GATE 魔弾の王と自衛隊。かの地においてかく戦えり。 (caose)
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門が開いた。

 新しく始まります。まあ・・・見切り発車だけど。


 西暦2020年

 何時も賑わうここ銀座においてある異変が起きた。

 「おい、何だあれ?」

 一人の男性がそう言って指さすとそこにあったのは・・・巨大な門。

 そしてその扉が・・・開かれた。

 「おい、何が起きてんだ?」

 「映画か何か?」

 人々は何が何なのやら分からなかったようであるがとある人間の一言で・・・

全てが変わった。

 『ここに!ブリューヌ王国国王《ファーロン=ソレイユ=ルイ=ブランヴィル=ド=シャルル》の名においてこの土地を・・・占領する!!』

 その言葉と同時に雨あられと言った矢が・・・降ってきた。

 「キャアアアアアアアア!!」

 「ギャアアアアア!!」

 それに当たった者たちはあまりの痛さに喚くがそれでもまだマシであろう。

 その間に鎧をまとった騎士たちが現れ・・・蹂躙した。

 「ヒギャ!」

 「グわあ!!」

 「ぐぺ!?」

 あっという間に銀座は・・・地獄と化した。

 

 

 

 

 

 一方・・・こちらでは。

 

 

 

 

 

 

 「何かあったのかねえ?」

 少し遠くの場所で伊丹 耀司がパンフレットを読んでいた。

 それは・・・・。

 「先ずは即売会っと・・・お、これ必ず手に入れなきゃな。」

 そう、こいつ・・・オタクだったな。

 何やってんだよと思いながら行こうとすると何やら声が聞こえた。

 「おい!向こうで剣を持った連中が殺されてるって話だぞ!」

 「今警察が向かってるって!?」

 「・・・おいおい、何なんだ?」

 そう思いながら伊丹はそこに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 「何だあいつらは?」

 伊丹は裏路地を通って銀座に入った。

 まるで中世ヨーロッパの騎士のような出で立ちをしていたからだ。

 そしてもう一つ・・・見てしまったものがあった。

 「!!・・・くそが?!」

 そう言いながら裸にされた・・・人間の・・・死体の山を見てしまった。

 如何やら殺して何かを奪っていたのであろう。

 すると隣から何やら声が聞こえたので隠れてみるとそこにいたのは・・・。

 「・・・・・!!」

 「!!・・・・・・・!?」

 「仲間割れか?」

 そう思いながら伊丹はああもうと思いながらその人間に向かってこう言った。

 「おおい!こっちだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分前。

 「・・・これが戦なのか?」

 青年ティグルは馬上の上でそう言っていた。

 周りにいたのはどう見ても民間人。

 自分たちは未だ兵士と戦っていない。

 もしかしてと思いながらティグルは辺りを見渡していると・・・子供の声が

聞こえた。

 「?」

 ティグルは何だと思って近くにある店に入った。

 「ここは・・・食べ物か?」

 食堂の様に思える店の中はモダンな感じがした店であった。

 そしてそこから厨房らしきところに入った。

 「台所・・・綺麗な所だな。」

 そう言いながらティグルは見回って・・・その子を見つけた。

 黒髪の女の子であった。

 『大丈夫か?』

 ティグルがそう聞くと少女は驚いてびくつくとティグルは少女の頭を撫でて

こう言った。

 『大丈夫だ。』

 そう言いながら少女をおぶって店に出るとそこにいたのは・・・。

 『ほう、こんな所にまだいたのか?』

 『ザイアン…!!』

 ティグルは苦虫を嚙み潰したようにそう言うとザイアンはこう言った。

 『そいつを寄こせ。良い手土産になる。』

 そう言うとティグルはこう言った。

 『断る。この子は民間人だ。俺達の敵じゃない』

 そう言うがザイアンはこう続けた。

 『はあ!?そいつは敵の国の人間だぞ!!ああ・・・お前剣も槍も持てず、

矢しか使えないからって子供も殺せないとはな。』

 ハハハハハとあざ笑うかのように笑うザイアンを見てティグルは・・・

取り合えず逃げた。

 『あ、待て!』

 ザイアンは取り巻き達に負わせた。

 ティグルは声を聴いて無理かと思っていると隣から声が聞こえた。

 「おおい!こっちだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 「良し!こっち向いたな!!」

 伊丹はそう言いながらティグルをこっちに向かわせた。

 「それにしてもあいつらの仲間・・・なのか?」

 伊丹は疑いながらもその格好を見た。

 全身が革製品で出来た服で敵なのかどうかと思っていたが子供を

守っているかのような状況であったので取り合えず信じようと思った。

 『おい!いたぞ!!』

 「!!こっちだ!!」

 銀座の裏路地は複雑で迷路のようである。

 伊丹がどうやってこれたのかと言うと・・・。

 『ここ・・・違うか!』

 取り巻きの一人が遠ざかっていくがそここそ伊丹が入り込んだ場所である。

 

 

 

 

 

 

 

 『ここは一体?』

 ティグルはそう言いながら中を見ていた。

 そこはとにかく・・・臭かった。

 「連中も下水までは来ねえよな。」

 そう、今伊丹達がいるのは下水道の中なのだ。

 伊丹はははははと思いながら二人を連れて下水道の出口に向かった。

 

 

 

 

 

 

 「ここももうあぶねえか。」

 伊丹は下水道から出て周りを見てそう言った。

 警察隊が銃火器を持って配備していたのだ。

 恐らくはここで防衛に回るのであろうと思っている中ティグルはある城を見た。

 『ワアア・・・大きな堀だなあ。』

 そう言いながらティグルはその場所・・・『皇居』を見ていた。

 伊丹はその視線を見て・・・こう思いついた。

 「おい!これ借りるぞ!」 

 「ちょっと!アンタ一体何なんだ!?」

 警官の一人が無線機を横からかっぱらうのを見てそう言うと伊丹は

こう紹介した。

 「自分は!陸上自衛隊関東方面所属『伊丹 耀司』二等陸尉だ!!」

 敬礼してそう言うと警官の一人が驚いて敬礼すると伊丹はこう聞いた。

 「おい!責任者いるか!?提案がある!!」

 「一体何を!?」

 警官の一人がそう聞くと伊丹はこう言った。

 「皇居に開門の許可を願いたい!!」




 宜しくお願いします。


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未知なる戦い。

 やっとアーマードコアが出せる。


 「はあ!?皇居を市民の避難所にするだああ!!」

 警官の恐らくトップが驚愕している中で伊丹はこう続けた。

 「そ。ここって周りは池に囲まれているから防衛に適しているからな。」

 伊丹がへらっと笑ってそう言うが警官のトップはこう続けた。 

 「阿保か!ここは宮内庁の管轄で入るにはそこからの許可が」

 「馬鹿言うんじゃねえ!今は市民の避難が最優先だろうが!!」

 「だが陛下が何言われるか」

 そういう中通信が入った。

 「はいこちら銀座方面!!ええ、今自衛隊の伊丹という男がですね・・・・

はい・・・えええええ!!」

 何やら驚いている中皇居の門が・・・開いた。

 すると皇宮警察らしき人達が現れてこう言った。

 「早く入って!」

 「陛下から許可を貰えた!早くこちらへ!!」

 そう言うと慌ただしく人々が殺到する中伊丹は無線機をまた借りてこう言った。

 「すぐに自衛隊に通信を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 『あそこだ!!』

 『連中はあの城らしきところだ!!』

 ブリューヌ王国軍は皇居を取り囲んで攻撃しているが城の内部では・・・。

 「ああ、もう!キリがねえ!!」

 「催涙弾がもうあと僅かだぞ!」

 「トレーラーにある実弾だってどれくらい持てるか分からねえぞ!!」

 警察の実働部隊がそう言いながら乱射していた。

 催涙弾に当たった兵士がよろめきながら橋の下に落ちてそのまま

ど座衛門になっている者たちがいたがそれでも数が多いのだ。

 「くそ!どんだけいるんだよ!!」

 伊丹は悪態付けながらも拳銃で応戦しティグル自身も矢を使っているが・・・。

 『!!・・・矢が』

 矢が尽きたことがどうするばいいかと思っているとある事に気づいた。

 『(そう言えばあの人たちの武器って)』

 そう思いながらティグルは周りにある薬莢を拾って見ていた。

 『(一体どうなってるんだ?)』

 ティグルは何だろうなと思っているとある一団が何かしているのを見かけた。

 「おい!こっちの銃はもう安全装置解除しているよな!?」

 「ここいら全部がそうだ!皇宮警察の武器庫からありったけ用意したんだ!」

 そう言いながら警察隊は武器を取って立ち向かっていた。

 するとティグルはその中の一丁を手に取って見た。

 『(凄いな、ここまでの装飾なのに軽い。)』

 そしてティグルはもう一度最前線を見た。

 「このままじゃじり貧だぞ!!」

 「耐えろ!自衛隊が来るまでもう少しだ!!」

 警官隊はそう言いながら対応しているのを見てティグルはそれを持って

城の塀の上に着いた。

 そしてスコープを除くと・・・。

 『(凄い!遠くの敵迄よく見える!!)』

 ティグルはそれを手に取って驚きながらも先ほどのを思い出していた。

 『(ええと確か・・・ここに指を入れて。)』

 トリガーに指を添え。

 『(そして・・・弾く)』

 弾を放つと・・・・。

 

 

 

 

 

 『エ・・・』

 「「「「「・・・・・え?・・・・・」」」」」

 あまりの事に警官隊も一瞬であるが呆けてしまった。

 何せあの遠い敵の鎧の間にある隙間に見事命中したのだ。

 『うわああ・・・手が痺れるなあ。』

 ティグルは初めての銃の威力にあいててと思いながらもこう思っていた。

 『(こいつが一大貴族分あったら戦の常識ががらりと変わりそうだな。)』

 ティグルは銃を見てそう思っていた。

 現にかの有名な『織田信長』も『武田信玄』の騎馬隊相手に銃と地形を駆使して殲滅できたほどなのだから。

 すると伊丹がそれを見てこう言った。

 「・・・あいつは『シモ・ヘイヘ』かよ。」

 そう言うと警察隊全員うんうんと頷いていた。

 「馬鹿野郎!さっさと撃ちまくれ!!」

 「「「「は・・・ハイ!!」」」」

 警察隊のトップの言葉に全員が意識を取り戻して再会した。

 そして・・・何か羽音が聞こえた。

 『?』

 「来たカ!!」

 ティグルは聞いたことがない音に何だろうと思っていると伊丹はその音に希望が持てた。

 そして・・・。

 ダラララララララララッララ!!

 ズドン!!

 ・・・・ドカーン!!!

 途轍もない衝撃と爆音と銃声が戦場に響き渡った。

 『ドわああ!!』

 ティグルは初めて体験するその衝撃音に驚き塀から落ちそうになるも耐えて

何だと思いながら見てみるとその目に映っていたのは・・・。

 『・・・竜?』

 鋼鉄の馬車。

 動く鋼鉄の箱。

 鋼鉄の鳥。

 それらが火を放ち、兵士や騎士たちを飲み込ませた。

 そしてもう一つ奇妙なものが見えた。

 『・・・巨人』

 ティグルはそれを見てそう言った。

 箱のような物で覆った顔。

 角ばった体。

 平べったい足。

 そして何よりも目を引くのがそれが持っている巨大な・・・武器。 

 幾つもの銃が一つになった様なその形状を見て何だと思っていると

それが回転して・・・放たれた。

 ドガがガガガガガガアガッガアガガ!!

 その途轍もない音に耳をふさいでもう一度目を見開くと

そこに映っていたのは・・・。

 『ウグウ!?』

 吐き気もするような光景であった。

 騎士たちは馬事ひき肉にされ、見る影もなかった。

 そして騎士たちはそれを見て逃げようとすると分からないが声が聞こえた。

 《手前ら逃げんじゃねえ!!》

 すると肩に搭載されていた何かが放たれ騎士たちの頭上で爆発して・・・

吹き飛んだ。

 体が吹き飛びその光景はまさに・・・

 『あれは・・・悪魔なのか…!?』

 ティグルはそう言いながらも何故か目を背けられなかった。

 その光景はまさに・・・人知の及ばない光景だったからだ。

 すると警官隊のトップが全員に向けてこう言った。

 「良し!電磁警棒を取れ!」

 「「「「「ォォォォォォォォ!!」」」」」

 そう言うと全員が盾と光る警棒を持ってトップはこう言った。

 「突撃!!」

 「「「「「ウォォォォおおおおおお!!!!!」」」」」

 戦闘は激しさを増し騎士たちの何人かがやっと戦えると思ったのか

剣を警棒向かって当てると・・・・。

 『ぷおぎゃ!?』

 痺れてそのまま落ちてしまった。

 全員は一体なぜだと思っているがそんなの警官隊には関係ないという風に

攻撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この戦いは後に『銀座攻防戦』と呼ばれ日本側の犠牲は民間人だけで

410名の犠牲を出し対するブリューヌ王国側は死者1万5千人、捕虜100人、

その内の殆どは重傷者及びPTSDに罹った。

 

 

 

 

 

 そしてこの日から門の向こう側の戦いが始まったと後年の

日本及びブリューヌ王国の歴史家は語る。




 今回出てきたのは『UCR-10』です。
 武器

    肩部ミサイルポッド
    ガトリングガン
    コンバットナイフ


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いざ、異世界へ。

 進まぬば死ぬ。


 あれから1週間。

 

 「これに伴い『伊丹 耀司』三等陸尉は二等陸尉に昇格するものとす!」

 防衛大臣からの勅命と感謝状を・・・内心嫌な顔をして貰うが

これには理由がある。

 「(これで・・・休暇がパアダ!!)」

 泣くのを必死で堪えながらそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 自衛隊関東方面駐留所

 

 

 

 

 

 

 

 「良し!今日はここまでだ!!」

 「ア,アリガトウゴザイマス!」

 嘗ては敵国の兵士でもあるティグルは・・・何故かここで訓練させられている。

 理由は2つ。

 ①ブリューヌ王国語を獲得するために一番精神的にまともな奴が彼だから。

 ②戦闘に対する恩赦で条件付き釈放。

 これである。

 因みに未だ未成年であるため保護した伊丹が保護観察者になった。

 それも相まって当面の間自衛隊で保護しているのだがティグルは最初こそ

まともに喋れなかった日本語が話せれるように自衛隊の人達の協力も相まって

カタコトであるがまあ、取敢えず喋れるようになった。

 

 

 

 

 

 

 『・・・プふぁああ。』

 ティグルは水道から水を飲んで渇きを潤っていた。

 ティグルは一人だけの時はブリューヌ王国語、人がいるときは日本語と

使い分けている。

 『・・・バートラン達とマスハス公は大丈夫だっただろうか?』

 ティグルはそう言いながら門の向こうにある故郷の仲間や自身に

親身になってくれている恩人を思っていた。

 『ああ、ティッタもどうしてるかなあ。』

 そう思いながらも幼馴染の事も思い出している中こう考えていた。

 『(もし向こうに戻れたら皆に何かお土産買って行こうかな。)』

 そう考えながら・・・お土産の内容を考えていた。

 『(バートランには最近疲れが取れないって言うからツボ押しのマッサージ器でティッタには調味料と調理器具1式、マスハス公にはお酒でもやるか。)』

 後他にはと思っていると後ろで・・・声が聞こえた。

 「よっす。」

 「ウワ(*´Д`*)!!」

 あまりの事に驚愕したティグルこう言った。

 「ナ、ナンデスカイッタイ!?」

 そう言うと後ろの男性がこう言った。

 「いやあ、悪いっすね。昼でも一緒にどうやと思ったんだけど。」

 そう言うとティグルはこう聞いた。

 「アナタハイッタイ」

 「ああ、初めまして。『倉田 武雄』。三等陸曹で北海道から

派遣されました!」

 

 

 

 

 

 

 「へえ・・・あの門の向こうにねえ。」

 「ハイ」

 「それにしても大変っすねえ。上の命令で仕方なく兵として派遣されて今じゃあここなんすから。」

 「エエ・・・マア」

 ティグルと倉田はお互い食事している中でこう言った。

 「そういやあ噂っすけどここにいる連中って半分近くが地方から

来てるんすよ。」

 「エ?」

 「それに何でもこの間実戦投入された新型機のパイロットの選考も

兼ねているらしくてここにいるのは車両課とかからも来てるから

凄そうっすねええ。」

 「ああ、俺も早くあのロボット操縦してえ!!」

 「ロボット?」

 ティグルは聞きなれない言葉を聞いて何だと思っていると倉田はこう返した。

 「あの大型の人型兵器っすよ!ロマンの塊ともいえるあれを操縦できるのって

夢のようっすよ!!」

 倉田はくねくねしながらそう言うがティグルはもしかしたらと思った。

 『(もしかしてあの巨人か?・・・あれが兵器、つまり人の手で

作られた奴だとしたら・・・ブリューヌ王国は最悪火の海間違いなしだ!!)』

 最悪な未来を予感してティグルは顔を青くしていた。

 「あれ?大丈夫っすか?」

 倉田がそう聞くとティグルは少し顔を青くしてこう返した。

 「ハハハハハ・・・ダイジョウブダヨ」

 「いや!大丈夫じゃないでしょ!?」

 倉田は流石にティグルを心配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 「ア、オカエリナサイ。」

 「よう、ティグル。」

 表彰式が終わり晩餐会の後に帰った伊丹はティグルにそう言うとこう続けた。

 「それとティグル。これ」

 「?」

 ティグルは何だろうと思って袋を開けるとそこにあったのは・・・。

 「コレハ?」

 「門の調査部隊用の自衛隊用の迷彩服だって。俺にも渡されたよ。」

 すると伊丹はティグルに向けてこう言った。

 「2か月後から俺達は門の向こうに向かう。お前も準備しておいて寝てろよ。

訓練で忙しくなるからな。」

 「ア、ハイ!」

 少し嬉しがるような表情でティグルは床に就いた。

 そして伊丹はそれを見た後でこう呟いた。

 「はああ・・・冬の同人誌即売会・・・有給休暇取れるかなあ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして2か月後。

 

 

 

 

 

 

 

 「今日あなた方が向かうのは戦場です!!」

 そういうのは日本国首相『津田 矢沙彦』がそう言った。

 「諸君らの任務は重大で危険も大きいでしょう。」

 「ですが、私は貴方方がこの国に無事帰ってくれることを願っています。」

 「どうか、ご武運を」

 「「「「「はい!!!!!」」」」」

 首相の言葉に全員が返事した後にもう一人が演説の壇上に着いた。

 「私が今回の任務の現場最高責任者である『狭間 浩一郎』である!!」

 「既に1か月前から部隊が現地で調査しているが未だ分からないこと

だらけだ!」

 「もしかしたらその場で戦闘になるかもしれん!!」

 「その心構えを持つようにせよ!!」

 そういう中ティグルと伊丹はある人間を見て気づいた。

 そう・・・二人が助けた女の子が母親であろう手を握りしめながら・・・

慰霊場に立ち尽くしていた。

 恐らくまだ分かってないのであろう。

 ・・・肉親の死を。

 それを見た二人はヘルメットを深く被り直した。

 「まもなく突入するため総員実弾籠め!!」

 狭間の言葉を聞いて全員実弾を機関銃に装填させた。

 そして全員がトラックや装甲車そして・・・人型機動兵器に乗り込んだ。

 「突入!!」

 前面にいる戦車ともう一つ新たに作られた機動兵器である戦車型

『デスペラード』が少数ながら配備されその左右に量産され始めた『UCR-10』があった。

 その後ろに伊丹とティグル達がいるトラックがあった。

 そして彼らは進んだ。

 支援などない戦場。

 ・・・異世界へ。




 逃げれば心を失うと思え。


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出会いは突然に。

 人の出会いは何時だって突然だ。


 それから3日後。

 「え、調査ですか?」

 伊丹は配置指示の『檜垣 統』の命令を聞いてそう言うとこう続けた。

 「そうだ、貴様にはお前をトップにした計13名と+1と共にここいら辺の村々の

調査してほしいんだ。」

 「目的は各村にいる人間の経済情報、文化、宗教などを調べ報告することだ。」

 そう言うと伊丹はこう聞いた。

 「あのう、・・・一つ宜しいでしょうか?」

 「何だ?」

 「・・・+1ってまさか」

 「そうだ。ティグルと言ったな。彼も参加させろ。」

 通訳士としてだがなと言うと伊丹はそれを聞いて・・・溜息交じりでこう言った。

 「はああ・・・分かりました。拝命いたします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「敬礼!!」

 壮齢の自衛隊員がそう言うと全員が敬礼した。

 「おやっさん!今回はよろしくお願いします。」

「いえ、こちらこそ!!」

 おやっさんと言われるこの男性は『桑原 惣一朗』という名前である。

 「まさかティグル迄いるとはなあ。」

 「アハハハッハ。」

 ティグルは乾いた笑いをしてそう答えた。

 今のティグルの言語は一般言語くらいなら答えれることぐらいは

出来るようになった。

 「其れと君が・・・」

 伊丹は隣にいる片目が隠れた男性を見ると男性はこう答えた。

 「は!この度第3偵察隊に配属されました『UCR-10』パイロット『菅原 正樹』三等陸尉です!!」

 よろしくお願いしますと伊丹に敬礼した後に伊丹は全員に向けてこう言った。

 「ええと・・・俺が皆の上司になった伊丹だけど・・・まあ・・・

取り合えず頑張りましょ。」

 そう言った後に全員が乗車した。

 

 

 

 

 

 

 

 「そう言えば伊丹さ・・・じゃなかった伊丹隊長」

 「ん?どしたティグル??」

 ティグルが伊丹に対してこう質問した。

 「俺達が行くのってどこらへんなんですか?」

 そう聞くと伊丹は地図を広げてこう言った。

 「お前が作ってくれた地図によれば門はここ『ディナント平原』から

南東22キロの遺跡群だ。」

 「ええ、元々は建国からある大神殿だったと聞きます。」

 ティグルはそう答えると伊丹は更にこう言った。

 「俺らが行くのはここから大体15キロ東にある・・・ここら辺だそうだ。」

 そう言うとティグルは・・・驚くかのように地図を近くで見た。

 「ウォォォォ!!どしたん一体!?」

 伊丹がそう聞くとティグルは・・・嬉しそうな表情でこう言った。

 「ここ!俺の領地の村ですよ!!」

 『『『『『・・・・・ええええええええええええ!!!!!』』』』』

 全員はそれを聞いて・・・驚いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ううう・・・坊ちゃん。』

 『泣くでないバートラン。裏切ったというのは大方デマのはずであろう。』

 ティグル達が向かっている村の道の中である一団がそこで歩いていた。

 彼らこそティグルの領土の兵と自分をよく見ていてくれる

男性マスハス公である。

 彼らはあの戦いで後方に位置付けられていたが逃亡してくる味方によって

踏まれたり怪我したりしてけが人のみが無事な人間に肩を貸しながら

歩いているのだ。

 そんな中でティグルを幼少期から知っているバートランは泣いていたのだ。

 無論裏切ろとかではなくこう思いながら泣いていたのだ。

 『あの時坊ちゃんの言う事聞かずについて行けば。』

 

 

 

 

 

 『バートラン!俺は取敢えず先に行くからマスハス公を頼むぞ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 『バートラン。』

 それを聞いてマスハス公はやるせない気持であった。

 何せ自分にとっても子供の様に目をかけていたので気持ちは

分からないわけでもなかった。

 すると男性の一人が何やら察知してこう言った。

 『おい、何か可笑しくねえか?』

 『?』

 『音が聞こえねえか?』

 『音?』

 バートランはそれを聞いて耳を澄ましていると・・・。

 『本当だ。聞きなれねえ音だ』

 『馬車とは違うな。』

 マスハス公もそう言うと兵に向かってこう言った。

 『皆の者。取り合えず戦えるように準備だけしておけ。』

 『は!』

 マスハス公の指示を受け全員がけが人を後ろに下げ武器を構えて暫くすると・・

 『何だ・・・あれは・・・?」

 マスハス公はそれを見てそう言ってしまった。

 何せ目の前にあるのは馬車というよりも・・・鋼鉄のナニカであった。

 それが馬を使わずに走っているのを見てまさかと思った。

 『まさかあれは門の向こうの!!』

 『『『『『!!!!!』』』』』

 全員はそれを聞いて驚くとバートランが前に出てこう言った。

 『マスハス公!ここはあっしらが!!』

 『然し』

 『なあに、坊ちゃんの敵討ちとまで行きませんが一矢ぐらいは

報いてやります』 

 バートランはそう言いながら剣を構えていた。

 するとそれらが止まると誰かが出てきた。

 『?・・・敵か』

 バートランはそう思っていると・・・聞き知った声が聞こえた。

 『おおおおい!バートラン!!』

 『・・・・!!』

 バートランはそれを聞いて驚いていると相手の人間がヘルメットを取って

姿を晒した。

 『バートラーーン!!』

 『あああ・・・・坊ちゃーーん!!』

 バートランは剣を捨ててティグルに向かって走り出すとティグルはバートランの目の前で止まってこう言った。

 『済まないな。迷惑をかけたか?』

 そう聞くとバートランは泣きながらこう答えた。

 『いえ・・・何のこれしきです!!』

 坊ちゃんと言いながらバートランはうれし涙を流していた。




 次回は再開してから。


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再会もう一つ。

 もう一つの再会です。


 『然し坊ちゃん。よくぞご無事でしたな。』

 『まあ、ここの人達に親切にしてくれたからな。』

 バートランとティグルは・・・自衛隊の車の中で喋っていた。

 けが人がいることを考慮しマスハス公は大丈夫な人間を連れて、ティグル達は

怪我人やバートランのような年寄りの人間を載せて村に向かっているのだ。

 『然しこの自動車?・・・でしたっけ。馬車よりも早いのに静かだから

楽ですなあ。』

 『向こうじゃあこいつよりも早くて大人しいのが一杯あるけどな。』

 ハハハハハと言いながらティグルはある事を聞いた。

 『だけど2か月経ってアルサスに戻ってないってそんなに重傷者が

多かったのか?』

 そんなにいないよなと言うとバートランはこう答えた。

 『何言ってんですか坊ちゃん?未だあの戦いから3週間しか経ってませんよ?』

 バートランは何言ってんですかと言うとティグルは目を点にした後に・・・。

 「伊丹さん!?」

 「どしたの?ティグル!?」

 伊丹がティグルの声を聴いて驚くとそれを聞いて伊丹は天を仰いでこう言った。

 「・・・マジかよ。」

 そう言わざるおえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼食の時間になりそうなのでアルサスから少し遠い村でティグル達は昼食を

摂る事にした。

 この村はティグルの領土に入っており然も目的地であったため丁度良いと

考えたのだ。

 ティグルが初めに出てきた後に伊丹達も加わりながら話をしていた。

 「それじゃあ取り合えず報告だけれど」

 「経済は主に林業と農業。宗教関係だけれどどちらかとこっちの『十字教』に

程近いって事とあそこにある礼拝堂は戦争時には避難場所としてだけではなく

市民にとっての一番安全な非武装エリアらしい。」

 だから攻撃するなよと言うと言いづらそうに・・・こう言った。

 「あとさっきティグルに聞いたんだがどうもこっちと向こうとじゃあ・・・

時間の経過が違うようだ。」

 「「「「「!!!!」」」」」

 全員がそれを聞いてざわざわしていると伊丹はこう続けた。

 「こっちはここに来るのに2か月掛ったのに対してこっちじゃ

未だ3週間って所らしい。」

 「つまりまだ向こうさんが戦えるようになるには時間がかかるそうだ。」

 「戦地から王都までは馬を使ったとして3週間。そこから帰還した兵士の補填と戦力の補充と訓練も考えて連中が来るのは恐らく・・・2か月後、つまりこっちの時間で換算したら大体半年ぐらいはかかると推測されるそうだ。」

 そう言うと伊丹はこう締めくくった。

 「その間に俺達が出来ることは近場にいる村長や小貴族と交流を持って

俺達がどういう存在なのかを知ってもらう必要があるって事だな。」

 そう言うと伊丹は座って食事を始めた。

 暫くするとティグルが村長と一緒に戻ってきた。

 「誰その人?」

 伊丹がそう聞くとティグルはこう答えた。

 「ここの村長さんです。お礼がしたいとかなんとか。」

 「ああ、こいつはどうも。」

 伊丹はティグル経由でそう言うと村長もティグル経由でこう言った。

 「『こちらこそ、そちらは一体どういう目的でしょうか?』らしいんで

調査と友好を目的にしてるって言っておきました。」

 「サンキュー。」

 そう言って少し話している中子供の一人が伊丹達のご飯を見ているとティグルが自分が食べている食事を少し小分けにして別の更に盛ってその子供に渡した。

 『どうぞ。』

 『良いの?』

 『ああ。』

 『ありがとうございます!』

 そう言って子供の一人が食べると・・・こう言った。

 『美味しい!!』

 『これって何て食べ物なんですか!!?』

 『そいつは肉じゃがって言ってジャガイモと肉をを煮込んだものだ。』

 『何でこんなに美味しいんですか!?』

 『そいつは作っている所がそう言う風に出汁を仕込んでるからさ』

 そう言いながらティグルが食べ終わった後全員乗車してアルサスにへと

向かった。

 

 

 

 

 

 

 夕方、半円形のバルコニーにて栗色の髪をツインテールにした小柄な少女がそう言った。

 彼女はティッタ。

 ティグルの幼馴染兼侍女である。

 何時でもティグルが帰って来た時に備えて酒や食事の準備は出来ており

怪我した時に備えて薬などの準備も怠っていない。

 汗を流したいときは湯を沸かせるように準備している。

 然し・・・ある事を考えてしまう。

 もし・・・二度と帰ってこなかったら。

 そう思うと不安と恐怖で心が締め付けられそうなのだが・・・村人のある一言で現実に戻った。

 『大変だ!門の手前に鉄の化け物がやってきたぞ!!』

 『・・・鉄の?』

 ティッタは何事だと思って門の前に向かった。

 

 

 

 

 

 

 「ここ?」

 「はい。」

 伊丹はティグルにそう聞いた後にこう思っていた。

 「俺達歓迎されてねえかもな。」

 そう言った。

 門の前の見張り台と思しき所から何やら武装した住人がいた。

 するとティグルがこう提案した。

 「俺が出ますからそしたら多分。」

 そう言うとティグルは武器をトラックにおいてそのまま出てきた。

 するとそれを見た見張りは少しして・・・誰なのか知った。

 『ティグル様だ!門を開けろ!!』

 そう言うと急ぎで門が開かれた。

 「ね?」

 ティグルがそう言うと門が開かれて目にしたのは・・・。

 『チィグル様だ!』

 『若が戻ってきたぞ!!』

 町の人達の熱烈的歓迎であった。

 それぞれがねぎらいの言葉をかけている中・・・声が聞こえた。

 『ティグル様!』

 『ティッタ・・・ゥおわ!?』

 ティグルは走りながら抱き着いてきたティッタを素早くキャッチすると

ティッタを見ようとするとティッタは・・・涙目でこう言った。

 『遅いですよティグル様!どうしてもっと早く戻らなかったのですか!!私・・・心配で・・・心配で』

 そう言いながらティッタの目に堪り始めた涙を拭いてこう言った。

 『只今・・・ティッタ』

 『お帰りなさい・・・ティグル様!!』

 そう言った。

 因みに伊丹達はそれを見て微笑ましいようでいたそうだ。




 次回は今回の調査結果を報告。


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・・・只今。

 帰る場所に戻れるだけまだマシさ。
 そう・・・まだね。


 『今日は宴会だあ!!』

 『明日もな!あいつらが帰ってくるからな!!』

 周りの市民たちはティグルが帰ってきたことに喜んで宴会しようとすると・・・

後ろから声が聞こえた。

 『ほう、それは儂も混ぜてもらおうか?』

 『マスハス公!!』

 ティグルは後ろにいつの間にか来たマスハス公を見て驚いているとこう聞いた。

 『どうしたのですマスハス公!明日になると言ってたのに!?』

 するとマスハス公はこう返した。

 『うむ、そのつもりだったのじゃがお前さんの方の兵士が居ても立っても

居られないようでな。走ってココマデ来たんじゃ。』

 『へえ・・・凄いな。』

 そう思っているとティグルは・・・七つの箱と物を出してある人達に渡した。

 「あれって確か」

 「何です?隊長??」

 伊丹の言葉を聞いて倉田が何なのかと聞くと伊丹はこう答えた。

 「ああ、銀座事件の際にあいつの部隊は最後列だったらしいけどどうやら・・・

仲間に踏まれて死んだ連中がいてな。そいつらの遺骨と遺品らしい。」

 「え!?」

 倉田が驚いている中家族たちはそれを持ちながら・・・泣いているのを見た。

 「銀座でも・・・こっちでも・・・どっちも変わんねえな。」

 伊丹はその光景を見ながらそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここが俺の家です。」

 「へえ、何か意外に小さいな。」

 伊丹はティグルの家を見てそう言うと苦笑いしながらこう言った。

 「貴族って言ってもピンキリで俺みたいな奴なんて結構いますよ。」

 「そうなのか。」

 へえと言いながら伊丹は見回しているとティッタはティグルに耳打ちして

こう聞いた。

 『あのう、ティグル様。このお方たちは一体?』

 そう聞くとティグルはこう答えた。

 『この人たちは俺が向こうにいる間にお世話してもらった人たちなんだ。』

 そう言うとティッタは・・・慌てながらこう言った。

 『そう言うのは先に行ってくださいよ!!お酒や夕食の量を考えたら少ないじゃないですか!?』

 そう言うがティグルはこう続けた。

 『いやあ、それなら大丈夫だよ。向こうにも食料があるからさ。』

 それを聞いて本当ですかとティッタは疑いの眼を向けていると伊丹が

こう言った。

 「それじゃあ俺らはここでキャンプ張っとくから。」

 「はい、分かりました!!」

 ティグルがそう答えた後に伊丹はこう続けた。

 「それとさ、厨房にこいつを連れて行ってくれよ。」

 そう言うと一人の自衛隊員が立ち上がった。

 「こいつ前は板前らしいからさ。俺らの分の料理を作るってさ!」

 「分かりました。案内します。」

 そう言った後にティグルは自身の部屋に戻ってある部屋に向かった。

 その部屋は大人三人がやっとは入れるくらいのスペースであるが

その部屋の中には・・・一張の黒い弓があった。

 全てが艶のない・・・漆黒色の弓である。

 嘗て先祖が使ったとされる弓であるが今は亡き父親の遺言によれば・・・。

 『お前がこの弓を使う時、それは最も必要で合った時だ。それ以外は使うな。』

 そう言ったそうだ。

 ティグルは先祖に対する礼として胸の前で握り拳を作って横に引いた。

 「・・・只今、父上」

 そう言った後に部屋から出て行って厨房に案内した。

 その日は宴会となった。

 ティグル達が帰った事、そしてティグルに親切にしてくれた自衛隊に

対してのだ。

 流石に職務中であるという理由でお酒は遠慮しているがその代わりに

食べ物を一杯出してくれたのだ。

 因みに自衛隊員で元板前でもある「古田 均」の料理にアルサスの人達は

結構満足して主婦方に教えたという一幕もあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「以上が報告で当面はそこを拠点にして各地方との交流をするそうです。」

 「分かった。取り合えず近隣の偵察隊にも伝えて中継地点として扱ってくれるかどうか聞いておいてくれ。物資はこちらから輸送部隊を送る事もな。」

 自衛隊員「柳田 明」が伊丹達の報告をした後に狭間が今後についての

方針を言った後にもう一度報告書に目を通した。

 「然しこれについてはな。」

 「確かに、時間の違いなど下手すれば各自衛隊員の士気にも

関わりますからな。」

 特に伊丹とかなと言うと狭間はこう決めた。

 「・・・この事は全隊員に報告しておけ。今のうちに言ってしまえば

後が引かずに済む。」

 「了解。」

 そう言うと柳田はもう一つの事を聞いた。

 「ティグルの納めているアルサスは山一つ越えれば直ぐに隣国です。

この国はそれを知りながらも何故砦のようなところを作らなかったの

でしょうね?」

 理解に苦しみますよと柳田は肩を透かしていた。

 アルサスの隣国は『ジスタート王国』の属国である

『ライトメリッツ公国』でありティグル曰く仮想敵国にカウントされている

そうだ。

 本来ならば砦などを作って万全を整えようとするのが定石であるにも

関わらず放置されていることから変だなと思っているが狭間はそれについて

こう答えた。

 「恐らくは放っておいて良い・・・見放しを念頭に置いているやもしれんな。」

 そう言うとこう続けた。

 「我々の目的はあくまでブリューヌ王国に対して損害賠償と戦争犯罪者の

引き渡しを第一とするためにここにいる。だが・・・現地住民に危害があれば

それを見てみぬふりなどそれは人間として終わっている。」

 「出来るだけ情報を集めたい。調査部隊にはより一層の努力に

勤しんでもらいたいと伝えておいてくれ。」

 「分かりました。では失礼します」

 そう言って柳田は退出した後に狭間は外にある『デスペラード』と

『UCR-10』、そしてそれよりも大型な・・・ヘリを見てこう思っていた。

 「これが新たな戦争の呼び水とならなければ良いのだが。」

 そう思いながらコーヒーを飲んだ。




 次回はどうなるか?


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暗躍と・・・あんやく

 お互い暗躍する。
 国の為に・・・己の為に。


 『ふむ、それほどなのか?その・・・。』

 『《日本》だ。彼らの技術力と戦力は最早大貴族でも太刀打ちできまいが彼らは

その力を占領には使わず平和の為に使っているのだ。』

 マスハス公は現在自身が知っている中で羽振りの良い知り合いの貴族で彼らの事を話していた。

 『(もし再び戦乱になればこの国は最悪の未来になるやもしれぬ・・・それだけは何としてでも!!)』

 阻止したいと願い彼らとは戦わないで欲しい事と協力の要請に来ていたのだ。

 『・・・分かりました。他ならぬマスハス公の頼みだ。彼らの調査協力と

同時に知り合いにも伝えておいて戦闘を避けるように頼んでおこう。』

 『!!・・・助かる』

 マスハス公はそう言って頭を下げるとその貴族はこうも聞いた。

 『それはさておいて既に聞いておると思うが・・・』

 『ああ、貴公で5回目だよその話は。』

 『・・・ガヌロン公とテナルディエの内乱』

 そう言うとマスハス公はこう続けた。

 『先の大戦で皇子が行方不明・・・いや、あの戦闘なら最早遺体すら。』

 肉塊に成り果ててるなとマスハス公はそう思っていると貴族はこう続けた。

 『そのせいで国王はショックのあまりに心を閉ざして

部屋に閉じこもってしまったがために遠縁でもある両家と大貴族が王宮を

欲しいがままにしている。』

 『人の我欲とは恐ろしい物だ。この空の雲の様に黒くそして・・・悲しい物だ。』

 そう言いながら・・・雨が降り始めた。

 『・・・今日は泊っていくか?雨も降りだしたし』

 『いや、良いさ。今日はこの事を伝えたくてな。』

 ではと言って去って行くのを見届けた貴族はこう思っていた。

 『(もし、《日本》が我々の後ろ盾に立ってこの国の再建に協力してくれるならばどれだけいい事か。)』

 そう思って仕方がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「って言う感じだそうです。」

 ティグルはマスハス公からの便りを伊丹達にも報告した。

 「成程ね、然し内乱とはちょっとやばいな。」

 「然も4通とも同じですよ。もう完全に噂レベルじゃすみませんね。」

 ティグルはそう言って手紙を何枚も見せた。

 「・・・万が一に備えて戦闘準備しておくか。」

 「そうですね、《備えあれば患いなし》って言う諺があるほどですし。」

 そう言いながら準備しておこうとするがそれは意外にも・・・正解であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わってブリューヌ王国首都では・・・。

 『お呼びでしょうか、父上』

 そう言って出てきたのはそばかすの男性『ザイアン=テナルディエ』でありあの『銀座事件』の際にも出撃していた男性である。

 そして目の前にいる人間がザイアンの父親にしてテナルディエ家の当主。

 『フェリックス=アーロン=テナルディエ』その人である。

 今年42歳で見事な黒ひげを生やし豪奢な絹服に包まれた大柄な鍛えられた体躯をした男性である。

 『ザイアンよ、お前に一つやって欲しいことがある。』

 『は!』

 そしてテナルディエ公爵はこう命令した。

 『1か月後に裏切り者《ティグルヴルムド=ヴォルン》が納めていたアルサスを

3千の兵で焼き尽くせ』

 そう言うとザイアンはこう聞いた。

 『!!あの裏切り者の領土をですか!?それでしたら是非私めに

お願いいたします!!奴の村の住人全員を残虐に殺して女どもを凌辱せしめて

ご覧にいれましょう!!』

 そう言ってウキウキしながらザイアンは部屋を後にして廊下を歩いていると・・

 『ザイアン様。』

 フードを目深に被った小柄な老人がそこにいた。

 『何の用だ、《ドレカヴァク》』

 ドレカヴァクと呼ばれたその老人は腰を屈めて深々とお辞儀してこう言った。

 『ザイアン様が御出征されると聞いたので一つ贈り物をと思いまして』

 そう言うがザイアンは渋面して疑っていた。

 彼は占い師としてテナルディエ家に仕えており門の事も彼が予言したのだ。

 正直彼はこの老人が殺すほど嫌いであるのだが父親に重用されているため

手出しできない。

 なるべく視界に入らない様にしていたのだがドレカヴァクはザイアンに

向けてこう言った。

 『どうぞ、こちらへ』

 そう言いながらドレカヴァクは歩き出してザイアンはついて行った。

 ドレカヴァクは厩舎の裏手に入って暫くすると皺だらけの手あるものを

手に向けた。

 『これでございます。』

 『!!・・・これはまさか・・・・』

 ザイアンはそれを見て驚いていた。

 それは・・・大きさだけで8mはある二匹の・・・

 『ハイ、竜でございます。』

 竜であった。

 片方は『コモドドラゴン』みたいな竜でその鱗は剣や槍ですら敵わず、

その突進力は城壁を軽く破壊出来る程である。

 そしてもう1頭は小柄だが巨大な翼を持った竜で人を載せたまま空を飛ぶことが出来る。

 するとドレカヴァクはザイアンに向けてこう言った。

 『調教はほぼ終えていますので何時でも戦場に投入出来ましょう。』

 『だ・・・大丈夫なの・・・だろうな?』

 ザイアンはそう聞くとドレカヴァクはこう答えた。

 『もちろんです。触れて頂ければ分かるかと』

 そう言うとザイアンは少しためらったが意地と好奇心が勝ったため翼を持つ竜『飛竜』の喉を触った。

 すると飛竜は喉を鳴らしてザイアンにされるがままであった。

 ザイアンは感動の溜息を上げるとこう言った。

 『でかしたぞドレカヴァク!この飛竜は俺が駆るとしよう!!』

 そう言うとドレカヴァクはこう注意した。

 『ただ一つだけお約束を』

 『何だ?』

 『竜共は未だ街の匂いになれておりませぬ故、街の中に留める事だけは

おやめくださるように。』

 そう言うが今のザイアンは聞いていなかった。

 これでアルサスに向かった時に見る領民の顔を想像しながら・・・

黒く笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 後のブリューヌ王国側の歴史家はこう書き綴っていた。

 

 

 

 

 

 

 〈あの時に竜を使わなければあれ程の地獄を見ずに済んだものを》

 と・・・書かれていた。




 竜の立ち位置が・・・哀れになるかも。


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襲来に備えよ

 敵に備えをすることが大切である。


 それから1か月後・・・。

 『ハア・・・ハア・・・ハア・・・!!』

 マスハス公が馬を全速力で走らせながらティグル達がいるアルサスに

向かっていた。

 「?・・・あれは。」

 すると丁度当直の自衛隊員が見張り台から双眼鏡でマスハス公を見つけると

何だろうと思っているとマスハス公はこう言った。

 『急ぎティグルに報せがある!門を開けて欲しい!!』

 そう・・・鬼気迫る表情でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 『ザイアンがここを目指してる!!』

 ティグルが驚いているのを聞いてやっとカタコトだが分かるようになった伊丹達がこう聞いた。

 「そいつって・・・どういう奴なの?」

 「この間の銀座侵攻作戦の提案者の息子です!あいつ生きていたのか・・・!!」

 ティグルはその人間に対して嫌悪の表情でそう言うとマスハス公はこう続けた。

 『奴らは半月前に出陣したらしくその数は3千らしい。』

 『3千って・・・一体何処から・・・いや、あそこならそれくらいすぐに

集められれるな。』

 ティグルは妙な所で納得した後に伊丹はこう言った。

 「3千って・・・マジかよおい。こっちは自衛隊員だけで整備員込みで・・・

240人しかいねえぞ。」

 8倍もあるのかよと言うとマスハス公はティグルの通訳込みで聞いて何故だと

思っていた。

 『何故そう言う?貴様らなら外にいるあの巨人共を使えば3千等』

 そう言うが伊丹は否定してこう言った。

 「いや、確かにそうかもしれませんけどね。それでも人死人が出かねません。

俺は部下に死にに行けなんて言う奴にはなりたくないので。それに・・・」

 『それに?・・・何だ?』

 そう聞くと伊丹はこう答えた。

 「死んだら元も子もないですしね。生きてる間に楽しい事一杯してから畳の上で死ぬが俺の本望なもんで。」

 そう言うとマスハス公は( ゚д゚)ポカーンと口を開けて・・・笑った。

 『がハハハハハ!!成程な、確かに真理だ!!!』

 マスハス公はそう言うとこう続けた。

 『それで・・・貴様らはどうする?逃げるのか??』

 そう聞くと伊丹は頭を掻きながらこう言った。

 「う~ん、もしここで逃げたら間違いなく他の調査隊の支障に繋がるし

だからと言って俺らだけって言うのもねえ。」

 そう言うと・・・伊丹はこう決めた。

 「よし、応援を呼ぶか。それでマスハス公連中は何時ぐらいに来る?」

 伊丹がそう聞くとマスハス公は頭の中で日数を数えてこう言った。

 『大体後2週間って所じゃな。足に自信がある物は山に逃げ、無い物は

神殿に逃げれば大丈夫じゃ。』

 そう言うと伊丹はこう言った。

 「おやっさん、何人かの村の長達にこの事伝えて避難経路を話しといて。」

 「分かった。」

 「倉田は足の不自由な人たちを逃がすためのトラックの操縦。」

 「はい!」

 「黒川。」

 「はい!」

 伊丹は近くにいる高身長の女性自衛官『黒川 茉莉』にこう命令した。

 「万が一避難中にけが人が出ること考えて女性たちに包帯とかの

実習うけさせといて。」

 「宜しいのですか?そんなことをして」

 黒川がそう聞くと伊丹はこう答えた。

 「人手が足りないからな。何とかしなきゃいけないし受けさせといて

損はないし。」

 「俺達は市民に愛される自衛隊だよ?」

 そう言って黒川が退出するのを見送るとティグルに向かってこう言った。

 「ほいじゃ俺達は有力者達にも避難させるように伝えておくか。

その後は防衛線の構築に援護部隊の受け入れ。やる事一杯あるなあ・・・休暇要請降りるかな」

 そう言いながら退出する伊丹を見てマスハス公はこう聞いた。

 『変わった男だな。』

 そう言うとティグルはこう言った。

 『確かに変わってますけど優しくて誰にも平等に接してくれるし何より・・・

面白い人ですから。』

 『確かにな。』

 そう言いながら笑っているティグルを見てマスハス公はこう思っていた。

 『(《ウルス》よ。お前の息子は本当に良い者たちに恵まれておるぞ。)』

 そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 自衛隊遺跡本部

 

 

 

 

 

 

 「分かった。援護についてはこちらから用意する」

 そう言って通信を切った後狭間はとある男性2人を呼んだ。

 

 

 

 

 

 数分後

 

 

 

 

 

 

 「「陸将!御用でしょうか!?」」

 「うむ、入り給え。」

 そう言って入ってきたのは二人の男性

 一人は陸上自衛隊1等陸佐第4戦闘団団長『健軍 俊也』

 もう一人は陸上自衛隊1等陸佐第1戦闘団団長『加茂 直樹』

 狭間は作戦について話すと加茂がこう進言した。

 「陸将!その命令我々第1戦闘団に!!」

 「馬鹿言うな!それならばスピードのある我ら第4師団が!!」

 「待て待て話を最後まで聞け。」

 狭間は二人を抑え込むとこう続けた。

 「先ず、加茂は今から向かえばアルサスに着くのは何時ぐらいだ?」

 そう聞くと加茂はこう答えた。

 「は!1日もあれば着きます!!」

 「健軍の方は?」

 「は!ここから17キロ先ですので10分で着きます!!」

 そう答えると狭間は二人に向けてこう言った。

 「良し、先ずは加茂」

 「は!」

 「1週間後に出立し戦線に加われ。」

 「はい!」

 「次に健軍」

 「は!」

 「貴様は加茂の部隊の内『デスペラード』隊の運送と空からの攻撃だ。

敵が交戦した時に出撃せよ。」

 「了解しました!!」

 二人が敬礼するのを見て狭間は二人に向けてこう言った。

 「この作戦は我々の今後の調査任務において必要不可欠な事であることを両名、キッチリと理解してくれよ!」

 「「は!!」」

 そう言って二人が退出した後にこう呟いた。

 「後は運を天に任すか。」

 




 次回は恐らくザイアンが出ます。


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戦闘開始。

 戦いが始まろうとしていた。


3千もの軍勢を従え然も飛竜を歩かせて我が物顔で行軍していた。

 そしてその後ろでは地竜が続いていた。

 そしてここに来るまでに2、3の貴族の領土を妨害もなく通過している

さなかでほくそ笑みながらこう言った。

 「アルサスを焼いた帰りに奴らの所に立ち寄って改めて従属を誓約させても

良いかもしれんな。そして妻子を人質として出させるなりして・・・」

 そう言っている中兵士の一人にこう言った。

 「おい!斥候は未だ戻ってこんのか!?」

 そう聞くと兵士の一人がこう言った。

 「は!未だ来てませぬ!!」

 「全く!何やってんだ!?」

 そう言っているが彼らは帰ってこない。

 何せ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルサス防衛線。

 そこには幾つもの戦車と『UCR-10』、そして自衛隊が待ち構えていた。

 そして彼らはある人間たちを片付けていた。

 

 

 

 

 「これで7人目ですね。」

 「未だ来るかねえ。」

 ティグルと伊丹はそう言いながら・・・斥候の遺体を森に隠していた。

 彼らは森の各所に通信兵とスナイパーを配置し、情報を隠しているのだ。

 あくまでもここには守る人間などいないと決めつけさせるために。

 更に言えば既に自衛隊は彼らが来ることを察知していたのだ。

 その理由は・・・・。

 

 

 

 

 

 「第4偵察隊より通信、『敵、尚も前進。爬虫類型の生物確認できる!』

です!」

 「やはり大型の生物が来るか。ドローンからの情報は!?」

 「先ほど偵察隊からの写真映像が送られてきました!!」

 「良し、それをティグルに見せてこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 各地に配備している偵察隊が逐一報告しているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「これは・・・地竜『スロー』と飛竜『ヴィーヴル』で間違いありません!!」

 ティグルは送られてきた映像を見てそう断言すると伊丹はこう言った。

 「お前が言ってたドラゴン?・・・等々おいでなすったかファンタジー生物」

 そう言いながら伊丹はどうするかなと思っていた。

 何せ両方とも鱗は固く地竜に至っては城壁を破壊できると聞いているからだ。

 「ま、地竜は『UCR-10』と戦車に任せて俺達は俺達のやれることしよう。」

 村人たちの為にさと言って伊丹は森の方を向くとティグルも頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「皆さん!火を消して、テントの中に避難してください!!」

 「坊ちゃん達が戦うんだ!儂らは万が一の為に武器を持て!!」

 アルサスの男も女もそれぞれ準備していた。

 男たちは万が一の為に自衛隊から貰ったバリケードを作り、女たちは子供たちを1か所にまとめて守るように円陣を組んだ。

 「ティグル様。」

 ティッタはそう言いながらアルサスの方を見ていた。

 すると後ろからバートランがティッタの肩を叩いてこう言った。

 「大丈夫さ、ティグル様なら大丈夫じゃ!あの人たちとあの武器があるからな」

 「儂らが出来ることと言えば皆が安心して戦えるようにすることじゃ。」

 「・・・ハイ。」

 そうですねと言ってお祈りをしていた。

 どうか無事に帰ってくれるようにと願って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『まもなくアルサスです。ザイアン様』

 『そうか、斥候が来なかったのは気がかりであるがまあ良い。』

 そう言いながらザイアンはこの後にあるであろうガヌロン家との戦闘に

どう活躍しようかと思っている中ある物を見て・・・。

 「・・・へ?」

 顔を青くした。

 「ザイアン様、どうなされましたか?」

 兵士の一人が何があったのかと見てみるとそこにいたのは・・・。

 「な、何だあれは!」

 「鉄のバケモノか!?」

 兵士が目にしたのは待ち構えていた・・・自衛隊であった。

 「な・・・何故あれが!?」

 斥候はまさかと思っていると・・・耳鳴りのする音が聞こえた。

 キィーーーーン

 「ウワア!?」

 「何だ!?」

 「鳴き声か!?」

 兵士達が狼狽えて居る中声が聞こえた。

 ザイアンにとって・・・聞き覚えのある声で。

 

 

 

 

 《あー、あー、聞こえているかザイアン‼》

 『!!まさかティグル、あの裏切り者め!ここに来ていたのか』

 そう言うがティグルはこう警告した。

 《今すぐに引き返せ!兵を無駄死にさせたくなければ今すぐにだ‼》

 そう言うが兵士たちはこう言った。

 『ふざけるな卑怯者の裏切り者が‼』

 『我らを愚弄しおって!!』

 そう言うがザイアンはあの光景を思い出していた。

 あの時に見た・・・悪夢を。

 それが頭に過るが自身が今いる戦力に竜がいることを思い出して兵に向かって

檄を飛ばした。

 『恐れるな!我らには竜がいる!!そしてこの俺がいる!!!

奴らに思い知らせよ!!戦神トリグラフのご加護が我らにはある!!!』

 『『『『ォォォォオオォォォォ!!!!!!』』』』』

 そう言うが伊丹はそれを聞いてこう思っていた。

 「神様ねえ・・・そんなこと言った奴が大抵負けちまうのが相場なんだよなあ」

 そう言いながら各員は準備していた。

 戦車隊は砲撃準備を

 隊員は射撃準備を。

 パイロットたちは機体を動かして・・・暫くして。

 

 

 

 

 

 

 『進軍せよ!!』

 「攻撃開始!!」

 お互いが動いた。

 




 神様に従え・・・だが精神論では戦争に勝てない。


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戦争・・・いや、蹂躙だ。

 こいつらの技術力じゃあ蹂躙が良い所だ。


 『・・・何なんだ。』

 ザイアンはありえないと思っていた。

 『これは一体・・・。』

 天空から現れた幾つもの・・・。

 『この戦場は一体何なんだああーーー!!』

 ヘリコプターがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今から8分前。

 

 

 

 

 

 「攻撃開始!!」

 戦車から指令を出した加茂の一声で・・・戦争、・・・いや。

 ・・・虐殺が始まった。

 『ギャアアアアア!!』

 『アアアアアアア!!』

 ザイアン側の兵士が突撃しようとするも前からマシンガンの雨霰の

銃撃により倒れて行った。

 然も馬上の人間も直撃して馬は戦場から離れる始末だ。

 無論弓兵も出撃していたが・・・。

 『駄目だ!距離がありすぎる!!』

 『もう少し距離を詰め・・・ぎゃ』

 届く前に絶命していた。

 そんな中で『UCR-10』のパイロットの一人がこう言った。

 《こんなんじゃ準備運動にもならねえよ!》

 《そうだ!後ろのトカゲを出しやがれってんだ!!》

 機体に搭載されている対人用機関砲で応戦しながらそう言っていた。

 

 

 

 

 

 

 《やめえ!!》

 加茂の一言で銃撃がやんだ。

 そしてザイアンの眼下に映るのは・・・。

 『ば・・・バカナ。』

 千人もいた兵士がたったの・・・46秒で壊滅した。 

 するとザイアンは騎士に向かってこう言った。

 『おい!貴様ら!!』

 『!!・・・ハ‼』

 『あんな連中にやられて逃げる程貴様らは弱腰なのか!!』

 『承知!!』

 すると今度は騎士が出てきたのだが伊丹はそれを見てあちゃ~と思っていた。

 「おうおう、今度は騎士様かよ」

 そう言うと無線機で見張り台にいる部隊に向けて命令した。

 《そいじゃ、騎士共が来たらお願いねえ。》

 《了解!!》

 「伊丹さん!どうするんですか!?」

 「え?何が」

 「あいつらは全身に鎧を身に纏って大型のランスと革で補強した盾で

突撃してくるんですよ!!」

 戦車でやるんですかと聞くと伊丹は何時もの調子でこう答えた。

 「ああ、あいつらはな・・・自滅するよ。」

 「・・・・へ?」

 伊丹の言葉を聞いて何でだと思っていると・・・騎士が突撃してきた。

 『『『『『ウォォォォおおおおおお!!!!!』』』』』

 騎士たちは長大なランスで突っ込んできたが伊丹はそれを見計らって

こう言った。

 《今だ!》

 そう言うと見張り台に設置されていたロケット砲が空高く撃ち込まれて・・・

何かが降り始めた。

 『?』

 『何だこれは?』

 『雨か?』

 そう思っていると・・・。

 『あ、熱い!!』

 『痛い痛い痛い!!』

 急に騎士たちがもがき苦しみ始めた。

 「な、何だ!?」

 ティグルは何だと思っている中伊丹がこう説明した。

 「あれは[高熱酸化水]だよ。」

 「[高熱・・・酸化水]?」

 伊丹の言葉を聞いて何だと思っていると倉田がこう答えた。

 「あれはね、鉄に反応する特殊な水で当たると高温の熱を発させるんす。」

 「然もかなりの高温だから鎧を着てるやつらからしたら地獄だろうよ。」

 「おまけに400度近くあるから間違いなく鎧が皮膚と癒着してるだろうから

簡単に外せれないだろうし外そうとすれば皮膚ごとだから尚質悪いよな。」

 伊丹、桑原はまるで人ごとの様に言った。

 そう言うとティグルはこう思っていた。

 「(・・・本気で・・・悪魔だ。)」

 そう遠い目をしながら断末魔上げながら絶命していく騎士たちを眺めていた。

 そして最後の一人が絶命するのを見て兵士全体が・・・恐怖した。

 『う・・・ウワ。』

 『・・・悪魔だ。』

 ティグルが心の中でそう思っていることを彼らもそう思っていた。

 そして等々ザイアンは・・・こう命令した。

 『竜を・・・竜を出せ!!』

 『し、然しザイアン様!万が一を考えましたらここは』

 『黙れ!あの裏切り者の卑怯者に負けて恥ずかしくないのか!?』

 そう言うとザイアンは飛竜を使ってその兵を・・・潰した。

 『ヒィ!』

 『今すぐに奴らを殺せ!!今すぐにだ!!』

 この時点で兵は3千から1千に減っていた。

 この時点で撤退すればいいものをと思っていたが兵はあれの二の舞は

御免だというように地竜を放した。

 グォォォォォオオ!!

 等々現れた地竜を見て加茂は『UCR-10』部隊抜向けてこう言った。

 《良いか貴様ら!怪獣退治は自衛隊の伝統行事だ・・・徹底的にぶっ潰せ‼!》

 《了解‼!》

 この時配備されている『UCR-10』は伊丹達がいた時には4機。

 更に加茂達が加わったため総勢9機が加わった。

 つまりどうするかと言うと・・・こうだ。

 《各員半数は敵の動きを制限させろ!残りは接近戦で奴の弱点を洗い出すぞ!》

 《了解‼》

 菅原が指示を出して5機は銃撃

 4機は接近戦のためコンバットナイフを出して攻撃してきた。

 「(先ずは・・・目!)」

 菅原はそう思いながらコンバットナイフを目に当てると・・・。

 ギャオォォォォ!

 貫通出来なかった。

 「(ティグルの言う通り目には特殊な膜がある!こいつじゃあ無理となれば)」

 そう思っていると地竜は暴れながら『UCR-10』を弾いていた。

 《くそ!あいつの表皮は鉄以上かよ!》

 《弾は効いてるが決定打になるのかよ!!》

 そう言いながら打ち続けていた。

 確かに効いてはいるが絶命させるとなるとと思っていると地竜は

菅原目掛けて突進してきた。

 《菅原‼!》

 《‼!》

 菅原はそれに気づくも・・・地竜は突撃した。

 「菅原さん!!」

 ティグルはまさかと思っていると・・・。

 《まだ・・・くたばってないぞ。》

 地竜の口の中に・・・ナイフを差し込んでいた。

 グォォォォォオオ・・・・!!

 地竜はその痛みに暴れながら離れようとするも菅原はそれを離さずに・・・

もう一度ねじ込ませた。

 《お前が口にするのは・・・コレだろうが!!》

 そう言うと菅原の『UCR-10』血まみれになったナイフからガトリング砲に

切り替えてそれを地竜の口にぶち込ませて・・・こう言った。

 《くたばりやがれえええ‼!》

 それと同時に・・・ガトリング砲が・・・火を噴いた。

 ガガガガッガアラガガガガガガッガガアッガア!!

 グォォォォォオオ・・・ォオオ・・・・

 そして地竜が白目をむいたと同時に・・・爆発した。

 《は!汚い花火だな。》

 そう言うと菅原はちっと舌打ちしてこう言った。

 《地竜の血でカメラが殆ど見えない。赤外線での有視界レーダーに切り替え》

 そう言うと『UCR-10』の頭部のパーツが・・・解放された。

 カハアアアアアア・・・・。

 冷却システム作動の為に解放した場所がまるで虫の口の様に見え、そして

開かれたメインカメラがまるで人の目の様に見えた。

 それは紅く・・・輝いていた。

 『・・・・・・・』

 ザイアンは最早夢なのかと思いたくなるような感じであった。

 あの竜がこんなにあっさりとやられるのかと思ってしまったからだ。

 そう思っていると・・・兵の一人がこう言った。

 『あああ・・・あああ・・・逃げろーーー!!』

 そう言うと殆どが・・・われ先にへと逃げた。

 『おい貴様ら!戦え!!戦え!!!』

 逃げるなと言うが・・・逃げた兵が見たのは・・・更なる地獄であった。

 それは・・・・。

 『何の音だ…?』

 『ま・・・まさか』

 すると上空を見上げた先にいたのは・・・自衛隊のヘリと・・・

4機もある『デスペラード』がいた。

 そして地上からは・・・道を埋め尽くさんばかりの戦車が待機していた。

 最早彼らに逃げ場所など・・・ありはしない。




 次回で・・・多分終わりになると思う。


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戦闘終わり・・・そして。

 やっと1巻終わった。


 「あのう、この音楽って一体?」

 ティグルはこの音楽を聴いて何だと聞くと伊丹達はと言うと・・・。

 「ハア~~、何やってんだあいつらは?」

 「おおかたあいつら『〇ーツ大佐』よろしく憑り移っているんでしょうね。」

 伊丹と桑原はそう言いながら溜息付いているがティグルは何だと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 『ウワアアアアアア‼!』

 『に、逃げろーーー!!』

 そう言って逃げ惑う兵士達であるのだが上空からの攻撃に成す術なかった。

 上空からはヘリコプターや新型の多目的輸送ヘリからのミサイルやマシンガン。

 更にヘリコプターと一緒に運ばれた『デスペラード』からの砲撃で

吹き飛ばされていった。

 

 

 

 

 

 

 『何何だこれはああああーーー!』

 そう言うザイアンの言葉が今に至る。

 最早逃げることも出来ず今は飛竜の下でうずくまる事でしか出来なかった。

 『(こんなはずじゃなかった!アルサスから略奪して火を放ってガヌロン家に

戦いを挑んで勝ち、我らの・・・テナルディエ家の栄光を世に‼!)』

 最早現実逃避も良い所であるのだがザイアンは伊丹と喋っている

ティグルを見て・・・・ザイアンは怒りの表情をして・・・こう言った。

 『ティグルヴルムドーーー!』

 「!・・・ザイアン?」

 ティグルは何だと思っているとザイアンは飛竜に乗って・・・空を飛んだ。

 『貴様さえいなければーーー!』

 ザイアンは最早ティグルしか見ておらず今の空を支配しているのは誰なのか・・分かっていなかった。

 《敵ドラゴンが突撃!!》

 《『デスペラード』隊!奴に風穴を開けてやれ‼!》

 ヘリから健軍が指示を出して地上にいる『デスペラード』に向けてそう言うと

ミサイルやキャノン砲で砲撃して・・・飛竜の下半身を吹き飛ばした。

 グォォォォォオオ!!

 然し飛竜はそのままティグルに向かって突っ込んできた。

 『道連れだあああ!!』

 ザイアンは血走った眼でそう言うがその間に・・・菅原の『UCR-10』が

割り込んでこう言った。

 『いい加減にしろおお!!』

 そう言いながら飛竜を・・・弾き飛ばした。

 『ウワアアアアアア‼!』

 ザイアンはそれから吹き飛ばされてそのまま・・・戦車に向かって・・・腰から落ちた。

 『ガハア‼!』

 そしてそのままザイアンは地面に落ちるが・・・大声で悲鳴を上げた。

 『イタイイタイ‼!』

 ザイアンは腰を摩り乍ら泣いていると伊丹はあーあといってこう言った。

 「こりゃあ多分腰からイッタナ。」

 「今のデ骨も砕けているでしょうしね。」

 桑原もそう言うとティグルは寝転がっているザイアンに向けてこう言った。

 『もうお前らの負けだザイアン』

 そう言うとザイアンはティグルを睨みつけるが・・・

 『・・・くそう…!!』

 ザイアンは地面に顔を押し付けながらそう言った。

 そしてティグルは拡声器でこう言った。

 『ザイアン・テナルディエの身柄は我々が奪った!!降伏せよ!!』

 そう言うと騎士たちはそのまま・・・武器を置いてその場に伏せた。

 それを見ていた自衛隊達は攻撃をやめた。

 

 

 

 

 

 

 後に『アルサス戦線』と呼ばれたこの戦いでテナルディエ家は次期党首でもある『ザイアン・テナルディエ』を中心に13人の捕虜を手土産に本部に戻った。

 そしてこの戦いにより地方貴族と自衛隊との交流が盛んに行われたことは

言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「門の向こうはフロンティアだ。」

 ここは日本世界のアメリカ

大統領でもある『オリバー・マルシ』がそう言った。

 「今だ手を付けていない自然、豊富な資源、汚染されていない環境、

正にユートピアだ。日本には物資の補給を名目に向こうに

軍を派遣できんものかね?」

 そう言うが軍の将軍がこう言った。

 「お言葉ですが大統領、我々は今後の選挙の為にするとはいえ今のところ日本に介入する理由がありません。」

 「その前に彼らが作ったこの機動兵器についてどうするかです!」

 そう言って将軍は『UCR-10』の写真を見せた。

 この写真は既に各国によって撮られている雑誌での写真である。

 「クソ、日本人め!第2次世界大戦であの戦闘機を作られて禁止させたと

思ったら今度はこいつか!!」

 「この機体については未だスパイから何の情報も来ていません。国連の

名目で情報公開をすべきでは?」

 「いや駄目だ、そんなことしたらロシアや中国だって製造できてしまう。ここは我々と同盟軍だけで公開するようにだな!!」

 そう言いながら4軍の将軍が話している間『オリバー・マルシ』はこう

考えていた。

 「(・・・忌々しい黄色いサルめが。)」

 そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「門は我々が保有すべきだ。」

 中国では・・・。

 「そうは思わないか?君たち」

 車の中で『中 金寧』主席が車の中にいる運転手たちに向けてそう言うと

こう答えた。

 「その通りです主席!」

 「日本が何故門を持てるのか理解に苦しみます!!」

 そういうが主席は頭を悩ませていた。

 中国国内の食糧問題に伴って領土拡大するために国際法違反承知で軍を

送り込んで実効支配させているのに日本があの新兵器を作ったせいで

どのように対処しようかと思っていた。

 「(今宣戦布告してもあの機動兵器で我が軍は海で終わりだ。

それに今『尖閣諸島』に兵を送ろうとすれば黙ってはいない。ダカラと言って今更日本と友好関係を築こうとしても今までの事を考えれば‼!)」

 そう思いながら頭を抱えていた。

 最早後の祭り。

 自分が仕出かしたことはもう元に戻れないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程な。」

 ロシアにおいては『エルジン』大統領がスパイたちに向けてそう言った。

 「分かった。この兵器については更に調べておいてくれ」

 『分かりました。』

 そう言って通信を切った後にこう思っていた。

 「(いっそのこと『北方領土』の返還を条件に一部情報公開を

責めてみるか?)」

 そう思いながら大統領は『UCR-10』の写真を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして門の向こうにある世界。

 

 

 

 

 

 

 アルサスの一山隣の国、『ライトメリッツ』では。

 『何?悪魔の歌?』

 『ハイ』

 その国の中央にある執務室において銀髪と金髪の美女がそう言っていた。

 そして金髪の美女がこう続けた。

 『村人たちの話によればまるで怨念のような悲鳴と聞きなれない羽音、

巨大な足音、そして・・・悪魔の歌のような声がしたと言っておりました。』

 それを聞いた銀髪の美女はふむと言いながら地図を見て・・・こう言った。

 『何か・・・あったのかもな?ブリューヌ王国で』

 そう言う銀髪の少女の顔つきはまるで・・・

獲物を見つけたかのような顔であった。




 暫く休載します。


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それからの・・・変化。

 約9か月ぶりの再スタートです。


 あの戦いから暫く経ち・・・ティグルの身の回りは・・・変わり始めた。

 街は自衛隊達が交代制で来ていることからPXと呼ばれる売店が出たことから

自分たちも変えるのかと聞かれたところ取敢えずは物々交換から始めて

お金については要相談となった。

 更に言えば周りも変わり始めた。

 地質調査を行い資源やその土地の土壌を調べてそれに合う野菜や果物の選抜。

 井戸については水脈を掘ってそこから湧水が出るように汲み取り式の

ポンプの製造。

 周辺の生態調査。(野生の龍がいますよとティグルから伝えられ時に伊丹は

『(流石異世界)』と呟いていたそうだ。

 まあ、殆どは鹿とか狼とか猪とかそんな程度である。

 陣地については国境線にあるヴォージュ山脈と呼ばれる山の山道や獣道に

監視カメラを設置したり一定の時間であるがドローンを飛ばして様子を見たり

街にある壁には新たに機関銃を設置したり検問所(初めに作った無人の場所で

自動的に写真を撮り、各検問所で通ったか否か、又は山から来たのかを

チェックしたりしていた。

 そしてそれは・・・周辺の貴族や領主も然りであった。

 街の舗装や交通安全教室、学校の設立(最初は嫌な顔をしていたが

時と場合によっては通わなくてよいと言っている。)、農場や家畜場の整備等

多岐にわたって行われている。

 これらは自衛隊が侵略者ではないことと征服しないと言う事を市民に

伝えるためである。

 そう言う地道な努力も相まって少しずつであるが自衛隊と仲良くしても

良いではないかと言う者たちが少なからず程いた。

 然しそんな中に置いてもティグルの仕事は・・・多かった。

 自衛隊の駐屯地となる土地の借用に伴い森の開拓に男衆を出しているために

給料の清算と整備に伴う騒音の被害調査、自衛隊がやる緊急的な医療のやり方の

教授、死んだ兵士たち(全員敵)の埋葬(殆どが肉片になっていたり鎧が

皮膚と癒着しているためそのままにしている)、民たちとの交流やその他諸々を

これまで一人でやって来たのだが伊丹達も加わって・・・

何とかなると言った処である。

 そんなティグルは現在ユナヴィールと言う村に着いた。

 人口は200人ほどの小さな村であったが直ぐ近くに森がある為に村の人達は

そこに逃げ込んだようであった。

 それを聞いてティグルはホッとしている中で伊丹達は外で遊んでいた。

 無論今回は『UCR-10』は使わないのでバイクや車などで来ているのだが

村の子供たちは興味津々で突いていたり中に入って寝転がっていたり

バイクに跨ってキャッキャッと笑っていた。

 「ティグル様、今回は儂らに避難するように伝えてくれて

ありがとうございます。」

 「いや、そちらもお元気でなによりだったけど・・・被害については?」

 ティグルは少し重い口調でそう聞くと村長はこう返した。

 「被害ですか・・・何も何もないと言えば嘘に聞こえますが保存用に作っていた干し肉や貯蔵していた作物を幾つか連中に奪われました。」

 「・・・もしかしてそれって・・・あれか?」

 そう言ってティグルは窓から見えるトラック一杯に積まれている・・・

食料を見てそう聞くと村長はこう答えた。

 「ええ、そうです!ありがとうございますティグル様!!」

 「いや、俺よりも自衛隊の方々に礼を言ってください。」

 「畏まりました。これで村も何とか飢えずに済みましょう。」

 そう言うと村長はこう続けた。

 「自衛隊の方々が来てから村は良いほうに変わりそうです。」

 「新しい物産を作ればここも活気が湧きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからティグル達はセレスタに戻ろうとすると・・・通信が聞こえた。

 通信の相手は・・・ティッタであった。

 如何やら通信部にいるのであろう、何があったんだと聞くとティッタは

こう答えた。

 『ティグル様ーーーーー!!』

 『ウワ!?』

 全員いきなりの大声に驚いていた。

 恐らくは大声を出さなければ聞こえないとそう思っているのであろうが

暫くして・・・普通の声に戻った。

 『スミマセンティグル様。大声を出してしまった』

 「いや、普通に考えればこれは当然だろうな。それで・・・何があったんだ?」

 ティグルがそう聞くとティッタはこう答えた。

 『あ、はい。マスハス様がお目見えになっております。』

 「マスハス卿が?」

 何だろうと思って一同は戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「マスハス卿、どうなされたのですか?」

 そう聞くとマスハスはこう答えた。

 「うむ、少しだが・・・厄介な事になってしまった。」

 「?」

 何だとティグルはそう思っているとマスハス卿は・・・こう答えた。

 「現在国内は内乱状態だ。『テナルディエ』と『ガヌロン』と言う二大勢力が

互いにしのぎを削るために兵力を蓄え、更に言えばこの状況を監視している国家も少なからずおる。貴様の後ろにもな」

 「・・・ジスタートですね?」

 ティグルがそう言うとマスハスはこくりと頷いた。

 「もしこの戦乱が長引けば間違いなく他国によって侵略され、領土は

狭まるであろう。」

 「そうなれば苦しむのは民だ。どのような扱いされるのか容易に想像できる。」

 そう言うとマスハスはティグルの目を見て・・・こう言った。

 「ティグルよ!」

 「!!」

 突如マスハスから名指しされたティグルは思わず姿勢を正すと・・・マスハスはこう言った。

 「自衛隊の方々に我々中立派の貴族と行動を共にしこの戦乱を収めて欲しい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「え・・・え・・・・・エ・・・・・ェエエエエエエエエエエエエ!!」




 次回は・・・又もや説明です。


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何事も平和的な解決が得策。

 強硬手段は敵を多くするからやめとけ。


「そんで・・・お前何て言ったの?」

 伊丹はティグルに向けてそう聞いた。

 何せ事が事だ。

 不真面目に答えればどうなるか考えたくないからだ。

 そしてティグルはこう言って数分前の事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分前。

 「いや、待って下さいマスハス卿!協力って自衛隊の人達は既に各地で

協力していますし」

 「無論それは知っておる!我々も彼らのおかげで飢えに苦しんでおる民たちを

救っている事については各地の貴族たちは礼を言っておるし返せない程の

恩義がある事も重々承知だ!」

 「だがそれでも・・・お主等に協力してもらわねばこの国は滅んでしまう!!」

 そう言うとマスハス卿は地図を出すと数枚の銀貨と銅貨を出して現状を

説明した。

 「我が国の全戦力を100としよ。」

 「テナルディエとガヌロンがそれぞれ40・・・いや、30ずつ。」

 「そして残った儂らが残りの40なのだが」

 「40の内30は騎士団。それも王族や国境を守るためのな。」

 「それですとそいつらも敵になるんじゃ?」

 ティグルはそう言ってその3枚の銀貨を見た。

 そうなれば3枚ずつの2家と合わせれば9割がたが敵になると言う寸法だと言うとマスハス卿はこう答えた。

 「いや、この内乱じゃ。何処の国もスパイを使ってこれを知っておろう。」

 「他国の戦争中に内部におる自衛隊までは手が回らんであろう。」

 「それにそっちに割けば大損じゃ。全員天に召されて戦線は瓦解じゃろう。」

 「アハハ・・・」

 ティグルはそれを聞いて確かにとそう思った。

 あの戦闘を見たんだ。

 たった数百にも満たない兵力で3千を超える兵力と竜2頭を相手に無傷で勝利し

ザイアンを捕虜にしたのだから。

 然もその本人は腰を強打して骨が折れたことから

今は警察病院にいるようであるがあれこれギャーギャー煩い為拘束具を付けて

大人しくさせているのだと聞いた。

 話は戻すがと思いティグルは意識をマスハス卿に戻すとマスハス卿は

こう続けた。

 「そして中立がこの銅貨1枚であるがこれにはお主等も入ってじゃ。」

 そう言ってマスハス卿は銅貨をアルサスに置くとこう続けた。

 「お主は自衛隊と共におる。余り宛てにするとそっぽを向かれるかもしれんが」

 「上手くいけば中立の貴族達を纏め上げ、現状に不満を抱く騎士達や仕方なく従っている連中も束ねればこの銅貨は・・・100の金貨以上の価値と

なるだろう。」

 そう言うがティグルはどうするべきだと思った。

 今の自分は恐らく反逆者として討伐対象とされているであろうが今は内乱。

 恐らく自分たちに目を向けるのはあと何か月も掛るであろう。

 その間に自衛隊は戦力を展開しテナルディエやガヌロンの領土以外の場所に

展開が完了されている頃だ。

 そうなればお互いに疲弊していることから講和に持ち込むしかないであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『平和は次の戦争に備えての準備期間。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と前に向こうの世界で読んだ本でそう書かれていた。

 講和に持ち込み、自衛隊の戦力を学んでも技術が追い付くのに数世紀以上は

軽く掛る。

 その間に自衛隊は別次元の技術を確立しているはずだが・・・現実はそうは

上手くいかない。

 向こうが全員死ぬまで突撃するかもしれないし講和に持ち込んで暗殺も

考えられる。

 然も考えたらきりがない。

 そう思っているとティグルはこう聞いた。

 「マスハス卿、国王陛下の容態は?」

 そう聞くとマスハス卿はこう答えた。

 「ああ・・・皇太子の死が原因で部屋に閉じこもっていると親友から聞いたが

何故だ?」

 そう聞くとティグルはこう答えた。

 「国王陛下に書簡を出して俺の立ち位置と自衛隊の目的を提示して対話に

持ち込ませよと。」

 それを聞いてマスハス卿はこう答えた。

 「オイオイ何良いっておるんだお主は?奴らを全て自衛隊の力で倒せば」

 「それでは戦後に恐らくはここら一帯の領土を出さなければいけないほどの

莫大な金を提示してきます。」

 「!!」

 マスハス卿はそれを聞いて目を見開くがティグルはこう続けた。

 「そうなったら俺達は向こうの傀儡政権を樹立させられる可能性があります。

そうならないためにも俺達が出来ることをやらなければいけないと

そう思っています。」

 「・・・具体的にはどうやるんだ?」

 マスハス卿は手を机の上に置くとティグルはこう答えた。

 「向こうの要件は2つ。」

 ①戦争犯罪者(今回の銀座事変を計画した)の引き渡し。

 ②賠償

 「①は絶対で②はまあ、交渉次第で何とかなると思いますがそれでも莫大です。そこに向こうが全面協力をしたともなれば各国がどのように出るか・・・・」

 「確かにな、もしかしたら自衛隊を味方に付けさす為に裏工作をするか

総出で自衛隊を殲滅させようと考えるかもしれんな。」

 「そして扉の向こうに行っても日本だけではなくそれよりも強い国が

大勢待ち構えています。正に竜の口に飛び込む様な物ですよ。」

 「何!自衛隊よりも強い連中がまだいるのか!!」 

 マスハス卿の言葉を聞いてティグルはこう返した。

 「ええ、然もたった1発の兵器で・・・街を消し飛ばす物も。」

 「最早お伽噺級じゃな。」

 それを聞いてマスハス卿は頭を抱えると同時に良かったと思っている。

 若し自衛隊じゃない方であったらどんな仕打ちが待ち構えていたのか

考えたくないからだ。

 そして暫くマスハス卿はこう言った。

 「分かった、儂らでやれる精一杯を考えよう。

自衛隊は最終手段としてじゃが・・・お主一つ聞くが心当たりあるのか?」

 「え?・・・何です??」

 ティグルの言葉を聞いてマスハス卿はため息交じりでこう言った。

 「書簡じゃよ。誰に出すんじゃ?」

 そう聞いて暫く考えると・・・ティグルはこう答えた。

 「王国の騎士の一族に『ベルジュラック』と言う一族がいる事を

知っていますか?」

 それを聞いてマスハス卿は驚きながらこう答えた。

 「はあ!お主その一族が何なのか知っておるのか!?」

 そう聞くとティグルはこう返した。

 「ええ、王国黎明期から続く名家でテナルディエやガヌロン程大きくない

領地ですが名門で権威も十分引けを取りませんので書簡には彼女経由で国王陛下に届けさせれば良いかと。」

 そう言うとマスハス卿は呆れ眼でこう聞いた。

 「ティグルよ、一つ聞くが彼女と言ったが・・・何年来の関係なのだ?」

 そう聞くとティグルはこう答えた。

 「ええと丁度・・・9・・・いや10年来の付き合いでしょうね?

子供の頃から夏になれバよく遊びに来ていましたし。」

 まあ正体を知ったのはごく最近なんですけどねとアハハとそう言うが

マスハス卿はため息交じりでこう言った。

 「全くお主は誰かが眼を離すといつの間にか交友関係を築いてしまう。

一体何なんだ其方は?」

 そう言うとマスハス卿は席を離れてこう言った。

 「良し、儂が親友経由で『ベルジュラック』にそう伝えるが・・・

話を滅茶苦茶にせんよにな。」

 「分かっています・・・アルサスのためなんですから。」

 それを聞いてマスハス卿は分かったと言ってその場から去った。




 次回は・・・パラレルワールドの物語から来ます。


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陰謀と書簡

 陰謀は・・・闇の中にこそ閃くものである。


ブリューヌ王国首都ニース。

 そこはまさに中世のヨーロッパの様な雰囲気を醸し出し、美しい町であった。

 そう・・・だったのだ。

 先の戦で門の向こうに兵を派兵して生き残ったのは僅か数十名。

 王子レギンの死により一時は王都全体が重苦しい空気に包まれていたのに更に

重くした原因があった。

 それは・・・日本軍であった。

 門の向こうから異世界の兵隊が現れて近隣の土地を支配している事。

 更に言えば・・・テナルディエの一人息子であるザイアンが兵士と竜と共に

向かったきり帰ってこなかったのだ。

 そう・・・一人も。

 それを聞いたテナルディエ当主は急ぎ兵を集めて様子を見よと言い向かったが

出た答えはこうであった。

 

 

 

 

 

 

 「近隣の町に聞いたところ確かにザイアン様が通ったのを見たという者がいたが

その後にアルサスの地にて轟音と悪魔の様な歌を聞いた後に通った者は一人も

いなかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 そう・・・ザイアンがやられた可能性があると聞いてしまったのだ。

 それを聞いたテナルディエ当主は今回のザイアンの補佐をして兵の指揮を

執っていた者の家族を全員鞭打ちの軽処した。

 鞭は拷問用のもので先端に棘の付いた革紐が十数本取り付けられており

それで背中を叩きつけられるとどうなるかは・・・自明の理であった。

 川は裂け、肉は抉れ、血飛沫が舞い。飛び散る。

 然もそんなのされたら誰だって悲鳴を上げるものであるが上げれば・・・回数を増やすと脅されて大人たちは耐え忍ぶが子供は・・・どうであろう。

 子供たちは悲鳴を上げて回数を増やされて結果的にどうなるかは・・・

当然の帰結であった。

 ・・・子供たちは、特に幼い子供は・・・死体と姿を変えるのだ。

 当然親は情けを請うがそう言う人間たちはテナルディエ当主の命によって・・・永遠に喋れなくされるのであった。

 それだけではなく一般兵の家族は全員・・・熱した鉄の棒で背中に押し当て、

その痛みが町中に響き渡るようになっていたのだ。

 テナルディエ当主はそれを銀製のグラスに注ぎこなれたワインを口にするが

内心は・・・怒りで頭が可笑しくなりそうであった。

 本来ならば自分が軍を率いてアルサスに乗り込みたいのを堪えているのだ。

 そしてテナルディエ当主はこう呟いた。

 「確かにザイアンは年齢の割には愚かで頼りなかったが・・・それでも・・・

それでも」

 そう言って大声で・・・叫ぶかのようにこう言った。

 「己小僧!己異世界軍!!」

 そう言うと今度はアスヴァ―ル産の火酒をラッパ飲みした。

 すると後ろで・・・声が聞こえた。

 「荒れておいでですな。」

 「ドレカヴァクか。」

 テナルディエ当主はそう言って後ろにいる老人を見た。

 するとテナルディエ当主はこう聞いた。

 「お前の事だ、話は聞いておろう?」

 そう聞くとドレカヴァクはこう答えた。

 「ザイアン様については御気の毒に。」

 「勝手に殺すな、未だ死んだとは決まっておらん。

それで新たな竜についてだが」

 そう聞くとドレカヴァクはこう答えた。

 「一月ほどの時間と幾ばくかの金銭を必要とします。」

 そう言うとテナルディエ当主は銀色の鈴を取り上げて鳴らすと従者が現れ、

指示させた後にその従者は走って消えた。

 そして暫くすると・・・人間の頭程の大きな袋に入っている大量の金貨が

詰まっていた。

 それを受け取ったドレカヴァクはこう言った。

 「ありがとうございました。それで・・・アルサスの方はどのように」

 「貴様が知る必要はない。」

 そう言うとドレカヴァクはその部屋から出て行った。

 するとテナルディエ当主はこう考えていた。

 「虫を潰すのに斧を使う羽目になるとはな・・・さてどのようにすべきか?」

 「兵は無限ではない、『七鎖(セラシュ)』を使うか。・・・いや待てよ。」

 そう言うとテナルディエ当主はもう一度鈴を鳴らして従者に幾つか指示を

与えるとこう呟いた。

 「敵を消耗させるためには・・・他国を利用するというもの一つの手だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっと着いたわい。」

 マスハス卿がそう言って王都に現れたのだ。

 テナルディエに見つからない様に馬は隣町で待機させ、自分は旅人の格好で

潜入した。

 受け取った書状を持って知り合いに渡してさっさとそこから出て行った。

 自分は日本側であり下手すれば拷問されて敵がどのような存在か

吐かせられるであろうがまあどちらにしても・・・。

 「勝てんと思うがな。」

 マスハス卿はそう呟いてニースを一目見た後に立ち去った。

 次に来る時がある時は内乱が収束しているであろうと・・・思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルジュラック家。

 王家とも縁が深く代々騎士の家系でもあった。

 領土はテナルディエ達に比べれば小さいが多大な影響力を持っている。

 そんな中でとある少女が窓の外を眺めていた。

 長い銀髪。

 性格は本来は明るいのであろう優しそうな顔つきをしていた。

 そして何よりも目に映るのが・・・左右で虹彩の違う両目だ。

 右は青色。

 左は赤色の瞳。

 この世界では異彩虹瞳(ラズイーリス)と呼ばれる瞳の少女がそこにいた。

 少女の名は『リュディエーヌ=ベルジュラック』。

 この家の跡継ぎである。

 そんな少女はあるものをずっと見ていた。

 テナルディエによって・・・殺されたと言っても間違いない人たち・・・

特に子供たちが磔にされている場所だ。

 カラスやハエが集り死体は腐り始めていた。

 正直な所見るに堪えないと言っても良いものだ。

 然し少女が見ているのはそれではなく・・・遥か向こうにある場所。 

・・・アルサスである。

 「ティグル。」

 リュディエーヌはそう呟いた。

 彼女はティグルとは幼馴染で子供の時からであった。

 「彼が裏切ったなんて・・・ありえないです。」

 そう呟いたのだ。

 「(確かに彼は何処か抜けているようなところがありましたし

弓を扱っていましたが・・・だからって腰抜けじゃないしそれに彼がそうするには理由があるのです!そうに違いないです!!)」

 そう思って何時ティグルに会うかを考えていたが今はそれどころでは

ないだろう。

 内乱に内部には敵軍。

 この国は今や混乱を呈している。

 そんな中で自分がティグルに会ったと分かればベルジュラック家にも迷惑が

掛ってしまう。

 そう思っている中で従者の一人がリュディエーヌに向けてこう言った。

 「お嬢様、先ほど文官のお方からお手紙を。」

 「・・・誰からです。」

 「は、先ほど聞いたところリュディエーヌ様にこう伝えて欲しいと。」

 「?」

 「『狼の毛皮を剝がそうとして失神した』と言えば分かると。」

 「!!!」

 リュディエーヌはそれを聞いて驚いた。

 何せそれを知っているのは自分と・・・彼だけなのだから。

 するとリュディエーヌはこう言った。

 「その手紙を渡してください。私が読むのです。」

 「畏まりました。」

 そう言って従者はリュディエーヌに向けて手紙を渡すと其の儘出て行った。

 「・・・ティグル。」

 リュディエーヌは手紙を貰って自室に入ると封筒から手紙を出すと・・・何かが出てきた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「これは・・・絵ですか?」

 そう呟いたのだ。

 リュディエーヌは知らないがそれは写真である。

 写っているのは・・・ティグルである。

 他にも自衛隊がいるだろうが万が一を考えて自分一人だけの方が

都合が良いと話して撮って貰ったのだ。

 「それにしてもこの絵・・・まるで生きているようなのです。今にもティグルが現れそうなくらいに。」

 そう言ってリュディエーヌは写真をじっと見ていると・・・手紙の事を

思い出して読んだ。

 内容は大雑把に言ってこうだ。

 ①ゲートの向こうにある世界がどのような世界であったか。

 ②自衛隊とこっちの戦力、技術力の違い。

 ③日本国からの要求。

 ④ザイアンの生存と負傷について。

 ⑤そして自衛隊が・・・どのような存在である事を。

 そして手紙にはこう締めくくっていた。

 

 

 

 

 

 

 『俺は此の儘テナルディエとガヌロンが内乱を起こしてこの国が他国から

侵略されて荒れ地になるだけは避けたいんだ。アルサスを・・・

父から受け継いだ土地を守るために俺は日本と行動を共にしているが

これは裏切り・・・まあ、そっちから見れば裏切りに見えるだろうけど

俺はブリューヌ王国と敵対する気はない。それだけは真実だ。』

 「だから国王陛下に書簡を渡し、少なくとも日本との戦を早期終結させ、

両家による内乱の終息を願いたく送る。これは君になら任せられると思って

送った。幼馴染として・・・俺が知る中で最も信頼できる君に送る。」

 ティグルヴルムド=ヴォルン

 そう書かれていた。

 そしてそれを読み終えたリュディエーヌは・・・頭を悩ませていた。

 今の国王は・・・心に大きく傷を作ってしまい閉じこもっている。

 正直な所国王陛下に書簡を渡しても聞いてもらえるか、それどころか両家を

懇意にしている文官共によって握りつぶされる可能性が高い事を考える中

リュディエーヌはある事を考えて・・・何かを思いついてしまったのだ。

 そう・・・思いついてしまったこれが・・・まあ、トンでもない事になるとはティグルも思いもよらなかった事であった。




 リュディエーヌは『魔弾の王と凍漣の雪姫』に出てくるティグルの幼馴染です。


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他国の・・・イヤな予感

 今回は・・・あの戦姫達が出ます。


 そして時は遡ってマスハス卿が帰った後に。

 「そんで、ティグル。その『ベルジュラック』家の娘さんって信用できるの?」

 そう聞くとティグルはこう答えた。

 「ええ、まあ。取敢えずと言った処ですし俺達が出来ることを精一杯やって

駄目だったらという事なんですが・・・本部の方はどう考えているのでしょう?」

 ティグルがそう聞くと伊丹はこう答えた。

 「まあ、取敢えずは専守防衛を主軸・・・まあ、挑んできたら倍で返すを

セオリーにして対応するって所じゃない?」

 伊丹はそう言ってこう思っていた。

 「(何せ『UCR-10』や『デスペラード』は大型で然も開けた場所だと

敵からすれば死体で地面の嵩が増えるようなもんだし何とか講和に

踏み込んでくれないとこっちも対応できないんだよねえ。)」

 そう思っていたし有給休暇もと考えているが・・・それが使われるのが

果たして何時のなのか。

 神のみぞが知ることである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルサスからヴォージュ山脈を越え、野を超え山を越え辿り着くのは敵国。

 ・・・ジスタート王国、ライトメリッツ。

 そこには戦姫と呼ばれる女性が代々から統治しておりここもその内の

一つである。

 そんな街において・・・何やら喧嘩腰になっている少女達が

ライトメリッツの城の執務室内で・・・言い争いをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「相変わらず上から目線ね、エレオノーラ!」

 大声でそう言うのは青い髪を肩のあたりで切り揃え髪の色と同じ

薄い絹服を身に着け、何処か神秘的な雰囲気を帯びた絵の短い槍を持った少女。

 そしてその少女に向けて上から見ているのは。

 

 

 

 

 

 「それは貴様が小さいからであろう?リュミドラ。」

 そう言うのは白銀色の髪を持ち、類まれな美脳を持った・・・恐らくだが

ティグルと同じ年位の少女がいた。

 彼女の名はエレオノーラ=ヴィルターリア。

 このライトメリッツを治める領主である。

 そして青色の髪の少女の名はリュドミラ=ルリエ。

 ジスタート王国にある国、『オルミュッツ公国』の領主である。

 

 

 

 

 

 

 そんな上流階級の人間の口喧嘩はまるで・・・子供のそれだ。

 「然も成長したどころか以前よりも縮んでおらんか?どうだ?しおらしい態度でお願いしますと頭を下げれば、背が伸びる方法と序に胸が大きくなる方法を

教えようか?」

 そう言いながらエレオノーラはリュドミラの頭をポンポンと叩いていた。

 するとリュミドラはこう返した。

 「あら?粗野と粗暴が人の皮を被って高慢と傲慢が服を着て歩いているような

躾のなっていない貴方がそれを言うかしら?」

 「好意の申し出を侮辱で返すのは躾が成っていないからではないか?」

 「貴方の好意は人の身体的特徴を嘲笑う事?人の世では、

それは最も冒涜的な行為の一つヨ。礼儀について学び直すことをお勧めするわ。

エレオノーラ。」

 「生憎だが戦姫等と呼ばれる前は礼儀とは無縁の生活をしていたのでな。」

 「礼儀や品性は己の努力と意志で身につけることが出来る数少ないものヨ。

貴方には到底ないわよねえ。戦姫としての見識も、知性も、品格も露ほども

感じないんだもん。」

 「紅茶とジャム(ヴァレーニュ)の瓶を腰にぶら下げているような女が品格とは笑湧かせてくれるな。」

 「これは私が好きだから持っているのよ。貴方みたいに戦しかない女に

言われたくないわね!!」

 「そもそも戦姫に見識だの品格だのが求めているなど初耳だな!妄想を抱くのはお前の自由だがそれをさも常識であるかのように言うでないわ!!」

 お互いにそう言いながら武器を構えるのを見て・・・互いの副官がこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「大変ですね。」

 「もう慣れましたわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くして互いの副官が止めるとエレオノーラの副官である

『リムアーシャ』がエレオノーラに向けてこう言った。

 「エレオノーラ様、会って早々喧嘩するのはおやめください。

互いに戦姫なのですから少しは立場という物を。」

 何やらくどくど文句言っている状況を見て如何やら中間管理職の様な立場で

ある事が見て分かるくらいに・・・疲れていた。

 ここで伊丹がいれば胃薬くらいは融通してくれるであろう・・・多分。

 するとリムアーシャはリュミドラに向けてこう聞いた。

 「それにしてもなぜここライトメリッツ経由で来られるのですか?

その理由が気になります。」

 そう聞くとリュドミラは手紙を引っ張り出してこう言った。

 「これに理由が書かれているわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程な、息子の安否と裏切り者を始末して欲しいとは何とも嫌な奴だな。」

 エレオノーラはそう言って手紙を持っているとリュミドラはこう答えた。

 「かの家とは曾祖母からの付き合いよ。私が嫌だからって理由で

終わらせるわけにはいかないわ。」

 そう言って部屋から出るリュドミラを見た後にエレオノーラはこう言った。

 「そう言えば悪魔の歌が聞こえると言ったのは方角的に確か・・・。」

 「アルサスですね。恐らくは関連があるかもしれません。」

 エレオノーラの言葉にリムアーシャがそう答えるとエレオノーラは・・・

ニヤリと笑ってこう聞いた。

 「リム、今から兵を集めたとしてどれくらいの規模となる?」

 そう聞くとリムは暫く考えて・・・こう答えた。

 「今から集めればリュミドラ様が行かれる頃には1000とまではいきませんが

それ相応には集まると・・・成程そういう意味ですか?」

 そう言ってリムアーシャはため息を出すとエレオノーラはこう言った。

 「ああ・・・ちょっとだが悪魔の謎を解き明かしに行くとしよう。」




 次回はちょっと・・・オリジナル展開となります。


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再会

 幼馴染との再会・・・因縁がありそうだな


 それから2週間後。

 

 

 

 

 

 

 「そういやよティグル、手紙の返事って来たの?」

 幼馴染のと言うとティグルは・・・スナイパーライフルを持って

5キロ向こうにある的を見ながらこう言った。

 「いえ未だですね、マスハス卿はあの後直ぐに帰ってきましたし

手紙を読んだか捨てたかどちらかにしても向こうからアクションがかかりますよ。」

 そう言いながらティグルは5キロ向こうの標的の中心に当てた。

 「益々お前『シモ・ヘイヘ』になっていくな。」

 「まだまだですよ。」

 「まだまだってお前スコープ込みとはいえ5キロ向こうって普通ネエゾ。」

 そう言ってティグルの持っているスナイパーライフルを見た。

 ティグルは元来夜目に優れており遠くからの敵を見ることに対しては

普段からの狩りの成果もあるだろうがその類まれな才能を見た自衛隊は

ティグルがこの世界に戻る際に開発局が独自開発したスナイパーライフルを

持たされたのだ。

 主軸にしたのは隠密的な静穏性と高い狙撃能力である。

 弾丸も特殊タイプで軽量しつつ破壊力は其の儘と言う悪魔めいた性能を

秘めていた。

 だがまあティグルに渡したのはプロトタイプであり盗難防止として発信機と電流が流れるように細工が施されている。

 そんな駄弁りをしている中で伊丹達に通信が入った。

 「ハイ、こちら伊丹。」

 『こちら第5調査部隊、どうぞ。』

 「おお、聞こえてるけど何かあったの?」

 『つい先ほど馬の鳴き声を聞いて向かって行く途中で銀髪の女の子がアルサスに向かって行くのを見かけた。』

 『その後に向かって行くと何人かの騎士の死体を見つけた。』

 『周りには男が10人近くいたため鎧を剥ぎ取って逃走、恐らくは盗賊と

思われる。』

 『そちらの方が近い為万が一に備えて出動されたし。』

 「了解。」

 伊丹はそれを聞くとティグルに向けてこう言った。

 「ティグル、出撃命令が出た。今回は『UCR-10』は必要なさそうだから全員、機関銃保持の上で出動だと。」

 おやっさん呼んどいてとティグルに向けて言うとティグルは

おやっさんのいる方向に向かって行った。

 そして全員集合して森の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ああ、もう!いきなり何なのです!!」

 リュディはそうぼやきながら馬を走らせていた。

 「待ちやがれ!!」

 後ろから男の声が聞こえた。

 全員着ている服はバラバラで見た目から・・・盗賊である事が良く分かる。

 そんな中で一人の男が弓を馬目掛けて放った。

 「きゃあ!」

 リュディは馬から転げ落ちてしまった。

 そして起き上がるも馬には勝てずに追い付いてしまった。

 すると男達5人はリュディを馬で取り囲むと一人がこう言った。

 「おい、嬢ちゃん。金目の物を寄越せ。そしたら命だけは助けてやるぜ。」

 「そんな事よりもこの女で遊んじまいましょうよ?よく見たら

いい体つきですし。」

 「それにこいつ金持ちかもしれねえし遊んで人質にして金に換えて

それから奴隷として売り払おうぜ!」

 そう言う声が聞こえてリュディは腰にある短剣を構えた。

 ブリューヌ王国では見られない片手剣。

 そして抜いた途端に・・・2人の胸元から鮮血が噴き出した。

 「何!?」

 リーダー格と思われる男性がそれを見て驚くがリュディはこう言った。

「早めに降伏をするのです。命まではとらないです。」

 そう言って短剣を向けた。

 すると男達はこう返した。

 「は!粋がるのも大概にしろよ小娘が!!」

 そう言うとリーダー格の男がこう指示を出した。

 「こいつは体が小せえ!体力が空になるまで攻撃するぞ!!」

 そう言うと男達が武器を構えるのを見てリュディは・・・一目散に

森の中に入っていった。

 「追え!逃がすな!!」

 リーダー格の男性がそう言うと残った男性陣も向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ティグル、馬のスピードを考えてガチ会うのってここら辺?」

 栗林がティグルに向けてそう聞くとティグルはこう返した。

 「はい、馬のスピードと追われている時の速さを考えて地図と照合すると・・・この近くにある街道に繋がる道の近くですね。」

 「ここら辺は検問所がありますしその手前まで行ってみましょう。」

 富田がそう言うと伊丹はこう答えた。

 「そうだな、それじゃあそこまで行きますか。」

 そう言うと全員はそっちに移動した。

 そして暫くすると・・・ティグルが伊丹に向けてこう言った。

 「隊長、足音が聞こえる。」

 「!・・・数は?」

 「3・・・4です。」

 ティグルはそう言ってからっているスナイパーライフルを出して

何処にいるのかをチェックしていると・・・人影が見えた。

 「いました!」

 『!』

 全員はそれを聞いて武器を構えるとティグルは追われている・・・

リュディを見て目を見開いた。

 「リュディ!?」

 「知り合い!?」

 黒川がそう聞くとティグルは・・・アハハと言ってこう答えた。

 「俺の幼馴染です。」

 「それって手紙を渡した?」

 「はい・・・。」

 ティグルは伊丹の言葉を聞いてそう答えると伊丹はこう言った。

 「取敢えず助けますか。」

 そう言うとティグルはスナイパーライフルを使って2キロ半にいる

男達の内太った方の頭部を・・・打ちぬいた。

 「へ?」

 太った男性は一体何があったのか分からないまま絶命した。

 「どうした!!」

 リーダー格は倒れた男の方を見て驚いた瞬間に・・・もう一人の男性も倒れた。

 「!!」

 リーダー格は倒れた男を見て・・・驚愕した。

 頭部から何かが貫いた後が見えたのだ。

 「一体何が起こりやがったんだ!!」

 リーダー格の男はそう言ってここから離れようとすると・・・

後ろから声が聞こえた。

 「テヲアゲロ。」

 伊丹がカタコト男の後ろに立って銃を突きつけた。

 よく見ると黒川達も構えていた。

 そしてリーダー格の男はそのまま・・・手を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一体何なんです?彼らは??」 

 リュディはそう言って木の陰から伊丹達を見ていた。

 見慣れない服装に見慣れない武器。

 もしかしてと思っていると・・・後ろから声が聞こえた。

 「お前何やってんだ?」

 「!!」

 リュディはその声を聴いて後ろを振り返るとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ティグル・・・」

 「何してんだリュディ?」

 懐かしの幼馴染がそこにいた。

 ・・・見慣れない武器を肩に背負って。




 次回は説明。


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相手を知って。

 敵を知ったとしてもそれが太刀打ちできないとき・・・貴方はどうする?


「ティグル、貴方大丈夫なのです!?」

 「いや大丈夫に決まっているって何で触ってくるの!?」

 ティグルはリュディが体のあちらこちらに触ってくるのでそう聞いた後に

こう聞いた。

 「そういえばあの手紙読んだか?」

 「ええ・・・確かに読みましたが国王陛下に出すまでは出来ませんです。」

 「・・・何があったんだ?」

 ティグルがリュディに向けて真剣な表情でそう聞くとリュディはこう答えた。

 「レグルス王子が行方不明になった事についてです。」

 「ああ・・・確かにあの戦闘じゃな。」

 ティグルはあの時の戦闘を思い出していた。

 寧ろあの攻撃で生きているとしたら余程の運を使わない限り無理であろうとそう思っているからだ。

 「あの時貴方は戦闘に参加していたんですよね?」

 「ああ、ザイアンの軍の連中は一般人しか攻撃してこなかった。それだけじゃなく死体から金品を奪ったり女を慰み者にしたりとやりたい放題だった。」

 「それが貴方が・・・裏切った理由ですか?」

 リュディは訝し気にそう聞いた。

 戦場における強奪は通常であるという認識があるからだ。

 然しティグルはこう続けた。

 「あいつはそれだけじゃあなくて子供まで殺そうとしていたんだ・・・

俺達は盗賊とは違うのに!!」

 ティグルは絞り出すかのようにそう言うとこう続けた。

 「その子を助けるためにまあ・・・裏切ったと言えばそうなるけどあの時に

伊丹さんが助けてくれなかったら間違いなく俺は死んでたよ。」

 「イタミ?」

 「あそこで皆に指示出している人。」

 リュディはティグルの目線の先にいる男性の方を見た。

 短髪の黒髪。

 自分たちとは違って鼻は低く顔は平らに見える。

 そして他の彼らも同じような恰好をしていた。

 緑色の斑模様の服。

 色々と付けられている黒いナニカ。

 そして全員が持っている黒い杖。

 ティグルが持っている物よりも低いが恐らく同じ物であろうとそう考えているとティグルはこう聞いた。

 「ああ・・・続き聞くか?」

 そう聞くとリュディはこう続けた。

 「是非もなくです。」

 「分かった、あの後俺は伊丹さんと一緒に城に入って籠城戦になった時に

こいつを初めて使ったんだけどこれってどんくらいの距離の敵迄狙えると思う?」

 そう聞くとリュディは暫く考えて・・・こう答えた。

 「恐らくですが・・・200アルシン(mと同じである)でしょうか?」

 そう聞くとティグルは首を横に振って・・・こう答えた。

 「距離は大体だけど・・・800アルシン。」

 「800!そんな!!どれだけの弓の名手であったとしても

250~300が限度と言われているのに一体どうやって・・・まさか!!」

 リュディは自身が考えた中で最悪の答えに・・・辿り着いてしまった。

 「そうだ・・・それが一人一つずつ。然も700~1000を一瞬で放つことが出来る・・・武器だ。」

 「武器・・・・!それが・・・・!?」

 リュディはそれを聞いて目を思いっきり見開いた。

 それらが全て・・・人の手によるものだと知り立ち眩みが置きそうになるのを

自力で堪えるがティグルはこう続けた。

 「然もあれは全部『小銃』って呼ばれていて小とは小さいと言う事だ・・・

この意味が分かるよな。」

 「小さいがあると言う事は・・・大きいもある・・・!!」

 「そうだ、然も威力は騎馬部隊を10いたとするなら8を間違いなく

絶命させることだってできる。」

 「そんな!!」

 「おまけにそれだけじゃない。彼らは竜を殺すことが出来る武器や兵器を大量に保有している。下手したら王国が一瞬で瓦礫と死体の山にすることが出来る武器も持っているんだ。」

 「そ・・・そんな。」

 リュディはそれを聞いてへたり込んでしまった。

 もし彼らが本気になればこの国は経った数日で・・・焦土と変えることなど

容易いと言う事だ。

 然もテナルディエ軍3000と竜2頭を相手して勝ったという事も間違いないで

あろうとそう思っているとリュディか細い声でこう聞いた。

 「ですが」

 「?」

 「ですが竜2頭の襲来もあったんですからそれなりに被害は・・・」

 あったんじゃないかとまるで祈るかのようにそう聞くがティグルはこう続けた。

 「いや、全員無傷。それどころか被害0で戦闘は終わったよ、死傷者0」

 「・・・・・・!!」

 それを聞いて最早・・・勝ちの眼もなくなってしまったとリュディは

そう確信した。

 然しティグルはリュディに向けてとどめの言葉と言っていい事を喋った。

 「それと俺が持っているこいつは『スナイパーライフル』って言って

5000アルシン先までの敵に届く。」

 「5・・・5000?」

 最早目を点にするしかなかった。

 5000ともなれば敵は何も用意できずに只々倒されるだけなのだ。

 それを聞いたリュディは・・・。

 「・・・・・」(@_@) 

 目を回して失神した。

 「お、おいリュディ!?」

 失神したリュディを見て驚くティグルであったが彼女は其の儘・・・

意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは?

 リュディ暗い世界の中でそう言った。

 するとリュディは後ろで・・・悲鳴の音叉が聞こえるのを感じた。

 いったい何が!?

 リュディがそう言って振り向いた先に目に映ったのは・・・・。

 王都・・・。

 何もかもが炎に飲まれ始めている・・・王都「ニース」であった。

 これは・・・一体何が

 そう言うと上空で飛行する鉄の飛翔体・・・ヘリコプターが見えた。

 鉄の・・・竜!?

 リュディは初めて見たヘリコプターを見てそう思ってしまうがそれが持っている何かを見て・・・こう呟いた。

 鉄の・・・人?

 そう呟いた瞬間にそれらがヘリコプターから落ちてきた。

 !!

 リュディは何だと思って目を見開くとそこにいたのは・・・UCR-10であった。 

 鉄の巨人・・・!

 リュディはそれを見てそう思ってしまうとUCR-10が持つガトリング砲が

リュディのすぐ後ろ目掛けて・・・放たれた。

 リュディは後ろの方を見て・・・口を手で覆った。

 目の前にあったのは・・・兵士であったナニカであった。

 肉塊に成り果てており最早見る影もない。

 すると今度はUCR-10の後ろから・・・自衛隊の隊員達が一斉に現れた。

 彼らが銃を持った瞬間に・・・その場にいた人たちが一斉に倒れた。

 女子供も・・・貴族も市民も皆平等と言わんばかりに。

 これが・・・彼らの戦闘。

 それを見てリュディは恐怖した。

 遠くからの敵に対して只々まるで何も考えない様に敵を倒す。

 人形の様に・・・。

 そして等々・・・城が倒壊し始めた。

 城が!!

 リュディは倒壊する城と同時にあるものを見てしまった。

 それは・・・焼け落ちた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の家が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イヤアアアアアアアア!!」

 リュディは悲鳴を上げて起きた。

 「ここは・・・王都は?」

 リュディは周りを見てそう言うと暫くして・・・こうだと確信した。

 「今のって・・・夢?」 

 そう言っては~~と息を吐くが最悪だとそう思った。

 まるで本当に起こるんじゃないかとそう思う位にリアルな夢であったのだ。

 もしもの事があればあれが現実になるぞと言う神からの言葉じゃないかと

そう感じたリュディであったが寝ていた部屋の状況をみてこう思っていた。

 「もしかしてここって・・・ティグルの部屋ですか?」

 そう言って周りを見た。

 机の上には何かの黒い板。

 ベッドは暖かく柔らかい。

 そしてよく見れば見たことがない本が一杯(伊丹から貰った漫画本と向こうで買った農業、政治、戦術、歴史(主に欧州))。

 そしてベッドから降りようとするとリュディはベッドを顔に近づけて・・・こう思っていた。

 「(ティグルは何時もここで寝て・・・//////)」

 そう考えるとティグルの事を思い出して・・・・顔を真っ赤にしてしまった

リュディはもう少しと思って・・・匂いを嗅いでいると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「リュディ、起きたか?」

 そう言ってノックもせずに入った。

 「「あ」」

 ティグルとリュディはお互いに現状を見てそう言うと。

 ・・・リュディは顔を真っ赤にして・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イヤアアアアアアアア!!」

 再び悲鳴を上げたと同時に乾いた何かを叩く音が聞こえた。




 次回は何故来たのかについて。


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現在の説明

 何故リュディがいるのかについてです。


「何でティグルが来るのです!?」

 「仕方がないだろ?お前をよく知っているのは俺かここで住んでいる

ティッタぐらいだしそれに伊丹さん達だと怪しむだろお前?」

 ティグルはそう言いながら・・・顔の右側を腫らながら話していた。

 そしてティグルはこう続けた。

 「って言うか聞きそびれたけど何でお前ここにいるの?」

 書簡を出してくれた後に何でとそう聞くとリュヂィはティグルに向けて

こう言った。

 「そうだったのです!私は貴方に宰相からこれを渡す様に言われていたのです!」

 そう言うとリュディは自分の馬はとそう聞くとティグルはこう答えた。

 「馬なら伊丹さん達が回収してくれたよ。今馬は近くに建てられた病院で

治療されてるけど数日はあのままだな。それと荷物は回収されてこの家にあるが?」

 そう言うとリュヂィは何処にあるのかと聞いてティグルはこう答えた。

 「ティッタがいるキッチンだよ。あそこに取敢えず・・・ああおい!」

 ティグルの言葉を聞いてリュディは急いでキッチン二向かって行った。

 勝手知ったると言わんばかりに確実にキッチンに入るとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、おはようございますリュディ様。もう直ぐお昼ごはんが

出来上がりますので。」

 何やら見慣れない道具を使って調理をするティッタと。

 「ア、コレモイレタホウガフウミガマシマスヨ。」

 片言であるがブリューヌ語を話している古田がそこにいた。

 「あ、本当ですね。辛みが増しているのに美味しいです!」

 「・・・一体何なんですのこれは?」

 リュディはこの光景を見て・・・唖然としていた。

 完全に仲良くしているようなそんな感じであった。

 ここは既に敵地と言う感覚で武器はそこら辺にある椅子で対抗しようと

思っていたのだが出鼻を挫かれたという感じであった。

 すると遅れてティグルが入るとリュディの光景を見てティグルは肩を手に置いてこう言った。

 「まあ、取敢えずは・・・座ろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はい、今日のお昼ご飯は昨日作っていた『肉じゃが』をコロッケにしたものと『麻婆豆腐』ですよ。」

 ティッタはそう言ってテーブルに料理を置いた。

 副菜でもある野菜はここで捕れた野菜に・・・何やら見たことがない野菜も

入っているのが見て分かる。

 「何ですか?この紫色の皮の付いた野菜は?」

 リュディがそう聞くとティッタはにこやかにこう答えた。

 「はい、それは日本から持ってこられた『茄子』と言うお野菜です。」

 「『茄子』?」

 リュヂィはその野菜を見てそうですかと聞きながら少し齧ってみた。

 「(ふむ、感じたことのない食感ですね)」

 初めて食べる感触にリュディは成程と思いながらも

今度は肉じゃがコロッケの方にフォークを伸ばしてそれを食した。

 そして食べたリュディは・・・

 「(*^▽^*)」

 美味しそうに食べていた。

 肉じゃがはポトフに似ているため(材料の出汁に違いあり)懐かしい様な感じがするのかもしれない。

 そして今度は麻婆豆腐を見た。

 見た目は真っ赤で何やら白いものが見えるがそれがまるで骨の様に見えて怖さが見え隠れしていたがリュディはそれを食して・・・。

 「!!!!!!!!!」(;゚Д゚) 

 驚いたようにテーブルから離れた。

 「な!な!!何なんですかこれは!?」

 リュディは麻婆豆腐に指さしてそう言うとティッタがこう答えた。

 「麻婆豆腐と言いましてこれが普通なんですよ?」

 「これが普通ってこんなに辛いのに!!」

 リュディがそう言うがティグルはこう返した。

 「まあ、確かに辛いけどこれはこれで結構旨いんだぞ?」

 そう言うとティグルはティッタに向けてこう言った。

 「あ、俺ご飯が欲しいんだけど?」

 「はい、どうぞ。」

 ティッタはそう言って茶碗を出して釜からご飯を出した。

 これは電気型は未だ普及出来ないだろうと考え釜を持って

焚かせるようにしているのだ。

 そしてティグルは麻婆豆腐をご飯にかけて・・・食した。

 「え!え!!え!?」

 何ともカルチャーショックの様な感じであるがティグルはその光景を見て

こう言った。

 「ああ、こう言う食べ方も有りなんだ。パンを付けて食べるってのも

ありだけどな。」

 そう言って食事を再開した。

 リュディはパンの方も食べてみるが食べてみて・・・驚いた。

 「(美味しい!このパンは一体どれ程の一流の職人が作ったのでしょう!?)」

 そう思いながら食べていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「ごちそうさまでした。」」 

 ティッタとティグルはお互いにそう言って食事を終えた後にティグルは

リュディに向けてこう聞いた。

 「それで、俺に伝えなければいけないって何だ?」

 そう聞くとリュディは幸せそうな表情から一転して難しい顔をした。

 そしてキッチンの片隅にあった荷物からある手紙を取り出した。

 そこには・・・王国が正式な文章として使う封筒があった。

 そしてティグルは封筒から手紙を取り出して読んでみると・・・ティグルはティッタに向けてこう言った。

 「ティッタ、伊丹さん達の所に行ってくる。」

 「あ、はい!」

 そう言うのを聞いてティッタは準備した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんで、王国からは何て?」

 伊丹がアルサスの草原の近くにある演習場でそう聞いた。

 ここは草原であり昔は村があったという記録があったようであるが今は廃村となっているためにここを使っている。

 そしてティグルは全員に向けて手紙の内容を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 『ヴォルン伯爵の叛逆罪を問い、伯爵位及びブリューヌ貴族としての

一切の権限を剝奪するものとする。アルサスは暫定的に国王陛下の

直轄地として扱い、暫くは自治に任せ、混乱が収まった後、王都から代官を

派遣するものとする』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「詰る所お前は『ブリューヌに逆らったからお前は貴族じゃねえ!

取敢えずは内乱が収まるまでは勝手にして戦争で勝ち組になった貴族から

適当な奴を派遣する奴に任せとけ』ってそう言っているようなもんだよなこれ」

 伊丹はその内容をそう解釈するとティグルはこう答えた。

 「まあ、概ねその通りですけど・・・何でお前が来るんだって話に

なるんだよなあ。」

 ティグルはリュディに対して日本語で・・・じとりとそう見るとリュディは

何でと思って慌てているとティグルはリュディに向けてこう聞いた。

 「そんで、お前の目的は何だ?これを渡す為じゃあないんだろ?」

 そう聞くとリュディはこう答えた。

 「・・・ええ、私がここに来たのは2つ。」

 「1つは貴方やアルサスがどのような状況なのかを見極めるため。

もし貴方が酷い目に遭っていたら貴方を助けたかったから。」

 もう一つはとティグルは頬を赤くしながらそう聞くとリュディはこう続けた。

 「もう一つは異世界の兵隊がどれ程の力を持っているのかを推し量る為。」

 「竜2頭を屠ったともなれば戦力の残存次第ではここから少し離れている

私の兵が300程待機させているので1週間も3日も戻らなければ進軍するように

伝えているのです。」

 「たった300って殺されに行くようなもんだぞ?」

 ティグルはリュディの言葉を聞いてそう言った。

 たったそんだけだとすぐに壊滅するぞとそう思っているのだ。

 そしてリュディはティグルに向けてこう続けた。

 「ですがもし敵が強大であるのならば・・・」

 

 

 

 

 

 

 「異世界の軍勢に説得を呼び掛けてこの戦に終止符を

打って欲しいとの事です。」




 さてと・・・答えは以下程に


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何で来るの!?

 無関係者は来るな!


「いや待てそれ待てちょっと待て。」

 「え!?何でです!!」

 「本当にちょっと待ってって何でこう次々と。」

 ティグルはリュディの言葉を聞いて頭を悩ませていた。

 何せマスハス卿だけではなく幼馴染に迄助力を請って貰うってどんだけ

自衛隊に信頼しているのと思いたくなるほどである。

 それは伊丹達も同じ気持であろう。

 現在自衛隊は交流を第一に考えておりそれ以外は要相談及び現地判断としている。

 そんな中で他勢力に加わるって言うのは・・・どうだろう?

 そんな中で考えていると伊丹がティグルに向けてこっち来いと言わんばかりに

手を動かしているとティグルもそれに倣って近づくと伊丹が耳打ちしてこう聞いた。

 「おいおいおい、マスハス卿に続いてこっちもってどんだけ

この国末期状態なの!?」

 「俺に聞かないで下さいよ!それに俺もう貴族じゃないですし

彼女とは縁もゆかりも。」

 「ないじゃないよね?どう考えても彼女お前さんを

心配してくれてんじゃないの?」 

 「そりゃあ幼馴染だからでしょう?」

 「は~~あ、鈍感だね。」

 「?」

 ティグルは何故とそう思っている中で・・・通信が来た。

 「はいはいはい、こちら伊丹。」

 『伊丹隊長、至急通信ルームに出頭してください。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊丹は呼ばれたまま自衛隊が建造した仮基地に向かって

通信ルームに入って通信機を手に取ると出てきたのは・・・檜垣であった。

 『伊丹か?』

 「ええ、まあ。何用でしょか?」

 『先ほど対《ライトメリッツ公国》対策として建造された国境監視砦から

緊急通信が伝えられた。』

 「国境監視砦?何であそこから??」

 伊丹はそう言いながらあの砦の事を思い出していた。

 ヴォージュ山脈と呼ばれる山々の内人の通りが出来るのは僅か一つで然も

荒れている。

 普通の民間人、又は商売人は絶対通らない通路で通る人間ともなれば

それでこそ変わり者か・・・隣国の敵位なものである。

 後は動物位であるが万が一に備えて山脈の荒野には崖などがあり

その中に塹壕を掘って大砲や《デスペラード》や戦車等で待ち構えているが

こんな辺鄙な所を誰が襲うんでしょねとティグルの言葉に

まあ楽観視しているよな感じであったが念のためである。

 そこから通信ともなると答えは一つしかない。

 「まさか・・・敵ですか?」

 『そうだ、大至急伊丹隊《第3偵察部隊》は《第4砲撃部隊》と合流されよ。』

 そう言って檜垣は通信を切るのを聞いて通信機を元に戻すと・・・

伊丹はため息交じりでこう言った。

 「マあジで~~。」

 嫌な顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして伊丹はティグル達のいる所に戻るとその事を伝えて

準備させるように言うとリュディが前に出てこう言った。

 「私も同行させて欲しいのです!」

 『ハア!?』

 それを聞いてティグル達が揃ってそう言うとティグルがこう続けた。

 「何言ってんだお前は!戦場になるんだから無関係者は来れねえよ!」

 「それでしたら私はティグルの友人として来れるのです!」

 「戦場で何も関係ねえなおい!!」

 ティグルは何としてでもリュディを自衛隊の戦いを見せたくないのだ。

 見たら大体・・・3種類だろうなと考えている。

 ①「遠くから敵を殺すなんて騎士として恥ずかしいです!!」 

 ②「何て凄い力なんでしょう!是非とも加わって欲しいです!!」

 ③「・・・これは地獄何でしょうか(/ω\)?」

 「(①は大体の貴族が良いそうだけど②が大きいな。いや、

③なら間違いなく暫くの間肉料理は遠慮ものだな。)」

 そう考えていると・・・伊丹がこう言った。

 「良いんじゃねえの?」

 『エ!?』

 それを聞いてティグル達が伊丹に向けて首を向けて驚くも伊丹はこう続けた。

 「イヤさ、この嬢ちゃんの事だからさ。絶対何が何でも

ついて行きそうなんだよね?だったら『観戦武官』って言う名目ならどうよ?」 

 「イヤ何言ってんですか伊丹さん!リュディ確かに騎士の家系ですけど

武官って言うほど強いのかどうか!?」

 「どういう意味なのです!?ティグル!!」

 ティグルとリュディは其の儘またかよと言う位に言い合いになっていると

伊丹が通信機で通信していると何やら百面相の様になっており通信を切ると

ティグルに向けてこう言った。

 「許可下りたよ。嫌嫌っぽそうだったけど。」

 「降りたんですか!?」

 ティグルはマジですかとそう言うと伊丹が耳打ちしてこう言った。

 「取敢えずはお前さんと一緒って事にしておいてよ。俺も取敢えずは

一緒に行動するからさ。」

 「本当何でしょね?」

 「本当本当って。」

 そう言っているとリュディはあ!っと言ってこう言った。

 「それですと部下達に連絡を」

 「それだったらこっちの方使ってよ。万が一に備えてこっちには

伝書鳩がいるから。」

 「?」

 リュディがそれを聞いて何だろうとそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これが伝書鳩」

 「そ、万が一連絡が取れないときにはこいつを使っているんだ。近場の鳩どもを捕まえて訓練させているから近場位なら何とかなると思うよ。」

 伊丹がそう言うとリュディに紙とペン(使い方はティグルが教えた)を

出して書かせた後に伝書鳩の足に備わっている筒に入れて飛ばすのを見送ると

伊丹がこう言った。

 「それじゃあ・・・行きますか!」

 『了解‼!』




 戦闘に・・・なるのかな?


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基地に着いて。 

 ちゃんと着いたらまずは挨拶だ。


「と、飛んでますよティグル!これ空を飛んでますよ!!」

 「分かったから分かったから少し落ち着いてくれ!!」

 ティグルはそう言ってリュディを宥めようとしているがそれは不可能であろう。

 何せ空を飛ぶとなると嘗てザイアンがやったように飛竜で飛ばなければ

こんな景色を拝むことなど出来ることないのだから。

 現在彼らは輸送ヘリに乗って現場に向かっている。

 よく見れば航空自衛隊の戦闘機部隊もそこに向かって行った。

 するとリュディがそれを見てこう言った。

 「あんなに速いとは・・・まるで矢のようですね。」

 「ああ、あんなもん迄向こうじゃあ大量に配備されている。『UCR-10』と

『デスペラード』以外の兵器は全部向こうでもあるからな。」

 ティグルはそう答えるが正に圧巻と言っていい程の光景であった。

 各地で配属された自衛隊の内近場で戦闘経験がある面々が揃いに揃っている。

 『UCR-10』もヘリにぶら下がるかの様に配備され基地に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴォージュ山脈対ライトメリッツ公国国境監視砦

 そこは荒れ地である事を最大限に利用し塹壕や基地の建造を行い

崖には幾つもの砲台が配備されている。

 そして基地も伊丹達が使っている臨時とは言え大型の基地として機能している。

 「へえ・・・やっと着いたよ。」

 伊丹はそう言って落ち着くかのように地面を踏んでいると

ティグルがこう聞いた。

 「何で伊丹さんあんなに安心しているんですか?」

 「あれはな、隊長は高所恐怖症なんだ。」

 「?」

 「高所恐怖症って言うのはまあ簡単に言えば高い所が苦手なんだよ。」

 「あの人前は『レンジャー』って言う特殊部隊・・・

まあ、精鋭部隊にいたんだ。」

 「え」

 「ええええええええええええ!!」

 「「「!!!」」」

 突如栗林が大声でそう言うので3人はびっくりしていると

ティグルがこう聞いた。

 「ええと栗林さん、どうし」

 「どうしたもこうしたもないでしょう!!」

 栗林はそう言ってティグルの肩を揺らしながらこう言った。

 「良い!『レンジャー』って言うのはねそれはもうとんでもない位の

精鋭部隊なのよ!!なれる確率もなれたとしても余りの訓練の辛さに

リタイア者続出で選ばれる人間は間違いなく最強の人間!!」

 「あんなボケーッとした人間がなれるもんじゃないのよ!!」

 そう言いながら栗林は伊丹を指さした後に頭をガシガシと掻きながら

唸っている中でティグルは富田がこう言った。

 「まあ、そんなところだな。ティグル達風に言えば

騎士の中の騎士って所かな?」

 「ええと・・・ねえ。」

 ティグルはそれを聞いて苦笑いしていた。

 何せあの人がそんな凄い人なんて・・・見えないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 取敢えず伊丹達は基地司令に会いに行った。

 「よう『二条橋の英雄』。待っていたぞ!」

  そう言うのは『五十嵐 忍』。

 元々は伊丹が嘗ていた部隊『レンジャー』において

隊長をしていた事もある逸材。

 その能力を生かしてこの国境監視砦を任されている。

 初めての実践ということも相まって各部隊はいそいそと対応していた。

 そして五十嵐はこう言った。

 「今回の貴官らの持ち場所は武官もいると言う事も兼ねて後方にいて

欲しいのだが残念なことに人手が足らないのが現状である事から

最終防衛ライン中央に構えて欲しい。」

 「それで良いですけれどよく了承いたしましたね。」

 武官の事も含めてと伊丹がそう言うと五十嵐はニヤリと笑ってこう答えた。

 「まあ、今回は突然であることも相まってだが我々の戦力を見せつけることで

ブリューヌ王国にいる各貴族を和平交渉に引っ張り込みたいと言う

思いもあるのだ。」

 「その前に向こうの国が何するのか分かりませんよ?」

 「それならこちらも絶えず交渉の糸口を探すしかあるまい。」

 お互いにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 ティグルは伊丹が指令と挨拶している間にスナイパーライフルを

組み立てていると桑原が双眼鏡を持ってやって来た。

 「ティグル、少し良いか?」

 何だろうと思っているとティグルはリュディと共に向かって行くと

向かった場所は夜にライトを照らすときに使う監視塔である。

 そしてティグルは桑原に向けてこう聞いた。

 「何ですか?」

 「あの旗の内容を知りたいんだ。」

 桑原がそう言いながら双眼鏡を手渡してティグルはそこから覗いてみると

旗が3つほどあった。

 一つは黒い竜の様な刺繍が施された旗。

 二つ目は銀色の風を模した形の刺繡が施された旗。

 三つめは水色で水と雪を模した刺繡が施された旗。

 それを見てティグルはこう答えた。

 「俺が知っているのは黒い旗だけですが、あれはジスタートの旗···

黒竜旗《ジルニトラ》ですね。」 

 そう言いながらティグルはリュディの双眼鏡の使い方の説明をして手渡すと

リュディはこう答えた。

 「恐らくあれは・・・『戦姫(ヴァナディース)』の旗でしょね。」

 「戦姫(ヴァナディース)?」

 「はい。ジスタートのは7人の戦姫と言う人間が存在し、何やら

竜具(ヴィラルト)』と呼ばれるこの世の物とは思えない武器を使っているとかなんとか。」

 「それは父上にも聞いたことがあるな。」

 ティグルはそう言えばとそう言うと桑原は頭を抱えてこう言った。

 「こいつはまた竜とは違う意味で大変になりそうだな。」




 ここで出てきた五十嵐 忍は『鉄のラインバレル』に出てくる人物です。


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戦の決め事

 配置決めは重要である。


一方その頃基地とは真逆に位置し距離から見て1500アルシン(15㎞)に位置する

丘のふもとにおいて陣が張られていた。

 その場所には言うに三千と見られる大軍勢が待機されていた。

 その中にある指令所と思われる幕舎に何人かの騎士長と・・・

2人の少女達がそこにいた。

 銀閃の風姫(シルヴフラウ)、エレオノーラ・ヴェルターリアと、凍漣の雪姫(ミーチェリア)、リュドミラ・ルリエ。この2人が陣の中でのお互いの兵の配置を確認をしていた。

 そんな中でエレオノーラが呟く。

 「それにしても···遠目から見るが、大きな城だ。それにあの色を見ろ。緑の城など初めて見る」

 そう言っているとリュドミラがこう言った。

 「ま、所詮は蛮族よ。協定の護衛に行っていた息子を

人質にするくらいですもの。」

 リュドミラは肩を竦めてそう言っているが・・・もしこの場に自衛隊の関係者がいれば、いや違うだろ?

と怒りながら返すだろう。が、本人は手紙から読み取った感想を言っているにすぎない。

 テナルディエ当主からは手紙でこう綴られていた。

 『我が息子ザイアンが、突如として侵略してきた蛮族共相手に協定の為の使者として向かったのにも関わらず拘束され、人質にされてしまった。故に貴殿に救出を依頼したい。是非、ご助力願う』

 並べた情報は噓八百。侵略を仕掛けられた処か、自分が仕掛けた側であるにも関わらずこの内容である。

そんな虚偽でリュドミラを向かわせた外道と見抜ける者は、生憎とこの場には居なかった。そして、居たとしても残念ながらそのような場合では無い。

 既に斥候を何人か放ち、周りの偵察に向かわせたのだ。

 そして戻ってきた兵士の報告を聞いた。

 「我々が向かって言った処何も応答がなく、前には鉄の糸のようなもので

出来た塊とその後ろには穴を掘って作られた通路があられました。」

 「通路?・・・何に使うのか分からぬが落とし穴と言う訳ではなさそうだな。

塊ぐらいならこいつで吹き飛ばせよう。」

 エレオノーラは眉を潜めるが、しかし自信に揺るぎはないと自身の腰に差している長剣を摩る。

 そしてエレオノーラとリュミドラは互いの兵の場所を決めた。

 「我々ライトメリッツ公国軍は、500を中央突破、残りの500は左右に分かれて

向かわせよう。」

 「なら私達オルミュッツは1000を向かわせて、500はここに残すわ。

残りはエレオノーラの左右に分かれた兵達の補填として行きなさい。」

 それで決まったのだ・・・運命が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって基地内にある食堂

 「ウワ~~。綺麗ですねえ。」

 「まあ、基地だからな。綺麗にしないと食事だって旨くならねえだろ?」

 ティグルはリュディに微笑みながら、箸を手に食事を始めようとしていた。

 今日は魚の野菜あんかけともずく、そして麦ご飯である。

 そしてティグルとリュディが手を合わせ、日本式の挨拶をして食事を始めようとすると、リュディが問い掛ける。

 「ティグル、一つ宜しいです?」

 「?」

 「どうして昼に見に来た兵士を放っておいたのです?」

 それに対し、ティグルは答える。

 前の時は斥候は全員殺したのだがそれは自衛隊がいると言う事をザイアンに

感ずかれない様にするためであった為で、今回は違うと。

 「向こうからしたら、俺達は情報がない。詰る所、いつも通りの戦いをするはずだ。そこを逆手にとって俺達がどういう戦い方をするのかをギリギリまで

分からなくさせるのさ。向こうは有刺鉄線何て見たことないから

取り除こうと思っていたようだけどそう簡単に来てはくれなかったな。」

 相手は中々に兵の規律を重んじているってのがよく分かる、とも呟く。

 「だからこそ、相手が動いた時には全力で戦う必要があるんだ。俺達の後ろにいる皆を、守るために。」

 そう言うティグルを見てリュディは確信した。

 「(ああ・・・ティグルは全然変わっていなかったのですね。)」

 民を守るために戦うと言う想いは何時だって変わらないんだなと分かって

安心して食事を再開した。

 そして食事を終えた面々は一同外に集まった。

 すると総司令でもある五十嵐が全員に向けて作戦概要を説明した。

 「今回の戦闘は防衛であるが、それだけではない。既に発進して偵察してきたドローンの情報によれば、敵の総勢は役3000。

偵察してきたドローンの情報によれば敵の総勢は役3000。

ここから15キロの我々の真正面に陣を敷いている。

故にこいつらを倒すに際し、最も気を付けなければいけない事は、竜がいるかと言う事だ。大型のタイプが確認されているが、小型種もいる事も考慮に置き即座に対応するように。弾頭はバズーカか対艦機関砲で対応、

各班はそれぞれ所定の位置に待機し様子を見るべし!前線部隊からの報告を逐次聞くべし!!

何か質問はあるか?」

 そう聞くも全員何も言わなかったので五十嵐は大声でこう言った。

 「各員!所定の位置に着き第2種警戒態勢に入れ!!」

 『『『『『了解‼!』』』』』

 そう言って各員が配置に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ティグル、ここで宜しいのです?」

 「ああ、ここで待機だ。」

 ティグルはリュディに向けてそう言うと伊丹が全員に向けて説明した。

 「今回の俺達の任務は『観戦武官』でもあるお嬢ちゃんの護衛と前線部隊の

様子次第において各員最前線に向かう事となるかもしれねえ。ティグル」

 「ハイ!」

 「お嬢ちゃんの護衛、ちゃんとしろよ?」

 「了解しました!」

 「そんじゃあ各隊は交代で見張ることとなっているから皆今のうちに

寝ておくか。」

 伊丹はそう言って武器を持ったまま眠った。

 それは全員同じでリュディは驚いているとティグルがこう言った。

 「寝とけよ。今のうちに寝ておかないと戦いの時に持たないぞ。」

 「ハイです。」

 リュディはティグルの言葉を聞いて一緒に眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時夜の8時。

 それから13時間後の午前9時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『ウォォォォォォォォ!』』

 ブリューヌ王国側から聞こえる雄たけびと共に、戦争が始まった。




 やっとここまで来たヨ。


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戦場に常識などない。

 戦場で培った常識は他から見れば・・・違う物である。


「敵部隊急接近!数は3000!!」

 「総員砲撃開始!!」

 五十嵐が部隊にそう命じた次の瞬間に・・・砲撃が始まった。

 「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 着弾、又は近接信管によって上空で爆発してブリューヌ王国の軍隊が一瞬で

吹き飛んだ。

 「何だこの攻撃は!?」

 エレオノーラはその攻撃を見て驚きながらそう言うと隣にいる副官リムアーシャが進言した。

 「エレオノーラ様!この攻撃は異常です!!至急撤退の下知を!?

先ほどのデ我が兵が150程吹き飛ばされました!!」

 「ええい!リム!!貴様は負傷した兵を引き連れて一端退け!」

 「エレオノーラ様は!!」

 「私が敵の内部に入って搔き乱すから無事な兵と共に再出撃せよ!!」

 「エレオノーラ様!!」

 エレオノーラはリムアーシャに向けてそう言って自衛達がいる方向に

向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何ヨこの攻撃は!!!聞いてないわよこんなの!?」

 リュドミラはそう言って周りの状況を見たが最悪の一言に事尽きた。

 先ほどのデ吹き飛んだ兵たちの・・・遺体が残骸の様に積み重なっていた。

 まるで壊れた人形の様に積み重なっており手足が吹き飛んでいたり

頭が無かったり胴体が真っ二つになっていたりと酷い状況であった。

 「うぷ。」

 リュドミラはそれを見て吐き気を催しそうであったが必死に耐えて命令した。

 「総員一時後退!負傷兵を連れて撤退し体勢を立て直す!!」

 『ハ‼』

 リュドミラの命令に各騎士達が答えると各々は未だ戦っている兵達に

撤退の伝令を伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これが異世界軍の戦闘。」

 リュディはそう呟きながら戦闘を見ていた。

 先ほどの砲撃が引き金となり各隊が持っている細長い筒を使って

更に攻撃していた。

 するとどうであろう・・・有刺鉄線と呼ばれる柵に来る兵が

次々と倒れていくではないか。

 次々と倒れる兵士達、彼らは何があったのかを知る事もなく

あの爆発で死ぬか生き残ったとしても手足が引き千切られて退くことも出来ない。

 すると隣にいるティグルがリュディに向けてこう聞いた。

 「大丈夫か?吐き気とかないか??」

 そう聞くとリュディはこう答えた。

 「大丈夫です。それしても凄い戦闘なのです」

 「ああ、これが自衛隊の・・・門の向こうでの戦闘だ。

騎士が武勲で名乗りを上げるんじゃなく戦闘その物を早期終結させて

敵味方の死者を減らすと言った・・・考え抜いた兵法なんだ。」

 そう言いながらティグルはスコープ越しで敵を監視しているとある存在に

いち早く気づいた。

 「伊丹さん!」

 「どうしたの?」

 「敵がこっちに向かってきています!!」

 「嘘!?」

 伊丹はティグルの言葉を聞いてマジかよとそう思っていた。

 何せ砲弾犇めく戦場で生身で来られるのかとそう思って伊丹は双眼鏡を使って

見てみると・・・こう呟いた。

 「マジだよ。・・・」

 そう呟くと古田にも見せた。

 「本当に来ていますね、よくもまあ無事で来ているものです。」

 そう呟くとティグルがこう聞いた。

 「どうします!敵は後10キロでここに来ますよ!!」

 そう言うと伊丹はこう命令した。

 「各員銃を構えろ!ないかもしれねえけど取敢えず準備だけしとけ!!」

 『了解‼』

 伊丹の指示を聞いて各員が武器を準備するのを見てリュディも剣を抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「中々どうして!ここ迄の攻撃が出来るとは!!」

 単騎で向かっているエレオノーラはそう言って周りを見渡した。

 砲撃で周りが土煙に覆われているがそれが幸いであるかの様に走っていると・・今度は光るナニカが無数で襲い掛かってきた。

 「今度はこいつか!!」

 そう言って当たるかと思われたが・・・何故か当たらなかった。

 まるで見えないバリアの様なものが覆われているかの様な感じであり

エレオノーラは尚も突き進んでいった。

 そして等々最前線の有刺鉄線が見え始めるとエレオノーラは馬に乗り上がって

勢いよく飛んだ。

 そう・・・飛んだのだ。

 普通なら直ぐに落ちるはずなのに全然落ちずに・・・飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの子ってもしかして〇式使えるの?」

 「っていう事は俺らは海賊ですか?」

 倉田は伊丹の言葉に対してそうツッコミを入れた。

 って言うかそれって国民的アニメじゃん。

 そんな中でティグルは土嚢に乗ってスナイパーライフルを構えてエレオノーラの頭めがけて・・・放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「!!」

 エレオノーラは何か長い棒のようなものを構える

自分とさほど変わらないであろう青年を見て・・・何かがヤバいと感じて剣で

自分の顔を覆った。

 すると何かが当たった様な音が鳴り響き、エレオノーラは其の儘青年・・・

ティグルに向かって突っ込んで行った。

 「ティグル!!」

 伊丹は方向的にティグルだと確信し、警告するとティグルはそれを聞いて

やばいと感じてスナイパーライフルの銃身を掴んで・・・防御した。

 ガキィイン!!と言う金属同士が響く音が聞こえお互いに飛び退いた。

 「貴様が私を?」

 「ああ、そうだ。今度は当てる。」

 ティグルはエレオノーラの言葉を聞いてそう答えるとエレオノーラは

自分の名前を述べた。

 「初めましてといこう。私は『ライトメリッツ公国領主』、

『エレオノーラ=ヴィルターリア』。」

 貴様とそう聞くとティグルはそれを聞いてこう答えた。

 「『アルサス領主』で自衛隊の予備隊員『ティグルブルムド・ヴォルン』。」

 階級は無いとそう言ってスナイパーライフルを放り投げて

拳銃とナイフを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嘗てはとある戦場で運命的な出会いを果たしたこの2人。

 今は硝煙が匂う戦場で・・・敵同士として出会った。




 互いに出会い・・・運命は交錯する。


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戦闘終わり。

 淡白かもしれないけどどうぞ。


 ギィイイイイイイインと金属と金属がぶつかり合う音が聞こえた。

 銃撃鳴りやまぬ戦場の中でティグルはエレオノーラと対峙していた。

 本来ならば接近戦はティグルにとって分の悪いものであったが元々弓意外に

よく使うのはナイフと狩猟用の槍であった。

 その為桑原はその武器をベースにして棒術とナイフ剣術、

柔術や合気道などと言った日本独自のやり方でティグルに叩き込んだのだ。

 「ウワっと!」

 「何か分からぬがダンスするならばもう少し上手くなったらどうなんだ?!」

 「そんな予定ねえよ!!」

 ティグルはエレオノーラに向けてそう毒づきながら躱し続けているが

これが何時まで続くかだ。

 確実にエレオノーラはティグルの急所でもある人体の箇所

目掛けて斬る構えであったがティグルはそれを本能で裁いていた。

 更に言えば拳銃の持ち手の下部分を使って剣の軌道を逸らしていた。

 そんな中で伊丹は全員に向けてこう命令した。

 「全員銃剣装備、万が一に備えて構えておけ。」

 『了解』

 リュディ以外がそう答えて準備を始めた。

 そんな中でリュディはティグルの戦い方を見ていた。

 初めて見るその闘いに感覚を研ぎ澄まして観察していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ほう・・・ここ迄耐えた人間は戦姫以外では初めてかもな。」

 「お褒め預かりどうも。」

 あれから3分近く進んだ。

 よく聞いたら銃声の音が小さくなっていくのが分かる。

 すると他にいた隊員がティグルとエレオノーラを取り囲んでいた。

 何時でも攻撃態勢が整っているような感じであった。

 するとティグルがエレオノーラに向けてこう聞いた。

 「降伏しろ、そうしたら捕虜として丁重に扱える。」

 死体は御免だろうとそう言いながらティグルは拳銃を構えたがこれは脅しだ。

 さっきまでの攻撃で拳銃が歪み始めており撃つことが

出来なくなっているかもしれないと感じているのだ。

 するとエレオノーラはこの状況を見て冷や汗を一滴垂らすと・・・浮いて

こう言った。

 「悪いが如何やら戦いはここ迄のようだからな。失礼させてもらうぞ!」

 「待て!」

 ティグルは逃走を図ろうとするエレオノーラを見て土嚢と壁を駆使して

よじ登ってエレオノーラにぶつかった。

 「!!」

 エレオノーラはバランスを崩してそのまま落ちるがお互いに落ちた場所で

エレオノーラはティグル目掛けて剣を横向きに振りかざした。

 「殺った!」

 エレオノーラは確信するように剣を振るがティグルは座ったままの状態で

上半身の力だけでエレオノーラの・・・剣を持っている方の腕を掴んで・・・

回転させて転ばせた。

 「!!」

 エレオノーラは初めて見る技に驚愕するがティグルは更に其の儘エレオノーラを関節技で抑え込んだ。

 「ぐう!!」

 エレオノーラは其の儘地面に叩きつけられると同時に

剣が飛ばされてしまったのだ。

 そしてティグルがエレオノーラに向けてこう言った。

 「降伏しろ、これは通告だ。」

 そう言うとエレオノーラは目を閉じて・・・こう言った。

 「・・・分かった・・・!!」

 その声と同時に戦闘が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライトメリッツ公国死者200人、負傷者100人(半分以上が手足の欠損有)

 オルミュッツ公国死者1040人、負傷者800人

(こちらも半分以上が手足の欠損有)

 ライトメリッツ公国領主エレオノーラ=ヴィルターリア・・・行方不明

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんでその当人はと言うと・・・。

 「ほう、中はこんな感じってあれは何だ?」

 「あれは戦闘機で多分次で使うかもって何で聞くんだ?」

 「聞きたいからだ・・・あの大きな馬車みたいなのは?

あの大きな逸物を持った緑の塊は??あの巨人は何を食べるんだ!!?」

 「女の子が逸物とか言うなってお前本当に捕虜の自覚あるの?!」

 ティグルはエレオノーラに向けてそう聞くが当の本人はあれやこれやら

色々と見ているので聞いていない様子であった。

 すると伊丹がティグルに向けて慰めるかのようにこう言った。

 「ご苦労さん。」

 「伊丹さんってあの人何とかしてくださいよ~~。」

 「そんなこと言ってもあの子捕まえたのお前だしあの子が如何やって

浮いていたり飛んだりしたのかを検査しなきゃあいけないって言われてるしそれにお前ならこの子の言葉分かるしそれに・・・面倒くさいからお前に任すって

言うのが本音だし。」

 「聞きたくなかった台詞ですよそれ!!?って言うか変わって下さい」

 「ああ、ごめん。それムリ。」

 「早!拒否早!!」

 最早漫才の様な感じであるが今度はリュディがこう聞いた。

 「ティグル、一つ宜しいです?」

 「?」

 「先ほど彼女を投げ飛ばした時のあれって一体?」

 「ああ、あれは『合気道』だよ。」

 「『アイキドウ』?」

 「そ、武器を持っている相手に素手で制圧するって技。」

 「それって危険なんじゃ」

 「危険なんだけど俺って昔から殺気とか感じやすいからな。そういう意味じゃあこの技は弓以外で俺が誇れるものだろうなって思ってるんだ。」

 他にもあるけどなとそう言うがリュディはティグルのその顔を見て

こう思っていた。

 「(ここ迄誇っているティグルを見るのは初めてです。)」

 ブリューヌ王国にとって弓とは卑怯者や臆病者が使う武器だと

言われているが果たして本当なのかと今にして思えば疑いが多い。

 弓があるからこそ敵の牽制や遠距離から討ち取り敵の気勢を削いだり

混乱させることが出来るのではないかと先ほどの戦闘を見てそう思っていた。

 確実に敵を倒しそれが国を守る事に繋がると言う思い。

 彼らにとって褒美ではなく誇りと命を重んじているのではないかと考えているリュディであった。




 次回は場所を移って。


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第二次作戦会議

 次の作戦に向けて。


「何なんだあの戦闘は!!」

 自衛隊基地の反対側に位置するジスタート軍の陣地。

 その中でオルミュッツ公国の騎士が幕内で大声でそう言った。

 頭に包帯らしきのが巻かれているが本人は頭に血が上っている様子であった。

 すると騎士の一人がこう呟いた。

 「だがあの攻撃を如何やって切り抜けるか。」

 「確かに、あの様な攻撃これまで生きて初めての事だ。」

 その呟きに対して他の騎士長も同意見であった。

 何せ彼らにとってあの攻撃は間違いなく経験もしたことすらない戦争なのだ。

 近づいて戦うと言う彼らの戦い方では間違いなく死ぬ確率100%間違いなし

なのだから。

 そしてリュドミラが会議に参加している騎士長全員(さっきの戦いで

半分に減っている)に向けてこう言った。

 「これ以上の戦いは得策ではないとはいえ戦姫が敗退など・・・!!」

 リュドミラはそう言って歯嚙みしていた。

 何せ戦姫はジスタートにとって切り札と呼ぶべき存在、ある例外を除いては

敗北などあってはならないのだ。

 そんなプライドと生来の負けず嫌いが合わさって退く訳にはいかなかったのだ。

 するとリムアーシャがこう提言した。

 「リュドミラ様、一つ提案が。」

 「何かしら?」

 「はい、今日は新月です。」

 「!!成程夜襲ですな!」

 「はい、敵も新月でしたら我々の行動を把握するなど不可能でしょう。」

 「それで?方法はあるの??」

 リュドミラはリムアーシャに向けてそう聞くとこの辺りの地図を出して説明した。

 「彼らのいる所の左右には崖があります。ここは普通ならば遠ざけますが

ここには必ずと言っていい程鹿がよく通ります。鹿が通れるという事は

馬でも可能かと思われますが如何でしょう?」

 そう聞いた。

 詰る所それは嘗て源義経が使ったやり方である。

 そして暫く考えて・・・リュドミラはこう言った。

 「良いわ、奇襲及び平原での戦いはあなた達がよく知っているわ。

だけど兵についてなんだけど」 

 「はい、こちらの兵士は総勢シテ700。その内騎馬兵は200。

騎馬を前衛として後方には鎧を軽めにして向かわせ

ここから最も近くて行きやすい右側から攻めますので。」

 「それなら私達は残った軽症者含めて600が左ね。地図から見たら

少し急斜面だけどこれで滑れるようにしてやるわ。」

 そう言ってリュドミラは持っている青い槍を振るった。

 その後直ぐに各隊に命令して夜襲を仕掛けることとなった。

 「(エレオノーラ様お待ちください、必ず救援に参ります!!)」

 リムアーシャは心の中でそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃の基地に於いてはエレオノーラはと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『我々の目的?』

 「そ、何で攻めてきたのかを聞きたくてね。」

 伊丹がエレオノーラと対面(ティグルも加えて)で事情聴取と相成った。

 エレオノーラからは見えないと思われるが透過硝子となっており逆側からは

見えるようになっている。

 するとエレオノーラは暫くして・・・こう答えた。

 『2つあるが良いか?」

 「ああ、別に話してくれるなら良いよ。」

 『まずは我がライトメリッツ公国からだが我々は村人からある噂話を聞いてその調査も兼ねて来たんだ。』

 「調査?」

 『ああ、数日前だったかな?何やらまるで怨念のような悲鳴と

聞きなれない羽音、巨大な足音、そして・・・悪魔の歌のような声がしたと報告が入ってな、近く調査をしようと思った処にあの女が』

 「え?あの女??」

 『ああ、すまないすまない。こっちの事だ。』

 何やらエレオノーラが嫌な顔をしていたので何だろうと思っていたが

エレオノーラは話を変えた。

 『その時に聞こえた方角が正にアルサスに近いのだ。

何か心当たりがあるであろう?』

 「「(悪魔の歌・・・あれかーー!!))」」

 伊丹とティグルはエレオノーラの言葉と悪魔の歌と聞いてまさかと思っていた。

 あの時空自が鳴らしていたあの音楽とそう確信したのだ。

 するとティグルと伊丹はお互いに耳打ちしてこう呟いた。

 「それってまさか・・・あれ?」

 「でしょね、言葉から聞いたらザイアンが攻めてきた時でしょう?」

 「・・・どうする?」

 「・・・どうするって・・・言うしかないでしょうね~~。」

 ティグルは溜息交じりでそう言うと伊丹が携帯電話を操作していると初めて見たエレオノーラは何だと見てティグルに向けてこう聞いた

 『おい、何だあの黒い物体は?』

 『見てれば分かる。』

 『?』

 エレオノーラは何だと思っていると伊丹が通訳付きでこう言った。

 「それってもしかして・・・こんな感じの?」

 そう言って流したのは・・・あの時空自が流した音楽であった。

 するとエレオノーラはびっくりしてこう言った。

 『なナナなんだそれは!怪しげな術か!?』

 『違うよ!これは科学って言うか村人の話で出てた悪魔の歌ってこんな感じ?』

 『うむ・・・私は聴いていないが村人の聞いたと思われる音が

こんな調子だった。』

 「それじゃあ一つ目はクリアだな。」

 伊丹はそう言って携帯電話の歌を止めるとこう聞いた。

 「それじゃあ2つ目なんだけど?」

 『ああ、そうだな。オルミュッツ公国のだが何やら家同士の同盟で

助けて欲しいと書かれていたらしいんだ。』

 「相手は?」

 『テナルディエだ。』

 「「!!」」

 それを聞いて伊丹とティグルは身構えた。

 まさか自分たちに呼応して欲しいと言う物なのかと思っているとエレオノーラはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『協定の使者として送り込んだ息子が人質になっているから

助けて欲しいっとな』

 「「おいマテ使者としてって先ずそこから嘘だろ!!」」

 流石に伊丹とティグルはそれを聞いてツッコミを入れた。




 誤解を解くには難しそうだな~~。


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自衛隊の作戦

 作戦会議自衛隊編です。


『どうした一体?!私が何か変なこと言ったか!?』

 「いや・・・そのね。」

 ティグルと伊丹は今回の戦闘の諸悪の根源とその息子の蛮行、

そしてテナルディエが嘘を言っていることを映像込みで話した。

 無論最初は信じられないようであったが映像と音声から大体の状況を掴めると・・エレオノーラは怒り心頭で大声でこう言った。

 『テナルディエめ!同盟相手に嘘の情報を出させて戦力を消耗させようとは

汚い奴だ!!』

 「まあ、それも戦術的に見れば間違いじゃないと思うけどね。」

 『どういう意味・・・!‼』

 「だってそうでしょ?自分処の戦力が足りない、だけど邪魔者がいるんでしょ?だったら他の奴らに丸投げして体制整えるってのも一つの手だよ。

相手が対等だったらね。」

 「「??」」

 「つまりさ、国力が同じならそれで良いかもしれないけどその中にある

戦力と兵力の質と量が違っていたらどうする?」

 「それは当然体制が整う時間すら・・・ああ!!」

 『何だ?何だ一体??何を話しているんだ!‼』

 「つまりさ、俺達と向こうじゃ戦略の立て方も内容の滅茶苦茶違うでしょ?

そうなると後は国力で決まると思うけど今この国は内乱真っただ中だから

一致団結なんて無理。となると各個撃破されたらそれでこそ終わり。

だから向こうさんはそっちの兵を使って少しでもと思ってるんだけどさ・・・

見る目悪かったな向こうさんは。」

 『そして私はそれにまんまとか・・・はっ、完全に私達はテナルディエの掌で

踊らされていたと言う訳だが気に食わんな。』

 エレオノーラは自嘲君でそう言うが内心は怒り心頭であった。

 何せその所為で間違いなく殆どの兵士を失ってしまったからだ。

 するとティグルが伊丹に向けてこう聞いた。

 「これで退いてくれるとありがたいんですけど。」

 「そいつは・・・向こうさんの動き次第じゃね?」

 そう言いながら今後の相談をしている伊丹とティグルを見ながらエレオノーラは自分の副官を思い出して内心こう思っていた。

 「(リム、いつも冷静なお前ならばこの状況の打破は難しい。

何とか兵達を退いてくれていると・・・信じたい!!)」

 エレオノーラはそう思っているがそれが・・・完全に打ち砕かれたのは

言うまでもなかった。

 あの後エレオノーラは営倉室に運ばれた。

 何せ捕虜である事と未だ戦闘中と言う事もあり落ち着くまでは閉じ込めようと思っているのだ。

 彼女の剣は現在武器庫に保管され、見張りを付けている。

 そんな中で伊丹とティグルは屋上で空を見上げていた。

 ボーっと見ているかのように見えるが実はそうではない。

 「敵さん、来ると思う?」

 「今日が今日ですからね。もしかしたらと思いますけど指令からは?」

 「ああ、一応言っておいたよ。万が一に備えてドローンを飛ばして

確認が取れる迄は交代で見張りだって。」

 「当面は夜更かしですね。」

 「だなあ。」

 伊丹とティグルはそう言いながら今後の事を考えていると・・・

リュディが来た。

 『ティグル‼』

 『どうした?』

 『いえ、ちょっと探しに来ただけです。』

 『そうか。』

 『うわ~、ここか景色が良いのですね。』

 リュディはそう言うと下の景色、先ほどまで戦場だった場所で

何か作業をしている自衛隊員を見るとティグルに向けてこう聞いた。

 『ティグル、彼らは何をしているのです?』

 『ああ・・・あれは死んだ兵士を埋葬しているんだよ。』

 『え?・・・ですが彼らは』

 『彼らだって戦いたいために戦っているんじゃないんだ。死んだら

皆同じだって言うのが向こうじゃ当たり前なんだ。』

 『それは・・・もし仲間が死んだりしたらどうするのです?』

 『分からない、けど一つだけ言えるとしたら彼らにとって戦とは・・・

避けて通りたい物なんだと思う。』 

 『そうなのですか・・・。』

 リュディはそう呟きながら周りを見ていた。

 先ほどまで焦土と化していた戦場がまるで何もなかったかのように穏やかな風が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『夜襲ですか?』

 『ああ、今夜は新月だ。俺が敵なら間違いなく今日だ。』 

 『ですがあれ程の戦ですし既に撤退しているかと。』

 『そうだと良いんだが捕虜の話によれば元々はザイアンの引き渡しだそうだ。

テナルディエ当主は向こうから戦争吹っ掛けてきたのに自衛隊の方が

先に侵攻してきたってホラ拭いていたし向こうからすれば俺達は完全に敵扱い。

 だからこそ次があると仮定して向こうが今の戦力で出来るとしたら

夜襲って事かもしれないから万が一に備えてな。』

 ティグルはリュディにそう説明しながら牛肉のしぐれ煮を食べていた。

 そんな中でリュディはこうも聞いた。

 『然し夜襲するとしても一体如何やって?』

 『それを今から考えてるんだって。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「現在敵が夜襲をするとなると真正面からは無いと考えると・・・

左右の崖だな。ここら辺は馬でも鹿でも行けるのかティグル?」 

 「はい、ここら辺は荒れ地ですので行けるとしたら鹿と言った処ですが

うまくいけば馬でも行けます。」

 「よし、それを想定し各隊は中央、左右に展開し各隊で待機するらしい。俺達は左だな。全員・・・準備しておけよ!もしかしたら接近戦もするかも

しれないからな!!」

 『了解‼!』




 次回は戦闘・・・かも?


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夜戦は闇の中であっても無力

 夜戦のキーはどれだけ早く制圧できるかである。


 その夜。

 「今日は新月。この闇夜の中で挟撃して敵を攪乱させ、敵の本丸を討ちます。」

 「けどもしも連中に見張りが居れば?」

 「弓矢隊で敵を屠ります。ここら辺は見通しが良いですので夜目の効く者達が

対応します。」

 リムアーシャとリュドミラはお互いに作戦会議した後に分かれていくがその道中が既に自衛隊が上空から察知されていることなど知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自衛隊基地。 時間午前1時20分。

 「隊長、ドローンから通信。敵の大移動を確認したとの報告が」

 「進路は?」

 「敵は2手に別れ多いほうが右、

少ないほうが左側に進路をとっているとの報告」

 「良し、見張り中の全部隊に報告。左右に分かれて敵を待ち伏せよ。」

 「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして伊丹隊。

 「良し、ティグルの予測通りって言うか連中逃げるって言葉を

知らんのかねえ?」

 「知ってて向こうは意地でもここを踏破したいと

思うんじゃないんでしょうか?」

 「いやだいやだ、俺は部下に無駄死にして来いなんて言いたくないねえ。」

 「それがこの世界の戦いなんですから慣れてください。」

 ティグルと伊丹の会話が周りに響き渡るがそんなの関係ない。

 何せ戦場になったらこんな話すら出来ないかもしれないからだ。

 そして伊丹は全員に向けてこう言った。

 「そんじゃあ今回は夜戦で眠いかもしれねえけど取敢えずは

死なない程度に頑張っておこうぜ。」

 『ォォォォ。』

 それを聞いて隊員全員は低い声でそう答えた。

 夜戦は隠密裏の行動である為になるだけ音を出さない様に

しなければならないのだ。

 そんな中で全員が行動を開始した。

 バリケードから離れ全員は万が一の為に装備された非常用の楯を構えた。

 この楯は『UCR-10』の装甲を使って造っているので軽い割に丈夫なのである。

 見た目は機動警察隊が使っている楯と同じである。

 そして全員が楯を構えてその間にマシンガンを構えた。

 暫くしていると・・・通信が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『全軍に告ぐ。敵軍停止。現地域の真正面と推定、閃光弾を発射と同時に戦車、UCRー10における縦断砲撃を開始。敵が進軍した場合は攻撃開始し第二陣として戦闘機部隊における空中攻撃を敢行する。』

 「こちら第三偵察部隊了解。聞いたとおりだ、

夜遅くまで頑張っている連中にお帰りさせてもらいましょ。」

 

 

 

 

 

 

 「・・・実家かあの世かのどっちかだけどね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。

 「各員、向こう側から篝火が出ます。それと同時にこちらも点火と

同時に出陣します。」

 リムアーシャがそう言って各員に指示を与えるとリュドミラの方角から

篝火が見えた。

 そしてこちらも篝火を焚こうと指示を与えようとしたその時に・・・

上空で光が発せられた。

 「この光は!」

 リムアーシャはそう言って驚いた瞬間に向こうでも同じことが

起こっていることに気づいたと同時に・・・破裂音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 プシュ~~~~~~~~~~

 ズドン!!と言う音と共に・・・爆発音が響き渡った。

 『グわアアアアアアアア!!」』

 それと同時に兵士の断末魔が聞こえた。

 するとこれではまずいと思いながらもリムアーシャはこう考えていた。

 「(若しエレオノーラ様がいるとしたらあの建物の何処かにいると)」

 そう思っていると基地から・・・爆発音が聞こえた。

 『『!!』』

 それを聞いて全員が驚いていると全員の通信機から伝達が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『総員に告ぐ!先ほどの捕虜が剣を持って脱走!!至急後方の部隊は

応戦せよ!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ!?」

 「それってつまり・・・!!」

 伊丹とティグルはまさかと思っている中で基地から・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「リムーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「エレオノーラ様!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エレオノーラが大声で叫んでいることが分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 攻撃時。

 『何やら騒々しいな・・・まさか追撃か!ええい!!こんな事なら

もう少し人数・・・いや、どれだけ集めても無駄だな。止めるしかあるまい!!』

 エレオノーラはそう言って自らの両手に付けられている手錠を見た後に・・・

大声でこう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『アリファール‼!』

 そう言うと同時にエレオノーラの剣が・・・本人の手に基地を突き進んで

やって来たのだ。

 そしてそれを手に取ると何やら風が・・エレオノーラの剣に集まると

エレオノーラは剣を振りかぶって大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 『大気毎薙ぎ払え(レイ・アドモス)!‼』

 その声と共に暴風の塊が営倉室の壁を破壊して土を捲り上げらせ・・・

破壊した。

 『良し‼』

 エレオノーラはそう言って営倉室から出て行って周りを見渡した。

 何やらバラバラと音がしており空を跳んで確かめたところ・・・ヘリコプターが今にも発進する準備が整っている様子であった。

 『ええい!何だあれは!?』

 取敢えずの所エレオノーラは車の上をジャンプして壁にある見張り台であろう、足場がある事は昼に見て分かっているためそこに着地してみると

そこで目に映ったのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『何だこれは・・・?』

 炎が戦場を覆い尽くしていた。

 そして突撃してきた両兵士たちが次々と爆音と光の雨に貫かれて

死んで逝っていた。

 そんな中でエレオノーラはリムアーシャを見つけて大声で何とか叫ぼうとするがこの騒音で聞こえない様子で何やら指揮をしているようであった。

 『退けリム!この戦は只の戦ではないーー!!』

 そう言うも全然であった。

 するとリムアーシャの馬が転げ落ちてしまった。

 『リム!』

 エレオノーラはリムアーシャを見て悲鳴交じりでそう言うが

何とか生きている様子であったが・・・空からの攻撃がリムアーシャを

爆炎の中にへと引きづりこまれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『リムーーーーーーー!‼』

 エレオノーラのその声は銃声鳴りやまぬ戦場によってかき消された。




 次回はリムアーシャサイドの戦場とその後。


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戦闘終了

 


 「まさか既に読まれていたというのですか!」

 リムアーシャはこの攻撃に対してそう呟いていた。

 まあ、レーダーやドローン等で直前に分かった後通信により居場所を

把握されるなど知りもしないであろう。

 そんな中に置いてリムアーシャは基地から爆発の煙がある事に気づくと

全軍に向けて叫ぶかのようにこう言った。

 「エレオノーラ様はあそこだ!既に攻勢に出ている!!我々も続けーー!!」

 『『『『『おオオォォォォオオ!‼!!!』』』』』

 その言葉と共にライトメリッツ公国軍が出撃した。

 ミサイルや砲撃の雨霰の中彼らは突き進んでいった。

 途中で仲間が物言わぬ肉塊の塊になれ果てたり体が千切れて飛んでいったとしても彼らは突き進んでいった。

 然しある地点にまで言った瞬間に更に彼らに悲劇が襲い掛かった。

 「全員撃てーー!!」

 その掛け声と共に自衛達の隊員総出で攻撃が始まった。

 ダダダダと撃ち放たれる攻撃に今度は馬ごと戦士たちが倒れていった。

 「この攻撃は一体!?」

 リムアーシャはそう言いながらその中を突き進んでいった。

 すると転げ落ちた兵士に当たったのかどうか分からないが後方の兵士達が

次々とそれに巻き込まれて馬から落馬して下敷きになったり歩兵が

転げ落ちて行った。

 その光景はまるで子供の玩具が壊れていくかの如くどんどんと数を

減らしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ええい!リムの奴何とかして撤退させるように説得しないと

このままでは!!」

 エレオノーラはその光景を見て大声でそう言いながら

何とか撤退させようとすると・・・周りを自衛隊が囲んだ。

 「オトナシクシロ!キサマハカンゼンニホウイサレテイル!!リョウテヲアゲテソノケンヲジメンニオケ!!」

 その声を聴いてどうするかと考えていた。

 何せあの武器は自分の風ならば何とかなるが絶え間ない攻撃に正直な所

攻撃するにも隙が無いのだ。

 そしてテナルディエがリュドミラに対して渡された手紙の内容が

虚偽その物である事も加えると自然にこの戦闘の内容が理解できた。

 「(他国でもある我らが攻撃できない様に数を減らすことと共に

こちら側に注意を向けている間に向こうは攻撃すると言う手はずだと考えれば

確かに辻褄が合うがこの攻撃では向こうもそうはいくまいにな。)」

 そう思っていた。

 彼らは恐らく何かしらの方法でこちらの動きを察知できているのであろう。

 そして向こうの攻撃も気づくともなればこの戦は最早意味もないと考えており

何とか撤退させなければならないがその方法が分からずじまいだ。

 それにここでもう一度摑まる訳にはいかないと考えてエレオノーラは・・・

剣の力を使って浮遊した。

 『済まないが私は彼らに用がある!』

 そう言って飛び去るのを見て自衛達員が攻撃していった。

 然しその攻撃は弾かれていく。

 するとエレオノーラは何か音がするなあと思ってその方向に目を向けると

目に映ったのは・・・異様な光景であった。

 『鋼の箱と剣が・・・飛んでいく。』

 そう、戦闘機とヘリコプターが飛んでいくのを見たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《これより航空部隊における攻撃を行う。総員身を屈めて伏せろ。》

 通信機からの応答を聞いて伊丹は全員に向けてこう言った。

 「皆伏せろ!爆撃が来るぞ!!」

 『リュディ!こいつを被って耳を塞ぐんだ!‼』

 『わ、分かりましたです!』

 リュディはティグルの言葉を聞いてすぐ様にヘルメットを付けると

向こうから・・・ヘリコプターと戦闘機が向かって行く音が聞こえた。

 するとヘリコプターと戦闘機から大量の・・・ミサイルや弾丸が戦場に

叩き込まれた。

 『ギャアアアアアア‼』

 『ウワアアアアアア‼!』

 「攻撃再開!!」

 それと同時に伊丹の言葉と同時に攻撃が再開された。

 今度はグレネードランチャーやバズーカ等が+され、最早戦ではなく

虐殺へとシフトチェンジしていた。

 そんな中でリムアーシャは・・・ううんと目を開いた。

 如何やらあの時に爆風に飲み込まれた後吹き飛んでしまったようだと悟り

周りを見ると・・・それはこの世の地獄であった。

 『何ですか・・・これは』

 そう言うしかなかったのだ。

 周りにあるのは体が引き千切られ、焼き焦げ、物言わぬ馬と共に

肉塊に成り果てた死体が所狭しとそこにあった。

 リムアーシャは何だと思って立ち上がるとそこには・・・弓があったのだ。

 丁度よく弓矢もありリムアーシャは光のある方に向けて・・・放った。

 だがその攻撃は届くこともなく・・・リムアーシャは只々突っ立っていた。

 「・・・フ。」

 リムアーシャは何やら鼻を吹かすと・・・壊れたかのように笑いだした。

 『アハハ・・・アハハハハ・・・アハハハハはあハッハは‼!』

 その壊れた笑い声と同時にリムアーシャは・・・爆風に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『リム‼!』

 エレオノーラは戦場に降りてリムアーシャがいた場所に向かって行った。

 そこは既にクレーターが出来ていたのだがそこから少し離れた場所で・・・

リムアーシャを見つけた。

 『リム!大丈夫なのか?怪我・・・!‼』

 エレオノーラはリムアーシャの今の状況を見て・・・酷く狼狽した。

 爆風により左手脚が付け根辺りから吹き飛んでおり血が噴き出ていた。

 然も火傷が酷く左目は深刻であった。

 そして何よりもトレードマークでもあったサイドテールが焼き焦げていた。

 『・・・ウ・・・』

 『リム!待ってろ!!直ぐ手当てを』

 そう言いかけた瞬間に・・・エレオノーラの蟀谷に何かが当たっている感触を

感じた。

 何かと思って感じると目に映ったのは・・・彼であった。

 『またお前とはな。』

 『本当だな。』

 ティグルであった。

 この攻撃でライトメリッツ公国軍全軍の90%を消失(生き残ったのは

僅か100人足らず)

 更に反対側にあったオルミュッツ公国軍も78%を消失(生き残ったのは760人)

 後にヴォージュ山脈紛争と呼ばれたこの戦闘は言わずもがな

自衛達の圧倒的勝利として後の歴史家によって書かれていた。



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怪我の容態

 その傷がどれくらいなのかを知ってから治療せよ。


「脈拍異常数値!心拍数低下!」

 「血液が足りないぞ!この子は何型だった!?」

 「O型ですがこちらの血液と拒否反応せずに適合できるかどうか!?」

 「仕方ない!応急措置でO型の血液を大至急!!それと本部に通信して

この子を本土に届ける様に通信しろ!」

 「然しこの子の体に未知のウイルスがあったら!」

 「それと同時にバイオハザード班にも応援を頼め!

この子の体内に未知のウイルスがある時に備えて護送用の車を手配させろ!!」

 「さっさとこの子を運ばせる準備をさせろ!ここだと満足な治療なんて無理だ!」

 とある部屋に於いて白衣を着た医者たちが所狭しととある少女を囲い込んで

治療をしていた。

 治療されているのはリムアーシャ。

 体の左半分が重症となっているため治療を施している。

 そして・・・手術室の部屋の外に於いてエレオノーラは椅子に座って

祈っていた。

 ・・・ティグルと伊丹とリュディが見張りに立って彼女の両手に手錠を付けて。

 あの戦闘の後伊丹は医療班にリムアーシャの治療を頼みこみ

ここに運ばれたのだ。

 だが最前線になるであろうと考えられたこの基地の医療施設でも

対応できない程なのだ。

 左手脚を喪い左目は左顔面の火傷と同時に沸騰して焼けただれており

左半身の火傷は深刻なものであった。

 既に数時間は経つ手術となっており4人は疲れ気味であった。

 もう夜明けも過ぎており朝の8時を過ぎていた。

 そして暫くして・・・手術室のランプが消えた。

 「「「『!!!!』」」」

 4人はそれを見て手術室を見ると医者が現れた。

 『リム!リムは一体』

 『俺が聞くから座ってろ。』

 ティグルはエレオノーラを抑えながらそう言って医者の話を聞こうと考えた。

 そして医者は容態を説明した。

 「容体は一時深刻でしたが峠は越えましたが、油断は禁物です。

何せ左側の手足と目を失っているだけじゃなくて皮膚も焼け爛れてましたからね。普通なら死んでも可笑しくないんですが彼女は奇跡的に命を取り留めましたが

ここでは十分な医療を施せませんので本土で治療させるしか

本当の意味で助かる確率が少ないんです。」

 それを聞いたティグルはエレオノーラに状況を説明するとこう聞いた。

 『本当の意味で助からないとはどういう意味なんだ!?』

 そう聞くと医者はこう続けた。

 「何せ皮膚移植をするといっても今の彼女の体だと殆どが焼け爛れていますので『IP〇細胞』で複製した皮膚を作るところから始めないといけません。

それが出来るのは本土の整った医療施設しかありません。後の喪失した場所は

義眼や義肢で代用できますがここが重要でして・・・もし治ったとしても

彼女は2度と戦う事が出来ないですのでそれだけは覚えておいてください。」

 そう言って医者はではと言って立ち去って行った。

 ティグルはさっきの言葉について説明するとエレオノーラは・・・

( ゚д゚)ポカーンとして口を大きく開けながらこう聞いた。

 『貴様らの世界ではあの怪我を治せると言うのか・・・とんでもない奴らに刃を向けたのだな私は。』

 『まあわかるぞその気持。俺もその存在を聞いた時自分の耳を疑ったからな。』

 『私は今でも夢だと言いたいところなのです。』

 エレオノーラ、ティグル、リュディは伊丹達の世界はどれだけ凄いのかと

考えることを放棄してしまった。

 まあ・・・当たり前だろうがな。

 「まあ、一先ずは先にあの子を向こうの世界に送るから君はここで事情聴取と、その剣の秘密が聞きたいからそれから君を本土に連行するでいい?」

 伊丹の言葉を聞いて取敢えずティグルが通訳した後にエレオノーラは

こう提示した。

 『・・・分かった、言おう。だが一つ条件が欲しい。』

 『条件ってお前一応捕虜』

 『リムの体をちゃんと治して欲しい!金ならば金貨で幾らでも払うし

私をムネジオルに奴隷として売り飛ばしても構わないからリムを!・・・

大切な私の親友を助けてくれ。』

 頼むと言って頭を下げるとティグルの通訳を聞いて伊丹はティグルの通訳付きでこう言った。

 「何言ってんの?奴隷にしないし売り飛ばさないよ。俺達そんな事するために

ここにいる訳じゃないしって言うかさ。人を助けるのに理由なんて

いらないでしょ?」

 そう言って笑顔でそれだけだよと言うとエレオノーラは・・・自嘲気味で

こう呟いた。

 『全く、あれ程の力を持ちながらもそんな言葉を言うとはとんでもない馬鹿か

それともお人よしかのどっちかだな。』

 『分かった、ヴィラルトについては分かるところだが答える。

私の親友を助けてくれるならば安い取引だがもう一つ付け加えたい。』

 「「「「?」」」」

 伊丹達はそれを聞いて何だと思っているとエレオノーラはこう答えた。

 『《ライトメリッツ公国》の侵攻の際には民に一切弓を引かぬと

約束して欲しい。』

 そう言うと伊丹はさらっとこう言った。

 「イヤそんなことしないよ。民間人に銃向けるなんてそんなの

俺達は絶対にしないよ。」

 「だって俺達は《みんなに愛される自衛隊》だよ?」

 伊丹の言葉を聞いて口をあんぐりしたエレオノーラを見てリュディは

ティグルに向けてこう聞いた。

 『変わったお方ですねあの人。』

 『まあ確かにそうなんだけど俺からしたら何かこう・・・

憎めないんだよなあって思うんだよな。』

 面白くて優しい人だしなとそう言いながら笑うティグルを見てヘエと言いながら自分も少しであるが笑顔になっているリュディであった。




 次回はヴィラルドの説明。


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新たな任務

 戦いが終わったと思えばまた仕事が来た。


『先ずヴィラルトだがこれは私にも分からないのだ。』

 「「「・・・へ?」」」

 エレオノーラの言葉を聞いて伊丹達は唖然としていた。

 何せ自分の使う武器に対して分からないと言ってきたので何故と聞くと

エレオノーラはこう答えた。

 『何せこいつが私の前に突如として現れてな、こいつの導かれるままに

着いて行ったらライトメリッツ公国だったんだ。それでこいつを見たら

『今日から貴方がここの領主なのです』といきなり言われてな。私は何やら

幻覚を見せる魔物に夢を見せられているのかと思いたくなったわ。』

 何やら変なワードが聞こえたよな感じであったが取敢えずはシカとして

こう聞いた。

 「まあ後で聞くとしてその武器ってあと何個くらいあるの?」

 『ああ、こいつを加えて7つでそれそれ公国を治めている。』

 「ってなると後5人いるって言うの?ヤバいねえ、捕らえた後の収監施設

考えなきゃ。」

 何せ武器が持ち主の下に来るのだからなと呟きながら考えているとエレオノーラはこう言った。

 『今回は私だけではなく氷凍、オルミュッツ公国の戦姫もいた。

その名の通り氷の使い手であらゆるものを氷結させることが出来る。』

 「ってなると焔か、爆炎で吹き飛ばすって言うのが有効って事か。後は?」

 『ふむ・・・他の戦姫となると分かっているのは数人だ』

 「構わないよ、後はこっちで補正するから。」

 『分かった・・・偏にヴィラルトと言っても能力は違う。光や焔、雷を操る奴や

空間移動する奴とかそれくらいと言った処だが

流石に私でも武器の形状を教える程阿呆とは言わないと言いたいが

親友の治療が掛っているために言おう。光は錫杖、焔は双剣、雷は鞭、

空間移動は大鎌と言ったように会ったことある奴なら分かるが

あと一つは使い手どころかどういう武器までは本当に知らぬ。』

 「いやいや、そこまで喋ってくれたら十分だよ。」

 『・・・一つ良いか?」

 「何?」

 『貴様らの医術には不治の病と言われる病を治すことが出来るか?』

 エレオノーラの何かを探るかのような言葉を聞いて伊丹はティグル経由で

こう答えた。

 「可能だと思う。その人の病状次第にもよるが内容次第では延命治療が

精一杯だって事もあるけど。」

 『それでも治せれるのだな!!』

 エレオノーラの鬼気迫る表情を見てティグルがこう聞いた。

 「何かあるのか?」

 そう聞くとエレオノーラはこう説明した。

 『私の親友・・・戦姫だが気の許せる友で実力も高く他の戦姫からも

一目置かれていたのだが・・・』

 「・・・病か?」

 『そうだ、それも一族経由での病で女限定の病だ。

掛れば26になる前に確実に死ぬと言われ、今アイツは22だがベッドの上で

文によれば既にベッドから出られない程だそうだ。』

 それを聞いて伊丹はこう答えた。

 「遺伝性・・・だけど女にしか掛からないってどういうこったそれ?」

 伊丹はそれを聞いて頭を悩ませていた。

 医療に関しては専門外であるが恐らくそうではないかと考えた後伊丹は

ティグル経由でエレオノーラに向けてこう言った。

 「内容次第だけど薬物治療とか下手したら対応できないって事も考えれるな。」

 『そうか・・・だがそれでも何とかしてくれたらと願っていたが分かった。

リムについては何とか頼む。』

 そう言った後にエレオノーラは自衛官に連れて行かれた。

 そして伊丹はこう呟いた。

 「やれやれ・・・大変だなこりゃあ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして帰還した後リムとエレオノーラは其の儘本国に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんで俺らは彼女の護衛ですか?」

 《まあそんなところだ。第3深部偵察隊はこれよりエレオノーラ女史の

護送任務に就け。リュディ女史には我が国の現状を見させた上で

どうするのかを判断させるようにだそうだ。》

 「それってつまり俺らとこっちとの違いを見せつけるって言う

魂胆がありますよね?」

 《まあそんなところだ。リムアーシャ女史は既に本土の病院に向かったから

エレオノーラ、リュディ両女史の護送と護衛任務に就くように。》

 「拝命有難く頂戴いたしますってその檜垣三等陸佐。一つ聞いても

宜しいでしょうか?」

 《?何だ》

 「エレオノーラ女史は良いとしてリュディ女史の眠るところとかは何処に?」

 《そっちならばお前らで決めろ。何せスパイがいた時に彼女が拉致されれば

この戦争は長くなりそうだからな。》

 「詰まる話ですが予算の方は?」

 《それは・・・まあ、予算の一部を出しておくが・・・無駄遣いするなよ?》

 「了解致しました!」

 伊丹が敬礼したと同時に通信が切れた。

 これで言質はとれたと思い伊丹はほくほく顔であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それってつまりもう一度日本にですか?」

 「ああ、今回は観光みたいで良いだろう。お前も日本の内情を知る

良い機会だな。」

 「お土産とか買えます?」

 「どうかな・・・まあ予算オーバーしていなけりゃあ良いでしょ。」

 「ありがとうございます!」

 ティグルはそれを聞いてウキウキ顔であった。

 それを見た伊丹はこう呟いた。

 「何か・・・さっきまでの俺みたいだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日。

 「それじゃあ皆。厚着したか?」

 『ハイ‼』

 「これより俺らは日本に戻る。目的はエレオノーラ女史の護送と

リュディ女史の警護だ!羽目はあまり外すなよ!!」

 「それって伊丹サンもでしょ?」

 『アハハ・・・バレたか。」

 それを聞いて全員がハハハハと笑っていた。

 そして全員が乗車(エレオノーラは後方のトラック)に載せると伊丹が

全員に向けて通信でこう言った。

 《それじゃあ・・・出撃!》




 次回は日本に来て。


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いざ日本へ

 ここからは日本編です。


後の歴史資料においての一文

 《私はリュディエーヌ=ベルジュラック。この度私は日本に来ることと相まった。

 未だ誰も言った事もない異郷の世界。ティグルヴルムド=ヴォルンが来た国。

巨大な門、通称《GATE》を捕虜となった戦姫の護送と言う名目で通過し

最初に目にしたのは・・・鉄で出来た摩天楼であった。》

 

 

 

 

 

 

 

 『これが日本・・・。』

 『ああ、ここが日本だ。』

 ティグルはリュディに驚いた顔を見て少し笑いながら・・・

そしてしっかりとその建物の構造を見ていた。

 屋上から如何やって矢を射貫いてどこまで飛ぶのかを考えているが

リュディはそれどころではなかった。

 鉄で出来た建物。

 よく見たら人が中に入って何かをしている様子であった。

 下の方は何かで閉ざされているが恐らくは嘗ては店であったのであろうと

推測している中でリュディはある所を見た。

 後ろ側なので何だと思って見てみるとそこには・・・幾つもの写真が写っていた。

 『ティグル、これは?』

 『ああ・・・ここで死んだ人たちに追悼場所だよ。』

 『え?』

 『あの時ザイアンは街にいる人間全員を殺して財宝を得よという

指令があったんだ・・・俺達は何もしていない民間人を殺しまくっていたんだ

山賊のように‼!』

 『ティグル・・・』

 『だから俺はあっち側に鞍替えしたみたいなことになっているんだ。

真実だけどこのままじゃあ俺達の国は駄目な方に向かっているんじゃないかって

思うほどにな。』

 ティグルは少し自嘲気味でそう呟くがリュディはその言葉から

本当の兵士とは何かを考えなければならないんじゃないかとそう考えていると・・伊丹の声が聞こえた。

 「ティグルーー!!手続き終わったから行くぞーー!!」

 「はーい!」

 その声を聴いてティグルは伊丹の所に向かって行くのを見て自分も

何かしないとな考えたリュディであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんじゃあ皆頑張ろうぜ!」

 『了解‼』

 伊丹の掛け声と同時に総員は準備を始めていると・・・後ろから声が聞こえた。

 「いやはや、中々威勢が良いな。」

 「?・・・アンタ自衛官じゃないよね?」

 伊丹はそう言って何処にでもいそうな中年っぽいオヤジ風男性と

その取り巻きであろう如何にもと言わんばかりの黒服の男性と

警官がそこに立っていた。

 「あんたが伊丹二尉ですね。」

 「はい、そうですが。」

 「お初にお目にかかります。私は公安警察情報本部から

『エレオノーラ女史の護送』の任を任されている『駒門』です。」

 「公安って?」

 ティグルは伊丹に公安とは何かを聞くと伊丹はこう答えた。

 「国外のテロリストや工作員の監視、国内じゃあ過激思想な連中をとっ捕まえる組織なんだがやり方が残忍で俺らみたいな武器を持っている連中を

監視しているのさ。クーデターが起きないようにな。」

 ま、そんなこと考えているのは一部だけだろうがねえと欠伸交じりでそう言うと駒門はその伊丹の態度を見てニヤリと笑ってこう言った。

 「アンタやっぱり只者じゃないねえ?アンタの経歴をちょっとだが調べさせて貰ったよ。」

 「何も出ないと思うけどねえ。」

 「まあ、聞きなさいって。平凡な六流新設大学を同じく平凡に卒業って

理由が卒業しやすいからって策略家だねえ。

んでその後は一般幹部候補生過程をビリから二番目の成績で三尉任官って

ビリの子は怪我しなけりゃあアンタがビリだったって運が良いのかねえ?その後は部隊配備されるも勤務成績は不可にならない程度の可で業を煮やした上官から

幹部レンジャーに放り込まれて何度か脱落しかけるも

尻尾にぶら下がるかのような感じで修了ってアンタその時の相棒から

蛇蝎の如く嫌われているねえ。んでその後に習志野に移動するんだけどアンタ・・何で『S』になったの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヒィイイイイイイイイイイヤー――――――――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後ろで大声を上げるので何だと思うと栗林が・・・

心が斬り裂かれそうな表情であった。

 そしてティグルは何だと思って富田に聞くとこう返した。

 「『S』って言うのは特殊作戦群って言うまあ簡単に言うと

とんでもない強者しかなれなくて数百人だけで一個連隊規模の軍隊に等しい戦果を挙げることが出来ると言われるほどの戦闘部隊だな。」

 「・・・・・・」

 ティグルはそれを聞いて本当なのかと思いたいくらいである。

 まず間違いなく頂点に君臨出来る程じゃないのと言わんばかりであるが

当の本人があれだとそう思っていると伊丹がこう言った。

 「ああ、昔さ。どっかの論文で言ってたじゃん。『働き蟻の二割が怠け者でそれを取り除くとどうなるかって』。」

 「?」

 「それまで働きアリだった奴らの2割が怠けたんだよ。そんでその屁理屈を

上官の前で言ったら『それだったら最初からお前みたいのを混ぜておけば堕落せずに済むな!ハハハハハ!‼』だってさ。西譜連結成時は自殺者が多かったから

心理学的理由でその提案が真剣に取り組んでさ。」

 「・・・そんであんたが『S』に・・・こいつはいいや!

アンタみたいな奴がのんびりやっていれば壁にぶち当たった奴らも

自分を追い込む様な真似はすまい!」

 駒門はハハハハハと大笑いしながらそう言って暫くして笑いを止めると

伊丹に向けてこう言った。

 「アンタやっぱり只者じゃないよ。優秀な連中の中でピエロを演じきれる

アンタに敬意を表するよ。」

 「そんなもんじゃないんだけどねえ。」 

 伊丹がそう言った後にお互い敬礼して再開した

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方そんな中エレオノーラはと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 『ここが日本か・・・ここ迄立派な国と戦争をしたいとはテナルディエは

如何やら黒龍に喧嘩を吹っ掛けた様な物だな。わが国はどう出るやら。』

 少し見物ものだなと少しにたりと笑いながら周りを見ていた。




 次回はエレオノーラの当面の監視場所。


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リムの今後

 最初はリムで最後がエレオノーラの監視場所である。


『ティグルティグル見てください!見たこともない衣装を着た人たちがあんなに‼』

 『落ち着けって透けガラス越しじゃあ向こうからは見えないけれど落ち着け‼』

 ティグルはリュディの興奮する姿を見て落ち着くように言うが

それは無理かなとそう感じていた。

 何せ日本は最初に侵攻した際に一度見たきりの自分でさえ

新しい発見があるからだ。

 伊丹によれば今は冬。

 然もクリスマスと言う外国の行事が行われており子供たちが

何やら親と共に買い物している光景が写った。

 然しこうも考えていた。

 「(あの時俺達が侵攻した時に死んだ人たちもこうやって過ごしていたのかも

しれないな・・・)」

 そう思うとやるせない気持であった。

 だが今この状況は何とかしてほしいと思いながらティグルは

一番後ろ側の席を見るとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「嘘よ・・・誰かウソって言って。」

 「生憎だけど真実よ。栗林ちゃん。」

 「イヤアアアアアアアア(*´Д`*)!!」

 「なに止め刺しているんです黒川さん。」

 顔を両手で覆って現実逃避している中で黒川の一言でまた大声を出す様子を富田がツッコミを入れると言うなんとまあ・・・カオスな状態だと思っている。

 未だ伊丹が本当の意味でエリートなのだと言う事に納得いってないようであるがまあこればかりはなあとそう考えていると伊丹が全員に向けてこう言った。

 「そんじゃあ今日はエレオノーラ女史の護送が目的だけど

一つ寄るところがある。」

 「何処ですそこは?」

 富田がそう聞くと伊丹はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「病院だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ここは何処だ?」

 エレオノーラはそう言ってその建物を見た。

 大きな白い・・・要塞の様な場所のようにも見える。

 まさかここなのかとそう思っているとティグルが付いて来たら分かるってさと

そう言って一緒に向かった。

 流石にこの中ではなとそう思い手錠は外されていた。

 そんな中でエレオノーラはなんだと思って周りを観察していた。

 何百人もの人々が何かを待っていたり誰かと話していたりとしていたら

上に行けばその光景はガラリと変わっていた。

 ベッドに寝ている人間に何かを口の中に入れて呼吸していたりする人、

何やら白い服を着た男性や女性に向けて何かを話している人達が

そこらかしこにいた。

 すると一人の白衣を着た男性が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お、この子があの子の知り合いか?」

 『?』

 「おっと、言葉は分からなかったか済まないすまない。」

 「私は・・・アア誰か通訳できる人いないか?」

 「俺が出来ます!」

 ティグルが男性の言葉を聞いて手を上げると男性はティグル経由でこう言った。

 「オオ済まないな、自己紹介をするな。私はこの病院で義肢関係の

仕事をしている『黒瀬 進』だ。」

 そう言って握手しようと手を出すがエレオノーラは何だと思っていた。

 「・・・まあ良いか。君の仲間は私の担当している部署で入院している。」

 『リム・・・アイツは無事なのか!?』

 それを聞いてエレオノーラは容態を聞くと黒瀬はこう答えた。

 「まあ大丈夫と言えば大丈夫かと思いたいが今彼女は手術における

麻酔で眠っている状態だから起きはしないが峠は越したと言っても

過言じゃないね。」

 『そうか・・・良かった。』

 エレオノーラはそれを聞いて安心するが黒瀬はこう続けた。

 「只今回の怪我で彼女は当分であるが幻肢痛に悩まされると思う。」

 『それは酷いものなのか!?』

 「いや、これは私の私的観点だが幻肢痛は本来人間が持つ電気信号が

行き届くはずだった手足がないことからその信号が他の神経に作用して

起きているんじゃないかって思ってね。体が慣れるのを待つしかない。」

 『・・・会えるのか?』

 「ああ、今は集中治療室にいるから窓越しだがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『リム・・・!!』

 エレオノーラはリムアーシャの今の様子を見て心配であった。

 口元には酸素マスクが付けられていてそれで呼吸させているが

それすら分からないのであれは何をしているのだと聞いてティグル経由で

黒瀬の説明を聞いてもうはや分からないことだらけだとそう言って退室した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『それで失った手足についてなのだが。』

 「うん、そっちの方はこちらが作っている義肢を出すがこれは未だ世界で

公開されていないタイプで正直な所どんなデメリットが出るか分からない。だから実験と言ったら酷いかもしれないがうまくいけば彼女は日常生活を通常通りに

過ごせれるんだ!頼む!‼』

 黒瀬はそう言って頭を下げるとエレオノーラはこう返した。

 『必ず・・・治してくれ‼』

 「無論だ!!」

 黒瀬はエレオノーラの言葉に対してそう返した後エレオノーラ達は

監視場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれが監視場所となっている『東京拘置所』だ。」

 『まるで・・・要塞ですね。』

 『ああ。』

 リュディとティグルはお互いにそう言ってその場所を見た。

 それは上空から見ればX型の形状の施設であり完全に要塞と言っても

過言ではない。

 「この中にある重犯罪者が収容される場所がある。そこで彼女は監視するって

寸法だ。」

 駒門が車から降りてそう言うと・・・扉が開いてその中に全員が入っていった。




 次回は説明と今後。


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リュディの日本旅

 この番組はフィクションであります。
 ティグル「イヤナニコレ!?」


東京拘置所

 そこは日本中の犯罪者が収監されている場所であり今でも多くの死刑囚が

収監されている。

 その中には二重の扉になっており開けるには見張りに立っている2人の鍵を同時に使用しないと開けれない様になっているが・・・エレオノーラの場合は剣で

ぶっ壊すから意味なさそうに見えるが当人はこう言ったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 『リムを助けると言ったあの言葉に嘘はないと感じている。だから私は

《アリファール》貴様らに預ける。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と言ったので剣の方は万が一に備えて自衛隊の保管庫に厳重に保管された。

 エレオノーラが入るのは独房なのだが監視カメラや見たり相手するのは

女性警察官、未だ言語が言えないので仕事はさせない代わり24時間の

監視としている。

 そんな中に於いてエレオノーラは囚人服に着替えて入るとこう呟いた。

 『ほお、それなりにちゃんとしているのだな。窓は空しか見えないのが残念だが如何せん仕方があるまい。』

 そう呟くとエレオノーラは入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ私はこれで。報告書を書かなければならないので。」

 「お忙しいなかどうも。」

 「いや良いさ、そちらも接待頑張り給え。」

 駒門は伊丹に向けてそう言いながら敬礼して立ち去って行った。

 「さてと、それじゃあもう直ぐ昼だけど・・・何食べる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでここですか?」

 「仕方ないでしょう?予算的な都合。」

 「世知辛いとはまさにこの事。」

 栗林、倉田はそう呟きながら・・・牛丼であった。

 役人仕事は楽じゃないねとそう呟いているが桑原はティグル達を見て

こう呟いた。

 「案外良いかもしれんぞ?」

 『?』

 それを聞いて殆ど全員がティグル達の方を見ると・・・ああねと感じた。

 

 

 

 

 

 

 『美味しいですティグル‼』

 『ああそうだな!これでこんなに安いなんて噓みたいだろ!?』

 『ハイです!牛の肉汁がライスに程よく染みているしそれに出汁も

効いています!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 「な。」

 『ああ・・・ね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『そう言えばですけどティグル。次は何処に行くのです?』

 『ああ、普通なら歴史関係を見せるだろうけどこっちはそうじゃないだって。』

 『?』

 『まあ、行ってみれば分かるって。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲームセンター

 『うわわわわ!何なのですこの化け物は!?』

 『ウワそっち言った!』

 『エエイ!‼』

 「・・・何あれデート?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ショッピングモール

 『こんな衣服・・・宜しいのですか?』

 『ああ、予算に入ってるだって。それと水辺で遊ぶ服もあるって。』

 『へえ・・・って何なんですかこの服は!下着じゃないですか!?』

 「まあ、向こうしたら違和感あるよな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ふー。一杯歩きましたね。』

 『ああ、そうだな。』

 ティグルとリュディはそう呟きながら少し離れた川辺にいた。

 多くの人達が挨拶しながら運動していたり散歩していたり子供たちが

遊んでいるのが見えた。

 無論伊丹達もおりその光景を見てこう呟いた。

 「これって何?告白シーン??」

 そんな中でリュディは子供たちが帰っていくのを見てこう呟いた。

 『本当に平和なのですね。』

 『ああ、これを見たら戦をしているなんて分からないよな。』

 『テナルディエがここを手に入れようとしてもここ迄の技術力を持っていたら』

 『そう言えば明日は技術部に行くらしいぞ。』

 『技術部?』 

 『・・・自衛隊の武器についてだそうだ。』

 『!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日。

 『ここが自衛隊の』

 リュディは防衛省の目の前にいた。

 こんなに大きな・・・まるで城のような場所が国の機関の一部とはリュディは

それについても驚いていた。

 伊丹達が案内する事となって中に入ると・・・異様な場所であった。

 『あれは・・・竜!?』

 そう言って前に伊丹達が倒した竜の亡きがらが見えた。

 鱗を見て何か考えている人達。

 映像データからそれくらいの強さなのかをシュミレーションしている人達。

 そして何よりも驚いたのは・・・UCR-10の組み立てが目の前にあったのだ。

 『あれが・・・あの巨人に?』

 そう呟くしかなかった。

 まるで人間とは似ても似つかない様なあの鉄の棒人間みたいなのが

あの巨人になるなんて考えもつかなかったのだ。

 更に言えばこれまで使われていた兵器を見せてくれはしたが・・・ある場所は行っていなかった。

 『ティグル、あそこは一体何なのです?』

 そう聞くとティグルは技術者に聞くとこう答えた。

 『あれは如何やら新型・・・新しい巨人を作っているところらしいんだが

未だ披露出来ないらしいんだって。』

 『新型?』

 『早い感じ新しい巨人だってさ。』

 『そう・・・なのですか。』

 リュディはそれを聞いて凄く見たそうな感じであるがこれで無理やり行って

日本側との関係悪化は避けたいと考えてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして彼らがアルサスに帰った後リュディはティグルに向けてこう言った。

 『ティグル、私はお父様にこの事を伝えて日本との戦は我が国にとって

不利益になると話してきます。』

 戦姫を捕虜にすることが出来たことも伝えておきますとそう言って

彼女は後にした。

 だがこれが・・・最後にならないとは露とも思えないであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジスタートでは・・・少々であるが風が吹きそうな感じとなっていた。




 次回はジスタート側です。


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国の決断。

 今回はジスタート側。


ジスタート王都シレジア

 国の中央に位置する場所で最も賑わっている。

 海に通ずる北方のヴァルタ大河に臨むこの都には百万を超える人々が暮らしており無数に伸びた街道から様々な国の特産物が入ってくる。

 東からはヤ―ファの竹細工や武具、遊牧民族の毛皮や獣脂。

 南からはムネジオルの香辛料や陶磁器、紅茶、金銀などがふんだんにあしらわれた装飾品を・・・奴隷に運ばせていた。

 西からはブリューヌ王国やザクスタンの小麦や葡萄酒、鉱物。

 大河を渡った船団は遠くにある島国アスヴァ―ル近海で捕れた魚や珊瑚、真珠等が港に降ろされて云った。

 そして七つの公国からは毛織物や香料、宝石、果物や野菜、卵などが

売り歩いている。

 酒場に入ればジスタートの吟遊詩人(ミネストレーリ)が三弦琴(バラライカ)をかき鳴らし、ブリューヌ王国の道化師は虹色の玉を幾つも放って芸を見せて

場を湧かせ、紅い髪をしたザクスタン人の美女が客たちに酌をして回っていた。

 日中、そして夜になっても喧騒はやまない。

 それがこの王都であるのだが・・・王宮ではそうとはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 王宮の奥にある謁見の間。

 そこにおいて貴族たちが集まっていた。

 そして玉座迄延びる真紅の絨毯の上にはリュドミラが片膝をついてとある男性に頭を垂れていた。

 そう、リュドミラの目の前にいる男性こそがブリューヌ王国国王

『ヴィクトール=アルトゥール=ヴォルク=エステス=ツァー=ジスタート』で

ある。

 この男は本来ならば60になったばかりであるのだが外見は・・・

更に年老いている印象であった。

 灰色の髪と髭は丁寧に整えられているが艶はなく、肌は黒ずみ、

青い目には活力を感じず、せっすじは真っ直ぐ伸びているがゆったりとした衣から伸びている手は骨と皮だけと完全に病人のような状態であった。

 「『破邪の尖角』が主リュドミラ=ルリエよ。この度余の許しを得ることなく

ブリューヌ王国領内へ軍を進めたと聞いた。

『降魔の斬輝』エレオノーラ=ヴィルターリアも共にいたと聞くが

彼女は何処か?」

 それを聞いたリュドミラはこう答えた。

 「は!エレオノーラ=ヴィルターリアは陛下の知る戦に共に参戦し

そして・・・。」

 「そして・・・何じゃ?」

 国王がもう一度聞くとリュドミラはこう答えた。

 「・・・行方知らずとなりました。」

 「・・・何じゃと?」

 国王はそれを聞いて疑い深くリュドミラの向けてこう聞いた。

 「一体何があったと言うのだ?申して見よ。返答次第では其方の今回の戦による振る舞いに相応しい罰が下るであろう。」

 「は!我が一族はブリューヌ王国の大貴族『テナルディエ』と懇意の関係にありかの当主から援軍を呼ばれたのでございます!」

 「ふむ・・・それで。」

 「我々は不当にも使者として派遣されたご子息を捕らわれたと言われ救出と

現在アルサスに不当に占拠しておられる野蛮な民を追い返す手伝いをしてほしいと言われ、友軍として無会向かいました次第でございます。そしてアルサスから近いライトメリッツ公国の領主も共に向かい合計3000の勢力で境にある山々

ヴォージュ山脈に陣を張った次第であり翌朝に出撃致したのですがその・・・。」

 「何じゃ・・・はっきり言うがよい。」

 国王はリュドミラに何があったのだと聞こうとするとリュドミラは

重い口を開けてこう言った。

 「・・・わが軍は初期の戦の時点で半数近くを失い敵を討つことが

出来なかったのでございます」

 「ふざけておるのか貴様は!」

 国王はそれを聞いて目を見開いて大声で言うがリュドミラはこう続けた。

 「真実でございます!我々が先端を開き大群で攻めたまでは良いのですが

突如巨大な爆発と同時に兵たちが吹き飛ばされました!」

 「敵に・・・竜がいたと申すか?」

 国王はリュドミラに対してまさかとそう聞くとリュドミラはこう返した。

 「分かりません!ですが竜がいなかったのは確かでございます!!

竜独自の匂いも鳴き声も感じませんでした!!」

 「ならば何というのじゃ・・・!!」

 国王は更にリュドミラに問い詰めるとリュドミラはこう続けた。

 「その後我らは夜襲を行う事と決まりました!その時は新月の晩。

これならばと思って我らは両側から奇襲をかけようとしたその時に・・・

空が突如として昼の如く明るくなったのです!!」

 「・・・貴様は儂をたばかっているのか?」

 「とんでもありませぬ!全て真実です!!我らは強行突破を試みましたが敵から光の矢が周りを覆い尽くすかのように輝きそして我が兵を・・・

倒しておりました!!」

 これが証拠ですと言ってリュドミラは懐から手拭いで覆った物を

近くにいた兵士に手渡してその兵士が国王に渡すと国王はそれを開けて・・・

こう聞いた。

 「・・・これは何の鏃じゃ?」

 「敵が放った光の矢の正体でございます!」

 そう言ってリュドミラは血まみれの・・・銃弾を見せたのだ。

 そしてリュドミラは国王に向けてこう言った。

 「陛下!私はこれまで幾つもの戦を経験いたしましたがあれは初めてなのです!あそこまで敵を問答無用で然も敵を見ずに戦が終わるなど

前代未聞でございます!!」

 そう言うと国王は静かにこう言った。

 「・・・其方はブリューヌ王国で内乱が起きているのは知っておろうな。」

 「ハイ!」

 「その戦にお主は問答無用でジスタートに迄巻き込もうとしておるのか?」

 「いえ!これは我が一族の独断!!陛下に対して申し渡しすべきと

考えておかれましたが敵は蛮族で我らの半分以下である事を文に書かれていたため何も気にせずにしていた我が不覚!次なる戦に於いては必ず敵の首を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もうよい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へ?陛下・・・今何と。」

 リュドミラは納得がいかない様子でそう聞くと国王はこう答えた。

 「今は向こうの内乱に付き合うなどさらさらない。ジスタートの国益を

第一として考え軽挙妄動を慎め。これは諸卿にも知らせよ。

だが万が一敵が攻めてくれば・・・その時は分かっておろうなリュドミラよ。」

 「・・・ハイ。」

 リュドミラはそれを聞いて脱力するかのように座り込んでしまった。

 そして国王は全員に向けてこう言った。

 「ここにいる全員も心せよ、良いな。」

 そう言って謁見は終わった。




 次回は他の戦姫が出ます。


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戦姫の会話。

 あの後の会話。


謁見の間からでたリュドミラは広大な王宮の隅にある噴水が設置されている。

 濠から水を引いているため冬場以外は水は流れている。

 巨大な魚の形をした噴水とその水の音で姿を隠し、声を消せるので密会には

丁度良いだけではなく一人で何か考える時に使うものだ。

 そんな場所でリュドミラは一人で紅茶を飲んでいたが表情はきつかった。

 国王からの非干渉を言われ、然も敵が攻めてきた場合の責任まで言われ

意気消沈している中で・・・誰かが来てこう聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 「ここ良いかしら?」

 「何の用ヨ・・・ソフィー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リュドミラがその女性に向けてそう聞いた。

 緩やかに波打つ淡い金色の髪と緑柱石の色の瞳を持つ20歳前後の

長身の女性で足元まである薄緑色のドレスを着てエレン以上の巨乳と

細い腰が際立っていた。

 名前は『ソフィーヤ・オベルタス』。

 ポリーシャ公国の領主で戦姫でもある。

 「いまだに信じられないわ。貴方以上に戦上手な戦姫はエレンぐらいかと

思っていたけど貴方達が束になっても敵わないなんて。」

 「そうね、あいつについては戦姫の評価は最低だけど戦については

最高にしてやっても良いくらいだわ。」

 あいつの前では言わないけどねとそう呟くとソフィーはこう聞いた。

 「相手の数はどれくらいか分かる?」

 そう聞くとリュドミラは首を横に振ってこう答えた。

 「全くと言った処ね。相手の数も武器も全く分からずじまいで陛下に渡した

あの鏃しか持ってこれなかった・・・ヴィラルトを使っても勝てなかった。」

 「!!・・・つまり相手の武器は」

 「そうよ、ソフィー。相手の武器はヴィラルトと同じかもしれないわ。」

 「何ですって!?」

 ソフィーはそれを聞いて驚いたが納得も言った。

 何せヴィラルトは何世紀にもわたってジスタートと各公国を守ってきた

最強ともいうべき武器と言えるのに同格かそれ以上の武器を彼らは所持している

可能性があると言っているのだ。

 あくまで可能性ともいうべきなのだがそれは国王が聞いたら

リュドミラを問答無用でお家取り潰しは免れない事は

分かり切っているような物だ。

 「相手は蛮族だと聞いたけどそんなレベルじゃなかったわ。

あれは魔物・・・それも母様やおばあ様ですらあったこともないと言われる

上位種の魔物が後ろにいると思っているわ。」

 「魔物・・・最悪な話ね。もしそれが本当なら敵は何時でも私達を倒せれると言っているような物だけど相手からは?」

 「分からないわ。使者を送らないしもしエレンが捕虜になっているとしたら

何かしらの要求があっても良いと思うけど其れも今のところなし。・・・

最悪を想定したら。」

 「・・・考えたくないわね。アレクサンドラが聞いたら」

 「病状が悪化するだけよ。言わない方が賢明よ。」

 リュドミラはここにはいない誰かに向けてそう言うがソフィーはこう答えた。

 「そうね、今は伝えない方が良いわ。・・・もし向こうから

取引内容が出たら私が何とかするわ。」

 「・・・ゴメンナサイソフィー。こんな事になるなんて。」

 「良いのよ、これくらい。それにしても向こうの情報が完全に無いに等しいわ。もっと情報が欲しいけど何か感じたことない?それでこそ小さなことでも。」

 ソフィーがそう聞くとリュドミラは思い出すかのようにこう言った。

 「そう言えば連中は戦場の前に鉄の縄を配置していて

それに緑色の城を構えていたわね。」

 「緑色・・・彼らの好きな色にしては変な感じね。鉄の縄って言うのも

気がかり・・・ブリューヌ王国側からの商人がこの国に来ているはずだから

聞いてみるわ。」

 「・・・喋ってくれると思うの?」

 リュドミラがそう聞くとソフィーはこう答えた。

 「大丈夫よ、こう見えても父様の事もあって交渉は得意分野よ。

それに情報があれば戦する時にも便利だしね。」

 「・・・アタシはそれすらなかったから負けたのね。」

 リュドミラは頭を下にしてそう呟くがソフィーはこう続けた。

 「そうかもしれないけど其れだけじゃないわ。貴方の弱点は

相手を下に見る事よ。」

 「え。」

 「貴方は劣る人間を見下しているけど其れだといざ闘う時に相手が

どれだけ戦力と武器を持って策を練るのか考えなければならないんだけど

貴方はそれがなかった。相手を知って己を知らなければ痛いしっぺ返しが来るってそういう意味ヨ。」

 「相手を・・・。」

 「そう、それさえ学べば貴方はより高みに行けるわ。しっかりね」

 そう言ってソフィーが立ち上がって去って行くのを見てリュドミラは冷え切った紅茶を見てこう呟いた。

 「相手を知って・・・己を」

 そう呟いている中で・・・その話を聞いていた人間がそこにいてこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウフフフフ・・・面白くなりそうね。」

 そう呟いた瞬間に・・・その人間は姿をくらました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・異世界軍?」

 「そう、そう言っているぜ。騎士さん達はよ。」

 ソフィーは酒場で葡萄酒を卸している業者と話していた。

 「何でもテナルディエの方からそういう話があったって話だぜ?

いざ出陣してみれば皇太子は1万人以上が出陣して戻ってきたのはたった数人。

そんで向こうから敵が来てテナルディエの家は息子さんをあてがったが

帰ってこずで今や王都は血の海だよ。逃げてきた兵士の家族一門が吊るしだよ。」

 おお怖い怖いと言って馬車に乗るとソフィーに向けてこう言った。

 「悪い事は言わねえよ。今ジスタートに行くのはやめときな。

あそこには竜ですら敵わねえ化け物が多くいるらしいぜ。」

 「!!待って!その話詳しく!!」

 「じゃあな。」

 業者はソフィーに向けてそう言うと馬車を動かした。

 ソフィーは他にも聞きたいことがったのにとそう思っていたが

内心冷や汗でたらたらであった。

 「(まさか竜ですらってそれが本当なら私達は一体・・・

何と戦っているというの?)」

 そう思っているソフィーは持っている錫杖を力強く握っていた。




 次回は一体どう出る?


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閑話 ソフィーのアルサス体験記

 ここから閑話です。


「あれから色々聞いてみたけど最悪ばかりね。」

 ソフィーはそう呟いて他のブリューヌ王国側の商人たちの言葉を聞きまわるが

大きくこのような感じで纏まった。

 ①1万の王国兵士と3千のテナルディエ軍+竜2頭を相手にして勝った。

 ②既に幾つもの領土を平定しているが乱暴な話は聞かない。

 ③収めた領土の生活とかが様変わりしていたし街道が綺麗に直されていた。

 ④最近山賊たちが姿を消しまくっているが原因は日本が彼らを捕まえているから。

 「エレンの事は出ていないようだけど其れも時間の問題。もし判明したら

他の戦姫や他国がライトメリッツ公国を襲うのも時間の問題って戦姫の方は

間違いなく来るわよね~~。」

 ソフィーがそう言うが何故自国の戦姫同士が戦を起こすのかと言うと

どちらもこちらも・・・信用していないからだ。

 少し前までは国を治める(リュドミラ以外)事をしたことすらなかった人間が

いきなり上位者になるのだ。

 力に酔ったり悪だくみをしたりすることなど人としては当たり前となるであろう。

 無論本来ならばこう言うのは国王が止めるべきであろうが今の国王は戦姫を

信用しておらずぶっちゃけた話共倒れして欲しいと思っているのである。

 そんな中ソフィーはこう感じた。

 「ここ迄占領した土地の嫌な噂が聞こえないって言うのが可笑しいわね。・・・ちょっと見てみないと分からないわね。」

 ソフィーはそう呟いて・・・ある行動に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後。

 「御免なさいねオジサン。頼みを聞いてくれて。」

 「いや良いんだよ。こんな綺麗なお姉さんと共にいられるんだから

人生良い事があるもんだねえ。」

 「あら、オジサンったら。」

 ソフィーはそう言って馬車を動かしている男性と共に笑っていると目の前に・・検問らしきものが見えた。

 「ちょっと待ってくれよ。話してくるから。」

 そう言ってオジサンは検問にいる自衛隊の人たちと話している中で

ソフィーは自衛隊の持っている武器を見てこう思っていた。

 「(見た処槍にしては刃がないわね。それに彼らの服装も兵士には

見えないわね。防具が付けられていないし。)」

 重要じゃないからとそう思いながら話をしてるとオジサンが

ソフィーに向けてあるものを渡すとソフィーはこう聞いた。

 「これは?」

 「ああ、自衛隊さん達がいる場所じゃあ検問通る時に使う証明書だよ。これから写真だっけ?そう言うのを撮ってから発行してくれるらしいけど大丈夫大丈夫。

怖い奴じゃねえからな。」

 「写真?」

 ソフィーは何だと思っていると女性の自衛官が現れるとソフィーに向けて

こう言った。

 『コチラデスドウゾ。』

 『あら、ありがとう。』

 ソフィーはそれを聞いて一緒に向かうとある部屋に着いた。

 そして中に入るとそこは・・・白一色の部屋であった。

 『?』

 『サアドウゾ。』

 それを聞いてソフィーは言われるがままに席に座ると

カメラ(ソフィーは知らない)を持っている自衛官がこう言った。

 『ソレジャアトリマスケドメヲツブラナイデクダサイネ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ハイチーズ』

 『!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カメラを持っている自衛官の持っているカメラが光り輝いて

ソフィーはびっくりするが自衛官はこう答えた。

 『ソレジャア5フンゴニウケツケニキテクダサイネ』

 それを聞いた後にソフィーはそのまま目がキラキラしているなあと思いながら

退出した。

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後。

 『コレッテ・・・ワタシ!?』

 ソフィーは写真が写った証明書を見て驚いていた。

 確かにこれは自分であると分かるからだ。

 そして呆然としながら外に出るとオジサンがソフィーに向けてこう言った。

 「ほお、綺麗に撮れているじゃねえかやっぱり身なりが綺麗な人だと写真も

綺麗だって事だねえ。」

 「『写真』・・・。」

 ソフィーはそれを聞いて目を丸くしているがオジサンはソフィーを連れて

アルサスに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日はここで飯食べるんだけどここの『PX』って言う店が旨いんだぜェ。」

 「へえ。」

 ソフィーはそれを聞いて近くにあるPXに入った。

 中には村に住んでいる女性達や盗賊たちに拉致された人達を保護したりして

ここで一時的に働かさせている店である。

 「いらっしゃいませ。2名様でしょうか?」

 「おお、そんじゃあ・・・・あそこの調理場前で。」

 「畏まりました。2名様ダイニングテーブルにご案内!」

 そう言った後にオジサンと共にダイニングテーブルに着くと先ほどの女性が来てこう言った。

 「お水をお持ちいたしました。お飲み物がお決まりでしたらお呼びください。」

 「おお、分かったゼ!」

 オジサンはそれを聞いてそう答えた後にメニュー表をソフィーに渡すと

こう言った。

 「そんじゃあ飯の内容なんだが大体がメニュー表に書いてあるぜ。

ちゃんと絵付きだから見たら一発で分かるぜ。」

 先ずは酒だなと言ってオジサンと共にメニュー表を開けるとソフィーは

驚いていた。

 「こんなに一杯・・・。」

 そう、料理の内容が・・・凄いのだ。

 正に至れり尽くせりと言わんばかりの内容でここ迄のを民間に

出させれるなんてとそう思っているとオジサンっはソフィーに向けてこう言った。

 「凄いだろここ。まるで高級料理、それも本当なら貴族様が

食べるような物まで俺達みたいな連中に出させてくれるんだから驚くもんだろ?」

 そう言って取敢えずは一緒に飲むかと言って幾つか注文しているのを

見ながらソフィーはこう考えていた。

 「(こんないろんな人たちが笑顔で食べているなんて自衛隊って

いったい何者なの?)」

 そう考えていた。




 次回の続く。


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閑話 ソフィーのアルサス探検記

 ソフィーから見たアルサス。


 「お待たせしましたーー!!『焼きえび』と『牛筋肉の焼肉』、

『野菜スティック』、『生ビール』が2本、『枝豆』でーす。追加注文されます時はテーブルに備え付けられておりますタッチパッドをお使いください」

 ごゆっくりどうぞ~~と言って店員が立ち去るのを見るとオジサンは

ビールジョッキ片手にソフィーに向けてこう言った。

 「そんじゃあ俺達はここで別れるけどまた何処かで。」

 「ええ、また何処かで。」

 そう言って乾杯してオジサンはビールをグイっと飲んでいる中でソフィーは

ちょびっと口に付けると目を丸くしてこう思っていた。

 「(何この飲み物!口の中でしゅわってなって苦いのに結構美味しいわね!)」

 そして野菜スティックを一口噛んで見て。

 「(このお野菜美味しいわ。この白い個体は何かしら?)」

 そう思って・・・マヨネーズを付けると。

 「(あら、味が変わったわ。ちょっと味が深くなったわ。)」

 そして枝豆。

 「(変わった豆ねえ、それにしても塩だけでここ迄美味しくなるなんて

一体どんなシェフが作っているの!?)」

 焼き海老。

 「(海老ってこんなに美味しいの!?本当にここのシェフはどれだけの腕を

持っているの!?)」

 牛筋肉。

 「(凄い凄いわこの食べ物!一体どうなっているの!?)」

 美味しすぎるわとそう感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方のエレオノーラはと言うと・・・。

 「う~む、量はあるのだが味がなあ。」

 まあ、サツの飯は不味いのが定評ですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてリムアーシャ。

 「うぐ~~、もう少し~~!!」

 箸と格闘中であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここが今日泊まる場所・・・それなりに良い部屋ね。」

 見た目はホテルみたいと思ってください。

 「それにしても凄い所ね。装飾品一つとっても造詣が細かいし何よりも

灯りも火を付けないでここ迄明るいなんて・・・明日は街の様子を見なきゃ。」

 そう言ってソフィーは今日の事を日誌に書いてから寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。

 ソフィーはアルサスの街を当てもないように見せる感じで歩いていた。

 近くにある自衛隊の基地からはあらゆる鋼鉄の兵器と・・・遠くを見たら巨人が居座っていた。

 「(巨人!?然も鉄の鎧を身に纏ってる!!よく見たら他にも

同じような感じが・・・リュドミラの言う通り魔物の可能性が大のようね。)」

 そう思いながらも街道をチラリと見た。

 自衛隊の方はまるで地面を何かで固めたかのような感じで他では石であるが

真新しいだけではなくよく見れば何か摑まるような棒があった。

 それに馬車を見てみれば荷車に当たる場所に何やら黒い帯状の物が付いていた。

 「(あれで音を出さない様にしている?周りの事まで考えるなんて

ここは私達の国よりも技術が進んでいるわ。)」

 そう思いながら彼女は市場にも向かった。

 「へえ・・・結構賑わっているわね。」

 そう呟きながら周りを見ていた。

 よく見れば何か見たこともない様な物や食料を売っている店が多くあり

何だろうと思って色々と聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この飲み物は何です?」

 「ああ、そいつは野菜ジュースだよ。色んな野菜を砂糖で味付けした後に

混ぜ込んでいるんだけど何故か美味しいんだ。今なら銅3枚で良いよ。」

 「じゃあ1杯。」

 「あいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この食べ物は?」

 「ああ、焼き肉でね。本当なら捨てる奴なんだけど自衛隊さん達が美味しく

食べていてね。内蔵なんだけどこれが酒のつまみに合うんだよ~~。3本で銀5枚」

 「じゃあそれで。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「先ほどから気になっているのですけどあの白い線は何です?」

 ソフィーは近くにある道路に描かれていた白い線の事を聞くと村人の一人が

こう答えた。

 「ああ、あれは通行人用の道だよ。馬車とかはあそこで

一旦停止して歩く奴を優先させるんだよ。自衛隊さん達はオラたちの事をちゃんと考えてくれていてな。ティグル様が来させてくれなかったら

ここ迄町は盛り上がってねえな。」

 ありがてえ事だと言って村人の一人は畑に向かって行った。

 それを見てソフィーはこう呟いた。

 「間違いなく彼らは敵にしたら厄介ね。今度は市場から他の場所に

行ってみるのも良いわね。」

 そう言いながらソフィーは買った焼き鳥を頬張っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「聞いてみたらあそこは病院であそこは学校・・・

教養を民間人にもさせるなんてそれだけ進んでいる証拠ね。」

 ソフィーはそう呟きながら図書館も見ると更に驚いた。

 「驚いたわ。・・・こんなに本が、然もよく見たらブリューヌ王国語で

書かれているしこれを民間に開放させるなんてってよく見たら他にも

勉強している人がいるわね。」

 そう思いながらも周りの様子を伺った。

 全員何も喋らずに只の一言も発することもなく黙々と本を読んでいる。

 「一体どうなってんのここ?」

 そう言うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソフィーは万が一に備えてブリューヌ王国側にいるスパイ経由で

ジスタートに戻った後にこう思っていた。

 「まず間違いなく相手は私達よりも格上ね。取敢えず買ったこの工芸品と食料(保存が効くようにパッケージ型)で国王陛下に報告しなきゃ。」

 そう言ってソフィーはジスタートに帰還して・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くして・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「国王陛下、進言を。」

 「何じゃ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・日本との国交正常についてです。」




 次回もまあ色々とあります。


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国交正常に向けて

 戦闘が本格的に終わるのは・・・何時になるのやら。


「敵襲!直ちに総員は戦闘配置!!」

 自衛達の隊員がそう言いながら全員に報告していた。

 「敵はジスタートの旗と七つ星のマーク!新手と推定、各員は至急戦闘配置!」

 その言葉と同時に一斉に準備するや否や五十嵐は副長に向けてこう呟いた。

 「敵は恐らくこの間来た女性が連れてきたのかもな。」

 「恐らくは、錫杖を持っていましたしあの佇まいはどう見ても

一般人ではありませんでした。」

 「マークさせた結果がこれとはこれでは講和会議も何もないな。」

 五十嵐はそう呟きながら戦場を眺めていた。

 元々ソフィーが敵じゃないかと思っていたため予めドローンを飛ばして

様子を見ていたりスパイを使って偵察させて定期報告させていたのだ。

 何もなくて良かったと思いたかったのだがどうも神様は平穏が嫌いなのであろう。

 戦闘を起こさせたいんだと分かってしまいそうなのだ。

 「ともあれ相手は戦姫。一人とはいえどんな魔法があるのか

分かったものではない。」

 「捕虜にしたエレオノーラという女性は風、もう一人は氷、今度は何なのやら?」

 訳が分かりませんよと肩を透かしてそう言うが正直な処冷や汗ものである。

 もし、核兵器並の魔法となると太刀打ちする術を考えなければならないからだ。

 特にここヴォージュ山脈の先はアルサスとなっており

ここは死守しなければならないと考えているのだ。

 すると敵の一人が何かを持って馬と共に駆けてきた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「白旗?」

 「となれば。」

 もしかするとなとそう言っている中でソフィーが臣下たちと共に来ると

大声でこう言った。

 『私は《ポリーシャ公国》戦姫《ソフィーヤ・オベルタス》!貴国らと

国交正常に向けて話し合いがしたい!!』

 門を開けて欲しいという言葉を聞いて五十嵐達は

少し口を( ゚д゚)ポカーンとしているが内容を聞いてため息なじりでこう呟いた。

 「ふ~~、これでここもお役御免かもな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『お初めましてってそうではないでしょう?』

 「エエマア、ショウジキナトコロアナタヲミハッテオリマシタ。」

 五十嵐は片言であるがそう話すや否やソフィーは本題を突き出した。

 『国交正常に伴って条約についてですが。』

 「フム。」

 『我々は今回の戦における損害を支払う覚悟であります。

それと引き換えにそちらに戦姫が』

 「アアイマスヨ。イマハモンノムコウニアルシセツニイマスガテイチョウニ

アズカッテオリマス。」

 『そうですか!良かった・・・それで損害についてなのですが』

 「アア、スミマセンガソウイウノハホカノニンゲンニマカスデ

イイデショウカ?」

 『?ええ構いません。それでは国交正常と今後についての

お話し合いについてですが。』

 「ソレニツイテハコチラモホウコクサセマショウ。」

 そう言ってお互いに出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後のテナルディエ家。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何!?ジスタートが異世界と同盟を結ぶダト!!」

 「は!ジスタートにおられる貴族方のお話によれば如何やら

その雰囲気がありそうだと。」

 「ええい!何他国を頼って消耗させて攻めようと準備をしていた時に!!」

 憎たらしいと言ってテナルディエは酒をラッパ飲みしているが更にこう聞いた。

 「同盟についてはいつ話し合うのだ?」

 「は!今から3週間後と。」

 「となれば今軍を率いたとしても・・・忌々しい異世界軍風情が!!」

 そう言って酒の瓶を投げ捨てると従者に向けてこう言った。

 「セラシュを呼び出せ!同盟締結前にジスタートの国王と

奴らの王がやってくるであろう!!それらを殺せば言い値で金を出すと

伝えろ!!」

 「畏まりました。」

 そう言って従者が立ち去るのを見てテナルディエはこう呟いた。

 「これで奴らも動けなくなるであろう。話によれば戦姫共の中には

領土拡張を考える連中がいると聞く。そいつらを先導させて内乱を引き起こさせてその間に我らは。」

 ククククと笑いながらジスタートと日本が火にまみれるであろうなと言う妄想を夢見ているがそういうのは・・・必ず来ないと言うのが定石である事を

テナルディエはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「って言う意味で外務省のお役人が来るから俺達は役人と総理大臣、

向こうさんから来るお偉いさんと王様が来るから俺達は本職の人達と共に

護衛任務に就くことになったよ。」

 『へ~~い。』

 伊丹の言葉を聞いて隊員達がそう答えるとティグルがこう聞いた。

 「あのうスイマセン。『外務省』っていうのは一体?」

 そう聞くと桑原がこう答えた。

 「外務省と言うのは外国関係に対して交渉事や情報収集を

主として活動する組織で今回のが其れだ。それに備えて俺達も特別服、

詰る所自衛隊用の礼服着て準備することになるのだがそれだけじゃなくて

機体もそれ仕様になるな。」

 カラーリング変えたりとかなと言うとティグルはこうも聞いた。

 「其れと本職って?」

 「ああ、『SP』特別警護人って奴で要人警護に特化した人たちだな。

大体が警察出身なんだが特別に発砲許可も下りてる警官だな。総理大臣も来るから正直なところ・・・何もない事を祈りたいところだが」

 「そういうのないですよねえ。」

 確かになと桑原がそう言ってティグルはため息ついた。

 ぶっちゃけた話そうなるのだが。




 そして月日は巡り。


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会議は直前まで分からない

 会議まであと何話分?


そして当日、その日がやって来た。

 ヴォージュ山脈にある基地に於いて国交正常に向けての会議が

執り行われることとなった。

 正直なところ敵地である為ジスタートからは苦情が出るんじゃないかと

思っていたが国内よりも間際である為丁度良いという意見が日本国内であったが

向こうではそうはいかなかった。

 何せ敵の陣地に程近い所でやるなど殺してくださいと

言わんばかりではないじゃないかと言っているような物だと言うのでどうするべきか議論するも結局力関係的に向こうである為そうなってしまったのだ。

 周りは崖に面しており隠れる所など一つも無い為暗殺防止にも最適ではないかと

ソフィーの意見も含まれているが。

 そして会談が行われるのだがティグルは周りをスナイパーライフルで

警戒していた。

 何せ重要な会議で内容次第ではジスタートとの戦闘に終止符が打てると

確信しているのだ。

 そしてそれは伊丹達も同じで今回は『UCR-10』に『デスペラード』等も

式典使用と合わさっている。

 武器の方だが『UCR-10』はガトリングではなく新たに開発された

肩部搭載キャノン砲が1門、両腕には対人用の散弾銃搭載型の指。

 『デスペラード』の方も同様であった。

 キャノン砲とミサイルを排して代わりにロボット型サブアームが2本追加され

レーダー探知システムが増設されている。

 更に言えば来賓の方には監視モニターとドローンが見回っており不審者の

チェックにも入念にしていた。

 そんな中に於いても・・・阿呆は必ずいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あれか。』

 『ああ、それにしても厳重だぜ。ここからは本当に隠れる所がねえゼ。』

 『仕方がない。俺が矢を使って仕留めるからお前たちは好隙を見て攻撃しろ。』

 『了解、そんじゃあいつも通りに仕事するぞ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「隊長、森の中に不審な人影アリ。近いです数は5」

 「分かった。総員に告ぐ、敵は恐らく向こうさん側の

騎士に紛れる可能性が高い。十二分に注意して行動せよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「了解ってティグル、スナイパーライフルで敵の正確な居場所分かる?」

 「はい!ここからですと崖の方からジスタートに向かって行くのが4人で1人は矢を構えています。」

 「向こうさんのお偉方が来て構えたら殺しておいて。」

 「一人残して吐かせるんでしょ?依頼人の名前」

 「まあね、そん時に備えて麻酔弾も装填しといてね。」

 『了解‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてジスタート側では・・・。

 残った4人の戦姫達が国王陛下と側近の護衛と共にいたのだが側近達は

基地の様子を見ていた。

 「あれが敵の城ですか。中々面白そうな形ですね。」

 「然しナンダあの巨人共は!あんなのが一体何人いると言うのだ!!」

 「やはりリュドミラ公の言葉は本当なのでは?」

 「だがあの程度今すぐにでも堕とせと言われるのならば今すぐにでも」

 「馬鹿言うな!敵は戦姫2人掛かりであっても勝てなかったんだぞ!

我らでどうやって戦うと言うのだ!!」

 そういう意見がいくらかあっている中でソフィー達はこう思っていた。

 「あの城を見るとあの敗戦を思い出すわ。」

 「私はあの中に一度入ったけど結構綺麗にしていたわよ。

それに皆親切だったわ。」

 「それは最初だけって事も」

 「それにアルサスの方も見たけど結構整備されていたわ。正直なところ

王都まではいかなくてもそれなりに発展していたわね。」

 「はあ!?アルサスって田舎って話・・・まさか!?」

 「そう、自衛隊っていう人たちね。間違いなく彼らの技術は私達よりも高く、

そして頂にあるって言っても過言ではないわ。」

 「・・・まさか。」

 ソフィーとリュドミラがそう話している中に於いて2人の戦姫が話していた。

 一人は紫色のドレスを身に纏い紅い髪をウエーブで整えており金色の右目と・・碧色の左目と言うリュディと同じ『ラズイーリス』と呼ばれる眼を持つ少女

『エリザヴェータ=フォリマ』と青に近い黒の髪を腰に迄伸ばし際どいドレスを

身に纏った女性『ヴァレンティナ=グリンカ=エステス』が座って城を

眺めていた。

 「ふーん、あの城がねえ。」

 「ウフフフ、とても面白そうじゃないですか?異様な力を持つ何処から来たのか分からない者達の軍勢をこの目で見られるとは。」

 「そうかしら?それにしてもあの巨人たちはどうやって調教しているのかしら?もし可能ならばこちら側に引き込みたいわ。」

 「あら?それはつまり戦を?」

 「ええ、ちょっとね。」

 エリザヴェータがそう呟くとヴァレンティナはにこやかな様子で

そう聞いていた。

 すると上空から・・・何やら金属音が聞こえた。

 「あら?あんなものまであるのですね?」

 「リュドミラが言っていたのは真実のようね。」

 金属音の正体は・・・ヘリコプターである。

 然も総理大臣と外務大臣、防衛大臣が搭乗している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あらら、来ちまったよ。」

 伊丹はそう呟いてその光景を見た。

 総理大臣の「津田 矢沙彦」

 外務大臣の「米治 豊郎」

 防衛省大臣「嘉納 太郎」

 そして外務省職員が数名と『SP』が80人。

 正直なところ過剰戦力な部分が見られるがそれは目を瞑ろうと考えた伊丹は

向こうを見てこう呟いた。

 「はああ・・・何もなければいいけど。」

 それフラグだぞ?




 会議になるのか?


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会談開始

 やっと始まったゼ。


「それでは始めるとして向こうからは誰が来るのか。」

 総理大臣である津田がそう呟いて向こうを見ていると自衛隊が何人かで

向こうに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『来たぞ。』

 『何だあの武器は?貧相だな。』

 『見た目に騙されるな。リュドミラ公の話が正しければ我ら全員一瞬で

葬られるぞ。』

 側近達は自衛隊の武器や服装を見て感想を述べるが自衛隊達は両手を上げて

何かをしながら話すと騎士の一人が中に入ってこう言った。

 『申し上げます。向こうからは《準備が出来たためそちらも来られたし》

だそうです!』

 『何だと!あいつら何様と!‼』

 『陛下!早急にご命令を!!今ここには戦4人もおられます!!これなら』

 『勝てると思うのか?2人掛かりでも落とせなかったあの城を?』

 『・・・・・』

 それを聞いて側近達は言葉を失って只黙る事しか出来なかった。

 何せ戦姫は国の戦の要。

 それが倒せないのに自分たちならとそう言うがそれは夢物語でしかないと

言われているような物であった。

 『然し・・・陛下。』

 『これは戦の後始末。儂の頭一つで済むならば安い事じゃ。』

 そう言うとヴィクトールは全員に向けてこう言った。

 『皆の者、行くとしよう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「来たぞ。」

 自衛隊員が双眼鏡越しでそう言った。

 「向こうからは身なりから見て王様とその側近。それと女が4人。」

 「女は恐らく戦姫でしょう。確認送れ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「了解、今確認したって言うかお客さんにこれともなると大変だぞこれは。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうか、それならば外務省からのお仕事も大変になるが良いな?」

 「心得ております。総理」

 津田は米治に向けてそう聞くと米治もそう返した。

 そしてヴィクトール達が席に座るとティグルが間に立ってこう言った。

 『それでは、これより日本とジスタート王国における会談を執り行います!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こちらからは戦費の保障と外務省職員の滞在許可、交易に対しての免税を

要求致します。」

 米治の言葉をティグル越しで聞いて側近に一人がこう返した。

 『それだけなのか!?例えばこのままライトメリッツ公国の占領等はしないと

言うのか!?』

 「ええ、我々の目的は占領ではなく我々がこの世界に来た本来の利用は

我らの世界に現れた軍隊がもたらした死者や物資の賠償に戦争犯罪者の

即時引き渡しを第一としておりそれ以外は何も。」

 『信じられん・・・。』

 それを聞いて側近の一人が口を大きく開けてそう言った。

 何せ今までの戦であるとするなら領地を明け渡せなどが大体であったため

それらを目的としていない事に驚いたのだが米治はこう続けた。

 「なんでしたらそちらの戦姫を一人捕虜としていますので彼女の返還も視野に」

 『エレンは無事なんですか!?』

 ソフィーはそれを聞いて立ち上がってそう聞くと米治はこう答えた。

 「ええ、今彼女はこちらの収監施設におられますので戦費の引き渡しが終わればすぐにでも。」

 『そう・・・良かった。』

 ソフィーはそれを聞いてほっとしていると米治は更にこう続けた。

 「それとこちらの捕虜としている戦姫の副官がこちらの攻撃で

負傷しているためにとある技術を使って彼女の体を治しています。」

 ア、これが資料となりますと言って資料をティグルに渡して

ヴィクトール達に手渡してそれの写真を見て・・・ソフィーは目を丸くして

こう聞いた。

 『この傷を・・・治せれるのですか?』

 「ええ、我々の医術でしたらここ迄ですが治せますよ。」

 『・・・嘘でしょ?』

 ソフィーはそれを聞いて頭を抱えたと同時に納得がいった。

 彼らの生活水準がここまで大きいとなると確かに戦にもならないと

そう思っているとリュドミラがこう聞いた。

 『こっちも良いかしら?』

 「はい、どうぞ。」

 『そちらにテナルディエ次期党首がいるはずなんだけど。』

 『ああ、それについてなんだけどその前にザイアンの説明しとかなきゃな。』

 『そうよ!確かにザイアンという名前なんだけど心当たりがって理由て何よ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして説明終了後。

 

 

 

 

 

 

 『あの嘘つきがーーー!!』

 リュドミラは頭を抱えて大声でそう言った。

 何せ嘘八百の内容で兵を送らせるようにして死んだ兵達からすれば

骨折り損のくたびれ儲けだと自分たちはそうなっているのだから。

 それを聞いた津田達は哀れと思いながらも会議を再開した。

 「それでは我々が貴国に送るのはこれです。」

 そう言って米治は隣にいる職員に向けてアイコンタクトをするや否や職員は

あるものを幾つもある鞄やケースを開けた。

 『何だあれは・・・』

 側近の一人がそれを見てそう答えた。

 中に入っていたのは以下の通り。

 ①スポーツシューズ

 ②宝石

 ③鞄

 ④衣服(着物)

 ⑤刀

 ⑥食料品

 それらを見て側近や戦姫達が手に取ってそれらを見た。

 『おお、この靴は中々。軽いのにも関わらず履き心地が良いですな。』

 『この真珠のネックレスは美しい。一体どれ程の彫金士が作ったのだ?』

 『この鞄中々綺麗ね。』

 『これが異世界の服・・・綺麗なのに軽い。』

 『これが異世界の剣・・・抜いて見て分かるけどこれを作ったのは中々の名人』

 『あら?これは買ってなかったわね?へえ、向こうにはこんなものが

あるのねえ。』

 ソフィーはそう言いながら見て回っていた。

 どちらにしてもこれはいい影響だなとティグル達はそう感じながら・・・

向こうにいるであろう敵に集中していた。




 敵が来ます(即終わりですけど。)


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会談成立

 やっと会談が終わった。


『そろそろ全員の配置が終わった頃です。』

 『そうか、蛇を放て。奴らが驚いたのを見計らって出るぞ。』

 そう言って潜入した(自衛隊からすれば筒抜け)セラシュは自身たちが保有する

毒蛇を放って準備した。

 毒蛇は其の儘中に入って噛みつく準備をするが・・・そうはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『スミマセンがここで一つ向こうで出来た芸を披露したいと。』

 『芸とは?』

 ヴィクトールがティグルに向けてそう聞くとティグルは

テーブルクロスを持って・・・こう答えた。

 『これです!』

 そう言うと机にあったテーブルクロスが一瞬で・・・道具が一つも落ちることなくテーブルクロスが消えた。

 『オオ・・・‼!』

 ヴィクトールがそれを見て感心した直後にティグルが腰からナイフを・・・

ヴィクトールの足元目掛けて放った。

 『!‼』

 『貴様!一体何を!?』

 『足元をご覧ください。』

 ティグルの言葉を聞いて剣を抜きかけた側近が下を見ると・・・あるものを見て驚いたのだ。

 そうヴィクトールの足元に・・・ナイフによって頭を貫かれて

絶命した蛇がいたのだ。

 するとティグルは耳元にある無線機越しでこう言った。

 「伊丹さん、敵は蛇を保有。見た目から見て恐らく匂い又は赤外線で

探知されているため赤外線センサーを。」

 「了解・・・そんじゃまいきますか。」

 伊丹はそう言って赤外線センサーを持って中に入ってさらに入ってきた

蛇を見た。

 『!‼』

 それを見た戦姫達が武器を構えた瞬間に伊丹は・・・赤外線センサーを

蛇に向けて放った。

 すると蛇達が突如驚いたかのように混乱してくねらせていた。

 「やっぱな、こいつらは赤外線タイプだ。」

 伊丹はそう言いながらナイフを使って残り四匹の蛇を首元を掴んで頭を

斬り裂いた。

 『・・・凄い。』

 ソフィーはそれを見て何て鮮やかと思っていると左右から・・・ナイフを持った暗殺者たちが無理やり天幕の中に入ってきた。

 『!‼』

 それを見てソフィーが身構えた次に瞬間にティグルと伊丹は互いに

銃を構えて・・・放った。

 雷鳴の様な音と共に暗殺者たちは一瞬で・・・絶命した。

 『へ?』

 側近はそれを見てポカンとしていた。

 いきなり轟音が鳴り響いたと思えば暗殺者たちが突如倒れてしまったのだ。

 そしてリュドミラはその音を聞いて思い出したのだ。

 『この音・・・あれが正体ね。』

 そう呟いたのだ。

 そしてティグルは足元に置かれていたロングレンジライフルを使って

天幕の外にいて逃げよとしている最後の一人目掛けて・・・麻酔弾を放った。

 1キロも離れていた敵が突如倒れた。

 『・・・・ハ?』

 それを見て側近達も戦姫達も顎を開けるしかなったのだ。

 なぜそこ迄長距離の敵を倒せれたのか疑問だらけになったからだ。

 「よし、麻酔弾ですのでそのうち目覚めるでしょう。自白剤か何かを使えば口を割るはずです。」

 「あ、そ。ご苦労さん。」

 伊丹はそう言うと其の儘蛇を持って立ち去って行った。

 そしてティグルはヴィクトール達に向けてこう言った。

 『それでは会談を再開しましょう。』

 『う・・・うむ。』

 普通な表情でとんでもない事をしていたよなこいつと思いながらも

ヴィクトール達の会談は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこの会談に於いてこの様な条約が締結された。

 ①今回の戦費として金貨6千(戦姫エレオノーラの釈放費とリムアーシャの

治療費込)の支払い。

 ②関税の撤廃

 ③ライトメリッツ公国に外務省職員を派遣させる。

 ④日本との禁戦条約。

 ⑤そしてここが重要・・・戦姫『アレクサンドラ=アルシャーヴィン』の

治療のための来日許可。

 以上他にもいろいろあったが割愛する感じで締結が決まった。

 因みに捕まえたセラシュは自白剤で全て聞いてテナルディエのお抱え暗殺集団である事と・・・レグナス皇太子暗殺と言う重要案件に関わってきたことが分かり

更なる調査を必要としリュディにも詳細を共有すると言う事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『やっと釈放か。たった2週間とはいえこれ程掛るとは思わなかったな。』

 エレオノーラはそう言って留置場の扉の前で背伸びしていた。

 するとバスが来たと思えば・・・ソフィーが出てきたのだ。

 『エレン‼』

 『おお、ソフィーか。迎えがお前とは幸先良いな・・・!!。』

 そう言って席を見ると・・・意外な人間を見て目を見開いて驚いたのだ。

 目に映ったのはエレンよりも年上の女性で黒髪短髪。

 然しエレオノーラは彼女を覚えていた。

 何せ自分よりも強い・・・戦姫にして自分に色んなことを教えてくれた

大切な人なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『サーシャ・・・?』

 『ああエレン。久しぶりだね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『何でサーシャがここにいるのだ!?』

 病気なのにと言うとソフィーが落ち着いてと言いながらバスの中でこう答えた。

 『実はあの戦の後日本と講和を結んでね。貴方の釈放はそれが理由』

 『まあ確かにあの攻撃は二度と喰らいたくないな。』

 ティグルの武術にもなと冗談交じりでそう言うとソフィーはこう続けた。

 『その際にサーシャの治療に尽力することになったの。この世界なら

治療出来るかもって。』

 『だがサーシャの病は遺伝で。』

 『そう、だけどそれすらも治すすべがあるらしいから

私がそれを聞きに来たのよ。』

 『・・・この世界は2週間ぐらいしかいなかったがとんでもないな。』

 『そうね、それでここが終わったら後ろのバスに

ティグルヴルムドさんがいるから観光するけど貴方も来る?』

 『それは勿論だ!体が硬くなりそうだったんだ。』

 『だがアイツにまた世話されるとは・・・私は如何もあいつとは縁が

ありそうだな。』

 何でだろうなと冗談交じりで話しているとバスは

リムアーシャのいる病院に向かっていた。

 『成程な、この際にリムにも逢わないとな。』

 エレンはそう言って病院の方を見ていた。




 次回は色々とあるかも。


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今後について

 重要な言葉が出ます。


 『それにしても医療院がここ迄大きいなんてまるで要塞ね。』

 『アア、確かにな。ここ迄あれば数百人を立てこませるのも容易に出来るな。』

 『おいやめとけよ。それやったら間違いなく狙撃されるか集中砲火

喰らうかもだぞ。』

 ティグルはソフィー達に向かってそう言っているとバスから車いすで降りてきたサーシャが病院を見てこう言った。

 『これが異世界の・・・本当に大きいね。』

 そう言っているとティグルは車いすを押してこう言った。

 『それじゃあ・・・皆行くぞ。』

 そう言うとソフィー達はティグルに着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やあ、待っていたよ。」

 黒瀬がそう言ってティグル達に向けて挨拶するとティグルがこう言った。

 「彼女なんですけど・・・どうでしょうか?」

 そう聞いて黒瀬がサーシャを観察すると黒瀬はこう答えた。

 「うむ・・・体力的に見れば今すぐ手術しなければこれ以上は待てなさそうだ。手術の日程はこっちで勝手に決めるが良いか?」

 「構いません、ですけどその前に・・・」

 「MRIと血液検査と遺伝子検査だろ?そっちの方は何時でも出来るように

準備できてる。先ずは検査カラダ。」

 そう言うとティグルがサーシャに向けてこう説明した。

 『これから血を少しとって爪とか皮膚の一部を取って調べるけど良いか?』

 『・・・分かった。』

 サーシャはそれを聞いてそう答えると黒瀬はナースに向けて準備するように

言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあこれから先ずは爪と髪の毛と皮膚片を調べるよ。

こっちは痛くないけど血を取る時は痛いから痛かったら左手を上げてね。」

 黒瀬の言葉をティグルがサーシャに向けてそう説明して肯定した後に始めた。

 爪は爪切りで、髪は鋏で、皮膚片は指の皮膚を少し切った後に注射で血液を

採取した。

 最初何だと思って何時でも襲う準備をしているエレオノーラを見て

ティグルが抑えながら血を抜き取るのを見た。

 『最初はちょっと痛かったけどどちらかと言えば血が別の方向に

向かって行くって言う感覚に戸惑ったね。』

 サーシャはエレンに向かってそう言うとMRIに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあそこに仰向けで寝るような感じで待機していてね。

直ぐに終わるから。」

 黒瀬の言葉をそっくりそのままティグルが通訳した後にサーシャが寝転がるとベッドの様な物がサーシャと共に中に入っていった。

 そして黒瀬達はサーシャの体内の様子を3Dで見ていた。

 『人の体とは皆この様なものなのか?』

 『まあ、人それぞれだけど大体はこれらしいぞ。』

 『ここ迄中が分かるって逆に怖いわね。』

 ティグル達は互いにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ検査結果は今精査中で1週間以内に分かるからその間は病院の中で過ごすか外出したいときには病院のスタッフを呼んでね。」

 『はい・・・ありがとうございます。』

 黒瀬のティグルの同時通訳を聞いてサーシャはベッドにて

そう言って部屋から離れると・・・ティグルがこう聞いた。

 「それで・・・病状は?」

 「正直な話未だ分からないが検査結果次第では早急に手術の可能性が出てきた。彼女達を僕の部屋に。」

 「・・・はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして黒瀬の部屋。

 「イヤあ済まないすまない。何せ学会とかで使う資料整理中で汚くって。」

 黒瀬はそう言いながら簡単であるが部屋を片付けていた。

 周りには研究資料や人体と機械の境についての本が所狭しと置かれていた。

 そしてソフィー達を座らせると黒瀬はティグル経由でこう告げた。

 「はっきり言おう、彼女を治すすべは確かにあるが代償に彼女は・・・

戦姫と言う立場ではなくなる可能性が高い。」 

 『『!!』』

 それを聞いてエレオノーラは立ち上がろうとするがソフィーが止めて

こう聞いた。

 『黒瀬様、先ほどの戦姫としていられなくなるといっておられましたが

どういう意味で?』

 そう聞くと黒瀬はこう答えた。

 「MRIで見たんだが彼女の心臓は通常よりも動悸が遅くなっていたんだ。

私はこの心臓を彼女の細胞から作る計画をする過程である事をしている。」

 『?』

 「細胞・・・遺伝子の書き換えだ。」

 『『??』』

 ソフィー達は何ソレと思っていると黒瀬がこう説明した。

 「遺伝子と言うのは我々生命体、人間や動物、植物全てが持つ

その生物の設計図とも言っても良いもので誰もかれもが違う。」

 『『・・・・』』

 「遺伝子情報の中には病気関連も含まれており一族単位での病気も

記載されているが私はこれを書き換えて心臓の病その物を無くすことが

出来るんだ。」

 『それならば何故サーシャは戦姫でいられなくなると言うのだ!‼』

 エレオノーラが聞くと黒瀬はこう答えた。

 「この心臓は確かに彼女の情報から作られているがそれでも人工物だ。

何かしらのエラーを出す可能性が高い。だからこそ彼女には・・・

残りの一生をこの世界で過ごさなくてはいけなくなるし

それはリムアーシャ君も同じだ。同じ人工物で体の中に直接であるから

定期健診をしなければならないがそれが出来るのはここだけだ。・・・すまないが彼女たちが今後とも何不自由なく生きていけるにはここしかない事を伝えた上で

手術を受けるかどうかを決めておいてくれないか?」

 『・・・そんな。』

 エレオノーラはそれを聞いて顔を俯かせた。

 これまで一緒にいたリムや自分に戦姫としての在り方を教えてくれた恩人を

生かすためには・・・別れる事しか出来ないと言う悲しみがエレオノーラに

襲い掛かったのだ。

 そしてそれをティグル達は黙ってみる事しか出来なかった。




 決断は時に残酷である。


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別れを済ませ

 ようやく第二巻が終わった。


 暫くしてエレンが顔を上げると黒瀬に向けてティグル経由でこう聞いた。

 『黒瀬殿、貴方の医術ならば・・・2人を治せれるのですね?』

 「はい、その通りです。」

 危険な賭けですけどと言うがエレンはこう続けた。

 『リムは傭兵時代から私の我儘を聞いてくれてたしサーシャは

私が戦姫になった頃からの恩人で戦姫として必要な事、

成すべきことを教えてくれた存在だ。彼女達が私からいなくなるのは嫌だ・・・

だけどそれで助かると・・・2人がもう戦に出なくて普通に子供を産んで、育て、

そして孫子に囲まれて冥府に行けると言うなら私は・・・その別れを受け入れて前に進みたい!』

 『頼む!2人を如何か助けて欲しい!!そして2人を・・・頼みたい!‼』

 「全力でサポートするよ。」

 黒瀬はそう言ってエレンに右手を前にするとエレンは何だと思っているが

ティグル経由で握手を告げてエレンは黒瀬と握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれを告げると先ずはサーシャ。

 『それで僕が生きれると言うなら・・・別れるのは辛いけど其れは

何時か誰もが味わう事だ。僕はそれに従うよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてリムアーシャ。

 『・・・本来ならば私がいなければエレオノーラ様は無茶ばかりしますが

この怪我では戦に出ることも何も出来ませんしエレオノーラ様に迷惑が掛ります。本来ならば私自らがお暇を頂きたいと言わなければならなかったのですが

エレオノーラ様がそう言うのでしたら・・・仕方ありません。』

 『リム。』

 『今日を持ってリムアーシャはお暇を頂戴いたしますことをお許しください。』

 『ああ・・・分かった。』

 『それではお暇を貰えましたのでここからは友人として。』

 『?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『無理せずにとは言わないけどどんなことがあっても生き残ってね、エレン。』

 『アア・・・アア‼!』

 エレンはリムの言葉を聞いて涙交じりの顔で抱き着いて・・・

さよならを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『そんじゃあ・・・もう直ぐ昼だから飯にするけどその前にエレンの服だな。』

 『そう言えばソフィーの服は何時ものではないのだな。』

 『ああ、あれってここじゃあ派手だからって。』

 そう言ってソフィーは今着ている服を見せた。

 上はスーツのようであるが胸の谷間を見せつけるかのような見た目で

下はタイトスカートとまるで外国の会社員の様な服装であった。

 『それで・・・私は何を着るのだ?』

 『それを向こうで決めるのよ。』

 ソフィーはそう言って・・・バスの向かっている

ショッピングモールに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『何とか決まったな。』

 『そうね、それにしてもエレンってよく似合うわね。』

 『そうか・・・然し良いなこの服。』

 そう言ってエレンは買ってもらった服を見ていた。

 頭には帽子が、服装は毛糸の服、下はスカートとシンプルであるが

それが本人の綺麗さを引き出させていた。

 『それじゃあ飯に行くぞ(目立つからなこの人たち)』

 そう言ってティグルは周りを見た。

 金髪の美女と銀髪の美少女を見て何なんだと思いながら写真を撮っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして向かった先は・・・。

 『これは何だ?』

 『これは鍋って言う奴で野菜やら肉やら魚やらを入れて食べるんだ。』

 『兵達が食べる料理みたいだな。』

 『まあそんなところだな。』

 そう言ってティグル達は・・・しゃぶしゃぶを食べていた。

 肉を湯の中で掬って食べると言うのに驚いたようであるが好評であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『それにしてもエレン、よく食べたわね。』

 『仕方がないだろう、あそこの飯は味が薄くてな。』

 やっとまともな物が食べれたんだぞと言うとエレンはこう続けた。

 『然しそれにしても上は思い切ったことをするな。講和に踏み込むとは。』

 『まあね、ここ迄うまくいったのは貴方達が負けたからこそだと思うとね。』

 『ああ・・・それで今後どうするのだ?』

 『ジスタート王国は今回の事でテナルディエ側に加わっていた貴族は軒並み

彼から離れていったわ。まあ分からない訳じゃないけどね。』

 『確かにな、あれ程の兵器を保有しておるのだ。仕方があるまい。』

 『それと自衛隊達からこう言う言報告が入ったってティグル君から聞いたわ。』

 『?』

 『レグナス皇太子を暗殺しようとしらしいのよ。』

 『!‼』

 『恐らくだけどこの世界に侵攻した時の乱戦を利用してって事らしいのよ。

その時にセラシュ2人を送ったらしいけど行方知れず。皇太子諸共って事も。』

 『そうか・・・ならばテナルディエの策略は半分成功・・・

いや、一割成功九割失敗と言った処か。』

 『そうね、だけどこれでテナルディエがどう出るかね。』

 ソフィーはそう言って外を見ていた。

 空に暗雲が広がっていた。

 嫌な予感が・・・いや、未だ戦乱が収まらない事を暗示するかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『己異世界軍!!よくも我を愚弄したなーーー!!』

 テナルディエは大声で怒鳴り散らしながら手紙を全て破り捨てていた。

 それらは全てジスタート側のテナルディエと縁があった貴族たちであったが

リュドミラを中心に縁斬りを言われ、今後は支援も何もしない言う

書き込みがされていた。 

 するとテナルディエは怒り其の儘に使用人を呼ぶとこう言った。

 『今すぐ使者を西方国境に送って来い!』

 『御意、それで誰に?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『決まっている!《黒騎士ロラン》に送って来い!!

奴の力で異世界軍を蹴散らしてやる!‼』




 人物紹介が終わったらまた休載します。


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人物紹介・・・2巻まで

 自己紹介です。


ブリューヌ王国。

 ティグルヴルムド=ヴォルン

 今作のブリューヌ王国側の主人公

 遠距離における攻撃だがブリューヌ王国からすれば弓矢は「弱者腰抜け証」と

卑下されていたために真っ当な評価が降りなかった。 

 日本侵攻の際には後発であったが日本人の少女を助けたことから殺そうとした

ザイアンから裏切り者と認定され共々殺されかけるも居合わせた男

「伊丹 耀司」の助けもあって何を乗り切り共に二条橋と皇居の防衛に参加。

 この時初めて銃火器を使った際に数キロ離れた敵を一撃で仕留めれるなど幾つもの戦果を挙げたのち捕虜になるが特別措置によって釈放された後は伊丹の保護下の下で自衛隊の訓練を受けて後に参加。

 アルサス突入後第三震度偵察隊に配属されるも其の儘自身の領土でもあった街に

帰還して其の儘駐留が決まったため領主としての仕事も並行して行っていた。

 ザイアンが侵攻した際には挑発も行うなど伊丹譲りな所が所かしことあった。

 遠距離狙撃に秀でたために新型ロングレンジライフルを所持しており

これの組み合わせにより5キロ先の敵を狙い撃つことも可能となった。

 また自衛隊に参入後は格闘技関連にも精通し特に合気道に於いてはエレオノーラを相手に勝利するほどである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ティッタ

 ティグルの幼馴染でメイド

 家の手伝いをしておりティグルの寝つきの良さに於いて頭を悩ませていたが

向こうにおける成果かどうか分からないが最近は起こすことがなくなったため

安心した反面ちょっと不満がある

 ティグルの事が好き。

 

 

 

 

 

 

 バートラン

 ティグルが幼い時から知っている・・・と言うよりも先代からの付き人である。

 年齢が相当であり引退も考えているがティグルの子供を見るまでは死ねませんと大笑いでそう言っていることが結構ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 マスハス卿

 ティグルの先代からの付き合いで先輩。

 ティグルの悪い所を矯正したりと父親めいたところがあるがどちらかと言えば

手のかかる弟の様な感じである。

 日本に対しての事を各貴族に話して戦闘しない様に

各地をかけまくっていただけではなく王都に幾人もの知り合いが城の内部で

働いているため内部に働きかけたりと影の働き者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リュディ=ベルジュラック

 ティグルの幼馴染にして大貴族の娘。 

 幼い時にティグルと出会ってからの中であると同時に騎士の一角。

 武術は特殊な剣術を使い両刃剣ではなく片刃剣で小型。

 主に懐に飛び込んでの近接格闘タイプであると同時に良識派。

 日本との一時的な外交と戦闘を見て講和についてのやり取りを内部で

執り行っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェリックス=アーロン=テナルディエ

 現テナルディエ当主であると同時に根っからの実力主義者。

 息子には甘い点があるがそれを抜きにすれば正に鬼と言っても断言できる程の

巨人の様な大男。

 酒にも強く幾つもの酒を飲んでも素面と言う酒豪で民に対しては

為政者として最低な行いしかしない政治の疎さに関しては最悪レベル。

 これまで日本に対して行ったことが裏目に出て自分の首を

真綿で絞めているのにも気づかない力馬鹿である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザイアン=テナルディエ

 テナルディエ次期当主だが全てにおいてしたと言っていい程のタイプ。

 為政者としても失格点、戦士としても失格、弱い奴しか剣を向けないと言う

腰抜けである。

 アルサスに向けて竜2頭と三千の兵を従えて進軍するも返り討ちに遭って

腰を強打して歩けなくなった挙句に捕虜となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドレカヴァク

 テナルディエ家に竜等を与える占い師であるが正体不明。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジスタート王国

 エレオノーラ=ヴィルターリア

 ライトメリッツ公国の領主にして戦姫の一人

 歳はティグルと同い年であるが数々の戦果を挙げている。

 竜具と呼ばれる武器を所有して風を操る剣を使用する。

 戦姫になる前までは傭兵として活動しているため戦局の把握は人一倍である。

 また義理人情に厚く他者に対して(失礼な態度を取られればこっちも返す)

礼儀は多少ながら良い。

 一度ティグルに捕虜として拘束されて東京拘置所に二週間以上入られていたが

講和条約に伴い釈放された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リュドミラ=ルリエ

 オルミュッツ公国の戦姫

 代々よりこの資格を与えられており武器は氷を放つ槍

 少々であるが頭が高く相手が下だと不遜とした態度を取るために

敵を作りやすい。

 テナルディエの嘘によりエレオノーラと共に出撃するも大敗を期し帰還後に再度攻撃を提案するも棄却された。

 その後は講和条約の際にティグルから聞いた真実により

テナルディエとの縁を切った。

 常に紅茶用のティ―セットとジャムを持ち歩いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソフィーヤ=オベルタス

 戦姫の一人でポリーシャ公国の領主であり国王の外務担当

 諸外国に精通しており他国との対話が主立っていることから荒事にも

多少なりとも慣れている。

 日本の偵察の際に向こうの技術力を最もよく見ていた事から講和条約を

提案した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アレクサンドラ=アルシャーヴィン

 戦姫であるが病気持ちで現在公務は他の人間が引き受けている。

 実力は確かにあり戦姫三人がかりであっても太刀打ちできない程である。

 講和条約締結後に日本で治療をする事が決まり諸事情により日本に永住する事と相まった。

 彼女の竜具はその後姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リムアーシャ

 エレオノーラの副官であると同時に幼馴染。

 実力も確かであるが武官としてだけではなく作戦指示や雑務なども

華麗にこなしていた。

 日本との戦闘の際に左目、左腕、左足を欠損し、日本に送られた後に

手術する際のことに伴い暇を頂き永住権に向けて準備している。

 尚熊のぬいぐるみが好きで部屋にはそう言う関連のがちらほらとある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本編

 伊丹 耀司

 自衛隊で《二条橋の英雄》

 趣味の合間に人生と言う格言と共に生きているのだが目の前にいる人を

放っておけないと言う仕事柄の特徴もある。

 臨機応変な発想を持っており特戦隊兼S所属と言う肩書もある事から

色々と重宝される人間。

 またオタクでありティグルにそう言う関連の物も渡している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 菅原 正樹(鉄のラインバレル)が見た目

 《UCD-10》のパイロット

 戦闘に於いても数々の戦果を挙げている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桑原 惣一朗

 おやっさんと呼ばれており第三深度偵察隊は全員顔なじみ。

 ティグルを鍛えた一人で孫がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 檜垣 統

 自衛隊所属で本部勤務。

 指示を与える係であまり登場しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五十嵐 忍(鉄のラインバレル)が見た目

 自衛隊所属でヴォージュ山脈対ライトメリッツ公国要塞の責任者。

 体格がよく実力も申し分ない人間。

 レンジャーでもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 狭間 浩一郎

 自衛隊所属で伊丹達の上官にして最高責任者。

 現場一筋のたたき上げであることから現場の判断を第一と考えている。

 講和を主目的としているため目立った戦闘は避けるように厳命している。

 

 

 

 

 

 

 




 また休載します。


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