【静寂】の再来と呼ばれた少女 (山吹色の大妖精)
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迷宮都市オラリオ

我慢出来ずにまた新作を出してしまった・・・更新の優先度は『ラビットプレッジ』が上なので許してください。


「ベル、もうすぐでオラリオに着くよ」

「うーん・・・姉さん?」

 

揺れる馬車の中で私、シェイネ・クラネルは弟のベル・クラネルと共にオラリオに来ています。

 

「ふわぁ・・・おはよう()()()()姉さん」

「おはようベル」

「とうとうオラリオに来たんだね」

「うん、お母様達がいたあのオラリオに」

 

私たち従姉弟はオラリオにおける絶対悪である【静寂】のアルフィアの子です。もしこのことがバレてしまえば迫害は免れません。

 

「ベル、確認だけどまず冒険者になるには?」

「神様に頼んでファミリアに入れてもらうこと」

「その次には?」

「ギルドで冒険者登録をすること」

「よろしい」

 

しかし私たちには目的があります。それはベルは愛する母達が犠牲になっても未だ英雄が生まれないこのオラリオで英雄になることである。私はそれを手助けすること。

 

「次!お、今度は姉弟か、何しに来たんだ?」

「はい、このオラリオで英雄になるために来ました」

「英雄か!いい夢じゃないか!それと背中をこっちに向けてくれるか?」

「ステイタスシーフですね?お願いします」

「お、知ってるのか?」

「はい、オラリオに詳しい旅人から教えてもらいました」

 

門に着いた私たちはガネーシャ・ファミリアの門番に声をかけられている。門番の男は目的を答えた私に笑いながらこちらに背中を向けるように指示した。

 

「・・・よし。問題なし!通っていいぞ!」

「ありがとうございます。行こう、ベル」

「うん!」

「頑張れよー!」

「ありがとうございます!」

 

許可を貰うと門番の応援を受けながら私たちは迷宮都市オラリオに入った。

 

「ベル、先ずはギルドに行って探索系のファミリアの表をもらおっか」

「うん」

 

 

 

 

「ギルドにようこそ!ご用件はなんでしょうか?」

 

ギルドに着いた私たちはハーフエルフの受付嬢に迎えられる。私は早速用件を言った。

 

「探索系のファミリアに入りたいのでファミリアの一覧が欲しいです」

「わかりました。少々お待ちください」

 

受付嬢が資料の準備をしてる間私たちはギルドのソファで談笑している。やがて受付嬢が来ると私はカウンターに向かう。

 

「お待たせしました。こちらに探索系のファミリアの一覧が書いてあります」

「ありがとうございます。行きましょう、ベル」

「うん」

 

そして私たちはギルドを後にしてロキ・ファミリアをはじめとする探索系のファミリアに行ったが、門前払いされるばかりで良いと言われるのは体目的なのか私だけである。それに怒った私はお金がなくなってきたのでバイトをして資金調達をすることになって、ベルはその間にファミリア探しをしてもらうことにした。

 

 

 

 

「お前みたいなヒョロイ奴なんかうちのファミリアには無理だ!!」

 

どうも、全戦全敗のベル・クラネルです。現在、今日で最後のファミリアを訪ねましたがここも門前払いを受けました。この間にも姉さんはバイトでお金を集めてくれてご飯も作ってもらっているので頭が下がります。

 

「今回もダメかぁ・・・」

「ねぇ君!」

「えっと、なんでしょうか?」

 

そこで一人の女の子が話かけてきました。黒髪のツインテールで体が小さくて胸が大きい人です。

 

「ボクはヘスティア。神様さ!」

「僕はベル、ベル・クラネルです」

 

自己紹介されるとどうやら神様のようで僕も自己紹介しました。そしてヘスティア様は早速要件を話してきました。

 

「ベル君、ボクのファミリアに入らないか?」

「え!?良いんですか!?」

「いいとも!けどまだ団員が一人もいない状態でね・・・」

 

ヘスティア様はそう話しているけど僕にとってはまたとないチャンスである。しかし勝手にファミリアを決めるのは姉さんが困るので僕は一度相談することにした。

 

「わかりました。一度姉さんと話してきます」

「おや、お姉さんがいるんだね」

「はい!自慢の姉です!」

「ふふ、それじゃあお姉さんとの話が終わったら明日噴水のある広場に来てくれ!」

 

姉自慢をする僕を微笑ましく見てくるヘスティア様は姉さんと相談する時間を与えて指定した場所に来るように指示しました。

 

 

 

 

「ふーん・・・新規のファミリアね・・・」

「大丈夫かな?姉さん」

 

バイトから帰って来た私はベルからヘスティア・ファミリアという団員がまだいないファミリアから勧誘されたことを聞いた。私としては新規のファミリアであるという点では自由に行動できるメリットや他のファミリアと対立した場合のデメリットなどを考えていたが、これ以上時間をかけるのはアレなのでヘスティア様にお世話になることにしよう。

 

「よし、それじゃあヘスティア・ファミリアに入ろっか」

「いいの!?やったぁ!」

 

私の言葉にベルが嬉しそうにしてくれて私も嬉しくなる。

 

「ヘスティア様は明日の噴水のある広場に来てって言ってたから明日行こう!」

「ふふ、そうね。それじゃあ久しぶりに一緒に寝よっか」

「へ?うわぁ!?」

 

私はベルを抱きしめてベットに倒れてベルの頭を胸に抱えた。ベルは顔を赤くしたけど直ぐに受け入れて目を瞑った。

 

「おやすみ。ベル」

「おやすみなさい。姉さん」




キャラ紹介

シェイネ・クラネル

アルフィアの実の娘でありベルの従姉。シェイネはアルフィアの血を引いてながら何故か健康である。才禍の怪物の娘なので才能もまた引き継いでいる。

ザルドから料理の手解きをされているので、料理の腕はザルド以上である。

好きなもの:ベルの笑顔、静かな時間
嫌いなもの:騒音、雑音


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サタナス・ヴェーリオン

翌日、朝になると目が覚めた。私の胸にはベルの顔が埋まっている。私はベルの頭を撫でているとベルも目を覚ました。

 

「うーん・・・姉さん?」

「ベル、おはよう」

「おはよう・・・」

 

ベルはまだ眠気眼でウットリとしていてとても可愛らしい。すると添い寝しているのに気づいたのかベルが飛び起きた。

 

「だあああ!?姉さん!?」

「起きたね。よし、早速朝支度しようか」

「う、うん!」

 

朝支度を終えた私たちは先にベルを集合場所に行かせて私はバイト先に今日休むのを伝えた。

 

そして噴水の広場に着くとベルとヘスティア様がいた。

 

「はじめましてヘスティア様。私はシェイネと申します」

「おぉ・・・君のお姉さんめちゃくちゃ美人じゃないか!」

「ですよね!」

 

私が自己紹介するとヘスティア様は驚きベルは自慢している。実際、ここに来るまでにいくつもの視線を感じている。

 

「これから弟共々よろしくお願いします」

「うん!それじゃあボクのホームに行こう!」

「おー!」

 

ヘスティア様が先頭になってベルと私はヘスティア様についていく。そして着いたのはお母様が大好きな教会だった。

 

「さあ、ここがボクのホームだよ!」

「ここがですか?」

「ま、まあね・・・」

 

ヤバい、場の空気が悪くなりそうなのでここで空気を変えないと

 

「大丈夫だよベル。ここから成り上がれば良いんだから」

「うん!僕頑張るよ!」

「それじゃあ恩恵を刻もうか!」

 

ベル・クラネル

Lv.1

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

 

《魔法》

 

 

《スキル》

 

シェイネ・クラネル

Lv.1

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

 

《魔法》

【サタナス・ヴェーリオン】

・音魔法

・詠唱式【ゴスペル】

・追加詠唱【ルギオ】

 

《スキル》

家族一途(ファミリア・フレーゼ)

・早熟する

・家族愛の強さにより効果持続

・家族愛の強さにより効果向上

 

「わあ!姉さん凄いよ!お義母さんの魔法が発現している!」

「ふふ、有難うねベル」

 

まさか私にお母様の魔法が発現するなんて。しかもお母様から聞く限りでは知らない、初めて見るスキルもある。

 

「取り敢えずこの魔法は緊急時以外には使っちゃダメだね」

「うん・・・」

「それとヘスティア様。主神である貴方には話さなければならないことがあります」

「ん?どうしたんだい?」

「実は・・・」

 

そして私は自分たちは【静寂】のアルフィアの子供であることを話した。もしバレてしまえば迫害されてしまうことを。それを聞いたヘスティア様は

 

「そうだったんだね。それなら言っておくけど君たちはボクの家族だ。ボクは君たちを見捨てないよ」

「ヘスティア様・・・ありがとうございます」

「神様、ありがとうございます」

 

ヘスティア様は私たちを見捨てなかった。私たちはヘスティア様に感謝の意を述べた。

 

「よし、恩恵を刻んだからギルドに行って冒険者登録をしようか」

「わかったよ姉さん」

「それじゃあ行ってきます。ヘスティア様」

「行ってきます!神様!」

「いってらっしゃい!二人とも!」

 

 

 

 

再びギルドに着いた私たちはカウンターであの時のハーフエルフに出会った。

 

「ご要件はなんでしょうか?」

「ファミリアに入れたので冒険者登録をしに来ました」

「はい、それではファミリアの名前を教えてください」

「ヘスティア・ファミリア。新規のファミリアです」

「かしこまりました。それではこちらに名前を書いてください」

 

受付嬢から差し出された二枚の紙に私たちはそれぞれの名前を書いて受付嬢に渡した。

 

「受け取りました。ようこそ冒険者様、ギルドは貴方たちを歓迎します」

「やっと登録できたー!」

 

ようやく冒険者登録が出来たことでベルは嬉しそうに飛び回っているのを私も含めて周りの人は微笑ましく見ている。

 

「それと先に専属のアドバイザーを決めてもらう必要があります」

「それなら貴方でお願いします」

「かしこまりました。それではこちらに来てください」

 

恐らくダンジョンの講習だろう。それなら私たちはお母様たちから教わっているから問題ない。

 

「ダンジョンの講習ですか?間に合っています」

「え?」

「実は故郷に元々オラリオの冒険者がいたのでその方から色んなことを教えてもらいました」

「それなら抜き打ちテストをして確認します。よろしいですね?」

「わかりました。行こう、ベル」

「うん!」

 

テストをした結果両方とも百点で終わりダンジョンに行く許可をもらった。けど私としては先にやるべきことがある。

 

「ベル」

「ん?姉さんどうしたの?」

「ダンジョンに行くのもいいけど先にやりたいことがあるの」

「え?何をするの?」

「ヘスティア・ファミリアの結成記念に今日のご飯は豪華にするから買い物付き合って欲しいな」

「え!?うん!わかった!」

 

ベルの愛らしい笑顔に周りの人たちが癒されている。ベルは嬉しそうに私の手を引っ張って私たちは街に駆け出した。

 

 

〜オマケ〜

 

私は幼い頃からいろんなことをお母様たちから教わってきた。その中でも一番得意とも言えるのは料理だ。

 

食にこだわるザルドおじ様の料理はとにかく美味しい。そして私はアルフィアの娘なのでめちゃくちゃ修行した結果、今の私の料理の腕はザルドおじ様より上だろう。

 

「凄いよシェイネ君!ジャガ丸くんをベースにこんな美味しくできるなんて!」

「野菜もありますからちゃんと食べてくださいよ」

「ハグハグハグハグハグ!」

 

ヘスティア様のバイト先のジャガ丸くんをもとにちょっとアレンジを加えて野菜をたくさんのっけた簡単な料理だがお気に召してよかった。他にもお肉料理やスープも作っているのでベルもたくさん食べている。そんなベルが美味しそうに食べてるのを見ると私も嬉しい。

 

そして食べ終わったら、ちゃんと歯を磨いてみんなで仲良く一緒に寝ました。



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剣姫との出会い

今回はシェイネちゃんの本性が表れます。お楽しみに!


僕たちは今最大の危機に瀕している。姉と一緒にダンジョンを潜って5階層に来たけど異常事態(イレギュラー)が発生した。それは・・・

 

「ぶもぉおお!」

「何でミノタウロスがいるんだよ姉さん!?」

「恐らく下の上級冒険者から逃げてきたんでしょう」

 

こんな時でも姉は冷静さを保っているのは凄いと思う。

 

「姉さん!使う!?」

「そうだね、それならそこを曲がろう」

「うん!」

「ぶもぉおおお!!」

 

ミノタウロスから逃げる中、曲がり角で曲がって姉さんは振り返った瞬間魔法を使った。

 

「【福音(ゴスペル)】!」

「ぶもおおお!?」

 

鐘の音が鳴り音の爆風がミノタウロスを吹き飛ばす。しかしダメージは少なそうだ。吹き飛ばされたミノタウロスは四つん這いの体勢に入った。アレは・・・不味い!

 

「くっ・・・ベル!」

「え?うわぁ!?」

「【福音(ゴスペル)】!」

 

姉さんは咄嗟に僕を突き飛ばして魔法を発動した。お陰で突進の威力は緩和されたけど姉さんが大怪我してしまった。僕はその光景に動転してしまった。

 

「姉さん・・・姉さん!」

「ベル!逃げて!」

「え?・・・ひっ!?」

 

姉さんしか見てなかった僕はミノタウロスに気付いて思わず悲鳴を上げた。僕はミノタウロスを前に動けなくなっていると

 

「ぶもぉ!」

「ベルー!」

「ウワァア!?」

 

次の瞬間、ミノタウロスの体に銀の線が入った。ミノタウロスはバラバラになり血が溢れて僕に降ってくる。

 

「ベル!ベル!」

「姉さん?」

「あの・・・大丈夫ですか?」

「え?」

 

姉さんは這いずりながら僕のもとに来て僕を抱きしめた。その次にさっきミノタウロスを倒したであろう人物が声をかけてきた。僕はその人と目が合った瞬間心臓が止まった。

 

「あなたは・・・」

「アイズ・・・アイズ・ヴァレンシュタイン」

 

姉さんが問いかけて答えてくれた。アイズ・ヴァレンシュタイン。僕はその人の名前を絶対忘れないだろう。

 

「ねえ君」

「は、はい・・・」

「あっ・・・」

 

アイズさんが声をかけてきてビックリした僕は思わず姉さんの後ろに隠れてしまう。そのせいでアイズさんも声を詰まらせてしまう。き、気まずい!

 

「おい!アイズ!」

「あ、ベートさん」

 

次は狼人のお兄さんがやってきた。名前はベートって言うらしい。

 

「何だ!このトマト野郎は!」

「え?」

 

ベートさんは僕を見た瞬間トマト野郎と言って笑ってきた。僕はどういうことかわからないで困惑していると

 

「ベル、貴方今血を被って真っ赤になってるよ」

「え!?」

 

良く自分を見ると全身真っ赤っかになってる・・・は、恥ずかしい!

 

「だ」

「ん?」

「だああああああああああ!?」

「べ、ベルー!?」

 

僕はミノタウロスに襲われた時よりも大きな声を出してダンジョンの上の階層に走った。

 

 

 

 

「す、すみません!お礼はまた後でします!失礼しました!」

 

ベルが恥ずかしさの余りに逃げ出したことに驚いた私は二人を置いてベルを追った。幸いにも私の方が速いので難なく捕まえれた。捕まえた後はベルをシャワー室に向かわせて血を落とした後ギルドに向かいながら話している。

 

「ね、姉さん・・・」

「ベル、何で逃げ出したの?」

「それは・・・」

 

ベルはモジモジしながら顔を背けている・・・え?まさか・・・

 

「も、もしかしてヴァレンシュタインさんのことが好きになったの?」

「ギクッ!」

 

私が声を震わせながらベルに聞くとわかりやすいように体をビクッと震わせた。そ、そんな!?

 

「だ、ダメよ。ベル!」

「え、えぇ!?」

 

私の声に周りの人がこっちを見るがそんなのどうでもいい。愛しいベルが一目惚れするなんて最悪だ!?

 

「いい?ベル、ヴァレンシュタインさんは他派閥の人なの。他派閥同士の人が結婚するなんて普通はないんだよ!?」

「ね、姉さんどうしたの!?」

「お願いベル!私を置いていかないで〜!」

「姉さん!?見られてる!見られてるって!?」

 

私はベルを抱きしめながら懇願する。ベルがなんか言ってるけど言うことを聞いてくれるまで諦めないぞ!

 

「シェ、シェイネちゃん!?何があったんですか!?」

「エイナさん!ベルが!ベルがぁ・・・」

「え、えぇ・・・」

 

そこにエイナさんが来て私はベルを説得するよう懇願するがエイナさんは何が何だか分からず困惑している。その後はエイナさんに連れられ個室で事情を話した。

 

 

 

 

 

「5階層にミノタウロスが現れてそこでヴァレンシュタイン氏に助けてもらったと・・・」

 

私ことエイナ・チュールは最近担当している姉弟から何があったのかを尋ねるとそんなことがあったらしい。更にそこでベル君がヴァレンシュタイン氏に一目惚れしてしまったと聞いて私が思ったことは

 

「シェイネちゃんがブラコンだなんて思いませんでした」

「え!?そこぉ!?」

 

私のシェイネさんに対する第一印象は良いお姉さんって感じで、そんな性格とは思えずあそこまで取り乱すだなんて思いもしなかった。

 

「あ、あのエイナさん・・・」

「ん?どうしたのベル君?」

「その・・・アイズ・ヴァレンシュタインさんについて教えて欲しいんですけど・・・」

「え?・・・ひっ!」

 

ベル君がヴァレンシュタイン氏について聞いてくるとシェイネちゃんは凄い圧力をかけてきた。こわっ!?

 

「え、えっと・・・ギルドとしては冒険者の情報を漏らすのはご法度なんだけど・・・」

 

取り敢えず私は公になっている情報を教えたけど、ベル君は既に知ってるようでガッカリしてた。その後は色々話して彼らは魔石を換金したので帰ろうとしている所を

 

「ベル君」

「あ、はい。なんですか?」

「あのね、女性ってやっぱり強くて頼り甲斐のある男の人に魅力を感じるから・・・頑張ってね?」

「・・・うん!ありがとうエイナさん!大好きー!」

「えうっ!?」

 

ベル君はそんなことを言いながら走っていった。しかしシェイネちゃんはこちらを笑顔で見つめている・・・怖い!?

 

「エイナさん?」

「シェ、シェイネちゃん?」

「覚えてなさいね?」

「ひ、ひ〜!?」

 

シェイネちゃんはそう言いながら去っていった・・・私、生きていけるかな・・・?




今回からブラコンタグを入れておきます。


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憧憬一途

今回はちょっと短めです


「ただいま戻りました。ヘスティア様」

「ただいまです!神様!」

「お帰り!シェイネ君!ベル君!」

 

ギルドから帰った私たちはホームにてヘスティア様に迎え入れられた。

 

「それじゃあ早速恩恵の更新をしよっか」

「はい。お願いします」

「それじゃあ僕は一旦部屋から出ますね」

 

私から更新するのでベルは一度部屋から退出した。ベルが部屋から出たのでヘスティア様に今日の出来事を更新しながら話した。

 

「むむむ・・・そんなことがあったんだね」

「はい。しかもベルがヴァレンシュタインさんに一目惚れしたらしくて・・・」

「な、なにぃ!?」

 

私にとって一番の問題を言うとヘスティア様は驚いた。

 

「そ、それは本当かい!?」

「はい。私としては諦めて欲しいんですが・・・」

「そうはいかないと?」

「そうですね」

「むぅ・・・終わったよ」

 

そうこう話しているうちにヘスティア様は更新を終えた。結果は・・・

 

 

シェイネ・クラネル

Lv.1

力:H120

耐久:F301

器用:G299

敏捷:F320

魔力:H130

 

《魔法》

【サタナス・ヴェーリオン】

・音魔法

・詠唱式【ゴスペル】

・追加詠唱【ルギオ】

 

《スキル》

家族一途(ファミリア・フレーゼ)

・早熟する

・家族愛の強さにより効果持続

・家族愛の強さにより効果向上

 

「・・・よし。それじゃあ私は先に晩御飯の準備をしていますので」

「うん。わかった」

「終わった?姉さん」

「終わったよ。ベル」

 

そうして聞こえくるノック音と弟の声に終わったと返事する。するとベルが入ってくる。

 

「ベル。私は晩御飯の準備をしてくる」

「うん」

 

そうして晩御飯の準備を終える頃には更新を終えた二人が来てみんなで晩御飯を食べた。その後にはみんなで寝る筈だがヘスティア様に呼ばれたのでベルを先に寝かせてからヘスティア様のもとにいる。

 

「それでヘスティア様、何の用ですか?」

「ベル君にスキルが発生した」

「おぉ、喜ばしいことじゃないですか!」

「そう思うだろ?問題はここからだぜ。まずはこのステイタスシートのスキルを見てくれ」

「なになに・・・!?」

 

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

・早熟する

懸想(おもい)が続く限り効果持続

懸想(おもい)の丈により効果向上

 

こ、これは・・・ヴァレンシュタインさんに一目惚れしたことで生まれたスキルなの!?

 

「ヘスティア様、これは・・・まさか!?」

「そうだ。ベル君がヴァレン何某に一目惚れしたことで生まれたスキルだ」

 

その言葉に私は雷に打たれた感覚がした。思考がぐちゃぐちゃになる中私はある決断をした。

 

「こうなったらベルと既成事実を作ってきます」

「何を言ってるんだ君はぁ!?」

 

私の発言にヘスティア様がツッコむ。

 

「邪魔しないでください!私はベルと既成事実を作るんです!」

「どうしたんだい急に!?」

「私はベルを愛しているんです!ベルがヴァレンシュタインさんに取られるくらいなら先手を打って既成事実を作ればいいんです!」

「既成事実言うな!?」

「ベルは私のものです!誰にも渡しません!」

 

そうやって私の想いが暴走していると後ろのドアが開いた。ベルが起きてしまったみたいだ。

 

「むぅ・・・姉さんどうしたの?」

「うっ!?な、なんでもないよ!?さっ!一緒に寝よっか!」

 

私は弟の声に頭が冷えて冷静になり、もう寝ようとヘスティア様とベルの手を取って寝室へ向かった。

 

「おやすみなさいベル」

「おやすみ姉さん」

「やい、ボクを除け者にするな!」

「ヘスティア様もおやすみなさい」

「うん!おやすみ・・・二人とも・・・」



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豊穣の女主人1

あの夜から翌日、私たちはいつも通りダンジョンに向かっている。そんな時、急にベルが止まって周りを見回している。

 

「ん?どうしたの?ベル」

「・・・誰かに見られている気がする」

「え?」

 

まさか・・・ストーカー!?そう考えていると後ろから声をかけられた。

 

「あの・・・」

「!」

 

振り返るとそこには灰色の髪と目をした女の子がいた。まさか・・・

 

「もしかしてベルのストーカーですか?」

「え?ち、違いますよ!これ、落としましたよ?」

 

そうして女の子の手のひらには一個の魔石がある。しかし魔石は昨日ギルドで全て換金したので魔石を持ってるはずが無い・・・やはり!

 

「あいにくですが魔石は全部換金してあるので魔石は持ってません」

「えっ、そんな・・・」

「それでは失礼しま「ちょ、ちょっと待ってよ姉さん」・・・どうしたの?」

 

急いで離れようと冷たく言うもベルが止める。

 

「少し落ち着こう?この人がストーカーってわけじゃないし」

「え?そうなの?」

「うん。視線は上からだからこの人は無関係だよ」

 

どうやらこの人は無関係のようで私は勘違いしていたらしい。ベルのストーカーと聞いて熱くなってしまったようだ。

 

「すみません。勝手なことを言ってしまい・・・私はシェイネ・クラネル」

「い、いえ!タイミングも悪かったし大丈夫ですよ!私はシル・フローヴァです」

「ベル・クラネルです!」

「それで魔石を使ってまで近づいた目的はなんですか?」

「店の売り込みをしていたんです」

 

そうして誤解が解けたら何故魔石を持って近づいたかを聞くとどうやら店の売り込みをしているらしい。それを聞いたベルは

 

「姉さん、今日の夜行ってみない?」

「えっ」

「「え?」」

 

弟からの提案に思わず声が出てしまいそれが不味かったのか二人は『え』と口にしながら疑問符を浮かべている。

 

「い、いや何でもない・・・どうして行きたいの?」

「え?いや、姉さんも偶にはいいんじゃないかなって思っただけ」

「そ、そう・・・」

 

どうやら私の料理が飽きたってわけじゃないらしい。良かった。

 

「それでどうしますか?私としては来てくれるとありがたいんですが・・・」

「・・・まぁ先程の謝罪として今日の夜は行きましょう」

「え!本当ですか!」

 

シルさんからの質問に少し悩んだが先程の失礼もあって断りにくいので行くことにした。

 

「はい。なのでお店のお名前を教えてほしいです」

「はい!『豊穣の女主人』って言います!」

「わかりました。それじゃあ今晩()来ますね。シルさん」

「は、はい・・・」

 

ただし!今日だけだがな!

 

 

 

 

今日分と食べる分の稼ぎをした僕と姉さんはシルさんとの約束通り『豊穣の女主人』に来ている。

 

「ベルさんにシェイネさん!来てくれたんですね」

「おや、アンタがシルが言っていた客かい?ははっ、冒険者のくせに可愛い顔してるねぇ!」

 

ほっとけよ

 

「今日はご馳走になります」

「何でもアタシ達に悲鳴を上げさせるほど大食漢なんだそうじゃないか! じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってってくれよぉ!」

「は?」

「え、えぇ!?」

 

女将さんの言葉に姉さんは固まり、驚いた僕はシルさんの方を見ると

 

「・・・えへへ」

「えへへじゃないですよ!?」

「シルさん?」

「え、ひっ・・・」

 

姉さんがシルさんに話しかけたらシルは小さな悲鳴をあげた。姉さんを見るとそれは目が笑ってないキレているときの顔だった。姉さん!?

 

「姉さん!ちょっと落ち着いて」

「ベル大丈夫よ。私は落ち着いているわ」

「全然落ち着いてないよ!?ほら!早く注文しよ!?」

「はぁ・・・わかったわ」

 

そうして落ち着いた姉さんはメニューを手に取ってその中からパスタを二人分頼んだ。出されたパスタを食べているとシルさんがやってきた。

 

「楽しんでますか?」

「・・・圧倒されてます」

「何で来るんですか」

「えっと、そこまで警戒しなくても・・・」

 

そんな会話をしていると茶髪の猫人のウェイトレスが大きな声で団体の客を案内していた。入ってきたファミリアの名前はロキ・ファミリア。あの時、ベルたちを助けたアイズ・ヴァレンシュタインもいる。

 

「ロキ・ファミリアさんはうちのお得意さんなんです。彼等の主神であるロキ様に私たちのお店がいたく気に入られてしまって」

 

シルさんの話を聞いた僕は今後もここに来ればアイズ・ヴァレンシュタインさんに会えるかもしれないと思った。

 

「ちっ」

「姉さん?何で舌打ちするの?」

 

そんなツッコミをしているとロキ・ファミリアのベートさんが大きな声をあげた。

 

「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」

 

 

 



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豊穣の女主人2

急遽予定をかなり変更していきなりですが『彼』が登場します!
かなり急な予定変更なので違和感があるかもしれないので、出来れば指摘をお願いします。


「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」

 

ベートさんは大きな声をあげながら周りの団員に聞かせるように言った。

 

 

「あの話?」

「5階層にいたミノタウロスに挑んだ命知らずの雑魚のことだよ!」

 

アイズさんは何のことか分からないようだがベートさんの次の言葉を聞いた瞬間僕は固まった。

 

「帰る途中で何匹か逃したミノタウロスの最後の一匹、お前が5階層で始末しただろ!その時にいたトマト野郎!」

 

ベートさんはその時のことを思い返すように笑いながら説明していてロキ・ファミリアの団員も笑っている。

 

「ベート。ミノタウロスを逃したのは我々の不手際だ。酒の肴にする権利はない。恥を知れ」

「流石エルフ様、誇り高いこって」

 

緑色の髪をしたエルフの人が注意したがベートさんは止まる様子がなく続けていく

 

「アイズはどう思うよ?目の前で震え上がるだけの情け無い野郎を」

「・・・・・・あの状況じゃあ、しょうがないと思います」

「それじゃあ質問を変えるぜ?あのガキと俺、ツガイにするならどっちがいい?」

「私はそんなことを言うベートさんとはごめんです」

「無様だな」

 

そんな会話を聞きながら震えているとベートさんの次の言葉を言った。

 

「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」

 

その言葉を聞いた瞬間僕は立ち上がって出口に向かって走ったが誰かに腕を掴まれた。

 

「久しぶりだな、ベル、シェイネ」

「え?」

「ん?知り合いなん?」

「あぁ」

 

いきなり知らない男性に名前を呼ばれて固まる僕。ゆっくりとその人の方に振り返って顔を見ると絶句した。

 

「あ、あぁ・・・」

「え?どうしたんですか?」

 

姉さんもその人の正体を認知するとか細い声を出して僕と同時に叫びながら抱きついた。

 

『お父さん(様)!』

 

その発言が店一帯に轟くと途端にシンってなって数秒たつとお父さんは誇るように紹介してくれた。

 

「紹介しよう。俺の子供のベルとシェイネだ」

 

『え、えええぇぇぇぇぇ!?』

 

お父さんの発言に店にいる客と店員の全員がオラリオ全体に広がるくらいの大絶叫が轟いた。

 

僕たちのお父さんの名前はアルド・アラクメネ。ロキ・ファミリアのレベル7()だ。

 

 

 

 

私たちは今非常に気まずい空気の中心にいる。それもそうだ、ロキ・ファミリアのエースであるアルドに子供がいるなんて極一部を除いて殆ど居ない。

 

お父様の偉業は幾つかあって一番有名なのはかつて絶滅した種族であるオーガ族の怨念が取り憑いた邪剣、オーガベインを制御することが出来てそのことから【鬼を制する者(オーガ・スレイヤー)】と二つ名で呼ばれている。

 

他にも色々あるがこの気まずい空気を終わらせるために私はお父様に話しかけた。

 

「お久しぶりです、お父様。お父様のご活躍はヘルメス様から聞き及んでいます」

「あぁ、久しぶりだな!そして大きくなったなベル!シェイネも綺麗になってるぞ!」

「ありがとうございます」

「えへへ、ありがとう!お父さん!」

 

親子の暖かな会話に空気が緩むなか早速お父様は本題に出た

 

「それにしても、どうしてベルは店から飛び出そうとしたんだ?」

「あぁ、それは・・・」

 

私はベートさんの方向に視線を向けながらダンジョンの5階層での出来事とさっきベートさんの話した内容が私たちのことであることを話した。因みに話している間、ベートさんは顔を引き攣らせていました。

 

「ほう、そんなことがあったのか・・・ベート?」

「あ、あぁ・・・」

 

事情を聞いたお父様は黒いオーラを放ち始めて笑顔になりベートさんの方向を向いて話しかける。一方ベートさんは顔から滝汗が流れて初めている。そしてお父様は一瞬でベートさんの頭を掴むと

 

「頭を冷やせ」

「グッ!?グアアあああぁぁぁ!?」

 

レベル7の握力でベートさん(レベル5)の頭を握り締めている。レベル2の差もあってかベートさんは激痛に悶えて苦しんでいる。そんな光景を見ていると今度はロキ様から声をかけられた。

 

「なぁなぁ、シェイネたん、ちょっと聞きたいことがあるんやけど」

たん・・・?はい、何でしょか?」

「何処のファミリアなのかを教えて欲しいんやけど」

「あぁ、それでしたら、ヘスティア・ファミリアです」

「なっ!?ドチビの所やと!?な、何でや!?」

 

ロキ様はそう質問すると

 

「門前払いをされました。他にも色々行ったんですが、二人とも入れてくれるところが無くて、そこにヘスティア様が私たちを勧誘してくれました」

「なん、やと・・・?」

 

ロキ様は絶句した。他のメンバーやロキ・ファミリアの団長たちは険しい顔をしている。

 

「少し、門番に聞くことが出来たな」

「あぁ、そうだね」

 

そんなことを話しているが、ふとベルはどうしたんだろうと思って周りを見渡すと

 

「あの時はごめんね、わざとじゃなかったんだけど・・・」

「い、いえ!全然大丈夫です!」

 

アイズ・ヴァレンシュタインさんに頭を撫でられていた。それを見た私は思わず叫んでしまった。

 

「何してるのベル〜!?」




アルドは【アナザーエデン】と言うスマホゲームの主人公を丸々使って出しています。なので今回から『クロスオーバー』と『アナザーエデン』のタグを追加します。


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豊穣の女主人3

現在、アンケートでアルドにヒロインは必要なのかをやっていますが、理由としては、少し後の予定を話すと『アルフィアはアルドにはベル達の他にも支える人が必要だと考えてリヴェリアに託す』と言う内容を考えていますがそれでもダメの場合には他の案を考えます。


「何してるのベル〜!?」

 

アイズさんに撫でられていると姉さんが突然叫んできて僕に抱きついてきた!

 

「ね、姉さん!?」

「どうしてそんなホイホイと私以外の女の人のところに行くのよぉ!」

 

姉さんは僕に抱きつきながら嘆く。店の中にいる人達はぽかんとして僕達を見ている。

 

「あぁ・・・大きくなっても、姉バカなのは変わらないかぁ」

 

お父さんは遠い目をしながら言う。その言葉を聞いた人達は姉さんはどんな人なのかを察したようだ。

 

「アイズ・ヴァレンシュタインさん」

「な、何・・・?」

 

そんな中、姉さんがアイズさんに威圧しながら話しかける。アイズさんは少し気圧されながらも返事をしたら、姉さんはこう言った。

 

「ベルは絶対に渡さないから!」

「え、えぇ・・・?」

 

姉さんの宣戦布告にも聞こえるような宣言に困惑するアイズさん。そんな姉さんに見かねたのかお父さんがこっちにきて姉さんの頭を()()()掴んで

 

「落ち着けシェイネ」

「アババババばばば!?」

 

お父さんのアイアンクローが発動した。姉さんは激痛に悲鳴を上げて気絶した。正直このシチュエーションは幼い頃に何回もあったので慣れているが、ロキ・ファミリアさんたちは顔を引き攣らせている。

 

「ベル」

「ん、何?」

「もうすぐ怪物祭(モンスター・フィリア)というお祭りがあるんだ」

「怪物祭?」

 

父さんは近々怪物祭(モンスター・フィリア)というお祭りが開催するということを教えてくれた。怪物祭はガネーシャ・ファミリアがモンスターを調教(テイム)するところを見世物にしているお祭りで規模も大きいらしい。

 

「折角だから家族皆んなで祭を楽しまないか?」

「え!?いいの!?」

「あぁ、ロキ、構わないだろう?」

「ええよ!久しぶりに会ったんやから家族水入らずで楽しんどきや!」

「ありがとう」

「ありがとうございます!ロキ様!」

 

ロキ様からも許しをもらえたので僕はロキ様に感謝した。

 

「構わんで〜、それでベルたん、ちょっと良い?」

「え?はい」

「それでは失礼・・・」

 

ロキ様はそう言いながら僕の頭に手を置いて撫で始めた。

 

「おぉ・・・これは・・・」

「んっ・・・ロキ様?」

「もふもふで癖になるなコレ!」

「そ、そうですか・・・ひゃっ!?」

 

ロキ様は僕の頭を数秒撫でると何故か高評価をもらった。そして今度は抱きしめてきた!?

 

「それに体が小柄やし、最高級の天然抱き枕やでぇ」

「あ、あのっ、ロキ様・・・?」

「あぁ・・・ホントに惜しいことをしたなぁ、もしウチの子になってたら毎晩抱きしめていたのになぁ・・・」

「え、えぇ?」

「ロキ、それ以上ベルに触るのはやめろ。シェイネがまた暴走する」

「あぁ・・・惜しいわぁ・・・」

「それとロキ、時間的にもう遅いからベル達をホームまで送る」

 

ロキ様は名残惜しそうに僕を離した。僕が自由の身になるとお父さんは姉さんをおぶりながらロキ様にそう言う。

 

「そうか、ならまたな、ベルたん」

「は、はい!今日はありがとうございました!シルさん、これお会計です」

 

お別れの挨拶をした後は忘れずにシルさんにお会計を済ませて『豊穣の女主人』を出た。

 

 

 

 

「・・・うーん」

「お、起きたか」

「・・・お父様?」

 

ゆらゆらとした感覚がしながら目を覚ました私はお父様におぶられていることに気づいた。側にはベルもいる。

 

「・・・歩きます。降ろしてください」

「はいはい」

 

すぐさま背中から降りた私は自分を中心にベルとお父様の手を繋いだ。ベルの手はやっぱり柔らかくて、久しぶりのお父様の手はゴツゴツしている。

 

「お父さん」

 

歩いているとふとベルが言葉を零す。

 

「どうした?」

 

そんなベルにお父様は返事をする。

 

「僕、強くなりたい。あの時はお父さんにびっくりしてて忘れてたけど、やっぱり悔しい」

「ベートのことか?」

「うん。けど一番嫌だったのは何もせずに期待していた僕だから」

「・・・そうか、なれるさ、お前なら・・・いや、お前達なら」

 

そうだ。私達は【静寂】のアルフィアの子供なのだから。

 

そうしてやっと私達のホームに着いた。ホームに着くとお父様は少し驚いた顔をしながらも笑った。そうしてる間にベルはホームの扉を開けた。

 

 

「ただいまです。神様」

「ただいま戻りました」

「失礼する」

「お、おかえり・・・ってアルド!?」

 

ホームに入るとヘスティア様に迎えられて、お父様に気づいたヘスティア様は驚いていた。

 

「初めましてだな神ヘスティア、知っているかもしれないが俺はアルド、二人の父親だ」

「ッ・・・そうかい、二人をここに送り届けてくれてありがとう」

「構わない。こちらこそ二人を迎え入れてくれて感謝する」

 

そうして二人が少しだけ言葉を交わすとお父様はこちらに向いた。

 

「ベル、シェイネ、明日は俺のホーム・・・『黄昏の館』に来い」

「「お父さん(様)?」」

「強くなりたいんだろう?なら、お父さんが鍛えてやる」

「え?良いの?」

「それくらいなら許してもらえるさ。もしダメだったらダンジョンでやろう」

「わかったよ、お父さん」

「よし!それじゃあ神ヘスティア、二人のことをこれからもよろしく頼みます」

「任せてくれ!何たってボクは二人の()なんだから!」

 

ヘスティア様の言葉に満足したお父様はホームを後にした。

 




アンケートを二つにします。一つ目はアルド(お父さん)にヒロインはいるのか、二つ目はシェイネの武器は何にするかです。一つ目は前回の方にあるのでよろしくお願いします。


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父との特訓、新たな武器

物語に少し修正を加えます。
>ベルのサタナス・ヴェーリオンを消しました。


『豊穣の女主人』でお父様との再会した翌日、私達は今、ロキ・ファミリアのホームである『黄昏の館』の前に来ていた。理由は昨晩、お父様と特訓をする約束をしたからだ。私達が門の前に来ると門番はギョッとして気まずい顔をしていた。

 

「すみません。ヘスティア・ファミリアの団長のシェイネ・クラネルです。お父・・・アルド様に御用があってきました。お取り合わせ願えますか?」

「あ、あぁ・・・少し待ってくれ」

 

片方の門番が『黄昏の館』に入って少しすると中からお父様が出てきた。

 

「来たか、ベル、シェイネ、お早う」

「おはよう!お父さん!」

「おはようございます。お父様」

「二人は俺が案内するから、お前達はここで門番を続けてくれ」

「は、はい・・・」

 

そうして私達は最強派閥のロキ・ファミリアのホームに入った。お父様の後を追いながらホームの廊下を歩いていると、ロキ・ファミリアの団員がこちらを見て何かを話している。

 

「あの二人がアルドさんの子供?」

「二人とも顔が整っているなぁ・・・」

「あの白い子可愛い・・・!」

 

そんな感じの話が聞こえたが敢えて無視した。最後の奴は一応威圧しておいた。やがて、『黄昏の館』の庭に着くと、お父様はこちらに振り返った。恐らくここで特訓するんだろう・・・が、少し聞きたいことができた。

 

「よし、ここでやろうか」

「わかりました。しかし、聞きたいことがあります」

「ん?何だ?」

「何でヴァレンシュタインさんがここにいるんですか!」

 

他にもヒリュテ姉妹やガレス・ランドロックさんの他にもロキ・ファミリアの団員もいる。多分、特訓の様子を見に来たんだろうがヴァレンシュタインさんがいるのは認められない!そんなことを考えているとお父様が頭を撫でてくる。

 

「そう怒るなシェイネ、ここはロキ・ファミリアのホームだぞ?彼女がここにいるのに何か問題があるのか?」

「そ、それは・・・っ」

 

そんなことを言われたら何も言い返せないが、彼女がここにいれば、ベルは彼女に夢中になるだろう。そう思いながらベルを見ると

 

「お父さん!早く特訓を始めよ!」

 

ベルはお父様との特訓にやる気が満ちていた。今にもとび出さん限りにウズウズしている。それを見たお父様は満足そうに私に細剣、ベルにはナイフを配った。どちらも刃は潰されていて斬れない状態になっている。そしてお父様は木刀を持っている。

 

「それじゃあ全力で来い!それと頑張ったらご褒美をあげるからな!」

 

その声が皮切りに私達はお父様に接近した。私は一歩前に出て突きを繰り出す。お父様はそれを横に避けるが、そこにベルがナイフを右斜めに振るう。その攻撃を木刀で防ぎ、動きが止まったところを

 

「【福音(ゴスペル)】!」

 

【サタナス・ヴェーリオン】の音の爆発がお父様を襲う。しかし、レベルの差や、魔力の低さもあって、そこまでダメージを与えてなく、微動だにしてなかった。

 

「どうした、まだまだ行けるだろう?」

「「!」」

 

一度距離をとった私達はもう一度お父様に接近した。今度はベルから仕掛けた。ベルはナイフを縦に振り下ろすが、お父様の木刀に弾かれて距離ができる。私はベルの肩を足場にして跳び、細剣をお父様の顔に目掛けて突き出す。それをお父様は顔を左に傾けて避ける。二度目の攻撃を失敗して私達は再び距離を取る。お父様は木刀を肩に乗せて

 

「終わりか?ならこっちの番だ!」

「え?ぷぎゅ!?」

 

お父様の姿が消えたと思った瞬間、ベルの方から悲鳴が聞こえた。咄嗟に振り向くとベルが目を回しながら倒れていた。頭にはたんこぶが出来ている。私は細剣を横なぎに振るうが木刀に弾かれるのを認識した頃には目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

「んにゅ・・・」

 

何だ?柔らかい何かが自分の頭の下にある。そう思いながら目を開いてみると、目線の先にはアイズ・ヴァレンシュタインさんが・・・ホワァ!?

 

「だああぁぁ!?」

「あっ・・・」

 

思わず飛び起きて距離を取る。アイズさんはなんか声を漏らしていたが、今は心臓がバクバクしていてそれどころじゃ無かった。

 

「な、何で膝枕を・・・?」

「え?アルドがベルは膝枕が好きだからやってあげろって・・・」

「お父さん!?」

 

お父さん何言ってるの!?確かに、姉さんにいつもやって貰ってるから好きだけど・・・いきなり憧れの人に膝枕してもらうのは流石にレベルが高すぎる・・・

 

「うぅ・・・」

「あっ、姉さん!」

 

そう思っていると姉さんが呻き声を上げながら起きた。姉さんの頭からたんこぶが出来ているのを見た僕は思わず笑ってしまった。

 

「ふふふ・・・姉さん、大っきなたんこぶが出来てるよ!」

「な、なにおう!そっちだって!このこの!」

「わあ!?何をするだー!?」

 

姉さんは大きな声を上げながら僕の頭をぐりぐりする。痛い!?一度離れて、自分の頭を触って見ると、自分の頭にも大きなたんこぶが出来ている・・・

 

「それにしても、二人とも凄いね!」

「へ?」

 

そう言いながらこっちに来るのは二人のアマゾネス、確か・・・

 

「ティオナさんとティオネさん?」

「せいかーい!よろしくね!アルミラージ君!」

「あ、アルミラージ・・・」

 

突然のアルミラージ呼びにげんなりする僕、そんな僕を姉さんは撫でて励ましてくれる。

 

「それにしても2回目の動き、凄かったわよ?参考にしたい位には」

「えへへ・・・」

 

ティオネさんがそう褒めてくれて嬉しくなる・・・物心ついた頃には姉さんと一緒にいたが、暮らしていく内に息が合うことが多くなった。あんな感じの動きは幼い頃から何回もしてきた。そう思い出しているとお父さんがやってきた。

 

「ベル、シェイネ、起きたか」

「お父さん!」

「それじゃあ今から出かけるぞ」

「え?何処に?」

「へファイストス・ファミリアだ。ご褒美を買いに行くぞ」

 

 

 

 

特訓が終わった僕達は今、へファイストス・ファミリアの団長室の前に向かっている。頑張った僕達にご褒美を与えると言ったお父さんはへファイストス・ファミリアに行くと言った。団長室の前に来ると、お父さんは扉をノックした。

 

「椿、入るぞ」

『おう』

 

返事が来たので入るとそこにいたには眼帯をつけた褐色肌の女性だった。

 

「初めましてだな、自分は椿・コルブランド、へファイストス・ファミリアの団長だ」

「ベル・クラネルです!」

「シェイネ・クラネルです」

「この子達がアルドの子供か!良い目をしておる!」

 

そうして一通りの自己紹介を終えると早速、お父さんが本題にでた。

 

「調整は?」

「既に済ませておる」

 

椿さんの指が指す方向には二振りのナイフと一振りの細剣があった。一対のナイフは片方が漆黒、もう片方は純白のナイフだ。細剣の方は

静かに輝いている。

 

「銘は左から『黒因幡(こくいなば)』『白雪姫(しらゆきひめ)』『凪ノ雫(なぎのしずく)』だ」

「か、かっこいい・・・!」

 

カッコいい武器の名前に思わず息を飲む。手に持つと十分に馴染む。オラリオに来たばかりなのにこんなに良い武器を持って良いのかと戦々恐々していると後ろから姉さんが頭を撫でてくる。

 

「姉さん・・・?」

「ベル、一緒に強くなるよ!」

「!、うん!」

 

こうして僕達は強力な武器を手に入れた。

 

「良い雰囲気で悪いが、これらを使うのは未だ後だ」

「「え〜!?」」

 

・・・使うにしてももう少し強くなってかららしい、そんなー。




これらの武器は全部デュランダル属性です。実は作成依頼は結構前にしてあって、ベル達が来たことで、椿に大きさの調整をしてもらいました。


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怪物祭

本当は受験勉強ですけど・・・気分転換に出します。遅れてすみません!


お父様から武器を貰った後日、今日は怪物祭(モンスター・フィリア)だ。私とベルは朝起きたら支度をして、昨日貰った『凪の雫』を腰に差した。ベルも『黒因幡』と『白雪姫』を携えている。

 

「ヘスティア様、行ってきます」

「行ってきます!」

「あぁ!楽しんでくるんだよ!」

「はい」

 

ホームでヘスティア様に見送られて私達は集合場所へ向かう。周りは怪物祭の雰囲気で賑わっていて、そんな空気に当てられベルは周りをキョロキョロと見ている。私はベルと逸れないように手を繋ぐ。

 

「ベル、前をちゃんと見ないとぶつかるよ?」

「あ・・・ごめん姉さん」

 

私はベルに声を掛けてとある場所を警戒する。一昨日のシルさんの出会いの時にベルが言っていた『視線』を私も気づくことが出来た。この視線は上から来ているから恐らくあの女神なのはわかっているけど・・・遠慮が無い。

 

(なんなの!?私のベルに視姦しやがって・・・!」

「姉さん?何を言ってるの?」

「エッ!?ナニモイッテナイヨ?」

 

不味い、心の声が漏れてしまった・・・次から気をつけよう。さっき思ったように、視線の主である女神・・・美の女神フレイヤ様はベルのことを気に入ったのだろう。お母様からはオラリオに来たときは美の女神フレイヤには気を付けろと言われたけど・・・なるほど、こう言うことだったのね。

 

そう思いながら集合場所が見えてきてお父様を確認したベルは全速力で走りそれに私も続いて歩く。

 

「お父さん!おはよう!」

「おはよう、ベル。シェイネもおはよう」

「おはようございます。お父様」

「それじゃあ行こうか」

「「はい!」」

 

挨拶を交わすと、お父様は手を出しながら声をかけてくる。ベルと私はそれに応じるように返事をしながら出された手を繋ぐ。私達家族は怪物祭を楽しみ行くのであった。

 

 

 

 

「よぉー、待たせたか?」

「いいえ、少し前に来たばかり」

 

とある店にて、オラリオの二大ファミリアの主神が集まった。片方はアルドの所属するロキ・ファミリアの主神であるロキ、もう片方は最近、クラネル姉弟に目をつけたフレイヤ・ファミリアの主神、フレイヤである。

 

「あなたの後ろに立っている子は?」

「とぼけんなや、知っとるクセに。アイズや。これ以上に何も紹介なんかいらんやろ。アイズ、こんなんでも一応神やから、挨拶だけはしときぃ」

「……こんにちわ」

 

アイズの自己紹介が終わったら少しばかりの世間話をして、ロキは本題を切り出すように糸目にしている目を開いて睨みつけるようにして言葉を発する。

 

「率直に聞く。今度は、何をやらかす気や」

「何を言っているのかしらロキ?」

「とぼけんな、あほぅ」

 

店の中で張り詰めるロキの威圧感に動けないでいる従業員にフレイヤは優しげに微笑むと、彼は目をはっと開いてその場を退散する。

 

「最近、こそこそ動いとるみたいやん、自分。興味ないとかほざいておった【宴】に急に顔を出すわ、出したと思ったらすぐ帰るわ、さっきの口振りからして情報収集に余念がないわ……今度は何を企んどるんや」

「企むだなんて人聞きが悪いわよ?」

「じゃかあしいわ。……お前が妙な真似をするとロクなことが起きひん。こっちに面倒が及ぶようなら……潰すぞ」

 

 

そんな言葉の応酬を続けて無言になると、ロキは大きな溜息を吐いて呟いた。

 

「……どこぞのある女神が、これまたどこぞの【ファミリア】の子供、それも"男"を気に入ったっちゅう、そういうことか」

 

フレイヤの男癖の悪さ・・・・・・は、神々の間では周知の事実だ。

気に入った下界の子供達を見つけてはすぐにでもアプローチを行い、その類ない『美』を用いて自分のモノ・・とする。魔性ともいえる彼女の『美』にとりつかれ虜となった者は数しれない。

 

「ったく、この色ボケ女神が。年がら年中盛りおって、誰だろうがお構いなしか」

「あら心外ね。分別くらいあるわ」

「抜かせ、男神どもも誑かしとるくせに」

「彼等との繋がりは色々と便利よ?何かと融通も利くし」

「・・・で?どんなヤツや、今度自分の目にとまった子供ってのは?いつ見つけた?」

 

ロキは教えろ、と口端を吊り上げる。それくらい言えと要求している彼女は言うまで帰さないと、興味深々にしている。

 

「・・・強くないわ、少しのことで傷ついてしまい、簡単に泣いてしまう・・・そんな子。でも、綺麗だった。透き通っていた。あの子は私が今まで見たことのない色をしていたわ。見つけたのは本当に偶然。たまたま視界に入っただけ・・・それと、もう一人」

「・・・もう一人やと?」

 

フレイヤの付け足された言葉にロキは片眉を吊り上げる。

 

「一人目の子と違って強いわ、そして魂の色は水色かしら?凪いでいる静かな湖畔のようで綺麗だった。ただ・・・」

「ただ?」

 

フレイヤは当時の情景を思い出しながら言葉を重ねていると、フレイヤの動きが止まった。

 

「ごめんなさい、急用ができたわ」

「はぁっ?」

「また今度会いましょう」

 

ぽかんとするロキをよそにフレイヤは立ち去る。

 

「何やアイツ。いきなり立ち上がって・・・アイズ、どうした?」

「彼処にアルド達が・・・」

「何やって・・・お、本当や!折角だし会いにいくか!」

 

ロキはそう言いながらコーヒーを飲み干して会計に出た。



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予測不能の姉弟コンビネーション

お久しぶりです、遅れてすみません!


「おーい!アルドー!」

「うん?おぉ、ロキ、アイズ」

「ゲッ、アイズ・ヴァレンシュタインさん・・・」

 

ベルとお父様と一緒に怪物祭を楽しんでいると後ろから声をかけられた。振り返ってみるとロキ様とヴァレンシュタインさんがいた。こちらに近づくヴァレンシュタインさんは私の呼び方に不満を持ったのか

 

「二人とも、私のことはアイズでいいよ」

「は、はい!アイズさん!」

「・・・分かりました、アイズさん」

 

愛しいベルはすぐに従った。仕方ないので私も従うことにした。・・・ん?アイズさんの手が・・・ッ!

 

「ダメです!アイズさん!」

「「え?」」

「ベルは私のです!勝手に許可なく撫でるのは許しません!」

 

アイズさんはベルの頭を見るや否や急に撫でようとして来た。気づいた私は即座にベルを抱きしめ守る。全く、油断も隙も無い!?

 

「それじゃあ、撫でて、良い?」

「ダメです!」

「え、えぇ・・・?」

「・・・ハァ、おい、シェイネ」

「へ?あびびびぶぶぶバババ!?」

 

私の頭が掴まれたと思うと、頭が潰されそうなくらいの激痛が走った。お、お父様!?

 

「あんまりアイズにいじわるするな、シェイネ」

「け、けど・・・私のベルがぁ・・・」

「シェイネちゃんはホントにベルたんのことが好きなんやなぁ。ほな、行くでアイズたん。これ以上はええやろ、家族水入らずで楽しんで来や!」

「あ、ありがとうございます。ロキ様」

「ええでええで!それじゃあな!」

 

そう言いながらアイズさんと一緒に何処かへ行った。私達も彼女達とは別方向に行って屋台を楽しんだ。丁度クレープ屋さんがあったので三人前を頼んだ。

 

「はい、ベル、あーん」

「あ、あーん!」

「よしよし、偉いよ!ベル!」

「う、うぅ・・・」

 

やっぱりベルの恥ずかしがるのは可愛い、癒しだ。こんな弟を持って私は幸せ者だと思う。そんな時だった。

 

「に、逃げろー!モンスターだー!」

 

そんな声と共に悲鳴が聞こえた。それを聞いたお父様の行動は迅速だった。

 

「ベル!シェイネ!俺はモンスターを処理する!二人は一緒に避難しろ!」

「お、お父さ、行っちゃった・・・』

 

流石レベル7だあっという間に見えなくなった。取り敢えず私達はお父様の言う通り避難しているが・・・私達の上に影が掛かった。

 

「!?、姉さん!」

「え?・・・クッ!?ベル!?」

 

私は突然ベルに押されて驚いたが、私が居た場所を見て唖然とした。それは白い体毛に覆われた大猿だった。確か名前は・・・

 

「シルバーバック・・・」

「姉さん!」

「な、へ?」

 

状況について来れない私をベルは抱き上げて走った。こ、これは、お姫様抱っこ!?

 

「ベル、私、あなたに抱えられて幸せ!」

「急に何言ってるの姉さん!?」

 

そう言いながら走るベル。私はシルバーバックの方を見てみると私を見ていることに気づいた。しかも、まるで発情しているように見える。ベルは裏道や路地裏を使うことで、巨体が通れないことをいいことに距離が離れて来たが、とある場所の前で止まってしまった。

 

「こ、此処は・・・」

「ダイダロス通り・・・!?」

 

ダイダロス通り、オラリオの第二の迷宮と呼ばれている場所だ。此処で迷えば二度と出れないと言われている。しかし、後ろにはシルバーバックがいる。

 

「クッ・・・姉さん行くよ!」

 

シルバーバックに気づいたベルは迷わずダイダロス通りに入った。ベルは走りながら私に話しかける。

 

「姉さん!」

「何、ベル!」

「僕達でアイツを倒さない!?」

「ハァ!?」

 

急に何言ってるのこの子!?けど、それしか方法が・・・。悩む私にベルは続ける。

 

「姉さん、僕は今みたいに逃げるのは嫌だ!」

「ベル・・・?」

「あの時のベートさんが言っていたこと、今でも頭に焼き付いている!」

 

そう言っている内に広い所に着いた。ベルはそこで立ち止まり、私を降ろして振り向く。視線の先にはシルバーバック。そんな格上を目の前にベルは堂々と言った。

 

「僕は、強くなりたい!」

「ベル・・・」

 

初めて見るベルの顔、いつもは可愛いらしい顔は凛々しく、カッコいい男の子の顔に見えた。覚悟を決めた弟を見た私の決意はとっくに固まっていた。それに私はヒロインではない。

 

「私も・・・」

「姉さん?」

「私も、強くなりたい!私は、ヒロインではない!私は!」

「姉さん!」

 

目の前にシルバーバックが迫ってくる。ベルは私を守ろうと抱き寄せようとする。その前に

 

「【福音(ゴスペル)】!」

「グギャァア!?」

 

お母様()の魔法で仰反るシルバーバック。その隙に私は【凪の雫】で斬りつける。目の前の大猿は痛みのあまり後方に下がった。

 

「私は、英雄(ベル)の隣で戦う、英雄(ベル)のお姉ちゃんだ!行くよ、ベル!」

「うん!」

「ガァァアア!!」

 

二人で縦一列で大猿に向かって突貫する。私が前になって後ろがベルという順で行く。私はシルバーバックに近づいて

 

「【福音(ゴスペル)】!」

「ギャァアアア!?」

「フッ!」

「ギャン!?」

「やぁああああ!!」

 

私の魔法で足止めしている間にベルがシルバーバックに裏周りして【白雪姫】で斬りつける。痛みで動けなくなったシルバーバックを私が胸に向けて連続で突く。そこで魔石を破壊できたのかシルバーバックは灰となって散って行った。

 

「・・・やった?」

「ヤッタァアア!!」

 

ベルの声に周囲で隠れてた人達が沸き立つ。ほっとしたのか私は尻餅をついてしまった。そこにベルが私に抱きついてくる。

 

「姉さん!」

「・・・ベル?」

「大好き!」

「・・・えへへ」

 

こうして久しぶりの家族団欒のお祭りは私達が新たな一歩を踏み出すと共におわった



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【幕間】アナザーフォース

お待たせしてしまいすみません。今回はパパ視点でお送りします。


 怪物祭でモンスターが脱走する事件が起きた。俺は我が子達と一度離れて脱走したモンスターの処理をしている。この事件の所為でウラノス達目標が一歩離れてしまったが、今はこの状況を収束させることに集中しよう。

 

「ハァ!」

「ギャアア!?」

「あ、アルドさん!」

 

 俺は声が聞こえた方向に振りめけば、そこにはガネーシャ・ファミリアのアーディ・ヴァルマとアストレア・ファミリアのリュー・リオンがいた。二人はこのオラリオの治安維持を担っている二つの派閥に所属している。

 

「アーディにリューか、避難はどうなった?」

「着々と進んでいます。今の所、怪我人も出ていません」

「それは良かった・・・ん?」

 

 足下に違和感を感じた俺は地面に耳と手をつけてみる。そうすると地中でナニかが何処かへ向かって掘り進めている音が聞こえた。

 

「どうかしましたか?」

「地中で掘り進むナニかがいる!俺はそっちに向かうから、二人は逃げ遅れがいないか探して来てくれ!」

「は、はい!」

 

 返事を聞いた俺はすぐに建物の屋根に跳び移り走り出す。しばらくナニかが進んでる方向へ向かって走っていると爆音が聞こえ急げば、緑色の触手に腹を貫かれたレフィーヤがいた。

 

「レフィーヤ!」

 

 急いで俺は【千秋達士】で斬りかかる。触手は切れたが、効果は今ひとつに見える。そこで大きな揺れを感じた。地面が盛り上がり、破壊されて現れたのは花のモンスターだった。そして俺の元にティオナとティオネが来る。

 

「アルド!エリクサーかポーションは無い!?」

「はい、アミッドが作ったポーションだから早くかけてやれ」

「うん!」

 

 ティオナは俺が渡したポーションをレフィーヤのもとに持って行った。それを見届けた俺はティオネと一緒に花のモンスターの方に向く。そこに風を纏ったアイズがやってくる。アイズの風を感じ取ったのか花のモンスターはアイズの方に集中している・・・まさか!

 

「アイズ!ソイツは魔力に反応している!」

「クッ!」

 

 アイズは花のモンスターに対応出来ていたが、途中で剣が折れてしまい、しだいに捕まってしまった。すぐさま救出したが、これではジリ貧だと思っている時、後ろから魔力が溢れた。

 

「【ウィーシェの名のもとに願う。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ】」

「ッ!、皆んな!レフィーヤを守れ!」

「「「おう(はい)!!」」」

「行くぞ!オーガベイン!」

 

 俺の指示で行動に移しだすと同時に俺はもう一つの剣、【オーガベイン】を抜き放ち、そのスキル()を解放させる。その名は【アナザーフォース】。自身を含む味方にステータスの大幅上昇をおこす。



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同盟

リアル事情が立て込んだ中で今回めっちゃ久しぶりなので文才がめっちゃ無いと思います。


「すみません、ヘスティア・ファミリアのクラネル姉弟と主神ヘスティア様です。ロキ様の呼び出しにより参りました。確認をお願いします」

 

 怪物祭の後、僕達はロキ様に呼び出しされて此処に来た。朝、ホームの廃教会にお父さんが来て【黄昏の館】に来るように言われた。怪物祭の事件の後だから何かあるのだろうと思ってはいるけど・・・

 

「確認終わりました。中に案内人がいますのでそちらに」

「ありがとうございます」

 

 中に入ると人間のお兄さんと猫人のお姉さんがいた。二人について行くうちに着いたのは・・・

 

「会議室?」

「団長、ヘスティア・ファミリアを連れて来ました」

「入れ」

 

 会議室に入ると中にいるのはロキ様やロキ・ファミリアの三幹部に加えてお父さん、他にもあの時の狼人さんやアマゾネスの人、エルフの人がいる。案内が終わったのでさっきの二人は既に退室していた。

 

「さて、こうして話すのは初めてだね、アルドから君たちについて色々聞いているよ」

「改めて自己紹介を、私はシェイネ・クラネル。そして・・・」

「ベル・クラネルです!」

「この子達の主神ヘスティアだよ」

 

 姉さんの自己紹介に続いて僕と神様も自己紹介した。

 

「これは丁寧だね、ならこちらからも、ロキ・ファミリアの団長をしているフィン・ディムナだ」

「副団長のリヴェリア・リヨス・アールヴだ」

「ガレス・ランドロックじゃ!」

「ロキや!よろしゅうな!」

「ティオナだよー!」

「ティオネよ、よろしくね」

「・・・ベート・ローガ」

「れ、レフィーヤ・ウィリディスです!」

 

 僕達の自己紹介を見たフィンさんは笑いながら自己紹介してくれた。早速本題に入ろうと話を進める。

 

「僕達ロキ・ファミリアはヘスティア・ファミリアと同盟を組む」

「同盟・・・ですか?」

「あぁ、前回の怪物祭の事件で何者かが陰謀を企てていると僕達は判断した。そこで君達は僕たちの主戦力であるアルドの子供であることから、彼の弱点でもある。それを君達はわかっているね?」

 

 お父さんの弱点。この言葉に僕は心の中に窮屈な思いが湧いた気がした。僕たちはお父さんの足手纏いだと言われたようなものなのだ。それでも今の僕と姉さんはレベル1、対してお父さんのレベルは7であることから、反論の余地が無いのはわかっていた。そのことに僕は俯き歯を食い縛ばる。

 

「そこで君たちを保護すると同時に特訓をつけようとと思う」

「特訓?」

 

 オウム返しをした僕にフィンさんは頷く。

 

「君たちには光る才能がある、僕はそう確信している。そこで二人には、ロキ・ファミリアのもとで急激に強くなってもらうと言う考えだ」

「ちなみに、誰が指導するんですか?」

「ベル・クラネルには、ヒリュテ姉妹とベート。君には、リヴェリアとアイズと言う組み合わせの予定だ」

「わかりました。ベルもいいね?」

「はい」

 

 フィンさんが提示した組み合わせに僕は同意する。それにフィンさんは頷いた。

 

「特訓は明日始める。今日は君たちの歓迎会ということで、宴をしよう」

「え?」

「はは、気にしないでくれ。ロキ・ファミリアは君たちを歓迎するよ」

 

 そう言ってフィンさんは右手を差し出して握手を求める。

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

 僕はそれに応えてフィンさんと握手した。

 

「よし!宴を始めるから食堂に案内するで!」

「よ、よろしくお願いします」

「おう!任せとき!」

 

 僕達はロキ様の先導に従って食堂へ向かいました。食堂に着くとさまざまな種族の方々が居ます。複数の視線に思わず緊張していると、フィンさんが話し始めた。

 

「みんな、今日からヘスティア・ファミリアは、ロキ・ファミリアと同盟を組む。これからは同じ仲間として見てほしい。それでは乾杯!」

『乾杯!』

 

 ロキ・ファミリアと同盟を組んだ私たちは、この後ロキ・ファミリアの団員と談笑しました。



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