幼馴染がVTuber始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった件 (すばう)
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幼馴染がVTuber始めまして

VTuberの小説にハマったので見切り発車ではありますが始めました。


「私、VTuber始める!」

「は???」

 

グッモーニン、ハロー、こんにちは、こんばんは。

突然の意味わからん発言で開幕困惑ぶっぱしてしまった私を誰が責めようか。

いたら私が手ずから屠ってやるから首をだせい。

っと、脱線してしまった…。

 

「何で急にVTuber?確かに最近流行ってるっちゃ流行ってるけど」

「えっとね、前々から配信者に憧れてたんだけど、普通の実況とか、顔出ししないような配信だと続かないかなぁって思って…」

「待て待て待て待て、配信者やりたかったってのも初耳だし何で無駄にチャレンジャーなんだ」

 

まぁ配信者飽和時代で、ぱっと出たところで伸びるわけはなく、趣味程度でやるのなら良いだろうが、ガチでやるなら2〜3年は長い目で見る必要がある。

正直VTuberも最近は増えてきて同じだろうが、まだトレンドではあるし目は引きやすいから、間違っちゃいないだろうが……。

 

「あんた機材とかどうすんの?」

「それがね!じゃーん!なんと私、VTuber事務所に受かりました!」

「おー……ぱちぱちぱち………はぁ……???」

 

いやそれも初耳なんだよなぁ……。今日は驚きの供給過多で心臓麻痺になりそう。

 

「所属するからしばらく機材を貸し出してくれるんだって!」

「んな太っ腹な事務所って事は、結構有名な事務所なの?」

「えっとね、2次STARSって事務所」

「よく受かったなほんと!」

 

2次STARSーー VTuberを先駆け、VTuber好きなら名前の知らない人はいない事務所。

今や倍率が高く、まだ3期生をつのったばかりだが……。

 

「まさか3期生のオーディション受けたの?」

「せいかーいっ。まさか私も受かるとは思わなかったの!で、で!あーちゃんに真っ先に報告したかったんだっ」

「あー、さいですか……」

「むー……反応うっすーい…!」

「いや…も、ほんと…驚きの供給過多でしんどい…」

 

とんでもねー幼馴染だ…。

小学生の頃から今に至るまでの10年くらいの付き合いではあるが、未だに突飛な事をしでかすから目が離せない…。

 

「で、デビューはいつなの?」

「んーとね、3週間後だったかな。しばらくは告知と絵師さん、運営さんと話し合いっ」

「あー、設定とか?」

「そうそう!絵自体は完成してるから、お披露目できるようになったら真っ先にあーちゃんに見せるねっ」

「はいはい楽しみにしとく…」

 

衝撃発表は兎も角、この子が何かに夢中になれることが見つかったのなら、私としては嬉しい。

私に合わせるように同じ事を始め、私としか遊ばない子だったから。

これで私もゆっくり出来る時間が確保出来そう。

この子の配信を見てあげたりしながら、自分の趣味に没頭するのも悪くないだろう……。

 

私の膝に頭を乗せてゴロゴロしてる幼馴染…小夜の頭をわしゃわしゃと撫で回しながら、そんな少し先の未来図を想像し、少し……ほんの少しだが、ワクワクしている。

私の手の届かない場所に突然行ってしまったような気持ちはあるが、この子が私の後ろを着いてくるのではなく、自ら進んで行くのが、たまらなく嬉しい。

元来この子は、私などいなくてもなんでも出来る子なのだ。

 

私はほんとにたまたま居合わせた一人間にしか過ぎず、私と出会わなくても、小夜は勝手に動いて勝手に輝いていたに違いない。

私がいたからそのタイミングが掴めなかっただけで…こうして自分から動いちゃえば、あっちから運が助走つけてやってくる。

 

「あーちゃんあーちゃん、配信始めても、一緒に遊んでくれる?」

「さて…小夜が人気になっちゃったら、時間作れなくて遊べない可能性があるじゃん?」

「そうなったらあーちゃんとコラボして遊ぶ!」

「はっはっは、こやつめ何を言いよるのやら」

「いひゃいいひゃい…ほっへのひりゅ…っ」

 

私は見る専、配信するには向かないし興味もない。

それに、素人と……しかもリアルの友達とコラボ配信など誰得だって話だ。

兎も角、私は見守る側でいるつもりだ。今回も、これからも……この子が私を必要としなくなる日まで、私は変わる気は無いのだ。

この子の近くで、楽しそうにしてる姿を見ているだけで、私は満足さ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

時間はPM10時過ぎ。

盛り上がる、まだ待機画面中のコメント欄。何時間も前から待機していたのか、初めから数千の視聴者が…開始時間が近づくにつれ数は増え、配信直前には1万近くの視聴者に。

緊張する…この緊張感はなれない…まさかこんなに有名になるなんて、誰が予想しただろう。

あの日あの夜に話した事が、最早現実になるとは思わなかった……。

今や人気絶好調のVTuberとして名を馳せ、チャンネル登録者数も100万間近まで行ってしまった。

 

配信開始ボタンが押された……。

コメント欄の盛り上がりは最高潮だ。

 

コメント きちゃー!

コメント きたぁぁ!

コメント リンちゃんこんばんはー!

コメント 待ってたよー!

 

弾幕のごとく流れていくコメント。皆VTuber、鈴科リンに魅了されている。

私としても、幼馴染がこんなに頑張って輝いてる姿を間近で見れて鼻高々である。

ではある、が……。

 

「皆さんどもどもー!2次STARS3期生、鈴科リンです☆今日もみんな元気だねえ…リンちゃんも負けないゾ!!」

 

コメント めちゃくちゃ元気で草

コメント そら30時間耐久ゲームやった後、先輩とコラボしてる体力お化けだし…

コメント ほんとおかしい

コメント だがそれがいい

 

「その話はなーし!あの後運営さんと、幼馴染のAちゃんに怒られたのデス…」

 

コメント 運営は分かるが流石Aちゃんww

コメント Aちゃんママも大変だったろうな…

コメント 終始見守ってたんだもんな

コメント 30時間耐久からのコラボも……?

コメント あたりまえなんだよなぁ…

コメント ヒェ……

 

私の話題が当然のように流れていく。

それを目で追うが、大体が肯定的なコメントで、否定的な発言はない。

と言うか誰がママじゃい、失礼な。確かにリアル保護者公認の保護者である事に否定は出来ないが……。

なおも話題は友人Aちゃんこと私の話題でコメントは持ち切りだ。

 

「はいストーップ!Aちゃんが素敵で無敵で可愛いのは周知の事実だけど、まだ紹介終わってないからね☆はい、どぞどぞっ」

 

ああ……ほんと……どうしてこうなったんだ…私はただ、幼馴染のVTuber活動を見ていただけなのに……。

 

「……はいこんばんは、鈴科リンの友人、友人Aでーす、帰っていい?」

 

コメント 待って

コメント Aちゃんママ帰らないで

コメント Aちゃんママきた!

コメント 相変わらず可愛い声ですこ

コメント Aちゃんもそろそろ体作って

 

「……私はリンを見てるだけで満足なので要らんわい」

 

「Aちゃんも諦めてVTuberになればいいのに☆」

 

「えーい膝に座らせるな離れろっ」

 

コメント てぇてぇ

コメント Aちゃんママ、膝に座らせられるとか絶対ちっちゃい

コメント 閃いた

アザミ・ロータス 通報

コメント Aちゃんママガチ勢来るぞやめとけ

コメント ローちゃん速攻コメしてて草

コメント Aちゃんママガチ勢の中で最強が来るとは…惜しくもないやつが逝ったな

 

いや、ほんと、どうしてこうなった!?



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幼馴染が配信中寝落ちしまして

きっかけはなんて事ない、些細なことだった。

小夜はデビュー配信開始から、順風満帆にVTuberの道を進んで行った。

やはり名が売れている事務所なだけあり、スタート時点からあれよあれよとチャンネル登録者数を増やし、どんどん有名になって行った。

明るく元気な全力系少女、鈴科リン。高校生、快活で周りからも人気が高いコミュ力お化け…と言った感じの、王道系VTuberだ。

 

それが恐ろしいほど小夜の型にハマり、1期生、2期生にも引けを取らない存在感を放っていた。

そんな彼女の配信の話題に、私の名前が出たのはいつだったか……。

 

「今日はマシュマロを食べていく配信ネ!いやぁ、皆たくさん送ってくれてありがとう☆でもクソマロは遠慮願うね!」

 

 

コメント 読まれて欲しい

コメント センシティブなの多かったんやろな…

コメント こんな清楚で明るい子にセンシティブなんてそんな

コメント お前が犯人か↑

 

 

マシュマロ……ラジオで言うふつおたみたいなものだ。ネットに匿名希望でその人が開設してる所にメッセージを送れる場所。

今やVTuberの鉄板配信ネタと言っても過言ではない。

 

リスナーから送られてくる様々な質問を読上げ、それに答えていく。

リンの回答にリスナーは面白おかしくコメントし、リンも楽しく反応し、雑談をおりまぜていく。

ふとそんな時、あるひとつのマシュマロが読まれた……そう、読まれてしまった……。

 

「こんリン!リンちゃんは2次スタ内の方達以外に仲のいい友達はいますか?中々学生生活の話題など聞かないので、おじちゃん心配です…と」

 

 

コメント 確かにリンちゃんから学生生活の話題とか、友達の話題聞かないね

コメント リアル学生ってのはわかってはいたが確かに

コメント 中の人はいない、良いね?

コメント アッハイ

 

「あー、そうだね…確かに話題に出したことは無かったね☆じゃあこれを機に話してもいいかなぁ…んー…あ、ちょっとごめんね!」

 

リンはそう言ってゴソゴソしだし、BGMを垂れ流しにしたまま声がなくなってしまった、ミュートをしたのだろう。

運営に許可取りにでも行ったのだろうか。だがそんな話題に許可は必要なのだろうか?

リアルな話をガッツリ話題に出してる2次スタライバーもいるし、何より小夜がそんなやばい素行であるわけでもなしーー

 

「は……?」

 

横に置いていたスマホの着信が鳴る…正確にはLINEだが…表示を確認すれば相手は絶賛配信中のあの馬鹿からであった。嫌な予感しかしない……。

 

何を考えてるんだこいつはと思いながら、仕方なく私は通話に出てやる。

自意識過剰かもしれないが、今待たせている数千の人達の楽しい時間を再開させるのは、私の手にかかっているかもしれない。

 

「……もしもし?あんた配信中でしょ、何やってんの」

「もしもし!あは、やっぱり今日も見ててくれた、あーちゃんさっすが!」

「あーはいはい流石流石…とりあえず要件を言いなさい。私は数千の人達を待たせてる事実に吐きそうよ」

「あーちゃんそんなにメンタルクソ雑魚だったっけ?」

「あんたVTuberやってから口悪くなったな???」

 

幼馴染の口からそんな言葉は聞きとうなかった…く、これもリスナーのせいだ、いい意味でも悪い意味でも染まりやすい子だから…信じてVTuberに送り出した幼馴染が染まってしまったってタイトルありそう。

 

「んで、用件は?」

「あーちゃんのお話していいっ?」

「あんたそんなもんに許可いると思ってんの?」

「だって学校で友達って言ったらあーちゃんしか居ないもん!てかあーちゃんのお話したい!」

「いや勝手にしなさいよ…私は構わないけど、運営さんに止められたらやめるでいいじゃない」

「あ、そっかっ。じゃあ話題に出しちゃおう!」

 

ぶつっ……そう言って通話がきれ、数十秒後、配信画面から声が聞こえてきた。

コメント欄を見れば心配した声や、親フラしたのかみたいな話が飛び交っていた。

 

「んーんー!ちょっとね、許可取ってたー☆」

 

コメント 運営に?

コメント 許可制だったっけ、2次スタ

コメント 今までそんなこと無かったような

コメント 許可制だったら十六夜ちゃんの話とか絶対許可おりんやろ

コメント せやな

 

「運営さんじゃなく、私の幼馴染にだよ!」

 

コメント 何を許可取りに言ったんでしょうねぇ…

コメント まさか彼氏……?

コメント 炎上不可避

コメント まてまて、彼女かもしれないだろ?

コメント キマシタワー

 

「か、かか、彼女じゃないよー!女の子なのは間違いないけど…うん、1番の親友にね、話題に出していいか許可取ったんダ☆」

 

コメントも頭にハテナが浮いている状態に。そらそうよ…何故友達の話題に本人から許可が必要なのか甚だ疑問だろう。

誰だってそう思う、私だってそう思う。

 

「うへへへ…友達のAちゃんはね、とっても優しくて可愛い子なんだよ〜☆私が2次スタに受かった時、真っ先に報告しちゃったっ」

 

未だ疑問の渦中にいるリスナー達を置き去りにして、リンは話を進める。

 

「初めてできた友達でねっ、いつも私に何かあったりしたらすぐ気づいてくれるんだヨっ」

 

コメント 未だこんなに嬉しそうに話すリンちゃんを見た事があっただろうか

コメント キマシ?

コメント 多分キマシ

コメント 声から分かる、めちゃくちゃ好きなんやろな

 

「うん!Aちゃん大好きっ、お母さんよりお母さんぽくて、何かあったら親より先に叱られちゃったりするけド…うへへ…」

 

コメント リンちゃんやらかしエピソード豊富だからなぁ

桃江梓 この前コラボ開始直前に飲み物こぼしたり忘れ物してたよ(ボソ)

コメント 同期からのタレコミww

コメント モモアズもよう見とる

 

「あ!それ言っちゃダメ!もー…Aちゃんも見てるんだからバレたらまた怒られちゃう〜…」

 

ほ〜…そんな事があったのか。

いや、この年で流石にそれはどうかとは思うが、常日頃から気をつけなさいとは注意してるのに、どうして直らないんだか…。

ってか、私の話めちゃくちゃ尺取ってない?

 

「本当はね、前からAちゃんの話題出したかったんだけど、出したら迷惑かなって思って出さなかったんだ…でもやっぱり話したかったから、本人に許可取ったノ☆」

 

コメント リンちゃんええ子や…

コメント 本人に許可貰えてよかったね

コメント 配信見てるって言ってたし、今も見てるんじゃないかな

コメント Aちゃんみってるー??

 

おい呼ぶな。私はROM専なんだ、コメントするよか聞いている方が有意義な時間を過ごせる人種なんだ、ほっとけほっとけ。

とまぁ、これを機に私の名前…と言うか、鈴科リンとしての友人、友人Aちゃんと呼ばれる者ができ、鈴科リンの雑談やトークで出るワードナンバーワンとなった瞬間であった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ふあぁ〜……クリアの道のり、遠い…遠イー…」

 

コメント ふにゃふにゃリンちゃん助かる

コメント 耐久だけどもう休んで

コメント ぶっ通しで30時間オーバーはやばい(やばい)

コメント 何回か枠閉じてから小休憩挟んで再開してるが、限度あるわ

コメント 寝て(寝て)

 

学校がちょうど長期休みとなった時だ。

とあるシリーズ物の耐久枠を取った時だ。1.2.3をぶっ通しでクリアすると言う訳の分からない企画を立て、現在3の中間までクリアした所。

流石の体力お化けな小夜も、疲労困憊で眠気もピークだろう。

 

かく言う私も、心配で全部聞き流ししながらチラ見しており、時たま寝落ちしかけてはモンエナをキメるという馬鹿なことをしていた。

 

「……………………………………」

 

ふと、リンの声が一切聞こえないことに気づき、画面を見る。プレイ画面も中途半端に止まったまま動かず、キャラが棒立ち状態になってしまっている。

あぁ…ついに寝落ちたのかあいつ…如何に体力お化けでも、限界はあろう。

45時間、約2日寝ずにゲームを続けていれば、嫌でも寝落ちるだろう。

 

私も限界だが…はてさてどうしたものか…。

画面からは着信の音が鳴り響き、コメント欄は寝落ちたなと確信を持ったコメントで溢れかえっていた。

 

着信の相手はたぶん運営だろう。流石の運営も、45時間ぶっ続け耐久するなど考えても居なかっただろう。あの馬鹿め、サイレントにはしていないが一向に起きる気配がない。

 

仕方ない、幼馴染兼保護者として、いっちょ一肌脱いでやろう。

眠気ピークは私も同じ、手元にあるモンエナを飲み干して部屋をあとにする。

へ……へへ…小夜ん家が徒歩圏内で助かった…これで自転車じゃないときついとこにいたら、私は奴を見捨てていただろう。

 

数分もすればお目当ての場所までつき、ポケットからゴソゴソと、小夜ママから預かっている合鍵で、小夜の家に入る。

この時間帯は小夜ママも小夜パパも仕事でいない、出入り自由と小夜の親公認なので気にせず入る。

 

慣れた足取りで小夜の部屋に向かい、ゆっくりとドアを開ける。

案の定、チェアに腰掛け、机に突っ伏しながら寝落ちている小夜を発見。

ゆっくり近づいて揺さぶってみるが、くぐもった声を漏らすだけで起きる気配はない。

 

コメント おや、起きたか?

コメント 鬼電でようやく起きた可能性

コメント 寝息聞こえない、助からない

コメント 寝息ニキ成仏してクレンメス

 

ふとコメント欄を見ると、とりあえずリンが起きるまで待機してる組がコメントを賑わせてる様だ。

うへ……こんな爆速コメ見ながらいつも配信してるのか…私なら確実に追いかけられないし読む暇すらない、なんなら酔う自信まであるレベルだ。

 

んー……勝手に配信終わらせていいものやら……一般人の私が運営に折り返すのもあれだろうし…仕方ない。

カタカタと主コメに書き込んでいき、エンターを押し投稿。

 

『初めまして、友人AことAちゃんです』

 

コメント おや?

コメント Aちゃん?ま??

コメント 何故Aちゃん??

コメント 本物か?

 

うげ……爆速コメがさらに加速した…思わず声が漏れそうになったが、ぐっと堪えてなおも書き込みを続ける。

 

『配信ずっとロムって見てました、寝落ちた為様子見にきたら案の定でした』

 

 

コメント ぶっ通し見てたって事?

コメント 類は友を呼ぶとはこの事

コメント ずっと部屋にいたとかではなく?

コメント リンちゃんが約2日もAちゃんと会話しないでゲーム出来るわけないだろ

コメント た し か に

 

『とりあえず、配信は終わらせます。この子は起きたら叱っときます』

 

コメント リンちゃんぇ…

コメント 起きたら地獄だにぇ…

コメント 骨は拾ってあげよう…

コメント ロムって見ててこの時間で家にこられるとか、ご近所さんかな?

 

『終わり方分からない、助けて』

 

書き込みしながら終了ボタン探すが見当たらない。色々カーソル合わせてみるが、どれも違う。

あぁクソ…配信とか専門外なんだこちとら。目の前でグースカ寝てるこいつをはたいてやりたい衝動を抑えつつ、リスナーに助けを求む。

 

コメント 可愛いww

コメント Aちゃん、枠上にタブあるのわかる?

コメント 枠上タブ開いて

コメント 枠上枠上

 

コメントの指示に従い、枠上のタブを開く。そこには配信開始を知らせるツイートボタンや、音量ボタンがあり、最後に終了ボタンがあった。

 

『ありがとうございます、見つかりました。リンの事見守っててくれて助かった、次も見てあげて』

 

コメント てぇてぇ

コメント 噂に違わぬバブみ

コメント Aちゃんはやはりリンちゃんのママだった…?

コメント Aちゃんママ

 

誰がママじゃい。こんな大型犬を擬人化したような娘を持った覚えはない。

問答無用で終了ボタンを押し、画面に配信終了の文字が流れる。

ふぅ……思わずため息が漏れる…とりあえずこいつをベッドに投げ飛ばそう…。

 

しかし悲しいかな、こいつと私とじゃ体格差があるのでできる訳もなく。

とりあえずキャスター付きのチェアーだった事もあり、ベッドの近くまで押していき、そのまま転がしてベッドに寝かせてやった。

 

「あ……体力の限界……」

 

ベッドに寝かせた瞬間、ふ…っと力が抜け、小夜のベッドに横たわる。

あぁ、ダメだ…眠くて敵わない…起きたら…こいつ…殴る…。すやぁ……。

 

その日眠っている間、Twitterのトレンドにリンの名と、友人Aの名前がトレンド入りするなど、誰が予想しただろうか。

 

 

後日談と言うか、今回のオチ。

小夜はマネージャーにこってり絞られ、その後私にも絞られた。

そりゃまあ運営の注意すら振り切った挙句の寝落ちなわけだ、運営もハラハラしただろう。

 

「えーん……!ごめんなさーいぃっ」

「全く…反省してんの?」

「してます、してますぅ…」

「次は計画的にやんなさい、良い?」

「はーい!」

 

調子がいいやつ…あん、何だその顔は。じろじろと私を見…てくるのはいつも通りか……。

しかし何か言いたげな表情は珍しいな。

 

「何、なんか言いたいことあんの?」

「はひ……っ!い、いやぁ…そのぉ…」

「んー?」

「…な、何もない!」

「あら、そ…」

 

私がこいつの事で外すわけはない。多分言い難いことか、言いづらいことでもあるのだろう。

ま、無理に聞き出すのは柄じゃないので、そんな事はしない…とりあえずまあ……。

 

「……こーれどすっかなぁ…」

 

Twitterでエゴサすれば、出てくる出てくる、あの時の配信の切り抜きや、私の正体を知りたがる輩。

果たして本物だったのか、リンエーてぇてぇ、コラボしないかな等と言った呟きが、まあ仰山出てくる出てくる……。

 

「初バズりだね、あーちゃん!」

「やっぱ反省してない?ん??」

「ぐへぇ…っあーちゃん、ぎぶ、ぎぶ…」

 

コメカミを拳でグリグリと刺激してやる。誰のせいだと思ってんだ。

お陰で何故か私はリンのマネージャー説やスタッフ説まで出る始末。

 

人の噂も七十五日とよく言うが……そんな長い期間噂されたくないわ。

はー…まあ、当の本人は嬉しそうにしてるし、今の所害があるわけじゃないし、考えるのやめよ。




最初に言った30時間ぶっ通し配信とはまた別のお話。


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幼馴染がゲームをしたいと言い出しまして

「あーちゃんと一緒にゲームやりたい!」

「いきなり何を言い出すんだこの子は…あ、いつもか…」

 

 

ある夕方。学校が終わりいつもの如く小夜ん家でグダグダ過ごしていた。私は学校から出された課題をカリカリと穴埋めし、その間小夜はベッドで横になりながらTwitterの更新やらリプ返しやらに悪戦苦闘していた。

 

時刻はまもなく19時になりかけている。そろそろ帰ろうかと課題を閉じた瞬間と同時の発言である。

いきなりベッドから飛び起きてからの第一声であった。

 

「あーちゃんとゲームしたいゲームしたいゲームしたいっ」

「分かった、分かったから…近づくな、圧が、圧がすごい…」

 

ただでさえ図体がでかいんだから近づかないで欲しい。別の所もでかいから更に圧が凄いのだから…。

っと、また話題がそれてしまった。

 

しかしゲームか…最近確かにやれてなかった。

私達は小さい時から一緒にゲームをしていた。例えばゲームキューブ、例えばPS2、例えばWii、例えばPS3。

うちの親がハードを色々持っていたから、自然とゲームをするなら私の家でやるようになっていた。

高校生になり、互いがパソコンを持ち始めてからは一緒にネトゲもしていたし、小夜がVTuberとして活動する前からもやっていた位だ。

 

 

「そもそも一緒にやれない10割の理由があんたのVTuber活動の多忙さにある事分かってる???」

「う……ご、ごもっともですぅ……」

「はぁ…次、予定空くのいつ?」

「え、えっとねっ今確認する!」

 

スっスっ……とスマホを操作してスケジュールを確認し出す。小夜ほどの人気VTuberともなれば、毎日配信か、自分の配信が無くとも同じ事務所の先輩同期後輩とのコラボとかがあるだろう。

 

しばらくスケジュールを確認する小夜であったが、表情がどんどん曇っていき、しまいには涙目になりスマホの電源を切った。

 

「は、半年先…スケジュールびっちり、です……」

「あー……それはご愁傷さま…私帰るわ、配信頑張ってね」

 

親指をグッと立てサムズアップ。頑張れ小夜、半年先も多分埋まるだろう、マジでゲーム一緒に出来ないだろうから諦めてくれ。

 

「そうだ!あーちゃんとゲーム配信すれば良いんだ!!」

「………………………」

「うっわすっごい嫌そうな顔、写真に収めよ」(ぱしゃ)

「撮るなこら、消せ…うっっわ、ぶっさ…これ私?」

 

めちゃくちゃ嫌そうな顔って言うか、呆れも入って……何だろう、探偵ピカチュウみたいなクシャってした表情みたいになってる……。

いや、そうじゃなくって…。何故私とコラボという話になるんだ。

 

「あーちゃんは別に声出さなくて良いんだよ?と言うか通話しなくてもチャットがあるんだし、それ使いながらやろーよっ」

「えー…私身内とは通話しながらやりたい派なんだけど…指示とかチャット打ってると遅れるし」

「そこを何とか!ねっ、ねっ」

 

あー……うーん……まあ、それくらいなら妥協してやってもいいか…。

だが、それを運営がOK出すかは別問題な訳で。いくら友達だろうと、一般人は一般人。有名VTuberだろうが稼ぎ頭だろうが、そこはいくら事務所だろうとまかり通らないだろう。

 

それを小夜に言ってふんぞり返る。幾ら私が良くても、そうは問屋が卸すわけが無いのだ。

あぁ、残念だ、小夜の気持ちに答えてあげたいけど、所詮私は一視聴者…それは変わらない事実なの、分かって頂戴小夜……。

 

「マネージャーからOKでたよっ」

「なんでや!!!」

 

そんなんおかしいやん!!

はい、と言って、マネージャーさんとのLINEのやり取りを見せつけてくる。

 

『Aちゃんさんなら、リンを任せられます。よろしくお願いします。』

「……何で保護者側の人って私に丸投げしてくるの??ねぇ??」

 

私はこいつを腹痛めて産んではいない、ただの友人、幼なじみ、同級生だと言うのに…。

それをわかって頂けないのだろうか?しまいにはキレ散らかすぞ。

 

「ふふーん、常日頃からあーちゃんの話を皆にしていて良かったよっ」

「リアルの幼馴染の話されて皆困惑してたろそれ…」

「面倒見てくれる人いて良かったなって皆言ってたよ!」

 

あ……(察し)。

心中お察しします…うちの小夜がたいへんご迷惑おかけ致しました……。

こいつ事務所に行く時菓子折でも持たせて行こう、そうしよう。

 

事務所で一体何やらかしたんだ…いや、事務所外でもやらかしてるじゃん、覚えありすぎるわ。

この前コラボ中にミュートしてたこと気づかず1時間ずっと一人で喋ってたのに誰も反応してくれず私にLINE爆撃して来た時はこいつ本当にVTuberか?と思ったわ……。

 

 

「さ、今夜は寝かせないゾ☆」

「いや寝かせろ、明日学校あるし」

「オールしよオール!」

「あんた絶対授業中寝るでしょそれ、それで無くとも普段から寝てるし」

「先生が子守唄歌うから仕方ない!」

「授業の内容を子守唄と称すか……」

 

こいつの頭には一体何が詰まってるんだろう……脳みそちゃんと入ってるのかとても心配なんだけど。

ま、仕方ない…オールで付き合うとかは無理だが、この子もVTuberの活動頑張ってきたし、たまには良いのかしらね。

 

「オールは断るけど、ゲーム位なら付き合ったげるわよ」

「やったぜ!戦争だ!戦争だ!」

「やだこの子、過激すぎ……」

「FPSやろ!FPS!」

「それこそ指示が必要なゲームを何故やりたがるんだ……」

 

この子気づいたら猪突猛進型にジョブチェンジしてたから、突っ込んでいっては返り討ちにあって、私の与り知らぬところで死んでそうだから、通話じゃないと厳しいんだけどなあ……。

 

「とりあえず、突っ込んでくのなし、私に付いてくる、私が隠れたら同じように隠れる。この3つ守れるなら良いよ」

「やったろーじゃん!」

 

本当に大丈夫かこいつ???

とりあえず配信時間を予め決めておき、私は小夜の部屋をあとにする。

時間までにご飯食べててシャワー浴びて、ゲーム立ち上げて用意しなきゃ…あぁ、小夜の引率か、やっぱ辛ぇわ…。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「こんリン!2次スタ3期生の、鈴科リンでス☆」

 

コメント こんリン!

コメント 待ってたぜ!この時をよぉ!

コメント 戦争だー!

コメント きてぃらー!

 

「今日も元気だね!うんうん、私は感心しましタっ。さて、今回はゲーム配信だよーっ、特別ゲスト?と協力してやるから、皆よろしくっ☆」

 

コメント 特別ゲスト?

コメント 同期かな?

コメント いや、先輩の可能性も

コメント でも皆ほとんど配信中じゃね?

 

普通にゲーム配信すると告知をしていた為か、コメントが誰が来るのか予想し始めた。

それにより開始数分と待たずに爆速コメになって行く。

相変わらず人気あるなぁこいつ…羨ましいとは思わんが、普通に尊敬はする。絶対あいつには言ってあげないけどね。

 

「うへへ〜…今日はね、AちゃんとFPSするよ、FPSっ」

 

 

コメント ま???

コメント Aちゃん降臨ま??

コメント 喋る?喋る??

コメント Aちゃん到頭コラボに出ちまうのか(困惑)

コメント あれ、AちゃんってVTuberだっけ(困惑)

コメント AちゃんはVTuberだろ、何言ってるんだ!(幻覚)

 

「まあゲストって言っても、通話とかしながらじゃなく、ゲーム内のチャットで話しながらだけどね!」

 

コメント 残念

コメント ぜひAちゃんの声を聞いてみたかった

コメント 我慢出来ずに通話かけるにアイゼン君の魂を賭ける!

コメント 勝手に魂賭けられてるアイゼン君草

アイゼン・クルーガー 万死に値する

コメント 本人いたwww

 

 

「あ、アイゼン君やっほやっほ☆魂賭けられてて草が生い茂ってるネ!」

 

 

相変わらず同期組は定期的に見に来ているっぽい。

まあ、アイゼン君はFPSが好きな子と聞いてるから、リンが告知したタイトルで釣られてきたのだろう。

てか私は放置か???やらないんなら勝手に始めてしまうけど。

 

とりあえずカタカタとキーボードを操作し、リンにチャットを送り付けてやる。

 

『そろそろ始めない???』

「あ、そうだね!ごめんごめん☆ってな感じで、Aちゃんはチャットで、私はAちゃんが枠を見てるからこうやって話しながらプレイするヨっ」

 

コメント Aちゃんちっすちっす

コメント Aちゃんママー

コメント VTuberの配信に駆り出される幼馴染

コメント ある意味すごい体験やね

 

『この子が駄々を捏ねたのと、マネージャーさんからOK出てしまったから、やらざるを得なかった』

 

コメント 草

コメント OK出すマネージャーも凄いし、受けちゃうAちゃんも凄い

コメント リンちゃん、ママの言うことちゃんと聞くんだよ?(後方腕組み父親)

アイゼン・クルーガー 噂はかねがね聴いてます

 

一体なんの噂だ何の……いや、良い、薮をつつく趣味はない。さっさと小夜を満足させて、私は眠るんだ。

ってか、誰がママだ誰が。

何で皆ママって認識なの??可笑しくない??

 

なんか腹たってきたから後で背後から誤射してやろう、1発くらいなら良いよね?いいよな?

 

「それじゃ、始めよっか☆Aちゃん、頑張ろー!」

『ちゃんと周りみなさいよ、必要以上に突っ込まない、見つかったら即退避、良い?』

「ラジャラジャ!」

 

コメント Aちゃんから感じるFPSやり慣れてる感

コメント 多分だがリンちゃんよりも上手いぞ

コメント 楽しみ

コメント ゴーゴーゴー!!

 

画面のカウントが0になり、プレイが開始する。私がリンの前に立って先頭、【殿を務める】。(殿は主に退却中の最後尾を指すので、先頭の殿は意味が通じない。)

リンには後ろを注意してもらい、敵に遭遇しないか見てもらっている。

 

あぁ、やっぱチャットだとめんどくさいな。

いちいち止まらないといけないし、効率が悪い、何よりやり慣れない…。

こりゃリンのカバーしてられないかもなあ…。

 

辺りを警戒しながら進んでいると、ドンパチしている音が遠くから聞こえてきた。

リンの動きを止めさせ待機させる。

 

アイテムの双眼鏡を使い遠く先を観察していると、別チームが早くも衝突していた。

まだ距離にはかなり余裕があるから、高みの見物と行きたいが、これはチーム戦バトルロワイヤル。

 

いつ別チームに見つかるか分かったもんじゃない。

別に撮れ高とか気にしてるわけではないが、迂回ルートを辿るか辿らないか、どうするか…。

 

「殺る?殺る??」

『あんたは何でそんな殺意マシマシなの??』

 

 

コメント リンちゃんはワシらが育てた

コメント 立派な兵士だぜ

コメント イモってばかりだった頃のリンちゃんが懐かしい

アイゼン・クルーガー その変わり突っ込んで秒でやられてるんだがな

 

「戦争は殺るか殺られるかだァ!!」

『おK、暴走したら私が引き金引いて止めてあげる』

「味方が居ない!?」

 

突っ込む癖付いたのリスナーのせいかい。なまじコメントとか見てなかったし、作業BGM程度に配信聞いてる位だったから知らなかった……。

 

あ、うずうずするな、やめろ、敵に見つかt…見つかってますやん…。

明らかにこちらを狙った銃弾が飛んできた。

照準がまだ正確ではないから、ライフルではないな…さて。

 

『とりあえず敵が来たから、迎え撃つよ』

「後ろは任せて☆」

 

何とも不安で頼りがいが無いが、行くっきゃねー!

後ろはリンに任せ、撃ってきた方角にダッシュダッシュ。

しばらく走れば銃声が聴こえ、私のHPが軽く削られる。

 

すぐさま近くの木の後ろに隠れ、双眼鏡で相手を見つける。

へ…見つけたぜ、そこだっ。

 

タァン!と銃声が響き渡る。

画面には一人キルの表示。はっはっは、距離など関係ない、当てれば良かろうなのだ。

 

コメント おぉ!上手い!

コメント Aちゃん安心して見れるな

コメント リンちゃん着いてけてるー?

アイゼン・クルーガー 今のは慣れてないと中々難しいですよ

コメント アイゼン君ずっと見てて草

 

「流石Aちゃんっ、よーし私も……っ!」

『あ、馬鹿、突っ込むなっt…あー……』

 

Rin Dieの文字が画面に流れる。

いい所見せようとしてリンが別チームにヘッドショットされ、1発でくたばった。

おいおいおいおい、配信主がそうそうに死んでどうする。

 

「にゃー!!や、殺られたぁぁぁ!」

 

コメント ちょww

コメント まだ序盤なのにぃ!

コメント Aちゃん早々1人にされてカワイソス

コメント Aちゃんに突っ込むなって言われてたのにww

アイゼン・クルーガー 戦犯リン

 

「言い返す言葉も!!見つかりません!!」

 

言い返した所で変わりはないだろうに…。

特に撮れ高のない配信になってしまうなあ…んー…んー…。

さて、どうするか。一旦撤退して再度2人で挑戦するか、それともこのまま私1人でプレイしていいものやら…。

 

とりあえずリンを殺った奴は近づいてきたところをナイフでキルしてやった、ざまぁ。

 

「Aちゃんファイトー!」

『いや、私一人でやるんかい』

 

どうやらリンにはプレイし直しと言う文字は無いようだ…。

一緒にプレイしたいって言ったの誰だったかな?はて、協力プレイとは。

 

仕方が無いので、行ける所まで行こうと思う。

 

『配信とか私分かんないから、終わるまで待ってて。撮れ高とか無くても知らないからね』

 

コメント 普通にナイフキルしてて撮れ高無いとは??

コメント 普通あの距離で銃撃避けられる?

アイゼン・クルーガー あの動きは……っ!

コメント 知っているのかアイゼン!

 

 

何かコメントが騒がしい様だが、気にしてもいらんないなぁ。

お、今木の後ろ隠れたな?ほら、手榴弾だ、くれてやろう。

 

馬鹿め陽動だ、こんにちは、死ねっ。

炙り出されたプレイヤーを狙い撃ち、スコアがまた伸びていく。

 

順当に行けば、上位には入れそうだなぁ、意外にもこの卓、チーム同士の潰しあいのペースが早い早い。

気づいたらもう7割方のチームが消えていた。

 

コメント 何でそんなとこの敵見えてるんすかねぇ(驚愕)

コメント Aちゃん何者

コメント 絶対ランカーでしょこれ

アイゼン・クルーガー いや、ランカーではないな、でもそれ位には上手い

コメント 上位ランカーの殆どにスナイプされてるアイゼン君が言うなら違うのか

コメント やな事件だったね…

 

「あー…Aちゃんゲームオタクだからねぇ、大会とかランカーには興味無いから、大体ランキングマッチとかには出ずにプレイしてて、普通に強いヨ☆」

『説明ありがと。あらかた片付いた』

「やー、お疲れお疲れ☆」

『ホントな???』

 

コメント Aちゃんおこww

コメント 俺達はリンちゃんの配信を見ていたはずなのに、いつの間にかAちゃんの無双配信を見ていた

コメント あれ、俺がいる

アイゼン・クルーガー 機会があればぜひともAちゃんさんと対戦かチーム戦してみたいですね

 

待って??私はリンの幼馴染よ??

いや、対戦とかは普通に嬉しいけど…普通のVTuberは同期の幼馴染とゲームしないからね?

 

プレイング褒められるのは嬉しいけど、それとこれとは別問題なのである。

でもあのフットワーク軽々っぽいマネージャーさんはOKサイン出すんだろうなあ…。

 

そうこうしているうちに、残り5チームまで絞られた。私以外はまだ誰も欠けていない状態のため、私はスニーキングを強いられている状況……。

 

『これはもう、漁夫るしかないわね』

「ガンガンいこうぜ☆」

『あ、私ソロパーティなので』

「存在を無かったことにされタ!?」

 

コメント あれ、Aちゃんソロだったよな?

コメント そうそう、俺達はAちゃんのソロプレイ配信を見に来たわけだし

アイゼン・クルーガー 鈴科リン……?知らない子ですね

コメント 草

コメント 同期ですら無かったことにしてて草

 

「ひっどーい!?アイゼン君後でアズちゃんに言ってやるっ」

 

コメント モモアズに泣きついてて草

桃江梓 鈴科リン……?誰だったかしら

キルヒ・ルーン 知らない子コン

冬式雪女 同期にそんな子いたかしらぁ?

コメント 同期組が押し寄せてきてて草

アザミ・ロータス うちの同期にAちゃんって子は居た筈だけど

コメント Aちゃんが3期生になってるww

 

「わーんAちゃーん!同期組がこぞって虐めてくるヨォ……!」

 

ちょ…ごめ、チャット返してらんない…おら!首置いてけ!!

銃弾が切れたので、チームが少なくなったところを狙ってナイフでキルして行く。

 

くっそ、一対多数はキツいって…。

そこら辺に余ったスモークを投げて撹乱し、見失ったところを背後からさよならバイバイ!

うっし、後一人……さあ一対一ぞ、正々堂々掛かってこい!

 

まあ、私はやらないけど。

更に余った手榴弾を投げまくって追い込み、殺られたプレイヤーが落とした銃を拾い撃ち殺す。

 

YouWinの文字が画面に表示され、何とか優勝をもぎとった。

信じられるか?これまだ1回目なんだぜ??

 

コメント うっっっま

コメント Aちゃん本当に何者??

コメント 撮れ高の塊なんだが

キルヒ・ルーン これはもう、3期生プラスAちゃんさんの枠取るしかないコンね

アイゼン・クルーガー 賛成

アザミ・ロータス 異議なし

桃江梓 楽しそう!

冬式雪女 あらあら、それは良いわねぇ〜

 

 

「あ、絶対楽しい!後でマネージャーに聞いてみるネ☆」

『は??????』

 

何でや!?いやいやいやいや、おいおいおいおい。

私の意思は?拒否権は??てか皆さん何でそんな乗り気なのん?

誰か突っ込もう??いくら幼馴染とは言え、VTuberの中に1人だけ一般人が居るのよ?ファンもファンで止めてっ。

 

普通嫉妬とかで炎上不可避だと思うよこれ!

や…まだ女と認知されてるだけ違うのか…?いや、本当配信ってもんはつくづく分からないわ……。

 

とりあえず、この日はリンと何戦かして枠を閉じ、プレイ配信は無事終了したのだが。

この日の私のプレイしてるくだりが切り抜かれ、またもやTwitterにトレンド入りしてしまったのだった。

こんなの絶対おかしいよぉ……。




そろそろ同期組の話とか説明入れ無いとね。

鈴科リン(すずしなりん) 2次STARS3期生
金髪ショート、快活で元気が取り柄な高校生。
2次STARSのトラブルメーカーと呼ばれており、色々やらかす為2次STARS内ではかなりスタッフに監視されている。考えなしで耐久配信をしよう物なら、毎回30時間は超える。その度に運営とAちゃんに叱られている。2次STARS3期生のゴールド担当。


桃江梓(ももえあずさ) 2次STARS3期生
ピンクの髪と桃の形の髪留めがトレンドマーク。あだ名はモモアズ。
好きなものは名の通り桃。センシティブな発言が飛び交うと恥ずかしくて喋れなくなる。同期のリンとはよくコラボをしている。Aちゃんに良くリンのやらかした事をコメントで密告している模様。2次STARS3期生のいやらしくないピンク担当。


アザミ・ロータス 2次STARS3期生
黒髪ロングでお嬢様なクールキャラ。感情の起伏は少ないものの、時たま見せる笑顔で視聴者の心を鷲掴みにしていく。バッサリと発言を切り捨てていくスタイルで、リンの発言は大体バッサリ行っている。2次STARS3期生のブラック担当。


アイゼン・クルーガー 2次STARS3期生
メガネ、不憫、炎アイゼン炎が通り名。2次STARS3期生唯一の男性VTuber。燃えるような赤髪とレベルの高いゲームのプレイングが目印。マッチングをすると高確率でランカーにスナイプされ、同期とコラボしよう物なら解釈違いと言われ燃やされる不憫な子。2次STARS3期生レッド担当。


キルヒ・ルーン 2次STARS3期生
数百年生きている狐が西洋に被れ魔女になったと言う設定。暇つぶしにネットを始めたらどハマりしたため配信者になったという。課金は家賃まで、新しいゲームが出たらとりあえず課金、課金は運営のお布施などなど、重度の廃課金者。配信で数回、クレカ上限突破している。語尾はコン。2次STARS3期生パープル担当。


冬式雪女(ふゆしきゆきめ) 2次STARS3期生
名前の通り雪女、妖怪と言う設定。蒼髪ショート、おっとりしていてぽやぽやしているが、声がえちえちであだ名はセンシティブお姉さん。口調はおっとりしてるのに、内容はおっとりしていない。3期生内でのセンシティブな絵が書かれるのはトップ。人気配信はASMR、ボイス販売の要望もトップだった。2次STARS3期生エッチなブルー担当。


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幼馴染のスパチャが解禁しまして

「ついにスパチャ解禁したよ!!」

「あー、おー…?オメデトウ?」

 

例のごとく小夜ん家でダラダラタイム。

既に終わった課題を片付け、ソシャゲの周回をしていた頃だった。

 

スパチャ?一体なんだそれは…。

 

「え、スパチャ知らない?」

「知らない知らない」

「他のVTuberの配信とかで見かけたりするでしょっ」

「私あんたの配信にしか興味ないから」

 

黙々とソシャゲの周回をしながら、受け答えする。

……ん?今私、恥ずかしい事口走ったような気gグェ……っ

 

「もー!あーちゃん好き好きっ」

「やめ…引っ付くな…こら…」

 

ぎゅーぎゅー引っ付いてくるな一々…あぁあぁ…何か私には無い物が当たってる…。

く、こいつホント力強いな、何食ったらこんな馬鹿力に育つんだこの…っ。

 

押し返そうとしてもビクともしやがらない。

く、苦しい…じぬ……。

小夜の腕をパンパンタップしてやる、首、首極まってる……。

 

「ありゃ、またやっちゃったっ」

「はぁ…はぁ…幼馴染に殺されるとこだった…」

「ごめーん!!」

 

本当にこいつ、大型犬を擬人化したような性格してるな…。

前世犬だったのでは??

 

「んで、結局スパチャって何?」

「あ、うんっ。スーパーチャットの略で、コメントと一緒に1日1アカウント最高5万までお金が送れる機能だよっ」

「ほーん…言わゆる投げ銭って奴ね…」

「同期組もじわじわスパチャ解禁してたから、そろそろと思ってたら案の定っ」

「テンション高いな??」

 

まあお金が貰える訳だから、そりゃテンション上がらないわけないか。

でもこの子、そこまでお金に興味あったかしら。

 

「お金貯めてあーちゃんと旅行したい旅行っ」

「先ずは私より先に親に使ってやるのが親孝行ってものじゃない?」

「あー……確かに」

 

その申し出は嬉しいから、嫌ではないが。

とりあえず私より肉親を優先しなさい肉親を。

いや、でも…親より先に私を優先してくれたのか…うん、うん…。

 

…………はっ、いかんいかん。一瞬意識が遥か彼方に飛んでいってしまっていた、やばいやばい。

 

「まあ良かったじゃない、おめでとう」

「うんっ、ありがとう!よぉっし、今夜はおめでとう配信ダァ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「こんリン☆2次スタ3期生の鈴科リンデッス!」

 

コメント こんリン!!

スパチャ おめでとうっ ¥600

スパチャ めでてぇ!! ¥1000

スパチャ 無駄遣いはダメだぞっ ¥2500

スパチャ お小遣いだっ ¥500

コメント はえぇww

 

今日も今日とて、幼馴染のVTuber活動をチラ見しながらゲームをしている。

スパチャってどんなものか見てみたが、視聴者の金銭感覚大丈夫か…?

 

そんなポンポンお金送って、生活は大丈夫なのかしら…。いや、それは無粋と言うものか。

彼らはこれも楽しみの一つとVTuberを追っているのだろう。

 

水を指すのはあまりにも無作法というものだ。

暖かい視聴者に囲まれている事を再確認し、ちょっとだけ顔が綻んでしまう。

 

 

「わわわ!?早い早い早い!?う、嬉しいけど節度守るんだヨ!リンとの約束☆」

 

 

スパチャ 分かったよリンちゃん! ¥2000

スパチャ 節度守れよお前ら! ¥3000

スパチャ 待ってたぜ!この時をよぉ! ¥10000

コメント 開幕から飛ばしすぎww

コメント くっ、上限行ってるから明日だ!

コメント あんたさっきローちゃんに5万投げてたニキだろ↑

 

「守ってない!?守れてないよ皆!あと上限ニキさんはダメだからネ!」

 

金額によってコメントの色が変わるシステムなのか。

最初は青が圧倒的に多かったけど、今は殆ど赤寄りのスパチャが飛び交っている。

 

わ、わー……数時間の配信でいくら稼ぐ気なんだこの子は…やべぇ、多分サラリーマンの月給分は超えてるよこれ…。

 

スパチャ ありがとう、これからも頑張って¥10000

コメント やっと落ち着いたか?

コメント スパチャ勢ヤバすぎ

コメント リンちゃんこんなに愛されてて嬉しいぜ

コメント そらそうよ、リンちゃんだからな

 

「やぁっと落ち着いた…もー、リンちゃんおこだよ!嬉しいけど、皆の生活も大切にネ☆」

 

コメント はいいい子

コメント そんな事言ったらまたスパチャしたくなるぜ(上限)

コメント 上限ニキ落ち着いて

スパチャ お小遣いの足しにして下さい ¥200

コメント 推しにお金を払える幸せ

 

「うへへ…本当にありがとうね。まだ始めて数ヶ月だけど、ここまで続けられたのはみんなのお陰だよ☆」

 

コメント リンちゃんの頑張りのお陰だよっ

コメント 後はAちゃんの存在がでかい

コメント Aちゃん>>>>越えられない壁>>>>>わしら

コメント Aちゃんと俺らの壁はでけぇ!

 

「そ、そんな事ないよ!?や…まあ…見守ってくれるAちゃんのお陰でもあるから、否定はしないけど…」

 

 

あー…やだやだ、聞いてるこっちが恥ずかしいじゃない全く……。

でも嫌な気分ではないのが、余計に恥ずかしさに拍車をかけてくる。

 

私はあんたの楽しんでる姿が見られるだけで十分なの、だから気にしないで欲しい。

だから、そう…これは本当に、気の迷いだ。

 

これくらいしか出来ないけど、まあたまにはいいんじゃないかな。

自分のデビットカードを取り出して、アカウントと紐付けておく。

 

コメント リンエーてぇてぇ

コメント 絶対リンちゃん、スパチャ解禁も真っ先にAちゃんに報告したでしょw

コメント 絶対したよな、俺にはわかる

コメント むしろしない方がおかしい迄ある

 

「あははは!うん、したよ!その時Aちゃんも部屋にいたからネ☆」

 

コメント 本当に仲良いんだな

コメント 同期組対Aちゃんの配信楽しみにしてるからな!

スパチャ あーちゃん おめでとう、頑張んなさい ¥1000

 

「へ…………?」

 

推しにお金を払える幸せ、そんな物があるのなら私にだってやる権利はある。

私はVTuber、鈴科リンを推し始めた最初のファン1号なのだ。

 

こういう機能があるのなら、使ったって文句ないわよね?だから黙って投げ銭されなさい。

 

コメント リンちゃん?

コメント どしたの?

コメント 大丈夫??

コメント リンちゃーん?

 

「うぇ、え、ぇ!?ちょ、あ…Aちゃん!?」

 

コメント 何故Aちゃん???

コメント 何だ、Aちゃんでも現れたか?

コメント なんだ何だ

 

「ちょっと待ってね!☆」

 

そう言って一瞬無言になったと同時に、私の携帯の着信が鳴る。

表示は案の定小夜からだ。

 

いや、配信中に通話かけたらダメでしょ…何回言っても聞かない子ねこの子はほんとに。

着信拒否したらあとがうるさいから出てやるか……。

 

「も、もしもし!!」

「ちょ…せめて配信ミュートしなさいミュート…入ってるはいってる」

「何でスパチャ!?いや、嬉しいけどね!」

「別にあんたにやった訳じゃないわよ、私はVTuber、鈴科リンにスパチャした訳で、小夜にはしてませーん」

「屁理屈ぅ!」

「屁理屈も立派な理屈よ、知らなかったの?良いから配信に戻りなさい、数万人待たせてしまってる事実に私は吐きそう」

「クソ雑魚メンタル!!もー!!好き!!」

 

ぶつり……と小夜から通話を切られる。

はぁ、やれやれ…ことある事に掛けてこないで欲しい。文句があるなら直接言いに来なさい。

 

ま、直接来たところで私に勝てるわけ無いのだから、文句言っても無駄なんだ、無駄無駄。

配信画面に戻れば、案の定コメント欄はお祭り騒ぎ。

 

コメント ROM専のAちゃんがやっぱコメントしたんだな!

コメント しかも初コメがスパチャとか何か感慨深い

コメント 祭りじゃ祭りじゃ!

コメント 公開告白助かる

コメント すっかりお家芸になったな、配信中にAちゃんに凸るの

 

「お祭りじゃないよお!視聴者さんのスパチャを有難くAちゃんに貢ぐ計画を実行する前に、Aちゃんに先越されたア!」

 

 

コメント 草

コメント 推しが推しに貢ぐ綺麗な図

コメント ただし相手は一般人なんだよなぁ…

コメント 実質Aちゃん3期生だし問題ない

コメント クソワロタ

 

何を言ってるんだかこの子は……。

さっき言ったじゃない、私より先に両親に親孝行しなさいって。

私なんか後でいいのよ後で。

 

「さっきAちゃんにね、一緒に旅行しようねって話したんダっ、親孝行しなさいって言われちゃったんだけどね……」

 

コメント Aちゃんもお母さんだから親孝行されて

コメント Aちゃんええ子や…

コメント でもリンちゃんも負けず劣らずええ子やで

コメント 当たり前なんだよなぁ

 

 

「Aちゃんの言ってる事はもっともなんだヨっ、でもね…小学生の頃からここ迄私と仲良くしてくれたAちゃんにね…何かお返ししてあげたくてその、あうぅ……」

 

……そんな事考えていたのか。

馬鹿ね、親になにかしてあげた後で幾らでも出来るでしょうに。

と言うか、もうあんたからは色々貰ってるっての。

 

私がそんなに見返り求めるように見えていたのだろうか。それこそNOである。

そんな打算的な付き合い、こっちから願い下げである。後で説教だな。

 

コメント てぇてぇ

スパチャ 少ないけど取っときな! ¥20000

スパチャ は?泣いたわ ¥10000

スパチャ ア、テガスベッター ¥15000

スパチャ アイゼン・クルーガー ¥ 20000

スパチャ 桃江梓 ¥10000

スパチャ 冬式雪女 ¥15000

コメント ちょww同期組までwww

 

「わー!?待って!ねー待ってぇ!せがんだ訳じゃ無いんだよォ!ストップ!ストップぅぅ!」

 

スパチャ 秋乃夕日 (*´˘`*) ¥50000

スパチャ アスティモス ¥ 5000

コメント 1期生も紛れてるぞ!?w

スパチャ アザミ・ロータス くっ、出遅れた ¥5000

秋乃夕日 今までこんなトラブルメーカーの面倒を見ていたAちゃんさんに脱帽したので、恩返ししたいのなら足しにしてね♪

 

「ちょっとぉ!?諸先輩ストップストップ!?あとローちゃん、出遅れたとかそう言う問題じゃナイヨ!?」

 

コメント ゆうちゃんやべぇ!?

スパチャ 天叢雲 ほれ嬢ちゃん、取っときな ¥5000

コメント 2次STARSあったけぇ

コメント 全部Aちゃんの為って思うと笑うが

コメント Aちゃん愛されてんな

コメント 知ってるか?Aちゃんって名前しか俺ら知らないんだぜ?

コメント 今北、うわぁ(困惑)

 

本当だよな?私声すら明かしてない、鈴科リンってVTuberの幼馴染ってだけしか知られて無いんだよ?

まあ小夜が色々迷惑を掛けたのについては本当にご苦労様でしたとしか言えないが……。

 

尚も続くスパチャ祭りに、2次STARS内スパチャランキングの堂々1位に輝いたとか輝かなかったとか。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はー…もー、今度こそ落ち着いたよもー…先輩も同期組も悪ノリいくない!」

 

アイゼン・クルーガー 反省も後悔もない

コメント 炎アイゼン炎

コメント 唐突に燃やされるアイゼン君ぇ

秋乃夕日 さ、解散解散

 

「え、ちょ、えー!?」

 

コメント 荒らすだけ荒らして帰って行ったな皆w

コメント ゆうちゃん2次スタの皆好きだし、1期生2期生も仲良いからなあ

コメント 本当あったけぇわ

 

しばらくし漸くスパチャ祭りの第二波が終了したもよう。

やー……さっすがに引いたわ…そりゃこぞってVTuber始める輩増えるわ…。

 

こんだけお金が送られてきたら金銭感覚マヒしそう。もちろん満額はいる訳ではないだろうけど。

 

「あ、ちょっと待って、凸来た…はーい、お名前どぞどぞ☆」

「こんモモーっ、もぎたてフレッシュ、桃江梓だよーっ!」

 

コメント モモアズぅ!

コメント こんモモ!

コメント お祝いに駆けつける同期、しかも1番コラボしてるモモアズが凸してくれるとか

コメント 何処かの凸ゼロ人とは大違いだぜ

アイゼン・クルーガー <・> <・>ミテイルゾ

コメント うわこわ

 

「わーい!アズちゃんアズちゃんアズちゃん!」

「リンちゃんリンちゃんリンちゃん!」

 

互いの名前を連呼し合う、何ともカオスな場面だが、これはもう鉄板となっている。

リンが大型犬なら、桃江梓と言うVTuberは子犬みたいな感じだ。

 

さしずめ、大型犬にじゃれつく小型犬みたいなものだ。この2人は波長が合うのか、気づけばよくコラボをしている。

2次スタ内は皆仲がいいが、3期生でコンビと言われる位なのは、この2人くらいだ。

 

「まずはスパチャ解禁おめでとう、これで3期生全員目標達成ねっ」

「あれ……?アイゼン君は確かまだ申請通ってなかったような…??」

 

コメント 煽りよる

アイゼン・クルーガー ID控えたからな覚悟しとけよモモアズゥ!

コメント めちゃくちゃキレてて草

コメント 運営「解釈違いなので駄目です」

コメント 辛辣ぅぅwww

 

「アイゼン君はほら、いつも燃えちゃうから無理かもね……ンフ…っw」

 

コメント 笑っちゃってるじゃんww

コメント アイゼン君元気だしてww

アイゼン・クルーガー 泣いたわ

コメント ちょっと女子ぃ

 

「あ、アイゼン君、ドンマイ…☆それでそれで、どしたのアズちゃんっ」

「あ、そうそう。この場を借りて告知したくて凸したのですわ」

「告知???」

 

おや、何かイベントでもあるのだろうか。

でも小夜からは何も聞いてないし、急遽決まったイベントかな?

 

「私達3期生、事務所でオフコラボが決定しました!!!!」

「本当に!?って、私聞いてないよォ!」

「当然でしょ?さっき運営に申請して企画通したんだもの」

 

コメント マジで!?

コメント いやったぁぁぁ!!

アイゼン・クルーガー 褒めてやろうモモアズ、さっきのは水に流してやろう

コメント 掌ドリルかな??

 

「あ、アイゼン君は抜きで3期生女子会にしようかな!」

「流石に可哀想だから辞めたげてヨ……っ」

 

アイゼン君相変わらず弄られてるな……流石不憫枠。

そうか、事務所でオフコラボか。

小夜には楽しんでもらいたいな。

 

「とまぁゲリラ告知はここまでで、本格的な告知は後日、私達3期生のTwitterと事務所のTwitter、ホームページに載せるから、皆来てね♪」

 

コメント めちゃくちゃ楽しみ!!!

コメント 2次STARSのオフコラボってあんま無いよな?

コメント ゆうちゃんとアティちゃんがたまーにやるくらいだったよな

コメント 楽しみ

 

「んじゃリン、私落ちるね〜」

「私の枠を告知で使わないでェ!?って本当に落ちてった!」

 

2次STARS3期生、オフコラボ決定か〜。

んー…なんか一波乱ありそうな無さそうな…。

あ、とりあえず小夜に菓子折り渡しておくとしよう。

 




次回、オフコラボ回。

1期生2期生の設定とかはまた今度。


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幼馴染がオフコラボする事になりまして(前編)※修正

ご意見、ご感想、ご指摘、ありがとうございます。
頂きましたご意見、ご指摘に関しましては、都度加筆修正しております。
見切り発車ではじめた作品とはいえここまで読んで下さった皆様に感謝を……。


みんな、VTuberをすこれっ。


「うへへ…オフコラボ〜、オフコラボ〜…っ」

「相当楽しみにしてるわね」

「当然だよ!同期の人達とは事務所で数える程度にしか会えてないし、ここで更に仲良くならなきゃっ」

 

VTuberと言うネットの繋がりではあるが、そこそこ仲がいいのは悪いことではないだろう。

小夜が私以外の友達が出来たのは、大変喜ばしい限りである。

 

小夜はとにかく元気がありまくりなのだ。その為よく人を振り回しがち(物理ではない)だから、小夜についていける人は少ない。

私は小夜みたいに物理的な体力はないが、長年付き合ってきた慣れがあるから、対処法を心得ているだけで着いていってる訳ではない。

 

むしろズルズルと引きずられてる感さえある。小さい子が犬の散歩してたら引きずられそうになる時あるじゃない?あれの酷い版よ、もう引きずりの刑の如くよ。

 

「あ、マネージャーさんから電話だ」

「あら…じゃ、私ちょっと部屋から出とくわ」

 

パタリと、読んでいた小説を閉じてすたすたと小夜の部屋から出ていく。

流石に業務連絡を私が聞く訳にはいかないし、ちょっとだけ喉乾いたから、何か飲み物頂こう。

 

小夜ん家にほぼ毎日いるもんだから、私の飲み物やコップ、食器、果てにはパジャマまで置いてある始末だ。

普通の友達、と言う定義はよく分かっていないが、これが行きすぎな事は分かっている。

 

多分普通は友達の家に自分専用の食器やらパジャマやらは置いているわけがないのだろう。

……って、何を考えてるんだ私は、センチメンタルって柄じゃないだろ。

 

全く…何か引っ掛かってもやもやすんのよね…。

…………あ…、そっか……小夜が私以外で仲良い子が出来たから、ちょっと嫉妬してるのか。

なるほどなるほど…いやそんなキャラじゃないだろ私。

 

小夜は親友、幼馴染、それ以上でも以下でもない。私は小夜を見守っていられるだけで良いの。

馬鹿らしい考えを払拭するために、棚にあるコップを取り出して水を1杯頂く。

 

「……ふぅ、馬鹿ね私は。あの子が私を置いてくわけないじゃない、考えすぎよ」

 

そう、何も変わらない。まだ私達は高校生。先はまだ長いのだ。

よし、よし……うん、部屋に戻りましょ。

そろそろ話が終わってる頃でしょう。

 

「あ、あーちゃんお帰り」

「はいはい…あら、まだ終わってなかったの?もう少し出とく?」

「あ、いや…うーん……マネージャーさん、本当に言わなきゃだめですかぁ…?うー…あい…分かりました…」

「よく分からないけど、また出とくわよ」

「待って!あー、んーと…」

「……あによ?」

「……お、オフコラボなんだけどね…あーちゃんも来て欲しいって!」

「……………………………………」

「うっっわ、めちゃくちゃ嫌そうな顔。初めてゲーム配信した時の二割増だよ大丈夫??」

 

当たり前だよなぁ???

え、前から思ってたが、2次STARSのスタッフは考えなしか?考えなしなんだな?よし分かったキレ散らかしてやる。

 

「あ、マネージャーさんが代わって欲しいって」

「嫌な予感しかないんだけど…」

 

差し出された小夜のスマホを恐る恐る受け取り、そっと耳にスマホを当てる。

あー……まああらかた予想付くけどさぁ……。

 

「はい、代わりました。小夜の友達ですが」

『突然代わってもらい恐縮です、私、小夜…VTuber鈴科リン含め3期生のマネージャーをやってるものです』

「あ、はぁ…初めまして…」

『助けてくださいぃAちゃん様ぁぁぁ!!』

「うわうるさ……っ!?」(キーン)

「私のスマホゥゥゥゥ!?」

 

いきなり大声で叫ぶ奴があるか!?

びっくりし過ぎて小夜のスマホ落としちゃったじゃない…あー、怒らない怒らない、私が悪かったから。

……いや、マネージャーが悪いよなぁ??

 

「…何を助けろって言うんですか?」

『小夜さんですよぉ!!私やスタッフじゃもう手に負えないんです!(エグッ、エグッ)』

「ぅゎ……」

『ガチでドン引きしましたね今!?こちとら真剣なんですよぉ!』

「まあ……小夜の事ですから、また何かやらかしたんですか……?」

『過去に色々ありまして……今回のオフコラボ、小夜さんを含め6人、密室、数時間、何も起きないはずが無いじゃないですか…』

 

あー……小夜含めあのメンツ濃いからなあ…。小夜がトラブルメーカーなのは今に始まったことじゃないが、流石に1箇所にあのメンツ集まったら、1人じゃ見切れないわね…。

 

てかあんた、過去に何したの??聞いた話だと、デビュー配信の時部屋間違えて先輩の配信に突入したり(本人談)、機材を誤って壊しかけたり(本人談)、自由奔放すぎて配信中って事忘れて何処か行ったり(配信見てた)、同期との初コラボの時は爆睡して遅刻したし(私が起こしに行った)、コラボしたらしたで1時間マイクミュートに気づかなかったり(私に通話かけてきたから教えた)、耐久配信したら30時間オーバーするし(寝落ちて配信止めてやった)。

 

あげたらキリないのに、これ以上何やったんだ……。

 

『小夜さんが悪い子ではないのは分かってるんです、だからこちらも注意しか出来なくて…』

「心中お察しします…ですが私は関係者とは言い難いので、流石に…」

『そこを!そこを何とかぁ!!』

「な、泣かないで下さいよ!?」

「あーちゃん…諦めよ☆あいだ!?」

 

あんたがやらかしたから私に依頼来てるって分かってる???

腹が立ったからグーで殴っといた。こんな私を誰が責められようか。

 

「はー…分かりました…私はあくまで保護者役としていれば良いんですね?」

『はい!はい!!小夜さんを見ていただけるだけで良いんです!一日スタッフとしてバイト代も払わせていただきますので!』

「はぁ…分かりました…甚だ不本意ですが、今回は受けます」

『ありがとうございます!!ありがとうございます!!』

「いえ…あの、良い大人が私みたいな子供に簡単にへりくだらないで下さい、駄目ですよ。マネージャーさんは支える立場なんですから」

「わ…私の心配も…」

 

お腹を押さえながらふらふらと立ち上がる小夜を無視して、とりあえずマネージャーさんを元気づける。

おいこらマネージャー、今小声でママって言ったろ?

 

やめて、高校生をママって呼ばないで、事案発生するから、やばいから。

 

「あー……オフコラボか…」

「やったぜあーちゃんっ、いだぁ!?」

 

マネージャーさんとの通話を終えて打ちひしがれる。

こいつ歩く災害だから、多少のトラブルはと思ったが、まさか人1人をあそこまで追い詰めるとは…小夜、恐ろしい子……。

 

とりあえず腹が立ったから小夜のお尻を思いきり叩いてやった。

ちったぁ反省しなさい。

 

そんなこんなで、私もオフコラボに行かなければいけないことになった。小夜の保護者として……。

なんで私、嫉妬なんかしてたんだ????

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「あーちゃんこっちこっちっ」

「ちょ、こら…!引っ張るな…力強っ」(ズリズリズリ…)

 

それから数日後、予定通り私は小夜のオフコラボに引きずられていった。

朝から憂鬱通り越して鬱よ鬱。

私が緊張する必要は何処にもないが、胃が痛くなってきた。

 

とりあえず私はいつも通りいればいいのだ。小夜の親友兼保護者として。

私の役目はそれだけだから、大丈夫大丈夫……大丈夫、だよな…??

 

「はー…それなりにちゃんとした事務所ね」

「所属してる人の前で言うセリフじゃないよね!?」

「VTuberに中の人なんかいないって聞いたけど…あれ、じゃあ小夜は一体…?はっ…」

「パンドラの匣開いちゃったんだよね〜みたいな顔しないで?中に人はちゃんといるからっ」

 

流行りで人気が出たのは割と最近なわけだし、もしかしたらマンションの一室かもとは思ってたが、意外や意外、普通にビルの中が事務所だそうな。

 

「さ、行こ行こ!」

「はいはい……」

 

ズリズリズリとまた引きずられながら事務所に入っていく。気分はドナドナだ。

 

「おっはようございまーす!!小夜でーす!」

 

なんの躊躇もなくドアを勢いよく開けて入っていく。

ここまでずっと手を繋がれ引っ張られた状態なんでそろそろ手を離していただければありがたいんだが…。

 

手を離そうとすると逆に強く握り返して離さないもんだから、こいつの手汗がすんごいの何の。

さすがに人前じゃ恥ずかしいから、ハナシテ…ハナシテ…。

 

中に入れば、結構な人がバタバタと準備をしたりしていた。

その中で、5人組が集まって何やら話し合っていた。

 

小夜の声で一斉にこちらを向く。

 

「リンおっそい、また遅刻したかと思ったわよ?」

「いや、俺らが早かっただけで今日は普通にセーフだぞ!?」

「あら、リンが普通に来るなんて…明日は雨降りそうね」

「あらあら〜…珍しい事もありますねぇ」

「りり……リンが…誰か連れてきてる…」

 

1人男性が混じってるってことは、あの人たちが同期かな…?

1人私を見た瞬間、ささっと女性の後ろに隠れたけど、人見知りだろうか?

 

「何、あんた誘拐でもしてきた?」

「誘拐じゃないよアズちゃん!」

「妹連れてきて社会見学でもさせに来たかあ?」

「い、妹でもないよアイゼンくん!Aちゃんだよ!」

「「「「「は??」」」」」

 

何言ってんだこいつって表情になってるぞ…。

いや、私も逆の立場ならこうなる自信ありまくりだけど…。

とりあえず手を離してくんないかしら、小夜の手汗でなんかねっちょりしてて落ち着かない…。

 

「えっと、初めまして。友人Aちゃんです、よろしくお願いします」

「え、うそ、ガチ?いや、ちっさっ」

「リンがデカイから余計にそう感じるわね…」

「おいおいリン…流石にオフコラボに引き連れてくんのはなあ…」

「ま、マネージャーさんに連れてきてって頼まれたんだもんっ!」

 

ぷんぷんと、頬を膨らませながらすね始める小夜。

それにしても、5人の視線が痛い…。

み、見るな、みるなー!!

 

「………………」

「可愛い…飴、要る?」

「え…あ、ありがとう、ございます…?」

 

なんか知らないけど、上品そうな方に飴をもらってしまった…。

とりあえず後で食べよう。

 

「Aちゃんごめんね?多分マネージャーが面倒見る余裕なくて呼んだんでしょ?」

「あ、はい…えっと……」

「あぁ、ごめんごめん…んん…こんモモ!もぎたてフレッシュ、桃江梓です!…で、分かるかな?」

「あぁ、貴女が…」

 

凄い変わりように面食らってしまう。言っちゃ悪いだろうけど、何処にでもいそうな普通の声から、一気にアニメとかでよく聞くキャラ声になったのだ……これが、VTuber……ごくり。

 

とりあえず各々私がなぜ連れてこられたのか理解したようで、何故か謝られてしまった。

いや、悪いのはうちの小夜な訳でして…はい。

 

「さて、自己紹介しますか。リアルネームより、VTuber名のがわかりやすいでしょ。私はさっき言ったから、他の子お願いね」

「俺はアイゼン・クルーガー!よろしくAちゃんさんっ……何か配信外で名乗るの恥ずかしいなこれ」

「アザミ・ロータス…よろしくね、Aちゃん。飴、もう一個上げる」

「あらあら〜、冬式雪女よ〜。うふふ、よろしくねぇ」

「…………き、キルヒ・ルーン……」

 

ふむふむ……顔と名前一致できるだろうか…そもそも今後絡む予定はあるのかこれ??

あ、考えるのやめとこう……フラグたちそうだから怖い…。

てか、アザミさん何でそんなに飴くれるんですか…?

あと、なんか私を見る目がちょっと怖いと言うか…息がだんだん荒くなってきている様な……。

 

「ご丁寧にどうもありがとうございます、友人AことAちゃんと申します。いつも小夜がご迷惑おかけしてすみません」

「いやいやいや!Aちゃんさんが謝る必要ないぜ!?な?な!」

 

アイゼンさんがあわあわと慌てて周りに同意を求める。

いや、何か謝る流れかなと思ったんだけど。

ってか、小夜、手を離して?いつまで握ってるの?

 

「あ、今更ですが…リンのこと本名で呼んでますが、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ?私達も本名は知ってるから。ただ、VTuber名の方が、コラボした時ポロッと言わないで済むかなってね」

「なるほど…分かりました。」

「Aちゃん可愛い…」

「うぇ……あ、あの、近いです……」

「いくらアザミちゃんでも、Aちゃんあげないよ!がるるるる……」

 

小夜に手を引っ張られ、そのまますっぽりと抱き締められてしまう。

そしてとうの小夜は犬みたい唸り声をあげて威嚇し出す。

 

いや、前々から犬みたいだなとは思ってはいたけど、そこまで犬みたいになるとは予想してなかったわ……。

 

「あらあら、本当にこれで付き合ってないのかしら〜」

「リン、私もAちゃん抱き締めたい…ふぅ、ふぅ…」

「アザミ、あんたの性癖は分かるけど、流石にリンの親友に手を出すのはやめなさい…」

「ヒェ……」

 

え、怖……アザミさん怖っ。

何であんな綺麗な人なのに、目が血走ってるんだ…めちゃくちゃ怖い…。

あと性癖ってなんだ!?

 

一体どんな性癖持ちなんだよ!さ、さすがにお近付きにはなりたくないかなあ…あの、飴で買収しようったってそうは行きませんよ……??

 

「………………」

「…………?」

「っ……!」

 

雪女さんの後ろに隠れてる人…えっと、キルヒさんか。

キルヒさんが私をチラチラ見て、目が合えば雪女さんの後ろにまた隠れてしまった。

 

コメントで見かけたことはあったが、何かイメージと違ったな。いわゆるネット弁慶ってやつかな?

 

こうして私は、ついに3期生全員と顔合わせしてしまったのだった…。

知ってるか?まだオフコラボ前なんだぜ……?

へ、へへへ……あぁ…。




長くなったので前後編にしました。
待っててね

あ、あと日刊ランキング乗りました、ありがとうございます!

追記
Aちゃんとマネージャーとのやり取り1部追加
3期生の自己紹介のくだり修正致しました。


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幼馴染がオフコラボする事になりまして(後編)

前編、加筆修正いたしました。
皆様のご感想、ご指摘、ご意見、誠にありがとうございます。


「はーい始まりました!もぎたてフレッシュ、桃江梓でーす!」

 

コメント はじまた!

コメント モモアズー!

コメント 淫乱じゃない方のピンクー!

コメント こんももー!

 

「そのピンクネタまだ引っ張んの!?ピンクだけでいいじゃん!」

 

何はともあれ、特に今の所は何も無く無事に配信が開始できた。

私はスタッフさんやマネージャーさんと同じ場所で、みんなの初オフコラボを見守っていた。

 

あの後マネージャーさんに会い、会ったそうそう泣きつかれ呪詛のごとくお礼を言われた。

お礼を言われて恐怖を感じるのは、後にも先にも今回だけだろう……。

 

その後別の部屋に連れていかれて、色々話した。

まあ出るわ出るわ、小夜のやらかしエピソード……。

でも小夜も悪気があってやった訳じゃない、むしろ善意で動いてから回っちゃった感じだった。

 

例えば、機材の搬入。

自ら手伝うと言い、気合い十分なのだが、やる気が空回りするのかぶつけてしまったり落としかけたりして大変だったとか。

 

でも本人は大丈夫だと言って、何かしら動こうとしては失敗、失敗しては気合い入れて失敗しないようにと負の連鎖なのだ。

 

誰かの為に何かをしようとするが、慣れてない為か周りが見えなくなり、それでこの有様と言った感じだ。

 

確かに、本人に悪気はないし、率先して頑張ろうとしてるもんだから、怒るに怒れないんだろうなあ…。

 

例えば対人関係。

ほとんど私としか絡まないもんだから、人のパーソナルスペースの測り方が分からないのだろう。

小夜のパーソナルスペースは狭い。いつも例えてるように、人懐っこい犬のように、それはもうコロコロと懐く。

 

だが如何せん、一般の女性に比べ小夜は大きいのだ、モデルも真っ青な高身長。

更にはあの無尽蔵な体力にフィジカル……時折抱きつかれる時なんかは、私相手でまだ加減してるからあれで助かってるが、あのパワーや体力で小夜に振り回されたら(物理ではない)身がもたない。

 

それでよく同期、先輩方、スタッフさんやマネージャーさんが振り回されているらしい。

まだ出来たばかりの事務所で人も少なく、どうしても全員を見るのは難しい。

 

小夜に至っては1人じゃ足りないからだろう…トラブルメーカーの名はダテじゃない……。

 

「はい、こんちゃっす!アイゼン・クルーガーだぜ!いえーい、皆みってるー?」

 

コメント 百合に挟まる間男

コメント 解釈違いです

コメント 帰って、どうぞ

コメント 炎アイゼン炎

 

「相変わらず俺への当たり強い!?てか燃やすなよ!」

「あーあ、またアイゼン君が炎上(物理)したわね、もう炎上系VTuberってなのれば?」

「お前にも飛び火させて焼きピーチにしてやろうかおい」

「さ、次行くわよ〜」

「なんか言えよ!?」

「はーい!!こんリン☆鈴科リンだヨ!」

「ごきげんよう、アザミ・ロータスよ、今日はよろしく、皆さん」

「うふふ、こんにちはぁ、冬式雪女よ〜、貴方の熱で、私を溶かして♪」

「こんこんコーン!キルヒ・ルーンだコンっ!」

 

梓さんとアイゼンさんのやり取り?漫才?をぶった斬るかのように、他の4人も各々自己紹介していく。

はー、しっかし…小夜のVTuber活動をリアルで見るのはちょっと新鮮…。

 

本当に楽しいんだろうなぁ。

てか、キルヒさんのオンオフ凄いな……。

 

「さて、まず今日は、ぶっちゃけ話とかもろもろ出来たらなと思い、事前にリスナーからマシュマロを募集してました!」

「どうせ俺への当たりが強いんだろ??ん??」

「アイゼンは燃えやすいから仕方ないコン、こんな美少女に囲まれてハーレム築いてたら仕方ないコンね!」

「び…しょう、じょ……?」

「あら〜、お姉さん、き・れ・い?うふふ」

「雪女さん…貴女雪女なんでしょ、それは別の妖怪よ」

 

コメント アイゼン屋上

コメント アイゼン君また燃えちゃったね

コメント 雪女さんそれ口裂け女や

コメント 妖術使いさん可愛いだろ!いい加減にしろ!

 

「魔女じゃい!!」

「でも狐と言ったら妖術だよネ!」

「はいはいマシュマロ大盛りよ〜」

 

カチカチと、みんなの2D絵の横にばばんとマシュマロが貼り出される。

リスナーから送られてきたマシュマロをどんどん捌いていく梓さんは、中々に進行上手だった。

 

「3期生の皆さんこんにちは!個人的な質問ですみません、オフコラボではありますが、名誉3期生のAちゃんは来るのでしょうか?気になりすぎて夜しか眠れません!いや寝てるじゃん」

「あー…この質問なぁ…ぶっちゃけ言っていいのか?」

 

コメント お、なんだなんだ?

コメント 流石にただの一般人の話題出しすぎて怒られたか?

コメント あくまでリンちゃんの幼馴染なんだもんな、話題に出してはいいだろうが、踏み込みすぎたのかも

コメント 2次スタ運営も、まさか所属Vの幼馴染が人気出るとは思わんやろ

 

それもそうだ、何で幼馴染の私が人気出るんだ。もっと別のVTuber推せ推せ。

ほら、鈴科リンなんかおすすめだ、是非見てあげて欲しい。

チャンネル登録もちゃんとするのよ。

 

ふと、全員の視線がマネージャーさんと私にむく。

おや、話してもいいかってことかな……?

 

「どうします…?」

「Aちゃんさんが良いなら、私達は問題ないです。Aちゃんさんがいい気がしないのなら、今後取り締まっていきますけど」

「いえ…今の所実害ありませんし…小夜もたのしそうにしてるので、気にしてません」

 

お互い同意の上、って事で。

マネージャーさんがOKサインを出し、小夜を除いた5人が顔を見合わせる。

 

「しっかし、リンにはビックリしたなぁ?あーんな可愛い幼馴染居たなんてな!」

「本当ね、配信前に会った時びっくりしたわよ?」

「Aちゃん…可愛い、是非とも仲良くしたい」

「リンちゃんの保護者ってイメージだったからぁ、大人な女の子を想像してたけどぉ…うふふ」

「アザミの性癖にもろぶっ刺さってて、Aちゃん警戒してて草コン」

 

コメント え、会ったのか!?

コメント 草コン

コメント めちゃくちゃ気になる!気になりすぎて、杉になったわね…きだけに

コメント 一般男性は料理してて、どうぞ↑

コメント さっぶ

コメント √3点

 

「え、え、え?い、いきなり何なのサ!」

「まさかオフコラボまで連れて来るなんて〜、流石に私達も予想外だったわよ?」

 

梓さんの発言に、元々速かったコメント欄がさらに加速していく。

そこにAちゃん居るのか。授業参観かな?娘の授業を見る親の心境で見てそう。Aちゃん人気すぎて草。ちくわ大明神。

 

などなど、物凄い反応が流れていった。…まて、誰だ今のは。

 

「だ、だってぇ!マネージャーさんに連れてきてって言われたんだもん!」

「という訳で、リスナーには悪ぃけど、俺たちAちゃんさんに会っちまったぜ、はっはっは!」

 

コメント 煽りよる

コメント めちゃくちゃ気になるんだが!

コメント アイゼン君屋上

コメント 久々にキレちまったよ、屋上行こうやァ

 

「自ら燃えに行くアイゼン…お前の事は、たぶん、まぁ…うん、忘れないコン」

「いやそれ忘れるやつぅ!?」

「アイゼン君…?知らない子ねぇ〜」

 

流石同期、という事もあるのか、本当に凄く楽しそうだ。私以外の誰かと話したり、じゃれあったり、笑ったりしてる小夜の姿を見て、心底安心した。

 

うん、安心、したのだ…それと同時に、何処か小夜を遠くへ感じてしまう。

VTuberという活動で、どんどん有名になっていく。これから同期じゃないVTuber共、絡んでいくんだろうし、忙しくもなるだろう。

 

そうなったら、果たしてそこに、私の入る余地はあるのだろうか……。

なんて、そんな事を考えていた時だった。

 

「あ、飲み物なくなっちゃった」

「まだあっちに予備の飲み物があった筈よぉ?」

「あ、じゃあ私が取って来るヨ!」

「「「「「えっ」」」」」

「よいしょっ」

 

そう言って立ち上がり、駆け出そうとした瞬間だった。

小夜が駆け出す先にはコードが伸びており、ガッツリパソコンに繋がっているものだった。

今の小夜には絶対見えていない、十数年間付き合っていた幼馴染の勘が告げていた。

 

えらいこっちゃと……。

間違いなく足を引っ掛けてパソコンが吹っ飛んでいく未来しかない……。

そして私は思わず叫んでしまった。

 

「リン!!ステイ!!」

「ワウ!?はい!!」

 

ぴん!っと体が駆け出す前で止まり、小夜の体が硬直する。

ほ……良かった…大事にならなくて良かった…。

 

……はえ、何ですかこの視線…?

あ……そう言えば今、生配信…もしや私の声が入ってしまった…か?

 

コメント 今の声は???

コメント マネージャーさんか?

コメント にしては、若いというか、幼すぎじゃないか?

コメント めちゃくちゃ可愛い声

コメント 先輩かな?

コメント でも聞いたことない声だったぞ

 

「あ、あははは!あ、新しいマネージャーさんかな!もうリン、ちゃんと下も見なさい、周りにコードあるでしょ?」

「あ、あぁ…そうだぞリン、危うくコードに引っ掛けて大惨事になる所だったぞ!」

「び、びっくりしたぁ…Aちゃんありがとう!」

「誤魔化してたの気づけコン!?」

「あ、あらあらぁ……」

 

チラッとマネージャーさんやスタッフさんを見ると、申し訳なさそうな表情で頭下げられた。

あ、あー……ま、まぁ、うん…声が知られた位いっか!

 

パソコンは守れた、小夜の怪我も回避出来た、万々歳である。

 

コメント リンちゃんバラしてて草

コメント やっぱりAちゃんか!

コメント 切り抜き決定した瞬間である

コメント これで一般人ってま???

コメント 声でわかる、絶対美少女

コメント 声ソムリエ助かる

 

コメント欄はもうお祭り騒ぎだ。

いや、一言発しただけでそんな騒ぐことかな!?

 

この事態にめちゃくちゃびびっている自分がいる…いや、恐ろしすぎでしょ本当に……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

後日談と言うか、今回のオチ。

あれからしばらくコメント欄は止まることを知らず、落ち着きを取り戻すのに数分以上費やした。

 

何故か瞬間視聴者数をぶっちぎってしまい、またTwitterや動画サイトに友人Aと言う名が駆け巡ったのだった。

 

「いやぁ…すっかり有名ですなぁあーちゃん」

「誰のせいよ誰の…ってか、あんたはもう少し周りを見なさい」

「ごめんなさーい…」

 

配信が終わり、皆さんに謝ったが、満場一致で小夜の不注意って事で何も言われなかった。

むしろ逆に謝られてしまい、こちらがテンパってしまったくらいだった。

 

「あんたあんなに周り見えなくなるタイプだった?」

「えっとね…今まであーちゃんと遊んでたからね?あーちゃん、私の手伝いとか要らず何でも出来るから、せっかく出来た新しい場所で、誰かの為に頑張ろーって思ってやると……その……」

「やる気がから回ってる証拠。いい心がけだけど、出来ないことは無理にしないの」

「う……はい……」

 

そう言ってしゅんと落ち込み、項垂れてしまう。

……は、いけない…とうとう幻覚が……。

 

今、叱られて犬耳がたれて落ち込んでる小夜の姿に見えたわ…いけないいけない……。

 

「じゃ…空回りしないよう練習しましょっか」

「練習……?」

「そ…簡単なことから始めましょ?……私、ゲームで素材集めしたいんだけど…誰か手伝ってくれないかしらね…ちら、ちら」

「あ……はい!はいはい!私手伝う!手伝うよっ」

「ん、じゃあ、お願いね」

「うん!」

 

小夜が今の環境に頑張って馴染もうとした結果、だと私は思っている。

慣れないことを慣れないままやるから問題なんだろう。

 

だったら、少しずつ慣れさせて上げればいい。

最初は機材の使い方すら四苦八苦していたのに、今では十全につかいこなせる。

 

じゃあ小夜に出来ない道理はない。

何たってこの子は、VTuber鈴科リンなんだから。




最終回ではない、まだ続くのじゃよ。

誤字報告、ありがとうございます。めちゃくちゃ助かってますっ。


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幼馴染がASMRやると言い出しまして

え゙ーえ゙ずえ゙む゙あ゙ーる゙


「ASMRやるよー!」

「えーえすえむあーる……??」

 

インターホンが鳴り、誰か来た為小夜が部屋から出て対応し、戻ってきて開口一番そう言ってきた。

えーえすえむあーる…とは…??

 

小夜を見れば、手には小包が。

そのえーえすえむあーるというものと何か関係があるのだろうか。

 

「その荷物となんか関係あるの?」

「うん!バイノーラルマイクってマイク!」

「ばいのーらる……?」

 

また訳が分からない単語が出てきた……。

何だそのマイクは、聞いたことがない。

 

「配信の企画かなんかに使うの?」

「うん、そんな感じっ。動画で見たことない?」

「見たことないなあ…」

「じゃあ百聞はなんたらかんたらだよ!」

「百聞は一見にしかずな?……な、なになに……」

 

小夜のベッドで寝転がりながらソシャゲしてる私に近づき、耳に何かを付けてくる。

イヤホンか…?いや、何故にイヤホンを。

 

「じゃあ流すよ〜」

「待って、説明、説明を…!」

 

説明を求めるがそのまま何かの動画を再生される。

声からして雪女さんの動画だ。

妙に色っぽい声が流れ始める。

 

『あらあら…こぉんなに溜まっちゃって…そんなに私に弄って欲しかったのぉ…?んふふ……ふ〜…あは、ピクってした…』

「ちょ、これ、これぇっ」

 

えっっっっ、何か聴いちゃいけないものでは!?

と言うかこんなもんが動画にゴロゴロ落ちてんの!?けしからんとかそんなレベルではないのでは!

 

『は〜い…カリ、カリ、カリ…んふふ、こ〜んなに取れた…次は逆の耳、見せて…?』

「はえ……耳……?」

「耳掻きをされるって言うASMRだよっ」

 

イヤホンを取れば、小夜が具体的な説明をしてくれた。

何か気持ち良くなる動画。特殊なマイクを使って囁いたり息を吹きかけたり、物で音を鳴らしたり、マイクを耳かきで引っ掻いたり、時には咀嚼音を聴かせる、らしい……。

 

……よくわからん。

仕方ないので調べてみることにした。

要は聴いたら心地いい音って解釈をした、調べても何となくしか分からなかった。

 

「んで、どうしてまたASMR?」

「雪女さんにオススメされたからっ」

「また単純な動機ねぇ……」

 

まあ動画でも調べた結果、他のVTuberも色々出しているようだし、人気のコンテンツなのだろう。

正直私には刺激が強すぎた…雪女さんの言葉選びと言うか、そう言った趣旨の動画なのだろうか…合わなかった。

 

「それでね、あーちゃんに練習付き合って欲しいの」

「練習?」

「そう、練習っ」

「……囁くのに練習いる……?」

「あーちゃんの感想が聞きたい!」

「えー……」

 

何か嫌な予感しかしないんだけど……。

要は実験体になって欲しいって事ね…あー、あー……そんな捨てられた大型犬みたいな目で私を見るな……分かった、分かったから。

 

早々に白旗を上げて承諾してあげる。

仕方ない、小夜のやりたい事の手助けができるのなら、たまにはいいか。

……いや待て、手助けと言うなら今までも沢山してきたのでは…?

よし、考えるのやーめた……。

 

とりあえず体を起こし、ベッドに座り直す。

さあ、煮るなり焼くなり好きにしろぉいっ。

 

「じゃあ囁くねーっ」

「はいはい……」

「……あーちゃん、どう……?」

「ひ……っ」

 

めちゃくちゃゾワゾワするっ。

何か落ち着かない…無理、無理ぃ……っ。

 

「ごめん…無理かも…」

「だ〜め…逃げないで…?」

「う〜……っ!」

 

くすぐったいし小夜の吐息がダイレクトに当たるし何か嫌だ!なんか、いやだ!

じたばたするが小夜が押さえ込んできて振り解けない。

 

ちょー!?は、はな…離せぇい!!

 

「あーちゃん、暴れないで…?あば……暴れないでよぉっ!」

「うっっっさ!?」

 

いきなり叫ぶなあ!?鼓膜……鼓膜が……私の鼓膜生きてる…?取れてない…?

小夜の拘束が解け、耳を塞ぐ……。

 

ああ、めちゃくちゃキーンってなってる……耳痛ったぁ……。

 

「ご、ごめんー!」

「はあ…はあ…小夜、私には無理…心臓が出る……」

「心臓は出ないよ!?え、え…そんなに下手だった……?」

「へ、下手ではないから…わ、私より視聴者に意見求めて……」

「は、はぁい……」

 

ごめん小夜……私にはまだ早い世界かもしれない…あぁ…まだ心臓がバクバクしてる…き、今日の配信、まともに見れるかしら……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『こ〜んば〜んわ〜、2次STARS3期生の、鈴科リンで〜す』

 

コメント ASMR助かる

コメント 囁き助かる

コメント 待ってた

コメント Twitterでバイノーラルマイク購入したと聴いて居ても立っても居られなかった

 

夜もふけ、今夜も小夜はVTuberの活動に勤しんでいた。

まともに見られるかなとか思ったが、単純にイヤホンしなければいいのだ。

スピーカーで聞けばまだまともに聞いていられる。

 

コメント欄ははいつも通りわいわいと元気いっぱい流れている。

ASMR、人気なんだなぁ……。

 

『今日は〜、囁き雑談にするね〜。腹から声出せ……?こう!!』

 

コメント おっ

コメント 鼓膜なくなった

コメント 腹から声出させた奴出てこい

コメント あれ、音なくなった

コメント 鼓膜破壊ニキ成仏して

 

『わ、わ、わ…っご、ごめんね〜…またやっちゃったあ…Aちゃんにも似たような事しちゃって怒らせちゃったんだぁ…』

 

コメント 詳しく

コメント ぬっ

コメント 何だ、てぇてぇか

コメント Aちゃんの話になると異様な食いつき見せるよなww さあ詳細を聞こうじゃないか

コメント ↑オマエモナー

 

え、それ話すの…?良いか、絶対話すなよ?絶対に話すなよ?

もし話したら明日殴りかかってやるから覚悟しろ……。

 

『えっとね…上手く囁けるかAちゃんに試させてもらったノ…直接耳元で囁いたら、Aちゃんには合わなくて暴れられちゃっタ…危なかったから思わず手を押さえ込んじゃってねェ、反省反省…』

 

コメント えっっっっ

コメント AちゃんにはASMRは早かったか…

コメント 閃いた

コメント 通報した

 

『ちょちょ…っ、Aちゃんで不埒なこと考えたらダメー!』

 

コメント ワイの耳無事死亡

コメント 最後にてぇてぇ話が聞けて良かったぜ…

コメント 耳なくなった

コメント リンちゃん、まだまだ練習不足だな、Aちゃんに付き合ってもらうんだっ

 

ヤメテ、ヤメテ……。

あれ以上囁かれてしまったら気持ちいいとか無いから、もう怖い、耳が擽ったすぎて……。

 

正直…小夜の声がダイレクトに脳に伝わる感じがね…気持ちいい訳じゃないけど、その…とにかく駄目、駄目ったら駄目。

 

『逆にAちゃんのASMR聴きたい…?あ〜、Aちゃんに耳元で囁かれたら、私すぐ眠れちゃう気がするなァ…。よくAちゃんが私の部屋で課題やってる時の、シャーペンで答え書いてる音でウトウトしちゃって、時たま寝落ちちゃウ事あってね〜』

 

コメント カリカリとした音良いよね

コメント わい氏雪女ちゃんのASMR配信聴いてたらイヤホン取れて親に聞かれた

コメント 何で親の前で聞いてたんだよww

 

雪女さんの配信親に聞かれるとかかなり気まずいじゃんそれ……。

1度あの人の配信を見たことあるが(ASMR配信ではない)中々に過激な発言してたし、さっき聞かされた奴も、聞きようによっては中々に攻めてるからなぁ……。

 

お茶の間でドラマ見てたら、キスシーンが流れ始めた位の気まずさよねもう…。

 

『AちゃんとASMR配信コラボ?良いねぇ…ちょっと楽しそう。でもAちゃんとコラボは流石に事務所的にアウトかも知れないなぁ…』

 

コメント 別のVTuberは姉とコラボしてたから、ワンチャン出来ないかねぇ

コメント そこは事務所によりけり、無理強いいくない

コメント わいらはリンちゃんとAちゃんのてぇてぇ話が聞けりゃいいのさ

コメント や さ い せ い か つ

コメント むしろ自由に話題に出させてくれるAちゃんが寛大何だよな

 

私が寛大……?果たしてそうだろうか……。

実害がないから特に気にも留めていないだけなんだが、そう汲み取られてしまうと、申し訳なくなってしまうなあ…。

 

でも私は配信とか特に興味がわかないし、見てる側の方が気楽で良いものだけど。

 

…って、何でASMRの配信でこんなちょっとしんみりしないといけないのだろうか。

小夜とはゲームとか一緒にしたいから、声は入らないけどゲーム配信だけで我慢して欲しい。

 

『Aちゃんはめちゃくちゃ優しいからねっ』

 

コメント テンション上がるのは仕方ないけど声量落としてww

コメント また鼓膜を変えないと

コメント リンちゃんにASMRは多分向いてないかもしれないな

コメント ASMR時はAちゃんの話題出さなければいけるいける

 

『Aちゃんの話題出さないのは無理☆』

 

コメント 呼吸するなと言ってるようなもんだしな

コメント 呼吸レベルww

コメント 実際そうだしなw

コメント そのお陰で助かってる

 

 

そんなこんなで、小夜のASMR初配信は成功したのか失敗したのかよく分からなかった。

ただ受けは良いみたいなので、今後も続けたいと配信中に言っていた。

実験台にはなりたくない、なりたくないでござる……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はー…楽しかった」

 

今日の配信もたくさん見に来てくれたっ。

VTuberになって良かったなぁ…楽しいし、やり甲斐があるし、頑張れば頑張った分だけ数字で見える。

 

えへへ…次はどんな配信しようかなぁ。

ゲームが良いかな、雑談が良いかな。あ、歌枠とか良いかもっ。

 

ASMRは…また今度かな、受けは良かったけど、あーちゃんの話になると声が抑えられないから…てへへ。

 

「……今日のあーちゃん…可愛かったなぁ…」

 

耳元で囁かれただけであんなになっちゃう何て、あーちゃんの知らない1面と言うか、弱い部分知っちゃった。

 

あんなに真っ赤になるなんて…んん…思い出したら何でかゾクゾク?ゾワゾワ?しちゃうのは何でかなあ。

あーちゃんのあんな余裕のない表情見るの初めてだからかな。

 

何か変な感じ!……またやってみたいなあ…でも、あーちゃん嫌がってたし、無理は良くないね!

 

「さて、そろそろ寝ちゃお!…えへ〜、明日もあーちゃんと学校行って〜、終わったら一緒に課題したりお話したりして〜、それから配信っ。うん、いつも通り!」

 

明日も絶対楽しい一日になる。

だってあーちゃんが一緒に居てくれる、あーちゃんが一緒に遊んでくれる。

あーちゃんが……。

 

「……私のVTuber活動を見てくれる…」

 

もっと…もっと見て欲しいな…。

沢山沢山頑張って人気になったら…褒めてくれるかなっ。

うへへ…おやすみ、あーちゃん……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

飛ばしてもいいおまけみたいな物。

 

『10分でわかる、鈴科リン!』

 

たまたま動画サイトを見ていたら、オススメにこんな動画が上がってきた。

切り抜きってことで良いのだろうか?

 

興味本位でその動画をクリックする。

軽快なBGMと共に、タイトルとおなじテロップと、リンの顔がドアップで映っている。

 

『は、初めまして〜……2次STARS3期生の、鈴科リンデース…』

「あら、初配信のリンじゃない。あはは、今と全然違うじゃない」

 

初配信の時のリンは、それはもうめちゃくちゃに緊張していた。

当時初配信もしっかりリアタイで見ていたが、今見てみると何かおかしいわね。

 

『今日ゲームやるヨ!初見プレイ?ってやつっ、オススメされたの借りて来た!』

「あー、そう言えば貸したことあったわね……あれ、返してもらったかしらこのゲーム」

 

いや、返してもらってないわこれ。

チラって棚を見たら、1ケース分隙間空いてたし、後で小夜にLINEして返してもらわないと。

 

『うー……!皆ァ、この選択肢どれどれ!何がいいノーっ。え、B?本当?本当??信じるよ?…………だ、騙したなァァ!』

「あったあった…リスナーにまんまと騙されてバッドエンド直行したんだっけ」

 

その後にももう1回リスナーに選択肢を委ねたらまた騙されるという、見事な騙されっぷりを披露し、リン=騙されやすい子と言う認識を持たれていた。

 

まあ小夜は純粋だから…とりあえず何でも信じてしまう傾向がある。

私が色々嘘をついてみたことがあったが、ものの見事引っかかってたわね。

 

そこから約5分間、普通にリンの見どころが切り抜かれまとめられた動画となっており、その後はリンが私の話を主にする動画に切り替わった。

 

『今日はAちゃんがソシャゲのガチャを回してたから、私も回してみたんだけど、単発でAちゃんの欲しいキャラを当てたらAちゃんが拗ねちゃってね?だからそっとAちゃんの端末でガチャ引いたら出ちゃっタ!そしたらAちゃんにもみくちゃにされる程撫で回されて良かったデス!』

 

コメント てぇてぇが過ぎる

コメント Aちゃんそんなに喜ばして誇らしくないの??

コメント 誇らしいやろなぁ

コメント 豪運すぎでは??

コメント 今日のAちゃん

 

あー、あったあった…てか拗ねてないし。ちょっと虫の居所が悪くなっただけだし。

ってかあれで外してたら多分私はぶん殴っていただろう。

なんとも現金な…。

 

そんな感じの切り抜きが5分続き、動画の再生時間10分経過。動画の再生が終わり、ふぅ…っと一息つく……。

…………………………………………。

 

「いや、半分私の纏めやんけ!?」

 

まさかの5分で分かる鈴科リンと、5分で分かる友人Aのまとめになっていた。

さすがに突っ込まざるを得なかった。

え、そんなガバガバなまとめあるぅ??もうちょっとさぁ、リンの良い回あるんだからそっちまとめなよ〜。

 

結構前からある動画らしいが、コメント欄を見る限り、新規がチラチラ見ている様だ。新しいコメントも見受けられる。

 

コメント Aちゃんis誰?

コメント リンちゃんの友人兼飼い主

コメント リンちゃんの配信見ような

コメント いとも容易く行われるリンエーのてぇてぇ語りが見れるぞ

コメント おk、見てみる

 

「いや、それで見るとかどうなのそれ??」

 

もっとリンに興味持って!私はおまけ程度で良いんだよ…現在進行形でこんなに話題に出される意味がよくわからん。

 

まあでも、こう言う物で視聴者が増えるのならいい、のか……?

とか思いつつ、こう言ったシリーズが他にあるのか色々検索してみた。

 

「へー……やっぱり色々なまとめ動画があるのね」

 

2次STARSのVTuberの他にも、別の事務所のVTuberのまとめも当然あった。

作ってる人は大体視聴者が作っているようだった。

皆好きなんだな本当に……。

 

「……10分で分かるAちゃんまとめ……??」

 

いや、わたしのもあるんかい!

てか10分じゃないじゃん30分もあるじゃん!?10分とは???

え、こんなにあの子私の話題出してたかしら……?

 

……あ、許可を出してからそこから毎日話題に出てたわね…そりゃ長くもなrいや納得出来るかい!!

あぁ……そりゃどんどん私の話が持ち上がるわけだわ…。

 

コメント見る限りでは悪いようには言われていないみたいだが……。

うん、見なかったことにしよう。

私はパソコンをそのまま落として、眠りにつくのだった。すやぁ……。

 




次回は炎上系VTuberとのゲーム対決が書けたらいいな


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幼馴染の同期とゲームで対決しまして

『なあリン、そろそろ前言ってた奴やんねーか?』

「前に言ってたヤツ?」

 

あれ、アイゼン君なんか言ってたっけ…?

配信が終わってすぐ、唐突にアイゼン君からチャットが飛んできた。

 

あれ〜……何話してたっけ……。

 

『何の話だっけ!忘れちゃったっ』

『おいおい…Aちゃんさんとゲーム配信する話だよ。まあAちゃんさんがOK出してくれたらの話だけど』

『あー!あったねそんな話っ』

 

そう言えば!!

んー、あーちゃんOK出してくれるかなあ?

とりあえず聞いてみよう!

 

『Aちゃんに今聞いてみるから、マネージャーに許可取って貰っていーいアイゼン君っ』

『お安い御用だ!』

 

よしよしよーしっ。

それじゃあAちゃんに電話かーけよっと。

机に置いているスマホを手に取り、AちゃんのLINEに通話をかける。

 

………………。

 

『んぁ…もしもし…?』

「もしもしあーちゃんっ」

『はいはい…何用…?』

「あ、ごめん…寝てた?」

『んー……うとうとしてただけよ…なぁに?』

 

声が若干寝起きな気がする…あちゃー、普通に寝てたとこ起こしちゃったかなぁ…。

でもふにゃふにゃのあーちゃんも可愛いなぁ…。

 

「あのねあのね、前に一緒にゲームコラボしたの覚えてる?」

『あー…あったわね…それがどうしたの?』

「アイゼン君が対戦したいって言ってたじゃんっ?」

『……おk、把握した。要はまたゲームのコラボしたいのね、主にアイゼンさんが』

「そうそう!駄目かな…?」

『良いわよ?私としても、興味あるし』

 

ゲームになるとやる気でるあたり、流石あーちゃんだなぁ…。

あーちゃんの親がゲーム好きで、昔のハードや最新機種を買っていた為か、あーちゃんもそれに倣うかの様にゲーム好きになったとの事。

 

あーちゃんの部屋はとにかくゲームのパッケージが本棚に沢山入っている。

毎日私の部屋で課題をやるのは、集めすぎて集中出来なくなってしまったかららしい。

 

テスト勉強もうちでやる事も多い。

私はあーちゃんと一緒に勉強出来るから全然いいんだけどねっ。

 

「じゃあアイゼン君に言っとくねっ、何時がいいとかあるー?」

『夜だったら基本空いてるから、夜ならいつでも良いわ』

「りょうかーいっ、マネージャーから許可出たらまた連絡するねっ」

『はーい』

「それじゃおやすみっ」

『おやすみ』

 

通話が切れ、スマホを机に置く。

ふー…マネージャーの事だし、許可はすんなり出してくれる気がするなぁ。

オフコラボの1件から、あーちゃん凄い事務所のスタッフさんとかにも気に入られてるし。

 

このままVTuberデビューとかしちゃうかな?

あ、でもあーちゃん、配信に興味ないって言ってたし……うー、出来れば配信でお話したりしてみたいなあ……。

 

でも無理はいくないっ。

誘ってみてダメだったら、諦めようっ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はいこんリーン!2次STARS3期生の鈴科リンとっ」

「赤は俺のトレンドカラー!同じく2次STARS3期生のアイゼン・クルーガーだぜ!」

 

コメント こんリン!

コメント ついにアイゼン君とAちゃんの対決かっ

コメント Twitterの告知みて待ちきれなかったゾ

コメント 赤は皆のものだぞアイゼン

 

という訳で、許可は二つ返事でおりたらしいので、今回はアイゼンさんとゲーム対決をすることになった。

前やったFPSの、今回は自分以外の仲間キャラがNPCになる、実質ワンオンワンの状態での対決となる。

 

バトルロイヤル方式とは違い、限られたスペースでの対決となる。

武器は事前に自分が手に入れていたり強化している武器が有効となり、弾はステージに定期的にスポーンするようになっているため弾切れの心配はない。

 

「今回はタイトル通り、Aちゃんとアイゼン君の対決!実況解説は、鈴科リンでお送りするヨ!」

「リンがまともに実況出来るとは思わないが、まかせたぜ!」

「何おう!できらぁ!」

 

コメント アイゼン君すーぐ煽る

コメント 煽りの呼吸

コメント その煽りはリンちゃんに効く、やめるんだ

コメント そして炎上へ

 

「俺は手軽に燃えるマッチか何かか??」

「毎日燃えてるからロウソクじゃないかな?」

「いつか溶けてなくなるやつぅ!」

 

まーた私の存在を忘れられている気がしてならないのだが。

とりあえずチャット打ち込んで呼んでみよう。

 

『そろそろ始めない???』

「あ、ごめんごめん!はい、今回もチャット参戦のAちゃんデース!」

『どうも、リンの幼馴染です』

 

コメント Aちゃんきてぃらーっ

コメント アイゼン君ぶちのめしちゃえっ

コメント めちゃくちゃ期待っ

アザミ・ロータス 処す

コメント ローちゃんめっちゃキレてて草

コメント Twitterでリンちゃんに、Aちゃんとコラボしたい旨伝えてるからな、そらキレるわ

 

「どーだぁ、羨ましいかあ??」

「ローちゃんはAちゃんに近づかせたらいけないと幼馴染センサーがビンビンしてる…」

「あいつロリコンだからな…」

『アイゼンさん喧嘩売ってます???』

 

誰が、小さいって??

てかアザミさんのあの興奮具合はそれか、そりゃアザミさんに対して恐怖を感じるわけだ…。

 

コメント 待って??

アザミ・ロータス あ、殺意

コメント アザミちゃんって結構ガチって噂だから、Aちゃんってそんな小さいのか

コメント 多方面煽ってて四面楚歌レベルで草

 

小さくねえ!小夜に身長奪われただけじゃいっ。

何で小夜はあんなにでかくなったのに、私は大きくならなかったのか…。

 

と言うか、そろそろ始めませんかねぇ???

 

『気を取り直して、始めましょうか』

「あ、そうだね!それじゃあ私は観戦ルームに入るから、アイゼン君部屋立てたら教えて〜」

「ほいほいっと……おっけー、出来た。パスワード送ったから、Aちゃんさんに教えてくれ」

「はーいっ」

『部屋立てありがとうございます』

 

小夜から部屋のパスワードが送られてきた。

部屋を選択し、打ち込んでっと……よし、入れた。

 

青が私、赤がアイゼンさんのチームとなる。

ここも赤色を選ぶとは、とことん赤にこだわってるわね。

 

「さあ始まりました!AちゃんVSアイゼン君!当然私はAちゃんを応援するのでよろしく!」

 

コメント 清々しい迄の贔屓w

コメント そらそうよ

コメント わしらもAちゃん応援するからな!

コメント 味方いなくて可哀想

 

「せめて1人くらい応援してくれよ!?えーい、絶対勝ってやる!」

『よろしくお願いします。対戦中はチャット打ち込めないと思います』

 

さて、アイゼンさん…お手並み拝見といきますか。

画面のカウントが0になり、ランダムでCPU達とスポーンされる。

ここは、室内か、狭いと逃げ場がないしまずは外に出よう。

 

「頑張れAちゃんっ、負けるなAちゃんっ」

 

まだ始まって移動しかしてないから落ち着きなさい……。

あ、弾落ちてる、拾っておこう。

とりあえず、まだ見つかってはいないようね…。

 

さて、アイゼンさんはどこに配置されたのか。

しばらくして出口が見えてきた、警戒しながら進めば、CPUの1人が狙撃され、一体やられてしまう。

 

慌てて身を潜め辺りを見渡せば、出口出てすぐ前の家の屋上にスナイパーがいた。

くっ、先回りされてたか…。

 

出待ちは嫌いなんだけど、な!

 

コメント おぉ!Aちゃんやっぱ上手いな!

コメント 移動しながらライフルでスナイパー狙撃とかやるぅっ

コメント かっけぇなっ

 

よし、こっちも1人殺ってやったぜ。

辺りを再度警戒しつつ、ダッシュで家屋から飛び出す。

飛び出したあとはCPUも各々ランダムに動き始め散り散りになる。

 

さて…アイゼンさんは何処かな。

チームスコアをチラ見するが、まだ互いに1人失っただけで動きはない。

 

「4対4のまま早数分が過ぎましたねェっ。果たしてアイゼン君とAちゃんはいつ鉢合わせるのカ!」

 

そこまで広いステージではないから、案外家の中とかに潜んでそうだけど…。

とりあえず……2人目!

 

「おーっと!アイゼン君の2人目のCPUが倒されてしまい、試合は4対3にィ!」

 

っし…先ずは相手のCPUを潰して行こう。

やっぱり対決しているなら、ちゃんとした一対一でやりたいしね。

アイゼンさんも私と同じ考えなら……。

 

「アイゼン君もCPU1人撃破ー!また互いに同数!」

 

やっぱりね…、じゃあCPUを全部倒したら、アイゼンさんは現れるわね。

 

しばらく徘徊をし、アイゼンさん側のCPUを倒して回る。

私が倒せばそれに合わせるようにアイゼンさんも私側のCPUを倒していく。

 

ゲームが開始して10分足らず。互いのCPUは共にゼロ。互いが求めた展開になっていた。

 

「さーって……仕掛けるぜ…!」

「Aちゃんの前にアイゼン君が現れた!」

 

っ……!ここで来るか…っ。

岩の陰から突如現れ、マシンガンで牽制してくる。

やば……後手じゃないのよっ。

 

「Aちゃんダッシュダッシュダッシュ!被弾が多くなってきたっ」

「オラオラオラァ!」

 

コメント アイゼン君ノリノリだな

コメント Aちゃんがんばえー!

アザミ・ロータス がんばえーっ

コメント ローちゃんww

 

やばいやばいやばい!

とりあえず立て直さないとっ。

ダッシュしながら後ろにスモーク弾を投げて、辺りを煙が包む。

 

「あー、見失っちまった…やっぱ上手いなあっ」

 

楽しそうで何よりです。

何とか撒く事が出来たため、身を潜めながら回復をしていく。

やっばぁ…スモーク弾使い切っちゃった。

 

あと手榴弾数個と、弾が10数発と……。

アイゼンさんはあれだけマシンガン乱射してるとなると、だいぶ弾に余裕ありそうね。

 

えーい、ままよ!

 

「っと、手榴弾か…甘い甘いっ」

「手榴弾は当たらズ!このままAちゃんは負けてしまうのかあっ」

「そこお!」

 

私が身を潜めていた所にアイゼンさんが最短距離で回り込んでくる。

でも残念でしたっ!

 

「げ、手榴弾起き捨てかよ!?」

「Aちゃんほふく前進で気づかれないよう、身を潜めていた障害物を壁にして離れていた!」

 

置き土産に置いていた手榴弾が爆発し、アイゼンさんに被弾。

ほふく状態から立ち上がりダッシュで近づく。

怯んだ今がチャンスっ。

ナイフに持ち替えて、体勢が立て直される前に倒すっ。

 

「まだまだあ!」

「あーっと!アイゼン君、立て直しと同時にフラッシュグレネード!Aちゃんが一瞬怯んでしまった!」

 

んな!?そこでフラッシュ!?

一瞬キャラが硬直してしまい、その隙をアイゼンさんは見逃さなかった。

 

的確に私をヘッドショットし、一撃KO。

んなーっ!悔しい……まさかフラッシュを持っていたとは読めなかった…ぐぐぐぐっ。

 

「おーっし勝った!いやぁ、ギリギリだったぜ…」

「ちぇー、アイゼン君の勝ちぃ」

『ありがとうございました、悔しいです』

 

コメント アイゼン君大人気なーい

コメント ちょっと男子ぃ

コメント Aちゃん惜しかった!

コメント 次は勝てるぞ!

 

「勝てば官軍!でもAちゃんさんつぇー…っ」

「アイゼン君追い込まれてたもんねぇ。次、次私!Aちゃんとやるぅっ」

 

はー……次は絶対勝ちたいわねえ…。

アイゼンさん、中々に強敵…。それはそれとして、アイゼンさんとの対戦はとても楽しめたわね。

 

すっかり油断してたわね…次やる時はフラッシュの警戒もしなきゃ。

そんなこんなで、小夜とアイゼンさんが交代したり、私とアイゼンさんで私が交代したりし、順繰り順繰りとゲームをやっていった。

 

ちなみに小夜は全戦全敗だった。

私のコラボした頃から、まるで成長していない……?

ちなみに私は5戦2勝3敗だった。

くぅぅぅ!アイゼンさんに勝ち越された悔しい!!

 

次回があるならぜひリベンジしたいとアイゼンさんに伝え、初の小夜以外の人とのコラボは幕を閉じた。

ちなみに、アザミさんは終始見ていてアイゼンさんに敵意むき出しでした。




次回、AちゃんTwitterを始める(を、かけたらいいな)

あくまで予定ペコ


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幼馴染の私がTwitter始めまして

みんなペコに反応し過ぎペコ、草通り越して笹やよ〜


かなり唐突だけど、Twitterを始めてみた。

リンのアカウントを少し見せてもらったが、中々に面白そうだったので、これを機にアカウントを作ったのだ。

 

もちろん、小夜には内緒でだ。

言ったら絶対、リンのアカウントでフォローされ、絡まれるに決まってる。

そうなったらリンのリスナーにバレてめちゃくちゃフォローされるに決まってる……。

 

自惚れかもしれないが、下手にばらさない方がいいに決まっているのである。

 

「さて、リンのTwitterでも見てみようかしら」

 

今しがた作ったアカウントで、リンをフォローする。

名前は適当に考えたやつだから、小夜には流石にバレないだろう。

 

鈴科リン@RinSuzusina

今日はAちゃんと勉強したよ!!

 

モブ@mob

今日もの間違いでは??

 

アザミ・ロータス@AzamiLotos

Reply@RinSuzusina

混ぜて、混ぜて…

 

モブ@RinSuzusina AzamiLotos

アザミちゃん毎回来るやんw

 

モブ@mob

VTuber同士のリプライに割り込むオタクに巻き込まれて炎上するアイゼン・クルーガー

 

モブ@mob

アイゼン君トバッチリじゃないですかヤダー

 

 

「あっはははっ、アイゼンさん何でこんなにネタにされてるんですかほんと」

 

リスナーのリプライでつい笑ってしまった。

そしてアザミさんは毎回そんな事言ってるのか…。

この前興味本位でアザミさんの配信を見てみたが、ゲームしてる時も雑談してる時も、小さい女の子の話をしていた……。

 

小さい女の子の話をしていない時は紅茶とかお菓子とか、絵に書いたお嬢様な話をしたり、優雅な日常生活な話をしているんだけど、小さい女の子の話をしてる時はもう、すっごいイキイキしてる。

 

時たま笑い方が邪悪すぎて、ゴブリンみたいな笑い方になっていた時は、思わず配信を閉じてしまった。

 

鈴科リン@RinSuzusina

Reply@AzamiLotos

んー…AちゃんがOK出したらかな!!

 

アザミロータス@AzamiLotos

Reply@RinSuzusina

許可出た試しがないのだけれど……

 

キルヒ・ルーン@KirchRune

Reply@RinSuzusina @AzamiLotos

草コン

 

桃江梓@PeachAzusa

Reply@RinSuzusina @AzamiLotos

Aちゃんさんも流石に犯罪者予備軍は招かないわよ…

 

「はー……3期生はほんとに仲良いなぁ…」

 

割と配信でも3期生同士のコラボ多いのに、Twitterでも和気あいあいとしている。

ネットの繋がりとは言えど、何だかこんな関係はちょっと羨ましく思える。

 

そりゃTwitterもマメに返信している訳だ。リプを見るのもなかなかに楽しい。

 

「そうだ、3期生皆フォローしとこ」

 

他の3期生をリンのフォロー欄から探し出して、全員フォローしておく。

うむ、楽しみが増えたみたいで、何かいいかもしれない。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ねーねーあーちゃん、何か良い事あったぁ?」

「不躾に何よいきなり」

 

今日も今日とて、小夜の部屋で課題を片付けていた。

そんな時に小夜からそう言われた。

はて……何かあったかしら。

 

「……何も無いわね。どうしたの?」

「んー、何か今日のあーちゃんはいつにも増して表情が柔らかいっ」

「普段私はどんな表情してるんだ??」

「可愛い!」

「あらそ、ありがとね」

 

課題に取り組みながら、片手間に小夜の頭をわしゃわしゃ撫で回してやる。

ふむ……こうしてると飼い犬を構ってるような感覚になるわね…。

 

とりあえず満足したし撫でるのは辞めよう。

小夜の頭から手を離したが、何故か自分からすりついて来た。

んー……好きにさせとくか。

 

「あーちゃんあーちゃんー、もしローちゃんと一緒に勉強したーいってなったら、来るー?」

「……覚悟決める時間が必要って、言ってくれるかしら」

「んんー?よくローちゃんが勉強してるとこに混ざりたいって言ってたって分かったねっ」

「あ…うん、まあ…オフコラボを切っ掛けに、3期生の配信は時々見るようになったから、ほ、ほら、配信で言ってるじゃない?」

「あれー?そうだっけー……??」

「そうよ、そうなのよ」

「そっかー!」

 

ほっ……小夜が信じやすい性格でよかった。

……何か小夜にじっと見られてるんだけど……。

 

「あによ?」

「んー、何だかほっとした表情してるーっ」

「んぐ……」

 

こいつ、妙に鋭い……。

くっ、何かで気を逸らさないといけないわね……。

考えろ私、考えるんだ…。

 

「何も無いわよこのこの」

「わぷっちょ、ちょももももももっ」

「あははははっ」

 

小夜のほっぺをむにむにしたりタプタプしながらいじくり回してやる。

これでどうにか誤魔化されてくれないかしら……。

 

「わふぁっは、わふぁっははらーっ」

「分かったなら良いのよ、分かったなら」

 

ほっぺから手を離して課題に戻る。

やれやれ…たまーに妙に鋭い時があるから、侮れないわねこの子は…。

 

「もろぷ……なにひゅるの…?」

「お返しーっ、あーちゃんのほっぺぷにぷにっ」

 

後ろから手を回され、ほっぺをもにゅもにゅされる。

くすぐったい……やめて欲しいのだけれど。

それから数分間はやめてもらえなかったので、諦めて好き勝手させてやった。

 

そのうち満足するだろうと思ったら、案の定その通りだったので、とりあえず話は逸らせたようだ、よかったよかった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

鈴科リン@RinSuzusina

今日Aちゃんがほっぺぷにぷにして来たからし返してやった!ふんすふんすっ

 

モブ@RinSuzusina

キマシ

 

モブ@RinSuzusina

は、唐突のてぇてぇ助かる

 

冬式雪女@WinterGirl

Reply@RinSuzusina

大型犬と子猫のじゃれ合いみたいね〜

 

モブ@mob

Reply@RinSuzusina WinterGirl

想像したら尊死

 

モブ@mob

Reply@mob

VTuber同士のリプライに割り込むオタクを狩る天叢雲パイセン

 

モブ@mob

Reply@mob

VTuber同士のリプライに割り込むオタクを狩る天叢雲パイセンに巻き込まれて炎上するアイゼン・クルーガー

 

 

小夜の家から帰った後、ゲームの休憩がてらTwitterを覗いている。

相変わらずリンが呟くと、秒でリプライやリツイート、いいねが増えていく。

 

流石、売れっ子VTuber鈴科リン……。

ってか、リプライ面白すぎじゃないかしら、よくこんなコラ画像とか作れるなぁと、しみじみ感心してしまう。

 

ふと、なんとなくだが私も小夜にリプを送ってみたくなったので、差し障りないリプを送ってみた。

 

オタクゲーマー@otakugamer

Reply@RinSuzusina

良かったですね

 

鈴科リン@RinSuzusina

Reply@otakugamer

あれ!??Aちゃん!?

 

「は!?何故バレたし!?」

 

即リプが来て確認したらバレていた件。

え、え、え!?何故、なぜ???

あ、あ、あー!?リンのリプを皮切りにめちゃくちゃ通知が鳴り響く。

 

ちょ、まー!?やばいやばいやばい!?

狼狽えていれば小夜から通話がかかってくる。

 

慌てて出てみれば、小夜も慌てていた。

 

『もしもしあーちゃんっ!Twitter始めたの!?』

「何で分かったの!?バレる要素なかったじゃんっ」

『あーちゃんもしかして連絡先Twitterに同期しちゃった??』

「はえ、お、覚えてない……」

『事務所用のスマホでもあーちゃんと番号交換してて、連絡先でオススメされたアカウントですって来たから、もしかしたらと思ったの!』

 

そんな仕様なの!?え、え……どうしよう…。

アカウント消した方がいいのかしら……?

 

「つ、通知ガガガガガガガガ……」

『あぁ、あーちゃんがバグったっ。と、とりあえずアカウントに鍵かけよ鍵!』

「か、鍵??」

『設定で出来るよっ、設定押したら、プライバシーとセキュリティって項目あるから、そこ押してっ。そしたらツイート非公開ってボタンあるからっ』

 

小夜の言った手順でツイートを非公開にする。

と、とりあえず……通知が止まった……。

 

「こ、怖かったぁぁ……っ」

『あ、あちゃ…わ、私も不用意に反応しちゃった…ごめんなさい』

「あ、いや……小夜が悪いわけじゃ…」

 

特に使い方も調べず適当に作った自分が悪いわけで……。

あぁ、久々にやらかしてしまった……。

連絡先を同期すると、そんな事になるのか、知らなかった……。

 

『とりあえず、鍵垢にしたなら大丈夫だからっ』

「あ、ありがとう……」

『所で、どうして急にTwitter始めたの??』

「う……」

 

単純な理由とは言え、話すのはなんか恥ずかしい……。

 

「楽しそうだなと思ったのと…Twitterでもリンを見たくなったから…何よ、悪い??」

『何で怒ってるの!?悪くないし、めちゃくちゃ嬉しいけど!』

「そ、そう……」

 

そこまで素直に喜ばれてしまうと、何だか変な感じがするわね……。

 

その後、小夜にTwitterの使用方法について教えてもらい、最初に作ったアカウントは鍵垢にしたまま放置することにし、別アカを作る事にした。

 

最初から鍵を掛け、リンのアカウントをフォローし、リンからフォロー申請がくる。

申請の許可を出し、相互フォローとなった。

 

これならリプライも出来るし、ツイートも見ることが出来る。

……最初からこうすれば良かったのでは???

 

『あーちゃんは変な所でポンコツになるよねっ』

「く……今回の件に関してぐうの音も出ない…っ」

『んふふー…でもTwitterの私も見たいなんて…あーちゃんは相当私の事好きだねぇっ』

「あんたじゃなく鈴科リンを推してんのよ」

『はいはい、ツンデレツンデレっ』

「うぐぐぐぐ……」

 

最近、私の扱いを心得てきやがったわねこいつ……。明日会った時覚えときなさい……。

こうして、初めてのTwitterは幕を閉じた。

 

翌日。

 

「……はぁ???」

 

リクエストを見たら、2次STARS運営アカウントを始め、2次STARS1期生、2期生、3期生ともどもから申請が来ていた。

 

…………とりあえず、許可だして片っ端からフォローしとくか。




実際のTwitterにそんな機能あるか分かんないけど、気にしないで

次回は何書こうかな


リクエストあればここにどうぞなのら〜


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幼馴染が久々にやらかしまして

天使公と会長の同居決定の配信見てから意識が飛んでしまっていたぜ……


「あーちゃんあーちゃんっ」

「なーによ……あ、こら……のしかかるな、重い……」

 

 小夜のベッドにうつ伏せになりながらソシャゲを周回していたら、背中に小夜がのしかかってくる。

 重い……重い……。

 

 さっきまで配信してたくせに本当に体力お化けね、この子は……。

 

「ほら、配信終わったんだし、早くシャワー浴びてきなさいよ」

「配信中ずっとソシャゲ周回してたあーちゃんを構いたいっ」

「ほうほう、例えば?」

「こうするっ」

 

 そう言ってわしゃわしゃと頭を撫でてくる。

 ちょ……力強、は、禿げる、禿げる……。

 

「ちょ……力強い……ストップ、ストップ……」

「あ、ごめんっ」

「毛根死滅したらあんたの髪の毛引きちぎってやるわよ」

「ひえ……」

 

 全く……。

 とりあえず小夜を背中から下ろし、ベッドに座り直してスマホの電源を落とす。

 まあ、確かに配信中は一言も発さずにベッドで寝転がってただけだったから、暇していたといえば暇していたわけだけど……。

 

「てか、どうして今日泊まってけって言ったのかしら?」

「んー、何となく? 明日休日だしいいかなーって!」

「まあそうね。あんたがVTuber始めてから泊まらなくなったし、こう言うのもたまにはいいわね」

「えへへーっ」

 

 ぽふっと、小夜が頭を膝に乗せて横になる。

 こう言うのも久々ね……小夜の髪に指を絡め、徐々に頭を触ってなで上げる。

 

 ほーんと、いつまで経っても甘えん坊ね……。

 

「んん……ちょ……あんま頭動かされると擽ったいじゃないの」

「あーちゃんの太ももはぷにぷにで気持ちいいねっ」

「それは私の太ももがムチムチと言いたいのか??」

「あ、あ! 待って、まって! グリグリ痛い! 痛い!」

「勝手に頭乗せといてよく言うわ……」

 

グリグリと頭を指圧するのやめ、また普通に撫でてやる。

小夜は嬉しそうな声を上げながら撫でられていく。

てか本当にでかいわよねこいつ……どうやったらこんなに背が伸びるのかしら…。

 

腕は、そこまで太い訳でもないのに力強いし……医者に見せて精密検査したら何かわからないかしらね……。

 

「んん……あーちゃん、擽ったいよっ」

「黙って腕ぷにぷにされてなさい、幼馴染ほっといて配信してた罰よ」

「やっぱ気にしてるじゃん!?」

「気にはしてないわよ、えぇ、全然気になんかしてないわ」

「きゃーっ、あーちゃん待って待ってっ、あはははっ」

 

お腹もわしゃわしゃと撫で回してみる。

はっはっは、ほれほれ、ここがええのんやろ??

やっぱりこいつ前世は犬では?

 

「もーっやったな!」

「んな!? ちょっ、何すんのよぉ…っ」

 

小夜に押し倒されてしまった。

やぁ……でかいでかい、何かでかい塊が揺れてやがる……横からひっぱたいてやろうかな…。ぎりぃ……。

 

「ふっふーん……形勢逆転っ」

「いや、逆転も何も、あんたに力で適う訳ないじゃない……」

「あーちゃん力弱いもんねっ」

「うっさい馬鹿力。ひゃ……ちょ、何よっ」

 

小夜が喉元を指先でくすぐってくる。

なぁにがヨシヨシだっ、私ゃ猫か!

じたばたと暴れ回るが、簡単に小夜に抑え込まれてしまう。

 

「はぁ…はぁ……一体何がしたいのよ…?」

「視聴者さんにね、あーちゃんは猫みたいだねって言われて確かめてるっ」

「はぁ…??私は人間よ…離れなさい」

「んーでも間違いじゃないような気が…あーちゃんって気づいたらするりと居なくなるし、構いすぎると離れるし、かと言って構わなさすぎると自分から近づいてくるから、合ってるような」

「それ言ったらあんたは犬みたいよね?私みたら一目散に駆け寄ってきたり、飛びかかってきたり、尻尾振っちゃったりして」

 

人のこと言えないわよねぇ?

普段言ってこなかったけど、この際だし言ってしまった私は、悪くないわよねぇ??

 

「そうなったらあーちゃんは私の飼い主??」

「……あながち間違いではないのが何とも言えないわね……」

 

今までの事を省みると、だいたい飼い主ムーブ決めていたような気がしないでもない。

まあ、ずっと前から保護者してたわけだし、今更よねえ……。

 

小夜をどかして立ち上がる。

さて、寝る準備でもしようかしらね……。

 

「私そろそろ寝たいから、早くシャワー浴びちゃいなさい、ね?」

「うー……休みなんだからまだあーちゃんと遊びたいぃ…」

「私はあんたと違って体力ないのよ、知らなかった?」

「私の耐久に着いてこれるあーちゃんが体力無い訳が無いっ」

「エナドリキメてるから出来る芸当なのよ」

 

エナドリは徹夜したい時に飲むとキまるわよ。

特に小夜の耐久配信の時に飲むエナドリはやばいわね……もう決まりまくって目がギンギンに冴えるわ。

 

「やだやだやーだぁっ、遊ぶんだーいっ!」

「駄々こねるんじゃないの。毎日遊んでるじゃない」

「徹夜でゲームしようよぉっ」

「格ゲーでもする??」

「あ…え、遠慮しておきます……」

 

即死コン叩き込んで終わらせまくったら、小夜にトラウマを植え付けてしまったのは言うまでもない……。

それ以来小夜は格ゲーだけは私とやってくれなくなった。

 

いいサンドバt…練習相手だったのに、残念ねぇ……。

 

「レースゲームしたい!近々2次STARS内で大会あるんだよね〜、練習したいっ」

「そう言えば告知してたわね…しょうがない、付き合ったげるわ」

「わーい!さっすがあーちゃんっ」

「んむ…一々引っ付くんじゃない…暑苦しいでしょ」

「最近暑くなってきたもんね〜」

「そう思うんなら離れなさい……」

 

やれやれ…てか本当に暑いわね…。

そろそろ衣替えの季節かしらねえ……。

 

何てぼけーっと考えていたら、小夜のスマホの着信が鳴った。

こんな時間に鳴るとなると、VTuber関係の人からかしら?

 

小夜が私から離れて通話に出る。

通話に出てすぐ……。

 

「え!?う、嘘!?」

「どうしたのよ?」

 

小夜が素っ頓狂な声をあげた瞬間、パソコンを操作しだした。

画面を切り替えれば、さっきまで配信していた画面が現れ、コメントが流れていた。

 

「……あ……Aちゃん……」

「んー?なぁに配信の時の呼び方してんのよ」

「あ、あの、あの……大変申し上げにくいのですが……」

「…………??」

「…………配信、切れてませんでした……っ」

「…………は????」

 

切れて……なかった……??

え……じゃ、じゃあ……い、今までのやり取り、全部配信されて、いた……??

 

「ば、ちょ…何してんのよ!?わ、私、あんたの名前呼んでないわよね!?」

「た、たたた、多分呼んでない!と、思う…」

「とりあえず配信切りなさい、早くっ」

「ら、ラジャー……!!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

コメント か み か い

コメント は??こんな距離感近い幼なじみおりゅ??

コメント てぇてぇの過剰摂取

コメント リンエーてぇてぇが過ぎる

アザミ・ロータス ギリィ…ッ

コメント 本物ww

コメント 最近やらかし癖改善してきたと聴いたが、まさかAちゃんが泊まりに来た時にやらかすとはww

 

あぁ……やっぱり切り抜かれてしまった……。

切り抜き動画のコメントがお祭り騒ぎだ……。

 

「……何か弁明はあるかしら……?」

「い、いやぁ…配信切り忘れはVTuberの登竜門と言いますか……こ、今回はそこまで酷い物でもなかったし、えーっと……」

「んんんー……???」

「……はい……ごめんなさい……以後気をつけます、です……」

 

とりあえずアーカイブを確認し、互いに本名出てないのが分かり事なきを得た。

そのままアーカイブは非公開にしたんだが、切り抜き師の仕事がめちゃくちゃ早かった。

 

切り忘れ事件から2時間足らずで動画としてアップされてしまい、切り忘れの一部始終がたれ流されてしまった……。

 

とりあえず小夜は事務所から流石にお叱りを受けて、すっかりしょげてしまった。

 

まだAちゃんだったから良かった、という訳ではないが…これが全然知らない人だったらまずかった、との事だ。

 

確かに、一般人ではあるが、視聴者には何故か認知されているから、まだましであっただろう。

 

「次からはちゃんと切り忘れないように確認しなさい、ね?」

「うー……はぁい……ごめんなさい……」

「まあ、こうなったら仕方ないわよ……。私の名前も出てないし、声は……ガッツリ入っちゃったけど、前にも不可抗力で入ってしまった事あるし、気にしてないわ」

「面目ない……」

 

リンと小夜のキャラに差がなく、ほぼほぼ素だったことが幸を為した。

あまりにかけ離れたキャラだったら、もしかしたら色々荒れた可能性があったかもしれない。

 

ま、それはif、もしもの話だ……。

結果論ではあるが、炎上したとかそんな事はなく、何故か受けがよかった、みたいだ。

 

どうやら、配信切り忘れはVTuberだと時たまあるらしく、あまり酷いものではない限りはみんな楽しんで見ている、との事。

 

「あーちゃんの声が……ガッツリみんなに知れ渡ってしまった……」

「もう気にしてないわよ」

「何か、私が嫌なのーっ」

「バレた元凶が小夜って分かってる???」

「土下座も辞さないですすみません……」

 

全く……。

まあ、事務所の人からガッツリ叱られた訳だし、これくらいで許してあげようか。

 

この後めちゃくちゃ小夜を慰めた。

 

翌日。

 

「………………」

 

Twitterを眺めていたら、めちゃくちゃ私のファンアートが、2次STARSの皆さんのリツイートで流れてくるようになった…。

 

……いや、声だけでここまで普通描けるもんなの???こっっわ……。




リンちゃんによるソーラン配信は…ないな、ないない
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幼馴染が久々にやらかしまして(視聴者視点)

忙しくてやべーのら


「それじゃ、今日の配信はここまで!明日もまた来てネ☆おつリンっ」

 

コメント おつりん!

コメント おつおつ!

スパチャ 明日も楽しみに待っとるよ ¥1000

コメント 今日はAちゃんの話しなかったな、明日に期待

コメント おつリン!

コメント 今日もリンちゃん可愛かったで

コメント お疲れ様でした!

 

「あーちゃんあーちゃんっ」

「なーによ……あ、こら…のしかかるな、重い…」

 

コメント おや??

コメント 配信切り忘れてるww

コメント あーちゃんis誰?

コメント ヒント:Aちゃん

コメント それヒントちゃう答えやww

コメント リンちゃん配信切れてない!

 

「ほら、配信終わったんだし、早くシャワー浴びてきなさいよ」

「配信中ずっとソシャゲ周回してたあーちゃんを構いたいっ」

 

コメント なんだ?てぇてぇか??

コメント Aちゃんなん??ま??声可愛くね?

コメント 2時間近くソシャゲ周回してたんかww

コメント ほんまゲーム好きなんやな

コメント オフコラボの時に入った声と同じだから、Aちゃんで間違いない

コメント 声ソムリエ助かる

コメント てか垂れ流してたら本名バレん??

コメント 誰かTwitterで上がってる2次スタライバーに伝えた方がええんちゃう?

 

「ほうほう、例えば?」

「こうするっ」

「うげ……ちょ……力強い……ストップ、ストップ……」

「あ、ごめんっ」

「毛根死滅したらあんたの髪の毛引きちぎってやるわよ」

「ひえ……」

 

コメント 待ってww

コメント 何したんだリンちゃんwww

コメント てかAちゃん、意外にツンツンしとる、可愛い

コメント 何したら髪の毛引きちぎるって出るんだよw

コメント 何か構いすぎてキレてる猫みたい

コメント そ れ だ

スパチャ ¥120

スパチャ ¥1000

スパチャ ¥500

コメント まってww無言スパチャやばいww

 

「てか、どうして今日泊まってけって言ったのかしら?」

「んー、何となく?明日休日だしいいかなーって!」

「まあそうね。あんたがVTuber始めてから泊まらなくなったし、こう言うのもたまにはいいわね」

「えへへーっ」

「んん…あんた膝枕本当好きね」

「うへへへー…あーちゃんが撫でてくれるから好きいっ」

「はいはい……」

 

コメント 今どきの子って膝枕とかするん??

スパチャ ¥90

スパチャ ¥200

コメント 女子ですが、した事もされた事もありません

コメント ↑おっさん現実見て

コメント とりあえずTwitterに浮上してた2次スタライバーにリプしてみた

コメント 配信中のライバーにはしてないよな?迷惑になっちまうからそれはすんなよ

コメント やっとらんで安心せい

コメント やさしい世界

コメント めちゃくちゃ幸せそうな声出すじゃん、

コメント オンとオフでも変わらないとかめっちゃ好感持てる

 

 

「んん…ちょ…あんま頭動かされると擽ったいじゃないの」

「あーちゃんの太ももはぷにぷにで気持ちいいねっ」

「それは私の太ももがムチムチと言いたいのか??」

「あ、あ!待って、まって!グリグリ痛い!痛い!」

「勝手に頭乗せといてよく言うわ……」

 

 

コメント えっっっっっ

コメント Aちゃんズファイル、Aちゃんは太ももがぷにぷに

コメント 切り忘れてハラハラする反面、もっと聴いていたい衝動が止まらない

コメント 分かる

コメント え、この2人付き合っとる??

コメント リンちゃん曰く付き合ってない健全な親友やで

コメント アイゼン「くっ、じれってぇ!俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます!」

コメント アイゼン君に飛び火すんの草だからやめてww

コメント 草に草を生やすな

 

 

「それ言ったらあんたの腕もぷにぷにじゃない、二の腕とか特に」

「あっ、はいライン超えたー、今超えましたーっ、それはあーちゃんとて許さぬっ」

「言っとくけどあんたも私のライン超えてきたからな??」

「あ、そっか…えへっ」

「可愛く笑っても誤魔化されないわよ」

「ちぇー……」

 

 

コメント いつもこんなノリなのか…てぇてぇの過剰摂取で死ぬ

コメント そら毎日話題に出しても話が尽きないわな

コメント Aちゃんほんま保護者みたいだなぁ

コメント リンちゃんAちゃんスキーだけど、これはAちゃんも相当なリンちゃんスキーですぞ

コメント むしろリンちゃんスキーじゃないとこんなに距離感近くならんだろ

コメント これで付き合ってないとかま??

コメント 飼い主と戯れてる犬なのか、飼い主に構われすぎてる猫なのか

 

 

「んん……あーちゃん、擽ったいよっ」

「黙って腕ぷにぷにされてなさい、幼馴染ほっといて配信してた罰よ」

「やっぱ気にしてるじゃん!?」

「気にはしてないわよ、えぇ、全然気になんかしてないわ」

「きゃーっ、あーちゃん待って待ってっ、あはははっ」

「ほーら、これもどう?」

「わー!?お腹も何てーっ!あははは!やーだーぁっ」

「お腹もぷにぷにじゃない」

「あー!!それは流石にライン通り越しておこだよおこっ」

「ぷーにぷーに」

「ひゃわっ、突っつかないでーっ」

 

 

コメント これは拗ねてますわ

コメント Aちゃん楽しそうでなにより

コメント 何やかんやリンちゃんも満更でも無さげなのがまた、ね?

コメント Aちゃん、しっかり物の大人なイメージが先行してたのに、何これ大人っぽさと子供っぽさが両立してて良い意味でイメージ変わったわ

コメント リンエーてぇてぇ

 

 

「もーっやったな!」

「んな!?ちょっ、何すんのよぉ…っ」

「ふっふーん…形勢逆転っ」

「いや、逆転も何も、あんたに力で適う訳ないじゃない……」

「あーちゃん力弱いもんねっ」

「うっさい馬鹿力。ひゃ…ちょ、何よっ」

「ほーらあーちゃんいい子いい子」

「ん、んっ、く、くすぐった……っな、にすんのよ…っ」

「暴れちゃだーめっ」

 

 

コメント くっっ!今どんな状況だ!!

コメント 2次スタライバーから返事きたか??

コメント まだ来てないな

コメント リンちゃんこれ無意識Sでは??

コメント Aちゃんが絡むと受けにも攻めにもなれるの強ない???

コメント ゾクゾクしてしまった

 

 

「はぁ…はぁ……一体何がしたいのよ…?」

「視聴者さんにね、あーちゃんは猫みたいだねって言われて確かめてるっ」

「はぁ…??私は人間よ…離れなさい」

「んーでも間違いじゃないような気が…あーちゃんって気づいたらするりと居なくなるし、構いすぎると離れるし、かと言って構わなさすぎると自分から近づいてくるから、合ってるような」

「それ言ったらあんたは犬みたいよね?私みたら一目散に駆け寄ってきたり、飛びかかってきたり、尻尾振っちゃったりして」

「え、私そんななの??」

「じゃあもし私達が別々で登校したとして、学校で会ったら先ず何する?」

「抱きつく!」

「まずは挨拶しなさい、外国人の挨拶か」

 

 

コメント お、惚気か?

コメント 互いが互いの事理解し過ぎててやばみ

コメント マウントの取り合い

コメント これが配信の消し忘れと言う事を忘れていた

コメント リンちゃんには申し訳ないが背徳感がやばいなこれ

コメント すまねぇ、リンちゃんすまねぇ…もっと見せてくれ…

 

 

「そうなったらあーちゃんは私の飼い主??」

「……あながち間違いではないのが何とも言えないわね……」

「わんわんっ」

「あーはいはい…てか退きなさいよ…何時まで私押し倒してりゃ気が済むのよ」

「あ、ごめんごめんっ」

 

 

コメント なしてそげにドスケベばい?

コメント リンちゃんにバレたら処されるぞ

コメント 押し倒されてるのにこんなに落ち着いてると言うことは、何回もされていてAちゃん自体が慣れてしまっているという事を表しているのでAちゃん日常的に押し倒されてる事になるQED

コメント おかしいな、ブラックコーヒーがくそ甘いぞ??

コメント 犬と猫を一緒に飼うと仲良くなるって聞いたが、本当だったんだな

コメント この場合飼い主誰になるんだww

コメント そら俺よ

コメント 寝言は寝てから言うから寝言なんだよ??

 

 

「私そろそろ寝たいから、早くシャワー浴びちゃいなさい、ね?」

「うー……休みなんだからまだあーちゃんと遊びたいぃ…」

「私はあんたと違って体力ないのよ、知らなかった?」

「私の耐久に着いてこれるあーちゃんが体力無い訳が無いっ」

「エナドリキメてるから出来る芸当なのよ」

「エナドリ中だ!捕まえろ!」

「しまった(棒)」

 

 

 

コメント Aちゃんエナドリ中毒者か

コメント エナドリ毎日飲んでるけど全然中毒にならんって、偏見いくない

コメント ↑それ中毒やで

コメント 耐久配信の時もキメてたのか

コメント 体力よわよわAちゃんに対して体力つよつよリンちゃんとかまんま解釈一致

コメント 誰かリンエー本描いて

コメント 言い出しっぺの法則というものがあってだな

 

 

「やだやだやーだぁっ、遊ぶんだーいっ!」

「駄々こねるんじゃないの。毎日遊んでるじゃない」

「徹夜でゲームしようよぉっ」

「格ゲーでもする??」

「あ…え、遠慮しておきます……」

「えー、何でよ」

「毎回即死コンボ決められる身にもなってよぉ!」

「私のゴーストが即死コンボ決めろと囁くのよ」

 

 

コメント 駄々こねリンちゃん助かる

コメント ま い に ち

コメント 毎日遊んでる、毎日遊んでる

コメント Aちゃん格ゲーもやるんか

コメント Aちゃん幅広いよな

コメント 流石にそろそろ気づかせてやりたいよな

コメント あ、モモアズがリプに気づいた、めちゃくちゃ慌ててるww

コメント そら最近落ち着いてたのにやらかしてたらなぁ

 

 

「レースゲームしたい!近々2次STARS内で大会あるんだよね〜、練習したいっ」

「そう言えば告知してたわね…しょうがない、付き合ったげるわ」

「わーい!さっすがあーちゃんっ」

「んむ…一々引っ付くんじゃない…暑苦しいでしょ」

「最近暑くなってきたもんね〜」

「そう思うんなら離れなさい……」

「や〜だぁ〜っ」

「何時からこんなひっつき虫になったのかしら」

「あーちゃんが優しくしてくれたその日からかなっ」

「覚えてないわねぇ」

 

コメント 明日からリンちゃんの配信見たら、耳と尻尾生えてる幻覚見えそう

コメント Aちゃんいやいや言ってても嬉しさ隠しきれてないんだよなあ

コメント モモアズ、リンちゃんに通話掛けるってよ

コメント とりあえず本名バレとかは無かったな、良かった

コメント AちゃんVTuberやらねーかなぁ

コメント Aちゃん自身、配信に興味ないって言ってるらしいから、そこは何ともなぁ

コメント 2次STARSが外堀から埋めにかかってる気がしないでもない

コメント おや、着信

コメント モモアズがやってくれました

 

「はーい、どうしたの梓ちゃんっ……え!?う、嘘!?」

「どうしたのよ?」

 

ガタ、ガタガタ、カチカチっ。

 

コメント リンちゃんみってるー??

コメント イチャイチャ助かった

コメント 配信切り忘れてたぞー

コメント ありがとう、そしてありがとう

スパチャ リンエー助かる ¥10000

コメント モモアズに感謝せな

コメント 明日の配信も楽しみにしてるぜ

 

 

「……あ……Aちゃん……」

「んー?なぁに配信の時の呼び方してんのよ」

「あ、あの、あの……大変申し上げにくいのですが……」

「…………??」

「…………配信、切れてませんでした……っ」

「…………は????」

 

コメント もう遅いw

コメント 手遅れなんだよなぁ…

コメント そらAちゃんも困惑するわな

コメント イチャイチャ配信になってたしなぁ

コメント 本人らイチャイチャしてるって意識すらなさそう

コメント 無いだろなぁ

コメント リンちゃん推しからリンエー推し変更不可避

 

 

「ば、ちょ…何してんのよ!?わ、私、あんたの名前呼んでないわよね!?」

「た、たたた、多分呼んでない!と、思う…」

「とりあえず配信切りなさい、早くっ」

「ら、ラジャー……!!」

 

コメント おつリン!

桃江梓 バカリン!!

コメント モモアズもおつおつ

コメント まず最初に名前バレしてないか心配するAちゃんがほんま保護者

コメント まあネットだからこそだろうし、本人はあだ名呼びが常だからそこは気にするやろ、おつおつ

コメント これも切り抜かれるんやろなあ

コメント おつおつ!

コメント お疲れ様でした!




次回何書こう
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幼馴染の同期がやべーやつでして

かなココ同居にすいちゃんも加わるとか天国?天国かな?



初めて彼女に会った時、何てでかい子なんだろうと思った。

唯一の男性で同期の彼よりも、さらに高く、大きな子。

これで高校二年生と聞いた時は、さらに驚いた。

 

彼女の名前は音無小夜、2次STARS3期生、鈴科リンとして活動しているVTuberだ。

リアルの彼女は元気で明るく、バーチャル世界の彼女もまた、同じ性格をしている。

私のような根暗とは違う、オンもオフも快活な子……それが、私の、彼女のイメージだった。

 

彼女はよくトラブルを起こす子だった。

彼女は善意で行っているのだろうが、全て空回りしてしまい、思わぬ方向へと向かってしまう。

 

頑張ることは悪いとは言わないが、その努力の方向性が明後日の方向に向かってしまうのは、彼女自身が不慣れなことをやろうとしているからだと思う。

 

彼女は努力家だった。配信機材の使い方、配信方法なんか一切知らない、それでもVTuberになった。

1から覚えて行き、問題なく配信できるようになった。

 

そんな彼女が、それを改善しないはずは無い。改善しようと奮起する度、空回りしてさらに明後日の方へと行ってしまうんだろう。

 

だから、私達も、事務所のスタッフさんも、マネージャーさんも強く言えないのだ。

私は、そんな彼女を殊の外気に入っていた。

 

元気で、自由奔放で、人懐っこい彼女からは、邪な気持ちなど何も無い無邪気な感情を向けられているようで、なんだかこちらの毒気が抜かれていくようだった。

 

3期生の仲も良好で、1期生2期生の先輩方も優しく、とても良い所に入れて楽しい活動ができていると思っていた……。

 

そう、あの子を知るまでは……。

 

度々彼女の口から語られる、あーちゃんと言う幼馴染の話。

あのトラブルメーカーに付き合える幼馴染が居るのかと、当初は話題で持ち切りになっていた。

話を聞けば聞くほど、あ、保護者だこれ……と思わなくもなかったが……。

 

彼女曰く、唯一無二の親友、小学生の頃からの付き合い、毎日遊んでくれる優しい子、配信も毎日見てくれている、お母さんよりお母さんなどなど……。

耳にタコができるほど聞かされた。

 

そしてついには配信にまでも幼馴染の話題を出してしまうほどだった。

そこまで話題が尽きない幼馴染、と言うのも…逆に気になってしまうものである。

 

一体どんな人物なのか、あの子を御することの出来る存在は本当に居るのか……。

それを確認すべく、ジャングルの奥地に赴いたスタッフも少なくない……なんて冗談はさておき。

 

初めてのオフコラボの時に、ついに彼女の幼馴染と邂逅を果たした。

 

「おっはようございまーす!!小夜でーす!」

 

勢いよく開かれたドア、入ってきた彼女はいつも通り元気いっぱいであった。

時間にはかなり余裕がある…打ち合わせとかいつもギリギリになってしまう彼女にしたら、とても珍しい事だった。

 

唯一違うとすれば……。

 

「リンおっそい、また遅刻したかと思ったわよ?」

「いや、俺らが早かっただけで今日は普通にセーフだぞ!?」

「あら、リンが普通に来るなんて…明日は雨降りそうね」

「あらあら〜…珍しい事もありますねぇ」

「りり……リンが…誰か連れてきてる…」

 

そう、誰かを連れてきていたのだ。

彼女とはとても対照的な、小さな女の子だった。

肩に掛かるか掛からないかくらいの黒髪を揺らし、キョロキョロと辺りを見渡すその姿は、好奇心旺盛な子猫のように見えた。

 

「何、あんた誘拐でもしてきた?」

「誘拐じゃないよアズちゃん!」

「妹連れてきて社会見学でもさせに来たかあ?」

「い、妹でもないよアイゼンくん!Aちゃんだよ!」

「「「「「は??」」」」」

 

彼女を除いた3期生メンバー全員が驚く。

無理もない、こんなに大きい彼女とは別ベクトルな…とても小さく可愛い子が、あの幼馴染とは……。

彼女に手を繋がれている幼馴染は、とても彼女と同い年には見えなかった。

 

しかし…可愛い……私の性癖にぶっ刺さるほど可愛いのだ。

素直に言おう、私はロリコンである。小さい女の子がとても大好きだ。

 

もちろん、イエスロリータノータッチである。

小さい女の子の少しむっちりした肉感、膨らみかけの未成熟なちっぱい、柔らかそうな太もも、お尻……うへ、うへへへへ……。

 

は、いけないいけない、ヨダレが垂れてしまった……ぢゅる、じゅるるる……。

 

「可愛い…飴、居る?」

「え…あ、ありがとう、ございます…?」

 

我慢出来ずに、持ち歩いているのど飴を手渡してみる。

困惑しながら、おずおずと飴を受け取り、どうしようか悩んだ挙句、肩に掛けているポーチにしまっているこの子を見て、脳内コロンビア状態だった。

 

もう一個、飴をあげる。じとっと見、警戒しながら2個目も受け取り、ポーチにしまう。

ああ、いけない……息が荒くなってしまう、

 

「ひぇ……」

「あぁ…怖がらないで」

 

彼女に手を引かれて間にはいられてしまった……。

ぐぬぬ……Aちゃんとお近付きになりたい…。

オフコラボが終わった後、Aちゃんに話しかけてみた。

 

「今日は、お疲れ様です…大丈夫でしたか……?」

「うぇ…あ、はい…私は、全然……その……」

 

あ、あぁ……めちゃくちゃに警戒されてしまっている。近づこうとしたらわたわたと彼女の背に隠れてしまう……あぁ、あぁ…とても悲しい…ポロロン…。

 

そんな衝撃的出会いを果たした私は、Aちゃんとのお近付きを諦めきれず…………。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『Aちゃんにローちゃんのいい所を知ってもらおう!』

『わー、ぱちぱちー』

 

本日、小夜とアザミさんがコラボをする事となった。

内容は私に自分を知ってもらいたいと言う、アザミさんの持ち込み企画らしい。

 

いや、同期の幼馴染に何しようとしてるんだこの人は……。

 

コメント な に こ れ

コメント Aちゃん人気過ぎて草

コメント AちゃんVTuber化秒読みってま??

コメント ↑本人次第やろな

 

あ り ま せ ん。

そもそも、アザミさんは私に知って貰って何がしたいのだろう?

直接あったりしないのであれば、アイゼンさんみたいにゲーム位ならするけども。

 

直接会ったらなんかやばい様な気がするので、それは仲良くなってからということで……。

 

…………いや、VTuberの方と遊ぶって普通に考えて可笑しいよね?やばいやばい、感覚が麻痺してきているってこれ……。

 

『とりあえず、ローちゃんはAちゃんと何がしたいノー?』

『それはもう、くんずほg…ゴホン…仲良くなって遊びたいわね』

 

コメント 待って

コメント 今何言いかけた??

コメント 遊び(意味深)

コメント おねロリ、アリだと思います

 

『はい、今日の枠はここまで!』

『えっ、えっ、えっ、何故ーっ』

『Aちゃんに不埒なことするのは私が許さヌ!』

『しない、しないから…』

『本当にぃ??』

『ホントデス』

 

コメント ウソだゾ

コメント リンちゃん騙されたらあかん

スパチャ これで手を引いてもろて ¥1000

コメント 手切れ金ww

 

『リン、私は純粋にAちゃんと仲良くなりたいの、信じて欲しいわ…』

『ローちゃん……うん、信じる!』

『計画通り……(小声)』

 

コメント マイク入ってますよ〜

コメント 丸聞こえw

コメント ロリコンは嘘つき

コメント Aちゃん逃げて

 

本気でやばい人なのでは??

え、ひっさびさにやばい人に目をつけられた気がするんだけど。

 

配信のために誇張してるとか、は……ないよなぁ……。綺麗で優しい人なんだろうが、これは困った。

 

『じゃあ取り敢えず、Aちゃんにアピールしたい事ある?』

『私、視聴者さんのおかげもあって、そこそこお金に、ね?余裕があるのよ』

『うんうん』

『三食昼寝付き、お小遣いありで手を打たないかしら?』

『おっかしいなぁ、私が思ってたアピールと違うぞゥ??』

 

コメント 養わせろと?w

コメント 手を打たないかしら?じゃないんだよなぁ…

コメント 普通に事案でくさ

コメント もしもしポリスメン?

 

『Aちゃんを養うのは私だけど!』

『じゃあ、お互いに養うと言うことにしないかしら?』

『えー、どうしようかなぁ…』

 

待って、待って??

まず養われる気は一切ないんだが?あと小夜も何言ってるの??

確かに小夜とは一緒にいる時間は長いが、かと言って養われたいとかは一切ないのだけど……。

 

…………おかしい、誘われたら頷いてしまう自分がいる事に、妙に納得というか腑に落ちてしまっている己がいる事に頭抱えたくなった。

 

コメント Aちゃんモテモテやな

コメント めちゃくちゃ微妙な表情浮かべながら配信見てるAちゃんが想像できるな

コメント Aちゃん強く生きて

コメント アザミちゃんがガチ過ぎてやばいレベルですわ

 

『Aちゃんはそこら辺しっかりしてるから、頷いても結局自分で仕事探して働いちゃいそうだなぁ』

『家にいてくれるだけで私は満足』

『Aちゃん几帳面だから、帰ったら家の中綺麗になってるんだろうなぁ』

『……家庭的なのは良い事ね、私は散らかしてしまうタイプだから、迷惑かけてしまうかもしれないわ』

『お母さんみたいな事言いながら片付けてくれるよ』

『ッスー…り、料理とか、一緒にしてみたいわね』

『Aちゃんお料理は苦手だからなあ…得意料理がカップ麺なんだよね』

『ッスー……っな、なら、私が是非作って上げたいわね』

『ちなみに好きな料理はオムライスだよっ』

『いちいち幼馴染マウント取らないで頂けるかしら!?』

 

コメント つ よ い

コメント Aちゃんに関してリンちゃんに敵うわけないんだよなぁ

コメント Aちゃん料理苦手で、好きな食べ物オムライスとかは、可愛過ぎかな??

コメント リンエーてぇてぇんじゃあ…

コメント ここまで綺麗にマウント決めてくるリンちゃん初めて見たww

コメント そらAちゃんガチ恋勢だから仕方ないね

 

ヤメテ、ヤメテ。人の事で変な争いはやめなさい……。

聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた……。

この配信を最後まで聞いていることが厳しくなってしまったので、配信を見るのをやめたのであった……。

 

アザミさんは危険人物、私覚えた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

読まなくても良いおまけみたいな物。

 

 

 

今日、家に子猫がやって来た。

友達の家で飼っている猫が産んだようで、流石にこの数は飼えないとの事で、里親を探していたのだ。

友達のよしみということで半ば押し付けられる形で、黒い子猫を飼うことになってしまった。

 

うちには大型犬もいると言ったのに、しようのないヤツめ……。

とりあえずストレスにならないよう、普段犬が寄り付かない部屋の一角にケージを設置し、慣れるまでしばらくそこで生活させる。

 

小さすぎて犬が踏まないか心配というのもあるが、猫と犬を一緒にしていいものかわからなかった。

 

子猫は好奇心旺盛ではあるが、あまり人に懐く性格ではないようだ。

餌をやろうとケージを開ければ、俺に警戒をして威嚇をしたり、ケージから出ようと躍起になる。

捕まえようものならすごい声で鳴きながら暴れに暴れて大変だ。

 

そんな生活が数週間続いたある日、気がついたら犬の姿が見当たらなかった。

何処かで寝ているのだろう、なんてのぺーっと考えながらダラダラ過ごしていると、子猫に餌を与える時間になった。

 

子猫のケージが置いてある部屋の前に行けば、ドアが全開に開いていた。

部屋の中を覗けば、姿が見えなかった犬が子猫のケージの前で寝転がりながら、じぃっと様子を見ていた。

 

当の子猫はと言うと、尻尾が逆だってはいるが、そちらもじぃっと見ながら様子を伺っていた。

大型犬と子猫、体格差は言うまでもない。

 

流石の威圧感に動けないのだろう。

子猫の精神衛生上にも宜しくないため、犬を持ち上げ、若干引きずるように退場させる。

 

わんぱくでいつもバタバタ暴れるように遊び回ってる犬が、珍しく大人しくしながら子猫を見ていた事に少々面食らったが、まあ犬も興味があったのだろう。

犬以外では初めて見る、自分とは異種の動物だし、そういう日もあるか、なんて楽天的に考えていた。

 

その次の日も、また次の日も、そのまた次の日も、犬は子猫のケージの前にいつの間にか居て、尻尾を振りながら寝転がり、子猫を見詰めていた。

 

何がしたいんだろうか、こいつは……等と考えながら、犬を退場させ、餌やシーツを取り替えていく。

ふと気づく。いつの間にやら威嚇も暴れもせず、大人しくしながらその様子を見ている子猫に。

 

あぁ、もう数週間経つし、ようやく慣れたのだろう。

触れるかな、なんて淡い期待を込めながら子猫に指を差し出してみたら、べしんと叩かれた、辛いぜ。

 

その翌日、そろそろ犬にも慣れただろうと思い、ケージを開けて子猫を出してみることにした。

流石に数週間も経ったし、少し狭くなってストレスになっても困るから、気晴らしにってやつだ。

 

子猫はポテポテと歩きながら、周りの様子を見ながら歩き回っている。

たいへん微笑ましいものだ。

癒されていると、廊下からバタバタと音を立てながら何かが近づいてくる。

 

「ワン!ワン!!」

 

大きな体と尻尾を揺らしながら部屋に駆け込むようにして入ってくる犬。

流石の子猫もさぞ怯えてしまったに違いない、ちらっと見てみれば、子猫は気にもせず、尻尾を振りながら犬に近づいていく。

 

そのまますりすりと犬の前足に擦り付き、甘え始めたのだ。

おかしいな、飼い主より先に先住犬に懐くとは、誠に遺憾である。

 

犬は嬉しそうに寝転がり、すりすりと鼻を擦り付けたり、ぺろぺろと毛繕いをするではないか。

犬と子猫って、仲良くなるんだなと感心し、これ幸いと、二匹の頭を撫でてやる。

 

「仲良くなってよかったぜ、リン、エー」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「いや、俺のマシュマロに何送ってんの???書いたやつ誰だよ!」

 

コメント 草

コメント SS書かれてて草

コメント 送るにしてもリンちゃんとこにおくれよwww

コメント イイハナシダナー

コメント 飼い主はアイゼンくんです

コメント ↑書いたんお前かい

 

「飼い主俺ぇ!?やだよ!リンなんて飼ったら家のもん全部壊されるわ!」

 

コメント ならAちゃんは飼いたいって事だな

コメント 正体見たりってやつだな

コメント Aちゃん逃げてー

コメント 炎上不可避

 

久々にマシュマロを消化していく配信をしようと、送られた物に目を通していたら、このマシュマロがあり、突っ込まざるを得なかった…。

 

いや、な??書くにしろ投稿するにしろ、俺に送るんじゃなくリンのやつに送れよマジで!

 

コメント アザミちゃんとリンちゃんが配信でマウント取ってる時にこれはww

桃江梓 うっっっわ……同期辞めよ

コメント くそ引かれてて草

コメント 勝手にマシュマロでSS送り付けられて紹介しただけでこんな事になるとか流石に可哀想がすぎるw

コメント 草生やしとるやんけ!w

コメント オマエモナー

 

本当にな??ただ読んだだけでここまでになるとか流石に予想外なんだが??

とりあえずこのマシュマロ、リンに後で送り付けてやろうっと。

 

 

配信終了後、リンからチャットで。

 

 

『アイゼン君が飼い主は…ちょっと、なぁ……』

 

と、めちゃくちゃに引かれた文が送られてきた俺は、枕を涙で濡らしたとか濡らさなかったとか。

やっぱつれぇわ!



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幼馴染である私の立ち絵が出来るようでして

veiちゃん可愛いかよ……


「ねえあーちゃんっ」

「あによぉ……」

 

課題を終わらせ、このジメッとした中ぐだぁっとしながら小夜のベッドでソシャゲ周回を行っている。

あ、また角だ。

 

「何か私のお母さんがあーちゃんの立ち絵作りたいって言ってるんだけどさ〜」

「は〜、あんたのお母さんがね〜………………お母さん……???」

 

ボケっとしながら聴いてたから、聞き流しかけた。

何故小夜のお母さんが私の立ち絵を作りたいなんて話になってんだ……。

 

「あ、お母さんってあれだよっ、リンちゃんの絵を描いてる絵師さんねっ」

「あ、そうなの…びっくりしたぁ……でも何でお母さん?」

「VTuberのキャラを生み出してくれたからお母さんってみんな呼んでるのっ」

「なーるほどぉ…それで何故私の立ち絵なのか」

「今後2人で配信する時に使って欲しいって」

「いやしないが???」

 

一体全体どうしてそうなった?

確かに声とかガッツリ割れてるし、何かもうどーにでもなれって感じではあるが……。

 

自ら率先して小夜とコラボしたいかと聞かれれば、いやぁ…ってなる。

曲がりなりにも大人気VTuberに片足突っ込んでる奴の配信なんて、胃が口からまろびでるわ……。

 

「事務所はAちゃんが良いならOKって言ってたよ?ネチケットも問題ないって」

「そらあんた…当たり前でしょうに。このご時世何かあったらたまったもんじゃないわ……」

 

信頼してくれるのは嬉しいが…別段VTuberは見ている方が楽しいので、配信を一緒にしたいとは、なぁ……。

 

「やろーよやろーよぉ、最近だとリアルの家族とかとコラボしてるVTuberもいるよー?」

「え、そーなの……?んー……」

 

それは意外な切り返しだった。

リアルの家族と一緒にコラボって、一体何するのかしら……。

 

雑談?いや……でも、うーん……。

とか何とか考え込んでいたら、小夜が抱きついて引っ付いてくる。

ちょ……重い、暑い……。

 

「やーろーよぉっ」

「…………ま、考えておくわ」

「本当!?」

「例えば、チャンネル登録者100万とか行ったらかしら」

「条件が厳しい!?」

「興味が無い幼馴染をコラボに呼び出すんだもの、それ相応の条件が必要じゃない?」

「もう少し、もう少し下げていただけませぬかあーちゃん様…っ」

「やっ」

「そこを何とかっ」

「やーよっ」

 

ぷいっとそっぽ向いて拒否してやる。

小夜は相も変わらず、捨てられた大型犬のような表情をしている。

 

正直、どうしてそこまで私とのコラボに固執するのだろうか。

今の小夜なら、コラボしたい人など引く手数多だと思うけどなあ。

 

例えば、他事務所のVTuber。

度々リンのリツイートややり取りを目にするが、そう言ったお誘いがある事を知っている。

 

何故か私も一緒でOKみたいな誘い方をされているが……。

 

「こら、お腹に顔埋めない、くすぐったいでしょ」

「ふがふがふがふがっ」

「そのまま喋るな、んん…ちょっと待ちなさい、こらっ」

 

バタバタと暴れてみるが、顔をお腹から離す気配が一向にない。

数分くらい暴れてみたが、こっちの体力が消し飛んだので降参した。

 

はー…どうしたものか…動けないし小夜は離れないし…ジメジメで汗かいてるから、離れて欲しい。

 

「はぁ……さーよ」

「ふがふがぁ…?」

「あんまし我儘言わないの、私が興味無いのは分かってるでしょ?」

「ふがぁ……」

「どうしてそこまで誘うのよ?」

「ぷは…最初はね、私の幼馴染がちょー可愛いって知ってもらいたくて話題に出したかったの。それで、話題を出していくうちにね?あーちゃんとやれたらなって、今ここにあーちゃんがいたら、何て答えてくれたんだろって…そう考えたらさ、ワクワクしちゃって」

「お、おう……」

「何か面白い事をしようなんて考えなくていいよ。それは全部、VTuber鈴科リンの役目。私はただ、音無小夜(鈴科リン)が大好きなあーちゃんとコラボしてみたくなったんだ」

 

そう言った小夜の目は、いつの間にか私の知らない目をしていた。

いつも私に着いて回り、時に引っ張り引き摺ってく、私の知っている小夜の目じゃなかった。

 

VTuber、鈴科リンとしての、やりたい事を見つけた、そう言った目をしていた。

 

…………………………。

 

「ふがっ、な、何をひゅるのっ」

「小夜の癖に生意気、このアホ、駄犬、馬鹿犬」

「わぷぷぷぷぷぷっ」

 

小夜のほっぺをむにむにしたり引っ張ったりする。

なぁにが大好きな私とのコラボよ。

ばーかばーか、小夜のばーか。

 

「立ち絵の件は、まあいいわ。コラボするしないは置いといて、描いて頂けるのなら、断るのも失礼に当たるかもしれないし」

「はなひへぇ……」

「あら、何を言ってるか分からないわねぇ??」

「ひゃーっ」

 

ぐしゃぐしゃと、小夜の長ったらしい髪の毛を撫で回してやる。

やれやれ…小夜にはどうしても甘くなってしまう…いや、甘いと言うか、チョロいと言うか……。

 

あんな話を聞いてしまったら、もう断りにくくなるじゃないの。

まあ、断るのだけど……。

 

あんたが私の事大好きなのは、ずっとずっと前から知ってんのよ。

 

「ま…コラボしたいなら、もっと小夜の頑張ってる姿、私に見せて?」

「ん…頑張るっ!」

「よし…気が向いたら、その時は一緒にしましょ」

「えへ…やったぁ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『って話をこの前してネ!その経緯で、Aちゃんに立ち絵の許可を頂いて、今回のAちゃん立ち絵公開配信が決まったんダ☆』

 

コメント どうしてAちゃんはそんなにてぇてぇ作製するん??

コメント Aちゃんはてぇてぇ作製職人だった……?

コメント Aちゃんに罵られたい

コメント 立ち絵の作製経緯だけで何故こんなにもてぇてぇんだ…

 

あのやり取りから数週間後。

無事に私の立ち絵が完成したらしく、リンの配信でお披露目となった。

 

何故か立ち絵が作られるようになった経緯を話し始め、あの日やり取りした内容を赤裸々に話されてしまった。

 

ヤメテ…ヤメテ…。

 

『私が頑張れば、Aちゃんがコラボしてくれるって言質取れたので、これからどんどん配信していくかラ、みんなよろしくネ☆』

 

コメント 当たり前だよなぁ??

コメント リンちゃんのしたい事がAちゃんとのコラボなら、全力で支援するのがファンの務め

コメント ↑とか言いながら、Aちゃんとのコラボをわしらも望んでるからだろ

コメント リンちゃんにもAちゃんにも無理して欲しくないからな!

 

『みんなありがとう!さて、お待ちかねのAちゃんの立ち絵公開だよ〜っ、はいっ、じゃーん!』

 

リンの横に、ぱっと絵が表示される。

髪型は私と同じ、肩に掛かるか掛からないかくらいに伸ばされたヘアスタイル。

黒髪で、服は、ちょっと大人っぽい黒色の服を着ており、身長は……うん、何か小さい。

 

そして何故か猫耳ついてるんだが、何で???

 

『Aちゃんの容姿とかをお母さんに事細かに伝えたら、すっっっごく可愛いAちゃんの立ち絵が出来たヨ!お母さんありがとう!』

 

コメント かっっわ

コメント あの声とこの立ち絵は、ぴったりやな

カナメユウ あの時のリンは、オタク特有の早口で話していたわ……

コメント リンちゃんマッマww

コメント Aちゃんガチ勢だから仕方ないなww

 

あの子はなんて事を…………。

しかし…複雑だ。我が立ち絵でなければもう普通に可愛いと声に出していただろう。

 

ただ、如何せんこれがネットでの私の立ち絵となると、何か途端に恥ずかしくなってしまう。

 

『Aちゃんって黒猫みたいだから、猫耳つけてもらったらピッタリだったんだ!』

 

コメント リンちゃんの犬耳マダー?

コメント リンちゃんと絡んでる時、猫耳ピコピコしてそう

コメント スカートに黒タイツとか、リンちゃんまっま分かってる

コメント やっぱAちゃんはちっちゃいんやな

コメント そらアザミちゃんに目をつけられてるからな

アザミ・ロータス 言い値で買うわ

 

思いのほか、コメントは反響でいっぱいだった。

よかった、何か色々言われないで。

幼馴染に立ち絵???っとか言われなくて本当に良かったよ……。

 

コメント アザミちゃんwww

コメント これは是非とも動いてる姿がみたいな

カナメユウ 来るべきコラボのため、2Dも作成中です!

コメント 仕事が早いww

コメント カナメさん休んで、休んで…

 

ぼーっと、画面に写った自分の立ち絵を見る。

もしコラボするとなったら、これが私になるのか……。

何だか不思議な気分だ。

 

別に、楽しみとは思わないが……まぁ、うん……。

とりあえずこの視聴者数の前でも緊張しないように、何か始めようかしら……。

なんて、柄にもないことを考えてしまったのは、きっと小夜にあてられたからだ、きっとそうに違いないのだ。



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幼馴染がホラゲーをやるようでして

我が名はスバタカ!1万ものお気に入り登録をされているVTuber小説があると聞いてこの地にやってきた!
子猫系幼馴染と言うのはまことか!!(お気に入り1万ありがとうございます!!)


「お゙じゃ゙ま゙」

「普通に入れんのかあんたは」

 

久々に小夜が私の部屋に来た。

理由としては、Twitterで次やるゲームのアンケートを採った結果、ホラーゲームに決まったからだ。

 

この子怖いの苦手だった筈だけど、大丈夫なのかしら……。

 

「あーちゃんのお部屋久々だぁ!」

「あんたの部屋にお邪魔してばかりだったからねぇ」

「とおっ」

「人のベッドにダイブしないの、あんたが私のベッドに飛び込んだら、下手したらぶっ壊れるわよ」

「その時は弁償してキングサイズのベッド買うね!」

「部屋に入らんからやめい」

 

キングサイズのベッド買われても持て余すわ……。

さて、とりあえず何のゲームを貸すのがいいかしらねぇ……。

 

「で、どんなゲーム借りたいの」

「極力怖くないホラゲーを!」

「そんなホラゲで大丈夫か」

「1番怖くないホラゲを頼む」

「おk」

 

怖くないやつねえ……あれが全然怖くなかったわね確か、貸してやろっと。

ここにあったはず…っと、あったあった。

うん、パッケージもそんな怖くない。

 

しばらくやってなかったから、だいぶホコリ被っちゃってるや。

今度の休み、ゲームの掃除でもしましょうかね。

 

「はい、これ貸したげる。とりあえず説明書とか無くさないでね」

「ありがとうあーちゃん!大丈夫大丈夫、無くさないからっ」

 

ま、いつもちゃんと返してくれてるし、心配しなくても大丈夫か。

んー、しかしホラゲー配信か……苦手なジャンルもやらなきゃいけないのが、VTuberの辛いところよねぇ。

 

「てか、部屋狭いわね…」

「おっきくてごめんね!?」

「ほんとよ、縮め」

「辛辣すぎる!?」

 

すごい久々に小夜が来たもんだから、部屋がすごく手狭に感じてしまう。

私がいつも小夜の家に行っている理由の一つでもある。

 

色々ゲームを置いたりしていて私の部屋は意外に狭い。

ベッド、机、テレビも置いてあるため尚更狭い。

なのであまり人を呼ぶのに適していないのだ。

 

その点、小夜の部屋は私の部屋よりかはスッキリしている。そのため集まるなら小夜の部屋と自然となってしまった。

 

「ま、私の部屋来てもゲームしかないから、このまま帰る?」

「んー……もうちょっと居る」

「さいで…」

 

今回は小夜にベッドを占領されてしまったため、椅子に座ってスマホを弄る。

……うっわ、私の立ち絵のツイートめちゃくちゃ伸びてるじゃない……。

 

そんな感じでグダグダと過ごし、小夜は帰って行った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「こんリーン!鈴科リンだよ☆」

 

コメント こんリン!

コメント ホラゲ配信きちゃー!

コメント やってんねぇ!

コメント 待ってたぜぇ、この時をよぉ!

 

はー……ついに来ちゃったかーって感じ。

ホラゲーは苦手なんだけどなぁ…でも避けては通れないよねっ。

こんな事もあろうかと、あーちゃんに怖くないホラゲーを借りたんだからっ。

 

「今日はこのホラゲーをやってくヨ☆Aちゃんにそんなに怖くないホラゲー借りちったっ」

 

 

コメント あ…っ(察し)

コメント うーんww

コメント これはAちゃん狙ったか……?w

コメント (私は)あまり怖くなかったってやつ??

 

あっれぇ……?なんかコメントの雲行きが怪しい……。

あ…そう言えば、Aちゃんホラゲーつよつよじゃん!?

うー……忘れてたぁ……っ!

 

「も、もしかしてこれ…めちゃくちゃ怖い……?」

 

コメント 結構怖いゾ

コメント 窓に、窓に……!

コメント SAN値ピンチなヤツいて草

コメント 評価的には怖い部類に入る

 

やらかしたぁぁ!?

Aちゃん基準だと怖くないやつだったぁ!うぐぐぐぐ……っ、これはシンプルにやらかしたやつぅ……。

 

い、今から変更……出来るわけないよねえ……。

 

「Aちゃん基準で怖くないだと、私的にはめちゃくちゃ怖い事に!?」

 

コメント Aちゃんナイス

コメント おいおいおい、死んだわこれ

コメント しょんぼりしないで

コメント 頑張って

 

「ホラゲー……じだぐ、な゙い゙っ゙」

 

コメント めっちゃ拒否るじゃんww

コメント 未だかつてこんなよわよわリンちゃんを見たことがあっただろうか

コメント こいつぁ音量注意かな?

コメント 今のうちに下げとこ

 

「うー……っす、少しだけ……頑張り、マス……」

 

観念し、ディスクをハードに入れて電源を入れる。

懐かしいゲームロゴが現れては消え、ゲーム制作会社のロゴが出て、次の瞬間には、おどろおどろしい音楽とゲームタイトルが流れる。

 

もう始まりから挫けそうなんだけどお!?

 

「う〜〜…」

 

コメント がんばえ

コメント リンちゃんなら行けるでっ

コメント コメ欄あったけぇ

コメント そらリンちゃんの人望よ

 

「が、頑張るぅ……」

 

とりあえず開始ボタンを押し、プロローグが流れ始める。

要は屋敷の中を探索し、脱出するゲームという事を説明された。

 

探索中、怨霊が追いかけてくるため隠れて捕まらないようにしなければならないらしい。

 

びっくり系かなあ……心臓バクバクいってて気持ち悪いぃ……。

 

始めからうだうだとしていられないので、我慢しながら先へ進む。

チュートリアル的な説明も終わり、いよいよ本格的なプレイが始まる…。

 

「ひえ……い、今なんか、悲鳴みたいなのが…っ?」

 

コメント 気の所為気の所為(にっこり)

コメント 気合いで突っ切ろう!

コメント 後ろ見たらアカンで

コメント 後ろ見たら自分の不細工な顔写ってたで

 

「お、おぃ…で、デュエル……り、リンとデュエルし、しろよ……っふぅ、ふぅ……っ」

 

コメント 何で霊に対してそんな好戦的なんだww

コメント リンちゃんはデュエリストだった…?

コメント 雰囲気怖いのに今の発言でお茶吹いたww

コメント 相手アンデット系デッキ使って来そう

 

ゆっくりゆっくり進んでいくと、一室にたどり着いた。

恐る恐る中に入れば、そこは書斎だった。

机の上には日記らしきものが置いてあり、近づけば読むというコマンドが現れる。

 

読めばこの家の元主さんの日記であった。

内容的にはここは元々いわく付きであり、そこに家を建てたら色々と起こり始めた、との事。

 

日記を読み終わり、元の画面に戻った瞬間……。

 

「ぴぃいいぃいぃい!?」

 

画面にドアップで血塗れの霊の顔が写り、悲鳴をあげてしまった。

いや、ずるい!?これはずるくないかな!?誰でもびっくりするよこれ!

 

「あ、ああ、あぁ!ば、ばかちーん!そんなの誰でも驚くじゃん!ばかばかばーか!えーっと、えーっと、あほー!!」

 

コメント 口悪わるになってるww

コメント なお語彙力はないもようww

コメント まだ序盤でこの荒ぶりようww

コメント 鼓膜ないなった

コメント 悲鳴たすかる

 

「悲鳴助からない!!」

 

えぇ……もーむりぃ……詰んだ、はい詰んだー……。

はあ、はあ……心臓がやばい…う、うぅー……っ。

こ、こんな時はぁ……っ

 

スマホを手に取り、LINEを開いて通話をかける。

荒くなった息を整えながら、相手が出るのを待つ。

 

『はいはい…ま、こうなるわよねえ……』

「A゙ぢゃ゙ぁ゙ん゙!!」

『うわうっさ……』

「ごわいぃいぃい!!」

『え、嘘でしょ……ガチ泣き……?』

 

コメント Aちゃんに逆凸ww

コメント 頼みのAちゃん

コメント 何故同期にいかないww

コメント ノ ル マ 達 成

 

「もーむりぃい!お家来てえぇ…っ」

『えー…今から?通話じゃダメなの…?』

「傍に、傍にいてえぇ……喋らなくて良いからぁぁ…っ」

『はあ……はいはい…じゃああんたの部屋でじっとして見ていてあげるから、とりあえず落ち着きなさい』

「あ゙い゙、ぐず」

 

コメント 泣かないで

コメント リンちゃんホラゲガチでよわよわなんやな

コメント かわいそ可愛い

コメント Aちゃんは淡々とプレイしてびくりともしなさそう

コメント ↑分かる

 

あーちゃんとの通話を切り、しばらくコメントを眺め雑談しながら落ち着きを取り戻す。

それから数分して、あーちゃんからLINEが送られてきた。

 

家の前に来たので開けて欲しいとの旨が来たため、下に降りて鍵を解錠してドアを開ける。

 

「ん、大丈夫?」

「あーちゃん、あ゙ーぢゃぁ゙ん゙……っ」

「ぐえ……くる、くるし……」

 

あーちゃんを見た瞬間すぐさま抱きつきそのまま引きずり込むように家の中に入れる。

あーちゃんの匂いを嗅いでとりあえず落ち着きを取り戻したため、あーちゃんを部屋に招く。

 

 

「Aちゃん来てくれたぁっ!」

 

コメント 勝ったな

コメント Aちゃん(最強装備)

コメント 家が近い幼馴染と言っても結構遅い時間なのに来てくれるとかええなあ

コメント そらAちゃんだからよ

 

「Aちゃん来たから、もう少し頑張って進めてみる…」

 

あーちゃんを膝に座らせ、後ろから抱きしめる形でプレイを再開する。

あーちゃんが終始こちらをジト目で睨んできてたけど、気にしない気にしないっ。

 

喋れないことをいい事に、あーちゃんを膝に座らせてぬいぐるみみたいに抱きしめながらゲームしちゃった。

 

配信終わったら、怒られちゃうかな?

うへへ……ホラゲーは苦手だけど、こうやってプレイ出来るなら、全然怖くないなぁ…。

 

びっくりしたりする箇所は沢山あったけど、さっきみたいに悲鳴なんか上げず、どんどん進めていく。

 

1時間くらいして、ようやくキリがいい所まで進んだため、セーブをしてゲームを終わらせる。

 

「え、えへへ☆キリがいいので、今日はこれで終わーリ!」

 

コメント Aちゃん来てからめちゃくちゃつよつよプレイになっててワロタ

コメント Aちゃんを装備したリンちゃんは無敵なんやな

コメント Aちゃん強すぎる

コメント たまにびっくりしてるの可愛かったで

 

「Aちゃん来てくれて良かった〜…ありがとうAちゃんっ☆あ、いたい…足バタバタしないで…あぅっ、わ、悪かったよお…ずっと膝に座らせててごめんってばあ!」

 

コメント まーたそうやって視聴者を喜ばす、誇らしくないの??

コメント 小一時間膝に座らせられてじっとしてるAちゃんマジで猫

コメント 犬に寄り添う子猫やな

コメント Aちゃんどんな気持ちで見てたんだろww

 

「不満そうな顔で、ジト目で睨んできてたけど、私はAちゃんと居れたので悔いはないよ☆あいた…っ」

 

べちんと太ももを叩かれてしまった。

ひぃん……ヒリヒリして痛いよお……。

そ、そんなに怒らなくても、あ、あー……降りちゃった……。

 

あーちゃんはそのままベッドに横たわり、スマホを弄り始めてしまった。

 

「Aちゃんが怒っちゃったので、今日はここまで!また明日配信するから、よろしくネ☆」

 

コメント おつリン!

コメント 明日もみるで!

コメント 定期的にホラゲしておくれ

コメント お疲れ様です!

 

締めの言葉を言い、配信をしっかりと切る。

念の為マイクの電源も落としておく。

 

よし、ちゃんと切れた…っ。

あの日以来、ちゃんとチェックは怠らないようにしているのです、ふんすっ。

 

「あーちゃんありがとう〜っ」

「はいはい、どいたまどいたま」

「でもあのゲームチョイスしたのは許せぬ!」

「全然怖くないじゃないあんなの……」

「めちゃくちゃ怖かったんだけど??」

「う……近い、顔近い…」

 

横になってるあーちゃんに覆いかぶさり、じとーっと顔を近づけながら見つめる。

ホラゲーに弱い私も悪いかもだけど、だけど何か納得いかないーっ。

 

「今日は一緒に、寝よ……?」

「……はあ…はいはい、分かったわよ」

「ん…うへへ…」

 

諦めたようにぐったりとしながら、気だるげに伸ばされた手で、優しく頭を撫でられる。

私はあーちゃんの小さな手が大好きだ。

 

細くて小さな、華奢な手。

それなのに触れられると、とても大きいように感じる。

目を細めながら大人しく撫でられれば、すっかりと落ち着いてしまった。

あーちゃんの手は魔法の手だなあ…。

 

「あーちゃん、一緒に寝る事になるの分かってた?」

「なんでよ」

「あーちゃん、寝間着だもん、分かるよ?」

「……ま、たまたまよ、たまたま。寝る前に配信見てたんだもの、自意識過剰よ」

「うへへ…それでもいーもーん。じゃ、おやすみあーちゃん」

「ん…おやすみ」

 

部屋の電気を消し、互いに一緒のベッドで眠りにつく。

小学生の頃から変わらない、私達の日常だ。

夜寝る時、隣にあーちゃんが居て、朝起きて隣を見れば、やっぱりあーちゃんが居る。

 

ああ……やっぱり、あーちゃんと一緒に配信をしてみたいなあ……。

そうしたら、きっと、もっと…VTuberが楽しくなる。

いつか一緒に配信できる、そんな日を夢見ながら、今日も私は眠りにつくのだった。




ド葛本社のアソビ大全の七並べがオススメだけど、悪いことは言わねぇ、全編見とけ。
ん〜、僕も僕も〜ww

ケモ耳女装生意気ショタというのはまことか!!(リクエスト受付中)


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よく分かんない掲示板回

掲示板風のものにチャレンジしてみました
Q 特殊タグ使わんの?
A スマホで書いてるのと、使い方がよく分からないので許して

Q ぺーこぺこぺこ、お前やっぱり雑魚だなぁ!
A それはちょっとあまりにも酷すぎやしないペコかあ!?

Q なのです。なのです。なのです。なのです。
A ゆびゆび〜




VTuberを語るスレ

 

1: 名無しのVTuberさん

最近ホンマにVTuber増えてきたな

 

2:名無しのVTuberさん

どんどん有名になってんなぁ

 

3:名無しのVTuberさん

最初はYouTuberとどう違うんだと思ったが、中々に面白いな

 

4:名無しのVTuberさん

2次STARSが3期生募ったゾ!

 

5:名無しのVTuberさん

>>4 ま??確か秋乃夕日とかアスティモスが居る事務所だっけ??

 

7:名無しのVTuberさん

>>5 ちゃんを付けろよデコスケ野郎!!

 

8:名無しのVTuberさん

>>5 せやで

 

9:名無しのVTuberさん

>>7 ガチ恋勢こっっっわ

 

10:名無しのVTuberさん

2期生取ってから半年くらいか…VTuberも流行り始めたから勝負に出たんだろうな

 

15:名無しのVTuberさん

わい応募してみようかな

 

18:名無しのVTuberさん

>>15 応援しとるで

 

2次STARS3期生を語るスレ

 

255: 名無しのVTuberさん

中々に濃いメンツ集まったなぁ

 

257:名無しのVTuberさん

ワイ氏、梓ちゃんのビジュアルに一目惚れ

 

258:名無しのVTuberさん

アザミちゃんお嬢様キャラって感じでええやん

 

260:名無しのVTuberさん

唯一の男性Vのアイゼン君、ゲーム好きそうな声してますね

 

264:名無しのVTuberさん

>>260 前世などいない、良いね??

 

267: 名無しのVTuberさん

鈴科リンちゃん、the王道って感じでいいっスね

 

274: 名無しのVTuberさん

狐なのに魔女???

 

276: 名無しのVTuberさん

雪女ちゃんビジュアルからして攻めてるね

2次STARSにえちえち枠いなかったし助かる

 

279:名無しのVTuberさん

2次STARSも盛り上がってきたな

 

285:名無しのVTuberさん

応募したワイ、見事一次審査落ち

 

289:名無しのVTuberさん

>>285 応募ニキ元気だしてクレメンス

 

 

2次STARS3期生を語るスレ15

 

309:名無しのVTuberさん

ふぁーーーwwwアイゼン君何でプロがこぞってスナイプしてくんのwww

 

313:名無しのVTuberさん

>>309 そら(間男だから)そうよ

 

315:名無しのVTuberさん

同期とコラボしてるだけなのにカワイソス

 

316:名無しのVTuberさん

モモアズによる今日の鈴科リンやらかしエピ面白いが、いくら何でもやり過ぎでは???

 

319:名無しのVTuberさん

>>316 でもリンちゃんも悪気があってやらかしてる訳じゃないから、見守ってやろうや

 

320:名無しのVTuberさん

かく言うリンちゃんは、今日幼馴染の話をしとったな

 

324:名無しのVTuberさん

めちゃくちゃ熱弁してたな、やっぱり彼氏か?

 

327:名無しのVTuberさん

幼馴染って言うてて同性とも言ってたが、ほんまかあ?

 

329:名無しのVTuberさん

運営がそれを止めないわけも無いだろうし、杞憂じゃね?

 

332:名無しのVTuberさん

憶測で決めつけるのはやめような???

 

334:名無しのVTuberさん

幼馴染の話してるリンちゃん可愛かったし、ワイは同性説を推したい

 

337:名無しのVTuberさん

>>334

どうでも言いが番号阪神

 

339:名無しのVTuberさん

>>337

なんでや阪神関係ないやろ!!

 

342:名無しのVTuberさん

>>339

ここまでがテンプレ

 

345:名無しのVTuberさん

Aちゃんは女の子であって欲しい、キマシタワー

 

347:名無しのVTuberさん

モモアズのライバル出現で草

 

349:名無しのVTuberさん

>>347

モモリンよりモモアイを推すぞー!バリバリー!

 

354:名無しのVTuberさん

>>349

やめてー!!

 

 

2次STARS3期生を語るスレ 24

 

567:名無しのVTuberさん

リンちゃんまだ耐久やってるん???

 

569:名無しのVTuberさん

>>567

せやで

 

573:名無しのVTuberさん

どんどん耐久の時間増えてて草

 

576:名無しのVTuberさん

おじさん限界だよ…もう眠いんだ、パトラッシュ…

 

578:名無しのVTuberさん

>>576

あかん、ゴールしたらあかんっ

 

580:名無しのVTuberさん

最近のVTuberの耐久耐性なんなん???(寝落ちから復帰)

 

582:名無しのVTuberさん

前に耐久配信して数時間後にコラボしてたVの者いたよな

 

583:名無しのVTuberさん

控えめに言って化け物かな??

 

585:名無しのVTuberさん

リンちゃんの体力どうなってんだろ、あれで帰宅部はやばい

 

587:名無しのVTuberさん

最初の10時間が可愛く思えてきた

 

588:名無しのVTuberさん

よく考えりゃ10時間って約半日ゲームやってるんだもんな、ワイらの歳じゃもう2時間もしんどい

 

591:名無しのVTuberさん

>>588

最近のゲーム、グラフィック凄いからすぐ酔っちゃうのもある

 

593:名無しのVTuberさん

>>591

わ か る

 

595:名無しのVTuberさん

RPGひとつ取ってもだいぶ変わったからなあ

 

597:名無しのVTuberさん

あれ、画面止まってね?

 

601:名無しのVTuberさん

ほんまや、てかリンちゃん喋らなくなったな

 

602:名無しのVTuberさん

もしかして寝落ち??

 

605:名無しのVTuberさん

>>602

もしかしなくても寝落ち

 

606:名無しのVTuberさん

またリンちゃんのやらかしが増えた瞬間である

 

608:名無しのVTuberさん

おや、誰か入ってきた??

 

612:名無しのVTuberさん

ガサゴソいってるな、起きたのかも?

 

613:名無しのVTuberさん

は???

 

614:名無しのVTuberさん

はい???

 

615:名無しのVTuberさん

なんでwww

 

617:名無しのVTuberさん

まさかの幼馴染登場ww

 

620:名無しのVTuberさん

寝落ちてから数分くらいしか経ってないのに来れるもん???

 

623:名無しのVTuberさん

部屋にずっと居たとかじゃね?(鼻ほじ)

 

626:名無しのVTuberさん

馬鹿野郎!リンちゃんがAちゃんと同じ部屋にいて話さないわけないだろ!

 

628:名無しのVTuberさん

>>626

た し か に

 

632:名無しのVTuberさん

Aちゃんもう保護者じゃんww

 

637:名無しのVTuberさん

ほんとにAちゃんなん???

 

642:名無しのVTuberさん

>>637

流石にこんなんで自演とかはせんやろ

 

645:名無しのVTuberさん

Aちゃんもずっと配信見てたとか体力お化けかな??

 

649:名無しのVTuberさん

でも幼馴染の配信ずっと見てるとか、いい子じゃん

 

650:名無しのVTuberさん

枠の止め方分からなくて聞いてるの草

 

652:名無しのVTuberさん

コメント欄あったけぇな

 

655:名無しのVTuberさん

Twitterでモモアズが、耐久配信まだやってるってことに驚き、更には寝落ちたことを今知って荒ぶってるww

 

657:名無しのVTuberさん

モモアズすっかりリンちゃんのお目付け役にw

 

659:名無しのVTuberさん

リンちゃんだけじゃなく他の同期もまとめてて、大変やなw

 

662:名無しのVTuberさん

>>659

草生やしてんじゃねーかw

 

664:名無しのVTuberさん

>>662

オマエモナー

 

667:名無しのVTuberさん

リンちゃん耐久終わったから寝るわぁ

 

669:名無しのVTuberさん

何゙ぃ゙!お゙前゙も゙寝゙る゙ん゙がぁ゙!わ゙じも゙寝゙よ゙ゔ!

 

672:名無しのVTuberさん

ゆっくり休んでクレメンス!

 

2次STARS名誉3期生Aちゃんを語るスレ

 

234:名無しのVTuberさん

まさかただの幼馴染が人気出ようとは、本人もビックリだろうな

 

236:名無しのVTuberさん

最近は絵師や果てには社長もVに参戦しとるし、この界隈は飽きないな

 

239:名無しのVTuberさん

この前Aちゃんがリンちゃんに押し倒されたってマ??

 

242:名無しのVTuberさん

>>239

Http:??!!?????!!!!????!

この切り抜きみてきな

 

245:名無しのVTuberさん

>>242

サンガツ

 

247:名無しのVTuberさん

しっかし、配信切り忘れからのAちゃん声ガッツリ入ったのには正直おでれぇたぞ

 

249:名無しのVTuberさん

3期生初オフコラボの時は一声だけだったけど、あれもインパクトあったが、オフ時のリンちゃんとAちゃんの絡みヤバない???

 

250:名無しのVTuberさん

幼馴染ってだけであんなんなる?リンちゃんメス声出てたやん

 

253:名無しのVTuberさん

ぶっちゃけAちゃんはめちゃくちゃ大人びた子ってイメージだったが、声が子供っぽい、なのに口調は何か大人びてるって、可愛すぎじゃ?

 

255:名無しのVTuberさん

あれでリンちゃんと同い歳って、2人のギャップが凄い

 

256:名無しのVTuberさん

お菓子食べてて食べカス付けたリンちゃんのほっぺ拭いてもらったって本人が嬉しそうに話してた時は、バブみが天元突破しましたね

 

258:名無しのVTuberさん

確かリンちゃんのリアルマッマとパッパ公認の保護者何だよな???

 

262:名無しのVTuberさん

>>258

リンちゃんと遊ぶようになって家に何回か遊びに行ってたら、リアルマッマでも止まらなかったリンちゃんを宥めて大人しくさせた所見られてお願いされたとか(リンちゃん本人談)

 

265:名無しのVTuberさん

>>262

リンちゃんは荒神かなにかなの???

 

267:名無しのVTuberさん

>>265

昔はやんちゃだったって本人言ってから、やんちゃやったんやろ

 

269:名無しのVTuberさん

>>267

昔も何も、今もなんだよなあ……

 

273:名無しのVTuberさん

Aちゃん、どんどん3期生落としてて笑う

 

275:名無しのVTuberさん

ネット弁慶のキルヒちゃん落したって、マ??

 

278:名無しのVTuberさん

何か同じソシャゲやってたの知ってそこから意気投合、Aちゃんゲーム上手いらしいから、色々相談してたらコロッと

 

280:名無しのVTuberさん

キルヒちゃんコミュ症きーつねなのに、Aちゃんとは直ぐに打ち解けてたまに個通してるってよ

 

282:名無しのVTuberさん

キルヒちゃんに嫉妬してAちゃんの家に凸ってきたリンちゃんの話、リアタイでキルヒちゃんが説明してたの聞いたが笑い転げたわw

 

283:名無しのVTuberさん

ちょうどAちゃんと話してた時だよな?w

 

285:名無しのVTuberさん

Twitterで、Aちゃんと話してたら忠犬リン公がリアル凸してAちゃんと私の会話に混ざってきたコン(困惑)

って呟いてて、そこでAちゃんとキルヒちゃんが仲良いのしったわw

 

288:名無しのVTuberさん

???「Aちゃん…私ともお話…」

 

290:名無しのVTuberさん

>>288

ガチロリコンさんは手を引いてもろて…

 

292:名無しのVTuberさん

ローちゃん、ロリが絡むとガチだから……

 

294:名無しのVTuberさん

Aちゃんそんな小さいんか…閃いた

 

296:名無しのVTuberさん

>>294

通報したわ

 

230:名無しのVTuberさん

モモアズはたまにリンちゃんの事で相談してるんやっけ?

 

232:名無しのVTuberさん

2次STARS保護者とリアル保護者の対談がみたい(みたい)

 

235:名無しのVTuberさん

アイゼンくんはたまにAちゃんと対戦してるらしいね、配信はしてないらしいけど

 

237:名無しのVTuberさん

雪女ちゃんはAちゃんにセンシティブな事教えようとしてリンちゃんに怒られてたとかww

 

239:名無しのVTuberさん

普通に話してるけど、Aちゃん3期生との絡みやべーなw

 

243:名無しのVTuberさん

Aちゃんも3期生だし、普通やろ?(混乱)

 

245:名無しのVTuberさん

とりあえずリンちゃんのチャンネル登録100万行くまでは死ねねぇ

 

247:名無しのVTuberさん

Aちゃんのあの発言から、リンちゃんの登録者数増えてて草

 

249:名無しのVTuberさん

こりゃAちゃんとリンちゃんのコラボ待ったなしだな

 

251:名無しのVTuberさん

それまで、止まるんじゃねーぞ……

 

253:名無しのVTuberさん

>>251

何やってんだよ団長!!

 

255:名無しのVTuberさん

>>251

きーぼーのはなー

 

257:名無しのVTuberさん

>>251

オタクくんさぁ……

 




掲示板はいつかリベンジしたい!!情けない作者ですまない。
後半、時系列的にまだ書いてない話もいれてます、そこはおいおい書くので待っとってください

アラバスタさんのことイブラヒムっていうのやめろよ!(リクエスト受付中)


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幼馴染とその同期と遊びに行きまして(前編)

色々ありましてしばらく更新出来ませんでした、申し訳ねぇ…けど、すばうは悪くないよねぇ?
会長、天使公、わためぇの三人が3D化してテンションぶち上ったね、これからも推してくぜ!!



「あーちゃんあーちゃんっ」

「なーによー?」

「同期のみんなで遊ぶ予定なんだけど、来る?」

「……逆に何で私が行くと思うのかしら……?」

「え!?」

 

 

今日も今日とて、小夜の家でのんびりしている私に、突拍子もない発言をかましていく小夜は、エンジン全開といったところだろう。

とりあえず、VTuberの幼馴染が一緒に遊びに行くって、相当おかしくないかしら……。

最近感覚が麻痺しすぎててやばいわこれ。

 

 

「いーい?私は鈴科リンの幼馴染、OK?」

「OK!」

「私はVTuberではない、OK?」

「OK!!」

「故に、私が行く意味は無い、OK?」

「NO!」

「よし、表出なさい」

 

何故そこまで言ってNOと言い張れるのか甚だ疑問だ……。

小夜は断られるとは思っていなかったといった表情を浮かべながらうろたえている。

いや、普通に予測できた事柄ではないだろうか…。

 

 

「でもでも、何だかんだで皆気になってるみたいでね…?良かったらAちゃんもどうかーって…」

「あんたそれ、気ぃ遣われてない…?」

 

 

もしくは保護者の役割として呼んで欲しいとかかしら……?

案外小夜のマネージャーが心配して小夜の引率を…何て、さすがにそれは考えすぎかしらね。

 

どちらにせよ、VTuber同士の集まりに関係……無いとは全く言いきれなくなって来てるけど、幼馴染が混ざるのって、何か、違うというか。

 

 

自分の友達が友達の友達と遊ぶけど、来る?みたいなあれよね、例えるなら……。

ま、私小夜位しか仲いい子居ないから知らないけど。

 

 

「本当に良いのなら、折角のお誘いだし考えなくもないけど…とりあえずもっかい皆に聞いてみなさい、それ次第ね」

「了解!」

 

 

そう言って小夜はスマホで連絡を取り始めたのであった。

はー…それにしてもジメジメするわねぇ…。

小夜のベッドに腰をかけ足をプラプラさせながら暇を持て余す。

今日出された課題は今しがた終えてしまったし、小夜は連絡してるし、うーん…。

あ、ソシャゲの周回やろう。

 

等とのんきにソシャゲを周回を始めてからはや数十分。

 

 

「全員からオッケー出たよっ」

「あー…やっぱりそうなるわよね…」

 

ある程度予測はしていたが、皆さんフットワーク軽々すぎやしないだろうか…。

アイゼンさんはまぁ、ちょくちょくとゲームはやったりするため、仲良くないというわけではないが、他の人達とはそこまで接点がない筈なんだけどなぁ。

んー…でもここまで小夜にさせてやっぱり行かないってのもあれだし…。

 

「はいはい、負けよ負け…仕方ないから御呼ばれされますよ」

「やったぁ!」

「嬉しいのは分かったから小躍りするのやめなさい、見てるこっちが恥ずかしいから」

「酷い!?」

 

 

 

〜それから数日後〜

 

 

 

「あーちゃん行こ!!」

「あーはいはい…分かったから引っ張らないの、まだ私着替えてないでsいや力ホント強いなあんた」

 

 

あれから数日経ち、日曜日。ここ最近じめじめした日が続いたが、今日は晴れ。とても暑くなりそうな一日である…。

ちなみに、集合場所は割と近い所のため、時間にはまだ余裕がある。

おい、まだ私寝巻きだし、今から行っても暇を持て余すだけよ、楽しみなのは分かるがステイ、ステイ。

 

 

「とりあえず、まだ待ち合わせには時間があるから、少し落ち着きなさい」

「でもでもっ、あーちゃん以外の人達と遊びに行くのとか初めてだから!」

「私もだからな??分かった…分かったから引っ張らないの…」

 

 

休日に遊びに連れて行けとせがむ子供かあんたは…。

いまだ寝間着姿でベッドに寝転がっている私の腕をぐいぐい引っ張って起こそうとしてくる小夜を宥めながら起き上がる。

前日にいろいろと用意はしておいたから、顔洗って歯を磨いて着替えればすぐにでも出られるけども…。

とりあえずご飯は食べておきたいわね。

 

 

「私顔洗って歯磨いてくるから、部屋で待ってなさい」

「あいあいさー!」

「調子の良い返事だ事で…」

 

部屋から出て下に降り、顔を洗い、冷蔵庫にあるものを適当に漁って貪りながら部屋に戻る。

と言うか集まって何するんだろう今日…何するか何にも聞いてなかったな私。

 

「戻ったわよ~」

「おかえりーっ、もおあーちゃん、いくら楽とはいえ食パン咥えたまま歩かないっ」

「時短よ時短、胃に入れば問題ないの」

 

残った食パンを食べ終わり、着替え始める。

今日は暑いみたいだし、少し薄着でもいいかしらね…。

パパっと着替え、髪型も少し整え準備を終える。

所要時間わずか20分程度、また世界を縮めてしまったぜ…。

 

「はい、準備終わったわよ」

「それじゃあレッツゴー!」

「はいはいれつごーれつごーって、引っ張るなああああああっ」

 

家から出て鍵をかった瞬間、小夜に手をつながれそのまま引っ張られるようにして連れていかれる。

こうなった小夜はしばらく落ち着かないので、そっとしておこう。

私は小夜を止めることを諦め、そのまま流れに身を任せるように心を無にするのであった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「おっはよ~!!」

「やっと来たわね小y…って、何かAちゃん疲れ切ってない…?」

「ぜーっ…はーっ…お、お構い…なく…っ」

「おはよーアズちゃん!!」

「うわうるさ…っ外だから今日は普通に名前で呼びなさいって言ったわよね??」

「あっ、そうだった!今のなしっ」

「いやもう遅いだろ…」

 

小夜に引っ張られ、すでに開店しているお店を少し見て回る羽目となり、ようやく集合場所へとたどり着いた。

ツカレタ…まだ何もしていないのにすでに疲労困憊である。

何でこの子はこんなにもぴんぴんしているのだろう…。

 

「えっと、おはようございます…?」

「おはよう!ごめんね急に誘ったりして」

「い、いえ…確かに戸惑いはしましたが…えっと、お名前、なんてお呼びすれば…?」

「あぁそっか!あっちの名前しか教えてなかったもんね、じゃあ改めて…私は永瀬楓、よろしくね!」

「俺は小暮修平、改めてよろしくなっ」

「あ、はい、よろしくお願いします…」

 

そう言えば初オフコラボの時は、VTuber名しか知らなかったんだった。

えっと…梓さんが永瀬さんで、アイゼンさんが小暮さん…。

やばい、人の名前と顔一致するか心配になってきたぞ…。

 

「おはようAちゃん…飴いる…?」

「ひえ…っ」

 

二人の名前を憶えていると、後ろから突然話しかけられる。

相手はあのアザミさんである…もう一度言おう、あのアザミさんである…正直どう対応したらいいかわからないのだけど…とりあえず恐る恐る飴を受け取りカバンにしまっておく。

 

「私は立花栞…ぜひ栞って呼んで?」

「は、はい…よろしくお願いします…」

「しおちゃんちょーっと近すぎかな??」

「アッ…アッ…そんなご無体なぁ…」

 

小夜によって立花さんと引き離される。

ふぅ…助かった、でかした小夜。後で何か飲み物をおごってやろう。

 

「栞は少し自重しなさい…あのオフコラボと配信のせいですっかり警戒モードじゃない」

「うふふ、栞ちゃんは性癖を隠すの下手くそだものねぇ~。おはようAちゃん、私は蓮見蓮子、よろしくねぇ。それと、後ろにいるのが」

「ハァ…ハァ…スッー……か、金森…文香…です…」

「よ、よろしくお願いします…」

 

オフコラボであった以来ではあるが…やっぱり配信とオフとのギャップがすごいなこの人。

キルヒさん…改め金森さんは、あの日オフコラボであったときと同じく、蓮見さんの後ろに隠れてこちらの様子をうかがっている。

人見知りとは聞いていたが、どう接していいものか…。

 

 

「あ、えっと…園崎杏子と申します、よろしくお願いします」

「こちらこそっ、さて、全員集まったし、そろそろ行きましょうか」

「は、はい…えっと、何も聞かされてないので、いったい何をするのか分からないんですけど…」

「さ~よ~?あんたろくに説明もしてないの?」

「さ、さぷらぁいず…な、何て…あは、あははは…」

「ただ忘れてただけでしょあんたはっ」

「ご、ごめんなさぁい!?」

 

おぉ…小夜が私以外に注意されている…これは良いものが見れたかもしれない。

でも後で私からも注意しておこう…下手したらやる内容によっては格好がそぐわない場合もあった可能性あるし…。

流石に山登りとかそんな事はないよね???

周りの恰好は普通の格好だから、流石にこれはないか…。

 

「まぁ、と言っても普通に親睦を深めるためにご飯食べたりゲーセンかカラオケ行ったりって感じ何だけどね」

「Aちゃ…じゃなかった、園崎さんはカラオケとか大丈夫か?」

「えぇ、別段苦手とかはないので大丈夫です」

「Aちゃんと個室…何も起きないはずもなく…」

「私たちもいるのよぉ、栞ちゃん?」

「自重しろ…」

 

普通に遊ぶ感じね、なるほど。

とりあえず身構えなくて済みそうだと思ったが、絶対に立花さんの隣には近づかないでおこう、壁役として小夜を置いておけば問題ないだろう、たぶん…。

 

「それじゃあ、先ずは軽く遊んでからご飯食べて、カラオケでも行こうかしらねっ」

「よーしっ、園崎さんガンシューティングやろうぜっ」

「は??私とUFOキャッチャーするんですけど???」

「しおちゃん…それ一人用じゃ…」

「うふふ…人気者ねぇ園崎さん」

「うぇ…あ、はい…あの…耳元で話すのはちょっと…」

 

音もなく背後を取られ耳元で話しかけられる。

小夜にあのASMRの音声を聞かされてからというもの、すっかり耳元で話しかけられるのが苦手になってしまった。

あ、あ、やめてください蓮見さん、貴女の言葉は私に効きまくりです…。

 

そんなこんなでみんなで固まって移動し、ゲーセンで軽く遊んだ。

小暮さんとガンシューティングで遊んだり、みんなでプリクラを撮ったり、立花さんにぬいぐるみをプレゼントされたり、金森さんと蓮見さんと音ゲーに巻き込まれたり、永瀬さんとアーケードゲームで対戦したりなどなど…。

 

小夜としか遊んでこなかったため、こう色々な人と遊ぶのはとても新鮮だ。

普段家に閉じこもってゲームばかりしている自分ではあるが、ゲーセンで遊ぶというのも、なかなかに悪くはない。

とりあえず立花さん、人形そんなに渡されても持ち帰るのとてもきついんですけど…お、押し付けないで、押し付けないでください…。

小夜へるぷ、へるぷ…っ。

 

今回のことで分かったこと、永瀬さん格ゲーが上手い、小暮さんはシューティングがホントに得意、立花さんはUFOキャッチャーがお上手、蓮見さんと金森さんは音ゲーがつよつよ…。

普通に楽しんでしまった…場違いかなと思っていたけど、杞憂で済んでよかった。

まぁ誘われてる身のため、そもそもそんな事を考える必要もなかったのかもしれないが。

所で…何で終始小夜はこちらのことをじっと見ているのだろうか…、何か言いたいことがあるのなら言えば良いものを。

 

 

「くーっ、やっぱ園崎さんゲーム上手いなっ」

「ほんとほんと、まさか格ゲーも上手いなんて」

「あ、ありがとうございます…、普段から家でやってますので」

「お、音ゲーも…上手かった…ふへ…」

「初めてって言っていたけど、そうは見えなかったわねぇ」

「ぐ、ぐぬぬぬ…UFOキャッチャーしか特技がない…」

「あーちゃんはゲームつよつよだからね!」

 

何故そこであんたがどや顔するんだ…。

小夜は私に引っ付いて、後ろでプレイしている所をずっと見ていた。

混ざりたいなら普通に混ざればいいものを…何を遠慮しているのか。

 

「さて、そろそろいい時間だし、ご飯食べに行きましょうか!」

「さんせーい!」

「お腹空いたっ」

「何食べようかしらねぇ」

「わ、私は…何でもおっけー…」

「園崎さんに、あーん…うふふふ…」

 

ひえ…絶対にそんな事はしないしさせないからな…。

私達はゲーセンを後にし、お昼ご飯を食べに行くのであった。



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