サイボーグがダンジョンに出現するのは何故か (ただの阿呆)
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プロローグ

また新しいのに手を出しました。なにかに似てると思うか?それは勘違いでは無いと思います。
ではまた失踪前提のシリーズがはじまるよー!


彼の生まれた時代は核融合が実用化されたくらいである。裏社会の人間ならば誰でも知っている【ソリッド・スネーク】や【ジャック・ザ・リッパー】などの伝説となった人物たち。そんな彼らを知ることになるのは彼がとある人物に出会ったあとのことだった。彼は少年兵であったのだ。時代に似合わない、ガンパウダーを用いた明らかな時代遅れの兵隊。その中で必然的にPMCの兵士に倒されていくのが道理であったのだ。少年兵たちのほとんどは保護されて生き延びた。彼も同じくであったが仲間たちとは違う道を選ぶことになる。彼が拾われたのは【アリス】と呼ばれるPMCSであった。その社長である【アリス】に息子同然に育てられた。彼は伝説ほどではなかったものの、ガンパウダーの投与によって残虐性も上がった彼は内勤で兵士でも活躍できる程度に育てられた。その頃にはサイボーグ技術も発展し、手術にはジャック、いや雷電の時代のように金がかかるわけではなかった。

しかし、彼の要求は通らなかった。アリスが断固としてそれを通そうとしなかったのだ。それに一旦は諦めて内勤を務めあげていた。現地コーディネーターも務めていたが数回やったあとのことだ、突然の襲撃だった。その任務には社長であり、会社の最高戦力である軍用サイボーグに身を変えた【アリス】も同伴していた。それだけでは捌けない敵だったのだろう、彼は生きていただけでも奇跡だったと言われ【アリス】には泣かれた。それを機に彼の身体はサイボーグへと変わり、現地任務にも身を捧げるようになったのだ。同僚や後輩に連れられて日本やドイツ、フランスに行ったが日本に行ったのを皮切りに食に目覚めた。まあ、そんなことは関係ないだろう。兵士の死ぬ瞬間は呆気ないものである。ましてや英雄でもなければ当然だ。幸いであったのはサイボーグは痛みを感じないこと、そして無駄に頑丈なことであった。同僚の助けになれたならそれでいい、殉死というものだ。決して無駄死にではないことを祈るのみである。

 

「ぬぅ、ここは?」

 

死んだことなど今の状況には些細なことだろう。死んだはずであるのにマップデータも何も無い場所に放り出されたことの方が重要である。

ガシャン、と眼帯のような機能を果たすバイザーを展開する。今の状況を確認しなければ、と今までのデータを閲覧し、ここのマップデータやここに関するデータがないことを確認する。

 

「え、なにもないのか。まさかっ、記憶データは、ないっ!」

 

朧げではあるが今までの記憶もサイボーグ化してからの記憶も保持し続けてはいる。しかし、記憶データはおろか今まで保存し続けてきたデータすら存在していない。当然だがここのマップデータもまた存在していないのだ。

 

「マジかよ、完全なノーデータか」

 

探索ゲームによくあるマッピングをしなければならない、ということだろうか。基礎データは作っておいて損は無い。なので適当な大きさのマップデータを作成しておく。

背中には磁力でくっつく万能鞘とそれに収まる日本刀を高周波で強化した高周波ブレードがある。これが彼のメイン武装である。それを抜いてみてブレードを振ってみる。

 

「うん、いい感じだ」

 

死ぬ前に持っていたブレードと同じものであるようだ。満足すると鞘にブレードを収める。

敵をAR《拡張現実》として視覚化する【オーグメントモード】を使用して洞窟のような場所を進む。全力疾走すると地面に足跡がつくほどにパワーのある義体で進んでいくと何故だか壁から生まれる怪物がその余波で自動的に死んでいく。そんな中、ARとして彼の視界にあるのは壁で隔てられた向こうの世界。そこに見えるのは人間らしく見える者がさっきまで軽く殺していた怪物に囲まれている。戦おうとしているし勝てそうであるが恩は売っておいて損は無いだろう。

彼が見たのは少年であった。右手に逆手でナイフを構え、小鬼のような怪物の攻撃を避けると喉を裂いた。うん、簡単に倒せるだろうな。

 

「ふんっ」

 

三体いる小鬼のうち、二体を少年が、飛び入りした彼が一体を処理する。

 

「邪魔をしたかな?」

 

「え、えっと。いえ邪魔ではない、です!」

 

「そうか、それは良かった」

 

人が人なら横取りしやがって、なんて言われていた場面だろう。この少年は優しいようで安心した。サイボーグになっても通用した読心はここでも通用するようだ。

 

「聞きたいことがあるのだが、ここはどこだ?」

 

「え?ダンジョン、ですけど」

 

「ダンジョン、ね」

 

少年の目が阿呆を見る目になっていることを予測してむぅ、と唸る。確かに転移する方法があったとしても今いる場所が分からないなんて阿呆は考えられないだろう。

 

「あなたは、」

 

「少年、すまないが私については今は聞かないでくれ。外はどこに行ったら行けるんだ?」

 

「あ、ごめんなさい。僕はもう帰るところなので送りましょうか?」

 

「ああ、助かるよ」

 

少年の名前はベル・クラネルであるらしい。自分の名前も名乗ろうとは思ったが今の姿が分からないことがネックなのだ。手の大きさ、自身の容姿データから元の姿ではないどころか関わりの深い人物になっている可能性すらあるのだ。

地上にたどりついた後の施設の中のシャワー室なる場所、そこに案内されてそこで自分の身体をまじまじと見る。

 

「んぅ、やっぱりか」

 

彼の身体は彼の母親同然の存在のものであった。顔もまたそれである。

 

「私は紫桜和平。アリス。どちらか、いやどちらにも、だな」

 

腰にまで届く黒髪と青い瞳、義体特有の服を着ていない状態の全身鎧のような見た目。そして何よりも幼女並の身長と容姿。予測はしていたがくるものはある。

しかしそんなことを気にしてもいられない。シャワー室を出ていくとベルに改めて自己紹介をすることにする。

 

 

 




ベル君が少し変わっとりますな。歪んでてもいい、義手にロマン感じるのは誰しもそうですよね!!誰義手にしようかなぁ。
和平の基準はメタルギアライジングの雷電。強さは雷電と同じくらいです。ああ、書き直したい。


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