ドリフ・ザ・ゲート (仮面ライダーハードエボル)
しおりを挟む
01.始まりの戦闘…
歴史に刻まれる偉人…英雄…それに数えられる者達は皆、何かしらの偉業を残している…
しかし、中には自身の遺体を残すなく歴史になった者…或いは異質すぎて消された者…人々に称賛され寿命を全うした者達がいる。
では、遺体が見つからなかった者達は何処に消えたのか…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
20XX年8月、東京の銀座に突如現れた異世界の[ゲート]、それによって異世界の軍が現れた銀座を蹂躙し始めた。
しかし、自衛隊の活躍で異世界の軍を撃退し事なきを得た。
それでも大多数の民間人が犠牲になったこの事件は後に[銀座事件]と呼ばれることとなった。
その後、事態を重く見た日本政府は異世界の軍に対抗するために自衛隊の派遣を決めた。
side:アルヌスの丘
時刻真夜中の0時この丘に大規模の戦闘が行われていた…敵は銀座に攻めこんだ国の隷属している連合諸王国軍の残存兵力である。
彼らは自分達の上に立っている帝国の命令で集まった軍であり、当所は三十万の兵力があった。
しかし、自衛隊が持つ現代技術の武器や戦略によって二度の敗北を味わっていた。
残った連合軍は暗い夜ならばと夜襲による三度目の進軍を開始したが、自衛隊の持つ科学技術で辺りを照らされ無意味となった。
「奴等は…化け物なのか…!?」
眼帯をつけた五十代のこの男はエルベ藩王国の国王デュラン。
帝国の召集に応じ、アルヌスに赴いて各国の王たちと共に来ていた彼は帝国に利用されたと嘆きながらも一子報いようとして夜襲を提案した。
その夜襲も無意味となり彼は回りが蹂躙されていくのをスローモーションのように見ていた。
そこで自衛隊達にも予想外な事態がデュラン達連合諸王国軍に襲いかかる。
上空の空間が突如歪み始め、ソコからある物体が出てきた。
異世界の者たちにとって存在すら知らないものだが、自衛隊達にとってはある意味見慣れたものだった。
「おい何だあれ!?」
「戦闘機?にしては型が古すぎるしボロボロだろ…」
「てか、戦闘機なんて入れる分けねぇだろ」
「何だ…あれは?」
「空を飛ぶ…剣…!?」
連合軍と自衛隊が突然の事態に混乱するなか、双眼鏡を覗いていた一人の自衛官が声をあげた。
「あの戦闘機…まさか…!?」
「どうした?」
「あり得ない…ましてやこの世界に!!?」
「だからあれは何だよ!?」
取り乱している自衛官に近くにいた仲間達が説明を求めるために近づき、続きを促した。
「あれは…第二次世界大戦に使われていた局地戦闘機“紫電改”…七十年以上前の戦闘機だ!!!」
突然の事実に回りの自衛官達が呆けてしまったその時。
“紫電改”が連合軍に攻撃を開始した。
突然の空からの攻撃になす術の無いまま連合軍達は肉片に変えられていった。
「我等は…一体…何の為に!?」
「ハハ…ハハハ…アハハハハハハ!!!」
地上と空からによる圧倒的な暴力…それの前にデュランは狂ったように笑い出した。
そのデュランも“紫電改”の銃撃により、吹き飛ばされながら土煙の中に消えていった……
side:自衛隊
連合軍の撤退により、戦闘が終わったアルヌスの丘に“紫電改”が着陸をした。
自衛隊達は警戒をしながら十を構えつつ、少しづつ“紫電改”に近づいていった。
突然“紫電改”の出入り口部分が開き一人の男が出てきた。
男の姿はあちこちに血が出ており、服装は所々破れていたが服事態は戦争当時の物そのものだった。
「我々は陸上自衛隊の者だ!!」
「こちらにゆっくり振り向き、所属部隊を言え!!」
自衛隊の指揮官がパイロットの男に命令をすると、パイロットは言葉を発しながらゆっくりと振り向いた。
「アァ!?陸上自衛隊?陸軍の新しい部隊か何かか?」
男はそういった後、自衛隊達に敬礼をして所属部隊と名を名乗った。
「大日本帝国海軍所属!343空戦闘301飛“新撰組”隊長、菅野直大尉であります!!」
厳つい顔をした青年の名乗りに自衛隊達の誰もが息をのみかたまった。
男の名乗った名は第二次世界大戦で消息不明となり、七十年以上前に死亡扱いになったものだから…
しかし、自衛隊の者達は知るよしもなかった…この会合は始まりにすぎなかった事を…
ーENDー
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
02.困惑の自衛隊
side:アルヌス戦闘跡地
「銀座と併せて約十二万か…」
大規模な戦闘から翌日、一人の自衛官が死屍累々の現場を見渡しながら呟いた。
彼の名は
しかし、実際は自他ともに認めるオタク自衛官であり、この事件がなければ万年三等陸尉として過ごしていた一般人である。
「ちょっとした地方都市一個分の人工が戦死ねぇ…」
「どんな国かは知らないけど、もう末期症状なんじゃないの?」
side:アルヌス基地のある場所
陸上自衛隊狭間陸将…特地に派遣された陸上自衛隊の最高責任者の彼は頭を抱えていた。
特地の敵軍の三度目の襲撃の時、突如歪んだ空から現れた第二次世界大戦の戦闘機の出現…その上そのパイロットが“デストロイヤー”…“ブルドッグ”等の渾名を持つ戦死した軍人、
歴史に名を残した伝説のその男は今、狭間陸将の前に不遜の態度で目の前に立っていた…
「陸将!彼の乗っていた戦闘機…“紫電改”の調査、並びに所持品や服装を鑑定した結果は暫定的ですが、当時の物であると判断されました」
「また、菅野直氏の事情聴取の結果、自分達が使っている英語を不快に感じていること、この基地の設備を呆然と視ていることから本人である可能性が高いかと…」
「アァ!?」
「さっきから俺は本人だって言ってんだろうが、バカヤロー!!」
報告をしていた柳田二等陸尉の言い方にイラついた菅野直は柳田二尉に突っ掛かった。
怒鳴られた柳田二尉は少し引きぎみになりながら、持ち直して何とか宥めようとした…。
「いっいえ、別に貴方のことを悪く言ったわけでは…「菅野直大尉殿!」!」
「ん?」
「私はこの基地の最高責任者を務めている狭間と申します」
「まずは昨日の戦闘に助力して頂いたことに感謝を…そして貴方に会えた事を光栄に思います」
狭間陸将はそう宣言して菅野直に手を差しのべ、握手を求めた…
「おっおぉ…こちら…こそ?」
菅野直は差しのべられた手を握りしめ、握手に応じた。
「部下達から話を聞いたと思いますが…疑問があれば何でも聞いても構わないが…」
「……」
狭間陸将の言葉に菅野直は少しの間黙り、重い口を開いた…
「大日本帝国は…戦争に負けたのでありますか…?」
「あぁ…日本は戦争に敗北し、多くのものを失った…」
「しかし、数十年の時間をかけて日本は復興し、我々は持ち直した…」
「そして、菅野大尉殿の事も嘗て国のために戦った軍人として歴史に名を残しているが…」
「どういうわけか…貴方は時代と世界を越えてこの異世界に流れてしまったようなのです」
菅野はそれを聞いて何かを考え始めていた…。
「貴方のことを知っているのはこの世界にいる我ら自衛隊と、現日本政府の一部のみ…」
「貴方が望むのなら…新しい帰る家を用意することも可能ですが…」
これは狭間陸将なりの計らいだった…
菅野直は既に戦死していることになっている過去の人間…第二次世界大戦から七十年以上過ぎたこの世界に彼の家族も居場所も既にない…
そんな彼に同情があるが、彼への敬意としてそのくらいの力を貸したいと思っていた…
そんな狭間陸将の思いとは裏腹に、菅野は別の事を狭間陸将に告げた。
「有り難い申し出ですか…却下するであります!」
「!?」
「自分は軍人…あの空で死を悟ったと思いきや奇跡的に本土に帰ってこれた…」
「しかし!蓋を開けてみれば七十年以上の未来の日本と来た…その上、イセカイ?とか言う日本でもアメリカでもない場所だった…」
「正直、頭の中がめちゃくちゃですよ…」
菅野はそう言いながら自身の頭をかきむしる…彼本人もこの事態に追いついて行けてないのだから。
「自分は空の上でしか生きることを知りません…」
「なら!自分はあんた等自衛隊達と共に生きて行こうと思います!!」
「「………」」
菅野直の話を聞いた狭間陸将と柳田二尉は少し黙っていた…。
民間人として生きることより、軍人として今度は自衛隊に入ると言ってきたのだから…
~数分後~
菅野直が退出した後、狭間陸将と柳田二尉は二人で話し合っていた。
「彼を見てどう思った…柳田二尉?」
「第二次世界大戦を生きた軍人…正直、この異世界で会うことになるとは思いませんでした…」
「彼自信については単純一途で喧嘩が強い不良と言った印象でした」
柳田は思った事を素直に言った。
「私も似たような感想だ…」
「歴史に名を残した日本の軍人…彼の申し出は正直、有り難いものだ…」
「彼に現代の技術と知識を与えれば、一流のパイロットになるだろう…」
「私が懸念しているのは彼でない…」
「どういう…?」
「
「本当に
狭間陸将の言いたいこと…菅野直以外にも時代と世界を越えて来る者がいるかもしれない…
「陸将は…他にもいると?」
「さぁ?」
「こればかりは私の勘だよ…」
狭間陸将はこれから起こるであろう可能性に目を瞑ってそう答えた。
side:とある領地
「ゲートは奪われ、諸王国軍はほぼ壊滅…」
「この世界に来て九十年…帝国はいよいよ終わりの時が来たかも知れないだわさね…」
「はてさて…あたしはどう動こうかしらねぇ…」
~END~
目次 感想へのリンク しおりを挟む