一般転生者リヴァイ兄 (極まった凡夫)
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リヴァイの兄

リヴァイ可哀想……なんでいつも選択だけ誤るんだ…

せや!選択を間違えない主人公入れたろ!

そんな感じで生まれた小説です。

感想待ってます!


なんか気づいたら生まれ変わってたわ

ママンは黒髪の美人だし今世は勝ち組だな!(楽観)

 

 

なんて思っていたのが数日前のこと。

どうやらママンは夜のお仕事をしてるらしい、それに加えて父親は誰か分からないということだ。

俺は戦慄する。

oh……凄い……ハードです。

ちなみに異世界チートかと思ったら魔法なんてものもなかったよ。

マジかよ……魔法使ってウハウハを期待したのに…ガッカリだぜ…

 

 

実は俺には双子の弟がいる、リヴァイって言うらしい。

なんか変な名前だなぁ、と思う。ちなみに俺はケインという名前だ。イケてる名前だろ?

ママンにもどうやらお兄ちゃんがいて、俺もその人みたいに強くなれるように、そして、弟を守ってやれるよう、その人の名前から取ったみたいだ。ママンが寝る前に話してくれた。

リヴァイは俺が守らなくちゃ(使命感)

 

それから数ヶ月、結構分かったことがあった。

なんと俺たちは地下に住んでいる。理由はわからん。ただ一度外に連れられた時に空が見えなかった。

なんでこんなところに住んでいるんだろう…?

もしかしたら地上は汚染されてたりするのだろうか?

俺はそう疑問に思う。答えは出ない。

核戦争後の世界とかだったら嫌だなぁ…

 

 

あれから結構経ったがママンが死んだ。

はぇ!?

どうやら客から病気を貰ってしまっていたらしい。結果として医者にも診て貰えずに死んでしまった。そうか、最近元気がなかったのはそのせいか。悲しい。

ちなみにこの世界は前世でいう18世紀から19世紀辺りっぽい。詳しいことは分からんが銃はあるみたいだ。

外からたまに怒声と銃声が聞こえる。

前の世界だと確実に漏らしとる自信があるが、流石に慣れた。

漏らすことにも慣れた(違う)

ママンが言うには俺たちの髪色は結構珍しいみたいで、まだ幼い俺たちはむやみに外に出ると怖い人達に売りさばかれるらしかった。

お外怖いよぉ……ブルブル

だからママンが死んで俺達はどう生きればいいか全くと言っていいほど知らなかった。

だけど泣いてばかりもいられない。俺はお兄ちゃんだからな!リヴァイのために頑張らないと。

その時何故か身体がビリっときた。なんぞ?

 

 

それから半月弱、俺は今だにママンの前から動こうとしないリヴァイに飯を献上し続けた。

飯は街の人達から盗んだものだ。たまにボコボコにされるけど何とかまだ生きてる。

このまま餓死するか街のヤツらに殺されるかの差だ、大したことでは無い。

 

リヴァイがなかなか元気にならない。きっと精神的なものだろう。

お兄ちゃんコミュ障だからよぉ。

お前を励ますことは出来ないけど食料だけは持ってきてやるからな。

未だにリヴァイには懐かれてないが、まぁ、いつかは飯で釣れるだろう

それよりもこの身体の性能が凄い。

なんかめちゃくちゃ機敏に動けるし力も強い、本当に人間か?

 

 

ケニーとか言うおっちゃんが来た。

なんだ…てめぇ…?

食料を取られるかと思って威嚇してしまったがどうやらママンの関係者らしい。これから俺たちの面倒を見てくれるようだ。

まぁ過去のことは水に流してこれからよろしく!(気さくな挨拶)

 

 

【悲報】ケニーはヤンキーでした。

ケニーとヤンキーって語感が似てるよね。

ケニーは喧嘩もするしカツアゲもする。だけど強いからほとんど負けない。余計にタチが悪い。黙って見ているとケニーが俺たちにも加勢するよう言ってくる。

え?俺たちにもやれって?

しょうがないにゃあ…(建前)

イィヤッフゥゥゥウウウ!俺TUEEEEの時間だぜぇいぇええ!(本音)

 

 

ケニーにつられて町中の人をボコボコにしてると、怖がっていたリヴァイもようやく参加してきた。

けど生まれて初めて喧嘩するリヴァイはまだヘナチョコだ。

ガッハッハッ!お兄ちゃんには勝てまい!

リヴァイにいい所を見せようと張り切ってオッサン達をボコボコにする毎日。

その合間にケニーにはナイフの握り方だとか偉くなりたきゃ強くなれだとか色々教えこまれた。

ほとんど忘れたので勘で動いているが。

 

 

あれから数年

ケニーとの日々も板に付いてきた頃

ケニーはふらっとどこかに消えた。

まぁ何となくあの人はずっとこのままじゃないとは思ってたから俺はそこまでの衝撃じゃなかったけど、リヴァイは違ったらしい。

父親みたいに思ってたのかなぁ…

俺がそう思っているとリヴァイに掴みかかられる。

え?ケニーはママンの何だって?俺も知らんよ。いやマジマジ。

けどなんか引っかかるんだよなぁ。

ケニー…ケニー…うーん分からん(思考停止)

 

 

数年後

リヴァイがファーラン君とかいう子を拾ってきた。

ダメです!戻して来なさい!うちでは飼えません!

そう言おうと思ったけどコミュ障なので多数決には勝てなかったよ……

 

そして数日後。俺は絶賛困っていた。

おいおいファーラン君と喋れねぇんだけど!ファーラン君はグイグイ来るが俺が喋れない。やめてくれよ…陽キャがグイグイ来ると陰キャは喋れないんだよォ…

 

 

労働なんて崇高なことがケニー仕込みの俺達に出来るはずもなく。

俺とリヴァイは物取りで生計を立てていた。

高そうなものを盗んで売る、それだけだ。

そこにファーラン君も入ることでついにトリオになった俺たちはいつの間にか地下街の人間から盗賊団と呼ばれるようになっていた。

なにそれかっこいい……(恍惚)

 

 

何?立体機動装置?なんじゃそりゃ?

リヴァイが憲兵達からヘンテコな装置を盗んできた。

そんなんで何ができるんだよ…どうせ大したことじゃないだろ、お兄ちゃんもう寝るよ。

なんて思っていたがしかし、ヘンテコ装置は見た目に反して超かっこよくスタイリッシュだった。ピュンピュン飛び回るリヴァイを見て柄にもなく興奮したよね。

リヴァイの立体機動装置をじっと見てるとリヴァイが俺にも欲しいか聞いてきた。

頷くとなんと翌週には新しい立体機動装置が用意してあった。

 

あざマスっ!!

 

リヴァイサンタに感謝しつつ俺は立体機動装置を使ってみる。

めちゃくちゃ早く動けて爽快だった。

ファーラン君の分の立体機動装置も揃って、俺たちの盗みの効率は以前の数倍に跳ね上がった。やったね!

 

 

イザベルと言う女の子が窃盗団に入った。

どうやら追われていた所をリヴァイが保護したらしい。

あまりにも男らしいその理由に俺はリヴァイに惚れるかと思った。

 

だけど俺に女の子は早すぎるよ…!

今世じゃママンと話した(泣き声)ぐらいだぜ。

やめてくれよぉ……ファーラン君といいイザベルちゃんと言いあっちはグイグイ来るが俺が話せない。陽キャ過ぎんよォ

 

 

リヴァイが妙な依頼を受けた。

どうやら調査兵団とかいう組織の不正の書類の入手と団長暗殺が依頼内容らしい。

達成出来れば地上に住めるということでリヴァイは依頼を受けたようだ。

 

憲兵団の人達にはいつも喧嘩を売ってるので俺は楽勝だと思ってた。

あいつらトロいしね。

調査兵団だかなんだか知らねぇが俺たちの流儀をその身に叩き込んでやるぜぇい…フェッフェッフェ

 

 

なんて思っていたのも数日前。

許してお兄さん!!(迫真)

調査兵団は予想以上に強かった。

俺とリヴァイだけなら何とかなっただろうけどファーラン君とイザベルちゃんが捕まった時点で俺たちの敗北が決まった。俺は内心焦る。

やばいやばいやばい死にたくなーい!

散々犯罪行為を犯してきたんだ、まず間違いなく軽い刑ではないだろう。

とりあえず媚び売って大人しくしたら許してもらえないかな。

ボク、ワルイハンザイシャジャナイヨ(チラッチラッ)

あぁああ!リヴァイが痛めつけられてる。

後でお兄ちゃんが慰めてやるからな。(義務感)

 

どうやら俺たちのことを見逃してくれる代わりに調査兵団に入れということらしい。

おぉまじかよ。

つまり働けってこと?就職?就職するの?嫌だぁぁぁぁ…

だが俺に拒否権はなかった。

諦めて社会人になる決意をする。

俺もついに就職かぁ大人になるってつれぇなぁ…

 

 

リヴァイ達と一緒に地上に来た。

外の世界すげえええ!!

太陽も雲も空までもがあるぜ……世界はやっぱり広いなぁ…

 

だがそれ以上に俺の興味を引くものがあった。それは馬だ。

お馬さんはかぁいいなぁ…

俺前世も含めて生まれて初めて馬に触ったよ。俺は感動しながら馬と戯れる。

可愛いなぁ…こいつめ!

馬の世話とか大変とか聞いてたけどこいつらへの愛しさで屁でもなかったわ。

 

あと聞いてた壁の外の巨人もそんなに強くなかった。

なんかシャッと行ってスパン!って感じで簡単に倒せたよ。

この身体さまさまだな。

もう俺にとっちゃぁ壁の外なんて散歩よ散歩(イキリ)

 

そんな風にのほほんと調査兵団にいる時間を楽しんでるとリヴァイが次の壁外調査でエルヴィン団長を暗殺すると言ってきた。

 

おいやめろ!せっかく遊んでるだけで美味い飯が出る職場を手に入れたのにそれを手放す気か!?俺は必死にリヴァイを止める。

 

それに言っちゃあ悪いがあの依頼主、悪人の匂いがするんだよなぁ。

まぁ、8割型顔で決めてるけど。

人の印象は顔が9割だから…(矛盾)

 

 

壁外調査の最中。リヴァイがついにエルヴィンの元へ暗殺に行くらしい。

 

本気でやめろォ!俺はまだここにいたいぞぉ!!なんならしがみついてでも止めてやるぞぉ!そんな風に恥を捨てて必死に訴えかけたらリヴァイも分かったのか今回は諦めてくれた。

俺は何度でも止めるぞ。

 

それに危なかったぜ……リヴァイがいなくなったら間が持たないよ…コミュ障には辛い世の中だ。

 

 

霧がでて来た。

あれ?リヴァイ達はどこに行ったんだ…?

俺はリヴァイ達を探す為に馬を走らせる

 

迷った(迫真)

 

何となく遠くでリヴァイが呼んでる気がするが気のせいだろうか…

お兄ちゃんがいなくて泣いてなければいいが…

リヴァイなら大丈夫だと思うが帰ったら一応慰めてあげよう。

まぁ、任せろってマカセロリ!すぐ戻るからなぁ!リヴァイ!

 

俺が勘で馬を進めていると目の前に5体の巨人がいた。おいおい、マジかよ。一度に5体の巨人なんて初めて戦う。

まぁでも俺にはモーマンタイよ。

 

これくらい俺にとってはちょちょいのちょいよぉ!

 

 

巨人を倒したあと近くにリヴァイがいたので近寄る。

うりうり、お兄ちゃんがいなくて寂しかったかぁ?

寂しかったよなぁガハハ!

 

【悲報】帰ったらリヴァイ達以外の人が全滅していたんだが?

 

おいやべぇぞ!

こんな失態見つかったら首チョンパ確定だァ……迷ってましたなんて冗談にならねぇ。

初任務でやらかすとかないよぉ…

俺は泣き言をこぼす。

俺はまだ調査兵団にいたい。そのために何をするべきか俺は考える。

どうにか謝って許して貰えないかなぁ、ダメかなぁ、上目遣いで何とかならないかなぁ。

 

そんな風に考えていたらエルヴィン団長が来た。

やべぇ!直ぐに謝らないと!

謝罪は速度だってじっちゃんも言ってた。

 

そう思い俺はエルヴィン団長の元に駆け寄る。とにかくスライディング土下座をしよう。1番かっこいい謝り方だってばっちゃんも言ってた。

その時だ

 

うおっと。

 

なんと俺は抜かるんだ地面に足を取られて変な体勢になってしまった。

 

みんなの沈黙がイタい……

もういいや!早さが大事なんだ!届けこの思い!怒らないで!!

そう思いその体勢をキープする俺。

 

するとリヴァイ達も一緒に謝ってくれる。

俺はなんていい弟を持ったんだ(しみじみ)

 

4人で謝ったからなのかエルヴィン団長も許してくれた。

やったぜ。

 

リヴァイside

 

生まれた時から一緒にいた。

同じ屋根の下で暮らして、同じ飯を食っていたが俺にはこいつがてんで理解出来なかった。

何故なら物心ついたときからこいつは喋らなかったし、俺にピッタリだったからだ。話しかけてもほとんど何も答えない。にもかかわらず付いてくる。

本当に不気味な野郎だと思っていた。しかし、俺の唯一の肉親でもあった。

 

 

あの日母さんが死んで、 俺たちにはもう何もないと思っていた。

俺はここで死ぬと本気で覚悟も決めていた。

けどあいつはそうじゃなかったらしい。次の日からどこから手に入れたのか食料を持ってくるようになった。

毎日毎日、ボロボロになって食料を持ってくる。

俺が食わねぇと意地でも食わねぇから結果的に俺はあいつに助けられた。

 

 

ケニーが初めて来た時、あいつは歯をむき出しにしてケニーを威嚇していた。

俺に危険が及ぶと思ったのか。それとも母さんの遺体をどうにかされるのを危惧したのかは知らねぇが、俺はあの時初めてあいつの感情らしい感情をみた。

いつも見ている何考えてるか分からねぇ奴じゃない。俺は初めてあいつを一人の人間だと認識した。

 

 

ケニーの面倒になってる間、俺達は毎日喧嘩した。

基本的にケニーがふっかけて喧嘩になる。

喧嘩になるとケニーは俺たちにも参加するように言ってきた。

あいつは強かった。何も教えられていないのでケニーには劣るがやはり強かった。

年齢を考えれば何故そんなに強いのか聞きたくなるほど強かった。

 

 

いつだったか忘れたが。

あいつの目を、ギラギラした野生の獣みたいな目を見て俺も喧嘩に参加するようになった。今だから思うが、あいつの目を見てきっと感化されちまったんだろう。

それからケニーに戦闘技術や恫喝、交渉術、この世界の生き方を学んだ。自覚はしていなかったが俺はいつの間にかケニーのことをまるで父親のように思うようになっていた。

 

だからだろう。

 

あの日、いなくなったケニーを見て俺はあいつに本気で問い詰めた。

あいつなら何か知ってる気がしたからだ。

 

「ケニーは何者なんだ…!知ってることを全て話せ」

 

胸ぐらを掴んで詰問するがあいつは首を振るだけで何も話そうとしない。

いつもそうだ。

こいつは喋らない。もしかすると喋れないのかもしれない。

意思疎通はこいつがたまに発する「あ」だか「う」だかの言葉とジェスチャーのみ。本当に人間かこいつは。少なくとも獣と言われた方がまだ納得できた。

 

 

数年後。俺がファーランを連れて来た時、あいつはなかなかファーランを受け入れようとしなかった。

ファーランが話しかけようが何をしようが完璧に無視を貫いていたのだ。あいつは喋れねぇが反応がないわけじゃない。

あいつの意思で無視をしていた。

だが、一緒に仕事をする内にようやくファーランを仲間と認めたのだろう。

あいつはファーランに対しても何かしらの意思疎通を図るようになった。

 

俺たちが盗賊団として活動を始めたころ、憲兵のクソから立体機動装置を手に入れた。

初めに憲兵から奪い取ったものをあいつに見せた時はまるでこれを何に使うのか理解していなかった。

憲兵達が使っているのを見ているはずだが、まぁ忘れたのだろう。やはり獣並の知性だな。

しかし、俺が飛び回っているのを見せてやるとまるでガキみてぇに目をキラキラさせやがった。

それを見た俺は翌週には横流しされてる立体機動装置を手に入れてやった。

 

あいつが楽しそうに立体機動装置で遊んでいる。

縦横無尽に空を駆け抜けるあいつは俺よりも疾く、巧かった。

 

 

ファーランの分も手に入れて俺たち盗賊団の名が売れ始めた頃。

イザベルを仲間に引き入れた。

きっかけはまぁあれだったが俺たちにイザベルはよく馴染んだ…あいつ以外は。

ファーランの時もそうだったがイザベルの時はそれよりももっと長かった。

一度俺はイザベルに相談されたことがある。どうすれば奴が心を開くのか。仲間として認めてもらえるのか。

俺はあいつは獣だから時間が解決すると言っておいた。

現にイザベルとの仕事をこなし、あいつはイザベルに心を開いた。

 

 

俺たちに依頼が来た。

調査兵団団長の暗殺に不正の書類の入手。

胡散臭ぇ野郎だったが、俺たちは必ず地上に住むため。その依頼を受けた。

 

それから数日後、俺たちは調査兵団から襲撃を受けた。

イザベルとファーランが捕まり、俺たち兄弟も捕まった。

今思えばあいつは捕まったのに酷く大人しかった。

獣の本能で負けを悟ったのか、それともエルヴィンにその頃から惹かれていたのか。

結局俺たちが調査兵団に入ることになってもあいつは拒否反応を起こさなかった。

 

 

あいつにとって調査兵団の訓練は苦でもなかったのだろう。

座学は俺が頼んで免除して貰った。普段のあいつを見ればエルヴィンも納得した。

休みの日は一日の半分を馬と過ごしたり、あいつはあいつで外を楽んでいた。流石に馬くせぇのは勘弁してもらいたかったが俺が洗うことで何とかした。

 

エルヴィンの不正の証拠を集めるにはあの獣は知能が足りなさすぎる。

それにあいつが警戒も何もしないことで調査兵団の兵士たちが警戒を緩め俺たちの仕事がやりやすくなったのも事実だ。

 

 

そしていよいよエルヴィン暗殺の日。

壁外で俺と別れる時、あいつは猛烈に嫌がった。

今までも嫌がってはいたが、今度のはその比ではなかった。

最終的にはあいつにしがみつかれ、今回のエルヴィン暗殺は中止することにした。

まぁまた次がある。俺はそう思うことにした。

 

 

あいつがどこかに行く。

霧が出始めたと思ったら急にあいつが俺たちとは別の方向に進み始めた。

あいつに懐いた馬はあいつの命令を忠実に聞き、あいつは霧の中に消えていく。

それに俺はケニーが去った時を思い出し。叫んだ

 

「行くなぁぁぁあああああ!!!!!ケイィィィイイイン!!」

 

だがあいつはどこかに行ってしまった。

呆然とする俺たちだったが直ぐに周りの様子がおかしい事に気づいた。

 

ーー周りの連中が死んでる…!?

 

よく見ると前方に一体の巨人がいた。

俺たちと一緒にいた班の連中は既に死んでいる。

まさかあいつ…!逃げたのか!?俺の脳内に嫌な妄想が広がる。

 

雨の中

俺は馬が滑り落馬する。

 

どうやらここら一体がぬかるんでいるらしい。

イザベルとファーランも落馬していた。

俺は腹を括りすぐさま戦闘態勢に入る。

二人にも指示を飛ばす。

 

「俺が殺す!お前らは引きつけろ!」

 

 

俺たちは辛くもその巨人に勝った。

どうやらイザベル達が落馬した時、少し足を痛めていたらしい。

俺がいなかったらと思うとゾッとする。

 

俺が回想していると。

いなくなったケインがいつの間にかそばにいた。

 

「お前……!!!」

 

怒鳴ろうとした時、ようやく周りの巨人に気がついた。

どうやらケインは巨人との戦闘でここまで来たらしい、奴が来たであろう方向に目を向けると多数の巨人が死んでいた。

 

ケインが頭を擦り付けて来る

俺はそれを受け止めながらこの状況を分析し。全てを理解する。

 

どうやら俺はこいつに助けられちまったらしい…

 

「そうか……よくやったケイン」

 

そうケインを労ってやる。ケインも嬉しそうに声をあげる。

俺とケインが戯れていると馬の足音が聞こえてきた。

 

「エルヴィン…」

 

そう声をかける俺の脇を何かが横切った。

……ケインがエルヴィンの前に(ひざまず)いていたのだ。

 

「ケイン……お前……」

 

獣みてぇに懐くのに時間のかかるケインにとってこれは異常だ。

しかし、俺は直ぐにケインの意図に気がつく。

 

ーーそれだけの男ということか…ケイン

 

エルヴィンは忠誠を誓うに足る人物、俺にそう伝えたいのだ。

 

今回ケインの判断で俺がエルヴィンを殺しに行っていたら。

ケインが巨人を見つけて殺していなかったら。

 

こいつはいつも選択を間違えない。

そのこいつが跪いている。

エルヴィンに忠誠を誓えということなのかケイン…。

そうか……ならば………

俺はお前の判断を信じよう。

その瞬間俺の体はエルヴィンを主と定めた。そんな気がした。

 

「こいつが認めたんだ。お前に忠誠を誓おう、エルヴィン」

 

「私らも誓うよ」

 

「あぁ、俺も誓うよ」

 

こうして俺たちは改めて調査兵団になった。

 

 

 




正直続かない気がします
進撃の巨人はにわかファンなので。
書くとしたらちゃんと調べて書きます


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840年〜845年(ケイン視点)

書いちまったよ……
これちょっと複雑なのでケイン視点のみで投稿します。

感想あれば元気になります。


あれから1年が経つ。色々あった。

幸運にも俺は今でも調査兵団をクビにならずにすんでいる。

1ヶ月に1度の壁外調査をこなしさえすれば基本的に楽なこの仕事。

まぁ、その壁外調査が1番やばいんだが。

 

壁外調査では外に簡易的な拠点を作ったりしつつ、前回のよりも広い範囲を探索する。

巨人がゴロゴロいる地域を捜索するんだ。

どれだけ気をつけていてもやはり人は死ぬ。

エルヴィン団長が新しい陣形を考案したことで以前の調査兵団に比べて生存率は大幅にあがったが、大切な人との別れは俺達には日常茶飯事だ。

 

ちなみにゴロツキだった俺達には新たな役職が与えられ、正式に調査兵団の仲間になった。

リヴァイには兵士長という役職が

俺には兵士長補佐官という役職が与えられた。

ファーランくんとイザベルちゃんはどこかの班長になるはずだったが、リヴァイとどうしても離れたくないとダダをこね

リヴァイも彼らを失いそうになった過去があるためそれに便乗。

その結果彼らを含む俺たちの班、通称リヴァイ班ができ、俺たちにも部下が出来た。

初めて部下が出来た時は喜んだが、よく考えると誰とも話せないことに気付き絶望したのは記憶に新しい。

その時の俺は荒んだ心を馬に癒してもらうことでどうにか平静をたもった。

 

だが1年も経つと調査兵団の辛い現実を俺達も知ることになる。

部下を可愛く思っていてもふとした時に彼らが死んでいることを知るのは珍しくはない。

その時俺は初めて調査兵団の厳しさを知った。

まぁ他の班に比べればリヴァイがいる分生存率は高いので、俺たちの班はまだ恵まれている方だが。

 

え?俺?基本的に陣形とかよく分かんなくて迷子だったりしてるから役に立たないよ…

何となく行った方向によく巨人がいるのでぶっ殺してはいるが……

俺としてはそっちは違いますよとかこっちですよって言ってくれれば迷子にならずにすむと思うのだが誰も俺にそんなこと言ってくれないんだよなぁ…

まず俺に声をかけてくれる人があんまりいない。

そして俺に注意してくる子なんて1人もいないのが現状だ。

リヴァイやエルヴィン団長達も最初は怒っていたが今は俺が陣形内をフラフラ迷子になるのは諦めてるのかなんなのか知らないが誰も何も言ってくれない。

 

悲し過ぎる…本当に嫌いになると怒ってもくれないというあれだろうか。

ごめんなさいリヴァイ、エルヴィン団長、調査兵団のみんな…これからはいい子にするから許して。

 

 

今日はいいことがあった。簡易拠点を作っている時なんとチ〇コの形の雲を見たのだ。

誰かに話したくてうずうずした俺はなんとかリヴァイにアピールして見てもらおうとしたが伝わらなかった。

悲しい。

 

 

俺たちが帰ると衝撃の事実が判明した。なんと壁が壊されたらしい。

え!?あの壁壊れるの?と内心驚く俺。

周辺住民の話を聞くとどうやら壁から頭を覗かせるほどの超大型の巨人が出現したらしい。

マジかよ…そんなの来たら俺でも勝てるかどうかわかねぇぞ。

 

その後数ヶ月は壁が壊れたことで起こった問題に対応することになった。

調査兵団も駆り出されて避難勧告や食料供給のために各地を奔走した。

 

 

王政が生き残った人を壁の外に突撃させるらしい。

おいおいマジかよ。

立体機動装置もないのに外に出るなんて自殺行為だ。

そう思い俺がエルヴィン団長に抗議しようとしたらリヴァイに止められた。

 

リヴァイが言うには壁の中の人類はもうパンク寸前で仕方ないことらしい

 

マジかよちくしょう!今年はなんか悲しいことが多いなぁ。

 

 

 

あれから5年が経った。

俺たちはあいも変わらず壁外調査を行っている。今はウォールマリア奪還の為に安全な道を開拓しているところだ。

そしてなんと、以前から住民からの非難の声も壁が壊された影響で大幅に小さくなっている。

壁が破壊されたことで壁外調査の重要性を認識したらしい。

 

まぁ壁が壊されたせいで、俺たちが頑張ってちょこちょこ作っていた壁外の拠点は全くといいほど使えなくなったのでプラマイで言ったら大幅にマイナスの方が多いのだが。

 

当初は少し落ち込んでいたがエルヴィン団長が全くと言っていいほど諦めの姿勢を見せないので俺も頑張ることにした。

何年もかけた成果がゼロになるなんて俺だったら数日は欝になるのに。

あの人の精神は鋼かなにかなのか?

ボブは訝しんだ。

 

その日、俺たちが壁外の調査をしている最中。

俺はまたチ〇コ型の雲を見つけた。

 

いや、ちがう!あれは!?

ち〇ち〇型だ!!小さい!まるであれでは子供のち〇ち〇だ!

俺はまたリヴァイに報告しようとしてふと気づく。

5年前と一緒だ……

ふむ。察するにこれはあれだな、ち〇こは大凶でち〇ち〇は凶と言ったところだろうか。俺はそう予想を立てた。

そうなるとこうしては居られない、壁が危ない、けどなんてリヴァイ達に伝えよう。

ち〇ち〇型の雲を指してもきっと分かんないだろうしなぁ……

と思っていたら意外にもあっさりリヴァイから許可が出た。

やっぱり兄弟だし以心伝心なのだろうか。

そう思い俺は壁に帰還する。

俺一人で行けばみんなより早く壁にたどり着けるだろう

 

帰ってきたらトロスト区が襲撃にあっていた。

マジかよ……やっぱりち〇ち〇雲の導きは間違ってなかったのか。

 

壁の破壊はまたしても超大型巨人によるものらしい。くそぅ……1度ならず2度までも。

だが話を聞いてると他にも気になる点があった。

なに?人に化けた巨人を見つけた?

どういうことだろう。話を聞くとどうやら人間に変身する巨人だそうだ。

なんということだろう。

これが本当ならさぞエルヴィン団長が喜ぶだろうな。

そして俺個人としては猛烈に会ってみたい

変身能力とかロマンの塊だろう。

だが詳しく聞くと今その巨人は尋問を受けているらしい

こうしちゃいかん。

俺は急いで尋問場所である壁の近くに向かうことにした。

 

急いで壁に向かう俺の耳に轟音が聞こえてきた。

一体何があったのだろうか…

ここからだと何も見えないな、急ぐか。

 

現場に行くと蒸気に包まれるほぼ骨だけの巨人が見えた。

あれが人に化けた巨人と言うやつだろうか。

だとすれば随分と不完全だな。俺はそう思うがふと気がつく。

いや、さっきの音を聞くに砲弾を受けたのだろうか。と

近付くとようやく現場の状況が見えてきた。

どうやら1人の兵士が話をしているらしい。

もう少し近づかないと声が聞こえないがなにを話しているのだろうか。

 

なんと銃や大砲を突き付ける兵士達の前で1人の金髪兵士くんが演説していた。

おいおいマジかよすごいな、彼…

俺なんて前世では大勢の前でのプレゼンなんておしっこ漏らしながらやってたのにあの子は若いのにそれをこなしている。

はぇ〜最近の若者はすごいなぁ。

なんて考えているとどうやら巨人もろともその兵士を殺すらしい。

俺がそれを止めようとするそれよりも早く金髪兵士くんが敬礼をしながら宣言する。

 

「私はとうに、人類復興のために心臓を捧げると誓った兵士!!その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!彼の持つ力と残存する兵力が組み合わされば、この街の奪還も不可能ではありません!!人類の栄光を願い!これから死にゆく全てのこれから死にゆくせめてもの間に!彼の戦術価値をときます!!!!」

 

静まり返る場。

 

俺は興奮しすぎて叫び声をあげてしまう

 

うおおおおおおおおおおお!!!かっけぇえぇぇ!!!

なんだなんだなんだぁぁ!!??

なんか何言ってるのか分からんが凄い頑張ってる金髪兵士くんこ熱気に当てられて俺も久しぶりに熱くなっちまった。

 

その後、ハゲたじいちゃんが来てその場を取り仕切り始めた。

どうやらハゲなのに偉い人だったみたいだ。

ハゲなのに……

 

その後色々あって話をした結果、巨人化できる兵士くん(演説していた兵士くんちゃんではなかった)の力を使って壁の大穴を塞ぐ作戦を実行するらしい。

 

マジかよ。ピクシス司令とかいうハゲじいちゃんすごいなぁ。

こんな気が狂った作戦普通出来ねぇぜ。

 

俺も久しぶりに楽しくなってきた。

久しぶりに全力で暴れられるぜ!!

 

 

【悲報】人類の希望が暴走する

俺が暴れようと思ってたら巨人くんが暴れちまったぜ……

おいおいどうなってんだ!?前世の俺みたいにみんなに見られながらの作業におかしくなっちまったのか?

 

まぁ辛いよなぁ…俺もなかなか工作が完成しなくてみんなに見られながら完成させた小学校の頃の記憶は死んだ今でもトラウマだぜ。

大丈夫!君ならできる!自信をもって!

 

その後動いた巨人くんが岩をもって壁を塞ぐ。

俺の仕事は群がる巨人をぱぱっと殺して終わり!

無事穴を塞ぐことに成功した。

 

まぁ気を抜いたあと人間に戻った巨人くんが食べられそうになったけどリヴァイが来て助かった。

 

ナイスゥ!!(建前)

ナイスゥ!!(本音)

 



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イルゼ・ラングナーの手記

イルゼちゃんからの視点です。

感想待っております。


調査兵団には番犬と呼ばれる人がいる。

 

私の名前はイルゼ・ラングナー。

最近入団を果たしたしがない調査兵団員だ。

私は小さな頃から手記を嗜んでおり、日記や絵を書いていた。

訓練生時代は訓練生間の恋愛を書き留めるのが趣味であったし、調査兵団に入ったのもこの好奇心が疼いたのが主な理由だった。

 

そして未だ調査兵団歴の短い私の最近のマイブームは調査兵団員のプロフィールをまとめることである。

仲良くなった人のプロフィールをまとめ始めたのがきっかけだ。

 

噂に聞くエルヴィン団長やリヴァイ兵士長の情報をまとめている時、私は彼についての情報がほとんどないことに気がついた。

 

ケイン兵士長補佐。通称は番犬

調査兵団においてリヴァイ兵長との二枚看板となっている彼。

ほとんどの人が話したことがなく情報と呼べる情報がない彼について興味を持った私は彼について調べることにした。

 

手始めに私の班で1番在歴が長い先輩に聞いてみる。

 

「あぁ?ケイン兵士長補佐?」

 

「はい。先輩ならなにか知ってるかと思って」

 

「あーそうだな、話したことはねぇが実際に見たことなら何度もあるな。知ってることつっても俺はほとんど知らねーぜ?ただななんつーかあの人は、そう、本当に獣みたいなんだよ」

 

「獣?それはどういうことでしょう?」

 

「お前も会えば分かると思うが、あの人は喋らないしコミュニケーションもほとんど取らない。でもな。獣と言われてるのはそこじゃない、1番はあの人の纏う雰囲気なんだよ特に巨人を殺す時なんて本当にやばかったなぁ」

 

なんとも腑に落ちない説明だ。

 

「まぁ本当に会えば分かる。そういう人だ」

 

そう言って先輩はどこかに行ってしまった。

私は先輩の言葉を聞き実際に会うことにした。彼に逢うには馬小屋に行けばいいとの話だ。

どうやら彼は暇があれば馬小屋で暇を潰しているらしい。

 

馬小屋はとても大きい。万が一にも馬が死んでしまわないようにという配慮だ。

壁外調査をするにあたって馬は必須といっても過言ではない。

巨人に追われた時、馬がないと逃げきれずに死ぬからだ。

よって団内での馬の扱いは非常に気を使う。

もし馬が人に懐かなくなってしまえばそれこそ馬を一頭失うことになるからだ。

 

彼を見つけた。身長は190センチ程度。髪は目元を隠すように長くボサボサだ。

そんな彼は何百頭という馬と一頭一頭コミュニケーションをとっている。

基本的には自身の馬は自身で管理するものだが彼は自身の馬だけではなく他の馬ともコミュニケーションをとるらしい。

 

彼に近づき話しかける

 

「失礼します、ケイン兵士長補佐。お話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 

「…………………」

ケイン兵士長補佐は喋らない。しかし、彼と親しくするイザベル先輩が言うには認められれば反応が帰ってくるようになると言うことだった。

 

彼は動きを止めこちらを見つめてくる。

前髪で普段は見えないその瞳に見つめられて、先輩の言っていたことが分かった。

綺麗な黒い目だった。まるで赤子のような、もしくは野生動物のようななんの穢れもない目。

私はしばし時を忘れて魅入ってしまう。

すると彼は私に向けていた目を逸らし馬の世話を再開する。

ここにいてもいいということだろうか?

 

それから数週間、私は訓練の合間を縫って彼と一緒に馬の世話をするようになった。

 

その間も彼の情報を求め続ける。

 

曰く、彼は座学の訓練を免除されたらしい。

私達調査兵団は安全な中継場所や巨人の多く出現しやすい位置、それと非常時に集まるポイントなどを頭に入れておく必要がある。

外では何があるか分からない。

簡単な周辺状況から何時でも自身の場所が分かるよう最初に出来るだけ詰め込まれる。

それが彼は免除された。

どうやらリヴァイ兵士長のお言葉で

「奴にこれを理解するほどの頭はない、それに、こいつは地形が分からなくなっても1人で帰って来れるし、帰って来なかったら野生に帰る」だそうだ。エルヴィン団長も特例としてこれを認めた。

 

曰く、彼は巨人に襲撃される位置が分かるそうだ。

彼の壁外調査での動きははっきり言ってイレギュラーであるらしい。

しかし、彼は何故かは分からないが巨人に襲撃される位置が分かるらしく、多くの団員がその命を救われているらしい。

1度エルヴィン団長が彼にそのことを尋ねようとしたことがあるらしいが、結局分からずじまいで今は彼の遊撃を許可しているらしい。

 

 

その時の一幕。

 

薄暗い部屋でリヴァイ、エルヴィン、ケインが向かい合っている

 

「ふむ。報告を聞くに君は巨人の襲撃位置が分かるのかい?もしそうなら我々にも知っている情報を提供してもらいたい」

 

「………………(フルフルフル)」首を横にふる

 

「なら何故君は団員が襲われる現場にいつも居合わせることができるんだ?君に命を救われた団員は大勢いる。

中には霧が出ていたときに助けられた団員もいるということだ。

そういえば君はリヴァイと初めて壁外に行った時も霧の中で多数の巨人を討伐していたね。

何故そんなことが分かる?なにか巨人が襲いにくる前兆のようなものがあるのかね?それともまた違ったことで判断しているのかい?

特殊な音でも聞こえるのか、それとも君にしか見えない何か特殊なものがあるのか…方法は分からないがなにかあるんだろう?偶然と言うには数が多すぎる。

ここはひとつ、我々人類のためにその方法を教えてくれないだろうか?」

 

「…………………(フルフルフル)」

 

「そうか………本当に教える気はないのかね?」

 

「…………………(フルフルフル)」

 

「なにか教えられない理由でもあるのかい?」

 

「…………………(フルフルフル)」

 

「ならば仕方ない」

 

ーー教えたくなるようにしなくてはならないか

 

「おいエルヴィン、てめぇ今何を考えた?……もしテメェが今考えたことを少しでもこいつに実行してみろ……俺はテメェを殺す」

 

リヴァイがエルヴィンの首元にブレードを突きつける。

 

「しかしリヴァイ、彼の力は人類にとって大きな1歩になる。それを見逃せと言うことか?」

 

「そうだエルヴィン、俺はそう言っているんだ。それにこいつの力は恐らく常人が理解できる感覚じゃねぇ。

壁が壊された時もこいつは何かを俺に伝えようとしていた。

何キロも離れた状況を察知できる力なんて聞いたところで理解出来るはずもねぇだろ。こいつの力は有用だ、それ以外の意見は必要ねぇ」

 

「ふむ………よく分かったリヴァイ。君がそういうならこの話はここでおしまいだ。団員にもそう通達しておこう。

悪かったねケインくん、ただひとつ言わせてもらうと、私は君の力に敬意を持っている。ただその一端が知りたかっただけの愚かな人間なんだ。許してくれ。そして

…これからもその力を人類に役立ててくれ。」

 

そう言ってエルヴィンは頭を下げる。

 

「…………(ぶんぶんぶん)」首を縦にふる

ケインの内心:え?なんの話?

 

 

曰く、リヴァイ兵士長に髪を洗ってもらっているらしい。

なんでもいつも馬小屋にいるケイン兵士長補佐の匂いが気になり水浴びを強要したが洗い方が雑であったためリヴァイ兵士長が洗うようになったとか。

 

曰く、ケイン兵士長補佐の髪をリヴァイ兵士長が切ろうとしたところ前髪を目元が見えるようにすることを嫌がり渋々リヴァイ兵士長が認めたこと。

 

曰く、彼に恩返しがしたい団員達がプレゼントをあげようとしたが受け取ってもらえず、ファーラン先輩とイザベル先輩に頼んで渡してもらったこと。

 

曰く、部下が出来た時に最初は班員を認めず馬小屋に浸かりきりになってしまったことなどなど調べていくうちに彼のことが分かってくる。

 

そんなふうに情報を集めながら馬小屋で彼と一緒に馬の世話すること数週間。

今日やっと彼が反応を返してくれるようになった。

 

「あの…ケイン兵士長補佐。これ食べますか?」

 

それは私が持っている街で買った食べ物。最近見つけて買った焼いたリンゴだ。

少し高かったがまぁいいだろう。食べ物で彼との仲を深められるなら安い出費だ。

 

「……………(こくん)」

 

今までほとんど反応のなかった兵士長がやっと反応を返してくれた。

もぐもぐ食べるケイン兵士長補佐を見て少し和む。

なるほど。ケイン兵士長補佐は食べ物が好きなのか。

私は手記にまた1つ新しい情報を書き足した。

 

 

 

 

 




前回の話で壁外調査の日数を数日としましたが1日に変更しました。


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リヴァイ視点 兄弟喧嘩

今回は書いててキリが悪いので幕間として投稿します。
文字数はどれくらいがちょうど言いんでしょう。
感想欄で教えてください



色々調べながら書いているので随時投稿したものも直しています。
なのでたまに前回との繋がりがおかしくなりますがご了承ください。




 

 

俺たちが調査兵団に入ってから約1年の時が流れた。

あの日、霧の中で俺たちを救ったようにあいつは調査兵団の団員も救っている。

陣形がなかった頃は気づけなかったがエルヴィンが対巨人用索敵陣形を作った時に奴の異常さが顕著になった。

 

索敵陣形を初めて実戦投入した時のことだ。

いつの間にかやつが消えているのが分かり、俺たちは困惑することになった。

「一体どこに行ったんだあのバカは……!!おい、誰でもいい、あいつを見てねぇのか…!!」

 

「そ、それが我々も目を離したところいつの間にか消えていました…」

「すまねぇ、私も見てないんだ……ケインの兄貴、一体どこ行っちまったんだ…?」

「すまないリヴァイ。俺も目を離した隙に…」

 

ファーランもイザベルも他のやつも誰一人やつがどこに行ったか見ていなかった。

これに怒ることは出来ない。現に俺もやつを見失ったからな。

 

一体どこをほっつき歩いてるんだ。

まぁやつならそうそうに死ぬことはねぇだろうが。どこかの班に合流でもすればいいが…

 

簡易拠点を作っている時、俺がケインを探していると

ケインが団員達に感謝されているのを見つける

 

「おいお前たち、一体全体どうしてこのバカに感謝してるんだ?」

 

そう言って俺はケインを叩く。

 

「リ、リヴァイ兵士長!お疲れ様です!この度はケイン兵士長補佐に命を救われ、感謝を述べていた次第です!」

 

感謝?命を救った?どういうことだ。

 

「おい、そうなのか?」

 

一緒にいたヤツらにも聞く

 

「は、はい!我々第12班はこの度!奇行種に襲われていたところをケイン兵士長補佐殿に救われました!」

 

それを聞いて納得した。どうやらケインはあの時こいつらを助けに行ったようだ。

 

「そうか…どうやら嘘じゃねぇみたいだな…」

 

俺はケインを見て労う。気に食わねぇが団員の命を救ったのは間違いねぇ。

 

「ケイン、良くやってくれた」

 

俺がそういってもケインは何も反応を返さない。

あぁそうか…まだこいつらは認めてないからか。

 

「お前らもういいぞ、こいつは俺が回収する。ケイン、お前は確かに仲間の命を救ったがそれとこれとはまた別の話だ。こい」

 

俺はケインを引き連れて俺達の班の補給拠点に戻る。

 

戻る最中に俺はケインを殴る。

1年前とは違う。あの時俺はケインを殴れなかった。

こいつの行動に全てを委ねてしまった。

だが、壁外調査で仲間が死んでいく中で俺は明確にイメージしちまった。

こいつが死んで、片腕だけで俺の前に現れる様を。

 

だから殴る。こいつの行動はきちんと抑制しなきゃいけねぇ。

 

「おいケイン、てめぇ…自分がしたことをよく分かってんだろうな?

今回上手くいったから良かったなで済むわけねぇだろ」

 

ケインは黙っているが心なしか落ち込んでいるようにも見える。

 

「テメェがしたのは明確な単独行動だ、お前には何が見えてるか知らねぇがここは壁の外だ。

お前が対処出来ねぇ巨人がいつ出てくるか分からねぇ、なにかの事故で死ぬかもしれねぇ。

そうなったら俺は……自分を許せねぇ。

だからケイン…どこにも行くな」

 

ケインは何も言わない。

 

しかし、その後の壁外調査でもこいつの行動は治らなかった。

いつの間にか消えては団員を助ける。

何度言っても、何度殴ってもこいつは止まらなかった。

 

「おいケインテメェ……!!何度言えば分かるんだ…!」

 

調査兵団の宿舎で俺とケインが向かい合う。

 

俺は何度いっても分からないケインを殴り飛ばし胸ぐらを掴みあげる。

ケインが抗議の目を向けてくる。

 

「なんだその目は…!テメェ自分の立場がよく分かってねぇみたいだな…!」

 

俺がもう一発殴ろうとする手をケインが止める。

咄嗟に蹴るが止められる。

あぁ分かってる、何年一緒に喧嘩してきたと思ってるんだ。

こいつの方が強ぇのは分かりきってるんだよ

でも…それでも…俺は止めなくちゃならねぇ。

それが俺のお前に全てを委ねてしまったケジメだ。

 

ケインがいっそう厳しい目で俺を睨んでくる

 

「なぁテメェ……言いたいことがあるならはっきり言ったらどうだ?」

 

ケインは答えない

ただやはり俺を非難するように見つめてくるだけだ

 

「テメェはいつもいつもそうだ。何も言わずに勝手な行動ばかり…いい加減うんざりしてたんだよ…!お前の行動には」

 

1度距離を離す

 

「ケイン。ケリをつけよう」

 

それから俺たちは殴り合いの喧嘩を始めた。

でかい音を出していたので団員達は気づいてはいただろうが誰も止めに入ることはなかった。

 

数刻後。俺たちはお互いボロボロだった。

今まで何度か衝突はあったがここまでの殴り合いは初めてだった。

 

俺はケインの上にまたがり、殴る

 

「いい加減……折れてくれ!!」

 

一発

ケインはまだ抗議の目を向ける

 

「お前がいなくなる度に……ッ!!」

 

二発

ケインを見る。変わらない。

 

「俺は………!!!」

 

三発

ケインは俺を見るだけだ。

 

「俺は…!」

 

四発目は、とうとう出なかった。

俺はケインの上で蹲る。

今まで言えなかった本音が自然と出てくる。

 

「お前が心配で……!」

 

そうだ、お前が心配だったんだ

 

「お前がいつか、死ぬんじゃないかって……!」

 

初めて仲間を見た時に想像したんだ。

 

「お前がいつか……本当に死ぬんじゃないかって………!」

 

身体が帰ってくれば幸運な方で、全身を食われてどっかに行ってしまったやつもいる。

調査兵団ではよくあることだった。

 

「母さんやケニーみたいに……いなくなるんじゃないかって……!」

 

あの日死んだ母さんや、どこかに行ったケニーのように

 

「だから頼む……」

 

頼む

 

「居なくならないでくれ…」

 

死なないでくれ。

 

その時、俺はケインに殴り飛ばされ胸ぐらを捕まれる

ケインと目が合う。

今までにないほど

 

「リ…………ヴァ…………イ」

 

ケインが言葉を発する。

 

「お前……言葉が……!?」

 

だがその後に続く言葉に俺は絶句する。

 

「ミ…………テ……テ…………ク……レ」

 

リヴァイ見ててくれ

 

俺はケインの本気を見た。

ケインの目が物語っている。

 

ーー俺を見ていろ、俺に任せろ

 

そんな風に言われた気がした。

 

「それがお前の選択か……」

 

俺は根負けした。

 

「分かった。なら死ぬな……!死ぬことは俺が許さない……!」

 

ケインの決断は聞いた。俺は納得した。

ならもうすることはないだろう。

俺が出ていこうとドアを開けると調査兵団の奴らが全員聞き耳を立てていた。

 

「リヴァイ。君の家族愛の深さは見せてもらった」

「リヴァイ……君、凄く優しいんだね。私感動しちゃった」

 

エルヴィンとハンジがそういう。

 

「兵長……俺……兵長のこと誤解してました…」

「俺も……兵長があんな家族思いだったなんて…」

「兄貴ィ……俺は死なねぇから……」

 

それに続いて団員のそれぞれが各々の感想をこぼす。

 

「テメェら……………覚悟は出来てるんだろうな………?」

 

その後全員もれなくエルヴィンまでもがボコボコにされた。

 

 

ケインside

 

なんかいつも迷子になるんですけどもぉ!!

それをリヴァイが怒っている。

いや!しょうがないじゃん!ならちゃんと俺の事を監視するなりなんなりしてよぉ!

そう思っているとリヴァイが殴りかかってくる、理不尽な暴力が俺を襲う。

ふざけんなよォ!?そっちがその気なら俺もやってやりぁ…!

 

その後数刻殴りあった末にリヴァイを泣かせてしまった。

おぉよちよち。なんてやって貰えると思ってんのかボケェ!!

しょうがねぇ…俺の本気を見せてやるよォ!

よーく聞けよリヴァイ、1度しか言わねぇからな!

 

「俺を見ててくれ」

 

よーしよし、よく言えたぞぉ俺。多少噛んだがまぁ許容範囲内だろう。

これでリヴァイも俺が迷子にならないように見ててくれるだろう。

一件落着だな!

 

なんで監視もないし怒ってもくれなくなったんですか?

え?見捨てられた?見捨てられちゃった?

やだぁぁああ!!!見捨てないでくれぇええ!!

 

 



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850年(リヴァイ視点・アルミン視点)

楽しい(小並)

進撃の巨人のアニメを見ながら書いたので大幅に間違ったことはないはずです。

感想待ってます


リヴァイside

 

あの日から俺はあいつの行動を黙認するようになった。

あいつはエルヴィンからも遊撃部隊として認められ。

最近では調査兵団を守る奴のことを番犬と言う奴も出てきたらしい。

 

ある日の壁外調査でのことだ。

簡易拠点で俺が補給している最中、あいつが珍しく何かを主張してきた。

いつもは誰かに感謝されているか、馬と遊んでいるあいつが俺にしきりに何かを伝えようとしている。

なんだ?何を伝えようとしている?

こんなこと今までにほとんどなかった。

 

「おいどうしたんだ、ケイン」

 

俺が聞いてみる。

するとあいつは身振り手振りである方角を示す。

あの方角は確か………

 

「壁………?おいどういうことだ」

 

俺が怪訝に思い聞き返すも既にあいつは俺の前から消えていた

あいつは何を伝えたかったんだ…?

少し疑問におもったがまぁ、変な形の雲でも見たんだろう。

俺はそう思うことにした。

それから少しして壁外調査を再開する。が、巨人の様子がどこかおかしい。

なんだ?巨人達がまるでどこかに行こうと…そうまるで壁を目指しているような。そんな気がする。

ケインのこともあって少し過敏になっているのか?

しかし、あいつの態度も妙だったこともあり、俺はエルヴィンに念の為伝える

 

「おい、エルヴィン!巨人の様子がなにかおかしい。それにケインも何か感じているみてぇだ」

 

そういうとエルヴィンはすぐに納得した顔をして皆に指示を出す

どうやらエルヴィンも違和感を感じていたようだ。

 

「そうかリヴァイ、お前もか。私も少し違和感を感じていたところだ。何があったのかまだ分からないがここは帰還したほうがいいかもしれないな。」

 

総員!撤退!

 

そう言って俺たちは帰還した。

まだそこまで進んでいないが死者はまだ出ていない、大事を気遣って早く切り上げる。

結果的に俺達の判断は正解だった。

 

 

壁内に戻ると衝撃の事実が伝えられた。

ウォール・マリアが突破されたということらしい。

ーーケインが伝えたかったのはこの事か…!

その後数ヶ月、俺達調査兵団も各地に奔走するはめになった。なんせ100年も続いた平和が崩れたんだ。

急増する壁内の人口。失業者で溢れかえる避難所。

それはもうてんやわんやだ。

 

ーーあいつはこの危機を察知していたのか?

 

俺の中で一つの疑問が浮かぶ。

クソっ!ならもっと強く主張しろ…!なんで途中で諦めた…!

しかし、こうも思う。

ーー主張したところで何が出来るって話だ…

100年に1度の大災害みたいなもんだ。

俺たちが少し早く動いたところで何もできなかっただろう。

 

それにしても…

リヴァイの中である不安が募る。

ーー超大型の巨人に内門を破った鎧の巨人か。

通常種と違いケインを殺しうる巨人。

あいつは通常種が何体いようとそう簡単に死ぬようなタマじゃねぇが。

壁外でばったりなんてことになれば万が一ということも考えられる。

ーー今は祈るしかねぇか……

そう思うリヴァイだった。

 

 

王政がどうやら壁の中に増えすぎた人口を間引くらしい。

何がウォールマリア奪還作戦だ…体のいい口減らしに過ぎないだろうに。

「チッ胸糞悪ぃな……」

しかし、壁内の人口を養えるほど食料がない。

8割の人間を生かすためには2割の人間を殺すしかない、理屈では分かっているがやはり気持ちのいいものでは無い。

 

ケインがウォールマリア奪還作戦の全権をことを聞いてエルヴィンの元に行こうとしたが止めた。

俺たちにどうこうできる問題じゃねぇ…

懇切丁寧に教えてやるとあいつも渋々引き下がってくれた。本当に理解出来たのかは分からんが…そんなことよりも超大型巨人や鎧の巨人が出た今、第一に自分の命を大事にしろバカ。

 

 

〜壁が壊れてから5年。

あの日から何か変わったかと言うとそうでもなく。

変わらず壁外調査を続けている。

多少住民からの圧が減ったがそれぐらいだ。

今までの調査兵団が築き上げて来た補給拠点など、全てが使い物にならなくなったが俺のやることは変わらねぇ。巨人のうなじを削ぎ落とすだけだ。

 

 

その日はバカみてぇに晴れた日だった。

いつもと同じ作業をいつもみてぇに行う。補給拠点を作っているとあいつがまた騒ぎ出した。

ーー5年前と同じだ。

まだ巨人に異常は見られない。

が、今回は間違えねぇ…

俺はケインにすぐさま指示を出す。

 

「ケイン、お前は何かやることがあるんだろう…お前の判断に任せる。俺はエルヴィンに報告する」

 

「………(こく)」

 

するとケインが急いで壁の方に馬を走らせて行く。

やはりか…また壁が破られたのかもしれねぇな。

嫌な想像をしつつ急いでエルヴィンの元に向かう。

エルヴィンは馬に餌をやっていた。

 

「おいエルヴィン。また壁が壊されたかもしれねぇ」

 

「なに?それは本当か」

 

エルヴィンが作業を止め、俺の話に耳を傾ける。

 

「あぁ、ケインのやつが騒がしい。5年前と同じだ。」

 

「そうか……確か彼は5年前もそうだったのだったな。」

 

何も根拠のないこの話。しかし俺はケインを信じている。ならばあとはエルヴィンの判断に任せるしかないだろう

 

「やはり彼には何かあるのかもしれんな」

 

エルヴィンは少し考え混むとすぐさま指示をだす

 

「総員!撤退!壁がまた壊されたかもしれない!至急帰還する!」

 

エルヴィンは俺とケインを信用してくれた。

俺達が移動するには時間がかかる。

ケイン…何をするのかは知らんが…任せたぞ。

 

 

アルミンside

 

ーー僕は何がなんでも説得しなきゃならない、だって…ミカサとエレンに約束をしたから…!こんな僕でも友達のために出来ることがあるのなら…そんなの今しかない!

 

それは僕が必死で駐屯兵団にエレンの助命を嘆願している時だった。

 

僕の話を少しでも聞いてエレンが人類の希望だと分かってくれればいい。そう思っていた。

 

しかし

 

「迎撃体制をとれ!奴らの巧妙な罠に惑わされるな!奴らの行動は常に我々の想像を超える!人間に化け!人間の言葉をろうし!我々のことを欺くことも可能というわけだ!これ以上奴らの好きにさせてはならない!」

 

駐屯兵団団長キッツ・ヴェールマンがそう叫ぶ

 

ーダメだ…考えることを放棄してる………考えることが怖いんだ。

 

エレン…!ミカサ…!

僕は咄嗟に2人を見る。

しかし、2人はまだ僕を信用してくれていた。

こんな状況でもまだ僕が説得できると信じてくれていた。

 

ーー2人がまだ諦めてないんだ!なら僕が諦めてどうする!

 

僕は気合いを入れ直す。

 

渾身の敬礼して叫ぶ。もう理屈に訴えるのはやめだ。

後は覚悟を見せるのみ。大事なのは死ぬ覚悟だ…!

 

「私はとうに!人類復興のために心臓を捧げると誓った兵士!!その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!彼の持つ力と残存する兵力が組み合わされば、この街の奪還も不可能ではありません!!人類の栄光を願い!これから死にゆく全てのこれから死にゆくせめてもの間に!彼の戦術価値をときます!!!!」

 

 

しかし、無常にもヴェールマン団長が手をあげ砲撃許可を送ろうとする。

 

ーーああ…やっぱり、僕じゃダメだったよ……ごめん、エレン、ミカサ…!

 

砲撃がくると身構えたその時だった。

突如駐屯兵団の後ろから叫び声が聞こえてくる。

 

「ゥォオオオ゙オ゙オ゙オ!!!!!!

 

「な、なんだ!?」

「巨人か!?」

 

僕達に銃を向けていた駐屯兵団の兵士達は音の発生源に銃を向ける

ヴェールマン団長も一時意識をそちらに向ける。

 

ーーた、助かった?

 

しかし僕も混乱する。

 

ーー何がどうなってるんだ……?

 

場が急に動く中で

その人は。皆の注目を集めるその人は近くの民家の屋根に堂々と立っていた。

いつの間にそんなところにいたのだろう?

そんな疑問が一瞬頭をよぎる

しかし、そんなことよりも彼の格好の方がもっと衝撃だった。

 

屋根の上にいるその男は。なんと自由の翼を背負っていたのだ。

 

「調査兵団だと!?」

 

ヴェールマン団長が叫ぶ。

 

「何故だ!?何故調査兵団が我々の邪魔をする!?」

 

しかし彼は何も答えない。

いや、違う。そうじゃない。

 

ーー答えられないんだ

 

僕は彼を知っている。昔、シガンシナ区でいつも調査兵団の凱旋を見ていた時。エレン達と何度も見たことがある。

僕の脳裏に彼のプロフィールが浮かび上がる。

調査兵団の番犬。

人類の双剣と呼ばれ、リヴァイ兵士長と対になる存在。

彼一人のおかげで調査兵団の生存率が上がったのはあまりにも有名な話だ。

 

ーーケイン兵士長補佐官…!!

 

そう、それが彼だ。

その名前の知名度に反して世に出ている情報は限りなく少なく。ただその戦闘力の高さだけが噂を呼ぶ存在。

いつも陰が薄いためその容姿は不思議と世間に広がっていない。

そしてそんな彼の一つの特徴と言えば彼は喋らないことだろう。同じ調査兵団員の中でも彼が喋っている所をみたことのある人間は殆ど居ないという。

一説によれば巨大樹の森で野生から保護されたので人類の言葉が分からないと言われているが本当かどうか分からない。

 

長身の黒髪。目元まで隠れた前髪で隠されたその貌はしかし、目の威圧感だけは隠し通せていない。

 

ヴェールマン団長は何も答えない彼にさらに詰め寄る

 

「なんだ!何か答えたらどうだ!まさか貴様もその巨人を庇う反逆者ということか!?」

 

ーーヴェールマン団長は彼がケイン兵士長補佐官だと分からないのか…!?まずい、僕達のせいで人類の一大戦力を削ぐわけにいかない!

 

「3秒以内に答えないのであれば、さきほどの威嚇を我々への攻撃とみなし、即刻貴様を殺す!」

 

ヴェールマン団長が手を振り上げる。

 

「ちょっと待「よさんか……相変わらず図体の割に子鹿のよう繊細な男じゃ」

 

僕が制止の声をかけようとする。

 

すると後ろからヴェールマン団長の手を止める老人が現れた。

 

「ピクシス司令!?」

 

ーーピクシス司令!?

 

「お前には彼の行動の意味が分からんのか。彼はこの若き訓練兵達はまだ殺すべき存在ではないと言っておるのじゃよ。」

 

ドット・ピクシス。

壁内南側、人類の最重要区防衛の全権を託された人物。

 

「お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか、今着いたところだが状況は早馬で伝わっておる。お前は増援の指揮につけ」

 

そして、美人の巨人になら食い殺されてもいいと明言する生来の変人。

 

「儂は、あの者らの話を聞いた方がいいと思っておる。彼のようにな」

 

そんな人に、僕達は助けられたのだ。

 

 

僕達はその後、壁の上でピクシス司令と話をし。

エレンの力を使って壁の大穴を塞ぐという僕の作戦を説明した。

 

「そうか。アルレルト訓練兵…よく分かった。」

 

ピクシス司令はエレンを見る

 

「どうじゃ、イェーガー訓練兵」

 

そう言いながらエレンの前にしゃがむピクシス司令

 

「お主は穴を塞ぐことが出来るか?」

 

そうエレンに聞く。

しかし、エレンは言い淀む。

 

「現状、今の自分に分かることはここにいるみんなとあまり変わりありません。

…ので、自分は出来るか出来ないかに関わらず無責任に答える訳には…」

 

当たり前だろう。人類の存亡が自分にかかっているとなればそう簡単に出来るとは言い出せない。

するとピクシス司令は質問を変える。

 

「おぉ質問を間違えてしまった……」

 

声に真剣味が帯びる

 

「お主はやるのか。やらんのか。どっちだ?」

 

そこに込められた気迫に僕は息を飲む。

これが人類最重要防衛区の全権を任された男。その一端を垣間見た気がした。

ピクシス司令が後ろのトロスト区を見る。まるで君がやらなければこの街の平穏は二度と戻らんと言わんばかりに。

すると、エレンが覚悟を決めたように言う。

 

「やります…!穴を塞げるかどうか分かりません…!でも、やります!!」

 

それに嬉しそうに笑ったピクシス司令は僕たちの後ろに控えるケイン兵士長補佐官にも質問を投げかける。

 

「だそうだ……協力してくれるな、ケイン兵士長補佐官」

 

その時、僕は安易に彼を見てしまったことを少し後悔した。

 

ピクシス司令に尋ねられたケイン兵士長補佐官の顔を、僕は一生忘れることはできないだろう。

 

瞳孔は見開き、口角を高く上げ、歯は剥き出しになり、吐く息は熱を持ったように白い。

 

今から起こることが楽しくて楽しくて仕方ないという表情。

その表情を僕は理解できなかった。

 

ーーなんでこの人は……笑っていられるんだ

 

仲間が死んで巨人と戦うということがどういうことか分かった僕にとっては、その表情は今からやることに対してあまりにも不釣り合いだと思った。

それに今から行う作戦は出来るか出来ないかも分からない大博打。

それに命を賭けろと言われているのに。

この人は笑っている。

 

「ッ!!」

横にいるミカサも息を飲む。

そう、それは

 

まるでその表情は……戦闘を、命を賭けたこの遊びを。

心の底から楽しみにしているような。

そんな狂った表情。

 

狂人。脳裏に過ぎるその言葉。

 

でなければやはり巷で言われているようにこう言うべきなのだろう

 

ーーーー獣

 

僕はその日、ケイン・アッカーマンという人物の本当の姿を見た気がした。

 



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トロスト区奪還作戦

サラッと書いたトロスト区奪還作戦の詳細です。
ケインくんのみ少々過去に戻りますがご了承ください。

疲れたぁ…今回は少し長めです。

Q.どうして連載にしないんですか?
A.いつ辞めても罪悪感がないからです

Q.これもう連載じゃない?
A.長い短編です


ケインside

 

巨人くんはどうやらエネンだとかアレンだとかそんな名前らしい。まぁめんどくさいから巨人くんでいいか。

 

金髪訓練生(女……?男!?)くんの案で巨人を壁際に引き付け、エレンを守る精鋭班班で壁の穴を塞ぐらしい。

 

まぁ?ちなみに言うと俺は精鋭班なんすけどね?

 

なんか白髪の子が不機嫌だなぁ。ツンデレだろうか…

俺はツン8割デレ2割位じゃないと心が持たないから彼女とは仲良くなれなさそうだ…怖いぃ

巨人くん達と一緒に大岩に向かう。

その道中なんか黒髪の子と巨人くんがイチャイチャしだした。

………チッ!これだから若ぇ奴は(やれやれ)

まぁ許してやんよ!ツンデレちゃんがめちゃくちゃ怒ってるし

それよりも黒髪か……匂うな……スンスン

 

 

はぇーでっけぇ岩。ほんとに巨人くん持てんの?

と思っていたら巨人くんが本当の巨人になる。

前回はほねほね巨人だったが今回はちゃんとした巨人だ。

うん!いい筋肉!

 

俺がそう思っていると筋肉巨人が急に黒髪ちゃんを殴り始める。

黒髪ちゃんが話しかけるがそれを無視して自分で自分を殴って自爆した。

おいおい緊張してんのか?

こういうのは初めて?へーそうなんですね。まぁ最初は緊張もしますよ。

なんて脳内A○が流れるがふざけてる場合じゃない。

君は人類の希望なんだぞ!!

頑張れ頑張れ出来る出来る君ならできる!!ネバーギブアップ!!

俺的には出来るまでずっと見守っていたいが他の人達は違うらしい。

作戦は失敗。これからどうするか

この作戦の全権を任されたイアーン?班長はどうやらエレンだけは絶対に回収するらしい。

そのためにとにかく周りの巨人を討伐しなければならない

 

「ケイン兵士長補佐官は右の2体をお願いします!」

 

任されてしまった。

よし!2体と言わずトロスト区の巨人全部でも殺しちゃうよーん!

そんな意気込みをもって2体の巨人を殺す。すると奥にまた新しい巨人が見えた。3m級、まぁ少し遠いが片付けておこう。

するとまた別の方向に5m級が見えた。

あれも殺してやるかぁ…仕方ないにゃあ…

きょーじんさーん!あーそーぼ!!

後ろの正面だーーーれだぁぁぁあああ!

殺し終わるとまた奥に巨人がみえる

わぁ巨人だぁ〜(無邪気)

そんなふうに俺は巨人を追って行く

 

 

迷った。

おいおいマジかよ……でもしょうがないじゃん、街の景色が殆ど同じなんだよ!!ずっと地下か馬小屋にいた俺にはこの街のレベルは高すぎた

 

困ったなぁ。うーんまぁ合流は……しなくていいか?こっから穴まで適当に行って、ちょくちょく道中の巨人を殺していけば大丈夫かな?大丈夫だろう。多分。

よし!気合い居れるぞぉ。

と思っていたらガスがもう殆どない。マジかよ。

こんな長期間ガス吹かすことなんて殆どなかったからなぁ。

うーん。

そう悩んでいると近くに巨人に襲われている兵士がいた。

パパッと助けようと思ったら既に死んでいた。

だが食べている最中だったのでまだ立体機動装置は壊れていない。

悪いと思いながら自分のガスボンベと交換する。

ブレードが何枚か余ってるのが勿体ないなぁ。

あ、そうだ!咥えていけばいいじゃん!どうして今までの人はこんなことにも気づかなかったんだろう。

やっぱり俺って天才かなぁ〜。

 

 

穴に急ぐ、道中やたら襲われている兵士が多かったがまぁこっちに注目してない巨人なんてザコよザコ。移動している片手間に殺すなんてちょちょいのちょいよ。

 

2、3回は死んでいる兵士からガスとブレードを回収した。

巨人多すぎンゴ。まぁ、助けた兵士からもブレードを貰ったりしているから問題はないのだが。

 

 

すると俺の耳に轟音が響いてくる。

 

ゴォン…ゴォン…

 

それと一緒に動くバカでかい岩。どうやら巨人くんが復活したらしい。

よし!もう穴まで少しってとこだな!補給した後でガスもブレードも沢山あるしここは俺の強さを皆んなに自慢するためにも大判振る舞いしちゃうよーん!

 

穴にまだ辿り着いていないが

巨人めちゃめちゃ多いなぁ!!

時間に対して巨人があんまりいないと思ったら

どうやら普通の巨人は巨人くんに引き寄せられているらしい。

だがそれなら都合がいい。

入れ食いだァァァ!ヒャッハァ!!

 

 

やっと辿り着いたぜぇ…

穴の前にいる巨人を駐屯兵団が自らの身体を使っておびき出している。

うわぁ、あんなの自殺行為だよ〜

でも大丈夫!何故って?私が来たァ!!!!

てめぇら皆んな三枚おろしじゃけぇ!!!!

 

 

巨人を殺し尽くすと巨人くんの方も穴を大岩で塞げたらしい。

いやったァァァ!!

人類の勝利だァァァ!!

そう油断していると死んでいると思っていた巨人が一体起き上がって巨人くん達に襲いかかる。

おいおい殺してなかったの!?

まずいまずいまずい。

もうお仕事終わりだと思ったのと調整ミスったのでガスがもうない!

助けて!リヴァエモン!!

すると本当にリヴァエモンが助けに来た。

俺は信じてたよ!!(嘘

やっぱり俺はいい弟を持ったなぁ…(しみじみ)

アルミンside

 

「エレン…!何をしているんだ…!エレン!」

 

僕は今、大岩の近くに来ていた。

僕は壁に巨人を集める役割だったが、作戦失敗の信煙弾が上がっても帰って来ないエレン達に疑問を抱き。ピクシス司令に聞いたところ、どうやらエレンが動かなくなってしまったらしい。

 

ーーそんな、どうして…それに何故陽動班に引き上げ命令が出されないんだ

 

するとピクシス司令はこう言う。

 

「この作戦で多くの兵士が死ぬだろう。それが分かっていて儂はこの作戦を実行した。ここで失敗してはいそうですかと諦めるということは、彼らの死を無駄死にするという事じゃ。精鋭班の連中には…それこそ死ぬまで戦ってもらう」

 

そういうピクシス司令に僕は何も言い返すことが出来なかった。

 

ーーなら……

 

「僕が行きます……!」

 

言ってどうにかなるのかも。僕に何が出来るかも分からない。それでも、僕の作戦で少なくても数百人が死んだんだ。確かにピクシス司令の言う通りだ…

これで何の成果も挙げられませんでしたなんて、そんなの死んで行った仲間が無駄死にだ。

だからなんとしてもこの作戦を成功させなくちゃならない。

そう思い僕はここに来た。

 

僕は動かなくなったエレンに乗りながら

近くに来たミカサに現状を尋ねる

 

「ミカサ!!作戦はどうなった…!!エレンはどうなっているんだ!」

 

「アルミン!危険だから離れて!その巨人にはエレンの意思が反映されてない、私が話しかけても反応がなかった!もう誰がやっても意味が無い!」

 

どういうことだ…?それにエレンの身体が再生してないのも変だ…

 

「作戦は!?」

 

「失敗した、でもエレンを置いて行けないから皆戦ってる 、だけどこのままじゃ、巨人が多くて全滅してしまう!」

 

ーーそんな…

 

「そんな…!?ケイン兵士長補佐官は?」

 

ーーそうだ…人類最強戦力がいれば…!

 

「消えた…!死んだのかもしれないし、怖気づいてどこかに隠れているのかもしれない、けど、私は知らない」

 

ミカサが言う言葉に僕は自分の耳を疑う。

そんなことが有り得るのか…?人類最高戦力の一端だぞ…?

僕は周りを見渡す。悲惨な戦場だ…

 

ーーそうだ、今は考えてる時間が無い。

 

僕はエレンの上でブレードを構える

 

「後頭部からうなじにかけて縦1m、横10cm……」

 

とにかくエレンを脱出させないと。

エレンがいなくなれば、人類に未来はない。

 

「僕がエレンをここから出す!ミカサはここを巨人から守ってくれ」

僕がそういうとミカサが呆然としたよう呟く

 

「え…何を?」

 

ーー大丈夫、僕なら出来る

 

「巨人の弱点部分からエレンは出てきた。それは巨人の本質的な謎と恐らく無関係じゃない。大丈夫、真ん中さえ避ければ、死にはしない」

 

ーーそうだ、大丈夫、落ち着け

 

「ただほんのちょっと……痛いだけだ!!」

 

そう言って僕はエレンにブレードを突き刺す。

 

ーー巨人を刺した感触ってこんななんだ…僕初めて知ったよ。

 

エレンが激しく暴れる。しかし、それもすぐに収まる。

 

「アルミン!無茶はやめて!」

 

ミカサが僕に制止の声をかける。だが僕は引かない。引けない。

 

「ミカサ!今自分に出来ることをやるんだ!ミカサがいけば助かる命があるだろう!エレンは僕に任せて行くんだ!」

 

ミカサはそれを聞いて渋々だが増援に行く。

後は僕の役割だ。

 

「エレン!聞こえるか!しっかりしろ!ここから出なきゃ僕らみんな死ぬぞ!」

 

僕は叫ぶ。数十cm奥にエレンはいるはずなんだ。きっとこの声も聴こえてるはず

 

「巨人の体になんて負けるな!とにかく早く、この肉の塊から出てくるんだ!」

 

反応がない。ピクリとも動かない。

 

「エレン!出てこい!早く!エレン!エレン!!!!」

 

何度も何度も呼びかける。ダメで元々だ…

少しでもエレンに声が届いている可能性があればそれでいい

 

「お母さんの仇はどうした!巨人を駆逐してやるんだろう!お母さんを殺したやつが憎いんだろう!」

 

エレンがいるであろう部分を叩く。

ーーエレン、起きてくれ

叫んでも反応のないエレンに僕は寄り添い、語りかける

 

「…………エレン……

僕達はいつか。外の世界を探検するんだろう?」

 

昔を思い出す。エレンやミカサと一緒に遊んだあの平和な時代を。

 

「この壁の外のずっと遠くには、炎の水や氷の大地。砂の雪原が広がってる。

僕の父さんや母さんが行こうとしていた世界だ…」

 

僕らの夢を語る。

昔よく話していたじゃないか。

 

「忘れたのかと思ってたけど、この話をしなくなったのは僕を調査兵団に行かせたくなかったからだろう?」

 

今でもよく覚えてる。小さい頃、あの木の下でエレンと一緒に夢中になって外の世界について話し合った

 

「エレン、答えてくれ」

 

ここから出て、またもう一度話そうよ……エレン

 

「壁から1歩外に出れば、そこは地獄の世界なのに」

 

巨人と戦って分かった。やっぱり壁の外は地獄だ

 

「父さんや母さんのように無惨な死に方をするかもしれないのに」

 

壁の外はそんな危険に満ち溢れた世界なのに

 

「どうしてエレンは……外の世界に行きたいと思ったの?」

 

 

 

ーーそんなの俺がこの世に生まれたからだ

 

遂にエレンが動き出した。

 

 

大岩を担いで歩くエレン。

 

「ミカサァ!エレンが勝ったんだ!今、自分の責任を果たそうとしている…あとはエレンを扉まで援護すれば、僕らの勝ちだ!」

 

大声で叫ぶ。

それを聞いたイアン班長はすぐに指示を出す。

 

「総員、死守せよ!!我々の命と引き換えにしてでも!エレンを扉まで守れ!絶対に巨人を近づけるな!」

 

しかし、巨人はエレンに引き寄せられている。

エレンの援護をしようとミタビ班が身体を使って巨人を引きつけようとする。

 

「おい何をやっているんだ!ミタビ!」

 

「巨人が俺たちに食いつかないんだ!だったら食いつくまで近寄るしかねぇだろ!」

 

ーーあんなの自殺行為だ……平地では立体機動装置も効果を発揮しづらい。あんなの死にに行くようなものだ。

 

ーーけど…もうあれしか方法がない

 

それを見て他の班の人達も覚悟を決める。

 

「そうだ……やってやる」

「もうこれしか人類は生き残れないんだ」

 

その場にいる全員が巨人をおびき出そうとしたその時。

 

 

巨人の一体が血を吹き出して倒れた。

 

ーーなんだ…!?

 

それだけじゃない。一体、また一体と倒れて行く。

良く目を凝らせば巨人の群れの中に一人の兵士がいた。

 

ーーあれは……!!

 

「ケイン兵士長補佐官……!?今まで一体どこに…!」

 

巨人の身体を這うように動き。巨人の身体を切り刻んでいくケイン兵士長補佐官。

 

早い。とてつもないスピードだ。しかし、あんな速度を出せば満タンでも15分でガスが尽きてまう。

 

ーーそれに…

 

なんであの人は巨人を切り刻むような真似をしているんだ…?あれじゃあ刃もすぐにボロボロになってしまうのに…

 

しかし、僕の疑念や心配も関係ないと言わんばかりにケイン兵士長補佐官は恐ろしいスピードで巨人を殺していく

 

「なんだあれ……」

「おい…俺は今、何を見てるんだ…」

 

ただうなじを削ぎ落とすだけじゃない、巨人の身体を切り刻んで殺す様にエレンを援護しようとしていた人の足が止まる。

 

その間にも巨人が死んでいく。

 

「獣………いや、あれは」

 

彼を呼ぶ声に畏怖が混じる。

 

ーー悪魔だ

 

すると、彼は巨人から少し距離を取り素早く何かを始める。

 

あれは…?

よく見ると彼は刃を何本も口に咥えながら戦っていた。

僕はたまらず叫ぶ

 

「バカじゃないのか…!?」

 

1本や2本なら可能かもしれない。しかし、口いっぱいに刃なんて咥えながら戦ったら普通、立体機動装置でかかる負荷に顎が耐えられずに滑り落としてしまうのが関の山だろう。

 

しかし、それを彼は強靭な顎を使い実現している。

 

ーー本当に人間なのか…?

僕の中で疑念が沸き起こる。

 

今はどうやらそのうちの2つを取り出し刃の交換をしたらしい。

 

また殺戮が始まる。

先に出ていったミタビ班の人も無事彼に救われ足を止めている。

 

まるで全ての巨人を1人で殺すと言わんばかりの気迫。

その後も何度もブレードを変え口のブレードが尽きた時。

あんなにいた巨人の殆どが殺し尽くされていた。

 

「おいおい、調査兵団ってのはあんなのがゴロゴロいんのか…?」

 

ジャンがたまらず口を開く。

 

彼が巨人を殺している間にエレンは穴のすぐそこまで迫っていた。

 

「ッ!!ハァッ!!!」

 

元々いた巨人の殆どは彼が殺したが今まさに穴を通り抜けた巨人がエレンに近づく。

ミカサがその巨人の目を切り、巨人が倒れ伏す。

 

遂にエレンが穴の前まで来た。

後は岩で穴を塞げば。人類の勝ちだ……!!!

 

「行っけぇぇえええ!!エレン!!!!」

 

壁に大岩を叩きつけるエレンが叫ぶ

 

「「ヴォォォオオォォォオ゙オ゙!!!!」」

 

ちょうど巨人を殺し尽くした彼も同時に叫ぶ。彼もエレンに負けない声量だ。やっぱり彼は人間じゃないのか…?

 

緑の信煙弾が上がる。

 

「皆………勝ったよ」

 

ーーこの日、人類は初めて巨人に勝利した。

 

 

「アルミン!エレンは?」

 

僕は巨人から出てきたエレンを回収しようとする。

 

「信じられないくらい高熱だ…!!」

 

「急いで壁を登らないと…!」

 

周辺の巨人は殆どいなくなったが、まだ安心はできない。

 

ミカサも手伝いエレンを回収しようとする。しかし

 

「体の一部が一体化しかけてる、引っ張っても取れない!」

 

ミカサの力があっても取れない。

するとリコ班長が来る。

 

「切るしかない…!」

 

そう言って彼女がエレンの腕と巨人の間を繋ぐ筋を切る。

僕は後ろに倒れ込んで落下してしまう。

 

すると、僕達に巨人が襲いかかってくる。

 

ーーなんで…!一帯の巨人はケイン兵士長補佐官が全部殺した筈じゃ…!?

 

よく見るとそれはミカサが目を切った巨人だった。

 

「エレン…!アルミン…!」

 

ミカサが急いでこちらに来ようとするが

 

ーー間に合わない!

僕はそう思い、せめてエレンを庇う。

 

その時、巨人のうなじが後ろから削がれる

 

ーー一体誰が……?

 

「自由の……翼?」

 

そこに居たのは人類の双剣のもう一振。

リヴァイ兵士長だった。

リヴァイ兵士長が尋ねる。

 

「おい!ガキども……これはどういう状況だ…!」

 

 

ーーその後、ケイン兵士長補佐官と合流を果たした調査兵団と駐屯兵団工兵部の活躍により。ウォールローゼは再び、巨人の侵入を阻んだ。

トロスト区に閉じ込めた巨人の掃討戦には丸一日が費やされ。

壁に群がった巨人の殆どが榴弾によって死滅し、僅かに残った巨人も主に調査兵団によって掃討された。

 

その際、4m級一体と7m級一体の巨人の生け捕りに成功する。

 

だが死者行方不明者83名。負傷者653名、人類が初めて巨人の進行を阻止した快挙であったが、それに歓喜するには失った人々の数があまりにも多すぎた…

 

 

 

 




「おいケイン、どうした、さっさと壁に戻るぞ」

「ヴゥ………」

「はぁ?ガスを全部使い切った…??バカが…俺のガスを分けてやるからさっさとこっちに来い」


ケイン君の戦闘イメージは「悔いなき選択」で怒った鬼リヴァイを想像して貰えれば分かりやすいと思います。


原作での死傷者数。

死者行方不明者207名負傷者897名


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幕間:ジャンの憂鬱

今回はジャン視点です、次ぐらいから話が進みます。
皆さんはブレードと言いますか?刃(やいば)って言いますか?
何となく今回は刃にしました。深い意味はないです。
反応が良ければ呼び方をどちらかに統一します

作者へのQ&A

Q.書き溜めとかしてるんですか?
A.ないです。書いたものを気分で投稿しています。

Q.書くことは事前に決めてあるんですか?プロットなどは決めてるんでしょうか?
A.ないです。勘で適当に書いているのでプロット等もすべてないです、直書きです。

だからいつ終わってもいいように短編なんですね(呆れ)


ジャンside

 

「なんとか…なんのかよ…」

 

ウォールローゼ奪還作戦。

エレンの巨人化、大岩の移動など不確定要素に任せ切りのクソみたいな作戦。

俺はその作戦中に立体機動装置が故障し、トロスト区の民家の中に隠れていた。

 

ーーなんでだよ…!明日には内地に行けたってのに…

 

この世界の不条理さに俺は内心愚痴を零す。

外を見るとまだ俺を追ってきた巨人が目の前を歩いている

 

ーーどうしろってんだ

 

しかし、ここで俺はあるものを見つける。

俺が隠れている民家の前に死んだ兵士がいた。それもご丁寧に立体機動装置は見た限りでは壊れていない。

 

ーーどうする?壁の中に巨人がいなくなるまで待つか?それとも危険を承知であの立体機動装置を取りに行くか?

 

「そんなの……決まってんだろ」

 

覚悟を決める。

俺は巨人がいなくなったのを見て外に飛び出す。

 

「巨人がいなくなるまで待つことなんて出来る訳ねぇ!」

 

ーーそうだ。この作戦が成功する保証なんてどこにもない。巨人がいなくなるのを待つ…?んなこと出来るわけねぇだろ!

 

俺が着けていた立体機動装置は道に捨て、誰かも分からない死体が着けていた立体機動装置を回収しようとする。しかし。

 

「クソっ!なんなんだよ!巫山戯んなよ!!こんな時に!!」

 

どこかが絡まっているのかなかなか身体から離れない立体機動装置。

 

ゴゥン……ゴゥン……

 

後ろから足音が迫ってくる。

俺は焦る

 

ーーはやくしろ、はやくしろ!

 

「ジャン!落ち着け!」

 

焦って頭に血が登った俺にマルコが話しかけてくる

 

「マルコ!?何やってんだ!?」

 

ーーどうしてここにいるんだ…!?逃げた筈じゃ…!?

どうやら俺を助けるために巨人を引き付けてくれるようだ

 

「ラァッ……!!」

 

やっと立体機動装置が外れる。

俺はすぐにそれを体に装着し一刻も早く壁に急ぐ。

すると目の前に巨人が現れる。

 

俺は立体機動装置を使って飛び越えようとする。

 

「ッ!!アッ………!?」

 

しかしまたもや俺に不幸が起きる。

 

ーー今日はとことんついてねぇ!

 

「ちくしょう!どうしてトリガーがこんなに硬てぇんだ…!!」

 

呆然とする俺に巨人が迫る。

俺の体は動かない。

そんな俺にコニーが助けに入ろうとする。

 

「ジャァァン!!」

 

その時だった。

 

「ン゙ゥッ!!!」

 

急に何かが横切ったかと思うと巨人が殺される。

 

ーー何が起こったんだ…?

 

混乱する俺。

どうやら俺を助けようとしたコニーも混乱しているらしい。

そこに居たのは自由の翼を背負った兵士。

ケイン兵士長補佐官だった。

 

「ジャン!後ろだ!」

 

マルコの声が聞こえてくる。

しかし、俺が振り向くよりも早く彼が動く

 

「ンン゙ッ!!」

 

強烈な脚力で俺の横を跳んでいくケイン兵士長補佐官。

ズドォン………振り向くと俺の脇に巨人が落ちてくる。

どうやら俺に飛びかかった巨人をケイン兵士長補佐官が空中で殺したようだ。

 

「すげぇ……」

 

俺は柄にもなく感嘆してしまう。

こんなにもあっさりと巨人を殺してしまう。

 

ーーこれが調査兵団なのか…

 

巨人を殺したケイン兵士長補佐官が地面に降り立つ。

するとお礼を言う暇もなくケイン兵士長補佐官がどこかに行ってしまった。

 

「なんだったんだ…あの人」

 

「無事か!ジャン!」

「大丈夫だったか!ジャン!」

コニーとマルコも俺の元に来る。アニも遅れて合流する。どうやら一応助けようとはしていたらしい。あの人のせいで出番はなかったようだが

…。

 

ーーマルコがいるということは、マルコを追いかけた巨人もあの一瞬で殺したのか…

 

「あ、ああ。俺は平気だ」

 

「良かった……ならすぐに壁に登ろう!」

 

マルコに促され俺は壁に登ろうと立体機動装置のトリガーに指をかける。さっきは失敗したが、トリガーが固いことを知っていれば何とか使えるだろう。

 

するとケイン兵士長補佐官が俺たちの前に戻ってくる。

その手に抱えるのは先程俺が道に捨てた立体機動装置だ。

 

ーーというかなんでこの人は刃を2本口に加えてるんだ?

 

奇妙なことをする彼に俺は興味を持つが、彼が俺たちに話しかけてくることでそれも消える。

 

「ン゙ン??」

 

ケイン兵士長補佐官が俺の立体機動装置を差し出しながらなにか聞いてくる。

 

ーーな、なんだ?

 

俺は意味が分からずケイン兵士長補佐官に聞き返す。

 

「ケイン兵士長補佐官。それはどういう?」

 

すると見かねたマルコが俺に言う。

 

「きっとケイン兵士長補佐官はジャンの立体機動装置を貰ってもいいか聞いてるんだよ」

 

「ヴン゙!!ヴン゙!!」

 

それを聞いてケイン兵士長補佐官が凄い頷く。

なんで分かるんだマルコ…

 

「え、あ、まぁ、大丈夫ですけど…」

 

ーーそんな壊れた立体機動装置を何に使うんだ?

 

俺が許可を出すとケイン兵士長補佐官は自身の立体機動装置にガスを補充する。

俺はそれでやっと納得がいった。なるほどガスを補充したかったのか。

しかしケイン兵士長補佐官の行動はこれだけではなかった。

次の行動に俺は目を疑う。

なんと俺がまだ使っていない刃を全て口に咥え出したのだ。

 

「ちょ、ちょっと、そんなに咥えて立体機動装置なんて出来るはずはないじゃないですか…って」

 

そう言った時、俺は気づいた

 

ーーこの人の、刃がまだ一本も消費されてない…?

 

そう、彼の立体機動装置に備え付けの刃を入れる箱は満タンだった。

ジャンの明晰な頭脳はこれがどういうことかを瞬時に導き出す。

 

ーーこの人は、今までも刃を咥えながら戦っていたのか!?

 

つまりジャンが見た彼が咥えている2本の刃は余りと言うこと。それまでにもこうして十数本の刃を咥えながら戦っていたのだ。

 

ーーそんなこと、人間にできるのか….?

俺はこの人が人間か分からなくなってくる。

 

すべての刃を咥え終え、ケイン兵士長補佐官はその場を立ち去る。

 

「ジャン、僕達は壁に戻ろう、ここにいても危険なだけだ」

 

考え込む俺にマルコがそう言ってくる。

 

「お、おう!」

 

俺はどもりながらもそれに答えた。

 

 

俺たちはなんとか壁に戻る。

ケイン兵士長補佐官はまた巨人と戦っているのだろうか。

 

「それにしてもすげぇ人だったよな…」

 

コニーがそんなことを言う。

 

「なんつうか…こう……俺バカだから言葉に出来ないけどよ。ほら、あの人の雰囲気っていうのか?立ち振る舞い?って言うのかまぁなんでもいいけどよ、ありゃあ」

 

ーー獣みてぇだったよな

 

今回ばかりはコニーの言葉を否定出来ない。現にいつも人をバカにするアニすら口をつぐんでいる。

 

そんな会話をしていると、俺たちの耳に轟音が聞こえてくる。

 

ゴォン……ゴォン……

 

ーーなんだあれは……

 

上から見る俺達には大岩がひとりでに動いているように見える。

 

「いや、違う………あれは………」

 

俺が大岩の正体を言おうとするとアルミンの声が響く。

 

「ミカサァ!エレンが勝ったんだ!今、自分の責任を果たそうとしている…あとはエレンを扉まで援護すれば、僕らの勝ちだ!」

 

やはりどうやら動かなかった死に急ぎ野郎が動いたらしい。

イアン班長が指示を出している。

それを聞いて駐屯兵団の兵士達が自分の身体を使ってエレンに近寄る巨人を呼び寄せようとする。

 

ーーこうしちゃいられねぇ!

 

「俺たちも援護するぞ!」

 

そう言って壁を降りる。

 

しかし。

 

……ドスン

 

穴の近くにいた巨人の一体が倒れる。それもただうなじを削がれただけではなく全身から血を流して。

 

……ドスン

 

また一体、巨人が崩れ落ちる。あれは最初にエレンを援護しようと身体を張ったミタビ班を迫っていた巨人だ。

 

ーー何が起きてるんだ…?

 

よくよく見ると超高速で巨人の群れの中で緑のマントが見える。

 

「ケイン兵士長補佐官……!?」

 

どうやらケイン兵士長補佐官が巨人の群れの中で戦っているらしい。

 

ーー無茶だ、あの数の巨人をひとりでなんて……!

 

しかし、俺の脳裏に先程のケイン兵士長補佐官の戦いが浮かぶ。

もしかしたら…彼なら…そう思う。

 

ーーしかし、なんでケイン兵士長補佐官はあんなにガスを吹かしているんだ?それに戦い方もおかしい。まるで巨人を痛めつけるように殺している?あんなんじゃ刃がすぐに使い物にならなくなるというのに…

 

それにしても凄い速さだ。俺には目で追うのもやっとと言ったところだ。

 

すると、ケイン兵士長補佐官が一旦離れボロボロになった刃と口の中の刃を交換する。

そして再び始まる殺戮。

 

「あんなのが調査兵団にはゴロゴロいんのか…?」

 

屋根の上から彼の戦いを見る俺の口から言葉が漏れる。

それに続いて言葉を零すマルコ

 

「獣……いや、あれは」

 

次の言葉はアニから放たれる。

 

「悪魔だ……」

 

アニにしては珍しく震えた声だったので俺はアニを横目で見る。

そして俺は心底驚愕した。

俺が目にしたのは、顔は青ざめ、体はガクガクと震えているアニの姿だったからだ。

 

ーーこんなアニは初めて見る。そんなにあの人が怖いのか…?

 

「ど、どうしたんだアニ!大丈夫か!」

 

それを見てアニを気遣うマルコ。

しかし、アニの震えはおさまらない。

 

「触んないで…!」

 

アニがまるで逃げるようにマルコを遠ざける

一体どうしたって言うんだ…アニ。

 

 

sideアニ

 

「悪魔だ……」

 

ケインとか言う調査兵団の兵士を見て私は確信する。

 

ーーやっぱりこいつらは悪魔の末裔だったんだ…!

 

それにしてもあんな奴がいるなんて聞いてない。

あんな…悪魔みたいな奴がいるなんて

あれじゃあ私の巨人でも勝てるかどうか。

 

どうする…私はお父さんの元に必ず帰る。

そのためにはエレンと接触しなければならない。

でも一体どうやって…?

頭の中がぐしゃぐしゃになる。

 

ーー舐めていた…所詮は一体の巨人に10人もいなければ勝てない弱者だと思っていた…!まさかあんな化け物がいるなんて…

 

エレンはこれからきっと国に軟禁されるだろう。

その時は護衛に奴がつくかもしれない。そうなればエレンを生きて連れ帰るのは不可能。どうにかして先にエレンの情報を仕入れることが出来る立場にいなければ…

幸い私は上位10名で憲兵団になれる。

あんな怪物、ずっと手元に置いておくなんて多分しない。

解剖か、それとも……

男二人は調査兵団に送ろう。憲兵団に入るのは私1人で十分だ。

 

どうなるかは分からない。けど

 

ーーやるしかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マルコは死にません、生かします。
ジャンが何故調査兵団に入るかはまぁ……まぁ……(目逸らし)
何とかします。

ソニーとビーンは憲兵団に処理してもらうことにします。
現王政は万が一にも巨人の謎に迫ってほしくないので展開的には問題はないと思われます。

それじゃあアルミンがアニに勘づくイベントもなくなるやん!と思ったそこのあなた。
大正解です(白目)
ア゛ア゙〜〜なんかの拍子にアルミン気づいてくれないかなぁ(チラッチラッ)
マルコと協力すれば何とか行けそうな気もしないでもないので頑張って貰います。


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第57回壁外調査(ケイン視点)

日刊ランキング10位ありがとうございます!
賛否両論ありますが沢山の方に見られて私はとても嬉しいです笑


今回で分からないことが多く出ると思います。
あれ?この伏線どうすんだ…?みたいな感じのものです。
一応ちゃんと筋道は通ったストーリーを考えたので安心してください。

追記:更新頻度が落ちそうです、次の更新は1種間後あたりになります


ケインside

 

巨人くんは正式名称エレン・イェーイくんと言うらしい。なんてパリピな名前なんだ。完全にキラキラネームじゃないか…

 

そのエレンくんは今、地下牢に幽閉されている。

どうやら巨人になっても大丈夫なようにという処置らしい。

地下牢の前には俺、エルヴィン団長、リヴァイの3人がいる。

エルヴィン団長は調査兵団にはいるのにエレンくんが相応しい人間なのか見極めたいと言っていた。要するに面接だ。

エレンくんが起きるのを待つ。

待っている間暇なのかエルヴィン団長が色々話しかけてくる。

大半の質問はよく分からなかったのでお茶を濁しているとエルヴィン団長は勝手に納得してくれた。

 

 

エレンくんが起きた。

どうやらまだ状況を把握出来ていないようだ。混乱している

そりゃこんな寝起きドッキリされたらそうなるよなぁ…

俺も前世の教室で寝たフリをしている時に目の前に蜘蛛の玩具をお置かれててめちゃくちゃ焦ったのを覚えている。今でも許さんぞぉ…田中ァ…!俺が田中への怒りを燃やしているなか、

エルヴィン団長とリヴァイがエレンくんに質問していく。

どうやらあまりにもエレンくんの都合のいい状況にリヴァイが怒っているみたいだ。

エルヴィン団長がリヴァイを諌める。

エルヴィン団長がエレンくんにこれから何をしたいか聞く。

ここは重要だぞ…!エレンくん!俺も前世の面接で「この会社であなたは何をしたいんですか?」みたいな抽象的な質問が1番苦手だった。

するとエレンくんがとんでもなく恐ろしいことを言う。

とにかく巨人をぶっ殺したい…?なんて恐ろしい(ブーメラン)

あぁこれは落ちなたと俺が確信しているとリヴァイが光るものを感じたとか言い出す。

そしてエレンの調査兵団入りをOKした。

なんで?

 

 

エレンくんの処遇を決める裁判的なものが開かれた。兵法会議って言うらしい。偉そうな髭面のおじいちゃんが言ってた。

会議が始まる。どうやら憲兵団はエレンくんを解剖したいらしい。

 

ヴェ!!

 

気持ち悪過ぎてゲボが出そうだ。そんなのいい訳ねぇだろ!エレンくんは内にもう内定が出てんだよ!解剖なんて俺がさせねぇ!!

それにしても会議が混沌としている。

 

ウォールシーナの金持ちは門を全て塞ごうと言ったり、その案をウォール教とかいう壁を崇める宗教団体の司祭が止めてたりとお互い喧嘩している。

はぁ〜、仲間割れしてらァ…でもこんなお互いの意見をぶつけるだけでエレンくんの処遇は決まるのか…?

俺がそう思っていると、この状況を良くないと判断した偉そうおじいちゃんが一言で場を止める。

はぇ〜溢れ出る威厳ってこういう人のことを言うのかぁ…

 

偉そうおじいちゃんがエレンくんに尋ねる。

君は人類に貢献する意思はあるのか?と

エレンくんは必死に自分の意思をアピールしようとするがトロスト区奪還作戦で暴走したことを詰められる。

どうやらエレンくんは覚えていないようだ。

あんなに緊張したんだ。そりゃ頭が真っ白になって覚えてないのも仕方ない…

黒髪ちゃん、ミカサと呼ばれた女の子はエレンくんに攻撃したことを肯定する。

しかし、同時に今まで何度も助けられたとも主張する。

 

しかし、それを好機とみた憲兵団がミカサちゃんの言葉を遮りエレンくんに攻撃を再開する。

 

やばい、エレンくんの過去の罪状まで挙げられて場の流れが悪い方向に持っていかれる。

エレンくんへの罵倒が飛び交う。

でもなんで俺やミカサちゃんまで人間かどうか疑われなくちゃ行けないんだ…俺関係ないやろ…!

俺は内心キレちらかしていたがエレンくんが遂にキレたことで平静を取り戻す。

自分よりも怒っている人を見ると冷静になるあれだ。

エレンくんが憲兵団や内地の金持ちに言いたいことを全部言う。

 

そうだ!そうだ!やっちまえ!

 

俺が内心応援しているとリヴァイが急に飛び出しエレンくんを蹴り飛ばした

ぇええええ!?

なんで?なんで蹴ったの?

その後も蹴り続けるリヴァイが「躾=痛み」という持論を展開しだす。

えぇ…そんな怖い……あの頃の優しいリヴァイはどこに行ったの…あれ?そんなのいたっけ?(記憶違い)

最終的にエレンくんが暴走した時にリヴァイが殺すことを条件に無事エレンくんを調査兵団に就職させることに成功した。

よろしくなぁエレンくん。まだ君とは喋れないけど。

 

 

エルヴィン団長の命令でリヴァイ班は調査兵団でも選りすぐりの精鋭を集めた調査兵団特別作戦班という名前された。まぁリヴァイ班でええやろ(適当)

メンバーも変わって、俺、リヴァイ、イザベルちゃんにファーランくん、ペトラちゃん、そしてその他諸々になった。

 

え?その他諸々の紹介?俺イザベルちゃんとファーランくん除くとペトラちゃんぐらいしか仲良くないからあんま名前覚えてないんだよなぁ。

まぁ総勢は俺を含めた9名だ。少なっ!!

 

 

現在俺たちが向かっているのは旧調査兵団本部。見た目は完全にお城だ。ここで俺たちは次の壁外調査に出るまでの1ヶ月間エレンくんが暴走しないよう、そして暴走した時に直ぐにエレンくんを殺せるよう共同生活を送る。

 

馬ァ……馬どこ?……ここ?

何百頭と戯れていた俺としてはたった数頭では物足りない!

早速この生活の悪い点が見つかった。

仕方ないのかなぁ。そう思って俺はガックリと肩を落とす。

 

オレオくんとか言う美味しそうな名前の彼がエレンに絡んでいる。

あっ…舌噛んだ……

 

雑草だらけの古城に着く。すぐさま綺麗好きなリヴァイがさっそく掃除を始める。

俺もリヴァイに怒られながらも掃除をはじめる。

うぅ…そんな怒らないでよォ…

 

 

夜、ハンジ分隊長の開けてはいけない扉を開けたエレンくんが拘束されている間、俺はエレンくんについてリヴァイにまた色々尋ねられる。

大半は分からないことだったが、一つ明確に分かったことがある。

エレンくんは良い奴だ。こんな俺にも優しくしてくれるし、優しくしてくれるし、そして優しくしてくれる。

古城に行く間の時間や掃除の時間など、俺によく話しかけてくれた。

うん、やっぱり良い奴だ、エレンくんは。

 

次の日、捕獲した巨人が何者かに殺されたらしい。

え!?そんなことある??

まぁ、どうしても巨人が憎かったんだろう。仕方ないのかなぁ…

巨人を憎んでいる人間なんて、それこそごマンといるだろう。

犯人は見つからなそうだな…

 

 

今日は新兵の勧誘式がある。

なんかワクワクするよね。ガチャみたいで(失礼)

今年はどんな子が入るんだろう。

 

エルヴィン団長の演説が始まる。調査兵団の死亡率やウォールマリアにあるエレンくんの地下室の話しまでする。

しかしそれにしてもだが今年はいつにも増して脅すなぁ。誰も残らないんじゃないのか?

 

最終的に残ったのは30名ちょっと。少なっ!

 

 

今日はなんとエレンくんの巨人化の実験をした。

井戸の中でエレンくんが巨人になるというものだったが、何故か失敗した。

まぁ誰にでも失敗はあるよ!肝心な時に失敗しなくて良かったじゃないか!

と思ったら外でのランチの最中エレンくんが巨人化した。

うぉい!!ちょっと待てぃ!!

エレンくんが巨人化することで皆が興奮してしまった。ドウドウステイステイ

皆待とうよ!誰だって失敗はあるじゃん!

その後ハンジ分隊長がエレンくんの巨人化した腕に興奮して事態はうやむやになった。

ハンジさんが考察するには、どうやらエレンの巨人化はなにか目的がないといけないらしい。

皆ごめんなさいをしていた。エレンも許した。その時何故か皆手を噛みだしたので俺も噛んでおいた。

まぁ、誰だって勘違いはあるさ!

 

 

ようやく1ヶ月が経ち俺たちは第57回壁外調査に出発する

今回の目的はストヘス区からシガンシナ区への道を開拓すること。

1からの開拓なので問題は多いが出来ないことはない。

 

 

恒例のように俺は迷う。

今日はどっちに行こうかなぁ〜

よし!こっちだ!俺は適当に方角を決め馬を走らせる。

 

1時間程経つがまだ巨人とはほとんど遭遇していない。

まぁ普通はこんなもんだよな。

前回40体近くの巨人を討伐できたので少し物足りなさを覚えてしまう。感覚がバグってしまったという自覚はあるのでどうにか自分を納得させる。

 

 

右翼索敵班と合流した。

皆信煙弾をあげてくれるから合流がしやすくて助かる。

すると俺たちの右から巨人が現れた。

なんだ?

不思議な巨人がいた。

普通よりも筋肉が露出しているやけに速い巨人。それに遠目から見ると分かりづらいが美人にも見える。

しかし、驚くのはそこじゃない。その巨人は多数の巨人を引き連れて現れたのだ。

数は30体を超えている。うわぁ、増やし鬼の最後の光景じゃん……

しかし、望んでいる時に望んだものが来たのだ。俺は歓喜する。

 

さぁまずはお前だ美人巨人!

と思ったら美人巨人が急に進路を変え俺を迂回し始めた。

そして体勢を低くして急加速。

速い、あれじゃあ馬でも追いつけないだろう。

俺は内心叫ぶ

 

なにィ!?クソゥ…!奇行種か…

 

ここであの巨人を追ったらここら一帯の人達は皆死んでしまうだろう。

しょうがない。こいつらを片付けてから後を追おう。

見た限りだがあいつは異常に速かったので他の人の手には負えなさそうだ。

さっさと片付けてしまおう。

そう考え俺はブレードを構える。

 

 

巨人を片付けた。結構時間がかかってしまったが、全て殺した。

まずいなぁ……周りの人達と協力したので一応ガスとブレードは節約できたもののいかんせん数が多すぎた。

ガスもあまりないしブレードもほとんどない。

皆も壁外でガスは大切だろうし、今回は運良く死人が出なかったので死んだ兵士の立体機動装置から補給も出来ない。

仕方ない。ブレードを数枚もらい。俺は美人巨人を追う。

皆から少しづつガスをもらっている時間もない。

急がないと。

 

 

巨人の足跡を追い俺は巨大樹の中に入る。はぇ〜いつ見てもでけぇ森だァ…

あの巨人はどこに行ったんだ?

草が多い茂っていて足跡を見失った俺は周りを探す

必ず近くにいるはずなのだが。

 

すると、まるで雷が落ちたかのような音が近くでする。

あっちっぽいな、俺は馬を止めて音の発信源に向かう。

 

 

現場に着くと既にリヴァイ班の人達が美人巨人と戦っていた。

リヴァイもイザベルちゃんもファーランくんもいない…どこに行ったんだ?それに1人足りないぞ?

少し疑問に思うがそれも一瞬だ。

俺も加勢する。ガスもブレードもほとんどないので短期決戦になるだろうと踏んでいたが既に満身創痍。やっぱりリヴァイ班の人達は優秀だなぁ。

美味しいところだけとる形になってごめんね…皆。

あとはうなじを削いでおしまいだ。

 

しかし近づく時に気づく。あれ?片目残ってんジャーン。切っとこ。

俺はうなじに直行するルートから方向転換し、目を潰す。

よし!(現場猫)

ほないただきまーす!

 

俺は次こそはうなじを削ごうと思ったのだけどそういえば顔をよく見てないことを思い出した。

 

せっかくだし見とくか。

そう思って巨人の顔側に回ろうとする。するとうなじに変な水晶が張り付き始めた。

なんだ…あれ?

 

その時だった。巨人が大声をあげる。顔を確認しようと口元にいた俺は堪らず距離をとる。

 

そして

 

 

 

巨人が高速で回転を始めた。

 

……………へ?

 

 

 

 




ぬわぁぁあ疲れた〜!!
なんでこんなに原作から離れちゃうんだよ!(自業自得)
ケインくんは女型の巨人を殺しそうになるし、ジャンはなかなか調査兵団に入らないしマルコは生きるし(理不尽)
これ以上離れると原作壊れちゃう!!
でもやります(強行突破)


私……皆助けてリヴァイ兵長を救うんだ…(遠い目)

原作では調査兵団に入るのは22名になりますが、ケインくんのおかげで30名ちょっとに増員しました。
特に意味は無いです。


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お知らせ兼 第57回壁外調査(アニ視点)

この短編ではこれ以上投稿しません。
これから連載として、書きなぐったこの文章を綺麗にしていきます。

この短編の続きもそちらに投稿します。

楽しみにされている方はお待たせすることになると思いますがお待ちください

リメイク版
https://syosetu.org/novel/261095/




お知らせ:

皆様いつもありがとうございます

こんなにも皆様に私の作品が読んでもらえると思っていませんでした!

ですが最近、自分の作品を読み返してみて

「なんだこれ…」と

あまりの文章の酷さに言葉を失ってしまいました。

 

一応こちらは短編として残しておきますが

文章書き直し連載として新しく始めさせてください。

話の展開は変わりありませんがところどころで修正を入れたいと思いますので、一応そちらも良でくれれば嬉しいです。

 

毎日ペースで更新していた(適当に書いていた)ものが恐らく3日から4日かかるようになりますがご了承ください

 

リメイク版はこちらです。

https://syosetu.org/novel/261095/

 

 

 

 

アニside

 

「はぁ………」

 

私はまたため息を吐いた

ーー次の壁外調査でエレンを奪取する……でも

 

 

あれからエレンはやはり拘束された。

エレンが殺されるようなら最悪無理やりエレンを捕まえようと思っていたが、どうやら調査兵団に入ったらしい。

 

私は憲兵団に入団した。

新兵の私たちに官給品やら賄賂やらで美味しい思いをする仕事が回されることも無く。

日々の雑務や見回りをする毎日。

 

ーーそれに最悪なことに

 

「どうしたの?アニ?」

 

こいつと持ち場が一緒なんて……

マルコ・ポッド。私と同じ104期訓練兵卒。

二人ともトロスト区での戦闘経験があるということで、何かと一緒にされることが多い。

 

「…………別に」

 

「あはは…そっか。」

 

あの悪魔みたいなやつを見て、あの日の私は取り乱し過ぎた。

それこそこいつから今でも心配される程度には。

今はこいつと一緒に見張りの最中だ。

 

しばらく黙っていたマルコだったが、また口を開く。

 

「ここは平和だね……まるでトロスト区のことが嘘みたいだ」

 

「…………」

 

私は答えない。

 

「ねぇ……あの日からアニは何故か人を避けているよね」

 

マルコは私にそんなことを言ってくる。

 

「…………避けてない」

 

そう、避けていないはずだ。

 

「そう?」

 

「そう」

 

そうだとしたら、まるで私が未だに奴の幻影に怯えているみたいじゃないか。

そんなことは絶対にない。

 

マルコは少し考え込み私に話し始める。

 

「ならいいんだけど……」

 

マルコは少し迷って話し始める。

 

「もしかしてアニも警戒してるのかなって」

 

「は?」

 

なんの話だ??

 

「壁の中にいるはずの………巨人化出来る人間を」

 

ーーッ!!??

 

マルコは黙っている私を無視して話を続ける。

 

「こんなこと、他の人に言わないでくれよ?僕だってまだ半信半疑なんだから。気付いてそうなアニだから言ったんだ」

 

「…………どういうこと?」

 

私は慎重に情報を探る。もしかすると既に私たちの情報は出回っているのかもしれない。それを探るために。

 

「アニも気がついてると思うけど、今回のトロスト区の襲撃は前回のシガンシナ区の襲撃とは明らかに違う。」

 

マルコはそう言う

 

「多分、襲撃した巨人の目的は壁を壊して巨人を壁内に入れることだと思うんだ……でもそうすると今回の襲撃で内門を壊さなかったのは明らかにおかしい。」

 

マルコは自身の推理を私に語る。

 

「前回と今回で明確に違うこと」

 

そこでマルコは私を見てくる。

 

「エレンの存在だと思わない?」

 

「僕はこう仮定したんだ。きっとエレンの存在は襲撃者からしてもイレギュラーだった。そして、エレンの存在は壁の破壊よりも優先することだった。だから内門を壊すことを途中で中止した」

 

「でもそうなると疑問になるのがいつエレンの存在に気がついたか」

 

「あの場だと思うんだ」

 

「トロスト区でエレンを見た数百人、下手したら数千人の内の誰かが巨人じゃないかと僕は考えている」

 

「まぁ、その内の何人かは分からないけどね。もしかしたら巨人になれる人間って言うのは結構沢山いるかもしれないから」

 

「あははっ……アニもそう考えてるんだと思ったけど違ったみたいだね」

 

「ごめん!今のはほとんど僕の妄想だから忘れて!」

 

マルコはそう言い私に手を合わせて謝ってくる

 

でも私は聞かなきゃいけない。

 

「あんたはさ……私が巨人だとか、思わなかったわけ?」

 

「え?」

 

「もし今の話が本当だとしたら、私もあの場にいたんだ、私が巨人の可能性もあるのに、なんでそんな話を私にするの?」

 

マルコは頬を掻きながら私に言ってくる。

 

「あははっ…もしアニが巨人なら、僕は相当ツイてないことになるね」

 

「でも僕はアニが巨人じゃないと思ってるよ」

 

明確に宣言する。

 

「……それはなんで?」

 

「だって、もし本当にアニが超大型や鎧の巨人なら5年前の君はまだ10歳だ、僕は実際見たわけじゃないけどトロスト区は凄惨な光景だったに違いない。」

 

「そんな地獄を10歳の子供が作ったなんてとてもじゃないけど考えられないよ」

 

マルコはそう言ってのける。

 

「そう……でもマルコ、あんた自身が言ってたじゃないか。鎧や超大型以外にも巨人はいるかもしれないって。

そしたら私が巨人じゃない証拠にはならないと思うんだけど」

 

私は当然の疑問を返す。

 

「うん、そうだね……でも一番はそれじゃないんだ」

 

「ほら、アニって意外と優しいから。もし壁内人類を絶滅させようとしてるならそんなに優しく出来ないと思ったんだ」

 

マルコは笑ってそう言う。

 

ーーバカじゃないか……そんなんで私を信じて。

 

私は…………巨人なのに。

 

「……私は優しくなんてないよ」

 

「………そっか」

 

 

それからまた数日後、私たちはいつもの見張りをしている。

またマルコが話しかけてくる。

 

ーーこいつはなんなんだ…

私は呆れたようにマルコを見る。

 

「ねぇ、アニ。今度の壁外調査、変だと思わないかい?」

 

マルコが一人でベラベラ喋る、私は偶に相槌をうつ。

これが私たちのここ最近の日常だ。

 

「新兵を連れての壁外調査。あまりにもことが早すぎるし、今回はエレンだっている。なのにも関わらずエルヴィン団長は1ヶ月後の壁外調査に行く。」

 

「エレンの戦術価値を見せたいと言えばそうだけど、僕には違う考えもあると思うんだ」

 

「もし本当に何者かがエレンを狙っているとしたら、立体機動装置が十分に活用できない壁外に仕掛けてくる。そう思うんだ。」

 

「アニはどう思う?」

 

マルコは私に聞いてくる。

ーー私に聞くな…!その通りだよ…!

 

「………分からない、けどそれが本当ならエルヴィン団長は本当に無能だね、人類の希望をそんな危険なところに送るんだから」

 

マルコは少し考え込む。

 

「うん、そうなんだよ……でもエルヴィン団長は多分すごく賢い人だ。

エルヴィン団長が残した実績を見ればその凄さが分かる」

 

「だから僕はエルヴィン団長には何か考えがあるんだと思ってる、それが何かは分からないけどね。」

 

「………ふーん」

 

私は興味無さげにしながらマルコの話をしっかり聞く。

なるほど。

 

「ねぇ、マルコ。あんただったらそんな危険な場所でエレンをどこに隠す?」

 

私は試しに聞いてみる。

 

「う〜んそうだなぁ……」

 

そう言ってマルコは地面に何かを描き出す

 

「これは調査兵団で使われている長距離索敵陣形なんだけど」

 

そう言ってマルコは解説を始めようとする。

 

ーーまてまて

 

「あんたなんでかけるんだよこんなもの」

 

私はマルコを呆れた目で見る。

 

「あはは……まぁ趣味みたいなものだよ。それでエレンの位置だよね」

 

そう言って解説を再開する。

 

「エレンほどの重要人物がまず前線にいることは考え辛い」

 

そう言って前方に斜線を引く。

 

「なら後方かと言えばそうじゃない、巨人が人間を追ってきて後方全線になるから。」

 

後方にも斜線を引く。

 

「そうなると中心付近にいるはず…けど多分それよりも少し後方じゃないかな。」

 

「前方より後方の方が安全に感じるし……まぁここら辺は人間心理みたいなものだからあんまり根拠はないけどね」

 

ーーなるほど、中央後方か……理屈で説明されるとそんな気がする。

 

するとマルコが顔を上げて私を見る。

 

「もしかしてアニはエレンが気になるのかい?」

 

「なら安心してもいいと思うよ、エレンはきっと人類で王の次に安全な

場所にいるから」

 

マルコが自信を持ってそういう。

 

「これは先輩に聞いた話で眉唾なんだけどね、なんでもケイン兵士長補佐官には不思議な力があるらしいんだ」

 

「不思議な力…?」

 

私は聞き返す。

 

「そう、一説だと「巨人の位置が分かる」とか、「人の死に際が分かる」とかなんだけど最有力なのは、「人の不幸が分かる力」なんだって。

なんでもケイン兵士長補佐官は巨人に襲われそうになった人の元にいつもいるらしい

まぁ、本当かどうかは知らないけどね。」

 

マルコはそういう。

 

「でもケイン兵士長補佐官はこの力で何人もの兵士を今までも救っているらしい。

前回のトロスト区奪還作戦でも救われた人は大勢いた。これは駐屯兵団に行った友達に聞いたから本当のことだと思う。」

 

ーーへぇ、そんなことが。

 

というよりこいつ本当になんなんだ。ライナー達よりもよほど有能じゃないか…

 

こいつの有能さにこの時の私は気を抜いていたのだ。

だからこんなことを聞いてしまった。

 

「ねぇ、もし、本当にもしもあんたが巨人だったとしたら、ケイン兵士長補佐官ににどうやって勝つ…?」

 

ーーあ、マズイ。

 

私は自分の失態を悟る。

 

ーーこれじゃあ私が巨人だと言ってるようなものじゃないか

 

「もしかしてアニって……」

 

マルコが私を見る

 

ーー殺すか?クソっ、完全に私のミスだ…!

 

「エレンのことが好きなの?」

 

「は、はぁ??何言ってんのあんた?」

 

私は予想外の質問に焦る。

 

ーーバカなのか?本当にバカなだけなのか?それとも私を信じきっているのか?

 

「だってさっきからエレンのことを心配してるみたいな口ぶりだし、ケイン兵士長補佐官が知性を持った巨人に勝てるか心配してるみたいだったから…」

 

そこまで気付いていて私の正体に気が付かないのはどうなんだ。

 

ーーでも……それだけ信用されているってことだよね…

 

「……そんなんじゃない、ただ……気になっただけ」

 

「そっか……」

 

マルコは唸る

 

「うーんそうだなぁケイン兵士長補佐官に勝てるかかぁ」

 

「超大型巨人や鎧の巨人みたいに特殊な能力があったら不意打ちで勝てるかもしれないけど……」

 

「それがなかったとしたら?」

 

私が聞くとマルコが即答する。

 

「うん、無理だね。逃げるしかない」

 

「あの人の強さは普通じゃないし、まず勝てない」

 

「でも」

 

ーーーー負けないことならできるかもしれない

 

 

私は今、壁外で巨人を引き連れて走っている。

 

ーーライナーはああ言ってたけど……

 

私はこの作戦を実行する前に事前にライナーからエレンの場所を報告してもらっていた。

 

右翼側にエレンがいる。

その情報を聞いた時、マルコの言葉が脳裏を過ぎる。余程のバカでなければそこにはエレンを置かない。

 

一応ライナーの言葉通り右翼側から攻めるがきっとエレンはいないだろう

エルヴィンはどうやらバカじゃないようだし

 

ーーマルコが言うには確か……中央後方

 

私が恐らくブラフだろう右翼側から攻めるのは単にライナー達を信頼しているとかそんな考えではない。

 

ーーマルコの話が本当だとするなら…きっと釣れるはず。

 

私、マルコを頼りすぎか…?いや、あいつが有能なのが悪い。

 

私は遂に右翼側の陣形を見つける、すると一頭の騎馬が突貫してくる。

 

ーー来た……あの悪魔だ……!!

 

私は奴が見えた瞬間に迂回する。

やつには勝てない、勝てたとしてもできるだけ戦いたくはない。

私の速度なら奴が追いつく前にエレンを捕まえて脱出できる。

 

そう考え私は陣形の中心に急ぐ。

 

道中に調査兵団と何回か戦ったが、急いでいたのでさっさと殺す。

逃げる奴は無視した。

 

ーー急げ、早く、早く。

 

 

陣形の中央部隊が巨大樹の森に入ったようだ。何故?しかし考えている時間はない。

私も後を追う。

道中に何度も何度も調査兵団が邪魔に入る。

極力手早く殺す。

そして。

 

ーーいた……!!

 

エレンを見つける。これでエレンを奪い、逃げれば私の勝ちだ…!

私は勝利を確信する。

 

ーーあと少し、あと少し…!

 

エレンに手が届くと思われたその瞬間だった。

 

「打てぇえええええ!!!」

 

ドババババババババ!!!!

 

私に何かが突き刺さる。咄嗟にうなじは守ったが私は身動きが取れなくなった。

 

ーー何が起きている?

 

まさかこれがマルコの言っていた「何か」か?

 

「リヴァイ、イザベル、ファーラン。よくやってくれた」

 

「あぁ、後列の犠牲がなければ成し遂げられなかった。」

 

「だがそのおかげで、こいつの中の奴と会える……中で小便チビってねぇといいがな」

 

ーーどうする?どうする?

 

硬質化で何とかうなじを守っているとエルヴィンが号令を出す

 

「発破用意!!!」

 

ーーまずい……!なら…!

 

アアアアアアア!!!

 

賭けになるが私は巨人を呼ぶ。

 

 

何とか脱出した後。

私はエレンを探す。

事前に用意した緑の信煙弾を発射することでエレン達を呼び寄せる。

緑は作戦成功の信煙弾だ。

 

ーー来た…!

 

1人を不意打ちで殺し、巨人化する。

 

しかし。

 

目を抉り取られる。

何も見えない。うなじを隠す。

 

腕の筋肉を削がれる。このままだとうなじを削がれるだろう

 

ーーけど、こいつらは知らない

 

私は普通の巨人とは違う、そこを突けば不意打ちで二人は殺せるだろう

 

しかし、片目を治した私が見た光景は急に方向転換し、私の目を狙うあの悪魔だった。

 

ーー時間を掛けすぎた…!

 

私はせっかく再生させた目を潰される。

再生力の集中はバレた。でもこいつは私が硬質化するところは見ていない。

恐らく次はうなじを狙う。

硬質化して無防備になった所ところを潰す。それしかない。

 

私はうなじを硬質化させる。

しかし、いつになっても攻撃が来ない。

 

ーーまさか避けられた…!?

 

まさかの回避に頭が混乱する。奥の手を二つ出しても潰された。

逃げようとしてもこの森林だ。ぶつかって足を止めたところで殺される。

 

ーー死ぬ……?

 

その時、私の頭の中に走馬灯のように今までの記憶が流れる。

 

ーーお父さん……ごめんなさい。

 

もう、こうするしか。

 

私はせめて敵に私の能力が奪われないよう自身を結晶化しようとする

 

 

 

 

「でも負けないことならできるかもしれない」

 

ーーこれは、あの時のマルコとの記憶だ

 

「はぁ?勝てないのに負けない??」

 

「うん」

 

私が訝し気に尋ねる、もしかすると有用なことかもしれない

 

「どうやって?」

 

するとマルコが得意げに自分の案を言う。

 

「こう、クルクル〜て回るんだ」

 

マルコがそう言って片足で回り始めた

 

「はぁ………遂に勉強のしすぎで頭が壊れたのか…ごめん、今まで強く当たって。私、結構アンタを有能な奴だって評価してたよ」

 

私はマルコに今までのことを謝る。まぁもう手遅れだろけど

するとマルコは慌てたように言う。

 

「ま、待ってよ!僕は至って真面目だよ!」

 

マルコが説明をし始める

 

「エレンが大岩を持ち上げたのはアニも見たよね?」

 

「あの時僕は思ったんだ。巨人って意外にも力があるんだって」

 

「それに加えて調査兵団のハンジ分隊長の報告書によると、巨人の身体はその見た目に反して軽いらしい」

 

「それを踏まえてもう一度考えてくれ」

 

「巨人が回るんだ、多分それは凄いスピードになると思う」

 

「その状態の巨人を君はどうやって倒すの?」

 

マルコが私に聞いてくる

 

「どうって……」

 

「恐らく立体機動装置のアンカーは刺さらない。うなじを削ごうとしても狙いは定まらない。そもそも回転する力でブレードが通るのかすら分からない」

 

マルコが得意げな顔をして言う

 

「ほら、負けない」

 

 

「ァアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙

 

ーーマルコ。嘘だったら許さないからね




マルコが有能になり、主人公とのパワーバランスを取ります。

次回は投稿されません。
リメイク版で文章を綺麗にしながら続きを書きます。
良ければお気に入り登録等お願いします。
https://syosetu.org/novel/261095/


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