とんでもない馬鹿がガラル地方にいるらしいですよ? (命 翼)
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俺はキョウスケでぇす!!

お久しぶりです。かつてここに投稿していた「もしとんでもない馬鹿が幻想入りしたら」の作品のポケモン版となります。
作品は変われど主人公のふざけっぷりは変わりません。妹が追加された程度です。主人公の元々のふざけっぷりを知りたい方は先程述べた作品「もしもとんでもない馬鹿が幻想入りしたら」を検索してみてください。
では始めて行きます。


 こんにちは。バウタウン、ジムリーダールリナです。早速ですが、私はピンチに陥っています。目の前には私に向かって思い切り謝る女性レイカさん、そしてその後ろではヨクバリスと共に謎の踊りをしている男キョウスケがいます。

 

 そうです、この踊ってるのが主人公です。妹はチャンピオンであるユウリに憧れているとの事でほぼ同じ服装に髪型をしているのですが、その兄貴はノーマルタイプのユニフォームをしてるんです。彼、ジムリーダーじゃないです。

 

「レイカさん…ごめんだけどそこの馬鹿だけ追い出してくれる?」

 

「俺はイケメンサイヤ人キョウスケだっ!!」

 

「アニキ!意味わからない事言わんといて!!」

 

 私に言われたら変な表情をして、レイカさんに言われたらまるでヌメラのような顔になります。ヨクバリスは関係なく踊りぱなしです。バウタウンの方は冷たくこちらを見ています、どうすればいいか誰か教えて下さい。

 

「サイヤ人とか何だか知らないけど!ここで変な事は…!!」

 

「見ろ!!俺のはなーげをぉ!!」「人の話を聞けぇ!!」

 

 ルリナの話を遮り、人々を煽るようなそんな表情でヨクバリスと共に踊り続けるキョウスケ。妹であるレイカはそんな兄の行動を見て呆れ、黙り込む。実力行使にルリナが出ようとしたその瞬間…

 

「行くぞヨクバリス!!キモいキモい戦法だ!!」

 

「やめんかい!!」

 

 キョウスケが変顔をし変な踊りをヨクバリスと共にしようとしたその時。妹、レイカからの鉄拳が顔面に炸裂。キョウスケは共に踊っていたヨクバリスをその場に残して、星となって吹き飛んで行った…のだが…

 

「何しやがる!!」

 

「うわあああ!?」

 

 レイカが吹き飛ばしたのにも関わらず、キョウスケはルリナの足元から顔を出して出現。ルリナは驚きの声を上げると同時に、咄嗟にキョウスケを踏みつけた。それを見た1人の男が…

 

「ルリナさん!!今顔しか出てないから!!弱い者いじめみたいになってるから!!」

 

「ヨクバリス!!私を助けるのだ!!」

 

「何で踏まれて普通に喋れるの!?」

 

 顔に足跡がつきながらも普通に喋るキョウスケを見て驚きを隠せない男性。そしてキョウスケの指示を受けて、ヨクバリスは彼を引っ張り上げて地面から引き抜く。引き抜かれた後キョウスケは少し息を吐くと…

 

「よくもやったな!!お前を凄い勢いでパンチしてやる!!」

 

「す、凄い勢いで!?」

 

「アニキ、足跡凄い付いてる…」

 

 ルリナの方にヨクバリスと向いたキョウスケは変顔しながら彼女を指差す。思い切り付いている足跡にレイカは呆れながら見ていたのだが、キョウスケは気にする事なくムカデのような動きを見せながら臨戦体勢。その動きを見たルリナの顔が一気に青ざめ…

 

「いやあああ!!カジリガメ!!ぶん投げる!!」

 

「カジリガメってそんな技覚えましたっけ!?」

 

 ルリナは拒否感のあまりカジリガメを繰り出すと訳の分からない技を指示。当然カジリガメはキョトンとした表情でルリナの方を見たのだが、じわじわと変顔で迫って来るキョウスケを見て訳の分からないまま突進。キョウスケの腹部にぶつかるとそのまま海まで吹き飛ばした。

 

「ヨクバァ!!」

 

「おいぃぃ!!ヨクバリスは行かなくていいんだって!!」

 

 海まで吹き飛んだキョウスケを追ってそのまま海に飛び込むヨクバリス。ルリナは少し周りが見えなくなっていたせいか、キョトンとした表情をしていたが、少し怒り気味のカジリガメを見て状況を把握した。

 

 その後キョウスケとヨクバリスは何かを抱えながら陸地に戻って来た。その何かは2匹苦しそうにヨクバリスとキョウスケの腕の中でもがいている。

 

「見ろレイカ!!コイキング!!コイキングを捕まえたぞ!!」

 

「ヨクバッ!!」

 

「返してあげなさいっ!!」

 

 キョウスケ達が捕まえたコイキングを見て、思わず声を張り上げたルリナ。キョウスケとヨクバリスは一瞬顔を見合わせると、素直にコイキングを海の中に返す。やけに素直な事に怪しいと思ったレイカとルリナだが…

 

「ヨクバリス!!カジリガメを弱らせて捕まえるぞっ!!」

 

「ヨクバッ!!」

 

「……カジリガメ。もう一度海に突き落として」「カジッ!?」

 

 訳のわからないルリナからの指示にカジリガメは困惑したが、迫るキョウスケとヨクバリスを見て状況を把握したのだが、キョウスケの変顔に恐怖を感じ、そのままルリナの後ろに退避した。キョウスケ達はそのままカジリガメを追いかけようとしたが…

 

「まずい逃げるぞヨクバリス!!」

 

「ヨクバッ!!」

 

「やぁぁめぇろぉぉ!!」

 

 カジリガメを追撃しようとしたキョウスケ達に対してレイカは2人の顔面をぶん殴って吹き飛ばす。人間はともかくポケモンであるヨクバリスまで吹き飛ばした姿を見て、ルリナは唖然とした表情を浮かべる。

 

「これでスッキリしましたねっ!!」

 

「レイカちゃん!?アナタどんな力持ってるの!?」

 

「やぁだぁ、ルリナさん。私、か弱い女の子ですよ〜」

 

 ポケモンを吹き飛ばす姿のどこがか弱いというのか…笑みを浮かべながら語るレイカを見てルリナとカジリガメは一瞬だけ顔を見合わせた。そしてルリナが息を呑んだ瞬間に、バウタウンに自転車を飛ばしてやって来たのは…

 

「ルリナさぁん!!今、師匠の気配がここからしましたぁ!!」

 

「どんな気配よ!?」

 

 汗をかきながら姿を見せたのは試合を終えたばかりのチャンピオンユウリ。レイカは憧れの人の姿を見たと同時に固まり、気絶。そしてどこかに吹き飛んで行ったキョウスケが隕石かのように落下しながらバウタウンに戻って来た。もちろんヨクバリスも。

 

「はっーはっ!!我は不死身なりぃぃ!!」

 

「ヨクバァ!!」

 

「師匠ー!!やはり師匠は凄いやっ!!」「師匠ってコイツの事!?」

 

 ルリナはユウリの言葉に驚きつつ、気絶したレイカを気にかける。ユウリは目を輝かしながらキョウスケに近づくと、キョウスケとヨクバリスは丸焦げになりながらユウリに向かって少し手をあげる。

 

「よぉユウリ!!一番弟子が師匠の元にやって来てくれたかぁ!!」

 

「当たり前です師匠!!ユウリは師匠の所ありです!!」

 

「うん、とりあえず丸焦げな所にツッコんであげて?」

 

 どこからツッコめばいいか分からない状況の中でルリナが発した一言にキョウスケとヨクバリスは驚いた反応を見せると、身体を輝かして丸焦げの色を取った。ユウリはそれを見て目を輝かしているが、ルリナは疑問に感じた表情を浮かべている。

 

「え!?今のどうやってやったの!?」

 

「さすが師匠です!!やれない事はないですね!!」

 

「ユウリもこれくらい出来るようになぁ!!」

 

「(出来るか)」

 

 目を輝かせるユウリそしてキョウスケの言葉にルリナが心の中でツッコみを入れていると、このタイミングでレイカが目を覚ます。バウタウン自体がチャンピオンが来たという事でキョウスケ達がいる塔付近に、人が集まって来る中で…

 

「人が集まって来たな!!よし行くぞヨクバリス、ユウリ!!かめはめ波だ!!」

 

「はい師匠!!かーめはーめ…」

 

「ダメダメダメ!!他作品の技だからっ!!」

 

 ユウリを含めた3人で他作品の技であるかめはめ波のポーズを取ったのだが、レイカの必死の阻止により発動までに何とかする事に成功した。どうとにでもなれと考えるのを放棄しているルリナがいる中で…

 

「何故だレイカ!!これは我が奥義だぞ!?」

 

「そうだそうだ!!」

 

「ダメな物はダメ…というかルリナさん何とかして下さ…」

 

「うん…まあいいんじゃないかな?」」「ルリナさぁーん!?」

 

 ルリナの言葉に再度かめはめ波を放とうとしたキョウスケ達ではあったが、この後バウタウンに来たダンデによりこっ酷く怒られたという…




長々しく前書きを書いてしまいましたが、ここまで見てくださりありがとうございます。続きは年内の予定です。よろしくお願いします。
後この作品はpixivにも投稿してますので、良かったらそちらにも足を運んで下さると嬉しいです。ではこの辺にて。


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突撃!!ナックルシティ!!

はーい年内に投稿出来ましたぁ。やっていくぜい!!


 こんにちは皆さま。主人公の妹であるレイカです。今私はナックルシティにいるのですが、目の前でまた兄のキョウスケが踊ってます。今日はヨクバリスだけじゃないです。何故かヌメルゴンも一緒です。

 

「歌えや踊れやえんやほーはやぁ〜!!」

 

「ヌメっ!!ヌメっ!!」

 

 どうしてこうなってしまったのか理解出来てません。ナックルシティのジムトレーナーであるリョウタさんに助けを求められ、ここに来たのですがそのしゃくれた顎がどう見てもヤドンにしか見えないのですが気のせいでしょうか。

 

「兄貴!!リョウタさん困ってるよ!!てか街中で踊らないでっ!!」

 

「馬鹿野郎!!踊りこそ命だ!希少価値だぁ!!」

 

「い、意味が分からない…」

 

 キョウスケの隣にいるヌメルゴンはキバナのパートナーであり、どう言う事が原因か分からないがヨクバリスとの仲で踊っている。顎をしゃくれさせ、変な動きを続けるキョウスケの姿と言葉にリョウタは呆れる始末。そんなリョウタの反応を見て、キョウスケはカンフーのようなポーズに変えると…

 

「おいリョウタ貴様!!私の波動拳を喰らうかぁ!?」

 

「ヨクバァ!!」

 

「作品違うからっ!!てか今にでも放てますよアピールをやめろっ!!」

 

 カンフーのポーズをしているキョウスケではあるが、足の力が皆無なせいか少し上げた足がちょくちょくと地面に付いている。その違和感に気づいたレイカは内心カッコ悪いと思いながら、見下した目でキョウスケを見つめていると…

 

「そこにいたかガラルの汚点!!オレ様のヌメルゴンを返しやがれっ!!」

 

「まずい!!顔面600族だっ!!」

 

「(顔面600族…?)」

 

 声を上げてキョウスケ達のいる場所に早歩きで来たのは怒り心頭のナックルシティのジムリーダーキバナ。キョウスケの言葉にリョウタとレイカが疑問を抱きつつ黙る中、キバナの方をヨクバリス、ヌメルゴンと共に小馬鹿にしているようなオーバーリアクションを見せる。

 

「すまねえなリョウタ。後は任せてくれ」

 

「す、すいませんキバナさん…」

 

「お、シカトかっ!?上等だ!!ヌメルゴン!!ダイマックス砲だっ!!」

 

「(覚えるか)」

 

 レイカが内心でキョウスケに対してツッコミを入れていると、キョウスケの指示を受けたヌメルゴンが口からダイマックス砲を放つ。キバナとレイカは「はぁ!?」と言う声を上げてかわすが、幸いに放たれたダイマックス砲はワイルドエリアに消えていった。

 

「えちょ!?撃てるの!?ダイマックス砲をっ!?」

 

「ふははは!!どうだこれがギャグ補正の裁きだぁ!!」

 

「何でもありだなギャグ補正っ!!」

 

 あまりの事に驚きを隠せないキバナとレイカではあったが、それより気になったのがキョウスケが立てている中指とヨクバリスとヌメルゴンと共に向けている人を煽るようなドヤ顔。特にキバナはイラついており、それを察したキョウスケがさらに煽るように踊り出す。

 

「キバナちゃあん。さあ私を捕まえてみるのです!!ぐへへへ」

 

「こんの…ギャグ補正をいい事に好き勝手にやりやがって…これが小説という事を忘れたかっ!!」

 

「(いやキバナさん、ツッコむとこそこじゃない)」

 

 キバナの意味不明とも言える言葉にショックを受けた表情を浮かべるキョウスケ。そしてそのままその場に膝をつくと…

 

「じ、じゃあ…オレのふざけがただの文字になるというのか…っ!!」

 

「そうだ!!だからふざけても意味ないからなっ!!」

 

「(皆さん。この作品はこういう作品です)」

 

 キバナとキョウスケのやり取りにレイカがツッコミを放棄。レイカが呆れたような表情で黙っているとキバナとキョウスケがレイカの方を見るやいなや…

 

「ツッコめよっ!!」

 

「ツッコめるかぁ!!」

 

「ツッコミ担当がツッコミを放棄しただと…!?終わりだ…この作品は終わった…」

 

「キバナさん止めに来た側だよねっ!?」

 

 レイカの言葉と反応を見るとキョウスケとキバナ、さらにヌメルゴンとヨクバリスはこの世の終わりのような表情を見せてそのまま真っ白になって倒れ込む。その状況を見ているナックルシティの人々は訳がわからなさ過ぎて呆れの表情を見せている。

 

 レイカのツッコミにハッとしたキバナは倒れ込んだ状況からすぐに立ち上がると…

 

「そうだったっ!!おいコラキョウスケ!!オレのヌメルゴン返せっ!!」

 

「よかろう!!私にジャンケンで勝てたらなぁ!!」

 

「上等だ!!ジャンケンするぞっ!!」

 

「ジャンケンってそんな気合いを入れないと出来なかったっけ!?」

 

 2人から溢れ出る謎のオーラ。ドラゴン○ールを想像させる気配の出しようだが、2人が今からしようとしているのはそんなオーラとは無縁のジャンケンである。謎のオーラとポーズを決めたキバナとキョウスケは声を張り上げると…

 

「行くぞ最初はっ!!」

 

「グーッ!!」

 

 2人がジャンケンのグーを出した瞬間に巻き起こる強風。レイカはそれに噴き飛ばされそうになったと同時に…

 

「ジャンケンでこんな風起こらないって!!どんなジャンケンしてるのっ!?」

 

「いやアレは伝説のヌメルゴンジャンケン…」

 

「普通に喋らないでくれるかなヨクバリス…?」

 

 普通に喋ったヨクバリスにレイカがツッコミを入れている間にもキバナとキョウスケは、何故か顎をしゃくれさせながらジャンケンをしている。先程から巻き起こっている強風はナックルシティの人々も驚かせていたが、突如として強風が止み…

 

「何…?すっと2人とも棒立ちしてるんだけど…」

 

「………」

 

 俯きながら急に黙り込んだ2人。キバナが突如ヌメルゴンを連れて、レイカの元に近づくと目線も合わせぬまま大きく深呼吸をし…

 

「ジャンケンに勝ったァァァァァァ!!」

 

「負けたァァァァァァ!!」

 

「ジャンケンでそんなに盛り上がるぅ!?」

 

 歓喜するキバナとショックを受けるキョウスケ。2人のやり取りにレイカはツッコミを入れつつも内心でかなり呆れていた。相当ショックだったのかそのままうずくまってしまったキョウスケに対し、キバナは煽り返すかのように…

 

「よーしじゃあ後はお前が逮捕されたら事は解決だなっ!!あばよガラルの…」

 

 キバナがキョウスケに背を向けた瞬間にキョウスケは変顔をしながら立ち上がると、変な動きをしながらキバナに急接近しレイカの隣にいたヨクバリスと共に思い切り体当たりを喰らわせる。

 

「グボァァ!?」

 

「キョウスケ必殺!!」

 

「ヘビーボンバァァァ!!」

 

「普通の体当たりじゃねぇか!!」

 

 普通に喋るヨクバリスにツッコミを入れる事なくレイカは普通にキョウスケの行動についてツッコミを入れる。キバナはキョウスケとヨクバリスの体当たりを食らって気絶、それを見たヌメルゴンが…

 

「おのれ!!よくもご主人をっ!!行くぞ必殺…!!」

 

「待って!?何でこの作品のポケモン普通に喋るの!?」

 

「それはそういう作品だからさっ!!」

 

「やかましいわっ!!」

 

 普通に喋るヌメルゴンにレイカが驚いていると、レイカの言葉に対してキョウスケが清々しい程の笑顔で堂々と言い張る。そうしている間にもヌメルゴンの竜のいぶきがキョウスケとヨクバリスに炸裂。2人は変顔をしながらまともに喰らうとその場に倒れた。

 

「おーい、どうすんだよ兄貴もキバナさんもみんな倒れちゃったじゃん…」

 

「え?誰がこんな事をやったんだァ!?」

 

「お前も入っているんだよ…」

 

 何故か喋るヌメルゴンの言葉にレイカはもうツッコむ気力が失せる程に呆れるとバウタウンの時と同様、ナックルシティの住民からSOSを受け取ったダンデによりキョウスケとキバナ達はこっ酷く叱られたらしい…




クォリティが低い?ノンノン…ギャグ補正が過ぎると言ってくれっ!!


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キルクスタウンンン!!って寒っ!?

明けましておめでとう御座います!!今年もよろしくお願いします!!


 レイカです。そちらは明けましておめでとうございますの時期でしょうか?でも私達の所はまだ夏から秋に差し掛かったばかりみたいです。場所は今キルクスタウンにいます、ガラル地方で唯一常に雪が降っている寒い街です。

 

 え?オタクの兄はどこにいるかって?やはり気になります?…そうですね…

 

「見ろレイカ!!これぞ暖房戦法だ!!」

 

「ヨクバッ!!」

 

 どうなってこうなったのか知りませんが、ヨクバリスと共に地面に埋まって顔だけを目の前に出しています。ディグダみたいに見えますが、どうみたってこんなディグダは見たくありません。気色悪いです。

 

「兄貴が着込めばいいだけでしょ?」

 

「何を言う。オレは着込んでいるではないか!!土という服をっ!!」

 

「絶対暖かくないよねそれ…」

 

 キョウスケに冷静に呟くレイカはやはり寒い街という事もあり、暖かめの服を着用。ヨクバリスも毛皮がある為問題ないが、地面に埋まって分からないがキョウスケは半袖半ズボンという何とも場所的に場違いな服装をしている。レイカの言葉にキョウスケは不満気に変顔をすると…

 

「うるさいなぁ…暖めればいいんだろ!!行くぞヨクバリス!!」

 

「ヨクバッ!!」

 

 何かをキョウスケはヨクバリスに語りかけると、2人は地面の中でまるでコマのように大回転しそのまま地面を回りながら脱出。キルクスタウンの人々とレイカが驚いたような表情を見せる中、2人は回りながら空に消えていった…と思いきや…

 

 次戻って来た時には隕石が落下したかのように炎を纏いながらその場に落下して来た。

 

「ちょまっ!?ええっ!?」

 

「見ろ!!これが人間版、りゅうせいぐんだァァァ!!」

 

 レイカが驚きながらキョウスケとヨクバリスの元から離れる中、キョウスケとヨクバリスはゆっくりと回りながら地面に着地。だが大気圏にでも行ったのだろうか、身体が燃えながらの帰還となった。

 

「どうだ!!オレも遂にオーラを纏ったぞ!!」

 

「オーラというか燃えてるだけでしょうが!!」

 

 3人のいる場所が丁度スタジアム目の前の場所。キョウスケが燃えている姿を見かけた1人のジムトレーナーが慌てて、ジムリーダーに報告。ヨクバリスの炎はあっさりと鎮火した中で、キョウスケは以前と燃え続けている。そんな最中、報告を受けてその場にやってきたジムリーダー2人は…

 

「またアナタですかキョウスケ…」

 

「よお!!チクワとメロンさん!!」

 

「誰がチクワだチクワ!!」

 

「えっと…何がどうなってコイツの身体は燃えているんだい…?」

 

 燃えながらマクワとメロンに近づこうとしたキョウスケではあったが、メロンがあらかじめ持ってきていたバケツの水を吹っかけられ、その炎は鎮火。キョウスケはしばらく固まったと思いきや…

 

「さっむっ!!よくもやったなっ!!行くぞヨクバリス!!ギニュー特戦隊戦法だ!!」

 

「アンタら2人しかいないじゃないかい」

 

「メロンさんツッコむ所そこじゃないと思います…」

 

 キョウスケは相変わらずの半袖半ズボンのノーマルタイプのユニフォーム。相棒のヨクバリスと共にギニュー特戦隊のポーズとは明らかに違う、変なポーズを見せるとそのまま2人に突撃して来た。

 

まるでゴキブリに似たその動きに、レイカが悲鳴をあげる中メロンは躊躇なく、キョウスケにバケツをぶつける。

 

「ぐふお!?」

 

「大将!!な、何をするんダァー!!許さん!!」

 

「ポケモンが喋ったァ!?」

 

「元からなんですよマクワさん…」

 

 キョウスケがバケツでやられた事に激怒したヨクバリスが何の前触れもなく喋った事に驚くマクワ。その光景を既に見ていたレイカは大して驚く事もなく、呟いていたがマクワの隣にいたメロンも無言だったが驚いた表情を見せていた。

 

 一瞬バケツによって倒されたキョウスケではあったが、倒れてから7秒後に立ち上がり…

 

「ふははは!!見たか!!これが7の力!!これでオレは無敵ッ!!」

 

「燃えていた地点で無敵だと思うんだけど…」

 

「あんなの前座に過ぎないゾ!!全ては7の力演出の!!」

 

「7の力大してインパクト無かったような…」

 

 メロンのひょんとした一言にキョウスケとヨクバリスはかなり衝撃を受けたようで、同じタイミングで口を思い切り開いた状態で倒れ込む。だが再び7秒のタイミングで何事もなかったかのように立ち上がり…

 

「おいリーダー!!7の力のどこにインパクトがないだって!?」

 

「今、凄い衝撃を受けていたよね!?さらっと7の力を使ったよね!?」

 

「え?誰が使ったって?」

 

「お前らだよっ!!」

 

 何事もなかったかのようにボケの事に関してメロンに抗議に向かおうとしたキョウスケとヨクバリスだったが、今度はレイカからの指摘とツッコミを受けて驚きを受けたようで、さっきと同じく口を開きっぱなしで倒れていく。オチが見えているが、2人はまた7秒後に立ち上がり…

 

「ふはは!!見たかこれが7の力!!」

 

「もういいから」

 

「なん…だと…!?」

 

「また衝撃受けてるよ!!また7の力をやるつもりだよ!!」

 

 メロンからの言葉にまたしても衝撃を受けたヨクバリスとキョウスケは、もう何度見た光景か口を開きっぱなしで倒れると今度は7秒後に立ち上がるのではなく、何と倒れたまま空を飛んでいき…

 

 レイカら3人が呆れ顔で空に飛んでいったキョウスケ達を見つめる中、キョウスケとヨクバリスはまた身体を燃やした状態で帰還。そのまま何事も無かったかのようにメロンに抗議しようと近づいてきたのだが…

 

「おいコラ!!7の力のどこが悪いんだ!?」

 

「そうだそうだ!!7の力は最強なんだぞ!?」

 

「(レイカさん…見間違えじゃないですよね?)」

 

「(ええ…違うと思います)」

 

 メロンが2人からの抗議を軽くあしらっている中で、マクワとレイカは同じ場所を見つめながらも目を疑う。そこにいたのは犬型…明らかにワンパチやパルスワンとは全然色をしたポケモンがキョウスケ達と一緒にいたからだ。

 

「ちょっとキョウスケ。そこのポケモン…明らかにガラル地方のポケモンじゃないですよね?」

 

「ああ、コイツはダニィというんだ。ワンパチだよ」

 

「ワンパチ!!」

 

「いやワンパチ、こんな鳴き声していないって!!」

 

 マクワの問いかけにキョウスケはワンパチだと答えたのだが、緑と黒が入ったその身体の色は明らかにワンパチに見えない中、キョウスケは煙に巻く事なくあっさり答えた。

 

「ちなみにタイプは?」

 

「ドラゴンとじめん」

 

「ドラゴン!?え、もしかして…」

 

「元の名前はジガルデだったでござんす」

 

 ヨクバリスが犬型のポケモンの正体をジガルデで明かしたのだが、ヨクバリスが喋っている事については今は触れないとして、メロンとレイカ、さらにマクワは驚きのあまり固まってしまい、数秒した後に…

 

「どした?コイツはワンパチだ!!そだろワンパチ!!」

 

「ワンパチ!!ワンパチ!!」

 

「待ちなって!!ジガルデってガラル地方にはいない伝説のポケモンじゃないか!!」

 

「いいや!!誰がなんと言おうとコイツはワンパチだ!!お手!!」

 

 ジガルデはキョウスケが手を差し出すとなんの躊躇もなく、手を差し出す。あまりに突然の事で混乱するレイカ達ではあるが、キョウスケとヨクバリス曰く、ワンパチと鳴くからワンパチだと思ったとの事らしい。

 

「じ、ジガルデがが、ガラル地方に…」

 

「これからどうなるんだこの作品…」

 

 ちなみにワンパチと鳴くジガルデの存在はSNSを通じてあっという間に広がり、ガラル地方は一度は大パニックに。ダンデらが協議した結果、キョウスケに懐いている事から、マスコミにはジガルデはキョウスケのポケモンだと説明したらしい…




今回は少し大人しめでしたが、すまない!!新年1発目だから許してくれっ!!
次回からはもっと暴れるからよろしくよっ!!


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スーパサイヤ人のとこに行くぞぉ!!

今日も投稿して行くぞぉぉぉ!!


 レイカです。前回何故か伝説のポケモンであるジガルデが兄のポケモンになった訳ですが、特に問題も起こす事なくついて行ってます。私は今ターフタウンに…え?兄はどこにいるかって?…それはですね…

 

「俺らもブラックナイトをするぞ!!そのための儀式だ!!」

 

「ヨクバ!!」

 

「ワンパッ!!」

 

 ワンパ…間違えた。ジガルデとヨクバリスと共に目の前で謎のダンスをしています。3人の後ろにはブラックナイトの地上絵がある訳ですが、どうやらそれに感化された様子…相変わらず周りの目お構いなしに踊ってます。周りはゴミを見る目で3人を見てます…

 

「ブラックナイトにそんな踊りなんてないよぉ…」

 

「何だとぉ!?俺の考えたブラックナイトに何てこと言うんだっ!!」

 

「ブラックナイトを踊りか何かと勘違いしてないっ!?」

 

 相変わらずの兄の態度に呆れたレイカがため息を吐きながら一言呟くと、キョウスケはヨクバリスと共に変顔をしながら反論をする。レイカが改めてブラックナイトについて尋ねると、吠えるだけだったワンパ…いやジガルデと共に「え?違うの?」と言わんばかりに3人で口をあんぐりと開く。

 

「そんな事あっちゃいけない!!オレはダイマックスするぞ!!」

 

「そんな事できる筈が…」

 

 キョウスケが指に息を吹きかけ始めると、まるで風船かのようにどんどんとその身体が巨大化して行くと思いきや、突如強風がキョウスケの元だけに吹き、風に流されて吹き飛ばされて行く。驚いていたレイカではあったが、吹き飛ばされたキョウスケを見て呆れ顔。

 

 そして吹き飛ばされたキョウスケを見てヨクバリスとジガルデは塀を飛び越え…

 

「ちょいちょい!!追いかけちゃダメだってぇぇ!!」

 

 吹き飛ばされて空中に舞いあがったキョウスケを追いかけて思い切りジャンプすると、キョウスケの足を掴み引っ張ってレイカの元に戻って来た。

 

「ただいま」

 

「ただいまじゃないって!!」

 

「ははは。相変わらず愉快な人達だなぁ」

 

 真顔で一言呟いたキョウスケに対して、声を張り上げてツッコミを入れるレイカ。周りが相変わらずゴミを見るような目でキョウスケを見つめている中、とある人物の声が後方から聞こえ背後に振り向くと、そこにいたのはターフタウンジムリーダーのヤロー。

 

 笑顔でやって来た彼に対してキョウスケはいきなり走って行ったかと思いきや…

 

「ヤロー!!オラオメェを絶対に許さねぇ!!」

 

「ちょ!!兄貴やめな…」

 

 ヤローに対して思い切りパンチを浴びせたキョウスケではあったが、レイカが途中で言葉を呟くのをやめる程にヤローは無反応。ニコニコとしながらキョウスケを見ている。キョウスケはスッと拳をヤローから離すと…

 

「ヨクバリス、ワンパチ!!全力で逃げるぞぉぉぉ!!」

 

「ええええ!?あんだけ勢いあったのにっ!?」

 

 ヨクバリスとジガルデと共にキョウスケは平然と塀を…超えられずに思い切りぶつかって仰向きで倒れてそのまま白目向いて気絶。レイカはそれを見てため息を吐いた後に、ニコニコと笑顔を浮かべながら近づいて来たヤローに対し…

 

「あ、ヤローさん!大丈夫だったんですか!?思い切り殴られ…」

 

「大丈夫大丈夫。アブリーの体当たりを食らったような物だから」

 

「あ……そうですか…」

 

 気絶してから数秒後にキョウスケ達はあっさりと立ち上がり、ゆっくりとヤローとレイカの方に振り返る。そして気づかれてないと思っているのか、3人で何故か忍足。あまりに目の前で忍足をしている物で…

 

「兄貴。バレてるよ」

 

「何だと!?オレの戦法がバレただと!?」

 

「目の前だからなぁ」

 

 キョウスケはレイカとヤローの反応を見て、あまりにショックだったのかそのまま白くなったと思いきや灰になって消滅。したのだが、ものの2秒で元に戻り再び3人で何事も無かったかのように忍足。キョウスケはともかく、ヨクバリスとジガルデは何ともなっていないため…

 

「あのさ…ヨクバリス達が何にもなってな…」

 

「かかったなアホが!!サンダークロススプリットアタァック!!」

 

 レイカの言葉を遮ってまで放とうとしたキョウスケの何かの必殺技は彼が転倒した事により、何も出来ずに終わりとなった。コケたキョウスケをレイカとヤローがただ見つめる中、キョウスケは無言で立ち上がると…

 

「どうだオレ達の必殺技はぁ!!」

 

「コケるのが必殺技だったのかな?」

 

「何かしたかったと思いますよ」

 

「うるせぇ喰らえぇぇ!!」

 

 必殺技を出来なかったヤケクソとして石を思い切りヤローに投げつけるキョウスケ。だが石はあらぬ方向に飛んでいき、ヤローに当たる事はなかった。それを見てキョウスケは何故か驚いた表情で…

 

「馬鹿な!!かわされただと!?」

 

「当たらなかったんだよ」

 

「ヤローさん、正論言うのやめたげてください…」

 

 キョウスケは変顔をしたまま、キョウスケの行動に合わせていただけのヨクバリスとジガルデと共に地面に座り込むとそこから何故か土下座。その瞬間に彼から呟かれた言葉は…

 

「このパート、カットでお願いします」

 

「メタい事言わないで兄貴」

 

「何でだよ!!こうなったらナレーションを乗っ取ってやる!!」

 

 と言う事はできる筈もないので、このまま続行します。土下座したキョウスケが呟いた一言に対し、レイカは呆れ顔を浮かべヤローは終始笑顔を絶やさずにキョウスケを見ている。2人以外はキョウスケの方をゴミのように見つめる中で次にキョウスケが起こした行動は…

 

「くそぉ…こうなったら必殺技パート2だ!!ヨクバリス、説明してやるんだ!!」

 

「了解ですボス!!俺たちの必殺技は…」

 

「普通にヨクバリスが喋ってるけど、あれはセーフなのかな?」

 

「アウトだと思うんですけど、まあ気にしないで大丈夫だと思いますよ」

 

 ヨクバリスに次の必殺技について説明させる事。当たり前かのように喋り出すヨクバリスを見て、さすがのヤローも驚きを見せていたがレイカの真顔からの言葉を聞いて納得した表情を浮かべた。んでヨクバリスに説明してまでしたかった必殺技とは…

 

「題して!!レイカハンマー投げ!!」

 

「何で私!?」

 

「気分」

 

「気分で人を投げようとするなぁ!!」

 

 まさかのキョウスケの妹レイカを使ったハンマー投げ。レイカはこれを速攻で拒否したのだが、拒否した瞬間にキョウスケとヨクバリスは「え?しないの?」と言わんばかりの表情を浮かべ…

 

「いや、やらんからな?どんだけ言おうがやらんからな?」

 

「ヨクバリスの力なら、あの地上絵に向かって投げる事が可能なんだぞっ!?」

 

「そういう問題じゃないわっ!!」

 

 キョウスケの必殺技を拒否したレイカではあったが、キョウスケはそれを不服としてヨクバリスをレイカの元に差し向けた。だがそんなヨクバリスの前にヤローが立ち塞がったと思えば…

 

「やめような?」

 

「やめる訳にはいかねぇ!!この必殺技には筆者の命がかかってんだ!!」

 

「大がかり過ぎだろ」

 

 ヨクバリスはキョウスケとジガルデと共にサイドステップでレイカの元に近づこうとするが、それを防がんとしたヤローのタックルを3人同時にまともに喰らい、一瞬にして吹き飛びスタジアムの外壁に叩きつけられた。レイカはそれを見て、口をあんぐりさせて固まり…

 

「まあ、彼とそのポケモンだし、大丈夫だと思うよ〜」

 

「何で人のタックルであそこまで吹き飛ぶんですか…」

 

 レイカを使った必殺技をしようとしたキョウスケ達は結局ヤローのタックルを食らった事によって撃沈した。その光景を間近で見たレイカは一瞬、ヤローに恐怖の感情を覚えたという…




テンション高い作品が一番難しいぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!


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魔人ポプラが現れたっ!!

思い切り行くぜぇ!!よろしくぅ!!


 レイカです。いつも見てくださりありがとうございます。ヤローさんに吹き飛ばされてもなお、兄は何も無かったかのようにピンピンしております。そして私と兄は今ルミナスメイズの森を抜け、アラベスクタウン、そのスタジアムの前にいる訳ですが…

 

 え?何しているかって?実は…

 

「どけい!!勇者である俺が魔神を討伐するんじゃあ!!」

 

「誰が魔神ですか!!ポプラさんはちゃんとした人ですよ!!」

 

 どこかのRPGに出て来そうな格好をした兄がスタジアム内に入るのをジムリーダーであるビートさんに止められています。どうやら兄の目的は先代ジムリーダーであるポプラさんだけのようです。

 

「ポプラが人ぉ!?可哀想に…そうか!頭の中に爆弾が!?」

 

「入るかぁ!ちょっとレイカさん!この馬鹿の回収はアナタですよね!何とかして下さい!」

 

「いや、もういいかなって…」

 

 キョウスケに煽られるような言葉の連続に返答しつつも、そんな彼の側にいるレイカに助けを求めるビート。だがレイカは呆れを通り越した虚な目で、小さくつぶやくだけで動こうとはしない。レイカのその対応に言葉が出なかったビートだが…

 

「そういう事で…ヨクバリス!!ワンパチ!いざ魔神城へ!」

 

「キョウスケェ!!」

 

「はっ!?その声はっ!?」

 

 ビートを無視してスタジアムに入ろうとしたキョウスケ達だったが、スタジアム内から出てきた1人の人物を前にして足を止める。警戒しているとは思えない変顔を作りながら、身構えた人物はキョウスケが目的としていた元ジムリーダーのポプラだが…

 

「よくここまで来たね!!きええええ!!」

 

「ぬああああ!?ポプラ攻撃だぁぁぁ!!」

 

「ポプラさんってこんなキャラだったっけ!?」

 

 ポプラの思い切りの叫びを聞き、何故か吹き飛ぶキョウスケ達。少しボーっとしていたレイカではあったが、この光景を見て思わずツッコミの声を入れる。ポプラも謎のスイッチが入っているようで、何やら煙のような物が見えるが…

 

「び、ビートさん…何やら煙が見えるんですけど…」

 

「化粧ですよポプラさんの」

 

「化粧ってあんなオーラみたいになりましたっけ!?」

 

 ポプラの煙のような物について問われたビートは何故か冷静な表情からの返答。ポプラの叫びを受けて一瞬気絶していたキョウスケ達ではあったが、変顔をしながら立ち上がると…

 

「これは強敵だ…!!俺は負けない!!魔神を倒すまではっ!!」

 

「強がりはおよし!!さあとどめだよっ!!」

 

「街中で何やってるんですかね、あの2人」

 

「さっきまで止める側の人でしたよね、ビートさん…」

 

 ドラマでも演じてそうな迫真の表情を作りながら、オーラ代わりなのか身体を震わせるポプラとキョウスケ。ヨクバリスはキョウスケ同様身体を震わせているが、ジガルデはどうしたらいいか分からず、レイカ達の元へ行き座る。

 

 その対応を見たキョウスケは突然ハッとすると…

 

「カットカット!!おいワンパチィ!!シーン途中で離れちゃダメだよ!」

 

「まだまだピンクが足りないね…ジムミッションだよっ!!」

 

「何で当たり前かのようにポプラさんが便乗しているんですかね…」

 

「何かの撮影だったのこれ…」

 

 警戒心剥き出しで対していたのは嘘かのように、ジガルデやレイカ達の方に振り返ると、ポプラの声と共に少しひょっとこのような表情をしてキョウスケが2人に近づいて行く。ジガルデはキョトンとしていたものの、キョウスケ達の元に戻って行く。

 

 ビートやレイカがポプラとキョウスケのテンションについて行けない中で…

 

「説明しよう!!」

 

「何でヨクバリスが喋ってるんですか」

 

「そこは気にしない約束で…」

 

「マスターはポプラに会うとひねくれのピンク野郎になる訳でございます!!」

 

 よく分かっていないレイカやビートの為にまたしても喋り始めたヨクバリス。ビートはその事にツッコミを入れたが、もう何回も出て来ている為レイカも便乗せず呆れるだけ。ヨクバリスからの説明を受けてもなお、2人の頭は「?」の文字しか出てこない。

 

「よくやったヨクバリス!!そういう事で…俺は完璧なピンクになるんだぜぇ!!」

 

「ビートも見習うんだよっ!!」

 

「ワンパッ!!」

 

「いや何で見習わないと…え?今そこのポケモン、ワンパって言いませんでした?」

 

 顎を突き出して思い切り語りかけるキョウスケ、それに便乗するポプラ。そして先程まで行動を理解していなかったワンパ…じゃないジガルデ。だがビートはポプラの言葉より気にしたのはジガルデの鳴き声だった。

 

「何言ってんだ。ワンパチなんだから、ワンパッ!!って泣くのは当たり前だろ」

 

「絶対ワンパチじゃないですよね。てか鳴き声上手いなぁ!!」

 

「一応ジガルデです…ワンパチじゃないんですジガルデです…」

 

 ジガルデの鳴き声を完璧なクォリティで真似するキョウスケに驚くビート。レイカはそれよりも驚いていたのは、ジガルデの鳴き声を真似した際のキョウスケの顔。どういう変顔か分からないが、顔の形まで完全にコピーしていた。

 

 すぐに戻った為レイカは見間違いだと思っていたが…

 

「(気が付いたようだねキョウスケの妹…)」

 

「(直接脳内に…!?じゃない!どうやってや…)」

 

「(キョウスケは物真似の際顔まで真似する事が出来るのさ)」

 

「(何で家族じゃないアナタが知ってるんですかね…)」

 

 脳内に直接語りかけて来たポプラに対し、どうやったのかを聞こうとしたレイカではあったが話を聞く事なくポプラは話しを進めて行く。呆れて話を掘り返す事はなかったが、最後の言葉にはさすがにツッコミを入れた。

 

「何を脳内で語り合っている!!レディートークをしている場合じゃない筈だ!!」

 

「何で脳内に語りかけている事知ってるの」

 

「ヨクバリスの力だ!!」

 

「ヨクバリス凄いねー」

 

 キョウスケの言葉に堂々とドヤ顔をするヨクバリス。レイカはもうツッコミをする気が失せ、適当に言葉を返していたがその瞬間、急にハッとしていたキョウスケがヨクバリスとジガルデと共にポプラの方に振り返り…

 

「ハッ!!こんな事をしている場合じゃない!!魔神ポプラ!!ここで退治してやるっ!!」

 

「甘いね…私を倒せると思わない事だよっ!!きええええ!!」

 

「ぐわああああ!!」

 

 再びドラマモードに戻ったキョウスケ達がポプラに迫って行くが、再び叫び声を食らって吹き飛んでいく。その光景を見てビートとレイカはもはや呆れを通り越した虚な目。そしてビートが息を整えるとレイカに…

 

「とりあえずダンデさんに連絡しましょうか…」

 

「ダンデさんもうキョウスケ関連で行きたくないって言ってたんですけど…」

 

「アナタの兄さんどんだけ騒ぎ起こしてるんですか…」

 

「そりゃああだ名がガラルの汚点ですから…」

 

 ビートはダンデに連絡しようとしたが、レイカからの言葉に驚きを見せる。彼女が言い放ったガラルの汚点という言葉を耳にし、ポプラとふざけ合うキョウスケの姿をジーっと見つめた後に一息吐き…

 

「そうですね、ありゃガラルの汚点です」

 

「でしょ?」

 

「こらあ!!誰がガラルの汚点だ!!クリーンだ!俺はぁ!!」

 

「うん…連絡しましょうか…」

 

 ビートとレイカの話し合いの最中、片耳で聞いていたキョウスケは突如こちらに振り返るとヨクバリスとジガルデと共にビート達の方に向かって来る。これを見たレイカは少しめんどくさそうにダンデに連絡。

 

 その後怒り心頭でアラベスクタウンにやって来たダンデがポプラとキョウスケをこっ酷く叱ったというが、その際にレイカとビートに「もうキョウスケ関連では呼ばないでくれ」と言ったらしい…




ほああああああああ!!


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壁画?んなもん関係ねぇ!!

タイトルは適当に付けているので基本的に関係ないです。


 皆様こんばんは、いやこんにちは?ジムリーダーのサイトウです。ポケモンリーグの関係者の方からララテルタウンにキョウスケさんが来たというので、オニオン君と共に見に来たのですが、レイカさんは気絶してるしキョウスケさんはヨクバリスとジガルデ?と共に壁画付近にいます。

 

 最近壁画が破壊されて、ザシアンやザマゼンタの像が明らかになったのですが…何故キョウスケさん達はラプラスの前で土下座してるのでしょうか。

 

「えっと…これはどういう状況で?」

 

「おお!ジムリーダー殿!ささ、ラプラス様を崇めるのです!」

 

「どこから連れてきたんだろう…」

 

 壁画付近に近づいた私達に気づいたヨクバリスが何故か喋って話しかけて来たのですが、ヨクバリスの喋りは気にしていたらキリがないと作者さんに言われたのであまり気にしない事にします。そして崇められているラプラスは満更でもない表情をしている様子…

 

「うう…はっ!サイトウさん、オニオンさん!こんにちは!」

 

「レイカさん、これはどういう事なんですか?」

 

「えっと…」

 

 目を覚ましたレイカにオニオンが問いかけると、レイカは少し目を逸らしながらどういう事が起こったのか話して行く。何故かララテルの前にラプラスがおり、弱っていた為キョウスケが大量に餌をやった所懐いてしまったらしく、その笑顔が可愛かった為か女神と言われ始めた…との事らしいが…

 

「全然…意味分からないのですが…」

 

「理解したらポケモン博士になれますよ」

 

「ポケモン博士でも解けないと思いますけど…」

 

 レイカの話しを聞いてもサイトウとオニオンは当然理解出来ない。とりあえずラプラスを崇めているキョウスケの周りにはいつの間にか、何人かの信者が揃って土下座をしている。レイカの話しだけでは分からない、そう判断したサイトウとオニオンはキョウスケに近づき…

 

「キョウスケさん…キョウスケさんっ!!」

 

「グーテンモルゲン!!どうも田中太郎です!!」

 

「田中太郎…?」

 

 レイカがキョウスケと同じくラプラスに土下座していた人々を引き戻している間、サイトウとオニオンはこちらに気づき変顔を浮かべたキョウスケに話を聞いて行く。

 

「このラプラス、どこから連れてきたんですか?」

 

「よく聞いたなサイトウ!!このラプラスはララテルタウンの前にいたから、私が預かったのだ!ふはは!」

 

「何でそんなに自慢気なんだろう…」

 

 サイトウがラプラスについて聞くとヨクバリスとジガルデがキョウスケの両隣に並び、大きく笑い始める。オニオンの冷静なツッコミも関係なく、笑っていた3人だったがじゃれてきたラプラスの突進をくらい、3人共まとめて吹き飛んでいった。

 

「つっよ!?え、つっよ!?」

 

「ラプラスってとっしん覚えましたっけ?」

 

「オニオン君、今気にするのはそこじゃないと思う…」

 

 ラプラスにより吹き飛んでいった3人は一度は星になる程吹き飛んでいったが、空中から隕石みたいに落下して戻って来た。身体は焦げた影響からか真っ黒だが、怪我なくむしろピンピンしており…

 

「さすが女神様だ!!」

 

「我らを容易く吹き飛ばすとは!!」

 

「ワンパ!!」

 

 ラプラスに対して目を輝かせながら見つめるキョウスケ達ではあるが、当然レイカ達3人は全く理解出来ない。訳の分からなさから真顔をしているだけだ。

 

「いつもあんな感じなんですか?」

 

「今日はおとなしい方です」

 

「あれで大人しい方なんですか!?」

 

 レイカの言葉に思わず驚くサイトウ。そしてオニオンは少しドン引きしたかのように黙り込む。その3人の目の前でキョウスケ達は変な踊りをしていたが、突如踊りをやめてレイカ達の方に向くと…

 

「貴様ら!!ラプラスダンスに何故加わらない!?」

 

「説明しようラプラスダンスとは!!」

 

「いや、説明しなくていいよ…」

 

 キョウスケが変顔でレイカ達の方を向いて発言したと思えば、隣にいたヨクバリスがその内容を説明しようとする。レイカが呆れながら発言する中、キョウスケはそんなレイカに反発するかのように更に表情を険しくし…

 

「なぁにぃ!?ラプラスダンスの説明がいいだとぉ!?サイトウ、オニオン!お前達も何か言ってやるのだ!」

 

「やっぱりこの人苦手だ…」

 

「頑張ってオニオン君…」

 

 キョウスケからの突然の指示に思わず本音が漏れるオニオン。サイトウも激励しながらも呆れた表情。3人揃って呆れた表情を浮かべていると、キョウスケはその呆れを煽るかのようにヨクバリスとジガルデと共に変なダンスを踊り出す。ラプラスは何もしていない。

 

「ラプラス様を崇める気になったか!?」

 

「こうなったらゲンガーに…」

 

「落ち着いて下さい!相手人間!ギャグ補正入ってるけど、人間ですから!」

 

「隕石なっても余裕で帰ってくるような人ですからね…」

 

 キョウスケのあまりのウザさにオニオンは我慢の限界が来たかのようにモンスターボールを取り出すが、レイカが必死に抑える。さらにその怒りを掻き立てるようなヨクバリスとジガルデのダンス。そして挙げ句の果てには…

 

「きゅうう!」

 

「ラプラスってあんなに怒りを掻き立てる存在でしたっけ…」

 

「ダメだ…オニオン君の見るもの全てが攻撃対象になってる!」

 

 ラプラスの鳴き声までオニオンには攻撃の対象と化してしまっている。必死に抑えるレイカ、その隣でサイトウは苦笑いを浮かべるがその必死も長くは続かずモンスターボールの中からゲンガーが出て来た。

 

「レイカさん、オニオン君を止めて下さい!ポケモンリーグから苦情が来る!」

 

「分かりました!またダンデさんパターンは嫌ですからねっ!!」

 

「ゲンガーか!面白い!喰らえ、俺必殺!かめはめ波っ!!」

 

「それだけは打っちゃダメぇぇ!!」

 

 ゲンガーに対したキョウスケが他作品の技を放とうとしたその時、レイカとサイトウによるパンチがキョウスケに炸裂。ダブルパンチにより、キョウスケは気絶した。そしてそれを見たヨクバリスが…

 

「な、何をするんだぁ!!許さん!!」

 

「ハッ!!やってしまった!!」

 

「サイトウさん、オニオン君を!!ララテルタウンが無くなってしまいますよぉ!!」

 

 サイトウとレイカの必死の食い止めもあり、途中ヨクバリス達の妨害もあったもののなんとかオニオンの暴走を止めた。キョウスケが気絶している間にラプラスは彼のポケットからモンスターボールを取り出し…

 

「サイトウさんオニオン君気絶して…ってちょっとラプラス何やってんの!?」

 

「モンスターボール!?それを使って何を!?」

 

「きゅう!!」

 

 キョウスケが目を覚ましたその瞬間にモンスターボールのボタンを押し、自らその中へ。暴走が止まったオニオンが気絶する中で、レイカとサイトウは唖然とし口を開けながらその場に立ち止まっている。

 

「おはよう御座います…こんにちは…ってん?」

 

 キョウスケが呑気に挨拶している間にラプラスが入ったモンスターボールからはカチッという音が。レイカとサイトウ、さらにキョウスケはモンスターボールを見ながら数秒止まり…

 

「俺はぁ!とんでもない事をしてしまったぞぉぉ!!ラプラス様を捕らえてしまったぁ!!」

 

「というか自ら入りに行きましたよね…」

 

 キョウスケがラプラスがモンスターボールに入ったのを見て発狂する中で、サイトウが呆れながら一言。そして同じく呆れていたレイカはもはや何も呟かない。ヨクバリスとジガルデと共に大慌てする中で…

 

「この作品で俺のポケモンが増えるのは禁じ手ではないのかっ!?」

 

「メタいわ!!」

 

「というか既にアナタジガルデを加えているじゃないですか…」

 

 サイトウが呆れ、レイカがため息を吐く。そんな中キョウスケのポケモンに3体目のラプラスが仲間に。ちなみにアラベスクタウンでの出来事とララテルタウンでの出来事は同じ日の出来事である…




サイトウとオニオンって2人とも敬語キャラだからむずかちい!!


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スパイクタウンだひゃっほいっ!!

スパイクタウンだぜぇ!!ちなみに今回はジガルデ君とラプラスちゃんは休みです。


 レイカです。いつも見てくださりありがとうございます。サイトウさんやオニオンさん、そしてラプラスが急に仲間になっても変わらず兄は元気です。さて今私はマリィさんやネズさんがいるスパイクタウンにいます。…もう理由は分かりますね?

 

「着いたぞスパイクタウンンン!!」

 

「ヨクバァァァ!!」

 

 そうです。スパイクタウンのポケモンセンター前にヨクバリスと共に兄がいるので、その監視役でやって来ています。当然うちの兄貴はガラルの汚点と言われる程の嫌われ者ですので、辺りにいるエール団の視線が突き刺さります…今まで以上にきつい気がする…

 

「ふははは!!さてヨクバリス!!これから俺たちはマックに向かう!!」

 

「錆びれた街でマック!!グレートじゃあないですか!?」

 

「(マックってなんだ…)」

 

 ヨクバリスが喋っている事はスルーして、キョウスケ達がスパイクタウンに来た理由は飲食店探しである。明らかにスパイクタウン以外の場所があったとは思うが、この男一度決めたら意見を全てスルーする男な為、直行でスパイクタウンに来たと言う訳だ。

 

 マックという名前を口にし突如ダンスを始めるキョウスケ達を見て、レイカが呆れたような目で見つめる中…

 

「やっぱりキョウスケじゃん!来るなら来ると言ってくれたらいいのに…」

 

「妹よキョウスケは害虫、構わない方が身のため…」

 

 そんなキョウスケ達の元にやって来たのは少しだけ嬉しそうにしているマリィと、ゴミを見るような目でキョウスケを見つめているネズ。害虫との言葉にキョウスケとヨクバリスは即座に反応すると、ネズに向かって走り出し…

 

「誰が害虫だゴルァ!!」

 

「マスターを侮辱する事は許さん!!覚悟しろぉ!!」

 

「こ、こっち来たァァ!?」

 

 血走った目をしながらネズに飛びかかったキョウスケとヨクバリスではあったが、咄嗟にネズが繰り出したストリンダーの電撃を受けて焦げパンかのように焦げて墜落。レイカがため息を吐きながら2人に近寄って行く中、キョウスケ達は頭をアフロにしながら周りを見つめる。

 

「ご無沙汰してますネズさん、マリィさん…」

 

「アイツだけは連れてくるなってダンデに言った筈ですが…」

 

「それよりレイカ大丈夫?顔が青ざめてるけど…」

 

 心配してくるマリィに対してレイカは大丈夫と一言を呟いた瞬間。ネズやマリィを煽るかのようにキョウスケとヨクバリスはダンスを踊り始める。それを見てイラついたような表情を見せるネズと、舌打ちをするエール団。然しマリィだけは少し笑みみたいなそんな表情を見せており…

 

「マリィさん…?」

 

「あ、な、何でもない…!!楽しそうだなぁ…って」

 

「分かるのかマリィ!!さすがオレの弟子だぁ!!」

 

「口を塞げゴミクズ…!!そうじゃないとストリンダーの電撃が飛んできますよ…!!」

 

 ネズの苛つきように一度は「はい!」と返事して黙り込んだキョウスケとヨクバリスではあったが、やはりこの男何かしないと気が済まないのか。口を塞いだ状態で再び踊り出し、再びストリンダーの電撃を受ける始末。また黒焦げになったものの、すぐに回復し…

 

「やりやがったなネズゥ!!オレは貴様を凄い勢いでウンチにしてやる!!」

 

「ヨクバリスとキョウスケが現れたっ!!」

 

「電撃を受けて何であんなに平気なんだろう…」

 

 キョウスケの煽り顔と喋るヨクバリスの動き。やたら煽るかのように腰をくねくねとさせている姿にネズが表情を変えずにイラついて行く中、堪忍袋が切れたエール団に袋叩きにあい、2人は叩かれて行くが集団攻撃なんのその。2人は雄叫びだけでエール団を吹き飛ばして行く。

 

「超能力でも持っているんですかアイツは…」

 

「ギャグ補正のせいだと思いますよネズさん…」

 

「ふははは!!我は不死身なりぃ!!さあ勝負だネズゥ!!」

 

「砂埃めっちゃ付いてるけど…」

 

 散々叩かれて蹴られた影響で砂埃がかなり付いているキョウスケとヨクバリスだが、そんな事気にしないまま再びネズに向かって行く。レイカとネズが呆れた表情を見せる中で、2人は何故か電気を纏いながら近づいてくる。

 

「行くぞヨクバリス!!ボルテッカーだ!!」

 

「イエスマスター!!」

 

「ん…?動いている割には足がひたすら遅いような気が…」

 

 確実にネズに近づいていたキョウスケとヨクバリスではあったが、何かの力により動けなくなってしまい、そのまま身体だけを動かすのが精一杯の感じを見せている。呆れ顔をしていたレイカとネズ、そしてマリィが何かに気づいたようでその方角を指差す。

 

「あ、ヨノワールだ」

 

「ヨノワール?妹よいくら何でもここには…」

 

「………」

 

 キョウスケとヨクバリスの後ろに堂々と陣取り、ねんりきを使ってネズ達の元に近寄れなくさせているヨノワールの姿が。普通に語ったマリィに対してネズとレイカは一度瞬きしたかと思えば、目を擦り再度見つめて…

 

「ヨノワールだァァァ!?堂々とアニキ達の後ろにいるぅ!?」

 

「だ、誰だ貴様!?一体何の権限で俺たちの妨害をぉ!?」

 

 突如現れたヨノワールによりねんりきで地面に叩き付けられるキョウスケとヨクバリス。ネズも急な登場に無言ながらも驚いたようなそんな表情を見せる中、マリィがヨノワールの方を見つめるキョウスケとヨクバリスの方に近づいたかと思えば…

 

「ま、マリィ!!こいつ怖えよ!!明らかにかくとうタイプの行動をぉ!?」

 

「ま、マスターァァァ!!」

 

 かくとうタイプと言った事に対しての反応だろうか、キョウスケを殴り飛ばすヨノワール。急な事にスパイクタウンの誰もが驚きを隠せない中、ネズが冷静に…

 

「ツッコミを入れてるんじゃないですかね?」

 

「え!?アニキに対して!?」

 

「マリィもそう思った。でもおかしいよね、こんな所にヨノワールが…」

 

 ツッコミと聞いた瞬間にレイカの中に火が付き…

 

「この作品のツッコミ役を!!どこぞのポケモンに奪われてたまるかぁ!!」

 

「レイカ…アナタはキョウスケの監視役じゃありませんでしたっけ…」

 

 レイカがヨノワールに向かって走り出した瞬間、隕石として落下して来たキョウスケと激突。そのまま2人共気絶した。呆気に取られるマリィとネズ。そしてどうしようもないヨクバリスは突如、ヨノワールを指差すと…

 

「やいそこの野生!!私達のボケを崩すとはいい度胸だ!!私のオーバードライブで相手してやるぅ!!」

 

 突如ヨノワールに飛びかかって行くヨクバリスに対して、「お前はオーバードライブを覚えないだろ」とばかりにパンチを一回叩き込むヨノワール。それを見ていたマリィが…

 

「ツッコミの切れ味が凄いなぁ…」

 

「キョウスケのポケモンになったら私達の負担も減ると思いますがね」

 

 マリィの発言にネズが同調。起きあがったキョウスケとレイカが即座に断るかのように「こっちは願い下げだ!!」と同時に呟き…

 

「こんなんいたらオレのボケが全てかき消されるだろうがぁ!?」

 

「そうですよ!!こんなのいたら私の役はどうなるんですか!!ツッコミ役がいなくなってもいいんですか!?」

 

「マスターにあんな切れ味を使われたら、俺たちもめちゃくちゃになってしまう!!」

 

「アナタ達はこの作品をどこに持って行きたいんですか…」

 

 キョウスケやヨクバリス、さらにレイカの必死の訴えが続きネズが思わず呆れたようなため息を吐く中、マリィは容赦なくキョウスケ達に叩くというツッコミを入れて行くヨノワールに近づいて行き…

 

「ねぇアンタ。キョウスケのポケモンにならない?ああ見えて、ポケモンには優しいし、アンタを大切に…」

 

「ま、マリィさん…?」

 

「あ、ユウリがそう言っていたからであって決してマリィの感情じゃなかと!!」

 

「拒絶されたんですけど!!キョウスケ悲しいなぁ!!」

 

 キョウスケがそう言っている間にヨノワールはマリィの説得を受けて、キョウスケを見つめる。何かを出せと言わんばかりに手を動かすが、お金のマークと勘違いしたキョウスケにツッコミを入れるが、キョウスケは不満気にモンスターボールを出し…

 

「これでいいんだろ?早く受け取れよ」

 

「ヨノワ!!」

 

 ヨノワールは不満気のキョウスケからモンスターボールを受け取り、自らその中に入って行く。どこから来たのか全く分からないヨノワールがそのままキョウスケのポケモンへ。だがマリィとネズがホッとした表情を浮かべる中で、レイカは新たなツッコミ役の加入に闘志を燃やしていた…




最後はカブさん。次回は少しシリアス回になります。


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久しぶりの再会

ちょいシリアスと言ったな!?あれは嘘だ。
という事でキョウスケの過去の話しを含めた回です。今回はふざけないけど、次回はふざけるから許してちょ…


 ジムリーダーのカブです。僕は今、エンジンシティにあるスタジアム前までにいます。天気はあいにくの大雨。夜の時間帯という事もあり、雨雫が見えません。何故そんな時間帯までいたかって?今日の仕事を今、終えたからです。とある大会の会議も迫っているし、忙しいなぁ…

 

「お久しぶりです。カブさん」

 

 と傘を差しながら空を見上げていると聞こえてきたのは、一人の男性の声。僕はこの声を聞き、思わず微笑んでしまった。普通なら完全に失礼に当たるが、彼が相手なら許してくれる筈。勘のいい方なら気づいたかもしれないが、僕は声のした方に振り向き…

 

「エンジンシティではお得意のふざけは出さないのかい?キョウスケ」

 

「アンタと家族の前ではふざけられないですよ、さすがに」

 

 カブの言葉に静かに苦笑いを浮かべながら近づいて行くキョウスケ。その隣にはスパイクタウンで加わったヨノワールの姿。キョウスケと同じく傘を持ちながら、じっとカブの方を見つめている。

 

「なるほど、だからヨクバリスもいないという事か」

 

「ヨクバリスやジガルデ達は実家で休んでますよ。今日、久しぶりに家族に会いまして、ふざけの件でこっ酷く叱られまして…」

 

「無理もないよ。君のふざけようは少し度が過ぎるものだったからね」

 

 横にヨクバリスがいないという事を呟いたカブの一言にキョウスケは苦笑いを浮かべながら呟く。そのキョウスケの一言に対してカブも若干の笑みを浮かべつつ、冷静に彼を叱るかのように言葉を呟く。キョウスケはそんなカブの一言に頭を掻くしかなかったが…

 

「そうだキョウスケ。少し時間あるかい?」

 

「あると言えばありますが…何か用事っすか?」

 

「久しぶりに君と会ったからね。色々と語り合いたい。それに傘を持ちながらだと、大変だろう?」

 

「はは、ごもっともで。色々と語り合いましょうよ」

 

 カブに誘われる形でキョウスケはヨノワールと共に、カブに付いていく形で再びスタジアムの中へ。カブが今日最後にスタジアムから出た人物の為、鍵は彼が持っている。その甲斐もあり、スタジアムロビーで話すという事も可能なのだ。

 

 さて、そんな説明はさておき。カブはロビー内に置いてあるソファーに腰掛け、そしてキョウスケも同じく彼の隣に腰掛ける。そしてカブは息を整えると…

 

「今日確か…君の前のポケモンの命日だったな」

 

「ええ、10年前。俺がまだガキの頃っすかね。目の前でロケット団に俺のポケモンが殺されて…10年かぁ…長いようで短いような、そんな感じっすね」

 

「その後、ロケット団は解散に追い込まれたというが…」

 

 ヨノワールはじっと苦笑いを浮かべるキョウスケの感情を察したのか、彼の頭に手を置きキョウスケを驚かせる。その驚くキョウスケを見て深刻そうに語っていたカブも和まされたかのように苦笑いを浮かべながら…

 

「君の前のポケモンも確かゴーストタイプだったね。確かヨマワルだったか?」

 

「そうっすよ。だから一瞬ヨノワールを見た瞬間、アイツの生まれ変わりなんじゃないかって思っていたんです」

 

「ヨノワ!!」

 

 ヨノワールを見ながら淡々と語るキョウスケ。それを頷きながらカブは聞いていたのだが、カブが何故キョウスケの前のポケモンがヨマワルだった事を知っているのか。それはカブとキョウスケの両親が知り合いだった為、よくカブがキョウスケと遊んでいたからだ。

 

 その時期が丁度カブがマイナー落ちしていた時期という事もあり、フリーな時間が少し多かった。ロケット団によるエンジンシティ襲撃を止められなかったという事もあり、カブも少しではあるが責任を感じていた。

 

「あの時は本当にすまない。僕が無力だった為に君の大切なポケモンを…」

 

「よしてくださいよカブさん。アナタからの謝罪なんて、少し気持ち悪いです」

 

「平気で言ってくるね?笑っているから本心じゃないと思うけど」

 

 カブは拳を握り締めながら謝罪したのだが、キョウスケの苦笑いからの一言に思わず彼も苦笑いを浮かべる。その後真顔に戻し、じっとキョウスケとヨノワールを見つめると…

 

「ジムチャレンジの時よりはさすがに少し吹っ切れたようだね」

 

「アンタだけっすよジムチャレンジの時、真剣に戦ったのは」

 

「ヨクバリス一体で?」

 

「ある意味伝説っすよね…はは…」

 

 ジムチャレンジの時、ヨクバリスしかスタメンに入れていなかったキョウスケ。カブも安心したのはヨクバリス以外にもポケモンを加えている事。ここまでの話しで大体分かるかもしれないが、キョウスケはヨクバリス一体でジムチャレンジを突破したセミファイナリストである。

 

 記者達にも散々ヨクバリス以外を加えるとチャンピオンになる実力を持っていると言われていた。だがジムチャレンジ中はヨクバリス以外に心を開く事は全くなかったのだ。

 

「みんな君の優しさを知ってるんだよ。ジガルデにせよ、ラプラスにしてもヨノワールにしても。だからヨクバリスしか持っていなかった君に着いて行ってるんだ」

 

「この作品内で俺が…」

 

「それ以上はいけないよキョウスケ」

 

 カブの言葉に淡々とながら頷いていたキョウスケではあったが、メタい発言をしようとした瞬間にカブに止められる。そして雨が少しずつマシになってくる中、カブは何かを思い出したかのようにハッとした表情を浮かべるとそのままゆっくりと立ち上がり…

 

「カブさん?」

 

「やたらと君と共通している子を保護してね。ポケモンの親も見つからないし、ましてはほのおタイプでもないけど…見に行くかい?」

 

「何すかそのゴミを押し付けるような感じは…まあいいっすけ…アダァ!?今のはボケじゃないぞヨノワール!!」

 

 ヨノワールにツッコミを入れられながらもキョウスケはカブに連れられてバトルコート前にあるポケモンを保護する部屋へ。中から聞こえてきたのは何やら聞き覚えのないポケモンの鳴き声。キョウスケは疑問を抱きつつも、カブと共に部屋の中へ入って行く。

 

 部屋の中に入ると多くの檻がある中で、眠っている一体のポケモン。青い顔と何やらくっついた身体の部分。キョウスケはそのポケモンの大きさに驚いたが、あまりに強引にくっつけられたとしか言いようがない身体に絶句していたが…

 

「カブさん…コイツは…」

 

「ウオノラゴン。化石と化石を強引に引っ付けられた…ポケモンという分類らしいが、見た目はただの化け物。何か感じないかい?」

 

 声を聞き、ウオノラゴンは目を覚ますと手がない身体を駆使しながらゆっくりと立ち上がる。そして欠伸かのように雄叫びを上げ、ヨノワールが攻撃して来ないか身構えるが、キョウスケが制止する。キョウスケはウオノラゴンを見てニヤリと笑い…

 

「グオ!!」

 

「グオ!!」

 

 何かを試すかのようにポーズを取ったキョウスケに対して、すぐに理解したウオノラゴンがポーズのつもりで同じくドヤ顔をする。ヨノワールは何がどうなっているか、全く分からない感じだが、カブはそれを見て笑っていた。

 

「やっぱりな。お前、ふざけるの大好きだろ?」

 

「グオ!!」

 

「共通しているってこういう事だったんすねカブさん」

 

「ああ。どこから来たか分からないが、気づけばバルジーナ相手に変顔をしていたという事だ」

 

 キョウスケはウオノラゴンの話しをカブから聞いた瞬間に、何かを確信したかのように笑みを浮かべる。そしてウオノラゴンの方を笑みを浮かべながら見つめると…

 

「俺、キョウスケってんだ。お前が良ければ俺の仲間になんねぇか?個性的な奴らが集まってんだ、俺のパーティ。お前も楽しめると思うぜ」

 

「…グオオ!!」

 

 カブは笑みを浮かべヨノワールはウオノラゴンをじっと見つめる。そんな中ウオノラゴンが賛成と答えるかのように声を上げたのを見て、キョウスケもボールを差し出すと自ら中へ入って行く。こうしてキョウスケと似たような属性を持っているウオノラゴンがキョウスケの手持ちに。

 

 そして翌日、キョウスケはユウリからハロンタウンに来て欲しいとの手紙を受け、ハロンタウンに向かう事となる…




見てくれたアナタに敬意をっ!!


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エピソード・オブ・ブラッシー
ブラッシータウンだゴラァ!!


久しぶりだなぁ!!エピソード・オブ・ブラッシー!!開幕だぜぇ!!


 ヨクバリスでございます。え?何勝手に出て来てんだって?私はレイカ殿の代わりに出て来ているだけでございます。前回出番がなかったから、出て来ている訳じゃねぇぞ!?という事はさておき、私とマスターは今ブラッシータウンにいます。

 

「着いたぞブラッシーィィ!!」

 

「ヨクバァァ!!」

 

 前回の最後にあった通りユウリ殿からハロンタウンへの招待を受けまして、そこに向かうために来たのです。ブラッシータウンに来たのはいいものの、周りの目は豚を見るような目。最高じゃないですか!私と主で跳ね返してやりますよ!という事でブラッシータウン編始まるZOY!!

 

「さて早速ポケセンに向かうぞヨクバリス!!」

 

「ラジャー!!」

 

 ブラッシータウンの駅前にて万歳三唱をしたキョウスケとヨクバリス。その足はポケモンセンターに向いていた。周りが冷ややかな目で二人を見つめる中で、二人は晴れやかな表情でスキップしながら移動。だがとある存在が目に入り、足を止める。

 

「あ、あれは!!まさか因縁の!!」

 

「セミファイナルの時の仇ッ!!覚悟ぉぉぉ!!」

 

 足を止めた先にいたのはユウリではなく、その幼馴染であるホップ。血走った目でホップの方を向いた二人は、クラウチングの姿勢から走り出すとそのままホップの目の前でジャンプ。そのまま空中から蹴りかかるが、ホップのボールから出てきたザマゼンタにより、その一撃が止められる。

 

「どうしたんだザマゼンタって…キョウスケェ!?どうしてここにいるんだ!?」

 

「うるさい!!会ったが100年目!!お主の首を頂く!!行くぞヨクバリス!滅びのバーストストリームッ!!」

 

「何だそれぇぇ!?」

 

 血走った目でザマゼンタから離れたキョウスケとヨクバリスは驚くホップを差し置いて、技を指示する。ヨクバリスの口から明らかにポケモンの技ではない何かが放たれようとしたが、ヨクバリスが屁をこいた瞬間にその何かは無くなった。

 

「馬鹿な!?俺たちの渾身の技がァァァ!!おのれホップゥゥ!!」

 

「俺は何もしてないんだぞ…」

 

 顎を突き出してキョウスケとヨクバリスがホップを威嚇していると、モンスターボールから勝手にウオノラゴンが出現。キョウスケとヨクバリスと同じくホップを威嚇するかのように唸り声を上げる。

 

「いい所に出たなウオノラゴン!!行け!!せいなるほのお!!」

 

「おまっ!?いつの間にヨクバリス以外のポケモンを!?てか覚えるか!!みずタイプだぞウオノラゴン!!」

 

 ウオノラゴンはキョウスケの指示に頷いて必死にせいなるほのおを出そうとするが、全く持って出てこない。必死に頑張っているウオノラゴンの肩をヨクバリスが叩き、後は任せろとばかりに親指を立てると息を思い切り吸い込み…

 

「喰らえ!!せいなるほのおぉぉ!!」

 

「覚えるかぁぁぁ!?」

 

 ヨクバリスがそう叫ぶと口を思い切り広げるが、出てきたのはまさかの後ろの方。屁…ではなく炎を尻から噴射。キョウスケが一瞬にして黒焦げのアフロ状態になった。

 

「ぬわあああ!!くそ!ヨクバリス!!計ったなっ!?」

 

「私がいつ貴様に味方すると言った!?逆襲を受けるがいいっ!!」

 

「俺は一体何を見せられているんだ…」

 

 ウオノラゴンはキョウスケを心配し、ヨクバリスは計算通りと言わんばかりにニヤリとした表情を浮かべさらにホップはザマゼンタと顔を見合わせて、顔を引きつらせる中、キョウスケとホップの元にやってきたのは…

 

「あれ師匠!!もう着いていたんですか!?連絡くれたら迎えに行くのに!!」 

 

その一声にホップとキョウスケがその方角に振り返る。そこにいたのはチャンピオンであるユウリ。当然チャンピオンが目の前にいるという事で人も集まって来ている。ホップの近くにいたザマゼンタはユウリが持っているザシアンの気配を感じ取るとボールの中に戻って行く。

 

「おおユウリ!!久しいではないか!!聞くのだユウリ!ホップが犯した愚行を!ポケモンを盾にするという…」

 

「何ですって!?ホップがまさかそんな事をっ!?」

 

「してないわ!!というかユウリ!こんな所にいて大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫!!ダンデさんに全て仕事を押し付けて来たから!!」

 

 ホップはユウリの笑みから呟かれた一言に開いた口が塞がらなかった。ユウリは呆れるホップを背中にキョウスケやヨクバリスと共に踊っていたが、その近くにいたウオノラゴンの存在に気づくと…

 

「ウオノラゴン!?師匠!この子どこで捕まえたんですか!?」

 

「捕まえたのではなぁい!!従えたのだっ!!」

 

「さすが師匠!!ポケモンの支配もお得意様ですねっ!!」

 

「ユウリ…それは人によってはダメな捉え方をされるぞ…」

 

 ユウリが目を輝かせながらキョウスケの高笑いを見ているのを遠くから見て呆れていたホップは大きくため息を吐く。人が集まっているのを全く気にしないまま、キョウスケ達は謎のダンスをホップの前で踊り出す。ホップが呆れる中、その止めに入ったのはキョウスケの手持ちであるヨノワール。

 

 ヨノワールはキョウスケのボールから出てくるとユウリ以外の3体を思い切り叩き付け、ウオノラゴンをボールに戻した後に自身もボールの中に戻って行く。

 

「師匠ぉ!!今のヨノワールはなんですかぁ!?」

 

「俺のポケモンだぁ…ちくしょう…全て元に戻して行きやがった…」

 

「侮り難しツッコミ役ぅ…」

 

 立ち上がったキョウスケとヨクバリスがため息を吐いていると、次にキョウスケのボールから出てきたのはラプラス。ホップはラプラスを見て驚きの表情を見せると…

 

「ラプラス!?まさかそいつもお前のポケモンかっ!?」

 

「そうだが?後一体ジガルデという奴が…」

 

「ソイツ伝説ぅ…」

 

 レアさ満載のキョウスケのポケモンのメンバーを見てびっくりしたホップはトドメとばかりにジガルデの名前を聞き、白目むいて気絶する。気絶したホップに対してキョウスケとユウリはかなり驚くと…

 

「ホップが死んだっ!?」

 

「埋葬しなきゃ!!ラプラス!れいとうビーム!!」

 

「待て待て待て待てっ!!」

 

 ユウリとキョウスケが見せた予想外の反応。そしてホップに向かって冷凍ビームを放とうとするラプラスを止める声が、右の方から聞こえラプラスはれいとうビームを撃つのをやめた。そしてラプラスを止める声がした方角にキョウスケ達が振り向く。そこにいたのは…

 

「あ、博士もどきだ!!」

 

「博士もどきー!!」

 

「誰が博士もどきだ!!こらヨクバリス!!変顔しない!!」

 

 そこにやって来たのはブラッシータウン唯一の博士であるソニア。ヨクバリスの変顔にツッコミを入れながら、対応していたがラプラスはソニアが来た瞬間にボールに戻って行く。そして入れ替わりで出たのはジガルデ。

 

「全く誰が博士もどきだって…ジガルデェ!?アンタ!コイツどこで捕まえたのよ!!」

 

「捕まえたのではなぁい!!従えたのだっ!!」

 

「伝説のポケモンまで従えるなんてアンタ何者なのよ…」

 

「マスターは伝説の男!!そう!!ポケモンマスターなのだァ!!」

 

 ソニアの言葉にドヤ顔で返事したキョウスケ。そしてさらに呆れる彼女に対して今度ドヤ顔を浮かべたのはヨクバリス。その言葉にジガルデ、さらにユウリが頷く。

 

「アンタら仲良いわねホント…疲れたから戻るわ。うちの助手いじめないでね…」

 

「いじめるー!!」

 

「ユウリ!!アンタキョウスケの元にいないでチャンピオン業に戻れっ!!」

 

「それは出来ない相談だ!俺の相手をしないといけないからなぁ!!」

 

 ユウリとキョウスケの反応に怒りを見せるソニア。ブラッシータウンにて一幕あったが、このブラッシータウン、ハロンタウンに来た事がもう一悶着起こすという事を誰も知らない…




見てくれてありがとですっ!!

後、レイカはユウリのいる街には気絶するから行けないとの事なのでいないですw
代わりにホップかソニアがツッコミになるかと思います。


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あれはまさか…きゅうり!?

今回はギャグも有ればシリアス要素もありますー。


 前回の誰も分からないあらすじ!!前回!魔王ホップがいるとされるブラッシータウンに降り立った勇者一行は、早速現れた魔王ホップに先制パンチを浴びせるも、かつての勇者ザマゼンタに攻撃を阻まれてしまう。さらにヨクバリスの裏切り!勇者キョウスケは大ピンチに!

 

「………」

 

 新たなる仲間ユウリや博士もどきと出会い、魔王ホップに備える一行。こうして最強への道が幕を開けたのである…

 

「全然あらすじになってないじゃん!!何だよ魔王ホップって!!てかソニアそっち側かよ!?」

 

「うるせぇな。だから言っただろう、誰も分からないあらすじだって」

 

 キョウスケ発案のあらすじはさておき、現在キョウスケとヨクバリスは彼の監視として同行しているホップ、そして元々彼を招待していたユウリと共にブラッシータウンからハロンタウンに移動。1番道路を過ぎた辺りでホップはめちゃくちゃなあらすじにツッコミを入れていた。

 

「ホントは博士もどきも付いてくる予定だったのに…ねぇ?ヨクバリスさん」

 

「酷いですよねぇ博士もどきさん」

 

「博士もどきじゃなくてソニアは博士なの!!てかヨクバリス、何普通に喋ってんだよ!!」

 

 ホップの家を通り過ぎた辺りでソニアを煽るような一言に言い返すホップ。そしてホップはこの作品で触れてはならない禁忌に触れてしまい、キョウスケから無言で腹パンを喰らう。そして平然と歩こうとする姿を見て…

 

「え…?何でオレ今殴られた…?」

 

「おいジャップ。この作品において、ヨクバリス先生の喋りには決して触れてはならない。二度と忘れるな?」

 

「ヨクバリス先生って何!?というか怖いぞユウリ!!」

 

 中指を立ててホップを睨みつけるユウリに対して、そのホップは驚きの表情を見せる。そして今ユウリを先頭としたキョウスケ達はユウリの自宅前に到着したのだが、その視界をとんでもなくデカイ緑の生物が通り過ぎて行く。

 

 ユウリとキョウスケ、さらにヨクバリスは口をあんぐりとして無言のまま指を差すとホップが驚きの声を上げる前に3人が…

 

「あれは間違いない!!きゅうりだ!!」

 

「あんなデカイきゅうりいるか!!」

 

「行くぞユウリ隊員、ヨクバリス隊員!!俺たちは歴史の証人だァァ!!」

 

「あ、おーい!!どこいくんだよ!!そっちはまどろみの森だぞー!?」

 

 デカイ緑の生物を見つけた瞬間、一目散にまどろみの森にへと侵入して行くキョウスケ達。ホップはユウリの家をチラ見しながらも3人を追いかけて行く。霧が深いの関係なしに突き進んで行く3人に、ホップはザマゼンタに乗って追いつくのがやっと。

 

 途中で会った野生のポケモン達をキョウスケ達は吹き飛ばしていきながら、とりあえずまどろみの森の一番奥にある石碑の前に足を止める。するとそこにいたのは先程飛んでいたデカイ緑の生物。ホップはそのフォルムを見た事があったが…

 

「何と神々しい…!!俺らのぬか漬けにぴったりではないか!!」

 

「やりましたね隊長!!」

 

「うむ、ではヨクバリス隊員!!早速ぬか漬けのじゅん…」

 

 緑の生物は思い切り声を張り上げ、風圧を巻き起こすとキョウスケ達の毛並みをめちゃくちゃにして行く。まるで朝起きたばっかりの姿かのようにぐちゃぐちゃになった髪を見て、ホップは呆れのため息を吐きながら近づくと…

 

「あれポケモンだぞ?そらいきなりきゅうりと言われたら怒るに決まってるじゃないか」

 

「マジで!?ずっときゅうりだと思ってた!!」

 

「お前らはきゅうりが生き物だと思ってるのか…?」 一度は警戒の鳴き声を上げた緑のポケモンだが、こちらを確かめるかのようにじっと見つめている。未だにこの少し蛇に似たようなフォルムをしているポケモンをきゅうりだと思い込んでいるキョウスケ達3人の前にホップは立つと…

 

「あれはレックウザ。ホウエンに伝わる超古代ポケモン…いわゆる伝説のポケモンなんだが…誰かに捕まったとの話しは聞いたが、何でここに…」

 

「意義あり!!あれはきゅうりだと思います!!」

 

「意義なし!!あれはきゅうりです!!」

 

「言葉変えているだけで同じ事言ってるだけじゃねぇか!!」

 

 4人をじっと見つめているのはホウエン地方にいる筈の伝説のポケモンであるレックウザ。ここはガラル地方。明らかにいるとしても場違いであり、既に捕まっているとの情報からホップは不思議に思っていたが、明らかに石碑の後ろにいるのはレックウザ。

 

 その証と言わんばかりにユウリのザシアンが飛び出し、そしてホップのザマゼンタが興味津々そうにレックウザを見つめている。

 

「レックウザで間違い無さそうですな。ボールのジガルデが反応しておりますぞ」

 

「何?伝説同士って何かセンサーみたいなもんがあるの?」

 

「ないんじゃないですかねぇ…それかビームを出してるとか?」

 

「良くこんな真面目な状況でそう呟けるな…」

 

 ヨクバリスの言葉に対してユウリとキョウスケは考えこみ、素のままボケる二人。それに対してホップは呆れと言わんばかりの声でツッコミを入れるが、レックウザは依然こっちを見つめるだけ。その内に我慢の限界を迎えたジガルデがボールから飛び出し、レックウザの元へ近づく。

 

 ジガルデの反応を見てキョウスケは慌ててジガルデの元へ。そしてそのままレックウザの元に近づく。レックウザは威嚇とばかりに鳴き声を上げていたが、何か攻撃はして来ない。

 

「ん?コイツ…身体にエグい程傷が入ってる…」

 

「ワンパ!!」

 

「え?ジガルデってワンパって鳴くの?」

 

「だって師匠のジガルデのニックネームワンパチだもん」

 

 ホップはユウリの言葉に驚かせられる中、ジガルデはずっとキョウスケに何かを訴えるかのように見つめる。レックウザは最初は威嚇していたが、徐々にキョウスケに顔を近づけて行く。匂いを嗅がれる事1分。キョウスケはその間、何も出来なかったが…

 

「お前…捨てられたんだよな。この傷は多分、何か縄みたいな感じで縛られて…」

 

「え?何で分かるんだ…!?」

 

「グオオ!!」

 

「近寄るなうんこ頭だってさ」

 

 レックウザの言葉を翻訳したユウリの言葉にショックを受けるホップ。レックウザの身体には縄のような跡があちこち付いている。キョウスケがレックウザに同情を見せる中で…

 

「もったいないよな…伝説のポケモンを捨てるなんてよ。物としか思ってねぇんだ…ポケモンを…」

 

「おいキョウスケ何をするつもりで…」

 

 キョウスケがそう言いながら取り出したのはモンスターボール。ホップとユウリが驚く中でキョウスケはレックウザにゆっくりと語りかける。「なあレックウザ。取り引きしようぜ。俺がお前さんの飼い主だった奴にギャフンと言わせてやる。そのかわり、お前さんは俺に力を貸してくれ」

 

「グウ…」

 

「俺は飼い主よりは明らかに変な奴だが…ポケモンを縛るなんて真似はしねぇし、捨てたりしねぇ。信じれねぇなら吹き飛ばしても構わねぇよ」

 

 レックウザはキョウスケをじっと見つめ、モンスターボールを見つめる。何とも言えない空気が続く中、どんだけふざけるキョウスケであっても、ポケモンを捨てる行為を許す事が出来なかった。

 

 そんなキョウスケの目を信じたのか、レックウザはキョウスケの差し出したボールのスイッチを押すと自ら入りに行った。その光景に驚くホップ。ユウリは笑みを浮かべる中、ヨクバリスの後ろからさらなる声が聞こえて来た。

 

「何だよ…?ってソニアァ!?」

 

「ちょっとキョウスケ!!い、今何を捕まえたの!?」

 

「レックウザ」

 

「さらっと言うな!!アンタねぇ分かってる!?レックウザよ!?超古代ポケモンよ!?ジガルデだけでも緊急事態なのに…!!」

 

 この後テンパったソニアの言葉が数分続き、キョウスケは呆れの表情を見せていたのだった…




全部シリアスじゃないからお兄さん許して☆


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こんちゃーすマグノリア博士ぇ!!

久しぶりに書いて行くぜぇ!!
よろしくなぁ!!


 前回の誰も分からないあらすじ!!前回、魔王ホップを倒す為に最強への旅を始めた勇者キョウスケ達。然し旅して早々彼らの前に立ち塞がったのは巨大なきゅうりだった。きゅうりをしっかりとぬか漬けにした一行は勢いそのままに幹部ソニアに挑む。

 

「何でソニアが幹部なんだよ!!博士だって博士!!」

 

 も惨敗。

 

「惨敗したんかい!!」

 

 やけになったキョウスケ達一行はソニアの親族であるマグノリアの元に向かい、家を燃やす事に。そんだかんだで過ぎて行ったあらすじを終わり、本編始まるぞ!!

 

「相変わらず無茶苦茶だなぁ!!本編要素一つもなかったじゃん!!」

 

「だって誰も分からないあらすじだもん」

 

「誰も分からないあらすじだから気にすんな」

 

 真顔で呟くキョウスケとユウリに呆れを見せながら、小さく「えぇ…」と呟くホップ。現在キョウスケ達はマグノリア博士のいる自宅にへと歩いており、きっかけはソニアに呼ばれたからにある。パーティの準備がまだ整っていないと言う事らしく、現在の家前の道路を歩いているに至る。

 

「お、付きましたぞ魔王城!!ささ、決戦の時ですぞ!!」

 

「よっしゃ!!気合い入れて行くぞ、ユウリ、ヨクバリス!!」

 

「博士の家だって!!何にも起きないから!!」

 

 マグノリアの家の前で勢い付いていたキョウスケ達はホップのツッコミを聞いた瞬間に、無言でホップの方を変顔をしながら見つめる。だがホップの新しいツッコミが入る前に真顔に戻り、何もなかったかのように再び歩き始めたのだが…

 

「え?何だったんだ今の変顔は…」

 

「呪いの顔ですな」

 

「あれ、呪いだったの!?」

 

 何故か満面の笑みを浮かべながら家前に立つキョウスケとユウリに対して、ホップはくたびれたようなそんな表情で2人の後ろで足を止める。3人の会話を聞いていたのだろうか、ユウリが家のインターホンを鳴らそうとした瞬間に扉が開き…

 

「な、何者!?」

 

「我が名はブロス・フルゥンダルッ!!」

 

「勝手に変な名前にしないでくれるかな…とりあえず、今お婆さまを呼んでくるからここで待っていてね」

 

 家の中から出てきたのはまどろみの森にてキョウスケに説教を喰らわせたソニア。ユウリとキョウスケのドヤ顔での語り合いを聞き、呆れ顔を浮かべていたがすぐに表情を戻すと一度家の中に戻り、マグノリアを連れて再び3人の前に姿を見せる。

 

「ちぃーす先生!!」

 

「チーズ先生!!」

 

「博士だっての!!」

 

 キョウスケとユウリのボケに対して必死にツッコミを入れていたホップではあったが、ソニアが呆れているにも関わらずマグノリアは少し笑みを浮かべる程度で。何事もなかったかのようにキョウスケに近づいたのを見て、キョウスケ含めユウリとヨクバリスはショックを受けた。

 

「俺達のボケが通用しない…だと…!?」

 

「嘘だ…!?」

 

「話しは聞いてます。キョウスケ、まどろみの森で会ったと言うポケモンを見せて貰えませんか?」

 

 ショックを受けているにも関わらず、平然と話しを進めるマグノリアの言葉にキョウスケは真っ白になりながら頷くと、モンスターボールからレックウザを出す。レックウザは周りを見つめた後、じっとマグノリアの方を見つめる。

 

「ほう…なるほど。伝説のポケモンと聞いた物ですから、どんな性格かと思えば…かなり大人しめなんですね」

 

「ぼ、ボケをな、流された…」

 

「いつまでショック受けているんだよユウリ…」

 

 レックウザは自身に近づこうとしたマグノリアに対して、威嚇程度の声を張り上げる。マグノリアはそれに動じず、ソニアが不安そうな表情を浮かべる中でその身体をじっと見つめた後、キョウスケの方を向き…

 

「キョウスケ、この子の傷は?」

 

「コホン…前のトレーナーからやられたんだと思う。通りかかったポケモンセンターで治療してもらったが、暴れる気配もなかった」

 

 全くボケが通用しないマグノリアに対して諦めがついたのか、キョウスケは息を整えるとレックウザについて語る。一方のユウリも諦めが付き、ショックを受けていた表情を真顔に戻す。2人の変わりように驚いたホップではあったが、ソニアからの口を閉じるようなジェスチャーに対して頷いた。

 

「なるほど…寧ろ捨てられたなら人を警戒する筈なんですが…キョウスケといて落ち着くのか、キョウスケが制御した形なのか」

 

「(ヨクバリス。制御って何だ?)」

 

「(殴る事です)」

 

「(絶対違うわ)」

 

 シリアスのような展開が眼前で繰り広げられる中、マグノリアにボケが通用しない分心の中でヨクバリスとボケるキョウスケ。それにまさかの反応を見せたのがホップ。ホップの心の声を聞き、驚きを見せたキョウスケとヨクバリスではあったがマグノリアがこちらを見た瞬間に表情を引き締める。

 

「キョウスケ、アナタ。ジガルデも手持ちに入れていましたね。ジガルデもレックウザも自然のバランスを保つ上では必要なポケモンです」

 

「そうだな。確かに2体とも伝説と言われるくらいだから、大切だろうな」

 

「…その2体を手持ちに入れると言う事は覚悟がいる事です。アナタにその覚悟はありますか?」

 

 真剣な表情からのマグノリアの言葉にキョウスケは一瞬目を瞑ったのだが、少しの沈黙が終わった後に小さく息を吐くと…

 

「覚悟なんていらねぇだろ。ジガルデとレックウザにしても、こいつらが俺について行きたいからついてきているだけだ。それだけで十分だろ」

 

「……ふふ…そのような意見があるとは思いませんでした。伝説のポケモン自ら、ついていきたいと願うなら私からは言う事はありません」

 

「(息苦しくなってきたんですけど)」

 

「(もう少し頑張れ、ユウリ)」

 

 マグノリアがレックウザの方を見ている間にキョウスケは目でユウリ達に助けを求める。ユウリもキョウスケに対して助けを求める目を浮かべていたが、ソニアとホップは呆れの表情のまま無言を貫く。

 

「伝説と共に歩む。その姿…私も注目させていただきます」

 

「…おう」

 

 少し照れ臭そうにするキョウスケに対してヨクバリスは彼を煽るような笑みを浮かべる。キョウスケは何かしたくなったが、今動けばマグノリアにどんな表情をされるかどうか分からないから動けない。ぐっと押し堪えていると、ユウリのスマホロトムに電話がかかる。

 

 ユウリとキョウスケはこれを待っていたかのように目を合わせると、その場から一目散に去ろうとしたが、キョウスケのボールから出てきたヨノワールに思い切りしばかれて地面に叩きつけられた。

 

「おいコラヨノワール!!もういいだろ!!もうシリアス堪能したんだ!!もういいだ…」

 

 すぐに立ち上がりヨノワールに対して説教をしようとしたキョウスケではあったが、返り討ちに遭いそのまま地面に叩きつけられる。ソニアとホップが青ざめる中、ユウリは地面に叩きつけられたキョウスケを起こす。マグノリアはそんなガヤガヤを無視し、レックウザを見つめていたが…

 

「そうだ!!おーいレックウザ!!私の部下にならない…」

 

「グウウウ!!」

 

「おい待てレックウザ!!はかいこうせんを打とうとするな!!待て、わかった!!謝るから!!許せァァァ!!」

 

 レックウザから撃ち込まれたはかいこうせんはあっという間にユウリとキョウスケを黒焦げにさせた。アフロ髪となった2人は呆れた表情からヤケになったのか、そのまま地面に横たわる。ちなみにはかいこうせんは放たれたものの、近くにいたヨノワールはゴーストタイプだからダメージなし。

 

 そんな2人を見て呆れを見せていたソニアとホップ。ヨクバリスは草むらのポケモンを見ていた為、この後キョウスケとユウリにこっ酷く叱られたらしい…




マグノリア博士はボケのオールキャンセラー持ちなので、ボケが通用しないのです。


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俺たちの冒険はこれからだ!!

時間が空いてすまんなぁ!!やって行くぜい!!


 前回の誰も分からないあらすじ!前回!魔王マグノリアの元に乗り込んだ勇者キョウスケ一行。しかし待ち受けていたのは魔王マグノリアによる圧倒的なボケスルー!!これにより苦戦した一行ではあったが、きゅうりの一撃がマグノリアを焼き尽くした!見事に勝利を収めたのである!

 

「めちゃくちゃじゃないか!!設定も色々変わってるし!」

 

「だって誰も分からないあらすじだもん、仕方ないだろ」

 

「誰も分からないからまたいいんです!!」

 

 マグノリア博士の家にてレックウザを見せたキョウスケ達。マグノリアとの話しにて信念を見せたキョウスケはそのまま彼女に認められる形となったのだが、その直後にユウリの母から連絡が。ホップ宅にてパーティをする事を聞いたキョウスケ達はそのままホップ宅の庭にたどり着き、現在に至る。

 

「キョウスケさん、今日は来てくれてありがとうね。小規模だけど楽しんでね」

 

「何だってしていいんですよね!?行くぞユウリ!しねしねこうせんだ!!」

 

「あはは…ひとまず楽しんでね…」

 

 ユウリの母からの言葉に目を輝かせながら呟いたキョウスケはホップの方にユウリと共に振り返ると、謎のポーズを取ってホップを煽る。ユウリの母はそれを見て少し呆れつつも苦笑いを浮かべて対応。ちなみにダンデはユウリの押し付けた仕事の影響で不在である。

 

「何だよしねしねこうせんって。そんな技ないぞ!」

 

「そんな世の中でいいのか!分かったらヨクバリスを倒せ!撃てぇぇ!!」

 

「馬鹿を見たで済ませるのかぁ!?」

 

「待って、どういう状況!?」

 

 ホップのツッコミを聞いた瞬間に謎の茶番を披露するキョウスケとユウリ。どうしようか悩むホップに対して、たまらずホップの母がツッコミを入れる。ちなみに対象にされたヨクバリスは会話には加わっておらず、花を見つめていたが当然認められる訳もなく…

 

「何花を見とるんじゃゴラァ!!喰らえ必殺!!飛鳥文化アタック!!」

 

「グハァ!!俺が何をしたんだぁ!!」

 

「飛鳥文化アタックって何!?」

 

 空中で急に回転し始めたキョウスケがヨクバリスに思い切り激突し、ヨクバリスを吹き飛ばす。その吹き飛ばし方を見てユウリは謎の拍手を送るが、当然これを見てボケ魂に火が付かない訳もなく、ヨクバリスはホップのツッコミに対してすぐに立ち上がると…

 

「飛鳥文化アタックだと…ふん…奴は四天王の中でも最弱」

 

「おーい、話し噛み合ってないぞー」

 

「まそっぷ!!」

 

「何だよまそっぷって!!さっきから意味わからないワードばっかじゃねぇか!!」

 

 ヨクバリスは謎にカッコつけた表情でキョウスケに言い放つが、ホップには呆れられる始末。だがユウリの母はホップの母と共にヨクバリスが喋っているという事に驚きを見せる。そしてその驚きをかき消すかのようなユウリの謎の叫び。

 

 ホップはこれにツッコミつつ、思わず本音を漏らすが2人、いやヨクバリス含めた3人のボケのオンパレードは止まる事を知らず…

 

「馬鹿な…俺の飛鳥文化アタックを受けて平然としているのかッ!!」

 

「私の元気玉を見せてやろう…いでよヨノワール!!」

 

「ヨノワールだと!?奴は四天王の中で最強と言われた…!?」

 

 謎の茶番劇に何とも言えない気持ちになるホップではあったが、出てきたヨノワールとレックウザが3人にツッコミを入れるかのように地面に叩きつけて、またモンスターボールの中に戻って行く。嵐のような出来事にユウリの母達は驚くが…

 

「あれ…俺たちは一体何を…!?」

 

「ねえホップ君。いつもユウリってあんな感じなの?」

 

「キョウスケといる時はあんな感じです…」

 

 娘ユウリのキョウスケといる時のあまりの変わりように驚かせられるユウリの母。それに対してホップの母は「アナタも大変ね」と同情するかのように呟く。ホップやユウリの母達の反応に対して、キョウスケ達はまるで気にしていないかのように立ち上がると…

 

「おいホップ!!お前がツッコミを入れずにどうする!!」

 

「そうだそうだ!職務放棄!!」

 

「俺はツッコミを仕事にしている訳じゃないぞ!?」

 

 名指しで批判するキョウスケ達に対してホップは思い切って本音を呟く。その本音を聞き、キョウスケ達はあからさまに驚いたようなそんな反応を見せると、次に無言の真顔で彼に接近すると…

 

「…な、何だよ?」

 

「喰らえ必殺!!昇竜拳んんん!!」

 

 ユウリとキョウスケによるただのパンチがホップに炸裂。そのままホップは吹き飛ばされかけるが、ホップの手持ちの一体であるアーマガアがホップをキャッチした事により吹き飛ぶのを阻止される。それに驚いたキョウスケは歯を食いしばると…

 

「何!?おのれ…おいヨクバリス!!太陽拳だ!!」

 

「イエスマスター!!太陽拳!!」

 

 ヨクバリスが思い切りホップやユウリの母達がいる方角に向かってフラッシュを放つが、まさかの現れたザマゼンタの盾から反射してまさかのキョウスケとユウリ、さらにヨクバリスが目眩しを喰らう事態に。3人は目眩しを食らった後に何故か動かなくなった。

 

「サンキューザマゼンタ…じゃなくて!!静止しちゃってるじゃねぇか!!」

 

「騒がしい子達ねホント…」

 

 ユウリやキョウスケの反応を見て思わずツッコミを入れるホップ。それに対してホップの母とユウリの母は苦笑いを浮かべながら呟く。そんなユウリが静止から急にハッとしたかのように表情を戻すと、キョウスケの方を向き…

 

「あ、そうだ。師匠といる時間が楽しすぎてつい忘れていました。マスタードさんから手紙を預かっていたんでした」

 

「見せるがいい、弟子よ」

 

「ええ!?今更!?会った時に渡すものじゃないのか!?」

 

 驚いたような反応を見せるホップに対して平然とした表情に戻ったキョウスケがユウリから手紙を受け取ると、受け取った手紙をすぐに広げてどこかふざけたような表情からホップは嫌な予感がしていたのだが…

 

「んん!!これは青酸カリですな!?」

 

「さっすが師匠!!よく分かりましたね!!」

 

「人の手紙くらい真剣に読めよ…」

 

 キョウスケの言葉にユウリも笑みを浮かべる中、ホップは呆れながらもツッコミを入れる。そのあと普通に真剣になったのだが、それでも表情はふざけたまま。そしてヨクバリスと共に見つめて納得したかのように呟くと…

 

「俺は絶対にマスタードの元には行かん!!」

 

「おい何でだよ!?」

 

「何故か教えてやろうか!?マスタードがいる鎧の孤島にはワイの元カノがいるからだ!!」

 

 キョウスケの自白に全員が固まる。無論事情を知っているのがヨクバリスだけ。ユウリも意外そうな表情を浮かべる中で、キョウスケは何事もなかったかのように話しを進めようとするが…

 

「…という事で…」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!師匠って彼女いたんですか!?」

 

「かつてな!!だが奴との約束でいる間は鎧の孤島には行かないという契約を交わしているのだ!!」

 

「別れているから今はただの友人っスよ」

 

 今まで一緒にボケて来たユウリですら驚くキョウスケの元カノの話し。詳しくはキョウスケも話すつもりはないらしいが、別れた今もかなりの仲良さらしく、今のユウリとの関係のようなふざけ合う仲らしい。

 

「驚いた…キョウスケにかつて彼女いたなんてな…」

 

「別れ理由は何だったの?」

 

「そこについては話すつもりはない!おいやめろ!!俺のそばに近寄るなぁー!!」

 

 元カノとの約束で鎧の孤島に行かないと言い張っていたキョウスケではあったが、その元カノからの連絡で鎧の孤島に行く事をあっさり承諾した。そしてマスタードからの手紙には会わせたい人物がいるから来て欲しいとの事だったらしい。

 

 時間が空き、彼は再びレイカと共に鎧の孤島に向かう事となる…




次回からは鎧の孤島編だァァァ!!


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「バトルエピソード」鎧の孤島編
鎧の孤島だァァァ!!


久しぶりですね。投稿します。今日はちょっと大人しめかな?


 ユウリからのお願いによりブラッシータウンに久々にヨクバリスと共に降り立ったキョウスケ。そこにて再会したのはユウリとその幼馴染であるホップ。そんな2人の家で行われるパーティーの場所に向かう最中、まどろみの森にて出会ったのは捨てられた伝説のポケモンレックウザ。

 

 レックウザを仲間にしたキョウスケはマグノリアの元に赴き決意表明。相変わらずふざけた態度は変わらないものの、レックウザを仲間にしたキョウスケを静かに彼女は後押しをする。そしてキョウスケはマスタードの手紙を機に、レイカと共に鎧の孤島へ足を進める…

 

「もうちょいそっち行って兄貴!ヨクバリスが当たるから!」

 

「うっせえ!どんな世界でもポケモンが最優先だろうが!」

 

「そうです!私は最優先にされるべきポケモンなのです!」

 

 エンジンシティから鎧の孤島へ。空飛ぶタクシーにて揺られているキョウスケ達。左右にキョウスケとレイカ。そしてど真ん中にヨクバリス。元々3人座れるスペースがあまりないだけにもうぎゅうぎゅう詰めのような感じになっているが…

 

「いや引っ込めなって!それで解決じゃん!」

 

「ヨクバリスを引っ込めるだと!!そんな愚かな事が出来るわけねえだろ!!」

 

「そうだそうだ!」

 

「(賑やかな客達だなぁ…)」

 

 数時間に及ぶ言い合いの末、喉がガラガラになっていたキョウスケとレイカ。まもなくして鎧の孤島の駅に到着し、ゆっくりと扉を開く。やはり3人分はしんどかったのか、アーマガアもクタクタの雰囲気を見せていたが、そんな事関係ないかのようにキョウスケは息を吸い込むと…

 

「着いたぞ鎧の孤島ー!!」

 

「決戦の地だぁぁぁ!!」

 

「アンタらの元気は底なし沼か…」

 

 駅に着いた途端に叫び出し、謎のダンスを踊り出すキョウスケとヨクバリスを見てあまりの元気の良さにレイカは呆れ顔でため息を吐く。そんな少し顔がやつれたような感じを見せたレイカに対し、キョウスケはヨクバリスと共に煽っているかのように満面の笑みを浮かべるが…

 

「イタタタタ!!おいよせ!悪かった!だから地味に手の甲をつねるのをやめろ!!」

 

「うるさい!今度また煽ったら実力行使するからね!!」

 

「もう実力行使に出ていますがァァァ!?」

 

 満面の笑みを浮かべた瞬間にレイカはヨクバリスに思い切りパンチをお見舞いし、キョウスケの手の甲を思い切りつねる。その光景を見ていた周りの人々が青ざめる中、耳に入ったのはどこかしらから聞こえる聴き慣れた笑い声。レイカはそれを聞き、つねるのをやめると…

 

「相変わらずアンタら元気そうだね。良かった良かった!」

 

「おー!誰かと思えばワシの元カノではあーりませんか!!」

 

「久しぶりだねキョウスケにレイカ!急に呼び出してごめんね」

 

 3人の前に姿を見せたのはキョウスケの元カノであり、現在は鎧の孤島にてポケモンの研究者としている白髪のショートヘアの人物。名をミリという。気さくに声をかけてくる彼女に対してキョウスケは急速にヨクバリスと共に接近すると…

 

「ミリ!喰らえ必殺!飛鳥文化アタック!!」

 

「たかが1人!!私の力でェェ!!」

 

「相変わらず変わらないですねミリさん…」

 

 思い切りしゃがみ込み突撃してきたキョウスケとヨクバリスに対して、ミリはどこからそんな力が出るのか両腕でピタリと止める。その光景を見ていたレイカが苦笑いを浮かべる中、ミリは少しキョウスケ達を押し返した所で…

 

「あ、そうだ。確かマスタードさんからの手紙があってこちらに来たんだよね。道中絶対迷うから着いてきて」

 

「その迷うのが楽しいんじゃあないか!!」

 

「開き直ったらダメだよ兄貴…」

 

 鎧の孤島の駅から出た所は中々にややこしく、多少なりとも地図を見なければマスタード達が住んでいる場所にたどり着く事ができない。開き直るキョウスケとそれに呆れながらツッコミを入れるレイカ。2人のやりとりを見て、先行して歩いて行くミリは笑みを浮かべると…

 

「じゃあさ!キョウスケボールになってよ!蹴り飛ばしてあげるから!」

 

「え?ちょっとミリさん?何言って…」

 

「イエスボス!!」

 

「イエスボスじゃないでしょ!?何普通に丸まってるの!?」

 

 ミリの言う事をレイカが理解出来ないままにキョウスケは三角座りのようなそんな感じで丸くなると、ミリは思い切りその背中を蹴る為に距離を取ると…

 

「喰らえ必殺!!共同奥義!ライジングキャノン!!」

 

「ライジングキャノン!?」

 

 ミリは駆け足で思い切り丸まったキョウスケに迫り行くとそのまま思い切り蹴り飛ばし、キョウスケはそのまま本堂の方へ吹き飛んで行った。口を思い切り開け唖然とした表情を浮かべるレイカ、そしてさらに彼女を驚かせたのは…

 

「いくよヨクバリス!!1についてよいドン!!」

 

「ちょっと!!よいドンってなんですか…ってはっや!?」

 

 キョウスケが吹き飛んで行った同時のタイミングでミリとヨクバリスは思い切り走り出して行く。レイカも置いてかれないようについて行こうと思ったが、足が異常に早く追いつく事が出来ない。そんなミリ達がマスタードがいる本堂に向かって突き進んでいる間、キョウスケは…

 

「メテオぉぉぉ!!」

 

 隕石かのように炎を纏いながら地面に落下。周りに砂埃を撒き散らし、地面に大きな穴を開ける中で、口に入った土を吐いていると、その近くにいたのはクリーム色の髪、そしてポニーテールヘアーをした1人の女性。かなり驚いているようにこちらを見つめていたのだが…

 

「あ、あの大丈夫で…」

 

「いいからテーピングだぁ!!」

 

「テーピングッ!?」

 

 相変わらず変わらないキョウスケのスタイルに驚かせられる1人の女性。そんな驚く女性と話している間に、走り過ぎてほぼクタクタのレイカとキラキラと目を輝かせているヨクバリスとミリが到着。ミリが突如…

 

「説明しよう!!」

 

「何でそんな元気なの…」

 

「彼女こそ、マスタードさんがキョウスケに会って欲しいと言っていた新米トレーナーのリーリエである!!」

 

「あ、はい…り、リーリエと申します…?」

 

 勢いのある状態でミリに自己紹介をされ、勢いに押されるようなそんな感じでリーリエという女性が自己紹介をする。元々はカントーにいたのだが、トレーナーの修行をしたいという理由で、家族の後押しもあってガラル地方にある鎧の孤島へ。

 

「我が名はブロスフゥンダル!!」

 

「ブロスフゥンダル…?」

 

「キョウスケです!リーリエさん!彼はあまりにふざける事が多くて…」

 

「いいじゃないですか。楽しそうな感じで。憧れだった人を思い出します」

 

「な、何だこの余裕は…!?おいミリ!!お前どんな人物を連れてきたぁ!?」

 

「あれは今から二千万…いや一億2000年前だったか…まあいい。君達にとっては明日の出来事だ」

 

「え!?何!?ミリさんもしかして悟りとか開いています!?」

 

 リーリエのあまりに余裕そうな態度を見て青ざめるキョウスケに対して、何か悟りを開いたかのように若干虚な目で語って行くミリ。そのあまりの状況にレイカも理解出来ずにいたが、すると本堂の方からゆっくりと姿を見せたのは…

 

「おお。キョウスケちん。レイカちん。久しぶりだねぇ。ホシガリスを鍛えていた時以来かね?」

 

「マスタード!!オラおめえを絶対に許さねぇ!!」

 

「相変わらず元気だねぇ…かめはめ波!!」

 

「かめはめ波!?」

 

 本堂から姿を見せたマスタードに向かって思い切り向かって行き、飛び蹴りをしようとするキョウスケ。そんなキョウスケを返り討ちにするかのようにマスタードは何とかめはめ波を放ち、彼を吹き飛ばして行く。唖然とするレイカとリーリエ。そしてミリは静かに苦笑いを浮かべていた…




アローラ地方からリーリエさん参戦です。いやサンムーンの影響です、はい。


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起こすぜ!ジャイアント…なんだっけ?

久しぶりに投稿しますー。
今回はバトル前なのでふざけありますが、大人しめです。


 前回の誰も知らないあらすじ!!

 

「そら誰にも言ってないからね」

 

 しません!!

 

「しろよ!!誰もあらすじ分からないでしょうが!!」

 

「ナレーターに任せれば問題なしだろ」

 

「ナレーターはメイドとか執事じゃないんだよ!!」

 

 そんな話しはさておき、ここまでの話しをまとめます。前回キョウスケの元カノであるミリの話により、鎧の孤島に足を運んだキョウスケ。そこで出会ったのは話をしたミリと新米トレーナーのリーリエ。そして道場主であるマスタード。そんなマスタードにかめはめ波を撃たれた所の後から、物語は再開していきまーす。

 

「そんな適当で大丈夫なのかあらすじ…」

 

「ナレーターは常に適当だから仕方ない」

 

「キョウスケちんに言われたらお終いだね」

 

「皆さん一体なんの話をしているのですか…?」

 

 ナレーターの話しなどを聞き、謎に納得するキョウスケ達を見てなんの事情も知らないリーリエが首を傾げる中で、リーリエのその言葉を聞いて全員がハッとするとレイカが息を整えて話を戻しにかかる。

 

「コホン!で…ミリさん。アニキを呼んだという理由ってなんなんですか?アニキは来いとしか言われなかったって」

 

「ああ、そういえばそうだったね。実は近々、アマチュアトーナメントというのが25年ぶりに開催されるんだ。誰でも参加出来るって奴なんだけど…」

 

「カップヌードル以外俺は参加せんぞ!!」

 

「まあまあ、最後まで聞いてって。損する話しはしないから」

 

 ミリ、そしてマスタードから話されたのはガラル地方で近々行われるというアマチュアトーナメント。誰でも参加出来るというその大会には、今この場にいるリーリエも参加するという事なのだが、マスタードからさらに切り出されたのは…

 

「キョウスケちん達はガリュウという人物を知っているかい?」

 

「ダイコン…?」

 

「ガリュウ!それただの野菜だから!って…ガリュウ……ガリュウ!?」

 

 レイカが驚きを見せる中でキョウスケはボケをかますなどしたほぼ無反応。え?ヨクバリスはどうしたかって?ボールの中で寝ています。そんな事はさておき、レイカが驚いている理由を知らないキョウスケに対して、リーリエが説明する。

 

「世界最高と呼ばれているポケモントレーナーです。バトルなら右に出るものはなし。ガラル以外のリーグを全て制覇しているという…」

 

「何だそりゃ、チーズじゃねぇか」

 

「それを言うならチートだよアニキ…」

 

「とりあえずそのガリュウが今回のアマチュアトーナメントに参加するという事らしくてね、どうかなと思ったんだけど」

 

 チャンピオンに何回にもなっているが、全て殿堂入りという形で済ませチャンピオン業を辞退。世間から見たらただのポケモントレーナーだが、彼が参加するという噂が流れた事により、この大会への注目、関心がかなり高まっているという。

 

「で、オレやそこのり、り…リーシャン」

 

「リーリエです」

 

「そうリーリエ!にガリュウを倒す為に参加しないかと呼びかけている訳だ」

 

「そゆこと。各地を放浪しているから滅多にない機会だから、珍しいもん好きのキョウスケちんが食らいつくと思って、話ししてみたよん」

 

 マスタードやミリからのアマチュアトーナメント参加への申し出に即答で拒否するかと思ったキョウスケではあったが、わざわざ自分を説得するために呼び出したという事を考えると簡単には決断出来ずに…

 

「マスタードのおっさん。オレは大会とかに縛られないバイキン人だぜ?ミリがいるとはいえ、そんな事を良く申し出たな」

 

「(バイキン人…?)」

 

「(ツッコンじゃダメだよリーリエさん)」

 

「(他人の思考に勝手に入らないで下さいレイカさん)」

 

 自由人と言う筈が思わず変な方向に呟いてしまったがためにリーリエには全く理解出来ない話しとなってしまい、終始微妙な表情を浮かべるハメに。そんなリーリエを差し置き、話を進めるキョウスケはマスタードとミリに対して…

 

「じゃあ、断るのかい?」

 

「断ると言ったら…?」

 

「NO!!」

 

「ヒャッハー!!断ると言ってNOを呟く!!やっぱり分かってるぜミリは!!」

 

 レイカが訳も分からずに何も呟けない中でリーリエはこのやり取りをかつて自分がいたアローラで経験した出来事を思い出していたのだが、当然何も呟いていないのでキョウスケ達の耳には届かない。そしてそんなレイカやリーリエの反応を知らずにキョウスケは…

 

「世界最高だが何だかしらねぇが…やってやろうじゃねえか!!ガラルの汚点が最高に勝つ所を見せてやるよ!!」

 

「が、ガラルの汚点…アナタのお兄さんそう呼ばれているんですか…?」

 

「ガラル地方では色々やんちゃしてるんで、うちのアニキは」

 

 リーリエはキョウスケが言い放った言葉に驚きを見せていたのだが、レイカの苦笑いからの一言に何故か納得したかのように頷く。そしてキョウスケの自信に満ち溢れた姿を見て、マスタードはニヤリとした笑みを浮かべたのだがミリは大きく息を吐き…

 

「焦ったー…断る態勢に入っていたから断るかと思った…」

 

「参加すると言う事は…私の相手にもなるかもしれないと言う事ですよね?」

 

「な、何だ…リーリエから敵意しか向けられてないぞ…!?」

 

「向けられているんだよ今」

 

 参加の決断を下したキョウスケに対して、同じく大会への参加を表明しているリーリエは闘志を燃やす。改めてリーリエはキョウスケに近づくと…

 

「キョウスケさん。改めて自己紹介します。私はリーリエ。アローラからガラルへ修行に来ている身です。当たる事になればよろしくお願いします」

 

「そう敵意を向けんなって。ビールでも飲んでリラックスしな」

 

「面白い奴だな、気に入った。殺すのは最後にしてやる」

 

「え、り、リーリエさん…?アナタツッコミ側じゃ…!?」

 

 闘志を燃やすリーリエを避けるかのようにニヤリと笑いながら、ボケたキョウスケではあったが、まさかのリーリエからのボケ返しに口をあんぐりとさせて驚きを見せる。マスタード、ミリからも驚かれ沈黙が続く事数分。息を整え…

 

「さ、参加するならエキビションマッチしてくれませんか?ガラルのトレーナーと対決してみたいので…」

 

「(声が全部裏返ってる…)」

 

「(声出しちゃダメですよミリさん。リーリエさんが恥ずかしがっちゃいますから…)」

 

 慣れない事をしたせいか、リーリエはキョウスケに対して声が全部裏返るという事をしでかしながら、恥ずかしさを誤魔化す為か、キョウスケ達の元を離れて行く。マスタードはそれを見て静かに笑みを浮かべると…

 

「リーリエちんはああ見えて、とんでもなく才能のあるトレーナーだからね。才能ある者同士の勝負見せてもらうよ」

 

「オレまだマッチをやるとは言ってな…」

 

「キョウスケ」

 

「は、はい!!やります!!」

 

「と言ってもよ…この作品にバトル要素を入れて大丈夫なのかよ?」

 

「そこは安心して。ちゃあんとたまにバトル要素ありって事とバトルエピソードを入れておいたから」

 

「計ったなミリ!」

 

「ふへへ…遠慮なく行ってらっしゃい!」

 

 メタい話しからそう呟いたキョウスケはミリに背中を押される形で、リーリエが向かっていったバトル場にへと向かって行く。え?今更だがミツバさんはどうしたかって?丁度ダイキノコを取りに行っていて不在でした。と言う事はさておき、少し気怠げにバトル場に向かうと…

 

「………」

 

「帰っていいっすか…」

 

「キョウスケ」

 

「はい!喜んでバトルをさせていただきます!」

 

 笑顔からの圧力に屈する形でリーリエの待つ場所に足を踏み入れる。リーリエはこちらをじっと見つめると…

 

「今、アナタについて調べました。ノーマルタイプ一体でガラルのジムを全て突破したと言う」

 

「そうだな。とち狂っていたと思うよ自分でも」

 

「だからこそ全力で立ち向かいます…!!準備はいいですか!!」

 

 ボールを出して構えるリーリエに対して、少し押され気味に構えるキョウスケ。ヨクバリスは現在熟睡中。彼は何のポケモンを選ぶのだろうか…




見てくださりありがとうございますー。


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この作品にバトルがあっていいのかあ!?

今回はバトル回なんでふざけはあまり無しです。


「二人共止まって。軽くながらだけど、ルールを説明させてもらうよん。使うポケモンは一体。リーリエちんが一体しか持ってないからね、仕方ない」

 

「はあ!?あんだけ勢い良く行ったのにポケモン一体しか持ってないのかよ!?」

 

「それ、兄貴が言えた事?」

 

「ぐはっ!!」

 

 勢い良くボールを構えたリーリエに対して押され気味だったキョウスケ。そんな二人の間に入り、マスタードは軽くながらも淡々とルールを説明していく。リーリエが一体しか持っていない事を聞かされたキョウスケが驚きを見せたが、当然ながら彼が言えた立場ではない。

 

 キョウスケの言葉にリーリエが目を彼から逸らす中で、マスタードが息を整えると…

 

「それじゃリーリエちん、キョウスケちん。ポケモンを出してくれるかな?」

 

「私はずっとこの子です…!!行きます!シロン!!」

 

「メロン?」

 

「シロンですっ!!」

 

 マスタードの言葉に乗る形でリーリエがボールから繰り出したのはシロンというニックネームを付けられたアローラ姿のキュウコン。アローラキュウコンを見て目を輝かせるレイカ達に対し、キョウスケがやたら顎を突き出しながらボールをポケットから出そうとした瞬間…

 

「キュウ!!」

 

「よっしゃ!!これから俺のポケモンを見せてやるぜっ!!行くぜレ…」

 

「うん、キョウスケ。もうラプラスが出てるね」

 

 気合いを入れて彼がレックウザを繰り出そうとしたのだが、同じこおりタイプという事に触発されてかラプラスがキョウスケの後方に姿を見せる。ミリの言葉にキョウスケは自身を落ち着けるかのように一息吐くと…

 

「あのねラプちゃん。ここは伝説を出してカッコいい!!と言わせる所で…」

 

「キュウ!!キュウ!!」

 

「………分かった。行っておいで」

 

「キュウ!!」

 

 ラプラスに自身の理論を説いても無駄だと確信したキョウスケは軽く深呼吸をすると認めるかのように一言吐く。ラプラスは満面の笑みを浮かべながら、フィールドへ。リーリエはラプラスが出てきたのを見て…

 

「驚きました。出したのはこおりタイプなんですね」

 

「まあ…出てきたからな。そのまま相手するぜ…」

 

「キュウ!!」

 

「(絶対不満に思ってるねあれ…)」

 

 フィールドにはラプラスとアローラキュウコン。リーリエが真剣な表情に対してキョウスケは少し不満に思ったようなそんな表情。そんな二人を交互に見たマスタードは再び息を整えると…

 

「準備はいいかい?」

 

「いつでも…!!」

 

「お好きなタイミングで…!!」

 

 マスタードの問いかけに対して真剣な表情を浮かべているリーリエと表情を引き締めたキョウスケ。ラプラスとキュウコンの表情は牙を向けているキュウコンに対し、笑みを浮かべているラプラスと対照的ではあるがバトルが始まると変わるだろう。

 

「ではバトル…開始ッ!!」

 

「行くよシロン!!あられっ!!」

 

「いきなり天候を変えるの!?」

 

 リーリエの指示によりキュウコンは開始早々いきなり空に雄叫びを上げ、天 天候を変えてあられを降らせる。この行動にキョウスケを含め全員が驚く中で、キョウスケもニヤリとした笑みを浮かべつつ軽く呼吸をし…

 

「行くぜラプラス!!れいとうビーム!!」

 

「オーロラベールッ!!」

 

 キョウスケの指示により思い切り口を開けたラプラスはそのままれいとうビームを放つ。当たった地面を凍らせつつ、向かって行ったビームではあったがキュウコンが間近に貼ったオーロラにより掻き消された。

 

「消されたっ!?」

 

「さて、ここからは私達のペースです!!シロン、マジカルシャインッ!!」

 

「コンッ!!」

 

 キュウコンの身体が突如光出したかと思いきや、光の弾丸が地面に当たりつつもそのままラプラスに命中して行く。ラプラスは痛がった表情を浮かべたが、我慢しているかのように声を張り上げる。

 

「ちょっと我慢しろよ…ラプラス!!ハイドロポンプ!!」

 

「シロン、フリーズドライでハイドロポンプを凍らせて!!」

 

 ラプラスの口から今度はハイドロポンプが放たれて行く。対するリーリエが指示したのはフリーズドライ。ハイドロポンプが地面を伝ってキュウコンに向かって行く中で、キュウコンから放たれた冷気がハイドロポンプを凍らせて行く。然しここでキョウスケはニヤリと何故か笑い…

 

「今だラプラス!!かみなり!!」

 

「っ!?」

 

 凍っていくハイドロポンプを撃たせるのをやめさせたキョウスケは次の攻撃にシフトチェンジ。電気を纏ったラプラスがキュウコンに向けて電気を放出。凍ったハイドロポンプを真っ二つにしながら、完全に油断仕切っていたキュウコンにかみなりを当てた。

 

「コンッ!?」

 

「シロンッ!!」

 

「当てた!!」

 

「この攻撃ではこちらまで被害が出る…そう思ってからの切り替えが早かったね…バトルの腕は衰えてないみたいだね」

 

 オーロラベールの影響により受けたダメージは少なかったものの、かみなりによりまひ状態に。これを見たリーリエが驚いた表情から息を呑む中、冷や汗を流しながらも切り替え…

 

「シロン、マジカルシャインッ!!」

 

「今度は簡単に行くか…ハイドロポンプッ!!」

 

 キュウコンの身体から放たれた光の弾丸が再びラプラスに向かって行く中、キョウスケは再びラプラスにハイドロポンプを指示。弾丸をハイドロポンプによる水でかき消していき、そしてキュウコンに水が近づいたタイミングで…

 

「ラプラス!!ハイドロポンプをやめてかみなり!!水を放電させろ!!」

 

「まさか…っ!!シロン、フリーズドライ!!」

 

 ラプラスがハイドロポンプを放つのをやめた事により水がキュウコンの前で勢いを無くし、目の前で水溜りを作る中ラプラスのかみなりとキュウコンのフリーズドライが激突し、爆煙を巻き起こす。キュウコンとリーリエが爆煙により視界を塞ぐ中で…

 

「ラプラス!一気に接近!!」

 

「(まるで攻撃に隙がない…っ!!)シロン、マジカルシャイン!相手を近づけないでっ!!」

 

 判断の速さにリーリエが驚かせられる中でキュウコンにマジカルシャインを指示。爆煙の中、放たれた光の弾丸は全弾外れ。それに驚いていると間近にラプラスが接近しており…

 

「いつの間…!?」

 

「ラプラス、アイアンヘッドッ!!」

 

「アイアンヘッド!?」

 

 技のチョイスにレイカが驚かせられる中、ラプラスの頭突きがキュウコンに炸裂。そのまま地面に叩きつけ砂煙を巻き起こす。砂煙が晴れると見えたのは効果4倍だったとはいえ、戦闘不能となっていたキュウコンの姿で…

 

「シロンッ!!」

 

「勝者ラプラス。キョウスケちんの勝ちだね」

 

「ふいー…技を把握していたとはいえ、ラプちゃん使ってバトルしたのは初めてだから焦ったー…」

 

 負けてショックを受けるリーリエがキョウスケの言葉に驚きを見せる。キュウコンをボールに戻した後に同じくラプラスをボールに戻したキョウスケにリーリエは近寄り…

 

「初めて!?初めてであんなに堂々と…!?」

 

「そら攻撃技しか覚えてねぇからな。初っ端特殊技2連チャンは焦ったし、マジカルシャインを決められた時はマジで負けを覚悟した」

 

 リーリエの言葉に対してキョウスケが呟いたのは堂々とした言葉ではなく、少し後ろめたいそんな発言。リーリエが悔しそうに「そうですか…」と呟いた後に再びキョウスケの方を見つめると…

 

「やっぱりジム8つを突破したトレーナーは凄いですね…戦い方も勉強になりました…」

 

「何言ってんだ。俺の戦術は全部ギャンブルだから信用しない方がいいぜ」

 

「え?」

 

「まさか全部読んだ上の策と思ったのか?残念だったな!!」

 

 バトルが終わるといつも通りの変顔を見せたキョウスケに苦笑いを見せたリーリエ。このバトルを見てマスタードは笑みを浮かべながら、とある事を考えていた…




次はバトルじゃないんでしっかりふざけさせますw


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お前人間じゃ…人型かよぉ!?

今回は思い切りふざけさせていますw


前回の誰も知らないあらすじ!!終わり!!

 

「何も突っ込んでないのに終わっちゃったよ!!せめて一つツッコミを入れさせてよ!何のためのツッコミ役だよ!」

 

「うるせえな。よ星人かお前は」

 

「よ星人…?」

 

 キョウスケとリーリエ。ガリュウとの勝負を望む2人のポケモンバトルはキョウスケに軍配が上がった。その後キョウスケ達は何事もないまま、道場に戻ったのだが、無断で道場を空けたせいかマスタードはミツバにこっ酷く叱られたみたいだ。キョウスケはまるで興味が無さそうだったが…

 

「そういえばリーリエは?さっきまで道場にいたけど」

 

「海水浴行った」

 

「どうやって行くんすか、外サメハダーだらけっすよミリさん」

 

 キョウスケとのバトルで余程ショックを受けているかと思いきや、まさかのその逆で発見と試したい事が出来たらしく、キュウコンを回復させて急いで外に出たらしい。とレイカに軽くツッコミを入れられた後にミリは鼻をほじりながらそう話した。

 

「ミリ!!喰らえ必殺!!サンライトイエローオーバーノーズ!!」

 

「やめろぉ!!私の鼻をほじろうとするな!こちとらレディだぞちくしょうめ!!」

 

「(言動が男なんだよなぁ…)」

 

 ミリが鼻をほじっているのを見て悪戯心に火がついたのか、ミリの鼻に向かって指を突っ込もうとするキョウスケ。ミリがそれを避けてキョウスケの腕を止めようとする、そんな2人の攻防を呆れつつも黙って見つめていたレイカではあったが…

 

「おいレイカ!!」

 

「な、何!?」

 

「レイカも混ざれ!!楽しいぞぉ?」

 

「い、いやですよそんな子供みたいな攻防…」

 

 本心から出たと思われるレイカの言葉に対してかなりショックを受けたミリとキョウスケは口をあんぐりと開けた後に、身体が真っ白になっていくとそのままその場に倒れ込んでしまった。倒れたミリとキョウスケを見て道場の門下生達が慌てる中、レイカが静かに息を吐くと…

 

「はあ…仕方ない…あ、あそこに伝説のポケモンのけつばんがー!!」

 

「けつばんって何すかレイカさん!?」

 

「な、何ー!?」

 

「起きたー!?」

 

 レイカは頭をかきながら息を吸い込むと外を指差して「けつばん」というポケモンが出たと叫ぶ。門下生は思わずツッコミを入れたが、それを聞いたキョウスケ達が目を覚まし起きあがったのを見て門下生はかなりびっくりしていたが…

 

 関係ないと言わんかのようにキョウスケとミリは道場の壁を突き破ってそのまま外に突っ走っていった。

 

「あー!?道場の壁がっ!?お、おかみさんが…」

 

「キョウスケ…ミリ…私…殺す…!!」

 

「ミツバさんが怒りのあまり片言になってるぅー!?」

 

 マスタードの止めも虚しくミツバはキョウスケ達を追いかけるようにして同じく、ちゃんと扉を通って外へ。レイカはやってしまったと青ざめながら思いつつも、このままで居させるわけにはいかないとミツバに次いで外へ。

 

 一方壁を突き破ってそのまま外に行ったキョウスケ達はというと…

 

「どこだけつばん!!姿を見せろぉ!!」

 

「待ってキョウスケ!!けつばんはバグコードを入力しないと出てこないわ!!バグコードを入力するわよ!!」

 

「イエスボス!!」

 

 けつばんという物に囚われ過ぎて幻覚を見ているのか、何もない所を思い切り連打。ミリとキョウスケの目がほぼ白目を向いており、どこを向いているのか分からない。そんな中2人に近づく足音が聞こえた瞬間、ヨノワールがキョウスケのバッグから出現。

 

 ミリとキョウスケの頭を思い切り叩きつけそのまま地面に叩きつけた。

 

「ぐぬああああ!!な、何をするだー!!許さん!!」

 

「ヨノワ!」

 

「え?前を見てみろって…?」

 

 地面に叩きつけられてすぐに立ち上がったキョウスケとミリはそのままヨノワールに詰め寄ろうとしたのだが、ヨノワールからの指差しもあり指を指した方に振り向く。するとそこにいたのはこちらをゴミのような感じで見つめるリーリエ。

 

 キョウスケとミリは一瞬で現実に引き戻され、頭が真っ白になった。

 

「リーリエちゃん…今の見てないよね?」

 

「………」

 

「見たって顔をしてるぅ!!呆れるくらい引いてる感じが伝わってくるぅ!!」

 

 息を整えミリがリーリエに問いかけたはいいものの、リーリエは完全に引いているのか何も答えない。それを見たキョウスケが絶望したかのように声を張り上げる。その場に膝をつき、再び真っ白になっていく2人。そんな中リーリエの足元から何かのポケモンと思われる足音が。

 

「…?リーリエちゃん。今の足音キュウコンの足音?」

 

「え?シロン?今はボールにいますけど…」

 

「あ、そこ!お前の足元にポケモンがぁぁぁ!!」

 

 スッと素に戻った2人がリーリエの足元から聞こえた足音を気にし、問いかけた瞬間。キョウスケの顔面を何か小さな人型のポケモンが思い切り殴りつけた。ヨノワールはその人型のポケモンをひょいと持ち上げる。

 

「この子…ダクマ?もしかして修行中に捕まえたの?」

 

「捕まえたというか…ついて来た感じです」

 

「おーい、2人ともー。負傷者は無視ですかー!!」

 

 頰をさするキョウスケを全く気にせずにミリとリーリエはそのまま会話を続ける。ヨノワールが持ち上げ、その手のひらで暴れている小さな人型のポケモンは鎧の孤島に出没するダクマというポケモン。ダクマは昔はかなりいたが、今はあまりいないとの事だが…

 

「へえ…ついて来たねぇ。ねえキョウスケ。アンタのポケモンもついてきた感じでしょ?」

 

「んあ?何で分かったんだよ」

 

「え、そ、そうなんですか!?」

 

「コイツの手持ちにいるヨクバリスは落ち込むキョウスケの元にスッと現れたんだよ」

 

 驚くリーリエに対して淡々とキョウスケとヨクバリスの話しをするミリ。ミリからヨクバリスとの話しを聞いたリーリエは少しびっくりしたような表情を浮かべていたが…

 

「ベア!!」

 

「何か言いたそうだぞウンコでもしたいのか?」

 

「よーしヨノワール、キョウスケを殴っていいぞー」

 

「ヨノワ!!」

 

 ヨノワールはリーリエに向かって軽くダクマを投げると、思い切りキョウスケを殴りつけて地面に叩きつける。リーリエはそれを見つつ、キョトンとしつつも苦笑いを浮かべる。ミリも小さくクスクスと笑うと…

 

「おい!ヨノワール!お前、俺のポケモンじゃねぇのか!!」

 

「ヨノワ!!」

 

「んだとゴラァ!!」

 

「(何を言っているんだろう…)」

 

 リーリエがヨノワールとキョウスケの会話に疑問を抱く中、ミリは子供を見るかのようにして笑みを浮かべる。その中、その場に聞こえてきた足音を聞いて、キョウスケとミリが一気に青ざめる。

 

「き、聞こえる…!!オチを叩き出す音色がぁ!!」

 

「キョウスケ!!一旦停戦!!逃げるわよ!!」

 

「え!?どういう事で…」

 

 キョウスケとミリが見つめる先、リーリエはその方角に振り返るとそこにいたのは目を赤くして明らかに怒りの雰囲気を身に纏うミツバの姿。リーリエ自身もそれを見て一気に青ざめたが、逃げた2人は対象が自分達という事を分かっている為…

 

「壁治すわよね?」

 

「ゆ、許してくださいミツバさん…不意の事故でして…」

 

「そ、そう!!あれはギャグにおいてのパターンで…」

 

「言い訳無用!!壁を治しなさいっ!!」

 

 リーリエの見つめる中、ミツバから必死に逃げ続けるキョウスケとミリ。やがて3人はリーリエの視界から消え、リーリエが息を呑む中で悲鳴が聞こえてきた。リーリエが口をあんぐりとさせる中レイカが合流し…

 

「あ、レイカさん…」

 

「ま、間に合わなかった…あ、リーリエさんもいたんですね」

 

「あ、あのこれっていつもの事なんですか?」

 

「あー…えっと。いつもこんな感じです。はい」

 

 苦笑いを浮かべるレイカに対してリーリエも釣られるかのようにして苦笑いを浮かべる。その後ミツバにこっ酷く叱られ、壁の修復を手伝わされるミリとキョウスケの姿が確認されたらしい…




ヨクバリスは次回あたりにだします。ちゃんと。


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あばよ鎧の孤島!!

久しぶりにふざけ倒した為頭がパンクしております。
見てくださると嬉しいです!


 前回の誰も分からないあらす…

 

「はああ!?明日に冠の雪原に行くってどういう事よ!?」

 

「あ、あのレイカさん。あらすじ…」

 

「んなもんナレーターに説明させとけばいいでしょ!」

 

「ナレーターは雑用じゃねぇんだよ!この作品を小説にしてくれている偉い人なんだよ!!」

 

 私に関しての変な言い合いはほっておいて。レイカが驚きながら呟いた一言にはキョウスケが言い放った一言が原因として挙げられる。鎧の孤島にて一夜を過ごしたキョウスケ達は何故か、急に寒い場所を経験したいからという中途半端な理由から冠の雪原に行く事を決断。

 

 それもヨクバリスと話しただけで誰にも話さずに呟いた為、このような事態となっている訳だ。

 

「冠の雪原って知ってる!?真逆なのよ真逆!!ギャグパワーで通用する寒さじゃないんだよ!」

 

「ヨクバリスの毛皮を借りたら何とかなんだろ」

 

「私の毛皮を貸してあげましょう……って脱げるかー!!地毛じゃボケー!!」

 

「な、何でポケモンが喋っているんですか!?」

 

 ヨクバリスの喋り口、そして久々の出番からの強烈なキョウスケへのツッコミ(パンチ)を聞いてびっくりしたような声を挙げるリーリエだったが、近くにいたミリに「あれにツッコミを入れてはいけない」と呟かれ、渋々ながら納得していた。

 

 ヨクバリスのツッコミ(パンチ)を受けて何とか立ち上がったキョウスケは何故か平然とした表情で…

 

「冠の雪原なら!もっと珍しいポケモンがいるだろぉ!?パドレックスとか!!レジエレキとか!後はケルディオとか!!」

 

「伝説のポケモンを呟く所悪いけどさキョウスケ。アンタ…6体既にポケモンいるじゃん」

 

「………ハッ!?」

 

「ハッ!?じゃねぇんだよ!!忘れていたんかい!!」

 

 キラキラとした目で伝説のポケモンを口にしたはいいものの、ミリが口を出した通りキョウスケには読者の方もご存知の通り6体のポケモンが手持ちにいる。その事を呟かれ思い出したキョウスケは口をあんぐりと開いて驚いた表情を浮かべると、その場に膝をつき…

 

「馬鹿な…俺の冠の雪原に行く計画が…」

 

「然もだよキョウスケちん。今君が名前を挙げたポケモンは既にユウリちんがゲットしているよ?」

 

「なん…だと…!?」

 

 ショックでその場に膝をついたキョウスケにトドメを刺すかのようなマスタードの一言。これによりキョウスケは精神がkoされてしまい、どこかのアニメかのように身体が真っ白になって行く。リーリエがキョウスケが真っ白になったのを見てびっくりする中で…

 

「ただ。ガリュウが冠の雪原に向かったという情報はあるね」

 

「ガリュウが!?」

 

「よし!!冠の雪原に向かおう!!前哨戦じゃゴラァ!!」

 

「あくまで情報…ってだめだこら、聞いてない…」

 

 冠の雪原に行く目的を失い、鼻をほじりながらその場に寝転がっていたキョウスケのやる気を出させるかのようにミツバがふとした拍子に呟いた一言。これがキョウスケに完全に火を付けてしまい、身体を燃やしながらキョウスケはやる気を滾らせる。

 

 レイカの呟こうとした一言に対しても耳を傾ける事なく、ヨクバリスと共にミツバに近寄ろうとしたキョウスケだったが、ボールから出てきたヨノワールに地面に思い切り叩きつけられた。

 

「あのヨノワールっていつもあんな感じなんですか…?」

 

「加入してからはストッパーって言えばいいんですかね?そんな感じになってますよ」

 

 ヨノワールの行動に思わず息を呑むリーリエ。そんな彼女がふとした拍子に呟いた一言にレイカが呆れたかのように息を吐きつつ、リーリエの言葉に答える。

 

「何すんだヨノワール!!今いい所なの!!バトル漫画では定番の…」

 

「マスター。残念ながらこの作品は小説でございます」

 

「嘘だっ!!」

 

「何だかこの目的が決まった時の騒々しさは変わってないなぁ…」

 

 ヨノワールに詰め寄ろうとしたキョウスケではあったものの、ヨクバリスからの一言を聞いても尚自分の理想を貫こうとしている様子。そんな彼を見て意外にも笑みを浮かべていたのはミリ。そして小さく頷き「決めた!」と少し声を張り上げ気味に呟くと…

 

「ミリ?決めたって何を決めたんだ?」

 

「私、冠の雪原にもついて行く」

 

「やめて下さいミリさん!アナタまで付いて行ったら私のツッコミ担当の役目はどうなるんですか!?」

 

「いや、ミリさんどちらかと言うとボケ担当だった気が…」

 

 ミリはゆっくりとキョウスケに近づくとそう呟く。すると出るわ出るわレイカからの猛反発。彼女が気にしていたのは嫉妬などと言ったそんな下らないものではなく、まさかの立ち位置について。彼女の隣にいたリーリエからの一言にハッとした表情を浮かべた後に…

 

「そうか!ミリさんはツッコミ担当ではありませんでしたね!ではどうぞご一緒に!!」

 

「レイカ…お前、果たしてそれでいいのか…」

 

「ある意味ツッコミ担当の鏡ですな」

 

 レイカの清々しい程の態度の変わりように終始呆れられる側だったキョウスケが呆れを見せる。小さくため息を吐きながら呟くと、その隣にいたヨクバリスは立ち位置について理解しているように頷く。すると…

 

「ミリちん。ついに鎧の孤島から離れるんだね?」

 

「あはは…本当に長い間お世話になっていましたから少し名残惜しいです」

 

「決め手は何だったの?」

 

「やっぱりキョウスケを近くで見てたいと言う気持ちです。見ているだけで何かを引き起こしてくれる奴ですから!」

 

 ミリがキョウスケについて行くと発言した瞬間にマスタードとミツバは大して驚いたようなそんな感じは見せずに、ミリに冷静に問いかける。するとミリはキョウスケを軽く見つめた後に笑みを浮かべる。「いつでも戻って来たらいいよ」とマスタードから呟かれ頷くミリ。

 

 最初は気持ち悪いほどに照れを見せていたキョウスケではあったが、3人の会話を近くで聞いて行く度に…

 

「あれ?俺の立ち位置は?俺主人公だよね!?」

 

「アナタはただのモブキャラになって貰いますよマスター」

 

「そうはいかんざき!!俺はこの作品の主人公なんだ!!ミリやレイカが主人公になるのは許されない事なんだー!!」

 

 思わず焦りを見せたそんなキョウスケの心を挑発するかのように笑いながら呟くヨクバリス。キョウスケはヨクバリスの方を見て身構えると、主人公の座を渡さない為に何故かヨクバリスに襲いかかる。結果はヨクバリスに吹き飛ばされる形だったが…

 

 その様子を遠くで見ていたリーリエは決意したような様子で拳を握りしめると、相変わらずふざけているキョウスケの元に近づいて行く。

 

「キョウスケさん!!」

 

「んあ?」

 

 ふざけ倒しているキョウスケに対して近づいたリーリエは真剣な表情だった。その場の全員が固まる中でリーリエはスゥ…っと息を吸い、大きく吐くと…

 

「私…今度アナタと当たるまでに強くなってみせますから!!絶対に次は負けません!!」

 

 もうすぐしたらキョウスケは鎧の孤島を離れる。だからこそリーリエが思っている事をキョウスケに伝えたのだが、唐突な一言にキョウスケは固まってしまったが、しっかりしろとばかりにキョウスケの後ろにいたヨノワールがキョウスケを1発しばくと…

 

「お、おう!!俺も次はもっと強くなって相手をしてやるから頑張れよ!!」

 

「…はい!!」

 

 キョウスケがリーリエの言葉に返答したのを見てヨノワールはどこか安心したようなそんな様子。こうして色々あった鎧の孤島での出来事が終わり、キョウスケとレイカは新たにミリと共に、ガリュウが向かったとされる冠の雪原に向かって行くのだった…




キョウスケのパーティを知らない人へ。彼のポケモンのおさらいを。

ヨクバリス
ウオノラゴン
レックウザ
ジガルデ
ラプラス
ヨノワール

となっております。


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バトルエピソード 冠の雪原編
こんにちは冠の雪原…って寒ぅ!?


久しぶりですー。久しぶりなんでね変な感じになりましたが生暖かい目で見てくれたら…w
この回で冠の雪原編が始まりますー。


 前回のあらすじ!!前回ガリュウの…って寒ぅ!?

 

「ちょっとー!?言い切りなさいよせめて!!」

 

「それ程までに冠の雪原が寒いからね…仕方ないよ」

 

 ガリュウがいると噂されている冠の雪原にへと鎧の孤島を旅立つ前にミリを加えたキョウスケ達は向かっていた。あまりの寒さからか上下は完全に防寒仕様。それでも寒い冠の雪原。駅から出た3人は雪を踏みつつ、雪原にへと足を踏み入れていた。

 

「てかヨクバリスどこ行った!?さっきまでそこにいたぞ!?」

 

「そこで凍ってるよ」

 

「え?」

 

 吹雪に叩きつけられながら周りを見つめているとミリの一言と指差しをきっかけに後方を見つめる。するとそこにいたのは凍ったまま動かなくなったヨクバリス。レイカがかなり慌てる中、ミリは何故か冷静。その理由はヨクバリスに迫って行ったキョウスケにあった。

 

「ヨクバリスゥゥ!!」

 

 ヨクバリスに近づいたキョウスケが思い切り口を広げると、まさかの炎を吐き出してヨクバリスの氷をあっという間に溶かす。ヨクバリスは身体を燃やしながらキョウスケにパンチをし、そのまま吹き飛ばした。

 

「え!?待って!?今炎を吐いたよね!?人間なのに!!」

 

「これギャグ小説だから何だってありでしょ?」

 

「ああ…そうだったぁ…」

 

「おいコラヨクバリス!!てめぇ氷を溶かしてやったのに!!」

 

 吹き飛ばされたキョウスケが地面の雪を使って炎を鎮火したヨクバリスに近づくと、無駄に顎を出しながらヨクバリスの胸ぐらを掴もうとするがその前に思い切りヨクバリスにタックルを喰らい再度吹き飛ばされる。

 

「ふははは!!いつまでもやられぱなしとは思わない事だー!!」

 

「やったな貴様!!喰らえ必殺!!飛鳥文化アタック!!」

 

「ちょっま…!!転がってくんなァァァ!?」

 

 呆れた様子でキョウスケとヨクバリスの会話を見つめたかったレイカではあったが、まさかのキョウスケがこちらに転がって来た事により巻き添えにされかけるが、ミリに思い切り手を引かれ何とか回避。そのままキョウスケはヨクバリスに突撃すると、まさかの相打ちで両者が吹き飛んだ。

 

「くっ…やりおる…だがこれで最後にしてやる…」

 

「望む所…来い!勇者キョウスケよ!!」

 

「ち、ちょっと!!ガリュウを探すんじゃなかったの!?」

 

「レイカちゃん…しばらくはそっとしといた方が…」

 

 ヨクバリスとキョウスケ。両者無駄に顎を突き出しながらとてもポケモンの世界線とは思えないオーラを出していく。レイカの言葉もガン無視し、二人がお互いに向かって行ったその時。キョウスケのボールから出たヨノワールが二人の頭を殴りつけそのまま地面に叩きつけた。

 

「な、何をするダーッ!!許さん!!」

 

「ヨノワ」

 

「ん?」

 

 ヨクバリスとキョウスケの抗議に対してヨノワールは少し呆れたようなそんな反応を見せつつ、とある方角を指さす。レイカとミリも釣られて同じ方角を見つめる。するとそこにいたのはこちらをずっとキョトンとしながら見つめる眼鏡を付けた男性。

 

「あの、すいません…もしかしてずっと見ていたとか…?」

 

「え、えっと…」

 

「あー…これは完全に見ていたね、ずっと…ってキョウスケ!?」

 

 眼鏡の男性に対して少し話しかけるレイカとミリの後ろから猛烈な勢いでキョウスケとヨクバリスが走ってくる。赤く血走った目を見て男性は逃げようとしたのだが、再びヨノワールに地面に叩きつけられ何事も起きなかった。

 

「ぐ…不覚…またしてもヨノワールにぃ…」

 

「あ、あの…ここで何をしているんですか?」

 

「えっと人を探そうとしたんですけど、何かこの人が遊び始めちゃって…」

 

「あれで遊んでいたんですかっ!?」

 

 キョウスケ達の戯れに当然慣れていない男性が驚きの声を上げる中、地面に叩きつけられた後ようやく落ち着いたキョウスケとヨクバリスが立ち上がり、男性の元に近づいていく。今度は殺意がこもっていないがやはり警戒はしているようで…

 

「な、何にもしてこないですよね?」

 

「それはお主の態度次第だぁ…」

 

「ヒイ!!」

 

「ちょっと!見知らぬ人をビビらせてどうすんのよ!」

 

 キョウスケの態度に男性は翻弄されながらミリの一言により、固まったキョウスケを見てようやく一息を吐く。するとキョトンとした様子で見つめていたレイカが…

 

「えっと…ところでアナタは?」

 

「一応しがないポケモントレーナーです。リュウと言います。多分ですけど父を探しているんですよね?」

 

「父?父ってまさか…!?」

 

「はい、ガリュウです。僕のお父さんなんですけど、ここで修行しているとの噂を聞いて大量のポケモントレーナーが…」

 

 眼鏡のポケモントレーナーの名前はリュウ。何とあのガリュウの息子であり、何人も父がいるという噂を聞いてやって来たポケモントレーナー達を見てきたという。今回も駅から出てきたという事で観察していたらしいのだが…

 

「おいダイコン!!」

 

「リュウですって!!」

 

「さっきガリュウがここで修行してるって行ったな!?どこだ!?」

 

「え、えっとあちらの方…」

 

 リュウが指差しまだ話しを続けようとしたその時にキョウスケとヨクバリスは彼が指差した方角にへと思い切り走って行ったのだが、途中で通りがかったニドキングと衝突。これはまずいと思いレイカとミリが走り出そうとしたのだが…

 

「あ、あの…何か仲良くなってません?」

 

「え?」

 

「ぶつかってすいません、これお詫びのオボンの実です…」

 

「(思い切りポケモンに媚びを売っとる…)」

 

 ニドキングは最初は唸り声をあげていたが、キョウスケが差し出したオボンの実を受け取るとその場で一気に平げ、あくびをするとそのまま寝てしまった。何がどうなっているか分からないレイカ達3人ではあったが…

 

「ふははは!!かかったなアホが!!これこそオボンの実催眠だー!!」

 

「あ、あの…いつもあんな感じなんですか?」

 

「ほぼ毎日あんな感じ」

 

「毎日!?」

 

 キョウスケ達がニドキングの周りで調子に乗っている間に3人はキョウスケ達に接近。レイカが呆れながら「人の話は最後まで聞くものだよ」とキョウスケに切り出すと…

 

「あん?どういう事だ?」

 

「実は父はもう冠の雪原から離れていまして…調整の為に今カントーに…」

 

「カントォォ!?」

 

 まさかのリュウからの言葉にショックを受けて真っ白となりそのままその場に倒れ込むキョウスケ。ガリュウはもう冠の雪原にはいない。その事にしばらくショックを受けて動けなくなっていたキョウスケではあったが、ヨノワールに起こされて何とか起き上がる。

 

「自分が言うにはなんですが、父のガリュウは皆さんの想像よりも遥かに強いです。探しに来たと言う事はアマチュア大会に出ると思いますけど…」

 

「何?お前エスパーなの?こちらの考えを全部読み取りやがって!!金返せ!!」

 

「か、金!?」

 

「あー…兄貴のボケだからあんまり気にしないで…」

 

 リュウの一言を受けてキョウスケが訳がわからない言葉を言い放つ。それに対してリュウがびっくりしたような表情を浮かべる中、レイカから気にしないように一言。それによりリュウは息を整えると…

 

「だから…どんな実力なのか確かめていいですか?」

 

「いいぞ」

 

「軽!?」

 

「即答するなんて珍しいね」

 

 リュウの言葉に意外そうな表情とびっくりした表情を浮かべるレイカとミリ。リュウはキョウスケからの言葉を聞き、びっくりしたような表情を浮かべたがすぐに息を整えると…

 

「とりあえずここから離れて開けた所に行きましょうか。ルールはそこからにぃ!!」

 

「あーあ…」

 

 リュウがまたしても言葉を言い切る前にキョウスケとヨクバリスがリュウの両肩を掴み、どこかにへと連れて行く。それを見てレイカとミリは呆れた表情を浮かべていた…




見てくださりありがとうございますー。
今後はペースを戻したいでございます。


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これはバトル小説ではないぞぅ!!

今回はバトル回なのでふざけは少なめです。


 前回のあらすじ!!と言いたい所ですがこの言葉を言う時にアニキがいなかったので言うだけにしておきます!すみません!では本編どぞ!

 

「本編って…ホントにリアルで起きているイベントなのかなぁ…」

 

「ミリさん。読者にバレるからメタ発言は禁止です!」

 

「もうバレてるんだよ?レイカちゃん」

 

 リュウを連れてどこかへと走り去って行ったキョウスケを追って冠の雪原を歩くレイカとミリ。聞くに堪えないメタ発言をしながら話し合っているとやたらスッキリした表情を浮かべているキョウスケと、疲れ切った様子でその近くを座っているリュウの姿が。

 

 レイカ達の視界に一瞬ヨクバリスが映らなかったがそのキョウスケの左横に寝そべりながらケツをかいているヨクバリスが目に入った。

 

「どこに行ったかと思ったらそんなに移動してなかったのね…」

 

「よう2人とも!!俺は今最高に清々しい気持ちだぜ!」

 

「何で?」

 

「ポケモンバトルをするから…だそうです…」

 

 ヨクバリスについて触れようとしたレイカではあったがキョウスケから「今回アイツは風景だ!」と言う謎すぎる忠告を受け、そっとしておく事にした。顔がかなり青ざめていたリュウではあったが、一息ついた後に表情を引き締めると苦笑いを浮かべながら…

 

「いやあインパクトには驚かせられました…でもバトルは負けませんからね!」

 

「(このインパクトには勝っては行けない気がする…)」

 

 レイカが心の中でツッコミを入れている間にリュウがキョウスケから距離を取り今回するバトルについてのルールを説明して行く。「使うポケモンは一体のシングルバトル」だと言う事だ。キョウスケは何故か顎を突き出しながら気合いを入れると…

 

「そちらからでいいぜ!俺は出す奴決まってからなあ!」

 

「出す奴って出てるその子ですか?」

 

「え?」

 

 リュウに向かってドヤ顔を浮かべていたキョウスケの表情が一気に真顔に戻り、後ろを向くとそこにはキョウスケの手持ちの一体であるウオノラゴンの姿。キョウスケが息を吐きながら事情を説明しようとしたが、戻すなと言わんばかりの叫び声に心をへし折られ…

 

「ああ、もう分かった!行って来い!」

 

「グオオオ!!」

 

「鎧の孤島の時はラプラスだったよね…」

 

「ウオノラゴン…みずタイプのポケモンですよね、だったら…」

 

 リュウがニヤリと笑みを浮かべてモンスターボールから繰り出したのは何と幻のポケモンであるケルディオ。まさかの幻のポケモンの姿にレイカ達、そしてキョウスケが目を点にして固まる。

 

「びっくりしたでしょ?僕のニューカマーです!」

 

「ニューカマーっておま…幻のポケモンやんけ!!どこから手に入れて来たんじゃソイツ、ワレェ!?」

 

「キョウスケ。問い詰めても仕方ないからひとまず始めたら?」

 

「コイツだけはギッタンギッタンにしてやんよ!!」

 

 リュウが出したまさかの幻のポケモンのケルディオにキョウスケは変顔をしつつも殺意が湧く。ミリに諭された事でその殺意は消えたのだが、そのミリの隣にいるレイカは驚きのあまり固まったまま。そんな事お構いなしにミリがバトル開始のコールをした。

 

「よし…行きますよケルディオ!アクアジェット!!」

 

「ケル…!!」

 

 リュウの指示を受けて一気にケルディオは身体全体に水を纏いながら足元を蹴り出すと、一気にウオノラゴンの目の前へ。そのウオノラゴンの腹部に突進を喰らわし、吹き飛ばす。

 

「隙は見逃さない!!ケルディオ!きあいだま!!」

 

「ウオノラゴン!かわしてりゅうのはどう!!」

 

 ウオノラゴンが吹き飛んだのを見てリュウはケルディオにきあいだまを指示。その場に身構えたケルディオから溜め込まれた気合いが波動としてウオノラゴンに放たれる中、ウオノラゴンは何とか地面を抉りながら踏ん張りギリギリのタイミングできあいだまを回避。

 

 大きな口を開いて波動をケルディオに向かって放って行く。

 

「ケルディオ、スマートホーン!!」

 

「エラがみっ!!」

 

 向かって行く中でケルディオはりゅうのはどうを回避。そのまま角を光らせてウオノラゴンに向かってくる。ウオノラゴンも鳴き声を上げながらエラがみを動かしてケルディオに顔を近づけて行く。

 

「ケル…!!」

 

「グオオオ!!」

 

 どちらもお互いにとっては効果がイマイチの技。ケルディオのスマートホーンがウオノラゴンの身体に命中すれば、ウオノラゴンの噛みつきがケルディオに命中。だがお互いに痛がる素振りは見せない。だがこの場面でキョウスケはニヤリとした笑みを浮かべると…

 

「(笑った…?)」

 

「ウオノラゴン!そのままソイツを引き離すなよ!ドラゴンダイブッ!!」

 

「違う技を行いながら!?」

 

 キョウスケの指示にリュウやレイカ達は驚かせられる。ウオノラゴンはキョウスケの指示通り、ケルディオに噛みつきながら宙に浮かぶとそのまま一気に頭を動かしてケルディオを地面に叩きつけた。

 

「ケルディオ!!」

 

「こっからが俺たちの真骨頂!!りゅうのはどう!!」

 

「かわせケルディオ!!」

 

 ケルディオが態勢を立て直す前に追い討ちをかけるかのようにして、ウオノラゴンは口から波動を放つ。巻き上がる爆煙と同時に何とか態勢を立て直したケルディオが痛みを堪えながらリュウの前へ。

 

「ケルディオ、アクアジェット!!」

 

「決めるぞウオノラゴン!サイコファングッ!!」

 

 またしてもケルディオは身体全体に水を身に纏い、足元を蹴り出して一気にウオノラゴンの目の前へ。再び突進をかますが今度は吹き飛ばされずに踏ん張る。そして口の中を光らせてケルディオに渾身の噛みつきが命中。そのまま噛み付いたままケルディオを投げ飛ばす。

 

「ケルディオ!!」

 

 吹き飛ばされたケルディオ。そこにリュウと審判を務めていたミリが近づいて行く。煙が晴れるとそこには戦闘不能となっているケルディオの姿が。

 

「ケルディオ、戦闘不能。ウオノラゴンの勝ちね」

 

「凄い…アニキのウオノラゴンが幻のポケモンに勝った…!!」

 

「はああ…やっぱ伝説相手だと圧倒みたいな試合は出来んなあ…」

 

 リュウは一瞬悔しがりながらもケルディオをボールに戻す。同じく勝利を収めたウオノラゴンをキョウスケはボールに戻す。リュウは大きくため息を吐くとキョウスケに向けて苦笑いを浮かべながら…

 

「いやあ強いですねキョウスケさん。びっくりしましたよ、まさか幻のポケモンを破るだなんて…」

 

「お前、さっきケルディオをニューカマーって言っていたけど、他にはどんなポケモンがいたんだよ?」

 

「バイウールーです。えっと…調査用に連れていた子なんで、バトルは苦手なんです…」

 

 キョウスケの質問に淡々と答えて行くリュウ。そして景色と化していたヨクバリスがキョウスケの近くに寄って行き、そしてバトルを見ていたレイカとミリが2人の元に近づいて行く。するとリュウが…

 

「この後キョウスケさん達はどうするので?」

 

「決めてねえ!!」

 

「え」

 

「この馬鹿が何にも決めずに決めた物だから…」

 

 キョウスケの一言にキョトンとするリュウ。それを呆れながら説明しようとするレイカの「馬鹿」と言う一言が気に入らなかったのか、顎を突き出しながらキョウスケとそれに便乗するかのようにヨクバリスがレイカを睨みつける。

 

「だったら僕と一緒にダイマックスアドベンチャーにでも行きませんか?最近ジガルデがいるとの噂で…」

 

「ワン!!」

 

「うお!?びっくりしたぁ!?」

 

 リュウの話し内で出てきたジガルデという言葉を聞いたのだろうか。キョウスケのボール内にいたジガルデが出てきた。リュウは話しをしていたジガルデが目の前に出てきた事により、少しの間混乱していた…




低クォリティで申し訳ない!!


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アドベンチャーってなんだ?

久しぶりに書きます。思い切りふざけたつもりです。


問題です!!最近あった悲しかった事は何でしょうか!!

 

「現チャンピオンにセミファイナルに負けた事?」

 

ブッブー!!正解はお気に入り登録者が減った事と作品評価が下がった事でした!!

 

「作者の思考を作品内に持ち出すんじゃない!!またお気に入り登録者が減るだろうが!!」

 

「はっ!!しまった!!」

 

 リュウとキョウスケ二人がバトルを行った後にリュウの提案とジガルデの名前が気になった事により、出てきたキョウスケのジガルデ。両者の引っかかる点からキョウスケ達はダイマックスアドベンチャーができるダイ巣穴へと足を運んだのだが、いつも見せる茶番にリュウは固まっていた。

 

「あ、あの…いつもこんな事してるんですか?」

 

「いつもは前回のあらすじなんだけど、今回は作者の怨念が混じっていたみたい」

 

「さ、作者の怨念ってなんです…」

 

 ミリに苦笑いを浮かべながら質問したリュウが作者について呟こうとしたその時。それ以上触れるなと言わんばかりに殺気を放っていたヨクバリスの腹パンがリュウに炸裂。リュウは訳の分からないまま、腹を押さえ込んでその場に膝をつく。

 

「ごふ…な、何故腹パンされたんですかぁ…!?」

 

「いいかジャップ。俺の会話と作者については触れては行けない禁止事項だ。二度とやるなよ?」

 

「り、理不尽だぁ…」

 

 リュウがその場で中指を立てるヨクバリスに対して、青ざめた表情を浮かべる中でその禁止事項に触れたキョウスケがレイカに肩を揺らされていたのだが、その場に急に足音が聞こえてくるなりピタッと全員動きを止め足音が聞こえてきた方角にへと顔を向ける。

 

「誰かと思えばキョウスケか…てっきり新手のダイマックスポケモンかと…」

 

「僕はヨクバリスを!!ジョースター家を守る!!喰らえ必殺!!サンライトイエローオーバードライブゥゥ!!」

 

「あああ!!すみませんよけて下さァァい!!」

 

 その場に姿を見せた軍服のような服装をした男性に対して、キョウスケは突如として鼻息を荒くすると身体に謎のオーラを身に纏い、男性に向かって突進。レイカが注意喚起をする中で男性はキョウスケの突進をまともにくらいそのままキョウスケもろとも壁に叩きつけられた。

 

「ぴ、ピオニーさん!!大丈夫ですかっ!?」

 

「ちょっとキョウスケ!!やりすぎだって…あ、気絶してる…」

 

 その場にやってきたピオニーという男性とキョウスケは壁にぶつかった衝撃でそのまま気絶。それを見たレイカとミリが呆れた表情でリュウがあたふたするが、ヨクバリスと実はその場にずっといたジガルデが巣穴の方を見つめる。それに気づいたレイカがジガルデに近づき…

 

「どうしたの?巣穴が気になる?」

 

「ワンパ!!」

 

「その鳴き声は治らないのね…」

 

 ジガルデは鳴き声を上げつつじぃっと巣穴の方を見つめる。ヨクバリスも同じ感情なのかなとレイカは思ったのだが、よく見たらヨクバリスは寝ているだけで巣穴とは全く関係ない感じだった。レイカがそれを見て苦笑いを浮かべていると…

 

「お仲間さんが巣穴にいるからじゃねぇか?」

 

「ぴ、ピオニーさん!!大丈夫なんですか!?」

 

「こんなもんゾウドウの突進を食らったようなもんだぜ」

 

「それって結構痛くない…?」

 

 ジガルデの見つめる先が巣穴という事で気にしていたレイカではあったが、それと同じくして気絶していたピオニーが目を覚ます。リュウやミリに色々と言われながら、ジガルデとレイカの方にゆっくり近づいて行ったのだが…

 

「でもよジガルデさんよ。お前はどこから来たかは知らねえが中には入れねぇぜ」

 

「確かダイマックスのパワーが強いんでしたっけ?」

 

「パワーなら俺の方が上だぞぉぉ!!」

 

「静かに目を覚ませないんですかアナタはァ!?」

 

 その場にたまたま通りかかっただけだとのちに話したピオニーの言葉に対してジガルデは少しガッカリしたかのように顔を下げる。急に起き上がり発狂していたキョウスケはリュウに必死に止められる始末だが、そのリュウでもこの男を止められる訳がなく…

 

「ぐああ!!」

 

「どけい野次馬共!!ジガルデが行けないがなんだ!!だったらぁ!!オレがダイマックスアドベンチャーに行ってやるぅ!!」

 

「あーあ…気合いで言っちゃって…ホントに大丈夫なの兄貴…」

 

「言ったなキョウスケ!!オレも通りかかった船だ!ダイマックスアドベンチャーに参加してやらあ!!」

 

 リュウを吹き飛ばしジガルデの元に接近したキョウスケは謎の顎を突き出したドヤ顔を披露し、謎のガッツポーズを披露。それを見たピオニーも通りかかった船ながらもダイマックスアドベンチャーに参加する事に。お互いにピオニーとキョウスケが謎の握手を交わす中で…

 

「よぉしレイカ!!」

 

「ガリュウのあんちゃん!!」

 

「行くぜダイマックスアドベンチャーに!!」

 

「ちょっと!!既に肩掴まれてるって!!やめろ引っ張んなぁぁ!!」

 

 ここで巻き添えを食らったのがリュウとレイカ。ミリは傍観者の立場から四人を見送り、4人が巣穴に入って行くのを見届ける。寝ているヨクバリス、そして巣穴を見ていたジガルデと共に待つ事5分。地響きのような音と共にキョウスケ達が何故か丸焦げになりながら帰ってきた。

 

「お帰り…って何で丸焦げになってんの?」

 

「それにはだな。深い深い理由があってだな…」

 

「それはともかく大変な事が起きたんだ!!捕まえたと思ったもう1匹のジガルデがボールに入れられたまま逃げ出してな!!」

 

「そして追うつもりでいたら…ってあれ?ここにキョウスケさんのジガルデがいたような…」

 

 ミリがキョトンとした表情で問いかける中で、ピオニー達は何か大変な事が起きたと言うように少し焦ったような表情を浮かべている。そんな彼らの一言一句を聞く中で冷静に辺りを見渡していたリュウがふとした一言を吐き…

 

「何ぃ!?ああ!!いない!!うちのワンパチがいない!!」

 

「え、わ、ワンパチ!?」

 

「ヨクバリス起き……ヨクバリス!!お前の大好きな肉が出てきたぞぉ!!」

 

「何ぃ!?」

 

 こんな状況にも関わらず冷静に寝ているヨクバリスに対してキョウスケは肉という言葉を思い切り叫び、ヨクバリスを起こす。その後キョウスケがヨクバリスに事情を説明し、リュウ達を置き去りにする形でキョウスケとヨクバリスはその場から一瞬にて去って行く。

 

「ちょっと!!あの二人ここから去るの早すぎでしょうが!?」

 

「アンタ達はとりあえずキョウスケ達を追いかけな!!オレはもう少しダイマックスアドベンチャーをするぜ!」

 

「相変わらず好きですねピオニーさん…」

 

 その場から突然と去ったキョウスケとヨクバリスを追う為に嵐のように来たピオニーとここで別れる事に。とりあえずキョウスケ達を追いかけ始めたはいいものの、足跡すらつけていない為どこ行ったのか全く持って分からない。

 

「急にダイマックスアドベンチャーに参加させられるわ、兄貴はどっか行くわ…もう散々!!」

 

「まあまあレイカ。そんな愚痴を吐かずに探しましょうよ」

 

「そうですよ。探していればきっとどこかに…」

 

 ため息を吐きながら巣穴を後にしたのだが一向に見つからない手がかり。そんな中リュウとミリがレイカを諭していると、どこかしらからキョウスケらしき叫び声が聞こえてきた。

 

「あ、これキョウスケの叫び声じゃない?」

 

「あの人また何をやったんだ…」

 

「どらあクソ兄貴!!見つけたら憎しみで殺してやるんだからァ!!」

 

 とりあえずキョウスケの叫び声が聞こえてきた方角を頼りに進んでいくレイカ達。そんな彼女達は神殿の方に近づきつつあった…




意味不明はこの作品にとっては褒め言葉ですw


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合体したのか?俺以外の奴と…

久しぶりに投稿します〜。


 前回のあらすじ!!キョウスケがヨクバリスと共にどっか行った!!以上!閉廷!!解散!!

 

「解散ってなんですか!!何でそんなにムキになってるんですか!!」

 

「まあ…この状況じゃムキになるのも無理はないよね…」

 

 ひたすらにヨクバリスやキョウスケが発したと思われる声とそこを辿ったであろう足跡を頼りに、ストレスMAXの状態で歩みを進めるレイカ達。いつもキョウスケがしているあらすじも適当にレイカが行う中、歩く三人を叩きつけるのはこれでもかというぐらいの吹雪。

 

「うっさい!!寒いんだよこっちは!!ポケモンも持ってないし!!誰かコータスでも連れてこい!!」

 

「確かに特性ひでりですけど!!この吹雪はどうにもなりませんって!!」

 

「まあまあ二人共。足跡を頼りに進もうよ」

 

 イライラするレイカに対してツッコミを入れるリュウ。そんな二人を諭すかのようにミリが苦笑いを浮かべながら呟いていたのだが、足跡が途中で途切れその先に神殿があるのが目に入る。神殿に近づいて行く度に吹雪が収まり始め、降る量もパラパラとしたものに。

 

「カンムリ神殿って言うんだっけ確か…」

 

「コータス神殿!?」

 

「レイカさん、ひとまずコータスから離れてください」

 

 寒さで震えながら三人がたどり着いたのはカンムリ神殿と呼ばれる場所。最近ではパドレックスをユウリが仲間にしたとの報道がされている。手を暖めつつ神殿の入り口に足を踏み入れると、そこには真っ白な目をして倒れているキョウスケとヨクバリスの姿が。

 

「あ、あそこ!!倒れていますよ二人が!!」

 

「よっしゃ!!日頃の恨み!!今晴らしてやるぅ!!」

 

「あ、ちょっとレイカ!!吹き飛ばすと面倒だからね、なるべく抑えてね!!」

 

「そう言う問題なんですか!?」

 

 白目むいて倒れているキョウスケとヨクバリスの元にレイカが走って寄ると、殺気がこもりまくった目を武器にキョウスケの頭を思い切り蹴りにかかるが、キョウスケはレイカが迫って来た瞬間に正気に戻るとレイカの蹴りを間一髪回避。ドヤ顔をしながら…

 

「気配丸出しだったぞ、まだまだだなレイカ」

 

「何で今のタイミングで目を覚ますんだァァァ!!」

 

「あの二人、本当は仲良いんじゃないですか?」

 

「まあ仲良くなかったら一緒に行動してないしねぇ…」

 

 レイカの蹴りをキョウスケがかわしたタイミングでヨクバリスも目が覚めて、立ち上がる。声にならない声でレイカが叫び声を上げる中で、リュウとミリはのんびりと二人の元に接近。ミリが息を整えるとキョウスケに一つ問いかける。

 

「何で気絶していたの?ジガルデと一緒にいたんだよね?」

 

「そうなんだよミリ!!俺たちがジガルデと共にここに近寄った瞬間!!謎の光が放たれて俺たちは意識を失った!!何を言ってるか分からねえと思うが何されたのかも分からなかった!!」

 

「うーんこのジョジョ構文…」

 

「光が放たれ気絶して、ジガルデを殺すぞー!!ってなりましたわ!!」

 

 レイカやミリはある程度ヨクバリスやキョウスケが話したい意図は理解できたようだが、リュウは全く持って理解できずに目を点にしながらその場にキョトンとする。

 

 ようするにジガルデが謎の光を放った瞬間にキョウスケ達は気絶したとの事らしい。今自分達が目を覚ましジガルデを探そうと言うのだが、この神殿内にその姿は全くない。

 

「ジガルデはその後どこに…?」

 

「分からんからこんな状況なんでしょお馬鹿さん!!」

 

「分かってたらこんな事言わないよなぁジャップ!!」

 

「え?な、何で僕こんなに責められているんですか?」

 

 ふとした問いかけで急にキョウスケとヨクバリスに指を指されて混乱するリュウ。思わずレイカとミリがキョウスケ達を呆れた目で見つめる中で、ジガルデがいない中で途方に暮れたようなそんな感じになっていると、キョウスケ達の背後が光だし…

 

「うわ、眩し!!」

 

「新手のスタンド攻撃か!!」

 

「スタンド攻撃ってなんですか!?」

 

 強烈な光を放ち、振り返ったキョウスケ達の視界を全く持って見えなくさせる中四人の耳に聞こえてきたのは何かが降り立つような音。光がゆっくりと晴れてきたタイミングで一行が目を凝らすとそこにいたのは、50%フォルムとなったジガルデの姿が。

 

「ジガルデ、ジガルデです!」

 

「キョウスケ、アンタ達がダイマックスアドベンチャーで会ったのって…」

 

「確か10%フォルムだったね。あのピンクさんが興奮していたぜ」

 

「ピンクじゃなくてピオニーさんね、アニキ…」

 

 キョウスケ達の元から突如として姿を消し、目を覚ました瞬間にその場に50%フォルムとして姿を現したジガルデ。光が晴れた瞬間にキョウスケ達はジガルデに歩み寄り、ジガルデは小さく一息を吐きながらこちらを見つめる。

 

「(わざわざこの場に来てまでこの姿にさせてくれた事を感謝する主人)」

 

「キエエエエ!!喋ったァァァ!?」

 

「な、何者!!新手のゾンビか!!」

 

「(相変わらず騒がしいな主人とそのパートナーは)」

 

 ジガルデの声が直接脳内に伝わり、発狂に満ちた声を上げるキョウスケとヨクバリス。余裕を持ってジガルデがテレパシーを通じて声を出す中、驚いていたのはレイカ達も同じ事で…

 

「びっくりした…ワンパから急に声が変わったから…」

 

「(すまんがこれが一番しっくり来る。これで行かせてくれ)」

 

「おい聞いてねぇぞお前!!俺たちのワンパチはどうした!?いつの間にそんな東京タワーみたいにデカくなった!!」

 

「(東京タワーとはなんだ主人よ)」

 

 キョウスケやレイカ達が驚いたような感じでジガルデに問いかける中で、ミリは苦笑いを浮かべながら黙っていたのだがもう一人黙っていた人物が一人いた。リュウだ。自らジガルデのいるダイマックスアドベンチャーを希望し、ようやくたどり着いたという事もあり…

 

「ジガルデ…本物なんですよね」

 

「(お前が見ているジガルデ。我は本物だ)」

 

「美しい…今まで見てきたどんなポケモンより…」

 

 キョウスケ達がいる目の前で目を輝かせながらリュウはジガルデに歩み寄ろうとしたのだが、キョウスケが珍しく真剣な表情をしてリュウの前に立ち塞がる。

 

「キョウスケさん…そこをどいてください。もっと近くでジガルデを…」

 

「急にそんな距離を詰められるとジガルデがびっくりするだろ?ちと落ち着け」

 

 キョウスケの言葉に一瞬反抗の目を向けようとしたリュウではあったが、後にレイカやミリに肩を掴まれ一旦クールダウンをする事に。ジガルデはそのままキョウスケに語りかけると…

 

「(主人よ。ガリュウという人物と戦うにはあの姿では勝てないと思ってな。身勝手ながら行動させてもらった)」

 

「本当だぜ。びっくりしたよホント」

 

「(主人が起こそうとしている下剋上。皆気持ちは一緒だ。かつてカロスで見た事があるが、奴はとんでもなく強かった。今もそれは変わってないだろう)」

 

「だからお前の意志で巣穴にいる同士に助けを求めた訳かよ?」

 

 ジガルデはゆっくりと頷いた。キョウスケはそれに大きくため息を吐き、俺は強さなんて関係ないと言わんばかりに呟こうとしたのだが、ジガルデがそうはさせまいとさらに話しを続ける。

 

「(これが我なりの努力だ。主人が起こそうとしている下剋上。我にも手伝わせてくれないだろうか?)」

 

「答えは既に分かっているだろうに…」

 

 ジガルデの言葉にキョウスケが頷く。キョウスケが起こそうとしている世界最高のトレーナーに勝つという下剋上。ジガルデの覚悟にキョウスケはニヤリとした笑みを浮かべていたのだが、その後ろではリュウが少し納得の行かないようなそんな表情で見つめていた…




真剣さも混ざってましたがある程度はふざけていたと思います。


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お前らァ!!ワイルドエリアに行くぞぉ!?

久しぶりです。投稿していきまーす。


 前回のあらすじ!!パーってやってグワァってやって!!ブバーッてやって分かるやろがい!!

 

「分かるかぁ!!何一つ前回のあらすじと掠ってなかったわ!!」

 

「それはあれだ。その時のテンションでやってるからな!!ふはははは!!」

 

 前回のあらすじを雑にやった事によりキョウスケがレイカに殴られている間にここまでのあらすじを。ダイマックスアドベンチャーで仲間にした筈のジガルデとキョウスケのジガルデ。双方が居なくなった事により、それを追いかけたキョウスケとそのキョウスケを追いかけたレイカ達。

 

 双方がたどり着いたのはカンムリ神殿。そこにて50%フォルムに進化を遂げたジガルデとキョウスケが対面し、ジガルデの覚悟を聞きキョウスケは三度パーティに加えていた。

 

「長い長い!!真面目なあらすじで吐き気がするわ!!」

 

「このあらすじは非常に吐き気を催すあらすじですな」

 

「謝れ!!ちゃんとやってくれたナレーターに謝れ!!」

 

「ホント真面目なの嫌いだねアンタら…」

 

 謎の煽ったような表情を浮かべながら呟くキョウスケとヨクバリスに対して、声を張り上げるレイカ。そんなキョウスケ達に呆れているミリの隣で何も言葉を発さないリュウ。そのリュウの異変に気付かぬまま、一行はピオニーのいる巣穴付近にへと戻っていた。

 

「おお、帰って来たか!!ジガルデはどうなった!?」

 

「うるせえこのじゃがりこ!!」

 

「誰がじゃがりこだキョウスケテメェ!!」

 

「ジガルデとジガルデが合体しちゃったみたいで…」

 

 笑みを浮かべながら一行に話しかけて来たピオニーに対して、何故か中指を突き立てながら暴言を吐くキョウスケ。ピオニーはそんな彼を殴りかかろうとするが、話しが進まないとレイカに止められ彼女の一言により表情を戻す。

 

「何ぃ!?おいリュウ!!どうなってんだ!!」

 

「それはこちらが聞きたいですよ」

 

「お前喋れたんだな」

 

「さっきまで喋ってましたよね!?」

 

 ピオニーがガッカリしたようなそんな表情を見せながらリュウに語りかける中、淡々と答えて行くリュウ。そんなリュウに対してキョトンとした表情でキョウスケが語りかけるが、後にボールから出てきたヨノワールのパンチを喰らい地面に叩きつけられる。

 

「まあそういう事ですピオニーさん…」

 

「んな馬鹿な…おいキョウスケ!!テメェのジガルデはこれを狙っていたんだな!?返せジガルデを!!」

 

「馬鹿いう方がアホやちゅーねんベロベロバー!!」

 

「馬鹿という言葉に反応すんじゃねぇ!!」

 

 ミリからの説明を受けてあまり納得した様子ではなかったピオニーではあったが、さらに納得の行っていないのはリュウも同じ事。お互いからの睨みを聞かされ、キョウスケは口を思い切り開けながら青ざめる中何故かそれに混ざってヨクバリスもキョウスケを睨む。

 

「何!?計ったなヨクバリス!!」

 

「貴様は坊やだから、周りの裏切りに気づけなかったなぁ!!」

 

「なあ、オイ。もしかしてこれ怒ってるオレが馬鹿になるのか?」

 

「そうなりますね…」

 

 ピオニーやリュウに睨まれてもなお、平常運転でボケを繰り返すキョウスケ達に対して何かを悟ったかのように呟いたピオニー。ピオニーのその一言にレイカやミリが同情。ピオニーは大きくため息を吐き、「やってらんねぇ」と呆れの一言を呟いたのだが…

 

 悟ったピオニーに次いでまだ納得行っていないのはリュウ。リュウはキョウスケに接近すると…

 

「キョウスケさん!!」

 

「何だい坊や?」

 

「ぐっ…坊や!?…ではなくて僕と大会で勝負です!僕が大会で勝てばジガルデは貰って行きます!いいですね!?」

 

「上等だゴラァ!!受けてやんよその果たし状!!」

 

 リュウから叩きつけられたまさかの挑戦状にキョウスケは間髪入れずに反応。その反応を見たピオニーやレイカ達は「ああ…コイツ本当に何も考えてないんだな」とばかりに呆れの表情を見せる。リュウは一息吐くと…

 

「分かりました!!約束ですからね!!では僕は修行をして来ます!!では!!」

 

「ちょっとリュウさん!!」

 

「行っちゃったよ?どうするのキョウスケ?」

 

「オレも修行だ!!お前ら!!ワイルドエリアに行くぞー!!」

 

 リュウが巣穴付近から去って行き、レイカやミリが去って行くリュウを見つめる中でキョウスケはそんな事お構いなしに声を張り上げる。彼の口から出てきたのはまさかの冠の雪原でも鎧の孤島でもないワイルドエリアという言葉だ。

 

 だがキョウスケがワイルドエリアと呟いた瞬間に一気に静かになり…

 

「おい!!何で静かになんだよ!!そこはノリに合わせる所だろうが!!」

 

「そうだそうだ!!」

 

「やってならんねぇ。オレはダイマックスアドベンチャーに行ってくるぜ」

 

「私もさすがにワイルドエリアはパス。命と隣り合わせだもん」

 

 ピオニーはキョウスケの言葉に完全に呆れて巣穴の中に戻って行き、レイカもため息を吐きながら「パス」と一言呟く。ピオニーやレイカの反応に驚きを隠せないキョウスケではあったが、キョウスケとヨクバリスは助けを求めるかのようにミリの方を見つめる。

 

「いや、私に助けを求めないでよ…ワイルドエリアまでは一緒に行ってあげるから…」

 

「よっしゃ!!さすがミリだぜ!!どこぞの妹とは違うなっ!!」

 

「ミリさんも呆れてんじゃんよアニキ…」

 

 ミリも苦笑いを浮かべながらキョウスケの言葉に対して反応したものの、その中の呆れに気付いたレイカは大きくため息を吐くとそのままその場を去って行く。

 

「おいレイカどこ行くんだよ!!」

 

「戻って来いマイハニー!!」

 

「うっさい!!私帰る!!付き合ってらんない!!」

 

 キョウスケとヨクバリスのボケをほぼスルーしてレイカは冠の雪原の駅の方にへと戻って行く。吹雪の音だけがその場に響き渡る中キョウスケとヨクバリスは何かを悟ったかのように三度ミリの方を見つめる。

 

「えっと…どうしよっか?」

 

「アーマガア呼んで」

 

「アーマガアァァァ!!」

 

「誰がそんな呼び方してって言ったよ…呼ぶから空飛ぶタクシーを」

 

 ミリが空飛ぶタクシーを呼んでくれた事により、キョウスケ達は冠の雪原を後にし一気にワイルドエリアへ。この日は最悪の砂嵐の気候で辺りが何も見えない中だが…

 

「うわあ凄い砂嵐だね…」

 

「関係ねぇ!!ここまで来たら行くぞ俺はッ!!あばよミリ!!また大会前に!!」

 

「ちょっとキョウスケッ!?」

 

 キョウスケはワイルドエリアに達した地点で閉まっていたタクシーの扉を開け、何の考えも無しにワイルドエリアに降り立つ。どこか分からない中でミリも流石に心配そうな表情を見せていたが、「キョウスケなら大丈夫か」と小さく呟き、その場から離れて行った。

 

「着いたぞワイルドエリアァァァ!!よっしゃヨクバリス!!出て来い!!」

 

 気合い良く降り立ったワイルドエリアにて声を張り上げたキョウスケは事前にモンスターボールに戻していたヨクバリスを再度外に出す。そしてそのヨクバリスに向かってキョウスケは無駄にテンションを高くしながら…

 

「よーしヨクバリス!!まずは修行しに行くぞ!!」

 

「イエスボス!!周りのポケモンをギッタンギッタンにしてやりましょう!!」

 

 気合いも良くやる気も良し。いい感じにスタートしたのだが、降り立ったのが何とワイルドエリア一番に危険とされているげきりんの湖だ。周りにはこれでもかというくらいに強いポケモンがうろうろしている。

 

「……怯むなヨクバリス!!俺たちの戦いはこれからだァァァ!!」

 

「イエスボォォォスゥゥゥ!!」

 

 一瞬息を呑んだキョウスケとヨクバリスだったが気を引き締めると大量にいるポケモン達に向かって突撃して行く。キョウスケ達がワイルドエリアで過ごしている間にあっという間に時間は過ぎて行く事となる…




今回で冠の雪原編は終わりです。次回からついにアマチュアトーナメント編!!ゴリゴリのバトル編に入ります!!


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アマチュア大会編 前日
トレーナーキョウスケ!!再始動だぁぁ!!


ついにアマチュア大会編開催です。
ふざけさせたりしますが、ちょっと真面目モードが続くかと思います。


「マスター!!準備できてまっせ!!」

 

「もう時期が流れたのか…早えな。まだ準備出来ていないぐらいだぜ」

 

 晴れ空が広がり、鳥ポケモンの声が辺りにこだまする中キョウスケはヨクバリスの問いかけにより目を覚ます。ミリと約束していたげきりんの湖を旅立つ日。軽い動きで起き上がり、住居としていた洞窟から一歩飛び出すとそこには大量のポケモン達。

 

 この日までずっとここにいるポケモン達を倒して生活していた為か、こちらに近づいてくる様子はない。

 

「よーし!!トレーナーキョウスケ!!今復活だァァァ!!よしヨクバリス!!海渡ってナックルシティに向かうぞ!!」

 

「イエスマスターッ!!」

 

 すぅ…と深呼吸をしいつも通り声を張り上げたキョウスケはヨクバリスをチラ見した後にナックルシティの方を指差す。ヨクバリスもキョウスケの言葉に反応し、お互いに走りだそうとしたその時。ボールから出てきたヨノワールに頭をぶん殴られ、地面に叩きつけられた。

 

「グハァ!!久々に受けたこの感触ぅ!!」

 

「な、何をするだー!!許さん!!」

 

 ヨクバリスはそのままヨノワールからの一撃で気絶したものの、キョウスケはすぐに立ち上がりヨノワールの方を見ながら抗議しようとしたが、ヨノワールに前方を指差されキョウスケはキョトンとしながらも後方に振り返る。するとそこにいたのはミリだった。

 

「やあ。久しぶりだねキョウスケ」

 

「おお!来たかマイフレンド!!ん?レイカはどした?」

 

「キョウスケが行った後に鎧の孤島に行っちゃってね。まだ帰って来てないんだよ」

 

「何ぃ!?お兄様が帰ってくるというのに何て奴だ!!」

 

 ヨクバリスとヨノワールが後方で何故か取っ組み合いをしている中、レイカの情報を聞いたキョウスケは顎を突き出しながら不満を口にする。ミリがそれを見て苦笑いを浮かべる中で、小さく深呼吸をしながらキョウスケを見つめると…

 

「その様子だと準備は万端って所だね」

 

「あったりまえだろ!!俺は完全復活パーフェクトキョウスケだぜッ!!」

 

「マスター。さっき準備は出来ていないって」

 

「いいや!!俺は準備万端だね!!ヨクバリス!お前は嘘つきだ!」

 

 ミリと対面して調子良く呟くキョウスケに釘を刺すかのようなヨクバリスの一言を聞き、先程の言葉をひっくり返したような反応でヨクバリスを挑発。ヨクバリスはそれを見て、少し怒りを滲ませると普段はやられる側のヨノワールに対して…

 

「ヨノワール兄貴!!シャドーボールをあのクソ野郎に!!」

 

「何!?計ったなヨクバリス!!」

 

「本当元気そうで何よりだよ…」

 

 ヨノワールからのシャドーボールをまともに受けて、吹き飛ばされるキョウスケ。いつも通りという感じで見ていたミリはクスクスと笑いながら、ヨクバリスとキョウスケの掛け合いを見て安心したような表情を浮かべていたのだが…

 

「あの…お客さん。旅立ちはいつになりますかね?」

 

 いつも通りの雰囲気で語り合っていたミリとキョウスケ達に対し、ミリを連れてきた空飛ぶタクシーのドライバーが2人に近寄るや一つ問いかける。ミリは忘れていたかのようにハッとした表情を浮かべると…

 

「待たせていたんだった…!!ごめんなさい。すぐに…」

 

「やい運転手!!お前のアーマガアとヨクバリスでデュエルだ!!」

 

「デュエル!?ポケモンバトルじゃなくてですかい!?」

 

「もう!!何も知らないんだからいじるのはやめたげてよぉ!!」

 

 ミリと運転手の会話に割って入り、キョウスケは顎を突き出しながら運転手に指差す。キョウスケワールドを知らない運転手はキョトンとしていたが、ミリからの一言を受けてようやくキョウスケは大人しくなったのだがさらに問題が。

 

 それはワイルドエリアにずっと影響からか風呂をまるで浴びていないせいか、キョウスケ含めヨクバリスやヨノワールからも異臭が漂ってくるという事。

 

「お客さん、かなりくさ…じゃなくて匂いが…」

 

「今…臭いって言ったなぁ?どう責任取るつもりだ!?」

 

「ぶち殺すぞこのヤロー!!」

 

「ずっとワイルドエリアにいたもんね…」

 

 思わず口を滑りかけた運転手に対して煽るかのような表情を浮かべて、そのままヨクバリスと共にキョウスケが運転手に詰め寄ろうとするが、ヨノワールに首根っこを掴まれそれは阻止される。すると運転手は苦笑いを浮かべながら話しを逸らすかのように…

 

「と、とりあえずお客人に頼まれたナックルシティまで送りますよ。ささ、乗って下せえ」

 

「あ、てめぇ!!この落とし前はエンコではすまねぇぞコラ!!」

 

「も、もう!変な事言っていないで乗った乗った!!」

 

 運転手がその場から逃げるかのようにアーマガアの上に乗り込むとキョウスケはそんな彼を追撃するかのように詰め寄ろうとするが、今度はミリに止められ詰め寄るのをやめる。ヨクバリスとヨノワールをボールに戻すと、キョウスケはミリと共に空飛ぶタクシーにようやく乗り込む。

 

「キョウスケがワイルドエリアで修行している間にね。アマチュア大会の会場とかルールとかが決まってね。予選、本選、決勝の3ラウンドで違う会場で行うんだって」

 

「全部発表されたのか?」

 

「うん。予選はターフタウンで、本選は今向かうナックルシティで。そして決勝はシュートシティで」

 

「へえ…アマチュア大会なのにシュートシティで開催されるんだな」

 

 ミリが事前に持って来たパンフレットにてアマチュア大会の事項を確認するキョウスケ。ターフタウンにて予選が行われ、まず2日後にキョウスケはこのターフタウンにて受付をし、決勝ラウンドが行われるシュートシティを目指す事となるのだが…

 

「予選だけリーグ戦なんだって。やっぱりガリュウが参加するからそのような事項を取る事にしたみたい」

 

「もしかしたらそこでガリュウと当たれるかもしれねぇんだろ?上等じゃねぇか」

 

 予選ラウンドだけはリーグ戦という事。本選から決勝のラウンドまではトーナメント戦となる。ニヤリとした笑みを浮かべるキョウスケに対してミリは何かを思い出したかのように、キョウスケの方を見つめると…

 

「あ、そうだ。キョウスケ。アナタに会いたいって人がいるんだけど…会ってくれる?」

 

「あ?今更なんだよ。俺に対してのファンか?俺も人気になったもんだなぁ!!はっはっは!!」

 

「実は…キョウスケのサポーターの人で…団体なんだよ…」

 

「え?まじ?」

 

 キョウスケは耳を疑った。ミリも少し信じられないようなそんな感じで呟いていたのだが、キョウスケに会いたがっているのはまさかのキョウスケのサポーター団体。分かりやすく言えばファンクラブである。キョウスケは顔をひきつらせながら固まり…

 

「もう一度聞くぞミリ。俺のファンクラブだと?ガラルの恥と言われた俺にか?」

 

「うん。そうなんだよ。キョウスケを信用していない訳じゃないけど、私も一瞬耳を疑って…」

 

「何て言ってた…?」

 

「このアマチュア大会で歴史を塗り替えてくれる事を楽しみにしていますって…」

 

 そのタクシー内の雰囲気が微妙とした空気となる。気まずいとかそういう感じなのではないが、普段ならボケ倒すキョウスケがボケられない程にファンクラブの情報が信じられずにいた。然も言葉を聞くとかなりのガチ勢だ。

 

「物好きもいたもんだなオイ…バカ丸出しのオカッパーの俺が好きな奴らがいるとはよ…」

 

「自分で言っていて悲しくない?」

 

「取り消せよ…今の言葉ァ!!」

 

「キョウスケが言ったんだからね!?」

 

 このファンクラブとは明日に折り合いが付き、とりあえずどんな感じかを確かめる事に。キョウスケが本当に驚く事になる事を今は知らない…




予選ターフタウン
リーグ戦
本選ナックルシティ
トーナメント戦
決勝シュートシティ
トーナメント戦

まだ何戦するかは言えませんが、もし設定を忘れた人がいたらここに確認しに来て下さい。


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俺の応援団ってマジかよぉ!?

今回は逆に貴重な回になるかも?


前回のあらすじ!!俺は今…夢を見ているのか…!?

 

「今のあらすじじゃんそれ」

 

「うるせえ!!こんな期待された目で見られる事はなかったんだよ!!」

 

 ナックルシティにあるホテルのとある部屋の一室。若干多目的ルームのような場所に集まったのは昨日ミリが話していたファンクラブの方々20名程。このあらすじのやり方すら知っているのか、キョウスケの後方からファンクラブの女性がキラキラした目で彼を見つめていた。

 

「てか代表者どこなんだよ!!来る筈なんだろぉ!?」

 

「すいません、キョウスケさん…代表者、今便秘気味でトイレに引きこもってまして…」

 

「あちゃあ…それは時間がかかるね…」

 

 キョウスケがファンの男からの状況を聞き、変顔をしながら「はああ!?」と呟くと何故かファンクラブからの拍手喝采。こんな事された事がなかっただけにさすがのキョウスケも固まっていたのだが、そんな少し青ざめた彼が呟いた一言が…

 

「コイツら変態だ…」

 

「アンタが言ったらダメでしょ」

 

「ガラル1の変態の自信があります!!」

 

「そこは否定してくれよおい!!」

 

 キョウスケがふとした拍子に呟いた一言にも傷付く事なく、ドヤ顔で声を張り上げるファンクラブの女性。キョウスケからまさかのツッコミが飛び出すという緊急事態になっている中、多目的ルームのドアのノックと共に汗だくの状態の男性が到着。

 

 若干眼鏡をかけ、少し丸坊主気味の男性が息を切らしながらキョウスケとミリに近づいて来た。

 

「お疲れ様です。代表者の方で合ってますよね?」

 

「ええ!私がキョウスケ愛してるファンクラブの代表者のクモンと申します!」

 

「名前!!ファンクラブでいいからって…あー!?」

 

「どしたのキョウスケ?」

 

 眼鏡を少し上げ、堂々とファンクラブの名前を呟く男性の名前はクモン。キョウスケはその名前に再度ツッコミを入れようとしたのだが、そのクモンの顔を見た瞬間に突如何かを思い出したのか、クモンを指差しながら声を張り上げると…

 

「アンタ、俺がジムチャレンジャーの時に何人か引き連れて応援してくれていた方だよな!?」

 

「そうですキョウスケ様!!我らファンクラブ一同、アナタのポケモントレーナーとしての復帰!活躍を楽しみにしていました!」

 

「き、キョウスケ様…」

 

「俺一度失踪したのによくもまあ、ファンを辞めずにいたよな…」

 

 クモンはキョウスケがジムチャレンジャーだった時にファンとなり、どこのジムに行くにしろ応援団を引き連れてキョウスケを応援していた人物。ちなみに彼が「キョウスケ様」と呟くのはキョウスケに会った当初からである。

 

「現チャンピオンがアナタを破ってから、チャンピオンの活躍を見るたびにそこにはキョウスケ様が立つ筈だったのにと…!!」

 

「筋金入り過ぎない…?アナタのファン」

 

「クモンさんは最初からこんな感じだったんだよ…」

 

「だからこそ!今回のアマチュア大会出場にて、チャンピオン以上の勇名を刻む事を期待して!我々ここにいます!」

 

 クモンが発する言葉を聞き、彼と同じく何故かその場で悔し涙を流すファンの方が何人か。その筋金入りのファンにミリは思わずドン引きしていたのだが、ファンの対象となっているキョウスケですら苦笑いを浮かべるしかない状況。

 

「チャンピオン以上の勇名って…俺がチャンピオンに…」

 

「そう!チャンピオンは忌々しいユウリです!!」

 

「忌々しい!?」

 

「だからこそアナタ様の素晴らしさを世界でブイブイ言わせているガリュウに思い知らせる!そのための我らは土台なのです!」

 

 クモンはそうドヤ顔で言い張ると謎の口笛を鳴らし、ファンクラブの面々と組体操の時にする人間ピラミッドかのようにどんどんと土台を作って行く。それを呆れた目で見るミリとキョウスケがいたのだが、ファンクラブの面々が一斉にこちらを見ると…

 

「さあキョウスケ様!!アナタが1番上になるのです!!」

 

「なれるかぁ!!やだよ俺そんなグラっグラの椅子に乗るの!!」

 

「キョウスケの為によくそこまでやれるよね…」

 

 キョウスケがクモン率いる人間ピラミッドに向かってそう叫んだ瞬間、全員ガッカリしたのかその土台は瞬く間に崩れ去り、全員が地面に落ちて行く羽目に。ボケを通り越した筋金入りのファンの濃さにキョウスケも頭を掻くしかする事がなかったのだが…

 

「アナタ様ならこのような事もできる筈です!!」

 

「出来るかっての!!俺が出来るのはスーパーサイヤ人ゴッドになる程度だ!!」

 

「さりげなくボケを混ぜないでキョウスケ」

 

「さすがキョウスケ様!!オレ達の出来ない事を平然とやってのける!!そこに痺れる憧れるぅ!!」

 

 もうやだこの軍団…と言わんばかりに顔に手をやり、ため息を吐くミリ。キョウスケはボケに便乗して来たファンクラブの面々を見て、ようやくエンジンがかかって来たのか謎の踊りにてファンクラブを鼓舞する。ファンクラブの面々は当然これに便乗。

 

 キョウスケと共にその場で踊り出し、ミリの呆れを招いたのだが。ちなみにヨクバリスはファンクラブ一同に寒気を覚えたせいでモンスターボールの中にいる。

 

「この場にツッコミはいないのか…」

 

「ダメだ…俺はツッコミが欲しいのに何をやっても便乗されてしまう…!!助けてくれミリ!」

 

「ツッコミが欲しいってなんだよ、私に助けを求めるな」

 

 何故彼らがここまでキョウスケを色々な意味で苦しめているかと言うと、ボケに対してボケで返してくるからであり、その筋金入りのキョウスケLOVEがあるから。さすがにここまでのレベルとは思っていなかっただけに、ツッコミの欲しさに過呼吸を起こしてしまう程。

 

「何を言いますかキョウスケ様!!アナタの素晴らしさはその性格!ボケにあるのですぞ!!」

 

「やめろクモン!!これ以上俺を苦しめるな!!馬鹿にしてくれ!!」

 

「全力で断ります!!」

 

「はうあっ!!」

 

 ガラルの恥と言われたキョウスケなだけにここまで褒められるのに慣れておらず、発作を起こして倒れ込んでしまう始末。ファンクラブ一同が倒れ込んだキョウスケに一斉に駆け寄ったのを見て、ミリはもう引きつった笑みしか出てこない。

 

「キョウスケ様ァァァ!!誰がこんな事をォォォ!!」

 

「(お前らだよ)」

 

 白目むいて気絶してしまったキョウスケの心臓マッサージを行うファンクラブのメンバー。このままでは拉致があかないとばかりにキョウスケのボールから出てきたヨノワールが、キョウスケを回収し呆れているミリの近くに置く。

 

「おお!!これがキョウスケ様のポケモン!!素晴らしいなぁ!!」

 

「よ、ヨノワ!?」

 

「この人達、キョウスケの奴なら全部凄いって思うから…」

 

 ヨノワールに向かってファンクラブの面々が目を輝かせて近づいて行く中でキョウスケが気絶からすぐ目を覚ます。ヨノワールがファンクラブを見て混乱しいたが、キョウスケを見るなりすぐにボールの中に戻って行ったのだがファンクラブ一同はガッカリするどころか…

 

「はっはっは!!恥ずかしがり屋さんなんですな!!」

 

「おい、やべえよミリ。マジで俺でさえも制御出来ないぞこりゃ」

 

「あ、アンタのファンクラブだからアンタしか制御出来ないって!!頑張りなさいよ!!」

 

「無茶言うなよ!今のアイツらピラミッドより高いんだぞ!そら無理だよ!!」

 

 キョウスケの言う事なら何でも肯定しかしないだけにキョウスケ自身も驚いている様子。ミリですら少し青ざめたようなそんな表情を見せる中、キョウスケとミリは応援してもらって有り難いと言う感情より、筋金入り過ぎて恐ろしく感じていた…




いやあボケをしていたキャラをツッコミに回すとこんな感じになるんですねw


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ターフタウンであばれっぞぉぉ!!

アマチュア大会前日編は今回でラストです。


前回のあらすじ!!オデュワ!!センナナヒャクゥゥ!!以上です。

 

「な、何て?センナナヒャク?」

 

「俺はファンクラブの人ってボケ担当しかいねえのかよって言ったんだよ!!」

 

「分かるかあっ!!」

 

 キョウスケがファンクラブであるクモン達と対してから翌日。ついにアマチュア大会の当日を迎え、参加受付の為キョウスケとミリはターフタウンにいた。大会の開会式まで後2時間と行った所だが、ガリュウ効果だろうかターフスタジアムには大量の人が集まっていた。

 

「それにしても凄い人だね…これもガリュウ効果なんだろうね」

 

「という事はここにガリュウがいるはず!!探すぞミリ!!」

 

「その前に受付でしょ!?参加できなくなっちゃうよ!?」

 

「はっ!!そうだった!!」

 

 ターフスタジアム内にいる参加者の視線を1番に集めながら、キョウスケは受付に顎を突き出した変顔を見せるという無駄な嫌がらせをしつつ参加受付に成功。ちなみに大会の受付をしていた女性はキョウスケの変顔に対して、無視みたいな対応をしていた。

 

「何だぁ!?あの受付ェ!!俺のボケが通用しないだとぉ!?」

 

「寧ろただ受付するだけなのに、そんなにふざける必要が…」

 

「馬鹿野郎!!ふざけないとタイトル詐欺になるだろうが!!」

 

「作品の問題はどうでもいいでしょ!?」

 

 いつものツッコミやボケをやってるとはいえ、大会参加者にとってはとりあえず声を張り上げて喋っているだけに見えるのも事実。大会参加者の視線を相変わらずキョウスケが集める中で、その喧しさに痺れを切らしてか一人の女性がキョウスケに近づき…

 

「ちょっとアナタ達!!うるさいわよ!!迷惑!!」

 

「あ、すいませ…」

 

「ああん!?ギャグ小説の喧しさは優秀の表れだろうが!!」

 

「ギャグ小説って何よ!!何かの収録でもしてる訳っ!?」

 

 近づいて来た緑髪の女性に対してミリは謝ろうとしたが、キョウスケは誰もが予想した通り噛みつき変顔を浮かべながら女性に顔を近づけ挑発。その挑発に女性は腹を立てていたが…

 

「何なのよ!!騒音に対しての謝罪が先でしょ!?」

 

「うっせえ!!俺を黙らせたかったらマイクでも持って来い馬鹿野郎!!マイクバトルじゃゴラァ!!」

 

「はああ!?何なのよマイクバトルってぇ!!」

 

「マイクで殴り合う戦いだ馬鹿野郎!!」

 

 女性はキョウスケの言葉に対して意味分からないのか、呆れの表情を見せつつ首を傾げる中でキョウスケはどこからか取り出したマイクを見せつけつつ、相変わらず顎を突き出した変顔を変えることなく…

 

「さあマイクバトルだ!!マイクを取り出せぇ!!」

 

「んなもん持ってる訳ないでしょ!?馬鹿じゃないのアンタ!!」

 

「やるなら今しかねぇズラァ〜」

 

「話し聞けこの馬鹿ぁ!!」

 

 マイクを突き出しながら女性に対して殴り掛かろうとするキョウスケ。だがそんな事許さないとばかりに彼の後方から近づいて来たミリが、キョウスケの頭をぶん殴り気絶したキョウスケをそのまま女性から引き離していく。

 

「すいません!!また会う機会があれば良くしてやって下さい…」

 

「ホントよ!!良く言ってやって頂戴よホント!!」

 

 何回もミリがぺこぺこと頭を下げながらその場から離れていく。ターフスタジアムの扉に近づいたその時。後ろから近づいて来る足音が聞こえ、ミリがふと気になり振り返るとそこにいたのは…

 

「お久しぶりです!!ミリさん!キョウスケさんは気絶しているようですけど…」

 

「リーリエちゃん!!久しぶり!!リーリエちゃんも登録に?」

 

「はい!たまたまその姿を見たから声かけたんです!男の人がキョウスケさんを睨んでいたんですけど…何かあったんですか?」

 

近づいて来たのはリーリエだった。そんなリーリエが呟いた一言が気になり彼女の後方を見渡してみるとターフスタジアムの売店近くからじぃっとこちらを見つめる眼鏡の男性の姿。知らない人物ではなく、知っている人物。冠の雪原にてキョウスケに因縁をつけたリュウだ。

 

「冠の雪原で会った子なんだけど、どうもキョウスケに因縁が…」

 

「因縁…冠の雪原…ガリュウ!?はっ!!ガリュウを探さなければッ!?」

 

「どんな起き方なんですか!?」

 

「おー!!リーリエ久しぶりだなぁ!!」

 

 リーリエといいリュウといい鎧の孤島と冠の雪原であった人物がしっかりと大会の受付に来ているのを確認出来たのだが、ミリが気になったのがレイカがその場にいないという事。参加すると明言していなかっただけにそこまで気にする必要はないのだが…

 

「そういえばレイカさんはいないんですね」

 

「みたいだな」

 

「みたいだなってキョウスケの妹でしょ?」

 

「大会に参加しないから別にいいんじゃあないですかぁ?」

 

 少し挑発するかのように唇を突き出すキョウスケを見て、イラッと来たミリとリーリエは左右同時のビンタを披露。キョウスケは一瞬白目となったのだが、すぐにハッとした表情に戻ると急に辺りをキョロキョロと見渡し…

 

「そうだガリュウ!!いるんだろ!?探さないとぉ!!」

 

「探してどうするんですか?」

 

「あ、それそれ。私も気になってた」

 

「探してどうするかだってぇ!?決まっているさっきの奴みたいにマイクバトルを…」

 

 ドヤ顔で再びマイクバトルと呟こうとしたキョウスケに対して、もう一度殴ろうとしたミリだったが、リーリエに「これ以上やったらギャグ小説の範囲を超える」と呟かれイラつく気持ちを落ち着けたのだが、辺りが急にざわめき始め…

 

 ふと気になった3人は奥に視線を向けるとこちらに足を進めるコートを身に纏い、シルクハットを被っている男性。そのざわめきは一斉に彼に視線を向けられている事で成り立っており…

 

「さっきから私を呼ぶ声が聞こえたのだが…何か用かな?」

 

「あ、アナタもしかして…!!」

 

「そこの坊やが呟いた名前さ。ガリュウという。ここに参加しているしがないトレーナーさ」

 

「ガリュウ…オメエがか…」

 

 目の前に立っているだけで伝わってくる強者の気配。若干の白髪がベテラン臭を漂わせる中、キョウスケはゆっくりとガリュウに近づいていく。またふざけるのかと心配になったミリだったが、リーリエに止められその場を見守る事に。

 

「ああ。君みたいに名前を知ってるトレーナーが多いみたいで何よりだよ」

 

「最高と呼ばれるトレーナーが何言ってやがる…こちとらガラルの恥だぞクソが…」

 

「なるほど…君の言い方だと私達は真逆の立ち位置のようだ。実に面白い。…君、名前は?」

 

「キョウスケ。ガラル地方のキョウスケだ」

 

キョウスケが名前を呟くとガリュウは何故か2回ほど頷いた。何の意味もないかのように頷いた、そう思っていたのだがその後彼が呟いた一言が「いい名前だね」というキョウスケの名前を褒めるような一言で…

 

「とても恥と呼ばれるトレーナーが付ける名前ではないね。とても良い名前だ。堂々とガラル地方と名乗れる事に地方への愛着を感じる」

 

「何が言いてえ?」

 

「そんなに警戒しないでくれ。馬鹿にしている訳ではない。その証拠に私も名前を名乗ろう、私はカントー地方のガリュウ。ガラルとカントー…対極にある地方さ。行くのにも時間がかかる」

 

 ガリュウの言葉一句一句に黙り込むその場。そんな回りくどいような口調にキョウスケは痺れを切らしたのか…

 

「そんな事はどうだっていい!!俺はてめぇを絶対倒す!!決勝で首を洗って待ってやがれ!!」

 

「ちょっとキョウスケ!!」

 

「ふはははは!!いや構わない!!その気概があってこそトレーナーさ!是非待ってるよ決勝で。最高の戦いをしよう…!!」

 

 対極の立場にあるガリュウとキョウスケ。二人の戦いはもう始まっている…




ガリュウにもボケをかまそうと考えていたんですが、さすがに強キャラにふざけさせてはダメだろう…みたいな感じで考えていましたw


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バトルエピソード アマチュア大会編
アマチュア大会開幕!!


次が今年ラストになります。よろしくぅ。


前回のあらすじ!!ダンデの長い長い演説が終わって出番を待っている状態だよ!!

 

「それ今回のあらすじ!!前回ダンデさん出てなかったじゃん!!」

 

「うっせえ!!長い長い演説をかましやがったからカットだ馬鹿野郎!!」

 

 アマチュア大会がついに開幕を迎え、それに先立ってリーグ委員長であるダンデとチャンピオンユウリによる挨拶が行われ、ユウリはまだ収まり切る範囲で挨拶したのだが問題はダンデ。熱い思いを込め過ぎたのか20分オーバーとなる長い演説を行ってしまった為あえなくカット。

 

 そうして現在ターフスタジアムの受付付近にて自分の出番を待って待機中。ターフラウンドはリーグ戦。一戦を淡々と行うものであり、このラウンドが終わるまでに3日は費やす予定らしい。

 

「参加者多数だぞ!?一戦一戦行ってどーすんだよ!?バーってやらないと早く終わらねえぞ!?」

 

「そのための初日はお互いのポケモン1体仕様だと思うよ?」

 

「増やしてどうすんだよ日を重ねる事にお互いのポケモンをよ!!」

 

 キョウスケの不満が大会関係者じゃないミリに炸裂して行く中で、バトルは淡々と進められて行き、ターフスタジアムのモニターから映るのはリュウが第一戦のトレーナーを倒した瞬間。不満をタラタラ漏らしていたキョウスケもリュウの戦いっぷりに不満を言うのをやめ…

 

「こういう風に他のトレーナーのプレッシャーにもなるだろうしさ」

 

「バイウールー…だったよな。今映っていたのって。確か戦えないんじゃ…」

 

「戦えるようにしていたって言ってたよ」

 

「マジで!?」

 

 バトルコートから戻って来たリュウに対して、目を輝かせながら近づこうとしたキョウスケではあったが、何とこのタイミングで自身の出番と重なり、大会関係者にキョウスケは肩を掴まれ…

 

「誰だアンタ!?」

 

「大会関係者」

 

「俺はリュウと会いに…うおお!?力強えぞコイツゥ!?」

 

「キョウスケ様。出番ですのでバトルコートへお越しください」

 

 大会関係者のゴリラのような肉体をした人物に肩を掴まれ、ミリに冷静に突っ込まれつつキョウスケはその大会関係者に引っ張られバトルコートに強引に連れてかれて行く。バトルコートの通路まで連れてかれた所でストップ。

 

 そこからは自分で歩けとばかりに大会関係者はキョウスケの後ろに立ち塞がる。

 

「クソ…このゴリラめ…覚えてろよ…」

 

 そう捨て台詞を吐きつつ、通路を淡々と歩き進めて行くキョウスケ。通路に鳴り響く靴の音に懐かしみを覚えつつ、バトルコートに出るとそこにはアマチュア大会とは思えない程の満員の観客が。然も場内アナウンス付きという贅沢仕様で…

 

「左の通路からやって来たのは今回の大会における目玉の一人!!ガラルの恥!!キョウスケッ!!」

 

「誰が恥だ誰がァ!?」

 

「一方右通路から歩いて来たのは何とはるばるホウエン地方からやって来たという!!ミイ!!」

 

 湧き上がる大歓声。そしてキョウスケは場内アナウンスに反抗しつつ、右通路から歩いて来たツインテールの女性ミイと対する。ふとしたキョウスケの視線には当然、と言ってもいいのだろうか。クモンを筆頭とした応援団が「キョウスケ命」という横断幕を掲げながら観客の中に紛れ込んでいる。

 

「アナタがキョウスケね。アナタの事は悪いけど調べさせてもらったわ。ここで消えてもらうわよ?」

 

「んだとぉ!?上等だ!!お前を映す価値無しにしてやんよ!!」

 

「強気な発言!!さすが我らがキョウスケ!!」

 

「さ、寒気が…」

 

 クモン達の声に寒気を覚えつつ、ドヤ顔をしているミイと距離を開けて行く。明かりで照らされた場所に立ち、「両者モンスターボールを出してください」との言葉と共にキョウスケとミイはモンスターボールを出す。

 

「3、2、1…ポケモンバトルスタート!!」

 

「行くよマルノーム!!」

 

「行くぜジガルデ!!」

 

「ミイ選手、フィールドにはホウエン地方のポケモンマルノーム!!そしてキョウスケ選手は何とジガルデだぁ!!」

 

 開始のブザーと共に両者ポケモンをフィールドに出す。キョウスケはジガルデ、ミイは相棒のマルノーム。こんなポケモン見た事ないぞとばかりに顔をしかめるキョウスケに対して、ミイはニヤリとした表情。すぐにキョウスケとニヤリとすると…

 

「よっしゃ!!ジガルデ!!とりあえずきあいだま!!」

 

「やっぱりタイプを知らないみたいね!!マルノーム!!そのまま飲み込んじゃって!!」

 

「は、はあ!?」

 

 してやったりの表情はミイ。ジガルデが放ったオレンジの波動をマルノームはそのまま口の中に飲み込んでしまった。何言ってんだ?と思っていたキョウスケもこれには絶句した模様で空いた口を自分の手で塞ぐ。

 

「これはお返し!!マルノーム!!れいとうビーム!!」

 

「れいとうビーム!?あのポケモン、あの身なりをしてそんな技を覚えるのか!?」

 

「氷タイプじゃねえのか!?ジガルデ、コアパニッシャー!!」

 

 きあいだまを飲み込んだマルノームはそのまま口を思い切り開き、地面を凍らせつつれいとうビームをジガルデに放って行く。対するキョウスケはジガルデにコアパニッシャーを指示。ジガルデの目からビームが放たれ、れいとうビームと衝突して爆発。

 

 砂煙が巻き起こり周りが見えなくなるが…

 

「こうなる事も想定内!!マルノーム!!れいとうパンチ!!」

 

「手当たり次第で行くしかねえ!!ジガルデ、グランドフォース!!」

 

 砂煙の中進んできたマルノームに対して、ジガルデは尾を思い切り地面に叩きつけ地面を大きく揺らす。その地面の揺れにより大きく空中にはね上げられたマルノーム。ミイはこれはさすがに想定外だったようで…

 

「っ!?嘘!?」

 

「伝説の力を見誤ったようだなぁ!!ジガルデ、サウザンアロー!!」

 

「マルノーム、れいとうビーム!!」

 

 ジガルデの放った光の矢が空に向かって放たれて行く中で空中で態勢を整えたマルノームがれいとうビームをジガルデに向かって放つ。先に直撃したのはマルノームのれいとうビームで、ジガルデはさすがにその場から吹き飛ぶ程のダメージを受けた。

 

 そしてマルノームにもサウザンアローが何発か命中し、今度は空中から地面にへと叩きつけられた。

 

「マルノーム!!」

 

「ジガルデ!!大丈夫か!?」

 

 マルノームが地面に叩きつけられた際の砂煙が晴れるとそこには戦闘不能となったマルノームの姿が。

 

「マルノーム、戦闘不能!!ジガルデ、存命により勝者キョウスケ選手!!」

 

「決まったァ!!勝者はキョウスケ選手!!いいスタートを切りましたッ!!」

 

「あっぶねえ…まさかドラゴン対策してるなんてなぁ…」

 

マルノームが地面に叩きつけられたその時。ジガルデはよろけながらも戦闘不能にはならず。クモン達応援団が大きく盛り上がる中、ミイは唖然とした表情でマルノームをボールに戻す。キョウスケも一安心しジガルデをボールに戻すと…

 

「分かってたの?マルノームのタイプ」

 

「いいや。当てずっぽだよ」

 

「え!?」

 

「グランドフォースが効いたのを見て効果抜群なのは分かったが、それ以外はさっぱり。れいとうビームにれいとうパンチに使うから氷タイプかと…」

 

 キョウスケの言葉を聞いて呆れた様子のミイ。よくそんな相手に自分は負けたなと一瞬思ったが、相手のポケモンがジガルデだっただけに仕方ないかと自分に言い聞かせ、切り替える為に早々とその場から立ち去って行く。

 

 そしてその様子をじっくり見ていたガリュウは…

 

「ジガルデか…あの姿を見るのは久しぶりだな。次も楽しみにしたいが…まずは自分が勝たないとな」

 

 ナックルラウンドに向け先勝を切ったキョウスケ。このラウンドはまだ始まったばかりだ…




ちなみにマルノームの使う技は他にはヘドロばくだんとのしかかりでした。
前半に尺を使い過ぎた…すまんな…


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ターフラウンド第二戦!!

今年ラストです!頑張りますのでよろしくお願いします!


 前回のあらすじ!初戦突破!!今年ラストの更新だよぉ!

 

「メタいことまで書くんじゃない!」

 

「せめておふざけラインは出しておこうと思って…」

 

「それはおふざけじゃなくてただの裏事情なんだよなぁ…」

 

 ターフラウンドは2日目に突入。1グループ4人からの三戦が行われる為、このラウンドを突破するには2勝1分か三戦全勝が求められる。キョウスケはホウエン地方のトレーナーであるミィ戦に勝利。まずはナックルラウンドに向けて、順調なスタートを切っていた。

 

「と言うか待ち時間長すぎんだよ!何時に始まって今何時なんだよ!」

 

「10時に始まってまだ20分しか経ってないね」

 

「そんなに経ってなかったぁ…」

 

 20分間ずっと受付付近で待機している状況。キョウスケの前のグループであるリュウは見事に2勝目を獲得。ライバルからのプレッシャーがかけられる中、若干イライラしながら待っていると昨日より早く受付の人物がキョウスケに近づいていき…

 

「キョウスケ様。出番です、受付からバトルコートへと移動ください」

 

「よっしゃ!出番だ!ミリ、俺の活躍を見とけよ〜?」

 

「はいはい、行ってらっしゃい」

 

 受付の人物が道を開け、キョウスケは再び現れたゴリラのような肉体をしている大会関係者に案内される形で今日は左通路ではなく、右通路にへと案内される。相変わらず何も言わずにキョウスケの後ろに立ち塞がる大会関係者にキョウスケはイラっとしながらも…

 

「やいゴリラ!俺がここを勝ち抜くんだからな!見とけよ!」

 

 と大会関係者の人物を挑発するも反応なし。キョウスケはさらに苛立ち変顔をしていたのだが、通路先から聞こえてくる歓声が耳に入り、ハッとするとバトルコートにへと歩いて行く。コートに出る前に立ち止まり軽く深呼吸。そして再び前にへと進む。

 

「さあ!大会も第二戦、ナックルラウンドに進むにはこの戦いが重要となります!まずは左通路、イッシュからガラルへ!ジムチャレンジにも参加予定のキリキ!」

 

「そして右通路!ガラルきっての恥!初戦を圧倒的な力で突破したキョウスケ!」

 

「誰がガラルきっての恥だこらぁ!?」

 

 第二回戦は2体2のシングルバトル。キョウスケは左通路から歩いて来た赤い目の少年、キリキと対面をする。

 

「ジガルデを使っていたのは知ってるよ。何を使ってくるか知らないけど、負けないから」

 

「上等だガキンチョ!後でべそかいて泣くなよ!」

 

「2回戦は手持ち2体のシングル!ナックルラウンドに王手をかけるのはどちらになるのでしょうか!」

 

「キョウスケ様!頑張って下さい!」

 

 キリキとキョウスケ。お互いに火花を散らし合いながら多少距離を取ると試合開始の合図をするロトムが空中に出現。両者モンスターボールを構えてくださいとの言葉と共に、キョウスケとキリキはモンスターボールを準備。応援に来たクモン達もその様子を見守る。

 

「3、2、1。ポケモンバトル、スタート!」

 

「行けキリキザン!」

 

「行くぜラプラス!」

 

 試合開始の合図と共にキリキはキリキザンを繰り出し、キョウスケはラプラス。スピードがあるキリキザンと若干鈍足ながらもパワータイプのラプラスの対面となった。

 

「シザークロス!」

 

「ラプラス、ハイドロポンプ!」

 

 キリキザンは両手の爪を光らせ、地面を蹴り出すとそのままラプラスの元へ。その向かってくるキリキザンに対してラプラスは口からハイドロポンプを放出。左から右へと広範囲で薙ぎ払うように打ち込んでいくが、キリキザンはジャンプして回避。

 

 そしてラプラスの前に着地をすると両手をバツ印を描くようにクロスしてラプラスに攻撃し直撃させた。

 

「アイアンヘッド!」

 

「アイアンヘッドで応戦しろ!」

 

 ラプラスが頭を振り下ろし、キリキザンも対抗すべく頭を振り上げる。両者の一撃がお互いにぶつかり合い、発生した衝撃により両者が少し吹き飛ぶ。そしてすぐに体勢を立て直したラプラスに対してキョウスケは…

 

「10まんボルト!」

 

「メタルバースト!」

 

 ラプラスの体から発生させた電気がキリキザンに炸裂。ラプラスの10まんボルトをまともに食らったキリキザンだったが、地面を抉りながら踏ん張ると痛がり瞑っていた目をすぐに開け10まんボルトをかき消すと、身体を光らせ無数の鉄の破片をラプラスに向かって放って行く。

 

「その勢いで行くぞキリキザン!つじぎり!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 キョウスケの出た強気の行動にキリキは驚きつつも、キリキザンはそのまま一気にラプラスの元へ。ラプラスに鉄の破片が命中したが、何とかラプラスは持ち堪えそのままハイドロポンプを打ち込んでいく。接近したキリキザンのつじぎりとラプラスのハイドロポンプが同じタイミングでぶつかり合う。

 

 キリキザンはハイドロポンプを一瞬ながらもまともに受け、ラプラスの背後へ。ラプラスはつじぎりをまともに受け、そのまま倒れキリキザンもハイドロポンプのダメージが影響してかそのまま倒れた。

 

「両者ラプラス、キリキザン共に戦闘不能!ダブルノックアウト!」

 

「まさかのダブルノックアウトだぁ!逆転に次ぐ逆転!両者2体目に突入する!」

 

「行けデンチュラ!」

 

「頼むぜ…ウオノラゴン!」

 

 キョウスケが出したのはウオノラゴン。キリキはデンチュラ。でんきタイプとみずタイプのぶつかり合いだが、ウオノラゴンはドラゴンタイプも入っている為でんきタイプの技はある程度ながら受け切る事が出来る。

 

「ガラルのポケモンか…!探り探りで行くしかないか…デンチュラ、むしのさざめき!」

 

「突っ込めウオノラゴン!ドラゴンダイブ!」

 

 デンチュラはその場に身構えると衝撃波を放って行き、突っ込んで来たウオノラゴンに命中させるがウオノラゴンは全く怯む事なくデンチュラに接近。頭から飛びかかり、そのままのしかかるような形でデンチュラを地面に叩きつける。

 

「っ!クロスポイズン!」

 

「エラがみ!」

 

 デンチュラが体勢を立て直し、ジャンプをするとそのまま爪を紫に光らせ引っ掻きにかける。対するウオノラゴンはエラがみを光らせ、頭を振り回してデンチュラの爪とぶつかり合い火花を散らす。両者の一撃は相打ちとなり、両者が吹き飛ばされる形となった。

 

「ほうでん!」

 

「ウオノラゴン、力を溜め込め!」

 

「何をするつもりだ…?」

 

 少し吹き飛びすぐに体勢を立て直したデンチュラの身体から発した電気がウオノラゴンに命中。ウオノラゴンは身体を光らせながらそれを踏ん張り切ると、身体から煙を出しながら目つきを鋭くする。

 

「行くぜ!ウオノラゴン、メテオビーム!」

 

「ギガドレイン!」

 

デンチュラに力を吸われる感覚がありながらもウオノラゴンは口からビームを放出。当然回避行動を取っていなく、攻撃に転じていたデンチュラにメテオビームはそのまま直撃。大爆発を巻き起こす程の高火力と化した。

 

 大爆発による爆煙が少しずつ晴れて行くとモニターに真っ先に映ったのはデンチュラが戦闘不能になっている姿。ウオノラゴンも少しよろけてはいるが何とか持ち堪えている。身体を震わせながらも何とか立つウオノラゴン、そして…

 

「デンチュラ、戦闘不能!ウオノラゴン存命の為、この勝負キョウスケ選手の勝ち!」

 

「しゃあ!」

 

 この判定をされた後にウオノラゴンは倒れる事になるのだが、それは判定外の結果となった為キョウスケの勝ちは揺らぐ事なく、キョウスケはガッツポーズ。クモン達は歓声を上げて喜び、受付付近のモニターから見ていたミリも拍手。

 

 だがこの結果を受けて一人モニターをずっと睨みつけている女性がその場にいた…




見てくださりありがとうございました!来年もよろしくお願いします!


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ターフラウンド第三戦!(前編)

明けましておめでとう御座いますー。
今年もバトルエピソードからですけどふざけて行きますよ〜。


前回のあらすじ!明けましておめでとう御座います!

 

「前回の更新は昨年なんだよ!明けましておめでとうは今回なんだよ!」

 

「オメェこそメタい話しをすんじゃねぇよ!」

 

 完全にツッコミと化したミリとそのボケのような言葉にツッコミを入れたキョウスケの会話で開幕した今回。ちなみに新年の話しは現実の話なだけでありこの作品においては一切関係ない。キョウスケはここまでターフラウンドを戦って二戦2勝。次勝てば全勝でナックルラウンド進出が決まる。

 

 3日目のグループ最終戦は3対3のシングルマッチ。ミリと喚き散らかしながらキョウスケは出番を待っている状態だ。

 

「メタい話は定番でしょ?他に何の話しろというのよ」

 

「いや、色々あるだろこの大会勝ち進んでねとか…」

 

「嫌」

 

「嫌!?だったら何で毎日応援に来てんだ!暇かオメェ!」

 

 まるで阿吽の呼吸にも見える息ぴったりの掛け合いだが、集中すべき場所ではただの迷惑。キョウスケが定番の顎を突き出した顔でミリを挑発していたのだが、急にこちらに近づいて来た一人の男性。この大会中はずっとキョウスケの元に現れている大会関係者だ。

 

 そんな大会関係者の男性にキョウスケは急に首元の服を持たれ、そのまま引っ張られる形で強引にもバトルコートに通じる通路にへと連れてかれていく。そんなキョウスケにミリはただ笑みで手を振っていた。

 

「ちくしょ!またてめぇかこのゴリラ!てめぇからぶっ飛ばして…」

 

「………」

 

「あっはい、行きまーす…」

 

 通路に案内されたキョウスケは大会関係者を挑発したが、大会関係者の男性は無言でこっちを見つめてくるだけ。キョウスケはその男性の圧に押された形でサッと引き下がり、通路からバトルコートへ一歩ずつ向かって行く。歓声が大きくなり、キョウスケは3回目となるバトルコート。その観客の前に姿を見せた。

 

「今日は右通路!颯爽と登場したのはガラルの恥!ナックルラウンド進出に王手をかけているキョウスケ!」

 

「最後まで貫くのかその紹介!」

 

「一方左通路!キョウスケに待ったをかけんと姿を見せたのは元ジムリーダーカオル!こちらも王手をかけているぞ!」

 

 右通路から歩いて来たキョウスケの前に姿を見せたのはカオルという人物だがよく見ると最初にキョウスケに因縁をふっかけて来た緑髪の女性。クモンの大声援がキョウスケの耳に入って来る中、歓声と共にカオルとキョウスケ両者が対面する。

 

「アンタ…ジムリーダーだったとはな」

 

「昔の話しだけどね。今回は前のような言い合いはなし…さっさと進出者を決めましょ」

 

 キョウスケの言葉にサラッと受け答えをし、カオルは背を向けるとキョウスケからゆっくりと距離を取っていく。雰囲気が違うのを察したキョウスケは彼女と同じく適当に離れてから、再度彼女の方にへと振り向く。カオルは既に戦闘体勢、キョウスケも表情を引き締める。

 

「両者用意はいいでしょうか!3、2、1。ポケモンバトルスタート!」

 

「意地でもここを抜ける!行くよジバコイル!」

 

「行くぜレックウザ!」

 

 空中浮遊しているロトムにより鳴らされたゴングがまだ鳴り響いている状態で両者が繰り出したのはカオルはジバコイル、キョウスケはレックウザというマッチアップ。観客席からクモン達も真剣に見つめる中、キョウスケは意気揚々と笑みを浮かべ…

 

「よっしゃ!行くぜレックウザ!かえんほうしゃ!」

 

「でんじほう!」

 

 レックウザの口から放出された火炎、そしてジバコイルが繰り出した電気弾が一直線にお互いに向かい合い衝突。威力は互角の相打ちとなり爆煙が巻き起こる中、レックウザは爆煙をかき分けながらジバコイルに急接近し…

 

「よくそこまで接近した!叩き込めレックウザ!アイアンテールッ!」

 

「ライジングボルト!」

 

 レックウザは尻尾の部分を光らせ、鞭のようにしならせながらジバコイルに尻尾を叩きつけようとするが攻撃力は互角の両者。このアイアンテールはジバコイルが体から発した雷により弾かれてしまい、レックウザは少しだけジバコイルから離れる。

 

「りゅうのはどう!」

 

「ロックオン!」

 

 辺りに撒き散らされた雷をレックウザはかわしつつ、口から波動を放って行く。ジバコイルの体に波動が命中したものの、効果イマイチの影響からかダメージはかすり傷程度。そこからカオルは息を吐き…

 

「今度は外さない!でんじほう!」

 

「かわせないなら突っ込むのみ!行くぜレックウザ、ガリョウテンセイ!」

 

 ロックオンにより技が必ず命中する。技を防げない事を悟ったキョウスケはレックウザにひこうタイプの技を指示。レックウザは高々と空高く構えると一気に急降下。ジバコイルのでんじほうが顔面に命中し、少し怯んだが再度加速。ジバコイルに真正面から衝突。

 

 自らの体ごとジバコイルを地面に叩きつけた。

 

「効果は半減の筈なのに!?」

 

「そのまま行くぜ!レックウザ、ゼロ距離かえんほうしゃ!」

 

「ラスターカノン!」

 

 爆煙がまだ完全に晴れ切っていない中でレックウザは火炎を放ち、ジバコイルは鋼の波動を打ち込む。両者の一撃はゼロ距離にてぶつかり合い、大爆発。爆煙と共にレックウザはキョウスケの元に吹き飛んできたがカオルのジバコイルはと言うと…

 

「どうなった…?」

 

 レックウザは少しフラフラしながらも生存。ジバコイルは爆煙が晴れた先に映った姿は戦闘不能となっている姿で…

 

「ジバコイル、戦闘不能!勝者レックウザ!」

 

「っ!」

 

「まだやれるかレックウザ?」

 

 少しフラフラとしながらも生存しているレックウザに対して問いかけたキョウスケ。レックウザは頷き、戦闘続行。一方のカオルはジバコイルが倒れた為当然次のポケモンを出す事に。少し焦りを滲ませながらもジバコイルを引っ込めた彼女が次に繰り出したのは…

 

「行くよドラパルト!」

 

 レックウザと同じドラゴンタイプであるドラパルト。レックウザは先程のジバコイル戦にてかなり疲弊しており、尚且つでんじほうにてマヒの状態異常を食らっている状態。スピードがあるドラパルトに対して上手く立ち回るしかない。

 

「やるっきゃねえ…行くぜレックウザ!りゅうのはどう!」

 

「ドラゴンアロー!」

 

 レックウザは口から波動を放ったがドラパルトが放ったドラメシヤにかき消されてしまい、放たれたドラメシヤはそのままレックウザに2体共衝突。ダメージが蓄積していたレックウザは1発KOという形で戦闘不能となった。

 

「レックウザ、戦闘不能!勝者ドラパルト!」

 

「このバトル…必ず勝つ!そのためにアナタを超えて行く!」

 

「随分と気合いが入ってんな…気合いなら俺も負けてねぇぜ!」

 

カオルが指差してキョウスケの方をグッと見つめる。それを見たキョウスケは自分の気合いを再度入れ直しレックウザをボールに戻し、2体目のボールを構える。一息吐きながら彼が2体目に繰り出したのは…

 

「頼んだヨノワール!」

 

 ドラパルトと同じゴーストタイプであるヨノワール。今回ばかりはツッコミ担当ではなく正当なメンバーとして参戦。キョウスケの指示を仰ぐかのように自分の方を見つめてくるヨノワールに対して、キョウスケも拳をグッと握りしめ…

 

「行くぜヨノワール!かげうち!」

 

「10まんボルト!」

 

 ヨノワールは地面に隠れ込み、影となってドラパルトに接近。その間に放たれた10まんボルトを回避したヨノワールはドラパルトの背後に迫りゆくと、チョップをかましドラパルトを地面に叩きつけたのだが…

 

「かえんほうしゃ!」

 

「!」

 

 ドラパルトから放たれた火炎をヨノワールはまともに食らうものの、火傷する事なく振り払いドラパルトから少しだけ距離を取る。息が詰まる攻防。勝利はどちらに転ぶか…




今年もよろしくお願いします〜。


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ターフラウンド第三戦!!(後編)

お疲れ様です〜。更新しますー。


前回のあらすじ!バトルしてます!以上!

 

 ドラパルトが放った火炎が辺りに充満する中、ヨノワールは地面に潜り込みドラパルトの目の前に接近。三度チョップをお見舞いしようとしたが…

 

「ドラゴンアロー!」

 

 咄嗟に動いたドラパルトのドラゴンアローがヨノワールの腕に命中。さらに2体目がヨノワールの胴体に命中し、自らの近くから吹き飛ばす。ある程度吹き飛んだヨノワールだったが、地面に手をつけ何とかして踏ん張る。ドラパルトの攻勢を許さぬ攻撃。

 

 キョウスケはさらに指示を出す。

 

「がんせきふうじ!」

 

「もう一度ドラゴンアロー!」

 

 ヨノワールが地面を叩きつけると浮かび上がった岩をドラパルトに降らせて行く。ドラパルトはドラゴンアローにて迎撃。向かって来た岩をアローにて粉砕して行く中、それに気を取られていると判断したキョウスケはさらに動く。

 

「かげうち!」

 

「ドラパルト、地面に向かってかえんほうしゃ!」

 

 ヨノワールは自分の影を伝って再び地面の中へ。ドラパルトが火炎を口から吐き、地面に叩きつけて行く中ヨノワールはそれを嘲笑うかのようにしてドラパルトの背後へ。ドラパルトが気付いた頃にはヨノワールのチョップが炸裂。ドラパルトは再び地面に叩きつけられる。

 

「っ!りゅうせいぐん!」

 

「そのまま決める!ヨノワール、シャドーパンチ!」

 

 ドラパルトの目が急に光ったかと思いきや、空中から隕石がヨノワールに向かって降り注ぐ。そんな中ヨノワールは拳を握りしめ、地面にいるドラパルトを殴りにかかる。りゅうせいぐんによる隕石がヨノワールに命中した瞬間に爆煙が巻き起こる。

 

 これにより指示を出していたキョウスケとカオルの視界に一瞬ヨノワールとドラパルトが映らなくなったが、爆煙が晴れるとそこには戦闘不能となったドラパルトとりゅうせいぐんを何とか受け止め切ったヨノワールの姿が。

 

「ドラパルト戦闘不能!勝者ヨノワール!」

 

「りゅうせいぐんを受け切った…?」

 

「よくやったヨノワール!だが大分ダメージが溜まってるな、ご苦労さん。後は任せてくれ」

 

 ヨノワールは確かにりゅうせいぐんを受け切ったが倒れているドラパルトの前でふらついているのも事実。先程のレックウザが無理をしたと言う教訓もあり、キョウスケはヨノワールをボールに戻す。驚いた感情を見せていたカオルも舌打ちしながらドラパルトをボールに戻す。

 

 ポケモンの交代権は一回のみ。キョウスケが次を出すポケモンが倒れるようなことがあればほぼ負けは確実。だがそんな危機的な状況であってもキョウスケは一息吐いた後に笑みを浮かべていた。

 

「何で笑みを浮かべてるか知らないけど…もう一度ヨノワールを引き出して私の勝ちよ。行きなさいミロカロス!」

 

「俺がコイツで負ける訳ねぇからな…行くぜヨクバリス!」

 

「来た!ヨクバリスだ!」

 

 スタンドのクモン達が大きく盛り上がる中、カオルはミロカロスを出しキョウスケはエースであるヨクバリスを場に。ヨクバリスも気合いが入ったような声を張り上げた後に、四股を踏むかのようにしてその場で足踏みしている。

 

「ヨクバリスなんて眼中にない…!行くよミロカロス、ハイドロポンプ!」

 

「じだんだ!」

 

 ミロカロスは体を捻らせると口から大量の水を放出して行く。対するヨクバリスは地面を叩きつけ、土の壁を作り出すとハイドロポンプの威力を削いでいき、壁を突破したその時にはその水の量は少なくなっていた。

 

「ヨクバリス!そのままそいつを押し出せ!」

 

「ヨクバ!」

 

「今度は当てる!ハイドロポンプ!」

 

「ギガインパクト!」

 

ミロカロスのハイドロポンプが土の壁にまた阻まれるが残ったのは埃程度のもの。あっさりと粉砕し、水の一撃がヨクバリスに命中して行く中、ミロカロスに向かって走り出していたヨクバリスの勢いは止まらずそのままミロカロスに接近。

 

 体当たりをかましミロカロスを力強く吹き飛ばす。

 

「っ!れいとうビーム!」

 

「じだんだ!」

 

 吹き飛ばされたミロカロスが空中かられいとうビームを放ってくる中、ギガインパクトを放った後にかなりの反動から吹き飛ばされたヨクバリス。地面を伝って近づいてくるれいとうビームに対して、再び地面を叩きつけ土の壁を作り出すと土の壁がれいとうビームによって凍らされる。

 

 その間にミロカロスは地面に着地するとカオルは…

 

「アクアリング!」

 

「ヨクバリス、ばかぢからでソイツを投げ飛ばせ!」

 

 ミロカロスが水のリングを身体に纏って行く中で、ヨクバリスは全身の力を使って凍った土の壁をミロカロスに向かって投げ飛ばして行く。カオルは一瞬驚いたが冷静にミロカロスにかわせと指示を出し、ミロカロスはこれを回避。ミロカロスが水のリングにて体力を回復した後。

 

 カオルは小さく一息吐く。そんなカオルを見てキョウスケは…

 

「この大会。勝ち抜いてアンタはどうする気なんだよ」

 

「何よ、突然。敵に同情でもする気?」

 

「そうじゃねぇ。そんな必死だと進んでもこの先、ポケモンが萎縮するだけなんじゃねぇかって。思っただけさ」

 

 カオルの額には大量の汗が流れていた。ただバトルに対して指示をしていたのにも関わらずだ。カオルにとっては図星を突かれたようなそんな気分だった。何も言い返せなかった自分に対して苛立ちが募った後、ミロカロスを見つめた。

 

「萎縮か…アンタは大会を勝ち抜いてどうする気なのよ」

 

「さらなる目標を作って、それに向かって進んでいくだけさ!」

 

「決まってないじゃないアンタも…勝つ事だけ考えていた自分が馬鹿みたい…」

 

「馬鹿って何事だコラァ!?」

 

 カオルに対して顎を突き出して挑発しようとしたキョウスケ。だが今の彼女に対してそれは逆効果。拳をぐっと握りしめるとカオルは深く深呼吸を重ねる。落ち着くまで2回。そして笑みを浮かべながらキョウスケに向かって真剣な眼差しを向けると…

 

「行くよミロカロス!れいとうビーム!」

 

「吹っ切れたようだな!全力で行くぜヨクバリス、じだんだ!」

 

 ミロカロスのれいとうビームに対してヨクバリスは地面を再度叩きつけると、今度は砂埃を撒き散らす。れいとうビームは確かにヨクバリスの方に放たれたが当たった感触はない。それをカオルは疑問に思っていると砂埃を払い、迫って来るヨクバリスの姿が。

 

「ギガインパクト!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 一度は突っ切られたハイドロポンプ。だがカオルはミロカロスを信じた。ヨクバリスにハイドロポンプが命中。そのままヨクバリスの動きを止めたが、ヨクバリスは一歩ずつ動きを再開しそのままミロカロスにへと接近して行く。

 

 そのままミロカロスにヨクバリスは正面から思い切り衝突。そのままミロカロスをカオルの背後にへと吹き飛ばした。

 

巻き上げる砂埃。ふとカオルが背後に振り返るとそこにはヨクバリスの勢いに押されて戦闘不能となっているミロカロスの姿が。唖然とその光景を見ていた彼女ではあったが…

 

「ミロカロス戦闘不能!よって勝者キョウスケ選手!」

 

 キョウスケへの大歓声と共にカオルはミロカロスをボールに戻すと苦笑いではあったものの、笑みを浮かべていた。もう一度深呼吸をし、ヨクバリスとハイタッチを交わすキョウスケの方に振り向き、歩み寄って行くと手を差し伸べ…

 

「私にこんだけ言って…吹っ切れさせて。負けたら承知しないから」

 

「…おう!」

 

 悔しさが混じりつつも笑みを浮かべるカオルに対してキョウスケは一瞬キョトンとしつつも差し伸べて来た手をがっちりと掴み、握手を交わす。さらに湧き上がる大歓声を受け、キョウスケはナックルラウンドにへと進む…




見てくださりありがとうございますー。
次回は閑話回にしますね。


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お久しぶり!ナックルシティ!

お久しぶりです〜。今回はバトルなし、久しぶりの閑話回です。


前回のあらすじ!ナックルシティに来たぞぉ!?

 

「それ今回のあらすじ!前回ターフタウンにいたから!」

 

「読者さんは今頃ターフタウン何かよりヒスイ地方にいるんだろうぜ!時代遅れってかこら!」

 

「誰も何も言ってないから!」

 

 激戦のターフラウンドを終え、久しぶりにナックルシティにへと足を運んだキョウスケとミリ。目的はもちろんトーナメント戦であるナックルラウンドに出場するため。ターフラウンドにてリーグ戦で負けたトレーナーが姿を消し、残ったのは僅かながら腕自慢のトレーナーばかり。

 

「ったく。ここはガラル地方なんだから、ヒスイ何たらかんたらの話しは抜きにしてよね」

 

「レイカがいないからってツッコミ気取りかぁ?元のお前を返せ!」

 

「誰かが制止役にならないとアンタは止まらないでしょうが」

 

 すっかりレイカがいない事によりキャラ変したミリに対してキョウスケは変顔で挑発するが、ミリは冷静な表情でため息を吐くのみ。それでもミリをイラつかせようとするキョウスケ、するとスタジアム入り口付近にて話し合っていた2人の元に足音が聞こえて来た。

 

「やっぱり勝ち進んでいたんですね」

 

「お、お前は!ピッコロ!」

 

「リュウですっ!」

 

 話し合っていた2人の前に姿を現したのは冠の雪原で会って以降、キョウスケを敵対視しているリュウ。その掠りもしない名前で叫んだ事によりリュウはキョウスケに向かって声を張り上げたが、それでもキョウスケは相変わらずリュウを挑発するような目を止める事はない。

 

 それに見かねたミリはため息を吐きながら…

 

「ここにいるという事はリュウ君も?」

 

「ええ。キョウスケさんと同じく3連勝です。リーリエという方も3連勝してました」

 

「ええ?お前みたいなただのメガネが勝ち進んだのぉ?それはみんなが雑魚だったって事だなぁ?」

 

「何ならここで潰してあげてもいいんですよキョウスケさん…」

 

 キョウスケの挑発に乗るかのようにイラつきを見せるリュウ。ポケモンを出す為にモンスターボールを取り出そうとしたが、ミリが苦笑いを浮かべながら必死にリュウを止める。それでもキョウスケは顎を突き出しながら挑発する動きをやめない。

 

 そんなキョウスケにバチが当たったのか、ボールの中から突如出てきたヨノワールに拳骨を喰らいそのまま地面に叩きつけられた。

 

「あぶら!」

 

「そっか…リーリエも勝ち進んだんだ。どっかで当たるかもしれないねキョウスケ」

 

「その時は俺がパパさんになりきって粉砕してやるわ!」

 

「アンタ20でしょ」

 

 実はこう見えてかなり若いキョウスケにミリはツッコミつつ、再度ため息を吐く。ヨノワールはキョウスケが地面に叩きつけられたのを確認すると、彼のボールに戻った。その後キョウスケは何事もなく起き上がったのだが、やはり叩きつけられた影響か顔が赤くなっていた。

 

「違う俺は悪魔だぁ」

 

「年の話ししてんの!」

 

「ダンディに年の話をするとは!恥を知りなさい!」

 

「とにかく!僕がアナタに勝てばジガルデは譲って貰いますからね」

 

 キョウスケとミリが話している間にリュウは一息吐き、キョウスケを睨みつけながら宣戦布告するかのように言葉を連ねる。そのまま言葉を吐き捨てる形でそのままナックルスタジアムにへと入っていたのを見て、キョウスケとミリはお互いに顔を見合わせると…

 

「キョウスケ。ナックルラウンドは5対5のシングルバトル。シュートラウンドではフルバトルになるわ」

 

「プルプル?」

 

「誰がフをプにしろと言ったのよ」

 

 ミリの説明に対してキョウスケは分かってらあと呟くと、そのままナックルスタジアムにへと入って行く。ミリもそんな彼について行く形で同じくナックルスタジアムへ。その中に踏み入れると見えてきたのは、勝ち残ったナックルラウンド進出者達。

 

 初戦に向けて闘志を燃やす彼らを見つめていたキョウスケだったが…

 

「どうしたのキョウスケ?普段周りなんてあんまり見ないのにさ?」

 

「ガリュウの姿がねぇなって思ってよ」

 

 ふと足を止めたキョウスケが発した言葉はガリュウについて。現在ナックルスタジアムのロビー付近にはその姿はない。当然ながらまだ試合時間ではない為、来なくてもいいのだがそれでもキョウスケにとってどうしても気になる事だった。

 

「まあいいか。アイツとは決勝戦で当たるんだからよ」

 

「ガリュウさん、ケンタロス一体で勝ち上がったらしいですよ?」

 

 一息吐きながら切り替えようとしたキョウスケの耳に聞こえてきたのは1人の女性の声。ふとその方角に視線を向けるとキョウスケとミリ、2人の方に歩いてきたのはリーリエ。リュウから聞いた情報からしているという事は分かっていたのだが…

 

「ケンタロス?聞いた事のねぇポケモンだな?」

 

「ガリュウさんのエースポケモンです。公式戦ではあの人はそのケンタロスしか繰り出した事がないんです」

 

「ケンタロスしか!?」

 

「マスタードさんが教えてくれました。修行中のダンデさんに土を付けた事もあると」

 

 リーリエの口から語られたのはエースポケモンであるケンタロス一体でリーグ戦を勝ち上がったという事と、公式戦ではケンタロスしか出した事のないという事実。然もチャンピオンになる前だったとはいえダンデに黒星を付けた事があるらしい。

 

「ダンデはもうチャンピオンじゃねぇんだから俺には関係ねぇな。それにそんなに強くないと下克上って言ってる意味がねぇしな」

 

「でもキョウスケ。知っていると思うけどガリュウは一度も負けた事がないって…」

 

「ダンデだって負けたじゃねぇか。俺がマスゴミ共が書く下馬評をひっくり返してやらぁ」

 

 リーリエが発したガリュウについての情報は返ってキョウスケの闘志を燃やす形となり、ミリの不安そうな表情をひっくり返すかのようにキョウスケは笑みを浮かべていた。そんなキョウスケを見てリーリエは安心したのか、笑みを浮かべながら一息吐くと…

 

「それでこそキョウスケさんです。こちらとしてもリベンジしがいがあります。一度私アローラに戻ってポケモンを鍛えてきたんです。ここで当たるなら負けませんよ」

 

「返り討ちにしてやるぜ」

 

 ここで当たらなければ次当たるのはシュートラウンド。ジムチャレンジ最後の舞台でもあり、一度キョウスケの夢が潰えた場所にて準決勝、決勝戦が行われる。リーリエ、キョウスケ共に気合い十分の表情を浮かべていたが…

 

「この作品で辛気臭いのはやめだ。飯でも食いに行こうぜ」

 

「キョウスケ。後20分で試合始まるんだけど…」

 

「俺のラーメンはどうなんだよ!?」

 

「終わってから…ですね」

 

 キョウスケはそのままミリとリーリエに背を向けてラーメン屋に向かおうとしたのだが、ミリから後20分で試合が始まる事を告げられ思わず動揺。さらにリーリエからの苦笑いからの一言により撃沈し、その場に真っ白になりながら膝をつく。

 

「お待たせしましたナックルラウンド進出者の皆さん!今、抽選が終わりましたので対戦表を発表いたします!」

 

 膝をつくキョウスケを足目に聞こえてきたのはモニターに映るダンデの声。どうやらトーナメント戦の対戦表が完成したらしく、モニターにその対戦表が映し出される。キョウスケのいるAブロックにはリーリエとリュウの名前が。ガリュウはBブロックのようだ。

 

「お、リーリエとリュウ同じグループじゃない…」

 

「どしたミリ?」

 

 ミリの口が止まったのを見てキョウスケも対戦表を確認するとキョウスケの対戦相手に書かれていたのが何とリーリエ。さっき対戦を誓った両者が一回戦から激突する事となり、キョウスケは息を呑んだのだった…




見てくださりありがとうございますー。


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アマチュアトーナメント1回戦!!(前編)

お久しぶりです!
1週間遅れましたが投稿します!


前回のあらすじ!トーナメント表が決まったよ!うわぁーい!

 

「前回の最後の雰囲気を返せ」

 

「うるせえ!元々この作品はギャグ小説カテゴリだろうが!銀魂と同じカテゴリだろうが!」

 

「銀魂も真面目な時は普通に真面目だったけど!?」

 

 提示されたトーナメント表は残っているアマチュア大会参加者を多くざわめかせる形となった。そのトーナメント表を見てリーリエは何故か笑みを浮かべながらキョウスケの方にへと振り返り…

 

「前回のリベンジを果たせますね。まさか一回戦で当たるとは思ってなかったですけど」

 

「リーリエ」

 

「私、ワクワクの方が強いんです。キョウスケさんが強いと分かっているからこそ、どんな戦いになるのかなって」

 

 リーリエが笑みを浮かべながら語りかけてくる中、キョウスケとリーリエの試合はトーナメント第一試合。その会話を遮るような形で大会関係者がキョウスケ達に近づいて来る。

 

「リーリエさん、控え室に案内します。こちらにどうぞ」

 

「必ず勝ちますから。またバトルコートで会いましょう」

 

 このトーナメントに残っている参加者達はいずれも3連勝でのナックルラウンド進出を決めた強者達。キョウスケを見つめていたリーリエの目つきは既に強者。キョウスケとミリ、2人の元から去って行くリーリエの背中をキョウスケは軽く深呼吸しながら見つめていたが…

 

「いきなり正念場だね。クモンさん達は既にスタンドにいるらしいよ」

 

「相変わらず早えなあの人はよ」

 

「頑張って来て。どちらも応援してるから」

 

 ミリの言葉にキョウスケは頷くとキョウスケの元に近づいて来た大会関係者の指示に従う形で、キョウスケもリーリエとは違う控え室にへと歩いて行く。案内された控え室にて何も映っていないモニターを見つめながら、闘志を燃やす。

 

「キョウスケさん。お待たせしました、どうぞバトルコートへ」

 

「了解」

 

 案内された控え室はナックルスタジアムには本来ない物で即席に作られた物。急遽作った影響もあり、小さなモニターが部屋にある程度でそれ以外は何もない。だが逆に気合いを入れるには十分であったのか、関係者の言葉にキョウスケは力強く返事すると控え室を出てバトルコートに繋がる通路へ。

 

 湧き上がる大歓声。コツコツと歩く音がキョウスケの耳に響き渡る中、彼はバトルコートにへと足を踏み入れる。

 

「お待たせしました!アマチュアトーナメント1回戦!第1試合!その対戦はまさかのターフラウンド突破!圧倒的な力を見せつけたキョウスケと!」

 

「最近までは新米トレーナー!まさかの快進撃を果たしたリーリエが対します!」

 

「キョウスケ様!頑張って下さい!」

 

 スタンドからクモン達の声が響き渡る中、左側通路からキョウスケ。右側通路からはリーリエがゆっくりとバトルコートの中心にへと歩を進めて行く。ターフラウンドとは明らかに違うピリピリとした雰囲気が場を包み込む中、2人は中心にて対面する。

 

「私の憧れていた人はアローラチャンピオンになりました。今は世界中を他のパートナーと共に巡っているらしいですが。私は私なりの道を進みます!ガリュウさんにたどり着く!今の私の目標です!」

 

「じゃあその強い思い…しっかりと受け止めてやんねぇとな!」

 

「はい!お願いします!」

 

 軽くではあったものの、2人は言葉を交わした後ゆっくりと距離を取って行く。覚悟を決めた表情で互いを見つめ、モンスターボールを取り出す。その場にレフェリーを務めるロトムが降り立ち…

 

「左側キョウスケ選手!右側リーリエ選手!バトルスタート!」

 

「行くぜヨノワール!」

 

「頼んだよボーマンダ!」

 

 ロトムによって開始のコールがされ、キョウスケの場にはヨノワール。そしてリーリエの場にはボーマンダが。両者のポケモンが場に出た瞬間に歓声がピークに達し、地響きのような歓声を耳にしながら両者は向き合う。

 

「行くよボーマンダ!ハイドロポンプ!」

 

「それに向かってかみなりパンチ!」

 

 ボーマンダは軽く顔を空を見上げた後に大量の水をヨノワールに向かって放出していく。一方のヨノワールはかみなりパンチで応戦。ハイドロポンプにかみなりパンチを当てると、その電気がボーマンダの水に感電して行きボーマンダはそこからの静電気により怯ませられた。

 

「かげうち!」

 

 ボーマンダが怯んでいる内にヨノワールは影を伝って地面に潜り込み、ボーマンダの背後に接近。ボーマンダがヨノワールの方に振り向こうとしたその時に顔面にチョップを食らわされ、そのまま地面に叩きつけられたがそのダメージは微々たる物。すぐに体勢を立て直すと…

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「シャドーパンチ!」

 

 ボーマンダの身体が光り出したと思いきや、そのまま拳を突き出そうとしたヨノワールに突進。そのまま腹部にぶつかった勢いでヨノワールを自分の近くから吹き飛ばす。

 

「エアスラッシュ!」

 

「がんせきふうじ!」

 

 空中にて体勢を立て直したヨノワールに向かってボーマンダは羽を羽ばたかせて風の刃を放出。無数の風が向かって来る中、ヨノワールは自らの近くに岩を召喚し盾に。風と岩は相打ちとなりヨノワールにはダメージが喰らわず。岩が消えるとその場にヨノワールの姿はない。

 

「いない!?ボーマンダ、近くにかえんほうしゃ!」

 

「シャドーパンチ!」

 

 ボーマンダが自身の周辺に火炎を放出するが、その火炎をかき分ける形でボーマンダの目の前にヨノワールが出現。そのままボーマンダの顔面に拳を叩きつけ、再度地面に叩きつける。

 

「ボーマンダ!」

 

 シャドーパンチが良くない所に入ったのか、ボーマンダはこの一撃によりノックアウト。それを確認したロトムにより戦闘不能のコールがされ、試合開始数分にてリーリエは1体目のポケモンを倒された形となった。

 

「前回はここで終わりだったんですよね。でも今回は違う。行くよエースバーン!」

 

「エースバーン!?」

 

 リーリエの2体目はアローラ地方の御三家ではなく、ガラル地方の御三家であるエースバーン。さすがにキョウスケも驚きを隠せずにいたが…

 

「マスタードさんから譲り受けたんです。キョウスケさんならこの子を痛いほど理解していますよね!」

 

「敵としてだけどな。ガラルチャンピオンに散々やられたよ」

 

「その時の記憶、思い出させてあげます!エースバーン、かえんボール!」

 

「がんせきふうじ!」

 

 リーリエはニヤリとした笑みを浮かべるとエースバーンに指示を出す。エースバーンは小石を取り出すと、リフティングをし炎を纏わせヨノワールに蹴りつける。一方のヨノワールは地面を叩きつけると砂埃を巻き起こしかえんボールをあらぬ方向にへと吹き飛ばす。

 

「かげうち!」

 

「同じ手は食らわない!アクロバット!」

 

ヨノワールが影に紛れ込もうとした瞬間にエースバーンが走り出したが、がんせきふうじによる視界眩ましを喰らい、ヨノワールに近づけず代わりに同じようなパターンで自らの後方にへの接近を許し…

 

「かみなりパンチ!」

 

「エレキボール!」

 

 エースバーンはポケットから小石を取り出し、電気を纏わせてそのままヨノワールに投げつける。そんな中同じく電気を纏ったヨノワールのパンチが小石に当たり、同じ電気同士で相打ちを起こしエースバーン、ヨノワール共に吹き飛ばされる形に。

 

(一瞬エースバーンの色が変わったような…気のせいか?)

 

「油断も隙もない…!勝負はまだまだここからですよ!」

 

(気にしたら負けか…まずは集中だ)

 

 リーリエの言葉に静かに頷くキョウスケ。だがエースバーンから微かに異変を感じ取っていた…




見て下さりありがとうございます!


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アマチュアトーナメント1回戦!(中編・1)

どうもー!久しぶりの投稿になります!
おふざけパートはまだ来ないかなぁ…しばらくバトル回になります!


前回のあらすじ!これは中編になります!以上!

 

「アクロバット!」

 

「シャドーパンチ!」

 

 拳を握りしめたヨノワールにエースバーンは地面を蹴り出して一瞬にして迫ると、かく乱するかのように4回体当たりをして行く。その間にヨノワールは体勢を整え、エースバーンに殴りかかるが素早い動きで回避される。ヨノワールから少し距離を取ったのを見て…

 

「かげうち!」

 

「来るよエースバーン!かえんボール!」

 

 ヨノワールは地面に潜り込み、小石をリフティングし始めたエースバーンの後方にへと一瞬のスピードで回り込む。気配と音を感じ取りエースバーンはリフティングしながらクルッと回転すると、そのままかえんボールをヨノワールに蹴りつける。

 

「がんせきふうじ!」

 

 かげうちの技を中断しキョウスケはヨノワールにがんせきふうじを指示。ヨノワールはどこかしらから取り出した岩でボールを防ぐと少しエースバーンが驚いているのを好機と見て…

 

「シャドーパンチ!」

 

「ダストシュート!」

 

 エースバーンは再度小石をポケットから取り出そうとしたが時すでに遅し。既に迫っていた拳を回避する事が出来ずに直撃。そのまま地面に叩きつけられる。エースバーンは地面に何回も叩きつけられながらも何とか立ち直し体勢を整え直す。

 

「アクロバット!」

 

(来た!)

 

「待ってかみなりパンチ!」

 

「っ!?」

 

 リーリエがキョウスケの行動に気づいたのはエースバーンに指示を出してから。リーリエの予感など知らずにエースバーンはヨノワールに接近すると、またしてもかく乱するかのように何回も身体をヨノワールにぶつかる。だが先程と違うのはこの後、しっかりとエースバーンの攻撃を防ぎ切ったヨノワールは…

 

「ヨノワ!」

 

「バス!?」

 

 地面に着地した瞬間に攻撃されるなんて思わないだろう。その瞬間にヨノワールの拳がエースバーンの腹部に炸裂。かち上げるような動作でヨノワールは空中にへとエースバーンを殴り飛ばす。効果抜群ではない筈なのだがかなりの大ダメージを受けたと見られるエースバーンはそのまま力なく地面に落下した。

 

「エースバーン!」

 

「な、何が起こった!?エースバーンはほのおタイプの筈!あんなにダメージは…」

 

「見抜いていたんですね」

 

「ああ。お前のエースバーンの額が微かに変わったのが目に入ってな。タイプを変えられるんじゃないかって」

 

 エースバーンはこれで戦闘不能となった中で驚いていたのは観客席にいたクモン達。当然ながら事情を知らない彼らにとってヨノワールのかみなりパンチがあそこまでエースバーンにダメージを喰らわすとは到底思えない筈。キョウスケに浮かんだ微かな疑問をぶつけた形が2連勝に繋がった。

 

「エースバーン、戦闘不能!ヨノワールの勝ち!」

 

「ヨノワール、2連勝!リーリエ選手まさかの2連敗スタートだ!」

 

「さすがの実力です…ですがそのヨノワールにはそろそろ退場していただきます…!」

 

 リーリエは表情を引き締め直すと戦闘不能となったエースバーンをボールの中に戻すと一つのモンスターボールをじっと見つめる。そのボールを見つめながら一息吐くと…

 

「行くよ…ほしぐもちゃん!」

 

「マヒナペ!」

 

「ルナアーラ!リーリエ選手、ここで伝説のポケモンを切って来ました!」

 

「伝説のポケモン…おもしれぇ…行くぜヨノワール!」

 

 ここでリーリエの前に姿を見せたのはアローラに伝わる伝説のポケモンの一体であるルナアーラ。ほしぐもという名前が若干クモン達には気になる所ではあるが、その中でただ1人キョウスケだけはニヤリとした笑みを浮かべていた。

 

「ヨノワール、かげうち!」

 

「ほしぐもちゃん、シャドーレイ!」

 

 ヨノワールが再び地面に潜り込みそのままルナアーラに接近しようとしたその時。ルナアーラが空中に飛んでいった事によりヨノワールは攻撃を中断。ヨノワールが振り向いたその時に空中に行ったルナアーラから無数のレーザーが炸裂。それが直撃する形となり爆煙が巻き起こる。

 

「ヨノワール!」

 

 爆煙が晴れるとそこには戦闘不能となっているヨノワールの姿が。エースバーンとの戦い、さらにボーマンダとの戦いにて疲弊しているとはいえまさかの一撃でのノックアウト。ヨノワールがやられているのを見てキョウスケは悔しそうに歯を食いしばる。

 

「ヨノワール、戦闘不能!ルナアーラの勝ち!」

 

「ルナアーラが牙城を崩す!これで4対3!一体差まで詰め寄ってきました!」

 

「ヨノワールよくやった。ナイスファイトだ。伝説が相手だ…燃えるんじゃねぇか?ジガルデ!」

 

 ヨノワールをボールの中に戻したキョウスケが次に繰り出したのは伝説のポケモンの一体であるジガルデ。カロスに伝わる伝説のポケモンとアローラに伝わる伝説のポケモンのマッチアップ。この対面に観客はこの日一番の盛り上がりにて二体の戦いを歓迎する。

 

「ジガルデですか…その牙城…突破させていただきます!れいとうビーム!」

 

「コアパニッシャー!」

 

 ルナアーラから放たれたビームとジガルデが放ったビームが地面を抉り、そして地面を凍らせながら衝突。お互い伝説のポケモンという事もあり、巻き上がる衝撃が段違いで一歩間違えれば吹き飛ばされるんじゃないかという勢いの風圧が観客を襲う。

 

 両者の一撃は爆煙を巻き起こし大爆発。リーリエとキョウスケの視界に煙が入って来る中…

 

「ムーンフォース!」

 

「グランドフォース!」

 

 ルナアーラが身体を光らせそのままジガルデがいる方にへと突進して行く中でジガルデは身構えの姿勢から声を張り上げ、大地を揺らす。だが空中を浮遊しているルナアーラがダメージが食らう事なく、そのままジガルデの目の前に行き突進を食らわす。

 

 ルナアーラは吹き飛ばしにかかるがジガルデは何とか踏ん張り…

 

「吹き飛ばない!?」

 

「コイツの耐久を舐めんなよ!ジガルデ、コアパニッシャー!」

 

 地面を抉りながら踏ん張るジガルデの身体が光り出すと何と突進を続けているルナアーラにレーザーを放出。ゼロ距離からの攻撃にはさすがになす術なしでルナアーラはジガルデの前から吹き飛ばされていき、リーリエの前にて何とか踏ん張った。

 

「ゼロ距離でまさか攻撃してくるなんて…びっくりしましたよ」

 

「何があるのか分からないって所は見せられたと思うぜ」

 

「ムーンフォースを食らってダメージがないように見える…なるほど…ターフラウンドのマルノームでは太刀打ち出来ない訳だ」

 

ルナアーラとジガルデ。お互いが勢いよく声を張り上げる中でお互い緊張したかのように一息吐くキョウスケとリーリエ。再度表情を引き締め直すとルナアーラとジガルデと同じく声を張り上げる。

 

「サウザンアロー!」

 

「サイコキネシス!」

 

 空中からジガルデは無数の光の矢を降らせて行く中でルナアーラは念力にて矢の矛先を自分から逸らし、あらぬ方向にへと落として行く。そんな中ルナアーラをすり抜けて行った一つの玉。きあいだまだがルナアーラはゴーストタイプが入っている為効果がないためダメージが入らない。

 

「きあいだま?」

 

「それに気をやって大丈夫か!ジガルデ、コアパニッシャー!」

 

「まずい!ほしぐもちゃん、れいとうビーム!」

 

 狙いはルナアーラではなくリーリエ自身を油断させる事。リーリエの油断を招く事に成功するとそのままキョウスケはジガルデに指示を出す。リーリエもそれに対応し何とか指示を出した事により、ルナアーラにジガルデの攻撃が食らう事なく相打ちとなった。

 

「さすがに対応してくるな」

 

「当たり前ですよ!」

 

 ニヤリとした笑みを浮かべるキョウスケとすこし不満げのリーリエ。観客が大いに盛り上がる中受付付近からじっと戦況を見つめるガリュウの姿があった…




見てくださりありがとうございます!


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アマチュアトーナメント1回戦!(中編・2)

何かバグで投稿出来なかったので投稿し直しです。


 前回のあらすじ!まだ戦っているんだぁ!

 

「シャドーレイ!」

 

「叩き落とす!サウザンアロー!」

 

 身体にエネルギーを溜め込みながら空高くに舞い上がったルナアーラに対してジガルデは身体を光らせると一気に無数の光の矢を放出。エネルギーを溜め込み一気に放出しようとしたルナアーラもこの無数の矢の攻撃に堪らず攻撃を中断。ジガルデから距離を取ろうとした所、キョウスケはつけ込む。

 

「コアパニッシャー!」

 

「ムーンフォース!」

 

 サウザンアローを飛び回りながら回避していたルナアーラだったが空中で止まり、身体から光の玉を放出。身体を光らせビームを放って来たジガルデに対抗しようとしたが、こんな事があるのか。ムーンフォースとコアパニッシャーがぶつかり合ったとおもいきや、相打ちになる事なく少し方向がずれながらもこちらに向かってくる。

 

 これにはお互い避け切る事が出来ずに直撃。爆煙の中ルナアーラは地上へ落下しジガルデは爆煙の中、仰向けで倒れる。

 

「ほしぐもちゃん!」

 

「ワンパチ!」

 

「ジガルデ、ルナアーラ共に戦闘不能!相打ちとなります」

 

「まさかのダブルノックアウト!伝説同士の戦いはお互い譲らない戦いとなった!」

 

 落ちたルナアーラと倒れたジガルデはこの1発により戦闘不能に。リーリエ、キョウスケ共に息を呑む中お互いのポケモンをモンスターボールにへと戻す。これで残すポケモンはリーリエが2体、そしてキョウスケが3体。ここで両者が繰り出したのは…

 

「行くよシロン!」

 

「シロン…?だったらもう一度戦いてえよな!ラプラス!」

 

 リーリエが繰り出したのはアローラキュウコン。そしてそれに引き寄せられる形でキョウスケが繰り出したのはラプラス。リーリエがそしてモニター越しから見つめていたミリが驚きの表情を見せる。そして勢いよく声を張り上げるラプラスに対してリーリエは笑みを浮かべ…

 

「シロン、覚えているよねあのラプラス」

 

「コォン!」

 

「よし…今度は負けませんから!行くよシロン、フリーズドライ!」

 

「気合い負けすんなよ!ラプラス、フリーズドライ!」

 

 お互いに対面したキュウコンとラプラスはお互いに身体から冷気を放って行くと、お互い放った冷気がぶつかり合いパリン!という大きな物音と共に水蒸気に代わって行く。そんな中お互い攻めの手を緩めず…

 

「ラプラス、10まんボルト!」

 

「シロン、あなをほる!」

 

 ラプラスが纏った電気がそのままキュウコンの元にへと向かって行ったが、キュウコンが穴を掘る際に撒き散らした土により電気は拡散。そのまま消滅すると…

 

「来るぞラプラス!気をつけろ!」

 

「そのまま突撃!」

 

 ラプラスの後方から土を撒き散らして出てきたキュウコンはそのままラプラスに突進。まともに突進を喰らわせたがラプラスは何とか小さな手の先で踏ん張り、キュウコンの方に振り向くと…

 

「ラプラス、アイアンヘッド!」

 

「その技を持ってるのは分かってます!じんつうりき!」

 

 ラプラスがキュウコンに頭をぶつけようとしたその時。キュウコンは目を光らせ念力でラプラスを止めようとしたが、ラプラスは一瞬は止まったものの声を張り上げながら動きを再開。驚いたキュウコンに頭突きを喰らわせた。

 

「嘘!?技を食らった状態で!?」

 

「へっ!常識に囚われないのが俺たちだぜ!ハイドロポンプ!」

 

「マジカルシャイン!」

 

 口からラプラスが水を放出しようとしたが身体を光らせ、光の弾丸を無数に放ったキュウコンにここは軍配。弾丸を無数に食らったラプラスは思わず技を中断し、自らの判断でキュウコンから距離を取る。

 

「逃しません、あなをほる!」

 

「ラプラス地面に向かってハイドロポンプ!」

 

「キュウ!?」

 

「俺はお前のタイミングに託す。任せたぜ」

 

 キョウスケの指示に一瞬驚いたラプラスではあったが地面に潜ったキュウコンを一瞬見つめた後、表情を引き締め口を思い切り開き地面に向かってハイドロポンプを打ち込む。リーリエもこの行動には驚いていたが一番驚いたのは攻撃されるとは思っていないキュウコンだろう。

 

 ラプラスがいる一帯の地面が水によって吹き飛んだのを見て、キュウコンは自らの判断でラプラスからかなり離れた場所に出る。

 

「ナイスだラプラス!畳み掛けるぜ、アイアンヘッド!」

 

「フリーズドライ!」

 

 高速で自分の元に迫って来たラプラスに対してリーリエはキュウコンにフリーズドライを指示。ラプラスの身体が凍らされて行く中でラプラスは必死にキュウコンに頭突きを喰らわせた。キュウコンが地面に叩きつけられたと同時に巻き上がる砂煙。

 

 両者が息を呑んで見つめる中砂煙が晴れた先で視界に入って来たのはラプラス、キュウコン共に戦闘不能となっている姿。これを見てキョウスケは一息吐く。

 

「キュウコン、ラプラス共に戦闘不能。相打ちです」

 

「ここでのまさかのダブルノックアウト!互角に見えましたがいやあ!凄い戦い!然しリーリエ選手!残すは一体となりました!」

 

「大した者ですよ。ラプラスの自我に任せるなんて」

 

「アイツの目立ちたがり屋な所は一番知ってるからな。俺も賭けに等しかった」

 

 リーリエの言葉にキョウスケはニヤリとした笑みを浮かべた後に堂々と言い張る。だがこの形でリーリエが残すポケモンは後一体。リーリエはキョウスケの言葉に若干の笑みを浮かべた後に表情を引き締め、キュウコンをボールに戻した後最後の一体の入ったモンスターボールを取り出す。

 

 キョウスケも余裕かと見られていたが残すは2体。レックウザ、ヨクバリス、ウオノラゴンの選択から何を選ぶか。だが彼の中ではもう決まっていた。

 

「行くよ…ウーラオス!」

 

「やっぱり来たか。頼んだぜレックウザ!」

 

「あのウーラオス…何か構えが違うような…」

 

 対面したのはウーラオスとレックウザ。だがウーラオスの構えが一撃の型と連撃の型と少し違う感じとなっており、若干カンフー映画に出てきそうな身構え方となっている。クモンはそれを見て思わず息を呑んだがキョウスケも気づいてない訳もなく…

 

「記憶していたウーラオスとは少し構えが違うようだが…」

 

「私もこうなるとは思ってなかったですが、マスタードさんが命名してくれました。この子の型は豪撃型と」

 

「豪の…え?まさかソイツ一瞬出てきたあのダクマか!?」

 

「一瞬って言わないで下さい!…とりあえずそうです。この子は一撃、連撃だけしか覚えない型の技を使えるそうです。ただで突破出来ると思わないで下さいね…!」

 

リーリエがウーラオスの型が豪撃の型と言わしめた後、余裕そうな表情から一転表情を引き締める。キョウスケも急に姿を現した型に驚きを見せていたがリーリエの表情を見て気を引き締め直すと…

 

「行くぜレックウザ…かえんほうしゃ!」

 

「ウーラオス、すいりゅうれんだ!」

 

 レックウザは声を張り上げると口から火炎を放出。だがウーラオスが手の先に纏った水の波動の力により数発殴っただけでかき消されてしまい、そのままレックウザの元へ。キョウスケの反撃の指示も許さぬままに連撃を2回レックウザに叩き込み怯ませる。

 

「つばめがえし!」

 

「アイアンテール!」

 

 拳に波動を纏いそのまま手刀にてレックウザを叩きつけようとするウーラオス。だがレックウザの尻尾によってその攻撃は防がれ、ぶつかり合ったのも束の間押し返される。

 

「りゅうのはどう!」

 

「つばめがえし!」

 

 レックウザと少し距離を取ったウーラオスに対してレックウザは口から波動を放出。そのままウーラオスにぶつけようとしたが手に纏った波動にてりゅうのはどうをあっさりとかき消す。それを見て驚いたのはキョウスケ。この仕草から見てレックウザとウーラオスの差は歴然に見えた…




見てくださりありがとうございますー。
次回リーリエ戦決着です!


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アマチュアトーナメント1回戦!(後編)

前回予告した通りリーリエ戦決着となります!勝敗はどちらの手に!是非お楽しみください!


前回のあらすじ!まだバトルが続いておりまぁす!

 

「つばめがえし!」

 

「アイアンテール!」

 

 両手に波動を纏わせ、地面を蹴り出すと一直線にウーラオスがレックウザに向かってくる。レックウザも尻尾を光らせ、薙ぎ払うかのようにしてウーラオスに対抗。だが渾身の一撃がウーラオスの片腕で簡単に止められるとそのまま尻尾を弾き、レックウザの顎に拳を叩き込みさらにレックウザの真上からもう一回拳を今度は落とすようにして叩き込む。

 

 そのまま地面に叩きつけられた中ウーラオスは堂々と空中から地面に降り立って行くがキョウスケはそこにつけ込む。

 

「レックウザ、かえんほうしゃ!」

 

「ウーラオス!すいりゅうれんだで炎をかき消して!」

 

 地面に叩きつけられた中あっさりと身体を起こし空中にいるウーラオスに向かって火炎を吐くレックウザ。ウーラオスは空中ながらも水を拳に纏い向かってくる火炎をかき消して行く中で…

 

「りゅうのはどう!」

 

「すいりゅうれんだ!」

 

 火炎を全てかき消した瞬間、ウーラオスがもう一度拳に水を纏おうとしたその時に波動が目の前へ。さすがに防ぐ動作と弾く動作に入れずに直撃。ウーラオスは吹き飛びつつも地面に着地、前方のレックウザに対して半身の姿勢を取る。

 

「1発入れたぜ…!」

 

「さすがの執念…然し差は歴然としたもの!ウーラオス、あんこくきょうだ!」

 

「やりようはあるさ…レックウザ、りゅうのはどう!」

 

 身体に赤黒いオーラを纏うとウーラオスはそのまま地面を蹴り出して一気にレックウザの元へ。そのまま突っ込もうとしたがレックウザが放ったりゅうのはどうの光により少しだけ標準がずれ、レックウザの身体に拳が掠りはしたが直撃とはならず。

 

 あんこくきょうだは反動が大きい技。レックウザの後方に着地した瞬間にウーラオスはその反動からかその場に膝をつく。

 

「やはりダメージは入らねぇか!だが隙を見せる事は出来た!レックウザ、ガリョウテンセイ!」

 

 レックウザが空中に舞い上がるとそのまま青白いオーラを身に纏いながら、膝をついているウーラオスにへと突撃。レックウザが急降下している間にウーラオスはゆっくりとながらも立ち上がり、レックウザの方に振り向いたのだが…

 

 回避行動などは間に合わずガリョウテンセイをまともに食らう羽目に。だが巻き起こった砂煙が晴れるとそこには腕でレックウザを止めているウーラオスの姿が。

 

「なっ!?冗談だろ!?」

 

「受け切った…レックウザのガリョウテンセイを…!」

 

「実力の差があり過ぎるのか…!」

 

 レックウザの両顎をウーラオスが持っている姿を見てミリやクモン達が驚く中キョウスケの驚いた反応を見てリーリエは笑みを浮かべる。そしてすぐに気を引き締めたかに真剣な表情に戻ると…

 

「ウーラオス、そのままインファイト!」

 

 ウーラオスは勢いよくレックウザの両顎を離すと両拳を握りしめ、そのまま目にも止まらぬ速さで拳を何回も叩きつけて行き最後の一撃がレックウザの顔面に炸裂。そのまま殴り抜かれレックウザはウーラオスからかなり吹き飛ばされた。

 

「ようやく本気で焦ったような表情を浮かべましたね。その表情を見て私の中の焦りが消えた気がします」

 

「あまり喰らわない筈の一撃であんなに吹き飛んだら焦りはするだろ…」

 

「インファイトはひこうタイプのレックウザにはあまり食わらない筈なのに…!」

 

「明らかに押されてますよレックウザ!大丈夫なんですか!?」

 

 あまりの優劣分かれた戦いぶりにファンクラブの者からも不安の声が漏れる。さすがのキョウスケもこのままだとやられるだけだと思い、交代を渋ったが少し余裕が出てきたリーリエと変わらずに身構えるウーラオスに対しレックウザはよろけながらも立ち上がる。

 

 キョウスケが身体を震わせたその時…

 

「トドメを刺しますよウーラオス!あんこくきょうだ!」

 

「グオオオ!」

 

 ウーラオスが身体に赤黒いオーラを纏おうとした瞬間にレックウザの咆哮がスタジアム中に響き渡ったかと思いきや、ウーラオスは何かを察してか技を中断。それにリーリエも疑問を抱いたがレックウザの身体が突如として光出したのを見てキョウスケも少し驚きながらその状況を見つめる。

 

 スタジアム中に突如として巻き起こった乱気流と共にレックウザが姿を変えながらもう一度咆哮を上げる。

 

「あの姿は…!?」

 

「ゲンシカイキ…!初めて見た…!」

 

「このタイミングで…ですか…!」

 

「レックウザ…気合い入れ直せってそう言うんだなお前…!」

 

 その場にいる全員が呆気に取られる中レックウザがこの状況でゲンシカイキした意味をキョウスケは伝えられたような気がした。軽く深呼吸をし大声を張り上げスタジアム中に響かせると…

 

「勝つぞこの試合!レックウザ、りゅうのはどう!」

 

「推し負けないでウーラオス!つばめがえし!」

 

 レックウザが口から波動を吐くと先程同様リーリエはつばめがえしで対抗。ウーラオスは拳に波動を纏わせて掻き消そうとしたが、逆に押し返され直撃した。

 

「まさか!?」

 

「アイアンテール!」

 

「もう一回つばめがえし!」

 

 尻尾に光を纏わせ爆煙が巻き上がる中ウーラオスにレックウザは突撃。そのまま近寄ると尻尾を振り下ろすが今度はウーラオスの片腕に防がれる。だが今度はびくともしないのではなく、腕を押し込み少し前屈みの姿勢を取らせるとそのままもう一度尻尾を動かしウーラオスを叩く。

 

「すいりゅうれんだ!」

 

 叩かれた後態勢を元に戻しすぐにレックウザに飛びかかるとレックウザの身体に拳を連続して叩き込んでいく。

 

「かえんほうしゃで近寄らせるな!」

 

 レックウザから吐かれた炎がウーラオスの近くへ。これをかわしたウーラオスはレックウザから距離を取ると再び半身の態勢で身構える。

 

「つばめがえし!」

 

「りゅうのはどう!」

 

 ウーラオスが再び拳に波動を纏わせそのままレックウザに向かって行こうとするがレックウザの波動を一直線に突っ込んだ物だからまともに喰らい、その場から少し吹き飛ばされる。

 

「俺達はその先にへと進む!レックウザ、ガリョウテンセイ!」

 

「ウーラオス!あんこくきょうだ!」

 

 決意を改めて口にするとレックウザに技を指示。レックウザが空中に舞い上がるとオーラを纏う間にウーラオスもオーラを纏いそのままレックウザに向かって地面を蹴り出して飛びかかって行く。両者が空中にてぶつかり合い爆煙を巻き起こす中先に姿を見せたのは…

 

「……!」

 

 ボロボロとなったウーラオスだった。そのまま力なく落下して行くとそのまま地面に叩きつけられる。リーリエがウーラオスに近寄るとウーラオスは戦闘不能となっていてリーリエは少し歯を食いしばる。

 

「ウーラオス、戦闘不能!よって勝者キョウスケ選手!」

 

「何という激戦!この一戦を制したのはキョウスケ選手だぁ!」

 

勝者が告げられるとキョウスケは少し息を切らしながら黙り込んでいたが周りから送られる惜しみない拍手を聞くとようやく安心したかのように大きくため息を吐く。レックウザに笑みを浮かべボールの中に戻すとリーリエも戦闘不能となったウーラオスをボールの中に戻しキョウスケに近づく。

 

「完敗です。あんな逆境で出る絆を見せられて負けるんだったら私達の力不足ですね」

 

「何言ってんだ紙一重だろ」

 

「素晴らしい1回戦を演じてくれた両者!皆様拍手をお願いいたします!」

 

 リーリエ、キョウスケ共に笑みを浮かべ握手を交わすとロビー、スタンド問わずに惜しみない拍手が再度送られる。1回戦を突破したキョウスケ、その光景を控え室にて見つめていたリュウは闘志を燃やしていた…




ずっと戦ってるので1話閑話を挟もうかと考えてます。


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祝福?うるせぇ!ラーメンよこせ!

久しぶりですー。今回は閑話回。ふざけも入ってますが次回に繋げる感じにもしてます。


 前回のあらすじ!戦い疲れましたぁ!

 

「だから何でアンタはバトルパート終わったらふざけるのかなぁ!?」

 

「うっせぇ!仕方ねぇだろ元々ギャグ作品なんだから!」

 

「作品というな作品って!」

 

 リーリエとの激戦を制し受付前にへと戻って来たキョウスケは真剣になり過ぎた分の羽目をミリにぶつける事で発散。両手の中指を立てながら謎の反復横跳びを繰り返すキョウスケに対してミリは呆れたかのようにため息を吐くが、そんな2人の近くから鳴り響いたのはどこかしらからの拍手で…

 

「誰だぁ!俺の羽目を邪魔する奴ぁ!出てこい!目からビームを放ってやる!」

 

「私です!キョウスケ様!」

 

「クモォン!お前だったのかぁ!」

 

「仲良いよねホントアナタ達…」

 

 拍手が聞こえて来た方角にへと振り返るとそこにいたのはリーリエ戦にて大声援を送っていたクモンを筆頭としたキョウスケのファンクラブ達。肩を組み合って喜ぶキョウスケとクモン。その横からファンクラブの面々が加わりいつのまにか大きな円陣な形となっていたが…

 

「いやあ勝った後のふざけは実に気分が良いものですなキョウスケ様!」

 

「馬鹿やろ!勝ったのは俺だ!」

 

「そうでしたな!失礼しました!どうです!この後ラーメンというのは!」

 

「そうだ!ラーメンに行かなければ!おいミリ!勝利宴だ、ラーメン行くぞ!」

 

 すっかり気分良くしてしまったキョウスケとクモン達は輪に加わらなかったミリを置き去りにして元々予定していたラーメン屋に行く事を決断したのだが、会話の中で置き去りにされていたミリは何がなんだか分からない。疑問と言わんばかりに苦笑いを浮かべていると…

 

 その場に慌てて走ってくる1人の女性が。先程激戦を繰り広げた相手であるリーリエだ。慌てて走って来た為かかなり息を切らしている。

 

「キョウスケさん!さっきの試合お疲れ様でした!」

 

「おうリーリエ!最高のバトルをありがとな!そうだリーリエ!お前もラーメンに行くぞ!」

 

「え、あ、ラーメン!?」

 

「このクモン奢らせて頂きますぞ!」

 

「どうやってラーメン屋に行く考えに至ったかまず説明しなさいよ…」

 

 話しかけて来たリーリエに向かって満面の笑みを浮かべながらキョウスケは彼女に語りかけると彼女もラーメン屋に誘おうとするが、そんなつもりはなかったリーリエからしたら当然困惑の表情。リーリエの対応を見てため息を吐いたミリの対応を見てキョウスケは…

 

「ラーメンが先だ!俺は腹が減った!」

 

「神がラーメン屋に行くのですぞ!」

 

「いつからキョウスケさんは神様扱いになったんですか、ミリさん」

 

「この人達にとってはキョウスケは常に神様なのよ…」

 

 説明する前に何故かキョウスケとクモンを筆頭に顎を突き出した感じからミリに対して不満気な表情を浮かべる一行。ミリの側に行ったリーリエからの一言にミリは再びため息を吐く。リーリエはミリの言葉に疑問を残しつつも頷きを入れる。そんな2人を見ながら輪を崩した一行はその場で挑発するかのように踊り出した。

 

「踊るな会場で!」

 

「うるせぇ!かめはめ波という名の一撃をお見舞いするぞゴラァ!」

 

(かめはめ波…?)

 

「アンタのかめはめ波はただのオナラでしょうが!」

 

「な、何故それを理解している!?ええいミリは化け物かっ!」

 

 リーリエは一瞬キョウスケの言葉に身構えたがミリの言葉にハッとさせられたキョウスケを見るなり、気が抜けたかのように顔に手をやる。変顔ながらもミリに押されそうになるキョウスケの周りにはファンクラブが何故か盾になるかのように立ち塞がる。

 

「やめなさい!それ以上馬鹿にするなら私達親衛隊が相手だ!」

 

「ファンクラブなんじゃ…」

 

「リーリエの言う通りよ、アンタ達ファンクラブでしょ」

 

「記憶にございません」

 

 そのふざけたような流れからその発言が出たのか。リーリエとミリの言葉にクモン達は顔を見合わせると真顔で2人の方を見て「記憶にない」との発言。これには思わず隠れていたキョウスケもずっこけたようなそんな物音が聞こえて来たが、当然ミリ達からしてどこにいるか分からない。

 

「流れで言ったのかよ!?俺の親衛隊じゃなかったの!?」

 

「いやいや親衛隊ですよ!その肩書きがファンクラブであるだけで…」

 

「言ってる事バラバラじゃねぇか!」

 

 キョウスケからもクモン達はツッコミを受ける中で呆れるミリやリーリエ。そしてこちらに近づいてくる姿。クモン達がその足音に耳を傾けその姿の方に視線を向けるとそこにはコートにシルクハットを被っている男性。クモン達は思わずキョウスケから離れる。

 

「気を遣ってくれて感謝するよ」

 

「ようガリュウ。自ら近づいて来たという事は俺の戦いを見ていたという事だよな」

 

「ターフタウンでの開幕以来です…」

 

 その場の空気が一気に一変。緊張するリーリエとミリに対してすぐ終わると口にしながら自らに近づいて来たキョウスケにガリュウは視線を向ける。キョウスケの言葉に対してガリュウは少し笑みを浮かべると…

 

「ああ、見ていたさ。君とはシュートで当たらないと行けない。トレーナーの戦力は確かめておかないとな」

 

「意識してくれてどうも。アンタの息子の試合を見なくて大丈夫なのかい?」

 

「リュウなら勝ち上がるさ。彼は既に私の視野の範囲を超えてる」

 

「勝ち上がるのはキョウスケ様です!絶対奇跡を起こす!」

 

「キョウスケにはいい応援団がいるようだ。君が勝ち上がるのを楽しみにしてるよ」

 

 トレーナーとして対戦していないのにも関わらず彼から感じる威圧感。それにキョウスケ達は少し押されつつもクモンの言葉にガリュウは笑みを浮かべながらその場を去って行く。いずれ当たるかもしれないがまだ彼の意識の範囲内にはキョウスケの名前はない。

 

 軽く言葉を受け流されたクモンは思わず苛つきの表情を浮かべたがこうして姿を見せたという事は小さくもながらも気にはなっている様子。

 

「あの人を見るとやはり緊張してしまいますよね…」

 

「アイツにとってまだ警戒の範囲内にも入っていないという事か。遠いな…その道のりは」

 

「キョウスケ様!気弱になっては行けません!そうだ、ここは先程口にしたラーメン屋に行きましょう!」

 

「そうだな!よし行くぞ!」

 

 クモンの言葉にすっかり調子を取り戻しリーリエとミリも巻き込まれる形でキョウスケとクモン達ファンクラブと共にラーメン屋へ。気分良くラーメン屋に向かって行く背中。その背中を見つめる一つの姿。その姿にガリュウが歩み寄る。

 

「…何か?」

 

「いや気にしている姿がふと目に入ったからつい…な」

 

「残念ながらキョウスケに対しての答えは持っていませんよ」

 

「気にしていないなら名前すら出てこない筈だが?」

 

 ガリュウが歩み寄った先にいたのは狐のお面を付けた1人の少女。壁に持たれかかりながらガリュウの言葉に対して彼女はため息を吐く。

 

「その余裕…今にでもへし折ってやりたいです」

 

「君がもし…私に対する事になったらその挑戦を受け入れよう」

 

「…アナタには何が見えているんです?優勝だけですか?」

 

「何だと思う?キョウスケに睨みを効かせる君なら…ある程度は分かるとは思うがね」

 

 少女の言葉に対して依然その笑みに似たような表情を崩さないガリュウ。この仮面の少女も大会参加者であるがキョウスケのグループとは同じなのだが彼女とキョウスケが例え勝ち進んでもナックルラウンドで激突する事はない感じとなっている。

 

「必ずアナタを倒しますから。その本性暴いてやります」

 

「ああ…楽しみにしているよ」

 

 挑発のような言葉を繰り返す少女と余裕の表情を浮かべるガリュウ。キョウスケはいずれこの2人と激突するのだろうか…




見てくださりありがとうございます!
少女の正体は…近々分かると思います。


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アマチュアトーナメント2回戦!(前編)

久しぶりですー。今回から2回戦!バトルエピソードが相変わらず続きますがギャグメインは閑話回で書けたらなと思ってます。


 前回のあらすじ!ラーメン屋に行きました!ラーメンの評価は星3つ!以上でスタジオに返します!

 

「いつからこの作品はラーメンを評論する作品になったのよ」

 

「うるせぇな。ラーメン奢ってやったからいいだろ?」

 

「クモンさんがお金出してくれたんだけどね。応援される身として恥ずかしくないの?」

 

「記憶にございません」

 

 シュートシティ行きを決めるトーナメント2回戦。前日はAブロック、Bブロック共に1回戦のみで終了。この2日目の2回戦を突破した者が次のラウンドへの進出を決める。いつも通りミリを呆れさせながらナックルスタジアムの入り口を通ったキョウスケ。前日ラーメン屋に行きそのままホテルに戻ってしまった為、2回戦の相手を今日初めて見ることになる。

 

「えっと対戦相手は…」

 

「リュウ君だよ。対戦相手に5ー0で圧勝したみたいよ」

 

「アイツが相手を一体のポケモンで5タテしたという事か!?」

 

 受付のTVビジョンにて対戦相手を確認しようとするキョウスケの隣でミリはスマホロトムを見ながら静かに対戦相手を彼に告げ、その対戦の結果も同時に告げる。その結果にキョウスケはさすがに驚いたような声を上げた後に深くため息を吐く。

 

 その2人の元にキョウスケと同じくため息を吐きながら近づいて来たのは…

 

「次、自分が当たる相手なのにその対戦結果も知らないとは。びっくりですよ」

 

「出たなガリュウのボンボン!」

 

「誰がボンボンだ!とにかく6体目はジガルデと決めていますから!勝ってシュートラウンドに連れて行きますから!」

 

「……」

 

 少し馬鹿にするような形でキョウスケに近づいて来たのはその対戦相手であるリュウ。キョウスケの言葉に言い返しつつも彼に睨みを利かしながらその場を後にする。少しキョトンとした表情を浮かべるキョウスケに対してその隣でミリは少し悲しげな表情を浮かべる。

 

「どしたよミリ?」

 

「ジガルデにあんなにこだわってもし本当に目的を完遂したら彼はどうなるんだろうって」

 

「アイツの夢をもしで終わらせてやる。俺に出来るのはそれだけだからな」

 

 ミリの言葉に少し頭をかきながらキョウスケはため息を吐くとミリの方を見て静かに呟くと、「心配すんな」と言わんばかりに彼女に笑みを浮かべる。一瞬不安に思っていたミリはキョウスケの笑みを見て安心したのか、彼と同じく笑みを浮かべる。

 

「キョウスケ選手ですね。後数分で試合を行いますので控え室に案内致します」

 

「何だぁテメェ!俺の行動を制限するとはいい度胸だなぁ!?」

 

「……」

 

「あ、ハイすんませんでした。行くので許してください」

 

 控え室に案内しようとしたスタッフに対して顎を突き出し中指を立てながら煽るような言葉を発したが、スタッフの真顔からの無言の圧力に屈する形でスタッフについて行く形で選手控え室へ。この日も観客席は満席。当然いつものようにクモンらファンクラブも陣取る訳なのだが…

 

「お疲れ様ですクモンさん」

 

「おぉ!リーリエさん!キョウスケ様に顔を出さなくて大丈夫なんですか?」

 

「私はもう選手じゃないんで…私に勝った人がどこまで行くのか、見届けようって」

 

「スタジアムの皆様!お待たせ致しました!トーナメント2回戦!その一戦目の選手が入場となります!」

 

 クモン達が気合いを入れ直す中でその近くにやって来たのはリーリエ。クモンの言葉に苦笑いを浮かべつつも、スタジアムの方を見つめる。スタジアムDJのアナウンスから歓声が湧き上がると、右入場口、そして左入場口がライトで照らされる。

 

「まず左側!期待されるガリュウの息子!前回は5ー0のストレート勝ち!リュウ選手!」

 

「そして右側!ここまでの快進撃を誰が思ったか!ガラルの恥!キョウスケ選手!」

 

「誰が恥だ誰がぁ!」

 

 DJアナウンスに言い返しつつも右側の入場口からバトルコートに足を踏み入れて行くキョウスケ。その反対の左入場口から集中したようなそんな表情でバトルコートに足を踏み入れたのはリュウ。リーリエも2人の対面をジッと見つめる。歓声を浴びつつ2人は静かに向き合う。

 

「ようやくです。アナタと戦う日、楽しみにしてました」

 

「ジガルデの為だろ?」

 

「当然じゃないですか。何を今更」

 

「その夢終わらせてやるよ。早く位置につきな」

 

 リュウの余裕そうな笑みを受け流す形でキョウスケは彼に背を向けて静かに位置にへと向かって行く。そんなキョウスケの背中を見ながらリュウは舌打ちをしつつ、キョウスケと同じく少し離れた場所にてモンスターボールを取り出す。キョウスケもモンスターボールを取り出す。

 

 するとマイクを乗せたロトムが2人の中間辺りの場所に降り立ち…

 

「用意はいいでしょうか?バトル…スタート!」

 

「行きますよトロピウス!」

 

「頼んだ!ウオノラゴン!」

 

 モンスターボールを構えていた両者が同時にボールを投げる。リュウはトロピウス、キョウスケはウオノラゴンというマッチアップ。くさタイプのトロピウスとみずタイプのウオノラゴン。これだけで見ればくさタイプのトロピウスが有利だが違いはウオノラゴンにはドラゴンタイプが入っている。

 

「トロピウスは初めてですね見るのは。今まで彼が使っていたのは4体でしたから」

 

「キョウスケ様は試合すら見てないんで驚きはないんじゃないですかね?」

 

「良く戦ってますよね…ホント」

 

「トロピウス、ぎんいろのかぜ!」

 

 クモンの言葉に対し苦笑いを浮かべるしかないリーリエ。そんな緩い会話が観客席で行われている中、トロピウスが放った緑色の風がウオノラゴンの元へ。

 

「りゅうのはどう!」

 

 対するキョウスケはウオノラゴンに回避の指示を出さずに攻撃に転じ、ウオノラゴンは口から波動をトロピウスに向かって放って行く。風がウオノラゴンを傷つけていき、波動がトロピウスに直撃し爆煙を巻き起こす。

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「近づいて来るなら…!ドラゴンハンマー!」

 

 青白い光を纏い足元を蹴り出すとウオノラゴンはそのままトロピウスに向かって行く。飛びかかって来たウオノラゴンに対しトロピウスは尻尾を光らせて応戦。空中で尾と身体がぶつかり合うが相打ちとなり爆発。爆煙が再び巻き上がる中、ウオノラゴンは地面に着地しトロピウスも地面に叩き落とされる。

 

「エアスラッシュ!」

 

「エラがみでかき消せ!」

 

 再び空中に飛び上がったトロピウスが空中から風の刃を放って来るが、ウオノラゴンはエラがみで風の刃をかき消して行く。

 

「メテオビーム!」

 

「ここで受身を取るか!なら出す前に!リーフストーム!」

 

「リーフストームは高威力の技…!まともに受けたら…!」

 

 メテオビームは強力な技だが難儀なのはエネルギーを溜め込むのに時間を費やさないと行けないという事。ウオノラゴンがエネルギーを溜め込んでいる間にトロピウスからの葉を纏った竜巻がウオノラゴンに命中。ウオノラゴンは傷ついていきながらも何とか踏ん張り…

 

「倒れない!?」

 

「やってやれ!発射ぁ!」

 

 口からメテオビームを放出。その一撃は一直線にトロピウスに命中。トロピウスにメテオビームが命中した事を確認し、ウオノラゴンはその場に倒れ込み戦闘不能に。一方のトロピウスも地面に墜落しそのまま戦闘不能に。このマッチアップはダブルノックアウトという事で幕を下す。

 

「まさかのダブルノックアウト!リュウ選手、2試合連続のストレート勝ちの夢が消えました!」

 

「さすがにやりますね…でもここからですよ」

 

「それはこっちもだ。気合い入れて行くぜ」

 

 ダブルノックアウトという事でポケモンをボールに戻す両者。そしてリュウは2体目に繰り出したのはダイオウドウ。そしてキョウスケはついに登場したヨクバリスがバトルコートへ。パワー系対パワー系。その戦いが幕を開ける…




見てくださりありがとうございますー。


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アマチュアトーナメント2回戦(中編・1)

水曜日になってしまいました。ひとまず投稿しますー。


 前回のあらすじ!最近あっついよねぇ。

 

「アイアンヘッド!」

 

「じだんだ!」

 

 雰囲気をぶち壊しそうだったあらすじは放っておいて。突進して来たダイオウドウをヨクバリスは地面を叩きつけ自分の前に壁を作り出す事でその突進を食い止める。土壁が破壊された事により巻き上がる砂埃、それを気にする事なくキョウスケは指示を出す。

 

「ばかぢから!」

 

「じゃれつく!」

 

 身体の血管が浮き出るくらいに力を溜め込み、地面を思い切り蹴り出すとヨクバリスはそのまま一直線に突撃。一方のダイオウドウも鼻を振り上げながらヨクバリスを迎え撃つ。だが振り上げた鼻をヨクバリスは振り下ろされる際に間一髪でかわし、ダイオウドウの身体にへと突進を喰らわせる。

 

 そのままダイオウドウの体を掴むとそのまま持ち上げて自分の近くから投げ飛ばした。

 

「馬鹿な!?ダイオウドウが投げ飛ばされた!?」

 

「いい具合にダメージが入りましたね!」

 

「ばかぢからは強力な一撃と引き換えに自分の能力を下げる技…次の一撃は気をつけた方がいいのかもしれません」

 

 投げ飛ばされたダイオウドウは何とか地面を抉りながら踏ん張ったが効果抜群の技だったからか、蓄積されたダメージは大きい様子。少し痛がる姿にリュウは息を呑んだがすぐにキョウスケの方を見つめると…

 

「そっちがその技なら!ダイオウドウ!やり返すぞばかぢから!」

 

「受け身の体勢を取るぞヨクバリス!俺たちの耐久力見せてやらあ!」

 

「受け身の態勢!?」

 

 身体から蒸気のような物を出しながらダイオウドウは地面を蹴り出しそのままヨクバリスにへと向かって行く。ヨクバリスは自信満々に防御の態勢を作り出しダイオウドウを迎える。ダイオウドウの突進がそのままヨクバリスに命中したが少し地面を抉っただけでヨクバリスは吹き飛ばない。

 

 耐え切ったヨクバリスにキョウスケはしてやったりの笑みを浮かべると…

 

「まんまと抜群の技をぶつけて来たな!お返しだ!ヨクバリス、カウンター!」

 

「カウンター!?」

 

 身体から赤いオーラを滲ませたヨクバリスはキョウスケの指示を聞くと驚くリュウを前にして、ダイオウドウにタックルを食らわせて吹き飛ばす。重さのあるダイオウドウが簡単にリュウの後方にまで吹き飛んでいき、地面から巻き上がった砂煙がゆっくりと晴れると…

 

「ダイオウドウ、戦闘不能!ヨクバリスの勝ちです!」

 

「い、一撃…!」

 

「恐れ入りました…まさかこの大ダメージを誘発させるためのばかぢからだったなんて…」

 

 してやったりのキョウスケを見て全てキョウスケの作戦の内だった事を悟ったリーリエは驚いたかのような一言を発する。もちろん一番驚いたのはリュウだろう。戦闘不能となったダイオウドウを見て歯を食いしばると驚きを心に仕舞いながらダイオウドウをボールにへと戻す。

 

「ご苦労さんヨクバリス。後は任せてくれ」

 

「あっさり変えるんですね」

 

「うちのエースなんでね。出した以上は追い詰められた時のジョーカーとして控えさせておくさ」

 

 ヨクバリスをキョウスケはボールに戻すとリュウの言葉に淡々と答えつつ、彼が次に繰り出したのはラプラス。キョウスケの様子に納得の行かないリュウではあったが彼が次に繰り出したのはエスパータイプのポケモンであるサーナイト。

 

「エースを変えたキョウスケ選手はラプラス!リュウ選手は3体目にサーナイトを持って来ました!数はキョウスケ選手が有利!さあ!どうなるか!」

 

「ここで巻き返します!サーナイト、ムーンフォース!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 身体を思い切り光らせたサーナイトはそのまま光の球を作り出すとラプラスに向かって放出。一方のラプラスはサーナイトに対してハイドロポンプで応戦。水と光の球がぶつかり合い相打ちとなり爆発。水蒸気が煙のように巻き上がったが…

 

 次の瞬間サーナイトの前の水蒸気全てが凍り始め…

 

「何だ…!?」

 

「フリーズドライ…水蒸気は水が付いてるぐらいだから凍るよな…!そしてコイツがメインだ!10まんボルト!」

 

 フリーズドライにて水蒸気を凍らせると完全に油断し切ったサーナイトに向かって10まんボルトを放つ。リュウから何の指示も受けていないサーナイトに10まんボルトが直撃。サーナイトは麻痺状態となりその場に一度膝をつく。

 

「小癪な!サーナイト、やり返すぞ10まんボルト!」

 

「こっちも10まんボルト!」

 

 麻痺状態だがサーナイトはそれでも動きラプラスに向かって10まんボルトを放って行く。ラプラスも電気を纏い一気に放出。2体の10まんボルトがぶつかり合い、再び爆発にて爆煙が巻き上がる中リュウは負けじと指示を出す。

 

「シャドーボール!」

 

 黒い球を作り出し爆煙の先にいるラプラスにへとサーナイトはシャドーボールを投げつける。念力で場所を掴んでいる分その狙いには狂いなし。シャドーボールは見事にラプラスにへと命中し、傷を負わせた。

 

「やったな!なら…!行くぜラプラス!アイアンヘッド!」

 

「ここで攻勢!?」

 

 地面に自分の体を滑らせてそのままサーナイトの方にへと突進。リーリエやクモン達がこの攻勢に驚く中、ラプラスはあっという間にサーナイトの近くにへと迫る。

 

「好都合!サーナイト!10まんボルト!」

 

「サナ…」

 

「っ!?」

 

 麻痺を背負っての戦いとなっているサーナイト。リュウの指示通りにしたい所だがこの麻痺が響き、中々技を出せない。そうしている内にラプラスのアイアンヘッドがサーナイトの身体にへと直撃。そのままサーナイトは地面に叩き付けられる。

 

「サーナイト!」

 

「サーナイト、戦闘不能!ラプラスの勝ちです!」

 

「麻痺が勝負の分かれ目でしたな」

 

「ええ。あの麻痺はキョウスケさんに味方してくれたんだと思います」

 

 サーナイトはラプラスの一撃を受けて戦闘不能に。状態異常を患っての戦い。サーナイトにとってはとんでもなく重いハンデだったに違いない。リュウは再び歯を食いしばるとサーナイトをボールの中に戻し…

 

「何故だ…!何故運はアナタに味方をする!?昨日もそうだ!運はレックウザの覚醒を呼び起こした!何がアナタに…!」

 

「リュウ。今言っても仕方ねぇだろうよ。ほら次を出せよ。うちのラプラスはやる気満々だからよ」

 

 この展開に思わず溜め込んでいた不満が出てくるがいつもなら言い返すキョウスケは冷静に対応。リュウは舌打ちをすると4体目を繰り出す。4体目はケルディオ。前回冠の雪原にて対したポケモンがここで出てくる形となった。

 

「現れましたね…前回の5タテ。このケルディオがしたんです」

 

「キョウスケ様なら大丈夫ですよ。アナタの伝説を破ったんですから」

 

「!…そうですね」

 

「出てきたなぁ?ケルディオ。ラプラス、思い切りやろうぜ」

 

 リュウが出したのは1回戦にて5タテのストレート勝ちというとんでもない勝利を演出したケルディオ。リーリエは警戒したような表情でケルディオについて呟いたがクモンからの堂々とした表情からの一言に、一瞬驚きつつも納得したかのような笑みを浮かべて静かに頷く。

 

 冠の雪原で対したポケモンとの対峙だがあの時ぶつかったのはウオノラゴン。違うポケモンでのぶつかり合いとなったがラプラスは気合い十分。ラプラスの気合いを見たキョウスケはニヤリとした笑みを浮かべながらラプラスに語りかける。

 

「リュウ選手4体目のポケモン!対するキョウスケ選手はまだ4体残しているという圧倒的優勢!ラプラス対ケルディオの軍配はどちらに上がるんでしょうか!?」

 

 優勢はキョウスケ。だが笑みを浮かべながらもキョウスケの目に油断はなく、そしてリュウの目にはまだ諦めているという物は伝わって来ない。どちらに軍配が上がるのか。スタジアム中が息を呑んでいた…




見てくださりありがとうございます。次回に多分リュウ戦は完結するんじゃないかと思ってます。


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アマチュアトーナメント2回戦!(後編)

後編でございます!この話にてナックルトーナメントは完結の予定です!


 前回のあらすじ!ギャグ回少なくて申し訳ございません!

 

「アナタを越えて…ジガルデは貰って行きます!エアスラッシュ!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 ケルディオが角から風の刃を打ち込み、ラプラスが口から大量の水を放出。お互いに一直線に攻撃が向かって行くが風の刃が水を真っ二つに。ラプラスに風の刃が命中したがケルディオの前で水は当たる事がなく辺りに飛び散る。

 

「しんぴのつるぎ!」

 

「足元にある水にも気を配れよ…!」

 

「!まさか…!」

 

「ラプラス!水に向かって10まんボルト!」

 

 ケルディオが向かう先に水溜りとなって落ちたハイドロポンプの残骸。ラプラスはケルディオではなくその水に向かって雷を打ち込み、水を感電させるとケルディオが今踏み込んだその水の場所が電気を纏っており、ケルディオは感電。思わず攻撃を中断しその場から離れる。

 

 キョウスケの作戦にリーリエは思わず凄いと思いながら息を呑む。

 

「小癪な…!きあいだま!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 身体全体を光らせ、一個の光の球を作り出すとラプラスに向かって放出。ラプラスはさっきと同じくハイドロポンプで対応して行くがきあいだまが水をかき消して行き、ラプラスに直撃。こおりタイプを持つラプラスには効果抜群だが、これにリュウは思わずしてやったりの表情を浮かべた。

 

 ラプラスに直撃したきあいだまが爆煙を巻き起こす中リュウはさらに動く。

 

「終わりにします!しんぴのつるぎ!」

 

「俺のポケモンが簡単に終わると思うなよ!フリーズドライ!」

 

 足元を蹴り出して今度は飛びかかるような形で角を光らせ、その角を一気に振り下ろそうとする。だが爆煙の中冷気がケルディオに浸透。ラプラスの姿が見える中でその一撃は命中する事なく、ケルディオは氷漬けに。だがその氷はあっという間に溶けたが代わりという名の爆発。

 

 これによりケルディオがリュウの前まで吹き飛ぶ。

 

「ケルディオ!」

 

 ケルディオが地面に叩きつけられた際に巻き上がった砂煙が晴れるとそこにいたケルディオは一気に戦闘不能。リュウが信じられない中戦闘不能となったケルディオに審判のロトムが近づき…

 

「ケルディオ、戦闘不能!ラプラスの勝ちです!」

 

「ラプラス強い!サーナイト、ケルディオを突破!さあリュウ選手!残るポケモンは一体になりました!」

 

「ラプラス。後は違う奴に…」

 

「キュウ!」

 

 少しボロボロとなり身体の動きも鈍り始めたラプラスに対してキョウスケはボールを向けようとしたが、ラプラスは思い切り首を振り拒否。そのラプラスの目から確かな意志を感じ取ったキョウスケは「分かったよ」と言いながら苦笑いを浮かべると3タテに向けラプラスに場を託す。

 

「何が違うんだ…!どうしてこう言う結果になる!」

 

「リュウさん…」

 

「キョウスケ様のポケモンは4体ですからな。圧倒的劣勢が考えられないんでしょう」

 

 自分自身への怒りを見せながら言葉を発するとケルディオをボールに戻し、次に繰り出したのは最後に残った5体目バイウールー。リュウの元々のパートナーであるがリュウの表情からあまりバイウールーから気は感じられない。

 

「僕が…アナタに負けるなんてあり得ない!必ず越える!バイウールー!ワイルドボルト!」

 

「アイアンヘッド!」

 

 リュウの表情と戸惑いながらバイウールーは声を張り上げると身体全体に電気を纏ってラプラスに突撃。ラプラスは表情を引き締めると頭を振り回し、バイウールーに頭をぶつける。だが電気のせいかかなり痛がったが声を張り上げながらバイウールーを近くから弾き飛ばす。

 

「気分が良くねぇな。リュウ」

 

「何…?」

 

「どうしてこうなるんじゃねぇんだよ。お前には…お前の事を心配しているバイウールーの表情が目に入らねぇと言うのか…?」

 

 キョウスケにそう言われて初めてリュウは気づきそしてバイウールーの方を見つめる。ソワソワしているかのように身体を揺らし、横目ながらも少し不安そうにリュウの方をバイウールーは見つめている。リュウはそんなバイウールーを見てから歯を食いしばり、拳を握りしめると…

 

「僕はジガルデに拘るあまり自分のポケモン達に対して…ごめんよバイウールー…」

 

「…ふー…」

 

 バイウールーに頭を下げたのを見て聞こえて来た大拍手。観客達も薄々何かを感じていたのだろうか。響き渡る拍手に対してキョウスケは笑みを浮かべリュウも驚いた表情を浮かべていたが、バイウールーの鳴き声を聞いた瞬間に笑みを浮かべ…

 

「僕の気持ちは変わらない…でもやるからには清々しくやる!行くよバイウールー!しねんのずつき!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 自分自身への怒りを断ち切ったリュウはバイウールーに指示を出すとバイウールーは表情を引き締めながら、ラプラスにへと突っ込んでいく。頭部に念波を纏い近づいて行くバイウールーに対してラプラスは口から大量の水を吐き出して反撃。

 

 バイウールーにハイドロポンプは命中して行くがその水を突っ切ってラプラスに突撃。思い切りの突進をまともに直撃させる。

 

「10まんボルト!」

 

「ボディプレス!」

 

 バイウールーは地面を蹴り出してラプラスが放った電撃を空中にジャンプする事で回避すると、そのまま飛びかかって行きそのまま空中からラプラスに体当たりをする。ラプラスはこの一撃はかなり効いたようで痛がる素振りを見せたが、表情をもう一度引き締める。

 

「ワイルドボルト!」

 

「アイアンヘッド!」

 

 電気を纏ったバイウールーに対してラプラスは頭を振り上げて応戦。突進してきたバイウールーの頭に自らの頭部をぶつけるが電気を纏っている影響か、自分まで感電してくる。だがラプラスはバイウールーを気合いで吹き飛ばす。

 

「バイウールー!」

 

「行くぜラプラス!ハイドロポンプ!」

 

「キュウ!」

 

 バイウールーに見事にラプラスのハイドロポンプが直撃。バイウールーはそのままリュウの近くにまで吹き飛ばされた挙句、そのまま横に倒れ込む。一瞬唖然としたリュウではあったがラプラスも耐えに耐えた影響か、力尽きてその場に倒れ込んだ。

 

「ラプラス!バイウールー!共に戦闘不能!3対0を持ちまして、このバトルはキョウスケ選手の勝ちです!」

 

「決まったぁ!シュートトーナメントに進出を決めたのはキョウスケ選手だぁ!」

 

 リュウを制しシュートトーナメントにへと進出を決めたキョウスケ。リーリエやクモン達、さらにビジョンを見ながら見守っていたミリは思わず笑みを浮かべる。リュウはバイウールーをボールに戻し、一歩ずつキョウスケにへと歩み寄って行く。

 

「自分はジガルデに拘るあまり自分のポケモンにすら心配をかけました。これはもうバトルだけじゃなくて人間的にも完敗かなって…」

 

「馬鹿いえ。俺なんかよりお前の方が余程人間性は立派だよ。俺なんかミジンコだぜ」

 

「アナタはどこまでも謙虚で…シュートトーナメント。期待してますから」

 

「おう!」

 

 リュウが手を差し伸べてきたのを見てキョウスケはニヤリと笑みを浮かべながらリュウと握手を交わす。その光景にスタジアム中から拍手が巻き起こる中、ビジョンからその光景を見つめていたガリュウは少しもの寂しげな表情で一息吐くと…

 

「戦える機会を少しは期待したんだがな…あんだけ乱れたら仕方ないか」

 

 握手を交わし両者の健闘を讃えあう中でボソッと独り言を呟いたガリュウ。その目からは少しがっかりしたようなそんな感じが伝わってきたが、その姿を誰一人として気づく事はなかったらしい。シュートトーナメントにコマをすすめたキョウスケ。彼の戦いはもう少し続く…




次回からシュートシティでの戦いが始まります!その前に閑話ですが…お楽しみに!


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シュートシティィィィィ!!

久しぶりですー!
今回は閑話回でございます。


 前回のあらすじ!てめぇぶっ飛ばすぞ!

 

「その物騒な挨拶はどうかならないんですか…」

 

「何を言うかリーリエ!私の辞書に物騒なんて言葉は存在せぬわぁ!」

 

 ナックルシティでのトーナメントを勝ち抜きシュートシティで行われる準決勝、決勝の舞台にへと足を運んだキョウスケ。リーリエに呆れながらのツッコミを受けつつもキョウスケは彼女を煽るようなそんな表情を浮かべる。その近くにいたのはこの時はリーリエだけだったが…

 

「ただでさえシュートは人が多いんだから…騒ぐのはやめてよね」

 

「自分が部外者みたいな口ぶりをしゃがってこの貧乳!」

 

「誰が貧乳だこらぁ!?」

 

「やめてくださいって!」

 

 現在買い物を終え戻って来たミリ含めリーリエとキョウスケの3人はホテル周辺にいる。アマチュアトーナメントとはいえやはりここは世界でも有数のバトルに特化した地方。キョウスケの姿を一目見ようと何人かの人がこちらを見つめている。

 

「やれやれ…ホントに変わらないですよねキョウスケさん」

 

「あ、リュウさん」

 

「何だリュウ。お前ガリュウのトレーニングに付き合いに行ったんじゃねぇのか?」

 

「僕はそのつもりでしたが必要ないとの事でした」

 

 ミリに次いで応援としてその場にやって来たリュウがその場に合流。キョトンとしていた3人に対して淡々とリュウが呟くとキョウスケが突然その表情が笑みにへと変わり、ボールの中に待機していたヨクバリスが出てきたと同時に…

 

「お前が雑魚だから必要なかったんじゃねぇかぁ?」

 

「間違いないですよご主人!ガリュウさんも人が悪いですなぁ!」

 

「ぶ、ぶっ飛ばす…!」

 

「気立てるだけ無駄だから冷静になりなさいリュウ」

 

 リュウの気を逆立てるかのように顎を突き出すヨクバリスとキョウスケ。ミリに落ち着くように促されている姿を見てリーリエは苦笑いを浮かべている。そんな中で少しハッとしたリーリエがキョウスケの方を見つめながら思い出した事を呟く。

 

「あ、そうだ。キョウスケさん。このシュートでのトーナメントをジムリーダー達みんなで観にくるらしいですよ」

 

「俺目当てか!?俺も人気になったもんだなぁ!」

 

「間違いありませんぞご主人!これから先はキョウスケの時代ですな!」

 

「アンタもあるしやっぱりガリュウだと思うけどね…シロナさんやダイゴさん達に黒星を付けたって話は有名な話だし」

 

「何ぃ!?アイツシンオウチャンピオンにも勝っているのかぁ!?」

 

 ドヤ顔で笑みを浮かべるキョウスケとそれを盛り立てるヨクバリスに対してミリはリーリエの言葉の意味を察した上で呟いていたが、有名なシロナやダイゴ。シンオウ、ホウエンのチャンピオンに土を付けたとの話を聞いた瞬間にキョウスケは大きく口を開けてびっくりしたような表情を浮かべる。

 

 そのキョウスケの対応を見て呆れたのはミリ、リーリエ、リュウの3人。ミリがあのねぇ…と呟きかけたその瞬間。遠くから歩いてくる足音が聞こえ、4人はそちらにへと視線を向ける。

 

「ガリュウが注目を浴びるきっかけになったのはシロナですからね。有名人に勝つと言うのはそう言う事ですよ」

 

「お、お前は…そんごは…」

 

「ネズです」

 

「ネズさん。わざわざアマチュアトーナメントの為に?」

 

「リーグ委員長がジムリーダー全員でとの話だったので。俺は今ジムリーダーじゃないですが、世界一のトレーナーの実力を見ておこうと」

 

 その場に姿を見せたのは元スパイクタウンジムリーダーのネズ。ネズとキョウスケが会うのはヨノワールが仲間になった時以来だが、今回はリーグ委員長であるダンデの話でジムリーダー全員との話が出たみたいで、マリィがシュートシティへ。

 

 どうやらネズ自身はマリィの付き添いかつガリュウの戦い方を参考にしようとやってきたみたいだ。

 

「ネズさんって元ジムリーダーの方で…」

 

「そんなにかしこまらなくていいですよ別に。ジムリーダーなんて肩書きみたいなもんなんで」

 

「ただのブラコンなんでリーリエ気にすんな」

 

「言い方が悪いですね。ぶっ飛ばしますよ」

 

「ネズさんも言葉悪いですって…」

 

 ブラコンと自分の事を言って来たキョウスケに対して怒り顔を浮かべていたネズではあったが、後に彼の話だと今マリィはユウリ達と共に会議に出ているらしい。言葉を悪くすればただの暇人となっている訳だがそんなネズの話を聞いていたヨクバリスが…

 

「ようするに今はニートという事ですな!」

 

「あったまいいなぁヨクバリス!」

 

「おたくの主人よりは俺は頭がいいと思っているのですが…」

 

「主人を馬鹿にしたな!裁判を起こします!」

 

「キョウスケさんホント…どんな知恵を教えているんですか…」

 

 ヨクバリスの煽りを軽くかわしたネズではあったがそのかわし方がヨクバリスを怒らせる事に。人間みたいな言葉の使い方に思わずリュウから本音が漏れる中でネズはため息を吐きながらリュウの方を見つめるキョウスケの方を見つめると…

 

「キョウスケ。ガリュウに本当に勝つつもりでいるんですか?」

 

「何を言っておるんじゃネズ。当たり前じゃろ」

 

「よくそう言い切れますね。あのダンデが敵わないと言っているのに」

 

「ダンデさんが…!?」

 

「黒星をつけられているんだってな。ガリュウに。アイツも何だか気が弱くなったもんだな」

 

 キョウスケの言葉にネズが一瞬驚いたかのように固まり、ミリ達も黙り込む。さらにキョウスケはホップがそれを聞けばなんて思うんだろうなと言う本音を口にした。少しムッとしたのか、ネズはキョウスケに近づこうとしたがミリに止められる。

 

「相手が相手じゃねぇだろ。10年もガラル背負った男だろうがよ。ガラルのみんなが自分に挑めるほどに。アイツは口癖のように話していた。そんな兄ちゃんをずっと見ていたホップはどう思うんだろうな」

 

「キョウスケ…」

 

「何て。シリアスに語るのはやめだ。俺は絶対ガリュウに勝つ。ダンデがガリュウに対してそう思っているなら、俺が行けるという感情にさせてやる」

 

 あくまでホップを気遣いながらガリュウには敵わないという考えをぶち壊すとばかりに発言したキョウスケ。ネズは驚きながらもお前らしいですねと口にした後に…

 

「他の人も同じ感想なんですかね?」

 

「強気なのは僕達は経験してますから」

 

「行けると思っているからファンの人達もきっと応援しているんだと思いますから」

 

「ネズさんコイツは…ユウリさんに負けてからだいぶ成長したと思います。ちょっとやそっとでは心は折れないと思います」

 

 キョウスケと戦って来たリーリエとリュウ。さらにそんなユウリから負けた挫折から見てきたミリ。そんな3人の言葉を聞いてネズは笑みを浮かべつつ…

 

「脅すつもりはなかったんですがね。そこまで成長したってんなら俺もファン目線でお前の戦いを見届ける事にしますよ」

 

「よくぞ申されたネズ殿!貴殿とはうまい酒が飲めそうですな!」

 

「え?」

 

 笑みを浮かべるネズの背後から突如として姿を見せたのは丁度リュウの言葉から出てきたファンクラブ。その会長であるクモン。急に現れたものだからさすがのネズも驚いていたが…

 

「はっはっは!そんなに驚かなくても大丈夫ですぞ!我々ファンクラブによれば!100%キョウスケ様が勝ち!優勝されるでしょうな!」

 

「き、キョウスケ様?」

 

「そんな引かなくて大丈夫ですぞ!ささ!昼から酒を飲もうではありませんか!」

 

「え?ちょっと…え!?」

 

 思わず言葉が出なくなったミリ達に見つめられる中クモンにより強引に連れ去られていくネズ。キョウスケはその様子を何事もなかったかのように頭を掻きながら見つめていた…




見てくださりありがとうございますー。


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残った4人目、最強の男と対する

こんばんは。お疲れ様です。今回はキョウスケから離れてガリュウの戦いを書きます。さすがに他のキャラで2話使えないので1話にしようと考えているため、いつもより長くなるかもです。


 前回のあらすじ!たどり着いたぜシュートシティ!

 

「アンタにしてはえらく真面目なあらすじじゃない?」

 

「うるせぇやい!黙っとけ貧乳!」

 

「誰が貧乳じゃコラァ!?」

 

「落ち着いてくださいって!みんな見てますから!」

 

 現在キョウスケ達はシュートシティのホテルからシュートスタジアムにいる。ネズはクモンに連れ去られたままなのだが、マリィからネズを見かけなかったかの連絡の際に今日抽選と準決勝1、2試合が行われるという事で慌ててスタジアムへ。多くの観客がいる中、ガリュウとキョウスケ残る2人がその組み合わせを見つめる。

 

「お待たせしました皆さん!こんにちは!チャンピオンのユウリです!」

 

「ち、チャンピオン!?」

 

「ほう…こんなに若いのがダンデを破ったのか。いつか手合わせしてみたいな」

 

「この大会もいよいよ大詰め!残る選手もアナタ方4人となりました!最後まで健闘を祈って!後はリーグ委員長!よろしくお願いします!」

 

 4人に対してガラル地方チャンピオンであるユウリからの挨拶。リーリエやリュウが驚いた表情を見せる中ガリュウが余裕の一言を呟く。そして残る2人が緊張したそんな表情を見せたり、仮面越しから表情が分からない者もいるがユウリの前に出たダンデが組み合わせを発表する。

 

「お待たせしました4人方。改めてリーグ委員長のダンデが組み合わせを発表します。第一試合!ガリュウ選手対トモ選手!」

 

「ガリュウ選手…!」

 

「よろしく頼むよ青年」

 

「第二試合!キョウスケ選手対ミケ選手!」

 

「仮面越しのアンタか。後でよろしくな」

 

 爽やかにトモという男性に挨拶するガリュウに対してキョウスケの言葉を無視したのはミケ。キョウスケは無視された事にイラつき、詰め寄ろうとしたが反撃を察したリュウとリーリエが必死に止める。第一試合の開始に伴ってトモ達は控え室へ。

 

「ミケ選手とキョウスケ選手は第一試合終わり頃に控え室に案内します」

 

「それより何だあのマキシマム仮面はァ!態度悪過ぎだろ!?」 

 

「ミケ選手はあんな感じなので…あまり対決まで絡まない方がいいかと…」

 

 イラつきを見せるキョウスケに対してリーグスタッフは気を遣ったかのように一言発する。舌打ちをしつつもキョウスケは顎を突き出しながら渋々了承。ミリは少し気になるようなそんな素振りを見せていたが、そんな最中ネズと飲みに行っていたクモンが場に到着した。

 

「いやあ遅れてすまない!抽選は!?」

 

「発表されましたよ」

 

「ガリュウは第一戦ですか。ジムリーダーブースに合流するのも面倒なのでここから見つめます」

 

「よく酒飲んで戻って来れましたね…」

 

 クモンとネズがビジョンを見つめる中、ビジョンにはスタジアムが映し出される。実況が言うには行ってから数分しか経っていないがガリュウとトモの準備が完了したとの事。キョウスケ達はひとまずビジョンからその戦況を見つめる。

 

「お待たせ致しました!ガラル地方アマチュア大会!準決勝!まもなく開催です!右コーナー!トリッキーな戦術を使いこなしエースエルレイドを筆頭に勝ち進んできました!トモ選手!」

 

 黒髪ショート。少し女の子にも見えなくもない程のイケメンな感じの顔のトモが右側の通路から入場。歓声も湧き上がる中本人は少し緊張したようなそんな感じだ。

 

「対する左コーナー!生きる伝説!この大会で使用したのはケンタロス一体のみ!優勝有力!ガリュウ選手!」

 

 左通路から観客の歓声に応えながらガリュウがバトルコートへ姿を見せる。両者がバトルコートの中央にて対面を果たす中、ジムリーダーブースでジムリーダー達が世紀の一戦をこの目に収めようと見つめている。

 

「観客も多い事だ。お手柔らかにお願いするよ」

 

「ガリュウさんと当たれるなんて夢みたいです!よろしくお願いします!」

 

「どう思う?キバナ」

 

「ナックルで見ていたがその実力は圧倒的だった。普通で行けばほぼガリュウの勝ちだと思うぜ」

 

 ルリナの言葉にその状況を見ていたキバナが淡々と答える中、トモとガリュウは距離を取って行く。リーリエとリュウは緊張しながらその状況を見つめる中で見なければ行けないキョウスケはヨクバリスと共に相撲などをしてふざけ合っている。そんな2人に当然目もくれず…

 

「用意はいいですかな?ではバトルスタート!」

 

「行くぞケンタロス!」

 

「テッカニン行くよ!」

 

「一体目はやはりケンタロス!そしてトモ選手はテッカニンで迎え撃ちます!」

 

 やはり場に現れたケンタロス。そしてトモはテッカニンにて迎え撃つ。ポケモンの鳴き声が聞こえて来た瞬間にキョウスケとヨクバリスはふざけ合うのをやめ、ビジョンを見つめる。

 

「アイアンヘッド!」

 

「いやなおと!」

 

 向かってこようとするガリュウのケンタロスに対してテッカニンのいやなおとが辺りに響き渡り、ケンタロスは全身を震わせながら技を中断。その場に停止をするとつかさずトモが畳み掛ける。

 

「アクロバット!」

 

「ケンタロス!耐え切ってアイアンヘッド!」

 

 その場から姿を消すと一気にテッカニンはケンタロスの目の前へ。身体にオーラを纏いながら目にも止まらぬ速さでケンタロスに体当たりをかまして行く中、ケンタロスは必死に耐え目を強く開けると声を上げながらテッカニンに突撃。そのまま直撃を喰らわしテッカニンをトモの前まで吹き飛ばす。

 

「テッカニン!」

 

「テッカニン戦闘不能!ケンタロスの勝ち!」

 

「い、一撃ですか…!?」

 

「冗談と言える火力じゃないねあれは」

 

 ケンタロスの一撃にてテッカニンは戦闘不能。ビートやメロンが思わず言葉を発する中でトモは息を呑みながらテッカニンをボールに戻すと、2体目を繰り出す。

 

「頼んだよマグカルゴ!」

 

「マグカルゴか」

 

「こっから巻き返します!かえんほうしゃ!」

 

「突っ込めケンタロス!10まんばりき!」

 

 マグカルゴが口から火炎を吐く中、ケンタロスは声を張り上げると再度テッカニンの時と同様突撃。火炎をもろともせずに一気にマグカルゴの目の前へ。思わず技を中断しようとしたトモだが一歩遅くケンタロスの蹴りが直撃。砂煙が巻き上がり、砂煙が晴れると…

 

「マグカルゴ、戦闘不能!ケンタロスの勝ち!」

 

(強すぎる…!世界はこんなにも遠いと言うのか…!?)

 

「ガリュウ選手2タテ!勢いが止まりません!」

 

「スターミー!任せた!」

 

 ガリュウの元にケンタロスが戻って行く中でトモが早くも3体目で繰り出したのはスターミー。この蹂躙のように思える戦いに思わずキョウスケが歯を食いしばる。トモは息を呑みながら…

 

「なみのり!」

 

「10まんばりき!」

 

 スターミーがジャンプし大きな津波を巻き起こす中で、ケンタロスは再度足元を蹴り出してスターミーの元に突撃。津波がケンタロスを飲み込んでいくが、ケンタロスは流される事なくあっさり目の前へ。もう一度前足でスターミーを蹴り付け、地面に叩きつけた。

 

「スターミー!」

 

「スターミー、戦闘不能!ケンタロスの勝ち!」

 

「むごい…こんなの…!」

 

「マリィちゃん。この世界じゃ勝敗が全てだ。勝ち方は関係ない」

 

 マリィの言葉に対してカブが一息吐きながら呟く。初めてガリュウの戦いを見たキョウスケは思わず拳を握りしめながらリュウの方を見つめると…

 

「お前の親父はいつもあんな勝ち方をしてたのか…?」

 

「手を抜く事を…知らない人なんで」

 

「サザンドラ!頼んだ!」

 

「さあついに4体目!またしてもケンタロスのオールストレートなのか!?」

 

 勢いを付けてきたチャレンジャーをことごとく打ち砕いてきたガリュウ。この戦い方ならネズが言うダンデのガリュウには勝てないと言う理由も納得だが、いくら一撃しか指示していないとはいえ実力差がありすぎるように感じる。

 

「あくのはどう!」

 

「インファイト!」

 

 サザンドラの3つの頭から黒色のビームが放たれて行く中でケンタロスはそのままサザンドラの黒色のビームをかき消しながら突撃。そのまま目の前へ。オレンジのオーラを纏いながら突撃して来たケンタロスにサザンドラは突撃をまともに受け、トモの前で砂煙が。砂煙が晴れると再び…

 

「サザンドラ、戦闘不能!ケンタロスの勝ち!」

 

「まだだッ!僕のポケモンはまだ諦めちゃあいない!」

 

「…期待してるよ」

 

(確実にダメージは入ってる筈…!今はそれを信じるしかない!)

 

「キテルグマ!頼んだ!」

 

 サザンドラをモンスターボールに戻し次に繰り出したのはキテルグマ。ガリュウが余裕の笑みを浮かべる中でキテルグマが気合いを入れ直したかのように声を張り上げる。

 

「しねんのずつき!」

 

「インファイト!」

 

 紫のオーラを身にまといながら突撃して行くキテルグマに対してケンタロスは再びオレンジのオーラを身にまといながらキテルグマに向かって行く。両者がぶつかり合う中、爆煙が巻き上がりケンタロスとキテルグマが吹き飛ぶ。そしてキテルグマは一瞬立ったがフラッとした後に倒れた。

 

「キテルグマ、戦闘不能!ケンタロスの勝ち!」

 

「さあ残るは一体!トモ選手!エースのエルレイドのみになりました!」

 

「頼んだよ…エルレイド!」

 

 キテルグマを戻し最後に繰り出したのはエルレイド。一息吐くと付けていた指輪に手を触れ、エルレイドが光り出したかと思えばメガエルレイドにへとメガ進化を果たす。

 

「さあ来い!君の全力を受け止める!」

 

「インファイト!」

 

「ギガインパクト!」

 

 ぶつかり合っている間にキョウスケとミケは控え室に移動。エルレイドのオレンジのオーラとケンタロスのオーラ。両者のオーラが突撃にてぶつかり合って行く中、ぶつかり合った瞬間爆煙が巻き起こる。爆煙が晴れるとそこにはケンタロスと食い止めているエルレイドがいたが…

 

 エルレイドがケンタロスからフッと離れ仰向けに倒れた。

 

「エルレイド戦闘不能!よって勝者!ガリュウ選手!」

 

「良きバトルだった。君はさらに成長する。期待しているよ」

 

 チャンピオンを期待するコールが鳴り響く中ガリュウはケンタロスを戻し、トモの近くへ。トモは苦笑いを浮かべながら握手を交わす。圧倒的な勝利で幕を下ろした第一試合。ガリュウが待ち受ける決勝に向け、キョウスケとミケは控え室で闘志を燃やしていた。




最初の流れはいらなかったなぁとは思ってます。
書かないと強さは伝わらないと思うので、トモ君には犠牲になってもらいました。むごいですがいつも彼はこんな勝ち方をしてます。
さて次はキョウスケ選手。いよいよ決勝に向けた大一番!何話か使ってお送ります!


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アマチュアトーナメント準決勝![前編]

準決勝編開幕です。何回かに分けてやっていきます。


 前回のあらすじ!作者からお見苦しい試合をお見せして申し訳ないとの手紙が届きましたぁ。固いわボケェ!あ、始めますね。

 

 ビジョン越しで聞こえてくる大歓声。ガリュウを讃える声と実況が無意識でも耳に入ってくる中、第一試合にて決勝進出を決めた王者の姿をキョウスケは焼き付けるように無言で見つめている。緊張しているのが伝わったのか、ボールから突如ヨクバリスが飛び出し…

 

「らしくないですなマスター。ギャグ線捨てて真面目モードですかな?」

 

「らしくねぇだろうな。こんなに緊張した感情を抱くのはユウリと当たった時以来だ。ワクワクとドキドキが入れ混じった感情を整えるのが大変だ」

 

「我々はどんな時もアナタを信頼している。整えられないというのは無礼ではないですかな?」

 

「言うようになったなテメェも。…下克上起こすぞヨクバリス。俺たちを恥だって言った連中を後悔させてやる」

 

 ヨクバリスの棘のある言葉に抱いていたモヤモヤがスッキリしたのか。バトルコートの準備が出来たとの報告をしに来た大会スタッフに対し、その顔を見つめながら頷いたキョウスケはヨクバリスをボールの中に戻し座っていたベンチからスッと立ち上がる。

 

 来る第二試合に向けてクモンやリーリエ達が観客席に座り込む中、ざわざわとしている観客を黙らせるかのようにスタジアムDJが喋り始める。

 

「お待たせしました!アマチュアトーナメント準決勝!第二試合!まもなく開幕です!まずは左コーナー!ここまで上がって来たのは果たして奇跡か!それとも実力か!ガラルの恥がシュートに降臨!キョウスケ選手!」

 

「キョウスケ様ぁ!期待しておりますぞぉ!」

 

「そして右コーナー!仮面の下に包まれた表情は果たして誰のためか!何者か分からない天才がシュートにて輝きを見せられるか!ミケ選手!」

 

 左の通路からキョウスケが、そして右の通路からミケがゆっくりとバトルコート中央にへと足を運んでいく。キョウスケが真顔な事にリーリエ達が少し驚きを見せる中、キョウスケとミケ。違うブロックから進んで来た二人がガリュウというたった一人の王者の為に向き合う。

 

「先程の席では無礼を働いたわね」

 

「ホントだな…って。お前どこかで聞いた事のある声…」

 

「アニキには誤魔化せないとは思っていた。そう私よ」

 

「嘘…!?」

 

 キョウスケやミリさらにクモン達が驚きを見せる。ミケが仮面を外したその素顔は何とレイカ。この大会の前のキョウスケが戻って来た際には全く持って姿を見せなかったが、このまさかの出来事にキョウスケは呆気に取られたような感じたで大きく笑う。

 

「まさか大会にエントリーしてるなんてな。然も偽名で」

 

「最初からバラしたら面白くないでしょ?」

 

「俺の妹らしいわお前。それじゃ早くやろうぜミケさんよ」

 

「わざとらしくない?でも賛成。さ…やりましょ」

 

 まだリーリエ達が驚きを見せチャンピオン席で見つめていたユウリも思わず笑みを浮かべる中観客のざわめきを受け止めながら、二人は距離を取って行き再びボールを出してから向き合う。審判のロトムが降り立ってくる中、レイカは仮面を投げ捨てキョウスケに向かって笑みを浮かべる。

 

「3、2、1。バトル…スタート!」

 

「行くよヌケニン!」

 

「行くぜヨノワール!」

 

「ヌケニン…!?」

 

 レイカの一体目はヌケニン。そしてキョウスケの一体目はヨノワール。両者がポケモンを出し合った瞬間にスタジアム中から大歓声が巻き起こりキョウスケ、レイカ共に表情を引き締める。まさかのレイカとキョウスケという兄弟対決に複雑な思いで見ていたミリ。

 

 彼女の思いとは裏腹にガリュウとの決勝相手をかけた第二試合が幕を開ける。

 

「がんせきふうじ!」

 

「ヌケニン、かげうち!」

 

 ヨノワールが念力にて岩を浮かばせると岩をヌケニンに投げつけていく。ヌケニンは地面に潜り込み、岩を回避。そのまま物凄いスピードでヌケニンはヨノワールの背後に回り込むと、丁度振り返ったヨノワールに向け突進。腹部に直撃させヨノワールを吹き飛ばす。

 

「つ、強い!」

 

「大丈夫かヨノワール!?」

 

「追撃するよヌケニン!はいよるいちげき!」

 

「シャドーパンチ!」

 

 地面に手をつきキョウスケに声をかけられたヨノワールは頷くと再び浮かび始める。その隙を見逃さないとばかりに指示を出したレイカに対してキョウスケもヨノワールが一撃を耐える事を信じて指示を出す。背後から迫って来たヌケニンが再びヨノワールに突撃。

 

 ヨノワールに突進を喰らわすも何とか踏ん張り、ヨノワールが反撃に転じ背後にいるヌケニンの身体を掴みそのまま振り向きざまにパンチを直撃させる。殴り抜かれたヌケニンはレイカの前まで吹き飛ばされ…

 

「ヌケニン戦闘不能!ヨノワールの勝ち!」

 

「まさかヌケニンを出してくるとは…!」

 

「ヨノワールでホントに良かった…!」

 

「お疲れヌケニン。後は任せて」

 

 倒れたヌケニンをレイカはボールの中に戻し、2体目のモンスターボールを取り出すと前方に投げる。2体目はトゲキッス。トゲピーの最終進化系のポケモン。ひこうタイプが付いている為ヨノワールにとっては打点のつく相手となる。

 

「まさかのヌケニンからの速攻劇!さあレイカ選手どう対するのか!?」

 

「行くぜヨノワール!かみなりパンチ!」

 

「エアスラッシュ!」

 

 電気を拳に纏い勢いよくトゲキッスに向かっていくヨノワール。そのヨノワールに対抗するかのようにトゲキッスは羽を羽ばたかせ、風の刃を起こすとそのままヨノワールに向かって放って行く。ヨノワールの身体に風の刃が命中したその瞬間、ヨノワールが技を中断し怯む。

 

「っ!?」

 

「てんのめぐみか!」

 

「てんのめぐみ?」

 

「技の追加効果を発生させやすくする特性です。エアスラッシュは確率で怯ませる事が出来ますから…」

 

 怯ませる事が出来る技をしっかりと常備している事にキョウスケは苦笑いを見せていたがこれで怯むヨノワールではなく、ヨノワールがこちらを見つめて来たのを見てキョウスケはニヤリとした笑みに変えると…

 

「よっしゃ!1発かましてやろうぜ!ヨノワール、かげうち!」

 

「来るよトゲキッス!マジカルフレイム!」

 

 ヨノワールが地面に潜り込み影として迫って行く中でトゲキッスはその影に向かって思い切り炎を放って行くが、意外と俊敏なヨノワールの動きに翻弄された挙句、背後に回り込まれバッと飛び出したヨノワールのパンチを喰らう。

 

 大したダメージになってなかったのかトゲキッスは歯を食いしばりながらすぐに振り返ると…

 

「サイコキネシス!」

 

「かみなりパンチ!」

 

 トゲキッスはヨノワールのかみなりパンチを額にまともに食らいながら念力でヨノワールの動きを封じ込め、自分から離した挙句地面に叩きつけた。

 

「ヨノワール!」

 

「ヨノワール戦闘不能!トゲキッスの勝ち!」

 

「これで5対5のイーブン!互いに準決勝まで勝ち上がって来た強者!簡単には終わりません!」

 

 キョウスケはまさかのカウンターでのkoを受けて苦笑いを浮かべていたが苦笑いで済ませられないのが今の状況。ヨノワールをボールに戻すと彼が次に繰り出したのは…

 

「コイツで行くぜ…レックウザ!」

 

「ここで伝説…」

 

「無理もないですよ。多分トゲキッスに打点を付けてスピードでも張り合えるのはレックウザだけです」

 

 キョウスケの手持ちの半分がドラゴンタイプ。それだけにフェアリータイプであるトゲキッスは中々の難敵。レックウザで対処するしか今は思いつかない。

 

「押し切るよトゲキッス!エアスラッシュ!」

 

「アイアンテール!」

 

 トゲキッスの羽を羽ばたかしからの風の刃をレックウザは敢えて地面スレスレの低空飛行でかわして行くとトゲキッスに接近。尻尾を振り回しトゲキッスの顔面に直撃させるとそのまま吹き飛ばし、地面に叩きつけた。

 

「トゲキッス!」

 

「トゲキッス戦闘不能!レックウザの勝ち!」

 

「一歩も譲らない攻防!目が離せない!」

 

「お疲れ様トゲキッス…ゆっくり休んで」

 

 レイカはボールにトゲキッスを戻すと早くも3体目に繰り出したのはカメックス。みずタイプという事もありミリは氷技があるんじゃないかと密かに考える。激しい攻防で開幕したこの一戦、果たして流れを握るのはどちらか。




見てくださりありがとうございますー。


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アマチュアトーナメント準決勝!(中編)

お久しぶり!やって行くぞぉ!


 前回のあらすじ!あ、監督来ました!こちらになります!

 

「ラスターカノン!」

 

「かえんほうしゃで対抗だ!」

 

 カメックスの肩にある砲台から二つの鋼の弾丸が放たれる中、レックウザは向かってくる弾丸に対して火炎を吐き対抗。ぶつかり合った弾丸と炎は相打ちとなり、爆煙を巻き起こす中でキョウスケはレックウザがいる方向を見つめないまま指示を出す。

 

「レックウザ、そのまま突っ込んでアイアンテール!」

 

 爆煙の中カメックスは自分がどこにいるのか分からずにキョロキョロしている。そんな最中レックウザは元々空の塔にいたポケモン。爆煙とはいえこういう視界の悪い中進むのは慣れている。キョロキョロするカメックスにレックウザは正確に迫ると尻尾を頭に向かって振り下ろし、直撃させた勢いで地面に叩きつける。

 

 爆煙が晴れその状況になっていた事に驚いていたレイカではあったが…

 

「れいとうビーム!」

 

「っ!かわせ!」

 

「やはり持っていた氷技…!!」

 

 カメックスがみずタイプという事もあり客席にいるリュウ達は予想出来ていたが予想できないのが戦っている側。スッと頭だけ起こしたカメックスは口からビームを放つ中、かわそうとしていたレックウザに直撃。一直線に天井に近い所までビームに押されて行くが何とかビームをかき消す。

 

「いくら空中では勢いが弱まるとはいえ…」

 

「レックウザにれいとうビームは4倍のダメージ…体力をごっそり持って行かれたと思います」

 

「やっぱ持ってやがったか…とりあえず何とかするっきゃねぇ。レックウザ、りゅうのはどう!」

 

「カメックス、もう一回れいとうビーム!」

 

 天井に近い所から身構えたレックウザはカメックスに向かって波動を打ち込んでいく中、身体を起こしたカメックスが再び口からビームを放ち対抗。ぶつかり合ったが互角になる事なく相打ち。空中ながら再び爆煙を引き起こす。

 

「ガリョウテンセイ!」

 

「ハイドロカノン!」

 

 空中からオーラを纏いながら急速に落下して行くレックウザに対して向かってくるだろう方角にカメックスは肩の砲台から水の弾丸を撃ち込む。レックウザに正確に向かって行った弾丸は爆煙が起こっている場所でレックウザに衝突。爆煙を水飛沫がかき消していき…

 

 空中から見えたのはレックウザが地面に落下してくる姿。地面に墜落したレックウザは…

 

「レックウザ戦闘不能!カメックスの勝ち!」

 

「ミケ選手タイに戻す!さあこの勝負分からなくなりました!」

 

「4対4…」

 

「しかしカメックスはレックウザとの戦いで痛手を負っています。少しとはいえ効いてくる筈…」

 

 レックウザをボールに戻したキョウスケは一息吐くと次のボールを出そうとしたがそうする前にジガルデがボールから飛び出してきた。これにかなりスタジアムも驚き、キョウスケ自体も驚いたが…

 

(主よ行かせてくれ)

 

「お前分かってんのか!?向こう氷技持ってんだぜ!?」

 

(ラプラスのあの踏ん張りを見て黙っている訳には行かない。必ず次に繋いで見せよう)

 

「…分かった」

 

 カメックスに対してジガルデが勝手に出てきたという事もあるがカメックス対ジガルデという形に。キョウスケはジガルデの意思を尊重してその場を任せる。リュウやリーリエ達が息を呑んで見つめる中…

 

「カメックス、大丈夫?」

 

「カメ!」

 

「よし行くよ!れいとうビーム!」

 

「コアパニッシャー!」

 

 身体からビームを放出したジガルデに対して反動から体勢を立て直したカメックスが同じくビームを口から放つ。両者のビームがぶつかり合い、水蒸気に似た爆煙を巻き起こす中二人が次に指示をしたのは…

 

「グランドフォース!」

 

「じしん!」

 

 地面技。前が見えない中で両者は大地を揺らしその振動波を再びぶつけ合って行く。砂埃が爆煙のさらに上で巻き上がる中で前方は全く見えない。そんな中キョウスケは…

 

「サウザンアロー!」

 

 空中に向かってジガルデは光の矢を降らせ、煙のせいで矢は相当な数外れたがカメックスに残りの矢が反撃できないまま命中。矢を受け切ったカメックスは少しボロボロのような姿。そしてそのタイミングで爆煙が晴れ…

 

「きあいだま!」

 

「っ!ラスターカノン!」

 

 身体から再び今度はオレンジ色の波動を打ち込んでいく中でカメックスは反撃とばかりに肩の砲台から鋼の弾丸を打ち込んでいく。両者の一撃がぶつかり合って行く中で威力は互角。その場から一歩も引かないまま火花を散らして行く。厳しいか…と少し思ったキョウスケ。

 

 だが然し技がぶつかり合う中でジガルデの身体が突如光り出し、何かが集まって行く感じが視界に入って行く。

 

「はあ!?どうなってんだありゃあ!?」

 

「進化…この場面で…?」

 

 ジムリーダーのキバナやヤロー達が驚きを見せる中少し蛇のような体型をしていたジガルデに腕が生え、足が生えキョウスケやレイカも驚く中ジガルデはさらに巨大化しフォルムチェンジを果たす。

 

「な、なんですかあれは…!」

 

「パーフェクトフォルム…!」

 

「パーフェクトフォルム…!?上があると言う事ですか!?」

 

(これが我の覚悟…!押し切らせて頂こう!)

 

 スタジアム中が唖然とする中でジガルデは伸びた手を押し出し気合玉はラスターカノンを突破。カメックスに直撃する。爆煙が少しばかり再び巻き上がる中でカメックスは前方に倒れ込んだ。

 

「カメックス、戦闘不能!ジガルデの勝ち!」

 

「何とジガルデ!進化する事でこの状況を押し切ったぁ!」

 

「とんでもねぇな…狙っていたのか?」

 

(いいや。たまたまこういう場面が来ただけだ。構えろ主、次が来るぞ)

 

 レイカが仕方ないと呟いた後カメックスをボールの中に戻す。これで4対3。レイカが残り半分となる中で彼女が次に繰り出したのは黒と赤色のポケモン。顔には点々のような物がある。

 

「また見知らぬポケモンを出してきやがったな…」

 

「レジドラゴ。ジガルデと同じドラゴンタイプよ。弱点も付けるって訳…!行くよレジドラゴ!ドラゴンエナジー!」

 

(主、指示を!)

 

「分かった!コアパニッシャー!」

 

 レジドラゴは少し竜の口のような格好になると本体の赤い身体からビームを放出。両手をジガルデは突き出しビームを放出。両者の一撃がぶつかり合う中でこの日数回目となる相打ち。三度爆煙で周りが見えなくなる中でキョウスケは怯む事なく指示を出す。

 

「サウザンアロー!」

 

「レジドラゴ、ドラゴンエナジー!爆煙をかき消して!」

 

 再びフォルムチェンジしたレジドラゴに対して片手を突き上げたジガルデの光の矢が空中へ。レジドラゴのビームが爆煙をかき消しながらジガルデに命中し、ジガルデが少しふらつきそしてレジドラゴにサウザンアローが命中。こちらもかなりフラつく。

 

「爆煙が晴れたと同時に両者ダメージ!これはかなりの痛手だぁ!」

 

「はかいこうせん!」

 

「そのまま押し切ってやる!コアパニッシャー!」

 

 レイカは方向性を変えはかいこうせんを指示。身体からマグマのような色をした光線が放たれて行く中でジガルデも両手を突き出し、ビームを放つ。激突する事なくお互いにぶつかり合った一撃。これを受けた両者は片方は地面に落ち、片方は地面に倒れ込んだ。

 

「レジドラゴ、ジガルデ共に戦闘不能!ダブルノックアウトとなります!」

 

「まさかのダブルノックアウト!お互い3対2!勝負はまだもつれるのか!」

 

「よくやってくれたジガルデ。後は任せてくれ」

 

 ジガルデをボールに戻すキョウスケとレジドラゴをボールに戻すレイカ。お互い3対2となり次に繰り出したのはレイカがラフレシア。キョウスケがウオノラゴン。勝負は終盤戦になる中観客席からガリュウが楽しそうに笑みを浮かべながら見つめていた…




お疲れ様でした!次で多分決着だぁ!


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アマチュアトーナメント準決勝!(後編)

お久しぶりー!!さて!始めていくわよん!


 前回のあらすじ!今チームええ感じやねん!え?聞いてない?

 

「ヘドロばくだん!」

 

「りゅうのはどう!」

 

 ラフレシアの蕾から毒の爆弾が発射。ウオノラゴンは口から波動を放って対抗する。りゅうのはどうとヘドロばくだんがぶつかり合い、激しい爆煙と爆風を巻き起こす中視界が爆煙により微かに見えなくなる中でレイカは指示を出す。

 

「ムーンフォース!」

 

「ムーンフォース!?」

 

 ラフレシアは身体を光らせ光の玉を作り出すと爆煙を切り裂いていきながらウオノラゴンに向かって投げ飛ばされる。見えてきたウオノラゴンの姿。然しウオノラゴンも何か溜め込んでいた様子で口からビームを発射。お互いの一撃が激しくぶつかり合い、またしても相打ち。

 

 晴らした筈の爆煙がまたフィールド内に広がり、スタンドから何も見えなくなる中で思わず驚きの声を上げたリーリエが…

 

「今のウオノラゴンの一撃は…?」

 

「メテオビーム…ムーンフォースも高火力の技ですがりゅうのはどうじゃ無効化されてしまいますから」

 

「然ししっかりとドラゴン対策までしているとは…恐るべしですな」

 

「突っ込めウオノラゴン、ドラゴンダイブ!」

 

 身体にオーラを纏わせ、爆煙が広がる前方をウオノラゴンは足元を蹴り出し突撃して行く。ラフレシアも警戒しているが足音が聞こえてくるだけで居場所を特定出来ない。どこから来るかと疑っていたレイカ、その裏を突かれウオノラゴンがやってきたのはまさかの目の前。

 

「目の前!?ラフレシア、ギガドレイン!」

 

「そのままドラゴンダイブ!」

 

 ラフレシアの念波により体力が持って行かれる中でウオノラゴンはそのままラフレシアに突進を食らわし、そのままレイカの目の前まで吹き飛ばす。地面を抉りながらも体勢を崩さなかったラフレシア。それに対してレイカが反撃の指示を出す。

 

「ラフレシア!かふんだんご!」

 

「エラがみで切り裂け!」

 

 ラフレシアの蕾から今度放たれたのは茶色っぽい爆弾。ウオノラゴンはエラがみを動かし、爆弾を真っ二つに。キョウスケ近くで爆煙を巻き起こす中でキョウスケは怯まずにウオノラゴンに指示を出す。

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「ムーンフォース!」

 

 再びウオノラゴンはオーラを纏いながらラフレシアに突撃。ラフレシアも身体に光を纏わせてウオノラゴンが近づいて来たタイミングで作り上げた光の玉をウオノラゴンに投げつける。ドラゴンダイブとムーンフォース、お互いの技がぶつかり合ったのは同じタイミング。

 

 レイカのほぼ目の前で爆煙が巻き起こり、観客達が息を呑む中審判のロトムがウオノラゴン達の元へ。そこにはウオノラゴン、ラフレシア同時に戦闘不能になっている姿が。

 

「ラフレシア、ウオノラゴン共に戦闘不能!ダブルノックアウトです!」

 

「ここに来てまさかのダブルノックアウト!ミケ選手残り1体!然し両者まだエースを残したまま!この2対1のハンデがどう左右するか!」

 

「キョウスケさんはラプラスとヨクバリス…」

 

「レイカさんもエースが控えます。削る目的ならラプラスを出すかもしれませんが…」

 

 キョウスケとレイカ。二人共ボールにウオノラゴン、ラフレシアを戻す。次にレイカが繰り出したのはルカリオ。そしてキョウスケも一切前座を立てる事なくヨクバリスをフィールドへ。ヨクバリスはルカリオに打点を持っているとはいえ若干不利か。

 

「ルカリオですか。ヨクバリスは確かにはがねに打点のある技は持っていますが…」

 

「スピードでは圧倒的に不利…キョウスケさん…」

 

「やっと出たわねヨクバリス。兄貴とジムチャレンジを進んだパートナーだもんね」

 

「知らん間に強い奴ばかり揃えやがって。結構苦戦してんだぞてめぇ」

 

 スピードでは圧倒的にルカリオに劣るヨクバリスだがパワーではルカリオに勝る。レイカの言葉に対してニヤリと笑みを浮かべながら少し余裕気に語るキョウスケに対して、心配の眼差しを送るのはリーリエ達。キョウスケの言葉に対してレイカもニヤリと笑みを浮かべた後、すぐに表情を引き締め…

 

「りゅうのはどう!」

 

「じだんだ!」

 

 ルカリオが両手から溜め込んだ波動を放出して行くがヨクバリスが地面を叩きつけ、地面に波動を直撃させる事で自分への直撃を回避。土飛沫が巻き上がる中でキョウスケはヨクバリスに指示を出す。

 

「ばかぢから!」

 

「ルカリオ、はどうだん!」

 

 地面を蹴り出してルカリオに向かって行くヨクバリスに対してルカリオはヨクバリスのスピードが遅いのを逆手に取り、波動を両手で抑えきれない程大きくして放出。波動を腹部に直撃したヨクバリスは波動によってルカリオの近くから引き離されて行くが、何とか弾き飛ばす。

 

 キョウスケの前で踏みとどまったヨクバリスが少しフラッとしたのを見てレイカはさらに畳み掛ける。

 

「ルカリオ、コメットパンチ!」

 

「カウンター!」

 

「あそこからさらに受け身に!?」

 

 リュウが驚く中でヨクバリスはルカリオの拳を自慢の体で受け切ると溜め込んだダメージを拳として放出。小さな拳を握りしめ、ルカリオの顔面を思い切り殴り抜き、ルカリオを自らの目の前からレイカの前にまで吹き飛ばす。

 

「悪いな。うちのヨクバリスは痛がってる振りだけは得意でよ」

 

「そうだった。忘れていたよ。だったらもう痛がる素振りを見せられないぐらいに徹底的にやる…!」

 

「っ!?」

 

「ルカリオ…行くよメガ進化!」

 

 ヨクバリスについてキョウスケから語られるとレイカは思わず笑みを浮かべる。そんなキョウスケすら驚かせたのはレイカが持っていたメガリング。リングが光り始めた瞬間、ルカリオの身体が光り出し、メガルカリオに進化を果たす。それを見てユウリ達も驚いた様子だ。

 

「まさかのガラルでメガ進化!とんでもない絆を積んで来た事でしょう!」

 

「行くよルカリオ…ボーンラッシュ!」

 

「カウンター!」

 

 骨のような物を2本取り出し両手に持つとそのままルカリオはヨクバリスに向かって行く。ヨクバリスはルカリオの骨を腕で受け止めながら後退して行くが、最後は少しタイミングをずらされヨクバリスが受け身が遅れたタイミングで骨が顔面に炸裂。地面に叩きつけられる。

 

「キョウスケ…!」

 

「メガ進化…やはり強いね…」

 

「畳み掛けるよルカリオ!コメットパンチ!」

 

「下克上起こすんだろヨクバリス!ぜってぇ勝つぞッ!」

 

「ヨクバァ!」

 

 ヨクバリスが声を張り上げるとルカリオの拳をまともに喰らいながらその腕を掴み、ハンマー投げのようにして振り回しながらルカリオをレイカの近くに投げ飛ばす。メガ進化が強いと楽観視していたジムリーダー達だったが、一人キバナが口を開く。

 

「…?」

 

「どうしたのキバナ…?」

 

 ヨクバリスの額にキョダイマックスのマークが刻まれ、身体にオーラを纏う。キバナだけがこのマークを付けたヨクバリスと戦っており、見た光景だなと感じ笑みを浮かべると…

 

「キョダイマックス…」

 

「ヨクバリスは確かキョダイマックスが見つかっていないんじゃ…!?」

 

「アイツなりのキョダイマックスなんだよ。詳細は不明だがな…」

 

「やはり何か隠し持っていたわね…そうこなくちゃ…!ルカリオ、はどうだん!」

 

 ルカリオが両手に再び波動を纏うとヨクバリスに向かって放出。ヨクバリスは両手で受け止め切ると、天井に弾き飛ばす。それを見てレイカはさらにヨクバリスに反撃の隙を与えまいと畳み掛ける。

 

「ボーンラッシュ!」

 

「ダイアース!」

 

 ヨクバリスが地面を思い切り踏み締めると辺りに衝撃波を巻き起こし、再び骨を持って向かってこようとしたルカリオを自らの近くから吹き飛ばす。常に笑みを浮かべながらこの状況を見守っていたガリュウもこの時ばかりは真剣な表情。レイカは少し歯を食いしばりながら…

 

「コメットパンチ!」

 

「ばかぢから!」

 

 ルカリオが拳を光らせて向かって行く中でヨクバリスはそのまま身体に思い切り力を入れ、地面が抉れるほどに蹴り出しルカリオに突進。両者ぶつかり合い巨大な爆煙を巻き起こす中で落ちて来たタイミングは一緒だったが、そのまま倒れたのはルカリオ。そのまま戦闘不能となった。

 

「ルカリオ、戦闘不能!ヨクバリスの勝ち!よって勝者キョウスケ選手!」

 

「ヨクバリス耐える!見事なバトル制したのはキョウスケ選手だぁ!」

 

「あー…負けた負けた!完敗だよ兄貴」

 

「何言ってやがる。てめぇも強かっただろうが」

 

 レイカはルカリオをボールに戻すとキョウスケに近寄り、手を差し伸べる。観客から大歓声が上がり、リーリエ達がホッとしミリも笑顔を見せる。キョウスケも手を差し伸べ握手を交わす。讃えあった健闘。その中で明日の決勝戦の相手が決まったのを確認したガリュウは笑顔を浮かべながらその場を去るのだった…




次は閑話回です!チェケラ!


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バトルエピソード vsガリュウルート
託される想い


今回は閑話回ですな!んんwギャグは少なめだから注意ですぞww


 前回のあらすじ!パンパカパーン!聞こえないぞぉ!パンパカパーン!

 

「……」

 

 バトルコートから受付にへと戻ってきたキョウスケとレイカを待っていたのは2人の健闘を讃えるかのような拍手喝采。そして今彼らの目の前にいるのは勝者となったキョウスケのファンクラブであるクモン達とそのキョウスケと戦ったリーリエ、リュウ。クモンが笑みを浮かべながらキョウスケに近づき…

 

「キョウスケ様。決勝進出。おめでとうございます」

 

「見ていてくれたんだよな。感謝しかないぜクモン」

 

「見ていたのはクモンさんだけじゃないよアニキ」

 

「……」

 

 若干クモン達から離れていた場所にいたミリとネズがキョウスケ達の元にへと近づいてくる。ネズはまるで表情を変える事はなかったがミリはキョウスケを讃えるかのように笑みを浮かべ、よくやったと言わんばかりに肩をトントンと叩く。

 

「よくやったよホント。ミケがレイカだった事には驚いたけど、素晴らしかったと思うよ」

 

「普段のボケる兄貴なら私が決勝進出だったのにね」

 

「うるせえやい。今回ばかりは大真面目じゃボケ」

 

「真面目なトーンでボケと言われるとちょいムカつくわね…」

 

 キョウスケが周りを見ながら一旦外に出ようぜという事をクモン達に告げると、普段周りを気にしない彼だけにあってその言葉には大変驚かせられたが了解するとキョウスケを先頭にスタジアムから出て行く。驚きはあったが口にはしなかったクモン達。そんな中ネズが口を開く。

 

「キョウスケ。今の気持ちを話してください。アナタにしては周りを見過ぎです」

 

「ネズさん…?」

 

「…不思議に思うだろうな。俺自身分かっていた事だよ。誰かしらは絶対不思議がるって」

 

「キョウスケさん…」

 

 スタジアムのポケモンセンター前で足を止めたキョウスケは一度自分を整理する為に空を見上げ、そして大きく一息を吐くとゆっくりとネズ達の方に振り返る。若干不安そうな表情を浮かべるリーリエやリュウさらに真顔のクモン達に対してキョウスケは本心を口にする。

 

「とんでもなく緊張してんだ今。試合は終わったばかりだというのによ」

 

「それはでも勝者だけが得られる感情じゃ…」

 

「リュウ。ちょっとだけ黙って。アニキ話しを続けて」

 

「…大人になったなおめえ。ま…ひとまずだ。あんな戦い方を40年間してきて、ダンデにも黒星を付けて今までガリュウはあの戦い方でリーグ制覇をしてきた…」

 

 目の前で見せられた圧倒劇。まさにトモだけではなく次の試合を行う予定であったキョウスケにもプレッシャーをかけるそんな試合となった訳だが、ガリュウは今までケンタロス1匹のスタイルをどのリーグ通じても続けてきた。かつてキョウスケが届かなかったダンデという壁。

 

 チャンピオンになる前とはいえそのダンデに土をつけたというガリュウ。そのとんでもなく力強く握り締められた拳からは確かなガリュウに対しての意識を感じられた。

 

「恐らく半数以上がガリュウの優勝を期待しているでしょうな。あのチャンピオンのコールはそれを物語っていると思います」

 

「会長!キョウスケ様に期待しなくてどうするんですか!?」

 

「だからこそ!私達はキョウスケ様!アナタがガリュウを倒し無敗伝説をいや生きる伝説を越える事を信じている。ガラルの恥と呼ばれても尚、この人は奇跡を生む事をやめなかった。その奇跡に我々は惹かれたのです」

 

「…?」

 

 一般論を口にした後クモンはキョウスケに対する想いを熱弁。それを聞きキョウスケが若干驚いた表情を浮かべていたがホッとしたのはファンクラブの面々。すると近くに降り立った一体の空飛ぶタクシー。そのタクシーから降り立った2人の男性がクモンの方にへと近づいて行く。

 

 レイカが近づくのを止めようとしたがミリが静止。ファンクラブの会員とも言える2人の男性はとある袋をクモンに差し出すと、クモンはそれを受け取りキョウスケの近くにへと足を進める。

 

「演出ですか?これ」

 

「ネズさんシーッ!今大事そうな所!」

 

「いや、大事そうな所だったら見守りましょうよ…」

 

 あまりに出来すぎていると感じたのか、ネズからふと漏れた言葉にリュウから思わず必死の言葉を紡がれたと思いきや、そんな2人の隣にいたリーリエが思わず呆れの表情。そんな事お構い無しにクモンが袋から赤いカーペットのような物を取り出すと…

 

「何だこれ?」

 

「マントです。ダンデが付けていたような高価な感じの物は買えませんでしたが、この試合が始まる前に徹夜でマントに想いを綴りました」

 

「…!?」

 

 渡されたマントにはファンクラブだけではなくキョウスケと戦ったミイ、キリキ、カオルさらにマリィなど様々な人物から書かれた言葉がキョウスケの目に入る。どれもが優勝と書かれており、その中には今この場にいるリーリエ、そしてリュウさらにミリが書いた文字もある。

 

「おいてめぇら!これ知っていて何も言わなかったのかよ!?」

 

「黙っていた方が面白いかなと感じまして」

 

「そこに綴られているのはアナタに敗れながらも、いやアナタと関わり応援したいと感じた人達の言葉です」

 

「自分を信じなキョウスケ。もし明日スタジアム中がガリュウの応援一色に染まろうが私らはアンタを応援すっから!」

 

 悪戯っぽく微笑むリーリエ達。そんな驚いたキョウスケの反応を見た後に笑みを浮かべた彼女らはマントに書かれた想いを直接言葉として伝える。マントにはキョウスケへの想いを込めた言葉が沢山書かれており、マント中の言葉をニヤニヤしながらキョウスケが見つめていると…

 

 一つ。応援ではない言葉、サインのような物があるのがキョウスケの視界に入った。

 

「何だこれ?サインか?」

 

「ああ。確かユウリがクモン達と電話していた姿を目撃したんですよね」

 

「ユウリが!?何で言ってくれねぇんだよクモン!」

 

「本人の言いつけで。この事はマントを渡すまで秘密にしておいてくれと言われまして。後もう一つ伝言がありまして。ガラルは一筋縄では行かない事を見せつけてやって下さいとの事です」

 

「ユウリさん…」

 

 ユウリからクモンへ預かっていた伝言。アマチュア大会であるが故にチャンピオンである自分の出場は出来ない。だからこそのキョウスケへの伝言なのだろうか。その場の全員が一度黙り込む中、キョウスケは持っていたマントを力強く握りしめ思わず笑みを浮かべる。

 

「泣かせてくれるし燃えさせてくれるじゃねぇかチャンピオンさんよ。そんなガラルの想いまで背負っちゃあ負ける訳には行かねぇよな!」

 

「我々は託しましたぞキョウスケ様。アナタのアマチュア大会優勝!そしてガリュウの打倒!早くではありますがご祈願させていただきます」

 

「上等だぜクモン…!」

 

 緊張のような物が入れ混じっていたようなそんな目ではなくなり、覚悟いや闘志が備わったそんな目にへと生まれ変わったキョウスケの一句一句の言葉は先程とは別人かのように力強さを増し、クモン達の方を見ながらキョウスケは笑みを浮かべ…

 

「よっしゃ!そんな事なら優勝に向けての予祝として居酒屋で宴と行こうぜ!」

 

「いいですな!行きましょう!行きましょう!」

 

「また飲むんですか!?」

 

「細けえ事はいいんだよ!今日だけは思い切りテンション上げて!明日に備えるぜ!」

 

「やれやれ…明日に響いても知らないからね…」

 

 キョウスケの一言により居酒屋に行く事に。まるで優勝したかのように居酒屋にてどんちゃん騒ぎをしたというキョウスケ達ではあったがそのあとキョウスケはしっかりとパーティメンバーの調整を怠らなかったらしい…




次からスタート。そしてこの編特別のガリュウ編がスタートします。


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王者対常識外。決戦の時

ついに開戦です。今回は思い切りバトルに入るのではなく開始まで行こうかなと思っています。


 前回のあらすじ!真面目回にしてしまってすいませんでしたぁ!

 

 アマチュア大会決勝当日。ガリュウ対キョウスケ、王者が優勝を果たすのかまたは下克上を果たすと発言したキョウスケが本当にそれを成し遂げるのか。世界中の注目がガラルのシュートスタジアムに注がれる中、下克上を果たすと言った当人は控え室にて闘志を燃やしていた。

 

「TV越しでもこんなに歓声が聞こえるんだぜ?どう思うよミリ」

 

「アンタはこの注目のガリュウと一緒の大目玉だよ。…さすがにこうなるのは予想外だったけど」

 

 TVを見つめながら笑みを浮かべるキョウスケのそばに居るミリは彼が着用する予定のマントを届けに来た。マントが入ったバッグを持って来た事によって彼女のここでの役割はもう終わっているのだが、一緒にTVを見つめていたミリがキョウスケに向かって呟く。

 

「クモンさん達はもう観客席にいるらしいよ」

 

「お前も今から行くのか?」

 

「うん。みんなアンタの勝ちを期待してんだから。胸張って戦って来い!」

 

「へ…!当たり前だ!」

 

 ミリの激励を受け笑みを浮かべたキョウスケに対して彼女自身安心をすると観客席に向かってその控え室を離れていく。観客席には既にクモンやリュウ、リーリエ、レイカ。そしてそこから離れた位置にキリキにミイ、カオルが今か今かとばかりにバトルコートを見つめている。

 

 観客はTVが伝えていたがシュートスタジアムにおけるジムチャレンジを除けば最大の観客数らしい。それはもうTV越しでも大歓声が聞こえてくる訳だ。バトルコートに出ると地響きが聞こえるぐらいになるのだろう。

 

「キョウスケ様。まもなく時間です。バトルコート前通路にへと足を運び下さい」

 

「なあゴリラ」

 

「ゴリラじゃないです」

 

「似合うか?このマント」

 

 マントを羽織っているキョウスケに声を掛けたのはナックルでもターフでもキョウスケを色々な意味で圧倒し続けたゴリラのような見た目をした大会スタッフ。キョウスケの問いかけにスタッフは無言ながらも頷くと、その頷きだけで十分だと呟いたキョウスケがバトルコート前通路にへと足を運んでいく。

 

 通路からも足元に伝わってくる地響き。ワクワクが止まらないキョウスケは一息吐いたが彼の中では緊張より興奮の方が勝っていた。溢れんばかりの思いを胸に今彼は決戦の舞台にへと足を運ぶ。

 

「お待たせいたしました!アマチュア大会決勝戦!大会王者の称号を手に入れるのはどちらか!まもなく選手入場です!」

 

「あ、ミリさん!こっちこっち!」

 

「ごめんごめん!つい話込んじゃって!」

 

 リーリエに手招きされる形でクモン達の元にミリが合流。大歓声が上がる中黒く何も映っていなかったビジョンにキョウスケの姿とガリュウの姿が映し出される。本気の本気、決勝は6体のフルバトル戦。その下のボールは6体。文字通り総力戦の一戦になるのは間違い無いだろう。

 

「さあ選手入場します!まずは右コーナー!誰がこの舞台に上がってくる事を期待したんでしょうか!下克上を果たすと豪語したその人物が決勝の舞台に立ちます!キョウスケ!」

 

「うおお!キョウスケ様ッ!」

 

「おや?キョウスケ選手、マントを羽織っております!ダンデ選手の真似事でしょうか!」

 

「何とでも言え。絶対勝って黙らしてやるからよ」

 

 右から入場して来たのはマントを羽織ったキョウスケ。歓声が驚きのような声に変わる中、事情を知っているマリィ、ユウリなどは特別席で笑みを浮かべる。それ以外のメンバーも特別席から観戦。全員真剣なのか、その真顔の表情がまるで変わる事はない。そして実況が息を整え…

 

「そして左コーナー!その目に見据えるは優勝の二文字か!チャンピオンコールはまたしても巻き起こるのか!生きる伝説にして絶対王者!無敗の男ガリュウが今登場だぁ!」

 

「チャンピオンッ!チャンピオンッ!」

 

 観客からチャンピオンコールが巻き起こる中、キョウスケとガリュウがついにバトルコートにて対面を果たす。自信満々のキョウスケと無敗の男はどちらも余裕気がありそうな表情で中央にてお互いを見つめる。ガリュウはキョウスケのマントに目をつけると…

 

「似合ってるの方がいいかい?」

 

「てめぇにだけはそれは言われたくねえなガリュウ」

 

「フッ…そうだろうね」

 

「てめぇを倒し無敗に土を付けてやる…覚悟しな」

 

 キョウスケの強気とも見える発言を受けても尚、ガリュウは余裕の笑みを崩さない。そうしているうちにも二人はお互いに背を向けて距離を空けていく。観客達はざわめく。目的が分かっているからだ。ミリ達も祈るような目で見つめる中、お互いが離れてモンスターボールを持ってのを見てロトムが動く。

 

「両者準備はよろしいでしょうか?」

 

「もちろん…!」

 

「ああ、始めてくれ」

 

「バトル…スタート!」

 

 観客がこのコールを受けて大歓声が上がる中、キョウスケは力強くマントを脱ぎ捨てボールを全力で投げる。中から出てきたのはエースのヨクバリス。一方のガリュウは冷静にボールを投げると中から出てきたのはこちらもエースであるケンタロス。

 

「まさかのエース対決…!」

 

「一番の鬼門にして一番の難敵…!兄貴…!」

 

「さぁ君のポケモンと私のポケモン!どちらが勝るか楽しもうではないか!ケンタロス、ギガインパクト!」

 

「ヨクバリス、カウンター!」

 

「無茶だ!耐え切れる筈がない!」

 

 足元が抉れるくらいに強く蹴り出したケンタロスが受け身の体勢を取るヨクバリスに一直線に向かって行く。リュウから思わず声が漏れ、レイカやリーリエ達も歯を食いしばる。そんな中勢いよくケンタロスがヨクバリスに激突。かわしなどしていない、直撃。

 

 観客達が大いに盛り上がりクモン達が息を呑む中、特別席にいたキバナただ一人が笑みを浮かべ…

 

「アイツがホントに何も考えずにカウンターを選んだとでも?」

 

「え?キバナ…それはどういう…」

 

 観客達がケンタロスの勝利を確信する中、ケンタロスがヨクバリスに衝突した際の爆煙が晴れたその時。クモン達が思わず喜びの表情を浮かべる。ヨクバリスは若干のダメージを受けつつもその場から一歩として吹き飛んでいない。あろう事かケンタロスの突進を受け止めている。

 

「ヨクバリス、ケンタロスのギガインパクトを受け止めたぁ!」

 

「…!?」

 

「ヨクバリス、カウンタァ!」

 

 ヨクバリスが目を力強く開けるとキョウスケの声を再び聞き、ケンタロスから少し離れると思い切りそのケンタロスの顔面をヨクバリスは殴り抜き、ケンタロスを自らの近くからガリュウの後方まで吹き飛ばす。確信していた勝利をなくされた観客達は驚きで言葉も出ず、ガリュウも思わず黙り込む。

 

 ガリュウが背後に振り返るとそこには起き上がったとはいえ確かに地面に刻まれたケンタロスが吹き飛ばされた跡。

 

「ごちゃごちゃうるせえな。さっきの言葉が本当に見せかけの言葉だったとでも?」

 

「……」

 

「来いよガリュウ。てめぇのポケモンと俺たちが背負った思い!その格の違いというのを見せてやる!」

 

 クモン達ファンクラブが声を張り上げリーリエ達も笑みを浮かべる。ヨクバリスも耐え切ったとはいえダメージは負っている。お楽しみを不意にしたくないと感じたのか、ガリュウは笑みを浮かべながらケンタロスをこの大会初めてボールに戻し交代。2体目のボールを構える。

 

「ヨクバリス、一旦戻ってくれ」

 

「ヨク?」

 

「大丈夫だ絶対再度お前に繋げっから」

 

「大した者だよ、まさかケンタロスが吹き飛ばされるとは。こういうのだよ…こう驚いてこそポケモンバトルだ!なあ下克上者!」

 

「その余裕をてめぇの負けで潰してやらぁ!」

 

 ヨクバリスをボールに戻したキョウスケ。お互いのエースが一度ボールの中に戻る中、次にガリュウが出したのはガブリアス、そしてキョウスケはヨノワール。一体もやられていないが早くも二人の対決は2体目に突入。まさかのケンタロスが吹き飛ばされる大波乱で幕を開けた決勝。勝つのはどちらか…

 




ここからしばらくガリュウ編が続きます。まさかのヨクバリスに吹き飛ばされる大波乱でしたが、彼はケンタロスだけじゃありません。
お楽しみに。


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王者の戦術とヨノワールの意地

いやあついに始まりますねぇ。頑張って行きますよ!
予定は出来てますし!


 前回のあらすじ!もうバトル始まってるよ!真面目回見たくない人は1話に戻ってぇ!

 

「がんせきふうじ!」

 

「接近だガブリアス!アイアンヘッド!」

 

 ヨノワールが地面を叩きつけ、地面から岩の柱を作り上げて行く中ガブリアスはジャンプし、岩の柱を足場にするとその柱を力強く蹴り出し一気にヨノワールの目の前で頭を振り上げる。

 

「かげうちでかわせ!」

 

「ヨノワ!」

 

 柱を足場にした事にキョウスケは驚きつつも冷静に指示。ヨノワールを影として地面に潜り込ませ、ガブリアスの一撃を回避。ガブリアスが頭をぶつけた地面は2回に渡り、広範囲で爆発したかのように砂埃が巻き上がりそのガブリアスの頭の跡がひび割れながらしっかり残っている。

 

「凄い威力…!」

 

「喰らったら恐らく大ダメージでしたでしょうね…!」

 

「シャドーパンチ!」

 

「なみのり!自分の周りに撒き散らすように波を起こせ!」

 

 レイカやリーリエが驚きを見せる中、再び地面から姿を現したヨノワールがキョウスケの指示を受けてガブリアスに接近し、拳を突き出そうとするがガリュウはここでなみのりを選択。地面をガブリアスが叩きつけると、ポケモン一体を飲み込みそうな津波がヨノワールを襲う。

 

「っ!かげうち!」

 

「……」

 

 なみのりを回避する為にキョウスケは再びかげうちを選択。地面に再び影として潜り込み、波を掻い潜ってガブリアスの背後に迫ったその時だった。こちらに振り向いていない筈のガブリアスが既に攻撃するすぐ前。リュウがこの待ち伏せを見てとある事を察する。

 

「なみのりは当てる為じゃない!ガブリアスの近くにヨノワールを誘き寄せるフェイク…!」

 

「ドラゴンダイブ!」

 

 ガブリアスは驚いているキョウスケとヨノワールに次の指示を与えないまま、ガリュウの指示を聞き青白いオーラを纏いながらヨノワールの身体に激突。そのまま声を張り上げながらヨノワールを押し出して吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされたヨノワールは地面に何とか指を食い込ませ、何とか抉りつつもある程度で踏みとどまる。

 

「リュウ…今の言葉…」

 

「時々親父が使う戦法なんです。練習試合で他のポケモンを使う時、基本的に大きな技はあえてかわさせる為に使う…!」

 

「確かにヨノワールが特殊技を持っている事は少なそうですけどね」

 

「かげうちッ!」

 

 ヨノワールが再び地面に潜り込み、今度はあっさりとガブリアスの後方に回り込むとガブリアスの振り向きざまヨノワールの手刀がガブリアスの首に炸裂。勢いよく押し出した影響でガブリアスは水飛沫を多少撒き散らしながら、地面に叩きつけられる。

 

「よし!一撃!」

 

「ドラゴンダイブの後のかげうち!撒き散らされた水飛沫はキョウスケ選手の反撃の狼煙になるんでしょうか!」

 

「何も練っていない状態でダメージを食らったとでも?」

 

「っ!?」

 

 一撃を加え、ゆっくり立ち上がるガブリアスを見ているヨノワールの後方から迫って来た無数の岩。振り向きざま一つの巨大な岩に当たると、キョウスケが慌てるその前でガリュウは笑みを浮かべ…

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「こうなったらやるっきゃねぇ!シャドーパンチ!」

 

 ガブリアスが再び地面を強く蹴り出し一気にヨノワールの目の前へ。青白いオーラを再び纏いながら突撃するガブリアスに対してキョウスケはヨノワールに攻撃技を指示。ヨノワールの拳とガブリアスの頭が激しく火花を散らす中、キョウスケ達を全く見えなくさせる程の爆煙が。

 

 数秒経ち出てきたのは吹き飛ばされ、若干ボロボロとなりながらもキョウスケの前に立ったヨノワールと軽い身のこなしで地面に足をつけたガブリアス。

 

「ダメージの差が歴然過ぎる…!」

 

「ガブリアスは元々マッハと呼ばれるポケモン…それに加えてパワーも一級品。ヨノワールも力はあるとはいえ、元々の実力差が明らかなのは確かだ」

 

「キバナさん…」

 

「勝機があるとしたらがんせきふうじでスピードを下げてスピードだけでもガブリアスと同じにするか…」

 

 ドラゴンダイブを直撃し、2回目の一撃にパワーを削がれたヨノワール。圧倒的に劣勢であるのは確かであり、実力差はキバナを始めカブですらスピードを下げないと勝機がないと言い張る始末。祈るしかないクモン達。

 

 キョウスケも一息吐きつつ冷や汗を流す。先程の岩は事前にガリュウがガブリアスに指示していたいわなだれ。隕石のように降り注ぐとは思っていなかったが、キョウスケは歯を食いしばり苦笑いを作る。

 

「かなり苦しいと見えるのだが?」

 

「苦しい表情ばかりしてるとヨノワールに申し訳ないんでな!ヨノワールがんせきふうじ!」

 

「突っ切れ!アイアンヘッド!」

 

 精一杯今出来る言い訳を思いつき、ヨノワールに再び指示を出すキョウスケ。ヨノワールは地面を叩きつけると再び岩の柱を作り出していく。今度はガリュウがガブリアスに突っ切るように指示。頭をガブリアスは光らせると地面を力強く蹴り出し、柱を次々と破壊。

 

 一気にヨノワールの目の前に行くとそのままヨノワールの腹部にガブリアスは突進をかまし、そのまま地面に抉れる程強く叩きつける。

 

「まともに喰らった!」

 

「……!」

 

 必死に余裕を保とうとしたキョウスケに再び苦しい表情を呼び起こすガブリアスの一撃。勝ったかのように咆哮を上げるガブリアスに対してロトムがヨノワールに迫ろうとしたその時だった。

 

「シャドーパンチ!」

 

「っ!?」

 

 ロトムが慌ててヨノワールから離れ、キョウスケの叫びに似た一言が再びヨノワールの身体を倒れた状態から起こすと全く持って油断していたガブリアスの顔面に拳が炸裂。思い切り殴り抜いた一撃はガブリアスを倒せなかったものの、ガリュウの前まで吹き飛ばした。

 

「少し引っ込んでろ…!ヨノワールはまだ倒れちゃいない!全力でかかって来い!」

 

「驚くのは今の君には無礼か…!だったら全力で叩き潰す事を誓おう!ガブリアス、ドラゴンダイブ!」

 

「かげうち!」

 

 明らかにダメージの受け具合はヨノワールが上でヨノワールの動きに少しよろけた部分が見えるものの、ガブリアスの突進をヨノワールは地面に潜り込む事でかわすと、ヨノワールはその後ガブリアスの背後に出現。再び手刀を喰らわせるが今度は踏ん張り、倒れない。

 

「いわなだれ!」

 

「シャドーパンチ!」

 

 そのまま地面を叩きつけるガブリアスとそのままガブリアスを殴りにかかるヨノワール。ガブリアスの巻き上げた土飛沫から出てきた岩がヨノワールにぶつかって行く中、ヨノワールの拳が確実にガブリアスの背中を殴り抜き、そのまま地面に叩きつける。

 

 地面に叩きつけた際に巻き上がる砂煙を駆使し、ガブリアスはヨノワールの前から離れると…

 

「自ら動いた!?」

 

「一体一体が役割を分かっている…!それでも…!」

 

「なみのり!」

 

「かげうち!」

 

 ガブリアスにも少しよろけが見え始める中、ヨノワールは地面に潜り込みガブリアスの周りから吹き出した波をヨノワールは影として地面の中にいながらかわす。これはフェイク。リュウ達はそれを把握していたが…

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「シャドーパンチ!」

 

 明らかに水飛沫を撒き散らしてガブリアスの前に姿を見せたヨノワールに対して、ガブリアスは青白いオーラを身に纏いながらヨノワールに突撃。ヨノワールが拳を突き出す瞬間、少しそのスピードはガブリアスを勝り同時に一撃がぶつかり合う。

 

 ビートやヤロー達が驚きを見せる中、火花を散らしあいぶつかり合った両者の結末。ぶつかり合っていた最中に巻き上がった爆煙が晴れると、立ち尽くすガブリアスとヨノワールがいたが…

 

「ガブリ…」

 

「ヨノワ…」

 

 2体同時に仰向けに倒れる。

 

「ガブリアス、ヨノワール共に戦闘不能!引き分け!」

 

「何という激しい戦い!これが1体目の戦いというのかッ!」

 

「ダブルノックアウト…でもどうしてあんなに反撃を…」

 

「がんせきふうじだよ。喰らっていなかったかもしれない、2回の一撃に対しての行動。ガブリアスが違和感感じていないところで素早さを下げられていた」

 

「これを見越してだろ?凄いよねアイツ」

 

 ヨノワール、ガブリアス共に二人は労いの言葉をかけながらボールの中に戻すと、3体目であるガリュウはバンギラス。キョウスケはウオノラゴンをフィールドへ。会場がこれでもかというくらいに拍手を送る中、勝負は第2戦に入って行く…




いやあ凄く疲れたw
お疲れ様でした。見てくださりありがとうございます。
また見てくれる方は次回もよろしくお願いします。


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負ける訳には行かない意地と垣間見る戦術

最近身体が痛いですw
ですが頑張りまーすw


 前回のあらすじ!ギャグ要素を残すとだけになったあらすじ。ではいこー!

 

「いわなだれ!」

 

「突っ込めウオノラゴン、エラがみ!」

 

 バンギラスが地面を叩きつけどことなく出した大量の岩を降らしていく中、ウオノラゴンは地面を力強く蹴り出すとそのまま岩をかわしていきながらバンギラスに接近。その間合いからエラがみをバンギラスの身体に直撃させる。怯んだバンギラスはそのまま押し切られ少し吹き飛ぶ。

 

「ドラゴンクロー!」

 

「ドラゴンクロー!?」

 

「りゅうのはどう!」

 

 動く度地面を揺らしながらウオノラゴンに接近していくバンギラス。バンギラスに向かってウオノラゴンは口から波動を放つが、食らっただけでダメージにはならずクローを一撃まともに食い、さらにもう1発目の一撃でウオノラゴンを自分の近くから吹き飛ばす。

 

「ガブリアスだってなみのりを覚えていたじゃない?何をそんなに…」

 

「攻撃系ならタイプ一致のあくタイプ系統があるはず。今のドラゴンクローはそれがないと教えてるような物…」

 

「でもいわなだれとドラゴンクローしか…」

 

「親父は持っていたら先に見せるタイプなんです。だから持っていない…!」

 

 リュウが驚いた時にキョトンとしたレイカから一言が入ったがガリュウの息子であるリュウはその性格からタイプ一致はあったら先に使うと断言。リュウの言葉に一行が息を呑む中、キョウスケの前で体勢を整えたウオノラゴンに対し…

 

「メテオビーム!」

 

「ふ…ドラゴンクロー!」

 

(笑った?)

 

 画面越しから見ていたマリィが疑問を抱く中、ウオノラゴンは自らオーラを出し力を溜め込んでいく中でガリュウの指示によって動いたバンギラスが足元を蹴り出した瞬間。何かに導かれるようにして一瞬で目の前に。これにはキョウスケも驚き…

 

「な…!?」

 

「グオ!」

 

 再び2発のクローが順番に命中し、2発目で再びウオノラゴンを近くから吹き飛ばす。ウオノラゴンの口から放たれたメテオビームが空中に向かって放たれ、壁近くでは自動的に張られるバリアに防がれて打ち損になる始末。その驚異的な素早さに驚いたキョウスケだが…

 

(何かの見間違いか…!?)

 

「エラがみ!」

 

「迎え撃てバンギラス、アイアンヘッド!」

 

 ウオノラゴンがゆっくり立ち上がり再び足元を力強く蹴り出すとそのままバンギラスの近くに接近。バンギラスが頭を振り下ろそうとする前にウオノラゴンのエラがみがバンギラスに直撃。怯まなかったバンギラスの一撃も入ったがウオノラゴンが気合いでバンギラスを吹き飛ばす。

 

 だが吹き飛んだ距離は少々。すぐに体勢を整えると…

 

「じしん!」

 

「りゅうのはどう!地面に吹きつけろ!」

 

「地面に!?」

 

 バンギラスが地面を叩きつけウオノラゴンがりゅうのはどうを地面に吹き付ける。ウオノラゴンはりゅうのはどうから起きた爆煙によりバンギラスが放った地震を回避。揺れが収まったタイミングで地面に再び着地したのだが、その時だった。またしてもあっという間にバンギラスが目の前に。

 

「ドラゴンクロー!」

 

「何発も受ける訳には…!ドラゴンダイブ!」

 

 ウオノラゴンが身体中にオーラを纏いバンギラスに突撃。バンギラスが仕掛けてきたドラゴンクローと相打ちにする形で直撃を防いだが元はバンギラスの方が攻撃力は上。ウオノラゴンは多少バンギラスの近くから吹き飛ばされる始末に。

 

「なんとか相打ちにしたけど…」

 

「せんせいのつめでしょうな」

 

「せんせいのつめ?」

 

「一時的とはいえ必ず先制できる力のある爪…元々ウオノラゴンよりスピードは劣るバンギラス。この対面を予測していたかもしれませぬ」

 

「まさかそこまで考えてる事なんて…」

 

 クモンの口から呟かれたウオノラゴンとバンギラスの対面。こうはなったのはたまたまかもしれないが、結果的にバンギラス優勢で動いている結果に。キョウスケが再び息を呑み、ガリュウが余裕の表情を浮かべる。先程と似たような感じになっているが…

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「いわなだれ!」

 

 ウオノラゴンが身体にオーラを纏いバンギラスが地面を叩きつけ降らしてきた岩をオーラで粉砕していきながら突撃。一気にバンギラスの間合いに詰め寄るとそのまま腹部に直撃するが一方に余裕を崩さないのがガリュウ。マクワがそれを見て無言ながら不思議に思っていると…

 

「ドラゴンクロー!」

 

「まさかあの人近づいてくるのを待って…!」

 

 ウオノラゴンが放って来たオーラをクローの一撃で粉砕するともう一撃でウオノラゴンの頭部に直撃を喰らわせ、そのまま押し切って吹き飛ばす。3度目のドラゴンクローの直撃。吹き飛んできたウオノラゴンに対してキョウスケは…

 

「ウオノラゴン!」

 

「してやられましたねキョウスケは」

 

「いわゆる釣り野伏せ…攻撃を受ける事を承知の上の博打…」

 

「ウオノラ…」

 

「大したもんだ。致命的なダメージになると踏んだのだが」

 

 ウオノラゴンは立ち上がったがフラフラしてしまう程のボロボロ状態。バンギラスはダメージこそ受けているが身体に傷が入っている程度。体力面で見て圧倒的に不利。キョウスケはウオノラゴンの交代をしようとしたがウオノラゴンが嫌がっているかのように声を張り上げる。

 

「!…そうだよな。悔い残るもんな…俺がお前の背中を押してやる…!」

 

「今度は油断はしない…叩き潰すぞバンギラス!じしん!」

 

「メテオビーム!」

 

 バンギラスが地面を叩きつけ、地面を揺らしながら衝撃波を放ってくる中でウオノラゴンはオーラを溜め込み口から放出。衝撃波とビームが相打ちになる中でバンギラスがまたしてもあっという間に目の前に。

 

「ウオノラゴン、エラがみ!」

 

「ドラゴンクロー!」

 

「今攻めるのは…!」

 

 ウオノラゴンにバンギラスのドラゴンクローが一撃命中しながらも意地で2発目は回避。バンギラスの姿勢が前屈みになっているその時。ウオノラゴンのエラがみがバンギラスの横腹に命中。ウオノラゴンの渾身を込めた一撃でバンギラスを自らの近くから吹き飛ばす。

 

「ウオノラゴンのエラがみがバンギラスを吹き飛ばす!そして…!?」

 

「ウオノラ…」

 

「ウオノラゴン!」

 

「ウオノラゴン、戦闘不能!バンギラスの勝ち!」

 

 気迫の一撃を受けてもなお、ウオノラゴンに歩み寄ろうとするバンギラス。ガリュウが勝ちを聞いた瞬間に笑みを浮かべたが、その笑みが一瞬にして曇る。そのままバンギラスはウオノラゴンから離れるようにして仰向けで倒れた。ウオノラゴンの判定をしたロトムがすぐにバンギラスに近づき…

 

「バンギラス、戦闘不能!ダブルノックアウトとなります!」

 

「ウオノラゴンの必死の攻勢がバンギラスを戦闘不能に追い込んだぁ!」

 

「バンギラスにとっても致命傷だった…」

 

「熱いバトルをするじゃないかキョウスケ…」

 

 バンギラス優勢からダブルノックアウトに持ち込んだウオノラゴンに拍手が送られる中、絶望したミリ達に思わず笑顔が溢れる。これで2体連続のダブルノックアウト。両者4体目か引っ込んでいるヨクバリスか、ケンタロスを場に出すことになる。

「大したものだよ。私が4体目を出すのはルーキー以来だ」

 

「ウオノラゴンよくやってくれた。後はボールの中から声援頼むぜ…!」

 

 ガリュウの表情から焦りはまだ見えない。お互いにボールの中にポケモンを戻す中、キョウスケはウオノラゴンを労いながら4体目であるジガルデをフィールドに。ガリュウが繰り出したのはメタグロス。

 

「再び600族…」

 

「でもはがねタイプとじめんタイプだから…」

 

「有利は有利なんですけどね。何もなくメタグロスを出しているとは思えません…」

 

 メタグロス対ジガルデ。相性を考えてなくメタグロスを場に出しているとは到底思えない。場には4体目のポケモンであるメタグロスとジガルデ。観客達は息を呑みながら見つめていた…

 




見てくださりありがとうございます。
自分ではもう少し迫力を出したいんですよね。
なんか気になった事があれば教えてください。
あ、バトルエピソードなんでギャグは?という意見だけは今は聞けません…w


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見えるは突破口か、王者の戦功か

ポケモン新作までにこのバトルが終わらない予定となってます。
まあ休み挟んでるから仕方ないですね。


 前回のあらすじ!悲報!ポケモン新作までにこの戦いが終わらない事が判明!いやあ…まあ頑張りますという事で始まります。

 

「きあいだま!」

 

「シャドーボール!」

 

 ジガルデの溜め込んだ一撃とメタグロスの放って来たシャドーボール。両者の波動の一撃が同時に放たれて同時に衝突。火花を散らす事なく相打ちとなり、爆煙が巻き上がるがキョウスケがその最中で指示を出す。

 

「コアパニッシャー!」

 

「突っ込めメタグロス、しねんのずつき!」

 

 ジガルデから放たれたレーザーが地面を抉りながらメタグロスに向かって行くが、メタグロスは磁力により宙に浮きこれを計ったかのように回避。そのままオーラを纏ったメタグロスが空中からジガルデに向かって突撃してくる。

 

「コアパニッシャーをサラッとかわしたメタグロス!そのままジガルデに向かって行くッ!」

 

「きあいだま!」

 

 ジガルデから再び波動が放たれて行く中でメタグロスはきあいだまと衝突。今度は相打ちにはならなかったが激しい火花を散らしながら、きあいだまをかき消すとそのままジガルデの身体に突進。そのまま直撃を食らわせて吹き飛ばす。

 

 すぐに踏ん張ったジガルデに対してメタグロスは空中から地面に着陸。この隙をキョウスケは見逃さず…

 

「グランドフォース!」

 

「すぐ踏ん張ったからすぐ攻撃に入れた!」

 

「いや待って…何かおかしい!」

 

 ジガルデが地面から衝撃波を巻き起こしメタグロスに向かって放って行くが、メタグロスは何もしていないのにも関わらずフワフワと空中に浮かび上がって衝撃波が命中しない。ミリ達が驚く中でガリュウだけが笑みを浮かべメタグロスに次の指示を出す。

 

「ラスターカノン!」

 

「っ!コアパニッシャー!」

 

 空中から再びエネルギーを溜め込むと鋼の波動をジガルデに向かって放出。ジガルデは身体を光らせてレーザーを再びメタグロスに向かって撃ち込んでいく。波動とレーザーが衝突して行くが相打ちで再び両者が見えなくなる程の爆煙が広がって行く中で…

 

「サウザンアロー!」

 

「しねんのずつきでかき消せ!」

 

「?かき消せ…?」

 

 ジガルデが空中に向かって光を放って行き、空中から光の矢が一斉にメタグロスに向かって降り注いでいく。そんな中メタグロスは空中から再びオーラを纏い矢に向かって突撃して行くと勢いそのままに矢をかき消して行き、一気にジガルデの目の前に行くと…

 

「アームハンマー!」

 

「きあいだま!」

 

 疑問に思ったリュウ。そんな中でメタグロスの振り下ろして来た腕でジガルデの3発目の波動が衝突。だが今度はきあいだまの力が勝り、メタグロスの身体にきあいだまが命中。メタグロスは空中から地面に再び着地しジガルデの方を見据える。

 

「グランドフォース!」

 

「ラスターカノン!」

 

 地面から衝撃波を放って行く中でメタグロスの身体がまたしても空中へ。グランドフォースが2回に渡りかわされた訳だが、指示した後だから行動が出来ない。メタグロスの放って来たラスターカノンをまともに食らう事になり、吹き飛びはしなかったがジガルデの身体に少し傷が入った。

 

「何で当たらないのですか!?」

 

「ふうせんです」

 

「ふうせん…?」

 

「さっき親父はサウザンアローについてかき消せと言いました。ふうせんというアイテムはじめん技は絶対当たらないアイテム。しかし…」

 

「なるほど…サウザンアローは関係なしにダメージを与え、然もふうせんも無くす事が出来る。それを恐れた訳ね」

 

 メタグロスが磁力も何も起こしていない状態で空中に浮かび上がっていた理由はメタグロスの持つ持ち物にあった。ガリュウはバンギラスの時と同様にアイテムを持たせている。1発きあいだまが命中したとはいえ、ppはかなり削られた状態。キョウスケは息を呑む。

 

「きあいだまようやく命中。然しジガルデは既にダメージを負い、各技のppも削られている状態。メタグロスは確実に命中させてきています!」

 

(なるほど。確かに戦法に戦法を練って来ているようだ。主よ、あらかたパターンは掴めたんじゃないか?)

 

「掴めはしたが意図までは見えない。やれるか?」

 

(私を誰だと思っている。主のままにやって見せるさ)

 

「ラスターカノン!」

 

「サウザンアロー!」

 

 ダメージを受けるのを承知の上でキョウスケはサウザンアローを指示。空中に光を放つと空中からメタグロスに向かって無数の矢が降り注いでくる。そんな最中メタグロスの2発目のラスターカノンが命中。少しばかり吹き飛んだがまだ動きには余裕がある。

 

 これは避けられない。メタグロスに降り注いだ無数の光の矢は確実にメタグロスに命中。パン!という何かの音と共にメタグロスにダメージを与えた。

 

「サウザンアロー命中!メタグロスにようやくじめんタイプの技が命中したぁ!」

 

「見抜かれていた訳だな。アイテム持ちというのは」

 

「怪しいとは思った。当たる筈の技が当たらねえんだからな。さあ第二ラウンドだ。本気で行くぜ…!」

 

「おっとジガルデが激しく光り始めました!これは一体…!?」

 

「ダメージを受けないと出てこないんだったねこれは」

 

 特別席のカブが冷静に呟く中ジガルデの身体が突如光り始めたと思いきや、蛇のような身体をしていたジガルデから腕と足が生え、光が解けていくと同時にジガルデは声を張り上げる。ガリュウは未だに余裕の笑みを崩さない。そんな中キョウスケは一息吐き…

 

「もうかわす事は出来ねえだろ!グランドフォース!」

 

「やりようはあるさ。しねんのずつき!」

 

 ジガルデが拳で地面を叩きつけ再び衝撃波を放って行く中でメタグロスは磁力により宙に浮くとまたしてもグランドフォースを回避。そのままオーラを身に纏うとそのまま突撃。一気にジガルデの目の前へ。

 

「サウザンアロー!」

 

「しねんのずつきが迫る目の前で!?」

 

「大博打…いやそれ以上か…!?」

 

 ジガルデの片手から空中に向かって光が放たれて行く中でメタグロスのずつきが腹部に直撃。そのままジガルデ自体はその場から吹き飛ばされたが、ジガルデによって放たれた光は…

 

「吹き飛んだ!だが光はまだ残っている!」

 

「まさか…!」

 

「鼻っからダメージを受けるというのは承知の上!倒れな…メタグロスッ!」

 

 頭突きを終えオーラが消え切ったメタグロスに降り注いでくる無数の光の矢。ガリュウから初めて笑みが消えた瞬間。そして矢を受け切ったメタグロスはその場に倒れ込み、ロトムが近くに寄って行く。

 

「メタグロス、戦闘不能!ジガルデの勝ち!」

 

「キョウスケ選手王者相手についにリードを奪う!これで4ー3!勝負の行方は次のポケモンが鍵を握りそうです!」

 

「なるほどな。やはり君にはこのポケモンを出した方が良さそうだ」

 

「…まさか…!?」

 

 メタグロスをボールの中に戻したガリュウが真剣な目つきをしながら次に繰り出したのはヨクバリスとの戦いにて引っ込んだ状態だったケンタロス。観客達が一気に盛り上がり、さらにジムリーダー達の目つきが変わった。

 

「来ましたね」

 

「痛手を負ってるけどまだ余裕があった。同じダメージなら…」

 

「出やがったなケンタロス。ジガルデ、まだやれるな?」

 

(無論だ。やってみせよう)

 

 ミリ達が息を呑む中観客達は一気にガリュウの反撃を信じるようなそんな拍手をする。ユウリが不安そうに見つめる中でお互いに真剣な表情で対した両者の口が開き、指示が出される。

 

「ジガルデ、きあいだま!」

 

「10まんばりき!」

 

 ジガルデが両手からきあいだまを放出して行く中でケンタロスは地面を蹴り出すとそのままジガルデに突撃して行く。きあいだまをまともに食らったと思いきや、一瞬にしてかき消しそのままジガルデに突撃を食らわせて吹き飛ばす。この力に驚くキョウスケ。そしてジガルデは吹き飛ばされたまま、起き上がらない。

 

「ジガルデ…!?」

 

「ジガルデ、戦闘不能!ケンタロスの勝ち!」

 

「い、一撃!?」

 

「一瞬にしてガリュウ選手がタイに戻す!キョウスケ選手、奪っていたリードが一瞬にして消えました!」

 

 ジガルデはケンタロスの一撃でノックアウト。唖然とするしかないキョウスケに対してクモン達も思わず言葉が出ない。歯を食いしばるキョウスケに対して真剣の眼差しに変わったのはガリュウ。ジガルデをボールに戻すとキョウスケがボールを構える前にラプラスが飛び出す。

 

「ラプラス!お前…!」

 

「キュウ!」

 

「ラプラスか。ケンタロスの戦いを見ていなかった訳ではあるまい?」

 

「あの子ならきっと…この状況でも…」

 

「リュウ…」

 

 ラプラスと対するのは40年間の無敗記録を支えた伝説の証。3対3に引き戻されてのリュウ戦での3タテを成し遂げたラプラスがケンタロスと対する。勝負の行方はどちらか…




見てくださりありがとうございます。
また次も頑張りますー。


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勝るは奇跡か、王者の底力か

いやあついにここまで来ました。来週がいよいよ発売な訳ですが、この戦いはまだ続きます!頑張ります!


前回のあらすじ!オンドゥルウラギッタンデスカー!?

 

「先手必勝で叩き潰す…!ケンタロス、ギガインパクト!」

 

「いきなり!?」

 

「フリーズドライ!」

 

 身体に緑のオーラを纏いながら突撃してくるケンタロスに対してラプラスは身体から冷気を放ち、地面を凍らせて行く。軽快に地面を蹴りながら突撃して来ていたケンタロス、然しこの氷がバランスを取れなくさせ勢いが消え失せた事によりオーラが消えた。

 

「何!?」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 ようやく踏ん張りが付いたのはラプラスの目の前。口から放たれた水流がケンタロスに直撃し、少し吹き飛ばされるがハイドロポンプを持ってしても吹き飛んだ距離は凍らされたラプラス範囲内の地面を抜けるまで。地面を抉りながら踏ん張ったケンタロスにミリ達は息を呑む。

 

「ハイドロポンプでも少しだけ…!」

 

「どんな技もかき消して来たケンタロスです。吹き飛んだ事を幸運と思わないと…」

 

「地面を凍らせてケンタロスのバランスを崩す…考えたな。だが二度は通用しない。アイアンヘッド!」

 

「10まんボルト!」

 

 ガリュウの表情がさらに引き締まり、ケンタロスは声を張り上げながら再び地面を蹴り出すと、的を絞りにくくするように左右に動きながらラプラスに接近して行く。ラプラスは溜め込んだ電撃をケンタロスに向かって放つが、スレスレの所で当たらず。

 

 驚くラプラス、キョウスケを目の前にしてケンタロスはラプラスの目の前に現れると後ろ足をさらに強く蹴り出してラプラスの身体に突撃。突進をまともに食らったラプラスは一瞬にして、バトルコート外にへと弾き飛ばされるが何とか踏ん張った様子。

 

「キュウ!」

 

「ラプラス踏ん張った!一撃でやられていたポケモン達とは違う耐久力だ!」

 

(アイアンヘッドであんなに吹き飛ぶのか…!他のポケモンとはまるで桁が違う…!勝ち筋はあるのか…!)

 

「10まんばりき!」

 

「迎え撃つぞラプラス、ハイドロポンプ!」

 

 ケンタロスは再び足元を蹴り出すと足音を響かせながらラプラスに接近して行く。ラプラスは口を広げると大量の水を放ち、ケンタロスに当てて行くが勢いが少し弱まった程度。吹き飛ばす事も勢いを止める事もできない。

 

「フリーズドライ!」

 

「再び勢いを止めにくるつもりか!」

 

「いいや違うね!」

 

 ラプラスにフリーズドライで凍らせたのはラプラス自身が放っていた水流。凍らせた水流を木っ端微塵に砕いたケンタロスだったがその先にラプラスの姿はなく、ラプラスはケンタロスの左の方から現れ…

 

「アイアンヘッド!」

 

「水流は囮か!インファイト!」

 

「不意を突かれたとはいえパワーはケンタロスの方が…!」

 

 首を思い切り振り下ろすラプラスに対してケンタロスは振り向き様ラプラスに突進して行く。両者の頭部が激しく火花を散らしながらぶつかり合い爆発。その爆煙から吹き飛んできたのはラプラス。だが威力が殺されていた為か大したダメージは受けていない様子。

 

 リュウはその様子を見て一息を吐く。ケンタロスはその場から一歩たりとも吹き飛んでいない。キョウスケの中では大博打の一撃だった。不意を突かれたのに微動だにしないケンタロスにキョウスケは苦笑いを浮かべ…

 

「パワーだけじゃねえって事かよ…反射神経も狂ってやがる…!」

 

「どう思いますかリーリエさん」

 

「よくやっているとは思いますが、どう見てもパワーはラプラスとは桁違い…地道な策は押し切られる気配しか今のところは…」

 

「自分の相棒を見くびらないで欲しいな。ケンタロス、10まんばりき!」

 

「攻め手はある…!考えろキョウスケ…!ラプラス、ハイドロポンプ!」

 

 三度地面を蹴り出して迫ってくるケンタロスに対してキョウスケはハイドロポンプを選択。これで3発目。そう何回も使えるものでは無くなってきている。再び左右に動き回るケンタロスを前にして、薙ぎ払うように水流を放って行くラプラス。

 

 だが水流に切れ目が出始めたその時を狙われ、死角となっている方角からの接近。気付きはしたが対処は出来ず、ケンタロスの突進をまともに喰らいまたしても地面を抉りながらではあったがバトルコート内で踏ん張る。

 

「あらゆる手を使うラプラスに対して力で粉砕して行くケンタロス!これで2つの直撃!被弾を許せない状況になってきました!」

 

 キョウスケが息を吐き、ガリュウが少し睨んだような目つきからその戦況を見つめる。歓声とは違い現場はかなり緊迫とした空気だ。ラプラスの体力は食らった2発の一撃によりかなり削られている、この状況を打破する打開策を求める方が難題という物だ。

 

 だがその策はきっとある。それだけを信じキョウスケはラプラスの方を見つめる。

 

「10まんボルト!」

 

「ギガインパクト!」

 

「ここで2発目を…!?」

 

「さっきはフリーズドライで勢いを消したが今度は10まんボルトだ。勢いを消す手立てはないよ」

 

 サラッと話すメロン。そしてケンタロスは緑のオーラを纏いながらラプラスに突撃して行く。ラプラスから放たれた電撃は明らかにケンタロスに命中して行くが、命中した電撃がかき消されて行く始末。驚いてはキリがない。迫ってくるケンタロスに対してキョウスケは苦肉の策に出る。

 

「アイアンヘッド!」

 

「無理だアニキ!パワーが違いすぎる!」

 

 迫ってくるケンタロスに対してラプラスは頭を振り回し、当てにかかる。レイカの声がクモン達の周りで響き渡る中、勢いが最大値のケンタロスと頭部をぶつけ合うがあっさりと弾き返され、そのままラプラスにケンタロスが衝突。

 

 緑のオーラが爆発に変わって行く中ラプラスはキョウスケの真後ろにへと飛んでいき、壁に叩きつけられる。キョウスケが唖然としビジョンから見ていたカブ達が一息を吐く。

 

「ラプラスッ!」

 

「終わったな」

 

「……」

 

 地面に落ちて来たラプラスに対して誰もがラプラスの敗北を悟ったその時だった。駆け寄ったキョウスケに聞こえて来たラプラスの鳴き声。フラフラながらも立ち上がったラプラスに対してスタジアム中がざわめき始める。

 

「ラプラス…!」

 

「あの子まだ戦う気で…」

 

「ポケモンが無理をする場合、そのラプラスは敗北扱いとなりますが」

 

「キュウ!」

 

「……もう少しだけ戦わせてくれ。後一撃でも立ち上がったらこのバトルを引き下げる」

 

 近寄ったロトムがキョウスケの元から離れて行く。身体中傷だらけであり、ケンタロスと比べてもダメージがあまりに違いすぎる。どう見たって勝ち目なんて見当たらない。それでもいい、ラプラスの放つ気迫にキョウスケはたった一撃のハンデの中かけてみたくなった。

 

「まだやるか。後一撃だ。起き上がれないように仕留める。ケンタロス、インファイト!」

 

「フリーズドライ!」

 

「またか!二度の戦術はケンタロスには通用しない!」

 

 そう言い放ったガリュウ。その瞬間何人かがラプラスの目付きが変わったようなそんな気がしていた。ラプラスから放たれた冷気が分厚い氷となって地面を凍らせて行く。ケンタロスがその地面を掻っ切るかと思えば、つまずきバランスを崩す。

 

 二度の事態にガリュウが驚いた中…

 

「アイアンヘッド!」

 

「キュウ!」

 

 バランスを崩したケンタロスに一気に近づいたラプラスが頭部をケンタロスに当て、ケンタロスを吹き飛ばす。地面を抉りながら踏ん張ったケンタロスに対してレイカ達が…

 

「当たった!」

 

「次で決める!ギガインパクトッ!」

 

「ハイドロポンプッ!」

 

「正真正銘最後の一撃となるのかッ!?」

 

 緑のオーラを纏いながら突撃して行くケンタロスに対して4発目となるハイドロポンプを撃ち込んでいくラプラス。激しい光が2匹の間から放たれて行く中、光の後に巻き上がった爆煙。その行方を懸命に見つめていた観客達とキョウスケとガリュウ。

 

 2匹は睨み合いながらその場に立っていたが吹き飛ばされた水飛沫が雨となって降り注いでいく中、そのまま左に倒れ込んだのはケンタロス。ロトムが近づいて行く中、誰も言葉を発さない。見ていたダンデ達も黙り込んでいた。

 

「ケンタロス…戦闘不能!ラプラスの勝ち!」

 

「ケンタロス敗れたッ!ラプラスの起こした奇跡がケンタロスの40年間の無敗記録を途絶えさせたッ!」

 

「勝った…!うおお!勝ちましたぞミリ殿ッ!」

 

「言わなくても分かってるよ!夢見てるみたい…」

 

 元気に声を上げるラプラスに向かって驚きながらも「お前やっぱすげえよ」と思わず本音を溢すキョウスケ。ガリュウも驚きながらも笑みを浮かべる。観客から驚きの声が上がる中…

 

「まさかお前が倒れる日を見る事になるとはなケンタロス。よくやってくれた。後は任せてくれ」

 

「牙城ついに崩れる!さあガリュウ選手、エースを失いどうするか!」

 

「キョウスケ選手。1体終えました、ラプラスを戻してください」

 

「一撃とは言ったよな?」

 

「一体の意味合いに変わりました」

 

「…分かった」

 

 ラプラスがボールの中に戻され3対2。ビジョンを見るとラプラスの体力ゲージは僅か1。とんでもない底力を見せた事にキョウスケは笑みを浮かべると、ガリュウは次に繰り出したのがエルフーン。キョウスケが繰り出したのがレックウザ。

 

 ケンタロスを出してまで出そうとしなかった2体。その1体目という事になる。真剣な表情となり対する両者。この場にいる誰もがバトルの展開を読めずにいた…




見てくださりありがとうございます!長いバトルになってますが楽しんでくれているなら幸いです。後一踏ん張り。頑張ります!


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追い詰められた状況で取る奇想天外の作戦

お久しぶりですー。パルデア地方の旅が始まりましたがこちらはまだ頑張りますよ!では書いていきます!


前回のあらすじ!パルデア地方広いよぉ!

 

「研ぎ澄まされていく感覚…久しぶりだよゾクゾクすると感じたのは!」

 

「こっちは綱渡りだ!だがあともう少し…アンタとの時間を楽しむ事にする!」

 

「3発だ」

 

「?」

 

「終わってくれるなよレックウザ!ケンタロスを出してまで出さなかったエルフーン!そのその実力を発揮してみせよう!」

 

 エルフーンを一度ボールの中に戻すとニヤリとした笑みを浮かべながらボールを天に突き上げながら構える。ガリュウの付けていたリストバンドが紫の光を発したかと思えば、それを思い切り後ろに放り投げる。今までどこに隠していたというのか。

 

 コートをようやく脱ぎ捨てたガリュウの左腕に付けてあったリストバンドに誰もが驚く。そうしている間にもエルフーンがダイマックスし、レックウザを越える大きさで立ち塞がる。

 

「ガリュウ選手、コートに隠していたかのようにダイマックスバンド!隠していたと思われるカードをここで切って来たぁ!」

 

「ダイマックス!?ここにきて!?」

 

「冗談よせやい…!」

 

「耐えて見せろレックウザ!ダイフェアリー!」

 

「かえんほうしゃ!」

 

 ざわめきがまだ収まらない中、エルフーンは天に祈るようなポーズをする。その隙にレックウザはエルフーンに向かって火炎を吐くが、ダイマックスの前にしたら火炎なんてミジンコのような物。エルフーンの顔付近に当たるだけでエルフーンはピクリともしていない。

 

 エルフーンが何かを振り下ろすようなポーズを取ると、巨大な星がレックウザに向かって落下していく。

 

「レックウザ!エルフーンの近くへ!ピッタリとへばりつけ!」

 

「キョウスケ様どういう意図で…!?」

 

「まさかダイマックス技をエルフーンを盾にして…!?」

 

 ダイマックス技を3発放たれたらレックウザを含めて残りの2体が耐え切れるかどうか分からない。レックウザはひとまずエルフーンの近くに行くと巨大な星はエルフーンの方に方向を変える。ダイマックス技は決してかわせない一撃。

 

 キョウスケの中では封殺するにはこの無謀な手立てしか方法が分からなかった。レックウザもろともエルフーンにダイフェアリーの星が衝突。レックウザが吹き飛ばされ、そしてエルフーン近くにあった爆煙が晴れると…

 

「エル…!」

 

「ダイフェアリーまさかの相打ち!前代未聞!自分のダイマックス技を受けてエルフーンが元のサイズに戻ったぁ!」

 

「大丈夫かレックウザ!」

 

「グルゥ!」

 

「やはり君は筋書き通りには行かない…ワクワクする…昂る感覚…!さあ仕切り直しと行こう!」

 

 エルフーンが自分のダイマックス技を受けた事により元のサイズに戻り、レックウザがキョウスケの問いかけに一つ頷く。ガリュウのついたスイッチは彼に無意識に笑みを浮かばせる。ミリ達が安心したような息を吐く中、父の楽しむ姿をリュウは真剣に見つめていた。

 

「かえんほうしゃ!」

 

「ぼうふう!」

 

 レックウザの再び吐かれた炎がそのままエルフーンに向かっていくが、エルフーンが自らの近くに竜巻を起こし巻き込む事もなく消滅させるとガリュウが反撃とばかりにエルフーンに指示を出す。

 

「シャドーボール!」

 

「りゅうのはどう!」

 

「りゅうのはどう!?」

 

「フェアリータイプのエルフーンに…!?」

 

 エルフーンのシャドーボールとレックウザの口から放たれたりゅうのはどうが衝突。火花を少し散らした後に爆煙を起こすと、キョウスケのレックウザに対する「突っ込め!」という命によりレックウザは爆煙の中に突っ込んでいく。

 

「ムーンフォース!」

 

「アイアンテール!」

 

 エルフーンの真正面を捉えたレックウザが尻尾をムチのようにしならせる。エルフーンから放たれた光の波動が尻尾に丁度ぶつかる中、あっさり波動をかき消したレックウザの一撃はエルフーンに届かず。空中の綿かのようにその一撃がかわされる。

 

「当たらないッ!エルフーンほぼゼロ距離でかわしたッ!」

 

「エナジーボール!」

 

「かえんほうしゃ!」

 

 エルフーンの緑の波動が放たれていく中、レックウザは再び火炎を吐き応戦。火花が散らされていく中、エナジーボールは火炎を前にしても勢いが衰えずレックウザに衝突。爆煙と共にレックウザが地上付近にへと墜落して来た。

 

 地面スレスレの場所でエルフーンを見据えるレックウザ。その技の威力の高さと反射神経。ダイマックス以上にキョウスケは脅威と感じていた。

 

「ダイフェアリーを封殺したとはいえ…」

 

「反射神経はダイマックスの状態じゃなくても桁違い…どうするアニキ…!」

 

「向こうがダイマックスしてきたんだ。俺たちだってやれる事があるよなレックウザ」

 

「グルゥ!」

 

「よし…行くぜッ!」

 

 キョウスケが一度目を瞑るとレックウザも目を瞑り、レックウザの身体が急に光り始めると緑色だったレックウザの身体が黒色になり、さらにメガ進化の状態となって叫び声を上げる。予測はしていたのだろうか。ガリュウはただ笑みを浮かべる。

 

「第3ラウンドと行こうエルフーン。気を抜くなよ」

 

「エル!」

 

「行くぜレックウザ!かえんほうしゃ!」

 

「ぼうふう!」

 

 レックウザを中心とした乱気流が発生していく中でレックウザは火炎を再度エルフーンに吐いていく。エルフーンは三度自分の周りに嵐を巻き起こすとその風で火炎を掻き消す。それに集中していたエルフーンが上を見上げるとそこにはレックウザが。

 

「アイアンテール!」

 

「かわせエルフーン!」

 

 振り下ろしてきた尻尾に対してエルフーンはまたしてもかわすとかわされたレックウザの尻尾が地面に衝突し、地面を大幅に破壊していく。エルフーンから下にいるレックウザに対してガリュウは…

 

「レックウザの一撃またしても命中せず!エルフーン軽過ぎる身のこなし!」

 

「ムーンフォース!」

 

「ガリョウテンセイ!」

 

 エルフーンが身体を光らせたと同時に打ち込んで来た光の玉をレックウザは身体にオーラを纏わせ突撃する事によってかき消す。かき消したと同時にレックウザはエルフーンの目の前へ。三度直撃とはならなかったが、掠るような形となりエルフーンはバランスを崩す。

 

「バランスを崩したッ!」

 

「決めろレックウザッ!」

 

「ガリョウテンセイ!」

 

「ぼうふう!」

 

 空中に浮かび上がったレックウザはそのままエルフーンの元へ。ぼうふうの一撃をまともに喰らいつつ、エルフーンに突撃をかまし身体にそのまま衝突。エルフーンがピンポン球かのように地面に衝突し、大きな砂埃が巻き上がる。

 

 ロトムが近くに寄りエルフーンを見つめると…

 

「エルフーン戦闘不能!レックウザの勝ち!」

 

「エルフーンついに落ちる!さあガリュウ選手!後がなくなりました!」

 

「やったぜレックウザッ!」

 

「へえ。ついに追い詰めたね」

 

 ジムリーダー達が余裕そうに見つめる中、レックウザの勝ちに大歓声が湧き上がる。エルフーンを戻したガリュウがそのボールを握りしめると、次のボールを取り出す。

 

「いよいよ一体…!一体ですよ!」

 

「ケンタロスを出してまで出さなかった一体…もしアローラ勢を連れてきているなら親父のポケモンは…奴しか…」

 

「リュウ?」

 

「さあフィニッシュだ。行くぞグソクムシャ!」

 

 ガリュウが最後に繰り出したのはグソクムシャ。キョウスケがひとまず一息吐きながら前方を見つめる中、レックウザは傷を負いながらも重症までには行ってない。勝てる算段はある。グソクムシャが出てきた事によってリュウが歯を食いしばり…

 

「やっぱり…!」

 

「どういう事ですか?リュウさん?」

 

「最後に使って来た理由がようやく分かった…このグソクムシャは特別な特性を…!」

 

「グオオ!!」

 

 グソクムシャの発した咆哮が大地を揺らし、シュートスタジアムのバリアを破って観客達にまで風圧が差し掛かる。ダンデ達が見つめていた場所のガラス、さらに実況席のガラスにまでヒビが入る中一番驚いたのは…

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「え…?」

 

「何という事でしょうか…!グソクムシャの発した咆哮が観客達まで気絶させるという緊急事態!今までこんな事態見たことがありません!」

 

「…っ!」

 

 グソクムシャの発した咆哮により気絶した観客達を見てスタジアム中が大パニックになる中、キョウスケですら冷や汗で地面を濡らす。緊急アナウンスが入り、事態が少しばかり落ち着いたその時。キョウスケが一息を吐くと…

 

「やれるなレックウザ」

 

「グルゥ!」

 

「よし…行くぜガリョウテンセイ!」

 

「攻めに来たか…迎え撃つぞグソクムシャ!たきのぼり!」

 

 3発目のガリョウテンセイがグソクムシャに叩き込まれようとする中、グソクムシャはレックウザの動きに合わせて冷静に構える。レックウザがグソクムシャに衝突する前にグソクムシャがレックウザの顔面を作り上げた水の牙で殴り抜き、地面に叩きつけた。

 

「嘘…!?」

 

「レックウザ、戦闘不能!グソクムシャの勝ち!」

 

「レックウザまさかの一撃ノックアウト!これがガリュウ選手の切り札とも言うんでしょうか!?」

 

「一…撃…!?」

 

 キョウスケは頭が真っ白になったがまだこちらは2体。頭を何とか整えるとボールを取り出そうとしたその時。ボールから勝手に出てきたヨクバリスにキョウスケは驚く。

 

「ヨクバリス…!」

 

「ヨクバ…!」

 

「出てきたな。ケンタロスの分もある。君はここで倒れてもらう」

 

 ヨクバリス対グソクムシャ。2対1となったスタジアム。まだざわめきが収まらない中、隠された最強との一戦が始まる…




見てくださりありがとうございます。いやーいつ終わるんですかね。
あ、気づいた方はいるかもしれませんが毎回予約投稿で投稿してます。
pixivでは予約投稿が出来ない為先行公開となってます。
内容は一緒なのでどちらで見ても大丈夫です。


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アマチュア大会ファイナル、激闘の決着。

遂にここまで来ました。今回で終わらせます。
どうなるかお楽しみください。


 前回のあらすじ!バグとか不具合も多いけどポケモン新作楽しいぞぉ!

 

「アマチュア大会決勝。ガリュウ選手の手持ちは1体、キョウスケ選手のポケモンは2体。然しキョウスケ選手のポケモンはどちらも痛手を負っております!レックウザを圧倒したグソクムシャにどう対するのか!」

 

「行くぞヨクバリス!ギガインパクト!」

 

「迎え撃つぞグソクムシャ、たきのぼり!」

 

 声を張り上げながらヨクバリスはオーラを身に纏うとクラウチングのような姿勢から地面を蹴り出し、一気にグソクムシャに迫って行く。対するグソクムシャは爪に水を纏わせ、ヨクバリスの身体にぶつけに行く。両者の身体と爪がぶつかり合った瞬間に水飛沫と爆煙が同時に広がる。

 

 両者それにより少し吹き飛ばされたがヨクバリスはケンタロス戦のダメージがある影響からか、少し歯を食いしばっている。元気過ぎるのはガリュウのグソクムシャ。ガリュウが声を張り上げる。

 

「ラプラスを引きずり出す!グソクムシャ、どくづき!」

 

「グソ!」

 

「消えた!?」

 

 グソクムシャが身体を動かした瞬間、目にも留まらぬ速さだったのか見ていたリュウ達でさえその地面を蹴る瞬間が見えなかった。確認出来たのは爆煙を突っ切り、ヨクバリスの懐に迫り込んでいるグソクムシャの姿。キョウスケはあまりのスピードに驚いたが…

 

「カウンター!」

 

「ここで受身の体勢を取るの!?」

 

 ヨクバリスは身体を突き出し、グソクムシャの爪の毒をまともに食らう。その膝が少し地面を着きかけたが、ヨクバリスは声を張り上げると赤いオーラと共にグソクムシャにタックルを直撃させ、自らの近くから吹き飛ばす。だが致命傷には至らず、少し傷ついたくらいだ。

 

「明らかに身体に支障が来てますね…」

 

「あのケンタロスの一撃を耐えた代償だろうね。2匹まともにケンタロスの一撃を喰らってる。…ピンピンしている状態でグソクムシャと対せているとはとても思えない」

 

「インファイト!」

 

「じだんだ!」

 

 グソクムシャが一瞬にして地面を蹴り出し、空中から思い切り両爪を目にも止まらぬ速さで突き出して来る中、ヨクバリスは地面を叩きつけ土壁を作り出して土壁を破壊させる事により直撃を回避。飛び散った土塊から両者が目線を合わせる中…

 

「たきのぼり!」

 

「ばかぢから!」

 

 グソクムシャが空中で水を爪に纏わせ、斬るようにして水を放出。水飛沫がヨクバリスの後ろから出て来る中、ヨクバリスは声を張り上げながらグソクムシャの身体を掴むとハンマー投げかのように振り回して投げ飛ばす。

 

 この一撃の後にフラッと来たヨクバリス。対するグソクムシャは吹き飛ばされはしたものの、あっさりと地面に着地。その傷具合は明らかにヨクバリスが上回っている。

 

「アローラで見た事があるんですあのグソクムシャ」

 

「リュウ?」

 

「招かれた大会にてグソクムシャは一回戦から決勝まで一撃として相手に攻撃させる事なく倒していた…ケンタロスにしてもグソクムシャにしても耐えているのが奇跡なんです。あの二体の攻撃を耐えられないポケモンも多いですから…」

 

「体力では明らかにグソクムシャが有利の状況。息を切らすヨクバリスに打開策はあるのでしょうか!」

 

 肩で息をしているようなそんなヨクバリスの背中を冷や汗を垂らしながら見つめるキョウスケ。優勢だとしてもガリュウの目に油断はない。表情をかなり引き締めるとグソクムシャに向かって指示を出す。

 

「もう一度行くぞ!インファイト!」

 

「カウンター!」

 

 ヨクバリスは受身の体勢を取り、あっという間に目の前に迫って来たグソクムシャの両爪を耐えて行く。若干吹き飛ばされそうになるが、それでもグッと足に力を入れ片方の爪を止めると残ったもう片方の手を握りしめ思い切りグソクムシャを殴り飛ばす。

 

 グソクムシャはかなり地面を抉ったがそれでも吹き飛んだ距離は軽微。レイカが一瞬目を瞑ったが再び不安そうな表情で前方を見つめる。

 

「グソ…!」

 

「ヨクバリス…!」

 

「ヨクバリスッ!」

 

 その目が霞み、ヨクバリスがよろける。審判のロトムが近づいて来る中キョウスケからも不安そうな表情が出る。レイカから思わず不安そうな表情が出る中、もう見えないくらいに真っ黒となった視界から全部真っ黒に。ヨクバリスが仰向けに倒れる。

 

「ヨクバリス、戦闘不能!グソクムシャの勝ち!」

 

「決着!グソクムシャの猛攻耐えきれずヨクバリス撃沈!さあキョウスケ選手後が無くなりましたッ!」

 

「嘘…そんな…!」

 

「残っているのはラプラスです。ガリュウさんから見たらあまりに不気味でしょうね」

 

「ヨクバリス、よく頑張った。…最後だラプラス!行くぜ!」

 

 ヨクバリスを戻し場にはボロボロになっているとはいえ元気よく声を張り上げるラプラスがバトルフィールドに。歓声が未だに響き渡る中、ショックを受けたであろうキョウスケにその余韻は未だに見当たらない。グソクムシャからはよろけが見えない。

 

 戦況場明らかに絶望的。それでもキョウスケは顔を両手で軽く叩き気合いを入れ直す。

 

「ついに一対一!グソクムシャが脅威の2タテでファイナルまで持ち込みました。どちらかが倒れた瞬間、勝者が決まります!」

 

「一撃だ…その準備は出来ている。グソクムシャ、ギガインパクト!」

 

「フリーズドライ!」

 

 グソクムシャが前方にオーラを纏いながら突っ込んで行く。ラプラスから放たれた冷気がグソクムシャの視界を確実な物とさせない中で、グソクムシャは突然技を中断。ガリュウがそれに驚いているとラプラスがグソクムシャが向かって来ていた方角とは違う場所にいた。

 

「フリーズドライで身を隠したか!グソクムシャ、技を中断しました!」

 

「っ!」

 

「インファイト!」

 

 グソクムシャの身体をフリーズドライが冷やして行く中、グソクムシャは両爪で氷を粉砕して行く。だが一つの氷に触れた瞬間に爆発が発生。グソクムシャはガリュウの前に再び吹き飛ぶ。

 

「グソクムシャ!」

 

「グソ…!」

 

「キュウ…」

 

「急に動きを止めた…?」

 

「後一撃しか持たない。グソクムシャはヨクバリス戦のダメージが響いてるね。ラプラスも元気そうに見えて一撃、一撃がやっと。どちらも食らったらノックアウトかもしれない」

 

 ジムリーダー達から察したような声が出て来る中、グソクムシャもラプラスも元気そうに見えてかなり息を吐いている。長くは持たない。もしかしたら一撃でノックアウトの可能性もゼロではない。キョウスケ、ガリュウ共にその場を冷静に見つめると…

 

「長くはかけない…今決める!グソクムシャ、ギガインパクト!」

 

「10まんボルト!」

 

 グソクムシャとラプラス両者が声を張り上げる中、グソクムシャが地面を蹴り出してラプラスに一気に迫って行く。そんな中電気を溜め込んだラプラスがグソクムシャに向かって放出。グソクムシャとラプラスが迫りに迫った目の前で爆煙が広がる。

 

 スタジアム全体を覆う一撃。煙が晴れて来てもなお、ラプラスとグソクムシャが姿を見せる事はない。スタジアム全体が静寂に包まれる中、ラプラスの目の前に爪。少し感電したような状態でグソクムシャがその爪を進めていたが…

 

「グソ…」

 

「!」

 

 グソクムシャがラプラスにもたれかかるようにしてダウン。そこにロトムが歩み寄る。

 

「グソクムシャ、戦闘不能!よって勝者キョウスケ選手!」

 

「決着ッ!ついにチャンピオン決定!無敗のガリュウ選手を破ったのはキョウスケ選手ッ!」

 

 グソクムシャが倒れた瞬間、そしてグソクムシャが倒れたコールをされた瞬間、スタジアム全体が大きく湧き上がる。レイカとミリが換気のあまり抱き合い、リュウとリーリエが感極まって黙り込む。拍手に包まれる中、唖然とするキョウスケの前で元気良く動くラプラス。

 

 グソクムシャを戻したガリュウがキョウスケに歩み寄り…

 

「何を驚いているキョウスケ。君は勝ったんだ」

 

「ガリュウ…」

 

「素晴らしい下克上だった。本当に負けるとは思わなかったよ。こんなに燃えたのも初めてだ。僕もまだまだ成長しないとね」

 

「それ以上成長してどうすんだよ」

 

「確かに。…次は負けない。今度は僕がチャレンジャーだ。よろしく頼むよキョウスケ」

 

 ガリュウの言葉にキョウスケも隣にいるラプラスと目を合わせて笑みを浮かべ、再びガリュウの方を見つめる。そして笑みを浮かべ力強くガリュウとキョウスケが握手を交わすとスタジアム全体が拍手を送る。無敗伝説を遂に破ったキョウスケ。

 

 その笑みはやり切ったようにも見えた…




見てくださりありがとうございます。
1話挟みたいと思いますがギャグ要素を復活させようかなと思います。
とりあえずふざけたい気持ちが一杯ですねw
まあ次も頑張ります。


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迫られる大きな決断

後にアンケートを出すんですが舞台をパルデアに移そうかなと考えておりまして、報告にも出そうかと考えてます。よろしければご回答よろしくお願いします。


 前回のあらすじ!勝てよレイカ…お前がナンバーワンだ!

 

「急に褒められても気持ち悪いだけなんだが?」

 

「いいじゃねぇか褒める事に関して悪い気がしねぇだろ?」

 

「いや、兄貴に言われると気持ち悪いね、吐き気する」

 

「てめぇはアニキを何だと思ってんだ!」

 

 アマチュア大会にてガリュウに勝利し、トロフィーを授与されたキョウスケ。そのトロフィーを家族に見せるために彼は妹であるレイカと共に帰省。後にミリやクモンもエンジンシティにて合流するという。

 

 そして授与式では笑みを浮かべながら拍手を送っていたリーリエとリュウはキョウスケに向けて火が付いたのか、負けないでくださいとの一言だけ送りアローラ、カントー地方に帰省する手筈だという。

 

「てかいつまで揺られるんだ!彼これ20分だぞ!?」

 

「シュートシティからエンジンに戻るからそれくらいはかかるでしょ」

 

「グルングルンとマジンガーみたいに動けばどうにかなるだろ!」

 

「アーマガアを何だと思ってんの…」

 

 そらをとぶタクシーで揺られる事数十分。20kgというとんでもない重さを誇るトロフィーを両手にアーマガアはエンジンシティに到着。トロフィーを持ちながら降り、レイカが代わりに代金を支払う中顎を突き出しながらキョウスケは実家に向かって歩く。

 

「てかアニキ自宅に飾る形じゃなくて良かったの?」

 

「オメェ…ワイが自宅ないの知って煽ってるな?」

 

「ゴミ屋敷があったのは覚えてるけど」

 

「ゴミ屋敷じゃない!アレは思い出部屋じゃ!まあガリュウと戦う前に売っぱらったけどな」

 

「マジ!?」

 

 殆ど家にいなかったとして自宅を売っぱらったというキョウスケ。殆ど私物もなかったらしく、持って帰ったのはぬいぐるみとかだけだったという。そんな話はさておき、自宅前にて目を輝かせているクモンとこちらに気付き手を振るミリを発見。

 

「クモンー!コイツ持ってくれい」

 

「キョウスケ様!ただいま持ちます!」

 

「家の前で待ってどうかしたの?」

 

「客人来てるみたいでさ。乱入するのも悪いかなって」

 

「ワイの家は基本客人来ねえぞぉ?」

 

 家の前で待機している2人に疑問を抱いたレイカがミリに尋ねるとどうやら実家に客人が来ているらしい。キョウスケはクモンとトロフィーを持ちながら疑問を抱いていたその時、ボールから出て来たヨクバリスが軽々とトロフィーを持つ。

 

「…何か?」

 

「俺らが必死に持っていたんだぞてめぇ!」

 

「ポケモンと人間の差を思い知ったか馬鹿者がぁ!」

 

「お口が悪いですよヨクバリスさん!」

 

 怒りを向けてくるキョウスケに対して煽ったような口調で対抗するヨクバリス。クモンとキョウスケ、さらにヨクバリスが歪み合う中家の鍵が開く音が。そこから出て来たのはキョウスケとレイカの父と母。さらに見知らぬ女性。

 

「何だ二人とも帰って来ていたのか」

 

「ミリちゃん!お久しぶり!あ、ファン会長の方も!」

 

「お邪魔していましたファイナリストキョウスケ」

 

「貴様何者だ!我が家に土足で踏み入るとは!」

 

「見知らぬ人にネタを持ち込まないで!」

 

 キョウスケがカンフーのようなポーズを取る中、女性も呼応して同じくカンフーのようなポーズを取る。母と父が驚く中レイカはハッとすると…

 

「あ、アニキ!大会で優勝してさ!トロフィー持って帰って来たんだよ!アニキの部屋に置きたいから手伝ってくれない!?」

 

「え?あ、おう。分かった」

 

「我々も手伝いますぞ!」

 

 レイカがトロフィーをヨクバリスから受け取ると母と父を自宅に押しやる形で中に入る。ミリとクモンも中に入る形となった中、何かを察したかのような行動にヨクバリスも驚きを見せる中女性は…

 

「察した行動に感謝しつつ、本題に入りましょうか」

 

「不自然のかけらも感じなかったの!?」

 

「アナタの世界では普通の話でしょ?」

 

「対応力やべえよ!大物過ぎるよ!」

 

 一瞬黙った女性が何も感じなかったかのように言い始めた時はヨクバリスとキョウスケが驚きの声を上げた。そして…

 

「私はオモダカ。パルデア地方にてリーグ委員長をしている者です」

 

「ぱ、パルパル?」

 

「パルデアです。本当はガリュウさんだけを誘うつもりでしたが、たまたまアナタの姿を拝見しまして」

 

「…へえ?」

 

 一瞬冷静な態度を取ったキョウスケがふと俯きながら我に帰る。オモダカと名乗る人物を何かの間違いとばかりに三度見。時々ヨクバリスと目線を合わせながら、キョウスケは聞き直す。

 

「パルデア地方のリーグ委員長?」

 

「はい。そうです」

 

「リ、リーグ委員長!?という事はアレか!?パルデア地方でのポケモンリーグの代表さんって事かぁ!?」

 

「はい、そうです」

 

「はい、そうですしか言えないのかアンタ!てか!何でガリュウと試合をしていた事を知ってやがる!?」

 

 冷静にオモダカは今回のアマチュア大会は全世界に放映されていた事とガラル地方出身の人物がパルデアにいる事からという経緯を話した。ガリュウは既に決勝前に直談判していたらしく、キョウスケに興味を持ったオモダカがそのまま自宅に足を運んだとの事だ。

 

「ポケモンとの絆…王者を破るアナタにはきっとパルデアをさらに大きくする材料が潜んでる」

 

「ヨクバリスは木の実しか持ってねえぞ?」

 

「腹の中から出して…」

 

 キョウスケとヨクバリスがボールの中から出て来たヨノワールに地面に叩きつけられる。一息吐きながらオモダカはパルデア地方を今ある強さより遥かに強くしたいとの言葉を語る。

 

「ガリュウさんは誰もその隣にバトルでは並ばせる事はなかった生きる伝説。決勝…現地で拝見させていただきましたが、ポケモン達の脅威的な粘りを引き出せたのは何故か」

 

「俺たちがギャグ小説のキャ…」

 

「キョウスケさん。パルデアに来てください。アナタに近々あるパルデア最強トーナメントに参加して欲しいのです」

 

「マジ…?」

 

「私は嘘は付きません」

 

 急過ぎる出来事に思わずヨクバリスとヨノワールと顔を合わせたキョウスケ。パルデア最強トーナメント開催は3ヶ月後らしい。それまでガラルで調整しても構わないとの事だが、状況が飲み込めないキョウスケが俺?と言わんばかりに自分を指差す。

 

 そしてオモダカが頷く。キョウスケは思わず点にさせると…

 

「いやいや、勘弁してくださいよリーグ委員長さん。もう懲り懲りだってガリュウのような奴と戦うのは」

 

「今決めろとは言いません。然しガリュウさんは初めて自分が負けるかもしれない人物がガラルにいると言ってました。アナタならきっとパルデアをもう1段階盛り上げる事が出来ると思うんです」

 

「買い被りすぎじゃねえかリーグ委員長さんよ」

 

 思わずその場から去ろうとしたキョウスケの前の自宅の扉が開き、そこから父親一人が現れる。キョウスケが驚きながら足を止めると…

 

「親父?」

 

「キョウスケ。ガラル以外の世界を見てくるチャンスだぞ。世界は広い。世界にはガリュウのようなとんでもないトレーナーもいる。そんなトレーナーを破ったとニュースで見た」

 

「……」

 

「ガラルでは出来なかった冒険という奴を…するチャンスなんじゃないか?」

 

「親父…」

 

 キョウスケは頭を思い切り掻く。オモダカの申し出がもしかするとチャンスなのかもしれない。心配そうに見つめるヨクバリス、ヨノワールの視線を浴びながらキョウスケは大きくため息を吐きオモダカの方を見つめる。

 

「パルデア地方だったな?」

 

「はい」

 

「ガラルの恥が顔出してやるから首洗って待ってろと!お前を連れて来た奴に言っとけ!」

 

「ふふ…分かりました。言っておきましょう」

 

 決意は固まった。パルデアに行く決心をしたキョウスケに父親はただ微笑む。そんな中、言い終えたタイミングでミリ達が再合流。その言葉を聞いていた全員はただ驚いていた…




ふざけ回にしようと思ったんですがさすがに真面目な話だったので真面目回となってしまいました。また次からふざけ倒したいと思います。


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