Re:前世で怪我して辞めた俺が青道で頂点を目指す話 (Taipho)
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プロローグ〜転生〜

プロローグから3話位まで展開変わらずです。
リメイクって言っても作り直したりしてないので
1部オリキャラの名前変わってますがコナンくんの安室さん方式を採用したからです!


 

 

 

「お前は死んでしまった。想定外のことでな。儂も頭を悩ませておる。」

 

意識が戻るとなんか神々しそうなオーラを背中に出した爺さんに突然そんなことを言われた。確か、俺は車に轢かれて多分死んだハズ・・・

 

「そうそうお前は下級の神が起こしたミスで起こった車の暴走で死ん

でしまったんじゃ。・・・まったく面倒なこと起こしよって。」

 

本当に面倒くさそうだなぁ。俺この後どうなるんだろ?

 

「お前は本来死ぬはずがなかっんじゃ。

それが死んでしまったんじゃよ?これは大きな問題なんじゃ。

儂らのミスとあっては他の奴らに示しがつかんからのォ。」

 

えーっと、その前にあんた誰?

 

「儂か?儂は全知全能と自他共に認められておる神、ゼウスじゃ。」

 

ええっー!!

あのモ〇ストとかに出てくるあのゼウスか!!

 

てかやっぱり俺死んでたのかよー!

 

「?そのモ〇ストとやらに出てくるゼウスで一応あっとる・・・と思う。」

 

ちょっと待て、俺は死んで全知全能の神がいる。これって最近ラノベでよくあるパターンの転生できますよ〜って奴なんじゃね?

 

「おお!それじゃ!それなら部下のミスのアフターケアも出来る上司としてさらに儂の株もあがるわ!という訳で転生してもらうぞ?」

 

なんか変なこと聞こえた気がするけど聞かなかったことにしよう。

転生先とかこっちで決めてもいいの?

 

「その世界にもバランスというものがあるからのォ。その提案によるのォ」

 

じゃあ、俺死ぬ前は怪我で出来なくなるまで野球してて全国優勝とかしてたから『ダイヤのA』の世界がいい。

もう1回野球人生をやり直したい!

 

「ふむ。『ダイヤのA』か・・・戦闘系でもないし、お主の世界に近い世界観であると・・・よし、この世界なら大丈夫じゃ!なら次は特典についてじゃな!」

 

特典も決めれるの?

それなら、パワプロのサクセスみたいに練習とか試合をすればポイント貰えてそれを振り分けて成長出来る能力と、自分や他の人の能力をパワプロ基準で見れること、練習や試合とかで故障しない体と、『沢村栄純』とその幼馴染たちと幼馴染になれること、中学三年で青道高校のスカウトが来ること、それから『御幸世代』であること、前世の野球知識。

まぁこれくらいかな?ちょっと多かったかな?

 

「いやいや、今回はこちらの不手際。それに3つほどしか特典と言えるものでは無いから叶えるのは簡単じゃよ。」

 

ホント?やったね!ありがと神様!

 

「よし!準備が出来たぞ。・・・では達者でな!」

 

りょうかいっです!

 

と、ここまで話した所で俺の体が光り、意識が遠いていくのだった。



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1話

 

 

神様にあって、転生してからまだ誕生日来てないから8年ほど経った。

 

転生した時俺は産まれたての赤ちゃんになってて、名前は『高瀬 維』と名付けられた。

 

俺が産まれた時父親は居なくて、後から聞いた話母親の体が弱かったから母親の実家がある長野県の田舎に母親だけ戻ってきていたんだそうだ。

 

そして1歳の時に初めて『蒼月 若菜』に出会った。

 

それからは3歳になるまで週1ペースで遊んでいたが、3歳からはほぼ毎日一緒に遊んでた。

 

でも、5歳の時に母親の体調が安定したため、父親の居る東京に引っ越すことになってしまったのだ。

 

引っ越す時に若菜と小さい子供あるあるの将来結婚する約束をした。

 

その後若菜が文字を書けるようになってからは3ヶ月前まで文通をしていた。

 

いや、今でも文通はしているが、3ヶ月前に野球のリトルチームに入ったから全然こちらから返せてない。

 

多分怒ってるんだろうなぁとなんのなく分かるから、次手紙書く時にいっぱい謝っておこう。

 

小3になった事で近くのリトルリーグのチームに入ったんだけど、そこで驚く人と出会った。

 

なんと原作キャラの『滝川・クリス・優』が居たのだ!!

 

将来、青道高校で監督からの信頼の厚い選手になるこの人に実力を認めさせておけば青道高校に入りやすくなるかも。

 

そう思った俺は他の投手希望者を蹴落としてでもクリスとバッテリーを組もうと考えてたんだけど、なんと俺の世代に俺以外の投手希望者が居なかった。

 

投手希望は俺1人のだからスグにブルペンで投げさせてもらえた。

 

前世では、フォーシームの握りをコントロールを付けるために小さい頃から指を開けてたんだけど、コントロールはこれから付ければいいから、隙間を作らず、中指と人差し指をくっつけて握る。

 

案の定、コントロールは結構乱れたけど、ストライクは何球かは入ってたし、これで慣れてコントロールを磨けばキレのあるフォーシームをコーナーに決めて三振が取れそうだ!

 

そうして俺がチームで練習を初めて3ヶ月が経った。

 

そう言えばまだ能力値を出してなかったな。

確認しておくか・・・

 

高瀬維 左投左打 (8)

 

投手能力

 

球速Max60㌔

 

制球E(40)

 

スタミナF(31)

 

変化球ナシ

 

特殊能力

 

・牽制〇

・鉄腕

 

野手能力

 

弾道1

 

ミートF(34)

 

パワーG(18)

 

走力E(42)

 

肩力F(35)

 

守備力E(49)

 

捕球E(47)

 

特殊能力

 

・鉄人

 

・・・とまぁまだこんなもんか、これでもコントロール、ミート、走力、守備力、捕球、それと牽制〇は前世の野球知識等のお陰で、最初から高かったり持ってたりする。

 

鉄腕と鉄人は転生特典のお陰で持っている。

 

とりあえず、練習を重ねて、球速が70に到達とコントロールがD(55)まで上がったら前世の俺のウイニングショットだったスライダーを覚えよう。

 

よし!しばらくの目標も決まったし明日も練習あるから今日はもう寝よう!



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2話

あれからさらに1ヶ月が経った。

 

結論から言うとたった1ヶ月で球速が10㌔上がってコントロールもD(57)になってしまった。

 

転生特典エグすぎね?

 

まぁ目標は達成したからクリスさんのとこ行ってスライダーの練習させてもらお。

 

⚾️

 

「クリスさん、ちょっといいですか?」

 

「・・・どうした?・・・高瀬。」

 

「前からある程度コントロール付いたら投げたかったボールがあるんです。変化球、練習で投げていいですか?」

 

「球種にもよるな。フォークなんかは早すぎるからな。何を投げたいんだ?」

 

「スライダーです!」

 

「スライダー・・・いいだろう。今年は良くても来年は確実に投手不足になるだろうからな。」

 

「あざっす!クリスさん!早速受けてもらっていいですか?」

 

「わかった。ブルペンに行こう。」

 

よっし!これでやっとウイニングショットが練習出来る!

 

前世の野球知識とか、練習で掴んだ感覚とか、結構引き継がれてるからスライダーがどうなるか楽しみだ!

 

⚾️

 

ホントにスライダーを投げるつもりか・・・

 

俺はカーブじゃなくてスライダーを選んだ後輩投手、高瀬維の事を正直馬鹿だと思っている。

 

確かにスライダーを投げる投手は多くいるが、大体の投手は最初に比較的簡単に投げられるカーブから練習する。

 

だが彼奴は最初からスライダーを練習したいと言ってきた。

 

彼奴のフォーシームはかなり良い球だ。

 

俺が彼奴ならブレーキのかかるカーブを練習する。

 

俺には彼奴が何故スライダーを投げたがるのかわからなかった。

 

⚾️

 

クリスさんがそんなふうなことを考えていた頃俺は先にブルペンに行って肩を作ってた。

 

丁度肩がいい感じになってきたタイミングでクリスさんが防具を付け終えてブルペンに入ってきた。

 

「じゃあ肩はもう出来てるんで座ってもらっていいですか?」

 

「了解だ。」

 

クリスさんが座ると俺はウイニングショットだったスライダーの握りをする。

 

うん、やっぱり流石ウイニングショット。

指にしっくりくる。

 

俺の投球フォームはこのウイニングショットを最大限に生かすためのフォームだ。

 

右手の位置から肩の高さのバランスまで、5年掛けて作ったフォームでスライダーを投げる。

 

俺のスライダーは中指と人差し指の第1関節に縫い目をかけて、親指をその対角の縫い目にそっておき、リリースの瞬間に手首を縦に切って投げる。

 

リリースの瞬間に手首を縦に切ってリリースされたスライダーは右バッターインコース寄りの真ん中低めから俗に言うスラーブの様な軌道で右バッターのインローギリギリを通ってクリスのミットに収まらなかった。

 

なぜならクリスさんが予測軌道と俺のスライダーがの軌道が全然違ったからだ。

 

ティロティロティン♪

 

お、能力に変化でたかな?

 

投手能力

 

球速Max70㌔

 

コントロールD(57)

 

スタミナF(38)

 

変化球

 

・スライダー2(※上限3)

 

特殊能力

 

・牽制〇

・鉄腕

 

・・・おぉ!前世のウイニングショットだからかわかんないけどいきなり変化量2の状態で手に入ったぞ!

 

よし!小6になるまでは他の変化球は取らずに、特殊能力と俗に言うスタミナロール、球速を上げることに専念しよう。

 

あ、でも小5になったらバッティングの方も上げよう!

 

⚾️

 

俺は正直彼奴を舐めていた。

 

彼奴・・・高瀬維のスライダーがこんな変化をするなんて夢にも思っていなかった。

 

俺は高瀬を舐めていた事を後悔すると同時に、高瀬となら全国優勝も出来ると思った。

 

高瀬と同学年じゃないのが残念で仕方ないな・・・。

 

俺は心のそこからそう思った。

 



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3話

 

 

俺が初めてクリスさんにスライダーを投げてからもう2年も経った。

 

俺は当初の目標通りに成長させている。

今の能力はこんな感じだ。

 

投手能力

 

球速Max97㌔

 

コントロールA(82)

 

スタミナB(73)

 

変化球

 

・スライダー3(※上限3)

 

特殊能力

 

・牽制〇

・鉄腕

・クイック〇

・リリース

・ノビ〇

 

野手能力

 

ミートS(91)

 

パワーB(75)

 

走力A(88)

 

肩力A(86)

 

守備力S(97)

 

捕球S(93)

 

特殊能力

 

・鉄人

・アベレージヒッター

・走塁◎

・盗塁〇

・外野手〇

・レーザービーム

 

と、まぁこんな感じだ。

 

小3の時に比べて、球速が27㌔、コントロールが3ランク(25)、スタミナが4ランク(42)、スライダーが+1あがった。

 

投手能力のスタミナは頑張って走ったけど、コントロールは前世の知識に基づいた感覚のおかげで勝手に上がってくれた。

 

野手能力の方もパワーと走力以外はほとんど前世の野球知識のお陰で高いって感じだ。

 

特殊能力は新しく、クイック〇、リリース、ノビ〇、アベレージヒッター、走塁◎、盗塁〇、外野手〇、レーザービームを取得した。

 

でも正味、アベレージヒッターとリリース以外は前世の野球知識のお陰なのでかなりチート小学生になっちゃったんだよね〜(苦笑)

 

そして今日は俺の公式戦初先発初登板の日だ。

 

2個上に、佐倉井っていう右投げの結構凄い球投げる人がいるのと野手能力チートだからこれまでは外野手で出てたんだよね。

 

ただ今年は佐倉井さんほど凄い投手はいないからエースかと思いきや、試合での内野手との息があまりあわずそこが響いたのか、エースは他の人だった。

 

だから今日の公式戦初先発初登板は絶対に完封して来年のエースになってやる!

 

⚾️

 

夏季選手権東京地区予選大会

1回戦

丸亀リトル対足立リトル

 

原作キャラだけオーダーを確認しておこ。

 

1番ショート 白河勝之

3番ピッチャー 俺

4番キャッチャー 滝川クリス優

 

 

それと試合前だし、味方の原作キャラの能力も見ておこう。

 

白河勝之 右投右打

 

野手能力

 

弾道 2

 

ミート A(80)

 

パワー C(64)

 

走力 A(86)

 

肩力 B(73)

 

守備力 S(92)

 

捕球 B(78)

 

特殊能力

 

・守備職人

・守備移動〇

・送球〇

・バント〇

・チャンスメーカー

・流し打ち

・走塁〇

・盗塁〇

 

滝川・クリス・優 右投右打

 

野手能力

 

弾道 3

 

ミート S(90)

 

パワー A(87)

 

走力 B(75)

 

肩力 S(98)

 

守備力 S(93)

 

捕球 S(94)

 

特殊能力

 

・キャッチャー◎

・送球〇

・鼓舞

・高速チャージ

・アベレージヒッター

・広角打法

・固め打ち

・チャンス〇

 

・・・うん、流石原作キャラ。チートだね。

特にクリスさん。

今、中学行っても4番キャッチャーで出れそうだ。

 

それともう1人、クリスさんに直接色々指導してもらってる4年生の子が居るんだよね。

 

クリスさん曰く、自分が卒業した後の正捕手で将来有望・・・らしい。

 

能力は・・・

 

司波悠一 右投左打

 

野手能力

 

弾道2

 

ミート A(88)

 

パワー C(67)

 

走力 S(92)

 

肩力 A(81)

 

守備力 S(91)

 

捕球 B(78)

 

特殊能力

 

・アベレージヒッター

・キャッチャー〇

・走力〇

・盗塁〇

・粘り打ち

・流し打ち

・送球〇

・高速チャージ

・バント〇

・盗塁アシスト

・一塁手〇

・三塁手〇

 

と、まぁ4年生の中では飛び抜けてるんだよね。

ただ、正捕手はクリスさんだからファーストとサードも練習してる。

 

キャッチャーの方はクリスさんの指導のおかげで守備力は飛び抜けてて、捕球は僕の球は捕れない時があるけど捕れなくても必ず体で前に落とすからクリスさんの次に安心して投げられるキャッチャーだ。

 

因みに司波は2番サードでスタメン入りしている。

 

おっと、考えこみ過ぎてもう審判が出てきちゃったな。

整列だ!

 

⚾️

 

「丸亀リトル対足立リトル、足立リトルの先行で始めます。礼!」

 

『お願いします!』

 

⚾️

 

丸亀リトルは後攻だから先に守備につく。

 

投球練習が終わり、プレイボールのコールがかかる。

 

「プレイ!」

 

1球目、クリスさんの要求は相手左バッターのアウトローギリギリのフォーシーム。

 

ノーワインドアップから斜めにキレイに構えた所に行くイメージをして指先で切る!

 

「ストラーイク!」

 

うん、今日は球が走ってる。

打たれる気しないな!

 

「ストライクツー!」

 

ツーストライク目を取ってクリスさんのサインを確認する。

 

流石クリスさん。俺の投げたい球を理解してくれている。司波じゃあまだこうは行かないんだよね。

 

俺が投げたい球はアウトローへのウイニングショット!

スライダーだ!

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

⚾️

 

試合はウチが14点取って4回コールド勝ちした。

俺は、4回をパーフェクトに押さえて公式戦初先発初登板を見事勝利で終わらせた。

 

今回はくじ運いいから、決勝まであまり強いところと試合しないため、一応エースである俺は決勝まで先発での登板はしないらしい。

 

試合の翌日、目を覚ました俺は能力画面を見て驚いたのと同時にある意味納得した。

 

昨日の試合は公式戦だからか練習試合や紅白戦で貰えるポイントよりもかなり多かったからだ。

確かに実況パワフルプロ野球(アプリ版)とかでも公式戦は貰える量が桁違いだったから納得だね。

 

まぁ、ゲームと違うところは能力上げると感覚変わるから大会中にあまり上げることができない所かな。

と、言ってたが直ぐに後悔した。

なぜならかなりくじ運がいいのか決勝まで接戦にもならずに勝ち進んでしまった。

先発が無いのはわかってたけど、接戦にもならないからリリーフすら無かった。

 

決勝の相手は江戸川リトルだ。

相手の4番には5年生ながら御幸一也がいる。

 

御幸は確か原作でもチャンスにかなり強かった気がするから、おそらく1番~3番までで得点圏にランナーを進めて御幸に回るようにしたんだろうな~。

 

まぁ、その辺の対策はクリスさんがやってくれるだろうから、俺はそれを信じて捩じ伏せるだけだ。

 

⚾️

 

今日はスライダーの調子が良かったから7回完投のノーヒットノーランを達成出来た。

成績の詳細は、7回、打者22人、奪三振14、被安打0、四死球1、凡打7、4打席、3打数、3安打、1本塁打、1打点

で、チームは2対0で勝利した。因みにもう1点はクリスさんのソロ本塁打。

 

まぁそんな感じで全国大会に駒を進めた俺達は全国大会でも順調に勝ち進み圧倒的な攻撃力で優勝した。

 

その勝ち進んでいく中でも、クリスさん達原作組と司波は他を圧倒する活躍を見せた。

 

クリスさんは、投手に的確な牽制指示を出し、ランナーを釘付けにした。それでも盗塁をした人は例外なくみんなOUTにされていた。

打撃でも大会三冠王争いをしたりと、小学生の中に中高生がいるかと思う程の活躍で大会本塁打王、大会打点王、ベストナインと最優秀選手賞貰っていた

 

白河は、全国予選大会からエラー0の固い守備と高い出塁率を誇り、更には大会盗塁王まで手に入れてベストナインに選ばれていた。

 

司波は、4年生にも関わらずヒットだけならクリスさんや俺、白河を上回り大会首位打者とベストナインを獲得した。

 

俺は、全国大会は初戦と準々決勝、決勝に先発し準決勝では4回からリリーフで登板。大会奪三振王と大会最優秀防御率と最優秀投手とベストナインに選出された。

 

こうして全国大会優勝、歴代最多のベストナイン4人選出を成し遂げてクリスさん達の小学生最期の夏が終わった。

 



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4話

早く原作入りたいので中学編が飛びます。


 

 

学年が変わって俺達が最上級生となってから初めての公式戦

 

クリスさんがシニアに移り、学年が変わった最初の大会での前評価は昨年の公式戦では全てクリスさんがマスクを被っていたのでキャッチャーが弱いという悠一にはキツい評価だったが、周りの人達が知らないだけで元々クリスさんが認めるほど悠一の実力は高く、春は全国ベスト4まで勝ち進んだが準決勝で9対7で負けてしまった。

 

理由は、俺がその前の準々決勝で完封しているため次の試合は投げることが出来なかったからだ。

 

そして結局乱打戦の末にサヨナラ逆転3ランで負けてしまった。

 

 

 

⚾️

 

 

 

夏の県大会は順調に突破し全国大会の決勝まで駒を進め、春負けた北海道のチームとの雪辱戦を見事5対2で完投勝利を収め、昨年のクリスさんと同じようにMVPに輝いた。

 

 

そして小学校卒業時の能力は

 

・投手基本ステータス

球速:106㌔

コントロール:S(92)

スタミナ:B(76)

・変化球

スライダー(3)

スローカーブ(1)

・特殊能力

牽制〇

鉄腕

クイック〇

リリース

ノビ〇

キレ〇

・野手基本ステータス

弾道:3

ミート:S(92)

パワー:A(81)

走力:S(94)

肩力:S(95)

守備力:S(98)

捕球:S(96)

・特殊能力

鉄人

アベレージヒッター

走塁◎

盗塁〇

外野手〇

レーザービーム

 

去年と比べると球速が9㌔とコントロールが1段階(10)、スタミナは(3)で新たな変化球としてスローカーブを取得した。特殊能力はキレ〇が付いた。野手能力に関してはパワーと走力と肩力が1段階ずつ上がった。

 

しかし、満を持して中学野球の仲間入りをしようとしていた俺に両親から重大発表があった。

 

なんと、父親の海外転勤である。

 

そのため俺はアメリカのジュニアスクールに通うことになった。

 

 

⚾️

 

ー3年後ー

 

『Hey、もう行くのか?』

 

「あぁ、今までありがとう。コンラッド」

 

『次会うとしたら国際試合かメジャーでだな』

 

「そうだね、じゃあもう行くよ」

 

『goodbye、ユイ!!!』

 

「goodbye、コンラッド!!!」

 

俺とコンラッドは拳を合わせてから別れた。

 

俺は中学の3年間偶に長野に帰りながらアメリカで過ごし、アメリカのベースボールを体験したり、元メジャーリーガーに指導して貰えたりと充分高校野球で一流を貼れるくらいに育ててもらった。

 

そして、今度こそ満を持して青道高校の一般入試に合格して青道高校の野球部に入部した。

 

 

 

⚾️

 

 

 

「では、新入生は右の奴から自己紹介をしろ」

 

青道高校野球部監督の片岡鉄心監督の指示で新入生が自己紹介を始め、俺の番になる。

 

「高瀬維です!中学はアメリカに居てウインドユースアカデミーで野球してました!希望ポジションは投手です!今年から3年間甲子園優勝エースになるつもりなのでよろしくお願いします!」

 

俺がエース宣言すると先輩に睨まれるが正直な所事前に集めた情報だとエースを取られる心配は今のところはないって知ってて言ってるから気にしない。

 

そうして、最後に他の遅刻者を身代わりにして紛れ込んだ御幸一也が自己紹介でクリスさんに宣戦布告して終わった。

 

てか、クリスさん俺のこと覚えててくれてるかな?

 

 

 

⚾️

 

 

一般入部の人達よりも先に野球部に入った者達を含めて能力テストをする事になった。

 

50m走、遠投といった具合に能力テストが行われていく。

 

最初に行われた50m走では、俺の他に1人だけズバ抜けて速いやつがいた。

 

近くのヤツらの話してるの聞いたらボーイズリーグ出身の倉持洋一と言うらしい。ポジションは遊撃手で、スイッチヒッターの様だ。

 

その他は目につく様な選手はいなかったけど思ってたより皆の身体能力は高そうだ。アメリカで感覚狂ったかな?

 

因みに俺のタイムは5秒8で倉持に0.2秒差で負けた

 

50m走が終わり、遠投が始まった。

 

遠投は凄そうなやつらがそこそこ居た。

 

御幸一也、白州健二郎と俺の3人が100メートル越えを記録した。

 

100メートル届いていないとはいえ皆大体80メートル程は飛んでるから日本の選手の評価を改めた。

 

どうやら、これからはポジション毎にわかれて能力テストをしていくみたいだ。

 

というわけで、投手である俺は、他の投手希望の同級生達とブルペンに移動した。

 

 

⚾️

 

 

ブルペンには、投手希望の者達のボールを受ける為に、クリスさんと宮内って先輩が防具を付けてスタンバってた。

 

それと、片岡監督も投手の能力テストを見るらしい。

 

片岡監督は現役時代は投手だから当然か…

 

高島先生が投げる人を指名して行く

 

投手の能力テストの内容なのだが、持ち球をキャッチャーに数球投げ込んでいくだけだ。

 

それで、球速、制球、変化やキレといったモノを見ていくらしい。

 

投手の能力テストをしていく人達の表情は、あまり良いものではない。

 

見ていると、コントロールが定まらないみたいだ。

 

さっきはちょっと見直したけど所詮中学上がりたてか…

 

「次、川上くん。」

「はい!」

 

川上と呼ばれたリスみたいな顔した奴が、肩慣らしをしていく。

 

その投げ方に俺は驚いた。

 

なんと、川上はサイドスローだったのだ。

 

俺はサイドスローを中学で投げるやつが居ないという先入観から驚いたのだ。

 

更に俺を驚かせたのが他の奴らとは比べ物にならないコントロールの良さだった。

 

それにサイドスローで前のやつらと同じくらいの球速が出てるんだから期待出来る。

 

川上は数球程フォーシームを投げると、今度はスライダーを投げ始めた。

 

このスライダーを見た俺はコンラッドを思い出し、顔がニヤけた。

 

スライダーを見て感心したのか片岡監督が1年生投手に初めて声をかけた。

 

「川上、他に変化球はあるか?」

 

「あります。でも、まだ練習中で…。」

 

「構わん。投げてみろ。」

 

これまで黙してテストを見守っていた片岡監督が話した事で、能力テストを受けている同級生達がざわめいた。

 

「シンカーいきます!」

 

川上のシンカー宣言に、ボールを受けている宮内さんが、ミットを叩いて応える。

 

川上がサイドスローでボールを投げた。

 

ボールは利き腕方向に変化しながら沈んでいく。

 

だが、スライダー程コントロールが良くないのか、ワンバウンドしてしまう。

 

宮内さんはボールをしっかりとブロッキングして、前に落とした。

 

「すいません!」

 

「ンフー、気にするな!」

 

その後も川上はシンカーを投げていくが、やはり練習中な為か、フォーシームや

スライダーの様にコントロールは定まらないままだった。

 

「はい、川上くん。そこまでよ。」

 

高島先生の言葉で川上の能力テストが終わった。

 

「それじゃ、最後に高瀬くん準備して」

「はい!」

 

いよいよ俺の番だ。

 

待ちくたびれたね!

 

さぁド肝を抜いてやるとしようか!

 

 



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5話

ちょっと、能力値のとこの数値を編集し忘れてたので修正しました。


さてさてとうとう、俺の投手能力テストの番がやって来た。

 

捕手は宮内さんからクリスさんに代わるみたいだ。

 

俺はクリスさんとキャッチボールをしながら挨拶をする

 

「お久しぶりですクリスさん。リトルの時に一緒だった高瀬維です。」

 

「あぁ、覚えている。久しぶりだな高瀬。」

 

クリスさんの返球の姿を見てちょっとした違和感を覚えるが今は指摘すべき時ではないので無視して肩を作る

 

俺はアメリカでやってた様に10球で肩を作り、投手能力のテストを始める。

 

「クリスさん、まずはフォーシーム行きますよ。」

 

クリスさんが頷いて、ミットを右打者のインローの位置に構える。

 

前世から築いてきたノーワインドアップのフォームで俺が投げたフォーシームは、狙い違わずにクリスさんのミットに納まった。

 

「ナイスボール!」

 

うん、いい感じだ。

 

みんな、俺のフォーシームの球速に驚いているが唯一球速に驚いていないクリスさんがミットを構える。

 

今度のコースは…さっきとは真逆コースか。

 

俺はクリスさんの要求するコースにフォーシームを投げ込む。

 

ボールはしっかりとノビ、クリスさんの構えるミットに納まった。

 

その後も、クリスさんはインローやインハイ一杯に構えたり、ボール1つ分外したりと、

色々なコースを要求してきた。

 

俺はクリスさんが要求してくるコースに、フォーシームを投げ込んでいく。

 

そんな感じで10球程、フォーシームを投げ込むと高島先生から「そろそろ変化球を投げなさい」と言われた。

 

なので、今度は俺の切り札である伝家の宝刀スライダーを右打者のインローギリギリに投げるが、クリスさんが俺の進化した切り札が予想外だったのか1球目は弾いてしまう。

 

2球目は同じところに投げるとクリスさんはちゃんとアジャストして来た。

 

なので、今度は右打者のアウトローにスライダーを投げ込む。

 

そして、その後高島先生からほかの球種があるか聞かれたので1球ずつ投げる事にした。

 

まずは前世で投げていたスライダーの持ち方を少し弄った高速スライダー。

 

2球目にチェンジアップ、3球目にスローカーブ、4球目にフォーク、5球目にカットボール、6球目にツーシームを投げて終わった。

 

 

⚾️

 

 

翌日、新入部員が集められると、能力テストの結果を片岡監督が発表した。

 

俺と御幸が一軍スタートで他の新入部員は、二軍以下からのスタートだ。

 

まぁ、皆細いから当然だろう。

 

でも、青道高校は実力主義なので、学年を問わずに一軍、スタメンの可能性があるとの事。

 

だから、一軍に選ばれたからといって油断をしない様にと言われた。

 

そして、選ばれなかった者は這い上がって来い!待っているぞ!と言われた事で

新入部員の皆は燃え上がっていた。

 

片岡監督は選手煽るの上手いな。

 

ならその言葉通りにエースの座を奪い取ってやるぜ!

 

 

 

⚾️

 

「監督、今年の春から高瀬を登板させることを検討して貰えませんか?」

 

「………クリス、お前がそこまで言うほどだったか。」

 

「ハイ、球速は元よりあのとてつもないフォーシームのノビと変化球…特にスライダーのキレは関東大会でも充分通用するレベルです。」

 

「わかった、一軍での投げ込みをみて判断する。」

 

「ありがとうございます。」

 

どうやら俺の知らないところで思わぬ高評価を受けていたようだ。

───────────────────────────────────

文字数稼ぎに今現在のオリ主と原作キャラの能力値を書いときます。

 

高瀬維

・投手基本ステータス

球速:148㌔

コントロール:S(96)

スタミナ:C(68)

・変化球

ツーシーム(1)

スライダー(7)

高速スライダー(4)

カットボール(5)

スローカーブ(5)

チェンジアップ(5)

フォーク(4)

・特殊能力

牽制◎

鉄腕

クイック◎

リリース

ノビ◎

キレ◎

対ピンチ○

対左打者◎

緩急○

低め○

尻上がり

ドクターK

勝ち運

対強打者○

クロスファイヤー

投打躍動

制圧

先制ストライク

・野手基本ステータス

弾道:3

ミート:A(92)

パワー:A(81)

走力:S(94)

肩力:S(95)

守備力:S(98)

捕球:S(96)

・特殊能力

鉄人

アベレージヒッター

パワーヒッター

走塁◎

盗塁◎

外野手〇

レーザービーム

 

丹波

・投手基本ステータス

球速:136㌔

コントロール:B(71)

スタミナ:C(68)

・変化球

カーブ(7)

・特殊能力

ノミの心臓

寸前×

緩急○

 

川上

・投手基本ステータス

球速:124㌔

コントロール:C(69)

スタミナ:E(47)

・変化球

スライダー(5)

シンカー(2)

・特殊能力

打たれ強さ△

対ピンチ△

キレ○

リリース

 

滝川・クリス・優

・野手基本ステータス

弾道:3

ミート:S1(102)

パワー:A(82)

走力:B(73)

肩力:A(88)

守備力:S(100)

捕球:S(99)

・特殊能力

肩爆弾

アベレージヒッター

パワーヒッター

球界の頭脳

鉄壁

ささやき戦術

司令塔

ミラクルボイス

 

結城哲也

・野手基本ステータス

弾道:4

ミート:B(70)

パワー:A(85)

走力:C(62)

肩力:B(73)

守備力:B(76)

捕球:A(86)

・特殊能力

対左投手○

アーチスト

チャンス○

いぶし銀

連打○

 

伊佐敷純

・野手基本ステータス

弾道:3

ミート:B(70)

パワー:B(71)

走力:C(66)

肩力:S(100)

守備力:S(91)

捕球:S(93)

・特殊能力

チャンス○

アベレージヒッター

外野手〇

高速レーザー

ムードメーカー

送球○

 

小湊亮介

・野手基本ステータス

弾道:2

ミート:S(92)

パワー:C(62)

走力:A(89)

肩力:C(67)

守備力:S(100)

捕球:S(94)

・特殊能力

アベレージヒッター

走塁◎

盗塁○

送球○

牛若丸

セカンド○

盗塁アシスト

バント○

守備職人

流し打ち

固め打ち

粘り打ち

チャンスメーカー

攪乱

 

東清国

・野手基本ステータス

弾道:4

ミート:B(72)

パワー:S1(104)

走力:E(48)

肩力:A(86)

守備力:B(74)

捕球:B(76)

・特殊能力

勝負師

アベレージヒッター

真・アーチスト

広角打法

ローリング打法

 

御幸一也

・野手基本ステータス

弾道:3

ミート:B(73)

パワー:C(64)

走力:B(75)

肩力:A(86)

守備力:A(87)

捕球:A(84)

・特殊能力

勝負師

キャッチャー○

満塁男

サヨナラ男

ホーム死守

鼓舞

調子極端

 



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6話

サクッと書き上げるつもりが数日も過ぎてしまって申し訳ないです!(ó﹏ò。)ウゥゥ

一応消えた訳では無いので今後も書き上がり次第投稿します!


 

 

能力テストが終わって数日、春季大会の日が迫ってきていた。

 

春季大会は、夏の大会のメンバーを選ぶ1番の材料になり得るため一軍のメンバーは殺気立つ程練習に打ち込んでいる。

 

そして、俺は今、クリスさんを相手にブルペンで投げ込みをしている。

 

今日の課題は新しい変化球だ。

 

候補と言うか、高校3年間で取得したい変化球は決めてある。

 

スクリュー、ジャイロボール、ドロップカーブ、パワーカーブ、サークルチェンジ、ワンシーム、高速チェンジアップ、カットボール、そして今から練習する縦スライダー。

 

その内、縦スライダーとドロップカーブ、スクリューは前世で投げてたから握りと投げ方はある程度分かるが、その他は球数の少ないピッチングが出来るようになりたいから。

 

と言うのも前世は球数が多すぎた結果の怪我だからだ。

 

俺は前世で投げて居た縦スラの握り、スライダーの親指と中指、人差し指の位置を入れ替えて握る。

 

「クリスさん、新変化球として縦スラ練習したいんで縦スラ行きますね〜」

 

俺はクリスさんに一言伝えてから縦スラの握りで投球フォームに入る。

 

(感覚はスライダーと同じで手首から先を固定してストレートみたいに切る!)

 

 

⚾️

 

 

(コレで練習中なのか!?)

 

維のボールを受けていたクリスは縦スラの未完成とは思えない完成度に驚いていた。

 

「スライダー系は全部ジョーカースライダーが元になってるんで案外簡単にこの完成度に出来るんですよ。」

 

「ちょっと待て、ジョーカースライダーってなんだ?」

 

クリスにとって心を読んだような発言よりも聞きなれないジョーカースライダーが気になって仕方なかった。

 

「じゃあ、教えるんでクリスさんも質問に答えてもらっていいですか?」

 

「わかった。なんでも聞け」

 

「じゃあ先に質問の答えですが、アメリカのベースボールスクールの仲間がスライダーが切り札だって話したらジョーカースライダーだって言い出してそっから他のスライダーとかと紛らわしい時に使ってるウイニングショットの事っスよ」

 

「なるほど、ジョーカーは切り札という意味があるからな。」

 

「じゃあこっちからの質問なんですけど、いつから右肩怪我してるの隠してるんですか?」

 

この質問にクリスは思わず舌打ちしそうになった。

 

だが、維の確信しているような顔を見て諦めることにした。

 

「去年の秋からだな。だが、ここでチー厶を離れるわけには行かない。」

 

「正直に言うと、怪我したからチーム離れるって固定概念から離れません?」

 

「なに!?」

 

「向こうでも肩とか肘とかヤってるやつら居ましたけどそいつらは代打やファースト、外野とかで試合出てたしブルペンで受けるだけなら全然できるんですから離れるのはナシでって監督に言えばいいじゃないですか。それが出来るだけの実績があるんですから。」

 

維のこの提案はクリスにとって目から鱗だった。

 

「確かにそうだな。俺はこれから監督に直訴してくる。」

 

「ハイ!またレギュラーとして戻って来るのをマウンドで待ってますよ。」

 

「フッ、そう言うのはエースナンバーを貰ってから言うんだな。」

 

クリスはそう言って監督の元へ向かった。

 

「…………あ、そう言えば俺クリスさん居ないと投げれないじゃん!?」

 

維は1人だけ後悔をするのだった。

 

 

 

⚾️

 

 

 

春季大会が2日後に迫った今日の投手陣のメニューは、青道の一軍打線を相手にシートバッティングをする事になった。

 

青道の一軍打線は春季大会で結果を残して、夏の大会でレギュラーになろうと気合い十分だ。

 

強力打線と言われる青道打線に最初に挑むのは現状エースナンバーを背負っている、丹波さんだ。

 

そして、丹波さんのボールを受けるのは、宮内さんだ。

 

コレは昨日、クリスさんが監督に怪我を告白した事で御幸と宮内さんの2人で試合を回すことになった為である。

 

青道打線の1番は巧打者の小湊さんだ。

 

小湊さんは8球程粘って四球で出塁した。

 

続く2番バッターで登場したのは3年の先輩だが、名前を忘れた。

 

3年はなんか、東さんが印象強すぎて他の人の名前が覚えられない。

 

丹波さんは、その3年の人をフォーシームで押し、見事6,4,3のゲッツーに討ち取った。

 

だが、そこで波に乗らせなかったのが3番のクリスさんが放ったホームランだ。

 

少しの間、マウンドで呆然としていた丹波さんだが、4番の東さんが打席に入ると大きく息を吐きながら、帽子を被り直す。

 

丹波さんは東さんに習得したばかりだというフォークを投げたのだが、東さんはボールを膝元まで呼び込んで、右方向に弾き返した。

 

東さんが打ったボールはグングン伸びていき、ホームランになった。

 

二者連続ホームランで2失点。

 

丹波さんはマウンドで、呆然としている。

 

5人目の打者として、結城さんが打席に入る。

 

丹波さんは、結城さんに左中間へホームランを打たれた。

 

これで3連発だ。

 

コレがトドメとなったのか、丹波さんは一巡で5失点した。

 

さてさて、いよいよ俺の番だ。

 

キャッチャーは宮内さんから同じ学年でクラスも一緒の御幸に代わり、御幸がいた所に宮内さんが入った。

 

肩慣らしが終わり、御幸がマウンドに走ってくる。

 

「よう、高瀬。打ち合わせに来たぜ。で、変化球は何があるんだっけ?」

 

「前1回投げただろ。」

 

「そうだっけ?」

 

そう、以前に1度だけブルペンでバッテリーを組んだのだがコイツ曰くスライダーの印象が強すぎて他の球種忘れたらしい。

 

「…………ハァ〜。スライダー、ツーシーム、高速スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、フォークだよ。」

 

「うわ!?選択肢多すぎね!?」

 

「そう思って今日はスライダーとスローカーブとチェンジアップしか投げないよ。」

 

「OK、今日は無失点でやるぞ!」

 

「一巡だけしかないんだからむしろノーノーが当たり前にならないといけないんだよ。全国行くにはね」

 

「確かにそうだな!」

 

御幸はそう言ってホームに戻っていく。

 

そして、1番の小湊さんが打席に入った。

 

さっき見てたけど、多分青道で1番の鬱陶しいバッティングをするのはあの人だ。

 

1球目の御幸からのサインはアウトローへのォーシーム。

 

俺は頷いて投げる。

 

小湊さんは見逃してストライク1個貰った。

 

続けてインローにスローカーブで緩急を付ける。

 

コレも見逃して追い込んだ。

 

次のボールはインハイにボール球。

 

コレで、カウントは整った。

 

ココでウイニングショットのスライダーだってアウトローに決めて小湊さんを空振り三振に打ち取る。

 

続く2番もチェンジアップで空振り三振を奪い、3番のクリスさんとの対戦になる。

 

俺は御幸のサインに通りにインハイにフォーシームを投げる。

 

1球目はレフト線を切れてファールになる。

 

流石にクリスさんレベルになるとファールとは言えあそこまで持ってかれるのか〜

 

2球目は前の打者の決め球に使ったチェンジアップでカウントを稼ごうとしたが手を出さずに1ストライク1ボールとなる。

 

3球目でスローカーブを使い読みを外したクリスさんは体制を崩されながらファールにする。

 

そして、追い込んだ4球目で俺は伝家の宝刀スライダーを投げ、見事に空振り三振を奪ったかと思ったが、なんとクリスさんはスライダーにアジャストして打ち返した。

 

だが、運悪くセカンド正面のライナーになりアウトとなる。

 

ツーアウト、ランナー無しの場面で迎えるのは、四番バッターの東さんだ。

 

まず、インローギリギリにスローカーブを投げる。

 

今までのバッターと初級の入り方が違うため東さんは手が出せず1ストライク。

 

そして、2球目はインハイにこれもギリギリで全力のフォーシーム。

 

1球目との球速差は約50キロ程ある為流石にタイミングが合わず、振り遅れて空振り。

 

3球目で遊び球無しのチェンジアップで空振り三振に切って取った。

 

その後は、結城さんにリードが単調になったのを読まれてフォーシームを外野まで飛ばされたがセンターの守備範囲内だったためそのままノーヒットで一巡を終えた。

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

いよいよ春季大会が明日へと迫った日の練習後、片岡監督から春季大会のレギュラーが発表された。

 

春季大会の東京地区予選では、基本的に1年生の出番は無いらしい。

 

理由としては、高校に入ったばかりの1年生の春はまず打者なら目が付いて行けず、投手なら球速や体力などの面で付いて行けないからだそうだ。

 

けど、俺は先日のシートバッティングで先輩よりも良い結果を残しているので背番号1では無いものの試合で投げさしてくれるらしい。

 

チャンスは貰えたからあとは結果を出すだけだ。

 

そして、クリスさんの故障による離脱を受けてチャンスに強い一也が捕手のスタメンを奪い取った。

 

その後は、試合までの間練習中に投げる時はずっと一也と組んで練習した。

 

そのおかげで一也は、今俺が投げられる球は全部取れるようになった。

 

そして、その半日後、とうとう春季東京都大会が開幕した。



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7話

今回は朝起きてから仕事行くまで暇だったのでその間に書き上げたため内容が薄くて短いです。

更には、東世代に原作前限定で登場するオリキャラを採用しています。

能力は仕事が終わって書き上がり次第追加で載せます!


ついに、春季東京都大会が開幕した。

 

青道高校はシードの為2回戦からの登場だ。

 

そして、青道高校の初戦は現在のレギュラーが全員スタメンの本気体制だ。

 

そこにはやはり片岡監督のこだわりを感じる。

 

青道のスターティングオーダーは

 

1番 セカンド 小湊亮介 2年 背番号4

 

2番 ショート 伊藤翼 3年 背番号6

(原作前専用オリキャラ)

 

3番 ファースト 結城哲也 2年 背番号3

 

4番 サード 東清国 3年 背番号5

 

5番 レフト 和泉裕二 3年 背番号7

(原作前専用オリキャラ)

 

6番 センター 伊佐敷純 2年 背番号8

 

7番 キャッチャー 御幸一也 1年 背番号2

 

8番 ピッチャー 丹波光一郎 2年 背番号1

 

9番 ライト 才藤辰巳 3年 背番号9

(原作前専用オリキャラ)

 

で、控えには

 

ピッチャー 北原聡 背番号10 3年

 

ピッチャー 英大和 背番号11 3年

 

キャッチャー 宮内啓介 背番号12 2年

 

ファースト 桜井柚希 背番号13 3年

 

キャッチャー 杉本智哉 背番号14 3年

 

サード 増子透 背番号15 2年

 

ショート 奥大晴 背番号16 3年

 

外野手 坂井一郎 背番号17 2年

(1人だけポジション名じゃないのは外野ならどこでも入るから)

 

ピッチャー 高瀬維 背番号18 1年

 

と、このメンバーで初戦を戦う。

 

 

⚾️

 

 

 

1回の表、青道は先発にエースの丹波を起用。

 

この起用に丹波は応え、1回をカーブとフォーシームの緩急で見事三者三振に抑える。

 

するとその裏、丹波の力投に鼓舞された青道打線が爆発。

 

1番小湊がレフト前で出塁すると2番伊藤が右中間を割るツーベース。

 

更に小湊がエンドランを仕掛けていたためホームまで戻り1、2番で先制。

 

更にそこから、結城、東もヒットで繋ぎ、1点取り尚も1、2塁のチャンスで5番和泉がライトへの犠牲フライで、ワンアウト1、3塁。

 

続く6番伊佐敷が四球を貰い、1死満塁で公式戦デビューの御幸一也に打席が回った。

 

 

 

⚾️

 

 

 

(普通高校デビュー戦の初打席でこんな所で回ってくるかよ!?)

 

御幸は自分の運の良さに驚きながらも落ち着いて打席に入った。

 

御幸は中学時代からムラが強かったがその分チャンスにはめっぽう強かったため、自信を持って打席に入っていたからだ。

 

(このバッテリーの切り札はカーブ……。だけどそのカーブで伊佐敷先発にフォアボールを出した。そして今は満塁になってフォアボールを出したくないハズ……。なら、狙い球は初球のカウントを取りに来るフォーシーム!!)

 

御幸の読み通りにインコース寄りの甘いカウントを取りに来た力のないフォーシームを思いっきり振り抜き、右中間へ打ち返した。

 

 

 

⚾️

 

 

 

「ヒューッ!お見事!君の読み通りだった訳だネ、一也。」

 

維はベンチから先にデビューした同期に賛辞を送った。

 

御幸の打った打球はそのまま右中間のスタンドに入り、御幸は高校デビュー戦の初打席を満塁ホームランで飾った。

 

そこから、青道は止まらず初回に11得点して2回以降も点数を重ね、青道は初戦を21対0、5回コールドの圧勝で3回戦へと駒を進めた。

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

そして、青道の3回戦の日がやってきた。

 

青道の相手はエースの真中率いる市大三高だ。

 

本来ならこんな所でぶつかる相手では無かったのだが、昨年の秋季大会の青道の成績が悪かったため、シードと行ってもAシードの市大三高とは言い方は悪いが格が違った。

 

そのためこんなに早くこの2校が対戦するのだ。

 

そして、今日の先発は丹波さんが寝不足による体調不良でリリーフに回ったため俺が先発することになった。

 

今日のスターティングオーダーは

 

1番 セカンド 小湊亮介 背番号4 2年

 

2番 ピッチャー 高瀬維 背番号18 1年

 

3番 ファースト 結城哲也 背番号3 2年

 

4番 サード 東清国 背番号5 3年

 

5番 ショート 伊藤翼 背番号6 3年

 

6番 センター 伊佐敷純 背番号8 2年

 

7番 キャッチャー 御幸一也 背番号2 1年

 

8番 ライト 才藤辰巳 背番号9 3年

 

9番 レフト 坂井一郎 背番号17 2年

 

になった。

 

5番だった和泉先輩が調子をガクッと落としてしまい、調子あげていた坂井先輩がスタメン入りを果たした。

 

そして何故に俺が2番にいるかと言うと、アメリカのウインドユースアカデミー時代の成績を高島先生が見つけて監督に渡していたからだ。

 

コレにより打撃も出来ることが判明し伊藤先輩のクリーンナップ移動で出来た穴にすっぽり入ったと言う訳だ。

 

 

 

⚾️

 

 

 

両チームのアップが終わり、青道対市大三高の試合が青道の先攻で始まった。

 

俺は2番なのでネクストバッターズサークルで相手投手を観察する。

 

日大先発の真中は小湊先輩を決め球だと言う高速スライダーで引っ掛けさせ、セカンドゴロに討ち取った。

 

そして、俺の高校デビュー戦の初打席が回ってきた。

 

「I’m counting on you.」

 

俺はちょっとカッコつけて英語でよろしくお願いしますといい、打席へと入る。

 

そして、英語での挨拶に困惑したのか、相手バッテリーは様子見のフォーシームを外角ギリギリのやや低めに投げてきた。

 

だが、アメリカではストライクゾーンが外角寄りだ。

 

アメリカでプレーしていた俺にとっては普通の外角フォーシームに過ぎず、高さも甘いので思いっきり振り抜きレフトスタンドまで持っていった。

 

コレには相手投手の真中も呆然としていた。

 

まぁ当然といえば当然だろう。

 

日本のストライクゾーンではギリギリの外角を左打者の俺がレフトスタンドまで運んだのだから。

 

しかも、俺はまだ1年だ。

 

だが、その1年だと思って少々舐めていたからこそ、高さが甘くなりレフトスタンドまで持っていけた。

 

だから、次はこう簡単にホームランは打てないだろうと思いながら、俺はダイヤモンドを1周した。

 

その後、真中は1失点するも何とか立て直し、1回は2点で終わった。

 

そして1回裏、俺の高校初登板の時がやってきた。




伊藤翼
弾道:2
ミート:A
パワー:C
走力:B
肩力:B
守備力:S
捕球:A
特殊能力
アベレージヒッター
バント職人
守備職人
チャンスメーカー
ショート〇
守備移動〇
送球〇

和泉裕二
弾道:3
ミート:B
パワー:A
走力:C
肩力:A
守備力:A
捕球:A
特殊能力
アーチスト
気分屋
チャンス〇
レーザービーム
アウトフィールダー〇

とりあえず、スタメンレギュラーの2人です。

時間出来次第続き書きます。(本編優先につきかなり遅れる可能性あり)


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8話

今回は普段以上に短いです。


 

 

 

1回表の青道の攻撃が終了し、1回裏の守備になった。

 

先発である俺はいつもアメリカでやっていたように歩きながらももを上げたりして全身の筋肉を解しながらマウンドへ向かう。

 

マウンドでの投球練習は7球だ。

 

とりあえず、このイニングの投球練習はノーワインドアップのフォーシーム4球、セットポジションのフォーシームを3球にすることにした。

 

コレは日本のストライクゾーンの位置の最終確認のためだ。

 

一也が四隅のギリギリに要求してくれるため大体のストライクゾーンの幅を確認できた。

 

そして最後の1球を一也が2塁に送球し、ボール回しをして相手の打者が打席に入った。

 

相手の1番打者は典型的な左のアベレージヒッターらしいので、一也はインコースの低めにスローカーブを要求した。

 

そのサインに頷いた俺は一也の要求通りにインコース低めにスローカーブを投げた。

 

相手は様子見なのか手を出さず見逃してワンストライク。

 

続く2球目はインハイにフォーシームだ。

 

多分、緩急活かすために多少コントロールが乱れてもいいから速い球の方がいいハズだ。

 

俺はそう考えてスピード重視のフォーシームを一也のミットに目掛けて全力投球する。

 

予想をいい意味で裏切ったそのボールは一也の構えるミットに寸分違わずに入った。

 

バックスクリーンに表示された球速は148km。

 

市大三高ベンチは1年の左投手が叩き出した球速に驚いて声も出ていない。

 

誰よりも1番驚いていたのは90km〜100km程しか出ていないスローカーブの直後に148kmのフォーシームというギャップにより、驚きで打つ気をへし折ってしまったようだ。

 

スライダーを使うまでもなくフォーシームで見逃し三振を奪ってワンアウト。

 

そして、2番バッターが右バッターボックスに入って構える。

 

まずは初球、アウトコース低めにフォーシームをなげた。

 

流石、強豪市大三高の2番バッターだけあってカーブを見せずのフォーシームに反応したが、ノビとキレに対応しきれずファールフライ。

 

ファーストの結城先輩が追いかけるが、観客席に入ってファールボールとなりワンストライク。

 

2球目はインコース高めにカットボール。

 

前の1球でアウトコースを意識させていた為相手バッターは当たると思い、身を捻って避けるが日本のストライクゾーンに入っているためツーストライク。

 

そして、3球目でアウトコース高めに釣り球を投げるも相手は手を出さず、ワンボール、ツーストライク。

 

コレでカウントが整ったので、今日初の右打者への決め球を投げる。

 

中指を浮かせてそれ以外で包むように握り、人差し指と薬指で挟み込んで投げる、右打者へのインコース低めへのチェンジアップ。

 

コレには相手もタイミングが合わずに空振り三振を奪った。

 

続いてツーアウトランナー無しで打席には左の3番バッター、初球フォーシームで空振りを奪い、2球目でツーシームを投げてファールでカウントを稼ぎ、3球目フォーシームをインコース高めのブラッシュボールでカウント整えて全ての準備が整った。

 

この世界に生まれてから未だに左打者に1回もファール以外で打ち返されたことのない最強の切り札。

 

前世で1番三振を奪ったこのボールで初回を締める。

 

いつものノーワインドアップからリリースの瞬間に縦に切る事で回転量を飛躍的に増やす。

 

そして、物凄い回転量を持って放たれたそのボールは真ん中低めから、甘いと判断して打ちに来た打者の視界から一瞬で消え、一也のミットがあるアウトコース低めいっぱいに決まり、空振り三振を奪った。

 

この瞬間、この球場にいる誰もが悟った。

 

青道の夏のエースが誰かを。

 

そして、投手不足を指摘され続けた青道の救世主だと言うことを。

 

更には、絶対的エースの加入により青道が一瞬にして優勝候補筆頭に躍り出たことを。



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9話

大変お待たせしました!!

とりあえず原作前はほぼ全部書きあげたので今ある分は定期的に投稿します!




初回を三者三振に抑えたことで勢いに乗った青道は毎回のように得点を重ね、7回で9点を取ってコールドゲームを決めた

 

俺の投球内容は7回、102球、6安打、失点0、四死球0、奪三振13だった

 

今回は予想していたよりも点が入り余裕ができたため、できたばかりのツーシームとカットボールを主体にスライダーとチェンジアップを得点のピンチ以外では使わない縛りプレイをした結果、クリーンナップには全員フェンス直撃の長打を浴びてしまった。

 

しかし、フォーシームとスローカーブは打たれることなく緩急で後続をしっかりと断てた為、無失点で投げきることができた

 

だが、今日の試合でツーシームとカットボールはまだ通用しないことがわかってしまったためとりあえず夏までは封印することにする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も強豪市大三高に勝利した青道の勢いを止めることができず、青道は都大会決勝に駒を進めた

 

都大会決勝の相手は準決勝で強豪稲城実業を7対2で破った帝東

 

青道の決勝のスターティングオーダーは、

 

1番 セカンド 小湊亮介 2年 背番号4

 

2番 ショート 伊藤翼 3年 背番号6

(原作前専用オリキャラ)

 

3番 ファースト 結城哲也 2年 背番号3

 

4番 サード 東清国 3年 背番号5

 

5番 レフト 和泉裕二 3年 背番号7

(原作前専用オリキャラ)

 

6番 ピッチャー 高瀬維 1年 背番号18

 

7番 センター 伊佐敷純 2年 背番号8

 

8番 キャッチャー 御幸一也 1年 背番号2

 

9番 ライト 才藤辰巳 3年 背番号9

(原作前専用オリキャラ)

 

大会中に調子を取り戻し先日の準決勝で代打ホームランを放った和泉先輩がスタメンに復帰したことで大会打率3割8分を記録している俺は6番に収まった

 

先日の準決勝で6イニングを投げ抜いた丹波先輩に変わって今日は俺が先発だ

 

「関東大会出場が決まったからといって負けていい試合など1つもない!昨日先発した丹波を初め投手陣はいつでも登板できるようにしておけ!」

 

「「「はい!」」」

 

「高瀬!今日リリーフのタイミングは3失点だ!体力は気にせず初回からしっかり抑えてこい!」

 

「はい!」

 

片岡監督に激励を貰った俺は初回表ののマウンドに上がる

 

俺はいつものようにノーワインドアップ4球、セットポジション3球で投球練習をする

 

「1回!締まっていこう!」

 

7球目を取り、セカンドに矢のような送球をした一也が守備陣に声をかける

 

それを合図に相手の1番打者が右打席に入る

 

相手の1番はとにかくミート力が高く、しっかり粘ってくる上にボールを決して振らない選球眼に右に流すバッティングでこの都大会、打率4割、出塁率6割を誇る厄介な選手だ

 

しかしそういう打者には経験上緩急で揺さぶり、シングルヒットまでで抑えればいいと割り切っているのでインコースのフォーシームと内外低めのボール球のスローカーブで揺さぶり、最後は初球と同じフォーシームでファーストフライに討ち取った

 

2番はバントなどの小技が上手い打者だが1番を討ち取り、ランナーが居ないため対して警戒する必要はなくスローカーブとフォーシームで押し切り見逃し三振、続く3番は左打ちなこともあってスローカーブとフォーシームで追い込んでスライダーで空振り三振

 

しかし、相手の先発した3年のエースの決め球、フォークボールと150㌔を越えるフォーシームと緩急の効いた大きなカーブを前に三者三振してしまう

 

だが、相手はクリーンナップ全員が左のためスライダーを打てず、なかなか思ように得点できないでいた

 

そんな中、4番の東さんが外のフォークボールを掬い上げるようにライト線へと打ち返し、フォアボールと送りバントで2塁にいた小湊先輩がホームに帰り均衡を破る

 

味方の援護を貰った俺のスライダーを左バッターが多い帝東は攻略することができず、春の都大会は青道が優勝するのだった

 

「ナイスピッチ、維!」

 

「Thank you. 一也」

 

「流石お前が1番自信もってる球だな!相手の4番の人、高校通算で既に40本打ってるような怪物なんだぜ?そんな人を全打席三振に斬ってとるなんて怪物かよ!」

 

「Noだ一也。俺は怪物では無いヨ。ただその人が左だから(・・・・)打てなかっただけサ」

 

「いや、それでも十分すげぇって」

 

「そーかい?なら俺は凄い!」

 

「流石にそれにツッコめる技量はねぇわ〜(汗)」

 

「HAHAHAHAHAHA!(まぁ実際は相手の4番がムキになってスライダー打とうとしたからなんだけどネ)」

 

高瀬維

9回、127球、8安打、失点0、四死球2、奪三振16

 

 

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

「うぉ!今年の都大会青道が取ってんじゃん!?」

 

「しらねぇの?今年は高瀬って言う1年の投手が入って来ていきなり大暴れしてんだって!」

 

「高瀬ぇ?誰それ、中学の時そんなのいた?」

 

「なんでもアメリカのメジャーリーガーが指導してるって言うウィンド……何とかってとこから日本に戻ってきたんだってよ!」

 

「アメリカ!?」

 

「小学生の時同じ青道のクリスと組んで全国優勝してるやつだぜ」

 

「クリスかぁ、肩さえ壊してなけりゃいい選手だったんだがなぁ」

 

「確かに、勿体ねぇよなぁ」

 

「それより高瀬だよ!あの高校通算40本越えでプロ確実って言われてる帝東、杉村を全打席三振だぜ!?」

 

「ありゃあ完全に左キラーだな」

 

「あぁ、あのスライダーな」

 

「うぉ!なんだコレ!?こんなの左で打てるわけねぇよ!」

 

「実際のとこ帝東でヒット打ったのって右バッターだけなんだろ?」

 

「これで1年だぜ!?ここから成長して右バッターへのウイニングショット手に入れたらもう手がつけられねぇよ!」

 

「しかもコイツバッティングもいいんだって?」

 

「三高の真中から高校初打席でホームラン打ったってマジ!?」

 

「真中って言えば現状西東京で五本の指に入るほどのピッチャーだろ!?」

 

「でも高瀬も既に負けず劣らずいい投手だよ、実際」

 

「しかもルックスもいいからもう非公式のファンクラブ的なのあるらしいよ!」

 

「えぇ〜?」

 

「私入っちゃおうかな!!」

 

「まぁ、これからある関東大会でも結果出したら本物だろ」

 

「だな、関東大会には右の強打者達がゾロゾロいるからな」

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

「一気に有名人ですね。高瀬君」

 

「この調子なら長い間悩まされてきた投手不足が解消されるんじゃないですか!?」

 

「うむ、だが高瀬はまだ1年だ。関東圏や全国には今まで対戦した打者よりももっといい打者が沢山いる。スタミナも夏の試合を投げきることなんで出来はしないハズだ。2、3年生達にはもっと頑張ってもらう必要があるな」

 

「えぇ、今年は高瀬君や御幸君を始めセンスの高い選手が大勢います。2、3年生達にもいいプレッシャーになるでしょう」

 

「明日からが楽しみですね!監督!」

 

青道高校の監督室では部長の大田、副部長の高島が監督の片岡と共に夏に向けて思いを馳せていた

 

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュルルルルギュオン!!

 

パァン!!

 

俺の投げたスライダーは一見見当違いの逆球から急激に変化し左バッターのアウトローに構えた一也のミットに収まる

 

「ナイスボール、維!」

 

「今日は調子いいや。次!フォーシーム!!」

 

「OK!」

 

ノーワインドアップで1度グラブをベルト高まで下げ、体の向きを変えながら右足とともに胸の高さまで再び戻し、グラブを高く掲げるように前へ突き出して勢い付けて踏み込み、腰を回して右手と左手の位置を入れ替えるようにしてリリースする

 

シュッ!!ヒュオォォォォォ!!

 

パァン!!!

 

先程と同じく左バッターのアウトローに構えられたミットに低めから吸い込まれるように自身のMAX148㌔を出しつつ収まる

 

「今日はあと10球で切り上げろ!その後はクリスと組んでストレッチと体幹、サーキットメニューだ!」

 

「Yes BOSS!」

 

スタミナが足りないと言うのは俺自身春の大会で痛感している。と言うのも後半はフォーシームの球速が130㌔台まで落ち込み、スライダーなどの変化球で凌ぐ必要があるが、現状で右打者を抑えるのにフォーシームは必須となっているためどうしても終盤で打たれやすくなるのだ

 

俺はそのまま一也に10球フォーシームを投げ込んでクリス先輩の待つBグラウンドに向かった

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

「お待たせしました、クリス先輩」

 

「来たか、調子はどうだ?」

 

「関東大会に向けていい感じで調整できてきてますよ。不安材料は右打者の攻略とスタミナですネ」

 

「わかっているならいい。お前にはこれから先チームを支えてもらわないと行けないからな。明日から全体でのアップが終わったらポール間ダッシュ15本を3セット。1本事に30秒のインターバルと1セット事に5分の休憩を挟む。それが終わってからフォーシームだけの投球練習30球。それから今日からやるストレッチ、体幹、サーキットメニューだ。休日はこれの後にポール間ダッシュ20本3セットでその後ノックで野手陣との連携や外野ノックを入ってもらう」

 

「Yes クリス先輩!よく考えられたいいメニューだと思います!」

 

「よし、ではストレッチからだ」

 

「Yes Sir」

 

こうして俺は関東大会前日になるまでこのメニューをこなしていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公の俺TUEEEE感がこれより先結構出てくると思うので嫌な方はここで切り上げてブラウザバックを!!!


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10話

今回は最後の方に番外編を挟みましたので本編は短いですがここからさらに原作に向けてサクサクと薄目の内容で原作に早く入れるように頑張ります


関東大会初戦当日、この試合に先発した高瀬維は左打者と足を絡めた攻撃をする春の選抜優勝校である紅海大相良を相手に初回から7者連続三振を奪うと、そのまま6回までパーフェクトピッチング、一方の紅海大相良右のエース菅原も選抜優勝投手の意地を見せ、強力青道打線を8回まで5安打で2塁を踏ませないピッチング

 

先に試合が動いたのは8回、紅海大相良の2番今辻がツーアウトからセンター前ヒット、3番仲里の当たりが不運なライト前ポテンヒットで1、2塁。続く4番森實が打ったショートゴロをファースト結城哲也が送球を後ろに逸らすエラーで失点。続く5番千種は三振に抑えスリーアウトチェンジ

 

だが、このままでは終われない青道は9回表の攻撃。遂に4番東がエース菅原を捉え、ライトへのソロホームランで同点にする。しかしこれでも菅原は崩れることなく後続を断ち、その裏高瀬が奮起の三者三振で試合は延長戦へ

 

ここで青道高校監督の片岡は1つの今後に向けて大きな決断をする。春の選抜甲子園大会で1試合平均10安打4得点とチーム打率選抜1位、チーム得点数選抜3位の紅海大相良を相手に9回6安打1失点18奪三振の間違いなくここ数年の青道投手の中でトップと言える成績を残している高瀬を変えずに普段では絶対にありえない1人の投手と心中することを決めたのだ。この時の片岡は両投手の力投に対して珍しく熱くなっており投手の負担が頭から抜けてしまっていた。このことを片岡は試合後酷く後悔し反省するのだが、この決断が後の高瀬維に大きな成長をもたらすことになる

 

両投手延長になってもボールは衰えるどころか両チームランナーが得点圏に進めることができぬまま試合は延長14回の裏、ここで先程先制の一打を放った4番の森實が打席に入る。本日6度目の対戦、フォーシームとチェンジアップで追い込むもそこから左打者へのスライダーすらも粘られバッテリーが追い詰められる。と、ここで高瀬はここまで投げずにいた封印していたハズのツーシームをぶっつけ本番で投げることを選択、見事にセカンドゴロに仕留めてワンナウト。続く5番千種も右打者のインコース高めのフォーシームでキャッチャーフライに討ち取りツーアウト。そして続いた6番田本に対する初球を失投し力のないフォーシームが真ん中に行ってしまう。選抜で2本のホームランを放った田本がそれを見逃すハズもなく、無情にも田本が打った打球はレフトスタンドへ飛び、青道はサヨナラ負けを喫した

 

 

高瀬維

13回2╱3、176球、10安打、失点2、四死球0、奪三振28

 

菅原智之

14回、152球、6安打、失点1、四死球0、奪三振24

 

 

 

 

 

 

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試合後から寮に戻ってくるまでのことはほとんど覚えてない

 

手応えとしては前世から数えても2番目のでき、今世では間違いなく1番のできだった

 

しかし、それでも俺より登板経験が少ないハズの相手のエース菅原さんの投球と比べると正直まだ余力を残していたように感じる

 

確かにスタミナの差はあるだろうが、今回負けたのは確実にテクニックの差だ

 

三振数は俺の方が多く、一見して凄く見えるがこの試合の勝敗を分けたのは球数だ

 

お互いに四死球0と高校野球では滅多にないことが起きたにも関わらず、これだけ球数に差が出てしまったのは一重に打者一人一人に対する球数を如何に減らせるかと言うテクニックの差だ

 

球数を少なく打たせてとる投球は前世から夏を勝ち抜くための課題として取り組んできていたハズだった

 

今世では2年の差があれど、前世の経験がある以上そんなものは軽くひっくり返る

 

なのに投手経験で勝りながら技術で負けたことは試合に負けたことよりも他の何よりも悔しかった

 

 

 

 

 

 

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「おい……………おい………高瀬!」

 

「!!……は、はい!?」

 

どうやらもう既に青道の選手らを乗せたバスは青道高校に着いていたようだ

 

「落ち込むのはわかるが今日の試合は相手が1枚上手だった。だが、まだ夏の甲子園でリベンジができるんだ。あまり深く考えることは無いぞ」

 

「はい……………クリス先輩」

 

「…………なんだ?」

 

「俺、今日の試合で自分が何をするべきかわかりました」

 

「ほう?」

 

「明日はノースローなんでとにかくいつものメニューに走る量を増やして、投げれるようになったら俺しばらくブルペンはいるのやめてひたすらバッティングピッチャーやります!あ、もちろんいつものメニューもちゃんとやります!」

 

「……………お前が今スタミナ以外で足りないと思うものはなんだ?」

 

「球数を減らす投球術です!」

 

(…………高瀬はまだ1年だ………それなのにもう既にプロが目指すような目標を持って練習メニューを自分で考えている)

 

「……………打者は1日27人分だけだ。監督には俺から言っておいてやる」

 

「Th………あ、ありがとうございます!」

 

「フッ………無理して日本語にする必要は無いぞ。………まだ向こうの喋り方が抜けてないんだろ?」

 

「ま、まぁ…………ahahahaha」

 

こうして俺の高校野球1年目の春が終わった

 

 

 

ティロティロティン♪

 

格上相手に延長12イニング完投するを達成しました

 

金の特殊能力『復活』を取得しました

 

特殊能力根性のコツを最大まで取得しました

 

 

 

 

 

 

………………超ラッキー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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⚾️番外編①:強化イベント⚾️

 

 

 

 

 

長野県のとある中学のグラウンドにて、1人の熱血主人公が仲間たちと共に野球の練習に励んでいた

 

「若菜!!!」

 

「何?栄純」

 

「あの人からなんか新しいメニュー来てないのか!?」

 

「ハイハイ、そう言うだろうと思って昨日ちゃんと電話で聞きましたよ〜っと」

 

「なにぃ!?で!で!次のメニューは!?」

 

「その前に!今までのメニューの内容と狙い、目標と結果の確認からでしょ!!」

 

「そうだった!まずは

①:シャドウピッチング!

・狙いは正しい体の使い方を身につける!

・目標は右手のグラブで壁を作ってしっかりと腕を振る!この時下半身をしっかりと使ってることを実感しながらやる!

・結果は左腕が見えずらくなったのとコントロールが良くなった!

②:体幹メニュー!

・狙いは体の軸を安定させて体全体でのコントロールができるようにする!

・目標は角材の上でもまっすぐ5分立てるようにすること!

・結果はコントロールが上がったのと球速も上がった!

③:ランメニュー!ハードル、階段、坂道ダッシュ、ウサギ跳びランニング

・狙いはスタミナ向上とコントロール向上と球速アップ!

・目標は太ももの太さを筋肉で50㌢にすること!

・結果は100越えても球速が変わらなくなったこととコントロールが良くなったのと球速が130越えたこと!

④:ネットスローでフォーシームを投げる!

・狙いはフォーシームを覚えることとフォームを体に染み込ませる!

・目標は曲がらないノビのあるフォーシームの習得!

・結果はフォーシームを覚えたことで三振が取れるようになったのと球速が上がった!

⑤:ストライクゾーンを模した鉄枠の四隅にひたすら全力のフォーシームを投げ込む!

・狙いは大きく体全体を使いながらコントロールを磨く!

・目標は全球四隅に投げれるようになる!

・結果は試合で四死球が減ったのと見逃し三振が取れるようになった!

以上の5つだ!!!」

 

「ん、上出来。んじゃ6つめね。高瀬維直伝の変化球を覚える!」

 

「お、おおおおお!つ、遂に俺もちゃんとした変化球をぉぉぉ!」

 

「騒がない!ええっと………この1年間で最初の方にゆった3つのメニューをやりながら栄純くんには5つの変化球を覚えて貰う、栄純くんは不器用だから多分カーブとかは投げられないと思う」

 

「ムムムムム………!!!」

 

「だから俺が教えるのはボールの持つ位置と手首から先の向きを変えるだけで投げられるスライダーと、その応用のカットボール、フォーシームの持つ縫い目を変えるツーシーム、さらにそれを若干いじったスプリーム(仮称)、元々栄純くんが投げてた鷲掴みに近い握りで投げるチェンジアップ……………だって」

 

「うぉおおおおおお!!!まずはスライダーだぁ!!!!」

 

「ハイハイ、ええっと、スライダーはフォーシームの握りからボールを左に4分の1ずらす。そして手首から先の向きを縦から横にする。あとはその角度のまま縦に指2本でチョップするイメージで投げる………だって」

 

「よっしゃあ!やってやんぜ〜!!!」

 

「はぁ、ホント栄純って単純なんだから」

 

今日も長野では元気に熱血主人公の声が響いていた

 

 

 

 

 



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11話

合宿の内容については多分原作無印でやるのでここではあまり書かずに飛ばしていきます


関東大会が終了した

 

優勝は群馬県の桐谷第一

 

1回戦で激戦の末青道を破った紅海大相良は2回戦で大事をとってエース菅原を温存

 

背番号10番の御座原が先発し9回5失点と強力浦島学院打線に粘り強く投げるも浦島学院ダブルエース玉城、冨士木の継投の前に3得点しか奪えず2回戦で姿を消した

 

 

 

 

 

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一方の青道高校は球数を減らす投球を習得すべく高瀬維がバッティングピッチャーとして毎日のように関東大会時のスタメンメンバー達と3打席ずつ勝負することで格段に打線に厚みが生まれていた

 

そして、6月の1週目

 

遂に夏の甲子園予選大会のベンチ入りメンバーが発表された

 

背番号1 高瀬維 ピッチャー

背番号2 滝川・クリス・優 キャッチャー

背番号3 結城哲也 ファースト

背番号4 小湊亮介 セカンド

背番号5 東清国 サード

背番号6 伊藤翼 ショート

背番号7 和泉裕二 レフト

背番号8 伊佐敷純 センター

背番号9 才藤辰巳 ライト

背番号10 丹波光一郎 ピッチャー

背番号11 英大和 ピッチャー

背番号12 御幸一也 キャッチャー

背番号13 桜井柚希 ファースト

背番号14 杉本智也 キャッチャー

背番号15 増子透 サード

背番号16 奥大晴 ショート

背番号17 坂井一郎 レフト

背番号18 北原聡 ピッチャー

背番号19 白州健二郎 ライト

背番号20 倉持洋一 ショート

 

このメンバーで1年目の夏を戦う

 

なお、背番号2のクリス先輩だが起用は基本的に代打で調子の悪い選手と入れ替えプラスポジション入れ替えたりした場合のみファーストで出られるようだ

 

 

 

そして6月の2週目

 

一軍背番号組の合宿が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

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合宿初日

 

我らが投手陣はクリス先輩と共にストレッチから体幹、サーキットメニューを朝の間ずっとこなし、授業終わりの午後からは各自ブルペンと対戦形式とノックに別れて午後を消化していく

 

そして夕方になり普段ならそろそろ終わりと言うところでマネジ達からおにぎりやバナナなどの差し入れを貰う

 

「おうコラ倉持ィ、これからまだまだ練習は続くからなァ。今のうちにガンガン食っとけェ!」

 

「純さん………はい!」

 

「おめェもだ!高瀬ェ!」

 

「Roger!」

 

(アカン、こら吐くな)

 

(吐くな)

 

(可哀想に)

 

(今年はてめぇらの番だぜぇ!)

 

 

 

 

 

 

「ポール間20本!!」

 

「しゃあああ!」

 

間食タイムが終わりベンチ入りメンバーを半分ずつに分けて2面のグラウンドでポール間ダッシュが行われる

 

「ベーラン100本!!」

 

ポール間20本終わった次は各グラウンド10人ずつでホームとセカンドからホームランベーラン100本走る

 

「き、きっつぅ〜!…………て、なんでお前はそんなにピンピンしてられんだよ高瀬!!!」

 

「まぁ普段から走ってるしこのくらいはまだ大丈夫だよ」

 

「よし、初日はこんなところだろう。最後に全員で声を合わせてグラウンド20周!!!声出せよ!!」

 

「「「「「はい!!!」」」」」

 

 

 

こうして先程山ほど食わされた倉持は無事成仏した…………

 

この人でなし!

 

 

 

 

 

 

 

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次の日も朝食前からティーバッティング200球にノックにランニングとハードなメニューをこなし、朝食は丼山盛りの米付きで倉持、白州、一也の3人は吐きそうになりながら腹に詰め込んでた

 

まぁ俺はアメリカいたおかげでボリューミーなのに慣れてたからなんとか気持ち悪くならずに済んだけど

 

そして午前中は授業を受け午後から昨日と同じメニューをこなす

 

これを連日繰り返し合宿の練習最終日

 

「倉持、白州、御幸!!お前たちは外れろ!!」

 

「「「!!?」」」

 

1年生の野手が全員外され午後4時から片岡監督自らノックを打つ

 

そしてそのノックは日が暮れ、ナイターが点いた後もノックは続く

 

「よし!ラスト1球!気合い入れていけ!」

 

「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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合宿の最後に今年は紅海大相良と日を跨いで帝東、広島新響とのダブルヘッダー

 

関東大会のおかげで西海大相模との練習試合を組んでもらえた

 

西海大相模との試合は俺が先発、帝東との試合は丹波さんが先発、広島新響との試合は英先輩が先発する予定だ

 

そして西海大相模との試合当日

 

「やぁ、関東大会以来だね。高瀬くん」

 

「菅原さん!!お久しぶりです!!」

 

「今日はあの日から成長した姿をお見せしますよ」

 

「ふふ………楽しみにしているよ。じゃあね」

 

「はい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

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練習試合1試合目、青道対西海大相模の試合は西海大相模の先行、青道の後攻で始まった

 

試合は関東大会の再現のように膠着した

 

関東大会以降練習を重ねたツーシームを中心に少ない球数で内野手の正面にゴロの山を積んでいく

 

対する菅原もツーシーム、カットボール、シュート、スプリットを自在に操り時折カーブやチェンジアップ、スライダーで三振も奪うピッチングでランナーが2塁に進めない

 

それに触発されるように高瀬も2塁を踏ませないピッチングをする

 

試合が動いたのは最終回、この日の高瀬の奪三振数は0、上手いこと打たせてとる投球をしていたが野手陣はここへ来て身体がより一層重くなっていた

 

そこへ緩いゴロや普段ならアウトにできるような当たりがセーフになってしまいこの試合始めてランナーが2塁に進んだ

 

そして4番の森實がツーシームを捉え、センターの頭を越えるツーベースでこの試合初の失点をしてしまう

 

しかし後続をしっかりと断って裏の攻撃に望みを繋いだ

 

この回先頭の小湊がスプリットをしぶとくレフト前に運んで出塁した

 

そして続く高瀬が打席に入る

 

高瀬に対する初球はインコースへのスプリット

 

低めに外れてワンボール

 

2球目もインコースだが先程のスプリットと同じ軌道でフォーシームを投げ込む

 

これには手が出ずワンストライク、ワンボール

 

3球目はインコース高めのボール

 

ストレートだと思って打ちに行くがカットボールがかかっていてライト線へのファールになる

 

そして続く4球目、アウトローでさらにボール1つ分外に逃げるシュート

 

しかし、高瀬にとってはストライクゾーンだ

 

ボール球だと打たれる心配をしていないキャッチャーの予想に反し、しっかりと芯で捉えられた打球はレフトスタンドに飛び込む逆転サヨナラホームランとなった

 

これにより青道高校は合宿の練習試合3戦を白星発進することとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「今日はリベンジされちゃったな。………どうやってあんなとこ打ったの?」

 

「あそこはアメリカではストライクなんですよ」

 

「あぁ、そういえばアメリカ帰りなんだってね。情報はあったってワケか……今回は俺の負けだけど、これで1勝1敗。ホントの決着は甲子園でつけるよ」

 

「はい!!!」

 

「そうだ、イ〇スタとかやってる?」

 

「え?はい、最近はプロの選手が練習方法とかよく上げてるんで見るようにしてますけど…………」

 

「じゃ、交換しよ。君となら有意義な話ができるだろう」

 

「いいんですか!?ぜひ、お願いします!!!」

 

俺と菅原くん(許可貰った)が連絡先交換をした後、1時間ほど共に練習し、紅海大相良は神奈川に帰って行った

 

「ふむ、あれが2ヶ月たった高瀬…………か。………………末恐ろしいな」

 

紅海大相良のバスの中でコーチと務める落合博光は2ヶ月前を思い出しながら俺の成長に震えていた

 

 

 

 



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12話

正真正銘合宿の最終日

 

この日は帝東と広島新響との総当り変則ダブルヘッダーが行われた

 

高瀬は菅原からホームランを放った打撃力を買われ、2番レフトで2試合ともスタメン出場

 

そしてその起用に答えるように2試合で11打数7安打2ホーマーとクリーンナップ並の成績を叩き出した

 

投手陣は帝東戦に丹波、広島新響戦に3年英が先発

 

丹波は強豪帝東打線を失点しながらも粘り強く投げ抜き9イニング完投し6失点と散発的に点を取られ計6失点したものの1イニングで大崩れすることはなくその成長を示した

 

試合は奮闘する丹波の背中を押す5番結城のグランドスラムなどで11点を取り、丹波に勝利をプレゼントした

 

広島新響戦は先発した英が的確なコントロールとスプリットを武器にゴロの山を築き、3イニングをパーフェクトで投げ抜いた

 

しかし、4回に2巡目となった広島新響打線に掴まり3失点

 

だが、3年生の意地とも言える投球で5回を投げ抜き計4失点で試合を作った

 

そしてリリーフした3年北原がアンダースローで打者を惑わし、内野フライを量産

 

しかしこちらもまた2巡目で掴まってしまい4イニング投げて5失点となった

 

試合は2、3、4、5と4者連続ホームランなどで初回から着実に点を重ね、14点を取って乱打戦を打ち勝った

 

青道は合宿終盤の練習試合を3連勝で飾り、夏の大会へ勢いをつけるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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6月3週目

 

この日は夏の大会の組み合わせ抽選会が行われ結果、順当に行けば宿敵稲城実業が準決勝で、決勝で市大三高と対戦することとなった

 

そして迎える7月───────

 

東東京、西東京の全ての参加校が一堂に会し神宮球場にて開会式が行われた

 

「お、一也じゃん!やっほー」

 

「鳴、お前ベンチ入りできたんだ」

 

「とーぜんじゃん!で!高瀬維ってどれ?」

 

「………俺だよ。俺が高瀬維」

 

「君かァ!今日は君に同じ左投手として宣戦布告しに来たよ」

 

「………背番号18なのに?」

 

「!!」

 

「ウググググ、的確に急所を突いてきやがって……さすが俺のライバルに認めた男だ!!とにかく、ウチと当たるまで絶対にコケないでよね!」

 

「…………あれが未来のKINGか………面白そうだ」

 

これが西東京を代表する2大エースの初会合だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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青道はシード権を持っているため2回戦からの出場となる

 

初戦の相手は基坂野高校

 

この試合の先発を片岡監督は丹波を指名

 

丹波はその期待に答えるように5回を1安打で抑える力投を見せる

 

一方の打線も東が2打席連続でホームランを放つなど計6本のホームランで5回で14点を取ってコールドゲームで快勝した

 

続く3回戦は梶北高校を相手に高瀬維が先発

 

だがこの日高瀬維は決め球であるスライダーを封印し、全打者を打たせてとる投球術で5回を球数28球と言う驚異の球数でパーフェクトに抑え、バッティングでも3ホーマーを放ちチームは前の試合に続いて計8ホーマーを記録し16点を取ってコールドゲームで快勝した

 

2度のコールドゲームで勢いに乗った青道打線は準々決勝となる聖ハウル学園との試合、相手は初のベスト8進出で大いに勢いづいており相手の3年生達の気迫に呑まれ、先発の丹波が4回6失点で降板

 

しかしリリーフした3年英と同じく3年の北原が2イニングずつパーフェクトで抑え、その好投に酬いる用に終盤で打線が爆発、8回に一挙4点を奪ってサヨナラコールドを決めた

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青道が順調に準決勝へ駒を進めた中、宿敵稲城実業は自慢の投手陣達を武器に青道よりも危なげなく勝利を納めでこちらも準決勝へ駒を進めた

 

「明日の稲城実業戦。おそらく相手の先発ピッチャーは背番号18番、左の成宮鳴が登板してくると思われます」

 

「背番号18じゃとぉ!?」

 

「背番号こそ18番ですがこれまでの投球内容を見る限り稲城エースの澤井よりも打ちあぐねるかと思います。変化球はスライダーとフォークの2つだけ。ですがどちらも空振りが取れる、三振が取れる球ですね。そしてこのストレート。このストレートが1番空振りを取っているところを見るにこの球こそがその投手最大のウイニングショットと言えるでしょう。このストレートを捉えられるかが試合の鍵になりそうです」

 

「明日の先発は高瀬!お前で行くぞ」

 

「!!…………ハイ!!!」

 

「おっ、ようやく英語が抜けて日本語になってきたじゃん」

 

「ちょ、一也!!それ今言わなきゃダメ!?」

 

一也の茶化しで成宮鳴の投球に呑まれつつあった雰囲気が笑いで包まれた

 

そして決戦の日───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⚾️番外編②:主人公始めて上京する⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおお!!!!ここが東京かァ!!!」

 

「栄純うるさい!維くんが新幹線のチケットとか送ってくれたんだからおとなしくしてて!」

 

「でもでも!俺維さんの試合見るの初めてなんだよ!」

 

「そんなの私も一緒でしょ!いいからおとなしくしてる!」

 

「わかったよ……」

 

(楽しみにしてるから、負けないでよね)




次回1話まるまる稲城実業戦です!


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13話

夏の甲子園予選大会準決勝

 

青道対稲城実業の試合はお互いに1年生投手が先発した

 

青道高校スターティングオーダー

1番 セカンド 小湊亮介

2番 ピッチャー 高瀬維

3番 ファースト 滝川クリス優

4番 サード 東清国

5番 レフト 結城哲也

6番 センター 伊佐敷純

7番 キャッチャー 御幸一也

8番 ライト 才藤辰巳

9番 ショート 伊藤翼

 

稲城実業スターティングオーダー

1番 センター 神谷カルロス俊樹

2番 セカンド 平井翼

3番 ショート 高井慈緒

4番 キャッチャー 原田雅功

5番 ファースト 大石勝斗

6番 レフト 新堂大輔

7番 ピッチャー 成宮鳴

8番 ライト 山下瑞樹

9番 サード 吉沢秀明

 

両スターティングオーダーがアナウンスされ、後攻の青道高校が初回の守備に着く

 

青道先発高瀬がマウンドに上がりゆったりとしたフォームでノーワインドアップで4球、セットポジションで3球投げる

 

7球目の球を御幸がセカンドベースへ送球し、先頭打者が打席に入る

 

「1回!!締まっていこう!」

 

「「「「「「「おぉ!!!」」」」」」」

 

稲実1番の1年生神谷カルロス俊樹が右バッターボックスに入る

 

(コイツが1年ながら春の王者相手に延長まで投げ抜いた怪物くんか…………監督の指示は球筋を見ること。この監督が1打席捨てろって言うのはだいぶ珍しいことらしい。先輩達驚いてたし。……………指示通りじっくり見せてもらうぜ)

 

(神谷カルロス俊樹…………足が早く出塁率が高い上にパンチ力のある打者だ…………予定通り1打席目はスライダー投げずにフォーシームでガンガン押すぞ!!)

 

御幸のサインに頷いた高瀬は肩幅かつ若干の内股でノーワインドアップの構えに入る。プレートの左寄りに立ち、右足を後ろに引いて胸の前にあるグラブを両手でベルト前に落とす。体の向きを変えながらグラブを胸の前に戻し、右足を上げる。あげた足を前に踏み出しながら右手を掲げるように前に突き出す。そこから右手と左手の位置を入れ替えるように勢いよく腕を振ってボールをリリースする

 

投じられた初球はインコース高めの厳しいストライクゾーンに構えられた御幸のミットに吸い込まれワンストライク

 

この1球が高瀬のMAXである148㌔を記録し、球場にどよめきが走る

 

(なんだコレ!?高めに外れたと思ったのにキャッチャーが取ったとこはストライク!?なんかの変化球?落とした?)

 

「1年にしては速ぇな」

 

「けど雅さん。全国行ったら150なんて沢山いるよ」

 

「あぁ、1試合あれば攻略できる」

 

「頼もしいねぇ。期待してるよ4番バッター 」

 

「るせェ!」

 

原田と成宮が談笑している間に2球目がアウトローに突き刺さる

 

「ストライィ!!」

 

(あ?低いと思ったら浮くようにしてストライクに入っていった。これがコイツのストレート!?こんなストレートは初めて見たぜ)

 

1番のカルロスはそのままインローのフォーシームで空振り三振に切って取りワンナウト

 

(…………フォーシームに強いカルロスがかすりもしない球か……面白そうだ)

 

2番平井を全球フォーシームでキャッチャーファウルフライに仕留め、3番高井を本日初の変化球であるチェンジアップとフォーシームの緩急で見逃し三振に仕留めて三者凡退で成宮にマウンドをパスした

 

(へぇ、うちをストレートとチェンジアップだけで三者凡退か……やるじゃん)

 

マウンドで7球投げ終え青道の1番小湊が打席に入る

 

(確か左バッターへの決め球はスライダーだっけ?まぁでもウチのエースくんのスライダーより上ってことは無いよね)

 

小湊は追い込まれてからもスライダー、ストレート、フォークの全てをカットしていく

 

(コイツ………カットが上手いな…………対青道用に練習した秘密兵器その1を今使うか…………)

 

(あぁー!イライラするなぁ全部当ててきちゃってさ!しかもボール全然振ってくれないし!……………ん?……………………いいね雅さん。それ最高!)

 

成宮が小湊に投じた8球目、ストレートとほとんど変わらない球速で投じられたその球は甘いコースのストレートだと判断して打ちに行った小湊のバットの芯ではなく先っぽに当たり、力のないピッチャーゴロとなった

 

(こ、これは……………!!!)

 

「……………カットボール………か………」

 

高瀬が呟いた一言に青道ベンチは愕然とする

 

「マジか……ストレートとほぼ変わらない球速で芯を外しに来るカットボール………あっちもバケモンかよ…………たはは……」

 

御幸はライバルの思わぬ成長に乾いた声で笑う

 

「まぁ、次俺だしなんとかしてくるよ」

 

高瀬はこの言葉通りに小湊を仕留めたことで自信を持っていた外のカットボールをレフト前に運びワンナウトながらランナーを一塁に置いた

 

「………頼もしい後輩だな」

 

「………お互いに………な」

 

打席に入ったクリスは原田と一言交し目の前の投手に集中する

 

(カットボールが打たれるなんて完全に予想外だ!次はあのクリスだがまだ秘密兵器その2を出す訳には行かない。シングルヒットはOKだ。腕を振れよ!鳴!)

 

(わかってるって雅さん。高瀬に打たれたのはショックだけどそれで打たれるのはもっと嫌だ!)

 

成宮はカットボールでカウントを稼ぎ、フォークを引っ掛けさせることでクリスを討ち取る

 

調子を取り戻した成宮は4番の東をストレートで押し、三振で抑えた

 

そして試合は点が入ることなく完全に膠着してしまった

 

しかしその投球内容は高瀬が圧倒的と言うほどの成績を残していた

 

なんと8回を投げてパーフェクトに抑えていたのだ

 

(まさかウチの選手がここまで打てないとはな…………やはり関東大会で一皮剥けたか…………厄介な事だ……………)

 

それに対し成宮は終盤になって四球が増え、高瀬に全打席ヒットを打たれるなどピンチを背負うも終盤から解禁した秘密兵器その2であるスプリットが冴えを見せなんとか青道打線を0に抑えていると言った感じだった

 

だが、8回の青道の攻撃、9番ショートの伊藤が頭部へのデッドボールでノーアウトのランナーを出すと1番の小湊がバントで送り、2番でこの日全打席ヒットを放っている高瀬が打席に入った

 

いくら打たれているとはいえ敬遠して次のクリスに回すのは危険だと判断したバッテリーは勝負を選択、インコースのカットボールを中心にカウントを稼ぐが決めに行ったスプリットをセンター前に運ばれる

 

セカンドランナーで伊藤の代わりに代走として出場していた奥は3塁を蹴ってホームに戻るがセンターカルロスの素晴らしい返球によりアウト

 

しかしそこで更なるアクシデントが起こる

 

先程のタッチプレイの際、奥が足を痛めてしまったのだ

 

度重なるアクシデントにより青道の選手たちには不穏な空気が流れ、攻撃のリズムも途切れてしまった

 

0対0で迎えた9回裏の稲城実業の攻撃

 

ショートには1年生の倉持が入った

 

だが攻撃中の不穏な空気は守備にも影響を与え、サード東の悪送球でランナーが出塁しパーフェクトが途切れてしまった

 

そしてパーフェクトが途切れたという事実がさらに守備陣にプレッシャーを与える

 

続く打者のセンター前の当たりをセカンド小湊がファインプレーで止めるもののセカンドベースへの送球に倉持が入り損ねオールセーフとなりノーアウト1、2塁となる

 

ここで稲実は手堅くバントでランナーを進めようとする

 

だが高瀬のフォーシームの勢いを上手く殺すことが出来ずにファーストに強めのバントが転がる

 

しかしファーストクリスの動き出しが遅れ上手くバントが決まってしまう

 

と、ここで打線が上位に戻ったところでカルロスに代打が送られる

 

代打は3年の昨年2番打者としてバント成功率100%だった選手だ

 

だが、この試合初のピンチに御幸の頭は上手く回らなくなっており、周りの選手も声をかけることが出来ない

 

そして高瀬が投じた初球インコースの球を初球スクイズでファースト方向に転がしクリスの送球も間に合わず青道高校はノーヒットでのサヨナラ負けを喫した

 

「礼!!」

 

「「「「「「「「「「ありがとうございました!!!」」」」」」」」」」

 

球場は高瀬のノーヒットノーランと劇的な幕切れに興奮した観客の拍手で埋め尽くされていた

 

「試合では勝ったけどピッチャーとして投げ勝ったとは思ってないからな!」

 

「……………あぁ」

 

「…………この試合で点を取れなかったのは俺のミスだ。すまない!」

 

「顔をあげてください片岡監督。点を取れなかったのはチャンスでことごとく三振した4番の俺の責任です!それに負けたのは俺のエラーがきっかけでした………。パーフェクト途切れさせてすまんかったな高瀬」

 

「いえ………パーフェクト逃したことよりも先輩達が全国に知られてないことの方が悔しいです!!」

 

「ホンマ………出来のええ後輩やな…………」

 

東達3年生の夏が終わり稲城実業は決勝に駒を進めた

 

青道に勝った稲城実業の勢いを止めることが出来ず夏の甲子園予選大会は稲城実業が優勝し、甲子園への切符を手にした

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子園へ出場した稲城実業は3回戦での八広工業との試合

 

2対2の同点で迎えた6回から登板した成宮は8回、1死3塁で迎えたピンチ

 

稲城実業バッテリーは相手チームのスクイズを読んで外すものの成宮の投じたボールは原田にも取れない大暴投となり失点

 

結局その失点を取り戻せず稲城実業は3回戦で姿を消した

 

 



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14話

夏の大会が終了し、新チームが始動した

 

新キャプテンはチーム全員満場一致での哲さんが選ばれた

 

そして今年は関東大会での結果を受けて練習試合の申し込みが殺到し夏休みの練習試合は平日は週で2試合、休日は毎日3試合と手当り次第で試合をしていた

 

3年生が引退したことで倉持が正式にショートのレギュラーに定着しつつある

 

そして白州と坂井さんのレギュラー争いが激化する

 

そんな中俺はノーヒットノーランを連発していた

 

ガッシャン!!

 

「おい!維!この前から何イライラしてんだ!」

 

「………………………………………」

 

「おい!なんか言ったらどうなんだ!!」

 

「………………思うような内容にならないンだよ!」

 

そう、ノーヒットノーランやパーフェクトゲームをいくらやったところで現状9月までの短期間で得られるものなんて何も無い

 

本音を言うならしばらくブルペンでもマウンドに立ちたくない

 

「…………………正直言って来て貰っといてアレだけどこんなレベルの相手にいくらノーノーやったところで得られるものなんて何も無い。打たせようとしても三振されたんじゃ練習にならない」

 

「………お前……いつからそんな傲慢な物言いを………!」

 

「傲慢なことくらいわかっているさ!」

 

「!!」

 

「だからって俺が投げるとチームのためにならないんだよ!!」

 

(………確かに、全国トップクラスのチームを相手にアレだけのピッチングをしてきた維なら、練習試合の対戦相手に不満を持ってても不思議じゃないことはわからなくもない)

 

「…………稲実との試合からか?」

 

「………………!!」

 

「本当にお前が不満に思っているのはバックの野手達じゃねぇのか?」

 

「……………………」

 

図星だ

 

けど、ずっとそれを考えないようにしたかったのに

 

「…………はァ、図星か……」

 

「…………………」

 

「あのなぁお前ウチの選手があんな負け方をして、なんもしてねぇと思ってんのか?」

 

「!!」

 

「まぁ確かにお前がポンポン三振取って打線もバカスカ打ち、ノーノーやパーフェクトも普通にやっちまうけどな、お前が普段やってる下半身トレーニングの間、お前が見れないとこでみんなずっとノックやってんだぜ?」

 

「なっ!?」

 

みんなが?

 

「まぁお前の言い分も一理あると思うし、お前が登板したくないってのは俺から監督に言っといてやる」

 

「……………一也…………」

 

「だが、その代わりにいつもより多く俺ら相手に投げてもらうからな!」

 

「………あぁ!」

 

夏休みに一悶着あったりしたがなんとか全員で乗り切り、青道は23連勝で秋の大会へ突入した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

秋大前時能力値

 

高瀬維

・投手基本ステータス

球速:148㌔

コントロール:S(96)

スタミナ:B(79)

・変化球

ツーシーム(1)

スライダー(7)

カットボール(7)

スローカーブ(5)

チェンジアップ(5)

フォーク(4)

・特殊能力

牽制◎

鉄腕

クイック◎

リリース

ノビ◎

キレ◎

対ピンチ○

対左打者◎

緩急○

低め○

尻上がり

ドクターK

勝ち運

対強打者○

クロスファイヤー

投打躍動

制圧

復活

先制ストライク

根性◎

・野手基本ステータス

弾道:3

ミート:S(91)

パワー:A(81)

走力:S(94)

肩力:S(100)

守備力:S(98)

捕球:S(96)

・特殊能力

鉄人

アベレージヒッター

パワーヒッター

走塁◎

盗塁◎

外野手〇

レーザービーム

 

 

 

夏の大会から感覚が変わらないよう冬になるまで基本能力はあまり投球感覚と関係の無いところだけをあげた

 

打たせてとる投球術を身につける過程で格段にカットボールが良くなったため高速スライダーを使う必要が無くなってしまった

 

とりあえず秋大が全部終わって冬のオフになるまでは球速と特殊能力は加えないようにする

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして9月─────────

秋季大会一次予選抽選を終え新チームでの初の公式戦

 

秋季大会一次予選(ブロック予選)1回戦

青道(西東京)─都富士林(東東京)

(青道グラウンド)

 

夏に続いてエースナンバーを背負った高瀬が5回をパーフェクトで抑え打線も高瀬を相手に真剣勝負を重ねた青道打線は2番高瀬、3番クリス、4番結城、5番増子、6番伊佐敷、7番御幸の6人にホームランが飛び出し、全員に2安打が飛び出すなど26安打21点を取り5回コールドで快勝した

 

この大勝で勢いに乗った青道は2回戦、3回戦も20安打越え2桁得点の5回コールドで勝利し秋季大会本選へ駒を進めた

 

 

 

 

 

10月────────────

秋季大会本選大会抽選会を経て

本選大会─────開幕─────

 

 

 

 

 

本選1回戦

青道(西東京)─関大第一(東東京)

 

青道スターティングオーダー

1番 ショート 倉持洋一

2番 セカンド 小湊亮介

3番 ピッチャー 高瀬維

4番 レフト 結城哲也

5番 ファースト 滝川クリス優

6番 センター 伊佐敷純

7番 キャッチャー 御幸一也

8番 ライト 白州健二郎

9番 サード 増子透

 

関大第一スターティングオーダー

1番 センター ジョシュア瑠偉

2番 キャッチャー 浅野裕二

3番 セカンド 芦田一真

4番 サード 足立飛雄馬

5番 ファースト 梅田龍

6番 ショート 宗本颯馬

7番 ピッチャー 森安亮太

8番 レフト 丙寅一

9番 ライト 佐賀井斗雷

 

試合は関大第一の先攻で始まった

 

(ジョシュアって………ポジションと言い打席といいカルロスかよ)

 

ゆったりとしたフォームのノーワインドアップから初球のフォーシームを投じる

 

高瀬のフォーシームはアウトローに構えられた御幸のミットに吸い込まれた

 

続く2球目は同じ所から沈むツーシームで空振りを取り追い込むと3球目も同じ所へチェンジアップを放って空振り三振を奪いワンナウト

 

この圧巻の投球に呑まれた関大第一の打者達は2巡目に入っても1人も前へ飛ばせず11人連続奪三振を記録

 

打線も好調をキープし今年の夏の甲子園ベスト4投手である好投手森安相手にコツコツと上位打線で得点を積み重ね、8対0の7回コールドゲームで青道が貫禄を見せつける試合となった

 

なおエースの高瀬は参考記録とは言え公式戦初のパーフェクトゲームを達成した

 

そして青道はこの秋丹波、川上の継投と高瀬のフルイニング力投によって秋の大会で準優勝に輝く

 

優勝した市大三高が神宮大会ベスト4に進出したため春の甲子園東京に出場枠が増えた

 

そして準優勝の実績を持って青道高校は約6年ぶりの甲子園への出場を確定させた

 

 

 

 

 




今回は賛否両論出るであろう暴論を主人公がかましてますがあくまでこれはACT IIの降谷の用に自身の今世最高の投球を求めているが故の不満が爆発した結果です

原作前なのでかなり端折ってます



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15話

※ATTENTION


今回の話ですが基本的に繋ぎの回となっており、深夜テンションで錯乱したまま書いた話です(あと1話か2話くらいで原作前終わって3話目くらいから原作行く予定?)

内容は作者の全てを使って全力で書いていますが如何せん作者自身が恋人できずに勘違いに振り回されっぱなしなのでかなり酷くなっています

この前書きを見て内容を察した方もいるかもしれませんが酷い展開でも耐えられる方だけ閲覧ください

飛ばす方々様に後書きにこの話の内容をざっくりと書いておきます


秋の大会が終了し、礼ちゃんが中学生のスカウトへ全国を飛び回る時期が来た

 

それに加えてクリス先輩の肩が良くなったことをきっかけにエースの俺とそれ以外は2年生だけの県外遠征も行われた

 

そして丁度俺たちが遠征に行っていた間に原作2話に当たる主人公VS東さんの1打席勝負があったようだ

 

だが、原作主人公は『若菜』を通してムービングを自覚させた上で武器とし、さらにフォーシームや変化球を仕込んだりして強化してある

 

その完成度の高さは東さんをも初見とはいえ3球で空振り三振に抑えて見せたほどだ

 

一也から写真と共にベタ褒めしてるメール来たから間違いない

 

そして12月下旬────────

 

全部で8日間に渡るウィンターキャンプが行われた

 

こういう時に鉄人あるっていいね

 

筋肉痛ならないし

 

流石に1日練習すればヘロヘロになるが一晩寝れば次の日には完全復活できる

 

さらに合宿特有の大量のポイントは大助かりだ

 

正月休み明けたら能力上げまくって2ヶ月で慣らしだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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12月30日──────

地獄の冬合宿が終了し青道高校野球部の練習納めとなった

 

 

 

 

 

 

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俺は今年の正月休みを利用して長野の祖父母宅に帰省していた

 

大晦日の今日は知ってる人達の所へ挨拶回りだ

 

「久しぶりだね。ただいま、若菜」

 

「!!………維くん!!……………お、おかえり……なさい」

 

「ん?なんか元気無くないか?」

 

「う、ううん!そんなことない!!………でも、突然家にこられたからびっくりしちゃって………………」

 

「ははは、サプラ〜イズ成功だね!」

 

「…………ん」

 

……………アレ?なんかコレ可愛い。待ってヤバくない!?

 

いや、確かに若菜は初恋の相手だから?可愛いのは知ってるよ?

 

でもさ、若菜って普段電話で話しててもハキハキとしたタイプじゃん!

 

ギャップエグいってェェエエ工!!!

 

萎らしい若菜なんて初めて見た

 

さっきからドキドキしっぱなしなんですけどぉ!!

 

「あ、明日………一緒に初詣行かね?」

 

「う、うん」

 

どうしよ、ドキドキして会話続かねぇ

 

助けて一也!!

 

 

 

 

この時、俺は内心で若菜の可愛さに悶えまくっていたせいで1つの視線に気がつくことができていなかった

 

 

 

「お、おおお!若菜!いつの間にこんないい顔した男捕まえてたんだ!」

 

「お、お父さん!!」

 

え、若菜のお義父さん!?←テンパッテキガハヤイ

 

「え、えっとお久しぶりです。一応小さかった時にあってるんですけど…………」

 

「んん〜?……………おぉ!高瀬さんとこの子か!大きくなったねぇ!幼馴染が相手とは………若菜もやるじゃないか!」

 

「ちょっと!お父さん!!」

 

「じゃあ、あとは若いお2人でってな〜!これ1回行ってみたかったのよ!」

 

あ、嵐の様に去っていったな………

 

「…………………」

 

「…………………」

 

むぅ、また会話が無くなってしまった

 

なにか…………なにか…………………あ、そだ!

 

「若菜って高校決めたの?」

 

「あ、う、うん。……えっと………その……わ、私も青道に行くつもり…………………」

 

…………………………………………………は?

 

「……………………………え?は?………青道!?なんで!?」

 

「え、えと………その……栄純!栄純も入るし………」

 

………………なにィ!?メールでこの2年間ずっと思わせぶり風に口説いてたハズなのにィ!?

 

や、やはり原作主人公には勝てないのか!?

 

「そ、それに………維くんのこと近くで見てたいし……………」

 

!!!!!!!

 

げ、幻聴じゃないよな!!

 

これ脈アリじゃね!?行ける?行っちゃう!?

 

い、いや、待て待て!勘違いと言うのはよくある事だ!前世でもそれで恥ずかしいおもいしただろう!高瀬維!!!

 

こ、ここは一度冷静にならなくては…………

 

 

 

 

 

 

 

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「そ、それに………維くんのこと近くで見てたいし……………」

 

い………言っちゃった〜〜〜ッッ

 

どうしよ!多分バレちゃったよね!?

 

いや待て私!

 

今まで小さい時からの手紙やメールにはそれらしい事沢山書いてた!

 

あんなこと書いてて私のこと好きじゃないハズがない!←錯乱

 

もし違ってもあんなこと(思わせぶり風な口説き文句)書いて私を口説き落としたんだから責任取ってもらわなきゃ!!

 

行っちゃえ!私!

 

「あ、あのね───────」

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

どうしよ、今の言葉だけなら俺の事好きなように聞こえるけど惑わされちゃダメだぞ高瀬維!!

 

最初に主人公の名前出てただろう!!!

 

勘違いしてただけと言うのが1番最悪だ!

 

友達が良かったのにと言われこれまでの関係が崩れかねない!

 

ぬググググ!!

 

一也ァ!!!教えてくれェ!!ゼロは俺に何も言ってはくれない………

 

 

 

 

 

 

 

……………よし、ネタを挟めたおかげで少し落ち着けた

 

だが、問題はまだ何も解決していない…………どうする?

 

確かめる方h─「あ、あのね───」────!!

 

「わ、私ね、小学生の時から好きな人がいるの」

 

…………………………………………………←脳死寸前

 

「初恋の人………」

 

……………………………………………←心臓停止寸前

 

「えっと………す──「ちょっと待った!」───!!」

 

「ゴメン、俺から言いたい。じゃなきゃちょっと俺が納得できないし」←錯乱状態

 

「初めて会った時から一目惚れでした。これから一生隣にいてください!!」←まだ錯乱してる

 

「は、はい。これからは一緒に………ね?」

 

「…………………………これ俺死ねるわ」

 

俺の脳は若菜の魅力にとっくにやられ最後の「ね?」がトドメとなって脳が停止し、気絶してしまった

 

「………え?ちょ!ゆ、維くん!?」

 

俺が目覚めたあと、若菜から「私達もう恋人なんだよね」って一言でまた意識飛びました……………マル

 

 

 

 

 

 

 

 




この話であったこと

①:秋の大会が終わって新3年生とオリ主は県外遠征へ

②:県外遠征中に原作2話の主人公VS東さんの勝負があったが主人公以外は原作通り

③:8日間に渡る冬合宿が終わって正月休みになり長野の祖父母宅に帰省した

④:挨拶回りで若菜の家に行き怒涛の謎展開で恋人になった

────────────以上 デデデンデン(エヴァ風)



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16話

ここまでは原作前という事で試合描写を端折りまくって進めてきましたが今回も作者の率直なダイヤのAを見て思ったことを主人公に爆弾発言的に言わせてますがご容赦ください




俺に恋人ができた正月休みから2ヶ月────────

 

冬の対外試合禁止期間で我が青道高校投手陣はそれぞれ個人で課題を抱えて練習に臨んだ

 

その中でも全員が重視したのはコントロール

 

丹波くん(この冬の間に仲良くなって呼び名を変えた)は回を重ねて疲れたあとのコントロール

 

右のサイドスローでコントロールとスライダーを武器に秋から実績を残しつつある川上憲史────通称ノリはシンカーの制球難の解消を

 

そしてエースナンバーを背負う俺はスライダー、フォーシーム、チェンジアップ、ツーシームは自信を持ってコントロールできるがそれ以外の球のコントロールが甘く強打者になればなるほど投げられる球が限られてくるためそれの解消

 

と、一軍投手それぞれ個人のコントロール練習の為俺が監督に直談判し前世で有名だった某野球漫画(アニメ)のアメリカ編に登場したストライクゾーンと同じ広さの鉄枠が付いた的の台を用意してもらい

 

丹波くんは走りながら握力の握るやつをすることで試合の終盤に近い状況を作った上で的に向かっての投げ込み

 

ノリはひたすら的の右下を狙ってシンカーの投げ込みと主軸選手達との対戦でシンカーを決め球に勝負の繰り返し

 

俺は的の四隅に変化球をひたすら投げ込みと青道の主軸相手に週一で解放する日はあるがスライダー、チェンジアップ、ツーシームを封印しての対戦を繰り返した

 

結果副産物として我が青道打線は哲くん(これも冬に家に呼ばれるほどには仲良くなった)が覚醒するなどさらなる厚みが生まれ歴代最強と誇れるであろう攻撃力を得た

 

そして青道高校は選手達は初めての、監督は就任1年目以来の甲子園へと足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

 

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春の甲子園

 

通称センバツ

 

各都道府県大会地方大会の成績から選抜された32校で戦うトーナメントである──────

 

その場所に立つことを許されるのはほんのひと握りの勝者のみ────

 

すべてのチームが憧れ、夢見る聖地

 

甲子園─────────

 

そんな場所に昨年秋東京都大会を制した我が青道高校は6年ぶりに立っていた─────────────

 

 

 

 

 

青道312 011 08
仙台郁栄200 1014

 

 

 

 

『青道高校、選手の交代をお知らせします。8番ピッチャー丹波くんに代わりまして高瀬くん。8番ピッチャー高瀬くん』

 

「おおお!きたぁ!」

 

「コイツやコイツ!コイツを見に来たんや!」

 

 

 

 

(ふぅ、やっぱココは違うなぁ…………やっと戻ってきた。ソ〇モンよ!私は帰ってきた!ってか?………こんなこと考えれるって………我ながら余裕あるな〜)

 

(ん?初めての甲子園のマウンドでノーアウト満塁だというのにコイツは…………)フッ

 

春の甲子園初戦、打線が爆発した青道は7回で8得点し、その強力打線を全国に知らしめた

 

一方で先発した3年生丹波は強豪仙台郁栄のこちらも強力打線を前に連打を浴び、失点はしたものの大崩れすることなく7回を迎えるが上位から始まったこの回、先頭打者大井にヒットを打たれ2番に連打を浴び3番鷹村に四球を与え7回裏ノーアウト満塁のピンチを迎える

 

そして4番が打席に入るこの場面で青道はエース高瀬維を甲子園デビューさせた

 

(今世での甲子園1球目はこの球しかない。ど真ん中で直球勝負!!)

 

高瀬は前世から磨き上げた独自のフォームを取り、キャッチャー滝川が構えるど真ん中のミットへ全力のフォーシームを叩き込む

 

ドォン!!!

 

『ストライィ!!!』

 

この1球は球場全体をどよめかせ、その球をスピードガンは151㌔と計測した

 

「おおお!150の大台きたぁ!」

 

「1年で全国最強投手だった菅原と互角に投げあった怪物!」

 

「仙台郁栄の左のスラッガー馬場が振ることすらできないこのストレート!!」

 

「昨年の夏では準決勝で稲実相手にノーヒットノーランでありながら味方のエラーによって甲子園に出られなかった規格外!!」

 

(……………的なことを外野が騒いでんだろぉなぁ〜。ダイヤのAだし)

 

高瀬は滝川のサインに頷き、2球目のチェンジアップをインコース低めに投げ込んでいく

 

この緩急に馬場は耐えることができず、空振りしてしまう

 

(はい、追い込んだ。ワンナウト確定♪)

 

ホームラン数が高校通算50本を越える左のスラッガー馬場であっても相手打者が左である限りこの自信は揺るがない

 

左のクリーンナップを追い込んだ場合の球は事前に決めてある

 

前世から並み居る強打者達を空振りさせてきた究極のウイニングショット

 

伝家の宝刀ジョーカースライダー

 

高瀬維の持ち球であるツーシームと同じ箇所だが指の隙間をなくし手を90度傾け、切るようにリリースされたボールは真ん中の甘い箇所から鋭く急激に変化し、ボールゾーンに構えられた滝川のミットへと収まった。バットを躱して

 

スパァン!!!

 

ワァァァアア!!!!

 

4番の馬場を3球で空振り三振に切ってとり、そのまま高瀬に呑まれた仙台郁栄打線はその後8人打席立ち、その全員が三振に終わった

 

 

 

 

 

青道高校 校歌

 

希望に燃える 若草の

清き心に風そよぐ

友と歩みし この旅路

迷わず行けよ

ああ青道 ああ我が道

 

都の大地は晴れ渡り

光豊かに 花が咲く

友と歩みし この旅路

行けばわかるさ

ああ青道 ああ我が道

 

 

青道高校初戦突破───────

 

名門復活を掲げ、挑む甲子園

 

この一勝から青道高校野球部の快進撃が始まる

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神宮大会で優勝したことで全国大会2連覇がかかっている大会ですが、どこか気になるチームはいますか?』

 

「いえ、現状僕が怖い打線はウチだけです。チームで言えば成宮鳴と原田雅功さんがいる稲城実業と天久光聖のいる市大三高、轟雷市(・・・)が入ってくる薬師と本郷正宗(・・・・)が入ってくる巨摩大藤巻、あとは茂野吾郎(・・・・)や佐藤寿也、眉村健がレギュラーの海堂くらいですかね」

 

『あ、あの………ほとんどのチームがこのセンバツに出場していないチームですが…………』

 

「本番は夏の都大会と甲子園ですから。メディアを気にせずに言えば皆さん努力してて凄いんでしょうけどウチの打線は今年プロに行った菅原くんでも止められないし僕はそれでも打ち崩せない。この春は僕らの物だってことを証明しますよ」

 

(まぁこうして煽っとけば俺は批判食らうだろうけどウチが優勝できるのはわかってる事だし、実際やって見せればマスゴミどもも何も言えなくなるだろうさ)

 

その後この試合後のインタビューは全国放送でも取り上げられSNSでは大炎上を記録するがこのインタビューを知った青道高校野球部の新3年生達が奮起するキッカケとなり青道高校はその年チームで計15本(内訳:結城4本、滝川4本、高瀬3本、増子2本、伊佐敷1本、御幸1本)のホームランを放ち、チームの総得点は44点とどちらも甲子園の歴史に残る成績を誇り、投手陣も背番号10の3年生丹波が3試合に先発、計20イニング、失点6と強力打線がウリの対戦相手に自分がエースだと言わんばかりの圧巻の投球、そして2試合にリリーフとして登板、1試合に先発し、計7イニングに登板した背番号11の川上はリリーフした2試合共に三者凡退と安定感を示し、先発した1試合でも5イニングを投げ四死球0、失点0と抜群のコントロールを披露した

 

そして初戦の試合後インタビューにて爆弾発言をかましたエース高瀬維は5試合全てに登板、リリーフした試合は9イニング27人全て三振に切ってとり、先発した決勝戦にて記録はエラーとなったピッチャー強襲があったもののランナーを1人しか許さず、18奪三振でノーヒットノーランをやってのけ青道高校は春の甲子園で優勝するのだった

 

 

 

 

 




現時点で主人公は2年の春の本郷正宗より上です。

現状僕が考えてるダイヤのAは御幸世代が1番えげつないの揃ってるので、それらが本格的に活躍しそうである夏の大会が本当に厳しい戦いになると思ってます!

こっからさらに原作崩壊していきますが原作が始まるイコール情報量が増えてより細かい描写が書けると思います(他力本願)



試合後インタビューを見た人達の反応

「ほう?我が海堂の現レギュラー選手達が眼中に無いとは………その大口をどこまで叩いて居られるかな?」

「あぁ!?なんでまだ入学もしてねぇ雷市のことがバレてんだ?おいおい、勘弁してくれよ。全くよぉ!」

「ふむ………本郷正宗は高瀬維が見出すほどの才能がある…………か。ならばその本郷正宗の為なら私はいくらでも鬼になるとしよう」

「ねぇ!雅さん!やっぱアイツわかってるよ!アイツ倒せるのは現状俺だけだってさ!」
「いや、他にもいっぱい選手の名前出してたろ」
「いーや!だって他の奴らベンチ入りメンバーに居ねぇヤツらじゃんか!」
「まぁひとつ言えることは今年の夏はいつも以上に激戦だな」
あっさりと甲子園終わってしまいましたが次から原作ですので話は進まなくなります!

その分濃い内容にしていきますのでここまでの駄文を許してくれる方のみお楽しみください


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17話

今回より原作です




 

はようございます!

 

はようございます!

 

「はようございます!」

 

はようございます!

 

早朝、青道高校野球部の専用グラウンドではグラウンドに入ってきた監督の片岡に選手達が次々と挨拶をする

 

そして新入生が2列に整列しその前に片岡が向かい合い、片岡の後ろに上級生達が集まっていた

 

「これで入部希望者は全員か?」

 

はい!

 

「まずは順番に自己紹介をしてもらおうか………」

 

はい!

 

「南中出身、竹本篤。よろしくお願いします!」

 

「次!」

 

「宮川シニア出身、大嶋広。希望ポジションはショートです!守備には自信があります!!頑張りますのでよろしくお願いします!」

 

「次!」

 

「はい!赤城中出身、沢村栄純!ここには維先輩からエースを奪う為に来ました!よろしくお願いします!!」

 

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここには維先輩からエースを奪う為に来ました!よろしくお願いします!!」

 

流石原作主人公、言うことが他とは違うなぁ

 

ん?なぜ原作では寝坊した主人公が並んで挨拶してるかって?

 

そりゃあもちろん俺が前日に透くん(レギュラー陣とはみんな仲良くなって下呼び)と洋一に監督からカミナリが落ちないように釘を刺しておいたからだ

 

「よし!1年生は全員Bグラウンドに集まって体力測定。2、3年生はAグラウンドで全体練習!高瀬、丹波、川上は全員投げてもらうぞ!」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

こうして春と秋に訪れる新生野球部の半年が始まった

 

 

 

 

 

 

 

「マネージャー希望の蒼月若菜です!進学の為に長野から来ました!1年の沢村栄純とは同じ中学で一緒に野球部に入って居たので近くで野球が見たくてマネージャー希望しました!よろしくお願いします!!」

 

………………………彼女がマネジとして入部して絶賛幸せです、マル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⚾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春季東京都大会準々決勝

青道-市大三高

 

(よし!カウントは2-1…………外へ2球続け打者の打ち気は逸らした…………そこへ内角に高速スライダーだ!!)

 

キャッチャーからのサインに頷きマウンドに立つ市大三高エース真中がセットポジションから投球動作に入る

 

(お前の最高のボールでねじ伏せろ!!)

 

真中の投じたボールは真ん中の甘いコースから急激に変化し内角の厳しいコースに変化する

 

(よし!注文通り…………)

 

キィィン!!!

 

キャッチャーの要求通り厳しいコースに投げ込むも6番御幸に難なく弾き返されてしまう

 

「うおお〜!いったぁ〜!」

 

「初回…………いきなりの満塁ホームラン!!」

 

「す、すげぇ!!内角のスライダーをあそこまで持ってくか!?」

 

「こいつがあの御幸一也か!!」

 

「アイツまだ2年だろ?つーか……あのクリスや高瀬をベンチに温存してなお御幸(コイツ)が6番打ってる打線が怖えーよ!!」

 

う、うそだろ…………

 

グランドスラムを放った御幸をベンチ入りしているメンバーたちが歓迎する

 

「てめぇヤマ張って振り抜きやがったな……?」ヒャハハ

 

「ウイニングショット打たれて……真中さん青ざめてやがるぞ」ヒャハハ

 

「マグレだろ、次はそう上手くはいかんさ」

 

「るせっ。マグレでホームランが打てるかよ!イヤミなヤローめ」

 

その後も連打やバントで市大三高を攻め立てる

 

『あぁーっと!!どうした市大真中投手。ホームランのショックか青道打線を止めることができません!この回一挙13失点!!センバツベスト8の市大三高がセンバツ優勝の青道高校に圧倒されています!!』

 

(原作よりやべぇよウチの打線。クリーンナップのクリスくんと俺抜きの原作メンバーでもこの得点力だもんなぁ。マジで敵無しじゃね?コレ)

 

試合会場では青道が市大三高を圧倒しているのだった

 

 

 

 

 

一方で野球部が試合会場に居る青道グラウンドでは高瀬維を越えるべく試合観戦に参加しなかった沢村栄純が高瀬維の希望で導入されたストライクゾーン枠的を使い、1人で投げ込みをしていた

 

「ふっふっふ!出られない試合にかまけているよりか、コレで打倒維先輩に1歩近づくハズだ!ワハハハハ!!」

 

「ねぇ、それ楽しい?相手もいないのにそんな楽しそうにやるなんて………キミ、変わってるね」

 

 

「キャッチボールの相手くらいならしてあげてもいいけど?」

 

「な、なんでここに居る!」

 

「トイレ行ってたらバス出ちゃってて…………追いかけるのもめんどくさいし……ま、ぶっちゃけ………自分が出てない試合なんて興味無いけど…………」

 

「え?」

 

「あれ?ここに残ってるってことは………君もそういうタイプ………?」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

場所は再び戻って試合会場

 

試合はツーアウトランナー1塁市大三高の攻撃

 

マウンドには背番号10の3年生丹波

 

「ランナー走ったァ!!」

 

「ボールセカンッ!!」

 

セットポジションからの1球に市大三高をランナーがスタートを切り2塁を狙う

 

だがキャッチャーの御幸のスローイングによりランナーがスライディングし始めるより早くボールはベースカバーに入ったショート倉持のグラブの中

 

「はい!おつかれさん♡」

 

ショートの倉持が果敢に走ったランナーに労いの言葉を掛けつつタッチする

 

「うおっ……!」

 

「な、なんつー肩してんだあのキャッチャー!」

 

「盗塁したランナーにスライディングすらさせなかったぞ!!」

 

青道

 

青道

 

青道

 

「スゴーイ!ホームベースからまるで白い矢が放たれるみたいに………」

 

御幸のスローイングを初めて見たマネージャー達も大興奮だ

 

「御幸君なら当然よね。寧ろ果敢に走ったランナーを褒めてあげたいわ!」

 

「くっ、ありえねぇ……完璧なスタートだったのに………」

 

御幸の矢のような送球に三校ベンチも動揺を隠せない

 

「………やはり立ち塞がるか…………天才(ジーニアス)御幸一也………」

 

(高校野球において一人前の捕手を育てるには2年はかかるもの………しかし高校生離れしたあの野球センスはまさに天性………何故ウチに来なかったぁ〜!御幸〜!)

 

市大三高監督田原は御幸が青道に居ることを悔しがりベンチの壁に頭を打ち付けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び青道グラウンド

 

「ワハハハハ!お前!この練習の大切さをわかってないな!?」

 

「大切さ?」

 

「いいか!コレは日本一のピッチャーが考案して実際にやっていた練習なんだぞ!」

 

「………日本一のピッチャー…………」

 

「お前がどこのポジションかは知らないがピッチャーならやるべきだ!」

 

青道グラウンドではこの後、沢村栄純は自身の成長を実感させられ尊敬した先輩の素晴らしさを広めようと北海道から来た1年生降谷暁に刷り込みに近い布教をするのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局試合には22-0で圧勝し青道高校の黄金時代到来を世に知らしめた

 

 

 

 




正直原作で16点取ってる時点で化け物打線ですがそこへさらに高瀬維を相手に打撃練習をしているので22点取れるでしょと思い採用しました!

丹波さんも急成長を遂げているので完封リレーで圧勝です


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18話

今回は1年生対上級生の回です




日曜日、この日監督の片岡は1年生対二軍の試合を計画し選手達に告げていた

 

「相変わらず日曜日になるとギャラリーがスゲェなOBやら記者やらスカウトやらいろんな人が練習見に来てるぜ」

 

「やべぇ!緊張してきた!」

 

「俺だって昨日寝れなかったよまさか入部して1ヶ月足らずの俺達が………上級生相手に試合するなんてな〜」

 

「よう!1年生諸君!」

 

「!!?」

 

「た、高瀬先輩!!」

 

「今日オフで暇だからコッチの監督やるね〜(主人公の実力も気になるし………)」

 

「た、高瀬先輩が指揮を!?」

 

「あぁ、監督って言っても選手交代は片岡監督次第だし、俺がする事と言えば多少のアドバイスくらいだけど」

 

「ア、アドバイス…………ですか?」

 

「まず最初に言っといてあげる。ホントは試合の中で自分で気づくべきなんだろうけどね。この試合君たちは勝てないどころかボロ負けする」

 

「「「「!!?」」」」

 

「ただし、そういう状況の中で各自が自分の出来ることをどれだけ出来るかを監督は見てる。俺がエース外されかねないリスクを背負いながらもこうして君らに話してる理由は今年の3年生が抜けたあとチームは格段に弱くなる。それを憂いているからこそこうしてリスクを背負った。そのことを自覚して死ぬ気でプレーしてくれ」

 

「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」

 

「栄純くん。君には期待してるから俺と争う宣言をした投手のピッチングを楽しみに見させてもらうよ。あと小湊くんも期待してるから」

 

「!!……………うす!!」

 

「は、はい!!(急に名指し!?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合が始まり、1回表の1年生チームの攻撃

 

二軍の先発は2年の川島だ

 

川島は重いフォーシームとツーシーム、緩急のカーブとカウントの取れるシュートを武器に1年生達をいいようにあしらい三者凡退の好スタートを切る

 

1年生チームの先発はシニアで全国ベスト4の実績を持つ東条がマウンドに上がった

 

しかし所詮中学生と変わらない東条の球は二軍であっても2、3年生達にとって格好の的でしか無く初回から打ち込まれ初回だけで16失点してしまう

 

そして2回の攻撃も1人としてランナーを出すことができず川島の力投の前に抑えられてしまう

 

2回の裏の守備では投手を初め内外野全員を入れ替えるも11点を取られ抑えられる気配がしない

 

だが、11点目が入ったところで片岡が投手交代を決意、先日ブルペンで1年生捕手が取れない程の豪速球を投じた降谷暁がマウンドに上がった

 

降谷は前日、二軍選手達に対して御幸に受けてもらう為1人も打たせないと宣言したのだ

 

降谷の投球練習が終わり、打者が入った瞬間スイッチが入ったように降谷の動きが良くなる

 

降谷の投じた1球はキャッチャーのミットに納まらず、片岡の付けていた面を吹き飛ばした

 

「…………………合格だ、降谷。明日から二軍の練習に参加しろ」

 

当然二軍の選手達は納得がいかず反論するが1年生に降谷の球を取れる捕手がいない事と、いい練習相手になることを理由に上級生達を黙らせた

 

「次の投手!マウンドに上がれ!」

 

「監督!!」

 

「!!……………なんだ?高瀬」

 

「1つお願いがあります」

 

「………言ってみろ」

 

「沢村栄純に登板させて俺に受けさせてください」

 

「!!?」

 

「…………一応理由を聞いてやる。言ってみろ。俺を納得させられるだけの理由があるんだろうな?」

 

「彼は俺が中学の時から育てた投手です。高校入ってから見れてなかった成長を上級生達相手で見てみたいからです。はっきりいって私利私欲ですが青道のエース(・・・・・・)がやるだけの価値があると思ってます。それに多分コイツの球取れるキャッチャー1年生に居ないですし」

 

「………ふふふ………ふはははは!!お前のエースナンバーをコイツに掛けると言うのか!?いいだろう。やってみろ」

 

「はい!」

 

高瀬は監督を説得すると笑を抱えて笑っている御幸からミットを借りて防具を付け始める

 

だが、左投げで通っている高瀬が御幸からミットを借りたのを周囲の人間は不思議に思っていた

 

実は高瀬は前世で怪我をした後、当時存在したある野球漫画をみて右投げで捕手を目指した時期があったのだ

 

故に丹波や川上の自主練に付き合う過程で今世でも右投げ左捕りを練習していたのだ

 

コレは捕手の楽しさに目覚めかけていたのも大きかった

 

そして1年生チームながら2年生の高瀬がまさかの捕手として出場した

 

一方の沢村は尊敬する高瀬からの期待値の高さと初めて受けてもらった捕手でもある高瀬を相手に成長を見せられることが何より嬉しかったようで高瀬に恥をかかせないようにしっかりと集中できていた

 

実はこの日まで沢村は高瀬の口添え等により投手が全員やった監督の前での投球練習をさせずにタイヤを使って走らされていた

 

全てはこの日に試合でいきなりとびきりのデビューをさせたがった高瀬の策略である

 

沢村が7球の投球練習を終えたところでノーアウトランナーなし、ワンボールから試合は再開した

 

沢村-高瀬の変則バッテリーが選んだ初球は右打者のアウトローに突き刺さるフォーシームだった

 

完璧に制球され、尚且つ沢村のギリギリまで腕が見えない独特のフォームから繰り出された鋭い1球は片岡ですらド肝を抜かれる程のアウトローいっぱいのストライクだった

 

そして予想外の1球に萎縮したバッターをさらにインコース高めのカットボールで威圧するように追い込み、外のチェンジアップで三振を奪った

 

まさか1年生にこれほどの投球ができるやつが居ないと思っていた上級生達は動揺を隠せず、そこを突くようにフォーシームとチェンジアップの緩急で三者三振に抑えられてしまった

 

それで勢いに乗った新入生チームは沢村が投手は違うものの原作通り振り逃げで出塁し、代打で出た小湊がライトへの長打を放って2人で1点を奪った

 

高瀬が打席に立つとさすがに双方の為にならないということで変則的なDH制が取られた為後続が続けずいい流れは一旦止まってしまい、上級生達が勢い付く

 

だが、それを予期していたかのように次の守備にてムービングボールとフォーシームを混ぜた配球をすることでゴロの山を築き、その後4イニングと上級生チームに出塁を許さない圧巻のピッチング

 

コレには御幸も驚いておりいつの間にか見に来ていた一軍選手たちも驚愕していた

 

その後も流石にヒットは打たれたものの7イニング分1人で完封して見せた事で沢村は降谷を越え、早くも一軍に昇格するのだった

 

 

 




色々とやらかした自覚はあります

が、自分の見解としましては130出てコントロールを磨き、ムービングボールを残したまま中学の3年間を前世知識から来る練習メニューをこなした沢村はこのくらいできるだろうと思いました

能力で言えば1年の秋位はあると思ってください

高瀬維(変化球をプロスピ風に細かくしました)
・投手基本ステータス
球速:151㌔
コントロール:S(96)
スタミナ:B(79)
・変化球
(量・威・制)
ツーシーム(1・B・S)
スライダー(7・S・S)
カットボール(7・A・B)
スローカーブ(5・C・A)
チェンジアップ(5・A・S)
フォーク(4・D・E)
・特殊能力
牽制◎
鉄腕
クイック◎
リリース
ノビ◎
キレ◎
対ピンチ○
対左打者◎
緩急○
低め○
尻上がり
ドクターK
勝ち運
対強打者○
クロスファイヤー
投打躍動
制圧
復活
先制ストライク
根性◎
エースの風格
・野手基本ステータス
弾道:3
ミート:S(91)
パワー:A(81)
走力:S(94)
肩力:S(100)
守備力:S(98)
捕球:S(96)
・特殊能力
鉄人
アベレージヒッター
パワーヒッター
走塁◎
盗塁◎
外野手〇
レーザービーム

沢村栄純(入学時)
・投手基本ステータス
球速:134㌔
コントロール:B(72)
スタミナ:E(48)
・変化球
(量・威・制)
フォーシーム(B・B)
ツーシーム(1・C・C)
ムービングファスト(3・C・B)
スライダー(4・C・E)
カットボール(3・B・D)
チェンジアップ(2・F・E)
スプリット(3・E・F)
・特殊能力
ノビ◎
ディレイドアーム
アウトロー球威
カリスマ
闘魂
不屈の魂
クロスファイア
内角〇
緩急〇
テンポ〇(緑特殊)
投手調子安定(緑特殊)

降谷暁
・投手基本ステータス
球速:145㌔
コントロール:F(34)
スタミナ:F(29)
・変化球
(量・威・制)
ストレート(S・F)
・特殊能力
真・怪童
怪物球威
暴れ球
アームブレイカー
カリスマ
ポーカーフェイス
威圧感
全開
速球対抗心
乱調
四球
スロースターター

川上憲史
・投手基本ステータス
球速:138㌔
コントロール:S(91)
スタミナ:C(63)
・変化球
(量・威・制)
ストレート(C・A)
ツーシーム(1・C・A)←1年冬に習得
スライダー(7・B・S)
シンカー(5・C・B)
チェンジアップ(4・D・B)←シンカーを元に習得
・特殊能力
先手必奪
精密機械
緩急〇
リリース
緊急登板

丹波光一郎
・投手基本ステータス
球速:144㌔
コントロール:A(83)
スタミナ:C(66)
・変化球
(量・威・制)
ストレート(B・B)
ツーシーム(1・C・B)←冬に習得した
カーブ(7・S・S)
パワーカーブ(4・C・B)←冬に改造した
ドロップカーブ(4・C・A)←冬に改造した
フォーク(4・C・C)
・特殊能力
真・変幻自在
闘魂
完全燃焼
手応え
キレ〇
低め


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19話

沢村が一軍入りを決めた次の日、俺達青道は圧勝で関東大会出場を決め、そのままの勢いで日を跨いだ試合で春季東京都大会を制した

 

そして関東大会を控えた大会5日前、原作通り沢村とクリスさんがバッテリーを組んでフィールディングを中心とした練習をしていた

 

俺はピッチングについては教えたがフィールディングについてはボークと牽制の基本のみ

 

投手の立ち回りはどうしても1人ではできないため教えたくても教えられなかったのだ

 

だが、ここでは人も沢山いて練習に関して言えば誰もが付き合ってくれる

 

環境としては最高だ

 

 

 

 

───────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「新一年生を合わせ総勢93名……………なんとも盛観な練習風景ですな。どうですか?片岡監督、今年こそは夏の甲子園に手が届きそうですか?」

 

「今年は春夏連覇が狙える大切な年ですからねぇ」

 

「………心配無用。選手達個々の能力は去年の都大会ベスト4のチームを上回りますから」

 

ケースバッティングでバッターが打ったセンター前の当たりを小湊亮介がダイビングキャッチする

 

「ヘイッ」

 

飛び込む小湊のフォローに倉持が寄りボールを要求する

 

飛び込んで体勢が崩れている小湊は左手首だけで倉持にボールをグラブトスすると素手で受け取った倉持がファーストに送球する

 

「ヒャッハァ!!」

 

倉持の送球は正確でバッターランナーはアウトになる

 

「「おお〜!!」」

 

「鉄壁の守備を誇る二遊間、1番ショート倉持(2年)、2番セカンド小湊(3年)」

 

まだ甘いな

 

投手が投じた厳しいコースの当たりを当然のように柵越を放つ

 

「4番でこそ無くなりましたが高校通算ホームラン数はチームトップ、3番キャッチャー滝川(3年)。勝負カンが冴えあの滝川から4番を奪った不動の4番、ファースト、キャプテン結城(3年)」

 

結城は少量の砂を摘むと胸の前で離し、風の流れを読んでいた

 

「ふむ…………風は東から西か…………」

 

(何故風を…………?)

 

ぶん

 

と、擬音が目で見えそうな程の力強いスイングをする

 

「当たればボールは遥か彼方!!レギュラーに復帰した超重量級サード5番増子(3年)」

 

うおおお!!死ねオラァ!!

 

センターから投じられたバックホームはノーバウンドで正確に捕手がタッチしやすいところに投げ込まれた

 

「強肩強打吼える6番センター伊佐敷(3年)。そしてレギュラーでこそありませんが圧倒的得点圏打率と滝川に勝るとも劣らぬ扇の要、御幸一也(2年)。最後に不動の絶対的エース、高瀬維。これらの選手は全国にも誇れるメンツだと思います」

 

「はっはっはっ!では今年こそはと期待して待っておりますぞ!」

 

「では失礼」

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関東大会1回戦

青道(東京)─横浜学園(神奈川)

 

(青道)(002 011 1)(5)
(横浜学園)(000 200 4)(6)

 

「おわっ!青道負けてんじゃん」

 

「今日クリスと高瀬試合に出てねーんだと」

 

「なにそれ舐めプ?このまま負けたらぜってぇ批判やべえって」

 

「けど、そもそも今日の相手って打撃がウリの横学だろ?丹波甲子園行ってから全然隙がねぇからなァ」

 

「横学打線を褒めるべきか?こりゃ」

 

『8回の表──青道高校、投手の交代をお知らせします』

 

「お?投手交代?高瀬来るか?」

 

『8番、丹波くんに代わりピッチャー沢村くん。ピッチャー沢村くん』

 

「沢村栄純!?お、おい!コイツ1年だぞ!?」

 

「まじかよ!こんな場面で高瀬じゃなくて1年!?」

 

「青道試合諦めたのか?」

 

1年生のまさかの登板に球場全体がざわつくが沢村は何処吹く風で意に返さず御幸のミット目掛けてフォーシームを投げ込んでいく

 

投球練習が終わりバッターがボックスに入る時バッターとキャッチャーの御幸が何か話していたようだが沢村には聞こえておらず、いい感じに集中できていた

 

そして

 

(なんだ?コイツ!う、腕が全然見えねぇ……………おわっ!?)

 

いつものダイナミックに足を上げる投球フォームから投じられた1球はインコース胸元に突き刺さる綺麗なフォーシームだった

 

そのバッターはカットボールで見逃し三振を奪うと勢いに乗った沢村はムービングでファウルを打たしてカウントを稼ぎ、チェンジアップもしくはフォーシームで三振の山を築き、2イニング投げて6三振を記録した

 

「よくやった!1年にここまでやられたんだ、この試合ひっくり返すぞ!」

 

「「「「「おお!!」」」」」

 

そしてその宣言通り4番の結城がホームランで追い付き、延長に入った試合は最後に高瀬がパーフェクトリリーフしたことで青道が逆転勝利した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「何やってる沢村ァ!!ちゃんとベースカバーに入らねェか!!」

 

関東大会で好リリーフを見せた栄純だが今までの野球環境上どうしても連携プレーに慣れておらず、仕組みを1から覚えさせられている

 

だが、原作と違ってクリス先輩の怪我が深刻では無かったこともあり、夏大あたりの対応で降谷共々キチッと扱かれている

 

そして、関東大会を2回戦から丹波くん・栄純・ノリの継投で危なげなく勝ち上がった青道は決勝にて海堂と対戦することになった

 

先攻 海堂

 

1番 セカンド 朝村

2番 センター 金井

3番 サード 永瀬

4番 ファースト 千石

5番 レフト 大田

6番 キャッチャー 杉井

7番 ショート 西

8番 ライト 佐久間

9番 ピッチャー 榎本

 

 

後攻 青道

 

1番 ショート 倉持

2番 セカンド 小湊

3番 ピッチャー 高瀬

4番 レフト 結城

5番 キャッチャー 滝川

6番 センター 伊佐敷

7番 サード 増子

8番 ファースト 御幸

9番 ライト 白州

 

 

 

今日の相手はMAJORの主人公の一個上の選手達だ

 

この中には茂野吾郎からホームランを打った千石真人が居る

 

けどマニュアル野球なんてこっちからしてみればホームランバッターを潰してくれるから楽でいい

 

それを証明する良い機会だ

 

投球練習が終わり海堂の1番打者が左打席に入る

 

クリス先輩のサインはアウトローのフォーシーム

 

俺はサインに頷き、ノーワインドアップで要求通りの場所へ150㌔のフォーシームを投げ込む

 

相手バッターは様子見の指示が出ているようで踏み込みすら甘く、打つ気がないのがバレバレだ

 

俺は挑発するようにクリス先輩のサインに2度首を振ってインコースにチェンジアップを投げ込み、見逃しで追い込む

 

3球目はアウトローに決め球のスライダーを投げ込む

 

相手打者は俺のスタミナ切れ狙いのようでカットしようとするがカスリもせず空振り三振

 

続く2番バッターはバントしようとするがインハイのフォーシームを上手く転がせず最後はチェンジアップで空振り三振

 

そして3番バッターも1度もバットに掠らせずスライダー3球で空振り三振を奪った

 

 

 

 

 

 

 

 

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「むぅ、ウチの選手達がバットに当てる事すらできんとは…………スライダーは捨てさせるか?」

 

海堂の現場監督である伊沢は長年このチームの柱となっているマニュアル野球を徹底しているがそもそもバットに当てることができていない為頭を悩ませる

 

「だが、今日の先発は榎本だ。簡単には打たれんだろう」

 

伊沢は榎本が先発という事で守備については心配していないようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

榎本の投球練習が終わり、青道の1番倉持が左打席に入る

 

(この人は確か変化球が多彩で浮き上がるようなストレートを持ってるんだったな………ナックルとか打てる気しねぇし見逃せば握力削れるだろ)

 

倉持は3年生達が撮ってきたデータからナックルを捨てる決断をし、ツーストライクになるまではジャイロボール1本に絞ることにした

 

そしてそのジャイロボールは榎本が最も自信のあるボールの為初級からアウトローに投げ込んだ

 

(来た!ストレート!この軌道なら当たる!)

 

だが、高瀬を相手に打席を重ねた倉持はジャイロボールのノビを読み切りバットを上手く合わせて初球を三遊間へ運んだ

 

(重!アレで詰まってんのかよ!)

 

倉持の当たりは三遊間への小フライとなりショートの手前で落ちる

 

ショートが捕球し素早く送球するが倉持は既にファーストベースを駆け抜けていた

 

「おおお!倉持出た!」

 

「小湊、続けよー!」

 

2番小湊がこれまた左打席に入る

 

(倉持のやつ……1球しか投げさせてないじゃん。せめて俺が色んな球見とかないと………)

 

小湊はチーム1の選球眼と結城、滝川に次ぐバットコントロールでストライクゾーンの榎本の球をことごとくファールにし13球投げさせてフォアボールを選んだ

 

そしてノーアウトランナー1、2塁のチャンスに打席には高瀬が入った

 

(…………さて、何狙うかね〜?俺がアウトコースが得意って事はもうバレまくってるし外のボールデカいの飛ばしてインコース待つか………)

 

高瀬は狙い通り、アウトコースに来た球をレフトへ特大のファールを打ち、インコースの球を窮屈そうに空振りする

 

そして3球目のアウトコースのボール球の変化球をレフト線に弾き返した

 

レフトは素早く捕球するが倉持は既に3塁を蹴っており、小湊も2塁ベースを蹴って3塁に余裕で到達した

 

(ん〜高さ甘かったから思わず打っちゃったけど、コレで次の打席からインコースばっか来るでしょ)

 

先制点を取り、尚も1、3塁のチャンスで4番キャプテンの結城が打席に入る

 

(くっ、まさか榎本の球がここまで打たれるなんて…………しかも4番だ……ここは歩かせて5番で勝負だ!)

 

海堂バッテリーはリスクを避けるマニュアル通りに4番を歩かせ、5番のクリスとの勝負を選んだ

 

しかしクリスは元々、結城が覚醒したかのように打ち出す前は4番だった男だ

 

結城が高校通算54本に対し、クリスは怪我の間も代打やファーストなどで試合に出場し続け、高校通算61本打っている全国でもそうは居ないスラッガーだ

 

海堂バッテリーはナックルを決め球に選択しジャイロボールやカットボールなど、球速の速い球でカウントを稼ぐ、クリスはそれを読み切り、ジャイロボール狙いを思わせるべくカットボールにワザと詰まってファールにした

 

これを見た海堂バッテリーは三振の確信を持ってナックルを真ん中から落とす

 

(ナックルか………全国でもナックルボーラーはそう居ないだろう………だが、高瀬のスライダーより上と言うことは無い。1度変化し始めればだいたい軌道は読める!)

 

クリスの出したバットはしっかりとボールの芯を叩き、右中間を割る走者一掃の3点タイムリーツーベースとなる

 

青道打線はこれでは終わらず、6番伊佐敷がしぶとくライトへのポテンヒット、7番増子のサードを強襲するヒットで再び満塁を作り、打席には得点圏打率7割を越える全国に名が知れ渡っている名捕手の1人、御幸一也が入る

 

御幸は未だバッテリーがまだまともにヒットを打たれていない為自信があるジャイロボールを狙い、ライトスタンドへ突き刺した

 

海堂としては完全なる想定外の一巡せぬ間に1つもアウトが取れず、エースがノックアウトされた

 

その後は左打者が続くという事で左キラーと呼ばれる桜庭がマウンドにあがり、小湊に四球は出したものの高瀬を抑えて初回を乗り切った

 

2回表の海堂は4番の千石が先頭打者だが、全球スライダーで空振り三振に討ち取られてしまう

 

そして2回を全員三振で抑えると、3回も全員三振に切ってとり、4回からピッチャーは沢村に代わった

 

4回の海堂の攻撃は1番からの好打順

 

だが大量の点差により沢村はリラックスできており、出処の見えにくいフォームでタイミングを崩しつつムービングとツーシームを中心に打者3人を7球で討ち取った

 

しかし5回、4番千石に厳しく攻めたツーシームをスタンドに運ばれると、スイートポイントが広い金属バットの特性により討ち取ったハズの当たりがポテンヒットになるなど不運な当たりが続きこの回だけで4失点してしまう

 

6回からは丹波がマウンドにあがり、大きいカーブと力強いストレートでフライを打たせツーアウトを取るが再び回ってきた4番の千石にまたもやホームランを打たれてしまう

 

しかし昔と違って持ち堪えた丹波はその後のバッターをカーブで三振に抑えた

 

そんな丹波に感化された3年生達は結城とクリスに連続ホームランが生まれ、増子も両チーム1の飛距離を計測した特大ホームランで援護した

 

そして8回まで2失点に抑えた丹波に代わり、9回のマウンドには川上が上がる

 

海堂は2番から始まる好打順だが先頭打者をスライダーで空振り三振に抑える

 

しかし、クリーンナップに連打を浴び、1点を失うが丹波のように粘り強いピッチングで後続を抑え、18-6で青道高校が春の関東大会を制した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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~番外編・天久編~

 

関東大会が終わった日、この日は午後が完全なオフだった為、礼ちゃんに外出許可貰って若菜と一緒にカラオケに行く事にした

 

「────そ、だからあの場面本当はインコース狙ってて………」

 

「あのアウトコース普通はボールだと思うんだけど………」

 

若菜と今日の試合のことを話しながらカラオケ屋に入店すると若干チャラチャラした高校生くらいの男女5人組が居た

 

「ん?ねぇ君!」

 

俺はその中の一人に見覚えがあり、思わず声をかけてしまった

 

「ん?俺?」

 

「そ!君、君」

 

俺が声を掛けた金髪くんは周りを見渡して自分を指さした

 

「何か用?」

 

「君さ、市大三高の天久光聖じゃない?」

 

「そうだけど………」

 

「なんでこんなとこに居んの?練習は?」

 

「いや、てかお前誰?」

 

「俺は高瀬維、青道のエースやってる」

 

「青道?逆にそんなとこのエースがこんなとこでなにやってんの?」

 

「今日関東大会優勝したから午後はオフなんだよ。それで彼女とデートしに来た」

 

「へぇ〜」

 

「君さ、チーム逃げ出したんだろ?夢中になれなくて」

 

「!!」

 

「今から俺が保証してあげるよ。今年の夏の大会は夢中になれる相手ばっかだぜ?」

 

「その根拠は?」

 

「真中さんからホームラン打てる1年生にウチでも攻めあぐねる程の精密機械、成宮鳴率いる稲実、そして全国最強の打線と君と同じスライダーが決め球の全国最強のピッチャーが居る青道高校」

 

「………………おもしれぇ!首洗って待ってろよ……」

 

「んじゃデート中なんで。また夏大で会おうよ。天久光聖」

 

「光聖でいいよ高瀬維」

 

「じゃあ俺も維でいいよ」

 

「なら維、連絡先交換しねぇ?」

 

「いーよ、君となら有意義に話せるだろうしね」

 

「じゃあ今度こそまた夏大で会おう。光聖」

 

「あぁ、またな維」

 

こうして原作と違いチームを離れた天久光聖はスグにチームに舞い戻ることとなった

 

だがその代償に若菜に拗ねられ、寮生活の高校生にはなかなかキツいプレゼントをすることになりました、マル

 

 

 

 

 

 





海堂エース榎本がバカスカ打たれてますが、これは主人公とは言え、海堂の評価で二軍でしかもほぼセンスのみのバッティングの吾郎くんに打たれているところと2年生の成宮から甲子園含めて唯一4点取った強力青道打線に高瀬とクリス、さらに強化された哲さんなど入れたら原作の成宮なら10点取れそうな打線ですからこれくらいは取れると思ってます

普通に御幸が8番にいる打線ですから 

尚、成宮も夏までに強化するので力関係は原作と変わらないと思います(チーム力も含めて)


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