気弱な同僚の護衛役 (名無しの盾役好き)
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気弱な同僚とゲームの誘い

 皆さん初めまして名無しの盾役好きです、このお話は防振りを改めて見て見たら、炎帝ノ国にまともな盾役が居ない事に愕然とした為、色々突っ込んでみました、そして主人公の容姿設定は血界戦線のクラウスでお願い致します


ーーー同僚の後輩にゲームを誘われた

 

 

 これでもかなり不器用な性格だと思っているのだが、オロオロしていた後輩を見かね、助けてみたらそれ以降なにかと頼られる様になって、先日恩返しと言われ、とあるゲームに誘われた、それが事の顛末なのだが

 

 

「私で良いのか? ゲームなぞやった事が無い」

 

「先輩だから、誘ったんです」

 

 

 私も私だが、後輩も中々不器用だ、だがまあ、折角の恩返しの機会、失わせる訳にはいかないな

 

 

「わかった、ならばしよう、時にプレイヤーネームと戦法については聞いて良いか? お互いが被ったら大変だ」

 

「…確かに、私は名前をミィに、戦法は魔法特化にします」

 

「そうか、なら攻撃から身を守る盾となろう、どのみち器用なことは出来そうにない、あぁ、名前はシルトにしよう、ではゲームで」

 

「はい、ゲームで」

 

 

 さて、慕ってくれる後輩1人、護れずなにが先輩か、とりあえず、ゲームなぞやった事が無い身だが、彼らの様に、防御に専念するしか無いな

 

 

「ふむ、遅くては庇えない、ならばAGIに20で試すか」

 

 

 20の速度は普段より早い程度、これならば心配は要らんな、後はVITに80全て、これならば庇い易そうだな、短刀は抜かぬだろうが、最悪殴るしかないか

 

 

「しかし、初心者の服とは、本当にそのままだな、村人とそうかわらん」

 

「初心者が村人より良いの着てたら変ですよ、先輩」

 

「む、ミィ君か、すまない、待たせたか?」

 

「いえ、私も先ほど設定を終えた所です、それより先輩、補給を済ませたら早速」

 

「あぁ、だが先に防御を学んでも構わないか? どうにも盾が落ち着かなくてな」

 

「普段持ってる人が居ませんからね、わかりました、気の済むまで、付き合います」

 

「すまない、だが感謝する」

 

 

 補給、と言ってもポーションのみ、どの程度ダメージが入るかも未知数ならばなるべく敵が居て、ミィ君が暇しない程度の場所を探さなくてはな

 

 

「ふむ、ここならば遮蔽物も少なく、適度に相手が居るな」

 

「はい、では先輩」

 

「あぁ、戦闘開始だ」

 

 

 山岳地帯、点在する岩山、少なくとも奇襲は空からのみ、地面は平坦、これ程練習のしやすい所もない、早速出てきたアルマジロの様なモンスターの突進を受け、横に流す、盾で一瞬視界が悪くなり、受け流した先でアルマジロのボウリングが開始された、これはやってしまったな、敵が増えた

 

 

「む、すまない、敵は3体に増えた、上手く出来るかわからないが、1体に攻撃を集中してくれ、分散させると面倒だろう」

 

「そうですね、では、ファイアボール!」

 

「後ろのミィ君と、HPの減ったアルマジロの前からは少し外れて、こうか」

 

 

 時間差で襲うアルマジロを流し、受けて、ミィ君の邪魔にならぬ様に、ミィ君が魔法を当てやすい様に調節をしていく、3体が減っては増え、減っては増えを繰り返し、気付けば1時間、ミィ君は途中から私が渡した短刀で切りつけたりしていたが、それでもミィ君には一度もダメージを負わせていない、だがヒヤリとした場面は幾つかあった、要修行…む

 

 

「絶対防御にジャイアントキリング…か」

 

「ジャイアントキリングは私も出ました、しかし絶対防御…ですか?」

 

「あぁ、取得条件は自分で攻撃行為を行わず、1時間耐えること、なるほど、短刀をミィ君に渡して正解だったな、効果はVIT2倍だそうだ、初期値でも216、ジャイアントキリングで倍なら432、しかしAGIが40、調節が必要だな」

 

「4倍…ですか、ならば安心ですね、流石に最初のエリアにそれ以上の攻撃を行えるモンスターが居れば、ゲームバランスが可笑しくなってしまいますから」

 

「確かにそうだな、これなら私にポーションは不要だな、ミィ君に渡したいのだが」

 

「いえ、先輩が守ってくれるので、大丈夫です」

 

「む、そう言われては、自信が無いが、可能な限り守らせて貰おう」

 

 

 それからは特に変わりが無いが、AGIの倍加に伴い速さに振り回された、だが感覚は掴んだ、これならば絶対と言い切れそうだ

 

 

「先輩、かなり器用なことしますよね」

 

「む、そうか?」

 

 

 先ほどの状況ならば、目の前から来た攻撃を弾き、カバームーブで背後からミィ君を狙った攻撃を防御、更にカバームーブを行い、3体目の攻撃を防ぐ、そして4体目はミィ君の魔法が直撃して消えた、これは器用なことだろうか?

 

 

「…無自覚ですか」

 

「防御以外…考えてはいないだけなのだがな」

 

 

 なぜか、ミィ君に呆れられてしまった…なぜだ



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気弱な同僚と夫婦?扱い

 あの日から私とミィ君は会社とゲーム、双方のコミュニケーションを取り、気付けば言葉無くやり取りをしている事に、昼食の時に気付いた

 

 

「そう言えば最近、会話をしてないな」

 

「そう言えば…そうですね」

 

「「(えっ、今さら!? と言うかここ数日ずっとなんだけど、仲が良いのか悪いのかわからなかったし)」」

 

「だがまあ、会話は楽しむべきか」

 

「えぇ、そうですね」

 

 

 その後、今日のゲーム予定を話した後、なぜか同期から付き合っているのかを聞かれたのだが

 

 

「いや、付き合ってはいないが、どうしてだ?」

 

「いや、あそこまで仲がいい、と言うか会話無しで仕事のやり取りしてましたからね? 最近」

 

「そうか、だがどうしてそこまで」

 

「どうしてって、いや、もういいです、諦めました」

 

「なにか釈然としないが、すまない、これのチェックを頼む」

 

「あぁ、はいは…い」

 

 

 ミィ君が隣に来たので、左手で書類を渡して、代わりに届けに来た書類を確認、異常が無いので判子を押して返す、ミィ君は一礼して下がる、なにやらミィ君も同期に言われて慌てている様なのだが、仕事に差し支え無い様に頼みたいな、顔が少し赤く見えるのだが

 

 

「…そう言うとこなのですが」

 

「どうかしたか?」

 

「いいえ、なんでも! チェック終わりです!」

 

「? ありがとう」

 

 

 ふむ、今度ミィ君にお礼をしなくてはな、仕事の充実、趣味の発見、特技…にしては見栄を張れないが、彼女も最近、笑顔が増えた様に思う、中々話していなかった同期とも話せる様になったと聞く、1つ、肩の荷が降りたな、しかし寂しさもあるのだが、これが父離れをした娘を見る気持ちだろうか?

 

 

「違うと思いますよ…それ」

 

「ふむ、どうにも表現が難解だな、感じた事が無いのは確かなのだが」

 

 

 まあ、構わないか、モヤモヤしてもいない、こういう時は、深く考えないのが一番だ、さて、仕事が終わればゲーム、それも今日はソロプレイでスキル取得イベントをしなくてはな、主に防御系ばかりだが、どうやってクリアしたものか

 

 

「それで、一体これはどういう事だ?」

 

「そ…それが」

 

 

 なにやらミィ君はモンスターに追われたプレイヤーを見かけたので助け、見かけたので助けを繰り返したらしい、ちょうど範囲魔法を覚えたのもあり、助けることは問題なかったのだが、なぜかプレイヤーが着いてくる様になった…と

 

 

「ふむ、ならばギルドシステムとやらを待たねばならないか、ならばこうしよう、入団試験…とは行かないが」

 

 

 1つ、手合わせ願おうか

 

 

「ミィ君、君はファイアボールのみ、私はカバームーブのみ、作戦は前にやった通り、1人ずつ」

 

「わかりました」

 

「それでは、5人以上でパーティを組んでくれ、私とミィ君のパーティが相手をするので、それで見極めさせてほしい」

 

 

ーーー私が居ない間も、ミィ君を預けるに足る人物かを

 

 

「では、開始!」

 

 

 ただ全力で相手の矢を、魔法を、剣を、槍を、全ての攻撃を一撃足りともミィ君に届かせはしない、その一心で連戦を戦い抜いた、その結果…盾魔法と言うスキルを覚えた

 

 

「む、スキル…防御系だな」

 

「えっ、更にですか?」

 

「あぁ、敵が3体以上の戦闘で、味方への攻撃に対しての防御を、カバーを使わず1万回連続で成功させる、中々厳しいな」

 

「こ…効果は?」

 

「MP、またはHPを消費して、空間に盾を構築する魔法の様だな、名前は…盾魔法? 本当にそのままだな」

 

「やっとMPの消費先が出来ましたね」

 

「あぁ、消費に応じた呼称設定も可能な様だからな、ファンブル等と言うヘマはしない」

 

 

 形も自由か、それに応じて消費が増減、可能な限り絞り混むか、自分に一番合った形を…いや、私が嘗て憧れた彼らの様になれるのだ、多少のデメリットに目を瞑り、技の1つ1つを再現するしかないな、それを場面場面で最適解を持ってくれば…憧れをそのまま最強へと押し上げることが出来る

 

 

「それにしても、中々居たな」

 

「はい、あの罠使いと、回復役、分解する剣を使う剣士」

 

「特に分解する剣を使う剣士には驚かされた、まさか剣がバラけて飛んでくるとは」

 

 

 だが、ギルドが出来て、対抗戦イベント等があれば、心強いな、特にあぁいった物はシステムアシストが少ないと聞く、それを、あぁまで操れるとなると

 

 

「すまないミィ君、暫くこの盾魔法…練習したいのだが」

 

「はい、先輩のやりたい様に、それが叶うなら、私も嬉しいですから」

 

「ありがとう、君をたまに蔑ろにしているのではないかと思うのだが、大丈夫だろうか?」

 

「いいえ、そんなことは」

 

「そうか、ならば今回の様な事があれば直ぐに言ってくれ、可能な限り、護らせて貰おう、こんな不器用な事しか出来ないが」

 

「いいえ、とても嬉しいです」

 

 

 良かった、本当に気になって仕方なかったからな、だがこれで心置きなく

 

 

「護る手段を増やせる」

 

 

 その日から数日、私はイベントが開始されるまで、盾魔法を使いこなす事に終始した、最終的にはミィ君をカバームーブで護りながら盾魔法を空間設置して、三次元防御を可能に出来た、あの時のミィ君の呆然としながらも、安心感のある笑みを見て、やって良かったと心からそう思った、そして迎えた第1回イベント、私では入賞出来ないだろう…だが

 

 

「君の邪魔はさせん」

 

 

 今まで通り…否、今まで以上に護ってみせる



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気弱な同僚と第1回イベント

ここから漫画、アニメ、ゲーム媒体の技が多数出てきます、主に防御系ですが! もっと盾役流行れ!


 さて、いよいよ始まった第1回イベントバトル・ロワイアル、少しミィ君と落ち合うのに手間取ったが、合図は決めてあったので直ぐ様合流、途中で複数のプレイヤーからの妨害に会ったが、まだ防御を貫く程の相手は居ない

 

 

「ふむ、君がメイプルとやらか」

 

「大盾、それで3位となれば、なにかあります」

 

「あぁ、それに、周りにプレイヤーが居ないのも不自然だからな」

 

「わわっ、えぇっと、取り敢えず毒竜(ヒドラ)!」

 

 

 あれは、毒系統魔法? 今まで使ったのを見たことがないが、だが、防御の修行で出会ったアレと似ている、盾魔法本来の使い方ではない使い方で倒したが、なるほど、彼女もその1人なのだろうな、ならば

 

 

「ミィ君! 少し下がれ、アレは毒だ! 血楔防壁陣(ケイルバリケイド)!」

 

 

 ミィ君に当てぬ様に複数の盾魔法を作成、以前参考資料として見た技を模倣させて貰ったのだが、しかしこの感覚は、ジャイアントキリングが作動していない!? ならば彼女は!

 

 

「気を付けろミィ君! 私のジャイアントキリングが作動していない!」

 

「なっ!? では彼女は」

 

「えぇっ!? ジャイアントキリングで盾ってことは、私と同じ」

 

「防御特化だ!」

 

「防御特化!?」

 

 

 奇しくも、同じ大盾、同じスタイル、同じボスと立ち会った者、こうも偶然が重なるものか

 

 

「先輩、アレの準備を!」

 

「あぁ、残念だが今の私たちでは負けないにせよ、勝てる相手では無いようだ」

 

「ファイアボール!」

 

「うわわっ、とっ!?」

 

 

 盾の使い方がなっていないな、前が開けた、ならば! 出力50%! 私が最も尊敬し、そうあろうとし、盾魔法で最初に模倣した技!

 

 

絶対不破血十字盾(クロイツシルトウンツェアブレヒリヒ)!」

 

 

ーーー至近距離で遠くへ飛ばす!

 

 

「うぇぇえっ!?」

 

 

 作戦は成功、メイプル君はそのまま私達の目視外まで飛んでいった、しかし歯痒いものだな、勝てないと言うのは、最初のアレも、毒竜と立ち会っていなければ毒とわからなかっただろう、そう考えると、彼女は防御と言う一点であの毒竜を倒し、その力を得たのだろうな

 

 

「彼女、もし他のイベントで会ったなら」

 

「最優先排除対象、若しくは最優先迂回対象だ、まともにやりあうことは出来ない、今回はこちらが戦闘を中断する手段があったから良いが、二度同じ手が通用するかどうか」

 

「はい、それに先輩のジャイアントキリングが発動しない、と言うことは」

 

「防御一点特化、盾で受けると同時に消えた魔法、そして魔法を放つ際に消えた結晶、あの盾は魔力タンクだ、クールタイムさえ無くなれば連発可能、なるほど彼女の周りにプレイヤーが居ない訳だ、全て盾の魔力となり、あの毒竜で倒されたと見える」

 

「そうなると、絶対防御も」

 

「恐らく、現段階で彼女の驚異は居ないだろう、あの戦闘の中で、絵を描く程度には余裕の様だからな」

 

「規格外ですね」

 

「だが、だからこそ面白い」

 

「はい!」

 

 

 それから程なくしてイベントは終了、当然私はランク外だが、ミィ君は4位、他の面々もかなりの好成績だった様だな、さてあのメダル、ただの飾りではないのだろうな、となれば次への伏線か

 

 

「先輩、第2階層が解放されるそうです」

 

「そうか、ならば次の為に、更なる修練を積まねばな」

 

 

 目標は出来た、最近練習している盾魔法でのシールドアタックの目標も、そろそろ達成する、今回はミィ君の協力と相手が移動しないことありきでの成功、次は動く標的に当てなければな

 

 

「先輩、そう言えば特殊クエストが出たので、暫く」

 

「わかった、私もちょうど、挑みたいものがあったので、そちらに行かせてもらう」

 

「先輩が挑みたいもの…ですか?」

 

「あぁ、防御主体の格闘術を使うご老体が居てな、それを覚えれば私も戦闘が出来ると言うものだ」

 

「先輩に攻撃力が加わるのですか」

 

「どうやら見る限り、拳の攻撃でシールドアタックが使える様なのだ、これと盾魔法が合わされば」

 

「見えない面攻撃ですか」

 

「その通りだ、楽しみにしていていくれ、必ず成して見せよう」

 

 

 最低でも次のイベントまでには覚え、練習しなければ、ただ覚えるだけが技ではないからな



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堅物先輩と修行

 ミィ様の出ない回は気弱な同僚と、ではなく、堅物先輩と、となります

 尚今回女子率0となっております


 とある洋館、その庭先で私はご老体と拳を交えていた、防御一徹の左、最短を撃ち抜く右、このご老体の型を覚え、戦い方を覚え、自分の強さへと変換する、それは憧れである彼らの模倣を確固たるものに変えるため、自分が彼らの技を使うに足る者であると証明するために!

 

 

「ふむ、合格ですな、貴方にはこの装備を、そして、必ずや」

 

「護るべきものを護ります」

 

「よろしい」

 

 

 私は新しい装備、バトラー一式を装備して、更に左手にこのイベントスキル、盾闘争術(シールド・コンバット)用の籠手を着ける、効果は単純に防御系スキルの強化、盾系統を体術として使用可能な制限解除、今はその程度だが、段階を上げていけばかなりの恩恵があるだろうな

 

 

「あれ? 旦那じゃねぇか、ソロでクエスト?」

 

「シンに、マルクスか、ちょうど良かった、少し、付き合ってくれないか?」

 

「それは良いけど、何時もの盾は?」

 

「なに、見ていればわかる」

 

「「?」」

 

 

 私は偶々近くを通り掛かったシンとマルクスを連れて、毒竜の迷宮へと入った、挑むのは勿論ボスだ、彼女の対策にもなるからな

 

 

「シン、マルクス、防御は考えるな、攻撃だけに集中しろ、絶対に後ろには通さん」

 

「さっすが旦那、格好いい! なら遠慮なく! 崩剣!」

 

「そうだね、それに傲りも謙遜もないんだから、本当に凄いよ」

 

 

 何時もの様に盾魔法を展開、最近段階が上がったからか、盾魔法を設置した後に動かせる様になった、メイプルの時に少しやってみたが、もう少し速度を調節しなければならなかったな、だがそれを補って余りある!

 

 

「うわっ、更に硬くなったのかよ旦那」

 

「安心感凄いなぁ」

 

 

 なるほど、防御がしやすい、そしてブレスは防ぎ辛い、ならば面か! だとするならば再現するのは憧れの1人…盾の少女、たった1人を守り抜くと誓ったその盾、使わせて貰う! 出力20%!

 

 

いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!」

 

「うわぁ、まさに城壁だな」

 

「ぼく、要らなくない?」

 

「そんなことはない、私だけでは攻撃が出来ないからな、他に誰か居なくてはならない、特にシンの様な後ろに居ながらにして遠距離を自在に攻撃したり、マルクスの様に安全に罠を張れば、私は他の防御にリソースを回すことが出来る、だから2人はこの上なく、私と相性がいい」

 

「まあ、旦那にそんだけ言われちゃあ、頑張るしかねぇな!」

 

「そうだね、ここまで言われたら、流石にね!」

 

 

 しかし助かった、主力メンバーの殆どが後衛、それも固定砲台に近いスタイルを持っている、全員が固まれば、あのメイプルも、あるいわ

 

 

「そう言えば旦那、第2回イベント、サバイバルらしいぜ?」

 

「む、そうなのか、パーティプレイは可能か?」

 

「そりゃ勿論、流石にソロでサバイバルは行き当たりばったり過ぎますって」

 

「確かに、そうなるとうちはかなり人がいるから、当日の欠員もなんとかなるかな」

 

 

 確かに、ならば前々から考えていたアレを実行すべきか、いやしかし

 

 

「どうしたんだよ旦那」

 

「悩み事? ぼく達で相談に乗れたらいいけど」

 

「む、そうだな、話さなければわからぬこともあるか、実はーーー」

 

 

 私はミィ君に誘われてゲームを始めて、最近充実した毎日を送っていること、なにか恩返ししたいこと等を話した、その結果ーーー

 

 

「なら、次のイベント、旦那とミィさんでやれば良いじゃないっすか」

 

「そうだね、シンの言う通りだと思うよ、時間加速で丸1週間、なにかあるかもしれないし」

 

「そうか、ならばミィ君とミザリー君、他のメンバーにも話を」

 

「あぁ!! 俺ミザリーに話通すからさ! 後メンバーにも! なっ! マルクス!」

 

「うん! ぼく…頑張るよ!」

 

「そうか? こう言うのは直接本人が…」

 

「だぁあっ!! 大丈夫だって! 旦那はゲームに真面目過ぎ! 絶対に大丈夫だって!」

 

 

 なにやらシンが非常に切迫したような雰囲気で言うので、ミザリー君やメンバーへの説得を任せ、私はミィ君にチャットを繋ぎ、次回イベントの話を切り出した

 

 

「ったく、旦那もミィさんも奥手過ぎなんだよ」

 

「見ててヤキモキするよね、ミザリーもたまに黒くなるし」

 

「まったくだ、早くくっつけっての」

 

 

 そんな話が後ろでされているとは知らず、ミィ君との話し合いの末、なにやら慌てた様子のミィ君に次回イベントでのペア行動の約束を取り付けた、後はそれまで、修練をやりきるのみ!

 

 

「うわぁ、旦那燃えてんなぁ」

 

「でも、これ中毒になりそうだよ、今からでも嗜好品でコーヒーの実装お願いしとくよ」

 

「あ、俺もヤな予感すっからやっとこ」

 

「む、コーヒーか、私はどちらかと言えば紅茶派だな」

 

「あー、それも一緒にやっときますわ、マルクス」

 

「うん、ミィに連絡しておく」

 

 

 ちなみに、マルクスがミィに紅茶派と言うのを連絡した所、「知っているし、好みの味、温度、ティーカップの形までわかるが」等と言う返答があり、「隠す気あるのかなぁ」などとシンとマルクスはミザリーと話していた



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気弱な同僚と第2回イベント

 第2回イベント終了後、暫く日常回を入れてみます、総員! ブラックコーヒーの準備をしておけ!


 第2回イベント当日、スタート地点は山岳地帯、ちょうど最初に盾を練習した時の様な場所だった

 

 

「これは幸先が良いな、戦いやすい」

 

「先輩が戦いやすいと言うことは、万一がない、と言うことですね、どうしましょうか、最初に山頂に?」

 

「そうだな、そうしよう、久しぶりに登山をしたくなった」

 

「では、そのように」

 

 

 道中の敵は盾魔法を使うべくもなく攻撃力が低い、きっとメイプル君も、隣に居た少女同様、問題なくイベントを進めているのだろう

 

 

「しかし、ギルドが実装され、もしギルド対抗戦が行われる時、果たしてメイプル君はどの様なメンバーを集めるだろうか」

 

「仲間が出来たら驚異、しかし彼女自身のプレイヤースキルは」

 

「いや、間違いなく、同じギルドに盾役が入った場合、指南があるだろう、そうなれば」

 

「………突き崩すのが難しくなりますね」

 

「あぁ、だが今は、精進あるのみだ」

 

 

 しかし、一向に伸びる傾向もないスキル達はどうしたものか、いっそ新しいスキル、いや、目ぼしいものは無かったな、仮にあっても私との相性はあまり良くは無かった、あっても不屈の守護者だ、あれは私が自傷ダメージでわざと死にかけ、ボスモンスターの攻撃をわざとクリーンヒットする荒業で入手した、あの時ミィ君が一番焦っていたが、その後怒られもしたな

 

 

「む、ボスへのポータルの様だな」

 

「はい、地形的に防御型…だと良いのですが」

 

「確かにな、では」

 

 

 私とミィ君は迷いなくポータルを踏み、中へと入った、その先はコロッセオの様な場所で、立っていたのは人型、真っ黒い鎧に大盾を構えた騎士、そして身の丈ほどの杖を構えた魔法使い、この組み合わせは…

 

 

「入ったパーティによってメンバーと武器が決まる様なタイプ…だと思います」

 

「だろうな、ミィ君、貫通重視だ、大盾を魔法使いの所まで追いやる、だからその時は」

 

「範囲攻撃…ですね、わかりました、炎槍!」

 

「さて、推して参る!」

 

 

 先ずはミィ君の魔法で牽制だが…む! あれは盾魔法!? スキルの大方も同じか、ならばどうする、ミィ君には節約を、だがそれでは…っ! 大盾、そうだ、なぜヤツは籠手ではなく、大盾を構えている! ならばここは

 

 

「ミィ君! すまないが魔法使いを頼む!」

 

「っ! ですが、あの防御は」

 

「ヤツは少し前の私だ、ならば越えられぬ道理は無い!」

 

 

 特に、あの甘い盾魔法では! 私への侮辱と挑戦に他ならない! 過去の自分でも、あってはならぬ彼らへの冒涜! ならば私がアレに勝たねばならない…否、気が済まない!

 

 

「今から貴様を、完膚なきまでに叩きのめす、血楔防壁陣(ケイルバリケイド)!」

 

 

 肩、肘、膝、足首、あらゆる場所に盾魔法を展開して身動きを封じる、そして…これが最大出力、己が信じる絶対の一

 

 

「安らかに、眠り給え、最大出力絶対不破血十字盾(クロイツシルトウンツェアブレヒリヒ)!」

 

 

 エリア端の境と板挟みにして、シールドアタックを掛け続ける、そしてそのまま押し潰した、紛い物の盾魔法なぞ、拙すぎて防御にならぬ…さて

 

 

「今…終わったか」

 

「はい、私達の勝利です」

 

 

 そのまま出口用ポータル付近の宝箱を開けて、メダルとスキルスクロールを手にした、効果は…なるほど

 

 

「付与魔法か、%ではなく、固定値上昇、素晴らしいな」

 

「先輩、もしかしなくても、それで自分にSTR補助着けて戦うんですか?」

 

「む? 勿論だが」

 

「私が付与しますから、気にせず戦って下さい」

 

「それではミィ君が攻撃を」

 

「構いません、それより、早く行きましょう」

 

「あぁ、わかった」

 

 

 なにかミィ君に呆れられる様なことをしただろうか、そして元の山岳地帯に戻る、どうやらタダで戻れないそうにないな

 

 

「炎帝に、城塞!?」

 

「マジかよ、だが入賞者、メダルがあるぞ!」

 

「ふむ、炎帝はミィ君のスキルから来ているとして、城塞?」

 

「先輩の事ですよ、前のイベント中、私の護衛中にダメージ無かったですから」

 

「そうか、なるほど城塞か、さながらミィ君は王女…いや、炎帝から取って女帝と言った所か、ならば君の城らしく、此度も無傷で推して参る!」

 

「はぁ、それ、凄い恥ずかしいですから、先輩、付与《STR》! 付与《VIT》!」

 

「早速か、ふん!」

 

「魔法を素手で砕いた!?」

 

「極小展開、狙撃式単突(スナイパーフォーメルシュナーク)!」

 

「がっ!?」

 

 

 うむ、射出する盾魔法を限界まで小さくしてしまったので不安だったが、逆に上手くクリーンヒットしてHPを削りきってくれたか、今後も使えそうだな

 

 

「なっ!? 城塞は攻撃出来ないんじゃなかったのか!?」

 

「つい先ほど、まともな遠距離攻撃手段が出来てな、まぁ、ミィ君が居なければ今まで通り、ただの盾だが」

 

「先輩が攻撃が出来るだけでこれですからね、炎槍! ファイアボール!」

 

 

 程なくしてプレイヤーを倒しきった、付与は中々だ、私もミィ君程でないにしろ、遠距離攻撃に加われるのは有難い、今まで攻撃は他人任せだったからな

 

 

「そう言えば先輩、先輩のそれって、スキルの技名じゃないですよね? たまに統一感無くなりますから」

 

「あぁ、これか、昔…私が憧れたキャラクター達の技でな、模倣させて貰ったのだ」

 

「憧れ…なるほど、場面場面で良さそうな技を出したりしているのはそう言う、てっきりその場で作っているものだと」

 

「流石にそこまでは出来ない、まだまだ私の浅い知恵で彼らの技をどうにか回しているが、まだまだ鍛えねばな」

 

「それなら今度、私も手伝います」

 

「そうか? それは有難い、ミィ君が居ればどんな物からも護ってみせよう」

 

「(あれ…これはもしや告白!? いや違うにしてもこの言い回しはそう思ってしまう!)」

 

 

 1人あたふたする後輩、そしてまともな攻撃手段が出来てご満悦の先輩、このコンビの快進撃はまだまだ続く?



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気弱な同僚と1つ屋根の下…からの

 なぜかミィ君は私を戦わせたい様だ、まあ消費的に見て、ミィ君の付与と、最低限の攻撃力を持たせた盾魔法でのシールドアタック、この2つで対空攻撃も可能な上、拾ったHPリングとMPリングが無駄になりにくいからな、後は

 

 

「自動回復は欲しいな」

 

「イベントスキルで良いのがあると良いですね」

 

「確かに、あまり自動回復系統は出ていない様だ、フォレストクインビーの指輪くらいか?」

 

「あれ、かなり入手確率が低い筈ですが」

 

「そうだな、まだ新エリア探索も終わってはいないからな、そちらに期待か」

 

「えぇ、ですが先ずは」

 

「探索…だな」

 

 

 それに日暮れまでに休める場所を確保しなくては、私はともかくミィ君が野宿はしてはいけないだろう

 

 

「しかし、ゴブリンが多いな」

 

「それに、一定方向から定期的に…まさか」

 

「ゴブリンが定期的に出てくる様な所があると、どうする? メダルの可能性か、確定的ではない宿探しか」

 

「………メダルで」

 

「承った、最悪出てくる所を囲って仮の宿にしよう」

 

「えっ、持続時間は」

 

「レベルがⅢになった時に、出してから一定範囲内であれば、壊れない限り残る、少し便利になったな」

 

「確かそれ、耐久値は使用者のVIT参照でしたよね?」

 

「そうだな、ゴブリン程度なら、何枚か重ねれば数時間は余裕だ」

 

 

 その時はHPとMPをギリギリまで酷使すれば良いだけだからな、ポーションは貯めてあるし、HPで使う事も出来る盾魔法は有難い

 

 

「ふむ、あれが発生源か」

 

「明らかに村ですよ、アレ」

 

「では、鬼退治と行こうか、ミィ君」

 

「わかりました、付与《STR》」

 

「ォォオオッ!!」

 

 

 ゴブリン…いや、最早オークと言っていい巨人が棍棒を振るう、それを左手で弾き、踏み込みと同時に小さい盾魔法を足に当てて転ばせる、取り巻きのゴブリン達は既にミィ君の魔法で燃え尽きた、後はコイツだけだが、私の攻撃はまったくと言って良いほどダメージがない

 

 

「なるほど硬い、私の攻撃は無意味だな、ミィ君!」

 

「はい! 貫通重視で行きます! 炎槍!」

 

「ゴヒャッ!?」

 

「さて、どの程度耐えられるかな?」

 

 

 その後は起きては転ばせ、起きては転ばせてを繰り返し、取り巻きをたまに増やすが、それは一撃で燃えてなくなった、今まで戦ったボスで一番弱かったな

 

 

「メダルは1枚、少ないな、特にスキルや特殊報酬があるわけでもない」

 

「メダル以外はハズレですか」

 

「だが、メダルがある分ハズレではない、とりあえずもう少し探索出来るな、ちょうど集落だった様だから、宿も気にしなくて住む」

 

 

 一時は野宿ならどうしようかと思ったが、問題無いみたいだな、中も普通、ベッドは3つ、テーブル1つ、2階に地下の類いもない、本当に宿だな

 

 

「今日はここまでだな、もう直ぐ夕暮れだ」

 

「そう…です……ね」

 

「む、どうかしたかミィ君」

 

「い、いえ! なんでも! (2人っきり、2人っきり、1つ屋根の下ぁぁああっ!? 先輩とぉぉおおっ!?)」

 

 

 疲れたのだろうか、仕方もない、歩き詰め、戦い詰めだからな、それに、後数日分ある、無理をさせてはいけないな

 

 

「ミィ君…ミィ君?」

 

「きゅぅうっ」

 

「ふむ、そんなに疲れていたのか、しかし床で寝るのは感心しないな」

 

 

 ミィ君を抱き起こし、ベッドに乗せる、幸いゲームなので服がシワになるなどもない、後は

 

 

「盾魔法で扉を固定すれば完璧だな」

 

 

 破壊不能オブジェクトの内側に配置すれば問題はどこにもない、扉も内開きだから、開けられる心配は先ず無い、完全なセーフティーエリアだな

 

 

「では、お休み」

 

 

 などと、1日目が終わってくれれば良かったのだが、どうやら夢の中が簡易エリアに繋がっていた様だな

 

 

「えっ、ここは」

 

「起きたかミィ君、どうやら宿はダミーだった様だ、簡易エリアに飛ばされた」

 

「そんなまさか」

 

「それに突発性のイベントの様だな、君の攻撃魔法でのサポートは受けられず、私が出てくる敵全てを倒さねばならない、私が倒れれば君も道連れ、悪趣味にも程がある、だが」

 

「はい、信じてます、先輩、付与《STR》」

 

「ありがとう、絶対に君を助ける」

 

 

 何体来るかもわからぬ敵、敵、敵、法則としては1レベルにつき1体×レベル分、戦闘終了後に通常通りリザルトが行われる、そして10毎にボスモンスター1体、しかも時間制限で次のモンスターが来ると来た!

 

 

「悪趣味ここに極まれり…だな!」

 

 

 倒す、倒す、倒す、急所を狙い続ける、自分の為ではない、後ろに居るミィ君を死なせない為だ! 後輩1人、女性1人護れず、何が先輩か! 何が男か!

 

 

「レベル30、相手は」

 

 

 後ろでガシャンと音がする、嫌な予感がしたが、なんてことはない、どうやら2人で乗り越えろ、とのことらしい、だがその選択、後悔させてやろう

 

 

「ミィ君、今まで以上に集中する、全力でやって構わない」

 

「はい、今まで見ているしか無かった分、やらせてもらいます!」

 

 

 相手も2人、此方と同じ、前衛と後衛、ただし相手は近接アタッカーとヒーラーの様だな、さて、どこまでやれるか…否!

 

 

「どちらのペアが強いか、勝負!」

 

「絶対に…負けません!」

 

 

 絶対に私の後ろを抜けると思うな、亡霊!



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気弱な同僚と堅物な先輩、阿吽の呼吸

すみません、距離無き想い(サモン・パートナー)の説明がありませんでしたので、追記しております


 優勢だ、ダメージが低いのが難点だが、倒せない訳じゃない、剣士の攻撃を受け止め、ミィ君が貫く、後ろのヒーラーの回復は盾魔法を遠隔操作して当て、ファンブルさせる、このままではミィ君のMPが尽きてしまう、だが…私が使えるのは盾魔法のみ…盾魔法? 確か盾魔法は仲間の攻撃ではダメージが入らない、ならば、ミィ君のアレが最大の威力を発揮する! そうと来れば、早速知識を引っ張り出し、ちょうどいい形に組み上げる!

 

 

「ミィ君、これからヤツらを、拘束する!」

 

「ッ! わかりました、詠唱に入ります!」

 

 

 細かく、細かく、攻撃阻害、行動阻害、ノックバック、時間を掛けて、範囲に入れて、ミィ君の詠唱が終わると同時に…今! 護るためにその技を使わせて貰う! 囲いではダメだ、貫き、捉える技

 

 

「鋼の軛!」

 

「火炎牢!」

 

 

 ハマった、これならば、残りのHPを炙ることで終わらせられる!

 

 

「ミィ君、今のうちにMPポーションを」

 

「はい、しかし、即席コンビネーションですが」

 

「あぁ、尖らせれば属性が付いたのでな、刺突系特有の継続ダメージと、ミィ君の火炎牢での継続ダメージ、仲間の攻撃ではダメージの無い盾魔法の特性、近接攻撃は動きを封じ、魔法攻撃は刺突系の継続ダメージでファンブルするのは知られている、ヤツらに抜け出す手段は無い、あるとすれば」

 

 

 黒いオーラが弾けた、やはり第2形態があった様だ、念のためだったが、回復して正解だったな、剣士は完全に攻撃一辺倒、後ろのヒーラーも攻撃、ならば

 

 

「ミィ君」

 

「はい、お願いします」

 

「任された!」

 

 

 剣士とは真っ向からぶつかり、弾く、魔法は盾魔法の空中設置で受ける、2体の距離が近くなれば!

 

 

「炎槍! 炎槍! 炎帝!」

 

 

 ミィ君の貫通と範囲での攻めがある、私が補助して、ミィ君が当てる、お互いがそれをキッチリこなせば、勝機はある!

 

 

「最後だ! 炎帝!」

 

「無事に勝てたか」

 

「先輩! 大丈夫ですか?」

 

「問題ない、だが少し、休ませて欲しい」

 

「はい、存分に」

 

 

 私はそこで、意識を手放した

 

 

 

ーーー少し変わってミィの内心はと言えば

 

 

「(あぁぁぁああっ!? 先輩近い! 先輩寝顔意外と可愛い! 先輩に膝枕ぁぁああっ!?)」

 

 

ーーーこれが起こさない様に内心のみで片付けてある、身体も微動だにしていない辺り、流石である

 

 

 そして翌日、漸く目を覚ました私は顔を真っ赤にしたミィ君への謝罪をし、宝箱を開けた、中にはメダル3枚と…指輪か、効果は…ッ! 効果はともかく名前がまずい!

 

 

「先輩? どうしたんですか?」

 

「すまない、ミィ君、君がそう言う人物ではないと知っているのだが」

 

「?」

 

「この装備を見て、私をセクハラだと訴えないで欲しい」

 

「装備を見て…セクハラ? どういう装備ですか…それ」

 

 

名前:誓いの指輪(エンゲージリング)・前

HP+200

STR+20

VIT+30

スキル:《尊き誓い》《距離無き想い(サモン・パートナー)

 

名前:誓いの指輪(エンゲージリング)・後

MP+200

INT+40

スキル:《尊き誓い》《距離無き想い(サモン・パートナー)

 

《尊き誓い》

・同じパーティーメンバーから支援効果上昇(距離、効果)

・《尊き誓い》所有者への支援効果上昇(距離、効果)

 

距離無き想い(サモン・パートナー)

・同じスキルを持つ者を距離に関係なく召喚する

 

 

 強い…強いのだが、これを揃いで男女が装備する、即ち!

 

 

「なっ、なっ、なぁぁぁああっ!?」

 

「すまない、だが獲得品なので、見せない訳には」

 

「い…いえ、大丈夫です、少し…取り乱した…だけで」

 

「これは、そう言う筋に流した方が良いな、見ると…思い出してしまうだろう」

 

 

ーーーミィは見てしまった、悲しそうな、シルトの顔を、申し訳なさそうな顔を、違うとわかっていても、思ってしまう、私では…ダメなのかと、心にも思ってもいない事を…心から願うことを…言ってしまう

 

 

「私…では、ダメ……ですか」

 

「………」

 

「わ…私は! ずっと、貴方を、先輩を…ッ!」

 

 

 その言葉を止める、それは私がミィ君に言うべきもので、ミィ君に言わせるものではない、それに…今ので決心がついた

 

 

「すまない、ミィ君、だがこれだけは此方から言わせてくれ、君のその表情で、今の声で、決心がついた」

 

 

ーーーどうか、この指輪を、私が君に嵌めて良いだろうか

 

 

「………ッ! はいッ!」

 

 

 ミィ君の差し出した左手の薬指に、それを嵌めた、そして同じ様に、私の左手の薬指にも、指輪が嵌められた

 

 

「すまない、現実ではもう少し、待ってくれないだろうか、君に一番相応しい物を用意する」

 

「………ッ! ッ!」

 

 

 ミィ君は涙を流し、鼻をすする音だけが響く、そして想いを新たに、2日目を迎えたーーー同じベッドで

 

 

「「ーーーッ!!」」

 

 

ーーーちなみにこのイベント、運営が悪ふざけで用意したもので、条件はオーク討伐、男女ペアで前衛と後衛であること、日暮れまでに宿に入り、寝ること、そしてクエストをクリアして同じベッドで起きるのは完全に運営の悪ふざけだ

 

 

ーーークエスト名《俺らの悪意を越えて行けー艱難辛苦を乗り越えて! 掴め愛情! そして末長く爆発しろー》



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気弱な同僚と燃える勇気

書いていくうちに段々と胸焼けしてくるのだが、ダダ甘も考えものだと思った。

それはそれとして可能な限り甘くするけどね!?

皆さんこの調子の方がニヤニヤ出来るんですかねぇ…


 気まずい、気まずいのだが、なまじコンビネーションだけは無意識でもやってしまう、そして戦闘が終われば気まずい雰囲気がまた!

 

 

「せ…先輩」

 

「な…なんだね、ミィ君」

 

「そ…そろそろ…よ…呼び…なんでもありません!」

 

 

 なんでもない…か、流石にそこまで言われれば気付くのだが、仕方ない、年長者の余裕、なけなしを振り絞るか

 

 

「行くぞ、ミィ」

 

「ッ! はい!」

 

 

 ちなみに、たまたま遠くからこれを見たシンはミザリーとマルクスに合流した時「作戦完了」とだけ言った、それを聞いた2人はやりきった顔をしていたのだとか

 

 そして2人はすれ違うパーティを殲滅しながら、装備の効果がどの程度か検証、サポート系を色々やった結果

 

 

「付与魔法はともかく、カバームーブもか、かなり距離が伸びた」

 

「はい、これなら先輩も戦えますね」

 

「あぁ、盾魔法ありきだった物が、そうではなくなった、カバームーブとカバーでの防御範囲はかなりのものだ、それに、ミィの火力補助も出来る様になった、良いイベントだ」

 

「…はい」

 

 

 助け助けられるのがここまで良いものだとは思わなかった、ミィがゲームに誘わなければ、この様なことを考えもしなかったし、愛そうと思える人も、出来なかっただろう、感謝しか…出来ないな

 

 

「そうだ、このイベントが終わったら、どこかに出掛けないか」

 

「えっ…それって」

 

「…デート、と言うものだ、今まで休日と言えばゲームばかりだっただろう、たまにはこう言うのもどうかと思ったのだが…」

 

「行かせて下さい!」

 

「そ…そうか、こちらで色々考えておくので、気になる所や行きたい所などがあれば言ってくれ、全力を尽くす」

 

 

 ちなみにこの「全力を尽くす」なのだが、新卒だったミィがこの言葉を最初に聞いた時は、炎上が秒読みだった時で、それをシルトは火消しに成功、かなり重厚な契約となり、たまに社長に呼び出されて飲みに付き合う程度には仲が良くなったらしい、その人の全力…それも自分の為、ミィが燃え上がらない筈が無く

 

 

「炎帝! 炎帝! 炎帝!」

 

「「「ぎゃぁぁああっ!?」」」

 

 

 運悪く出会したプレイヤーは近付く間も無く、哀れ爆発四散、代わりにミィは落ち着いた

 

 

「ふぅ、すみません、落ち着きました」

 

「いや、適度なストレスの発散は健康の為だからな…どうした?」

 

「………いいえ、なんでも」

 

 

 またなにか…してしまっただろうか、なにか話題を変えねば、そう言えば!

 

 

「先ほどミィが倒したプレイヤーから、イベントのヒントの様な書物が手に入った、ありがとう」

 

「ッ! いいえ! それほどでも!」

 

 

 おぉ、どうやら正解を引けた様だな、さて、それはさておき本の内容だが

 

 

「うぅむ、無垢なる者よ、掲げぬ者よ、王道より外れし者よ、魔を祓いて守護の力を示さん」

 

「無垢、掲げぬ、王道から外れる、要領が掴めませんね」

 

「あぁ、だが守護の力を示さん、これは防御力を示せ、とのことだろう、ボスモンスターと耐久勝負になるが」

 

「考えるまでもありません、先輩が認められる、それは喜ばしい事ですから」

 

「そうか、何時もすまない、ところで、呼び方なのだが」

 

「えっ…あっ…その、もう少し…じ…時間を」

 

「い…いや、そこまで迫っている訳では、ミィの気が向いた時で良い、無理をする必要は…」

 

「む…無理じゃありません! い…今、呼びますから、し…しし…しる…ッ!」

 

 

 ガサガサッ!

 

 

「………ミィ、付与魔法を頼む」

 

「は…はひ、付与《STR》」

 

「無粋な者共よ、わかっているな、生きて帰れると思うな、これはーーー」

 

 

ーーー確定事項だ

 

 

 一瞬で終わらせた、ミィが名前を呼ぶ、先輩呼びではなく、名前でだ、ただ呼んでくれるだけで嬉しいのだ、その可能性を邪魔すると言うのであれば、容赦など、慈悲など、一片足りとてありはしない

 

 ちなみに後ろのミィは、自分の事で怒ってくれたと思い、戦闘終了まで悶絶、その姿を見せたくない一心も加わり、敵プレイヤーからはソロだと思われていたなど、ミィは知る由もなく、それを知らせることも、シルトはしなかった

 

 

「………ミィ、あまり急ぐこともない、急いだことで成功した試しなど、少ししかないのだから」

 

 

 優しい手が頭を撫でる、ミィはそれに充足感と、情けなさが込み上げた、自分はこの強さに、優しさに甘えているだけなのだと、そう思った瞬間から、ミィは小さな覚悟を炎と燃やし、シルトを見つめ

 

 

「私はこれから、貴方をシルトと呼びます」

 

「そうか」

 

 

 また、シルトはミィの頭を撫でた、もしシンやマルクス、ミザリーが居たのなら、「このイベントでの一番の収穫は、ギルドの戦力増強ではなく、この2人の仲が飛躍的に進歩したことだ」と言ったかもしれない

 

 まあそれはイベント終了後の2人を見て、他のギルドメンバー予定のプレイヤー達と同じ事を思い、皆揃ってブラックコーヒーを飲み交わすことになるのだが、その時になっても2人は首を傾げるだけである



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堅物先輩と試練

良いスキルの案、盾魔法使用時の技名があり次第、タグに追加していくので、たまにネタバレになるかと思いますが、ご容赦下さい


 ままならない、ヒントを見つけたのは良いのだが、場所がわからないのでは話にならない、ヒントに繋がる様な場所はーーー

 

 

「ミィ、どうやら、ここかも知れない」

 

「ここは…戦場の跡地?」

 

「あぁ、ポータルがあるのだから、間違いなくイベントがある、それがこのヒントのものかもしれないし、そうではないかもしれない、はたまた、誰かがクリアした後で、辿り着いて徒労に終わる可能性もある、だが」

 

 

 ポータルから中に入り、完全な人を模したのモンスターを体術のスキルで倒す、魔法は逆に当て辛い、だがこの身は対人にこそ向いているし、この盾魔法はそういう数や弾幕にこそ効力を発揮する

 

 

「1つ言えるのは、対集団戦の経験は積める」

 

「人型モンスター、それも防具は統一されていますが、武器もバラバラ、確かに良い経験になります」

 

「あぁ、ここのボスはどうやら将軍か王か、なんにせよ厄介そうだ」

 

「ッ! シルト!」

 

「大盾隊、それにあの布陣は」

 

「彼のレオニダス王の考案した戦術陣形、密集陣形(ファランクス)、それも今回はーーー」

 

「後ろにヒーラーか、彼の王は私達に試練をお望みの様だ」

 

「彼の300の兵に万ではなく2人ですよ」

 

「それが私と君のペアであるなら、伝説程度…越えてみせよう」

 

 

 それにどうやらここはギミック式、敵の殲滅がトリガーで、先ほどまでの圧倒的な攻めとは違う、打って変わっての重厚な守備陣形、だが幸い、突き崩す策はある

 

 

「道を空けろ、スパルタの兵よ」

 

 

 防ぐ、防ぐ、防ぐ、合間を縫って盾の配置をズラす、合図は無い、示し合わせた訳でもない、だがお互いに確信がある、このタイミング、この瞬間、崩れる一瞬ーーー

 

 

「炎槍!」

 

「流石だな、余り大きな隙を作れないのだが」

 

「逸らす瞬間に合わせて撃つ、そうしたら当たります」

 

「そうか、それは頼もしい…な!」

 

「炎槍!」

 

 

 防御特化のモンスターが満足に貫通対策を張れない、そもそも一撃で倒れるなら後ろのヒーラーは仕事もない木偶の坊同然、私はそもそも後ろに攻撃を通す気は無いし、通してしまう様な甘い信念など、持ち合わせていない!

 

 

「彼の熱き門、破れたり、貴様らの敗因は彼のスパルタの王がこの場に居なかったこと、そして私達のペアを相手にした事だ」

 

「あの…シルト、その…凄く恥ずかしいです」

 

「伝説に打ち勝ったのだから、恥ずべきことは無い、それにまだ…終わっていない」

 

「………無垢なる者よ、掲げぬ者よ、王道より外れし者よ、貴様の武勇…しかと見た」

 

 

 鎧、槍、円盾、それを構えし雄傑、先ほどのモンスターの特殊AIといい、恐らくこのボスモンスターの名は

 

 

「名乗りを上げぃ! 我こそはスパルタの王、レオニダスである!」

 

「王よ、私は炎帝の城塞、シルトである」

 

「ふむ、貴様が相手か、言葉は不要、この場のルールはただ1つ、モーロン・ラベ(来たりて取れ)!」

 

「承知した、ならば全力で…推して参る!」

 

 

 2人が駆け出すと同時に、ミィは展開された決闘フィールドに似た特殊な空間から弾き出された、攻撃も支援も出来ぬ中、ただ男2人の決闘の音のみが響き渡る

 

 

「………勝って…勝って下さい!」

 

「承知! 貴方とは尋常なる一騎討ちで勝たせて貰う!」

 

 

 盾魔法による防御は無意味、ただ己の拳のみが勝利の鍵となる、狙え、一瞬を、堅牢なる護りの隙をーーー

 

 

「ッ! 貴様!」

 

「ブレイクナックル!」

 

 

 体術の防御貫通技、それを槍を突き出す時に合わせ、盾魔法で盾をズラし、槍は斜めに展開した盾魔法で逸らす、そして拳は相手の身体に吸い込まれる

 

 

「悪いが、私の盾は防ぐだけではない、次への布石となる盾だ、貴方の伝説と同じ様に」

 

「成る程、貴様はその身で、我が同胞300人の生きざまを体現するか、だがまだまだ! ここからが真の戦いだ!」

 

「貴殿には最高の力、最高の策を以て、その護り…貫かせて貰う!」

 

「行くぞ挑戦者(チャレンジャー)!」

 

「あぁ、次の一撃を以て、私は簒奪者となろう」

 

 

 勝負は一瞬、この一瞬に…私とレオニダス王は全霊を掛ける!

 

ーーー幾重にも張られた盾魔法により矛先は反らされ、カウンターのブレイクナックルがレオニダスの身体を貫いた

 

 

「ふははははっ、善き戦であった、戦士よ」

 

「こちらも、貴方からは多くを学ばせて貰った、あの見事な密集陣形(ファランクス)、ギルドメンバーの基本戦術となるだろう」

 

「そうか、ならばこれも持って行け、我が信念、貴様に託す」

 

「はい、我が城塞は不落なれば、貴方の護りもまた、不落となる」

 

 

 目の前のボスであったレオニダスは消えた、代わりにスキルを1つ、大盾と盾魔法を統合して取得した、その名も《熱き門の守護王(レオニダス)

 

 

熱き門の守護王(レオニダス)

・《大盾》《盾魔法》《熱き門(テルモピュライ)》の複合スキル

・《大盾》《盾魔法》の使用コスト軽減、デメリット軽減、効果に補正

・パーティーメンバー1人につき、VITに1%の補正

・レギオン結成時、レギオンメンバー1人につき、VITに1%の補正

 

熱き門(テルモピュライ)

・範囲内のパーティメンバー、レギオンメンバーに常時カバー付与

・範囲内のパーティメンバー、レギオンメンバーに常時STR、INT+20%の補正

・使用中《盾魔法》のコスト軽減、効果に補正

・使用中、あらゆる回復効果無効

・スキル使用中移動不可

・1日3回、クールタイム1時間

 

 

「これは、強いな」

 

「はい、主力メンバーは殆ど動きを固定していますし、シルトの護りが今まで抜かれた事もないですから」

 

「実質、範囲内のカバーと火力補助だけだな、追撃戦が不利になったが、いかにもレオニダス王の置き土産らしいな」

 

「それに、シルトの城塞と言う名前が本当になりましたから」

 

「そうだな、城塞にして、唯一の門、そこを護る門番になろう、そうなればギルドメンバーは市民であり、兵士だな」

 

「そうですね、一緒にいて落ち着ける人達だ」

 

 

 私達は追加のメダルを2枚、そしてレアスキルを手に、神殿を後にした、3日目を待たずして既に山あり谷ありだが、まだ2日目も終わっていない、前途多難だな




と言う訳で、防御と言えばこのお方! アニメFGOにて熱い戦いを披露したレオニダスⅠ世をボスとして使用、その宝具を上手くスキルにしてみました!


……出来てるよね? 不安ですから投稿前に移動不可付けました、流石に移動するレオニダスは違うと思ったので、そうしたら普通の盾役が案山子になるので、持ってなくても盾魔法を覚える様にして、主人公以外練習不可避のスキルが誕生しました、しれっとミィとのペア組んだだけでも鬼畜スキルとなります、お互いの支援効果底上げ中だからね! この作品では個人最強は目指しません、あくまでペア最強です


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気弱な同僚の為の一夜城

や、やっと書き上がった、そしてまだ、イベント2日目なのだが、イベント終わるの、何話掛かるんだろうか

あっ、記念すべき10話です、ようやっと2桁ですよ


 さて、スパルタの王に勝利したは良いのだが、どうやら道を間違えた様だな、平原が地獄絵図となっていた

 

 

「まさか、ここまでプレイヤーが1ヶ所に集中するとは」

 

「まずいですね、シルト、メダルを全て、一時的に預けます、だから」

 

「いや、無い、ミィはそこで私の支援を、私はーーー」

 

 

ーーー絶対に退かない

 

 

 飛んでくる魔法を、ミィに向かうものと、貫通効果のあるもの以外をその身で受ける、ある程度前に進み、その場で歩みを止める

 

 

「遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ! 我が城塞は最硬の護りであると証明する! 行くぞ熱き門の守護王(レオニダス)!」

 

「付与《STR》《VIT》」

 

「彼の王よ、我が力にて、存分に護り給え」

 

 

 殺到する魔法、弓、それらをHP、MPの消費が一時的に消えた盾魔法の無限起動で相殺、寄ってきたプレイヤー達を余った盾魔法のシールドアタックで蹴散らす、そして私の戦いを見ているミィの後ろから迫る不埒者はーーー

 

 

「限定展開ーーーいまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!」

 

 

 ミィの後ろに城壁を築き上げ、その城壁でのシールドアタックを実行、圧死させる

 

 

「我が後ろ、土足で進めると思うな」

 

 

 尚も挑んでくるプレイヤー達を葬る、維持限界など無い、集中切れなど以ての外、何時間にも渡るプレイヤーの大群を無傷で凌ぐ、途中名の知れた中堅プレイヤーさえも盾魔法を掻い潜った者は居らず、ミィを狙う輩など城壁を破れもしない、次第に数は減り、夜になった頃には全員が居なくなった、城壁の展開以外は最小限の起動なので、消費は実質ゼロ、無血での勝利となった

 

 

「どうだ、ミィ、私は君の城壁で在り続けられるだろうか」

 

「貴方でなければ、私は死んでいます、きっとそれは、メイプルでも無理な話です、貴方はもっと、誇るべきだ」

 

「………私は君の隣に立てない、前に立つしか出来ない、城壁であることしか、きっと出来ぬのであろう、だが私が君を護る間、絶対に君を傷付けはしない」

 

「では…貴方は…シルトは傷付かない…と?」

 

「あぁ、君を護りきれば、私は傷付きはしない、どんな状況であろうと、どんな逆境であろうと、私は倒れない」

 

「では、貴方が盾であるなら、私は矛として在る、シルトのスキルは盾です、しかし同時に王でもある、私は炎帝と言うスキルがある、ならば並び立つことは可能な筈です、貴方が絶対に護る盾であるなら、私は絶対に倒す矛となる」

 

「なるほど、矛盾とはお互いが競うからこそ、だが競わず、お互いの為にあるのならば」

 

 

ーーーそれは、最強となる

 

 

「誓おう、私シルトは、炎帝ミィの盾であり、王である」

 

「誓おう、私ミィは、守護王シルトの矛であり、帝である」

 

「「今一度誓いの指輪(エンゲージリング)に誓おう、お互い支え合うと」」

 

 

 お互いの手を握り、お互いの目を見る、笑顔があった、優しい笑顔だ、私はーーー笑えているだろうか

 

 

 

「えぇ、素敵な笑顔です」

 

「そうか、ならばいい」

 

 

 今まで以上の感情で、今まで以上の感覚で、数百メートルは知覚出来る様になっていた、恐らく現実でも可能なのだろう、時たまに顔を出していた才能らしき物が、一気に溢れだした、一気に開化した形だ、ミィがこのゲームに誘わなければ、たった一人の女性を愛そうと、護ろうと思わなければ、こうはならなかっただろう、ならばミィは私にとってのーーー

 

 

「さあ、行こうかミィ、拠点を探さなければならない」

 

「なら、もう1回熱き門の守護王(レオニダス)で一夜城でもしてみませんか?」

 

「なるほど、目立つが、まあ良いか、そうするとしようか、熱き門の守護王(レオニダス)! 完全再現ーーーいまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!」

 

 

 平原に白亜の城を作る、内装も展開時に細部を調節したので、毛布などは無いが、隙間の無いものとなっており、それを私とミィを中心に作り上げた

 

 

「全て盾魔法で構築した、突破にはかなりの時間、かなりの威力を必要としよう、だが私は次の攻撃の前に展開し直すだけだ」

 

 

 私はそこで座り、夜が明けるのを待つことにした、すると私の背にミィがもたれ掛かり、寝始めた

 

 

「まったく、夜を徹した護りとなりそうだ」

 

 

 無邪気な寝顔を見れないのは残念だが、彼女が安心して寝ていられる空間を維持し続けると考えれば、成る程これ以上の名誉など、彼女の一生を護ること以外に他ならない、そしてそれは彼女の一生を護る上での通過点、果たせずなにが城壁か、なにが守護王か、彼の王も自らを盾とし、妻を護り抜いたではないか、彼の王とは一槍交えた身、そしてその生きざまを心に誓った、ならば一夜ごとき、凌ぎきって見せよう、だからーーー

 

 

「お休み、ミィ」

 

 

 私はミィの熱を感じながら、城壁外へと感覚を伸ばし続けた、不埒者の悉くを、城に辿り着く前に倒す為にーーー



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気弱な同僚と遭遇&遭遇

ーーー朝になったが、様子がおかしい

 

 

「ふむ、なにやら場違いな城があると思えば、君か」

 

「そちらこそ、観察だけで攻めてこないとは、正直私も驚いている」

 

 

 目の前に居るプレイヤー、名はペイン、このゲーム最高レベルのプレイヤーであり、現在最強を名乗るプレイヤーだ、それが仲間を連れずとは、少々きな臭い雰囲気がある

 

 

「だが、ここで戦っても無意味だな、ギルド実装、そして来るギルド対抗戦、それまで持ち越しと言うのは」

 

「構わない、ここで手の内を曝し続けるよりは、お互いにとっていいだろう」

 

「では、お互いに残りの日数、頑張ろう」

 

 

 なにをしに来たのだろうな、あの最強プレイヤーは、殆ど冷やかしに近いのだが

 

 

「こちらも移動しよう」

 

「えぇ」

 

 

 なにはともあれ、3日目、漸く半分が終わりそうなのだ、このまま勢いをキープしたいところだが、森に入った所で状況が少し動いた

 

 

「焦ってきているな」

 

「それだけ、メダルを取れている者が少ない、と言うことでしょうね」

 

 

 不意討ちを盾魔法でガードして、ミィがその方向に魔法を放つ、それだけで事は済むが、私が盾魔法を大きくしたときに限り、単体系ではなく、範囲系魔法で焼き払う形になっている

 

 

「まあ、メダルがこちらに来る確率は上がるのだろうが、期待値がな」

 

「はい、余りに低い」

 

 

 かと言って、またノーヒントでボスを探すのも難しい、特殊なイベントを踏まなければならないものなど、更にだ、しかしこのままでは2人分のメダルなど…やはり

 

 

「無理をしてでもペインとやり合う方が良かっただろうか」

 

「現時点で支援方法が限られています、それに向こうは剣、こちらと違い支援は殆ど必要ありません」

 

「確かに、魔法を多用する私達と、ペインでは持久力が違う、せめてマルクスが居なければ張り合い辛いか」

 

 

 そして向こうにスピードがある、私の最小限のスピードでは追い付けない、それではむざむざミィを死なせてしまう、それだけはあってはいけないのだから

 

 

「む、森を出てしまった…な?」

 

「あ、貴方は」

 

「メイプル…ここでか」

 

「いや、待つんだ、すまない、私達は戦う気はない」

 

「でも、2対1…ですよね?」

 

「気になるならば…そうだな、先ほど飛び降りたのは君の仲間か?」

 

「………」

 

「沈黙は肯定と取らせて貰う、私達が先にここから降りる、そして君が後から降りる、当然私達は不安定な場所で君の仲間を迎え撃つことになる、飛び降りている間など、格好の獲物だ」

 

「ちょっと、サリーと相談します」

 

 

 メイプルが仲間のプレイヤー、恐らくサリーと言う人物と話している間、ミィと話していた

 

 

「今のは」

 

「他の強敵とやり合う場合、手数が多いに越したことはない、そして私とメイプル君はお互いを倒せない…筈だ」

 

「わかりました、私が先に飛び降り、シルトは後から」

 

「わかった、ただ少々手荒な降り方になる」

 

「話…つきました、どちらか片方が先に…と」

 

「その話ならば既に着いている、ミィ」

 

「わかりました」

 

 

 ミィが先に飛び降りる、無事とわかっていても心臓に悪いな

 

 

 

「この光景は中々見たいものでもないな」

 

「そう…てすね、知り合いなら…特に」

 

「ともあれ、無事に降りたみたいだな、次は私か? それとも」

 

「私が先に行きます」

 

「予想はしていた、ちなみに」

 

 

 少女相手に心苦しいが、仕方ない、何があろうと護ると決めたのだから

 

 

「私が降りた時、ミィが居なければ、わかっているな?」

 

「………はい、私もサリーが無事だからしません」

 

「ならばいい」

 

 

 メイプルが飛び降りる、毒の塊を纏ってだが、一応ミィに忠告し、下からドベチャッ、と言う音が響いた後、私も飛び降りる、気分はノーパラシュートだな、明らかにゲームでなければ自殺志願者のそれだ

 

 

「ふむ、大丈夫だろうが、一応…フンッ!」

 

 

 

 盾魔法を使い、足場を作って降りていく、最後に毒無効を悟らせぬ様に着地すれば完了だ

 

 

「ふむ、無事か」

 

「はい、この通り」

 

「君がサリー君か」

 

「そう言う貴方は、城壁のシルト」

 

「その認識で構わない、一時的に行動を共にさせて貰う、私達が後から来たのだから、メダルの所有権はそちらから順番で構わない、装備はーーー全員がユニークだろうな」

 

「…そこまで」

 

「では盾は私は使わないので、メイプル君に渡す、双剣はサリー君、杖はミィ、それ以外の使わなさそうな装備が私でいい」

 

「じゃあ、そう言うことで」

 

 

 慎重だな、だが警戒心を剥き出しにしているのではなく、単純にパーティ内ではないが故のフレンドリーファイアの警戒か、場数は踏んでいる…か

 

 

「それでは、私が先頭、その後ろにミィ、最後尾にメイプル君とサリー君、これならば私達に不意討ちは出来ず、逆に君達が不意討ちが出来る」

 

「ですが、そっちはそっちで自由に展開出来る盾があるので、前を歩いても心配ない…と」

 

「その通りだな」

 

 

 挑発と取られるか…駆け引きと取られるか…だな、だが彼女の顔から察するに、不要な争いは意味がない、と言うことだろうな

 

 

「じゃあ、そう言うことで」

 

「では、先鋒の役目、果たさせて貰う」

 

 

 

 こうして、私達はメイプル君、サリー君を含めた4人パーティとなった




遂に3日目!

遂に遭遇!

そして流れる様なモブの扱い!

基本的にモブはさらっと流します、面白そうな戦闘が思い付けばやりますよ? えぇ(目そらし)

ここから少し原作準拠で参ります


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気弱な同僚とゲーマー少女

本日は2話目の投稿となっております、お気をつけ下さい


 メイプル君とサリー君を疑似パーティーに加え、向かってくるモンスターをシールドアタックのみで倒し、先へ進む

 

 

「霧の中なのに、わかるんですね」

 

「ただの気配察知だ、君の反応を見る限り、君も持っているだろうスキルだ」

 

 

 モンスターが来るとき、僅かだが反応していた、それは事前に動けるようにしていたからに他ならない、僅かな動きでも、スキルの1つや2つ、確認することは可能だ

 

 

「ふむ、段差がわかり辛いマップで、隠密系の敵モンスター、中々に姑息な手だが、有効な手段だ」

 

「モンスターが徹底してコウモリ型ですからね」

 

「2人して凄い平気で進んでるし」

 

「あの魔法どうやったら覚えられるかなぁ」

 

「メイプル君ならば、多少無茶をすれば取れるだろうな、私からは仲間を守り続けろ、としか言えないが」

 

「なるほど」

 

「良いんですか? スキルの取得方法、断片的にでも教えてしまって」

 

「構わない、基本となる情報がない状態で、取ろうと思って取れるほど、このスキルは安くない」

 

 

 その後、メイプル君が水の音を頼りにセーフティーポイントを発見、一休みすることになったのだが

 

 

「卵か」

 

「まだ何の卵かわからないんですけど」

 

「ふむ、完全にランダムなのか、ある程度プレイヤーに合わせるのか、重要なのはその辺りか」

 

「プレイヤーに合わせる場合、メイプルが2人居る状態の戦闘か」

 

「や…やりたくない」

 

「だろうな、未だに有効打が得辛い状況だ、私も戦闘は遠慮したい」

 

「MPに限界があるから私もやりたくない」

 

 

 メイプル君本人には自覚が無いまま、対メイプル君をしたくないと言う意見が一致した、特にサリー君は間近で見ている分、私達よりやりたくはないだろう

 

 

「まあ、私達が詮索するようなことではないな、共に行動している間に生まれた場合、私達は一度席を外す、その間にステータスの確認、方針などを話すといい」

 

「あー、その辺考えてなかった、ありがとうございます」

 

「いや、大人の嗜み、と言うものだ」

 

「多分、一般的な大人の嗜みではなく、女性に対する紳士の嗜みだと思うのですが」

 

「む…そうなのか、イギリスに留学した時に知り合った友人から教わったのだが」

 

「うわぁ、紳士の国の人だ」

 

「そうなの?」

 

「一般的に紳士と言われると真っ先に名前が出る程度には有名だな」

 

 

 なるほど、どうやら意味合いが少し違った様だな、そう直すほどのものではないと思うが、どうしたものか

 

 

「直すほどのものではないかと、そのままで大丈夫です」

 

「そうか、ミィがそう言うのであれば、このままでいいか」

 

「(今、シルトさん喋ってなかったし、表情もそこまで変わってなかった、ミィさんってシルトさんの考えが読めるの? それって…)」

 

「(なんか、大人な会話だなー)」

 

 

 勘付いたサリー君、軽く考えるメイプル君、どうやら両者には恋愛的な察知能力に明確な差があるらしいな、まあ女子学生が皆が皆、恋愛事に得意…と言うわけではないだろうからな

 

 

「ふむ、そろそろ進もうと思うが…どうか?」

 

「あ…はい、大丈夫です」

 

「わ…私も大丈夫です!」

 

「そうか、では出発する」

 

 

 事前に方向を決めた通り、上流に向かって進む、危なそうな所に盾魔法で足場を作る、メイプル君がおっかなびっくり跳び移る中、サリー君はミィの隣まで進み、話し始めた…この距離だと聞こえるのだがな

 

 

「あの、ミィさん」

 

「なんだ?」

 

「シルトさんと仲が良いんですね、ちょっと表情が読み辛いので驚いちゃって」

 

「む…そうか、あの人は確かに表情にはあまり出ず、だからと言って目が泳いだりはしない、私なりの見分け方だからな、これといったものもない」

 

「……ぶっちゃけて聞きますけど、付き合ってます?」

 

「そうだが、どうした?」

 

「(うわぁ、臆面もなく言ったぁ)いえ、ちなみにどんな所が?」

 

 

 少し驚いたサリー君、しかしそこは花の女子学生か、他人の恋愛話は大好物であるらしいな…一般的な女子学生はこうだと聞いたが…あっているのだろうか?

 

 

「そうだな、先ずはさっきや今の様な紳士な所」

 

「確かに、あんなに出来る人居なさそうですよねぇ」

 

「それと、妙に子供っぽい所」

 

「えっ…そんな所が?」

 

「あぁ、同じ盾役としてメイプルと張り合っては居るな、現状の差はわからないが」

 

「確かに、この足場も凄い計算して作ってますし、メイプルでも普通に跳び移れるくらいの間隔ですし」

 

 

 後ろを見れば、徐々に楽しくなっているだろうメイプル君が、はしゃぎながら足場を跳び移っている、あれだけ見ていれば、この第1回イベント最大のダークホースとは…誰も思うまい

 

 

「後は…そうだな、話さずとも察してくれる所」

 

「へぇ」

 

「気まずいことは余程の事が無い限り深く聞かない所」

 

「察して聞かないでいてくれる感じですか」

 

「後で気が付く失敗を気付く前にリカバリーして、尚且つ黙っていてくれる所」

 

「本人に悟らせないってヤツですか」

 

「それと」

 

 

 その瞬間、ミィの後ろからモンスターが奇襲しようとしたのを察知したサリー君が振り向く前に、盾魔法のシールドアタックでモンスターを倒す、勿論ミィには悟らせていない

 

 

「前を歩いていて、後ろを向いていないが、見守られている様に感じる所」

 

「へ…へぇ(今がっつり察知してましたけどぉ!? 見てないけど見てますよあの人!? モンスター呻き声上げない所を見るに気付かせずにやってますよ!?)」

 

「他には…」

 

「ま…まだあるんですか」

 

「まだまだあるぞ?」

 

「えっと…あ、シルトさん、止まったみたいなんで、次で最後に」

 

「む…仕方ない、最後か…やはり」

 

 

ーーー自分を一番に見てくれているとわかる所

 

 

「だな」

 

「うわぁ」

 

「む、どうかしたのか?」

 

「どうかしたの? サリー」

 

「イエ…ナンデモ」

 

 

 少ししか経っていない筈なのに、げんなりしたサリー君だったが、まあ…今回は聞いた側に問題があった様だな

 

 

「(私も、そう言う相手…出来るのかなぁ)」

 

 

 さて、サリー君が戻るまで見張りをしておくか




はい、ノロケ回です、最初の犠牲者はサリーです、メイプル? 色々な経験値が足りない様だ

ちなみに一連の会話はシルトは聞こえております、難聴系主人公ではありません、ただ護ると決めた相手にどんな状況であれ、真っ直ぐに向き合い、不器用でも気持ちを伝えるべし、と話に出たイギリスの友人から教わっていたため、本人もその通りに動くべきだと考えた結果が今のミィのノロケです

後イギリスの友人の登場予定はありません、人物像も自由に想像していただいて構いません


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堅物先輩とゲーマー少女

 サリー君が泉の底から杖を持ってきた、残念ながらまともに使える者は居ない、ミィの杖は火属性特化、水属性など使えない、そう言うことで私に来たのだが

 

 

「売るしかないな」

 

「きっと、2つの属性を使う人が居ます」

 

「そう言う人物は大抵魔法自体を強化してくると思うのだが、役に立つのだろうか」

 

「それ、言っちゃいけないヤツですよ、多分」

 

 

 明らかにハズレなのだが、そしてついに2人の卵が孵った、亀と狐、ステータス的には2人と似た形となるのだろうな、暫くして2人と合流し、進みながらレベリングをする、どうやら隠す手段が今のところ無いらしい…なので

 

 

「打ち落とす」

 

「シロップ! 食らいつき!」

 

「朧! 狐火!」

 

 

 私が、モンスターを地面に落とし、その隙に攻撃、経験値とする、どうやらプレイヤーとは経験値の幅が違う様なので、数を狩らねばならない様だ、私達のレベルがここのモンスターに比べて高過ぎる…と言うのもあるだろうな

 

 

「ふむ、今日はここまでだな、もう夜だ」

 

「うわ、確かに、明日に備えないと」

 

「では、私は護りを固める」

 

「わかりました」

 

 

 まだ知られる訳にはいかないので、ノーアクションで熱き門の守護王(レオニダス)を発動、モンスター対策の為に城壁を展開する、と言っても最小限だが

 

 

「うわ、城みたいなのもつくれるんですね」

 

「あぁ、私の数少ない自慢でね、これがあるからこそ、私は今まで戦ってこれたのだ」

 

「なんか、信頼出来る一番って良いですね」

 

「そうだな、君の眼ほどではないにしろ、私の中では…そうだな、2番目に信頼出来る」

 

「……眼…ですか」

 

「あぁ、道中で君が放った拳、あれは私の拳を模倣したものだな? あれ自体はスキルもなにもない、だが君が数度見た程度で模倣したと言うならば、私も流石に気付く、拳速はそちらに分がある様だが」

 

「あはは、シルトさんとミィさんは騙せませんか」

 

「なに、私は模倣を悪とは言わん、特に君は模倣しただけでなく、自分なりの次への繋げ方もあるし、その技の出し方も考えている、ならば武術家として、君のソレは称賛されるべきものだ」

 

 

 そんな言葉を、サリー君は驚いた顔で見る、どうやら過去にソレで謂れの無い言葉を言われたことはあるらしいな

 

 

「気にするな、とは言わない、だがその眼も間違いなく君の一部だ、加減する必要は…この世界に限るのであれば、どこにもない」

 

「なんか…ミィさんが貴方を好きな理由…少しわかった気がします」

 

「………そうか」

 

「まあ、私からすればお父さんって感じですけど」

 

「………良く知り合った人からはそう言われるな、同年代の友人ですら…だ」

 

「うわぁ、業が深そうな話ですね」

 

「だが、それは私個人の感情…他人に向けるものではないからな」

 

「………ちなみになんですけど」

 

「なんだ」

 

「信頼出来る一番ってなんですか?」

 

 

 明らかにわかっている顔だ、そして先ほどのミィとの会話の後の反応、大体聞きたいことの答えを知っていながら、尚も進む、その気構えは良いと思うが

 

 

「二の轍踏まずとは考えないのだな」

 

「鉄火場の中でなら考えます」

 

「そうだろうな、ならこちらも相応の態度で示さねばならない」

 

 

 なにやら後ろでミィとメイプル君が聞き耳を立てているが、大人しく見張り番を任せて寝てはくれないだろうか

 

 

「私の信頼出来る一番、それはミィだ、私は不器用で、上手く表現し辛い人間だと、自分でも思っている、だがミィは私が考えていた通りの解釈をしてくれて、それに従ってくれている、ズレた道は正してくれる、だから私も迷わず、自信を持って前を見れるのだ」

 

「なんか、予想してましたけど、話結構ヘヴィですよね」

 

「一般的な恋愛観からすれば、確かに距離感がおかしい所があるだろうな、だが君はわかっていながら聞いてきた、ならば私も相応の態度で返す」

 

「ですよねぇ」

 

「人生相談であれば付き合おう、時間はまだある」

 

「あははっ、そっちもバレてます?」

 

「君の眼の話辺りからな」

 

 

 少し、周りから見れば分かり辛いと言われるだろう、だがわかる時はわかる、今回は私が上手く察知しただけのこと

 

 

「……そうですね、私…ゲーム好きなんですよ、でもたまに眼で見て覚えた物を再現して、別のゲームから引っ張ったりを繰り返してたら…まあ」

 

「誹謗中傷とは、どこでもあるものだな」

 

「……はい、まあこの話はさっきので吹っ切れちゃったんですけど」

 

「そうか、ならばいい」

 

 

 子供は大人が護らねばならない、そう彼も私も信じているし、実行してきた、しかし得意分野でないとしても、ネットの世界までは手を出せない、誰がどう言った意図でやっているのかを眼を見ず、顔も見ずに察知することは出来ない

 

 

「もし君が、私を頼ることが出来る状況であるならば、頼ってくれて構わない、子供を護るのも、大人の勤めだ」

 

「いや、シルトさんのソレって勤めじゃなくて性分じゃないですかね?」

 

「む…性分か、意外にしっくり来るな」

 

「自覚無かったんですね」

 

 

 まさか人生相談をされていたら、していた側に回っていたとは、中々得難い経験だな

 

 

「さて、夜も長いが、どうしたものか」

 

「じゃあ、ミィさんのどこが好きか…で」

 

「まったく、懲りないな、サリー君は」

 

 

 そして後ろのミィに誤爆していると思うのだが、いや、視線が後ろに向いているので、これは意図的にやっているな、中々に強かな子だ




はい、ミィに続いてシルトに行くサリー、恋愛話に餓えていたのだ、そして翌朝砂糖を吐くサリーと介護するメイプルが居たとか居なかったとか、顔真っ赤にして後ろを歩くミィが居たとか居たとか、まあミィは確定事項ですね


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続・堅物先輩とゲーマー少女

ちょっとはっちゃけます、ご了承下さい


 一夜明け、尚も霧の中を進む、途中でシロップと朧のレベルが上がり、指輪の中に戻す事が出来る様になったようだ

 

 

「しかし、面倒だな」

 

「では」

 

「あぁ、空間把握…展開…構え…ふんっ!」

 

 

 この洞窟の幅ギリギリで盾魔法を展開してシールドアタックを使用、霧ごとモンスターを押し出す、道中で盾魔法を使った時、霧が僅かに動いた、つまり盾魔法で触れることの出来る物と言うこと、ならばこれ以上に有効な物はない、今まではレベリングもあったので封印していたが、メイプル君には一度見せた技、ならば遠慮は要らない

 

 

「すご…射線上のモンスターが…今ので全部」

 

「どうやら、霧の発生源も発見出来た様だな」

 

 

 目の前で霧を吹き出す壺、誰がどう見ても怪しい物だ、ならば罠か、モンスターの類いではない、トラップも…無いな、マルクスほどの物を日々見ている中、ダンジョンのトラップごとき、雑事に等しいな…だがあからさま過ぎる…接触型か?

 

 

「むっ、まさか!」

 

「トラップ!?」

 

「防御は任せろ」

 

「はい!」

 

 

 霧が濃くなり、この場に私とサリー君だけになり、目の前に現れた騎士の攻撃を盾魔法で止める、その間にサリー君が連撃を加えていく、更にサリー君の不規則な動きが加速していくが、やはりアレの不規則に振られる剣が邪魔か…ならば

 

 

「即席だが、合わせようか」

 

「………行きます、超加速!」

 

「不規則展開…空間型拘束」

 

 

 相手の拘束ではなく、あくまで足場としての展開、だが相手にとってはその武器が振り回せなくなり、サリー君にとっては足場であり、盾である

 

 

「そう言えばアニメの技とか使ってたなぁ…なら! 私にだって! ウィンドカッター! ウィンドカッター! これが」

 

 

ーーー疑似再現・鶴翼三連

 

 

「なるほど、真っ直ぐではなく、湾曲して飛ばしたか」

 

「シルトさん見てたら、出来るかなって、それに避け辛いだろうなって」

 

「図らずも、成長を促してしまったか」

 

 

 目の前の騎士が剣を無理矢理振り回し、剣の光を増大させていく、流石にこの状態でサリー君を前には出せんな、剣を振った後の光の帯にも当たり判定がありそうだ

 

 

「サリー君、次にアレは光での一撃を放つだろう、私がアレを止める」

 

「その隙に私が防御無視攻撃を入れる」

 

「そうだ、攻撃の当たらない範囲に足場を作る、とにかく走れ!」

 

「はい!」

 

 

 今ならば、十全に能力を発揮出来る、アレはサリー君を見ていない、邪魔をし続けた私だけを見ている、ならば

 

 

「最強の盾として、推して参る!」

 

 

 盾魔法を多重展開し、手への妨害と、剣本体への妨害、その2つでなんとか防ぎきる…かなり威力があった様だな、だが明確な隙だ…そしてその隙を逃がす彼女ではない

 

 

「ディフェンスブレイク!」

 

 

 止まった、モーションの全てがキャンセルされたのだ、そして技の硬直に入ったサリー君に騎士が狙いを定めーーー、させるか! イメージを引っ張り出せ、妨害…ダメージ…彼の極刑王ならば可能!

 

 

「貴様の血、我が城門の前に晒そうか、串刺城塞(カズィクル・ベイ)!」

 

 

 騎士の足元から、サリー君の邪魔にならない様に杭のイメージで盾魔法を生やして拘束する、この盾魔法の仕様は見せるつもりは無かったが、仕方ないな

 

 

「これでも…まだ!」

 

「いいや、ここまでだ」

 

「炎槍!」

 

毒竜(ヒドラ)!」

 

 

 応援が到着した、最早アレが勝てる手段など…どこにもない、騎士は度重なるダメージと、毒によるダメージで崩れ落ちる、サリー君がこちらに駆けて来る…殺気!?

 

 

「炎槍」

 

毒竜(ヒドラ)

 

「ッ! サリー君!」

 

「なんで!」

 

「さてな、だがわかっているのは…あの騎士を倒すことがトリガーの様だな、先にミィの偽物を倒す、先程の技…まだやれるか? AIがどの程度かわからないので、一撃で仕留めたい」

 

「………大丈夫…やります! それに私だって、メイプルの偽物作られて怒ってるんだから!」

 

「そうか…ならば行くぞ! 偽メイプル君の毒は気にするな、絶対に通さない!」

 

「行きます、ウィンドカッター! ウィンドカッター! ウィンドカッター! ウィンドカッター! 超加速ーーー」

 

 

ーーー再現超越・鶴翼六連!

 

 

「もう…この技は覚えた!」

 

 

 やってくれたか…ならば私も対人戦用の物で、盾魔法のレベルがⅩになった時に現れた技、封盾(ふうじゅん)を使う予備動作に入る、準備中は盾魔法以外使用不可だが、相手に当てた場合、任意のスキルを封印出来る、幸いメイプル君の火力と速度は低いからな、問題無く当てられた

 

 

「これで、毒魔法…否、その大元が絶たれた、これで貴様はただの的だ」

 

「うわぁ、そういうのもあるんだ」

 

「出来るだけ早く倒してくれ、技の使用中…動けないんだ」

 

「デメリット大きすぎない!?」

 

 

 必死に偽メイプルを攻撃して、なんとか倒すことに成功した、メダルを回収して先に進めば、どうやらミィとメイプル君は先に倒していたようだ

 

 

「シルトと一緒に戦って、どうだった?」

 

「凄い安心します」

 

「そうだろう」

 

「ミィさんも凄かったですよ! 特にあのーーー」

 

「その事は黙ってて」

 

 

 ふむ、秘密兵器…と言うヤツか? まあ私と一緒では奥の手など、早々に切る必要が無いからな

 

 

「さて、先に進もうか、流石にもう終わりだと思うのでな」

 

「えぇ、賛成です」

 

「もー少しこのままでもいいかなぁ」

 

「そうだね、なんか楽しいし」

 

 

 私達はそのまま、霧の渓谷を抜け、森へと出た

 

 

「さて、ここまでだな」

 

「短い間だったが、世話になったな」

 

「いいえ、こちらこそ」

 

「ありがとうございました!」

 

 

 やはり、子供は笑顔でいるのが一番だな

 

 

「行くぞ、ミィ」

 

「はい」

 

 

 私達はメイプル君達とは反対の方向に進んだ、イベントはまだ半分、なにがあるかわかったものじゃないな



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気弱な同僚と襲撃

 さて、4日目ももう半分終わり、漸く折り返し地点だ、しかしこうなにもないと逆に怖いな

 

 

「はい、以前までのプレイヤーの波を考えれば」

 

「単にプレイヤーが集まっていた状況がおかしかったと言えばそれまでだが」

 

 

 モンスター自体は居るので、それを倒しながら進むしかない、しかしこうなにもないと

 

 

「なにか起きてほしい、と言うのは贅沢か」

 

「普通のプレイヤーではそのなにか…で負ける可能性が高いかと」

 

 

 確かに、今までのプレイヤーを見ていれば、中途半端なパーティや、集中し過ぎて他に意識を向け辛いプレイヤーも居た、そう考えれば、周りを見ながらなにかに徹するプレイヤーはあまり居ないことに気付く、まあサリー君は素で出来ているので、あまり周囲に出来ていないプレイヤーが居ない

 

 

「パーティ分けを考えねばな」

 

「はい、マルクスやシンをどうするか…ですね、ミザリーはかなり分かりやすい」

 

「あぁ、ミザリーさえきっちり護れば、自ずと結果が着いてくるからな」

 

「シルトを見て盾役を買って出るプレイヤーも増えましたから」

 

「そうだな、そのうち強化合宿でもして、盾魔法を布教すべきか?」

 

「…周りに既に知られている物ですし、防御力にブレ幅があるにしても、複数人で重ねられる状況なら」

 

「私1人より、燃費が良さそうだな」

 

「シンが一番使えるかと」

 

「自身を守りながら崩剣による攻撃、やらせてみるか」

 

 

 その時、シンは言い知れない悪寒がしたとか、しなかったとか、そして後日、ミザリーに無理矢理回復されながらアルマジロと戯れるシンが居たとか、居なかったとか

 

 

「後は…ふむ、敵か」

 

 

 夕焼けに染まる地平線を背に、少女が周りの装備から2つ、手に取った、胸から肩に掛けての鎧、盾、そして杖…は単に支えに見えるが

 

 

「地平線より、貴方方へ問いかけます」

 

 

 影が立ち上がる、剣、槍、双剣、多種多様な武器を持つ人影、どうにも多人数相手が多いな

 

 

「杖と盾、またこちらの武装を」

 

「…いや違う、用途が違う、何も起動していないにも関わらず、盾が光っている、アレは何かしらのスキルを常時発動している、と言うことだろう」

 

「ならば先ずは、能力偵察」

 

熱き門の守護王(レオニダス)

 

「貴方達の感情を教えてください」

 

 

 盾が光り、鎧が光る、それと同時にすべての人影にエフェクト、まさか付与系統装備か、とすれば盾はカバー系統、杖は…攻撃か? どちらにせよ

 

 

「ミィ! 検証だ、ノックバックを」

 

「はい! 爆炎!」

 

 

 命中…ノックバックは…まて、ダメージがないのはわかる、カバーしたと思われるからだ、しかしノックバックも受けるはずだが、攻撃を直接受けた者がノックバックを受けた…とくれば

 

 

「防御力の譲渡、または同一化、平均化、色々あるが」

 

「この人影すべてが、メイプルと考えた方が良さそうですね」

 

「そうだな、貫通主体で頼む」

 

「わかりました、付与《STR》」

 

「では、防御主体、貫通重視で、推して参る!」

 

 

 ヒット…ダメージが通る? 刺突系は確かに貫通ダメージ主体、しかし妙だ、私とミィでは火力に差がある…これは!

 

 

「わかったぞ、ヤツらはお互いを庇う時、防御力を飛躍させている!」

 

「メイプルより厄介な! 高機動のメイプルと言う認識ですか」

 

「それで間違いない、だが」

 

 

ーーー血楔防壁陣(ケイルバリケイド)

 

 

「動けなくすれば問題は…なに!?」

 

 

 突如…今まで動かなかった者の射砲撃、宙に浮かせた弓からの一撃は味方…正確には私の盾魔法を射抜きーーー破裂させた

 

 

「ッ!! ミィ! 拘束されている者を順番に撃ち抜け!」

 

「はい! 炎槍!」

 

 

 拘束し直すが、弓自体を止められないのでは、少しずつ動きを取り戻す者たちは出てくる、アレは厄介だ

 

 

「くっ」

 

 

 更に、弓が炎槍を撃ち抜いた時、炎槍が破裂した、アレは攻撃が当たった物を破裂…力を暴走させているのか!

 

 

「遠すぎる」

 

 

 距離が遠い、順番に敵を減らしているが…どうすれば

 

 

「貴方方への“嫉妬”を検知」

 

 

 僅かだが、出力が上昇した、つまり何かしらの要因で彼女が強化されていくのだろうが、現状では情報が少なすぎる!

 

 

「貴方方への“強欲”を検知」

 

 

 盾がさっきよりも、いやそれよりも! 嫉妬に強欲? まさかあの宙に浮く全て、いやその一部が大罪を模した装備か!

 

 

「全従僕の消失を確認、これより全力通常駆動を開始」

 

 

 まずい、盾魔法の効力が落ちた、いや…落ち続けている(・・・・・・・)、使えば使うほどに落ちる、悪夢の様なものだ、ミィの攻撃も少しずつ弱くなっている、対応策は…アレしかない、だが…どれを対象にする、決定的な一撃は必ず命中させなければならない

 

 

「あぁ、終わってしまう」

 

 

 嘆き? いや、これはーーー

 

 

「悲嘆での怠惰を検知、超過駆動」

 

 

 大剣がその身を翻し…長い砲塔を出現させる、アレは砲台でもあったのか、どうする…アレを受けきるにはーーー

 

 

「シルト! 走って!」

 

「ッ!! 南無三!」

 

 

 策があるのかーーー否ッ! 絶対に信じる、その先に未来が、希望があると!

 

 

「発射」

 

 

 そして私はーーー光に包まれた




これ、元ネタ有名ですけど、わかりますかね? 結構好きな作品ですから、この作品を通して、より多くの人に知ってもらえたらと思います

タグの更新は戦闘が終了次第、させていただきます、明らかにネタバレでしかありませんし、ネタバレあまり好きじゃないですし


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堅物先輩と気弱な同僚…決着、そして

本日2話目になりますので、お気をつけ下さいーーー以上


 光の中を走る、目の前には馴染みのある物が攻撃を受け止めているーーーこれは

 

 

「もっと…いい場面で使いたかったんですけど」

 

 

 光が収まり、後ろを見た時、ミィには馴染みのある籠手が装備されていた、つまり

 

 

「なるほど、そういうことか、納得した、そして」

 

 

ーーー心強い!

 

 

 少しずつ出力が落ちる盾魔法、だが私ほどではなく、今は私以上に防御力がある、あぁ、ミィは何時も…こんな気持ちだったのか、ならばそれはーーー私の救いだ

 

 

「ーーー君の“嫉妬”を、封印させてもらう」

 

 

 最初に起動した嫉妬に狙いを定めて封盾を当てる、恐らくそれが核、外れていれば負けだが、装備が1つ1つと落ちて…消える、後に残ったのは、少女ただ1人、どうやらこれが正解か

 

 

「ーーーエラー」

 

 

 倒れた少女を支える、冷たい、機械か?

 

 

「報酬は、この子…なのか?」

 

「…運営に抗議文を送っておきます」

 

「…今回はそうした方がいいだろう、しかしこれでメダルも揃った、どこかでイベント終了まで立て籠りたいな」

 

「一番安全なのは宿、次点で洞窟ですね」

 

「そうだな、では…行くとしよう」

 

 

 数歩歩いて気付く…そう言えば

 

 

「ミィ、今回の盾魔法、良かったぞ」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

 

 連れたって歩く、この中で気になるのは、やはり背負った少女、ステータスを見る限り、ステータスオール10、HP、MP共に100、どうやらここからレベルアップで先ほどの戦闘で見せた武装を使える様になっていく様だ、ただプレイヤーレベルには効果を下げる…当たり前だな、そして…名前か

 

 

「名前ですか」

 

「あぁ、暫く悩むことになりそうだ、どうやら自動人形と言う種類で、種族名は“焦がれの地平線”、レベルアップ毎にアップデートされる、と言う説明通りなら、成長するごとに戦略に幅が出るキャラクターだな、さっきのを見る限り、固定砲台が正当路線みたいだな」

 

「…正反対ですね」

 

「まったくもってその通りだ、ただなにかしらのクエストを踏んだ様でな、メイプル君やサリー君の様な絆の架け橋と言う装備が出てきたので、サポートモンスター…と言う扱いなのだろうな」

 

「では、残りのイベントは」

 

「この子のレベルを上げながら、防御しやすい所を探す」

 

「かしこまりました」

 

 

 しかし、これは他のプレイヤーから勘違いされそうだな、明らかに事案だと思うのだが、いや、そちらは今考えるべきではないな

 

 

「ミィ、なにか良い名前はないだろうか、どうにも苦手でな」

 

「名前…ですか、シルト…ミィ…シルフィはどうでしょうか」

 

「………なぜそこで私とミィの名前を捩ったのかは敢えて聞かない、だが他に案もない、シルフィ…か」

 

「認証コード確認、シルフィ・ホライゾン…起動」

 

「「ファミリーネームがあったのか」」

 

「おはようございます、お父様」

 

 

 いきなり爆弾を投げつけられた気分なのだが、正直隣を見るのが怖い、私がそうさせた訳ではないのだが

 

 

「あ…あぁ、おはよう、もう夜だが」

 

「…お父様?」

 

「違いましたか? ログからはお父様が名付けしてくださったと、いえ、もう1人…女性が案を出したと…では、お母様?」

 

「ッ!! ワンモア!」

 

「お母様」

 

「シルト! 娘を認知してほしい!」

 

「いや待つんだミィ、気が早い、この事はじっくり話を…して」

 

 

 むぅ、どうにも気弱な目には弱い、そしてシルフィ、なぜ君もその目で見てくるんだ…そう言えば、あの友人はこんな時に…なんと「おい、認めてやれ、きちんとした繋がりがあるんだから」いや自分が関係無い娘の認知の話からは程遠いものだ、いや…だがしかし

 

 

「………わかった、好きに呼んでくれ」

 

「ありがとうございます、お父様」

 

「これで晴れて夫婦ですね」

 

 

 なにか…大事な物を護る為に、なにかを犠牲にした気がするのだが…今度、彼に相談してみよう、こういった類いは得意分野だと言っていたはずだからな

 

 

「しかし、装備が無いのは不便だな、レベルアップをどうするか」

 

「適度に弱らせて拘束するしかないかと」

 

「そうだな、幸いにもやりようはある」

 

 

 シルフィはその後、モンスターを相手に殴る、殴るを繰り返したが、一向にレベルが上がらない、経験値テーブルが狂っている様だな

 

 

「少しも成長した感じがありませんね」

 

「これから…と言うことだろうな」

 

 

 なんにしろ、認めたからには、娘の様に愛情を注ぐべきだな、目標は定まった、やることも確認した、後は進むだけだな

 

 

「これからよろしく頼む」

 

「こちらこそ、よろしくお願いいたします、お父様、お母様」

 

 

 しかし、ミィが凄く気に入っているようだから、関係はこのままで経緯だけ運営に連絡しておこうか




や…やりきった、そしてこれで良かったのか悩みものです

タグは本日の夜変更いたします、それまではネタバレ防止だと思ってください


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電脳娘とレベリング

本日は3話目となります、お気をつけ下さい

尚、今回の主題はレベリングとなりますので、サブタイは電脳娘となります、次話どうしよう、娘視点?


 さて、5日目の朝だ、今日はシルフィのレベリングに集中する、まだ殴ることしか出来ないからな

 

 

「おや」

 

「レベルアップか、もう昼なのだが」

 

 

 丸半日掛かって、漸くレベル2、苦行だな、ただスキルとしては中々に見所があるな、特に武器最適化、武器術と言うスキル、これは手にした装備を十全に使いこなすためのものか、そう言えば使えない杖があったが、これであればどうだろうか

 

 

「杖…ですか」

 

 

 ふむ、杖を装備すると同時にスキルに火魔法と水魔法が追加されたな、ステータス的にはMPとINTが強化、STRとVITが弱体化、本当に最適化だな

 

 

「では、私は固定砲台ですね」

 

「絶対に攻撃は通さない、安心して狙いをつけるといい」

 

「こんなに安全なレベリングもあまり出来ませんからね」

 

 

 そこからは拠点を探しつつ、魔法での殲滅が開始された、明らかに効率が上昇し、行進速度が増した、今のフィールドは森だが、火魔法があるので火力については問題ない、なにせモンスターは昆虫型ばかりだからな

 

 

「そう言えば、ユニーク装備はシルフィに装備出来るのでしょうか、出来るのであれば籠手を装備させれば遠近両立出来るのでは?」

 

「どうだろうな…ふむ、装備可能、すまないミィ、一時的に絆の架け橋を預ける、予備の装備もあったのだが、籠手は全て強化に費やしてしまっている」

 

「かしこまりました、シルフィ、これを」

 

 

 絆の架け橋をミィが装備して、装備を付け替える、ちなみに杖は絆の架け橋を外した瞬間に私のストレージに戻ってしまっていた、そして籠手と女性用バトラー一式、つまりメイド服を装備したシルフィのステータスだが

 

 

「どうやら、対応幅の広い装備が一番最適かと、籠手だと全体的にステータスが上昇しております、レア度によって変わるのか、はたまた一律かはわかりませんが」

 

「なるほど、この籠手は特殊だからな、近接アタッカーだけでなく、盾役、延いては魔法的な技能ですらあるからな」

 

「これで、お揃いですね」

 

 

 不覚にも不意討ちを食らってしまった私は後ろを向いた、ミィは直撃したらしく、シルフィに抱き付いている、こうも平和だと、イベントと言うことと、ゲームであることを忘れそうになるな

 

 

「そうだ、スキルに関してはどうなっている」

 

「はい、体術、大盾の心得は勿論、不屈の守護者、盾魔法、その他カバー、カバームーブに関しても習得しています」

 

「構成がやはり特殊か、さっきのは単純に魔法だけだったからな」

 

 

 そうこう話している間にも、シルフィはモンスターの攻撃を盾魔法で止め、籠手で流し、カウンターを決めながら戦っている、余裕があればシールドアタックまでしているのだから、後は練度さえ上げればプレイヤー以上になるな

 

 

「スタイルがシルトに似ていますね」

 

「当然です、お父様の戦い方は理想です、お母様の戦い方はどうしてもお父様ありきになってしまうので」

 

「ぐっ、シルト…娘が反抗期だ」

 

「………すまない、過保護にし過ぎたか」

 

 

 確かにミィの射砲撃は私の防御ありきだ、そこは否定しないが

 

 

「いや、ミィは私が護っているのだから、そのままで大丈夫だ」

 

「シルトぉ」

 

「ふむ、少し範囲を広げて戦闘してみましょうか」

 

 

 必死に私がミィを慰めている間、シルフィはずっとモンスター相手に戦闘していたらしく、気が付けばレベルが上がっており、メイド服に見覚えの無い装飾品が増えていた、ミィに確認して貰った所、防具最適化らしい、そして一時的に指輪の中に戻す方法、休眠と言うスキルも覚えたが、まあ使うときはあまりないだろうな

 

 

「しかし、夜だな」

 

「また野宿ですか」

 

「しかし、お父様の盾魔法だと野宿とは言い難いのでは」

 

 

 確かに、野宿とは言い難いな、まあ今回は木の上がちょうど良さそうなので、盾魔法で床を敷き、更に盾魔法を展開しているので、襲撃には安心だな

 

 

「なにか、子供の秘密基地に似ている様な」

 

「昔、小学校の時に夏休みの工作でな、先生には怒られてしまったが」

 

「当たり前ですよ!? 夏休みの工作とは…もっとこう、手のひらサイズと言うか」

 

「………私も後々後悔したのだ、あれは工作の範囲を越えていたと」

 

「あぁ、後でちゃんと自覚したんですね」

 

「ただ…その後そこが公園に改修された時、そのままアスレチックとして流用されてしまってな」

 

「アスレチックに出来る秘密基地ってなんですか!」

 

 

 いや、あれは本当に予想外だったのだが、子供たちの喜ぶ顔を見たら…どうにもな、結局たまに職員の方々とアップデートを繰り返すうちに、最早遊園地に近くなってしまっていたし、気付けば避難所指定されるほどの小屋も建てていたか

 

 

「シルト、防御だけではなく、工作の方も凄かったんですね」

 

「………久しぶりに見に行ってみるか」

 

「………」

 

「シルフィは…寝ているか」

 

「可愛いですね」

 

「あぁ、短い時間だが、娘とはいいものだな」

 

 

 そうして、5日目は無事に終了した、後丸2日、シルフィのレベリングも丸1日使いそうな勢いだが、明日は山登りだからな、そこで洞窟などがあれば良いのだが




シルトやミィの挑戦した体術と盾魔法専用クエストはクリア後の再挑戦可能、この度に籠手と、男性ならバトラー、女性ならメイド服を貰えます、ミィは納得行くまでクリアし続けたので、気が付けばシルトより装備があり、全て強化に費やしました、その結果娘の過保護装備になり、下手な中堅プレイヤーを制圧出来る娘が誕生しました


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電脳娘とスパーリング

本日は4話目となります、お気をつけ下さい

今回はシルフィ視点です、まさかミィ視点より先にすることになろうとは、この海のリハ(ry

それはそれとして、今回はムード的には防振りではなく刃牙の親戚かなにかと思ってください、ちなみにスパーリングと言っていますが、シルトとやっている訳ではありません

尚使っている技に関しての更新はなしです、リアルでもある技なので


 イベント6日目の本日は私、シルフィ・ホライゾンがお送りいたします、イベント終了間近と言うことで、張り切っておられるモンスターさん方が朝からひっきりなしに襲いかかって来ます、本日の戦闘はお父様とお母様に許可を取り、なにも無ければ私1人で戦闘することになっております…では

 

 

「遠隔展開、殴打」

 

 

 表示枠型の盾魔法で、跳び掛かるモンスターの横から殴ります、怯んだらお父様から教えていただいた体術で倒すだけです、他にもモンスターが襲ってきたりもするので、その度に策を練ったりしているのですが、お父様の様に即座に対応は難しいですね

 

 

「ですが」

 

 

 この力を使い続ける限り、敗北は許されません、お父様は未だに敗北していないのですから、だから

 

 

「例えプレイヤーであろうと」

 

 

 短剣使いの投擲、斜めに展開した盾魔法で上に弾く、そのまま近付いて来た短剣使いを極小展開した盾魔法を踏ませて、バランスを崩し、お父様直伝のフィニッシュブロー

 

 

「ガゼルパンチ」

 

 

 お父様からは、ダッキングから素早く、且つ最短で、相手に向かい跳び上がる様に前に出つつ、拳が一番威力を発揮する所を狙って伸ばす…でしたか、私の場合、動いている相手はやはり苦手なので、この様に絶対に回避出来なくしてから打ち込みます

 

 

「なっ!?」

 

「余所見は禁物です」

 

 

 お父様直伝の魔法砕きをファイアーボールに当てつつ、魔法使いの背に盾魔法を標準サイズで展開、咄嗟に後ろに跳び退くのを阻害…動きが止まりましたね、では…お父様直伝フィニッシュブローパートツー

 

 

「ナックルアロー」

 

 

 左足を大きく踏み込み、弓を引き絞るかのように構え、右足をダッキングの要領で加速、腰の回転を加えつつ、踏み込んだ左足も回転をしながら踏ん張り、最後に振りかぶった右手を回転しながら相手に打ち込む

 

 

「どんどん娘が大技頼りになるのだが」

 

「当てる為の小技をアレンジで入れていますし、寧ろ大技を聞かれるままに教えたので、当然かと」

 

 

 別の魔法使いから撃ち込まれる魔法に対しては、残身の体勢では上手く避けることが出来ないので、仕方なく自分を盾魔法で右に飛ばします

 

 

「なっ!? 自分に攻撃した!?」

 

「フレンドリーファイア扱いなのでダメージはありません、後シールドアタックもしてないのでそもそもダメージがありません」

 

 

 そして吹っ飛ばした先には崖となっておりますので、そこで魔法使いは私が崖から落ちると思って意識を外した、はい…外させて(・・・・)頂きました、なので戸惑いなく空中に盾魔法で足場を形成、魔法を撃とうとしている魔法使いの左頬を

 

 

「ナックルアロー」

 

「げぇっ!?」

 

 

 戸惑いなく殴らせて頂きます、ちなみに今回は逆サイドから盾魔法でシールドアタックを敢行させて頂きましたので、威力120%になります

 

 

「経験値…ありがとうございました」

 

「ふむ、サリー君と組んだ時を思い出すな」

 

「………彼女はあの様な動きを?」

 

「あぁ、私の展開した盾魔法を足場にしたり、通過中に盾にしたり、まあ…色々だな」

 

「私なりに考案した戦い方なのですが」

 

「いや、そのままで大丈夫だ、寧ろ組み合わせとしては最高の部類に入るだろう」

 

「確かに、見ていて少し焦りはしますが、知っていれば安心して見れますね」

 

 

 そのサリー様と言う方とお会い出来れば、もう少しこの戦い方を勉強出来るでしょうか、それは是非ともやりたいですね、それに聞けばサリー様は双剣、リーチは似たような物ですので、動き自体も参考に出来ますね、ただ大技は控えて相対しなくては

 

 

「ならば次は小技で対応します」

 

 

 ダッキング、スウェーから始まり、拳でのパリィなど、防御はお父様の得意分野ですから、余さず技を覚えます、逆に攻撃は大技が多い様です、まあお父様は防御系の小技で相手のバランスを崩して無理矢理撃ち抜くスタイルですから、仕方ありませんね

 

 

「ジャブ、ジャブ、ボディー」

 

 

 と見せかけてテンプル、これはコークスクリューブローとは逆、外側に拳を無理矢理回転させ、且つ肘を下にではなく、上に上げることで、途中で急激な変化を与える殴り方…だそうです、お父様の物は見よう見まねで、親しい友人の方が使えたそうです、その方の方が私のスタイルに合っている気がしなくはありませんが、私の一番はあくまでお父様ですから

 

 

「………シルト、無言で男泣きしないでください」

 

「………すまない」

 

 

 さて、かなり倒した筈ですが、まだまだ消化不良ですね、スタイルは見検破(ケン・ケン・パ)の要領で対応すればいいとか、見て…検証して…破る、と言う物みたいですね、お父様が素で覚えた喧嘩の仕方だそうです、なんでもイギリスのストリートでたまに絡まれたんだとか、ストリートボクシングの親戚ですか?

 

 

「あの時はモテた友人の近くに居たからと言う風評被害だったのだが」

 

「………ちなみに相手は」

 

「了承を取ってから、丁寧に(・・・)追い返した」

 

 

 今明らかに含みのある言い方だったのですが、本当に丁寧にやったのでしょうか、丁寧に殺った(・・・)の誤字でしょうか、まあ戦い方の参考としては十二分、盾魔法の展開も最小限ですので、まだまだやれそうですね



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電脳娘とゲーマー少女

えー、タイトルからわかる通り、VSサリーです、若干戦闘描写が細かすぎるとか、だれそうな気はしますが、完走して見せます


 モンスター、モンスター、プレイヤー、モンスターと、順調に山道で経験値を稼いでいた私の目の前に、青を基調とした双剣のプレイヤーの方、風貌からして、あの方がサリー様でしょうか

 

 

「えぇ、またシルトさんとミィさん…と、だれ?」

 

「お初にお目にかかります、私はお父様とお母様の娘、シルフィと申します」

 

「娘…娘ぇ!?」

 

「この子は少し前に遭遇したイベントを解決したときにパートナーモンスターとなった子でな、扱いは君達の朧やシロップと同じだ」

 

「ぱ…パートナーモンスター、なるほど?」

 

「しかし、こんなところでなにを? メイプル君は?」

 

「あぁ、メイプルならこの先の洞窟で拠点作りをしています」

 

「なるほど、毒で入り口を固めてしまう形か」

 

 

 洞窟で入り口を毒で固める、控え目に言って要塞かなにかでしょうか、ゲーム上山などは崩れようがありませんから、まさに要塞ですね

 

 

「すみません、サリー様…すこし、よろしいでしょうか」

 

「なにかな? って言っても、構えられたらわかるけど」

 

「今から私とスパーリングをお願いします」

 

「スパーリング? なるほど、同じリーチの人から技を盗もうってこと」

 

「率直に申しまして、その通りです、お父様も認める人であるなら、その技は有効であろうと判断しました」

 

「うわぁ、シルトさんの評価とかハードル高そー」

 

「確かに、他人を褒める様な言い方で話すのは少ないですね」

 

「…やっぱり」

 

 

 ともあれ、サリー様は構えてくださいました、これで心置きなく胸を借りれますね、先ずは…そうですね、左足と右足を同時に…平行に力を入れてーーー

 

 

「はやっ!?」

 

「縮地…カッコカリ」

 

 

 ジャブ、しかし右手の短剣で逸らされる、そのままバックステップ、身体が泳ぐ前に左手の短剣を回避、十手持ちの右手、逆手の左手、攻防一体でありながら、本人は回避系らしいので、回避型カウンタータイプですか

 

 

「縮地ねぇ、今のだと…こうかな!」

 

 

 今の一瞬だけで真似られてしまいましたか、しかし…やらせません、移動先に盾魔法を極小設置

 

 

「ふっ」

 

「いっ…まずっ」

 

 

 なるほど、下手にお父様の戦闘を見ているだけに、一瞬で順応しましたね…ですが、バック先に盾魔法を設置、これならば後ろに退けず、前から攻撃すればーーー

 

 

「後ろ!?」

 

「逃がしません」

 

 

 右ストレートに対して…向かって来ますか、ならば足元に…ッ!!

 

 

「それはもう見たよ」

 

 

 引っ掻ける直前で静止、そこから双剣で右ストレートを防御、左回転をしながら私の懐にーーー

 

 

「くっ、やっぱり硬い!」

 

「懐に入れてしまったのは不覚でした、ですが…先にヒットさせるのは私です」

 

「なんか…燃えてきた」

 

 

 どんなに速かろうと、どんなに複雑だろうと見抜く眼、それを模倣しうる体捌き、近接型に対する鬼ですか、あの方は

 

 

「ならば」

 

 

 お父様はあまり使いたがらない戦法で行きましょうか、お父様が若い頃に見た物語の技…その一部

 

 

「人形殺法・竜巻」

 

 

 流石に4本も腕がありませんが、右ストレート、左フックの様な盾魔法、打ち下ろしの盾魔法…そして

 

 

「後ろも!?」

 

 

 着弾はバラしてありますが…この方ならば…やはり、ダッキングに縮地を混ぜて来ましたか、ですが予想済みです

 

 

「今の体勢ならーーー」

 

「人形殺法・春一番!」

 

 

 自分の右足を盾魔法で無理矢理蹴り上げる、同時に右手はフックを放った盾魔法で弾き、バランスを無理矢理保つ、しかし空振り…と言うことは回避系のスキルですか…いえ、これは

 

 

「幻覚ですね」

 

「バレるの早くない?」

 

「まあ…お父様が非常識なので、幻覚くらいは常識の範囲内です」

 

 

 そう言えば、十字架を模した盾魔法でよく防ぎ切りますね、AIが演算で負けるとか、何気に人間卒業してますからね、お父様

 

 

「なんかわかる気がするなぁ」

 

「それと、サリー様の眼も…もうそろそろ」

 

 

ーーー覚えられそうです

 

 

「ッ!! そっちが本命!?」

 

「聞いた時から、どんなやり方で覚えているのか気になっていましたから」

 

 

 原理的には、技の出を視認、対処して体勢、残身、速度を検証、演算で可能かどうかを算出、原理を解析して模倣、その時に自分用にチューンアップする形ですね、彼女こそAIかなにかでは?

 

 

「模倣」

 

 

 縮地…はダッキングで迎え撃たれてますね、ならば左ショートアッパー、右手の短剣で跳ね上げて回避、左手の短剣は顔に向けて盾魔法を放って強制的に迎撃させて、ダッキングで更に突っ込み、右手の短剣の振り下ろし…は左に少し加速しながら盾魔法を斜めに構えて流し、そのまま左フック

 

 

「危なっ!?」

 

 

 は…バックステップで逃げられましたね、後ろに盾魔法を置いたのにロールしながらのバックステップ、やはり模倣や看破は向こうが上ですか

 

 

「うわぁ、確かに私の盗まれてるね、それの自由度たっかいなぁ」

 

「お父様を城塞足らしめる技ですから、弱い筈がありません」

 

「確かに…そりゃそー…っだ!」

 

 

 さて…どう攻略したものですかね…これ、お互いが同じ動きをしない千日手に入ったのですが、止め時を見失いましたね、ですが技を沢山見れるので収支はプラス気味ですね




はい、もう1話VSサリーが続きます、執筆が終わり次第投稿いたします、お楽しみ下さい

今回の更新は刀語の微刀・釵こと日和号の人形殺法です、ちょっとマイナーになりました、そしてそれらを悉く初見看破する脳内サリーの無敵具合がヤバいです


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続・電脳娘とゲーマー少女

 私が攻めて、サリー様が守る、サリー様が攻めて、私が守る、その連続だったのですが

 

 

「人の魔法を」

 

「踏めるのは知ってる!」

 

 

 なんて言って、こちらの盾魔法を堂々と足場にしてきました、ならば

 

 

「形状…変化…固定」

 

 

 三角形を作る、これならば踏めない、だけど向こうも承知の上…ならば…お父様直伝…非常識シリーズパートワン

 

 

「シールドタックル!」

 

「それ展開しながら突進とか、脳筋が過ぎる…よ!」

 

「………」

 

「えっ」

 

「捕まえました」

 

 

 お父様が何時も相手を拘束する為に使う技をアレンジ、箱で囲ってみました、それでシールドアタックを仕掛ければーーー

 

 

「なーんて、思ってない?」

 

「まさか」

 

 

 背後からの刺突を防御、もっと小さく、もっと薄く、数を増やし、手数を増やし、絶対不可避の一撃をーーー

 

 

「残念、時間切れ」

 

「まさか、魔法の遠隔操作」

 

 

 完全な不意討ち、HPはまだありますが、ここまでですね、先に当てたら勝ちにしてありましたから

 

 

「今回は勝たせて貰ったよ」

 

「次は負けません」

 

「なにか…混ざってはいけないなにかを見たような気分だ」

 

「明らかに学習させると手がつけられないタイプの物ですね」

 

 

 多人数戦になれるべきでしょうか、サリー様とは1人で複数人とやりあっている様なもの、ならば私はお父様の様に多人数戦を鍛えれば先ほどの不意討ちも防げたものですね、恐らく仕掛けたのは最初の幻覚の時、それ以外は目を離していませんから

 

 

「お父様、多人数戦の教導をお願いいたします」

 

「わかった、それならば良い場所を知っている」

 

「まさか、あの場所ですか?」

 

「あぁ、私がこの魔法を練習した場所だ」

 

「うわぁ、絶対ヤバいとこだ」

 

 

 えぇ、確実にヤバい所です、お父様ほどの人が修行するのに最適と言う場所は、凡そ一般人がソロで潜る所ではないと言うことです

 

 

「そうだ、メイプル君にもシルフィを紹介したいのだが、良いだろうか?」

 

「あー、メイプルなら喜ぶと思います、じゃあ成果も渡さないとですし、案内します」

 

 

 サリー様の案内で、私達は山道を進み、道中のモンスターとプレイヤーは全て私が倒しました、動きは最小限でサリー様対策で同じ倒し方です

 

 

「露骨に手数隠すなぁ」

 

「ライバルですから…多少は」

 

「…確かに、シルフィとはやりあってて楽しいし、技も覚えやすいし」

 

「……確かに、完璧さを追い求めましたので、サリー様の眼ならば逆に盗みやすいですね」

 

 

 これは失敗しました、まさか手抜きが対策になるとは、手を抜きながら当てる手段でも探しましょうか

 

 

「絶対ロクでもないこと考えてる顔だ」

 

「失礼な、能面フェイスと言って下さい」

 

「それ褒めてないでしょ」

 

 

 道中はサリー様と他愛のないことを話ながら、メイプル様の居る洞窟に到着しました

 

 

「………これが、娘の成長を見守る父の気持ちだろうか」

 

「………恐らくは」

 

 

 なにやらお父様とお母様がなんとも言えない顔になっていますが、っと言うより、どうやってこの毒沼を越えましょうか…いえ

 

 

「これがありましたね」

 

「あぁ、なるほど」

 

 

 盾魔法で空中を歩けばいいのです、サリー様も後に続き、奥へ奥へと進み、亀と狐に戯れている女性…あの方がメイプル様でしょうか、とてもお父様と張り合う…いえ、目指している方には見えませんが

 

 

「あっ…サリー! お帰りー、シルトさんにミィさんも!」

 

「この前振りだ、メイプル君」

 

「久しぶり…とは言えない日数だな」

 

「お初にお目にかかります、メイプル様、お父様とお母様の娘、シルフィです」

 

「えっ…娘!? えぇっと、えぇっと…おめでとう…ございます?」

 

「メイプル…それちょっと違う」

 

 

 話を続けても、やはりお父様がライバルとする様な方には見えないのですが、どういう方なのでしょうか、私の私見では人畜無害にみえるのですが

 

 

「まあ…ここでイベント終わりまで休むのも手だな」

 

「私は外でプレイヤー相手にしてるんで、どーぞごゆっくり」

 

「サリー様、私も対人戦をさせてください」

 

「えっ…まあ…いっか、じゃあ競争ね、どっちが多く倒せるか」

 

「了解です、全力でやりましょう」

 

 

 早速入り口に行ってみれば、毒床に怯んだプレイヤー達が居たので、盾魔法の足場を使い、一気に躍り出て強襲、続く二陣もそのまま撃破、2人でやると速いですね、ただ撃破スコアがやはりサリー様の方が上ですが

 

 

「また…会ったな!」

 

「なにしてるんですかカスミさん」

 

「ところで、そちらの方は」

 

「お初にお目にかかります、私は現在メイプル様とサリー様と行動を共にしております、シルフィと申します」

 

「これはご丁寧に、私はカスミと言う、どうぞ…よろしく」

 

 

 武人気質…と言えば良いのでしょうか、自然と歩く足が摺り足気味になっておりますし、縮地に似た技も使えそうですね

 

 

「メイプルなら奥で休んでる、今は私が洞窟の入り口を守ってるの」

 

「なるほど…しかしこの毒床、守る必要はあるのか?」

 

「………ごめん、多分ない」

 

「サリー様のこれは半分趣味ですからね」

 

「言い方! 私をさも戦闘狂みたいに」

 

「違うのか?」

 

「違う!」

 

「違うのですか?」

 

「だから違うって! どこが戦闘狂っぽいの!?」

 

「危機的状況になったら笑う」

 

「戦闘の攻略の時笑顔になります、越えたら満足気ですし」

 

「………ごめん、ちょっと休ませて」

 

 

 おや、サリー様にはダメージが大きかったですか、これで一勝ですね

 

 

「これ戦闘に入るの!?」

 

「相対とはなにも戦闘だけではありませんので」

 

 

 なにを当たり前な、取り敢えず一勝です、誰がなんと言おうと




やったねシルフィ! 一勝一敗だよ! 尚土俵が違う模様

と言う訳で、サリーに勝てるイメージが出ませんでした、許してください


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気弱な同僚と堅物な先輩…そして

 すみません、投稿がかなーり遅れました、そしてカスミとの対面ははしょりました…さらばカスミ

 と言う訳でイベント後の話です


 イベントは何事も無く終了した、スキルは無難に【フォートレス】を取得、そしてイベント外の事だが

 

 

「すまない、君に1つ依頼をしたい」

 

『君にしては随分急だな、どうした?』

 

「私の懐中時計を1つ、作って貰えないだろうか」

 

『アレ壊れたのか? 早々壊れる様な素材じゃ無いんだが』

 

「いや、壊れたのではなくてな、贈り物なのだ」

 

『贈り物? 君が? 本気過ぎないか?』

 

「あぁ、彼女を護る、そう決めた」

 

『わかった、ただお前のことだ、意味を言わず渡しそうだから、お揃いだとか、色々添えて渡すように、贈り物の意味くらいわかるだろう』

 

 

 贈り物の意味…あぁ、そうだ、確かに時計の意味は少し複雑だったな、中国では告別が近い語源であった筈だ、それを考慮していなかった

 

 

「………そうか、それがあったか、すまない」

 

『…何時に無くテンパってるな、まあ幸い、ボクの作った懐中時計で、ペア仕様なんて無いから、本当に世界で1つの物になる、そこはよーく説明するように』

 

「すまない…いや、ありがとう」

 

『後、写真でも良いから紹介してくれ、ちょっと…いや、かなり気になる』

 

「わかった、彼女に確認次第送る」

 

『そうしてくれ、完成したら郵送する、結婚したから住所が変わったとか言うなよ?』

 

「そこは安心してくれ、少し先だ」

 

『そう言えば、君はそういう慎重な男だったな、じゃあまた』

 

「あぁ…また」

 

 

 さて、依頼はした、後は場所のセッティングと、贈るタイミングだな、前にこの時計を依頼した時は…1ヶ月だったか? それを目安に立てるか

 

 

「会社で…平常心で居られるだろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

「あぁ、漸くか…おめでとうさん」

 

「………」

 

「どうした?」

 

「いや、驚かれると思っていたのだが」

 

「いやいや、他の子ならまだしも、あの子なら驚かねぇよ、寧ろ漸くなのか? 熟年夫婦のソレだったんだが」

 

「そう…なのか?」

 

「そーなの、そんで、あぁやってテンパってるのが正解なの」

 

 

 言われた方向を見てみれば、彼女が同期の女性になにやら言われたらしく、こちらを見て赤面している…ふむ

 

 

「お前…今和んだろう」

 

「………否定はしない」

 

「まあいいか、変な事にはならないだろうからな」

 

 

 その日は普通に終わった、ゲームでも普通だ、シルフィとなにやら話してはいたが…普通だ

 

 

「よっ、旦那…どうしたんだ?」

 

「いや、少しな…そうだシン、少し相談に乗ってくれないだろうか」

 

「………それは他に誰か居た方が良い話か?」

 

「そうだな、ミザリーを頼む」

 

「わかった、ちょっと雑学にも詳しいらしいから、マルクスも呼んどく」

 

「頼む」

 

 

 そうやってミィにプレゼントを渡す場所などを色々考えた、シンにマルクス、ミザリーはなにやら嬉しそうだったのだが…どういう事だろうか

 

 

「まあ…色々な人に手伝って貰ったのだが」

 

「なるほど、これが貴方の全力…ですか」

 

 

 かつての思い出の場所、今はアスレチック扱い…いや、あれから更に改良されたらしく、最早テーマパーク扱いとなっている公園、そこで私はあらましを話し…

 

 

「そしてこれがプレゼントだ、まだ結婚式は出来なそうだからな、先ずはお揃いから…と思ってな」

 

「これは…懐中時計…ですか?」

 

「あぁ、イギリスの友人が時計職人でな、学生の時に作ってもらった物と同じ物だ、デザインは友人曰く、彼と私をモチーフにしたと言っていたな」

 

「十字架に…盾…ですか?」

 

「あぁ、その友人はキリスト教徒でな、私を盾、彼を十字架、それを依頼した時計の装飾に選んだ、事実…一度コレは私の命を救ってくれた、まさに…命の恩人となる時計だ」

 

「それを…私に?」

 

「あぁ、私が護れない時、必ずその時計が護ってくれる、そしてそうならない様に、私が護る、だからどうか…護らせてはくれないだろうか」

 

「………あの時も…言ったじゃないですか」

 

 

ーーーお願いします、十司郎さん

 

 

「あぁ、ありがとう…美月」

 

 

 良かった、彼には…いや、彼だけではない、知恵を貸してくれたギルドの面々に報いねばな

 

 

「………所で、このロゴにあるS・A・Sって、私の記憶違いで無ければ」

 

「彼の会社の物だが」

 

「こっ…こここコレ…作ったのはまさか! なんて人と友達なんですか!?」

 

「そう言えば、彼の職業を言っていなかったな、すまない」

 

「なにか…凄く疲れました」

 

「送っていこう」

 

「………そこは嘘でも、家に寄らないか…くらいは言ってもいいと思います」

 

「………申し訳ない」

 

「良いです…でも」

 

「わかった…良ければ私の家で…休んでくれ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 今のうちに…理性の壁を厚くしなければ…む、メール?

 

 

『そう言えば言い忘れていた、ボクから彼女宛の手紙を時計に同封させてもらった』

 

「ッ!!」

 

「………と…十司郎…さん? こ…これ」

 

 

 細かく畳まれた手紙…内容は…最早小さなアルバムの様だった、彼との出会い…祝辞、なるほどこれは

 

 

「彼を結婚式のスピーチに、呼ばなくてはならない様だな」

 

「そ…そのようですね」

 

 

 まったく、この手紙を忘れていたくだりは嘘だろうな、彼なりの脅迫の仕方だ、言外に結婚式に呼べと圧力を掛けてきた、一会社の社長がそれで良いのだろうか

 

 

「後は…彼が自己紹介で職業を名乗らない様に祈りましょう」

 

「いや、彼ならやる」

 

 

 結婚式は騒がしくなりそうだ




 考えてる間砂糖吐きながら書いてました、そして登場予定をしていなかったウワサの友人…いったい何ーブンなんだ(棒読み)

 後…やはり更新はどうしても遅れてしまいます…気分屋で申し訳ありません


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堅物な先輩と男子会、娘の成長

ーーー後日、結婚前提の付き合いを男子会と称してギルドの主要メンバーに伝えた所

 

 

「やっとかよ、長かったぜ」

 

「む?」

 

「ボクら、色々手を回してたんだよ? 第2回イベントの時に2人で行動出来る様にしたり」

 

「そうなのか、それはすまない、いや…ありがとう」

 

「気にすんなって、ま…今度からミィさんは姐御って呼ぶけど」

 

「それ…慣れて貰わないといけないヤツだよね?」

 

「多分…大丈夫だとは思うが」

 

「ま…拒否されたらそん時考えるさ」

 

「そうか…所でシン、盾魔法を覚える気はあるか?」

 

「え゛っ!?」

 

「(あぁ、この前シンが嫌な予感がするって、そう言う)」

 

 

 他のギルドメンバーより汎用性がずば抜けるのは間違いなくシンだ、まあメリットとデメリットを伝えるが

 

 

「ヤバい…デメリットよりメリットがデカイ」

 

「だろうね、元から空間把握はこのギルドで上から数えた方が早いんだから、諦めなよ」

 

「ならマルクス…は他にギルメン居れば良いのか」

 

「そうだな、マルクスが覚えれば視認している所に薄い盾魔法を張ってバランスを崩すのが精々か、いや…逆にアリか?」

 

「まずい…ボクも逃げ道が」

 

「マルクス…頼むよ、一緒に地獄に行こうぜ?」

 

「ちょっ…ステータスで勝てないんだから引っ張らないでよ!?」

 

「………ミザリーを呼ぶか」

 

 

 この後無茶苦茶練習した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近ミィはシルフィの装備強化の為にあのイベントクエストをやり続けている、そろそろ最大強化までやっているのではないだろうか

 

 

「そう言うと思って、最大強化済みです」

 

「お母様の休憩中に私も彼に稽古をつけて貰ったのですが」

 

「…一撃が重すぎたらしく」

 

「成る程、ステータス的に勝てなかったのか」

 

「防御してもノックバックが発生してましたから、あのイベントクエストはシルフィに向かないかと」

 

「その代わりお母様の装備集めが捗りました」

 

「ついでに経験値も少々、それで新しいスキルなんですが」

 

 

 シルフィが新しく覚えたスキルは武装解放《聖譜》、特定の装備に特定の能力を付与するスキル、ただし最大強化した最低レア以上の装備なので、今は手軽な籠手しかない…だが

 

 

「籠手は攻撃の予測表示と武装遠隔操作…か、また一癖ありそうな能力だな」

 

「はい、ただ杖だと杖から魔法を撃てたりするので、完全に移動型固定砲台になったと言いますか」

 

「つまり、盾魔法で自分を護りながら、三次元軌道で杖が飛び、魔法を撃つと」

 

 

 使いこなせれば多人数を圧倒出来る装備だな…ただし

 

 

「はい、様々な装備で対応中です」

 

「手頃なのは槍と大剣ですね、多少の大雑把さをカバー出来ます」

 

「まるで小型の戦車だな」

 

「はい、大盾2枚装備でシールドアタックを使った時など」

 

「まさしく壁が迫る一撃か」

 

 

 色々な武器を試す過程で、武器の心得なるスキルが取得出来たらしく、一度に出す武器の制限が外れたらしい

 

 

「今は籠手の様に複数の武器を混ぜたクエストを探している所ですね」

 

「成る程、似たようなクエストならば、報酬もある程度は絞れる、大剣と大盾を混ぜたクエストがあれば」

 

「完全に戦車になります」

 

「その為に大剣を盾の様に動かす練習もしております」

 

 

 尚…練習台はシンらしい、シンも盾魔法の練習として相手をしているらしいのだが、お互いに戦法がワンパターンになるらしい

 

 

「そうだな、シンは小技主体、シルフィは大技主体か?」

 

「それに加えて大剣が空中から技を使うので」

 

「結果的にシンのトレーニングが主になっている…か、ならば私が相手になろう、娘の成長を見るいい機会だ」

 

「そうですね、お父様とのトレーニングであれば、考えたこともない戦法が見つかりそうです」

 

 

 そうと決まればシンと…後はギルドの大盾使いのメンバーだな、他には…いや…ここはいっそ盾魔法がどういった挙動をするのかを伝える為に全てのメンバーを召集するか?

 

 

「確かに…いざと言う時に動きがわかれば最小限の行動は自ずと出ますから…良い考えだと思います」

 

「ミィは念のため動画を頼む、後で来れないギルドメンバーに見せなくてはならない」

 

「かしこまりました、今から楽しみです」

 

「そうだな、全力で相手をしよう」

 

「こちらも、今出来る全てをぶつけさせて貰います」

 

 

 まだ…父として娘に負けるわけにはいかないな、装備は万全…後は精神力のみだな




さあ、次回はいざ…親子対決! 尚ミィは勝った負けた以前に盾魔法で勝てません、理由? 自分の装備を娘にあげたから

気がつけば第3階層とかそっちのけですよ、機械の町どうしよう、シルフィの独壇場…と言うか機械神…いや、あれはメイプルの物で

と言う訳で、今かららしいスキルを少々考えておきます、チートにはならない様に上手く調節しなくては、ではでは…次話も張り切って近日中に仕上げます


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堅物な先輩と電脳娘のスパーリング

えー、今回は技の更新があるのですが、わかるかなぁ、正解者が居たらタグに追加しておきます。

それ以外だと日曜日辺りに追加で、技名は出してないので、しっかりなやんでくださいね!

ちなみに技の元ネタのキャラクターはガンガンに攻撃特化の火力キャラとだけ言っておきます。


ーーーほぼ全てのメンバーが集まった

 

 

「ルールは1つ、先に攻撃を当てた方の勝ち」

 

「システムが許す限り、全てが攻撃手段…ですね」

 

「ミィ…合図を頼む」

 

 

 足を肩幅に開き、左手を前に…拳は下げる、右手は引き、槍を突く様に構える

 

 シルフィは…足を肩幅に開くのは同じだが、身体は前傾姿勢、両脇に大剣を浮かせている、突撃の構えだな

 

 

「では…いざ尋常に………」

 

 

ーーー始め!

 

 

「最小展開…ファランクス!」

 

「最小展開…モード…ソードフィッシュ…アタック」

 

 

 成る程、あれはシンの崩剣を真似たのか、技はシールドアタックにしても、この数は厄介だな

 

 

「だが…まだだ」

 

 

 大剣の出を潰しながら、盾魔法の槍を同じ盾魔法で弾く、距離があり…お互いに拘束系は不可能、弾幕は近寄れる薄さでもない…となれば

 

 

「先に崩すのみ…熱き門の守護王(レオニダス)

 

 

 キャパシティを増やし、防御しながらこちらも盾魔法を尖らせて飛ばす、シルフィは…大剣を振り回して無理矢理対処しているな…ならば

 

 

「捉える」

 

「む…ならば」

 

 

 大剣を拘束する…成る程、即座に武装を切り替えるか、それも杖、消費MP軽減も入れているな、いくら初級も初級とは言え、盾魔法と併用して乱射出来るものではない

 

 数多の盾魔法を貫き…相手まで届かせる為の技…思えば考えたこともなかった、防いでいれば…背に居る仲間が隙を突いてくれた、隙を作るだけで良かった…だがそれはーーー

 

 

「甘えだな…ならば…こうしよう」

 

 

 構えは…ナックルアローが最適だな、今からやるのは弓を放つ様にしなければイメージがし辛い

 

 

「なにを」

 

「最硬展開…」

 

 

 周りの盾を弾き、杖の魔法を反らし、射線を決めて…逃げられない様に弾幕を濃くして…

 

 

「今ッ!!」

 

「ッ!! そういう…ならば!」

 

 

 大盾が呼び出され…シールドアタックを放つ…だが無意味だ、放ったのは矢の様にした盾魔法、当然鏃の形にシールドアタックを放つことが可能、範囲の差が出る

 

 

「これでも…ならば…これで!」

 

 

ーーー熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

 

 成る程、盾魔法を密集展開…そしてそれぞれでシールドアタックを発動して防御力をカバー、それならば防がれるのも納得だな

 

 

「私ならば、密集させてシールドアタックの同時使用は考えなかった、既にシルフィの中で、盾魔法は私とは違う道を歩んでいる」

 

「………その様ですね」

 

「だからこそ、これは極致の1つ…他人が決めるのではなく」

 

「…自分で決める為の技」

 

「そうだ、私は今まで自分で決め技を作らなかった、作る必要性が無かったからだ、だが今は違う、雑魚を蹴散らし、強敵の攻撃を防ぐだけが盾魔法の真髄にあらず」

 

 

 自分で攻撃の隙を作りに行く、通常の盾役では不可能な役割、盾魔法を用いての遠距離からのシールドアタックによるノックバック、その為に範囲での技が必要で、先ほどの矢は点での貫通重視…そしてこれは

 

 

「壊れる事が前提ではない…壊れない事が前提の技、先ほどのシールドアタックの多重使用ーーー」

 

 

ーーー覚えたぞ

 

 

「まずい…これは」

 

「この身は盾、盾とは拳、ならばこの一撃は絶対に相手へと届かせる」

 

 

 盾魔法…最小展開…密集陣形…整形…完了…拳状に収束…シールドアタック…スタンバイ

 

 

「千手観音の一打」

 

「それは…まさか」

 

「束ねたのだ、先ほどの様に…1つに…今出せる全ての盾魔法を」

 

 

 全ての防御は連続でのシールドアタックに敗れ、回避も防御も出来ない状態でシルフィにシールドアタックの1つが命中した

 

 

「私の勝ちだ、だが1つ…学ばせて貰った」

 

「でしたら…良かったです、先ほど盾魔法を矢の様にする技、使わせて頂きます」

 

「そうだな、私では熱き門の守護王(レオニダス)ありきだからな、シルフィならば移動しながら狙える」

 

 

 さて…盾魔法を上手く使える人材がシン以上に居るだろうか、教導役は3人…難儀だな

 

 

「すげぇ…オレも早くあんなことやりてぇなぁ」

 

「あぁ、オレ達だと1つ1つは脆くても、集めれば」

 

「防ぐだけが盾役じゃない、防ぐだけで満足したくない、やろうぜみんな!」

 

「ヒーラーの方! 練習に付き合って下さい!」

 

「アタッカーもタイミング計ったりする練習にお願いします!」

 

「手伝ってやるよ! だからキッチリ覚えろよ?」

 

「やる気出てきたぁ!」

 

 

 思いの外…効き目はあったか

 

 

「すまないミィ、少し…ダンジョンにソロアタックをしてくる」

 

「わかりました、気を付けて」

 

「あぁ、必ずや必中の極意を掴まねば」

 

 

 そうだな…籠手を嵌めているが…弓は使えるだろうか…もし使えるのであれば、今回の矢に弓のスキルを乗せることが…あるいは可能かも知れない

 

 

「シルフィ…先ほどの矢にした盾魔法を弓に使用することは可能か?」

 

「やってみます」

 

 

 普通の弓を取り出し、盾魔法で矢を作る、7枚の盾魔法で防いだ様な、バリスタに近い大きさではなく、普通の矢くらいに細いものだ、それをつがえ、弦を引き

 

 

「パワーシュート」

 

 

 真っ直ぐ飛び、練習用の的に命中する、今度は技を使わずに放ったのだが

 

 

「威力…弾速…共に向上、使えます」

 

「ならば良し、弓も練習すれば動けない分をカバー出来るな」

 

 

 そうと決まれば…練習あるのみだ!



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ーーーと電脳娘のスパーリング

えー、この話は前話のシルトの使用した技に関する話と、色々あったフラストレーションをぶつけた結果になります、ご了承下さい。

後オリキャラ3人目だよぉ、どうすっかなぁ、このキャラ、書いてるとなんかこう、ノっちゃうんだけど。

それはともかく、スタートです。


ーーー好きなアニメがあった

 

 

 勿論今でも好きだ、私の青春のバイブルだ、だけどあんな非日常はそう無くて、だからバーチャルゲームと言う非現実に手を出した

 

 

ーーー結果的には正解だった

 

 

 当たらなければどうと言うことは無い(キリッ、なんてしてしまって、HPもVITも全く振ってない、センスがギリギリ生き残る程度にあったから、稼ぎなんかもほどほど、完全にエンジョイ勢のソレだった

 

 それで、ちょっとした失敗でピンチになった時に、あの人に助けられた、今私が所属するコミュニティ、ギルドシステムがまだ無いので、仮名炎帝の国はミィさんを中心に、副リーダーのシルトさん、ミザリーさんにマルクスさん、シンさんの5人がメンバーを引っ張っている

 

 最近娘らしいパートナーモンスターが来たので、一時期コミュニティメンバーのみの掲示板が落ちかけたけど、そこはそれ、私はその親子対決を見て、盾魔法の魅力に取り憑かれた、あれは私の世界をこの世界に落とし込む唯一の方法だ

 

 

「そうだ、これだ…これこそが」

 

 

 あの子から学んだ武器の心得、お誂え向きなスキルで、スタイルが完成した時にあの子と模擬戦をすることを条件に、私は盾魔法と武器の心得を鍛え続けた、気付けばソロで戦闘出来るし、戦闘法は臨時のパーティーメンバーに合わせて変更可能だから楽

 

 でも私が一番得意なのはやはりソロらしい、ここ最近はあの子…シルフィちゃんとの戦闘が一番楽しい、そんなあの子が誉めるサリーって子とも戦いたいなぁ

 

 

「それじゃあ…今日も」

 

「はい、存分に」

 

 

 私は無手、予測不能な戦闘とまで言われる私は、武器の心得による初心者武器の取っ替え引っ替えが主な戦術、とりあえず突っ込んで

 

 

「《刀》…更に《双剣》、ダブルスラッシュ!」

 

「近づけさせません」

 

 

 私の剣撃を幾重にも張られた盾魔法がそれを阻む、だけどそれは折り込み済み…これで先ず一手!

 

 

「くっ」

 

 

 頭上から大剣に似せた盾魔法を降下させる、勿論インパクトにはシールドアタック、盾魔法の耐久度は無に等しい、でもその分STRは鍛えた、シールドアタックだけならこのコミュニティ1の威力なんだ!

 

 

「これは…盾?」

 

 

 その反応…いただき!

 

 

「『盾ではない! 剣だ!』」

 

「なん…ですって?」

 

 

 いや…その返しは作品が違うよシルフィちゃん、まあアニメ知らないから仕方ないんだけど、仕方ない

 

 

「次!」

 

 

 薄く…薄く…薄く、極限まで薄く…そして鋭く…今!

 

 

「蒼の一閃」

 

「成る程…盾魔法のシールドアタック、刀でのスラッシュを上乗せ、威力が前線プレイヤーのソレですね」

 

「それは良かった」

 

 

 怯んだ所に籠手と短剣で再度突撃する、飛んでくる盾魔法や武器は、前面に張った逆三角の盾魔法でシールドアタックをして掻き消す、そして短剣はさっきと同じ様に薄くした盾魔法をスラッシュで飛ばす準備をして…今!

 

 

「甘いです、全方位…隔離…捕まえました…これで!」

 

「『ぶっ飛ばせ! アーマーパージだッ!!』」

 

 

 身体の表面に盾魔法を張って、全方位に向けてシールドアタック! 攻撃は弾け飛び、盾魔法の結界は崩れた…そして今! まさに土煙でこちらを視認出来ていない今ならば!

 

 

「ふぅ」

 

 

 弓を持ち、矢を構える…鏃は無く、そこに盾魔法で鏃を作る…範囲はわかる、射線も把握済み、ここっ!

 

 

「矢…ですが」

 

「甘い!」

 

 

ーーー∀∀デ・レ・メタリカ

 

 

 シルフィちゃんが盾魔法で防ぐ一瞬、そこにシールドアタックによる一撃を加える、手加減の無い範囲最大、威力最大でだ、当然鏃に盾魔法が仕込まれたなんて知らないんだから、いきなり矢が爆ぜた様に感じただろう

 

 

「だけどまだ…トライアロー!」

 

 

 ダメ押し3発! これでーーー

 

 

「ーーーこれで、終わりです」

 

「えっ…」

 

 

 なんで…後ろに、さっきまで前に居た…居たはずだ!

 

 

「盾魔法でシールドアタックを自分に向けて撃ちました、挙動は」

 

「対象にはダメージが無い状態で押し出す…成る程」

 

 

 つまり、連続で楕円を描いてシールドアタックを自分に使い、こっちが視認する前に土煙を利用して後ろに回った…と

 

 

「完敗かぁ」

 

「ですが、あの矢は素晴らしい発想でした、わざと鏃の無い矢を作り、鏃を盾魔法で作ることで普通の矢と思わせ、特に意味の無い牽制と思わせ、防ぐならそのままシールドアタック、ですが避ける場合は」

 

「盾魔法自体を操って、急に矢が曲がる様にする」

 

「流石です、まあサリー様に通用するか微妙ですが」

 

「ホント…どういう子なのかな、サリーって子は」

 

 

 まあ…知る場面は直接対決の鉄火場が良いんだけど、贅沢かなぁ

 

 

「でもまぁ、予想外の収穫はあったよ、まさか鏃作って小型にしたらシールドアタックが凄い範囲になったんだから」

 

「そうですね、私やお父様、そして他の方はそこまでSTRが高く無いですから」

 

「シンさんがやったら出来そうなんだけど、シールドアタック使わないしなぁ」

 

「お父様に報告ですね、シン様の大幅強化プランが出来ました」

 

「そりゃあ良かった、じゃあ私はソロに戻るよ」

 

「お気を付けて」

 

 

 いやぁ、楽しかった、それにしてもシンさんの大幅強化プランかぁ、多分私も呼ばれるよね? メインメンバーに選ばれたらどうしよう!?

 

 

「楽しみだなぁ」

 

 

 まあ…後日…別な意味の予想外があったんだけど、それはそれで楽しかったし、嬉しいこともありました、とゅーびーこんてにゅー…って所かな?




と言う訳で、前話のシルトの使用した技『盾魔法で矢を作って飛ばす』ですが、正確には技じゃないんですよね、アレ。

元ネタは『戦姫絶唱シンフォギアXV』にて、雪音クリスがアマルガムを使用しての初戦闘時に、今話で使った∀∀デ・レ・メタリカの前に放った、矢の先端に防御フィールドを集中させる、と言う物です。

あ、昼くらいにタグを更新致します。

………はい、投稿した後アニメ見返して、技ですらなかったです、申し訳ない、なんでアレで通常技なんですかねぇ。

まあ代わりに∀∀デ・レ・メタリカ再現出来る様に出来ましたし、もしかしたら今後この設定を生かせる…はず! えぇ、勿論犠牲者はシンです。

後台詞の一部に『』を使っている部分は、シンフォギア内での台詞になります、そのせいで筆がノった訳ですが、後悔はしません!

今話も読んでいただき、ありがとうございました。


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とある夫婦と社会科見学…前日譚

えー、大分期間が空きましたが、お久しぶりです

今回からサブタイを変更して参ります、まだ入籍してないけど

それではどうぞ


ーーーそれは突然の出会いだった

 

 

「社会科見学?」

 

「そうらしいですよ? これ」

 

「ふむ、成る程な、こっちの部署では私と美月か」

 

「はい、今のうちにレクリエーションを考える様に…と」

 

「…この部署でレクリエーションは難しいと思うのだが」

 

「仕事内容、他の部署の応援ですから」

 

「む…『他の部署に比べて特色が無いので、自由にしてよし』…逆に困るのだが」

 

「意見を纏めましょうか」

 

「そうしよう」

 

 

 取り敢えず、コピーして、レクリエーション提案をエクセルで作成、この部署宛の特記事項に赤丸を入れて回覧したのだが、なんだこれは

 

 

「料理…だと?」

 

「……まさかここまで満場一致とは、どうしますか?」

 

「………腹を括る、提出してこよう」

 

「私も行きます」

 

「すまない…いや、ありがとう」

 

 

 なんて会話をしていたのだが…

 

 

「ん? 料理か…成る程、そう言えば君、料理出来たな? 大分前だが、慰安旅行の際には助かった」

 

「は? はぁ、確かにレパートリーは多くありませんが」

 

「良いだろう…許可する、そして社内通達だ、当日は食堂を貸し切り扱いとし、昼に提供する社内食担当も兼ねて貰う、メニューは追って知らせに来てくれ、朝に社会科見学の学生を食堂に集合させ、私がスピーチをする、そこで君達が料理実演、各部署を回ってもらい、再び食堂、その時食事だ、学生に絡む様にも言うか」

 

 

 マズイ…なにがマズイかどうかはわからないがマズイ、このままでは社内食を1日だが担当することになってしまう…そして私は既に決まってしまっている

 

 

「完璧だな、決まったぞ、後で日程表を送る、担当を決めておいてくれ、だが君は確定だ」

 

「………わかりました」

 

 

 決まってしまった、通ってしまった、まさか部署の集計表でそうなるとは思わなかったんだが

 

 

「あー、手伝います」

 

「………ありがとう」

 

「いっそ2人のことも大々的に発表するか? アレの日程は大体決まってるんだろう?」

 

「なぜそれを」

 

「君の性格を読んだだけだ、君は堅実だからな、ある程度予測出来る、スピーチもしてやるぞ?」

 

「それは私の友人に依頼しております」

 

「そうか…それは残念だな…む? そう言えば君達のアレだが、まさかこの日か?」

 

 

 社長がカレンダーをパラパラとめくり、ある日を指した、その日は確かに合っている…だが社長には話はおろか、まだ2人しか知らない話…いや待て、居る…1人だけ居る…話した相手が

 

 

「まさか」

 

「そのまさか…だ、アイツ…黙っていやがった、自分の親友が私の会社に入るの黙っていやがったな」

 

 

 忌々しそうに手に取った懐中時計を睨む社長…やはり…彼か、世間は狭い

 

 

「はぁ、私のスピーチも強引に捩じ込むか?」

 

「………確かに…やり返してもバチは当たりませんが」

 

 

 確かに彼は知っていて双方に黙っていた可能性が高い、ならばスピーチが1つ増える程度…大丈夫だろう、担当のアドバイザーの方は混乱するだろうが、察して欲しい

 

 

「色々あったが、頼むぞ」

 

「わかりました、そこで量が作れて、人数分作りやすいとなると、カレーになるのですが」

 

「おぉ! 君のカレーか! それはいいな! あの時食べたカレーは確かに旨かった、許可する! 難ならポケットマネーから材料費を出してやる! いや元々出す予定ではあったが、気構えが違うな!」

 

「そ…それは…ありがとうございます」

 

「ッ! そうだ、ヤツに写真でも撮って飯テロ? とやらをやるのもいいな、察していないヤツをアレの日に真相をぶちまけてやる!」

 

「………程ほどに…お願いします」

 

「任せておけ! ヤツのぎゃふんと言う顔を見れそうだからな!」

 

 

 なにやら、社長が燃えている、いや…分からなくは無い、無いのだが…大丈夫だろうか

 

 

「それでは…失礼します」

 

「うむ! 楽しみにしているぞ!」

 

 

 などと満面の笑みが返ってきたのだが、本当に大丈夫だろうか、いや…今回ばかりは彼を庇うのは出来そうにないから…仕方ないと割り切ろうか

 

 

「と言う訳で、当日の社内食担当となった、なぜ企画が通ったのか」

 

「いや、前の料理だろ、あん時社長バクバク食ってたから、絶対通ると確信してたね、俺…ってか、それ目的で書いたし、なんか回りもそうっぽかったけど」

 

「そうそう、あの時のカレー美味しかったから、通ると確信してました!」

 

「そ…そうなのか」

 

「おう! っつぅ訳で、お前らぁ! 当日は2人が午前中どころか1日使い物にならなそうだけど、仕事やりきるぞぉ!」

 

「「「「「オーッ!」」」」」

 

「いや待って欲しい、まさか」

 

「あん時も短時間で作ってたし、今回は息ぴったりの助手付き! お前たちの分まで仕事やるからよ!」

 

 

 まさか…そうなるのか、私と美月だけでカレーを作るのが確定してしまった、これは

 

 

「美月…当日は私の全てを料理に注ぐ」

 

「畏まりました、私も…全力で料理に取り組ませてもらいます」

 

 

 食材は…さて、何人前用意すればいいんだろうか

 

 

「言い忘れていた!」

 

「しゃ…社長?」

 

「材料はこっちで手配しておく、ちょうど農家に伝がある」

 

「わ…わかりました」

 

「うむ、ではな」

 

 

 本当にそれだけ言って帰った

 

 

「材料の事は考えなくて済みそうだ」

 

「えっと…カレーの時間配分…決めましょうか」

 

「………そうしようか」

 

 

 当日は地獄になりそうだ




えー、設定としては社長は何ーブンさんの関係者、そして何ーブンさんは興味本意で就職先を聞いていたので、確信犯です、なので後日何ーブンさんはしてやったりの顔をされ、逆ドッキリを仕掛けられます、企んだアンタが悪いとは考えた私自身思いました…えぇ

一応社長の元ネタあるんですよねぇ、ゲーム側に出すかどうか、いっそ楓の木にぶち込む…ありですね、ストーリーが少し組上がりました、と言う訳で、オリキャラ…4人目です、頑張ります


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とある夫婦と社会科見学…当日・前編

ーーーとある学校

 

 

「ねぇ理沙、楽しみだね社会科見学!」

 

「あー、ただ普通の社会科見学とは大分違う様な」

 

 

 楓は楽しみにしている様だけど、普通工場とかテーマパークみたいな所とか、スーパーや幼稚園なんかが社会科見学だったりする筈なんだけど

 

 

「普通にビル会社なんだけど」

 

「担任の先生に聞いたんだけど、社長と校長が仲良いらしいよ!」

 

「うわぁ、知りたくなかった、その情報」

 

 

 まあ、楽しめるだけ楽しんで、学ぶだけ学びますか!

 

 

「おーい、列に並べー」

 

「「はーい」」

 

 

 クラス毎に整列し、担任の先生達の前に…幼女? が立った、ただの迷子? いやスーツだし、まさかねぇ

 

 

「うむ、よく来たな、私がこの会社の社長、キャロ・ルシアンだ、今日は存分に楽しみ、学び、これからの糧としてくれ、社員たちには歓迎するように言ってあるからな、まずはちょっとしたレクリエーションとして、食堂に移動するぞ」

 

 

 まさかだった、本当に社員…いや社長だったとは、まあ成長なんて人それぞれーーー

 

 

「ちなみに私はアメリカの方の大学を飛び級しているから、君達の年齢より些か幼いだろうがな」

 

 

 前言撤回、まだ子供だった、いや身分は大人だけども!

 

 

「先ず玄関ホール、奥が食堂になる、私から見て右が製造部、左が営業部だ、階を上がる毎に色々部署があるぞ、まあそこはさておきだな」

 

 

 私達は案内のままに食堂に入り…そして私と楓は驚愕した、だって色んな意味でインパクト強いよ、カッターシャツにエプロン(左下にクマのアップリケ入り)と、もう1人は普通に割烹着だし…と言うか

 

 

「ねぇ…楓…あれって」

 

「うん…シルトさんとミィさんだ」

 

「やっぱり…世間って狭いなぁ」

 

 

 エプロンがシルトさん、割烹着がミィさん、2人とも似合ってるのがもう…と言うか…なんでこの2人なんだろう

 

 

「では、これより特務部による料理実演を始める…まあ私達2人しか居ないが、実際は何人か居るのだが」

 

「うむ、この日の為にヤツらは1日走り回っておる、人徳だな!」

 

「恐縮です」

 

 

 うん、人徳は納得する、あの人の性格なら絶対あるに違いない、あぁいう人が上司だとやっぱり違うんだろうなぁ

 

 

「先ずはーーー」

 

 

 そこから始まった料理…それは凄いとしか言いようがない、お互いの邪魔をせず、かといってぎこちない雰囲気でもなく、何気なく出した手に収まる器具、後ろも見ていないのにそのやり取りを見るだけで色々察してしまう

 

 

「はっはっはッ! 驚いているな? 確かにこの2人は普段の業務も優秀だが、2人揃えてやると普段より成績が良くてな、今の料理など、一種の芸術だな」

 

 

 確かに、言ってる間も、オイルを敷いたら直ぐに野菜が入り、肉が入り、準備が出来たら鍋に入り、無駄が無いしアシストにすら繋がっている、色んな意味で強敵じゃないかな?

 

 

「うむ、一先ずはこれまで、事前に漬け込んである鍋もあるので、今から適度な温度に暖める、昼食は任せたまえ」

 

「楽しみにしてるぞ! それでは次だ、ついてこい!」

 

 

 やっぱり…あの2人は別格だなぁ

 

 

「凄かったね、さっきの料理」

 

「色々ハードル高いわ、と言うか…アレ最初に見せると他キツくない?」

 

「うむ…確かにそうだ、1人の時は見たことがあったが…パートナーのあるなしであぁも違うのか」

 

「いや…多分アレパートナーで済みませんよ?」

 

「あぁ…言い方が悪かったか? ジャパニーズ風に言うなら…伴侶…だ」

 

 

 その瞬間色々な悲鳴が響く、男子の涙混じりの悲鳴と女子の興味津々な悲鳴だ、やっぱり恋バナっすか…もう通ったよ、甘過ぎて砂糖吐くくらいの

 

 

「うむ? お前たちは興味がない…いや…その態度…未知ではなく既知である反応…何か知っているな?」

 

「いっ!?」

 

 

 鋭すぎないかな!? ここの人間ってみんなそうなの?

 

 

「まあいい、少し調べれば大体わかる…そら、次に行くぞ」

 

 

 やはりと言うべきか、その後の見学はインパクトに欠けた、いや料理だからアレを最初に持ってこないといけないのはわかる、多分だけど社内食全部作ってるんだろうなぁ、2人だけでこの会社の社員分+私達の分、あの2人やっぱりリアルスペックおかしい、いやでもそうか…おかしな話ではない、あの盾を作る魔法は空間に設置…移動させたり出来るから、空間認識能力は自然と高くなる、更にコンビネーションは抜群となるとおかしくはない…んだけど

 

 

「いや…ゲーム内スペック極め過ぎでしょ」

 

「ふむ…ゲームか、戦闘モノをあの2人がコンビを組めば…まあ敵無しだろうな」

 

「いっ!?」

 

「なるほど読めた、あの2人の鉄火場で培った様な息の合った行動、君達の接し方…全てな」

 

「あ…アハハハ」

 

「まあいい、娯楽程度で人間の基本スペックが育つなら手間はない…いや…私もやるか…どんなゲームだ?」

 

「えっと…NewWorld Onlineってゲームです」

 

「そうか…面白そうだ」

 

 

 うわぁ…ヤバい人の目だぁ、なんかどっかで見たことある目だ

 

 

「しかし恐らくだが、人を動かすのが日に日に熟達されている、コミュニティの長辺りはしているだろうからな」

 

「そ…その通りです」

 

「暫くは根なし草か…君達とやるのも悪くはない…か?」

 

「えぇ…本気ですか?」

 

「本気だとも、まあ…会う機会はあるだろう、その時は頼むぞ」

 

「あの2人には頼らないんですね」

 

「ゲームでも上司と一緒に居られるのはあの2人くらいだ」

 

「あー…確かに?」

 

 

 会社の上司と部下…同僚とかの雰囲気じゃないからなぁ、まあ仕方ないし…ギルド戦もあるみたいだから良いかな



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とある夫婦と社会科見学…当日・後編

本日は2話目です、お気をつけ下さい


 他の部署を回って食堂に戻ったら、凄い数の職員が居た、私と楓は話すことがあるし、列の最後に並んだ、正直お腹空いてるから中々拷問だったけど、仕方ない

 

 

「こっちでは初めまして、ミィさん」

 

「ッ! サリーか、君達の学校だったのか」

 

「はい、なんか…凄かったです…料理」

 

「私も十司郎も料理は得意だから、数があるのは大変だったけど、それでみんなが笑顔になるなら…安いものだ」

 

「ホント…似てますね、2人とも」

 

「そうか? …そうか」

 

「いや、2人ならまだしも1人で甘い空間作らないでくださいよ」

 

「む…それはすまない、それはそうと君達で最後みたいだからな、後はセルフサービスだ、昼食にするから一緒に食べよう」

 

「わかりました、席取っときますね」

 

「頼む」

 

 

 ホント…ゲームでしか知り合ったことない人達とリアルで話す、ちょっと前までは恐怖心しか無かったんだけどなぁ

 

 

「楓…シルトさん…十司郎さんと話せた?」

 

「あ…理沙、うん、話せたよ…ゲームと変わらないね」

 

「あはははっ、それは同意する、ミィさんと一緒に食べる話したから席取ろ」

 

「十司郎さんとも一緒に食べるんだけど」

 

「絵面ヤバいね、十司郎さんの」

 

 

 なにせ女子学生2人+恋人…うん、事案だよ…いやあの人に限って無いけどさ

 

 

「待たせたな」

 

「すまない、少々時間が掛かった」

 

「あー、いえ、さっき席取れましたから、じゃあ」

 

「『いただきます』」

 

 

 4人で話ながら食べ進める

 

 

「うわっ、凄い美味しいです!」

 

「ホントだ、凄い」

 

「ありがとう、やはり直に聞くのはいいな」

 

「はい、温かくなりますから」

 

「今度料理教えてください!」

 

「む…加減は出来ないが」

 

「勿論です!」

 

「その歳から花嫁修行か?」

 

「だって、ミィさんみたいになりたいですし」

 

「? あぁ、名乗って無かったな、美月だ、美しい月と書いて美月だ」

 

「あ…そう言えば、私は理沙、理科の理にさんずいの方の砂で理沙です」

 

「私はメイプルの日本語読みの楓です」

 

「私は十司郎、漢数字の十に司る、一郎二郎の郎で十司郎だ」

 

 

 普通に自己紹介が終わり、ゲームのことやリアルのことを話す、その過程で携帯の電話番号とか聞けたし、難ならNWO同好会って名前でトークアプリのグループも作った、そんなことをしていたら社会科見学は終わってて、戻ったら作文なんだけど、書くこと多いなぁ

 

 

「楽しかったね、理沙」

 

「そうだね、まさかあの2人が居るとは思わなかったけど」

 

「確かに、凄いドッキリだったね」

 

「あんなドッキリ早々ないよ、断言出来る」

 

「それにしても社長さんも凄かったね!」

 

「あー…そだね」

 

 

 あれはホント、色々インパクトがあった、先ず年齢と性格、察しの良さなんかも凄い、部下が部下なら上司も上司…かな

 

 

「取り敢えず、社員の人と仲良くなれました…とは書こうかな」

 

「あっ…いいねそれ! 私もそれ書こうっと」

 

「最初はちょっとアレだったけど…良い思い出かな」

 

 

 そうだ、前までの私ならきっと気付いても話してはいない、対戦ゲームで荒れていた時の私ならこんなことにはなってない、リアルで会うのが怖くて、なんでみんな出来ないのかわからなくて、それでも自分の限界を試し続けたら周りに人が居なくなって、でもだからこそ一番近くに居た楓に気付けた、なにがあっても理由を聞かずに優しく包んでくれた、まあ…恥ずかしいのも何回かあったけど、十司郎さんの人生相談が効いたかなぁ

 

 

「うん…もうちょい先だけど、あの会社目指そう」

 

「確かに、雰囲気も良かったし、パンフレットとかのお陰で会社についてもわかるし」

 

「お…楓も一緒の所かなぁ?」

 

「うん! そしたらみんなと一緒だし!」

 

 

 うわっ…眩し!? こ…これが楓の天然力、ゲームでもリアルでも敵わないぁ

 

 

「なんだお前たち、あっちで知り合い出来たのか?」

 

「いやぁ…出来たと言いますか、居たと言いますか」

 

「あー、知り合いが居たとは思わず会ってしまった的なヤツか、先生もあったぞ、去年なんか学校用の求人を売り込みに来たのが知り合いだったからな、お互いに笑っちまったよ」

 

「ちょうどそんな感じですね」

 

 

 うわぁ、世間って改めて狭いなぁ、先生もこんなだし、受けようとしてる会社もアレだしなぁ

 

 

「そう言えば、知り合いってのはどんな人だ?」

 

「最初に料理実演してた2人です」

 

「おっ…あの2人かぁ、色々凄かったな…うん」

 

「なんか近々結婚するらしいんですよねぇ、それになんか友人として招かれると言うかなんと言うか」

 

「おぉう、そんな所まで、まあ就職先としては悪くないな」

 

「はい、なんで今のうちからパソコンとか色々勉強しようかと」

 

「あ…なら今度うちにある参考書あげるね、お父さんとお母さんのだけど、私も読みきっちゃったし」

 

「ありがとうございます楓様ぁ」

 

「善きに計らえー」

 

「ははぁ」

 

「うん、たまにお前たちのノリわかんなくなるわ、まあパソコンとかならPC研の顧問やってるし、相談とかなら乗ってやれるぞ」

 

「「ありがとうございます先生」」

 

「おう、参考書も何冊かあるし、エクセルにワードのヤツもあるから、見に来て損は無いぞー」

 

 

 なんて先生は言いながら見回りに戻った、色々騒がしくて、有意義な1日だったかな



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とある社長と極振り天国

拝啓、読者の皆様

他意はありません、ただ楓の木が極振りの巣窟になりそうです
                   敬具


 ふむ、あの学生2人にあの2人がやっているゲーム、気になったから買ってみたが、悪くないな…ただ極振りはやり過ぎたか? まあ構わんか

 

 

「む…初期装備発見…誘うか、すまない」

 

「えっ…私達ですか?」

 

「なに?」

 

「さっき始めたばかりでな、良ければパーティを組みたいのだが」

 

「「あー」」

 

「ん? なにか問題があるのか?」

 

「私達…極振りで」

 

「なるほど…ハンマーを見る限りStr極振りか、安心しろ、私もInt極振りだ」

 

「えっ、貴女も極振りなんですか?」

 

「あぁ、だからステータスが釣り合うとか以前の問題だな」

 

 

 この場に極振りが3人、中々無いと思うのだがな

 

 

「それで、パーティに問題は?」

 

「あ…無い…です」

 

「うん、折角の極振り3人組だしね、やれるとこまでやろう!」

 

「そうか…それは良かった、ならポジショニングの確認からして良いか?」

 

「えっと…私達が前…ですよね?」

 

「それはそうだが、ある程度近くないと後ろからの不意打ちで私が死ぬぞ」

 

「「あっ」」

 

「考えてなかったか、次に近くないと防御用に撃つ魔法が狙い辛い、いいな?」

 

「「は…はい」」

 

「それじゃあ行くぞ」

 

「は…はい!」

 

「うん!」

 

 

 さて、3人パーティーを組んだはいいが、火力が過剰だな、ハンマーの一撃を誘導してやれば一撃だ、魔法を土にしておいて良かった…む?

 

 

「なんだこれは? 【盾魔法】? 盾のクセに盾が要らないのか、魔法のクセにHPのみで発動可能、空間に盾を設置、耐久値は設定可能、ふむ…作戦を変える」

 

「魔法で怯ませるんじゃダメ?」

 

「それも良いが、私の燃費があった、だが解決したぞ…そら」

 

 

 最低値で放つ【盾魔法】…当然モンスターはそれを踏み…壊してバランスを崩した

 

 

「そら…無防備だ」

 

「ホントだ…えい!」

 

「なんかそれ…トッププレイヤーのシルトさんって人が使ってる魔法みたいね」

 

「ほう、これを持ってるヤツが居るのか、と言うか仲間の防御ならなんでも良いのか、魔法でも取れたぞコレ」

 

 

 HPに振らん後衛なぞ障子紙、ならばHPを対価に出来るな、む…蜂か

 

 

「ハンマーを下段に構え、防御しながら撃ち落とす!」

 

 

 毒液を防ぎながら単発系魔法を狙いをつけて放つ、【盾魔法】は便利だな詠唱なしなのが素晴らしい、他の魔法の待機も邪魔をしない、不満点は耐久値だが…構わんか

 

 

「さあ…このまま行くぞ!」

 

 

 その後は蜂を中心に戦闘を繰り返し、途中で《フォレストクインビーの指輪》を手に入れ、盾魔法の回数を増やしたりしながら進み、ある程度狩った所で今日は終了だ…町に戻るのも一大事だな

 

 

「あの…今日はありがとうございました」

 

「フレンド登録しない?」

 

「うむ、ここで会ったのも縁だろう、またパーティの誘いなら言ってくれ」

 

「それでしたら、明日は19時からログインしてます」

 

「そうか、私は…用事で20時だ、その時間に噴水でいいか?」

 

「わかりました、お疲れ様でした」

 

「ありがとうございました」

 

「あぁ、こちらこそ、ありがとう…お疲れ様…だ」

 

 

 さて…次の第3回イベントでドッキリを仕掛けるのだが、楽しみだな、だがその前に

 

 

「ギルドを探さなくてはな」

 

 

 暫くはギルドを探しながら根なし草か、まあ防具も要らんし、大体火力過剰ならやりやすい、【ジャイアントキリング】なんてものもソロ活動中に手に入ったのだ、後は

 

 

「手数か」

 

 

 フォレストクインビーの指輪を何個集められるかだな、限界まで欲しい、魔法を当てたら勝てるから楽だな、不意討ちも【盾魔法】で防げる、結果的には良い傾向になったか

 

 

「しかし…町でスキルを探せばこれだ」

 

 

 爺さん執事と庭先で格闘、原因は【盾魔法】、【大盾】スキルは持っていないので、それが原因としか言えないな

 

 

「だが…メイド服か」

 

 

 しかし杖が不要になったな、【大盾】スキル買うか、拳では戦わんが、ハンドフリーは有難い、暫くレベル上げをしながら通うか? 装備は同じ物なら合成して強化出来るらしいからな、ちょうどいい

 

 

「【盾魔法】の習熟、【大盾】スキルの性能把握、《フォレストクインビーの指輪》を後2個は欲しいので蜂の探索、逆にギルド探しがキツそうだな」

 

 

 だが面白い、やってやる…久しぶりに燃えられる物に会えたのだから、満足するまでやりきってやろう、ヤツらを驚かせるのも面白いからな…しかし

 

 

「ソロである程度やれてしまうな」

 

 

 攻撃を【盾魔法】で逸らし、魔法を撃ち込めば終わる、レベルは上がりやすいんだがな…む?

 

 

「えぇっと…貴女は」

 

「おぉ、待ち人来たり、久しいな、り…いや…こちらではサリーか?」

 

「うわぁ、やっぱり社長さん」

 

「こっちではキャロンと呼べ、恭しくしてもこちらの私からは何も出ないぞ」

 

「そ…そうですか…で、待ち人って?」

 

「ギルドだ、お前達ならやっていそうだと思ってな」

 

「あー、なるほど、良いですよ、ちょうどメンバー探してましたから」

 

「それは良かった、あぁ…後2人パーティを組んでいるんだが」

 

「そっちはもう落ちてます?」

 

「そうだな、さっき、ログアウトしていた、今度会ったら言っておく、極振りが2人だ」

 

「うわぁ、メイプルみたいなのが増える」

 

「私も極振りなんだが?」

 

 

 そう言うとサリーは頭を抱えた

 

 

「お…おかしい、ギルドの半分が極振りになってしまう」

 

「構わないのではないか? 役割分担が楽だ」

 

「いや、そーですけど」

 

「ちなみに、魔法を使うが自衛は任せろ、防御手段は得たぞ」

 

「それじゃあ、ちょっと狩り…見ても良いですか?」

 

「あぁ、期待しておけ…と言いたいが、明日は早くてな」

 

「あらら」

 

「そうだな、明日の20時はどうだ? パーティーメンバーもその時間に来るんだが」

 

「その時間ならメイプルも大丈夫ですから、それじゃあ噴水で」

 

「そうか…わかった、噴水で」

 

 

 まさか…あの2人がギルド…まあ仲が良いのでわからなくもないな、ゲーム内で役立つかわからないが、ギルド経営も悪くないな、たまにはサポートに回るか




と言うわけで、社長参戦です、社長はInt極振り、土属性による実弾戦、盾魔法によるあってないHPを使用した着弾ずらし、ソロでも当てればOKな単独性能、ただし弾切れ(MP)アリ、速度最低値なので、まだマシ…な筈

PS.次話は今日中に書き上がりそうです


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とある社長と極振り天国Ⅱ

えー、明けましておめでとうございます。

そして申し訳ございません、少々ゴタついて更新が遅れてしまいました。

と言うわけで、私からのお年玉代わりの最新話です。

本年もどうぞよろしくお願いします。


 翌日、仕事を終えた私はユイとマイ、そしてサリーを待っていた、その間は確認作業だ、魔法の種類なんかは見ていて損はない、だがフレンドリィファイアがあるかもしれないので、単発のシューターとかにしているんだが

 

 

「すみません、お待たせしました」

 

「いや、気にするな、連れがまだだ」

 

 

 そんな話をしていれば、視界の端で凄い急ぎめのゆっくりした2人組、完全に鈍足の弊害だな

 

 

「す…すみません、おまたせしました」

 

「狩りしてたら止まらなくなっちゃって」

 

「あー、あるある」

 

「時間を忘れるほどのめり込むのはあるだろうな、さて…今回2人にはビッグニュースだ、ギルドから誘われたぞ、まあ私の知り合いの所だから気にするな」

 

「「えー」」

 

「突然過ぎて停止しちゃってますよ?」

 

「む…そうか、まあ入団テスト的なもので戦闘を見せなければならない、やるぞ」

 

「「はい!」」

 

「それじゃあ見せてもらおうかな」

 

 

 さて…移動しながら倒す敵を考えーーーるまでもないな

 

 

「取り敢えず見付けたら倒す」

 

「わかりました」

 

「やってみせます!」

 

 

 今日はサーチ&デストロイで行こうか、ユイとマイを戦闘に慣れさせなくてはな

 

 

「よし、サーチ&デストロイだ!」

 

「うりゃあ!」

 

「ていっ!」

 

「そこっ! 甘い!」

 

「防御手段って盾魔法かぁ」

 

「む? 知っているのか?」

 

「あー、うん…ある意味」

 

「そうか、まあ別にいい、やることは変わらん」

 

「(うわぁ、シルトさんと同じこと言ってる、上司と部下って似るのかな?)」

 

「そら、次が来るぞ! 《ファイアボール》!」

 

「土属性以外も取ったんですか?」

 

「あぁ、魔法を極めてみたくなってな」

 

 

 行く行くは全ての魔法を使いたいものだが、そんなものは後だ、今は

 

 

「お前達を守る、守れば勝てる、やれ」

 

「えぇい!」

 

「てやぁ!」

 

 

 やはり一撃がいいな、欲を言えばカバーリングの使える盾役か、引き付け役が欲しいが、この程度ならば問題はない

 

 

「どうだ?」

 

「いや、まさかStr極振りの援護が出来てるとは」

 

「遅い、と言うのは攻撃に当たりやすいのではない、防御しやすい…だから守ってやれば勝てる、情報量は増えるが、この程度ではな」

 

「(そう言えばシルトさんもエグい枚数の盾魔法張って平然としてたなぁ)そう言えば、気配察知みたいなスキルあるとカバーしやすいんじゃないですか?」

 

「む…確かに情報処理は間に合っている、取ってみるか、それで…合格か?」

 

「そりゃあもう! もうちょっとレベル上げたらボス行きます?」

 

「そうだな、やってみるか、ボスに向かいながらレベル上げをすればいい、行軍速度は変わらん」

 

「あー、確かに」

 

 

 ユイとマイはまだやれる、まあ気を使わずに攻撃に集中しろと言ってあるから当然だ、そしてこの程度で疲れんしな

 

 

「しかし、盾魔法は動かせんのか?」

 

「確かⅡかⅢになると動かせた筈ですよ?」

 

「そうか、ならば盾魔法中心か…む…蜂か、《ファイアボール》よし、フォレスト・クインビーの指輪だ、これで揃った」

 

「えっ、揃ったって?」

 

「うん? いやなに、盾魔法の燃費上、HP自動回復系が欲しくてな、3つほど着けている」

 

「うわぁ、あ…それならこれありますけど」

 

「む? 最大値増加、確かに最大値増加をすれば効率が勝るか、しかしいいのか?」

 

「私もメイプルもHP関係ないし」

 

「それはゲームとしてどうなのか? まあ…ありがとう」

 

 

 ゲームとしてHPが関係ない…と言うのはパワーワードが過ぎないだろうか

 

 

「では…行軍再開だ、派手にやれ」

 

「「はいっ!」」

 

 

 さて、適当に魔法を撃ちつつ盾魔法を使っているが、殲滅速度は中々だな、やはり一撃当てればいいと言うのは大きいな、防御に徹するだけで勝てる…だが

 

 

「防ぐだけでは芸がないなぁ!」

 

 

 三角錘にした盾魔法を進路方向に設置、踏んだモンスターは強制ノックバックと…ダメージ?

 

 

「なんだ、尖らせればダメージが入るのか、ならばこうだ」

 

「うわっ、なんかモンスターが倒れていきますよ!?」

 

「気にせず倒せ、いい止め方がわかっただけだ」

 

「了解です!」

 

 

 なるほど、即席トラップが可能だな、ただ踏めば壊れるし、無機物系には無意味か

 

 

「よし、もう少し戦闘したら戻るぞ」

 

「「はいっ!」」

 

「作戦練るの手伝ってくれない? 実は今2人しか居なくて、ほら…メイプルがアレだから」

 

「いいだろう、ただこちら側のスペックを把握しなければならないからな、時間が掛かるぞ?」

 

「あー、それなら大丈夫、メイプル以外は役割が簡単だから」

 

「そうか? まあおおよそなら今聞けるか」

 

「えっと、ならメイプルが長いから最後にすると、私が最初か、私は速度特化、武器は双剣、魔法も使えるよ」

 

「遊撃が基本か、次は?」

 

「次はカエデってプレイヤーね、魔法系が得意、速度は普通…って、極振り相手に普通ってなにかな?」

 

「一般プレイヤー並みの速力だな」

 

「あー、そのくらいかな、手札はわかんない、色々魔法使ってるから」

 

 

 なるほど、そのカエデはセンターガード辺りか? まあ私もセンターガードだから、今の所はフォワード3、センターガード2か

 

 

「次はカスミ、剣一本で魔法は確か使ってない、魔法が使えない代わりに私と同じ速度で、私より打撃が高い感じで」

 

「遊撃2か、作戦は立てやすいな、まあ他のギルドより幅は狭いだろうが」

 

「そ…そこはほら…ね?」

 

「難しいより下は無いぞ」

 

「あはは、えっと…次はクロムさん、正統派な盾役」

 

「ふむ、フォワードのガードに回すか、フルバックが居るならそっちにも回したいな」

 

「後はイズさん、大概の生産が可能、装備から消耗品まで完備してる」

 

「補給アリか、総攻撃しないなら誰かを護衛に付けるか、クロムとやらがどれ程アテにしていいかはわからないが、拠点防衛はそのイズを含めたスリーマンセルだな」

 

「だよね、そうなるとは思ってた、後はメイプルなんだけど、説明が難しい」

 

「うん? それほどか?」

 

「うん、ステータスは極振り、防御特化で、えぇっと、今は怪物になったり出来る」

 

「は? 怪物?」

 

「そーなるよねー、実物見た方が早い、そして単独行動させた方が強い」

 

「なんとも…機動要塞か?」

 

「あっ、シロップが居るから空飛べる」

 

「よし、遊撃3だな、フォワード2、センターガード2、フルバック1、ブロッカー1、バランスは良い…な? 待て、ヒーラーはどこだ」

 

 

 このメンバー回復出来んぞ、まさかポーション便りか?

 

 

「あー、実は私防御に振ってないから、クロムさん自動回復とかドレインあるし、カスミは…どうだろ、私と似て防御は紙に近いと思うけど」

 

「わかった、戻ったら光属性魔法を取るしかないな、聞いておいて良かった」

 

「す…すみません」

 

「構わん、早いか遅いかの違いだ、そろそろ戻るぞ」

 

「「はーい」」

 

 

 はぁ、これではセンターガードではなくフルバックか? いや、戦闘系でリベロなど聞いたことが無いんだが、だがポジションは決まった所ではなく、遊撃とセンターガード、フルバックのどれか…いや防御だけならブロッカーも兼任出来るぞ…どこに進むつもりだこのキャラクターは、まあ…気楽にやるか




新年一発目の最新話、社長のポジションが早々に行方不明になりました、そしてメイプルの理解を一瞬でかなぐり捨て、戦場に単独で放り込み続けることが最適解だと理解しました。

そして楓の木に漸くヒーラー誕生ですよ、ヒーラー、あそこにヒーラー加えて大丈夫かと思いましたが、常人ならまぁ間違いなく魔法ステなら光属性魔法とか回復系統取りますよねぇ。

さあ、こっから加速しますし、頑張ります!


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とある関係者と新年の突発企画

はい、遅まきながら新年ネタです、クリスマスネタ? 知らない子ですねぇ。

新年一発目はもう既に投下済みですが、ネタとして出してはないので、ご容赦ください。


 最近は充実してきた様に思える、留学時代以外は特に周りと接点のない日々だったが、やはり美月のお陰か、ゲームに誘ってくれなければ、私は未だに以前までの生活を何気なく送っていたことだろう…ならばここは時期的にもアレしかあるまい

 

 

「と言うわけで、初詣に行こうか」

 

「えぇっと、すみません、唐突にその話を振られて私はどうしたらいいでしょうか、いや…初詣には行きますが」

 

 

 顔を赤く染めた美月を連れて近くの神社に行く、道中の学生達や家族連れなどを眺めながら歩く道は…普段ならば深夜などに歩かない私達には…別の世界に来たのではないかと錯覚させた

 

 

「しかし…案外学生が多いな」

 

「そうですね、近くは楓達の学校がありますから、そのせいかと…後は神社くらいならと思う方も多いのもあるのかもしれません」

 

「そうだな、普段であれば止める親も、初詣を深夜に行うのであれば、家族連れも視野に入れて許可を出している可能性が高いな」

 

「あれ? 十司郎さんだ」

 

「え? ホントだ、美月さんも居る」

 

「その声は、楓に理沙か、明けましておめでとう、2人共」

 

「明けましておめでとう、今年もよろしく頼む」

 

「「明けましておめでとうございます」」

 

「君達も神社か?」

 

「はい、理沙となら大丈夫かって、お母さんが」

 

「私も楓が居るなら大丈夫かーって感じです」

 

「そうか、なら…」

 

「そうですね」

 

「あはは、まあ…保護者同伴みたいになりますよねー」

 

「心配であることに代わりはないからな」

 

 

 道中の暗がりもあるし、この辺りはあまり出ないが、不審者などには気を付ける必要はあるからな

 

 

「そー言えば、うちのお父さんは28日まで仕事でしたけど、お二人は?」

 

「私達か? そうだな、社長がやるべき事を早々に終わらせろ…と言ってな、24日には年末休みに入っていたのだ」

 

「まあ…お陰で25日には一緒に出掛けることが出来た」

 

「美月さん、それって」

 

「わかった、話す…話すから余り寄らないでくれ」

 

 

 理沙からの圧に耐えかねた美月が話す、楓は楽しそうにしているが…どうかしたのだろうか?

 

 

「あぁ…いえ、なんか…理沙と毎年神社に来てますけど、今年はちょっと違うので…楽しくなっちゃって」

 

「そうか…そうだな、私も初詣は1人で来ていたからな、楓の気持ちは多少ならばわかるな」

 

「そうですね、何時もと違うんですけど、何時もより安心するなって思います」

 

「あぁ、歩いている場所が違う気さえしてくるが…そこは気分的な問題だろうな」

 

「あー、確かにそれはありますね」

 

 

 そうこうしている内に神社に到着したのだが…例年とは違い小規模だが縁日の様になっていた、特になにかあった訳ではないだろうが

 

 

「…何時もと…違いましたね」

 

「…そう…だな」

 

「確か例年は無かった筈では?」

 

「あー、多分アレじゃないですかね?」

 

 

ー【新春記念! 最優秀カップル決定戦!】ー

 

 

「なるほど、そう言う催しが…いや待て、どうしてそうなる」

 

「いや…だってアレ狙ってますよ? 司会見てくださいよ」

 

「………社長」

 

「あ…あはは」

 

 

 舞台の上で社長が周りの参拝者を相手に催しの進行をしていた、社長権限でもなく、普通に気紛れで企画したのだろうな…だが…うっ…目が合ってしまった…あれは

 

 

「『ここで新たな参加者を2組見つけたぞ! さあ! 舞台に上がってくるといい!』」

 

 

 明らかに名指しだ、しかも2組と言うことは

 

 

「巻き込まれた」

 

「すまない、理沙…楓」

 

「あ…あはは」

 

 

 私達は呼ばれるがままに舞台に立った、ならば普通にやろう…すくなくとも私はそうしよう

 

 

「「社長…明けましておめでとうございます」」

 

「うむ、明けましておめでとう、楓に理沙もな」

 

「「明けましておめでとうございます」」

 

「うむ、挨拶も済んだな、では企画をコレで確認してくれ」

 

 

 私達は言われるがままにペア用の仕切りのある机の前に座らされ、手元には予め作っておいたであろう企画書が…どこまで入念にやっていたのやら

 

 

「理解したな? では一問からだ! お互いが好きな物を答えろ! あぁ…言っておくが人物ではないからな」

 

「好きな物…ふむ」

 

「そうですね…では」

 

「あー、これで」

 

「じゃあこれ!」

 

「書けたか、ならば答えを順番に聞いていこうか」

 

「私は紅茶だ」

 

「か…可愛いもの」

 

「えっと…ゲーム…です」

 

「甘いもの!」

 

「おっ、全員正解だ、次々行くぞ!」

 

 

 それから問題が出される毎に私達は正解していき、美月と理沙が顔を赤くしていくのだが…最後の問題が出された

 

 

「では最後だ! お互いが一番大事にしているもの! ただし物体に限る!」

 

「ふむ」

 

「あー、これは」

 

「えー、やらなきゃダメ?」

 

「自信あるよ!」

 

 

 これは…2人が耐えられるのか?

 

 

「書けたか…さあ…答えを言って貰おうか!」

 

「私は美月が一番大切だ」

 

「わ…私は…十司郎さんが…一番…大切…です」

 

「か…楓が一番大切かなぁ…って」

 

「理沙が一番大切だよ!」

 

「………あー、人以外と言い忘れたな…すまん」

 

「「それを早く言って!」」

 

「だがまあ…どうせ正解するだろうからな、これにて終了! 独走トップだぞ! まあここまで極まったカップル? もそういまい」

 

「あ…あぁぁぁああっ!! そう言えばこれカップル企画じゃん!」

 

「カッ…プル? 私と理沙が? ーーーーッ!!」

 

「やはりこうなったか」

 

「う…うぅ」

 

「わはははっ! このまま企画が終了したら景品を渡すからな! まあ参加賞…は不必要か、これを持っていけ」

 

「? これは」

 

「ふふん、名付けて! 縁固めのお守りだ! これからも良きパートナーとして精進するといい!」

 

「それ私達にしてどーするの!?」

 

「あ…あわわっ」

 

「普通に友人関係を固めれば良いではないか」

 

 

 『違う…そうじゃない!』と言えたら、どれだけ楽だったのだろうか…この2人は

 

 

「えぇ…そ…そっち?」

 

「えぇっと、理沙は…いや? 私と…仲を固めるの」

 

「言い方ァッ! いや全然OKだけども!」

 

 

 大変だな…理沙も、しかしこればかりは混乱した楓の勝利…か

 

 

「それでは帰って良いぞ!」

 

 

 あ…嵐が過ぎ去った

 

 

「あー、お参りしたら…帰ろうか」

 

「そう…ですね」

 

 

 私達はその後、お互いの無病息災を願ってから帰った、ちなみに新年一発目の社内紙にて社長企画の行事が書かれており、楽しそうに逃げる社長と、顔を真っ赤にしながら混乱した様子で追いかける美月を見たのだが…怪我はないように止めておいた



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とある社長と戦闘スタイル

いやぁ、すみません、長らくお待たせいたしました、ちょっとごたついたのと、精神的ダウンでしたので、息抜きも重ねて投稿いたします。


 連日私はマイとユイの連携を高めてきた、そのせいなのかスキルの育ちが早く、ついに盾魔法を動かせる様になった、なのでかねてより考えていた物をサリーで試すことにした

 

 

「それで…試したい事って?」

 

「あぁ、簡単だ…この戦い方が有用かどうか…試そうと思ってな」

 

 

 無属性魔法の付与能力、その力で一時的に一般プレイヤーより少し高い程度のステータスを獲得し、サリーに無手で突っ込む

 

 

「なにを」

 

「先ずは一手だ」

 

 

 盾魔法で造形…双剣を作る、通常であれば一合で砕けるが、今のステータスはそれなりにある…よって

 

 

「壊れない!?」

 

「そうだ! これが私の戦い方だ! そら! どんどん行くぞ!」

 

 

 投げられた双剣は途中でシールドアタックを放ち進路を妨害する、その奥から更に別の武器を浮かて手数の有利で攻め立てる

 

 

「確かに色んな武器として使えるから有利だなとは思ったけど!」

 

「あぁ、武器術なんて最高に楽しいスキルもあるぞ! 再現」

 

「ッ!!」

 

 

 躊躇なくサリーは右に跳ねる、元居た場所には棘の様な盾魔法が突き出していた

 

 

串刺城塞(カズィクルベイ)

 

「うわ…マジ?」

 

「色々再現出来るぞ? まあ…これが考え得る最強だがな…混成再現…模倣」

 

「冗談!」

 

 

 剣…槍…盾…鎌、様々な武器が降り注ぎ、冊となり、拾えば武器となる、だがサリーは使えない、持てばシールドアタックによるダメージがあるのだ、だが私は関係無い

 

 

「行くぞ、完全再現無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)

 

「それの再現は厄介かな…って、混成再現ってことは…なに混ぜたの?」

 

「ん? これと相性が良くてな」

 

 

ーーー千刀流・一刀・一文字斬り

 

 

「まさか」

 

「そのまさかだ、苦労したぞ? 千刀流をイメージし、それにフィジカルを合わせるのは」

 

 

 千刀流、それは自前の武器が無くとも、生きている者から無刀狩りで武器を奪い、屍から武器を奪い、まさに武器を消耗品として扱う流派、勿論技も多岐に渡り、一部の技など刀の技ではない、そしてこの千刀流の奥義こそが、武器を乱立させた状況で真価を発揮する

 

 

「千刀巡り」

 

「ビックリ箱じゃないんだから」

 

「それだけではないぞ」

 

「いっ!?」

 

 

 千刀巡りは飽くまで雛型、流石に触れてもない武器を射出する…などと言うとんちきな技ではないのだから

 

 

「厄介過ぎる、範囲、能力、手数、どれを取っても優秀だわ、私も武器術と盾魔法取ろっかなぁ」

 

「使い勝手がいいぞ、特にお前の眼はな」

 

「そっちもバレてる…よね!」

 

 

 手に持った武器での近接戦闘、刺さった武器による射出、魔法の遠距離攻撃、全方位型魔法使いと言う埒外の存在による勝負は単に持久力の差でサリーが勝利した、それも当然、魔法には効果時間があるのだから、サリーに認識されれば数秒の隙が出来る、どれだけ巧妙にしようとも、消費するMPが桁違い過ぎたのだ

 

 

「ふむ…及第点だな、それでは私は盾魔法のみの鍛練に入る」

 

「あははっ、ごゆっくり」

 

 

 ちなみに課題は燕返しと射殺す百頭(ナインライブズ)である、似たような物を喰らったことのあるサリーからすれば現実味の有りすぎる技である

 

 

「全方位斬擊とか言い出したらどうしよ」

 

「多分出来るぞ」

 

「えっ!? うそっ!?」

 

「簡単だろう、剣を作ってシールドアタック使えばいい」

 

「それ全方位遠距離斬撃って悪化してるし!?」

 

「それはそうだろう、改善点は見つかったからな、要は武器に必要なステータスのみを自分に付与し、足りない火力などは属性を付与して無理矢理魔法ダメージ計算に変え、ぶつけてやればいいんだからな」

 

「うわぁ、それ普通やりませんよ?」

 

「もう既に属性ごとの追加効果は解析済みだ、完成したらまた見せに来る」

 

「あー、勘弁して欲しい様な、そうじゃないような」

 

「まあ…甘くはしない」

 

「はぁ、流石にビックリ箱はメイプルだけでいいんだけど」

 

「ふむ…隣の芝は青い…と言うヤツだな、私からすればサリーの眼の方がビックリ箱なのだが」

 

「あのー、それ誰から聞きました?」

 

「ふむ? いや見てわかったが?」

 

「あー、そうだった、シルトさんの上司だった」

 

「なんだ…アイツも見破ったのか、まあ私より解析は劣るとは言え、武芸者だからな、そちら方面の解析では不利…だな、まあ競うものでもない…か」

 

 

 しかし、サリーの手の大半は読まれると…逆に見せてない手ならば読まれず、相手の技の模倣であれば組み合わせ次第で肉薄出来る…か

 

 

「中々面白いな…この世界は」

 

 

 現実に戻れば認識出来る空間が日々広がっているし、情報処理速度も並列化はともかく、高速化まで効率が上がっている、いっそ会社でゲーム推奨にしてやろうか? いや…パワハラ…か? いやパワハラか? ゲームやってもいいぞ程度なら…大丈夫か?

 

 

「まあ…いいか」

 

 

 手に槍を作る、付与するステータスは速度のみ、上昇率は変わらないが、持久力は延びている、そして槍と言う速度を生かした武器における属性の最大効率は

 

 

「風属性」

 

 

 風属性の付与は武器の周りに風を纏わせることで、攻撃時の範囲拡大化、特殊ダメージである裂傷、更に武器移動速度強化、そう…武器の移動速度(・・・・・・・)だ、つまり

 

 

「盾魔法…形状変化用意」

 

 

 前傾姿勢で駆け出し、槍を下段に突き出す…そこから…

 

 

「疑似再現」

 

 

ーーー刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)

 

 

「うむ、完了だな」

 

 

 盾魔法の刺突属性ダメージ、風属性による魔法ダメージ、風属性付与による連続裂傷ダメージ、更に突き刺すことによる継続ダメージ、中々だな

 

 

「さて…色々試させてもらおうか」

 

 

ーーーその日ついに、キャロは予てよりの目標であった、戦闘状況による戦闘スタイルの変更と言う最大の武器を手にした、ちなみにもっともサリーが苦手なのが土属性と防御強化による盾魔法での防御と、それに合わせた剣による遠距離攻撃である、イメージ自体はメイプルを元にしたため、本人はお揃いだと喜び、他はメイプルが擬似的に増えたと戦慄を覚えた




と言う訳で、キャロの武器としては盾魔法による投影魔術の再現、そして属性付与による宝具の疑似再現です、なんでしょうね…元々こんなイメージでは。

さて、キャロの原作再現頑張りますかねぇ、出来たら最強格なんですけどねぇ、えぇ…最強格ですとも、最強じゃないですよ? 最強はメイプル優先です、そして最強コンビはメイ×サリです、最優コンビはシル×ミィなのは譲りませんが、イメージは大事です。


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ギルド間戦争な第4回イベント

 ヤツは、第3回イベントは犠牲となったのだ、第4回イベントへの尺繋ぎの犠牲に…な

 第3回イベントは、書こうと思ったのですが、普段とやってることが変わらなすぎると思いました、なんか片手間に終わらせそうなイメージしかない、精々が牛を狩りすぎたら牛系の料理食いたくなる感じ…だと思いました、本当にすまない…すまない


 準備は全て行った、消耗品は全員分を調達するのに最優先で行い、ローテーションでレベルアップに務め、特に上位陣が得意業務の教導に回ったのが良かっただろう、それに皆が誠心誠意向き合ってくれたのだから

 

 

「せめて…上位に…いや、一位になりたいな」

 

「えぇ…ですが」

 

「楓の木…か」

 

「はい、第一回イベントのカスミ、クロムを始め、万能屋のイズ、メイプルとサリー」

 

「後は何名かギルドに入っているだろうな、ステータス不明、スタイル不明、特化しているのか、バランスに優れているのか、なにもかもが不明だ」

 

「数に任せて…などは出来ませんね、メイプル1人で瓦解するようなものですから」

 

「ふむ…ならばいち早く楓の木の拠点を割り出さねばな…いや…上空を見張るように何名かに言うか」

 

「確かに、メイプルが移動するなら、あの亀に乗るはずですから、裏をかこうとも、メイプルの速度では」

 

 

 確かに…順当に行けばそうなるだろう、だがサリーが背負った場合などは例外だ、防具を外す…と言う意味合いは、一般プレイヤーからすれば、自分の攻撃力が10に対し、相手の防御力が100から90に下がった程度の認識でしか無いのだから、それに幾ら人を背負っているとは言え、サリーが易々と出し抜かれるとは考えていない…ならば

 

 

「上空偵察は四方監視も兼ねて4人、サブに2人ずつの一方向に3人体制、奇襲されても可能な様にせねばならない」

 

「なるほど、かしこまりました、ではこちらから攻める方は」

 

「マルクスは残したいな、ツバメとシンを中心に、パーティーを編成、四方向に向けて進軍、一当てして可能であればオーブを奪って戻る、難しいならば位置と戦力を確認して撤退で行こう」

 

「ではそのように…私はどうすれば?」

 

「拠点防衛で頼む、その代わり私が偵察を行う、火力がマルクスのみとなるからな、もし攻められた場合、あのスキルを使って欲しい」

 

「わかりました、御武運を」

 

「行ってくる」

 

 

 目下の目的は楓の木と集う聖剣の位置確認、ただ集う聖剣に関しては難しいだろう、なにせメイプルの様に飛んだりしないからな

 

 

「だが…それはこちらも同じ、そしてこちらは丘の上、城壁さえ築き上げればなんと言うことはない」

 

 

 あのスキルもあるので防御に関しては私かミィさえ居ればいい…いや、ミィがゲームとは言え死ぬところは見たくない…動かさない作戦を真剣に考えもしたし、理由も違和感の無い様に考えた…だが、ミィは表情を見るに悟られてはいそうだが

 

 

「………その分…成果を上げるとしよう」

 

「なっ!? 城壁!? 城壁だ! 構えろ!」

 

「ふむ…そう言えばミィが私に使ってばかりだったな」

 

 

ーーー付与《Str》

 

 

「参る!」

 

 

 貫通攻撃以外は構うな、ただ真っ直ぐ…最短で…最速で…一直線に!

 

 

「道を開けてもらおうか」

 

 

 周りのプレイヤーの全てを弾き、オーブを取ればいいだけなのたから

 

 

「か…硬ぇ!」

 

「お…おい! 貫通効果を使え! 一撃で砕ける!」

 

「それでは…時が足りぬな」

 

 

 多少の消費はやむ無し、拠点内のプレイヤーを囲み、早々に逃げ去る、普段は低火力だが、フラッグ式の戦闘ならば有利だな、多少ならば押し退けて進める、だが戦闘訓練で気付いて良かった、既にギルドメンバーには貫通効果で一撃で割れてしまうのは連絡済み、逆を言えば一撃は防いでくれるのだから

 

 

「しかし、どうしたものか…む!?」

 

 

 後方で爆発音、まさかさっきのギルドに別のギルドが攻めたか、ならば急がねば、もしこちらに勘づいたのであればーーー

 

 

「なるほど…早々に貴方と戦えるとは」

 

「………1人か?」

 

「いや、後ろでドラグ達がギルドを強襲している、周囲に残っていた、見知った物があったので、もしやと思って…ついね」

 

「仕方ない…か、炎帝ノ国所属…副ギルドマスター、“城壁”シルト」

 

「名乗り上げか…燃えるな、ではこちらも、集う聖剣所属、ギルドマスター“最強”ペイン」

 

「「参る!」」

 

 

 ペインのスタイルは剣技による広域殲滅型、だが簡単に技の出を潰させては貰えないか

 

 

「なるほど、安易に技は使えない上に、足下にも注意が必要とは…面白いな!」

 

「そう思ってくれるならば光栄だ!」

 

 

 どうする…技を打ち込む隙を与えてはいないが、それはこちらも同じ、それに向こうより明らかに火力は下、だが時間を掛ければ増援込みでこちらの不利…どうすれば

 

 

「隙あり!」

 

「なに!? くっ!?」

 

「サリー!?」

 

「集う聖剣のギルドマスター…ペイン、相手に取って不足無し…ってね」

 

「くっ、君は確か、情報にあった双剣使い」

 

「そうだとしたら?」

 

「楓の木と炎帝ノ国が手を組んでいるとはな、だがこちらも」

 

 

ーーー1プレイヤーとして、燃えない訳はないな

 

 

「………戦闘狂?」

 

「君には負けるよ、青い装備の双剣使いで、攻撃が反れる様に当たらない、第2回のイベントでプレイヤーを襲い続けたのは誰だったかな?」

 

「うわ、そっち知られてるんだ」

 

「それが無くとも、笑っているが」

 

「シルトさんから援護射撃来るんだけど」

 

「それはすまない…だがここは」

 

「うん…貸し1個、返しに来た!」

 

 

 唐突な乱入に驚いたが、なんと言うことはない、恐らくサリーは以前の人生相談を借りとして、今…この場に居るのだから



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ギルド間戦争な第四回イベント2

誠に申し訳ありません。

色々ごたごたがあって投稿が遅れました。

後何ヵ月掛かるかな…わかんねぇや


 ペインとの戦闘は長く、私がフォレストクインビーの指輪を持っていなければ瓦解する様な戦闘だ、だがサリーが居る、攻撃を知覚しているか、避けられるかが分かれば、盾を置くか置かないかの行動だけだ

 

 

「いやぁ、さっすが最高レベルプレイヤー、かったい」

 

「防御はメイプルほどではない」

 

「確かに、そりゃそーだ!」

 

 

 しかし、シールドアタックを使っていて、バランスを崩しても尚、サリーの攻撃を防ぐその武芸、かなりの鍛練を積んでいるのだな…ならば

 

 

「少々…力押しをさせてもらおうか」

 

「なに!?」

 

 

 私自らが盾となり、ペインに突進する、貫通効果は変わらず守る、それ以外は構わず、避けるのであれば

 

 

「シールドアタック」

 

「なっ!? しま…ッ!?」

 

「隙あり!」

 

「くっ、君たち…別々のギルドじゃなかったかな?」

 

「ギルドは違えど、共に戦ったことのある仲間だ」

 

「そー言うこと、リーダー同士が知り合いなら、順位戦でも共闘するよ…ね!」

 

「確かにその通りだ!」

 

「シルトさん!」

 

「承知した!」

 

 

 サリーの前に立ち、盾魔法を3枚展開、そのまま突進する、気配察知では後ろでサリーがファイアボールを上空に打ち上げている、まさかここまで合図が一緒とはな…そして気が上に反れたな

 

 

「ぐっ! 流石に避ける暇が無いな!」

 

「避けさせる物でもない!」

 

「横…だと!?」

 

「ファイアボールの軌道を変えられるんだから、ウィンドカッターも変えられるよね!」

 

「厄介なコンビだな! だが魔法は何れ尽きる、その前に!」

 

「「倒せばいいだけだ!」」

 

「なに!?」

 

 

 同時に降ってくる盾魔法の大剣、まさか向こうにも盾魔法を使う者…が?

 

 

「シルトさん! 援護に来ました! って貴女誰ですか!?」

 

「む? てっきりサリーの増援要請かと思ったが、お前も居たのか」

 

「しゃ…社長」

 

「今はキャロンと呼べ、増援に来てやったぞ」

 

「は…はぁ」

 

「ぐっ、4対1か、流石にマズイな」

 

「いや…そちらも4だぞ」

 

「ペイン! お待たせ!」

 

「面白ぇことになってるじゃねぇか!」

 

「うっへぇ、ギルド同士で手を組んでるわけ?」

 

 

 向こうは総戦力か、だがこちらも同じこと、ならば

 

 

「守りは気にするな、私が全力でサポートする!」

 

「了解しました!」

 

「久しぶりにやるなぁ、キャロンさん!」

 

「あぁ、任せたぞ!」

 

熱き門の守護王(レオニダス)、任された!」

 

「突貫します!」

 

「おっ先!」

 

 

 ツバメとサリーが突っ込む、ならば援護としては…足場を空中に配置する!

 

 

「なっ!? マジかよ!?」

 

「360度…どっからでも来やがる!」

 

「ちょっ!? 防ぎきれないんですけど!?」

 

「まったく…非常識な」

 

「生憎と」

 

「非常識には」

 

「「慣れている!」」

 

 

 空中に配置した足場だけで4人を相手に圧倒する…確かに非常識だろうな…だが

 

 

「準備が出来たぞ」

 

「わかりました…では」

 

「ッ! シルトさんのギルメンさん!」

 

「ツバメだ…サリー…殿!」

 

「なんかキャラ入ってるし…じゃなくて! 合図したら撤退!」

 

「承知した…だが」

 

「今ッ!!」

 

「蒼ノ一閃ッ!」

 

 

 土煙が舞う…社長がやろうとしていることはわからないが…これでは

 

 

「好都合だ! 仕上げと行くぞ!」

 

 

 両手を指揮者の様に振り回す、なにかのスキル動作? だが

 

 

「なん…だこれは!?」

 

「いって!? 細い何か…魔法か!?」

 

「バカ言え! 魔法は単発! こうも連続となると」

 

「いぎっ!? 動け…な…糸!?」

 

「ご名答! スキルの試験動作に付き合って貰おうか! ただしその頃には…アンタ達は八つ裂きになっているだろうがな!」

 

「うわ…えぐ」

 

「あの動き…あの姿…シルトさん」

 

「なんだ」

 

「あの人のネタ…わかったかも知れません」

 

「なに?」

 

「ふっ…流石に気が付いたか…ならば…仕上げだ!」

 

 

 両手の中に魔法…あれは…闇属性魔法…か?

 

 

「グラビティボールというのがあってな…少し変な使い方になるから手間取ったが…完成したのでな…受け取れ!」

 

 

 拳大に圧縮した重力の塊…つまり…そういうことだな

 

 

「む…ギリギリで撤退されたな…糸が切られた」

 

「え…アレから逃げたんですか?」

 

「まあ…トッププレイヤー…だからな…どんな手段かはわからないにせよ…今が現実だ」

 

「いや…まあある意味あの技がフラグだったと言うかなんと言うか」

 

「むぅ…やはり重力の塊をぶつけるのは逃走フラグか」

 

「なんか意気投合してるし」

 

「無論だ…好きな作品が同じだからな!」

 

「無碍には出来ません!」

 

「まあ…そう言うことだな」

 

 

 しかし、結果的にに勝ち…と言えるのだろうか…今のは

 

 

「私の手の内はわかっていても対処できんさ」

 

「確かに糸なんてわかりませんよねぇ、しかもそれ…盾魔法ですよね?」

 

「あぁ…魔法とスキルによるシステム外能力…というヤツだ、いやはや再現するのに苦労したぞ、見え辛く、壊し辛い糸だからな」

 

「流石に糸は無理ですね、頭痛で済みませんし」

 

「そこは得意分野と言うヤツだ…さて…サリー行くぞ」

 

「あ…はーい、それじゃあシルトさん…また」

 

「あぁ…助かった」

 

「借りを返しに来ただけですよ…それじゃ」

 

 

 社長を背負ったサリーが空間設置した盾魔法を踏み台に空を駆ける…非常識…だな

 

 

「水色…腹黒そう…でも武器が原則…なるほど」

 

「なにがなるほどかはさておき…オーブは確保した…戻るぞ」

 

「あ…はい、私も確保してますので…先ずは2つですね」

 

「さて…幾つだろうな、皆の作戦も成功していると良いのだが」

 

 

 転送能力も起動していない…となれば拠点は無事だな、なにかあれば直ぐに使う手筈だからな

 

 

「それでは先に戻ります」

 

「あぁ…私ではその移動には難があるからな」

 

 

 速度が圧倒的に足りんからな、しかし…

 

 

「嫌な予感がするな」

 

 

 気のせいであって欲しいものだが…今はまだわからんか…なるべく早く拠点に戻るか




社長の技に糸系統追加、一応元ネタのキャラも魔法(正確には違う)系統に糸ですから、わかりやすいと思います。

わかった人は楓の木に追加されたキャラの存在で頭を抱えるといい…ちなみにヒントはツバメが反応したことです。


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