバスターが大爆発を起こしたためにボロボロになっていた。

部屋が壊れてないのがよかったと言うべきか。

 

「ま、マジか・・・そりゃ俺の技じゃ全然無理だったのも納得だな。でももう一回作れんのかよ?」

 

フルボトルバスターは後のフォームに必ず必要になるであろうことを知っている万丈は戦兎に向かって聞く。

 

「きついだろうな・・・あれは紗羽さんにも手伝って貰ったからかなり早く出来たが、一人じゃかなり時間かかるだろうしそんな暇もない。・・・これの解析だってまだ全く出来てないからな」

 

そう言って戦兎が指を指す。そこには旧世界からの唯一持ってきたアイテムであり、自分たちが未だに全てを理解することが出来ていない物。

 

「白いパンドラパネル?」

 

そう、新世界創造に必要だった二つのピースであったパネルであり、唯一ライダーシステム以外に旧世界からこちらの世界にきたアイテムである。

 

「そうだ、ビルドのアイテムの修理はもちろん必要だけど一番はあれを優先しないとだめなんだよ。もしかしたらあれが何か危険なことを起こす場合もあるしな・・・」

 

戦兎が思い出すのは”あの時”白いパンドラパネルによってどこかの世界に呼び出された時にいた仮面ライダー。確か名は仮面ライダージオウ・・・魔王と言っていた気がする。

そして中央で戦っていた仮面ライダーたちは間違いなく18人・・・自分と同じような。エグゼイドたちと同じように人類のために戦ってきた戦士たちだろう。

あの時は結局何事もなく帰ることは出来たが、もしかしたらキケンなところにワープさせられた可能性もあった。だから出来る限り兵器に成り得るライダーシステムの強化よりあっちに回したいのだ。

 

「それに・・・フルボトルバスターを作り直すのだったらもう一人手伝ってくれる助手のような人が欲しいんだよな・・・大型なこともあって一人は大変すぎる。少なくとも今はフルボトルバスターより新しい武器の完成を優先するよ」

 

しかし、これで現状ビルドが持っていた切り札はなくなってしまった。もちろん一つ---ハザードトリガーがあるが、しばらくは使用しないだろう。

だからかハザードトリガーは引き出しに入れて持ち歩かないようにしている。

 

「俺は手伝えねえからなぁ・・・よくわかんねえし」

 

戦兎がそう言ったのは万丈ではよく分からないと言うのを知っているからだ。だから別の人が欲しいと言っていた。ある程度できる人が。

 

「元々期待してないからいいよ。・・・そういえばお前が助けたあの少女は?」

 

万丈がネフシュタンの鎧の少女を守っていた姿を知っている戦兎は聞く。

 

「逃げられた」

 

その戦兎の言葉に万丈は短く返し、

 

「・・・そうか。ま、お前ならあの子を救うこと出来んだろ。少なくともおれの出番じゃないからな」

 

戦兎は気にした様子もなく納得する。

 

「へ?お前もしかして聞いてたのか!?」

 

万丈としては聞かれてたなら本人には絶対に聞かれたくないことを言っていたために内心でまずいと思っていた。

 

「なわけないでしょうが!ノイズとの戦闘中にあんだけ離れてたら聞こえないよ。ただあの子が何かを叫ぶようにしてたのが見えただけだ。後は勘。けど、合ってたみたいだな?」

 

ラビットの能力があったならともかく、あの時に変身していたフォームは聴覚が良くなる能力などないし仮にラビットでも戦闘音で聞こえなかっただろう。

 

「・・・あぁ。何かあいつのことは放っておけないんだよ」

 

ほっと安心しつつも万丈は思い出すかのように言う。

 

「なら救ってやれ。本当に危ない時になったら別に変身しても構わねえから。けど、出来る限り今は目の前で変身とかすんなよ?特にお前は俺のように造られたんじゃなくて、この世界にも万丈龍我がいるんだから」

 

「おう。わかった」

 

その言葉に頷いた万丈は部屋に戻っていった。そして戦兎は風呂場に向かっていくのだった。

フルボトルバスターでも全く軽減することが出来なかった痛む右腕をそっと抑えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲインが必要だとフィーネは言っていた。あたしがソロモンの杖に半年もかかずらったことを、アイツはあっという間に成し遂げた・・・。そればかりか、無理やり力をぶっ放して見せやがった・・・)

 

クローズから逃げたクリスは既に隠れ家に戻ってきており、昨日のことを思い出していた。

 

「くっ! 化物め!このあたしに身柄の確保なんてさせるくらい、フィーネはアイツにご執心ってわけかよ」

 

そしてクリスは自分の過去を思い出していた。それはとても一人の少女が経験するようなことではない壮絶な過去である。

 

「・・・そしてまた、あたしは一人ぼっちになるわけだ」

 

俯いてそう小さく呟くと、さらにもう一人のことを思い出した。

 

「(それにあいつも・・・私と同じように経験した風に、いや間違いなく経験したような言葉に重みがあった・・・。けど大人なんて信頼すること・・・クソッ!あたしどうしちまったってんだよ・・・!)

 

次に思い出したのは自分に向かって似ていると言ってきた仮面ライダークローズのことである。本来なら大人が嫌いな彼女は間違いなくただの力を振りかざす他のやつらと変わらないと思っていただろう。しかし彼、クローズは違った。クローズもまるでクリスと同じように戦争も経験し、両親も亡くして、しかもクリスを止めると言ってきた。

何故かクリスはクローズの言葉が頭の中から離れずに何度も忘れようとするが忘れれないのだ。

まるで自分が心の何処かで”彼なら信頼しても、独りにしないのではないか、彼は他のやつらとは違うのじゃないか”と思っているかのように。

すると、太陽が登ってきた。それにクリスし顔を上げて何処か寂しそうな、悲しそうな目で登ってきた太陽を見ていた。

 

「ッ!」

 

人の気配を感じたのクリスは顔を後ろに向ける。そこには彼女が先程言っていた女性。フィーネが居たのだ。

 

「わかっている。自分に課せられたことくらい。こんなものに頼らなくても、あんたの言うことくらいやってやらあ!」

 

そう言ってクリスは手に持っていたもの、ソロモンの杖をフィーネに向かって投げ渡す。

 

「あたしの方がアイツよりも優秀だってことを見せてやる!あたし以外に力を持つ奴は、全部この手でぶちのめしてくれる!そいつがあたしの目的だからな!」

 

そう言ったクリスにフィーネはわずかに唇を動かしただけで、何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり太陽が出てきて晴天の日、杖を突きながら翼は病院の廊下を歩いていた。

 

(奏、私も見てみたい。見なければ奏と同じ所に立てない。戦いの裏側、向こう側に何があるのか。確かめたいんだ)

 

「翼さん! ICUを出たばかりなんです。これ以上は・・・」

 

そう言って看護師の人が近づいて翼を止めようとする。

 

「くっ・・・はぁ、はぁ・・・すみません・・・」

 

窓に持たれかかり、ふと翼は窓の外を見る。そこには一生懸命走っている響と未来が居た。

 

(暴走するデュランダルの力・・・。怖いのは制御出来ないことじゃない。躊躇いもなく、あの子に向かって振り抜いたこと。もしクローズさんや止めてくれたビルドさんが居なければ私は・・・。私がいつまでも弱いばかりに・・・)

 

悔しそうに唇を響は噛み締めて前を走っていた未来が止まったにも関わらずに響は走り続ける。

 

「え?」

 

息を整えていた未来が未だに走り続ける響を見て驚いたように声を出す。

 

(私はゴールで終わっちゃダメだ。もっと遠くを目指さなきゃいけないんだ。もっと遠くへ、遠くへ)

 

その様子を後ろにいる未来が心配そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう。張り切りすぎだよ」

 

湯船に浸かりながら未来が言ってくる。

 

「ごめん。考え事してたら、つい・・・」

 

響は苦笑いしながら言ってきた未来に答え、

 

「やっぱり響は変わった子」

 

何処か改めて確信したように呟く。

 

「日曜の朝なのに、ごめんね。付き合わせちゃって・・・」

 

「ううん。私も中学時代を思い出しちゃって気持ち良かったー」

 

響が申し訳なさそうな表情で謝るが、未来はそんな響の様子に気にした様子もなく、身体を伸ばしながら答える。

 

「あれだけ走ったのに!?やっぱさすがだよー、元陸上部。こっちはヘトヘトのヘロヘロでトロトロだったのに・・・」

 

擬音ばかりでよく分からないことを言っていた。

 

「ひーびき。何か、リディアンに入学してから変わったね。前は何かに頑張ったりとか、好きじゃなかったでしょ?」

 

響に寄り添いながら未来が唐突に響に向かって言ってきた。

 

「そうかなあ? 自分では変わったつもりはないんだけど……」

 

響は変わった自覚がないためにそう言う。実際自分で何かが変わったと思うことなんてそうそうないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、今度ふらわーでお好み焼き奢ってよ。日曜に付き合ったお返しということで」

 

未来が着替えながら響に向かって言う。

 

「えっ? そりゃー、おばちゃんの渾身の1枚はほっぺの急降下作戦と言われるくらいだけど・・・」

 

「じゃあ、契約成立ね。楽しみだなー。ふらわーのお好み焼き」

 

未来が本当に楽しみなようで、嬉しそうにしている。

 

「ホントにそんなのでいいの?」

 

簡単なことで驚いたように響が未来に向かって聞く。

 

「うん。そんなのがいいな」

 

すると、未来が笑顔で響に向かって言葉を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、亡くなられた広木防衛大臣の繰り上げ法要でしたわね」

 

戻ってきた弦十郎に向かって了子が気づく。

 

「ああ。ぶつかることもあったが、それも俺たちを庇ってくれてのことだ。心強い後ろ盾を失ってしまったな・・・。こちらの進行はどうなっている?」

 

ネクタイを少し緩めながら少し辛そうな表情をするが、すぐに戻る。

 

「予定よりプラス17%」

 

飲み物を片手に了子が言ってきた弦十郎に向かって答える。

因みに進行とは基地の強化作業である。

 

「デュランダル移送計画が頓挫して、正直安心しましたよ」

 

端末の近くにいる藤尭が身体を向けながら安心したような表情で声を出す。

 

「そのついでに防衛システム、本部の強度アップまで行うことになるとは」

 

端末を見ていた友里が了子がいる方へと顔を向ける。

 

「ここは設計段階から限定解除でグレードアップしやすいように折り込んでいたの。それに、この案は随分昔に政府に提出してあったのよ」

 

飲み物を片手に、了子が友里に答え、

 

「でも、確か当たりの厳しい議員連に反対されていた、と・・・」

 

椅子を動かして身体を向けて思い出すように呟く。何故その案が今になって通ったのか。

 

「その反対派筆頭が広木防衛大臣だった。非公開の存在に血税の大量投入。無制限の超法規措置は許されないってな」

 

つい、ため息を一つ弦十郎が吐いてしまう。

 

「大臣が反対していたのは、俺たちに法令を遵守させることで余計な横やりが入ってこれないよう取り計らっていたからだ」

 

飲み物を紙コップに注ぎながら続きを弦十郎が説明する。

 

「司令。広木防衛大臣の後任は?」

 

重い空気が場に広がるが、気になった友里が弦十郎に向かって聞く。この場の誰もが聞きたかったことだろう。

 

「副大臣がスライドだ。今回の本部改装計画を後押ししてくれた立役者でもある。あるんだが・・・協調路線を強く唱える、親米派の防衛大臣誕生。つまりは、日本の国防対策について米国政府の意向が通りやすくなったわけだ」

 

分かりやすく弦十郎が言い直して、大事なことなために再び説明をする。

 

「まさか、防衛大臣暗殺の件にも米国政府が・・・?」

 

そして驚いたように友里が言った時だった。そこで、突如として警報が鳴る。それに反応してモニターを見れば、数人の職員が消火器をもって火元の消化を行っていた。

 

「大変! トラブル発生みたい。ちょっと、見てきますわね」

 

了子が言った通り、トラブルが起きているようだ。そして一言入れてから了子が向かう。

そこには、口紅のついた紙コップだけが残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、はい。えっ? 私がですか?」

 

リディアン音楽学院の階段で響が誰かと電話をして連絡していた。

 

「ちょっと手が離せないんですよ。お願い出来ますか?こんなこと頼めるの、響さんしか居なくて・・・」

 

どうやら緒川と話していたようで、手が空いてないためにお願いをされる。

 

「はい、分かりました!・・・あっ・・・そ、それじゃ、失礼します。はーい」

 

と緒川に答えた時に未来がいつの間にか後ろに来ていたようで、響は一言入れてから電話を切る。

 

「あ、あれー未来?どうしたの?」

 

そして慌てて電話をポケットになおして未来に聞く。

 

「うん。今日これから買い物に行くんだけど、響も行かない?その後でふらわーに寄って、ね?」

 

どうやら、響を誘いにきたようで未来は響を誘う。

 

「ごめん・・・たった今用事が入っちゃって・・・」

 

申し訳なさそうな表情で響が謝ってくる。

 

「そっか・・・」

 

未来は少し残念そうな表情を浮かべるが、表情をすぐに元に戻す。

 

「せっかく未来が誘ってくれてるのに、私呪われてるかも・・・」

 

響はこの前と同じようにまた口癖として言ってしまう。

 

「ううん、わかった。じゃあまた今度」

 

未来が手を振りながら言ってくる。

 

「うん・・・」

 

それを気にしたように響は表情に影を落として見つめる。

 

「気にしないで。私も図書室で借りたい本あるから今日はそっちにする」

 

響のことに気づいたようで未来がフォロー入れるように言うが、実際に行こうとは思っていたために嘘ではないようだ。

 

「ごめんね」

 

響は未来に両手を合わせ、謝りつつも走っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅーー・・・はぁーー・・・。失礼しまーす・・・」

 

扉の目の前で深呼吸をしているのは響で札を見る限り402と書かれていることから、そして廊下を見る限り病院であろう場所にいた。そして自動ドアが開き、そこには―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翼さっ・・・!?ま、まさか・・・そ、そんな・・・」

 

目の前の光景を見てしまった響はあまりにものショックでカバンを落とし、驚愕の表情を浮かべてしまう。

 

「何をしているの?」

 

すると、後ろから声が聞こえてくる。振り向くとそこには患者衣を着ている風鳴翼の姿があった。

 

「大丈夫ですか!?ホントに無事なんですか!?」

 

すぐさま反応した響は、心配したような表情と焦りで問いかける。

 

「入院患者に無事を聞くって、どういうこと?」

 

翼の言葉はもっともだろう。入院しているのに無事と言われても意味が分からないとしか返ってこないだろう。

 

「だって、これは!?」

 

だが響が心配してしまったのも無理はない。響が指差した部屋の方には脱ぎ散らかされた服と下着、読みかけの新聞に零れたまま放置されているコーヒー、枯れたままそのままにされている花に、こぼれたままの栄養ドリンクや消毒液、散らばる雑誌や薬など---悲惨な光景があるのだから。

 

「あ・・・・・」

 

そのことに気づいた翼はつい声を出してしまう。

 

「私、翼さんが誘拐されちゃったんじゃないかと思って! 二課の皆がどこかの国が陰謀を巡らせているかもしれないって言ってたし・・・!」

 

普通、こう思ってしまうだろう。仮に一般人ならともかく、風鳴翼はトップアーティストだ。誘拐してお金儲けを考えようとするやつなんてたくさん居るだろう。それに一般人だったとしてもこの散らかり方は酷い。誰でも誘拐されたんじゃないかと思ってしまう光景だ。

そして気づいたら翼は顔を赤めたまま黙り込んでいた。

 

「え?え?・・・あっー・・・えっと・・・」

 

きょとんと不思議そうな表情で見つめていた響だったが、察したような表情になるとなんて言えばいいか分からなくなってしまったのだった―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう・・・そんなのいいから」

 

翼がベッドに座りながら響に向かって顔を赤めつつ言う。

 

「私、緒川さんからお見舞いを頼まれたんです。だからお片付けさせてくださいね」

 

そう言った響は服を畳んで重ねていた。

 

「私は、その・・・こういうところに気が回らなくて・・・」

 

「意外です。翼さんって何でも完璧にこなすイメージがありましたから」

 

畳んで重ねた服をしっかりと整理して置きつつ響が後ろにいる翼に向かって思ったことを言う。

 

「ふ・・・。真実は逆ね。私は戦うことしか知らないのよ」

 

「はい、おしまいです!」

 

その言葉と共に周りを見ると、なんということでしょう……あれだけ散らかり、まるで強盗か誘拐犯でも来たのかというレベルで悲惨だった病室が匠のお陰で元通り、とても綺麗になったではありませんか。

 

「す、すまないわね・・・いつも緒川さんがやってくれてるんだけど・・・」

 

申し訳なさそうな表情で謝りつつ、つい翼は呟く。

 

「えぇぇぇ~!? 男の人に、ですか?」

 

驚いたような表情になってつい大声で聞いてしまう。年頃の女の子が、それも家族でもない相手に下着などを片付けさせているのだから驚くのも無理はない。

 

「ッ!?た、確かに考えてみれば色々と問題はありそうだけど・・・。それでも、散らかしっぱなしにしてるのは良くないから、つい・・・」

 

響の言葉で気づいたような反応し、顔を赤めつつも説明する。

 

「あ・・・はあ・・・」

 

随分と前回までと態度が別で、しおらしくなっている翼に響は少し戸惑っていた。

 

「今は、こんな状態だけど報告書は読ませてもらっているわ」

 

「えっ?」

 

「私が抜けた穴を、あなたがよく埋めている。ということもね」

 

顔を響の方へと向けながら翼が話題を切り替えるように言ってきた。

 

「っ!? そ、そんなこと全然ありません! いつも二課の皆に助けられっぱなしです!」

 

その言葉に響は謙遜するように両手を振りながらいい、

 

「嬉しいです。翼さんにそんなこと言ってもらえるなんて・・・」

 

照れたように頬を指で掻きながら響は笑う。

 

「でも、だからこそ聞かせて欲しいの。あなたの戦う理由を」

 

そんな響に翼は真っ直ぐ見据える。

 

「え?」

 

「ノイズとの戦いは遊びではない。それは今日まで死線を超えてきたあなたならわかるはず」

 

ノイズとの危険性は十分に理解している。昨日のノイズとの戦いもビルドが来てくれたお陰で比較的楽に戦えたとはいえ、十分脅威だったのだから。

 

「よく、わかりません・・・。私、人助けが趣味みたいなものだから、それで」

 

されど、響はそう答えた。

 

「それで?それだけで?」

 

元々誰かのために戦ってきた人ならばそれだけと答えるだろう。例えばこの場には居ない愛と平和を謳う男と彼があってきた英雄達(レジェンド)ならば。

なら、響はどうなのか?

 

「だって、勉強とかスポーツは誰かと競い合って結果を出すしかないけど、人助けって誰かと競わなくていいじゃないですか。私には特技とか人に誇れるものなんか無いから、せめて自分に出来ることで皆の役に立てればいいかなーって、あは、あはははー・・・」

 

ふと、響の言葉が切れると、誤魔化しきるのは無理だと悟ったようで、

 

「きっかけは・・・」

 

ぼそり、と声を出す。

 

「?」

 

翼はきょとんとしながら見つめる。

 

「きっかけは、やっぱりあの事件かもしれません。私を救うために奏さんが命を燃やした2年前のライブ。奏さんだけじゃありません。あの日、沢山の人がそこで亡くなりました。でも、私は生き残って、今日も笑って、ご飯を食べたりしています。だからせめて、誰かの役に立ちたいんです。明日もまた笑ったり、ご飯食べたりしたいから、人助けをしたいんです」

 

窓を見ていた響が翼に笑顔でそう言う。

 

「あなたらしいポジティブな理由ね。だけど、その想いは前向きな自殺衝動なのかもしれない」

 

そんな理由を聞いた翼は響にそう返す。

 

「自殺衝動!?」

 

その言葉に響は驚いたように反応してしまう。

 

「誰かのために自分を犠牲にすることで古傷の痛みから救われたいという自己断罪の現れなのかも」

 

「あのぅ・・・私、変なこと言っちゃいましたか?」

 

何かいつもと同じように変なことを言ったのかと心配そうな、不安になる響。

 

「ん?」

 

その言葉に翼は心外とでも言うように呆けている。

 

「あははは、はははは・・・」

 

「くす・・・」

 

そして笑う響に翼も少し笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって屋上。

 

「変かどうかは私が決めることじゃないわ。自分で決めることね」

 

杖を突きながら響に背を向けて翼が言う。

 

「考えても考えても、わからないことだらけなんです。デュランダルに触れて、暗闇に飲み込まれかけました。気がついたら、人に向かってあの力を・・・。私がアームドギアを使えていたら、あんなことにはならずに・・・」

 

そんな翼に俯きがちに響は思い出しながら答える。

 

「力の使い方を知るということは、即ち戦士になるということ」

 

そんな響の言葉に翼は身体を振り向かせて向かい合いながら今までとは違い、真剣な表情で見据える。

 

「戦士・・・」

 

俯いてた顔を上げてしっかりと響も翼を見つめる。

 

「それだけ、人としての生き方から遠ざかることなのよ。あなたに、その覚悟はあるのかしら?」

 

それは、翼がそうだからだろう。トップアーティストだけなら分かるが、日々ノイズが出るとシンフォギア装者として戦う、ただの人としての生き方とはかけ離れているのだから。

だからこそ、こっちに来る覚悟があるのかと響に向かって問いかけていた。

 

「守りたいものがあるんです。それはなんでもないただの日常。そんな日常を大切にしたいと強く思っているんです。だけど、思うばっかりで空回りして・・・」

 

が、前の響なら迷っていたが今の響は迷わずに答えてみせ、思う節があったのか少し表情に影を落とす。

 

「戦いの中、あなたが思っていることは?」

 

そんな中、翼は響に再び問いかける。

 

「ノイズに襲われている人が居るなら、一秒でも早く救い出したいです!最速で最短でまっすぐに一直線に駆けつけたい!そして・・・もしも相手が、ノイズではなく誰かなら・・・。どうしても戦わなくちゃいけないのかっていう胸の疑問を・・・。私の想いを届けたいと考えています」

 

思い出すのは昨日のネフシュタンの少女のことだった。彼女にまだ想いを届けることはしていない。

 

「今あなたの胸にあるものを出来るだけ強くはっきりと思い描きなさい。それがあなたの戦う力・・・。立花響のアームドギアに他ならないわ」

 

響は気づかなかっただろうが、響の表情は覚悟を決めた、もう何かを言わなくてもいいような表情になっていた。

だからこそ、翼はそんな響に対して先輩としてのアドバイスを送るのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





こんなはずじゃ…こんなはずじゃなかったんだ!いつの間にフルボトルバスター壊れてんの!?フィーネ戦どうすんだこれ()後は託したぜ!未来の俺!未来に託しすぎじゃない?この作者。
二期からはオリジナル回も入ってくる予定なのにここまで進まないとは…。ちなみにここの戦兎君は文章からも分かる通りFOREVERルートは行ってません。FINALやBe・The・Oneはやってますけどね。
クローズは2期終わってからするかな?

それではまた次回!今期は続編じゃないのであれば今のところはかくしごとをおすすめしますよ!姫ちゃんかわいい

※途切れた後書き見た方はすみません。どうやらエラー発生して弾かれたので後書きは途切れてました


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第十七話 最速で、最短で、真っ直ぐ、一直線に

 

0時に投稿したかったけど間に合わなかったんや……珍しい7時投稿である。ってかTwitterで小説のことは言わないとか言っておき居ながら言ってる作者が居るってマジかよ…?
それは儂じゃよ。

実際こう内容は浮かんでるけど文字にしようと思ったらどうしたらいいか分からずによし、調子戻ったら書こうとかいう思考にしてたせいで遅れたけど無事できました。あとシティーウォーズのレイドねうん。レイドはポイント集め楽だねやっぱ。他には二期の内容をこれ大丈夫か?内容によってはまずいと思い頭の中で整理してましたはい。まだなのにね。
ではあらすじどぞどぞ!






















戦兎「仮面ライダービルドであり、イケメン天才物理学者の桐生戦兎はデュランダルの力によって暴走した響を止めるためにフルボトルバスターを強いて暴走を止めることに成功した!」

響「そして私は緒川さんからのお願いを聞き、翼さんの見舞いに向かったのですが、あまりにもの散らかりように驚いてしまい、なんだかんだで翼さんにアームドギアのアドバイスをしてもらうのでした!」

翼「ようやく復活か・・・」

クリス「今まで先輩は寝てたからな」

翼「あながち間違ってないから何とも言えんな・・・」

戦兎「っておい!俺の主役的活躍については何にもないのかよ」

万丈「そっちより俺は個人的にフルボトルバスターが壊れた方が気になるんだが・・・」

未来「作者曰く深夜テンションで壊してしまった。反省も後悔もないって言ってましたよ?」

戦兎「いや何壊してくれてんのよ?あれ作るの大変なんだからな!?」

響「ここで言っても使ったのは戦兎さんですよね?」

つばクリ「「それは言わないでや(れ)ってくれ・・・」」

未来を「気を取り直して本編行きましょうか」

戦兎「だな。じゃあ俺が活躍する第十七話を―――」

万丈「悪いな戦兎。今回一番活躍するのは俺だ。ってことで俺が大活躍する第十七話見てくれ!」

戦兎「いやいや何言ってんのよ?俺が活躍するに決まってんでしょ!主役だぞ?主 役 !」

万丈「いつからお前が主役だと錯覚していた?」

戦兎「なん・・だと・・・!?」

クリス「何やってんだよ。まだ続いてるぞ?」

翼「さて今度こそ本編を見てやってくれ」




 

 

暗い顔で一人未来は歩いていた。すると、商店街のふらわーの店の前に止まり、未来は扉を開ける。

 

「いらっしゃい」

 

開けた未来に向かって言葉をかけたのはかなり歳寄りの人だった。お店の名前はふらわーで未来が響と一緒に行こうと約束していたお店である。

 

「こんにちは」

 

何処か親しそうに挨拶を交わす二人。

 

「おや? いつも人の3倍は食べるあの子は一緒じゃないの?」

 

すると、いつもは二人で来るためにおばちゃんが未来に対して聞く。

 

「今日は私一人です」

 

そんなおばちゃんに未来はいつもの表情で返し、

 

「そうかい」

 

おばちゃんは何かを察したかのように返すのだった。

 

「なら、今日はおばちゃんがあの子の分まで食べるとするかねえ。」

 

すると、おばちゃんがおどけて未来に向かって言う。

 

「食べなくていいから焼いてください」

 

「あら。あははは」

 

未来の返しに照れたように笑うおばちゃん。

 

「お腹空いてるんです。今日はおばちゃんのお好み焼き食べたくて、朝から何も食べてないから」

 

何処か暗い顔で俯きながらそう未来が呟く。

 

「・・・お腹空いたまま考え込むとね、嫌なことばかり浮かんでくるもんだよ」

 

おばちゃんがちらっと未来の方を見てから言ってきた。

ふと、ふらわーの外が騒がしくなってきた。

それは何処かで聞いたことのある声と聞いたことのない声で、その声の人達が目の前で止まる。

 

「おーい!おばちゃん結構遅くなったけど来たぞ〜!」

 

そう言って男性が突然扉を開けながら大きい声で言い―――。

 

「あ、おいバカ!?ノックぐらいしなさいよ!ここお店なんだし急に開けて大声で言ったら客が驚くだろ!?」

 

抑えられた声で付き添いできたであろう男性が扉を開けた男性に注意していた。

 

「えっ・・・!?」

 

「ん?あっ・・・」

 

その姿は未来が見たことがあり、最近会ってはないが、相談に乗ってもらってから電話番号を聞いてアドレスを貰ったあとメールで実はほぼ毎日話している男性。桐生戦兎だった。

 

「あ?」

 

「いらっしゃい」

 

そしてそこには困惑したように戦兎と未来を交互に見る万丈と、冷静に迎えるおばちゃんの姿だった。

何故二人がここに来たのか?それは数分前に遡る必要があるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

 

「あっ!」

 

ふと、筋トレしていた万丈が思い出したかのように声をあげる。

 

「ん?どうしたんだよ万丈?」

 

新型の武器をほぼ完成させて万丈に武器を振るうといういつもの実験台にしてから休んでいた戦兎が突然声を上げた万丈に向かって問いかける。

因みに実験台にされた万丈曰く、エボルトの戦いを除いて今までよりも一番死を感じたかもしれないとのこと。

 

「そういや俺がこっちに来た時ふらわーって店でそこのおばちゃんに奢って貰ったんだよ。お好み焼き」

 

今思い出したかのように万丈が言ってきた。今まで忘れてたのも来てから早々にノイズやらなんやらで忙しくて久しぶりに考えながら筋トレしていたために完全に思い出したようだ。

 

「はぁ!?おま・・・バカ!なんでそれ早く言わねぇんだよ!?迷惑かけたんだし返さねえとダメじゃねぇか!?」

 

最もである。というか返さなくてもいいと言われても桐生戦兎としては絶対に別のお礼としてでも何かを返そうとするだろう。それこそ、相棒が迷惑をかけたのだから何か便利な発明してそれを渡すことだって有り得なくはない。

 

「し、仕方がねぇだろ!バタバタしてて言うタイミングなかったせいで忘れてたんだよ!」

 

確かにバタバタしてたのもあるが、何日かは本当に暇だった時があった。戦兎としては何故その時に思い出さないのかと思ったが、過ぎたことを言っても意味が無いために諦めた。

 

「ったく・・・まぁ俺たちも飯はまだだし武器もほぼ終わったからな。晩飯はそこで摂るか。つ・い・で・に!万丈の借金を返すためにな?」

 

呆れた表情になりながらもわざわざ最後の部分を強調する戦兎。

 

「うぐっ・・・だ、だな。おばちゃんに謝らねえと・・・」

 

返す言葉もない万丈は何も反論出来ずに反省したように呟く。

 

「ホント、そういうことは早く言ってくれないと後々大変になることだって結構あるんだからな?その人が親切だからこそ、今まで何もなかったが本来だったら奢って貰ったとはいえ、見ず知らずの人になんだから返さないのは人間としてまずいだろ・・・」

 

それがただの通りすがりならどうしようもないが、おばちゃんは店を経営しているらしいではないか。いつでも時間があれば返しに行けるだろうに返しに行かなかったのはまずいと思って戦兎は言いながら立ち上がる。

 

「ほら、決まったらとっとと支払いに行くぞ。あ、ベルトとアイテムちゃんと持っていけよ?何か起こってから対処出来ないなんて最悪のパターンだ」

 

大丈夫だとは思うが、念の為に持っていた方がいいために言う。なぜならボトルやベルトは持っていっても貸したタカちゃんは置いていく可能性もなくはないからだ。

 

「お、おう。分かってる」

 

立ち上がった万丈は服にボトルと畳んだクローズドラゴン、タカアウランティウムモバイルを突っ込んでしっかりと今度はフルボトルもあるか確認。しっかりとあることを確認出来たら戦兎に向かって大丈夫と言うかのように頷く。

 

「じゃ、行くぞ。万丈にもビルドフォン作って渡した方がいいかもな・・・ただ時間ないんだよなぁ」

 

大丈夫だと理解した戦兎はぼそぼそと小声で呟きながらビルドフォンを自分の手に持ち、反対側の手にはライオンフルボトルを持って猫に一言かけてから階段を登っていく。

 

「あ、おい待てよ!」

 

慌てて万丈も階段を登っていく戦兎を追う。もちろんばも忘れずに一応猫に声はかけたようだ。そして万丈が登り終えた頃には戦兎は外に出ていたようで、万丈は冷蔵庫を閉じて外に出るとドアも閉める。

 

ビルドチェンジ!

 

「道覚えてるか?」

 

スマホをマシンビルダーへと変形させると後ろにいる万丈に振り向いて戦兎が聞く。

 

「お、おう・・・どこかの学院の近くってことしか覚えてないな・・・」

 

曖昧な記憶を辿ってなんとかそこまで言葉に出す。

 

「学院?この近くだと・・・リディアン音楽学院か?一回近くまで行けば分かるか」

 

戦兎はこの世界に来てからおおよその道は覚えたために万丈からの言葉から推測を立て、バイクに跨る。

 

「ほら、さっさと行くぞ?」

 

万丈に向かって言うと、戦兎はスマホの収納機能からヘルメットを二人分取り出して被ると万丈にも渡す。

 

「あぁ、わかった」

 

万丈がヘルメットを受け取ると、そのヘルメットを被りながら戦兎の後ろに跨ってもう行っても大丈夫という報告をし、その言葉を聞いた戦兎はバイクを動かしてリディアン音楽学院の通路をバイクで走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてしばらく運転すると、リディアン音楽学院の近くまで来たようで人が居ない場所に行ってから降り、すると万丈も一緒に降りてヘルメットを戦兎に渡す。戦兎は受け取ると自分のヘルメットも外してスマホの収納アプリに収納。バイクもビルドフォンに戻す。

 

「それでどっちなんだよ?」

 

移動しても大丈夫になったら万丈の方へ向いて聞く。

行ったことがないために道を知らないからだ。

 

「確か―――こっちだ!」

 

記憶を辿りつつも半分勘で万丈は移動していく。

 

「・・・大丈夫なのか?」

 

戦兎は心配そうに呟きながら、万丈に着いていき、再びしばらく経つと。

 

「あぁー!やっぱここだ!流石俺の第・六・感!」

 

ふらわーの看板が見えた万丈が喜んだように声に出して言う。

 

「いや普通覚えろよ!?お前勘で来たのかよ!」

 

戦兎がそんな万丈に向かってもっともなことを突っ込む。

 

「仕方がねぇだろ!飯食ったあと考えながら移動してたらノイズに襲われたせいでそんな暇なかったんだよ!」

 

普通の人ならば美味しかったからという理由で覚えたり、この街に詳しい人なら簡単に覚えられるが、万丈はこの世界に来たばかりで、しかもノイズとの戦闘にすぐ入ったのだ。忘れても無理はないだろうが。

 

「じゃあ少しでも目印覚えておけばこんな時間経つことなかったろ!?なんで一度反対側に行ったんだよ・・・無駄に時間経ったじゃねぇか!」

 

そう、実は道を間違えて思い切り反対側に向かっていたのだ。そのため実はかなり時間がかかってこっちに来てたりする。

 

「別に来れたからいいじゃねぇか!終わりよければ滑ってよしって言うだろ?」

 

「・・・全てな?滑ってどうすんだよ滑って」

 

相変わらず間違える万丈に突っ込みながらふらわーの目の前にきたために二人は止まる。

因みにだが、二人が騒いでる間に他の人達が喧嘩か?と間違えてちらっと見てたりしたが、本人たちは気づかなかった。

 

「おーい!おばちゃん結構遅くなったけど来たぞ〜!」

 

すると、目の前に立てば万丈が扉を開けていきなり大声で中にいる人に向かって言う。

 

「あ、おいバカ!?ノックぐらいしなさいよ!ここお店なんだし急に開けて大声で言ったら客が驚くだろ!?」

 

そんな万丈に対して戦兎は抑え気味の声で万丈に向かって注意し、

 

「えっ・・・!?」

 

「ん?あっ・・・」

 

声に反応して戦兎が目の前に居ると、驚いた表情をしてこちらを見ている未来と再び出会ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません・・・うちのバカに奢っていただいてありがとうございます。これお返しになるので・・・」

 

万丈の頭を無理矢理下げながらおばちゃんに対して頭を下げながら奢ってもらった分のお金が入っている封筒を差し出す戦兎。

 

「ちょ・・・お、おばちゃんすまん・・・」

 

無理矢理頭を下げさせられたまま万丈が謝罪する。

 

「あら、別にいいのよ。ちゃんと約束通り返しにきてくれたんだから頭を上げて。返しに来なくとも気にしなかったけどね」

 

おばちゃんが封筒を受け取りながら謝罪を受け取って微笑む。

 

「本ッ当にすみません・・・ったく今度からは本当に最初から言えよ?」

 

言われた通り頭を上げた戦兎は万丈から手を離してもう一度注意する。

 

「そんな言われなくともわかってるっての」

 

万丈は頭を上げると今日三度目ぐらいの注意にぶっきらぼうに答える。

 

「それより、あんたたちもお好み焼き食べるかい?」

 

ふと、おばちゃんがそんなことを言ってきた。

 

「そうですね・・・じゃあこの子も分もお金出すのでお願いしていいですか?」

 

元から食べるつもりだったために戦兎はおばちゃんの言葉に頷きながら未来の方をちらっと見てお願いする。

 

「えっ?せ、戦兎さん・・・!?」

 

戦兎の隣に居る万丈を何処かで見たことがあるようで考えてた未来が突然言われてびっくりしたように反応する。

 

「気にすんなって。そんな暗い顔してる女の子にこれぐらいはさせてくれ」

 

戦兎は冷静に未来のことに気づいてたように言いながら万丈に向こうに座ってろと言いつつ万丈が向かったのを確認しておばちゃんの方へ向く。

 

「あっ・・・」

 

気付かれていたようで、未来は再び俯いて暗い顔になる。

 

「じゃあ少し待っててくれるかい?それと、私のことはおばちゃんでいいんだよ。みんなからもそう呼ばれてるしね。あと敬語じゃなくて楽にしてくれて構わないよ」

 

ちらっとおばちゃんも見ると、お好み焼きを作るために作業しながら戦兎に向かって言う。

 

「あぁ、分かった。おばちゃんお願いします」

 

一度礼を言って、戦兎は未だに暗い顔をしている未来の隣に座る。因みに万丈は邪魔にならないために後ろの席に行かせて離れさせていた。

 

「それで、今度はどうしたんだ?俺でいいならまた相談に乗るぞ?」

 

戦兎が優しく未来に向かって言いながら暗い顔をしてる未来の頭に手を乗せて撫でる。

 

「あっ・・・で、でも・・・」

 

撫でられると驚いたように顔を上げて相談しようかと考えるが、前回に続いてまた相談に乗ってもらうのは悪いと思ったのか悩む素振りを見せる。

 

「別に無理にとは言わないよ。相談にしにくいことなら言わなくても大丈夫だしな?ただ言いたくなってくれたら言ってくれたらいいさ」

 

落ち着かせるように撫でるのをやめずに優しく言い続ける。戦兎としては誰かの笑顔を創りたいと心の底から願ってるために協力したいのだ。

 

「ッ・・・わ、分かりました。えっとお願いしていいですか?(また前回と同じで何故か戦兎さんだと安心出来る・・・なんでだろ?それにちょっと顔熱い・・・っ)」

 

ある程度落ち着いたようで、未来は決意してお願いするように戦兎の方に顔を向けて言いつつ、心の中でまた考えるが、考えても分からずに顔が熱くなってるのを未来は感じる。実際にうっすらと顔が赤くなってるのだ。

 

「あぁ・・・いつでも大丈夫だ」

 

撫でたことについて何も言われなかったためによかったのか?と思いつつも流石に話すのなら、と撫でるのをやめて未来の言葉に頷く。

因みにだが、戦兎の方が背は高いために未来は自然と上目遣いでお願いするような形になっていた。戦兎ではなく、一般男性だったらドキッとしていたかもしれない。未来も美少女と呼べるくらいなのだから。

ただ顔が赤いことには戦兎は気づかなかったが。

そしてその様子を見て、おばちゃんが未来の姿に納得したような、理解したように笑みを浮かべてたのはこの場も誰も気づかなかったのだった。

万丈は飯まで暇だったために寝てたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな。最近響が自分に隠れて何かしてるけど相談も何も言ってくれないから不安、だと・・・」

 

戦兎が未来から聞いた話を簡易にして納得したように呟く。

 

「はい・・・心配もさせてもらえなくて・・・」

 

未来は一昨日の出来事を思い出しながら呟く。

 

「確かに、それは難しいことだな・・・響は未来に言いたくても言えないことをやってるって感じだろうし俺が響に聞こうにもまだ会ったことないからな」

 

恐らくノイズとの、昨日のデュランダルのことだろう。そうなるとこちらとしても言いたくても言えないから難しい。それにあくまでも戦兎は仮面ライダービルドとしては会っていても桐生戦兎としては会ったことは最近は一度もないのだ。

 

「だから、俺から言えることは一つだけだ。一度冷静になって話してみる・・・かな?お互いが冷静になって話し合ったら何かが変わるかもしれないぞ?俺だって何度もすれ違いで喧嘩したり争ったりしたことあるけど最終的にはお互い協力したりできるようになったしな」

 

戦兎が思い出すのは旧世界で何度も争い。戦いあったりした仲間たちのこと。最初はお互い目的も、戦う理由もみんな違い、違わなかったとするならば自分たちの国のために戦うという思いくらいだろう。けど最後には一緒に戦う仲にまでなり、エボルトとの戦いにおいては、みんなが居なければエボルトのところに行けるどころか、もしかしたら途中でやられていたか、人々が全員殺された後にエボルトのところに着いていた可能性すらあり得る。

 

「冷静に・・・そうですね、確かにそうかもしれません・・・一度頭を冷やして話してみようと、思います」

 

戦兎の言葉に説得力があったために納得したように頷きながら、未来がそう返す。すると、

 

「戦兎くん。いいこと言うね、お兄さんの言う通りよ。何かあったらいつでもおいで、おばちゃん、腕を振るって美味しいお好み焼き焼いてあげるから」

 

そういいながら出来上がったようで、おばちゃんが戦兎と未来の前にお皿に乗せたお好み焼きを置いてから万丈の方にも置く。

 

「はい、ありがとう、おばちゃん、それに戦兎さん」

 

笑顔で言う未来に対して戻ってきたおばちゃんと戦兎が頷く。

戦兎はそんな未来に対して微笑みながら考える。きっとこの二人ならば話し合うことさえすればきっと大丈夫なはずだろうということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして小一時間ほど経った頃、会計を済ました戦兎と万丈、未来はいつまでも居るわけには行かないためにふらわーを出る。

 

「あの・・・ありがとうございました。私は寮に帰りますね」

 

戦兎の方を向いてまた相談に乗ってもらったこと、奢ってもらったことについて頭を下げてお礼を言う。

 

「気にすんなって、それより気を付けて帰れよ?最近ノイズの出現が多いしもう少しで暗くなると思うからな」

 

「俺も色々なこと知れたからありがとな。気をつけろよ?」

 

戦兎は気にしないでいいと、万丈はいろいろな話―――自己紹介ついでにラーメン屋についてなど色々聞いて教えてもらったためにお礼を言う。女の子に聞くのはどうかと思うが。

 

「いえ、それでは本当にありがとうございました」

 

そう言って先ほどとは違って暗い顔ではなく、幾分か明るくなった表情で未来は手を振って別れる。

それに手を振り返し、見えなくなったところで戦兎と万丈は見送るのもやめる。

 

「なぁ、万丈」

 

そして居なくなってから戦兎が万丈の名を呼ぶ。

 

「行っていいぞ?」

 

すると、万丈が理解しているとでも言うような表情で言ってきた。

 

「は?俺まだ何も―――」

 

「あの子のこと、心配なんだろ?お前のことだからそうなんじゃないかって思ってな」

 

「ッ!?」

 

どうやら合っていたようで、戦兎が驚いたような表情で万丈を見る。

 

「・・・何か筋肉バカのお前に分かってるように言われるのはちょっとムカッってするな」

 

すぐに驚いた表情から元に戻った戦兎がムスッとした顔で言う。

 

「ちょ、なんだよその言い方!せっかく気を使ってやったのによ」

 

戦兎に文句を言いながら、万丈が拗ねたようにそっぽ向く。

 

「悪い悪い。まぁ何て言うか・・・嫌な予感がするんだよな」

 

少し笑うと真剣な表情になって万丈に向かって自分の勘が告げてることを万丈に知らせる。

 

「そう・・・俺も確かに第六感も何かを告げてきてるんだよな」

 

どうやら、万丈も同じことを考えていたようで、戦兎に伝える。自分自身の第六感と戦兎の性格から考えて戦兎の考えてたことを予想したようだ。実際彼の第六感はほとんどの可能性で合ってることが多かったりする。

 

「お前もだったのか?なら・・・ストーカーみたいになっちまって嫌だが着いていくか。何かあったら遅いしな」

 

戦兎は万丈に伝えられると今までの経験からしてこういう時は大体嫌な予感が当たることを戦兎は知っている。

そのためにそう決断を下した。

 

「じゃあ、先行っておいてくれ。俺は後から行くからよ」

 

話を聞いていた万丈はどうやら後から、戦兎が行った後に行くようで先に行くように伝える。

 

「まぁ確かに二人で行けば見つかりやすいからな。それがいいかもしれない。筋肉バカの割には結構考えてるじゃねぇか」

 

納得したように頷いて貶してるのか褒めてるのかわからないようなことを万丈に向かって言いつつ、戦兎は未来が向って行った方に向くと、念のためにビルドドライバーを装着。ベルトからアジャトバインドが腰に巻きつくことで固定される。

 

「うっせ。気をつけろよ?」

 

心配はしないが、戦闘が起こる可能性があるために戦兎に向かって言う。

 

「あぁ、お前もな」

 

戦兎が万丈に向かって言うと、戦兎はポケットからラビットフルボトルを取り出して振ることによって成分を活性化。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

戦兎が一言かけ、ラビットフルボトルの能力を生かして高速で走っていく。追いつかないように、スピードを少し緩めながらだ。

 

「おう。・・・もしかしたらあいつがまた来るのかもな」

 

戦兎を見送ってから万丈はそう一人ぼそりと呟き、少し経ってから戦兎を追い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネフシュタンの鎧を纏った少女がこちらに接近してきます!」

 

モニターを見ていた友里が司令である弦十郎に報告をする。その映像にはネフシュタンを纏っているクリスが映っていた。

 

「周辺区域に避難警報の発令! そして、響くんへの連絡だ!」

 

それを聞いた弦十郎が指示を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん」

 

戦兎たちと別れた後、寮に帰る道を歩いている未来が今日の出来事を思い出しながら響としっかりと話し合おうと決意しながら歩いていた。

 

「はい!わかりました!すぐに向かいます!」

 

電話をしながら二課からの連絡を受けて響が走りながら答える。

 

「あ!響ー!」

 

すると目の前から自分を呼ぶ声が聞こえてくる。

 

「未来!?」

 

気づいて目の前を見るとそこには幼馴染の未来が響に向かって分かるように手を上げていた。

 

「ッ!?」

 

何かに気づいたように、響は未来から視線を外して右斜めを見る。

 

「お前はあああああっ!」

 

そこにはクリスが居て、鞭を振り下ろしていた。

 

「来ちゃダメだ!ここは・・・!」

 

それに気づいた響は未来に視線を映して慌てて近寄ってくる未来に対して警告する。

 

「きゃああああああ!?」

 

すると、二人の間に鞭が炸裂し、地面を削りながら地面にぶつかった衝撃によって未来が悲鳴を上げながら吹き飛ばされてしまう。

 

「しまった!あいつの他にも居たのか!?」

 

未来の存在に気づいてなかったクリスが驚いたように反応を示す。

 

「ッ!?」

 

すると、吹き飛ばされて倒れた未来は“二台”の車が上から落ちてきているのが視界に入る。

 

 

『―――Balwisyall Nescell gungnir tron (喪失へのカウントダウン)

 

 

考えてる暇もなく、響は即座にシンフォギアを纏うために聖詠を唱える。

 

(まずい!?間に合わない・・・!?)

 

シンフォギアを纏った響だったが、二台の内、一台がもう一つの一台より速く落ちてくる速度のために、急いで向かおうとするが、明らかに間に合わないために焦る。

そしてそのまま未来にだんだんと車が落ちてきて来るのを見てこれから来るであろう痛みと運命に未来は目を閉じてしまい―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラビットタンク!イェーイ!

 

「ふっ・・・ハアッ!」

 

ぶつかる前に音声とともにビルドが現れ、ホップスプリンガーの能力に高速で跳ぶのと同時にライダーキック、もう一台の車を左腕部のヘビーアサルトアームによって殴ることで車を何処かに吹き飛ばす。

 

「えっ・・・?」

 

男性の声と全く来ない痛みに不思議に思った未来は閉じてしまっていた目を開ける。すると、目の前の人物もちょうど未来の方に振り向き、未来が一番最初に視界に入ったのはウサギのような赤の複眼とまるで戦車の砲のような青い複眼、それから赤と青のアーマーを着ている戦士だった。

 

「ビルドさんッ!」

 

すると、響がビルドの名を呼んで近づいてくる。

 

「どうやら、タイミングがよかったみたいだな?」

 

響の方へ視線を送ると響に問いかける。

 

「はい、大切な親友を救ってくださって、ありがとうございました!」

 

頭を下げてお礼を言う響。

 

「響・・・?」

 

よく分からずに困惑したかのように未来が響の名を呟きながら呆然と見つめていた。

 

「っ・・・ごめん・・・」

 

響が自分の今の姿に気づいたように反応すると、小さく呟きながら謝る。

 

「すみません・・・ビルドさん。この子のこと、お願いしますッ!」

 

ビルドに向かって言うのと同時に響は歌いながらクリスを誘うように移動していく。

 

「八ッ!どんくせえのがいっちょ前に挑発するつもりかよ!」

 

そう言いながら元々の目的は響なためにその挑発に乗るように追う。

 

「なんで・・・響が・・・?」

 

絞り出すかのように未来が声を漏らす。

 

「・・・すまない。今は巻き込まれる可能性もあるからここから離れてもいいか?」

 

戦兎は心の中でいつかなっていたであろう最悪の事態が今起きたことに仮面の下で顔を歪めて苦し気な表情になりながらも響が離したとはいえ、何かがあるかもしれないために遠慮気味に話しかける。

 

「あっ・・・はい・・・」

 

未来自身もそれには気づいたようでさっきまで明るくなってた表情を再び暗くしながら頷く。

 

「・・・悪い」

 

別の意味で再び謝ると、未来を抱えてビルドはラビットの能力で跳んで現場から離れさせていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響ちゃん、交戦に入りました!現在市街地を避けて移動中!」

 

再び指令室でモニターを見ていた友里が弦十郎に報告する。

 

「そのままトレースしつつ、映像記録照会!」

 

そして再び弦十郎が指示を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてある程度離れたら森の中で響は着地。ネフシュタンを纏っているクリスも着地して響は地面に付けていた膝を上げてクリスに向かい合う。

 

向かい合うと、すぐにクリスが鞭を振り下ろしてくる。それを見た響は正面から腕をクロスすることでクリスの攻撃から身を守る。

 

「どんくせえのがやってくれる!」

 

不敵な笑みを浮かべながらクリスが言う。

 

「どんくさいなんて名前じゃない!」

 

手を横に振って言葉を否定する響。

 

「私は立花響、15才!誕生日は九月の十三日で、血液型はO型!身長は、こないだの測定では157cm!体重は---もう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで好きなものは、ごはん&ごはん!あと・・・!彼氏いない歴は年齢と同じッ!」

 

響は何故か突然自己紹介を始める。

 

「何をトチ狂ってやがるんだ、お前」

 

突然自己紹介を始めた響に困惑した様子で言うクリス。というよりも誰でも困惑してしまうだろう。

 

「私たちはノイズと違って言葉が通じるんだから、ちゃんと話し合いたい!」

 

響は両手を広げて自分の思いを伝えようとする。

 

「なんて悠長!この期に及んッで!」

 

そう言って鞭を振るうが、響はその場を横に跳ぶことで回避、さらにジャンプで回避、そして横に逸れることで避けたりなど、連続の攻撃を回避していく。

 

(こいつ、何が変わった・・・?覚悟か!?)

 

響の変化にクリスは驚いたように心の中で呟く。

 

「話し合おうよ!私たちは戦っちゃいけないんだ!だって、言葉が通じていれば人間は――!」

 

なおも、響は話し合おうと言葉をクリスに投げかける。

 

「うるせぇ!わかり合えるものかよ人間が!そんな風に出来ているものか!」

 

その必死の言葉をクリスは遮って叫ぶ。

 

「分かり合えるに決まってんだろ?」

 

森の中、横から声が聞こえてくる。

 

「あぁ?」

 

「えっ?」

 

その声に反応した二人は、そちらに視線を送る。

 

「案外、人間ってのは簡単に分かり合えるんだぜ?」

 

すると、そこには龍の鎧を纏ったクローズが森の中から出てきた。

 

「っ・・・!またお前か!」

 

その姿を見たクリスはイラついたように睨みつける。

 

「俺は見てきたんだ!最初は敵だったやつでも理解すれば一緒に笑い合ったり、過ごしたり、一緒に何かをして楽しんだり!人間ってのはほんの些細なことでも簡単に理解しようとさえすれば出来るもんなんだよ!」

 

それに気にした様子はなく、クローズは言葉を伝えるためにも、叫ぶ。

 

「気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ!前会った時から、あたしの言葉を何度も否定して!余計なこと以外は、いつも何もしてくれない大人が!(そしてこいつの言葉に納得してしまう自分がッ・・・!)それにお前もだ!わかっちゃいねえことをベラベラと知った風に口にするお前がぁッ!」

 

クリスは、怒りに満ちた目でクローズと響を睨みつける。

 

「みんながみんな同じ大人なわけがねえだろ!正義のために自分を犠牲にして、誰に頼まれたわけでも、感謝されるわけでもないのに、人助けのためにボロボロになってでも戦い続けた大人たちだっているんだよ!それに言っただろ!俺がお前を止めてやるって、だから、何度でも止めてやるよ!」

 

クローズが言いながら脳内で思い出すのは、戦兎はもちろん別の世界のライダーたちだ。どいつもこいつも誰かのため、自分を犠牲にしてでも助けようとする自分から言わせてもらうとバカなやつら、だけどそれも悪くないと思った自分がいたのは確かだ。それに彼らのお陰で自分も自分が信じる、信じてくれた者のために誰かを救うように戦うことができるようになったのだ。だからこそ、彼らと同じように今度は自分が彼女を救うと決意して叫ぶ。

 

「クローズさん・・・」

 

「ハッ!そんな奴らただの正義気取りかただのバカだろ!なら望み通りテメエから潰してやらぁ!」

 

そう言ってクリスが空中に跳ぶ。そして鞭に白いエネルギーの球体に黒いものが混ざったエネルギーを溜める。

 

「そうかもな・・・けど、お前にもいつか分かるときは来る!俺も最初はバカばっかとしか思ってなかったさ。けど今はその気持ちがわかんだよ!」

 

クローズはそれに対抗するためにも、ボルテックレバー手を掛ける。

 

「ぶっ飛べ!」

 

溜めた球体のエネルギーを黙らせるように、クローズに向かって放つ。

 

NIRVANA GEDON

 

「オラオラオラオラオラオラァ!」

 

手に掛けていたボルテックレバーをクローズが回す。

 

Ready Go!

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

「ウオラアアァァァァ!」

 

球体のエネルギーに対してクローズは右腕にドラゴン・ブレイズを纏うことで受け止める準備をし、目の前に来た瞬間、ぶん殴ることで対抗する。

 

「もってけ! ダブルだ!!」

 

その言葉とともに、再びもう一つのエネルギーを投げる。

 

「くぅっ!」

 

すると、見ていた響がクローズの隣に行き、拳を握りしめて同じように殴ることで対抗する。

 

「お前・・・!?・・・行けるのか!?」

 

それに気づいたクローズは腕を伸ばして対抗しながら驚きつつも響に向かって聞く。

 

「分かりません!けど、見てるだけなんて出来ませんから、やってみます!」

 

地面を踏みしめて拳で対抗しながら響が答える。

 

「そうかよ・・・なら行くぞッ!」

 

クローズの言葉とともに二人はさらに力を籠める。その瞬間ぶつかりあった力が爆発を引き起こし、凄まじい爆風が迸りながら周囲を吹き飛ばす。

 

「はあ・・・はあ・・・お前らなんかがいるから・・・あたしはまだ・・・」

 

爆発によって巻き起こる土煙。少しずつ薄れていくと、そこには倒れずに立ったままの響とボルテックレバーに再び手を掛けてるクローズ。

 

「なっ・・・!?」

 

「はああああああああッ!」

 

驚いた反応を見せるクリスをよそに、響は両掌の間で何らかの光のエネルギーを形成させようとしていた。

 

「あぁっ!」

 

が、エネルギーは暴発して消えるのと同時に響が弾かれるように少し吹き飛び、すぐに立ち上がる。

 

(これじゃダメだ・・・翼さんのようにギアのエネルギーを固定できない)

 

自分の掌を見て考えながら心の中で響が呟く。

 

「この短期間にアームドギアまで手にしようっていうのか!?」

 

(エネルギーがまだアームドギアで形成されないのなら・・・その分のエネルギーをぶつければいいだけ!)

 

響が再び右の掌にエネルギーを溜める。そしてそれを握ると、手首のギミックが駆動する。

 

「させるかよ!」

 

それを阻止するために、即座に鞭を振るうことによって阻止しようとする。

 

「それはこっちのセリフだ!行けるな!?」

 

いつの間にか響の隣に来ていたクローズが鞭を掴み、聞きながらボルテックレバーを回し始める。すると、響が頷く。

 

「くっ・・・!離せ!」

 

掴まれてる鞭を離させようと動かそうとするが、がっちり掴まれてるようで動かない。

 

「お前が誰の指示で動いてるのか、自分自身の意思で動いているのか、俺には分からねぇ!」

 

Ready Go!

 

両手に蒼炎を纏い、左手で思い切り引っ張ることによってこちらに引き寄せてクローズと響が駆ける。

響は右拳に光のエネルギーを纏って構えながら腰のブースターの推進力を生かして、クローズは後ろに現れたクローズドラゴン・ブレイズに乗ることで。

 

(最速で、最短で、真っ直ぐ、一直線に!)

 

「けどな、俺たちの想いぐらい、受け取りやがれぇ!」

 

(胸の響を!この想いを!伝える為にいぃぃぃいいいいいッ!!)

 

「今の俺は、負ける気がしねぇぇええぇえぇえぇえええぇぇッ!!」

 

ドラゴニックフィニッシュ!!

 

叫びながらクローズは左拳にクローズドラゴン・ブレイズを纏い、響は右拳を、万丈は左拳を同時に突き出す。そして渾身の一撃がクリスに叩きつけられる。その瞬間、殴られた部位の鎧にはヒビが入り、龍の一撃が追い打ちをかけるように体を抜ける。

 

(バカな・・・ネフシュタンの鎧が・・・!?)

 

炸裂した破壊力はとんでもなく、そのままクリスは吹き飛んでしまい、石垣に叩きつけられてしまう。

 

「ぐぅ・・・がぁ・・・」

 

意識が飛びそうになるほどの強烈な威力。エネルギーをパイルバンカー方式で拳をぶつけるのと同時に打ち込む事で、事実上の二段攻撃を実現させている。パイルバンカーとは装甲が分厚い敵を貫徹し、有効なダメージを与える用法だ。浪漫武器みたいな扱いをされていることからそれがどれだけ強いか分かるだろう。当然その破壊力は馬鹿にならず、その一撃は、かつての翼の絶唱に匹敵する程だ。それにさらにクローズの必殺技までも受けているのだからそのダメージは計り知れないだろう。

 

(なんて無理筋な使い方をしやがる・・・この力、あの女の絶唱に匹敵しかねない・・・)

 

その時、体が凄まじい痛みを訴える。

ネフシュタンの鎧が再生している所からだ。

 

(食い破られるまでに片を付けなければ・・・)

 

心の中でそう考えて目の前を見ると、そこにはクローズと響が臨戦態勢を解いていた。まさしく、もう戦う意思はないとでも言うように。

 

「お前ら・・・バカにしてんのか!?」

 

そんな二人を見たクリスは当然の如く、怒る。

 

「あたしを、雪音クリスを!」

 

そして、初めて名を名乗った。

 

「やっと名前、名乗ってくれたな」

 

それに待ってたと言わんばかりにクローズが言葉を漏らす。

 

「ッ!?」

 

それに驚いたような反応を示す。

 

「そっか。クリスちゃんって言うんだ」

 

そして響からも想定外な言葉が聞こえてくる。

 

「ねえ、クリスちゃん。こんな戦いもう止めようよ。ノイズと違って、私たちは言葉を交わすことが出来る。ちゃんと話をすればきっと分かり合えるはず!だって私たち、同じ人間だよ!」

 

それは紛れもない響の本心であり、想いだ。

 

 

「・・・お前くせえんだよ」

 

だが、それをクリスは憎々し気に吐き出すように否定する。

 

「ウソくせえッ!青臭えッ!」

 

さらに怒りを掻き立てられ、そう吐き捨てるように叫んだクリスは駆けて響へ拳を振るい―――。

 

「オラァ!」

 

クローズが間に入ることで拳を弾き、弾かれたクリスはそのまま回し蹴り、だがそれもクローズは冷静に対処することで防ぎ、跳躍して回し蹴りを再びするが、それをクローズは受け止めて遠くへと飛ばすように弾く。

 

「くっ・・・(これ以上は…)」

 

クリスの纏っているネフシュタンの鎧が徐々に再生する様子を見る。

 

「クリスちゃん・・・」

 

そこで響がクリスに向かって手を伸ばす。その響の行動を見たクリスはついに―――。

 

「吹っ飛べよ!装甲分解(アーマーパージ)だ!」

 

奥の手を使い、言葉とともにネフシュタンの鎧をパージし、まるで弾丸の如く鎧が飛んでくる。

 

「うおお!?」

 

「きゃあ!?」

 

アーマーパージによって周りの木々が吹き飛んでいく中、二人は避けていたが、その時に二人の耳には確かに“歌”が聞こえた。それはまるで響や翼がシンフォギアを纏う時のような聖詠のようで―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――Killter Ichival tron―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





この戦闘は想い乗せたパンチだけは予定通りでした。なお他。

ゼロワン三章あかん好き。このままの勢いで言ってほしいところ。そして次回32話なんですね。32話と言えばW、オーズ、フォーゼ、鎧武の最強フォームが出た話数です。もう次32話か…ゼロワンまだ27話ぐらいかと思ってたよ……。
  
それとバイト先で展開をずっと考えてひたすら悩んでたのは内緒だよ!二期でどうしよっかって悩んでたけど!まだ悩み中なうだよ。ある程度は決まったけどフォームがねぇ…あ、オリキャラと仮面ライダーは二期に出るからね。名前も一人は決めていてラスボスも一応ライダーは決めれたよ。ネーミングセンスクソ過ぎて泣きそうになった…いやいや流石にライダー名被るとパクったとか思われそうだから慌てて確認してやりましたからね。投稿する前に同じ名前を使われてももうメモにあるライダーの名前とかは変えませんけど…変えろとか言われたら失踪する自信しかねぇ!まぁ三人しかないけどね。
とりあえずは180人お気に入り行きました。ありがとうございます!これからも遅れる可能性高いですけどよろしくお願いします!お気に入りとか感想を信じてこれからも頑張っていきますのでお気に入りとか感想お願いします。励みになりますマジで。感想でどれだけやる気が出てることか…感想なかったらサボってたレベルですよ。

そして皆さまもコロナには気を付けてくださいね。Twitterでヒーローは子供たちを元気にするってタグで私も元気になりました。特に神様!神様ってすげえな…

はいじゃあ話すこと特にないのでまた次回!パソコン打ちやすいね!(どうでもいい)



そうだよ!でも、だからこそ現実にしたいじゃない!本当は綺麗事がいいんだもん!これでしかやり取りできないなんて悲しすぎるから!


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第十八話 第二号聖遺物

 
誤字報告してくださった方、ありがとうございます。毎回3回ぐらい確認はしてますけど私も人間なので見落としはあります。申し訳ありません。

というか投稿始めて二か月近く経つのに未だに時間間違えて投稿する作者が居るってマ?一度投稿したのを見た人はレアだね!だって編集前の投稿したんだからあらすじも前書きもサブや後書き、全部ないしほんへも修正途中で投稿されてたからね()
すみませんでしたぁ!!(ジャンピング五回転反転スライディング土下座)
というか原因は4月のままやったことなんだよね。5月に変えるのとか月やら日にち変えるの結構忘れる……。

ということで皆さん久しぶりです。蛙です。ビルド投稿していました。覚えていますか?(ぼっちちゃん風)
これ投稿されるときには三週間ぶりになるのかな。サボってたわけではないんだよ?気づいた方はあぁそういうことねってなると思いますけど別作品はほぼ毎日投稿してました。
なのでこっちは編集できなかったわけです。ってか内容浮かんでこないせいで書けなくなってたので。

でも平均文字が一万行って謎の満足感。プロローグ2000、本編最高が16000くらいだからえぐいほど増えてる……。文もきっと成長したかな?
さて、ではあらすじをどうぞ。クローズのオリジナルフォームの出番も(多分)近い……!

























戦兎「さて、今回は期間空いたせいで忘れてる人もいるかもしれないから長くあらすじ紹介していくぞ?仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は地球を滅ぼそうとするエボルト相手に新世界を創るためにその他ライダーたちと共に戦い、ライダーたちが散っていく中エボルトとの最終決戦にて奇跡のフォームとなり、新世界の創造に成功する」

万丈「新世界を創造し、新たな脅威があることを知った桐生戦兎は新世界の脅威であるノイズと戦うため、この世界でも仮面ライダーとなって戦い始める。桐生戦兎はこの世界でライダーシステムの情報はまだ知られるべきではないと判断し、無事に風鳴翼から逃走して秘密基地を作るのだった」

未来「それからはクローズさんがこの世界に来てから戦兎さんと出会い、再び出会って一緒に戦ったり、弦十郎さんがシンフォギアの攻撃を止めたり、戦兎さんが新アイテムなどを作成していました」

響「一方私、立花響は突然ガングニールの装者となり、日々悩んでいきます。デュランダルの暴走やら聖遺物との融合など色々知らされた私ですが、前回はついにノイズと戦っていたことを秘密にしていたのに未来に知られてしまったのでした!」

翼「そして現れたネフシュタンの鎧の少女、彼女のことは今まで知られていなく、私の絶唱を受けてなお無事に活動を続けていた。そして何度もクローズとぶつかりあい、ついにネフシュタンの鎧の少女が明かされるのでした」

クリス「一方、デュランダルの暴走時にバリアのような物を貼った櫻井了子を怪しく思いつつ、桐生戦兎は万丈龍我とともにノイズと戦いつつも、日常を過ごしていくのだった」

戦兎「お疲れ」

クリス「何か途中から雑くないか?」

戦兎「久しぶりすぎてそもそも作者があんまり覚えてないらしい」

万丈「本末天候じゃねえか!」

戦兎以外全員「万丈(龍我)さん・・・」

万丈「お、おいなんだよ?」

戦兎「あのな、流石に響でも答えられるぞ?だよな?」

響「えっ!?も、もちろんです!」

戦兎「だってよ、つまりお前の知能は女子高生以下ってことになるんだが・・・因みに本末転倒な」

万丈「そ、そうとも言うな!」

戦兎「そうとも、じゃないよ!普通言わないからな!?」

万丈「ちょっと間違っただけじゃねぇか!」

戦兎「いやどんな間違え方したらそうなるんだよ!」

万丈「あぁ?そんなこと知るわけねえだろ!ってかその他ってなんだよ!ちゃんと名前にしろ!」

戦兎「なんで知らねぇんだよ!?じゃあ筋肉バ―――」

クリス「先輩、本編行った方がいいよな?」

翼「そうだな、立花やってくれ」

響「は、はい!えーっとじゃあ騒いでる戦兎さんと龍我さんは無視して本編行って下さい!」









一方、裏では






未来「戦兎さん?龍我さん?(ニコニコ)」

戦万「あ?/ん?・・・あっ」

未来「龍我さん落ち着きました?今騒がれると本編行けなくて読者さんに迷惑掛かるのでとりあえずもうやめにしてくれません?やめないなら・・・OHANASHIしますが?」

万丈「あ、はい。すみませんでした」

戦兎「まったく、これだからバカは」

万丈「だから筋肉つけろよ!」

未来「龍我さん?(目が笑ってない)」

万丈「・・・・・・気づいて両手で口を塞ぐ)」

戦兎「やっと静かになったか・・・未来ありが―――」

未来「何言ってるんですか?戦兎さんはこっちに来てもらいますから。あ、龍我さん戦兎さんは貰って行きますね」

戦兎「え〝っ〝」ガシッ

万丈「・・・!(無言で何度も頷く)」



戦兎「ちょ、裏切ったなぁっ!?万丈ぉぉおおおおおおおおぉお!!」

未来「大丈夫です。痛いことはしませんから。あ、響も呼ばなきゃ」


※本編どうぞ。彼がどうなったかはご想像にお任せします。




「―――Killter Ichival tron―――」

 

否、それはシンフォギアを纏うための聖詠だった。

 

「この歌って・・・」

 

響が唖然としたような、驚いた表情で呟く。

 

「見せてやる、“イチイバル”の力だ」

 

クリスがそう言うと、だんだんと土煙が晴れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イチイバルだとォ!?」

 

映像を見ていた弦十郎が驚いた反応をする。

 

「アウフヴァッヘン波形、検知!」

 

その藤尭の声とともにモニターに『Ichii―Bal』と少し遅れて表示されていた。

 

「過去のデータとも照合完了! コード・イチイバルです!」

 

友里が過去のデータと照合し、本物かどうか比べるが、一緒だと報告する。

 

(失われた第2号聖遺物までもが、渡っていたというのか・・・・・?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「歌わせたな・・・!」

 

土煙が晴れると、そこには真っ赤な鮮血のような色をしている装甲を纏っており、まるで彼女自身の心を現しているようだ。

 

「え?」

 

「は?」

 

聞こえた声に二人は困惑したかのように声を漏らす。

 

「あたしに歌を歌わせたな!教えてやる・・・あたしは歌が大っ嫌いだ!」

 

しっかり聞かせるようにクリスが発声した。

 

 

「歌が嫌い・・・?」

 

そう言う響と立っているクローズに向かってクリスがアームドギアである『ボウガン』を構える。

 

傷ごとエグれば忘れられるってコトだろ?

 

クリスが歌い出すとボウガンから一斉に複数の光の矢が射出される。

 

「うわわ!?」

 

慌てて避けようとする響だが、クローズが動かない。

 

「く、クローズさん!?」

 

動かないクローズに驚いた声を出すと、いつの間にかクローズの右手には剣型の武器『ビートクローザー』が握られていた。

 

「ハアッ!」

 

すると、クローズは自分に向かってきた矢を当たるものだけを瞬時に見極めて剣で斬り落とす。

 

「ッ・・・!」

 

クリスは歌い続けながら舌打ちし、響の方にも矢を飛ばしながらクローズに向かっては響の倍の矢を飛ばす。

 

「オラッ!ハア!」

 

クローズはそれを弾きながらクリスに向かって走っていく。

 

「うわ!わわ!?」

 

対する響は特訓をしたとはいえ、それはあくまでも近距離のみであり、銃や矢を使った特訓をしてないがためになれてない様子で避けているが、被弾はしていない。

 

「フッ!何が歌が嫌いだ!?いい声で歌ってんじゃねぇか!歌なんて全く聞かねぇ俺でもどこか惹かれるような歌声で!」

 

ビートクローザーで弾くことで被弾をしていないクローズは近づくと拳で殴りに掛かる。

 

「何を言ってんだこのバカは!?(壊すことしかできない自分の歌に、惹かれるなんてこと・・・!)」

 

クリスは拳を回避し、蹴りを入れようとするが、それをクローズが剣の峰で叩き落し、再び殴ってくるがそれをバク転でクリスが回避するのと同時に矢を放つ。

 

「バカじゃねぇよ!きn―ガアッ!?」

 

いつものセリフを言おうとしていたが、矢が近かったため、弾くことができずに吹き飛ばされてしまう。そこはちょうど響が回避仕切ってた場所だった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

回避した響は即座に目の前に来たクローズを立ち上がらせる。

 

「これぐらいはな。サンキュー」

 

立ち上がらせて貰ったクローズは感謝の言葉を言い、クリスの方を見ると、クリスが構えていたボウガンがなんと

二門三連ガトリングへといつの間にか変形していた。

 

BILLION MAIDEN

 

 

「ぐうッ!?」

 

「ッ!」

 

再び響は避けるが、クローズは避けずに両腕に蒼炎を纏いながら近づいていく。

 

「こいつ無茶苦茶かよ!?」

 

大量のガトリングの弾を受けてなお、突っ込んでくるクローズに対して驚いたような表情で言うが、状況は変わらない。

 

「お前がまだ止まんねぇなら・・・俺を信用できねぇなら何度でもぶつかってやるよ!!」

 

届く範囲まで来たクローズは叫びながらクリスに向かって拳を振るう。

 

「うぐっ!?」

 

それに即座に反応をして見せたが、クローズの威力にクリスは下がらされる。

 

「っ~!うるせぇ!こいつでも受けな!」

 

さらに下がると、再びガトリングを響とクローズに向けて発射。

 

「くそッ!」

 

流石に無理だと分かったのか、今度は回避に専念して避けていくが、クリスが逃がさずに逃げた方へと向けてくる。

 

さあ お前らの 全部全部全部全部全部

 

腰部のアーマーからなんとミサイルを今度は展開、すぐさま解き放つ。

 

MEGA DETH PARTY

 

「んなっ!?」

 

「うわぁ!?」

 

ミサイルを避けていくが、避けていくうちに二人は合流。離れた方がいいのは二人も分かっているが、周りが爆発をしていてとても逃げられそうにない。そして二つのミサイルがクローズと響に向かってピンポイントで向かってき、大爆発を起こしてしまう。

 

否定してやる そう・・・否定してやる

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

しばらく撃ち続けてたクリスが息を整えながらも土煙と爆発の煙で見えなくなっているが、いるであろうクローズと響の位置を油断なく見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つながる一匹狼!スマホウルフ!イェーイ!

 

煙が晴れると、そこにはシルバーの色の狼の横顔が描かれている複眼で、右肩部の装甲のまるで狼の牙を思わせるかのような見た目をしている『BLDハウリングショルダー』と狼の爪を思わせる『ウルフェイタルクロー』という鉤爪を装備しており、もう一つのアーマーにはターコイズブルーの色をした電話アプリを模した複眼、そして左腕にはビルドフォンを模した『ビルドパッドシールド』という大型の盾を装備したビルドがそこにいた。

どうやら、先ほどの攻撃はビルドパッドシールドを斜めにすることによって全て攻撃を受け止めることに成功していたようだ。

この姿は『仮面ライダービルド スマホウルフフォーム』である。

 

「タイミングばっちし・・・って所かな?」

 

シールドを降ろしながらベストタイミングで来たビルドが呟く。

 

「ったく、お前・・・タイミング合いすぎじゃねぇか?実は見てたんじゃないよな?」

 

仮面の下でタイミングよく来た相棒に安心したかのように息を吐きながら、ビルドの隣にクローズが立つ。

 

「べ、べ、べ、別に?か、会話に入るタイミングがなくて割って入ることしか出来なかったとかそんなことはないし?」

 

図星を突かれたかのようにどもって動揺しながらビルドが答える。

 

「全然隠せてないぞ・・・」

 

呆れたかのようにため息をクローズが吐く。いつの間にかいつもとはまるで立場が逆になっている。

 

「けど、せっかく来てくれたが今回は俺が主役だ。ここはやらせてくれ」

 

言葉とは裏腹にクローズが仮面の下で見えるわけでもないのに真剣な表情でビルドに向かってお願いする。

 

「・・・そうか、今回は主役は譲ってやるよ。その代わり絶対やれよ?」

 

クローズのその様子を見たビルドは何かを察したかのように言うと、一歩下がることで自分は戦わないということを行動で証明する。

 

「おう」

 

そんなビルドに対し、クローズは小さく呟くとクリスの近くまで行く。

 

「なんだ?お仲間との作戦会議は十分っていうのかい?」

 

その様子から察するにそういうことだろうと考えたクリスがそう言う。

 

「まぁな。お前を止めるのは俺の役目だ。あいつにはやらせねぇよ」

 

クローズはクリスに向かって答えると、右拳を開いた左手にぶつけて気合を入れると構える。

 

「はッ!ならやってみな!」

 

再びクリスはガトリングを構えて先手必勝とでも言うかのようにクローズに向かって大量の弾を放っていく。

 

「やってやる!」

 

向ってくる弾を横に走りながら避け。そのまま徐々に距離を縮めていく。クローズにはこの形態だと必殺技くらいしか遠距離と言える武装はないがために避けて近づくか、ごり押しでいくしかないために回避を選んだようだ。

 

「ちょっせえ!」

 

このままでは戦況は変わらないと思ったのかガトリングを戻して別の形へと変えていく。

 

「オラァ!」

 

だが、そんなチャンスをクローズが逃すはずもなく、すぐさま跳んで近づくとともに正拳突きを行う。

 

「チッ!」

 

アームドギアの変形を中断せずに後ろにバックステップすることでそれを回避、クローズはすぐさまそれを予想してたのか、膝蹴りをしてくる。

 

「ッ!?ぐううう!」

 

それを両腕をクロスしてガード、即座に痛みを我慢しながらクローズの懐に入る。その手にあるアームドギアはもうガトリングやクロスボウではなく、誰がどう見てもハンドガンだった。そしてクリスがトリガーを何度も引くと、そこから大量の弾幕が放たれる。

 

「なっ!?うがあああぁッ!?」

 

いくら仮面ライダーの装甲を纏っているといえども相手はただの一般兵器ではなく、シンフォギアである。そのためにスマッシュの攻撃にも耐え得る強固な装甲があってもダメージが通るようで、わざとこれ以上受けないために吹き飛んで転がることで攻撃を少しでも軽減する。そして弾がやめば立ち上がり、再び攻撃を繰り返しそうとし、クリスは来させないようにガトリングと再び変えたアームドギアで向かい撃ち、回避できない攻撃や避けれない攻撃はガードしたりなどでこちらも攻撃のダメージを軽減していた。

 

「クローズさん・・・!クリスちゃん!」

 

その戦闘を見ていた響は止めるべきかと考えると、向かおうとしするが、

 

「心配しないで見ときなさいな」

 

ビルドが腕を掴むことで響が向おうとしていたのを阻止していた。

 

「でもッ!」

 

阻止された響はビルドの方を振り向いて言葉を紡ごうとする。

 

「あいつにはあいつのやり方があるんだ。俺やあいつのことはまだ信じられないと思う・・・正体明かしてないからな。けど今回だけは信じてやってくれないか?悪いことにはならないって約束するよ」

 

が、それを遮ってビルドが響に言葉を送って説得する。表情は見えないが、仮面の下での表情は真剣そのものだ。

 

「ッ・・・わかりました・・・」

 

響は少し迷ったようにクローズたちの方とビルドを交互に見るが、やがて諦めたかのように向かおうとするのをやめる。

 

「悪いな・・・(万丈・・・頑張れよ)」

 

心の中でビルドがクローズを応援しながら戦ってる姿を見る。

 

MEGA DETH FUGA

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

どうやらお互い決め手がない状態だったようで、クリスはチャージが必要のない大型ミサイルを二基発射し、クローズはクローズドラゴン・ブレイズを手に纏うのではなく、クリスに向かって飛ばしていた。

 

「「ぐあぁぁああああぁあ!?」」

 

その攻撃はお互いかなりのダメージを受けたようで、弾かれるように吹き飛んでいたが、クローズは倒れずに立っていた。

 

「くっ・・・なんで・・・倒れねぇんだよ・・・!?」

 

クリスが地面に両手を付いて立ち上がろうとしながら言う。

 

「はぁ・・・はぁ・・・決まってんだろ?何度も言わせんな。お前を止めるためだ!」

 

何度もぶつかり合っていたからか、クローズの装甲には明らかに傷は入っていた。

 

「ッ・・・そんなこと言うやつこそ死んでいくんだ!パパとママも夢物語を持つからあたしを置いて居なくなったんだ・・・!」

 

立ち上がりながらクリスが叫ぶ。それはまるで言葉とは逆で子供が縋るような表情だった。

 

「―――俺は死なねぇよ」

 

クローズが一歩、一歩と歩いて近づきながら言う。

 

「はっ・・・?」

 

「俺は絶対に死なねぇ!誰かの明日を創るためにも、愛と平和を守るためにも、お前を救うためにも!約束してやるよ、お前を独りにはしないって・・・だからよ少しでも俺を頼ってくれないか?俺がお前のヒーローになってやる!」

 

目の前に立ったクローズがクリスの腕を掴む。その手はどこか頼りになるように力強く、優しく包み込むかのようか暖かいものだった。

 

「くっ・・・は、離せよ・・・!そ、そんなこと言ったってお前も・・・!」

 

クリスは掴まれた腕を離させるように抵抗するが、いつもとは違い、抵抗が弱弱しい。何故なら―――

 

「泣いてるやつのことなんて放っておけないに決まってんだろ!こんだけ言ってんだから少しは俺を信頼しやがれッ!必ずお前を守ってやる!!」

 

「えっ・・・?はっ・・・?」

 

そして本人はどうやら気付いてなかったようで、言われてから気づいたように目元に触れる。

 

「なんでっ・・・あたし泣いて・・・!?」

 

自分自身も分かってないのか、混乱したように呟いている。

 

「・・・・・・」

 

そんなクリスを見たクローズはクリスを無言で抱き締めるだけだった。

 

「ッ・・・ううぅぅ・・・ああああああああぁぁぁ・・・!」

 

そしてクリスはその場で止まらくなったのか、顔を押し付けて泣いていた。

 

「・・・なっ?言ったろ?」

 

その姿を見ていたビルドは仮面の下でニヒルな笑みを浮かべながら隣にいる響に笑いかけるように言葉をかけていた。

 

「はい・・・確かに任せて良かった・・・と思いますね」

 

ほっと安心したかのような表情で響が答えた。

 

「さて・・・じゃあ俺も―――ッ!?」

 

ビルドが歩いて言葉を紡ぎながら少しずつクローズに近づこうとした時だった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グガァァアアアアアアアアァァアアァアア!!」

 

突然ビルドの横から、何の前触れもなく、両腕がハンマーと剣の形をしている以前クリスが召喚したスマッシュが()()()に乗って現れる。

 

「なっ・・・コイツはッ!?ぐうっ!?」

 

反応したビルドが左腕のビルドパッドシールドを即座に構えて攻撃を受け止めようとするが、スマッシュは関係なしにビルドに突っ込んで盾ごとまるで離すかのようにビルドに突っ込んで運んでいく。

 

「ビルドさんッ!?」

 

その様子を見ていた響は驚いたように声を漏らし、当然離れていた二人もスマッシュの声と響の声に反応して響の方を見る。

 

「あっ!?・・・クローズさん上ですッ!」

 

が、スマッシュに驚いて気を取られてる二人は気づいてないようだが、離れていた所にいた響は二人の上からスマッシュが錐揉み状となって降ってきているのが見えて声を出す。

 

「ノイズ!?くそっ!」

 

響の声ですぐさま上を見たクローズはクリスを抱えて横に飛ぶことによって回避する。

 

「――――――命じたことも出来ないなんて、あなたはどこまで私を失望させるのかしら?」

 

どこからか聞こえた声、その声が聞こえたこの場の誰もが(居ないビルドは除く)警戒をする。

 

「フィーネ・・・」

 

すると、クローズから離れたクリスが一番最初に気づいたようで、視線を向けながら名を口にする。

 

「フィーネ?なんだそいつ?」

 

近くに居たクローズがクリスの言葉に疑問を持ちながら、響とクローズもクリスが見ている方へと視線を向ける。

そこには海が見える海岸の手摺に腕を置いてその手に持っている物、ソロモンの杖とスマッシュを召還したであろうリコールソウルガンを持って見ている黒いコートと蝶の飾りがついた帽子を被って黒いサングラスを掛けている金色の長髪を靡かせる一人の女性が居た。

 

「こんな奴がいなくたって、戦争の火種くらいアタシ一人で消してやる!そうすれば、アンタの言うように、人は呪いから解放されて、バラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」

 

響の方を一度だけチラッとみたクリスがフィーネと呼ばれた女性に向かって叫んでいた。当然聞こえていたクローズや響は呪いという単語に分からないためきょとんと首を傾げていた。

 

「はぁー・・・もうあなたに用はないわ」

 

ふと、ため息を溢したかと思うと、リコールソウルガンが“粒子”となって消えるのを見ながらクリスにとっては残酷なことを言った。

 

「えっ・・・な、なんだよ、それ・・・!?」

 

絶句し、驚愕の表情を浮かべながら聞くが、フィーネは何も答えずに片手を掲げる。すると、クリスが周囲に散らばせたネフシュタンの鎧が粒子化、フィーネの掲げられた手に集まっていき、やがて消えるとフィーネがソロモンの杖を構える。そしてその杖を掲げると、上空に居たノイズが一斉に襲ってくる。

 

「待てよ!フィーネ!」

 

その間に逃げていくフィーネをクリスが追いかける。

 

「あ、おい!・・・悪い!ノイズは頼む!」

 

一瞬悩んだクローズは響に一声かけてクリスの後を追う。

 

「えっ!?は、はい!クリスちゃんをお願いします!」

 

慌てて返事をし、響は向かってくるノイズと戦闘に入るのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がッ!?」

 

そしてスマッシュがバイクで運んでいたビルドはしばらくすると木にぶつけるようにスマッシュがビルドを投げ、ビルドは木に背中をぶつける。彼の腕を見れば分かるが、左腕のビルドパッドシールドの画面部分が完璧に壊れていた。それもバイクによる突撃一発で、だ。

 

「くそ・・・こいつ何故俺を狙った?響たちじゃなかったのはよかったが、明らかにこんな盾持っていると分かる俺よりも響たちを狙った方が大ダメージを与えられたはず・・・何かから俺を遠ざけた?」

 

普通に考えて盾を持っているビルドと盾を持っていない装者とクローズ。狙うべきなら明らかに後者のメンバーたちだろう。それを考えるとこのスマッシュを召還した何者かはビルドを警戒して狙った。そう考えるのが正解だろう。実際ビルドが考えていることは当たっていたりする。

 

「とにかく・・・俺一人で何とかするしかないか!」

 

立ち上がったビルドはスマッシュを見据え、二つのフルボトルを取り出す。取り出したフルボトルは一度トライアルで使ったライオンフルボトルと掃除機フルボトル。中の成分であるトランジェルソリッドを活性化させるために二つのフルボトルを振り、ベルトに既に挿入していたフルボトルを抜き、入れ替える。

 

ライオン!掃除機!

 

するとさせるか、とでもいうかのようにスマッシュが再びバイクで突っ込んでくるが、ビルドは慌てずに冷静に音声とともにボルテックレバーを回す。するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがビルドの周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、黄色と青緑色の液体が流れ、二つのアーマーを形成する。スマッシュはスナップライドビルダーに弾かれてバイクから落ちる。

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

その声とともにスナップライドビルダーがスライドし、二つのアーマーが重なると同時に先ほどのアーマーは粒子となって消え、新たな黄色と青緑色のアーマーが装着される。

 

たてがみサイクロン!ライオンクリーナー!イェーイ!

 

そこにはビルドの新しいベストマッチフォーム『仮面ライダービルド ライオンクリーナーフォーム』である。黄色のハーフボディの右手『BLDバトライオグローブ』に搭載されている右拳を覆う強化グローブ。『レオメタルクロー』と青緑色の掃除機ハーフボディ、左腕に装着されている『ロングレンジクリーナー』という腕が掃除機になっている形態だ。

 

 

「さっさと戻らないとな・・・!」

 

スマッシュが立ち上がったのを見ると、ぼそりと呟きながら自らスマッシュへと突撃していく。

 

「ガァ?グガアアアアアアアアァァアア!」

 

それを見たスマッシュが右腕を上げながら速度を“高速”と変えてビルドの後ろを取る。そしてスマッシュは右腕のハンマーを思い切りビルドに振り下ろす。

 

「フッ・・・ハアァ!」

 

受けたはずのビルドは僅かによろめき、効いた様子をみせずにレオメタルクローを展開。連続で切りつけるかのようにスマッシュに連続攻撃を繰り返し、蹴りを入れて離れさせる。

 

「ガウッ!?」

 

スマッシュは倒れて立ち上がりながらも驚いたようにビルドと自身の右腕を見る。そして困惑したような雰囲気を出すと先ほどのスピードはなくなっているが、ビルドに向かって突撃していく。

 

「ほいっ!」

 

だがビルドは向かってくるスマッシュに対して冷静にボルテックレバーを回す。

 

Ready Go!

 

音声が鳴るとビルドは左腕を向け、ロングレンジクリーナーから強烈な吸引力を出すことによってスマッシュを急に目の前に持っていく。

 

「グギャ!?」

 

突然引き寄せられたスマッシュはその時に態勢を崩すことで攻撃が出来なくなってしまう。そしてその隙を逃すビルドではなく、自分を運んだスマッシュを運んできた方へと思い切りぶん投げ、右腕に溜めていたライオン型の強烈なエネルギー波をスマッシュへと放つ。

 

VOLTEX FINISH!イェーイ!

 

「ガアアアアアアアアアアアアア!?」

 

ホークガトリング!イェーイ!

 

すぐにボトルを入れ替えるとソレスタルウイングから翼を展開、吹き飛ばしたスマッシュを追っていくのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・少なかったのもあったお陰でこれで―――うわぁ!?」

 

数があまりいなかったのもあり、ノイズを殲滅した響は周りを見渡してノイズが他に居ないか確認していた。すると傍に物凄い速度で物体のような物が落ちてきて土煙を起こす。

 

「今度は何!?ノイズ!?」

 

その場からすぐに離れると、土煙で見えないが警戒したように見つめている。すると傍にビルドが降り立つ。

 

「悪い。そいつはスマッシュだ。危うく上に落とすとこだったな…」

 

翼を縮めながらホークガトリンガーを構えて響に向かって謝罪する。

 

「あ、ビルドさん。本当ですよ!結構危なかったですからね!?」

 

警戒したまま響がビルドに詰め寄る。

 

「わ、悪かったって。それよりあの少女とば・・・クローズは?」

 

さっき吹き飛ばされてからそんなに経ってないはずだが、二人がどこ見ても居ないことに気づいたビルドが響に向かって聞く。

 

「クリスちゃんはフィーネって人を追って…クローズさんはそのクリスちゃんを追っていきました」

 

響も目の前でビルドが連れていかれたのを見て状況が分かってないことを察すると説明する。

 

「そうか・・・クローズが行ったなら心配しなくてもいいだろ。それより俺たちはあいつをなんとかしないとな」

 

「え?倒したんじゃ―――ッ!?」

 

土煙が晴れて倒れてたスマッシュがゾンビのように復活する姿を見て響が驚いた表情になる。

 

「あいつは復活するんだよ。因みに他にも威力が突然上がったり硬くなったりジャンプ力上がったり速度が速くなったりするから気をつけろよ?」

 

今まで自分が見てきた情報を響に注意とともに情報を送る。

 

「そ、そんなのどうやって倒せば・・・?」

 

困惑したように呟いてビルドを見つめる。

 

「戦って分かったことはあのスマッシュは一度も同じ能力を連続で使ったことがないんだ。そしてあいつは復活した。つまり能力を使わせる隙を与えずにもう一度倒すことが出来たら奴を倒すことが出来るはずだが・・・手伝ってくれるか?」

 

既に復活を果たしてこちらの隙を伺っているスマッシュを見据えながらちらりと響に視線を向ける。

 

「・・・もちろんです!一緒に倒しましょう!」

 

その言葉を聞いた響はどこか嬉しそうな表情で頷き、構えを取る。

 

「ならやるぞ!」

 

ホークガトリンガーを放ちながらビルドはスマッシュへと向って行く。

 

「はい!」

 

そして響はビルドと同じ方向には行かず、少し横にずれて相手も後ろを取るように走っていく。

 

「グウ!?」

 

「ハアッ!」

 

左腕の剣でガードしていたスマッシュにビルドがライダーキック、相手の剣のガードを崩すとそのまま空中で回転しながら追撃するようにホークガトリンガーで弾を連射しつつ地面に着地。懐に潜り込むことで相手の視界から消えるとお腹当たりに思い切り掌底を放つことでスマッシュを一気に引き離す。

 

「今ッ!」

 

すると、後ろを取っていた響が攻撃できるチャンスを見つけると、すぐさま近寄って地面を踏みしめる。そして力を込めてスマッシュの背中に正拳突きをぶつける。

 

「グガア!?」

 

いつの間に来てたのか気づいてなかったスマッシュは正拳突きを受けると前のめりになってしまう。

 

「うおりゃあッ!」

 

そのチャンスは逃さずに響が前のめりになったスマッシュに跳び蹴りし、さらに回転を加えた横蹴りで吹き飛ばす。

 

「スマッシュに対してこれか・・・あの時とはやっぱり全然違うな」

 

ビルドたち仮面ライダーが戦ってきたスマッシュは少なくともボトルの力がなければ倒すことも吹き飛ばすことも出来ない相手。しかも相手は通常のスマッシュより硬いにも関わらず響は吹き飛ばすまで至っている。ノイズとの戦闘からも逃げてた彼女はやはりもう居ないようでライダーシステムに追いつくほどの力があるようだ。

そしてビルドはいつでも迎撃できるように響の隣に向かう。

 

「でもやっぱり少しきついかもな・・・」

 

「え?」

 

ふと、ビルドが溢した言葉に響がきょとんとすると、唸り声のようなのが聞こえてくる。

 

「グウウウウウウウウウウウウ・・・」

 

ゆっくりと歩いてきたスマッシュが姿が見えるところまでくると突然止まる。

 

「あいつ・・・今度は何するつもりだ?」

 

突然止まったスマッシュに対して警戒度をさらに上げる。未知の能力を使ってくる可能性もあるからだ。

 

「グガアアアアアァァァアァア!」

 

叫び声のような声を出すとスマッシュの腕に変化が起こる。右腕のハンマーは弓に、左腕の剣はまるでLMG・・・軽機関銃のような見た目に変化していた。それはどこかシンフォギアのアームドギアのような変形のようで、どこか違っていた。

 

「腕が・・・変わった?」

 

「ッ!不味い!」

 

唖然と呟く響と驚いたように見ていたビルドだが、相手が両腕を向けてきたことによって響より早く我を取り戻す。すると当然の如く相手は攻撃をしてくるわけで―――

 

 

 

 

 

 

「オオオオオオォオォォオォォォォオォォオオ!!」

 

雄叫びのような声とともに両腕から大量の弾と矢が放たれる。

 

「クソッ!」

 

ビルドはすぐさま響を抱えて横に飛ぶ。すると避けられたのに気づいたスマッシュがすぐにビルドの方へと両腕から遠距離攻撃をしていく。

 

「避けるぞ!」

 

「わ、分かりました!」

 

そして二人は別れながら攻撃を避ける。が、スマッシュは響よりもビルドの方が脅威だと判断したようで、響をガン無視してビルドに攻撃をしていく。

 

「狙いは俺ってことか・・・!」

 

ホークガトリンガーで弾を放つことで避けれない攻撃は相殺し、避けれる攻撃は避けていくビルド。対する響は―――

 

「ッ!近づけない!?」

 

やめさせようと攻撃を加えようと近づこうとするが、あと少しという所でスマッシュが軽機関銃を響の方へと向けて近づかせない。当然その攻撃に対して回避行動を取るため、遠距離攻撃を持たない響が攻撃できない状況だ。

 

「グオオオォオォォォォオォオオオオォォオオ!」

 

お互い被弾がないまま数秒が経った頃で、スマッシュが痺れを切らしたのか、響に向かって軽機関銃で威嚇射撃をし、近づかせないようにしながらビルドに向って行く。その間に右腕の弓をハンマーへと戻していた。

 

「くッ・・・!」

 

ビルドはホークガトリンガーから弾を放つことで弾幕を貼って近づかせないようにする。だがスマッシュの装甲に当たったにも関わずダメージを受けた様子を見せない。むしろ弾かれてるようで―――

 

「あの時と同じ奴か・・・!?」

 

ニンニンコミックで攻撃した時と同じ能力を使ったことを察したビルドはボトルの入れ替えようとするが、彼の思考が高速で動き、状況を確認する。未だに響は威嚇射撃に苦戦しており、スマッシュの速度から距離を測り考えるとボトルの入れ替えをしている間に攻撃される。つまり向かい撃つしかないと即座に判断したビルドがいざとなればガードできるようにホークガトリンガーから弾を放つのをやめて迎撃態勢に入る。

 

「ガアッ!」

 

そして目の前に来たスマッシュが威嚇射撃をやめてハンマーを横薙ぎする。

 

「ッ!」

 

それを後方に下がることで回避、そのまま攻撃しようとしするが、

 

「ガア・・・」

 

意思のないスマッシュが笑ったような、嫌な予感をビルドは感じる。

だがもう既に遅く、このまま回避に移っても行動をやめるだけで攻撃を加えるどころか、攻撃を受けるだけになるだろう。そのためビルドが攻撃のためにホークガトリンガーから弾を数発放つが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにッ!?ガハッ・・・!?」

 

そして驚いたように声を漏らす。

何故なら()()()()()()()きたのだ。当然見たこともなければ距離からして避けることも不可。ビルドは跳ね返った攻撃にダメージを受ける。そして怯んだビルドに対し、スマッシュが軽機関銃を剣へと変え、ビルドに斜めから()()()()()斬り降ろし攻撃。さらに“右腕”にハンマーを叩きつけてくる。

 

「ッ~!!」

 

その攻撃に避ける暇もなく攻撃を受けたビルドは仮面の下で苦痛に顔を歪めながら言葉にならない声とともに軽く吹き飛ぶ。

 

「ビルドさん!このッ!!」

 

それを見た響が追撃を許さないとでも言うようにスマッシュへと攻撃を加えようとする。しかしスマッシュはその攻撃に対してバックステップ、剣から()を出すことで響の足を拘束する。

 

「嘘ッ!?」

 

予想外の攻撃に驚きながら動かせなくなった足を動かそうとするが、動けない。

そしてスマッシュはそんな響にハンマーを正面から押し出すようにぶつけてくる。当たる直前で気づいた響は両腕をクロスするが、スマッシュのハンマーが急に赤いオーラを纏ったかと思うと威力が上がってガードを崩しながら響を吹き飛ばす。

 

「がっ!?」

 

「ッ・・・!」

 

吹き飛ぶ響を見たビルドはソレスタルウイングから翼を展開、響の吹き飛ぶ先を推測して先読みして飛んで向かうと左腕で抱きしめて翼でホバリングしようとするが、あまりにもの威力が高かったようで簡単に止まらずに木を何個も壊しながら少ししてようやく止まる。

 

「がっ・・・くっ・・・!だ、大丈夫か?」

 

止まったのが分かれば響を離して右腕を抑えながらなんとか立ち上がる。

 

「っっ・・・な、なんとか・・・あそこまで威力が上がるなんて・・・」

 

どうやら怪我はないようで、少しふらっとするが頭を軽く振るとまだ余裕そうに立ち上がる。

 

「そ、そうか・・・ッ」

 

「ビルドさんが助けてくれたお陰――って大丈夫ですか!?」

 

心配そうに声を上げる。何故なら右腕を抑えながらビルドが片膝を着いたからだ。

 

「あ、あぁ・・・なんとかな」

 

当然やせ我慢だが、スマッシュを放っておけないためにもすぐに立ち上がる。

 

「右腕・・・もしかしてあの時私を助けるために・・・!」

 

ビルドを見ていた響がふと、思い出すように呟く。

 

「・・・・・・」

 

何とも言えない気持ちで無言になる。実際彼女を止めるために負った傷だが、暴走していたであろう彼女は悪くないと思っているからだ。

 

「す、すみません!私のせいで・・・ッ!」

 

すると暗い顔をして響が謝ってきた。

 

「い、いや気にしなくていいって。あの時自分を抑えれなかったんだろ?それにあれは俺が望んで止めただけだよ・・・それよりも無事なら何よりだ。少なくとも攻撃を受けない限りは問題ないから・・・な?ほら」

 

安心させるように立ち上がると右腕をぶんぶんと回して振り、そっと頭を撫でる。

 

「・・・ふふ、ビルドさんって優しいですね。そう言うなら分かりました!」

 

腕を振ったビルドにクスっと笑いつつ撫でられてすっかりと暗い顔から明るい表情に戻る。

 

「そうか?・・・っとどうやら話してる余裕はないようだ」

 

「グウウウウ・・・」

 

ビルドがそう言って目の前を向くとスマッシュの姿が確認できた。

 

「まだ行けるか?」

 

「はい!へいき、へっちゃらです!」

 

「そうか。無理はすんなよ?」

 

「ビルドさんこそ無理しないでくださいね?」

 

「分かった」

 

心配して聞いたが、どうやら大丈夫なようだ。

するとスマッシュが姿を見つけたようでこちらに歩いて向かってくる。そしてある程度近づくと、再び左腕の剣を軽機関銃へと変え、こちらに向けてくる。

 

「またか!離れるなよ!」

 

即座に響を庇うように目の前に立ち、ビルドドライバーのレバー『ボルテックレバー』を回すことで成分をより活性化、活性化させながらホークガトリンガーの『リボルマガジン』を回転させる。

 

Ready Go!

 

テン!トゥエンティ!サーティ!フォーティ!フィフティ!シックスティ!セブンティ!エイティ!ナインティ!

 

「は、はい!」

 

後ろから響の声を聞きながらも最後の一回を回転させる。そしてビルドはトリガー引き、ホークガトリンガーから、スマッシュは腕の軽機関銃から、奇しくも同時に弾を放つのだった。

 

VOLTEX FINISH!イェーイ!

 

ワンハンドレッド! フルバレット!

 

音声が流れ、ビルドはしっかりと当たる弾と当たらない弾を見極め、当たる弾だけに自身の弾をぶつけ、スマッシュは手当たり次第に撃っていた。

が、ほんの少し経つと撃ち合い続けながらスマッシュの肩から“二連砲台”が出てき、そこから砲丸を撃ってくる。

 

「んな!?手数多すぎんだろ!」

 

それに気づいたビルドは左手でホークガトリンガーを持ち、フルボトルのシールティングキャップを表に向けると空中に投げる。そして高速ファクトリーを展開、スナップライドビルダーからドリルクラッシャーガンモード状態で創造すると、右手で持って少し傾ける。

 

ジェット!

 

Ready Go!

 

すると、ちょうど綺麗にフルボトルスロットにフルボトルが入って認識音声が鳴る。

 

VOLTEX BREAK!

 

「これでどうだッ!」

 

ガンモードのトリガーを引くと、小型ミサイルを発射。正確に砲丸にぶつけることで爆発させ、相殺していく。

戦況は互角に見えるだろう。だが実際には互角ではなかった。

 

(こいつ・・・今度は後ろにいる響を狙っている!?)

 

そう、明らかに砲丸は響を狙って撃たれていた。そのせいで一つのことに集中できないのだ。そしてスマッシュの弾は時間が経っていくたびに少しずつ早くなっており、お互いの弾もそろそろ減ってきて―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しまったッ!?」

 

先にビルドが尽きてしまう。すると弾丸が飛んでくるわけで、ホークガトリンガーを盾にしてダメージを軽減するが僅かに怯んでしまい、そしてスマッシュが砲丸を連続で放つ。

 

「び、ビルドさん!?」

 

間に合わないと悟ったビルドは自分よりも響を守るべきだと判断し、すぐに背中を向けて響を守るために出来る限り胸に抱きしめることでダメージを減らそうとし、そのまま爆発が起こったのだった―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





リコールソウルガン出番終了のお知らせ

そして(今度こそ完璧に)落ちたな(確信)
久しぶりすぎて文字色違うかも…。そして今更傍点に気付くというね“これ”いらねーじゃん()


というか!なんで私が投稿しなかったら見る見るお気に入りとか増えてたの?これ編集終わったとき197だよ?目標200達成しちゃうよ?目標二期中に300に変わるよ?ってか投稿しない方が伸びる説……?見てくれてる人が増えてるってのはやる気にめっちゃ繋がるから嬉しいけどね。

ただここで致命的なお知らせします……。

 G の 内 容 忘 れ た

アプリ版も実は一期までしかやってないんです。なので一期終わってからは日常回多分やりつつ二期見直しが必要ですかねぇ……三~五章まで矛盾あったらその時に修正すればいいよね(適当)primevideoになかったら円盤買うまで打ち切りEND確定だったぜ……。

あぁそれと感想はこれから最新話投稿してから見ることにするゾ
感想見るのが楽しみなのでやっぱ投稿してからだと達成感とまた感想頂いたら物凄く嬉しさがあってね……。あとガチで感想あるって分かるとモチベ上がる。


それよりもはよ投稿しろって言われそうで怖いゾ…なんでもするからお兄さんたちゆるして?


P.S ガチでULTRAMANがシンフォギアとコラボするとは……!見た目はうーんって感じだけどガチャは完凸まで当てたいところですね。無課金なので無理だけど!激唱ガチャでなくなったのにそこからコラボ来るのは酷い(爆死した)
でもよく俺初めて一か月と少しで✰6キャロル1凸しかしてないとはいえレベルMAXまで出来たな……キャロル好きだから仕方ないね!最近セレナがよくガチャで来るせいでセレナもかなり好きになってきてるけどみんな好きだよ。
でも✰6あとビッキー二つとマリアさんなんだけどしんどくて辛い。

ってかスリープにしたら一時的にしか直らないからPC早く修理行かせろ








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第十九話 共闘

 
うわああああぁぁぁあああぁ!?なんだこの駄文小説!?誰が書いた!?え?最初らへん酷すぎね?(自虐)

改めて内容忘れてたから見直したらめっちゃ酷いやん……ないわー。別作品書いてるせいか、こっちが酷く見えてきた……あっちも最初はなかなかクソ〇ミかよ!レベルであれだけどマシにはなってると思うしお陰で小説の勉強は出来てますねぇ!でも向こう戦兎くん並みの精神ないせいで真っ暗なんですけどね、初見さん。
実は暗いのが好きで乗り越える系が一番好きなんだけどビルドの場合戦兎君が(精神力)強すぎる……。

(失踪は多分しない)です。なんの報告もなく半年、または一年も投稿されなかったら俺が死んでるか入院してるかのどっちかですね
これからは投稿スピード上げたいところだけどプロットくん仕事してくれないせいで進まない件について
今回はまだめっちゃ駄文(中途半端にやって溜めてたやつ)だろうけど、これから向こうの小説でやってた分良くなるかと!だからブラウザーバッグしないで!一か月一回投稿になってるけどお願いだからぁあああぁぁ!!


※そういえば指摘あったので空白減らしました。変わらずに適当だけど減ってるはず。

※あらすじどうぞ










万丈「戦兎―?あらすじだけど・・・っておーい?あれ?あいつどこ行った?いつもなら居るんだけどなぁ・・・もう三日は経ってるけど家に居ねぇな・・・」

クリス「どうしたんだよ?」

万丈「お、クリスか。それがよ、戦兎のやつが何処探しても居ないんだよな・・・」

クリス「確かに、先輩やあのバカは遅れてくるって言ってたけど何も聞いてないな」

万丈「だよな・・・基地にも居なかったし何処行ったんだ?」

翼「すまない、仕事の打ち合わせで遅れてしまった」

響「お邪魔しまーす!居残りで遅れちゃってすみません・・・!」

未来「すみません・・・響がなかなか終わらなくて」

万丈「お、来たか。全然始まってないからいいぞ」

未来「え?でもカメラ回ってますよ?」

万丈「へ?マジか!?」

響「あれ、でも戦兎さんは?」

万丈「あ、戦兎は何処行ったか分からなくて・・・」






クリス「なぁ先輩、龍我が戦兎居ないって言ってるんだが・・・知らないか?」

翼「あぁ、それなら向こうで真っ白になってるって緒川さんが・・・」

クリス「もしかして前の・・・」

翼「・・・考えてる通りだと思うわ。とりあえずここは誤魔化しておきましょうか」

クリス「そ、そうだな」



響「クリスちゃん、翼さん!戦兎さん知りませんか?」

未来「もしかしてまた徹夜とかですか・・・?」

クリス(おい、どうするんだよ?)

翼(ここは私が何とかしよう、向こうは頼んだぞ)

クリス(お、おう)

翼「いや、桐生ならば外せない用事が入って来れないと言ってたぞ。大事な話があるらしい」

響「あ、そうですか・・・」

未来「なら、仕方ないですね。けど、用ってなんだろう・・・?」

響「うーん・・・発明とか?」

未来「そうかも」

翼(思ってたよりあっさりだな・・・向こうは上手く行っているだろうか・・・)








クリス(あぁ言ったのはいいけど、どうするか・・・説明に時間かかるしなぁ)

万丈「戦兎ォ!大丈夫か!?」

クリス「おーい龍我・・・ってなにしてんだ?」

万丈「お、クリス!それが、戦兎のやつ見つけたのはいいんだけどよ、こいつ脈はあったけど真っ白になって意識ねぇんだよ・・・。理由分からないか?」

クリス「あ、あー・・・そうだな、後で説明するから本編行かないか?時間が時間だし・・・」

万丈「あ、やべぇ!じゃあ本編行ってくれ!」







万丈「それで、なんで戦兎はああなってんだ?」

クリス「え?あ、あぁー・・・風鳴のおっさんにひたすら付き合わせられていたとか・・・」

万丈「あ、そうだったのか・・・それは仕方がねえな」

クリス(やっぱあの人何者だよ・・・)

戦兎「・・・ハッ!?あらすじ紹介―――って終わってる!?ちょ、誰もしてねぇのかよ!?えぇと仮面ライd」












 

爆発が起こった際に、爆発による煙と土煙でビルドたちの姿は見えなくなってしまう。そして少しずつ土煙が晴れていき―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには巨大な何かがあった。それはまるで盾のようで―――

 

「これは・・・盾?」

 

「――――――剣だ!」

 

上から声が聞こえてくる。その声を聞いたビルドは視線を上に向けて見上げると、そこには巨大な剣の上に立つ翼が居た。

 

「翼さん・・・」

 

すると響も気づいたようで、見上げながら名前を呼ぶ。

 

「気づいたか、立花。だが私も十全ではない。―――力を貸してほしい」

 

「はい!」

 

憧れの人から、あの翼さんから初めて頼られる。それがどれだけ響にとって嬉しいか、分かるだろう。そして巨大にしていた剣をもとの形に戻して地面に降り立つ。

 

「あ、あのビルドさん?もう大丈夫ですから・・・」

 

「ん?あ、あぁ悪い」

 

その間にふと気づいた響が顔を赤めながら言ってくる。何故かと言うと庇うためとはいえ、未だに抱きしめていたからだ。ビルドも思い出したようで、両手を離す。

 

「・・・ビルド」

 

「どうした?」

 

そして目の前に来た翼がビルドの目を見ながら呼んできた。

 

「すまなかった・・・そして救ってくれてありがとう」

 

突然頭を下げてお礼を言ってきた。

 

「い、いやいいよ。・・・見捨てるなんて俺には出来ないしな」

 

「そうか・・・なら一緒に戦ってくれないか?でもその前に一つ聞かせて欲しい」

 

「それは願ってもない話だが・・・何だ?」

 

頭を上げて真剣な表情で言ってきた。ビルドとしては右腕の痛みがあるせいで全力出せないし以前より厄介になってるスマッシュに対して是非お願いしたかったのだ。しかし何を聞かれるか不安である。ライダーシステムについてならばスマッシュはもう一人でなんとかして逃げないといけないだろう。ライダーシステムは危険だからだ。

 

「ビルド貴方は何故戦う?一体何が目的で何のために戦っているんだ?」

 

「それは私も気になります・・・!ビルドさんは何度も私を救ってくれましたけど聞いてなかったので!」

 

そして聞いてきたのは考えてたこととは別のことだった。まぁ何故か響も乗って聞いてきたが。その程度ならば問題ないし既に答えは迷う暇もない。その答えは旧世界での戦いを通してしっかりと答えは見つけているからだ。

 

「・・・決まってんだろ?愛と平和のためだ。だからこそ俺は()()()()()()になったんだ」

 

見つめ返すようにして即答見せた。例えここが自分の世界ではなくとも別の世界や知らない世界だったとしても彼は何の躊躇いもなく誰かを守る為ならば力を使うだろう。それこそがみんなが創ってくれた桐生戦兎であり、自意識過剰な正義のヒーローなのだから。

 

「ならばこの剣。この国の防人として一緒に戦おう。その言葉を信じさせてもらう」

 

「愛と平和・・・」

 

言葉を聞いた二人は、翼は言葉を信じて隣に立ち、響は何処か大事そうに胸の中に仕舞うかのように呟く。

 

「さて、話は終わりだ。スマッシュを倒すぞ・・・翼でいいのか?スマッシュの能力については知ってるのか?」

 

「その辺りの話は全て聞かせてもらった。やつを倒すには一度倒して即座に倒さなければならないのだろう?」

 

「けどあのスマッシュとても強いですよ?一体どうやって・・・」

 

僅かに戦ったことのある翼と先ほど戦った響は当然厄介なのを理解している。

 

「グガアアアアアアアアア!」

 

すると答えを聞かずにスマッシュが突撃してきた。

 

「その辺りは問題ない。―――勝利の法則は、決まった」

 

右の鷹の複眼をガトリングの右手でなぞるようにして親指と人差し指で丸を描いてからいつものセリフとともに開く。するとその間にどこから出てきたのか白い文字の方程式がビルド達を周囲を囲むようにして現れた。

 

「ガッ!?」

 

「えっ!?な、なにこれ!?」

 

「これは、一体・・・?」

 

当然知らない二人と一体。突撃してきたスマッシュは方程式の文字に弾かれるようにして吹き飛ばされる。知らない二人は困惑したように見つめていたがダメージを受けて吹き飛んでいったスマッシュに少し驚きながらも、ビルドは特に説明せずに口を開いた。

 

「いいか?まず二人にはだな―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

 

まず、最初にしかけたのは翼であった。目の前から向かってくる翼に対してスマッシュは当然反応してしまう。

反応したスマッシュは翼に軽機関銃を向けて何発も放ちながら砲丸を放ってくる。

その攻撃に対して翼は高く跳ん軽機関銃の弾を避ける。そして砲丸の方はと言うと、彼女の近くに行く前に爆発していた。何故なら空中にいつの間にかいたビルドが正確に狙って爆発させたからだ。

攻撃が当たらなかった翼はスマッシュの頭上を回転しながら反転すると同時に斬りつけて着地。

 

(あいつ・・・俺と戦った時と動きが違う?いや本来の動き、ということか)

 

翼の動きを見てビルドが驚いたように見ていた。そしてすぐに翼と同じ方向からスマッシュに対して何発か与えるとビルドに気を取られ、ビルドと翼のダメージを受けたスマッシュは前方によろめきながらも耐えると慌てて翼に右腕のハンマーを振り向きと同時に放つ。

 

「翼さん!」

 

だが、この場にいるのは二人ではない。横から飛んできた響がスマッシュのハンマーに向かって踵落としをすることで地面に叩きつける。

叩きつけてからスマッシュを蹴り飛ばして移動させ、離れるのと同時に翼の名を呼ぶと、いつの間にかスマッシュが蹴り飛ばされた方向へと移動していた翼が頷くのと同時に連続で斬りつけていた。

 

「ガアアアアアァァアア!?」

 

連続で斬られたスマッシュはダメージを受けた反応をする。

するとダメージを与えてきた翼に攻撃しようと、四人に()()して翼を攻撃しようとするが、バク転で離れることによって避けられる。翼を追うように追撃しようと分身が突撃するが―――

 

 

 

 

 

 

 

稲妻テクニシャン!オクトパスライト!イェーイ!

 

「目を閉じろ!」

 

音声が流れたかと思うと、突然割って入ってきたのは桃色と薄黄色のアーマーをし、左の方の複眼がタコを模していて、その足部分がアンテナになっており、右の複眼は電球を模して光のエフェクト部分がアンテナ風になっている。

特徴的なのは右肩にタコのある右肩のアーマー『フューリーオクトパス』と左肩には『BLDライトバルブショルダー』という豆電球が付いている『仮面ライダービルド オクトパスライトフォーム』となったビルドが翼と響に向かって叫び、二人が瞑ったのを見た瞬間、左肩の発電ユニットを兼ねた発光装置を光らせ、スマッシュから視界を奪うと右肩のアーマー『フューリーオクトパス』の触腕を右腕に纏わせ、一体を全力で殴って吹き飛ばす。

すると、分身には不死身の能力がないのか白い煙を出すのと同時に消える。

 

Ready Go!

 

それが予想通りだったようで、気に留めずにビルドはボルテックレバーを回し、成分を活性化させて音声が鳴ると同時に纏わせていたフューリーオクトパスを外して二体の分身体を拘束、そして空中に投げ飛ばすのと同時にフューリーオクトパスから墨を吐いて球状に閉じ込める。が、それを阻止するため近くに居たもう一体の分身がビルドに攻撃しに行く。

 

「させない!」

 

光が消えてから目を開けていた響がいつの間にか近づいており、残りの分身体の一体に対して飛び膝蹴り、そして正拳突き、からの肘打ちで体勢を崩すと空中に思い切り、蹴り上げて閉じ込めている墨にぶつける。そこをさらにビルドが墨を飛ばして球状に閉じ込め、先ほどの墨を解除して三体閉じ込めることに成功する。

 

VOLTEX FINISH!イェーイ!

 

閉じ込めた球状の墨をライトの光で墨を爆破させ、纏めてスマッシュの分身体を撃破する。

分身体が呆気なく撃破されたスマッシュがさらに怒ったように左腕の軽機関銃を剣へと変え、右腕のハンマーと同時にビルドへと突き出すように攻撃。

 

「今です!」

 

「邪魔はさせんぞ!」

 

だが、ビルドに攻撃が通ることはなく、ビルドの後ろから出てきた響と翼が対応する。

響はハンマーの腕の部分を殴ることでダメージを受けずに対処し、翼は相手の剣を大きさがあるにも関わらずに滑らすようにして逸らすことで地面に逸らさせ、攻撃を防ぐ。

 

「うおぉぉおおおぉぉおおお!!」

 

「ギャウ!?」

 

再びビルドがフューリーオクトパスの触腕を腕に纏わせると、スマッシュの胸に向かって全力でぶつける。スマッシュは両腕を防がれたせいで防御出来ないことを悟ると自らを硬くする。当然ビルドの攻撃は防がれる―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことはなく、押し出すように右腕を突き出すと相手の防御を突破し、最後に追い打ちとも言うように相手を拘束からの引き寄せてから全力の前蹴りをすることで吹き飛ばす。

 

「今だ!」

 

その際に硬くなっていた能力が消えていたのを感じたビルドが声を上げる。すると、まず響がブースターの推進力を生かし、スマッシュに対して拳をぶつけ、さらに回転を生かして、スマッシュの顎の部分を蹴り上げるようにして大ダメージを与える。

その際にスマッシュの身体は仰向けに倒れるように視線が上に行く。響はそれを見たらその場で後ろに跳んで離れ、空中から剣を先ほどビルド達を守った時と同じくらいに巨大化させ、柄のない諸刃の鍔に当たる部分からは六基のバーニアが点火、その中央を脚部スラスターのバーニアを点火させ、勢いをつけてまるでライダーキックのように蹴り込んだ。

 

天ノ逆鱗

 

「グギャアアアアアアアアアアアア!!」

 

身体が浮いているために対抗できないスマッシュはその攻撃を諸に受けて地面に叩きつけられる。完全に受けたためにその威力は物凄く、スマッシュは先ほどとは違い、ピクリとも動かなくなる。

剣を元に戻すと、警戒したようにスマッシュを見つめる。

 

少し経つとこの場の誰もが予想したかのようにスマッシュはゾンビのように復活し―――

 

レスキュー剣山!ファイヤーヘッジホッグ!イェーイ!

 

Ready Go!

 

そのチャンスを逃すこの男ではない。

彼は新しいベストマッチフォーム、白と真紅のアーマーの色をし、左の複眼はハリネズミの頭部を模しており、針のうち1つがアンテナ風になっている。右の複眼は消防車を模しており、ラダーがアンテナ風になっている。

そして右拳には針の並んだナックルパーツ『BLDスパインナックル』を装備し、左腕には『マルチデリュージガン』というラダーを装備している形態。『仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグフォーム』である。

その形態となったビルドはスマッシュが復活することを知っていたために完全に復活する前には既にボルテックレバーを回して成分を活性化させていた。

すると音声が流れると同時にラダーが伸びたか思うと、復活を果たした瞬間の相手に刺し、水を注入して水風船のようにして動きを封じる。

 

VOLTEX FINISH!イェーイ!

 

新しい能力や既存の能力をを使わせる間もなく、ビルドは動きを封じたままのラダーを使用して相手の頭上へと飛ぶ。その際にある落下の勢いを利用し、ビルドはハリネズミの力である右拳のBLDスパインナックルで真下にいるスマッシュにパンチを叩き込んだ。

するとどうなるのか?分かりやすく言うならば水風船があるとしよう。その水風船に針を差し込むことを想像してみよう。

水風船だけではなく、そもそも風船の材質は表面は絶えずお互いに引っ張り合っている。そのため少しでも穴が開いたらどうなるか?穴が開けばそこに引っ張る力が集中し、穴が大きくなって一瞬で割れてしまうのだ。

 

ここまで言えば分かるだろう。スマッシュはそのまま破裂するかのように水を吹き出しながら爆発を起こし、仰向けに地面に倒れた。

それを見ると、もしものことにも対応できるように、ビルドはバランスタイプであるラビットタンクへと戻る。

 

「・・・よっ」

 

いくら同じ能力を連続で使ったことがないとはいえ、警戒を解かずにビルドはエンプティフルボトルを傾け、成分を吸収する。

仮にここで倒せていないのであれば成分の回収は完全に出来ないだろうが、どうやら杞憂だったようでフルボトルへ全て吸収された。しかし、やはりと言うべきか。そこに誰も居なかった。

 

「やっぱり召喚された物らしいから手掛かりはなし、か。仕方がないな。さて吸収したフルボトルは―――んん?」

 

ふと、吸収したフルボトルを見るといつもならスマッシュフルボトルになるはずなのだが、スマッシュフルボトル処かノイズフルボトルでもない。ただエンプティフルボトルに黒が入り混じった灰色に染まっていた。

 

(なんだこのフルボトル?見た目は灰色・・・と黒か。しかしロストボトルでもない。何故だ?もしかしたら浄化したら変わるのだろうか・・・ジーニアスフルボトルには浄化する能力がある。なら今度時間あるときに一度ジーニアスフルボトルでやってみるか)

 

 

「あのー・・・ビルドさん?」

 

「うん?あぁすまない。少し考えごとしてたんだ。それでどうした?」

 

いつの間にか響が話しかけてきていたようだ。

考えるのは後回しにした方がよさそうだな。

 

「さっきのスマッシュはどうなったんですか?」

 

「スマッシュがそのボトルに吸収されたのは分かるんだが・・・」

 

響と翼が聞いてくる。そういえば言ってなかったか、と思い出し説明する。

 

「スマッシュってのは普通に倒すだけじゃダメなんだ。本来はフルボトルを空のボトル、エンプティフルボトルに成分を吸収させることで本当に倒したことになる」

 

「なるほど、普通に倒すだけではだめだったってことか・・・」

 

「え、えーと・・・?」

 

翼は納得したように呟くが、響は???でも浮かんでるかのように首を傾げていた。

・・・万丈と同じ、いや万丈よりかは頭良さそうではあるし学生だから仕方がないだろう。むしろ大人なのに色々とバカなあいつがやばい。

 

「つまりはエンプティフルボトルがなければ完全に倒せないってことだよ」

 

万丈に説明するときと同じように、重要な部分だけ削って言ってみる。

 

「な、なるほど!」

 

「・・・はぁ」

 

ポンっと理解したように広げた手の平に拳を置く響と何処か呆れたように息を吐く翼。

 

「まぁ、俺一人じゃ倒すことはできなかった敵だ。二人ともありがとうな」

 

「い、いえいえ私は普段助けられてばかりで今回も・・・」

 

「助けられたこの命。少しでも返しておきたかったからな」

 

「そうか・・・それとそんなことはないさ。君が居なければ俺もやばい場面はたくさんあったんだから自信を持ってって。前とは違ってかなり戦えるようになってるしな?」

 

仮面の下で笑いながら響の頭をぽんぽんと撫でる。

 

「あっ・・・は、はい!」

 

「?」

 

すると安心したような表情で少し顔を赤めて撫でられる響に今度は翼が頭に?マークを浮かべていた。

何故だ。

 

(やっぱり・・・?ビルドさんに助けられて抱えられた時もだけど、撫でられても顔が熱くなるし、戦兎さんのこと思い出しちゃう・・・それに何か不思議な感覚が・・・もしかして、ううん気のせいだよね)

 

因みにだが、ビルドが離そうとした瞬間何故か寂しそうな表情(自覚なし)をされたせいで戦兎が仮面の下で困惑しつつもデジャブを感じながらしばらく撫でる羽目になったとか。

そして二課の人たちが来る前にはビルドの姿は既になかったようだ。

 

もちろん逃がして貰うようにビルドが翼に対してまだ捕まるわけには行けなく、悪いことにはならないという約束と響の言葉もあって、だが。

そして戦いに巻き込まれないように遠くにいた未来は二課の人たちに保護されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、クリスを追って行った仮面ライダークローズこと万丈龍我は一体どうしていたのかというと、コンビニで買い物(お金はこれ以上迷惑かけられたら困るからお金持っとけとバカでも払うことはできるだろということで戦兎に渡された)していた。そのため、手にはコンビニの袋がある。

 

「あー・・・あいつ一体どこに行ったんだ?もう暗いし帰るか・・・?」

 

「お?」

 

周りが既に暗く、夜の街でなんとなく飯でも食うかと思い、近くにあった公園の方にならベンチがあるかと思い、見る。

すると明らかに特徴的な白い髪で珍しい服を着てる少女が居た。

その少女は何処か寂しそうな表情で―――

 

「ってあいつここにいたのかよ!?おーい!」

 

見つけたならば早く話しかけるかと思うと、走って声を掛ける。

 

「ん?なんだよ・・・?」

 

当然話しかけられたら、それも周りに誰もいないならばなおさら人間というのは反応してしまうために万丈が見つけた少女、クリスは振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万丈が話しかける少し前

 

 

 

 

 

「なんでだよ・・・フィーネ・・・」

 

夜の街を一人クリスは歩いて今日の出来事を思い出していた。

 

『けどな、俺たちの想いくらい、受け取りやがれぇ!』

 

『俺は絶対に死なねぇ!誰かの明日を創るためにも、愛と平和を守るためにも、お前を救うためにも!約束してやるよ、お前を独りにはしないって・・・だからよ少しでも俺を頼ってくれないか?俺がお前のヒーローになってやる!』

 

『泣いてるやつのことなんて放っておけないに決まってんだろ!こんだけ言ってんだから少しは俺を信頼しやがれッ!必ずお前を守ってやる!!』

 

(あたし・・・あいつの胸元で・・・それにボロボロになってあんなことを・・・けど、あたしの目的は戦いの意思と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種を無くすことなんだ・・・。だけどあいつなら・・・)

 

「おーい!」

 

そんなことを考えていると、声が聞こえた。誰かを呼んでるのか分からずに周りを見るが、誰も居ない。ということは前方の少し横ぐらいから聞こえてきた声は自分を呼んできた声で間違いなく、無視するのをなんだか悪いからか向く。

 

「なんだよ・・・?」

 

向いたには何処かバカそうな雰囲気であいつ(クローズ)に雰囲気が似てる感じがするコンビニの袋を持っている茶髪の大人の男性が目の前に居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、不味い・・・話しかけたのはいいけどそういえば仮面ライダーのことは時期が来たら話すからできる限り話すなって戦兎に言われたんだった。うーん考えても思いつかないし自分らしく話すか。

 

「と、突然悪い。俺は万丈龍我だ。お前は?」

 

まずは自己紹介でもした方が警戒取れるかもしれない、と万丈は自己紹介する。

 

「・・・クリス」

 

返してくれるか不安だったが、どうやら杞憂だったようで無事に返してくれた。

ただ怪訝そうな表情をされていた。

 

「クリスか・・・いい名前だな」

 

ふと、思ったことを口に出してしまう。聞いたのは二度目だが。

 

「は?お前―――いやそれよりも何の用だよ?」

 

余計に怪しまれた気がする。

・・・確かに相手からしたら初対面だもんな。やっぱりやりずらいけどここで見逃してクリスに何かあれば俺はまた後悔してしまうだろうしそんな表情をしてるならなおさら頑張らねぇと。

 

「いや別に特にってわけじゃないんだけどよ・・・クリスのそんな寂しそうな表情を見たら気になってな」

 

「あたしが寂しそう、だと?そんなわけ―――ッ」

 

否定しようとしたのか、言葉を最後まで言えずにぐぅぅ~と何処かから聞こえてくる。

 

「・・・食うか?」

 

気まずくなったが、そういえばさっきあんパンと牛乳を買ったのを思い出して聞いてみる。

 

「ッ!お、大人のことなんて信頼できねぇよ!」

 

顔を真っ赤にして急に大声で言ってきた。

 

まだそんなことを言っているのか…いや仕方がないよな。

 

「ったく・・・俺を信頼できなくても食べ物には罪はないだろ?ほらこれでいいか?」

 

あんパンを袋から取り出して一口食べると差し出す。すると、大丈夫だと理解したのか掻っ攫って食べ始めた。

 

「っておい!そんな一気に食うと―――」

 

「んっ!?んー!」

 

「大丈夫か!?これ飲め!」

 

慌てて胸を叩いてるクリスを見て少し慌てながらも牛乳を渡すが、苦しそうにしながらも受け取らない。

…これもか?と思いつつ牛乳を一口飲んで差し出してみる。するとさっきと同じように奪うと飲み始めた。その様子を見ながら少しでも楽になるように背中を軽く叩く。

 

「ごほっ・・・ごほっ・・・悪い」

 

「おう、まあ気を付けろよ?そんな誰も取らねぇんだからよ」

 

苦笑いしながらクリスに向かって言う。

 

「あぁ・・・」

 

すると反省はしたのか今度はゆっくりと食べ、しばらくすると食べ終わった。

 

「・・・ってかなんで食いかけならよかったんだ?」

 

「毒が入ってるかもしれないからな。もしくは睡眠薬とかそういった類の」

 

「店で買ったもんだぞ・・・入れれるわけねぇだろ?」

 

呆れたようにクリスを見つめながら思う。

少しずつ信頼してもらえるようにしないとだめか、と。

 

「・・・言っておくが、礼は言わねえからな」

 

「おう。俺がやりたいからしただけだしお腹を空かせてる奴なんてますます放置できないしな」

 

実際にやりたかったからしただけだしお腹が空いてはなんか出来ないとか聞くし力も出ないだろう。

 

そして二人で歩いていると(万丈が付いて行っている)どこからともなく泣き声が聞こえてきた。

 

「ん?なんだ?」

 

「何かあったのか?」

 

気づいた二人は声が聞こえた方向へと走ってその場へと向かう。

その場へ付くとベンチに一人の少女が座って傍に困った表情をして立っている男の子が居た。

 

「泣くなよ。泣いたってどうしようもないんだぞ」

 

「だって・・・だってぇ・・・!」

 

何かあったのは二人の目から見ても間違いなく、話を聞くためにも声を掛けてみることにした。

 

「おい、コラ! 弱いものをいじめるな」

 

「何かやったのか?」

 

声を掛けながらすぐ近くまで二人が近づく。すると、気づいたようで男の子が振り向いた。

 

「虐めてなんかないよ。妹が・・・」

 

「うわぁああん」

 

声を上げて泣き出す少女を見てクリスは手を振り上げる。

 

「虐めるなって言ってんだろうが!」

 

「あ、おい」

 

「うわ!?」

 

思わず両腕で頭を庇いながら目を閉じる男の子。クリスの腕が振り下ろされる。それを見た万丈は思わず止めようとするが、止める前に何故か先ほど泣いていた少女が両手を広げて割って入る。

 

「おにいちゃんをいじめるな!」

 

「はあ・・・?」

 

思わず状況が分からずに首を傾げながら腕を降ろす。

 

「お前兄ちゃんに虐められてたとかそういうのじゃねぇのか?」

 

「違う!」

 

代わりに聞いてみたが、否定されれば流石に分からないために首を傾げる。

 

「父ちゃんがいなくなったんだ。一緒に探してたんだけど、妹がもう歩けないって言ったからそれで・・・」

 

「迷子かよ。だったらはなっからそう言えよな」

 

「その前にお前が早とちりしたんだろ?」

 

「何自分は悪くないみたいに言ってんだよ!?お前もだろ!自分のことを棚に上げて言うな!」

 

実際にもっともであるし、同罪である。

 

「だって、だってぇ・・・」

 

さらに少女が愚図る。

 

「おい、コラ!泣くな!」

 

「あ、そこまで言うと―――」

 

今度は兄の方が妹を庇うように間に入って両腕を広げていた。

 

「妹を泣かせたな!」

 

「だから言おうとしたのに・・・」

 

「う、うるさい!あーーーもうめんどくせーーー! 一緒に探してやるから大人しくしやがれ!」

 

こうしてクリスと万丈による小さな兄妹の親探しが始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色とりどりの光が輝くその街中を歩く迷子の兄妹と迷子の兄妹の親を探すクリスと万丈。

万丈は妹の方を肩車しており、真ん中にクリス、左に迷子の兄、右に万丈と妹といったように並んで歩いている。この考えを言ったのは万丈であり、高いとこから見た方が見やすいという彼にしては珍しく頭を使ったような発想だった。

 

「~♪」

 

そんな中、クリスが鼻歌を歌っており、万丈に肩車されている少女はクリスを興味深そうな表情で見ていた。

 

「・・・なんだよ?」

 

視線が気づいてもなお向けてくるためにクリスは少女に聞く。

 

「おねえちゃん、歌好きなの?」

 

「歌なんて大っ嫌いだ」

 

「歌嫌いなやつが歩きながら唄うのかよ?少なくとも俺は好きだぞ」

 

純粋な瞳で聞いてきたからそう答えると、突然万丈が割ってきて言う。

 

「っ・・・ママがいつも歌ってたからそれを覚えちまっただけだ」

 

「お前の母ちゃん歌手とかだったのか?」

 

「そんな所だ。・・・バカやらかしたせいで死んじまったけどな」

 

「・・・悪い。聞くべきじゃなかった」

 

するとその言葉を最後に無言になる。

 

「あ、父ちゃん!」

 

「あ!」

 

どうやら迷子になった子供を父親も探していたようで、ちょうど交番から出てきたようだ。その父親に兄と妹は気づき、兄が先に駆け寄っていく。それを見ながら万丈は妹の方を降ろし、すぐに駆け寄っていく。

 

「優しそうなおにいちゃんとおねえちゃんが一緒にまいごになってくれたー」

 

「おい」

 

さらっと迷子扱いされてつい突っ込む。

方向音痴なのはあのドルオタぐらいだっての・・・と心の中で言いながら。

 

「違うだろ。一緒に父ちゃんを探してくれたんだ」

 

「すみません。ご迷惑をおかけしました」

 

兄が訂正して父親が頭を下げながら謝罪する。

 

「いや、なりゆきだからそんな・・・」

 

「困ってる子を助けるのは当然のことだからな」

 

父親の言葉に二人はそう答える。

 

「ほら、二人に礼は言ったのか?」

 

「「ありがとう」」

 

礼儀正しく兄妹が頭を下げてお礼を言う。父親がしっかりしている証拠だろうか。

 

「おう」

 

「仲良いんだな・・・そうだ、そんな風に仲良くするにはどうすればいいのか教えてくれよ」

 

万丈が小さく笑みを浮かべながら返し、クリスが尋ねていた。

すると妹が兄に抱き着き、代わりに兄が答えてくれる。

 

「そんなの分からないよ。いつも喧嘩しちゃうし」

 

「喧嘩しちゃうけど、仲直りするから仲良しー」

 

するとクリスが押し黙り、兄妹は手を振りながら、父親はもう一度軽く頭を下げ、歩いていく。

 

「じゃあねー!」

 

妹の方が振り向いたかと思うと笑顔を浮かべて別れの言葉を言う。そんな彼らに見えなくなるまで手を振って、見えなくなると降ろす。

 

あいつならあの笑顔を見れただけで満足だ―――とか言うんだろうなと万丈は思っていた。

 

「ああいうのはさ、理屈じゃねえんだよ」

 

「はっ・・・?なんだよそれ?」

 

そしてふと、言葉を口に出すと、クリスが分からないとでもいった表情になる。

 

「俺もさ、戦兎・・・まぁ俺の仲間なんだけどそいつとも俺は喧嘩したことやぶつかりあったことは何度もあるんだ。けどな、その度にお互いのことを知れて、喧嘩する前より信頼できるようになる・・・そして気づいたら相棒って言えるくらい信頼できるようになって・・・。あー・・・・・・なんて言えばいいか分かんねぇけど喧嘩してもちょっとしたことで仲直りして今まで仲良くなったりすることも出来るってわけだ」

 

「そういうもんなのか・・・?」

 

「そういったもんなんだよ」

 

「・・・馬鹿か?」

 

「馬鹿じゃねえよ筋肉つけろ筋肉を」

 

「そこじゃないだろ!」

 

何処か論点が違う万丈につい呆れた表情でクリスは突っ込んでしまう。

そしてクリスはそのまま本来向かおうとしたとこに向かおうとし、何故か万丈がついてくる。

 

「・・・一体いつまでついてくる気だよ?」

 

何故かついてくる万丈にクリスは振り向く。

 

「いいじゃねえか。自分の身は自分で守るからよ。お前のことが気になるんだ」

 

「な、な、な、なに言ってんだこの馬鹿!」

 

明らかな誤解を招く万丈の発言に顔を赤くして罵倒する。

 

「だから筋肉つけろ。それにこれは俺の勘だけどお前何かやりてえことあんだろ?なら協力させてくれよお前が間違ったことをする時は止めてやる」

 

「ッ・・・!そ、それでお前にメリットでもあるのかよ?」

 

「別にんなもんは考えてねえよ・・・ただそうだな、少なくとも近くに居たらお前を守ることだってできんだろ?」

 

「は、はあ!?自分にメリットもないのにそんなこと言うのかよ!?馬鹿なのか!?(いやでもこいつもあたしの油断を誘ってるだけで裏切るかも知れねえ・・・多分)」

 

メリットもないのにそんなことを言ってる万丈にクリスは内心驚きを隠せないが、それでも完全には信じられず見つめる。でも何かこいつは騙しそうな感じがしないし逆に騙されそうな感じが強いために裏切ると断定できない。

 

「そんな何度も馬鹿馬鹿言うんじゃねえよ!・・・俺はもう目の前で誰かを失うのは嫌だからな。それにあいつなら絶対こうするだろうし」

 

ふと万丈の顔に影が差す。それはどこか後悔したような、取り返しのつかないことをしたような表情だった。

 

「あいつ?(こいつ・・・何かあったのか?)」

 

その雰囲気が自分に似ていたためにクリスは何とも言えなくなる。

おそらくこいつも何か大事な人を亡くしたことがあるんだろう、といったことを思いながら。

 

「さっき言ってた戦兎だよ。あいつはさ、自分よりも他人のことを第一に考えて行動するんだ。自分のことが分からないって状況でもあいつは他人を優先してたんだ・・・馬鹿だろ?けど俺はそんなあいつを見て生まれて初めて嫉妬したよ。ああこいつには敵わないって」

 

その万丈の表情はまるで子供がヒーローに憧れるような憧憬の表情だった。

 

「・・・あーもう!仕方がねえ・・・勝手にしろ!」

 

その言葉を聞いてから苛立ちを隠すように髪を掻き毟ると、諦めたように言う。

 

「いいのか?」

 

「そんな話聞かされたらお前がどこまでもついてきそうってわかったからな。けど後悔しても知らないぞ」

 

「余程なことが起こらないと後悔しねえよ。少なくとも今逃げるよりは後悔しないだろうからな」

 

「・・・そうかよ」

 

真剣な表情で一切顔も逸らさずに言ってきた万丈にぶっきらぼうに答える。

 

「じゃあクリス。改めてよろしくな?」

 

そう言って万丈が手を差し出してくる。

 

「・・・よろしくってどういう意味だよ」

 

「違うのか?」

 

「どう解釈したらそうなるんだよ!いいか?あたしはまだお前を完全には信頼してねえからな!」

 

そう言ってクリスが歩いていく。その表情は何処か晴れやかで、嬉しそうであった。

 

(なんであたしはこいつならいいって思ったんだ?こいつとは初めてなはず・・・けど初めてじゃないような感じがするのはなんでだ?でもこいつになら期待しても―――いや何言ってるんだあたしは!?)

 

そしてそんなことを考えていたクリスは頭を振ってその考えを消す。

 

(ん?完全にはってことは少しは信頼してくれてるのか?だといいんだけどな)

 

珍しく鋭く、吞気なことをを考えながら万丈は先に歩くクリスに軽く走って追いついたら歩いてついていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――装着した適合者の身体機能を引き上げると同時に、体表面をバリアコーティングすることでノイズの侵食を阻止する防護機能。さらには別世界でまたがったノイズの在り方をインパクトによる固有振動にて調律。強制的にこちら側の世界の物理法則に固着させ、位相差障害を無効化する力こそシンフォギアの特性である。同時に、それが人の扱えるシンフォギアの限界でもあった・・・。

 

シンフォギアから解放されるエネルギーの負荷は容赦なく装者を蝕み、傷つけていく。

 

その最たるものが『()()』―――人とシンフォギアを構成する聖遺物とに隔たりがある限り、負荷の軽減はおよそ見込めるものではない、と。

 

それは了子自身が提唱した櫻井理論で既に結論付けられている。

 

―――唯一理を覆す可能性があるのならば、それは立花響。人と聖遺物の融合第一号。

 

天羽奏と風鳴翼のライブ形式を模した起動実験で、オーディエンスから引き出され、さらに引き上げられたフォニックゲインによりネフシュタンの起動は一応の成功を収めたのだが、立花響はそれに相当する()()()()()()()()()()()()()の起動にただ一人の力で成功する。

 

そしてそんな了子が使って置いたマグカップには紫色の蝶の絵柄が模されている。

 

―――人と聖遺物が一つのなることで更なるパラダイムシフトが引き起こされようとしているのは、疑うべくもないだろう。

人が負荷なく絶唱を口にし、聖遺物に秘められた力を自在に使いこなすことが出来るのであれば、それは遥けき過去に施されし、カストディアンの呪縛から解かれた証。

 

 

真なる言の葉で語り合い、ルル・アメルが自らの手で未来を築く時代の到来。

 

過去からの超越―――

 

 

 

 

 

 

その部屋は響の写真だらけであった。そしてそこには響とは別に二人の写真があり――

 

 

 

 

―――突如現れた聖遺物以外の方法でノイズと戦う者たち、ビルドとクローズ。この私でさえ知らない技術を使って本来触れることさえ出来ないノイズに触れて打ち倒し、まだまだ底が見えないシンフォギアに匹敵するほどの力を持つ『()()()()()()』とやらの存在。

 

そんなことを考えると了子が握った拳に力を込める。まるで思い通りにならないとでも言うかのように。

 

 

―――私の知る聖遺物ではない未知の力と物質。戦いなれてるかのような動き、完全なるイレギュラー。

それはまるで異世界からでもやってきた異界の戦士。

 

「こことは別の次元から来たか、それとも抑止力が働いたか、もしくは世界の()()か・・・」

 

どちらしてもあの男から聞いた限り不確定要素であることには変わりない。あのフルボトルというものを取ることができれば―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
戦兎くんが何があったのか、それは私にも分からない……でも未来さんには仮面ライダーであっても勝てないんやなって。
ようやくクローズとしてではなく、万丈龍我として関わらせることが出来たか…正体明かさずって難しいね。

けど一応ビルド知らない人のために特徴やら出来る限り表現してるけど上手く出来てるか分からんな…。
あ、投稿遅れてすみませんでしたァ!三日間くらい何にもやる気起こらなくてしかもガチで仕事忙しくなってたせいでリアルとゲームが忙しかったの…。
それに前書きで言った通り小説クソだなこいつ!って改めて認識してから別の方で練習してたし……。
ってかヒロインとして未来さんは上手くいってる(戦兎くんが助けてる)けど響は今のとこちょい微妙なんだよな…まぁそこはなんとかして貰うか…。

まぁそれよりも気づいた事あります。
シンフォギア本編で翼とのデートなんですけど戦兎くん出ないし関わること出来ないから一話まるまる飛びますねこれ(第9話だけ)30話以内に終わりそうだぜ!やったぜ!

あと、言い忘れてましたけどトライアルは全部出しません。だってトライアル60本だけで900フォームぐらい?あるんだよ?そこに他のも合わせたりハザード合わせたらマジで量がヤベーイ!だよ。オーズ普通に超えてるぞ?でもベストマッチは全部出したいところ…



……感想もっとくれてもいいのよ?モチベ増えて変身音決めたり展開決めてたりしてたし。結局感想は日によっては我慢できずに読んでるしな!!といっても返信は本編優先にしてるので出来上がりかけてたらって感じですけど。

ところで皆さんはゼロワンで誰が好きですか?
私?私は滅パパと不破さん…と思わせておいて昨日総集編でてきたチェケラ!チェケラ(ネタ的に)いいぞ!チ゛ェ゛ケ゛ラ゛は゛悪゛く゛な゛い゛!!!!



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第二十話 守り抜く約束


なんかめっちゃやる気溢れてるから投稿だぜ!
まぁこれからは自粛解除で小説書く時間がなくなっていくので投稿出来ないのもあるんですけど…1ヶ月に1度だけ出来ればいいかなあ?って感じになるかな

今回はやっとここまで来たぁ!って感じです

あと17話の響と393のとこ変更しました。
ビルドが助けた後、響が名前呼んだとこですね。いやそこはまだ名前呼んじゃ不味いやん…って思ったので…はい










戦兎「結局前回あらすじ出来なかったじゃねぇか!」

万丈「いやだって、お前がいないからだろ?風鳴のおっさん以外に何があったんだよ」

戦兎「・・・すまん、聞かないでくれ。ただでさえ風鳴さんのは思い出したくもない・・・!!なんだよあの人?完全に化け物じゃねぇか!エボルトかよ・・・!」

万丈「お、おう悪い・・・大変だったんだな・・・」

戦兎「やめろ、同情するような目で見るな!ってか万丈以外みんな休みか?」

万丈「あー・・・なんだか今日予定があるとかみんな言ってたな」

戦兎「そうか・・・しっかし全員休みなのはちょっと気になるな。学校ってわけでもないだろうし」

万丈「確かにそうだよな・・・みんなで出掛けてんのか?」

戦兎「さあ・・・ま、けどたまには女の子同士で話したいこととかもあるだろうしいいか、それよりもあらすじを―――」

万丈「おい、戦兎何か書いてんぞ?」

戦兎「ん?えっ?今日はここまで?まだあらすじしてないぞ!?」

万丈「ただ話してただけじゃねぇか!どうすんだよ!?」

戦兎「俺に聞かれても困るんだが!?あー!もう!とりあえず俺が・・・」

万丈「あ、今回戦兎活躍しねぇからな?俺がすっごく活躍する第二十話見てくれ!」

戦兎「はぁ!?い、いやいや!20だぞ?平成ライダーの数も一緒だろ!?20話なのに主役である俺が活躍ないのはおか―――」




 

 

 

 

 

「完ッ成だ!この武器の名はクローズソングブラスター!採取したデータで歌の力を武器で再現し、ノイズにもより有効的に戦えるように改造した変形可能な武器!武器の色は赤と青になったが・・・なんでしたか分からないけどいいか。さて、さすがに寝よう・・・」

 

「にゃぁ・・・」

 

「お前も眠いのか?なら夜中だし一緒に寝るか」

 

そう言って一人の天才は新兵器を作り上げた後、ベッドで眠りにつく。

傍にあるノイズフルボトルと黒色と灰色が混じったエンプティフルボトル、全ての成分が失ったせいで光が失われたジーニアスフルボトルが()()()()()()()()()ことには気づかずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――確かにこちらからの依頼ではあるけれど、仕事が杜撰すぎると言っているの』

 

かつての時と同じ豪邸と同じ場所で金髪の女性、フィーネが電話相手に英語でそう言う。

 

『足がつけばこちらの身動きが取れなくなるわ。まさか、それもあなたたちの思惑というなら・・・』

 

『神ならざる者がすべてに干渉するなど不可能。お前自身が一番わかっているのではないか』

 

電話からそのような返事が返ってくると、大部屋のドアが勢いよく開かれた。

 

「アタシが用済みってなんだよ!?もう要らないってことかよ!? アンタもあたしのことを物のように扱うのかよ!?」

 

それはクリスだった。しかし、フィーネはそんなクリスを冷めたような目で見つめるだけで何も言わなかった。

 

「頭ん中グチャグチャだ!何が正しくて何が間違ってるのかわかんねーんだよ!!」

 

フィーネは少しのため息と共に受話器を電話に置くことで通話を切る。

 

「・・・どうして誰も、私の思い通りに動いてくれないのかしら」

 

その言葉とともに振り向くのと同時にソロモンの杖を向けて、ノイズを召喚する。

その行為にクリスは狼狽しながらイチイバルのペンダントを手に取るが、聖詠を歌わない。

 

「さすがに潮時かしら?」

 

「え・・・」

 

「そうね。貴女のやり方じゃ、争いを無くす事なんて出来やしないわ。せいぜい一つ潰して、新たな火種を二つ三つにばら撒く事くらいかしら?」

 

「あんたが言ったんじゃないか・・・!痛みもギアもあんたがくれたものだけが―――」

 

クリスは泣きそうな声になりながら言う。

 

「私が与えたシンフォギアを纏いながらも、屁ほどの役にも立たないなんて。そろそろ幕を引きましょうか」

 

それはクリスを、クリスの全てを否定する言葉だ。

そして次の瞬間、横の扉が破壊される。

 

「テメェええぇえぇ!」

 

その姿はクリスに少しの間待っているように言われていた万丈であり、嫌な予感と声が聞こえてたために怒って出てきたようだ。

だがその姿は仮面ライダーの装甲を纏っていなく、彼はノイズを避けるように掻い潜りながらドラゴンフルボトルをポケットからこっそり振って握りながら突撃していく。

 

「お前・・・!?バカ!」

 

「オラァアアアアァァアアアァ!」

 

クリスが突撃していく万丈に驚きつつも、既にフィーネの目の前に居るために止められず、万丈はそのままさらにフルボトルを活性化、フィーネに殴りにかかる。

その拳は既に人間が出せるようなものではない。だが、彼はその拳をやめずに叩きつけようとする。

---しかし、その拳はフィーネには届くことはなかった。

彼の拳が止められたのはフィーネが貼ったであろう障壁だ。

 

「くっ・・・まだだァ!!」

 

諦めずにもう片方の腕で叩きつけようとする。

 

「ただの人間がその程度で私の前に来るとはな・・・私の敵ではない」

 

「ガハッ・・・!?」

 

だが、万丈が叩きつける前に彼はフィーネによって蹴り飛ばされる。

蹴り飛ばされて上空に飛ばされた彼はクリスの目の前で落下し倒れる。

 

「がっ・・・!くそっ・・・!」

 

「おい・・・!」

 

クリスが慌てて万丈の元に駆け寄る。

何故なら彼を蹴り飛ばしたのは黄金の鎧をいつの間にか纏っていたフィーネだったからだ。

 

「私も、この鎧も不滅。未来は無限に続いていくのよ」

 

彼女が纏っているのはクリスが纏っていたものと細部は違うが、間違いなく同一の物、完全聖遺物『ネフシュタンの鎧』であった。

 

「『カ・ディンギル』は完成しているも同然・・・。あなたの力に固執する理由はないわ」

 

「カ・ディンギル・・・?そいつは・・・?」

 

クリスでも聞き慣れない言葉で知らないものだ。

 

「あなたたちは知り過ぎてしまったわ・・・」

 

「ぐっ・・・!おい逃げるぞ!」

 

「えっ・・・!?」

 

フィーネがソロモンの杖を向けてくるが、それに嫌な予感を感じ取った万丈が先に行動に移す。

蹴り飛ばされたとはいえ完全聖遺物を纏った攻撃を生身で受けたのだ。痛みに堪えながらクリスを抱えて急いで外へと向かう。

 

「うぉおお!?」

 

そこにノイズがすかさず攻撃。

粉塵が巻き起こり、壁が粉砕されるが二人はなんとか外に出る。

その際にクリスはフィーネの嘲笑うかのような顔を見て、とうとう自分が見捨てられたことを悟ってしまう。

 

「ちくしょう・・・!」

 

「うおっ!あぶねぇ・・・!」

 

 

さらにノイズが攻撃をしかけてくるが、持ち前の身体能力を生かしてクリスを抱えながら回避。

 

「ちくしょぉぉぉぉぉおおおお!!」

 

太陽が昇ってくる頃合いなのかに朝焼けに染まる空、そこに一人の少女の叫び声が響くのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ・・・!あいつは大丈夫なのか・・・!?」

 

一人の少女が赤い鎧を纏いながら路地裏に入ってノイズから逃げていた。

その少女は雪音クリス。彼女が言っていたあいつと言うのは万丈龍我のことである。

何故心配してたのかと言うと、それは数時間前のことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィーネが呼び出したノイズから逃げていた時

 

「おいクリス!しっかりしろ!」

 

「っ・・・お前なんで・・・」

 

ノイズから未だに当たらないように逃げながら万丈がクリスに声をかけ、クリスは弱弱しい声で万丈を見つめる。

 

「あぁ?言っとくが、大人だなんてことは関係ねぇぞ。お前を守りたいから助けただけだ!それよりもいいか?今から俺が囮になる。このままじゃ、俺もお前も両方死ぬだけだ。だから俺がノイズを引き付けたら逃げろ!いいな!?」

 

「なっ・・・そんなことしたらお前は・・・!」

 

「心配しなくとも俺は絶対に戻ってきてやる!だから今は俺を信用してくれるなら信用して逃げろ!うぉっ!」

 

後ろを向くと慌てて突っ込んできたノイズに気づいたために横に飛んで逃げ、木に隠れるようにするとクリスを降ろす。

 

「分かったな!?絶対生きるのを諦めるなよ?俺も罪を背負ったことなんてある。けど人は生きてるならやりなおすことは出来るんだ!俺もこいつらを巻いたらすぐ行く!約束だ。俺は約束は破らねぇ!」

 

そう言ってから万丈はより大きな声を出し、木の棒などを当たらないのを理解しながらノイズに投げて引き付けていく。

 

「・・・くそっ!」

 

手を伸ばすが、クリスはさっき万丈に言われたことを思い出し、彼を、万丈龍我を信用してクリスは逃げていくのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

「っ・・・(あぁ、そうだ。あいつはバカで、それもとんでもなくバカだから他の大人とは違うんだ・・・。短い間だったけど隠し事はあってもそれはあたしも同じで、けどあいつは利用するどころかあたしを守るために犠牲になって、それに本音でぶつかってくれて、あんな感じで話すのは久々だった・・・。それに何度も守ると、止めようとしてくれたクローズに同じような気がして・・・あいつ(クローズ)とは戦闘を交えたから分かるんだ。こいつは大丈夫だって・・・なら同じ感じがするあいつも約束してくれたんだ。少しは信用しても―――)」

 

そしてノイズを倒し終えたクリスは、消えていく意識の中、約束をして囮になったこの場には居ないはずの男性の姿がうっすらと視界に入りながら意識が途切れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の天気はどんよりとした暗雲が空を覆い、シトシトと冷たい雨が降っていた。

傘を差して学生服で歩く少女――小日向未来はまるで自分の今の気分のようにどんよりとした天気だ、と思いながらとぼとぼと商店街の中を歩く。

天気のせいか、それとも登校には早い早朝の時間帯であるがためか、商店街には彼女以外の一通りはない。

先日、親友であり、幼馴染の立花響の秘密を知ってしまった彼女は、いまだにその現実を受け入れられずに親友とのぎすぎすした関係に悩まされていた。

響がノイズと戦っているということを自分に秘密にしていた。

その理由も機密が絡んでいたり、自分を危険に巻き込まないため、ということは十分にわかっている。

けどそれでもそれだけでは心配ではあるし割り切れないのが感情というモノだろう。

戦兎さんが言っていた応援してあげてという言葉もノイズとの戦いとなれば応援するというのは難しいと、そう思う。

憂鬱な気持ちでため息とともに俯いていた未来はふと、うっすらと聞こえる男性の声と視界の端、雨水が下水道に流れていく光景、しかしそれは墨か炭で黒く濁っているのを見て目を止め、何気なく流れてくる視線を追ってみてみると、路地裏に見たことのある男性が心配したように声を掛けてる姿と一人の少女が倒れてる姿が視界に入った。

 

「ッ・・・!龍我さん!」

 

理解した未来は慌てて駆け寄る。そして近づいたためか、見えたのは自分と年の変わらない、長い白髪を二つに束ねた少女だった。

見たところ大きなケガをしている様子はないが苦悶に歪む表情で瞼は固く閉じられている。

 

「ん?未来か!ちょうどよかった!誰か家を借りられる知り合いが近くに居ないか?高熱で倒れてんだ・・・!」

 

万丈が言った通り呼吸は荒く、触れてみると体は熱を帯びていてかなりの高熱らしい。

 

「そ、それならふらわーのおばちゃんのところが・・・」

 

「わかった!なら俺がこいつを運ぶから出来れば許可貰ってきてくれ・・・!」

 

「わ、分かりました!」

 

万丈がクリスを抱えるところを見ながら未来は近いとはいえ、走って向って行く。自分と年の変わらない少女で知り合いではなくとも倒れていて苦しそうにしていたからだ。

 

そして万丈は急いで、それでも衝撃を与えないようにゆっくりと未来を追って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ・・・くっ・・・ハッ!?」

 

意識が戻ったのか、飛び起きるクリス。

彼女の目に最初に入ったのは知らない部屋だということだった。

 

「よかった、目が覚めたのね」

 

そして一人の少女が呟くと、クリスは初めてこの部屋に誰かいることに気づいて見ると、自分と同年代くらいの少女がいることに気付く。

 

「びしょ濡れだったから着替えさせてもらったわ」

 

その言葉を聞いてクリスが視線を自分の服に向けると、誰かの体操服を着ていた。

クリスが体操服の存在を知ってるのかどうかは知らないが。

 

「なっ!?勝手なことを!」

 

だがクリスは知らない間に勝手にされたことに気が付けば声を上げて立ち上がる。

 

「あっ・・・」

 

立ち上がった際に、目の前の少女が顔を赤めてることに気付き、その反応に疑問に思ったクリスは自分が着てる服が上半身だけってことに気付いた。

 

「な、なんでだ!?」

 

「さ、さすがに下着の替えまでは持ってなかったから・・・」

 

慌てて布団にくるまってクリスが体を隠す。

 

(そういえば・・・あの時うっすらと見えたあいつは?あたしの気のせいだったか?)

 

「未来ちゃん」

 

クリスがそんなことを考えてる合間に新たな中年の女性が介入してきた。自分の名前ではないからして目の前の少女のことだろう、と推測する。

後ろには手伝っているのか洗濯籠を持っている万丈の姿もあり、思わずクリスは声を出しかけるが閉じる。

 

「どう? お友達の具合は?」

 

「目が覚めたところです。ありがとう、おばちゃん。布団まで貸してもらっちゃって・・・」

 

「気にしないでいいんだよ。あ、お洋服洗濯しておいたから」

 

「あ、私手伝います。龍我さんは後をお願いしていいですか?」

 

「おう」

 

「あら、悪いわね」

 

「いえ」

 

クリスが知らない間に話が進んで服を干しに行く二人と入れ違いになるように万丈がクリスに近づく。

 

「よお、元気そうだな?」

 

「お前どうやって・・・!?それにここはどこなんだよ・・・!?」

 

「落ち着けって。ここは未来の行きつけのお好み焼き屋のおばちゃんの家。いやぁ高熱で倒れてたから驚いたぜ?俺が無事なのはあの後仮面のやつに助けられてな」

 

実際にはノイズを倒したのは自分自身なのだが、隠しているために嘘を付くことに少し申し訳なさそうに心の中で思いつつも順に説明していく。

 

「それよりも体調はどうなんだよ?」

 

「あたしよりお前は大丈夫なのかよ、あたしを守るためにノイズの攻撃の爆風やフィーネに蹴られてただろ?」

 

「鍛えてるから問題ねえよ。まあお互い無事でよかったってことだな」

 

「そう・・・だな」

 

「お?」

 

「な、なんだよ?」

 

「いや、少しは信頼してくれるようになったのかと思ってな」

 

「・・・何・・・」

 

「ゆっくりでも構わねえよ。けどちゃんと約束は守っただろ?」

 

「・・・あぁ」

 

事実、万丈はここにいる。それは事実であるためクリスは何処か安心していた。

すると、しばらく無言になると干し終えたのか未来がこちらに戻ってきた。桶とタオルを持ってきて。

 

「じゃあ、体拭こうか」

 

「拭く?」

 

「汚れちゃってるでしょ?ほら、龍我さんは男の人なんだから出ていって」

 

「ちょ、分かってるから押すなって」

 

言われて出ようとしていたのだが、未来に押されて出ていかされると、襖を閉められる。

 

「あ・・・ありがとう」

 

「うん」

 

そう言って何処かぎこちなくお礼を言うクリスと、体を拭いていく未来。

 

「なんにも、聞かないんだな」

 

「うん」

 

クリスが言ったのは背中のことで、彼女の背中にはいくつもの痣があった。

 

「私は、そういうの苦手みたい。今までの関係を壊したくなくて……。なのに一番大切なものを壊してしまった」

 

「それって、誰かと喧嘩したってことなのか?」

 

「・・・・・・うん」

 

「喧嘩か・・・あたしにはよくわからないことだな」

 

「俺は色々あったな」

 

そう言って入ってきたのは万丈であり、クリスが赤いドレスを着た後に入ってきた。

 

「そうなのか?」

 

「あぁ、お前は全然そういうのなかったのかよ?今よくわからないことって言ってたし」

 

「・・・友達はいないんだ」

 

「えっ・・・?」

 

聞いていた未来が茫然と声を出す。

 

「地球の裏側でパパとママを殺されたあたしは、ずっと一人で生きてきたからな。友達どころじゃなかった」

 

それは、クリスにとって忘れることはない記憶で、忘れもしない日だ。

 

「そんな・・・」

 

「たった一人、理解してくれると思った人も、あたしを道具のように扱うばかりだった。誰もまともに相手してくれなかったのさ」

 

クリスは憎々し気にあの頃を思い出す。それは過去の記憶、まだ幼かった頃の時だ。

 

「大人は、どいつもこいつもクズ揃いだ。痛いって言っても聞いてくれなかった、やめてと言っても聞いてくれなかった。あたしの話なんて、これっぽっちも聞いてくれなかった・・・」

 

泣き喚けば叩かれ、泣くことも許されずに。

それはクリスだけではなく、他に一緒に居た子供たちも同じでそこに居た人たちにとってそれは、地獄でしかなかった。

 

「それは、戦争・・・が原因か?」

 

「あぁ、なんだ?同情のつもりなら必要ないからな?」

 

「そうじゃねえよ。俺も巻き込まれて色んな奴が死んでいくところとか見たことあるからな」

 

それも、大切な人が腕の中で死んだり、仲間になったやつや最後まで戦ってくれた仲間、そして国民。何人もの人が死んでいく光景を、見たことがあった。

そんな明らかに経験して、嘘を言っている様子もないためにクリスは何も言えずに軽く舌打ちをすることしかできなかった。

未来はその話を聞いて思わず目を伏せてしまう。自分にはそこまで重たいと言えるほどの過去がないから。

 

「・・・なあ」

 

その空気を変えるためか、ふとクリスが口を開いた。

 

「お前そのケンカの相手ぶっとばしちまいな」

 

「え?」

 

「どっちがつええのかはっきりさせたら、そこで終了。とっとと仲直り。そうだろ?」

 

「ずいぶん大雑把だな」

 

「うるせーよ」

 

「悪い悪い。まぁけどある意味間違えてねぇな。話すだけで和解出来ないこともあるもんだ」

 

突っ込んだからか、笑顔から口を尖したクリスに万丈は謝りつつ肯定する。

実際彼も話し合いだけでは終われなく、ぶつかりあったことも何度もあるからだ。今は相棒とも呼べる関係になった彼と。

だからか、その万丈の言葉にはしっかりとした重みがあった。

 

「・・・出来ないよ、そんなこと」

 

しかし、未来は顔を曇らせながら再び俯く。

 

「ふん、わっかんねーな」

 

「でも、ありがとう」

 

「ああ?あたしは何もしてないぞ?」

 

未来の言葉が理解できずに少し驚きながら未来の方を向く。

未来は首を軽く横に振って畳んでいた体操服を隣に置くと立ち上がる。

 

「ううん、本当に、ありがとう。気遣ってくれて。あ、えーっと・・・」

 

名前を呼ぼうとし、名前を聞いてなかったためにと戸惑ってしまう。

 

「・・・クリス。雪音クリスだ。」

 

「優しいんだね、クリスは」

 

「っ!・・・そうか」

 

一瞬未来の言葉に驚いた表情をすると、クリスは背を向ける。

 

「照れてんのか?」

 

「お、お前は黙ってろ!」

 

「分かったよ」

 

そこに万丈が茶々を入れ、クリスが怒鳴るが、未来はその光景にくすっと小さく笑う。

 

「私は小日向未来。もしもクリスがいいなら・・・」

 

近くに寄った未来がクリスの手を取る。

 

「私はクリスの友達になりたい」

 

「・・・・・・」

 

その未来の言葉に振り向いて見返す。

だが、クリスはすぐに手を振り切って離れて出ていこうとするが、ふと立ち止まって口を開く。

 

「あたしは・・・お前たちに酷いことをしたんだぞ?」

 

「え?」

 

その意味が理解できなかったようで、未来が首を傾げる。

 

 

そして口を開こうとし、その時けたたましく警報が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん・・・?あぁ、いつの間にかこんな時間まで寝てたのか。三徹するとどうしても寝てしまうな・・・」

 

目を覚ました戦兎は、軽く頭を振って意識を取り戻す。

そして研究用兼生活用の部屋を見ると、何かを作成しようとしてるのか設計図と完成された武器、未知のボトル二つとジーニアスボトルがあった。他には実験用具らしきものがバラバラに置かれてる。

 

「まぁ武器は完成したからな。ってか万丈のやつまだ帰ってきてないのかよ?何してるんだか・・・」

 

頭を軽く掻くと、自分の部屋ではなく階段の近くにあるベッドから起き上がって戻るとビルドフォンを掴む。

 

「ノイズ・・・か。まったく、寝起きに来るのはやめなさいよ」

 

すっかり慣れた反応にため息を一つ溢し、犠牲者を少しでも減らすためにも戦兎はいつものコートとタカとガトリングのフルボトルを予め出して、走りながらビルドドライバーを腰に装着、そのまま家を出たのと共にホークガトリングに変身して現場へ向って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万丈やクリスたちが店から出ると、外は逃げ惑う人々が大勢いた。泣きながら手を引かれてる少女、恐怖に怯えながらも少しでも逃げようとしている人々でいっぱいだ。

 

「おい、一体なんの騒ぎだ?」

 

「何ってノイズが現れたのよ」

 

「警戒警報知らないの?」

 

「っ・・・!?」

 

フィーネのところに居て、普段はこのような場所に居ないためにクリスは初めて知ることを未来に聞くと、そう返された。

 

「おばちゃん、急ごう」

 

「あぁ・・・」

 

「くっ・・・!」

 

未来がおばちゃんに話しかけてる間に何かを考えてたクリスは、突然人が逃げてる方向へと逆の方へと走っていく。

 

「あっ!クリス!?」

 

それに気づいた未来はクリスの名を呼び、

 

「悪い!未来、おばちゃんを頼んだ!クリスは俺がなんとかする!」

 

「えっ!?龍我さん!?」

 

万丈も人の波に逆らうようにして、急いでクリスを追いかける。

 

(バカだ・・・!あたしってば、何やらかしてんだ!)

 

クリスは走っていると、気づけば人がすっかり居なくなった商店街の外に来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア・・・ハア・・・!」

 

走ってきたからか、膝に手をついて僅かに咳込みながら息を整える。

 

「あたしのせいで関係のない奴らまで・・・うわあああああああああっ!」

 

それが無性に申し訳なくて、悔しくて、許せなかったクリスは空に向かって叫んでしまう。その際に涙が零れ、地面を濡らしてしまうが、気にも留めずに膝を突いて空を見上げる。その間にも涙を流していた。

 

「あたしのしたかったことはこんな事じゃない!けど、いつだってあたしがやることは・・・!いつもいつもいつも・・・!うっ・・・うぅっ・・・!」

 

蹲りながら泣くクリス。だがその間に後ろにはかなりの量のノイズが向ってきていた。

 

「あたしはここだ。だから・・・関係ない奴らのところになんて行くんじゃねえっ!」

 

気づいたクリスは涙を浮かべながら、立ちが上がって振り向く。

その瞬間、ノイズが襲ってくる。

 

「―――Killter---げほっ、ごほっ・・・!」

 

襲ってくるノイズを避けながら聖唱を唱えようとするが、息が整ってないからかむせてしまって唱えることが出来なくなってしまう。

そして上空からノイズが襲ってきて―――

 

「あぶねぇ!」

 

突如現れたクローズがクリスを抱きしめて横に飛ぶことで回避する。

 

「ぐっ・・・大丈夫か!?」

 

「お前なんで・・・!?」

 

クリスが驚いたように声を出すが、回避したクローズは即座に立ち上がってビートクローザーを片手に前に出ることで守る態勢に入る。

 

「約束しただろ?守ってやるって。それとな、クリス。お前がやってきたこと全てが間違った行動じゃねぇ!戦争を無くしたいから今までやってきたんだろ!?確かに方法は間違ってた!けどこれからやり直せばいいじゃねぇか!人間だから間違えることは何度もある。その度に間違いに気付いて、やり直せばいいんだ!」

 

クローズが向ってくるノイズをビートクローザーで斬りながら下手に動けないからか、避けるわけには行かないノイズの攻撃を受けながら叫ぶ。

 

「ぐっ・・・!お前が今まで戦争を無くしたい、止めたいって思って必死に戦ってきたのは、他の誰かじゃなくてお前がそう思ったからなんだろ!?」

 

ビートクローザーを一体のノイズに投げつけ、両手に蒼炎を纏ってノイズの数を減らしていく。

 

「それが原因で悔しがるのは悪いことじゃねぇ!後悔してるってならこれから生きて、償えばいい!償うために誰かを守ればいい!少なくともそれが出来るのは―――」

 

右拳を突き出して襲ってきたノイズが炭化するが、さらにまだまだいるのか向かってくる。だがクローズは両腕で抑え込んで前方に行くことによって後ろに行かせない。

 

「雪音クリスだけだろうがッ!!」

 

「・・・あたしだけ・・・。そうだ、あたしはここで死ぬわけには行かねぇんだ!」

 

「――― Killter Ichival tron (銃爪にかけた指で夢をなぞる)――――」

 

後ろから聞こえた声に仮面の下で笑うクローズ。

そして聖詠を唱えたクリスは赤いシンフォギア、イチイバルを纏ってクローズが抑え込んでいたノイズを纏めて撃って炭化させる。

 

「行けるみたいだな?」

 

「あぁ・・・その、悪かったな」

 

「おう」

 

クリスの元に戻ったクローズが聞き、それに小さな声でクリスが謝罪する。それに頷きで返したクローズとクリスは前方を見つめる。そこにはまだたくさんのノイズが居た。

 

「ここはまだ逃げ遅れてるいるかも知れねぇ・・・場所変えるぞ!」

 

「分かってる!ついてこいクズども!」

 

ボウガンをガトリングへと変え、クリスが飛んで空中で構える。その際に何体かのノイズがクリスへ突撃していくが、

 

スペシャルチューン!ヒッパレー!ヒッパレー!

 

ミリオンスラッシュ!

 

「させねぇ!」

 

先ほど投げたビートクローザーを呼び出すとフルボトルを挿入、そのままグリップエンドを二回引っ張ってトリガーを押すとビートクローザーの刀身から鎖状のエネルギーを放出し、クリスに向かっていたノイズを纏めてを捕縛。

 

 

BILLION MAIDEN

 

ミサイルとガトリングからの一斉射撃でクローズが捕縛してたノイズたちを倒し、さらに下に居るノイズまでも炭化させていく。

そして地面に着地すると、ノイズをまとめて引き付けて河川敷のような場所に降りるクリスとクローズ。

そのままノイズが来てるのを見ると、クローズがビートクローザーを片手に突撃して前方にいるやつや届く範囲のノイズを斬っていき、クリスがクローズに襲い掛かる死角からの攻撃を阻止するために撃ち落としていく。

 

「チッ!セールでもやってんのかよ!」

 

後ろでクリスが唄いながら悪態を吐く声が聞こえるが、実際にさっきから減っているように見えないのだから仕方がないだろう。

クローズに出来ることはひたすら斬ることだけだが、その量は一人ならば数の暴力で押されてたであろう数だ。

そのため、敵を倒しても倒しても増えていく一方で手が付けれずに打開策を探る。

 

(そういや・・・)

 

そしてふと、クローズが思い出す。自分の相棒が新作の武器を創っていたことを。

 

(あいつのことだから終えてるはず・・・ならこの戦況を打開するには必要か?)

 

「おい、横だ!」

 

「あ?うおぉぉ!?」

 

横から聞こえてきた声に反応すると、ガードするが相手は巨人型のノイズだったようで、その威力にクリスの近くまで吹き飛ばされて()()()を落としてしまう。

 

「おい・・・なんだこれ?落ちたぞ?」

 

ノイズを撃ちながらクリスが寄ると、声を掛ける前に落とした物を拾う。

 

「いてて・・・あ、落ちちまったか」

 

軽くパンパンと叩くとクローズが立ち上がり、クリスが手に持ったものに反応する。

 

「それはエンプティボトル・・・だっけか。基本的には特に何もないやつだ」

 

「そうか。なら――ッ!?」

 

 

クリスがクローズに返すために立ち上がるときにエンプティフルボトルを胸元に近づいた瞬間だった。

 

突如として、エンプティフルボトルが人際強い輝きを見せて周囲を光が覆う。

光がなくなると、クリスの手にあったフルボトルは白の何もないフルボトルから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

違う点と言えば、あの時(エグゼイド)とは別で、クリスの力が奪われることもなかったところだろうか。

 

「な、なんだよこれ・・・?」

 

「い、いや俺も――うお!?」

 

『キュー!キュルルルッ!』

 

困惑した様子で二人はそのフルボトルを見るが、突如としてクローズドラゴンが鳴きながらベルトから出てき、ドラゴンフルボトルを排出する。

何処か早くそれを使え、と言ってるように見える。

 

「ッ!考えても仕方がねぇ!クリスそれをくれ!」

 

「あー!何がなんだかわかんねぇけど早くしてくれ!」

 

ノイズがだんだんと近づいてきてることに気付いたクリスは理解できないままクローズへフルボトルを投げ渡す。

 

「よし・・・行けるな?ドラゴン」

 

『キュルルッ!キューキュ!』

 

返事するかのように鳴くと、受け取ったフルボトルをクローズは何度か振り、成分が活性化したかと思うとクローズドラゴンにフルボトルを挿入する。

 

イチイバルッ!

 

「はぁ!?イチイバル!?」

 

『キュイー!』

 

クリスが驚いたように声を出すが、クローズは気にしない。

そしてクローズドラゴンが再び鳴いた瞬間、クローズドラゴンが()()()()の、いやそれ以上に烈火のように真っ赤に染まり、フルボトルと同じ色になる。

すると、クローズは起動ボタンである『ドラゴンソングスターター』を押す。

 

熱唱邀撃ィ!

 

起動音声が歌のようなBGMと一緒に鳴れば、クローズは真っ赤に染まったクローズドラゴンをビルドドライバーに装填する。

 

CROSS-Z SHINGER!

 

音声が流れた瞬間、クローズはボルテックレバーを回す。回していくとだんだんとスナップライドビルダーから四方を囲むようして新たな真っ赤に染まった前後に二つのアーマーと左にクリスのイチイバルと同じような物質で出来ている半分になっている真っ赤な『ドラゴライブレイザー』と右にも同じ半分となっているドラゴライブレイザーを形成する。

 

Are You Ready?

 

覚悟はいいか?

何度も聞いたその問いかけはまさに今的確な質問だった。未知の、今まで見たこともないフルボトルや変化、それを目の前にして覚悟は、準備はいいのかと。

だがクローズはこの変身が悪い方向へと行くとは不思議と思えなかった。むしろこの戦況を変えるための力になってくれるのではないかと、だからこのような変身を前にしても、彼は不安にならずに叫ぶ。

 

「変身ッ!」

 

そして先にスナップライドビルダーが前後のアーマーを重ね、重なると同時に青い装甲は消失し、赤いアーマーを着たビルドのようになり、そこから両隣のスナップライドビルダーが後ろへ移行し、覆うように同時に重なる。

 

REMEMBER A SONG AND SING ENTHUSIASTICALLY CROSS-SHINGER!ズドォン!バゴン!ドゴォオオォオォォォォオン!

 

現れたのは通常のクローズに似ているが、複眼がまるで銃のように尖っており、ドラゴンの鱗のような複眼になっている。右腕には赤色の稲妻のようなクレストのマークが描かれていて、ドラゴライブレイザーは心を現すかのように情熱な真っ赤な色になっていた。

赤い龍のような装甲を纏った戦士、その名は『仮面ライダークローズシンガー』だ。

 

「すげぇ・・・なんだよこれ!?力が溢れるッ!ボルテージが高まるッ!今の俺は、誰にも止めれねぇ!!」

 

新世界にて、クローズが新しい未知の形態へと進化を遂げた瞬間であった。

 

 

 





前書き書いてて思ったこと…20話やん!でも主役である戦兎活躍しないやん!草
万丈が落としに行ってるからね仕方ないね

まぁということで出ました、俺のマグマが…!とは別の言葉(※最後のセリフはビルド本編にはありません)とクローズのオリジナルフォーム。
正直没案結構ありましたね…平成の中でもビルド寄りの音声は難しすぎるッピ!ゴースト、ビルドは難しいイメージですねぇ…。
武器はまぁまだ出てないけどガンダムに出てくる銃とイメージしていただければわかりやすいかな…?
解説は…いつもやってたけど別にいらんか、みんな分かるでしょ多分
居るなら感想で聞いてくる人居るだろうし…(意味あってるかは分から)
ないです

それと気づけばアンケートがヒロイン増やすなら一人になってるけどちょっと予想外だな、2人が勝つかと思ってた まだ置いとくけど!
あともう少し置いてから一応参考程度には誰にヒロイン投票出すけどさ、予想出来ないね

ところで、なのはイベントがシンフォギアで始まるらしく、私は久しぶりに全力でやるかと思います、だってフェイトちゃん出るし…()


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第二十一話 陽だまりに翳りなく


待たせたな!(某伝説の傭兵)
待ってくださった方、お待たせしました…!今回は本当にすみません!というかガチで理由がありましてね、簡単に説明させて頂きますと私は基本的に戦闘はアニメ見て小説書くのですが、今までア○プラのプライムで見てたんですけどシンフォギア消えていました。

当時の状況を文字で表すと

「よし、次の話書くか!ハーメルン、ログインっと…」

「次はアマ○ラでシンフォギア…っと。あれ?見れない?もしかして…期限切れてる!?あっ(オワタ)」

って感じでした。ならdアニメス○アに入れって思うかもですけどその時見事課金と趣味で全額使い切ってですね…給料日まで待機して、そして入ってからようやくこれを書けたわけです。
いや本当に申し訳ありません…。
ついでに余談ですけどラストの音声明らか語彙力がない!俺の語彙力は万丈だった…?なんかこう、音声って難しいね…
それじゃあ今回は簡易なあらすじのみになりますけど本編どうぞ!

※アンケートありがとうございました。サブヒロインについては一人になりましたが、誰にするかはもしかしたらアンケート取るかも知れません。そして二期でビルド風の予告がいるかどうかのアンケートも取らせて頂きます。
あともう少しで評価多分赤…頑張ろう










戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者である桐生戦兎はクローズの新しい武器を開発して・・・って違うでしょうが!今回ばかりは読者様を待たせてるんだから重要なあらすじにしなさいよ!」

万丈「あ、わりぃ、こっちだった」

戦兎「全く・・・えーと仮面ライダークローズである万丈龍我は、クリスとともに行動し、クリスが今まで過ごしていた隠れ家に行くことになった。その際に真実を知り、クリスを守るために一度ノイズの囮になる」

未来「僅かにクリスは信用をするようにし、ふらわーのおばちゃんの家で寝かせたあと、目が覚めたクリスからその過去を知る私と龍我さん。そこで突然警報が鳴り響き、クリスは人々が逃げてる方とは逆の方向に、龍我さんはクリスを追っていくのでした」

万丈「クリスを追った後にノイズと交戦する二人だったが、あまりにものノイズの量に少し苦戦させられてしまう。そして偶然落ちたエンプティフルボトルをクリスが拾った時、新しいフルボトルとクローズドラゴンに変わり、未知の形態へと変身するのだった!じゃあ、このまま俺が大活躍する21話を---」

戦兎「21話をどうぞー」

万丈「言われた!?」







戦兎「そういえばいつの間に来てたんだ?気配もなく居たし全く気づかなかったぞ?」

未来「秘密です」

戦兎「お、おう・・・」








「すげぇ・・・なんだよこれ?力が溢れるッ!今の俺は負ける気がしねぇ!」

 

掌ををパンッと打ち付えて構える。

すると、ノイズが襲い掛かってくるがクローズはそれを横に避け、振り向きざまに相手を殴り飛ばす。その際に、右腕の稲妻マークのクレスト『ライジングバーンクレスト』が光ると、稲妻を纏った弾を複数に飛ばし、広範囲に渡ってノイズを消し去る。

 

「まだまだ終わらねぇぞォ!」

 

クローズソングブラスター!

 

Blaster Mode!

 

そしてベルトからスナップライドビルダーが展開され、銃が手元へ送られる。武器の色は全体的には青だが、所々に赤い龍の鱗のような物が描かれており、トリガーも真っ赤な色をしていた。見た目はサブマシンガンに近い。

 

「オラッ!オラオラオラァ!」

 

叫びながらノイズへと向って行きながらクローズが光線のような弾を放つ。一発一発が強力で貫通力があるのか、一体でとどまらずに五体ほど貫通してノイズを灰化させていく。

 

「あーッ!よく分からねぇ!」

 

すっかり置いてきぼりとなったクリスは困惑しつつも襲い掛かってくるノイズを撃ち抜き、唄う。

 

「ッ!この形態・・・そういうことか!」

 

すると、クローズが納得したように呟くと、彼の()()()()()()()()、ノイズを一気に倒していく。

 

「次はこれだ!」

 

Blade Mode!

 

ビートクローザー!

 

銃がシンフォギアのアームドギアのように形を変え、剣へと変化し、ビートクローザーを再び手元に召喚して二刀流で斬っていこうとし ---

 

「うあッ!?」

 

足の裏にあるローラ、『シンガーローリングホイール』によって思わず転けてしまう。

 

「こんなのあったのかよ!うおっ!」

 

ノイズが向ってきたために横に転んで避け、今度は感覚をすぐ掴んだのか滑るように戦場を駆け巡り、敵に突っ込んで薙ぎ払って行く。

そのスピードはさっきよりも早く、殲滅速度が上がっていた。

 

「そういえば・・・!」

 

薙刀のようになる、と聞いた話を思い出してみる。

すると、勝手に武器が磁石のようにくっついていき、ビートクローザーのグリップエンドが消えて合体し、薙刀に変わった。

 

「うっそーん・・・」

 

敵陣に居るのにも関わず、思わず突っ立ってそう言ってしまうが、気を取り直して武器を試すように振り回す。

振り回した時にノイズが向ってきたが、攻撃範囲が増えたからか、あっさりと当たって炭化する。

 

「おぉ・・・使いやすいな!」

 

距離感を理解したのか、武器を横薙ぎし、後ろから向かってきたノイズには後ろに武器を行かせることで突き刺し、前方にぐるぐると回してホイールで移動。

すると武器の回転時にノイズにぶつかるのか次々へと炭化していく。

 

「これでも食らってろ!」

 

クリスは地上をクローズに任せて空中にいるノイズにガトリングを放つことで一掃し、届かないところはミサイルを放つことで殲滅していく。

その間に地上にいるノイズがクリスに向って行こうとするが、その前にブラスターへ切り替えて寸分狂いもなく撃ち抜き、すぐに薙刀に戻して目の前のノイズを斬り裂いていく。

 

(これがクリスが使ってるイチイバルってやつの力・・・!)

 

元々、彼女が使っているイチイバルは、長距離広範囲攻撃を特性とするシンフォギアである。

それがクローズが今身に纏っている装甲にも影響を与えているようで視野が広く、ホイールで移動能力が拡張され、パワーも上がっている。

しかし何故シンフォギアであるイチイバルがフルボトルで能力が引き出されたのかは彼にも分からない。その辺りは相棒にでも聞けばいいと思い、ノイズを灰化させていく。

 

「やっさいもっさい!」

 

ふと、近くのノイズを纏めて倒したクローズが複眼でクリスの方を見てみるとノイズが明らかにクリスを狙って襲い掛かっていた。彼女は避けながら戦っているが、少し戦いにくそうだ。

それを見たクローズはブラスターへ変え、援護射撃をしようと放ってみる。しかし遠いせいか貫通力が下がっているようだ。

 

「ここからじゃ届かねぇ!届かせる方法は・・・!」

 

Sniper Mode!

 

「変わった!?いや、けどこれなら行ける!」

 

クローズが狙いを定めて数発エネルギーの弾を放つ。しかし狙いを定めたとはいえ、普段使わない遠距離だからか明らかにノイズから逸れてしまっている。

 

「ダメか・・・!?」

 

それを見て走って行くが、なんとさっき放った弾が逸れていたはずなのに急に全てが方向を変え、ノイズへと当たってクリスに襲い掛かってきたノイズを纏めて貫通して消し飛ばした。

ついでに河川敷の地面を貫通し、壁をも貫いたが。

 

「・・・は?」

 

思わずそう呟いてしまったのは仕方がないだろう。

誰だって逸れた弾が急に曲がるなんて予想できないのだから。

一方、クリスは思わぬ援護射撃に驚いて見るとクローズがしたことに驚いた表情をしている。

戸惑いつつもとりあえずピースサインを送り、ノイズが近くに居ることに気付いて、前!前!とジェスチャーする。

クリスもそれに気づいたのか、慌てて離れて近づいてきた。

 

「・・・あぁ」

 

そしてなんでああなったのか考えると、そういえば戦兎がアシスト機能つけてるって言ってたなぁと思い出して腕をポンっと納得いったように頷く。

 

「さっき聞きそびれたけど何故あたしと同じようなのを身に纏ってるんだ?」

 

「いや、それは俺にも分からねぇんだけど・・・分かることはお前の歌を聞くとさ、能力が上がるみたいってことだけだ」

 

「あたしの歌で・・・?」

 

「あぁ・・・っとまだまだノイズが居るし行くぞ!」

 

答えるだけ答え、クローズが薙刀へ変えて敵を斬り裂いていく。

 

「(あたしの壊すことしか出来ないはずの歌が・・・こいつの力になってるのか・・・!?)チッ!」

 

何処か悪くない気持ちになりつつも唄いながらクリスは遠い敵を遠距離攻撃で倒していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ビルドになっている戦兎は商店街の外、クローズたちが戦っている近くに来ていた。

 

「少し遅れたか・・・!」

 

街がボロボロになっていることとビルドフォンで見た感じ、ノイズの反応がさっきとは別の場所になっていて、見る見る減ってることから万丈が戦っているのだろう、と推測して戦兎は残りの“もう一つ”の反応のところに向って行く。

ふと、上を見ると新しいノイズが別の場所で次々とやられてノイズが減っているところに向かっていることに気付く。

 

「向かうべきか?いやでも――」

 

「きゃああああッ!」

 

「ッ!」

 

聞こえてきた声にそんな考えを打ち消して周りを見る。

すると、響も来ていたのか、響がボロボロのビルに入っていくのが見えた。

しかもビルドフォンで見てみるとどうやらノイズが居るところのようだ。

 

「向かうしかないか・・・!」

 

少し遅れてビルドがビルへと入っていく。

見た目同様に、中は建設途中だったのか完成とは程と遠い状態であるのにボロボロなようで、いつ崩れるかも分からない。

 

「誰か!誰かいま―――ッ!?」

 

すると、響が声を上げてるのが聞こえ、近づこうとする。

 

だが近づこうと階段を降りる前に何かが降ってきたために、ビルドは慌てて『ソレスタルウイング』を展開し、横に猛スピードで避けてから下に降りて身を隠す。

上を見てみるとタコのようなノイズはビルの上を陣取っており、響の無事を確かめようと見ると口を塞がれてる響と人差し指でジャスチャーしながら未来が響の口を抑えてる姿が見えた。

無事なのにほっとしつつその行為に天才である彼はある程度察し、推測を立てる。

 

(あのノイズは音に反応するってことか?今の俺なら射撃で・・・けど、この距離で一撃で倒すには恐らく必殺技じゃないと無理か?)

 

ふと、他に人が居ないかと思って隠れながら見ると、スマホで会話している未来と響を傍目で見ながら確認すればふらわーのおばちゃんが居ることにも気づく。

 

(くそ・・・だめだ。下手に動けばノイズに気付かれる。それにニンジャの能力がなければバレずに近づくのは無理だ。仮に撃って外してもだめだし、当てたとして一撃で倒すことも出来なければ・・・)

 

どうする?射撃をして一撃を狙うか別の方法でなんとかするか・・・科学では失敗しての繰り返しで成功させるトライ&エラーは今使うことが出来ない。人の命がかかっているのだから出来るはずもない。

それに今の響はシンフォギアも纏ってないのだから未来やおばちゃんだけでなく響までもノイズの危険になるはずだ。

仮にスパークリングがあればノイズが攻撃をする前に高速移動で倒せるが、色を失って成分もないせいで変身は不可。

なら、いっそのこと何とかこちらに引き付けることをすれば・・・!

 

「う・・・うぅ・・・」

 

倒れていたおばちゃんの呻き声でノイズが動き出した。

 

(くそっ!考えてる暇もない!)

 

そう考えて動き出そうとした時だった。

 

「―――私、響に酷いことをした」

 

戦闘中ならともかく、何もしてなくて変身しているからか、小さな声でも聞こえてきた。声から判断するに未来の声だ。

 

「今更、許してもらおうなんて思ってない。それでも、一緒に居たい。私だって戦いたいんだ」

 

「だめだよ、未来・・・」

 

「どう思われようと関係ない。響一人に背負わせたくないんだ……」

 

そのような声が聞こえ、未来が立ち上がる。

 

(何をする気だ・・・!?)

 

「私――――もう迷わない!」

 

未来がノイズに自分の位置を知らせるためだろう、大声で叫ぶ。

 

「なっ・・・!?」

 

当然、その予想外の行動にビルドは戦慄してしまう。

次の瞬間、未来が走り出し、その際にノイズは位置が分かったのか、未来に触手で攻撃をする。

その攻撃を未来はジクザクに動くことで回避して掻い潜り、外に出ていく。

 

「くっ・・・あんのバカ!まずいッ!」

 

響がおばちゃんの傍に寄るのを見て、二つのフルボトルを取り出しながらすぐに近づく。

 

「あの子は俺がなんとかする!だからその人は頼んだ!」

 

「ッ・・・はい!未来を・・・私の大切な親友をお願いします!」

 

どうやら存在に気付いてなかったようで、声を掛けた時に驚いた表情をしていたが状況が状況だったからかすぐに言葉を返しきて、それにビルドが頷き、走りながら二本のフルボトルを引き抜いて青と赤のフルボトルを同時に挿入し、認識音声が流れる前にボルテックレバーを回す。

 

サメ!バイク!ベストマッチ!

 

Are You Ready?

 

ビルドアップ!

 

緊急事態のためにスナップライドビルダーが現れずに二つのアーマーだけが形成され、走るビルドに追従するように付いてきて、外に出た瞬間、重なる。

 

独走ハンター!サメバイク!イエーイ!

 

 

青のアーマーであるサメの方は、左の複眼はサメを模しており、尾ビレがアンテナ風になっていて、右肩の装甲にはサメの顔で、右腕にはサメのヒレを思わせる装飾『メガロフィンレイザー』が存在している。

赤のアーマーは右の複眼はバイクのハンドルを模しており、ハンドルとブレーキレバーがアンテナ風になっている。

左腕には大きなタイヤを装備している他、左肩には歯車状の装飾が存在するなど、その外見はマシンビルダーを彷彿とさせる形態。

その名は『仮面ライダービルド サメバイクフォーム』

 

「ッ・・・邪魔だ!」

 

右の複眼のハンドル『アクセルフェイスモジュール』を一度握ると、五倍の速度で走りながら妨害するように来たノイズたちに突っ込んで炭化させ、ドリルクラッシャーをブレードモードで斬りつけていく。

 

(絶対に死なせないッ!託されたからには、この身を懸けても・・・!)

 

そんなビルドの視界の先には、必死に逃げてる未来とタコのようなノイズが未来を追って攻撃を繰り返し続けていた。

そして今度は先読みしたのか、未来が逃げる先に触手を飛ばそうとしていた。

 

「させるか!」

 

左肩の『BLDマシンギアショルダー』から複数の無人攻撃タイプのマシンビルダーを一度に召喚し、一斉に突撃させることによって触手を弾いて行動を防ぎつつ間に入る。

 

「え・・・!?」

 

「未来ッ!止まらずに走れ!」

 

「ッ!」

 

驚いた声で足を止めた未来に言いながらタコのようなノイズに向って行く。

何か言いたそうにしていたが、今は逃げることを優先したようで走って行くのが見えた。

しかし、それを妨害しようとノイズが触手を飛ばそうとし、ビルドが左腕のタイヤで受け流して左腕部の腕から超硬質の刃を使って触手を切断し、他に迫ってきていたノイズを右肩の『BLDシャークヘッドショルダー』からは種多様なサメを召喚してノイズにぶつけることで炭化させる。

そして即座に倒すためにボルテックレバーを高速で回した。

 

Ready Go!

 

音声が流れると同時にビルドは空高く跳躍。

その際にタコ型のノイズはチャンスと思ったのか、邪魔なビルドに対して触手を複数飛ばしてくる。

だが、それは突然現れたサメに全て切断され、ビルドの真下に現れたマシンビルダーにビルドが立ちながら乗り、赤いオーラを纏ってビルドを乗せたマシンビルダーが空中から斜めに走っていくことでタコ型のノイズを貫通し、ダメ押しとでも言うように巨大なサメが大きな口で噛み砕くかのように体当たりとともに灰化させる。

 

VOLTEX FINISH!イェーイ!

 

「きゃあ!?」

 

「もう一体居たのか!?」

 

バイクが消え、着地したビルドはすぐに駆け付けようとし、ノイズが通さないように邪魔をしてくる。

再び無人のマシンビルダーとサメを召喚して片付けさせつつ追って行く。

その間にも、未来はもう一つの崖の下り坂に向かって走っていた。

 

(もう走れない・・・)

 

どれだけ走ったか分からず、ただひたすら走り続けた未来はついに体力が限界を迎えてしまったのか、その場にとうとう崩れ落ちる。

しかし、タコ型のノイズは無情にも迫ってくる。

 

(ここで終わりなのかな・・・?)

 

迫ってくるノイズを見ながら未来がそんなことを考える。

タコ型のノイズの後ろからは必死に赤と青のアーマーを身に着けた戦士が必死に手を伸ばして向かってきているが、間に合わないだろう。

 

(仕方ないよね・・・響・・・)

 

諦めたかのように未来は目を閉じて、ノイズが高く跳びあがり、その間にビルドが全速力で駆け抜けて向かってくる。

 

「未来―――ッ!」

 

ノイズがプレスしようと落下してくる。

その光景にビルドが絶叫し、速度を無理矢理引き上げることによって加速する。

そして未来は限界の足を力を振り絞ることで立ち上がる。

 

(だけど――――)

 

何故立ち上がることが出来たのか、そんな理由は単純だ。

 

 

(まだ、響と流れ星を見ていない!)

 

 

大切な幼馴染と、果たしてない約束があるから、だからこそ未来は目を見開いて、走り出す。

そこにノイズが落下し、威力が高かったのか、アスファルトを砕く。

砕けたことで道路は崩れ落ちてしまい、未来はそのまま真っ逆さまに落ちてしまう。

 

「きゃあああああっ!?」

 

「絶対に届かせる・・・ッ!」

 

ビルドは即座に飛び降りることで未来を抱きかかえ、傍に居るノイズを攻撃する術がないために庇おうとすると、すぐ近くに別の影が飛び込む。

それはシンフォギアを纏った響で、既に右手のガジェットを引き、撃ち込む準備と共に拳を構えていた。

 

「響ッ!?なら・・・!」

 

即座にノイズは響に任せるべきだと判断し、足元に無人型のマシンビルダーを呼び出して踏み台にし、跳躍する。

 

そして響はそのままノイズを穿つ。その拳はノイズを貫き、響が貫いた先に居た場所はビルドが跳躍したところのようでビルドは響を抱えた。

 

「ビルドさん!?」

 

「助かった!このまま――あっ」

 

無人のマシンビルダーを召喚して再び跳躍しようとし、崩れてるせいで落ちてきた岩が思いの外多かったせいか見事マシンビルダーに何発もぶつかり、傾いてしまったことで流石のビルドも身体が上下反転になってあっさりと落ちていく。

 

「嘘だろぉおおぉぉおおぉおぉ!?」

 

「え!?わああぁあぁぁぁああああ!?」

 

二人の悲鳴と叫び声が夕陽の空に響く。

ビルドに出来ることは二人の少女を絶対に守るというように出来る限り抱き寄せることで抱きしめ、落下する直前に回転して着地を試みることだった。

 

 

 

 

 

 

が、着地の衝撃を抑えれて安心した瞬間、着地点が坂だった為、そのまま転んで下まで滑り落ちてしまった。

 

「ぎゃあぁぁああああ!?」

 

悲鳴が聞こえ、下まで滑り落ち止まった時には三人はそのまま宙に浮いてしまう。未来と響はそのまま何かの音と共に傍の川の近くまで倒れる。

その場で両手を地面に付け、過呼吸する未来と響。

落下の衝撃か、響のシンフォギアは解除されて元の制服姿へと戻っていた。

 

「いったぁい・・・」

 

「いたた・・・」

 

お互い、腰に手を当てて痛がっていると、同じ行動をしていたからか、顔を見合わせて思わず笑ってしまう。

 

「結構派手に転んじゃったなぁ・・・」

 

「あっちこっち痛くて、生きてるって感じがする。ありがとう。信じてた、響なら助けてくれるって」

 

「ううん、私の方こそありがとう。未来なら絶対諦めないって信じてた」

 

お互い一人の存在を忘れながら感謝の言葉を言い合う。

 

「だって、私の友達だもん」

 

「っ・・・」

 

その言葉に未来は胸を痛め、顔を歪める。

やがて限界を迎えたのか、涙を流して響に抱き着く。

 

「うわっ!?」

 

響はそのまま後ろに倒れてしまい、傍で未来の泣き声が聞こえた。

 

「怖かった・・・怖かったの・・・」

 

「私も・・・凄く怖かった・・・」

 

その言葉に響は目尻に涙を浮かべてしまい、腕で拭う。

 

「私、響が秘密にして戦ってたことに腹を立ててたわけじゃないの・・・!最近、辛いことに苦しいこと、全部背負い込もうとしてたじゃない。私はそれが堪らなく嫌だった。また響が大怪我するじゃないかって心配してた・・・」

 

二年前、ライブの時に響が大怪我をし、しばらく目覚めなかったことを思い出したようで、余計に心配になっていたようだ。

 

「だけど、それは響を失いたくない私の我儘だ・・・。そんな気持ちに気付いたのに、今までと同じようにだなんて・・・出来なかった・・・」

 

「未来・・・」

 

響は一度未来の両肩を掴んで離し、面と向き合う。

 

「それでも未来は私の・・・っ・・・」

 

「え?何・・・?」

 

言葉を紡ごうとし、急に何かを響が堪える。そして、突如響が声を上げて笑い出した。

 

「だ、だってさ・・・髪の毛ボサボサ、涙でグチャグチャ。なのにシリアスなこと言ってるし!」

 

「もう!響だって似たようなものじゃない!」

 

少し頬を膨らまして拗ねたように顔を逸らして未来が返すように言う。

 

「えっ!?嘘!?未来、鏡貸して!」

 

「鏡はないけど、これで撮れば・・・」

 

そう言って携帯を取り出し、二人は立って映るように並ぶ。

 

「あー、もうちょっと!あ。ずれたー・・・」

 

「撮るよ?響」

 

声を掛けてから未来はシャッターボタンを押し、写真を撮る。

 

「おおおおおおお!すごいことになってる!これは呪われたレベルだ・・・」

 

「私も想像以上だった・・・」

 

その言葉を最後に、写真を見ながら二人は笑い合う。

が、突然川から何かが吹き上がり、何者かが出てくる。

 

「おい・・・俺のこと忘れてないか?」

 

聞き覚えのある声が聞こえてきて見ると、宙に浮いて着地したあと何処にも居なかった赤と青のアーマーを纏っているビルドが出てきていた。

どうやら一人だけ遠くまで吹き飛んで川にダイブしてたみたいだ。

 

「「え?あっ・・・」」

 

「やっぱり忘れてたな!?はぁ・・・最悪だ・・・まぁ何か仲直りしてるみたいだからいいけど」

 

二人の様子から察した戦兎は仮面の下でくしゃっと笑いながら近づく。

 

「あ、あはは・・・ごめんなさい!それと、また未来を救ってくださってありがとうございます!」

 

「いいって。二人の笑顔を守れたならそれだけで十分だからな」

 

お礼を言ってくる響にビルドはそう返し、二人の頭を軽くぽんぽんと撫でた。

 

「わわっ」

 

「ッ・・・?あっ・・・わ、私からもありがとうございます!えっと・・・」

 

自然としたためか、思わず少し頬を赤めながら驚く響と、何かに気付いたように少し驚いた表情をして慌ててお礼を言う未来。

そして此方もすぐに気付いて慌てて手を放すビルドだった。

 

「あ、あぁ。言ってなかったっけ?ビルド、仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のBuild(ビルド)だ。以後、お見知りおきを」

 

一つ咳払いをし、人差し指を立て、少し動かして右のバイクの複眼をなぞり、親指と人差し指で丸を描いてから開いて安定の独特なポーズをしながら自己紹介した。

 

「ビルドさん・・・あの!」

 

「ど、どうしたんだ?」

 

急に大声を出しては未来がビルドに近づき、思わず身を引きながらビルドが聞き返す。

 

「なんで私の名前、知っているんですか?」

 

「・・・へ?」

 

「あ、確かに!ビルドさんって未来と会うの二度目ですよね?未来最初会ったとき知らない雰囲気だったし・・・」

 

(しまった・・・!そういえばこの姿では呼んだこともないし知らないはずなのか!つい呼んでしまった・・・!)

 

と、うっかりをして忘れていたことを言われて内心焦りつつ打開する方法を考える。

 

「もしかして・・・」

 

「未来?」

 

未来が真剣な表情になり、僅かに信じられなさそうな表情で言葉を漏し、どうしたのかと響が見る。

 

「さっき感じた違和感といい、私の名前知っている男性は最近会った二人しかいませんから・・・もしかして、戦兎さん・・・ですか?」

 

未来が雰囲気的にも声的にも万丈ではないからか、即座に選択肢から除外して消去法でビルドの正体に核心を突くように言ってくる。

 

「ッ!?」

 

「え、えぇっ!?戦兎さんがビルド・・・?ほ、本当ですか?(あ、でも確かにそれなら今までの感覚にも助けてくれてたことにも納得いくかも・・・?)」

 

思わず仮面の下で僅かな時間で正体に気付きそうになってることに驚く戦兎と、何処か心の中で納得する響。

 

「どうなんですか?」

 

「・・・さて、どうかな?」

 

少しの沈黙の後、ビルドが口を開いた。

 

「ただ、俺が君の、未来って名前を知ったのはさっき彼女・・・響に頼まれたからな。本当は君が追われる前に倒したかったが、音で反応するようだから無理だった・・・すまない」

 

そう言って凄く、物凄く騙すことに心を痛めつつ話題を逸らすようにして、謝る。

 

「そ、そうですか・・・いえ逃げてるときにも助けていただきましたし、気にしないでください」

 

そう言ってくるが、未来の顔を見ると半分信じてるようで信じてないと言った表情だった。

桐生戦兎としては会ったことが多いから恐らく似ているとでも思っているのだろう。とビルドは推測する。

実は単純に響よりもすごく鋭いだけだが。

 

「けど・・・俺の正体はいつか教える。それもきっと近いうちに。だから今は正体を探ることは出来ればしないで欲しいんだ。・・・・・・黒幕が何処に居るか分からないから君たちに正体を教えて、狙われたらダメだからな。だから頼む」

 

頭を下げて、頼み込む。

実際に正体がバレて、変身する前に狙われたらいくらハザードレベルがあっても身体能力が高い人間のようなものだから意味ないのだ。

その他にも正体を知られれば黒幕が彼女たちを襲う可能性だってある。

そのため、頭を下げててもビルドは言った。

 

「・・・分かりました」

 

「私も分かりました!けど、絶対教えてくださいね?」

 

「ありがとう。約束するよ。時が来たら絶対教えるって」

 

少し不満そうだが、納得したように未来が返事し、本当のことではあるが、騙したことに精神的にダメージ受けるビルド。

 

「それより!ビルドさんも一緒に撮りませんか?未来もいいよね?」

 

「あっ、うん撮ろっか」

 

すると、機転を利かせたのか、単純に空気が少し悪いからか、響のお陰で空気と話題が変わった。

 

(でも撫でられた時、戦兎さんみたいな感じがしたんだよねてこう安心するというかドキッてしたような・・・気のせい?いつか教えるって言ってたし・・・今は気にしないようにしよう)

 

(なんというか罪悪感が凄いな・・・いつか教えた時、奢りでもなんでもすることにして埋め合わせするか)

 

と、未来とビルドの二人は心の中で呟きながらラビットタンクに戻ったビルド、何故か真ん中に押されたために困惑しながら、両隣に響と未来が入ってビルドが調整することによって綺麗に三人の写真が撮られる。

それが終わればビルドは携帯を返す。

 

 

「じゃあ、俺はここまでだ。悪いけどまだやらなけらばいけないことがあるからな」

 

「あ、はい!それではまた・・・!」

 

「次会って言えるなら教えてくださいね」

 

未来の言葉に頷いて振り向き、離れようとし―――何故か突然止まる。

 

「っと、そういえば君・・・じゃなくて未来。これ持っておいてくれ」

 

「えっ?わっ!?」

 

急に言ってきたビルドに未来がきょとんとすると、ビルドは振り向いて()()()()()()()を未来に投げ渡し、未来が慌ててそれを受け取る。

 

「きっと、力になってくれる。出来ればずっと持って居てくれ。See you」

 

その言葉を最後にビルドは去っていくのだった。

 

「待って!あ、行っちゃった・・・。また会えるかな?」

 

「んービルドさんも言ってたし会えるんじゃないかなぁ・・・けどビルドさんはああいってたけど、正体気になってきちゃったかも」

 

「まぁ、響みたいに理由があるかもしれないから・・・ね?」

 

「確かにそうかも。そういえばなんで未来はビルドさんが戦兎さんって思ったの?」

 

「え?そ、それは・・・響でもちょっと言えない」

 

顔を赤くして逸らすように未来が言い、

 

「えぇー!?教えてよー!」

 

「だーめ。教えない」

 

と響が言って未来が口を割らないようにしたりなど---ギクシャクしていた雰囲気は消え、いつものように笑い合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、戦いが終わり、いつの間にかクリスの傍に来ていた万丈とクリスが並んで歩いていた。

 

「お前、さっきまで居なかったのにいつ来たんだよ?それにいつまで付いてくる気だ?」

 

「ちょっとトイレにな。それと俺の気が済むまでに決まってるだろ?ノイズは無理だけど他の奴らからならお前を守ること出来るし」

 

あっさり言ってくる万丈に、非常事態にも関わらず呑気にトイレ行ってたとかいう万丈にもはや呆れて言葉が出なくなる。

 

「あたしはお前たちに酷いことしたんだぞ・・・?」

 

「俺は別にされたとは思ってねぇよ。それに放っておいたらお前何しでかすか分かんねぇし」

 

「おっせかいのつもりか?」

 

「そうともいうな」

 

どこまでも付いてきて、離れていたにも関わらずいつの間にか来たこの男。

別に警察やら何やらに突き出せば離れるだろうが、クリスは何故この男、万丈龍我が自分に付きまとうのか聞くことにした。

 

「・・・なあ、なんであたしに構うんだよ?」

 

「そりゃあ心配だからな。お前何か無理しそうだし俺も戦争の重さは知ってる。両親は亡くしたし、大切な人が目の前で死ぬのも経験した」

 

「・・・さっきといい、戦争を経験したような言い方だな」

 

「実際したからな」

 

その万丈の言葉には重さも、表情や目からも嘘を感じることが出来ず、戦争もない平和な世界で生きてきた人間が出せる雰囲気でも目でもなかった。

そしてクリスは本当に戦争を経験したんだということを、今度こそ完全に理解する。

 

「でもここは一番治安が良いと言われてる日本だろ?ノイズが居なければ平和に違いないはずだ。それなのにどうやって理解して、経験したって言うんだよ?お前の頭じゃ海外では喋れそうにないし・・・」

 

「・・・あー上手く説明できねえんだけどよ、俺が育ったのはここだけどここじゃないってとこで、そこでは戦争が起きてたんだよ」

 

「・・・なんだそれ」

 

「だから説明できないって言っただろ?行こうぜ」

 

そう言って道が分からないにも関わらず歩き出す。

 

「あ、あぁ・・・」

 

正直、クリスにはこの男、万丈については理解できなかった。

不思議な雰囲気があり、何処かクローズと似てる感じがするし、いつの間にか瞬間移動でもしたのかレベルでノイズと戦闘終えてクローズが何処か行ってから急に現れるしただの人間の割には戦争を経験したような、過酷なものを抱えているし、で。

ただ分かるのは本当に何も考えてないんじゃないかと思うくらいバカで、正直に真正面からぶつかってくれるということだけだ。

 

(・・・クローズと同じくらいには少しは信じてみていいかな・・・)

 

実際にクローズに至っては信じてなければ今日一緒に戦ってないため、そう思いながらついて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




※飛ばす人は此方→『https://syosetu.org/novel/216410/23.html

新コーナー!
仮面ライダービルドを知らない人にも分かりやすい!(多分!)すぐ理解出来る!(はず!)知識が身に付く!(きっと!)天才(笑)物理学者による仮面ライダーナビ!

戦兎「さて、唐突に始まったこのコーナーだが、作者曰く今やってる何処かの光の巨人を見ていいんじゃないかと思ったらしい。今回はゲストなしでやっていくが、続けばゲストを呼ぶ…と書いてあるな。他にも活動報告に専用のも貼っておくって書いてる…ってか自分で言えばいいと思うんだが……。とにかく、まず記念すべき第一回目に紹介する仮面ライダーはこの作品の主役である仮面ライダーだ!」









仮面ライダービルド ラビットタンク

イメージカラーは赤と青、名前から分かる通り兎と戦車の成分が入ったフルボトル二本で変身するベストマッチフォームであり、ビルドの基本形態だ。
特徴的なのと言えばやはり左足のバネ『ホップスプリンガー』だろうな。
地面を踏み込むことで高いジャンプ力を発揮し、数秒間だけ自身のあらゆる動作を高速化することも可能なんだ。ちなみに足裏にはウサギの肉球があるのも特徴的だぞ。
タンク側の方としては右足の『タンクローラーシューズ』だな。
その裏はキャタピラ状になっており、高速回転して敵の装甲を削り取ることも可能だ。
そして必殺技のボルテックフィニッシュはグラフ型の標的固定装置を展開し、x軸でスマッシュを拘束しグラフ上を滑って加速しながらキックを放つ技だ。
これは天ッ才物理学者である俺は簡単にできるが法則が分からなかったりしたら何処かの世界の魔王と同じように一直線になったりなどするぞ!



それから余談になるが、ベストマッチとはエボルトに生物とその命を奪う者を石動惣一に挙げさせたらしく、石動惣一は娘の美空が好きな物を挙げたらしいんだ。
生き物ではウサギやパンダ、ハリネズミなど。
その命を奪う者として最初は戦車やガトリング等の兵器を挙げたが、徐々にマンガや消しゴムなどドンドン意味の分からないものを挙げていったという。
これについて俺は「大切な思い出を守りたかったんだろう」と推測している。
ほとんど意味不明な組み合わせだったベストマッチだが、逆にその意味不明さにこそ「石動惣一から美空への愛」という意味があるのかも知れないな。

ラビットタンクについても、ウサギは多産であることから、「イースター・バニー」に代表されるように生命のシンボルとなっている。
その点で兵器である戦車とは真逆のモチーフであると言ってもいいだろう。
だが一方で戦時中は毒ガスの動物実験用にウサギが飼われていたこともあって、実はタンクと同じ戦争のモチーフを見出すこともできる。
ある意味、人体実験を受け「兵器」にされてしまった俺に相応しいモチーフかも知れないな……。

そして他にも両者には「穴」に関連したモチーフという共通点があったりもするんだ。ウサギは地面に穴を掘って生活し、戦車は地面に掘られた塹壕でも走破できるように作られたという逸話があるからな。

戦兎「さて、今回の解説は終わりだ。みんなは知らないことあったか?また、仮面ライダービルドを知らない人にはこれを機にビルドに興味を持ってくれたら作者が喜ぶぞ。もちろん、俺たちも嬉しいけどな。
そして次回だが、またいつもの如く作者が投稿遅れる可能性があるが…気ままに待ってあげて欲しい。
じゃあ……え?何か言ってから終わらせて欲しい?いやいや!いくら天才な俺でもこんなコーナーとかしたことないからわからないからな!?いいから早くしろ?……ったく万丈覚えとけよ」





戦兎「勝利の法則は、決まった!!」







ED曲「Be_The_One」

音声「ビルドライドウォッチ」

映像「仮面ライダービルド 第一話『ベストマッチな奴ら』第四一話 『ベストマッチの真実』 」

協力者「万丈龍我」

提供「N○K、バ○ダ○」




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第二十二話 繋いだ手だけが紡ぐもの


もってけ、ダブルだ!

どうも、変身音声変えときました。英語力なさすぎて草だったのでわざわざ翻訳サイトでやりましたからね。違ったらそのサイトが悪い……俺に英語力は求めちゃならないんやで。あと今回いつもより長いです、ダブルなので。

※イグナイト未来さん最高かよ……?セレナは特効なしでやるレベルで21万貯めたしイグナイト未来さんは出なかったせいで辛かったです、代わりに星6二日連続で来たんですけどどうしろってんですか(半ギレ)





戦兎「さて、今回は長いらしいな」

万丈「うわ、ほんとに長いじゃねえか・・・」

未来「作者が最初のところいつ入れようか悩んでたけど9話全カット(アニメ)だからここで入れるか、とか言ってましたね・・・そのせいで長くなったとか」

響「遅れた理由はそれだったり・・・?」

翼「いや、ゲームやらアニメを見てたら知らない間に時間経ってたらしいぞ」

クリス「・・・・・・なぁ、それ今言う必要あるか?」

戦兎「確かにないな・・・ってか誰もあらすじしてなくないか!?」

クリス「それをあたしが言おうとしてたんだよ!!」

翼「しまった・・・私としたことがつい」

万丈「馴染んできた証拠だな!」

未来「そ、そういう問題ではないような・・・?」

戦兎「ええい!とにかくあらすじを・・・」

響「せ、戦兎さん・・・」

戦兎「今度はなんだ!?」

響「なんか壊れちゃいました・・・」

戦兎「なんかって・・・あぁぁああ!?俺の試作品一号、なんでも吸い取るくんがああぁぁぁあ!?気分転換に聖遺物の欠片を利用してやってたものが!」

クリス「そんな丁重な解説いるか!?」

万丈「ってか名前そのままじゃねぇか!」

翼「ま、まずい・・・このままじゃ本編に進めなくなるな」

未来「えっ!?え、ええとじゃあ、あらすじは無理そうなので第二十二話どうぞ!」







戦兎「あ、単純にコード抜けてただけだった」

響以外「さっきまでの騒ぎはなんだったんだ/ですか!?」

響「よかったぁ・・・」






昨晩ノイズを倒した時に再びエンプティフルボトルでノイズの成分を回収してノイズフルボトルへとなったフルボトルを持ちながら天才物理学者である彼、桐生戦兎は机に伏せてため息を吐いていた。

 

「あーダメだ・・・全ッ然上手く出来ない・・・。もしもの時のためにビルドの強化アイテムを作ろうとしたが、これどうやって浄化するんだよ・・・」

 

彼がため息を吐いていた理由はあれからジーニアスフルボトルの浄化機能が残っていたために行けるかと試して何度もフルボトルを浄化しようとしたが、浄化できないからだ。

ジーニアスフルボトルに問題があるのかと思ってみたが、特に変身出来ないことと、成分が抜け切っていて浄化の機能が残ってただけで何もなかった。

 

「はぁ・・・何かが足りないのか?それとも歌の力?この世界のノイズは俺たちの世界ではなかった物でこのフルボトルはエボルトでさえ知らない物のはずだ。ここに俺たち以外の仮面ライダーの情報がないことからエグゼイドたちは居ない。・・・俺達も都市伝説扱いだが。それでもこの新世界は旧世界と同じでエグゼイドたちの世界とは別のはず・・・だからこの新世界じゃなかったら生まれなかったフルボトルで、ということはいつものような浄化じゃダメってことか?でもいつもと同じでダメなら一体・・・。あーダメだ・・・!考えても埒が明かないな・・・。仕方がない、気分転換に行こうと考えてた場所に行くか・・・。ちょうどあのバカも居ないしボロ吐く心配ないしな」

 

そう独り言を長々と呟くと、ビルドフォンとライオンフルボトルを持ちながら外に出てマシンビルダーにすると戦兎はヘルメットを被ってバイザーを降ろしてから運転する。遠出になるが、ずっと行こうと考えていてノイズの出現が会った為に行けなかった場所だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく運転し、ビルドフォンを戻してポケットに入れながら戦兎が向った場所は『nascita』と書かれている喫茶店だった。

あらかじめ場所を調べており、ナビに頼ってきたら後は自分の記憶を辿って着くことが出来た。そのまま戦兎はドアノブを掴み、深呼吸を一度してから扉を開ける。

 

店内を見ると時間が時間だし、曜日的にも恐らく休みの人が来てるぐらいで人はそこまで多くはないみたいだ。でも俺たちが居た頃とは別で客はしっかりと居る。

店内には音楽が流れていた。

 

「いらっしゃいませ」

 

「いらっしゃい」

 

声が聞こえ、そこを向けば旧世界で仲間であり、サポートしてくれていた一人である石動美空とエボルトに10年も乗っ取られていたにも関わらずにずっと耐えていた石動惣一が居た。やはりエボルトの印象が強いために、いないとは分かっていてもつい多少警戒しながらもカウンター席に向かう。

すると水が置かれる。

 

「コーヒーを一つ」

 

元々長居するつもりはない戦兎はコーヒーだけ頼む。流石に何も飲まずに帰るのは失礼だからだ。

 

「かしこまりました」

 

そう言った美空は紙に何かを書く。多分領収書か何かだろう。

 

「あの・・・」

 

「うん?」

 

書き終えたのか手を止めて美空が見つめて来ていた。

何かしたのだろうか?座ってるだけだが・・・。

 

「何処かでお会いしたことあります?」

 

「えっ?」

 

表面に出さないようにしながらも少し期待を含んだ目で見つめながら驚く。

新世界では旧世界の記憶を持ち出すことは出来ないはずなのだ。いくら美空のバングルにベルナージュの魂が宿ってたとはいえ、既に彼女のバングルはない時点で関係もないだろう。

だからこそ戦兎は驚いた。

 

「絶対ありますよね?どこだっけな・・・」

 

 

「あっ、佐藤太郎だ!俺ファンなんだよ!サイン貰っていい?」

 

「あぁ・・・!」

 

が、どうやらそんなことはなく、この世界でも生きている佐藤太郎と間違えたらしい。美空が納得したように声を上げ、マスターである石動惣一が指差した方向を見ると、そこには佐藤太郎と髪色的に外国人だろうか?ピンク髪で、戦兎の目から見ても綺麗だと思う女性のポスターが貼られていた。

 

 

(マリア・カデンツァヴナ・イヴ・・・?)

 

何故だろうか、何処か頭に引っかかる。

そういえば初めて新世界に来て調べたときに見たことあったような気もする。恐らくその時に知ったのだろう。有名人らしい。そして佐藤太郎も武道館でやるぐらい売れてるみたいだ。

・・・エボルトが居なければ旧世界でも売れてたのだろうか?

 

そして目の前に出されたコーヒーを見つめる。

 

「サインの前に俺のコーヒー飲んでよ!」

 

「・・・いただきます」

 

恐る恐る手に持ち、目を閉じながら何かに耐えるようにグイッと飲む。

 

「えっ、美味しい」

 

本当にコーヒーが美味しかった。いつもなら苦くて泥水と形容出来る程まずかったマスターのコーヒーが、美味かった。旧世界では缶コーヒーの方が普通に美味しくて飲めるレベルなのだが…確かにこれであれば喫茶店を営業出来るレベルだ。

エボルト自身も自分で美味いとは言ってなかったし人間と異星人は淹れる感覚か何かが違うのだろうか。

 

「でしょ!味にこだわってるから。豆から栽培してね―――」

 

「ほら、お父さん。し・ご・と!」

 

長々と説明する気だったのか、美空が呆れたようにため息を一つつき、仕事があるからかマスターの背中を押していく。

 

「いやだって・・・」

 

「ほら行って・・・すいません!」

 

去っていくのを見ながらマスターを運んでいく美空が此方に頭を軽く下げ、再び押していく。

 

「せっかくツナ義ーズが来てくれてるのに!」

 

「そうだけど・・・!」

 

「知ってるか?夜は焼き肉っしょ!」

 

「知ってる!こうなるんだよ!」

 

「生で見れるかも。やった!」

 

「ねねね。ちょっと、かっこよかった!」

 

そう言って、佐藤太郎がしていたらしいポーズをして二人は仕事に向かった。

 

(やはり・・・覚えてないか)

 

少し残念には思うもの、その光景を見て今度は守ることが出来て、本来はなっていたであろう姿を見て戦兎は顔をくしゃっとする。

そしてコーヒーを全て飲んだあとは、お金を払い、お店を出て歩いていく。

 

今度は適当にぶらぶら見て歩き回り、そこにあった建物は旧世界と同じようで少し違うような風景があり、本当にここが新世界なのだと思い知らされる。

偶然見かけた滝沢紗羽はジャーナリストとして奔走し、テレビやニュースで見た氷室幻徳は政府官邸でしっかりと父親の仕事をサポートしていて、内海成影は難波重工ではなく、難波工場の『難波機械製作所』にて難波スティックと呼ばれる鉄の棒を折ろうとしていたり……。

鍋島の家族や、他の人たち、色々な人が何の争いごともなく、何かの仕事を必死にしたり笑顔で家族たちと出かけたりなど……いろいろな姿を見ることが出来た。

旧世界とは違い、笑顔に溢れてる世界になってよかったという安堵しながらも、本来ならばここに自分は存在しては行けない、ということが頭に浮かんでしまう。

 

(仮にこの世界にノイズは居てもそれは本来あるべき世界だっただけだ・・・旧世界と関係はない)

 

しかし、スマッシュはどうだ?スマッシュは本来、この世界に居ることは絶対にあり得ない存在。

ノイズがスマッシュの代わりとしてか、B世界に元々居た存在だったとして、スマッシュはA世界の怪物だ。

本来なら俺と同じでこの世界に存在しては行けない存在。

なら、何故そのような存在が居るのか?仮説を唱えるのであれば、万丈はもともとこの世界に来るのは当然だったのだから除いても、桐生戦兎としては新世界に来ることは不可能だ。

何故かと言うと葛城巧の脳と佐藤太郎の肉体で造られた存在なのだから同じ存在として居ることは出来ない、必然的にエボルトたちブラッド族が居ない世界を創るのであれば、生まれるはずなかった俺は消えるはずの存在だ。

葛城巧が言ってた通り、新世界の創造主として生き残ったとしても……それはこの世界では異物なのだ。

つまり、異物(イレギュラー)としてこの新世界に来てしまったからこそ、スマッシュも同じようにこの世界へ来てしまったのじゃないか、そう考えるのが一番近いんじゃないだろうか?

この世界はスカイウォールが存在せず、パンドラボックスやエボルトたちブラッド族が居ない世界。

自分たちの知る世界の10年とは別の歴史を歩み、シンフォギア、ノイズ、特異災害対策起動部と呼ばれる組織、それは俺たちが知る世界とは異なるものばかりだ。

 

(俺が居なければスマッシュは現れなかった可能性は高い・・・か)

 

果たして、この世界に仮面ライダーは必要なのだろうか?それは、シンフォギアと呼ばれるものだけで十分なのではないだろうか?少なくとも俺は―――

 

(いやいや、何考えているんだ。少なくともライダーシステムはスマッシュ相手に必要だ。この世界でもスマッシュを完全に倒すことが出来るのはフルボトルがなければ不可能なのだしな)

 

と言っても、前回倒した個体と同じような存在なのであれば、だが。フルボトルなしでシンフォギアだけで倒せるスマッシュだって居ても可笑しくはない。

 

(・・・とりあえず、この世界でみんなは居ることを確認できたしいいか)

 

そう考えると、悩むのは無意味だと判断し、戦兎はまだ散策することにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で---

 

「ッ!?」

 

「な、なんだよこれは・・・?」

 

その惨状を見て万丈は驚き、クリスは呆然と呟いた。

そこは森の奥のフィーネのアジトとなっていた屋敷。

しかし、その中は以前来たときは全く違い、酷い状態になっていた。

あの日フィーネが待ち構えていた場所は何人もの武装した男たちが急所から血を流して倒れ、誰がどう見ても死んでいると理解できる光景だった。

それは戦場を経験したことのある万丈とクリスだったから大丈夫だったが、普通の人であればこの場で叫んだり怖くなったり、吐き気がしても可笑しくはない場所だ。

大広間の部屋は血の匂いが濃く残っており、ガラスに至っては割れ、なんらかの機械や装飾品も倒されたり壊されてたりもしていた。

 

「何がどうなっていやがるんだ・・・?」

 

部屋に入り込み、このようなことが起こった原因を探ろうと、周囲を見ながら歩いていた時だった。

 

ガタン、と音が聞こえる。

 

「「ッ!?」」

 

背後で聞こえてきた物音に万丈とクリスは警戒をしながら慌てて振り返る。

そこにはガタイのいい筋骨隆々で赤毛で赤いカッターシャツと白いズボンの男が立っていた。

 

「ち、ちが―――」

 

「待ってくれ!こいつは何にもやってねぇ!」

 

すぐに状況を理解した万丈はクリスを庇うように片手でクリスを下げながら間に入る。

 

「龍我・・・!?」

 

その姿にクリスは驚き、次の瞬間、扉から武装した黒スーツにサングラスを付けた男たちが何人も入ってくるためについ万丈は身構えてしまうが、その黒スーツの男たちは何故か二人を素通りし、遺体の確認を始める。予想外のことで万丈が身構えたままで、クリスも呆気にとられていると赤いカッターシャツの男性が近づいてくる。

 

「誰も君らがやったなんてこと、疑ってはいない。全ては、君や俺たちの傍にいた彼女の仕業だ」

 

「彼女?」

 

その言葉に反応した万丈が赤いカッターシャツの男性、弦十郎に訊く。すると弦十郎は万丈の方へ視線を向ける。

 

「君は?見たところ一般人のようだが・・・」

 

「あ、俺は万丈龍我です。彼女、クリスとは少し訳があって・・・」

 

この世界に来て少し経った後に相棒に誰かと行動していて、名前とかを訊かれたら今はそう答えとけ、と言われてたのを思い出して万丈が言う。

 

「そうか。俺は『特異災害対策機動部二課』で指令をしている、風鳴弦十郎だ」

 

弦十郎がそう言って万丈へ一歩近づく。わざわざ二課のことまで言ったのはどのみちバレるからだろう、万丈が分かるかどうかはともかく。

 

「君が彼女を保護してくれたのか?」

 

「あー・・・いや・・・保護と言うより・・・ついてきたが正しいか?何か目的があったらしいから間違えを起こそうってならこいつを止めようと思ってな」

 

弦十郎に素直に万丈は答えながら誰か分かるように親指を後ろにいるクリスに向けて、示す。

 

「彼女の身柄は俺たちが保護するべきだった。それを代わりに救ってくれたことを心から礼を言いたい。ありがとう」

 

そう言うと、弦十郎が万丈に頭を下げて感謝を示す。

 

「俺がしたかったからしただけだ。でもどうしてだ・・・?」

 

万丈がよく分からないのか首を傾げて言うと、弦十郎が頭を上げて口を開く。

 

「ヴァイオリン奏者、雪音雅律とその妻、声楽家のソネット・M・雪音が難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれて死亡したのが8年前。残った一人娘も行方不明となった」

 

「・・・・・・」

 

突然の語りに首を傾げながらも押し黙ってその話を聞いていく。名前からしてクリスの両親だろうと、察しながら。

 

「その後、国連軍のバル・ベルデ介入によって事態は急転する。現地の組織に捕らわれていた娘は発見され、保護。日本に移送されることとなった」

 

「ふん!よく調べているじゃねぇか。そういう詮索、反吐が出る」

 

聞いていたクリスが鼻で笑い、そう言う。

 

「当時の俺たちは適合者を探すために音楽界のサラブレットに注目していてね。天涯孤独となった君の身元引受先として手を上げたのさ」

 

だが、と一つ息を入れて区切ると、弦十郎は再び口を開く。

 

「君が帰国直後には消息不明。俺たちも慌てたよ。二課からも相当数の捜査員が駆り出されたが、この件に関わった者の多くが死亡、あるいは行方不明という最悪の結末で幕を引くことになった」

 

「あんたは一体どうしたいんだよ?」

 

タイミング的に口を出せるからか、話を全ては理解していないが、万丈は弦十郎へ聞く。

 

「俺は、その子を救いたかった。引き受けた仕事をやり遂げるのは、大人の務めだからな」

 

「ハッ!大人の務めと来たか!余計なこと以外いつも何もしてない大人が偉そうに!」

 

「・・・・・・」

 

吐き捨てるようにクリスが言い、弦十郎が押し黙る。すると―――

 

「風鳴司令!」

 

一人の黒服を何かを見つけたのか、大声で弦十郎の名を呼ぶ。

 

「・・・・・・ん?」

 

「これを!」

 

その見つけた黒服が示す場所を見る弦十郎と、それに釣られるようにクリスと万丈も見てしまう。

そこには、死体の一つに一枚の紙が貼られており、赤い血のような色で『I loVE YoU SAYoNARA』という文字が書かれていた。

 

「これは・・・」

 

「・・・なぁ、クリス。なんて書いてんだよ?」

 

瞬間、思わずその場に居る全員がずっこけ、万丈へ視線が一斉に向かう。

 

「ちょ、おま・・・これも読めねぇのかよ!?」

 

「仕方がねぇだろ!?こういうのはあいつがいつもやってくれてたし・・・!ん?」

 

勝手に言い争うクリスと万丈に二人の除いた全員が呆れる。

そして、見つけた黒服の人が証拠品として回収するべきかと判断したのか紙を剥がそうと手に触れ―――

 

「おい、どうし―――」

 

「ッ!やめろ!今すぐ手を離せ!」

 

万丈の勘が突然嫌な予感を警告のように感じ取り、クリスの言葉を遮って慌てて大きい声で言う。

しかし、黒服の人は既に剥がそうとしていたからか、警告が聞こえる寸前で引っ張ってしまっていた。

 

「クリスッ!」

 

「はあ!?ちょっ!?」

 

万丈は傍に居るクリスだけでも守るために、何も纏っていないクリスを抱き寄せる。当然抱きしめられたことにクリスは顔を真っ赤にするが、万丈はその間にポケットに手を突っ込み―――

 

突如として、部屋が爆発する。

爆発の威力が思ったより高かったからか、天井が崩れ、瓦礫が一気に落ちてくる。

何故か爆発の衝撃は来なかったが、上空を見てみれば、そこには巨大な瓦礫が落ちて来ていた。

回避は周りが見えないのもあり出来ない、ならば迎撃しかないのだが、ビルドドライバーを付けてなく、クローズドラゴンを取り出す時間もないしこの体勢からすぐに変身など落下速度的に間に合わないと脳が告げてきた。

しかし、それは彼がただの人間ならば、の話である。腕の中にはクリスが居る。一歩間違えれば万丈はともかく、現在はただの人間で女性であるクリスは質量に押しつぶされて即死だろう。

それでも、彼は例え変身が出来なくとも、仮面ライダーであることには変わりなく、彼には恋人から託されたフルボトルがある。

 

(これ以上、自分の腕の中で誰かが死ぬことは絶対にさせねぇ・・・!)

 

ポケットから取り出し、即座にドラゴンフルボトルを高速で振ることで成分を活性化、爆風で音と周りが煙で覆われてることもあり、誰にもこの姿は見えないだろう。クリスも突然のことだったからか、目を閉じているのが視界に見えた。

 

「ウォリヤアアアァァアアァァアアアアァァア!!」

 

彼はそのままボトルを握りながら落ちてきた瓦礫に蒼炎を纏ったアッパーカットをし―――見事粉砕して見せた。

やがて、爆風が収まり、視界も見えるようになると万丈は即座にボトルをポケットに隠しつつ、周りを見る。

すると、弦十郎や黒服の人たちが何故か誰も怪我もなく無事だった。

 

「二人とも、無事か!?」

 

「あぁ、あんたらは?」

 

「こちらも無事だ。衝撃は発勁で打ち消したからな」

 

と、さらっととんでもないことを言っているが、どうやら衝撃がなかったのは目の前の人物らしいと、万丈は理解した。

 

「なんで・・・」

 

「ん?」

 

すると、万丈から離れたクリスの声に、万丈が反応する。

 

「なんでギアを纏えないやつらがあたしを守ってんだよ!?」

 

クリスがそう叫んだのは、何故か自分を救うために囮になり、今度は爆発から自分を守ったことに対する万丈の疑問と、爆発から守った弦十郎に対する疑問だった。

 

「・・・・・・」

 

それを聞いた万丈は口を開こうとし―――

 

「俺が君を守るのは、ギアのあるよしじゃなくて、お前よか少しばかり大人だからだ」

 

「大人・・・!あたしは大人が嫌いだ!死んだパパとママも大嫌いだ!とんだ夢想家で臆病者!あたしはあいつらと違う! 戦地で難民救済?歌で世界を救う?いい大人が夢なんて見てるんじゃねえよ!」

 

「大人が夢を、ねぇ・・・」

 

すっかり、口を開こうとして二人で言い合っている状態で入りようがない万丈は悩む。

 

「本当に戦争を無くしたいのなら、戦う意思と力を持つ奴を片っ端からぶっ潰していけばいい!それが一番合理的で現実的だ!」

 

「それは、違うだろ?」

 

しかし、万丈はその言葉を聞いた瞬間、口から自然と言葉が出て来ていた。これだけは否定しなければならない、そう思ってだ。

 

「力がある奴が力でねじ伏せたところで何の解決にもならねぇじゃねぇか。それはただ戦争を拡大させ、悲しむ人や泣く人、惨めになる人が増えるだけだ。それじゃあ戦争は終わらねぇよ」

 

それは、経験したことのある者だからこその言葉だった。前にクローズとして同じような言葉を言ったからか、これで感づかれる可能性もある。しかし、万丈は否定せざる負えなかった。

彼もまた、同じ思考で敵を倒すために侵略することで戦いを終わらせるために敵を倒そうとし、戦争を終わらせるつもりが余計に戦争を拡大させて犠牲者を増やすことになったのだから。

 

「ッ・・・それは・・・」

 

クリスが言い淀む。その様子はまるであの時の自分と同じで、そんなことは考えてなかった、気づかなかったといった表情だった。

 

「それに、いい大人だから夢って言うけどよ、大人だからこそ夢を見て焦がれるんじゃないのか?」

 

彼の脳内に浮かぶのは今は自分もだが、会ったときから他人のことばかり考えて、他人のためなら自分の命でさえ投げ出してでも救おうとする天才(バカ)だった。そして愛と平和を誰よりも考え、誰かの笑顔と明日を創ることを考える人物。

旧世界での最後らへんの戦いでは、彼の影響を受けてか皆が愛と平和の実現を夢見てそのために戦うようになっていた。

 

「確かに子供の頃に夢を見て、時が経って現実を目の当たりにして挫折する奴はたくさん居るかもしれねぇ。けど、同時にそれの叶えるための手段をたくさん見つけ、大人になってから新しい夢や昔の夢を叶える奴だっている」

 

万丈が離れていたクリスの目の前に立つ。

 

「お前の両親はただ死ぬために、根拠もなく無茶で戦地に向かったわけじゃないはずだ。恐らくだけどよ、そこがこの世の地獄だと、茨の道だと分かっていたとしても、それでも夢を叶えたかったんだよ」

 

「なんで、そんなこと・・・」

 

「・・・クリスは嫌いって言ってたけどさ、両親はお前のことが好きで、愛してたからこそどれだけ辛くとも我慢して、夢は叶うんだってこと教えたかったんじゃないのか?クリスが大切で、クリスにとって、誇れる両親で居たいがために。それに、子供のことが嫌いな両親なんて・・・早々居ねぇよ」

 

「うっ・・・ううっ・・・」

 

すると、その言葉を聞いたクリスは嗚咽を漏らす。そんなクリスに対して無言で万丈は抱きしめる。

 

「うぅ・・・うわあああぁぁぁ!」

 

万丈の胸に顔を埋めてクリスは声を上げて泣く。その姿は、年相応の彼女の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発で、瓦礫の山と化した部屋をあらかた捜索した黒服たちは、慌ただしく乗ってきたであろう車に乗っていく。そんな中、弦十郎とクリスに万丈は最後まで対面していた。

 

「君は一体どうする?君が帰るのであるならば車を手配するが・・・」

 

弦十郎が万丈を見据えて言ってくる。けど、その答えは既に決まっており―――

 

「俺はこいつと居ることにする。まだ心配だしな。あぁ、それと・・・俺は敵じゃないからな?」

 

「ふっ・・・君の顔を見ていたらすぐ分かるよ。ならその子のことは君に任せてもいいだろうか?」

 

万丈が再びクリスを親指で指差し、ふと思い出すように言ったことに弦十郎が微笑んで頼んできた。

 

「おう!任せとけ!」

 

それに、万丈は自信満々に答えて見せた。

 

「今はまだ、君たちはそれぞれひとりひとりの道を進んでいるかもしれない。だが、その道はいつか俺たちの道と合流すると信じている」

 

「今まで戦ってきた者同士が一緒になれると言うのか?世慣れた大人がそんな綺麗事を言えるのかよ?」

 

(戦兎なら言ってるなぁ・・・)

 

と、隣で聞いていた万丈は流石にタイミング的に口出さない方がいいと思い、出さずに心の中で言う。

 

「ホント、ひねくれてるなぁ。お前・・・」

 

クリスの言葉に弦十郎は苦笑いを浮かべる。

 

「ほれ」

 

すると、通信機をクリスに向かって投げ、それをクリスは受け止める。

 

「限定額以内なら公共交通機関は使えるし、自販機で買い物もできる代物だ。便利だぞ。その中には俺へ直に繋がる連絡先も入ってある。何かあったら使ってくれ」

 

そう言ってから弦十郎は車に乗り込み、エンジンを掛ける。

 

「カ・ディンギル!」

 

「ん?」

 

「フィーネが言ってたんだ。カ・ディンギルって。それが何なのかは分からないけど、そいつはもう、完成しているみたいなことを・・・」

 

「あぁ、そういえば言ってたな」

 

「カ・ディンギル・・・」

 

万丈がぽんっと思い出すかのように掌に拳を置いて言い、弦十郎が咀嚼するように呟く。

 

「後手に回るのは終いだ。こちらから打って出てやる」

 

弦十郎が真剣な表情でそう言い、車で帰っていく。それを万丈は手を振り、クリスと一緒に見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから少し経った後、昼と呼べる時間帯となり、現在、響と翼はスカイタワー周辺で、シンフォギアを纏ってノイズと戦闘をしていた。

上空には四体居た内の一体は倒すことが出来たようだが、残りの三体の大型ノイズである巨大飛行型ノイズが小型の鳥型を引き連れて飛んでおり、鳥型が邪魔をするせいか、そこまで攻撃を届かせることが出来ていないようだ。

 

「くっ・・・相手に頭上を取られるということが、こうも立ち回りにくいとは!」

 

「ヘリを使って私たちも空から---!?」

 

攻撃を届かせれないために悔し気に翼は呟き、そんな翼に対して提案を響が出す。

しかし、響が言ったあと、すぐにしてまるで邪魔をするようにヘリにノイズが群れ、爆発した。

 

「そんな・・・」

 

「よくも!」

 

だが、悔しむ暇もなく、ドリルのようにノイズが響と翼に向かって突撃してくる。

二人はそれを分かれるように避け、ノイズが地面に突き刺さる。

その間にもノイズは再び別の鳥型の個体が突撃してきて、響は拳で粉砕し、翼は刀で切り払う。

それでも数は減るどころが、上空に居る巨大飛行型ノイズが小型のノイズたちを上空から大量に生み出していた。

 

「空飛ぶノイズ・・・一体どうすれば・・・」

 

「臆するな、立花。防人が後退れば、それだけ戦線が後退するという事だ」

 

だが実際に上空に居るノイズに攻撃する方法がない現状も事実だ。

悩む暇を与えないようにノイズが二人へと襲い掛かり―――

 

「「ッ!?」」

 

上空でどこからともなく、飛んできた銃弾の嵐によって、一瞬にして襲い掛かろうとしていたノイズたちが消し飛んでいた。

慌てて二人が銃弾が飛んできた方へと視線を向ければ、見慣れた赤い装甲を纏った少女と、青いドラゴンのような装甲を纏った戦士、仮面ライダークローズが居た。

 

「よう」

 

「わあ!」

 

それに思わず響は嬉しさが込み上げ、翼は今までのこともあって身構えてしまう。

 

「ちっ、こいつがピーチクパーチク喧しいからちょっと出張っただけだ。それに、勘違いすんなよ。お前たちの助っ人になったつもりはねぇ!」

 

「とか言ってるけど、助っ人だから心配すんな。じゃなきゃ、わざわざこっちには来ねぇよ」

 

「うぐ・・・」

 

すぐさまクローズがそれを否定し、クリスが顔を赤くする。

 

「助っ人?」

 

『そうだ』

 

翼が首を傾げると、弦十郎がクリスの持っている通信機器からフォローするように答える。

 

『第二号聖遺物イチイバルを纏う戦士、雪音クリス。そして、彼女が向っているときに偶然出会ったらしい。仮面ライダークローズだ』

 

そう弦十郎が告げるのと同時に、響はクリスへと抱き着く。

 

「クリスちゃーん!ありがとー!」

 

「こ、この馬鹿!あたしの話を聞いてねえのかよ!?」

 

「あ?馬鹿じゃねえよ!」

 

「お前じゃない!!」

 

抱き着かれて驚くクリスに、馬鹿という単語に反応するクローズだった。

そんなことをしていて、ノイズが空気を読むはずもなく大量のノイズが未だにくっついている響とクリスへと向って行く。

それにクローズと翼が真っ先に反応し、迎撃しようと―――

 

Ready Go!

 

「よっ!ふっ・・・とりゃ!」

 

する前に、上空から飛んできたビルドが、ノイズの目の前に着地して右腕にある『ビルドパッドシールド』でノイズの勢いを止め、弾くと同時に白いオーラを纏った左腕を突き出して『BLDハウリングローブ』から白い狼のオーラを出すことによって残りの範囲のノイズも纏めて炭化させる。

 

VOLTEX FINISH!

 

「「ッ!?」」

 

「せn---ビルド!」

 

「あっ、ビルドさん!」

 

反応はそれぞれ違くて、翼とクリスは突然来たビルドに驚き、クローズは思わずいつもの癖で呼ぼうとしつつも何処か嬉しそうに、響は嬉しそうな表情でクリスから離れて突撃していた。

 

「なーに全員集合したみたいな雰囲気出してんだよ。主役である俺を忘れてもらったらこま――うお!?」

 

振り向きながら言おうとしたビルドだが、突然抱き着いてきた響に驚き、振り向こうとした時に足の力で踏ん張ってなかったために抱き着かれた衝撃で尻もちをついて台無しになってしまう。

 

「あ、ごめんなs・・・モフモフだぁ・・・」

 

つい謝ろうとした響だが、ビルドの左側のハーフアーマー、ウルフのアーマーは実はいつものツルツルとした質感ではなく、防御繊維により狼の毛並み再現しているためにツルツルではなくモフモフとしているのだ。

そのためについモフモフを楽しんでしまう。

 

「ちょ、今はやめろ!動けねぇって!」

 

「あっ・・・あ、あはは、すみません」

 

ビルドは右腕にあるスマホ型のビルドパットシールドが動けばぶつかる危険性があるために何も出来ず、少しの間モフモフされていたが、動けないことを言えば響が謝りながら退いた。

 

「はぁ・・・とにかく、今は連携してノイズを!」

 

その様子に翼が呆れるようにため息を吐くと、切り替えるように声を上げる。

 

「勝手にやらしてもらう!邪魔だけはすんなよな!」

 

しかし、クリスがそう言ったかと思えば、アームドギアを展開して上空にいるノイズをボウガンで撃ち落としていく。

 

「あ、おい!ったく、俺も上空のやつを倒しにいく!お前らは地上のノイズを頼んだ!」

 

「は?お前に上空のノイズを倒せる装備なんて今は―――」

 

『キュイー!』

 

任せろ、という風にクローズドラゴンが鳴いたと思えば、ベルトから飛び出したクローズドラゴンがドラゴンフルボトルを排出する。

 

「ボトルを排出して何するつもりだ・・・?」

 

それを見たビルドは思わず困惑して声を上げるが、クローズはクローズドラゴンに向かって頷けば、クロスボウのような弓を携える何者かが模されている真っ赤なフルボトルを何度か振り、成分を活性化させてクローズドラゴンのフルボトルスロットにフルボトルを挿れる。

瞬間、烈火のように真っ赤に染まったクローズドラゴンの起動ボタンである『ドラゴンソングスターター』を押した。

 

熱唱邀撃ィ!

 

起動音声が歌のようなBGMとともに鳴り、そのままビルドドライバーに装填する。

 

CROSS-Z SHINGER!

 

Are You Ready?

 

「変身ッ!」

 

即座にボルテックレバーを回せば、スナップライドビルダーから四方を囲むようして新たな真っ赤に染まった前後に二つのアーマーと左にクリスのイチイバルと同じような物質で出来ており、半分になっている真っ赤な『ドラゴライブレイザー』と右にも同じ半分となっているドラゴライブレイザーを形成する。

すぐにスナップライドビルダーが動いて前後のアーマーから重なり、重なると同時に青い装甲は消失する。

そのまま赤いアーマーを着たビルドのようになれば、両隣のスナップライドビルダーが後ろへ移行し、覆うように同時に重なる。

 

REMEMBER A SONG AND SING ENTHUSIASTICALLY CROSS-SHINGER!ズドォン!バゴン!ドゴォオオォオォォォォオン!

 

「力が溢れるッ!ボルテージが高まるッ!今の俺は、誰にも止めれねぇ!!」

 

クローズソングブラスター!

 

Blaster Mode!

 

変身シークエンスを終えたクローズは早速スナップライドビルダーから銃を取り出してブラスターへと変え、クリスと一緒に上空にいるノイズに向かって貫通力のある光線のような弾で撃ち落としていく。

 

「うっそぉ!?なんだそれ!?」

 

そしてその姿を見て、自分が知らない形態や、いつの間にか使いこなしているような様子にビルドは一人驚いたように声を上げる。

 

「空中にいるノイズはあの二人に任せて、私たちは地上のノイズを!」

 

「はい!」

 

響と翼は地上に降り立ったノイズを倒すために向かっていく。

 

「あぁ、もう!よく分からないけど先にこっちかッ!」

 

その二人の姿を見たビルドは、思考の渦に入ろうとしていた頭を振ることで考えを消し、即座に二つのフルボトルを取り出して入れ替え、走りながらアーマーのみを形成する。

 

ビルドアップ!

 

ニンニンコミック!

 

銀とターコイズブルーの装甲が重なる寸前で粒子となって消え、黄色と紫の姿、ニンニンコミックへと姿を変えたビルドは、四コマ忍法刀を構えながらノイズを斬り裂いていく。

討ち漏らした敵はそれぞれがカバーするようにして入り、各個撃破していくことで数を減らしていく。

その一方で、クリスはガトリングで上空のノイズを薙ぎ払い、クローズは足裏にあるシンガーローリングホイールでスケートのように滑るようにして動き回りながらノイズを撃ち抜いていく。

上空の敵を二人が相手していることもあり、地上で動き回っている分身を除いて三人が攻撃に邪魔されたりなどを全然されていないために数は瞬く間に減っているが―――

 

 

一旦退いて態勢を立て直そうとしていた翼の背中に、別のノイズを補足するためにも下がったクリスの背中がぶつがる。

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「貴方こそういい加減にして。一人で戦っているつもり?」

 

「あたしはいつでも一人だ」

 

「クローズと行動しておいて?」

 

「あ、あいつは偶然出会っただけで・・・別だ!とにかく、これまで仲間と慣れ合ったつもりはこれっぽちもねえよ!」

 

顔を僅かに赤めつつも、事実を言いつつ話を戻して言葉を続けていく。

 

「確かに、あたしたちが争う理由なんてないのかもな。だからって争わない理由もあるものかよ!こないだまでやりあっていたんだぞ。そんな簡単に人と人が・・・!」

 

クリスが手を振り上げながら自分の思っていることを言葉にして翼に言おうとする。

しかし、やはりと言うべきかそこに響が割り込む。

 

「出来るよ」

 

「ッ!またお前か・・・?」

 

「悪いが、俺を忘れて貰ったら困るな」

 

そこへ、声をかけながら何の気配や音もなく、いつの間にかビルドが居た。

 

「確かに、お前の言う通り簡単に人と人が仲良くなるのは出来ないさ。けど、仲良くなれないか、と聞かれれば違うだろ?必要なのは仲良くなる、なりたいという意思だ。それによって、人間ってのは変わるもんだぜ?現に、今最初に比べてぎくしゃくしていた響と翼は仲良くなれている」

 

「それは・・・そうかもしれないけどそっちの理屈だろ・・・」

 

「お前もクローズと一緒に行動して、仲良さそうにしてただろ?」

 

「あ、あれは偶然で、向こうが勝手に・・・」

 

僅かに言い淀みながらも、クリスは頑として否定しようとする。

 

「そんなことないよ。クリスちゃんだってクローズさんと仲良くなれてる。二人にはそんな感じがするから。私たちとだって、きっと誰とだって仲良くなれるよ」

 

そう言って響がクリスの手を包み込むかのようにして両手で握り、片手だけを離せば翼を方へ片手を伸ばして手を取る。

 

「どうして私にはアームドギアがないのか、ずっと考えてた。だけど今は何も思わない。それはきっと、こんな風に誰かと手を繋ぎ合うためにあるんだって思うから。だって、何も握っていないからこそ、二人の手を繋ぎ合うことが出来てるから」

 

「立花・・・」

 

そう笑顔で言ってのけた響を、翼はしばし見つめ、やがて地面に剣を突き立てた。

そして、突き立てたことによって、空いた手をクリスへと伸ばす。

その行動にクリスは困惑しつつ恥ずかしいからか、顔を僅かに赤くしながらも躊躇って手が少し震えてしまう。

クリスを見つめたまま、翼は頑固なのかせがむように手を伸ばしたままだ。

翼の頑固さにまるで諦めたかのように、恐る恐る手を伸ばしていくが、じれったさに翼はがばっとクリスの手を自ら握って、クリスが思わず驚いて手を離しながら身を引いてしまう。

 

「この馬鹿に当てられたのか!?」

 

「そうだと思う」

 

そんなクリスの言葉を否定することをせず、翼があっさりと肯定する。

 

「そして、貴方もきっと」

 

それでもって、教えるように指摘。

 

「冗談だろ・・・」

 

「二ヒヒ」

 

「・・・ふっ」

 

クリスが白い頬を赤く染めながら、消え入るかのような声で悪態を吐き、響が笑い、ビルドはくしゃっと小さく仮面の下で笑う。

 

「おい!?いつまで俺一人にさせるんだよ!?」

 

その一方で、クローズがビートクローザーを片手にブラスターではなく、ブーメランのような形の剣に変形させて投げることによってノイズを食い止めていた。

 

「おい、今良いとこ・・・ってなんだその武器!?俺そんなの作った覚えないよな!?」

 

「俺が知るわけねぇだろ!遠距離と近距離熟せるやつにしたいって念じたらこうなってんだよ!」

 

(念じたらなった?俺はそもそもあんな武器になるのは想定してなかったしなるように作ってもいなかった・・・ならあの万丈の形態が原因か?いや、でもなら・・・)

 

と、深く考えそうになったところで終わってからにすべきだと判断し、首を横に振ってビルドは思考を打ち消す。

 

「とにかく、俺の攻撃じゃ当たる前に戻ってきたり、威力が殺されちまう!クリス、お前がなんとかしてくれ!」

 

「わかってる!あたしに考えがある」

 

叫びながら未だに相手しているクローズの声に、クリスが頷く。

 

「どうするの?」

 

「あたしのイチイバルの特性は超射程広域攻撃。派手にぶっ放してやる!」

 

「まさか、絶唱を・・・」

 

もしかして、と思い浮かんだものを響は口に出すが、

 

「馬鹿。あたしの命は安物じゃねえ」

 

クリスはそれをすぐさま否定した。

 

「ならば、どうやって・・・」

 

「・・・なるほどな。力を溜めて放つ、その分溜めたエネルギーはとんでもない力になるってとこか。確かに、この状況ではそれが適しているな」

 

「ああ、ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える。行き場のなくなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやる!」

 

ビルドが理解して言った考えをクリスが胸を張って肯定し、詳しく説明する。

 

「だが充電中は丸裸も同然。これだけの数を相手にする状況では危険過ぎる」

 

「そうですね、だけど私たちがクリスちゃんを守ればいいだけのこと!」

 

響の言葉に驚くクリスと、それに応えるように翼が頷く。

その間にも、屋上にはノイズが群がっていた。

 

「あれ・・・これって」

 

「あの時の・・・」

 

ふと気づけば、響と翼は見覚えのある立体化でもしてるような白い数式やら計算式、方程式、法則など難しいものが周りに浮かんでいた。

 

「これが俺たちの勝利の法則だ。行くぞ!」

 

ビルドが複眼をなぞるようにして、彼女たちに言い、三人が群がっているノイズの方を向けば、ノイズに向かって飛び上がる。

 

(頼まれてもいないことを・・・!あたしも引き下がれないじゃねえか!)

 

そんな様子を見て、思わずクリスは笑ってしまう。

 

『なんでなんでだろう?心がグシャグシャだったのに』

 

 

「ッ・・・!(なんだこれ・・・やっぱこの形態になってあいつの歌を聞くと、さっきよりも心が温かくなって、力が溢れてくるッ!)」

 

Bayonet Mode!

 

クローズソングブラスターがさらに変形する。ブラスターモードからライフルのような形状へと変わり、銃身から赤いエネルギーの剣が出ていた。その武器は完全に銃剣である。

クローズはそのまま銃剣となった武器で駆けていきながらそこからビームライフルのようにエネルギーの弾を放ち、近くにきたノイズには銃身から出ている剣で斬り裂き、そのままノイズを蹂躙していく。

 

「今の俺は、全然負ける気がしねぇ!」

 

そして、今のクローズを止めることはノイズ如きでは出来ないだろう。彼の快進撃は止まらない。

 

 

 

「ハッ!よっ・・・ほっ!」

 

一方、ビルドは、分身の術による能力で7人に分身したビルドがドリルクラッシャーと四コマ忍法刀の二刀流に寄る攻撃でノイズを斬り裂きながら駆けていく。

その間にビルドの頭の中に浮かぶのはここには居ない三人の仮面ライダーであった。

 

(今はもう、昔のように感じる旧世界の戦争時、敵だった男が居た。その男は農園や慕っている三人や従業員のために、一般人のために戦っていた。お互い守るのは同じようで同じではなかったが、それでも決着が着いたあと、気づけば肩を並べてくれ、協力して戦うようになっていた。その他にも俺たちを時に叱咤してくれたり一緒にふざけあって笑い合ったり。最後には足りなかったラスト一つのフルボトル、ロストボトルの生成をしてエボルトが居ない新世界を創るための貢献をしてくれた)

 

風遁の術---竜巻斬り!

 

群がるノイズに逆手持ちで三人のビルドが上段に斬り上げるように振り抜く、すると、刀は届かないが力が集まることによって竜巻が起こり、ノイズを巻き上げて倒す。

 

(かつて、国の為に自らを悪とし、汚れ役に徹することで父親を首相として国を収めさせようとした男が居た。しかし、パンドラボックスの光を浴びたことによって好戦的な気質になった彼は、ライダーシステムを利用することによって戦争を引き起こし、直接手を下し、命じたことによって発生した自分の罪を消すことが出来なくて苦しい想いをしていた。それでも国をまとめるために民のために戦い、最後には俺たちに託して新世界の扉を開けるための手助けをしてくれた。特に彼はエボルトを新世界のエネルギーとするためトリガーを壊すという大きな貢献をしてくれた)

 

火遁の術---火炎斬り!

 

クリスの傍へと寄ってきていることに気づいた四人のビルドが、クリスを囲うように着地すると、すぐに振り向き様に炎の斬撃を飛ばす。

その炎の斬撃は四方向へと放たれ、全方位のノイズを粉砕する。

 

(かつて、身体をサイボーグまでして一人の男のためにエボルトに寝返ることでデータを採取して自分なりにエボルトを倒そうとしていた男が居た。なにより彼はよりよくするために科学者として科学を発展させようとしていた。その男の最後に付き合うことは出来なかったが、それでも科学者としては凄いと思う人だった、彼は俺と実験してる時はしっかりとした人間らしい笑みを見せてくれた)

 

(みんな、最初は目的も、守るものも違くて、それぞれの正義がある。だけどそれは全ての敵が悪い訳でも、悪と決め付けれるものではない。俺たちのように分かり合うことだってできる。響が言うように、人は繋がることが出来る、人には無限の可能性があるッ!)

 

「俺は、俺たちは自分が信じるLOVE&PEACEのために戦うッ!それが俺たちの創造(ビルド)だ!」

 

全員が合流したビルドは、前方に居るノイズに横薙ぎすることで竜巻を再び起こし、そこへ残りのビルドが炎を飛ばす。

すると、どうなるか?炎が竜巻に巻き上げられ、とてつもない風によってぐるぐると回るために全体に炎が回り、炎の竜巻(ファイアーストーム)が完成する。

その炎の竜巻はノイズへと向かい、前方のノイズを殲滅しめた後に役目が終えたように消え、再びビルドが突っ込んでいく。

 

(誰もが繋ぎ繋がれる手を持っている・・・!)

 

また一方で、響は群がるノイズに師匠から教わった武術、徒手空拳で敵を粉砕していく。

 

(私の戦いは、誰かと手を繋ぐこと!)

 

「最速で、最短で、真っ直ぐ、一直線にッ!」

 

歌が聞こえながら、彼女はパイルバンカー式の鉄拳で、直線状にいるノイズを全て打ち倒す。

 

(砕いて壊すも、束ねて繋ぐも力・・・)

 

翼は襲いかかってくるノイズを冷静に一閃、さらに向かってくるノイズを一体一体冷静に斬り捨てていく。

 

(フッ、立花らしいアームドギアだ!)

 

ならば自分にするべきことはなにか?それはもう、既に彼女の中で答えを見つけていた。

 

「決まっている。その想いに答えるだけだ!」

 

脚部のブレードを展開、翼は周りにいるノイズを回ることで斬り裂いていく。

 

そしてついに、時間を稼ぐように戦った彼ら、彼女たちに応えるようにクリスのイチイバルが臨界を突破する。

 

『光が・・・力が・・・魂を・・・ぶっ放せッ!』

 

(今、あたしに出来ることを―――ッ!!)

 

すると、クリスのシンフォギアが変形を始める。三連四門のガトリング砲、さらには背中のパーツが変形し、四基の巨大ロケットミサイル、小型ミサイルポッド―――この場にいるノイズを完全に殲滅させるほどの

完全武装をもって、その身に溜め込んだエネルギーを一気に解き放つつもりだった。

そんな彼女にこの場に居る人達が言えることは一つ。

 

「「「「託したッ!」」」」

 

そして放たれるは、現状絶唱以外のクリスの最大火力の必殺技―――

 

MEGA DETH QUARTET

 

最初に放たれたのは四基の巨大ロケットミサイル。それらは小型を避けるような軌道を描き、それを邪魔しようとする小型のノイズたちはさらに放たれた小型ミサイルとそこからまたしても出てきた小型ミサイルが、邪魔しようとするノイズの殆どを殲滅、しかし、それでも足りないノイズは残った個体ノイズをクリスがガトリング砲で餌食となり、塵となった消し飛んでいく。

ひたすら撃って撃って撃ちまくり、巨大ロケットミサイルの軌道を邪魔しようとするのを防ぎ、四基の巨大ロケットミサイルの内、二基は二体の巨大飛行型ノイズに当たって、残りの一体には二基のミサイルをぶつけることで全てのノイズを消し飛ばす。

その間に、四人の活躍もあって地上や屋上のノイズは全て駆逐されていた。

 

「やった・・・のか?」

 

「ったりめーだ!」

 

「わあ・・・!」

 

「よっしゃあ!」

 

「よし」

 

黒い塵が降り注ぎ、空にいたノイズは居なくなり、それもあって真っ青な大空が広がって地上にはあちらこちらにノイズの炭化した成れの果てが転がりまくっていた。

そして五人は勝利を喜ぶかのようにそれぞれ別のリアクションを取り、クリスに抱きついていく響を捉えつつもビルドは気にせずに少し離れた位置にいるクローズと合流する。

 

「戦兎、やったな」

 

「あぁ、これでここは問題ないだろ」

 

離れたとはいえ、まだ近くに装者たちがいるためにクローズは小声でビルドに言い、ビルドは言葉を返す。

 

「用がないなら帰るか・・・と言いたいんだが、お前その形態なんだよ?俺が開発した物じゃないし武器だってそんな機能は付けてないぞ?」

 

さっきは会って、初めて見た形態とはいえ、あの時はノイズが居たために聞こうとしてもタイミング的に無理だったために今ビルドは聞く。

 

「いや、俺もこれはよく分からねぇんだよな・・・ただこの形態になってればお前が創ってくれたこの武器は俺に応えるように変形するっぽいんだよ」

 

(応えるように、か・・・ということはこの武器は元々疑似的に歌の力を再現していた、つまりこの形態はあいつらが纏っているやつに近い感じか?だから歌の力を再現した武器のみに作用されたか。確か情報を盗み見した時にあった情報ではシンフォギアにはそれぞれ武装があり、槍やら剣、銃など様々な本人たちの心象によって武器の形成が変わるアームドギア・・・だったか)

 

「おーい?」

 

「悪い、考え事してた―――ってお前何か光出てないか?」

 

「へっ?うぉお!?なんだこれ!?」

 

思考を一旦閉じ、クローズを見てみると装甲がだんだんと光になっていた。

 

「お、おいどうなってんだよ!?」

 

「俺に聞かれても分からないからな!?そもそもその形態の情報でさえ知らないんだから分かるわけないだろ!」

 

「どうにか出来ねぇのかよ!?」

 

と、二人して慌ててクローズがビルドに掴みかかると、ますます光が溢れてきて―――

 

CROSS-Z DRAGON!Yeah!

 

いつもの青い装甲へと、クローズの姿が戻り、クローズドラゴンでさえ色が元通りになっていた。

そして気づけばクローズの手元には赤いフルボトルが握られており―――

 

「うおっ」

 

「お・・・っと!」

 

倒れかけたクローズを、ビルドが慌てて支える。

 

「わ、悪い・・・サンキュー」

 

「いや、大丈夫だ・・・見た感じ体力の限界、それともフォームの限界で解かれた感じか」

 

と、ビルドは先ほどの光をすぐさま推測する。

理由としてはやはり体力バカである万丈が倒れかけたのもあるだろう。

 

「多分、そんな感じだな。もう一度変身するにはちょっと休まないと体力的に無理そうだ・・・」

 

「やっぱりか・・・もしかしてこの形態になるのは二度目か?そして長く戦ったのは今回が初めてか?」

 

「そうだな・・・前回戦った時はすぐ倒せたし、そもそもあまり休めてなかったりとか色々あったからな」

 

「そうか・・・詳しくは後で見るよ(恐らく体力が全開ならば長く戦えるだろう。あとは慣れか・・・?実際にハザードトリガーだってハザードレベルが上がることによって長く戦えるようになっていた。ならばあの形態は何度か変身続ければ自然と問題なくなるだろう。これも情報がないせいで推測になるが、間違ってはなさそうっぽいんだよな・・・)」

 

支えてた手を離すと、戦えないレベルで体力がない訳では無いらしく、自然と立てるようになっていた。

 

恐らくだがそこまで奪われる訳ではなく、クリスと一緒に行動してたのであれば今までベッドとかでしっかり休めてなかったのもあるのかもしれない。クリスは捕まりたくなさそうだったしな。本当は調整とか諸々しておきたくて待ってたが、帰ってこなかったことからしてそれならば理由にも納得は行く。

 

「けど、今日はまだ戦うか分からないがその力使わない方がいいだろうな。戦闘中に突然戦闘能力が低くなるのは苦戦をする可能性だってなくはない」

 

「そうだな、まだよくわかってねーし・・・変身出来なくなるほどの体力無くなるのは嫌だしな」

 

「あぁ、ってかそれどのボトルが変化したんだ?」

 

「これだよ、お前からスマッシュ用に貰ってたエンプティ」

 

クローズが、手に移動していた赤い---イチイバルソングフルボトルと名付けようか、それをビルドに渡す。

 

「エンプティフルボトルが?」

 

疑問に思いつつも見てみると、形は普通のフルボトルと同じだがクロスボウのような弓を携える何者かの模様が模されてる。

この絵からしてクリスが纏っているイチイバルだろう。

そのイチイバルは北欧神話に登場する狩猟神ウルが扱う弓だ。

が、果たしてどうやったらフルボトルへと繋がるかが分からない。

何故万丈のフルボトルだけ変化した?それはおかしいのだ。

確かにクリスとは俺は関わってなくとも、響とはビルドとして何度も関わっても変化することはなかった。

 

「・・・なんでこうなったんだ?見た感じ力も奪ってる訳じゃないみたいだし」

 

「あーそれは―――」

 

そしてクローズは、ノイズの攻撃を受けた際にエンプティを落とし、クリスがそれを抱えて立ち上がるために胸元へと持っていった瞬間、光が輝いてフルボトルが急に変化し、クローズドラゴンも変わったことを説明した。

 

「なるほどな・・・やっぱ向こうのシンフォギアも調べてみないと詳しくは分からなそうだ」

 

話を聞いたビルドは今まで起こった出来事とは全然違うために、クローズへとフルボトルを返しながら答えを出す。

 

(そもそもこの世界は今までの旧世界とは違って違うことが多すぎる。シンフォギアなんて旧世界にはなかったしエグゼイドたちの世界にもないだろう。仮にフルボトルを聖遺物としても何故エンプティフルボトルが力を奪わずに変化したのは分からない。今分かることはシンフォギアの力と同じで、原因は不明だけどエンプティフルボトルが変化する可能性があるってことだ・・・まぁ一つだけ、確証はないが可能性はなくもないけど間違ってたらダメだし今はいいだろう・・・。・・・・・・クローズドラゴンが変化したのは新世界に起きた際に意志みたいなのを持ち始めたのもありそうだな)

 

なんて考えていると、シンフォギアを解いている三人で、響とクリスがじゃれあっており、それを見ている翼といった状況だったが、突如響の通信端末に連絡が入る。

 

「なんだ?」

 

「・・・ん?」

 

そしてそれに疑問を持った二人は響の元へと向かおうとし、ビルドが何かを確認するようにビルドフォンを取り出す。

 

「はい」

 

「響!?」

 

ビルドがビルドフォンを取り出している間には既に電話に出ており、響の耳元へと聞こえてきた声は未来だった。

それも、かなり切詰まった。

 

「学校が、リディアンがノイズに襲われ―――」

 

ブツンッ―――

 

その声を最後に、通信は途切れる。

 

「・・・えっ」

 

次に聞こえてきた声は、響が漏らした茫然とした声と―――

 

「これは・・・!?まずい・・・!」

 

アプリを開けて過去の記録を見れば、そこには赤、それはノイズの量を現しており、場所はリディアン音楽学院であることを知ったため、ビルドの焦ったような声だけだった。

 





https://syosetu.org/novel/216410/24.html

第二回、以下省略

戦兎「省略しちゃったよ!?続いたのにやっちゃったよ!いいのか、それで!?」

「ま、まぁまぁ……それより、始めませんか?」

戦兎「そ、そうだな……ということで今回のゲストはこの人だ」

未来「こんばんは、小日向未来です」

戦兎「因みに理由としては、シンフォギアのゲームでようやくサボってたのを上限突破したかららしい。ついでに結局石温存のために引かなかったファウストローブ未来さんを今更欲しかったああぁぁぁあ!とか作者が騒いでたぞ」

未来「皆さんも後悔しないようにしましょう」

戦兎「さて、一応これを飛ばす人はここでさようならとなるが、見てくれる人はこのまま下に行ってくれ。飛ばす人は後書きの一番上のリンクから次に行けるからそっちから行って欲しい。それじゃあ、今日紹介するものは---」







仮面ライダービルド ゴリラモンド

イメージカラーは茶色と水色、名前から分かる通りゴリラとダイヤのフルボトルを使ってなれるベストマッチフォームの一つだ。
特に、右腕の『サドンデストロイヤー』は強力で、なんと25.9tある。しかもパンチの威力を二倍にする炸裂パワーユニットがあるんだ。
低確率だが即死効果もあり、だから葛城巧はブラッドスタークだった頃のエボルトを倒そうとした時にこれを選んだのかもしれない。
ダイヤモンドの方はバリアを貼ったり目を眩ませたり、幻影を作ったりなどの能力がある。
なによりも、ダイヤモンドのように硬いのが強いポイントだろう。
このベストマッチは「パンチ特化」と「防御特化」の組み合わせにより、近接戦闘に特化したベストマッチとなっている。だから高機動で遠距離相手には機動力の低さから相性は悪いぞ。
ただし、狭い部屋の中などで戦う場合は有利に持って行ける形態でもある。
余談となるが、これらの共通点は「強靭さと脆さを併せ持つ」ことだろう。
ゴリラは怪力を誇る割にはストレスに弱いデリケートな生き物であり、ダイヤモンドはその性質を「硬くて脆い」と表現される物質である。 これらの強靭さはダイヤモンドの別名「金剛石」、ゴリラの「剛力」と、「力が強いこと」を表す”剛”の字でも表現される。

因みにだが別の世界の仮面ライダーである、パラドクスを圧倒したりゲンムのライフを削ったりと結構な強さを誇るベストマッチではあったりはするんだが……相性が良かったのもあるのかもな。

戦兎「と、言ったところだ。じゃあ次は頼んだぞ」

未来「はい、次に紹介するのは---」

仮面ライダービルド ホークガトリング

イメージカラーは、橙と濃灰色で鷹の目の如き高度な視覚と飛行中の高度や天気を予測する機能を備えているらしく、背中には「ソレスタルウィング」という翼を持ち高い飛行能力を見せるみたいです。
また、大きく展開する事でシールドとしても扱えるらしく、戦兎さん曰く便利であるとか。
ガトリングの方はといえば、複眼は2つのガトリング砲を模していて、武器の照準センサーとリンクさせて命中率をあげる他、マズルフラッシュで目くらましをする能力、銃撃音を音響兵器として扱う機能が搭載されているんだって。
この形態では、戦兎さんが発明したホークガトリンガーを装備してるんだ。
余談ですが、何かとこのフォームはクローズとの関わりが多いらしいです。
最初は龍我さんがこのフォームのベストマッチを発見し、クローズドラゴンがガトリングフルボトルを装填した事や、クローズチャージ(?)がタカボトルで飛行、さらにホークガトリングのハザードフォーム……というらしいのを止めた事もあるみたいで、クローズマグマナックルというものにタカボトルをセットしてエンジンブロスって人(?)を撃破したり、さらにクローズマグマ……というのとカラーリングが似ているらしく、どっちか分からないって人も少し居たとか。
この形態のモチーフの共通点は『狙いを定めて対象を狩るもの』だと言われてます。
「ホーク」の名は軍用機やミサイルのような空飛ぶ兵器の名前にもよく用いられ、ガトリングと共に戦争モチーフを見出すこともできたり、ベストマッチの起源に則った言い方をするならば、『空飛ぶ鷹をガトリングで撃ち落とす』組み合わせとも言えるみたい。

戦兎「ちょっと長いの任せちゃったな。ごめん」

未来「いえ、大丈夫です」

戦兎「そうか……じゃあせめてこれが終わったら何か食べに行くか」

未来「えっ?いいんですか?」

戦兎「あぁ、頑張ってくれたし何かはさせてくれ」

未来「分かりました……もし良かったら、もう一つお願いしたいんですけど……」

戦兎「構わないが、なんだ?」

未来「えっと……私と一緒に二人っきりで外出してくれないかなぁ……と」モジモジ

戦兎「あぁ、明日なら別に用もないし、いいぞ」

未来「あ、ありがとうございますッ」

戦兎「っと、読者様を待たせるわけには行かないな。以上が今回の紹介だ。作者はシンフォギアも紹介するつもりだったんだが……」

未来「長いせいで自分の中の説明だけにしても設定が多いからまとめるのがしんどい、と言ってました……ので、知らない方は見るか、調べて欲しいらしいです」

戦兎「まぁ、仮に欲しいって人がいればやるかもしれないけどな。それで好きになってくれる可能性があるんだったらやる!って言ってたし……とにかく、今日はここまでだ。最後まで読んでくれた人はありがとうな?これからも投稿は遅いかもしれない」

未来「気楽に待ってて欲しいです」

戦兎「じゃあ締めるか……」

未来「ですね、どう締めるんですか?」

戦兎「あー……どうするか……前回はセリフで決めたが……今回は普通でいいか。いつか決めるとは思うけどな」

未来「分かりました」

戦未「それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!」

ED曲「Over Quartzer」

挿入歌「Be_The_One(オルゴール)」

音声「ビルドライドウォッチ」

提供「S〇NY、ニコニ〇本社」

未来「えへへ……」

戦兎「なんか、嬉しそうだな?」

未来「はい!戦兎さんとデー……出掛けられるので」

戦兎「そんなもんなのか?……まぁ笑顔になれるんだったらいいか」


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二十三話 月を穿つ


ガンダム楽しすぎ問題とゲームイベント大変過ぎ問題、忙しいor面倒くさくなるせいで執筆サボってた人ですどうも。なんかお久しぶりです 今まで別の小説書いてたからね、仕方ないね。でも感想貰って見たらやる気物凄く出たのでこれからはリアルが問題なければ投稿しますよ!感想貰うと本当にそうなるので是非是非感想や評価お願いします!
いやぁ……でも、まさか新しい小説まで書き出すとか……うん、アホだね!元からだけど!じゃあ未来の俺、後は託した(いつもの)
あ、新しいやつは日常系なので癒しとして見たい人はどうぞ。もちろん私はこの作品などの日常を書くための勉強にするためにもちょうど良かったので書いたというしっかりとした理由はあるので!
あと、作者名Twitterと同じにしました(どうでもいい報告)






戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎は旧世界の仲間たちの様子を見て安堵する」

万丈「一方で、俺とクリスはフィーネの住んでいた隠れ家に戻り、真実を問おうとするが、そこで見たのはたくさんの遺体だった」

クリス「そして、二課と話すこととなった時、あたしの過去について話、無事に和解することに成功する」

響「またまた一方では、私と翼さんは空に浮かぶノイズ相手に苦戦していました」

翼「そんな中、援軍として来た雪音とクローズ、そしてビルドと協力することによって無事に雪音と和解し、ノイズを殲滅することに成功する」

未来「しかし、戦闘が終わって少し経った後に聞こえてきたのは私の説詰まった声と、途切れた音でした」

戦兎「こうやって改めて見ると・・・遅いよな」

万丈「今は仮面ライダーレイバーやってんだよな」

未来「セイバーですよ。レイバーだと別作品になっちゃいます」

クリス「相変わらずバカだな」

万丈「バカじゃねぇよ!プロテインの貴公子だ!」

戦兎「はいはい、こんな万丈は放っておくぞ」

響「あはは・・・確かに本編行かないとですよね」

翼「ならもう行くとしようか」

全員「第二十三話どうぞ!」





戦兎「ところで万丈」

万丈「あん?」

戦兎「なんでクローズドラゴンがあそこで遊んでんだよ?あと、お前のプロテイン取ってんぞ」

万丈「お前に分からないなら俺が分かるわけないだろ・・・ってうお!?人の取るんじゃねぇよ!?」

戦兎「・・・やっぱ、お前バカだな」

万丈「なんでだ!?」





響たち装者やビルドとクローズ、二人の仮面ライダーが街に出たノイズの対処をしている間に、リディアンはノイズによって襲撃を受けていた。

そのノイズたちには自衛隊の人たちが対応しているが、彼らには仮面ライダーのような兵器もシンフォギアのような物もないために、通常兵器で対応している。

しかし、ノイズとは通常兵器が効かないどころかそもそも干渉でさえすることも出来ないため、無駄に弾を消費することと少しの時間稼ぎしか出来なかった。

そこに聖遺物や仮面ライダーのような力があれば、話は別だっただろうが・・・。

唯一出来ることがあるとすれば、リディアンに居る生徒たちをとにかく逃がすことのみだった。

その避難誘導は、未来が先陣を切って行っていた。

 

「落ち着いて!シェルターに避難してください!」

 

自衛隊の人に避難誘導を任せ、生徒を少しでも落ち着かせるためになだめつつ、未来は声を挙げる。

 

「落ち着いてね・・・」

 

「ヒナ!」

 

そんな中で、未来に話しかける者がいた。

黒鉄色のショートカットが特徴的な安藤創世と、長い金髪でおっとりした雰囲気が特徴的なお嬢様の寺島詩織、そして茶髪で、髪の毛をツインテールにした板場弓美。

この三人はいつも未来や響と一緒にいる同級生の少女たちだ。

 

「みんな・・・」

 

「どうなってるわけ?学校が襲われるなんてアニメじゃないんだから・・・」

 

いつも比喩にアニメを使う弓美らしい言い方だが、それももっともであろう。

街や他のところでノイズの出現はあれど、自分たちがいつも登校して授業を受けている学院にノイズが現れるなんてこと、今まで一度もなかったのだ。

 

「みんなも早く避難を・・・」

 

「小日向さんも一緒に・・・」

 

未来の言葉に詩織がそう言ってくるが、未来は首を横に振る。

 

「先に行ってて。私、他に人がいないか見てくる!」

 

「ヒナ!」

 

よく独特な変なあだ名を付けて呼ぶ創世が止めるように呼び止めるが、未来は振り向くことをせずにそのまま走っていく。

 

「君たち!」

 

そこへ、避難誘導に当たっていた一人の自衛隊が三人の存在に気づいたのか、走って近づいてくる。

三人はその声に気づいて其方へ向く。

 

「急いでシェルターに向かってください!校舎内にもノイズが―――」

 

その次の瞬間、まさに一瞬の出来事だった。

 

その自衛隊は上空からガラスを割って入ってきたノイズに貫かれる。

そして、最後まで言葉を紡ぐことさえ出来ず、一秒もたたずして一瞬で炭素の塊とかし、崩れていってしまう。

 

「―――いやあああああああっ!!」

 

目の前で炭素の塊となり、崩れ去った自衛隊を見た弓美が耐えれないように悲鳴を上げ、辺りに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちから離れ、まだ学院の中に人が逃げ遅れてる生存者が居ないか

走り回る未来。

元陸上部で、響の特訓にも付き合っていたお陰か彼女の体力はまだ衰えていなかった。

 

「誰か!残っている人は居ませんか!?・・・きゃあ!?」

 

生存者が居たらその人が気づくように大声を挙げながら探すが、なんの返事が帰ってくることもなく、突然地面が揺れた。

思わず未来は小さく悲鳴を上げる。

ふと窓の外を見てみると、巨大なノイズがリディアンを力の限り破壊しまくっていた。もちろん、学院だけではなく、木など自然まで壊されており、まるで小さな戦争でも起きたような悲惨な光景であった。

それに先ほどまで聞こえていた銃撃音など全く聞こえなくなってしまっている。

 

「学校が・・・!響の帰ってくるところが・・・!」

 

その悲惨な光景を目にして未来は立ち尽くしてしまう。しかし、そんな未来をチャンスだと、許さないかの如くノイズが窓ガラスを破壊して侵入し、壁に貼り付く。

そのまま貼り付いたノイズが、銃弾の如く襲いかかってくる。

そんなノイズに未来は反応することも出来ずに、ノイズに衝突―――

 

 

 

 

―――――されることはなく、彼女のポケットが人際強く輝いたかと思うと、寸でのところで()()()()()()()()()()()()()()()が彼女を守るように前方に貼られ、ノイズを窓際の方に逸らすことによって、ノイズたちは未来の横を通り過ぎていく。

そしてダイヤモンドの壁はすぐに霧散していた。

 

「えっ・・・!?」

 

見知らぬ宝石が守ってくれたことや、自分が知らない出来事に思わず驚いたように声を出して止まってしまうが、何者かが未来の手を引いていく。

 

「こっちです!走りますよ!」

 

「あっ・・・緒川さん!?うぇえっ!?」

 

気づいた未来が緒川の名前を呼び、見れば後ろに逸らされていたノイズは戦闘態勢に入っており、未来はついて行くように走りながら先ほどの輝きは見えないが、片手をポケットに入れて探ると、そこには硬いボトルのような物があった。

そんな物持っていた覚えはないが、ふと前日、ビルドから渡されたフルボトルがポケットの中にあるままのことを思い出し、守ってくれたのだと理解する。

 

「三十六計逃げるに如かず、と言います!」

 

緒川は先ほどのが気になってるような表情だが、今はそんなことよりもノイズから逃げることを優先するべきだと判断したのか、すぐさまエレベーターに駆け込み、通信機を使ってエレベーターの扉を閉める。

そのままノイズは入ってこられないかと思われたが、現実と異次元との実体率を操作する事の出来るノイズにはそんなもの意味がなく、物体への透過は可能だ。これぐらい朝飯前とでも言うかのようにノイズはエレベーターの扉を透過していき―――

 

二人に触れるには一歩届かず、超高速で落ちていくエレベーターが動き出すことによって、体の半分が向こうにあったこともあり、ノイズはエレベーターから追い出される。

 

「・・・ほっ」

 

思わず安堵の息を吐き、未来は手摺を掴む。

その後、緒川は通信機器を使うことで、本部へと連絡していた。

 

『はい。リディアンの破壊は依然拡大中です。ですが、未来さんたちのお陰で、被害は最小限に抑えられていま』

 

自衛隊にノイズが集中していたのもあるのか、恐らく生徒の犠牲者は居ないだろう。

しかし、何人者の自衛隊が犠牲となったのか想像がつかない。

 

『これから未来さんをシェルターまで案内します』

 

 

 

 

 

 

 

 

二課本部―――

 

『わかった。気をつけろよ』

 

そう返事をして、弦十郎がそのまま耳から離そうとした時、緒川から声が上がる。

 

『カ・ディンギルが判明しました』

 

『なんだと!?』

 

予想外の言葉を聞いて弦十郎が驚く。

 

『物証はありません。ですが、カ・ディンギルは恐らく……ッ!?』

 

次の瞬間、何かが割れるような音と立て続けに何かが粉砕されるような音が聞こえる。そして

 

『きゃあああぁぁあああぁぁ!!』

 

 

未来の悲鳴が無線の通信機器から聞こえてきた。

 

『どうした!?緒川!!』

 

何があったのか分からないために呼びかけるが、何も返事が返ってこなく、聞こえてくるのは向こうの通信機が壊されたのかザザーッとした砂嵐のような音だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

その一方で、緒川と未来の方では―――

 

 

「ぐ・・・ぁ・・・」

 

「こうも早く悟られるとは、何がきっかけだ?」

 

そう問いかけたのは、壁に押し付けるようにして緒川の首を絞める黄金のネフシュタンの鎧をその身に纏うフィーネだった。

何故彼女が学院の隠しエレベーターであるここにいるのかと聞かれれば、彼女がノイズで学院を襲わせた張本人だからだ。

 

「っ・・・塔なんて目立つ物を誰にも知られずに建造するには地下へと伸ばすしかありません・・・」

 

それは誰にも分かることだろう。上ならば誰かにあっさりバレ、怪しいからか捜査に入ったりなどするだろう。しかし下に建造するとなれば、誰も気づくこともなく、誰も邪魔をすることも出来ない。そもそも地下に作るなど誰にも予想できないのだから。

 

「そんなことが行われているとすれば・・・特異災害対策機動部二課本部、そのエレベーターシャフトこそ、カ・ディンギル・・・そして、それを可能とするのは―――」

 

「漏洩した情報を逆手に、上手くいなせたと思ったのだが・・・」

 

そこで、エレベーターが最下層に到達した音が聞こえ、緒川の背後の扉が開く。

それのお陰で拘束を逃れた緒川は身軽な動きで飛び上がって距離を取る。その際に懐に手を突っ込み、即座にそこから拳銃を取り出したかと思うと発砲。その数は3弾だ。

それら全てがただの人間であるならば死ぬような正確な狙いだが、フィーネに直撃して突き刺さった3つの弾丸はまるで削り取られでもしたかのように落ちていき、フィーネの体に至っては傷一つなかった。

 

「ネフシュタン・・・!?」

 

緒川が声を上げると、フィーネはそれに対して返事の代わりとでも言うように手をかざす。

するとネフシュタンの鎧の肩にある刃の鞭を操って、一瞬で緒川を拘束して空中に軽々と持ち上げる。

 

「うああああぁぁあああ!」

 

「緒川さん!」

 

持ち上げられた緒川は鞭で締め上げられ、絶叫する。その様子を見ていた未来は思わず名前を呼ぶが、

 

「ぐぅ・・・あぁ・・・未来さん・・・逃げて・・・」

 

今自分が一番危ない状況だと言うのに、緒川は自分のことよりも他人である未来に逃げることを促す。

しかし、未来はそのまま棒立ち―――せずに、覚悟を決めて緒川を助けるために前を向いて気づいていないであろうフィーネに向かって体当たりをかました。

 

だが、あまり効果がないのか体がほんの僅かに揺れただけで、ぶつかってきた未来にフィーネは肩越しに視線を向けた。

 

「ひっ・・・」

 

その視線に、未来は思わず後ずさるが、それも仕方がないだろう。彼女は今仮面ライダーのような力があるわけでも親友である幼馴染のようにシンフォギアを纏えるわけでもなく、ただの勇気を出した一般人なのだから。

 

そしてゆっくりと振り返ったフィーネは、緒川から拘束を外し、未来と向き合い、未来の顎に手を当てる。

 

「麗しいな。お前たちを利用してきた者を守ろうと言うのか?」

 

「利用・・・?」

 

突如フィーネが言ってきたが、未来にとっては知らないために言葉の意味訳が分からなかった。

 

「何故二課本部がリディアンの地下にあるのか?聖遺物に関する歌や音楽データを、お前たち被験者から集めていたのだ。その点、風鳴翼という偶像は、生徒を集めることによく約立ったよ」

 

分からないことを察したのかフィーネが語り、最後に嘲笑いながら未来からフィーネは離れて歩き出す。

その後ろ姿を見る未来。だが―――

 

「―――嘘を吐いても、本当のことを言えなくても、誰かの命を守るために自分の命を危険に晒している人たちが居ます!」

 

先ほどの緒川がそうであったように。あの日のビルドや響がそうであったように。

 

「私は、その人を・・・そんな人たちを信じてる!」

 

まさかの啖呵。特別な力があるわけでも、戦える力があるわけでもなく、戦いさえ知らないただの一人の少女が、たくさん戦って経験を積んできた百戦錬磨であろう存在に、ちっぽけな勇気を振りかざして言葉を投げかけていた。

 

「―――ッ!」

 

それが癪に障ったのか、フィーネが即座に振り返り、未来の頬に一発平手打ちをすると、すかさずその胸倉を掴んでもう一度引っ叩いた。

未来はそのまま崩れ落ちて倒れてしまう。

 

「まるで興が冷める・・・!」

 

忌々し気に呟き、目的を達成するためか倒れている未来を無視してデュランダルがある保管庫へと歩みを進める。

ドアの目の前まで来ると、どこで手に入れたのか二課の通信機器を取り出し、認証パネルにかざそうとした寸前に、どこからか飛んできた銃弾によって通信機が壊される。

 

「デュランダルの元には行かせません・・・!」

 

振り返れば、先ほど鞭に締め付けられて解放されたときに倒れていたはずの緒川がいつの間にか膝をついて起き上がっていて、拳銃を構えてる姿がそこにあった。

 

「この命に代えてもです!」

 

銃を投げ捨てて格闘戦を挑もうとする緒川。

だが、先ほどとは違って冷めた目で緒川を見据え、ネフシュタンの鞭の刃を振るおうとする。

 

 

 

 

 

 

 

「―――待ちな、了子」

 

しかし、突然どこからともなく声が聞こえたかと思いきや、突如天井が粉砕され、瓦礫が落ちてくる。

瓦礫が落ちた際に起きた土煙が少し晴れてきたかと思うと、そこに現れた者は―――

 

「私をまだその名で呼ぶか・・・」

 

「女に手を挙げるのは気が引けるが・・・二人に手を出せば、お前をぶっ倒す!」

 

―――二課の指令である、風鳴弦十郎であった。

ただの人間であるはずなのに、かなり硬くてただの人間では壊せないであろう鋼鉄の壁を壊してここへやってきたのだろう。

 

「司令・・・!」

 

緒川は慣れてるのか普通だが、未来に至っては予想外の登場に茫然としてしまっている。

 

「調査部だって無能じゃない。米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに行き着いていた。後はいぶり出すため、あえてお前の策に乗り、シンフォギア装者を全員動かしてみせたのさ。仮面ライダーも偶然動いたようだがな」

 

「陽動に陽動をぶつけたか。食えない男だ。だが、この私を止められるとでも――――」

 

「おうとも。一汗搔いた後で、話を聞かせてもらおうか!」

 

何の迷いも、戸惑いもなく弦十郎は言いのけてみせ、すかさず地面を蹴り砕いて前へと出る。

その進行を阻止すべくフィーネは刃の鞭を振るうが、僅かに身を逸らすことで止まらずに避け、二撃目は飛ばれることで躱されてしまう。

飛んだ弦十郎は、その先にあった天井の出っ張りを掴み、そのまま天井に足を付けたかと思えば一気に落下。

そのまま落下の勢いを乗せて拳を振り下ろしてくる弦十郎にフィーネはギリギリの所で避けるも、僅かに掠ったのか掠った部分の鎧にヒビが入る。

 

「何・・・!?」

 

フィーネはそのことに思わず驚いて、距離を取る。

鎧はすぐさま修復するが、フィーネは未だに険しい顔で警戒しながら弦十郎を睨む。

 

「肉を削いでくれる!」

 

すぐにフィーネは二つの刃の鞭を弦十郎に叩きつけようとするが、それは弦十郎の両腕によって容易に掴み取られ、鎧によって重量が増しているフィーネを軽々と引っ張って引き寄せ、土手っ腹に渾身のパンチを叩き込んだ。

 

そのままフィーネは弦十郎の背後に落下する。

 

「がっ・・・ぐあ・・・」

 

思わず呻き声をあげるフィーネ。

 

「完全聖遺物を退ける・・・!? どういうことだ!?」

 

全くその通りなのだが―――

 

「しらいでか! 飯食って映画見て寝る! 男の鍛錬は、ソイツで十分よ!」

 

と、言ってのけた。他の人からすれば意味が分からないだろうが、実際彼はそれをしただけだ。

 

「なれど人の身である限りは・・・!」

 

立ち上がったフィーネは即座にソロモンの杖を取り出して放つために向ける。

 

「させるか!」

 

ノイズを出されては対処出来ないというのは何度も痛感しているため、思いっ切り床を足で踏み砕き、その際に浮き上がった石の破片を蹴り飛ばす。

その石は見事ソロモンの杖へと命中し、命中したソロモンの杖は弾き飛ばされて天井へと突き刺さる。

そして弦十郎はすかさず空中に飛び上がって拳を握りしめる。

 

「ノイズさえ出てこないのなら―――!」

 

そのまま拳は振り下ろされる。このままいけば、直撃は免れないが―――

 

 

 

 

「弦十郎君!」

 

一瞬、フィーネの顔が了子のものになる。

 

「―――ッ!」

 

それを見た瞬間、弦十郎の動きが完全に止まった。それは果たして驚きか、それとも別の理由なのか。

だが完全に動きを止まったのを見て、フィーネはニヤッと笑う。

 

 

 

次の瞬間、真っ直ぐ伸びた刃の鞭が、弦十郎の腹を貫いた。

 

「司令・・・!」

 

緒川が声を漏らす。

しかし腹を貫かれた弦十郎は口から大量の血を吐き出してはまき散らし、そのまま地面に倒れてしまう。

 

「いやぁぁぁああああぁあああああ!」

 

それを見た未来の叫び声が辺りへと響き渡り、弦十郎の体を中心に血溜まりが広がる。

 

「抗うも覆せないのが運命なのだ・・・!」

 

倒れてる弦十郎のポケットから通信機を奪い取り、鞭で天井に突き刺さったソロモンの杖を回収する。

 

「殺しはしない。お前たちにそのような救済など施すものか」

 

そう言い残してからフィーネは奪った通信機でデュランダルが保管されているアビスへと続く道のドアのロックを解除して開け、扉の向こう側へと消えるのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令部にて、装者と協力して戦ってる仮面ライダーたちの戦いを固唾を飲んで見守る二課の職員。

その最中で司令部の扉が開いたと思いきや、ぐったりとした状態で緒川と未来に運ばれる弦十郎がいた。

 

「司令!?」

 

「応急処置をお願いします!」

 

緒川の指示で、すぐに友里が応急処置を行う。

 

「本部内に侵入者です」

 

応急処置をしてるため席を離れてる友里に代わり、緒川がその席に座って端末を操作しながら報告する。

 

「狙いはデュランダル。敵の正体は―――櫻井了子」

 

「な・・・!?」

 

「そんな・・・」

 

そんな動揺が司令部に広がるが、それも仕方がないことだ。何年も一緒に戦い、研究したり話したりした中である櫻井了子が敵の正体と言われたのだ。

しかし、その間にも緒川はコンソールを操作し、響たちに回線を繋げる。

 

「響?学校が、リディアンがノイズに襲われてるの!―――あっ!?」

 

だが、未来が全てを言い終える前に、突如周囲の照明が落ちる。

 

「なんだ!?」

 

「本部内からのハッキングです!」

 

「こちらからの操作を受け付けません!」

 

画面がだんだんと消えていき、あっという間に彼らの扱う機器が使用不能となっていく。

 

「こんなこと、了子さんしか・・・」

 

藤尭が信じたくないかのようにそう呟く中で、未来はただ茫然と立って、その様子を見ている事しか出来なかった。

 

「響・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が完全に沈み、夜となって月が空に昇った頃、装者たちと仮面ライダーたちがリディアンに到着した。

 

「これは・・・!?」

 

果たしてそれは誰の声だったのか。少なくともこの惨状を見て、全員が茫然としていた。

学園の校舎は所々崩れ去り、比較的マシな校舎があれど、そこにはヒビが入っていて、さらにはグラウンドは荒れ、破壊された戦車が置き去りにされており、気配は自分たち以外の一人もいない。

 

「未来ー!皆ー!」

 

響が呼びかけるが、当然返事はなく、その場に膝をついてしまう。

 

「リディアンが・・・」

 

翼が茫然と呟く中、見上げた先の校舎のに一人の女性が、明らかに不自然に立っていることに気付く。

 

「櫻井女史・・・!?」

 

その女性は、翼や響が見慣れている櫻井了子だった。

 

「フィーネ・・・お前の仕業か!?」

 

「あいつ・・・あの時のか?」

 

クリスが叫び、ビルドはデュランダルの時のことを思い出すように小さく呟く。

 

「ふふふ・・・ハハハハハハ!!」

 

それ聞いて、高笑いする了子。

 

「そうなのか・・・その笑いが答えなのか!?櫻井女史!」

 

信じられないとでも言いたげな翼。

 

「あいつこそ、あたしが決着をつけないといけないクソッタレ……フィーネだ!」

 

クリスがそう叫ぶと、了子は眼鏡を外し、髪を解くと光に包まれる。

そして光が収まると、そこに立っていたのは金髪の女性だった。

 

(あいつだったのか・・・!)

 

「嘘・・・」

 

クローズは心の中で今更気づき、響が茫然と呟く中で、ネフシュタンを身に纏った了子・・・否、フィーネが立ち佇んでいた。

 

「・・・嘘ですよね?そんなの嘘ですよね?だって了子さん、私を守ってくれました」

 

未だに信じられないとでも言うように響が尋ねる。

 

「あれはデュランダルを守っただけのこと。希少な完全状態の聖遺物だからね」

 

しかし、そんな響に返ってきたのは、響の言葉を否定する言葉だった。

 

「嘘ですよ。了子さんがフィーネだって言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」

 

「櫻井了子の肉体は、先だって食い尽くされた・・・いえ、意識は12年前に死んだと言っていい。超先史文明期の巫女『フィーネ』は、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者がアウフヴァッヘン波形に接触した際、その身にフィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ」

 

「遺伝子に自分の意識を投影したってわけか・・・けど、それは現代の科学では到底不可能なはずだ。今もそんな技術を人類は身に着けていない」

 

ビルドが驚きはするも、冷静に尋ねる。

 

「当然だ。先史文明の科学力は現代では到底及ばない力を秘めているのだ。そして十二年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた。その目覚めし意識こそが、『フィーネ(わたし)』」

 

「貴方が、了子さんを塗り潰して・・・」

 

「まるで過去から蘇る亡霊・・・!」

 

茫然とする響と顔を険しくする翼。

 

「フフフ・・・フィーネとして覚醒したのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄。世界中に散らばた私たちはパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた・・・」

 

「その一つがシンフォギアシステムか!?」

 

「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための福受品に過ぎぬ」

 

「お前の戯れに、奏は命を散らせたのか・・・!?」

 

「あたしを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!?」

 

「そう!全てはカ・ディンギルの為!」

 

フィーネが何の悪びれもなく肯定し、答えた瞬間、突如として地面が揺れる。

 

「うおおぉぉおお!?な、なんだ!?」

 

「これは・・・!!」

 

大きく揺れる中で、地面から何かが突き破って出てくる。

それは、巨大な塔。

二課のエレベーターシャフトから見えていた壁画のような飾りが施されており、その巨大さは、まさしく名の意味の通り、天を仰ぐほど程。

 

「これがカ・ディンギル・・・!別名、『バベルの塔』か!」

 

「バベルの塔!?それは確か・・・」

 

「あぁ、大昔に、人が天に手を伸ばそうとして建てた超巨大な塔だ。だがこれで何を・・・いや、まさか!?」

 

「そうだ。これこそが、地より屹立し天にも届く一撃を放つ……荷電粒子砲カ・ディンギル!」

 

聳え立つは、星もを穿つ巨大な塔---いや、巨大兵器と言った方が正確だろう。

 

「カ・ディンギル!・・・こいつでバラバラになった世界が1つになると!?」

 

「いや、呪詛だ」

 

ビルドが口を挟んだかと思えば、思い出すように言葉を紡いでゆく。

 

「人々はかつて、相互理解が可能な言語を使っていた。だけど、塔を築いている途中、神は人々から相互理解の為の言語を奪い、互いに言葉が通じ合わなくすることで混乱を招いて建造を中止させた・・・。つまり、お前の目的は、その呪詛を解く事か・・・!」

 

「ああ、今宵の月を穿つことによってな」

 

「月を・・・!?」

 

「穿つと言ったのか・・・!?」

 

「なんでさ!?」

 

その時、フィーネの顔が、今まで見たこともない切実な顔に変わった。

 

「・・・私はただ、あの御方と並びたかった・・・。その為に、あの御方へと届く塔を、シリアルの野に建てようとした・・・」

 

まるで、一人の少女が恋焦がれるようにフィーネが語る。

 

「あの御方の怒りを買い、雷帝に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる・・・果てしなき罰、バラルの呪詛を掛けられてしまったのだ」

 

それが恐らく、今を生きる人たちが知らぬ神話の事実なのだろう。

 

「月が何故古来より『不和』の象徴と伝えられてきたか・・・それは、月こそがバラルの呪詛の源だからだ!人類の相互理解を妨げるこの呪いを、月を破壊する事で解いてくれる!そして再び、世界を一つに束ねる・・・!」

 

そう月に向かって手を伸ばし、伸ばした手をフィーネは握り締める。

それと同時に、カ・ディンギルにも変化が訪れる。

突如として光出したかと思えば、やがて稼働するかのような音が鳴り響き、その砲塔の中ではエネルギーが充填されていく。

このままチャージされ、放たれてしまえば月は破壊されるだろう。

その時だった。

 

「だあぁああああぁあああ!」

 

突如としてクローズが叫んだかと思えば、頭を掻くような動作をした。

 

「さっきから難しい言葉や話ばかりしやがって!何言ってるのか全然分からねぇよ!バラルの呪詛?バブルの塔やらバレルの塔だか、よく分からねぇけどよ」

 

一度言葉を区切りピンッとフィーネに向かって指を差した。

 

「お前がしようとしてることは絶対に間違ってる!」

 

「ふっ、こいつの言う通りだ。確かに、誰かに会いたくてそのために何かを成そうとするのは別に悪くはない」

 

ビルドが進み出る

 

「だけどその為に大勢の命を危険に晒すのは間違ってる。それは、許すわけにはいかない」

 

「ふん、永遠を生きる私が余人に歩みを止められる事などありえない」

 

「止めてやるさ、俺は仮面ライダーだからな」

 

そう言ってのけたビルドに呼応するように、響たちが覚悟を決め、聖歌を歌う。

 

 

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)---」

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)---」

 

Killter Ichival tron (銃爪にかけた指で夢をなぞる)---

 

変身が完了し、ビルドと同じように進み出て5人が並び立つ。

 

「行くぞ!」

 

ビルドの掛け声に全員が動く。

先陣を切ったのはビルドで、左足のホップスプリンガーで一気に接近し、その間に手元に呼び出したドリルクラッシャーを叩きつける。

が、それを躱され、もう一度叩きつけるが、それも躱される。そしてビルドはドリルクラッシャーを即座にガンモードにしたかと思えば、数発撃って飛び上がったかと思うと、その弾に追従するように響が弾を避けたフィーネに拳を叩き付けようとするが、逸らされて弾かれてしまう。

 

「うあぁああぁぁああああ!」

 

MEGA DETH PARTY

 

クリスが大量のミサイルを放つ。しかし、それをフィーネは鞭の一閃で全て破壊する。

黒煙がまき散らされる中、クリスは他の者に向かって視線を向ける。

その視線を受けて、意図を直接聞く事もなく全員が動き出す。

 

「ウオオオォォオオ!!」

 

クローズが飛び出したかと思うと、拳の連撃を加える。そして一歩下がったかと思えば、そこへ響が即座に入り、拳をぶつけようとして、そのまま拳をぶつけるのではなく、足で連続で蹴る。

応戦している最中にフィーネが突然飛び上がったかと思うと、距離を取られ、その隙にビルドが発砲してきたためにフィーネがバリアを貼って守るが、そこへ翼が背後から走り込んできて斬りかかり、フィーネが鞭を剣のようにして鍔迫り合いに持ち込む。

そしてすぐさま鞭に戻したかと思えば翼の剣を絡め取り、奪い取った。

武器を奪われ、無防備な所にフィーネが反撃しようとするが、翼はバク転して体勢を逆さまにし、回転で足のブレードを連続で叩きつける。

それに対して、フィーネは鞭を振り回して回転させて、翼の高速回転に対抗する。

その間に再びビルドが飛んできたかと思うと右足を叩きつけようとし、フィーネはそれを防いだ。

だが―――

 

「ぐッ!?」

 

ビルドが叩きつけたのは右足裏にある無限軌道帯だ。その無限軌道が回転し、鎧を削り取ったかと思えばその下の肉すらも削ぎ降ろす。そして右足で蹴ると同時にホップスプリンガーを使い、回転して離れる。

ビルドが追撃しなかった理由。それは、本命が彼ではないからだ。

本命は別で。その本命とは―――クリスの巨大ミサイル。

放たれた巨大ミサイル。それをフィーネが躱すが、どういう訳か、軌道を変えてフィーネをしつこく追い駆け回していく。

 

Lock-On Active

 

フィーネがミサイルに追い回されてる間に、続けざまにクリスがもう一つのミサイルをカ・ディンギルに向ける。

 

Lock-On Snipe

 

意図に気付いたフィーネは、それを阻止するためにすぐさま態勢を立て直す。

 

Lock-On Destroy

 

そしてクリスの必殺の一撃が放たれ、撃ち放たれたもう一つのミサイルが真っ直ぐカ・ディンギルに飛んでいく。

 

「させるかぁぁぁあああ!」

 

すかさずフィーネが刃の鞭を使ってミサイルを両断する。両断されたミサイルはあっさりと爆発するも、いつの間にかフィーネを追っていたはずのミサイルはなかった。

 

「もう一発は・・・!?」

 

そこで気づいたフィーネは空に視線を向ける。

そこにはミサイルに乗って天へと突き進むクリスの姿があった。

 

「クリスちゃん!?」

 

「なんのつもりだ!?」

 

「あいつ・・・!?上に上がったってことは・・・まさか、カ・ディンギルを真正面から迎え撃つつもりか!?」

 

その予想は的中しているようで、クリスは自らの身を挺してカ・ディンギルの前に立ってその砲撃を迎え撃つつもりだ。

けれども、敵は月を穿つ程の威力を備えた、荷電粒子砲。

それに既にカ・ディンギルの砲門の先に、月が重なっていた。

 

「足掻いたところで所詮は玩具!カ・ディンギルを止める事など・・・」

 

事実フィーネが言ってることは合っており、仮にそれを止めるのであればそれこそ命を懸けなければならない。

そして―――

 

「―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――」

 

聞こえてきたその歌の名は---

 

「この歌・・・まさか!?」

 

「絶唱・・・!?」

 

「―――Emustolronzen fine el baral zizzl―――」

 

ミサイルから飛び降りて、月を背に、カ・ディンギルの前に立つ。

 

「―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――」

 

すると、腰のプロテクターから無数のエネルギーリフレクターを展開し、取り出した二つのハンドガンから、それぞれ一発ずつのエネルギー弾を発射。

放たれたエネルギー弾は、リフレクターに反射されると同時に増幅され、それが無数に引き起こされて行き、ほぼ無限に力が増幅されていく。

そのエネルギー弾が反射する度に、光は強さを増していき、やがて、その形が蝶の羽を象っていく。

 

「―――Emustolronzen fine el zizzl―――」

 

その最中で、手に持ったハンドガンを前方のカ・ディンギルに向け、そしてその手にバスターキャノンを形成した。

 

その間にカ・ディンギルのエネルギーは最大まで溜まり、クリスも溜める。

そして、カ・ディンギルの発射とともにクリスも絶唱を発動。

二つの強力なエネルギーが衝突し合い、その際の衝突によって起こった眩い光が周囲を照らす。

そしてクリスの砲撃は、確かにカ・ディンギルを止めていた。

 

「一点集束・・・!?押し留めているだと!?」

 

フィーネが信じられないというように叫ぶ。

 

だが、それも長く続くはずもなく---

 

(―――ずっとアタシは、パパやママの事が、大好きだった)

 

バスターキャノンにヒビが入っていき、エネルギーもだんだんと尽きていってるのか、少しずつ消えていく。

 

(―――だから、二人の夢を引き継ぐんだ)

 

それだけには留まらず、ギアでさえビビが入っていく。彼女の口元からは血が流れ、絶唱によるバックファイアが彼女の体を蝕んでいく。

 

(―――パパとママの代わりに、歌で平和を掴んで見せる・・・)

 

僅かに一瞬、ほんの1秒にも満たない一瞬押し留めて---

 

(―――アタシの歌は―――その為に――――!)

 

エネルギーが消えたのと同時に、カ・ディンギルがクリスに、月に迫ろうとしていた。

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

しかし、直撃する直前に、クリスを庇うように蒼炎の龍がカ・ディンギルのエネルギーと衝突していた。

 

「蒼い・・・ドラゴン?」

 

「まさか・・・万丈?あいつ、いつの間に・・・!?」

 

それは地上でも確認出来たのか、響の声に反応し、ビルドが小さな声で叫ぶ。

 

「ぐっ・・・クリスは絶対に・・・やらせねえぇええ!!」

 

「お前・・・!?」

 

しかし、相手は月もを穿つカ・ディンギルだ。

蒼炎の龍が必死に押し留めようと踏ん張るが、少しのぶつかりの後、一瞬だけ押し返し、すぐにエネルギーの差ゆえか、クローズとクリスは光に飲み込まれた。

 

「・・・あ」

 

果たして、それは誰が漏らした声なのか。

カ・ディンギルの一撃を受けた月は---その一部を欠けさせるにとどまった。

 

「仕損ねた・・・!?僅かに逸らされたのか!?」

 

フィーネが驚愕で目を見開く。

そして、小さな光を撒き散らしながら、落ちてくる一人の少女を守るように抱えながらも光に包まれて姿が見えない仮面の戦士---

 

「あ・・・ああ・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・あの馬鹿ッ!」

 

翼はそう声を漏らすことしか出来なく、響はただ言葉を失い、ビルドは何処か悔しそうに呟くことしか出来なかった。

 

そのまま二人は森の中に堕ちてしまった---。

 

「---ああああぁぁぁあああああぁぁぁああああっ!!」

 

そして見た響の悲鳴が、辺りに響いた。

 

 




https://syosetu.org/novel/216410/25.html
第三か---以下省略

戦兎「おい!前回からだんだん雑になってるぞ!?いいのかそれで!?本編の雰囲気ぶち壊しじゃねぇか!」

「大丈夫ですよ戦兎さん!ちゃんと表示されてますから!」

戦兎「いや、確かに俺らの後ろの天幕には第三回!面倒臭いからただの解説!と書いてるけどな!?読者には見えてないだろ!……はぁ。まぁいいか、それより今回のゲストはこの人だ」

響「どうも、立花響です!今回は私が担当となりました」

戦兎「さて、じゃあ早速本題に入るか、今回は---」

仮面ライダービルド サイドライヤー

イメージカラーはブラックグレーとレッド。フルボトルはサイとドライヤーのフルボトルを使って変身するベストマッチフォームだ。これは今までのとは違って東都のフルボトルではなく西都のフルボトルを使って変身する形態だな。実はこれは俺も全く使ったことないから分からないんだが……肩にはサイの角が付いていて、それを利用したショルダータックルは強力だ。豆知識になるが、これはシロサイのことだけどシロサイは体長370 - 400センチメートルで体重最大で3600kgがある。もっと分かりやすく言えば、サイの突進は自動車を正面から受けようが後ろから受けようが破壊するんだ。それを参考にすればどれだけ強力なのか分かると思う。
次にドライヤーだが---まぁ市販のとあまり変わらないな。威力が違うだけで髪の毛を乾かすことだって調整すれば出来るぞ。

次に余談となるが、サイには実はビルマ、インド、マレーシアでは、サイが火を潰すとする伝説がある。森林の中で火が燃え広がるとサイが現れ、それを踏み消すとされていて、他にも水浴びや泥浴びをして体温調節したりすることで体温の上昇と虫を避ける効果があるらしい。それだと相性悪いんじゃないか?と思われるだろうが……まぁ、ここは多分ベストマッチとは関係ないと思う。恐らく石動が適当にしたベストマッチの一つだろう。

戦兎「こんなもんか……」

響「戦兎さんって……どこからそんなことを知ったんですか?」

戦兎「天っ才だからな。分かるんだよ……それに俺の場合はある程度生物学にも精通してないとビルドの強化に使えないからな」

響「なるほど……私だったらそんな覚えるのは無理そうだなぁ……」

戦兎「その辺は別に科学者目指してないならいいと思うぞ。それより頼めるか?」

響「あ、はい!じゃあ……これで!」

仮面ライダービルド スマホウルフ

イメージカラーは銀とターコイズブルーで、フルボトルはスマホとウルフのフルボトルを使うみたいです。
ウルフの方の複眼は狼の横顔を模しており、たてがみがアンテナ風になっていて、ここには反応速度を高めるセンサーが備わっているため、連携攻撃や集団戦で通用する戦術を編み出すことができる他、鬣部分には狼の遠吠えに似た緊急サイレンを鳴らして仲間を呼び寄せて戦う能力を持つらしく、様々な能力があるらしい。
ほかにも右腕には狼の爪を模した『ウルフェイタルクロー』という鉤爪を装備していて、この伸縮自在な鉤爪に格闘攻撃を組み合わせることで絶大な威力を誇ったり、肩の装甲『BLDハウリングショルダー』は敵が泣き出すほど鋭く、とても痛いらしいので……ちょっと危ないですね。さらには『BLDハウリングローブ』の力で腕に狼のオーラを発生させての噛みつきも得意らしいです。
足の方は山野でも長時間活動できるように設計されており、必殺技発動時には通常の5倍の速度で敵を仕留めることができたり、伸縮自在の素材により、銀色の刃を生やして攻撃する事もできるとか!
そして、外見はツルツルとしたいつものビルドの質感らしいですけど、防御繊維により狼の毛並みを再現しているのでとてももふもふでした。またモフって見たいなぁ……。

戦兎「俺は勘弁して欲しいんだが……」

響「え〜ダメなんですか?」

戦兎「ダメってわけではないんだが……戦闘中にされるのは困るな」

響「確かに、スマホのシールド?が邪魔そうでしたもんね……」

戦兎「大きいからな。ってかそれよりも続きしてくれ!」

響「あ、忘れてました!えーっと」

スマホの方はといえば、複眼は電話アプリを模していて受話器がアンテナ風になってるみたいです。
左腕にはビルドフォンを模した『ビルドパッドシールド』という大型の盾を装備しており、防御だけでなく攻撃にも活用できて、さらに自動修復機能がある為、敵の攻撃で破壊されても数分程度で完全に修復されるという機能があるらしく……普通に欲しい機能だよね。
他にもスマホを連想させる機能が複数装備されているらしく、右触角と右目を兼ねる「ツーカーフェイスモジュール」は、激しい戦闘中でも高音質の会話を楽しむことが出来たり、左手を覆う「BLDフリックグローブ」は高速かつ正確無比なスマホ操作を可能としたり左肩のアーマーの「BLDアプリショルダー」はビルドパッドシールドにインストールされたアプリを自動で管理するほか、戦闘中に受け取ったメッセージに対して当たり障りのない返事を返したり、ゲームのデイリーミッションを消化する機能などもあるらしいです。
他にも頭の「ソーシャルヘッドアーマー」及び上半身の「ソーシャルチェストアーマー」は電気刺激によるマッサージで長時間のスマホ使用による負担を軽減するほか、SNS上でビルドを応援するユーザーが多いほど強度が増すらしく---

響「これって普通にスマホにすれば売れるんじゃ……?」

戦兎「それは確かにそうなんだが……仮に作ろうとしたらいくら俺でも一人だとキツイんだよな。絶対に生産が追いつかないぞ」

響「なるほど……あ、そういえば戦兎さん」

戦兎「どうした?」

響「この前未来が凄く上機嫌だったんですけど……何かありました?」

戦兎「この前?……あぁ、ちょっと出掛ける約束してな。まぁ結局外せない用事が出来てしまって今度になったんだが……」

響「えぇ!?未来とだけですか?何があって!?」ずいっ

戦兎「な、長いの読ませてしまったからその詫びにと……ってか近いぞ」

響「あっ…す、すみません」

戦兎「いやいいけど……急にどうしたんだ?」

響「い、いやぁ、その、気になってしまって---あははは」

戦兎「目を泳がせながら言っても説得力ないぞ……?まぁ、いいか。響にも長いの読ませたし……お礼として一緒に何処か出掛けるか?」

響「いいんですか!?」

戦兎「うおっ!?あ、あぁ……(なんかグイグイ来るんだが……)」

響「やったぁ!約束ですからね!」

戦兎「はいはい。とりあえず締めるぞ」

響「あ、そうでした……ちなみにどう締めるんですか?」

戦兎「…………」

響「え、えっと?」

戦兎「ここまでありがとうございました!!!」

響「えぇ!?もしかして考えてなかったんですか!?」

戦兎「仕方がないだろ!忙しかったんだって!」

響「ならせめて始まる前に言って欲しかったです!」

戦兎「……あっ」

響「あっ、ってなんですか!?冗談ですよね!?流石に嘘ですよね!!」

戦兎「ほら、飯奢ってやるから行くぞ」

響「……分かりました。今回だけですからね」

ED曲「私ト云ウ 音響キ ソノ先ニ」

音声「ビルドドライバー」

提供「タカ〇トミ〇(適当)」


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第二十四話 折れない片翼/不死鳥の両翼


最近リアルが本当に忙しいというか帰ってきたらすぐ寝るせいで中々小説執筆出来ないんですよね とりあえずあと少しで完成の所で残ってたのを完成させたので投稿しておきます。
本編じゃない話は無限に浮かぶから執筆進むんだけど……俺がこれ書く時に見てたサイトが消えたらしく多分余計に遅くなります。予想外だった……。
それと「…」を「・・・」に変えてますけどこっちの方がやりやすいということでこっちにしてます これからは本編はこっちになるかと……まぁ瞬瞬必生で投稿してるからね変わるのは仕方がないね。
さてさて、残り短くなってきたシンフォギア&ビルドですけど見てくださいな。じゃああらすじだけど最近あらすじじゃなくなってるあらすじどうぞ!












戦兎「仮面ライダーびr---あがっ!?」突然何かに打ち上げられる戦兎

万丈「せ、戦兎ォ!?」

響「あ、ごめんなさーい!」

未来「もう、だから弄らない方が良いって言ったのに・・・」

クリス「うわぁ・・・すげぇ飛び方したな」

翼「まさかそのまま飛んでいくとは思わないだろう」

戦兎「いてて・・・ってなんだよこれ?」

万丈「玩具か?お前の発明じゃねぇのかよ?」

戦兎「流石の俺もこんなクマのぬいぐるみにロケットエンジンをつけたりビームやロケットパンチが撃てそうな腕を持ってるガン〇ムに出てきそうなぬいぐるみは作らないっての!というかなんでロケットエンジンがあるんだよ!?ぶつかったのはこの鉄の腕か・・・俺ならこういう発明品を作るんだよ」何かを持ってくる

響「あれ、戦兎さんそれって?」

戦兎「よくぞ聞いてくれました!これは俺が発明した物でな。万丈、とりあえずこれ入れてみろ」

万丈「あ?なんだこれ?ガラスか?」

翼「何故ガラスを?」

クリス「というか、鉄の腕ってなんだ・・・?」

未来「戦兎さんもよく無事だったよね・・・」

万丈「まぁいいけどよ・・・」ポイ

バアァァアアアン!!と再び何かが飛んでくる

万丈「うぉおおおおお!?」お辞儀回避

戦兎「あ、飛んで行った」

戦兎以外「えぇ・・・!?」

響「ってこっち来たあぁああぁぁああ!?」

未来「え、えぇと簡単に言えば龍我さんがガラスをゴミ箱に入れて」

翼「何故かロケットパンチが飛んで行って万丈が避けた後、立花に向かって行った・・・ということだ」

クリス「いや、なんでゴミ箱にあるんだよ!?」

響「うわぁー!?なんで私!?せ、戦兎さーん!?」

戦兎「あぁ、それ勝手にターゲット狙って向かうんだよな。ぶっちゃけ分解する予定だったけど勿体ないからこのぬいぐるみに対抗するため出してみた。ちなみに素材はダイヤモンドで、クマと虎のフルボトルの力を利用してかなり威力を上げたような・・・?」

万丈「そんなのを俺にやらせたのかよ!?というかやりすぎじゃねぇか!?」

戦兎「いやだって、この場の誰よりもお前の方が頑丈だろ。俺としては子供、それも女子高生とアイドルに傷を付けるのは抵抗しかないからな。それにかなり前に作ったから記憶が曖昧なだけでそんな威力が高くない可能性だって・・・」

クリス「あ、おい馬鹿!こっち来るな!」

翼「落ち着け立花!冷静になれば対処出来るはずだ!」

響「わぁ!?そ、そんなこと言ったって無理です!なんか壁壊してるんですよ!?」

未来「あ、あの戦兎さん。ちなみにあれって止まるんですか?威力高そうですし・・・」

戦兎「・・・・・多分?」

万丈「ダメじゃねぇか!仕方がねぇ、俺が---」

響「あ、そっち行きました!」

万丈「は?ぐおっ!?」吹き飛ばされ、フェードアウト

クリス「ちょ、龍我ー!?」

翼「あの万丈をあっさり吹き飛ばして壁を突き抜けるとは・・・!」

響「えぇ?これどうするの!?」

戦兎「あ、あれ、本当に威力が高い・・?」焦り

未来「せ、戦兎さん。なんかこっち来てませんか?」

戦兎「いや、どちらかと言えば俺の隣にいるお前のとこに来てるな・・・仕方がない。まさかここで使うことになるとは思わなかったけど・・・変身!」

ラビットタンク!イェーイ!

Ready Go!ボルテックフィニッシュ!




ビルド「なんだこの威力!?」ライダーキックと蒼い炎を出してるロケットパンチがぶつかり合い、徐々に押されるビルド

響「ちょ、戦兎さん!?」

翼「変身してもなお、押されている・・・!?」

クリス「とりあえずあたしらもフォローするぞ!」

未来「え、ええっととりあえず緊急事態なので読者の皆様は本編どうぞ!」

---Balwisyall Nescell gungnir tron

---Imyuteus amenohabakiri tron

---Killiter Ichaival tron


ビルド「あぁああああ!?これ無理だぁぁあぁあああ!?」

未来「戦兎さん!?」

響「うそぉ!?必殺技で負けてる!?」

クローズ「まだまだァ!」

クリス「いつの間に変身してたんだよ!?」

翼「待ってくれ。そもそも腕増えてないか・・・?」

響「あれ、確かに増えてる?なんで!?」

未来「あ・・・クマの腕が・・・」


※本編行きます







―――リディアンの地下。そこにある一室に、未来たちはいた。

 

あの後、フィーネによって二課の施設の機能を全てダウンさせられた後、重傷を負った弦十郎を抱えながら移動。

そのままリディアンの電力施設のすぐ傍にある部屋にて、藤尭の情報処理能力によって、どうにか監視カメラなどの映像を見る事が出来ていた。

そして、そこには未来の友人たちもいた。どうやら逃げ遅れてここに急いで避難したらしい。

そして―――クリスとクローズが堕ちるところも、彼女たちが戦っているところも、全て、見ていた。

 

(さよならを言えずに別れて、それっきりだったのよ・・・なのにどうし・・・?)

 

そのクリスの生き様を見て、未来はただ言葉を失っていた。

 

(お前の夢・・・そこにあったのか?そうまでしてお前がまだ夢の途中というのなら、俺たちはどこまで無力なんだ・・・!?)

 

そしてそれを見ていた弦十郎は、ただただ悔しがる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――一方で、泣き崩れる響。

 

「そんな・・・せっかく仲良くなれたのに・・・。こんなの嫌だよ・・嘘だよ・・・」

 

目の前で起こった現実を直視出来ず、響はその場に手を着いて己の無力さに打ちひしがれる。

 

「もっとたくさん話したかった・・・。ケンカすることも、今より仲良くなることも出来ないんだよ・・・!」

 

そんな響を見て、翼とビルドは何も言わない。

ビルドに至っては関わりが薄いが、それでも短い間でも分かっているため、何も掛ける言葉がないのだ。それに彼だって目の前で大切な相棒が堕ちたのを見たのだ。余裕がないのもあるのかもしれない。

 

「クリスちゃん、夢があるって・・・。でも私、クリスちゃんの夢聞けてないままだよ・・・」

 

「自分を殺して月の直撃を防いだか・・・ハッ、無駄なことを」

 

しかし、フィーネは冷徹な言葉を投げかけるに留まらず、彼らの行為を嘲笑った。

 

「見た夢も叶えられないとは、とんだグズだな」

 

フィーネはクリスやクローズの所業を嘲笑い続ける。

 

「・・・笑ったのか?」

 

翼がその言葉に反応し、呟く。

しかし、それに反応するのは彼女だけではない。

 

「おい・・・大切なものを守るために命を燃やしながらも守り抜く・・・そんな誰にでも出来ないことをしたアイツらを・・。お前は無駄だと笑ったのか!?」

 

ビルドが言い、彼と彼女の脳裏に映るのは大切な仲間だった者だ。

翼の脳裏に映るのは二年前、一つの命を守るために絶唱を使ってその身を滅ぼした奏の姿。

ビルドの脳裏に映るのは、旧世界で一緒に戦ってくれた仮面ライダーたちだ。

特にビルドは彼らが居たからこそ、凶悪に打ち勝つことができ、仮に彼らの誰か一人でも欠けていたならば打ち勝つことなんて出来ないだろう。

自分の身を犠牲に人々を守るために自分の身を犠牲にして新世界を創る道を創ってくれた大切な仲間たち。

フィーネの今の言葉は彼らのそれを侮辱する、到底受け入れ難い言動だ。

翼が剣を構え、ビルドも構える。

その時のことだった。

 

「・・・それガ」

 

「「「---ッ!?」」」

 

突如として聞こえた、()()()()()()()()()

それにビルドは嫌な予感を感じて、振り返る。

そして、その場所に、その歪んだ声を発したのは――――

 

 

 

その体を真っ黒に変え、獣のように成り果てた――――響だった。

 

「夢ト命ヲ握リシメタ奴ガ言ウ事カァアァァアアアアァァアアア!?」

 

まるで獣のような咆哮が、その場に轟く。

そしてその変化を見たフィーネの口元が、歪んだ。

 

「おい、立花・・・!?」

 

その変化に戸惑いつつも声をかける翼。

 

「あれは・・・デュランダルの時の・・・!」

 

かつてデュランダルを手にした時になった姿。しかし、今回はあの時とは違って全身が黒く染っている。

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ。制御出来ない力に、やがて意識が塗り固められていく・・・」

 

「ッ・・・!?まさか、お前は知っていたのか!?その上で響に戦わせて実験を・・・!?」

 

かつて人で実験を行ったことがある彼だからこそ、フィーネの言葉に即座に反応した。

 

「実験を行っていたのは立花だけではない」

 

そのビルドの問いにフィーネが答える。

 

「見てみたいと思わんか?ガングニールの翻弄されて、人としての機能が損なわれていく様を・・・」

 

「お前はそのつもりで立花を・・・奏を・・・!」

 

その時、響が地面に手を付き、四つん這いとなり、本当の獣のようにフィーネに向かって飛んでいく。

 

「ッ!?立花!」

 

それを見た翼は叫ぶ。しかし、聞く耳を持たずに響はフィーネに襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

---その前に、響のことを見ていたビルドが反応していたようで、響を容赦なく()()()()()()()()。途中から会話に入らなかった理由はこれだろう。

 

「ガァァアアッ!?」

 

響はそのまま横に吹き飛んでいき、瓦礫に激突した。

 

「なんのつもりだ?」

 

フィーネが響を吹き飛ばしたのを意外そうにビルドを見ながら問いかける。

なぜなら彼女は櫻井了子として居た時にビルドを見ていたが、彼が響に敵対するという行動は一度も見たことがないからだ。

 

「別にお前を助けるためにした訳じゃない。響が危険な目に合うことを避けるために邪魔しただけだ」

 

ビルドはそれだけ言い残すと、翼に近づく。

 

「負担を大きく掛けさせる・・・だけどフィーネとカ・ディンギルを頼めるか?あれは一発で終わるものじゃない。月を穿つ兵器といえど、一発だけなら欠陥品もいいとこだからな。何度も撃てるように設計されているのがあの大砲の構造であり、馬鹿げた砲撃には相応のエネルギー源が必要だ。だからこそ、デュランダルを補給源として何度も撃てるようにしてあるはずだ」

 

「ほう、その通り。エネルギー炉心に不滅の刃『デュランダル』を取り付けてある。それは尽きる事の無い無限の心臓なのだ・・・」

 

話を聞いていたフィーネが感心するかのように呟いたかと思えば、ビルドの答えを肯定した。

 

「・・・分かった。立花を頼む。つまりは、あいつを倒せばカ・ディンギルを動かす者は居なくなるということだろう」

 

翼がフィーネに向かって刃を向け、ビルドは翼に()()()()()、響の元へ行く。

 

「響・・・俺はお前に同じようなことをさせる訳には行かない。だから何があっても俺がお前を止めるぞ」

 

「グガアアァァアアアアアアアアアアァァァァアアァァァアアアア!!」

 

そしてビルドの予想通り、意識がないのか響がビルドに向かって襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしちゃったの響・・・!?」

 

ビルドに襲いかかる響を見て、未来が声を挙げる。

しかし、此方の声は向こうには届かないため、襲いかかった響は冷静に対処するビルドに吹き飛ばされていた。

だが、響は止まらずに立ち上がり、まるで本能のままビルドに襲いかかる。それを今度はビルドが腕を掴み、技をかけて体勢を崩し、地面に叩きつけていた。

 

「元に戻って!」

 

そう言うも、声は当然届かない。その間にも画面の向こう側ではビルドと響がぶつかり合っている。

 

「もう終わりだよ・・私たち・・・」

 

そこで板場がそのような声を漏らす。

 

「学園もメチャメチャになって、響もおかしくなって・・・」

 

今までノイズに襲われることも無く日常の中で生きていて、突如非日常放り込まれたのだ。弱気になるのは無理がなく、仕方ないだろう。

 

「終わりじゃない。響だって私たちを守るために--」

 

「あれが私たちを守る姿なの!?」

 

未来の反論の言葉を、真っ向から否定するように瞳に涙を貯めながら、怒鳴る。

それと同時に、映像の方では軽く吹き飛んで距離が離れたビルドを追い討ちするように響が蹴ることでさらに吹き飛ばし、着地させる前に追いついたかと思えばビルドの頭を掴んで、投げつけるように勢いよく地面に叩きつけた。

 

『がっ!?』

 

『グガァァアァァアァアアアアァァアア!』

 

いくらビルドが装甲を身に纏っているとはいえ、彼が人間であることには変わりない。

地面に勢いよく叩きつけられたせいで肺から酸素が出ていき、すぐに立ち上がることが出来ずに怯む。

その隙に咆哮を挙げた響はビルドに跨り、おもちゃでも壊すようにビルドを何度も、何度も拳を叩きつけていた。

その様子に、流石の安藤も寺島も恐ろし気に見ていた。

 

それでも---

 

「私は響を信じる」

 

響から一切目を離さずに真っ直ぐ見つめ続けていた。

 

(大丈夫だよね?ビルドさん・・・)

 

そう不安に心の中で思いながらも、目を話さずにビルドから預かったフルボトルをポケットの中で握り締めていた。

 

「・・私だって響を信じたいよ・・・この状況はなんとかなるって信じたい・・・でも、でも・・・!」

 

しかしそれでも、板場は泣き崩れる。

 

「板場さん・・・」

 

「もうイヤだよ・・・!誰か何とかしてよ・・・! 怖いよ・・・死にたくないよぉ・・・助けてよぉ・・・!響ぃぃい・・・!」

 

頭を抱えて泣き喚き、ただただそこに蹲る。

 

『この--いい加減にッ、しろォ!!』

 

殴られ続けていたビルドが、叫ぶの同時に拳で軽く打ち上げ、ホップスプリンガーを利用した蹴りで響を空高く打ち上げ、響が地面に叩きつけられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

一人フィーネと戦っていた翼は、疲弊していた。

見れば、フィーネの頬には傷があり。翼の近くにはビルドが作ったモバイルバッテリー型のものが粉々に壊れて落ちており、翼の手にはフェニックスのフルボトルが握られていた。

実はさっきビルドが響の元へ行く前に渡されていたらしい。

だが、状況から察するに、壊されたのだろうか。

 

「この程度の傷、ネフシュタンの前では無意味だ」

 

フィーネがそう言うと、頬の傷は再生して綺麗さっぱり消えていた。

 

「っ・・人の在り方すら捨て去ったか!」

 

「私と一つになったネフシュタンの能力だ。面白かろう?」

 

その時、カ・ディンギルに変化が起こる。

 

「まさか・・・!もう始まったのか!?」

 

「その通り。さぁ、どうする?急がなければ、カ・ディンギルは再び発射されてしまうぞ?」

 

フィーネが挑発し、その時、翼の目には覚悟を決めた防人の目をしていた。

そしてちょうど響が打ち上げられ、地面に叩きつけられていたのが見える。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・響。それでいいのか?」

 

地面に叩きつけられた響が地面に両手を付き、なおも立ち上がる。

しかし、ビルドの言葉に聞く耳を持たずに再び飛びかかる。

が、突き出された拳を受け流したかと思えば、ビルドは響の腕を掴んで背負い投げの要領で背後に叩きつけていた。

 

「ガァアッ!?」

 

「お前の力は、その拳は誰かを壊すための力じゃないだろ!ただひたすら暴れて、壊した先に待ってるのは、何があると思ってるんだ!?」

 

ビルドはその先に何があるかを、知っている。知ってしまった。

だが響はビルドに足蹴りしたかと思えば、ビルドが避けた瞬間に跳躍し、踵落としをビルドの脳天に繰り出す。

ビルドはそれを右腕で受け止め、足元が没落するのに構わず見つめる。

 

「お前のその手は誰かと繋ぐための力で、束ねる力なんじゃないのか!?だから、アームドギアだって武器じゃないんだろ!」

 

右腕に力を入れて弾き、足を掴んで響を地面に叩きつける。

 

「その力が受け継いだ力だったら、それを正しく使え!」

 

反撃をしてくるが、ビルドがそれを受け止め、その際に距離が離れる。

 

それは、ビルドがライダーシステムを父親から受け継いで、誰かの明日を創るために戦うように---。

 

「ガアアァァアアアァアアアアア!」

 

すると、このままじゃ埒が明かないと思ったのか響が右手のバンカーを起こしていた。

それに対してビルドは、対抗するためにボルテックレバーに手を置く。

 

「そんな大切なもの、破壊のための力として使うな!」

 

「グガァアアァァァァァァアアア!」

 

響が拳を思い切り引きながら近づいてくる。

それを見ながらボルテックレバーから手を離さずにタイミングを図る。

そして---

 

 

 

 

 

 

目の前に来た瞬間、ボルテックレバーから手を離し、響の拳が、人間の急所であるビルドの鳩尾に刺さっていた。

 

「・・・お前の力は、こんなことするために使う力じゃないはずだ」

 

ダメージがでかいはずなのに、気にせずにビルドは抜こうとしていた響の拳を覆うように掴んだ。

 

「正しいことに使わなきゃ、託したその人のことでさえ裏切ることになる・・・。お前なら、分かるだろ」

 

「・・・・・・」

 

そしてビルドは拳を響の近くに持っていきそのまま振り下ろそうと---

 

「だから、戻ってこい。響」

 

せず、響の頭に手を置く。

 

「・・・ぁ」

 

すると、次の瞬間、瞳から涙を流したかと思えば響を覆っていた黒が消え、ビルドが置いてる頭から一気に引いていくように消えていた。

その姿は、シンフォギアを纏ってなく、いつもの制服姿で涙を流しながら地面に膝をついていた。

 

「・・・ごめ・・・なさい・・・ごめん・・・なさい・・・!」

 

体を震わせて、泣きながらも謝る響を見てビルドはしゃがんで頭を撫でる。

 

「わ、わた・・・し・・・わたし・・・!」

 

「大丈夫だ。お前はしっかりと戻って来れた。だから、心配しなくたっていい」

 

少なくとも、戻って来れずに後悔することになった自分よりは、とは流石に言わなかった。

 

「で、でも・・・でもぉ・・・!わた・・・の手・・・だれか・・・繋ぐため・・・なのに・・・」

 

怯える小さな子供のように泣きじゃくる響。

 

「分かってる。戻ってきてくれただけで、それでいいさ」

 

それに対してビルドは優しく諭すに言い、頭を撫で続ける。

その時だった---。

 

「立花ぁあああああぁぁぁあああああああ!!!」

 

翼の叫び声が、辺りに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこまでも『剣』といくか」

 

フィーネの目の前に立ち、睨みつけた翼に対してフィーネがそう言う。

 

「折れて死んでも、明日に人として歌うために。風鳴翼が歌を歌うのは、戦場ばかりではないと知れ!」

 

フィーネの言葉に、そう言い放つ翼。

 

「人の世界が剣を受け入れる事などありはしない!」

 

その言葉を最後にフィーネは刃の鞭の伸ばして、翼目掛けて放つ。それを翼はジャンプすることで回避し、脚部のブレードを展開。

フィーネが放ってきた二本の刃の鞭にぶつけて攻撃を避け、即座に剣を大きくしたかと思えば、『蒼ノ一閃』でフィーネ目掛けて斬撃を飛ばす。

だがそれは刃の鞭の切っ先を叩きつけることで貫き、相殺。爆発が起こるが翼は地面に着地していて、即座にフィーネは翼に真っ直ぐ二本の刃の鞭を飛ばす。

それを下に潜り込むようにして翼は避ける。

 

「なっ!?」

 

その行動が意外だったのかフィーネが驚くがその間にも翼は接近しており、思い切り振り被った一撃を当える。

 

「があっ!?」

 

その一撃にフィーネは吹き飛び、ガ・ディンギルの外壁に衝突し落下する。

そして翼は剣を元のサイズへと戻し、即座にジャンプして飛び上がり、刀を投げる。その投げた刀を凄まじく巨大な大剣へと変形させて、その柄頭を蹴ってフィーネに向かって叩きつける。

 

天ノ逆鱗

 

天ノ逆鱗が、フィーネに向かって突き進んでいく。

それに対して、フィーネは鞭を操ってASGARDを三重に展開。

そのASGARDに、翼の天ノ逆鱗が叩きつけられる。

凄まじい衝撃が迸り、周囲一帯に暴風が吹き荒れる。

が、天ノ逆鱗はASGARDを貫く事はない。だが翼は分かっていたのか、その姿勢を一気に直立させ、そのまま巨大な大剣はカ・ディンギルに向かって倒れていき、その巨大化した剣の上に乗る翼は二本の刀を携えて飛ぶ。

そして、その双剣から赤い炎を迸らせ、翼はカ・ディンギルに向かって飛ぶ。

 

炎鳥極翔斬

 

それを見たフィーネは、翼の狙いに気づく。

 

「初めから狙いはカ・ディンギルか!?」

 

狙いに気づいたフィーネは、翼を撃ち落とすために鞭を伸ばす。

そのままカ・ディンギルに向かって飛んでいく翼だが、追いかけてくる鞭から必死に逃げようとするも、鞭が翼を捉えて、そのまま直撃してしまう。

当然、直撃してしまった翼は落ちていき---

 

 

 

 

 

 

(やはり・・・私では・・・)

 

思わず、あらゆる手段を使ったにも関わらず、届かないせいで諦めの考えが出てきてしまう。

片翼でしかない自分一人ではもう、飛び上がることは出来ないだろうという諦めが。

そしてそう諦めようとした時---

 

 

 

 

『何弱気なこと言ってんだ』

 

突如懐かしい声が聞こえたかと思えば、周りが海の中のような背景へと代わり、未だに持っていたフルボトルがうっすらと光ったかと思えば、フルボトルが暖かくなって炎が出てき、()()()()()()()()姿()()()()()()

 

『か、奏・・・?』

 

それは、見間違うはずのない、自分のもうひとつの唯一無二の片翼。

 

『翼』

 

奏が翼に手を差し伸べる。

 

『あたしとあんた。両翼揃ったツヴァイウィングなら、どこまでも遠くへ飛んでいける』

 

その手を、翼は掴み取り、先程の考えなんて吹き飛んで、思い出す。

 

(そう---両翼揃ったツヴァイウィングなら---)

 

「ッ!」

 

目を見開き、もう一度剣を抜いたかと思うと、炎を纏いながらカ・ディンギルにある足場を踏み、飛び上がって翼は飛ぶ。

 

(どんなものだって、超えて見せる―――!)

 

「させるかあぁぁあ!」

 

しかし、なおも妨害しようと鞭が翼を捉えて襲い掛かってくる。このまま行けば、さっきの二の舞だろう。

だが---

 

「立花ぁあああああぁぁぁあああああああ!!!」

 

自分の相棒であり、親友の力を受け継ぐ少女の名を、翼は咆え、フェニックスフルボトルが翼の体を包み込むように光り輝き、光が消えた後には赤き炎と蒼炎、二つの炎を身に纏い、不死鳥であるフェニックスの姿となった翼はフィーネの鞭の攻撃を物ともせず、カ・ディンギルにその一撃を叩き込んでみせた。

 

「ああ・・・!?」

 

フィーネはそれに目を見開く。

 

「翼さん・・・!?」

 

「翼!?」

 

それを目撃したビルドと響が驚きの声を挙げる。

そして次の瞬間、カ・ディンギルが爆発した---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の想いは・・・またも・・・!」

 

最早、完全に修復不可能なまでにカ・ディンギルを見上げて、フィーネが呆然と呟く。

 

「あ・・あぁ・・・翼、さん・・・?」

 

そして響は、翼が破壊してくれたカ・ディンギルを見て、膝を着いて一人絶望する。

 

「・・・・・・・・」

 

そんな響を見て、ビルドは何も言わない。仮面のせいで表情が見えないため、一体何を考えてるのかも分からないだろう。分かるとすれば彼も破壊されたカ・ディンギルを見ている、それだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・天羽々斬・・・反応、途絶・・・」

 

場所は代わり、藤尭が、絞り出すようにそう告げる。

その現実に、友里は思わず涙を流して目を逸らしてしまい、弦十郎は、拳から血が滲みそうな程に握りしめる。

 

「身命を賭して、カ・ディンギルを破壊したか・・・翼・・・お前の歌・・・世界に届いたぞ・・・世界を守り切ったぞ・・・!!」

 

そして、実際にその手からは血が滲みだしていた。果たしてそれは、悲しみか怒りか、それとも悔しさか、それは本人にしか分からないだろう。

 

「・・・分かんないよ」

 

そんな中で、板場が呟く。

 

「分かんないよ!どうして皆戦うの!?痛い思いして、怖い思いして、死ぬために戦ってるの!?」

 

涙を流し、理解できないと喚き散らす。

 

「分からないの?」

 

そんな板場に、未来は涙を流しながらも言う。

そのまま彼女は、板場に歩み寄り、その肩を掴んで引き寄せる。

そして、真っ直ぐに板場を見据えて、もう一度言う。

 

「分からないの?」

 

アニメという、非現実的なものを見ていて、それが大好きな彼女なら、分かる筈なのだ。

ただ、死ぬためにでは無く、誰かの為に戦っていることを。

 

やがて、板場の泣き声が、その部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「---何処までも忌々しい!」

 

まるで怒りを発散するかのように、フィーネが地面に鞭を叩きつける。

 

「月の破壊はバラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす。惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、狼狽え、そして聖遺物を振るう私の元に基準する筈であった・・・!!痛みだけが、人の心を繋ぐ『絆』!たった一つの真実なのに・・・!」

 

そう喚き散らすフィーネ。そんな彼女に対してこの場に何も言う者は居ない---

 

「ッ・・・フィーネ!!」

 

否、ここに一人、まだ絶望していなかった人間が居た。

 

「後はお前だけだ。お前を倒して、俺がこの世界に平和を取り戻してみせる・・・!!」

 

それは響の傍に居たビルドだった。自分の仲間がやられるのも目の前で見たはずなのに、彼は未だに健在で、闘志が消えてなかった。

彼は絶望している響をフィーネから離した位置に降ろし、ここに居ることを伝えてから一人フィーネと対峙する。

 

「学校を壊したことも、様々な人を騙したことも、仲間だったはずの存在やクリスや翼のことも・・・それは到底許されるようなことではない。だからこそ、今日ここでお前を倒すことで俺が決着を付ける!」

 

ビルドはフィーネを睨むように言い、対するフィーネは恐ろしい眼でビルドを睨んでいた。

 

「私を倒すだと・・・?貴様一人で何が出来る?」

 

「・・・・・」

 

ゆらり、と明らかな怒りの感情を迸せながら、フィーネは何も答えないビルドに向かい合う。

 

「私は、数千年もかけて、バラルの呪詛を解き放つ為に、一人抗ってきたのだ・・・かつて唯一創造主と語り合える統一言語を取り戻し、この胸の内の想いを届けるために・・・!それなのに、お前たちは・・・!!」

 

「それだけのために、お前はどれだけの人間を巻き込み、どれだけの人が犠牲になったと思っている!?」

 

「是非を問うだと!?恋心も知らぬお前たちが!」

 

「恋心ぐらい知ってるさ・・・だからこそ、俺はお前を止めなきゃならない!これ以上誰かを犠牲にさせないためにも・・・!全力でお前を倒す!行くぞ!!」

 

様々な愛の形を見てきたビルドにとって、その言葉は無駄だろう。

そしてビルドの手にはいつの間にかドリルクラッシャーが握られていた。

 

「ならば来い、仮面ライダーアアァァアアアァ!」

 

「うおぉぉおおおおぉ!!」

 

そうして、ビルドとフィーネがぶつかり合う。

 

 

 

 

 

「クリスちゃん・・・クローズさん・・・翼さん・・・」

 

そして、響は一人膝を着いて絶望していた。

 

 

 

 




https://syosetu.org/novel/216410/26.html




第四回!仮面ライダービルドフォームチェンジ説明回、ロングバージョン

戦兎「あれ?今回はいつもより真面目だな・・・え?今日は5000文字くらいやる?本編短いからそれの代わりとして?・・・なるほど、確かにここで切らないと2万文字超えるからか。切りがいいからと?なら仕方がないな。じゃあ早速ゲストに来てもらうぞ。今日のゲストは当然というべきか、この人だ」

翼「風鳴翼です。今日はよろしくお願いします」

戦兎「いや硬いな!?ここはいつも通りで構わないって」

翼「そ、そうだったのか・・・分かった」

戦兎「よし、じゃあ今回はゲスト的にも進みそうだから時間もないことだし・・・一気に行くか。まずはこれだ」




仮面ライダービルド ニンニンコミック

イメージカラーは紫と黄色。フルボトルは忍者フルボトルとコミックフルボトルを使って変身するベストマッチフォームだ。

ニンジャ側は複眼は十字手裏剣を模していて、刃の一つがアンテナ風になっている。

ここには黒い幻影を生み出して敵を撹乱する能力やら周囲の無機物を吸収して手裏剣として生み出す能力、夜間でも戦えるように反応速度を強化しつつ、敵の内部機能をスキャンして弱点を見つけ出す能力を持つ。

腕や脚には忍者道具や暗器が仕込まれていてさらには肩にあるマフラーには光学迷彩と捕縛、脚部にはスタンマキビシが仕込まれている。


専用装備は『四コマ忍法刀』で忍者かコミックのトライアルなら使える武器だ。

剣先はペン型になっており、4コマ漫画が描かれた刀身をもつ独特の武器でペンで描いたものを実体化させることが可能。
トリガーを引く回数に応じて忍法を使えて、使える能力は分身、火遁、風遁、隠れ身だな。


逆にコミック側は複眼が漫画のページとペンを模しており、そのペンがアンテナ風になっている。

そこには作画用の資料写真を撮影する機能があり、3Dスキャンやら構造解析も可能だ。他にもイメージ通りの絵を描くためのサポート+やる気と集中力を促進する励まし機能が内蔵されている。

また、左腕のペン『リアライズペインター』で描いたものを実体化させる力があり、自分の思った通りの性能を出すことが出来るんだ。

仮に腕が疲労しても手首の電気刺激で解して軽減でき、肩の装甲『BLDマンガカクショルダー』で印刷・製本まで出来てしまう機能がある。

余談ではあるが、特殊な立ち位置にあるラビットとタンクを除いて、ベストマッチフォームやトライアルフォームの下半身は基本的にデザインは同じであるものの、これら以外で唯一忍者側は明確に下半身のデザインが大幅に異なったりする。
他にも鍋島が変身したスマッシュから成分を採取したフルボトルだからか鍋島フォームとか言われたりしてるらしい・・・ちょっと待て、その資料どっから持ってきた?え?次に行け?

戦兎「・・・・・まぁいいか」

翼「(あぁ、いいのか・・・)」

仮面ライダービルド カイゾクレッシャー

イメージカラーはマリンブルーと黄緑色、フルボトルは海賊フルボトルと電車フルボトルだ。
海賊の複眼はジョリーロジャー(海賊旗)で十字の骨がアンテナ風になっている。

ここには変身者の船酔いを防ぐ三半規管サポート能力、位置情報や航路を割り出すレーダーや海中に埋まった宝物を探すソナーを備えている。
右肩は海賊船とコートを模しており、6門の砲門からワイヤー付きの銛や砲丸を放ち、海賊船の旗を模したマルチセイルマントは風を推進力に変換し、滑空などの空中アクションを可能とする他にも敵を捕縛する投網としても使用可能だ。

専用武器は『カイゾクハッシャー』で4段階ある内最後の『海賊電車』は必殺技とも言えるほど強力な貫通力を持っている。

海賊側の複眼は線路を模しており、そのままアンテナ風になっている。ここには変身者が安全に運用できるように野生動物や敵を発見できる動体検知能力やスケジュールを想定して時間通りのルートを提示する能力や装甲電車と同等の防御力を持つ。
さらには胸部にも線路が描かれ、左肩は遮断機と信号機を模している。信号機はカイゾクハッシャーと連動して発光するんだ。

遮断機の方は、実際に伸びて踏切の警告音とともに敵の動きを妨害して逃げ遅れ人々を避難させたり、振り回して武器にも出来る。

左腕に装着された在来線型の『トレインガントレット』では架線から充電する事で攻撃速度を4倍に引き上げ『BLDエクスプレスグローブ』の機能で電車型の電撃エネルギーを纏った電撃車両パンチを繰り出すことも可能だ。

また、集団戦においても脚部の駆動システムで障害物を押しのけて進める機能により、満員電車のような状況下でも問題なく戦えたり、長距離での活動を想定しているため、敵をしつこく追い回してスタミナ切れに追い込む事も出来る。足の裏には車輪があり、キックの際には敵をズタズタに引き裂いてしまう等など様々な機能があったりとかもするな

余談は・・・まぁモチーフが正反対の塊ってことぐらいか

戦兎「こんな感じでいいか。流石に多いから短くさせて貰ったけど・・それでも長いな。とりあえずもう行って貰ってもいいか?」

翼「分かった。ならば私からはこれにさせて貰うか」

仮面ライダービルド ライオンクリーナー

イメージカラーは黄色と青緑、フルボトルはライオンと掃除機らしい。
複眼はライオンの横顔を模しており、たてがみアンテナ風に、鬣は威嚇するときに逆立つとか。

右腕にはライオンの頭部を模した『ゴルドライオガントレット』というものが装備されており、強力なライオン型のエネルギーを放つ。
さらには肩部分のライオンの尾は引っ張り出してムチとしても使えるらしい。
なによりもアーマーは武器を使った物理攻撃をほぼ通さず、ダメージを与えられるのは自身の爪である『レオメタルクロー』なんだとか。
立花や雪音なら問題なくとも、私にとっては相性最悪な形態だな・・・。

掃除機側は複眼は掃除機を模しており、ヘッドとホースがアンテナ風になっている。視覚センサーは汚染の原因となっている対象を特定する他、アンテナのノズルで花粉などの微粒子を取り込める。

身体を覆う装甲は特殊コーティングにより汚れに強く、敵に汚されてもすぐに落ちる程らしいな。
そして何よりも、左腕の『ロングレンジクリーナー』は物体はおろか、火や水まで吸収が可能でそれらを肩の『BLDトラッシュコンバーター』で自身のエネルギーに変換できる。
また、内蔵された装置各部の機能により、散布した殺菌剤でウイルスを死滅化する事のみならず、ボディスーツ内の衛生環境を整えることが可能といった感じで、遠距離と近距離に対応可能な形態・・・とも言えるようだ。

余談は実は共通するモチーフが不明だと言うことだろうか?ただ、強いていうならば『清楚に関係した物』かもしれない。

戦兎「でもライオンフルボトルはバイクに使うことが多いから使うことが出来ない場合が多いんだよな」

翼「他のフルボトルではダメなのか?」

戦兎「いや、別に他のフルボトルでもいいのだけど・・・」

翼「だけど?」

戦兎「そこは大人の事情ってやつでして」

翼「そ、そうか・・・難しいな」

戦兎「ま、そんなの気にしないで次に行ってくださいな」

翼「そうしよう。じゃあ、次に紹介するのは―――」

仮面ライダービルド オクトパスライト

イメージカラーは桃色と薄黄色。フルボトルはオクトパスとライト。これはそのままらしい。
オクトパス側は複眼がタコを模しており、足の部分がアンテナ風になっているようだ。その複眼からはゴム膜を発生させたり、墨を噴射したりと相手の視野を奪うことに長けていて、動体視力も優れているみたいだ。
他にも、右肩のアーマー『フューリーオクトパス』は自律型攻撃軟体ユニットになっており、ビルドの動きに合わせて締め付けたり、叩きつけたりすることができるらしい。偶に肩から離れて動く事もあるんだとか。

また、保護色や吸盤を使っての隠密行動も得意で、さらには拳の『BLDカーティレイジグローブ』は上記の触腕を巻きつけることで腕力を8倍にすることが可能という、威力だけならとてつもない力になるみたいだな。

因みに、タコらしく、体も柔軟になるようで、相手に絡みつく技が得意で足部の『カラストンビシューズ』は踵から水流を噴射して水中での活動能力を大幅に上げることも可能で、爪先には嘴を発生させることがあり、これであらゆる物を砕いてしまうそうだ。

戦兎「おっと、ここで書いてない豆知識だ」

翼「何かあるのか?」

戦兎「まぁな。短く説明するけど、カラストンビと付いているが、それはカラスやトンビの嘴を思わせるタコの嘴の事なんだ。だからこれで貝類や甲殻類の殻もバリバリ砕くってこと。この情報はいらないかと思って書いてなかったんだが・・・やっぱり合った方が良いって思ってな」

翼「なるほど、確かにそれは知らない者も多い、か」

戦兎「そういうこと。あぁ、ついでに俺たち仮面ライダーが戦った宿敵の苦手な形態でもある・・・。っと悪いな、突然入れて」

翼「いや、構わない」

それでは話を戻して、ライト側についてだが、複眼は電球を模しており、光のエフェクトがアンテナ風になっている。
そこから雷撃音で敵を追い払ったり、暗闇にメッセージを投影することが出来るようだ。
さらには、左肩の発電ユニットを兼ねた発光装置『BLDライトバルブショルダー』を光らせることによって目くらましを可能とするほか、電撃を纏ってパンチすることも可能らしい。

腕に付いたスポットライト『シェードブレイカー』は光を一点に集中させることで対象を燃やしてしまうことも可能で、装甲には電磁パルス装置が発生装置があり、敵の武装に障害を与えることが出来るんだとか。
また、体の各部に電気ショックを与えて行動を最適化しているらしい。


余談になるが、『周りを暗くする生き物』と『周りを明るくする物』という正反対なモチーフの組み合わせになっている。
一応タコにも身体を発光させる物がいるので『発光する物』という共通点もあるにはあるらしい。

戦兎「お疲れ、なんというか・・今回は多かったし読者様が見てくれるか心配になるな」

翼「確かに、そこは分からないな」

戦兎「あぁ。ま、そこは人に寄るからな。とりあえずは早く締めるか」

翼「因みに締め方は?」

戦兎「・・・・・」

翼「もしかして・・・」

戦兎「ここまでありがとうございましたぁ!!」

翼「やはりか!?やはりかんがえ―――」

戦兎「はい、そこ!それ以上は言わない!ほら、エンディング入っちゃって!」





――――

ED曲「絶刀・天羽々斬」

音声「ビルドドライバー」

提供「バ〇ダイ」








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第二十五話 シンフォギア、そして歌


今回、私がこの小説を書こうと決めた中で、一番書きたかった内容です。ぶっちゃけこれで悔いがないレベルで。
まぁ考えてた通りに全て進んだかと言われると微妙ですけどね。
あと、一話から全ての話数修正してきました。X軸とY軸でさえ間違ってるとかマジでこの作者馬鹿でしょ・・・。多少はマシになったと思いたいです。
最後に戦兎くんのサブヒロインはなかったことにさせてください。三期~五期まで投稿してない間に見ましたけど、未来と響だけで精一杯になる未来が見えたので・・・。













戦兎「仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎はフィーネとの決戦にて仲間たちとともに戦う。仲間たちがそれぞれ己を犠牲にしてまで結果を残し、ついに仮面ライダービルドとフィーネの一対一での戦いが始まるのでした!」

万丈「おい、前回のことなかったかのようにしてねぇか?」

戦兎「今回ばかりは真面目にしてくれってカンペに書いてあるでしょうが」

未来「前回のは反省も後悔もしてないと書いてますけど・・・」

響「でも実際あれ凄かったなぁ・・・まさか合体しちゃうなんて」

クリス「結局、壊したけどな」

翼「だが、結局何故暴走してたのかは分からなかったな」

戦兎「それは最後調べて分かったんだが、アイツの遺伝子が長い期間僅かに入ってたせいで強かっただけらしい。まったく、倒したはずなのに相変わらず厄介だな」

万丈「結局戻るのかよ・・・」

戦兎「おっと、それじゃあ今回は本編も長いことだし、ここまでだ。もうすぐ最終回になるが、このまま突き進んでいくぞ。第――」

響「二十五話、どうぞ!」

戦兎「ちょ!?」












 

 

「ハアッ!」

 

フィーネの目の前に現れたビルドは、高速回転するドリルクラッシャーをフィーネにぶつけようとする。

しかし、フィーネはそれを鞭で対処し、もう一つの鞭がビルドを襲う。それに気がついたビルドは鞭を弾き、もうひとつの鞭を横に飛ぶことで避ける。

その間に即座にガンモードで光弾を放つことでフィーネの横腹に掠り、僅かに怯んだ隙にホップスプリンガーを使うことで高速で近づいたかと思えば、ライダーキックを放った。

 

「なっ!?」

 

しかし、フィーネがビルドの足を鞭で掴んだかと思えば、そのままビルドを回転させて吹き飛ばした。

ビルドはそのまま吹き飛んでいき、瓦礫にぶつかって埋もれたかと思えば即座に飛んでくる。

しかし、それを予想してたのかフィーネはビルドに向かって黒弾を放ち、それが直撃してビルドは地面に落ちてしまう。

 

「ぐっ・・・くそっ・・・!だったらッ!」

 

立ち上がったビルドはそのままフィーネ目掛けて一直線に走っていく。

 

「ふん、やはり仮面ライダーといえど、一人では無理のようだな」

 

そんな一直線に走るビルドに対して言葉を投げかけながらもフィーネが刃の鞭を二本飛ばす。

 

「・・・そうかな?」

 

それを待ってたと言わんばかりにビルドは即座に跳躍、そのままタンクローラーシューズの無限軌道を稼働させ、刃の鞭に乗ったかと思えば滑るように近づき、フィーネが鞭を動かした瞬間、ホップスプリンガーでさらに高速で接近。

フィーネ目掛けて殴り掛かるが、受け止められてしまう。

 

「甘いわァ!」

 

そう言ったフィーネが受け止め、剣のように硬質化させた鞭をビルドに叩きつけようとする。

 

Ready Go!VOLTEX BREAK!

 

しかしビルドはすぐさまフルボトルをドリルクラッシャーに挿入し、必殺技の発動とともに鞭を大きく弾いて、腹に突き刺すとともにドリルクラッシャーを高速回転させた。

 

「ぐふぅ・・・!?」

 

「おおおおぉぉぉぁああぁぁあああ!!」

 

ドリルクラッシャーからはまるでユニコーンのような角が現れており、それが貫いた原因のようだ。

そのままドリルクラッシャーの高速回転により、フィーネの中身を掻き回す。

すると血が飛び散り、臓腑がスクランブルエッグになり、それを引き抜く時に内蔵が撒き散らされようが、ビルドの攻撃が決定打にならずに既にネフシュタンが回復させていた。

 

「どれほど攻撃しても無駄だ。貴様だけでは私には届かんよ」

 

「俺は簡単には諦めることが出来ない質でね・・・!」

 

すかさず再びドリルクラッシャーをぶつけようとする。

 

「そんな見え見えの攻撃、わざわざ食らうかと思うか!?」

 

しかし、ビルドがその行動に移った瞬間には、ビルドの体は足元から現れた刃の鞭に打ち上げられ、硬質化した鞭によって思い切り地面に叩きつけられていた。

 

「がは・・・!」

 

そのダメージ量は計り知れないが、それでもビルドは諦めずに立ち上がる。

 

「まだ立つか。何をやろうが、貴様一人では勝てん」

 

「はぁ・・・ふぅ・・・勝てる勝てないとか関係ないんだよ。今あんたと戦えるのは俺しか居ないだろうがッ!!」

 

息を整えたかと思えば、ビルドは再び突撃する。

当然、それを迎撃するために鞭が放たれるがビルドはドリルクラッシャーで弾きつつも、接近しようとする。

だがフィーネは容赦なく黒弾を放ち、ビルドがまた吹き飛ばされた。

 

ジェット!Ready Go!VOLTEX BREAK!

 

吹き飛ばされながらもいつの間にかガンモードへと変え、小型ミサイルを地面とフィーネに向かって発射。

 

ライオン!ロボット!】

 

「ハァッ!」

 

そして、小型ミサイルをフィーネが鞭で相殺してる間に地面に放った爆風とフィーネが壊したミサイルの爆風が相まって姿が見えなかったので、その間に背後に回ってたのか黄色と黒の形態へと姿を変えたビルドが突っ込んでいた。

 

「同じ手が通用すると思うかッ!」

 

それをフィーネが鞭を即座に二本振るうが、ビルドはそれを右腕で受け、左から来た方は右肩のライオンの尾を引っ張って鞭のように扱うことで弾き、ダメージを受けた様子を見せずに接近した後は左手のパワーアームをぶつけ、追い打ちをかけるようにライオン型のエネルギー弾をぶつけていた。

 

「これで・・・どうだ!?」

 

爆発によって生じた煙で姿が見えなく、油断なく其方を見る。

すると煙が晴れ---る前にビルドが鞭に捕まり、投げられたかと思えば、もう片方の鞭から飛んできた黒いエネルギー状の玉が飛んでくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オクトパス!掃除機!

 

それを確認したビルドはフルボトルを変更し、エネルギーを左手のロングレンジクリーナーで吸収し、右腕からタコの触腕を飛ばすが、全て落とされてしまい、さらにはいつの間にか飛んできた横薙ぎの鞭を受け、その場に倒れてしまう。

そして、近づいてくる気配を感じ取って、見てみればそこには無傷のフィーネが居た。

 

「いい加減に諦めたらどうだ?さっきも言ったがネフシュタンと同化した私に、貴様が勝てる道理はない。そもそも立花響という生体と融合症例。奴が居たからこそ、私は己が身をネフシュタンの鎧と同化させることが出来たのだからなぁ」

 

そう言い、倒れ伏すビルドをフィーネが見下す。

 

「ッ・・・やはり響はお前がネフシュタンを纏うための実験台か・・・!」

 

 

 

 

ハリネズミ!タンク!

 

フィーネの言葉に納得したように呟いたビルドは姿を変えて、フィーネに突っ込んでいく。黒弾を放ちながらビルドの動きを防ごうとする。

ビルドはそれをタンクの力で地面から岩を起こし、右拳から棘を飛ばして相殺する。そのまま目の前まで辿り着くと、突き刺そうとした。それをフィーネが軽々と避けてビルドの腹に刃の鞭を叩きつけ、またビルドが吹き飛ばされる。

 

「ぐはっ・・・!?」

 

 

 

 

 

ゴリラ!タンク!

 

すると、途中で棘を地面にぶっ刺して勢いを殺し、すぐに立ち上がって再び姿を変え、ビルドが右腕のサドンデストロイヤーで鞭の上からフィーネを吹き飛ばす。流石に威力が高いのもあって、フィーネはかなりの距離を離されていた。

 

「まだまだぁああぁぁあああ!」

 

諦めずにビルドは向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・翼さん・・・クローズさん・・・クリスちゃん・・・」

 

だが一方で、地面に両手を着いたまま響は項垂れていた。

 

「三人とも、もう居ない・・・」

 

諦めないビルドに対して響は絶望しており、その瞳に光はなく、胸中に広がるのは絶望しかなかった。

 

「学校も壊れて、皆居なくなって・・・」

 

掠れた声で、認識したくない現実を、絶望に染まった心で認識してしまう。

 

「わたし・・・わたしはなんのために・・・なんのために戦ってる・・・?」

 

遠くで一人戦ってるビルドさえ認識せずに、ただ絶望で自分が戦う意味さえも見失って響は一人蹲る。

 

「みんな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおらあぁぁあああ!」

 

 

ビルドがフィーネに向かって、サドンデストロイヤーを叩きつける。

フィーネも流石にさっき受けた攻撃のその威力が危険だと理解したのかASGARDを使うことでバリアを作り出し、防いでいた。

すると、ビルドは押し込もうとするが押し込めず、もう一度全力で殴りつける。

 

「無駄だ。貴様ではこの盾を壊すこともできん」

 

「うるっ・・・せぇ!!」

 

ビルドの中でいくらベストマッチじゃないとはいえ、現在ある形態では力が強いゴリラの右腕であるサドンデストロイヤーでさえ、フィーネのバリアを壊せない。

だがビルドはさらにもう一度叩きつけ、今度は地面を思い切り叩いた。

その勢いを活かして飛び、今度は体勢を変えたかと思うと、ライダーキックを放つ。

 

「何を無駄なことを・・・」

 

フィーネがそう言うが、ビルドはそれを無視し、右脚のタンクローラーシューズの裏のキャタピラ状が高速回転する。すると、火花が起こりながらもビルドはライダーキックの体勢を変えずに続けていた。

 

「ふん、もういい・・・終わらせよう」

 

すると、フィーネが期待外れだったというように冷め切った眼で見つめ、片方の刃の鞭にエネルギーが溜まっていっていた。

 

「これっ・・・でどうだああぁぁ!?」

 

「なにっ!?」

 

だが、あと僅かに、完全にエネルギーが溜まる前に、盾にヒビが入り、ビルドが盾を蹴って回転する。

そのまま勢いを乗せた右腕のサドンデストロイヤーで盾を破壊してみせながらフィーネを全力で殴り飛ばし、吹き飛ばされたフィーネが何度か跳ねながらようやく止まる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ははっ、どうだ?壊して見せたぜ?」

 

「・・・ぜだ」

 

「あ?」

 

すると、吹き飛んだフィーネが立ち上がりながらも何かを言っていた。

今与えたはずの傷は、ネフシュタンの鎧の効果で再生している。

 

「何故分からぬ!?痛みこそが、人を繋げる唯一の真実にして絆だ・・・それなのにお前は・・・!」

 

「・・・違う!」

 

そう言ってきたフィーネに向かって、ビルドが力強く否定する。

 

「痛みだけが人を繋げる・・・?ふざけてんじゃねぇよ・・・!」

 

ビルドがフィーネを強く睨みつける。

 

「痛みが刻み付けるのは恐怖だけだろ!それが絆?それはお前が支配したいという勝手な思い込みなんじゃないのか!?絆ってのは・・・誰かを信じる心なんだよ!痛みで絆を繋ぐんじゃない・・・誰かを思いやり、信じて、想いを受け継いでいくことこそが絆だ!!」

 

「黙れ!何を言うかと思えば・・・相手を信じるだと?ふざけたことを抜かす!バラルの呪詛がある限り、人と人は決して分かり合えぬ!月を破壊し、バラルの呪詛を解き放たない限り、人が繋がることはありえないのだ!」

 

「いいや、ならなんで響と翼は、響たちとクリスは分かり合うことが出来た!?お前の言う、痛みではなく、相手を思いやる心が成したのものだ!バラルの呪詛があったとしても、人は繋がることが出来る!!」

 

「黙れ・・・黙れ黙れ!お前は何も知らない。ただあのお方と並び立ちたかった私の気持ちを、年月を、その苦しみを!何も知らぬお前が『絆』を語るなァ!」

 

「語るさ・・・人と人が手を繋ぎ合う・・・そのための明日を今日の俺が創る!そのために、お前を倒して、それが正しいということを俺が証明してみせる!」

 

ラビット!タンク!イエーイ!】

「貴様一人でまだ私に勝てると思っているのか!?」

 

「あぁ!お前を倒す方法は既に分かっている!勝利の法則は、決まった!!」

 

『Ready Go!』

 

その言葉と共に、ビルドはドリルクラッシャーにラビットフルボトルを挿入する。

見てみれば、ドリルクラッシャーの剣先は先程のより高速回転しており、赤いオーラを纏っていた。

それに対抗するようにフィーネが二つの刃の鞭を構えて剣先を回転させる。

一方でビルドも腰を入れ、ドリルクラッシャーを構える。

 

「行くぞ・・!」

 

「来いッ!」

 

その言葉を最後に、ビルドが右脚のキャタピラーで地面を削りながらも接近し、フィーネが硬質化した刃の鞭の回転した剣先を二本ともぶつけようと、ビルドに向かって放つ。

 

「ハアッ!ハッ!」

 

するとビルドはラビットのフルボトルの力を利用することによって高速回転させたドリルクラッシャーで刃の鞭を掠らせつつも横に逸らしていき、通り過ぎる前に一閃。

さらに下段から上へと打ち上げるようにフィーネを吹き飛ばす。

 

スマホウルフ!

 

そして、落ちてきたタイミングでビルドが姿を変えたかと思えば、周囲に映写されたスマホのアイコンの中を黒い狼の幻影が走り、さらにフィーネを吹き飛ばした。

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイドライヤー!

 

さらに隙を与えぬ様に追い討ちをかけようと姿を変えると、刃の鞭を動かそうとしていたフィーネをドライヤーで動きを止め、右肩にあるサイの角で突撃して、また上空へ打ち上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファイヤーヘッジホッグ!

 

再び姿を変えたら地面に左腕のマルチデリュージガンを突き刺し、そこから水を噴射することでビルドの体がフィーネよりも上空へ行き、水で噴射した勢いを使って空中回転しながら、右手のBLDスパインナックルを何度もぶつけてフィーネを叩き落とした。

 

「がはっ・・・!?」

 

「まだだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニンニンコミック!

 

分身の術!火遁の術!火炎斬り!風遁の術!竜巻斬り!

 

 

即座にニンニンコミックへと姿を変え、四コマ忍法刀を持っていたビルドが四人に増えたかと思えば、鞭の横薙ぎを分身二人が受けて防ぎ、残った一人の竜巻を纏ったビルドが再びフィーネを上空へと打ち上げ、もう一人のビルドがそこへ炎の斬撃を飛ばしていた。

 

「がぁああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホークガトリング!

 

フルバレット!

 

そしてまた姿が変わり、ホークガトリンガーを手にビルドが翼を広げて飛び上がり、100発の弾を回転しながらフィーネに当てようとする。

 

「くっ・・・好き勝手にさせるものか!」

 

しかし、フィーネは前後左右と盾を貼り、100発ある弾丸が全て防がれてしまう。その間にネフシュタンが再生を始めようとするが---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海賊レッシャー!

 

海賊電車!発射!

 

「ハァアアァァアアアッ!」

 

再生する前に、ビルドは空いている頭上へとホークガトリングで近づいた後に姿を変え、ゼロ距離。つまりバリアの貼れない距離から手に持っていたカイゾクハッシャーから電車型のエネルギーを飛ばし、電車型のエネルギーはフィーネの胸に直撃してそのまま連れていくように、物凄い速度で吹き飛ばしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サメバイク!

 

吹き飛んでいくフィーネを見ながらも、フルボトルを変えて姿を変える。そして、地面からサメとバイクが現れ、ビルドは空中でマシンビルダーに立ちながら乗り、赤いオーラを纏いながら吹き飛んでいたフィーネに追いつき、止まることもせずに軽く轢くことで打ち上げ、巨大なサメがフィーネに体当たりして地面に落とす。

 

「ぐっ・・・あぁ・・・っ!馬鹿な・・・先程までの強さとは全く違う・・・!?ネフシュタンと完全に融合した私がただの一人の人間に押されているだと・・・!」

 

あまりにものダメージの量にネフシュタンが再生していなく、明らかに押されていた。

 

「そんなこと・・・あっていいはずがない・・・!!」

 

そう言い、ビルドに向かって巨大なエネルギー状の弾と刃の鞭を飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライオンクリーナー!

 

 

「一人なんかじゃないさ。大切な人達が俺を支えてくれた・・・創ってくれた!このビルドはまさに俺たちの絆の証だ!ライダーシステムはみんなの願いが、思いが、俺たちを強くしてくれる!」

 

それは、この場に居なくて、万丈を除く記憶がない旧世界の人達のことも含めて言っているのだろう。

 

その言葉を言い放ち、左腕のロングレンジクリーナーから強力な吸引力で巨大なエネルギー状の弾を吸収し、刃の鞭を胸の部分で受けて右手からライオン型のエネルギー波を放つ。

 

「なっ!?ぐぁぁあああぁぁぁああ!?」

 

予想外だったのか、フィーネの攻撃が消されて、当たったはずの刃の鞭にでさえダメージを負わなかったことに驚愕し、その間にライオン型のエネルギー波に当たって壁に激突する。

 

「ぐあっ・・・『絆』だと・・・?そんなちっぽけで、見えないものが絆だというのか!?」

 

「そうだ、お前にとってはちっぽけであっても俺にとってビルドは大きなものだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オクトパスライト!

 

「そんなものは所詮はただの空想だ!貴様が一人であることには変わりはない!」

 

「どうかな?俺は信じてるんだよ。今もあいつらはきっと生きてる・・・ってなッ!」

 

そう、だからこそビルドは一人だけ絶望していなかった。彼は未だに生きていると信じているのだ。なにより、自分の相棒であり、カ・ディンギルよりも月なんてあっさり破壊できる地球外生命体と一緒に戦った彼ならば必ず生きていると。

 

「だから、そのためにも俺は負けられないんだよッ!!」

 

するとビルドが複眼から墨を地面に吐いたかと思うと、ビルドの姿だけではなく、フィーネの周りでさえ墨で真っ暗になる。

 

「そんなものでッ!」

 

姿が見えないならばバリアを貼ろうとフィーネが刃の鞭を動かそうとすると、何処からともなく右腕部のツイストラッシュアーム、つまりタコの触腕が刃の鞭を弾いたかと思えば何度もフィーネに向かって連続刺突し、その隙に左肩のBLDライトバルブショルダーから球電を発生させ、フィーネの上空に行ったかと思えば雷のように雷撃を落とし、雷撃を喰わらせていた。

 

「ぐうぅ!?」

 

それは如何にネフシュタンを纏っていようが防ぐことは出来ず、痺れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロケットパンダ!

 

 

そしてグラフがフィーネを囲み、ビルドかロケットでグラフに従って攻撃とともに周りを飛び、急降下とともに巨大化させた右手の爪で一撃を喰わらせ、ビルドはフィーネと少し離れた位置に着地する。

 

「がっ・・・ば、馬鹿な・・・ネフシュタンの再生が追いつかないだと・・・!?」

 

見れば、既にネフシュタンの鎧は最早鎧と言えなくなって来ているほどボロボロであり、フィーネ自身の肉体にも傷が入っていた。

 

「これで最後だ、フィーネッ!全てを終わらせる・・・!!」

 

 

ラビット!タンク!

 

 

「まだだ!こんなところで終われるものかああァァ!」

 

すると、フィーネがボロボロだというのに立ち上がり、ビルドに向かって刃の鞭を向けたかと思えば、黒いエネルギー球を放つ。それはビルドは知らないだろうがかつてクリスが使っていた『NIRVANA GEDON』だ。

 

「ッ!?あぶねぇ・・・!?」

 

それに気づいたビルドが即座に身を逸らし、それを回避することに成功する。そして反撃するために振り向き、同時にボルテックレバーに手を置いて回そうとした時だった。

フィーネの()()()()()()()()()()()。そう、()()()()()()()()()()()だ。

 

「何がおかしい・・・!?」

 

「いや、おかしいわけではない。ただ私が言いたいのは・・・避けてよかったのか、ということだ」

 

「何・・・?まさかッ!?」

 

そして、フィーネの言葉から彼は状況を考え、自身の背後を見る。そこには黒いエネルギー球が迫ってきてるにも関わらずに手を着いて絶望しているのか気づいてない響が確かに居た。

 

「くそっ・・・!?響いぃいいいい!!」

 

即座にビルドがボルテックレバーから手を離し、フィーネを無視して走る。

 

「え・・あ・・・」

 

すると、ビルドの叫び声が届いたのか響がゆっくりと顔を上げる。そこにはエネルギー球が迫ってきており、エネルギー球の後ろには走ってこちらへと向かってくるビルド。

響は動ける力さえも残ってないのか動こうとしていなかった。

そして、そのまま迫ってきてしまい、瞬間、爆発が起こり響は---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がっ・・あぁ・・・・・」

 

無事だった。いや、正確には無事だった訳では無い。()()()()()()

響の目の前には、響を守るために横に両手を伸ばして背中で庇ったであろうビルドの姿だった。

 

 

「あ・・・」

 

その姿を見て、響の瞳にほんの少しの光が戻っていた。

 

「うっ・・・響、無事・・・か・・・?」

 

「な、な・・・んで・・・?」

 

弱々しく、小さな声で、何故かと響はビルドに問いかけていた。

 

「っ・・俺は・・・仮面ライダーで・・・未来の為にも・・・お前をッ・・・やら・・・せる・・・・・わけ、には・・・・・・」

 

しかし、ビルドは、それだけ言い残して限界だったのか響の目の前で倒れてしまった。

倒れた瞬間、ビルドの肉体が突然光ったかと思えば、赤と青の粒子が天へと登り―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ッ・・・!?せ・・・せん、と・・・さん・・・・・・?」

 

響は驚愕を浮かべた表情で、仮面ライダービルド―――いや、桐生戦兎を見つめる。

だが、彼からの返事はない。それでも立ち上がるためか動こうとしようと指を僅かに動かしていた。

しかし、生きてはいるものの、見れば背中のトレンチコートは焦げたのか真っ黒になっており、服もボロボロでそこからはビルドの装甲を貫いてたのか切り傷がたくさんある。

なによりも、彼の口元からも血が流れている。

 

「あ・・・あぁ・・・そ、んな・・・っ!?」

 

それを見て、現実を見た響は先程よりも絶望したような表情になっていた。

それでも戦兎に手を伸ばし---

 

 

 

 

 

 

 

手が届く前に、()()姿()()()()()()()()()()()b()r()&()g()t();()

「あっ・・・あぁ・・・っ」

 

「解せんな。あのまま私に攻撃していれば倒すことが可能だったかもしれなかったろうに」

 

消えた原因は至極簡単で、響の目の前に来ていたフィーネが戦兎を蹴り飛ばしたからだ。

そのせいもあり、響の手は戦兎に届かずに、目の光でさえ、再び完全に失われてしまう。

 

 

「だが、貴様一人で私を追い詰めて見せたのは事実だ。敬意を払って、一撃で終わらせてやろう」

 

フィーネの姿は既にネフシュタンにより再生しており、何一つ傷がない状態へと戻っていた。

そしてフィーネが戦兎を見下ろし、刃の鞭を構えて硬質化する。そのまま心臓の位置に刃の鞭を持っていき---振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ッ!?」

 

しかし、振り下ろしたはずの刃の鞭は、戦兎によって受け止められていた。その戦兎の手からは血が流れており、それでも離さず、次の瞬間にはフィーネに全力の拳を叩きつけていた。

 

「ぐっ!?」

 

それは人間が出せる威力ではなく、戦兎の攻撃によってフィーネが吹き飛ばされる。

 

「ぐは・・・っ!?ま、まだ・・・終わらねえよ」

 

口から血を吐いてしまうが、それでも戦兎は立ち上がった。

だが、立ち上がった戦兎の腰には彼を仮面ライダーたらしめる変身するためのアイテム『ビルドドライバー』はない。それどころか体力でさえないのか息が荒い。

その手に握られたものも、ラビットフルボトルのみだった。

 

「言っただろ・・・俺は負けられないんだよ。俺は何度倒れようとも、挫けようとも立ち上がり続ける・・・!」

 

「何故だ・・・?何故貴様はそこまでする!?」

 

「そんなの・・・LOVE&PEACEの為だ!俺はここで諦める訳には行かない!俺は決めたんだ・・・愛と平和のためにこの力を使うってことを!」

 

それだけ叫ぶと、戦兎は未だに一人フィーネに向かって立ち向かっていく。仮面の戦士(仮面ライダー)の力を纏っていなくとも。

 

「愛と・・・平和のためだと・・・?」

 

その言葉聞いたフィーネが怒りの形相へと切り替わり、怒鳴り散らす。

 

「そんな世迷言、貴様事無くしてくれるッ!」

 

次の瞬間、向かってくる戦兎に対して容赦なくフィーネの刃の鞭が襲いかかる---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で、今までの戦いを見ていた人達は---

 

「そんな・・・戦兎さんがやっぱり・・・!それに、いくら何でも生身なんて・・・」

 

戦いを見て、響が無事だったことに安心するものの、すぐに変身解除されたビルドが戦兎で、さらにボロボロさに様々な感情が渦巻いて悲痛の面になっていた未来は、立ち上がって今もフィーネに立ち向かい続ける戦兎に届かないと分かっていても呟いてしまう。

 

「そうだ・・・聖遺物相手に生身で立ち向かうなど・・・!」

 

弦十郎も、戦兎のことについては知ってるため、正体には驚いたがボロボロであるにも関わらずに未だに一人立ち向かう戦兎に思わずそう言ってしまう。

 

『がぁ・・・!?う・・おぉぉおおお!』

 

しかし、一人で、それも体力もなくボロボロであっても生身で挑む戦兎は終始圧倒されている。だが、何度地べたに這いつくばろつとも、立ち上がり続け、フィーネに向かっていく。

 

「戦兎さん・・・っ」

 

そんな無茶苦茶で、痛々しい戦い方に、学生である四人は呆然とするがその勇姿を決して逸らさず、見逃していなかった。

すると、その最中に、どこからかいくつもの足音が聞こえてくる。

振り向けば、扉の方に幾人もの民間人が居た。

 

「司令、周辺区画のシェルターにて、生存者発見しました」

 

どうやら他のシェルターに居た生存者を見つけ、連れてきたようだ。

 

「そうか!よかった・・・」

 

そのことを知った弦十郎は心底安堵する。

 

「あ・・・」

 

すると、一人の少女が藤尭の前にあるモニターを見て声をあげる。

 

「あの時のおじさん・・・?」

 

「ちょっと!」

 

その少女の親らしき人が声を出すが、少女は無視して近づく。

 

「やっぱりそうだ・・・」

 

「すみません、うちの娘が・・・」

 

「戦兎さんを知っているんですか?」

 

「え、ええ・・・ノイズから助けてくれたかっこいい仮面の人が居た、と娘が言ってたので・・・」

 

未来が少女の親に聞いている間にも戦兎は蹴り飛ばされており、地面を転がりながら仰向けに倒れる。

 

「おじさん・・・!」

 

少女が思わず声をあげる。

しかし、完全聖遺物を纏うフィーネの攻撃は常人が生身で受けたら死ぬはずであろう攻撃にも関わらずに立ち上がっていた。

 

「がんばれ・・・!」

 

戦兎は諦めずに戦っていて、そんな戦兎を見て少女は応援する。

未来たちは知らないが、この少女は戦兎が初めてビルドとして戦った時に助けられた女の子なのだ。

 

「どういうことなんだ・・・?」

 

戦兎の戦いを見て思わず藤尭が声を漏らす。

仮面ライダーであるならば今までの戦闘からは察するに戦えるのだろうと分かるが、現在はベルトもなく、ただの生身の人間である。

聖遺物の、それも完全聖遺物の攻撃を受けて立ち上がり続けるなんて不可能に等しいだろう。

 

「あ!あの時のかっこいいおじさんとおねえちゃんだ!」

 

そして今度は今まで後ろにいて見えなかったのか、ツインテールの少女がふと声をあげて同じようにモニターへと近づいていた。

 

「あ!ちょっと、待ちなさい!」

 

『ぐはっ!?がっ・・・!?こ、のぉ・・・!』

 

『ぐっ・・・!?さっきから何度も何度も・・・いい加減に鬱陶しい!』

 

口から血を吐こうが、体から血が出ようが、戦兎は未だに戦い続け、フィーネに向かって殴りかかっていた。

しかし響は、戦兎が戦っていようが再び絶望が胸を占めているのか蹲っている。

 

「すみません・・・」

 

「ビッキーのこと知ってるんですか?」

 

安藤がツインテールの少女の親に尋ねる。

 

「えっと・・・」

 

その母親は、しばし考える素振りを見せて、やがて答える。

 

「詳しくは言えませんが、うちの子が、あの人たちに助けていただいたんです」

 

そのツインテールの少女は戦兎が囮となって自ら大量のノイズを引き受け、響が守った少女だった。

今親が言ってることは恐らく少女から聞いたことだろう。

 

「自分の危険を顧みず、助けてくれたんです。きっと、他にもそういう人たちが・・・」

 

「響の・・・人助け・・・」

 

それは、彼女が趣味としていることで、それが今この状況を巡り合わせたのだろう。

 

『がはぁっ!?』

 

だが、向こうでは戦っている戦兎は吹き飛ばされて壁にぶつかり、倒れて立ち上がろうするが、今度は立ち上がれずに倒れてしまった。

 

「ねえ、かっこいいおねえちゃんたちを助けられないの?」

 

「助けたい・・・!」

 

二人の少女が振り向き、皆に聞く。

その答えに事情が分かる彼女たちは口篭ってしまう。

 

「・・・助けようと思ってもどうしようもないんです。私たちには何も出来ないですし・・・」

 

口篭る中、寺島が代表してか言う。

 

「じゃあ一緒に応援しよう!」

 

ツインテールの少女がそんな言葉に対して、そう返す。

 

「ねえ?ここから話しかけられないの?」

 

もう一人の少女がそう藤尭に聞く。そんな考えを浮かんだのは子供だからの発想だからだろうか。

 

「う、うん・・・出来ないんだよ・・・」

 

聞かれた藤尭が少女にそう答える。

 

「あ・・・応援・・・?ここから響や戦兎さんたちに私たちの声を、無事を知らせるにはどうすればいいんですか?二人を助けたいんです」

 

すると、未来は二課の人達に何か方法はないかと聞いていた。

 

「助ける?」

 

「学校の施設がまだ生きていれば、リンクしてここから声を送ることが出来るかもしれません」

 

「っ・・・それなら!」

 

未来の瞳に希望が灯っていた。

 

 

 

 

 

 

その一方で、戦場では---

 

「なぜだ・・・!?」

 

フィーネは、目の前の男---桐生戦兎を見て、永劫を生きる彼女でさえ思わず後退りしてしまう。それも仕方がないだろう。ただの人間が、幾らボロボロになっても立ち上がり続けるのだから。

現在の戦兎は傷だらけで、血だってかなり出ている。

それでも一度立ち上がれなかったのに目の前でまたしても、立ち上がって見せたのだから。その瞳に決して折れやしない闘志を宿して。

 

「何故そこまで立ち上がる・・・!?何が貴様をそこまで奮い立たさせる!?」

 

理解できない、と言った風な表情でフィーネが頭を振って言った。

 

「どうして、そこまで他人のために命を賭して戦えるというのだ!?」

 

「そんなの、決まってんだろ・・・!」

 

その手にラビットフルボトルを持ち、フィーネに向かって走る。

例え血を吐こうが、地面を這おうが、挫けようが、それでも何度も誰かのために立ち上がって身体一つでも食らいついて誰かを守る。それこそが、英雄(ヒーロー)なのだから---

 

 

「俺は、仮面ライダーだからだ!誰かを守るために、誰かの明日を創る為に・・・!」

 

そう言いながらもフィーネに向かっていき、ラビットフルボトルを握りしめたまま拳をフィーネに叩きつけようとする。

が、その拳はフィーネが顔を逸らしたことによってすぐ横を通り過ぎ、戦兎の腹に強烈な一撃が入る。

 

「がっ・・・!?」

 

「もういい・・・今度こそ終わりだ」

 

冷めきった目で、腹に一撃を当てられたせいか力が抜けて倒れかけている戦兎を見下ろしていた。

 

「どれだけ足掻こうが、所詮お前は私に勝つことなど有り得ないのだ。もはやさっきまでの仮面を纏えない貴様に、その信念を突き通すことなど決してできん」

 

そのまま戦兎は、地面に倒れ---

 

 

 

 

戦兎が、足で地面をしっかり踏み締めて倒れないようにしていた。

 

「!?」

 

「だとしてもッ・・・!俺は、まだ・・・!」

 

戦兎が顔を挙げ、フィーネを睨んでいた。

 

「みんなの・・・笑顔を守るためにもッ!平和を守るためにもッ!!」

 

その瞳には、先程と全く変わらない、決して衰えず、諦めないという信念を宿し、戦兎の体が黄金の光に包み込まれ、その光がフルボトルへと収束する。

 

フィーネは知らないであろう。それはハザードレベルが7.0に達した時、仮面ライダーのフルボトルは進化を遂げるという現象---

 

「俺はここで、負ける訳には行かないんだよ!!」

 

黄金に輝く、希望の光のようなフルボトルを握りしめ、戦兎は拳を振り上げて、フィーネの顔面を打ち据える。

 

「がっ!?」

 

「ぅううぅぅうう・・・おおおぉおぉおぉぉおお!!」

 

すかさず僅かにフィーネを宙に浮かせ、拳を引き絞って、黄金のオーラを拳に纏いながらフィーネを殴り飛ばしてみせた。

 

 

「ぐああぁぁぁああっ!?」

 

先程とは明らかに違う強さで、人間が出せる威力ではない力に驚く暇もなくフィーネが吹き飛ばされ、地面に倒れる。

 

「な、なんだ・・・この力は・・・!?」

 

仮面を身に纏わず、それでいて完全聖遺物を纏うフィーネを吹き飛ばして見せたのだ。そんなこと本来ならば有り得ないだろう。

 

「お前は一体・・・!?」

 

「何度も言わせるんじゃないよ」

 

手に握るフルボトルを一度見て、再びフィーネに視線を向ける。

 

「---()()()()()()だ」

 

その姿は果たして戦兎が知らないところで見ている人達にとってどんな姿が移ったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

そして、ラビットフルボトルによって強化された彼の耳に、何かが聞こえてきた---

 

 

---それは、戦兎にとっては知らないが、響にとってとても()()()()()()だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----仰ぎ見よ太陽を よろずの歌を学べ

 

「これは・・・歌?」

 

聞こえてきた歌はリディアンという学院で、何度も、何年も歌われてきて、培われてきた校歌である。

 

「チッ・・・この耳障りな・・・何が聞こえている・・・!?」

 

フィーネは、それが何なのか分からなかった。

 

---朝な夕なに声高く 調べと共に強く生きよ

 

「ぅぁ・・・」

 

その歌声は、確かに響にも届いていた。その声の中には大切な幼馴染で、同級生である未来や、友達の弓美、安藤、寺島の声さえも。

 

「なんだ・・・これは・・・」

 

フィーネは、未だにそれがなんなのか分かっていなかった。

 

---遥かな未来の果て 例え涙をしても

 

この歌は彼らを助けるためにも未来たちが必死に行動し、決死の想いで繋げた強い意志。

なによりも、メッセージであった。

 

(響、戦兎さん・・・私たちは無事だよ。二人が帰ってくるのを待っている。だから、負けないで)

 

 

---誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして

 

この歌は、確かに響き渡り、彼らに聞こえた、聞こえていた。

 

 

「どこから聞こえてくる・・・この、不快な歌・・・!?」

 

そして、ようやくフィーネが正体に気づく。

 

「・・・そうか、生きてるのか。無事だったんだな」

 

戦兎も、未来たちが無事だということに歌を通して気付いた。

ならば、残りは---

 

 

 

 

 

「お前にも、聞こえるだろ?皆の声が、歌が・・・想いが」

 

 

「・・・・・・うん、聞こえる」

 

戦兎は視線を響に向け、その言葉に、さっきとは違って響は言葉で答える。

 

「聞こえる・・・みんなの声が・・・」

 

夜が明け、夜明けの日差しが降り注ぎ、響の心に共鳴するように周囲を照らす。

 

「---良かった」

 

聞こえてきた声に響は心底安心する。

 

「私を支えてくれる皆は、いつだって側に・・・!」

 

響の手に力が入り---

 

「皆が歌っているんだ・・・だから・・・!」

 

響の瞳についに輝きが戻った。

さらに、響は自分の中にある、胸の歌を、解き放つ。

 

「まだ歌える---頑張れる---戦えるッ!」

 

突如として放たれた光を纏い、響は立ち上がる。

そして---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦兎ォ!!」

 

「ッ!?」

 

突如として聞き慣れた声の方向に戦兎は即座に視線を送り、()()()()()()()()()

それを即座に手で受け取り、それを確認すると、先程外れて何処かへと行った()()()()()()()()だった。

それを投げてきた存在は、既に傍に来ている。

 

「万丈・・・!?」

 

それは、クリスと一緒に堕ちたはずの仮面ライダークローズであり、彼の相棒である万丈龍我だった。

見れば、彼も傷だらけで、中々にボロボロになっている。

 

「随分ボロボロだが、無事だったのか?」

 

「あぁ、装甲がギリギリ持ってな。でもお前はよりは無事だ」

 

「うるさいよ、一人で戦ってたんだから仕方がないだろ」

 

「「---ふっ」」

 

そして、いつものような軽口を叩き、二人は並んで手にビルドドライバーを持つ。

 

「行けるよな?相棒(戦兎)

 

「当然だ。行くぞ、相棒(万丈)

 

その言葉を最後に、二人は同時に手に持つ手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械を腰に宛てがう。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定する。

 

「馬鹿な・・・まだ戦えるだと!?何を支えに立ち上がる!?何を握って力へと変える!?鳴り渡る不快な歌の仕業か・・・?」

 

フィーネにとって、予想外なことばかりで頭の整理が追いついてなかった。

だけど一つだけ言えることがあるとするならば---奇跡は、確かに起こった。

 

「そうだ・・・お前が纏っているものはなんだ・・・?・・・何を纏っている?それは私が作ったものか!?それは私の知っているものなのか!?お前が纏うそれは一体なんだッ!?お前たちが付けているものはなんなのだ!?」

 

その問いかけに答えるように響は顔を挙げる。

 

「何かって?決まってるだろ?」

 

戦兎がそういった次の瞬間、三つの光が、柱のように立ち昇り、天を突いた。

 

一つは、蒼。蒼天色の、風鳴翼の放つ光。

 

一つは、紅。紅蓮色の、雪音クリスが放つ光。

 

一つは、黄。黄金色の、立花響が放つ光。

 

 

 

 

さらに---

 

 

 

 

 

 

 

 

黄金色の光が、戦兎と万丈をそれぞれ囲んでいた。

 

「これは・・・人々の希望・・・?とても温かくて、心地よい光だ・・・」

 

「それに・・・皆の想いも、温もりも感じるな」

 

彼らにも、奇跡が起こる---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、黄金色の光が戦兎と万丈、二人の体を包み込み、戦兎からは()()()()()()()()()()()()、万丈からは()()()()()()()()()()()()()()され、二つのアイテムが上空へと飛んで、二人は視線を引き寄せられるかのように見上げる。

 

「お、おい戦兎!?これはッ・・・!?」

 

「あぁ、まったく・・・最ッ高だな!」

 

いつものように戦兎が髪の毛を掻き、ぴょこ、とアホ毛のようなものが跳ねる。

そして、二人は落ちてきたものをその手に掴んだ。

 

「やるぞ」

 

「おう!」

 

万丈が、手にクローズドラゴンを呼び出し、落ちてきたフルボトル---ほとんどが金であり、下半分近くが青色で、そこには金色のドラゴンが描かれているフルボトルであるものを振り、惑星のようなマークが描かれているキャップを表に向ける。

そしてそのボトルを、クローズドラゴンへと挿入する。

 

『キュウゥゥ〜!』

 

ドラゴンが何処か嬉しそうに鳴き声を発し、それと同時に金が施されている真っ赤なクローズドラゴンへと姿を変える。

そして起動ボタンである『ウェイクアップスターター』を押した。

 

覚醒ィッ!!】

 

 

音声が鳴ると、万丈がクローズドラゴンを装填する。

一方で、戦兎は---

 

 

 

 

 

 

彼の手には大きさが缶ぐらいのがあり、パッケージもラビットタンクフォーム時のフェイスがアレンジされて描かれているフルボトルを右上に振り、成分を活性化。

左上に方向を変えたかと思えば、缶を空けるようにプルタブ型のスイッチを入れる。

その時、炭酸を開けるときのような音がした。

そして二人はお互い持つアイテムを同時にビルドドライバーに装填する。

 

ラビットタンクスパークリング!】

 

グレェートクロォーズドラゴンッ!!】

 

ボルテックレバーを回し、ビルドドライバーからスナップライドビルダーを展開される。

戦兎の方にはライダークレスト型のスナップライドビルダーが展開され、いつものラビットタンクと同じように赤と青のハーフアーマーがそれぞれ展開されていた。

万丈の方はと言えば、クローズと同じいつもの前後に青いハーフアーマーが展開され、戦兎が居ない左の方にはドラゴンの羽根と頭らしきもの展開していた。

 

【Are You Ready?】

 

次にベルトから問いかけられる。覚悟はいいか?という聞き慣れたことを。

それはこれから立ち向かう強大な敵と力を使うことに対することだ。

戦兎は視線を一瞬だけ響へ向け、響は力強く頷いた。

 

 

「「変身ッ!!」」

 

「シンフォギアァァァァアアァァアアアアァァア!!」

 

声が重なり、戦兎、万丈、響、翼、クリスの全員が変身する。

 

シュワッと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イェイ!イェーイ!】

 

Wake up CROSS-Z!Get GREAT DRAGON!!Yeahhh!

 

五つの光が飛翔する。

白き純白の装束と翼を羽撃かせ、響、翼、クリスは飛ぶ。

ビルドとクローズに至っては、今までに響たちやこの世界の者が見たことの無い姿であった。

 

ビルドはいつものラビットタンク形態に新たに白がメインカラーに追加されトリコロールになり、装甲は炭酸の刺激のイメージかギザギザになり、上半身の一部には泡のような白いドットが表れている。

 

その名も『仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォーム

 

一方でクローズは、いつもの青ばかりの姿ではなく、赤と金の上半身を保護するボディアーマー『GCZドラゴライブレイザー』へと変化を遂げている。頭部に至っては赤色が混じっていた。

 

その名も『仮面ライダーグレートクローズ

 

二人が失われたはずの力を取り戻した瞬間であった。

なにより、普段の彼らと違う所はそれだけではない、空を飛べることもだが、まずビルドにはスパークリングとなったビルドを包み込むようにして黄金の光を纏っており、クローズにはグレートクローズとなった彼を包み込むように銀色の光を纏っている。

そんな二人の姿はまるで---奇跡と偶然(太陽と月)

 

そして、三人のシンフォギア装者が成したのは、ありったけの歌の力『フォニックゲイン』によってシンフォギアに施された三〇一六五五七二二のリミッターを全てアンロックすることで成し得る。最終決戦形態。

 

その名も ---XD(エクスドライブ)

 

歌と科学、二つが交差することによって今、なによりも彼らを支える人達のお陰で奇跡の力が引き起こされた。

 

「---さぁ、新しい実験を始めようか」

 

様々な法則である数式を展開し、黄金色の光をその身に宿したビルドがフィーネを上空から見下ろしつつ、そう告げた。

 

 




https://syosetu.org/novel/216410/27.html

第4回コーナー

戦兎「もう突っ込まないからな!雑になってるけど、突っ込まないからな!」

???「諸に突っ込んでんじゃねぇか!」

戦兎「・・・ごほん。じゃあ今回のゲストだ」

クリス「露骨に逸らしたな・・・ったく、雪音クリスだ。先輩の後に任されるなんて思わなかったな」

戦兎「ま、その辺りは適当らしいからな。今回も少し多めだけど進めていくぞ。まずはこれだ」










仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグ

イメージカラーは白と真紅。フルボトルは消防車とハリネズミのフルボトルを使うことで成せるベストマッチフォームの一つだ。

ハリネズミ側の複眼はハリネズミの頭部を模しており、針のうち1つがアンテナ風になっている。
針の並んだナックルパーツ「BLDスパインナックル」を装備し、鋭い針で攻撃する。また、地中に潜んだ敵を特定する事もできるんだ。もちろん、針を飛ばすことだってできる。

消防車側の眼は消防車を模しており、ラダーがアンテナ風になっている。
然るべき機関へ応援要請を行う他、災害現場の図面を取得し、要救助者を特定して救助する能力に長ける。有害物質の類に強く、サーモグラフィーも備えている。
実は胸部から左肩にかけてと左腕もそれぞれ消防車を模していて、ここには伸縮自在のウインチなど救助用具一式が備わっている。
左腕の「マルチデリュージガン」はラダーを伸ばす、放水、火炎放射など多くの用途があり、足にはアンカーパイル射出装置があってこれで相手に穴を開け、可燃性物質を流し込んで燃やすという消防車らしからぬ能力もあったりする。

余談としてはネーミングが唯一両者ともフルボトルの名前と異なっていることか?
他にも、危機に脅かされた時に命を守る行動を起こすものという共通点があるな。ハリネズミは自分の身に危険が迫ると丸まって身を守り、消防車は災害に脅かされた人々を救助する乗り物って感じでな。











仮面ライダービルド ロケットパンダ

イメージカラーはハリネズミより少し明るい白、そして空色。使うフルボトルはロケットとパンダだ。

パンダ側の複眼はパンダの全身を模しており、ひし形の体がアンテナ風になっているが、他の形態よりは短かったりする。
敵のカメラアイをジャックし、視界をモノクロに変えてしまう他、笹を見つけ出すセンサーとしても機能する。
他には、幼いパンダが戯れる映像で群衆を落ち着かせて避難誘導する機能も備えていて、なおかつ非戦闘時はふわふわした手触りがするんだ。

右腕は巨大な爪「ジャイアントスクラッチャー」になっている。戦闘で傷ついた植物を癒す能力も備え、竹林や草原で戦闘力が向上するという力がある。

次にロケット側になるが、複眼は飛行するロケットを模しており、吹き出した炎がアンテナ風になっている。
左腕全てのアーマーが1つのロケットを模しており、射出して攻撃ができる。
単純な攻撃としても有効だが、建物の天井を強引に突き破って脱出するなど瞬間的な機動力が必要な場面でも有効で、撤退するときなどに便利だな。旧世界でもかなりお世話になった形態だ。

因みに腕にレーザー砲を備えていたり、別世界のライダーである仮面ライダーフォーゼのようなキックを放つ事も出来る。
体の各部にはエアタンクやスペースデブリの衝撃に耐える装甲など過酷な宇宙空間での活動を想定した装備が搭載されている。

余談としては、文明の繁栄の象徴と絶滅危惧種という相反する組み合わせになっているのは皮肉かもな・・・。
それ以外にも、ロケットをミサイルと解釈するなら人類を滅びに向かわせる物と滅びに瀕している生き物の組み合わせとも解釈することが可能だ。



戦兎「さて、俺のはここまでだ。残り一つ任せた」

クリス「あぁ、これでいいんだよな?」

戦兎「大丈夫だ、今日はそれで合ってる」

クリス「じゃあ、あたしからはこれだ」


仮面ライダービルド サメバイク

イメージカラーは青と赤。フルボトルはサメとバイクを使うらしい。

サメ側の方としては、複眼はサメを模しており、尾ビレがアンテナ風になってる。
右肩の装甲はサメの顔になっており、右腕にはサメのヒレを思わせる装飾『メガロフィンレイザー』が存在し、これで対象を切り裂くらしいな。
また、指先はサメの歯のようになっていて、対象を破壊してしまえるなんていうとんでもない力もあるんだとか。

さらに100万分の1ボルトという極小の電位差を感知できると言われるサメのロレンチーニ器官を利用する事で、見えない敵の居場所を特定する事が可能に。
他にも水中活動能力を飛躍的にアップさせる他、肩の『BLDシャークヘッドショルダー』からは実在、非実在を問わない多種多様なサメを召喚して敵に嗾ける能力があったり、水中では何と50ノットもの速さで泳ぐことができるという。また、キック力にも優れるといった感じらしい。


バイク側の方としては、複眼はバイクのハンドルを模しており、ハンドルとブレーキレバーがアンテナ風になってる。
実際にこの部分を握って5倍の速度で戦えるらしく、本編ではこれで未来を救っていたな。
さらに物陰に潜んだ敵を索敵したり、遠隔操作したマシンビルダーの車載カメラから情報収拾も出来るようだ。

左腕には大きなタイヤを装備している他、左肩には歯車状の装飾が存在するなど、その外見はマシンビルダーを彷彿とさせるような容姿だ。
戦闘時は左腕のタイヤを盾として使用する他、右肩の歯車状の装飾を光らせると共に複数のマシンビルダーを一度に召喚し、一斉に突撃させる能力を使用することが可能で、敵からしてみれば、厄介な能力ばかりの形態にも見えちまう。

また、バイクフルボトルの成分による急加速や、あらゆる乗り物を乗りこなす騎乗スキルを変身者に付与したり、敵の心臓部をピンポイトで破壊できる能力を備えるなど、テクニカルな戦法が得意な半身でもあるんだと。


余談はモチーフに共通する点で、速く動く物らしいな。






戦兎「さて!これまで見てくれた人は気づいてくれたかも知れないし、分からなかったかも知れないが、今回紹介した分で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったりするんだ」

クリス「前回先輩とのやつが長かったのはこれが原因なんだろ?」

戦兎「あぁ、作者が途中でこの話の時に紹介出来ないかと考えたら、残り個数的に4つと3つでちょうど行けると気づいたらしくてな。急遽前回は長くなったらしい。本編が普段より短かったのもあったからちょうどよかったんだけど」

クリス「ふーん。それと。実はこの話で本編に出てきたフルボトルは全て使ってたりもするんだろ?今は使えない形態のゴリラモンド・・・ダイヤモンドを除いて」

戦兎「あぁ、ベストマッチラッシュというかフォームチェンジラッシュ。それが一番やりたくて、出来る相手がフィーネぐらいしか居ないってことからやったな。最終的には倒せず、回復されてしまったけど。因みに表現されてなかったが、圧倒出来た理由はハザードレベルの急上昇だ。必殺技の10連続の発動によってと感情の昂りでな」

クリス「でも、これで変身解除されないと正体明かすタイミングないもんな・・・。ところであんたとあたしって本編でそんな絡んでなくないか?」

戦兎「・・・確かに、俺が二課の所属してないのもあって関わりが薄いな。一応、未来とは結構関わってたが」

クリス「あたしも龍我とばかりだったもんな」

戦兎「そうだな。精々前書きで関わってたくらいだし・・・っとこの話はやめるか」

クリス「じゃあ、最後に一つ。あの最後のフォームは?」

戦兎「グレートクローズとスパークリングか。当初の予定では、万丈はグレートクローズ出すつもりはなかったんだ。スパークリングは元からだったんだけど」

クリス「出した理由はあるのか?」

戦兎「一応な。まぁ、一番の理由が作者が好きだかららしいが」

クリス「そんな理由が一番の理由なのか・・・」

戦兎「そうなる。光を纏った俺たちのことは、元ネタがグリッターと呼ばれるものだな」

クリス「ただのグレートクローズとスパークリングじゃあなぁ・・・と思って出したらしいな」

戦兎「たまたま見てたら思いついたらしいからな。・・・っと後書きも流石に締めるか」

クリス「・・・今回は決めてあるんだよな?」

戦兎「・・・・・・」

クリス「ってその反応はまさか!?」

戦兎「次回も楽しみにしてくれ!」


クリス「またかぁぁああぁああ!?」














~~~~おまけ~~~~




タンクくん「やったぁ!これでラビットくんは僕のモノだタンク。やっぱり僕が居ないとダメタンク」

ゴールドラビットくん「何言ってるんだラビット。僕のベストマッチはドラゴンくんだけなんだよなぁ」

シルバードラゴン「俺たちだからいいんだよなぁ。兵器は帰れドラゴン」

ビルドドライバー「ラビット!ドラゴン!Are You Ready?――――ベストマッチ!」

タンクくん「は???(闇堕ち)」








スパークリング「ベストマッチ音声ならないせいで、ラビットくんとタンクくん関係ないからね、仕方がないね。ただ一応力の源である二人だから仲良くしてくれスパークリング」









闇堕ち寸前タンクくん「そ、そうだ。僕にはまだロックくんが―――」

ロック「あ、ごめんだロック。既に相手はいるんだ」

ビルドドライバー「オレンジ!ロック!ベストマッチ!」

闇堕ちタンクくん「は?????もう絶対に許さないタンク。許さない許さない許さない許さないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユル―――」




〜〜〜[完]〜〜〜


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第二十六話 流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして―――


あー今回はコロナのせいで暇だったから終わりました。あ、作者や身内、友達が掛かったわけではありません。なので濃厚接触者でもないです。でも、また増えてるので皆さまもお気を付けて。

そして正直、次回は暫く期間空くと思います・・・たぶん。ライダーは決まってるけどオリキャラについてまだ決まっておらん・・・いや、詳しい設定は別に後で、でもいいんだけど。二期はそれだけなのでそこまで問題じゃないんです。
ぶっちゃけまだまだ先だけど一番の問題は三期ですね。ライダー全員がキャロルちゃんに掛かればいくらキャロルちゃんでもきついのでラスボス候補、それもキャロルちゃん以上の化け物考えなきゃ・・・組織でも出そうかな。後は強化型シンフォギア、まぁこれはフルボトル利用した感じにはなりそうではあるけど名前や音声がなぁ・・・。後はビルドやクローズのさらなる強化。

他は四期からはオリジナル合唱曲とか、もしかしたら出さないと・・・作詞力ねえぞ?文章力もないけど。
などなど・・・あぁ、きつい。シンフォギアここまできついとは思わなかったぜ・・・今なら失踪した先人たちの気持ち、分かっちゃいます。多分失踪しないけどね!それに全て未来の俺がなんとかしてくれるし!(ここの作者のいつもの)

では、実質一期の最終回なあらすじどうぞ
















戦兎「仮面ライダービルドである桐生戦兎とその仲間たちは、その身に奇跡の力を宿し、今ここに本当の最終決戦の幕が開くのでした!」

万丈「えらく真面目じゃねえか」

響「最終回ですからね!」

未来「実はあと一話あるんだけどね・・・」

クリス「細かいことはいいんだよ」

翼「細かくはないと思うんだが・・・」

戦兎「まぁまぁ。実際にここで最終回にしてもある意味・・・いやダメだこれ」

万丈「仮にここで終わった―――むぐ!?」戦兎に口を抑えられる

戦兎「ネタバレになるからやめなさい!」離す

響「そうですよ!だって最後って――――んーっ!?」戦兎に抑えられる

戦兎「お前もか!わざとだよな?絶対そうだよな!?」離す

未来「あ、あはは・・・」

クリス「ったく、なにやってんだ?」

翼「まったくだ。それより、そろそろ本編始めないと待たせてしまう」

戦兎「そうだな。最後くらい皆で綺麗に決めちゃいますか!」

響「だったら、せーの!で行きましょう!」

万丈「だな。分かりやすい!」

戦兎「おーけー。準備はいいか?」

響「いつでも!」

未来「はい」

クリス「あぁ」

万丈「いつでもいいぜ!」

翼「問題ない」

戦兎「じゃあ、せーのっ!」














戦響未「第二十六話―――つばクリ「第二十六話―――」万丈「え?あ!第二十六話見てくれよな!!」

戦響未「どうぞ!」つばクリ「見て欲しい/くれ!」

戦兎「ほぼ全員バラバラじゃねぇか!特に万丈!なにやってんだよ!?」

万丈「あぁ!?んなの急に言われて分かるわけねえだろうが!」

戦兎「いつでもいいって言ってたの誰だよ!?」

万丈「あん?そんなの―――俺じゃねぇか!」

戦兎「今の間何!?気づくの遅いんだよ!」

未来「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いてください!」

翼「くっ・・・すまない。私が慣れてないせいで・・・」

響「翼さんがいつも以上に落ち込んでる!?翼さんは悪くないですよ!ねっ、クリスちゃん!」

クリス「あぁ!?なんであたしに振るんだよ!?いやまぁ、確かに先輩は悪くねえし、あたしも同じタイミングだったけど・・・」

翼「いや、いいんだ。私が慣れていればもう少しマシに・・・」

響「せ、戦兎さんや龍我さんからも何か―――ってあぁ!こっちはこっちで別の意味で酷い!?」

万丈「だいたい、なんなんだよ!お前はいつもいつも難しいことばかり言いやがって!もっと簡単に言いやがれ!」

戦兎「なんでわざわざお前のために言わなきゃいけないんだよ!もう少し勉強しろ!」

万丈「うるせえ!この天才バカ!」

戦兎「なんだと!?この筋肉バカ!」

万丈「あぁ!?この宇宙の知恵!」

戦兎「褒めてるのか貶してるのかはっきりしろ!この単細胞!」

万丈「知るか!利発!」

戦兎「よく知ってたな、その言葉!?この馬鹿力!」

万丈「なんか浮かんだんだよ!あー、えっと、物理学者!」

戦兎「プロテイン!」

万丈「このッ―――だぁ!天才バカ!」

戦兎「さっきも言ったろ!」

万丈「知らねぇ!バカバカバカバカカバカバカバカバカバ!!」

戦兎「うん?今なんて言った?」

万丈「あ?バカ!」

戦兎「途中からカバになってんだよ!やっぱバカだろ」

万丈「ぐっ・・・そういうのがバカなんだよ!」

戦兎「なんでだ!?あのな―――」

未来「・・・戦兎さん?龍我さん?」目が笑ってない

戦万「あぁ?あっ・・・(察し)」

未来「後でお説教です!龍我さんは弦十郎さんに任せますね」

戦兎「い、いや違うんだって!もとはといえばこのバカが―――」

万丈「あぁ!?なに人のせいにしてんだよ!お前も悪いだろ!」

未来「い・い・で・す・か・?」とてつもない威圧

戦万「はい・・・」思わず正座して縮こまる大の大人二人。

未来「とりあいずはこっちに来て下さいね」戦兎(の服)を掴む

戦兎「何故に俺だけ!?」理不尽という顔

未来「え?だって龍我さんはクリスに悪いし、任せればいいから・・・(ぼそ)と、とにかく来てもらいます!」引っ張っていく

戦兎「え?なん---うおっ!?分かった!分かったから引っ張るなって!しかも引っ張ってる割に速いんだけど!?あぁ!ボトル!ボトル落ちる!ってか落ちてるから!」ボトルポロポロ

万丈「あ、俺回収しとくから心配すんな」60本きっちり回収するバカ

戦兎「ちょ、裏切ったなぁ!?万丈ぉぉおおおおおぉおぉおおお!」フェードアウト

万丈「あーこれ見たことあるな・・・なんだっけ?メジャブか!」※惜しい、それはデジャブの反対語です

響「え、ええと。長くなったけど本編どうぞ!え?未来、私も?わ、分かった!」













 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラビットタンクスパークリングとグレートクローズ・・・いや、ただのスパークリングとグレートクローズではない。名づけるのであれば―――

 

仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリング スプレンダーフォーム

 

仮面ライダーグレートクローズ スプレンダーフォーム

 

シンフォギア・エクスドライブ

 

その三つが揃い、彼らは空に立つ。

 

 

 

「皆の歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる・・・クリスちゃんや翼さんに、もう一度立ち上がる力を与えてくれる・・・戦兎さんや龍我さんに、誰かを守るための力を与えてくれる・・・歌は、戦う力だけじゃない―――命なんだ」

 

「高レベルのフォニックゲイン・・・こいつは二年前の意趣返し・・・?」

 

《んなことはどうでもいいんだよ!》

 

《うおっ!なんだこれ!?これは一体どういう原理で・・・ライダーシステムにこんな機能は付けてないぞ!?やばい、今からでも調べたい!》

 

《ちょ、やめろ戦兎!俺に触れても意味ないだろ!》

 

「念話までも・・・限定解除されたギアを纏って、すっかりその気か!?」

 

ビルドが調べようとクローズの体に触れようとし、クローズがそれに抵抗している様子を他所にフィーネがソロモンの杖でノイズを召喚する。

 

《いい加減芸が乏しいんだよ!》

 

《世界に尽きぬノイズの災禍は、全てお前の仕業なのか!?》

 

翼に問いかけに対し、フィーネは同じように念話で答える。

 

《ノイズとは、バラルの呪詛にて、相互理解を失った人類が、同じ人類のみを殺戮するために創り上げた自立兵器・・・》

 

《人が、人を殺すために・・・》

 

《そうか・・・だからノイズには建物を透過する能力があるのに人に対しては透過しないのか》

 

その言葉に響は面食らい、いつの間にか調べるのをやめたビルドが納得したように呟いた後に仮面の下で苦い顔をする。

 

《バビロニアの宝物庫は、扉が開け放たれたままでな、そこからまろびいずる十年一度の偶然を、私は必然へと変え、純粋に力と使役しているだけの事》

 

《また訳の分かんねえ事を・・・》

 

《つまりは、ノイズの発生源の扉が常に開かれたままだが、あの杖を使うことで扉の開閉を制御することが出来るってことだな》

 

《なら、あの杖を奪っちまえば良いってことだな!》

 

《バカなりに判断すればそういうことだ》

 

《ふん、出来るのであればな!》

 

次の瞬間、ノイズが弾丸の如くビルドたちに向かってくる。

しかし、それを容易に全員が避ける。その時に僅かな時間だが隙が出来る。

 

「応じろ---!」

 

フィーネが真上にソロモンの杖を掲げる。

すると、ソロモンの杖から発せられた光が天へと昇り、弾けたかと思えば、一気に拡散する。

拡散した光は様々なところへ着弾し、そこにはおぞましい数のノイズが街などに出現し出す。

小型ノイズや大型ノイズが空や街全体を埋め尽くすほど大量のノイズが、この街に跋扈する。

それは、もはや一種の災害ともいえる光景だった。

 

「あっちこっちから・・・!」

 

「よっしゃあ!どいつもこいつもまとめてぶちのめしてくれる!」

 

そう言ってクリスが一足先に飛んでいく。

 

「あいつ、やる気だな。万丈、お前の影響か?」

 

「どうだろうな。っと俺も置いていかれないようにしないと行けねえか」

 

ふと、クローズが響を見ると何かを察したのかそう言ってクリスを追っていく。

 

「あ、おい!なに俺を置いて先に活躍しようとしてんだよ。じゃあ俺も・・・」

 

「戦兎さん・・・」

 

向かおうとしたビルドを止める響。

 

「どうした?」

 

「その・・・私、戦兎さんに・・・」

 

「あぁ、これか?結構効いたよ。けど、そんなのは別にどうだっていいだろ?」

 

最後に受けた鳩尾に手を当て、すぐに離した。

 

「え?」

 

「お前は俺の呼びかけに応えてくれた。確かに切っ掛けは俺が作ったのかもしれない。けど、お前は戻ってきてくれた。それはお前自身の力だ。その強さは誇っていい強さだと思う」

 

それは、戦兎が一度戻って来れなかったという経験があるからこそ、重みが確かにあった。

 

「戦兎さん・・・」

 

「ほら、行くぞ」

 

「わっ!?」

 

そしてぽん、と響の頭に手を置くとそっと撫でた。

 

「一緒にいけるか?響」

 

「・・・はい!」

 

響の返事を聞くと、ビルドが動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で---

 

「しかし・・・お前だったんだな」

 

「あ?」

 

クリスの後を追っていたクローズに、クリスが突然そう呟いた。

 

「今まであたしのこと守ってくれたことだよ。ずっと不思議だったんだよ。万丈龍我という人間が初めて会ったはずのあたしに何故関わってくるのか、そしてクローズと似た感じがしたのか・・・色々とさ」

 

「あー・・それは・・・悪い」

 

今まで黙ってたことへの申し訳なさからか、仮面の下で思わず苦笑いをするクローズ。

 

「・・・何か理由があったんだろ?」

 

「あぁ・・・もう必要ねぇみたいだから言うけどよ。戦兎のやつは何処から情報出るか分かんなかったし、特異災害対策機動部って所に黒幕がいるんじゃないかと思ってたらしくてな。ライダーシステムについて情報を知られたくないって言ってたんだ。あとはバレない方が動きやすいって理由もあったけどな。でも俺がお前を助けたいって思ったのは事実だ」

 

「んなの今までの行動見てたら分かるっての!だからだな・・・その---」

 

「ん?」

 

呆れるようにため息を吐くと、何処か言いにくそうな表情となってクリスが言葉を区切り、それを不思議そうな様子を出してクローズが見つめていた。

 

「あ、ありがと・・・」

 

「なんだ、そんなことか」

 

恥ずかしげに言った言葉に、クローズは気にしてないと言っていた。

 

「そ、そんなことってなんだよ!?」

 

「い、いやそうじゃなくて!当然ってことだ。お前からは昔の俺みたいな感じがしてたからな・・・同じ過ちはして欲しくなかったんだよ」

 

誤解するような言い方だったことに気づいたのか、慌てて修正し、話す。

 

「昔の龍我?」

 

「あぁ、詳しいことは省くけど・・・俺も戦争を止めるために力で解決しようとして戦兎のやつに傷を残しちまったからな・・・。でも実際、あいつが止めてくれなかったら戦争は余計に拡大して、酷いことになってたと思う。だからお前にはそんな負の・・・連想をして欲しくなかったんだよ」

 

「・・・そうだったのか。だからあたしを止めたんだな」

 

「まぁな。けど、今はいいじゃねぇか。お前はもうそんなことしねぇだろ?」

 

「あぁ。---それと負の連鎖じゃないか?」

 

「そ、そうとも言うな!」

 

「・・・やっぱバカだろ」

 

「バカじゃねぇよ!」

 

そんな会話をしつつも、ビルドたちが追いつき、五つの光が、街のノイズたちの元へ飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装者三人の歌が空に響く中、一番槍を手にしたのはビルドとクローズだった。

 

「ハァッ!」

 

まず、ビルドが地面すれすれで飛んでいき、体勢をライダーキックの形にして右肩『SBLDバブルラピッドショルダー』から『Sラビットバブル』という黄金色の泡を発生させ、その破裂の勢いを乗せてビルドが高速でノイズを貫いていく。それだけで、街の地面に居たノイズを一直線に殲滅し、泡と余波だけで両隣の間にさえ居たノイズを消し飛ばした。その威力は言わずもがな、必殺技レベルに匹敵するだろう。

 

「俺も負けてられねぇ!」

 

それを見たクローズはビルドが一直線に削った後を追い、突如後ろを振り向く。

そこには大型ノイズやら小型ノイズがたくさんいた。

 

【クローズソングブラスター!】

 

【Blaster Mode!】

 

「こいつでッ!」

 

即座に銀色の光が銃口に収束され―――そこから巨大な銀色のまさに砲撃と呼べるエネルギー波を放ち、一瞬にしてノイズを消し飛ばした。しかし、それだけでは留まらない。砲撃が止まったかと思えば、その砲撃が突如ドラゴンの形を作り、『グレートクローズドラゴンS・ブレイズ』へと変わり、銀色のオーラを身に纏った龍が戦場を蹂躙している。

 

「はっ?」

 

なお、当人は自覚をなしにやったからか、その光景に呆然としていた。

 

一方で、その上空に居た響は巨大ノイズをパイルバンカーナックルによる一撃が貫通し、直線状にいた巨大ノイズが纏めて消し飛ぶ。

さらにクリスはまるで飛行ユニットのようなアームドギアを展開し、そのアームドギアから追尾性のあるレーザーを乱射し、一切外すことも無く上空のノイズを一網打尽にしていく。

 

《やっさいもっさい!》

 

 

MEGA DETH PARTY

 

 

 

それだけで、物凄い量のノイズが数を減らしていく。

 

《すごい!乱れ撃ち!》

 

《全部狙い撃ってんだよ!》

 

《だったら私が乱れ撃ちだあああぁぁああぁぁああ!!》

 

腕のギアのバンカーを拳を叩きつけることによってアームドギアのエネルギーを前方に拡散、地上にいるノイズに散弾銃の如く叩きつける。

 

《うぉあああぁあ!?痛い!いてぇ!?》

 

《あ、ごめんなさい!》

 

《何やってんだよバカ。それぐらい避けなさいよ》

 

《あぁ?仕方がねぇだろ―――ってなんだそれ!?》

 

《なんか操ったら出来た》

 

《・・・科学者としていいのかそれ》

 

《うるさいな!こんな状態になったのは初めてだしデータにもなかったんだから仕方がないだろ!》

 

場所が二人が戦ってた場所もあり、響の攻撃にクローズが巻き込まれるが、ビルドは謎の黄金色のバリアを頭上に展開することで、攻撃を防いでいたのである。

しかし、そんな言い合いをしてながらも互い互いにフォローしてノイズを減らしている二人は流石であった。

 

その一方で、上空へ飛び上がった翼はその大剣を掲げて、二体の飛行型超大型ノイズに向かって蒼い斬光を放つ。

 

蒼ノ一閃

 

斬撃がノイズを貫き、そのまま、装者と仮面ライダーの活躍もあり、たちまちノイズを消し炭にしていく。

クローズがブレードモードへと切り替えてもう一方の手にビートクローザーを携え、二刀流で斬り裂いていき、ビルドは高速移動を使うことで遠い距離のノイズを相手に両手にホークガトリンガーとカイゾクハッシャーを手に近距離、中距離、遠距離あらゆる距離を熟し、殲滅していく。

クリスの飛行ユニットに乗る響が、クリスの一斉砲火と共に腕のアームドギアから放たれる拳の一撃が放たれ、何十ともいえるノイズを消し飛ばす。

翼の大剣が放つ斬撃が上空のノイズを蹴散らし、ノイズはたちまちにその数を減らしていった。

 

「どんだけ出ようが、今更ノイズ・・・!」

 

ほぼ全てのノイズを殲滅し終えたクリスがそう呟いた時、今まで攻撃さえしてこなかったフィーネが動き出した。

そう、なんと自分の腹にソロモンの杖を向けていたのである。

 

「あいつ、何をやるつもりだ!?」

 

それを見ていたクローズが思わず声を出すが、フィーネはまるで答えるように口元を歪め、自分の腹にソロモンの杖を突き刺した。

 

「な、なんで自分を・・・!?」

 

「いや、違う・・・!何か別の目的だ!」

 

響が思わず、と言った風に出した声をビルドが否定した。

その通り、突き刺したフィーネの体の一部が伸び、それがソロモンの杖に引っ付いて、侵食するようにヒビが入る。

そして次の瞬間には、街中に残っていたノイズがフィーネの元へ集まり、融合していく。

さらにはそれだけには留まらず、ノイズを増やしたかと思えば自分に向かってどんどん集め出していく。

 

「ノイズに、取り込まれてる・・・?」

 

「そうじゃねえ。アイツがノイズを取り込んでんだ!」

 

クリスの言葉通りとでも言うように、ビルドたちを妨害するように集合したノイズが向かってきて、ビルドたちはそれを軽々避ける。しかし---

 

「来たれ・・・デュランダル!」

 

そう叫んだ瞬間、カ・ディンギルの最奥にあったはずのデュランダルを取り込んで、どろどろの液体となって巨大な化け物の姿に変容させた。

 

その姿は、まさに伝承にあるヨハネの黙示録に登場する赤き龍。『緋色の女』または『大淫婦』とも呼ばれた女『ベイバロン』に使役された滅びの聖母の力を持つ獣だ。

 

そして、その黙示録の赤き竜が口に何かを溜めたかと思えば、光線を吐く。

その光線が迸った瞬間、街は一瞬にして焼かれ、凄まじい熱気と衝撃を撒き散らす。威力からも分かる通り、黒煙が空を覆い尽くすぐらいの煙さえも発生している。

 

「街が!?」

 

『---逆さ鱗に触れたのだ』

 

全員が気にしてる間に、フィーネが呟く。

 

『相応の覚悟は出来ておろうな?』

 

フィーネがその言葉を発した瞬間、再び赤き竜がブレスを吐いた。

三人は当然、回避行動に移り---二人だけ、移らない者がいた。

 

「戦兎さん!?」

 

「おい、龍我!」

 

当然、そんな行動に三人は驚き、響とクリスは二人の名を呼んだ。

 

「心配しなくとも大丈夫だ。万丈、合わせろ!」

 

「言われなくとも分かってるっての!」

 

次の瞬間、二人は金色のオーラと銀色のオーラを前方に出して超巨大なバリアを貼り、見事何処にも被害を出すことなく防ぎ切れた。

 

「何!?」

 

「思ってたより防げたな」

 

「あぁ、一発一発が重すぎるあいつに比べりゃマシだ」

 

まるで某光の巨人みたいな事をして見せたが、それはそうだろう。彼らが戦ってきた相手はやろうと思えば、星や地球なんて簡単に壊せ、尚且つその相手と同等の力を持つ敵や、別の世界のライダーの力が必要不可欠な力を持つ敵だったのだから。

 

「す、すごい・・・!」

 

「・・・私たちはこんな二人を敵に回す可能性もあったのか」

 

響が素直に関心する中、翼は今更とでも言うように、敵でないことに安心していた。

 

「調子に乗るな・・・!」

 

フィーネが鰭や羽とも言えるようなモノを展開したかと思えば、クリスと似たようなレーザーを発射する。

 

「同じ手が効くと思ってんのか!?」

 

「あ、おい!?」

 

それを見たクローズはビルドの目の前に出て、ビートクローザーとクローズソングブラスターの二刀流で撃ち落としていく。

 

「龍我!」

 

「あ?」

 

クリスの声に反応するように向くと、そこにはレーザーが死角から複数飛んできていた。

 

「ちゃんと注意しろ!」

 

それをビルドが、黄金色の泡を破裂させ、ドリルクラッシャーのブレードモードで高速で全て撃ち落としていた。

 

「うおっ、悪い!」

 

「このぉ!」

 

すかさずクリスが砲撃するが、首辺りにいたフィーネを守るように外壁が閉じ、クリスの攻撃が防がれる。

そして、反撃の砲撃。

 

「うわ―――ぁあぁぁああ!」

 

避けようとはするが、砲撃は追撃してきて直撃を貰ってしまうことで、よろける。

 

「ハア!」

 

翼が蒼ノ一閃を放つ。それが竜の顎らしき部分へと直撃し、装甲を削ることに成功したかと思えばすぐさま回復し、修復されてしまう。

 

「うぉおおぉぉおおお!!」

 

次に響の拳が竜を撃ち抜くが、やはりというべきか同じように修復され、無かったことにされるように傷はない。

 

「やっぱりすぐ治っちゃう・・・!」

 

「何か別の攻略法があるはずだ。それを探さないと・・・」

 

響が呟いた声にビルドは自身の頭を使いながら黙示録の赤き竜を観察する。

 

『いくら限定解除されたギアであっても、所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具。完全聖遺物に対抗できるなどと思うな』

 

フィーネが勝てないという絶望を突き付けるかのように言った。

 

「・・・そうか!」

 

まるで納得が言ったかのようにビルドが頷く。

 

『聞いたか?』

 

「チャンネルをオフにしろ」

 

「え?なんだ?何か分かったのか?」

 

三人が何かに気付くが、クローズは全くといった感じで理解できずに聞いていた。

 

「馬鹿は馬鹿らしくやってればいいってことだ」

 

「馬鹿じゃねぇよ!筋肉付けろ!」

 

「そこじゃないっての」

 

相変わらずの論点の違うクローズにもはや呆れつつもいつものやり取りをし、話を戻す。

 

「とにかく、奴を攻略するための鍵は―――」

 

気付いたビルド、翼、クリスは響の方を向く。

 

「お前が、奴に勝つための唯一の鍵だ」

 

「え?」

 

同じように、何も分かってない響が驚く。

しかし、彼女は分かってなくとも何かをしなければ自分が守りたい者は守れなくなるし、街だって危ういと理解しているのだろう。

だからこそ―――

 

「・・・やってみます!」

 

響は、力強く頷いて見せた。

その響の言葉に頼もしく思い、この場の全員が笑みを零す。

そこで、竜から砲撃が放たれる。

それを躱しながら翼とクリス、クローズは前に出る。

ビルドは響の近くでホークガトリンガーを手に相手を見据えている。

 

「ええい、ままよ!」

 

「私と雪音とクローズで露を払う!」

 

「手加減なしだぜ!」

 

「分かっている!」

 

「あぁ、行くぜ!」

 

クリスとクローズが突っ込み、翼は後方にて己が持つ剣に意識を集中させた。

いつも通りのではなく、リミッターを解除したエクスドライブによって解放された力ならば、さらなる力を引き出せられると信じて。

その想いは事実、現実となり、翼の持つ大剣はさらに巨大となった。

 

「ハァァァ---ァァアッ!」

 

そして、その剣から放たれるのはただの蒼ノ一閃には非ず---

 

蒼ノ一閃・滅破

 

あらゆる物を斬り裂く必殺の一撃となった斬撃が竜の顎らしき部分に直撃。その装甲を吹き飛ばし、中のフィーネが曝け出される。

だが当然、それも先程のように修復されるが---その前にはクローズとクリスが中へと侵入を果たしていた。

傷が修復される前に侵入されたからかフィーネが驚きを隠せない。

そしてクリスが密閉された空間で砲火し、黒煙を撒き散らす。

それを振り払ったフィーネは即座に周囲を警戒する。

 

(クローズが居ない!?何処だ!?)

 

そう思った瞬間には、クローズが急降下してきて、銀色と炎を纏った拳がデュランダルを持つ右手を叩きつけるように殴り、フィーネの手からデュランダルが離される。それと同時に外にいる翼の斬撃が炸裂し、さらに穴が開く。

 

「ウオォオオリャアァァアアア!!」

 

そして、その開いた穴に向かってクローズは回転を活かした横蹴りでデュランダルを蹴り飛ばす。

同時に脱出を邪魔されないようにフィーネに向かって銀色の斬撃だけを飛ばす。それをバリアを貼って守ったのを見ると、脱出した。

目的は達成したからだ。なぜならデュランダルを蹴り飛ばした先には、響が居る。

 

「そいつが切り札だ!」

 

翼が叫ぶ。

 

「勝機を零すな!掴み取れ!」

 

当然、蹴りだけでは届かないが、デュランダルが失速して落ちそうになったら跳ね、また跳ねる。

 

「ちょっせぇ!」

 

クリスが拳銃で撃ち飛ばしているのだ。失敗せずに見事当てられてるのは流石だろう。

 

「響、そいつが最後の鍵だ!絶対に掴め!」

 

近くで警戒していたビルドが叫び、響はそれに応えるように掴み取って見せた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----瞬間、強烈な破壊衝動が意識を塗り潰さんとする。

 

「ガ・・・ぁ・・・ァ・・・!!?」

 

闇が、体を覆い、意識を塗り潰す。

 

(だ・・・だ、め・・・!)

 

その闇を響は全力をもって抑え込もうとし、デュランダルの放つ重圧が大気をも震わせる。

 

「グゥ・・・ゥぅゥ・・・うぅゥゥ・・・!!(おさえ・・・こまなきゃ・・・!!このまま、じゃ・・・!!!)」

 

塗り潰そうとする破壊衝動と飲み込まれそうになる意識、さらに食い潰さそうとする闇。

全てに響は全力で耐えようとするが、少しでも油断して力を抜けば飲み込まれるほどの衝動で、これを抑え込むのは短時間では間違いなく簡単には為せないだろう。

それに、それを待つほどフィーネも甘くはない。

 

「させるかァ!」

 

「それはこっちのセリフだ!!」

 

既に再生を終えたフィーネがいつの間にかチャージしていた様子で、チャージを終えたレーザーを放ってくる。さらに砲撃と触手をも放ち、それを近くに居たビルドが反応。即座に黄金色の泡を破裂。

高速で響の前に出て、超巨大なバリアを展開し、さらには左手に持つホークガトリンガーで触手を撃ち落とす。

そして---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---正念場だ!踏ん張り処だろうがッ!!!」

 

何かを壊す音とともに響たちにとって聞き覚えのある声が耳に届く。

弦十郎の声である。

 

「強く自分を意識してください!」

 

「昨日までの自分を!」

 

「これからなりたい自分を!」

 

(強く自分を・・・昨日までの・・・これから・・・なりたい・・・)

 

緒川、藤尭、友里の叫びまでも聞こえ、響はその言葉を反芻する。

 

「屈するな立花」

 

防御をビルドに任せ、翼とクリスが響に寄り添う。

 

「お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれ!」

 

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!お前が自分を信じなくてどうするんだよ!」

 

(わたしの・・・覚悟・・・!自分を・・・しんじる・・!)

 

支えてくれる翼とクリスの叫びまで聞こえる。

 

「貴方のおせっかいを!」

 

「アンタの人助けを!」

 

「今日は、あたしたちが!」

 

三人の友の声が聞こえる。

 

「姦しい!」

 

フィーネが怒鳴り、黙示録の赤き竜が触手をさらに伸ばす。

 

「黙らせてやる!」

 

「ッ!?」

 

その触手が響たちを狙い、ビルドは手数が足りずに追いついていない。

しかし、ビルドは傍目で見えた存在に気付き、守ることだけに集中する。

そして、すぐにクローズが全て斬り裂いてみせた。

 

「力に呑まれんな!お前の力は誰かの手を繋げて、救うことが出来る力だ!だから、お前はただ自分を信じろ!お前自身の心と力を!」

 

クローズが代わりに触手に対処して行きながらも叫ぶ。

 

(心・・・力・・・!)

 

意識が遠のき、全て、塗り潰されかける。

 

そして、ついには破壊衝動が、彼女を、響を塗り潰---

 

「―――響ぃぃいいぃぃぃいいいぃいいぃいいぃいい!!!」

 

「うぐぐっ・・・響ィイイ!」

 

バリアには今でも割れかねないほどのヒビが入り、両手で抑えることでなんとか何度もレーザーと砲撃に耐えてるビルドと、親友の未来が名を呼ぶ声が、響の胸に確かに響いた。

 

(そうだ・・・今の私は、私だけの力じゃない・・・!)

 

「うぉぉおぉおおおおおぉぉ!!」

 

両手で抑えることなったビルドが撃ち落とすことが出来なくなり、襲いかかってくる触手をクローズが代わりに全て叩き落とした。

 

「ビッキー!」

 

「響!」

 

「立花さん!」

 

響を信じてその名を呼ぶ友と、ただひたすらに信じて見守る親友。そして、今も自分たちを守ってくれるヒーロー(仮面ライダー)

 

(そうだ・・・この衝動に、塗り潰されてなるものかァ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇が消え---光となる!

 

 

 

 

 

 

 

 

デュランダルから黄金色の光が迸り、響の背にまで光の翼が広がり、翼とクリスと共に不滅の大剣を掲げた。

 

 

 

 

 

 

「うおおぉぉおぁあぁぁああ!!」

 

そして、ビルドが割れそうになっていたバリアに黄金色の光を送り、レーザーを撃ち返すことで砲撃を無効化し、即座にバリアを消してボルテックレバーを回した!

 

Ready Go!

 

ビルドを纏っていた黄金色の光が全て右脚に収束する。

 

「その力・・・何を束ねた・・・!?」

 

その光景に、フィーネは目を見開く。

それに対して響は叫ぶ。

 

「響き合う皆の歌声がくれた---シンフォギアでぇぇえええぇぇええ!」

 

同時に、ビルドが飛び、響が天をも貫く光があるデュランダルを振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

Synchrogazer

 

 

スパークリングスプレンダーフィニッシュ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

黙示録の赤き竜でさえ覆いつくすほどの超巨大なワームホールのような図形を出現させたビルドが竜を拘束、無数の泡のブーストと、黄金色の光と黄金色の無数の泡を纏った右脚を突き出し、ライダーキックの体勢となったビルドの背中に、さらにブーストさせるかのようにデュランダルの光が炸裂する。

その光ですら身に纏ったビルドは黙示録の赤き竜に正面から突っ込んでいき---直撃させる。

 

「おおおぉぉぉぉおぉぉおおぉぉおおおおぉおおぉぉぉおおおおおお!!!」

 

その一撃は、いともたやすく装甲ごと赤き竜の頭部を穿つ。

それだけに留まらず、終わりかと思われた瞬間には、次々とワームホールを発生。それに軌道を変えて入り、ビルドが竜の背中に向けてライダーキックの体勢で出てきて貫く。

そのまま何度も何度も軌道と場所を変えて完膚なきままに消し去るべくライダーキックを叩き込み続ける。

 

(完全聖遺物の対消滅・・・いや、それに留まらず・・・!?)

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()し合い、それがデュランダルの威力を上げ、一方的な消滅だけを成す、まさに()()()()()()()()していた。

 

 

 

「これで今度こそ---」

 

 

ビルドが、泡とともに竜よりも高く飛び上がり、回転しながら赤き竜を貫くために落下していく。

 

「終わりだぁあぁあああぁぁあああ!!!!!」

 

その一撃が、竜へと激突し---

 

「どうしたネフシュタン!?再生だ!」

 

フィーネが叫んだ。

 

「この身、砕けてなるものかぁぁあぁぁあああぁぁぁぁああああぁぁぁぁああああ!!!」

 

----黙示録の赤き竜が、ついに消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街は破壊され、廃墟と化していた。

その中で、夕焼けに染まる空の下、激戦を繰り広げた跡地にてビルドがフィーネに肩を貸して仲間たちの元へと帰ってきていた。

 

「お前・・・何を、馬鹿な事を・・・」

 

「別に、ただのおせっかいだよ。少なくとも俺はあんたのことは全然知らないが、此奴らはあんたのことをずっと仲間だと思ってたからな」

 

そう返して、ビルドはフィーネを近くの岩に腰掛けさせた。

フィーネの身に纏っている鎧は先程の金色が嘘のように失せており、真っ白になっていた。まるで燃え尽きた灰のように。

 

「もう終わりにしましょう、了子さん」

 

「私は・・・フィーネだ・・・」

 

「でも、了子さんは了子さんですから」

 

「・・・・・」

 

そんな響に対してフィーネは何も答えない。だが響は続けて言う。

 

「きっと私たち、分かり合えます」

 

「・・・・・・」

 

相変わらず無言ではあるものの、ふとフィーネが立ち上がった。

 

「ノイズを創り出したのは、先史文明期の人間・・・。統一言語を失った我々は、手を繋ぐ事よりも相手を殺す事を求めた・・・そんな人間が分かり合えるものか」

 

しかし、フィーネは最後までも否定した。

 

「人が、ノイズを・・・」

 

「だから私は、この道しか選べなかったのだ・・・!」

 

少し離れるように歩いた後、刃の鞭を握り締め、何処か辛そうにそう告げた。

 

「おい・・・」

 

そんなフィーネに対して思わず突っかかりそうになったクリスを翼が手で制し、ビルドとクローズは黙って見守り、聞いていた。

 

「・・・俺も科学者だ」

 

ふと、ビルドが声を漏らす。

 

「だからこそ、分かる。科学というのは使う人間によって悪にも正義にも変わる。例え人を殺すために作られたとしても別の用途を見つけることは可能だったはずだ」

 

ビルドにとって、科学に善悪はないのである。ただ使う人間や環境によって変わると思っているからだ。旧世界で真実を知る前、葛城巧がやったことは科学者として肯定したのと同じように。結局の所、彼は自分なりの正義で行ったことではあったのだが。

 

「人は確かに決して分かり合えない時がある・・・。でもさ、誰か一人でもその人に対して諦めずに手を伸ばして、その手を掴んであげることが出来たのであるならば、きっと分かり合えることが出来るはずだろ?なんたってアンタという存在が、統一言語という証拠を持ってきてくれたんだしな」

 

背中を見せるフィーネに対して、ビルドが真っ直ぐ見据える。そして、フィーネがほうっと息を吐くのを感じ取った。

その瞬間、フィーネが振り向いたと思えば振り向き様に刃の鞭を振るった。

 

「ハァァァ!」

 

その顔は狂気に歪み、笑っていた。ビルドはその一撃を身を逸らすことで避け、響は躱した瞬間に前に出てフィーネの懐に入って寸止めの所で拳を止める。

そこで終わるとかと思われたが---

 

「私の勝ちだァ!」

 

「!?」

 

フィーネは余裕の笑みを崩さなかった。刃の鞭が、天に向かって伸びてるからだ。

 

「まさか---!?」

 

「てぇやぁぁぁあぁぁああぁぁああ!!!」

 

ビルドが何かに気づいた瞬間には、まるで何かを引っ張るかのように、振り向き様に刃の鞭を引っ張っており、その反動のせいか地面が砕けてるのにも関わらず、雄叫びを挙げて、ネフシュタンを砕きながらもフィーネは何かを引っ張る。

まるで勝利を確信したかのような表情で、その行為の真意を明かした。

 

「月の欠片を落とすッ!」

 

「「「なッ!?」」」

 

見上げれば、月の欠片はいつもよりも近く、そしてどことなく大きく見える。

間違いなく、落ちてきているのだろう。

 

「私の悲願を邪魔する禍根は、ここでまとめて叩いて砕く!この身はここで果てようと、魂までは絶えやしないのだからな!聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇る!」

 

その言葉通り、鎧は徐々に砕けていき、体はボロボロとなっていた。

 

「どこかの場所!いつかの時代!今度こそ世界を束ねる為に・・・!」

 

それは、とてつもない執念。例え今ここにある全てを破壊しようが彼女は決して止まりはしないのだろう。

 

「アハハ!私は永遠の刹那に存在し続ける巫女!フィーネなのだぁぁぁ――――」

 

狂ったようにそう叫ぶフィーネに、響が彼女の胸にコツンと拳を当てた。

小さな風が吹き、フィーネの髪を靡かせる。

 

「・・・うん、そうですよね」

 

響は何処か納得したように頷き、拳を引く。

 

「どこかの場所、いつかの時代、蘇る度に何度でも、私の代わりに皆に伝えてください」

 

その顔は、彼女のいつも通りの元気な笑顔だった。

 

「世界を一つにするのに、力なんて必要ないってこと。言葉を超えて、私たちは一つになれるってこと。私たちは、きっと未来に手を繋げられるってこと。私には伝えられないから、了子さんにしか、出来ないから」

 

「お前、まさか・・・」

 

フィーネの言葉は続かなかった。ただ、その言葉に目を見開いただけだ。

 

「了子さんに未来を託すためにも、私が今を、守ってみせますね!」

 

はっきりとした確固たる決意を持って、響は宣言した。

その言葉にフィーネは呆れ返り、ふっと笑った。

 

「本当にもう、ほうっておけない子なんだから」

 

次に見せた彼女の表情は、フィーネではなく、今まで彼女たちが見てきた櫻井了子の顔だった。瞳の色も、僅かにだが元に戻っていた。

フィーネは、響の胸に指を当てる。

 

 

「---胸の歌を、信じなさい」

 

 

その言葉を最後に、フィーネが塵となって風に吹かれて消えていった。

それを見た弦十郎はグッと堪え、クリスは涙を流して、クローズはそんなクリスの頭に手を置き、翼も堪えるようにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---軌道計算、出ました」

 

藤尭が、現状を伝えるようにそう告げる。

 

「直撃は避けられません・・・」

 

「あんなものがここに落ちたら・・・」

 

「まあ、間違いなくここら辺は全部吹き飛ぶだろうな」

 

何処かいつも通りの飄々とした態度で軽い口調でビルドが呟く。

 

「けど、ここからは大人の、ヒーローの仕事だ」

 

ビルドが一人、前に出る。

 

「戦兎さん・・・?」

 

飛び立とうとしたビルドを、響が呼びかける。

 

「あの、何を・・・?」

 

そして、未来も近づいてきて、そう聞いてきた。

 

「・・・・・」

 

そんな二人にビルドは無言で人差し指と中指を立て、ピースサインをした。

 

愛と平和(ラブ&ピース)だ。お前たちに会えて本当によかった。ちょっと行ってくる」

 

そう言ってビルドは振り向き、クローズの腕を掴んだ。

 

「え?」

 

「お前も行くに決まってんだろ?行くぞ」

 

「い、いやまだ心の準備を---」

 

「そんな待つ時間あるわけないでしょうが。問答無用だ」

 

「ちょ、うぉぉおおおおぉおおお!?」

 

黄金と銀色のオーラを身に纏った二人は、飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元々地球外生命体を倒すために作られただけあって宇宙空間でも問題ないが、オーラが守ってくれてるのか軽々と大気圏を突破した二人。

クローズが少し後ろだが、ビルドが先行して落下してくる月の欠片に向かって飛んで行っていた。

 

「・・・なぁ、戦兎?」

 

「どうした?」

 

「いや、いいのか?いくら俺たちが力を取り戻したとはいえ、この形態だとタダじゃ済まねぇだろ?」

 

「あぁ、それは分かっている」

 

別の形態ならば、間違いなく問題なかったとは思うが、スパークリングとグレートクローズではきついのは確かであった。いくら二人のハザードレベルが7に達したとはいえ。

 

「じゃあ・・・!」

 

「考えた結果だよ。それは、この新世界に『仮面ライダー』は必要ないってことだ」

 

「ッ・・・!?」

 

予想外の言葉だったのかクローズが驚いたような反応を示した。

 

「ノイズに対抗する手段はシンフォギアがあるから十分だ。俺のような異物がこの新世界に紛れ込んでいたらまた同じようにスマッシュが現れるかもしれない」

 

本来、ライダーシステムは平和利用のために作られたシステムだ。だけれども、旧世界のように軍事兵器として使われる可能性は0ではない。

 

「ライダーシステムは少なくともデータさえあれば、奴が居なくとも遺伝子操作はなんとかなる。だから人によっては使える人は使えてしまう。だけどシンフォギアは違った。それに合った適合者が居なければ使うことは不可能だ。そのために()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってこと」

 

「お前・・・」

 

「心配するな。お前も一緒に来いって訳じゃない。あくまで俺が失敗した時のための保険だ。お前はこの新世界に来ることは本来当然だった人間だからな」

 

まるで自分だけは有り得ないという風に言ってのけるビルド。実際、彼が言ってることは間違いではないのだが。

 

「そうじゃねぇよ。・・・ったく、俺も一緒にやってやる。お前のこと放っておいたら美空になんて言われるか分からねぇからな」

 

そんな自己犠牲をする気なビルドに対して、クローズは呆れたように言う。

 

「万丈・・・」

 

「どんな時だって一蓮托生だろ?」

 

そう言ってクローズがビルドの隣に並び立つ。

 

「はぁ・・・最悪だ」

 

その言葉を聞いて、ビルドは何時ものようにがっくりと項垂れる。

 

「あ?」

 

「一人で死ぬつもりが、一緒なら悪くないと思っちまうなんてな」

 

「はっ、今更じゃねぇか。最終決戦の時だって互いに新世界を作るためなら死んででも倒すつもりではあっただろ」

 

「まぁ、そうか。じゃあ地獄まで付き合ってもらうぞ、万丈」

 

「あぁ、やってやるよ!」

 

二人が覚悟を決め、近づいてきてる月の欠片を見据えた。

そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《---死ぬつもりだなんて、そんなのダメですよ》

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

念話で聞こえてきた声に、二人は驚いて思わず振り返る。

そこには翼を広げる三つの光があった。

 

「お前ら!?」

 

共にフィーネと戦った響、翼、クリスの三人だ。

 

《そんなにヒーローになりたいのか?》

 

《こんな大舞台で挽歌を唄う事になるとはな。二人には驚かされっぱなしだ》

 

「お前ら・・・なんで、どうしてきた!?」

 

そんな三人に対して、ビルドは思わず怒鳴ってしまう。

だが、ビルドの怒鳴りを無視して響が言う。

 

《だって、二人だけに任せる訳にも行きませんから。それに私、戦兎さんに話したいこと、たくさんあるんです。未来にも連れて帰ってきてって言われちゃったので》

 

《私としてはまだ返し切れてない恩がある》

 

《まぁ、一生分の歌を唄うのには、いい機会だからな》

 

「お前ら・・・!」

 

嬉しそうにクローズが声を挙げる中、ビルド茫然としていた。

 

「ったく・・・どいつもこいつもバカばっかりだ・・・」

 

ため息を吐き、頭を抱えるビルド。

 

「だけど---悪くないな」

 

何処か嬉しそうに声を出し、前を向く。

そして、五人は並んで改めて飛ぶ。

 

 

 

 

「---不思議だね、静かな空」

 

 

 

響の歌声が、真空の空間に響き渡る。

 

 

 

「---本当の剣になれた」

 

 

 

翼の歌声が、膨大な宇宙に響き渡る。

 

 

 

「---悪くない時を貰った」

 

 

 

クリスの歌声が、さらに続くように世界に鳴り響く。

 

 

 

 

 

手と手を繋ぎ合わせ、五人は飛翔した。

 

 

 

 

三人はブースターを展開し、飛翔能力を促進。ビルドとクローズはオーラが強くなり、加速する。

 

 

 

 

 

 

 

《解放全開!いっちゃえ!(ハート)の全部で!》

 

 

響の叫びとともに、一気に月の欠片へと突撃していく。

 

 

《皆が皆、夢を叶えられないのは分かっている。だけど、夢を叶える為の未来は、皆に等しくなきゃいけないんだ》

 

 

《皆、それぞれ色々な物を抱えてんのは分かっている。もしかしたら俺たち以上に辛い過去を持ってるかもしれない。だからこそ、旧世界で俺たちが仲間のお陰で乗り越えれたように、今度は他の誰がか乗り越えられるように手伝ってやりたい。俺が信じる人だけの為にじゃなく、あいつのように誰かの為に戦って、救うことこそが今の俺の仮面ライダーとしての使命だ》

 

 

《命は、尽きて終わりじゃない。尽きた命が、残したものを受け止め、次代に託していく事こそが、人の営み。だからこそ、剣が守る意味がある》

 

 

《この新世界には、まだ分からないことはたくさんある。だけども、俺はどの世界だろうが何度だってLOVE&PEACEを掲げてみせる。それがどれだけ脆い言葉なんて分かっているけど、何度傷ついたとしたって俺は愛と平和を謳い続ける。それが仮面ライダービルドなんだ》

 

 

《例え声が枯れたって、この胸の歌だけは絶やさない。夜明けを告げる鐘の音奏で、鳴り響き渡れ!》

 

 

光が、五つに分かれる。

 

《これが私たちの、絶唱だァ------ッ!》

 

 

響、翼、クリス、ビルド、クローズが、それぞれ己が持つ全力で力を爆発させる。

 

 

翼は、その手に山をも断ち切れるほどの巨大な剣を。

 

 

クリスは、あらゆるものを殲滅させるほどの大量の大型ミサイルを。

 

 

響は、両手足のガジェットを限界まで引き絞り、繋ぐためのではなく、破壊せんとする絶対的な破壊の拳を。

 

 

ビルドは、黄金色の光と無数の泡とともにあらゆる悪を貫き、受け継がれてきた正義の蹴りを。

 

 

クローズは、銀色の光を纏い、あらゆるものを焼き付くし、喰らい尽くす強化されたドラゴンの力を身に宿した赤と青色の混じった炎の蹴りを。

 

 

 

Ready Go!

 

 

 

 

 

 

 

スパークリングスプレンダーフィニッシュ!!

 

 

 

 

 

 

スプレンダーグレートドラゴニックフィニッシュ!!

 

 

 

 

---そして、月の欠片は五人の戦士の活躍により、跡形もなく消滅した---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな・・・!!」

 

地上では、涙を溜めながら、遥か上空で爆発し、流れ星の如く振る空を見上げながらも座り込んでいる未来の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわぁぁああああぁああ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?」

 

うっすらと聞こえたような声に反応し、我慢して溜まっていた涙を拭いた未来はもう一度見上げる。

 

「あああぁあああぁぁあああ!?」

 

そこには、黄金色の光が明らかに軌道を変え、此方へと向かってきており---瞬間、とてつもないほどの衝撃と土煙を発生させ、クレーターを作った。

 

「ッ!けほっ、けほっ!な、なにっ!?」

 

「・・・・・」

 

土煙が少し経って消えていくと、そこには黄金色の光をクッションにし、落下の衝撃を消したのか、上に一人乗っているせいで苦しそうなビルドの姿とその隣には同じような状態のクローズとクリス。そして翼といった感じで()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・・・・」

 

「いたた・・・わーっ!?戦兎さん大丈夫ですか!?」

 

「い、いいから・・・退いてくれ・・・」

 

「あ、すみません」

 

上に乗っていた一人、響が退いたため、自由になったビルドは()()()()と立ち上がる。

因みにだが、万丈は変身が解けてるものの、一発クリスに殴られて吹き飛んでいた。何故かは彼の名誉のために伏せるが察して欲しい。

 

「ひ、響・・・?戦兎さん・・・?」

 

「あ、未来ーっ!」

 

「ん・・・?」

 

驚いたように声に出した未来に反応した響は手を振り、ビルドは其方を見る。

 

「ッ!」

 

「わっ!」

 

それを見た未来は涙を流しながら、響に抱きついていた。

 

「良かった・・・良かったよぉ・・・!」

 

「未来・・・ただいま」

 

そんな未来に対して抱きしめ返しながらも、明るく笑顔でそういう響。

 

「おかえりなさい・・・ッ!」

 

そして、未来も安心したように涙を拭き、笑顔で返事したのだった。

 

「ふっ。どうやら、全員無事らしいな・・・」

 

未来たちを見て、仮面の下で()()()()()笑いながらも見渡してビルドが言う。

 

「あー・・・酷い目に遭った」

 

「わ、悪い・・・大丈夫か?」

 

「運が悪かったとしか言い様のない場面だったな」

 

三人が近づいてきて、そんな会話をしていた。

そして、他のメンバーも集まってくる。

 

「戦兎さんも無事で良かったです・・・」

 

「あぁ・・・ギリギリだったけどな・・・」

 

仮にあのまま落下していたのであれば、いくらライダーシステムがあるビルドも危なかっただろう。

 

 

そして、全員が集まると代表してか弦十郎が前に出てきた。

 

 

「早速で悪いんだが、出来れば我々に同行してくれないだろうか?治療もしなければならないだろう」

 

「・・・・・・」

 

「あー・・・どうするんだ戦兎?」

 

予想通りの展開ではあるものの、万丈は判断は任せているため、戦兎に聞く。

 

「あれ、戦兎?おーい」

 

「・・・・・・」

 

しかし、戦兎の返事が返ってこないからか困惑したような表情で見つめていた。

他の人達も、不思議に思ったのかビルドに視線を移し---

 

「・・・悪い」

 

その言葉を最後に、()()()()()()()()()()()()。そして、炭酸のように赤と青、白が混ざった色の粒子が弾けるように風に流され---最早服とは言えなくなってるほどボロボロのベージュ色のコート付きトレンチコートを来た男性の姿、桐生戦兎が現れる。

 

「戦兎?おい、戦兎!?」

 

「え?戦兎さん!?」

 

「そんな・・・戦兎さん!」

 

その姿を見て、真っ先に近寄ったのが万丈。次に響と未来だった---

 

 

 

 








前書き書いてるうちになんか楽しくなって書いたら長くなった。反省も後悔もしていない。














第五回!ネタ切れ!

戦兎「今日は―――っておぉい!?ネタ切れってなんだよ!用意しとけっての!」

▼だって本編で出したベストマッチ紹介したから・・・

戦兎「じゃあ、せめて他にタイトルぐらい何か書いておいてくれ・・・ってかカンペが出てきていいのかよ!」

???「えーっと、いいじゃん、あ、それなら自分たちのフォームでも紹介してください・・・だってよ」

戦兎「えらくてきと―――カンペ優しいな、おい!?全部ひらがなでしかも文字まで大きいじゃねえか!え?本編俺倒れたんだけど?こんなのでいいの?シリアス空間ぶち壊しだよね?いや、あらすじで既に崩壊してるけど?」

▼大丈夫だ、問題ない

戦兎「問題あるんだな・・・まぁいいや。今日は当然と言うべきか、こいつだ」

万丈「俺はプロテインの貴公子―――パサッ!万丈龍我だ!」

戦兎「ってなわけで筋肉バカだ」

万丈「筋肉バカじゃねぇよ!バカ―――あれ?」

戦兎「なに自分で分からなくなってんだよ!?まぁいいや。さっさと行くぞ」

万丈「お、おう」





仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリング

ラビットタンクフォームの進化形態であり、基本的にはラビットタンクとそこまで見た目は変わらないものの、新たに白がメインカラーに追加されトリコロールになっている。
装甲は炭酸の刺激のイメージかギザギザになり、上半身の一部には泡のような白いドットが表れているんだ。もちろん、複眼もな。

そしてこの形態の能力の最大の特徴は「泡」であり、これによりラビットタンクフォームの各種能力をさらに引き上げている。
右肩『BLDバブルラピッドショルダー』と左脚『クイックフロッセイレッグ』は『ラピッドバブル』という泡を発生させ、泡の破裂を活かした高速移動を可能にしたりする。

左肩の『BLDバブルインパクトショルダー』と右脚の『ヘビーサイダーレッグ』は攻撃時に『インパクトバブル』を発生させ、破裂時に衝撃波を発生させたり。

胸部の『カルボニックチェストアーマー』は必殺技発動時に『ディメンションバブル』を発生させ、自在に空間を歪めることで予測不可能な攻撃を可能にする。

両腕には各3本の鋭い刃が装着され、右腕の『クイックフロッセイアーム』の『Rスパークリングブレード』は切断力、左腕の『ヘビーサイダーアーム』の『Tスパークリングブレード』は刺突力に優れる。
一つ一つに大型のエネルギー刃を発生させることで高速斬撃を繰り出すことができたりもできるんだ。

武器は専用武器がなく、ドリルクラッシャーのほか、特定のハーフボディ時に召喚されるベストマッチウェポンも単独で使用可能という特徴がある。

余談だが、メインカラーのトリコロールは美容院の前に置かれるサインポールと同じ色だ。
旧世界では石動惣一の行きつけの理髪店として『バーバー桐生』という店があるらしきことが分かっており、そこから『桐生』という俺の苗字がつけられたらしい。
そして『戦兎』という名前はラビットタンクから取られているため、色から『桐生』名から『戦兎』という俺のことを見出せるこのフォームは俺自身の、『桐生戦兎そのものであるフォーム』と見ることもできるみたいだな。

実際、石動惣一・・・エボルトの計画で俺に求められていたのは20本のフルボトルの生成と「スクラッシュ」の完成のため、そのどちらでもない発明品になるこのフォームは真の意味で俺自身の手によって誕生したフォームとも言える。




戦兎「俺のはこんなもんだろ。お前のやつは用意してるから読み上げればいいよ」

万丈「これか。サンキュー!」








仮面ライダークローズ

クローズドラゴンは俺の大脳辺縁系と連動していて、俺の強い思いの閾値が一定以上になるとシンクロ状態へ移行し変身が可能になるんだ。
つまり変身には『誰かを助けたい』という強い思いが必要で、最初の頃は本当に苦労したんだよな。

容姿としては、左右両方がドラゴンハーフボディのビルドに、金色のファイヤーパターンが刻まれた装甲『ドラゴライブレイザー』と『バーンアップクレスト』を新たに纏ってる。
頭部も『フレイムエヴォリューガー』の追加により大きくビジュアルが変わったらしいぞ。
変身シーンでは装甲を纏う前に一瞬ビルドと酷似した素体を見ることが出来るとか。

能力としては遠距離向きじゃなくて、ドラゴンハーフボディと同じく、格闘戦で真価を発揮する。
蒼い炎の龍状のエネルギー体『クローズドラゴン・ブレイズ』を召喚することも可能で、必殺技時には大活躍だ!

余談は特にないけど、英語表記が「CROSS-Z」らしいから、間違えないでくれよな!
それと、実はビルドの基本形態であるラビットタンクフォームとクローズはなんとTV本編では1度も共闘していないらしいぜ。確かに、いつも違う形態だったよな?

戦兎「まぁ、ここでは共闘してるけどな」

万丈「旧世界とは別でそこまで分かれなきゃいけないことなかったもんな」

戦兎「あぁ。あと、もう一枚あるからやれよ?」

万丈「あ、本当だ」

戦兎「っと、その前にクローズの由来は俺が言っておくよ。クローズには爪を意味する『claw』(クロー)や、寄り添う・閉じる(二種類組み合わせて様々な可能性の"広がる"ビルドとは逆にドラゴン単一で完結するが故に"閉じて"いる)という意味の『close』や英語表記が『cross-z』のために十字架や交差を意味する『cross』など複数の意味が込められているんだ」

万丈「へえ~いっぱいあるんだな」

戦兎「まぁな。じゃあ頼んだ」

万丈「おう!」




仮面ライダーグレートクローズ

エボルトの遺伝子を取られ、変身不能となった俺が、エボルトから奪い取ったドラゴンエボルボトルを、自らの思いで新たな遺伝子を創り出し、変化させたグレートドラゴンエボルボトルをセットし、こちらもそれに呼応するかのようにクローズドラゴンが変化したグレートクローズドラゴンをビルドドライバーに装填して変身するクローズの真進化形態のようなものだ。

シルエットは通常のクローズだが、頭部は仮面ライダーエボルのドラゴンフォームそのもので、胸部の装甲にはエボルを思わせるパターンが入っているらしい。

全身各部を特殊な猛炎で覆う攻撃強化状態『ブレイズアップモード』へと移行可能だ。

余談としては、当初はある形態の他に、新形態を出す予定はなかったらしく、エボルトの遺伝子を失った俺は気合で再び変身できるようになる予定だったとか。

万丈「何か俺の短くね?」

戦兎「そりゃあビルドより説明する要素ないからな。能力二つとも違うとかそんなのじゃなくて、同じだし」

万丈「ぐ・・・それは、確かにそうか」

戦兎「それよりも、結局一年以内には一期は終わったから多分来年には三期までは行ってるかもしれないな」

万丈「問題は思いつくかなんだよな・・・でも、後はあれだろ?エピラーグだけだろ?」

戦兎「エピローグな。まぁ、エピローグは前半部分は既に書き上がってるから後半で悩んでる感じだ。もしかしたら、早く投稿される可能性だってある」

万丈「そうだといいんだけどなぁ」

戦兎「作者的には『オリジナル編の方が思いつく・・・オリジナル編やりたい・・・早く完結させたい・・・』って言ってたけどな」

万丈「ん?それって、もしかしてこれが終わっても・・・」

戦兎「おおっと!時間のようだから今日はここまでだな!あと一話ありますが、是非最後まで見てやってください!じゃあ、最後の〆はやっぱりこれで行きますかね!」

万丈「ちょ、戦兎!?まだ時間残ってるぞ!?」

戦兎「俺の決めセリフで行くから読者の皆様も是非御一緒に、ご唱和ください!せーのっ!」




















勝利の法則は、決まった!


















万丈「ちょ、戦兎ォ!?」

戦兎「はいはい、バナナあげるからこっちに来なさい」画面外からバナナ振り

万丈「うっきー!バナナだ!ってちげーよ!」

戦兎「あ、じゃあこれは別の人に渡してくるわ」

万丈「・・・いや、それなら俺が貰う」ばんじょうは ばななを てに いれた!








今回のゲスト(カンペ)『作者』



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エピローグ


はい、どうもお待たせしました。お久しぶりです。他作品見てくださってる方はお久しぶりではありませんが、この小説ではお久しぶりです。詳しくは後書きに書きます。
今回の話は個人的な解釈があります。なので、実際には知りませんし多分ビルド本編の脚本の人もそこまで考えてないと思います。

それではここでは特に語ることはないのであらすじでもどうぞ。










戦兎「えーと仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎はフィーネとの最終決戦にて、馬鹿な無茶をして倒れたのでしたっておい!いくらなんでも雑すぎるだろ!?」

万丈「覚えてないらしいからな。俺たちの口調でさえ覚えてないって言ってたくらいだし」

翼「その分、私や立花たちは覚えてるらしいが・・・」

未来「別世界の私たちのストーリーを書いてるらしいので、それでかと」

響「えっとゼロワンロスがやばいのでシンフォギアとの作品を書きました。是非興味ある方は読んで見てください、だって」

クリス「一期もようやく終えたってところなのに別作品書いてんのかよ!?」

戦兎「勢いに任せた。反省も後悔もしてないだってよ。というか!俺は倒れたままなんだけど!気になってる方もいるかもしれないから早く本編行っちゃって!詳しい今後の予定とかはこの小説の事とかは全部後書きに乗ってるから!」

万丈「今回はエピローグだからな!」




 

side戦兎

 

「---■■■?」

 

「-----?」

 

なんだ、ここは?俺は確か---そうか。フィーネと戦った時にダメージを受けすぎて、その状態で無理し続けたのが原因か・・・?多分、それで全て終わった後に意識が消えたんだろうな。ということはここは死後の世界・・・ではなさそうだな。

 

 

「■■■■■■■■■■■■■ッ!」

 

「■■■■■■■■■?」

 

何かが聞こえる・・・でも、雑音だらけで聞き取れない。だけど夢のような気がする・・・明晰夢ってやつか。

 

「■■■■■■■■■■」

 

「そ■は■■か?」

 

「■■■ッ。■■■■■---」

 

「■■■■■?■■■■■■■■■■だ」

 

この声は・・・?いや、そんなはず・・・でもこの場所は---。

 

目の前に浮かび上がった光景に思わず考える。それに、二人・・・黒い影に覆われて見えないが、影的には一人の男性と女の子だ。でもやはり、雑音だらけでよく分からない。

ふと、場面が変わる。

 

「----■■■約■す■■」

 

「■、■■■■?」

 

「あ■。■■だ。------ってな」

 

「------」

 

そして、世界が壊れる。

これは意識が目覚めるんだろう。でもこれは一体なんなんだ?

いつか、知れる時が来るのかもしれないし、ただの夢なのかもしらない。それは分からないけど---今は、目覚めないとな。まだこの世界でやらないと行けないことはあるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---ここは」

 

目を開くと、眩い光のみ感じ、しばらくしてようやく慣れてきたのか視力が戻る。

知らない天井だ。なら基地ではない?

周りは---病院にありがちなたくさんの機械が置いてある。ということは病院か。

体は、動く。

 

体が動くことだけを確認すると、人工呼吸器を外し、動きにくいが点滴スタンドを掴んで立ち上がろうとする。すると、()()を掴んでることに気付き、()()は確かに振られた。

 

「これはフルボトル・・・?」

 

聞き慣れた音にふと視線を移す。そこには()()()()()()()()が握られていた。

何故カメラ?普通ここはフェニックスフルボトルとかのはず・・・なんかこういうこと前にもあった気がするんだが・・・。

 

考えても分からないため、今は気にせずに立ち上がろうとする。

 

「おっ・・・と」

 

しかし、立ち上がろうとすると力が入らずに倒れかけ、慌ててベッドに座る。見れば、ほとんどが包帯で巻かれていて、かなりの無茶をしていたらしい。これは美空とかに見られてたら怒られるだろうな---そんな考えが脳裏を過ぎるが、彼女たちに記憶はない。だからそもそも会いには来ないだろう。

 

「さて・・・早く万丈を探さないと」

 

アイツもここに居るかは知らないけど、ここの人に迷惑を掛けさせる訳には行かない。いやまぁ、アイツも流石に問題はないとは思うが、念の為だ。それに場所の把握もしておきたい。

果たしてここは何処なのか・・・。

 

そう思い、外に出るために今度こそ立ち上がり、歩き出そうとした時だった。

突然、声とともに扉が開かれる。

 

「失礼します」

 

「ん?」

 

「「あっ・・・」

 

入ってきたのは、響の幼馴染である小日向未来だった。

何故、彼女がここに?

 

「せ、戦兎さん!?起きてたんですか!?」

 

「お、おう?さ、さっきな?」

 

一瞬の硬直の後、理解したのか驚きながらも、すぐに勢いよく近づいて言ってきたために思わずどもる。

 

「ッ・・・し、しっかり休んでください!まだ完全に治ってないんですから!」

 

未来が何か言いたそうに口を開こうとするが、すぐに一度口を閉じて、そう言ってくる。

 

「いや、でも---」

 

「でもじゃないです!」

 

動けるから問題ないと反論しようとしたところで、予想外の勢いに抵抗する気が起きずに、強引に寝かされる。まだ治ってないからかちょっと痛かった。

 

「色々言いたいことはありますけど戦兎さん、もう二週間近くも寝たっきりだったんですよ?」

 

「そ、そんな寝てたのか・・・。そういえば、さっき起きたばっかりだから日付け確認してなかったな」

 

なるほど、やけに視界が冴えてるわけはそれか・・・いや、冴えすぎだけど。まぁ、決着の前だってあまり睡眠取ってなかったし、久しぶりの感覚だな。それに体が思うように動かなかった理由にも納得出来た。

 

「ん?というか、学院は---いや、壊されてしまったのか・・・悪い」

 

途中ではっ、となり、謝る。間違いなくこれは失言だった。つい緩んでしまったのかもしれない。

 

「いえ、学院の方はなんとかすると言っていたので・・・それより何か食べれますか?一応リンゴとか食べられそうなの持って来ましたけど・・・」

 

「あ、あぁ。それは問題ないけど・・・そういえば他の人達は?」

 

「分かりました。それじゃあ剥いてきますね。あ、絶対に動いちゃダメですよ?それと響たちは行動制限が解除されたらしく、もう少ししたら来ると思います」

 

「そうか・・・分かった」

 

「本当に動いちゃダメですからね?」

 

「はいはい。動かないって」

 

二度も忠告するその姿に苦笑いしつつ、動く気はないため、素直に頷いておく。

どうやら向こうから来てくれるみたいだし、多分万丈も一緒だろう。

 

「そういえば」

 

ビルドのアイテム、カメラフルボトル以外は?と思い、ポケットを探ろうとするがそもそも服が違うせいで当然の如くない。

 

「もしかして回収されたとか---」

 

最悪な考えが浮かぶが、頭を振って背を起き上がらせると周囲を見る。

すると、少し遠い机のところにビルドドライバーとスパークリング缶、ビルドフォンが置かれているのが見えた。どうやら回収された訳ではないらしい。

 

「でも・・・発明品はぶっ壊れちまったな。タカちゃん結構良く出来た自信あったんだが・・・仕方がないか」

 

バックアップやらデータを取るのはまだしてなかったから復旧も不可能だ。直せないのが辛いが完全に同じのを作るのは諦めるしかないかもな。

 

「お待たせしました」

 

そんなことを考えていたら、未来が借りたのか切られた林檎をお皿に乗せて持ってきた。

 

「あぁ・・・悪いな。やらせちゃって」

 

「戦兎さんが今まで私にしてきてくれたことに比べたら全然平気ですよ」

 

「そうか・・・」

 

別に、見返りを認めてやったつもりではないのだが・・・。

 

「それじゃあ・・・はい」

 

「えっ?」

 

すると、未来がフォークで刺して口元へと持ってきた。

 

「いや、別に自分で---」

 

「ダメです。まだ治ってないんですから」

 

「でも---」

 

「ダメなのはダメです!」

 

「お、おう・・・」

 

どうやら何を言ってもダメらしい。これは完全に治るまで何も出来そうにないな。実際、今も腕に力はあまり入らないし。

 

「じゃあ、口開けてください。あーん」

 

「・・・」

 

果たして、大人が女子高生に食べさせて貰う光景を見られたら色々と不味いのではないか?とは思うものの、折角林檎を持ってきて貰って、さらに剥いて貰ったから食べないってのも失礼か。

そう思い、言われた通りに口を開け、林檎をフォークから取って口の中で咀嚼した。

 

「どうですか?」

 

「あぁ、美味い。なんか久しぶりに食ったな」

 

「ふふ、二週間近くも寝てましたから」

 

「それもそうだな」

 

しかし、そうは言われても実感は持てないな。旧世界でもこんな倒れたことはなかった気がする。

 

「お邪魔しまーす!」

 

そんなことを考えていたら、突然、そんな声が響いた。

そして、装者三人が入ってくる。

 

「あっ、戦兎さん。起きたんですか?」

 

「あぁ、さっきな」

 

入ってくると気づいたのか響が聞いてきたため、素直に答える。すると、響はほっとしたように息を吐いた。

 

「万丈は?」

 

「龍我はまだ行動が制限されてんだよ」

 

そして万丈が居ないことに疑問を感じて聞いてみると、どうやら制限されてるらしい。

 

「なるほど、俺たちの目的や素性などが分からないから・・・か」

 

「私たちは問題ないと分かってはいるのだが、司令は上層部が慎重にならざる負えないと言っていた」

 

「そうか・・・だったら話に行くしかないな」

 

「えっ?」

 

翼の説明で納得したように頷き、戦兎の言葉に未来が驚いたように声を上げる。

そして、立ち上がろうとした。

 

「ま、まだ安静にしてないと・・・」

 

「そうですよ!師匠も治ってからで構わないって言ってましたし!」

 

立ち上がろうとすると、未来と響が止めるように言ってきて---

 

「あんたに倒れられるとあたしたちが困んだよ。怪我人は大人しく寝とけってんだ」

 

「私も同意見だ。説明している間に悪化でもすれば大変だろう?」

 

クリスと翼もそんなことを言ってきた。

 

「・・・・・はぁ。分かった」

 

流石に全員に言われたとなると従うしかないだろう。なにより、確かに二週間近く寝てたせいもあって、やはり上手く体が動きそうにもない。

 

「それで、それならどうして俺の所に?」

 

「目覚めてるかの確認と、起きたなら言うべきだと思ってな」

 

「本当は師匠が来る予定だったんですけど、今は離れられないらしくて」

 

「それで、知り合いであって、行動解除されたあたしらが報告に来たわけだ」

 

「なるほど・・・」

 

つまり、回復したら話して欲しいという解釈でいいみたいだな。

 

「そろそろ私たちは行きますけど、安静にしていてくださいね?」

 

「・・・あぁ」

 

「戦兎さん。私も行きますけど、また来ますね」

 

「そこは任せるよ。どうせ動けないんだし」

 

動けても上手く歩ける自信ないし万丈が居るから俺だけで逃走なんて出来ない。するつもりはないが。

 

「それじゃあ、また!」

 

「あぁ」

 

響のその言葉で、四人とも出ていく。

さて、暫くは回復に努めるか・・・

 

 

 

 

戦兎side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起きてから三日くらい経ち、戦兎は既に動けるまで回復した。その間にも響や未来たちは様子見と恐らく監視も含めて来ていたので、暇はしなかったらしい。

そして拠点と思われしき場所のたくさんのコンピュータがある司令室にて、特異災害機動部と思われる人達と対面している戦兎と万丈がそこに居た。

 

「さて、無事に戦兎君も回復したことだし早速本題に入りたいんだが・・・構わないだろうか?」

 

「あぁ、お陰で助かったよ。ありがとう」

 

「ったく。無理しすぎなんだよ」

 

「今回ばかりは何も言い返せないな」

 

万丈の言葉に思わず戦兎は苦笑いする。

ちなみにだが、この場には現在、二課のメンバーは当然だが装者たちと、仮面ライダーに深く関わったからか未来もいる。

 

「それで、まずは何から聞きたいんだ?やっぱりライダーシステム・・・仮面ライダーのことか?」

 

話を逸らすつもりはないのか、戦兎が話を戻す。

 

「あぁ。それもあるんだが、まずは一つ言わせてもらいたい」

 

「一つ?なんだ?」

 

弦十郎の言葉に、万丈が反応する。

 

「ありがとう。君たちにはたくさん助けられた。了子くんの時もだが、ノイズの時もな」

 

「別に俺たちがやりたくてやったことだから気にしなくたっていい」

 

「あぁ、その力があったから俺や戦兎は戦っただけだからな」

 

「そうか・・・」

 

そう、彼らは別に誰かに感謝されたくて戦ってる訳では無い。自分が持つ力を正しいことに使ってるだけに過ぎないのだ。

 

「それで、何から聞きたいんだ?」

 

「・・・ああ」

 

戦兎の言葉に弦十郎が一度頷く。

 

「まず、戦兎君に聞きたいことがあるのだ」

 

「俺?」

 

「そうだ、()()()()()()なんだ?」

 

「・・・どういうことだ?」

 

まず、弦十郎が戦兎に聞いたことがライダーシステムではなく、()()()()のことだった。

 

「申し訳ないが、戦兎君。君のことは俺たちの方で調べさせてもらった」

 

「・・・・・・」

 

その言葉で、戦兎は何処か察したかのような表情になる。

 

「我々が気になったのは、そもそも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ」

 

「え?それってどういうことですか!?」

 

やっぱり・・・と言った表情をする戦兎を他所に、響が弦十郎の言葉に反応した。

 

「でも、戦兎さんはここに居ますよね?」

 

「僕の方でも調べて見ましたが、本当に何処にもなかったんです。もちろん、住居や家族構成、経歴なども一切無し---つまり、彼は()()()()()()()ことになっているんですよ。容姿だけは似てる人はいましたが、別人でした」

 

未来の言葉に、緒川が説明する。

 

「そんな・・・」

 

「偽名ってことはないのか?」

 

「その可能性もあるだろ?」

 

翼とクリスが聞くが---

 

「その可能性も考えたが、その可能性は低いと判断した。彼の様子からして嘘は付いていないし、龍我君も戦兎君の名前を呼んでいる。だからこそ、君は何者かと聞きたいんだ」

 

弦十郎が戦兎を真っ直ぐ見つめながら聞いてくる。

 

「・・・」

 

そんな弦十郎に戦兎は目を閉じて、無言だった。

 

「戦兎、説明するのか?」

 

そして万丈が戦兎に聞く。本当に話すのかということだろう。

そんな万丈の言葉に戦兎は少しして頷き、目を開けた。

 

「あぁ。どうせいつかは知られる話だ。話すよ・・・俺とこいつ、万丈が何をやってきたのかをな。あんたたちの事だ。このバカのことも調べてんだろ?」

 

「・・・あぁ。龍我君についても調べさせてもらった。だけど彼は名の通った格闘家で、髪も黒髪だった。だけどここに居る龍我君は情報とは異なる。さらにはクリス君と龍我君が一緒に行動してた時、彼は別の店に居たことになっているんだ」

 

「え?俺って黒髪なのか?」

 

「お前の事じゃないよバカ。お前は茶髪だろ」

 

「あ、そうか」

 

「はぁ・・・ったく。出来る限り短くはするがそれでも話は長くなる。構わないな?」

 

相変わらずの万丈にため息を吐きながら、戦兎は確認するように聞く。

 

「もちろんだとも」

 

その戦兎に弦十郎は頷き、戦兎は説明を始める。

 

「じゃあ第一、これだけは最初に言うべきだろう。俺と万丈はまず()()()()()()()じゃない」

 

「なにっ!?」

 

弦十郎が驚いたように声を上げ、声はあげてないものの、この場の全員が驚く。

 

「俺たちの世界には火星で見つかった『パンドラボックス』という物があった」

 

「パンドラの箱・・・?」

 

「そうだ、この世界で言う『完全聖遺物』と呼べる程の超強大な力を持った箱だ。そして()()()()が俺たちの世界で10年前にパンドラボックスに触れ、俺たちの世界では()()()()()()()という壁が東都、西都、北都の三つに分けた。それを俺たちの世界では『スカイウォールの惨劇』と呼ばれ、()()が勃発したんだ」

 

「ッ!?戦争・・・」

 

戦兎の言葉にクリスが一番反応していた。

 

「そのある人物ってのが---」

 

「『地球外生命体エボルト』・・・俺たちの宿敵だ。そして、()()()()()()()張本人だな」

 

戦兎の言葉を遮り、万丈が顔を歪めさせながら言っていた。

 

「火星をだとっ!?」

 

再び、弦十郎の声とともにこの場の全員が先ほどよりも驚く。

 

「俺たちは自分たちの国や居場所を守るために、なにより戦争を終わらせるために戦争へと身を投じる決意をした。・・・その戦争になった()()()()()()()()()でもあるからな」

 

「戦兎さんが・・・戦争の原因・・・?」

 

まるで信じられないと言った表情で響が呟く。

 

「ライダーシステム。俺たちを『仮面ライダー』とする力」

 

戦兎はビルドドライバーとラビットフルボトル、タンクフルボトルをテーブルに置いた。

 

「このフルボトルには有機物と無機物の成分が入っている。まずラビットフルボトルには生き物で、有機物である兎の成分が、タンクフルボトルには無機物で、兵器であるタンクの成分が入ってる。それをビルドドライバーに挿す事で---」

 

ラビット!タンク!ベストマッチ!

 

「こういう風になる。ベストマッチってのはなんかいい感じのやつで通常のベストマッチじゃない形態、トライアルより強い効果を発揮出来る相性の良いフォームだ。本来は生き物を殺すための兵器がベストマッチらしい」

 

「・・・・・・」

 

全員が、戦兎の言葉に耳を傾けている。一人、理解が追いつかずに首を傾げているが、戦兎は気にせずに続きを話す。

 

「そして、この道具を作ったのが俺で---ライダーシステムは()()()()()にされてしまった。本来はエボルトから地球を防衛するために作られたんだけどな」

 

戦兎自身もまだ思うところがあるのか、顔を顰めて言う。

 

「そんな・・・」

 

未来が悲しそうな表情で呟いた。

 

「戦争が終わった後も、俺たちの戦いは終わらなかった。次に待っていたのは星を賭けた戦い---エボルトとの決戦だったんだ」

 

「星を賭けた・・・!?」

 

今度は翼が反応した。それと同時に、戦った時に感じた強さにも納得したような表情だ。

 

「エボルトの最終形態。それはブラックホールだ。その形態となったエボルトはあらゆる星を飲み込む程の強大な力を持っていた。その力で俺たちの国の東都を破壊し尽くしたんだ。ブラックホールで街と人を飲み込んでな。そして俺たちはそんなエボルトを倒して、エボルトが居ない世界。つまり新世界を作るために戦うことにした。俺たちの世界であるA世界、俺たちの世界の地球とは別の10年間の歴史を辿ったB世界と融合させ、A世界で起きた10年間の悲劇や惨劇を無くすためにB世界をベースとして融合させるC世界。『新世界』を作るためにな」

 

「ですが、それは・・・」

 

「あぁ、新世界を作るには強大なエネルギーが必要だ。だからこそロストボトルと呼ばれたフルボトルと白いパンドラパネル、それとエボルトのエネルギーを使うことにした。あのままでは、どうせA世界は滅びの道を辿っていて、恐らくB世界も似た感じだったと思う。そして最後に奴は地球を賭けて最後の戦いを布告してきたんだ。だから俺たちは『新世界』を作るために戦い----結果、なんとか奴を倒すことができ、()()()()()()した。ただ、誰も俺と万丈のことは覚えていない」

 

「・・・それに、新世界を作る前に仲間もエボルトにやられてな」

 

万丈が、戦兎の言葉を補足するように言った。

 

「さっきも言ったが、俺たちはエボルトを倒すことによって新世界を作った。そして気がつけば---後は響も知ってる通り、俺は倒れていた。でも本当にここが新世界なのかどうかは未だに信じれねぇけどな」

 

「一応、これが俺や戦兎の戦ってきた出来事ってわけだ」

 

その万丈の言葉を最後に、誰もが無言へとなり、雰囲気が重たくなる。

 

「つまり情報がないのは、俺たちが旧世界から来た異物(イレギュラー)だからだ。そして万丈龍我が二人居る理由も、な」

 

ただ、話には入れてないがそのエボルトの遺伝子が万丈にある。そして自分がエボルトに造られた偽りの存在で本来は存在しない者であること、ビルドの詳しいこと、父親の事などは話していなく、他にも大事なこと以外は情報量が多いからか、話さなかった。

 

「・・・君たちのことはだいたい分かった。辛かったろうに・・・すまない」

 

「構わないよ。ただ・・・まだ話してない秘密もある。それは俺たちの気持ちに整理が付いてからにして欲しい」

 

「分かった」

 

重苦しい空気の中、弦十郎がそう言い、重苦しい空気が飛散した。

 

「・・・一つ聞きたいのだが、そのビルドドライバーは誰にも使えるのか?」

 

それは、何処か真剣な表情で尋ねてくる。

恐らく、ノイズ相手に戦えない者故の質問だろう。

しかし、戦兎は首を横に振る。

 

「・・・悪いけど無理だ。()()()()()()()()()()()にしかライダーシステムは使えない」

 

「・・・その条件とは?」

 

()()()()()()()。いわゆるベルトを使うための能力値だ」

 

それを言うと、戦兎はかいつまんで説明する。

 

ハザードレベル

かつて自分たちの世界にあったスカイウォールから抽出されるガス、『ネビュラガス』に対する耐性を意味する。

普通の人間では、注入した時点で最悪の場合は消滅、あるいは『スマッシュ』へと変異してしまう。

だが、極稀にネビュラガスを注入されてもスマッシュにならないケースの人間が存在し、そういった人間のみ、ライダーになる事が出来る。

そして、戦兎と万丈は既に条件を達しており、条件を達した仮面ライダーの場合はハザードレベルが高くなれば高くなるほど、強くなれることを。

 

「そうか・・・」

 

弦十郎は非常に残念そうに返事を返した。それがあれば自分たちでも戦えるかもしれないと思ったからだろう。

 

「他になにかあるか?」

 

「あの・・・」

 

戦兎が聞くと、響が恐る恐ると言った感じで手を挙げて、声を出す。

 

「響か。何か分からないこととかあったか?」

 

「正直、スケールが大きすぎて全く理解出来てません・・・」

 

「だろうな」

 

それは、恐らくこの場のほとんどがそうだろう。いくらフィーネとの決戦より日が過ぎたとはいえ、それを超える程のスケールの大きさだ。

戦兎自身も予想の範囲だったのか頷いていた。

 

「けど、戦兎さんと龍我さんは辛くないんですか?その、仲間に忘れられて」

 

「・・・そうだな。確かに、辛いかどうかと聞かれたら辛い。けど」

 

「あいつらが元気にやってるのなら良い・・・だろ?」

 

「あぁ。他には居ないか?」

 

万丈の言葉に戦兎が頷き、周りを見渡して言うが、考え込んだりはしてるが誰も手を挙げないし声を出さない。

 

「・・・さて、とりあえずの所はここまでだ。最後に、君たち二人に正式に我々から協力を要請したい」

 

すると、弦十郎が話を終わらせるようにパンッと手を叩き、戦兎と万丈に向かってそう言った。

 

「協力?」

 

「これからも現れるであろうノイズの対策にってことだろ。でも、いいのか?」

 

首を傾げる万丈に戦兎が答える。

 

「あぁ、我々としても戦力が増えることは助かることだ。なにより、お互いに利点がある。君たち二人には住居や生きていくために戸籍やら証明書等の諸々を手配しよう」

 

「それだとこっちにしかメリットがないんだが・・・まぁ、いいよ。元よりそのつもりだしそこの三人と敵対する気なんてないしな」

 

戦兎が装者を見て、苦笑いしながら答える。

 

「君はどうする?龍我君」

 

「俺は戦兎についていくだけだ。こういう考えることは俺の役目じゃないしな」

 

「ふむ。ならば、これからよろしく頼む」

 

「こちらこそ」

 

弦十郎が手を差し出し、戦兎が弦十郎の手を握って握手する。

 

「えーと。ということは?」

 

「戦兎さんも龍我さんもこれからは同じ仲間だってことだよ」

 

「そうなんだ!じゃあ、これからは一緒に人助け出来るんですね!」

 

首を傾げる響に未来が教え、嬉しそうに呟いた。

 

「龍我も一緒に戦えるんだな」

 

「あぁ、クローズとしてじゃなくてな」

 

「うむ。それじゃあ今日は解散だ。各自自由にしてくれ」

 

その言葉を最後に、会議は終了とする―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、そうだ。風鳴さん。さっそく頼みたいことがあるんだが・・・」

 

「ん?・・・なるほど、確かにその方が安全か。すぐに手配しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでいて説明を終えて二日が経ち、戦兎の体は既に完治していた。

そして彼は今---

 

 

 

 

「今日から物理学の講師をしてくださる、桐生戦兎先生です」

 

「どうも、今日から物理を担当することになった天ッ才物理学者の桐生戦兎です。よろしく」

 

「えぇええぇええぇぇえええ!?」

 

なんと廃校となっていた学校施設を政府が買い取り、新設されたリディアン音楽学院の先生となっていた。

そして、当然の如く何も知らされてなかった響は立ち上がり、驚きでつい大声で叫んでしまう。未来も声には出てないものの、かなり驚いた様子だった。

因みにこの後響たちは知ることになるが、彼が先生となった理由は表向きの顔として教師となり、装者の近くにいることによっていつでも守れるようにするためという理由がある。これは提案した戦兎の案に、弦十郎が乗って手配したからだ。

 

「立花さん。静かに」

 

「す、すみません・・・」

 

戦兎ではない別の先生に言われて素直に謝って座る響。周りはというと---

 

「自分で天才って言っちゃうんだ・・・」

 

「かっこいい人だけど自分で天才って言う人ほどそんな凄くなかったりとかあるよね」

 

「まるでアニメみたい」

 

等など様々な言葉が飛び散るが、彼女らの言葉は、この後すぐに覆ることとなる---関係のない言葉である最後の一名を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---とまぁ、力はこのようになるわけです」

 

彼の教え方は凄まじかった。自分で天才というだけあり、物事の例え方や生徒への質問に対する新人と思えないほどの対応力、それに教科書に囚われない独自の授業方法で物理が苦手な人でも理解出来てしまうほどだった。

事実、彼の教えを受ける全ての生徒の心を掴み、次第に惹かれていった。

もちろん、彼が担当するのは他のクラスもあり---後日、彼の噂は数日で学院中に回り、彼の教えを受けたいという生徒が続出するのだが、それはほんの少し先の未来だ。

因みにイケメンで天才ということも広まってたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある場所の森に存在する研究所にて。

一人の人間が入りそうな棺桶のような装置の目の前に一人の男がいた。

 

「ふむ、そろそろだな」

 

そう呟いた男は自分の目の前にある装置を停止させ、控えていた研究員が装置を開ける。

 

「うっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

その棺桶のような装置から一人の疲労した男が出てくる。その男性は、濃灰色の髪と碧眼の少年だ。年齢で言えば、まだ高校生くらいだろう。

 

「『白灰陽介(しらばいようすけ)』・・・ハザードレベルが4.2か。地道にネビュラガスを投与し、ようやく辿り着いた」

 

男はクックックと何処か怪しい笑みを浮かべている。

 

「っ・・・これで、本当に・・・力をくれるんだな?」

 

「あぁ、もちろんだとも」

 

そんな疲労を隠さない青年に男は笑みを浮かべたままアタッシュケースを差し出す。

 

「まだ未完成だが、後は桐生戦兎の持つボトルさえ奪えば完成するだろう。それと可能ならば、このリストに書いてあるフルボトルでも奪ってきてくれ」

 

仮面ライダーについての情報は一切知られていないはずなのに、そう言って紙を渡す男。

日本政府より提示された櫻井理論とは全く異なる系列の技術だ。

 

(フフフ・・・二年前、()()()に出会ことがなければ、私は仮面ライダーの存在に気づけずに知らぬまま死んでいただろう・・・。それに()()()()()()()()()を提供して貰わなければ仮面ライダーを作ることは出来なかった・・・。そして、ようやく準備は終えた!覚悟して貰うぞ、桐生戦兎に万丈龍我・・・!)

 

彼もまた、科学の、彼らの才能に人生を狂わされた一人。

 

(悪魔の科学者、葛城巧・・・そして葛城忍!私は貴様らの人体実験の所為で死んだ。故に私は自分が作り上げたライダーシステムで桐生戦兎と万丈龍我をこの手で葬り、復讐を必ずも果たす!その二人を葬った後には、貴様らの命はないと思え・・・!)

 

とてつもない、憎しみを身に宿しながらも男はくつくつと笑う。

 

(私の名は『ジャイロ・ムーグ・アーネスト』・・・必ず奴らに復讐を果たし、私が人類を導く)

 

一方で、陽介は勝手にアタッシュケースを開けており、中にある装置を見る。

そこにあったのは長方形の、少し分厚い歯車のような物が付いてあるベルトだった。

 

「・・・これが?」

 

「そうだ、それが私が作り上げたライダーシステム『ブルートドライバー』!フルボトルさえあれば、私が作りあげた初めての仮面ライダーとなる」

 

両手を広げ、嬉しそうに語るジャイロを無視して陽介は目を閉じた。彼の脳裏に浮かぶのは、一人の少女の姿。それを思い浮かべて彼は拳を強く握る。まるで、後悔と悔しさを現してるかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---さらには、何処か廃墟と思われる場所には、生命維持装置のようなものを付けられた少女が、一人カプセルのようなモノに入れられ、眠っていた---。

 

 

 

月を穿つ戦いの日から3ヶ月。新たな悪意が芽生え、脅威は迫る。そしてこれこそが、新たなる脅威、様々な想いが交錯する物語の始まり---これは、そんな戦いの前日談に過ぎない・・・。

 

 

 

 

 






言い訳タイム、もとい報告 どうでもいい人は飛ばしてくださって構いません。次の話は設定集なので、下スクロールして是非どうぞ

早速ですが、なぜ投稿してなかったかというとTwitterでも言ったんですけど普通にやり直したいなぁと思ってたからですね。
自分で読み直した時に今までたくさん投稿してきたお陰か、過去の俺って色々と文章ひでぇなこれ・・・とか思ってたので。 でもってこのまま続けずに投稿やめようかと思ってました・・・つまり失踪です。
でも、どうやらこの小説読んでくださってる人意外に多かったようで、UA見てから「ああ、これは投稿しないとな」と感じたので書きました。私個人としてはビルドを書くのは嫌じゃないんです。ただ、過去の文章がね・・・うん、酷いわ。
だけど未だに読んでくださってる方がいる。なら、俺はその気持ちに応えたい。そう思って、残り一割程度だった小説を書き終え、投稿することとしました。
もしかしたらもういいわ、と思ってる方もいるかもしれません。逆に待ってた!って方もいるかもしれません。それは人それぞれだと思います。
ですが、もし今まで待ってくださった方が居るのでしたら、本当に申し訳御座いませんでした。
実は結構悩んだんです。このままエピローグだけ書いて終わろうか、続きを書こうか、それともエピローグもなしに小説を消すか放置するか、それか小説のリメイクを出そうかと。でもリメイクともなればぶっちゃけ時間ないので無理です。なので選択肢が絞られ、エピローグを投稿するを選びました。
理由としては未だに感想をくれる方が居た、未だに読んでくださってる方が居た、こんな小説に評価を付けてくれた方が居た、お気に入り登録してくれた人が居た、というのが私を押したからです。
もちろん、アンケートを取るのもありかと思いましたが・・・そんなことを読者様に聞いても困るだけでしょう。なので、投稿していきます。再開します。
以上が報告でした。あと、オリ主ですけどあらすじで言った通りゼロワンとシンフォギアの書いてます。ゼロワンロスとシンフォギア書きたいなと思ってこの作品代わりに始めてたやつですね。もし、その作品とこの作品を読んでくださってる方が居たら、ありがとうございます。ではでは次に会う時はG編です。
次回予告は設定集の後書きにあります。


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設定集(無印終了後)

設定です。
飛ばした方はかくかくしかじかで再開することにはなったとだけ。


本作の設定

 

 

 

 

桐生戦兎と万丈龍我のハザードレベルはだいたい6.5〜6.8(精神状態に寄る)実際に本編では7.0のままなのか、それとも6.5辺りなのかは不明なので分からない。本編でも度々フルボトルの変化が起こってたことから作者は少なくとも6.5以上は確実だと思っている。この辺りはビルドの小説出て、説明されたならば変わるので大して気にせずに。

どちらにせよ、素の状態で常人を超える身体能力を持つ。いつかこの設定を活かしたいところ。

 

当然、本編時空からの移動なので、FINALとbe the oneを終え、本編を終えた戦兎たちなのでエボルト検定一級を取ったメンタルお化け。このままFOREVERルート行ってしまえばティードくんが可哀想なのでやめてあげて欲しい。でも今だとフルフルないからチャンスではあるかもしれない。

 

因みにbe the oneのラストに白いパンドラパネルの影響で平行世界にアクセス。そこで出てきた先行登場のジオウの存在や自分を除く他の18人の仮面ライダーの存在と敵の存在を戦兎だけが知っており、記憶も保持している。あの後、何事もなく白いパンドラパネルが戦兎を戻したらしいが、仮に小説でここが拾われたら変わるかもしれない。

 

アイテムはというと、ジーニアスフルボトルの方は原因不明の故障で、そしてフルフルとスパークリングはエボルトの決戦で次元の狭間で力を失っていってたことから成分が無くなったと戦兎は考えている。

武器は戦兎が全て直しているので使用可能。しかし、フルボトルバスターはデュランダルのエネルギーとぶつかりあった際に完璧にぶっ壊れたため、ビルドフォンにある設計図のみしか残っていない。

フィーネ戦では大量のフォニックゲインと希望が集まり、スパークリングの成分が回復。さらにはグレートドラゴンフルボトルの生成に成功する。

 

因みに戦兎がエピローグで先生になっていたが、担当は響たちが居るクラスなど、装者が居るクラス。エピローグと同じで装者を守れるようにと戦兎が入った。

そこ、基本的には音楽専門なのにリディアンに物理はあるのか?とか言わない。そこはご都合主義で


 

オリジナルアイテム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ノイズフルボトル』

 

そのままの通りエンプティフルボトルでノイズの成分を吸収したフルボトル。見た目が何処かスマッシュフルボトルのような形に似ており、それをさらに透明な感じにしたフルボトル。

特に変身出来るわけではないが、この成分のお陰でノイズの位置が分かる『ノイズ探知アプリ』を作成することに成功した。

実はこのフルボトルで戦兎が何かをしようとしているらしいが・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リコールソウルガン』

 

実はこっそり名前変えた作者である。変える前の名前を見て作者はこれ誰が思いついたんだ?意味分からないぞと自分でやっておいて分からなかったから変えた。

名前は変わったものの、存在は忘れてなく設定もちゃんとあったので下記に載せておくことにする。

 

ある限定された謎のフルボトルを装填することでスマッシュを召喚することが出来る。見た目は何処かトランスチームガンやネビュラスチームガンを思わせる形で、塗装が違う。色はノイズを思わせるかのような透明感がある灰色の色。ノイズと言っても雑音の方であってシンフォギアのノイズではない(シンフォギアのノイズは様々な色がある)ややこしい。

フルボトルスロットは縦長で、トリガーを押すことで使用可能。一度使えば使役が可能で、フルボトルに戻すことも可能。

二度目にフィーネが使用した時に消えたらしいが・・・?

 

音声は【フルボトル・・・

 

・・・SUMON・・

 

といった感じで禍々しさを現している音声。

フルボトルということしか判明しておらず、SUMONはそのまま『召喚』という意味。ここは作者がちょうどバカテス見てた気がするのでそこから頂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『謎のスマッシュフルボトル』

 

名前は未だ不明。謎のスマッシュをなんとか倒し、成分を吸収した際に出てきたフルボトル。

見た目としてはただエンプティフルボトルに黒が入り混じった灰色に染まっている。

因みにそのスマッシュの強さはハードスマッシュぐらい(クローズチャージで戦えるレベル)とかいう化け物っぷり。

お前絶対一期で出てくる敵じゃないだろ・・・と作者は言いたいが、出した犯人は作者である。

 

戦兎たちのハザードレベルが高いお陰で戦えていたが、仮に4.3ぐらいのハザードレベルに戻されてたら詰んでたやべーやつ。戦兎が二回目の戦闘では右腕を負傷してたとはいえ、既に強い響と戦兎相手に追い詰めるくらい強い。

一回目の戦闘時ではクローズとビルドが協力して戦ったにも関わらず倒せなかったどころか、逆に追い詰められていた。

因みに実は一回目に翼の絶唱を受けてなお、ダメージを少し受けただけだった様子。

改めて見てみると本当にやべーやつだったが、その正体は・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブルートドライバー』

 

ビルドドライバーとは全く違う形状の変身アイテム。

元ネタは龍騎のベルト。意味は『獣』

 

 

 

『ソングフルボトル』

 

『歌』のフルボトルという意味。

現在判明しているフルボトルはイチイバルソングフルボトルのみ。エンプティフルボトルが変わったもので、どういった経緯でなったのかは不明。少なくともクリスが触れた瞬間、フルボトルに変化が起こったということしか分かっておらず、エグゼイドのように力を奪わったわけでもないため、戦兎も分かっていないらしい。

 

 

 

 

『イチイバルソングフルボトル』

 

クロスボウのような弓を携える何者かの模様が模されてる。クローズドラゴンに装填すると、烈火の如く真っ赤に染まる。

フルボトル単体の効果は身体能力の強化と銃火器の底上げ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本作のオリジナルフォーム

 

 

 

 

 

『仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリング スプレンダーフォーム』

 

スプレンダーの意味は『輝き』

人々の希望の力と温もり、思いが集まって成分が復活。さらにはそれを束ねた奇跡のフォーム。

その性能は通常のスパークリングを遥かに凌ぐスペックだが、7.0のスパークリング自体がそもそも高いと思うので大体スパークリングの初登場時の二倍くらい。

因みにスパークリングの初期登場時が第14話で、5話でハザードレベル3.7。19話で3.9であることから3.7か3.8のスペックだと思われる。

その時のスペックが下記の通りである。

 

パンチ力 14.9t(右腕、ラビット)/25.5t(左腕、タンク)

キック力 35.6t(右足、タンク)/26.7t(左足、ラビット)

 

つまりその二倍と考えると---

 

パンチ力 29.8t(右腕、ラビット)/51t(左腕、タンク)

キック力 71.2t(右足、タンク)/53.4t(左足、ラビット)

と多分なる。

 

 

余談だが、ある形態の(初期登場)のスペックはこれである。

 

パンチ力 19.8t(右腕)/34.0t(左腕)

キック力 47.4t(右脚)/35.6t(左脚)

 

6.8辺りとして計算すれば、恐らくこの形態もいくらかは上がってると思われるが、ビルドの場合はハザードレベルが1の差でどれだけのスペックが上がるか不明なため、実際には分からない。少なくとも10近くの差があれば何処ぞの大乱闘の99.9%時と同じようにぶっ飛ばすレベルではあるらしい(36話のタンクタンクとエボルドラゴンが分かりやすい例だろう)

なので、結局は不明となる

 

まぁ、そもそも精神状態に左右される仮面ライダーにスペックなんて意味もなさないし関係ない

 

閑話休題

 

能力といえば、飛行が可能で、宇宙空間でも問題なし。

と言っても、ビルドメンバーは宇宙空間問題なさそうだったが。

で、通常のスパークリングと同じ『泡』の特性と全てのウェポンの使用が可能。ただし、フルボトルバスターは欠片さえ残ってないせいで使えない。泡に至っては黄金色となっている。

 

さらには黄金色の光を自由自在に操ることを可能とし、クッションにしたり、何処ぞの光の巨人の如く超巨大バリアを貼ることでさえ可能とした。他にも武器に纏わせたり腕や脚など様々な箇所に纏わすことも可能。

因みに、バリアのイメージは某地球が生み出した大地の巨人18話に登場する放射熱を防ぐための巨大バリアである。

詳しくは調べて欲しい。分からない人はガイア理論、そして光の巨人の初代と同じ名前をくっつけて検索すれば分かるだろう。興味を持ったならば是非見て欲しい。

 

他にも、黄金色の光の効果として別の力、例えばデュランダルとの融合だと威力の上昇。

 

必殺技の音声は『スパークリングスプレンダーフィニッシュ』

 

技としては竜でさえをも覆い尽くす超巨大なワームホールで、拘束する図形を作成し、あらゆる箇所から出てきて連続で貫く技。完璧に人間相手には放てない技である。

 

変身音声はスパークリングと一緒だが、音声追加したらさらに長い音声になるので多分このまま。

 

 

 

 

『仮面ライダーグレートクローズ スプレンダーフォーム』

 

同じく意味は『輝き』

ただし、クローズの場合は黄金色の光ではなく銀色で、それぞれの7.0の変化によるフルボトルの色に合わせてそうなった。

因みに、この時の万丈は7.0になってなかったが(変身後)戦兎と同じく7.0と強制的に引き上げられた。

 

能力としては炎は同じく、銀色の光を操ることが可能。しかし、戦兎がやるまで気づかなかったせいで響の乱れ撃ちの被害にあった人(戦兎はバリアでガードしてた)

二回目は使い方分からなかったが、気合で戦兎と一緒にバリアを貼り、フィーネの攻撃から街を守った。でも元から被害はあるので原作より幾分かマシ程度。

やってることからして二人とも出る作品間違ってますよ

 

本編では万丈が銃に銀色の光を収束させ、巨大な銀色のまさに砲撃と呼べるエネルギー波を放つ。

瞬間、その砲撃が突如『グレートクローズドラゴン・ブレイズ』へと変わり、銀色のオーラを身に纏った龍が攻撃するという技を放っていた。

他にも銀色の光と炎を拳に纏わせたり、銀色の斬撃を放ったりしていたことから光の性質はビルドと同じらしい。

スペックは戦兎と同じくらい。でもミリ単位で下

 

必殺技の音声は『スプレンダーグレートドラゴニックフィニッシュ』

 

銀色の光と赤と青のエネルギーを纏ったライダーキックをする。実際に映像でも必殺技時にドラゴンは出てないため、出るのか出ないのか分からないが、バトルラッシュと映画でも出てなかったので出ないのだろう。

 

 

『仮面ライダークローズシンガー』

 

シンガーの意味は『歌手』

 

烈火の如く真っ赤に染まったクローズドラゴンを装填し、変身可能となる形態。

 

変身シークエンスは四方を囲むようして真っ赤に染まった赤のドラゴンのようなビルドのハーフアーマーを前後に二つと左と右にクリスのイチイバルと同じような物質で出来ていて、半分になっている真っ赤な『CZSドラゴライブレイザー』と右にも同じ半分となっている『CSZドラゴライブレイザー』を形成する。

先に前後にある赤のドラゴンのようなアーマーが重なり、赤いドラゴンのようなビルドに。それから左右に展開されたイチイバルと同じような防具が後ろにスライドして、半分ではない本来の『CZSドラゴライブレイザー』となるように重なる。

 

容姿

複眼がまるで銃のように尖っており、ドラゴンの鱗のような複眼になっている。右腕には赤色の稲妻のようなクレストのマークが描かれていて、ドラゴライブレイザーは心を現すかのように情熱な真っ赤な色になっている。

 

能力やら

 

右腕には稲妻のクレスト『ライジングバーンクレスト』があり、それが光ると雷炎を纏った拳や広範囲に衝撃波や複数の弾を放つ事ができる。

クリスの歌に反応するようで、クリスが歌っている間は能力が上昇する。

 

 

足裏には『ローリングシンガーホイール』があり、これによって機動性が上げられている。

因みにほとんどイチイバルと同じ能力があるようで、視野が広くなり、パワーも上昇。

だが基本的には足裏についているローラーホイールと武器を利用して戦う。

ただし、この形態はずっとなれるわけではなく、変身者の肉体の限界、またはエネルギーが切れるとフルボトルが黒色に染まってしまう。時間置けば再変身が可能となるため、分かりやすくいえばスイカロックシード。

因みにスペックは大体初期登場時のクローズくらいで、まぁまぁ低い。そのスペックは下記の通り

 

パンチ力 27.6t

キック力 33.7t

 

(11話時点のため、この時のスペックは多分ハザードレベル3.0〜3.5ぐらい?)

 

だが、歌の力によって強化されるため、弱い訳では無いし、そもそも仮面ライダーにスペックは(ry

 

変身音声

 

『イチイバル!』

(初期のみ)

 

『熱唱邀撃ィ!』

 

「CROSS-Z SHINGER!」

 

『REMEMBER A SONG AND SING ENTHUSIASTICALLY CROSS-SHINGER!ズドォン!バゴン!ドゴォオオォオォォォォオン!』

 

音声はかなり悩んだけど結局は適当。意味は『歌を覚えて、心を込めて歌う』参考音声はクローズ。

 

必殺技

 

設定上あるが、出てないため今回は割愛。本編で出てきたら追加する。

 

専用武器は『クローズソングブラスター』

 

本来はクローズで戦うことを視野に入れられて作られていたもので、仮面ライダー鎧武の無双セイバーを元にした可変可能な武器。採取したデータで歌の力を再現したため、ノイズ相手に有効的に戦える。けど、ぶっちゃけビルドの装備は戦えるためいらない。なら何故作った?と聞かれれば戦兎曰く趣味らしい。まぁ、元々音声(センスありすぎだろ、羨ましい)付けてたので違和感なし。

変身者の想いによって変わるらしい。限度は多分ある。

 

初期のモードとしては

 

『Blaster mode』

 

『Blade mode』

 

しかないため、通常のクローズではこれしか使えない。

 

『Blaster mode』

 

銃の形。色は赤と青。個人的にはサブマシンガンに近いというよりビームライフルに近いイメージしてた。

色の配置は所々に赤と青がぐるぐるとした模様で並んである感じ。

光線のような弾を放つ。貫通力が高く、何体かのノイズを貫通するほど。

フルボトルスロットはスコープの後ろが少し凹んでおり、そこにある。差し込んでもスコープが見えるようになっているが、そもそもこの形態で余程のことない限りスコープは使わないため、普段はない。必要となればスコープは起き上がるようにして出てくる。

 

『Blade mode』

 

剣の形をしており、イメージとしては普通の剣。見た目は同じく赤と青。ただし、こっちは剣先と持ち手部分が赤で他は青。

薙刀にも変えることが可能で、ビートクローザーのグリップエンドが消えて合体する。本来はどういう風に合体するのかは不明だが、多分同じだろう。実は作者が通常の場合を考えてなかったという裏話がある。

薙刀の場合は柄の真ん中にフルボトルスロット。剣の場合は持ち手の下。

 

ここからはクローズシンガー限定形状。

 

『Sniper mode』

 

銃の形が変わり、そのままの通りスナイパーと同じ形状に変わる。何気に仮面ライダーでスナイパーは珍しいかもしれない。イメージとしてはスナイプのガシャコンマグナムの普段とは別の変形したやつ。名前忘れた

 

狙いを定めて放ち、相手に当てることをと目的としているが、万丈は普段近接なため、戦兎が補助機能を付けていたが、本来付けていたのはブラスター用である。効果発揮した武器が違うのである。

しかし、あくまで補助なのである程度は狙わないと当たらない。それでも当たれば威力はとんでもなく、ノイズを貫通するどころか壁をも貫いた。

損害費は多分政府が何とかしてくれるだろう。

 

『Bayonet mode』

 

一言で言えば銃剣。イメージはガンダムだったが、何の武器だったか忘れた。多分マキオンやって思い付いた気がするからエクセリアのやつ

銃剣はそのまま銃剣なので特に説明なし。

 

因みにブーメランのような形状もあるらしいが、全く使わないと思う。その他にも、ブラスターとブレード形態以外の場合はフルボトルスロットが無くなってしまうという欠点を持つ(そもそも他のは想定されたものでは無いため)

 

 

 

 

 

 

 

 

以上が、現在分かっている設定である。

 

 

 

 

 





戦姫絶唱シンフォギア、戦姫とLOVE&PEACEを掲げる者 G編!

「凄い数のノイズが追ってきます!」

あの戦いから三ヶ月。貨物列車にて、装者二人とライダーの一人がソロモンの杖の輸送任務を担っていた!
しかしそこへ襲来するノイズの群れとは---?

「響、ぶっつけ本番だ!行くぞ!」

迎撃する仮面ライダーと装者---














「万丈のやつ何やってんだか・・・」

一方で、戦兎は頼まれ事を引き受けてライブへと向かっていた。

「す、すみません・・・我儘言っちゃって・・・」

それは、一人の少女。
その少女との出会いとは---?














「なっ・・・うそ、だろ・・・?」

「くそっ・・・!なんでこいつらが居る・・・!?」

「---全ての仮面ライダーを抹殺する者だ」

そして戦兎たちが知っている新たな強敵!?









次回『降臨するomniscient and omnipotent!』


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G編 フロンティア事変
第一話 降臨するomniscient and omnipotent!


どうやら復帰したことを喜んでくれる人が居たようで嬉しかったです。毎回感想くれる方は実は名前覚えてたりしますが、毎回癒しと達成感を感じれるのでありがとうございます!今回・・・というか(切りどころさんが見つからない)次回も長いです。二万文字行っちゃってます。でもG編、始まります!

・・・ああ、死ぬ(白目)シンフォギアXDさん戦隊コラボおめでとうございます(吐血)そんな暇無いので皆様は頑張って(天に召される)








戦兎「仮面ライダービルドであり、桐生戦兎とその仲間たちはフィーネが起こした月を破壊する計画であったルナアタックを阻止し、平和を取り戻したのでした!」

??「ついに---」

??「私たちも登場デース!」

??「あ、あの・・・」

??「落ち着きなさい!こういう時こそ、冷静に・・・」

??「いや、〇〇〇も落ち着いて・・・ってなんだこれ!?」

戦兎「当たり前でしょうが。お前ら一人を除いて出番まだだからな?それと、お前はキャラ決まってないんだからまだ出ちゃダメでしょ!帰った帰った」

??「え、ひどくね?」

万丈「作者が投稿してない間にお前の設定消したからな・・・」

??「(´・ω・`)」

作者「俺は悪くねぇ!」

戦兎「あんたは出たらダメでしょうが!?」

カンペ「俺は悪くねぇ!」

??「そういう問題じゃないデス!?しかも悪いのはアンタしか居ないデスよ!?」

??「なんなんだろう・・・この空間・・・」

??「収集が付かないので、このまま・・・お願い出来ますか?」

??「え、ええ・・・それでは、新しい章であるG編の第一話をどうぞッ!」





??「・・・これでいいのかしら?」

紙「大丈夫だ、問題ない」

戦兎「だからそういう問題じゃないっての!」

ダンボール「(´・ω・`)(ぴえんの絵文字)」

戦兎「いや、なんでそんな上手く出来てんだよ・・・」





―――雷鳴が轟き、闇夜の空より落ちし雨の中、一つ突っ切る武装列車がある。

 

 

 

 

その上空には無数の飛行型ノイズが襲来していた。

すぐさま武装列車は迎撃を始めるが、それに積まれている武装は全て()()()()

つまり、ノイズには通用するはずもなく、ノイズが形を変えて迎撃しようとしてくる武装列車を襲撃、中にいる警備員を炭化させ、その時の衝撃で中の車両が爆発してしまう。

 

「きゃあ!?」

 

その衝撃で、友里が倒れる。

 

「大丈夫ですか!?」

 

そんな彼女を心配したのは、抱える程大きなアタッシュケースを持っている白髪の眼鏡を掛けた男だった。

 

「平気です。それよりも、ウェル博士はもっと前方の車両に避難してください!」

 

友里はすぐさま立ち上がり、ウェル博士---本名『ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス』通称『ウェル』にそう促す。

 

「ええ・・・」

 

「大変です!」

 

そこへ駆け込んでくるのが、二人の少女と一人の男だった。

 

「凄い数のノイズが追ってきます!」

 

「連中明らかにこっちを獲物と定めてきやがる」

 

「ソロモンの杖みたいに他に操れるやつがあるのか?」

 

まず茶髪の少女、『立花響』な報告。白髪の少女『雪音クリス』がノイズの行動からそう呟き、茶髪の男『万丈龍我』がそう言っていた。

 

「急ぎましょう!」

 

友里が一行にそう告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第七一チェックポイントの通過を確認!」

 

その一方で、特異災害対策機動部二課の本部にて、藤尭が報告するよあにそう叫ぶ。

 

「岩国の米軍基地到着まではもうまもなく!ですが・・・」

 

このままノイズを連れていけば、被害が増えるだけだろう。

 

「こちらとの距離が伸び切った瞬間を狙い撃たれたか・・・」

 

「司令、やはりこれは・・・」

 

「ああ、何者かが、ソロモンの杖強奪を目論んでると見て、間違いない」

 

弦十郎が、険しい眼つきでそう告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その間にも、武装列車にノイズは攻撃を繰り返していた。

 

 

「はい・・・はい・・・多数のノイズに混じって、高速で移動するパターン・・・?」

 

友里が本部からの連絡を受ける。

 

「三ヶ月前、世界中に衝撃を与えた『ルナアタック』を契機に、日本政府より開示された『櫻井理論』。そのほとんどが、未だ謎に包まれたままとなっていますが、回収されたこのアークセプター『()()()()()()』を解析し、世界を脅かす、認定特異災害『ノイズ』に対抗しうる、新たな可能性を模索する事が出来れば・・・」

 

次の車両に移りながらのウェル博士のその言葉で、ふとクリスの足が止まる。

 

「ソイツは・・・ソロモンの杖は、簡単に扱って良いものじゃねぇよ・・・」

 

「クリス・・・」

 

クリスの後ろにいる万丈が、心配そうに名を呼ぶ。

 

「最も、あたしにとやかく言える資格はねえんだけどな・・・うわっ!?」

 

そんなクリスの隣にいつの間にか言っていた万丈は、彼女の頭をわしゃわしゃとかき回す。

 

「な、なにするんだよ!?」

 

「安心しろ。今は俺や響、それに戦兎や翼に二課の人たち。皆が着いてんだからな」

 

そう笑ってみせる万丈に、クリスは顔を赤くして逸らす。

 

「お、お前っ・・・本っ当にバカ・・・」

 

「バカじゃねえっての。せめて」

 

「筋肉は付けろ、ですよね。いつものやり取りで何だか安心しました」

 

あれから三ヶ月、その間にも何度もされたやり取りに、響がそう言いつつ割り込んでいた。

 

「了解しました。迎え撃ちます!」

 

すると、友里がそう言いながら通信を切る。

 

「出番なんだよな?」

 

クリスの言葉に友里は銃を取り出しながら頷いた。

それと同時に、天井からノイズが襲ってくる。

 

「う、うわぁぁああぁぁ!?」

 

ウェルが情けなく腰を付くと---と言っても、一般人からすれば同じような反応するので仕方ない。むしろ取り乱さないだけマシな方ではある。

その間にも友里は意味が無いと分かってながらも冷静に銃をノイズ相手に放っており、万丈は手に手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械を腰に宛がっていた。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定する。

 

「来い、ドラゴン!」

 

万丈は手を頭上に掲げて何かを呼ぶ。

 

『キュイー!』

 

そんな声が聞こえると、小さなドラゴン、『クローズドラゴン』か現れ、天井にぶっ刺さってるノイズに蒼い炎を発射。

ノイズを灰化させた後に自ら降り畳んで万丈の手に収まる。

そして万丈は赤いフルボトルを取り出して成分を活性化。即座にクローズドラゴンにフルボトルを挿入した。

フルボトルが挿入されると、青色のクローズドラゴンは一瞬にして烈火の如く真っ赤に染まり、万丈は起動ボタンである『ドラゴンソングスターター』を押す。

 

熱唱邀撃ィ!

 

歌のようなBGMと一緒に起動音声が鳴る。

 

「行きます!」

 

響のそんな言葉とともに、万丈は真っ赤に染まったクローズドラゴンをビルドドライバーに装填する。

 

CROSS-Z SHINGER!

 

音声が鳴り、万丈はビルドドライバーに付いているボルテックレバーを回す。

すると、四方を囲むようして真っ赤に染まった赤のドラゴンのようなハーフアーマーを前後に二つと左と右に半分になっている真っ赤な『CZSドラゴライブレイザー』と右にも同じ半分となっている『CZSドラゴライブレイザー』を形成した。

 

『Are You Ready?』

 

ベルトから問い掛けられる。戦う覚悟はあるのかと。

それを聞くと万丈は両肩を大きく回し、左の手のひらに右拳を叩きつけ、ボクシングのファイティングポーズを取って、彼らは頷き合う。

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)---」

 

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)---」

 

「---変身ッ!」

 

二人は聖詠を唱え、万丈は両腕を力強く振り下ろした。

瞬間、万丈の体を先に前後にある赤のドラゴンのようなアーマーが重なり、赤いドラゴンのようなビルドに。

それから左右に展開されたイチイバルと同じような防具が後ろにスライドして、半分ではない本来の『CZSドラゴライブレイザー』となるように後ろから覆い尽くすように重なり、万丈を仮面の戦士へと変身させた。

 

REMEMBER A SONG AND SING ENTHUSIASTICALLY CROSS-SHINGER!

 

ズドォン!バゴン!ドゴォオオォオォォォォオン!

 

複眼がまるで銃のように尖っており、ドラゴンの鱗のような複眼になっていて、なおかつ右腕には赤色の稲妻のようなクレストのマークが描かれている『ライジングバーンクレスト』がある形態---

 

 

『仮面ライダークローズシンガー』だ。

 

クローズがこの世界で初めて、手に入れた別の形態である。

 

「ん?クリス。なんだか嬉しそうだな?」

 

「そ、そんなことねぇよ!」

 

指摘されたクローズに顔を赤くしてクリスはそっぽ向く。実際、クローズが変身した時に嬉しそうに笑っていて、それを見てたのは一人は居るわけで---

 

「龍我さんがクローズシンガーになってくれて嬉しいんだよね〜?」

 

響のからかうような言葉に、ガンッ!という音ともに響の頭に拳が振るわれていた。

 

「うう・・・痛い・・・」

 

「ふん、出鱈目な言葉を言うからだ」

 

響は別に間違ったことは言ってないのだが---素直じゃないクリスは認めないだろう。

 

「んなことしてる暇があるなら、とっとと行くぞ!」

 

そして、そんな二人に対して真面目なことを言う馬鹿。なんと珍しい光景だろうか。

クローズの言葉で三人は天井を突き破り、上空のノイズを見据える。

 

「群雀どもがうじゃうじゃと」

 

「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで訓練してきた、あのコンビネーションがあれば!」

 

周りを見渡して、そう呟いたクリスに響が言っていた。

 

「あれはまだ未完成なんだろ?それならまだ使うべきじゃねぇだろ」

 

「大丈夫ですよ!まだ使うって訳じゃありませんし、とっておきはとっておきたいので!」

 

「そうか」

 

「ふん、分かってんなら言わせんな」

 

クローズの言葉に響はそう返し、クローズとクリスはそれぞれの武器を展開していた。

クリスはアームドギアのボウガンを、クローズは『ビルドドライバー』に搭載された『高速ファクトリー』が展開、『スナップライドビルダー』からある武装を。

 

『クローズソングブラスター!』

 

『Blaster Mode!』

 

クローズソングブラスター。戦兎がこの世界で初めて作った新武装であり、クローズシンガー専用となった武器だ。

 

「背中は預けたからな?」

 

「任せて!」

 

「行くぜ!」

 

響が歌い始める。

 

「ぎゅっと握った拳 1000パーのThunder」

 

「オラァ!」

 

響が歌い、拳を握る間にクリスがボウガンの引き金を引いて乱射。

それに合わせるようにクローズが光線のような弾を乱射。

たちまち、その弾幕の多さからノイズが数を減らしていく。

しかし、それを掻い潜ったノイズがクリスとクローズに接近する。それを響が以前よりも洗練された動きで次々とノイズを叩き落としていく。

その最中で、クリスとクローズを狙って槍状で突っ込んできたノイズすらも、二体を拳で、最後の一体をサマーソルトキックで叩き潰した。

 

「俺も負けてられねぇな!」

 

その姿を見ていたクローズは、背後から攻めて来ようとするノイズを見据え、ブラスターモードの倒れているスコープの後ろにあるフルボトルスロットにドラゴンフルボトルを挿し込んだ。

 

ドラゴン!

 

ボォトルチャァージ!!

 

クローズソングブラスターに赤色の炎の粒子が収束する。

それと同時に、クリスの方もボウガンが弩弓に変形。それに番えた矢を放ち、それが何体ものノイズを貫き、細かく分裂。それが空一面にばら撒かれると同時に、無数の鏃が驟雨、つまりにわか雨の如くノイズの大群に振り下ろされていた。

そして、クローズの方もチャージを終えたのか、トリガーを押して、放つ。

 

フルボトルブラァストォ!

 

「ウオォォォオオオォオオオ!!」

 

銃口から放たれる赤い炎。それはまるでドラゴンの咆哮。それが背後から列車を攻めようとしていたノイズの集団を纏めて焼き払い、上空のノイズはクリスの驟雨の矢によって消滅する。

 

GIGA ZEPPELIN

 

しかし、爆炎の中を青い閃光のようなものを残して高速で飛翔する何かがいた。

それは、今まで見たことの無い未知のノイズ。

 

「なんだアレ!?」

 

「アイツが取り巻きを率いてやがるのか」

 

すかさずクリスが腰部のギアから小型ミサイルポットを左右に展開、一斉に射出する。

 

MEGA DETH PARTY

 

だが、そのノイズは高機動な動きでクリスが放った全てのミサイルを躱して見せた。

 

「だったらァ-----!!」

 

それを見たクリスがすぐにガトリング砲を展開し、乱射する。

ガトリング砲にしたのは高機動で避けるのであれば、数を増やして当てるためだろう。

 

BILLION MAIDEN

 

しかし、それすらも高機動なノイズは全て回避し、その体を巨大な槍に変形。

一気に突っ込んでくるが、その際にガトリング砲の弾が当たるものの、外装に拒まれて弾を弾き飛ばしていた。

 

「嘘だろ!?」

 

「クリスちゃん!龍我さん!」

 

「だったら俺たちだ!!」

 

響が右腕のギアのバンカーを引っ張り出す。そして、飛び上がった響にクローズも続いた。

 

『Blade Mode!』

 

クマ!

 

即座にクローズソングブラスターを剣の形に変形させ、持ち手の下の部分にクマフルボトルを挿入する。

 

ボォトルチャァージ!!

 

柄から徐々にエネルギーが収束され、刀身にエネルギーが集まる。

 

「ハァァアアァァアアアァ!!!」

 

「うおりゃァァアアァアア!!!」

 

突っ込んでくるノイズに響は拳を、クローズは剣を叩きつけるように切りつける。

 

フルボトルカアッティング!

 

一撃粉砕の拳と強烈なエネルギーの二つを受けてなお、粉砕されずに上方へと逸らされるだけだった。

さらに、その一体のノイズだけではなく、まだ居る他の小型飛行型ノイズも対応しなければならない。

このままではジリ貧だ。

 

「あん時みたく、空を飛べるエクスドライブモードなら、こんなヤツらに一々もたつく事なんてねぇのに!」

 

「あー・・・だから俺も羽が欲しい言ったのに」

 

「あはは・・・ってクリスちゃん!龍我さん!」

 

「「ん?」」

 

何故か突然慌てたような様子の響に不思議に思った二人は後ろを向く。

すると、列車が物凄い勢いでトンネルに入っていく所だった。

しかし、それは別に普通のことなので問題はない。問題なのはこのまま行けば、彼らはトンネルの縁に激突してしまうということだった。

 

「「うわぁぁああぁぁああ!?」」

 

「うぉぉおおぉおおおお!?」

 

すぐさま響は足のバンカーで、クローズは右腕にある稲妻のクレスト『ライジングバーンクレスト』を光らせ、人が入れるくらいの衝撃波に絞って、列車の屋根に風穴を開ける事で回避に成功する。

因みに、クリスは手段がなかったのでクローズがお姫様抱っこで抱えることで回避に成功していた。

 

「ギリギリセーフ・・・!」

 

「う・・・あう・・・」

 

「クリス?」

 

「な、なんでもねぇ!・・・けど、助かった」

 

顔を真っ赤にして、クローズの腕から降りるクリス。

 

「おう」

 

そんなクリスに対して、以前とは違って礼を言ってくる姿に求めてはいないとはいえ、一抹の嬉しさが込み上げてくる。

そして、クローズは後ろの車両を見つめた。

 

「しっかし・・・どうやってアイツらをぶっ飛ばせばいいんだ?」

 

戦兎が居れば指示出してくれるのになぁ・・・とここには居ない相棒のことを心の中で言うクローズ。

 

「攻めあぐねるとはこういう事か・・・」

 

「そうだ!」

 

ふと、響が思いついたかのように手をポンっと叩いた。

 

「何か閃いたのか?」

 

「師匠の戦術マニュアルで見た事がある!こういう時は、列車の連結部を壊してぶっつければいいって!」

 

「ああ!確かにあった!それはいいかもしれねぇ!」

 

クローズも見たことがあるようで、響の閃きに、肯定を示した。

 

「おっさんのマニュアルといえば面白映画だろ?そんなものが役に立つものか。大体、ノイズに車両ぶつけたって通り抜けてくるだけだろ?」

 

額を抑えながら呆れるクリスだが、響は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「ふっふふ〜んぶつけるのはそれだけじゃないよ!」

 

その間にもノイズは迫ってくる。

 

「急いで!トンネルを抜ける前に!」

 

前の車両に移動し、言われた通りにクリスが連結部を見事破壊。

 

「サンキュー!クリスちゃん!」

 

「本当にこんなんでいいのかよ?」

 

お礼を言う響に対して、クリスは未だ彼女の意図が分かってない。弦十郎の映画を見てないから、というのもあるだろう。

 

「あとはこれで・・・!」

 

「確かだけど、こうすりゃいいんだよな!」

 

クローズが後方車両を殴って後ろに飛ばす。

すると、切り離された車両が背後から迫ってくるノイズの大群に向かって突っ込んでいく。

といっても、本来は後方の車両が押されたことによって減速していて、速度的には人を簡単に殺せる速度である。

だが、そんな障害物如きで銃やら砲撃でさえ効かないノイズにとっては無に等しい。

位相差障壁によって自身の現実との実態感を薄めることによって列車を透過してしまう。

しかし、それは当然予想の範疇。トンネルので口で、待ち構える二人が居た。

クローズがクローズソングブラスターのブラスターモードを持ったまま、ボルテックレバーを少し回す。

 

『ワンソング!』

 

Ready Go!

 

「響、ぶっつけ本番だ!行くぞ!」

 

そんな音声とともに響に声をかけ、右腕のライジングバーンクレストが輝きを放つ。青色のエネルギーとクレストマークから黄赤色のエネルギーが、銃口に収束された。

 

「はい!いつでも!」

 

その一方で、返事をした響は右腕をまさしくアームドギアと呼べるほどの巨大なジェットナックルに変形させており、その後方にあるジェット噴出機構にエネルギーが溜まっている。

 

「飛ぉべぇぇええぇぇぇええええッ!」

 

リミックスシュート!

 

「行きやがれぇええぇぇええッ!!」

 

次の瞬間、響のギアのジェットが噴出。それに合わせるようにクローズが銃のトリガーを引き、その威力の反動によって後方に下がりながらも放たれるは黄赤と青の『CZSドラゴン・ブレイズ』。それが光の粒子へと変換される。

粒子に変換されたエネルギーは響の右腕のアームドギアに纏わりつき、龍のエネルギーを拳とともに列車から透過してきたノイズに叩きつける。

 

龍撃槍/龍ノ息吹(DRAGON-BREATH )

 

それは、通常とは比べ物のないほどの威力。実際に雷のような、炎のようなエネルギーが溢れ出んとする力が威力の高さを物語っている。

しかも衝撃で大型ノイズを砕き消し飛ばし、さらには後方のノイズだけではなく列車ですらトンネルの先まで全て消し飛ばした。

 

(閉鎖空間で、相手の機動力を封じたうえ、遮蔽物の向こうからの重い一撃・・・)

 

その様子を、クリスは過ぎていく列車から見ていた。

響の成長性た起点の利かせ方、直観力。

以前とは比べ物にならない全てに戦慄を抱いていた。

 

(アイツ・・・どこまで・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィーネと名乗る女性が荷電粒子砲『カ・ディンギル』を使って引き起こした『ルナアタック』から三ヶ月後---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのまま杖を届けた瞬間にはノイズに襲撃され、担当していたウェル博士とソロモンの杖が行方不明・・・ねえ」

 

『うむ、その通りだ』

 

弦十郎から報告を受けつつ、戦兎はバイクを走らせる。

 

「万丈のやつ何やってんだか・・・」

 

『それで、君の意見を聞きたいんだが・・・』

 

今回のソロモンの杖輸送任務。広島の岩国にある米郡基地までアークセプターである『ソロモンの杖』を輸送するのが目的であり、その際に同行したのが響、クリス、万丈であった。

翼は今夜開催される『Queen’s Of Music』というライブに向けてのリハーサル。戦兎は別の場所に現れた時のためと、発明品を仕上げるために残っていた。どうやらバイクで移動してることから仕上けたらしい。

 

「いや、どう考えたって杖を持っていたウェル博士しか怪しい奴居ないでしょ。というか他に誰か居たか?・・・ソロモンの杖は既に起動状態で、誰でも好きにノイズが操れるんだから」

 

『俺には度胸がないように見えたな』

 

「そういう人間がよく力に溺れる典型的なパターンだ」

 

『そうか・・・ならばその線を考えてウェル博士の行方を調べるとしよう』

 

「あぁ。それと()()についてはどうだ?」

 

『どうやら、()()()()起こることは無くなったらしい。消失したと考えていいかもしれんな』

 

「だといいんだけど・・・まぁ、考えても仕方がない。俺は運転に戻る」

 

『分かった。護衛とはいえ、君も楽しんでくるといい』

 

その言葉を聞いて、戦兎は本部との連絡を切る。

 

「まぁ、あれだけ響がおすすめしてきたんだ。楽しめるとは思うけど」

 

戦兎としては全くライブとかに興味はないため、いくら翼がトップアーティストと言えどもわざわざ見ようとは思わなかった人間である。

そんな戦兎に対して、響は物凄く勧めてきたのだ。そして勢いに負けたのが戦兎だった。

戦兎はライブ会場を視界に捉えながらも思わず響のことを思い出して苦笑いしてしまう。

 

「あの・・・」

 

そんな彼に対して、声を掛ける人物が居た。

 

「ん?」

 

戦兎がほんの少し後ろをチラッと見る。戦兎の後ろで一緒に乗っているのは、橙色がかかった茶髪の髪を靡かせる少女だ。

 

「任務の方は・・・?」

 

「見事に杖を奪われたらしい」

 

「そんな・・・!」

 

戦兎の言葉にショックを受けたように呟く。

 

「まあ、そんな気にすんな。俺だけじゃない、皆がいるんだ。不安がることはねえって」

 

「そうですよね・・・」

 

「それよりも俺としてはお前の護衛をしなきゃ行けないからまずはそっちだな」

 

「す、すみません・・・我儘言っちゃって・・・」

 

そう、戦兎が護衛と言っていたのはこの少女を守るためである。本来であれば、一人残って基地で発明品を作っていただろう・・・と言っても、実は未来からも誘われている身なので行ってたと思うが。

 

「これぐらい気にしなくたっていい。こういうのは我儘言える間に言うべきだしな」

 

「わ、分かりました・・・!」

 

「おう。そういえば、今日は・・・デュエットなんだっけ?」

 

「そうなんです!私の大好きなマリア・カデンツァヴナ・イヴという方と!」

 

「そっか・・・じゃあ行くぞ。『()()()』」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セレナと呼ばれた彼女。それは彼女の名らしい。

事故で記憶喪失になったらしく、他は分からないだとか。

だが、何故彼女が護衛対象なのか?そして一緒に居るのか?それは、過去に遡る必要がある。

そしてある意味、()()()()()()を果たした一か月前のあの日に---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎たちが特異災害対策起動部二課と協力することとなり、技術係が居ないため、代わりにライダーシステムと並行してフィーネ・・・櫻井了子が残したシンフォギアを管理するために情報をひたすら調べたり、新たな発明品を一つ仕上げたり、自分たちに関する話したことの資料を見せていいのは(危険なため)二課の人達のみという条件をつけて提示したりなど色々なことをしつつ、慣れてきた頃ぐらいだった。

 

()()()()()()()?」

 

「あぁ。どうやらここ最近、ノイズに触れられた訳でもないのに、人が居なくなっているらしい」

 

「誘拐・・・とかですか?」

 

響が弦十郎に聞く。

 

「いや、それならば情報が何一つないのはおかしいだろう」

 

「確かに、二課の人達に俺までいるんだ。それぐらいなら調べられる・・・か」

 

弦十郎の言葉で納得する戦兎。

 

「しかも、居なくなった人は必ず倒れているか、消えたらしいんです。それだけではなく、居なくなった人と()()()()()()()()家族や恋人などは、襲われたと・・・」

 

「それは、もしかして以前出てきたスマッシュとやらが?」

 

緒川が調べたのか情報をさらに出し、それに翼が思い出すかのように言った。

 

「いや、それはないと思う。少なくとも俺たちが戦ってきた奴らにそんな奴らは居なかったからな」

 

「じゃあ、なんだ?神隠しにでもあってんのか?」

 

「・・・他にはどういうことがあった?」

 

因みに上から万丈、クリス、戦兎と言った感じだ。

 

「ええと、発熱、倦怠感、頭痛など風邪見たいな症状も出てるみたいです」

 

「あと、一番多いのが『()()()()』みたいだ」

 

「ッ!?」

 

友里の言葉に続けるように藤尭が言うと、戦兎が誰の目からしても分かるくらい反応していた。

 

「戦兎さん?」

 

「ん?戦兎くん。何か気づいたのか?」

 

そんな戦兎に対して、響と弦十郎が聞いてきた。

 

「いや、だけどそんなはずは・・・ここはそもそも10年間別の歴史を歩んだ世界。いくらなんでも『()()』がこの世界にあるはずがない。だけど、もしかしたらこの世界に来た可能性は?元々世界の融合って時点で何が起こるかは分からない・・・それに、『A()()()』に()()()()()()()()()だって捨てきれないはずだ。でも、だとすると俺たちでは・・・」

 

「戦兎?おーい」

 

一人で俯いてブツブツと言ってる戦兎に他の皆が首を傾げる中、万丈が戦兎の顔に手を振っていた。

 

「・・・まずい」

 

「あ?いてっ」

 

万丈の手を虫でも払うかのようにぺしっと叩くと、戦兎は顔を上げた。

 

「何がまずいんだよ?あたしたち誰も分かってねぇぞ」

 

「ああ。説明を求めたいのだが」

 

「・・・そうだな、これも話さなきゃ行けなかった。今から話すことに重要なことだ」

 

クリスと翼が皆の言葉を代弁すると、戦兎が、はぁ・・・とため息を吐いてそう言う。

 

「話してくれるのか?」

 

「・・・今回ばかりはイレギュラー過ぎるんだよ。外れていて欲しいんだが、流石に説明せざるを得ない」

 

「どういうことだよ?戦兎?旧世界に関係あんのか?」

 

「お前は気づきなさいよ・・・。ったく、本題に入るけどその症状を俺達は知ってる」

 

万丈に向かって呆れたように言いつつも、真剣な表情となる。

 

「症状?戦兎さんが反応していたストレス・・・ですか?」

 

「そうだ、そもそも仮面ライダーってのは俺達二人と、旧世界で一緒に戦った人達だけじゃない」

 

「何?どういうことだ?」

 

「俺たちとは別の世界・・・パラレルワールドと呼ばれる世界で、俺と万丈は別の世界の仮面ライダーと出会った。詳しい説明は省くが、その時に一緒に戦った医者でゲームの仮面ライダー。『()()()()()()()()()()()』と呼ばれる戦士が居たんだ。そして、そのエグゼイドが戦ってた敵と今回のは特徴が一致している」

 

「ぱ、ぱられる?」

 

「パラソル?いや、アパレルワールドか・・・!」

 

「パラレルワールドだっての!」

 

響が首を傾げるのはまだ分かるからか何も言わなかったが、旧世界でも同じようなことがあった万丈に戦兎は突っ込んでいた。

 

「それで、そのエグゼイドってやつの敵の特徴ってなんだよ?」

 

「・・・あぁ。どうやらエグゼイドは『()()()()()()()()()』に掛かり『()()()()』となってそれが発症したウイルス。『()()()()()』と戦ってたらしい。そしてその『ゲーム病』の特徴が『ストレス』なんだよ。・・・それだけじゃない。最後に、『ストレス』が限界まで達するとその人間は消滅・・・即ち、()()らしいんだ。しかも発症したウイルスは宿主のストレスを溜めるために大切なものなど、人間を襲う」

 

「病なら今の医療ではダメなのか?」

 

クリスの言葉に戦兎が説明し、翼の言葉には無言で首を横に振る。

 

「現代医学の治療では全く通用しない。だからこそ、外れていて欲しいんだ」

 

「ふむ・・・なるほどな。現代医学でも不可能・・・か。仮にそうだったとして、治す方法は?」

 

「少なくとも、バグスターが生まれてないってことは人類でも滅亡させる気なのかもしれない。だから治す方法はウイルスを広めた元凶のバグスターを倒す。それだけだ」

 

「なーんだ。なら簡単じゃねぇか」

 

「だが、桐生がここまで言う相手だ。一筋縄では行かないんじゃないのか?」

 

「それなんだよ・・・まぁ、外れてる可能性だってある。結局は確認しないと」

 

「師匠!そのバグスター?と呼ばれた敵の位置って分からないんですか?」

 

「それなんだが、まだ掴めてないようなんだ」

 

「そうですか・・・」

 

新たな情報と、まだわかっていないこと、そしてもしかしたら現れるかもしらないバグスターのことで空気が重たくなる。

 

すると、長いような短いようなそんな時間だったが、突然その空気を壊すかのように声が響いた。

 

「何者からの暗号メッセージ。これは?」

 

その言葉とともにディスプレイに表示される。何かのポイントらしい物と、メッセージが表示されていた。

メッセージは読めないために、急いで解析を始めると、こんなメッセージが表示される。

 

『ある場所に、受け取って欲しいものを用意した。受け取って保護して欲しい』

 

「なんだ・・・?この如何にも罠と思えるメッセージは?」

 

「どうするんだ?風鳴のおっさん」

 

明らかに怪しい、それも怪しすぎるメッセージに困惑する戦兎と、とりあえず司令である弦十郎に聞く万丈。

 

「受け取って欲しいものか。一体それが何なのか分からないが・・・回収はしなくとも、確認はすべきだろう」

 

「なら、同行するメンバーと待機するメンバーを分けますか?」

 

「いや、罠だったら、誰かが対応出来るように全員で行った方がいいかもな。ある場所ってことは入口前とかで待機すれば対応できるし」

 

翼の言葉に、戦兎が推測を立てて言う。

 

「頼めるか?」

 

「ったりめーだ。何だか分からねぇが、罠だったら潰すだけだからな!」

 

「じゃあ、行きましょう!」

 

「だな」

 

響の言葉で全員が頷き、準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準備を終え、指定されたポイントに辿り着いた一行。しかし、その場所は---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にここか?」

 

『指定されたポイントはそこで間違いないよ』

 

戦兎の言葉に藤尭がそう返す。といっても彼がそんな反応をしたのは仕方があるまい。なんたって---

 

「ただの廃墟じゃねぇか!」

 

「ほ、ホラー屋敷?」

 

「見事までにボロボロだ・・・」

 

「あたしらが隠れ屋として使ってた所より圧倒的に酷いな・・・」

 

彼らの言う通り、それはもうとてつもないほどボロボロ。仮にノイズの襲撃を受ければ、一瞬で崩壊してしまうであろう建物なのである。

だが、大きさからして廃墟となる前はとてもでかく、綺麗だったのだろう。

 

「ここで受け取って欲しいのって、一体なんでしょうね?」

 

「こういう時は爆弾などといった罠って相場が決まってんだよ」

 

「だが、確認はするべきだ。仮に爆弾であるとするならば、危険なことに変わりはない」

 

戦兎の後ろで、装者三人が話し合っている。因みに戦兎と万丈は、自分たちが前に居た方が安全だろうということで前にいる。

 

「んで、戦兎はどう思うんだ?」

 

「まぁ、罠って可能性も捨てきれないけど・・・確認すべきではあるだろ。司令の命令でもあるしな」

 

そうして、門の前に辿り着いた一行。

それは、城に相応しいほどの大きな門だった。

 

「こうやって見ると大きいですね・・・」

 

「しかも、不気味な雰囲気を持ってやがる」

 

「いつでもシンフォギアを纏えるようにしておくべきかもしれないな」

 

「じゃあ、開けるぞ」

 

戦兎のその言葉に全員が頷き、戦兎が門を軽く押す。それだけで、巨大な門はあっさりと開いてしまい、そのまま廃墟に中へと入っていく。

 

「それで、どの方向に行けばいい?」

 

『入り口から二階へ上がって、右に曲がったところの突き当たりにあるパスワードが付いている大きな部屋があるみたいだ。そこに目的の物があると見ていいだろうね』

 

「了解っと」

 

廃墟の中は何故か灯りが付いており、中は見た目通りに広く、しかも見た目とは別で中はとてつ綺麗だった。まさに城というべきぐらい見渡すだけでも、どこかへ繋がっている扉があるが、目的の場所に行くためにそこへは行かずに二階へと上がり、言われた通りに進んで辿り着く。

しかし---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何にもなかったな」

 

そう、万丈の言葉通り罠ならばあってもおかしくないのに、何も無かった。それがより、不気味さを現しているだろう。

 

「な、何があるんでしょうか・・・」

 

「分からないが・・・とりあえず万丈、お前が行ってこい」

 

「はぁ!?なんで俺なんだよ!?」

 

「だって、お前が一番頑丈じゃん。ほら、プロの元格闘選手なんだから行ってこい」

 

「な、ならあたしも・・・」

 

「はぁ・・・いやいい。一人で行ってくるわ」

 

「そ、そうか・・・」

 

「あ、クリスちゃんががっかりしてる」

 

瞬間、響の頭が拳で叩かれていた。

 

「痛いよ・・・」

 

「お前が悪い」

 

「ほら、こんな二人は放っておいて行ってきてくれ。後でプロテインとバナナやるから」

 

「ったく。仕方がねぇな」

 

あっさりと取引に乗った万丈は既に戦兎がパスワードを解除していた部屋へと恐る恐る入る。

その中にあるのは---

 

「・・・?」

 

万丈が首を傾げて奥へと入っていき、数秒した後、急いで出てきていた。

 

 

「何があった?」

 

「いいから来い!」

 

万丈の慌てように、顔を見合せた四人は中へと向かう。

その中は今までとは違い、真っ暗で見づらい。

しかし、僅かに光がある場所を見ると、人が入れそうな大きなカプセルに複数の電子機器。置かれているモニターには誰かのバイタルと医療関係の機器が置かれている。

 

「これは・・・」

 

それを見て、部屋の入口で茫然とする一同。しかし万丈はそれに気を留めずに、カプセルの前に立った。

 

「これだ」

 

それに従い、まずは戦兎がカプセルの前に立ち、曇ってるのか見えないため、覗き込むように見た。

その中に居たのは、一人の少女---

 

「こいつは・・・!?」

 

見た目的に年齢は16〜17。髪の色は橙色がかかった明るい茶色。

まるで妖精のような容姿をしているが、その体はやや痩せている。

口には頑丈そうな呼吸器を付けられていて、中は何らかの水のようなものがある。そして、点滴のようなものが刺さってることから栄養はそこから得てるのだろう。

 

「何故か廃墟に電気が付いてたのはこれが理由か?見た感じ、この部屋の電気はついてないことからこの部屋の電気は全てこっちに回してるっぽいが・・・」

 

とにかく、知らせるためにも戦兎は通信機を取りだした。

 

「おい、本部」

 

だが、返事は返って来ない。

 

「あれ?おーい、もしもーし!」

 

二度目も、返事はなし。

 

「何故だ?さっきまで通じたはず・・・」

 

「戦兎さん?」

 

そんな戦兎の姿が気になったのか響たちが近づいていく。

 

「これは!?」

 

「どうなってんだ・・・?」

 

同じように、カプセルの中身を確認した装者は驚いた。

 

「戦兎、これって」

 

「あぁ。間違いなく人間だ。だけど本部と連絡が取れない」

 

「何?本部、こちら翼・・・繋がらないな」

 

「つまりは・・・ここは妨害電波が出てるのか」

 

自分のだけならともかく、他の人たちも繋がらないことから戦兎はそう推測し、とりあえず情報を集めようとモニターを確認する戦兎。

 

「お、おい戦兎!」

 

「どうし・・・ってなんだ!?」

 

万丈の声に反応し、見て見れば突然、目の前のカプセルが震え始めていて、装者や万丈は離れていた。

 

「これは・・・」

 

ふと、モニターの方を見てみると、『セレナ』という名前らしきものと、何故こうなっているのかという情報が現れ、戦兎がなんとか頭に叩き込んだ後に制限時間のようなモノとパスワードを入力しろと出てきている。

 

「事故?施設?なんだそれ・・・それに、パスワード?もしかして・・・」

 

途切れ途切れで分からない情報に首を傾げながらも、モニターを見て戦兎は考える。

何故か二つ来ていたパスワード。その片方は、部屋を開けるためだったがもう一つは謎だった。

そのパスワードを戦兎は打ってみる。

すると、Unlockと表示され、カプセルから水が引いていく。

そして、カプセルから完全に水が引けば、呼吸器が外れ、カプセルが開く。

当然、少女の意識はないため、このままでは倒れるが---

 

「ッ!」

 

戦兎が慌てて、目の前で抱き留めることで倒れることが避けられた。

 

「・・・息はある。脈もあるな。意識がないだけか?」

 

「戦兎さん。一体何が・・・」

 

「パスワードを入力したら、突然こうなったんだ。何でかは分からないが---」

 

戦兎がそう言い切る前に、何かが壊される音と爆発音が聞こえてきた。

 

「なんだ!?」

 

「これは、攻撃されている?」

 

「響、戦兎!外出るぞ!」

 

「あ、はい!」

 

「分かった。けど、何故このタイミングで・・・罠だとしたらもっと早く仕掛けた方がいいはず・・・」

 

万丈の言葉に頷いた戦兎は、少女を抱えながら思考しつつ走っていき、一行は外に出ることとなる。

そこにいたのは---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノイズ!?」

 

先程まで居なかったはずの大量と言えるほどの様々なノイズが、うじゃうじゃと蠢いていた。大型ノイズも、居ることから攻撃してたのはノイズたちだろう。

 

「なんでここにいやがるんだ!?」

 

『戦兎くん!皆!無事か!?』

 

「風鳴さん!?」

 

すると、本部から途切れていた連絡が来る。

 

『何があった!?突然、通信が切れたんだが・・・』

 

「悪いけど今は話してる暇がない!ノイズは片付けるから救護班を呼んでくれ!」

 

戦兎が少女を背後に降ろし、ノイズを見据える。

 

『どういうことだ!?』

 

「詳しくは後で!簡単に言えば少女を保護した。受け取って欲しいのは少女だったらしい。だけど意識がない!」

 

『ふむ、そういうことか・・・分かった、すぐに手配する!その間にノイズを片付けてくれ!』

 

「了解っと。聞いてたな?」

 

通信が切れたのを確認すると、戦兎が全員を見渡して聞く。

 

「つまり、アイツらを倒せばいいんだろ?」

 

「簡単で分かりやすいな!」

 

「救護班は到着するまでに片付ける必要があるが、これぐらいであれば」

 

「へいき、へっちゃらです!」

 

「よし、行くぞ!」

 

戦兎と万丈が二人並び、手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた機械を取り出すと腰に宛てがう。

すると腰に黄色いベルト、アジャストバインドが巻かれ、その装置を腰に固定した。

そして戦兎は赤の兎が模されているフルボトル『ラビットフルボトル』と青の戦車が模されている『タンクフルボトル』を取り出し、フルボトルを振ることで成分を活性化させる。

 

万丈は青色のドラゴンを模されているフルボトルを振り、二人のフルボトルの成分、『トランジェルソリッド』が十分に活性化すると、フルボトルのキャップ『シールディングキャップ』を正面に固定した。

戦兎はそのままフルボトルを有機物のラビットフルボトルからビルドドライバーに挿入する。

万丈はそのまま手を天に翳し、クローズドラゴンが鳴きながら自ら畳みこんで手に収まり、クローズドラゴンにドラゴンフルボトルを挿入してから、折畳まれているクローズドラゴンを、ビルドドライバーに挿し込んだ。

 

『《color:#ff0000》ラビット!タンク!ベストマッチ!

 

Wake Up!CROSS-Z DRAGON!

 

二人はビルドドライバーにあるレバー、ボルテックレバーを回す。

するとドライバーの円盤型パーツ、ボルテックチャージャーが回転し、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。

ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それがそれぞれ戦兎と万丈の周囲を囲う。

その間にも、透明なパイプ『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、戦兎の方には赤と青の液体が流れ、万丈には青の液体が流れる。

そして、戦兎の前後にそれぞれ形を形成していき、赤と青のラビットハーフボディとタンクハーフボディ、二つのアーマーを形成した。

 

一方で、万丈の方には前後と左にそれぞれ形を形成していき、戦兎とは違い前と後が同じ青いドラゴンハーフボディのみを形成、そして左にはドラゴンの羽根と頭と顔を思わせるものを形成。

形成を終えると、ベルトから声が聞こえる。

 

Are You Ready?

 

ベルトから覚悟はいいか?と聞かれ、戦兎たちは迷いを見せなかった。戦兎はシュートボクシングのようなファイティングポーズを、万丈は両肩を回すようにしてから左手に右拳をぶつけ、ボクシングのファイティングポーズを取る。

そして---

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)---」

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)---」

 

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)---」

 

「「変身ッ!」」

 

装者たちは聖詠を唱え、戦兎と万丈はいつものセリフを共に両腕を力強く振り下ろす。

戦兎の方には先ほど赤と青のアーマーを形成した『スナップライドビルダー』が戦兎を挟み込むようにスライドし、万丈の方は青色のアーマーだけを形成した『スナップライドビルダー』が挟み込むようにスライドし、ドラゴンの羽根のような見た目をした増加装甲『ドラゴライブレイザー』とドラゴンの頭と顔のような見た目をした頭部の出力調整装置『フレイムエヴォリューガー』がアーマーを挟んだあと、後ろに移行して包み込むかのようにして着装される。

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!』

 

Wake Up Burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

白い蒸気を噴き上げながら、赤と青の装甲を身に纏うウサギと戦車の複眼をした戦士。仮面ライダービルド。

まるで燃え盛る龍の姿をした戦士。仮面ライダークローズが姿を現す。

 

「さて、時間との勝負だ!」

 

「負ける気がしねぇ!」

 

「行きます!」

 

「参るッ!」

 

「上空のノイズはあたしがッ!」

 

そんな言葉とともに装者は歌い、ビルドは左脚のホップスプリンガーでノイズ相手に急接近し、ビルドドライバーに搭載された『高速ファクトリー』が展開、『スナップライドビルダー』から『ドリルクラッシャー』をブレードモードで取り出して次々とノイズを斬りつけていく。

 

クローズはといえば、ノイズに接近し、蒼炎を纏って殴り飛ばしたり、蹴り飛ばしたりなど基本的な格闘をメインとして戦っていく。

響も同じくして、弦十郎から教わった武術、徒手空拳を使用し、ノイズを格闘メインとして倒していく。

 

翼は剣で一体一体を斬りつけて撃破していき、クリスは後ろにいる少女を守る位置でボウガンを放つことで空中のノイズをみるみる撃破していく。

ただのノイズでは、彼らを止めることは出来ずに、全く時間が経ってないにも関わらずノイズの数がだんだんと減っていっていた。このまま行けば、もうあっさりとノイズを殲滅出来るだろう。

 

「次は---ぐあッ!?」

 

戦場で、()()が起きたのはその時だった。

ビルドが次に大型ノイズに突撃しようとした時、ビルドの体が火花を散らしながら()()かに吹き飛ばされ、木にぶつかっても勢いが止まらずに何度も木を壊していった。

 

「戦兎さん!?」

 

「戦兎!?」

 

響が目の前のノイズを砕き、急いでビルドの傍に向かう。一方でクローズはビルドを攻撃したであろう敵を見ようとするが、既にそこには居なかった。

 

「居ねぇ!?」

 

「後ろだ、バカ!」

 

「ッ・・・オラァ!」

 

そんなクローズに対して、クリスが叫ぶと反応するようにクローズが蒼炎を纏った右拳を叩きつけ---()()()()()

 

「なっ!?」

 

「桐生!万丈!?」

 

翼は仮面ライダーの二人があっさり吹き飛んだことに驚きを隠せず、クリスは移動しようにも後ろの少女を守れなくなるため、動けない。

 

「ッ・・・雪音!上だ!」

 

「くっ・・・このぉ!」

 

すぐに気づいた翼が警告すると、クリスはボウガンからガトリング砲へと変え、飛んできたミサイルを全て撃ち落とす。

 

「一体なんだ!?」

 

ノイズには出来ない攻撃。その攻撃をされ、翼とクリスは周りを見渡す。

しかし、爆風のせいで姿は見えない---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ・・・」

 

その一方で、吹き飛ばされたビルドが、呻き声を上げながら体を起こす。一撃。たったの一撃だけしか受けてないにも関わらず、彼の体にはかなりのダメージが入っていた。

 

「戦兎さん!大丈夫ですか!?」

 

そんな姿を見た響は、ビルドに肩を貸しながら起き上がらせていた。

 

「なんとかな・・・」

 

「よ、良かったぁ・・・」

 

「悪い・・・それより、早く戻らねえと」

 

「ですね・・・行けますか?」

 

「あぁ」

 

そうして、ビルドと響は急いで戦場へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いってぇ・・・!なんだあの威力・・・」

 

一方で、クローズも吹き飛んでは居たものの、蒼炎を纏って威力を上げてたお陰か、ビルドよりかはダメージが少なく、なによりもそんなに吹き飛んではいなかった。

 

「早く行かねぇと!」

 

そう言い、クローズも戦場へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で---

 

 

「ノイズでも、スマッシュでもない・・・?」

 

「なんだ、あいつら・・・」

 

そこに居たのは煙で姿は見えないが、とてつもない威圧を見せる一体の異形のシルエット。ノイズでもなく、スマッシュのような兵器のような見た目ではない。

なによりもその異形の後ろには、はたまた大量の異形のシルエット。ただし、大量の異形には前にいる異形に比べ、遥かに、圧倒的にマシだ。

 

「お前ら、無事か!?」

 

「クリス!翼!」

 

「クリスちゃん、翼さん!」

 

彼女らの元に、吹き飛ばされたビルドとそれを追った響。それとビルドよりかは吹き飛んでいなかったクローズが合流する。

 

「あぁ、あたしらは無事だ。そっちは?」

 

「俺らも無事だ」

 

クリスの言葉にクローズが言う。

 

「あれが、俺を攻撃した元凶か・・・」

 

「ノイズじゃない・・・!?」

 

「スマッシュでもない・・・とは思うんだが、どうだ?」

 

「あんなスマッシュは見たことがない」

 

響は異形のシルエットに驚き、翼の質問にはビルドが首を振って答え、それぞれの武器を構えていつでも対処出来るように戦闘態勢に入る。

そしてようやく、煙が晴れた。

そこに居たのは---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一角獣のような角、それから神の如き金の翼と思わせるもの、さらには腰マントのようなものを着けていて、全体的に黒が多く、胸には三角形を反対にしたように見える形で、その頂点に白い丸いのが付いている未知の異形・・・いや、怪人が正しいだろう。

後ろの方にいる大量の怪人は、黒いライダースーツやパティシエのようなもの、武士のようなもの、様々な服を着ていて何処か角のようなものを付けてオレンジ色の顔をしている怪人。

 

「なっ・・・うそ、だろ・・・?」

 

「くそっ・・・!なんでこいつらが居る・・・!?」

 

その姿を見たクローズとビルドは、信じられないと言った風に驚愕を露わにして声を出す。

 

『生きとし生ける命よ。私こそが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。バグスターの運命を書き換え、全ての仮面ライダーを抹殺する者だ』

 

そう、この存在こそが『仮面ライダーエグゼイド』の『仮面ライダーライダークロニクル』というゲームのラスボスキャラ。全てのバグスターの頂点に立ち、全知全能の神である『ゲムデウス』だ。

そして、そんな彼の後ろにいるのがバグスターウイルスが具現化し、戦闘員となった『バグスター』であった―――

 

 




------(be the oneが流れるのとフルボトルが鳴る音)-----

次回の戦姫絶唱シンフォギア、戦姫とLOVE&PEACEを掲げる者 G編!

「アイツなんで攻撃して来ないんだ?」

「余裕ってことだろ。行くぞッ!」

現れた本来居ないはずのゲムデウスに立ち向かう仮面ライダーたち!












「何者だ!?」

「ノイズともスマッシュとも違う・・・けど、スマッシュみたいに強くて、戦兎さんたちはこんな敵と戦ってたんだ・・・」

「うわぁ!?なんだあいつは・・・!?」

次々と装者たちの前に現れる敵---















「アイツに託されたからには、簡単に負ける訳には行かねぇんだよ!!」

そして、ぶつかり合う全知全能の神と仮面ライダー。














「まぁそれで、だ。これが開発してたビルドの強化アイテムなんだが・・・」

「それは?」

戦兎が開発した新たな強化アイテムとは---?



















そして、新たな仮面ライダーが姿を現す!

次回、第二話『完全無敵のDr.GAMER!』

「---ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」


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第二話 完全無敵のDr.GAMER!


ぶっちゃけこの過去編は番外編に近い本編と思ってください 後々関わってくると思いますが・・・ってか考えてた内容と全く違うんだよ!なんでこうなったし!おのれ過去の俺!なにやってんだ!だ、大丈夫だ・・・この先はまだやり直せる(震え声)
ってかなんだこのタイトル詐欺感・・・でも今更変えれないのであながち間違ってないし突き進みます()
G編とか言ってる癖にG編じゃないの草生える。本編に絡むけどさぁ





戦兎「さて、仮面ライダービルドであり、天才物理学者の桐生戦兎はとある少女の護衛に着いていた!そして、その少女『セレナ』との出会いは中々に衝撃的で、それでいて『あのバグスター』が目の前に立ちはだかったのでした!」

???「・・・私たちは?」

???「まだデスか!?」

セレナ「あはは・・・なんだかすみません」

???「なるほど、一度本編に出たならセレナみたいになるのね・・・」

???「俺の設定・・・俺の設定・・・」

万丈「おい、こいつまだ言ってるぞ」

戦兎「まぁ、出てくるまでには設定決めるだろうから放っておいていいだろ」

未来「それにしても、かなり狭くなりましたね・・・」

戦兎「全員出ようものなら詰め詰めになるからな・・・ソーシャルディスタンスは大事だ」

万丈「そんなこと言ったってこっちでは関係ないんだけどな・・・」

???「こっちもこっちでやばいと思うのだけど・・・」

???「なんデス?あの予告の仮面ライダー!かっこいいデース!」

???「き・・・■ちゃん落ち着いて」

セレナ「・・・それ、意味無くないですか?」

未来「言わない約束だよ・・・ええと、とりあえずは本編どうぞ!」

万丈「今回は長いからな!」

戦兎「前回言った通り、二万文字超えで、あと二話ぐらいありそうだとか」




「おい、戦兎。あいつらってバグスター・・・だよな?」

 

「・・・ああ。葛城の研究データで見たことがある。『ゲムデウス』全知全能の神であり、『仮面ライダークロニクル』という人類の存亡を掛けた命懸けのサバイバルゲームの()()()()と書かれていた」

 

見たことのある姿にクローズがビルドに聞いて、ビルドは何処か思い出すかのようにそう答えていた。

 

「ゲムデウス?仮面ライダークロニクル?」

 

響はそれが分からず、きょとんと首を傾げる。響だけじゃなく翼とクリスも分かってないようだ。ゲーム、だということだけはわかったみたいだが。

 

()()()()()()()()の敵だ。仮面ライダークロニクルのラスボスであるゲムデウスは本来、クリア不可能だと言われているくらいに強く設定されていて、プレイヤーは伝説の力である『仮面ライダークロノス』の力を使って対抗するらしい」

 

「なんだ、そのルールが守られてないゲームは?」

 

「流石に俺は分からない。なんてもの生み出してくれたことやら・・・」

 

クリスの言葉に、ビルドがため息を吐く。

 

「とにかく、奴を倒せば消失事件は解決すると見ていいのか」

 

「なら倒すだけだな!」

 

「それは間違ってないんだが・・・そう簡単ならエグゼイドが苦戦するはずないでしょうが。響、行けるか?バグスターはウイルスだからノイズみたいなものだけど」

 

顔を手で覆ったビルドは、諦めたかのように首を横に振ってから、響を見つめて聞いていた。

それは人間相手に手を取り合おうとする響だからこそ聞いたのだろう。

 

「はい、大丈夫です!今も苦しんでる人がいるかもしれませんから・・・!」

 

「・・・だな」

 

「じゃ、あたしはここでコイツを守っておいた方がよさそうだな」

 

「俺も残った方がいいか?」

 

『セレナ』を見ながらクリスが言い、クローズが聞いていた。

それはイチイバルは本来、近接ではなく遠距離向きのギアだからだろう。寄せ付けない強さはあれど、逆に言えば近づかれるとミサイルなどの爆殺系は自身を巻き込むため、最終手段とでしか使えなくなるから手数は減る。

 

「いや、万丈は俺と一緒に戦って貰う。ゲムデウスはスパークリングやグレートクローズがある俺たちが相手した方がいい」

 

「なら、私と立花で周りの敵を倒すとしよう」

 

「出来る限り早く加勢しますね」

 

その言葉にビルドが頷き、クローズも納得したようにゲムデウスを見つめた。

その先にはまるで余裕を示すかのようにか、それとも傲慢しているのか分からないが、動かないゲムデウスの姿がある。

 

「アイツなんで攻撃して来ないんだ?」

 

「余裕ってことだろ。行くぞッ!」

 

ビルドがクローズの言葉に答え、ホップスプリンガーのバネを利用して跳躍。ゲムデウスにライダーキックを放った。

しかし、僅かにノックバックするだけで攻撃を受けたような様子はない。

それはビルドも予想通りだったのか、気にせずにゲムデウスを両手で掴みながらホップスプリンガーでバグスターたちの群れから引き離す。

 

「俺も続く!ここは任せたぞ!」

 

「はい!」

 

「心得た!」

 

「ああ、こっちはあたしらで対処だッ!」

 

クローズの言葉にそれぞれ返事をし、クローズはビルドの元へ、装者たちはそれぞれの得物を携え、バグスターの群れとまだ居るノイズを見つめた。

そして、頷き合った後に、歌いながら響と翼が群れに突っ込んでいく。クリスは自身のクロスボウで、今にも近づかんとする上空の鳥型ノイズに矢を放ち、響と翼はクリスが相手をするということを理解してるのか迷いなく突っ込んでノイズを炭素の塊に返して行く。

今の彼女らでは、普通のノイズでは相手にならない---

 

「ハアッ!」

 

千ノ落涙

 

翼が剣を上空に掲げる。すると、大量の剣を具現化し、上空から落下させて広範囲でバグスターの戦闘員が爆発した。

だが---

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふんっ!』

 

「何っ!?」

 

()()()()()攻撃が防がれたかと思うと斬撃が飛んできて、翼は避ける。

 

「何者だ!?」

 

『我が名は()()()()。バグスターであり、位は60段なり』

 

カイデンバグスター、胸部装甲に鬼の顔が付いた深編笠を被る虚無僧のような出で立ちをしている。翼は知らないが、『ギリギリチャンバラ』というゲームのデータを取り込んだバグスター怪人であり、その特徴は『一撃が命取りになる真剣チャンバラゲーム』というモノだ。

 

『お主は挑戦者と見受けられる。我が剣技は“一撃必殺”の刀技・・・いざ、勝負!』

 

「刀を持つバグスターとは、面白い・・・ならば、こちらも答えようッ!」

 

その言葉がきっかけとなり、二人はぶつかりあった---

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、響はバグスター相手に苦戦していた。

 

「いったぁい!?」

 

『ウイーン・・・ガタン』

 

否、正確には一人のバグスターに苦戦していた。右腕に強化アームがあり、胸部装甲を持つバグスター。名は『ガットン』。

響は知らないが、SFロボットバトルゲーム『ゲキトツロボッツ』というゲームのラスボス・ガットンをモチーフとしているバグスターである。

レベルは---50

 

『ウイーンウイーン』

 

「ッ!?」

 

痛みで手を振っていたが、迫ってきていた強化アームの攻撃を響は受け流し、拳を握り締めて殴り飛ばす。

しかし、少し離すことが出来ただけで、大きなダメージを受けた様子が見られない。

 

「ノイズともスマッシュとも違う・・・けど、スマッシュみたいに強くて、戦兎さんたちはこんな敵と戦ってたんだ・・・」

 

今更ながら、何処か納得したような表情で呟き、まだ平気そうに向かってくるガットンを見据え、構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!?ちくしょう!空飛ばれると鬱陶しいにも程があるだろ!?」

 

その一方で、クリスもクリスで一人のバグスターに苦戦している。

少女を抱えながら避けていくクリスの後ろには、飛んで追跡しているバーニアの胸部装甲と顔が戦闘機を模しているだけでなく、飛行強襲ユニットを搭載されている『バーニアバグスター』

もちろん、クリスは知らないがフライトシューティングゲーム『ジェットコンバット』のデータを取り込んだバグスターだ。

 

レベルは---40

 

「くそっ!」

 

自分自身も不利になると分かっているが、クリスはとりあえず森の中へと逃げ込む。

撃退するにしても、ミサイルやらを飛ばしてくるのだから少女を出来る限り安全な場所に置かなければならないからだろう。

視界が悪くなって見失ったバーニアは、索敵するためにコンバットゲーマーの形をした小型ユニットを呼び出した。

その間にも、クリスは少女を木の近くに持たれさせて、ガトリング砲の形へと変える。

 

「そこか!?」

 

そして、ガトリング砲を上空へ向けたクリスはガトリング砲で小型ユニットを落としていく。

 

BILLION MAIDEN

 

「ッ!?」

 

小型ユニットを落とすと、即座にクロスボウへと変え、飛んできたミサイルを全て空中で爆発させる。

それを確認したクリスはバーニアを睨むように見つめていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シビレール!』

 

「あばばばば!?」

 

正面から殴りかかろうとしたクローズだが、相手の魔法を直撃してしまって痺れていた。

 

「なんだよ、これ!?魔法かよ!?」

 

クローズはダメージを受けて下がったものの、突然痺れたため驚いていた。

 

「そう。これが我が魔法・・・シビレールだ!」

 

そう言ったクローズの相手の正体は『アランブラ』

ファンタジーRPG『タドルクエスト』のデータを取り込んでいて、そのゲームに登場する悪の大魔法使い『アランブラ』の姿をモチーフとしているバグスターだ。

全身が赤く、白い装束を身に纏ってフードを被っており、赤い魔法の杖を持っていることから分かる通りに魔法を得意とする。レベルは---5。

 

「だったら、やられる前にやればいいってことだろ!」

 

バカみたいな考えで、クローズがアランブラに向かっていく。当然、アランブラもわざわざ食らうことなどしないだろう。

 

『モエール!』

 

「オラァ!」

 

杖を向けたアランブラは魔法だと分かる言葉と一緒に杖から炎を出す。だが、クローズはそれを真正面から受け---アランブラを吹き飛ばした。

 

『バカな!?』

 

「どうだ!」

 

『ならば、コゴエール!』

 

すぐに立ち上がったアランブラが今度は凍結魔法を放つ。

 

「うおおおぉぉおぉおお!」

 

もはや避けることさえしないクローズが突っ込んで、アランブラに頭突きを与えて蹴り飛ばす。

 

『ぐあっ!?な、何故私の魔法が効かない!?』

 

「ああ?魔法がどうした!そんなの気合いだ!気合いが足んねぇんだよ!!」

 

バカみたいな理論を立てながらクローズはボルテックレバーを回した。

 

『Ready Go!』

 

『ぐっ・・・トマーレ!』

 

背後に出現したクローズドラゴン・ブレイズの吐く火炎に乗り、クローズが蒼炎を纏った右脚でボレーキックを放とうとする。

しかし、ギリギリのところで発動された魔法で動けなくなった。

 

「なんだ!?動けねぇ・・・!」

 

『相手の時間を止める魔法だ!今度こそ、我が伝説の魔法---』

 

「ぐぬぬぬぬぬぬ・・・」

 

無理矢理動こうとするクローズだが、あと少しというところで必殺技が届かないまま、アランブラが杖を向けた。

 

『食らえ!クダケチ---』

 

「ふんぬううううぅぅうううう!オリャアアアア!!」

 

ドラゴニックフィニッシュ!!

 

諦めずに動こうとしたクローズの動きが少し動き、音声が鳴るのと同時に完全に魔法を自らの手で破ったクローズのボレーキックが放たれる。

 

『な、なにぃ!?ぐああぁあぁああ!?』

 

自身の、それも相手を止める魔法を破られたことに驚いたアランブラは反応出来ずにボレーキックを受け、そのまま爆発した。

 

『GAME CLEAR!』

 

「よっしゃあ!」

 

そんな音声と文字が浮かび上がり、倒せたことにガッツポーズを取るクローズだが---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『超音速になるぜぇええぇぇえぇええええ!!』

 

後ろから跳んできたバイクに後頭部をぶつけられ、前に倒れた。

 

「いでええぇぇぇえええ!?な、なんだよ?次は!?」

 

思わず頭を抑えながら、クローズが立ち上がって周囲を見渡す。

そこには、バイクに乗って猛スピードで走っているバイクエンジンが擬人化したような姿がある。

ソイツの正体は『モータス』勝つためには何でもありのレースゲーム『爆走バイク』のデータを取り込み、そのゲームに登場するライバルレーサー『モータス』の姿をモチーフとしているバグスターだ。

レベルは---20

 

「あ、おい!待て!」

 

見れば、バイクに乗りながら何処かに走っていく姿が見えるため、クローズが走って追いかけていった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あまい!あまいぞ!』

 

『攻撃作戦開始!』

 

その一方で、ビルドは二人のバグスターを相手にして苦戦していた。

片方が全身が青く、白いハットとマントを着用しており、左腕にはナックルを武装している『ソルティバグスター』

そのソルティは、アクションゲーム『マイティアクションX』のデータを取り込んでおり、そのゲームに登場するボスキャラクターの姿をモチーフとしているバグスターだ。

 

もう一人のバグスターは、全身が手榴弾などの重火器で構成されたかのような姿をしている『リボルバグスター』

リボルは、ガンシューティングゲーム『バンバンシューティング』のデータを取り込んで実体化した戦闘のプロフェッショナルにして、『バンバンシューティング』に登場する敵部隊長・リボルの姿をモチーフとしているバグスターである。

レベルは互いに10だ。

 

「ぐっ・・・!だったら、これでどうだ!?」

 

ソルティが近距離と中距離で攻撃してきて、リボルとその部隊が遠距離からの攻撃。

相性が良かったのか近づいたらソルティの相手をしつつ攻撃を受ける羽目となり、逆に離れると遠距離からの攻撃で避けるので精一杯になる。

そのため、ビルドはダメージを受けながらボトルを即座に入れ替え、ボルテックレバーを回した。

 

「ビルドアップ!」

 

ゴリラモンド!イェイ・・・!』

 

『お前を塩漬けにしてやる!』

 

『突撃ーッ!』

 

「ハッ!」

 

ゴリラモンドへと変身したビルドが、さっきとは別で攻撃を意に返さず右腕のサドンデストロイヤーをソルティに叩きつけ、リボルたちを巻き込んで吹き飛ばした。

 

「さっきまで居なかったバグスターが生まれている・・・!ゲムデウスが生み出したのか!?」

 

しかし、ビルドが見た先にはバグスターの戦闘員たちが現れており、その後ろにゲムデウスが居た。そう、それはさっきと同じ状態で、引き離したのが無駄となっていた。

 

『ぐぅう・・・私を無視するとはしょっぱいぞ!!』

 

『作戦再開!殲滅する!』

 

「邪魔だッ!」

 

ReadyGo!

 

即座にビルドが向かってくる二人に対して、ボルテックレバーを回す。倒すつもりでやったのか、リボルとその部隊が放ってきた弾とソルティの雷撃に向かってビルドは左手を向けて受け止めた。

それだけで、それはダイヤモンドの物体へと変換される。

石ころのような、砕かれたようなダイヤモンドの欠片がビルドの目の前に集まり、ビルドはサドンデストロイヤーで叩きつけることによって石礫のように飛ばした。

 

VOLTEXFINISH!イエーイ!』

 

『なに!?』

 

『ぐあぁあああ!?』

 

自身の攻撃か無効化されたことにか、驚いた二人のバグスターとリボルの部隊はその攻撃をまともに受けてしまい、爆発した。

その後に、爆発した場所には『GAME CLEAR!』の音声と文字が浮き上がる。

 

「今度こそ、あいつを---ぐっ!?」

 

あっさりと二人のバグスターを倒したビルドはゲムデウスの方へ向かおうとし、吹き飛ばされる。

 

「今度はなんだよ!?」

 

『俺のスピードに追いつけるかァ!?』

 

吹き飛ばした正体は『モータス』で、バイクの速度を活かして吹き飛ばしたのだろう。

 

「あークソッ!バイクとかずりぃだろ!羽根か何かを俺にも寄越せよ!!」

 

「万丈!?・・・そういうことか!これ使え!」

 

走って来たからか、ぜぇぜぇ言ってるクローズに納得したように頷いたビルドはビルドフォンを取り出してライオンフルボトルを挿し込み、クローズに向かって投げ飛ばした。

 

『ビルドチェンジ!』

 

「おぉ・・・ナイスだ、戦兎!」

 

それを見たクローズは、目の前で変形したバイクに跨って、モータスを追っていく。

 

「今度は逃がさねぇぞ!」

 

『ビートクローザー!』

 

バイクでモータスを追いながらビルドドライバーのスナップライドビルダーから剣型の武器が生成され、クローズの手に渡る。

 

『おお?俺とレース勝負する気か!?負けないぜぇぇぇぇぇぇぇ!』

 

「やってやる!って危ねぇ!?」

 

バイクでクローズが後ろから追うが、爆発物を投擲くる、

慌てて左右に移動させて避けていくが、モータスの方が早いのか引き離されたままで追いつけそうになかった。

 

「ビルドアップ!」

 

サメバイク!イェーイ!』

 

そんな中、クローズの耳には何時ものように頼りになる相棒の声が聞こえ、後ろを見た。

そこにはサメバイクとなったビルドが、いつの間にか後ろから隣に来ていた。

 

「万丈、俺があいつの動きを止める。流石にこの形態では同じスピードを保つのは限界があるから一発勝負になるし・・・二度目は出来ない。それでも出来るか?」

 

「誰に言ってんだよ、当然だ!でも、どうやって止めるんだ?」

 

「そこはこの天ッ才に任せとけって」

 

クローズの言葉にそう返したビルドが、右肩の歯車状の装飾を光らせると共に複数のマシンビルダーを召喚し、自身も召喚した一つのマシンビルダーの上に立つ。

 

「さあ、実験を始めようか」

 

いつものセリフともにビルドが二つのフルボトルを取り出して振り始める。

それは、黄色と空色のフルボトル。『キリン』と『扇風機』だ。

成分を活性化させると、キャップを締めてベルトに装填した。

 

キリン!扇風機!ベストマッチ!

 

音声が鳴ると、ビルドがボルテックレバーを回す。

その瞬間、二つのアーマーがビルドの前後に形成される。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

いつも通りに言うと、前後のアーマーがビルドの体を挟み、蒸気とともに新たな形態へと変わる。

 

嵐を呼ぶ巨塔!キリンサイクロン!イエーイ!』

 

現れたビルドの姿は左の複眼がキリンを模しており、キリンの頭部がアンテナ風になっている。特徴的なのは右腕のキリネックブレイカーがキリンの頭を模しているところだろう。

そして、反対側の右の複眼は扇風機を模しており、扇風機の羽がアンテナ風になっている。特徴的なのはやはり左腕で、巨大なファンが付いている。

その形態の名は『仮面ライダービルド キリンサイクロンフォーム』

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

右手で扇風機側の複眼をなぞるようにして、親指と中指で輪っかを作り、手を開いた後にビルドはボルテックレバーをもう一度回す。

 

Ready Go!

 

即座に先程作ったマシンビルダーに向かって、左腕の巨大なファンから突風を起こして速度を上げながら、出来る限り纏める。そして、右腕からキリンの首を模した巨大なエネルギーを出現させ、立っているマシンビルダーから後ろに飛んで降りるのと同時にさっきまで乗っていたマシンビルダーにエネルギーをぶつけて一気に吹っ飛ばした。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!』

 

「ほら、行ってこい!」

 

「は?ちょ、おぉぉぉおおおおおおぉぉおぉおいいいい!!?」

 

それと同時に、ビルドはクローズに向かってもエネルギーをぶつけつつ、突風を送った。

そのせいでバイクに乗った状態でクローズが吹き飛んで行くが、そのお陰もあってモータスに追いついていた。

さらに、先程エネルギーをぶつけて吹っ飛ばしたマシンビルダーはモータスに向かって飛んでいき、モータスが乗っていたバイクに連続で当たることで破壊する。

 

『ま、マイフレンドォォォオオオ!?』

 

その際の爆発で、モータスが上空に吹き飛ぶ。その先には---

 

『スペシャルチューン!』

 

クローズが居た。バイクに乗ったままのクローズが、ビートクローザーの鍔の中央にあるフルボトルスロットにロックフルボトルを装填する。

 

『ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!』

 

そして、三回グリップエンドを引っ張ると、剣のトリガーを押した。

 

メガスラッシュ!

 

音声が鳴る。

そして、ビートクローザーの刀身が蒼炎を纏い、そのままクローズはバイクで通り過ぎるのと同時に鍵型のエネルギーで一閃。バイクが地上へと落ち、振り向きながらブレーキで止まった後には、上空でモータスが爆発した。

 

『GAME CLEAR!』

 

と、再び音声が聞こえ、上空に文字として現れる。

 

「よし」

 

「これで終わりだな!後は---」

 

それを確認したビルドが頷き、クローズと同じタイミングで横を見る。

そこには、未だにバグスターの群れの中にいるゲムデウスが居た。

 

「あいつだよな?」

 

「あぁ、響たちが心配だが・・・俺たちはアイツを倒すしかないな」

 

そう言ったビルドの姿が、ニンニンコミックへと変わる。

 

「行けるか?」

 

「おう。まだまだ行ける!」

 

「よし・・・なら次はゲムデウスを倒すッ!」

 

4コマ忍法刀を手に、ビルドが突っ込んでいく。クローズはそのままバイクで突撃し、歯車型のパーツから回転光刃を展開してバグスター戦闘員を引いていく。

一方で、ビルドは分身の術で六人に分身。そのまま斬り伏せていた。

 

「喰らえッ!」

 

その間に、ゲムデウスへの道を開いたクローズがバイクで引こうと突っ込む。

 

『フンッ!』

 

ゲムデウスの胸部に『ガットン』の顔を模した模様が浮かび上がったかと思うと、右腕を突き出してバイクごとクローズを吹き飛ばした。

 

「なっ!?」

 

「万丈!?だったら俺が・・・!」

 

バイクから落ちながら吹き飛んだクローズの姿を見たビルドが、バグスターの戦闘員を纏めて倒したあと、分身と一緒にゲムデウスに向かう。

 

『参る』

 

今度は武器としての宝剣『デウスラッシャー』を手にしたゲムデウスの胸部に『カイデン』と『グラファイト』の顔を模した模様が浮かび上がり、向かってくるビルドを連続で4コマ忍法刀の上から斬りつけ、分身が消えた後には斬撃を出してビルドの本体が斬撃によって一緒に吹き飛ばされる。

 

「ぐうぅっ!?こいつがラスボス・・・ゲムデウスの力・・・!」

 

「強え・・・こうなったら必殺技でやるしかねぇ!」

 

「なら、動きを止めてから一気にやるぞ!」

 

紫と白のフルボトルを新たに手にしたビルドが立ち上がり、フルボトルを二つ同時に装填し、ボルテックレバーを回した。

 

スパイダー!冷蔵庫!ベストマッチ!

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

即座に前後に紫と白のアーマーだけが現れ、迷うことなくクロスするようにして両腕を下げた。

その瞬間、アーマーが重なり、新たな形態へと変化する。

 

冷却のトラップマスター!スパイダークーラー!イェーイ!』

 

新たな姿へと変わったビルド。その見た目は左の複眼は蜘蛛の巣を模しており、その一角がアンテナ風になっている姿で、右肩から胸にかけてが1匹の蜘蛛の形をしていた。

反対側は複眼は冷蔵庫を模しており、そのままアンテナ風になっている姿で、肩も冷蔵庫型の形態。

『仮面ライダービルド スパイダークーラーフォーム』だ。

 

Ready Go!

 

「ハァッ!」

 

即座に技の発動のためにレバーを回し、スパイダーの能力で蜘蛛の巣を作り、ゲムデウスを捕まえる。

 

『む?』

 

効いた様子を見せないゲムデウスだが、それだけでは終わらずに冷蔵庫の能力で蜘蛛の巣ごとゲムデウスを凍らせた。

 

「万丈!」

 

「分かってる!行くぜ、戦兎ッ!」

 

『Ready Go!』

 

ラビットタンクになったビルドと、クローズは同時にレバーを回した。ビルドは左脚に青いエネルギーを見に纏い、クローズは右脚に蒼炎を身に纏う。

 

「「ハァアアァァアアァァアアアッ!」」

 

それは、仮面ライダー二人によるダブルライダーキック。

一人では倒せない時でも、仲間たちとの協力で悪を貫いてきた正義の蹴り。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!』

 

ドラゴニックフィニッシュ!

 

だが凍っていたはずのゲムデウスが動き、氷が砕けるのと同時に二人のライダーキックを受けるが、それは伸縮可能な攻防一体の宝盾『デウスランパート』と呼ばれる盾でガードされていた。

 

「なんだと!?」

 

「効いてねぇ!?」

 

『伝説の魔法を食らえ』

 

ビルドとクローズが驚いてる間にも、剣を上空へと掲げたゲムデウスの胸部に『アランブラ』の顔が模された模様が浮かんだ。

 

『クダケチール!』

 

「やべっ!?」

 

「なっ!?」

 

ライダーキックの体勢のままだったビルドとクローズの頭上に魔法陣が展開された。それに気づいた二人は避けようとするものの、それよりも早くゲムデウスが魔法陣から炎と雷を纏った氷の塊の召喚し、ビルドとクローズに叩きつけて爆砕した。

 

「「ぐああぁああああっ!?」」

 

当然、避ける時間がなかった二人は直撃してしまい、吹き飛んで転がっていく。

 

「くそっ・・・!平気か、万丈・・・!」

 

「うっ・・・な、なんとかな。クソ強えぇ・・・」

 

うつ伏せに倒れるビルドと、変身が解除されてうつ伏せに倒れている万丈の姿がある。

戦兎が変身解除されなかった理由としては、ラビットの能力で僅かに直撃を避けたからだ。それでも、ダメージがでかいのか立ち上がろうとして膝を着いていた。

 

「どうする・・・!?フルフルは使えないし、ジーニアスはない・・・!それに、ベストマッチが通用しない・・・!」

 

ビルドの目の前には、余裕綽々と立っているゲムデウスの姿がある。

 

「だったら戦兎、これを・・・!」

 

そう言った万丈が痛みに堪えながらビルドに渡したものは、青いフルボトルである『ドラゴンフルボトル』そして、金色のフルボトル『ロックフルボトル』だ。

 

「っ・・・通用するか分からねぇけど、使わせて貰うぞ・・・!」

 

それを受け取ったビルドは、今にも崩れてしまいそうな膝を叩き、無理矢理立ち上がった。

そして、フルボトルを入れ替える。

 

ドラゴン!ロック!ベストマッチ!

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップッ!!」

 

レバーを回したビルドの前後に現れたのは、クローズと同じドラゴンのハーフボディ、そしてまるで強力な力を封印するためのキーのハーフボディ。

 

封印のファンダジスタ!キードラゴン!イエーイ!』

 

現れたビルドは、左の複眼はドラゴンの横顔を模しており、角がアンテナ風になっている姿。特徴的なのは右腕の白い刃だろうか。

そして、反対側である右の複眼は、南京錠を模しており、掛け金がアンテナ風になっている姿で、左腕は鍵を模した「バインドマスターキー」になっており、肩部と鎖で繋がっている姿。

そう、この姿こそが他のベストマッチフォームよりも非常にパワーが強い形態。『仮面ライダービルド キードラゴンフォーム』だ。

 

『ビートクローザー!』

 

「こいつならどうだ!?」

 

即座にビートクローザーを手にしたビルドが、ゲムデウスに肉薄する。そして、ビートクローザーを振るとゲムデウスは受け流すように盾で剣を逸らし、剣を使ってビルドを斬ろうとする。

それをビルドが左腕の鍵で受け止め、右腕の白い刃で切り裂き、連続でビートクローザーを叩きつける。

 

「これでも効いてないのかよ!?」

 

それでも、ダメージを被った様子を見せないゲムデウスにビルドは驚きを隠せないまま、慌てて横に転がった。

すると、さっき居た位置には剣が刺さっているためにあのままだったら直撃していただろう。

 

「しかもこっちは食らったらダメってか・・・!」

 

僅かに焦りながら、ビルドはビートクローザーで斬り付けようとする。それをゲムデウスが弾き、大きく仰け反ったビルドの腹にゲムデウスが剣を添え、思い切り斬り裂く。

 

「がっ!?・・・ッ!」

 

大ダメージを受け、ビートクローザーから手を離しながら倒れるビルド。しかし、すぐに立ち上がると、武器を拾わずに蒼炎を纏って殴りかかる。ガードしようとしていたゲムデウスの盾を鍵で弾き、何度も何度も蒼炎を纏って右手で殴りまくる。

 

「ぐっ・・・がああっ!?」

 

だけども、キードラゴンは元々強すぎるドラゴンの力をロックフルボトルによって抑制している形態。もとよりダメージを受けすぎていたのもあって早くにも限界を迎えようとしていた。

それに気づいたのか、離れるように後ろに飛びながらビルドがレバーを回す。

 

Ready Go!

 

「これで決める・・・!」

 

『無意味なことを・・・』

 

右手に強力な火炎弾を出し、ビルドの鎖がゲムデウスを拘束する。そんな状態でもゲムデウスは余裕そうに体を動かし、剣に金色と黒のオーラを身にまとっていた。

 

「ハアッ!」

 

『フンッ』

 

火炎弾と斬撃がぶつかり、大きな爆発を起こし---

 

 

 

 

 

 

 

 

『なに・・・!?』

 

「アイツに託されたからには、簡単に負ける訳には行かねぇんだよ!!」

 

初めて驚いたような様子をゲムデウスが見せ---超近距離で放たれた火炎弾が爆発した。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!』

 

「ぐあっ!?」

 

当然、それは()()とも言える攻撃。爆風で吹き飛んだビルドは転がって倒れる。

 

「戦兎!?おい、大丈夫か!?」

 

見ていた万丈は、立ち上がるまで回復していたのか駆け寄っていた。

 

「いてて・・・これで大丈夫と思えるならお前の頭がバカってことだよ・・・」

 

「・・・ったく。なんだよそれ?」

 

「言葉の通りだ」

 

「はぁ?」

 

膝を立てながら起き上がったビルドに、万丈ははてなマークを浮かばせていた。

 

「それより、あいつは?倒せたのか?」

 

「・・・分からない。手応えは感じたが、これで倒せたならいいんだけどな」

 

起き上がりながら、ビルドは爆発で隠れているゲムデウスが居た方を見つめる。

暫しして、煙炎が風によって流され---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やはり『()()()()()』達と同じ()()()()()()ということか・・・』

 

ゲムデウスは多少の傷はあるものの、大して効いた様子がなかった。

 

「あれでも効いてねぇのか・・・!?」

 

「やはりフルフルがないと・・・でも、少しでも効いてるならやりようはある!」

 

ビルドがそのままゲムデウスに向かっていき---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ!?」

 

()()()()()()()

そして、即座に起き上がった瞬間には横から連続で斬られ、上空からの爆発による攻撃を受けて吹き飛んだ。

 

「があああぁぁああ!?」

 

『超絶奥義 紅蓮爆龍剣』

 

さらに、ビルドに向かってヘビの如くうねって、突撃する炎の流れを放つ攻撃が飛んでくる。

 

「な---っ!?」

 

立ち上がろうとしたビルドは、全身から炎で燃え始め、青い雷撃に包まれて動けなくなり、攻撃が直撃した。

 

「がっ・・・ぐぅ・・・!!」

 

粒子が周囲に消散し、ビルドの変身が解除されてベルトに刺さっているフルボトルが落ちる。

万丈が駆け寄り、フルボトルを取りながら驚く。

 

「新しい敵!?」

 

「くそっ・・・!いつの間に他の奴らも集まっていた!?」

 

そこには、カイデン、ガットン、バーニアがゲムデウスの近くにいた。

 

『排除完了』

 

『我は不意打ちは好きではないのだが・・・仕方あるまい』

 

『仮面ライダーを今度こそ抹殺する・・・紅蓮爆龍剣』

 

そして、再び戦兎を変身解除させた攻撃が生身の戦兎と万丈に向かっていく。

 

「まっずい・・・!逃げろ!」

 

「んなのできるかよ!間に合わねぇ・・・!」

 

未だにダメージが残って動けない戦兎が万丈に言うが、万丈は断ってすぐに変身しようとする。しかし、間に合わずに二人は---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させるものか!もう二度と仲間を失うわけにはいかないッ!」

 

「特盛だッ!!」

 

蒼ノ一閃

 

MEGA DETH PARTY

 

飛んできた大量のガトリングとミサイル、それと斬撃が紅蓮爆龍剣の斬撃と拮抗する。

 

「戦兎さん!龍我さん!」

 

その間に、響が戦兎と万丈の傍に着地して二人を抱えて離れた。

瞬間、大爆発が起こった。

 

「お前ら・・・無事だったのか!?」

 

「あ、あぶねぇ・・・助かった!」

 

戦兎と万丈は離された場所で降ろされると、装者たちと合流する。

戦兎は装者たちを見て驚き、万丈は安堵していた。

 

「ったりめーだ!あたしらをなんだと思ってんだよ?」

 

「といっても、私たちは追ってきただけなんだがな」

 

「そしたら戦兎さんたちが変身解かれててピンチだったので、なんとか間に合ったんです」

 

クリス、翼、響の順でそれぞれ言葉を口にする。

 

「そうか・・・とりあえず、ありがとうな。何を追ってきた・・・いや、あのバグスターたちか?」

 

感謝の言葉を口にしたあと、戦兎は響たちに聞いた。

 

「はい、それが最初は相手してたんですけど・・・」

 

「突然逃げ出したかと思って追ってこれば---」

 

「ゲムデウスってやつのとこに集合してたってわけだな」

 

「あーやっぱりお前らの方にもバグスター居たんだな」

 

「龍我たちのとこにも居たのか?」

 

「ああ。そっちはすぐに倒したんだけど・・・」

 

説明を聞いていた万丈が口を挟み、クリスの言葉に頷きながらゲムデウスが居るであろう場所を見つめる。

 

「まぁ、ゲムデウスにあっさり負けて勝てなかったってこと。・・・あいつは他のバグスターとは次元が違うぞ」

 

「戦兎さんたちがあっさりやられるなんて・・・」

 

「・・・二人でも勝てないとは、まさに化け物を超える神か」

 

「おい、それは俺らのこと化け物って言ってるようなものだからな」

 

さらっと言われたことに戦兎が突っ込む。

実際のとこ、今のハザードレベルが高い二人でも全く勝てない時点で中々の化け物である。それもキードラゴンでさえ勝てなかった相手。

 

「んで、どうすんだよ。あのバグスターたちも強かったぞ」

 

「戦兎、何かあるか?」

 

クリスと万丈が、戦兎に向かって聞いていた。

 

「・・・結論から言うと、もしかしたらスパークリングとグレートクローズになっても勝てないかもしれない。必殺技をぶつけたが、あいつにまともにダメージが入ったように見えたのは不意打ちとなったキードラゴンの技だけだ」

 

苦虫を噛み潰したような表情で、戦兎が告げる。

 

「そ、それって・・・やばくないですか?」

 

「やばいな」

 

「とんでもねぇやつだからな・・・あいつ」

 

響の言葉に、戦った二人は言う。

 

「そういえばクリス、お前あの少女は?」

 

「ん?ああ・・・二課のやつらが回収したのを見てから来たから問題ねえよ」

 

「そうか・・・それなら良かった」

 

クリスの言葉を聞いて、ひとまず戦兎は安心する。万丈も気にはなってたのか同じく安心していた。

 

「結局、どうやって相手をする?あのまま放っておくというのは防人として私自身するわけには・・・」

 

「それは俺もだ。負けたままってのも癪だしどれだけの被害が出るかどうか・・・」

 

「・・・それはこの場の全員がそうだと思うぞ。・・・はぁ、仕方がねえか」

 

「戦兎さん、何か策でもあるんですか?」

 

溜息をつきながら立ち上がった戦兎に響が聞いていた。

 

「もしもって時に作ってたものがある」

 

「じゃあ、それ使えばいいじゃねえか」

 

「そう簡単に出来るならさっき使ってるよ、バカ」

 

「ああ!?」

 

「龍我落ち着けって。今はそんな場合じゃないだろ?」

 

「あはは・・・」

 

「二人らしいな」

 

いつも通りの二人に思わず苦笑いする響と翼。そして、今にも口喧嘩に発展しそうな万丈を宥めるクリスだった。

 

「まぁそれで、だ。これが開発してた物なんだが・・・」

 

そう言った戦兎が、胸ポケットからあるアイテムを出した。

それは、フルボトル。エンプティフルボトルのようだが、黒が入り混じった灰色に染まっているフルボトルだ。

そして、もう一つ取り出したのは何処か分厚い本型のような形をし、ひとつのボタンが付けられている。だが、まるで何も映さないかのように色を失ったような灰色のモノ。

 

「それは?」

 

「分からない」

 

「は?」

 

「え?」

 

「はあ?」

 

「へっ?」

 

「・・・」

 

万丈が聞いた言葉にそう答える戦兎。

上から万丈、翼、クリス、響である。周りの反応に、戦兎は無言となった。

 

「ちょ、分からないってなんだよ!?お前が作ったんだろ!?」

 

「仕方がないだろ!こっちのアイテムはフルボトルを使うアイテムとして作ったけど、それに使うフルボトルはあのよく分からないスマッシュのモノなんだから!」

 

「え、ええと・・・その使う方のアイテムは?」

 

言い合いになりそうなために、とりあえず疑問に思ったことを響が聞く。

 

「ああ・・・これはフルボトルを挿すやつ。一応二スロットあるんだが、ひとつのフルボトルでも問題ないようにしてる」

 

戦兎がそう言って、本型のスイッチを押すと、本が左に開いてフルボトルスロットが出てくる。そして、再び押すと閉じた。

 

「なら、それを使うことで新しい力を使えるということ。しかし・・・」

 

「どうなるか分からないってことか・・・?」

 

「ご名答。試してないから実験もなしの実戦投入だ。しかも二つに出来るように作ったとはいえ、フルボトルが一本しかない。閉じてる場合だと成分量を二倍に出来るようにしてるから問題ないんだけど・・・」

 

翼とクリスの言葉に頷いた戦兎が説明する。

 

「確かに起動出来るのかも不安だな・・・俺は使えないのか?」

 

「これはビルドが使うことを想定してたからな。第一、お前にはクローズシンガーあったし」

 

「じゃあ俺は無理か・・・」

 

「でも、それじゃあ結局手がないってことになりませんか?」

 

「これを使うしかないんだ。これが使えなかったら、手がないってことになる・・・どちらにせよ、向こうは待ってくれないらしいしな」

 

そう言った戦兎は、アイテムを手にしたまま前方を睨むようにして見つめた。

戦兎の言葉に視線を全員が向けると、三人のバグスターが向かってきて、ゲムデウスはゆっくりとだが、確実に向かってきていた。

 

「悪いが、俺はこれを使うまで戦えない。時間稼ぎは頼んだ」

 

「仕方がねえか・・・ゲムデウスはもしもがあるなら俺が時間を稼ぐ」

 

「じゃあ私たちは先程と同じで・・・」

 

「だが、バグスターも油断ならない」

 

「あたしらも手伝いたいけど増援は期待するなよ?」

 

「分かった。無理はするな」

 

それぞれすることを決めたようで、戦兎が頷いて忠告する。

 

「・・・あんたに言われたくないな」

 

「同感だ」

 

「本当ですよ、今度こそ無理したら流石に私も怒りますからね?」

 

「それ今言うかな!?というか、響だけは俺の事言えないと思うぞ!?」

 

しかし、返ってきた言葉は戦兎をボロクソに言うことだった。

 

「お前は前回無茶したからな。事後自得だろ」

 

「自業自得な」

 

「・・・そうとも言うよな」

 

「言わねえよ!」

 

安定の万丈に、戦兎が突っ込みつつがっくりと項垂れる。

 

「はあ・・・とにかく頼んだ!」

 

気を取り直すようにそう言うと、全員が頷いた。

 

ラビットタンク!イエーイ!』

 

Get CROSS-Z DRAGON!

 

戦兎と万丈は再変身し、装者たちは各々の武器を構える。

 

「さあ・・・実験の時間だ」

 

その言葉が皮切りとなったのか、装者たちはバグスターに向かっていく。翼がカイデン相手に鍔迫り合いに持ち込み、響はガットンと拳をぶつけ合い、クリスがクロスボウでバーニアを飛ばさないように妨害する。

一方で、ゲムデウスは悠然とこちらへと歩んでいた。それを見ながら、ビルドは本型のアイテムにフルボトルを装填し、ベルトへと装着した。

 

『--- ■■■■■!!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

レバーを回した瞬間、ビルドの前後にアーマーが---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がああぁぁああああ!?」

 

形成されず、青い稲妻のようなものが全身を包み、倒れる。

 

「戦兎!?」

 

「戦兎さん!?」

 

分かってたとはいえ突然の叫び声に反応し、響たちが思わずビルドを見た。

 

「っ・・・俺は大丈夫だ!自分たちの相手に集中しろ!」

 

ビルドが大声を出すと、僅かに気にする様子を見せながらも相手に集中することにしたらしく、装者たちはバグスターとなんとか互角に渡り合っていた。

 

「平気か?」

 

「ああ・・・もう一度だッ!」

 

クローズに支えられながら立ち上がったビルドが再びレバーを回す。

 

『Are You Ready?』

 

「ぐううっ!?」

 

しかし、それでも何も形成されず、再び雷撃を受けて膝を着く。

 

「おい、本当に使えるんだよな!?」

 

「設計した通りなら使えるはず・・・!足らないのはおそらくフルボトルと・・・俺か?」

 

クローズが聞いてきたことに、ビルドはそう答えながら変身出来ないことに疑問を感じてそう呟く。

 

「けど、どうやったら---」

 

「戦兎。とりあえず俺が時間を稼ぐからお前はお前でなんとかしろ!」

 

「万丈・・・!っ・・・頼んだ!」

 

クローズがゲムデウスに突っ込んでいく姿を後ろで見ながら、ビルドは再びレバーを回す。

だが、返ってくるものは雷撃のみで、アーマーが形成されない。

それをビルドは何度も繰り返し---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ・・・何故、何故出来ない?いや、もしかして---」

 

膝を着きながらも、思考したビルドはひとつの結論を思いつく。

 

「うおっ!?」

 

「俺のハザードレベルか!?」

 

「ああ!?」

 

その言葉を呟いた時には既にクローズがビルドの傍まで吹き飛んできていて、突然のことに理解出来ないでいた。

 

「さっき自分で言った足りないモノはフルボトルと俺・・・そしてこのフルボトルは浄化済み。()()()()()()()7()になった仮面ライダーのフルボトルは変化を遂げる・・・だとするならば俺のハザードレベルがまだ7に達してなかったということか!?いや、変化など関係なくハザードレベルが足りないだけでハザードレベル7じゃないと扱えないのか・・・?」

 

過去に一度経験したことのある出来事をビルドは思い出しながら、そんな結論に至っていた。彼の脳裏に浮かんだのは憎しみを宿したままジーニアスフルボトルを起動しようとした時のこと。

あの時は憎しみを宿して変身しようとして出来なかった。ならば、今度は覚悟や、想い、感情などではなく単純なハザードレベルが原因なんじゃないか、そう思ったのだろう。

 

「おい、じゃあどうすんだよ!?今の俺たちのハザードレベルは簡単には上がらねえだろ!?」

 

「あー・・・せめて()()()見たくフォニックゲインが集まってそれの影響で・・・いや、響たちの歌を使えば或いは・・・?でも、ジーニアスフルボトルが使えない状況でそれは危険だ。まだ()()も完全に扱えない響たちにはキツすぎる・・・だったらハザードを?でもこの状況で使えば危険過ぎる!せめてスプレンダーになれたら問題ないけどあれは()()()()()()()()()()()()()()()()し・・・ん?いや待てよ・・・?そうだ!」

 

クローズの言葉でさえ聞こえてないのか、ブツブツと独り言を言っていたビルドが突如大きな声を出した。

 

「うおぉおお!?な、なんだ?」

 

おーい、と目の前で手を振っていたクローズを叩きながら、ビルドがクローズを見つめた。

 

「万丈、俺が必殺技を使ったらお前が俺に向かって放ってくれ。お前が鍵だ」

 

「は?」

 

いきなり何言ってるんだ?見たいな感じでビルドを見つめるクローズ。

当然だろう。いきなり仲間を攻撃しろと言ってるのだから。

それも、同じハザードレベルの仮面ライダーの攻撃は変身解除させてしまう可能性が高いのに、必殺技でやれと言うのだから。

 

「クローズシンガーだよ!お前まだなれるだろ?あれなら多分起動させられる!あとは俺のハザードレベル次第だが・・・ぶっちゃけ体は後二回くらいで限界だ。賭けに出てみる価値はあると思う」

 

「い、いやそう言われてもな・・・あれ結構消耗するから今の俺じゃ一回が限界だし下手すれば戦闘に参加出来なくなるぞ?」

 

「このまま互いにやられるよりかはマシだ。賭けって言ったけど実はと言うとクローズシンガーだと可能性が高いんだよ・・・あれはクリスの歌に反応する形態で、フルボトルはイチイバルだ。それのせいか、クリスのフォニックゲインがあるからな。ちょうどクリスがいるからその力も発動するはずだ」

 

互いにゲムデウスの攻撃によるダメージで肉体は限界に近く、自らの推測を立てながらビルドはクローズを説得する。

 

「・・・確かに限界が近いのも確かだよな。仕方がねぇ・・・お前がそう言うなら信じてやる。けど、絶対成功させろよ!?」

 

「ああ、任せろ」

 

クローズの言葉に力強く頷き、ビルドは挿していたボトルをラビットとタンクへと戻し、クローズは赤いフルボトルを取り出してクローズドラゴンに挿入していた。

瞬間、クローズは烈火の如く真っ赤に染まったクローズドラゴンの起動ボタンである『ドラゴンソングスターター』を押した。

 

熱唱邀撃ィ!

 

起動音声が歌のようなBGMとともに鳴り、クローズはそのままビルドドライバーに装填する。

 

CROSS-Z SHINGER!

 

『Are You Ready?』

 

「変身ッ!」

 

即座にボルテックレバーを回せば、スナップライドビルダーから四方を囲むようして新たな真っ赤に染まった前後に二つのアーマーと左にクリスのイチイバルと同じような物質で出来ており、半分になっている真っ赤な『ドラゴライブレイザー』と右にも同じモノを形成する。

そのまま即座に前後のアーマーから重なり、赤いドラゴンボディを着たビルドのようになれば、両隣のスナップライドビルダーが後ろへ移行し、覆うように同時に重なる。

 

REMEMBER A SONG AND SING ENTHUSIASTICALLY CROSS-SHINGER!

 

ズドォン!バゴン!ドゴォオオォオォォォォオン!

 

「戦兎、タイミングは!?」

 

「お前に任せる!」

 

Ready Go!

 

変身を完了させたクローズが聞くが、ビルドはそう言ってゲムデウスに走りながら必殺技発動のためのレバーを回した。

 

「あっ!?そんなの言われても分かんねぇよ!?」

 

『クローズソングブラスター!』

 

『Blaster mode!』

 

「ったく・・・勘でやるしかねえ!」

 

ビルドがジャンプするのと同時に、現れたグラフがゲムデウスを拘束する。平気で動くゲムデウスに特に慌てることも無くビルドはY軸のグラフに沿うように飛んでいた。

それはまるで、相棒を信じてるかのように。

その姿を見たクローズはブラスターモードで武器を取り出し、レバーを一度回す。

 

『ワンソング!』

 

『Ready Go!』

 

リミックスシュート!

 

それだけじゃなく、倒れているスコープの後ろ部分にあるフルボトルスロットにクローズドラゴンから抜いたイチイバルソングフルボトルを挿し込んだ。

 

イチイバル!

 

『レッツソングゥ!』

 

ブラスターモードのクローズソングブラスターに赤と青色の炎の粒子エネルギーが銃口に収束する。

そして、クローズはトリガーを押した。

 

『ソォングコンバージェンスフィニッシュ!!!』

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!』

 

放たれたのは、巨大なドラゴン。赤い龍と青い龍二体の双龍が全知全能の存在へとライダーキックを放つビルドを包み込む。

一方で、ゲムデウスは金色と黒のオーラを身に纏って剣で対抗していた。

 

「ぐうあ・・・ァアァアアアアァアッ!!」

 

『Are You Ready?』

 

「ハアアァァアッ!」

 

しばらくの拮抗の後に、いつの間にか灰色のアイテムが取り付けられていたビルドのライダーキックに寄る威力が増していき---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲムデウスを吹き飛ばした。

 

『ぐぬぅ・・・!?』

 

「うおっ!?」

 

そして、着地した瞬間にはビルドに纏われていた赤と青のエネルギーが金色と銀色に変化し、とてつもない光を放ちながら灰色の本型のアイテムに収束され---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フルボトルだけが上空に弾け飛んだ。

 

「ちょ!?」

 

予想外のことに、流石に驚いたビルドは回収しようとするが、何処からともなく飛んできたミサイルに気づいて上空に飛ぶことでフルボトルを回収しながら避ける。

 

『やはり・・・仮面ライダーは危険因子・・・抹殺するべき存在・・・』

 

「ゲムデウス・・・!」

 

ビルドは倒れたまま遠くからミサイルを放ってきたゲムデウスを睨むように見ながらクローズの方へ向かうと、クローズシンガーから通常のクローズへと戻っていた。

 

「大丈夫か、万丈」

 

「ああ。戻ったけどまだ動けるみたいだ。ボトルは?」

 

「完成したと思う。どうよ、さっすが俺!」

 

そう言って、ビルドはフルボトルを見せる。それは、ピンク色のフルボトル。

 

「戦兎さあぁああん!」

 

「ん?って響ぃ!?」

 

すると、どこからともなく吹き飛んできた響に巻き込まれ、ビルドが吹っ飛んだ。

 

『脅威レベルAからSへ移行。優先ターゲットを仮面ライダービルドに指定』

 

『ふむ、中々に手強い・・・ッ』

 

「結局戻ってきてしまったか・・・!」

 

「あと二体なのにッ!」

 

互角に渡り合っていたようだが、歌の力のお陰か僅かに押していたらしい装者たちがクローズへと合流していた。

・・・一人飛ばされて、一人巻き込まれた者が居たが。

 

「お、無事だったのか!あれ、空飛んでたやつは?」

 

「それは私と雪音のコンビネーションで一気に倒したのだが・・・あの二人が中々に手強い。刀を持つものはしっかりと技術もあるし、一撃一撃がまるで死を錯覚させられる」

 

「あのロボみてぇのはあのバカが力負けしたくらいだ」

 

ちっ、と舌打ちしながらクリスは警戒していた。

 

「ん?そういえば立花と桐生は?立花はここら辺に落ちてきたと思ったのだが・・・二人とも居ない・・・?」

 

「戦兎は響に巻き込まれて吹っ飛んだ。今思えばなんで飛んできたんだ、あいつ?」

 

「ああ・・・それは---」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フルボトルを完成させようと、ビルドたちが頑張っていた頃、装者たちは---

 

『見事・・・しかし、まだ届かんぞ!』

 

「くっ・・・!やはり、しっかりと技術がある・・・!」

 

剣と刀で、ほぼ互角の勝負を繰り広げる翼とカイデン。歌の力で上がっている翼に追いつけるカイデンが凄いと言うべきなのか、カイデンに追いついている翼が凄いと言うべきなのか分からない状況である。

しかし、よく見てみるとだんだんと翼の方が押されており、大振りの攻撃でかなり後ろまで下がらされていた。

 

「翼さん、このままじゃ・・・」

 

「ええ。せめてあいつをどうにか出来れば・・・」

 

すると、ガットンと殴り合いをしていた響が近くに来ていて、同じことを思ってたのか翼も頷いて上空を見ていた。

 

そこには、ひたすら地上にミサイルとガトリングを放っているバーニアの姿がある。

そして、その下にはクリスが避けながらも反撃してるが上空と地上では部が悪いのか押され気味だ。

 

「どうにか落とせませんか?」

 

「出来ればしたい・・・が、あの二体が邪魔で出来そうにない」

 

「じゃあ、私じゃ多分無理なので、こっちの二体は私が受け持ちます。翼さんはアレを落としてくださいッ!その後はクリスちゃんの大火力で一気に倒す感じで!」

 

「・・・仕方がない。危険なことを後輩に任せるのはアレだけど今回ばかりは頼むことにしよう」

 

このままでは戦況が動かないと理解しているのか翼はその提案を飲み、バーニアが居る方へ向かう。

それを邪魔するようにカイデンが通り道を防ぐが、翼は無視する。

当然、斬りかかってくるが---響の飛び蹴りが横からカイデンを吹き飛ばす。

 

「雪音!時間を稼いでくれ!」

 

「ッ!?そういうことか・・・!」

 

すると、声が聞こえるくらいまで近づいた翼は、剣を大きくしていた。それを見たクリスは何処か察し、避けながら、相手の逃げ道を防ぐようにクロスボウから大量の矢を出していく。

バーニアは避けれないからか小型ユニットを盾にしたり、ミサイルで爆風を起こしたりと対処する。

 

「ハアアアァッ!」

 

しかし、それのせいで気づかなかったのだろう。

バーニアの頭上が、影に覆われる。気づいた時にはそれは遅く---

 

天ノ逆鱗

 

とてつもない速度で落ちてきた巨大化した剣が、バーニアに叩きつけられて、バーニアは地面に埋まる。

 

「これッ・・・でええぇえええ!!」

 

MEGA DETH FUGA

 

翼が巨大化させた剣を戻しながら離れた瞬間には、チャージが必要ない二基のミサイルが容赦なくバーニアに飛んでいき、爆発を起こした。

その後に、浮かんだのはGAME CLEAR!の音声と文字だった。

 

「うわああぁぁぁああ---っ!?」

 

「立花!?」

 

「なっ!?」

 

声が聞こえて二人が振り向いた先には、ガットンの攻撃に力負けして吹き飛んで行った響の光景で、ガットンとカイデンは吹き飛んで行った響を追うように移動したため、二人は追いかけた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って感じだ」

 

「ああ、だから吹き飛んでったんだな」

 

クリスの説明にクローズがポンッと納得したように手のひらに拳を置いて頷いていた。

 

「あだぁ・・・!?俺が何したってんだ・・・」

 

「ご、ごめんなさいッ!」

 

そして、まるで返品されたかのようにビルドが吹き飛んで返ってきた。・・・顔を赤めた響が一緒に。

 

「・・・どういう状況なの、これ?」

 

「あたしに聞かないでくれ」

 

「俺もわからん・・・」

 

「俺が聞きたいよ!?俺頑張ってフルボトル完成させたと思ったら吹き飛ばされて、気がついたらまた吹き飛ばされてこれだからな!!いや、確かに俺もアレは悪かったんだろうけど・・・!」

 

「ほ、本当にごめんなさい・・・そ、そのつい・・・」

 

反省してる様子で、響は謝る。

何があったとは言わないが、勘のいい人ならば吹き飛んでまた吹き飛んできたことから『どんな事故』が起きたのかは想像に容易いだろう。

 

「まぁ、互いに悪かったってことでいい。今はあいつらだ」

 

「だな。いつまでも待ってくれるわけじゃねえし」

 

ビルドがそう言うと、既に立ち上がったゲムデウスが見える範囲にまで来ていた。

 

「よし、行くぞ。万丈」

 

「ああ!」

 

『今度こそ完全にトドメを刺す。超絶奥義---』

 

今までの倍はあるかと思われるほどのエネルギーを溜めた剣を、ゲムデウスが掲げた。さらに、カイデンは斬撃をいつでも出すような構えを取っており、ガットンに至っては何かを放つようにチャージして構えを取っている。

 

「これは流石にまずくないか・・・!?」

 

「さっきより威力があるのはいくらあたしらでも防げないぞ!」

 

「あ、あれは流石に無理です・・・!」

 

「ってかあれ全力じゃなかったのか!どうするんだよ!?」

 

「なに、この天ッ才に任せとけ。今こそ俺の発明品の出番だ!」

 

四人が慌てるような様子を見せる中、何処か余裕のような様子を見せるビルドは、灰色からいつの間にか白くなっている本型のモノとピンク色のフルボトルを手にしていた。

 

「それはさっきのやつ・・・!」

 

「完成したんですね!」

 

「ああ。行くぞ!」

 

クローズと響に頷いたビルドは、早速ピンク色のフルボトルとなったボトルを本型のモノに挿入したのちにベルトに装填し、ボルテックレバーを回す---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『-----■■!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップッ!」

 

勢いよく両腕を下げながら、『いつもの』言葉とともに前後に現れたアーマーが---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あら?」

 

現れなかった。

 

「・・・はぇ?」

 

「え?」

 

「はい?」

 

「はぁ!?」

 

ちなみに上から響、翼、クローズ、クリスの順である。

 

「おっかしいなぁ?フルボトルも完成してアイテムを完成してるのに・・・」

 

「ちょっ!?今の流れでそれはないだろ!?」

 

「ど、どうするんですか、これ!?」

 

「あ、おい!相手の方はもう準備終えてるぞ!」

 

「このままでは間に合わない・・・!」

 

『紅蓮爆龍剣!』

 

ゲムデウスが巨大な突撃する炎の流れの攻撃が飛んでくる。それは、先程とは比べ物にならない威力。それだけではなく、カイデンの連続斬撃や、ガットンの大砲のような複数の弾がビルドたちに迫ってきていた。

 

「ダメだ!流石に避けれねぇ!?」

 

「みんな---ッ!!」

 

「え?あ、ちょっ!?ま、まっ---」

 

一人、未だにそんなことを言ってるものが居たが、容赦なく攻撃が向かってきてビルドたちはどうやっても避けれない。そして、そのままゲムデウスたちによる攻撃によって爆発が起こる。仮面ライダーと装者たちは---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事だった。いや、違う。正確には()()のお陰で無事だった。

 

「な、なんだ・・・?ッ!?」

 

目の前に現れた()()が仮面ライダーたちや装者を守ったのだが、ビルドのベルトから輝きが放たれていた。

見れば、ビルドのベルトにあった本型アイテムはあってもフルボトルが消えている。

 

「ボトルがない・・・?」

 

「え、えっと・・・これが守ってくれた?」

 

「そう・・・みたいだが・・・」

 

「なんだこれ・・・」

 

「何か入ってんのか?」

 

ビルドはボトルがないことに気づき、装者たちは()()に注目する。

クローズに至っては()()が気になったのか目の前に行ってる始末である。

 

「うん?待てよ。これに見覚えがあるんだが・・・」

 

フルボトルのことを一旦置いておいて、ビルドが()()に近づく。

 

「覗いてみるか?」

 

「ああ。俺とお前ならもしものことがあってもなんとか出来そうだしな」

 

ソレについてクローズが聞くと、ビルドが頷いて一緒に覗き込んだ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「何かあってからでは遅いが・・・」

 

「あたしらは警戒しておくしかないな・・・」

 

その様子を見ていた装者たちは、響は心配そうに。翼とクリスはいつでも対応出来るように警戒している。

 

「真っ暗だな」

 

「確かに真っ暗で何も無い。・・・うん?万丈・・・なんだ、あれ。鶏冠か?それとも角?」

 

「いや、俺が知るわけねえだろ!?」

 

中を覗き込んだら真っ暗な中、何かを見つけたビルドがクローズに聞くが、当然クローズは分からない。

しかし、()()はだんだんと近づいてきており---

 

「これ、まずくね?」

 

「おい離れるぞ!」

 

クローズの言った言葉に、ビルドが慌てて叫び、覗いた体勢から戻ろうとした瞬間だった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!」

 

「うおおおぉぉぉおお!?」

 

「うあああ!?あぶねえ!?なんだ!?」

 

突然出てきたソレに驚いたビルドとクローズは尻もちを着く。なぜならそこには---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土管から出てきた逆立った髪の毛のような頭部が特徴のピンク色の仮面ライダーが左拳を腰に、右拳を天高く掲げて両足を広げながら出てきたのだから。

()()は腰に蛍光グリーンと蛍光ピンクのかなり派手なゲームハードのようなベルトを付けており、そのベルトに刺さっているモノはまるでゲームカセットのようにも見える。

さらに胸にはゲージのようなものがあり、右胸にはゲームのボタンのようなものがある。

その姿はまるで---

 

『レベルアップ!』

 

MIGHTY JUMP!MIGHTY KICK!MIGHTYMIGHTY ACTION X!

 

「あんたは、まさか・・・!?」

 

「え、なんでここに居るんだ!?」

 

「---ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

「エグゼイド!?」

 

手のひらの指を開いた状態で、腕を横に曲げた決め台詞とポーズを決めた『仮面ライダーエグゼイド』がそこに居た。

それは、()()()()()()()()が再びビルドたちと再開を果たした瞬間である---





説明不要。長い!ぶっちゃけバグスターはゲムデウス以外出す気無かったのに気づいたら増えてました・・・喋り方とかわかんねーよ・・・。
補足すると、本型のアイテムは簡単に言えば、見た目は『ワンダーライドブック』です。そして、()()()()()()()()()()()()()は次回明かします。
もちろん、キードラゴンのダメージ受けたことから分かる通り、ゲムデウスは()()()()()は受けてますが・・・ビルド単体だとハザードかジーニアスがなければ、何してもまず勝てませんとだけ。
ほかのバクスターは主に耐久値とゲーム空間関係なくやられる(FOREVERと同じような)感じの弱体化してます。
だけど、その理由は果たして・・・?
では予告







---(EXCITEが流れるのとちっちゃい仮面ライダーたちの上に落ちるミニ装者たちとゲームの音)---




次回の戦姫絶唱シンフォギア、戦姫とLOVE&PEACEを掲げる者 G編!






「例えどの世界でも世界中の人々の笑顔を取り戻すために戦うだけだ!」」

「俺も愛と平和のためにこの力を使うって決めた・・・あの時以来だが、また一緒に戦ってもらえるか?」」

「よっし!じゃあ今度は反撃ってわけだな!」

「今度こそは!」

「私たちも戦うとしよう」

「ああ。ただただ見てられるか!」

協力して『ゲムデウス』を攻略するために戦う装者と仮面ライダーたち---












「いってぇ・・・流石にこのレベルじゃきついか」

「本っ当にバグスターってのは厄介だな・・・」

「だったら俺もレベルアップだ!」

苦戦するエグゼイドとビルド。








「龍我さんっ!」

「助かった!これで決めてやる!」

一方で、クローズと装者は残りの敵と戦う---








『・・・・』

『我が名はカイデン・・・む?何奴だ?』

「あれは---!?」

『ゲムデウス』以外にも現れる強敵?








「「超キョウリョクプレイでクリアしてやるぜ!」」

そして、エグゼイドが『あの形態に』レベルアップする!

第三話『We're俺!そして仮面ライダー!』


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第三話 We're俺!そして仮面ライダー!

どうも、なんか一年経ってました。マジかよ・・・一期しか終わってねーよ。そしてG編(大嘘)が次回まで続きます。久しぶりに急いで書いたし深夜テンションで書いたから口調とか変かもだし戦闘描写クソザコかも・・・許して。ってかヒロインもいらない気がしてきました・・・でもヒロインは女主人公なのでセーフ。
えーとそれよりも書けなかった言い訳します!いつもの言い訳ターイム!簡単に言えば向こう(ゼロワン)のモチベが高すぎた!ゼロワンロスがビルドロスを圧倒的に上回ってたからモチベが下がってた!以上ッ!!!じゃあなんで今?と言われると400人突破してたんで急いで書き上げました!
あと向こう(ゼロワン)はさらっとやべーやつ登場してるんで、こっちではまだまだ出ないと思うから見たい人は見てね。
はい、では本編どうぞ!あらすじは今回はないです!ネタ切れじゃい!すまない、キャロルちゃん。こっちは間に合わなかったよ・・・あと調ちゃんもごめんね(誕生日おめでとう)







 

「---ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

「エグゼイド!?」

 

手のひらの指を開いた状態で、腕を横に曲げた決め台詞とポーズを決めた『仮面ライダーエグゼイド』が現れた。

当然、その存在を知ってる二人は驚いていた。・・・尻もちを着いた状態で。

 

「久しぶりだな、ビルド」

 

「い、いやなんで土管から出てきてるんだよ!」

 

立ち上がりながら、ビルドはエグゼイドにツッコミを入れる。

 

「いや、それは俺も分からないんだよ。呼ばれたから来たんだけど・・・」

 

「呼ばれた?・・・もしかして、あのフルボトルか?エグゼイドが現れてから消えたものだし、あのフルボトルは未知のスマッシュから取ったものだが・・・こうやって考えてみるとエグゼイドの世界に関係するものばかりだ。まず、復活した理由は仮面ライダーゲンムの能力と考えたら辻褄が合うし、葛城が残していたデータに寄れば、炎と氷を使えるらしい仮面ライダーブレイブ、射撃を使うスナイプ、レーザーはバイク。そして跳躍力とハンマーなどはエグゼイド、急に固くなったり威力が上がったりについてはエナジーアイテムを自在に使えたって点ではパラドクスと考えればだいたいは辻褄が合う・・・でも、どうやってそんなスマッシュを生み出した?そもそも---」

 

「お、おい戦兎?戻ってこい!」

 

エグゼイドの言葉から何かに気づいたようにぼそぼそと独り言を呟き出したビルドをクローズが揺する。

 

「おっと・・・悪い。考え事してた」

 

「それで、なんでビルドの世界に呼ばれたんだ?いや、世界が繋がった?もしかして、あの時見たくエニグマでも関係してるのか?」

 

「いや、それはないはずだ。あれは他の仮面ライダーたちが破壊してくれたし、開発してない」

 

「だよな。それにエニグマ見たいなのがあれば気づくだろ?」

 

「だな」

 

ビルドたちが話し合ってると、エグゼイドは話を聞きながらも自身の胸に手を当てていた。

 

「パラド?・・・ああ、分かった」

 

突如何かに返事するように呟き、周囲を見渡した後にバグスターたちを見つめた。いつの間にか復活したのか、それとも生き残りが居たのか大量の戦闘員も集まっている。ゲムデウスやほかのバグスターが戦闘員のせいで全くみえないくらいだ。

 

「あのー・・・戦兎さん?」

 

「状況がよく分からないのだが・・・」

 

「仮面ライダーが他にもいたのかよ?」

 

その間に響たち装者たちも近づいてきて、話しかけていた。

 

「あんたらは?」

 

「こいつらは、まぁこの世界で戦う戦士だ。・・・戦力が足りないらしくてな」

 

ビルドも何処か思うところがあるのか、声のトーンが比較的暗く感じる。

 

「立花響ですっ!よろしくお願いしますね!ええと・・・エグゼイドさん?」

 

「風鳴翼だ。この国を守る防人として是非とも--」

 

「んな硬ぇ自己紹介はいらないんだよ。雪音クリスだ」

 

「そっか。詳しくは後で話すけど---俺は仮面ライダーエグゼイド。ビルドたちと同じ仮面ライダーだ。よろしくな」

 

「まぁ、話は後だ。向こうは待ってくれない見たいだからな」

 

互いに自己紹介している間にも、今にも向かってきそうなバグスターを見て、ビルドがそう言った。

 

「どうしてビルドの世界に俺たちの世界のバグスターが居るか分からない。・・・けど、例えどの世界でも世界中の人々の笑顔を取り戻すために戦うだけだ!」

 

「そうだな、俺も同じだ。愛と平和のためにこの力を使うって決めた・・・あの時以来だが、また一緒に戦ってもらえるか?」

 

バグスターたちに振り向いたエグゼイドに、ビルドが隣に並び立つ。

 

「もちろんだ。それに、ゲムデウスが居るなら俺たちが攻略するべきだからな」

 

ビルドの言葉に頷いたエグゼイドは、バグスターたちの群れを睨むようにして見つめた。

 

「よっし!じゃあ今度は反撃ってわけだな!」

 

「今度こそは!」

 

「私たちも戦うとしよう」

 

「ああ。ただただ見てられっか!」

 

ビルドの隣に立ったクローズに触発される感じで、それぞれが横に並び立つ。

 

「ったく・・・お前ら。行くぞ!」

 

「行くぜ、パラド!」

 

ビルドは仮面の中で頼もしい仲間にくしゃ、と笑いながら、そしてエグゼイドは自身の中にいる『もう一人の自分』に語りながら駆け出す。そんな二人に習うように、全員が駆け出した。

 

「まずは戦闘員たちを倒す!」

 

「あぁ!そして最後にラスボス(ゲムデウス)を攻略だ!」

 

『ガシャコンブレイカー!』

 

『バ・コーン!』

 

ドリルクラッシャーのブレードモードとガシャコンブレイカーのハンマーモードを手にしたビルドとエグゼイドが中央に飛び込み、周囲の敵を薙ぎ払う。

一方で、クローズと響、翼は真正面から突っ込んでいき、一体一体を確実に倒す。後ろにいるクリスは、フォローするようにと向かってくるバグスターたちに向かって矢を放っていた。

 

ラビット!

 

『Ready Go!』

 

『ガシャット!』

 

『キメワザ!』

 

そして、撃破には至ってないが、バグスターたちを流石は仮面ライダーと言うべき連携で互いをフォローしていたビルドがドリルクラッシャーにラビットフルボトルを、エグゼイドがマイティアクションXを自身のガシャコンブレイカーに挿入した。

 

MIGHTY CRITICAL FINISH!

 

VOLTEX BREAK!

 

ビルドは赤いオーラを武器に纏い、周囲を薙ぎ払う。エグゼイドはピンクをメインとし、緑などの虹を思わせるゲームエフェクトのようなオーラを纏ったガシャコンブレイカーを地面に叩きつけ、同じく周囲の敵を倒した。

 

「数が多いな!?」

 

「それに何処か増えてるような・・・くっ!?」

 

倒したはずなのに、数が全然減った様子が見えない。そして、エグゼイドとビルドに銃弾が当たって軽く怯んだ。

見れば、()()()()()()X()()()()が描かれている機械兵が混じっている。

 

「あれはガーディアン!?いつの間に・・・?それに、Xガーディアンの方か!」

 

「財団Xが関わってるってことか?」

 

「いや、恐らくゲムデウスをこの世界に呼んだやつの仕業・・・だとは思う」

 

「とにかく、倒すしかないか!」

 

後ろの方では、ビルドたちに追いつくべくクローズや装者たちが敵を薙ぎ払っているのだが、いかんせん敵の数が多いからか全然近づけている様子がないため、増援は期待出来ないだろう。

 

『ジャ・キーン!』

 

海賊レッシャー!イエーイ!』

 

そして、エグゼイドはブレードモードにビルドはカイゾクレッシャーとなってバグスターたちを斬りつけていく。Xガーディアンは、ビルドが射撃することで妨害し、バグスターをエグゼイドが斬りつけていくといった感じで連携が取れていた。

 

『標的発見。撃破』

 

「うおっ!?」

 

しかし、Xガーディアンを相手していたビルドが銃弾に怯み、そこを狙うかのように、ガットンの拳が飛んできてビルドを吹き飛ばす。

 

「ビルド!うわっ!?」

 

それに気づいたエグゼイドが振り向くと、ガットンがエグゼイドさえも吹き飛ばしていた。

 

「いってぇ・・・流石にこのレベルじゃきついか」

 

「本っ当にバグスターってのは厄介だな・・・」

 

「だったら俺もレベルアップだ!」

 

ゲキトツロボッツ!

 

立ち上がったエグゼイドが新たなガシャットを取り出して、起動ボタンを押す。

すると、後ろにSFロボットバトルゲーム『ゲキトツロボッツ』のタイトルロゴが出てきて、赤色の「ロボットゲーマ」が召喚された。

しかし、まるで妨害するようにガットンが迫ってくる。そんなガットンにエグゼイドは動かない。そう、()()()()()()、だ。

 

各駅電車!急行電車!快速電車!海賊電車!発射!

 

同じく立ち上がっていたビルドは、「ビルドアロー号」を引っ張り、エネルギーを「ビルドオーシャン号」からチャージする。最大限までチャージをすると、ビルドアロー号を離して緑色と青色のオーラを纏った電車『ビルドオーシャン号』と小さな『ビルドアロー号』を発射した。

 

『ヴィーンウイ--ガシャン。ガットン!』

 

しかし、レベル差もあってか多少のダメージは受けたものの、受けたのは小さな電車のみで、大きな方はガットンの右腕に弾かれた。

だが、ビルドがやったのは撃破するためではない。時間稼ぎである---

 

『ガッチャーン!』

 

ビルドが時間を稼いでいる間にはエグゼイドはゲーマードライバーのレバーを一度閉じ、エグゼイドは自身のベルトであるゲーマードライバーの空いている左側にガシャットを挿入する。

 

『ガシャット!』

 

「大・大・大変身!」

 

右腕を大きく二度回し、エグゼイドはレバーを再び開いた。

 

『ガッチャーン!』

 

『レベルアップ!』

 

瞬間、エグゼイドはベルトからガシャットの基板柄のエフェクトが出現し、それをロボットゲーマーが食べた。

 

MIGHTY JUMP!MIGHTY KICK!MIGHTYMIGHTY ACTION X!

 

そして、エフェクトを食べたロボットゲーマーは、次にエグゼイドを食べる。その間にロボットゲーマーは変換し、それが鎧のように変わってロボットのようにゲームらしいエフェクトを起こしながらエグゼイドに装着される。

 

アガッチャ!ぶっ飛ばせ!突撃!ゲキトツパンチ!ゲ・キ・ト・ツ・ロボッツ!

 

現れたエグゼイドの姿は、頭部はロボットのような意匠となり、腕にはロケットアームが装着されている姿。これこそがエグゼイドのレベルアップした姿。レベルアップ3であり、『仮面ライダーエグゼイド ロボットアクションゲーマー』である。

 

「くっ・・・!」

 

変身が完了すると、ビルドが火力負けしてるのか地面に膝を着いて今にも地面に倒されそうになっている姿がある。

それを見たエグゼイドは、即座に走る。

 

「ビルド!」

 

「ッ!?ハァアアッ!」

 

エグゼイドの声が聞こえたビルドは、6門の砲門から砲弾を放ち、相手が怯んだ隙にはエグゼイドの方へ向かって、ガットンを電車型の電撃エネルギーを纏った電撃車両パンチで吹き飛ばした。

 

「フッ、ハァッ!」

 

向かってくるガットンに対して、左腕に装着されているロケットアームで、エグゼイドはガットンを吹き飛ばす。

 

フェニックス!ロボット!ベストマッチ!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

その間に、ビルドは即座にフルボトルを入れ替え、レバーを回す。新しくベルトに挿入したフルボトルは赤と黒のフルボトルで、『フェニックス』と『ロボット』だ。

 

不死身の兵器!フェニックスロボ!イェーイ!』

 

レバーを回したことによって即座に展開されたアーマーが重なり、ビルドが新たな姿に変わる。

左側の複眼はフェニックスを横から見た姿を模しており、炎の翼がアンテナ風になっている。各部にある燃え盛る炎のような意匠があるところが特徴的であろう。

逆に右側の複眼はロボットアームを模しており、手がアンテナ風になっている。左手の万力のようなパワーアームが装着されているのが特徴的だろうか。この形態こそが『仮面ライダービルド フェニックスロボフォーム』である。

 

「エグゼイド!」

 

「ビルド、まずはガットンから攻略だ!」

 

ビルドはボルテックレバーを回し、エグゼイドはゲキトツロボッツのガシャットを抜き取ると、左横に付いている『キメワザスロットホルダー』にガシャットを装着してボタンを一度押した。そして、ついでと言わんばかりに目の前にあったチョコブロックを破壊し、それを獲得する。

 

『Ready Go!』

 

『ガシャット!』

 

キメワザ!

 

『マッスル化!』

 

それは、エナジーアイテムと呼ばれる言わば強化(バフ)アイテムだ。

 

「ハッ!うおおぉおぉお!!」

 

フェニックスの背部に付いている炎の翼を展開し、そこから炎で全身を包んだビルドはガットンに向かって体当たりを仕掛ける。

一度では済まさずに、二度、三度と連続で体当たりをし続け、ロボットの正確無比な攻撃を何度か与えてエグゼイドの方へ飛ばした。

 

VOLTEX FINISH!イエーイ!』

 

その間にキメワザスロットホルダーのボタンをエグゼイドは二度押し、左腕を思い切り振り絞っていた。

 

GEKITOTSU CRITICAL STRIKE!

 

エグゼイドが青と赤が目立つオーラを纏った左腕のロケットアームを突き出すと共に、そのロケットアームはロケットパンチの如く空中から落ちてきたガットンに直撃した。直撃とともに『GERAT!』という文字が浮かび上がり---

 

 

「ハアアアァァアア・・・ハァッ!」

 

それだけで終わらず、即座に走ったエグゼイドは、ロボットアームに追撃のパンチを繰り出すことで威力を高めたパンチを叩き込む。

 

『PERFECT!GAME CLEAR!』

 

爆発と共に、そんな声と文字が浮かび上がった。

 

「ゲームクリア!次だ!」

 

「まずは周りを倒すぞ!」

 

エグゼイドの隣に並び立ったビルドは、一緒に戦っていく---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッ!おらおらおらおら・・・オラァ!!」

 

一方で、後ろの方でクローズは自転車に乗っていたバグスターを響や翼、クリスとの連携で落とした後に、チャーリーバグスターの高速の打撃と、クローズの蒼炎を纏った打撃で殴り合いをしていた。因みに自転車はクリスのミサイルで壊されている。

そして、『チャーリー』とは、Xスポーツゲーム『シャカリキスポーツ』のデータを取り込んだバグスターで、そのゲームに登場する「チャーリー」というキャラクターをモチーフにしている。

他のレベル3ガシャットのデータを取り込んだバグスターとは異なり初級バグスターだが、自転車がなくとも高速格闘技や、格闘を行える意外性のあるバグスターである。

 

「龍我さんッ!」

 

殴り合いをしていた所に響がチャーリーに飛び蹴りをかまし、即座に反応した翼が通り過ぎて一閃。クリスのクロスボウによる複数の矢がチャーリーに刺さった。

 

「助かった!これで決めてやる!」

 

すぐにクローズドラゴンを抜いて、ドラゴンフルボトルを抜くと青色一色ではない金色のドラゴンが描かれているフルボトルを振り、惑星のようなマークが描かれているキャップを表に向ける。

そしてそのボトルをクローズドラゴンへと挿入し、クローズドラゴンが金が施されている真っ赤なクローズドラゴンへと姿を変える。

その後に、起動ボタンである『ウェイクアップスターター』を押した。

 

覚醒ィッ!!』

 

音声が鳴ると、万丈がグレートクローズドラゴンをビルドドライバーに装填する。

 

グレェートクロォーズドラゴンッ!!』

 

レバーを回したクローズの前後にはいつもの前後に青いハーフアーマーが展開され、左の方には赤と金色が所々にあるドラゴンの羽根と頭らしきもの展開していた。

 

『Are You Ready?』

 

Wake up CROSS-Z!Get GREAT DRAGON!!Yeahhh!

 

ベルトからの返答に頷いたクローズはいつもの青ばかりの姿ではなく、赤と金の上半身を保護するボディアーマー『GCZドラゴライブレイザー』へと変化を遂げ、頭部に至っては赤色が混じっている姿---『仮面ライダーグレートクローズ』へと変わった。

 

「今の俺は---」

 

『Ready Go!』

 

即座にボルテックレバーを回し、赤と青色の混じった炎を右足に宿し、高く飛んだ。

 

「負ける気がしねぇええぇええぇぇ!!」

 

グレートドラゴニックフィニッシュ!!

 

そのままチャーリーに向かって強化されたドラゴンの力を身に宿した赤と青色の混じった炎の蹴りを繰り出し---爆発共に『GAME CLEAR!』の声と音が流れる。

 

「よし!向かうぞ!」

 

「はい!」

 

「ああ!」

 

そのまま、まだまだ大量にいるバグスターやさらっと混じっているノイズとXガーディアンを倒しながらビルドとエグゼイドが居る中央へ向かおうとしていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大・大・大変身!」

 

さっきと同じように、エグゼイドは右腕を大きく回してレバーを開いた。

 

『ガッチャーン!』

 

『レベルアップ!』

 

その瞬間には、ベルトからガシャットの基板柄のエフェクトが二つ出現してそれをエグゼイドが身に受ける。

 

MIGHTY ACTION X!

 

アガッチャ!シャカッとリキッとシャカリキスポーツ!

 

エグゼイドの頭上にあった自転車が鎧に変わり、スポーツゲーマが上半身に合体した。頭部には、スポーツ用ヘルメットに似たパーツが付いている。この姿こそが、もう一つのレベル3『仮面ライダーエグゼイド スポーツアクションゲーマー』だ。

 

トラ!UFO!ベストマッチ!

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

そして、ビルドもまた同じくしてフルボトルを変え、ボルテックレバーを回した。今度のフルボトルは『トラ』と『UFO』で、黄色とピンクのフルボトルである。

 

未確認ジャングルハンター!トラユーフォー!イエーイ!』

 

すぐに形成された新たなアーマーが重なり、ビルドをまたしても新しい姿へと変える。

左の複眼はトラを模しており、たてがみがアンテナ風になっている姿で、肩に付いた虎の頭を模したモノが特徴的。

反対に、右の複眼はUFOを模しており、そのままアンテナ風になっている。しかし、時々変形する。

特徴的なのはないが、色々とオーバーテクノロジーで謎が多い形態---『仮面ライダービルド トラユーフォーフォーム』である。

 

「ほっ!ハッ!」

 

「ハァアアァァァァ・・・はあっ!」

 

ビルドはトラの俊敏さと、UFOを作り出してその上に乗ることによる変幻自在な動きを組み合わせて周囲の敵を撃破し、エグゼイドは肩のトリックフライホイールを取り外し、ブーメランのように投げて攻撃することで前方への道を切り開いた。

 

「ゲムデウスまであと少しだ!」

 

「あぁ!次はこいつでレベルアップだ!」

 

『ガッチャーン!』

 

エグゼイドがそう言いながらベルトのレバーを閉じて、新たにガシャットを取り出す。

ソレは二つのガシャットを一つに合わせた形状のような分厚いガシャットで、ラベルにはグリーンとオレンジの二人のマイティが、ガシャットの端子部にはエグゼイドの姿が描かれているモノだ。

一方で、ビルドは『タカ』フルボトルと『ガトリング』フルボトルを取り出し、成分を活性化させてキャップを表に向けていた。

そして、エグゼイドが起動ボタンを押す。

 

MIGHTY BROTHERS XX!

 

ダブルガシャット!

 

タカ!ガトリング!

 

起動ボタンを押したエグゼイドの背後に『マイティブラザーズダブルエックス』のタイトルロゴ出てきて、そのガシャットをベルトに挿入。

ビルドは二本のフルボトルを入れ替えていた。

 

「だーーい・・・変身ッ!」

 

ガッチャーン!』『ベストマッチ!

 

レベルアップ!』『Are you ready?』

 

「ビルドアップッ!」

 

エグゼイドのベルトからガシャットの基盤柄のエフェクトが出てくる。それは周りが黄色となっており、半分の色がオレンジ、もう半分が緑の三頭身のエグゼイドが映し出されているモノだ。

さらに、ボルテックレバーを回したビルドの前後には橙色と濃灰色のアーマーが形成される。

 

マイティ!ブラザーズ!2人で1人!マイティ!ブラザーズ!2人でビクトリー!エーックス!

 

ホークガトリング!イエーイ!』

 

現れたのは、ホークガトリングとなったビルドと、半分ずつオレンジと緑で髪と目が分かれている三頭身のエグゼイドだ。これこそが、『ダブルアクションゲーマーレベルX(10)

 

「このまま突破だ!」

 

「よし、なら遠距離持ちは俺がやる!」

 

見た目の割には身軽な動きでバグスターに接近すると、両腕にオレンジと緑のオーラを身に纏ったエグゼイドが突き出して吹き飛ばし、ビルドが今にも撃たんとしてるXガーディアン目掛けて射撃し、その間に羽根のソレスタルウィングを展開したビルドが回転とともに突撃して吹き飛ばした。

 

『フンッ!』

 

そして、今にも走り出そうとしたエグゼイドの目の前に突如剣が振られる。

 

「うおっと!あっぶねぇ!?」

 

それをエグゼイドがバク転の要領で後ろに倒れることで回避した。

 

「この太刀筋は・・・!?」

 

そしてビルドは飛びながらゲムデウスまでの道を切り開いていたはずが、何者かに落とされてエグゼイドの傍まで吹き飛ばされていた。

 

「ビルド!?」

 

「くっ・・・何かに攻撃された・・・!誰だ!?」

 

エグゼイドが支えるようにビルドを立たせながら、ビルドは攻撃された方向を睨むように見つめる。

 

『・・・・』

 

『我が名はカイデン・・・む?何奴だ?』

 

カイデンバグスターが隣にいる者に困惑した様子を見せる。

それはそうだろう---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バイカイザー!?生きてたのか!」

 

「いや、違う・・・!あれはネビュラヘルブロスだ。なんで急に現れたかは分からないけど・・・Xガーディアンといい、何者かがこの場に呼んだのか?」

 

ビルドの言葉通りに、特徴的な歯車状の装甲は欠損し、黒いボディが特徴のシンプルな人型ながらも怪物然としたもので、簡単に言えば、素体だ。

それは、ビルドが『ある実験』の時に戦った相手---『ネビュラヘルブロス』

 

「ネビュラヘルブロス・・・?どちらにせよ、このままじゃゲムデウスのところまで辿り着けないな・・・」

 

「ああ・・・早く行かないと、どうなるか分からねぇってのに!」

 

「それでも、やるしかない!」

 

エグゼイドの言葉に頷いたビルドは、ホークガトリンガーを手に構える。そして、攻撃して来ないからか敵と判断しなかったカイデンとネビュラヘルブロスが二人に襲いかかる。しかし---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「おりゃああああ!」」

 

「ぶっ飛べ!!」

 

「邪魔はさせんッ!」

 

クローズと響の拳がネビュラヘルブロスに、クリスの射撃と翼の斬撃がカイデンに当たった。

 

「お前ら!?」

 

「どうやら助っ人の到着らしいな」

 

例え相手が増えたとしても、彼らには()()()()()()がいる---。

 

「戦兎!こいつらは俺らがやる!」

 

「戦兎さん---ってえええぇええ!?ゆ、ゆるキャラみたいになってる!?え、エグゼイドさんですよね?・・・ええっと行ってください!」

 

ダメージがあまり入ってないのか、怯んで距離を離せただけのネビュラヘルブロスに構えるクローズと、エグゼイドの姿に驚いた響が言う。

一方で、翼やクリスもカイデンに向かって構えていた。・・・エグゼイドの姿には驚いていたが。

 

「・・・エグゼイド!」

 

「じゃあ、後は頼んだぜ。それと・・・俺ももう一つ---」

 

『ガッチャーン!』

 

レバーを閉じると、エグゼイドが両腕を大きく回した。

 

「だーーーーーーーーーーい・・・変身ッ!」

 

『ガッチャーン!』

 

ダブルアップ!

 

ベルトからガシャットの基盤柄のエフェクトが出てくる。緑とオレンジ二つが重なったかのようなモノで、二人のエグゼイドが描かれているモノをその身に受ける。

 

俺がお前で!お前が俺で!(ウィーアー!)マイティ!マイティ!ブラザーズ!(ヘイ!)ダブルエーックス!

 

その瞬間、緑とオレンジの()()()()()()()()()がレベルX(10)時の分割された頭部を合わせるように肩をくっつけ、出現した。

 

「・・・え?」

 

「なっ・・・」

 

「うそ・・・だろ?」

 

その姿を見た瞬間、装者たちの動きが止まる。

 

「ふ、二人になってるぅううう!?」

 

「いや、戦兎もよくなってるだろ」

 

「あれはニンジャだからな」

 

そして、響の叫び声に冷静に突っ込むクローズとさらにそれに突っ込むビルドだった。

 

「「超キョウリョクプレイでクリアしてやるぜ!」」

 

その間に、二人揃うことで左右になるように手のひらの指を開いた状態で、腕を横に曲げて決め台詞とポーズを二人のエグゼイドが決めていた。

 

「パラド。ここはお前に任せる!」

 

「ああ!お前たちはゲムデウスを攻略しろ!」

 

オレンジ色のエグゼイドがマイティブラザーズXXガシャットと同じ厚みで『パーフェクトパズル』と『ノックアウトファイター』の絵柄が半分ずつ描かれた丸いダイヤルとラベルにも同じ感じで描かれているガシャットを取り出す。

緑色のエグゼイドも、分厚い金と銀のガシャットを取り出す。しかし、それは先程のとは違ってガシャット下部にエグゼイドの頭部が象られたモノだ。そして、緑色のエグゼイドは起動ボタンを押した。

 

マキシマムマイティエックス!

 

「「MAX大変身ッ!」」

 

二人は叫びながらシンクロするようにレバーを閉じ、ガシャットを挿入した。

 

マキシマムガシャット!』『デュアルガシャット!

 

『The strongest fist! What's the next stage?』

 

パラドと呼ばれたオレンジ色のエグゼイドが両腕で『G』の形を作り、緑色のエグゼイドは両腕で『X』の形を作る。すると、そのまま再び同時にレバーを開いた。

 

『『ガッチャーン!』』

 

レベルマーックス!』『マザルアーップ!

 

オレンジ色のエグゼイドには、タイトルロゴの二つのゲームが混ざるように重なっていき、ガシャットの基盤柄の赤と青の仮面ライダーが上下逆にエフェクトとして現れる。

緑色のエグゼイドには後ろに巨大なマイティの顔が装着されているマイティのタイトルロゴが出てくる。

ベルトからはガシャットの基盤柄であるエフェクトと、マイティの顔の部分だけがピンクで、他の巨大なアーマーやエフェクトが黄色なエフェクトを、二人はその身に受けた。

 

最大級のパワフルボディ!ダリラガーン!ダゴズバーン!マキシマームパワー!エェーックス!

 

赤い拳強さ!青いパズル連鎖!赤と青のパーフェクトノックアーウト!

 

緑色のエグゼイドが取り込まれるように入っていき、胴体にあるマイティの巨大な顔が印象的なアーマーを装着する。

オレンジ色のエグゼイドには青いパズルの模様と赤い炎の模様が混ざり合ったボディへと変わり、下半身の前垂れと共にエグゼイドを彷彿させる仮面へと変化した。

 

『仮面ライダーエグゼイド マキシマムゲーマーレベル99』

 

『仮面ライダーパラドクス パーフェクトノックアウトゲーマーレベル99』

 

「行くぞ!」

 

「えぇー・・・もう俺主役じゃなくない・・・?」

 

その姿を見たビルドが、項垂れながらもはやバイクに乗っているかのような物凄い速度で走っていくエグゼイドに翼を広げてついていく。

 

「さあ、俺らもやろうぜ!ん?どうしたんだ?」

 

「いや、なんでもねぇよ・・・」

 

「驚きで声が出ません・・・」

 

「まったくだ」

 

「仮面ライダーってのは規格外ばっかなのかよ・・・」

 

三者、いや四者四様の様子を見せる姿に、パラドクス・・・パラドは首を傾げながら『ガシャコンパラプレイガン』を取り出していた。

 

「と、とにかくこいつらを倒すぞ!」

 

パラドの姿を見たクローズがそう言い、ビートクローザーを取り出していた。

装者たちもクローズの言葉に頷き、構えたのだった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハアッ!」」

 

仮面ライダーと装者たちが行かせてくれたため、エグゼイドとビルドは不意打ちでゲムデウスへとライダーキックを喰らわせ、ゲムデウスはその衝撃でノックバックした。

 

『やはり来たか・・・エグゼイド。そしてもう一人の仮面ライダーよ』

 

「ゲムデウス・・・お前を攻略する!」

 

「今度は倒すぞ」

 

すると、ガシャコンキースラッシャーとホークガトリング、二つの弾がゲムデウスに放たれた。

それをゲムデウスは盾で受け止め、斬撃を飛ばす。

 

それを二人は横に避け、ビルドがドリルクラッシャーのガンモードの二丁拳銃で動きを妨害し、エグゼイドは上空で斧モードへと切り替え、ゲムデウスへと振り下ろした。

 

『ぐぬぅ・・・!』

 

「このまま行くぞ!」

 

「分かった!」

 

ダメージを僅かに受けた様子を見せたゲムデウス。その隙にエグゼイドはラベルに黄金の長髪なマイティがある十字の星のような端子の部分があるこれまでとは異なる形状のガシャットを取り出し、起動ボタンを押す。

 

HYPER MUTEKI!

 

両腕で『ム』の形を作り、ゲーマドライバーのディスプレイの上にセットしてマキシマムマイティXと合体させた。

 

ドッキーング!

 

一方でビルドは、缶のフルボトルを右上に振り、成分を活性化。

左上に方向を変えたかと思えば、缶を空けるようにプルタブ型のスイッチを入れる。

その瞬間、炭酸を開けるときのような音と共にビルドドライバーに装填した

 

ラビットタンクスパークリング!

 

『Are You Ready?』

 

「変身!」

 

「ハイパー・・・大変身ッ!」

 

ビルドがボルテックレバーを回し、前後にライダーズクレスト型のフレームが現れる。両手を広げてキックボクシングの構えを取り、両腕を降ろすのと同時にビルドが挟まれ、フレームがビルドのライダークレストを現す。

エグゼイドは力強く上部スイッチを押すことでカバーが開いて作動する。

 

パッカーン!ムーテーキー!

 

すると、エグゼイドの形をした黄金色と長髪のマイティのエフェクトが現れ、それを上空に手を翳すことで、エフェクトが一回転してエグゼイドの上空へと移行した。

 

シュワッと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イェイ!イェーイ!』

 

輝け!流星の如く!黄金の最強ゲーマー!ハイパームテキエグゼーイド!

 

炭酸が弾け飛ぶように赤と青、白のエフェクトが弾ける。

すると、ラビットタンク形態に新たに白がメインカラーに追加されたトリコロール、装甲は炭酸の刺激のイメージかギザギザになった上半身の一部には泡のような白いドットが表れている姿へと変化を遂げる。

エグゼイドは黄金に光ったマキシマムゲーマーレベル99から射出され、黄金の星を纏い、着地とともに長髪となった髪を靡かせて現れた。

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

「ノーコンティニューで、クリアしてやる」

 

それぞれの決め台詞とポーズを決め、二人はゲムデウスと衝突する---。

 












こーたーえー発ー表ー!
謎のスマッシュについて解説するぜ!
といっても語ることは対してないので答えだけ言います(おい)
簡単に言えばほぼ戦兎くんが言った通りですね、詳しくはまだ言えないのでメタ的な話で答えを発表します!めっちゃ分かりやすく言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()を入れられたみたいな特殊なスマッシュなのです!だからサブライダーも含めた力を使用してました!何故そんなスマッシュが存在していたのか?誰が作ったのか?それは今は謎である---

そりゃあビルドとクローズが束になっても勝てないわけよ。さてさて、予想出来た人は居ましたかね?見た感じ誰も分かってなさげでしたが。

そして本編がここまで長くなった理由は、まあ全てのフォーム出したい病が出たからです。そして敵が増えるという。作者の悪いところですね!はい!
じゃあ予告!









---(EXCITEが流れるのとちっちゃい仮面ライダーたちの上に落ちるミニ装者たちとゲームの音)---










「こうやってあんたと一緒に戦うのは初めてだな」

「あぁ。あの時は俺一人で変身していたわけじゃないからな」

ビルドとエグゼイドがゲムデウスに挑む中、残された二人の仮面ライダーと装者たちはネビュラヘルブロスとカイデンとの戦いが始まる---













「これで終わらせる!」

一方で、それぞれの最強フォームと現状持つ最強フォームとなったエグゼイドとビルドは、ゲムデウスとの戦闘を繰り広げていた---















「まずはこれを渡しとくか」

「これは・・・!?」

「じゃあ、お別れ・・・かな。後は託したよ、仮面ライダービルド」

別れる前にエグゼイドが渡したものとは、果たして一体---?





















「---なるほど、だいたい分かった。アイツが()()()()のビルドか」

さらに戦いが終わった戦兎たちを見ていた謎の人物とは---?










次回!「城〇内死す!」

戦兎「デュエルスタンバイ!じゃないよ!違うでしょうが!」

(こいつ、直接予告に!?)













---第四話「天才gamerと天才physicist」


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第四話 Together!天才ゲーマーと天才物理学者


えーどーも。おひさーです。これ、今まで残してたやつです。重大発表は後書きにあります。
では、本編どうぞ


 

 

 

 

「こうやってあんたと一緒に戦うのは初めてだな」

 

「あぁ。あの時は俺一人で変身していたわけじゃないからな」

 

隣に並び立つパラドクスに向かって、グレートクローズとなっているクローズが話しかけていた。

 

「二人とも話してる場合じゃないですよ!」

 

「今にも向かってきそうだ」

 

「どうすんだよ、流石に同時に相手するのは難しいかもしれねぇぞ」

 

装者の三人が話しているクローズとパラドクスに向かって言っていた。それもそうだろう。カイデンに関しては今か今かと構えているしヘルブロスに至っては今にも殴りかかってきそうな気配が出ているのだから。

 

「それもそうだな、よし!じゃあ、ヘルブロスは俺がやる!」

 

クローズが拳を叩きつけ、ヘルブロスの正面に立った。

 

「なら俺はカイデンを攻略するか」

 

「私も同行しよう。同じ剣と刀を持つ者同士の方が戦いやすい」

 

分かれるようにカイデンの前に立って武器を構えていたパラドクスの隣に翼が立つ。

すると、自然と決まるようで---響はクローズと一緒に戦うこととなり、クリスは両方の援護という形になる。

 

「しゃあ!行くぞ!」

 

「心が躍るな!」

 

クローズとパラドクスがそれぞれ一番槍を引き受けるように突っ込んでいき---距離を離すように吹き飛ばした---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!」

 

『・・・!』

 

クローズとヘルブロスの拳がぶつかりあう。拮抗したかと思えば、強敵と判断したのかまるで獣の如く鋭く動き始めたヘルブロスが荒々しくクローズに攻撃していく。

勢いに押されてるのか攻撃をギリギリで弾くことに成功してはいるが、いつ崩されるか分からないだろう。しかし、それは()()()()()()()()だ。

 

「龍我さん!」

 

「おう!」

 

来ると分かっていたのかヘルブロスの攻撃に自身の蒼炎の拳をぶつけて大きく反らす。すると、響がスイッチするかの如く入れ替わり、とてつもない連打を繰り出した。ただの素人の拳ではなく、技術の付いた拳---当然、ヘルブロスはあまりにものダメージの量に怯む。

 

「吹っ飛びやがれ!」

 

「今っ!」

 

その隙を逃す二人ではなく、同時に蹴りが放たれた。

 

『・・・!?』

 

怯んだ隙を付かれ、同時の蹴りを受けたヘルブロスが吹き飛び---直後に一つの弾が爆発を起こした。

クリスから放たれたスナイパーのような一撃。彼女は離れた距離から当ててみせ、ダメージを与えたのである。

 

「なんか弱っちいな。旧世界では『ある形態』でも打ち負けることがあったくらい強かったんだが・・・」

 

「私たちが成長したからとかじゃ・・・?」

 

「詳しいことはわかんねえけど・・・とりあえずトドメを---うおっ!?」

 

疑問に思ったことを話していると、不意打ちするかのようにヘルブロスから黒い破損した歯車状のエネルギーが飛んできて、クローズと響は慌てて避けるが、操れるのか、二人を追尾する。

 

「うそ!?」

 

「追尾型かよ!」

 

予想外だったのか驚いた様子を見せるが、響とクローズはそれぞれ頷き合い、何故かクローズは響の方に、響はクローズの方に走っていく。

そしてあと少しでぶつかる---となった瞬間、同時のタイミングで横に転がり、歯車状のエネルギー同士がぶつかりあって爆発した。

 

「響!」

 

そして即座にクローズが立ち上がり、ヘルブロスに向かって走りながらいつの間にか手にしていたビートクローザーを響に投げていた。

 

「はい!これを---打ち込んでぇぇぇえええ!!」

 

脚部のバンパーを展開すると急激に加速し、ビートクローザーの柄に拳をぶつけてヘルブロスに突っ込んでいく。

その間にも銃弾がヘルブロスを怯ませ、クローズは宙に浮いてボルテックレバーを回していた。

 

『Ready Go!』

 

クローズがライダーキックの体勢に入った瞬間にはビートクローザーがヘルブロスに貫き、響の拳によってさらに貫いた。そして響は即座に後ろに飛ぶ。

 

「これで、終わりだぁ!!」

 

青と赤。ふたつのオーラを纏ったクローズの蹴りが響が退避した瞬間にビートクローザーに打ち込まれ、ヘルブロスの肉体を蹴りとともに貫いて爆発が起こった---

 

グレートドラゴニックフィニッシュ!!

 

「どうよ、俺の立てた作戦は!」

 

「龍我さん・・・私何も聞いてませんでしたよ?」

 

「んなっ!?せっかくいいところなのにそれはないだろ!?」

 

「いやぁ、だって思い付きでやったことですし・・・」

 

---格好のつかない終わり方だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、ハハッ、どうした!?まだまだゲームは始まったばかりだ!」

 

圧倒的。もはやそれしか表現出来ないだろう。

パズルのような青色のパーツがカイデンの刀を防ぎ、ようやく当てたかと思えば、鉄にでもぶつけたかの如く弾かれる。

そして、反撃の拳は炎を纏い、とてつもない威力でカイデンを吹き飛ばす。

さらにそれだけではなく---

 

「私を忘れてもらっては困るっ!」

 

吹き飛ばされた先には翼が剣を斜めにして構えており、カイデンが振り向きざまに刀を振ろうとした瞬間には既に遅く、翼の連撃がカイデンを襲っていた。そして、彼女を援護するかの如く『複数の弾』がカイデンを襲っていた。

その先には『七人に分身』したパラドクスがガンモードで放っていたのである。

 

「そうだなぁ、こいつでトドメだ!」

 

パズルを弄るかのように空間を操作しているような動かし方をしていたパラドクスはエナジーアイテム取る。

 

『ジャンプ強化!』『高速化!』『マッスル化!』

 

三つのエナジーアイテムをパラドクスが吸収し、レバーを一度閉じた。

 

『ガッチャ---ガッチャーン!』『ウラワザ!

 

パラドクスが腰を深く落とし、構えを取る。

すると左足にパズルの青色のエフェクトが出てきて赤い炎が混ざりあう。その姿を見た翼はすぐに理解し、剣を滑らすかのようにカイデンを斬り裂き、即座に逆立ちしながら横回転することで脚部のブレードを展開ともにカイデンにダメージを与えた。

 

PERFECTKNOCKOUT CRITCALBOMBER!

 

空高く飛んだパラドクスがライダーキックの体勢に入る。

 

『ぐぅ・・・ならば、正面から弾いて・・・なぬ!?』

 

翼の攻撃で大ダメージを負っていたカイデンだったが、すぐに刀を戻し、パラドクスに反応して抜刀術を使おうとする。しかし刀を抜こうとした瞬間、動けなくなった。

 

影縫い

 

「ハアアァアアアッ!!」

 

カイデンの影に刺さっている小刀のせいで身動き一つ取れないカイデンにパラドクスの紫色のオーラを纏って両足を突き出す---ライダーキックが突き刺さった。

 

『PERFECT!GAME CLEAR!』

 

「ゲームクリア!俺たちの勝利だな!」

 

「ああ。戦術、戦い方、ともに見事だった」

 

「お前も戦いやすかったし上手く立ち回れたと思うぜ?ゲームではヘイト集め、援護ってのは非常に大事だからな」

 

「ふむ、そうだろうか・・・」

 

「あぁ!」

 

無事に撃破し終えたパラドクスは、エグゼイドたちが戦っているであろう場所を見つめた。

 

「あとはラスボスの攻略だけだぜ、相棒(永夢)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はああっ!」

 

『ぬぅ!?』

 

「ふっ!よおぉっと!!」

 

ビルドが泡を弾けさせ、高速移動とともにゲムデウスを大型のエネルギー刃を発生させて高速斬撃を繰り出し、ゲムデウスが反撃しようとした瞬間には姿を消した。

そして、入れ替わるように現れたエグゼイドが頭部の髪の毛を振り回すことで黄金の竜巻をゲムデウスへとぶつけ、竜巻が消えた瞬間には高速移動で現れたビルドがゲムデウスを上空へ蹴り飛ばした。

 

「これで終わらせる!」

 

エグゼイドが白いガシャットを取り出し、起動ボタンを押した。

 

『ドクターマイティダブルエックス!』

 

ガシャコンキースラッシャーにガシャットを差し込み、エグゼイドはゲムデウスを見据えた。

 

『ダブルガシャット!』

 

『同じ手は食らうものか!』

 

それに反応したのかゲムデウスは地面に斬撃を放ち、バーニアの力でも使ったのか大きく移動してエグゼイドから距離を置いた。

 

「残念---こっちは囮だよ」

 

『なに・・・?』

 

土煙が晴れると、平気そうに立ち上がったエグゼイドはゲムデウスの正面にワープし、()()()()()()()()()をゲムデウスの腹辺りに添えた。

 

『VOLTEX BREAK!』

 

そして()()した斬撃がゲムデウスを襲い、怯ませた後にエグゼイドが黄金の竜巻と一緒に昇竜拳の如くゲムデウスを上空へ飛ばした。

その先にビルドが高速移動で追いついており、その手には---()()()()()()()()()()()()()があった。

 

『DOCTORMIGHTY CRITICALFINISH!』

 

白とオレンジ、青色などの様々な色を纏わせた刀身でビルドが反撃の隙も与えずゲムデウスに突き刺す。

 

『ウガァ・・・!?』

 

「ウオオォオオオォォオオオォォ!!」

 

地面に叩きつけるように全力で斬りつけたビルドはダメ押しとも言うかのようにゲムデウスに踵落としを繰り出し、地面に着地した。

その傍にはワープしてきたエグゼイドが居る。

 

「ビルド!フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

 

「あぁ!これで終わりだ!」

 

エグゼイドが上部のスイッチを叩くように二回押し、ビルドがボルテックレバーを回した。

 

キメワザ!』『ReadyGo!

 

その瞬間に二人は空高く飛び上がり、エグゼイドの全身が黄金の粒子を纏うことで光り輝く。

エグゼイドは黄金のエネルギーを、ビルドは炭酸のような赤と青、そして無数の泡を纏わせたライダーキックをゲムデウスへと放つ。

 

HYPER CRITICALSPARKING!

 

SPARCRING FINISH!

 

『グアァ!?私はまた、負けるのか・・・仮面ライダーに・・・』

 

()()()()()()()されて抵抗出来ずに二人のライダーキックを、ゲムデウスはその身に受ける。しかし、受けているにも関わらずゲムデウスは言葉を呟いていた。無念さを秘めたような言葉を。

 

「ゲムデウス!例えお前が何度蘇ったとしてもオレたちが攻略する!」

 

「誰かの笑顔を、自由と平和を守るためにッ!大勢の人々の明日を創るために、何度だって立ち向かってやる!何故なら俺たちは---」

 

「「仮面ライダーだッ!!」」

 

『それが源、守るという絶対的な意志。これが仮面ライダーの、力---』

 

エグゼイドとビルドは一瞬だけ浮き、さらに勢いを増した。それで自身の死を悟ったのか、最後に納得したかのような言葉を呟いたゲムデウスはライダーキックに貫かれ、爆発を起こす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GAME CLEAR!

 

「---ゲーム、クリアだ」

 

二人の仮面ライダーは地面に着地し、爆発を気にせずに背を向けていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、なんでゲムデウスといい、バグスターといい、ヘルブロスといい---ここまでエグゼイドに関連する敵が出てきたんだ?」

 

戦いが終わって無事に合流すると、エグゼイドに関する説明をした後に変身を解除していないビルドが考え込むように呟く。

 

「それは俺にも分からない。でも、この世界はビルドの世界なんだろ?だったらバグスターの存在はないはずだ。何者かが()()()()()って可能性はあるかもだけどな」

 

「何者かが?あんたらの世界とこの世界は別なんだろ?」

 

「ということは世界を移動する力でもない限り・・・」

 

エグゼイドの言葉に、翼とクリスが割り込む。

 

「一度、ビルドの世界と俺たちの世界を融合させようとしたやつが居たんだよ。俺もビルドの世界にその時に行ったから知ってる」

 

「あぁ、俺も他のライダーたちが存在する地球に言ったな。スカイウォールがないって聞いた時は驚いたぜ」

 

「・・・あの、もしかしてよく理解出来てないの私だけですかね・・・?」

 

「・・・まあ、このバカは経験したから分かるだけでどうせよく分かってないさ。響には後で分かりやすく教えるよ」

 

「ちょ、ちゃんと理解出来てるからな!?」

 

「ん?だったらどういうことよ、説明してみ?」

 

「それはアレだよ、アレがこうなって・・・そうなったから---」

 

「アレってなんだよ。やっぱり理解してないだろ」

 

「うるせぇ!」

 

「・・・なあ、永夢?あの二人って仲悪いのか?」

 

「いや、そんなことはないんじゃないかな・・・なんだかんだ信頼し合ってるみたいだし・・・」

 

まさかの放ったらかしでいつもの言い合いに発展するビルドたちの姿に、エグゼイドは思わず素に戻っていた。

 

「ってあれ?なんか光ってないか?」

 

「いや、元からムテキのエグゼイドは光ってるだろ・・・ってなんだ!?」

 

しばらく言い合いをしている間に装者たちと話をしていたエグゼイドたちが騒がしくなり、クローズが先に気づいたようでビルドに向かって言うと、ビルドが突っ込みつつ驚いた。それも仕方がないだろう。何故ならエグゼイドたちの体からは金色の粒子が溢れ、姿()()()()()()のだから。

 

「永夢。これってまさか・・・」

 

「・・・そういうことだったのか。ビルド!お前に言わないと行けないことがある!」

 

何かに気づいたパラドがエグゼイドに答えを求めると、エグゼイドは何処か焦ったような様子でビルドに叫んだ。

 

「俺に?なんだ??」

 

首を傾げながらも、ビルドがエグゼイドに近寄る。後ろからはクローズが着いてきていた。

 

「まずはこれを渡しとくか。実はここに来る前、()()()()お前に渡すように言われたんだ」

 

「これは・・・!?」

 

そう言い、エグゼイドはビルドに()()()()()を差し出した。それを受け取ったビルドは、酷く驚いた様子を見せる。

何故なら---

 

「エグゼイドフルボトル!?なんで・・・!?」

 

エグゼイドのフルボトルだったのだから。力を奪ったわけでも、エグゼイドから直接成分を取ったわけでもないのに()()()存在している。

 

「ごめんだけど()にも分からない。ただ気をつけて欲しい。これから先---いや、きっと今までにないほど、大きな敵が現れると思う。それは恐らく、()()()()()()()()()()()()すら大きく揺るがす可能性があるかもしれない」

 

エグゼイドの一人称が変わる。見れば、ムテキの姿をしていたのに今は一人の青年の姿をしていた。隣にいたパラドクスも今は人間の肉体へと戻っている。それはもう、この世界に留まることの出来ない証だろうか。

 

「どういうことだ?存在を・・・揺るがす?」

 

「多分、()はそれに気づいたんだと思う。だからキミに仮面ライダーの力を託すように僕にお願いしてきたんじゃないかな・・・そして、僕の役目はもう終えたみたいだ。ゲムデウスを攻略する。それが僕の呼ばれた理由だと思う」

 

「つまり、元の世界に戻るってことか?」

 

「多分ね。とにかく、これからもキミたちの前には強敵が現れるはず。力になれないのが悔しいけど、応援はしてる。キミならノーコンテニューで救えるって、信じてるよ」

 

「エグゼイド、まだ話は---」

 

まだ聞きたいことがあるのか、ビルドが永夢に向かって聞こうとする。しかし、彼の姿はほとんど見えなくなるくらい薄れており、首を横に振った。

 

「もう時間みたいだ。相手は()()()()()でさえ呼べる敵・・・僕たちは()()()()に深く干渉出来ないから、キミに任せるしかない。でも、僕たちの心はいつでも繋がってる。本当に危機が陥った時、また駆けつけるよ。必ず」

 

「お前たちも、頑張れよ?参加出来ないのが悔しいけど、お前たちならきっと乗り越えられる。俺と永夢が乗り越えられたようにな」

 

「じゃあ、お別れ・・・かな。後は託したよ、仮面ライダービルド」

 

少しずつ、少しずつ粒子となって消えそうになっている永夢はビルドに向かって手を差し出す。

それを見て、何処か悩む素振りを見せるが、時間が無いと気づいてるのかビルドは変身を解除してその手を握った。

 

「あんたの意思、受け取った。例え相手が何者だろうと---俺がこの手でビルドしてみせるさ」

 

「うん、任せた---また、会おう」

 

「じゃあな」

 

そう言って、二人の()()()()()()()()()()はこの世界から姿を消した---。

 

「---どうやら、大変なことになってるのかもな」

 

勝利の雰囲気は何処へやら、少し重くなった雰囲気の中、戦兎が静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「だぁー!何だったのかよく分からねぇ!」

 

「空気読みなさいよ!?」

 

「すみません・・・私も分かりませんでした!」

 

「・・・まあ、あたしららしいな」

 

「雪音もそう思ってきてるとは、中々に毒れて来ているな」

 

「あーもう!せっかくの空気が台無しだ!この話は俺が整理しておくからとりあえず帰るぞ!保護した少女も心配だし」

 

「そうですね!お腹も空きましたし!」

 

「俺も腹減ったぁ!」

 

「はぁ・・・まったく、先に報告だからな」

 

「報告することも多いだろうし、その方がいいと思う」

 

「「えー・・・」」

 

「バカ一号と二号は変わらねぇな」

 

---相変わらず、締まらないメンバーだった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一つの影があった。ソレは()()が居る場所を眺め、興味を無くしたのか目を伏せた。

 

『あれが仮面ライダービルド・・・『創造』の名の通り、まさか()()()()()を呼び出すとは、やはり邪魔な存在の一人か』

 

ソレは()()()()()()()を手にしていた。何処か、エグゼイドに似た見た目をしている()()()()だった。

 

『この力もまだまだ完全には至らぬか・・・()()()()()()必要もある。しかし、奴の力は分かった。シンフォギアと呼ばれる力も()()脅威になりはしない。しばらくは()()()()()()()()()()()ように調整でも---ん?』

 

ソレが何かを呟いていると、ソレは突如何かを感じ取り---後ろに手を翳した。

すると、その手にはバリアのようなものが貼られ、()()を防ぐ。

 

『まさか、ここまで追ってくるとはな---』

 

ソレは何処か面倒くさそうな、鬱陶しそうに振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん。あいにくだが、世界を超えられるのはお前だけじゃないんだ」

 

『全く、貴様も厄介な存在の一人だ---『世界の破壊者』、()()()()()

 

「だったらどうする?」

 

ディケイドと呼ばれた彼は武器を構える。しかし。ソレは相手をする気がないのか何もしようとしない。

 

「どうこうする気は無い。だが、()の相手をするよりも早く自分の()()()()でも見つけたらどうだ?」

 

「俺の旅はまだ終わりそうにないんでな---ゆっくりと探していくさッ!」

 

『・・・ふん』

 

ディケイドがソレに向かって剣を振り下ろす。しかし、ソレはあっさりと躱すとディケイドの胸に手を当て、衝撃波で吹き飛ばした。

 

「ぐっ!?・・・だったらこれで---」

 

ディケイドが一枚のカードを取り出そうとし、ドライバーに入れようとすると---

 

『今日はここまでだ。もとより、今の私には貴様の相手をする気は無い』

 

「・・・逃がしたか」

 

ソレの姿は既に無く、声だけが響いた。既に居ないことに気づいたのかディケイドはマゼンタ色のベルトのサイドハンドルを引く。すると透明になり、左右に複数のディケイドの姿が分身するかのように分かれ、一人の男性の姿となった。

茶色の髪をし、首には2眼のトイカメラをぶら下げている青年は、『彼ら』が居た場所を見つめ、首にぶら下げているカメラでシャッターを切った。

 

「---なるほど、だいたい分かった。あれが()()()()のビルドか」

 

彼はカメラから手を離すと、手を空中に翳した。

 

「・・・どうやら、届け物は受け取って貰えたらしいな。全く、人使いの荒い()()だ」

 

青年が手を翳すと、透明なオーロラのような壁が現れる。

 

「心配せずとも、近々会うことになるだろう。俺とは対極の名を有する仮面ライダー・・・か」

 

そう小さく呟き、片手に()()()()()()()()を取り出して軽く横に振る。そして、オーロラの壁に包まれると彼の姿はそこから消えた---

 

 

 

 

 

 

 

 





はい、ここで重大なお知らせです。
この作品についてなんですけど、失踪というかなんというか凍結します。
理由を発表すると、作者がこれ以上思いつかない。展開変わりすぎて修正不可能。ビルドロスバフが消えて書く気力が湧かない。リアルが忙しいし寝落ち多くて辛い。今もだけど今以上に処女作なだけあってクソ駄文過ぎて泣けてきた。などなど・・・様々な理由が重なり、期待していた皆様には申し訳ありませんが、この作品は凍結させて頂くことにしました。
ってか万丈はともかく、戦兎くんにヒロイン要素がぶっちゃけいらんかったなって・・・そこが余計に難しくなったわけですね、わたくし。

えーそれで、破壊者を出すというこんっな自分でも気になる展開で終わるのは申し訳ないのですが、今書いてるもうひとつの仮面ライダー作品であるゼロワン×シンフォギアの『戦姫予測シンフォギア〜未来へのREAL×EYEZ〜』はこれからも投稿していく所存なため、私の作品が見たい人は居ないと思いますが居ると信じたいので居るなら読んであげてください!
ただし、予め言っておきますが、オリ主の作品です。ただただ作者の『好き』を詰め込んだ作品です。ヒロインはリベンジマッチの如くビッキーと未来さんでヤンデレ版(IFルート)も同時進行しております。ついでにビルド世界のヤベーヤツもいます。クソ有能です。

最後にこの作品についてですが、残しはします。つまりリメイク版出すぞオラァ!の可能性があるということです。そうなると、成長した(はずの)私の文章が火を噴くかもしれないです。
少なくとも『せんきよそ・・・』打つのめんどいのでゼロワンの方が完結すればやり直すかもしれないですね。シノビというクソ面白そうだった来年のライダー(魔王並みの未来予知)を書くかもしれませんが!
長くなりましたが、今まで・・・ありがとうございましたっ!ついてきてくださった方には土下座して焼き土下座からのサバイバルで溜め込んだダイヤモンドをラージチェスト分全部と一緒にマグマダイブしたいほど申し訳ないのですが、読んでくださってる方はゼロワンの方でよろしくお願いします!あっちは四期くらいまで構想決まってますし自ら書きたい!となる方法があるので死んでも魂だけになってでも終わらせるんじゃないですかね。
では、またいつかの明日に!


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