転生騎士の英雄譚 リメイク (謎のコーラX)
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少女時代編
プロローグ 黒鉄 景虎


不定期っす、メアリスケルターフィナーレまでの繋ぎかな


「奥様!、元気な女の子ですよ!」

 

それが私の耳に入った最初の言葉だった。

え?、どういう状況?、まずは整理しよう、今私は何かにくるまれて身動きができない状態だ、目の前には私を抱く母親らしき人、汗だくで本当に大変だったんだなって、その隣にはメイドらしき人がいる、この人が手助けしたんだろうね。うん、わけわからん。

 

うん、この時点で私自身に違和感がいろいろと迫ってくるね、まず赤子なのに私という自我が確立してること、次に私自身の記憶がまるでないこと、あえてあるものをあげるのは元の世界(あるかどうか知らんが)の常識だろうか、凄く曖昧なものだと心の中で苦笑する。

 

「あら?、この子さっきから笑うも泣きもしないで難しい顔をしてるわね」

 

やばい、どうやら顔に出ていたようだ、母親らしき人が訝しげに私を見ている、ここは泣いて誤魔化すか。

 

「お、おぎゃあ、おぎゃあぁぁ!」

 

「おぉ、元気に泣いたわ、うふふ、かわいいわね」

 

よし誤魔化せた、はぁ……これを後2、3年は続けなきゃならないのか、つら。

 

 

あれから10年、こちらの世界のことを理解できた、まずこの世界では伐刀者(ブレイザー)なる者が存在し、日本はそれのおかげでかなり本来とは歴史が変わってる、他にも固有霊装(デバイス)とか魔力、解放軍(リベリオン)があるが割愛。

 

そして私は黒鉄 景虎(くろがね かげとら)日本を第二次世界大戦で勝利に導いた黒鉄 龍馬を排出した名門の長女であり、二人の弟と一人の妹がいる。

そして今私は森の開けた場所で、日課の鍛練に勤しんでいた。

 

「すぅ……はぁ、こい、《天刃(てんじん)》」

 

深呼吸の後、そう告げると、強い光を放つ玉が目の前に出現し、私はそれに手を入れた、そこから純白の刀身を持つ刀が引き抜いた、これが私の固有霊装(デバイス)天刃(てんじん)固有霊装(デバイス)というのは簡単に言うと伐刀者(ブレイザー)の武器みたいなもの、一人一人に能力があって、私の場合は、おっと、これは後に回そうかな、今はまだ使わないし。

 

「さて……と」

 

私はリモコンを懐から取り出して、スイッチを入れる、すると四方八方から高速で矢が飛んでくる、あらかじめ設置しておいた時速160キロの矢を射出するそれは、ランダムに配置されている。

 

私はそれを刀で切り落としていく、何百の矢が絶え間なく5分ほど放たれ、それに耐えるのが私の修行だ、最初こそ4方向だけだったが、今ではあらゆる方向からの矢を打ち落とせる、しかし……これでも足りない。

 

私は更にもうひとつのボタンを押す、すると鎧の人形が何十体も現れて、手に持った剣で襲いかかってくる。

 

「──ふぅ」

 

5分経ち、人形も全て倒れ、矢も止まった、私は何時も極限状態をこの世界で試しまくっていた、ある時は水の中で10分息を止めたり、燃え盛る火の中で刀を振るったり、とても女の子には無理難題のことをしまくった。

 

なぜこんなことをしてるのかって?、言ってしまうとここは思い出した限りでは小説の世界だ、落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)という名前のね。ならヤバイ修行ももしかしてできるのではと、身体を慣らしながら試していった、そして今私は女とは思えない筋肉質な身体になっていた、全力疾走を30分続けられ、速度も仮面ライ○ーとどっこいの速さに。

 

「……さて、そろそろ帰るか」

 

その時、背後から敵意を感じ、身体を回して、後ろにいる者に刀を横に振るう、首筋で寸止めして、その背後にいたのは。

 

「…まったく、お前は本当に隙がないな、姉上」

 

野太刀の固有霊装(デバイス)を持ってるこの少年は黒鉄 王馬(くろがね おうま)、私の弟である、まぁ年齢的には差は無いけど産まれたのが私が先なので私が姉ということになってる、王馬が言うには実力的に私が姉だ、らしい。

 

「こんなところに何の用かな王馬、ここは今のお前には早い場所だけど」

 

「ふん、ただ呼んでこいと言われただけだ」

 

「父かな……まぁ、何時もの媚びへつらうやつだろうねぇ、やだなぁ」

 

私は女子ではあるが、既に中学生の伐刀者を倒せるほど強くなっている、だからかなのか、黒鉄家の当主の座を誰に渡すかで派閥ができている、王馬か私か、そんな無意味なことが起こっているわけで。

 

「はぁ……行くよ、これ以上面倒なことにはなりたくないし」

 

私は大きく跳んで、木々を足場に高速で自分の家までいった、忍者みたいに。

 

「──はぁーーー嫌だなぁ、権力争い、なんでこんな家に生まれちゃったかなぁ」

 

私はソファーに寝転んで、愚痴を言いまくっている、一時間も権力者(デブ)どもに媚びへつらうのは精神的にきつい、いや本当に。

 

「もぉ、姉さん、行儀が悪いよ」

 

そうこうしてると、一人の少年が私のソファーの近くに現れる。

 

「んー、なんだよぉ一輝(いっき)、今メンタルを回復させてるんだけどぉ」

 

この子は確か落第騎士の英雄譚の主人公、黒鉄 一輝(くろがね いっき)、落第騎士と呼ばれるようになるほど伐刀者としては弱く、うちでいないように扱われていた子だ、まぁ強くなってほしいからよく私はかまってるが。

 

「うーん、まぁ姉さんがそう言うなら」

 

「はー……後で稽古つけてあげるよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

前までは少し暗かったが、雪降る中で駆け出していった後、なんか違っていたから何かあったんだろうね、知らないけど。

 

そして、13の頃、私はあることを実行に移す。

 

「……よし、中学の問題は全てできてますね、これなら海外に行っても良いでしょう」

 

私は家庭教師の人からの許しを貰い、準備を進めた、もうこの日本の環境では私は強くなれない、なら、海外なら私が満足できる緊迫した世界があると信じて、今まで修行はすぐに済ませて、勉強に励んだ、まぁ頭がいいほうだったからすぐに覚えられたけど、海外の言葉もだいたいマスターしたし、私は決意する、海外修行を!。

 

「それじゃあ行ってきます、みなさん」

 

そして当日、私は空港に集まった妹や弟、使用人、そして母から手を振られて、海外に旅立った。

飛行機の中に入ると、乗っているのが私だけみたいだ、誰もいやしない、まぁ場所が場所だし……ね。

 

1日ほどで私は目的の場所に到着し、大きなリュックを背負って、飛行機から出た、待っていたのは、たくさんのいかにも悪そうな連中。

 

「出向かえご苦労様って言えばいいのかな」

 

「へへへ、こんなところまでご苦労様だぜ、じゃあとりあえず死ねぇ!」

 

見た感じは悪人の人達は襲いかかってくる、全員固有霊装持ってるけど、こんなのに固有霊装使うのはもったいないな、だから、素手で行こうか。

 

「ほい」

 

私は振り下ろされる見た感じの悪人の斧を受け流す、そして空いた腹にはっけいを叩き込む、悪人は大きくぶっ飛んで……何回かバウンドして動かなくなった。やべ、やり過ぎたかな。

 

「ほらほら、次こい、次」

 

「な、なめるなぁぁぁ!」

 

で、数分経つと床には増援合わせて数十人の悪人……いや、ゴロツキと呼ぶだったかしら、まぁそいつらが転がっている。

私は良い準備運動ができたと、スッキリした面持ちで、空港から出ていった。

そこで待ってたのは無法地帯、公然で強盗や暴行、死体が転がったいるまさにヒャッハーな世界が広がっていた。

 

「……うーむ、聞いていた通り、凄い国ね」

 

ここが、私を強くしてくれる国。確か名前は、独立無法国家 王竜(ワンロン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(´・ω・`)キャラクターを魅力的にするの難しい


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1話 王竜祭

なんとなく続いた


「はー……すっご」

 

空港から出ると、そこには無法と言えないほど発展した建物、和気あいあいとしている人々が歩いている。

 

「思っていたより平和で少し」

 

そのまま歩いていると、どこかから殺意を向けられる、何かが私の頭に向かって飛んでくるのでそれを刀で切って落とした。

 

「これは……弾丸か、ふむふむ、一切音がしなかったけど、さて……」

 

「──ちぃ、やはりそう簡単にはいかないか」

 

ビルの屋上で男は自らの固有霊装のライフルを構えながら私を見ていた。

 

「音速の域まで達した無音の射撃を切り落とすとは、だが今度は連続で」

 

「へぇ、連続で射てるんだ、それ」

 

男は後ろから声が聞こえ、振り返ろうとする、しかし、うなじに、ちくっとした感覚を覚え、既に刀を突きつけられていることに気づき、それはできない。

 

「な、何故だ、俺は一度でもお前から目を離してないぞ!」

 

「光の分身だよ、便利だろ、私の《天刃》は」

 

天刃の能力は光、操ったり、レーザーなども作り出せ、人の目にうつるものは光だから練習が一番辛かった光の分身も作れる、いわゆる立体絵だ、私自身絵はそんなに得意ではなかったが、これの習得に5年かかった。

 

「くぅ……だが、これならどうだ!」

 

男から煙がもくもくと上がり、屋上を包み込む。

 

「ほう、これはまた」

 

なるほど、煙を出す伐刀絶技(ノーブルアーツ)か、地味だが接近された時の手段としてはいいな、地味だけど。だが、本当にそうか、既に刀の先には男はいないし、気配も先程よりわからない。そうこうしてると、右方向から何かが飛んでくる、それも複数、私は視覚は必要ないと判断し、目を閉じて、他の感覚で飛んでくるもの、銃弾を全て切り落とす。

 

「なんとも、面倒な……いいね、こういう緊迫感を求めていたんだよ」

 

だが、このままではダメだ、相手も本気で殺しにきてる、考えるか、その最中も銃弾が飛んでくる、このまま階段から下りて逃げる、ないな、それはアイツに負けてるって言っていい、なら……最初は右、次に左斜め、その次に目の前、その間は僅か10秒、私でもここまでの移動は難しい、できて1分だ、建物を見た感じで、ここが一番高い建物だった、だからまずこんな銃撃不可能なのだ。しかし1つ可能にしてるとしたら……空中浮遊。

 

「うん、それしか無いわね、いや……うん、考えるのは私には合わないね、だから……簡単な方法で行こうか」

 

私は飛んでくる銃弾、その方向に……刀からレーザーを放つ、飛んでくる銃弾は受ける、5発のうち、2発、太腿と肩にくらったけどこれくらいで倒れない。

そして、10秒経過……しても、銃弾が飛んでくることはなかった。

 

「……勝ったでいいのかね」

 

「はい、貴女の勝ちでございまス、ミス カゲトラ」

 

その声が聞こえたと同時に、煙が晴れる、今度は私が背後をとられるか、私は振り返り、刀を構える。

そこにいたのは、緑色の髪の私と同い年の少女、中華服

を着ており、ここが中国()()()と改めて認識する。それにしても結構可愛い、珠雫(しずく)よりいいんじゃないかな、それにしても緑とは、これはまた珍しい。

 

「何者?」

 

「はい、わたくしは(フー)、ここを取り仕切るマフィア、王竜(ワンロン)の若頭をしています」

 

「フーか、よろしく、で、これはどういう歓迎かな」

 

「そうですね、とりあえずわたくしの家に行きましょう、治療のためにも」

 

そのまま私はフーに連れられ、怪我の治療などをして、客間に通される、そこには既に客がいる、それも大物。

一人は銀髪の女性、かなり濃い気配を放ち、入る前からわかっていた、比翼のエーデルワイス、もう一人は中国で有名のフー・シャオリー、饕餮(とうてつ)の異名を持った人だ。

そして、車椅子に座る、目に大きな刀傷を横一文字に受けた老人がいる、さすがにこの人は知らない。

 

「よく来てくれたのう、儂はこの無法国家の王、王竜(ワンロン)じゃよ、リョーマの子孫よ」

 

「へぇ、見えてないのにわかるのか」

 

「ほほほ、これでも気で其奴がどんな人物なのかわかるのじゃよ、さて、雑談はこの辺にして、ようこそ客人、ここにいるお主ら3人は新たな(ワン)の称号を、ここの主となる資格を持っておることになる」

 

「──えっと、マジですか?」

 

私は久しぶりに脳が理解が追い付かず、口を空けていた。

 

「あなたもそのような反応になりますよね、わかります、私もここのスイーツが美味しいと聞いてやって来ましたが、急な襲撃があり、流れでここに」

 

「エーデルワイスさんもそうか、そこのシャオリーさんは?」

 

「俺も襲われたが、そこのワンロンと戦えると聞いて後々の監獄覚悟でわかったうえでやってきた」

 

なるほど……どっちも襲われたと、襲われるの確定なわけね。

 

「あー、ちなみにじゃが、おぬしらが戦ったのは本来の参加者じゃよ、致命傷受け取ったが3人とも生きておる」

 

致命傷なのに生きているのか……それなりに強い伐刀者(ブレイザー)か、装置があるんだろうね。

 

「まて、私はそんなものに参加するとは一言も言ってないが」

 

「ほう、辞退すると?」

 

「ははは、まさか、エーデルワイスと戦える機会を逃すわけにはいかないな」

 

エーデルワイスは作中で最強──なはずの人物だ、直で最強の強さを体験できるなら喜んで参加したいね。

 

「で、私達は何に参加させられるんだ?」

 

「ほほは、そうじゃの、簡単な名前じゃよ、王竜祭(ワンロンヂィ)じゃ」

 

なるほど、本当にそのままだ……いやぁ、ただの観光からワン、新たなここの国の主探しになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2話 観光 出会い

過去一番の伸びで草生えるんですけど


「……ふむ、やはりここの苺のプリンは美味しいですね、苺の味がとても市販品とは比べられないほどに際立っていて、プリンとしてもレベルが高い、とてもこんな無法な地で作られたとは思えないですね」

 

「ほんと?、あ、こっちのバナナのショートケーキも美味しいぞ、ほれほれ」

 

私とエーデルワイスは王竜祭(ワンロンヂィ)まで1日ほど時間があるため、王竜のカフェで私服でスイーツタイムを楽しんでいた。

 

「はむ……あら本当、ここの店は果物の扱いがうまいのでしょうね、それで、景虎さんでしたか、何故私に近づいたのですか」

 

「単純な理由だよ、有名人に会ったら一期一会、この大切な出会いを逃すわけにはいかないからね」

 

「なるほど、それなら私も大切にしましょう、1つ聞きたいのですが」

 

エーデルワイスはプリンを食べ終わると、私と目を合わせる。その目からは真剣な面持ちがうかがえる、普通の人なら気絶しそうなほどだ。

 

「貴女には、何のために剣を振るうのか、騎士道などはありますか、貴女からはその若さから想像できないほどの力を感じられます」

 

「……あーうん、私にそういうのは無いかな、小さい頃にいろいろと試したわけだよ、音楽からスポーツ、果てには宗教とかも、ま、それら全てで私は()()というものを得られなかった、で、その中で一番に合ってたのが緊迫した状況、そこからの脱却が一番心から満足した、だからこんなところまで来てるわけ」

 

まぁ子供の頃からというのが赤子の頃って意味だけどね、言っても信じてくれるか怪しいから言わんが。

 

「なるほど、満足ですか、私も甘いものの取りすぎでダイエットのために剣を習い始めましたが貴女には緊迫感という理由があるのですね」

 

「理由とは言えないな、慣れてしまえば薄れてしまうこんなことを理由にはできない、だから、私は何処までもいこうと思う、この刀の道を」

 

「……お互い頑張りましょう、私も理由を探します、何処までも」

 

「はは、そうだね、がんば」

 

私は口を閉じ、近くにある弱々しい気配を感じた、その辺にあるにはあるが、1つだけそれとは別種のものであると私は感じた。

 

「ごめんな、エーデルワイスさん、私もう行くわ」

 

「優しいですね、それとも自分に利益があるからやるのでしょうか」

 

「まぁ当たり、お金ここに置いとくからゆっくりしていって」

 

私はケーキを食べきり、エーデルワイスと自分の分のお金を置いて、店から出ていった。

 

「さて、何処にいるのかな」

 

私は思いっきり上空まで跳躍して、まわりを見る、裏路地のほう、そこに力なく倒れる少女と、今にもナイフを振り下ろそうとする男の姿があった。

 

「確か、ここでは殺人罪は、いやそもそも法と呼べるものがないんだったか、いまいくぞー」

 

私は地面に降り立つと、最短でそこまで行ける道を辿って、少女のところまでたどり着く。

 

「な、なんだお前は!?」

 

「通りすがりの伐刀者(ブレイザー)、なんてね」

 

私は笑顔でそう返すと、男は青筋をたてて、怒ってる様子、おやおやおや。

 

「てめぇも、てめぇも伐刀者(ブレイザー)かぁぁ!」

 

男はナイフを構えて、私に走りよってくる、素人の動きではないことから軍人か、そういうことを習ってるのか、とりあえず伐刀者(ブレイザー)ではないのは確かだ。

 

「はは、まぁまぁそう怒らないで」

 

私は男のナイフを避け、すれ違いざまに男の首に一太刀入れる、男の首から大量の出血の後、そのまま倒れ伏した。

 

「……もう100回はこんなこと起こってるからさすがに緊迫感無いな、人殺しも最初は吐いたが……まぁそんなことは置いといて、少女、生きてる?」

 

私は少女に駆け寄る、黒髪で服はボロボロ痩せこけており、息も浅く、このまま放置されれば死ぬことは明らかだろう。

 

「黒髪……日本人?、珍しいな、と、そんなことより」

 

私は少女を抱えて、病院に急いだ。

 

 

「──ここは」

 

1日経ち、病室にて少女の目が開く、点滴と、ここの伐刀者(ブレイザー)のおかけで、命はとりとめた。何時からか不明だが失明、というより目が無いらしい。

 

「起きたか、少女」

 

「……あなたは誰?」

 

凄いな、見えてないのに何故こちらをちゃんと見ているのか、まぁ私みたいな気配でわかるやつもいるしまぁ。

私はベッドの横の椅子に腰かけながら話す。

 

「私?、私は景虎、黒鉄 景虎だ、同じ日本人ならこの苗字に聞き覚えがあると思いたいが」

 

「……ごめんなさい、私、赤子の頃に拐われてここにいるからよくわからないの」

 

「そっか、まぁとりあえず休め、話はその後でだ」

 

私は病室から出ようと椅子から立ち上がろうとすると、少女は私の服を握る。

 

「まだなにか?」

 

「……私は、私は鏡華(きょうか)、と、いいます、たぶん、鏡と華々しいという意味の華で鏡華です」

 

「鏡華か、よろしくな、鏡華」

 

私は鏡華の頭をそっと撫で、服を握るのをやめてくれるのを待った後、私は病室のドアを開く。

 

「また会おう、今度は元気な姿でね」

 

私はそれだけ言って病室から出ていった。

そして病室の外で待っていたのは、フーだった。

 

「貴女様が倒したあの男、中国のスパイで間違いないです、身元と持っていた物からわかりました、軍人でだいの伐刀者(ブレイザー)嫌いのやつでしたよ」大の伐刀者嫌い

 

「そいつは怖いな、でもやめる気はないんでしょ、ワンロンヂィ」

 

「当たり前です、これは我らの大事な儀式なんですから」

 

「はは、それはまた、それじゃあ行こうか」

 

「えぇ、案内します、神聖な我らの闘技場に」

 

さて、どんなやつがいるか、どこまで緊迫させてくれるか、楽しみだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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3話 開幕 一瞬

「──さー!、紳士淑女の皆々様!、国になってからだと第2回!、50年に一度のワンロンヂィの開幕です!」

 

うーん、キンキンする、司会役の人のマイクの音量ミスってないか?、まぁこのコロシアムそれなりに広いし、しょうがないのかもね。

 

「では!、出場者の紹介です!、まず──」

 

あー、観客の声が凄い、てかいちいち紹介とかまず耳傾けんわ、半数以上雑魚だし。

 

「そして!、現!、この国の主!年齢はなんと!112歳!、そしてなお現役の伐刀者(ブレイザー)王竜(ワンロン)様です!」

 

それらと比べると明らかに別の次元なんだよね、あの車椅子の爺さん、筋肉ほとんどないのに、わかるやつには放つ気配が酔いそうなほど濃い、化け物かよ、化け物か。

 

「続いて我らが若頭!、もとい王女!、13歳にして森林の美姫(ドリアード)の異名を轟かせる優勝候補筆頭!、(フー)様です!」

 

緑色の髪の色の女の子か、てか異名をこの年齢で持ってるのか、強いとは思っていたが、これはやるあえるのが楽しみね。

 

「次にあの!世界最強の剣士!、比翼のエーデルワイスだぁ!」

 

……え?、それだけか、いや本当に他と比べると少ないな言葉が。

 

「続いてこちらは無名!、フー様と同年代にして、この国のゴミ処理隊長を一任するオールレンジの異名を持ったランシェ様を倒した期待のルーキー!、カゲトラ選手だ!」

 

あの男そんなやつだったのか、どうせならこっちでも戦いたかった人ではあったが残念。

 

「さぁ!この強者揃いの16人が熾烈な争いをするぞ!、では最初の組み合わせを紹介しよう!」

 

司会役が指を鳴らすと、上空にトーナメント表が現れる、それはほぼ白紙であり、そこに2つの名前が浮かび上がる、ワンロンとフー・シャオリ、その名前が出ると観客達は更に歓声があがる、まだ試合すら始まっていないのにな。

 

「さー!、いきなりです!、いきなりワンロン様の試合が見れます!、さぁ他の選手こ皆様は特別観客席に退場してください」

 

そう司会役が言うと、観客席の上の16人分の席がある場所への、透明な階段が現れる。

 

「ふむ、これはまた便利」

 

16人用意されてるということは敗北しても試合は見れはするのか。

 

「……と、ついたな、眺めがいいね、ここからならよく見える」

 

「そうネ、ところでカゲトラ、貴女はどちらが勝つと見てまス」

 

「ワンロン」

 

私はフーの質問に即答で返す。

 

「あら、お早い回答で、まぁ私もそう踏んでます」

 

「なら無意味な雑談だったな」

 

「えぇ、本当二」

 

私達は雑談を終えて、今から始まる試合を見る。ワンロンとシャオリーは規定の離れた位置で止まり、相手を見ている。ワンロンはまだ車椅子のままであり、それで戦うのだろう。

 

「ほほほ、おぬし、四仙(しせん)だと聞いておるが、どうかこのか弱いご老体には手加減してくれますかな」

 

「ふん、いったいどこにか弱いご老体がいるか」

 

「ほほ、そうじゃのう、ここにおるわい」

 

「さぁ!、お二方!、固有霊装(デバイス)の準備を」

 

「では、行くとするかのぉ、《応竜(おうりゅう)》」

 

ワンロンは両手に竜が彩られた籠手を顕現させる、シャオリーもまたデバイスを顕現させて準備は完了だ。

 

「では!、相手が戦闘不能、あるいは降参にて勝利とします、では、試合開始!」

 

(くくく、いったいどんな強力なデバイスだろうと我が《五兵大主》にて相手の能力を得られる、さぁ、こい!)

 

「ほほほ、何をボーとしておる、おぬし」

 

「へ?──なん──だ──お前、いつの間に」

 

パンという何かを破裂したような音の後、ワンロンの右の拳が突き出されたことにシャオリーは気づいた、そしてシャオリーは口から血を吐き出して、地面に倒れる。

 

「し、試合終了!、一瞬です!、一瞬にて終わってしまいました!」

 

「──フー、今のはもしかして空気を」

 

「はい、ご明察の通りに、シャオリー、たぶん近接戦闘してくるとふんでいたのでしょう、まさか()()()()()()()()()とは読めなかったでしょう、それもあの老人が」

 

「こわ、私も刀で真空刃を独力でだせるが、それと似たものを拳で出したわけか、それでシャオリーの心臓を破壊した……うん、やっぱり化け物か」

 

私は冷や汗をかいた、これと戦うと考えるが、今の私がかなう相手かな、うーむ。

 

「職員の方々、シャオリー選手を早くiPS再生槽(アイピーエスカプセル)にお連れして!」

 

あぁここにもあるのか、意外と裕福な国なんだな、それか盗んで……ありそうで怖いな。シャオリーが退場すると、ワンロンさんが車椅子のまま、大きく跳ねて、ここ特別観客席まで飛んできた、なにそれ。

 

「ほほ、いやぁ、四仙と聞いていたがこの程度とはのう、あれくらい反応できんとこの先やっていかないのにのぉ」

 

「お見事でした、ワンロン様」

 

「ほほ、ありがとうなフーよ」

フーが頭を下げると、ワンロンはその頭を優しく撫でた、うーん、こう見るとただのおじいさん……には見えないなうん。

 

「さぁ!、続いての勝負!、エーデルワイスVSリ・ハクンの対決です!」

 

リハクンか、なんだろう、どこかで聞いたことあるような、なんか世紀末してそう。

呼ばれた二人は先程の試合同様の位置につき、デバイスを顕現させる、エーデルワイスは剣、リハクンは眼鏡だ。

 

「さぁ!、試合開始!」

 

そしてこちらも一瞬だった、リハクンは駆け、身体強化して、エーデルワイスに拳を突き出すが、その頃にはエーデルワイスはおらず、背中に十字の傷ができる頃に再びリハクンはエーデルワイスを視認する。

 

「こ、このリハクンの目をもってしても見抜け……」

 

そう言ってリハクンは倒れた、なにこれギャグ?。

 

「試合終了!、神の目の二つ名で知られるリ・ハクンもエーデルワイスの前ではその目をもってしても見切れなかった!、では次です」

 

意外とドライだったわ司会役、まぁ何も言えないよなあんな変態速度。

 

「続いてはシュウハイVSマヒョウエンの試合です、どちらも強者ですから期待できる長試合になるでしょう!」

 

言っちゃったよ長試合って、それ司会役がどちらも同レベルって言ってるもんだろ。

 

「……次の試合まで私、自販機で買ってくるわ」

 

「ここから右いった後に左のほうにありまス、私は緑茶を」

 

「意外と図々しい、はいはい買ってきます」

 

私は特別観客席の後ろのドアを開き、どうでもいい試合を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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4話 休憩 不穏

「……えっと、これかな」

 

私は休憩室の自販機で緑茶と、見たことない苺のお茶なる物を選んで買った、ここ果物本当多いな、好きだけど。

 

「──なんだと?」

 

戻ろうとすると、近くでエーデルワイスの声が聴こえてくる。

 

「なんだなんだ?」

 

私は聴こえた声のほうに歩いていく、そこは廊下で、顔だけだして見ると、エーデルワイスとワンロンがいた。

 

「もう一度言おうかのう、おぬしは弱いということじゃ、自らの信念もないおぬしに儂が負けることはない」

 

あらやだ一触即発の空気、ちょっと期待してしまう。

 

「……そうですね、私はまだまだ弱いのかもしれません」

 

「ほう?、認めるのか、世界最強の剣士と呼ばれておるのに」

 

「そんなものただ他者から言われてるだけのことです、ですが、だからといって貴方と戦うことになっても負ける気はありませんので」

 

「ほほ、威勢はいいのう、楽しみにしとるわい、そこのやつと一緒にな」

 

「…はは、気配消していたんだけどな」

 

私はエーデルワイスとワンロンの前に現れる、やっぱり格上にはわかるのか、こわ。

 

「ほほ、それは緑茶じゃな、フーに持っていくのかね」

 

「そうですね、ところでそんな話のためにこんなところに来るとは考えにくいのですが」

 

「まぁそうじゃのう、この際二人ともに話しておくかのう、ほほほ」

 

ワンロンは少し笑った後、真面目な顔つきになり、話を進める。

 

「実はの、今中国のやつらがこちらに侵攻を始めているとの情報が入ったんじゃ」

 

ほう、まぁ中国のスパイいる時点でなにかあるとは思っていたがそうなのか。

 

「なるほど、ですが私は関わりませんよ」

 

ですよね、エーデルワイスが参加してるって知られれば、他の国も黙ってないし。

 

「別に参加しろとは言っておらん、ただ知っておいてほしいのじゃ、ところでカゲトラ、おぬしそろそろ出番じゃよ」

 

「お、そうなのか、ではお二方、また後で」

 

私は二人を背に、コロシアムに向かった。

 

「あら、少し遅かったですネ」

 

「まぁね、で、私の出番かな」

 

「はい、今終わりましたので、先程のトーナメント表に貴女の名前ガ」

 

「ほう、で、相手は……シュウレイか」

 

知らん名前だ、まぁとりあえず降りて戦おう、私は階段を降りていき、相手を見る、何時もの中華服で、年齢は25くらいかな、女性であることはわかるが、さて。

 

「どうもぉ、わたくしシュウレイ、これでもBランクで、この国の防衛隊長をしておりますぅ」

 

「ほうほう、それなら少しは楽しめるのかな」

 

「ご期待くださぁい」

 

「さぁ!、無名のカゲトラ選手!、我らが国の防衛隊長相手にどんな立ち回りをしてくれるのか!、両者、固有霊装(デバイス)の準備を!」

 

「こい、《天刃》」

 

「では、《氷羅(ひら)》」

 

シュウレイは青い刃の槍を顕現させる。

 

「それでは、開始!」

 

「ではー」

 

シュウレイは槍を私に向けた、その瞬間、何かが私の横腹を掠めた。

 

「っ!、これは……」

 

当たった場所に触ると、凍っており、痛みも感じない。

 

「……冷気を一点に集中させてレーザーみたいに放ったのか」

 

「残念、やはりこの距離からだと精度が落ちるのかな、あはは」

 

「おぉ、怖い、じゃあこっちも」

 

私は刀の先端から光線を放つ、シュウレイの心臓目掛けて、普通なら避けられない速度である。

 

「わー、はやーい」

 

それをシュウレイは半歩横に動いて最小限の動きをそれを避けて見せた。

 

「……はは、そうかそうか、じゃあ激しく行こうか!」

 

私は接近戦を持ち込むために、シュウレイに走り寄っていく、そして刀を振り下ろすが、それをシュウレイは受け流したうえで、攻撃してくるが、私も身体を反らして、避けた。

 

「あは、やっぱりやるねー、はぁ!」

 

シュウレイは槍に冷気を纏わせて、振るう、私はちゃんと避けた……はずであったが、右腕に冷気が当たり、痛みこそ無いが凍りつく、いや痛みがないからヤバイんだが。

 

「……この程度ではないよね、カゲトラ」

 

「──そうだね、Bランクだって少し軽んじていた、謝るよ、だから・・・死んでくれないでよ」

 

私は高速で後退して、刀を上段に構える、そして刀に光が収束していく、あのアニメ、もといノベルゲームから着想を得た、伐刀絶技(ノーブルアーツ)だ。

 

「あはは、そうだよ、やっぱり貴女はフー様と同類だ!」

 

シュウレイは槍を地面に突き刺して、地面から厚い氷の壁を作り出す。だが、それでは防げない。

 

「──《日輪断き切る天使の光刃(ムラクモ)》」

 

私は伐刀絶技を発動させる、それは強烈な光の濁流、今私が出せる最大の技、数秒は氷の壁は防いでいたが、すぐさま溶けて消え、シュウレイに直撃する。

 

それが収まると壁を貫き、外まで続く穴ができ、シュウレイはどうやらかなり焦げているが、ちゃんと立っている、あれを耐えるのか、いやほんと強いな。

 

「──さすがですね、貴女なら──フー様を」

 

言い終わる前に、シュウレイは地面に倒れる、さすがに限界だったようだ。

 

「し、試合終了!、勝者は無名の日本人!カゲトラだぁ!」

 

観客が歓声をあげる中、シュウレイは担架で運ばれていく

 

「──フーか、ふむ……」

 

何かあるんだろうけど、少し関わってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 



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5話 理解 本気 ①

なろう越えたお気に入り数で草




私は……ある中国の貴族だった。

その頃、私は権力者の人達にもてはやされ、家という牢獄で暮らしていた。

10代まで続いた、セン家の三女、植物の神の加護を受けた天才児、森林の美姫(ドリアード)もそんな時に勝手に付けられた。

シェンの最高傑作の伐刀者(ブレイザー)

9代目当主から後継者候補筆頭。

それらが私に対しての周囲からの評価だった。

 

「だけど……誰一人として私自身には目を向けようとしない、あはは、それにこんな力、望んだわけではない」

 

でも、その時の私には、自惚れがあったのかもしれない。

私の近くにいる人に私とまともにやりあえるのはいなく、このまま正式に大人になれば、日本の七星剣舞祭でもそれなりの成績を残せる、そんな自信に満ちていた。

あらゆる面で恵まれた家庭ではあったが、努力を忘れず、日々強くなることには快感すらあったのかもしれない。

その時の私は本当に……何も知らなかった。

「……ちっ」

 

「──」

 

廊下などで、私はよく兄とすれ違う、舌打ちをする、そんは長男は私より劣っていた、しかし私は何も考えず、何の感情も沸かなかった。そんな兄を私は父や母に言われた通り、いないものとして扱った。

私は時期センの当主、新しき時代の強者、あんなのに構ってるほど余裕はない。

私には使命があった、《私》という存在を、ブレイザーとしてではなく、私個人を見て欲しい、そんな使命のような、我が儘のようなものがあった。

だからこそ、私は自らの傲慢、幼稚さに目を向けれなかったのかもしれない。

 

ある日、私はパーティーに招かれ、権力者に媚を売るのが嫌になって、街中にくりだした、夜も更け、人通りもなく、空は雲で覆われていた。

 

「セン・パイレン」

 

突然、フードを目深に被った男は私の胸を銃で撃たれた。

そいつはフードをとる、その顔はよく見知った、兄の従者だった。

 

「ぁ──あァァァァ!!」

 

その時に私の中に眠る、本来の力が目覚めた、反撃は私が動かすことなく、樹木に貫かれて、兄の従者は絶命した。

そして、騒ぎを聞き付けた、権力者や父と母、そして兄が現れる。

 

「──パイ、なんだその姿は」

 

その時に、私の髪色は緑になり、その姿は──おぞましい木の怪物になっていた。

私は畏怖の感情に満ちた顔達を見せられ、すぐさま逃亡した。

そして、後から知った、いや、解っていたことだが、その時私を襲ったのは、実の兄の差し金だった───と、思っていたんだが、実際は父が私を殺そうとした計画だった。

 

「はぁ……はぁ」

 

私は追っ手を殺しながら、遠く、遠くに逃げていった、しかし、魔力も底につき。

 

「……逃げて、逃げて……その後は?」

 

7歳だった私の意識が途絶え始める、最後に聴こえたのは……。

 

「おぉ──おぉ!、素晴らしい!」

 

感嘆の声をあげ、涙を流す老人の姿だった。

期限な人物がひしめく、汚いスラム街で、私は力尽きた。

その出会いこと、私の、いや、私達の出会いが、この国が作られた理由だったのだろう。

 

「──ここは」

 

私が目を覚ますと、どこもかしこも傷んだボロ屋だった、それなりに洗濯されているボロボロの毛布がかけられ、木箱に乗せられて寝ていた、身体は衰弱しきっており、指一本動かせない、私は捕まったのだろうか、ならとっくに私は殺されていてもいいはずだからそれは無いだろう、尋問も意味もない。

なら、私は誰にここまで連れてこられたのだろう。

しかし頭を回すのも辛く、再び意識が途絶えそうになったため、今は考えるのはやめることにした。

 

「おぉ、目を覚ましたようじゃな、ほほ」

 

「だ──れ?」

 

老人は杖をつきながら、部屋の隅から、その姿を見せる。

ボロボロの衣服と身体の老人はじっと私を見つめながら、こう言った。

 

「おぬし、一緒に国を立ち上げてみないか?」

 

 

「──フー様、フー様!、出場の時間ですよ!」

 

「……ん」

 

お、目を覚ましたようだ、目を擦り、伸びをして、軽く跳ねて、顔を叩く。

 

(いけない、あまりに暇な戦闘だったから寝てしまっていたみたい)

 

「……ワンロン様、すみません、寝てしまって」

 

「なに、私も後少しで寝ていたところじゃ」

 

「ふふ、では……行ってきます」

 

フーは、階段を使わず、そのまま飛び降りるように、コロシアムの中央に降りる。

 

「さて、すぐに終わらせますか」

 

「さぁ!、前半最終試合!、フー様VSリョハン!、両者、デバイスの準備を!」

 

「では……芽吹け《森霊の聖槍(ミストルティン)》」

 

フーの手に、植物が絡み合う、緑の美しい槍が顕現する。相手もデバイスを顕現させて、準備は完了だ。

 

「それでは!、試合開始!」

 

それはまた一瞬だった、リョハンが剣を構えて、突き進んでいき、フーのところにたどり着き、剣を振り下ろすが、それを急速に伸びた弦が、リョハンの肢体を縛り上げ、フーは槍をその無防備な腹に近づける。

 

「こ、降参だ」

 

「試合終了!、やはり強い!、フー様!」

 

「……」

 

(……こんなものか、ワンロンの国のレベルは)

 

フーは、デバイスをしまい、再び特別観客席まで戻ってくる。

 

「おつかれ、フーさん」

 

「うん、ありがとうカゲトラさん」

 

「さぁ!、これで残ったのは8人!、ですが4人は辞退を宣言、これにより エーデルワイス!カゲトラ!フー様そしてワンロン様の4人で後半戦を行いたいと思います!、では!、また明日、この会場で会いましょう!」

 

ふむ、どれも当たっても辛くなったな、だが楽しみでもある、ふふふ。

 

 

 

 

 

 




追記 パイ・シェンシィからセン・パイレンに変更しました。


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6話 理解 本気 ②

他の落第騎士のやつ見たけどお気に入りが倍以上こちらよりあるのに、評価が2つだけで泣けてくる(´・ω・`)


「……なにか」

 

「なに、ちょっと話をね、それとも忙しいか?」

 

私は、夜、フーの部屋に訪れ、ソファーに座り、テーブルを挟みながら、お茶をいただいている。

 

「それで、私となんの話をしに来たのでしょうか」

 

「んー、そうだね、この国のこととかかな」

 

「それなら他の人でもよさそうですが、まぁ良いです、まずこの国はある老人と子供が設立しました」

 

「ほうほう」

 

老人と子供とは、確かワンロンジィは50年に一回の二回目だったっけ、つまり50年前に国ができたと。

 

「その子供は、ある貴族の娘であったけど、怪物となったことで逃亡し、昔はスラム街だったここの長だった老人と出会い、日々国を作ろうと努力しました。子供は7歳でした、その5年後に、中国から独立をはたし、老人……言ってしまうとワンロン様がこの国の王になり、子供だった女性は補佐になりました、しかし女性は33になる頃に病死、子供を残してね」

 

「ふむ、その子供というのがお前かな」

 

「まぁ……正解です、これで話は終わりです、それとも他になにか」

 

「……そうだな、じゃあ今度は私の話をしよう」

 

「?、別に必要は」

 

「無くても、私が話したいんだ、別に聞き流してもらってもいい」

 

「わ、わかりました」

 

フーは少し驚きつつも、私が話すのをじっと待っている。

 

「では、私は黒鉄家に生まれたわけだけど、私って自慢になってしまうが何でもできるわけだよ、だからかなのか、マスターしてしまったら満足して、どこか心が空虚になっていた、あらゆる物を学んだよ、数学、ピアノ 格闘技、掃除術と、本当にいろいろとね」

 

「まだ子供なのに、そこまでやってきたんですね」

 

「本当にね、だから努力ということをしてきたのは、このブレイザーとしての努力だけかな、いくら頑張ってもまだまだ先がある、これほど私を楽しませたものは無かった、そしてその戦いからくる緊迫感、それを脱した時の満足感は良いものだよ」

 

「……まるで麻薬ね、気持ちよく無くなったら努力する量を増やし、それでも足りなくなったら別の相手や、環境を探す」

 

フーの向ける目が少し嫌悪感を感じるようになったが、まぁ何時ものことか、自分でも滅茶苦茶なやつだと思ってるよ。

 

「どうとでも言うといい、私は今の生活が一番だと思ってるからね、日本では私を楽しませるのはプロのブレイザーくらいだから、けど今の私にはそれらに挑む権利は無くて、だからこの無法国家なら、ルールとか気にせず、良いいつ襲われるかわからない緊迫感が味わえると思って、だからこんなところに来た」

 

「……なるほど、貴女は本当に強さは後から来るもので、ただ自分を満足させるための過程、なかなかの快楽主義者ぶりですね」

 

「ひどい言い分だな、まぁ、変えるつもりは無いよ、それじゃあ私はこれで失礼するよ、また明日、闘おう思う存分」

 

「──えぇ、そうね」

 

──部屋を出るとき、手を振り、見送るフーを見た印象は、どこか悲しそうな、諦めてるような、そんな感じがした。

 

 

「──さー!、皆さん!、後半戦の時間と参りました!、改めて紹介しましょう!これから戦うのは、この4人だ!」

 

私達にスポットライトが当たる。

 

「まず一人目!、シュウレイを圧倒した、無名のジャパンブレイザー!、カゲトラ!」

 

「おーい!、かげちゃん!」

 

「──え?」

 

私は聞き覚えのある声が聞こえ、実況席を見る、てかあったのか実況席、そこには小柄な長い黒髪の和服を着崩した少女がいた。

 

「おま、西京 寧音(さいきょう ねね)!?、どうしてここにいるんだ!」

 

この国に来て、初めて驚いたかもしれん、西京 寧音は世界ランキング3位の実力者だ、そんな有名人が何故無法国家に。

 

「ご紹介を遅れましたが!、今回のワンロンジィには解説役を設けました!、サイキョウ・ネネ、ここワンロンでもよく知ってる名前ですが、ワンロン様が知り合いのつてから呼んでもらいました、前半戦はこれなくて残念でしたね」

 

「なに、私はこの2つの勝負が気になってきただけさね、ほとんど部外者と考えていい、あのエーデルワイスに引きをとらない気配してるワンロンにも興味あるしね」

 

「とのことです!では次に」

 

「「あ、そういうの良いんで」」

 

西京 寧音と私の声がハモった、なんか嫌だな、度々会うことはあったが、どうにも合わんのよな、強いから楽しくはあるけど。

 

「で、では、トーナメント表をだします、今回は2つとも発表いたします」

 

再び、上空にトーナメント表が映る、そこには私とフー、そしてエーデルワイスとワンロンということになった。

 

「ほう、これはまた」

 

「……そうか、貴女とやるのですね」

 

エーデルワイスとワンロンは黙って特別観客席にいき、私とフーが定位置で目を向け合う。

 

「……こい、《天刃(てんじん)》」

 

「芽吹け、《ミストルティン(森霊の聖槍)》」

 

言葉は不要と、私達は固有霊装(デバイス)を顕現させ、構える。

 

「さぁ!、後半戦第一試合、開始です!」

 

……やっぱり、フーの様子がおかしく見える、何で、勝負が始まる前からあんなに諦めた表情をしているんだ。

 

 

 

 

 



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7話 理解 本気 ③

5話少し変更しました、すまん


まず、仕掛けたのは私だ、私は一気にフーに近寄っていく、それをフーは地面から蔦を生やして拘束しようとするが、その程度は私の刀で一瞬で切れる、そして刀をフーに振り下ろすが、それをフーは槍で受け止める。

 

「……重いですね」

 

「なめてるのか?お前」

 

私はフーを吹き飛ばし、光線を放つ、それをフーは植物の壁で防ごうとするが、一瞬で焼け消え、そのまま向かっていくが、私はあえて、顔の横を通りすぎさせた。

 

「おっと!、せっかくチャンスだった攻撃!、カゲトラ選手、外してしまった!」

 

「いや、これは……ふふ、カゲちゃんの悪い癖だね」

 

「……こ」

 

私はフーの言葉を言い終わる前に、再び詰め寄り、連続で攻撃を仕掛ける。

 

「ぐっ、何故ですか、このまま貴女の勝ちでいいでしょう」

 

「馬鹿言うなよ、私は勝ちが欲しくて戦ってるんじゃない、全力で戦い合うのが好きなんだよ!」

 

「ちぃ、戦闘馬鹿ですね」

 

フーは地面から木の槍を飛び出させ、私を後退させる。

 

「なんだ、まだ手はあるんじゃないか」

 

「──」

 

「……なぁ、お前は何を怖がってるんだ?」

 

「おっと!、カゲトラ選手、精神攻撃か!、それとも相手を煽ってるのか!」

 

「どちらもだね、カゲちゃんは本当に真面目だよ」

 

司会と寧音の実況をよそに、私はフーに語りかける。

 

「私が勝つつもりだ、だがお前はなんだ、まるで戦う気を感じない、それだけの力を隠しながら!」

 

その言葉を聞き、フーの表情が怒りに変わる。

 

「お前に……お前に何がわかるって言うんですか!」

 

フーは竜の形の植物を作り出す、それも6体。

 

「《森聖 六霊竜(りんせい ろくれいりゅう)》!」

 

それは一匹一匹が不規則に動きながら私に突撃してくる、私は刀で全て切って見せるが、すぐに再生してくる。

 

「おっと!、私達も見たことない伐刀絶技(ノーブルアーツ)だ、それもかなりの高レベルの!」

 

「いくら切ってもすぐに再生する、かなり面倒な技だねぇ、さて、カゲちゃんどうする?」

 

「決まってるだろ」

 

私は刀の先端に光を収束させる、これは根っこまで焼かないと消えないタイプだ、1体でも残せばそこから再生するだろう、なら、タイミングを見計らい──逃げながら──今だ!。私は一つの場所に集まったタイミングで太い光線を放つ、竜達は焼き消え、今度こそ、いなくなった。

 

「できるじゃないか、フー」

 

「──」

 

フーは苦虫を噛み潰したような顔をしている、それほど悪い状況なんだろう。

 

「なぁ、あんなことフー様にできたか?」

 

「知らないよ、でもおばあちゃんから聞いたことあるパイ様のような技だったわ」

 

観客達はざわめきだす、特別観客席のワンロンも驚いてる様子だ。

 

「何故じゃ、何故おぬしがその技を」

 

「──くそ、こんなことになるからやりたくなかったんだ」

 

「……どうした、まだ試合は続いてる、それがお前の本当の力じゃ」

 

「黙れ!!」

 

フーは大きくそう言った、まわりの観客も黙り、かなり状況が悪い。

 

「……森聖 球霊園(りんせい きゅうれいえん)

 

フーは地面に槍を刺し、植物がドームのように、観客に見えないように覆った。光は一番上から入ってきており、ちゃんと相手を視認できる。

 

「……これは声を通さない、映ってるだろうけどね」

 

「あぁ、確かに外の声がまるで聞こえない、それで、何の話だ」

 

「……私に負けさせろ」

 

「嫌だ、お前が全力でくるまでお前には敗けを認めさせるわけにはいかない」

 

「──どうして!、どうしてそこまでする!、怖くないのか!」

 

「なにがだ?」

 

私は本当に何を言ってるのかわからない強ければそれだけ楽しいはずだろうに。私の言葉にフーは驚いていた。

 

「……お前は、本当に怖くないのか」

 

「──あぁ、お前あれだろ、まわりから恐れられ、排斥されるのが」

 

誰かに似てると思ったら、アイツだな、自分の運に苦しんでいた、名前は──うーん、思い出せないが、そいつも、自分の能力のせいで母から能力だけを見られ、他者からいないように扱われた。

 

「私にはお前のその気持ちはわからないさ、だがこれだけ言っておく、断言する、私はお前を恐れない!」

 

私は上に光線を放ち、そのまま乱雑に動かして、植物のドームを焼いた。

 

「──おっと!カゲトラ選手!、フー様の植物のドームを破壊した!」

 

「……あはは、口ではどうとでも言えるんだ、そうだよ、口では恐れないと言っていた()()()も私が強くなっていったら、私にあの怯えた目を見せた!」

 

「フー……いや、パイなのか?」

 

ジジイって、もしかしてワンロンか?、あのじいさんも怯えるのな。

 

「……あぁ、私は力を恐れない、いいからこいフー、いや、森 虎(セン・フー)!」

 

「──」

 

──私は、この地に来ても、恐れられた、私より強かった人達だって、私を恐れた、あの目を向けた……だから、私はつてを辿り、自らの子供に精神を移動させた、病というのは、嘘だ、私はこの身体で自分を抑えて、これから目立たず、ワンロンの部下として暮らしていく。

そのはずだったんだけどね。

 

「……良いでしょう、やってやりますとも、あぁ、やって見せてやろうじゃないか!クロガネ・カゲトラ!」

 

私は《森霊の聖槍(ミストルティン)》を胸に突き刺す。

 

「おっと!、フー様どうしたのでしょうか!」

 

「はは!、これはここに来たかいがあったようだねぇ!」

 

寧音もこれには驚きを隠せないようだ、だって今フーの魔力がさっきよりヤバくなってるんだから。

 

「はぁぁぁ!」

 

フーの姿が変わっていく、緑の髪が、身体が輝き、まわりから芽が生えてくる。

槍は消えて、素手ではあるが、明らかに強さの格が上がっている。しかし、私は怯えていない、むしろ込み上げてくるのは最高な高揚感だ。たぶん今最高の笑顔をしてるぞ私

 

「概念干渉系、ドリアード、神話にでてくる、森の精霊、それが私の本来の力だ」

 

「はは……最高だよ、フー」

 

さぁ、ここからが本番だ、気張れよ私

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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8話 理解 本気 ④

「──さて、みなさん、コロシアムから出ていってください」

フーのその言葉に観客はざわめき、司会も困惑してる。対して寧音は楽しそうである。

 

「ふ、フー様!?」

 

「あはは!、そうだねぇ、司会さん、ここは言うこと聞いた方がいいよ」

 

「わ、わかりましたネネさん、皆さん!、試合は映像で見れるので出てください!」

 

司会と寧音の先導のもと、数分でここは私達二人だけになった。

 

「さて、始めようか、カゲトラ」

 

フーは両手を合わせる、そして、

 

森聖 大霊樹(りんせい だいれいじゅ)!」

 

地面から巨大な木が生え、私を押し上げる。

 

「おぉぉぉ!?」

 

「な、なんだあれはぁぁぁ!、コロシアムを飲み込むほどの、巨大な木が生えたぞぉ!」

 

「あはは!、ヤバイねぇ、彼女既にAランク騎士に相当してるわね」

 

外の人達も驚いてるな、さっきからだったが、それにしても高いな、高層ビル並みにあるぞ。

 

「さぁ、やりましょうか」

 

「──あぁ、思う存分にね」

 

私達は大樹の中での闘いが始まった、フーが指を弾くと、木々の四方八方から木の槍が発射される、さっそくヤバイがこれくらい鍛練の時よりかは軽いな。私は全て防いでみせる。

 

「さすが、口だけではないみたいだね、じゃあこうだ」

 

今度は木々から人形がでてくる、その手には今も発射されている木の槍を手にしてる、わぁおここまで同じか。

 

森聖 木霊兵(りんせい もくれいへい)、さぁかか

れ」

 

木の兵達が一斉に襲いかかる、まぁこれくらいなら、私は刀に光を纏わせる、それで兵達を焼き切った、そのまま兵は燃えて、消し炭になる。そのまま私は矢を防ぎながら木を蹴っていって、刀がフーを切り裂いた。

 

「──やるね、でも足りない」

 

切られたはずの傷は急速に塞がっていく、これは面倒だな、なら連続で。

 

「よく届いたね、ここまで来れたのはジジイが初だよ、ならばこうだ」

 

フーは木の中に埋まっていき、姿を隠した、なにそれ。

 

「本当に多芸だね」

 

「あはは、でしょ?」

 

いつの間にか、私がいた枝の上にフーがいる、自由に木の中を移動できるのか。

 

「ふふ、思う存分やれて楽しいね、これが本気の闘いかぁ、じゃあ今度はこれでどうかな。

 

フーは植物の大きな竜を作る、その口から膨大な緑の魔力が集まっている。

 

「こーれはヤバイ、ならこっちもこれで」

 

私も刀に光を収束させる。前のやつより何倍もの魔力を使って。

 

森聖 竜霊咆哮(りんせい りゅうれいほうこう)ぅぅぅぅぅ!!」

 

日輪焼き断つ天使の光剣(ムラクモ)ぉぉぉぉ!!」

 

私とフーの全力の伐刀絶技(ノーブルアーツ)がぶつかる、光の奔流と木の竜の魔力砲、どちらも拮抗し、大樹を吹き飛ばしていく。

 

「「はぁぁぁぁぁ!!」」

 

そして、2つの力はピークを達して、爆発が起きる。

 

「──がっは!?、はは、キツいね、私と拮抗できるやつはお前が初めてだよ、フー」

 

ヤバイな、少し意識とんでいたようだ、フーのほうも再生はしてるが、息をきらしており、限界は近い感じだ、まぁ私も結構ヤバイ。

 

「──森聖 樹霊剣(りんせい じゅれいけん)

 

フーは枝に手を突き刺すと、そこからとてつもない魔力を感じる剣が引き抜かれる。

 

「私も貴女も魔力もカラカラでしょう、なら近接戦闘で決めようか」

 

「……いいね、こっちもこれでやろうじゃないか」

 

私も刀に光を纏わせる。

 

「「──勝負!」」

 

私とフーの全力の攻防が始まった、あの剣、私の光を受けても燃えやしない、かなり特別なものなのだろう、フーは木々も利用して、攻撃してくる、しかし前よりは激しくなく、少し面倒な程度だ。

それから何時間、いやまだ数分しか経っていないだろう、それほど濃密な時間、戦闘をしている。

 

「──これで、最後だ」

 

「ええ、最後にしましょう」

 

私と、フーは駆けていき、お互いの攻撃が交差する。

 

「──」

 

「──」

 

先に膝をついたのは私、だが。

 

「──見事」

 

血を吐き、フーはそのまま地面に落ちていく、それを私はキャッチして、足がビキビキと音がしたが着地する、それと同じくらいに、大樹が朽ちていき、消えた。

 

「……はは、どうせなら勝ちたかったけど、なんだろうね、満足……してしまった」

 

「私もだ、またやろうな、フー!」

 

私が屈託のない笑顔を向けると、フーは顔を赤らめる。

 

「……ふふ、そうね、また……やりましょ──」

 

フーは少し笑い、それだけ言うと、気絶した。

 

「試合終了!、勝者!カゲトラ!」

 

「──はぁ、私も……これは流石に──」

 

その声を最後に、私も意識を手放した。

 

 

──目を覚ますと、そこは病室だった。

 

「……そうか、気絶してしまっていたのか」

 

私は病院服から、横のかごにあった私服に着替えて、病室から出る。

 

「か、カゲトラさん!?、もう出て大丈夫なんですか?」

 

コロシアムの向かおうとすると、ドクターらしき人に呼び止められる。

 

「無論だ、それよりまだエーデルワイスとワンロンの試合は始まっていないな?」

 

「あ、はい、今は大樹の掃除が終わったところです」

 

「そうか、じゃあ早いところいかないとな」

 

エーデルワイスとワンロン、これだけは逃せないと、私の勘が五月蝿いほど言ってるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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9話 頂 激闘

そろそろ無法国家編終わります。


「ぬわぁぁん!、許しておくれセンよぉぉお!」

 

「離れてください!はな――離れろジジィ!」

 

なんだこれ、特別観客席のドア開けたらワンロンがフーに抱きついて泣いている姿がはいってきたんだが、こわ、あ、それにランシェにシュウレイもいるのか、すごい困ってるが。

そして私の存在に気づいたシュウレイがこっちに近づいてくる。

 

「あ、来たようだね、いきなりごめんね、ワンロン様本当にフー、もといセン様を溺愛してましたから」

 

「それは見ればわかる、本当に」

 

「――ワンロン、私との戦いはどうするのですか」

 

エーデルワイスがコロシアム中央に向かう階段を降りながら言った。それを聞き、ワンロンも口惜しそうながら、フーから離れる。

 

「‥‥‥そうじゃな、おぬしとは戦いたいと願っていたところじゃし、セン、また後での」

 

「‥‥はい」

 

「ほほ、では、いくかの」

 

ワンロンは車椅子に座り、一瞬でそこから飛び、ゆっくりとコロシアム中央に降り立つ。

 

「さぁ!、一時間のインターバルを経て!、最強の組み合わせでの!、外で最強と吟われる剣士!、エーデルワイス!、対して!、無法国家の創始者にして、最強の拳使!、ワンロン様!、さぁ今回もネネさんと――あれ?」

 

「あはは、やはりここが一番さね」

 

いつの間にかワンロンの席に寧音が座っていた、まぁ車椅子あるから意味ないが。

 

「やっぱりまともに解説する気はないんだな」

 

「まぁね、さすがにもう飽きちゃった、さぁ始まるぞー、あのエーデルワイスと同レベルの気配持ったやつの」

 

「当然でしょう」

 

フーが寧音の隣に座り、喋り出す。

 

「ジジィ、あれでも戦争時代より強くなってるから」

 

「フー、お前怪我どうした?」

 

「太陽浴びれば治ります」

 

「やっぱりお前も化け物の類いに入るな」

 

「ふふ、褒め言葉として受け取ろう」

 

フーは含み笑いをしながらそう言った、さて、そろそろかな。

 

「うーん、何処にもいませんね、まぁいいでしょう、それでは!、両者!、固有霊装(デバイス)を」

 

「応竜」

 

「テスタメント」

 

ワンロンは籠手を、エーデルワイスは1対の剣を顕現させる。

 

「それでは‥‥試合開始!」

 

‥‥それは、とてつもない速さと攻撃の連続だった、一瞬で消えたかと思うと、何かが破裂する音、音速を越えた速度に至った二人は数秒間で数百の攻防を繰り返した。

 

「み、見えません!、司会役を任されたこの視力5.0の私の眼でも見えません!」

 

「おー、やるねぇ、エーデルワイスはわかっていたけど、あのじいさん、本当に強い」

 

「えぇ、強いでしょう、何せあのサムライ・リョーマと戦ったんですから、あの目の横一文字傷もリョーマに受けたものだとか、話だけですがね」

 

「はは、それはヤバイねぇ」

 

濃い10秒が経った頃、エーデルワイスとワンロンの戦いが見える範囲で視認できるようになってきた。

 

「おっと!、これは両者疲れたのか!、私でも見えるようになりました!」

 

「いや、これは‥‥」

 

「おや、気づかれたかカゲトラさん」

 

「フー、お前があれが何の能力なのかは言うなよ」

 

「ふふ、そんなこと言わないですよ、たぶん勝手にジジィが言います」

 

「ほほ、聞こえておるぞお二人さん、ではこちらもギアを上げていきますかのう」

 

ワンロンは手が見えないほどの速さで拳を振るう、そこから出る真空波がエーデルワイスを襲う、それは本来ならそれほどの威力ではないが、エーデルワイスを後退させるほどの威力の様子だ。

 

「これは‥‥()()()()()?、これが貴方の能力ですか」

 

「ほほ、正解じゃ、地味ながら効果的じゃろう?」

 

「そうですね、ただ、この程度では私は倒せませんよ」

 

エーデルワイスはその空気の拳撃を剣の真空波で相殺する、やっぱり対応が早いな。そのままジリジリとワンロンに近づいていき、エーデルワイスは剣を振り下ろす、それをワンロンはふわりと、宙に逃げる、軽くもできるってわけか。

そのまま上空から空気の拳撃を放つがエーデルワイスは地面がわれるほど跳ねて、ワンロンに突きを放つ、それは震えていたようで籠手で防いたがワンロンの身体から血が噴き出す。

 

「ぬぅ‥‥やるのう、だがまだまだ儂は行けるぞぉ!」

 

その後も激しい戦闘が行われた、それを見ていた観客も、もちろん私達も見惚れていた。

 

「‥‥やっべぇ、いや‥‥私もあそこに行くんだ」

 

「へぇ、随分と望みが高いんですね、けど、す、好きだよその‥‥向上心」

 

「おうどうしたフー、何故いいよどむ」

 

「ほ、ほら!、まだ試合は続いてるよ!」

 

?、ようわからんが、まぁ良いだろう、て、いつの間にか二人とも疲弊してるな。

 

「ほほ‥‥まだ――ま――」

 

倒れたのは、ワンロンのほうだった、しかしエーデルワイスも膝をついた。

 

「し、試合終了!、勝者、エーデルワイス!」

 

「はぁ‥‥はぁ、さすがに‥‥疲れましたね」

 

「うーん、これは完全に年だな、いやあんな戦いできるんだから十分あるんだろうけどさ」

 

「まさか、ワンロン様を倒せるとは、で、カゲトラさん、あれと戦えます?」

 

「するぞ、例え勝てなく――」

突如、爆発音が大きく響いた。

 

「――あー、タイミングバッチリなのか悪いのか、来やがったね」

 

 



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10話 襲撃 圧倒 新たな出発

「で、どうするよ?」

 

「あぁ、それなら問題ありません――国民ども!」

 

フーがそう大きな声で言うと、観客の人達が老若男女問わず、立ち上がり、敬礼をする。

 

「今回()やつらが攻めてきた、いつも通り‥‥思い知らせてやれ」

 

観客達は大声をあげながらコロシアムから出ていった、椅子の下にあった武器を持って、なにこれ。

 

「あぁ、そういえば言ってませんでしたね、国民は全て兵士なんですよ、さすがに10才以下は参加しませんが、で、外に向かわせた木霊兵の視界から見ると、ざっと一万はこっちに向かってますね」

 

「――ふーん、そっかー、ところで、ここでは私が参加しても罪には問われないよね」

 

「?、まぁ‥‥そうかな」

 

「それは良かった、じゃあ行ってきます」

 

「‥‥いっそド派手にやってくるといい、諸々はもみ消す」

 

「――へへ、こんな小さな国にこんな数を向かわせるなんて、中国のお偉いさんは何を考えてるんだが」

 

「そう言うなよ、こんな美味しい仕事無いぞ?」

 

「そうだな、ぐへへ、どんなことをしてもいいんだよなぁ」

 

と、そんなことを中国兵士どもが言ってるみたいだが、私はそいつらの前に立つ。

 

「やぁ、中国の兵士の皆さん、こんにちは」

 

「な、なんだ?あのガキ?」

 

「一人たりとも逃がさないよ、君らは」

 

私は刀を上に向ける、するとはるか上空に、巨大な球体が現れる。

 

「‥‥天使の涙(エンジェルティアー)

 

そこから小さな光の玉が高速で降り注ぐ、雨のように見えるが、それは、

 

「光の雨?、こんなものがなに――」

 

兵士が触れると、その部分は焼き消える。

 

「な!?、総員たい――」

 

気づいたときにはもう遅い、一万いた兵士達は次々と光の雨に貫かれて、断末魔をあげて、消えていく。

 

「あはは!、なんだ、フーちゃんの時は手加減してたのかい?、こんなことできる魔力があるなんて」

 

わかってはいたが隣にいた、寧音が話しかけてきた。

 

「勘違いするなよ、本当に本気だったんだ、これで回復した魔力がからからだ、それにこの伐刀絶技(ノーブルアーツ)も雑魚以外にはあまり効かない」

 

「本当に敵にしたくない娘だねぇ、個人戦でも団体戦でも強いとはね」

 

「はは――さて、これで全部かな」

 

数分で兵士達は物言わぬ消し炭に変わった、一応まだ侵入したのがいるみたいだが、それもすぐに殺されてるだろうね。

私は無法国家に戻る、そこでは兵士達を倒すシュウレイの姿があった、斬られた兵士達は真っ二つに、断面が凍っており、汚さないようにしてるのかな。

 

「あ、カゲトラさん、こっちはそろそろ終わりますよ」

 

「だろうね、で、この死体どうするんだ?」

 

「決まってます、臓器売買に使います、そっちはもう使えなさそうですね」

 

おっといきなり無法国家もといマフィアじみた裏が見えたな。

 

「――あ、ところでエーデルワイスから手紙が」

 

「ふむ、受け取ろう」

 

私は手紙を受けとる、そこには。

 

もし兵士が一人でもここでのことを漏らして、私がいるとバレれればこの国に迷惑がかかる、だから私はここから出ることにした、戦えなくてすまない、だが、また会えると、なぜだが思うのだ、追伸 またデザート店に誘ってくれ、今度は日本の貴女のオススメを。

 

「――なるほど、で、これって私が王になってしまうが、もちろん嫌だぞ」

 

「じゃあなんのために来たんですかね」

 

「緊迫感」

 

「あぁ、そうでしたね――そういえば北欧にもマフィアあるらしいですね、そこには子供達をまとめる3人がいたとか」

 

「ふむ‥‥検討しとく」

 

 

数日後、ここの王はフーが推薦されたが、まだ早いということで、15歳のシュウレイがフーから言われて任命された。私は無法国家から出ようと、諸々の物が入ったリュックをしょって、空港にいた、隣にはフーがおり、前にはシュウレイや国民が詰めかけている。

 

「まさか、わたくしかぁ、本当にいいんですか?」

 

「かまわない、私は‥‥カゲトラについてこうと考えてる」

 

「よくワンロン、いやもうロンさんになるのかな、認めてくれたよなほんと」

 

「まぁね、私は外の世界を知ろうと思うの、いっそのこと、日本の破軍学園にも入学しようとも考えてる」

 

「なるほどね、目的があると、なら年離れた幼なじみとして、見送ろう、行ってこい!、フー!」

 

「えぇ、いってきます、レイちゃん」

 

「もう終わったか、いくぞ」

 

「えぇ、行くわ、それじゃあね」

 

シュウレイと国民を背に、私達は。

 

「あの!」

 

――なんだ?、いやこの声は、私は振り返る、そこには鏡華が息をきらして、立っていた。

 

「わたしも、わたしも連れていってください!」

 

「‥‥‥別にいいけど、危険だぞ?」

 

「構いません、そのつもりで来ましたので」

 

「‥‥そっか、フーも良いよな」

 

「カゲトラさんの決定なら私は別に」

 

「そっか、じゃあ行こうか、鏡華」

 

「は――はい!」

 

こうして、一人旅だった私に仲間ができた、こういうのも旅の醍醐味‥‥かな。

 

「ちなみにロンさんは?」

 

「筋肉痛とぎっくり腰、ついでに貧血です」

 

「えぇ‥‥」

 

じいさんカワイソス、まぁ‥‥いっか。

 

 

 



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11話 到着 巨人

(´・ω・`)だいぶ文章が拙いです


飛行機内、北欧、というよりユーラシア大陸の北部に向かってる最中、私はある疑問をフーに聞いた。

 

「ところで、フー、お前も転生者なんだよな」

 

「お前()というのは貴女も?」

 

「そうだな、その記憶は朧気だが」

 

「ふむ、まぁそういうものだね、私も記憶が戻ったのは10才だから、まぁゆっくりと行きましょう」

 

「まぁな、お、そろそろ着くな」

 

『お客様、席に座り、ベルトを締めてください』とのアナウンスの後、飛行機は滑走路につき、着陸した。

 

「さて、出るか、後は長い歩きだが」

 

それから空港を出て、車をヒッチハイクなどをして、私達3人は目的の古びた街にやってくる。

 

「おー、こんなところにいるのかね」

 

「こ、ここ、陰湿で苦手かも、わたし」

 

鏡華は私に引っ付きながら、震えながらついてきてる。

 

「そうか、まぁ長居はしないつもりだが」

 

「おぉぉぉ!」

 

「ん?」

 

教会の近くに来た辺りで、何かがこちらに近づいてくる。

 

「なんだなんだ?、武器の見た目から大剣(たいけん)伐刀者(ブレイザー)か?」

 

それは近くになるほど、大きく――目の前まで来ると、それは私3人分の大きさの少女だった、明らかにでかすぎるな。

 

「おらぁぁぁ!」

 

少女は大剣を大声あげながら私に振り下ろす、私はそれを紙一重で最小限の横の動きで避ける。

 

「うーん、フー、縛って」

 

「はいはい、森聖 縛霊木(りんせい ばくれいぼく)

 

フーはミストルティンを顕現させて、地面から木々を生やして、それが巨人の少女を縛りつける。

 

「ぬぐぐぐ!、抜け出せない、なんだこれは!、何故私様がこんなやつの能力をぉぉ!」

 

「うるさ、なんだこいつ」

 

私は跳んで、巨人の少女の首筋を叩き、気絶させる、同時に少女のサイズもみるみると縮んでいって、私の半分ほどの身長になった、私の身長150だからだいたい目測120だから半分は言い過ぎかな。

 

「さて、これどうしよう」

 

「おーい、ウェルム――ウェルム!?」

 

教会から赤髪のだいたい私と同い年くらいの少女が出てくる、少女は巨人だった少女が木々で縛られてる姿を見て驚く。やっべ、どう言い訳しよう。

 

それから教会の中に入り、机を挟んで、アッシュブロンドの男の子とシスターの仲介もあり、なんとか収まった。

 

「私はアリス、こっちは」

 

「俺はユーリだ!」

 

「わ、ワタシは、その、ウェルムです、よろしくです」

 

え、数分で起きたことにも驚きだが、雰囲気が180度違うんだが、なんでこの白髪――あれ、黒髪だったような気がするんだがこの、巨人だった少女。

 

「ヴェルムが皆さんにご迷惑かけたこと、どうか、どうか許してください、どうか」

 

ウェルムは土下座して、許しをこう、なんだこの、いや、なんで土下座の概念あるのかとか言いたいが。

 

「ごめんなさいね、この子、二重人格なの、ヴェルムって言うのは、この子のもう一つの人格で傲慢で喧嘩好きだけど良い娘なのよ」

 

「それ本当に良い娘なのか?」

 

アリスは少し困った顔をしている、まぁ、たぶん守ろうとした行動、のはずだし、良い、のかな?。

 

「それで、何しにここに?」

 

「そうだな、ちょっとここのマフィアに用が」

 

「へぇ、それはなんで?」

 

「ま、まさかあいつらのなか」

 

「ユーリ、人の話は最後まで」

 

「あぁ、そのマフィアが収入源なら、私が代わりにやろう、ちなみに理由としては強いやつ探し」

 

「ふーん、貴女がね、それってどうやって?」

 

「こうやって」

 

私はリュックからこの国のお金をだいたい500万ほどを机に置く。

 

「こ、これって‥‥」

 

さすがにアリスも平静ではいられないようすだ、加えてフーも、まぁ、優勝代わりに渡されたあぶく銭だし、別に良いか。

 

「い、いいの?」

 

「いいよ、大会の賞金だったし、これで足しにしてくれ、じゃあ、マフィア潰してくるわ」

 

まぁ一番の理由としては殺してもいい相手探しと、緊迫感、殺してもいいとか改めて思うがサイコパスかな。

 

その後、マフィアに一人で突入し、虐殺した、うーん、感想としては何も、この程度かって感じ。

 

「す、凄いわね、貴女」

 

外で待っていたアリスが声をかける、ちょっと引いてるが、そりゃあ一般人からすればそうか。

 

「‥‥これで、最低限の生活はできるんじゃないか、マフィアの家の中のもの含めて」

 

「え、やよ、死体だらけの」

 

「死体は無いぞ、一瞬で消滅させたから、返り血無いの見て判断できるだろ」

 

「あ、あはは、本当に‥‥強いわね」

 

ちょっと引きぎみだがアリスら笑って見せる。

 

「強いぞ、近い未来最強になる予定だし」

 

「‥‥とりあえずありがとうね、景虎ちゃんだっけ、ちゃんとした生活ができたら、お礼したいわね」

 

「何年後でも待ってるぞ、それじゃあな」

 

「あら、もう帰るのね、もう少しいてもいいのよ」

 

「‥‥そうだな、3日くらいここにいてもいいかな」

 

「 えぇ、是非歓迎するわよ」

 

それから、3日、私は教会で少し不自由な生活をして、子供の相手などしながら、仲良くなった、そして3日後、空港で、アリスやユーリに見送られながら、また別の場所に向かった。

 

 

 

 



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破軍学園編
12話 入学 謎の再会


新しいスマホ扱いにくい(;^ω^)


あれから3年、様々な場所の悪人や善人にあってきた、そのほとんどが危険な場所のわけで、で、人々からいつからか《光の戦神(ひかりのせんじん)》って呼ばれ始めた。

 

で、規定の年月が経ったのでフーとも別れて、黒鉄家に戻った、別に断絶したわけでもないしね、そして鏡華は私のメイドとして雇った、色々と目が見えなくても教えれることは教えた、それに伐刀者(ブレイザー)としてもなかなかのレベルだし、破軍学園でもやってけるだろう。

 

そして、入学手続きや、ランク付けなども終えて、私は家でゴロゴロしてる。

 

「あー、疲れたよぉ」

 

「景虎さん、お疲れ様でした」

 

リビングでソファーに座ってもたれていると、小さな鏡がついた首飾りをつけた、メイド服の鏡華が話しかけてくる、あれからちゃんとした生活をしてきたためか背も伸び、私より頭一つ分小さいが大きくなったと思う、目は相変わらず盲目だが他の感覚や特異な()()で改善されてる。

 

「お前はどうだった、ランク付け」

 

「はい、こんな感じです」

 

鏡華は一枚の紙を私に見せる、そこには。伐刀者ランク:B 攻撃力:A 防御力:B 魔力量:B+ 魔力制御:A 身体能力:D 運:E。との感じだ、ほぼAランクに近い感じか。

 

「ふむ、やはり強いなお前、なら私も見せるか」

 

私のもくしゃくしゃになってるが懐から紙を取り出す、そこには

 伐刀者ランク:A 攻撃力:A 防御力:A 魔力量:A+ 魔力制御:A 身体能力:A 運:A

 

「わかってはいたけど全てAですか、魔力量に至っては世界最高峰じゃないですか」 

 

「まぁね、主席とっちゃって入学式で答辞させられることになった、代わって」

 

「駄目」

 

「悲しみ」

 

で、それから何日か経過する、そして破軍学園、入学式。諸々のことを経て、答辞が始まる。

 

「えー、あー、ごほん、私が答辞を任された黒鉄景虎です、あー、長い話するの面倒なので、これだけ、正直ここにいる全員がかかってきても勝てる自信あります」

 

おー、ざわざわしだした、まぁ何人かは黙ってるけど、まぁそのくらいだな。

 

「あー、皆さん、努力して、勉学に励み、強くなっていきましょう、それでは」

 

皆罵詈雑言言いたいようだけど、誰も口を開かない、まぁそれなりの強さ持ってるなら私との差がそれくらいだとわかってるんだろうね。

 

で、いろいろな入学式後のことを終えた後に、私はベンチで休んでいた。

 

「はー、ランキング一位か、次に確か雷切が2位で、あと3位が」

 

「景虎さん!、いえ、姫!」

 

とても聞き慣れない呼び方をしたから振り返ってしまった、そこには‥‥‥あれ、確か《狩人》の桐原 静矢(きりはら しずや)だったか、落第騎士の英雄譚のかませ役‥‥‥のはずなのに明らかに強そうだし、雰囲気もチャラ男ではなく優しい美男子の印象、誰だこいつ。

 

「あぁ姫、僕を変えてくれた聡明で最強の女性、また会える日を心待ちに」

 

「おい!、あそこだ!侵入者め!、お縄につけ!」

 

あーうん、一輝のクラスメイトの予定なんだしそらそうか。

 

「おっともう来ましたか、では姫、僕はこれにて失礼を、僕の入学式でまた会いましょう」

 

静矢らしき男は完全に消えた、ステルス能力、やっぱり強いよな。

 

「‥‥‥はぁ、なんなんだ、いったい」

 

かなり元とは違うとは前々から思っていたが、あれは本当になんだろうな。

 

 

 

 

 

 




いつもより少なくてすまん


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13話 生徒会 部活 2年後

(´・ω・`)続きは未定


「しょ、勝負あり!」

 

私は、また勝った、ここの校長に頼んで例え私が勝っても相手の負けに数えないでほしいと、進言した、その条件なら戦いを棄権するやつらは減った、まぁそこそこいるがな。

 

「見事でした、景虎さん」

 

眼鏡をかけなおし、立ち上がる女性、その人こそ次席であり、生徒会長に立候補している東堂 刀華(とうどうとうか)である、あれからここの記憶がなだれ込んで、だいたいのことはわかるようになった、彼女がランキング1位になるはずの娘であったり、七星剣舞祭で敗北することなどが。

 

「まさか、雷切を真正面から防いで見せるとは、今までこれを受けて立っていたのは貴女が始めてよ」

 

「そりゃあどうも、時期生徒会長さん」

 

「・・・貴女こそ生徒会長になるべきなんですけどね」

 

「悪いけど、そういうのには興味はない、出来ないわけではないが」

 

「あはは、傲慢に満ちてますが実力からそれが事実なのはこの学園皆わかっていますね、では私はこれで、生徒会長の件、諦めてませんので」

 

・・・なんとも強情な人だな。

 

それからは思った以上に暇な2年だった、その間に七星剣舞祭があったが浪速の流星などのそれなりに強いやつとの戦闘以外に充実感は満たされず、ただ学園生活をおくっていた、1年目の時に一輝とあの消える弓使いが入学してきたが、まぁ関係ないことか。

 

「はぁ、シード枠、ね」

 

「あぁ、今のきみの実力はリーグでも通用するレベルだ、そんなきみと戦わせるのは酷というものだろう」

 

今理事長室の椅子に座っている、タバコ臭い人は新宮寺 黒乃、リーグでも指折りの人で俺がここの理事長を解任させて新たに椅子に座らせた、まぁ俺って言っても父の力もあるが。

 

「わかりました、まぁ今の学園のレベルではそんなところですかね、正直七星剣舞祭にも参加したくないんですけどね」

 

「それは検討されている、他校からもこんなの無理だと思っている生徒が多くて困ってるからね」

 

軟弱な騎士達だな、今のところまともに戦ってくれるのは指で数えれる程度だ。

 

「ふぅ・・・ま、自分から言うのもなんだが参加はしないでいいかな、理事長、なんなら貴女と戦いたいくらいだ」

 

「一線は引いてるものでね、家族がいるんだ」

 

「………残念」

 

 

さて、今日からだったか、珠雫が学園に入学してくるのは、ん?、あそこにいるのは?。一階廊下を歩いていると、そこには一輝に抱きついてる珠雫がいた、そして、私と同じAランクのヴァーミリオンに、前に会った一輝が――珠雫とキスしていた。

 

「どういうことなの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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14話 解放軍 一方的

珠雫の言い分だと、挨拶らしい、海外じゃないんだから……、一輝も否定していたし、違うのだろう、それにしてもヴァーミリオンの皇女様と知り合いとは一輝もやるな、なんか奴隷とか耳にしていた気がするが気のせいだろう、うん。

 

「服、服ね、正直全部同じもんでしょ?」

 

「なに?、あなた服の良し悪しもわからない女なの?、それはどうかと思うわよ女として」

 

今日は、久しぶりに会った友人のフーと共に、ショッピングに来ていた、急に電話がかかってくるなり、ファッションを教えてあげるとかで、フーから言われ、鏡華からも進められたので、渋々来てやった。

別に服なんて切れないか防御できるかでいいんだけどな。

 

「はぁ、別に女でなくても私は良いよ」

 

「……だからってその服で来るのはどうなの」

 

ん?、私は別に破軍の制服なだけなのに、何がフーは不満なんだろう、これでも自分が持ってる中で一番まともなやつ選んだんだが。

 

「はぁ……これは何着か購入しないとね」

 

それから私はいろんな服を着させられた、フリフリとしたモノからきっちりとか、まぁ知らんが。

 

「……まぁこんなところかな、貴方にあってるものと言ったら」

 

だいたい10着ほどを買わされた、流石にちょっと重いな、布とはいえ、手に服の袋がいっぱいだ、ギャグではないぞ。

 

「さて、帰……れないな」

 

「ん?、どうかしたカゲトラ?」

 

近くにいるな、それも一人はそこそこ、強い魔力、これはヴァーミリオンの皇女様かな、そんな人がいるのに、こんな殺意とか籠もってるの前にして動かない感じから見ると、後ろの微弱な魔力から推察すると人質なのかな。

 

「気づかないなら失望しちゃうぞ」

 

「はは酷いなぁ、わかってるけど反応が()()()()とは違う顔してたからね」

 

なんだ、どうかしたというのは反応のほうか、効率的な魔力の流れから珠雫がいるからな、流石に妹がピンチに完全に冷静とはいかないな、はてさてどうしよう、一応見に行こうかな。

 

「なぁ、傍観しに行こうと思うんだが、あんたはどうする?」

 

「ヴァーミリオンがいるんでしょ?、もちろんいきますヨ」

 

「決定だな、で、手が塞がってるわけだが……」

 

私はトイレまで行き、鏡の前に立つ。

 

「?、なんでここまで?、尿意でも?」

 

「違うわ!……鏡華」

 

「はい、景虎様」

 

鏡にそう言うと、鏡面が歪み、部屋が映し出される、そこには鏡華が立ち、声が聞こえてくる、やはり鏡華の《雲外鏡(うんがいきょう)》は便利だな

 

「はー、あのキョウカちゃんがこんなことできるように、便利だなぁ」

 

同じ感想である。

 

「フー様もいらっしゃったんですか、こんにちはです、それで景虎様、何用で?」

 

「あぁ、ヴァーミリオンのところを映してほしい、反射するモノならなんでも繋げられるだろ?」

 

「はい、ヴァーミリオン、ステラ・ヴァーミリオンで間違いないですね、では」

 

再び鏡面が歪み、他の映像が見えてくる、これは、何度か暗闇になることから人の目か、ヴァーミリオンと珠雫が見え、奥には解放軍が見える、それとこの目線の低さから子供の目線か。

 

「もしかして人の瞳も鏡面対象なの?、なにそれ何時でも何処でも監視カメラを人類につけられているみたい」

 

「強いぞ、まぁ能力の一部なんだけどなこれ、お、動きがあるな」

 

これは、ヴァーミリオンが脱いでる感じか、やだ女から見てもエッチぃ、珠雫も隠れてやってるみたいだが間に合うかどうか……あ、一輝来たな、おぉ、どんどん倒していく、ただリーダーっぽいのは……まぁ普通に倒せるよね、でもまだ残党も……見えないが何か当たって倒れたな、なんだ、静矢いたんだ、

 

「ん、もう切っていいぞ鏡華」

 

「はい、よろしいですね」

 

鏡面が歪み、再び鏡華が映し出される。

 

「ありがとう、あ、これ私の部屋に送っておいてくれ、ちょっと一輝のところ寄るから」

 

私は両手の袋を差し出す、鏡華が手を伸ばすと、鏡をすり抜けて、手が私の袋を掴んで、袋は鏡の向こう、鏡華の部屋に入っていった。

 

「なにそれ、繋げるって映像以外もやれるんだ、ならここからわたくし達が行けば」

 

「いえ、生物からは無理です、やったことありますが、映ってるからわかりにくいですが小指一本しか入りません、それにできてもトラウマものですよ」

 

「むぅ残念、でも大きな鏡があるなら何処でもいけるなら便利ではあるね」

 

「そうですね……それで景虎様、これは寮?実家に送るですか?」

 

「家で」

 

「かしこまりました」

 

鏡華は隣の鏡を家に繋げ、そこに袋を放り込んだ。

 

「ありがとう、それじゃあ」

 

「はい、行ってらっしゃいませ、景虎様」

 

 

目的の場所まで行くと、静矢が……楽しげに一輝と話していた、うーんこの、同じ世界なのに違うっててのがわかる場面だ。

 

「一輝」

 

「あ!、姉さん!」

 

私が声をかけると、一輝が近づいてくる。近くまで来ると、これ私より背丈大きいな、成長したんやなって。

 

「それにフーさんも一緒なんですね、何か用でもあったんですか?」

 

「んー?、何か大変そうだったから見てたけど直に見に来た程度だが」

 

「あぁ、鏡華さんの雲外鏡を使用したんですね、見てたなら手伝ってくれても良かったのに」

 

「それだと一輝に悪いだろ、できる限り手伝わないほうが強くなれるとは思うぞ?」

 

「はは、手厳しいなぁ」

 

「ねぇ!、イッキ!、その人ってもしかして光の戦神!?」

 

赤い髪のでけえ(魔力的身体的意味)少女、魔力なら私と同等、いや以上あるんじゃないか?。

 

「はじめまして、私は黒鉄景虎です、弟の一輝が世話になってるとか」

 

「ふぅん……まさかあの光の戦神が女とはね、よろしく」

 

ヴァーミリオンからの握手を、私は応じた、ただの握手……ではなく、力勝負だ、かなり力を込め合いながら、表情変えずに握りあった。

 

「……ワタシと互角とはね、流石ね」

 

私と、ヴァーミリオンは睨み合った。

 

「あ、あの、ステラ?」

 

一輝に言われてか、ヴァーミリオンは手を離した。

 

「あはは!ごめんなさいイッキ、ちょっと試していただけよ」

 

「試されてやったよ、じゃあ私はこれ」

 

「姫!いらしてたんですね!」

 

―――そういえばいたな静矢、このまま無視できれば良かったのに。

 

「その姫というのをやめないと喉を切り飛ばすぞ?」

 

ガチでな。

 

「ふふ、景虎さんは厳しいなぁ、では一輝くん、次の試合、正々堂々……とは言えないが、ぼくの全力を持って相手しよう」

 

「あぁ、静矢、全力でだ」

 

……青春だなぁ。

 

その後、無事解散して、買った服はたまに着るようにしている、それと一輝VS静矢か、本来なら一輝だが、さて、慢心なしの静矢相手にどうなるか、少し楽しみだ。

 

 

 



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15話 一輝 静矢 

(´・ω・`)試しに視点を変えてみた、うん、こっちのほうがやりやすいね、まぁ元の落第騎士がこっちの手法だから当然か。


七星剣舞祭の参加メンバーを決める予選、ステラのためにも、一輝は全力で静矢と当たるつもりだ、ステルス能力もさることながら、それ以上に彼には類稀な、弓の腕前がある、狩猟騎士、あるいはロビン・フッドと呼ばれている彼の実力は、前に七星剣舞祭でも上位に食い込む実力だ。

 

「……よし」

 

一輝は心を整え、会場、戦いの場に足を踏み入れる。

 

「さぁ!、七星剣舞祭予選!、今回戦うのは七星剣舞祭7位!狩猟騎士!、桐原静矢選手!、対して相手はFランク!……だが油断は禁物!、彼の剣の腕前は、あの光の戦神が認めるもの!、黒鉄一輝選手だぁ!」

 

司会の声と共に、二人の選手が入場する。

一輝は静矢と相対する、見た感じの静矢のコンディションは良好のように思える。

 

「……一輝、きみを完膚無きまで倒すつもりで、僕は挑むつもりだよ」

 

「そうお願いするよ、静矢くん……それじゃあ――来てくれ《隕鉄》」

 

「《朧月》!」

 

二人は固有霊装(デバイス)を顕現させる、一輝は黒い刀、静矢は弓、タイマンにおいて、弓は不利に思えるが、彼には何度も言うが、ステルス能力がある、逆に刀のみの身体能力でしか戦えない一輝は不利と言っていい。

 

「ふーん、なかなか()()()()()()()()()()

 

司会の隣に、西京寧音、トップクラスの騎士が現れる、寧音は面白げに、二人の騎士を見やる。

 

「さ、西京 寧音さん!?」

 

司会の人は驚いてはいるが、既に解説役として呼ばれているため、すぐに平静さを取り戻す、ただほとんどの試合は見ていない、今回の試合がそれだけ面白いカードということなのだろう。

 

「そ、それでは、試合、開始!」

 

そして、開始の合図が鳴った。

 

まず、仕掛けるのは一輝、いや、仕掛けるしか無いだろう、相手が伐刀絶技(ノウブルアーツ)狩人の森(エリアインビジブル)を発動されれば、倒すのが難しくなる。

 

「《一刀修羅》!、そして、《第七秘剣・雷光》!」

 

一輝はいきなり主力の伐刀絶技を発動し、自身の中で一番の速さの技を放つ、しかし、相手もそうくると解っている。

 

「――《驟雨烈光閃(ミリオンレイン)》!」

 

静矢はそれを空に否、()()()()()撃ち放つ、無数の矢が一輝の目の前を覆い、しかしそれを一輝は、全て弾いて見せている……しかし、時間は稼がれた。

 

「《狩人の森》……」

 

一輝が静矢の首筋まで届く頃には、既に姿が無くなったていた。

 

『おっとぉ!、静矢選手!、伐刀絶技の応用で一輝選手を足止め!、加えて狩人の森を発動して、優位に立った!』

 

『本来なら空に向けて撃って、逃げ場のない攻撃なんだろうけど、相手が真正面から来るならまぁそうするよねぇ』

 

「……やるね、静矢くん」

 

「……」

 

返答は来ない、一輝が声音で相手の位置を理解する材料にされることがわかっているのだ、静矢は静かに、弓を引き、放つ。

見えない矢の攻撃を、一輝は――それを掴んだ。

 

「!?」

 

「良かった……やはり心臓を狙ってきたね」

 

「……なんだ、既に僕のことを理解されていたみたいだね」

 

『こ、これはどういうことでしょうか!完全なステルス能力のはずなのに、何故一輝選手はわかったのでしょう!』

 

完全掌握(パーフェクトビジョン)、噂では聞いていたけど流石の精度だねぇ、彼とはあっていたから、それなりに掌握されてる感じだね』

 

「君の居場所はわかっている、決めるよ!」

 

一輝は、静矢のもとにまっすぐに向かっていく。

 

「……僕もそれなりに出来るよ、一輝ほどではないけどね!」

 

静矢は目を見開く、狩人の眼(ハンターアイ)、相手の急所、相手が反応不可能な場所を見抜く、伐刀絶技ではない、一輝と同じ技能の範囲だ。

 

「行くよ……」

 

「あぁ、行くよ、僕の最弱を持って、きみの最強を倒す!」

 

静矢は弓を引く、魔力の矢が作られ、驟雨烈光閃を、否、それを()()()()()、無数の矢が一本に蓄積される。

 

「《一滅烈光閃(ミリオンワン)》!」

 

「《第一秘剣・犀撃(だいいちひけん さいげき)》!」

 

一輝は剣を真っ直ぐ突き立て、剣先に力を集中させた突きを放ち、静矢は高密度の一矢を放った、両者の技はぶつかり合う。

 

「ぐっ……おぉおぉぉ!」

 

負けられない、今回は、自分のためにも、そして、ステラのためにも!、一輝は思いを胸に、自らの力を更に上げる。

 

「いっけぇぇぇ!、イッキ!!」

 

ステラの応援が一輝の耳に入る、笑みを浮かべ、更に力を、たとえ、この身が今砕けようとも。

 

「……流石だよ、一輝」

 

静矢の一矢を壊し、そのままその刀は、静矢の右手を貫いた。そして、狩人の森は解除された。

 

「まいった、利き手を使用できなくされたし、そもそも片手では弓は引けないね」

 

『し、試合終了!、勝者!黒鉄一輝!』

 

「は、ははは……勝ったよ、ステラ――」

 

そのまま身体が限界がむかえたのか、一輝は倒れる、その瞬間、客席から何かが飛んでくるのが見えた、しかし、もう反応はできない、静矢も力を使い果たし、利き手が使えない。

 

「だめ――だ、この――ままじゃ」

 

「お疲れ様、ゆっくりと休め」

 

二人を助けたのは、景虎だった、景虎は飛んでくるモノ、銃弾を刀で斬り、光線によって、襲撃者の肩を貫いた。襲撃者はすぐさま、この場から離れていく。

 

「……任せたぞ」

 

 

襲撃者は逃げている、出口までたどり着く、が、そこで身体が動かなくなる。

 

「――動かない、何故?」

 

「《影縫い(シャドウバインド)》、どうかしら?、私の伐刀絶技は」

 

背後から、いや、影から現れたのは、有栖院 凪(ありすいんなぎ)、またの名を、黒い茨(ブラックソニア)あるいは……黒の凶手(くろのきょうしゅ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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16話 白闇の六花 束縛軍

(´・ω・`)好きなときに好きなように投稿してます


「……黒の凶手か……まぁ、良い」

 

白ずくめの襲撃者は、自らの魔力を上げて、無理やり拘束を破り、アリスに、固有霊装(デバイス)の拳銃を向ける。

 

「あらあら、やっぱり私程度の魔力じゃそう長くはもたないみたいね、ね、ユーリ」

 

アリスが目をつぶると、襲撃者の目の前に強烈な光が現れ、目をつぶし、一瞬で隠れていたユーリによってに組伏せられる。

 

「だろうな、な、俺の目立ては当たってただろ?」

 

「そうねぇ、今度お肉ごちそうしようかしら」

 

「やったぜ!、お前の料理うまいんだよな!」

 

「ぐっ……この」

 

何度も脱出しようとしてるが、ユーリの技術からか、関節が完全に固定されており、身動きができない。

そこに更に、一人現れる。

 

「……その人が、お兄様を殺そうとした下郎ですか」

 

珠雫は光の無いその鋭い目で、襲撃者を見ると、固有霊装(デバイス)の小太刀の宵時雨(よいしぐれ)を出現させると、刃を襲撃者に向ける。

 

「おい、殺すなよ?、そいつからは色々と聞かないとだからな」

 

「わかってますよユーリ、生かさず殺さず、なぶる程度にします」

 

「ぐっ……くひひ、くひひひ、白き闇の祝福あれ!」

 

奇妙な笑い声の後、襲撃者はそう甲高く声を上げると、人形のように動かなくなった。

 

「……()()()、いくら捕まえようとも、今みたいに変な叫び声あげて、ぽっくりいっちゃう」

 

「アリス、いったいなんなんでしょう、白き闇って」

 

「さぁね、狂人の言うことがわかるほど私頭よくないのよね」

 

「……とりあえず、死体の処理は、学園に任せましょう」

 

珠雫 アリス ユーリは、死体をそのままに、この場を後にした。

 

 

私は、一輝と静矢の試合を観戦した夜、()()にて、リビングに()()()()を集めた。

 

「さて、待ってるのも何だし、何か飲むか?」

 

「俺オレンジジュース!」

 

「私はカシスのやつね」

 

「姉様のお好みで」

 

ユーリ アリス そして珠雫は、私の仲間だ、どうやら()()()()と遭遇して、何時も通りに相手が死んだらしい、尻尾を本当に掴ませてくれないな。

 

「はいはい、じゃあ珠雫はサイダー、いや麦茶がいいかな」

 

「お手伝いします、景虎様」

 

立てかけられた鏡から、鏡華が出てくる、こっちも何時も通り、クールだな。

 

「えっと……確かこの辺に」

 

私は飲み物用の冷蔵庫から言われた飲み物を探しているが、数が多くて見つけにくい、ざっと種類が20以上はある、人が多いからバリエーションがね

 

「確か右隣の奥にあるかと」

 

「あぁそうだったな……よし、全員分見つけた」

 

私は、紙パックの飲み切りサイズのやつをオーダー通りの飲み物を持って、リビングに戻る、そこには他メンバーのフーと、ウェルムが来ていた。

 

「あの、遅れてごめんなさいです、カゲトラさん」

 

「私が迷子になっていたところを見つけてね、彼女、方向感覚が愉快なほど狂っているから」

 

「うぅ……」

 

ウェルムは今はこんなんだが戦力としては私とフーと並ぶ、まぁ条件付きだが、その条件が戦闘に問題ない危険時だから困ることはない、ただ強盗と遭遇したら怪獣映画じみたことになるからそれは怖いな。

 

「さて、全員揃ったわけだ、拘束軍(アンチリベリオン)の中枢メンバーは」

 

拘束軍(アンチリベリオン)解放軍(リベリオン)打倒ももちろんあるが、悪全般を拘束するという意味も込められている、私が組織しており、4つ目の勢力を目指して奮闘している、まぁ今は別の敵を相手しているわけだが、むしろ解放軍(リベリオン)以上に面倒だ。

 

「んで、ユーリ、何か情報は握ってきたか?」

 

ユーリとアリスは戦闘能力に関しては下に入るが、スパイとしてはなかなかにやれる、それにしてもユーリって本来なら死んでるから能力がわからなかったが、光の能力とは、威力こそ無いが光の屈折を巧みに使って隠れたり、立体映像の分身作ったりと私とは違った光へのアプローチをこなしている、私はそんなことする必要ないわけだが。

 

「うーん、とりあえずわかってるのは、白闇の六花(ホワイト)という名前で活動してる6人、は、皆わかってるよな、ホヤホヤの情報ならメンバー情報を2つ仕入れているぞ」

 

「ほう、詳しく」

 

2つか、まぁ6分の2なら充分か。

 

「まず最近伐刀者(ブレイザー)の唐突な裏切り、もとい洗脳を行っているのは、コードネーム、《マインドボルト》、雷、電気系の伐刀者(ブレイザー)で、戦闘能力は低いらしい、解放軍(リベリオン)も頭を抱えていて、その構成員から聞いたモノだ」

 

「ふむ、じゃあもう一つは戦闘員かな」

 

「そうだぜ、コードネームは能力がわかりやすく、《不死者(アンデッド)》、ただ炎も扱っているとも聞いているから、何らかの方法で不死と炎が繋がっているものだと思うぞ」

 

「どっちもどっちで面倒そうだな、他四人の調査も進めていて欲しい、学園で暮らしながらな」

 

「……一応聞いておくけど、イッキには何も言わないのか?、オーマにもさ」

 

「お兄様には普通に暮らしていて欲しいの、ユーリ、もし何か言ったら許さないから」

 

珠雫は殺意がこもった目でで、ユーリを睨む。

 

「あはは、善処するぜ」

 

戯けたように、ユーリはそれをいなす、まぁ何時も通りだな。

 

「……では、今日はこの辺に、ホワイトについては進めておいてくれよ、皆の衆」

 

私は欠伸をしながら、基地から出ていく、深夜だからね今……はてさてこの先どうなるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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17話 ロシア 編入生 前編

北ヨーロッパのとある小国、アイオライト帝国、毎年極寒であり、暖かくのは稀で、国民は皆上着を何枚も着ている、そんな帝国にはある、帝室直属の伐刀者(ブレイザー)部隊が存在する、その力は大国とも渡り合えるほどに強く、ヨーロッパ政府としても無視できない、当然ではある、何故ならその総隊長は、魔人(デスペラード)、限界を超え、運命から逸脱した怪物、それが総隊長を担っている。

 

ある夜、部隊はある裏切り者を追っていた、その男は転移の伐刀絶技(ノーブルアーツ)を使い、逃走はしてるが、相手が悪い、男の足は凍りつく、そのまま地面へと落下する。

男は木に持たれかかり、足の氷をその固有霊装(デバイス)の剣で破壊しようとするが、壊れる気配はない。

 

「無駄だ、ボクの氷はただの伐刀者では破壊は不可能だとは既知のはずだ、レノン・シュチューテス大尉」

 

男の足を凍らせた伐刀者が、兵士数名と共に、囲むように現れる、青を基調とした軍服、胸には濃い青の色をしたアイオライトの宝石を、2つの鎌が重なり骸骨が真ん中についた、海賊のような国のエンブレムに加工した物をつけ、下には勲章がいくつもついている、顔は頭全体を覆うマスクで隠しているが、男はその者を知っている。

 

「……シムナ・シモ・ハウハ総隊長殿、まさか貴方が前線に出るとは」

 

シモ・ハウハ、過去、ヨーロッパの国、フィンランドで白い死神と呼ばれたある男の名前、その名前は歴代総隊長のコードネームとして使われ、その実力もまた、名前も違わない殲滅力を誇る。

 

「何故だ、何故貴方のような人が、帝国を裏切るような真似を!」

 

シムナは怒る、彼が犯した罪は帝国の禁忌書庫への侵入、そしてそれを護る兵士2名の殺害だ、シムナはその青い両刃斧を男に向ける。

 

「……帝国伐刀者部隊、雪の死神(スノーリーパー)の第一条、兵士による同属、国民の殺しは即刻死刑を言い渡されている」

 

「そうです……ね!」

 

男は最後の力でシムナの背後に転移し、剣を振るう、しかし、身体はシムナが発する冷気によって骨まで凍結する。

 

「――ふっ!」

 

シムナはその斧で男の胴体を腕ごと横に真っ二つにする、血が飛び散り、シムナの軍服と雪の地面を赤くしていく。

 

「がっ……ぐはっ……すみ、ません、シムナ様」

 

「!?、レノン大尉!」

 

シムナは思わずレノンを抱き寄せる。

 

「この僅かの間、蘇った……《正気》、国に……、電気です……電気に……お気をつけ――くだ――さ――日本、やつは――そこに」

 

レノンはそこで完全に事切れた。

 

「レノン大尉……」

 

シムナは、手の中で息絶えた男を手放し、部下に命令を下す。

 

「これよりレノン大尉が最後に残した言葉の真意の確認を行う、死体は軍の墓に、僕は皇帝に報告に向かう」

 

「「はっ!」」

 

部下達は散開し、シムナは、城に向かう。

 

自室にて、シムナは軍服を脱ぎ、マスクを脱ぐ、中に隠された美しい青い髪が現れる。

 

「……」

 

その碧眼は涙で潤み、顔には涙の跡がついている。

 

「いかなくては」

 

着替え、ドレスに身を包み、皇帝のいる玉座の部屋に向かう。

 

「ご苦労だった、シムナ・シモ・ハウハ、いや、シュラースチカ・アイオライト、我が娘よ」

 

皇帝の前で、スチカはドレスの裾を上げ、会釈をする。

 

「ありがとうございます、このスチカ、喜びでいっぱいです、それで、レノン大尉から聞いた話を、少し」

 

「ふむ、話してみよ」

 

スチカはレノンが言い残した、電気、そして日本にいるとのことを話す。

 

「電気か、もしや最近噂されておる心変電波(マインドボルト)という者だろうか」

 

「マインドボルトですか」

 

「あぁ、白闇の六花(ホワイト)なる集団の一人らしいが、解放軍(リベリオン)並に情報が少ない……スチカよ、ここは日本に行ってもらおうと、ワシは考えておる」

 

それを聞いたスチカは目を見開き、驚いた。

 

「陛下!、何故ボクなのですか、他の者でもよろしいのではありませんか!」

 

「確かに、だがマインドボルトは謎が多い、日本にいるとなれば、ただの伐刀者を向かわせるわけにはいかん、なに、そちらの部下を何人か連れていける、何も無いが一番だが、スチカ、お願いできるか」

 

「……レノン大尉は、ボクが子供の頃から稽古をつけ、優しく、厳しく、ボクが敬愛するお人です、もしマインドボルトに操られていたのなら……ボクは行きます、必ず、捕らえて見せます!」

 

スチカの決意がこもった目に、皇帝は笑みを見せる。

 

「よろしい、行ってまいれ、我が自慢の娘よ」

 

「はっ!」

 

こうして、スチカは日本へと旅立った。

 

 



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18話 悪者 更なる悪者 

原作10巻以降のネタバレ注意
まだ見ていない人は見ないことをおすすめします。


《傀儡王》 オル=ゴール、解放軍(リベリオン)に属する人格破綻者、人の不幸は蜜の味が彼の性であり、世界でも数十の魔人の一人、霊装(デバイス)は《地獄蜘蛛の糸(ブラックウィドウ)》、糸の霊装であり、それで死体すらも生きてるように操ることが可能。

 

実力は魔人故に高く、自他が認めるモノだが、彼は今、ある場所にいる、草木が生えない、岩石だらけの荒野、今彼の相手には相性の悪い場所、負けるはずがない、コイツも人形にしてやろう、と、息巻いていたオル=ゴール……それも5分ほど前のことではあった。

 

「がっ――ごほっ!」

 

膝をつくオル=ゴール、身体が文字通り痺れ、今にも倒れそうな様子。

 

「あんれぇ?、どぉしたのかぁなぁ?」

 

暗い白の花のブローチを身につけ、岩山の上で、オル=ゴールを見下ろす男、カンに触る言動と、余裕に満ちた表情からは性根の悪さがうかがえる。

 

「こんな……ボクが……!」

 

オル=ゴールは糸を放つが、それは男の目の前で焼き切れる、彼は指一本動かしてはいない、ただ彼の纏う電気が強いのだ、本来どんな炎でも攻撃でも切れることなどなかった糸が、切れてしまうほど。

 

「何故だ……クソ!」

 

想定外すぎる、今まで隠れて、まずバレることなく暮らしていた、数百の人形で世界を操っていたが、今はそんなことよりも自分の命、人形を停止させ、彼と対峙することにすべての力を行使している、それでも、遠い、まるで《暴君》、解放軍のリーダーのようだが、彼よりは弱い、だが、現実問題、勝てない、逃げようにも、電気の檻によって閉ざされ、空からでも不可能だ、地中は固く、選んだ場所が相手に悪いはずなのに今は自分に振りかかる。

 

「……もういいや、なんかもう飽きたよ」

 

子供が玩具を捨てるかのように、欠伸をしながら、男は指先から高電圧の雷の弾丸で、オル=ゴールの頭を貫いた。

確実に死んだ、だが、オル=ゴールには、それは反撃の狼煙とも言うべき最強最悪の伐刀絶技(ノウブルアーツ)の発動が可能となった。

 

死霊遊戯(ダンスマカブル)

 

伐刀者(ブレイザー)の市によって発動する伐刀絶技であり、効果は限界を超えた力、並大抵の攻撃では切れない糸、頭を潰されてなお動く身体、まず使うまいと思っていたが、背に腹は変えられない、今こそ、コイツを殺すのだ。

 

「お前なんて!、この姿になったら、負けることなんてないんだよぉ!」

 

オル=ゴールは跳躍、その限界を超えた膂力で、男を殴りかかる。

 

「……あっそ」

 

それでも男の興味は既に失せていた、オル=ゴールをその一撃は片手で防がれる、彼からは骨と肉が潰れ砕ける音が聴こえはするが、何の反応を示すことはない。

 

「あぁあ、せっかくの()が駄目になったよ、ま、いいか」

 

男はオル=ゴールの頭を掴みとる。

 

「ぐっ、くそ!、離せ!、離せっていってるんだ!」

 

その膂力でも、骨を砕いても、その手は離れない。

 

「――あ?」

 

電気が流れてくる、そして、自分が徐々に消えていく感覚がしてくる。

 

「人格を持ってるなら少なからず、電気信号はある、頭を潰されても、それは変わらない、よねぇ?」

 

「やめろ……やめろやめろやめろやめろやめろ!」

 

「けひ、かひ、きひひひひひ」

 

男は下卑た笑い声をあげ、オル=ゴールの命乞いに愉悦する。

 

「やめてく――」

 

――オル=ゴールは完全に消え去った。

 

「……駄目だねぇ、やっぱり魔人はどうあっても人格は消去はできるが、洗脳はできない、強いお人形は作れないのが私のこの《}電脳魔眼《ラプラス》》の不満点かな」

 

男は義眼型の自らの霊装の右目に触れる。

 

「――《心変雷波(マインドボルト)》ぉぉぉぉ!!」

 

「んー?」

 

突如、起き上がったもう一人ここにいた魔人、アイリスに殴りつけられる、頭の半分が吹き飛んだが、倒れる様子はない。

 

「あはは、こわぁいこわぁい、もう私の麻痺雷波(パラライズボルト)から回復するなんてお見事ぉ」

 

大量の血液が流れても、彼は何ごとなく喋り続ける。

 

「私の、私の弟をよくも!」

 

涙ぐんだアイリスの声に、男は嗤う。

 

「あは、けひ、これは生かしておいたほうが楽しめそう、じゃあねぇ、この身体は棄てるし、転がっているのもあげるぅ」

 

「待て!」

 

瞬間、男の身体は力なく崩れ落ち、残されたのは、アイリスのみになった。

 

「――私は、私は……!!」

 

アイリスは一人、悲しみに悶える、護れなかった、魔人になった理由の大切な弟の亡骸を見ながら。

 

 

「……やはり、エイブラハムの坊主や暴君、アーサーほど楽しめないな、これは」

 

炎を拳に纏い、ローブの者は、《同盟》の死体の山の上で一人、立ち尽くし、欠伸をする、まるで()()()()という感覚が無い、改めて思う、強くなりすぎたと。

 

「エーデルワイスのお嬢さんも行方が不明だし……なんだかなぁ、俺はもっとやりたいなぁ……はぁ」

 

また別の場所に放浪しようとした時、携帯に着信が入る。

 

「んー?なんだ……はぁ、日本、故郷だな、そこに行けと」

 

その者はメールの内容を流し読みする、命令だから仕方ない、つまらないかと思っていたが、ある一文が興味を引く。

 

「……ほう、七星剣舞祭、そうか、そんな時期だな」

 

その者は笑みを浮かべ、身体が燃え盛る。

 

「楽しませてくれるだろうなぁ、わが故郷の戦士達!」

 

その者は火の玉となって、目的の場所へと向かっていく、強者と戦うために、それだけのために

 

 

 

 

 

 

 



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19話 ロシア 編入生 後編

捕縛軍(アンチリベリオン)はいわゆる悪への抑止力だ、まず鏡華、彼女の鏡の固有霊装《雲外鏡(うんがいきょう)》は鏡面全てに繋がり、その映像を視認できる、盲目ではあるが、この固有霊装のおかげで、首に雲外鏡を小さくした物を首にネックレスのように付けているため、ほぼ人並みの視界を確保できている、鏡面なら水でも大理石でも何でも良いため、何か鏡面がある場所で大きな事件が起きれば、即座に鏡面の中に入り、駆けつけることが可能だ。

 

2つ目はアリス、影の中に潜み、気配も感じないため、何時何処で襲われるか、悪者達は怖い怖い思いをしている。

ユーリのアリスと同じ短剣型の白の隠者(シャイニング・ハーミット)も静矢ほどではないが光を屈折させて透明になりステルスでき、ユーリ自身の足さばきで音は立てずに暗殺可能。

 

この3人が捕縛軍の暗部的な役割だ、実戦は私とフーが行うし、もーまんたいというやつ。

 

ま、今は私、プールにいるんだけどね、休暇休暇。

 

「……はー、極楽極楽」

 

「そだねー、ボクもこういうの寒空だったから初体験ですー」

 

何故か隣にはまるで知らない他人の青髪美少女おる、こわ、てか若干彼女の近くのプールが冷たい、なにこの娘。

 

 

「――だれですかー」

 

「おっと、自己紹介はしないとですねー、よっと、まずは陸上がりましょう」

 

青髪美少女は水を蹴って、プールサイドに着地する。

私は普通に手すり使ってゆっくり上がる。

 

「ボクはシェラースチカ・アイオライト、アイオライト帝国の皇女です、どうぞ気軽にスチカとお呼びください」

 

スチカねぇ、アイオライト帝国ねぇ、どっちも聞いたことないが、フーのことあるし、世界はやはり広いってことだね、うん。

 

「……ねぇ、貴方、もしかしてシェー?」

 

おや、先程まで向こうで遊んでいたヴァーミリオンか、シェー、もしや……。

 

「もしかしてステラちゃん?」

 

スチカとステラは感極まり、抱きついた、わぁ知らない関係性。

 

「久しぶりだねー!、まさかステラちゃんが破軍学園にいるなんて!」

 

「シェーも元気そうね、彼氏の一人は出来た?」

 

「んー、まだいないかな、ステラちゃんは?」

 

「ふっふっふ、実はいるのよね、イッキ!」

 

ステラは一輝を呼んだ、先程までめっちゃ泳いでたのか、肩で息してるな。

 

「どうしたのかな?ステラ」

 

「紹介するわね、この子はシェラースチカ!、私の幼馴染ね、まぁ一年に何回かある別の国との外交でよく会って、仲良くなったわけよ」

 

「こんにちは、イッキさん、最近編入したんだ、気軽にスチカと呼んでくれ、噂では落第騎士という不名誉を持ってるらしいですが、とてもそのような人には見えないね、強いでしょ」

 

「あはは、事実だよ、長所は身体能力と技くらいで」

 

「ふむ、なるほどねぇ」

 

……さて、私はクールに去るか、なんか嫌な予感が。

 

「ところでカゲトラ、なんか話していたけど何話していたの?」

 

「……カゲトラ?」

 

あ、スチカの目が変わったよ、どう見ても知ってる人がよくする戦闘好きな目だよ。

 

「つかぬこと聞くけど、もしやアナタ、光の戦神?」

 

「ふふ、そうよ、カゲトラは学園最強の伐刀者なんだから!」

 

ヴァーミリオン……、まぁ時期にバレるから良いか。

 

「ふぅん……カゲトラ、噂は聞いてるよ、いつか、戦おう」

 

スチカはそう言って、この場を去った、うん、目、つけられたな……はぁ。

 

 

 

 

 

 



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