ゲゲル愛好家達と行くハイスクールな世界 (紋章)
しおりを挟む

災厄の始まり
プロローグ


初めまして紋章と申すものです!!
誤字、脱字が多々あるかもしれませんがよろしけば閲覧して感想があれば下さい。(批判はオブラートに包んでくだされば受け付けます)


 初めまして○○○○です。

 え、名前が聞こえない?それは仕様ですので気にしないがほうが宜しいのですよ

 

「あのー、聞こえてますか?」

 

 今、雑音が聞こえましたが無視しまs…「無視しないでください!!」……ちっ。何ですか、自称千歳のショタ男の娘君。私は今画面の前の皆さんとの自己紹介で忙しいのですよ?

 

「自称じゃないですから!?」

 

 それで何でしたっけ、私が声を出せないのは死んでいるからで今は此方の思考をそちらが読んでいて此処にいるのは書類ミスで天国じゃなく地獄に行きそうな所を貴方が助けたからでしたっけ?

 

「は、はい。そうですけど……」

 

 それで目的は何でしょう?……まさか助けた恩を体で払って貰おうかグヘヘ……みたいな考えでしょうか?

 

「そんなわけないでしょう!!第一僕は小さい子のほうが好きですよ!!」

 

 うわっロリコン宣言ですねわかります。

 

「何でそうなるんですか!?」

 

 だって貴方千歳何じゃないのですか?

 

「……おっほん。と、取り敢えず貴方をどうするのか説明しますよ?」

 

 あ、お願いします。

 

「まず今から貴方の死後の行き場所を天国に変えることは無理です。ですが地獄行きの人は特例としてもう一度転生をして貰いそこでの生活態度を見て再判決を行うことができます」

 

 ほむほむ。

 

「その際転生先は此方で指定するのですが基本的に貴女方の世界で言う二次元世界の平行世界線しか選ばないのです。なので、ある程度の特典を授ける決まりになってるのです」

 

 大体分かった。つまり特典を言えと言うことですよね?

 

「はい、その通りです」

 

 それじゃあ……まず性別は前世と同じ女性で両親が世界最強クラスの人で私の前世の友人のFBIの捜査官と暗殺者、それからマフィアの人達に世界にある重火器全てと絶対に破壊できない家、アニメでチートと呼ばれる人材の力、後目の前のショタが永久的に土下座すること。ゲーム機各種とソフト……ポケモンとモンハンでいいや。後それから……

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!」

 

……何ですか?

 

「欲に道溢れ過ぎですよ!?前世の貴女は誠実その物だったから助けたんですよ!?」

 

 ああ、誠実に飽きたので来世はアグレッシブに行こうと思ったんですよ。実際私の前世での最後はアグレッシブだったでしょう?

 

「いや、確かに殺人に見せかけた自殺を用意したのにチェンソーを持ってガソリンスタンドに突進してガソリンにライターを投げ入れてそこにチェンソーを投げ込んで逃げようと道路に飛び出したら車に轢かれるなんて凄い死に方してましたけど……特典は出来れば少なめでお願いします」

 

 わかりましたよ……。だったら性別は女性。両親は物心ついた時には居ない設定で私の種族は……そう言えば何処に行くんですか?

 

「ハイスクールD×Dという世界ですよ。何でも天使や悪魔、堕天使に神までいるとか」

 

 じゃあ種族は人間。それでまともな特典はある程度の知識と頭脳、その世界の主人公グループの情報。後は……悪役のお供を大量にお願いします。

 

「え、悪役ですか?」

 

 ええ。憧れていたんですよね。悪人の頂点に立つことにキリッ……今のは忘れてください

 

「あ、わかりました。以上ですか?」

 

 そうですよ

 

「了解しました。……それではよい来世を」

 

 勿論。……穴に落ちての転生はお約束なのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

「はぁ、やっと行ってくれましたよ。まだ他にも転生させる人がいるというのに……ブツブツ」

 

 こうなったら勝手に特典を増やしてやる。まずはイベントに遭遇しやすくなる運命に乗せて、それから……ふふ、僕をショタとか侮辱するからですよ

 

「……(あの人も大人げないな)」

 

 何だか部下に馬鹿にされた気がするけど……今はあの女を困らせるのが先だ

 

 

 




次回は早目に投稿するつもりです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

堕天使?ああ、弱かったですよ

 初めましての人は初めまして、またの人はどうも前回ショタ男の娘の多分神に転生させられた白百合桃花ですよ。

 いやー大変でしたよ産まれてからの羞恥に耐えるのはね。え、その時の話ですか?そんな話が聞きたいなんて新手の変態ですかって。

 それじゃあ現状の説明でもしましょうかね。

 私の家はどうも主人公の兵藤一誠のご近所の様ですね。因みに両親はどうも悪魔に殺されたみたいですよ?いやー、悲しいと言えば悲しいですが如何せん産まれてから一年しか経ってませんでしたし愛情を感じる暇も無いと言う物ですよ。

 それから四年の月日が経ち私も貰った特典の確認は出来ましたよ。まあ、あのショタはどうやら余計に特典を増やしたみたいですけどね。たい焼き名人とか正直どう使えと

 

「桃花……兵藤一誠の今日の監視は終わった」

「ん、ありがとうございますゴオマさん」

 

 彼はゴオマと呼ばれる私のお供その2ですね。今は神父の姿をしていますがその正体は仮面ライダークウガに出てくるズ・ゴオマ・グと呼ばれる怪人で本来は弱い怪人で太陽が弱点な駄目怪人ですが今の彼はダグバさんの力で太陽を克服してるので日中も外に居ることができるのですよ。それにしてもあの神もグロンギをチョイスしたのだけは誉めてあげましょう。

 

「いいさ。ただ、そろそろ俺たちズにもゲゲルをやらせてくれないか?」

「ならバルバに頼んで起きますね」

「ありがとう」

 

 ゴオマさんも今や苦労する中間管理職の役が似合って来ましたね。因みにゲゲルと言うのは超古代に存在した(この世界では存在しないはずだけど)グロンギが話す言語で意味はゲームと呼ばれる物で彼等は人を殺すのをゲームにしていた恐ろしい存在なのですがこの世界では悪魔や堕天使の裏切り者や屑がいるお陰でそちらをターゲットにして貰ってますよ。

 

「おい桃花!!いるかぁ!?」

「はぁ、バベルさん喧しいですよ?また犬神家でもくらいますか?」

「す、すまん」

「まったく……」

 

 彼はお供その……忘れました。大体覚えてるのなんてお供その1からその4までだけですよ。で、改めて彼はバベルさん普段はバンダナを巻いただけのヤクザみたいな格好ですがその正体はゴ・バベル・ダと言う怪人でかなりの強さです。

 

「で、何の様ですか?つまらない話ならドラゴンロッド(魔改造)かもしくはライジングタイタンソードの錆びにしますよ?」

「あ、ああ。何でも近くの神社が堕天使に襲われてるそうだ」

「神社と堕天使ですか……それならゴ、メ、ズからそれぞれクジでゲゲルの参加者を決めて下さい。決まり次第神社に来てください」

「わかった!!」

 

 一番の目的は姫島朱乃の救出、二番はそのお母さんの救出と行きたいのですが原作的に間に合えばいいのですがね……まあ急ぎますか。

 

「そういうわけで神器でとっとと行きましょうか。…… 伝説との戦いの記録 (レジェンダリーエピソード)エピソードヴァルゴゾディアーツ」

 

 私が使ったのは特典とは別の……この世界での私の武器伝説との戦いの記録と呼ばれる神器。これは私にかつて仮面ライダーと戦った怪人達の能力と武器を譲渡する能力を持っている。そして羽扇子と斧が合わさったような巨大な杖ロディアを軽く振るってヴァルゴのテレポートを使い神社に向かう。

 

「……よっと、てっこれはかなり不味い状況ですよ」

「何だこいつは?」

「どうしますリーダー?」

「殺すしかないだろうな。それに突然現れたのだ神器持ちかもしれない」

「えー、どうせなら俺としては楽しみたいな~」

「やれやれ五歳に欲情するのか貴様は」

「いいじゃないd……」

 

 何か気持ち悪いことを言っていたのでロディアで顔面を抉ってしまったけど私は悪くねぇ!!

 

「なっ、貴様!!」

「わー、怖いー」

「おちょくってるのか!!!」

 

 何か光の槍を放ってきたみたいだけど……手遅れですよ?

 

「ふんっ!!」

「なっ、今のは俺のほぼ全力の一撃だぞ!?それを片手で……貴様何者だ!!」

「ゴセパザバギンバシグラ、ゴ・ガドル・バ ザ(俺は破壊のカリスマ、ゴ・ガドル・バだ)」

 

 その言葉をいい終えるとガドルさんはカブトムシの姿を模した怪人態の眼を紫に変え胸の装飾品を手に取りそれを巨大な大剣に変化させリーダー格の堕天使を切り裂き絶命させた。

 

「桃花お嬢様お怪我は?」

「なんとも無いよグムンさん」

「ふんっ、桃花を狙った奴等を殺すゲゲルとは久しぶりに楽しいゲゲルになりそうだな」

 

 それじゃここでまた説明をしようか。さっき敵を倒したのはガドルさん。その正体はゴ・ガドル・バと呼ばれる怪人で多分一番被害が少なくてすむ中で最強の怪人。

 次に私のことをお嬢様言っていたのはズ・グムン・バと呼ばれる怪人です。言いたいことは解りますよ。誰だこいつですよね。ただ紳士ですけど弱い……とにかく弱い尖兵として本来は使うのですがまあ今回の堕天使は雑魚ですし問題ないでしょう。

 最後の一人はメ・ビラン・ギ。蝶野登場とゴウラムのせいでかなり噛ませになった怪人ですよ

 

「桃花……何故か凄く悲しいのだが」

「知りません。そう思うなら目の前の堕天使を殺して下さい」

「わかった」

「では、私も!!」

 

 二人とも怪人態のデザインは好き何だけどなー。

 この後物の数分で堕天使の一団は全滅しましたよ。え、戦闘描写?Rが増えかねないのでカットされましたよ哀れ堕天使(笑)

 

「さてとエピソードピクシスゾディアーツ」

 

 気を取り直して今私はピクシスの能力を使って姫島朱乃と姫島朱璃を探しているのですが……見つからない何だこの能力は不良品ですか?

 

「お嬢様、いましたよ!」

「グムンさん、よく見つけてくれましたねご褒美に帰ったら私と一緒に寝る権利をあげましょう」

「有り難き幸せ」

「……(グムン帰ったら殺してやるゥゥゥ!!!)」

「……(そんなことより帰って特訓したい)」

「さてと、二人とも生きて……はいますね。かなり危険な状態ですが」

 

 これならアクエリアスの力で治せるかな?てっ殺気?取り敢えず避けてビランさんを盾にしましょう。

 

「よっと」

 

 私が攻撃を避け、ビランさんに手を伸ばす。

 

「危ないな」

 

 ビランさんがグムンさんをビランさんの居た位置に置く。そして私がグムンさんを盾にした。うん、完璧。……じゃないですね

 

「……我が生涯に一片の悔いなし」

「いや、死ぬの早すぎですよ」

「無茶しやがって(桃花の胸が当たってるだと……WRYYYYYY!!!!!!!)」

「……(こいつらこんな感じの性格だったか?)」

 

 まあグムンさんは放置安定で、攻撃してきた方を見てみよーう。……おっさんがいた。いや、間に合ってるんで帰ってくれませんか?

 

「お前達が朱璃達を狙った奴か!!」

「いや、逆に命の恩人ですし。というかそれぐらいわかって欲しかった。……やはり堕天使は無能か」

「貴様、堕天使を愚弄するか!!」

「バラキエル落ち着け」

「これが落ち着いてられるかアザゼル!!」

「悪いな、こいつも悪い奴じゃないんだ。だから今のは不問にして貰えないか?」

「別にいいですよ。誠実な態度は見れましたし。それじゃ私達は帰らせて貰いますよ?」

「おう。ただ、今後はあまり派手に動いてくれるなよ?」

「わかりましたよ」

 

 いやー、堕天使にも話のわかる人がいて良かった良かった。

 こうして私は意気揚々と自宅に帰ったのであった。

 

 

 

 

 

 

「アザゼル何故あいつらを逃がした。答えろ!!」

「バラキエル鈍ったか?」

「どういう意味だ!」

「あの軍服を着た男だが恐らく俺やお前と同じくらい強いぞ」

「何!?」

「だから今回は見逃したのさ。ま、次はわかんないけどな。ははは」

「……(こいつがこんな笑い方をするとは嫌な予感しかしない)」




 因みにグロンギが従ってるのはゲゲルで敗北したからです。ポーカーと言う名の
 まあ中にはグムンやビランみたいなのもいますが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

駒王町のグロンギ
変態に彼女が出来ましたー


 予想以上にお気に入りが増えていたのにビックリしました。


 初めましての人は初めましてまたの人はどうも白百合桃花ですよ。

 前回の姫島一家のイベント以降は特にイベントにも参加しませんので今は原作が開始される数日前になっております。

 え、木馬きゅんイベントはどうした?ヴラディ家の問題はどうしたですか?そんなものスルーですよ。第一外国でのイベントなんて参加しませんよ。遠いですし

 

「桃花ちゃんそろそろ時間だよ?」

「ああ、そうでしたね。すみません、凛ちゃん」

 

 今、私に声を掛けてきたのは伽部凛ちゃん。国民的人気をほこる高校生アイドルでその正体はゴ・ゲラグ・ギと呼ばれるクラゲに似たグロンギ。それから私や兵藤一誠の同級生。

 

「それにしてもあの変態3馬鹿トリオって殺しちゃ駄目?」

「何度聞かれても駄目ですよ。原作が歪みますからね」

「うー、別に歪んでも良いじゃないですか♪」

「そんなことより速く学校に行きますよ」

「はーい」

 

 まあ凛ちゃんの言い分も理解は出来ますけどね。うち一人なんて女性の衣服を吹き飛ばすわ女性の胸の声を聞けるわで手がつけれない変態ですからね。

 

 

 

 

 

 

「おはよう桐生さん♪」

「凛ちゃんおはよう。いやー今日も我がクラスが誇る3馬鹿は元気なもんだね」

「どういうことでしょうか……てっああなるほど」

 

 桐生さんに聞くまでも無いですね。3馬鹿こと兵藤一誠、松田、元浜がいる方を見ればアウトー!な本やDVDが積み上げられているし、どうせいつもと同じだろう。

 

「おいお前ら俺の机にこういう物置くなって!」

「なっ、あのエロの権化とも言われる一誠が置くな!?」

「心外だぞ松田。俺は大人なんだ。こんな物は要らないのさ」

「そ、その余裕まさか噂は本当だったのか!?」

「噂って何だよ元浜?」

「何だ、松田知らないのか?一誠の奴に彼女が出来たって噂だが。で、一誠そこの所どうなんだ?」

「その噂の通り俺にも遂に彼女が出来たのさ!!」

 

 

 

「へえあの兵藤に彼女がねぇ。珍しいこともあるもんだねー」

「天変地異の前触れ何じゃないですか?」

「凛ちゃん、そんな不吉なことは言わない」

 

 とは言っても不吉なことは起きるんだけどね。

 その後はごくごく普通な授業を受けて家に大人しく帰った。

 

 

 

 

 

「それじゃあ第一回原作会議ーーわーパチパチー」

 

 私の気の抜けた挨拶を終えると周りからも拍手が聞こえる。私は口で言ってますけどね。

 

「それじゃあまずレイナーレをどうするか決めましょうか」

「奴隷で」

「処刑」

「処刑」

「飯使いだ」

「物言わぬグロンギにする」

「予想してましたがこれは酷い」

 

 哀れレイナーレの冒険の書は消えてしまった!……でもいいのですが

 

「それでどうする気だ?」

 

 飯使いと答えた薔薇のグロンギにしてゲゲルの監視役を勤めているラ・バルバ・デが私に聞いてきますが、正直どっちでもいいんですよね。でも今回は

 

「生かして奴隷にしましょう」

「何故だ?」

 

 処刑と答えた一人のガリマさんが私にそう聞いてきます。

 

「理由としては飯を作る人が私とグムンさんしかいないからですよ」

 

 そう、実はグロンギの皆さんは殺人は得意でも作るのは苦手なので私達の負担が多いから人員を増やしたい。しかし、一般人なら万が一の時に面倒、だからこそ堕天使は丁度いいと言うことです。それを理解してくれたのかガリマさんも黙ってくれました。

 

「皆さんも奴隷で問題無いですね?」

 

 ゴオマさん、ガドルさん、バルバさん、そしてガミオさんと呼ばれる人達に確認を取り反対意見が無いのを確認すると私は立ち上がり解散の挨拶をする。

 

「それではこれを持ちまして第一回原作会議は終了にします」

 

 

 

 

 その深夜

 

「そう言えばガミオさん。ダグバさんは何処に行きました?」

「ん?ああ、何でも面白い相手を見つけたからゲゲルをバルバに頼み込んでたな」

「そうですか。……やり過ぎないと良いですが」

 

 

 

 

 

 

「く、くるなぁ化け物!!!」

「・・・・・・・」

 

 背中にコウモリのような翼を生やした人間に良く似た存在……悪魔が白いシルエットの人型に終われていた。 悪魔は後ろに後退りながら叫ぶが人型は止まることなく相手の悪魔の近くに立つとその首を掴み上げそのまま悪魔の首の骨を減し折った。

 

「こんなに弱いのしかいないのかな?」

「き、貴様よくも主を!!!」

「ん?」

 

 人型が声の聞こえた後ろを見るとそこには丁度桃花達と同年代の青年が立って憤怒の表情で人型を見ていた。

 

「お前だけは殺す!!」

 

 そう言うと何もつけてなかった筈の腰に前の部分が空いた機械的なベルトが装備されポケットから携帯を取り出して000と入力をしベルトに装着した。

 

「変身!!」

 

 青年の体が変化しその姿を仮面ライダーオーガへと変貌させた。

 

「その姿なら少しは楽しめるかもね」

「殺す前に一つ聞いてやる貴様は何者だ」

「僕?僕はン・ダグバ・ゼバ。さあもっと僕を笑顔してよ」

 

 

 

 

 

 ダグバのゲゲル

【期限】白百合桃花が死ぬまで

【ターゲット】一度でも転生をしたことがある生物

【ルール】超自然発火能力を含む特殊能力の禁止。人間界以外での殺害




 文章量は基本こんな程度を目処にしていくつもりです。
 それとダグバの現在地は冥界です。そしてオーガの中身は桃花と同じ神による転生者です。主の方は悪魔の駒による転生。
 原作の開始の少し前とダグバについてお送りしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

序盤だから一方的なのは仕方ないですね

 感想にゲゲルの指摘があったのでここで軽く説明しますね。
 一つはン族のゲゲルは次元が違うゲゲルなので基本的には他のグロンギのゲゲルとは別物として扱います(例対象が天使、悪魔、人間、転生者と種族単位など)
 一つは娯楽感覚のゲゲル。これでは複数のグロンギが大量のターゲットを襲いより多くターゲットを殺した者が勝利する。勝者には個人のゲゲルを行う権利が与えられる。
 最後は個人のゲゲルについて。これではターゲットを明確に決め、そのターゲットを殺せるか競うゲームです。

 今後も指摘でゲゲルが増えていくかもしれませんが皆さんご容赦ください。では、今回も楽しんで見ていってください。


 

 只今私達は兵藤一誠とその彼女の天野夕麻ことレイナーレを尾行しています。それにしても原作でもレイナーレに言われてましたがテンプレートなデートですよね。

 

「ガルメちゃんもそう思いますよね?」

「……何で俺が女装なんてしないといけないのかなあ?」

「一応ですよ一応」

 

 因みにガルメちゃんもといガルメさんの正体はカメレオンのグロンギのメ・ガルメ・レですよ。

 因みに私は男装をしていますよ。

 

「確かに性別反対の変装ならばれないかもしれないが変人にしか見られないと思うんだが?」

「そこは根性で乗り気ってください。ほら、ターゲットが移動しますから私達も行きますよ」

「はいはい」

 

 ……それにしても先程から感じる強者の気配は誰なんでしょうかね?目的は私達と似ているみたいですが心配ですね。

 

 

 

 

side???

 

「お嬢、赤龍帝が次の目的に向かいました」

「ウルフご苦労様。それじゃ行こう」

「はっ!」

 

 

 

 

side桃花

 

「もう夕方になったみたいだな」

「さてと、ガルメさん。一誠が死んだら動きますよ」

「了解」

 

 まあ今回は転生者の動きとレイナーレの強さを図る程度にしたいですねー、まあガルメさんごときに殺られるなら要らないですけどね。

 

 

 

 

「死んでくれないかな」

 

 彼女がそう言うとその背中から黒い堕天使の翼が生えそれに唖然としている兵藤一誠にレイナーレが光の槍を投擲した。

 私としてはそれで兵藤一誠も死ぬと思った。けど現実はそうも上手くいかないようです。

 

「……何者よ貴女?」

 

 レイナーレが放った槍は突如現れた女性により明後日の方向に弾かれてしまった。それにしても彼女の肌はあり得ないぐらい真っ白ですよ。女性としては羨ましいですね。

 

「私の名前は細川レイ。悪いけど私の前で人は殺させないウルフ」

 

 そう言った彼女……細川レイは奇抜な服装をしていて腰の所に四つのケースを装備した風貌をしていた。そして彼女がウルフと呼ぶとケースの一つが開きそこからカードのような物が飛び出しそこから狼の姿をした怪人が現れた。それにしても感じていた強者の気配は彼女みたいですね。

 

「任せろお嬢!」

「邪魔するのならここで貴女達にも死んで貰うわ」

 

 彼女たちはどうやら戦うつもり見たいですけど無意味ですよ?何せうちのガルメさんが仕事を済ませているので。 そして細川レイが後ろを振り向いて兵藤一誠の姿を確認すると兵藤一誠は既に腹部を何かに貫かれて死にかけていた。

 

「いつの間に……」

 

 そう細川レイが呟くもその相手のレイナーレ自身も兵藤一誠が死にかけているのを知り動揺した。

 

「私は何もしてないわよ。貴女がやったんじゃないのかしら?」

「そんなわけない」

 

 さてと、リアス・グレモリーが来る前に挨拶ぐらいはしておこうかな。そして私は隠れてた茂みから出て彼女たちの前に現れる。

 

「初めまして細川レイさん、堕天使レイナーレ。私が兵藤一誠を今の状態にさせて貰いました」

「何でそんなことをしたの?」

「秘密です」

 

 本当は原作通りに始まりぐらいは行って欲しいからですけどね。

 

「まあいいわ。でも貴女たちには死んでもらうわ」

「ああ、堕天使レイナーレ。貴女は私の奴隷にするので。覚悟してくださいね」

 

 私がレイナーレの台詞を聞かずに相手に目的だけを言うと蔑んだ目をしながら言った。

 

「下等な人間が頭に乗らないで貰える?」

 

 そう言うと私に光の槍を投擲してきた。だけど、私には優秀なお供がいるんですよ?

 

「ふんっ。この程度か」

「何でグロンギがこの世界に?」

 

 飛んできた光の槍を透明化を解いたガルメさんが自慢の舌で掴みそのままへし折るのを見ると細川レイがそんなことを言った。

 

「グロンギを知ってる人ですか。これは放置すると面倒そうですね」

 

 私がそう言うとウルフと呼ばれてた怪人が身構えた。

 

「……ガルメさん帰りますよ」

「わかった」

「大人しく帰すと思ってるのかしら!!」

 

 私達が帰ろうと背中を向けるとレイナーレが光の槍を投擲してきました。それをかわしてレイナーレの方を再度向く。まったく仕方ないですね。

 

「ガルメさん先に帰っていてください。エピソードクロウロード」

 

 神器の発動と共に私の背中にカラスの翼が生える。

 

「わかった早くに帰ってこいよ」

「わかってますよ」

「貴女たち何を行っt……!!!」

 

 レイナーレが喋ってるいるのが喧しかったので翼を羽ばたかせて高速でレイナーレに接近しその堕天使の翼を掴みまた高速で移動して近くの人気のない場所に飛んでいく。

 

「ちょっと……」

 

 細川レイが何かを言っているが無視である。

 

 

 因みに後で聞いた話だがこの後彼女はリアス・グレモリーに遭遇したようです。

 

 

 

 

 

 

 

「よっと。ここで良いでしょう」

「貴様ぁぁ!!下等な人間風情が至高の堕天使になる私にこんな真似をして只ですむと思っているのか!!!」

「喧しい堕天使ですね。まったく……黙らせっちゃって下さいジャラジさん」

「はーい」

 

 私がそう言うと何処からかヤマアラシの針によく似た針が飛来し彼女の腹部に刺さった。

 

「っ!もういい死ね人間!!!」

「拒否します」

 

 レイナーレが放ってきた光の槍をクロウロードの羽で凪ぎ払う。

 

「そんな!?」

「ジャラジさん、追加オーダー針千本」

「いえっさー!」

「っ!!??」

 

 痛みのあまりかどうやら悲鳴も出ない様ですね。

 

「さてと堕天使レイナーレ。いえ、親しみを込めてレイナちゃんと呼びましょう。貴女に2つ選択をあげましょう」

「何…ですっ…て?」

「ここで死ぬか、それとも私達からのゲゲル……ゲームを受けるか選んで下さい」

「……ゲーム…のルー…ルは?」

「こちらに成りますよ」

 

 事前に用意しておいた用紙をレイナちゃんに渡す。

 

「わか…った。ゲームをやる…わ」

「わかりました。ではご武運を」

 

 それをいい終えるとレイナちゃんは放置して私達も拠点に帰りました。

 

レイナーレのゲゲル

【期限】レイナーレが倒されるまで

【ターゲット】兵藤一誠

【ルール】他の仲間に殺させてはならない。このことを話すことやばれた場合も失敗

【褒美】勝利……こちらのメンバー全員が奴隷に

敗北……レイナーレが奴隷になる



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

変態はいつも煩い物です

 誤字脱字があれば教えてください


 

 原作の始まりとも言える兵藤一誠殺しのイベントも終わりましたし、レイナちゃんとも(強引に)仲良くなりましたし今日の学校が久しぶりに楽しみですよ。因みに今日凛ちゃんはお仕事の都合でお休みです。ああ、可哀想な凛ちゃん。

 

「桐生さんおはようございます」

「桃花おはよう。おろ、凛ちゃんは今日はいないの?」

「ええ、仕事で今日は休むそうですよ」

「へー。あの子も大変だねー」

「ですね」

 

 それにしても兵藤一誠が今日はやけに煩いですね。まったく私は低血圧何ですから朝から騒がないで欲しいですね。

 

 

 

 

 

「えー皆さん突然ですがこのクラスに新しい友達がやってきます」

「先生、それは転校生ってことですかー?」

「はい」

「先生!男ですか女の子ですか!?」

「女の子ですよ」

「「よっしゃあああ!!!!」 」

 

 あの変態ども煩いですねぇ。それにしても珍しく兵藤一誠が反応しませんでしたね。やっぱりレイナちゃんの事が応えてるみたいですね。

 

「それではどうぞ」

 

 先生がそう促すと扉が開き件の転校生が入ってきました。

 

「……細川レイ。よろしくお願いします」

 

 ゾグギグボドゼグバ?(どういうことですか?) ……おっと余りの驚きにグロンギ語が出てしまいましたか。

 

「それじゃあ席は……白百合さんの近くね」

「はい。……よろしく白百合さん」

「ええ、よろしくお願いします細川レイさん」

「レイでいいよ。その代わり私も桃花って呼ばせてもらうね」

「ええ、どうぞどうぞ」

 

 うわー素晴らしい笑顔ですね。これは詰んだかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 放課後になりました。それにしても一向に私には絡んできませんね。もしかして忘れているのでしょうか?なんて思った矢先です

 

「桃花、ちょっと一緒に部活の見学してくれない?」

 

 周りに人がいなければ断れたのですが優等生を演じてる私としては周囲の人々にそれを見られるのは不味いですし受けるしかないじゃないですか。

 

「いいですよ。因みに何処ですか?」

「オカルト研究部」

 

 あっ、これはもう駄目かもしれませんね。……一応誰かにメールしときますか。

 

「わかりました。その前に家族にメールさせて貰ってもいいですか?」

「うん。別にいいよ」

「有り難うございます」

 

 さてと、誰にしましょうかね。どれにしようかなディケイドの言う通りっと。……一番駄目な人になるってどういうことですか?

 

 

 

 

 

 

「ここ」

「入り口は普通何ですね」

「そうだね。それじゃ入ろうか」

 

 もうここまで来たら腹を括りましょうか。

 そうして私達二人が部屋に入ると部屋にいたイケメンとロリが此方を見てきました。

 

「……レイ先輩。昨日ぶりですね」

「レイさんそちらの女性は?」

「この人が昨日一誠を殺した人」

「……何のことでしょうか?」

 

 ああ二人の視線が冷たくなってしまいました。それから奥から出てきたポニーテールの女性も冷たい視線何ですけど……。

 

「一つ聞きたいのだけど彼、兵藤一誠君を殺したのは何でかな?」

「理由はないよ。強いて言うなら面白そうだったから」

 

 イケメンの冷たい視線ってMの女の人にとってはご褒美なんでしょうかね?(現実逃避)

 

「面白いなんて理由はないと思う」

「まぁ真面目に言うならいつも煩いからですよ。でも悪魔になるとは思いませんでしたがね」

「っ!!どうして悪魔のことを知ってるんでしょうか?」

「悪魔に昔親を殺されたのでその時に存在を知りましたよ」

「そう、でしたか。それは申し訳ありませんでした」

「別にいいですよ。それよりも自己紹介しませんか何人か解らない人がいるんですが」

 

 まあ本当は特典で知ってますけどね。

 

「そうですわね。三年生の姫島朱乃ですわ。研究部の副部長も兼任しております。これでも悪魔ですわ」

「僕は木場祐斗。レイさんと同じ二年生だよ。えーと僕も悪魔です。よろしく」

「……一年、塔城小猫です。よろしくお願いします。……悪魔です」

 

 大体は原作と同じみたいですね。後はレイさんだけですか

 

「細川レイ。貴女と同じ二年生。それからアンデッドです」

 

 アンデッド?……ゾンビのお仲間でしょうか?

 

「私は白百合桃花ですよ。二年生で人間です。それとアンデッドって何ですか?」

「……アンデッドは不死身って解釈でいい」

「そうですか。それで私をどうする気でしょうか?」

「そうですわね。本来なら部長が決めるのですが生憎留守ですしどうしましょうか?」

「……良ければ私に任せて貰えない?」

「レイちゃんにですか?……そうですわね。わかりました、部長にはそう伝えておきますね」

「ありがとうございます。それじゃついてきて」

「わかりました」

 

 一応危機は去ったんでしょうかね?

 

 

 

 

 

 

「ここでいいかな」

「校舎裏ですか。確かにここなら誰かが死んでも問題なさそうですね」

「一つだけ聞かせて。貴方は転生者?」

「はい、そうですが」

「……随分とあっさりと答えるね」

「別に隠すことでもないですし」

 

 それにいざとなれば口封じすればいいですからね。

 

「なら特典は何を貰ったの?私は神器として始創の絵札(Aラウズカード)を貰ったけど」

 

 ……何かの作戦って訳でも無さそうですし友だちが欲しいのでしょうか?まあ一つぐらい教えて差し上げますか。

 

「私が貰ったのはグロンギの皆ですよ」

「グロンギって仮面ライダークウガの?」

「そうですよ。貴方も仮面ライダーに通ずる物を?」

「うん。私のは仮面ライダーブレイドのアンデッドの皆」

「そうですか。では、私はこれで」

「あっ待って。明日部室に来てくれるなら帰っていいよ」

「わかりましたよ」

 

 それぐらいなら別にいいですかね。……そういえば誰かを忘れてるような。

 

 

「ゴゴギバ。ザジャブガダセダギ(遅いな。早く暴れたい)」

 

 桃花に呼ばれたズ・ザイン・ダがオカルト研究部の近くの茂みの中に隠れながら出番を次の日の朝まで待っていたのは余談である。




 出してほしいグロンギがいれば本編の感想と共に書いてください。
 次回は一誠とグロンギの誰かを戦わせようかと思っています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

作者の予告は宛にならないそうです

 一誠vsグロンギの誰かは次回に持ち越しになります。申し訳ありません


 前回呼んだまま忘れていたザインさんを朝学校に着いた時に見つけて帰っていいと伝えた私は学校の自分の机でこの後の事を考えていた。

 オカルト研究部に来いってことは兵藤一誠と会うということですよね。顔を隠す……のは無しでいいですかね。いずればれそうですし。

 次に原作ではこの時に兵藤一誠の神器の有無とかを確認してましたし私もされそう何ですよね……誤魔化すためにグロンギの皆さんに戦って貰いましょうかね。それなら誰に頼みましょうかね?……手加減が出来そうな人にしないと兵藤一誠が殺されそうですね。

 そうやって相手を考えていると自然と時間は過ぎていき授業が全て終わった頃に漸く相手を決めることができました。

 

「相手は決まりましたし早いうちに部室に行きますか」

 

 兵藤一誠と鉢合わせになっても面倒ですしね。主に質問攻めに合いそうで

 

 

 

「皆さんこんにちは」

 

 私が部室に入り挨拶をすると既にいた塔城小猫、姫島朱乃が軽く会釈をしてくれました。

 

「あらあら、祐斗君が迎えに行ったのですが先に来てしまいましたか」

「先に来ては問題でしたか?」

「いえいえ、問題はありませんよ」

 

 それから少しして木場祐斗に連れられた兵藤一誠が部室に入ってきた。その後ろからレイさんも入ってきました。

 それにしても先程来たときからシャワーの音が聞こえますが普通校内の部室にシャワールームなんてあるものなんでしょうかね?

 ……おや、シャワーの音が止まりましたね

 

「部長、これを」

「ありがとう、朱乃」

 

 成る程さっきから入ってたのは部長さんでしたか。それにしても兵藤一誠。もう少し感情を隠したほうがいいですよ?そのうち誰かに言われそうですよ

 

「……いやらしい顔」

 

 てっ早速言われてますし。

 そうこうしてると部長さんことリアス・グレモリーが着替えを終えたのか制服を着た姿ででてきました。

 

「ごめんなさい。昨夜、イッセーのお家にお泊まりしたからシャワーを浴びてなかったの。だから今汗を流させて貰ってたわ。

 それと貴女とは初めましてね。リアス・グレモリーよ」

「どうも、白百合桃花です。帰っちゃ駄目ですかね?」

「駄目よ」

 

 しかし回り込まれてしまった!(ビーストクエスト風)

 

「さあ、これで全員揃ったわね。兵藤一誠くん、白百合桃花さん」

「は、はい」

「私としては今すぐ家に帰りたいのですがそれは……」

「私たちオカルト研究部は貴方たちを歓迎するわ」

「いや、いらn……」

「悪魔としてね」

 

 聞いてませんよこの人。ていうか私は悪魔じゃないです

 その後は私のことは置いておいて何故か兵藤一誠に悪魔や堕天使、天使のことと神器の発現と原作通りの流れだったのでカットします。

 

「さてと、それじゃあ今度は貴女ね白百合桃花さん」

「桃花でいいですよ」

「そう?じゃあ桃花、貴女のことは朱乃達から聞いているわ。……その両親のことはごめんなさいね」

「別にいいですよ」

 

 どうせその悪魔はグロンギの皆さんの技の実験台になりましたし。

 

「そんな貴女に頼むことじゃ無いのだけど良かったら私達と同じ悪魔にならないかしら?」

「嫌ですよ。変態と同じ種族とか吐けますよ」

「へ、変態って……」

 

 何か兵藤一誠が地味に凹んでますが知りませんよ。

 

「ごめんなさいねうちのイッセーが変態で」

「ぶ、部長!?」

「でもあの子以外と弄ると可愛いのよ?」

「可愛くても変態なら罪です」

「そういえば部長。何で白百合さんが部室にいたんですか?もしかして俺みたいに神器を持ってるとか!?」

「そういえばそうね。桃花、貴女神器って持ってるのかしら?」

 

 その質問が無ければ良かったのですが……仕方ありませんね。

 

「ええ、持ってますよ。ただ使えと言うならそれ相応のリスクがありますよ?」

「リスク?どういうことかしら?」

「私の神器は生物創造系なんですが創造できるのは皆狂暴なんで暴れますよ?」

「それじゃあ仕方ないわね。またの機会に見せて貰えるかしら?」

「気が向いたらいいですよ」

 

 そういい終えた私は余計な追求が来る前に部室から出て帰宅した。

 ……結局兵藤一誠と誰かを戦わせる必要は無かったですか。

 

 

 次の日の放課後のことでした。

 私が帰宅をしていたら突然茂みから蔦でぐるぐる巻きにされてレイさんに部室に連行されました。

 どうしてこうなったんでしょうか?

 

「悪いわねレイ。それで桃花お願いがあるのだけどいいかしら?」

「……はぁ、何ですか?」

「イッセーと一緒に契約に行ってくれないかしら?」

「……報酬は?」

「そうね何か欲しいものとかあるかしら?」

「戦車をお願いします」

「……え?」

「よ、良ければ何に使うのか聞いていいかしら?」

 

 レイさんもリアス・グレモリーも何を言いますか。そんなの決まってるじゃないですか

 

「動かすんですよ」

「……はぁ、わかったわ。それじゃあ用意しておくわね」

「有り難うございます」

 

 

 その深夜

 

「一誠もっと安全に運転してください。揺れます」

「いや、仕方ないだろ!自転車なんだから!!」

 

 今、私は兵藤一誠の運転する自転車の後部に乗って依頼人の所に向かっています。

 因みに横向きで座ってます。前だと兵藤一誠に胸が当たりそうですし。……当るほどありませんが。

 おや、自転車が止まりましたね。

 

「場所につきましたか?」

「おう!」

 

 さてと依頼者が面白い相手だと良いのですがね。

 兵藤一誠がインターホンを押すと中から

 

『あいてます。どうぞにょ』

 

 という野太い男性の声が聞こえてきました。……男性?

 兵藤一誠が玄関に入っていったので仕方なく私も中に入り部屋の扉を開けると……化け物がいました。

 

「いらっしゃいにょ」

 

 その化け物は約二メートルの巨体、鍛え抜かれた筋骨隆々にも関わらずゴスロリ衣装を着こんだ男だった。そして何故か頭部に猫耳をつけていた。

 ……やばい。下手したらガミオさんやガドルさん、ダグバさんでも勝てないかもしれない

 

「あ、あの。あ、悪魔を……グレモリーの眷属を召還しましたか? 」

 

 兵藤一誠、いや一誠。骨は拾ってあげますからね

 

「そうだにょ。悪魔さんにお願いがあるにょ」

「な、何でしょう?」

「ミルたんを魔法少女にしてほしいにょ」

「異世界にでも転移してください」

「白い何かに頼んでください」

「それは全部試したにょ。白い何かさんは無理とか言ったからお花になって貰ったにょ」

 

 血の花ですねわかります。というか無理って言ったら殺されそうですね。

 

「試したのかよ!!」

「どれもミルたんに魔法の力をくれるものは無かったにょ」

「ある意味今の状況が魔法的だけど……」

「だから後は悪魔さんに頼むしかないにょ」

 

 いや、悪魔でもグロンギでも下手したら神でも無理ですよ。

 

「悪魔さんッッ!!!!!!!!」

 

 っ!!超音波ですかこれは!?ていうか建物が揺れるって一人地震しないで欲しいですよ

 

「ミルたんにファンタジーなパワーをくださいにょぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

「いえ、もう十分にファンタジーですよ!!」

「み、ミルたんさん。私も相談なら乗りますから落ち着いてください」

 

 そう言うと泣きながら叫んでたミルたんさんは泣き止み涙を拭い終えると笑顔で言った。

 

「じゃあ、一緒に魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブを見るにょ。そこから始まる魔法もあるにょ」

 

 その後視聴を終えた私は兵藤一誠の運転する自転車で自宅近くまで帰宅した。

 因みに内容は面白かったですよ。




 ビーストクエストはハイスクール世界にあるドラ○エに似たゲームです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガミオさんの能力ってある意味無敵だと思いませんか?

 一応グロ注意。


 あのミルたんとの出会いの次の日の夜も部室に呼ばれた私が部室に入ると一誠がリアス・グレモリーに注意されていた。

 

「いい、教会には近づいちゃ駄目よ」

 

 聞くところによると何でも不用意に一誠が教会の近くを歩いていたそうだ。それで、本来なら教会に悪魔は行っては行けないらしくそれを破ると天使から攻撃されるらしい。

 

 

「天使の攻撃ってのは悪魔がくらうと消滅するから一誠も気を付けたほうがいいよ」

「あ、有り難う細川さん」

「別にいいよ。一応クラスメイトだからね」

「因みに教会の連中のほうが一誠は警戒したほうがいいですよ?天使よりも教会のほうが数が多いですしね」

「教会の連中も俺達のこと狙ってるのか!?」

「そうよイッセー。天使と同じように教会の関係者、悪魔祓い(エクソシスト)も神の祝福を受けて私達を滅ぼせるのよ。だから気を付けるのよ?」

「は、はい」

 

 まあでも一誠の神器が明確にわかればこの時期の敵は楽なんですよね。

 

「あらあら、お説教は済みました?」

「あら、朱乃。どうしたの?」

「討伐の依頼が大公から届きました」

 

 討伐ですか……面白いことを思い付きましたよ。

 

「リアスさん、私は帰っても宜しいですか?」

「そうね。これには流石に桃花やレイまでは巻き込めないわね」

「別に私は大丈夫。死ぬことは無いから」

「では私は大人しく帰らせて貰いますね」

「わかったわ桃花はまた明日学校でね。レイも今回は遠慮してもらってもいいかしら?気持ちだけは受けとるわ」

「わかった」

 

 そういった会話を終えた私は即座に部室から外に出て物陰に行くと家にいるある人物に電話をした。

 

「……あ、ブウロさん?今からはぐれ悪魔を探してきてくれますか?

 報酬は新作の小説でどうですか?……引き受けてくれますか。ありがとうございます」

 

 電話を終えた私は暫く夜道を散歩しながらブウロさんからの電話を待っていた。

 その後数分してからブウロさんから電話が来てはぐれ悪魔が今廃屋にいることがわかった私は必要な人材を呼んで廃屋に向かいました。

 

 

 

 

「ここですね例の廃屋というのは」

 

 その廃屋の感想ですが……いい感じとは言い難いですね。中途半端な血の臭いと言うのは一番駄目なんですよ。やるなら豪快にやらないと!それこそ一集落を滅ぼすぐらいは殺さないと駄目ですよ?

 因みにはぐれ悪魔と言うのは爵位を持った悪魔の下僕が主を裏切って野良犬のような悪魔になったもののことを言うそうですよ?

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな、苦いのかな?」

 

 私を含めた四人の前方に女性の上半身を持ち、四足の獣に似た下半身を持った五メートル以上はある異形が歩いてきました。

 

「あれか、桃花?」

「ええ、そうですよガメゴさん」

 

 私が連れてきた一人のガメゴさんが相手の全身を確認しながら私にそう聞いてきたので素直に答えました。

 

「彼女?こそはぐれ悪魔ライザーですよ」

「私の名前はバイザーだぁぁぁ!」

 

 ライザー……じゃなかったバイザーが私の発言に激怒して両手に持っていた巨大な槍を投擲してきましたがガメゴさんがグロンギとしての姿ゴ・ガメゴ・レになり巨大な槍を自らの体で防御しました。

 

「ふん、この程度か?」

「何だとぉぉぉ!!」

 

 ガメゴさんの発言にまた激怒したバイザーが突進してきましたがガメゴさんはそれに怯むこともなく指についている指輪を取り外し鉄球に変えるとそれをバイザーの獣の下半身の足の一つの脛に叩きつけた。

 

「ぐをぉぉ!?」

「ギベ(死ね)」

 

 その攻撃で倒れたバイザーの頭部にガメゴさんの鉄球が叩きつけようとするがギリギリで回避行動をされバイザーに鉄球は命中しなかった。

 

「貴様ぁぁぁぁぁ!」

「ふん」

 

 怒りで我を忘れたバイザーが荒々しく槍を振るうも大きさの関係かガメゴさんには当たらずに周囲にしか攻撃は当たっていませんでした。

 

「今度こそギベ(死ね)」

 

 そう言ったガメゴさんはバイザーの……人間で言えば心臓である部分に鉄球を投げつけてなんと皮膚を貫いていき心臓ごと外に鉄球が出てきてしまった。

 

「終わりましたか。お疲れ様ですガメゴさん。後はガミオさんと一緒に先に戻っててください」

 

 そういい終えると私は神器でヴァルゴの力を使ってガメゴさんとガミオさんを自宅近くの山に送りました。

 

「それじゃあガドルさんお願いしますね」

「ああ、任された。兵藤一誠達と戦えば良いのだろう?」

「はい。そうですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長どうも様子が変です」

「変ってのはどういうこと祐斗?」

「はぐれ悪魔がいるにしては静かすぎます」

「確かにそうよね。朱乃、本当に場所はここであってるの?」

「確かにここと書かれてましたわ」

「……部長、奥の方から血の臭いが」

「わかったわ。皆奥に行くわよ」

 

 リアスの指示で眷属の全員が奥に行こうとした時、その奥から突然誰かがリアスに斬りかかってきた。

 

「部長!!」

「っ!祐斗!」

 

 が、間一髪祐斗の剣での防御が間に合い奇襲は失敗に終わった。

 

「誰かしら貴方は?少なくともはぐれ悪魔バイザーじゃないわね?」

「え、バイザーじゃない?」

 

 まだ、上手く事情が飲み込めてない一誠が疑問の声をあげた。しかし、襲ってきた人物……カブトムシに似た姿の紫の目をした異形は待ってくれない。

 

「ゴセパ、ザバギボバシグラゴ・ガドル・バザ。ガブラギベ」

 

 そうリアス達の理解できない言語……辛うじて名前らしき物がわかったリアスが問いただす。

 

「ガドルね。何故私達を襲ったのかしら?理由次第では容赦しないわよ」

「ビガラビザバグボドパバギ!!」

 

 そう言うと再びリアス達に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 その頃教会ではレイナーレととある人物が接触していた。

 

「……こんな物を渡して何のつもりよ人間?」

「ビジネスですよ、ビジネス。取り敢えず他の人にも渡すものがあるので私はこれで」

 

 そう言うと人影は天秤座の輝きをその場に残して消えた。

 

「……ふん」

 

 そう言って教会に戻ったレイナーレの手には水瓶座が描かれたスイッチが握られていた。




 次回こそ戦闘です!まあグレモリー眷属(現状)vsガドル閣下ですけど


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガドル閣下に電撃はNG

 遅れてすみませんでした!!



「バギド、ラズパビガラバサザ」

「っ!!」

 

 ガドルが剣を振るいながら祐斗に襲いかかるが寸前で祐斗も自らの剣で受け流したが攻撃の振動で手が震えていた。

 

「何てパワーだ!」

「祐斗!一度下がりなさい!!」

「っ!はい部長!!」

「ジャラゾグスバゴンバ!」

 

 祐斗がリアスに言われたように後ろに回避しようとするとガドルの目の色が緑色に変わり手に持っていた剣が同じ色合いをした弓へと変わった。そしてリアス達のいる付近に空気弾を放った。

 

「あらあら、話が通じないというのは改めて考えてみると不便ですわね」

「あれ?朱乃さん、確か悪魔ってどんな言語も解るって聞いた気がするんですけど」

「ええ、その通りよ一誠。私もそれは疑問に思っているけど今は目の前の相手を片付けてからよ」

 

 リアスがそういい終えると普段から前線で戦っている祐斗と小猫がガドルに攻撃を仕掛けた。

 

「はあっ!!」

「……吹っ飛べ」

 

 祐斗は剣で斬りかかり小猫は戦車(ルーク)の怪力による格闘をするがガドルは剣による攻撃は手に持つ弓で全て的確に弾き、格闘においてはまるで攻撃が来る場所が解ってるのか拳圧による風すら当たっていなかった。

 

「部長……(流石にイッセーくんをこれ以上ここに居させるのは危険なのでは?)」

「……(そうね。それじゃあ今からイッセーを説得してくるから時間稼ぎをお願いね)」

「はい」

 

 小声で一誠をどうするか決めた二人。朱乃は悪魔の翼を広げてガドルの方にリアスは一誠を説得し始めた。

 

「イッセー今から言うことをよく聞きなさい」

「は、はい!」

「今すぐ家に帰りなさい」

「……へ?」

「納得できないのは解るわ。でも今は黙って言うことに従って頂戴」

「で、でも部長達はどうされるんですか?」

「大丈夫よ。私はここの土地の管理を任されてるのよ、それなりに実力はあるわ」

「それでも……」

「いいから従いなさいイッセー!!」

 

 今まで子供をあやすような感じで言っていたリアスが声を高くして言った。

 それを聞いた一誠は反射的に

 

「は、はい!」

 

 と答えてしまった。

 

「そう。ならまた明日学校でね」

「はい!」

 

 そう言って二人は別れるつもりだっ()

 

「ゾボゲギブビダ?」

「なっ、何で貴方がこっちに!?朱乃達が相手してるはずじゃ……」

「ぶ、部長!」

 

 一誠とリアスが朱乃達がガドルと戦っていた方を見ると三人が倒れているのが見えた。

 

「……ふん、中々歯応えはあったな」

「貴方……私達と同じ日本語を話せたのね」

「今覚えた。お前達の言語はどれも簡単すぎる」

 

 そう言うと赤い目をしたガドルは拳を握りボクシングの用な構えを取ると言った。

 

「さあ、次は貴様らだ」

 

 

 

 

 数分前

 

「祐斗くん、小猫ちゃん!大丈夫ですか?」

「朱乃さん!何とか無事です……けど」

「……あのガドルと名乗った怪物かなり強いです」

「ズル、ゴソゴソガビダバ(ふむ、そろそろ飽きたな)」

 

 グレモリー眷属では俺の相手は勤まらない。そう思った俺は自らに取って一番慣れている格闘体の姿へと変化する。目の色が変わる以外の外的変化は無いが内的変化はかなりある。格闘体はその名の通り格闘に特化したフォームだ。

 

「でしたらこれはどうかしら!!」

 増援に来た……確か以前に助けた少女が俺に向かって雷を放ってくるが無駄なことだな。

 

「ルザダ(無駄だ)」

 

 この程度の攻撃に防御は要らないと思った俺は敢えて攻撃を受けて無傷なのを見せ実力の差を更に見せつけようとしたが……それがいけなかった。

 

「グ、ボレパ?(ぐ、これは?)」

 

 雷を受けた後の俺の体は電撃を模した装飾が追加され全体的に金色に目までも金色なその姿……電撃体に変わっていた。

 

「……姿が変わった?」

 

 小さい悪魔がそう言った。こうなっては仕方ないな

 

「10秒だけ待ってやる。その間俺は防御をしない」

「僕達と同じ言語!」

「……それよりも10秒と「じゅう」は」

 

 俺は相手の話を遮ってカウントを始めた。

 

「仕方ないですわね。祐斗くん、小猫ちゃん」

「はい!」

「……はい」

 

 

 俺がカウントを進めている間奴等は剣や拳、はたまた魔法とやらで攻撃をしてくるが赤の金のクウガの攻撃に耐えたこの姿をその程度で傷つけれるわけもなくカウントは残り3にまでなっていた。

 

「はぁ、はぁ」

「か、固すぎる」

「……っ」

 

 既に奴等の拳や剣、それに恐らく魔力とやらもボロボロだった。

 

「2」

「1」

「0」

 

 そして遂にカウントが終わったので……俺は動いた。

 

「がっ!」

「……くっ!」

 

 手始めに剣士と小さい人間の腹を死なない程度に殴って気絶させった。

 

「そんなっ!?」

「弱いのは罪だな」

 

 そう言って最後の一人も気絶させた。

 

 

 

 

 そして現在

 

「どうしたこの程度か兵藤一誠!!」

「っ!何で俺の名前を知ってるんだよ!!」

 

 俺は兵藤一誠に拳を叩き込みながらそう尋ねた。因みにこうなった原因はリアス・グレモリーを腹パンで気絶させた瞬間に兵藤一誠が激怒し俺に殴りかかってきたのをカウンターで殴り返したからだ。

 

「ふん知らないとは哀れだな」

「何だと!!」

「良いことを教えてやろう。貴様の使ってるその神器についてな」

「知ってるのか!?」

「それは赤龍帝の籠手。神や魔王すら凌駕できる神滅具(ロンギヌス)の一つだ」

「赤龍帝の籠手……神様を凌駕!?」

 

 そう言って自らの腕についている籠手を見たり触ったりしていた。

 

「それをどう使うかは貴様次第だがな。……そうだな。一ついい提案をしてやろう」

「……何だよ?」

「いずれ貴様が強くなったと思ったら俺と戦え。一対一でな。それが約束できるなら今日の所は見逃してやる」

「本当か!?」

「但しこの事は他の誰かにばれてはならない。いいな?」

「ば、ばれたらどうするんだよ?」

「……こうだ」

 

 そう言って俺は兵藤一誠の周りの大地を蹴りで文字通り消した。塵一つ残らずな

 

「わ、わかった。その約束を守る!だから部長達は……」

「いいだろう。……それでは次に会うのを楽しみにしてるぞ」

 

 そう言って俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様ですガドルさん」

「全くだ」

 

 帰ってきたガドルさんに労いの言葉をかけながら私は聞いた。

 

「それでどうでしたか?」

「ああ。奴の中には赤龍帝以外のドラゴンがいるな」

「そうですか。ありがとうございます」

 

 さてさて、ドラゴンですか。……楽しくなりそうですね。




 実はいずれグロンギのチームとグレモリー眷属でレーティングゲームをするつもりなんですが、それにおいて皆さんに誰を出すのか聞きたいと思うので良ければ考えておいて下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神器の意味ってのは人それぞれですよ

お待たせしました!


 さて、一誠の方は終わりましたしもう一つの目的の方を確認しましょうか。

 

「ガミオさん、どんな感じですか?」

「どんな…というかこんな感じだ」

 

 そう言ってガミオさんが手を向けた方を見ると女子高生位の年齢の女性が倒れていました。

 

「強さはどのぐらいでしょうか?」

「ズレベルの強さだ。それより本当にこのはぐれ悪魔……確かバイザーだったか、仲間にするつもりか?」

「ええ。その方が面白そうですからね。それに戦力もどうせ足りませんし」

「それもそうか」

「・・・・う」

 

 おや、どうやら目覚めそうですね。

 

「それではガミオさん、後はお任せください」

「そのつもりだ」

 

 さてと、解ってない人のために説明をするとガミオさんの体から発生する黒煙によって死んだバイザーをグロンギにしたのですよ?

 

「気分はどうですか元はぐれ悪魔バイザー」

「お前は……私を殺した怪物の仲間か」

「随分落ち着いてますね。先程までの叫びようが嘘ですよ?」

「ああ。一度死んで落ち着いたのかもしれないな」

 

 成る程。死んで冷静になったと解釈しましょうかね。

 

「でしたら話が早いです。まず、始めに今の貴女は悪魔ではありません」

「なら何なんだ?」

「グロンギと呼ばれる異形の存在ですよ。貴女を殺したガメゴさんもグロンギですよ」

「お前は違うのか?」

「ええ、私はただの人間ですよ。まあ神器は持ってますけどね」

「そうか。・・それで私は今後どうなるんだ?」

「私たちの仲間になってもらいましょうか。もちろん断って下さっても結構ですよ?」

 

 ま、その場合はもれなくグレモリー眷属に殺されて貰いますけどね。

 少し下に顔を向けて思案をした後バイザーは顔を上げて私の目を見て言った。

 

「そうだな。断ったら殺されそうだし、仲間になろう」

「そう言ってくださって私も嬉しいですよズ・バイザ・ダ」

「ズ・バイザ・ダ?」

「貴女の新しい名ですよ?あ、でも普段はバイザーと名乗ってくださって結構ですよ」

「そうか……まあ素直に新しい生と名に感謝させてもらう」

「それでは今から特訓しましょうか」

「特訓だと?」

 

 本の形をした伝説との戦いの記録を取り出します。

 

「エピソードバケネコ」

 

 響鬼に出てくる魔化魍の一体バケネコの尻尾が数本私の腰から生えてきました。それを私は三本引き抜くと地面に投げました。

 

「何をする気だ?」

「貴女の特訓相手ですよ」

 

 暫くすると三本の尻尾は私の姿を二分の一にした位の姿になり手には全員が伝説との戦いの記録を持っていてそれぞれ別のキーワードを言いました。

 

「エピソードライオンアンデッド」

「エピソードメ・ガドラ・ダ」

「エピソード地のエル」

 

 そう言った私の分身は各々のライオンなら腕にライオンアンデッドの爪が、ガドラなら手にチェーンを装備して地のエルなら手に大剣を装備しました。

 

「監督は……バルバさんお願いします」

「心得た」

 

 いつの間にか後ろにいたバルバさんにそう頼んだ私はバイザーのいた部屋は出ていきました。出る直前で

 

「・・・選択間違えたかな」

 

 などと聞こえましたがまず死んでる時点で大きく選択間違えてますよ。

 

 

 

 

 

 

 なんて事が一誠達の後があり次の日の放課後何となく気になったので部室に向かい入るといきなりレイさんに睨まれました。

 

「レイさん何故私を睨んでくるんでしょうか?」

「自分の胸に聞いてみたら」

「…………それでも解りませんが」

「・・・・・・」

 

 それっきり黙ってしまいました。何か私悪いことしましたっけ?

 

「そういえばリアスさん達は怪我してるみたいですけどどうしました?」

「悪魔稼業で少しあったのよ。貴女が気にすることではないわ」

 

 ふむ、そう言われると俄然気になりますが今回は理由知ってますしいいでしょう。

 それよりも……

 

「一誠、珍しく真面目な顔をしてますが何かありましたか?」

「・・・・・・」

「・・・?おーい変態一誠~」

「・・・・・・」

「ここに来てからずっとこんな感じなのよ。私達が話しかけても無反応だったわ」

「リアスさん達でも駄目って相当駄目じゃないですか」

 

 もしかして赤龍帝の籠手の事を考えているのでしょうかね?

 

「イッセーそろそろ時間よ。依頼者のところに行って貰えるかしら?」

「・・・・・・あ、はいわかりました」

 

 ふむ、こんなテンションで行かれても面倒なんですが……仕方ありませんね

 

「リアスさん、私も一誠についてきますよ。こんな感じだと依頼してきた人に失礼なことをしそうですからね」

「そうね、お願いできるかしら?」

「お任せを」

「・・・待って私もついていく」

「レイさんもですか?」

「うん。別に良いよね部長?」

「・・・わかったわ。でも気をつけて行くのよ三人とも」

「はい」「はーい」「・・・はい」

 

 何てバラバラな返事を返した私達は部室を出て向こうに向かう準備を始めた。

 

 

 

 

「それ便利そうですねレイさん」

「そうかな?」

 

 私は一誠の運転する自転車にレイさんは背中から鷲の翼を生やして低空飛行(普通車と同じくらいの高さ)で依頼者の所に向かってました。

 

「・・・レイさんのそれも神器の力でしたっけ?」

「別に呼び捨てでもいいよ、後敬語は止めて。その代わり私も一誠って呼ばせて貰うね」

「ああ、わかったよレイ。・・・二人に聞きたいんだけど二人は自分の神器についてどう思ってるんだ?」

 

 まさかこの時期の一誠からこんな質問が来るとは……ガドル閣下と戦わせたのは良かったのか解らなくなってきましたね。

 

「私は神器は自分の一部だと思うな。生まれてきた時から自分の中にあったんだからある意味で家族よりも深い絆で結ばれてると思うよ」

 

 ・・ま、私も流れに乗って話しましょうか。

 

「そうですね、私からしてみれば神器と言うのは生きるための力だと思いますよ」

「生きるための力?」

「良いですか一誠。そもそもが神器とは神様が与えた物とされてますが実際に手渡されたわけじゃありません。気づいたら自らの内にあったのですよ?それなら神様が与えたというよりも持ち主の生きたいという思いから生まれたと私は思うのですよ」

 

 それに、実際に神に会った私が思うに神様ってのはどれだけ善に見えてもその本質は白紙なんでしょうね。黒に落ちるときもあれば白に見えて本当は黒と言った灰色かもしれません。

 まあこう思うのは私がひねくれてるからかもしれないですけどね。

 

「一部に生きるための力……か。二人ともありがとう。俺も目指すべき物が見えてきた」

「何かは聞きませんよ。ただ、実現できるといいですね」

「おう!」

 

 ・・・この一誠ならレイナちゃんへのトラウマも早くに克服できそうですね。

 

「おっ、桃花目的地についたぞ」

「漸くですか。まったく一誠の雑な運転のせいでお尻が痛いですよ?」

「す、すまん」

「まあ、今回は許してあげましょう」

「・・・一誠、桃花気づいてる?」

「気づいてるって?」

「ああ、血の臭いですか」

 

 確かに少し臭いますがこの程度なら殺した数は100程度でしょうね。

 

「血ってどういうことだよ!」

「騒いでる暇があるなら中に入るよ一誠」

「なら先頭は任せてくださいよ」

 

 そう言って私は先頭に躍り出る。一誠も赤龍帝の籠手を出しました入りますか。

 さて、蛇が出るか鬼がでるか……

 

「お邪魔しまーす」

「ようこそ。そして、暫く眠っていたまえ」

「がっ!?」

 

 女性の腹に……杖を突き立てますか……普通……

 

 

 

 

 side一誠

 

「桃花!?」

「っ!一誠下がって」

 

 どういうことだよ!?部屋に桃花が入った途端突然現れた黒い触覚の化け物に腹を杖みたいな物で突かれて壁まで吹っ飛ばされちまった。

 

「おやおやぁ、この臭いはぁ!糞みたいな悪魔ちゃぁんとゴキブリみたいなうっとおしいアンデッドじゃないですかぁ!!」

「フリード君、それでは品格が落ちて三下に見えますよ」

「すみませんねぇ、リブラさぁん。でも、これは性分なんで治せませんって」

 

 何なんだこいつらは?ん、レイの奴どうして壁の方を見て……

 

「貴方たちがそこの壁に磔にされてる人を殺したの?」

「ご名答!!いやー、こいつは悪魔と契約する愚か者でしょおうが。そんな奴に救う価値はぁぁぁ無い!!!」

「・・・外道が」

「まあ私は反対してるんですけどね。それと申し遅れました私はリブラ、こっちのははぐれエクソシストのフリード・セルゼンですよ」

「天秤座のゾディアーツがどうしてこの世界にいるのか知らないけど貴方達を倒すのに理由はいらないね」

 

 そう言ってレイは何処からか弓を取り出すとそれを構えてリブラとか言ってた奴に向き合った。

 レイがそいつと戦うなら

 

「お前の相手は俺だはぐれエクソシスト!!」

「はぁ?糞みたいな悪魔ちゃぁんが俺に勝てるとでも思ってんですかぁ?」

「勝てなくても一矢報いてやるさ」

 

 おい、俺の神器。本当に神滅具なんて凄い神器なら今目覚めないでいつ目覚めるんだよ?俺の声が聞こえてるならとっとと目覚めてくれよ

 俺は内心でそう思いながらフリードの奴に殴りかかっていった。




次回予告
不意討ちで沈んでしまった桃花!!残った一誠とレイだけでフリードとリブラゾディアーツと戦いだした。
劣勢な一誠、しかし死んだ人の敵を取りたいと思う一誠の思いが奇跡を起こす!?
次回、赤龍帝覚醒







※以下は作者の呟きみたいなものです。見なくても何も問題はありません

桃花は不意討ち以外だと余程のことがない限り負けません。ただ、打たれ弱いので不意討ちされると簡単に負けます。
そして予告はノリで作りました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

赤龍帝覚醒

赤龍帝の力(一部)が覚醒しますよー。
それと今回本来ならアーシアが出てきますがこの世界では出ませんので悪しからず。


「ふむ、フリード君は赤龍帝と交戦を始めましたか」

「よそ見なんて余裕だね」

「ええ、実際に余裕ですからね」

 

 確かに……さっきからカリスアローで攻撃してるけど確かディケとかいう錫杖で弾かれてばかりだね。だったら

 

「矢沢さん!」

「フォォォォ!!!」

「むっ?」

 

 腰にあるケースの一つからスペードスートのQラウズカードを取り出して本人の名前を呼ぶとカードからカプリコーンアンデッドが現れリブラに青い炎を吐いた。

 

「小賢しいですよ」

「おいおい、嘘でしょ?」

 

 矢沢さんがそう言うが今奴はディケを体の前で回転させて青い炎を完全に防いでしまった。

 

「ふむ、ブレイドモンスターの力を授かった物にしては弱すぎますね。これでは私の主のフォーゼモンスターの首領サジタリウス様には遠く及びませんね」

「ブレイドモンスター?」

「……少し喋りすぎましたか」

 

 そう言うとリブラは再度ディケを構え油断の無い構えで私たちを見据えていた。

 

 

 

 

 

 

「うぉぉぉ!!」

「馬鹿みたいに真っ直ぐな攻撃じゃあこの俺を殺すなんて無理ですよぉ!!!」

「っ!!」

 

 な、何だ咄嗟に体が回避してたけど何が起きたんだ?

 

「俺の攻撃をかわすなんて何て生意気なんですけどぉ!」

「普通はかわすだろうが!!」

 

 なるほどな。さっきの攻撃はあいつが手に持ってる銃からか?それにしては銃声が無かったけど……

 

「ああ、もうきれちゃいました。無惨に切り刻んでやるからね?」

 

 そう言うと奴はポケットから赤いスイッチを取り出して押すと奴の体を黒い靄みたいな物が包み込み蟹座の星座が輝き終えると奴の姿が変化していた。

 

「なっ、怪物!?」

「惨めに無様に切り刻んであげるから感謝してくれや。このキャンサーゾディアーツ様がなあ!!」

 

 そう言うと奴は変化した蟹のハサミみたいな手で斬りかかってきた。

 

 

 

 

 

 

「・・・!まったくフリード君はまた勝手にスイッチを使いましたか」

「スイッチ……まさかホロスコープスイッチじゃないよね?」

「さあ、どうでしょうかね」

「ホロスコープスイッチなら悠長に戦ってられないね。矢沢さん戻って。代わりに金田さんお願い」

 

 レイがそう言うとカプリコーンアンデッドが消えて代わりにポケットから◆スートのKのカードが出てきてそこからギラファアンデッドが出てきてリブラに襲いかかっていった……かに見えた。

 

「・・・え?」

「いい夢みれましたか?」

 

 気づけばレイはその場に倒れていてリブラゾディアーツが傷ひとつない状態で立ってレイの頭部に向かってディケを降り下ろしていた。

 

「私の幻から逃げることは不可能なんですよ」

 

 リブラがやったことは簡単だ、戦闘が始まった直後からレイを幻術にかけて対等に戦ってるように見せていたのだ。

 そして、レイを倒したリブラは一誠の方に向かっていった。

 

 

「くっ……固すぎるだろその体!!」

「違う、違う。糞悪魔君がひ弱なだけね?そんなことも解らないなんて流石悪魔、馬鹿だなぁ」

 

 一方こちらも一誠が何とかキャンサーに殴るのに成功するようになってきたがその全てが相手ではなく自分の拳を傷つけるだけの結果になってしまっていた。

 

「っ!ああ、そうだよ。俺は確かにひ弱さ。部長達みたいに長く悪魔をやってきた訳じゃないから戦闘の経験もない、せっかくの神滅具だって今の俺が持っていっても意味が無いのなんて他の誰よりも俺が一番解ってるさ!!・・・それでも今俺には神様だって殺せる力があるはずなのにたかが心の狭いエクソシストに負けるなんてのは恥ずかしいだろ?」

「・・・それが遺言ってことでいいっすよねぇ?」

「・・・(は、はは。どうせ死ぬなら部長の胸揉んどけば良かったなあ……『もう諦めるのか?』だ、誰だ!?)」

(『俺が誰かなんてのは後でいいだろ。それよりもお前の神器を真上に掲げてみろ』)

「(な、何でだよ?)」

(『どうせ死ぬと思ってるなら俺に従え』)

「(・・・解ったよ)」

 

 何処からか聞こえてきた声に従って一誠が上空に赤龍帝の籠手を掲げると手の甲にある宝玉が眩い輝きを放ち出した。

 

「何でしょうかこの鬱陶しい光は!?」

「こ、これは……!?」

『後は願え。まだ生きていたいとな。それが貴様の力になる』

「俺は……俺はまだ生きたいんだよ。生きるためなら神様だろうが悪魔だろうが……化け物でもいいから俺に力をくれよぉぉぉぉ!!!!」

 

『Dragon booster!!!』

 

 その音声と共に籠手に紋様が浮かんできた。

 

「な、何だよ。このピンチで覚醒するなんて王道ですかって。俺的に王道って嫌い何ですよねぇ!!」

「そんなの知るかよ!!」

 

『Boost!!!』

 

 籠手からその音声が出ると一誠の体を不思議な感覚が駆け抜けた。

 

「っ!!(体が軽くなった?)」

 

 キャンサーのハサミ攻撃をなんなくかわした一誠はそんな感覚とともに自らの神器の力を体で理解した。

 

『ふんっ。取り敢えず後三回も倍加すればダメージ位は与えられるだろう』

「・・・(そうかよ)」

「またしても俺の攻撃をかわすんじゃないですよぉ!!」

「キャンサー!!ここは引きますよ!」

「ちょっ、リブラ!?」

 

 まだ戦う気でいたフリードの意見を無視してレイを倒してやってきたリブラは瞬間移動でフリードごと何処かに消えた。

 

「・・・何とかなったのか?」

 

 その後一誠はリアス達に電話をして迎えに来てもらおうとしたが何故か電話に出なかったため取り敢えず自分の家に連れていくことになって。

 因みにこの時一誠の両親は誘拐を心配してきて説得に5時間かかったのは余談である。




感想や評価お待ちしてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

赤い龍と方針決め

長らく待たせてしまった癖に出来は微妙で大変申し訳ありません(^U^)



「いや、ここ何処だよ?」

 

 ええーと確か昨日は桃花を家に連れてきて父さん達を説得してその後寝た筈だよな?だったら何でこんな訳の解らない空間にいるんだ?

 

「にしてもこの辺凄く熱い……な?」

 

 何故に周囲が炎に囲まれてるんだろうか?……てっ!

 

「炎ぉ!?ま、まさか火事!?」

 

 や、ヤバいって!水……嫌それよりも父さんや母さん、桃花を探さないと駄目だろ!!そうしたら次は『少し落ち着いたらどうだ』……へ?

 

「誰だよ……てっドラゴン!?」

 

 後ろから声が聞こえてきて振り向くと全身が赤いドラゴンが後ろに存在していた。

 

『ドラゴン程度で驚かないで欲しいのだがな……まったく今回の宿主は今までと本当に違うな』

「はっ?宿主って……俺が?」

『何を今更散々力を貸せと言ってきたのはお前だろう』

 

 力を貸せ?そんなこと最近じゃ俺の神器にしか言って……神器?

 

「ま、まさか赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)!?」

『本来の名前は 赤い龍 (ウェルシュ・ドラゴン)ドライグだが今はそちらの名前の方が有名だろうな』

「それで何の用だよ?ていうかここの温度どうにかならないのかよ?」

 

 このままだと身体中の水分が無くなりそうなんだよな。

 

『ああ、そう言えばそうだったな。いかんせんここに人を呼んで会話と言うのも久しぶりだからな、加減を間違えた』

 

 ドライグの奴がそう言うと周囲に在った炎が消えて代わりに扇風機が……

 

「てっ、何で扇風機が出てくんだよ!?」

『ここは精神世界だぞ?何が出てきても可笑しく無いぞ』

「な、納得いかねえ」

 

 て、ちょっと待てよ。何で俺、こんなドラゴンと普通に会話出来てるんだ?ドラゴンとなんて初めて話す筈だよな?

 

『ドライグそこの小僧に自己紹介は済んだのか?』

 

 俺がそう考えてると何処からか声が聞こえてきた。

 

『ああ、終わったが……お前はしないのか』

『ふんっ、自己紹介は大分昔にした。そこの変態エロ小僧が忘れてるだけだろう』

「昔?……ていうか変態エロガキって何だよ!?」

『何か間違ったことを言ったか?』

「嫌……間違ってはないけど」

 

 姿も見せない奴に何かそんなこと言われると認めたくない。

 

『まあいい。イッセー、そろそろ時間のようだぞ』

「時間?」

 

 ドライグの奴が思い出したかのように言い出した。

 

『何か大事な用の時は籠手の宝玉に話しかければ会話ができるからそうしてくれ』

「嫌だから時間って何だ……」

 

 ドライグにもう一回質問をしようとしたら突然視界が暗転した。

 

 

 

 

 

 

「……ハッ!?」

「漸く起きましたか。客人に起こしに来させるとはマナーを疑いますよ」

「桃花か……てっ何で家に居るんだよ?(さっきのは夢だったのか?)」

 

 次に一誠が目を覚ますと自分の部屋のベッドに寝ていて、不機嫌そうな桃花がそんな一誠を上から見下ろしていた。

 ため息をつきながら桃花が一誠と話し出す。

 

「気絶した私を誘拐してきたのはイッセー、貴方ですよね」

「ああそう言えばそう……じゃねえよ!?確か気絶した桃花を放置するのも不味いからって部長達に連絡を入れたけど繋がらなかったから取り敢えず家に連れてきたんだ」

「成る程。だからと言って女性を自宅に連れて帰るのはどうかと思いますよ?(それにしても連絡が取れなかったですか……何が在ったのでしょうか?)」

 

 一誠の話を聞いて取り敢えずは納得したのか表では一誠に注意しながら内心で連絡が取れなかった理由を考え始めた。

 

「嫌別に桃花だしいいだろ」

「ほぅ?それはあれですか、私が女性じゃないと?今すぐリンチにして欲しいと言うことで良いですか?(一番可能性の高いのはリアスさんよりも上級の……確か大公とか魔王とかそう言った人達からの連絡ですけど」

「ち、違う!ただ桃花とは友達で恋愛対象に今更思ったりはしないんだよ!!」

 

 一誠の説明を聞いた桃花はヤレヤレと言った表情をしながら言った。

 

「まあ、そういう事にして置いて挙げますよ。所でレイさんはどうしたのですか?」

 

 桃花にそう言われた一誠は「アッ……」と言うと額から汗を出し始めた。

 

「……生きていたら今度しゃぶしゃぶを奢ってあげますよ」

「その前に助けるって選択肢は?」

 

 一誠が懇願するかのように言い、それを聞いた桃花は良い笑顔で

 

「無理ですよ♪」

 

 そう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 そしてその日の夕刻時、授業が終わりオカルト研究部に桃花が向かうとオカルト研究部の面々と地面にズタボロで倒れている一誠の姿と満足そうなレイの姿があった。

 桃花が見た感じでは一応生きてはいるようだ。

 

「レイさん、一体何をしたんですか?」

「別に。ただ殴ってただけ」

「そうですか……まあ、私は今回の件に関しては即気絶してしまいましたからね、口は出しませんよ。ただ……」

 

 そう前置きをするとリアス達の方を向いて言った。

 

「一誠が電話をしたそうですけどその時何をしていたのですか?」

「そうね……桃花にも説明した方が良さそうね。

私達もその時敵、多分貴方たちを襲ったのと同じ組織だと思うわ。確かその時の相手はゾディアーツって言ってたわね」

「ゾディアーツ……その敵は倒せたのですか?」

 

 桃花がそう聞くとリアスは苦々しげな表情になった。

 その様子を見た朱野が代わりに答えた。

 

「いいえ。どうやら時間稼ぎのためだけに襲ってきたみたいですわ。15分ぐらいしたら逃げられてしまいましたわ」

「追いかけなかったのですか?」

「一応僕が追いかけようとはしたんだけどね……ただ途中で転移するかのように消えてしまってね」

「成る程。それで逃げられてしまったと……」

 

 木場の話を聞いた桃花はそう言って常に所持してる手帳にメモをした。

 

「それで今後の方針は?」

「そうね。敵のアジトが分かるまでは防衛に回って貰うわ」

 

 リアスの命令に部員(気絶している一誠は除く)は全員賛成しレイと桃花はと言うと。

 

「私はいいけど」

「そうですね。私も私の手の届く範囲なら防衛に回りますよ」




次回は取り敢えず1ヶ月以内を目安にして下さい何でもしますから


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦いは知恵が大事なのですよ

 グレモリー眷属と別れた桃花は何故かゲームセンターの周りをヘッドフォンをつけて見回りしていた。

 

「~~~♪やっぱりこの曲はいい曲ですよ」

 

 因みに曲の名前は仮面ライダークウガである。

 

「(取り敢えず、探索の得意そうなグロンギの皆さんに連中……特にあの触覚怪人の行方を探るように頼みましたし報告が来るまでゲーセンで遊びましょうかね)そうと決まれば善は急げですよ」

 

 桃花がゲームセンターに向かって走り出そうとすると、ヘッドフォンのせいで気づかなかったのか近くに居た女性にぶつかってしまった。

 

「おっと。すみません、大丈夫でしたか?」

「え、ええ。私も上の空だったから気にしないでくだ……さい?」

 

 ぶつかった際に倒れた女性に手を貸して立ち上がらせ顔を見ると其処に居たのは何処からどう見ても以前、桃花達に撃破されたレイナーレだった。

 

「おや、レイナちゃんじゃないですか。どうしたんですかこんな所で」

「……馴れ馴れしく話さないでくれないかしら下等な人間風情が」

「やれやれ人が居なかったから良かった物を、下手したら今の発言は周りにパニックを引き起こしましたよ」

「私の知った事じゃないわ」

「下等な人間に負けた腐った天使に言われても響きませんよ?」

 

 話していると突然、レイナーレが光の槍を生成して桃花に攻撃を仕掛けた。その攻撃を桃花は事前に察していたのか何気なく横に動いてかわした。

 

「いきなりは危ないですよレイナちゃん」

「……ちっ。本当に忌々しい下等生物ね」

「だからその下等生物に負けた超下等生物のレイナちゃんは何なんですかねー?」

 

 その発言に今まで必死に耐えていたレイナーレの堪忍袋の尾が切れた。

 

「私を侮辱するのも大概にしなさいよ人間!!!!」

「はいはい、エピソードヴァルゴゾディアーツ」

 

 桃花が神器の起動キーである言葉を発言するとその手にロディアが握られた。それを軽く振るうと二人は転移で近くの森に移動した。

 

「これは……ヴァルゴ様の力ですって!?」

「そうそう……ん?何でレイナちゃんがヴァルゴゾディアーツの事を知っているんですか」

「……まあ、何でもいいわ。此処なら私も思う存分暴れられるわ」

「質問は無視なんですね……」

 

 自分の質問を無視したレイナーレにどんな罰(意味深)をするか考えていた桃花だったがレイナーレが取り出した物を見て驚いた。

 

「おやっ!?それは確かゾディアーツスイッチでしたね、しかもホロスコープススイッチとはレア物じゃないですか」

「下等な人間には勿体無いけど特別に見せてあげるわ。上に存在してる星星の力をね」

 

 レイナーレはそう言うと水瓶座のマークの書かれたホロスコープススイッチを押した。

 するとレイナーレの姿が青いラインが入り女性らしい見た目に両肩に水瓶を装備したアクエリアス・ゾディアーツへと変化した。

 

「アクエリアスですか……凄く面倒くさかったと思うのですよ?」

「ふんっ。精精私を馬鹿にしたことを後悔しなさい」

 

 レイナーレのそんな発言を聞いた桃花は馬鹿にするような顔で言った。

 

「後悔?私にそんな事をさせたいのならせめてサジタリウスでも連れて来てくださいよ。エピソードメデューサ」

 

 桃花の発言と同時にロディアが消滅し、代わりに蛇が巻きついた様な杖……アロガントを手に持ち皮膚の一部が蛇皮に変化した。それに対してレイナーレは余程自身があったのか自前の光の槍を一本生成するだけだった。

 

「貴女の神器の事はよく分からないけど所詮はひ弱な人間、光の槍が刺されば死ぬでしょう?」

「当たり前ですよ。何ですか、人を化け物だと思いましたか腐天使(笑)さん♪」

「……そんなに死にたいなら今すぐ殺してあげるわよ!!!」

 

 レイナーレはそう言うとアクエリアスの背中から堕天使の翼を生やして低空飛行で桃花に急接近した。

 その攻撃は一般人やその辺の下級悪魔なら避けれない攻撃だったが普段からグロンギのメンバーに扱かれている桃花からすればまだグムンや肉弾戦に関しては弱いギノガの攻撃が早いように感じられた。桃花はアロガントで光の槍を防御するとそのままアロガントから紫の光弾をレイナーレに向かって放った。

 

「意気込んでた割りにその程度ですかレイナちゃん?こんなんじゃ私、貴女の事を見捨てちゃいますよ」

「……ふふ、そう言う台詞はこれを見てから言いなさい下等種族」

 

 レイナーレがそう言うと両肩の水瓶から水が溢れて来てレイナーレが攻撃を受けた部分にかかるとその部分の傷が瞬時に治った。

 

「おーすごいですねー」

「馬鹿にしてるのかしら!?」

 

 それを見た桃花は棒読みにしても酷い言い方で感想を言った。それを聞いたレイナーレは余計に怒りが増した。

 

「いえいえ。それじゃあ今度は私の手品でも見せるとしますよ」

「……何ですって」

 

 自分の今の能力……最初の頃自分が別口で手に入れようとしていた力が手品扱いされた事が余程気に触ったのかレイナーレは先程までの様に騒がず低い声で言った。

 

「だから手品ですよ。今回の手品は此方、レイナちゃんの大事な水瓶を石化させる手品ですよ?」

 

 桃花がそう言った瞬間、桃花の目が怪しく光、それと同時にレイナーレの両肩が突然重みを増した。

 

「くっ?一体何が……てっ、何よこれ!?」

 

 レイナーレが両肩を見ると其処には見事に石化した水瓶があった。当然その中に合った回復作用のある水も石化してしまい、もはや水の状態を保っていなかった。

 

「そうなってしまえば幾ら回復能力があろうが無意味ですよね?以上白百合桃花の手品でした」

 

 桃花はそう言うとアロガントをレイナーレに向けて光弾を放った。レイナーレは自分が最強と思っていた回復能力が簡単に破られたせいか戦意を失っていて、光弾を避けようとはしなかった。

 

「……あれ?倒したと思ったんですけどね……」

 

 桃花は自己流の気配察知でレイナーレの様子を確認していたがその反応が弱っていないことを知ると怪訝そうな顔になった。

 そして、光弾で出来た煙が晴れると其処にはがっしりとした赤い色の怪人が立っていた。その怪人は胸部から脚部に掛けてオリオン座の青いコアがあり、背中から堕天使の翼が生えていた。

 

「レイナーレ様、ご無事ですか」

「その声は……ドーナシークだったかしら?」

「はい」

 

 ドーナシークと呼ばれたオリオンゾディアーツはレイナーレに肩を貸しながら桃花の方を睨んだ。

 

「貴様が噂の人間か」

「何の噂か知らないのに答えろとは鬼畜ですよ」

「……我々の邪魔をする人間がいると言う噂だ」

「ああ、それは私ですね(レイはアンデッドですし。しかし困った。見るからにあの堕天使やる気ですよね)」

 

 桃花の思った通りドーナシークは今にも桃花に襲い掛かろうとしていた。

 

「……(元々私がレイナちゃんに勝てたのだって相手を興奮させて冷静な判断力を奪ったからなんですよねー。この人は何かそういうのは効きそうに無いですし……どうしましょう?)」

 

 桃花が悩んでいると突然空から何かが降ってきた。

 

「むっ、何だ?」

「あれは……助かりましたね」

 

 やって来たのが誰か分かった桃花は安堵の声をあげる。

 そして、降ってきたそれは周りの確認をして、桃花を見つけると声を掛けてきた。

 

「ここに居たか桃花。探したぞ。それとこの状況は何だ」

「絶賛其処の男が私に襲い掛かろうとしている所ですよドルドさん」

 

 ドルドと呼ばれた人物はもう春だと言うのにニット帽をつけて全体的に白が多い服を着ていた。そして、桃花の発言を聞くとドルドは顔こそ無症状だがその腕がピクリと動いていた。

 

「そうか。大体分かった。要するに其処の筋肉ダルマを排除すればいいのだな」

「ええ♪」

「任せろ」

「ぐっ!?」

 

 ドルドは桃花との話を終えると直ぐにコンドルの姿を模したグロンギ……ラ・ドルド・グに変化し、ドーナシークに急接近すると両手のトンファーを叩き込んだ。

 それをドーナシークはレイナーレが後ろに居る為に避けずに直撃をくらった。

 

「レイナーレ様!此処は逃げますよ!!」

「なっ、ドーナシーク待ちなさ……」

 

 ドーナシークはレイナーレの台詞を最後まで聞かずに地面にオリオンの装備の一つの巨大な棍棒レムノスを振り下ろした。

 

「むっ!桃花、後ろに」

「分かりましたよ」

 

 その一撃で大量の土が舞い上がりドルドは咄嗟に桃花を自分の後ろに置いて土から守った。

 だが、土が舞い落ちきった後にはドーナシークもレイナーレの姿も無かった。

 

「逃げられた……。桃花、すまなかった」

「別にいいですよ、助かりましたし」

 

 その後桃花は疲れたからとドルドの背中に所謂おんぶの格好で居座り町に戻るように言って眠りについた。 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖女様と遊ぶそうですよ

 ……何か長いだけの駄文になってしまった気がしてならない。


 桃花がレイナーレと会っていた頃、本来の主人公である一誠はレイと一緒に道を歩いていた。

 

「いてて、少しは手加減してくれよなレイ」

「そうして欲しいならする価値のある人間になって」

「因みに今の俺って……」

「ミジンコとダニの間で争っているよ」

「流石にひでえよ!?」

 

 一誠は昼間、レイに(アンデッドの力で)殴られた場所をさすっていた。一方のレイも酷い事を言っているが本当に嫌いと言う訳ではなく友人としてはいいかもしれないと思っていた。

 

「それじゃあ私はよるとこあるからまた今度」

「おう!」

 

 レイと別れた一誠は道を歩きながら空を見上げていた。

 

「それにしても……あんな奴等とこれから戦って行くんだよな……」

 

 これまで一般人だった一誠は昨日戦ったキャンサー・ゾディアーツとの戦いの事を思い出して今後の自分がどうなるか不安を感じていた。そんな時だった、一誠の頭に何か白い物が落ちてきた。

 

「うおっ?何だこりゃ」

 

 一誠はそれを手に取った。それはシスターなどが頭につけているヴェールだった。

 そして、それが飛んできた方向から女性が慌てた声をあげながら走ってきた。

 

「す、すみませーん!!それ私の何です!!」

「それってこれの事?」

 

 一誠は手に持ったヴェールを見せながらそう聞いた。

 

「は、はい!!それです!」

「……」

 

 一誠はその女性の顔を見ると呆然となった。彼女は金髪をストレートにしていて、一誠と同じぐらいの背丈だった。そして世に言う美少女だった。そうやって一誠が呆然としていると相手の女の子はずっと黙っている一誠を見て心配になって声を掛けてきた。

 

「あ、あの、大丈夫ですか?」

「え?あ、ああ。大丈夫だよ(……言えねえ!見惚れたなんて言える空気じゃないよねこれは!?)と、所で見た感じシスターさんみたいだけど旅行?」

「い、いえ。昨日からこの町の教会に赴任してきたアーシア・アルジェントです」

「シスターアーシアね。それじゃあ俺も自己紹介、兵藤一誠。他の奴等からはイッセーって良く呼ばれてるからそう呼んでくれ」

「わ、分かりました。イッセーさんですね」

 

 自己紹介を終えた時に一誠はアーシアを見ていて少し気になる事があった。

 

「……(何かこの子、人目を気にしてる様に見えるけど気のせいか?)」

「……あ、あの!!」

 

 突然アーシアが大声で一誠に声を掛けた。その声は何処か震えてる気がした。

 

「どうかした?」

「わ、私にこの町を案内してください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……(可笑しい。最近まで年齢=彼女いない暦だったのが俺だよな?だったら今金髪美少女(俺の好みの女性にドンピシャ)とデートしているのはどう言う事なんだ!?)」

「イッセーさん、食べないんですか?」

「いや、ちゃんと食べるよアーシア」

 

 現在二人はハンバーガショップで食事をしていた。アーシアは一誠に教わった日本の一般的な食べ方で食べており、一誠はずっと考えていた。……分かっていると思うが誰もデートをしているとは言っていない。一誠の妄想である。

 

「それでアーシア、次に行く所だけど……」

「イッセーさんにお任せします」

「それじゃあ……ゲーセンとかでいいかな」

「ゲーセン?それって何なんですか?」

「あー、一般的にはゲームとかが置いてある娯楽施設だよ」

「娯楽施設……私行ってみたいです!」

「よし、それじゃあ行こうか」

 

 ハンバーガーショップを出た二人は逸れない様な距離を保って近くのゲーセンに行った。

 

 

 

「アーシアは何か気になるゲームとかあるのか?」

「ゲームって言うのは分からないですけど……」

 

 そう言うとアーシアは控えめにクレーンゲーム、具体的に言えばその景品の一つの今、人気のキャラクターラッチューくんを見ていた。

 

「あーラッチューくんか。アーシア好きなのか?」

「は、はい!」

「それじゃあ俺が取ってやるよ!」

「えっ。い、いいですよ態々私なんかの為にそんな事しなくても」

「いいよ、いいよ。アーシアみたいな可愛い女の子にプレゼント位しなきゃ男が廃るってもんだ!」

「か、可愛い!?」

 

 アーシアが顔を真っ赤にして俯いているのに気付かずに一誠はクレーンゲームに向かった。

 

「……(さてと、カッコつけたはいいけどこう言ったクレーンゲームってのは出来るだけ取られない様にしてるし取れるかは運なんだよな)」

 

 そう思いながらも一誠は最初の挑戦の為のお金を入れた。

 一回目は普通に失敗。二回目と三回目は惜しい所まで行き、四回目で漸く取ることが出来た。

 

「よっしゃっ!!」

 

 一誠は取れた事に素直に喜びの声をあげたが本来の目的を思い出すとアーシアの元に戻ってきてラッチューくんの人形を渡した。

 

「ほら、アーシア」

「あ、ありがとうございます。この人形、大事にしますね」

「どういたしまして。それじゃ、次のゲームに行こうか!」

 

 その後一誠とアーシアは色んなゲームをやって行った。二人はそうやって遊んでいたが外の景色が夜になって行こうとしているのを見てゲーセンの外に出た。

 

「ふぅ、流石に疲れたな」

「そうですね。でも、凄く楽しかったです!!また、今度案内して貰えますか?」

 

 アーシアは無意識なのか上目遣いで何処か懇願するかのように言った。

 

「お、おう!これぐらいなら何時でも案内するよ」

「あ、ありがうございます!……」

 

 アーシアは少し黙ると体を震えさせながら一誠に言った。

 

「あ、あのイッセーさん!」

「ん?」

「私と友達になってくれませんか!?」

 

 アーシアは余程勇気と気力を使ったのかその場にへたり込んでしまった。それを一誠は手を貸して立ち上がらせながら言った。

 

「何言ってるんだよアーシア」

「っ!そ、そうですよね。私なんかと友達何かに……」

「もうアーシアは俺の友達だろ?」

「……え?」

 

 アーシアは余程驚いたのか口の少し開いた顔で驚いていた。

 

「こんだけ遊んだんだ、もうその時点で友達だろ?」

「ほ、本当ですか?本当に私と友達に……」

「だから言ってるだろ?友達だって」

「い、イッセーさん。一つだけ聞いてもらえますか?」

「おう、どんと来い!」

「実は私は……」

 

 アーシアが何かを言おうとした瞬間だった、一誠とアーシアの丁度間に一本の光の槍が落ちてきた。

 

「これって……」

 

 一誠がそれを注意深く見ているとそれを放ったらしき人物が空からやって来た。

 

「アーシア、時間になっても帰ってこないと思ったら悪魔と逢引きっすかー?」

「とっとと戻って来いアーシア。あのお方にご迷惑をかけるな」

「カラワーナ様にミッテルト様!?」

 

 カラワーナと呼ばれたほうは青い髪に胸元が大きく開いた黒のボディコンスーツを着ており、ミッテルトの方はツインテールの金髪に青い瞳のツリ目、ゴスロリ風の服を着ていた。

 そして二人とも背中から堕天使の翼を生やしていた。

 

「なっ、堕天使!?アーシア俺の後ろに隠れるんだ」

「……悪魔?イッセーさんが?」

 

 一誠はアーシアを守ろうとしてそう言ったがアーシアは一誠が悪魔だったとして少しだけ呆然としていた。

 それを見ていた二人の堕天使は余程可笑しいのかその顔に笑みを浮かべながら言った。

 

「何を言ってるのか、そもそもアーシアは我々の仲間だが?」

「……はあ?そんな訳あるか。なあ、アーシア?」

「……そ、それは」

「あ、アーシア?」

 

 一誠はアーシアの反応に困惑してしまった。

 それをミッテルトは横目で見やりながらアーシアに向かって何か小さい物を投げた。

 

「え、これは……」

 

 アーシアは受け取った物を見て目を見開いた。

 

「それで其処の悪魔を殺すっすよ。まあ、アーシアは戦闘が下手っすからね。私達も手伝ってあげるっすよ」

 

 そう言うと二人は懐からゾディアーツスイッチを取り出してそのスイッチを入れた。

 カラワーナは祭壇座のゾディアーツのアルター・ゾディアーツにミッテルトは山猫座のゾディアーツのリンクス・ゾディアーツへと変化した。

 

「なっ、あの糞神父と同じ怪物!?だったら俺だって!」

 

 一誠は左手に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出現させ構えた。

 

『Boost!!』

 

 それと同時に籠手から音声が流れ一誠の力を倍増させた。

 

「あらー、 龍 の 手(トゥワイス・クリティカル)っすか。そんな凡庸な 神 器 (セイクリッド・ギア)で私達に勝つ気っすか?」

「……( 龍 の 手(トゥワイス・クリティカル)?もしかして相手は俺の 神 器 (セイクリッド・ギア)を知らないのか?だったら……おいドライグ起きてるか?)」

 

 一誠は何を思ったのか籠手に宿るドライグに声を掛けた。

 少ししてドライグは気だるそうな声で応じた。

 

『……何だ』

「(籠手から出てくる音声を消す事って出来るか?)」

『無理だ。音量を最小まで搾ることは出来るがその分お前への肉体的負担が掛かるが……』

「(それでいいからやってくれ!!)」

『……心得た』

 

 その応答と共に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から小さくカチッと言う音がなった。

 

「悪魔、貴様の主は知らぬが此処で死んで貰うぞ」

 

 カラワーナは杖の形をした武器から火球を一誠に放った。

 

「全力で断る!!」

 

 一誠はその攻撃を言葉通り全力で回避したが、完璧には避けきれず右手にかすってしまった。

 

『Boost!!』

 

 それと同時に籠手から堕天使二人には聞こえない音量で音声が流れた。

 

「っ!(熱い!熱い!熱い!)」

 

 音声が流れはしたが今の一誠は生身で倍加も二回しかしていない。そんな状態で火球をかすれば幾ら悪魔の体でも厳しいのだ。

 

「次は私っすよ!!」

「がっ!?」

 

 一誠がミッテルトの接近に気付いた時には既にミッテルトのカギ爪で切り裂かれていた。

 

「い、イッセーさん!!」

 

 ずっと見ていたアーシアだったが一誠が怪我したのを見ると一誠に近寄ろうとした

 

「止めておけアーシア。その悪魔を助けると言うなら君も異端としてそれなりに扱いをさせて貰うぞ」

「っ!!」

 

 が、カラワーナにそう言われたアーシアは咄嗟に止まってしまった。それでも一誠を助けようとするアーシアに他ならぬ一誠が声を掛けた。

 

「アーシア、これぐらいの怪我なら大丈夫だって。何たって俺は一回死んでるからさ、これぐらいの怪我屁でもないんだ」

 

 当然、一誠の発言は嘘である。歴戦の戦士なら腹に風穴が開こうが、四肢の一つが吹き飛んでも戦えるかもしれない。

 しかし、一誠は少し前までは平凡な高校生だった。そんな一誠に体を切り裂かれた経験は無い。それでも一誠が戦えてるのは単純な理由だろう。

 

「(アーシアだけは守ってみせる。友達も守れない奴がハーレム王に慣れるもんか!!)」

 

 誰かを守りたいという気持ち、夢を叶える為の覚悟。この二つが今、一誠を動かしている原動力だった。

 そして神器とは人の思いに答える物だ。

 

『Boost!!!!』

 

 これまでとは違う、存在を誇示するかのように籠手から音声が発せられた。

 

「なっ、馬鹿な!?龍の手が何故また発動した!!」

「そんな事はどうでもいいだろうが!!今、大事なのは俺の手にはあんた等二人をぶっ飛ばせる力があるって事だ!!」

 

『Explosion!!』

 

 その音声と共に一誠は地面を蹴った。それだけで一誠は飛んでいるカラワーナの所まで辿り着いた。

 

「なっ!?」

「うぉぉぉ!!!!!」

 

 雄たけびと共に一誠の拳がカラワーナの顔面に突き刺さった。

 

「がはっ!?」

「なっ、カラワーナ!?」

 

 地上に居たミッテルトは一誠に殴られ地面まで吹き飛ばされたカラワーナの方を見た。既に変身は解除され、その頬は赤く腫れていた。

 

「相方の心配ばかりでいいのか?」

「っ!!」

 

 そして既に地上に降りてきていた一誠はその拳をミッテルトに向けた。

 一誠から感じるプレッシャーが先程とはまるで違う事にミッテルトは驚いていた。そして、ため息を一つつくと言った。

 

「本当はしたく無かったんっすけど仕方ないっす。……出番っすよ黒聖女」

「黒聖女……?」

 

 一誠が疑問に思った瞬間、一誠の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いぇーーーーーーーーい!!!!!何か強い人、討ち取ったぜーーー!!!!」

 

 先程まで傍観していた筈のアーシアが突然動き出し、一誠の首に踵落としをして気絶させてしまった。

 だが、その時のアーシアの姿は可笑しかった。先程までの清楚さは何処へやら目はつり目になり頭のヴェールが黒色に、修道服は白色に変化していた。

 

「……スカートで踵落としって酷い光景っすね」

「はあっ?サービスシーンだって事が分からないんですかー?」

 

 そう言ってから黒アーシアは意識のない一誠に足を乗せながら言った。

 

「で、殺すの?」

「お願いするっすよ。跡形もなく消しちゃっていいので」

「オッケー」

 

 黒アーシアは先程投げ渡された物……ホロスコープススイッチを取り出した。その時だった

 

「それは困るな。この男はガドルの獲物だ」

 

 突如、声が聞こえると一誠の付近に三人の人影が現れた。

 その内の一人、日傘をさして黒いコートを着た人物が前に出て来た。

 

「……邪魔するつもり?」

「素直に帰ってくれると一番だが……無理か」

「勿論」

 

 その人物は肩を竦めると近くの人影の一人に言った。

 

「メビオ、そいつを連れて行ってくれ」

「ギギザソグ(いいだろう)」

 

 メビオと呼ばれた人影は一誠を担ぐとその場から物凄いスピードで遠ざかって行った。

 

「奴等を追いたければ俺達を倒してみろ」

「ふんっ」

 

 もう一人の人影は何故か全身を黒いテープで縛っていた。

 

「貴方達名前は?殺す前に聞いてあげる」

「バヂス」

「俺の名はゴオマ。さあ、怪人としての年季の違いを見せてやろう」 




 黒アーシアについては今後掘り下げるので慌てませんように!!まあ……原作のフォーゼを熟知してれば大体は分かると思いますけどね。
 それと今後、ゾディアーツでオリジナルのを出そうと思うのですが止めた方がいいですかね。否定的意見が無い限りは出すつもりです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

怪人としての年季の違いですよ

 何故自分は更新がこんなに遅れるのだろうか……これも乾巧って奴のせいなんだ。


「バジス、お前はあっちの山猫の相手をしてもらうつもりだが……何か異論は?」

「そもそもメの俺がズのお前に従わなければ行けない理由が分からない」

「……ならばガドルとタイマンするか?」

「……遠慮する」

 

 ゴオマに言われたバジスは渋々と言った感じでミッテルトの方に歩いて行った。

 

「勝手に決めないでくれるかなッ!!」

 

 黒アーシアはそう叫びながら手に持つホロスコープススイッチを押した。

 そうしてその姿を双子座を模したゾディアーツ、ジェミニ・ゾディアーツへと変化させるとゴオマに接近しその首に向かって蹴りを放った。

 

「それは悪かったな。だが、我慢するんだな後輩」

「……貴方、人間じゃ無さそうだけど何なの?」

 

 黒アーシアの放った蹴りは生身の人間が受ければ簡単に骨を折る威力だったがゴオマはその攻撃を左腕で防御していた。

 

「当然だ。さっきも言っただろ後輩、とな」

「その後輩っての……ムカつくんだけど?」

「事実だからな」

 

 そう言ってゴオマもその姿を蝙蝠を模した何処か貧相な姿の怪人体ズ・ゴオマ・グ通常体へと変化させた。

 

「何その姿?」

「貴様らと同じ怪人としての姿だが?」

「ふーん」

 

 ゴオマの答えを聞いた黒アーシアは少し考えた後嗜虐的な笑みを浮かべた。

 

「私達と同じって事は人間よりは頑丈なのよね!?」

「答える必要は無いが……貴様、ドSか?」

 

 若干興奮気味に聞いてきた黒アーシアにゴオマがそう言うと黒アーシアは嗜虐的な笑みを続けたまま大きな声で言った。

 

「そうよ?白い方は知らないけど私は自他共に認めるドSよ!!」

 

 我慢の限界だったのか武器の一つである赤いカード、リュンケウスを複数取り出すとそれをゴオマに投げつけた。

 ゴオマがそれを鬱陶しそうに払いのけようとした瞬間

 

「何ッ!?」

「アハハ!!!!今の声凄く良いよ!!!もっと聞かせて!!!!」

 

 カードが爆発を起こしゴオマは驚きと苦痛の混じった声を出しながら後方に下がった。其処に黒アーシアは追撃として更にリュンケウスを投げつけた。

 

「くっ……(グロンギの再生能力を利用すれば色んな攻撃のダメージも軽減できるが爆発には弱いらしいからな。実際、ドルドはそれで死んだと聞いた。だが、ガドルはそれでも死ななかったとも聞いた。……とすれば究極体ならばどうにかなるか?)」

 

 ゴオマは攻撃を避け、時には空を飛んで逃げながら桃花から聞いた話を元に作戦を考えていた。

 元来のゴオマからはありえない程の思考速度だが”ダグバ”の力を手に入れ、物にした恩恵か前よりも知能が上がっているからこそ出来る事だった。

 

「……やはり難しいか」

「何がかな!蝙蝠男!!?」

「お前を殺さないように手加減しながら勝つ方法を考えることだが?」

 

 ゴオマの発言を聞いた瞬間、今まで楽しげにしていた黒アーシアの表情が凍った。

 

「……もう一回言ってくれる?」

「お前を殺さないように手加減しながら勝つ方法を考えることだが」

「そう……人をおちょくるのも大概にしとけよ糞蝙蝠」

 

 黒アーシアは赤と青のカードを取り出し、ゴオマの四方を囲むように投げた。

 

「この程度……」

 

 ゴオマがそのカードから逃れようと移動しようとした瞬間

 

「爆ぜろ!!」

「ぐっ!?」

 

 周囲にあった青のカード、イーダスが爆発しゴオマはその爆発に巻き込まれた。

 

「私の持つイーダスは任意で爆発するタイミングを選べるんだっての。リュンケウスだけを避けれて勝ち誇ってんじゃないっての」

 

 黒アーシアはぶっきら棒に言いながらゴオマの状態を確認しようと近づいて行った。

 

「……あ?」

 

 その黒アーシアの手が爆風の中から出てきた先程のゴオマとは違う腕の誰かに掴まれた。

 

「アラリチョグギビンッデンジャネェゾガキガ(あまり調子に乗ってんじゃねぇぞガキが)」

 

 先程までとは違う言語と共にそう言った誰かは軽々と黒アーシアを持ち上げると地面に投げつけた。

 

「さっきまでと大分雰囲気が違うけどそっちが本性?」

 

 受身を取って地面に着地すると黒アーシアは直ぐにそんな質問を投げた。

 

「デレェビバタスヒズヨグザバギンザ ガバァ……ホンギョグンヒオズッデオボソザ バァ(てめぇに語る必要は無いんだがなぁ……本性の一つって所だなぁ)」

「うわー、全然分かんないんですけど……ウザイから死んでよ」

 

 爆風が晴れると同時に黒アーシアは声の聞こえていた場所に向かってリュンケウスとイーダスの混じったカード群を投げつけた。

 

「……ブスギバァ(……ぬるいなぁ)」

 

 それらを声の主、ズ・ゴオマ・グ通常体よりも後ろ髪が伸び、体毛も濃くなりそれに伴ってか全体的に黒くなったズ・ゴオマ・グ強化体はその言葉と共に飛んできていたカード郡に向かって手を払った。その時の拳圧で飛んできていた全てのカードは地面に叩き落されてしまった。

 

「いやいや、拳圧で私のカードを全部落とすとかあんた化け物?」

「ゴラエモバベモンザ ソグガァ(お前も化け物だろうがぁ)」

「いや、だから分かんないっての」

「あれ、まだ終わって無かったんっすか?」

 

 二人がお互いに睨みあっていると別の場所でバヂスと戦っていた筈のミッテルトが戻ってきた。

 

「……バヂスの奴は負けたのか?」

「バヂスが誰かは知らないっすけど、さっきの蜂見たいな怪物なら私が叩き落としたっすよ。」

 

 ゴオマは相手に聞くためかグロンギ語を止めて普通の言語で質問し、相手の返答にため息を吐いた。

 

「どうせ相手が飛行して驚いてる隙にでもやられたんだろぉが……情けなさすぎる」

「それで黒いアーシア、手伝いは必要っすか?」

「私の超新星を使えば余裕だから必要ないー」

 

 黒アーシアの返答にミッテルトはぎょっとした顔になった。

 

「それは駄目っすよ黒いアーシア!!それを使うのは儀式の時だけってレイナーレ様との約束っすよ!?」

「……儀式だと?」

 

 ミッテルトの溢した言葉をゴオマはしっかりと記憶に焼き付け、桃花に伝えようと心に決めていた。

 一方、それを言われた黒アーシアは苛立たしそうにしながらミッテルトを睨んだ。

 

「前々から思ってたんだけどさー……何で私があんたらに従う必要が有る訳?」

「そんなのは決まってるっすよ。あんたを誕生させる切欠のスイッチを渡したのが私達だからっすよ」

「……アハハ、面白いこと言うなー」

 

 黒アーシアは口元に軽い笑みを浮かべると続けて言った。

 

「私が誕生したのはスイッチを貰う前から、つまり従う義理は無いんだけど?」

「どういうことっすか?あんたはアーシアがスイッチを押した時に初めて出てきたじゃないっすか」

「それは白い方の秘密だから内緒ー。……ま、超新星は貴女のお願い通り使わないであげるよ」

 

 黒アーシアはそう言ってから再度ゴオマに振り向いた。

 

「その代わり、あれを倒すの手伝ってよ」

「了解っすよー」

「…………(2vs1は流石に厳しいだろうが……究極体を使う程ではないか)」

 

 ゴオマ達が再度戦おうとした瞬間、黒アーシアが地面に膝をついた。

 

「アァ?」

 

 気合いを入れ直したゴオマだったが黒アーシアの行動に呆気に取られた声を出してしまった。

 

「ど、どうしたっすか!?」

「白いのが目覚めそう。あー、もう押さえるのめんどくさいから後の説明はお願いねー」

 

 黒アーシアは投げやり気味にそう言い、ゴオマの方を見た。

 

「貴方との決着はちゃんと着ける、だから私以外の奴にやられないようにー。オッケー?」

「…………」

 

 言われたゴオマはクウガに夢中だったダグバやゲゲル中のガドルの事を内心で思いながら返事を返した。

 

「てめぇにも負けるつもりは無ぇがな」

「上等、絶対泣かせてやるわ」

 

 そう言った後、黒アーシアの姿がジェミニ・ゾディアーツから人間の姿に戻った。その時には色が変化していた服装が元の色に戻っていた。

 

「アーシアに戻ってるっすね……えーと、私的には帰りたいと思うんっすけどそちらはどうっすか?」

 

 ミッテルトはアーシアを一瞥してそう判断すると変身を解除してゴオマに聞いた。

 

「別にそれで構わん。俺達の本来の目的は兵藤一誠を生かす事とお前達の足止めだったからな」

 

 ゴオマも変身を解き最初の時のある程度は礼儀のある話し方で言った。

 

「一応感謝はしとくっすよー。ていうかカラワーナはもう少し軽くならないっすかね」

 

 ミッテルトはアーシアとカラワーナを背負うとそんな愚痴を言ってその場を去った。

 

「さてと……バヂスを回収するついでに桃花に連絡でも入れておくか」

 

 ゴオマはそう言うと懐から蝙蝠のストラップのついた携帯電話を取り出して目的の番号を電話帳から探して電話を掛ける。

 

『どうかしましたか?』

「お前の指示通り堕天使連中は追っ払っておいたぞ。後、バヂスが負けた」

『ご苦労様ですよ。ていうかあの変態は負けたんですね』

 

 電話の向こうからでも呆れた様な声が漏れるのを無視してゴオマは話を続ける。

 

「それと兵藤一誠は例のグレモリーの所に届いたか?」

『ええ。先程メビオさんから受け取りましたよ。今頃ありがたい説教を受けていると思いますよ?』

「そうか……ん?」

 

 今の桃花の言葉を聞き流そうとしていたゴオマだったが一つの単語を聞いた瞬間耳をしっかり傾けた。

 

「桃花……今何処にいる?」

『企業秘密ですよゴオマさん』

 

 桃花はそう言うと電話を切ってしまった。

 

「おい、こら!……はぁ」

 

 再度電話を掛けようとしたゴオマだったがめんどくさくなったのか近くの茂みに気絶していたバヂスを見つけるとそれを引きずって帰って行った。




 個人的に不完全燃焼な回です。ゴオマさんはどうしても戦闘方法が地味になってしまうし究極体もおいそれと使えないし……個人的には武器を持たせたいけど批判が多そうだから今のままで行くしかないか……。
 後、バヂスさんは暗殺特化だと自分は思います。原作でも針を回避されて驚いてる所にブラストペガサスをくらいましたし、今回は相手が飛べるとか知らなかったから負けたんです。最初から暗殺に専念してたらミッテルトにもか、勝てたし(せめてもの言い訳)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

教会に攻め込むそうですよ

 色々ダグバを調べて分かった事。
 その1色々と隠された能力があった
 その2情報がありすぎてどれが本物のダグバの能力かの見分けが難しいこと。
 尚、本編には全く関係ない。


 ゴオマが戦っていた頃、レイナーレ達との戦いを終えドルドの背中で眠りについていた桃花は夜に眼が覚め、何を思ったのかオカ研の部室に来ていた。オカ研の部室には一誠を除いた全員が揃っていた。

 

悪魔の駒(イーヴィルピース)ですか?」

「そうよ。イッセーを蘇生する際にも使ったものよ」

「これがですか……」

 

 桃花は机の上に置かれた赤いチェスの『騎士』の駒を訝しげに見ていた。

 

「……(見ただけじゃ分からないですね。せめて構造さえ分かればザジオさんに頼んで量産も考えたんですけどね)」

「この悪魔の駒(イーヴィルピース)は基本的に上級悪魔なら誰もが持ってる物よ。『兵士』(ポーン)の駒が八個、『戦車』(ルーク)の駒が二個、『僧侶』(ビショップ)の駒が二個、『騎士』(ナイト)の駒が二個、『女王』(クイーン)の駒が一個で一セットよ。私の場合はイッセーを眷属にする際に『兵士』(ポーン)の駒を全て使ってしまったのだけどね」

 

 リアスはそう言ったがその顔に後悔は無く逆に満足気だった。

 

「やけに満足そうだけど、『兵士』(ポーン)の駒を全て使ったのに後悔して無いの?」

「ええ。むしろ運が良かったと思うわ。神滅具(ロンギヌス)の一つである赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の所有者を眷属に出来たのだからね」

「そうなんだ。……でも一誠の前ではあんまり言わない方が良いと思う」

「どういうことかしら?」

 

 レイの質問にリアスはキョトンとした顔で聞いた。

 

「その言い方だと一誠なんかどうでも良くて赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の方が大事みたいに聞こえるから……」

「っ!!そ、そうね。私も予想外の事で少し動転してたわ」

「あらあら、しっかりしてくださいよ部長?」

「わ、分かってるわよ!!」

 

 リアス達の言葉を聞きながら桃花だけは自分の持論で今のリアスの発言を考えていた。

 

「(……王としてはリアス・グレモリーの方が理に適ってますよね。レイさんの考えは甘い。眷属は自分の手足の延長と考えた方が戦いに情を挟まずにすみますし。……まあ、綺麗事だからこそ叶えたいとも言いますし其処は考え方の違いですよね)」

 

 桃花はそう心の中で締めくくった。

 それから少しして一誠が校舎の前に運ばれた事を知った桃花はさり気無く校舎前に行き部室まで連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠への説教の途中に掛かってきたゴオマからの電話を部室の外に出て聞き終えると通話を切った。そのまま外で桃花は状況を整理し始めた。

 

「(ゴオマさんの話と私の得た情報にベ集団の皆さんが調べた情報を纏めると……相手の主力確定は堕天使四名にフリード・セルゼン、あのGに似た触角怪人、そしてアーシア・アルジェントですかね?唯、触覚野郎は来るか分かりませんね。それとヴァルゴ・ゾディアーツが居るかも不明ですね)」

 

 其処まで整理すると桃花は一誠を拾った時に買ったお茶を飲んでから再度考え出す。

 

「(堕天使四名はレイナちゃんも含めて此方側に引き込みたいとこですから……漁夫の利が取れそうなグロンギを配置するとして、次はレイナちゃん個人ですかね。

彼女は私達とのゲゲルがありますし確実に一誠とぶつかるでしょうから其処は心配し無くて良いですね。フリード・セルゼンに関しては……木場祐斗と塔城小猫の二人で抑えれるでしょうね。キャンサー・ゾディアーツは硬い防御性が売りですけど塔城小猫のパンチならダメージが通る筈。本人の動きも木場祐斗クラスなら何とかできる筈ですよ。……いや一応誰かに待機させておこう)」

 

 祐斗と小猫の考察をしていた桃花は心配になったのか心の中で相性の良さそうなグロンギを考えながら呟いた。

 

「(触覚は私がやるとすると後はアーシア・アルジェント対策と万が一のバックアップとイレギュラー対策に数名を駆り出しますか。ついでに手の空いているメンバーにはアーシア・アルジェントの過去の情報でも調べさせましょう。彼女がジェミニ・ゾディアーツなのは気になりますし)」

 

 桃花はアーシアがジェミニだったのが気になったのかそう決めると状況の整理を終えて部室の中に入って行った。

 

「イッセー、何度頼んでも駄目なものは駄目よ。これ以上教会や堕天使に関わることは認めれないわ」

「何でですか!!」

 

 中ではリアスと一誠が向き合って話していた。桃花は二人に気付かれないように近くに居たレイの元まで行き小声で話しかけた。

 

「あれは一体何をしてるんですか?」

「一誠が部長に教会にアーシアさんを助けに行きたいと言ってて、部長がそれを断ってるとこ」

「そうなのですか……(ちっ、めんどくさいのですよ)」

 

 そのまま桃花は二人の会話を壁にもたれて見守っていた。

 

「……(一誠は眷属を外れてでもアーシア・アルジェントを助けに行くの一点張り、リアス・グレモリーはそんな事は出来ない上に教会に関わった際の影響も考えて承諾を拒絶してますか……それにしても美人が怒った顔は中々に良い物ですね)」

 

 桃花が呑気に分析をしていると朱乃がリアスに近づき耳打ちをした。

 それを聞いたリアスの表情は激昂していたものから思案するようなものに変わっていた。

 

「…………」

 

 そうして考えた後、一誠を一目見てから部室にいるメンバーに向かって言った。

 

「大事な用事が出来たの。悪いけど私と朱乃は外に出てくるわ。……イッセー」

 

 その言葉を聞いて何かを言おうとしていた一誠の言葉を遮る形でリアスが言った。

 

「貴方の中に眠っている力は確かに強力よ。でも、これだけは覚えておいて。意思の無い力はいつか自分の身を滅ぼす事になるわ」

「え、どういうことですか部長」

 

 リアスはその質問には答えず朱乃と一緒に部屋から出て行ってしまった。

 

「…………あー!!」

 

 一誠は今のリアスの言葉の意味を考えていたが、理解が出来ずに頭を掻き毟った。そうした後で部屋を出て行こうとする一誠をずっと黙っていた祐斗が引き止めた。

 

「兵藤君、行くのかい?」

「ああ」

 

 その質問に一誠は迷い無く答えた。

 

「幾ら君の神器が赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)とは言え教会には間違いなくはぐれエクソシストの集団と堕天使、未知の怪物がいる筈だよ。君一人じゃ殺されるよ?」

「俺なんかの命でアーシアの命が救えるなら安いもんだ」

「……いい覚悟だね。でも、やっぱり無謀かな。それに、そのアーシアさんを救えるかも微妙な所だね」

「だったら、どうしろってんだよ!!!」

 

 そんな一誠の叫びに祐斗は一切臆さずに言い切った。

 

「僕も行く」

「なっ……!?」

 

 その祐斗の発言に一誠が驚いてる間に祐斗は続けて話して行く。

 

「僕はアーシアさんの事は知らないし、特に思い入れも無い。けど、仲間である兵藤君が助けたがってるのなら動くのには十分すぎるよ。それに、教会関係者は個人的にだけど嫌いなんだ」

 

 そう言った時の祐斗の表情はいつもの爽やかな笑みだったが瞳の奥だけは笑っていなかった。

 

「一誠、ついでに教えておきますがリアスさんも表現をぼかしてましたが許可は出してましたよ」

「本当なのか桃花!?」

「ええ。さっきリアスさんは力について言ってましたよね?」

「ええーと……ああ言ってた」

 

 桃花は少し思案した後に答えた一誠に一瞬呆れたが続きを話し出す。

 

「行くなと言ったのに力について話すのは可笑しいでしょう?」

「そう言えばそうだよな」

「ま、要するにですよ。行くんならちゃんと怒られる覚悟をして行けって事ですよ」

「ああ、成る程!!」

「さてと、残りのお二人はどうします?」

 

 一誠が納得したのを確認すると桃花は残りの小猫とレイに声を掛けた。

 

「……私も行きます。人数は多いほうがいい筈です」

「私も行くよ」

「と言う訳で一誠。号令をどうぞ」

 

 桃花に言われた一誠だったが全員協力してくれるのが余程感無量だったのかしばらく動かなかった。

 

「よ、よし。それじゃあ五人でアーシア救出と行きますか!」

 

 その言葉を聞き終えた五人は教会に向かって動き出した。




 補足を一つ。この世界の一誠は何処かの殺戮集団の暗躍でイーヴィル・ピースの事を知りません。




 此処から先は息抜きで考えた組み合わせです。本編では実現する事は絶対にありません。

王と言われたor名乗った怪人でレーティングゲームのメンバーを組んでみた。

『兵士』
ブラック(世紀王)
『騎士』
シャドームーン(世紀王),コーカサスアンデッド(スペードのキング)
『戦車』
ガメル(重量生物の王),ロシュオ(フェムシンムの王)
『僧侶』
ン・ガミオ・ゼダ(グロンギの王),アークオルフェノク(オルフェノクの王)
『女王』
バットファンガイア(ファンガイアの王)
『王』
ン・ダグバ・ゼバ(グロンギの王)

一部可笑しなのがいる気がするのは気のせいです。次回の更新は出来るだけ早くにしたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決着をつけるそうですよ

 詰め込んだ結果文字数が一万文字行きました。後、試しにルピ振りを多めにしてみました。


「…………これで良しと」

 

 桃花は教会に行く道すがらメールを送信した。

 

「桃花、今のメールは?」

 

 それにレイだけが気付き小声で聞いてきた。

 

「ちょっとしたお願いのメールですよ」

「内容、聞いてもいい?」

「レイさんとは言え駄目です♪」

「……そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教会が見える位置まで歩いてきた五人は其処で立ち止まって作戦を確認する。

 

「本当に私の作戦でいいんですか皆さん?」

「このメンバーの中じゃ白百合さんが一番適切だと思うよ」

 

 祐斗にそう言われた桃花は周りのメンバーを一瞥してから言った。

 

「脳筋パーティー……おっと」

 

 桃花が言うのと同時、二つの拳が顔の横を掠めた。

 

「……脳筋じゃありません」

「心外……」

 

 拳を放った張本人の小猫とレイはそう言うが小猫だけは視線を逸らしていた。

 

「それじゃあ作戦を説明しますよ。まず、雑兵は私が。フリード・セルゼンは木場くんと塔城さんが、一誠とレイさんは本丸を、以上です」

「……え、それだけなのか?」

 

 一誠は作戦の内容を聞いて思わずそう聞き返した。桃花はそんな一誠に呆れた顔をしながら言った。

 

「分かりやすく言っただけですよ。何なら難しく言いましょうか?」

「え、遠慮します」

「そうしてください。では行きますか」

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 五人が教会に乗り込むと其処には既に大量のはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)と忍者の様な姿の小太刀を持った大量の異形、ダスタードが待ちかまえていた。

 

「予想通りすぎですよ?」

「桃花!」

 

 一誠を除いた他のメンバーは落ち着いてるが一誠だけは考えていた人数よりも多い事に驚き桃花に心配の声を掛けた。

 

「余裕なので一誠達は早く先に進んで下さい」

「小娘風情が言ってくれるな」

 

 はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)の集団は今の発言を聞き殺気と共に桃花を睨んでいた。

 

「ほら、一誠。早くしないと間に合いませんよ」

「っ!分かった。ここは頼んだ!!」

 

 一誠は他の三人と一緒にはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)の集団の横を通り過ぎて教会の奥に進んで行った。

 

「意外ですね。今の瞬間に攻撃しないなんて」

「ふん。悪魔を屠るなぞ小娘を殺してからでも十分間に合う」

「……一つだけ言ってあげますよ」

「何だ」

 

『エクスプロージョン、ナゥ』

 

 

 突然話していたはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)の近くの人間の頭が爆ぜた。

 

「ひっ!?」

 

 話していたはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)は突然の事に動揺したのか、人間の血を見るのに慣れてないのか腰が抜けてしまっていた。

 

「私の嫌いな事は小娘と呼ばれることですよ?」

 

 いつの間にか桃花の横に桃花の神器(セイクリッド・ギア)である本の形をした伝説との戦いの記録(レジェンダリーエピソード)が開いた状態で浮いており、その開いた場所にはドレイクと書かれていた。

 

「ついでに貴方方には実験台になって貰いますよ?」

 

 桃花は相手の意見も聞かずに指に嵌めていた指輪を取り外して別の物に付け替えた。そして腰に出現している手の形をしたベルト白い魔法使いドライバーにその指輪を翳した。

 

『テレポート、ナゥ』

 

 音声と共に桃花の近くに四角い魔法陣が現れ其処から飛蝗の様な姿をした怪物が現れた。

 

「何だ貴様は!」

「キョグギンジャンママズ・バヅー・バザ(脅威のジャンパーズ・バヅー・バだ)」

 

 バヅーがさっきまで喋っていたのとは違うはぐれ悪魔祓いの質問に答えるとタイミングを計ったかの様に教会のドアを突き破ってバイクに乗った青年が乗り込んできた。

 

「今度は何だ!」

「ゴセザキョグギンサギザザゴ・バダー・バザ(俺は脅威のライダーゴ・バダー・バだ)」

 

 青年はヘルメットを取ると独特のポーズを取りその姿を飛蝗を模したグロンギ、ゴ・バダー・バへと変化させた。

 

「お二人共、分かってますよね?」

 

 桃花はやって来た二人にそう言いながら指輪を交換する。

 

「当然だ。ルールはルールだからな」

「ロヂソン(勿論)」

「なら結構ですよ。二人はボソグ(○○す)以外なら自由に戦って下さい。私はボソギ(○○し)ますけどね」

 

 桃花はそう言い白い魔法使いドライバーを起動させた。

 

『シャバドゥビタッチヘーンシーン! チェンジ!ナゥ』

 

 ベルトが喧しくなる前にすぐに指輪を翳し、横から迫って来た魔法陣を潜るとその姿を金色を基調にした姿、背中には黒いマントがある仮面ライダーソーサラーに変え桃花は余裕そうに言った。

 

「お楽しみはこれからですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)は入り口のメンバーだけみたいだね」

「そうだね。……待って」

 

 近くに人の気配が無いか一応の警戒をしながら進んでいた四人だったがレイの言葉で立ち止まった。

 

「レイ、どうしたんだよ?」

「あれ」

 

 レイが指差した先には嗜虐的な笑みを浮かべた白髪の男が立っていた。一誠やレイにとってはこれが二回目の会合となる相手だった。

 

「おやー?そこに居るのは俺を殴ってくれちゃったぁ愚かな悪魔君じゃぁないかぁ!!いやー感動的な再開だねぇ!!」

 

 その男、フリードは一誠に対して笑顔で接してきたがその手には柄だけの剣と銃がしっかりと握られていた。

 

「兵藤君、ここは作戦通りに僕達がやるよ。その間に君は彼女の所に」

「おう!……ただ、あいつが素直に通すかだよな」

 

 一誠は祐斗にそう返すがいつでも戦える様に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出現させた。

 

「ああ、そうそう。そこの悪魔君ともう一人だけは此処を素通りさせちゃおう」

「はあ?」

 

 フリードの突然の提案に一誠は思わずそんな言葉が漏れた。

 

「いやね、俺のクライアントがそうしろと煩くてさぁ!だから、通るならとっとと通ってくれないかなぁ?」

「……そうだね。兵藤君、君は先に進んだ方がいい」

「木場……」

「僕達の事は心配しなくても大丈夫。はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)に負けるほど僕達は弱くないよ」

「そうです。だから兵藤先輩は先に」

「二人とも……。分かった、こっちは任せろ!だからそっちも任せた」

「任された」「任されました」

 

 返事を聞いた一誠とレイは先に進む……前に二人に言った。

 

「二人とも帰ったら俺のことはイッセーって呼んでくれよ!!」

 

 二人は少し微笑ましそうな表情をしたが頷いた。それを見た一誠とレイは先に進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人が進んだ先には階段があり二人はそれを降りていた。

 

「一誠、このまま真っ直ぐ行った所にある扉の先に人影が三つある」

「どうしてそんな事分かるんだ?」

「企業秘密」

 

 レイの言った通り進んだ先には扉があり、一誠が開こうとした瞬間ひとりでに開いてしまった。その先にはレイナーレと仮面とローブを付けた誰か、そして謎の球体に入れられたアーシアだった。

 

「アーシアァァ!!」

 

 一誠がそう叫んだが何故かアーシアからの返事は無かった。

 

「ふふ、少し遅かったわね。もう儀式は終わった所よ」

「儀式?アーシアに何をした!!」

「一誠危ない!」

 

 一誠が一歩踏み出そうとしたのと仮面を付けた誰かが襲ってきたのは同時だった。レイは咄嗟に一誠の制服の襟を掴んで後ろに引っ張ると自分は始創の絵札(Aラウズカード)を使って醒剣ブレイラウザーを出現させその攻撃を防いだ。

 

「いきなり何するんだよレイ!!」

「守ってあげたつもりなんだけど」

 

 一誠はそう言われてから漸くレイが攻撃を防いでるのに気付いて申し訳なさそうにした。

 

「まあ、いいけど。それよりも堕天使レイナーレ、私も何をしたのか知りたいかな」

「ふん、いいわ。教えてあげる。アーシアは死んだの。今は其処の仮面がアーシアって所かしら?」

「ちょっとレイナーレ、勝手に教えないでくれるかなー?」

 

 正体をばらされた仮面の少女はやれやれと言った感じで仮面とローブを取った。

 

「んなっ!?」

「どういうこと……?」

 

 其処に行ったのはアーシアが着ていた修道服が白くなった物を着てツリ目のアーシアに似た少女だった。

 

「一応自己紹介しとこうかな。私は聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)。簡単に言えば白い方の中に有った神器(セイクリッド・ギア)。まあ白い方と区別するんだったら黒アーシアとでも呼んでよ」

「そんな事あるもんか!!」

「残念ながら本当の事よ。私も聞かされて驚いていた所なのだから」

 

 一誠が驚きで目を見開いて言った言葉にレイナーレは肩を竦めて言い返した。

 

「何でそんな事になったの?」

 

 この中では唯一原作を知っているレイは思わずそう聞いた。

 

「いいよ、教えてあげる」

 

 黒アーシアはそう言いレイから距離を取ると語りだした。

 

「昔の白い方は聖女様なんて呼ばれていてね、本人も誇らしげだったよ。『こんな私でも誰かの助けになれるんです』ってね。それから少しして事件は起きた。白い方は一年程前にある悪魔を(神器)の力で助けた。でも、本来治療の力が効くのは神の加護を受けた人間だけで悪魔を治療する事は出来なかった。そして、それを知った教会の司祭達はアーシアを魔女だと言って教会から追放した」

 

 呟き続ける黒アーシアだったがその目には確かな怒りがあり、いつの間にかアーシアの事も白い方ではなくアーシアと呼ぶようになっていた。

 

「その後一年間アーシアは各地を回って行った。毎日神様への祈りも欠かさずにね。そうすればいつかは主からの救いがあると思ってね。……でも、いくら祈ろうとアーシアに救いは無かったよ。何処の教会も口を揃えては『魔女』だ?『異端』だ?……ふざけんな。それでもアーシアはずっと神様への祈りも教会を巡ることも止めなかった。ただ時たま私に向かって話しかけてくるようになった。全く、当時の私はまだ意志も何もないのに笑っちゃうわよね」

 

 そう言った黒アーシアだったがその顔は笑うというよりも悲しそうだった。

 

「……そんな日々が半年は過ぎた後だったかな?アーシアはある町で同じシスター達に……まあ所謂暴行にあったよ」

「なっ、アーシアが!?」

「黙って聞いてなさい!!」

「は、はい!!」

 

 口を挟んできた一誠を黙らすと黒アーシアは一息ついてから、話を続けた。

 

「その時よ、初めて私が意識を得たのもアーシアの体を動かせるようになったのも」

「……(神器(セイクリッド・ギア)は持ち主の思いに答えるとは言うけどこんな事があるんだ)」

 

 レイは心の中で神器の不思議さを改めて実感していた。

 

「アーシアの体を動かせるようになった私はそのシスター達を再起不能にしてからその町の教会を滅ぼしたわ。それ以来私の姿の時を教会は堕ちた聖女って事で黒聖女なんて呼ばれてたわ、そしてアーシアとも会話が出来るようになった。アーシアが言うにはそれからの半年間は幸せだったそうよ」

「でも……幸せは長く続かなかった。既にアーシアの心は限界だったのよ。だからアーシアは次に行く国でひっそりと死のうと考えて日本に来たわ」

「アーシアが……死のうとしてた!!?」

「貴方は……止めなかったの?」

 

 黒アーシアの行った発言に一誠は驚きレイは警戒しながら黒アーシアに質問した。

 

「止めなかったよ。アーシアが決めたなら神器(セイクリッド・ギア)の私は従うしか無いからね。まあ、途中で其処のレイナーレに会って予定は少し変わったけどね。……ああ、変わったといえば其処の赤龍帝に一つ教えておくよ」

「何だよ?」

 

 今聞いた事を整理するので一杯一杯なのか、怒りを覚えたのか怒り気味に返事をした。

 

「アーシアはね、あんたに会って死ぬ事を嫌がったよ」

「なっ、じゃあお前達は嫌がるアーシアから無理矢理神器(セイクリッド・ギア)を奪ったってのか!!?」

「その通りよ」

 

 レイナーレはそう言いながら手に光の槍を出現させた。

 

「もう話し合いは終わったわね黒聖女?」

「いや、まだ一つ」

「……早くしなさい」

 

 レイナーレは不機嫌そうに言うと成り行きを見守り始めた。

 

「それじゃあ最後に、アーシアはまだ生きてるよ」

「「「なっ!?」」」

 

 今回の発言に一誠とレイは今までの前提条件を覆すような発言に、レイナーレはネタバラシをした事に対してではあるが全員驚いた。

 

「この儀式は本当はレイナーレに(神器)を移植する様なものだったけどレイナーレはそれと同じ様な物を貰ってね、私が無くても良かった。けど保険でもう一個の手段として手に入れようと儀式場を適当に作って私とアーシアを分離させたのよ。ま、その性でレイナーレが気絶とかしたら儀式の基点となるアーシアを包んだ結界は崩壊、私は強制的にアーシアの体に戻る。そんだけ雑な結界だからかな、私が戻ればまだアーシアは生き返るよ。……まあ、後三十分が限界かな」

「黒聖女、何故そんな事を説明したのかしら?」

 

 レイナーレは余程怒っているのか光の槍を黒アーシアに向けながら言った。

 

「余興だよ、余興。私だって少しは遊びたいしね。第一、貴女が負けなければ良いでしょ?」

「それもそうね」

 

 レイナーレは再度一誠達の方を向き、光の槍を地面に突き刺した。

 

「なら全力でやりなさい」

「分かってるよ。そんじゃあ……暴れて行こうかッ!!!!」

 

 レイナーレと黒アーシアはそれぞれのホロスコープススイッチを取り出しスイッチを押し、アクエリアス・ゾディアーツとジェミニ・ゾディアーツへと変身した。

 

「ッ。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!!」

 

 一誠も赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を構えた。

 

「一誠、黒いアーシアさんの方は私が引き受けるからあっちの堕天使は任せたよ」

「おう!!」

 

 二人はそう言いあってから自分の相手に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦う前に一ついいかな」

「何かなー?」

「本当は貴女も今回の事は納得してないんじゃないかな?」

 

 レイはブレイラウザーを一度消してから黒アーシアに質問をした。

 

「さあねー。私はただ一度言った事を曲げるのは嫌いなだけだよ」

 

 その質問に黒アーシアは含みのあるような言葉を返した。

 

「そう。何となく貴女の考えてる事は分かったよ。だったら私はここで貴女をちゃんと抑えないと」

「あんたに出来んのかなー?」

 

 黒アーシアは嗜虐的な笑みを浮かべながら挑発的な言葉を発っした。

 

「まだ、今の私には無理。だから……今回は嫌だけど裏技を使うよ」

「裏技?」

始創の絵札(Aラウズカード)、キングマークスペード、コンバート」

 

 レイがその言葉を発し終えると糸が切れた人形の様にレイは下を向いた。

 

「何なのかな今の言葉は!!!」

 

 自分の知らない事が起きてイラついた黒アーシアはレイに向かってイーダスを数枚投げつけ体に当たる直前で爆発させた。

 

「……全く、煩いなぁ」

「ん?」

 

 爆風の中から聞こえてきた声は確かにレイの物だったが声の雰囲気がさっきまでのクールや静かな物から無邪気な感じに変わって聞こえてきた。

 

「あんた?僕にカードを投げてきたのは」

「そうだけど……あんた誰?それにどうやって私の爆発を防いだ」

 

 爆風が晴れて出てきたレイの目は日本人特有の黒色から翡翠のような緑色に変わっており、その体には目立った傷も無く爆発をくらって無いのが分かる。

 

「さあ?教える訳ないじゃん。馬鹿じゃないの?あっ、でも僕の名前だけは教えてあげるよ。キングだよ」

「……あんたも蝙蝠野郎並みに私を怒らせるなあ。だから死んでよ!!!!」

 

 言葉を言い終えるよりも早く黒アーシアは駆け出しキングと名乗りだしたレイに向かって踵落としを落とそうとした。

 

「ッ!何それ」

 

 しかし、キングに当たる瞬間、突然現れた盾に阻まれて思わず距離を取ってから聞いてしまった。

 

「だから言う訳ないじゃん。馬鹿じゃないの?」

 

 キングは馬鹿にするように言いながらその姿を変化させた。その姿は金色のコーカサスオオカブトを模した外郭をしたコーカサスビートルアンデッドだった。

 

「……!あんたも怪人だったんだ。それなら納得……する訳ないわよ!!!」

 

 黒アーシアは激昂したまま両手にそれぞれリュンケウスとイーダスを持った。

 

「僕のやる事は時間稼ぎだからね。無駄な事を好きなだけすれば?」

 

 キングはそう言って無防備に挑発するかのように両手を広げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、さっきまでの威勢はどうしたのかしら!!」

「くそっ!!」

 

 一誠はレイナーレが放つ光の槍をかわしながら赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)のカウントを進めていた。

 

「全く、演技とはいえこんな奴の恋人をしてたなんてね」

「……初めての彼女だった」

 

 レイナーレの呟きに一誠はゆっくりと言葉を言った。

 

「ええ、知っていたわよ。あなたを殺す為に過去の経歴は色々調べたもの」

「俺なんかを好きになってくれた人に楽しんで貰おうと思って馬鹿なりにプランだって立てた」

「そうね。ほんと、馬鹿で当たり前すぎて退屈だったわ」

「……あの告白の時の表情もデートの時の表情も全部演技だったんだよな夕麻ちゃん」

 

 呟きの中で一誠はかつてレイナーレが名乗った偽りの名前を呟いた。

 

「当たり前じゃない!折角だし教えてあげるわ!あなたを夕暮れに殺そうと思った時に一緒に考えたのよ?あなたの死に苦しむ表情も楽しみにしながらね!!アハハハ!!!」

 

 レイナーレのその言葉に一誠の怒りが爆発した。

 

「レイナーレェェェ!!!!」

「アハハハ!!!悪魔になった糞餓鬼が私の名前を呼ばないでくれるかしら!!!」

「お前だけは、お前だけは絶対に許せねぇ!!!」

 

『Explosion!!』

 

 一誠の言葉と共に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が音声を鳴らした。

 

『気合を入れているところ悪いが待てイッセー』

「あっ、誰だよ?てっここは……」

 

 一誠は気付けば以前夢に出てきた周りが炎に囲まれた空間に立っていた。

 

『久しいなイッセー、嫌相棒』

「ドライグ!何で俺は此処に……嫌そんな事よりもレイナーレの奴はッ!?」

『少しは此方の話も聞こうとして欲しい物だな。先に行っておくが此処にいる間は外の時間は特に動かん』

「そう言う事なら……分かった」

 

 ドライグの今の発言に一誠は渋々と言った感じでドライグの話を聞く体制に入った。

 

『お前ではあの堕天使に勝つ事は不可能だ、諦めろ』

「ッ!!何でだよ!?」

『大前提で教えておくか。奴は大概の傷ならば瞬時に肩にある二つの水瓶の水で回復が可能だ。故に奴を倒すならば一撃で奴の全身を消滅させるのが有効だが……今のお前の実力じゃ無理だ』

「そんな事関係あるか!!!」

『……何?』

 

 これまで無表情だったドライグの表情が少しだけ動いた。

 

「勝てないからって諦めるなんて俺はしたくない!何よりも俺はあいつにだけは一発殴らないと気が済まないんだよ!!」

『ふん、賞賛も無いのによく言えた「ごちゃごちゃ言ってないで俺に力を貸しやがれドラゴン!!!」な。……何?』

「俺の力じゃ無理でもドラゴン、お前の力ならどうなんだ赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)ドライグ!!!」

『フハハハ!!』

 

 一誠が叫んだ直後何処からか笑い声が聞こえてきた。

 

「な、何だ!?」

『まさか貴様が手伝うつもりか?』

『ドライグ、これだけの啖呵をきったんだ小僧に力を貸そうが構わんだろう。何より俺はこの小僧が気に入った!』

「その声……あの時も話しかけてきたドラゴンか!」

 

 声は一誠の言葉に力強く返した。

 

『そうだ!兵藤一誠、貴様には俺の力の一端をくれてやろう。それがあれば少しは勝機もあろう』

「ちょ、ちょっと待てよ!!お前は一体何なんだ!!」

『ふん、この戦いを生き残れたら少しは教えてやる。だから勝ってみせろ兵藤一誠!!』

 

 声が言葉を終えたと同時に一誠の意識は元の場所に戻って行った。

 

「死になさい!!」

「……はっ!?」

 

 戻るとレイナーレの振るう鞭、ネクタルが迫って来ていた。それを一誠は間一髪でかわすとレイナーレと距離を取った。

 

「ていうか力ってどう使うかまだ聞いてないぞ、おい!!」

『煩い奴だ。ほら、籠手についている宝玉に触れながら念じろ。それで準備が整う』

「お、おう!」

 

 一誠は恐る恐る宝玉に触れて念じた。

 

『Infinity Dragon element timer!!!!』

 

「何だこれ?」

 

 籠手から今までとは違う声で音声が鳴り、それと同時に籠手の宝玉はふちが四色に分かれた時計のような形に変わり籠手の側面に手のひらの様な物がついていた。

 

『それは四元素の宝玉(エレメント・タイマー)、俺の持つ力の一部を具現化させたものだ』

「成る程な。で、使い方は?」

『一度しか言わんから良く聞いておけ。最初にそれについている針を赤い部分に合わせろ』

「こ、こうか?」

 

 一誠は言われた言葉の通りに時計の針を赤い部分に合わせた。

 

『Set up』

 

『それでいい。後は側面の手の親指を押し込めば使える。但しそれで使えるのは順に火、水、風、土の四属性だけだ。しかも今のお前の体力では……一つの属性が最長で三十秒、合計二分が限界だ』

「そうかよッ!!」

 

『Frametime start!!!!』

 

 一誠が親指を押し込んだ瞬間タイマーが進み出し音声が鳴った。

 

「さっきからごちゃごちゃと煩い奴ね!!」

 

 レイナーレは突然変化した宝玉に特に驚く事も無くネクタルを振るった。

 

「おりゃ!!」

 

 振るわれたネクタルを一誠は火に包まれ出した自分の手で掴み取った。

 

「何ッ!?」

「うぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 一誠は両手を使ってネクタルを強引に焼き切るとその勢いのままレイナーレに向かって走り出した。

 

「くっ!!」

「逃がすかよッ!!!」

 

 レイナーレは体制を立て直すためか羽を生やして空に逃げようとしたが一誠は進むタイマーが青い部分に辿り着く所で親指を再び押し込んだ。

 

『Watertime!!』

 

 一誠の両手を包んでいた火が消えると今度は水がその手を包んだ。そして一誠はその手の水を後ろに向かって激流の様に放出してレイナーレの元に強引に辿り着いた。

 

「……!?」

「おりゃぁぁ!!」

 

 一誠は気合と共にレイナーレを殴り飛ばした。

 

「ぐっ、無駄な事をしないで欲しいわね!!!」

 

 レイナーレは顔を憤怒で歪めながら今の攻撃で受けた傷をアクエリアスの能力で治した。

 

 

「っ!!(やっぱりあの水瓶をどうにかしないと駄目かよ!!!)だったら!!」

 

 そう言って一誠は緑の部分に辿り着いたタイマーの親指を再度押し込んだ。

 

『Hurricanetime!!』

 

「こいつでどうだ!!」

 

 一誠は今度は風の力を纏った拳を突き出した。

 

「ふん、何度も同じ手はくらわないわよ!!」

 

 レイナーレはその攻撃を回避した。が、

 

「何ですって!?」

「よし!もう一回だ!!」

 

 避けたかに見えた一誠の攻撃だったがかわしたのは拳だけで、風の一撃はかわしきれていなかった。その驚いてる隙に一誠は残ったもう一つの水瓶も破壊した。

 

「悪魔風情が調子に乗ってんじゃないわよッ!!!!」

 

 レイナーレは思った以上の失態に完全にキレ、光の槍を両手に持つと一誠に襲い掛かった。

 

「うっせえ!!この堕天使悪魔!!!」

 

『Landtime!!』

 

 一誠も気合を入れなおすと最後の黄色の部分に辿り着いたタイマーの親指を押し込んだ。しかし、今度の力は今までの様に手に何かが纏われる様子が無かった。

 

「……あれ?」

『ああ、言い忘れていたな。ランドの力は肉体が硬くなるのが主にだ』

「先に言えよそれ!!」

 

 一誠はレイナーレの攻撃をかわしながら声の主に文句を言った。

 

「一人で喋って気持ち悪いわね!!」

「好きでやってるんじゃねえよ!!!」

 

 一誠はそう叫ぶと後ろに跳んでレイナーレと少しの距離を取った。

 

「……(おい、ドラゴン。一つ聞きたいことがある)」

『ふん……何だ?』

 

 一誠は声の主に思いついた事を聞いた。

 

『フハハハ!!!!随分と馬鹿なことを考えるな貴様は』

「……(やれるのか、やれないのか。どっちだ)」

『三発だ。それ以上は不可能だろうな』

「三発もありゃ十分だ!!」

 

 一誠は脳内会議を終えると突然レイナーレに向かって走り出した。

 

「正気かしら?」

 

 レイナーレはその馬鹿な行動に嗜虐的な笑みを浮かべながら光の槍を投擲した。

 

「グッ!!……まだまだ!!!」

「何ですって!!?」

 

 てっきりかわすだろうと予見して光の槍を用意していたレイナーレだったが一誠はかわそうともせずに右手を盾にした。光の槍は役目を終えて消滅したが一誠の右手には穴が開いており其処から血も出ていた。

 

「く、くるな!!」

 

 その狂った行動にレイナーレは恐怖を覚え必死に光の槍を大量に投擲し出した。

 

「うぉぉぉ!!!」

 

 一誠は放たれる光の槍の内かわせそうにない物だけを右手で強引に防御しながらレイナーレにどんどん迫って行った。そしてその時が来た。

 

「レイナーレェェェェ!!!」

「い、嫌よ!!私がこんな下級悪魔風情に負けるなんてありえないわ!!!!」

 

 拳の届く距離まで辿り着いた一誠は左の拳を握りしめ、レイナーレは光の槍を全力で振るった。

 

「ドラゴン!!」

 

『Wall!!』

 

 一誠がそう叫ぶと籠手から音声が鳴り、突然地面が盛り上がり壁の様に光の槍を阻んだ。

 

「ぶっ飛べぇぇぇ!!!」

「ひぃぃ!!!!」

 

 壁の横から出てきた一誠はレイナーレに向かって握り締めた拳を全力で放った。一誠の一撃をくらったレイナーレはすごい勢いで壁まで吹き飛んだ。

 その際にアクエリアスへの変身は解除されており、壁に出来たクレータみたいな跡の元で気絶していた。

 

「お、終わったのか?」

 

『Endtime』

 

 一誠の呟きと共に四元素の宝玉(エレメント・タイマー)は解除され、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)による力の倍化も解除された。その際に一誠は疲労からなのかその場に倒れてしまった。

 

「いてて……」

「大丈夫かい?」

 

 自力で立ち上がろうとする一誠に誰かの手が差し伸べられた。

 

「おう……てっ木場!?」

「うん、僕だよ」

 

 そこに居たのはフリードと戦っている筈の祐斗だった。

 

「フリードの奴は!?」

「落ち着いてよイッセー君。説明するよりも先に君の治療を先にするよ」

「だったら適役が此処にいる」

「レイ!それに……アーシア!?」

「イッセーさん!今すぐ治療します!!」

 

 続けてレイと球体に入っていた筈のアーシアがやって来て一誠に向かって聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の光で治療を始めた。

 

「あの黒いアーシアさんはちゃんとアーシアさんの方に戻ったよ一誠。そのお陰でアーシアさんもしっかりと蘇ったよ」

「それからあのはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)は部長達が来たのと同じ位の時に何処かに逃げられたから多分生きてるよ」

「そっか……部長?」

 

 アーシアの治療を受けながら話を聞いていた一誠だったが祐斗の言葉に反応した。

 

「ふふ、貴方なら倒せるとは思っていたけど上出来よイッセー」

「ぶ、部長!!」

 

 入り口の方から魔法陣でやって来たリアスと朱乃がゆっくりと一誠の近くまで歩いてきた。

 

「良くやったわね、イッセー。流石は私の眷属ね」

「あ、ありがとうございます。……怒らないんですか?」

「……?何か怒る所があったかしらね祐斗」

「別に無かったと思いますよ。イッセー君はちゃんと部長の命令に従ってましたよ」

「そうよね。と言う訳よイッセー。今回の貴方はしっかりとやってくれたわ」

「ぶ、部長!!」

 

 馬鹿な一誠でもリアス達の優しさが分かったのか感動の涙を流していた。

 

「それじゃあ私の仕事をしましょうかしらね」

「部長、持って来ました」

 

 リアスが表情を慈悲の感じられる物から冷酷な物に変えると小猫がレイナーレを引きずって持ってきた。

 

「ご苦労様、小猫。それじゃあ朱乃お願いするわ」

「はい」

 

 朱乃は空中に魔力で水を作るとそれをレイナーレの顔面にぶつけた。それで眼が覚めたのかぼんやりとした眼でリアスを見た。

 

「御機嫌よう、堕ちた天使レイナーレ」

「その紅髪……そうかグレモリーの人間ね」

 

 レイナーレは何処か諦めた様な眼でリアスを見ていた。

 

「私の事を知ってるなら話が早いわね。リアス・グレモリーよ」

「……それで私を殺しに来たのかしら?」

「その前に質問よ。……貴女の仲間の堕天使三名の行方に心当たりは?」

「質問の意図が分からないわね?」

 

 レイナーレはその質問の意図が分からないのか疑問の声を出した。

 

「私と朱乃は此処に来る前に貴女の仲間がいるらしき場所に行ったわ。そしたら其処には三名の姿は無く代わりに堕天使の羽が大量に落ちていたわ……貴女笑ってるのかしら?」

 

 リアスの話を静かに聞いていたレイナーレだったがその顔に不意に笑みが浮かんでいた。

 

「ふふ、そう言う事。リアス・グレモリー、どうやら私はこんな所で死なせて貰えないそうよ」

「何ですって?」

 

 リアスは笑っているレイナーレを黙らせようとしたがその瞬間背後から声が聞こえてきた。

 

『エクスプロージョン、ナゥ』

 

「っ!」

「ぶ、部長!?」

「大丈夫よイッセー」

 

 それと共にリアスとレイナーレの間に爆発が発生した。リアスにダメージは無かったが爆風でレイナーレの姿は見えなくなってしまった。

 

「……っ!!誰だ!!」

 

 唯一、メンバー内で祐斗だけが上空に居た誰かの存在に気付いた。そして全員がその祐斗の言葉で上を見ると何かがレイナーレを抱えて自分達の背後に着地したのが確認できた。

 

「その装飾品……あのガドルってのと良く似てるわね」

 

 全員が後ろを向くと其処にはレイナーレを抱えたバヅー、バイクに乗ったバダー人間体、軍服を着たガドル人間体、そして仮面ライダーソーサラーが立っていた。

 

「その通りですよリアスさん」

「そう……そう言う事ね」

 

 ソーサラー、桃花は変身を解除して全員に一例してからそう言った。

 

「桃花!何でお前がそっちにいるんだよ!!」

「違いますよ一誠。最初から私はこっち側ですよ」

「じゃあ俺達を騙してたのか、レイナーレみたいに!!」

 

 一誠は怒りを隠す事も無く桃花に食い掛かった。

 

「別に騙してませんよ?私は貴方の友達ですしこれからもそのつもりですよ?」

「……は?」

「難しく考える必要は無いんですよ、私は貴方の味方であり敵だとね。リアスさんもこれで納得してくれましたか?」

 

 声を掛けられたリアスは難しそうな顔をしてから言葉を発した。

 

「……そうね、私の眷属と町に危害を加えないなら多少は多めに見るわ」

「ありがとうございます」

「ただしレイナーレをどうするかも教えなさい」

「……それは無理ですよ?(いや、メイド兼奴隷とか言えないですよ?)」

 

 桃花はこれ以上の追求を受けるのが嫌だったのか指輪を白い魔法使いドライバーに翳した。

 

「では、皆さん。またいつか会いましょう」

 

『テレポート、ナゥ』

 

 音声が鳴ると桃花達の姿は消えてしまった。

 

「転移されたみたいね……朱乃追跡は出来そう?」

「試してはみましたけど無理でしたわ」

「分かったわ。それじゃあ皆帰るわよ。勿論、アーシアさんもね。イッセー、ちゃんとエスコートするのよ」

 

 リアスはそう言うと他の眷族とレイを連れて先に外に向かって歩き出した。

 

「イッセーさん。その……ありがとうございました!!」

「いいんだよアーシア。お礼を言いたいのはこっちなんだし……じゃ、じゃあ帰ろうかアーシア」

 

 一誠はそう言うとアーシアに手を差し出した。

 

「は、はい!!」

 

 その手をアーシアは嬉しそうに掴んだ。その内側で聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の意識は苦笑していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで良かったのかヴァルゴ」

「ああ、キャンサーが手に入ればいいとあのお方は言っていたからな」

 

 教会から少し離れた場所で男女が話していた。

 

「そうか……しかし赤龍帝があそこまで強いとはな」

「何だ、気になるのか?まあ、流石に貴様も赤龍帝気になるか」

 

 女に言われた男は眼鏡を指で上げるとどうでもよさ気に答えた。

 

「いずれ倒す存在のことを観察するのは当然だ。……では、そろそろ戻らせてもらうぞ」

「ああ。精精正体がばれないようにするんだな」

「ふ、愚問だな」

 

 二人はそれぞれ夜の街に消えていった。




 前回それなりに好評だったので今回も考えてみました。
今回のお題

HSDD及び仮面ライダーで爆発技or似たような技を持ってるメンバーで組んでみた。

『兵士』
兵藤一誠(ドレスブレイク)メ・ギイガ・ギ(体液)スパイダードーパント(リア柔爆発能力)
『騎士』
ガタック(自爆)
『戦車』
ヘラクレス(神器)
『僧侶』
ジェミニ・ゾディアーツ(イーダスとリュンケウス)
『女王』
ユーベルーナ(ボムクイーン)
『王』
ダークキバ(レジェンドルがを滅ぼした自爆技)

 一部可笑しいのがいるのは使用です。
 次回で漸く一巻の内容が終われる……今年中には投稿するのでお楽しみに。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

駒王町のグロンギですよ

 この作品は今回が今年最後の投稿となります。


 翌日、一誠は朝早くにセットしておいた目覚まし時計の音で眼を覚ますとすぐに制服に着替えて学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー、おはよう。昨日はお互いに大変だったわね」

 

 一誠が部室に着くとまだリアスしか来ておらず、そのリアスは優雅にお茶を飲んでいた。

 

「おはようございます部長。そうですね」

「所で昨日の傷はもう大丈夫なのかしら?」

 

 リアスはお茶を机の上に置くと一誠の右手を見ながら聞いた。

 

「はい、アーシアの治療のお陰で傷跡とかも残ってません」

「そう、そこまでの回復能力があるのなら堕天使に狙われても可笑しくは無かったわね」

「それでなんですけど部長……」

「何かしら?」

「アーシアはこれからどうなるんでしょうか?」

「ああ、それなら……」

 

 一誠の質問にリアスが答えるよりも先に部室に備え付けられているシャワールームの扉が開いた。

 

「ぶ、部長さん。シャワー終わりました……い、イッセーさん!!?」

「あ、アーシア!!?」

 

 其処から出てきたのはバスタオルを巻いただけの姿のアーシアだった。一誠の存在に気付いたアーシアは顔を真っ赤にしてシャワールームに戻っていってしまった。

 

「ぶ、部長。何でアーシアがここに?」

「そう言えば一誠にはまだ言ってなかったわね。アーシア、それにレイの二人は昨日から私の眷属になったのよ」

「という事は二人も悪魔に!?」

「そう言う事ね。詳しい事は全員揃ってからにしましょう」

 

 そう言うとリアスはシャワールームに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ二人とも。改めて自己紹介して貰えるかしら?」

 

 部員が全員揃うと早速リアスはそう言った。

 

「は、はい!きょ、今日からこの学校に通わせてもらうアーシア・アルジェントです!」

「細川レイ。特に話す事はない……かな。しいて言うならこれからよろしくお願いします」

 

 アーシアは前のシスター服では無く駒王学園の制服を着ていた。

 

「アーシアは『僧侶』(ビショップ)の駒を一個、レイには……ちょっと特別な駒を使って転生させたわ」

「特別な駒って何なんですか部長?」

 

 全員が揃うまでに悪魔の駒(イーヴィル・ピース)についての一般的な事と『兵士』(ポーン)の駒を自分に全て使った事を聞いていた一誠だったが特別な駒については聞いていなかった為そう質問した。

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)は時々不思議な事が起こるのよ。その過程で誕生した物の一つが『妖精』フェアリーの駒よ」

「フェアリー?」

「ええ。未だに解明されてない部分があるのだけど分かってる事が一つだけあるのよ」

「それって一体……」

「異形の血に関わる人間だけが対象なのよ。今回のレイの場合はアンデッドの血が流れていたからすんなりと出来たのよ」

「は、はあ」

 

 一誠は何とか半分理解したが残りの部分は諦める事にした。

 

「それとイッセーにも改めて言いましょうか。これから宜しく頼むわよイッセー、アーシア、レイ」

「宜しくお願いしますわイッセー君、アーシアちゃん、レイちゃん」

「宜しくイッセー君、アーシアさん、レイさん」

「……よろしくお願いしますイッセー先輩、アーシア先輩、レイ先輩」

 

 最初からオカ研に居たメンバーからの挨拶に三人は声を合わせて答えた。

 

「「「はい!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、一段落と言った所ですかね」

 

 一方、グロンギ達の側では桃花がテレビをつけながら呟いていた。ついているテレビからはこんなニュースが流れていた。

 

『先週から続いていた○○町の謎のショック死事件ですが、警察の調べによりますと何らかの毒物に寄る物と発表されました。これによる死者の数は144人に及んでより警察は毒物の出所を調査してるとの事で…………』

 

 そこまで見た桃花はテレビを切った。そして徐に立ち上がると今居るリビングにある本棚にある一冊の本を抜き取った。

 

「確か此処に……あったあった」

 

 その本の間に挟んであった板を取ると本を本棚にしまった。

 

「さてさて、ギノガさんは成功したんでしょうかね?」

 

 桃花が楽しげに板を見ていると玄関のドアが開く音が聞こえた。

 

「今、帰った」

「ええ、お疲れ様ですバルバさん。ギノガさん、それで楽しめましたか?」

 

 桃花はバルバに労いの言葉を掛けると一緒に居た女性の格好をした男性に向かって言った。

 

「完璧さ。ただ……クウガがいないからかな。簡単に感じたよ。あそこに居た悪魔もそこまで強くも無かったからね」

「という事は……」

「ああ。ギノガはゲゲルを成功させた」

 

 バルバの返答に桃花は安堵の息を吐いた。

 

「それは良かったのですよ」

「良かった?ギノガのゲゲルが失敗していたら何かあったのか」

「いえね、今回戦って貰ったグロンギの皆さんは総じて相手を殺しては駄目だったので苦労したそうですよ?」

 

 桃花の言ったのはグロンギのゲゲル。その最初に決められたルールの事だ。『ゲゲルを行えるのは一人まで。他のプレイヤーは何人も殺してはならない』と言う物がある。現代においては許される場合もあるが今回は不可能であり他のグロンギ達は消化不良だったのだ。

 

「苦労したのに失敗したなんて聞いたらギノガさん死んでたんじゃないでしょうか?」

「そ、それは怖いかな」

 

 ギノガもそれには思わずを苦笑いになった。因みに今回の件にはバダーやガドルが居たのをギノガはまだ知らずにいた。

 

「それじゃあギノガさん。これからも頑張って下さいよ」

「勿論そうするさ」

「ではギノガ、ザジオの所に行くぞ。貴様にも武器が必要になったからな」

 

 バルバとギノガはそう言って家の奥地へ向かって行った。

 

「……フフフフ、首尾は上々。一誠達も私を楽しませてくれそうですしこの世界に転生して万々歳ですよ。良い写真も撮れましたし」

 

 そう言って桃花が取り出した写真は一誠が怒っている写真やレイナーレが怯えている写真。それから白い異形に追われて絶望の表情をしている悪魔達が写っているようなものばかりだった。

 

「やっぱり、人の揺れ動く感情はいつ見ても飽きませんよ」

 

 桃花は写真を全て本棚の上に乗せると背伸びをしながら呟いた。

 

「うーん、世界は次にどんな表情で私を楽しませてくれるんでしょうね」




 今回はさっきやったのでレーティングゲームのメンバーは無しです。
 感想やアドバイスなど書いてくれると嬉しい限りです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

折れなかった赤い龍と折れた不死鳥
新しい朝だそうですよ


 新章開始ですよ!!……それと更新が遅れて申し訳ありませんでした!!今年一杯はこんか感じだと思いますがどうぞよろしくお願いします。


「ふわーーー。……眠たいですね」

 

 眠りから覚めた桃花は目元をこすりながらベッドから起き上がると寝巻きから制服に着替えてリビングまで下りていった。

 

 

 

 

 

 

 

「おや、お嬢様。おはようございます」

「ええ、おはようですよ。他の皆さんは?」

 

 リビングに下りると人間体のグムンが料理を作ってる最中で桃花の姿に気付くと挨拶してきた。

 

「ゲラグはアイドルの仕事に行っていますね。他のメンバーは……いつも道理です」

「ようするにニート生活を満喫してる、と。……ま、いいですよ」

「はは、取り合えず朝食まではもう少しお待ちください」

「了解しましたよ」

 

 グムンとの会話を切り上げると桃花はこの一軒家の地下にある隠し部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ~地下の隠し部屋~

 

「気分はどうですかレイナちゃん?」

「……いいと言うと思うのかしらね」

 

 其処には前回の戦いで桃花に捕らえられた四人の堕天使がいた。

 

「それで我等を捕らえてどうする気だ」

「ドーナシークさん、そんな警戒した目で見ないでくれませんか?思わず殺しちゃいますよ?」

 

 ドーナシークの問いに桃花はゆったりとした口調で返すと自分の用件を話しだした。

 

「そんな難しい事じゃないですよ。……皆さん私の元で働きませんか?」

「「「……はっ?」」」

「私には確か拒否権無かったわよね?」

「ええ、よく覚えてましたねレイナちゃん♪」

 

 他の三人がポカーンとしている横で桃花は前にレイナーレに渡した紙のコピーの内容を確認していた。

 

「ま、私に異論はないわよ。……約束を破る程外道になるのは流石に嫌よ」

「うん、うん。大変賢い判断ですよレイナちゃん」

 

 そう言うと桃花はレイナーレの頭を撫で始めた。

 

「止めてくれないかしら……桃・花・様?」

「……ほほう。これは中々いいものですね」

 

 レイナーレの様つけの呼称に桃花は何かウズウズとするものを感じながら未だにフリーズしている三人の方に振り向いた。

 

「で、貴方達はどうしますか?」

「私は別に構わないっすよ。ていうか断ったらどんな目に会うか分からないですし」

「……私もレイナーレ様が従うのなら従おう」

「女性組は全員了承、と。後は……」

 

 そう言ってずっと下を向いて考え込んでいるドーナシークに視線を向ける。

 

「私は……私が従うのは尊敬するに値する方のみだ。……貴様にその器はあるのか?」

 

 ドーナシークの質問を聞いた桃花は愉快そうな表情で答えた。

 

「なら、ご自分の目でお確かめになったらどうですか?……間近でね」

「……ふん、いいだろう。だが、貴様に器が無ければ私は従わん」

「ええ、お好きなように。では、上にあがりましょうか」

 

 桃花は堕天使四人組を引き連れてリビングまで上がって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、行って来ますよグムンさん、レイナちゃん」

「行ってらっしゃいませお嬢様」「いってらっしゃいな……出来ればそのまま帰ってこないで欲しいわね」

 

 あの後、朝食を食べた私はグムンさんとレイナちゃんの二人に挨拶をして学校に出かけた。……後、レイナちゃん。小声で言ったつもりでしょうがバッチリ聞こえてますからね?帰ったらお仕置きなのですよ。

 

 

「うっ、何かしら悪寒が凄いんだけど」

「……?今日はそんなに寒くないと思いますが?」

 

 因みにあの後、レイナちゃんはグムンさんの手伝いを他の三人が何が出来るかバルバさんに頼んで調査して貰っています。それにしても……

 

「ダグバさんは最近音沙汰ありませんけど何をしてるんでしょうかね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥界のとある場所でそれは起こっていた。

 

「くっ、貴様は一体何なんだ!!?何故、転生悪魔ばかり殺害して行く!!」

「ふふふ」

 

 ある上級悪魔とその眷属悪魔達は眼前で不気味に笑っている白い服の青年に怒りの眼差しを向けていた。よく青年の足元を見れば背中から悪魔の羽を出したまま絶命している転生悪魔が倒れていた。

 

「こ、答えろ!!」

「こんなのはただのゲームじゃないか、何をそんなにカリカリしているのかな?」

 

 青年は流暢に日本語を話すと周囲の悪魔達の姿を確認すると一人の悪魔を見据えた。

 

「ひっ!!」

「君……転生悪魔だよね?」

 

 青年はそう言うとその姿を変貌させて行った。変貌した姿は白い体に肩、腰、背中、頭部に金色の装飾がついた姿をしていた。

 

「く、くるなぁ!!」

 

 青年が変化した異形に見据えられた転生悪魔は魔力の塊を放った。

 

「ふふ、これでちょうど9人目かな」

「ごふっ……」

 

 異形は放たれた攻撃を拳で弾き飛ばすと周りが視認出来ない速度で相手に近づきその腹部に拳を叩きこみ貫通させた。

 

「なっ……くっお前達やれぇぇぇ!!!」

「やるなら君から動いたらどうだい?」

 

 上級悪魔が自らの眷属悪魔達に命令をするが足が竦んでしまったのか動けずにおり、異形に声を掛けられた上級悪魔も怯えた表情で後ずさった。

 

「ふふふ……ん?」

 

 異形が上級悪魔達に近づこうとした時だった、突然遠くの方から誰かが飛んで来た。

 

「……成る程。確かにこれ程の異形となると魔王様クラスかレーティングゲームのランキング上位者が駆り出されるのも無理はないようだな」

 

 その人物は灰色の髪と眼に何処か物寂しげなオーラを身に纏っていた。

 

「……この魔力、何者かな?」

「ディハウザー・ベリアル。しがない悪魔だよ」

 

 これまで一定の反応しか無かった異形だったがその名前を聞いた瞬間驚きの声が漏れた。

 

「へえ、レーティングゲームの『王者』様が出てくるなんてね」

「それだけ危険だという事だ、異形」

「ま、出生率の減った悪魔からしたらそうなのかもしれないね」

 

 異形はそう言うと初めて構えらしき物を取った。

 

「噂の『無価値』と言うのがどういうものか同じ『王』として気になってたんだ。……君は僕を笑顔にしてくれるのかな?」

「…………」

 

 二人の王者が冥界にて激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何でしょう、今とてつもなく嫌な光景が見えた気が……気のせいだといいですね」

 

 私がそんな風に考えているといつの間にか駒王学園の校門前に到着していました。

 

「おや、あれは……」

 

 校門前に見知った顔を見つけた私はその人物に挨拶を掛けた。

 

「どうも、おはようございますスプーン君」

「おはようございまs……てっ俺の名前は匙だって毎回言ってるだろうが桃花!!」

 

 スプーン君……もとい匙とは私がこの学園に入学してからの始めての友人で今でもそれなりに仲が良い数少ない私の友人です。

 

「はいはい。それで生徒会に入ったはいいですけど支取会長にアプローチとかしてるんですか」

「ば、馬鹿やろう!こんな所でそんな話するなって!!」

 

 以前、私に恋愛相談をしてきた匙ですが……この調子じゃあんまり進歩してないようですね。

 

「まあ、頑張ってくださいよ匙。私の貴重な五秒を使って相談を受けたあげたのですから成功しないと……ね?」

 

 私が薄い笑みで言うと匙は何故か呆れた顔で溜息をつきました。……友達じゃなかったら蹴ってた所でしたよ。

 

「あのな……話を聞いて帰っただけだよなお前は」

「その後メールを送ったじゃないですか」

「ああ、『当たって粉々に砕けて下さい。あ、その写真は後で下さい』ってメールがな」

「ええ。結局匙はしてませんけど」

「出きるかぁぁ!!!」

 

 煩いですよ匙。周りが奇異な眼を向けてるじゃないですか。

 

「当たるのはまだ分かるさ!でも、何で砕けろ何だよ!!そこは普通プラスな事を書くべきだろ!!何だお前実は俺が嫌いだろ!!」

「いえ、そんな事は……嫌、でも……」

「そこで真面目に考えるなよ!!!」

「ふふ、冗談ですよ」

 

 やっぱり匙はからかうと面白いのですよ。

 

「たっく、じゃあな!」

「ええ、またその内」

 

 クラスが違うので途中で匙と分かれた私はそのまま教室に向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後になると私は何日かぶりにオカルト研究部に行こうと思い部室に向かっています。それにしても……

 

「朝方に眼鏡と坊主頭が言っていたミルたんの同種……警戒しておきましょうかね」

 

 というか一誠も一誠で友達に何を紹介してるんでしょうかね。……私も今度匙に紹介しましょうかね。幸い私もミルたんの電話番号は知ってますし。

 

「てっ、これは……面白い気配じゃないですか」

 

 部室の方から感じる魔力……質量的に最上級悪魔クラスはありますが……

 

「ふふ、今度の出会いは私にどんな記録をくれるのでしょうね」

 

 私はそんな事を口に出しながら魔力の感じる部室に向かって行った。




 取り合えずこの作品の今後の目標は目指せお気に入り人数100と評価者5人以上で行きたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

婚約者が来るそうですよ

 文章の書き方がこれであってるのか不安。あ、後評価とか感想を下さると嬉しいです、はい。


 私が部室に着くと中には既にリアス・グレモリー眷属が居て妙な緊張感が漂っていました。まあ、緊張の原因はあそこにいる人なんでしょうけど。

 

 

「…………どちら様ですか?」

「初めまして桃花様。私はグレモリー家に仕えるメイドのグレイフィアと申します」

「ご丁寧にどうも。私は白百合桃花ですよ」

「はい。お嬢様より伺っておりますよ、色々と」

 

 その瞬間銀色の髪にメイド服のグレイフィアさんが私にだけ殺気を飛ばして来ました。

 

「何を聞いていたのか個人的に気になりますね」

「……!平気なのですか」

 

 グレイフィアさんは少しだけ驚いた顔をしたがすぐに元の落ち着いた表情に戻りました。正直、ダグバさんと殺し合い(拒否権無しの手加減抜き)をした私からしたらこの程度の殺気なんかは気にもなりませんよ。

 

「それじゃあ全員揃ったみたいだから部活をする前に話しておきたい事があるわ。実は……」

「…………何か来る」

 

 リアス・グレモリーの話を遮る形でレイさんが呟くと突然部室に合った魔法陣が輝き始めました。その魔法陣は序所に書いてある模様が変化して行き最終的には全く別のマークに変わってしまいました。

 

「フェニックスの紋様……」

 

 木場祐斗が言い終えるとタイミング良く魔法陣からチンピラみたいな服装をした金髪の見るからに不良そうな男性が炎を纏って出て来ました……。

 

「やあ、リアス。久しぶりだなっぶふぁ!!?」

「貴方は放火でもしにきたのですか?」

 

 思わず神器(セイクリッド・ギア)で水のエルロードの力を呼び出して水流をぶつけてしまいましたが……これも消火のためなのですよ。

 

「貴様ぁ!!この俺に喧嘩を売っているのか!!!」

「喧しい、煩い、騒々しい。フェニックスだか知りませんが炎を纏って登場とか止めてくれませんか?これで校舎が燃えたら貴方はどうするのですか?普通の炎ならまだしも悪魔の炎が燃え移ったら沈下するか分からないのですよ?大体、ここが燃えたらリアスさん達が困りますよね?そんな事も分からない程鳥頭なんですか?三歩歩いたら忘れる燃えている鳥なんですか貴方はぁ?」

「グ、グヌヌヌ」

 

 この不良があまりにもウザイので言いたいことを言うと少し唸って黙ってしまいました。

 

「分かったのなら……リアスさん、後は任せましたよ」

「え、ええ。貴女ってこんなに喋るのね」

「今回だけですよ」

 

 そう言って私は不良をリアス・グレモリーに任せてしばらく傍観に徹する事にしました。

 

「くっ……と、所でリアス、新しく眷属が増えたみたいだな」

「……ええ、皆、一応自己紹介をしなさい」

 

 不良は場の空気を変えるためか咳払いをしてからリアス・グレモリーに言い、リアス・グレモリーに言われて各々が自己紹介を始めた。

 

「り、リアス・グレモリー様の僧侶のアーシア・アルジェントです!」

「…………『妖精』、細川レイ」

「リアス・グレモリー様の兵士、兵藤一誠だ!!」

 

 アーシアさんは緊張気味に、レイさんは嫌々そうに、一誠は大きな声で自己紹介をしました。

 

「ん?俺に水をぶっかけたそいつが自己紹介をしていないみたいだが……」

「彼女は私の眷属じゃないわ。……ちょっとした協力者よ」

 

 リアス・グレモリーに言われて不良は納得したのかそれ以上私に対しては何も言ってきませんでした。

 

「さて、リアス。俺が今日態々人間界に来た理由は分かるよな」

「……ライザー、前から言っているけど私は貴方と結婚なんてする気は無いわ」

「つれないな「結婚!!?」あ……あ?」

 

 不良の言葉を遮って一誠が叫びました。

 

「ぶ、部長。結婚ってどういうことですか!?というかこいつは誰なんですか!?」

「何だリアス、下僕に俺の事を話してなかったのか?」

 

 それを聞くと不良は一誠を馬鹿にした様な口調でリアス・グレモリーに質問しました。

 

「話す必要が無かったからよ。……イッセー、この男はライザー・フェニックス。フェニックス家の三男よ」

「そんでもってリアスの婚約者だな」

「はっ!?」「婚約者ぁぁ!!?」

 

 イッセーも今の言葉に驚きの声をあげていましたが私も驚きですよ。

 

「まさか、リアスさんの趣味が不良悪魔だったとは……」

「好きで婚約してるわけじゃないわよ!!!」

 

 私の呟きを聞き取ったリアス・グレモリーが嫌そうな顔で叫びました。

 

 

 

 

 

 

 

 その後にリアス・グレモリーからの説明がありそれを簡略化するとこの婚約はリアス・グレモリーが好きで結んだ物では無く不良の家とリアス・グレモリーの家の現当主、二人の親が結んだ物でリアス・グレモリーはその時からこの婚約に反対していたそうだ。

 更に言えばリアス・グレモリーが大学を卒業するまでは自由だという話なのに最近になって周囲の人間達が急かして来るそうですよ。

 

「兎に角ライザー!私は貴方と結婚する気なんてこれっぽっちも無いわ!!」

「それは前にも聞いたさ。だがな、リアス。お前のところの御家事情だって悠長にしてるわけにはいかないだろう?」

「そんな事は貴方に言われなくても分かってるわ!大体、婿養子なら私が自分で選ぶわ。その相手は断じて貴方ではないわ!!」

「そうか……その相手というのは当然純潔悪魔なんだろうな?」

「え?」

 

 ここに来て不良は先程までのおちゃらけた雰囲気から真面目な雰囲気になるとリアス・グレモリーに対して問いかけた。

 

「別に君が他の純潔悪魔を婿として迎えるのであれば純潔悪魔の血筋は守られ君の父君やサーゼクス様も安心されるだろう。だが……な。君が純潔では無い悪魔、例えば転生悪魔を婿に迎えたとしよう。そうなれば我がフェニックス家は『たかが転生悪魔風情にグレモリー家当主を掠め取られた哀れな悪魔』と罵られてしまう。……俺もお家の看板を背負ってここに来たわけだ。その名前に”また”泥を塗る事なぞ俺には出来ない。なぁ、リアス。どうなんだ?」

「そ、それは……」

 

 リアス・グレモリーが言い淀んでいると不良はまたおちゃらけた雰囲気に戻り愚痴りだす。

 

「そもそも俺は転生悪魔が嫌いだ。特に人間の転生悪魔なんて見るのも嫌だね。そんな奴等の故郷に来るのなんて本当に嫌だった。そうまでしてここに来たのに君がついて来ないのなら……此処に居る君の下僕を燃やしてでも連れ帰るぞ」

 

 そう言って不良は再び炎を出現させるとイッセー達を一睨みしました。はぁ、またですか。

 

「大体、この世界の炎と風は汚い」

 

 ……は?こいつは何を言っているんだ?

 

「炎と風を司る悪魔としては許しがたいんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごぶっ!!?」

 

 ライザーがその言葉を言った瞬間、桃花はライザーの腹部に蹴りを入れ壁に叩き付けた。

 

「なっ、桃花!?」

 

 その行動にイッセーは声を出して驚き他のメンバーも等しく驚愕の表情をしていた。そして、蹴った本人である桃花はライザーを上から見下ろしていた。

 

「下等な悪魔風情がこの世界の炎を、風を、判断するな。何よりも司る?……だったらこれを耐えてみてくださいよ……」

 

 気がつけば桃花の周りを伝説との戦いの記録(レジェンダリーエピソード)のページが飛んでおり飛んでるページには”白い四本角”のマークや”究極の闇”との記述、”第0号”と書かれていた。

 

「エピソード……○・○○○・○○」

 

 桃花の言葉と共に周囲を眩しい光が包んだ。




 嘘予告始まるよ!

 やめて!究極の闇の力で燃やされたらいくら不死身のフェニックスでも精神が焼き殺されちゃう!
 お願い死なないでライザー!あんたがここで死んだらリアスさんとの婚約はどうするのよ?ライフはまだ残ってる。これを耐えれば、究極の闇に勝てるんだから!

次回「ライザー死す」















 うん、仮に焼却に耐えても勝てる可能性無いね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

婚約者が腑抜けなそうですよ

 さあ、ライザーはどうなるのでしょうか!


「そこまでにしてもらえませんか桃花()

「……」

 

 光が止むとそこには腕が白と金の装甲の様に変化した桃花の腕を掴んだグレイフィアの姿があった。掴まれている桃花はグレイフィアを一睨みすると神器を消し、腕の変化も解除すると周囲を見渡した。

 

「ぐっ……皆大丈夫?」

「僕は何とか……」

「わ、私も」

「……ちっ、何かな今のはー?表の奴気絶しちゃったんですけど」

「お、俺も大丈夫です……てっ小猫ちゃんに朱乃さん!!何してるんですか」

「「え……?」」

 

 上から順にリアス、祐斗、レイ、アーシア、一誠、朱乃と小猫が喋った。だがリアスは部室の机に手を置いて何とか立っており、祐斗とレイは各々の剣で自分の体重を支え、一誠はその場に膝をつきアーシアは気絶して黒アーシア(前の様に極端な変化は無くツリ眼になるだけ)に変わっていた。そして朱乃と小猫の二人が最も酷く、朱乃は雷を自らに放とうとし小猫は自分の首を絞めようとしていた。

 

「……すみませんでした。皆さん」

 

 その現状を見た桃花は珍しく冷や汗を流して全員に向かって頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふぅ……やり過ぎましたよ。幾ら私にとって娯楽に溢れる世界を馬鹿にされたとは言えダグバさんの力はやり過ぎですよね。現に皆さん凄いぐらい緊張しちゃいましたし、塔城小猫と姫島朱乃の二人何か自殺未遂してますし。……まあ、気持ちは分かりますよ。私だってダグバさんと初めて会った時は死を選びかけましたし。……そう言えばあの不良は……

 

「あ……」

「ガクガクガクガクガクガク」

 

 姿の見えない不良を探してカーテンを捲ると先程の不良がガタガタと声に出して震えていました。……うん

 

「情けないですね」

「は……!?う、煩い!!」

 

 まだ不良……いえ腰抜けが何かを言おうとするとグレイフィアさんが遮るように私達の間に入ってきました。

 

「ライザー様。これ以上彼女を挑発する様であれば私が相手になりますが」

「っ!!い、いや。俺も最強の女王と名高いあんたとやる気は無い」

「それなら結構です。……さて、こうなる事は……流石に想定してませんでしたが」

 

 何で一瞬こっちを見るんですかね?グレイフィアさんは咳払いを一つし話を続ける。

 

「今回の話し合いで決着がつかなかった場合、レーティングゲームで決着をつける様に両家の方々と魔王サーゼクス様より承っております」

「っ!!」

 

 レーティングゲーム?確かガドルさんが言うに悪魔達が下僕同士を伴って戦うゲームですよね?でも確か……

 

「グレイフィア、レーティングゲームは確か成熟した悪魔だけが受けれた筈よ」

「ええ、なので今回のこれは非公式の物となります」

「そう……受けるわよ。それしかライザーとの婚約を簡単に解消出切る方法は無さそうだし

もの」

「ふふ、いいのかいリアス?」

 

 今更カッコつけてる腰抜けですが……もうさっきの威厳なんて無いですよ?ていうかアーシアさんに至っては飽きて知恵の輪やり出してますし。

 

「どういう意味かしらライザー?」

「君の眷属はまだ全員揃っておらず俺の眷属に対抗出来そうなのも『雷の巫女』である君のクイーンだけじゃないか」

 

 腰抜けはそう言うと指を鳴らしました。すると先程腰抜けが出てきた魔法陣が再度光り其処から10人以上はいる女性達が出て来ました。

 

「こいつらが俺の眷属達だ。まあ、一人は遅れてるそうだがな」

 

 ふーん。しかし全員女性(しかも後一人居る)とは……一誠は何か泣き出してますし。

 

「り、リアス。何で其処の下僕君は泣いているのかな」

「その子の夢がハーレムなのよ。多分貴方の眷属を見て感動したんじゃないかしら」

 

 そう言えば一誠の夢はハーレムでしたね。それを聞いた腰抜けはと言うと最初の尊大な雰囲気を取り戻していました。

 

「は!よく見ておきな転生悪魔君。君には一生出来ないことだろうからなあ」

 

 腰抜けは自分の近くに居た、恐らく距離的に女王である女性に顔を近づけそのまま……

 

「……節操なしの種まき野郎」

 

 接吻をしようとした所でレイさんの呟きを聞き動きを止めた。

 

「……何か言ったかなお嬢さん」

「別に。ただ、婚約者の前で別の女性とキスするなんて屑だなって思っただけ。これならへたれの一誠の方がマシ」

 

 腰抜けがその言葉に反応するよりも早く根を持った小柄な少女がレイさんに接近し根を振り下ろそうとしました。

 

「おっと」

「っ!」

 

 しかしその攻撃は横から割って入って来た木場祐斗の剣に防がれました。

 

「ライザーさん。この子を下がらして貰えないかな?」

「ほう、お前は確かリアスの騎士だったな。下がらせないと言ったらどうする?」

「……禁忌を犯してでも貴方とその眷属を再起不能にします」

 

 木場祐斗はいつものニコニコとした表情でも戦闘時の顔でも無い、少なくとも私が始めてみる冷酷さに満ちた顔をしていました。

 

「っ!!」

「ライザーさん。貴方の行動に怒ってるのは何もイッセー君やレイさんだけでは無いですよ」

 

 そう言われた腰抜けは少し驚いた顔で固まっていると一気に笑い出した。

 

「ふ、ふふ。成る程、これなら少しは面白くなりそうだな。だが、どうせだゲームは10日後にやろうじゃないか」

「10日後?情けのつもりかしら?」

「リアス、王ならば感情的に物事を考えるのは関心しないな」

「……なら遠慮なく。後悔させてあげるわ」

「ああ、期待しているよリアス」

 

 そう言い眷族が先に、続いて腰抜けが転移しようとした瞬間。

 

「この愚兄がああああ!!!!!」

「ゴボッッ!!!??」

 

 その魔法陣から現れた金髪をドリルみたく結び西洋風のドレスを着た少女に壁まで蹴り飛ばされました。……てっ、はい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おら愚兄!!百歩譲ってリアス様に挨拶に行くのは分かりますがそれでその態度は何事ですか!!」

「ち、違うんだレイヴェル!!これには訳が「問答無用ですわ!!」ゴフッ!!!」

 

 ええーと、突然現れた少女は腰抜けに対して馬乗りになるとその顔に拳を叩き落しながら説教をし始めました。それを見た眷族の皆さんも驚愕の顔のまま固まってしまいました。

 

「ぐ、グレイフィアさん、あちらの女性は?」

「彼女はレイヴェル・フェニックス。ライザー様の妹君になられます」

「成る程。……それであの行動は?」

「それは……私にも分かりかねます」

 

 私とグレイフィアさんが会話をしているといち早く再起動した一誠が声を掛けて行きました。

 

「あ、あのー」

「何ですの!!私は今忙しいので後にして下さいな!!」

「え、あ、はい!」

「てっ……ああ!!も、申し訳ありませんでした!!!」

 

 一誠への対応でようやく状況を思い出したのか馬乗りフェニックスさんは腰抜けの上からどいて……あ、最後に蹴り入れましたね、服装を正すと改めて話し出しました。

 

「改めまして私、この愚兄の妹をしておりますレイヴェル・フェニックスですわ。以後、お見知りおきを」

 

 そう言って頭を下げると私達の反応を待たずに腰抜けを起こすと魔法陣まで歩いて行き

 

「私もレーティングゲーム、楽しみにしてますわ」

 

 そう言って今度こそ腰抜けと共に転移して行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と言う訳です」

 

 外は既に暗くっているにも関わらず部屋の電気がついてない部屋で桃花は今日のライザー・フェニックスの来坊について話していた。

 

「ふむ……つまらんな」

「全くだ」

 

 それを聞いたバルバとガリマの女性グロンギは簡単に切り捨てた。

 

「だが、強い奴に恐怖を覚えることは大切だと思うがな」

「貴様が言うと説得力が違うなゴオマ」

 

 一方、かつては弱かったゴオマはライザーに同情の念を覚え、ガドルはそんなゴオマに呆れた声で言った。

 

「で、我等はどう動く気なのだ桃花よ」

 

 このメンバーの中でも異質なオーラを纏った金色のメッシュが入った赤い髪に野獣のような顔つきと眼光、黒地のコートのガミオが桃花に問うた。

 

「グレモリー眷属の魔改造を目的として動きます。それに際し何人かのグロンギの皆さんに着いて来て欲しいです。それからザジオさんに早急に私専用の武器を作成して貰わねば」

「グロンギに関してはお前の頼みなら大体聞くだろう。だが……武器はいるのか?」

 

 ガミオは武器の必要性がわからないのか不思議そうに聞いた。

 

「ええ。まずタイタンソードやドラゴンロッドと言った武器はあくまで模造品で”私の”とは言いづらいですよ。次に神器に関しては武器ですが威力調整が大変で特訓には不向きなんですよ」

 

 桃花の神器、伝説との戦いの記録はそれこそショッカー戦闘員からン・ダグバ・ゼバまでと言った風に最小から最大までと豊富ではあるが微調整をするとなると体力の消費が激しいのである。

 

「なので武器は必要なのですよ?」

「そういう理由であるのであればこれ以上我からは何も無い」

 

 ガミオはそう言うと残りのメンバーに視線を向けた。残りのメンバーも特に無いのか視線に対して頷いた。そんな時、ふと携帯の音が鳴り出した。

 

「おや、電話ですか」

 

 電話の音源は桃花のポケットで、桃花は携帯を取り出し相手を確認すると楽しそうに通話ボタンを押した。

 

「どうもお久しぶりですね。冥界旅行はどうでした?え、ベルトに不備が出たんですか?分かりました、帰ってきたらザジオさんに治させますね。というか貴方を相手にそんな事出来るとか相手は誰ですか?は?……いやいや、相手も二ヶ月は動けないだろうとか聞いてないですからね」

 

 桃花が出すには珍しい楽しげな雰囲気に気圧されるグロンギの面々だったがゴオマが何とか桃花に声を掛けた。

 

「桃花……相手は誰だ?」

「え?うーん……特訓の最終関門にして絶大なトラウマ製造機ですよ♪」

 

 桃花はウィンクをしながらそう答えた。




 期待に答えてライザーを爆発させても良かったんですがシナリオ上止めました。そもそも自分はライザーのキャラ意外と好きですし。

 さて最後の電話の相手が誰か分かったとしても黙っておいてくださいね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

山に行くそうですよ

 今回は結構話をカットしてたりします。
 アドバイスや感想、評価や批判などお待ちしてます。


「ふーむ、山で特訓ですか」

 

 私がグレモリー眷族魔改造計画の計画書を纏めていると突然リアス・グレモリーからの電話があり明日から山に籠るから準備をしておいてほしいという連絡がありました。

 

「ええ」

「それはいいのですが……非常識な時間帯に電話しないでくれませんかね?」

 

 現在時刻、夜中の3時。

 

「あら、ごめんなさい。私達にとっては夜の方が力が出るから多少は、ね」

「……ま、いいですよ。所でリアスさん、一つ提案何ですが」

「何かしら?」

「貴方達の特訓の計画、私が立ててあげましょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで今から山に行きますよ」

「……唐突に何なのかしら。私、眠いのだけど」

 

 リアス・グレモリーから特訓の許可を受け取った私は連れていく予定だった人達を叩き起こして居間に強引に連れて行きました。レイナちゃんは黒いネグリジェの格好のまま目元を擦りながら文句を言いました。

 

「ふむ…………起きなさい」

「冷たッ!?」

 

 伝説との戦いの記録(レジェンダリーエピソード)を起動させてウェザードーパントの様な白い服装になり、レイナちゃんの頭上にだけ雨を展開しました。

 

「いきなり何するのよ!!」

「一向に目覚めないレイナちゃんが悪いのですよ。ま、その格好はその罰ですよ?」

「はい?…………はい!?」

 

 雨に濡れたレイナちゃんの体にネグリジェが引っ付きその体のラインを露にしていました。……というか

 

「下着ぐらい着けてから来ましょうね、レイナちゃん」

「だ、誰のせいだと思ってるのよぉぉぉ!!!」

 

 自分の現状に気づいたレイナちゃんは顔を真っ赤にして自室に戻って行ってしまいました。

 

「これは……私が悪いのでしょうか?」

「「知らん」」

 

 連れて行くメンバー予定のガドルさんとゴオマさんに質問しましたが返ってきたのは適当な返答だけでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で山に着きましたよ」

「誰に説明をしているんだ」

 

 あの後、黒いワンピースに着替えたレイナちゃんを含めたメンバーでリアス・グレモリーの指定した山にまでやって来ました。

 

「それにしても流石は上級悪魔の家柄。随分と良い場所に別荘があるもんですね」

 

 私が見つめる先にはグレモリー家の所有する木造の別荘が見え、中ではグムンさんとべ集団の方々が荷物の整理をしてくれています。グレモリー家のメイドや執事や召使はリアス・グレモリーが来なくて良いと言ったそうですよ。

 

「しかし……本当に奴は来るのか?しかも誰も殺す事無く」

「ええ、夕方には此方に着くそうですよ」

 

 ゴオマさんは私の答えを聞くと胡散臭い物を見る眼で見て来ました。

 

「それよりゴオマさんはもう準備出来てるんですか?相手はあの赤龍帝何ですから」

「問題ない。まだ『鎧』が顕現してないなら恐れる必要は無い」

 

 そう言うとゴオマさんは日傘を差したまま別荘に入っていってしまいました。

 

「それもそうですね……さあ、一誠。せめて最終日には鎧を出せないと……死にますよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、つ、疲れた」

「い、イッセーさん。大丈夫ですか?」

 

 早朝から山道を全員の荷物を持って登って来た一誠は頂上につくと荷物を横に置いて地面に倒れた。それを見たアーシアは心配そうに声を掛けた。

 

「お、おう。大丈夫だよアーシア」

「それなら良かったです」

「もう、イッセー。このぐらいでへこたれてちゃ今回の特訓は乗り切れないわよ」

「す、すいません部長。所で……今回の特訓が桃花の案っていうのは本当なんですか?」

「ええ、本当よ」

 

 リアス達が別荘の前で会話をしていると別荘の方から執事服を着て、首から蜘蛛の巣のアクセサリーを掛けた青年(イメージは上城睦月)が出てきた。

 

「お待ちしていましたグレモリー眷属の皆さん。悪魔と関係の無い私が言うのは少々可笑しいですが歓迎します」

 

 青年、グムンはそう言って一礼すると一誠の横に置いてある荷物を担いだ。

 

「荷物は私が運んで置きましょう。その際皆様の部屋に桃花様の指示の紙を置いておきますのでそれに従ってくださいませ」

「分かったわ。……お手並み拝見とさせて貰うわ」

 

 リアスの返事を確認したグムンは荷物を持って別荘に入って行った。そしてリアス達もその後すぐに別荘に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【特訓風景】

 

 部屋に戻ったグレモリー眷属は部屋にある指示に素直に従って所定の場所に立っていた。

 

「私の特訓内容……『王としての器』とあるけどどういうことかしら」

 

 リアスは別荘内の自室に制服で待機しながら手紙の内容を確認していた。するとドアがノックされた。

 

「入って構わないわ」

「うむ、では失礼する」

「……ッ!!?」

 

 入って来たその男を見た瞬間リアスは咄嗟に滅びの魔力を放っていた。だが、

 

「危ないな」

 

 男は至極冷静な様子でオーラの様な物を放ちそれを相殺させた。

 

「ご、ごめんなさい」

「まあ、いい。いきなり我のような男が入ってくれば警戒するのは当然だ」

 

 男はカカカと豪快な様で洗練されたかの様な笑いをするとリアスに向き合った。

 

「改めて初めましてだ若き王よ。我は白百合我雄(がお)。とある民族の王だったものだ」

 

 男、我雄は威風堂々と言い放った。

 

 

 

 

 

 小猫は周囲に何も無い更地の様な場所に呼ばれていた。其処には既にギャンブラーの様な姿の男が待っていた。

 

「……貴方が私の相手ですか?」

「その通りだ。心底不快だがな」

 

 男、ガメゴはそう吐き捨てた。それには小猫も黙っておられず抗議の声を上げようとした。

 

「それはっ!!」

「……言うだけならば誰でも出来る。打ってみろ、それで分かる」

 

 ガメゴはそう言うと怪人体に変身もせずに小猫の正面を向いた。

 

「ッ!!」

「やはりこの程度か。いいか拳とはこう打つのだ」

「がっ!!」

 

 小猫の放たれた拳はガメゴに当たった。が、ガメゴはそれを意にも介さず、逆に小猫を殴り飛ばした。

 

「この程度の拳がこのゴ・ガメゴ・レに通じるか!!」

 

 

 

 

 

「わ、私のこれはどういう意味なのでしょうか?」

 

 アーシアは一人部屋でオロオロしていた。と言うのも桃花から貰った手紙に『待機、自主トレ、イメトレ』としか書いていなかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、レイさんもここなんだね」

「うん。それより……気付いてる?」

「一応はね」

 

 レイと祐斗の二人が後ろに飛びのいた。次の瞬間先程まで二人の居た場所の間を何かが通り過ぎて行った。

 

「っ!!お前は!!」

「……ゴ・ガドル・バ」

 

 飛んできた方向を見れば眼を緑色に変化させ手にボーガンに似た武器を持ったガドルが立っていた。

 

「やはりお前達は他の物よりは基礎が出来ているな」

 

 ガドルはそう言い、眼の色を紫へと変化させた。それと同時に手の武器もボーガンから大剣へと変化した。

 

「レイさん!!」

「分かってる……!!」

 

 二人は瞬時に自分の武器である剣を生成するとガドルに斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

「私の相手は貴女ですのね」

「ええ、そうですよ朱乃さん」

 

 別荘の屋上にて各々の翼を出現させ空中で二人は会話していた。片や悪魔の翼を片や神器で出した赤い鳥の翼を羽ばたかせていた。

 

「取り合えず貴女はとっとと自分の力を受け入れてくれませんかね」

「……それを知っていると言うことはあの時私達親子を助けてくれたのは貴女だったのね」

「ええ、まあ。……元気にしてますか?」

「体に不自由はありますが元気にしてますわ」

 

 それを聞いた桃花はホッと息をついた。

 

「でしたら堕天使の力を受け付けないのは何故ですか?」

「私はあんな男の力が無くても強くなってみせますわ。だから『光』なんていらない」

「うーむ……随分と捻じ曲がった考えな事で」

 

 桃花は苦笑気味に呟くと神器のページを大量に周囲にばら撒いた。

 

「でしたらまずはその考え方を矯正しましょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おりゃ!!」『Boost!!』

「遅いぞ赤龍帝、この程度ではフェニックスには勝てんぞ」

 

 別荘近くの林の中。其処では一誠と既に怪人体になっているゴオマ通常体の姿があった。一誠の倍加した拳をゴオマは軽くいなして行った

 

「くそっ!!」

 

 一誠がこうしてゴオマと殴り合っている理由は簡単だった。

 

「大きいお乳が一番だろうがぁぁぁ!!!」

「黙れ、あんなデカイだけの乳袋など下劣だ」

 

 一誠が特訓中に漏らしたおっぱいという言葉にゴオマがあんなものと言った事が原因、簡潔に言うならくだらない理由だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあー、疲れた」

 

 結局ゴオマの方が妥協した結果不毛な戦いは終わり、ちゃんとした修行を終えた一誠はその場に倒れこんだ。ゴオマは先に帰っていて今は一誠一人だけだった。

 

「にしてもこの修行って何の意味があるんだろうな」

 

 一誠が今日やった事と言えば魔力を捻り出すのと限界までゴオマと戦う事だけでそれ以外の事は何もしておらず一誠は本当に意味があるのか疑問に思っていた。

 

「ちょっといいかな」

「は、はい!!」

 

 そんな風に考えていたからだろうか突然後ろから掛けられた声に思わず一誠は驚いた。

 

「……?」

 

 其処に立っていたのは一誠が始めて見る人物だった。彼は中性的な顔に白い服を着た何処にでもいる様な好青年だったが一誠は何か違和感を感じた。

 

「この近くに建物があるって聞いたのだけど君は何か知らないかな」

「え、建物?それなら俺達が泊まってる別荘位しか無いと思うけど」

「なら多分其処だね、案内してくれないかい?」

「いいですけど……名前だけ聞いても良いですか?」

「それぐらいならいいよ。黒百合、黒百合零王(れお)

 

 零王は笑顔を浮かべながらそう名乗った。




 大雑把ですが解説です。
 特訓の内容は今後も描写しないで行くと思います。糞長くなるので。なのでこの後書きで大体の内容と目的を話していきます。
 まずリアスは王としての覚悟の為に我雄さんの威圧に耐えたりその中でレーティングゲームの対策をしてます。小猫は攻防の両方を亀さんに鍛えて貰ってます。また不機嫌だった理由は自分の力を隠しているからです。

 アーシアは正直この作品では鍛える必要が無い位強いんです(黒アーシアで無双すればいいし回復も現段階ではトップクラスなので)。祐斗&レイは兎に角実践経験の獲得ですね。祐斗に関しては神器外の秘密もあるのですが……まだ秘密です。
 朱乃さんは桃花の英才教育中です。一誠はゴオマさんに魔力の使い方、禁手への下準備を教えて貰ってます。

 さて零王……ダレナンダロナー。
 アドバイスや感想、批判や評価などもお待ちしてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

グロンギ会議と謝罪ですよ

 今回は生きてますよアピールと軽く済ませておきたい部分なので短めです。


 

「そういえばグムンさん」

「何ですか桃花様」

「あの人に私の居場所って教えてあります?」

「いえ、教えてませんが」

「それって誰かと遭遇しませんかね」

「……あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……(き、気まずい)」

 

 俺が修行を終えて帰っている時に会った奴、確か零王って言ってたな。そいつを案内している最中なんだが……ずっと笑っているだけなのに嫌な感じがするんだよなあ。

 

「ねえ」

「は、はい!」

 

 俺は突然の声掛けに驚いて敬語で返事をしてしまった。零王はクスクスと笑ってから話出した。

 

「ふふ、そんなに緊張しなくて良いよ。ちょっと聞きたいことがあってね」

「は、はあ」

 

 唐突な零王の言葉に少し戸惑ってしまい曖昧な言葉を返してしまった。

 

「桃花……白百合桃花をどう思う?」

「はあ?」

 

 今度は純粋に質問の意味が分からなかった。何で突然桃花の名前が出て来るんだよ。

 

「僕は彼女の従兄弟でね。どうしてるか気になったんだ」

「何だそういうことか。つっても桃花の奴をどう思ってるかなんてなぁ」

 

 実際、あいつと俺の関係なんて昔からの知り合いってだけだよな。会話するようになったのも最近だし。うん

 

「ただの友達だよ」

「それは良かった」

「良かった?」

 

 友達が居て良かったってことか?つっても桃花の奴は意外と人気だから友達もたくさんいると思うんだけどな。

 俺の表情を見て零王は何かに気付いたのか手を横に振った。

 

「ああ、こっちの事情だよ。君の考えているような事は思ってないよ」

「そうか。まあ、俺もそんなに詳しくないしどうせだったら桃花に直接聞けよな」

「そうさせて貰うよ。ちょうどついたみたいだしね」

 

 零王がそう言うので前を見てみると部長の別荘が見えていた。

 

「じゃあ、僕はここで。兵藤一誠君、強くなりなよ。折角力を持ったんだからね」

「おう!てっ、あれ?」

 

 いつの間にか零王がいなくなっていて周囲を見てみてもそれらしい人影は見つからなかった。

 

「まさか幽霊!?……嫌、足はあったし違うよな。それにしても俺名前言ったか?

 ……まあいいか。部長たちも待ってるかもしれないし早く戻らないとな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、ダグバさんには困ったものですよ。いきなり赤龍帝と接触するなんて」

「仕方ない。ダグバはそういう奴だ」

 

 ゴオマさんの言う事は分かりますけどもう少し時と場所を考えて欲しいものですよ。私はリアス・グレモリーに宛がわれた部屋の中で文句を言いながらダグバさんが部屋に来るのを待っていました。

 

「そう言えばガドルさん。ガミオさんは何処に行きました?」

「知らん。そう言う雑務はグムンに聞け」

 

 いや、居ないから聞いてるんですけど。はあ、皆さんその辺の融通がきかないんですよね。

 

「所で皆さん修行初日の感想はどうですか?」

「「「弱すぎる」」」

「ですよねー。……まっ、気持ちは分かりますけど」

 

 そう言いながら私は昼間の姫島朱乃との修行を思い出す。強くなろうと思う意思は感じましたが一向に堕天使の力は使おうとしない。ガドルさんやゴオマさんの様に力を温存しているわけでも無く使う気が無い。なのに強くなりたいとか

 

「世の中なめ過ぎですよ」

 

 私はそう言って今日の修行の合間に取った彼女の苦しんでいる写真を一枚も残さず燃やした。こんな奴の写真は私のアルバムには要りませんね。

 

「すまないな、遅れた」

「桃花、ちゃんと場所はさっきに言っておいてね」

 

 丁度その時、部屋のドアを開けて二人の王が入って来た。一方は威風堂々ともう片方はあくまでも自然体にも関わらず見るものを萎縮させる雰囲気を纏っていました。

 

「構いませんよガミオさん。後、ダグバさん。そう言うなら携帯の一つは持ってください」

「気が向いたらね」

 

 あー、持つ気ありませんねダグバさん。まあ、これで揃いましたね。

 

「では、リアス・グレモリー達が食事を取っている間に話しましょうか。私達の今後についてを」

 

 そう言って私は自分の心を『一誠達に修行をつけてやる優しい友人』の桃花から『グロンギに寄り添う転生者』の桃花にシフトさせた。

 

 

 

 

 

 

「取り合えず僕は最終日に赤龍帝を死なない限界まで殺せ(遊べ)ばいいんだね」

「ええ、ダグバさん。赤龍帝は貴重なサンプルですから殺さないで下さいね。それにガドルさんの獲物ですし」

 

 私がそう言うとガドルさんは鼻を鳴らし私達の間に入り言った。

 

「勘違いするな桃花。赤龍帝が弱ければ獲物にはなりえん。現状のあれは獲物の価値すらない」

「まあ、そうですね。将来性ならともかく今の一誠は弱いですからね。さてと、他の皆さんはつらいと思いますが修行の続きをお願いしますね?ちゃんと報酬は用意してあるので」

 

 私がそう言うとガメゴさん、ゴオマさんの二人は楽しみだと言って部屋から出て行きました。

 

「それよりも桃花。件の焼き鳥はどうする気だ?」

 

 ガミオさんが備え付けられている椅子に座り何処から持ってきたか分からないワインのグラスを揺らしながら聞いて来ました。

 

「そうですね。一誠の頑張り次第ですね。どうせ殺せない奴とか私達的に興味ないですし?」

「違いない」

 

 そう言ってガミオさんはワインを口に入れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名前はレイナーレ。元堕天使のグロンギよ。何で堕天使がグロンギになってるかって?知らないわよ。あの白百合桃花、じゃなくて桃花様にでも聞いて欲しいわ。……何でか私が呼び捨てすると他のグロンギが殺そうとしてくるのよね。特にビランとか言うのなんか私のお気に入りの服を切り裂いてくれたしね。ま、その後で桃花様が罰を与えてたけどね。でも、口を塞いでの魚の血抜きって罰なの?

 

「んっ、はあぁ。悪魔の温泉って意外と気持ちいいのね」

 

 そうそう今私はグレモリーの保有する温泉に入っているのよ。堕天使でこんな事したのなんて私が始めてなんじゃないかしら?私がそう考えていると浴場のドアが開いた。グレモリーの人間かと少し警戒していると聞こえてきたのは私にとって聞きたくない声1位の馬鹿の声だった。

 

「へー、こんなに広い風呂なんて初めて見るなー」

「イッセーくん、まずは体を洗ってからだよ」

「そんぐらい分かってるての!てっ、誰か先に入っていたのか?」

「え?……ッ!!」

 

 兵藤一誠に言われて気付いたのか隣のイケメンは即座に剣を構えた。こんな所に剣を持ってきてる訳ないし創作系の神器かしら?それと兵藤一誠は漸く気付いたのか驚いた顔をしていた。その間抜けな顔を見てると私の溜飲も下がるわ。

 

「何でここにいるんだ、レイナーレ!!」

「喚くな糞餓鬼。桃花様がいるんだから私が居ても可笑しくないだろう」

「「と、桃花様??」」

 

 私の発言がそんなに可笑しかったのか二人とも笑える顔で固まっていた。イケメンでも何でもいいわけじゃないわね。

 

「そ、今はあの人のメイドよ。全く納得はしてないけどね。後、人の裸を何時までも見るな」

 

 私はそう言って光の槍を生成、そのまま上空で爆発させ閃光をばら撒いた。二人の眼が見えていない間に動き背後に立った辺りで桃花様に言われた事を思い出した。

 

「そうそう。兵藤一誠、ごめんなさいね。流石にあの騙し方は酷いらしいから謝っておくわ」

「はっ?」

 

 私は兵藤一誠の返事を聞かずにその場から移動し脱衣所で軽く服を着て、宛がわれた桃花の部屋に行った。……け、決して逃げた訳じゃないわよ!!




 因みにレイナーレが謝ろうと思ったのは一部のグロンギにまでえぐいと言われたからです。
 それとこの作品ではガミオさんとダグバさんの設定が少し独自です。これの投稿と一緒にタグを増やしておきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔王さえも屠る力ですよ

 何か気付いたら評価バーが色ついていてお気に入りが増えてました。皆さん、拙作を読んでくださりありがとうございます!!


 翌日からは私達も修行をするにあたってどの程度手加減すればいいのかも分かってきたため効率良くグレモリー眷属をしば……げふんげふん。特訓させる事ができました。

 まず塔城小猫はガメゴさんを人間体とは言え後ろに下がらせれるようになりました。

 木場祐斗とレイさんはガドルさんの剛力体の攻撃をよけれる位にはなりましたね。まあ、攻撃を防いだり傷を与える事は出来なかったそうですがね。まあ、レイさんはともかく今の木場祐斗にカラミティタイタンよりも上の攻撃は出来ないでしょうしね。

 アーシアは自主連……位しかやらせる事無かったですし。元々回復をグロンギが教えれるわけないんですよ。黒い方のアーシアさんも似たような物ですしね。

 姫島朱乃は論外。リアス・グレモリーは非常になれれば理想的な王とガミオさんは言ってましたね。

 で、残る一人はというと……

 

 

 

 

 

 

「ふんっ!」

「おりゃ!!」

 

『Boost!!』

 

 絶賛ゴオマさんと殴りあってます。

 

「どうした赤龍帝、初日よりも衰えたか!!」

「んなわけあるか!!!」

 

『Boost!!』

 

 ゴオマさんはわざとああ言ってますが実際の所は初日とは段違いです。初日では翻弄されていたゴオマさんにくいついてますし、攻撃も当たるようになってきましたからね。まあ、禁手(バランス・ブレイク)には至りませんでしたね。……やはり、あの手しかありませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、部長達も呼ばれたんですか?」

「ええ、どうやら全員に用があるみたいね」

 

 俺が蝙蝠野郎との殴りあい(修行)を終えると桃花がやって来て別荘の入り口に行くように言われたんだ。んで、行ってみると俺以外の皆がもう待っていて部長に聞くと全員桃花に呼び出されたみたいだった。

 

「一誠、修行はどうだったの?」

「どうって言われてもずっと殴りあってただけだからなあ。あ、でも休憩時間に必殺技は思いついたぜ!」

 

 あの必殺技の為に犠牲になった果物とアーシアの為にも絶対にライザー達との戦いで決めてやる!!

 

「あはは」

「あら、アーシアどうしたの?いきなり苦笑いなんてして」

「い、いえ何でもないんです。ただ、ちょっと」

 

 俺達の会話が聞こえていたのかアーシアが苦笑いしてた。あー、あれか。一回だけ練習の時に黒い方のアーシアになってた事あったもんな。あん時は本気で死ぬかと思ったわ。いや、もう一回死んでるけどさ。

 

「必殺技……あ。そ、そんなことより修行相手には勝てたの?」

 

 レイが露骨に話題を変えてきた。何でだ?わかんないし、いいか。

 

「いや、勝てなかった。ただ、初日よりはましだって言われた」

「そっちもそんな感じだったんだ」

「そっちもってレイも殴りあってたのか?」

 

 俺がそう言うと木場が苦笑しながら話に入ってきた。

 

「はは、違うよイッセーくん。僕とレイさんは斬りあってたんだよ」

「いや、それ結局俺と変わんなくないか?」

「それに私達は斬りあってたよりも避けまくってたじゃないかな」

「少しは膨張して言っても彼は怒らないだろうから多少はね」

 

 そう言う木場の表情は何処か悔しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員集まったみたいですね」

 

「桃花!一体何なんだよ?修行だって終わってないってのによ」

 

 私が入り口につくと一誠が早速質問して来ました。

 

「修行は一通り終わりましたよ。これ以上は私達も手伝えません」

 

 殺し合いに発展しますからね、特に私が。

 気付かれない程度に姫島朱乃を睨みながら神器を展開。

 

「なので私達からの最後の修行はシンプルに行かせて貰います。死ぬな、生きろですよ。エピソード・ムネモシュネ」

 

 グレモリー眷属が私の言葉の意味を理解しようとしている間に神器を発動させ背中に黒い歪な翼を生やし胸の真ん中に正方形の紫色のブローチをつけた姿になり胸のブローチを触った。するとグレモリー眷属達は全員地面に倒れました。

 

「さあ、では行きましょうか。鳥籠というなの戦場へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、ここは……?」

 

 一誠が眼をさますとそこはさっきまで居たグレモリーの別荘ではなく透明なドームに囲まれた荒野だった。一誠が周りを見回すも自分以外のグレモリー眷属は発見できなかった。

 

「あれ、零王さん?何であんたが此処に」

 

 が、代わりに一誠は修行初日に知り合った零王を見つけた。

 

「ふふ、赤龍帝。僕の名前はダグバ。零王は偽名だよ」

「ダグバ?どっかで聞いたような……」

 

 一誠は最近聞いたはずの名前を何処で聞いたのか思い出そうと頭を捻っていた。そんな一誠にダグバがあくまで自然体で語る。

 

「じゃあ殺しあおうよ赤龍帝」

「は?」

 

 そう言ったダグバは一誠が視認できない速度で懐に潜り込むと躊躇い無く一誠の腹に拳を叩き込んだ。

 

「ぐぅ!!?」

「早く赤龍帝の籠手を使いなよ。次は加減しないよ」

 

 ダグバの拳をくらい地面に倒れこみ腹を押さえている一誠を尻目にダグバは自身の体を異形へと変えていく。その姿はダグバ中間体とも不完全体とも言われているものでダグバの真の姿ではなかった。

 

「くっ、赤龍帝の籠手!!」

 

『Boost!!』

 

 痛みに悶えていた一誠も何とか赤龍帝の籠手を発動するも戦う前からその肉体はボロボロだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、どうしたの?この程度じゃ僕には勝てないよ」

「ぐがぁぁぁ!!?」

 

 ダグバが俺に拳を放ってきた。それを何とかよけようとするも気付けば攻撃が当たり周りを蔽っているドームまで飛ばされ激突する。それを先程からくりかえされていた。そして、態々俺に近づき中央まで投げると俺が起きあがるのを待ち起きた瞬間に殴ってくる。起きないでいると蹴り上げられ強引に起こされる。

 何だよこれ!?フリードの野郎は確かに強いし狂っていた、レイナーレは回復はするし光の槍なんていう悪魔にとっての天敵を使ってた。ライザーだって戦ってはいないが強いっていうのは今なら何となく分かる。でも……こいつは違う。勝てる、嫌、生き残れる光景さえ想像できない。

 

「君はもう終わり?」

 

 全く抵抗が出来ないでいた俺の首を掴むとダグバはそう言って俺を地面に投げつけた。

 

『Boost!!』

 

 ああ、そういえばまだ倍加はしてたんだっけ。これで何回目だ?……いや、もう関係ないか。

 

「じゃあ、君の仲間も終わりかな」

「……な、なに?」

 

 今、なんて言った?

 

「君以外の仲間は僕のコピー……いや劣悪品と戦っているんだよ」

 

 辛うじて見えているダグバの顔は表情が見えない筈なのに怒っている様に見えた。

 

「君たちの勝利条件は誰も死なずに誰かが僕を倒す事。そして君が死ねばそれでゲームオーバー。全員死ぬよ」

「部長や、アーシア達が死ぬ?……ああ」

 

 そりゃ、ここで死ねないわな。だが、今の俺じゃあいつには絶対勝てるわけが無い。だから

 

「俺に力を貸しやがれドライグ!!!!」

 

『Welsh Dragon Over Booster!!!!』

 

 それを聞くと同時に俺の意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、成功したんですか」

 

 私が木にもたれて本を読んでいるとダグバさんが虚空から出て来ました。

 

「意識は飛んでたけどね」

「まあ、それでも貴方の体に傷をつけるとは流石に想像してませんよ」

 

 帰ってきたダグバさんは右胸がひどく抉られておりそこから血が垂れてきていました。

 

「僕が不完全だったのと。彼の純粋な思いがドラゴンと共鳴したからこそ出来た結果だね。でも……凄く楽しみ」

 

 そう言ったダグバさんは凄く楽しそうに笑ってました。

 

「それは結構ですが。血をどうにかしてください」

「そうだね」

 

 ダグバさんは珍しく私の言う事を聞いてかその辺の川に歩いていきました。

 

「さてと、私は私で彼らが起きた時の準備でもしましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、説明してくれるわよね桃花?」

 

 全員が起きるとリアス・グレモリーは開口一番にそう聞いてきました。

 

「ええ。単純に私達の修行の結果が出ているかの確認ですよ」

「確認ですって?」

「貴方達が戦ったのは最低でも上級悪魔に相当する者たちです。それに生き残れれば修行は十分だろうと判断できるでしょう」

 

 まあ、一誠は魔王クラスでしたけどね。

 

「上級悪魔クラスですって!?万が一死んだらどうするつもりだったのよ!!」

「いえ、死にませんよ?」

 

 私はそう言ってムネモシュネの説明を簡単にしました。ムネモシュネは精神を仮想世界に送るのであって現実の肉体には影響はないとね。

 

「実際、貴方達の体に傷はないでしょう?」

「そう言われれば……そうね」

 

 リアス・グレモリーは一応納得したのかそれ以上の追及はしてきませんでした。まあ、死んだらどうなるかは試してないので本当はどうなるかわかんないんですけどね。

 

「そういうわけで私達の修行はこれで終わり。試合の結果を愉しみにさせてもらいますよ」

「ええ。一応、お礼は言っておくわ。ありがとう」

「いえいえ。では試合の日に」

 

 私はそう言うと神器を発動させヴァルゴ・ゾディアーツの力でその場から消えようとした時、最後に言おうとした事を思い出し一誠を片目で見た。

 

「一誠、さっきの戦いの最後に覚えた感情を大事にする事ですよ」

 

 そう言って今度こそその場を離れた。さあ、次はあの腰抜けとの試合ですが愉快な物を期待しますよグレモリー眷属の皆さん?




 因みにダグバは本編内ではレーティングゲームの王者との傷がまだ癒えておりません。そしてダグバが言ってたコピーはムネモシュネで作った者で本人の力の1%も引き出せてないので不機嫌になってました。
 後、次回からは漸くレーティングゲームです。な、長かった(完全に作者の自業自得)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

挨拶をするそうですよ

 レーティングゲームに入るとは言ったが一誠達を映すとは言ってない。


 決戦当日

 

「今回はお招きいただきありがとうございます」

 

 豪勢に飾られた部屋で白い着物に着替えた私は目の前の男性に一礼しました。

 

「そこまで畏まらなくてもいいよ。グレイフィアから大体の話は聞いているからね」

「そうですか。なら、普通にさせてもらいましょう」

 

 そう言って私は目の前の男性、魔王サーゼクス・ルシファーの近くにある椅子に座りました。

 

「それにしても私がこんな豪勢な場所にいるのは悪魔側としては問題じゃないんですか?」

「君が気にすることじゃないさ。それにグレイフィアの話を聞いてから君とは一度話してみたいと思っていたからね」

「私にはありませんけどね」

 

 流石に部室でダグバさんの力を使ったのは早計でしたかね?

 

「では、単刀直入に聞こう。君は彼を知っているね?」

 

 サーゼクス・ルシファーが私に見せてきたのは一枚の写真で、そこにきっちりダグバさんの姿が残っていました。

 

「さあ?一体何の写真ですか、これ?」

 

 取り敢えずは惚ける事にしましょうか。

 

「これは、最近冥界で暴れまわっていた者の写真だよ。『王者』ディハウザー・べリアルとの戦闘後に消息を断ったようだけどね」

「へー。なら、死んだんじゃないんですか」

 

 私はそう言って出されていた紅茶を飲み干す。……思っていたよりも美味しいですね。

 

「いや、私はそうは思わない。これには彼と戦った王者も同意していたよ」

「因みに、その王者はどうなっとんですか?」

「暫くの入院生活を余儀なくされているけど無事だよ」

「そうですか」

 

 ダグバさんの言った通りでしたけど、まさか本当にダグバさんとやりあって生きているとは驚きですね。

 

「では、それを何故私に聞くのですか?」

「以前、リアス達を襲った怪物。それとこの写真の存在は腹部の装飾品が似ていたと聞いてね、リアス達を襲った怪物は君の仲間と聞いたが?」

「…………」

 

 あー、これは詰みですかね。仕方ない。

 

「ええ、そうですよ。私はこの写真の人も知ってますし、今何処にいるかもわかりますよ?」

「ならばその場所を教えて貰えるかな白百合桃花さん?」

 

 サーゼクス・ルシファーは手のひらに消滅の魔力で作られた魔弾を作り笑顔でそう言ってきました。

 

「断ります。よっと、それと貴方は脅迫ができるような人種じゃありませんよ。つめが甘いですからね」

 

 私が断るとサーゼクス・ルシファーは先程まで私がいた場所に魔弾を放ちましたが牽制の為か元々当てる気が無かったのかその速度はそこまで早いわけでもなく私は座ってた椅子を踏み台にして距離をとりました。

 

「どういうことかな?」

「つまりはこういう事です。私に手を出したら貴方の妹は最低限殺します」

「……この状況でそんな事を言うとはね。ハッタリのつもりかい?」

 

 サーゼクス・ルシファーは僅かに動揺をみせましたがすぐに落ち着き私を見据えてきました。この辺は流石、魔王という所ですかね。

 

「使えないハッタリはハッタリとは言いませんよ。私が何のメリットもなしにリアス・グレモリーの特訓に付き合うとでも?」

 

 そう言って私は懐から麻酔で眠らさせておいたマウスを取りだし床に置きました。

 

「ネズミ?」

「ええ、ただのマウスですよ。細工されたがつきますけどね」

 

 麻酔が抜け起きたマウスでしたがビクンっと動いたのち再び動かなくなりました。私はそのマウスを摘まみサーゼクス・ルシファーに投げました。

 

「これは……!?」

 

 受け取ったサーゼクス・ルシファーは最初は困惑の表情を浮かべていましたが次第に驚きの表情に変わっていきました。

 

「不思議でしょう?この部屋はそれなりに快適な温度にも関わらずそのマウスはさっき死んだのに既に冷たい。さて、そんなマウスを態々出したという事はどういう事かわかりますよね?」

「まさか、リアスにも何かしたのか!?」

「さあ、くくく」

 

 あー、やっぱりこれですよ!自分が優位だと思ってる時の相手ほどそれが変わった時の表情は面白いですよ。記念に写真でも撮りましょうか。

 

「答えろ、白百合桃花!!」

「……さっきまでの威厳はどうしました、サーゼクス・ルシファー」

 

 私が取り出したカメラを破壊し、消滅のオーラを出しながら問いかけてくるサーゼクス・ルシファーを睨みながら神器を展開します。

 

「人のカメラを破壊したんですから覚悟はいいですよね?」

「そちらこそ魔王の妹に手を出したんだ。どうなっても知らないぞ」

 

 私はザジオさん手製の薙刀を構えサーゼクス・ルシファーは右手に消滅の魔力を練っています。そして、同時に相手に向かって突撃し左手同士で握手をしました。

 

「今日の所はこの辺でやめましょうか。貴方も妹の邪魔はしたくないでしょう?」

「ああ、そうだね。これ以上はグレイフィアにもばれてしまうだろう」

「それにしてもですよ。まさか、魔王が私達に協力を求めるとは、驚きですよ」

「私は魔王だがその前にリアスの兄なのだよ」

 

 サーゼクス・ルシファー改めシスコン魔王はどや顔でそう言いました。

 

「だからって化け物に修行を頼みますか、普通」

「当然だね。表だって何かを言う事は魔王として問題だ。何より老人達がここぞとばかりに嫌味を言ってくるからね。何よりリアスが婚約するのを嫌がっているんだ化け物だろうとドラゴンの力だろうと使わせてもらうさ」

 

 そう言ってシスコン魔王はゲーム会場にいる赤龍帝、一誠の姿を見た。

 

「まあ、私としては報酬のお金も貰えて、はぐれ悪魔の情報もくれれば後はどうでもいいので。今後ともよろしくお願いします」

「帰るのかい?」

「いえ、別の場所で見ようかと。他のグロンギの皆さんもいるので」

 

 私は神器を展開し、ヴァルゴの力を引き出します。

 

「ん?ちょっと、待ってくれ。他のグロンギが来ているのか?」

「ええ、野暮用ですよ」

 

 ロディアを振るいワームホールを発生させ、その中に飛び込みます。その際にシスコン魔王が何かを言っていましたが無視しました。

 

 ……今の私は機嫌が悪いですし、本音を言いかねませんからね。




 この作品のサーゼクス・ルシファーは原作よりもシスコン度が上がって表向きは駄目と行っても裏で細工をする悪魔です。最初の二人の会話ですがどちらも本気で相手に怒っていました。サーゼクスはシスコンとはいえ魔王なので実際に同属を殺したダグバを許す気はありません。桃花は桃花でお気に入りの物を壊されて怒ってます。……文にしてみると桃花の沸点低すぎる。
 またサーゼクスは文中でもあるように割とグロンギに依頼を頼んでいるのでそこでも原作とは違いますね。勿論、自分でそのはぐれとなる経緯を確認してから手遅れと判断したもののみ教えてはいますが。

 次回からは主人公の出番が極端に減ります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

開幕ですよ

「ふう」

 

 決戦当日、俺は自室で気合いを入れるとともに部長から渡されたライザー達の資料を読んでいた。

 

「部長は読まないよりはマシって言ってたけど、とんでもない文量だよな」

 

 俺の手元の資料にはライザーを含めた眷属悪魔全員のこれまでの戦歴がのっていた。どんな戦闘スタイルか得意技は何かだけじゃなく、これまでのレーティングゲームでの戦闘データまであった。

 

「桃花が作ったって話だけど俺達の修行をしながら作ったとは思えないできだよな。……いや、まあ全然わかんないだけどさ」

 

 一応相手の名前と顔は覚えたけどレーティングゲームの戦果までは覚えられんわ、うん。

 

「後、二時間後か。決戦は夜の零時からで三十分前に部室集合だったよな」

 

 学生服も着たしそれ以外に必要なもんも全部持ったよな。それに漸く必殺技も完成したんだ、ライザーの奴に目にもの見せてやる!

 

「イッセーさん、もう準備は終わりましたか?」

 

 ノックと共にアーシアの声が聞こえてきた。

 

「ああ、ちょうど今な」

「じゃあ、入ってもいいですか?」

「おう、いいぞ」

 

 入ってきたアーシアは初めて会った時に来ていたシスター服で少しだけ驚いた。勿論、胸にロザリオはかけてはいないけどな。

 

「アーシア、その格好は……」

「は、はい。部長さんに聞いたら自分が良いと思う服装でいいと言ってくれて。それで『私』とも相談してこっちにしました。信仰心は忘れてませんから」

 

 アーシアはそうハニカミながら言った。それにしても

 

「私って黒い方のアーシアの方だよな?よく了承したよな」

「そうですか?」

「ああ。あいつ俺達以上にアーシアに対して過保護だろ?」

 

 下手したらアーシアに近づく奴は問答無用で爆破するだろ、あいつ。俺がそう考えているとアーシアの首がだらんと下がった。次に首をあげると目付きの悪いアーシア、黒いアーシアになっていた。

 

「可愛い子には旅させろってものよ」

「そうかよ。まあ、アーシアが考え抜いたなら俺は文句ないけどな。多分部長も同じ事言うと思うし」

「ま、いざとなったら私が守るわよ。それと私の事はクロって今後呼びなよ」

 

 唐突に目の前の奴がそう言ってきた。

 

「クロ?」

「ええ。……いい加減黒いの、黒いの呼ばれたくないのよ」

 

 宜しくーと言ってクロの奴はまたアーシアと入れ替わった。

 

「あれ……?また、変わってました?」

「ああ、まあでも変なことはしてないよ。クロって呼んで欲しいとは言われたけど」

「クロさんですね。でも、勝手に交代はやめて欲しいです」

 

 流石にアーシアもぐったりした顔をしていた。まあ、俺からするとドラゴンに体を操られてるみたいなもんか。……そう考えると怖いな。

 

「あ、あのイッセーさん。隣に座ってもいいですか?」

「ああ、いいけど」

 

 ベッドで座っていた俺の隣にアーシアが座った。そして、俺の目を近くから真っ直ぐ見つめて聞いてきた。

 

「イッセーさん。……私達は勝てるでしょうか?」

「それは……」

 

 断言は……できないよな。ライザー達に勝てる様に頑張ってきたけど実際にそこまでたどり着いたなんてわかりっこない。だから俺にできるのは……

 

「ああ、勝てるよ。いや、絶対俺がライザーの野郎をぶっ飛ばしてやる!」

「ッ。はい!」

 

 せいぜいアーシアを元気づける事だけだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜十一時四十分。俺達は旧校舎のオカルト研究部の部室に集まった。それぞれがリラックスできる方法で待機していた。アーシア以外は皆いつもの学生服だ。

 木場は椅子に座って静かに眼を瞑っていた。瞑想ってやつか?初めてみたけど木場の奴は結構さまになっていた。

 小猫ちゃんは椅子に座っていつも食べっているお菓子よりも少し高そうな物を食べていた。近くの机の上には格闘家がつけるようなオープンフィンガーグローブが置いてあった。

 朱乃さんと部長はソファに座り、優雅にお茶を飲んでいた。さすがに俺らのお姉さま達は落ち着いてるよな。

 レイの奴は壁にもたれかかって天井を見ていた。何か船こいでないか?少し気になったからアーシアと一緒にレイの近くまで歩いて行った。

 

「おーい、レイ。大丈夫か?」

「……あ、一誠。大丈夫、緊張で寝てないだけ」

「おーそうか。……嫌々、全然大丈夫じゃないだろ!」

「大丈夫ですか、レイさん!?」

 

 アーシアが急いで回復のオーラをかけようとした。

 

「アーシア、それ寝不足には効かないだろ!」

「あっ、そ、そうでした!!じゃ、じゃあどうしましょう!!?」

 

 アーシアが混乱していてそれを俺が宥めていると目の前にいるレイも含めた部員の皆が笑い出した。

 

「み、皆?」

 

 俺が困惑した表情で言うと部長がお茶を机に置いた。

 

「ふふ、ごめんなさいイッセー。貴方達があまりにもいつもどうりだから緊張している私達が馬鹿らしく思えてきたのよ」

「え、緊張していたんですか!?」

「もう、貴方は私達を何だと思ってるのよ」

 

 部長が拗ねたようにそう言った。それを見て俺とアーシアも思わず笑ってしまった。だって部長可愛すぎだろ!!

 

「コホン!皆……勝って必ず帰ってくるわよ!!」

『はい!!』

 

 俺達がそう言い終わったのとタイミングを同じくして部室の魔法陣が光り、グレイフィアさんが現れた。

 

「皆さん、準備は出来ましたでしょうか」

 

 グレイフィアさんの言葉に俺達は揃って頷いた。グレイフィアさんが説明を始めた。

 

「開始時間になりましたら、ここの魔法陣から戦闘用のフィールドに転送されます。場所は異空間に作られた偽者の世界。そこではどれだけ派手な事をしても構いません。使い捨ての空間ですので」

 

 戦闘用のフィールド……脳裏に零王、いやダグバとの戦いが思い浮かんだ。あれもこれと同じ技術だったのか?

 

「それから、今回のレーティングゲームは両家の皆様も他の場所から中継でご覧になります。また、魔王サーゼクス・ルシファー様も今回の一戦を拝見されておられます。それをお忘れなきように」

 

 魔王様が!?俺らのトップまで見に来るとかどんだけ注目されてんだよこの試合!!

 

「……そう、お兄様が直接見に来たのね」

「え、あの、いま、お兄様って……」

「ええ。魔王サーゼクス・ルシファーは私の兄よ」

「え、えぇぇぇぇ!!?」

 

 マジかよ!?部長のお兄さんが魔王様!?あれ、でも……

 

「イッセー、お兄様は本来の魔王ではないのよ。先の大戦で本来の魔王様達は既に亡くなっているのよ。でも魔王無くして悪魔は成り立たない。そういう訳で当時悪魔の中でも強かったお兄様を含めた四人の悪魔が魔王を引き継いだのよ」

「な、なるほど。ああ、だから部長が家を継がないと駄目なのか」

「そろそろ時間です。皆さま、魔法陣のほうに」

 

 グレイフィアさんに促されて俺達は魔法陣に集結した。

 

「一度あちらへ移動しますと終了するまで魔法陣での転移は不可となります」

 

 魔法陣の紋様が見た事の無いものに変わり光を発した。俺達はその光に包まれ、転移が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

『皆様、このたびグレモリー家、フェニックス家のレーティングゲームの審判役を担う事になりました、グレモリー家のメイドグレイフィアでございます』

 

 転移が終わったと思ったら部室にいた。俺が不思議に思っていたら校内放送でグレイフィアさんの声が聞こえてきた。

 

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもとにご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアス様とライザー様、それに我が主のご友人の意見を参考に、リアス様が通う学び舎、駒王学園のレプリカを異空間にご用意しました。両陣営、転移された先が本陣となります。リアス様の本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザー様の本陣は新校舎の生徒会室。兵士の方はプロモーションをする際は相手の本陣まで赴いてください』

 

 プロモーションって確か兵士が王以外の駒に変化できる能力の事だよな。こっちは俺しかいないけど向こうには八人居るんだよな……。何としてもそれだけは阻止しないとな。

 

「全員、この通信機を耳につけてください」

 

 朱乃さんが部員にイヤホンマイクタイプの通信機を配った。それを耳につけながら部長が言う。

 

「戦場ではこれで味方同士やり取りするわ。全員盗られては駄目よ。それだけでライザー達に作戦が漏れてしまうわ」

 

 そうか、これ盗られたら俺達の会話も筒抜けになるもんな。気をつけないとな。

 

『開始の時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』

 

 グレイフィアさんの放送が終わり、学校のチャイムが鳴り響いた。これが開始の合図か。これってタイムアップの時もチャイムなのかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、まずはライザーの兵士……よりも女王ね」

「え、どうしてですか?」

 

 部長の言葉に俺は違和感を覚えた。だって兵士を倒さないでいて本陣まで来られたら女王が9人になるわけだろ。だったら先に倒すもんじゃないのか?

 

「ええ。私も普通ならそうするわね。ただ、今回私達には桃花が用意してくれた情報があるわ。それを見てみるとね、ライザーは兵士が多い事を利用して犠牲(サクリファイス)戦法を取る場合が多いのよ。そして、ライザーの女王は朱乃と同程度の実力よ。その上こちらが油断した所をつくのが好きみたいね」

「なんかそれだけ聞くと最低に聞こえますね」

「あら、戦術としては正しいわよ。私は好きになれないけど」

 

 多分部長が嫌いなのは犠牲の方だよな。敵には容赦とかしないし。

 

「とはいえ、直接狙うわけにはいかないわ。だからおびき寄せる必要があるわ。その為にまずは準備ね」

 

 部長は立ち上がって部員一人一人に声を掛けて行った。

 

「祐斗と小猫は近くの森に対空用のトラップを仕掛けてきてちょうだい。そちらから来る事はまずないと思うけどお願いね。朱乃は二人がトラップを仕掛け終えたら周囲に霧と幻術を掛けてちょうだい。ライザーの眷属にのみ反応するようにね」

「はい」

「わかりました」

「了解しましたわ」

 

 木場、小猫ちゃん、朱乃さんと続いて次は俺の番だ。

 

「イッセーはアーシアとレイと一緒に此処に待機……いえ、そうね、その前にこっちに来てちょうだい」

 

 部長は此方に来るように手招きをしてくれた。

 

「はい!」

「じゃあ、此処に座ってちょうだい」

 

 部長はそう言って座っているソファーの隣をポンポンと叩いた。俺が隣に座ると部長は次に自分の太ももを指差した。

 

「ここへ横になりなさい」

「え、そ、そ、それって膝枕って事ですか!!?」

 

 俺の叫びにアーシアは苦笑をレイは耳に指を入れて怒った表情を浮かべていた。部長はフフと笑うと慈愛に満ちた表情で言った。

 

「ええ、そうよ。嫌いだったかしら?」

「いえ、そんな事はありません!!」

「だったらいいじゃない」

「そ、そうですね。じゃ、じゃあ、よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最高だった。これほど素晴らしい枕があっただろうか、いや無い!!部長の白いおみ足は見た目通りに柔らかく、横になっているだけでその感触がダイレクトに伝わってくる。更に部長がそんな俺の頭を撫でてくれるから更に眠気を誘ってくる!絶対に売ったら高値で売れる!!いや、こんな素晴らしい物を売るなんてとんでもない!!いや、しかし素晴らしい物は広めろってエロい人も言ってたし……痛ッ!

 

「いい加減、トリップから帰ってきたら?」

 

 頭に走った痛みの元凶を探しているとレイが手に蔦のような鞭を持っていた。アーシアが傍によってきて回復のオーラを俺の頭に当ててくれた。

 

「す、すまん」

「流石にあの顔はキモイから止めて」

 

 き、キモイって。流石に言い過ぎだろ。そういう意味を込めてアーシアを見たら眼を逸らされた。あ、あのアーシアまでって相当きもかったのか。……こ、今後は自重しよう。

 

「な、何だか時間が掛かったけどイッセー。貴方にかけた封印を解くわ。少しだけだけどね」

「封印?」

 

 俺が疑問を口にすると俺の体の中から力が沸いてきた。それと同時に俺の中のドラゴン達も喚起の叫びをあげた。

 

『ハハ、いい塩梅だ。この状態なら俺の力を全開に使っても五分は持つだろうよ』

『いや、五分って短くないか?』

 

 頭に直接話しかけてきたドライグにそう聞くともう一体のドラゴンが口を挟んできた。

 

『フン、こいつの力なら五分もあれば十分だろう』

『そうなのか?』

『ああ、五分もあればライザー・フェニックス程度は造作も無いさ』

『ていうか、結局お前の名前は聞いてないんだが』

 

 俺がもう一体の銀色のドラゴンに聞くと鼻で笑ってきやがった。

 

『今回、生き残れたら教えてやるさ』

『いや、それ前も言ってたろうが!!!』

 

 ずっと黙って脳内会議をしていた俺を心配してか部長が声を掛けてきてくれた。

 

「イッセー、大丈夫かしら?」

「は、はい。大丈夫です」

「いま開放したのは兵士の駒の本来の力よ修行を経た貴方なら使いこなせる筈よ」

「わかりました!」

 

 

 

 

 

 

 それから数分後、木場達が戻ってきた。

 

「では、そろそろ攻めていこうかしら」

 

 部長は俺達に指示を出していった。俺と小猫ちゃんは体育館に木場とレイは別行動。内容は二人しかしらないらしい。万が一ライザーの眷属に心を読むような能力を持った奴がいる場合への対策らしい。で、アーシアと部長はこの場に待機。朱乃さんはライザーの女王が出てきたら加勢に来てくれるらしい。

 

「じゃあ、皆行くわよ!」

『はい!』

 

 絶対、この試合は勝ってみせる!あんな野郎に部長を渡してたまるか!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修行した相手が規格外だった結果ですよ

 久しぶりでキャラの口調が変かもしれません。それから今回から試しにセリフの間も行間を開けてみました。見づらい等あれば教えてください。


「よし、行こうか小猫ちゃん」

 

「はい」

 

 小猫ちゃんと共に体育館に向かう。いつライザーの『女王』が襲ってきてもいいように既に赤龍帝の籠手は具現化している。

 

「……初めてのレーティングゲームなのに落ち着いてますね、イッセー先輩」

 

「え、そんなことないさ。俺だって勿論緊張してるよ。何たって初めてなんだから。まあ、でも」

 

「……?」

 

「そう見えるんだったら修行の成果だと思うよ」

 

「……そうですか」

 

 あれ?なんか小猫ちゃんが落ち込んじゃったんだが……いや、こういう時にこそ励ませないとハーレム王にはほど遠いよな。

 

「大丈夫だって!こんな俺でも強くなれたんだ、小猫ちゃんならもっと強くなってるよ」

 

「……ありがとうございます。変態なのに優しいんですね」

 

 小猫ちゃんの言葉が俺の胸に突き刺さる。

 

「こ、小猫ちゃん。実際そうだけど変態はやめてほしいな?」

 

「考えておきます。それに……決心はつきました」

 

 小猫ちゃんが下げていた顔をあげるとそこには覚悟を決めた表情の小猫ちゃんがいた。

 

「さあ、イッセー先輩早く行きましょう」

 

「そうだな」

 

 木場とレイも別の場所で頑張ってるんだ俺も負けてられない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでは特に攻撃もなく来れたな」

 

 体育館に着いた俺達は裏口から中に進んでいる。一緒にいる小猫ちゃんが周囲には罠がないのを眼で教えてくれた。まだ俺にはそういった能力はないから凄く助かってる。

 

「イッセー先輩、中に何人か気配がします。……恐らく数は三人か四人ほどです」

 

「多くても四人か……てっ、あれ?」

 

 小猫ちゃんがそう言った時一瞬だけ白い尻尾みたいのが見えた。もう一度よく見たときにはいつもの小猫ちゃんしかいなかった。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや……何でもないよ。気のせいだったのか?」

 

 俺がそうやって唸ってると小猫ちゃんが「早く行きましょう」と体育館に入って行った。俺も置いてかれないようにその後を追い掛けた。

 

 

 

 

 

「裏口からとはいえ気をつけてください。相手は幾つものレーティングゲームを経験しています。なのでこのような戦法はあらかじめ読まれてると思います」

 

「まあ、裏から攻めるなんて素人でも考え付くもんな。それでも罠が無いのは……」

 

「……私たちごときには警戒も要らないと考えてるのでしょう」

 

 小猫ちゃんはどこか呆れたようにそう言った。実際、俺達が何の修行もしてないならそれでも勝てたんだろうけど、そう簡単に行くと思うなよライザー。

 

『そのとおりだ、相棒。奴にドラゴンを舐めるとどうなるか教えてやれ』

 

「(おう、任せろよドライグ)」

 

 右手のドライグにそう言ったのと同じタイミングで演壇の裏側についた。

 

「イッセー先輩、コートに敵が4人です。資料の情報では『兵士』が3人に『戦車』が1人のようです」

 

 小猫ちゃんはコートにいる敵を看破するとすぐに俺に教えてくれた。

 

「『兵士』が三人か……小猫ちゃんは何人いける?」

 

「私なら全員相手にしても何とか。ただこの後の事を考えると消耗は最小限にしたいです。なのでイッセー先輩は『兵士』を相手してください」

 

「わかった。小猫ちゃんも気をつけて!」

 

『Boost!!』

 

 赤龍帝の籠手から一回目の倍加の合図と共に俺達は演壇の裏側からコートに降りそれぞれの相手に迫った。

 

『ッ!!』

 

 突然現れた俺達に相手の眷属は一瞬だけ止まったが場数の差だろうかすぐさま体勢を立て直して自分達の武器を構えてきた。小猫ちゃんの相手する『戦車』の女の子は拳を構えていた。俺の前には小柄な女の子と双子の女の子がおり小柄な子は根を、双子の方は小型のチェーンソーのスイッチをいれてそのうるさい騒音を響かせていた。

 

「「解体しまーす♪」」

 

「よっと。危ないぞ二人とも女の子がこんな物振り回しちゃ」

 

「「え?」」

 

 俺は二人が振るったチェーンソーを避けて二人の手を軽く叩きチェーンソーを奪い取ってスイッチを切ってから遠くに放り投げた。正直、ゴオマさんとかの攻撃の方が怖かったからなあ。あの人的確に急所狙ってくるし、手加減してるのか死ぬほど痛いだけだし。それに比べてこの二人は攻撃の制度は大したことが無かったし恐怖感も感じなかった。

 

『Boost!!』

 

 おっと、これで二回目か。念のためもう一回分くらいは倍加しとくか。

 

「しっ!」

 

 背後から小柄な子が根を振るってきたがそれも軽くしゃがんでかわした。ふと、小猫ちゃんの方が気になりそちらを見てみた。

 

「な、何で効かないのよ!?」

 

「…………」

 

 小猫ちゃんはチャイナドレスの女の子の攻撃を全て拳で弾きながらため息をついていた。多分小猫ちゃんも思ってるんだよな。

 

「(こんなに弱いもんなのか?)」

 

『Boost!!』

 

 俺達がそんなふうに疑問を持っている間に赤龍帝の籠手が三回目の倍加の合図を出した。よし、そんじゃあ

 

「行くか!!」

 

『Explosion!!』

 

 赤龍帝の籠手からのその合図と共に俺の力が三倍した状態で固定された。これで一定時間だけこの状態で戦闘をしても倍加は解けなくなった。その状態でまだ放心していた双子の女の子を突き飛ばした。

 

「よくも!!」

 

 小柄な女の子の根での突きを避けそのまま手刀で根をへし折り、その勢いのままその子を突き飛ばした。

 

「きゃあ!」

 

「よし!!これで準備は完了だ!くらえ、必殺『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』」

 

 俺が指を鳴らすと女の子達に触れた部分に魔法陣が展開され三人の服を下着ごと弾け飛ばせた。おおっ!三人ともいいおっぱいだ!発育はまだまだだけどこれはこれで……いかん、合宿の時に見たレイナーレのを思い出しちまった。

 

「「「イヤァァァァ!?」」」

 

 俺がレイナーレの裸を思い出して微妙な表情になっている間に三人とも状況を把握したのかできるだけ大事な部分を隠せるようにその場にうずくまった。

 

「どうだ!これが俺のなけなしの魔力で生み出した最強の技『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』だ!!俺の前では衣服を着るかどうかは俺が決める!!」

 

 この台詞は桃花が考えてくれた奴だ。俺は凄く感銘を受けたんだがアーシアやレイの奴は苦笑いだったんだよな。桃花も笑ってたしなんでだ?俺がそんな事を考えていると遠くで戦っている小猫ちゃんがいつのまにか戻ってきていた。

 

「小猫ちゃん、どうかしたッ!?」

 

「見損ないました。しばらく黙ってください、というか死んでください」

 

 俺に腹パンをうった小猫ちゃんはそれはもうゴミを見るような眼だった。い、今の名乗りは駄目だったのか。いきなり味方を殴った小猫ちゃんに動揺したのか相手の女の子達は呆然とした表情をしていた。

 

『イッセー、小猫。準備ができたから体育館から退避してちょうだい』

 

「了解です。……ゴミ屑先輩、行きますよ」

 

「小猫ちゃん、ゴミ屑は流石に勘弁して」

 

 そうやって言いながらも俺達は急いで体育館の出口に走った。一番ショックが少なかったチャイナドレスの子が俺達を追ってきたけどこの距離なら俺たちの方が早い!!俺達が体育館から出ると同時に体育館に巨大な雷が落ち、体育館を消滅させた。

 

『ライザー。フェニックス様の『兵士』三名、『戦車』一名、戦闘不能』

 

 審判約のグレイフィアさんの声がフィールドに響いた。よし、まずは三人!

 

「二人とも、お疲れ様ですわ」

 

「朱乃さんもお疲れ様です!」

 

 悪魔の羽を出した朱乃さんが普段どおりの笑顔でそこには飛んでいた。部長の体育館囮作戦はこれで成功だな。

 

『ライザー・フェニックス様の『騎士』二名、『戦車』一名、『僧侶』一名、『騎士』二名、戦闘不能!』

 

「おお、木場とレイの方も終わったみたいですね」

 

「そのようですわね」

 

 あっちは確かGGG作戦だっけか?……いや、今更だけどどんな作戦なんだ?木場の奴はイケメンにしては珍しく苦笑いしてたけど。

 

「これで後は『僧侶』と『女王』にライザー本人だけか。この勢いなら!!」

 

 俺がそう言った直後、横で爆発が起こった。

 

撃破(テイク)

 

 俺が空を見上げるとそこにはライザーの『女王』のユーベルーナが飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ。獲物を狩る時は何かを達成した瞬間が一番いいもの。私達は貴方達と違って少し犠牲が出ても痛くはありませんわ。……まあ、あちらのメンバーが全員やられたのは想定外でしたがそれでも私がいれば貴方達ごときを狩るのはたやすい。どうですか勝てそうだと思った瞬間に味方をやられた気分は?最高に絶望的でしょう。今から負けた時の言い訳でも考えてはどうですか」

 

 ユーベルーナは空中に浮かびながら嘲笑を浮かべていた。はぁ

 

「なあ、あんた」

 

「貴方は確か赤龍帝でしたか。何か?」

 

「長く話してるけどもう40秒ほどたったぞ」

 

「はい?一体、何の話を……」

 

『Transfer!!』

 

「いや、まああんたの負けだよ」

 

 小猫ちゃんを倒したと油断したのがあんたの敗因だよ。

 

「していッ!!?」

 

 上空に跳んでいた小猫ちゃんは譲渡された倍加であがったパワーをそのまま上空からユーベルーナに叩きつけた。そのままユーベルーナは何回も地面をバウンドした後光に包まれて消えた。

 

『……ライザー・フェニックス様の『女王』戦闘不能』

 

 地面に着地した小猫ちゃんは満足そうな顔をしていた。また、尻尾みたいなのが見えた気がするけど気のせいなのか?




 悲報、ユーベルーナフェニックスの涙を使わずに退場。まあ、是非もなしとしか言えない。
 GGGはガンガン・ごりおす・ガドル式戦闘術です。次回でライザー戦は決着の予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

折れなかった赤い龍と折れた不死鳥ですよ

 あけおめ、ことよろです!
 早めに更新できたので良かったです。今年の抱負は早めの投稿です


「小猫ちゃんお疲れ様ですわ」

 

「……油断していてくれたので簡単でした。爆発も直撃はしていないので」

 

 そう言って小猫ちゃんは服についた煤を払い落とし、朱乃さんは空から降りてきて俺達の横に立った

 

「これで残るは『王』だけですわね」

 

「はい。部長の指示はどうなってますか?」

 

「一旦引くように言われてますわ。相手はフェニックス、眷属のようには行きませんからね」

 

「ここまで来たら無傷で勝ちたいですもんね」

 

 俺達が移動しようとした瞬間、新校舎の方から突風が吹いてきた。

 

「まさか俺の眷属が誰一人勝てないとはな。……リアスを舐めていたのか、あの生意気な人間を舐めていたか」

 

「ッ!?ライザー!!」

 

 突風と共に現れたライザーは背中の羽を消すと地面に立ち俺達のほうに歩いてきた。こいつ、部室で会ったときと顔つきが全然違いやがる。

 

「赤龍帝のガキか。それに雷の巫女に小娘、よくこの面子で勝てたもんだな。素直に賞賛してやろうか?」

 

「随分と余裕そうだなライザー、お前の眷属は全員倒したぞ」

 

 俺がそう言うとライザーは肩を竦めて手を掲げた。

 

「ああ。お前達を倒すだけなら俺一人で十分だ、それはそうと死んどけやグレモリー眷属」

 

「ッ!イッセー先輩!!」

 

「小猫ちゃん!?」

 

 ライザーが手を振るうと同時に小猫ちゃんが俺を横に突き飛ばした。受身を取って小猫ちゃん達の方を見ると二人はどこにも立っていなかった。

 

『リアス・グレモリー様の『戦車』一名、『女王』戦闘不能』

 

「ちっ、赤龍帝のガキは逃したか。仲間に感謝するんだな赤龍帝」

 

「二人に何しやがった!!」

 

「ただの攻撃だ。まあ、俺がかつて受けたものを再現したもんだが完成度はまだまだだな。あれは死ぬまで相手を燃やす業火だった。が、それでもお前達を殺すには十分だがな」

 

「ッ。小猫ちゃん……(ドライグ! 禁手化(バランス・ブレイク)はすぐできるのか!?)」

 

『可能ではないな。一分だ、それだけあれば準備は完了する』

 

「(一分もかよ!!)くそっ!!」

 

 俺はライザーのいる方向と反対方向に走り出した。

 

「おいおい。折角『王』自ら来てやったんだ。勝手に帰るなよ」

 

 ライザーが手を振るうと俺を囲むように周囲に炎の壁が出来上がった。

 

「こんな事もできるのかよ!!」

 

「当たり前だ。お前みたいな転生悪魔と違って俺は最上級悪魔だぞ?この程度できなくてどうする」

 

 ライザーは苦笑しながらそう言った。その態度に少しだけ頭にきた。

 

「転生悪魔がそんなに悪いかよ!!」

 

「……別に?どうやら勘違いしてるようだが言っとくぞ」

 

「がっ!!」

 

 ライザーが俺の腹に拳を叩き込んできた。くそ、今のままじゃ全然見切れねえ。

 

「俺が嫌いなのは弱い奴だ。……自分に力があるくせに現状に甘んじて堕落する奴も、苦手な分野に手を出さずに得意な事だけをやろうとする奴もなあ!!」

 

「ぐあっ!!」

 

 ッ。こいつ抵抗できないからって好き放題殴りやがって……

 

「そういうてめぇはそうじゃねえのかよ!!」

 

 俺の放った拳はライザーにやすやす止められ逆に殴り飛ばされた。

 

「……黙れ。お前に俺の何がわかる。何の覚悟もない、背負うべき義務もない、守るべき物もない。赤龍帝としての責務も果たせないお前が俺に説教なんざたれるな!!」

 

 ライザーは全身に纏っている炎を足に集中させるとそれを俺の腹に何度も何度も抉りこんできた。ライザーの事なんて俺は知らない。けど、こいつの気持ちは知っている。俺が禁手(バランス・ブレイカー)に至ったときに感じたものと同じだ。こいつも何か守りたいものがあるんだろうな。だからこそ

 

「何!?」

 

「こんなとこで寝てなんかいられないんだよ!!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、ここで禁手(バランス・ブレイカー)になりますか。とはいえ、これ以上時間を延ばしても良いこともありませんですね」

 

 私、白百合桃花はサーゼクスに用意された個室でイッセーとライザー・フェニックスの戦いを見物していました。

 

「しかしですよ。腰抜けだと思っていましたがやるときはやるようで歓心しましたよ。けっして謝罪をする気はありませんが敬意は払うべきでしょうか?」

 

「…………!」

 

「ああ、見つけられましたか。ふーむ、この戦いの決着も気になりますが本来の目的を果たしに行くとしますか」

 

 私は壁にかけておいた薙刀を持ち数人の方々と共に部屋を退出しました。イッセー、勝って私達のいる所まで来てくださいよ?これでも私もダグバさんも期待しているのですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、それは!?」

 

「赤龍帝の籠手の禁手(バランス・ブレイカー)、赤龍帝の鎧だ!!」

 

 俺は全身に赤いドラゴンを模した鎧を纏ってライザーの前に立っている。そのまま背中のブースターから魔力を放出しライザーに突撃した。

 

「ぐがっ!?くそっ、離れろ!!」

 

 ブースターで勢いのついた拳がライザーの顔に突き刺さりライザーは苦悶の声をあげた。続けて放とうとした反対の拳はライザーの放った炎によってその勢いを殺されてしまった。

 

「逃がすかッ!!」

 

「ガキがッ!いい加減しつこいんだよ!!」

 

 ライザーが距離をとるためにさっきまでよりも大き目の炎を放ったがその炎を浴びながら俺はライザーに接近した。

 

「俺がガキならてめぇもガキだろうが!!」

 

 俺が殴る、

 

「黙れ!!」

 

 ライザーが殴る。俺も負けじと殴る。いつしかライザーは後ろに逃げようとせずに真っ向から俺と殴り合っていた。こいつなら俺から距離をとるのなんて簡単な事のはずだ。それでもこいつは逃げずに俺と殴り合っていた。会ったときからいけすかないホストみたいな姿が今ではそこらの不良と変わらないぐらいボロボロだった。それなのに俺には最初のときよりもこいつが生き生きしているように見えた。

 

「俺は二度と負けん!!他でもない貴様みたいな自分に甘い悪魔には!!」

 

「俺が甘いなんてのは他でもない俺が一番わかっているんだよッ!!それでもどうにかあがいてんだ!それをお前に邪魔されてたまるか!!お前みたいに自分に嘘をついている奴に!!」

 

 いつしか周囲を覆っていた炎は消え去りライザーの纏っていた炎も少ししか残ってはいなかった。俺の方も被害は散々だ。折角の鎧も何度も壊されたせいで回復が間に合わずに左の籠手と背中のブースターは消え去り胴体の付近の鎧もひびが入っていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。赤龍帝、貴様の名前はなんだ?」

 

 息も絶え絶えなライザーがそんな質問をしてきた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、俺の名前は兵藤一誠、今代の赤龍帝でリアス・グレモリーの唯一の『兵士』だ!!」

 

 俺の答えにライザーは今までに見たことがないくらい楽しそうに笑った。

 

「ハハ、そうか。俺はライザー・フェニックス、炎と風を司る悪魔フェニックスの一人!お前を倒す『王』の名だ!!」

 

 そう言ってライザーは再び全身に炎を纏って手を掲げた。

 

「ッ!!(ドライグ!あの技は何度も連発はできないんじゃないのかよ!!)」

 

『奴のあの発言は本当だろう。ならばあれにはさっきほどの威力はないだろうな。それでもかなりの威力は秘めているだろうがな』

 

「(なら……てっのはどうだ?)」

 

『……フハハ!!おもしろいぞ兵藤一誠!貴様にその覚悟があるならば俺はそれに答えるまでよ』

 

 俺はドライグとの会話を終えると目の前の敵を改めて見た。ライザー・フェニックス、俺にとっての目標をある意味成功させている実力者。本来の俺なら絶対勝てない相手だ。それでも一つだけ勝ってる部分があるなら……

 

「さあ、兵藤一誠!!俺に勝ちたいのならばこの一撃を耐えて見せろよ!!」

 

 ライザーの放った一撃は俺の体を直撃し赤龍帝の鎧ごと俺の体を燃やした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ああ……こいつも駄目だったのか)」

 

 俺は目の前で業火に焼かれ鎧を消滅させ、赤龍帝の籠手だけを装備して倒れている兵頭一誠の姿を一瞥した。俺の残る魔力を全てつぎ込んだ炎は奴の鎧を完全に燃やし尽くしたのだろう。代償としてしばらくは動けんが問題なかろう。こいつよりも強い奴はリアスの眷属にはいなかった。それはリアスを含めてもだ。

 

「(こいつならあるいはと期待したが……)」

 

 俺がまだ小さいときにフェニックスの家に怪物が侵入した。その白い怪物は俺達と同じ言葉を喋り俺達よりも高度な炎を操った。まだ幼く治癒力の低かったレイヴェルはその炎によって背中に今でも消えない火傷をつけたままだ。そして俺も奴に何度も何度も何度も殺された。もしも俺が慢心せずにレイヴェルを守っていれば?そう考えた日から上級悪魔では忌避されている修行にも取り組んだ。だが、気付けば俺は一人になっていた。

 当然だ、上級悪魔にとって修行とは下のものがするものだ。それをすれば嫌われるのも当然だろう。だが、連中はそんな俺に勝つ事はなかった。それからだ、レイヴェルを守ると考えながら行動が逆のことをしだしたのは。

 

「俺は……ただ対等な関係で同等の相手と戦いたかったんだがな」

 

「なら、俺がその最初の相手だぞ。ライザー!!」

 

「何だとッ!!?」

 

 兵藤一誠が何故まだ立っている!?体の怪我は俺の攻撃をくらった事を如実に表している。だというのに何故お前は立っている!!

 

「そんなに不思議な事かよ?確かに体中が悲鳴をあげているよ。今すぐにでも倒れそうだっての」

 

「ならば何故立っていられる!!」

 

 そうだ。俺がお前と同じ立場なら俺は……

 

「そんなもん決まってるだろ、俺の方が我慢強いんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……に?」

 

 ライザーは子供のような理解ができないといった表情になっていた。

 

「俺がお前に勝ってる部分は我慢だけだ。自分で言うのもなんだがお前は凄いよライザー・フェニックス。俺にはお前の生き方はできない。……だからお前にも俺と同じ生き方はできない」

 

 俺は右手の赤龍帝の籠手の感触を確かめるように拳を握った。攻撃をくらう直前に鎧のパワーは全部籠手に移せたみたいだな。

 

「ああ……そうか。そんな簡単な事か、まさかそんな簡単なことにも気付けないほど磨耗していたとはな」

 

 ライザーは自嘲気味にそう言うと俺の方を向いた。

 

「兵藤一誠、次は俺達が勝つ。それまでお前は負けるな」

 

「どうかな。俺の師匠みたいな人たちは厳しいからな」

 

 俺の答えにライザーは呆れたように笑った。

 次の瞬間、俺達は同時に走り出し互いの顔に拳を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ライザー・フェニックス様、投了。ゲーム終了です。リアス・グレモリー様の勝利です』

 

 こうして俺達はライザー。フェニックスに勝利した。




 ライザーは桃花の実力を見抜いていたり何やかんや強キャラです。環境のせいで腐ってしまいましたね。もしも、ライザーに対等な友がいたらこのグレモリー眷属でも勝てるかは不明です。また、ライザーはドラゴン恐怖症にはさせません。克服の話はおもしろいですがこの作品ではさせません。別のものに恐怖してますが。



 白い怪物については次話で判明します。急いで書くので予想をしてお待ちください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

自業自得

 今回、R15注意です。過激な表現がありますのでご注意を。また、最後に作中で説明できない部分の説明があります


「フェニックス卿。今回の婚約、このような形になってしまい、大変申し訳ない」

 

 紅髪の厳格な男性は共にゲームを観戦していた男性に頭を下げた。

 

「みなまで言わないでください、グレモリー卿。私にとっても息子があそこまで思いつめていたとは思わなかった。それに今回の件で息子も肩の重荷が少しは減ったでしょう」

 

 男性は安心そうな声でそう言った。そして、すぐに表情を変えると本題を話し出した。

 

「しかしながら、赤い龍が此方に来るとは思いもしませんでしたな」

 

「ええ、よりにもよって我が娘が拾ってくるとは、それに新しく入った少女たちも何か訳ありのようですからな」

 

「ふふ、いいことではないですか。今後の冥界は退屈しなくてすみそうですな」

 

「ところで、一緒に来られていた叔父殿はもう帰られたので?」

 

「ええ、何やら気になることがあるとのことで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、ライザーの奴めしくじりおって」

 

 派手な金髪で無駄に派手な見る人が眼を細めるような服を着た老人が冥界の空を飛行していた。彼が向かう先にはフェニックス家の別宅があり彼はそこに向かっているようだった。

 

「折角わしが見本となる業火を見せてやったというのにしくじるとはッ!!眷属も眷属だ!この時期のリアス・グレモリーの眷属に封殺されるなぞゴミ屑どもがッ!」

 

 老人は時折そう毒を吐きながら今後の対策を考えていた。

 

「こうなればわしがゴミ屑一誠を殺すか?いや、わしの痕跡が残る殺し方はいかん。……うむ、レイヴェルを使うか。昔襲った時に催眠を施しておいて正解だった。本来であればわしが調教するときに使うためのものだったのじゃが……糞焼き鳥がぁ!!」

 

 老人は余程憎いのか顔を歪めながら延々とライザーと一誠への文句を言っていた

 

「うーん、まあ一誠やライザー・フェニックスがむかつくのは同意しますよ。二人とも暑苦しい上に変態ですからね」

 

「そうだろう、そうだろう。……何者だ!?」

 

 老人の横にいつの間にか白い着物を着た桃花が平行するように飛んでいた。老人は突然の声に驚くが相手が女だと知ると愉快そうに笑った

 

「何じゃ、女の子か。こんな老人に何のようじゃ?」

 

 老人は微笑みながらそう言った。

 

「臭いです。女性限定の催眠にとってつけたような老人口調、生きていて恥ずかしくないんですかアップファル・フェニックスさん?」

 

「何故、わしの名前を?いや、それよりも催眠とは何の事じゃ?」

 

「まだ白を切りますか。まあ、貴方の悪魔生なんて興味ありませんがね。では、本題と行きましょう」

 

 桃花は周囲に伝説との戦いの記録(レジェンダリーエピソード)のページを飛ばしながらアップファルの眼を覗き込むように言った。

 

「貴方が人間界で盗んだグロンギの王のベルトの破片を返して貰いにきました」

 

 その言葉を聞いた瞬間アップファルは迷うことなく桃花に向けて爆炎を放った

 

 

 

 

「ふん、何処で知ったか知らんがあの民族達と同じで愚かな人間よ。黙っていれば長生きできたものを」

 

「そうですねー。貴方も大人しくしていれば私達に目をつけられずに済んだものを愚か過ぎて笑う気にもなれませんね」

 

「何だと!?」

 

 爆炎が晴れた先には傷一つない桃花の姿があった。桃花は気だるそうにアップファルに手を向けると雷撃を放った

 

「この程度の雷でわしが倒せると思うかッ!!」

 

「ええ、倒せますよ」

 

 桃花が反対の腕を上げるとアップファルの立っている場所にだけ雨が降ってきた。そして、アップファルが雷撃の対処に放った炎が雷撃とぶつかった

 

「があぁぁぁぁ!?」

 

「ほら、十分効いていますよ?まあ、『ウェザー』で作った特別な雨だからこそですが」

 

 しかし、アップファルの放った炎を伝って雷撃が雨にぬれた体に伝わりアップファルの体を雷撃が襲った。

 

「ほらほら、次は風ですよ?炎と風を司るフェニックスなら頑張って乗り越えてくださいよ」

 

 桃花が手を振るうとアップファルの体を竜巻が覆い隠した。

 

「ぐぎぃぃぃぃ!?」

 

「ああ、すいません。毒を付与した風なのを言い忘れていましたよ」

 

 桃花はアップファルの悲鳴を聞きながら伝説との戦いの記録(レジェンダリーエピソード)のページを三枚持ちそれで自身を扇いでいた。

 

「たかが『オルフェノクの使徒再生』、『インベスの持つヘルヘイムの毒素』。そして『バケガニの溶解液』が混ざっている風なんて余裕でしょう?どれも汚いらしい人間界の技なんですから大変高貴なフェニックス様にとって耐えるのなんて造作もないことですよ」

 

 桃花が指を立てて説明している間にアップファルの体はどんどん変化していった。最初に体全体に青い炎が燃え広がりその体を灰にした。しかし、フェニックスの特性によりアップファルは即座に復活した。だが復活してすぐに全身を体内から発生した植物に包まれインベスになろうとした。その変化の途中で体が不自然に溶け出しその場に汚い液体を撒き散らした。しばらくすると液体が独りでに集まりアップファルの姿を形成したがまたすぐに灰となり、同じ工程を繰り返した。中には使徒再生が成功する場合もあったが即座に桃花に殺されループの中に戻された。

 

「ふむふむ。フェニックスは本当に厄介ですね。この世界でなら超強力な光系の攻撃で消滅させれるそうですがそれ以外の方法ではまったく死にそうにありませんね。それでいてオルフェノクになっても能力があるとは。前の種族の力を受け継ぐのならば便利であるのと同時に敵になった場合が厄介ですね」

 

 桃花は冷静にその光景を観察しながら『王』が来るのを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後、アップファルの周囲の風は既に消滅していたがアップファルは焦点の合ってない目でうずくまっていた。

 

「……バギング・バギング・バギング、729回ですか。中々切りよく終わりましたね」

 

 桃花はうずくまっているアップファルの髪を掴むと近くにあった岩に乱雑に投げ飛ばした。

 

「ぐがっ!」

 

「さあ、ベルトは何処ですか?」

 

「ベル……ト?……!!」

 

 アップファルは桃花の言葉の意味を理解すると焦点の合ってなかった目が正気を取り戻し懐に手が伸びた

 

「許すわけがないでしょう、馬鹿ですか?」

 

「ぎにゃあぁぁ!」

 

 が、桃花が薙刀で延ばした手を地面に縫い付けた為懐に手は届かなかった。

 

「既に持っていたとは殊勝な心掛けですね」

 

「か、返せ!!それはわしのものだ!!」

 

 アップファルは奪い取られた金色の破片を返すように桃花に言った。桃花はそれに対し何の感情もない顔で言った。

 

「嫌です。そもそもこれは悪魔の貴方のものでは絶対にありません。あるとするならばリントの子孫達か私達グロンギのものです」

 

 桃花の言ったグロンギと言う言葉にアップファルの顔がどんどん青ざめていく。

 

「グ、グロンギだと!?き、貴様らは封印されている筈だ!!こんな所にいる筈がないッ!!」

 

「だそうですよダグバさん」

 

「へ?」

 

 アップファルは自分の隣を見た。そこには

 

「やあ、不死身の一族の末裔さん」

 

 いつもの笑みを浮かべたダグバが立っていた。

 

 

「だ、だ、ダグバァァァ!!?」

 

 アップファルは上級悪魔としての誇りも『転生者』という肩書きも忘れて目の前のダグバから逃げるように後ろに行こうとしたが恐怖で足がもつれてうまく動けずにいた。

 

「はい、ダグバさん。貴方が取られた物ですよ。大事に管理してくださいよ」

 

「次からは気をつけるよ。さて、と」

 

 ダグバは破片を腹部に取り込みながらアップファルの顔を覗き込むように屈んだ。

 

「ひ、ひいぃぃぃぃ!!」

 

 アップファルは目の前の恐怖の象徴のようなダグバの姿に混乱して悲鳴のような規制のようなものをあげていた。

 

「君に質問だ。君はこれを守っていたらしい民族……リントの末裔をどうしたのかな?返答次第では許すよ。でも、嘘をついたら……わかるよね?」

 

「は、はいぃぃぃ!!」

 

 アップファルは今までに出したことのないような声量で話し始めた。

 

「ま、まずは貴方様の破片を手に入れるために例の遺跡に参りました。そこでリントの末裔が邪魔をするものですから全員部下に捕らえさせました。捕らえた後も人間の癖に生意気にもわしに逆らうので家族同士で殺し合わせました。逆らえば子供を殺すといえば平然と殺しあいましたよ。そして生き残ったのが女であればわしの催眠魔法で操り子供を殺させました。男ならば目の前で子供を焼き殺した後に子供と共に生き埋めにしました。残った女達も部下に与えたので詳細はわしにも知りません。ですが、全員苦しんで死んだだろう!わしに逆らったのだから当然の報いだ!!その後に腕利きの魔術師を雇い奴等の魂も永久に地獄に束縛してやったわ!!」

 

 途中までは丁寧に話していたアップファルだったが何も言ってこないダグバや桃花に対して余裕が出てきたのか当初の傲慢な口ぶりを取り戻していた。

 

「そう。桃花、どう?」

 

「嘘は言ってないと思いますよ。近くから餓死した死体と焼死体がたくさん見つかりましたから」

 

 桃花は伝説との戦いの記録(レジェンダリーエピソード)を回収するとその場を離れた。

 

「で、では!」

 

「うん、そうだね」

 

 そう言ってダグバはアップファルに近づくと迷うことなくその心臓を貫いた。

 

「……は?」

 

「控えめに言って引くよ。そこまでの所業はグロンギでもレアだからね。やっぱり同属の方が残虐だね」

 

 ダグバは心臓から手を抜くとアップファルに背を向けた。

 

「ば、馬鹿め。わしが心臓を貫かれた位で死ぬとでも思ったッ!?」

 

 アップファルの言葉はダグバが怪人体となったことで発生した強力な威圧によって強制的に黙らされた。

 

「別に僕にとってリントはどうでもいい。何万と死んでも構わない。……けどね」

 

 ダグバが振り向いた。その顔にはいつもの笑みはなく純粋な怒りだけがあった。

 

「僕の楽しみを勝手に奪った罪は……命ですら生ぬるい」

 

 そう言ってダグバはアップファルに手を向けた。それだけでアップファルの全身が真っ白な炎に包まれた。

 

「ぐうぅ!確かに貴様の発火能力は強い!が、わしを殺しきる事はできん!!」

 

「そう、なら試してみなよ」

 

 ダグバは既に変身を解き成り行きを見守っていた。

 

「(ふん、馬鹿め。所詮は殺戮しか頭にない一族。わしには蘇生するたびに強くなるという特典がある。この特典の力があれば貴様を超えるなぞ容易いわ!!)」

 

 

 

 それから数十分後、未だにアップファルの体は燃えていた。既にアップファルは死んでいる。だが、

 

「(な、何故だ!蘇生ができん!!それどころかわしの魂までも燃え出しているだと!?)」

 

 蘇生もできず、その魂にまで炎が届こうとしていた。

 

「超自然発火能力は究極の闇の為に作った調整技。こっちが本来の技だよ」

 

 ダグバはその状況に満足し技の正体を明かしていく。

 

「これにはそもそも名前がない。つけるまでもないからね。この技の効果は唯一つ、対象の完全消滅。一度くらえば最後、相手の魂にまで引火し完全に焼き尽くす。焼き尽くされた魂は全ての世界から消滅する。この炎の前では神も龍も等しく死ぬ」

 

「(そ、そんな。わ、わしが死ぬ?……嘘、だ。こんな、ことが、あって、いい、筈、ない……)」

 

 その言葉にアップファルは絶望したのかかすかにあった気配は消え静かにその魂は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レーティングゲームが終わってから一週間後、一誠の家に新たにリアス・グレモリーも住むようになったそうです。それにライザー・フェニックスとはメル友の関係だそうです。これは流石に予定していませんでしたね。まあ

 

「なるようになれですね。ダグバさんも力を取り戻してくれましたしこれからが楽しみですよ。それよりも……」

 

 私はアップファル・フェニックスの屋敷から回収した羊皮紙を手にとって見る。そこにはダグバさんのマークにガミオさんのマーク、バルバさんのマークの他に二つ見覚えのないマークが書いてありました。これの意味するところとは一体?




 アップファルの名前はある言葉の外国語です。今回で二巻の内容は終わりです。次回からは三巻の内容に入っていきます。皆様、今後もこの作品をよろしくお願いします。

 ここから先にはこの作品内でのグロンギの設定を一部載せています。若干のネタバレを含むので見たくない人はとばしてください。




















 ゲゲル愛好家の世界でのグロンギ

 まだ悪魔や天使、堕天使が争っていた時代に誕生した人類の進化の可能性の一つ。ある狩猟民族の長だったガミオが神から授かった魔石を体内に取り込む事で誕生した。誕生と同時にほぼ全てのグロンギに殺戮衝動が生まれたが今のグロンギでそれを知るのはガミオとダグバのみ。
 戦争の混乱に乗じ悪魔、天使、堕天使、妖怪、人間etcなど様々な種族をゲゲルのルールに則り殺害したためほとんどの種族から嫌われている。
 また、グロンギ側にも被害はありクジラ種やハエ種などのグロンギは既に死んでいる(具体的に言うとテレビに出演していないメンバー)
 現代と昔のグロンギ達の姿はかなり異なっており当時から生き残っている者でも初見では見抜けない。しかし、ガミオやダグバ、バルバなどの監督側は姿に変化はない。
 殺戮を行ったグロンギ達に対して神もこれではまずいと当時の人間の民族の一つリントの青年にグロンギに与えたものと酷似した魔石と強力な封印能力のある神器を授けた。
 その青年によりグロンギは封印されたとされるが真偽の程は確認されていない。また、青年の消息も名前も不明である。ただ一つ、リントの子孫にはその青年のことを戦士クウガと称するようにと代々伝えられている。







 

 このような設定は一話形式であげると忌避されるらしいのでこのように後書きに載せていこうと思います。反対意見があればその時に考えさせていただきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

忘却

 長らく更新してませんでしたが一応作者は生きてます


 夢を見ていた。地上を照らす太陽は地に堕ち、命あるものを支える大地は真っ二つになっていた。そんな地獄の中で透き通った白と濁った黒が激突していた。それらが激突するたびに大地の裂け目が広がっていった。

 

「……!?」

 

「……!!」

 

 黒が咆哮するとその周囲に彼と同じ色の剣、槍、矢が現れ白に向かって放たれた。白の体から鮮やかな赤が吹き出した。が、白は甲高い声を上げ、その手に白い剣を生成し黒に向かって駆け出す。黒もその手に剣を生成し、上空に振り上げる。その二人のすぐ近くの赤い薔薇はその光景を残念に思い、膝をつき泣いている蛇はその顔を上げた。……唐突に視界が暗くなった。何も見えなくなった私に唐突に声が聞こえてきた。

 

「…………」

 

 聞いたはずの声を思い出せないまま私の意識はどんどん浮上して行った。

 待ってください!貴方の名前は……

 

「戦士…………だ」

 

 その言葉を最後に私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!夢……ですか。随分と不可思議な夢でしたね」

 

 私は額にかいていた汗をぬぐいながらベッドから出て時計を確認します。

 

「3時ですか。変な時間に起きてしまいましたね。こんな時間じゃグムンさんも起きていないでしょうし……自分でやりますか。インスタント食品があるといいのですが」

 

 キッチンに向かって歩きながら先程の夢のことを思い出そうと頭を捻る。

 

「……駄目ですね。全く思い出せません。何か大事な内容だった気がするのですが……おや?」

 

 キッチンに行く途中で外から金属がぶつかる音が数度聞こえてきました。しばらくすると何かが倒れる音がしました。

 

「どうやら何か起きたみたいですね……。やはり、この町にいるのは正解ですね。次から次におもしろいモノがやってきますね」

 

 

 

 

 

 

 あの後、カップ麺を作った私はそれを早めの朝食とした後で伝説との戦いの記録の新しく増えたページを整理しながら夜明けを待った後に学校に登校しました。

 

「あれ、何で教室でのんびりしてんの桃花?」

 

「はい?」

 

 私が教室でのんびりしていると桐生藍華が私に声をかけてきました。

 

「いや、来週には部活対抗の……そっか。別に桃花には関係なかったね」

 

「そうですよ桐生さん。何を勘違いすればそうなるんですか」

 

「いや、桃花って結構オカ研に行ってるじゃん?だから一瞬部員かと勘違いしちゃってさ」

 

「ああ、そういうことですか。別に構いませんよ。入り浸ってたのは事実ですし」

 

 そういえばそうでした、来週は球技大会でしたね。窓の外を見てみると丁度グレモリー眷属のメンバーが練習をしていました。あ、木場祐斗がボールを取り損ねましたね。珍しい

 

「手伝ったりはしないの?」

 

「逆にしないでほしいそうですよ。流石に部外者を参加させるのは問題でしょうし、元から手伝う気はありませんでしたよ」

 

 一誠は忘れていそうですが私と彼女達は本来は敵同士ですからね。今まで仲良くやってたのがおかしいのですよ。まあ、リアス・グレモリーは未だに甘いのでどう思ってるのかわかりませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと……行きますか」

 

 先程、リアス・グレモリーからメールが届き今日の昼休みに部室に来て欲しいと呼ばれていた私は一誠とアーシア出て少ししてから教室を出ようとしました。

 

「あれ桃花もどっか行くの?」

 

「ええ、少し野暮用がありましてね。桐生さん、今日はお一人で?」

 

「そうなのよー。アーシアはさっき彼氏と一緒にオカルト研究部の部室に行っちゃったし、レイはいつのまにかいなかったし、凜ちゃんは今日も仕事だもんね」

 

 ああ、そういえば彼女は一誠のことをアーシアの彼氏って言ってからかってましたね。まあ、いずれはそうなりそうですけどね。

 

「凜ちゃんもここ最近は忙しいですからね……では、私はこれで」

 

「ああ、うん。ごめんねー、引き留めて」

 

「いえいえ」

 

 さて、凜ちゃんの方に任せた案件はどうなりましたかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凜ちゃん、今日の仕事の件なんだけど……」

 

「マネージャーさん♪」

 

 駒王町にあるライブ会場の控え室に入ってきた自身のマネージャーに対し、今話題沸騰中でいずれは世界に進出することを期待されているアイドルの伽部凜は笑顔で近づき

 

「少し、眠っててくれるかな?」

 

「う゛!」

 

 彼の首に氷の針を突き刺した。

 

「うん、桃花ちゃんから頼まれていた実験も成功だね。まさか、神器で現出させた能力は武具に宿せるなんてね」

 

 手元にあるおもちゃの銃をなでながら凜はそう言い、後ろにそれを向けた。

 

「で、何の用かな、グムン?ズのあなたが私の背後に立つとか烏滸がましいんじゃない?」

 

「……相変わらず下の者を見下しているんだなゲラグ。トウカの前でのあれは演技か?」

 

 凜の後ろにはいつの間にやってきたのか怪人体のズ・グムン・バが立っていた。その際に呼んだ桃花の名前のイントネーションは日本語とはどこか違っていた。

 

「別にー、桃花ちゃんには従ってるよー?だから、彼女の前では最低限の良い子を心がけているだけ。大体、蘇ってすぐにしたのが日本語の言語の勉強とかそれでもグロンギー?」

 

「……ならば一つ質問だ」

 

 凜の挑発にもとれる発言をされたグムンだったがその言葉を聞いていないのか、あるいは無視したのか自分の言葉を発した。

 

「何?」

 

「貴様は自分の最後の光景を憶えているか?」

 

「それは……」

 

「言い換えよう。……お前の憶えているのはクウガに封印された光景か?それとも殺された光景か?」

 

 グムンが言い終えた瞬間、彼が立っている横の壁にクラゲの触手が叩き付けられた。

 

「バビグギギダギグムン?」

 

「ゴセジャゴラゲクウガビボソガセダザズザ。ザガ、ボグギデズダダヂジョリガゲダダ。ゴセパゴセゾトウカンゴバゲドゴロダダ。ゴセパギラロバパサン」

 

 グロンギ語でグムンはそう言うと、人間体に戻り近くの椅子に座った。

 

「しかしだ、全員がそうなのか?」

 

「……どういうこと?」

 

 凜も銃をしまい、グムンの話に耳を傾けた。

 

「恐らくだがトウカにはまだ何か秘密がある。あの感じからして本人も知らない何かがな……それを恐らくダグバは知っているのだろう」

 

「根拠は?」

 

「俺自身だ」

 

「はあ?」

 

 グムンの発言に凜は呆れた顔でグムンの顔を見た。

 

「冷静に考えろ。以前の俺はここまで知性的だったか?」

 

「……まあ、今が知性的かどうかは置いといて。確かに前のあなたは知性派とは決して呼べなかったねー」

 

「独断専行でゲゲルを始めたあげくに殺された俺がリントの言葉を学ぼうとするか?これはどう考えても俺の性格とは一致しない行動だ」

 

「結局、何が言いたいわけ?」

 

 グムンは懐からメモ帳を取り出すと凜に向けて投げ渡した。

 

「何、これ?」

 

「長野県にあるとある遺跡の所在地だ。お前のアイドルとしてのコネとその小銃があれば密かに調査ができるはずだ」

 

 グムンの発言に嫌そうな顔をしながら凜はスマホで書いてある住所の場所をネット検索した。

 

「九郎が岳遺跡?ここに何かあるの」

 

「俺も調査の際に偶然見つけたのだがな、この遺跡のことをゴウマに聞いた結果わかったことだが……ここは俺達が封印されていた遺跡だ」

 

「は?」

 

 グムンの発言に驚いた凜がスマホを落としそうになったが寸前のところでキャッチしながらグムンに詰め寄った。

 

「ちょっと、待って。ここは私たちが生前いた場所じゃないでしょ?だったらその遺跡があるわけ……」

 

「その話はトウカから聞いた物ではないのか?それに調査をしていて感じたが一部の悪魔は俺達のことを知っている様子がした」

 

「………」

 

 グムンのその発言に黙った凜はメモ帳のページを破りそこに電話の番号とメールアドレスを書いた。

 

「これ、私のガラケーの番号だからこれについての会話はこっちに送って」

 

「わかった。それと本来の要件だが……」

 

「ああ、そっちはもう調べ終わったよ。ファンの子で趣味がオカルトの子の情報だけど信憑性は高いよ」

 

 凜の言葉にグムンは黙って聞きながらメモ帳に文字を書いていた。

 

「それで、うちに勧誘をしてきた馬鹿はどこの誰だ」

 

「三大勢力のどこからも弾かれた連中が集まってできた組織で確か名前は……渦の団(カオス・ブリゲイド)。そこの英雄派の曹操という男だよ」




 ※後半のグムンとゲラグの会話は今はそこまで重要じゃないです。
 翻訳してないグロンギ語に関しては感想で要望多かったからここか、次の前書きに掲載します。それから補足として桃花の神器は設定上自動でアップデートされるのでバグスターやスマッシュの能力も使用できます(敵で出すかは未定)


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。