藤丸立香は間違った青春ラブコメに巻き込まれる (小説大工の源三)
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プロローグ

ここはカルデア。

人理を守る……いや守ったと言うべきか。守った一人のマスターとそのサーヴァント達が住まう施設。

そこには一人の青年と少女二人の前には小さな少女が居た。

 

「さて人理は守られここしばらくは何者かが手出しさえしなければ平和が続くようだね。そこでなんだけど君たち二人共学校に行ってみたらどうだい?」

 

「オレはかまわないけどマシュは?」

 

「私も大丈夫です」

 

「なら決定だね。藤丸君が住んでたところは……千葉県の千葉市に住んでるんだね。……ならそこから近い総武高校に行ったらどうだい?もし行くならでマシュも行くことも出来るけど」

 

「私も問題ありません。むしろ先輩と学校生活を送ってみたいです」

 

「よし、なら家だね。住所はここだから衣類の準備をしておいて。それと一応二人は高校一年生から学校生活をおくってもらうからね。時期は春休み、覚えておいてね」

 

二人は自室へ向かい荷物をまとめた。

 

─────────────────────────

 

「それじゃあそこの扉を開いたら藤丸君の住む家の中に出る。それでもう一度開くとカルデアに出れるからね。ちなみに家のモチーフはエミヤくんがもともと住んでいた所だよ。所々改造してるけどね☆」

 

「わかったよダ・ヴィンチちゃん」

 

「それではまた会いに来ますね」

 

「うん、では楽しい学園生活を!」

 

彼等は扉を開け新しい生活の第一歩を踏み出した。

 

「ここがオレとマシュの新しい家か……」

 

「はい。冷蔵庫や机など生活に必要なものはダ・ヴィンチさんやエミヤ先輩方が用意していたので問題ありません」

 

「今は春休みだから食料品や衣類とかを揃えておかないとね」

 

「お金は?」

 

「今まで集めたQPを日本円にダ・ヴィンチちゃんが換金してくれたからだいぶある」

 

「それでは出発しましょう!」

 

─────────────────────────

 

「結構買ったね」

 

「重くはないですが持ちづらいです」

 

人理修復の過程やレオニダス一世達のお陰で立香は常人より筋肉や体力は多くマシュにいたっては元デミ・サーヴァントでギャラハットが彼女の身体からいなくなったあとオルテナウスをつけて戦っていたので立香よりも身体スペックは更に高い。

すると机の上に男女の制服が置いてあり間には一枚のメモがあった。

 

「ダ・ヴィンチちゃんからだ。なになに?」

 

『二人の総武高校の制服を用意しておいたよ。ちなみにカルデアにある魔術礼装の効果の中でも、使用してもあまり違和感のないものが使えるから、いざというときに使ってくれたまえ』

 

「これなら何かあっても大丈夫だね」

 

「使う機会がないといいですが……」

 

「それはそうだね……ん?裏にも書いてある」

 

『サーヴァントもこちらにくるから、その事を覚えておいてくれ。一応何か問題を起こしたら即霊基保管室送り(短くて1ヶ月)になることは伝えてあるから心配しないでほしい。』

 

「エミヤとかブーディカさんの二人はとかはちゃんとしてそうだけど……」

 

「一部の方々はいろいろやらかしそうですね……」

 

 

二人はこの後食事などを済ませ。来週の入学式に備えた。

 

─────────────────────────

 

入学式当日

オレ達は制服に着替えてカバンを持ち、玄関で確認を済ませる。

 

「忘れ物はないね」

 

「それでは行きましょう!」

 

因みにマシュはわくわくしていた。何故なら大好きな彼と一緒に学園生活を遅れることに、心を踊らせていたのだ。

 

「マシュ、これからオレのことは先輩じゃなくて名前で呼んでほしい。同じ学年で先輩はおかしいって言われてややこしくなるから」

 

「はいわかりました……り、立香さん///」

 

思いの外グッと来て、オレは胸を抑える。

 

「立香さん!?」

 

「待ってマシュ、可愛い過ぎるから!」

 

そんなこんなイチャイチャしてしばらくして落ち着きこれからの計画をたてていると後ろからドン!と鈍い音がしたので振り向くと男子生徒が車の前で疼くまっていて近くには犬が一匹走り去って行った。

 

「マシュ救急車!オレは彼を診てくる!」

 

「わかりました!」

 

オレは男子生徒の所まで走ると、彼は既に気絶していた。

好都合だ。早速制服の三重治療を発動、彼の自然治癒能力を早めた。

車のドアが閉まる音がしたので顔を見上げると、マシュと同じ制服を来た生徒が立っていた。おそらくこの車の同乗者だろう。

 

「あの……貴方は?」

 

「オレは藤丸立香。君はもしかしなくても車に乗っていた人?」

 

「ええ、も、もしかして彼が私の乗っていた車にぶつかってしまった人……」

 

マルタやメルトに似た声で震える様に訪ねる。

 

「ああ、ただ状況はある程度把握してる。犬が一匹彼の近くから走り去って行ったから、多分犬を助ける為に飛び出したんだと思う。息はあるから安心して」

 

少女は少し安堵したのか。ホッとしたような表情になる。

 

「そうなの……良かった……私が車で登校したせいで死人を出したかと思うと……」

 

すると救急車のサイレンが聞こえて来た。

オレ達は入学式よりも彼の安否が心配なので救急車に同乗し病院へ向かった。

その際に一緒に救急車に乗った彼女の名前を聞いたところ、雪ノ下雪乃という名前らしい。

 

─────────────────────────

 

「知らない天井だ……」

 

俺は確かアホな飼い主がリードを離したせいで道路に飛び出した犬を抱えてそのまま車に飛ばされて……その後の記憶がない。あと足が当たったはずなのだかあまり痛くない代わりにすごく身体が重い。あれ?もしかして実は俺ものすごい身体の持ち主なんじゃね……?

とか考えていると凛とした声が聞こえた。

 

「目が覚めたのね、今ナースコールを押すわ」

 

俺は何がなんだかわからない。

更にふんわりとした男の声と先ほどとは別の凛とした声が聞こえた。

 

「良かった……無事、目が覚めたみたいだね……」

 

「あの身体に何か違和感とかありますか?」

 

「えっと……身体が重いのと右足が吊られていること以外は特に」

 

「なら本当に良かった。後遺症とかあったら怖いからね」

 

なんか男の方はリア充っぽいやつだな。

 

「あの……どちら様でしょうか……」

 

「オレは藤丸立香」

 

「私はマシュ・キリエライトです」

 

「私は雪ノ下雪乃、貴方を跳ねてしまった車に乗っていたのよ……」

 

「えっと比企谷八幡です」

 

「八幡か。改めて目が覚めて良かったよ」

 

いきなり名前で呼ばれ俺は反応に困る。

 

「あれ?名前で呼ぶの嫌だった?」

 

「あ、いやただ名前で呼ばれ慣れてないから……そのままでかまわない……」

 

「そっかならこのまま名前で呼ばせてもらうね」

 

「あのそろそろ私の用件を話したいのだけれど」

 

後ろの黒髪ロングの人が話したそうなのだが。

 

「それでは私達は外に出て待ってます」

 

「終わったら教えて」

 

えっ、女子と二人っきり!?

待って中に……いや事故のことだろうか。

ならあまり関係者以外はいない方がいいのかもしれないな。

 

「それであのあなたのことを跳ねた車に乗っていたのだけれど、その……」

 

「あー、いや謝らなくていいぞ。そもそも俺が飛び出したんだからな」

 

「それでも……」

 

なかなか引き下がらないな……

 

「わかった……謝罪は受け取るそれと多分雪ノ下の家はデカイんだろ?なら入院費だけ受け取るだけでいい、だからこれで終いでいいか?」

 

「ええ、あなたがそれでいいのならそうするけど……それと退院は一週間後よ。それでは二人を呼んでくるわね」

 

雪ノ下は心の荷が下りたのか少し軽やかな足どりで扉へ向かった。

ん?退院一週間後?

早くね?

 

─────────────────────────

 

「あの……終わったわ」

 

「わかった。君はどうするの?」

 

「このまま帰ろうと思うのだけれど」

 

「そうか、オレ達も帰ろうか」

 

「はい」




二人は何の知らせもなく突然テストを受け総武高校の合格点を余裕で越えている。
藤丸が二位マシュが三位(バベッジやエジソン、なぎこにモリアーティ達が居ればこうなると思う)。ただ国語は八幡に負けている。

カルデア総武高校礼装
ダ・ヴィンチちゃんが過保護サーヴァントにもしものために作らせた礼装。
スキル

緊急回避、三重治療、イシスの雨、瞬間強化の4つ。

もしかしたら追加するかもしれない。


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登校初日

入学式の日の事故の翌日、オレとマシュは職員室で自分のクラスを教えてもらい担任と共に向かう。

クラスは1-Fだった。八幡も同じなので少し安心した。知り合いがほとんどいないので不安もあった。

 

「俺はこのクラスの担任の野村だ。よろしくな。それじゃあお前達には自己紹介をしてもらうぞ」

 

どうやら最初は自己紹介をするようだ。

入学式の時は軽い顔合わせだけだったようでまだクラスメイトのことは詳しく知らない状態らしい。

 

「それじゃ出席番号の一番からだな」

 

順番通り自己紹介をしていく。そしてオレの番になる。

 

「次は藤丸だな」

 

「はい。オレは藤丸立香、趣味は読書やゲーム、運動もある程度。一年間よろしくお願いします」

 

普通とか言うなよ……あまり慣れてないんだ。マシュは留学生ということもあり人だかりが出来ていた。

そこの男子、鼻の下伸ばすな。

それからはすぐに時間が過ぎていき、もう下校時間になり、オレとマシュは雪乃を玄関で待つ。

ものの数分で小走りで雪乃がこちらにやってくる。

 

「ごめんなさい待たせてしまったかしら」

 

「大丈夫、そんなことないよ」

 

「ではエミヤ先輩が迎えに来ているので行きましょうか」

 

ここから総武総合病院はかなり離れているのでバスを使うのだが、今日はエミヤに来てもらっているのですぐに行ける。

 

「えみや先輩?」

 

そういえば雪乃には迎えに来ることは話してはいたけど、どんな人物かは言ってなかったな。

 

「えっとオレとマシュが向こうに研修に行ってる所の先輩。白髪褐色の人だけど、れっきとした日本人だから安心して」

 

「わかったわ」

 

校門を出るとシルバーの車の近くにエミヤがいた。

 

「む、来たかマ……リツカ、マシュ。それとそこのお嬢さんが」

 

「うん、前に説明した雪ノ下雪乃」

 

「雪ノ下雪乃です。今日はよろしくお願いしますエミヤさん」

 

「こちらこそよろしく」

 

車に乗り込み八幡が入院している病院に向かう最中エミヤが念話で話しかけてきた。

 

『マスター、彼に魔術を使ったのか?』

 

『うん。気絶してたから』

 

『そうか、本来ならば注意するべきなんだろうが今回は許す。次からは自分かマシュに使いたまえ』

 

『はーい』

 

そんなこんな話してるうちに総武総合病院に到着、それぞれ荷物を持って病室に向かう。エミヤが紙袋を持っていたので中身を聞くと、『栄養食だ特にカルシウムなど骨にいいものをな』と言った。さすがカルデアのオカンだなぁ。

途中ピンクがかった茶髪の総武高女子とすれ違ったりした。

『808号』と番号が当てられている病室の扉を開くと、そこにはアルトリア達と似たようなアホ毛が立っている中学生位の少女が八幡の寝るベッドにいた。

 

「えっと……皆さん、どちら様ですか?もしかしてお兄ちゃんの言ってたお見舞いに来てくれた人ですか?」

 

沖田さんに結構似てるな……

 

「そうだよ。オレは藤丸立香、こっちがマシュ・キリエライト、それから保護者のエミヤ」

 

「私は雪ノ下雪乃です」

 

「えっと……わたしは比企谷小町です」

 

どうやら八幡の妹らしい。アホ毛がそっくりだ。

 

「突然大人数ですまない。小町くん、これを君のお兄さんに」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

小町ちゃんが、差し出された紙袋を受け取り備え付けの冷蔵庫にしまう。

 

「皆さんお兄ちゃんの為にありがとうございます」

 

するともぞもぞと布団が動き、むくりと八幡が起き上がる。

 

「……んぅ?藤丸達か?」

 

「おはよ八幡、といってももうこんにちはの時間だけどね」

 

「おう……」

 

まだ眠そうだ。

 

「八幡さん、クラスですが私と立香さんと同じF組です」

 

「わかった、教えてくれてサンキュ」

 

「比企谷くん、そのこれを……」

 

雪乃が紙袋をテーブルの上に置く。紙袋をよく見ると有名菓子店の物だった。

あっさり出してくる辺りお嬢様なんだな……

 

「それとあの時あなたに言われた通り家族と話し合ったわ」

 

「それでどうだったんだ?」

 

「私の思い違いだったわ……」

 

「そらそうだ」

 

オレ達にはわからないが、事故当日の時に二人で話したのかな?それで仲良くなってるなら、とても良いことだ。

それからしばらく時間まで他愛もない話をして、オレ達は病院を出た。

雪乃は家の車が迎えに来ていたのでその場で別れ、オレ達はエミヤが送ってくれた。

 

「とりあえず、保護者として私が選ばれた。これからは私が親の代わりになるからそのつもりで」

 

エミヤがこっち側に残るのか、向こうにいるアルトリアズは大丈夫なのだろうか」

 

「駄々をこねたのでご飯を作らないと言ったら大人しくなったぞ。それと声に出てる」

 

「うぇ!?マジ?」

 

「気をつけてたまえ」

 

「うん」

 

その後、風呂に入って、歯をみがいて寝た。

あと少しで八幡も退院するし、来週の学校が楽しみだな~

 

 



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奉仕部設立!

一週間が経ち、八幡も退院して学校に登校してきた。最初は彼の周りに人だかりが出来ていたが次第に人も少なくなっていた。お見舞いに行った時にわかったのだが、彼はマンドリカルド気質──つまりボッチだったのだ。その為うまく会話に繋がらない、というより避けていたようだ。

 

「疲れた……」

 

「お疲れ八幡、転校生かって勢いだね」

 

「ああ……マッカン飲みたい……」

 

「あのゲロ甘コーヒー?飲み過ぎたら糖尿病になるよ……」

 

「うるせえ……俺の血液はマッカンで出来てるんだよ」

 

「もう手遅れだった……」

 

それから授業を受ける。カルデアで勉強したのでほとんど片手間に解けるのだが、数学の時八幡が爆睡していたのを見て驚いた。

 

「ふわぁ……もう昼休みか……?」

 

「八幡……数学の時間に寝ないでよ」

 

「全くわからないから眠くなるんだよ」

 

「今度教えようか?」

 

「いつか頼む」

 

もう昼休みなので、いつもの静かな場所で昼食を食べに向かう。八幡も誘う、マシュは雪乃を呼びに行っている。

 

「おお……ここはいいな、人もほとんどいないし静かな場所だ」

 

「でしょ?騒がしいのには慣れてるけど、さすがにあれは騒がしかったからね……」

 

「そうですね……カルデア(向こう)の皆さんも賑やかでしたけど、ここほどではありませんでしたから」

 

「あなた達はどこで研修したのかしら……」

 

「「雪山」」

 

「「ええ」」

 

それからエミヤ&マシュ特製弁当を食べ終える。海風がとても心地よい。

 

「比企谷君、藤丸君、キリエライトさん、あなた達に相談があるの」

 

突然雪乃がオレ達に頭を下げる。それにオレ達は驚いて目を見開く。

 

「とりあえず頭を上げろ雪ノ下。それで頼みってなんだ?」

 

「実は部活を設立したいのよ」

 

「部活、ですか?一体どんな活動なのでしょうか」

 

「名前は《奉仕部》、活動内容は『飢えた人に魚を与えるのではなく釣りかたを教える』といった自立を促すものよ」

 

なるほど、あげるのではなく方法をという訳か。自立を促すには良い方法だ。

 

「いいんじゃないのか?で、顧問は?」

 

「平塚先生よ」

 

「生徒指導の先生か……」

 

頼光さん、荒れてないかな……顔を出さないとカルデアが吹き飛びかねない。

オレはカルデアの無事を隅に追いやり、奉仕部の話に意識を戻す。

 

「オレは賛成するけど」

 

「私も少し興味があります」

 

「まぁ力になれるならな……」

 

「八幡それは賛成で良いの?」

 

「おう」

 

「ありがとう三人共。今日の放課後一緒に職員室に来てちょうだい」

 

─────────────────────────

 

『キーンコーンカーンコーン』と放課後を告げるチャイムが鳴る。

 

「八幡、マシュ職員室一緒に行こう」

 

「ああ……」

 

「はい!」

 

教室を出ると雪乃と偶然遭遇、彼女とも行く事になった。道中話していると彼女は《ディスティニーランド》のキャラクターである《パンダのパンさん》が好きらしかった。すごいギャップを感じた。

八幡はやはりサブカルチャー方面で話があった。

よく考えるとここのメンバーすごい幅が広いな。

オレは英霊のみんなの理解を深める為に伝承の本を沢山読んだ。

マシュはシャーロック・ホームズ、八幡はサブカルチャー、雪乃はパンさんと広い。

 

 

「マシュさんはシャーロック・ホームズが好きなのね」

 

「はい、こちらに留学する前に一番読んだシリーズなので」

 

「今度、パンさんの原本読むかしら?」

 

「いいんですか?お願いします!」

 

マシュが雪乃と名前で呼び会うほど打ち解けた事に頬が緩む。

職員室に着いて平塚先生を雪乃が呼び、奉仕部の顧問になるようお願いする。

 

「なるほどな……わかった、さすがに四人だと部活とは認められないが同好会として校長にお願いしてみるよ」

 

「「「「ありがとうございます」」」」

 

─────────────────────────

 

次の日、奉仕同好会として認められ活動場所──部室の場所に案内され依頼が来るまで何をするかも決めた。

私物も色々持ち込んで良いみたいだ。

 

「ねえ八幡、秘密基地ぽくって少しワクワクしてきた」

 

「だな、しかも平塚先生はジャンプを読んでいるとみた」

 

「とにかくここに置くものを決めないといけないわね」

 

「本や参考書は当たり前として、何を置きましょうか」

 

「私、紅茶をここで飲みたいのだけれど。ティーカップやポットはどうかしら?勿論みんなにも淹れるわ」

 

紅茶か、エミヤも淹れていてオレも人理修復の時にたまにもらってたな。美味しかった。

おっとエミヤや他人と比較するのはいけないな。彼女の紅茶が貰えるならそれは楽しみだ。

 

「いいんじゃないのか?」

 

最初に賛成したのが意外にも八幡だった。

 

「そうですね。紅茶は私も好きですし」

 

当然オレも賛成なので、紅茶セットが置かれることが決まった。他にお茶菓子なども置かれることとなり。奉仕同好会のポスターを描くこととなったのだが、それは刑部姫(オッキー)に頼もうと思いオレ達に任させてもらった。

カルデアに帰り、彼女に頼むと二つ返事で了承してくれた。因みに同じ場に居合わせた黒髭(ティーチ)も描いてくれたのだが、あまりにもアウト(R18)だったので却下&お仕置きされた。

そしてまた次の日刑部姫に描いてもらったポスターを見せると雪乃はとても感心した様子で喜んでいた。

紹介して欲しいと言われた時は焦ったが今しばらくは忙しいと誤魔化した(実際にこれから同人誌を描くと引きこもったので後日清姫(嘘発見器)に燃やされることはなかった)。というか雪乃から清姫と似た雰囲気を感じたのは気のせいなのだろうか?

ヤンデレ属性が知り合いに現れたなんてやめてくれ。今度エミヤに対処方法を教えてもらおう。

『私に聞くのはやめてくれないかマスター……』なんて言われそうだが、エミヤの生前なぞ知らない立香だった

どこかで赤い弓兵が寒気を感じたのは本人とその周りのカルデアキッチン組だけだった。




個人的にチェーンメールとサキサキの依頼を書きたい。
シャーロキアンのマシュちゃんが探偵衣装を着て捜査して欲しい


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初依頼は……とんでも暗黒物質(ダークマター)!?





 

立香side

 

奉仕部もとい奉仕同好会が出来てから一週間が経過した。中々依頼が来なかったのだが、今日初めて依頼があると雪乃から連絡が来た。

奉仕同好会に依頼するには設置したボックスに依頼の内容が書いた紙を投函、それを雪乃や同好会メンバーが確認する。それを平塚先生に報告して放課後来るように伝えてもらうとのこと。

部活の範疇を越える物なら平塚先生に協力を得ることにする。

ということになっている。

 

「初依頼どんなものなんだろうな」

 

「そうだな……案外下らないものだったりして?」

 

「それは雪乃さんが拒否すると思います……」

 

「だよね~」

 

放課後になり特別棟の部室に向かう。

扉を開けるとすでに雪乃が紅茶を淹れて飲んでいた。残り3つのカップに湯気が立っていたのでオレ達の分も淹れられていた。

 

「うーす」

 

「こんちは」

 

「こんにちは」

 

「いらっしゃい」

 

「初依頼だね~雪乃、どんな依頼内容なの?」

 

「これよ」

 

雪乃から一枚のメモを受けとる。

何々?『お礼したい人にクッキーを作って渡したいので作り方を教えてください 由比ヶ浜結衣』ってこれは……友達に聞けばいいんじゃ……いやいや、まだまともに友達が出来る時期じゃないな。オレ達が特殊なだけだ。IT'S special!

というか店売りのでもいいんじゃないのかな?

そう思ったのだが、彼女なりに誠意を伝えたいのかと思うと納得した。

そして誰かが扉をノックする。

 

「どうぞ」

 

「し、失礼します……」

 

入って来たのは桃色がかった茶髪を頭のてっぺん辺りで団子にした女子生徒だった。緊張してるのか、依頼人用の椅子にちょこんと座ると目をキョロキョロさせる。

どこかで会ったことがある気がするが今は彼女の依頼を達成するとしよう。

 

「貴女が由比ヶ浜さんね」

 

「はい……」

 

「クッキーの作り方を教えてください!」

 

「わかったわ。家庭科室はすでに貸し出し許可も出てるから早速行きましょう」

 

「てか雪ノ下、俺はどうしたらいいんだ?」

 

「味見をして貰うわ」

 

「了解。で藤丸とキリエライトは?」

 

「今回は味見に回るよ。マシュは?」

 

「私は手伝います」

 

─────────────────────────

 

マシュside

 

由比ヶ浜さんの依頼、『クッキーの作り方を教える』が始まりました。

それで、始まったのですが……一時間経って出来たクッキーは……真っ黒に染まったナニカでした。

 

「わぁ……エリちゃんのあれクラスかも……」

 

エリザベートさんのは辛い(それでも激辛)だけでしたが、これは……苦いですね。それはもう見てるだけでも苦く感じます。どうして料理音痴の人たちはこうも味のステータスが一つに偏るのでしょうか。

 

「とりあえず比企谷くん、味見をお願い」

 

「待て雪ノ下、これは味見ではなく毒味と言うんだ」

 

「毒味って酷い!毒なんか……ない……よ……」

 

作った本人ですらこれです。相当ヤバいのでは?

 

「とりあえずオレからいく。仮にこれが毒だとしても、オレ毒効かない体質なんだよね」

 

「待て藤丸お前それはフラグだ」

 

立香さんが暗黒物質(ダークマター)を口に入れました。そして倒れました。

 

倒れました?

 

「立香さん!?」

 

「口の中ジャリジャリして一部ねちょねちょしてる……グフゥ」

 

「藤丸、お前の犠牲は忘れない……」

 

「比企谷くん合掌してる場合じゃない!」

 

「とりあえず藤丸くんはマシュさんに任せましょう」

 

そしてさらに一時間して少しまともなクッキーが出来たようでした。

 

「う、ううん……ここは?」

 

「立香さん、目が覚めたんですね」

 

「マシュの顔が近いってことは……膝枕されてる?」

 

「はい」

 

「だからか、マシュの顔が近いのは……よいしょ」

 

立香さんが起き上がり、くぐっと背筋を伸ばす。

 

「クッキーはどうなった?」

 

「先ほどよりはまともなのが出来ました」

 

「どれどれ……?おお……これなら渡しても大丈夫だね」

 

「ホント!?それゃあまた今日家で作るね」

 

そして私達は調理器具を片付け、由比ヶ浜さんの依頼を達成しました。

 

─────────────────────────

立香side

 

次の日の部活

 

「やっはろー!」

 

勢いよく扉を開けたのは、昨日の依頼人である由比ヶ浜結衣だった。

 

「由比ヶ浜さん少し静かに開けてちょうだい、あとノック」

 

「ご、ごめんなさい……それと比企谷くんに用事があります。その……これを……」

 

顔を染ながら渡したのは、袋に入った少し不恰好なクッキーだった。

なるほど渡したい人は八幡だった訳か。

 

「なんで俺なんだ」

 

「入学式の日サブレ助けてくれたでしょ?その飼い主があたしなんだ……本当は直ぐにお礼に行って謝りたかったんだけど。その怖くて……」

 

「そうか……」

 

「サブレを助けてくれてありがとう!あたしの不注意でリードを離して事故に合わせてごめんなさい」

 

「わかった……それと一つ聞きたい」

 

「うん」

 

「サブレに怪我はないのか?」

 

「うん、比企谷くんのお陰で一つもないよ」

 

八幡がクッキーの入った袋を受けとる。

そこで雪乃が口を開いた。

 

「由比ヶ浜さんその日の車に乗っていたの私なの……ごめんなさい。あなたの家族を危険な目にあわせてしまって」

 

「ううん!雪ノ下さんは悪くないよ!人の登校方法は人それぞれだから」

 

「そう……ありがとう」

 

「それとあたしもこの同好会に入っていいかな?」

 

「ええ、歓迎するわ」

 

今日同好会に新しいメンバーが増え、奉仕同好会から、奉仕部になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ガハマちゃんの性格が原作と違う理由
まだ三浦と出会ってない+入学式からそれほど日が経っていない+染まりやすいガハマちゃん→この時期だとまだ何も染まってない→つまりまだ受験時期のストイックガハマちゃんのまま?


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あれから一年

ダイジェストだ!


立香side

 

あれから一年が経過した。

基本活動に朝のゴミ拾いや、荷物運びの手伝いなどを行い。ちょっとした依頼をこなした。

で、一年を振り返っての作文を書くこととなった。

まぁ無難なものを書いたから呼ばれる心配はないはずだけど。ただ不満として空き缶などのゴミをまたポイ捨てするのはやめて欲しい。

毎回オレ達が清掃しているとは言え、毎度毎度捨てるのは腹立つ。

八幡なんかは「なんで捨てれるんですかね?俺の目よりそいつらの心の方が汚いと思うんだが?」なんて自虐しながらイラついてた。

変わったことと言えば部員が全員名前で呼ぶことになったな。

最初は八幡も渋ってたけど、呼び慣れたのか今では普通に名前で呼んでる。

ただ結衣がみんなのことをアダ名で呼んでる(ネーミングセンスはお察しの通り)。

それからみんなで出掛けてたら、雪乃の姉である陽乃さんと知り合いになって、雪ノ下家に行ったりした。その時偶々ジャックとナーサリーがこっちに来てて、一緒に言ったんだけど、ジャックが陽乃さんのことを「おかあさん?……違った」って言って驚いたなぁ……その後彼女がジャックを『わたしの娘にする!いいでしょ?藤丸くん』って言い出した時には雪乃の口が開きぱっなしだった。

ちなみにオレのことを『おかあさん』と呼ぶ理由は『元々孤児で母親代わりになって接していたら定着した』と誤魔化した。

それと八幡達に妙に親近感を覚えるようになった。

結衣が鈴鹿御前で雪乃はメルト、八幡がマンドリカルド(マイフレンド)って感じで。

 

 

─────────────────────────

 

そして放課後になり新年度初めての部活だ。

クラスはマシュと同じのままだったけど、八幡と結衣が別になった。

 

「八幡とクラスが別になって少し寂しいね~」

 

「そうですね」

 

オレは八幡と結衣を呼びに2年F組に向かう。

扉を開け二人を呼ぶ。

 

「八幡、結衣、部活行こう」

 

すると机に突っ伏していた八幡がムクリと顔をあげる。

結衣は八幡の近くに行こうとしていたのかすぐにこちらに来た。

 

「もうそんな時間か……」

 

「リッカやっはろー」

 

「やっはろー。八幡また寝てたの?」

 

「今日はなんもねぇからな」

 

「ハッチーてば数学の時間寝てるもん」

 

「前はわからなくて寝てたが、今はわかりすぎて寝てる」

 

「結局寝るんだ……」

 

「雪乃さんが知ったら呆れそうですね」

 

やれやれと頭に手を当てている彼女の姿が容易に想像できる。

 

その後部活もほとんど依頼も無く、勉強して談笑して、去年とも変わらない日常を過ごした。

この時のオレはまだわからなかった、二年生になってからこの青春が大きく変わっていくことを。

 




ガイルの中の人がFate系列にも出てるの結構いますよね~


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新年度初依頼と乱入者

春も終わりに近づき少し暑さが顔を出してきた頃、オレ達は八幡が見つけたベストプレイスで昼食を食べる。

弁当はエミヤが作ってくれた……と思うじゃん?(槍バカ)実はマシュが作ってくれたものだ。念願の恋人弁当!お世辞抜きに美味しい。オレの好みの味つけだし、見た目も綺麗だ。

八幡達とおかず交換したりする。八幡も去年の秋頃から自分で弁当作るようになったらしいし。

 

「リッカのお弁当やっぱり綺麗!」

 

「でしょ?マシュが作ってくれるからね~」

 

「同じ家に住んでるんだもんな」

 

「はい、雪山での研修で日本には家もないので、立春さんの家に同棲してますし、エミヤさんにも教わってます」

 

「いいなぁ~恋人と同棲なんてライちゃん羨まし~」

 

「雪山での研修が気になるけれど、とても苦労してきたのは火を見るより明らかね。二人が信じ合ってるのがわかるもの」

 

「そう?それなら嬉しいや」

 

「あたしえみやさんとは一回しか会ったことないけどどんな人なの?」

 

その質問にオレはカルデアでのエミヤのことを説明する。男なのにオカンと家事スキルが天元突破してること、それでいて強くて頼れるお兄さんだということ。

 

「あれか?執事(バトラー)なのか?その人」

 

「オレは家政婦だと思ってるけど」

 

するとジャージを着た、アストルフォ系統である彩加がこちらに来る。

 

「結衣ちゃん?」

 

「あれ?さいちゃん?やっはろー!」

 

「うん、やっはろー」

 

「彩加、久しぶり」

 

「彩加さんお久しぶりです」

 

戸塚彩加、去年オレ達と同じクラスでテニス部所属。

最初は女子生徒かと思ったのだが、アストルフォと同じ気配を感じ念のため聞くと男子生徒だった。たまにテニスをする仲でもある。

 

「テニスの練習してたの?」

 

「うん。藤丸くんも知ってる通りうち弱いからね。練習しないといけないし」

 

「また時間が合ったらテニスやろう」

 

「そうだね」

 

ふと一つ考えた。彩加のテニス練習手伝えないかと。ここにはオールマイティーで観察眼を持つ八幡、ほぼ熟練者の雪乃、元デミ鯖であふマシュがいる。

 

「ねぇ雪乃、彩加の練習手伝えないかな?」

 

「戸塚くんがそれを望むならだけれど……」

 

そうだよね~

テニスコートに戻る彩加を見送り、いつ時間が空くか考える。

 

「なぁ立香、うちに女子テニあったか?」

 

「ハッチー、さいちゃんは男子だよ」

 

「えっ……嘘だ、嘘だと言ってよバーニー!」

 

「ところがどっこい嘘じゃありません!」

 

「一条かてめぇ!」

 

「八幡も現実を見なさい……」

 

やれやれと何時もの仕草で呆れる雪乃だった。

 

─────────────────────────

 

放課後、一つの依頼が入った。内容と依頼主は彩加だった。内容も『テニスの練習を手伝って欲しい。自分が強くなれれば他の部員もやる気をだしてくれるかもしれないから』とのことだった。翌日の昼休みにテニスコートの使用許可を取り、メールで彩加を呼び、練習の準備の為にラケットとボールも借りる。

最初、練習メニューを考えることにしたのだが雪乃の考えるメニューはかなり鬼畜だったので却下することになる。(レオニダスブートキャンプを経験したオレとマシュには慣れたもので、そこまで鬼畜に感じられなかったが)

カルデアに戻りメニューを考えるのを手伝ってもらったのだがあまりにも鬼畜過ぎるのでエミヤが考えたもので実行する。

 

「行くよ彩加!」

 

「うん!」

 

オレはサーブを勢いよく放つ。3割ほどの力で打つ、本気でやったら彩加が絶対に取れない。マシュしか取れないと思う。

そのサーブを打ち返すのだ、正直な性格故か返した先が読まれやすい。彼も修正しようとしてるのだが染み付いたものは中々直せない。

しばらくラリーを続けそろそろ彩加の体力が限界に近いのでボールをキャッチして止める。

 

「彩加ー休憩!」

 

「はーい!」

 

休憩時間にはメニューの再確認、蜂蜜レモンなどの塩分&水分補給。世間話などの会話でストレス軽減。

 

「藤丸くん体力すごいね息切れもまったくしてないし」

 

「本当こいつ体力化物だろ」

 

「失敬な、オレは人間だぞ」

 

10分の休憩も終わり次は反復横跳びのように、左右に移動しながら打ち返す練習をする。

 

「結衣さん私飲み物を買って来るのだけれど何かいるかしら?」

 

「うーんお茶お願いハッチーは?」

 

「俺もお茶で、ほれ」

 

「いえ、お茶くらいいいわ」

 

「俺は養われる気はあっても施しを受けるつもりはない」

 

「何が違うんですか……」

 

雪乃が飲み物を買いに校舎へ戻る。

すると彩加が無理に動き過ぎたのか体制を崩し勢いよく転ぶ。

 

「彩加!?大丈夫?」

 

「うん……少し擦りむいただけだから。続けよう」

 

「いや、やめた方がいい。無理にやっても意味はないからな」

 

「私、救急箱取って来ます」

 

「マシュお願い」

 

マシュが駆け足(それなりに速いが)で校舎に戻る。

それから少しするとコートの外から声が聞こえる。

 

「あーテニスしてんじゃん。あーしらも遊んでいいしょ?」

 

「み、三浦さん……僕らは遊んでるんじゃなくて練習を……」

 

「聞こえないんですけど?」

 

少しイライラする(ネロやエリちゃん等もわがままだがまだ保護者などがいるので別)が、穏便に済ませたいのでこちらが使っている理由を話す。

 

 

「彩加は遊んでいるんじゃなくて練習で使ってるんだ」

 

「でも、あんたらも使ってんじゃん」

 

「でももくそもねぇよ俺達は許可取ってここ使ってるんだ。使いたいなら許可取れ」

 

座っていた八幡がこちらに来て反論する。

 

「はぁ?あんたらが許可取ってるなら使わせてくれてもいいじゃん」

 

オレはさすがに強く言わないと調子に乗ってさらに威圧してくると思い、語気を強くして注意しようと息を吸い込んだところで、そばにいたおそらくグループのリーダーであろう人物が口を開く。

 

「まあまあ、そんな喧嘩腰にならないでさ、みんなでやった方が楽しいだろう?」

 

「んなこと許される訳ないだろうが」

 

すると、何か思い着いたのか、金髪はあり得ない提案を持ちかける。

 

「ならさ、こういうのはどうだい?テニスで勝負して勝った方がコートを使うってことで」

 

するとわらわらと人が多集まる。それで目の前の金髪の名前を思い出す。

葉山隼人、総武高校のリア充グループのリーダーでサッカー部所属。女子人気も高いカリスマ的存在。

だがオレは彼よりもすごいカリスマを見てきた。獅子王(アルトリア)征服王(イスカンダル)賢王(ギルガメッシュ)、等の英雄達のカリスマに比べれば恐るるに足りない。正直に言ってゴミだ、この程度のカリスマは比較するのも烏滸がましい。

 

「葉山君テニスするの?」

 

「ああ、そこの彼等とね」

 

「頑張ってね!」

 

なるほどな、こうやって周囲の人を同調させて少数派を諦めさせる作戦か。

だが甘い!八幡が飲むMAXコーヒーよりも甘い!

オレはその程度で怯むほど弱くはない!

まぁ正直言って2対1でも勝てるけど。一般人の弾速なんて英霊達のスピードに比べれば遅い。

だが勝負して彼等にコートを勝手に使わせてとばっちりが来るのは、面倒臭い。

 

「却下も却下、ド却下だ。なんでオレ達に利益のない勝負をしなきゃいけないんだ」

 

「なに?負けるのが怖いんだw」

 

「別にそう捉えても構わないけど。とにかく使いたいなら許可を取って来てくれ」

 

すると、雪乃が校舎からお茶を持って戻って来た。

 

「どうしたのかしら?」

 

「雪乃、実は……」

 

オレは雪乃がいなかった間にあったことを話す。

 

「はぁ……葉山くんはまたやったのね」

 

「雪乃ちゃん……」

 

「名前で呼ばないでちょうだい」

 

「ごめん雪ノ下さん」

 

「立香さーん!すいません、保健室に先生がいなかったので時間が……どういう状況ですか?」

 

オレは雪乃に説明と同じ説明をする。

 

「なんというか自分勝手ですね」

 

「ホントだよ」

 

「それと私も一言言って来ます」

 

マシュも葉山達の所へ向かう。

その後言い負かされたのか葉山達は校舎に戻って行った。

 

「ようやく帰ったか」

 

「彩加の手当て終わったよ」

 

「藤丸くんありがとう」

 

「どういたしまして。これからも頑張ってね」

 

 




ぐだ男がぐだ男してない気がする。
まあ葉山のカリスマ(笑)に比べて英霊達のカリスマには当たり前のように敵いませんし足下にも及ばないよね(笑)
八幡はぐだ男と友達になっていてリア充に立ち向かう勇気が少しあります。
ぐだ男は無意識に無差別に人を惹き付ける魅力もありますし。


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真実はいつもひとつ!名探偵マシュ!

捕捉説明
ぐだマシュのクラスはB組です。


立香side

 

葉山達が校舎に帰ったあと、彩加の手当て(婦長直伝の)も終わり。片付けを始める。

 

「しかし立香、お前よくうちのクラス女王に反抗したな」

 

「八幡もしてたじゃん」

 

「途中から怯んじまったんだよ……」

 

「でも優美子になんか言おうとしたらみんな怯んじゃって何も言えないんだよね……だけどリッカは涼しげにしてたし」

 

「まあ雪山での経験が生きたってことかな?」

 

彼女以上に恐ろしい存在と威圧に立ち会ったことがあるから何も怖くなかった。

ほら?ビーストや異聞帯の神と違って命は取られないしさ?怯む必要もないし。

 

「あなた達はどんな経験してきたのよ……」

 

 

 

 

先日のテニスコート乱入からしばらく経ち、中間試験が迫って来た。

オレとマシュは成績に然したる問題はないし、不安ならばカルデアに戻りそれぞれのプロフェッショナルに教えを乞えばいい。

たまにスパルタになるけれどそこは愛嬌ということで。

 

「うーテストが近づいて来た~」

 

部室の長机にうなだれる結衣。金銭管理は得意なのだが、やはり勉強が未だに苦手のようだ。

それに彼女、去年の中間テストで大赤字ならぬ大赤点取っていたので、雪乃のスパルタとマシュの英霊直伝の教育により成績がぐんぐん伸びていった。八幡も理数系がズタボロなのでオレが教え学年上位に食い込むほどになったが。

 

「また勉強会しましょう」

 

「そうですね。わからない所を教えると自分にもメリットがありますから」

 

「んでやるとして場所はサイゼか?」

 

「そだね、ドリンクバーもあるし」

 

明日の放課後、勉強会をすることとなった。

帰りに彩加と会いその事を伝えると彼も参加することになった。

 

翌日の放課後、サイゼリアにて。

待ち合わせ場所に来たのだが早く着きすぎたようで誰もいなかった。

 

「早く着きすぎましたね」

 

「まぁ、すぐに来るでしょ」

 

オレの言う通り数分後に八幡達も到着してサイゼの席を取り勉強会をする。

八幡は耳にイヤホンを着けて音楽を聴きながらしている。

結衣は参考書とにらめっこしていて頑張っている。

50分ほど勉強して10分の休憩に入る。

 

「飲み物取って来るけど何がいい?」

 

「あたしオレンジ」

 

「コーヒー+練乳」

 

「病気になるわよ……紅茶で」

 

「僕はぶどう」

 

「私も一緒に行きます」

 

オレはグラス3つにマグカップ2つを取りそれぞれの飲み物を淹れる。

 

「お待たせ~」

 

それぞれに渡して行く。

 

「どう?」

 

「ここの応用が難しいよぉ……」

 

「ここね……ここはこの公式を変形させて」

 

「なるほど~ありがとうゆきのん」

 

すると沖田さんに似た声がこちらにやって来る。小町ちゃんと見知らぬ男子だった。

 

「お兄ちゃん?それに立香さん達も」

 

「どうした小町、それととなりの男は誰だ場合によっては命はない」

 

しまった八幡のカストル(シスコン)属性が発動した!しかもフォーク握ってるし!

 

「ストップ八幡!」

 

オレは八幡の右手を叩く(本来ならば薬中拳(バリツ)で止めたかったが)。その衝撃で手からフォークがこぼれ落ちる。右手を抑えて悶絶しているが物騒なことをしかけた人は無視です。

 

「八幡の妹さん?初めまして戸塚彩加です」

 

「えっと小町です。お兄ちゃんあの人可愛いね」

 

「……そうだな、男だけど」

 

「んなアホな失礼だよ~」

 

「あの、僕、男の子です……」

 

そう言いながら恥じらう彼はそこら辺の女子より女子だった。オレは視線を小町ちゃんのとなりにいる彼に移し名前を聞く。

 

「それで君の名前は?」

 

「自分川崎大志って言います比企谷さんとは同じ塾に通ってます」

 

「お兄ちゃん実は相談したいことが大志くんのお姉ちゃんのことなんだ」

 

お姉ちゃん?

 

「もしかして君のお姉ちゃんって沙希って名前?」

 

「はい」

 

「黒のr「八幡それ以上はダメ」へぶっ!」

 

八幡が何か言ってはならぬことを言いそうだったのでビンタ(本来ならばry)をかます。

 

「それで相談内容は?」

 

「実は……」

 

内容を要約すると川崎沙希の帰りが遅くしかも朝の5時というもはや朝である。

理由を聞いても関係ないの一言で済まされてしまう。

なんでそうなってしまったのか、そしてもし何か出来るなら手伝いたいとのこと。

するといつの間にか探偵衣装に着替えていたマシュが立っていた。

 

「このマシュ・キリエライト川崎大志くんの相談、解決させてもらいます!」

 

─────────────────────────

マシュside

 

川崎沙希さんの朝帰りの理由を突き止める相談をされました。私は彼の悩みを解決したいと思った。

シャーロキアンなので雰囲気作りに探偵衣装へと着替える。

 

「このマシュ・キリエライト川崎大志くんの相談、解決させてもらいます!」

 

「マシュいさんつの間に……」

 

驚いている雪乃さんは置いておいて、一つずつ質問をする。

 

「いつからですか?」

 

「えっと今年の4月からです」

 

「家で何か変わったことは?」

 

「自分が塾に通うことになったくらいです」

 

なるほど……

 

「朝帰りの理由って何なのかな?バイトにしては遅すぎるし……」

 

「深夜バイトの可能性もあるが……そんな話を聞いた覚えもない」

 

「というかご両親何も言わないの?普通は心配して聞くと思うし」

 

「両親共働きだし下に弟と妹もいるのであまりうるさく言えないんです。時間も時間で滅多に顔も合わせないし……」

 

「家の事情かぁ……どこにでもあるんだね……それに共働きともなるとあまり贅沢は出来ないよね……」

 

立香さんも少し暗い雰囲気になるる。

 

「はい……それに変なところから……姉ちゃん宛に電話が来るんですよ」

 

「変なところ?どこかしら」

 

「エンジェルなんとかっていう店です……しかも店長から……」

 

「そんな変な所かな?」

 

彩加さんはそう思わないのか首を傾げる。

 

「だ、だってエンジェルっすよ!?絶対ヤバい店ですって!」

 

「エンジェルだけで……ダンボール○機の神○重工じゃあるまいし……」

 

ダン○ール戦機?おっといけませんそれは後です。

 

「とにかく、働いている店の特定が先ね。朝方まで働いているのは不味いわ。なんとしてでも辞めさせないと」

 

「でもゆきのん、今の店を辞めさせてもまた別の店で働き始めちゃうよ?」

 

「ハブとマングースですね」

 

「いたちごっこかな?(なんでそんな言い方なんだろう……)

 

八幡さんが呆れています。そして悲しい表情まで……まるで可哀想な物を見るように。

 

「そうね……理由も明らかにしないと根本的解決にはならないわ」

 

「だとしても俺達だと限度があるぞ。一旦平塚先生に報告するのが先だろ」

 

「それが先だね……」

 

こうして大志くんの相談を受けることになりました。

 

「エミヤ~ただいま~」

 

「エミヤ先輩ただいま戻りました」

 

『KARUDEA』と書かれたエプロンを来たエミヤ先輩が出迎えてくれます。

 

「二人共お帰り、ご飯は出来ている。それとジャックやアステリオス達も来てる早く用意したまえ」

 

「「はーい」」

 

今日はジャックさん達が来ていた見たいです。

私と立香さんはカバンを部屋にしまって制服から私服に着替えて、リビングでご飯を食べます。今日のご飯は回鍋肉です。

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

マスター(おかあさん)、マシュ今日の学校はどうだった?」

 

「そうだな~特にああテスト勉強をしたね」

 

「あら?マスターやマシュは必要なのかしら?」

 

「わからない所を人に教えることも勉強になりますから」

 

「そうなのね!今度(ありす)にも教えて欲しいわ!」

 

「おかあさん!わたし達も!」

 

「ますたぁ、ぼくも!」

 

「そうだね、今度バベッジ達と一緒にお勉強しよっか」

 

「「「わーい!」」」

 

見てて癒されますかわいいです皆さん。その相手して笑っている立香さんがとても。

私は心の中で合掌します。

食事も終わり立香さんと皿洗いします。ジャックさん達も手伝ってくれたので早く終わりました。

 

「そうだエミヤ実はさ──」

 

立香さんは大志くんのお姉さんのことを話しました。

少し悩み何かを思い付いたのかハッとしました。

 

「ふむ……リツカ、奨学金という物がある、それを彼の姉に話してみてはどうだ」

 

「奨学金か~そういう手があったね」

 

「奨学金?」

 

「奨学金っていうのはね──」

 

立香さんに教えて貰いました。

 

「それなら川崎さんのお金の問題もなんとかなりそうですね」

 

「うん」

 

─────────────────────────

 

立香side

 

今日の放課後部室で川崎沙希がどこでバイトしているか、そしてそれの解決策を相談する。

 

「それで川崎さんのバイト先だけれど」

 

「目星はついてる」

 

「ハッチーホント!」

 

「ああ、といっても2つの内から1つに絞っただけだ」

 

八幡流石!

八幡はスマホの画面に店の名前を表示する。

 

「メイド喫茶かバーか……」

 

「ならバーですね」

 

「ならバーに行きましょう」

 

それなら大人がいないといけないが、手の空いてる大人なんて……エミヤに頼んでみるか。

 

「エミヤに電話してみる」

 

オレはスマホを家にかける。2コールで出る。

 

「もしもしエミヤ?」

 

『なんだねリツカ』

 

「実は昨日話した彼女の件なんだけどさ、バーで働いているみたいでさ」

 

『なるほど、そこで大人の私の出番という訳か』

 

「うん、お願い出来る?」

 

『……わかった、なんとかしよう。リツカは何かバーに合った服を着てくれ』

 

「わかったよろしく」

 

オレは電話を切る。

 

「OKだよ」

 

「それじゃあ一旦家に帰って着替えないと」

 

「ええ、結衣さんはドレスとか持っているかしら?」

 

「持ってないや……」

 

「なら私の家に来てちょうだいドレス貸してあげるわ」

 

「ありがとうゆきのん!」

 

「八幡は?」

 

「親父のスーツ拝借するわ」

 

「わかった」

 

「それでバイトを辞めても大丈夫なようにするにはなんだけど、奨学金制度を提案してみるのはどうかな?」

 

「しょーがくきん?」

 

「成績優秀者の学費をある程度免除してもらう制度よ。でもなぜ?」

 

「おそらく川崎は大志の塾費ではなく自分の学費を稼ごうとしてるんだろう」

 

各々着替える為に解散することとなった。

ちなみに大志くんには今、彼女がバイトに出ていることと彼の塾費が支払われていることに彼女の成績は確認済みだ。

家に帰り、オレとマシュは魔術礼装MOON.LIGHTLOSTROOMを着る。

エミヤはというとロイヤルブランドを着ていた。

エミヤに車でバーの所まで送ってもらう。

 

「エミヤすごい様になってるね」

 

「君達こそ似合っているよ、どこかのダンスパーティーにでも行ったらどうだ?」

 

「ありがと、そんな体験いつ来ることやら」

 

「すぐにでも出来そうですけどね」

 

……ネロやマリーとかが開きそうだね……

 

「二人とも早いね」

 

結衣達も着いたみたいだ。

 

「えっとエミヤさん今日はお願いします」

 

「こちらこそエスコートさせてもらうよ」

 

すると結衣がオレとマシュの腕を引っ張り小声で何か言う。

 

「エミヤさんかっこよすぎない!?」

 

「エミヤは頼りになるしかっこいいよ?」

 

何か噛み合ってないみたいだが、今は川崎沙希に奨学金制度の提案をしにいく。

エレベーターで『エンジェルラダー』の階まで上る。

 

「八幡、キョロキョロしないで。余計怪しまれるわ」

 

「お、おう……しかし居心地悪ぃな……」

 

「馴れるしかないさどうせ今日限りだ。なに楽しめばいい」

 

「エミヤさん達は馴れているみたいですけど」

 

「オレ達は、まぁそういう所に行く経験があるからね……」

 

そう言いながら新宿特異点でのことを思い出すが余り思い出したくない。好き好んで女装したことを思い出すなんて嫌だからだ。

 

「立香さん大丈夫ですか?」

 

「うん、ちょっと新宿でのね」

 

「あれですか……」

 

そしてついにエンジェルラダーに入店する。沙希さんは何処にいるか捜すとすぐに見つかる。

カウンター前にいた。グラスを拭いていて彼女の大人の雰囲気がよりわかりやすく出ている。

 

「ここに居たのね川崎さん」

 

「あんたは確か雪ノ下」

 

「こんばんは……」

 

「で、なにしに来たの?」

 

「バイトを辞める気はないか提案しに来た」

 

「なら答えは『NO』だよ」

 

「じゃあバイトしなくても学費が確保出来ても?」

 

すると動きが一瞬止まる。

 

「そんなの……あるわけないでしょ」

 

「いえ、あります」

 

するとエミヤが注文をする。

 

「すまないジンジャーエールを頼む、君たちはどうする?今夜は私が奢ろう。何も頼まないと逆に怪しまれてしまうからね」

 

「なら私はペリエを」

 

「じゃ、じゃああたしも同じのを」

 

「私もお願いします」

 

「オレは辛口のジンジャーエールを」

 

「MAXコーヒーを」

 

「そんなもののあるわけ」

 

「あるよ」

 

「ええ……」

 

「フッ……」

 

なんか八幡がドヤッてるけどほっとこう。

 

「それで、その方法は?」

 

「スカラシップって知ってる?」

 

─────────────────────────

 

次の日の放課後、部室に沙希さんがやって来た。

 

「その……ありがとう……深夜バイトも辞めて普通のバイトすることにした」

 

「家族とは話した?」

 

「うん、怒られた」

 

そりゃそうだ。オレもジャックが無断で深夜バイトしたら怒る。

 

「それだけ……じゃあ」

 

扉を閉めておそらく帰ったのだろう。

 

「今日はどうする?」

 

「今日はここでしましょう」

 

中間テストの対策を始める。

今回の結果はどうなるかな?

 




魔術礼装MOON.LIGHTLOSTROOM
FGOWaltzの衣装
アニバーサリー・ブロンドとは別のオシャレな服。
これを着てぐだはマシュと踊ったことがあるとかないとか。



今回はお着替えが多い回でした。
エミヤにエスコートして欲しい(願望)


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チェーンメールなんてガキのやることさね





川崎沙希の深夜バイト問題を解決し、中間テストも終わり職場見学の時期が近づいて来た。

オレは特にこだわりも無くおそらくこのままカルデアに所属することになると思うので(一度魔術協会に辞めさせられかけたが英霊達が暴走し、その結果留まれることになった)、適当に決めた。

 

「今日は何か依頼って来る?」

 

「いえ、何も来てません」

 

「それじゃあゆっくり過ごせそうだね」

 

放課後になり部室へ向かうが、鍵がかかっていたので職員室へ向かい鍵を取りに行く。

すると八幡が平塚先生に怒られていた。

理由を聞くと志望場所が自宅という『何書いてんだお前』という理由だった。

 

「八幡……」

 

「八幡さん……」

 

マシュが冷たい目(剣スロよりはまし)を向けていた。

 

「とにかく書き直してこい」

 

「うっす……」

 

「平塚先生、部室の鍵ください」

 

「わかった少し待ってくれ」

 

平塚先生は鍵を取りに鍵棚へ向かう。そして鍵を手渡されそのまま八幡と向かう。道中、雪乃と結衣と遭遇し、そのまま部室へ行く。

依頼がないとは言え突然来る可能性がないわけではないので部室でだらだらする。

すると携帯を弄っていた結衣が嫌な顔と声を出す。

 

「うわっ……また来た……」

 

「結衣さんどうしたんですか」

 

「ライちゃん……さっきこれが来たんだ……」

 

「えっと……悪口ですね」

 

「チェーンメールか」

 

「うん……こんなの来ると気分悪いよ……」

 

するとノックする音が聞こえる。雪乃が「どうぞ」と言うとノックの主が入って来る。「失礼するよ」と言うのは染められた金髪の男子生徒、葉山隼人だった。

 

「突然遅い時間にごめんね」

 

「能書きはいいから用件を言え」

 

「えっとこれを見てくれるか」

 

葉山がオレ達に見せたのは携帯の画面だった。そこに写し出されていたのはメールのようで、内容は特定の三人を悪く言うものだった。

 

『戸部は西校で暴れている危ない男』

 

『大岡は試合でエース潰しのラフプレーする糞』

 

『大和は3股する最低野郎』

 

と書かれていた。

しかしながら明らかに誰が書いたかわかるものだった。

 

「それあたしの所にも来てたやつだ……」

 

「今時そんなことやる奴いるんだな、無益なのに」

 

「それでこれをオレ達にどうして欲しいの?」

 

「止めて欲しいんだよね。こういうのが流れてると空気が悪くなるからさ。丸く収めれないかな?犯人も捜したくないし」

 

そう言うのだが、なぜ丸く収めるなんて言うのだろうか。こういうことは犯人を突き止めて反省させるのが普通だ。そもそも犯人は葉山グループの一人なのだから、仮に丸く収めたとしてグループ内の人間は安心して過ごせるのだろうか?

自分の周りに悪口を平気で書く奴が居て次は自分が書かれるかもしれない、という恐怖が付きまとうのに、だ。

オレだったらそのグループにいられない。

■■■■■に裏切り者がいると言われた時も訳がわからなかったがだんだん怖くなっていった。

 

「わかったわ。まずは犯人捜しをしましょう」

 

「いや何でそんなことになるんだい?」

 

「チェーンメール人として最低な行為よ。陰口と同じです人にバレないよう見えない所で人を陥れ自分は免れる……許されざる行為よ」

 

「ゆきのん……」

 

どこか悲しい空気を雪乃が纏ったのを感じたのか、結衣が雪乃に寄り添う。

彼女も前に被害に遭ったことがあるのだろう。

 

「それより何時からだ?」

 

「えっと……確か先週くらいからだったよハッチー」

 

先週というと……確か職場見学のグループ分けがあった。

 

「職場見学のグループ分けがあったね」

 

「なるほどな葉山と同じグループになりたいがためにこんなメールを送ったのか」

 

「うわ、くだらな。小学生かよ」

 

幼稚だなぁ~

 

「つまり犯人はこの三人の内の誰かって訳ね」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。ホントに三人なのか?三人のことが書かれてるのに」

 

「むしろ自分が疑われないように自分のも書くのが普通だと思うのですが……」

 

「マシュの言う通りだ。むしろ自分だけ書かなかったら逆に怪しいだろ」

 

「というかオレ犯人わかったよ」

 

むしろ自分ですって犯人言ってるし。

 

「「「えっ?」」」

 

「立香さんもですか」

 

「オレはこの場で言ってもいいけどさ、誰かが言って欲しくなさそうだから言わない」

 

「解決策なら俺は浮かんだぞ」

 

「三人共すごいわね……私なんてさっぱりよ……」

 

「あたしも……」

 

「とりあえず葉山、お前はこの三人と組むな。もしくは三浦達と同じところ行け、どうせその三人もお前について行くんだろうし」

 

「あ、ああ、わかったそれじゃあ」

 

そのまま葉山は部室から出ていった。

 

「ねぇリッカにライちゃん。犯人誰か教えてくれる?」

 

そう聞いて来たのは意外にも結衣だった。

 

「別にいいけど……大丈夫なの?自分がいるグループなのに」

 

「別に大丈夫だよ、葉山くんのグループは優美子と話したりするうちにいつの間にかなってただけで、あたしが本当にいる場所はここ、『奉仕部』だよ」

 

そう言って、笑う彼女。

 

「なら言っちゃうか……犯人は『大和』だよ」

 

「何故?」

 

「なるほどそう言うことかよ」

 

「ハッチー?何でわかったの?」

 

八幡は気づいたみたいだ。理由説明を彼にお願いする。

 

「三人のうちバレたとしてもさほど問題にならないのが大和だけだからだ」

 

「八幡の言う通りさ。しかもこれは逆に考えれば『3股出来るほど魅力がある』とも捉えられる」

 

─────────────────────────

 

その後葉山は自分のグループのメンバーと一緒に見学に行くことになり事態は終息した。

職場見学が終わり帰る頃になる。すると八幡と雪乃にLINEで呼び出されたので向かう。

結衣がいないのでどうしたのか聞くと、そろそろ彼女の誕生日が近づいて来たので一緒に選びに行こうということだった。

 

「おっけ、それじゃ明日ね」

 

「さようなら」

 

「じゃあな」

 

「ええ、さようなら」

 

 



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Happy Birthday!

立香side

 

職場見学の翌日の休みの日、オレとマシュ、ジャックにナーサリーはそれなりにお洒落な服を着て出かける準備をする。(ジャックはワンピースでナーサリーは普段の白ver)

 

「リツカ今日はデートかね?」

 

「それもいいけど今日は結衣の誕プレ選びに行くんだ」

 

「そうか、では弁当はいるかね?サンドイッチくらいなら今からでも可能だが」

 

「それじゃあお願いしようかな、手伝うよ」

 

「了解した。リツカは野菜を切ってくれ」

 

オレは包丁(エミヤがバレンタインにくれたもの)で野菜を切り分けていく。エミヤは卵をフライパンで炒めている。

野菜が切り終わるとハムを切る。

卵を炒め終えたエミヤはカラシマヨを作り卵にあえる。

食パンを三角形に切って、二枚一組にする。その間に具材をつめる。

 

「出来た」

 

「そろそろ時間だから行ってくる」

 

「気をつけて行たまえ」

 

マシュを呼んで玄関で靴を履く。

私服のマシュも可愛いですまる。もちろんジャックにナーサリーもだ。

ららぽに着くと既に八幡と雪乃も着いていた。八幡の隣には小町ちゃんもいた。

前回は勝手にどこか行ったけど、今回は大丈夫かな?

 

「早いね」

 

「小町に無理矢理早くに出されたからな……」

 

「お兄ちゃんが準備遅いからでしょ。ジャックちゃんにナーサリーちゃんおはよー!」

 

「おはよー!」

 

「おはよう!」

 

小町ちゃんはそのままジャックとナーサリーに抱きつく。ちなみに以前会った時は、「この二人小町の妹にする!」なんて言い出した。陽乃さんが増えた。本当に沖田さんそっくり。

 

「どこから見ていきます?」

 

「無難に小道具屋さんから行きましょう」

 

一度小町ちゃんにジャック達を預ける。その時彼女の顔がとても嬉しそうだったけど大丈夫かな?

小道具店で女性が普段使いそうな物を探す。以前はミトンを渡したが今回は何にしようかな。

色々手に取るもしっくりくる物が見つからない。別の店にしようか考えた時、突然オレの目に止まる物があった。

 

「よし、これにしよう」

 

オレは、茶色の羊毛フェルトとそれぞれのパーツを手に取り会計を済ませる。

小町ちゃんに預けたジャック達を迎えに行き、交代する。その時の顔がすごい名残惜しそうだった。

 

「おかあさんは何にしたの?」

 

「オレは家で作る予定」

 

(ありす)も見ていいかしら?」

 

「もちろん」

 

みんなも買うものが決まりお昼の時間になる。どこかで食べる話になったのだが、朝エミヤと作ったサンドイッチがあると伝える。

みんな「うまい、うまい」言いながら食べていた。作った甲斐があったな。

時間もあるので時間を潰すことにする。

 

「あれ?雪乃ちゃん?」

 

「姉さん」

 

「あ、ジャックちゃん!久しぶり~!」

 

「お姉さん!」

 

「陽乃お姉さんだぞ~」

 

既にジャックにデレデレである。チラリと雪乃の方を見るとなにやら寂しそうだ。

 

「陽乃お姉さん、雪乃お姉さんが寂しそうだよ」

 

ジャックは陽乃さんの耳元で話す。チラリと視線を向け、一つ頷き、くるっと振り向き雪乃をハグする。

「やめて」と言う彼女なのだが、口だけで嬉しそうなのである。

 

「そんなに寂しいなら言えばいいのに~」

 

「公の場でこんなことしないで!///」

 

ツンデレである。

百合百合してるねぇ~

この後ゲーセンでリズムゲームやシューティングゲーム、などする。以前よりは体力も伸びたのだが、陽乃さんに振り回されまくったので撃沈していた。ジャック達もワイワイしていた。プリクラも撮ろうとしたのだが結衣がいないといけないので止めた。

 

「おかあさん、わたしたちお腹空いた」

 

そろそろおやつの時間か。

どこかにパフェか何か小腹に入る物を探す。するとたい焼きの出店があった。

 

「陽乃さん小町ちゃん、ジャックとナーサリーお願い」

 

「「わかった(わかりました)!」」

 

オレはたい焼き屋のおっちゃんにたい焼きを人数分注文する。

人数も人数なので出来立てをくれるとおっちゃんが焼いてる物を仕上げて紙袋につめる。

 

「一つ120円だから980円だな」

 

オレはぴったり払う。

 

「毎度あり!」

 

足早にみんなの所へ戻る。

すると陽乃さんがジャックを、小町ちゃんがナーサリーを膝に乗せていた。陽乃さんは違うのだが、小町ちゃんが人前ではしてはいけないほどデレデレした顔だった。

 

「買ってきたよ」

 

たい焼きを全員に配る。

ジャックが笑顔で食べる姿を見て癒される。

うちの娘はかわいい。

クリームが溢れて食べるのに少し苦闘していたけれど。

たい焼きを食べ終えるとちょうどいい時間になる。

その場で解散して家に帰る。

オレは一度カルデアに帰り、メディアに羊毛クラフトを手伝ってもらった。

 

─────────────────────────

 

それからしばらくして結衣の誕生日。

雪乃がケーキを作ると言い、オレ達は部室を飾りつける。ちょっとしたパーティー会場だ。

ジャック達も来たがっていて、今年は渡したいと言ったので、平塚先生に特別許可を取ってもらい、保護者同伴でジャック達を奉仕部に連れて来た。

最初は臓物の形のナニカを渡そうとしてオレが止め結衣の似顔絵を書き、ナーサリーは彼女を人形で作った。

結衣には別の場所で待機してもらっている。準備も終わったのでジャックとナーサリーの二人に連れてきてもらう。二人が扉を開く、それと同時にクラッカーを鳴らす。

 

「「「お誕生日おめでとう!」」」

 

「ありがとう!」

 

それぞれ自分が選んだプレゼントを渡す。

八幡は髪ゴム、雪乃はお揃いのマグカップ、マシュは腕輪をオレは羊毛フェルトで彼女が飼っているサブレを作った。

陽乃さんも行きたかったのだが、時間が取れなかったので腕時計のプレゼントを買って、雪乃に渡していた。

部室を暗くして、ろうそくに火をつけてそれを結衣が一息で消す。

 

「みんなありがとう」

 

エミヤが作った料理も楽しみ、ミニゲームをして最終下校時間まで楽しんだ。

 

 

 



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千葉村、悩める少女

一応ジャック達子供組には施設などから引き取った子供だと説明して、ジャック達にもそう答えるよう伝えている。


立香side

 

前期終業式数日前に部室にて、平塚先生から夏休みの間に奉仕部で合宿をすると言われた。それと同時に家庭科の担当教師の鶴見先生の娘さんの元気がないと聞き原因だけでも突き止められればいいと言う。

それをエミヤに話すとどこで聞いていたのかジャックが「わたしたちも行きたい」とねだったので平塚先生に許可を取り保護者(エミヤ)同伴で来てもらうことになった。

ボイジャーも行くのでそれの付き合いとしてエリセもついて来ることになった。

ただエリセがいつもの格好で行こうとし、さすがにアウトなのでクソダサTシャツ『Arts』を着せた。

オレ達とエミヤ達の宿泊する部屋はさすがに同じ所には出来ないので別々の部屋になるが。

そして合宿当日、オレは荷物確認を済ませる。

 

「リツカ、マシュ準備はいいか?」

 

「うん」

 

「はい」

 

「ジャック達は大丈夫か?」

 

「大丈夫!」

 

「あたしもよ」

 

「ぼくも」

 

「私も問題ないよ」

 

「それでは車に荷物を積んでくれ」

 

─────────────────────────

 

千葉村に着き、車から降りて背伸びと深呼吸をする。やっぱり長い間車に乗っていると疲れる。

周りを見ると既に平塚先生達も来ていた。

 

「おはよう」

 

「おはようございます」

 

「「「おはようございます!!」」」

 

「おはようございます……」

 

「おはようございます平塚さん、私はエミヤ、訳あって彼らの保護者をしている。この三日間よろしくお願いする」

 

「えっとこちらこそよろしくお願いします……」

 

平塚先生が明らかに動揺しているのがわかる。そりゃねエミヤはカッコいいもん。確かに平塚先生の理想に近いよ……だけどね平塚先生……エミヤはね、たくさんのアルトリアに追われているから諦めた方がいいよ……

 

「なぁ藤丸、彼付き合ってる人とかいるのか?」

 

「いませんけど多数の人に追われているから諦めた方がいいかと」

 

「そうか……」

 

落ち込む平塚先生。いつか出会いがあるよきっと!いつになるかは知らないけど

 

「リッカにライちゃんおっはろー!」

 

「おっはろー結衣、八幡達は?」

 

「おはようございます」

 

「ハッチーなら今自分の荷物下ろしてる」

 

「ジャックちゃんにナーサリーちゃんと……後ろの二人は?」

 

「ぼくボイジャー、こっちはエリセよろしくおねがいします」

 

「ボイジャーくんにエリセちゃんよろしく!」

 

「よろしくお願いします」

 

「結衣お姉ちゃん!」

 

ジャックが結衣に飛び付く、それを受け止めてほっぺをすりすりする。

結衣もかわいいが、うちの(ジャック)もかわいい。

 

「八幡に雪乃、彩加おはよう」

 

「おう」

 

「おはよう」

 

「おはよう二人とも」

 

「しかし暑いな……」

 

「そうだね……山の中で少し涼しいとはいえこの時期はね」

 

すると見慣れないワンボックスカーが止まる。

降りてきたのは葉山達だった。

 

「平塚先生彼等は?」

 

「内申点を餌に釣った」

 

なるほど、この前のテニスコート事件は少し学校でも噂になったし、教師に注意されている所も見た。内申点の回復に来たのかもしれない。

 

「なるほど……」

 

すると葉山達がこちらに来る。にこやかに笑っているがどことなく作り笑いに見える。

すると葉山の後ろにいる三浦がオレのことを見るなりキッと睨む。別に怖くもなんともないからいいけど。

葉山がジャック達に挨拶しに行ったのだが、ジャックとボイジャーがエミヤの後ろに行く。ナーサリーは少し距離を取りこちらに歩いてくる。

 

「マスター、彼『チェシャ猫』見たいにニヤニヤ笑っているわ。何でなのかしら?」

 

「ナーサリーもそう思うんだ」

 

「ええ、ジャックにボイジャーも引いてるもの」

 

「何か良くないことでも考えているのかな?」

 

すると平塚先生がオレと葉山達とあまり仲がよろしくないのを感じたのかその事を聞きにくる。

 

「藤丸、彼らとテニスコートで何かやったのか?私は詳しい話は聞いていなくてな」

 

オレはその日のことを話す。

 

「なるほどな……とりあえず仲良くする必要はない、ただ上手くやってくれ」

 

「わかりました」

 

それくらいなら問題ない。

荷物を宿泊施設に預け、広場に行く。

エミヤ達は宿泊施設で待機している。しばらくすると小学生達が集まる。しかし一向に静かにならない。数分で先生が「皆さんが静かになるまで3分かかりました!」とよく聞くフレーズを言う。すると高校生組のうち誰か一人代表で挨拶するのだが、それはすぐ葉山に決まった。

 

「初めまして葉山隼人です。2日間と短い間ですが気軽に話しかけてください」

 

挨拶を終えると、小学生達主に女子が再び騒がしくなる。

 

「ありがとうございました。それではオリエンテーリングスタート!」

 

初日のオレ達の仕事は見回りとゴールでの昼食の準備、小学生の炊事の手伝いだ。

 

「いやー小学生ってマジ若いわー俺らってもうおじさんじゃね?」

 

「ちょっと戸部、やめてくんない?それってあーしがおばさんみたいじゃん」

 

オリエンテーリングが始まって小学生達は我先にとゴール目指して移動する。子供らしくて微笑ましい。すると女子生徒の悲鳴が響く。

何事かと葉山が女子生徒の所に向かう、どうやら蛇が出たようだ。

しかしそのグループには一人だけ少し離れた位置にいる生徒がいた。おそらく彼女が鶴見先生の娘さんの鶴見留美ちゃんだ。

元気がないのは多分いじめか何かだろう。

 

「お兄さんすごーい」

 

「アオダイショウだから毒はないよ」

 

すると葉山は鶴見ちゃんに話しかけてグループの中に入れる。

 

「あれは悪手ね……」

 

「端から見てもぎこちないな……」

 

その後オレ達は山道を上りきり、ジュースや弁当を箱から出しデザートに食べるりんごを切る。

配り終えるのだがさすが小学生、元気いっぱいだ。

 

 

─────────────────────────

 

日も暮れて、空が赤く染まり夕食の時間になる。小学生の林間学校で食べる夕食と言えばカレーだ。オレの小学生の頃はクラスの一人がお焦げをアホみたいに食ってリバースしていた。おのれ許さんぞ倉元。

平塚先生が手慣れた手つきで火を付ける。男らしい……

野菜を切り分けるのだが葉山グループのほとんどが出来ないらしいので配膳に回ってもらった。

エミヤが何故か手伝いに来てくれたので準備はサクサク進んだ。

すると一人……鶴見ちゃんがぽつんと離れた所で立っていた。オレとマシュは静かに彼女の元に行く。

 

「こんにちは鶴見ちゃん」

 

「……こんにちは、えっと……」

 

「オレは藤丸立香こっちはマシュよろしく」

 

「マシュ・キリエライトですよろしくお願いします鶴見さん」

 

「よろしく……」

 

「お兄さんはあの金髪のお兄さんとなんか違う」

 

「まぁ同じだったら困るけど(いろいろね……)」

 

「わたしもみんなと違う」

 

「どういった所がですか?」

 

「みんな、子供なんだもん。上手く立ち回ってたけどなんかめんどくさくなって。やめた」

 

「それでこれからどうするの?」

 

「わかんない……」

 

「そっか、もし何か悩み事とかつらいこととかあったら相談に乗るよ。でもみんなに内緒にね?」

 

みんないるところに戻ろうとすると、トテトテと2つの足音がするので振り向くとジャックとボイジャーがいた。

 

「おかあさんそこのおねえさんだれ?」

 

「鶴見留美ちゃん」

 

「留美おねえさんわたしたちはジャックよろしくね!」

 

「ぼくボイジャーよろしくね留美」

 

「ジャックとボイジャーの相手しててくれる?もう一人連れてくるから」

 

オレはナーサリーを呼び留美ちゃんの所へ連れていく。

 

「あなたがリツカの言っていた留美ね?あたしはナーサリーよろしくお願いね」

 

─────────────────────────

留美side

 

林間学校が始まった、それほど楽しみでもないのだが、学校行事なので行かなければならない。

バスの中でもわたしに話しかける人はいない。それも当然で今クラスで『誰か一人を無視する』というものが流行っている。前は別の子がターゲットだったけれど、今は自分がターゲットになりクラスのみんなから無視されている。

オリエンテーリングが始まり班の人とゴールを目指すのだが自分は班のメンバーとは離れた位置で進む。

すると叫び声が上がり何事かと前を見ると蛇が現れたのだった。

声を聞いて駆けつけた金髪のお兄さんが蛇を何処かに放り投げる。

そしてわたしに話しかける。本来ならば嬉しいはずなのだが今回は最悪だった。

無理矢理メンバーの中に入れられる。「いっしょに行こう」という声もぎこちない。

お昼のお弁当も一言も話さずに食べる。自由時間も一人で過ごす。

夕御飯の時間になり自分達で(高校生の人が手伝ってくれるけど)作る。わたしは適当に準備をして終わると同時に何処か離れた場所に行こうとすると金髪のお兄さんがまた話しかけくる。

 

「カレー好き?」

 

「別に……」

 

そう言いわたしは離れた所へ行く。食べる時間までここで待てばやり過ごせそうだ。

今度は別の高校生、クセっ毛のお兄さんと薄い紫の髪のお姉さんがこっちにくる。

 

「こんにちは鶴見ちゃん」

 

「……こんにちはえっと」

 

名前も知らないのでどうしたらいいかわからなかったのだが、お兄さん達が自分で話してくれた。

藤丸立香さんマシュ・キリエライトさんと言うらしい。キリエライトさんはピンクの髪のお姉さんといっしょに男子がデレデレしていたのでとても印象に残った。藤丸さんはなんというか目が綺麗な青だった。それはどこまでも見透かして、それで包み込んでくれそうなほど。

二人に話していると彼らの後ろから白い髪の女の子と金髪の男の子がこちらに来た。

ジャックちゃんとボイジャーくんと言うらしい。その後キリエライトさんに似た色の髪を2つに縛りのお下げにした女の子も来た。名前はナーサリーちゃん。

 

「留美、あなた寂しそうだけどどうしたの?」

 

「別に……」

 

「笑わないとこれから先つらいことばかりよ、ほら笑って」

 

そう言いながらナーサリーちゃんがわたしのほっぺたをむにむにする。くすぐったいけど、嫌じゃない。するとジャックちゃんもくすぐってくる。

しばらくもみ合った後わたしはナーサリー達に話す。彼女達に話しても変わる訳ではないけれど、少しでも楽になりたかった。

 

「ナーサリーちゃん達はお友達はいるの?」

 

「いるわ、みんなと遊んでいると楽しいもの」

 

「そうなんだ……」

 

「留美おねえさんはお友達いないの?」

 

「うん……前にいたんだけど見捨てちゃって……」

 

「留美はその子に謝ったのかい?」

 

「ううん……恨まれてないか怖くて。それにわたしだけが助かるのは間違ってる……」

 

「それでも謝らないといけないわ。それに……もうあたし達とは友達よ」

 

ナーサリーちゃんのその一言がストンとわたしの心に入る。

泣きそうになったけど、こらえた今は泣く時ではない。

 

「ありがとう……わたし頑張る」

 

「ええ!頑張ってね留美。林間学校が終わってもまた遊びましょう!」

 

そろそろご飯を食べる時間になるのでわたしは席に戻る。足取りは少し軽くなった気がした。

 

 

 

 




このために立香はジャック達を連れて来たのだ


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みんな仲良く?それは本気か?

立香side

 

留美ちゃんと話していたジャック達から彼女の元気がない理由を教えてもらう。案の定いじめだったのだが、彼女自身も一度加担しており自分だけが助かるのはお門違いといった考えで助けを求めることをしなかったようだ。

それでも謝りに行く勇気が出たらしい。それと彼女と遊びたいのか住所を教えてあげたいらしい。鶴見先生に伝えてからと言って、カレーを食べる。

少し騒がしくなったものの食べ終えると、結衣がポツリと声を漏らす。

 

「大丈夫かな……」

 

「何か心配ごとかね?」

 

「ちょっと孤立している子がいて」

 

全員、留美ちゃんが孤立していることを理解している。どうにかしてあげたいのは人間として正しい、だがそれを今すぐ解決できるなどオレ達には出来ない。

 

「ああ、あの子ね~確かに可哀そう」

 

「あれは違うぞ葉山、好きで一人でいるんだ」

 

「八幡それってどういうこと?」

 

「鶴見は自分から一人になっているってことだ。どんな理由かは知らないが……」

 

「前までのお兄ちゃんみたいにってこと?」

 

「小町からしたらそうだ……」

 

「それでどうするのかね?」

 

「俺は出来る範囲でなんとかしてあげたいです」

 

「無理よあなたでは」

 

葉山の一言も雪乃の一言でバッサリ切り捨てられる。

 

「どうかな、昔とは違う」

 

「どうかしら……」

 

冷たく雪乃はあしらった。去年の夏頃雪乃の家にみんなで行った時に彼女本人から聞いたのだが。

葉山とは幼馴染みで小学校も同じ学校に通い最初は仲が良かったのだが、葉山が人気者になり周りからモテていたそうだ。雪乃と葉山が仲が良いのをよく思わない女子達が雪乃を虐め始めた。そこに葉山が助けに入る、そこまでは良かったのだが、解決方法が話し合いというものだった。女子達は虐めをやめると言い葉山もそれに納得してその日は終わったのだが、次の日から虐めは陰でエスカレートしていき、それに耐えきれなくなった彼女は両親と姉である陽乃さんに相談、虐めっ子達は立場を失い、間接的にも虐めを悪化させた葉山は雪乃との婚約が破談となった。

というのが雪乃と葉山の関係らしい。

 

「先生、これは奉仕部として……いち生徒として動きたいです」

 

「雪ノ下……わかった、比企谷達はどうする」

 

「俺はこのまま何もしないほうが鶴見への被害が少ないかと」

 

「なっ、見捨てるというのか!ヒキタニ!」

 

「見捨てるんじゃない、出来ることはないんだよ。逆に葉山、お前は何をして助けるつもりだ?」

 

「それはもちろん鶴見ちゃんを周りの子達と話し合わせて……」

 

それに反対したのは結衣だった。

 

「隼人くん、それじゃダメだよ。仮に話し合わせて仲良くなってもそれはその場しのぎに繕うだけであたし達が帰ったら、余計エスカレートするだけだよ」

 

すると葉山の隣に座る三浦が声を上げて結衣に質問する。

 

「じゃあ結衣はどうするのさ」

 

「それはまだわかんないよ……虐めってデリケートな問題だから、下手に行動して悪化させたら取り返しがつかないもん……」

 

しばらく沈黙が続く。すると海老名が手を上げて意見を言う。

 

「趣味に生きればいいんだよ。同じ趣味の人と出会えれば友達になれるし」

 

そこで一呼吸置く。

 

「わたしはBLで友達が出来ました!ホモが嫌いな女子なんていません!だから雪ノ下さんにキリエライトさんもわたしと」

 

「優美子、姫菜とお茶取ってきて」

 

「おっけー、ほら姫菜行くよ」

 

「待って!今布教の途中!」

 

ずるずると三浦に引き摺られる海老名が消えていく。

 

「彼女、私に何を勧めようとしたのかしら……」

 

「ゆきのんは知らなくていいよ……」

 

「立香さん……」

 

「忘れようさっきのことは」

 

それでも海老名の言う通り趣味で友達を作るのはいい方法だと思う。その後もポツポツと意見は出るものの現実的なものは出ない。

 

「立香くんは何か方法浮かんだ?」

 

八幡の隣に座る彩加から質問される。

 

「この問題自体を解決とまではいかないけど、マシュと考えたものなら」

 

「お願い、僕じゃわからないから……」

 

「留美ちゃんのことはオレ達が連れてきたジャック達に任せて欲しいんだ」

 

「ジャックちゃん達にですか?確かに歳も近いからふれあいやすいとは小町も思いますけど……」

 

「留美ちゃんとジャック達はもう打ち解けているし、別にクラス内での流行りを無くせる訳でもない。ならこの林間学校で彼女が楽しいと思える時間を作ってあげるのが一番先だと思う。元々留美ちゃんがこうなった原因は、彼女自身にもあるからね……ジャック達から聞いたけどクラスでクラスメイト一人を無視するのが流行っているって彼女の口から言ってて最初は自分も無視する側にいたから自分だけが助かるのは……っていう理由だから」

 

口が渇いてくるのでお茶を飲む。

 

「それに今留美ちゃんは自分から無視した子に謝りに行こうとしています。それに私達高校生が口を出すのはいけないことです」

 

ふぅと一息つく。

納得しないのか葉山が反論する。

 

「それじゃあ根本的な解決にはならない、別の方法を考えよう」

 

オレの意見が100%正しいとは言わないけど、八幡に否定されて結衣にも否定されたやつがまともな意見を言うとは思えない。

 

「ならどんな方法があるのでしょうか?」

 

「それは……」

 

マシュの質問に葉山はいい淀む。真っ先に自身の仲間と思っている結衣に否定されたのだ、新しい意見がすぐに出る訳もない。

 

「でも二人の意見はみんなが仲良くなれてないからダメだ」

 

今度はオレ達の意見を潰しにくるのか……

なんかイライラしてくる。

 

「あら、私は立香の案に賛成よ。安全で鶴見さんの心も救われると思うわ」

 

「俺も立香の案がいい。鶴見が自分から動こうとしているなら見守るのが一番だ」

 

すると今までしゃべらなかった平塚先生が口を開く。

 

「確かに藤丸の案が現実的だ。しかし葉山何故君は反対なんだ」

 

「それはみんな仲良くした方がいいと思っています。だからこそこの状況を乗り越えて強い友情が作れればいいと」

 

「それで君の案は?」

 

「それは……」

 

「ないのなら今は藤丸の案に合わせておきたまえ。時間は有限、今日何時までも議論していたって無意味だ。君たちも寝る時間までに風呂に入れ」

 

そう言って平塚先生は宿泊施設に戻っていった。

 

「さてオレ達も戻ろうか」

 

「そうだね……」

 

議論はここで終わり明日に向けて休むこととなった。

 

─────────────────────────

 

風呂からも上がり特にすることもないのですぐに就寝する。

 

「電気消すぞ」

 

「ちょ、隼人くんこれ修学旅行の夜みたいだな」

 

「そうだな……」

 

「好きな人の話しようぜ」

 

「嫌だよ」

 

「あはは……確かに少し恥ずかしいよね……」

 

あまり興味もないし話す気もないのですぐに寝た。レイシフト先ですぐに寝れるようになっているので、入眠出来た。

 

「ちょ、藤丸くん先に寝るとかないっしょ!」

 

唐突に戸部に起こされる。

こっちは寝ようとしてるのに……

 

「なにさ……」

 

「好きな人の話しようぜ~」

 

「明日早いから寝る。あとオレはマシュと付き合っているから手は出さないでね……」

 

オレは再び布団を被る。

明日は留美ちゃんがどうなるか、少し心配だ。



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葉山は愚かにも一つの命を……

今回本格的に葉山へのアンチがあります。
無理な方はブラウザバック推奨です。


目を覚ますとまだ外は薄明かるく起きるのには少し早かったようだ。

 

「少し散歩してこよう」

 

オレは着替えて外に出る。気温も夏にしてはひんやりしていてとても気持ちがいい。

 

「立香さん?」

 

「マシュ、おはよう」

 

「おはようございます」

 

「この時間は涼しいね」

 

「はい……山の中は気温が低いですね」

 

しばらくオレ達は散歩して、宿泊施設に戻った。

すると葉山が既に起きていた。

 

「おはよう」

 

「ああ、おはよう藤丸くん」

 

「それじゃあオレ先に行ってるから」

 

オレは朝食の準備をする。

しばらくすると八幡達も起きて席に着く。

 

「みんなおはようご飯準備出来てるよ」

 

朝食を食べながら平塚先生の話を聞く。

今夜きもだめしやキャンプファイヤーをするのでそれの準備をする。

ぶっちゃけ木組み終わったらきもだめしまでほとんど自由なので、川で遊ぶ時にジャック達も呼んで遊ぶ予定だ。

 

「何か質問はあるか?」

 

全員質問もないので食事を続ける。

 

「立香さんキャンプファイヤーとはどういったものなんですか?」

 

「木を組立てたやつを燃やしてその周りを音楽に合わせて回ったり踊ったりするやつ」

 

「宗教みたいですね」

 

「改めてそう思うよ」

 

 

─────────────────────────

 

食べ終えたオレ達は丸太を組立てる。

 

「こうしてみるとジェンガみたいだな……」

 

「確かに……こう組立てた物を壊してくまでの一連が」

 

再び作業に戻り、十数分するとうなじに冷たい物が当たる。

 

「ひゃっ!」

 

「あはは!ドッキリ成功!はいおかあさん」

 

オレはジャックから飲み物を受け取り飲む。冷たい物が喉を通り抜けて行くのが気持ち良い。

 

「藤丸、比企谷、後は教師陣でやるから君達も自由にしたまえ」

 

オレと八幡はロッジで水着に着替えて川に向かう。

既に女子陣は川で遊んでいた。ジャックにナーサリーもいた。

 

「立香さん!」

 

マシュに呼ばれて振り向くと、そこには前の水着姿のマシュがいた。

 

「今回はそっちにしたんだ」

 

「はい、どうですか?」

 

「うん、似合ってるよ」

 

「立香さんも似合ってますよ」

 

「ありがと」

 

オレとマシュは水をかけ合ったり、水鉄砲で撃ち合ったりし楽しんだ。

木陰にいたボイジャーとエミヤの所に向かう。

ボイジャーは水が苦手だもんなぁ

 

「リツカ、私は釣りをしてくるからボイジャーのことを頼めるか?」

 

「いいけど、もしかして最初からそのつもりだったの?」

 

「勿論」

 

良い笑顔でエミヤは釣り道具を持って釣り堀に向かって行った。しかも鼻歌まで歌いながら。

アレ昭和に流行ったやつだし!

しばらくボイジャーと話していると、オレは忘れ物に気づき、ボイジャーに少し待ってもらう。そしてボイジャーの所に戻ると、エリセと葉山が言い合って……というよりエリセが葉山を敵視していた。

 

「エリセ?どうしたの?」

 

「立香、実は」

 

 

 

─────────────────────────

 

三人称side

 

 

「やぁボイジャーくん、そこにいないで一緒に川で遊ぼう?」

 

「ううん、ぼく水が苦手だからいいよ」

 

「でもジャックちゃん達も遊んでるし、それにそこまで深くないから大丈夫だよ」

 

と葉山がボイジャーの手を引っ張り川に引き込もうとしていた。

普段のボイジャーなら振り払えたのだが、一般人に怪我を負わせないよう、魔力放出していない。

そのためボイジャーの筋力は小学生並みのため振り払うことが出来なかった。

 

「離して!」

 

そこに止めに入ったのがエリセだった。

 

「ちょっと!ボイジャー嫌がってるでしょ!」

 

葉山の手を軽く弾く。

 

「えっと……君は?」

 

「宇津見エリセ、何でボイジャーを川に連れて行こうとしたの」

 

「みんな遊んでいるから彼も一緒に遊ぼうと思ったんだよ」

 

葉山はいつもの笑顔でエリセに話すのだが、エリセは何か違和感と薄気味悪さを感じ取った。

 

「ボイジャーは水が苦手なの、だからやめてください」

 

エリセは大事にならぬよう、一度頭を下げてボイジャーとこの場を離れようとしたのだが、葉山にボイジャーの手を掴まれそれを阻止された。

 

「でも苦手のままじゃダメだろう?僕がみてるから大丈夫さ」

 

「別に今でもなくていいでしょ?」

 

─────────────────────────

 

その時にオレが来たらしい。

 

「葉山やめてくれないか?オレもそろそろ怒るぞ」

 

「だが……「だがも糞もないんだ。やめてくれ」くっ……」

 

葉山は何か言いたげだったが、戸部達の所に戻って行った。

 

「やれやれ……ボイジャーごめんね一人にして、エリセも迷惑かけた」

 

「ぼくは大丈夫だよ」

 

「ううん、私も彼があんなにも強引な人だと思わなかったから」

 

すると八幡と雪乃がこちらに来る。

 

「どうしたお前ら」

 

「八幡に雪乃、実は──」

 

オレはエリセから聞いたまんまのことを話す。

 

「あいつ何がしたいんだ?」

 

「昔より悪化してるわ……」

 

八幡はため息を吐き、雪乃は頭を抑える。

正直オレも彼が何故ボイジャーに無理強いをしたのか理解出来ない。

 

「八幡、小町は?」

 

「あそこで休憩してる」

 

八幡が指差した所にはジャック達に振り回されて疲れはてた小町ちゃんの姿が見えた。

まぁジャック達の体力は底なしだからね……仕方ないネ。

 

「リツカ……ぼく、あの金ぴかの人、海にいたじぇいそんさんみたい」

 

海にいたイアソン……ああ、第三特異点のか……オリオンもくそ認定した時のイアソンは酷かったなぁ

 

「ジェイソン?」

 

「研修の時に海に行くことがあってその時にいた男の名前。葉山より露骨に嫌な奴発言が多くてね……」

 

マシュや結衣達もこちらに来る。

すると後ろからガサガサと音がして振り向くとそこに留美ちゃんがいた。

 

「藤丸さんとキリエライトさん」

 

「留美ちゃんどうしたの?」

 

「自由時間、朝ごはん食べて部屋に戻ったら誰もいなかった」

 

「小学生のやることかよ……」

 

「中々にひどいわね……」

 

「あの……そこの人達は?」

 

「頭のてっぺんに毛がちょこんと生えてるのが比企谷八幡、黒髪ロングが雪ノ下雪乃、ピンクの髪のが由比ヶ浜結衣、それでこっちが宇津見エリセ」

 

「鶴見留美です」

 

「よろしく留美ちゃん」

 

「藤丸さん達って小学生の友達っているんですか?」

 

「オレはいてもここ最近会ってないな……」

 

「私はいませんね」

 

「私も」

 

「俺もだ」

 

「あたしはいたけど会う人なんて2、3人位かな?」

 

「まぁ1クラス40人位と仮定して、クラスの中心にいる由比ヶ浜でさえ3人だ。あんま気にしなくても良いと思うぞ」

 

「そうなんだ……ねえ藤丸さんわたし──」

 

留美ちゃんはオレ達に今まであったこと、そして自分も悪いことをしてしまったこと、ジャック達と話してその子に謝りたいとそれでも次の日になってやっぱり不安になったことを話してくれた。

 

「なるほど……ちゃんと誠意込めて謝ったらいいよ。それでもしダメならジャック達がいる、だから大丈夫だよ」

 

留美ちゃんの表情はまだ暗いものの徐々に明るさを取り戻しているのがわかる。

その後しばらくジャック達と遊留美ちゃんは昼食の時間になるまで遊び戻っていった。

次、接触できるのはきもだめしの時だ。

まぁ留美ちゃんが今求めているものは手に入ったから大丈夫だ。

 

─────────────────────────

 

八幡side

 

きもだめしの準備の時間になり、俺達はおどかす用の衣装を用意されたのだが……

 

「なんというかコスプレ大会のやつだね……」

 

「ハロウィンだね立香くん」

 

「ハロウィン……ハロウィン……ウッアタマガ」

 

突然立香が頭を抑える。

 

「どうした?」

 

「ごめん変なこと思い出した……」

 

「そうか……」

 

「お兄ちゃん!」

 

小町の方を向くと肉球と尻尾に猫耳をつけていた。

 

「なんだそれ、化け猫?」

 

「そうなんじゃない?」

 

すると雪女の姿をした雪乃が突然現れ、猫耳など触り何を納得したのかわからないのだがうなずく。

相変わらず猫好きだなこいつ。今度カマクラ連れてってやるか。

 

「お兄ちゃん、雪乃さんの着物姿どう?」

 

「どう……かしら?」

 

「似合ってるぞ……」

 

鏡を見ながら百面相する結衣。

 

「騒がしい奴だな」

 

「うひゃあ!ハッチー!?」

 

「さっきから鏡の前で何やってるんだよ……」

 

「似合ってるかなって……どう?」

 

「……まぁいいんじゃねーの」

 

雪乃達と過ごすようになってから衣類の感想を聞かれるようになり、最初はあまり慣れず訳のわからない感想を言ってしまったが、最近は少しましなものになった気がする。

そして準備を終えた俺達は夜になるまで待つことになった。

 

─────────────────────────

 

小学生の班は昨日のオリエンテーリングと同じのようだ。

順番はくじ引きで決まる。のだが葉山が持つあの箱、妙に不自然な形をしていた。

くじ引きの箱を立香も睨んでいた。

 

「立香?どうしたんだ、箱なんか睨んで」

 

「いや、なんとなくあの箱怪しいと思って」

 

「お前もか。疑い過ぎなのかもしれないがな」

 

互いに納得して、配置につく。

俺と立香は見回りを担当している。

順当に進んで行くのだが突然立香の携帯が音を立てる。

 

「マシュ?どうしたの?……留美ちゃん?来てないけど……は?ルートから外れた?わかった、捜してくる。そっちも気をつけて……八幡、緊急事態だ」

 

「ああ、会話の内容を聞くにおそらく戸塚の所までは来てたはずだ……となると……カラーコーンの所か?」

 

「確かあそこって道を間違えないように置いてたんだよね」

 

「誰かずらしたんだろう、そしてそのさきに犯人がいるはず」

 

「不審者侵入の連絡とか来てないから内部犯だろうね……」

 

俺達は駆け足でカラーコーンの地点まで戻る。

 

「八幡!立香くん!」

 

「戸塚!鶴見達の班見てないか!」

 

「ううん、見てない。マシュさんから連絡を受けて僕も捜したけど見つからなくて」

 

「彩加、カラーコーンの先に行ったんだよ」

 

「カラーコーン!?何でそんなところに」

 

「知らないよ……でも確実に言えることは」

 

立香は一呼吸置く。

 

「ろくでもないことになっている」

 

─────────────────────────

留美side

 

きもだめし、この林間学校での一番のイベント。

わたしの班は一番最後になり。順番がくるまで同じ班のメンバーの人達は四人でおしゃべりをしていた。

そして順番が来てわたしはみんなから少し離れた位置で歩く。

魔法使いの格好をしたお姉さん?の所を過ぎてカラーコーンが置いてある所と反対の場所に進む。

するとその先にいたのは、お札を持っている巫女さんではなく、金髪のお兄さん(・・・・・・・)だった。

 

「やぁ君達待っていたよ」

 

「お兄さん何でここにいるの?」

 

「僕はね、君達だけにお話しに来たんだ」

 

わたしはこの時、寒気と共にこの場から逃げ出したくなった。だけどわたしの足は、身体は凍ったかのように動かない。

 

「君達が留美ちゃんにいじめをしているって聞いてね。ちゃんと謝ってもらおうと思ってるんだ」

 

やめて、早く帰りたい。それだけがわたしの頭の中で繰り返される。

 

「いじめはしちゃいけないだろう?みんなで留美ちゃんに謝るんだ、出来るだろう?」

 

四人はわたしの方向を向く。その顔は憎しげにわたしを睨む。

 

「「「「ごめんなさい」」」」

 

「うん……」

 

「よし!これで仲直り出来たね!ここから行けば巫女さんの所に行けるよ」

 

わたし達の班は進む。しかし途中で立ち止まる

 

「ねぇ、鶴見あんたお兄さんにチクったでしょ」

 

「ホント最悪!」

 

「怒られちゃったじゃん」

 

「調子乗らないで」

 

四人がわたしを睨みながら怒りをぶつけてくる。

 

「ち、違う……」

 

否定しようと絞り出した声もかすれ声でまともに聞こえない。

彼女達は次々と悪口を言う。

そして一番聞きたくなかった言葉が飛び出す。

 

「あんたみたいなやつ『死ねばいいのに』」

 

わたしはその場から走る。

こんな暗闇の中やみくもに走れば自分が何処にいるかなどわかるもなく、道に迷ってしまう。

 

「あれ……ここ……どこ……?」

 

わたしは怖くなってきて、とうとう泣き出してしまう。

 

「ひっく……ジャックちゃん……ボイジャーくん、ナーサリーちゃん……何処?藤丸さん、キリエライトさん助けて……」

 

ガサガサと音が後ろからして振り向くと蛇が出てくる。

 

「シャー!」

 

「ひっ!」

 

後ろに後ずさろうと下がろうとした途端地面がなく、わたしは崖から転げ落ちてしまった。

 

(このまま死んじゃうのかな……?……嫌だ誰か助けて!)

 

─────────────────────────

立香side

 

オレ達はカラーコーンが元々あった地点を過ぎて、その奥に進む。そこにいたカラーコーンをずらした先にいたのは不敵な、何か目的を達成した笑いを浮かべた葉山だった。

 

「やぁ藤丸くん」

 

「葉山、留美ちゃん達の班見てないか?」

 

「ああ、彼女達ならここを通って行ったよ。それといじめは僕が解決したから問題はないよ」

 

オレは血の気が一気に引くのがわかった。

 

「何したお前!」

 

「いじめはいけない事だって教えてたのさ」

 

「なっ葉山、お前あいつらを話し合わせたのか!?」

 

「みんな良い子だったからねあっさり終わったよ」

 

ニタニタと笑みを浮かべる。

すると突然叫び声が聞こえる。

 

「誰の声?」

 

「さっきの班の子達だよきっと驚いただけさ」

 

葉山は何の心配もしない表情で答える。

 

「八幡、彩加叫び声の所に向かおう。嫌な予感がする」

 

オレは全速力で走る。そして令呪を使い、エミヤを呼び出す。

 

『令呪を以て命ずる!違和感なく合流しろエミヤ!』

 

木陰にエミヤが現れそこから徒歩で現れる。八幡や彩加からすれば違和感はないだろう。

 

「リツカ!鶴見くんは!?」

 

「わからない!」

 

「立香!ここから先は崖だ!」

 

「ってことは落ちたのか!?」

 

不味い、かなりの高さがある。間違いなく死ぬ。

オレはそれを意識した瞬間三人を置いていく速度で走る。そして留美ちゃんが崖下の木に引っ掛かっていたのを見つけた。しかし意識がなく、身動き一つ見ることが出来ない。

 

「留美ちゃん!」

 

オレはいてもたってもいられず崖をゆっくり降りていく。

そして留美ちゃんが引っ掛かっている木に到着、そしてエミヤに長いロープをおろしてもらい、腰にくくりつけて留美ちゃんをゆっくり抱える。

 

「エミヤ!ゆっくり引っ張ってくれ!」

 

「了解だ!」

 

ゆっくり引き上げたので2、30分ほどかかったが、留美ちゃんを引き上げることに成功した。

 

「リツカ、鶴見くんの身体なのだが相当ひどい……早めに病院に運んだ方がいい」

 

それを聞いたオレはエミヤに留美ちゃんを預け、病院に電話をする。

 

『はい、こちら救急センターです』

 

「夜にすいません!今女児が意識不明の重体、呼吸も浅く、出血していて身体の至るところに打撲の後があります。場所は千葉村です!」

 

『かしこまりました。すぐに救急車を向かわせます』

 

「エミヤとにかく今は」

 

「わかっている治療魔術を使う」

 

エミヤは治療魔術を留美ちゃんに使う。しかしエミヤが魔術を使えると言っても治療魔術はエミヤの得意とする魔術ではないので効果が薄かった。

クソっ

 

「立香!」

 

「八幡、彩加!留美ちゃん見つけた!」

 

オレは八幡達に留美ちゃんの容態を伝える。

そして救急車が到着、留美ちゃんを乗せて走って行った。

きもだめしの後のキャンプファイヤーも中止になり、留美ちゃんの班が小学校教諭に事情聴取をしていた。

そこで葉山の名前が上がり呼び出しを受ける。

 

「留美ちゃん大丈夫かな……」

 

「わからないよ……崖から滑り落ちたみたいだから……」

 

「そもそも何で留美ちゃんだけあそこにいたんですか?小町よくわかっていなくて……」

 

「葉山が鶴見達を話し合わせた後、鶴見に対して同じ班の奴らが悪口を言い、突然走り出したんだとよ」

 

「それでそのまま落ちたのね……あの男……何も変わっていないどころかとても酷くなっているわ!」

 

バンッと力強く木造の机を叩く。

 

「雪乃、落ち着いて」

 

結衣が雪乃を抱き締めて抑える。

 

「これからどうなるの?」

 

「停学は免れないでしょうね……」

 

オレ達はバンガローに戻り寝る準備をする。

葉山は別室で寝泊まりするようだ。

 

─────────────────────────

 

次の日、エミヤが乗って来た車に乗り込み自宅へ帰る。

ジャック達には伝えるべきか否か悩んだのだが、伝えることにした。

 

「ねぇおかあさん、その葉山って人解体していい?」

 

「ダメよジャック。そんなことしたら貴女がマスターとさよならすることになるわ」

 

「でも、葉山って人のせいで留美お姉さんは死んじゃう所だったんだよ!」

 

「落ち着きたまえジャック。彼には法の裁きを受けてもらうしかない」

 

「ううう……!」

 

ジャックは納得しないのか唸りながら地団駄を踏む。

 

「とにかく、今は留美ちゃんの無事を願うしかない」

 

オレ達は何も出来ない事が悔しくて拳を強く握り締める。

するとスマホから着信音が鳴る。

 

「八幡!留美ちゃんは!?意識を取り戻した!よかった〜」

 

「立香さん?留美さんは大丈夫ですか?」

 

「うん、目を覚ましたって」

 

「ならお見舞いに行こう!」

 

オレ達はお見舞いの品を買いにデパートへ向かう。

 

─────────────────────────

 

総武総合病院

 

あれから2、3日が経ち一般のオレも面会ができるようになる。

 

「留美さん身体に何か異常はないですか!?」

 

「うん、お医者さんが奇跡だって。後遺症も残らなくて、暫くしたら元の生活に戻れるって言ってた」

 

「よかったね留美お姉さん!」

 

ジャック達は喜んでいるのだが、留美ちゃんには癒えない傷が残ってしまった。

()の傷だ。あれから学校に行く事に恐怖はないのだが、一部のクラスメイトに対して近づく事が出来なくなった。

しかしそのクラスメイトは別の学校に転校したので会うことはほとんどなくなった。

 

「鶴見先生、娘さんを守る事が出来ずすいませんでした」

 

オレ達は頭を下げて謝罪する。

 

「いえ、皆さんは娘の為に頑張っていたのは平塚先生から聞いています。これからも娘と仲良くしてもらえると嬉しいです」

 

あの後平塚先生は鶴見先生や小学校教師に頭を下げに回っていた。

オレ達も着いて行こうとしたのだが、自身の監督不届きによるものだとオレ達は着いて行く事が出来なかった。

子供組が留美ちゃんと話しているのを眺めている内に時間が来てしまい帰る事になった。

鶴見先生には、オレの家に留美が遊びに来る許可をもらい、彼女がいつでも来れるようになった。

 

 



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千葉村番外編 悪意を抱きし者

葉山メインです。
彼はこの千葉村で何を考えていたのかの話です。
今回もアンチあるので無理な方はブラウザバック推奨です。
今回セリフ少なめです。


テニスコートの件で俺達は注意だけされ、反省文を書く事にはならなかったが。

しかし俺はとある男子生徒にイライラしている。

比企谷八幡と藤丸立香だ。

あの二人は俺の想い人である雪乃ちゃんに近しい存在で、あまり仲の良い友人が少ない彼女ととても仲が良いのが学校内で有名だ。

陽乃さんから聞いたのだが、特に比企谷八幡は雪乃ちゃんに好意を抱かれているらしい。

去年父さんから雪乃ちゃんが総武高校に入学するのは聞いていたので、俺は小学生の頃とはいえ違うことを証明しようと入学したのだが当日に事故があり雪乃ちゃんは新入生総代挨拶に来れなくなっていたので次席、その次の人に頼もうとしたらしいのだが、その人もいないので四位の俺がやる事になった。

とまぁ入学式の話はここまでにしておいて、今は前期終業式の数日前に職員室で顧問の先生に部活の報告をし終えて、帰ろうとすると鶴見先生と平塚先生が話していた。

 

「平塚先生、千葉村で娘が──」

 

「なるほど、わかりました。奉仕部で──」

 

鶴見先生の娘さんに何かあったのか?最近先生の元気もないしもしかして虐め関連でもあったのか?それに奉仕部が行くのなら、雪乃ちゃんに俺が成長したことを証明できる。

そう思った俺は次の日玄関の掲示板に貼ってある千葉村のボランティアに応募してグループのメンバーと行く事にした。結衣が無理だと言ったのは奉仕部で行くからだとわかっていたので、雪乃ちゃんが来るのは確定だ。

 

─────────────────────────

 

そして当日、俺は父さんに車を出してもらい千葉村に向かう。

道中は騒がしかったがいつものことなので気にしない。

車から降りると既に雪乃ちゃん達がついていたのだがもう一台見慣れない車が止まる。

降りて来たのは、藤丸とキリエライトさん達だった。

彼らと一緒に降りて来たのは小学生ぐらいの子供と白髪褐色肌の長身の男性だった。名前はエミヤといい、藤丸達がこっちに来る前に研修していた所の先輩らしい。

俺は子供達に挨拶しようとしたところ、何故かエミヤさんの後ろに隠れてしまった。

その後宿泊施設に荷物を預けて小学生に挨拶をする。

 

「初めまして葉山隼人です。2日間と短い間ですが気軽に話しかけてください」

 

オリエンテーリングが始まり小学生達は元気にゴールまで向かう。俺達もゴールに向かい小学生の飲み物を準備しに行く。

道中、小学生の一班が蛇に驚いていたので追い払う。

 

「お兄さんすごーい」

 

「アオダイショウだから毒はないよ」

 

よく見るとこの班の一人である女の子が班員よりも少し離れた所にいた。

 

「君、名前は?」

 

「鶴見留美」

 

「ちゃんか。よろしくね」

 

俺は彼女をグループの中に連れて行く。彼女達が仲良く進んで行くのを見て満足して、ゴールに向かって行った。

 

 

─────────────────────────

 

日も暮れて夕食の時間になる。

林間学校の夕食と言えばカレーだ。俺達は小学生達のカレーを作る手伝いをする。

 

「留美ちゃん、カレー好き?」

 

「別に……」

 

そう言って何処かへ行ってしまった。

俺は他の子の様子を見に行く。完成した後は俺達の分も作る。

途中藤丸が連れの子達を連れてきていたが何をしたいのかは分からなかった。

食べ終えた後、食事の余韻に浸っていると、結衣が留美ちゃんの事が心配なのか「大丈夫かな……」と声を漏らす。それを皮切りに留美ちゃんの孤立について議論し合う事になる。

 

(ここで俺が成長したことをアピールすれば好感度を上げられる!)

 

しかし、雪乃ちゃんにはバッサリ切り捨てられてしまい、その上冷たくあしらわれてしまう。

 

(なんでだ!俺は変わったんだ!何故認めてくれないんだ!)

 

その後、ヒキタニが何もしないと言った。

なんて最低な奴だと俺はヒキタニに文句を言う。しかしあいつは見捨てるのではなく出来ることがないと言った。

当たり前だ、お前のようなボッチに何が出来ると言うんだ。

しかし、俺の意見は予想外な人物に──結衣に反対される。

しばらく話し合っていると、藤丸が自分が連れて来た、ジャックちゃん達に任せて欲しいと言った。

小学生が問題を起こしているというのに、何故あいつは小学生に任せようとするんだ。

俺はその意見に反対するも、雪乃ちゃん達が賛同する。キリエライトさんに聞かれるも否定されたばかりで何も浮かばなかった。

そして平塚先生には今はまだ従っておけと、言われ今日の話し合いは終わった。

 

─────────────────────────

 

次の日、俺達がやる事はキャンプファイヤーの木組を組み立てる事と、きもだめしの脅かし役をやる。

木組が終われば川遊びが出来る。

雪乃ちゃんの水着を見れると思うとワクワクして来た。

水着に着替えて川に入る。

すると木陰に藤丸くんの連れの金髪の男の子がいた。

最初、誘おうと思ったのだが、エミヤさんがいて諦めたのだが、藤丸もいなくなったのでチャンスだと思い、接触した。

彼は水が苦手らしく、川遊びをしたくないらしい。それでもこれから先大変だろうと思い、俺が見て慣れさそうと連れて行こうと思ったのだが、突然女の子に止められてしまった。

名前を聞くと宇津見エリセと言うらしい。

訳を説明したのだが中々納得してもらえず四苦八苦している所に藤丸が戻ってきた。

その時のことをエリセちゃんが説明し、藤丸がこちらを振り向いた途端、俺は強烈な圧と寒気が同時に襲いかかって来た。

 

(な、なんだこの圧力……!まるで陽乃さん、いやそれ以上だ……!)

 

それに耐えきれず俺は戸部の所へ逃げてしまった。

 

 

─────────────────────────

 

そしてきもだめしの時間になる、俺は彼女達が本当に悪い子達だと思わない。

だから俺は留美ちゃんと彼女達を話し合わせれば留美ちゃんも彼女達も仲直り出来ると思う。

俺は留美ちゃん達の順番を細工して一番最後に回す。

そして話し合わせて、いじめっ子達は留美ちゃんに謝り仲良くなる事が出来た。

 

(やっぱり彼女達は悪い子じゃなかった!クククッ!俺は成長したんだ!雪乃ちゃんに早速報告しなきゃ!)

 

俺が戻ろうとしたところ、藤丸達が息を切らしながら端来た。

留美ちゃん達のことを話すと藤丸が掴みかかって来た。そして悲鳴が聞こえてくる。

藤丸達はそのまま声の所まで再び走りだす。俺は驚いただけだと思いそのまま雪乃ちゃんに報告しようとしたのだが雪乃ちゃんも結衣もおらず、いたのは戸部と優美子だけだった。

 

「アレ?隼人?」

 

「優美子に戸部。他のみんなは?」

 

「なんか問題かあったって言ってたっしょ」

 

その問題が留美ちゃんが崖から落ちて大怪我負いその上、意識不明の重体になったらしい。

俺は何故こうなったのかわからなかった。

次の日には意識を取り戻し、何故こうなったか聞くと、昨日の夜俺が話し合わせた後に起きたらしい。

あの後、俺にチクったと思われて罵倒されしまいには「死ねばいいのに」と言われ耐えきれなくなった彼女は暗闇の中走り去り崖に落ちたという。

 

(クソガキが!なんでなかよく出来ないんだよ!俺の計画が全ておしゃかになったじゃないか!)

 

しかし俺そのことで頭が一杯になっていて理解していなかった。

自分の罪を、そしてこれからを。

 

 

 




ちなみに川遊びの時ゆきのんがエリセの胸を見てはっきりと落ち込んでしまいました。
ガハマちゃんに平塚先生、マシュに三浦も大きいですし仕方ないネ


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夏祭りにて藤丸立香が逸般人だとわかる。

遅れてすみません……
え?今まで何してたかって?
FGOやってありふれの小説書いてました。

お許しください!

え?後ろ?

じいじ「………」

許してください、なんでもしますから

じいじ「では首を出せ……」

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!





千葉村の事件から一週間経ち葉山は裁判で賠償金を払うことになり、二週間の停学をくらった。

今現在オレはカルデアでトレーニングをしていた。鍛錬はしっかりやってこそ効果があるからね。レオニダス達と別れ、シャワールームで汗を流す。

 

「ふぅ〜一汗かいた後のシャワーは気持ちいいなぁ〜」

 

オレはその後種火周回や宝物庫周回を繰り返す。流石に金林檎を食べ続けるのはキツい……

そしてそれから1週間が経ち、奉仕部のグループLINEから連絡が来る。

 

「何々?『明後日、祭りがあるからみんなで一緒に行こう』だって」

 

「日本のお祭りには行ったことがないので行ってみたいです!」

 

「そうだね……まだマシュは日本の花火を見たことはなかったもんね」

 

すると、どこで聞いていたのか突然アーチャーのギルガメッシュとオジマンディアスが現れる。

 

「話は聞かせてもらったぞ雑種!」

 

「そのハナビマツリとやら!余達が見定めてやろう!」

 

そう言ったあと声高々に笑いながら去っていく王様ズ。これは一波乱ありそうだ……

とにかくストッパーが欲しいので、エルキドゥとアーラシュにそれぞれの王様ズを制御してもらえるよう頼む事にした。

誰を連れていくか悩んでいる。マシュと2人きりではないので、そういうところを考えると、マンドリカルドを連れて行こう。

オレはそう考え、マイフレンドのルームの扉を叩く。

 

「マイフレンド!いる?」

 

「リツカ?何かあったんすか?」

 

「実はね……明後日花火大会があるから一緒に行く?」

 

「ハナビタイカイ……さっき王様達が声が上げて笑っていたのはそれが理由っすか……」

 

「うん、それでどう?」

 

「俺もリツカの国を見てみたいから丁度いいっすね。行くっす」

 

「おっけ。ダ・ヴィンチちゃんに頼んでくるね」

 

オレは足早に管制室に向かい、許可をもらう。

OKが出たことをマンドリカルドに伝え、日本に行く準備を整える。王様達の格好があまりにも常人離れし過ぎていたので着替えるよう頼み込んだ。

それでも溢れる王様オーラは消えなかったが……

そして花火大会当日、オレ達は待ち合わせ場所に10分前に着く。

今日来たのはいつもの子供メンバーとエリセにエミヤ、王様2人にストッパーのエルキドゥとアーラシュ、最後にマシュとマンドリカルド。エレシュキガルも誘ってみたのだが、別件の用事があるようなので無理だった。

王様2人は既に屋台を回っている。それに付くようにエルキドゥ達もいない。

 

「おーいリッカーライちゃーん!」

 

鈴鹿御前と似た声がする。声の方を見ると結衣達も来ていた。女子陣は浴衣を着ていた。

 

「結衣!こっち!」

 

「リッカ、ライちゃんお待たせ!」

 

結衣達と合流して祭りを回る。沢山の屋台化並んでいる。

 

「リッカとなりにいる人はお友達?」

 

「うん、オレの親友のマンドリカルド。研修先で出会ったんだ」

 

「あ、えっとマンドリカルドっす……」

 

少し顔を赤らめ、目を逸らしながらペコリと頭を下げる。

 

「あたし由比ヶ浜結衣。よろしくね」

 

「私は雪ノ下雪乃よ。よろしく」

 

「比企谷八幡」

 

互いに自己紹介をし屋台を回る。たこ焼きを食べた時にマンドリカルドがハフハフしてた時は誰しもが通る道だと思い、笑い合い。射的では景品をバシバシ落としていた。流石デュランダルを持つまで様々な武器を扱っていただけある。

それからいろんな屋台で買い食いをする。ジャックやナーサリー達子供系サーヴァントが無邪気にはしゃいでいるのを見ると心が癒される。

その時だった。

 

「雑種!楽しんでいるようだな!」

 

そう言いながら現れたのは、眩い金髪に紅い瞳の男──ギルガメッシュがお面を被り、片手に綿菓子、片手に金魚を持っていた。隣には雪乃ほどの長さの緑髪のエルキドゥもいてお好み焼きを頰一杯に食べていた。

 

「2人も楽しんでるんだね」

 

「エルキドゥさんは結構買い込んだんですね」

 

「屋台の食べ物が美味しくて、ついつい目移りしちゃって」

 

「そっか。これから花火だけど、2人はどうするの?」

 

「我はヴィマーナで空から見るつもりだ。雑種はどうする?」

 

「オレはみんなと見る予定」

 

「そうか、ではまた後でな」

 

「リツカも楽しんでね」

 

2人はそのまま別の方向へ行った。なんか足取りが軽いように見える……微妙に浮いてない?3ミリくらい。

すると後ろから肩を叩かれる。振り向くとそこには褐色肌で金色の瞳を持つオジマンディアスとオジマンディアスが勇者と認める男アーラシュが立っていた。

 

「リツカよ楽しんでいるようだな。そこのマンドリンというやつも」

 

「マンドリカルドっす……」

 

「余はこの後黄金のが持つ船に乗って見るのだが、リツカは……友と見るのだな」

 

「うん」

 

「ならばカルデアでまた」

 

「はい」

 

八幡達の方へ向き直ると、なんか唖然している3人がいた。あれかな?ギルガメッシュにオジマンディアスのオーラに気づいたのかな?まぁあの2人はとんでもない存在だから、気付くのも当たり前か。

 

「なぁ立香、さっきの人たちは?」

 

「同じくオレが研修先で出会った人たち。まぁ見ての通りすごい人たちだから」

 

「どういった人なのかは聞かないでおくわ……」

 

「そういえばさ、リッカとライちゃんの2人はどこに研修しに行ったの?」

 

「カルデアって言う星見の天文台。オレはよくわからないから研究者達のサポートとか現地調査しかしてなかったな。その時にマシュと一緒に行ったんだ」

 

「カルデアと言えば一昨年くらいから雪山の方に拠点を置いて活動をしているって聞いたことがあるわ」

 

「お前らそんな有名なところにいたのかよ……」

 

そんなこんなあって、花火が上がる時間になる。陽乃さんが有料席に招待してくれたので特等席で見ることが出来た。

 

「陽乃おねーさーん」

 

ジャックは陽乃さんのところに向かい走り、飛びつく。

 

「これ、ジャック……」

 

「ジャックちゃんよく来たね♪」

 

「花火楽しみ!」

 

「すみません」

 

「いえ、わたしもジャックちゃんと会えて嬉しいですから」

 

「私たちと仲良いもんね〜」

 

「ね〜♪」

 

2人が仲が良いことにエミヤはため息を吐きながら

よーく上を見ると何やら金色に輝く物が見えたのだが、知らないフリをすることにした。ギルガメッシュはオレ達にしか見えないようにしているらしい。

 

ドカーン!

 

「「「たーまやー!」」」

 

ドカーン!

 

「「「かーぎやー!」」」

 

その後も花火を堪能して、今年の夏祭りは終わったのだった。

 

 

 

 

 

 




ギルの格好はstay nightのアレです

FGO6周年が豪華すぎりゅ
邪ンヌの宝具強化キタコレ!


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