ボイスポケットⅡ ~ボイロ達の学園生活~ (SOD)
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1.ウチはついな。大人のレディ

あの人を人とも思わない残虐なロケット団の嬲り殺しから約一ヶ月後。
タマムシ学園入学式当日から、物語のボールは解き放たれる。

一部は凄惨なバトルの描写が多かったのですが、これからスポットが当たるのは主に初等部。

そう、幼女な子達です。
コメントで殺し合いじゃねえかと突っ込まれるようなポケモンバトルはあんまりないのです。




・・・・・・・・・・・・まあ、殺し合いって言われたバトルは、ゆかりんとずんだによる身内バトルで、そのあとのバトルは殆ど一方的なリンチでしたけどね。
ほんと、何で美少女のバトルが1番血生臭いのやら・・・・・・。






あの戦いから一ヶ月後。タマムシ学園校門前。

大方の死体や死骸を片付け終わり、人を迎え入れる準備が終わった夜。

 

黒い炭のようになった人型の生き物が、うなり声を上げながら地中から這い出てきた。

 

「おや、ようやく這い出してきましたか。

遊び半分であなたに埋めた【ダーク】でしたが、人類にも効き目があるということが分かりましたね、ワルダック。」

 

「ああ・・・優秀な部下だったが、こうなってしまっては何の価値も無いがな。」

 

「フフフ。哀れな男ですね、ジャキラ。こうなっては地獄で迷う亡者と変わらない。」

 

「ヴヴヴヴヴ・・・・・・!」

 

言葉を無くした元ジャキラは、自身を嘲笑う二人の影を見ること無く、タマムシ学園郊外の森へ進んでいく。

ボロボロと剥がれていく炭になった肉片を棄てて、骨を曝して。

 

現実を見ない虚ろな瞳に映るのは、そこに存在しないはずの『東北きりたん』と『琴葉茜』の姿。

 

 

「オオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・・・!!!!」

 

 

人の尊厳も、肉も、人格も堕としたジャキラがその身に残したのは、たった一つの黒いモンスターボールだけだった・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタンゴトン。などとレトロな音を響かせること無く、ヤマブキシティ行きのリニアがレールの上を走る。

快適な旅をお届けする車内には、なんと二人の少女のために貸し切られていた。

 

「・・・・・・・・・。」

 

一人はむっすりとした顔で向かいの席に座る女性を睨んでいる、灰色の長い髪のとても小さな少女。

 

少女が睨む相手もまた、低身長であることは疑いようも無いが、首から下の成熟した果実によりしっかりと大人の女性であることが見受けられるショートヘアの女性だ。

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・(えんの)ついな。いつまでわたしを睨んでいても、今さらこの仕事からは降りられないぞ。切り替えていけ。」

 

 

放っておけばいつまでも自分を睨んでいそうだと思った小さな女性は、諭すように目の前の小さな少女に話しかける。

 

 

「別に、ウチはこの仕事を降りようなんて気はサラサラ無いわ。」

 

「なら、いつまでも私を睨むのは止めてくれ。話が進まない。」

 

 

「睨みたくもなるわあああああああーー!!!!」

 

 

ドッカーンと爆発したように少女は大声で怒鳴る。

 

「なんっっっっで!!ウチが!!!初等科やねん!!!」

 

お行儀悪くシートの上で土足のまま立ち上がる少女。立ち上がった勢いで思いっきり露出したヒメグマさんパンツを他の誰かに見られることが無かったのは幸いだっただろう。

 

「ウチもう14歳なんや!!じょうがぐぜいじゃないもんんんんん!!!!」

 

うわあああーーんと床に顔を伏せて大泣きしはじめる少女。

床に伏せる勢いでスカートが捲れ上がったままパンツ丸出しで泣いている。

つい先ほどの光景と合わせて、彼女が小学生を名乗り疑いを持つのは、シャーロック・ホームズでも荷が重い。

そんな彼女は、己だけは是が非でも14歳を主張する。

 

「仕方ないだろう、これからの任務を考えれば、観察対象が入学する初等科に入学するのが最も効率が良いのだから。」

 

「効率エエの分かる。」

 

「だが本当に初等科の適性年齢のトレーナーをこんな任務に就けるわけにはいかない。」

 

「危ないの分かる。」

 

「ならば納得だろう。貴様の配属はタマムシ学園初等科だ。」

 

「いいいいいいいいいいいいやあああああああああじゃああああああああーーーー」

 

惨めに情け無くオンボロボロと泣くこの小さな幼女ーーもとい、少女は未だ抵抗の意志を崩さない。

ハア・・・とため息一つ零れる。

 

 

タブレットを操作し、資料を呼び出す。最早半分は現実逃避に近い心境で。

 

 

[タブレット表示内容]

ーーーーーーーーーーーーーー

【ポケモン教会】任務リスト

 

ポケモンと共に育てられた少女。

 

先天的にしか持ち合わせないとされる【ポケスキル】の原初【ゲンシスキル】を持つとされているが、その力は彼女の支配下にはないらしく、意識的な発動は確認されない。

トレーナーとしての実力、今回の任務に対しての親和性は全て無視し、ただ幼女っぽい見た目だけで採用されているため、基本的に観察対象2名との交流以上のことを教会は求めない。

 

同行員、京町セイカには、現場の判断で動き、適切な対処を求む。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

セイカ「・・・・・・・・・。」

 

そっとタブレットの電源を落とし、未だ惨めったらしく号泣している少女を見る。

 

「うおおおおおおおおーーしょうがくせいじゃないもんんんんーー!!!!」

 

セイカ「・・・・・・・・・。」

 

結局話が進まない。

 

セイカ「やむを得んか・・・・・・」

 

ついな「え?なんや、中等部の編入に変えてくれるんか」

 

無言で三つのタイマーボールを放る。

 

 

ハリテヤマ×3「ハリイイイイイイイテエエエエエエエエーー!!」

 

ついな「ゑ?」

 

セイカ「さあ行け」

 

トレーナーの指示を受けた3体のハリテヤマが、1体はついなのカラダを持ち上げ、1体はついなの両足をホールドする。

そして、残ったハリテヤマは・・・・・・

 

ハリテヤマ「ハリィ!!」

 

ついなの紐パンの両紐を勢いよく解いた。

 

そして露わになる、子どもそのものの尻。

 

ついな「ちょ!??」

 

セイカ「お仕置きハリテヤマだ。」

 

ハリテヤマ「ハアアアアアアアアアアアアアアア---・・・・・・・・・・・・」

 

ついな「いや、ちょ、ま!?何してーー」

 

セイカ「きつけ。」

 

ハリテヤマ「リャアアアアアアアアーー!!!!!!」

 

スッッッッッッーーーー

 

ついな「ーーーーん」

 

ッッッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

車内に響いたのは、空気抵抗を突き破る無音の破裂音。そして遅れてやって来る平手を生尻に叩き込む爆音。

そして

 

 

 

ついな「ッッッッッッッーーーーピギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!?????????」

 

 

 

 

 

常軌を逸したお尻ペンペンを喰らったついなの大絶叫だった。

 

 

 

 

 

 

 

-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ヤマブキシティ

リニア駅

 

 

セイカ「ふぅ・・・・・・やはり地方を跨ぐとなると時間が掛かるな。

それでも船旅をするよりはマシだが。

・・・・・・・・・・・・役、いつまでリニアに乗っているんだ?早く降りないか」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・・・・(プルプルプルプル)」

 

生まれたてのシキジカのようにおぼつかない足取りで、歩いてくる。

セイカを睨む目は、先ほどの比では無い。と言っても、もう口を開く元気も無いようだが。

 

セイカ「先に外に出ているぞ?」

 

セイカはそう言うと、さっさと外へ出ていってしまった。

 

ついな(幼気な少女のお尻にハリテヤマのはりてを200発も叩き込んでおいて言うことがソレかい!?)

 

真っ赤に膨れあがったお尻は、空気が触っても痛いため、一張羅の紐パンはやむを得ずポケットに入れるハメになったついな。

仕方なくボロボロと涙を流しながらお外へ向かうのだった。すり足で。

 

 

セイカ「ん?ああ、ようやく来たか。入学式まであと1時間だ。

タマムシシティまではバスで行くぞ。バス停はこちらだ」

 

ついな「・・・・・・・・・。」

 

ついな(あいつ、絶対赤い血が流れてへん)

 

またも置いてきぼりを喰らった。

なお駅の外に出るまでに地味に5分も掛かった。都会の駅は兎角ひろいのだ。

 

ついな「このままじゃウチの何の罪も無いおしりが血を吹いてまう・・・・・・」

 

熱を持ったお尻を気遣いながら、腰に下げたモンスターボールを開く。

 

 

「ぶるるるる・・・・・・」

 

 

モンスターボールの外に出てすぐ、カラダをブルブルと震わせてカラダを伸ばすのは

ひのうまポケモン。ポニータだ。

 

ついな「ディクソン、ウチのことのっけてあの血も涙も無い鬼の後ろ付いて行って・・・・・・」

 

ディクソン「ぶるるん。」

 

首肯すると、ついなが乗りやすいようにカラダを伏せるポニータのディクソン。

小さなカラダで小さな主を乗せて、気遣うように歩き、セイカの後を付いていく。

 

 

セイカ「バス停につくまでに、電車内で私が話した資料が頭に入っているか確認しておこう。」

 

ついな「あんなハリテヤマにお尻どつかれとった時に言われた情報なんて耳にはいっとるわけないやろ!?」

 

セイカ「だから初めから我が儘を言わずに聞いていれば良かっただろう。

幸い移動時間が暇だから説明出来るが、もしも不測の事態が起きてしまえば、前情報も無しで潜入する事にもなりかねないんだぞ。」

 

ついな「せやからってハリテヤマに200発もぶたすか普通!?」

 

セイカ「あれだけ絶叫を上げていて大まかに回数を覚えていたのは素直に賞賛するが、その責任は半々だ。

 

ともかく、もう一度説明するから、頭に入れていけ。この資料は持ち込ませるわけにはいかないからな。」

 

ついな「はぁ・・・・・・分かったわ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・うう・・・」

 

未だ初等部編入の葛藤は絶ちがたいが、またお仕置きハリテヤマを喰らうのは御免被る。

そんなわけで、遺憾ながら受け入れる方の分岐点に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は主に一部のキャラクター紹介と、書き切れなかった補足を入れていきたい願望。

今の段階だと、ついなちゃんという常識人の視点から語りを入れて、ロケット団をぶっ殺していた、きりたんとかとかに『普通の感性』からナレーションしていきたいと考えています。
え?きりたんは普通じゃ無いのかって?
あれは『不通の感性』ですよ。
何処の世界に犯罪組織の大人を虐殺する普通の子がいますか


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2.ウチはついな。おとなのレディ

もう少しだけ続くついなちゃんメイン回。
他の子が見たいんじゃよと言う人のためにも頑張って早めに執筆しております。許して下さい。
ついなちゃんがTwitterでパンツ姿披露してましたから。


タマムシシティ行きのバスに乗った役ついなと、京町セイカの2名は、資料を確認しながら、これから必要になる情報を共有していた。

 

セイカ「まず一枚目の資料。

これが、一月前のタマムシ学園校門前の惨状だ。」

 

資料の映像には、コンクリの舗装が陥没、ひび割れ、黒焦げなど、とても学び舎の顔である門の前とは思えない状態が映されていた。

 

ついな「これが今回のヤマの・・・・・・レインボーロケット団。

とても人の心のあるもんの所業や無い・・・・・・」

 

なるほどこんなことをするような奴らが敵なのか。

14歳の自分が初等科に無理矢理入学してまでの観察警護。決してプライドを優先してぶつくさ言っている場合ではないと納得するついな。

 

ついな「・・・・・・ごめんな、セイカはん。たしかにこんなことをするような敵がおるんなら、ウチみたいな大人のれでーが初等科に配属されても、文句なんて言うとる場合やなかった。

ウチの考えが甘かったわ。」

 

沈痛な面持ちで自らの非を詫びたついなに、セイカはーー

 

 

セイカ「第二の資料を見てくれ。これが校門の前の何割かをぶち壊した張本人の一人、観察護衛対象の『東北きりたん』だ。」

 

ついな「さよか。これが門の前をぶっ壊した観察護衛対象の・・・・・・・・・・・・

今なんて言うたん???」

 

 

セイカ「もう一度言うぞ。

この資料二に写る小学生が『東北きりたん』。今回の観察護衛対象の一人にして

 

ーー校門前の惨状を作り出した張本人の一人だ。」

 

 

ついな「うええええええええええ!??これやったん、ロケット団ちゃうの!??

こんなの人でなしの所業やん!?明らかに敵側のやるやつやん!!」

 

セイカ「ああ。本来ならこれだけの騒ぎを起こせば、何かしらの罰くらいはあるものだが、【ポケモン協会】の判断は護衛だった。

一応補足するが、これは彼女一人の破壊では無いし、敵が法律上は殺処分推奨の【ポケモン悪徳利用者の人権剥奪法】に沿っている行動が原因であることもあった。

が、それは『結月ゆかり』の決定だ。」

 

ついな「結月ゆかり・・・・・・たしか、【協会】と【教会】の双方からチャンピオンクラスの実力者と認定するSランカーのトレーナーやったか」

 

セイカ「そうだ。あの場には【紫毒】のゆかり。更に【雷火】のマキがロケット団の掃討に関わっていてる。そして、アローラの元国際警察クチナシから推薦で入学していた【悪桃(あくとう)】さとうささらも居たらしい。

それらすべての情報が、『結月ゆかり』個人の指令により絶対黙秘となっている。」

 

ついな「Sクラスのトレーナーって、そんな権限があるんか?」

 

セイカ「いや、普通は無い。Sクラスはあくまでトレーナーとして最大限自由に行動出来る権限はあるが、政治的、マスコミ的な管制権限は何も無い。

 

つまりこれは、『結月ゆかり』に対する畏れによる恐喝だ。

刃向かえば【紫毒】が自分たちに向く。それだけで支配の位置にいる。」

 

ついな「それ、とんでもないことなんやないの?

全てがそのゆかりはんの思うままやないの」

 

セイカ「・・・・・・・・・・・・。」

 

沈黙するセイカ。その表情はどこか悲しげだ。

 

ついな「・・・・・・・・・。」

 

セイカ「・・・・・・元はと言えば、【ポケモン悪徳利用者の人権剥奪法】も、結月ゆかりの作った法だ。もしも【紫毒】が世界を支配したいと考えているのなら、その法は邪魔になる。

 

何を考えているのか誰にも分からない、天上のトレーナー。

嫌う者も数多い。

 

だが・・・・・・」

 

ついな「だが?」

 

セイカ「・・・・・・・・・あの人は悪人じゃないんだよ。」

 

ついな「まるで知り合いみたいに言うんやね。」

 

セイカ「向こうは、私のことなど知らないがね・・・・・・。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

セイカ「さて、話を戻そう。

 

東北きりたん(11)。ホウエン地方出身。

手持ちポケモンハガネールのカラダの大きさを利用して戦うパワーファイター型のスタイル。

学園の監視カメラの映像では『アイアンテール』を多用している。

が、最近はハガネールはポケモンセンターで療養中らしい。」

 

ついな「さっき言うてた観察護衛対象の一人やったね。」

 

 

 

 

 

セイカ「ああ。最新の情報では、結月ゆかりの弟子として修行しているらしい。

 

そして、資料3の少女が、同じく結月ゆかりに弟子入りしている少女。

 

琴葉茜。」

 

ついな「可愛らしい子やね。さっきのきりたんってこと違ってお目々ぱっちりで、男の子にモテそうやなー」

 

セイカ「彼女は『ホウオウの巫女』として選ばれた少女だ。

元々はホウオウに仕える三犬『エンテイ』『スイクン』『ライコウ』のトレーナーだが、入学に際して一度彼女の手元を離れているらしい。」

 

ついな「『ホウオウの巫女』?何やのソレ。

ウチらと同じ【ポケモン教会】の人間なん?」

 

 

セイカ「ああ、琴葉茜は【ポケモン教会】の柱の一つ。【虹彩の聖火】が祀る神『ホウオウ』が、極めて稀に選定すると言われる伝承だ。

 

ホウオウが彼女の元に降臨した暁には、祭祀よりも高い権限を持つが、常時は『スズの塔』の最上階で祈りを捧げるか、舞子としてのお稽古や、ホウオウと共に戦う際に力となるべくトレーナーの修業に勤しむくらいしかやることが無いらしい。

 

オマケにホウオウが選定しない限りは空席の役職。

 

だから、特に隠されてもいない役職にも関わらず、『ホウオウの巫女』自体、教会の高い地位の者や、地元のお年寄りくらいしか知る者がいないらしい。」

 

ついな「なるほどな~」

 

セイカ「個人的なデータとしてはこちらだ。」

 

 

琴葉茜(12)

 

カントー地方出身。ホウオウに見初められて以降、ジョウト地方に在住しているため、双子の妹の琴葉葵と離れ離れに暮らしている。

個人的な手持ちは『メタモン』1体。

才能も高く、日頃から高いレベルの手ほどきを受けていることもあり、バトルの手腕は子ども離れしている。

 

ついな「ふむふむ。ウチと同じ天才タイプやな!」

 

 

セイカ「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

皆無な胸を張るついなに、ハイライトが消えた目で笑うセイカ。

 

 

ついな「ほんで、この二人が主な観察対象であって、先月の戦いで中心になっていた子達なんやね。

あれ?この子ら・・・・・・東北きりたんと琴葉茜。年齢が一つ違いやけど、ウチはどっちの子のクラスになるん?」

 

セイカ「ん・・・ああ、それは心配要らない。

 

タマムシ学園は『初等科』『中等科』『高等科』に分かれるが、それは入学時の適性年齢によって三年ごとの区分にされるものだ。

 

その中から実力や専門分野ごとの授業こそ行われるが、同じ時期に入学した者の学年クラスは同じだよ。

 

ほら、これが今年の名簿だ。」

 

見せられた名簿のなかには、確かに『東北きりたん』『琴葉茜』そして・・・・・・『如月ついな』の名前があった。

 

ついな「・・・・・・・・・如月・・・か。」

 

セイカ「ああ。【教会】に登録している『役ついな』では、いざという時に行動に制限がかかるかも知れないから、本名で席を入れた。」

 

ついな「まあ、ええけど。」

 

セイカ「そうか。

 

観察護衛対象の2名の他に、今後動向次第で対象の範囲内にはいるかもしれない者が2名いる。

あの日芽立ちはしないが戦いには参加していたらしい2名だ。

琴葉茜の妹の『琴葉葵』と、アイドル活動をしている『音街ウナ』だ。」

 

ついな「ああ、音街ウナならウチも聞いたことあるわ。

マッギョの帽子被って『ドラゴンーー!!!』って言うとるけったいなアイドルやね。」

 

セイカ「ああ。最近アイドルを休止して学業に集中すると発言してファンが騒然としていたな。」

 

ついな「へえ~アイドルを休止か」

 

《次は~タマムシシティポケモンセンター前ー。次は~タマムシシティポケモンセンター前ー。

お降りの方はボタンを押してお知らせくださいー。》

 

 

ピンポーン。

次、止まります。

バスを止めるボタンを押したセイカは、タブレットを仕舞い、ついなに向き直る。

 

 

セイカ「もうすぐ到着だ。準備しろ。」

 

ついな「はいよー。って言うても、リュック背負えばそれで完了や。

後何分かの停車までの時間を待つばかりが準備やな。」

 

「・・・・・・・・・最終確認だ。

『東北きりたん』『琴葉茜』『琴葉葵』『音街ウナ』。

この4名と親睦を深め、命令あれば彼女たちを保護し、状況に応じ対処せよ。

 

役ついな、これが今回のお前の任務だ。

 

後は、くれぐれも悪目立つなよ。」

 

 

《タマムシシティポケモンセンター前ー。タマムシシティポケモンセンター前でございます。お降りの際はお忘れ物のないようにお願い致します。》

 

バスの扉が開き、他の乗客と一緒にセイカが降りる。

 

ついな「ああ。ウチかてプロ。

悪党ハンターの方相氏、役追儺(えんのついな)や。

やるときゃやる。しっかりみせたるでー。

悪目立ちなんてもってのほkーー」

 

ハッハッハと笑いながら、セイカの後に続き、バスを降りたついなは。

 

 

「カンビイイイイイイイイイイイイイイイーーー!!!!」

ついな「え?ほぴゅーーーー・・・・・・・・・」

 

 

 

一般通過したカビゴンとの人身事故に巻き込まれてぶっ飛ばされたのだった。

 

 

 

ついな「なんでやああああああああああああああああーーーーー!???」




今回の第二部は、なるべく起承転結を意識して書き殴る所存です。
お気に入りやコメントなどヨロシクお願いします。


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3.ウチはついな。おとなのれでぃ

普段の倍くらいの長さになりましたが、後1話でプロローグ終了(予定)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「●●ちゃん~、ウチ皆の飲み物こうてくるけど、何がええ?」
「…………モンボ切らしたので買ってきてください」

「モンスターボール飲むん??」


バスから降りたと思ったらカビゴンにぶっ飛ばされた幼女がいるらしいぞ。

 

おいおいおい、何ソレ死ぬわ。

 

・・・・・・それがさぁ。

 

え?何??頭砕けてるとか?

 

 

今、その幼女、そのカビゴンをぶっ倒す!!ってバトルしてるらしいぜ、ポニータと。

 

ファッ!??なんだそりゃ!!

 

 

「・・・・・・・・・何だそりゃ。」

 

タマムシデパートの噴水前で自身の胴体ほど大きい本を読んでいた少女が、たまたま聞こえてきた噂話に対して、独り言で突っ込んだ。

 

「・・・・・・そう言えば、最近この辺でカビゴンが居眠りをして道を塞いでいることがあるとか言ってましたね。」

 

バタン。

立ち上がって、大きな本を片手で無造作に閉じると少女は、師匠の教えに従って頭を回転させ始める。

 

(子どもがカビゴンと戦闘なんてことになれば、この辺がこんなに静かなのはおかしい。

となると・・・バスから降りた。バス停付近。

 

このタマムシシティでバス停。そしてここから遠いってなると・・・・・・)

 

「・・・・・・・・・タマムシシティポケモンセンター前。」

 

結論付けた少女は、デカい本に書き置きを遺し冷やかしがてら観に行くのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ついな「ううううううううおおおおおおおおおりゃあああああああああーーーー!!!!

かえんぐるまあああああああ!!!!」

 

ディクソン「ブ・・・・・・ブルルン!」

 

マスターのついなを下回る小さなカラダに炎を纏わせて突進するのは、ディクソンのポニータ。

 

カビゴン「カビッ!!」

 

カビゴンは小さなポニータの激突を脂肪の詰まった腹で受けてぼよん反射する。

 

ディクソン「ぽにっ!?」

 

ついな「くっそおおおおーー!!あんのでかっぱらあああああーー!!!

絶対ギッタギタにしたるうううううううーー!!!!」

 

「いいぞー嬢ちゃんー!」

 

「がんばれーお嬢ちゃんー!」

 

ついな「みなさんおおきにー!!この役ついなちゃん!!マチを騒がせる迷惑なカビゴンを見事退治したるでー!!応援よろしゅうなー!」

 

 

「「「ふうううううううううううーー!!!!」」」

 

 

ついなの啖呵に大盛り上がりの観衆。

ポケモンセンター前のこの場所はすっかりショーの舞台と化している。

そんな光景を見たセイカは

 

 

セイカ「・・・・・・・・・・・・悪目立ち・・・・・・するなって・・・・・・言っただろう・・・・・・」

 

 

頭痛が痛い頭を抑えて、悲痛な呟きを独り零した。

 

 

 

小さなカラダで脚力を駆使して俊敏に立ち回るディクソン。

街中の特徴のコンクリート床や建物の壁を蹴り、かえんぐるまで激突しながら少しずつ体力を削っていく。

一方カビゴン。巨躯を駆使してディクソンの攻撃を受けながら『かいりき』で応戦する。

一撃一撃はコンクリートを砕き、小さなポニータのカラダに当たれば一撃で屠れるのは想像に難くない。

攻撃が当たっても決定打にならないディクソンと、一撃必殺が当たらないカビゴン。

両者のバトルは、どちらかのバランスが崩れないことには決しない。

だが、ついなの方に焦りはない。

 

ついな「ディクソン。焦らず確実に当ててくんや!!」

 

ディクソン「ポニー!!」

 

カビゴン「カンビ・・・・・・」

 

ここで、攻撃が当たらないカビゴンが動く。

いや、止まった。

 

腰を下ろして目を瞑る。『ねむる』だ。

 

ついな「なんやて・・・!?この戦いの真っ最中にねむる!?」

 

単にダメージが大きかったにしても、カビゴンの性格上の問題にしても、これはチャンスだ。

そう判断したついなは、攻め方を変える。

 

ついな「寝たら暫くは起きんのがねむるや!!ディクソン、大技行くで!!」

 

 

ディクソン「ブルルルルルルン!!」

 

ついなの呼びかけに、一度立ち止まったディクソンは、コレまで纏っていたよりも大きな炎をカラダから燃やす。

 

「おおおお!!!すっげえ炎だ、あのポニータ!」

「まるでジムリーダーみたい!!」

「隙だらけだぞー!一気に決めてやれ-嬢ちゃん!!」

 

ついな「準備は出来たな、行くでディクソン。

方相炎・激突(フレアドライブ)!!」

 

ディクソン「ヒヒイイイイイイイイイン!!!!」

 

ダン!!と一層強く地を蹴り直進したディクソン。周囲の酸素を燃やし、自身の出来うる最大の火炎をカビゴンに叩きつけるーー

 

 

その瞬間。ゴオオオオ・・・という音が聞こえ、カビゴンがカラダを起き上がらせた。

 

 

ついな「バカな!?起きたやと!!」

 

 

そして、自身の最重量要塞の巨躯を、全霊を持って撃ち込む!!!

 

 

ディクソン「ヒヒン!??」

 

 

ドッカアアアアアアアンーーー!!!!

 

 

ディクソンがカビゴンの衝突の衝撃でビルに叩きつけられ、ひんし寸前のダメージを負った。

 

 

ついな「ディクソン!!?」

 

 

「な、なんだ今の!?急にカビゴンが起き上がったぞ。」

「ねむるって寝たら暫く起きないんじゃなかったのか!?」

 

 

ざわつく観客の声をよそ目に、セイカは状況を飲み込んだ。

 

 

セイカ(恐らく今のは、『ねごと』そして出たワザは『すてみタックル』。このカビゴン、一体何なんだ?すてみタックルは偶然だが『ねむる』と『ねごと』は意図的だ。

戦略的なバトルを野生のポケモンがやるなどと・・・・・・)

 

 

ディクソン「ぷ・・・・・・ぷるる・・・・・・・・・っっ」

 

ついな「ディクソン、大丈夫か?」

 

ディクソン「ぶる・・・」

 

立っているのもやっとなディクソンを支えながら、『きずぐすり』を使う。

 

ついな「ごめんなディクソン。ウチのおこづかいじゃ、これが精一杯なんよ・・・」

 

ディクソン「ぶるるん。」

 

ぐうぐうと寝ているカビゴン。一度ねむれば暫くは起きない。

 

ついな(一応、フレアドライブのダメージは、カビゴンに入っとる。

かえんぐるまが何回か入ったところでねむるを使ってきたっちゅうことは、フレアドライブと同じくらいの威力のワザをあと3発・・・いや2発も入れてやれば倒せる・・・・・・。)

 

 

だが、フレアドライブをもう一度当てても倒せない以上は、何か別のワザを当てるしか無い。

反動ダメージや、タイミングを合わせてすてみタックルをやられれば、今のディクソンには、命に関わるダメージになりかねない。

 

セイカ(つまり、手持ちのポケモンを案じれば、二回ともフレアドライブは使えないまま二回、フレアドライブ相当のダメージを、すてみタックルの範囲外からぶつけるしか無い。)

 

 

「どうするんだ?あのおじょうちゃん。逃げるでも無くカビゴンを見てるけど、あのポニータはかなりやられちまってるぞ。他にポケモンいないのか?」

 

 

いるわけが無い。

役ついなは、月額300円の小遣いでやりくりする女。【教会】の後ろ盾で育成費は補助して貰えても、月に一度モンスターボールを買うのが精一杯な少女に、他の手持ちなど望めるわけも無い。

 

 

役ついなは、ディクソン一体で戦うしかない。

 

セイカ(どうするんだ?(えんの)

 

 

ついな「・・・・・・・・・ディクソン!ソーラービーム発射用意!!」

 

ディクソン「ぶるる!!」

 

 

ついな(やるしかない!!目を覚ます前に、起きてされる前に、打ち倒すしか無いんや!!)

 

 

太陽光を吸収し、一気に放つ草タイプの大技。『ソーラービーム』。

 

街中とは言え拓けて太陽の光も差すこの場所でなら何とか放てる。

 

 

「ソーラービームだって!?フレアドライブと言い、あのお嬢ちゃんいったい何者なんだ!?」

 

「よっぽど歴戦のトレーナーでも無ければ使いこなせないようなワザばっかり・・・。

ポケモンに覚えさせるだけでも、トレーナーの力量や資金が必要だって言われてるのに・・・・・・」

 

 

観衆が思い思いに話をしていると、ようやくディクソンのチャージが完了した。

 

 

セイカ(だが、ダメだ。遅い・・・コレでは2発目が間に合わない)

 

 

ついな「厄難災禍悪疫即祓、邪気病魔凶鬼即滅・・・・・・方相草・陽光波(ソーラービーム)!!」

 

 

光を吸収したツノから放たれた光弾がカビゴンに向かう。

 

 

ズドンッッ!!!!

 

 

カビゴン「----!!!」

 

未だ眠りから醒めないカビゴンだが、ダメージはある。

 

だが・・・・・・

 

セイカ(だめだ、役。コレでは足りない。時間も、ダメージも!)

 

 

ついあ「ディクソン!すぐに光を吸収して!!」

 

ディクソン「ヒヒイイイーーン!!」

 

ついなの指示に再度光をためるディクソン。

 

セイカ「・・・・・・・・・っっ!!」

 

伝えるべきなのだろうか?セイカは迷う。

このまま行けば確実に、ディクソンはカビゴンに勝てない。

 

セイカ((えんの)はおそらく、ソーラービームをフレアドライブと同等の威力、そしてダメージを与える物と考えている。だが、タイプが一致していない草タイプ、そして・・・・・・)

 

 

パチン。

カビゴンが目を覚ました。

 

ついな「ディクソン、チャージはまだか!?」

 

ディクソン「(フルフル・・・)」

 

首を横に振り否定する。

カビゴンは少し間をおいてディクソンとついなを補足する。

 

 

カビゴン「カンビイイイイイイイイイイイイイイイーーー!!!!」

 

 

そして突っ込んでくる。すてみタックルだ。

 

ついな「もう少し・・・もう少しや・・・・・・!!頑張ってや、ディクソン」

 

ディクソン「フッシュウウーー!!」

 

 

突っ込んでくるカビゴン。遅い。重いから。だが怖い。

カビゴンほどの重量と質量をもつポケモンが真っ向から突っ込んでくるのだから。

 

チャージもまだ終わらない。もう少し、もう少し・・・・・・!

 

そして・・・・・・。

 

ディクソン「ヒヒイイイーーン!!」

 

チャージ完了の鳴き声を上げた。

 

 

ついな「行くでディクソン!!これでトドメや!!

方相草・陽光波(ソーラービーム)!!!!」

 

 

 

セイカ「ぐっ!ダメだ(えんの)!!カビゴンのとくしゅぼうぎょの前では、ソーラービームではダメージが足りない!!」

 

 

 

 

ついな「何やて!?」

 

 

セイカ「ーーっっ!!!」

 

セイカの遅すぎる忠告虚しく、ディクソンのソーラービームは発射された。

 

いっそ何も言わなければ、攻撃に集中出来ただろうに、最悪のタイミングで。

もう間に合わないのだから言うべきでは無かった。

 

セイカとて言わないつもりだったのに、咄嗟に口が開いてしまった。

 

 

撃たれたソーラービームはカビゴンを飲み込み、ダメージは与えていた。

足も止まった。だが、進撃が止まらない!!

 

 

一瞬だけ足を止めても、再び進むだけ。

 

カビゴン「ゴオオオオオオオン!!!」

 

 

ついな「ディクソン!!避けて!!」

 

ディクソン「ブル・・・・・・っ!?」

 

 

 

ついなの悲痛な叫び虚しく動けない。ソーラービーム二連続の負担は、ディクソンに回避の余力を・・・遺してはくれなかった・・・・・・。

 

 

 

 

ついな「いやぁ・・・!やめてカビゴン!!もう降参やァ!!!」

 

 

無慈悲な巨弾となったカビゴンは止まること無く、ディクソンは倒れ伏した。

 

 

潰される。潰されるきっと確実に潰される。

 

ついなの大切なパートナーは、肢体を砕かれ、見るも無惨な命()()()物へと変わるのだ。

潰される。潰される・・・・・・ツブサレル・・・・・・

 

 

ついな「ディクソン!!!!!」

 

 

 

だからついなは身を挺した。

倒れたディクソンに覆い被さるように。

 

「お嬢ちゃんダメだ!!逃げろ!!」

「きゃああああああああーーー!!!!」

 

 

セイカ「(えんの)!!!!」

 

 

 

たまらずセイカも駆け出すが、目立たぬように遠巻きに見ていたのが裏目となり、絶対に間に合わない。

 

なにより、この人ゴミが邪魔だ。

間に合わない。これはもう確定だ。

 

カビゴンは飛び上がる。確実に敵を仕留めるために、己の持つ全身全霊の威力を込めた・・・・・・

 

最大のすてみタックル。

 

 

セイカ「クソッ!!退いてくれ!!!」

 

 

もう諦めろ、役ついなは・・・・・・ツブサレル。

 

 

 

セイカ「止めろ!!やめろおおおおおおおおおーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「地底(そこ)から燃ゆる静かなる熱ーー」

 

 

その時誰かの声がした。

 

 

         「星の欠片(チリ)を融かしたハガネの螺旋」

 

 

その場にいる全員の耳に確かに届く声がした。

 

 

         「玉響(たまゆら)衝撃(こえ)は私の覚悟(こころ)!!!!」

 

 

何か出来るというのか?誰も間に合わないこの状況で・・・・・・!!

 

 

 

どっっっかああああーーーーん!!!!

 

 

コンクリで出来た床を粉砕した音がした。

 

誰もが思う。

 

 

 

 

 

ああ…間に合わなかったんだと…………




???「お待たせや~って、アレ?おらんの??

何処行ってしもうたん??(泣き)」


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4.こ・・・この少女・・・いったい何たんなんだ!?

「超絶螺旋連撃!!!!」←カビゴンが圧迫してて地上まで声が届かない。

ついな「うきゃあああああーー!??」←深めの穴に落ちる

「リオ!?」←突き出した右手についなの尻が落ちてくる音

ズボッ・・・・・・・・・!!

ついな「ういぎゃあああああああああーーー!????」←ア●ルバー●ンを失った声(無音)





それまで沸き立っていた観客達が、一斉に静まりかえった。

 

カビゴンに子どもが潰された。

カビゴンが衝突したコンクリの床が砕けるほどに。

血潮は流れてこない?カラダごと陥没してしまったのだろうか??

 

その場にいる全員が、最悪の未来を幻視する。数秒後に現実となる未来の惨状を。

 

 

ズズズン・・・・・・鈍重な音がして、カビゴンのカラダが起き上がり、そして今度は背中から寝転がる。

カビゴンが元いた位置から、誰もが目をそらす中、セイカだけが、真実を確認するために駆け寄った。

 

セイカ「・・・・・・・・・・・・えん、の・・・」

 

やはり想像通り、陥没した孔が・・・・・・・・・・・・

 

 

セイカ「・・・え?穴が・・・・・・深い??」

 

 

明らかに、カビゴンの腹部の接触可能領域を遥かに超えた深い穴が空いていて、覗き込むと・・・・・・。

 

 

 

「ふぅ・・・・・・どうにか間に合いましたね。()()()()()がいない穴をどう埋めるかと思っていましたが、これならこっちはもう心配いりませんね。」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・(゚Д゚)」

 

やれやれと言ったような、幼い見た目には似つかわしくない顔をした少女と、間抜けな顔して穴にハマっているついなの、無事な姿が確認出来た。

 

セイカ「これは・・・一体何が?」

 

あっけに取られていたセイカの後に、穴を覗き込むもう一つの顔。

 

「ルルオゥ!」

 

「ああ、お疲れ様。リオまる。」

 

リオまると呼ばれた人影ーーポケモンのリオルが、トレーナーと思われる少女に手を伸ばし引き上げた。

 

 

暗く深い穴の中から出て来たのは、やはり少女で、その背丈から初等科であることが分かる。

 

少し赤めの髪、ノースリーブのパーカーを着た少女・・・・・・。

 

 

カビゴン「カビイイイイイーーー!!!!」

 

 

セイカが顔を確認する前に、仰向けになっていたカビゴンがカラダを起こし咆哮をい上げた。

 

それまでついなとバトルしていた時とは明らかに違う、殺気の籠もったオーラを放ち、バキバキと地面に亀裂が入っていく。

 

セイカ「様子がおかしい・・・・・・みんな逃げろ!!このカビゴンは危険だ!!」

 

野次馬達もさすがに異常に感じたのか、蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。

恐らく何人かは安全なところまで逃げて観戦するんだろうが、とにかくその場に残ったのは

 

カビゴンにボロ負けして腰を抜かしたついなと、付き添いのセイカ。

そして、2人の前に立つ少女だけとなった。

 

「まだ瀕死にならないか。いや、当たり前か。

ポニータのソーラービーム位じゃ、殆どダメージなんて無いだろうし」

 

 

「リオゥッッ!!」

 

「ああ、そうですね。どうせ暇してたんですし、少し『ミット打ち』でもしますか。

 

行け、リオまる」

 

 

やる気に満ちた声で鳴きながらカビゴンに突進していくリオル。

それを向かい撃つカビゴン。

 

 

カビゴン「ゴオオオオオオオオオオオオン!!!!」

 

 

セイカ「初めから『すてみタックル』か!」

 

リオルのトレーナーはどう指示を出すのか?

泥だらけのついなと共に見守るセイカ。しかし・・・・・・

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

だがリオルはカビゴンのすてみタックルを『みきり』で紙一重に避け、すれ違いざまに一撃をお見舞いしてみせた。

 

 

 

セイカ「どうしたんだあのトレーナーは・・・リオルになんの指示もしないのか?」

 

ついな「リオルの方も、全くそれに動じずに、自分で闘っとるみたいやね・・・・・・。」

 

 

2人が唖然としている間にも、二体の攻防は続く。

 

カビゴンが『のしかかり』や『アームハンマー』で物理的にリオルを潰しにかかり、リオルが避けて一撃を入れていく。

 

ついな「これは、ウチとディクソンのバトルと同じ動きや」

 

セイカ「いや、よく見ろ。カビゴンの様子がおかしい。」

 

ブゥン!!!

カビゴンの攻撃が僅かに掠り、手傷を負うリオル。そして、同じく一撃を入れていくリオル。

 

だが・・・・・・

 

ついな「カビゴンの顔が、ドンドン辛そうになっていっとる?」

 

セイカ「ああ・・・・・・同じようにただパンチを入れているだけ。

考えられる可能性はただ一つ。リオルが使っているワザ。」

 

使えば使うほど力を増幅させるワザ。『グロウパンチ』

 

 

カビゴン「カ・・・ッビ・・・・・・!!」

 

 

気付いた時にはもう遅い。ここから眠っても、目が覚める頃には死んでいる。

 

ならば・・・・・・!!!

 

 

カビゴン「スウウウウウウウウウウウーーー」

 

 

大肺活量の深呼吸で力を込める。

 

 

「・・・・・・リオまる。打たれる前に決めなさい。

アレぶっ放させたら私が怒られる未来が見えます!」

 

リオまる「リオウ!!!」

 

 

ダンッッッ!!大きく地を蹴り、瞬時にカビゴンの懐に入り込みーー

 

 

「きあいパンチ!!!」

 

 

カビゴンの頭と贅肉の僅かな隙間にある喉元に、かくとうタイプ最強の一撃が容赦無く叩き込まれた!!!

 

 

カビゴン「カ・・・・・・・・・・・・グ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

声を上げる事も出来ず・・・カビゴンは倒れ伏した。

そしてーー

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオンーーーー!!!!!!

 

気絶したまま、カビゴンが溜めていた『はかいこういせん』が暴発し、カビゴンの巨体が吹き飛ばされていった。

 

 

 

セイカ「な・・・・・・」

ついな「んなアホな・・・・・・」

 

 

「風船かよあいつ。」

 

爪痕だけを残して吹き飛んでいったカビゴンがいなくなり、残されたのは・・・・・・。

 

 

ついな「」

セイカ「」

 

 

「さて・・・・・・そろそろ戻らないと面倒に・・・・・・」

 

 

「あああああーーー!!!おったああああああーーー!!」

 

「ああ・・・もう遅いか。」

 

 

呆然としていたついなとセイカの前に、桃色の髪の少女が駆け寄る姿が映り・・・・・・。

 

 

 

 

「きりちゃん酷いー置いてったあー!!」

 

「あーはいはい。分かったから帰りますよ。茜」

 

 

 

役ついな。

東北きりたん。

琴葉茜。

本年度に初等科に入学する3名が、この場に揃ったのだった。




茜「はーい、次回のボイスポケットⅡは~」

ウナ「ウナー!」

ついな「ついなー!」

きりたん「・・・・・・・・・。(本を読んでいる)」

茜「次回もまた見てくれると嬉しいわ~。

ジャンケンポン☆うふふふふふふ~」










































チョキ


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5.ちゅわ!?もしかしてワタクシ・・・既に!??

今までは背中だけで分からなかった。

確かに特徴は一致する。

 

カバンからタブレットを取り出して、画像と照合する。

 

赤みがかった黒髪が、一致する。紅い瞳が一致する。顔つきが一致する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

隣の少女も同じく。

桃色の長い髪、柔らかな表情。大きな瞳が一致する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「・・・・・・待ち時間が退屈だったんですよ・・・」

 

年齢にそぐわぬ気怠げな丁寧口調。

 

「せやからこんなにおっきな本買うてあげたんやんかー。

メモの漬け物石になっとるのに気付かへんかったから、持ち上げてすぐ飛んでいってしもうて、ずっと迷子になっとったんやよ。重かったわー・・・」

 

 

 

気の抜けた炭酸のような、役のものとは異なる関西弁。

 

情報と一致する。

 

セイカ「そうか、彼女たちが『東北きりたん』と『琴葉茜』か」

 

セイカがなるほどとタブレットをしまうと、腰が抜けてケツを庇っているついなも反応した。

 

ついな「え?あの2人がか!

そんな・・・ウチ、護るはずの相手に護られたんか・・・・・・・・・」

 

セイカ「そうだな。勝手に暴走したことと言い、これは後でもう一度躾直す必要がありそうだ。」

 

 

ついな「お仕置きハリテヤマはもう堪忍やあああああああああああーー!!!!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

セイカ「そうか、彼女たちが『東北きりたん』と『琴葉茜』か」

 

 

 

東北きりたんは、セイカの僅かな気の緩み、口から零れた言の葉を聞き逃さなかった。

 

 

きりたん(私達のことを知っている?誰だこいつは?

わざわざタブレットなんか開いて照合しやがった。敵か?)

 

わずか11歳とは思えない、或いは聞く者が聞けば中二病を疑うような思考をしたきりたんだが、ほんの一ヶ月前に堂々と悪の組織などと名乗るような者達を一網打尽にしていたのだから是非も無し。

 

すると・・・・・・。

 

 

 

むにぃ~。

 

 

きりたん「・・・・・・・・・・・・ふぁんひぃてふんふぇうふぁ?ふぁかえ(なにしてるんですか?あかね)

 

茜が両手できりたんの両頬をむにぃ~と引っ張った。

 

茜「アカンよ。きりちゃん。おっかないこと考えとる顔しとる・・・・・・」

 

少し悲しげな表情で、きりたんを見つめる茜。

 

きりたん「・・・・・・・・・」

 

茜「あんなぁ、きりちゃん。たしかにきりちゃんはあの日、ロケット団と戦った。

ほんでも、きりちゃんは警察でも無いし【協会】の戦士でもないんよ?

 

ウチ、心配や。ゆかりさんを追いかけて一緒に学園に行った時と、おじいちゃんの研究所に帰ってからのきりちゃん、エラい顔つき変わってしもうたから。」

 

 

頬を引っ張る手を離し、今度は優しく包み込んだ。

 

 

茜「ウチはもう、ロケット団なんかと関わって欲しくないよ・・・・・・」

 

きりたん「それは・・・向こうの出方次第でしょう。」

 

きりたんが年齢に見合わぬ鋭い視線を僅かにセイカに向ける。

 

茜「分かった。そんなに言うんなら!」

 

きりたん「は?」

 

 

茜「お二人さん、大丈夫やったか?ケガしとらんか~」

 

 

意を決したような顔をしたかと思えば、茜はセイカとついなの元へ駆け寄っていった。

 

きりたん「は?いや・・・は??」

 

きりたん(何やってんだあのアホの子は)

 

茜「ウチは琴葉茜。この子は東北きりたんや。よろしくな~」

 

セイカ(やはり・・・彼女達が・・・・・・。

 

当初の予定の目立たずに交友を持つというのはもう無理だろう。

となれば、ここはやむを得ず次善の策として、彼女たちと友好的な関係を築いていくしかない)

 

 

ついな「ホンマにそうやったんかあああああー!!!!」

 

 

セイカ「え?」

茜「ふあっ?」

 

 

ついな「な、なんてことや!!ウチは守ってやるはずの子に守られてしもうたああああああーーー!!!」

 

セイカ「お、おいえーーいや、如月!?貴様何を言って」

 

ついな「こんなことではウチ、おじーちゃんに顔向け出来ん!いや、理不尽に押し付けられるであろうお仕置きが怖くて二度と家の敷居が跨げんくなる!!」

 

茜「お家、帰れへんの?」

 

 

ついな「せや!!このままでおったらウチ、またおじーちゃんに『神トレーナーの修業じゃー!!!!』とか言うて

 

ポケモンのタマゴ背負いながら【神トレーナー養成ギプス】を嵌められてシロガネ山ウサギ跳び登山10往復とか!!!!

 

ギャラドス溢れる『いかりのみずうみ』を往復100周!!!!

 

アサギシティからタンバシティをヨーギラス背負って濡れんようにストロー咥えて潜水30往復!!

 

リングマと素手喧嘩タイマンガチンコ勝負!!!!

 

とか無茶苦茶やらされよるねん!!!!!!!」

 

茜「・・・・・・・・・(絶句)」

 

きりたん(児童虐待)

 

ついな「普通の子やったら死ぬわ!!!!!」

 

きりたん(何言ってんだこいつ)

 

茜「大人でも死んでまうよ?」

 

ついな「せやろ!?それをおじーちゃんたと来たら『ウチにはレアスキル【ゲンシスキル】があるから、ちょっとくらい死んできた方が覚醒するんやー!!!』ぬかすんや!!!」

 

茜「・・・・・・そうなんかー」

 

ついな「それでも物には限度があるやろ!?」

 

茜「せやねぇ」

 

ついな「大人しいれでーのウチも仕舞いにはキレてな。おじーちゃんが昼寝し取る間に【神トレーナー養成ギプス】括り付けて、簀巻きにしてゴローニャと一緒にシロガネ山の山頂から叩き落としてドーン!!」

 

茜「ええ!?」

 

きりたん(お仕置き増えそう)

 

ついな「そんなわけやから、どのみちウチは家には帰れへんねんけどな」

 

きりたん(いったい何の話してたんだ???)

 

 

ついな「これ以上家に帰れない負債を増やすわけにはイカンのや!

 

・・・せめておじーちゃんの最期くらいは看取ってあげたいしな」

 

 

 

 

きりたん「ーーーッッッ!???」

 

 

 

 

《《ーー良いんですのよ。ずんちゃん、きりちゃん。

 

絶対にここは譲りませんわ。可愛い、最愛の妹たちに看取って貰えるワタクシが、世界で1番幸せのお姉ちゃん・・・・・・・・・。

 

これだけは神も悪魔も災害も(おか)せない純潔(りょういき)ですわ!!!ちゅっ》》

 

 

 

鮮明にきりたんの脳裏に回帰した記憶の中の長女。

 

その見返りの表情は、妹に看取られた、世界で1番に幸せのお姉ちゃんのものだった。

 

きりたん「ハァ・・・・・・」

 

ガリガリと頭を掻きむしるきりたん。

 

茜「きりちゃん?どないしたん?大丈夫か」

 

きりたん「そろそろ行きましょう、茜。どうせ学園に着いたら、弦巻先輩辺りが記念写真撮ろうとか言い出すんですから。

待ち合わせ場所にいないと、ウナも葵さんも探し回りかねないでしょう。

 

特にウナ。」

 

茜「せやったね。ウーちゃんジッとしとるの苦手やしなぁ。

 

それじゃあ、ウチら、待ち合わせしとるからもう行くな~」

 

ついな「ああ、そうなんか。分かったわ。と言っても、ウチらも同じタマムシ学園に行くわけやし、また会うやろうけどな!ほな、またな!」

 

 

セイカ(………結局、何一つ予定と合わないまま進行するのか・・・・・・ハア)

 

 



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6.タマムシ学園入学式。

入学式直前。
セイカ「ところで役、勝手にカビゴンと戦った罰だ。」

ついな「お仕置きハリテヤマは嫌やあああああーー!!!!」


タマムシ学園初等科のポケモンバトル実戦所。

 

時は、少女達が記念写真を撮った後。

タマムシ学園初等科の入学式に移行する。

 

 

きりたん「仮にも学校の入学式が、何でこんな森の中で」

 

子どもらしからぬ警戒色の強い目で、きりたんは周囲を見渡す。

辺り一面、木。木。木。

地面は整備されており、しっかりと為らされた平面。そして、公式大会規定に乗っ取ったラインが引かれている。

 

そんな場所に立たされているのは、10~13歳の少年少女。それも、世界中の地方から選りすぐりのトレーナー達。

 

この少女、東北きりたんもその一人。

紅い瞳が辺りを見渡す。

 

茜「森の中の入学式ってのも素敵やと思うけど、きりちゃんは嫌なん?」

 

すぐ隣に立つのは、桃色の長い髪を風に靡かせた少女、琴葉茜。

スズの塔の最上階に住み、世間から距離の置かれた生活をしていた為、少々世間知らずの箱入り娘。

 

きりたん「別に、好きも嫌いも無いですけどね。こんな所でわざわざ入学式をやりたがるような変人に決定権がある学園ってのが、不穏な気がするだけですよ。」

 

ちらり。ときりたんは少し前の方に立っている、もう一つの不穏。

灰色の髪をドリル状にした少女に目をやった。

マチでカビゴンと戦っていた『ついな』と呼ばれた少女。

 

 

きりたん(正直に言えば、実力は殆ど素人に近い。

 

所持しているポニータは、高威力のワザを習得している。だからダメージの与え合いにはなった。

小柄なことが幸いして、そしてカビゴンの大ぶりの攻撃と言うこともあって回避も可能だった。だから、バトルの体裁を成していた。

 

だが・・・・・・)

 

きりたん「あの程度のカビゴンに全く勝ち目無しだったことを考えれば、大した敵じゃ無い」

 

そう結論付けると、思考を別の対象に移していく。もう特にこれと言って()()()()()()()()()思考は無い。なら、イメージトレーニングを開始する。

師匠ーー結月ゆかりの教え。

 

『常に思考を止めず、何事が起ころうとも冷静に最善の対処をするべく、今自分が居る場所で起こりうる《身の危険》を想定し、その対処法を思考すること。

落ち着いた状態から常に危機に対する対策を模索すること。』

 

きりたん(危機と対策をーー想定し、幻想し、創造する・・・・・・・・・。)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

茜(きりちゃん・・・またゆかりお姉ちゃんに言われた修行に入ったんかな)

 

一方、師を同じくする琴葉茜は、きりたんと同じトレーニングはしておらず、茜自身も不思議に思っているが、きりたんとは別メニューをこなしている。

 

茜「う~ん・・・ウチもトレーニングしておきたいけど、入学式中には出来んなぁ」

 

ポケットの中に入っているモンスターボールを指で撫でながら、自身の半身とも呼べる双子の妹、琴葉葵を見る。

 

 

葵「うう・・・何でよりによってこんな所で入学式やるのよ・・・・・・」

 

葵はノースリーブの服装で自身の腕を気にしながら虫除けスプレーを掛けている。

 

世を知らぬ姉と違い、今時の少女に相応しい感性と感覚で、森の中で肌を曝すことに抵抗感がある。

 

葵「お姉ちゃんも虫除けスプレー掛けてあげるね。」

 

茜「ありがとうな~葵ちゃん。」

 

姉を気遣い手持ちサイズの虫除けスプレーをかける妹の姿は、仲睦まじい姉妹そのものだ。

二人は12歳という年齢でありながら、茜が【ホウオウの巫女】に選定された時から、少なくない時を離れ離れで過ごしている。

その時間を取り戻したいという気持ちはお互いに持ち合わせている。

 

葵「ウナちゃんも虫除けかける?」

 

姉に掛け終わった後に、葵は隣に立ったマッギョ帽子を被った少女に声を掛けた。

 

スッと姿勢良く、自然に格好いい立ち姿で立っているのは、流石アイドルと言える。

 

ウナ「え?ああ、ありがとうな。でも大丈夫。ウナもちゃーんと使ってるよ!」

 

言いながら、ウナも自身の手持ちのスプレーを見せる。

 

葵「それゴールドスプレ-じゃん!凄いねウナちゃん」

 

ウナ「偶然スポンサーの人から貰った。まだあるから、あおパイセンにもあげるなー」

 

葵「ええ!いいの。嬉しいなーありがとうウナちゃん!」

 

 

ついな「ふわぁ~・・・・・・・・・退屈や・・・・・・」

 

 

皆それぞれの手法で退屈な入学式が終わるのを待ち望んでいた。

 

そう。入学式の内容など、誰もロクに気にしていないのである。

ゆえに・・・・・・

 

 

「えーそれでは、初等科の皆さんの”もちもの”を先生が預かりに行きますので、手持ちポケモンと”もちもの”を全て預けて下さい。」

 

 

ついな「ふぁっ?」

ウナ「ウナ?」

葵「何で?」

茜「???」

きりたん「これは確かに危機の想定に違い無さそうですね・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「これより、タマムシ学園、初等科実力テスト『モンスターボール級』を始めます。」

 

 

 




なるべく早く次も書きたいものです。


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7.嵐の前の静けさ【試験の森】の試験Ⅰ (音街ウナ 琴葉葵 役ついな  登場)  後書きにきりたんの水着挿絵追加しました。意味は無い

入学式前の盗撮してたゆかりさん



ゆかり(今どこかで誰かが物凄いお仕置きを受けた時の絶叫を上げた気がした。)




タマムシ学園の校外【試験の森】

 

全く話を聞いていなかった少女達は、教師に荷物と手持ちを預けた後、エスパーポケモンのテレポートによって、無茶苦茶暗い森の中に転移させられていた。

 

ウナ「うわぁ…さっきの入学式やってた方の森と比較にならない位”森”してるウナ」

 

整備なんて微塵もされていない地面には、樹木の根っこが露出しており、もし仮にここで何かに襲われて逃げることになれば、足を引っかけて転ぶことになるのは間違いないだろう。

 

葵「うわぁ……暗いしジメジメしてる……」

 

二人にはもちろん自分達が森のどの辺にいるのかも分からない。

何をすれば良いのかもロクに聞いていなかったからテストの内容すら不明。

積みである。

 

何より……

 

 

ウナ「まさか、葵パイセンと二人きりだなんて……」

 

葵「え?何で??私ウナちゃんに嫌われてたの!?さっきゴールドスプレーくれたのは何だったの!?お情けかな?」

 

ウナ「いや~ウナは葵パイセンのこと好きだよ?人間としては。

ただ、ウナ達のコンビって、前回も碌な活躍が無かったから、ものすっごく不吉だよね?

出番的な意味で。と言うかいい加減に葵パイセンは茜パイセンと組ませろよ作者(マスター)!!!!」

 

葵「何だか分からないけど、すごく無粋なことを叫んでる気がする!?」

 

ウナ「なんて叫んでも仕方ないから、とりあえず歩いてみようか、パイセン」

 

葵「ええ!?それはやめた方が良いんじゃ無いかな」

 

ウナ「なんで?」

 

葵「だ、だって森の中だよ?遭難した時はなるべく動き回らずに、安全な場所を確保するのが定石じゃないかな?」

 

ウナ「ウナ達は遭難してないよ?テストだよ。

 

良い?パイセン。よーく聞いて(読んで)

 

 

ウナ達はこの森で何の試験をしてるのか全く知らないんだよ。でも、もし森で何日かキャンプしなさいなんて内容だったら、タマムシ学園がポケモンの英才教育機関である以上、ポケモンを手放してやるのはおかしいよね?」

 

葵「それは…ポケモンに頼りすぎないように~とかじゃないの?」

 

ウナ「そんな精神的な成長を望むような内容を、入学してすぐの子も混ざってやる試験でやるのはおかしいよ。

なにより、アイドルの片手間で通ったとはいえ、ウナは初等科の1年間の授業でポケモンに頼りすぎた授業なんて受けたこと無いんだよ。

 

だから、ウナ達が受けているこの試験は

 

『入学したばかりの生徒と、既に授業を受けている生徒が不公平にならない』よう平等に受けられる何かになっているハズだと思う。」

 

葵「平等に…?私達はみんな、一応はポケモンに関わる者達として

『トレーナー』だったり『ブリーダー』だったり私みたいに『コーディネーター』だったり、結構バラバラな分野だけど、1年間以上の専門的な勉強をしているウナちゃん達と不公平にならない状況…?」

 

ウナ「うん。少なくとも、そんなに大きな差が生まれるような試験を入学初日に教育機関がやるメリットなんてないウナ。

 

学費とかこれからいっぱい儲けなきゃ為らないのに、早々金づるを逃がすようなことなんてしない。」

 

葵「金づる……まあ、言葉はともかく、理には叶っている気がする。不思議なことに」

 

ウナ「そりゃそうだよ。だってウナだって、ファンの課金で儲けを出すアイドルなんだから。

ケツ毛一本までむしり取る為には、常にファンのみんなに『自分たちは大切にされている』って思わせなきゃならないんだよ。

このご時世、宗教の信仰対象になるくらいで無いと、商売なんて続かないんだな~」

 

葵「わたし、年下の子からそんな生々しい話聞きたくなかったよ……」

 

ウナ「そんなわけだから、ニートみたいに引き籠もってても得は無いと見て、ウナ達は動きだそう!事情を知ってる他の子達に試験の内容を教えて貰えば、無事に動けるウナ。

 

情報を収集したフラグを建てれば他の皆にも会えるかも知れないし。前期みたいに出番薄いの嫌だし(ボソッ」

 

葵「ねえウナちゃん本当は私のこと疫病神かなんかだと思って無い!??(泣)」

 

 

ウナ「ソンナコトナイヨー」

 

 

こうして、ウナと葵の青髪コンビは、当てもなく他生徒を捜し回る探索パートに進むのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【試験の森(西)】

ついな視点。

 

 

ついな「こちらついな。セイカはん。今試験会場に到着したでー」

 

役ついなは、試験開始と共に上司の京町セイカに連絡を取っている。

ちなみに荷物は預けてあるが、ボディーチェックはされないので、スマホやポケットに入る程度の者は余裕で持ち込めるのである。

 

セイカ《ああ、こちらでも位置を確認している。どうやらお前の1番近くにいるのは『東北きりたん』のようだな》

 

ついな「うげっ!??」

 

セイカ《うげっ??どうしたんだガマゲロゲのような声を出して》

 

ついな「誰がガマゲロゲやねん!!せやかて工藤…」

 

セイカ《京町だが?テレポートで記憶の一部を欠損したのか?》

 

ついな「……もうええわ。単純に苦手やねん。あの子。

 

助けてもろうてこんなこと言うんは失礼やと思うけど、あの『東北きりたん』って子……昔会った霊媒師を思い出すから……」

 

セイカ《霊媒師?》

 

ついな「せや…まあ、昔の話やし、気にしても何もならんけどな。」

 

 

普段のバカそうな雰囲気からは想像も付かないような沈んだ声で話すついなに、セイカも僅かに冷や汗を垂らすが、すぐに切り替えていく。

 

 

セイカ《なら如月、改めて試験の内容を説明するぞ》

 

ついな「は!?え、何!?ウチも試験受けるんか!!?関係無いと思っとったから何も聞いとらんかった」

 

セイカ《そんなことだろうと思ったが【教会】からも、勉学に関しては一切介入しないから自力で乗り越えるようにとのことだ》

 

ついな「嘘やろ!?ウチ足し算と引き算までしか分からんのに!!」

 

セイカ《貴様それで良く大人のレディを自称したな。小学一年生じゃないか》

 

ついな「ウチは14歳や!!」

 

セイカ《ならそれに相応しい最低限の学力を付けろ

 

ああ、良い機会だから勉強し直すと良い。テストの点数次第では『罰』も辞さない》

 

ついな「ひぃっ!??」

 

バッと自身の尻を庇うついな。すでに本編と前書きで2発喰らっている【お仕置きハリテヤマ】の恐怖はしっかり身に染みているようだ。

 

 

セイカ《それでは試験内容を確認するぞ。

 

第一試験は

”森のどこかに隠されているモンスターボールの中にいるポケモンを手に入れること”

 

これは最低1体から6体まで手に入れることが許されているが、モンスターボールから解放した時点で入手したものと見なされ、手に入れたトレーナーの飼育下に置く。》

 

 

ついな「新たにポケモンを!?ウチの小遣いで出来るわけないやろ!?おこづかい月300円やぞ!??『ディクソン』だけで精一杯や!!」

 

セイカ《なら、1体までなら必要経費として認めよう。

 

この試験で手に入れたポケモンを最終進化まで成長させることが中等科卒業資格の条件になる。》

 

ついな「な、なんてイケずな課題や……貧乏を殺しに来とるやないか!!」

 

 

セイカ《そうでもない。タマムシ学園に在学している生徒は殆どが中等科に進学するまでに何らかの資格を持ち【協会】の資金援助を得ている。

 

逆にそこまでいかない者は、自身に見切りを付けるか、退学処分であることが殆どだとも言えるがな。》

 

ついな「えげつない学園やな……」

 

セイカ《当然だろう。ここは義務教育ではない。才能ないものに与えられる権利もない。

 

お前に分からないわけがあるまい?》

 

ついな「……才能なければ死ねってことやろ」

 

セイカ《この学園は命まで取りはしない。安心しろ》

 

ついな「……さよか。」

 

 

セイカ《さて、第二試験だが

”【試験の森】のどこかにある『レインボーバッチ』のハーフレプリカを手に入れること”

だ。

 

これは私の予想だが、先の第一試験のポケモンを使用した何かを攻略の手順として用意されている可能性がある。》

 

 

ついな「どういうことやねん?」

 

 

セイカ《ポケモンの所持について、最低1体からという指定があったが、この試験で得たポケモン全てを最終進化させなければならない以上、ポケモンが多いのは卒業を視野に入れるとメリットとは言い難い。

 

よっぽど珍しいポケモンならともかく、欲しいのならテストの外で捕獲した方がデメリットが存在しない。それでも学園側は、ポケモンの所持数を1体と考えていない様子だった。

 

つまり、複数のポケモンを所持していなければクリア出来ない何かが、初等科生徒に立ちはだかることになると予想出来る。》

 

 

ついな「それなら、他の誰かと協力すればええんちゃう?」

 

 

セイカ《ああ。そうだな。だがこの森は広い。()()》に他の生徒に出会える可能性はそう高くないかも知れない。というわけだ》

 

ついな「なるほどなあ。ほんでも【教会】はウチに【護衛対象】に仲良うして欲しいからサポートしてくれるっちゅーわけやな」

 

セイカ《ああ、そうだ。あくまでも試験の補助になるのは副産物。メインは彼女たちとの合流だ。それ以降は自分でなんとかしろ。》

 

ついな「分かったで!ほんならあんまり気分は乗らんけど、まずは『東北きりたん』のとこに行こうか」

 

セイカ《いや、今回はあえて『東北きりたん』ではなく、別のところだ》

 

ついな「お、そうなんか。正直それは助かるわぁ。やっぱり苦手なんは苦手やし……。

 

ほんじゃ、茜ちゃんのところに案内よろしく頼むでーセイカはん」

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラクター設定

東北きりたん(11)

ロケット団のとの戦いの後、ゆかりに師事してバトルの腕を磨いている。
わずか一ヶ月の修行期間で随分と師匠に似通ってしまったことに関して、姉のずん子はなんとも言えない顔をしている。

前回のエースであるハガネまる(ハガネール)は、一日に”いのちのかたまり”で無理をし過ぎたので、療養必須の状態になっており、ジョーイさんにキレられた。

現在の手持ちは

リオまる(リオル)
アムドまる(エアームド)


ゆかりからはゆかり自身のスタイルを叩き込まれており、曰く『才能無しのスタイル』
ただひたすらに、愚直に、極め続けていれば誰でも自分と同じくらいのバトルは可能だ。

とのこと。


なお、東北の遺伝子が覚醒しかけているらしく、胸囲はすでに師匠を超えており、マキとずん子ですら『世界の破滅の危機があったときだってしてなかった』と証言するほどの絶望の顔をしたらしい。





きり「ざまあwww」

ゆか「グアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーー!!!!!!????」


17歳きりたんの夏


【挿絵表示】


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8.嵐の前の静けさ【試験の森】の試験Ⅱ(音街ウナ 琴葉葵 役ついな  登場)

葵ちゃんファンの皆様。お待たせしました。
葵ちゃんが頑張る展開がついに来ましたよ(多分)


【試験の森】某所

{琴葉葵・音街ウナ}視点

 

入学式で微塵たりとも説明を聞いていなかった二人は、自分体以外の参加者に試験の内容を確認する為に森の中を歩いていた。

 

小さな子どもが歩くには整備が全くされていない、発生しそのままの森を特に苦も無く歩く二人。

 

ウナ「これは夢か…葵パイセンが2話連続で出演しているだと!?」

 

葵「ねえウナちゃん。私泣くよ?いい加減泣いちゃうよ!?

妹は意地悪されると挫けちゃうんだよ!?」

 

ウナ「葵パイセンは、殺されかけてもキモいロン毛のおじさんに啖呵切った(きりちゃん)を見習うべきウナ。」

 

葵「……私、あの子嫌い…。」

 

ウナ「ふーん。」

 

 

特に気にした風でもない感じで言いながら、ウナは先に進む。

 

 

ウナ「ところで、葵パイセンって、意外に体力あるのなー」

 

葵「え?どうしたの急に…」

 

ウナ「いや~森の中の散歩って大人でもキツいもんだからさ。

ウナはアイドルって言う見た目よりずっと体力勝負な仕事してるから、時々体力トレーニングのために森に来てて慣れてる。

 

葵パイセンは全然疲れた様子も無くウナに着いてきてるじゃん?」

 

 

前を行くウナは、慣れた手つきで木々の枝を手折り、危ない足場を踏みならして歩いている。

今現在も坂を上がっている最中だが、後に続く葵は、周囲の警戒をしながら誰か近くに居ないものかと見渡している。

 

背が低いが洞察力があるウナと、背が高いが敢えて植物の多いところを避けていた葵。

お互いが補い合い、役割をこなす。

 

葵「そう言えば言ったこと無かったっけ。私は『ポケモンコーディネーター』なんだよ。

 

ウナちゃんが人間の魅力を魅せるなら、私達はポケモンの魅力を魅せるの。」

 

ウナ「ああ、だから葵パイセンはバトル慣れしてなかったのなー」

 

葵「バトル慣れしていないかな?コーディネーターもコンテストバトルはするんだけど……」

 

ウナ「それは『魅せプレイ』同士の魅せ合いでしょ?

お互いに”相手を倒すこと”が1番の目的じゃない。決まった場所で、用意ドンで始まるから、心の準備も出来るし、対策だって立てられる。

 

それって『試合』であっても『バトル』じゃないよね?」

 

葵「・・・・・・・・・だから、私が弱いって言いたいの?」

 

ウナ「『試合』に勝てるからって『バトル』で勝てるわけじゃないから、気を付けてねってことウナ。

もしまた、ロケット団とかが襲ってきて、一人きりだったら葵パイセンは戦わない方が良いよ。」

 

葵「あ、あの時は、マキ先輩とのバトルで【トリトディア】がいなかったからだよ!

あの子と一緒だったらもっと活躍してたよ!!」

 

ウナ「ウナもあの時【しらすどん】がいなくて全然戦えなかったけど、それって言い訳にはならないんじゃ無いかな……例えば茜パイセンは変な鳴き声の『メタモン』と一緒にジャキラってヤツと戦ってたよね?」

 

葵「そうだね。色んなポケモンに『へんしん』したりして『エルレイド』と戦ってた。

アレだって『ひんし状態』でも無理矢理戦わせる『ダークポケモン』ってヤツじゃ無かったらお姉ちゃんの勝ちだったよ。」

 

ウナ「でも、結局は茜パイセンの『メタモン』は倒れた。」

 

葵「相手が卑怯だっただけだよ」

 

ウナ「アレは卑怯とかって生やさしいものじゃないけどな。

まあ、問題はそんなことじゃないウナ。茜パイセンはその後も『エンティ』とか『ライコウ』とか戦えるポケモンがいたし、きりちゃんとの連携もあって、結果的にジャキラを倒したけど。

 

今はそれが()()()()よね?だって、きりちゃんの【はがねまる】は、あの後無理が祟って『ポケモンセンター』で療養中。茜パイセンの伝説3体は今、休暇中で傍を離れてるんでしょ?

 

もし、それがあの戦いの前だったら、マキパイセンも、ささらちゃんも足止めされてて、ウナ達みんな殺されてたかもしれないわけだし。」

 

まあ、ウナが焚き付けといて何言ってんだコイツって感じだと思うけど…と続けて。

 

ウナ「”言い訳したって、殺されたら死ぬから意味ない”よね?ってこと」

 

葵「それは……だって…っ」

 

何か言いたいのは負けず嫌いゆえか。認めたくないからなのか。

どのみち言の葉を紡ぐことが出来ず、葵は俯くだけだった。

 

悔しいのか、情け無いのか?本人にも分からない感情の泥が心の奥底で蠢く。

 

葵「わ…私は……」

 

 

 

ウナ「と、言うわけで!ウナ達は手持ちポケモンを増やして鍛えていく必要があると思うウナ!!」

 

 

 

葵「・・・・・・・・・え??(;゜ロ゜)」

 

ウナ「ウナと葵パイセンの弱点は同じ!戦力が少ない!!切り札一極化!!

そんな初代ポケモンを始めたばかりのマスター達のみたいな博士から貰ったポケモンだけ育ててたら相性悪いジムリーダーで詰んだみたいな状況をいつまでも放置して置くわけにはいかない!!!」

 

葵「ねえ、まってウナちゃん。今そんな話してたの!?脈絡なさ過ぎない?!」

 

ウナ「だってウナにはシリアスな雰囲気が合わないんだもん。」

 

葵「それにしたってそんなえげつない方向修正あるかな!?」

 

ウナ「まあ、足下にこんなのあったら報告したくなるよね。」

 

葵「え?」

 

言いながら、ウナは足下の何かを器用に足で蹴り上げてキャッチして見せる。

 

 

葵「それ、モンスターボールじゃん!

先生に預けたはずなのに何で!?」

 

ウナ「実はさっきから稀に良く見つけてて…」

 

手には更に二つのモンスターボール。合計三つ。

 

葵「どうして…?」

 

ウナ「2度あった偶然が、3度目なら必然。

意図的に学園が撒いたって考えるのが自然だと思うな。

もう30分は歩きっぱなのに、ポケモンは出て来ない。なのにモンスターボールはもう三つ。

 

これってモンスターボールは試験に使うってことじゃないかな?」

 

葵「ポケモンがいないのに、モンスターボールを使う……??

的当てでもするのかな?」

 

ウナ「くっそ的外れな」

 

葵「何でよ!?」

 

ウナ「ほら、よく見てよ。ボールの中。もうポケモンが入ってるよ。」

 

モゾモゾと何かが動いている。

 

葵「そうなんだ。じゃあ、中身を見てみようよ。」

 

ウナ「そうだね。それじゃあ……」

 

ウナがボールの開閉スイッチに指をーーー

 

 

 

ついな「うっっっぎゃあああああああああああああああーーーー!!!!!??助けてえええええええええーーーー!!!!!」

 

 

 

ウナ・葵「ゑ??」

 

 

とても少女の声帯が出して良いものとは思えない絶叫を吼えながら逃げ惑う如月ついなの方を見ると……

 

ついな「ちょ!!そこのお嬢ちゃん達!!早う逃げるんや!!死ぬで!!!」

 

 

 

「ポッチャマアアアアアアアアアアアアアーーーー!!!!!!」

 

 

超莫迦デカいポッチャマに追いかけ回されていた。




キャラクター設定

琴葉茜(12)

ホウオウの巫女。
かつて、とある場所で捕まり、失い、喪い、戦い、そして、選ばれた少女。
結月ゆかりをお姉ちゃんと呼ぶが、本人は隠しているつもりらしい。

本作で最も面倒な経歴を持った少女組の少女。


手持ち

【エビフライ】メタモン
???


絶対に明かさないと決めた秘密を持つが、既に一人は明かされていて、いずれ一人が知ることになり、そして周知の秘密になる。

その時、琴葉茜がどうなるのか・・・・・・・・・それは、あんまり考えていない。(作者)





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9.嵐の前の静けさ【試験の森】の試験Ⅲ(音街ウナ 琴葉葵 琴葉茜 役ついな 京町セイカ 

湿気ヤバいですね。泣きたい。




京町セイカはあっけに取られていた。

最初自分は間違いなく琴葉茜の位置へ如月を誘導していたはずなのだ。

 

ーーだがこれはなんだ?

 

ほんの一瞬の出来事だっただろうが、間違いなくこの光景に対して意識を奪われている。

 

セイカ「・・・・・・ポッチャマが巨大化している」

 

 

試験官の一人としてでは無く、あくまでも経験として見学しているセイカは、現在ついな達がいるポイントからは離れた場所で様子を見ていたのだが

 

 

「ポッチャマアアアアアアアアーーーー!!!!!」

 

 

とにかくポッチャマがデカい!!!!

 

 

セイカ「あれは・・・カロス地方にあると聞く『ダイマックス』なのか?

 

わざわざ双眼鏡を使わなくても見えるサイズか・・・・・・(えんの)は小さすぎて双眼鏡でも見るのが大変だったというのに」

 

 

スマホの音声を拡声して、視界の情報に集中する。

 

 

ついな《うっぎゃあああああああああーーー!!!??死ぬ死ぬ死ぬ~~~!!!》

 

 

どうやら彼女の心配はいらないようだ。そう判断すると、セイカは観察に集中することにしたのだった。

 

 

 

《どこが心配無用じゃああああああああああああああーーーー!???》

 

 

 

セイカ(口に出していただろうか)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ウナ「うああああーー!!!葵パイセンにスポットが当たってると思ったらこんな役割かーー!!」

 

葵「ウナちゃんさっきから私に対して酷すぎない!?」

 

ウナ「こんなことに巻き込まれるなら、ウナは青い子になりたくなかったウナーー!!」

 

葵「辛辣だあああああーーー!!!」

 

ウナ「ところで、そこの小さい子はどちらさん?」

 

 

ついな「小さい!?ウチは中学・・・ってーーああああああああーー!!!!?」

 

 

何かを言おうとしたついなに、ポッチャマの”あわ”攻撃が襲う!

 

 

ついな「ガボガボガボ!?!?」

 

 

ウナ「うわあ!?小さい子があわに巻き込まれた!?」

 

葵「これ私達もマズいよね!?」

 

吼えるポッチャマが遠慮無しに超巨大な”あわ”と”たいあたり”で襲ってくる。サイズだけならキョダイワザとさほど変わらない。

そして手持ちがいない彼女たちにしてみれば、生身でゴジラに襲われているようなもの。

ワザがショボい事だけが救いと言える。

 

ウナ(どっちみちこんな走りづらい森の中で、追われて逃げてても体力が持たない。

どこか・・・隠れられるところを探しながら逃げないと。

 

・・・・・・・・・ついでに、あのポッチャマを運んできた元凶も、仕方なく回収して上げなきゃ・・・・・・)

 

 

走りながら横目で様子を見ると、べっちゃべちゃになって目を回しているついな。

 

 

葵「なんで・・・ゼェ・・・あんな大きな・・・ハァ・・・ポッチャマが!?」

 

 

ウナ(葵パイセンは限界が近そうだな)

 

 

ウナは走りながら二人の様子を確認すると、今度は周囲の木々を観察して忍者のような身軽さで登り始め、キョダイポッチャマの頭頂部が見えるほど高い位置まで登ると、道中で拾っていた3つのモンスターボールを取り出す。

 

 

葵「ハァ・・・ハァ・・・・・・っっ!!」

 

 

そうしている間にも、キョダイポッチャマは葵を追いかけている。

 

一体何が目的なのか?吼える。アワを吐く。つつく。

 

一発でも喰らえば大怪我では済まない。

 

既に喰らっているついなは目を回しているだけだが、それは彼女が特殊な訓練を受けているだけに過ぎない。葵が喰らえば命が危ない!!

 

 

ウナ「・・・・・・・・・よし、決めた。」

 

意を決したウナは、1つのボールのスイッチを押して・・・・・・・・・

 

 

ウナ「頼むぞ、なんか知らないポケモン!!この状況を納めてくれ!!ーーあわよくばドラゴンがいい」

 

中身不明のボールを投げ込んだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

森の中。

Side:琴葉茜

 

 

茜「ぽわ~」

 

 

葵たちがキョダイポッチャマに追いかけ回されている時、琴葉茜はほわほわと森の中を歩いていた。

 

茜「ここが『森』なんやね~。スズの塔から見える範囲からは、森の中までは見えへんからなあ。

おっきな木。少しだけ暗い場所。ワクワクやね。

 

ね?()()()()()

 

エビフライ「ヤデー」

 

何故か茜の隣には『ヨーテリー』に『へんしん』している茜の手持ちである『メタモン』の【エビフライ】が居た。

 

茜「とっさに髪飾りにへんしんしてて貰って良かったわ~。

『何が起こるか分からんからポケモンとは常に離れんように』ってゆかりお姉ちゃんに言われとったから、どうしようかと思ったけど。上手くいったな~」

 

エビフライ「セヤナー(もごもご)」

 

隣を歩いていたエビフライは、いつの間にか何かを咥えて着いてきていた。

 

茜「あれ?何持ってきとるんや?エビフライ」

 

エビフライ「エビフライー」

 

茜「えらいまぁるいエビフライやな~」

 

エビフライ「ハイー」

 

 

エビフライから差し出されたまぁるいものは『ラブラブボール』だった。

 

 

茜「これ『ラブラブボール』かぁ。二年前と言い、ウチらは本当にこのボールに縁があるんやな」

 

エビフライ「セヤナー」

 

茜「けど、なんでこのボールがここにあるんやろか?

ガンテツじーちゃんが以外に『ラブラブボール』を作れるボール職人なんて、そうそうおらんハズやけど・・・・・・」

 

考えながら、森の中で歩を進め始める。

 

茜「そういえば、試験で送られたハズの場所やったな~ポケモンのゲットが試験なんかな?」

 

エビフライ「ハイー」

 

そうしている間に、またエビフライが何かを拾ってきた。

 

茜「ありがとう。今度のは・・・草タイプのわざレコードやな。

中身は・・・・・・うん。分かるな。ゆかりさんに言われた通り『わざレコード』の中身が分かるように勉強しといて良かったわ。

これはあん時とは違う所やな。」

 

エビフライ「ハイー」

 

茜「ありがとう。今度は『プラスパワー』か。

『ボール』に、『わざレコード』。

ここまで矢続きにトレーナーズアイテムがぎょうさんあるってことは・・・・・・」

 

エビフライ「セヤナー」

 

茜「せやな。この試験はきっと『ポケモンのゲット』とポケモンとのバトル・・・・・・。

ううん。

 

多分『レイドバトル』のような()()()()()()()をこの森の中でゲットしたポケモンと戦うんやね。

一緒に()()()()()()達と協力して戦うような強力なポケモンとの戦い。」

 

その時、どこからか声が反響した。

 

 

茜「そうなると、ウチも試験のレギュレーションに合ったポケモンを探さんとなあ」

 

 

手に持ったラブラブボールに目線を向けるーーいや、すぐに外した。

 

 

 

 

茜「パートナーもおらんでゲットしなさいは無いな。

森のあっちこっちに有るはずや。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が。

多分、一体だけじゃ勝てへんようなレベル差やろうな。

 

そうでなきゃ『わざレコード』や『プラスパワー』が落ちとる意味が無いやろうし・・・・・・。

 

 

・・・・・・それじゃあ、この『ラブラブボール』は何の為に?」

 

 

 

 




音街ウナ(11)

子どもながらにアイドル歌手をしている少女。
学園に通っているのは事務所の方針だが、運動神経や身体能力。更に元々の道楽好きな性格も合わさって、バトル自体にはそれなりに適性がある。

バトルはエースがフルアタのシビルドンの一強なので脳筋スタイル。
しかし才能自体は精々が平均的実力程度のジムリーダークラスなので、ゆくゆくはスタイルを変えていくことになる。




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10.嵐の前の静けさ【試験の森】の試験Ⅳ(音街ウナ 琴葉葵)  挿絵有り

アンケートの結果で挿絵を描こうと考えていたので、きりたんの次に幼女組で票を獲得していたウナを描きました。

そしてハーメルンでどれだけゆかきりが人気なのか分かった気がしますw



あと、皆様の思う進化する『エサ代がヤバいポケモン』をコメントで教えて下さい。
カビゴンはなんだなんだ腐っててもマズくても喰うので、もしかしたらエサ代だけ考えたらもっと上がいるかもしれないと思いまして。





こんにちは。琴葉葵です。

前作ボイスポケット1ではマキさんと戦って以降見せ場も無いままずっと人として生きているのかキャラは死んでいるのかというような立ち位置のままでした。

 

それは最後のロケット団との戦いまで同じ事で、エースがひんし状態のウナちゃんと力を合わせて雑魚狩りに徹していました。

 

お姉ちゃんの琴葉茜と共にボスみたいなやつと2vs1でのコンビバトルで活躍をしていた東北きりたんに嫉妬していた時期もありました。

闇堕ちフラグに見えるような描写もありました。

 

でももう今の琴葉葵はそんなことどうでも良いのです。

 

 

葵「もう出番も・・・・・・活躍、も・・・ボクはのぞまなく・・・て、良いです・・・・・・ゼェゼェ」

 

 

琴葉葵は分からされました。

平和とは人が持てる最高の宝であり、持つ者が最も蔑ろにする宝であると!!

 

「ポッチャマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーー!!!!!!!!!!」

 

 

 

葵「アアアアアアアアアーーーー!???見付かったアアアアアーーーー!??

助けてエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーー!????」

 

 

その日、森の木々で上手く身を隠していた葵は思い出した。

自身が持っていた幸福と平和を・・・・・・。

既に持っていた権利を奪われれる屈辱を・・・・・・。

 

本来捕まえて、使役する側であるはずのトレーナーが、ポケモンに脅かされる危険性は、中途半端にトレーナーとして活動する者ほど忘れてしまう。

 

そんな、キョダイポッチャマに追われている葵は、嫌でも思い出すのだ。

 

 

自身がポケモンの力無しでは何の力も無い子どもに過ぎないという事実を。

 

 

次第に走る力を奪われて足の動きが鈍り始める。

そしてじきに足が止まり、遂には葵の命の鼓動も止まるのだろう。

 

 

葵「ヒィッ!?い・・・嫌だ・・・・・・。助けて・・・・・・お姉ちゃん・・・っ!」

 

 

ポッチャマの暴威に曝された葵に、今まさにキョダイポッチャマの『アワ』が放たれようとして・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

葵「ハァ・・・ハァ・・・・・・っっ!!」

 

 

 

 

「頼むぞ、なんか知らないポケモン!!この状況を納めてくれ!!ーーあわよくばドラゴンがいい」

 

 

 

 

モンスターボールがポッチャマの頭部付近に投げ込まれ、中のポケモンが解放され、キョダイポッチャマの頭頂部に衝撃が入る。

 

 

 

 

「ポチャアッッ!?」

 

 

 

 

ダメージはそこまででも無いのか、頭をさする様子を見せるキョダイポッチャマは、自分に攻撃してきた何かを探してあちこちをキョロキョロしている。

 

 

葵「え?何??誰かのポケモンなの??」

 

ポッチャマの意識から離れた葵が呆然としていると、足早に近づいてきた音街ウナが葵の手を引きポッチャマから離れていく。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ウナ「さあ、逃げるぞ葵パイセン!!」

 

葵「ウナちゃん!?」

 

葵の手を引きながら、音街ウナは周囲を把握する。

 

 

葵は救出した。

 

しかし白髪の少女は未だに地に伏したままだが、息があるのは遠目でも明らかだろう。

 

 

ついな「きゅ~~」

 

 

なんだかマンガみたいに目がうずまきになっているように見えなくも無い。

 

 

そして、今自分たちが逃げられる状況を作ってくれているポケモン。

 

森の木々を飛び移り、キョダイポッチャマのワザを回避しながら死角を見付けて……

 

 

 

「ーーー!!!」

 

 

 

「ポチャッ!」

 

 

近づいて撃つ。

 

このまま倒すことは難しいだろう。だが、時間を稼ぐには持って来いだ。

 

 

ウナ「すごいぞ、アイツ。何にも指示してないのにトレーナーが指示してる時みたいな動きをしてる」

 

ポケモンの姿が見えていても、あの()()()()()()()()が何ていう名前なのか、音街ウナには分からないが、ただ、トレーナーを必要としない戦い方は、あの紫の先輩のスタイルを思い出させる。

 

 

ウナ(あのポケモン、さっきから強いワザを使ってない。

あのポケモンは力量(レベル)が低い?でも、状況判断を自分でして戦ってる。

 

つまり、あのポケモンは、誰かが意図的にレベルを上げないように鍛えられてる?)

 

手元には残り二つのモンスターボール。

 

 

ウナ「……。」

 

葵「ウ……ウナちゃん……??」

 

葵を見るウナ。

 

ウナ「……」

 

ついな「きゅ~~」

 

ついなを見るウナ。

 

 

 

 

ウナ「………ヨシ!」

 

 

 

 

葵「何か今物凄く良くないことをしようとしているような気がするよウナちゃん!?」

 

ウナ「葵パイセン。ウナはこれから倫理的に放っておく訳にはいかない案件に行って来るので、死にたくなかったらこれで自分の身を護っておいてね。」

 

葵「え?!ちょっと待って!?このボール何!?何のポケモンが入ってるの!?」

 

ウナ「知らぬ。ウナはあっちの子を助けに行ってきます。生死はお互い自己責任で。じゃ。」

 

葵「置いてかないでええええええええーーーー!!!???」

 

 

 

「・・・・・・・・・ポチャ?」

 

 

葵「あ”……」

 

 

せっかくここまで上手く逃げてたのにキョダイポッチャマに気付かれちゃいました。

琴葉葵が大声出したからです。あーあ。

 

 

 

葵「うあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ "あ"ーーーー!!!!!お"姉ちゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

どこぞの駄女神のような泣き顔で叫ぶと、葵は全力で走り出したのだった。

 

 

 

 

ウナ「・・・・・・・・・葵パイセンにスポット当てようとした結果、もうこんな役回りしか残ってなかったんかな。

おっと、それより今はこっちの子だな。

 

おーい、大丈夫かー?」

 

 

ついな「うーん・・・もう食べられんよ~」

 

ウナ「可哀想に、葵パイセン。こんなありきたりなギャグの為にキョダイなポッチャマにエサにされそうになってるのなー。HAHAHA」

 

なにわろてんねん。葵が聞いていたらブチ切れそうな反応をしているウナ。

 

 

しかし、彼女の両手はついなのスカートに向かっていた。

 

 

すると・・・・・・

 

 

???「キャモ。」

 

 

上から、緑色のポケモンがウナの隣に降りてきた。

 

 

ウナ「あ・・・。」

 

 

黄色の瞳。

黄緑の身体。二足歩行のは虫類。口元には植物の枝が咥えられている。ポケモン。

 

ウナ「ウナ達を助けてくれたのは、おまえなんだな。」

 

 

「・・・・・・・・・。」

 

 

ウナの言葉に、ただ瞳を閉じて首肯する。

 

ウナ「そっか。ありがとうな。ウナ、おまえが何ていう名前のポケモンなのか知らないんだ。何て呼ぼうか?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

ウナの言葉に反応したミドリのポケモンは尻尾に持っていた『にがおえメール』を手渡した。

 

 

”SR 『キモリ』 草タイプ

 

Lv 6 使えるワザ

はたく

にらみつける

このは

でんこうせっか

 

育成者コメント『すばやさを活かす戦い方を仕込みました。

無口ですが、生来の個性のようです。共にキズナを育んだ分だけ、必ず力を発揮します。

 

頭のよい子です。ーー 』       ”

 

 

ウナ「この子を理解して上げて下さい。きっとこの子もそうします。

・・・・・・・・・育成者ーー結月ゆかり。」

 

 

キモリ「・・・・・・・・・キャモ。」

 

 

ゆかりの名前に、僅かな反応を示すと、ミドリのポケモン-キモリは懐かしい想い出に浸るように微笑んだ。

 

 

ウナ「・・・・・・・・・キモリ。」

 

キモリ「・・・・・・キャモ。」

 

ウナ「・・・・・・よし、お前の名前は『くろやき』だ。

ウナは自分のポケモンにいつも連想出来る食べ物の名前を付けるんだ。

食べられたくなかったら頑張るんだぞ!」

 

キモリ「キャ・・・キャモ;」

 

お・・・おう。と言わんばかりの反応を返した。キモリの【くろやき】は『ま、いっか』と前向きに捉え受け入れた。

 

ウナ「ウナの名前は、音街ウナだ。

ジュニアアイドルをしてる。他の子達に負けないように頑張ってるウナ。

 

よろしくな!くろやき。」

 

 

くろやき「キャモ!」

 

少し変わった感性のトレーナーだが、悪くない。

 

 

 

それがくろやきからウナへの第一印象だった。

 

 

 

ウナ「良し、それじゃあさっそくだ!くろやき」

 

くろやき「キャモ。」

 

ウナの掛け声に合わせ、目の前で暴れるキョダイなポッチャマに向き直る。

このポケモンをどうにかする。先ずはそれを遂行しよう。

 

くろやきは腰を溜めてポッチャマに向かうように構えた。

 

 

 

 

ウナ「ウナがこの子(ついな)のパンツ脱がすから、くろやきは、生尻にガチビンタして、この子をたたき起こしてくれ。」

 

 

 

くろやき「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キャモ?」

 

ウナ「自分で起こした不始末は自分でケツ拭かせるとして、まずは”ケジメ”を付けないとな。

 

ってうわ、なんかこの子の尻真っ赤だな。ここにポケモンのワザを叩き込んだら痛いじゃ済まないだろうなー”ケジメ”付けるには丁度良い場所なんだけどなー」

 

ついなの”おしおきハリテヤマ”を喰らった尻を見て、少し考える素振りをしていた。

 

一方、命じられたくろやきは

 

くろやき(アイドル…”ケジメ”とやらは、ヤクザの領分だった気がしないでもない。)

 

なったばかりの主人の方針に、早くも疑問を感じなくもないくろやきだったが・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウナ・くろやき(ま、良いか。)

 

 

 

 

 

 

こうして、何だかんだ細かいことを気にしないトレーナーとポケモンによって、ついなの尻は再びヤられるのだった。




森でボールに納められているポケモンは、学園の生徒達がレベルを極力上げないようにしながらトレーニングして初心者トレーナーの学生でも扱えるように育てられています。

学園で畏れられているゆかりは、それが気に入らない教師によって『問題のあるポケモン』ばかりを『ミラクル配布』の名目で押し付けていました。(例:逆6V 無愛想 力が暴走する
ext…)

そんなポケモン達の中から自分たちの意思で成長を望む者だけを、適性に合わせて育成した結果『すごいとっくん』と同じ効果を叩き出し、見事に初心者用ポケモンとしてトレーナーの元に送られるポケモンとなりました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キャラクター紹介

琴葉葵

誰かこの子をなんとかして上げて下さi

地元のポケモンコンテストに出場してリボンをフルコンプしている少女。

コンテストバトルで大人とのバトル経験もあり、本人も多少の自信はあったハズ。
しかし、所詮は魅せプレイ大会であることは否定しようが無く、ロケット団との戦いでは

エース不在。
悪の組織。
ガチ戦闘初。

などで、目立った活躍も出来ず。

今現在も駄女神落ちしかけている。

誰かこの子をなんとかしてあげて……初期はマジで王道的な少女マンガ風の主人公の性格を考えていたんですよ
……


そしたら


きりたん 好戦的で好き嫌いがハッキリしている性格。
仲間思いだが、敵にはマジで容赦無いやつ。(実証済み)

茜 マイペースで箱入り、天然。
設定と過去の経験で仲間を引っ張るキャラクター。(になると良いなって)

ウナ 笑いながらで毒を吐くタイプ。
アイドルのトレーニングと生来の才能で運動能力がトップ。
話を回すトリックスター。


と、役割が明確な中…


葵 この子マジでなんにも話の進行に関わって無い…………

無理に出番作ろうとすると筆のラグが深刻。


ああ…葵ちゃんに、救いは、無いのですか…………


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11.嵐の前の静けさ【試験の森】の試験Ⅴ (音街ウナ 琴葉葵 如月ついな)

 
 
人物紹介


如月ついな。

性格はほぼ公式のソレ。Twitterで常時監視出来るから一番解釈が外れない。
この子に頭を使った戦いなんて出来る訳が無い。


音街ウナ

ナチュラルに毒舌。
ナチュラルに外道の道を歩み始めている。
この子のアイドル設定が唯一の(作者にとっての)ブレーキ。
別にサディストでは無い。


琴葉葵

もう不憫枠で良い気がしてきたが、そのままいぢめてもついなちゃんと被るので差別化したい。

琴葉茜

現在拾ったモンスターボールの中身である???と???を手持ちに加え、森を散策している。


東北きりたん

前作ではロリ組で一番優遇されて狂犬ムーヴをしていた子。

森にはいるはずだが、どこで何をしているのか全く考えていない。

そろそろきりたんには『カメックス』所有フラグを持たせなければならない(使命感)






ついな「う……うーん……」

 

ポッチャマのアワに沈められたついなが、ようやく意識を取り戻し始め、ぼやけた視界のピントを合わせようとしていた。

 

ついな(アレ…ウチ、どうしたんやっけ??)

 

ウナ「さあ、準備はいいな、くろやき。」

 

くろやき「キャモ。」

 

ついな(なんやろ……おしりが寒いような気するんやけど?アレ??)

 

ウナ「さあ、あの辺の木に登って、上から一気にーー」

 

くろやき「キャモ!キャモ!キャモッ!!」

 

ついな(なんでやろ??おしりがゾクゾクするんやけど!?何か今すぐ起きたいんやけど起きれへん!!)

 

 

ウナ「疑似・叩き付ける攻撃!!!!!」

くろやき「キャアアアアアアアアアアアアアアーーーーモ!!!!」

 

何かが高い木の上から垂直に落下して、空気の層を突き抜けていく。

それが地面に追突する時、身体にかかる衝撃は半端なものでは無いだろう。

 

無論それは、ぶつかる物に対しても言える事で……

 

 

ビッタアアアアアアアアアアアアアアアアン----!!!!!!!

 

 

強力な遠心力と、無駄なく円を描く軌道によって実現する最高威力の鞭打が

 

如月ついなの尻肉に擦りつけられた。

 

 

ついな「----------------!??????????????????」

 

その叩き付けるは、幸か不幸か会心の出来であり、確実に急所を捉え、最大値のダメージを叩き出すものだった。

 

痛覚を無駄なく刺激し、皮膚を焼き擦る。

 

これをキョダイポッチャマに向けて使えていたのなら、倒しきれないまでも、追い詰めることは出来たかも知れない。それほどの威力が全て

 

 

 

つ い な の 尻 に 注 が れ た 。

 

ついな「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!??????????」

 

痛みと苦痛。衝撃と焦燥。光よりも速く闇よりも深い電気信号がついなの全身を駆け巡り、その正体にカラダとココロが気付いてしまったその時、少女の口からは、音に為らない咆哮がゼンリョクで放たれたのだった。

 

 

 

ついな「                  」

 

 

 

ウナ「おお~なんか声にならない悲鳴みたいな何かが出て来た気がするなー」

 

くろやき「……キャ、キャモ。」

 

ついな「」

 

ウナ「お^-い、目が覚めたかなー?」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

ウナ「……返事が無いなぁ……」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

ウナ「おーい。」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

ウナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

ウナ「ヨシ、くろやき()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついな「死ぬわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ウナ「おお~起きたな。」

 

ついな「起きたなじゃないわ!!!なんやねん今のは!??お尻でマルマインが”だいばくはつ”したんかと思ったわ!!!!」

 

ウナ「大した威力じゃ無いウナな。でも、ウナたちはこれから強くなる!

な、くろやき!!」

 

くろやき「キャモ!!」

 

ついな「充分死人が出る威力や!!!!!まだウチのお尻をいぢめる気なんか!??」

 

ウナ「まあ必要に迫られたら仕方ないウナ。ウナもココロがイタいんだよー」

 

ついな「嘘つきや・・・・・・!嘘つきの目をしとる・・・・・・!!」

 

ウナ「それにしても、しゃべり方が茜パイセンそっくりな子だなぁ。

もしかしてアナタもジョウト地方の出身なの?

 

あ、ウナは音街ウナっていうの。

 

ウナもコガネシティ出身なんだよ~」

 

ついな「・・・・・・・・・・・・・・・あ、アンタ、よくこんな場面でフレンドリーな会話に持ち込もうと出来るなぁ・・・・・・」

 

ウナ「でもここに居るってことは、キミもウナ達と同じ試験受けてるんでしょう?

初等科どうし仲良くしようよ。」

 

ついな「だ、だれが小学生や!!だれがーーーー」

「ポッチャマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーー!!!!!」

葵「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーー!!!!!」

 

 

ついな「しまった!?今度はあの子が襲われとるんか!?」

 

ウナ「おっと、葵パイセンを忘れてた。

 

ねえ、アナタの名前は?何て呼べばいい?」

 

ついな「え、えんnーーじゃなくて、『如月ついな』や!」

 

ウナ「そっか。ついなちゃん。よろしくな。

ところでさっきポッチャマに攻撃されてたけど、動ける?ケガしてない?」

 

ついな「大丈夫や。そんなことより、早くあの子を助けたらんと!」

 

ウナ「(さっきの今でもうお尻の痛み忘れたのか)良い子だなー。」

 

ついな「え?」

 

ウナ「良し、それじゃあ、ついなちゃんにもコレを上げるから、ウナと一緒に戦って欲しいウナ。」

 

初対面ながら、ついなの人の良さをすぐに確信したウナは、拾ったボールの最後の一つをウナに渡すことを決めた。

 

ついな「おおきに!ウチまだポケモン見付けてなかったんや!」

 

ウナ「あ、それと後で試験の内容を教えて欲しいウナ。ウナ達どっちも聞いてなかったから」

 

ついな「そのくらいお安いご用や!それじゃあ行くで、ウナはん!!」

 

ウナ「よっしゃあ!!」

 

 

ついなは手渡されたボールを投げるモーションに入り、ウナの傍に居るくろやきはスタンバイが出来ている。

 

 

ウナ「いっけえくろやき!!」

 

ついな「頼んだで!ウチの新しいポケモン!!」

 

 

 

二人のトレーナーの意思で、くろやきは葵を(ついば)もうとしているポッチャマの元に飛び込み、ついなが放ったボールからポケモンが解放される!

 

 

くろやき「・・・・・・キャモ。」

 

「ニャー!」

 

ついなのボールから出て来たのは、額にコバンを付けた二足歩行。ばけねこポケモン。

ニャースだった。

投げたボールを手元に戻したついなの手元には、ガシャポンのカプセルで出て来るような説明書(にがおえメール)が同時に舞い降りる。

 

ついな「おお!ニャースか!!

ええやん。この子ならエサ代も大きくならんし、これでセイカはんからお尻を護らんで済むで!!」

 

ウナ(この世界はそんなについなちゃんに甘くない。それを後についなちゃんは思い知るのであった。)

 

ついな「あれ?なんやろ、背筋とお尻に嫌な汗が・・・・・・」

 

ウナ「ついなちゃん、このニャース何が出来るって書いてあるかな?」

 

ついな「え?あ、ああ・・・えっと。」

 

 

”UC 『ニャース』 ノーマルタイプ

 

 

Lv 12 使えるワザ

 

なきごえ

 

ねこだまし

 

フェイント

 

ひっかく

 

ネコにこばん

 

 

育成者コメント『初心者用ポケモンとして育成するように言われましたが、うっかり育てすぎちゃいました。

よく攻撃をきゅうしょに当てられるます。

 

 

がんばってね!』

 

育成者ーー弦巻マキ”

 

 

ついな「だそうや!」

 

ウナ「当てられ()ます・・・・・・・・・葵パイセンには見せないでおこうか。

 

それよりも、ついなちゃんのニャースはウナのくろやきよりレベル高いんだね。

じゃあニャースにメインアタッカーをやってもらっていい?」

 

ついな「”くろやき”てアンタ。

・・・ま、まあええわ!それじゃあ、ニャース『ネコにこばん』や!」

 

 

ニャース「にゃー!!」

 

 

キョダイポッチャマに走り寄りながら右手を小判にかざすニャースと、更にはついなまでもがポッチャマに詰め寄った。

 

 

ウナ「おいおいおい・・・・・・。」

 

ウナ(死んだわ、アイツ。)

 

半笑いで突っ込んで行くついなを見送ると、ウナはくろやきに指示を飛ばす。

 

ウナ「くろやき!ついなちゃん達がタンクしてくれてる内に、こっちは安全な場所から『このは』でダメージ入れていってくれ!ウナは葵パイセンを拾ってくるから」

 

くろやき「・・・・・・キャモ!」

 

 

 

 

こうして、

 

キョダイポッチャマのヘイトをついなが稼いで襲われ

 

ニャースは小判からオーラ状の力を右手に溜めて、相手に向けて振り抜き『ネコにこばん』を放ち

 

先ほどと同じ要領で隠れながらじっくり狙い撃って『このは』を急所に当てていく

 

という即席のコンビネーションで意識を葵から完全に切り離した。

 

 

 

ウナ「で、ウナが戻ったってわけ。」

 

葵「実はウナちゃんが一番人としてアレなんじゃなかろうか。ボクは訝しんだ」

 

ウナ「なんで説明口調なんだ?葵パイセン」

 

葵「ううん。もういいの。気にしないで。ボクはもう出来ないことを無理矢理するのは諦めたよ。ところで、今ならもうボクたち三人で逃げられるんじゃないかな?

逃げないのかな?逃げようよ。ボクもう逃げたいな・・・・・・」

 

ポッチャマのつつくから命辛々逃げていた葵は頭を擦っていたらしく、一部禿げ上がっている。

それを気付いているのかいないのか、目からハイライトが消えた表情で膝を抱え、悲壮感が全身から漂う。

 

 

ウナ「・・・・・・・・・・・・なあ葵パイセン。(ウナが上げた)モンスターボールは?」

 

葵「・・・・・・・・・・・・・・・。(無言でモンスターボールを差し出す。)」

 

ウナ「うん?(受け取ってボールの開閉スイッチを押す)」

 

パカッ(←ボールが開く音)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハズレ。

 

 

 

 

無情にその一言だけ書かれている紙が出て来ただけだった。

 

 

葵「・・・・・・・・・・・・ボク、こんなのばっかり」

 

 

ウナ「・・・・・・ドンマイ。」

 

ポンと肩を叩いて、手持ちのゴールドスプレーを優しく吹きかけて上げるのだった・・・・・・。




葵「いってえ!??キズ痛ェ!???」

ウナ「いまさらもう痛いの1個増えたって変わらんやろがい!!」

葵「いやいやいやおかしいでしょう!?ボク殺されかけてたんだよ!?
もう少し優しさを見せてよ!?」

ウナ「ヴァッファリンくらいの優しさがあるウナ」

葵「・・・・・・・・・それ、もう半分は何を見せてるの?」

ウナ「(アイドル活動の結果ゴールドスプレーを貰えるようになった)コネかな」

葵「きたないなぁ・・・さすが人気ものきたない」



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12.嵐の前の静けさ【試験の森】の試験VI (音街ウナ 如月ついな 琴葉葵 琴葉茜 新キャラ)  挿絵・可愛く描けた茜ちゃん・有り

新春を言祝ぎ、新年明けましておめでとうございます。
本年もボイスポケットをよろしくお願いいたします。



本来は去年中にもう一本投稿するつもりだったのですが、モチベーションの問題だけで間に合いませんでしたw

なので、特に意識するわけでもなく、新年一本目に新キャラ登場というお約束のような流れになりました。


あと、たまたま気が向いて描いた絵が気に入ったので、急遽シナリオを変更しました。

アハハハハwww


観て。


あらすじ

 

葵「ウナちゃんがくれたこのボール空なんだけど!?」

ウナ「あらほんと」

 

 

 

 

 

ポクポクポク・・・・・・チーン。

 

ウナ「じゃあ、もうそれであのポッチャマ捕まえようぜ?」

 

葵「え・・・・・・嘘でしょう?入るわけ無いよね??あの巨体だよ??バカなの?

逃げるしか勝たないでしょ?ボクたち拾ったポケモンしかいないんだよ?勝てるわけ無いよね。ね?」

 

 

 

負け犬根性全開で保身に走る葵にため息一つ付いたウナは、少し深めに息を吸って・・・・・・

 

 

 

ウナ「ボロ雑巾みたいにズタボロにされたけどでも生きてるし、隙が出来たから逃げ帰ろう。

 

身体は傷だらけだし泥だらけだしポッチャマにはエサにされかけたけど、でも命はあるし。もう良いでしょう。『許して上げましょう』とかって言葉だけ上から目線で言ってちっぽけな鼻糞程度の自尊心だけ護って逃げましょう。ポケモン愛護団体だって黙ってないだろうから逃げましょう。

 

痛いのは嫌だし。どうせ勝てないから逃げるが勝ちという負け犬の遠吠えで我慢しよう。

だって死ぬのは怖いし。

 

人としてのプライドなんて勝てるかも知れない程度の可能性に賭けるには分が悪いよ。さあ逃げよう今すぐ逃げよう。プライドなんてゴミ箱にダンクして。負け犬人生万歳!!

必要ならポッチャマの足でも舐めて許しを請うて逃げましょう

 

ああ!尻尾を巻くって素晴らしい逃げるって素晴らしい!!

 

 

だって逃げるしか勝たないからあああああああああああああーーー!!!

 

 

 

ーーーーって葵パイセンが言うなら仕方ないウナね。

 

逃げよっか、

琴葉()()()さん」

 

 

 

 

葵「うおおおおおおおおおおおおおおおーーーー!!!!!!やってやろうじゃねえかこの野郎オオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーー!!!!!(大号泣)」

 

 

こうして、琴葉葵はまたウナに煽られて良いように動かされるのだった・・・・・・。

 

ウナ(あんなでっかいポッチャマ捕獲すれば、芸能界で上手いこと地位上がりそうだしな。)

 

 

 

 

-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

茜「さっきのと合わせて合体・・・・・・合わんなぁ。」

 

切り株に腰を下ろして呟く茜。

手元にあるのは、『レインボーバッチ』が半分になったようなもの。それが二つ。

 

ペロッパフ「ぱふっ」

 

フォッコ「キュウン」

 

足下にはこの森で手に入れたフォッコとペロッパフ。

 

そして、正面にはふたりの人影

 

「それはそうだろうね。それは第二課題で持ってくることになっている『ハーフレプリカ』だ。

その半分この状態で正しい形なんだよ、アカネ」

 

「そりゃそうだー。第二課題で『レインボーバッチ』のハーフレプリカって言ってたもん。

そのままで正しいんだよ。

 

それにしても本当に話聞いてなかったんだなーアカネ。」

 

 

茜「うん。友達とも会えへんし、どうしようかなーって困ってたからな。

 

ホンマ、ヒメちゃんとミコトちゃんに会えてよかったわー」

 

 

髪先が青く、全体がピンク色の長い髪のパワフルな印象を思わせる少女、鳴花ヒメ。

 

髪先がピンク、全体が青い短髪の育ちの良さを感じさせる気品を持つ少女、鳴花ミコト。

 

 

ヒメ「姫も良かったゾ!同じ髪で!双子で!お姉ちゃん!面倒臭い重責。

姫と同じ!

これはもうアカネも双子と言っても過言では無いのでは!?」

 

ミコト「それだと三つ子です、姫。ああ、いえ。茜も双子なのですから、四つ子になるのでしょうか」

 

茜「ええなぁ~それやと、どっちがお姉ちゃんでどっちが妹やろうか~?」

 

ヒメ「もちろん姫がいちばんお姉ちゃんだ!姫だからな!」

 

茜「おお御ヒメ様や~」

 

ヒメ「そうだぞ!お姫様だ!美味しい物食べ放題だ!」

 

茜「ええなぁ~。素敵な暮らしやー」

 

 

ミコト「・・・・・・現実はお稽古や習い事や王族のしきたりなんかで自由が無いよ、アカネ。」

 

 

ヒメ「こらミコト!嫌な現実突きつけないの!」

 

茜「現実はどこもやるせないなぁ・・・・・・」

 

 

ミコト「すみません、姫。」

 

 

仕方ないと気持ちを切り替えた茜は、持っていた二つのハーフレプリカを二人に手渡した。

 

 

ヒメ「なあ、アカネ。やっぱり姫達も妹と友達探すの手伝うぞ?」

 

ミコト「そうですね、姫。

アカネ、僕達も手伝うよ。もう三人とも『ハーフレプリカ』を手に入れているから、後はそこの『帰還専用テレポート床』に乗れば良いだけなんだからね。」

 

茜「ありがとうな。二人とも。

けど、御ヒメ様は試験を一番にクリアするー言うてはりきっとったやないの。

 

ウチがそれをお邪魔するわけにはいかんよ。」

 

遠慮がちに言う茜にドヤ顔仁王立ちで笑うヒメ。

 

 

ヒメ「ふっふっふっふっ……!

認識が甘いぞ。視野が狭いぞおっぱいが小さいぞアカネ!」

 

 

茜「え?認識?おっぱい?」

 

きょとんとしつつも服の上から自分の小ぶりなおっぱいを確かめる茜。

 

ミコト「アカネ、姫の話は半分くらいは意味の無い言語で構成されているから気にしないで。」

 

ヒメ「なんだとミコト!パンツ剥ぎ取ってオークションにかけるぞ」

 

ミコト「お父様にお叱りを受けますよ。姫。

 

それに、最初の試験は一番で通過して、ガラル王族の力を示すようにとお父様からも言いつけられております。」

 

落ち着いた表情をしながら、スカートはしっかり守るミコト。

 

ヒメ「愚かな男の見栄だ。捨て置けミコト。

 

国民の生活と気持ち、平和を尊ぶのが王の・・・・・・人の代表たる者の責務だ。

 

 

そして、一番なんか、とりたいときにとれる。そういうものじゃ無ければ、なったところで次の一番が出て来るだけだ。一番なんて、運命に選ばれたヤツが望みもしなくてもなっているものなんだ。

 

そんな刹那的な称号のために、助けたい友達を見捨てなきゃならない。

そんなやつが、いつまでも一番でいられるものか。」

 

ミコト「・・・・・・・・・ヒメ。」

 

ヒメ「だからアカネ。ヒメに頼れよ。ミコトに頼れよ。

さっき試験を突破したのは、アカネが助けてくれたからなんだぞ。

次はヒメの番。順番だ!」

 

茜「・・・・・・ヒメちゃん。ありがとう。」

 

ヒメ「おう!じゃあミコト。姫はアカネと一緒に行くから、ミコトは【ハーフレプリカ】を持って試験突破な」

 

ミコト「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?何故ですか???」

 

さっきと話が違うじゃねえかという顔をしながら問うミコト。

 

ヒメ「だってアカネの話によると、妹のアオイ。友達のキリタンにウナだろ?」

 

ミコト「はい。」

 

ヒメ「そこにアカネと姫とミコトが入ったら六人だろ?

密集し過ぎじゃないか。ソーシャルディスタンスだよ。」

 

ミコト「意味がよく分かりません。」

 

ヒメ「密です。」

 

ミコト「蜜とは?」

 

 

ヒメ「七人も一気に密集したら作者の執筆カロリー爆上げやろがい!!!

はい、決定です!次の機会にはきっと出番あるから!」

 

 

ミコト「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

茜「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

よく分からない・・・よく分からないがきっと今自分は理不尽なことを言われている。

それを自覚しながら、鳴花ミコトは

 

ミコト「・・・・・・・・・・・・・・・アカネ。これを。」

 

諦めた顔でスカートのポケットから、桃色の何かを差し出した。

 

 

 

-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ポッチャマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーー!!!!!」

 

 

葵「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーー!???」

 

ウナ「うーん。知ってたけど、やっぱり煽り散らかしたくらいで人間の基本ポテンシャルなんてあがりませんねえ。」

 

ついな「ウナはん・・・アンタ鬼か・・・・・・」

 

ウナ「アイドルですねえ」

 

ついな「お友達を死地に追いやるのはアイドルはなくて疫病神さんやね」

 

ウナ「この状況を引き起こした真の疫病神さんは、少しは働こうとは思いませんか?」

 

ついな「はい!頑張ります!!うおりゃああああああああああああああああーー!!!!」

 

 

ウナ「何秒持つかな?」

 

 

葵・ついな「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーー!!!??」」

 

 

ウナ「10秒かー」

 

 

丁度良い感じの切り株に座りながら軽口を叩いて、ポッチャマの様子を確認するウナ。

 

 

ウナ(うーん・・・・・・息も荒くなってるし、もう一息だと思うんだけど・・・・・・)

 

 

キョダイポッチャマのあわ攻撃が広範囲に放たれ、ニャースは既に戦闘不能。

葵とついなを押し流し、更に死角からの【くろやき】が放つ”このは”までもが押しとどめられてしまう。

 

 

ウナ「どうにか”同じサイズのポケモン”がいればなあ・・・・・・」

 

すると、ウナの頭頂部から、元気な少女の声が聞こえた。

 

ヒメ「そこで姫達の出番なわけだぞアカネ!!」

 

 

ウナ「んん?」

 

 

茜「ウナちゃんみーつけた。」

 

ウナ「あ、茜パイセン!ここに来て真っ当な戦力が」

 

茜「でっかいポケモンやねえ・・・ビックリや。」

 

ウナ「せっかくだから捕獲したい野心を剥き出しに、葵パイセンとついなちゃんを焚き付けたところ、もう一息足りません。ボールは葵パイセンに上げてるので手伝ってほしいウナ。」

 

茜「そうやねえ・・・・・・」

 

茜(見たところ、やっぱりダークポケモンのオーラは無いな。

さっきヒメちゃんに説明されてへんかったら混乱しとったやろうな・・・)

 

ヒメ「ならば丁度良いぞアカネ!さっきミコトから借りた物を使うときだ!

使用時間は3分間!教えたとおりにやってみろ!!」

 

茜「そうやね。ウチやってみるわ。」

 

ウナ「うん?やってみるって何を?」

 

 

茜・ヒメ「ダイマックスタイムや(だ)」

 

 

ヒメ「まずはポケモンをモンスターボールに戻す!」

 

茜「戻っておいで~わたあめ。」

 

近くで遊んでいた手持ちのペロッパフをラブラブボールに戻す茜。そして、桃色のバンドを腕に巻いた。

 

 

ウナ「リストバンド?Zリングじゃなくて??」

 

茜「Zリングはちょっとゴツいから、こっそり持ってこれんかったんよ。」

 

ヒメ「お前が音街ウナだな!せっかくだから一緒に覚えよう!手間は一纏めだ

 

ボールにギューっとチャージして、でっかくなったボールを投げろ!

Let'sダイマックスタイム!!分かったか!?」

 

ウナ「なるほど分からん。」

 

 

茜「えっと、こうやって・・・・・・」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ウナ「リストバンドとボールが光った」

 

ヒメ「これがガラル地方名物!『ガラル粒子』をボールにチャージするスーパーアイテム。

『ダイマックスバンド』だ!」

 

茜「おお!でっかくなった!ちょっと重い・・・」

 

ウナ「こんだけデカかったら、あのポッチャマも捕獲も楽に出来るのでは!?」

 

ヒメ「よーし、アカネ!ぶん投げろおおおーー!!!」

 

 

茜「えーりゃあああああああーー!!」

 

 

超巨大なダイマックスボールを、茜はなんとか両手で下投げする。

 

すると、ボールは更に一回り大きくなり、ポケモンが解放される。

 

 

 

「ペロッパー!」

 

 

 

ヒメ「ヨシ、成功だ!」

 

茜「わたあめが」

 

 

ウナ「でっかくなったあああーー!!!」

 

 

 

 




前作でアンケートを取った結果、メイカーズは両方とも産めることにしました。


メイカーズの本家との違い紹介

・梅の精とかじゃない。

人間です。


・ガラル王家の人間
美容師訴えたら勝てそうなあの髪型の奴らを抹殺して、その血筋をメイカーズに与えました。
梅の精霊の設定に少しでも近づける感じで二人には『メブキジカ』を持たせる案も有ったのですが、イッシュ地方は個人的な最胸糞集団『プラズマ団』がおりまして、そいつらをぶちのめすシナリオについてメイカーズ発売前からあったので、あんまり被せると物語が薄いかなーと思い、こうなりました。(いつも物語薄いのは時間が進まないせいだから……)




感想と高評価よろしくお願いします(ようつべ感)
最近低評価が着いたので言ってみます。10とは言いません。6とか下さい。





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1?.5 ずん子のデレ期 【微ゆかずん】 (結月ゆかり、東北ずん子 弦巻マキ 登場) 

何か筆が進まなかったので、箸休めに舞台裏を書きました。

ポケモンと言えばカレー!


タマムシ学園 高等科 家庭科室

 

ここに、三人の美少女がいる。

 

緑色の長髪の東北ずん子。

紫髪の短髪の結月ゆかり。

金髪で巨乳の弦巻マキ。

 

ずん子「・・・・・・・・・。」

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

 

 

マキ「・・・・・・・・・。」

 

ずん子には怒りの表情が浮かんでいる。

怒りの矛先は、結月ゆかり。

少し前に血飛沫が飛ぶほどのバトルをした相手だ。

 

割と癇癪持ちなところがあるずん子は、大切なことを口にしないタイプのゆかりと衝突する事が多く、二人と友人同士である弦巻マキは、いつも二人の仲裁にまわる立場だ。

 

 

が、マキの苦笑が浮かぶ顔を見る限り、今回ばかりは毛色が違うらしい……。

 

 

ずん子「・・・・・・・・・ゆかり。これは何ですか?」

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

普段ずん子になにを言われても飄々としているゆかりだが、今回は決してずん子の目を見ようとせず、顔には冷や汗。

姿勢は正座。手はお膝。完全なる反省スタイルである。

 

クーガ「マキ、窓ガラスは今日中に付けて貰えるらしいロト。

壁のススはハイドロポンプでも撃った方が早いから、スマホから着替えてウォッシュしとくロト。」

 

マキ「うん。ありがとう。クーガ…」

 

 

学園の家庭科室は、生徒なら誰でも使える施設である。

そこでは生徒がポロックを作ったり、ポフィンを作ったりする。

 

そして、本作で俺ツエーしまくる結月ゆかりさんの作った物は

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・……カレー」

 

ずん子「へえ、カレーねえ?」

 

ゆかり「・・・・・・・・・…」

 

 

ずん子「()()が?」

 

 

ずん子が真っ黒く、歪み、そして、ケミカルに輝くナニかを指差した。

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

ずん子「ゆかり?あのアローラベトベトンみたいな汚濁を、あなたはカレーと呼ぶんですか?」

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

ずん子「都合が悪いとだんまりが貴女のクセですが、今回ばかりは許しませんよ?」

 

マキ「ゆかりちゃん、こんなに料理苦手だったっけ?

 

昔は普通にカレー作ってたと思うけどなあ」

 

 

ずん子「それは、これが原因ですよ!」

 

 

ゆかり「・・・・・・!!」

 

 

ずん子は多少強引にゆかりの腕を取り、袖を捲る。

 

すると、色が変色したゆかりの腕が露わになる。

 

 

マキ「ゆ、ゆかりちゃん・・・この腕は!?」

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

ずん子「はあ・・・・・・わたしも先週、入院していた病院で偶然気付いたんです。」

 

どうせゆかりが話す訳が無いと、ため息をつくずん子。

 

マキ「ロケット団戦のダメージで入院してた時だね。」

 

ずん子「ええ。同室でしたから、色々と観察の機会は有りましたから。」

 

 

そんな友人達の非難の目を他所に、話は終わったと袖を戻した。

 

 

ずん子「思い返せば、きりたんとバトルしたときから、明らかに物理法則にツバを吐くようなボールを投げてましたよね?」

 

マキ「ずん子ちゃんとのバトルの時も・・・だね。」

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

ずん子「・・・・・・・・・。」

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

 

ずん子「ゆかり、アナタが何をやっていてそんなケガをしているのかとか、性格やバトルスタイルが明らかに陰キャだとか、人間性に欠点がある狂人だー色々言いたいことはありますけどね・・・・・・」

 

 

ゆかり「ずんだに狂ったヤツに狂人扱いされたくないですが」

 

 

ずん子「今回初めて口聞いたと思ったらそれか絶壁!!?ぶっ殺してやる!!!」

 

 

マキ「まあまあ・・・・・・!」

 

 

マキは調子が戻ってきた友人に頭を悩ませながら、どうにか宥めていく。

泣きそうな自分を誰か助けて欲しいと願いながら。

 

 

ずん子「はあ・・・はあ・・・!」

 

ゆかり「・・・・・・・・・(つーん)」

 

マキ「・・・・・・・・・(泣)」

 

 

ずん子「アンタもう・・・本当にもう・・・・・・ちょっとはわたしに『可愛い女の子』であれる配慮とかですねえ・・・・・・!」

 

ゆかり「ないもーーーむぐっ!??」

 

マキ「ゆかりちゃんお願い。もうお話を聞いて上げて。そろそろ茶化さずにお話を聞いて上げて。

私の方が持たない。

 

ずん子ちゃんももういい加減にケンカしないで。」

 

 

神速でゆかりの口を覆ったマキは、半泣きで黙らせにかかる。

もう良いだろう。頼むからもう止めてくれと。

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

 

ずん子「・・・・・・・・・。」

 

 

マキ「・・・・・・・・・(睨み涙目)」

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、何だって?」

 

ずん子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い。」

 

ゆかり「はあ?」

 

 

ずん子「・・・・・・・・・ケガしたり、寝不足だったり、一人で背負い込んで大怪我するくらいなら・・・・・・・・・・・・ちょっとくらい頼ってこい。・・・・・・バカ」

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

 

マキ(ずん子ちゃん・・・・・・)

 

 

 

ずん子「わたしの方が料理上手いし、眠いなら寝る時間くらい稼げるし・・・・・・ケガは、ほら。

なによりわたしの責任なんだし。

 

ゆかりの身の回りの世話は、わ、わたしの役目だから!!」

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

マキ「ずん子ちゃん・・・・・・」

 

(あのメンヘラと癇癪とずんだ餅で出来たようなずん子ちゃんが、こんなに思ったことを言い切れるなんて・・・・・・)

 

友達の成長に、感動と喜びを覚えるマキ。

 

しかし、二つ忘れる事なかれ。

 

 

一つは、なにもずん子が落とし前を付けなければならないのは『結月ゆかり』だけではないこと。

 

弦巻マキの所持する伝説のポケモン『フリーザー』の【マヒャド】を自身の【ポケスキル】で乗っ取り、操ったこと。

 

それ自体は、マキ本人が【マヒャド】の意志にある程度委ねるとし、現在きりたんの『ハガネール』の【ハガネまる】と共に戦闘時のダメージを回復させたのち、話をするとして、保留になった。

 

 

そして一つは

 

 

ゆかり「・・・・・・」

 

マキ「ゆ・・・ゆかりちゃん・・・・・・?」

 

 

東北ずん子の言葉を聞いた結月ゆかりが、特に心に響いている様子が無いことだ。

 

 

 

マキ(ゆかりちゃん・・・・・・まさか、変なこと言わないよね・・・・・・??)

 

 

ゆかり「・・・・・・・・・・・・分かりました。じゃあ、頼るとしましょうか。」

 

ずん子「ーー!!」

 

マキ「ゆかりちゃん」

 

ゆかり「ここはもう使えませんから、学園の外でカレー作ってきて下さい。」

 

ずん子「・・・・・・え?カレー??」

 

ゆかり「そろそろ初等部の森の試験が始まって一時間半。早ければガキどもが戻ってくるころで・・・・・・」

 

突如、学園放送が流れる。

 

《緊急警報です。現在【試験の森】で異常事態発生。学内の技術士の方は至急、【試験の森】ゴール地点までお越し下さい。繰り返しますーー》

 

 

 

ずん子「緊急警報!?」

 

マキ「技術士を呼んだってことは機械系のトラブルかな?」

 

ゆかり「・・・・・・・・・。」

 

二人が放送について話し始めると、ゆかりはすぐに踵を返して部屋を出る。

 

ずん子「ちょっとゆかり?何処行くの?」

 

ゆかり「修理費について、早めに話入れてきます・・・・・・カレー、任せましたよ。ずんだ。

間違ってもグリーンカレーなんてほざいてずんだなんか入れないで下さいよ。」

 

ずん子「みんなで食べる物にずんだを入れたことはないですよ!」

 

背中を見送るずん子。

 

クーガ「マキ。ハイドロポンプで水洗いと、ぼうふうとオーバーヒートで乾燥終わったロト。

 

マキ「あ。ありがとうクーガ。」

 

 

クーガ「背後でゆるゆりされてる中静かに掃除を完了させるボクは超優秀ロト。」

 

マキ「うん。すごく助かったよ。クーガ。せっかくだから、ずん子ちゃんのカレー作りも手伝って上げて欲しいな。」

 

クーガ「ショッピングから調理までお任せロト~」

 

マキ「よろしくね、クーガ。」

 

 

 

 

 

マキ「・・・・・・私も、ゆかりちゃんに着いていってみよう」」

 

 




ちゃんとゆかきりは忘れてねえから!!


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