名探偵コナンに、ホラー映画in?ネタ (蜜柑ブタ)
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お試し短編  『地獄のモーテル』もどき事件

まずは、『地獄のモーテル』もどき事件発生。


蘭と小五郎が可哀想かも……。


犯人の名前はありません。


 江戸川コナン。本名、工藤新一。本来は高校生である。

 しかし、今は小学生。

 謎の黒い男達の取引を見てしまい口封じにと飲まされた薬で、なぜか子供になってしまったのだ。

 行き場が無く行き倒れていたところを、カーマン家に拾われたのは記憶に新しい。

 

 アロクド・E・カーマン。

 レミディタナ・カーマン。愛称は、レミー。

 

 死体以外は何でも売ってますという、海外から越してきた何でも屋で、二人は養父と養子の関係で血縁関係は無いそうだ。

 40代そこいららしいが、ハッキリ言って40代の肉体じゃないアメコミ並みの筋肉の体に、白髪多い少々老け顔のアロクド。生まれつき銀髪のレミーは、細マッチョで、混血なのか東洋人を思わせる肌色をしている。

 聞くところによると、レミーは、飛び級ですでに大学を卒業しており、日本に越してきても、今更学校に行くのもなんだということで18歳だが学校には行っていない。その代わり店を手伝っている。

 ……正直なぜ客が来るんだ?っと言いたくなるような乱雑したゴミ屋敷にも近い有様な店である。

 しかし、本当に死体以外は置いているらしく、来る客の要望にすぐ応えて売る。

 普通の掘り出し物から、怪しいブツまで……。品は多種にわたる。

 子供の姿にされてしまったところを拾って貰って、しかも住まわせてもらって、怪しまれないよう小学校に行く手続きまで全部してくれたことには感謝してもしきれない。

 物珍しいモノがあるということで噂は、すっかり広まっていて、そこに新一だった頃のガールフレンドである蘭が小五郎と共にやってきてから、うまいこと取り繕ってくれて、蘭との関係を繋げてくれた。

 三流探偵の小五郎を利用する形ではあるが、阿笠博士からもらった変声アイテムで小五郎の声で難事件を解決させるという形で探偵業もしていた。

 そんなこんなで小五郎の名は、眠りの小五郎として警察関係者に頼られるほどにまでなっていった。

 しかし、コナンは、まだ真なる意味での殺人鬼というモノを知らない。

 それは、アロクドもレミーも思っていたことだ。

 

 そして、地獄はある日突然やってくる。

 

 

 山奥にある隠れた名所として知る人ぞ知るお宿に、毛利小五郎一家と、そのついでとしてカーマン家(コナンもいる)が招待された。

 一見するとコテージを思わせる宿泊施設だが、自家製ハム、ベーコン、ソーセージが売りで肉料理が絶品だという。

 宿を経営している主人の男も感じが良く、とても穏やかで接客態度も素晴らしい。

 お土産にいかがですか?っと、試食にハムの切れ端をもらった際に、アロクドとレミーは、ピクッと止まった。

「コナン…。喰うな。」

 レミーがヒソッとコナンに声を掛けた。

「いやー、美味いっすね! こんな美味いハム初めてだ!」

 時すでに遅く、小五郎と蘭がハムを食べていた。その絶品な味に心底驚いており、勧めた主人の男も満面の笑顔だ。

 

 

 夕食には、名物の肉料理がたっぷりと並べられた。

 

 翌朝は、ベーコンエッグで、ベーコンの美味さに小五郎達は驚いていた。

 

 大満足げな宿の主人の男に、昨晩からなにも食べていないアロクド(レミーもコナンも食べてない)が不意に言った。

 

「炭火で丹精込めて焼かれて絶妙なレア具合の臀部のステーキ。脳を丹念にすりつぶして絶妙な塩加減のパテ。舌を長時間煮込んでトロトロになったタンシチュー。切れ端の肉を余すことなく使ったミートパイ。指や骨を長時間煮込んで出したスープ。人肉ベーコン、人肉ハム、人肉ソーセージ…、どれもこれも、おもてなしの心が込められた絶品だ。」

「おお! おおおお! 分かりますか!?」

 宿の主人の男が顔を輝かせて反応した。

 途端、アロクドとレミー以外の者達がギョッとして宿の主人の男を見た。

「私は、人をもてなすのが何よりの幸せなのです! ですから特に料理には最高の材料をと何年も何年も追求に追求を重ねてきました!」

「そして、たどり着いたのが、人肉だったと?」

「そうです! 人間は、クジラと同じで捨てるところがほとんどありません! いやー、天下の毛利小五郎さま御一行様方をおもてなしするため…、選りすぐりの材料を私の手で処理して、丹精込めて調理しました!」

「あ、あんた…、何を言っているのか…分かってるのか!?」

「毛利様、わたくしのおもてなしはいかがだったでしょうか?」

「う…っ!」

「蘭!」

 蘭が堪えきれない吐き気に、その場で吐き戻した。

「まさか…、もてなしの為だけに殺人をやったってのか!?」

「ええ? そうですが? ご満足いただけませんでしたか?」

「できるわきゃねーーーだろうがーーー!!」

「えっ? えっ?」

「小五郎さん、こういうタイプには説教は無駄だ。」

「アロクドさん、あんたは、なぜこの男が犯人だと分かったんだ!?」

「匂いかな?」

「はっ?」

「過去に…、人肉ハムを売りにしていたモーテルあったのを知っている。そこと似た匂いがした。まさかと思って、レミーに倉庫を調べて貰ったら、まあ…出るわ出るわ…、土に埋めた人間に催眠をかけるための玩具みたいな装置と、催眠をかけたら絞めるためのトラクター……、人間の油が染みこんだロープ。主人さん、あんた、この宿を初めてからハムとかを売りにし始めたのはどれくらいだ?」

「えーと、2年ばかりですかね?」

「お土産売り場に置いてあるハムの数からしても…、昨晩出された肉料理の量にしても…、ひとりや二人じゃないのは間違いないだろう。」

「はい、毛利御一行様方のため、最高の部分を余すことなく使うため、5人ほど…。」

 次の瞬間、小五郎が耐えきれなくなり宿の主人の男を殴り飛ばした。

「???」

 男は、なぜ殴られたのか分からないで混乱していた。

 その様子に憤怒の表情を浮かべた小五郎が男の胸ぐらを掴んで、怒鳴りつけようとすると、アロクドが無駄だと言った。

「その男は、あくまでも“最高のおもてなし”のために食を追求した結果、殺人に至ったってタイプだ。罪悪感も糞も無い。説教するだけ無駄だぞ?」

「しかし!」

「あ、あの…、わたくしめのおもてなしがお気に召しませんでしたか?」

 男は殺人に対する罪悪感の欠片もなく、ただただおもてなしが上手くいかなかったことに困惑していただけだった。

 

 

 その後、警察が来て、行方不明者の名簿に載っている人間の所有品が大量に見つかるという事があったりしたのだった。

 また調理場の冷蔵庫と、宿の裏にあるハムなどの製造場を見て、警察があまりの光景に嘔吐するほどであったとか。

 

 

 

 




この殺人鬼の殺人動機は、『最高のおもてなしのため』ですね。
あくまでおもてなしのための食材調達としてしか認識していないため、罪悪感の欠片もない。
コナンにより、有名になった毛利小五郎を最高のおもてなしで満足させたい、ただそれだけだったのです。

肉料理を名物にしてから、どれだけの犠牲者が出たのかは……、ご想像にお任せします。


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『パペットマスター』もどき事件

今回は、筆者が個人的に大好きな作品だった『パペットマスター』。


犯人はおらず、オカルト人形達が少年探偵団に……?


 

「その旅行鞄は開けるなよ?」

 古ぼけた海外製の旅行鞄を買い取ってきてアロクドが、そう言ってまた外出した。

 

「なーんて言われたら、開けたくなるよな?」

「ダメですよ、元太君。」

「古いカバン…。すごい年代ものね。コナン君の家って何でも屋って聞いたけど、こういうのも売ってるんだー?」

「勝手に漁るなよ? ガタクタに見えて大事な商売道具だからな。」

 コナンが通うことになった小学校で同じクラスになった子供達、元太、光彦、歩美が、先ほどアロクドが置いていった古い旅行鞄に興味津々で、台所でレモネード(レミーお手製)をコップに人数分注いできたコナンが注意する。

 なお、レミーは、店の奥で検品をしていた。

「あっ、鍵がかかってるぜ。こんなの誰が買うんだよー?」

 

 ガタッ

 

「ん?」

「元太君、どうしました?」

「今…、カバンが動いたような?」

「気のせいよ。あっ、このレモネード美味しい!」

「レミーの手作りだってよ。」

「レミーさんって、コナン君のお兄さんなんですか?」

「血が繋がってるわけじゃないぜ。」

「あっ、すみません。デリケートな話だったみたいですね…。」

 

 

 ガタガタゴトッ

 

 

「……もう気のせいじゃねぇなぁ?」

「そうですね…。」

「ね…、ねえ、レミーさん、呼んだ方がいいじゃないかなぁ?」

 さすがに、古い旅行鞄がガタゴトと内側から暴れるように動いてたら、もう気のせいじゃない。

「変なことがあっても品には触るなって注意されてんだ。絶対に触るなよ?」

「で、でも…。」

「ねえ…、もしかして何かが閉じ込められてるとかじゃないよね?」

「ど、動物が閉じ込めれてるとか?」

「はたまた人間だったりして? このサイズなら子供とか…だったら?」

「そりゃ、ヤバいぜ! 早く開けてやらねーと!」

「おい、やめろ!」

「あれ?」

 次の瞬間、元太が鞄に手を掛けると簡単に鞄が開いた。

「開いた…。」

「さっきまで鍵かかってたのに?」

「あ、なにか入って…、これ人形?」

 鞄の中には、複数体のデザイン様々な人形が入っていた。

「なーんだ、人形かよー。」

「でも、おかしいですね…。人形が暴れてたわけがないし…。」

「ねえ、見て。鞄の内側! ナイフで切ったみたいになってる!」

「あっ、ホントだ! よく気づいたな歩美!」

「ナイフ…、ってことは、この人形かしら?」

 そう言って歩美が、右手がナイフで、左手がフックになっている黒いコートを纏った白い顔の人形を手にした。

 だが、次の瞬間。

 

 いつの間にか来ていたレミーがその人形を蹴って壁に叩き付けた。

 

「えっ?」

「なっ!?」

「……開けるなって言われなかったか?」

 レミーがハーっと、息を吐いて足を戻す。

「なにするんだよ! いきなり蹴るなんて!」

「あれ。」

 レミーが抗議する三人に先ほど蹴った人形の方を指差す。

 言われてそちらを見た時。

 黒いコートと白い顔の人形がひとりでに立ち上がった。

「あと少し遅かったら、そこの女の子…、首を切られてたぞ。」

「えっ?」

「うわわ! 他の人形が動き出したーー!」

「チッ!」

 六本腕のガンマンが小さな銃を撃ち、元太の胸を狙ったがレミーが手でガードし防いだ。

「っ…。」

 小さな銃だが、弾の威力は本物で穴が空き、血が垂れる。

「レミー!」

「きゃーー! 光彦君!」

 見れば光彦が小さな頭にマッチョな体格の人形が首を絞められていた。コナンが慌てて人形を引き剥がそうとするがパワーが強く剥がせない。

 レミーは、カチッと腰から折りたたみ式ナイフを取り出し、人形の背中を刺してのけぞった瞬間に人形を引き剥がした。

「ゲホッ、ゲホッ…。」

「だいじょうぶか光彦!」

「うわああああ!」

「元太? …っ!」

 見ると、茶色のコートの鉄人のような顔をした人形が、片手にいつの間にか火を灯していた。

 

「ふんっ。」

 

 火炎放射器が発射される直後、アロクドがかかと落としで鉄人人形を潰した。

「……だーれだ? 開けた、悪いガキは?」

 アロクドは、ナイフを装備している黒いコートの人形を猫を摘まむように持っていて、コナン達を見た。

 その後、事情説明をして、人形は、修理した後、別の入れ物に移され封印されたのだった。

 

 不可解な今回の事件についてアロクドは……。

 人形達は、とある人形師が作った生き人形だと説明しただけだった。

 燃料が切れていると思っていたが、燃料が残っていたらしく、それで動いたのだということだった。

 

 

 

 




ドリルの奴とか、ヒルを吐くのとか、ピエロとかもいたけど、燃料切れで動いてないってことにしましょうか……。

パペットマスターはね…、昔のは面白かった…。でも後々の新しいのがイマイチ…。


動く人形に襲われたなんて話、誰も信じないだろうからだいじょうぶでしょう。


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※何でも屋の設定?

自サイトの設定を色々と持って来ただけの設定。


◇カーマン家一覧

・アロクド・E・カーマン。Eは、エディック。40代ぐらい。

・レミディタナ=カーマン。愛称レミー。18歳。

・レミーは、アロクドの養子で、カーマンの姓はアロクドのもの。もとの姓は不明。

 

 

 

 

 

 

 アロクドの経歴、謎(笑)。とある町の外れで“死体以外なら何でも売っています”をうたい文句にした雑貨屋を営んでいること以外は、とにかくすべて謎。

 周辺住人からは変人扱いされて、敬遠されているが、職業不明の怪しい人間達や子供からは人気があった。

 レミーがたまたま店の常連客から聞いた話によると、アロクドのDNA鑑定を何者かがやったところ、北欧(スウェーデン)系のアメリカ人で、ヴァイキングの血を引いているという説が浮上したこともあったらしいが、アロクド自身は自分の出自に興味がなくて、覚えていないと話をふられても適当にはぐらかすため真実は分かっていない。

 

 レミーは、様々な人種の混血らしいが、アロクドに拾われる前の5歳前の記憶が一切無く、本当の両親は不明。

 銀髪ではあるが、東洋人の血が濃いのか、日本人に近い肌色をしている。

 飛び級ですでに大学まで卒業しており、コナン世界では、18歳と高校生年齢だが学校には今更行く気が無い。

 

 アロクドは、性格、強靭な精神力の持ち主で、どんな苦難も笑って乗り越える。

 トマトと蜂蜜が好物(レミーの味覚は間違いなく彼の影響)。

 煙草でも葉巻でもなんでも吸う、超ヘビースモーカー。

 絵本が好き。あらゆる国の絵本を集めていた。

 

 レミーとの関係、養父と養子。

 レミーに幅広い知識を見せ、何も強制せず自由な生き方を教えた。

 互いの呼び方。アロクド→ボウズ、レミー。レミー→アロクド、親父、あんた。

 レミーにとっては、育て親であり、最愛の父であり、永遠に尊敬する師匠。

 

 容姿、レミーと出会った当初から見た目がすでにジジイに見えるほど皺だらけの顔に、白髪が多かった(不精髭も白かった)。背は192センチ(成長し切ったレミーよりは小さい)。

 瞳は、光の加減によっては薄ら緑色が入って見える青。

 アロクドの怪しい知人いわく、レミーは若い頃のアロクドに似ているところがあるらしい(雰囲気が)。

 

 二人の共通点。足癖が悪く、近接攻撃のほとんどは、まずキック。

 

 強さ。とにかく最強。あらゆる知識に精通していて何でもできた。見るからに怪しい幅広い(?)人脈を持つ。

 レミーの記憶に幾つもの伝説(様々なホラー映画の出来事に遭遇しては撥ね退けていた事)を残した。

 あんまりにもアレだったので早い段階でレミーは、アロクドのことをこの世の異常が集まる、異常の震源地と例えてなんか悟りを開いてしまう。

 あと、一緒に仕事してていわゆる裏社会とかやばい業界の大物達の間で、『シャベルを担いだ男(アロクド)と出会ってしまったら、富も誇りも恥も捨てても裸足で逃げろ』という言葉が浸透している。

 また、ホラー映画的なサイコ系殺人鬼やらとの戦いの経験がやたらと豊富で、サイコ系の殺人事件の動機をすぐに見極められるという謎の特技がある。

 

 また、表向きは雑貨屋を営んでいるが実質何でも屋であるため、仕事の都合で他所に単身赴任や出張しに行く場合がある。

 

 

 

 

 




コナンが事件の震源地なら、カーマン家は、映画のような事件の震源地。

カーマン家は、基本最強なのだが、事件に巻き込まれやすいので生傷も多い。

あれ? この設定だと黒の組織も秒殺できる?


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『ペットセメタリー』もどき事件

『ペットセメタリー』もどき事件発生。



原作映画の、死体を生き返らせる呪われた土地については、捏造です。


『ペットセメタリー』の1作目を意識して書きました。


 

 死体以外はなんでも売ります。買います。

 これが、カーマン家が営業する店の方針だ。

「なんで死体はダメなんだ?」

「俺が嫌いだから。」

「そんな理由……?」

 コナンが何気なく聞いたら、アロクドがそう答えたので、コナンは少し呆れた。

「店主が嫌がってるんだから、それでいいだろう?」

 レミーがそう言った。

「処分の話は来ることはあるけど…。」

「しょぶん?」

 なんか物騒な話が出てきた。

「まあ…、この日本でそりゃないだろうがな…。」

「アロクド。それをフラグと言うらしいぞ?」

 プハ~と、葉巻を吹かすアロクドに、レミーが冷静に言った。

 すると、店の電話が鳴った。近くにいたレミーが出る。

「アロクド…。仕事の依頼だ。さっきのフラグが早速立った。」

「あんだって?」

「“生き死体”の処分依頼だ。」

「いきしたい? 死体は扱わないじゃ…。」

「店じゃ売り買いしないってだけだ。死体を作ること、ソレを蘇らせることは、禁止してねーのよ。」

「よみがえらせる~? そんな非科学的な…。」

「ところがどっこい、この世の中には、オカルトが実在するわけなのさ。」

 アロクドは、灰皿に葉巻を潰して消し、仕事の準備を始めた。

「け、けど…。」

「コナン。一般常識って括りで物事を量らない方が良い。そうしないと視野狭くなって、死ぬことになる。」

 準備を終えたレミーがサッカーボールをいくつも入れたネットを担いだ。

「なんで、サッカーボール? まさか…。」

「働かざる者食うべからずだ。」

「っ! 死体を作る手伝いをしろってのか!?」

 先ほどの言葉を思い出したコナンが二人を警戒し睨んだ。

「安心しろ。お前にやらせるつもりはない。ただ…お前の強化シューズのシュートなら、怯ませるぐらいならできるだろうぜ。」

「?」

「相手は……、死体だ。遠慮は要らない。遠慮すれば死ぬ。それだけだ。」

「なっ…。」

「行くぞ。二人とも。時間が惜しい。こうしてる間にも犠牲者が出ている可能性がある。」

「ぎせいしゃ!?」

「この手の依頼にはそれが付き物でな。救いたいなら急ぐぞ。」

「あっ、待っ…。」

「面倒だ。」

「うわっ!」

 コナンが戸惑っていると後ろからレミーに抱え上げられ、そのままランドクルーザーに乗せられた。

 

 

 依頼の場所に行くと、警察の黄色いテープが張られていた。

 夕方の夜になりかけの時間帯の薄暗い中に、警官隊の赤いランプが明るく照らしている。

 

「目暮警部!」

「おや、コナン君じゃないか。それにカーマンのご一家も。ここは危険だ、すまないが…。」

「これは、警察の案件じゃない。」

「はっ? ちょっ、待ちたまえ!」

 赤黒い土の付いたシャベルを担いだアロクドがテープを越えて先に進み、レミーもそれを追いかけた。

 盾を構えた警官隊を押しのけてみると、そこには、出入り口が破壊された民家があった。

 その民家の前に土まみれの大きな犬が、牙を剥いて唸っていた。

 その犬の足下に、犬にかみ殺されたのか、民間人と警察官が首から血を流して倒れていた。

「やれやれ…。この匂い…。間違いないか。」

「いいか、コナン。頭を狙え。」

「これは…?」

「あの犬は、まさに“生き死体”の典型だ。もう以前の犬じゃない。」

「おい、君達危険だぞ!」

「彼らを下がらせろ!」

 目暮警部がそう指示を出した直後、犬が吠えながらアロクドに飛びかかろうとした。

 コナンは、サッカーボールをキック強化シューズで蹴り、犬の頭にサッカーボールを当てた。

 ギャイン!っと鳴いて、アスファルトの上を転がった犬の首を、アロクドが容赦なくシャベルで叩き切った。

「アロクドさん!」

「こうでもしないと、起き上がってくる。コイツはそういう奴だ。」

 その時、民家の中から、小さな人影が飛び出してきた。

 その手にナイフを持つ、土まみれの子供だった。

 殺意に歪んだその顔で、ナイフを手にする姿はまさに異常である。

 アロクドは、突きのような蹴りを子供の腹と胸の間にお見舞いし、転がったところを、先ほどの犬のようにシャベルで首を切った。

「なんてことを!」

「アロクド、あんた…!」

「こうするしかないんだ。これが一番の供養だ。」

 アロクドは、肩をすくめ、シャベルを手放し、両手を挙げた。

 その後、アロクドは、警官隊に連行され、民家の中に警官隊が入ると、住民らしき酷たらしい死体が発見された。

 

 

 連行されたアロクドは、子供の死体を解剖に回せば、理由が分かるだろうと言ったっきり、それ以上は答えなかった。

 子供殺しのレッテルを貼っている目暮警部達は、そのいけ好かない態度に業を煮やすが、間もなく検死結果が来て、その内容を見て驚愕することになる。

 

 

 子供は、死後、3週間以上経過している、という恐ろしくも信じられない内容だった。

 犬の方は、死後1ヶ月程度ほどだと分かった。

 さらに、民家の住民の殺害については、牙の形が犬であること、指紋が子供のモノと一致したという驚愕の内容で……。

 

 つまり、今回の猟奇事件の犯人は、3週間前に死んだ子供と、1ヶ月前に死んだ犬の仕業だったということなのだ。

 さらに調べを進めていくと、3週間以上前に、民家に住んでいた一家の子供が交通事故で死んでおり、葬儀があげられていたらしい。その前には飼っていた犬も交通事故で死んだという話を近所の者達が聞いていたそうだ。

 ところが、ある日を境に、肉と土が腐ったような悪臭があの民家からするようになっており、近所の者達は不気味に思っていたそうだ。

 

「家の中と、死体に付着している土を調べさせて欲しい。そしたら、どこで子供と犬を生き返らせたのか分かる。それまでが仕事だ。」

 

 解放されたアロクドは、目暮警部達にそう頼んだ。

 今回の事件についてどう決着をつけるか警視庁で揉めている目暮警部達は、極秘という形ではあるが、土のサンプルを渡してくれた。

 アロクドは、その成分を調べ、コナンを残してレミーと共にその土地へ向かった。

 後日、土まみれで帰ってきて、誰から受け取ったのか、報酬金を店に納めたのだった。

 

 

 なお、今回の猟奇事件については、犯人不明という形で未解決事件として世間から忘れさせるという結論に、警察上層部は決断したらしい。

 

 

 




この世の中に、未解決事件がどれだけあるんだろう?
そして、オカルトが現実に存在するんだろう?

そんなことを考えながら書きました。

なお、数週間前に死んでいるので、血も固まっています。
なのに動いていたという事実と、犯人がその動く死体だったという事実をもみ消すという決断をせざる終えなかった……っという結末に。


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『タロス・ザ・マミー』もどき事件

筆者にとって印象(軽くトラウマ)になっている、ミイラ映画、『タロス・ザ・マミー』もどき事件発生。


蘭が、タロスの心臓を持っているという捏造設定になっております。


※2020/06/09

ちょい書き加え。


 古代文明は、現在の世界の礎である。

 それゆえに、知っておくほうが良いだろう。

 だが…、現在に古代を伝えるモノを暴いた結果がどうなるか……。

 例えばエジプトのファラオの呪いと言われる謎の死が発掘者達を襲ったように。

 しかし、それでも現在を生きる者達は、古き時代を探求する。

 

 それが…、例え呪いの封印であろうとも。

 

 

 

 近頃、奇妙な殺人事件が起こっていた。

 最初のひとりを皮切りに、内蔵のひとつを引っこ抜かれた状態で発見される連続殺人事件だった。

 犠牲者達の共通点は、内臓を引っこ抜かれている以外は接点はない。

 ただおかしなことに、犠牲者はそれぞれ違った内臓を抜かれていた。

 例えば、腎臓。例えば、肝臓。例えば肺。

 

「こりゃ、アレだな。」

「アレ…だね。」

「あれってなに?」

 コナンが真剣にテレビで放送されている連続殺人事件のニュースを見ていると、後ろの方にいたアロクドとレミーがなんかそう言っていたので、コナンが振り返る。

「コイツだろ。」

「コイツだな…。」

 アロクドは、店のポストに入っていた『未知の封印!? 歴史から消されたタロス王の秘密に迫る祭典』というタイトルのチラシをテーブルに置いた。

「これってエジプト文明の博物館のチラシだろ? まさか…、ミイラが犯人だとか言うなよ?」

「残念だな、コナン。」

 最近、アロクド達の身辺のオカルトさに慣れてきたコナンであるが、非科学的なはずがないという希望をアロクドに速効で壊された。

「タロスって言えば…、親父も発掘を手伝ったって聞いてるが?」

「はあ? そーなのか? けど、このチラシじゃ、最近…。」

「…1回、掘り起こして、埋め直したんだぜ。」

 アロクドは、当時のことを思い出しながらタバコを吸って吐いた。

「なんで?」

「タロス王ってのは、3000年前の当時残虐非道の限りを尽くした闇の王だ。エジプトの王…、ファラオってのは、ラーの化身として象徴される。だがタロスは違った。奴の墓は、復活のためのピラミッドじゃなく、地下に封じ込められた呪いそのものの虎穴だったのさ。発見した当初、タロスが入った棺が天井にぶら下がった底なし穴に、まず探検隊のひとりが落ちた。それでもなんとか棺を引っ張り出したら、今度は発掘隊が一斉に発狂した。俺は、棺を地下に戻して入り口を埋め直して発掘隊本部に虚偽の報告をした。発狂した連中は誰一人正気には戻らなかったぜ。」

「あ、あんたは、だいじょうぶだったのか?」

「気合いだ、気合い。」

「さいですか…。」

 ひとり生き残ったアロクドの持論に、コナンは口元をひくつかせた。

 まあ、なんだ? この男なら呪いもはね除けそうではあるな…っと、これまでのアロクドのことを思い出したコナンはそう思えてしまった。

「けど、掘り起こされた。」

「そうだな~。封印ってのは、いずれは劣化して破れるか、誰かが暴くかするかだ。たぶん、埋め直したタロスを見つけた連中も、事実を隠してはいるがかなりの被害はあったはずだ。タロスは、3000年後に復活するって預言を残してもいるしな。」

「ふっかつ?」

「テレビでもニュースになってるだろ? 近々、惑星直列が起こるってな。そのタイミングこそ、タロスが蘇る時だ。」

「ちょっと待ってくれって。だとしても、近頃起こっている連続殺人事件とどう結びつくんだ?」

「理由は至極簡単だ。殺された人間達は、タロスの臓器を持っている人間だからだ。」

「ミイラってのは、死体保存方法……。蘇りのために壺の中に重要な臓器を納める形を取る…。けど、タロスは違う?」

「そういうことだ、レミー。タロスの臓器は、後生大事に壺には納めて貰えるはずがない。時を経て様々な人間の体に転生した。さっきのニュースじゃ、まだ一番の重要器官である心臓だけは取られてないな。恐らく…、惑星直列の時に奪う算段だろう。」

「…タロスが蘇ると?」

「世界は、闇の王の呪いを受けるだろうな。イヤだろ?」

「けど、タロスの仕業だって証拠は…。」

 コナンが難色を示していると、店の電話が鳴った。

 アロクドが出て、話を聞き、受話器を置いた。

「いくぞ。仕事だ。」

「誰から?」

「秘密。」

「いつの間に?」

「博物館に置かれている棺の中の包帯は、古びの細工をした贋物だ。本物はとっくに動き出して内臓集めに勤しんでるってことだな。」

「どうやって相手をするんだよ?」

「相手は、まだ不完全なうえに、しょせんは死に体だ。この手の呪いに対する対策は古来から伝わっている。あらゆる手段を使って、惑星直列の時までに内臓を揃えなくさせればいい。それだけだ。」

「アロクドは、心臓の持ち主が誰か検討がついてるのか?」

「……コナンの身近な人間だ。女…って言えば分かるか?」

「なっ!?」

 コナンの脳裏に、蘭の顔が浮かんだ。

「なにせ、この手の呪いの関係者ってのは、自覚がないからな。行くぞ。二人とも。」

 

 そして一行は、トラックを走らせ、毛利探偵事務所についた。

 小五郎を訪ねたが、蘭は帰ってきていないと言っていた。

 

「遅かったか…。」

「おい、どうしたんだ?」

 小五郎が怪訝そうに聞く。

「最近起こってる連続殺人事件の最後の標的だ。お宅の娘さんがな。」

「なにー!?」

「急ぐぞ。」

「おい、待てって! どうして蘭なんだ!?」

「説明してる時間は無い。」

 焦る小五郎を置いて、アロクド達はトラックに乗って急いだ。

「レミー、方角は?」

 運転するアロクドが、隣で謎の装置みたいなモノで地図を照らし合わせているレミーに聞いた。

「この道の先の廃工場だ。」

「蘭…、無事でいろよ!」

 コナンは焦る気持ちを抑えつつ歯を食いしばった。

 

 

 人気の無い廃工場の出入り口のところで、蘭を発見した。

 オロオロとしていたので話しかけると、園子が包帯に襲われて工場の中に引っ張り込まれてしまったと泣きそうな顔で言っていた。

「アロクド? 話が違うんじゃ…。」

「違わないな。狙いは間違いなく、蘭ちゃんだ。園子って子と思わせて、こっちを攪乱させるためだろ? タロス…?」

「えっ?」

 

『………貴様…。』

「よ~~、久しぶりだな。王様。」

 

 工場の陰から現れたのは、シワシワに干されたような人間の男だった。

『やはり…、貴様だけは、殺しておくべきだった…。』

「そりゃどーも。けど、対策は取ってんだよ。さっきから蘭ちゃんの後ろに迫ってきている、あんたの洗脳を受けた園子って子が、近づけてないだろ?」

『!?』

「園子!」

「蘭……、タロス様の…心臓…を…。」

 園子は、正気じゃない目でナイフを握りしめ、ブツブツと呟いている。

 振り返った蘭の背中には、御札が貼ってあった。どうやらコレがタロスの呪いをはね除けているらしい。

『おのれぇぇぇぇえええええ!!』

「こいやーーー!!」

 バトル開始。

 不死身のタロスを相手に、アロクドは肉弾戦で応戦しつつ、持てるだけ持って来た呪物を使いまくる。

 やがてタロスは、ミイラのように繭みたいに純白の包帯で全身を巻かれ、その上から大量の御札やら貼られたうえで、十字架をもした剣を何本も串刺しにされ、ドラム缶いっぱいの聖水までぶっかけられて、ギャアアアア!っと悶えた。

「あっ、惑星直列が過ぎた。」

 レミーが時間を見て言った。

「だってよ? ターロスさん? まっ、とりあえず、奪った内臓を引っこ抜いて~、棺に戻して元の場所に埋め直してやるよ。次の惑星直列の時まで、あと数千年後だろうけどさ? その頃には俺もいないし、大人しく待つことだな?」

『ぐ、く…ぅうう…! ひぃぃううううう…。』

 繭状態で顔が見えないが、タロスは、悔しくて、自分を片足で踏みつけているアロクドが怖くて泣いた。

 廃工場内にあった、本物のタロスの古い包帯を回収し、内臓を返したくてもすでに持ち主が死亡しているためアロクドが処分し、どこでどうやって話をつけたのか、タロスを見世物にしていた博物館は、急遽閉館して、アロクド監修のもとタロスの棺は、もとあった場所に埋め直されたのだった。

「…封印はいずれ、劣化するか、誰かが暴くか…。数千年を待たずにまた誰かが掘り起こしたら?」

「……そこまでめんどーは見きれねーなぁ。」

 タロスの洗脳が解けて重い頭痛に苦しむ園子を病院に送ったあと、レミーとアロクドはそんな話をしていた。

「……闇の呪いの王も、泣き出す男か…。」

「ソイツは、サイコーの褒め言葉だな!」

 コナンの言葉に、アロクドは、タバコを吸いながらガハハハ!っと豪快に笑ったのだった。

 

 

 

 

 




悪魔も泣き出す、じゃなく、ミイラも泣き出す男。アロクドさんでした。

タロスがなぜ発掘された後、日本で自分の内蔵探ししていたかというと、映画と違って、日本に自分の内蔵の持ち主達が集中していたためでした。


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『エルム街の悪夢』もどき事件

エルム街の悪夢こと、フレディ・クルーガーによる事件。



筆者は、エルム街は、未視聴です!


でも、『フレディvsジェイソン』は見てます。

それだけなのに…、書くものじゃねーなっと、反省していますが、書きたくなったんです……。


なお、フレディは、過去にアロクドさんに、ボッコボコにされており見たら逃げたくなるほど怖がっています。




それでもOKって方だけどうぞ。







いいですね?


 帝丹小学校生徒、連続怪死事件。

 地元新聞がそう報じている。

 事件は、朝起きたら生徒が死亡したという謎の怪死事件である。

 共通点が、帝丹小学校の生徒ということ以外に共通点が見つからず、だが単なる偶然にしてはあまりにも不自然であるためネット上などの噂では、米花町に奇病が流行っているというトンチンカンなことが流されており、いわれのない中傷があったりするなど、帝丹小学校在学の子を持つ家庭が困っていた。

 

「こりゃ、アレだなぁ…。」

「アレだ。」

「出たよ。アロクドとレミーの知ってるってやつ。」

 もう慣れてきたコナンがあきれ顔で言う。

「お前も他人事じゃないぞ~、コナン。お前も一応今は、帝丹小学校の在学生なんだからな。」

「わーかってるよ。で? 今回はナニ?」

「すっかり忘れられてると思ったけどよぉ。ところで、コナン。変な噂が出回ってないか?」

「あー、変な病気ってアレか?」

「違う違う。例えば、次にその話をしないと自分が殺されるとか…そういう類いの噂だ。」

「なんか学校の怪談みてーだな?」

「近からず遠からずだ。お前のことが心配だから、少しばかり聞き込みでもしようか。」

「仕事でもないのに?」

「営業も必要なのさ、レミー。」

 

 その後、帝丹小学校に行こうと思ったら、元太と光彦が走ってやってきた。

「どうした?」

「あ、歩美が…。」

「えっ!?」

「あー、やっぱり……そっちか。」

 アロクドは、悪い予感が当たったとばかりに頭を押さえた。

 

 そして一行は、歩美の家へ。

 歩美の部屋には、ベットの上でうなされている歩美が眠っていた。

「どうしたんだ? なんか普通じゃない…。」

「ところで、コナンの友達の二人さん。なんか最近怪しいこととかなかったか? なんでもいいから。」

「さ、最近…、俺らの学校で変な噂が流れてんだ…。」

「例えば、全身火傷をした鉤爪の男に夢で殺された無いための、おまじないを教えて欲しければ小遣いを寄越せって感じか?」

「そ、それです!」

「それを歩美が!?」

「アイツは…、子供殺し趣味の輩だからな。メチャクチャ張り切って、それはそれは楽しんで殺して回っていたんだろうぜ。」

「どうするんだ?」

「アイツを引っ張り出す方法はひとつ。アイツに襲われた状態で起きることだ。今からこの子の夢に入って起こす。」

「どうやって!?」

「寝るだけだ。」

 そう言ってアロクドは、歩美が寝ているベットに近づき、両膝をついて頭を歩美の腹の辺りの上に乗せ、そのまま目を閉じた。そして数秒で、ぐぅ…。

 早っ、とコナン達が思っていると。

 数秒後だろうか、歩美のうなされている状態がますます酷くなる。

「歩美! しっかりしろ!」

「起きてください!」

 心配した元太と光彦が必死に声を掛ける。

 やがて……。

 

『うおおおおおお!?』

 

 ドスンッと部屋の端に何かが落ちた音がした。

 そちらを見ると、顔から首にかけて全部焼けた肌をしたしましま模様の服を着ていて、鉤爪を持つ男が首から床に落ちた状態になっていた。

『ちきしょーーー! なんでアンタがいんだよ!? アロクド!』

「……引っ越したんだ。で、お前も引っ越しか? フレディ?」

 起きたアロクドが夢から覚めて泣いている歩美を抱きしめて慰めながら、ジトッとフレディという存在を見た。

「てっきり、忘れられちまってたかと思ったがな? あれっきりまったく噂がないもんでな。……誰かが作った創作怪談が偶然にもお前に似ていたからそれに便乗しただけって口か?」

『そ……そーです…。』

 アロクドが歩美から離れ、フレディを見おろすように立つと、フレディはダラダラと汗をかいて、綺麗に正座。

「……それで? どこの、誰が、お前の噂を流して小遣いを子供からふんだくってんだ?」

『それは…。』

 そしてフレディは、語った。

 聞き終えたアロクドは、フレディの首を掴んだ。

「よし、行くぞ、レミー。」

「うん。」

「アロクド! 犯人の目処が立ったのか!?」

「コナン。今回は、警察がどうのって案件じゃないし、探偵が出る幕でもない。ただの金に困った性根の腐った無職の男が子供の小遣いをふんだくるために噂を流しただけだ。法的には処罰できない。」

「そ、そんなぁ…! 僕らの学校の生徒が何人も死んでるのにですか!?」

「どうしようもない。だから…、コイツに罰してもらうのさ。」

『ウヘヘヘヘヘ……、わかりやした~。この日本にあんたらがいるんなら、俺…、もう悪さしませんから…。』

「ソイツは、何者なんだ? それぐらい…。」

「こいつは、ただの過去の殺人鬼だ。いいか、忘れろ。それが一番だ。何かしらコイツに繋がる話を流してみろ、途端にコイツは力を増す。コイツはそういう奴だ。分かったなら、返事!」

「は、はい!!」

 アロクドの大声に、思わずビシッと背筋を伸ばすコナン達。

「よし、約束だからな? 破ったら……、分かってるな? 良い子にしろよ?」

「はい…。」

 元太と光彦、そして歩美はビクビクだ。

 そしてアロクドは、フレディを引きずって歩美の家から出て行った。レミーもついていった。

 

 

 その後、帝丹小学校に、小遣いを奪う不届き者は姿を消した。

 

 

「で? 結局、どんな罰を与えたんだよ? それぐらい教えてくれよ。」

「悪夢には、悪夢。」

「まさか…?」

「噂を流した張本人も、まさか本当に子供が死ぬとは思ってなかったらしい。だが、今更嘘だとも言えなかった。最近の子供の小遣いの額が美味しいからだ。だから、本物の怪人にお出まししてもらって、思いっきりこわ~~~~~い、思いをしてもらったのさ。殺された子達は、もっと怖かっただろうしな。こーいうのが、殺しても足りないってやつだ。生かさず殺さず…。」

「廃人か…、反省して性根を直して人生をやり直すか…。」

「………ただの死刑の方が良いってこともあるんだな。」

「そーいうこと。」

 アロクドは、タバコに火をつけた。

 

 

 

 

 

 




イメージとしては、漫画『ぬ~べ~』の、てけてけの話だったかな?っをモチーフにしています。

噂を流した男は、ニートで、金に困り、極論で幼い子供から小遣いを奪うために怪談を創作して流しただけです。
まさか、それがフレディ・クルーガーと創作した怪談が似ており、本当に子供が死ぬとは思っておらず、怖々しながらも、小遣い欲しさに噂を消さなかったのです。

その男がその後どうなったかは……、ご想像にお任せします。

アロクドが日本にいると知って、フレディはもう悪さはしません。死ぬより怖い思いをするから……。


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『マラブンタ』もどき事件?

筆者が個人的にトラウマになっているホラー映画?な、事件です。




ちょいグロ?



そして、コレ、コナンネタでやる必要あった?な内容です。




それでもいいよって方だけどうぞ。


 

 近年、都心郊外で白骨化死体が発見されるようになった。

 農家の家畜が骨となり、さらには人骨まで見つかる始末だった。

 現在事件を調べている真っ最中だ。だが犯人はまだ見つかっていない。

 

「こりゃ…、アレだな。」

「アレだ。」

「出たよ、あんたらが知ってるって流れ。」

「犯人が分かるのですか!?」

 

 ちょうどその事件が発生している地域に仕事できていたカーマン家(+コナン)。

 さらに、とんだ巡り合わせで小五郎達まで小旅行で立ち寄っていたときたものだ。

 コナンのおかげですっかり有名になった小五郎が頭を悩ませていると、地域病院に保管された白骨死体の鑑定書類を覗き見たアロクドとレミーが、なにか心当たりがあるように言ったので視線が彼らに集まる。

 するとアロクドは、頭をクシャクシャとかき。言った。

 

「アリだ。」

 

 そう言ったのだ。

 場がシーンッとなる。

「ちょっと待ってください。アリ? アリって…、あの虫のアリですか?」

「そう。アリだ。」

「んなわけーねーでしょーが。」

 さすがの小五郎もソレはないないと手を振った。

「この骨の状態から見ても、白骨化してからそんなには経ってない。だろ? レミー。」

「うん。」

「レミー、分かるの?」

「レミーは、大学じゃ人類考古学を専攻していてな。骨を見ればだいたいのことは分かるほどだ。まあ、俺も分かるがな。」

「骨だけで! でも、アリが犯人だって証拠は…。」

「証拠か…。骨にちっこい歯形が残ってるか、アリの顎の一部が食い込んでるか…。見落としたか? …どうした、レミー?」

「外…。」

 ふとレミーが建物の窓の下を見て、窓を開けて下を指差した。アロクドが見に行くと。

「あちゃー…。」

「なになに?」

「コナン…、あんまし見るな。」

「!?」

 今は小学生として振る舞っているコナンが窓から下を覗き見る。そして絶句した。

 訝しんだ警察官達や、小五郎が窓の方へ行き、そして下を見た。

「う…、うわあああああああああ!!」

 警官の一人が悲鳴を上げ、尻もちをついた。

 

 黒く、大きなアリが、人間の死体に群がっていて、そして指や内臓などをアリ独自の連携で運んで行く光景がそこにあった。

 

「やっぱり、マラブンタか。」

「マラブンタ?」

「肉食性の軍隊アリの一種だ。1時間ちょいほどで人間ぐらいは骨に出来る、外国の亜熱帯の地域のアリなんだが…、たぶん、海外からの輸入品に女王アリが紛れて、この辺りに巣を作ったんだろう。ここいらは、火山があるらしいな? たぶん地下熱でうまいことマラブンタの生育のラインが整ったってのが、今回の事件の原因だろう。」

「加えて、近年の温暖化も影響している?」

「どうだろうな。うまいこと夏の始まりのこの時期に繁殖ができたってだけで、冬になれば冬眠ができないマラブンタは、全滅するかもしれないが……。女王が生き残れば越冬することになるだろう。」

「駆除方法は?」

「女王を一匹残らず潰すしかない。俺が知る限りじゃ、町ごと水に沈めても女王に逃げられたケースがある。そうだな…、まずはアリ塚を探すことが手っ取り早いか。」

「ありづか?」

「要はアリの巣だ。マラブンタは、小山みたいな巨大なアリ塚を作る生態だ。」

 すると、この地域一帯の警察官署長に緊急の連絡が入った。

 なんでも近頃突然現れたとされる小山みたいな物の穴に、子供がはまり、連れの友人の子供が知らせに来たのだとか。

「……生存は絶望的だろう。」

「なっ!? ま、まさか…。」

「中にアリがいないことを祈れ。行くぞ。」

「うん。」

 レミーは、警察官達を押しのけてアリ塚を目指した。

 そして小山みたいなアリ塚を登り、てっぺんにある穴をのぞき込む。

 そして少し遅れてきた警察官や小五郎達が、アロクドに、子供の安否を聞いた。

「……。」

 アロクドは、顔を上げてそちらを見て、首を横に振った。

「生きながらに……、たかられ、喰われた…。」

「ひっ!」

 レミーの独り言を聞いて、蘭が想像して青ざめ、短く悲鳴を上げた。

 アリ塚から降りてきたアロクドは、ヤレヤレといった風に首を捻った。

「中は空っぽだ。骨も残ってない。」

「そんな…!」

 アリ塚にはまった子供の親らしき親が泣き崩れた。

「言っておく。これ以上の被害が出ないようにしたければ、すぐに遠くへ避難することだ。アリ駆除の仕事なら請け負ってもいい。どうする?」

 そう言ってアロクドは、騒ぎを聞いてやってきた町長に聞いた。

 

 

 

 その後、アロクドが破格の安価な値段で請け負い、この地域からマラブンタを駆除したのだった。

 駆除方法については、企業秘密だと、黙秘していた。

 

 

 

 




『マラブンタ』は、生きながらにアリに喰われていく映像がトラウマになっています。
そして、思い出すと全身かゆくなるんですが、何故だろう?


ちなみに、映画では最後に生き残った女王アリが群れと共に出てきて終わっています。


確か…、マラブンタは、映画の架空のアリだったっけ?


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『ミート・オブ・ザ・デッド+ザ・クレイジーズ』もどき事件

もはや、コナンでやる必要性すら全くない。



『ミート・オブ・ザ・デッド』と、『ザ・クレイジーズ』同時事件。




『ミート・オブ・ザ・デッド』は、狂牛病っぽいゾンビかな?
割と最近ぐらいに見たゾンビ映画だったが、よく分からんかった記憶がある。
なんか人体がやけに柔らかげだった。


『ザ・クレイジーズ』は、昔の古い映画だけど、リメイクされて新しくもなっている細菌パニック物。
個人的に発狂したおばあちゃんがにこやかな顔で滅菌装備をした軍人を毛糸針で刺したのがトラウマ。


どっちが面白かったかって言ったら、『ザ・クレイジーズ』かな?
筆者的には。





 

 ゾンビ。

 それは、ネクロマンシー(死霊魔術)にルーツを持つ、生きた死体という矛盾した存在を示す。

 大元のゾンビは、ネクロマンシーの技法で死体を支配して操るものであるが、最近の架空の映画などにより、人を食うことと、噛まれるとゾンビになるなどの新たな要素が付与されていった。

 

 ゾンビに限らず、中国のキョンシーなど、古今東西様々な形で生きる死体という共通した物は存在する。だがすべて実在しないというのが普通だ。

 

 最近の架空の作品に描かれ、有名となったゾンビであるが。

 

 だが実在したらどうだろう?

 

 もしもである。

 

 多くの場合、ゾンビを題材にした作品は、世界が滅びるほどの大惨事になっていることが多々あるが……。

 

 まあ、小規模でのゾンビというのもあるにはあるのだ。

 

 その小規模ゾンビパニックに巻き込まれた時……、どう対応するか…、それは人それぞれだろう。

 

 

 

 

 ドッ!と首から上が地面に転がる。

「ふーい…、とりあえずこれで最後か? 誰も噛まれてないよな?」

「だいじょうぶだ。」

「…あんたらの場慣れ具合も慣れてきたぜ。」

 コナンは冷静沈着な、カーマン親子を見ながら呆れていた。

「しかし、どーなってんだ?」

 汗と土汚れまみれの小五郎が、アロクドが倒したゾンビを見つめる。

「何が起こってるんすかね?」

「……病気の類だと思うけどな。」

「びょうきー? こんな病気があるんすか?」

「噛まれて感染するなら病気の類いか、呪いの類いと考えられるが……、さっきレミーが牛に襲われたって言ってたから、牛が感染源って可能性があるな。」

「牛ゾンビ?」

「人間がゾンビになるのに、他の動物がならないってのはおかしな話だ。」

「そーっすね…。」

 想像した小五郎が顔色を悪くした。

「信じられない…。ゾンビが実在するなんて…、映画や漫画の世界だと思ってた。」

「人間の想像する範囲でのことは実在する可能性がある。」

「あっ、これレミーの持論な。」

「なんか…説得力あるな。」

 レミーが言うことは妙な説得力があり、すんなり頭に入って来るのでコナンはずっと不思議に思ってた。

「まー、とにかく明るいうちに車で脱出だ。暗くなったら逃げにくくなる。」

「そうですね。蘭、立てるか?」

「うん。だいじょうぶよ。コナン君もはぐれないでね。」

「分かってるよ。」

 こうして一行は、駐車場に止めてある車に急いだ。

 その道中に生き残りの村人を見つけて保護して一緒に脱出を目指した。

 しかし……。

 

「キャハハハ!」

 

 急に保護した村人の娘が発狂した。

 更に、離れた場所で炎に包まれながら祈るように死んでいく村人の男とを見つけたりもした。

「あー…、これは…。」

「アロクド、知ってるのか?」

「なるほど…、事件は二つ同時にか。」

「なんだなんだ!? なんに起こってるんです!?」

「細菌兵器だ。」

「へ…。」

「これと同じ症状を出す兵器を知っている。まさかまだあったとはな…。」

「なんですかソレって…?」

「水に混じって飲んだ人間を発狂させる細菌兵器だ。そういえば、この村の近隣に墜落事故があったらしいな。たぶん、それだ。」

「み、水だって!? それじゃあ、我々も…。」

「事故が本当なら村の出入り口も周辺も、もう封鎖されているはずだ。軍にワクチンがあるから、そこまで行くのに発狂しないことを祈るしかない。」

「発狂したら…?」

「終わりだ。」

「そんな!!」

 あんまりなことだとアロクドとレミー以外が驚愕した。

「とにかく発狂するしないに関わらず、急いだ方が良い。最悪一掃作戦なんて出られたら命がヤバいからな。」

「なんで…あんたそんな冷静に…。」

「別に好き好んで冷静でいるわけじゃない。いそ…、っ。」

「あんた! なにを!」

 持っていたナタでアロクドに斬りかかろうとした村人の男が、泣き笑いの顔で震えていた。

「あ、あああ、あんた分かってたんじゃないのか…? もしかしてこの村をメチャクチャになることを知ってて…、ああああ、あんたが悪いんだ! あああああああああああああ!!」

「ダメだったか…。」

「ち、ちくしょう! なんてこった!」

 アロクドは、肩をすくめ、小五郎は悔しさをにじませた。

 発狂した男が襲ってきたためレミーがハイキックをかまし、更に暴徒と化した発狂集団も来たため、発狂してない者達で頑張って切り抜け村の外を包囲しているであろう軍を探した。

 

 結局、無事な村人はおらず、発狂の予兆が蘭に見られ始めた時、防菌装備をした軍に接触でき、アロクドが謎の交渉をして保護してもらいワクチンを貰うことが出来た。

 そしてすぐに蘭に与えられ、奇跡的に後遺症も無く蘭は助かった。

 

 今回のことは決して公になることも無く、あまりに現実味がなかったため、人に話しても信じて貰える話でもなく、巻き込まれた者達は、各々の心や記憶の中に封印しておくしかなかった。

 

 

 

「ところで、発狂させる細菌兵器をなんで知ってたんだ?」

「取り扱ったことあるからな。」

「へっ?」

「うちの店で。」

「!?」

「コナン、あまり詮索しない方が良い。うちはそういう店だ。」

 ギョッとして固まるコナンの肩を、レミーがポンッと叩いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




蘭はね、主人公ヒロイン補正ですね。無事だったのは。
『ザ・クレイジーズ』じゃ、ヒロインらしき人も漏れなく狂ってましたけど。


なお、このネタでは、ゾンビと細菌兵器は無関係で、偶然同じ場所で起こってしまったことです。
滅菌ついでにゾンビも駆除されました。


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