対魔忍NARUTO (イシグロ)
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その医師、転生者(死亡確定)

ぼくぁね、卑劣…げふん千住扉間って幼妻娶ってそうだよな

そんなひどい偏見を元に書いたのがコレなんだ
あとあの小説を真に受けてしまった。やれなくはないよね、ただ…対魔忍だからね。でもちゃんと惹かれる設定だから健全までいったと思うよ
対魔忍だけど




幽世の住人、闇の存在ときには見えぬ隣人である魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する、近未来の日本。

人魔の間で太古より守られてきた“お互い不干渉”という暗黙のルールは人が、外道に堕してからは綻びを見せ始め、人魔がお互いに結託した秘密組織、企業が暗躍し時代は混沌へと凋落(ちょうらく)していった。

 

しかし、正道を歩まんとする人々も決して無力ではなかった。

時の政府は人の身で≪魔≫に対抗できる“忍びのもの”たちからなる集団を組織し、人魔外道の悪に対抗。

人は彼らを“対魔忍”と呼ぶ──…。

 

 

人は生まれた身分や世界、時代さえ選択する事の出来ない存在だと実感する。

かくいう私も、この世に生まれた事を嘆じ苦悶する運命だと悟った。何故、ここまで悲観するのかと言えば…この世界、とあるゲームの世界観に酷似していたのだ。いや、むしろその世界へと生れ落ちたというべきだ。

対魔忍…聞いたことのある人は少なからずいるだろう。

感度3000倍、頭対魔忍、開幕娼婦役、Yブタ…すでに察していると思うが、この対魔忍、凌辱系成人向けゲームの一つとして有名だ。ここ最近、健全なゲームとしてスマホゲームに進出したが、あの運命と同じ元は成人向けゲームなのでプレイする人はそちらを通った人が多い。

ただ、世界観に至っては興味が引くようなモノで人気も出てきている。

そんな対魔忍の世界に、私は…生まれてしまった。

「……いや、対魔忍ならまだマシなんだ」

そう、対魔忍“だけ”ならまだ良くある話だろう。

そこに、某熱血週刊雑誌の人気だった作品が混じったら…どう思うだろう?

同じ忍びを題材にした作品、…少なくとも思い浮かんだだろう。知りたくはない、混じっても可笑しくはないが…如何せん、元が正反対すぎる。

「なんで、NARUTOまで混じるんですかね…!」

NARUTO、海外の間違った忍者像をそのまま題材とした長編作品。印を結び、四大元素の遁をはじめ、多くの中二病を生み出した写輪眼、血継限界といったパワーワードの宝庫。

とは言え、BLEACHよりか中二病は薄いがそれでも多くの男子を夢中にした作品。

ご安心を、先ほど申したもの全部…入っていますよ。

 

…良くねぇ、全くもってよくねぇ…っ!

なんでよりにもよって、NARUTOなのか。それだったら、ニンジャスレイヤーがまだマシであった!あっちの方が、より世界観にマッチしていると思う。ほらサイバーパンク繋がりだし、突っ込みどころが多いなど共通点ある中、よりによってチョイスがNARUTOであった。

「…NARUTOのキャラが感度3000倍になるって、どういうことだってばよ」

もはやうなだれる他ない、ここが居酒屋であったらヤケ酒をしていたところだ。

 

「具合が悪いのか?」 

 

ふと、頭上から声が掛かる。

見たくない、いや…親なのだから別にどうってことはない。見たくない親の顔など、余程が無い限りないのだ。

……顔を上げる、そこにはあの二代目火影、"千手"扉間に似た男が立っていた。

私の父親であり、対魔忍の一人である≪千住扉間≫。

この混じりあった世界における、千手扉間の立ち位置にある人であった。

有り難い事に、柱間様や原作で故人である瓦間、板間は存命しており立派な対魔忍だ。

あのうちは家も同様…まぁ、争っていないだけでもマシだ。何せ共通の敵が居るんだ、親同士の同盟ルートとも言える天文学的数値をピタリと当てたのだ、よくやったぞ。

褒めて使わす。

だが、ここは対魔忍ワールド。ガッデム、ファックユーゴッド。

「イエ、ナニモ」

「そ、そうか?」

私は、千住襖間(ふすま)。

千住扉間の娘であり、魔界医師を務めるモノだ。

 




オリ主な襖間のイメージは大体婦長と扉間を合わした感じ

性格は似てないけどね


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魔界医師、写輪眼をチートに戻す

こっちの千住とうちははまともになってる
共通さえあれば手を組むだろうと思って、良かれと

でもさ、対魔忍ワールドだから怖いよね
いろんな意味で



「相変わらず好い腕をしている」

「いたみいります」

 

ところで写輪眼の欠点と言えば、失明が主だ。

瞳孔を大きく広げ光量を多く拾い上げるためか視神経に多大な負担と、脳の処理速度に負担が掛かる事が原因だと解釈。仕組みとしては、脳から送られる特殊なチャクラが流れそれによって敵の動きや、技までも瞬時に見切りその動きを捉える事が出来る。

その特殊なチャクラはいまだ解明されておらず、脳から出る特殊なチャクラは他にもありそうだという論文も出るほど、脳はこの時代になっても未知の領域であった。

話が逸れたが、写輪眼は主にうちは一族にしか開眼されない特殊な魔眼である。それ故に、人魔の間では危険視や希少なものとして認識するものが多い現状。

魔眼を持つ一族で代表なのがふうまくらいだろうか。祖先はふうまの血を取り入った可能性また、祖先が同じという解釈も取れるだろう。

何で写輪眼の話をしたかと言えば、…今日の患者はその写輪眼を持っている人物であった。

うちはマダラさま、この対魔忍の世界における千住と並ぶ上忍の一族うちはの族長。

「魔界医というものは、万能だな」

「学ぶものが多いですが、こちらでは非合法ばかりなのが実情です」

魔界の医療技術はこちらとは比べ物にならない程、最先端すぎていた。身体の仕組みが違う事が前提に来るため、悪魔は平気な手法でも人間には耐えられないものがほとんど、人間に合わせ試行錯誤がいる。

 

現に、写輪眼の失明の案件。

以前は眼球ごと移植しなければいけないモノだったが、最近では魔界の技術で個々のDNAを検出、それを元にコンタクトレンズとして使い捨てのものもあれば、肉体改造でその力に耐えられるような身体にするかという選択肢が増えた。

もちろん、失明の無い写輪眼にするのが最終課題でもあるのでまだ途中に過ぎない。

 

「未だ、木遁の解明は進んでいないのか?」

「あれは、…どうやら魂に関係するものの様子。おそらく…マダラさまも出来るのではないでしょうか?」

「木遁を、か?」

「医師仲間の魔族が言うには、柱間様とマダラさまは血縁者同士の魂らしいですね。何か、切っ掛けがあればおそらく出来る可能性はありましょう」

 

まぁ、ぶっちゃけ言えば大筒木ハゴロモの血を濃く引く子供と言えば、アシュラとインドラの兄弟。彼らの転生体は柱間様とマダラさまであるため、柱間様の専売勅許でもマダラさまなら出来なくもないと思う。

しかし、あの仙人どもまで存在するとは…嫌過ぎるんですけど。ハッキリ言って、ここで兄弟喧嘩の因果を持ち込まれてもマジで困る、よそでやってクレメンス。

フリじゃない、フリではないぞ。

「きっかけ、か」

「…診察は以上です。お疲れ様です、マダラさま」

「あぁ、世話になった。……しかし、あのお主がここまで成長を遂げるとはな」

武骨な手が自身の頭を優しく叩く、それはまるで幼い子供の成長を褒めるかのような仕草だ。

あのうちはマダラさまが此処までする事に、未だに不審を覚える。だが、ここのマダラさまは原作のマダラさまとは別人だ。

…気恥ずかしさと、懐かしさそして、嬉しさがグチャグチャと成って入り乱れる感情を出しまいと、押し殺しマダラさまを見送った。

 

 




悲報、対魔忍側に木遁使い居た

カイワレちゃん可愛いな、柱間さん?ありゃあ、キノコおじさんだろ


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忍法プロデューサー扉間

とりあえずRPG軸で、NARUTOの時代も混ぜ混ぜ
彼女が活動している時代はNARUTOで言うなら、創設期辺り

近々扉間の奥さん登場させたいものだね


独自解釈あり

 

 

対魔忍は一人一人に、忍法と呼ばれる必殺が存在する。

例を挙げるなら、井河アサギは【隼の術(はやてのじゅつ)】。コレは異能忍法、肉体を強化し上忍をはるかに超える運動能力を駆使した忍法である。他にも、自然系忍法が主であったが、RPGでは超人系忍法と呼ばれる忍法が公開。私自身の解釈で申すなら、この超人系忍法は憑依、変化と言ったシャーマンやオカルトに近い能力を得るモノではないかと思っている。

とは言え、忍法も十分オカルトなのでただの仮説に過ぎないが…。

そんな忍法、これは対魔粒子とよばれるいわくつきの粒子によって発現する事が多い。原作を知っている私からすれば、この対魔粒子の発生源は魔族だろう。いや、魔界の物質と言っても良いかもしれない。

そんな対魔粒子の発生源を知るのは、おそらく私を除き魔界医を務めるモノか…上層部くらいだろう。

魔族と対峙する対魔忍が、魔族の血を引くなんて良いスキャンダルだ。

ハッキリ言って、このままひた隠しには出来ないし隠し通せないだろう。井河アサギが魔族へと覚醒する、そんなイベントが起きれば必ずこの対魔粒子の秘密が明かされる事なのだから。

まぁ、覚醒が起きた所で彼女はきっと立派な対魔忍になるだろう。

それこそ、ダンピールのように。

 

 

対魔忍が一人に付き、一つの忍法を持っている…。

別に嘘ではないが、ここで一つ再度確認しよう。この世界、対魔忍の他にどんな作品が混じっていたかだ…そう、NARUTOだよ、諸君。忍法、および忍術の研究者および開発者と言えば誰が上がるかな?

 

千住扉間だね。…居るよね、うちの父親なんですよ、奥さん。

やりましたよ、あの頭対魔忍ばかりな中で希少な頭脳派対魔忍である千住扉間様がやってくれました。この時代にお館様ことふうまくんが居たら、もう父さんは逃さんばかり足の腱を引き千切って鍛え抜いて第二の千住扉間に仕立て上げるでしょう。

酒に溺れないだけマシだよ。

…ここまで言えばわかるよね、そうだねこの時代も立派に頭対魔忍なんですよ。まだ、ふうま君と言う頭脳で、参謀役居ない…居るんだけど頭脳派はハッキリ言って死にやすいし、貧乏くじを引いて死亡率高いんですよ。

皆、慢心駄目だよ。慢心は碌な事を生まないからね…。

話はそれたけど、開発した術の中には飛雷神はもちろん、あの穢土転生までやってくれる。

痺れるし、憧れるーな人ですよ。

…ところがぎっちょん、そんな甘くないのがこの世界。普通、忍法は一人に付き一個と言う認識…ではなく戦場に出れば実際そんな事はない、手札は多い方が良いのが当たり前だ。

それを固定化しようという馬鹿どもが居ます。

父の功績はもちろん偉大ですが、先を行き過ぎたのです。コレを良くないとまくし立て上げるのが、こちらも健在の老害どもですわ。

ズッブズブの魔族と関係を持った老害ども、まともな方は要るけど権力と発言力が弱いので立派なバックではないのが現状です。コレをどうにかしないといけない、それでも私自身はあくまで魔界医師。

どうにもできないが、忠告は言える。

 

「近々、ネズミが大病を持って来させるでしょう」

「…ネズミ、か」

「ネズミ、です。…嫌ですね、天井裏に根城を構えられては衛生的によくはないのですよ」

…私にはこう言った表現無理ですよ。

父はどうやら、汲み取ってくれたようで近々大掃除が始まりそうですね。柱間さま、マダラさま…そして井河と甲河の現当主も協力してくれるようで早く済みそうです。…後は、エドウィン・ブラックの対策を本格的に入れておかないといけない。

台湾危機と呼ばれるのが、RPG軸からして三十数年前。

私が生きている内に起こる戦争だ、そこで魔族がエドウィン・ブラックを筆頭に侵攻を始めるだろう。どうにか、傷跡を深くさせないようにしなければいけないが…私にはそんな大層な事を出来るかどうかわからない。

けど、まだ…死ぬわけにはいかない。

せめて、次代の子供たちが安全に健やかに暮らしていけるように。その為にも、まだ死ねない。

死ぬわけにはいかない。

 

 




みんな、対魔忍とコラボしても感度3000倍とかしかないからいい事無いぞ

でも見たいなぁ チラッチラッ


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オークも個体差あるのね…

襖間ちゃん、オリ主で転生者だけど早々退場は確定してる
チーターしてるからね、いや言うほどやってないか

木遁、写輪眼、血継限界、仙人モード…ちょっとチート多すぎぃ!


 

オーク、対魔忍はもちろん西洋ファンタジーではある意味定番な妖魔。

本来はオルクス(いわゆる死者の国、黄泉)に住む死人とされ、オークと言う名前が一般的に知られるようになったのはトールキンが発祥とされる。

外見は醜く汚らわしい豚の顔を持った人間の姿を取り、知能はあるものの繁殖能力も高く、破壊するだけの存在と書かれる事が多い。また、北欧の英雄譚ベーオウルフでは、オークは海の怪物と記されている。

対魔忍はやはり、前者の扱いだ。

とは言え、友好的な性格も居る為か、個体差があるのでいちがやにそう言った印象を持つには早すぎると言わざるを得ない。

私の部下にも、オークはいるが…まぁ友好的ではある。

 

 

「やはり、ここの対魔忍は良い奴らばかりです」

「そうか…」

「えぇ、ガタイも良く気立ても良いばかりか…ツンデレも存在する。楽園は此処に在った、ですな」

「ヤスケ、お前が嬉しそうで何よりだよ…うん」

 

別に、ゲイなオークが居ない訳でない。

居ようがいまいが、あくまで主役は対魔忍。そんな世界だ、ヤスケの様なオークは居ても可笑しくはない、個体差だ。

個体差、イイネ?

女嫌い、そう言ったオークも居るとは思う。現に目の前のオークが該当するのだから。

「先生も、男であれば喉を鳴らすほど良い色男になっていたでしょうな」

「私は父に似ているようでね、そう言った印象を持つのはしたかないさ。…止めてくれよ、父共々」

「俺は人妻に手を出すほど、飢えちゃいませんよ」

「なら、いいんだ…」

もう、本当にこいつ人間じゃないかと疑いたくなるが…オークなんだよなぁ。何でオークなのに、こんな性格なのか。

天文学的数値がピタリと揃ったのだろうか、きっとそうだ。

このヤスケ、拾ったのはとある魔界でのこと。

偶発的な小規模の魔界の門へ吸い込まれ、死を覚悟した時このヤスケと出会った。オークでありながら、一匹狼の気質でその異常性癖故に群れから追い出されたらしく一人で居た所を、護衛に雇ったのが始まりだ。

最初は女に嫌悪感を覚えていたらしく、素っ気ない態度であったが…短い時間ながらも仲は進展していき、帰還と共にこちらの世界へ連れてきたのだった。戻った頃は、流石に父に動揺させてしまったが、あの人は有能であれば雇う節があったため、御眼鏡に叶ったと言ったところ。

オークに似合わず、多才を発揮するほどの人材。

医療はもちろん、戦闘、魔術、それに加え忍者としての才も持ち合わせているので、優良物件を拾った事に感謝する他ない。

ゲイとは言えど、節度を持っている為…こいつ、本当にオークなのかと疑いたくなる。

「さぁて、俺自身も分かりませんな。オークである、それ以上でもそれ以下でもないでしょう」

…コイツ絶対、突然変異の類だ。

 




対魔忍キャラは鹿之助が好きだね
ああいった性格にドンピシャ。それに見た目も好き、とうとうエロシーン出ましたね

自分は引退しましたが、気になる…


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最初の犠牲者

まぁ、やった

やっちまいました、あと地味に威力上げました。何がとは言わないけど…


色々注意と捏造あり

 

 

今日は吉報が届いた。

どうやら柱間さまにいずれ妻となる人が出来たという知らせだ。その女性はうずまきミト、原作でも同じ名前の女性が登場する。

うずまき一族、結界・封印術に長けた宗家とされ、彼女自身も優秀な対魔忍としての素質を持っているらしい。この世界にも、うずまき一族は存在していたようだそれとあの井河家と持繋がりを持っている様子。

近年は恋愛結婚が主流だが、やはり名家となるとお見合いと言う形が今でも活用されている。

そんな柱間さまはお見合いに対し、父は恋愛結婚だったと聞く。

あの千住扉間が恋愛結婚、驚きを隠せなかった。原作では明かされていないし、何より独身説が濃厚であったため。聞くところによると当時、父と母は結婚した年齢は一回りも離れていたという…母はおそらくまだ学生の身分だ。

父も意外と手が早いのだなと、しみじみ思う。

マダラさまも、奥さんとは長い付き合いらしい。確か、柳家と言う毒物を扱う対魔忍の出らしい…RPGでもキャラが出ていたっけ。あの可愛らしいお方とは似ても似つかぬもの。

けど、綺麗な花にも棘があるというくらいだ、そう言うことだろう。

イズナさまや、瓦間さま、板間さまは未だ独身と聞く。そんな彼らは女性対魔忍たちの間では相当人気らしく、今でも妾を狙う人も居るとか。それもそうだ、有能かつ名家の出の男とあれば誰よりもお近づきになりたいもの。

私は恐れ多く遠慮しておきたいけど…。

 

あれから、柱間さまとミトさまはいい感じであるという。

マダラさま筆頭に、惚気を落とす所業に参っている様子。

…でも対魔忍ワールドなんだよな、ココ。女性対魔忍、ミトさまは強いとは言えどここはもう、末法な世紀末である。死と言う形で終わるなら、まともな部類に入る世界だ…せめて悲惨な事にならないようにしたい所だ。

すると、ヤスケがいきなり飛び込んできた。血相が酷い、嫌な予感がする。

「先生、急患だ」

「症状は」

「……あぁ、その」

「早く言え、一刻を争うんだぞ」

「感度5000倍、症状としては動悸の激しさと全身における過剰敏感、空気でさえもイかれるほどだ」

「…それ、死んでない?人間の脳の処理速度超えているし廃人よ」

やべぇ、対魔忍ワールド舐めていた。

感度3000倍ですら人間の脅威どころか、死に繋がるのに5000倍なんて気が知れたものじゃない。患者は誰だ、並大抵の対魔忍では速攻死んでいるし廃人だ…おそらく父でさえ、下手すれば死んでいるぞ。

誰なんだ…患者で運ばれるくらいだ、まだ意識は少しくらいはハッキリしている…と思いたい。

そこまで感度を異常にさせるは短期間では不可能、長期間の調整がいるはず。敵が使ったのはおそらく瞬間性の薬辺りだろう。脳を一時的にパニックに落とし、神経全体を狂わせる…それもとびきり違法中の違法の媚薬だ。

 

「千住柱間さんだよ」

 

アイエェエエエ!ワッツ、ナンデ柱間サマ!?ワァッツ!!?

私は叫びたい気持ちを押し殺し、直ぐさま支度を始める。他の仲間たちも、おそらく私と同じ気持ちだろう…そこに誤差は在れど。

手術台に運ばれてきた柱間さまの容体は、ハッキリ言って最悪だ。

動悸の激しさと、晒した肌が空気によって触れる事で感度を高め続け、絶頂と絶頂寸前を秒間隔で繰り返している状態。

え、エロゲの世界ってこんな怖い世界なの?

死んだ方がまだマシじゃないか…て言うか、この人まだ辛うじて意識がはっきりしている時点で化け物なんですけど。弱った…ここまでの症状、症例云々の問題ではない、麻酔だと即効ホトケ行きだ。

ならばどうする、神経が暴走機関車になっているんだそれを抑える薬を注入、いや間に合わない…。

……くそ、正直この方法は使いたくはなかった。

 

 

魔界医療には、“死”すらも超えるモノがある。

前向き、という意味らしい。それもそうか、何せ不死王でありノーライフキングを体現した存在も居るんだから。

だからこそ、死を簡単に操ってしまう。

柱間さまを特殊な技術で仮死状態とし、培養液に付けその間に症状を抑える薬を肌に直に浸透させる。仮死状態の技術は何度か、行っており力加減も分かっているつもりだ…正直、これで柱間さまが目覚めなかったら私は、どうなっているだろうか。

今考える事ではない、最善…いや、治してみせる。

……それが、医師である以上の私の忍道、よ。

 

 




柱間さんは3000じゃ効かなそう(こなみかん)

原作の創設期組はマジモンのチート集団だけど、こっちはちょっと下げた

原作まんまだと終わるよ、この小説
え、終わっていい?ちょっち好きなことやらしてクレメンス

※誤字修正 六穂家→柳家


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BGM シューベルト作“魔王”

なんか、自分が書く主人公って毎回皮肉ってるか気狂いになるがキニシナイ

あんまオリ主って好かれないからね
メアリー・スー…ではないと思いたい。まぁ、大体オリ主ってメアリー・スーだと思う


 

 

昔から、襖間は忍としての才は無かった。

それ故に、長老どもから酷い落胆の込めた罵倒、嘲笑を受け続けていた。時にはその幼い身体に暴力さえ入る事があった。我ら千住一族を含めうちはも、ようやく対魔忍としての地位を確立しつつあった時期の事だ。

幼いながらも、千住一族の事思ってか何も言わずただ、ただ耐え忍んでいた。

何も言わず、悲鳴さえも出さなかった。

本当に死にかける様な暴行を受けた時は、殺意で皆殺しにしようとさえも思った。けれども、襖間は長老どもを見下ろすような眼差しをし続けていた…時には嘲笑うかのような顔を浮かべ、更に暴行を受ける事になってもその顔を止めなかった。

暴行が終わり際、決まって言うことがあった。

 

「絶対に倍にして返してやる」

 

「謝るだと、…死んでもごめんだね」

 

幼いながらも、酷く歪んだモノだった。

長老どもは、幼子の言葉に耳を傾ける事はなく聞き流していた…自身に降りかかるこれからの事を知らずに。

しばらく時が経ち、襖間が魔界医療を学ぶ事になってから一族は急激に変わった。

まず、一族の生存率が上がった。

戦前に比べ、出生率や母子の死亡率が減った近代の日本。流行病への免疫、死亡率も少なからず減っている中、片田舎で尚且つ閉鎖的空間である忍の里は、戦前と同じくらい酷かった。なにしろ、技術も医療機器も他とは比べて旧世代の代物ばかり。

だが、そこにようやく時代に見合った技術が入ってきたのだから、生存率が上がる事は必然だろう。

長老どもは未だ、古い考えで世を動かそうとしているが…見当はずれも良い所。

長老どもに言いくるめより、まずは周り…民衆の説得から手を付けるあたり、真っ当な考えだ。

長老たちが何か言うようであれば、一族の皆はみなして襖間の味方となった。

それもそうだ、古い考えに固執し生存率乏しくさせ閉鎖空間を維持する長老たちより生存率が上がり、尚且つ生活が充実する技術を持ち込んだ襖間に味方する方が良い。

 

そして、長老たちは不気味に変わり果てた。

まるで、時計仕掛けのオレンジのように…人が変わったのだ。厭味ったらしく、古典主義な老人共が一変して、時代に合った技術を取り入れ、これまでの一族への対応も理想をそのまま体現したかのような、優しいとまで行かぬも、今までよりもマシな性格へと変わり果てた。

最初は皆、不気味がったが…人は慣れる生き物。

皆、今となってはその長老どもに慣れていった。父も、兄者たちも…ワシだけは、どうも喉に小骨が刺さったかのような感触を覚えた。

ナニカ、恐ろしい事が…知らぬ間に行われた気がする。

知ってはいけない、知ってどうする…そんな葛藤ばかり募る。

 

 

あの長老どもは、襖間に延命…不老不死を求めていた。

娘は、不老不死に出来る技術はおろか死者蘇生も、……可能であった。今の時代、未知の領域、魔界の侵攻のおかげかそう言った技術の進歩が上がってきているのは事実。

しかし、未だ蘇生への道は困難…不可能に近かった。

けど、襖間は…それが可能であった。

……お前は、何をしたのだ?

 




生まれることは罪か?

まぁ、襖間ちゃんは魔王にでてくる息子です
魔王のテンポ好きなんだよね、クラシックはイイぞぉ


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小さな話

猿飛ヒルゼン登場回

扉間小隊はポツポツ出しまする
対魔忍に合わせちょっと弄るけど、根は変わらないようにしたい


 

数週間が経ち、ようやく柱間さまの様態が回復し意識も正常へと戻った。

千住の一族からは称賛と感謝の言葉がひっきりなしに来ることがあったが、それも落ち着いてきた。

今は、すごく眠い…それだけだ。

うつらうつらと舟をいつの間に漕いでいたようで、扉からノック音が聞こえた時はビックリとし、身体を跳ねさせてしまった。

 

「失礼します、猿飛ヒルゼンです」

 

ノック音の正体は父の教え子の一人、猿飛ヒルゼンくんであった。

父も手を焼かされるほどの近所のマセがき、悪がきの様な子だったのが今ではあどけなさが残るものの立派な青年へ。父の修業もあってか子供の頃よりも比べガッシリとしており、姿勢も礼儀正しさが伺えられる。

あの猿飛くんが、こうなるとは…原作同様スケベな子供だったのに…。

「…ん、あぁ。猿飛くんか……資料はそこに置いといて、あとで目を通しておくから」

「あの、ご息女様…寝ていませんよね」

「平気だよ、君達の方がよっぽど寝ていないだろうに」

対魔忍の受ける任務は、幅の振りが広い。

浅い所は日常における住人の頼みごとや、仕事の手伝い、子供の世話と言ったものだ。だが、深い所では米連の諜報任務をはじめ、戦場へと赴く事もある。猿飛くんたちはそれこそ、深く苛烈な任務を当たる事が多いのだ。

「ですが、今回は柱間さまの」

「平気よ、大丈夫。

医者である私としては君の体調が心配なの、ちゃんと寝てる?無理して、死んでしまったら父も志村くんたち皆も、悲しむのだから」

「俺は大丈夫っす。何せ、エースなんですから!」

「ふふ、頼りがいがあるエースね。…本当に、大きくなりましたね」

ちょいちょい、と猿飛くんを手の届くところの距離まで近づけさせ頭を撫でる。

いきなり頭を撫でちゃって、怒ったりしないだろうか。そんな器量の狭い子ではないけれど、…ついつい昔のように子ども扱いしてしまう。

いやいやと嫌がりながらも、拒絶しない…本当に優しい子だ。

それに…その照れた顔は、今となっても変わらず可愛らしい表情を浮かべていた。

「ちょ、止めてくださいよ~。ご息女さまー、恥ずかしいですって」

「なにも恥ずかしがることはないでしょう。君が以前助けたくの一に向けた情けなくデレデレとした顔をしないのか?」

「ギャー!!よりにもよってご息女様にばれるなんて!」

何故バレないと思ったし、猿飛くん…君が思っている以上に顔に出やすいよ。

志村くんたちも大変だ、けど…これも本当に変わっていなくて良かった。対魔忍と成れば、己を殺し尽くしてしまう人たちが多い。どんな形にせよ、苛烈な任務と殺生権の板挟みに耐えかねて、精神崩壊を起こすからだ。

悩むくらいなら、悩みの種を捨ててしまうことで起こす。

…割り切った方が良いのだろう。けど、割り切れない自分は…未熟者だと痛感する。

 

「…ご息女様」

「引きとめて悪かったね…これからも、頼みますよ。猿飛くん」

むりやり繕った笑みを浮かべれば、猿飛くんは憂苦(ゆうく)な笑みを浮かべた。

子供には、隠し事が出来ないとはよく言うが…本当にそうだと思う。いや、もう子供ではなく彼、猿飛くんはもう立派な大人へと成長した。

時が経つのが早すぎる…急がなければ。

 

 




NARUTO勢と対魔忍勢の関係がありますが…大半は趣味で行きます

一応、キャラの元ネタな話も交えるかもしれない


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幕間

今回は番外やら未来の話
戦闘描写は期待せず流してクレメンス、あと人を選ぶ描写あるから自己責任で

ライダーキックはロマンだろJK
自分の推しライダーは電王です


幕間な話

 

 

対魔忍アカデミー、それはまだ五車町にある五車学園が出来る少し前に出来た対魔忍育成機関兼学校法人。

まだ隠れ里が多かった時代、その隠れ里の代表格で合った木の葉の里の有力者であった、千住柱間と千住扉間、うちは一族が設立した教育機関である。このアカデミーの設立のおかげで、戦場上がりの対魔忍は減ったものの生存率の高く、任務においても優秀な対魔忍を生み出し続けてきた名門校へと変貌を遂げる。

その対魔忍アカデミーに通う生徒である波風ナルトは、その卒業生であり対魔忍のうちはシスイとうちはオビトを掴まえ、とあることを聞きだしていた。

「なぁ、なぁ!シスイのにーちゃんにオビトにーちゃん。やっぱ、アレって出来るってばよ?」

「んー、アレって言うと…ライダーキックか?」

「そうだってばよ!」

ライダーキック、某特撮で有名どころのライダー伝統の必殺技。

ここでも、そう言った意味で捉える事はあるが…対魔忍では立派な異能系忍法の代表格で、ロマン技であった。

コレを使える対魔忍、それこそ男性はヒーロー級の扱いを受ける。それに対して、女性は隼の術こと井河アサギの代表的な術が出来ればそれこそ有名となるだろう。どんなに年齢を重ねようとも、カッコいい技とかが出来れば皆、嬉しいものだし見たいものだ。

「シスイのはすげーぞ、俺も出来るは出来るが元祖であり本家のだからな」

「いやいや、元祖と言われてるけど実は元祖は千住ですよ。本家と言われるようになったのは、俺のじいさんの代からです」

「そーなんだってばよっ!?」

このライダーキック、元はとある正体不明…の対魔忍?から生まれたものだった。

何とも、あいまいな説明であるがライダーキックを見たものは、指で数えるほど少なく最初に見たのは、木の葉の里第三代目頭領、当時はまだ中忍であった猿飛ヒルゼンだった。

 

 

中忍であった猿飛ヒルゼンは、背水の陣に立たされていた。

彼の受けていた任務、その情報にはなかった相手側の悪辣な企業が上級の魔族を傭兵にと雇っていたことが要因であった。どうやら、企業は対魔忍を注視し、大枚をはたいて身の安全を優先した様子。

当時、彼はプロフェッサーの片鱗をのぞかせていた時期…だが、相手が悪かったのだ。

スリーマンセルで組んでいたうたたねコハル、うちはカガミも実力を伸ばし始めていた最中でもある。

「俺が囮になる。カガミ、お前はコハルを連れて離脱してくれ」

「ヒルゼン、馬鹿言うな。お前、自分の立場解って」

「誰がやるってんだ!…俺がやらなきゃ、おまえ達死んじまうんだぞ」

悲痛な思いを募らせ、言葉が続かない沈黙だけがそこにあり、時間は無慈悲に過ぎ去っていく。

沈黙を終わらせ、決断したカガミは半ば無理矢理にコハルに手を添え飛雷神の術を発動させようとしたその時、近くの使われていない廃倉庫あたりで轟音と振動が起き三人を襲う。強大な力、例えるならそれも大型の重機たちが猛スピードで追突するかのような衝撃であった。

「な、なに?!」

「様子を見てみよう」

三人は気配を殺し、発生源へと足を運んだ。

 

発生源である廃倉庫群の一部は、原形を留めておらず骨組みの残骸等が積もった状態であった。煙が充満する中、ようやく人影が露わになった。そこには仮面の人間、…対魔忍らしき姿とターゲットの企業が雇った上級の魔族が戦っていた。

仮面の対魔忍の獲物は精々忍ばせているクナイ等持っているが現状無手だけでやり合っている。対し、上級の魔族は自身に見合ったモノを持っている状況。

ハッキリ言って、仮面の対魔忍が無勢とも言える。

「…あいつ、強いぞ」

ヒルゼンは無意識に、その対魔忍の強さを察した。

両者はじりじりと間合いを詰め謀り、機を探っていた。しかし、動いたのは仮面の対魔忍であった。仮面の対魔忍、彼と呼ばせてもらうが地面を蹴りあげると同時に姿を消す、どうやら瞬神の術…簡単に言えば肉体を強化し、運動能力をあげ肉眼では捉えきれないスピードを出す術を繰り出す。

上級魔族は、一瞬だけ怯みを見せ硬直が出来る。

その硬直が仇と成った、魔族の顔面間近に彼の膝がめり込んだのだ。とび膝蹴り、それがモロにあたり魔族は地面をバウンドし吹き飛んだ。直後、魔族の手にしていた獲物が猛スピードで彼へと迫るが紙一重で躱すも、肩をかすめ血が噴き出す。

そこからだ、上級魔族と彼の激烈な攻防戦が始まった。

得物を投げ捨て、魔族もまた無手の状態となった両者は己の身体のみで戦った。

 

彼の繰り出す拳は、的確に人体への急所を狙っていた。彼自身、人体について詳細に知り尽くしている事が解る、それこそ本業の格闘家や別分野の医者のように。彼が使う技のほとんどは柔術と呼ばれる柔(やわら)によって剛を制す、その言葉通り自身の力が弱くとも相手の力を巧みに利用し剛、すなわち大きな相手を投げ飛ばす事の出来る術を指す。

今の状況にピッタリの技であった。

対し、魔族の方は己の力、筋力と強化だけで渡り合う無手格闘。

形は無い、ただの力任せの殴り合いに過ぎない…それでもそれが、それこそが魔族のスタイルであった。

そのスタイルで、己を生かし続けてきた立派な業であり術。

両者は、己を生かし続けてきた技で戦っている、それ以上でもそれ以下でもなかった。

魔族が拳を振れば、彼はその拳を手で受け流す。彼が蹴りを入れれば、魔族は腕で受け止め吹き飛ばす。

単純な動作、複雑な動作が入り混じり合う…そして、終着は訪れた。

彼の手に、一本の千本針が現れる…それは袖から引き出されたものだ。その千本針を魔族の腕に突き刺し、自身はその場を一旦離れるように消えた。

魔族はそのまま、構えを取り彼の奇襲へと備える…だが、魔族は考えを怠った。何故、一本だけ千本針を刺したのか…本来千本、千本針は殺傷能力が低く医療、主に人間のツボを刺激したりする道具である。

そんな千本針を一か所、それも腕だけに差すのは些か不自然すぎていた。

しかし、魔族はそれの理由を考えさえしなかった。それが要因となった、それだけだった。

チカリ、一瞬だけ光が見えると魔族はそちらに向け身体を向ける…が次の瞬間、地面へと押しつぶされた。

彼は瞬神の術…いや、飛雷針の術を使いさらには強化の術で極限までスピードを高めた…とび蹴り。それはまるで、ライダーキック…某特撮のような破壊力のあるとび蹴りだ。

これこそ、未来の対魔忍たちにとって憧れとも言えるとび蹴りライダーキックであった。

 

「か、カッケーッ!!」

猿飛は溢れる気持ちを抑えきれず、つい声を張り上げた。直後、コハルの拳に沈み指先、身体を振るわせ地面へ熱い口付けを落とす事になる。これが、猿飛のファーストキスと成ったのだった(無慈悲)。

そんな猿飛を除き、カガミは何とも申し訳なさそうな顔で口を開いた。

「……ねぇ、あの対魔忍…ってまさか」

仮面の対魔忍、その正体を明かさせないようにか…コハルはそれを遮った。

「…カガミ、女はね秘密で化粧するの。どんな秘密も、汲み取ってこそ憧れるような、それこそ好かれるような男になるのよ」

「はっ!…そっか、そうだよね」

「あんたの勘の良さ、好きよ。…はぁ、あの人も罪作りよねぇ」

「あの人は繊細だからね、誰かに頼る事が出来ないからかもしれない…頼って欲しいんだけどなぁ。もっと、もっと…」

かすれ、消えゆくような声で言葉を紡ぐカガミ。

どろり、と黒目が染みわたるように赤く変色し始める。鮮やかな赤ではなく、黒を含んだ深紅色…写輪眼が発動しようとしていた。

「ちょっとカガミ、トリップしないでよ。それとヒルゼン、さっさと起きな!」

「ちょ、それとどめ…そげぶ!?」

コハルは先程自身で沈ませた猿飛に喝を入れ、足を掴むとカガミと共にその場を離れた。

 

 




うちは一族はヤンデレだ
異論は認める

止まるんじゃねぇぞ…!ヤンデレを止まらせるな…


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扉間小隊について

うすうす感づいては居るでしょうが、趣味と偏見の全開フルスロットルですわ

近代に合わせ(半ば趣味)たらこうなった



 

 

扉間小隊、原作でも人気ある隊だ。

とは言え、詳細はそこまで書かれる事なく原作は終わってしまった。最終的に生き残っているのは、水戸門ホムラとうたたねコハルのみ。

そんな、扉間小隊と私は彼らがまだ小さい頃から出会っている。猿飛くんをはじめ、彼らは子供の頃から可愛らしい子たちであったし、私から言えばイケメンと美女。そんな彼らはお互いに初めて会った時以来、ずっと一緒に遊んだりイタズラしては近所、里全体から一目置かれる存在であった。

彼らの中心に、猿飛くんがあってそのブレーキ役が志村くんとホムラくんでいつも回っていた。

一族のしがらみ無く、本当に何処にでも居るような子供達だった。

 

「……目標捕捉、これより狙撃に入る」

ダンゾウはスコープ越しでとあるビルの窓を覗いていた。

その窓越しに、スーツを着こなした優男と異様に不気味で、人間離れした美貌の男が、数人の人間に囲まれ談笑をしている。現在、扉間小隊はこの男二人、を抹殺する任務に就いていた。

彼らは、人魔協同した組織の幹部たち。その組織、捕らえた構成員や対魔忍を売り買いする仲介組織であった。

別部隊に、商品として売り出され買われる対魔忍たちを保護する部隊も動いている。

『モンキー、ラジャー…なぁマジでこのコードネーム安直なんだが』

「うるせぇ、分かりすくて良いじゃねぇか」

『こちら、ジェラシ。モンキー、そっちに警備員が移動した。速やかに移動して』

「あ、ダンゾウ…じゃなかったブラック。やばい、相手が部屋を出て行っちゃう」

ダンゾウの傍で、写輪眼を使った計測と彼の持つ飛雷神の術を使用する移動役として控えていたカガミが声を上げる。

どうやら、捕捉していた二人が部屋から出て行こうとしている様子。慌てるカガミに、ダンゾウは静かな口調で紡いだ。

「…いや、仕留める」

それは躊躇いもない動作だった。

パスン、僅かに零れる機械の摩擦音と衝撃音。彼が手にしていたサイレンサーとスコープ付き、それ以外は極力排除した長距離特化に改造された狙撃銃の銃口から、弾丸が発射される。弾丸は窓ガラスを突き破り、一人の男の後頭部に寸分狂わず、貫いた。突如狙撃された彼らに猶予も与えぬように続けざま、二発目は異様な男の側頭部を貫通。

二人の男の死体は呆気なく出来上がった。

周りに居た人たちは、慌てふためき部屋から出ていった様子が見られる。

「…死亡確認、あとは残りの構成員だね」

「こちらブラック、狙撃成功。ミラーと共に速やかに応援入る」

確認を終え、ブラックことダンゾウは無線に報告を入れるとレディ、コハルから間髪入らずに無線が入ってきた。

様子からして、慌てている。

『はや!こっち数多いからこっち来て!』

『ん、レディの方だね。ミラー、マークは大丈夫かい?』

「大丈夫、ここからでも飛べる」

『それじゃあ、たのむよ』

 

それから時間が経ち、猿飛、ダンゾウ、コハル、カガミは大型トラックに乗り込んでいた。そこは車二台分がやっととれるほど細い通路であった。だが、側面にはごみ箱や機材などが詰まれ箱等が乱雑され、実質車一台分がやっとだろう…。

運転席にはカガミ、助手席に猿飛が乗り後ろにはコハルとダンゾウが乗っている。ダンゾウは先程の狙撃銃とは変わり、アサルトライフルに変わっていた。

カガミを除き、三人は顔色がものすごく悪かった。

血の気が引いている、そんな顔色をしている。対し、カガミは何やらウキウキとエンジンを掛けながら気を良くしている。何とも変わった光景であるが、これから起きる事の予兆であった。

そう、彼ら三人にとっては、地獄のドライブと言っても過言ではなかった。

前方に魔族の乗った車と、オークの軍団が迫りくる。だが、彼らは前方の魔族に一切の心配はない。

心配、死を覚悟するのはこれからの運転であった。

「それじゃあ、突っ込むよー」

言い終える前に、カガミはアクセルを思いっきり踏込みハンドルを荒く効かせた。

最初はいきなりエンジンを入れてもそこまで出ないが、数分ののちエンジンが十分に温まりを見せると、トラックは徐々にスピードを増し最早言うまでもない速度へと達した。

とんでもないスピードで爆走するトラックに前方も車内も悲惨を極めている。

「おい!そんな、軽い気持ちでハンドル…ほげぇえ!!まって、投げ出されりゅぅうう!!」

「カガミ、あんた、毎回、もうちょっと…安全に!きゃぁ…ぁぁああ!?」

「お、おい…銃身、が、ぶ、ブレッブレなんだがぁぁああ!」

猿飛たちは、カガミに悪態をつきながらも目の前に迫りくる魔族に応戦する。だが、ハッキリ言ってトラックの所為で半分以上は肉塊だった。

もはや、酷い状態と言っても過言ではない。タイヤに挟まれ肉が潰れ、車体に思いっ切りぶつかり四肢と臓器などを吹き飛ばしながら空を飛ぶ身体もあれば、温情とも言えるダンゾウの放つ弾丸で死ぬ個体も居る。

……大半はカガミが轢いた魔族が大半であった。

それがしばらく続き、爆走しながらある一定の距離まで来ると四人は飛雷神の術でその場から一瞬で離れる。

無人で爆走するトラックは、固まって出てきた魔族とともに爆発四散した。まぁ、忍びである為、細工ぐらいは施していたという事だろう。

 

 

「…うん、おつかれさま」

「おつかれ。相変わらずこの手の任務は、みんなヒドイ顔色だよね」

妙にすっきりとした顔のカガミ以外、死人のような顔でぐったりする三人。ダンゾウは最もひどく、身体を震わせている。

そんな中、申し訳なく労いの言葉をかける二人の対魔忍。

無線で四人に指示を出していたジェラシこと水戸門ホムラ、裏で破壊工作を進めていた秋道トリフだった。

「……もう、イヤ。カガミの運転クソ過ぎるだろ」

「……あたし、明日死んでいるから任務入れないで」

「………も、もう無理だ!……おえぇええ!」

ダンゾウは口元を抑え、トイレへと駆けこみそのまま胃の中のものを全部吐いたのであった。

三人はグロッキーな状態の中、カガミだけは本当にケロッとしているからタチが悪かった。無理もない話である。

「みんな、大丈夫?二代目様達も、同じ顔していたけど…俺ってそんなにダメ?」

「カガミ。お前の運転、酷過ぎて何も言えないよ」

「うちはって、何でそんな地獄の宅急便みたいな事になるの?」

ホムラ、トリフのツッコミは虚しくもカガミには届くことはなかった。

 

 

 




若かりし柱間たち

「いくぞぉ!」
「ま、待つのだマダラ。俺としては、ひらいし…ぞぉぉぉぉおおおっ!?」
「……(チーン)」
「と、扉間ぁあああ!俺を置いて、のあぁあああ?!」
「兄さん、もっとエンジン効かせてよ!追い着いちゃう!」
「わかったぁあ!」
「誰ぞ、誰ぞ止めてぇええええ!」


うちはって、運転クソ荒らそう(こなみかん)
襖間ちゃんを死なす準備はまだ出来てないんで、しばらく掛かります



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仙人のモードの有無

近々、対魔忍とはまた違う忍についてあるキャラに設定させます
恋愛要素あります、イヤじゃボケの方は見ないほうがいいかと
結末は確定してるんですあくまで蛇足ですわ

で、今回はなんで襖間ちゃん魔界に行った事があるのかをちょっと補足した話
時系列関係なくなってきたな


 

仙人モードと呼ばれる技法が、この世界にも存在した。

とは言え、使えるのはごく一部…方法自体も死と隣り合わせのモノであった。ただ、仙人モードに近い肉体強化が存在する。それは対魔粒子をチャクラに練り合わせた技法、魔族覚醒と言うモノ。

これは対魔忍として素質ある者のみが扱える技法で、その名の通り…己に流れる魔族の血を活性化させ、自身を魔族に近くさせるもの。アサギやサクラ、と言った原作でも魔族覚醒した事のある対魔忍からの実績をもとに、密かに研究している技法だ。対魔粒子の正体を知っているからこそ、上手く利用できないかという考えからだ。

だが、やはりこの魔族覚醒…使えば使う程人でなくなることが欠点であった。

魔族の血が覚醒に近づくたび、人の領域から踏み出し人を超え魔族として生まれ変わってしまう。

 

仙人モードを攻めて身近にしようとした結果、この事で人を超えてしまうのはあまりよろしくない…。

中々の難題だ。

魔界医師がこのような課題に取り組むのは、いささか寄り道が過ぎると思われるが…仙人モードは、一種の切り札として優秀だった。万華鏡写輪眼も、一種の切り札ではあるが…如何せん適性で引っ掛かりやすい。強化も、またその節を持っているものの純粋に肉体を強化する事は、全体のパーセンテージを高める。

肉体強化の限度は、己の肉体・器の容量と強度。

強化と言うモノを上乗せしても、自身の身体・器はその容量と強度で耐えられる代物かどうか。

「さて…どうしたものか」

妙案が浮かばない。

魔界医療で肉体自体を改造し強化する事は簡単だ。けど、改造を続けるたびに人の領域を踏み外し、ナニカになるということは避けられない。

…修練、体力作りを行い長期間、身体を耐えられるように仕上げていくことが堅実と言える。短期間でマスターする事は出来る、工夫工面をし決して諦めず挫けぬ精神を持つことが大事だ。

「やってみるか」

言いだしっぺは私自身、私で証明すれば少しは仮説も出やすいだろう。

何事も、経験である。

 

──長期間、と言っても約三年自然の中に籠ってみる。

まだまだ、修験道や僧侶と言った自然の中で修行する人々にとってはひよっこ同然の期間。自然と過ごす事により、風の行き交い水のせせらぎ、小さく都会ではまず聞こえないような虫の知らせなど、感知が良くなった。

たまに、獣の類ではない人のような声も聞こえる事もあった。

…魔族も居るくらいだ、妖怪や幽霊など……居ても可笑しくはない。

私は、対魔忍の素質および忍びの素質は無い…仙人モードは忍びの素質あってのものだろう。それでも、医師であり研究者としてコレを知りたいという探究心を抑えられなかったのだ。

その探究心がようやく結果を芽吹いてくれた。

この対魔忍ワールド、近未来でありながら神秘いわゆる魔法や幻想の類が生きているのだ。前居た世界では経済成長をはじめ機械の発達、文明の進化によって神秘は薄れ解明されていく中、ここは魔族と言う存在のおかげで神秘は崩壊することなく生きながらえている。

「妖精の存在が証明できた。彼らは自然の化身だ、彼らとの絆を結べば限定的な属性だけでも大きく強化は可能だろう」

仙人モードは、自然との同化。

まずは、お互いに歩み寄れる関係まで行かねばならないな…さて、そろそろ里に戻らないと。

「……ん?」

 

私は、ナニカに気付いた瞬間…視界が真っ暗に染まった。

引きずり込まれるように、奥へ奥へと持っていかれる。意識は遠のき、ただ引きずり込まれる感覚だけが押し寄せ意識がプツリ、と途切れた。

 

これが、魔界への突入なのだなと今になって思う。

 

 

 




評価してくださる方がいるだけでもうれしいものです
この作品を見ていただき感謝を

とりあえず、箱化…やりたいですなぁ!(ゲスぅな顔)


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忍具について

BORUTO世代から始まる科学忍具カッコいいよね

まぁ、こっちは近代なんであるっちゃ有るな話
カタスケ?知らん、居るかもしれんね…米連あたりに



血継限界という遺伝的体質、もとい能力が存在する。

覚醒には至らずとも適性さえあれば血縁関係の無い人間でも、その血系を操れるとされる。ただし、デメリットが酷く身体的損傷およびチャクラの消耗が大きく負担となることさえある。

写輪眼がいい例だろう。

また、この血継限界等は世間からは戦力か迫害かという両極端の反応が起きる。

 

忍法はこの血継限界が最も重要視される。

基本は火・水・雷・土・風であり、この五つを組み合わせることを性質変化と呼ぶ。

早い話、化学現象と自然現象さえ知っていれば性質変化は出来る。…が、忍法自体高度な式を組み合わせたものばかり。チャクラの量を通常より大きく消耗するため、多用できる人間は限られている加え、使用できる人間も限られている。

そんなハイリスクハイリターンな血継限界、コレをどうにかする為にはもはや科学がいる。

なにせ、ここは近未来…私が居た時代よりかは発達している。

科学および機械とは自然現象を人工的により近い形で再現する事も可能だ。そこに魔界技法を加えれば、より忍法…血継限界に近づけさせることは可能だろう。

そんな理由もあって、開発されたのが科学忍具。

対魔忍ワールドなここでは、対魔粒子を操る事も可能になっている。

たとえば…。

「…閃光弾ですか?」

「見た目はな、あの印に投げて見なさい」

ヤスケは閃光弾の形をした科学忍具を、私が指示した印に向かって放り投げる。地面に触れた瞬間、小さく破裂するとねずみ花火のように不規則な動きをしながら周りに雷の性質を含んだチャクラを噴出し続ける。

最後には、ハリネズミのように膨らみ一気に放電で終わった。

「ほう…これはまた、狭い場所では絶大でしょうな」

「水遁のやつもある、手元にはないけどアレは暴れ回るホースと言えばわかるかしら…?」

「何ともまぁ、じゃじゃ馬ですね」

この例えに、ヤスケは納得した声を出してくれた。アレは誰かしら、巻き添えになってびしょ濡れになったはずだろう。

「そうよ。他にも、欠損のある人が使う義手や義足…あれも科学忍具としての役割も出来る。古い漫画だけど、どろろの百鬼丸やサイボーグ009の004を思い起こさせてもらえばいい」

私は、ペンライトの形をした忍具を白衣のポケットからひとつ取り出す。

すると、ヤスケが一瞬だけ強張った表情を浮かべた。どうやら、ヤスケもあの映画を知っているようだ、ずいぶんとまぁ博識な事で。

「…まさか」

そのまさか、だ。

私は三つほどある中のスイッチを押す、するとブウンと音を立てながらおよそ60cmおよそ小太刀くらいの長さをした水で出来た刀身が出現。

「ライトセーバー…もどきは出来る訳さ。こいつの性質は水遁と風遁を組み合わせた代物だ」

「…ん、まるでウォーターカッターですな」

「その通り、切れ味は…金剛をも切り捨てられる」

そう言いながら、藁で出来た的に向け振るう。ズルリ、と切断面がデコボコではなく整った断面が出来上がった。

更に、と私は付け加えながら先ほどヤスケが狙った的に向けペンライトを向ける真ん中のスイッチを押す。ペンライトの先端からバシュン、と刀身は弾丸のように勢いよく噴出され、的に命中する。

印の真ん中には綺麗な円を描いた弾痕を開いていた。

一番下のボタンを押し再び刀身を出現させては、また戻すといったようにヤスケに見せた。

「これが、科学忍具だ。もっとも、米連辺りが先を行ってそうだがね…無いよりかは良いだろう」

「先生は魔界医でしょうに…」

そうヤスケは呆れたような顔で、そう溢す。

しょうがないだろう、対魔粒子およびチャクラについては私の方が知っているのだから。

「この手の性質は私の管轄だからさ」

「医者に留まらず、二足の草鞋履きますねぇ。…過労死しても知りませんよ」

「分かっているよ」

 

場所は変わって木の葉の里の中心部、その大広間にてとある実証が始まっていた。

中心部辺りに、猿飛くんが試作段階の科学忍具であるベルトを巻いている。離れた所で志村くんたちと柱間さま達が見守っている。

「ご息女さま、これで良いんですか?」

「そのまま、ベルトのを巻いてみなさい。時計回りにね」

「うぃっす」

猿飛くんは私の指示通り、ベルトの真ん中を時計回りに巻く。

すると、ベルトは粒子状に分解し猿飛くんの頭を残した形でまとわりつき姿を変形させていく。それはまるで、特撮やアニメで見られるような主人公やヒロインが行う変身のシーンに酷似している。

粒子が纏まりを見せる頃には、猿飛くんの姿は劇的に変わっていた。

最初はベストを羽織ったラフな格好が、彼が普段着なれている対魔忍スーツの姿へと変わり果てていたのだ。

周りからは歓声が上がる中、一部からは舌打ちが聞こえる。

「な、な…!俺ってば変身したんですか!?」

「その気になれば、仮面ライダーみたいな衣装も出来るよ。アサクリみたいな衣装も出来るしわね」

「ファー!!」

猿飛くんは興奮のあまり、語彙力を失っている。こういった、アニメや特撮などで使われる道具は憧れるのも頷ける。

そんな中、舌打ちをかまし冷ややかな目でマダラさまは踵返すと、こう吐き捨てた。

「初代じゃねーのかよ。解散だ、解散」

「ちょっと待つぞ、マダラ。聞き捨てならんな、ライダーはRXとビルドぞ」

「兄さんたち、ライダー戦争は余所でやって」

板間さまは忍具の性能を目の辺りに何度も頷きながら、二人の戦争をどうでもよさそうに呟いた。

「コレって変装にもできるね」

「変化の術で代用できるが、諜報員にとっては良い道具だな」

「一般向けでも行けるでしょ、スーツアクターおよび映像関係なら涎が出るほどだよ」

「普通に欲しいな、カッコいいし」

周りの声は意外と好評のようだ。女性陣は男性陣たちの反応に呆れているものの、やはりそう言った世代だからか、こちらも好印象を持ってくれている。

とは言え、流石にベルトのままだとあからさますぎるな。

あれはアレで良いんだが、ここはもうちょい擬態させた方が良いだろう…腕時計型、眼鏡…肌に密着する道具が良いだろう。本業は医者だけど、こういった開発に取り組むのは結構楽しい…なにより、アニメや特撮等で出てくる道具を作れるのだから、尚更。

そういえば、ケータイ型のロボットが出てくるドラマあったな。

あれ、好きだったんだよね…いっその事、進化するAIを投入した仕事のお手伝いロボットも良いな。

……本業、医者なんだけどなぁ。

そんな虚しい呟きは、周りの声にかき消されたのだった。

 

 




NARUTOの二次いっぱい来てうれしいンゴ

初っ端から創設期なんで主要キャラは居ないです、むしろ生まれていない
つか、対魔忍側で大半のキャラが生まれていないか赤ちゃんなので出すに出せないから親世代、爺さん婆さん世代がオリキャラなんぞ

この辺はマジですまんとしか言えないです、はい


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うちはの異端※地雷あり

今回は魎魔忍(りょうまにん)なうちはカガミの過去話

ぶっちゃけキャラ×オリ主な地雷です
あと独自設定あるんで(写輪眼とか)

たまには対魔忍らしくギリギリエロい話書きたいぜ



俺の生家は、異端だった。

うちはでありながら“うちは”にあらず、ただふうまともまた違う。両親が魔族によって死去してから、俺の両目は真っ赤に染まった。うちは一族に伝わる写輪眼、これは愛する存在を没した時など、強烈な事柄を受けた時に開眼するという。

けど、自分の眼は違っていた。

瞳は三つ刃の手裏剣で指入れの形が逆さの五芒星というもの。うちは一族の写輪眼と自身の写輪眼はどこか違っていた。

この事より、俺とその親族たちは異質な目で見られるようになった。

 

幼い頃はずっとそれで苛められていた。

苛めてきた奴らの大半は、同じうちはの子供。同じじゃない、と言う単純でぼくにとってはどうでもいい理由、それだけで苛め続けてきた。苛めを受ける度、ぼくは決まって里の境界線にあたる森の切株でわんわんと情けない気持ちを湧き上がらせ泣く毎日。

そんな毎日に、区切りをつけた人が居た。

ぼくよりも年上で、優しく不器用な女の子。自分だって同じ待遇な筈なのに、優しくしてくれた女の子。

 

「ぼくの目、恐くないの?」

「あなたより、ずっと怖いものがありますもの。ほら、目を傷つけてしまっては見たいものも見れないよ」

 

決まってそう言いながら、優しく僕の背をあやすように叩いて落ち着かせてくれる。

その度にちらり、と視界に入るその両手は包帯を巻き、更には絆創膏で傷を隠している事が多い。顔の方も目を凝らしてみると、目の上あたりに薄く痣があったり真白の髪の毛も、血で汚れていたりしている…子供ながら、それが精一杯なんだと今更ながらに思う。

ぼくより、ずっと傷だらけ。そんな女の子は、それを出さずに優しくしてくれる…本当に変わった子だった。

「……傷だらけ」

そう溢せば、女の子は困った笑みを浮かべ何も言わない。

ぼくが泣き終わり、落ち着くまでずっと傍に居てぼくと言う存在を肯定してくれる。

それがぼくにとっては、何よりも嬉しい事だった。きっと、単に可哀想だったからそうしてくれるんだろう、けど…それでも良かった。

それから、ぼくも成長して対魔忍の養成所、アカデミーへの進学が決まった頃…女の子はピタリと会わなくなった。最初は、忙しいのかなと思ったが…アカデミーでもそう言った子は居なかった。

ヒルゼンたちは、知っていたけどぼくと同時期に会わなくなったと聞いている。ヒルゼンたち以外、あろう事か同期生たちと里の人は誰も彼女の事を知らないと口にするばかりだった。

おかしい、と族長や先生…当時、教鞭を取っていた柱間先生たちにも話をして見れば、皆…知らないと言った。

唯一、扉間先生だけは…無言で、はぐらかしていた。あの人だけは、他の先生たちと比べて嘘をつき通せていなかった。何かを隠している、知られてはいけない秘密だろう…あの女の子が関わっている秘密。

それでも、あの子が何処に居るのか知りたかった。

あの女の子と同じ、白髪で…紅の瞳を持った先生…あの子の父親。

 

「……先生、あの女の子はどこ?」

「…ここには、居ない」

「どこに居るの、ぼく…あの子に会いたい。会って、お礼を」

「……」

 

先生はずっと、酷く辛そうな顔で口を固く閉ざしぼくを見つめていた。

優秀な対魔忍であり冷酷とか卑劣さまとまで言われている扉間先生は…一人娘がなによりも、大切だったのだと知った瞬間。

それから、卒業し正式な対魔忍と成り扉間先生の下で学ぶことに事になった。何時までも子供のままではいられないと、心機一転してぼくから俺に変え、自身の特異の写輪眼を使いこなせるよう身体を鍛え直す。

そこからまた数年経って、ようやく…お礼を言える日がやって来た。

 

 

「…君、は……そうか、大きくなったね」

 

あの女の子は俺と同様に成長をしており、扉間先生に似た顔つきになっていた。全身にかけ、傷痕を包帯や厚手の服装でごまかしていた。当時長かった髪もバッサリと短く切り事情を知らない人から見れば、その姿はほぼ男と認識するであろう。

傍にはこちらを見て異様に息巻いているオークまで居る始末。そのオークと目が合った瞬間、背中の悪寒が酷くて汗がにじむほど…恐怖が湧き、後ろを絶対に取られたくないと思った。

コハルはそんな事はないと言っていたが、ヒルゼンたちは僕と同じ状況になったらしい。

それから、女の子…襖間さんは木の葉の里で医療の最先端を行く人までになった。扉間先生からの話では、前々から医療の先を行っていたと聞いていたから当然な結果だと、納得。

それから度々交流を持つようになり、いつしか…ずっと目を追うようになっている。

優しくされたから、そんな理由で恋するのかと自虐するも…それでもやっぱり、目を追うばかり。一番よくダンゾウと話し込んでいる姿を見かけては、羨ましいという感情と嫉妬でドロドロとした黒い感情にどうにかなりそうだった。

俺と同じあの真っ赤な瞳を始終、独り占めしたい傷だらけの手を握り、抱きしめもう一度あの時のぬくもりを感じていたい。そんな気持ちばかり、湧き起こる。

その度に、発端であるダンゾウから呆れられ可哀そうな目で発破を掛けられる始末。

「ガツンと行けばいいだろう、あの人とは単に考え方が合うだけだぞ?」

「うぅ…話しかけられる瞬間からその全部が羨ましい」

「…うちはってほんっとうに、めんどくせーな」

うるさい、ウスラトンカチ。

でも、ダンゾウの言う通りだからそれが尚更ムカついてグチャグチャする。絶対に言うつもりだけど、拒絶されたら死んでしまう…大袈裟だと自分で自覚するけど、本当に死ぬだろうな。

可哀想で残念な自身が存在するのは確かだった。

 

 

「あぁ、本当に馬鹿だな。優しくされただけの思い上がりが、ここまで重傷化するなんて。

でも、好きだなぁ…愛したいし溶けて一緒になるのも大歓迎。そうだいっその事、この両目を彼女にあげて魎魔忍のサンプルとしても提供も良いかも。きっと、彼女は…喜ばないよね。徹底的に、矯正させられて笑う事すら出来なくなりそう、それに…全身の骨が生きているかさえ分からないかも。

それでも、何より彼女の為になりたいなぁ…」

 

 

 




うちはってなんで、そんなに拗れまくるのか

いちゃいちゃ話も書きたいのぉ
鬼乙女(ワルキューレ)ネタも書きたいところ


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他愛のない話

ダンゾウについては別に嫌いってわけじゃない
むしろ、ひどく人間味ある人だと思ってる。クズ、とはまた違うようなそうでもない…覚悟ガン決まってるのに路線を脱線した感が強い人だなぁと

嫌いにはなれんキャラなんだよね


ヒルゼンは、俺たちにすら追いつけない程の歩みで行く。

昔からそうだった、俺たちは誰ひとりすら欠ける事の出来ない隊ではあったが…実質ヒルゼンで成り立っていた筋がある。

猿飛佐助の再来、プロフェッサー、最強格の忍び、あいつの異名はキリがないほど多く在った。幼馴染であり傍で見て、追いつこうと必死にもがいてもがいても…あいつには決して追いつけやしなかった。

土俵が同じなのに、あいつには勝てない…そう言った苛立ちがあった。

酷い劣等感で蝕まれ、周りの光となるあいつが…どうしても、友である筈なのに、憎たらしく殺したかった。

 

「ならば、利用すればいいんじゃないかな」

 

ただ、一言…俺は変わったような気がした。

その言葉は、俺にとってはやるせないものでもありそれでいて一種の区切りをつける言葉であった。

「利用、ですか」

「勝てない相手なんでしょう?ならば、自身の駒として利用してみたらどうかな、劣等はそのままだけれど…障害を取り除けることは出来るんじゃない?立っている者なら、親でも使えって言うじゃない」

「…」

「納得は出来ないでしょうよ、一生ね。でもさ、現状を考えてみれば…使えばいい、と思っちゃうな。勝てないなら勝てないで割り切った方が良いけど、…君は一生無理でしょうね。

…志村くん、君の立っている場所は何?」

俺の立っている場所、…戦場だ。何時だって、どんな時も…俺は戦場に居る。

ヒルゼンたちの立っている陽だまりもあるが、俺たちは…忍び故に戦場を駆け、立ち続けている。死と隣り合わせ、死が眼前に迫る場所に俺は立っている…ヒルゼンたちも、俺と共に。

「私はね、泥水啜ってでも生きて欲しい。意識ある限り、私は君達を治療したいと思ってる。死を眼前にしても、己を見失わないで…ただ前へと進んでほしいかな。

君がどれだけ畜生に進んでも良い、私は決してそれを侮辱はしないよ。けどね…“人”の存在から外れないで」

それは獣と同じだから、と真っ赤な瞳を細め言葉を紡いだ。

語る彼女、ご息女様の表情は感情を一切捨てた仏頂面であった。目をこちらから一切逸らさず、ただ己を見定める訳でもない…ただ、そこのあるモノを見つめる異様な目であった。

「はは…自分でもあやふやな事を言っているね」

パッと顔の表情を瞬時に切り替え、困った笑みを浮かべる。

時折、彼女は俺たちとは別の場所に立っているかのような思いを感じる。それこそ、彼岸の水際と言うギリギリの場所に。

ふと、時計を見るとそろそろ黄昏時が終わる時間に迫っていた。

いい時間だね、と彼女は手元にあった書類…俺のカルテをしまい込み、立ち上がった。自身も帰り支度をしている時、背後越しでご息女様はポツリとこう零した。

「君は、己をどれだけ知っているだろうね。…それじゃあ、気を付けて帰ってね」

ぱたりと、ご息女様を隠す様にドアが閉まる。

その言葉は、自身を蝕む様にひたりひたりと静かに忍び寄る恐ろしいナニカを起こさせた。

 

「ダンゾウ、お前は俺をどう思う」

「クソ猿」

不意に振られたヒルゼンの言葉に、反射的に返すとヒルゼンは怒りに湧くエテ公のように怒った。実際、そうであるから否定の言葉もなく出てしまったのだろう…昔から、その本質は変わっていない。

見慣れている、安堵するような…そんな本質。

「ひ、酷くね!?もうちょっと、優しい言葉くらいあるだろ!!」

ぎゃんぎゃんと散らすヒルゼンを横目に、しばらく間を置いてからため息一つこぼしこういった。

「……ヒルゼン」

「なんだよ」

「ハッキリと言う、俺はお前が好かん。でもな、それでも友だと思っている…俺は俺である為に、お前を利用する。お前のすべてを、根こそぎ利用する…だが、それだとあまりにも不公平だろうよ。

だから、お前も俺を利用しろ。無用でもいい、だがな…割に合わん」

ヒルゼンは俺の言葉を聞き、目を細め険しい顔つきで口を開いた。

「…言ったな?」

嗤ったような笑み、だが不快に思えない自分が居た。

「“志村”たちの祖、加藤段蔵の名に誓いお前を支える。…まぁ、猿飛には劣るがな」

言い終えると、直ぐに肩を組まれ横には“いつもの”アホ面なヒルゼンの笑みがあった。

……少しだけ、ほんの少しだけコイツに近づけたような気がした。

 

 




そこまで深く考えていないけど、ダンゾウを丸くしてしまったな

襖間ちゃんを早く退場させんとなぁ


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ハロウィンと進展※地雷あり

おい、もうハロウィンじゃねーよは言わないでクレメンス

ぼくぁいちゃいちゃ書きてーんだ。たがら書いちまったんだよ…すまんね(๑´•.̫ • `๑)

最近のスマホ、顔文字完成度たけーぞ


今日はハロウィンらしい。

予防接種日にイベントごととか、ちょっと場違いな感があるが…何故か行う人が多い気がする。良い事なんだが、何だか納得いかない自分がいる。

仕事していると、日付感覚と言うか…イベントごとに疎くなるよね。ヤスケから、いきなり衣装を渡されたと思ったら一日それを着ろと言われてようやく知ったよ。しかし、サイレントヒルのバブルヘッドナースの衣装とか…一応医務室だし不謹慎だなんだがなぁ…それと、スカート少し短くないか?

こんな長さだっけ…てか、自分看護師ではないんだけどなぁ。まぁ、同じジャンルではあるけど。

「全身、魎魔忍の血です。全部抜き取って大丈夫です」

「いや、コレ予防接種だから…血は、抜かないからね?」

ギラリと写輪眼をフル稼働させているカガミくんに対し、順番待ちの忍びたちは引いた顔で見ている。特に猿飛くんは、こちらの足を熱心に見ながら呆れた口調でカガミくんを咎めている。

時折、鼻を抑えているが…相変わらずで何よりだよ。なにがとは言わないけどさ。

「おい、カガミせめて写輪眼しまえよ。俺だって鼻血我慢してるんだから」

「襖間さんを変な目で見るな、殺すぞ」

「ブーメラン飛んでね?思いっ切りお前に返ってるよ?」

 

「襖間、それは短すぎるぞ。せめて下になにか履きなさい」

「はぁい」

順番と成った父に終わり際言われ、一区切りついた頃合いを見て舎内の売店へと向かう。秋の終わり際だからか、室内に居ても外と同じように肌寒さを覚える。

とりあえず売店で購入したストッキング履いてみた。

暖かいなりぃ…。特に秋と冬の間は寒いから素足を晒す行為は流石に控えたかった、丁度良かったと思う。とりあえず、報告書をまとめた後どうしようか…里の中はハロウィンムードで包まれている。

大半の住人は仮装で過ごしており、警邏の忍びたちも同様の格好だ。

うちは一族も、意外とそう言った事に目ざといようで里の住人である魔族の手を借りながら本格的な衣装を纏っていると聞いている。

そう言えば、カガミくんも少し本格的だったな。

猿飛くんに至っては、安直と言うか…まんま孫悟空の衣装を借りたようなモノ。でも、一番似合っているんだよねぇ…色んな人の仮装を見るのは思いの外、楽しい。そう言えば、父は…確か白衣と鬼の面を被った格好だったな。

悪魔とか、幽霊、妖精と言った格好の多い中珍しいと思える格好。

途中、受けに来たマダラさまが何か気付いたように口元を上げると、父とハイタッチした光景は思いの外笑える。順番待ちの忍びたちの中にも、何度か頷いた忍びも居たのでお仲間かなと思ったなぁ…結局、あの恰好は誰をモチーフにしたのかしら。

 

昼時、一仕事を終え帰路に向かう途中…先ほど、予防接種に受けに来たカガミくんとまた、逢う事になった。

舎の門前、ただ独りぼうっと立っていたのだ。

吸血鬼、のお手本通りの黒マント…と言ってもインバネスコートを羽織り、黒いベストと白いシャツが如何にも映える格好。猿飛くんたちと比べ、少し背の高く端正な顔立ちだからか、門前を通る人々はその容姿に感嘆と黄色い声を溢す。

そんなに間を空けるまでもなくこちらに気付くと、嬉しそうに微笑み口を開いた。

「襖間さん、今お帰りですか?」

「えぇ、一区切りついたから…少しぶらり寄りながらね」

「…良ければ、一緒に回ってくれませんか」

「……えぇ、行きましょうか」

その言葉を聞くとすっと、静かに手を差し出すカガミくん。

私は手をそっと握りしめれば、カガミくんは少し俯くもすぐに平素を保った。耳は真っ赤なのだけれど…可愛いひと。

「かわいいひと」

「…からかわないでください」

つい、言葉に出てしまった様子。ぶすっと、ふくれっ面をするカガミくん…そこまた、可愛らしい顔だと言う事を解っているのだろうか。

そんなこと思いながら手を繋ぎ、ゆっくりとした足取りで里の中へと溶け込むように歩む。昼時の里は、いつもより賑やかで人々が活き活きとしている…この時期ならではで、どこにでもあるようなそんな光景。

はじめはこの世界が嫌で仕方なかったけれど、こんな日常を過ごすうちにそれが消えていった。

気を抜けば、死ぬ世界だけれど。

「…綺麗です」

「あなたも素敵ですよ、優しくて紳士な吸血鬼さん」

お世辞ではない本音を返すと、カガミくんは歩みを止めこちらを向く。

「それは、貴女だけです」

握られた左手を持ち上げられ、カガミくんは薬指に小さく口付けを送られる。

細められた目の中は、真っ赤に染まり三つ刃の手裏剣を浮かばせた写輪眼がそこにあった。

 

「好きです…襖間さん。貴女を愛しています」

「…写輪眼出さなくても、私は君の気持ちを知っていますよ」

「……言ってくれないのですね」

「もう少し、…ほんの少し待っていて」

「待ちますよ。…でも、俺はそこまで気が長くはありません」

「でしょうね。でも、必ず答えます…必ず」

 

言い終えれば、カガミくんはいつも通りに人懐っこい笑みを浮かべた。

「行きましょうか」

「えぇ…」

短い問答と共に、歩みを再開した。

 

 

二人が去った後の通りは、一瞬だけ静けさを纏っていた。

周りの仮装をした人々は、二人の行動に驚かされていたようで気まずいながらも、やけっぱちとばかりに再び騒がしくなり始めた。

「……やるじゃないか」

ズズ、と音を立てて緑茶を啜り言葉を零す。両腕に手錠を嵌め、囚人服を着たマダラ。相向かいには、ハロウィン仕様のパフェを頬張るチェシャ猫のような格好をしたトリフとスマホを片手に嬉しそうに笑う真っ赤なマフラーと青い忍び服を着たイズナ。イズナは二人のシーンを撮ったスマホを呆然とする扉間の前へ差し出し、追い打ちをかけるように声を掛けた。

「カガミったらやっるぅ。良い雰囲気だよね、あの二人……あれ、扉間?とびら…し、死んでる?!」

マダラの後ろの席で、てんぷらうどんを啜るホムラ。ハロウィンらしく、フランケンシュタイン博士のようなツギハギを表したフェイスシールと白衣を羽織っている。ホムラと同席している狼男のダンゾウと魔女のコハルはカガミたちを一点に見つめ、良いものを見たと言った顔つきであった。

「先生、しょうがないっすよ。おれん所も、大概なんですから」

「ホムラんち、妹さん居るもんねー。良いなぁ、あたしも恋してみたいわぁ」

「お前を娶る相手は大変だろうよ」

「喧嘩なら買うわよ、ダンゾウ」

「あの二人、周り視えていないよね。滅茶苦茶注目しているよ…もっきゅもっきゅ、これ美味しいね」

「ふ、いい刺激と成ろうよ。…店員、いなりずしもう十皿追加だ」

「飽きませんねぇ…マダラせんせい」

 

 

 




進展が早くなってしまったな…まぁ、ダラダラやるよりかはと思い、ね
あとあと章で区切るかも
わかる人にはわかる格好を入れた

ある三人だけ、ゲームネタで
わかった人は感想あたりに報告をば(誘導)

…うちはは性別問わずヤンデレに成るんじゃないんすか?


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まぁ、エロい話

エロい話です
単なるギャグ

キャラ崩壊が激しいため、気をつけてください
あと、卑劣…扉間の性癖がやべーと思います。まぁ、皆さんならこの部類はある程度普通だと思います

多分


ここ最近、木の葉の里では体調不良を訴える人が多く出ていた。軽度のストレスで体調を崩す方が多く、彼らは決まって睡眠から起きた時に酷い疲労感を覚えると言う。また、変な夢で自身が望む理想とは何だかかけ離れたものばかりとか、なんとか。

実際、夢と言うのは体調や気分に応じで変化する事があると言うが…一体どうしたのだろうか。

 

 

『扉間さま、えっと、…不出来な…私めにお仕置きしてくださいませ』

畳までつく赤銅色の長髪に、幼げな顔立ちで如何にも中学生くらいの身長の女性。その女性は薄手の白い着物を一枚だけは着込んだ状態で、扉間の前で正座をし、真っ赤に顔を赤らめている。

扉間は真っ直ぐとした視線で彼女を見つめ、しばらく間を取ってからこう口にした。

「…婚前の時の妻はもう少し背と胸は小さい」

「待って、あんた…この背丈も十分なのに、これ以上に低いって…流石にロリコンじゃん。…え、マジで?」

 

『ふふふ、…どうしましたか?たまには、私も獣のように乱れたいものですよ…旦那様』

マダラと同様に曇りのない長い黒髪を、敷布団に流れさせふっくらとした豊満な胸をさらけ出す女性。

表情は艶めかしく色気のあるものながらも、両耳は真っ赤に染まっている。

マダラはと言えば、正座ながら腕を組みしばらく見つめていると…大きなため息を一つ吐いた。

「貴様、ふざけているのか…夢魔ともあろうものがまったく似ておらぬではないか。とんだ出来損ないだな…ほぐ、うごごご!?お、まえ何で夢の中、し、しのぶ折れる、折れるぅうう!!」

「あらあらマダラさま、ずいぶんと熱心なご様子。躾が必要かしら?」

「やめ、せめて夢くらいは俺の好きに…死ぬ死ぬ、逆パカになるぅ!!」

 

『柱間さま、今日はミトと共に…』

紅色の髪を流し、するりと来ていたシャツをはだけさせ胸元を強調させる。白い肌がより一層、月光によって明るく映るたび…それは何処か、背徳さを覚えるモノがあった。

そんな様子を柱間は、ジッと一点を凝視してうんうんと唸っている。

「むむ。ミトはそこまでデカくは…ぶへぇらっ!!!?」

「デカくなくてわるぅございましたね、柱間さま」

「まつ、ぞなんでミト…ほんげぇえええ!」

 

『カガミくん。君にだけ、特別な診察…してしまおうか?』

長い三つ編みを解き、はらはらと流れる白髪。息をやんわりと荒げ、閉じられていた白衣のボタンを一つ、一つ解いていく。剥き出しにされた色白の両手は僅かながら、震えている辺り…この行為が恥ずかしいように思える。

そこに待ったをかけ、早口で物申すカガミ。

「は?舐めてんの?…何で手袋付けていないの、そっちも良いけど…やっぱり解釈違いだね」

「え、え…ごめ、ごめんなさい」

「あとあの人、もうちょっと髪の毛長いし若干くせっ毛だから。それに腰も細いし、それとそんな事は絶対に言わない。公私混同は一切しないからね」

「細けぇよっ!!ほぼストーカーじゃん!」

 

 

「何なの!木の葉の里って、ほんとなんなの!!?」

目の前の露出の多い、いかにも悪魔って感じの少女は怒りに任せ怒声を張り立たせている。薄桃色のツインテールをふりふりと振らせ、可愛い擬音が聞こえてくるような怒りでもあった。

「ふざけないでよ!トップがロリコンだしクッソ注文多いし、細かいし、変態だし、それとこっちの領域まで入って来るし!!…あ、そうそうあんた、ストーカーされてるわよ」

「何で、私の案件がついでなのか」

「ともかく、もうちょっと夢魔に対し優しくしなさいよ!どちゃくそエッロイ夢見させているんだから…こっちは死活問題なのよ!?と言うか、訴えて良いレベルなんだから!」

「訴えられる、のか…?」

目の前の夢魔、…確かリリムって言うキャラだったか。

何で目の前にやってきて、反応に困る事で怒られなければいけないのか。と言うか、父よ…流石にロリコン過ぎるよ。中学生より、少し低いって言えば…どう見ても小学生だよ。幼な妻って言えば聞こえはいいけどさ、現代では流石にきついよ…犯罪に成るから。

と言うか、ミトさまとしのぶさまどうやって夢の中に入ってきたんだ。

愛あれば、成せる技…な訳ないだろ。

しかし、巷で話題になっている騒ぎの原因はこの子で間違いはないんだが…如何せん、相手が悪すぎて不憫すぎるんだよなぁ。

どうしようか、慰謝料払えと言われても人魔の協定が無いに等しい以上…裁判も不当の不当だろう。

「夢魔なら夢魔らしく堅実に行けばいいんじゃねぇですかね」

「はぁ?あんたオークだから言いたい事言えるんでしょ。ってか、あんた本当にオーク?女が隣に居ても発情しないなんて…」

「今すぐ口閉じてくれ。空気感染したくない」

「こ、こいつ…」

豚の外見なのに、何でヤスケは養豚場の豚を見るような目をして暴言を吐いているのか。お前、どんだけ女に対して不信感を持っているのか…一度、カウンセラー受けておいた方が良いのでは?

「ともかく、お前が欲しいのは生気だろう?だったら、今まで通りに摂取すればいいじゃねぇか。今回は相手が悪かっただけだろ…くそ、羨ましい」

「最後が本音じゃねーか!…あたしだって最初はそうしようとはしたわよ。でもね、木の葉の里の奴ら…大半が面倒くさい変態ってどういう事よ、聞いてないわよ!」

「知らねぇよ。くそ俺だって…イチャこらしてぇのに」

平行線だなぁ…正直、今回はウチのマナーが悪いと言う点もあるが夢魔だったら望みどおりの夢くらいは簡単に見せられるだろう。

「あたしは、落ちこぼれだから…うまくいかないの。夢の完成度は、それこそ本人の力量次第なんだから……ぐす」

「…じゃあさ、まず健全な夢で試したらどうだい?この近代社会は色々闇を抱え過ぎてね、安らげる夢を見る暇もないんだ。生気は取るにしても、我々としては精神くらいまともに安らげるようにしたい…協力、してくれないかね?なぁに、いきなりぶっつけ本番よりかは地均しで基盤を固めた方が、後々効率が良いと思うが…どうだい?」

「…まぁ、そうした方が良いのかしらね。良いわ、その案に乗ってあげる」

 

こうして、巷で起きている奇異な事件は幕を下ろした。

その事件の後、木の葉の里の精神疲労…うつ病のリスクがガクリ、と減少する事になった。何でも、楽しい夢を見る事が多く多少の疲労感はあっても、嫌な思い出、出来事を模した嫌な夢を見る事なく、精神的に安らげるようになったという回答が多くなった。

時たま、いやらしい夢を見る事もあると言うが…どうやら、完成度も向上していったらしく評判がいいモノとなった。

…いや、評価していいのか疑問に残るがそれでも、確実に心労を軽減することに成功したのだった。

 

「あいつら、やっぱりダウトよ」

「英雄は色を好むって言うし…どうしようも、ないかなぁ」

「てか、なんで前より注文多くなるの…デリヘルへ行くか本人に言えよ!」

言ったらいったで、ぶん殴られるのがオチだろう…言わないで置くのが吉だと思った。

そう言えば、よく頻繁に利用する人っているのだろうか…それとなく聞いてみたら、どうやら定番の猿飛くんではなく、会社員が多いらしい。

…現代社会の、闇か!

「……一応、先生も夢の対象に入っていますからね。さり気なく流していますけど」

言うな、気にしないようにしていたのに…!

 

 




扉間の奥さん、やっと出せたよ
え、幼すぎる?別に珍しくはない、たまたま愛した女性が年下過ぎたそれだけだぜっ!

ちなみに判明したとき千住家全員引いたという余談を、ば
うちはも同様に


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魔界での一幕

今回は魔界での話

グロテスクな描写とシモい話の二本立て
オリ主が惨めな目に遭う話でもある

続けるようにもう一本上げるよん


妖しく、艶やかながらも怖気を振るうような黄金と赤で彩られた広間。壁に飾られた光源が、その広間の美しさを損なわない程度で光っている。真っ赤な絨毯、細部まで施された装飾は、見事なもの…だがその一部が灰と化してしまった。

広間に響く、僅かな悲鳴。しゃがれた声、必死になってその声を抑えようとするがそれすらも隠し通せていない。

チリチリと、ナニカが焼けるような僅かな音と歯ぎしりする音。

広間に中心、白髪で赤い目をした修験道者の恰好をした少女が膝をついている。少女の両手は皮膚が炙られたかのように爛れ、空気に触れるたび炙れた部分からぶくり、ぶくりと気泡を起こさせている。見るからに痛々しい、そんな生易しいものではない…下手すれば彼女の両手は一切使い物にならないだろう。

その彼女の形相は恐ろしいものだ。自身を陥れた輩に対し、強い殺意で睨み今にも喉元を引き千切らんばかりの表情である。

そんな少女を見下ろすように、目の前で立つ露出の多いドレスを着た紅の貴婦人。

彼女の名は、アスタロト。

魔界の一角、灼熱の大地に君臨する“獄炎の女王”の異名を持ち、魔界有数の実力者のひとり。比類なき美貌を持ちながら、非情に好戦的であることが知られ自分を熱くさせる様な強き存在と対峙する事に悦びを持つ。

そんな彼女は、少女…魔界に落ちてきた千住襖間に僅かながらの興味を持っていた。人間の身、それも年若い中で魔界医療を会得した異質な存在。

いや、この世界にとってもイレギュラーな存在であった。

「ふぅん、よくもまぁ声も出さないように十分と躾けられているわねぇ…」

襖間は尋常ではない痛みに息を荒げながら彼女を睨み続ける。

アスタロトは何も言わず、ただ見下ろしている…路肩の石にちょっとした気でも止まった、その程度の視線。

「貴方も所詮、直ぐに落ちるわね。そんな手では医療もまともに出来ないでしょう?」

「…ぬかせ、それを決めるのは私だ」

「……へぇ」

「お前に決められるほど…私は落ちてはいない。貴女は強く私には、…敵いやしないさ、だがな…お前が決めるものじゃない」

彼女は睨み続けながらも、炙れた手を自身の流れるチャクラで無理やり動かし袖口に仕舞っておいた医療道具の一部を使い、応急処置をする。

「…反骨精神は、一人前ね」

アスタロトはそう溢すと、指を鳴らした。

瞬時に現れる、褐色肌で真白の長髪を持つ人物が現れた。彼女の従者…名をウェスタ、そんな彼女の手に持っているのは灼熱の大地とは反対側の大地で採れる真水の入った水瓶。

水瓶を手にしたアスタロトはそのまま、襖間の両手に…水を注いだ。

じゅううう、と音を立てる炙れた両手。

「──っ、ぐぅうう……ぅううっ!!!」

目を見開き、仰け反り天井を睨むように痛みに耐える襖間。

一気に針で突きさしジリジリと這い寄って遅れてくる痛み、その水は普通の氷水のような冷たさではないくらいのものだった。その水が手に入るのは、極寒の大地でありそこで採れる水は液体がギリギリ保てる温度…。その水を、まだ熱の残る両手に掛けられれば気を失っても可笑しくはない。

数分に渡り、全身に痛みが回り終える頃には口をわずかに開け、涎を垂らしながら失神と覚醒を繰り返している。

「ふふ、気に入ったわ…フュルストには勿体ない小娘ね」

その様子を間近で見るアスタロトの顔は、僅かに嗤っていた。

 

 

こびり付くあの笑みに、逃れるように身体を起こせば“魔女”がこちらに顔を覗かせていた。ボリュームある金髪、ふっくらとした紫の紅を施した唇に、とんがった両耳をぴくぴくと動かし、その顔は憂いを表していた。

こちらを心配している、そう言った態度。

「うなされていたわよ…」

「…リリ、ノー、エさま」

「うふふ…そんなびっしょりと濡らして怖い夢を見てしまったの?」

そんな優しい囁きに、何もかもぶちまけてしまいそうだ…それがだめだと言う事を、分かっていても。彼女は霧の魔女と言う異名を持つ、魔族リリノーエ。魔界の実力者であるが…争いに興味は無いだが、彼女は魔族だ。彼女の機嫌次第では家畜の餌と成り果てるほど恐ろしい存在であった。

彼女が自身に献身する理由は、未だ理解できていない。

子供好きだからか、それとも…。

……元々、彼女の下に転がり込んだのはあの女王、アスタロトから逃れる為であった。まぁ、もう興味は失せただろうけど。

ヤスケと共に、逃れに逃れ辿り着いた濃霧が漂う森に足を踏み入れてしまった事。不可抗力だ。濃霧の中を彷徨い、敵意は無いと判断されたようで自身の火傷と傷を癒すためにしばらくの滞在が許可されたのが始まり。

そして、今に至る。

あの悪夢で汗ばんだ自分の身体に蒸らしたタオルでふき取る、その手つきは母親が子供にやる様なモノ。

何ら変わりない…そうであってほしい。

「最後の日まで、あの女が居るのね。…酷いことをするわね」

瞬間、彼女のアメジストの輝きを持つ瞳は濁ってしまった。

不味い、そう思ったがもう遅かった。肌を晒したまま、ベッドの再度押し倒されリリノーエさまがこちらを見下ろすかたちとなる。

顔が首元に近づき、ガリッと歯を立てられ僅かに血が流れた。

「うふふ…あなたは、変わらずその仏頂面ね。その傷だらけの身体、決して人前では見せられないくらい…最低の身体」

「…リリノーエ、さま」

「今は、あのオークは居ないわ。だから、…いつも通りに呼んで」

幼少期に残った古傷と、魔界で出来た火傷と切り傷…その施術痕が残った身体。人前に出せないくらい酷く、女としても負の印象を与える…リリノーエさまの言う通り、最低な身体だった。

そんな彼女は戸惑う事無く、胎の部分を指で円を描かかれ私はゾクゾクと切ない衝動に駆られる。スイッチの入った彼女は、自身では止められない。

満足するまで、相手をするだけ…それだけだ。

そんな彼女の顔は、…酷く雌の顔をしている。

小さく舌を出しながら唇を舐め、顔を近づけさせ口をふさがれた。唇を舌でなめられ、口内に侵入を許してしまえば、あとはそのまま。舌どうしが絡まり、下品な水音が室内に響き渡る。

唾液が分泌されるたび音を立てるように吸われ、こちらの羞恥心を書き立てる。

手すきなった両手、それも手袋を着けたまま彼女の領域まで導かれた…その後は言うまでもないだろう。

「ぷは…まだお昼時なのに、ゾクゾクしちゃう」

「…はしたない人だ」

「ぁん、もっと言って…私の、可愛い子」

「く、ほんとうにどうしようも、ない魔女ですね」

これは、今日中に出立できるだろうか…そんな思いが、湧き上がると直ぐに消えてしまった。

 

 




アリーナに出てくるキャラ、出したいけど詳細がなぁ
wikiも空きがあるからどうも、ね

エロとグロテスク大丈夫だろうか


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続、魔界での一幕

解剖の話です
グロテスクなため、注意してください

書きたいことを書こうかな、という方針。ラストは書くつもりですけど
NARUTO成分も入れんとアカンな


「幼いながら、よくここまで技術を上げましたねぇ…あなたの以前の師は末端の魔族では無い筈でしょうよ」

「…魔族であったと思いますよ、異形に近かったので」

「ふぅむ…まぁ、良いでしょう」

フュルスト先生はそう言いながら、解剖の準備を再開させた。

寝台に乗られているのは、対魔忍と思わしき女性。しかし、彼女は眠っているような感じだ…だが、息は無く血色も悪い。

骸、死体であった。

ただ、その美貌は死体と成ってもまだ生きているかのように思え崩れも無い、綺麗な状態。よくもまぁ、ここまで綺麗に保てたなぁ…と思ってしまう。

「どうしました?…フフ、まぁ、同胞を解剖するのは嫌ですか」

「いえ、…綺麗に死んだな、と思いました」

「…確かに、私もここまで綺麗な死体は物珍しいですよ。ほとんどは傷モノですからねぇ」

しばらくするとでは始めますよ、と声と共にメスを渡された。

メスを手に取り、晒され裸体に…腹に真っ直ぐな線を入れる。一本の線が入れられた身体、線の部分をゆっくりと開ければ…標本などで見る臓器たちがビッシリと詰まった光景が映し出される。閉じないように固定し、メスとハサミを使い慎重に臓器を一つ一つ取り除いていく。手先が血液によって真っ赤に染まる、死体であっても僅かながら血は残っているようだった。

銀のトレイに臓器を置き腹が終われば別の部位を切り、取り除くと言った作業を進めること…数時間。

トレイに並べられた傷が無い多くの臓器、寝台はかわらず開き傷がありながらもそれ以外は綺麗な死体が乗っかっている。解体、と言うのは全くもって手の掛かるものだ。だが、中を開かなければいけない病があるからこそ、仕方ない…と思っている。

私が今、やっている事は…医師としての外道行為だが。

「…これで、全部ですか?」

「えぇ、今度はこの死体を別のモノに組み立てます」

「組み立て、る?」

「そう、組み立てるのですよ。別のモノに」

そうフュルスト先生は、にっこりと笑った。

私は、その笑みが胡散臭さではなく純粋な笑みだと、感じ取った。ただ、無垢な子供のように何かを楽しそうに工作する、そんな様子を見せていたのだ。

 

一時の休憩と共に、死体に手を加える。

運び出された材料は、どれも魔界から取れるモノばかり…。何かの液体、禍々しい臓器、何処かこちらに視線を送る眼球、未だ脈打つ心臓など、様々なものばかりがこの解剖室に運び入れられた。

「…ずいぶんと多いですね」

「これ全てが、取り除いたモノの代わりですからねぇ。…人工の魔族を作るには、コレぐらいは要りますよ」

「機械は取り入れないのですか?」

「それは、次回にしましょうか。今回はこれらを使う予定ですのでね」

フュルスト先生が言うには、人間は魔族との親和性があるとされる。人間の身体は不完全とされ、何処かに手を入れればその方向へ行きやすくなる。その為、こうやって人工的な魔族を作る際に人間、それも女性が使用されると言う。

女性は、素体そのものが母体と言う機能を持っているからか何かを生み出す際の受精卵と言う形で仕事する為、だからとか。男性も出来なくはないが、成功率は女性の方が割かし上、と言うのが現実。

そんな説明をされながら、先生は接合など組み立てる部分の技術をこちらに教え込んでいく。

最後の臓器を移植し、終わりに開閉部を縫い合わせる。休憩からまた数時間が経ち、ようやく一区切り…組み立てが完了した。

先ほどの死体は、あまり変化は見られていない。

実際、外見的にはあまり変化は見られないモノらしい。拒絶反応は、意識を取り戻してから起きるのだろう。

あの禍々しい臓器たちは、接合していく内に血色のある赤へと変色していった。取り出した臓器と似たような色合いに成ったのだ。身体の仕組みとは、いまだ解明されていない部分があるからこそ、学び甲斐があるが…コレは、学ばなくていいものだろう。

知っているのは、私だけで良い。

「…目覚めるのでしょうか?」

「あとは電気ショックで心臓を動かし…後釜の魂を入れれば完成です。動くと良いのですがねぇ…まぁ、今回は練習なのでどちらでも、と言っておきましょうか」

「…」

練習、か。

また、同じことをやらされるのだろうな。出来れば、改造魔族とかではなくて臓器の再生と復元、視力回復と言ったものが学びたいな。

そんな事を思いながら、死体にそっと触れてみると心臓が一定のリズムで動いている…どくん、どくんと脈打っていた。

「そう言えば、魂ってどうやって入れるんです?魔術、とかですか」

「えぇ、貴方でも出来ますよ」

心転移、だったか魂を別の肉体に移す術に似ているなぁ。おそらく、これが元となったモノだろう…うぅむ、自分は忍法や忍術はからっきしだから、心配だ。

全ての工程を終え、フュルスト先生と共に解剖室を後にする。あとは、別部門がやるらしく、こちらの作業はもう無いと言われた。引き継ぎは兵器開発かな、それとも魔術部門かしら…いずれにせよ、あとは結果を待つのみとなった。

 

…地獄は確定だろう、な。別に、この世界に生まれたのだからぬくぬくは生きてはいけない、そう覚悟していた。

堕ちるとこまで、堕ちる…無限地獄だろうか。

けど、結果は変わらないから…いいか。

 

 




とりま魔界での話はあらかた片付いたゼェ

また未来編も書きたい所存でござる
まぁ、気長にお付き合い願えれば幸いです



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パイプ役はいぶし銀一択だろJK

彼女が活動している時代はアミダハラがまだ無いという解釈でいきます
半島紛争が起きたのが十余年ならばこの頃は開発中としています
近々完成してオシャカになるでしょうけど

対魔忍の政策、大丈夫?と心配してしまうほどなんだが


 

東京キングダム、アミダハラ、ヨミハラと呼ばれる場所がある。

いずれも、この世界にとってアンダーグラウンドとして悪名高い場所である。ただ、自身も色々とごっちゃとした知識に成りがちでよく解っていない。

しかしこの時代では、アミダハラは“まだ”存在しておらず土台となる人工島は今もなお、建設途中である。発端となる米連と中華連合は未だ冷戦であるため、何かしらの刺激で起こっても可笑しくはない。

相変わらず前の世界と同様…、日本はその両者と板挟み状態であるため緊迫な状況である。

 

今の日本政府は、どんな状況になっているのか。

原作では、山本信繁と呼ばれる内務省公共安全庁(通称:公安)・調査第三部<セクションスリー>の部長(この部門のトップ)であり、対魔忍とのパイプ役が存在している。ただ、この時代では、彼は子供である。

現在のパイプ役は、彼の祖父とされる人物。

父が言うには、とんでもない曲者のようで政界からも言うに堪えない破天荒な手腕を発揮していると言う。周りの政治家たちは良い顔はしていないものの、この状況下の日本では、そう言った人物こそが頼りがいがあるのだと思う。

そんなトップ、どうやら木の葉の里に視察に来ている。里も、何かと緊迫している様子…それもそうだテレビやラジオで、このお方の情報は良くも悪くも嫌でも聞いているからだろう。

それだけ、影響力が大きすぎる人であった。

 

白髪混じりの黒髪、深く刻まれた右目の傷が異様に恐ろしく思える。骨格、恰好から見て、軍人上がりの政治家のようだ。鋭い眼光、それはまさに研ぎ澄まされた刀を思わせるほど異様に鋭い。

もはや、妖刀の類だ。

「お前さんが魔界医師か…まだ、小娘じゃあないか」

今、目の前にそのトップが居るというのは幻覚だろうか。

視察の資料では、こちらへの訪問は予定されていなかったはず…とは言え、機嫌を損なえばこちらの首が飛びかねん。

今も機嫌損ねているけど…。

「…小娘、では不安ですかな」

「はっ。生意気な口を利く…で、その技法、何処で学んだ?」

「…魔族の師に、教授させてもらいました。今何処に居るか分かりませんが、大方何処かの山に籠っているのでしょう…聞くにはしがない山伏のようでしたから」

「ほう、随分詳しいじゃないか」

嫌だな、警察の事情聴取みたいな圧迫感じゃないか。

まぁ、魔界技法を習得している人間なんて数少ないのは確かだが、そこまで威圧感出されるとなると、怖すぎる。この時代では未知の技法だから、仕方ないと言えば仕方ない話であるけど…ねぇ。

とは言え流石に、フュルスト先生の事を話すのは些かヤバい。

正直、死ぬ。けど、この日本の地で死ぬのであれば上々…魔界で死ぬなんて、嫌だし。あそこ、とんでもない厄ネタ…関わってきた魔族が居るから、嫌なんだよなぁ。

「お前さんの経歴を見させてもらった…空白の余年があるようだが、話してはもらえんかね?」

何でそんな事を聞くのだろうか、技法の方の有用性あたりが優先順位は高いと思う。理由を尋ねれば、技法もそうだが個人の事にも視野を向けると言う理由でやんわりとはぐらかされてしまった。

ちらり、と隣に座る頭領柱間さまの顔色を伺う。

小さく頷いている、話しても良いという回答だろう。私が魔界に行った事を知っているのは、上層部と僅かな人ぐらいだ。さらに魔界での詳細を知るのは、父と柱間さま、里の各一族の治め役であるマダラさまくらいだ。山本部長の質問に対し、私は嘘がない程度で話す事にした。

まぁ、ごまかしはする…国の政治家でも、あまり信用できないと言うのが本音である。

 

 

「あの娘は危険だ」

 

ポツリ、と選りすぐった職員が集まる小さな調査室で、山本はそう溢した。

彼らの返答を答える間もなく、続けるように紡ぐ。その表情は、いつもの仏頂面ではあるものの眉間のしわをより深くしている。

「魔界技法、確かにこの国にとっては脅威であり新たなる希望であろう。その技法で、より多くの病魔への対策、治療に役立つ。

…だが、あの小娘自身は…駄目だ。あの類は必ず、こちらに牙を剥くぞ」

「ど、どういうことですか。確かに、経歴からして注意すべき、目を張るべき人物には違いありません。ですが、山本さんの仰っている意味は…まるで、俺らが何かしようとする前提じゃないですか」

一人の職員が、若干声を荒げる。

それもそうだ、尊敬する男の口からそういう話が飛び出してきたのだから。だが。山本はそんな職員の声を聞きながらも、語ることを止めなかった。

「そうだ、俺たちはこの国の為なら対魔忍を切り捨てる手段を取るだろう。

この選択は、最終手段だ…そうならないようにするのが、俺らの仕事だ。しかしこの国には、魔族とまともに対抗できるのはもはや対魔忍以外に“侍衆”しか居らん」

侍衆、いわばナルトに登場する鉄の国出身の侍、武家の者たち。この世界では、日本国のお抱えの精鋭部隊であり、護国の守護者的位置に当たる。

「ならば、それは愚策…ではありませんか?」

「だがな、結局はどうしようもなくきったねぇんだよ前任たちの所業はな。おかげで、今もなお対魔忍の立場は下の方だ。

だからこそ、切り捨てられるんだ。

…そうなれば俺たちは、いやこの国は終わるさ。侍衆だけでは、もはや対抗できない…そんな技術は、無いに等しい。だが、対魔忍側にはある。あの小娘が生まれ、活動してきた間、対魔忍側の実力と技術は格段に上がっていた。

無論、あの小娘の親の世代は化け物揃いと聞くが…それ以上に、あの小娘の技法は厄介であり、異常なのだ」

山本は、そう長らく語ると一息つく。

集められた職員は、意外そうな顔で彼を見つめる。元々、この山本はそこまで饒舌に喋る性格ではなかった。だが、一人の危険因子によってここまで饒舌、危機感を覚える彼に、驚きを隠せなかったのだった。

「…あの小娘ほど、厄介な奴はいないだろうよ。だからこそ、手を出すような状況にしたくねぇんだ。

触らぬ神に祟りなし…だ」

そう山本は嘆息混じりの独り言を溢した。

 

時間が経ち、こぢんまりと静けさが漂う部屋に山本は一人立っている。

手には一つの資料があり、そこに記されている内容は木の葉の里の長老の戸籍、詳細等が細かく記されている。対魔忍ほどではないにせよ、彼らも諜報活動は引けを取らないほど持っている。

その資料には、一つの結末が標されていた。

長老たちの最期。それは、薬物の摂取で起こる中毒症状が深刻化、それに伴った衰弱死と書かれている。

主治医の欄には、千住襖間と言う先刻で出会った少女の名が記されていた。

それ以外にも、短くまとめられた内容がある。その内容は、不老不死…かつて、長老たちが求めていた延命であった。

「…不老不死、もしあるとすれば世はひっくり返るだろうよ」

 

 

 




政権側のキャラが居ないに等しい件について

まぁ、対魔忍やししょうがない話だが…
居てもズブズブな奴しかおらんぞ。大丈夫なのか?対魔忍ワールド


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お仕置きな話は

あるコメントを参考にさせてもらいました

脳に焼き付ける行為は大抵禄なものじゃない
一応、注意


 

異様に静かで、おどろおどろしい殺気が満ち溢れた空間。

その空間には、ダンゾウと数名の対魔忍が存在していた。ホムラは、冷や汗をたらしながらダンゾウを見つめている。長年の付き合いである彼は、ダンゾウの感情を読み取っていた…恐ろしいと思わせるほど、静かな怒りを湧き上がらせている。

「また、…正面突破か」

ポツリ、と静かな言葉を紡ぐダンゾウ。

ダンゾウの視線の先には、スリーマンセルで組んでいた女性対魔忍たち。彼女たちは、目の前のダンゾウに恐怖を抱いていた。

「……ダンゾウ」

「作戦は確か、殲滅じゃなくて諜報活動だった。しかも、案の定返り討ちで捕縛される始末」

情けない、と呆れる訳でもなく怒りでもない…ただ、無機質な冷たさがあった。

「しかし、ダンゾウさ」

一人の対魔忍が異を上げようとするが、直ぐ口ごもった。

ダンゾウが対魔忍たちに見せる視線は鋭く、射殺すようなモノであった為、彼女は戦場さながらに慄く。彼女たちが仕出かした経緯について話すのであれば、元は彼女たちが与えられた任務は、諜報活動であった。…それが彼女たちの独断で、殲滅作戦となってしまったためである。

現場、戦場で任務内容を変える事は稀ではない。

ただ、素直に諜報活動をすれば間違いなく成功する任務であった。それが、彼女たちは感情を先行したため、殲滅作戦へと移り変わり見合う実力もない中、返り討ちは当たり前であったのだ。

ダンゾウは、かねてから慢心を起こすなと教え子である対魔忍たちに口酸っぱく言っていた。この場に居るホムラも、そういう風に教えている…死と隣り合わせである以上、慢心は自身の危機を晒すものだと、師である扉間から突き付けられていた。

だが、それでも…人は完全ではないのだ。

「…矯正、が必要だな」

「そんな!ダンゾウ様、考え直し」

「下がれ」

有無を言わず、三人の対魔忍は恐怖に塗りたくられた顔でダンゾウたちに背を向けた。

残されたダンゾウとホムラ、二人だけと成った空間は今もなお静けさで満ちている。

「ホムラ、俺はどうも教師には向かんようだ」

「…ダンゾウ、…白髪増えてるぞ」

「やめろぉ!!気にしないように、気にしないようにしていたのにぃいい!んぎぃいいい!!」

「ほら、医務室行こう。な?」

 

 

「…今日で何人目だろうね、ヒカク様」

「考えても無駄ですよ、カガミ。…今回は、とんでもない内容ですねぇ…志村くんは大丈夫だろうか」

「今回は、ダンゾウですか…この前はコハルだったな」

そこから黙々と機材がビッシリと圧迫する部屋で、うちはヒカクとうちはカガミは作業もとい、運転準備に取り掛かっていた。

この部屋は、通称矯正部屋と呼ばれる精密機械の設置された部屋である。

元は、機械で人工的に忍法、忍術の幻術を使い任務や治療と手術のシミュレーションを行う部屋でもある。が、ここ最近の対魔忍の脳筋化がばく進していく中、次第にこの部屋はシミュレーション以外の矯正、正しく学び直すために使用する事が多くなった。

この施設の担当者であるヒカクは、カガミを引っ張りこみ手伝わしていた。

余談であるが、頻繁に利用している主な使用者は千住扉間と志村ダンゾウである。

どちらも、まるで死んだ魚の目のような目と、この世の終わりとド級の面倒くささを同時に受けたような仏頂面で使用許可書と矯正内容の要望書を書き上げるのであった。

「俺、この機械にはお世話になった事ないですけど…そんなにひどいんですか?」

「性能は、良い方です。ただ、内容は幻術として現れますからね…精神と身体にもフィードバック、還ってくる仕様だからそう言われるんでしょう」

運転準備が終わり、何時でも運転できる状態となるとドナドナと言う音ともに先程の三人の対魔忍が連れ込まれた。

三人とも、恐怖に塗られ涙と鼻水をたらしながら、機械の装着を拒否し続ける。

が、ヒカクは無慈悲とばかりに三人にテキパキと機械を取り付けていく。ヒカクも対魔忍である為か、教え子にはホトホト手を焼かされている様子だからこそ、扉間とダンゾウの思いは痛いほど理解していたのだった。

「…今回の設定って、どんなのです?」

「第一段階は書類責め、第二段階は高難易度任務…失敗すれば相応の体験が待っている仕様ですよ。これらは別に、頭をフル回転させれば行けるものですが…志村くんの希望で、少し過激に設定しようかと」

そんなヒカクの言葉に、カガミは薄らぼんやりとこう思った。

ダンゾウ、ストレスで急死そう…と。もう少し労わらなきゃいけない、という気持ちが強まったのだった。

 

 

「いやぁああああ!終わらない、どうして…ああぁぁぁああっ!!!」

「もういや、許してっ!赦してよぉおお!!」

「腕、腕がぁああ!壊れる、ひぃい!もう…駄目なのぉおおおお!!!」

延々と自身のデスクへと送られる、自身の仕出かしたことへの始末書。

書いても、書いても送られ続け送りつけられた始末書たちは高々と塔を築き上げていく。ぶちり、ぶちりと腕の神経と筋肉が悲鳴を上げても終わりは見えていない。腕から吹き出す血で、書類は真っ赤に染まる。

腕は傷付いても、直ぐさま筆を進められるように回復する。

それは、精神を壊す所業である。

 

彼女たちは、諜報任務および潜入任務へと着いていた。

とある人魔協同の組織、その組織は裏社会でも指折りとも言えるほど強大なもの。彼女たちは前回、と言っても先ほど失敗した任務の反省を生かし正面突破ではない方法、変装と偽装で潜入する事にした。順風に行ったものの、僅かな油断と慢心が彼女たちに牙を向けた。

捕まった彼女たち、抵抗と脱出を目論見るが…それでも歯が立たなかった。

 

このあとの事は言うまでもない、女の身であるなら理解できようモノ。

真白の百合の花束は、汚泥へと踏みつけられた…それだけだ。

 

 




まともな対魔忍だっているから安心してほしい

死亡率高いのは気にしてはいけない…なんで慢心するんだ?
なんで、そんな自信たっぷりなんや


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幕間、その2

未来編かつ思いっきり捏造、とりあえず5属性出来るやろ的な思いでやった

扉間小隊の活躍めっさ書かれてないのが悪いんや


眼鏡を掛けキセルを吹かす見た目、忍びらしい黒装束を着た中年の男が居た。

周りには、四人の対魔忍が彼を取り囲んでいる。ほとんどが女性であり、その顔立ちは美女でスタイルのいいモノばかり。それぞれ、彼女らに見合う獲物を携え臨戦態勢で、彼の動向を伺っている。

「これより、試験を開始する」

男、水戸門ホムラは煙管を咥えながら片手で印を結びながら足を使い、円を描くように舞い始める。

指先で描かれた円は、曲りも無く歪みも無い完璧な円であった。舞と印が結び終わると同時に、描かれた円はぼんやりと光り出すとホムラの身体を包み、額には木の葉の里のマークと黒染の隈取が浮かび上がった。

その姿を見た対魔忍たちは、全員驚愕の表情を隠せていない。

それもそのはず、ホムラの姿はまさに、最高位の忍びが習得できるとされる仙人モードを思わす姿であったのだから。

 

「さすがは…水戸徳川御庭番衆前筆頭頭、水戸門ホムラさまね。仙人モードがお手の物って事かしら」

 

対魔忍の内の一人がそう、零した。

濃い菫色で左目を隠したショートカットの女性、羽鳥志津香。彼女は邪眼持ちの対魔忍と知られ、その目は “恐慌疑心”と呼ばれる恐怖を煽る性質を持ち、見たものは恐怖と猜疑心に蝕まれ、精神を崩壊するとされる代物。

そんな邪眼を持つ彼女は、サディスティックとされ新人はおろか同じ対魔忍からも恐れられている。実力も高く、かつ仕留めると言う意味では彼女は一線級の実力者でもあった。

強敵を前に、武者震いを隠せない志津香の傍で鞭を構える一人の対魔忍。

蓮魔零子、透視の忍法の使い手であり的確に相手を鞭で仕留めると言う苛烈ながらも、公平であり堂々とした姿勢は、生徒と共々慕われているほど。

「気を抜くと、持っていかれそうだ」

「うふふ…。滾ってきちゃうわ…その頑固な顔を歪ませてみたいもの、ね!!」

志津香は投擲用の小さな刃を三枚、ホムラへと投げ先制。勢いよく迫る刃にホムラは動じることなくクナイを投げ、一枚を残しすべて射ち落す。

残った一枚はホムラへと迫るが、ホムラはその刃を掴み身体を捻らしながら志津香へと返した。

「秘術・手裏剣分身」

数秒のちに印を結び終える。一枚だった刃は瞬く間に分裂を繰り返し、百を超える程の数へと増えた。零子は迫る刃に向け、鞭を振るい多くを撃ち落とすが残った刃は迫りくることは変わらない。

零子は持ち手の部分のスイッチを一つ押す、すると鞭は稲光を発生させバチバチと音を立てる。そのまま、迫りくる刃に向けもう一振りすると稲妻が広がるように走り出しすべての刃を落とした。

志津香はそのまま突進し、ハイキックを入れる。

ホムラは蹴りを片腕で制し、片足を掴み上げハンマー投げのように回転を入れ零子へ向け放り投げる。さらに両手で印を結び片足で地面を叩けば真っ直ぐに亀裂が走りだす、土遁・裂土転掌(れつどてんしょう)と呼ばれる忍術。

亀裂が広がり、零子の足元まで迫りバックリと開いた。足元を崩し、そのまま投げられた志津香と共にバウンド。

何事も無かったかのように、余裕を崩さないホムラだったが…零子の持つ忍具に僅かに笑みを浮かべた。

「…忍具雷光鞭か。いやはや、ご息女様の道具を間近で見る羽目になるとはな」

「く!」

「うおぉおおおおっ!!」

その時、雄叫びとと共に二刃の斧が豪快に振りあげられホムラへと振り下ろされた。

素早く退避するホムラ、彼が居たはずの地面は抉れ小規模なクレーターが出来ていた。クレーターを起こした対魔忍、八津紫と呼ばれる原作でも有名な女性対魔忍だ。怪力と不死身の能力を持ち、パワータイプで言えば右に出る者はいないだろう。

すぐさま斧を振りかざし、その怪力を生かした連撃をホムラへと入れる。

紫の迫りくる重圧を纏った攻撃に、ホムラは一つ一つ躱すが攻撃の隙を与えられずにいた。

「はぁああああ!これで、どうだ!!」

身体全体で斧を振り上げ、勢いよく真っ直ぐに振り下ろせば地面を抉り、衝撃で地面が割れ土の塊が周囲に浮き上がった。

「く、とんでもない怪力娘じゃ。…綱様並みじゃあないか」

ホムラは苦言を零し、両手で印を結ぶ。

が、それをさせまいと零子の雷を纏った鞭が迫りくる。印を中断し、後退し間合いを取り体勢を立て直すホムラ。

間合いを取り、息を切らさず三人の対魔忍を見つめる。

ホムラは一息吐くと、こう呟いた。

「さて、残るはアサギか…」

そう呟いた瞬間、ホムラの背後からキラリと一つの光と共に一陣の風が駆け抜ける。

「燕の舞」

一閃、まるでソレはレーザービームが如くホムラの胴体を貫いた。

音もなく、ただ真っ直ぐに一線が入る。その一閃を放ったアサギによって胴体を貫かれたホムラ…が、ポンと乾いた音ともに土くれが地面へと落ちた。

アサギは、直ぐさま刀を構え再度忍法を繰り出そうとする。

「アサギ様!!」

紫が声を荒げる、アサギは自身の獲物に起爆札が張られている事に気付く。しかし起爆札は既に爆発一歩手前、アサギすぐさま退避すると大きな爆発が起きた。

アサギは苦い顔で爆発を見届け、予備の脇差を抜く。紫、零子そして志津香は集まり再度獲物を構える。

大きく膨れ上がった煙の中から、無傷だが爆風の余波で煤を被ったホムラが現れた。

咥えていた筈の煙管は、根元からボッキリと折れている。

「…ふむ、全員合格じゃ」

ホムラは咥えていた煙管を放り投げる、その時に小さな爆発が起きた。

あのまま加えていたら、口は大惨事となっていただろう。

「あら、とっくに気づいていたんですね」

明らかにわざとらしく残念そうなリアクションを取り、志津香はそう呟いた。

 

 

「これにて、昇級上忍二級の試験を終える」

ホムラは衣服に付いた煤と埃を払い終え、その場を後にした。

結界とされる膜が割れ、周囲は多くの人がかたずを見守っていた。上忍ニ級と成ったアサギと紫、志津香、零子の四人の対魔忍たちの戦闘を彼女たちには見えない形で、始終を見届けていたのだ。

そんな観客の中に、ふうま小太郎と興奮気味の上田鹿之助が居た。

「…これが、水戸門ホムラ。流石はあの扉間小隊の出だな」

「す、すっげぇな!ふうま、アレってアレだよな…仙人モード!!」

「いや、あれは仙人モードじゃない。疑似・仙人モード“クラマ”だ」

「え、なんだそれ?」

「あぁ、俺も詳細は詳しくはないが…何でも仙人モードに似た、自然チャクラエネルギーを取り込んだ強化法らしい。精霊の加護を受け、その属性だけを限定的に大きく強化できる忍法らしい。

“クラマ”は山の化身とされる天狗であり、鞍馬山のクラマテングの加護を受けた人のみが発動できるそうだ」

ふうまは、とても興味深そうな顔つきでホムラの背を見つめている。

「しっかし、木の葉の里の英雄さまがなんで五車町に居るんだろ」

「まぁ、台湾危機で木の葉の里が半壊しその避難場所として近場の五車が選ばれたからな。

本人は、木の葉の里で活動したいんだろ…。それが出来ないから、こうやって五車の対魔忍を鍛えてくださっているのだろうな」

そう、ふうまは感謝と共にいたたまれない気持ちを含ませ呟いた。

 

 

今から三十余年ほど前に、台湾危機と呼ばれる米連と中華の代理戦争が勃発した時代。

この危機と同時に、エドウィン・ブラックと名乗る魔族が侵略を開始東京キングダム含む、裏社会の情勢を大きく塗り替える事件が発生した。今では、ブラック率いるノマドと言う組織は、知る者はいないとされるほど強大となった。

この五車町より少し古い隠れ里、かつてホムラが所属していた木の葉の里はこの危機によって半壊すると言う悲惨な出来事を負った。ノマドの構成員率いる、魔族が木の葉を襲撃…のちに木の葉襲撃、そう呼ばれた事件は多くの犠牲者を出す。

ホムラにとって親友とも言える仲間と、恩師を失うほど大きな事件であった。

生き残った木の葉の里の忍び含め住人は、五車町の好意で一時避難する形と成り、生活している。今の木の葉の里は、復興作業が進んでおりかつての栄華とは比べ物にならない程、小さな隠れ里と成った。

 

 




え、若い?
気のせいだよ、対魔粒子かチャクラを上手くコントロールしてるだけだ
波紋の応用みたいなものだろう、きっと
(ろくに考えていない)

襖間ちゃんまじでどないしよ


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身近にいた人、父親として

なんかNARUTO側が優遇されがちだけど、大丈夫減らす予定はある

対魔忍側の年齢で出せないキャラ多すぎぃ…創設期辺りで躓くんですよ
すまん

あと、次あたりは地雷が強いです
今回もしかりだけど


 

「襖間ちゃんって、扉間と親子だなぁって思うよ」

そう、カラカラと笑いながらイズナさまはそう溢した。

身体に負った深い切り傷、打撲痕を治療しながら彼の言葉に耳を傾ける。美丈夫な見た目とは裏腹に、結構がっしりとしていてこの人も鍛えているんだな、と失礼な事を思う。

「…血は、繋がってますから」

「違うよ、…俺たちの目が怖いって事さ」

あの冷徹な父だって人間だ、恐いものもあっても可笑しくはない。

イズナさまに限らず、マダラさまも似たような事を言っていたな。父とイズナさまは仲が良いが、たまには喧嘩するだろう。…おそらく、些細な事か何か大きなことで喧嘩でもしたのかしら。

何かあったのか、と聞けばはぐらかされた。男同士、女や子供には知られたくないこともあるよね。

確かに、うちはの写輪眼は怖いと思う。幻術云々もあるが、存在そのものがチートだし恐いのは当たり前なんですがねぇ…。もう、目潰ししか方法ないんじゃないだろうか…後、鏡で反射させるとか。失明が無けりゃあ、万能の一言で片づけられるんだぞ…てか、欲しい。

治療とか、技法を真似できるんだぞ…あ、でも白眼の方が良いわ。

白眼一つでレントゲンの役割で来て、手術が楽になりそうね。写輪眼より便利じゃん…、やはり日向は木の葉最強。

…話が逸れちゃったな。

まぁそれ以上に…私は怖いものを知っているし、おそらく経験する事だろうと予感する。

「当たり前な事を聞くんですね。…ですが、私はそれ以上に恐いことを知っていますよ」

「…ごめんね、意地悪しちゃった」

変に勘違い、させたのだろうか。

今日はやけにしおらしいイズナさまだなぁ…。傷口に細菌等が入らない様に施した包帯を巻き終えると、イズナさまは傷を負った半身を纏うように衣服を着込んでいく。

イズナさまのカルテに、傷の詳細と治療法を書きつつ無茶をしない様に言葉を紡いだ。

「あまり、無茶はしないでくださいね。イズナさま」

「うん、ありがとう。君がやると痕が残らないから助かるよ」

女、男であっても傷が残るとすこしばかり憂鬱な気持ちも湧くと思っている。傷は勲章、なんて考えもある…否定はしない。生き残った証、名誉、悔しさの証など色々と意味が在るのだ、傷痕と言うモノは。

だが、私としては少しでもその痛々しい傷跡を残らせないようにしたい…そんな単純な思いでやっている。

治療を終えたイズナさまが、医務室を出る間際…私は自分の思いを吐露する。

「イズナさま…私は確かに怖いですが、それ以上にあなた方が好きです。それだけは、覚えておいてほしいです」

「…ふふ、君は本当に優しい子だね」

振り向きながら、そう嬉しそうな笑みを浮かべたイズナさまが居た。

 

 

「襖間ちゃん、うちに嫁に来た方が良いと思うんだけど」

「娘はまだやらん」

「何言おうが、カガミと一緒になるんだから諦めようよ」

「へ、返事がまだ、だ…」

どんだけやりたくないんだよ…でも、コイツの気持ちは分からなくもないんだよなぁ…。

奥さん亡くして、たった一人の娘だからってのもある。そんな彼女が魔界へ堕ち、いつ帰って来るかもわからない、死んでいても可笑しくない。そんな状況になってそれが、余程恐ろしく思えたんだろう…酷い言いようだが、コイツも人の情を持ち合わせていたのには驚いた。

「…カガミならさ、大丈夫だって」

あの子なら、彼女を任せられる…俺だって、兄さんだって思っているよ。

彼女は俺たちを恐れてもなお、手を伸ばし続け真剣に成って俺たちの事を知ろうとし、寄り添ってきた。俺たちの欠点を克服しようと、今でも頑張っている。

千住とは今は良好な関係を築けているが、昔は酷かったと言っている。

今でも、一部は千住を嫌っているが襖間ちゃんはそれでも歩み寄ってくる。最も、あの子は因縁云々興味無さそうだけど。

性格からして実直な子だし、興味ない事はとことん興味ない…本当に扉間に似ているよ。

それにカガミはうちはだが、少し事情のある家系。それでも、同じうちはだ…ちょっと、ズレてはいるが根は優しい子。元々、小さい頃からの恋慕だ。今もなお、衰えていない所を見ると本気で思っているのだろう。

だが、扉間の方だってカガミの気持ち位理解している。アレだけの事をしたんだ、解っていても、過去はどうしても立ちふさがるらしい。

今の扉間の状況だ。

「解っている。…だが、ワシは思った以上に臆病ものらしい」

「知ってる。最初から、お前は臆病者だよ…扉間」

「…ワシは、襖間の傍に居てやれた時間は少なく短い。だが、カガミなら…傍に居てやれるのだ、ワシ以上に…な」

「ならさ、賭けようぜ。俺はカガミが幸せにしてくれる、それに賭けるよ」

そう言えば、扉間はキョトンと惚けた顔でこちらを見ている。

しばらくして、吹き出しながらこう言った。まったく、それじゃあ…。

「賭け事にならないじゃんかー」

「そうだな、賭けにはならん」

賭けにならない、それでいて欲しい…それくらいは思っても良いだろうと思う。

 

 




余談でここでのイズナの写輪眼はクソ強ピーキーなやつ
アマノカガセオ、アマツミカボシって言えばわかるかな。そんな名前にしてる

写輪眼の名前決めるとき、日本神話がより一層楽しくなるぜ?
私的に

シスイのコトアマツカミ…創造神クラス並みやん


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月が綺麗ですね※地雷注意

地雷が強いです

とりあえず答え編までやったぞ
あとは、どういった最後にするかだ。…いちゃいちゃ書くかもしれんけど



「…」

月明かりが、ほんのりと地面を照らす。

月夜に照らされるしじまな里は、何時になく寂しげなものだ。舗装された道を、ただ黙々と歩き自宅へと向かう。

夜は静まり返った空間、日中では聞こえない小さな音が耳を澄まして、聞こえる。

虫の息、風の音、街灯から発せられる微量の音…それが、この時間帯でようやく聞き取れる。

そんな音を聞きながら、帰路に就く…私は、それが好きだ。

 

「こんばんは」

 

前方に、人影が見える。

暗く、その姿はぼんやりとしているが…街灯近くまで来ると、ようやくそれがハッキリと映った。

黒い忍び装束を纏ったカガミくんであった。

僅かながら、…血の匂いがする。任務帰りだろう、だが…この臭いは誰の血の匂いか。敵を屠ったモノか、それとも…。カガミくんはゆっくりとひたり、ひたりと近づくたびに、血の匂いが一層強くなる。

暗がりの中真っ赤な両目、写輪眼が輝いている。

それは、いっそう美しく私を見つめている。吸い込まれそうだ、いっその事吸い込まれても良いと思えるほど、艶やかな赤だった。

「逃げないのですか?」

か細い声、暗がりの中に吸い込まれそうになるのではないかと心配してしまう。

「…そうね、それより」

「それより…?」

触れるほどの距離となると、カガミくんの頬に手を添える。

「怪我はしていない?血の匂いが酷いけれど」

「…はい、大丈夫です」

添えていた手に、被さるように武骨な手が触れる。触れていたその手が、カガミくんによって強く握られる。甘え、縋るように頬をいっそう擦り付けるカガミくん、随分と参っているのだろう。

懐かしい、不謹慎ながらそう思ってしまった。

幼く小さな彼は、泣きながら私を頼っていた。同じうちはなのに、うちはとして認めらえなかった彼が、…今では立派なうちは一族へと成っている。手のひらを返すのが早い、とさえ皮肉ってしまうも、カガミくんが認められたことが何より嬉しかった。

同時に、どこか遠くへ行ってしまうような寂しさもあったが…猿飛くんたちが居ると言う安心が勝ったのもある。

身体を預けるように誘導させ、背の高い彼はすくめながら、抱き着くように私ごとおさめる。

 

「カガミくん」

 

名前を呼べば、彼は小さく頷く。

「カガミくんは、何処にも行かないよね」

なんで、そんな事を言ってしまったのだろうか。

…きっと、こんな暗い夜で気が迷ったのだろう。桜に攫われるとは言うが、夜に攫われると言うのは聞いたことが無い、…でも本当に攫われそうな気がしてしまったのかしら。そんな問いに、カガミくんは否定の言葉を紡ぎ、それに続けるようにこう零した。

「それは、あなたでしょう?」

…否定、出来ない自分がいる。

「…俺は、あなたがまた消えてしまったら死んでも良い」

「それは、困っちゃうかな。君は、この里の大事な子供だから」

「俺は、あなたの特別には成れませんか?」

苛立ちを含ませた荒い声と共に赤い瞳が、こちらを捉えた。

三つ刃の手裏剣、逆さの五芒星がなによりも…彼が特別なうちはだと言う証拠となっている。

現世から魔界に下った人間、その者たちは魎魔忍と呼ばれ、彼はその末裔である。魎魔忍のうちは一族が持つその写輪眼は、他の写輪眼と比べ幻術に特化し、相手を意のままに操り陥れると言う。

「特別なものほど、何処かへ行ってしまいそうなの」

本心だ、この世界だからこそ…この恐怖からは免れない。

「俺は、それをよく知っています」

「そうね」

「怖いまま、何もしないでいたくない。…あなたへの気持ちはそのままにしたくない、だから言ったんです」

あなたが、好きです…と。

彼は悲痛に満ちた声色で言葉を紡ぎ、乾いた唇を押し付けた。

しばらくして、名残惜しげにカガミくんは離れた。その顔は、今にでも泣きそうで哀感を帯びた表情であった。

「…迷惑ですよね、すいません」

少し冷静になったのか一度、視線を逸らした。

沈黙が続く…言葉が出ない。何か言わなければならないのに…喉でつっかえ、言いたいことも言えない自分が情けない。こんな表情をさせたくはないのに、それを否定するような言葉を、掛けられない。

彼の服を強く掴み、震える声で答えを求めた。

「……私、で良いの?」

「あなたでないと、駄目なんです」

「…一緒に、死んでもいいの?」

「あなたが望むなら、死さえも怖くありません」

はっきりとした声色、二度も確認して…彼の答えを知る。

 

 

月が天頂へと登るころ、煌々と私達を照らしている。

 

「月が綺麗ですね、襖間さん」

「カガミくん、…あなたと見る月ですもの」

 

そんな照れくさいやり取りをすれば、お互いにクスクスと小さく笑いあった。

 

 




なんとかやり遂げた達成感

対魔忍関係なくなってきたなとか言わんでクレメンス
自分が一番よく分かってる、けど筆が進んでしまうんだ

対魔忍とNARUTOのクロスオーバー増えて欲しいな


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赤い血潮の…

尾獣少しとうずまき一族について
時系列は柱間とミトが付き合ってそれなりに経っているくらい

八極拳については諸説あるのであしからず

メタメタな登場人物紹介するかもしれない


赤い血潮の対魔忍、と言うのが居るらしい。

…うずまき一族ですね、分かります。喧嘩強いというか、戦闘力がサイヤ人並みな一族なんだよなぁ…いや、まともな人たちも居るけどさ。

 

「ミト!元の場所に戻してこい、貴様は飼い主としての責任取れるのか?」

「桃華、私とクラマは友達に成ったのです。ちゃんと責任は取ります!」

「そんな言葉では些か、信じられん」

何やら、桃華さまとミトさまが言い争っている様子。

原因はミト様の傍で控えめにちょこんと座っている…目が鋭く赤毛の小狐。尻尾は、数えて九本くらいだろうか。結構な数だ、まるで九尾伝説に出てくるような姿をしている…それにどこか少し怯えている。

まぁ、間近で喧騒を起こしているのだから恐くもなるだろう。

流石に可哀想だと、私は二人に対しもう少し声を抑え落ち着くようにと言う事にした。流石に二人も熱くなり過ぎたのか、冷静さを取り戻し始めている。

……、てか。

 

「尾獣の九喇嘛(くらま)じゃん」

 

「どうした、襖間」

「イ、イエ…ナンデモ」

危ない、つい言葉に出てしまった。

いきなり、何で尾獣要素出すんだよ、対魔忍ワールド。あぁ、そういえば六道仙人が存在するんだっけ。尾獣も彼がチャクラを練って生み出した存在、居ても可笑しくはない…おかしくはないけれど。

ミト様は何処であの尾獣を見つけたんだ。召喚したわけでもなさそうだし、任務中にでも会って契約でもしたのかしら。

「おい、貴様ら廊下まで聞こえてるぞ。もう少し落ち着け」

すると、先ほどの騒ぎを聞きつけてきたようでマダラさまが呆れ果てたかのように、二人に軽く叱咤した。

「ご、ごめんなさい」

「すまん」

「何が起きたんだ…」

マダラさまに事の詳細を話す桃華さま、小狐こと九喇嘛はよちよちとおぼつかない足取りでミトの周りを歩き回っている。時折、けぇんけぇんと寂しそうに鳴いている様子から…こちらの尾獣はまだ、生まれたばかりなのだろうか。それとも、六道仙人とは全く関係の無い…日本古くから住みつく、魔獣の一つなのかしら。

いかん、情報が少なすぎる。

そんな中、寂しそうに鳴く九喇嘛に対し、ミトはその小さな身体を抱き上げあやす様に抱きしめる。

「けん…けん!」

「うふふ、九喇嘛…私はあなたのもとから離れませんよ。大丈夫です」

「けん?」

言葉は理解できないのか、コテンと可愛らしく頭を傾げる。その後、ミトさまが余程好きなのか、甘えたように頭を擦り付け数ある尻尾をミト様に絡ませたりと何とも羨ましく思えるほど甘え、じゃれつき始める。

そんな様子を、いつの間にか見ていたマダラさまと桃華さま。桃華さまは仕方ないとばかりに、小さくため息を一つこぼしながらひとりごちた。

それでも、ちらちらと構いたそうに九喇嘛の事を見ている。

触りたいのだと言う事が、解ってしまう。そんな桃華さまの様子に、にやりと笑うようにマダラさまが呟いた。余計な事を言わない方が良いとは思うが、もうすでに遅し、と言う事。

「…私は一切、手を貸さんからな」

「そんな事言って、お前触りたくて疼いて…あ、あっぶねぇええ!!?いきなり回し蹴りすんじゃねぇ!」

確信を突かれたのか、桃華さまは華麗な回し蹴りを披露する。

だが、木の葉の双璧と呼ばれ最恐クラスの対魔忍、咄嗟に躱す辺り流石だと思う。言わなきゃいいんじゃないか、と言うのは無しにしても。

 

しばらくして、九喇嘛はすくすくと成長しミトさまと肩を並べるほどの実力ある様子として成長した様子。また、ミトさまもそんな成長の速い九喇嘛に感化されたのか今では冒頭で言った通り“赤い血潮の対魔忍”と呼ばれるようになった。

赤い血潮とまで言わせるのだ、あの可憐な姿から一変…戦闘面ではとんでもなく化ける。

チャクラと対魔粒子を混ぜ合わせ身体能力を一か所に集中した技法を使い、拳に集中させ、殴れば骨を何本もお釈迦に。さらにそこに、武道と言う相手を制す技を入れれば死人は確実に出る。

最初で死人は出ても仕方ないにせよ、そんな技なんて入れでもしたら、誰だって相手にはしたくない。

しかも、その武道が…八紘に達する極限にまでの威力で、敵の門を打ち破る武道を嗜んでいるのだから、尚更だ。

そう、みんな大好き…八極拳ですよ、奥さん。

余談で、伝承者のひとり李書文と言う人物はこの八極拳の初手の牽制一つで、伝説を作る程。また、ラストエンペラーこと愛新覚羅博儀(あいしんかくらはくぎ)のボディガードは上記のお弟子さんである。おそらくいや、師のようにやべー戦闘能力を持っていただろう…。

当の柱間さまはミトさまの戦闘能力は、こう零している。

 

「あれは戦車ぞ」

 

あの輝き活き活きとした目は、一瞬にしてハイライトを失う程だった。

「兄者、サイテー」

「兄者、本当だとしてもさ…流石に酷過ぎるでしょ。自分の恋人に向かって」

兄弟である瓦間さまと板間さまは、柱間さまの評価に冷めた事を言うが、実際二人もそう思っている…はず。

何はともあれ、柱間さまをあそこまで曇らせるのだ…うずまき一族、いやミトさまはそれほどまでに恐ろしい戦闘能力を持っていたのだった。

…もしかしたら、うずまき一族は…最恐なのではないだろうか。

考え過ぎか、少し自分が疲れている…そう思った。

 

 

 

「いくってばね、九喇嘛っ!」

「おう!」

 

少し、先の未来。

煌々としたネオン街の中心、まるで当時のコロッセオのように活気溢れたアリーナが存在した。そのアリーナの中で、一つの戦闘が行われており若い女性の声と男の声が聞こえたと同時に…地面が強い衝撃と共に、割れた。また、アリーナの観客席にもヒビが入る程の、絶大な威力。

赤い長髪で、美麗な女性が地面に向かって拳一つ入れて、このザマだ。

また、傍に控えた大型で赤毛の狐は尻尾を荒ぶらせ、周囲を破壊し尽くす。周りに居た戦闘態勢の魔族や人間は、その尻尾の犠牲となっていく。一方的な虐殺にも似たような、光景。

その様子を観客席から見ていた、三人の男性。

一人は目立つ爽やかな金髪碧眼、二人目は黒髪でやや老け顔で最後の一人、白髪で薄く歌舞伎化粧を施した巻物を背負った男。三人の様子は、酷く慌てている…それもそうだ、ここまでの破壊力に、全員が引いているのだから。

「レ、レッド!壊れる、壊れちゃうって!!」

「もう、遅い…避難誘導だ。そうでしょう、先生」

「うぅむ、…そうした方が良いのぅ」

慌てふためく観客を適切な対応で、アリーナの従業員に混じりながらアリーナの外へと逃がす三人。元凶であるレッドと呼ばれる女性は、アリーナの中心でひとりの女性戦士と対峙していた。

薄緑色の髪に目元にマスクをつけた、豊満な身体を持った女性。

カリヤ、と名乗る女性はレッドの持つは戦闘能力に対し心躍らせていたのだ。レッドはカリヤの視線に冷や汗を覚えるも、…自然と口元を緩ませたのだった。武者震い、そう思わせるほど。

静かにそれは冷戦を思わせる視線同士の攻防、そこから痺れを切らし両者は地面を蹴る。

そこからはまるで鬼神と破壊神が激突でもしたかのような、苛烈な戦闘が繰り広げられた。

その戦いは三日三晩と続き、最後はお互いのストレートの拳が入り二人は引き分けに終わったという。

のちに、カリヤ…彼女はアリーナ最強の戦士と成り、スネークレディと名乗るようになったとか。

また戦いの末、レッドとお互いに友情が芽生え、親友同士と成ったらしい…。

 

…かくして、この事件は『赤い血潮の対魔忍、再来』とまで言われるほど…後世に語り継がれたのだった。

そして、やりすぎだ、と当時三代目頭領であった猿飛ヒルゼンに怒られたのは言うまでもない話。

 




後半の四人は言わずもながらな人たち

またNARUTOか、正当な対魔忍出してないじゃん、とか言わんといて
今回は少し出せたかもしれないが、魔族…便利すぎるんだ。ちょっと時代が昔でもそれなりに通るから、つい

対魔忍なキャラ出したいなぁ!アサギみたいな!
なぁー!…努力します


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木遁について

ヤバイヤバイよー
全然ラストやってないとか言わんといてクレメンス

自分が一番わかってる

今回は木遁の話
無理矢理感はある、すまんなっ!


木遁、性質変化による特例。水と土を組み合わせたもので、この世で柱間さまが発現できる以外に、誰にでも出来ないモノ。

この二つの属性を組み合わせるが、本来の性質変化は泥であり何故木遁が発現できるのか、いまだ謎に包まれている。血筋か遺伝か、過去に木遁を発現出来た人物は居ない。ましてや血縁者の父や瓦間さま、板間さまでさえもできていない。

…私としては、この性質変化には魂が関係すると思っている。

まぁ、いつぞや話した通りに。

大筒木一族、NARUTOにおいて千手とうちは、日向等の祖とされる一族でありとされる。また、私自身もそこまで詳しくはないが…大筒木一族の始まりは、宇宙人であったカグヤだとか。

そんなよく分からない一族、ある方法で不老を完成させている。

神樹と呼ばれる木に実る“チャクラの実”、コレを特殊な方法で生成された仙丹を口にし続ける事で不労を保つとされるとか。

中国とかでよく聞く、仙人のようだな…改めて聞くと。

大筒木一族きっての人格者とされる、大筒木ハゴロモこと六道仙人の息子こそ、木遁への発現の最後の鍵。

息子、大筒木アシュラのチャクラであり転生者とされなければいけない。

転生者と言われ、何でオカルトが入るんだよって思われるかもしれないが…この木遁とかは、科学では…出来る可能性はある。

…個人的に、出来て欲しくないのが本音。

クローンと言う方法も間違いではない。ただ、最初の頃辺りで言及したが…兄弟喧嘩、カインとアベル並み動機を拗らせる奴らを再現するとか、どう考えても後にも先にも面倒極まりない。

薄情な言い方だが、ここは対魔忍ワールド。そこにNARUTOが加わっている為に過ぎず、魔族とか米連の無差別攻撃で死んでも可笑しくない。そんな中、兄弟喧嘩まで視野に入れないとなると、…嫌過ぎじゃない?それに、大筒木一族が存在する以上、何かしら事を起こす可能性すら浮上するから…たち悪い。

 

「…言いたくねぇ」

木遁の発現の条件、大筒木一族の血筋とアシュラの転生体、それに性質変化を可能とする実力…それを『全て』持ち合わせているのが、柱間さまただ一人。

マダラさまから木遁の解明と言う事を急かされているが、実際あの人はこの木遁をどうしたいのか。

実際聞いてみたらいいと思い、うちは集落へと足を運ぶことにした。

幸いマダラさまは在宅しており事情を話せば詳細を話せと言われ、申し訳ないと思いつつも事が事なので、マダラさま以外のイズナさまやしのぶさまには退席してもらう事になった。

一対一の対面、圧迫プレゼンかな?

「お前の行動力には驚かされるな。で、…それは事実なのか?」

「実際にその体現者である柱間さまを、嫌と言うほど間近で見続けてきたマダラさまは、これが信じられませんか?」

「言うじゃねぇか…まぁ、信じる他はないだろうよ。確証も物的証拠も、どうやって摂取すればいいか分からん状態だ。

だが、細胞の移植で発現できるのがにわかに信じがたい。…リスクはどうなんだ?」

…リスク、か。

 

「まぁ、実際に移植実験をするとなると全滅が大半。

良くて一人生き残りが発現するか、また異形が出来上がるでしょうね」

 

そう、本音を晒せばマダラさまは眉間にしわを寄せ、口を閉ざし唸り始めた。実際、こんなハイリスクすぎる移植に唸りを上げない人間は早々居ないだろう。木遁自体、異例な遁術…戦力的にも、嬉しいものだが。じゃあ、そこまでして欲しいかと言われれば…どうなんだろうね。

柱間さまの後継者、と言う響きは良いだろうし木遁の継続に繋がる。だが、それ以前に、ただでさえ堕ちに堕ちている人間が、更に外道に堕ちるのか。所詮、人間はどうしようもない生き物だ、と言う事だろう。

しばらく口を閉ざしていたマダラさまは、重々しく口を再度開いた。

「俺は木遁をどうにか、戦力に出来ないかと画策してきたが…ここまで異例の遁術だとはな」

「確立を上げるには相応の実力と一族の血縁者であると言う事さえ一致していれば、上がりましょう。

…成功するかはさておき、ね」

「…」

更に言葉を紡げば壮大なため息を吐き、マダラさまは頭を抱えた。

誰だって、こんな厄介な木遁をどうせいっちゅうのかと思いたくなる。一応父さんには、この事を事前に話しておいたが、…マダラさまと同じ反応を示していた。信じるかはともかくとして。

「…どうしますか?私自身、墓場まで持っていく覚悟はございますが」

「……以前俺は柱間の魂の血縁者と聞いたが、…立場的にどうだった?」

「聖書で言うなれば、…カイン枠です」

「貧乏くじもとい生贄役じゃねぇかっ!!」

そんな心からの叫びは、虚しく部屋に響き渡るだけだった。

 

 

それから数年、柱間さまとミトさまのご子息とご息女さまたちの子供の中に、木遁を発現したという事態が起こった。それから、その子供の家系はまばらではあるが木遁を発現する子孫たちが生まれる事に。

千住をはじめ甲斐原家と高坂家に…木遁使いが生まれたのだった。

おそらく、それから先の未来ではうちは一族にも発現者は出るであろう…。もっとも、可能性ではあるが。

 

 




マダラがどこ行ってもカイン枠から逃れられない、な話

あの兄弟と父親、もうちょっと親子で会話していたらあぁにはならなかったのでは?

次辺り、ちょっと攻めた話です
いや、だいぶですわ


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攻めた実験の話

地雷原です
リョナと精神エロティズムをやってみてしまった

決戦アリーナからレイシスちゃん登場
レイシスちゃん、おのれ○明っぽいと思ってる
ほぼ想像な上にwikiだよりなだらしなさ、違っていたら報告お願いします

これで消されたらアウトか、と笑ってください


地雷原注意

 

 

 

目の前には扇を口元に寄せ、いかにも孔明とばかりな少女が居る。

可愛らしい容姿をしている、…何処からか入ったか知らないが、随分としたお客である。

黒い角らしきものが生えている辺り、魔族だろうか。自分はとことん、魔族との縁が深まるばかりだと思った。それに、孔明がロリっ娘で魔族だなんて…属性盛り過ぎるし、と言うか魔族以外は既出なんですけど。

ここには、紅い仮面とマフラー黒スーツを洒落こんだ忍びは居ないんですけどねぇ…。

「貴様、何言っているか分からんのじゃが」

「いいえ、何も…それで、私に何かご用ですか?」

そう問えば、少女はその小さな身長とは似つかぬ見下した眼でこちらを見つめ口を開いた。

年季の入ったプライドの高い性格な様子。それに、さっきからあの扇を見るたびに視界がグラつく。…それに、まるで酒がまわったかのような感覚だ、とんでもない厄介な能力だ。

「ひ弱なそなた一人置いて、このような警備も薄い無防備な場所を構えるとは。対魔忍は馬鹿なのかのう」

そのような言葉を聞き、思わず私は高らかに嗤った。

よそ者に指摘されるほど、落ちぶれた対魔忍…間近で聞くと見るに堪えないな。もはや笑う他ないでしょうよ。

だが、笑った事により少し頭がすっきりした。

「はははは!違いない、脳みそが筋肉じみている事に否定はしませんよ」

「…」

「さて、それで何か用でしょうか?米連所属の兵士どの」

「…食わぬ娘じゃな」

先ほどの魔族発言、正直に言えば魔族だと思った事は間違いない。

この少女の能力は思考を操作するあたり、厄介極まりないだろう。おまけにサイコキネシスを発現できる辺り、そう言った素質も持ち合わせているのだろう。ほんとうに厄介極まりない、兵士どのだ。

「無抵抗であれば、何もせんよ」

「左様でございますか。…すみませんが、のどを痛めたため水を一杯欲しい所ですね」

「貴様の非じゃろうが。…まぁいい、さっさと飲み干せ」

お礼を言いながら、私は机に置いておいた水の入ったコップを口に含みそのまま、少女に向け吹き出した。

「ぎゃ!?」

チャクラを足に集中させ少女の胎にめがけ蹴りを入れれば、反動で資料が大量に収まった棚へと衝突。ばらばらと詰まれていた資料が少女へと降り注ぎ、資料の山から少女の呻き声が聞こえた。資料の山を掻きだし、少女を引きずり出しながら頭を固い床に叩きつける。

口元から涎がだらり、と垂れている。それに、何処かで鼻を打ったようで鼻血も出ていた。

可愛い顔が台無しだ、…もっとも私の所為だけれど。

「が…アッ」

「しぶとい」

少女の恰好をしても米連で鍛え上げられた兵士、そう簡単には落ちる事がないらしいな。忍びなら、もう少しやり方はあるだろう…私は忍びではないから、こんな野蛮な事でしか出来ないのが歯痒い。そんな事を自虐しつつ再度、頭を叩きつければ…ようやく声は聞こえなくなり意識は沈んだ様子。

少女の脈をはかる、…正常ではあるが長くはさせない方が良いな。

すると、ガチャリと扉が開き対魔忍スーツを着込んだ志村くんとカガミくんが入ってきた。

どうやら、米連辺りが襲撃に来たのだろう…。

里の住人辺りに、工作員が混じっていたか。こんな魔窟、よく突入しようと思ったな…怖いもの知らずか、それとも自信があったのか。

「無事ですか、襖間さん!」

両肩を掴まれ、カガミくんが切羽詰まったような声でこちらの安否を確認する。息を切らしカガミくんは上から下まで、こちらの様子を確認するとよかった、と安堵の息を吐いた。

「無事を確認。…それと、えげつない事をしますね」

志村くんは無線で状況を報告しながら、頭を掴み額に青あざが残る少女を見て引いたような顔で、言葉を紡いだ。

「これ位しか出来ないからね。…米連が来たの?」

「えぇ、部隊の殆どは殲滅完了です。残るは、あなたが掴んでいる兵士だけですよ」

「…部隊隊長かな。護衛も付けないとか、よほど自信があったのねぇ」

そんな悠長な事を呟けば、二人は何も言わずただ困惑した様子を見せる。

さて、この少女はどういった処遇を受ける事になるだろうか。この扇も、中々面白そうな道具だから、少しいじりたいが…。特にこの少女の施したナニカについて、気に成ってしょうがない。

薬か、遺伝子操作か、強化手術…どちらも当てはまりそうだ。

「トリップ中すいませんが、後にしといた方が良いんじゃないですかね?そいつ、後遺症残りますよ」

「おっと、そうだったね」

 

 

「な、なんじゃここは」

彼女の辺り一面、真っ暗闇に包まれている。

無音で、自身の声しか聞こえない程…静かであった。

「たしか、…あの小娘!よくも、…あれ動けぬ」

彼女…レイシス=シンスと言う米連所属の兵士は、先ほど会った女性に対し怒りをあらわにしている。それもそうだ、先ほどまで彼女は襖間と言う魔界医に会い扇の力で思考能力をコントロールし、拉致しようとしていた。だが、己のほんの小さな油断で気付けばこのような場所に放り出されたのだった。

そして、もの動じぬ自身の身体に困惑していたのも事実。

「くそ、…はは!さては拷問にでもするというのかえ?無駄じゃよ」

しかし、彼女の問いには誰も答えない。

ただ、ただ…己の声しか聞こえないのだから。レイシスは、誰も居ないと分かるとしばらく口を閉ざし、その流れに身を任せる事にした。

 

…ポチャン

 

一滴、水音が聞こえた。

「ふ、何とも古典的な拷問であるなぁ。そのようなもの、効くと思っているのか?」

レイシスはそう、小馬鹿にしたかのような言葉を紡ぐ。変わらず、彼女の言葉に反応する者はおらず、それっきりだ。

それから、また無音の空間が続いた。

しばらく経った、レイシスの体感では数時間は経過しているだろう。そんな彼女の目の前に、自身を映す鏡が置かれた。

「なんじゃ…一体」

レイシスは、ただ鏡に映る自身を見つめる。

鏡はただ、レイシスの姿を映し出すだけ…映し出された彼女の背景は、何も無く…暗闇だけである。

「…一体何をしたいんじゃ」

すると、鏡に映し出されるレイシスに変化が起きた。ジジ、と砂嵐を一つ、そこに映し出されたのは全裸のレイシスだ。心なしか、顔が若干赤く染められている…映し出されているのは、…どちらか。

白い陶磁器のように美しい肌、桃色のショートヘアに紅の瞳。幼げな顔立ちは、当時のままである。そこから一切老いる事なく身体の成長すらも止まり、不老だけが残る。それに加え、副作用で容易に死ねない身体へと変化したため、彼女の親しき者達は…もはやこの世にはいない。

そんな、彼女はこの自身の身体が…憎たらしかった。

抑えてきた気持ち、今目の前に晒され…僅かに湧き上がる怒りと哀しみ。

彼女はそんな気持ちを深く無理やりに抑え、どうにかこの空間から脱せようと画策する。

「は、馬鹿馬鹿しい」

視線と口だけが、彼女に許された自由であった。

吐き捨てたその声は、僅かに震えを含ませ…彼女はそれを無意識に、目を逸らした。

更に再度、変化は起きる。背後に気配を察知し心臓が高鳴り、激しく脈打つ。

緊張だ。

不意に頬に温かみのある感触を覚えた、触れられている…誰かに、と。

「き、気安く触るでない!」

声を荒げるが、温もりは頬から離れる事は無くほどよく気持ち良いことだけが全身を駆け巡る。

鏡の映る自身の背後には誰も居ない。

「くそ…や…やめ」

止まらない、そのぬくもりにレイシスは恐怖が沸き起こる。

はじめは頬であったが、今度は耳が甘噛みをされているような感覚に落ちる、更に首から鎖骨までを、肌に触れる感触を覚える。

ぞわり、ぞわりと身体がそれを拒む事なく、流れるように受け入れてしまう。彼女、レイシスは歯を食いしばり、目を深々と瞑る。

ただ、耐えようとした…愚策だと解っていても。

 

 

「はぁー…はぁー……あ、あ」

どれくらい経ったか、全身くまなく優しい感触で包まれ、気持ちの良さに身体が浮いたような感覚をずっと、与えられたレイシスは息を荒げている。

鏡に映る、レイシスは…もはや見るに堪えない顔だ。

顔と耳を真っ赤に染め上げ、身体を小刻みに震わせる姿は…まさにソレ。

「く、屈しない…屈しないぞ」

何度も言おう、彼女の言葉を返すものは誰も居ない。

 

更に時間が経つ、今度は何もしてこない熱が冷める感覚を覚えた。冷え切った所で、また、あの温もりが襲う。何度も、何度もそれを繰り返す…誰も居ない、視線の先には鏡だけ、自分の痴態を晒し続ける鏡だけだ。

「あ、…ひ…」

だらり、と涎を垂らし視界が虚ろ気味のレイシス。

その時、彼女の腹部…それも、胎の部分に違和感が起きた。コツリ、とナニカが当たるソレ一回で、彼女が覚醒するには十分なもの。

「な!…まさか」

鏡には何も映っていない、ただ全裸それだけ。

「気の、せいか?」

 

それからしばらくして、空間にはレイシスの嬌声が響き渡った。

暗闇な空間には誰も居ない、彼女の声だけが響き渡る。設置された鏡は何処へと消えている。

…レイシスの声は、止むことなく続いている。

 

 

「…あのぉご息女さま、一体何が起きているんです?」

ところ変わって、ここは矯正部屋と呼ばれる精密機器が置かれた部屋。そこに、襖間を始めヒルゼンとヒカク、扉間が圧迫された空間に立っていた。機械には逃げられぬように、固定されたレイシスも居る。

ただ、状況は異様という言葉で表していた。

機械に固定されたレイシスはよだれと鼻水、涙をボロボロと流し果ては嬌声を叫びながら、身体を暴れさせ何かから逃げようとしている。そんな姿を目の当たりにするヒルゼンたち、意を決したのかヒルゼンは恐る恐ると襖間に問いかけたのだった。

「…まぁ、精神実験かなぁ?」

「何で疑問形なんですか。もうちょっと、詳しく話してください」

「いやね、身体を固定されて尚且つ視線と感覚だけはそのままの状態にしたら、どうなるかなぁ…って思ったの」

「…はぁ、拷問みたいですね」

「内容はタチが悪いみたいだが…。なにをしたのだ」

「書いた通りですよ。女の身体って男より感度が良いって言いますから…それを長時間、やればどうなるのか。インターバルを設けた状態で、どう変化するのか…そう言った事を知りたかった。

それだけですねー、私としては扇さえ手に入れば後はちょっとした興味だけですし」

悪びれも無く、あっけらかんとした態度でそう口にする襖間に三人はただ何も言わず、泣きわめき快楽に溺れるレイシスに憐みの視線を向けるのであった。

当の襖間はレイシスにそれっきり興味はなくなり、彼女の手にしていた扇に夢中であった。

「うふふ、孔明みたいだなぁ…頭領の御心のままにってね」

「おや、何とも懐かしいアニメですねぇ。もっとも、私共にとってはビデオでようやく見れた代物ですが」

「何のアニメです?」

「ロマンあるロボットアニメだ」

「はぁ…?って、先生も知っている口ですか」

レイシスを余所に、そんな呑気な雑談が繰り広げられている事に…彼女は一切気付きもしないだろう。

何せ、彼女の意識は此処ではないのだから。

 

 

 




対魔忍側のキャラ好きなんですよ、本当なんです
まるっきり中身知らないけど

いい加減、襖間ちゃんコロコロせんとな…うん


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リリムの話

あれ、本編終わったよな?
まぁ、最期は書いたがポツポツやるつもりです、はい

今回はあの後のリリムちゃんと気持ち悪くしてしまったカガミのガチっぷり

キャラ崩壊酷い地雷です


キャラ崩壊注意

 

「むぅううりぃいい!もう無理無理無理ぃぃい!!木の葉の里どんだけストレスたまってんのよー!」

そんな悲痛な叫び声をあげる小さな夢魔の少女、リリム。以前、この木の葉の里に訪れ、夢魔として活動してきのだが、里の住民たちからものの見事にぼろくそになじられ、クレームを入れられるほどにまでの落ちこぼれであった。

だが、今ではようやく住民たちからお墨付きを得られるほど、成長を遂げたのか安眠を約束できるほど成長へ至った。

それでも、彼女の身体は一つである為摂取する生気や仕事量も限られてくる。

元々、近代社会である世界なため、人のストレスは過去の時代と比べ倍以上に掛かっている。人間関係はおろか、更にSNSと言うコミュニケーションツールの発達に拍車が掛かっている中、更に世間を気にしなくてはいけないストレスも気にしなくてはいけない事も。

それ故に、人のストレスは夢魔や魔族が思っているほど、重い問題となっていた。

「無理の無理ぃい!もう、あたし死んじゃうよー!!お腹一杯になるのは良いけど、それの倍以上働くって何それぇ!!

昔はそんな事なかったってくそ長老言ってたじゃーん。もう、…ネコの手も欲しいよぉ」

そうぶつくさと泣き言をこぼし、自室のベッドでごろごろと転がるリリム。

「あーあ、此処って魔族は少なからず居るけど…あんのクソゲイとかは頼りたくないしぃ…夢魔仲間いないしぃ。

…はぁ、ミリアムとか来ないかなー」

そうぼやきつつ、うつ伏せに成りながらスマホを慣れた手つきで弄る辺り、この世界に馴染んでいるのが理解できる。しばらくすると、アレだけ騒いでいたのが嘘かのように枕に突っ伏し寝息を立て熟睡する様子は、…もはや人間と同じようなものであった。

 

あくる日、リリムはトリフの付添いで里の甘味所へと訪れていた。

トリフは秋道一族と言う、大食漢が多い系統の出である為か、彼も必然的にそういう体質であった。その為、彼の周りには数多くの甘味が置かれており、それはリリムのスペースまで浸食している。

トリフはそんな甘味を吸引力に定番のある掃除機が如く、口から腹へと次々と放り込んでいたのだった。

「そう言えば、君って仲間とか居ないの?」

「居るけどー、みんな大都会とか行っちゃっててこんな田舎には来ないわよ。ましてや隠れ里?そんな辺鄙な場所なんて尚更よ」

「ふぅん、大変なんだね」

「そうよ!あんた等のおかげでくいっぱぐれは無いけど…どんだけストレスたまってんの?」

「真面目だからね」

「はぁ、何それ。真面目だからって、そんな貯めこみやすいとか…なに、くそ神様とか信じてるわけ?見た所、そんな信仰心強いって訳じゃなさそうだけど」

「宗教家は少なからずいるだろうけど、…君達からしてみれば相当って感じかい?」

「そーよ。魔族にこんなにストレスを溜める奴らなんて早々居ないわ」

そう言いながら、さり気なくトリフが頼んでおいた甘味をちょろまかし、口にする。そんなトリフは、彼女の話を聞きいれながら変わらず甘味を口に運んでいる。甘味一つで、怒る真似は早々しないらしく、寛容さが伺えた。

「従業員やアルバイトみたいに募集はかけないの?」

「出してはみたけど、閑古鳥ー…」

「へぇ、意外だね。やっぱりやらしい夢とかって生気が美味しいとかってなるのかな」

「そりゃあ美味しいわよ。けど、今どき贅沢なんて言ってられないしねぇ。あ、これ美味しー」

そんな二人はしばらく雑談を愉しんでいると、その二人を覗く一つの影があった。

…しかし、影と呼ぶには些か少し口を濁す姿であった。明らかに、『彼』のその姿は忍ぶと言う意味での恰好ではなかった。背格好から見て、どう見ても相当鍛え上げた男性のような筋肉質な身体であり、しかし服装は女性らしく黒のエレガントさが湧き立つドレスを纏っている。

そんないような格好であるにもかかわらず、里の住人はさほど気にする様子もなく日常を過ごしている。

別に驚く要素は何もない、と言わんばかりだった。まぁ、何せこの里の対魔忍たちは化け物揃いと聞き、挙句の果てに節度はあるが一部際どい性的嗜好(せいてきしこう)の疑いのあるトップと住人たちが居るのだから、これ位の事で驚くタマではないと言う事だろう。

…そこ、木の葉の里ってやべぇ所だなと思っただろう。

実際、原作でも悪い意味でやべぇ所ではあった。

「ふうん、なるほどねぇ…」

『彼』そう小さく微笑みを零し、その場を後にしたのだった。

 

 

あくる日、舎内では張りつめた空気が漂っていた。

とある上級、もとい危険視されている魔族の侵入があったらしく、その為か対魔忍たちは神経を張り詰め、行動をしていた。扉間も、その中の一人であり…事の魔族を知る人物でもあった。

「はぁい、扉間ちゃん。おっひさー」

そう慶喜の良い声を出し、カツンカツンとピンヒールを履きこなす一人の男が居た。

先日、トリフとリリムの様子を陰ながら見ていたあの『彼』であった。扉間はその男を見るや否や、眉間のしわをより深くさせドスの利いた声を出し、こう呟いた。

「アンブローズ」

「良い男が台無しよ、そのしわ…緩ませたらぁ?」

「何しに来た。事によっては貴様を」

「そんなカッカしないの、そんな態度だと娘さんに嫌われちゃうわよ?別にカチコミに来たわけじゃないわ、ちょっとしたお願を聞いてほしいだけよ」

「は、お願いだと?」

「えぇ、うちの夢魔が世話になっているわねぇ。それと、ご贔屓にどうも…その事で、色々とお話しにき・た・の」

うふ、っとその男前な顔でそう紡ぎながら、ウインクをするアンブローズと言う男。

扉間は汚物を見るかのような視線を向けながら、アンブローズの言葉に耳を傾けるのであった。話を聞いている中、アンブローズに色々と余計な雑談を交わりつつ、眉間のしわを指でこねられては、頬と顎に出来た傷を指でなぞられる。

アンブローズのマイペースさに、扉間は血管を浮き立たせつつも事を荒げようとせぬよう、必死の我慢をする羽目になった。

 

「あなたも娘さんも、妙に魔族に好かれやすいのねぇ…あの魎魔忍なんか、ここらで一番魔族の血が強いわよぉ」

「…あ奴は、この里の“人間”よ」

「ま、いいけどねぇ。ちゃんと、約束事は守るわよ」

 

 

それからまたしばらく経ってから、一人の夢魔がこの里に訪れる事になった。

「リリム、アンブローズさまからの依頼でお仕事のお手伝いに来たんだけど…」

「いよっしゃぁあ!!これでリーチよ、ミーティア早速だけどあんたはこっちと、こいつらに行ってちょうだい!!こいつら、すんごくめんどくさいから助かったわー」

「え、…まって?何この内容、細かすぎない…え」

「都会だってそんなもんでしょ、ほらあんたは成績良いんだからイケるイケる!」

ミーティアと言う夢魔の少女は思った、こんなの…都会でもまずまず見られない程、性的嗜好が過ぎると言う事を。ましてや、これは夢魔に頼るよりかはイメクラ行った方が良いんではないか。彼女は叫びたかったが、リリムはそうは許してもらえず強制的に、その依頼主たちの元へと、派遣されるのであった。

余談だが、それでも彼女ミーティアはちゃんと仕事をする辺り、仕事人気質なのだろう。

だが、知らない。彼女の地獄…彼女の常識は、直ぐに砕かれ散っていく事を、まず知らない。

 

「カガミ、お前まさかまだ夢に頼っている訳じゃないよな?恥ずかしくないのか、違うのなら、男を見せて見ろ。

出来ないのか?」

「で、出来らぁぁあっ!!ホムラ、俺は何時だって襖間さんの事を四六時中見ているんだ、彼女の望むものだって何だってやれる。写輪眼やこの魎魔の血、俺と言う存在を死んで提供する事だって構わないっ!!

それに夜だって、あの人の過去を上塗りする自信はある」

「おい待て、四六時中だと。お前任務は、あと普通に気持ち悪い」

「影分身越しだよ」

「チャクラの無駄遣いすんじゃねぇよ!くそ、ダンゾウの気持ちが嫌でも解った…こいつ、やっぱり筋もんだよ」

 

 




ダンゾウは普通にストレスの犠牲者にしているけど、本当に嫌いと言うわけじゃないんだよ

たまたま、そんな役割がダンゾウに行くんだ。彼は、避雷針になっちゃうんだ

ダンゾウ、嫌いなわけじゃないんだ(言い訳)


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幕間、その3

未来編かつ米連キャラ登場

ちょっと未来まで進めないと出せないのが歯痒いわ

NARUTO側強すぎかなぁ
ただ、対魔忍も設定だけなら強キャラ多いと思う。まぁ、堕ちなければの話ですが


 

少し未来の事、とあるネオン街の一角で大きな轟音と黒煙が舞いあがる。

周辺の住人、魔族、傭兵たちはその轟音に驚き、逃げ惑う者や興味本位で覗く者、火事場泥棒など様々な行動を起こしていた。その騒ぎの元凶ともいえる二人の存在と、それと対峙する異形の存在。

一人は無造作に手入れされた長い黒髪を持ち、左目が妖しく光る対魔忍と真っ赤に染まった長い赤髪を持った対魔忍。

二人が対峙するのは、彼女らよりも倍以上の背丈を持つ機械仕掛けの巨人。

「うざってぇ、よりにもよってテメェと共闘だなんて」

「お喋りはここまでだってばね、来るわよ」

機械仕掛けの巨人はその剛腕を振り上げ、両者へと容赦なく振り降ろす。

咄嗟に躱したその地面は、大きくめり込み小規模のクレーターが出来上がった。黒髪の対魔忍は左目を一層輝かせ、白い犬歯もろ共覗かせ笑みを浮かべながら巨人へ向け苛烈に突貫するその姿はまさに狂神。

巨人はその苛烈な攻撃でさえ傷を付けられぬほど、強固な防壁であった。

「こなくそが」

そう、黒髪の対魔忍…ふうま天音がそう呟くと、赤髪の対魔忍うずまきクシナが構えを取り足音を出さず虚人へと接近。

足を上げ勢いそのまま巨人へ拳を突く。巨人へ接触した瞬間、爆発が起きたかのように巨人の身体はくの字になる。そのまま後方へと吹き飛ぶが、傷は浅いのか直ぐに立て直し腕を変形させ、ガトリングガンの銃口へ変形。

ブゥ―――――――ッと音を出しながら弾丸の雨を二人へと届ける。

巨人の周囲には薬きょうが多く飛び散っていた。

弾丸が降り注ぐ場所は、弾痕は凄まじく更に弾丸に当たった住民たちは、原型を残さない程度の肉の塊となった。

呆気ないものである。

「物理は…悔しいけどあっちが上手てっばね」

「ちぃ…なら、イカれるほどの電気がご所望ってか」

天音は印を素早く結ぶと、身体中に電気を帯電し両腕に集中させる。

それに合わせ、クシナも印を結ぶと口元に輪の形を取った指を添え、頬を膨らませる。勢い良く吹き出した水は巨人へと被り、纏わりつくように巨人の全身を覆う。普通の水であれば、そのまま被り地面へと流れるが彼女が噴き出したその水はまるでゲル状であった。

それによって、地面に落ちることなくそのまま巨人へ纏わりつけたのだろう。

巨人は幾多の機械音を鳴らし、水をふり払う動作をするがすべて空振り悶えている。

悶える巨人に天音は凶悪的な笑みを浮かべ、帯電させた両腕を振り下ろす。ゲルを纏った巨人はすんなりと電気を通され、雷の柱が出来るほどに大きく感電した。ネオン街の一角に強大な光の柱が出現し、一気に注目の的となる。

幸いにも、彼女たちの周りに集まるのはこのネオン街に流れ着いた小物ばかり、大物が引っ掛かる事は無かった。

壮大に感電した巨人は全身黒焦げと成り、全ての光源が消えていた…が、頭部の光源が真っ赤に染まるとアラートをけたたましく鳴り響かせ、暴走し始めた。周りの住人や建物など、構う事無く大暴れし破壊活動に勤しむ。

「行くってばね天音」

「そっちこそクシナ」

二人は同時に地面を蹴りあげ、お互いの手の周辺には稲妻と暴風が巻き起こる。

天音の腕は真っ赤に染め上げ蒸気を吹き出し、対しクシナの手のひらの中には風と稲妻を纏った球体が出現している。

「邪眼・動転輪発動…続けて動転輪・反形発動!」

「嵐遁(らんとん)螺旋丸!」

その叫びと共に、二人の手は巨人へと接触。

膨大なエネルギーを血下に受けた巨人は全身の防壁をボロボロと崩れさせ、時計回りに激しく回転させながら後ろへと吹き飛んで行った。巨人の周りには黒い液体と、真っ赤な液体に…ナニカの肉を吹き出しながら、そのまま後ろに立っていた建物たちを次々と大穴を開けながら姿を消した。

 

巨人の関節があらゆる方向に向き、倒れている周辺には先ほど一緒に共闘していた天音とクシナ、その両者の仲間と思わしき人物達が居る。

「ん…見た所、中には人が入っているみたいだね」

「強化骨格の一種だろう」

巨人を見下ろす金髪碧眼の青年、波風ミナトと黒髪の男うちはフガクは互いの意見を合わせる。天音の仲間である、ふうま災禍はその巨人を見下ろしたまま何も言わず、ただ何かを見定めている。

「随分と手こずりましたね、天音」

ようやく口を開き、その言葉を聞いた天音はギロリと殺さんばかりに災禍を睨む。

睨まれながらも、災禍は構う事無く言葉を紡ぎ続ける。小さく笑みを浮かべながら、何やら天音の行動に嬉しさを覚えているようだった。

「貴女の事ですから、強化外装ごと中の肉をはぎ取るかと思いましたが…まぁ、妥協点ですよ」

「…ち」

そう溢す天音を横目に見ながら、直ぐにミナトたちに視線を向ける災禍。

「問題は、貴方方ですか…。このまま、手を引いてはくれないかしら」

「ん、それは無理ですね。そちらこそ、引いてはくれませんかね」

「…あなた方も、我らの邪眼には面倒と思うでしょう?賢明な判断を持たれた方がよろしいかと」

「さて、試してみるかね?」

その言葉を最後に、両者の間には極寒を覚える殺気が沸き起こる。

災禍は目を細め晒された瞳が妖しく輝きだし、フガクの両目は次第に赤く染め上げうっすらと三つの刃を浮かばせる。

その時、クシナが何かを察したのか懐に忍ばせたクナイをある方向へと投げ放った。

クナイを投げた方向から、悲鳴が聞こえると同時に強大な光線がクシナたちへと向かっている。すぐさまお互いが散開する頃には、巨人もろ共強大な光線が飲みこみ、残ったのは黒焦げの痕が残る地面のみ。

対魔忍たちは忍法と対魔粒子を使い、建物へと擬態させ姿を眩ます。

しばらくすると光線の方角から、人影が現れる。

「…」

そこには、栗毛色の髪を持った幼い少女であった。彼女を守るように纏う強大な装甲機器、手には身丈に似合わない砲銃が握られている。少年兵士を思わせるかのような、そんな格好だ。

「こ、子供?」

クシナが驚くように囁く。

栗毛の少女は周りを見わたすと、纏っていた装甲を展開させる。数十基の自立型で動くファンネルが彼女の周囲と飛び回る。ファンネルの先端には、銃口と思わしきパーツが取り付けられており、対魔忍たちはすぐさまその場を離れた。

対魔忍たちの判断が正しかったようで、彼女の手を合図にファンネルは周囲に蜘蛛の巣の如くレーザーを展開させた。

レーザーが終わるころには、周りの建物は熱線で切断され中に居た住人達も、皆レーザーに焼き殺されていた。少女は何の罪悪感も無く、ファンネルを収める…すると、彼女の護衛と思わしき兵士たちが少女へと駆け寄ってくる。

「メイ、帰還命令だ」

「了解」

メイと呼ばれた少女は、そのまま兵士へと連れられその場を後にするのであった。

彼女たちが立っていた周辺の建物は、見るに堪えない姿で残されたままで…。

 

 

「米連ってば、恐ろしいことをするってばね…子供すら兵器って事?」

クシナは両手を口に添え、まるで先程の光景が信じられないかのような顔で声を震わせる。

「子どもほど、優秀な人材はいないだろう。なにせ、幼い頃から刷り込めば従順な兵士が出来上がる」

「…確かに、そうだね」

「ずいぶんと、お優しいのですね…木の葉の忍びは。同じ立場である筈なのに」

そう災禍が言葉を紡ぐと、三人は黙りこみ何も言えなかった。

「私らだって変わらねぇだろ…。さっさと帰ろうぜ、目的は黒染みに成っちまったしな」

そう気だるげ声を出しながら、天音はさっさと姿を消しその場を後にした。天音の行動にため息を一つ吐き、災禍も後を追うように姿を消す。

残された三人は、何も言わずその場を後にするのだった。

 

 

 




米連キャラメイちゃん登場

ミラベル軍曹出したいでござる
あと次あたりは架空武術の話です。元ネタはある、なやつ
偏見と趣味のフルスロットルはいつもの事ばかりにやってしまった



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バリツッ!な話

バリツことバーティツカッコいいからみんな出そうぜな布教話

おい、対魔忍しろよ。ごもっともです
RPGキャラ登場です。年齢?同年代だろうな、と言うふんわりな設定

戦闘描写しなきゃいいのにやるから駄目なんだ


かつてこんな作家が居た、とあるミステリー作家であったが自身の作品に翻弄された作家でもあった。その作品は最期を迎えたが、皮肉にもその作品が愛され過ぎた事により、とある格闘技が生まれた。

東洋に伝わるとされる武術、謎多き武術。

名をバリツと言った──…。

 

 

一組の男女が、お互いを見つめている。

男はスラリと高身長ながら、対魔忍スーツ越しでも分かるような鍛え方をしている。美丈夫な顔立ちでややくせっ毛の黒髪を持つ。うっすらと目を細め対面する女性を見つめている…いや、見定めていた。

女は金髪でバラ色の瞳を持った小柄の身長。しかし、西洋の血を持っている為か童顔寄りではなく、大人びている。日傘を手にし、彼女の服装も西洋でよく見かける絵画で見る様な帽子を被った夫人を思わせていた。

彼らの周囲には、結界が張られ早々傷付く事はない。

その結界の外側では彼女らを見つめる人だかり、五車学園の生徒と対魔忍アカデミーの生徒で埋め尽くされている。これから、お互いを見定めている二人の忍法なしの模擬選を見たいがために、休日を惜しんで見に来た熱心で真面目な者たちであった。

二人とも、魎学校では知らぬ者はいないほど有名。

男の名はうちはシスイ。対魔忍アカデミーの卒業生であり二つ名を持つほどの実力者で、とある英雄の子孫とされている。

女の名は鷹司(たかつかさ)みこと。五車学園の卒業生であり英国で活躍するほどの立派な対魔忍であった。

 

「ま、気楽にやりましょうか」

「ふふ、そうですね…気楽に、しましょうか」

 

お互い短い雑談を済ませ、それが合図とばかりに二人の姿は瞬時に消えた。

瞬間ギィイン、と衝撃音が周囲に響き渡る。そこにはお互いの獲物を鍔ぜり合うように交差する、二人の姿があった。シスイの手には何の変哲もない杖であり、みことのは手にしていた日傘であった。

両者は一度弾き、間合いを取りつつ機を窺っている。

シスイは杖を手にした腕を上げ、腰を中段ぐらいに落とし足を広げた状態だ。刀術の構えである霞にも似ているが、どこか違う。

対し、みことは片足を前に出し、低く腰を落とした状態でそれはまさに居合い術の構えであった。

ジリジリと、間合いを測り先に動いたのはシスイ。一点を勢いよく鋭く突くように腕を出し、彼女の額めがける。みことは素早く日傘を抜き、その刀身から現れたのはレイピアのように反りの無い刀身だった。刀身はシスイの頬をかすめ、シスイの杖は先端まで降ろし、再度握り回し胴へと入れる。

胴へと迫る杖に鞘と成った日傘を盾に受け止め、弾く。

そこから、二人の攻防戦が激化していった。お互いの獲物が何度もぶつかり合い、肌をかすめ服をかすめ取る。

みことのレイピアが下段から一気に斜め上に向かい突き上げると、シスイはそのレイピアを杖の刀身を当て、弾き返す。勢いそのまま杖をみことの首筋めがけ、振り上げれば彼女は素早く後退。

地面を蹴りあげ刀身を斜めへと斬りこむと上段を取り、彼女はそのまま一刀振り下ろした。

 

「なんだろ、独学なのかな」

「…」

「うお、アレってギリじゃん。ひあー、俺だったらすぐに蹴り飛ばされてたわ」

「…どっかで、見たことあるな」

「おい、ふうまさっきからシスイさんばっかり見てどうしたんだよ」

「……いや、うん」

 

お互いが息を切らしながら望む、模擬選。

シスイの傍にはみことの被っていた帽子がポツリ、と残されている。対し、みことの足元には鞘の役割をしていた日傘が放り出されていた。

みことはレイピアを構えながら、こう思う。

確実に殺しに来ていると…この男は確実に相手の息を止めようとしている、と。シスイに視線を向け、彼の目線を観察する。黒い瞳はまるで深海の更に深い底を表すような、深淵のよう。

彼の行う攻撃は、こちらの怪我を想定しながらかつ精神を殺し、堅実に息の根を止めるような残酷な行いだった。

「あなた、モテないでしょう?」

「よく、ご存じで!」

シスイはそう言いながら、足元に置かれた帽子を放り投げるとみことはレイピアで帽子を勢いよく突く。シスイは拳を作りカウンターでジャブを入れるが、みことは顎を引き、躱しながら腰を低く落とすと身体を回しレイピアで切り付けた。

レイピアの刀身を物ともせずに、シスイは杖をぐるりと回すように振り上げそのまま一気に落とす。

杖は小手に当たり、みことは痛みのあまりにレイピアを落とした。

「しま」

みことは声を上げるが、シスイは杖を散弾銃を持つような構えを取り、声を張り上げた。

「バアン!!!」

一種の不意打ちだ。

その大声を聞き咄嗟に目をつぶるみこと、するとゴツリと杖の先がみことの頭上をこずいた。

「あいた」

目を開けると、そこには杖で肩を叩くシスイが見下ろしていた。

「…屈辱ですわ」

みことは悔しそうに歯をむき出しにし、いーと可愛らしく怒りを見せている。

シスイはその様子に笑みを浮かべながら、小馬鹿にするようにこう口を開いた。何ともその姿が、みことからしてみれば憎たらしく見えるほどに。

「その言葉、聞きたかった」

 

 

「貴方のその武道、何ですの。そのステッキと言い、見かけによりませんわね」

「あぁ、俺の師匠…ダンゾウさまから勧められた武術だよ。馴染みの医師が格闘オタクだったらしい。…確か、バーティツだっけ」

「え、…またそんな珍しい武術を」

シスイとみことの会話に、ふうまは何かを思い出したかのように叫びだした。

いきなりの声に大半の生徒たちは驚いた様子で、ふうまを凝視している。シスイとみこともその中に入っていた。間近で聞いてしまった鹿之助はいきなり大声を出したふうまに、プリプリと怒っている。怒っても仕方のない事だった。

「バリツだ!」

「なんだよ、バリツって」

「シャーロック・ホームズが嗜んでいる格闘技だ。…いや、間近で見るのは初めてだけど…後、千住魔界医師のお家芸」

「はぁ?」

 

ふうまは語る、かつて千住一族の出の魔界医師が居た。

千住医師、…まぁここまで来れば解るだろう。医師は生まれた時から忍びの素質は無く、それを苦にしていた時期もあったとか。その時に、忍びに一泡吹かせようと魔界技法と医師の技術を学ぶ傍ら、柔術をはじめ多くの格闘技を手に染めて来たらしい。その中でも、このバーティツことバリツは、柔術に並び彼女の最も得意とする武術の一つであった…、と。

 

語り終えると、どこからか意外とばかりな声が聞こえた。

その声の持ち主は、シスイの師とされる志村ダンゾウであった。

「…あぁ、ご息女様は“今は”そう思われているのか」

「はえ?どういう事だよ、師匠」

「まぁ、間違ってはいないが…いや、よそう」

「おい、待てや師匠。何だよその意味深な発言、…こら!」

結界内に居るシスイはダンゾウに向かってぎゃんぎゃんと叫んでいるが、ダンゾウはそれを完全に無視し哀れむように過去を思い出していた。

 

若き頃のダンゾウは、彼女が嗜む武術に物珍しさでよく鍛練を見ていた。

「また珍しい武術ですね、バーティツですか?何の為に…」

「まぁ、面白そうだったから…」

「ははは。ご息女さまらしいですね。でも、それってあまり伝達されていないですよね」

「えぇ、だからほとんどは柔術と合わせているの」

そして、続けざまこう言った…確実に制するように、と。ダンゾウはにこやかな笑みを浮かべながら、内心ではこう思っていた。彼女の事を知る人は、あの扉間と同様の性格に似ている、そう周知していた。

だからこそ、ダンゾウもその人たちも事の言葉を聞いてこう思うだろう…。

この人、確実に息の根を殺す気だな…と。

 

ダンゾウはそれ以上何も言う事無く、人だかりを離れた。

後世の彼女の評価は、逆境に贖う正統派なイメージで通っている。だが、実際の彼女は確実に殺すと言う、冷酷なまでにキリングスタイルであると言う事を。

だからこそ知らぬが仏、それも慈悲とばかりに…ダンゾウは聞こえてくるシスイの声を背にして、ジクジクと痛む胃を抑えながら…速足でさっさと帰路に就いた。

 

 

「なんだったんだ?」

「…あの人苦労していたんだろうな、嫌と言う程」

「そりゃあ、誰だってそうだろ」

「次元が違うんだろ…きっと」

 

 

 




みことパイセン可愛いやん

シスイのことは追々やります。ダンゾウはストレスの犠牲を出さない日は来るのか、…来させるけどね

バリツですが、あくまで諸説の内の一つです
こちらではバーティツ説を採用しました


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はたけの話

はい、今回ははたけの祖先的なオリキャラ…だな、うん
名前はもはや言い訳はしません。あのゲームの女神から、そして違和感がない名前にしたらこうなりました

あとダンゾウは普通に犠牲者する回

好きだぜ、ダンゾウ


 

「何でじゃああ!私は、私はただの農家ぞぉおお!!こんな里出ってやるぅうう!」

何とも情けなく、赤の他人のふりをしたくなるような程の声を出す一人の女性が居た。

端正な顔立ちで、身体つきも十分なほど美しい女性だ。見た所、対魔忍スーツを纏った対魔忍ではあるが…普段見かけるような対魔忍とは程遠い、小心者の印象が伺えられる。様子からして、まるで癇癪を起し駄々をこねる子供の姿。

「サクナ、里を出るのですか?」

「だってぇえええ、ご息女ざまぁあああ!!私はなんで対魔忍なんぞさせられているんですがぁああああ!農家ですぞ、農家ですぞぉおおお…対魔忍志望では、無いんですよぉおお!!」

「伺っていますよ、サクナ。あなたの言い分は、しかと理解しています」

「だったら、なんでぇええ!」

「サクナ、あなたのその力は農家であっては危険なのです。解ってくれとは言いません、けれど…ご家族に被害が及ぶ可能性も捨てきれないのですよ」

 

彼女の名は、はたけサクナ。その名字からしてカカシ先生の祖先にあたる人物であろう。

そのサクナと言う女性は、先ほど自身が宣言した通り…農家の出であった。農家の出でありながら、対魔忍として活動する稀な例の代表だ。それに対魔忍は死と隣り合わせである為、彼女が恐れる事は十分理解できる。出来れば、私自身も彼女の希望通りに農家へと戻させたい…しかし、彼女の素質に問題があった。

彼女は所謂、先祖返りに当たる。

先祖返りと聞いて、どこぞのオカルト…妖怪と言った存在を思い浮かべるであろう。

しかし、彼女はそれに収まる事は無かった。彼女は、かつてこの地に生まれ偉業を成し遂げた英雄の先祖返りともいえるモノであった。しかも、その英雄はかつてこの地に土着する土地神でありながら神の天敵である百足を射抜き…はては関東の支配者である猛将を討ったとされる英雄。

俵藤太(たわら とうた)こと、藤原秀郷(ふじわら ひでさと)公の先祖返り。

大袈裟な事言ってしまっているが、その力はまさに秀郷公を思わせるほど。彼女は幼い頃、実家の農地に竜種である魔族が侵入したことがあるらしい…一時期、木の葉の里でもその情報で緊迫していたこともあった。

その竜種を、彼女は一人で退治したと言う。無論、証拠は在った…実際現場に居合わせた柱間さまの前には竜種である魔族の首と泣きわめく血まみれの子供、サクナが居たと言う。何とも、信じがたい話だが…彼女の対魔粒子、他の者達と比べて極めて低い…それだけでは対魔忍としては成り立たないだろう。

だが、チャクラに関しては…尋常ではない程の量を持ち合わせていた。

魔族との対峙し、覚醒へのトリガーが発動したのか…爆発的にチャクラが増したのだろう。幼い身体で、一気に大量のチャクラが流れてしまえば破裂寸前の水風船の状態になる…彼女の両親は苦渋の末、アカデミーへと通わせた。

以前、マダラさまや柱間さまのような転生者が居る…それは大筒木一族だけには、当てはまらないと言う事だ。

かつての英雄の転生者、それは居ないとは限らないのだから。

「アカデミーを卒業し、チャクラのコントロールは出来た。ですが、あくまでコントロールは出来たに過ぎません…保有数が違う以上、それは奇異の目で見られる事は確定されている。

何時、あなたを含め家族が…魔族や、米連などに狙われないとは限らないのですよ」

「うぅう、なんで私なんですか…」

「あなたの家系は、龍神の血が入っているそうですね。それが、原因かもしれません」

龍神の血が入っているならば、対魔粒子の方が多くなるはずだった。

だが、対魔粒子ではなく…チャクラの方が多いとなると、魔族覚醒を抑える為に祖先の誰かが仕組んだ、そう思わせられる。

「…私は、どうすればいいんですか」

そう、サクナは酷く絶望したような顔でこちらを見つめている。

目じりには涙を溜め、今にでも泣きそうだ…いや、もう泣いている。人は死に対しての耐性は無い、死は何よりも恐ろしいものであった。

悲痛な彼女の姿を見ても…私は、酷い言葉を彼女に問いかける事しか出来ない。

「……逃げても、そのツケは必ず返ってきます。ツケを見越してでも逃げるか、家族の為に自らの力を振るうか。

後悔が無いようになさい、後悔はずっと付き纏いますよ」

それでも、彼女にとって最善なのは…己で選択するほか、無いのだから。

 

 

「ダンゾゥウウ、私はもう嫌じゃああ!!お主男であろう、か弱き乙女に何させとるんじゃあああ!!!」

そう言いながらも、敵の中級魔族相手にストレートを叩き込み顎と頬の骨を粉砕させている彼女、サクナ。そんなストレートの破壊力は、あの紅い血潮の対魔忍と言われるミトを思わせるほど。

周りの下っ端と思わしき魔族は、その光景に畏怖を刻まれる事になった。その中には気絶する者や失禁と脱糞を同時に行う、哀れな存在まで出るほどだ。PTSD、トラウマを患っても可笑しくはないだろう。

そんな様子を間近で見るダンゾウは、酷く淡々としている。

しかし、目は死んでおりその顔は有り金を全てどぶに捨て尚且つ、終末が訪れると知ったような仏頂面であった。

「か弱き乙女は、そんな特攻はしないと思うぞ」

「何で、だってミトさまは言っていたぞ。殲滅するなら、真正面から特攻すれば相手の意表を突く事が出来るって」

「あれはうずまきだから良いんだよ。もうちょっと穏便な方法あるから、まぁ…お前をけしかけるけど」

「き、きさまぁああああ!!!!」

サクナはその言葉に怒りを露わにさせながらも、魔族をプロレス技である背中に乗せ首元と足を掴み、くの字のように相手の背骨を粉砕させるバックブリーカーから、そこから頭を真下に突き落とすブレーンバスターのコンボを叩き込む。

何がか弱い乙女か、もはや女子プロである。

悲痛な叫びを抑えつつダンゾウは、下唇を噛みしめながらサクナの雄姿を見届ける羽目になった。

この雄姿を目の当たりにし、迫りくる死を直前にした下っ端魔族は言う。

「あれは、鬼神だ。…白い鬼神が現れたんだ!!」

その後の、下っ端はどうなったか…理解できよう。

 

 

「私は、後悔はしたくないぞ。…家族が怖い思いをするくらいなら、私は…対魔忍になる。

こんな力、要らないものじゃが何よりも家族の為じゃ。

しばし、付き合ってやるとしよう…本当に、嫌なんじゃがのぅ」

 

 




何かと仏頂面の表現が京極堂並なのは大げさで楽しいと思ってやっちゃってる

ヤダ、木の葉の里の女子強すぎ…?


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飲み会な話

今回は扉間の友人の話
いわば二代目影たちです、あと魎魔忍について独自・捏造

今回で今年最後の投稿かな、一年はあっという間ですね

ガッツリとしたエロ話書きたいが、エロいかは疑問に残る


「おーい、扉間こっちだ。こっち~」

陽気な声と共に、小粋なダンディの中年男性が扉間を誘う。

鬼灯幻月(ほおずき げんげつ)、隠れ里霧隠れの頭領であり扉間の同期であり友人であった。

隣には包帯を巻き、黒目が印象の長身の男がちびちびとお猪口を口に運んでいる。幻月と同じく土隠れの頭領であり、魎魔忍の無(むう)であった。彼らのテーブルの上には、空のボトルが何本も置かれている、それでも申し訳程度のつまみがあるくらいには良心はあった。

「おい、幻月完全に出来上がっているじゃないか」

「そりゃあボトル開けまくっているのだ、出来上がるのは当たり前だろう」

そんな扉間と無が軽く雑談をしていると、遅れてきた沙門とエーが彼らのテーブルへと腰かける。そんな二人もまた、同じ隠れ里の頭領と頭領補佐の立場についていた。着くや否や、幻月の酒臭さに顔を歪ませる、そこまで匂わせているのだろう。

「スマン遅れ…くっさ!?ここだけ、酒臭さが酷いぞ!!」

そう、沙門が悲鳴を上げていると無は鞄から香りの良い消臭剤の入ったスプレーを取り出す。

「しょうがない、こいつにファブっとけ。あぁ、俺には吹きかけるなよ…それはどうも肌に合わん」

「何で持っているんだ…お、いい香りじゃないか。向こうでは大人しめは少ないからなぁ…」

スプレーを受け取り、エーは幻月に向かって容赦なく吹きかける。流石に沙門が止めに入るがそこに安心してほしい、この店の店長には許可は取ってある、と無は捕捉する。が、幻月以外…扉間たちはその言葉に何とも言えない顔で酒を頼むのであった。

 

「こんのやろう、無テメェぶっ殺すぞ」

「お前が臭いのが悪い…。マジで臭いな」

「喧嘩はやめろ。…まったくお前たちいい立場なんだから自重しろ」

そう沙門が小言を零しつつも、頼んでおいたツマミを二人と、扉間たちに分ける。頼まれておいたビールや焼酎と言った酒類も、テキパキと頼んだ扉間達に律儀に配分する。そんな沙門に対し、べろんべろんに酔いつぶれた幻月は沙門に向け母ちゃんと冗談か本気か分からない言葉を零しては、沙門にファブられる事を繰り返した。

そんなやり取りを無は外見とは裏腹にゲラゲラと笑っている、彼も相当酔いが回っているのだろう。

「んあーそうだ、扉間さぁそろそろ襖間ちゃんのお見合いどうするんだよ~…まぁ、お前なら俺を超える奴以外許さんとか言いそうだよなぁ。ヒッヒヒ」

「…まだ、婚姻は結んでいないが相手は見つけた。今は里の方は色々と忙しくてな、兄者…頭領の子息が生まれる頃合い、先を延ばさせてもらっている」

「おう、ハッピーバースデイかおめでとうさん。でも籍くらいは入れられるだろう、それも駄目なのか?」

「まだお互い間もない、もう少し見定めてからだ…」

「…ふうぅうん。お前も親の顔だねぇ、あの卑劣サマや魔王サマがねぇ…いででつねるんじゃねぇよ」

そう茶化す幻月に、扉間は無言で酒を愉しみつつ頬をつねるのであった。

「…そう言えば、俺と同じ魎魔忍が居ると聞くが。どういった忍びだ?」

無の問いに、扉間はピタリと動きを止める。

それをエーは察し、無に咎めるが…しばらくして、酒を一気に口に含むと扉間は口を開いた。

「おい、無。あー、無理に言わんでいいぞ」

「いや、そうだな…うちは一族だ。それも魔界に降った分家…そっちは黄泉家だったな。ハッキリ言うと、情報が少なくてな…あちらの方も証拠らしい証拠は無い。おそらく口伝の一族なのだろう」

「まぁ、俺たちの所も似たようなモノだ。先代当主から口で伝わるだけで、書き残すなとか言われる始末だ。

余程、祖先と歴史が汚点なのだろうよ」

「しかし、魎魔忍つーのはよくわかんねぇな。汚点なら降らなきゃいい話だろ、やむ得ない話もあるにせよ。おれん所も、確か…干柿家がそうだったな。つっても、今は魎魔忍と言うよりかは魔族の血が濃い、対魔忍と言う事だけどなぁ」

「それだけ、強さを求めていたのだろう。しかし意外と魎魔忍が多いのだな、砂も雲もそう言った忍びは居ないな」

「もっとも、雲の方は外界…外国の血が多い。俺の方はアフリカの血が入っているし、他もイタリアやアメリカと言った所か」

時には雑談、更には仕事の話と言ったように酒を飲みつつ、ツマミを食べながら彼らの団欒は夜明けまで続く事になった。久しぶりとも言える再会、それが尚更彼らの話に花を咲かせたのだろう。

朝焼けが指す頃、彼らは店を出て冷えた外の空気を吸いながら、帰路へと着く事になった。

 

「あぁ~飲んだ飲んだ。何本飲んだか忘れちまったよ」

カラカラと陽気な笑い声をあげ、真っ赤に染めあがった幻月は千鳥足で道を歩く。傍には無が倒れないように配置され、その無本人は凄く嫌そうに眉間を深くしている。そんな酔っぱらいの幻月に声を低くしながら、咎める。

時折頭を押さえている辺り、飲み過ぎたらしい。

他の三人も、同様に真っ赤に染めあがっており頭を押さえ足取りがおぼつかないでいた。

「飲み過ぎだ。会社で死んでも知らんぞ」

「ハッハー!!生憎今日は休みだぜ!ったく管理職の末に頭領の仕事とか、さっさと隠居でもしたいぜ。後続の奴らも育ってきたってのに…はぁ」

「扉間はどうだ、そろそろ補佐から脱却も目の前だろ」

そんな話題となると、沙門はさも当たり前かのように扉間に話を振る。しかし、扉間は頭を横に振りこう答えた。

「生憎、俺は二代目にはならんよ。マダラが二代目になる、そう約束していたからな」

返ってきた意外な答えに、幻月たちは物珍しげに扉間を凝視する。

「ハァン?ならねぇのか、意外だな」

「元々、ワシは長には向かん。人を育てる方が性分に合うのでな…周りからも、ワシの思考には付いて行けんと言われる始末。なら、後続を育てていた方が良い…それに」

ふと、扉間の顔が笑みを浮かべる。

その顔のまま、口を開く。その声はとても優しく穏やかな声であった。

「…なんだよ、珍しくニヤけちゃって」

「娘との時間が愛おしい、それだけだ」

「……おい、今日異常気象になるぞ。今は春先だが冬に逆戻りするぜ、こりゃあ」

「羨ましかろう、幻月。それとお前、また妻に蹴飛ばされたようだな」

「止めろ馬鹿!!」

「こんな所で暴れんな幻月、それに扉間もだ。俺は頭いてぇんだよ、ギロチン入れるぞ」

「入れとけ、そうでもしないと止まらんぞ」

「あーもう、お前らなー」

止めに入る沙門はなんとも愉快そうな笑みを浮かべている、他の四人も口先だけは強気ながら顔だけは何とも楽しそうに笑みを浮かべていたのだった。

朝日は上り、空は明るくなっている…陽を背に、五人は笑いの絶えない道を歩くのであった。

 

 




マンネリ化している自覚はある
ネタとしては初老ダンゾウに初恋を拗らせる不知火とか、カタスケとルネのコンビとか、色々あるが…今更ながらキャラ崩壊を気にしてうまく話にできない

なにはともあれ、この対魔忍NARUTOを読んで下さりありがとうございます
皆様、良いお年を

誤字 黄泉津→黄泉


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春、来たれり?

明けましておめでとうございます

初っ端から地雷です
あと、決戦アリーナからアスラ登場。キシリアも出したいでござる…魔族が悪いんや。魅力的なキャラ多いのがいけないんやでぇ

設定的にひょうひょうとした性格だとか、活かしきれていないです。はい


地雷注意

 

 

「襖間さん。もう、いいですよね…」

トン、手を机につきながら前のめりに成りながら至近距離で顔を近づけるカガミくん。

私は、その机を背にカガミくんに迫られる形であった。

低い声、端正な顔立ち…あの少年がここまで成長するとは思いもよらないし、何より…自分が手を出されるなんて思いもしないこと。それに、こんなカッコいい顔立ちの異性を目の前にして、緊張しない訳ではない…慣れない、その一言だ。年甲斐もなく、ドキドキする自分が恥ずかしい。

「ま、まちなさ…ここ職場」

だが、流石に此処は職場…公私混同は避けたい。

そう言うものの、カガミくんはうっすらと目を細め耳元で囁いた。

「すぐ済みます、俺に任せてください」

「ひえ」

口と口が重なってしまう、職場でキスをしてしまう、駄目だ、いけないと言う罪悪感と背徳感が入り混じる。

それでも、何処か期待してしまう馬鹿な自分さえ居る。

そうして触れるくらいの距離と成り、重なる……瞬間に、扉が勢いよく開いた。叫び声からして、相当切羽詰まっている様子。

助かったのだが…ちょっと、残念。

「ご息女様ぁぁああ!!!た、たすけてくださ………あ」

入ってきたのは、猿飛くんであった。

青白く血色の悪い顔で、飛び込む形であったのか床に這いつくばっている。猿飛くんが見上げる様に目に映っているのは、私とカガミくんが重なっている様子。しばらく呆けていたが、次第にさらに青ざめ恐る恐ると視線をカガミくんへと向ける。

「……」

こちらの角度では見えていないが…後ろを向くカガミくんの表情は容易に想像できた。

「……待って、カガミ。確かに、ノックしなかった俺が悪いが…一応、ここは職場であって……そう言うのは、家でやろう、な?」

「…で、どうしたんだヒルゼン」

無機質な印象を与え、酷く冷淡な低い声を出すカガミくん。

「あ、殺される。今、この瞬間死んだわ」

 

「ここだな、猿飛ヒルゼン!!いざ、尋常にしょう……ぶ?」

そう嬉々と入ってきたのは、額に二本の立派な角を生やした女性。際どい鎧衣装に、それを際立たせる喉を唸らせるほどの豊満な身体つき、腰には脇差と太刀を指している…まるで武者のような姿であった。

見るからに鬼の魔族だが…里でも、魔界でも見かけた事がない。

「…あぁ、ヒルゼンに用立てですか」

カガミくんはそう言いながら営業スマイルが如く、薄っぺらい爽やかな笑みを浮かべ魔族に対応する。足元には、猿飛くんがしがみつくようにガタガタと震えているが、ぞんざいに扱われている。

「いでで、悪かったよ。…だぁーもう、しつこいぞ」

「なんだ、逃げるのか!遠路はるばる…貴様の武勇を聞きつけやってきたのに、何だその体たらくは!!貴様の武勇、人間にしておくには惜しいと言うのに…この私、アスラ・ヒューリード……胸が高鳴り、今でも抑えられないと言うのに!」

「そんなの知ったこっちゃないんだが…」

どうやらこのアスラと言う女性、猿飛くんの活躍を聞きつけ真剣勝負をしようと魔界からやってきたらしい。

まぁ、特に鬼族はそう言った傾向の個体が多いと聞く。

武人気質、そう言った性質であった。人間も居なくはないが、近代であるこのご時世では色々と法律云々があるし、何より真剣勝負や個人より経済と生活を回す仕事が優先であった。

「くぅ、なんとだらしない…これだから人間は」

「不躾な態度で申し訳ありません…ですが、この里では無暗な殺生はご法度とされてます。

どうか、お引き取りを…」

「…ならば、その気にさせるまで!!」

ズルリ、と太刀を抜きこちらに斬りかかる彼女。

「ちょ!ここは医務室なんですが、暴れるのであれば外で…!!?」

「おい馬鹿、美人とは言えどやっていいこと…」

そのまま、斬り捨てられそうになったその時…後ろから無数のツタが彼女に絡みつく。

そこには、両手から木々とつたを生やした柱間さまが立っていた。傍には父とマダラさま、イズナさまが控えている。

「そこの客人殿、ここでの入場の際の決まり…お忘れですかな?」

「…く、この怪力を持って引き千切れぬほど、力強い。流石は神樹の柱間……!」

「焼死体に成りたくなければ、刀を捨てろ…」

「……致し方あるまい、私も少し冷えた」

そう溢しながら、酷く残念そうに刀を鞘へと納める。

柱間さまはアスラが刀を収めた所を見届けると、ツタがみるみると引き下がっていった。危うく、医務室が半壊になる所だった…勘弁してくれ、そう言う思いで一杯であった。

鬼族の怪力、ハッキリ言ってたまったもんじゃない、魔界で遭遇した時は死を覚悟するほど…。

「三人とも、怪我はない?それにしても…猿飛、災難だねぇ」

「はぁ…魔族のトラブルは何時まで経っても舞い込んでくるな」

そう、父さんは全てを諦めげっそりと痩せたような顔でそう呟いた。この里と私たちは、何かと魔族との縁が奇妙なくらいに強い。他の里と比べ、魔族の住人は多く遭遇も比べて多いのだ。

現に、アスラのようにこの里の忍びに目を付けて死合や首を取りに来ると言った行動に出る魔族は、少なくはない。

それくらいに、この木の葉の里は実力ある忍びたちが多くいる事を指していた。

「…さて、此度の処分。如何しようぞ」

「牢屋…は無理だな、破壊されてお終いだ。金がかさむ…ただでさえカツカツなのに、たまったもんじゃねぇ」

「武器や怪力を抑えるにしてもそれとは別に、生活はどうするかってなるよね」

そう三人が色々と意見をぶつける中、父さんだけは黙々となにか考え事をしている。そんな様子を、カガミくんと猿飛くんはお互いに顔を見合わせ、何かを確信していた。

そうして、世界の沈没を確認し更にはこの世が終わったような仏頂面で、猿飛くんの方へ向き口を開いた。

「……サル」

「…すげぇ嫌なんですけど。いやね、短いながらも俺だって先生の考えは理解できますよ。こんな美人早々居ないでしょうよ…でもね、俺にだって拒否権くらいはあると思います」

「こやつを監視しろ、任務に連れて行ってもかまわん。鬼人型の重機と思えばいい」

「いやだぁあああ!!それって丸投げじゃないですかやだぁあああ!!!」

まるでサクナのような叫び声と、悲壮に満ち溢れた顔を浮かべるのであった。

 

 

結局、あの後渋々と猿飛くんはアスラの監視を担う事に成った。

死合とまでにはいかないが、何度か勝負し彼女の膝を着かせるくらいに勝ち続け、アスラ…彼女もそれを認めたのだった。最初の頃はアスラさんに鼻の下を延ばしていたが、そこは魔族…ただじゃあ済まさない。どうやら、彼女の生死観は人間とは異なり、死すらも恐れない生粋の武人。負ければ、性奴隷だのなんだのやると言う潔さがあった…それからだ。

目の前で、息を荒げ医務室で事を始めようとするアスラと、衣服を剥かれまさに餌である猿飛くんが居た。

隅には志村くんはそれを肴に、酒を飲んでいる。助けると言う選択肢は無い様子。

「いやぁあああ!犯されるぅうう?!!」

「おう、良かったなヒルゼン。念願の女だぞ、喜べ」

「フフフ、ヒルゼン。そなたの怪我を治療しようとしたいだけですよ…ジュル」

「ダンゾウぅう!助け、あ、そこ…困ります、こま…アァーーーッ!!!?」

はは、人は手の施しようがなく酷い状況を見ると嗤ってしまう傾向があるようだ。

それはそれとして。

「志村くん、ここでお酒飲まないで。家で帰って飲んでちょうだい」

「こんなうまい肴があるのに…!」

「駄目です。ここは酒盛り場ではないんですから…」

「ちぇ…。はぁい」

あと、二人ともここでおっぱじめないでいただきたい。

そう言いながら、ヤスケを呼んでアスラを訓練場へとぶち込ませた。アスラは俵担ぎされ、ぶーぶーと不満を漏らしている。彼女を担ぐヤスケは何とも嫌そうな顔をしていた…余程嫌なんだろうな。

帰ってすぐ風呂に入るくらいだし、あんまり過去を話したがらないから聞かないけど…大丈夫かしら。

「ダンゾウの馬鹿、ろくでなし、クソ悪魔、第二の魔王」

「最後の魔王はご息女さまだ、俺じゃない」

何でさり気なく私に魔王と言う称号を擦り付けるのか、この野郎である。

猿飛くんも、言っておいて納得するんじゃないよ…。本当に、騒がしい日々は解放されないな…。

「まぁ、ご息女さまも早いうちに同じ目に遭うだろうなぁ」

「…志村くん、叩き出しますよ」

「なんだかんだ言いながら、拒みはしないでしょうに…」

「君って相変わらず、意地が悪いね」

「あいた、出ますからケツ蹴り飛ばさないで下さ…イッテェ!」

 

 




中古だけど、対魔忍の資料集たち買ったぜ
相変わらず世界観好きです、エロ抜きにしても惹かれますね

アクション対魔忍に手を出したが…スマホ使いづらい
ガチャガチャ操作だから駄目なんだろうけど、いかにコントローラが偉大な代物だと言うことが解った

いちゃいちゃ話書きたい


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扉間はモテる話

タイトル通りです

ルックスと頭がいいとモテるよね、よくあるよくある
扉間もなんだかんだモテそうだなと思ってやった。決戦アリーナからのキャラと、相棒な賢者さんが登場

被害者はイズナです


 

昔から、扉間は魔族に好かれやすい。

襖間ちゃんもまた、扉間同様魔族とフラグが立つ。まぁ、あの子は魔界先での方が多いけれど…。

何故だか知らないがコイツと組む任務へ赴くたびに、魔族と何かしらフラグが立ちはじめる。以前、リリムちゃんの件で訪れたアンブローズと言う夢魔は任務で扉間とかち合って、惚れたらしい。同席していたから、間違いはない…ぶち切れ寸前の扉間を見られるのは、アンブローズくらいだろう。

まぁ、一番多いのは…女魔族だ。

ぶっちゃけ、あいつがフラグを立てる魔族はどいつもこいつも、のどを鳴らすほどの美女ばかり。…だが、あいつの性癖にピタリと一致する魔族であっても、コイツはビクともしねぇのが…ムカつく。

愛妻家なんだが、…俺としてはロリコン過ぎて引く。

 

 

俺たちの情報収集の定番は、彼女のバーで収集する。

ベルベット、魔族であり格闘家を夢見ていたが…如何せん才能に限界が訪れ、自棄になって禁忌とも言える魔術に手を染めた過去を持つ女性だ。時折、木の葉の里にも訪れては生まれて間もない襖間ちゃんの相手してくれたから、記憶に残っている。

 

「…ほう、魂を贄に力の増長する魔術か。安直だな」

「お前、呑気に観察してんじゃねぇよ。うおっと」

魔界のゲートは小規模ながら存在する、特に日本では古来より神仏共に身近にいた影響からか、その辺が曖昧になっており頻繁に開きやすい傾向があった。そんな時に、彼女に出会い…交戦する事に成った。

鬼神のような腕力、人間では決して届かない域にまで達した瞬発力、どれもが俺たち人間では、成し得る事が難しい領域に達した魔族だった。ただ、扉間はあえて長期戦にまで持ち込ませ、防御に徹した。

ベルベットは、女性故に体力がなかったからである。

「くそ……やっぱり、私は負けるのか!何で…何で」

「力量と体力が枷になるのであれば、頭を使う他あるまい。格闘家は人体を知り尽くす、どこを突けば飛ぶかどこを折れば動かなくなるか…あれは一種の頭脳戦。ならば、頭脳で補う他ない」

「…殺せ、そうしに来たのだろ」

「ワシらはあくまで魔界のゲートを閉じる為に来た。イズナ、結界師たちは?」

「お前が戦っている間に仕事しているよ。話の解る人で助かったってさ」

結界師たちと対魔忍はどうも話が合わないからか、衝突しやすい。扉間にいたっては、元々の効率主義からか被害を最小限に抑え、結界師たちの仕事の邪魔にならないように離れて戦う事が多い。その分、結界師たちの護衛は減るが、それを見越して二人以上の隊を薦めている。

「故にお前を殺す道理はない、ワシらはこの国の中では無益な殺生はするつもりはないからな」

「…魔族は、弱肉強食の世界。負ければそこでおしまいだよ」

「だろうな。…お主は、どうしてほしい?ワシとしては魔界の情報が欲しいくらいだが、お主は…どうだ」

「死にたくないさ、誰だってね。…いいよ、私が情報提供者になるだから、助けて欲しい」

そこから、彼女の情報で魔界の動向を知る事が可能となった。また、ある程度の魔族の生態やら習性、種族などを教えてもらう事に。最初の頃は、彼女から聞く魔族たちはまるでよく聞くファンタジー世界のようだと思ったが、実際存在するのだから…世の中、分かったモノではない。

…それ以来、時々彼女の店に寄る事もあるが…お酒が美味い。また、対魔忍たちの間でも彼女の店は好評らしく、あのふうまの下忍である相州家の人が多く訪れる。

店での乱闘はご法度故に、見逃しているけど。

 

 

 

魔族にも、多少は理性的な考えを持つモノが居るらしい。

襖間ちゃんが連れているオークは、人間のように柔軟な思考を持っているが…彼女らも、また、クセが強いが柔軟ではあった。

「賢者の類は止めた方が良いですよ。俺の主観ですが、知識を得る為なら目玉すら抉りますから」

どこぞの神話で聞いたことがあるような話だな、とヤスケからそう聞いていたが…今と成っては、そうだよなと納得してしまう。

俺たちも、またその類…賢者に会った事がある。

まあ、ヤスケの言う通りの人物ではあったな。

 

「ホレイショー、ここまで冷酷な人間を見るのは初めて…。さぁ、シュヴァリエにその知識を披露なさい」

「たく、シュヴァリエには困ったものだよ。悪いけど、あんた達にはちょっと痛い目に遭ってもらうよ…」

「拒否する」

堂々と拒否するんじゃない。いや、俺も酷い目に遭うのは嫌だがもうちょっとなんかないのか、…相手にしても面倒とか口パクで答えるんじゃねぇよ。

 

「く、あんたやるじゃないか…ここまで追い詰められたのは久しぶりだよ。あっははは、シュヴァリエについて行って正解だったよ!」

アンリード・ボニーと言う女魔族は、どうやら俺との戦闘を愉しむ事が出来た様で歓喜に酔いしれていた。

魔界で名を知らしめるくらいの実力、俺の写輪眼は火力砲台でピーキー過ぎるから苦手だったが…今日と言う日は、コイツに感謝しなければならない。火力で押し負けていたのをようやくコイツでカバーできた、…魔族ってのはどうも万力だなぁ…。

さて、扉間の方は…。

「堪らない、その知識量…さぁ、早く私に見せなさい。もっと、私を愉しませなさい」

シュヴァリエと言う女は、顔を紅潮させぺたりと尻餅をつきながらそう歓喜の言葉を紡ぎ、その知識とやらに魅了していた。もはや、状況から察するに扉間に何かされて自身の負けを認めているようなモノだった。

一体何をどうすればあぁなるのか、扉間の方に視線を向けるも…葬式を数十軒梯子しながら、世界の大不況に身を置くような仏頂面で腕を組んでいる。

こっちは何とか護衛の女ガンマンを潰せたが、扉間の方は…ハッキリ言って近寄りたくない。

お前、何したのって聞いたら…思考覗かれたのでフル回転させたら、あぁなったそうだ。

そんな扉間は早く帰りたいとばかり、飛雷神の印を組み始めている。

「帰投するぞ、イズナ。これ以上は長引かせたくない」

「はいはい…」

「逃がさないよ!」

アンリードはそう叫びながら、銃口をこちらに向け引き金を引いた。

銃弾は俺と扉間の間を通過し、弾圧で頬に切り傷が出来た。飛雷神使っても、追いかけてきそうだな、この様子だと…将がない。

「あぁもう!お前たちはこっち相手してろ、火遁火魚(かながしら)!!」

口を膨らませ、二人に向かって吹きかける火遁術。吹き付けられた炎は鯉の形を模り、大口を開け二人に迫りかかった。鯉が尾ひれを振るうたび、周りには火が燃え盛り地面へ擦り付ける度黒焦げと成った地面が顔を出す。

流石に真正面から自立する業火の鯉を目の当たりにした二人は、こちらから意識を逸らす他ないらしい。

「飛雷神の術」

そんな声とともに、視界が一瞬白くなるが気が付けば木の葉の里の門前へと帰投していた。

緊張と疲れが一気にのしかかり、地面へと尻を付けてしまった。

「ひゃー…まったく、お前と組むととんでもない誤算が起こるから勘弁してくれよ」

「すまん」

「いーけどさぁ。俺が思うに、彼女らとはまた会うぜー絶対。どうすんだよ…」

「その時は、その時だ。立てるか?」

立てると、答えつつ身体をおこし、門をくぐれば…慣れ親しんだ里の光景が広がっていた。

任務報告と魔族の遭遇について頭領である柱間さんに報告すれば、豪快に笑いながら相変わらず難儀だったのぅ、と言われる始末。丁度居合わせた板間くんから、お疲れ様です、こちらに申し訳なさそうな顔でそう言ってきた。

「兄者もさ、もうちょっと何とかならないの?」

「知らん、こっちが知りたいわ」

「今に始まった事じゃないけど、ちょっと異常じゃない?」

まぁ、板間くんの言う通り何故か扉間は魔族との遭遇が断トツだ。とは言え、原因も分からない中、これは運があるとしか言いようがないのが現状。俺としては、ハッキリ言ってどうにかしてほしい。

とは言え当の扉間も、俺と同じような思いだろう…。

 

「お前って妙に変なのに好かれるよな」

「嫌なんだが」

「俺たちにも矛先来るんですが、どうしてくれるんだよ」

「知らん知らんしらーん!もう、ワシ知らん!!」

こいつ、ヤケになってるな…なんだがかわいそうになってきたので黙ってることにした。

 




はい、ベルベットちゃんとシュヴァリエさんです

ベルベットちゃんは特に好き、資料集でようやくキャラを知れて嬉しかったので出しました。
シュヴァリエさんは、未だわからん。知的すぎて扱いきれんぞぉ

また、続くかも。とりあえず米連や対魔忍側を出したいな…


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傀儡師ユズリハ

はい、決戦アリーナとおそらくアクション対魔忍にも登場しているであろうユズリハちゃんです。

持ってないが、こっちは資料だよりです。相変わらず捏造です、ちげぇよってなったら感想からどぞ

アニナルからサソリの友人も登場。こっちもキャラ崩壊してます、駄目だね作者


 

私、白瀬楪(しらせ ゆずりは)は今年に成って、ようやく下忍から中忍へと昇格。そして、あの赤砂の異名を持つサソリ師匠の下で、修行する事に成りました。

師匠の傀儡演劇、私にとっては憧れであり目標…そんな師匠の下での修業は、ハッキリ言って辛い。でも、辛辣ながらも褒めてくれるときは、褒めてくれるから…嬉しくて、頑張れるんですよね。

そして、今日もサソリ師匠と共に任務へ赴く事に成っています。

…緊張するなぁ。

「サッソリーン」

すると軽快な声とともに、サソリ師匠に腕を回す一人の忍び。

師匠の唯一の友人、コムシさんだ。平凡的な顔つきで、性格も何処にでも居るような調子の良い人柄…だが、私にはそれが恐ろしく思えた。

そんなサソリ師匠は相変わらず素っ気ない態度でコムシさんをあしらっている。

「うっとおしいぞコムシ…弟子の前ではやめろと言った筈だぞ」

「あれまぁ、サソリってば自分で心が無い(笑)とか言っていたけど有るんじゃあないの。ほんじゃあまぁ…任務だ、支度しろ」

瞬時にあの茶目っ気溢れた笑みが一瞬にして消え失せ、そこにはただ機械のごとき冷徹な顔が現れた。サソリ師匠はそれを見ても何事もなく、わかったと答え傀儡を軽く調整し専用の袋へと仕舞った。

コムシさまも、自身の義手に搭載された武器である毒針を出し入れしている。

私も、パペット…じゃなくて、傀儡の調整を済ませる。師匠には未だ及ばないけど、私だって傀儡師…今回の任務も、頑張らなきゃ。

 

「なぁ、サソリン。お前からしてみて、どうよ」

「筋は良い…だが、演劇性に欠ける。表現が無いと言った方が良いか……あとソレは止めろ」

「ほうほう、んでさ…今日の任務ちょっと過激じゃない?サソリン、表現性って言うのはどういった時に上がるよ」

「……感情的に成る、それが一番だろう」

「ほーん。ちょっと、試したいんだけど」

 

 

コムシさんから言い渡された任務は、魔族の軍団を殲滅する作戦。

別部隊が、本命に動いている中…私たちは、敵の意識をこちらに移す陽動役だった。少数部隊の中、こんな数…相手取れって言う事らしい。

サソリ師匠とコムシさんはと言えば。

「たしかに、刺激的だな」

「ここで爆発、とか良いシーンじゃない?」

「くそB級だ。爆発ってのは、最後辺りで輝くもんだ」

何とも呑気な会話をしている。それでも、口を動かしながらコムシさんは毒針を使い敵の喉元へ、的確へと突き刺し次々と落していく。サソリ師匠は片腕だけを使いながら五機の傀儡をまるで意思があるかのように動かし、魔族を仕留めて行っている。

私は未だ、傀儡は二体がやっと。二体を駆使した連携で、一体一体と仕留めていくのがやっとだった。

周りには魔族がごまんといる…ハッキリって不利だ。

「うおっと」

瞬間、コムシさんの義手が魔族によって破壊され一瞬の隙を突き、彼の腹へと強烈な拳が叩き込まれた。そのまま、後方へと放り投げられたコムシさん…不味い。

戦況は三から二へと減った。この数、二人だけで回すなんて死に行くようなモノだ…それを理解した瞬間、一気に恐怖が押し寄せてきた。身体を動かさないといけない、このままでは死んでしまう。

「ぐ!」

ドパン、と銃撃が鳴り響く。

サソリ師匠の額に、空洞が出来ている…赤い液体が溢れ出ている。脳を貫通する、銃弾が撃ち込まれた…私は、息が出来ずただ茫然としてしまう。

そんな私の心情を無視しドサリ、と倒れるサソリ師匠…。頭部には、紅いため池が出来上がっている。

 

「う、あ…」

 

ブツリ、とナニカが切れる音がした。

目の前の魔族たちは、およそ200ちょい。私の傀儡技術は二体が限度だ。…なら、師匠はどれくらいだ?…フル稼働で、百体だと聞いたことがある……周りには死体がいやでもある、破損が酷くても、盾には使えるわね。

師匠の身体に糸を張り、軽く動かすついでに魔族を屠る。流石は師匠、傀儡なしでも身体能力は上のようです…師匠の両腕を動かし、さらにそこから糸を死体共へと張り巡らせれば、即席の肉傀儡が完成だ。

そこから次々へと張り、限界である十機の肉傀儡。選んだのはオーガ、銃火器を持ったオーク兵たちだ。

師匠、チヨバアさま、モンザエモン大師の様な演劇は、私に出来るかしら。

まずは、前方へオーク兵で銃弾を届けさせオーガや鬼族と言った、耐久力ある傀儡で銃弾の仲を前進、そのまま猛威を振るわせる。使えなくなったら、すぐに新しく出来上がった死体へと変える、それの繰り返し。

単調だ、でもこれしか出来ない。

「…死劇・スパルトイ」

ただ、生きたいが為に師匠を使う。

演劇が進むにつれ、魔族が減って言っているのが分かる。…もう少し、伸ばさなきゃ、まだまだ演劇は始まったばかり。

終わりは、魔族が死に絶えるまで。

 

「いやあ、僥倖とはこの事だぜ。サッソリーン、特等席の感じはどうよ?」

「…お前はいつも汚ねぇやり方だな。だが、一応礼を言っておく」

「え?」

え、何で死んだ筈のサソリ師匠が喋って…コムシさんってば何で遠くから見守ってるの?

…てか。

「あ、あ、あんた達!!!生きてるんだったら、手を動かしなさいよ!その両手は、ヒノキ棒か何かぁあああっ?!」

「おうおう、吠えるじゃねぇか」

「にょほほほ。ちょーたんのしー」

こんのくそ野郎ども、人が必死こいて動かしているのに愉悦とばかりな笑みを浮かべていやがるの。本当にこの二人、友人と言うよりかは悪友でしょ…もういいや、このうっぷんは魔族に発散させよ。

そんな魔族、うそでしょとばかりな悲観にくれる顔でこちらを見ている。

恨むんなら、こんのくそ野郎二人にしてちょうだい。そう心の隅で呟きながら、師匠を動かすのであった。

 

 

任務を終え、私は二人を土に埋め込んでいた。

コムシさんは頭だけを晒し、師匠はどこぞの死体現場が如く両足を晒し真ん中に頭が置かれた状態だ。どうやら、サソリ師匠は全身が傀儡で出来ており本体は別にあるとか…アリなの、それ。

「サッソリーン、助けて」

「残念だったな。俺は今稼働終了だ」

「うぎぃいいい!むっかつくぅうう、こんな、こんな奴らに尊敬していた私が馬鹿じゃないぃい!!」

ダンダンと足を地面に叩きつけ、子供の癇癪のような怒りを上げる他なかった。

「悪かったって、いやさお前さんの才能が良いからちょっと上げようと思ったんだよ」

「いっちょ前に演劇までやり遂げるとはな。師匠としては鼻が高いぞ…まだ荒いがな」

その後、師匠からあの演劇の低い点を延々と連ねられるが最後辺りで、良かったところを褒められた。ほとんどが師匠の美的感覚だが、それでも師匠は私にとってあこがれの存在だからこそ、その言葉が嬉しかった。

いつの間にか術を解除していたコムシさんから立派になったなぁ、という言葉と共にまるで犬を褒めるかのように撫でられ、褒めちぎられた。

…うれしいは嬉しい、でも。私の中では、ある言葉が湧きあがってきた。

 

「いつかぶっとばす」

 

私は頑なに誓った、もはや下剋上ではない…逆襲として誓ったのだった。

 

 

 




サソリ丸くね、って思うかと思いますが片鱗はあります
普通に魔族や抜け忍で人傀儡しまくっているでしょう。ユズリハちゃん、とんでもねー師匠もたせちゃったね

すまんね(悪気なし)


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風評被害な話

はい、県民ネタです
奈羅家は、原作に登場する奈良家です。作者も忘れているけど一文変えています、はい

相変わらずダンゾウ不憫です



「おい、扉間。ダンゾウ借りるぞ」

「……またか」

「ちょいと外交の手伝いをして貰いてぇだけだ」

ここ最近、マダラ先生…いやマダラ族長から頻繁に駆り出されることが多い。暗部発足案件もそうだが、何かと俺を使って来る…。

いや、学ぶことも多いからうれしいのだが、…杞憂であってほしい。

 

「…マダラ族長、ここ最近俺を頻繁に連れ出しますよね」

「そうだな。お前がここらで適任だからな」

「シカメあたりでも良かったのでは?」

話術で言えば、シカメの方が相手を乗せやすくし根こそぎ良案を引っ提げてくる…。奈羅家は頭が切れる軍師系の家系だ、尚更俺よりかは使えると思うが。

そんな俺の言葉に、眉間にしわを寄せながら諦めたような口調でこう零した。

「たしかにな。否定はしないが…どうも駄目だ。奈羅の砂利を何回か連れ回したが…特に京都以外の関西圏はまるっきり、マイナスに落ちる」

「何でピンポイントなんですか…あいつ、京都だから馴染みやすいでしょうに」

「だからだ」

その言葉に、いまいちピンとこなかった。

続けざま、マダラ族長は俺にこう問いかけた。その問いは、至ってシンプルでメジャーなもの。

「ダンゾウ、京都人と言えばどんなイメージが付く?」

「えっと…なんか腹黒い、ですかね」

「それだよ、それが原因でマイナスからの脱却ができねぇ。全員が全員じゃねぇのは解るんだよ、だがな…イメージは時に壁として塞がってきやがる」

もしかして、京都人だからと言う単純な理由でマイナスに陥っているのか?

そんな理由でか、…いや、その理由も悩みに繋がるのが理解できた。昔から、京都人は世間から見て腹黒い印象を持たれやすく、その言葉一つ一つ、裏がありそうなもの言いというイメージが付きまとっている。

遠まわしに長けているが故に、誤解されやすい印象があった。

特に大阪との関係は、犬猿の仲と言う言葉が適しているほど。大阪の豪快で楽観的な性格からみて、腹の見えない胡散臭さがどうも彼らの溝を深くしている様子を度々テレビとかで、よく見る。

しかし、外交でそんな事を気にしていてどうすると言うのだろうか。

「俺も流石に呆れたが、大阪の対魔忍共…京都人が居るって言ったら手のひら返すように、罵倒してきやがった。

そりゃあもう、犬猿なんてもんじゃねぇ勢いだった…」

「な、なら京都はどうです。まともだったでしょう?」

「あっちはあっちで、どこが京都だとかで揉めやがる。同じ県内に居てもなお、喧嘩するとか馬鹿だろ…俺はそこで思った」

「……何をです」

「京都人、どこ行っても使えねぇってな」

その衝撃、不味い言葉に俺は咄嗟に叫んでしまった。しかし、マダラさまのその顔は特にやつれている…どんだけこの人苦労してんの、と思うくらい。不健康な顔が、更に不健康を通り越してまるで死人だ。

…叫んでしまったとは言え、俺は悪くないと思う。

「いや、それは不味いでしょう!?あんた最初に、全員が全員じゃないって言ったじゃねぇか!!」

「うるせぇ。こっちはおかげで頭痛から解放されねぇんだよ…」

「…で、何で俺なんです?」

きっとまともな理由で、俺を連れているに違いない。ヒルゼンは三代目候補に選ばれているが、人の良さが仇と成り有利に進められない可能性もある。ホムラやトリフも、研究や諜報活動が主な為今の仕事で手一杯だ。サクナは、…あいつは頭の回転とキレはあるんだが…素直すぎて腹の探り合いに適さない。

消去法で、俺に成ったのだろう…俺としては歯痒いが、そう言った理由で合ってほしい。

嫌な予感しかしない、頼むから杞憂であってくれ。

 

「道連れ(お前は思慮深く、公平な奴だからな)」

「逆ぅう!!!」

 

ちくしょう!無駄にいい笑顔だし、うちはの顔面偏差値高すぎるからそれが補正に入って尚更腹立つ。

「まぁ、まてまて。確かにさっきのは本音だが、良いことはある」

「このやろう」

「お前もそろそろ、暗部の正規として所属してもらう。その話はしたな…そこで、色々とセーフティやら諜報を効率よく行うためのパイプを築きやすい。時には魔族とのビジネスも結んでもらう」

「…魔族がここで起業するのは、ご法度では?」

「誰が言った?おまえも理解しているだろう…中立な立場を取る魔族も居る、そことの交流は時に俺たちの力となる」

とっくに人魔の協定は無いに値する。俺はそれも承知だ、だが中立でも魔族は時として、牙をむくはずだろう。

「お前は疑り深いな、…それで良い。木の葉には一人や二人、必要だ」

そう、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるマダラさま。続けざま、こちらにこう語りかける。

 

「襖間の魔界の知識は、最新とは言い難い。だからこそ、更新する必要性がある…ベルベットの情報も、正確性はあるがそれはあくまで一握り。企業と言うのは、思いの外世間を気にしているからな。

…魔界の全てを掌握するつもりはない、俺たちはこの日本の忍びだ。日本に害成す、米連や魔族、時に中華連合を潰すには情報と力がいる。俺たちは、この日本の未来を護るために薄汚れた道を貫いている…己の未来もしかり」

 

「だからこそ、魔族との交流はするべきだ。

敵の内を知るには、その懐を探ってなんぼだ。それに、こちらの利害に一致する魔族を引き入れる事もあるからな。魔族ってのは弱肉強食、強者が常に上に立つんだ…下の奴らはどうだ?

野心と言うのはどの世界、どの人種にも宿るってものだ。上を引きずり降ろさんとする姿勢に、手を貸したくもなるだろう?」

 

目を細め、まるでこの状況を愉しんでいるとばかりに笑みを浮かべるマダラ族長。俺はその笑みを見て、全身が震えあがる程に戦慄する…だが、不思議と嫌悪感は無かった。納得がいった、そんな感じだ。

「趣味悪いと言われません?」

俺は震える声で、そう問いかければ…更に満面な笑みでこう答えてきた。

 

「これが俺の『普通』だ」

 

だからこの人、クレイジーサイコ野郎と言われるんだなと、その言葉で確信した。

 

 




外交は力だよ兄貴

マダラもマダラで不憫な役割ではある。
でも、扉間よりかははっちゃけているのであった。


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陰陽遁の使用法

今回は陰陽遁について

一番の有能な忍法って八津家の再生だと思っている。あれ、脳すらも再生できるチートやで。脳って一番複雑なのに、それすらも時間をかけて再生できるんだから、使わない手はないよ

つか、対魔忍ワールドって思ったよりも高度文明なのでは?


 

無から有を作ると言う事は、莫大な時間と素材が必要となる。

時間も素材も、僅かな時間で全て揃え作り出せる忍術、忍法…もとい能力が存在する。

『陰遁(いんとん)』と呼ばれる、神の如く等しいもの。無から形を作り出せるその能力は、発現できるのは仙人モードによる性質変化か、かの謎多き大筒木一族くらいしか出来ない代物だ。

またこれとは別の陽遁(ようとん)と言う能力は、形あるものに命を吹き込むと言う荒滑稽な力だと言う。

このような能力は人の手で、実現できるものなのか…私が居た前世の文明からしてみれば到底出来ない。

では、この世界ならどうだろうか…。

 

 

魔法と言う存在が、この世界に存在する以上…それは、出来ると言う一歩なのだろう。

機械文明も、電脳領域も発達したこの時代、さらにファンタジー要素が含まれるもはや闇鍋状態な世界で、命を吹き込み更には無からの状態で形を生み出す…陰陽遁は実現できた。

まずは隠遁…欠損状態の腕や足、更には眼球を復元、再生できそこから更に身体能力を向上させ視力回復、脳の機能を一部でも復元できることが可能。そもそも、原作キャラである紫の能力は遺伝的な隠遁による、再生能力。こんな能力持ち、ハッキリ言ってその細胞が欲しい…それを使った医療機器にまで発展させたい所。

…まぁ、やったんですけどね。

うずまきを通して井河家の頼み込み、下忍八津家のその再生能力を持ち合わせた遺伝子情報を採取させてもらうことに成功した。

そこから、魔界技法でその遺伝子情報を解析し、更に機械へと組みこむ…これだけでも、時間と莫大な費用は掛かったが、それだけ見合った結果を生み出すものへと完成。…もはや魔界技法が、お家芸と化しているがそれだけ万能すぎるモノなのだ。

費用については、井河家との交渉で大きく削られ与えられた予算でも足りず、更には機密情報の塊な遺伝子だからか、さらに八津家の方も追い打ちを掛けてきた。

腹を切って割った貯蓄はもはやスズメの涙。最低限の生活で生きていける程度くらいしか、残っていない。

お蔭さまで、医療の幅が広がったが…泣けてくる。

完成したその機械を用いれば、DNAおよび遺伝子さえあれば細胞の復元を利用し、欠損した四肢等を再生できるようになる。他にも眼球は頻繁に利用される写輪眼の過度な利用で失明した、視力を回復すると言うモノ。失明の多くは、眼球による外傷かその内部、神経の疲弊によって失われる事。

その為、遺伝子手術やこの世界でも実在するIPS細胞を使った手術によって、失明からの回復に向かう事が可能となっている。

写輪眼が開眼した眼球も、作れることは可能となった。

これだけでも、失明を克服したとも言えるが…私としては、交換なしの克服を目指している。実際、失明治療が出来ている時点で達成されてはいるが…それでも、まだ発展途中の為、リスクはあるから何とも言えない。

 

次に、陽遁…コレはいわば人工的なAIも当てはまるのではないかと思っている。

機械文明が発達し、人の部位を残したサイボーグや完全な機械人形のアンドロイドが生み出されているこの世界。特に、完全な自分好みのアンドロイドや機械人形が欲しい人は一定数いるだろう、自分もそんなモノに憧れている。

某ラノベがもはや鈍器な世界に登場する機械人形さん達は、ぜひとも実現したいなぁ…なんて。

私、医者ですけどね。

…なに、隠遁と言うのはオカルトの方面じゃないかって?魔術、それも魂を与えるなんてそんな一握りの実力者、うちの里には居ないよ。

ヤスケも魔術に精通しているが、基礎全般と結界くらいだ。

里に住まう魔族も、精々それくらいだろう。

個人的な見解で言うなら今の文明での隠遁は、この人工的AIが当てはまるのだと思っている。

…欲しいな、機械的なメイドさん。

でも、この世界でもやっぱり人間に似せたAI持ちのアンドロイドは高級な外国車クラス並みの値段なんだよね。まだまだ、世間全体に浸透するほどには至っていないのが現状であった。一応、アンドロイドは浸透されているようで特に介護用のアンドロイドが多く、やはり介護職員が少ない問題からの理由だろう。他にも、オフィスなどっでは会計に至ってはミスが許されないため、導入している所も多い。特に、大企業とかが多く採用している。

その分、人の働き口が少なくなっているのも課題であった。

…そう言えば、NARUTOのゲームでもメカナルト、何てキャラも出ていたよね。アレは、どちらかと言うと絡繰り、の定義になるのかしら。

 

 




次はシスイの方をチラリ、と

カガミの家系って、うちはの中でも幻術特化で後は凡庸なのかなぁ


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うちはシスイとお館くん

うちはシスイです
ナルティメットストームレボリューションからプレイアブル化した出世頭

仕方ないね、イケメン一族の出でなお且つイタチのキーパーソンだからね。写輪眼強いし

そりゃあ、ファン付くわ


 

「お前さんが遊撃隊隊長か。俺はうちはシスイ、短い間よろしくな」

「よ、よろしくお願いします」

「隠密、暗殺、潜入、拷問、色任務、死体処理何でもござれってな」

爽やかな笑みを浮かべるものの、その口からはとんでもない言葉をつらつらと述べるシスイと言う男。五車の前身である対魔忍アカデミーの卒業生であり、瞬神のシスイと言う二つ名を持つほど、高い実力を持つ忍びであった。

人柄も見ても、仲間内では好評だが…容赦がないことで有名であり、敵味方問わず恐れられている。

大体は木の葉の里出身の忍びは、容赦がなく手を抜かない事が周知されている。

「意外と多芸なんですね」

「そりゃあな、アカデミーでは脳筋反対だからな。…君、アカデミーの方が良かったんじゃねぇの」

「俺は実技がからっきしでして」

「なあに、サポート特化でも卒業できるぜ?今からでも、どうよ」

随分と勧誘してくるな、評価してくれるのは嬉しいが…ちょっと、裏がありそうだな。まぁ、忍び同志…裏をかくのは当たり前だが。

「…学生の内でも任務とかやるんだな。こっちは卒業後からなんだが、学業は追い着いているのか?」

「まぁ、…遅れている子も居るかと」

メインは俺だけど。

アカデミーではむしろ学業を優先させているのか。あちらは最低でも高卒と言う学歴が付くんだ、ある程度は世間に放り出されても大丈夫なようにと言う理由か。その点だと、五車はちょっと不利が生じる可能性が高いな。

もし、対魔忍と言う組織が要らなくなったら…、就職は困難する未来も起きなくはない。

「学は何よりの力だ、生き残るにしてもな」

 

 

「うんうん、指揮能力は文句なし。俺の動きやすいようにしてくれて助かるよ、こういう指揮官が居てこそだ。

はぁ、お前みたいなのがウジャウジャ居てくれたらいいんだけどなぁ…」

「いや、ウジャウジャ居たら気持ち悪いでしょう」

「それもそうか」

この人、苦労しているんだな。周りに脳筋しか居ないからか、その疲労が日々蓄積しているのだろう。

「シスイさんはどうして対魔忍に?」

「師匠の影響と、俺のじいさんが対魔忍だったからな。あれよあれよと言う間に成ってた」

師匠、…あぁあの志村ダンゾウさんか。俺もあの模擬選以来その人に色々と指揮のやり方とか、教えて貰ったな。

「じいさん、師匠の親友だったうちはカガミに近づきたかったからかねぇ」

「え、あの魎魔忍のお孫さんなんですか!?」

「一応はな、師匠から聞かされているだけで証拠は無い。穢土転生対策としてDNAや遺伝子情報に引っ掛かるものは全部焼却された。

在るのは、戸籍情報だけだよ」

穢土転生、確か死者を甦らせ兵として扱える忍法だったな。生前の能力も使える事から、その強力性と倫理などで、禁術扱いされていると聞く。…今でも木の葉の里では、有力な忍びの親族、および遺伝子情報は軒並み焼却、破棄されていると聞く。

有るのは本当に戸籍情報だけ、噂は本当だったんだな。

それだけ、強力過ぎる術なのだとか…。親族からしてみれば、たまったもんじゃないのも、頷ける。

「木の葉の忍びは、それを覚悟でやっている。家族、里、この国の影として全うするために、忍びをやっているからな」

「…凄いですね」

「いつしか、当たり前になっていたんだ。もう、皆疑う余地はねぇよ」

寂しそうな笑みを浮かべ、そう呟く。

俺はそれ以上、何も言えずただ…シスイさんの寂しそうな笑みを見つめる他なかった。しばらく静かな空気が漂ったが、先ほどまでの笑みが一瞬にして変わり、最初に見た爽やかな笑みを浮かべ言葉を紡いだ。

「辛気臭い話は終わらして、そろそろ戻るか」

「えぇ、帰投しましょう」

任務を終え途中、ご好意で木の葉の里に立ち寄らせてもらいシスイさんから屋台ラーメンをごちそうになった。一楽、と言うお店で五車でもけっこう名前が上がるほど、美味しい店であった。

シスイさんと別れ、五車に戻った俺はその後女子生徒からシスイさんについていろいろと質問攻めに合う事になるとは、まだこの時知るはずもない。

 

 




「ひ、酷い目にあった」
「そりゃあ、シスイさん女性対魔忍の間でトップに入るもん」
「男でも結構人気あるんだぜ、何せ有名イケメン対魔忍のうちはイタチと並ぶほどだか
らな」
「あぁ、わかる気がする…」


やることはやっているよ、な感じ
カガミの子孫、孫やからね

まえがきで話したレボリューションを舞台とした話をちょくちょく書いているが、…圧倒的知識不足と化学系の理解不足です



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エピローグ
終わりの話 


最期がようやく書けた

だから上げるよん(唐突)


ダラダラ続けるよりかはね、最期を示しとけば後はifだろうか日常だろうが書ける!
NARUTO成分多いけど、備え付けの魔界騎士さんは美味いぞ




「ここに、カグヤ様の依り代となる人間が居るのか?」

「ええ、フュルスト氏によればこの里に。…ようやく、悲願は達成しますな」

「あぁ、ようやくだ。…これで、ようやくこの地の神樹は、カグヤ様のモノに」

 

月を背に、木の葉の里を見下ろす二人の男たち。

青白い肌を持ち、一人は細身の身体を持ちもう一方は巨体な身体で、道士服を身に纏っている。

共通として、二人とも白眼を両目に宿していた。そんな二人の背後で、一人の女性がその背を見つめている。

褐色の肌を持ち、背後に長剣を背負った桃色の髪の女性。かのエドウィン・ブラックの側近、イングリッドであった。イングリッドは二人を見ながらこう、思い馳せていた…此度のこの男たちの任務についての悪態であった。

ブッラクの指示で、この男たちの護衛役を受ける事になったのだが…如何せん、この男たちは魔族はおろか、自身とブラックに対し見下した態度で接していた。偉大なる一族としてのプライドがそう表していたのだった。

「…さて、おい女」

「イングリッドだ、いい加減覚えろ。その頭はダチョウ並みか?」

「ふん、口の悪い女だな。まぁ、いい…ようやく悲願が達成されるのだ、その失態くらいは許そう。

キンシキ、招来せよ」

「はっ」

キンシキと呼ばれた男は手を添え、身体のチャクラを使いマサカリへと変化させる。キンシキはそのまま、マサカリを振り上げ地面へと叩きつけた。地面に亀裂が走ると、その亀裂が開き十の腕と思わしきモノが天へと突き上げる。亀裂がさらに広がると、十の腕の本体、獣のような姿が現れた。

月を背後に、男はこうつぶやく。

「ようやくです、大筒木カグヤ様。末裔、大筒木モモシキ…貴女を世に降ろしましょう」

モモシキはそう笑みを浮かべたのであった。

 

 

 

終わりとは、案外呆気ないものだ。

そこは地鳴り、地震、獣の咆哮と、人の悲鳴が…ひっきりなしであった。

硝煙の匂いと、焦げ臭さ、錆びついた鉄の匂い、ガスの匂いと言ったあらゆる匂いが混じり合っている。

辺りを見わたせばそこは火の海に包まれ住宅のほとんどは崩壊し、土煙と黒煙を上げていた。木の葉の里の中心地、ツギハギだらけで人の腕のような尾が十も生え、頭部は幾多の目玉がギョロギョロと動き、視線が定まっていない。合成獣、キメラとも言える強大な獣は、咆哮を上げ、里を暴れ回っている。

「頭領!もう、里は…!」

「しまっ…ぎゃああ!!?」

「たすけ…!」

忍びたちの声が聞こえては、途絶えるを繰り返す。

目の前の獣は、厄災の象徴…あの獣に太刀打ちできる存在はいないだろう…それでも、この里の為に命をかける、忍び、対魔忍たちは存在していた。

「撃ち方はじめぇ!!」

獣の前方に数、十基を超える大砲が並んでいる。壮年の忍びの指揮に、砲台の照準は獣へと定められる。獣はそれを物ともせず、前進していく…ナニカに、誘われるかのように。指揮官である忍びは、目を張りながら機を窺い、地が裂けるように声を上げた。

「六式徹甲弾、撃てぇええい!!」

全ての砲台に、徹甲弾が発射される。

六式徹甲弾、米連にて開発された対魔族に所属する竜種への特攻策として開発された貫通力ある弾とされる。工作員が密かに、このデータを持ち帰り木の葉の里および、各里の切り札の一つとして極秘裏に開発され…試験段階であった六式が完成された。

試運転を待つことなく、この場に使用される悲運な代物。

それでも、効果は絶大であった…もっとも、この獣に効くかはもはや、神頼みであった。

土煙、轟音を響かせその徹甲弾は獣へと前段命中。獣はその衝撃に、身体をわずかに後退させる。指揮官は直ぐさま、装填を急かし装填中の攻撃に備え、控えていた忍びたちは印を素早く結ぶ。

獣の視線が、砲台へと注ぐ。

獣は大口を開き、口内が青白い光が輝くと…一気に放出し、光線は砲台と忍びたちを飲みこんだ。声は聞こえない、砲台があった土地は…黒ずんだ大地しか残っていなかったのだから。

 

「はぁああ!」

「ふっ」

里に構えられた舎は崩壊し、そこはうねった木々が生い茂っている。頭領、柱間による木遁だろう…その木々の上で、数人の忍びと魔族が対峙している。

褐色の肌に桃色の長髪をなびかせた騎士、青白く額に角を生やした異形たちだ。

金属同士のぶつかり合う音が響き渡り、肉体がぶつかり苛烈なまでの戦闘が行われていた。

対魔忍マダラは両目を見開き、写輪眼を発動させる。

「瞳力回転開始!『タケハヤスサノオノオオカミ』」

マダラの背後に、戦甲冑を纏った三面六臂のガシャ髑髏が顕現した。二つの空洞の光が灯り、ガシャ髑髏は咆哮を上げ六つの獲物を持った腕を振り上げ騎士と異形の者たちへと振り上げた。

一気に振り下ろされた腕に、騎士たちは散開するが…一体の異形がその場に残る。

ピタリ、と腕の動きが止まった。異形、大筒木キンシキと呼ばれる者はその身体一つ、腕を受け止めたのだ。

「…ぐ、中々だ。だが」

「ちぃ」

キンシキは腕を弾き返し、地面を蹴りあげ宙に浮くとガシャ髑髏の面の一つを殴り飛ばす。

一度、身体の重心が崩れるガシャ髑髏に攻め入るようにキンシキは連続で殴りつけた。

ガシャ髑髏の顔面に一つが、砕け散り…その破片が砂粒のように宙へと散る。ダメージが返ってきたのかマダラの額がぶちり、と血を吹き出す…顔半分を血まみれに、キンシキを睨み舌打ちをかます。

すぐさま武器を構えキンシキへと向かいチャクラを放出し、宙を蹴りあげ膝蹴りを一つ、キンシキの顎へと突き上げた。腕を使い庇うキンシキに、マダラは印を結ぶ事なく頬を膨らませ火遁を放出。

無防備になった両足を掴み上げ、勢いよく下へと向かい放り投げた…射線上には、扉間と騎士が対峙していた。

騎士はキンシキの存在に気付く、が扉間は避けさせない様にとばかりにクナイをひとつ投げる。騎士はクナイを剣で弾いたばかりに、その場に留まった事でキンシキと衝突し木々を突き破り下層へと墜落していった。

 

「……」

 

それを見下ろす、一人の異形…大筒木モモシキ。

「魔界騎士と謳われ、少し興味が出ていたが…所詮はその程度か」

「余裕だのぅ」

「…忌々しい魂め、虫唾が走る」

こめかみを釣り上げ、柱間へ向け憎悪を込め、声を荒げる。

両手を柱間へと向け、手を開くと手のひらには眼球が植えられており眼球、輪廻眼はギロリ、と柱間に視線を向ける。目が見開かれた瞬間、柱間の背後から瓦礫等が勢いよく迫りくる。

柱間は印を結び、自身の足元から木を突出させその場を逃れる。再び印を結び終える頃には、隈取の刺青が浮かび上がった。

仙人モードだ。

柱間はそのまま、弾丸が如くモモシキへと突進し肉弾による連撃を繰り広げた。モモシキは、柱間の連撃に対抗すべく両目に宿りし白眼を見開き応戦。

扉間は直ぐさま、モモシキに攻撃を仕掛けようとするが…キンシキが騎士を抱えながら下層から這い上がりそれを阻害。騎士、イングリッドは黒炎を纏わせた剣を振り上げ扉間へと攻め立てた。

「雷遁霹靂(かみとき)」

扉間は印を結び、身体全体に稲妻を帯電させると同時に姿を消し、轟音と共にイングリッドへと無数の根のように轟雷を落とす。轟雷が落ち続けるイングリッド周辺には、目を凝らしてやっと見える極細の千本が刺さっている。それらが避雷針としての役割を持ち、轟雷はそれめがけ降り注いでいたのだった。

イングリッドはそれに耐え忍び、一振り剣を振り切った。

 

ピシリ、と空間に“ヒビ”が入った。

 

ヒビをこじ開け無数の炎を纏いし多頭の龍が姿を現した扉間めがけ迫りくる。

「退け、扉間」

マダラに首根っこ掴まれ、扉間は後退させられる。

ガシャ髑髏は正面の大口を開き多頭の龍を食い千切った。口元から炎と火種が零れ、風に吹かれる。

「次元すら切り捨てるか」

「…ここまでやるとはな」

「中々、ここまでの人間は居なかった。だが、…もはや堕ちるが定めよ」

 

 

所かわって、とある一室。

地面には縁を模る様に達筆な文字が刻まれた陣が描かれている。その中心には、一人の人間と周りに宝剣と鏡、勾玉等が設置されている。

縁の中心でうずくまる一人の女性、千住襖間の姿があった。

周りには、対魔忍と思わしき忍びたちの死体が散乱している。だが、木の葉の里の対魔忍ではない…彼らは魎魔忍。

それも、うちはカガミと同じ祖先を持つうちは一族の者たちであった。どうやらモモシキたちが魔界で雇った者たちだったが、今や死体はもはや、何も言わない。

「ぐ…」

『何ゆえワラワを拒むか、異端の魂よ』

「うる、さい…。さっさと身体から、…ガァ、ぁぁあああ!!?」

ぶちり、ぶちりと身体から肉を裂くような嫌な音が部屋に木霊した。

それもそのはず、襖間の身体は全体に掛けて『彼女<カグヤ>の望む姿』に変えられているのだから…。額には天を突き刺すような角、額には第三の目が見開きその瞳から血が流れ落ちる。

肉を内側から突き破り剥き出しの骨は光沢を持っている。纏わりつく血肉と血は、異様に艶やかだ。くすんでいた筈の白髪は、光を取り戻し月光のように輝き足先まで長く伸びきった。

両目は赤かったものが一気に、色を褪せ白眼へと変異する。

モモシキたちの目的であった大筒木カグヤの召喚、それは成功してしまった。

襖間の体を用い、カグヤになるための儀式…。

しかし、召喚に成功したとはいえ魂までは完全下せていない、不完全なもののため襖間はなんとしてでも阻止しようと、贖っていた。

しかし、主導権はカグヤ側が優勢であった。

「ぐぅ、が…ぁぁあ!これ以上、お前、になって、たまるか」

制御の利かない身体を無理やり、力づくとばかりに動かし額の目に手をかける。眼球をつまみ、歪む眼球などお構いなしにグチリ、と指を隙間へとめり込ませ…勢いよく引き抜いた。

どぼり、と額に開いた空洞から血液が漏れ出る。

手の中には、眼球が一つ転がっている。

『余計な事を』

「く、ふ…ふふ、はは……輪廻写輪眼は、使わせないよ」

『所詮は衰退を辿る世界の出で、何が出来る?お主は、この世でも所詮は弱者であろう』

「うる、さい。うるさいうるさいうるさい…そんなの、解っている!」

ガバリ、と身体を立ちあがらせ宝剣へと手を伸ばす。

手に触れる寸前、腕と身体が止まり腕の筋肉もろ共破裂し骨が剥き出しと成った。しかし、直ぐに腕は再生した。

伸ばされた腕と共に襖間は力なく地面へと倒れたのだった。

『自決などさせぬ。この身体を持って、ワラワはこの地に舞い降り…この世に宿る神樹をモノとするのじゃ』

「そんなの、あるわけ」

『宗像の女神ども宿りし島、路の交差点であるあの島に…すべてに根を張る神樹が存在するのじゃ』

神宿りし島、その島全体が宗像と呼ばれる女神たちの宿り先であったとされる。

人の立ち入りが許されず、ましてや天の末裔でさえその島に立ち入る事は冒涜と称されるほど厳格で、純潔なる島であった。

「なるほど、貴方は…そこへ向かうというわけですか」

静けさが漂う空間に、凛とした一つの声が渡る。

暗がりの中に二つの三つ刃の手裏剣、逆さの五芒星が描かれた写輪眼。その写輪眼を持つモノは一人だけ、うちはカガミ。しかし、ここにたどり着く前に獣と他の対魔忍と相手取っていたためか、カガミの身体は立っているのがやっとであった。そのためか全身に掛け重傷を負っており、目に見える変化としては、右腕が肩ごとゴッソリ無くなっていた。

『…』

襖間に寄生し、己の思う身体へと作り変えている途中での余計な邪魔もの。襖間に宿りし、異物…大筒木カグヤと言う存在は、襖間を通し睨みつけている。

カガミはただ無感情にまるで機械のような顔で口を開いた。その声は、冷え切っており恐ろしい。

「返してもらいますよ。その人は大事な人だ、…月の俗物」

 

 

「ごふ…くそ、これじゃあジリ便じゃねぇか」

「泣きごとを言うなマダラ、来るぞ!」

両腕を吹き飛ばされ、満身創痍の状態のマダラを抱え迫りくる無数の矢を避け続ける扉間と柱間。しかし、扉間と柱間も片目と腕一本犠牲になっている分、マダラが言った通り、ジリ便の状態であった。

「どうした、キンシキの半身を抉り取ってそのザマか…」

モモシキはそう溢し、腕を振り上げ宿りし輪廻眼の力で突き刺さった矢を回収し、再度柱間達へと降り注ぐ。

「不味いな、あの輪廻眼…厄介すぎるぞ」

「……兄者、済まぬがあの男を頼む。マダラ、お前の目を借りるぞ」

「移植か?この場で何を言って……まさか」

「禁術だ、なぁにワシが失明するだけよ」

扉間は抱えていたマダラの首に噛みつき肉に歯を立て、血を啜る。片腕と成った手で慎重に印を結び、片目に突き刺した。指を引き抜き、閉じられた目を再度開けると…そこにはマダラの写輪眼が埋め込まれていた。

「トンデモねぇ禁術生み出しやがって。馬鹿か?」

「チートなんぞ、馬鹿なものばかりよ」

禁術と呼ばれたこの忍法の名は、『秘術瞳転降臨』。写輪眼等の魔眼や邪眼持ちのDNAを自身が直接摂取したのち、陰陽遁の一部の印を使用し自身の目に降臨させる術。失明者や、隻眼の対象者にとっては禁術ではないにせよ、健常者である者にとっては己の目を潰し、再度新たに目を誕生させるという効率の悪い代物。

しかも、適性の有無がある写輪眼は一か八かの大博打である為、扉間がこの術を使用したのはひとえに、己の勘であった。

「兄者、矢の方は何としても防ぐ。頼む」

「その覚悟、受け取った」

「……瞳力回転開始『オオヤマツミノミコト』」

扉間の写輪眼が発動し、あのガシャ髑髏とはまた別の戦甲冑を纏った鬼の姿が顕現する。手には十文字槍を持ち、一度振り上げると迫りくる無数の矢は全て粉砕され、モモシキに向かい一突き、入れる。モモシキは片手でそれを制するが、自身の瞳力では耐え切れない様で一度弾き、体勢を立て直した。

抱えていたマダラを扉間に預け、再び仙人モードとなるとモモシキへと接近。モモシキは無駄な事を、と溢しながら両手を再度掲げ、柱間を迎え撃つ。片腕となっても、最強の名は伊達ではなく両腕であった同様、モモシキに優勢を取れる程。

 

その時、里の中心で暴れていた獣が突如強大な方向を上げた。

モモシキは柱間をひと蹴りし、獣の方へと視線を向ける。白眼を発動し、行きつく視線の先にニヤリと口元を上げた。

「カグヤ様…!」

「カグヤ?」

柱間達も目を凝らし、獣に視線を向ける。視線の先には、獣が静かに佇んでおり視線は地面へと見下ろしている。地面には、白髪の女性とその彼女に肩を借りている状態の男性が居た。

襖間とカガミであった。

「あぁ、やっとカグヤ様が降臨なされた!!我らが祖、カグヤ様!」

モモシキは歓喜に沸き上がり襖間達へと近づく。だが、…獣は襖間太刀を一目見た瞬間に一度、暴れ回るとしばらくして段々と落ち着き始め、無数の目玉は一つ、また一つと閉じていった。最後の一つが閉じると同時に、地面の底から幾多の鎖が獣に向け縛りつけ地面の中へ、引きずり込んでいく。

「ど、どういうことだ!?カグヤ様、カグヤ様ぁあ!」

モモシキの叫びに対し、襖間は何も反応をしない。

尾の最後が飲まれようとした…が、尾の一本はまるで自我を持ったかのように襖間を貫こうとする、咄嗟にカガミが前に出るが勢いが弱まる事なくそのまま襖間もろ共貫いた。

 

 

「…ゴブッ……襖間さ、ん」

「カガミくん、もういいよ。もう、いいの」

「襖間さん、……印が、弱まって…がふ、ゴホ…」

二人の腹部から尋常ではない程の血液が流れ落ちる、視界はかすみ血の気が引き力も思うように出せないだろう。

このまま、死を待つのみ…そんな状況であった。

二人の前に立つ獣は、鎖の縛りが弱まっているのか…尾を使い這いあがり頭が地面から顔を出すと、無数の目が二人を捉えた。それでも完全に全身を引き上げる事が困難のようで、時折咆哮を何度も上げている。

「何としてでも、…こいつを」

「…カガミくん、印を教えて。今の身体なら、どんな術でも結べる…」

「一緒に、やり、…ましょう。あなた、一人には…させません」

残る力を全て振り絞り、互いの手が重なる。

「お前は、俺の目を見とけ…。『アメノサギリノカミ』、迷え、延々と」

ぐるり、と回転する写輪眼をその目に捉えてしまった獣はまた、静かになった。

 

「させぬ、なんとしてでも、…この世に大筒木の栄光を!!!」

異変に気付いたモモシキがすぐさま駆けつけ、二人の印を阻害しようとする。モモシキは輪廻眼の力を用いようとするが、後を追うように駆けつけて来たマダラの突進で、モモシキは吹き飛ばされる。

「野暮ったい事するんじゃねぇ…ぐぶっ!」

そんなマダラの胴体に長剣が貫いた。長剣の持ち主、イングリッドがマダラに止めを刺さんとした…だが、マダラはイングリッドを睨み、写輪眼を発動させようとした。

「…貴様、剣で貫いてもまだ!?己、こんな場でなければ貴様を讃えていたぞ…!」

その悲痛な声と共に、そのままイングリッドは剣をマダラから引き抜き、一太刀入れる。

肩ごと一刀両断されたマダラは、写輪眼が発動する前にその場にて絶命。すぐさま、イングリッドは剣を構え、印を結ぶ襖間達に向かい振り降ろす。立て続けに襖間たちの邪魔をさせんと、扉間が前へ出るとクナイで受け止める…だが衝撃に耐えきれず、切り捨てられた。

「ふ…す、ま」

その最期との言葉と共に、扉間は一つ、襖間たちに微笑みを向けながら息を引き取った。

二人の犠牲と共に、印を結び終えた二人は…口を開いた。

 

『外道法 屍鬼封尽』

 

カガミは言い終えると同時に地面へと倒れ一足早く出血多量の末に、息を引き取った。二人の背後に白装束を纏った般若のような恐ろしい形相を持ったモノが現れる、口元には匕首(あいくち)を加え二つの空洞は深淵を表していた。

般若の腕が獣へと伸びる。般若は這い上がった部分を引き千切り残された半身は物言わず、地面へと飲まれていった。引き千切り終えた半身を匕首で更に引き裂き、その口へと次々と運ばれ腹へと収まっていく。

獣の半身で腹に満たし、最後に…般若の手が物言わぬ襖間へと迫る。

その時、…不運にもカグヤは襖間の魂亡き今身体を乗っ取り、意識を浮上させてしまった。

目の前に般若の手が迫るというのに。

「おのれ、あの小娘…ぬ?離せ、貴様…!やめろぉ!!!」

襖間の身体に宿りしカグヤは、ようやく表に立てるが…すでに般若の手は身体を掴み、暴れるカグヤを物ともせずに口へと運び、腹へと納めた。般若は二体の存在を腹に収めると、代償をすべて満たしたらしく、消えていく。

…その異様で恐ろしい光景に、モモシキとイングリッドは恐怖の顔を浮かべていた。

「…もはや、カグヤ亡き今何も出来ん。引くぞ、モモシキ」

「嘘、だ。カグヤ様…カグヤ、さま」

「クソ、壊れたか」

イングリッドは何度もうわ言を呟くモモシキに向かい腹に拳を叩き込むと、担ぎ上げその場を離れようとする。

「待て!」

時すでに遅し、柱間が駆け付ける頃にはイングリッドは剣で空間を切り裂きその隙間へと踏み入れてしまった後だった。

残されたのは、カガミたちの死体だけであった。

柱間は三人の死体を眺めながら、一人…無言のまま唇をかみしめ涙を流す…。零れ落ちた涙は地面へと吸い込まれるように消え、その跡を残すのみ。

 

 

かくして、木の葉の里襲撃事件は多くの犠牲を出し、幕を閉じる事と成る。

襲撃後の夜明けは、木の葉の里の生き残った住人たちにとっては清々しく憎たらしげな青空であった…。

 

 

 




ようやく最期をかけて満足した
このあとはポツポツ話を書く次第です

エロい話とか書いてないし、チキンレースやりたいし
とりあえず本編完結タグ入れます、はい

なんか呆気ないけど、意外と呆気ない最期は存在すると思うんや


そんなこんなで
見切り発車なこの対魔忍NARUTOをお読み下さり、ありがとうございます
ラストは書きましたが、先も言った通り話自体は思いつき次第上げていくかと。短いのか長いのかはわかりませぬが、本当に重ねありがとうございます




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穢土転生とカグヤ復活

エピローグ後の話はちょいちょい入れていこうかと

カグヤの扱いが悪いですが、別にラスボスとしての立場は無いと思ってる。あくまで対魔忍が基礎だしね

きわどい描写アリですが、ギリタグの範囲内…これでアウトであれば笑ってやってください


 

かつて、隠れ里の中で最強格とも言えた里が…一夜にして壊滅まで追い込まれた。

その日から、その里は復興をし続けながら細々と長らえており今では、古い歴史を持つ里の一つと成った。また、迫害等の理由によって魔界からこちらに流れ着いた魔族たちが、ひっそりと生活する安らぎの里としても有名とも。

対魔忍育成機関である五車学園の前身とも言える対魔忍アカデミーが健在しており、そこの卒業生である対魔忍たちは、高い実力を持っていた。しかし、全盛期に比べ今では対魔忍は少なく今年も、数十人がやっとであった。

 

木の葉の里には忍術・忍法の父と言われる対魔忍が居たとされる。

千住扉間は、多くの忍法や忍術を生み出した故に禁術指定も多く生み出されていた。その中でも、穢土転生と呼ばれる忍法が存在する。

平たく言えば、ゾンビを生み出す技法。しかし、死体が意思を持って動き生前の能力も復活するとんでもないものだった。この穢土転生、死体を活用した技法とされ倫理的にもアウトだが、目を瞑っていれば有用な代物。死体爆弾をはじめ、兵隊の代わりで特攻、妨害にも使え、意思を掌握さえすれば情報を聞き出す事も可能であった。

この術に必要なのは、DNAとそのコントロール性。穢土転生は自我を持つ代わりに段階的ではあるが生前の能力が使えるようになる。掌握が弱ければ生前と近い形で能力が上がり、逆に強すぎると使えるだけに留まってしまう。最大の欠点はこの忍法は口寄せに値する、その為口寄せの解除方法を死者が知っていた場合それは大きなデメリットと成った。

そんな穢土転生は、上記の事もあり禁術…門外不出の忍法と成った。ただ、巻物自体は残されているため、それを理解すれば使えることになる。

そう、現状のように…。

 

 

目の前に佇む白き女の鬼。額から延びる日本の角、そのうち一本は半ばで折れており額の空洞は、吸い込まれそうになるほど…黒ずんでいる。顔立ちはやや幼く、目も釣り目でかつて魔王の卑劣と呼ばれた対魔忍、千住扉間の面影が残っている女性だった。

女性は両目を細め、目の前に居る忍びをじろりと目を配らせ一つ息を零し…こう呟いた。

「…あの死神から解き放つとは、そなたは何者ぞ?」

「相州大蛇丸よ。どうやら、お目当ての人は呼べなかったようね…まぁ、いいわ」

「ワラワを縛るか…養分の分際で、腹立たしいことこの上ない」

「魂が余分ね、身体はとても上等なのが救いだわ」

そう言いながら、大蛇丸と呼ばれる忍びは印を結び女性に触れる。瞬間、地面へと力なく倒れる女性であったが、目を見開き大蛇丸へと腕を伸ばし始めた。

「…へぇ、意外ね。あの千住襖間医師が術の抵抗が出来るなんて」

「……あぁ、この身体の名前か。ワラワはそんな名前ではない大筒木カグヤじゃ、不敬であるぞ蛇」

「大筒木、カグヤ。君麻呂の始祖ね、私ったらとんでもない代物を発掘しちゃったようね、困ったわ」

そんな大蛇丸、言葉とは裏腹に一切困った様子を見せていない。余裕綽々な態度で、カグヤと対峙する大蛇丸をカグヤは、興味深そうに見つめていた。カグヤは本来、木の葉襲撃の際に身体の持ち主である襖間とカガミによって屍鬼封尽と言う、命を贄に封印した筈であった。

だが、その屍鬼封尽が大蛇丸によってストック一つで解除され穢土転生によって甦ってしまう。大蛇丸は、魔界医師である千住襖間を呼ぶつもりであったが、とんだ誤差によって彼女が現れたに至る。

そんな大蛇丸はカグヤの能力に惹かれているのも、また事実であった。

「カグヤ、あなたのその身体…完全ではないわね」

「あぁ、そうじゃ。あの忌々しい小娘に、輪廻写輪眼を抉られ写輪眼の小僧にも能力の大半は封印された。じゃが、お主なぞ一捻り…それ以上口を開くでないわ」

「怖いわねぇ」

そう大蛇丸はクスクスと無邪気に笑い、蛇が獲物を狙うかのようにじっとりと見つめるのであった。

「あなたの悲願、手伝ってあげても良いわ。あなたの力を復活させてあげる…私はこれでも、医者でもあるんだから。ちょっと、特異ではあるけれど」

 

 

「へぇ、これがあの宇宙人の」

あの宇宙人とされる大筒木カグヤの魂を持ったモルモット。そんな代物を、今目の前で大蛇丸ちゃんが丁寧に扱っていた。魔界にも存在しない珍しい代物を良く私に見せる気になったわね、…まぁ腕は私が上だし、仕方ないか。

嫌でも、私に見せる他ないもの…だって大蛇丸ちゃんは、まだまだ半人前なのだから。

「美琴、あんまりべたべたと触らないでちょうだい」

「んーそれにしてもどっかで見たことある顔」

「そりゃあそうよ、あの千住医師の身体ですもの。…ちょっと、メスを入れないで」

へぇ、あの…。フュルスト先生の秘蔵っ子である千住医師の身体かぁ。今では大筒木カグヤの理想の身体に成っているらしい、忍法等仕えなかった身体が一夜にして使えるようになるなんて…面白いじゃない。

解剖もしたくなるってものなのに…大蛇丸ちゃんったら勿体ぶっちゃって、酷いわ。

でも、あの子が手放したら思う通りにして良いってこと…滾って来るわぁ。フフ、生前もお会いしかたかったわ…でも、この人は魔界医師としては小物の類なのよねぇ。治療の為だけに使う、…確か不老不死を実現できたんだっけ。

魔界じゃあ、不老不死の技法なんて珍しくもないのに…人間界の認知なんて、そんなものだったわね。

あぁ、愉しみ…。

「いけるかしら?」

「お茶の子さいさいよ。何だったら、最恐にさえ出来る…ウフフ、どんなふうにしちゃおっかなぁ。

あぁ、たしか写輪眼による封印もあったわね。私まだ、実物を持っていないのよね…ねぇ、大蛇丸ちゃん一つくらい融通しても良くない?」

「いやよ」

「ケチ」

 

 

何処を解剖しても、私の好奇心を満たしてくれるようなモノばかり。

まず、輪廻眼…あらゆる事象を操り覆せることのできる代物だし、彼女の体自体の能力、天変地異や宇宙誕生、もはやこの身体一つで破壊・創造・維持を担えるのだから。神と言う名に相応しい…こんなモルモット、初めて見る。

ただ…。

「おのれ、大蛇丸めぇ…こんな屈辱はじめてじゃ!」

魂は、いらないのよねぇ。邪魔ね、どうしちゃおっか…適当な身体に入れて、実験モルモットたちの餌にしちゃおうかしら。でも、精神が身体とリンクしているから能力はどっちかが欠けていたら、使えないって感じ。

面倒ねぇ…適当に改造して、従順なペットにしちゃった方が良いわね。

「ぐ、小娘…いい加減に、ギャッ!!?」

「うっさいわね」

そう溢しながら、カグヤの女の部分へ手の伸ばし…蹂躙する。つんざくようなカグヤの悲鳴が、オペ室に響き渡る。おかげで、甲高い音が部屋中に反響して嫌でも耳に入ってうっとおしい。

「きさ、まぁ…!ぎ、っひぃいい…あぐ、ひぃ…がぁああああああ!!?」

「さぁて、さっさと済ませちゃいましょ。光栄に思いなさい、あなたを『元通り』にしてあげるんだから…ね」

「止めろ、止め…ぇひ、ンひ…お、…おぉおお!」

んー、そう言えば魔界でもクローンみたいな技術も流行りだしたんだっけ。この身体一つじゃあ、何かあった時に備えが効かないわ。この身体そっくりのコピーを何体か、予備として置かないと。

やる事いっぱいあって、私…すっごく楽しいわぁ。

 

 




これだけ書いてもまだ2000文字…まだまだ遠い

美琴が強キャラというか、クセ強すぎンゴ
マッドよりマッド、サイコくらいしか張り合わねぇでござる

とりあえず、スピンオフみたいな形でブラック転生始めるかも


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スピンオフてきな何か
それいけ、ブラックさーん!


今回はエドウィン·ブラック転生

キャラ崩壊だし、死語と言うかノリが古い話
なんか、ブラックに転生した話ないよね?いや、探せばあるかも知れないけど

若干、ifっぽい世界線


 

みんなー!俺、歌のお兄さんしていたんだけど収録中に、隣のスタジオでゴリラとマッドサイエンティストが実験失敗しやがって、こっちも飛び火して大参事になっちゃった!ふざけんな、くそファッキン共…おかげで、俺ってば気が付いたらとんでもないイケメンに成っちゃったんだよね。

すっごーく見た事がある顔、具体的には成人向けゲームでラスボス張った吸血鬼…みたいな感じ。

なんかエロいぴっちりスーツ着て、色々と悲惨な目に遭うくの一が題材の作品。

そうだね、対魔忍だね!!俺ってば、死亡フラグビンビンだよ…成人向けゲームだけにね。

 

改めて、俺ってばエドウィン・ブラックに成りました。

……いやだぁあああ!!!なんでお前なんだよ、どう見ても面倒な配役じゃぁん…しかもぉ、超絶構ってちゃんとかなさすぎぃい。

「チョベリバなんですけど」

「やだ、ブラックってば死語よソレ。今じゃあ、ぴえんが流行っているわ!」

「ぴえん」

「そうそう、ぴえん」

そう言って、ノリの良い感じで俺を立ててくれるめちゃくそナイスバディな踊り子ちゃん。彼女の名はナディア、俺ことブラックの友達であり恋愛アドバイザーと心強い相談役であった…。

「ナディえもーん、楓さんが全然振り向いてくれないよぉ…。

俺ってば、七か国以上喋れて、エスコートも完璧になって生まれは貴族と言うお金持ち。とりま高学歴と言う肩書が欲しかったからハーバードとマサチューセッツとかの名門受けて、博士号も取ったのに…全然脈略ないよぉおお!!

やっぱり、魔族じゃダメなのかなぁ…」

俺は今、最大の危機に直面していた。

 

…人間、心願寺楓さんと言う人に恋をしてしまったのだ。

 

彼女と会ったのは、ひとえに裏社会でのこと…彼女は対魔忍であり、俺は通りすがりの一魔族であった。たしかに、俺はノマドと言う企業を設立、人間とも共同で色々な事業に手を付けていた。

だが、俺自身は人間に危害加える考えは毛頭ない。

ぶっちゃけた話、前世の影響で俺は…歌のお兄さんをしたかった。だが如何せん、時代はまだ魔族については敵と言う認識、その夢は絶え…自身の慰めとして俺は企業を起こしたに過ぎない。

ついでとばかりに、ゲームとか色々趣味に没頭するつもりであった。

未だ、魔族が表立ってできない以上…裏社会で活動する他なかった。だが、俺の会社はむしろ人間側にとっては、無くてはならない存在。色々と世界の手の届き辛いとことか、率先してやりまくってる。戦争には手を貸さず、貧困とかそっちの方面だから安心してほしい。

いや…今それはどうでもいい。

俺の最大の問題は、どうやって…楓さんを振り向かせるかだ。

「そんな事ないわ。今の時代そんな固定概念は古い考え、魔界を出た魔族の一部は人間界で、人間と結婚した事例が着々と増えているわ。

楓さんはきっと、あなたの経歴が凄すぎて引いているだけ…。性格までは見れていないの、今はちゃんと話し合える距離まで詰める事が大事…大丈夫、ブラックならいけるわ!!」

「ナ、ナディえもーん!!俺頑張るよぉおお!」

そうだ、今は魔族も表だって少しずつ明るみに出ている。良い魔族だっている、悪いだけが魔族って訳じゃないのだ…。そうか、俺の経歴が化けもんじみているからか…確かに言われてみれば、どん引く経歴だわ。

 

 

あれから、ナディアの言う通り…あまり騒がずかと言って臆することなく彼女に話しかけ続けた結果…、ようやく知り合い認定にされました!だが、これでは下手すればストーカー認定されかねない。

俺こと魔族の存在自体あちらでは多くが害獣認定なのだから今は、耐える…チャンスが出来るまで知り合いから友人へとジョブチェンジする機会を待つ。

 

俺は諦めません、楓さん!!!

 

 

しかし、俺が思っている対魔忍って…なんかこう、ちょっと頭が弱いイメージなんだよな。

こんな、頭キレッキレだっけ?

しかも、なんかNARUTOでみたことがあるような苗字とかいっぱいあるんだが…まさか、ね。うちはやら千住…それにはたけ、どっちも知っているんだけど…NARUTOとクロスオーバーしているんじゃ…ないよね。

 

ないよね?

 

 




ブラックは楓とくっつくのか?
くっつかないと紅とフェリシアが生まれないので頑張れ

弾正のネタもあったりする、アリーナの世界線だけど


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