三点着地系に目覚めたゼルダ無双 厄災の黙示録 (放仮ごdz)
しおりを挟む

三点着地系に目覚めた姫様

どうも、先日厄災の黙示録を購入してプレイして、終盤の展開からアベンジャーズシリーズを思い出したので合わせてみることにした放仮ごです。ゼルダがガーディアンで作ったアーマーを着込んで前線に飛び出す話。さすがに一発ネタ。多分続かない。楽しんでいただけたら幸いです。


 平原を埋め尽くす魔物の軍勢。迎え撃つはハイラル王国に仕える兵士たち。だが、いくら人間として強い部類だろうが、人間と亜人、魔物の差は歴然。打ち勝てるものが少数派で、多くの者が傷付き散って行く。私はハイラル王家の姫として、その光景を見るのが嫌だった。見るだけの自分が嫌だった。

 

 

 そこで目に付いたのが、研究中だった古代兵器ガーディアンの素材。鉄より遥かに軽く、鉄より頑丈という夢の材質。ロベリーがこれを用いた兵装を開発していると言っていたが、兵装では駄目だ。私は戦士じゃない、鎧を着た所で私は戦えない。だから力がいる。誰かを守れるぐらいに強くなるためにはどうすればいい?結論は簡単だった。纏えばいい。全身装甲の戦士だ。

 

 

 研究するために分解したガーディアンの装甲を人型に組み立て、古代のネジ、歯車、バネ、シャフトを噛み合うように組み込んでいく。それはまるでパズルの様で、少しワクワクした。か弱い私でも自由に動けるための動力は古代のコアを使おう。両腕両脚はガーディアンの伸縮自在なアームをそのまま活用し、胴体の中央と両手にはモノアイを利用したビーム兵器を搭載する。両足の先端にもビーム兵器を利用した、歩行を補助する装置を組み込む。ちょっとしたビームの反動でジャンプができるはずだ。

 

 

「うーん……一人で着込むにはさすがに重装備すぎますね…」

 

 

 自力で壁のラックに立てかけたそれに重なるようにして胴体の装甲を括りつけ、両足、両手と順に装着していく。そして最後に、ガーディアンの頭部を模した、口元だけ露出した兜を被れば装着完了だ。テストもなにもしてないが、性能は私の頭脳が保証している。行くしかない!

 

 

「行きます…!」

 

 

 一歩、踏み出す。スムーズに歩けたことに感動するが、それどころではない。今でも平原では兵士たちが戦ってるのだ。バルコニーまで出て、爪先立ちから踏み込むことをスイッチに足裏からビームを放ちその反動で跳躍。ひとっ跳びで平原まで着地する。目の前には、今にも魔物…ボコブリンに押し切られそうになっている兵士がいた。咄嗟に爪先立ちから踏み込み、右足裏から放たれたビームの反動で飛び膝蹴りをボコブリンに叩き込んで蹴り飛ばした。すごい、自分がしたとは思えない。

 

 

「だ、誰だか知らないが助かった…味方、なのか?」

 

 

 すると兵士は私が誰かわからないようで呆然としていたが、すぐさま体勢を立て直して訪ねてきた。声はそのままなのもあり、御父様に知られたくないので頷くことで返答。そのまま跳躍して敵陣に突っ込むことにした。

 

 

「てやぁああああ!」

 

 

 突如真ん中に飛び込んだ私に、ボコブリン達が木製の棍棒や槍を振るって袋叩きにしようとしてきたが、逆に木製の武器が砕け散り唖然となったところにパンチ。素人丸出しの拳はボコブリンの顔面をとらえて殴り飛ばし、後ろのボコブリンもまとめて薙ぎ払う。

 すると遠くから弓矢を構えるボコブリンが見えたので、掌を突き出して兜内部の照準を頼りに、ぶっつけ本番で右掌の眼球から青い光のレーザーを照射。遠くにいたボコブリン部隊を纏めて爆発で吹き飛ばした。す、すごい…想定より高威力だ、後から調整しないと。

 

 

「あれは…」

 

 

 すると兜のモニターがとある光景を映し出した。それは平原の中心で魔物の群れを相手に、盾に乗って地面を滑り剣を手にボコブリン達を吹き飛ばしていく一人の若い兵士の姿。多分、私と同じ年齢である少年剣士は盾から飛び降りて背に担ぐと岩を蹴って空中に飛び出し、高速で矢を乱射。次々と魔物に炸裂させて倒していく。才能を感じさせる凄まじい大活躍だった。しかしその背後から襲いかかるのは、炎を操る魔術師の様な魔物、ウィズローブ。咄嗟に跳躍して少年剣士の背後に飛び込んで炎を受け止める。熱く…ない!

 

 

「喰らいなさい!」

 

 

 返しに胸のコアに直結したモノアイからビームを放ち、ウィズローブは爆散。咄嗟に少年剣士が私にも剣を振るおうとしたが、アーマーにぶつかる寸前で寸止めされた。不思議そうに首をかしげる彼に、間近に感じた死の恐怖で動けない私。し、死ぬかと思った……。

 

 

「………姫様?」

 

「な、ナンノコトデショウカ」

 

 

 ば、ばれた!?声を出しただけで、こんな得体の知れない格好をした不審者を私だと断定するなんてどれだけ冷静なんですか!誤魔化せそうになかったので逃げる様に跳躍、その場から逃れて拳を地面に打ち付けるようにして三点着地。その衝撃波で周りのボコブリンを吹き飛ばす。

 

 

「てい!はあ!えいやぁあああ!」

 

 

 両手と胸部から次々とビームを放ち、近づくボコブリンを片っ端から吹き飛ばしていく。兵士たちも私をプルアたちの秘密兵器だとでも思ったのか、味方と判断してくれている。ありがたい。だけどこれだけの脅威を見せても突っ込んでくるとは、魔物たちの頭には恐怖も存在しないのだろうか。ボコブリンにビームの反動による裏拳や膝蹴りを叩き込みながらそんなことを考えていると、突如地響きとともに巨大な塔が平原に生えてきた。

 

 あそこは、さっきの少年剣士がいた付近……一体何が?跳躍して戻ってみると、私の側近でもあるハイラル執政補佐官の少女インパもそこにいて。少年剣士の手には件のシーカーストーンが握られていた。側には見覚えのない小さなガーディアンもいた。まさか、アレの力で何か古代遺跡が起動したとでも言うんですか…?すると塔と私を何度も交互に見返して大混乱しているインパ。何だか申し訳なくなってきた。

 

 

「いきなり塔が生えて、今度は人型のガーディアン!?プルアがまたなにかやらかしたっていうんですか!?」

 

「インパ」

 

「何ですか姫様!今私はですね…!」

 

「私です、インパ」

 

「え?その声……姫様?」

 

 

 この姿が私だと気付かず応えているインパに、意を決して正体を明かすことにした。兜を脱いで排熱しながら顔を晒すと目に見えて驚愕するインパ。表情豊かな彼女と違って彼は特に何の反応も見せないことがちょっと悔しい。

 

 

「え、あ、危ないですよ姫様。ここは戦場です!それにそんな恰好で一体どういうおつもりか!」

 

「これは自作のガーディアンアーマー試作機。私を守り、他者をも守ることができる鎧です。急造品ではありますが性能は折り紙つき。兵士たちだけに戦わせるなど黙って見ていられるわけがありません!私も戦います!」

 

「姫様が前線に出ていることが知られたら兵士たちはパニックになることをご理解できないのですか!?それに王にばれたらなんて言われるか……」

 

「ばれなければいいのでしょう?そのための兜です。これを外さなければ貴方も分からなかったでしょう?」

 

「ここに兵士の一人がいるのですが…ほら、ビックリしすぎて一言も喋りませんよ!」

 

「それは多分、彼が無口だからかと…」

 

「ええ………」

 

 

 がっくり肩を落としながら視線を向けるインパに、無言で頷く少年剣士。これ以上お小言を言われたくなかったので、兜を被り直して後ろ髪を靡かせながら跳躍。再び敵陣に突っ込む。着地する寸前に右掌からビームを放つ準備をして、着地と同時に地面に叩きつけてビームを発射。爆風の衝撃波でボコブリンを纏めて薙ぎ払い、拳を握る。目の前には、ボコブリンよりも強い魔物であるモリブリンが二体迫っていて。

 

 

「っ…!?」

 

 

 振り下ろされる私の身の丈はある棍棒を、両腕を交差して受け止める。想定外のパワーを受け止めたせいかアーマーの各部位が嫌な音を鳴らしてパワーダウン、たまらず片膝をつく。急造品だからロクな調整もしてないつけがここにきて…!まずい、もう一体の攻撃が横から…!?

 

 

「姫様!……追いかけますよ、そこの人!守らなければ…ってはやっ!?」

 

 

 すると少年剣士が前を走っていたインパをあっさりと抜いて疾走、追いかけてきて私を守るように加勢。もう一体のモリブリンの攻撃を盾で受け止めたばかりか、弾き飛ばしてしまう。体勢が崩れたモリブリンにそのまま一閃。あっさりと首を斬り飛ばしてしまった少年剣士に、負けてられないとばかりに力を込めて棍棒を押し上げ、胸部にエネルギーを溜めて放射。モリブリンを爆散させた。反動を堪えきれずに尻餅をつき、周りに少年剣士とインパ以外いないことを確認すると兜を脱いで排熱する。

 

 

「はあ、はあ……助かりました。お名前を聞かせてもらっても?」

 

「…リンク。ハテノ村のリンク」

 

 

 それが私と彼、リンクとの初邂逅だった。……しかし、このガーディアンアーマー、発想はいいと思ってましたがやはり技術者ではない私では稚拙な造り過ぎましたか。…ロベリーとプルアのコンビに打ち明けて手伝ってもらうのはいいかもしれませんね。あとはどうやってインパのお説教を逃れるか……甘んじて受けるしかなさそうですね、はあ。




・ガーディアンアーマーマーク1
アークリアクターは古のコアで代用。リパルサーレイやユニビームはガーディアンのモノアイを使用。鉄より堅く水に浮くぐらい軽いガーディアン製なので非力なゼルダでも自由に動かせ、木製のもので攻撃されても逆に破壊できる。アイアンマンマーク1と同じく直線的にしか飛べないけど跳躍という形で連発が可能。急造品なので予想外のパワーを受けるとガタがくる。見た目はゴテゴテした古代兵装リンクの格好をしたゼルダ。

多分続かないけど人気が出たらワンチャン書きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様VSガーディアン

どうも、放仮ごです。なんか続きました。評価9を三つももらったらやる気が出ますありがとうございます。楽しんでいただけたら幸いです。


「姫様~。危険ですからやめましょうよ~」

 

「いいえ、インパ!プルアとロベリーに協力を申し出るのですから持っていきませんと!」

 

 

 終焉の谷と呼ばれる谷を抜けた先に王家直属の古代研究所がある。そこの研究員であるプルアとロベリーに謎の小型ガーディアンを調べるついでにアーマーを見てもらうために私は護衛のリンクと数人の兵士に件の小型ガーディアン、そして一緒にアーマーを入れたカバンを持ってくれているインパを連れて終焉の谷を進んでいた。終焉の谷はガーディアン発掘の前線地域なため、発掘途中のガーディアンがそこかしこにある。使えそうな残骸があれば拾っていきたいところだ。

 

 

「見た目より軽いのはいいですけど、……大きな声では言えませんけど姫様が戦う必要はありませんってば」

 

「いいえ、いいえインパ!ほら、この子だって賛成してます!」

 

「喋らないのをいいことに何勝手なこと言ってるんですか!?ほら、貴方も…逃げるな!」

 

 

 足元を歩く小型ガーディアンも賛成していると主張し、それに反対したインパが触れようとしたら小型ガーディアンは離れてしまう。私には懐いているようだが他の人だとよそよそしいのは何故だろう。

 

 

「この子は何故、私を慕ってくれるのでしょう………貴方は何者なの?」

 

 

 そう問いかけてみるも、ピコピコと頭部の突起を動かして電子音を鳴らすだけでよくわからない。

 

 

「研究所でロベリーたちに解析してもらわないことには始まりませんね」

 

「そうですね、姫様」

 

 

 そう、荷物を持つ手に力を込め直したその時だった。何かが起動する音と共に、私に向けて赤い光がさしたのは。

 

 

「これは…!?」

 

「姫!」

 

 

 それが照準光だと気付いた時には、赤黒い靄に包まれ赤く不気味に発光する採掘途中のガーディアンのモノアイからビームが放たれ、それは咄嗟に前に飛び出していたリンクが盾で弾き返した。

 

 

「ガーディアンが、なぜ…!?」

 

「…来ます!」

 

 

 リンクが私の手を握って走り出す。背後では、ガーディアンが足を伸ばして動き始めていて…古代研究所に急ぐも、道の先からは魔物の群れがやってきていて。

 

 

「こんな時に魔物まで…!」

 

「インパ、時間を稼いでください!」

 

「まさか、姫様?あーもう、どうにでもなれー!」

 

 

 小型ガーディアンとリンクが私を守ろうと立ちはだかるが、私を守っていたらガーディアンに追い付かれてしまう。私のアーマーなら、ガーディアンの相手もできるはずだ。リンクと兵士たちが魔物の群れに立ち向かう中、私はインパに手伝ってもらってその場で鞄を開いて中身であるアーマーを着込んでいく。修理はしたので大丈夫なはずだ。兵士たちに「謎の全身装甲の戦士」の正体がばれてしまうかもしれないが、その時は全員に口止めをすればいい話だ。

 

 

「姫様。やはり私がそれを装着して…!」

 

「それでは私が足手まといになります。インパはリンク達と共に魔物の相手をお願い。私は、ガーディアンを!」

 

「ガーディアンと戦うつもりですか!?さすがに無茶ですよ!」

 

「あんなのが暴れたらみんな死んでしまいます!ガーディアンの力は敵に回せば恐ろしいものになる筈です!」

 

 

 インパの制止を振り切り、兜を装着して全身を駆動。足裏からのビームで跳躍して、こちらに向かって来ていたガーディアンに組み付いた。頭部をグルグル振り回して私を振り落とそうとするガーディアン。右手の指を装甲に喰い込ませて何とか耐えつつ、左掌のモノアイを突きつけて零距離からビームを連続で発射。何とか頭部を破壊しようと試みる。

 

 

「え?キャアァアアアアアア!?」

 

 

 しかし小型ガーディアンのモノアイを使用しているからかビクともせず、ガーディアンのアームの一本に背中を掴まれて引き剥がされ、大きく投げ飛ばされる。両手からビームを背後に向けて照射して勢いを殺して着地。するとガーディアンは高速でアームを動かして突進してきて、両手を突き出して受け止める。凄まじいパワーに、また全身のパーツが悲鳴を上げている。耐久度は本当に今後の課題ですね…!

 

 

「くっ…!」

 

 

 ガーディアンが自ら引いて肩すかしになったかと思えば、上に伸ばされたアーム二本が振り下ろされ、連続で殴られるのを両腕を交差して頭を庇い耐え続け、二本のアームを同時に振り下ろして叩き潰そうとしてきたので、受け止めると同時に両足の裏からビームを放ってその反動で押し上げ、ガーディアンの巨体をひっくり返す。そのまま露出した裏のコアと思われる部分にビームを放ち、ダメージを与えることに成功した。

 

 

「そんなのありですか…!?」

 

 

 するとガーディアンはアームを駆使して起き上がり、まるで独楽を巻く様に身を絞ると高速回転。連続でアームによる攻撃を受け、大きく吹き飛ばされる。ちょうどそこは、リンクやインパが奮闘している拠点の一つで。

 

 

「姫!?」

 

「姫様!?ほら、言わんこっちゃない!」

 

「みんな、離れて!」

 

 

 驚くリンクとインパには目もくれず、こちらにズンズンと歩み寄ってくるガーディアンが照準光を私に向けたのを確認するなり前に飛び出し、両腕を交差。その瞬間ビームが放たれ、私の両腕の装甲に炸裂させて大破と共に爆発。私は大きく吹き飛ばされて岩肌に叩きつけられる。

 

 

「ぐっ……被害甚大。両腕の装備は使い物になりませんか」

 

 

 しかも両腕が焼けたように痛い。装甲を突き破って私本体にもダメージが届いたらしい。迫るガーディアン。私を守るように立ち向かうリンクとインパ。どうしましょう、これではみんなを守れない…!その時、聞こえたのは小型ガーディアンの電子音。同時に兜のモニターに何かが読み込まれて表示される。それはU字磁石、爆弾、氷柱、錠前と、インパとリンクから聞いたシーカーストーンのアイテムそのものだった。

 

 

「もしかして、貴方が…?いや、考えている場合じゃない!」

 

 

 胸部にエネルギーを集中させつつ、足裏からのビームで跳躍し飛び出す。今にもビームを放とうとしていたガーディアンに、目線で選んだ錠前…ビタロックを発動と同時に両腕の装備が壊れているので飛び蹴りを叩き込む。

 

 

「ビタロック!」

 

 

 黄色い光の鎖で拘束され時が止まったガーディアンに、私がしたことに気付いたリンクとインパが怒涛の連続攻撃を叩き込んでいく。兵士の一人から槍を受け取ったリンクの怒涛の連続突きがアームに突き刺さって行き、シーカー族の忍術で分身したインパ7人の連続攻撃が他のアームも攻撃していき、私も両手に出現させた青く輝く爆弾を炸裂させていく。

 

 

「リモコンバクダン!」

 

 

 そしてビタロックの拘束が時間切れで解かれると同時に蓄積された衝撃が伝わり、アーム全てが破壊されて身動きが取れず転がるガーディアン。それ幸いと視線で次のアイテムを選び、近くの資材から鉄箱を磁力で持ち上げる。

 

 

「マグネキャッチ!」

 

 

 そのまま連続で頭部を殴りつけ、ガーディアンが唯一できる反撃であるビーム発射を妨害。最後に鉄箱を頭上から勢いよく叩き付け、鉄箱が壊れると共に両手を突き出して最後のアイテムを選択。氷の柱を地面から出現させてガーディアンを大きく打ち上げる。

 

 

「アイスメーカー!からの……!」

 

 

 そして胸部のモノアイに溜め続けていたエネルギーをモノアイから全て照射。極太のビームとなって撃ちぬいたガーディアンは、内側から青い光を放出して爆散した。

 

 

「やった…!」

 

「姫様!まったくもう、無茶をして……怪我してるじゃないですか!早く研究所で治療を…!」

 

「ですね…もう、脱ぐのも疲れました…このままでいきましょう」

 

「ええ……」

 

 

 兵士たちに私の事がばれてヒソヒソ話をされているが、気にすることではないだろう。今はそれよりも、プルア達の元に………。ようやく辿り着いた古代研究所に入る私達を、遠くから見ていた黒い小型ガーディアンがいたことを私達は最後まで知らなかった。




ガーディアン相手はさすがに同じ素材だけど規格が違いすぎるため劣勢にならざるを得ない。
小型ガーディアンの協力でシーカーアイテムを使える様になりました。多分続くので、次回も楽しみにしていただけたら幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様、新調する

どうも、放仮ごです。赤評価をいただきましたありがとうございます。今回は名前が決まったり改良したり。楽しんでいただけたら幸いです。


「チェッキー!なにそれ姫様!イカしてるぅ!」

 

「アメイジング!アイアンマンの正体が姫様だとは!」

 

「あはは…」

 

 

 王立古代研究所につくなり目を輝かせて歓迎するプルアとロベリー。興味深そうに私が装着したままのアーマーをぺたぺた触っている。

 

 

「ほーん、ほーん。姫様には重いはずのガーディアンの装甲を内部機構で動かしてるのかー。これは思いつかなかったなあ。しかもパワーアシストも可能とは。やるわね」

 

「それだけじゃないぞ女史よ。ミーが作ってる古代兵装・鎧を思わせる造形と思いきや、ガーディアンのモノアイを四肢と胸部に装着して機動力とパワーを補っている!素晴らしい発想だ!」

 

「そ、そんなに褒められると照れます……アイアンマンとは?」

 

 

 気になってたことを問いかける。アイアンマン……何故かしっくりきた。

 

 

「正体不明で一見鉄の男だったから仮名として名付けた名前よ。中身が姫様とは思わなかったけど」

 

「厳密には100%ガーディアン製なので鉄ではないのですが…しっくりきますね」

 

「エネルギー源は胸部の古代のコアか。古代の巨大なコアを組み込めればさらなる出力を引き出せるな…」

 

「背部ユニットを作ってそこに組み込むのがいいわね。造形は大きく崩さない方がいいかも」

 

 

 私を無視してペタペタとスーツに触れて案を出していくプルアとロベリーに少し嬉しく思うが、生憎と今日はこれだけじゃないのだ。

 

 

「あの!調べて欲しい物があってきました!」

 

「あら?アイアンマンの事じゃなくて?」

 

「ワッツ?」

 

 

 疑問符を浮かべる二人に、小型ガーディアンを持ち上げて差し出すと分かりやすく目を輝かせた。

 

 

「アイアンマンのことも大事ですが、それよりもこの子の正体を知りたいのです」

 

「なにこの小さなガーディアン!可愛い!初めまして、チェッキー!」

 

「見たこともないガーディアンとは!調べ甲斐があるというもの!」

 

 

 二人が奥に行って小型ガーディアンの事を調べている間に、私はインパとリンクに手伝ってもらってアーマー……プルアとロベリー命名「アイアンマン」を脱いで、両腕の治療を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これには、古代エネルギーと未知の技術が使われている……時空を超える程のエネルギーの使用を可能とする代物!つまり……これはミーの知らない全く新しい型のガ~ディアンである!」

 

 

 机に小型ガーディアンを置いてポーズを決めてそう宣言するロベリー。時空を超える……そんな凄まじいテクノロジーが小さなこの子に…?確かに、リンクの持つシーカーストーンのアイテムをインパや私にも使えるようになってましたが…

 

 

「特にシーカーストーンを含めた古代遺物の力を増幅させる機能は、その技術の一端にすぎません。恐らく姫様のアーマーにもこの力を作用したはずです!」

 

「なるほど。だから私達までシーカーストーンの機能を…」

 

「アーマーの兜内部にシーカーストーンのアイテムが表示され使用できたのがそれですか…」

 

「その上!この中にはウィらが想像もできないインフォメーション…情報が眠っていたのです」

 

「ハーイ!チェッキー!」

 

 

 するとリンクからシーカーストーンを受け取って何やら解析していたプルアもポーズを決めながらやってくる。この二人のノリは未来を行き過ぎていてついていけません…。

 

 

「…ノリが悪いなー。このガーディアンに記録されていたウツシエをいくつか取り出してみたよ」

 

「これは…!?」

 

 

 渡されたシーカーストーンに映っていたのは、燃えるハイラル城と城下町の光景だった。

 

 

「うん。まず間違いなく厄災復活直後のハイラル城、と言っていいね」

 

「内部から情報を取りだしたはいいもののその大部分が破損しており……ですが、今後解析を進めればまた何か判るかもしれません」

 

「これが…厄災が復活した後のハイラルの姿…?私が封印の力を手にしなければこれと同じ未来が…?こうなってしまったらもうハイラルを救う事など……」

 

「これまで考えてきた対策のみでは足りないのでしょうか…」

 

「…いいえ、いいえ!何を弱気になってるんですか、私!何のためにアーマーを開発したのですか!封印の力がなくともハイラルを守るためでしょう!」

 

 

 そうだ、封印の力を引き出す方法が分からない。足手まといになるかもしれない。それを脱却するために考えて作ったんだ。お父様の期待を裏切ることになるかもしれないが、私は私にできる最善を行う!

 

 

「なんと、あの大発明はそのために…?」

 

「確かに、私達の研究をもってしても姫様の持つと言われる封印の力を引き出すことは叶わなかったけど…確かに、あの装備なら厄災にも対抗できるかもしれない…」

 

「プルア!ロベリー!命令です、私の持ち込んだアーマーを改造してパワーアップを施します、手伝ってください!」

 

「もちのろんよ、姫様。……もちのろんなんて言葉若者が使うだろうか…」

 

「イエス!ミーらの知識と技術、姫様の発想が合わさればインビンシブル!無敵ですとも!」

 

 

 隣でインパが呆れているが、こちらとしては死活問題だ。あ、あともう一つ。

 

 

「それと、パワーアップ後アイアンマンと仮称したアーマーの量産を命じます!私なんかで一つ作れたのです、二人なら楽勝、ですよね?」

 

「それって…兵士たちにも使わせるってこと?」

 

「たしかに姫様でもガーディアンと戦えるとなるとかなりの戦力アップになりますが…」

 

「はい!名づけて鉄の軍団…アイアンソルジャー計画です!」

 

「「おお!」」

 

 

 三人で盛り上がり、大きな紙を取りだして設計図を描く。材料はこの研究所には豊富にある。城で作った物より完璧に近い物が作れるはずだ。

 

 

「おお、じゃありませんよ。陛下になんと伝えれば…いえ、姫様から口止めされているんでした。私はどうすれば…!?」

 

「…」

 

 

 隣で私の従者二人が頭を抱えていたが、見なかったことにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから半日かけて。最初に作ったマーク1、自力で改良したもののガーディアン戦で半壊したマーク2に続く完成形……マーク3が遂に完成した。

 

 

「デザインの大本はロベリーの古代兵装・鎧を使用!」

 

「まず頭部!エネルギー残量、各部位の状態を確認可能、シーカーアイテムの使用可能他、内部モニターを使った外敵識別機能を付与!危険度も表示!」

 

「また、この研究所で再現した超大型シーカーストーンでリアルタイムでこちらがモニター、通信音声で姫様をサポート!」

 

「さらに砂埃や毒ガスなどを防ぐため、下半分が露出している状態と、兜側面部に内蔵した変形機構を用いて瞬時に装着可能な高性能マスクにより夢の全身装甲アーマーに!」

 

「背部ユニットには古代の巨大なコアを設置。エネルギーは以前の300%以上を使用可能!」

 

「胴体と四肢には以前と同じくガーディアンのモノアイを装着!ビームの威力を微調整することも可能に!胴体のモノアイは大型ガーディアンと同じ威力の出力の名付けて「ユニビーム」を発射可能!」

 

「また、両腕のビーム発射機構は飛行補助機構も兼任、両足裏のモノアイはビーム発射後に、ウィズローブの炎の結晶を用いて炎を噴射することで中距離の空中を飛行可能に!要改良!」

 

「装甲以外の部位は歯車やらを使用した駆動機構を内蔵してスムーズに活動できるガーディアンのアームを用いた、紺色に塗った特殊スーツを使用!モリブリンの棍棒程度ではビクともしない防御力!」

 

「また、背部ユニットに内蔵したウィズローブの氷の結晶を用いたクーラー機能も完備!例えオルディン地方の火口近くでも快適な活動を保証!」

 

「着心地はどうです、姫様?」

 

「はい、最高です!思った通りに動けます!」

 

 

 裏庭で完成したアイアンマンマーク3(仮称)で実際に飛行してみて、思った通りに空を飛べることに感動を覚える。ハラハラ見守るインパとリンクに手を振る余裕もあるぐらいだ。

 

 

「でもアイアンマンって名前はいいけど姫様には合わないわね。姫様専用のだけ名前を変えましょうか」

 

「アイアンプリンセス…うーむ、違うな。姫…王女…乙女…メイデン?」

 

「それよロベリー!アイアンメイデン!語呂も美しいわ!なんか串刺しにされそうな名前だけど!」

 

「さすがプルア女史!ナイスネーミングだ!」

 

「いいですね、アイアンメイデン。いい名前だと思います!」

 

 

 そうして私のアーマー。私を守り、他者を守り、戦える力。アイアンメイデンは完成したのだった。




プルアとロベリーが便利すぎて色々多機能になったマーク3。姫様が着たらアイアンメイデン、それ以外だとアイアンマン、纏めてアイアンソルジャー軍団と呼称します。

次回も楽しみにしていただけたら幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様、ゾーラの里に向かう

どうも、放仮ごです。ハイラルって横文字あるみたいだけど文化ってどうなってるのかなって思ったりしてます。むしろゼルダ世界におけるアメリカ的な国なのかな。

今回は二人の王様との会合。そしてマーク3初陣。楽しんでいただけたら幸いです。


 テストを終えて取り外したアーマー「アイアンメイデン」を専用の鞄に入れて帰路についた私たち。厄災ガノンを封印するには退魔の剣とハイラルの姫…即ち私が宿すという封印の力、そして各地で掘り出された四神獣の力が必要不可欠。だがしかし退魔の剣が眠るコログの森は魔物の手に落ち、封印の力は目覚める兆しすらない。アイアンメイデンを作ったとはいえ、現実逃避に過ぎないのだ。

 

 それでもまずは四神獣の繰り手を揃えるべく、私とインパ、そして先の活躍で私付きの騎士に抜擢されたリンクを使者として、各部族から選び出された四人の候補者の元に向かうことになったのだが、その矢先に父に呼び出されてしまった。何を言われるか、理由がありすぎる。どうしましょう……。

 

 

 

 リンクとインパが後ろに控え、小型ガーディアンが私の周りを歩き回る中で、黙っていた父が口を開いた。

 

 

「…得体の知れぬ遺物を連れ歩くつもりか」

 

「はい。プルアとロベリーとも話して、その方が良いと…」

 

「…………これはお前を護衛していた兵士からの報告だが、先の戦場に現れた鉄の騎士……あれはお前だとは、まことか?」

 

「っ!」

 

 

 小型ガーディアンについての事を聞かれて油断していたら本題が放り込まれて息を呑む。私なんかの口止めでは効果はなかったか。それもそうだ。…役立たずの姫なんかの命令よりも王を優先するのは道理だ。

 

 

「図星の様だな。何を考えている。姫であるお前が前線に出る必要はない。そんなことをする暇があれば、封印の力を…」

 

「いえ、いいえ!お父様!これは無駄なことではありません!一般兵士用の量産も始めています!私の作ったアーマー「アイアンマン」は暴走したガーディアンとも渡り合える性能を持っています!兵士一人一人に普及できれば、封印することなくガノンを倒すことだって可能かもしれません!私の、目覚めない力を当てにするよりは確実に……」

 

「そんな絵空事を頼りにすることはできぬ!確実なのは封印の力なのだ!お前はそれを引き出すことだけに集中すればよい!」

 

「いいえ!私が私を信用できないのです!代わりとなるアイアンマン軍団は必要です!なにより、私はもう、自分で身を守れます!それも不要だとおっしゃるのですか!」

 

「むう…」

 

 

 アイアンマンの利点を必死に説得する。これまで否定されたら、私はもう、耐えられない。それを察したのか、それとも諦めたのか、お父様は溜め息を吐き。

 

 

「今一度言うておく。努々、己が使命を忘れるでないぞ。よいな」

 

「自分の役割は判っています。…まだ、封印の力を諦めた訳ではありません。そちらも、頑張ります」

 

「…必ず果たします、ぐらいは言ってほしかったものだな。よい。お前の言う「アイアンマン」とやらもプルアたちと相談して軍に伝えよう。行け、ゼルダ。今はやるべきことをやるのだ」

 

「はい、お父様。行ってきます」

 

 

そうして私たちは旅立った。自分の使命から逃げる様に、いえ逃げ出したことは否定しない。役立たずの姫でありたくない。今の私は、アイアンメイデンに頼るしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゾーラ族。ラネール地方にあるゾーラの里に暮らす、他の種族に比べて非常に長命な水の民。その王女であり他者の傷を癒す力を持つミファーと言う少女が水の神獣ヴァ・ルッタの繰り手に選ばれた。その許しを請うべく私達はゾーラの里に赴き、ゾーラ族の王ドレファンに謁見することになったのだが……

 

 

「我が娘ミファーを神獣の繰り手に…」

 

「はい。ミファーならばきっと、大事を為してくれるだろうと王も申しておりました」

 

 

 他のゾーラ族に比べても大柄なドレファン王の迫力に少々臆しながらも用件を伝えるも、ドレファン王の反応はあまりよくないものだった。

 

 

「ふむ…だが神獣を操り厄災を封ずるという大役には相応の危険が伴う。退魔の騎士も現れず、そなたの力も覚醒せず、厄災への備えはまだ整っておらんと聞いたゾヨ」

 

「それについてなんですが、ご覧に入れたいものがあります」

 

 

 そう言って側に控えていたインパに目線を送り、頷いた彼女が手にしていた鞄を開けてアイアンメイデンをドレファン王に見せる。ちなみにリンクは幼馴染だと言うミファーの元にいる。小型ガーディアンも一緒だ。

 

 

「それは…なにゾヨ?」

 

「ガーディアンを利用して作成した特殊なアーマー、名を「アイアンマン」といいます。非力な私でも、これを身に纏えば魔物と戦うことも可能となります。現在はこれを量産する準備をしていまして、兵士一人一人に支給される予定です。また、許可さえいただければゾーラ族専用のアーマーを作る計画も立てております」

 

「ほう?聞かせてみるゾヨ」

 

「ゾーラ族が苦手とする電気を完全に遮断することが主な特徴です。水中でも邪魔にならず、さらに電気も通さない…あなた方の理想とする鎧になると自負しております」

 

「なるほど。厄災への備えは別アプローチで揃えていると、そう言いたい訳ゾナ。だが、それとこれとは話が別ゾヨ。娘を危険な戦いに赴かせるわけには…」

 

「ですが…」

 

「ドレファン様!ご報告が!」

 

 

 そこにやってきたのはゾーラの一般兵。焦っていることから急いでここまで来たことが目に見える。何事だろうか?

 

 

「雷獣山より現れた魔物の群れが里に迫っています!あまりにも多く、止めきれません!」

 

「よし、わし自ら指揮をとる!着いて参れ!…ゼルダ姫よ、ご助力を願う。そなたの言うアーマーの力、見せてくれゾヨ」

 

「はい…!インパ、準備を!」

 

「無茶だけはしないでくださいね、姫様!」

 

 

 インパに手伝ってもらい、アイアンメイデンマーク3を装着。足裏からビームを放って宙に浮かび、炎を噴き出して推進力としひとっ飛びで戦場に向かう。途中で同じく戦場に向かうミファーとリンクと合流した。

 

 

「リンク!ミファー!」

 

「姫様!弟のシドが行方知れずで…私は里の皆を治癒して回りながらシドを探す。リンクと姫様たちは援護をお願い!」

 

「判りました。ミファーを援護しながら敵の流れを食い止めて行きましょう」

 

 

 そのまま飛んでいき、エレキウィズローブに襲われているゾーラ族の兵士を見つけて急降下。空から後頭部を殴りつけ、エレキウィズローブを地面に叩きつける。すると兜の内部モニターにプルアの顔が映る。そういえばサポートしてくれるって言ってましたっけ。

 

 

≪「チェッキー!姫様!さっそく戦闘みたいだけど、そのアーマーは帯電仕様じゃないから気を付けて!普通に痺れるわよ!」≫

 

「了解です!遠距離に徹します!」

 

 

 体勢を立て直したエレキウィズローブの振るったロッドから飛ばしてきた電気の球を、足裏からビームを出して跳躍することで回避。空中に留まり、掌のモノアイからビームを放つがひらりと避けられる。ビタロックで動きを止めるか……そう考えている間に放たれていた電気の球が目の前まで迫る。まずい…!?

 

 

「姫!」

 

 

 その瞬間、クルクル回って飛んできたナベの蓋が電気の球を防ぎ、跳躍してきたリンクが手にした訓練兵の木剣を一閃してエレキウィズローブを斬り飛ばしてしまった。え、木製の剣で魔物を斬り飛ばしました、今?

 

 

「リンク、それは…?」

 

「…ラネール地方には電気を使う魔物が多いと聞いたので、金属製の武器では姫様を守れないと思い用意しました。切れ味は金属製にも劣りません」

 

「助かりました。リンク、インパ。手分けしてゾーラ族の兵士を助けます。私の安全よりもそちらを優先してください。電気以外なら何とかなりますので」

 

「承知」

 

「今は確かにそちらを優先すべきですね…わかりました。無茶はしないで下さいよ、姫様!」

 

「いいえ、いいえ!切り立った崖が目立つここでは私の独壇場です!」

 

 

 中距離とはいえ空を飛べるようになったのがデカい。空を飛んで上空から兜のモニター表示機能を利用して索敵、危なそうなところに飛び込み、ビームを放って蹴散らしていく。エレキウィズローブ、雷のモリブリンなど電気属性を持つ魔物が多いが、距離を取ればあまり怖くはない。そうして救援を続けていたら、伝令が聞こえた。シド王子が雷獣山にてライネルに襲われていると。一番早く駆けつけられるのは私だった。

 

 

「させません!」

 

 

 雷獣山に近づくと、槍を手に必死に威嚇しているものの今にも襲われそうになっている子供のゾーラ族が。あれがシド王子だと辺りを付けて、間に割り込み剣の一撃を両腕の装甲で受け止める。衝撃が伝わってくるがこちらのダメージは少ない。

 

 

≪「一番弱い赤髪ライネルだし両腕は特別頑丈に作ってるから耐えれたけど、まともに喰らったら耐えられないよ姫様!無茶しないで逃げた方が…」≫

 

「いいえ、プルア。シド王子を連れて逃げれば撃ち落とされます。でもこのマーク3ならば…!」

 

 

 誰かを守れるように作ったアーマーだ。例えハイラル最強と謳われる種族であるライネルが相手だろうとも守って見せる、必ず!




J.A.R.V.I.S.みたいな高性能AIは100年後のシーカーレンジのチェリーちゃんぐらいしかいないのでプルアが担当。シーカーストーンが融通聞いたらいいんですけどね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様VSライネル

どうも、放仮ごです。今回のライネル戦はインフィニティウォーのアイアンマンVS MCUカル・オブシディアン戦を意識して書きました。

今回はアイアンメイデンマーク3VSライネル。楽しんでいただけたら幸いです。


「はああ!」

 

 

 シド王子から距離を離すために、空に舞い上がって注意を惹き、両掌のモノアイからビームを照射。何とかライネルの体力を削って行くが、ライネルは物ともせずに弓に電気の矢を三本番え、空にいる私目掛けて射出。

 

 

「くっ…なんて射撃精度ですか!?」

 

 

 なんとか避けようと試みるが、避けきれずに被弾。電撃がアーマーを駆け巡り、兜のモニターが点滅し足裏のモノアイがショートを起こして落下してしまったところにライネルの突進が炸裂したのか強烈な衝撃と共に横に吹き飛んで岩肌に激突。崩れ落ちてしまう。

 

 

≪「姫様!尋常じゃないダメージだよ!このままだと、装甲が持たない!」≫

 

「ぐう…とにかく復旧を…」

 

 

 ガンガンと兜を叩いて点滅するモニターから復旧し、剣と盾を構え直したライネルに身構える。飛行は…モニターの状態を見る限り無理そうだ。

 

 

「ウガァアアアア!」

 

 

 突撃してくるライネル。私は両足のモノアイからビームを放って跳躍、拳をライネルの顎に叩きつけて怯ませる。ダウンしたライネルにビームの勢いを利用して裏拳と膝蹴りを交互に打ち付け、さらに両手のビームをライネルの前足に照射してジリジリと攻撃。剣の薙ぎ払いを足裏からのビームで真横に跳躍して逃れる。

 

 

「本で読み齧っただけですがヒット&アウェイ戦法でなら…!」

 

≪「壊れたらそのまま直せないのが課題点ね。空を飛ぶのは無理そうよ」≫

 

「問題ありません。跳ぶことはできるのですから!」

 

 

 ライネルの剣の振り下ろしを、足裏からのビームによる跳躍で回避。そのまま踏み込んで再度足裏のビームで跳躍。勢いのまま拳をその顔面に叩きつける。

 

 

「よしっ!」

 

≪「わー、姫様アグレッシブ…うん?膨大な熱源反応!来るよ姫様!警戒!」≫

 

「え?」

 

 

 私の拳を受けてライネルが大きく後退して、してやったりと思っていたらプルアから警告の声が。見れば、大きく息を吸い込んだライネルが口から炎を溢れさせて…不味い!咄嗟に視線でシーカーアイテムを起動して爆弾のマークを選ぶ。モニターのライネルの上部に爆弾のマークが浮かぶのはそれを使えってことでいいはずだ。

 

 

「リモコンバクダン!」

 

 

 掌に出現する掌大の青い球体を投げつけ、ライネルが炎を放とうとした瞬間に起爆。再びダウンさせることに成功する。

 

 

「チャンスです!」

 

 

 私は跳躍してライネルの頭部の角を掴み、さらに足裏からのビームで加速して一回転。ライネルの巨体を巴投げの要領で地面に頭から叩きつける。パワーアシストのおかげで可能な動きだ。しかしそれでも立ち上がるライネル。なんてタフネスだ。

 

 

≪「姫様、無理な動きしたから腕部のパワーアシストに障害が…聞いてる!?」≫

 

「っ…ハアァアアア!」

 

 

 後ろで怯えるシド王子を見て覚悟を決め、再度跳躍して拳を繰り出すも、先ほどまでのパワーを出せずシールドバッシュを受けて背中から地面に叩き落とされてしまう。バキンッと何かが砕けた音が聞こえた。

 

 

≪「背部ユニット大破!古代の巨大なコア破損!パワーアシストが切れた!姫様、これ以上は不味いって!離脱して!」≫

 

「くっ…ですが、逃げようにも…」

 

 

 プルアの声と共にモニターに映し出される各機能が限界値を迎えていることを表示し、アラートが鳴り響く。スーツはもう限界、立つのもやっとだ。それでも…!誰かを、守るぐらいは…!ライネルとシド王子の間に立ちはだかる。するとライネルは鼻で笑って剣を振り上げた。

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

 ライネルの剣の一撃が胸部装甲を叩き割り、吹き飛ばされてしまう。意識が…遠のいて…そんな私を受け止めたのは、水のクッションだった。受け止められた私を追撃する様に放たれた炎は、間に割って入ったリンクがナベの蓋で炎を弾き飛ばすという信じられない事をして防ぎ、空中から分身を引き連れたインパがムササビの様に急襲。私の前に、リンク、インパ、そしてミファーが並び立つ。

 

 

「っ!」

 

「ご無事ですか、姫様!」

 

「姫様、こんなにボロボロになって…ありがとう。ライネル…姫様にも、シドにも、これ以上指一本触れさせない!」

 

 

 そこで私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、ゾーラの里の宿のプールベッドで目を覚ました私は、事の顛末を聞いた。ライネルはリンクの活躍により撃退、シド王子も無事で、さらに現れた魔物の軍勢もミファーが神獣ヴァ・ルッタに乗り込み操縦することで殲滅したらしい。

 

 私は目立った外傷はなかったが、アイアンメイデンは胸部、背部ユニット共に半壊。兜と腕の装甲は罅割れ、内部機構はショートを起こしていて、パーツの交換が必要不可欠。あれで戦闘を続行できていたのは奇跡に近かったらしい。修理のためにゾーラの里に訪れていたプルアからそう聞いた。

 サポートはどうするのかと聞くと、なんでもプルアの使う擬似シーカーストーンを小型化して持ち歩けるようにしたらしい。さすがはシーカー族きっての天才コンビの片割れだ。悪い知らせも届いた。特殊な機能に特化した各種アーマーは作れているが、材料の問題で量産化は難しいらしい。

 

 また、インパにはこっぴどく叱られた。そして、ドレファン王より伝えたいことがあると言われて病み上がりの身体で王の間に赴いた。その場にはミファーもいた。

 

 

「まずは礼を言わせてほしい。我が息子、シドを救っていただき感謝する。ソナタが間に合ってなかったらシドは今頃……本当に、助かったゾヨ。ゼルダ姫、ソナタの言う「アイアンマン」の力、しかとこの目で見届けたゾヨ。確かにあれならば厄災相手でも対抗できよう……先の襲撃でワシらは厄災への備えが足りんことを思い知らされたゾヨ。ゾーラ族にとっても厄災は決して他人事ではない。ワシも、このハイラルに生きる者として役目を果たさねばなるまい…ミファー、前へ」

 

「はい」

 

 

 ドレファン王に言われて前に出るミファー。可憐に父親を見上げるその姿からは、槍を振るい魔物を殲滅していたその姿は想像つかない。同じ姫なのに私と違って、武人だということが未だにちょっと信じられない。

 

 

「ソナタが神獣の繰り手になることを認めるゾヨ。だが……必ず、無事に戻って来い」

 

「はい…!」

 

「ゼルダ姫。ミファーの事を頼んだゾヨ。…だが、ソナタも無茶はしないでほしい。ワシらゾーラ族と違って短い命なのだから」

 

「ミファーのことはお任せください。無茶も…しないように善処します」

 

「ゼルダ姫様!守ってくれてありがとうゾラ!とてもかっこよかったゾラ!」

 

 

 シド王子にそうお礼を言われて、ほっこりした。さすがにライネル相手に1人で挑むような無茶はもうしないつもりだ。今回だってシド王子を守るために1人で立ち向かったのだ。ただ、一つ課題が出来た。武装がビームだけでは心もとない。なにか、アイアンメイデン用の武器が必要だ。…そうだ、リンクに協力してもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「古代兵装?ガーディアンソードとかガーディアンランスとかガーディアンアックスみたいなアレのこと?」

 

 

 鍛冶場の工房を借りてアイアンメイデンを修理中のプルアに思いついたことを言ってみた。古代兵装。小型…はあの子がいるから、便宜上中型と呼ぶ…ガーディアンが所有する、刀身を出したり消したりできる持ち運びに便利な古代素材で作られた兵装のことだ。鉄を用いた武器より軽いが聊か脆いのが欠点で「+」から「+++」といった改良型も存在する。確か、研究所にいくつかストックがあったはずだ。

 

 

「はい、それです。武器持ちと戦う際に素手ではあまりにも不利だと悟りました。ビーム兵装は確かに強力ですが、接近戦では今回のライネルの様に刃を受けるだけでも少なくないダメージを負ってしまいます。リンクの様な凄腕の剣士のモーションをトレースして使える様にすればよいかと」

 

「なるほど、それで持ち運びが便利な古代兵装を使うのか。確かにありね。一度研究所に戻れば改造もできると思うわ。いや、もうマーク4として新造した方が早いかも?次は確かゴロン族のところのヴァ・ルーダニアだっけ?そこまではこのマーク3で頑張ってもらえれば、用意するわ」

 

 

 そうだ。このまま北上して、ゴロン族の住まうデスマウンテンに向かう予定だ。そのあと一度研究所に戻ってからタバンタ地方のリトの村に向かうルートでいいだろうか。

 

 

「次はデスマウンテンでしたか…たしかクーラー機能が完備されてましたね」

 

「そうそう。マグマダイバーしない限りは問題ないわ。マーク4は寒冷にも強く、耐電性も付けるから期待しててね」

 

「はい、楽しみです!…手伝いますよ?」

 

「一人で大丈夫だから休んどいてよ姫様。私がインパに怒られちゃう。修理には一日かかるから今日はゆっくり休むこと!いい?」

 

「はい…」

 

 

 休んでいられる気分ではないから宿で新しい設計図でも書こうか。うん、そうしよう。…私に休んでいる暇はない。




アーマー姫様のライネル専用スマッシュ、ライネル巴投げ。ビームでじりじりウィークポイントゲージを削るイメージ。
マーク4の案が出ながらも、次はデスマウンテンへ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様VSマグロック

どうも、放仮ごです。千円で売られたのでインフィニティ・ウォーを購入しました。そのうちこれぐらいの活躍を姫様にさせたい。

今回はアーマー姫様VSマグロック。楽しんでいただけたら幸いです。


 オルディン地方デスマウンテン。ゾーラの里があるラネール地方の北西にある活火山地帯だ。リンクとインパ、お供の兵士ともども燃えず薬を塗りこみ(リンクだけ燃えず薬を飲んでたのは気にしないことにする)、デスマウンテン麓を訪れた私達は、ゴロン族の猛者ダルケルと合流して交渉していた。デスマウンテンは危険なので今回は最初から頭部以外アイアンメイデンを着込んできた。兜を被るのはさすがに礼儀が悪いので腕に抱えている。

 

 

「ダルケル様は頼まれたら断らないのが身上だ。喜んでやらせてもらうぜ」

 

 

 岩の様に強固で巨大な身体を有する火山の民、ゴロン族の中でも大柄なダルケル。あらゆる衝撃を防ぐ護りの力を有している彼が炎の神獣ヴァ・ルーダニアの繰り手として選ばれ、その依頼に来た訳だが、ミファーの時と違ってあっさりと受諾してくれた。しかし何か問題がある様で。

 

 

「だが一つだけ問題が……」

 

「どうしたのです?私達にできることなら手伝いますが」

 

「実は、肝心の神獣の方が厄介なことになっててなあ……今ルーダニアはデスマウンテンの上にある。近頃は妙に山の魔物が増えててなあ。神獣の処に向かうのも一苦労だ。……だがまあ」

 

 

 そう言ってダルケルは振り返り、にっかりと豪快に笑って両手を広げる。

 

 

「おめえらなら、足手まといにはならねえな!」

 

「え?あの、それは……私、姫なんですが私の事も戦力と見てくれると…?」

 

「あん?おめえさんが姫だってことが関係あるか?そんな仰々しい鎧を着といて、戦力に見ないわけがないぜ!とにかく、デスマウンテンに行ってみるとしようぜ!」

 

 

 そう言ったダルケルの案内でゴロンシティに辿り着く私達。しかし何やら周りのゴロン族が慌ただしい。何かあった様だ。

 

 

「よし着いたな!あとは登るだけだぜ!ところで応援が来てるはずなんだが…」

 

「ゴ、ゴロ~!ダルケルいいところに!南採掘場に魔物が攻めてきたゴロ~!」

 

「なにぃ!?魔物の襲撃だと!?そりゃ応援も来ねえ筈だ。悪いが登山も一時中止だぞ。ゴロン隊長たちを助力しねえと」

 

 

 それを聞くなり兜を被る私。リンクも剣を抜き、インパもお札の数を確認して臨戦態勢だ。

 

 

「はい、微力ながらお手伝いします!リンク、インパ!ゾーラの里の時と同じく私の事は気にしない様に!」

 

「なに言っても聞きはしないんでしょうね!でも、援護はさせてくださいよ姫様!」

 

 

 リンク、インパ、ダルケルが地上から南採掘場に向かうのを尻目に、私は空を飛んで先に急行。

 

 

≪「姫様!モリブリンには接近戦が有効よ!」≫

 

「了解です、インパ!」

 

 

 着地と同時に右手のモノアイから放ったビームの反動でモリブリンの腹部を殴り飛ばして岩肌に叩きつけ、溶岩に落とす。まず一体…!さらに凄まじい速さで追い付いてきたリンクも一閃、私の背後から襲いかかろうとしていたボコブリンの群れを薙ぎ払う。…インパに頼んでレーダーでもつけてもらいましょうか。

 

 

「やるじゃねえか姫さん、リンク!俺の目に狂いはなかったみてえだな!よーし、負けてられねえ!このダルケル様が戻って来たからにはもう好き勝手させねえぞ、魔物共!」

 

 

 そう言って地面を巨岩砕きと呼ばれていた武器で叩きつけて冷えたマグマを引き出すとそれを爆散させ、モリブリンを吹き飛ばしたかと思えば丸まって回転して追い付き、連続で巨岩砕きを叩きつけて溶岩を爆発させて消し飛ばすダルケル。さすがゴロンの猛者、圧巻だ。

 

 

「よおし!一丁上がり!ん?新手か?手分けして魔物を向かえ撃つぞ!さっきの暴れっぷりなら難しくねえだろ。誰か一人は本陣を守っていてくれ!あと、俺は平気だがおめえら!火山弾に気を付けろ!この様子じゃあ南側は俺が行った方がいいか」

 

「で、では私が本陣を守ります!姫様、リンク、ダルケル殿!お気をつけて!」

 

「私は飛べるので北の廃坑を担当します!リンクはこの近くに現れた魔物を!」

 

「了解!」

 

 

 インパが本陣を守り、リンクがゴロンシティ周辺、ダルケルが南採掘場のさらに南側、私がゴロンシティ北の廃坑に現れた魔物を対応することになった。火山弾を避けながら空を飛び北の廃坑を目指す途中、地上でエレキウィズローブとモリブリンそれぞれ二体ずつを瞬く間に殲滅するリンクと、護りの力で火山弾を物ともせず突き進むダルケルの姿が見えた。負けてられませんね!

 

 

≪「目標発見よ姫様!炎を纏ってるから直接攻撃はやめといた方が…」≫

 

「ならこうです!てやぁああああ!」

 

 

 通りがかりに岩肌から巨大な岩石を手にした私は北の廃坑にいた炎のモリブリンを強襲。押し潰し、さらに胸部のモノアイからユニビームを発射。岩石諸共爆散させた。

 

 

≪「ヒュー、姫様アグレッシブゥ。どうやら襲ってきた魔物は片付いたみたい…ありゃ、また増えたわね。これも厄災の影響か…」≫

 

「とりあえず、私も参戦して…ん?」

 

 

 飛んで戻ろうとした矢先。北の廃坑の奥地に合った冷えたマグマの巨岩が動いたのをセンサーが反応して、気になったので降りてみる。すると巨岩は動き出して手足の様な岩が付いて立ち上がった巨大な岩石の様な魔物となり、炎を纏ってこちらに歩いてきた。

 

 

≪「あ、姫様不味い!こいつ魔物だ!しかも大物!」≫

 

「これは…イワロックの一種でしょうか…?」

 

≪「オルディン地方にしかいない希少種、マグロックよ!いくら耐熱性があるとはいえアイアンメイデンでもさすがに分が悪いわ!ここは逃げて!」≫

 

「でも、他の魔物もいるのにこんなのが暴れたら…!止めます!」

 

 

 両手からビームを放つも頑強な岩肌で弾かれてしまい、右腕の岩石を地面に叩き付け、大地から炎を噴き出させてくるマグロック。全速力で空から突撃して炎の壁を突き破り、両手を突き出して押し込もうとするが、兜内部のモニターが赤く点滅する。

 

 

≪「アーマー内温度急上昇!アーマー腕部損傷!無茶よ姫様!これ以上は姫様の身体が持たない!」≫

 

「なんのこれしきぃ…!」

 

 

 今でもリンク達は魔物の群れと戦ってる。そんな中マグロックが暴れたらどれだけの被害が出るか分からない。負けられない…!

 

 

「エネルギーを胸部のモノアイに充填!ユニビームで砕きます!」

 

≪「確かにそれなら…了解!充填30、50、80、100…行けるわ姫様!」≫

 

「喰らいなさい!」

 

 

 両腕を押し付けたままユニビームを発射。マグロックのボディの表面を破壊し、たまらずマグロックは跳躍して私を押し潰さんとする。

 

 

「エネルギーをパワーアシストに回してください!」

 

≪「パワーアシスト全開!痛快にやっちゃいなさい!」≫

 

 

 両手を押し上げて全力で持ち上げ、そのまま溶岩の方に向けて渾身の力でぶん投げる。マグロックの巨体はそのまま溶岩にゆっくりと沈んでいった。

 

 

「ふぅ、やりました。早く、リンク達の援護に向かわなければ…!?」

 

≪「至近距離で高熱源反応!気を付けて姫様、マグロックはまだ…!」≫

 

 

 兜を外して排熱していたら、地響きとともに、溶岩から何かが現れる。それは、先程とは比べ物にならない巨体となったマグロック。周囲のマグマを取り込んで巨大化したのだろうか。マグマ上に平然と居座り、あまりの巨体と熱量により周囲に常に上昇気流が発生。一挙手一投足で巻き起こる気流の変化により吹き飛ばされそうになる。

 

 

≪「仮称、メガマグロック!火山地帯なのにそれを軽く上回る高熱源反応…とんでもないエネルギーを秘めてるわ!アイアンメイデンでも耐えきれない!姫様、逃げて!」≫

 

「くっ…!逃げる訳には!」

 

 

 兜を被り、足裏と掌からビームを放って上昇。メガマグロックの周囲を飛び回って両掌からビームを放ちつつ、なんとかデータを集めようと試みる。

 

 

≪「逃げてって言ってるのに…まるで効いてない!焼け石に水とはこのことか!」≫

 

「いえ、魔物である以上どこかに弱点、もしくは隙が必ずある筈です!プルア、エネルギーが集中している場所は!」

 

≪「あーもう、映像を解析!頭頂部(?)と思われる場所の突き出た黒い鉱石にエネルギーが集中してる!アレが恐らくコアね!」≫

 

「ならば直接殴ります!」

 

≪「えっ、ちょっ!?」≫

 

 

 吹き荒れる上昇気流に振り回されながらも、両手両足のモノアイから連続でビームを放ち直進。拳を構え、鉱石部分に突撃せんとしたその時。メガマグロックは溶岩に手を浸して振り上げて。

 

 

「っ!?」

 

 

 目の前に、溶岩の飛沫が飛んできた。万事休すですか…!?




炎のモリブリンを殴り飛ばしたのはアイアンマン1のマーク3初戦闘のオマージュ。タグにMCU付けた方がいいかな?

ブレワイDLC限定の敵メガマグロック登場。無双にも出てたら絶対強い。気流を操るので空中戦するアイアンメイデンの天敵です。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様と“ベロニカ”

どうも、放仮ごです。手元にエイジオブウルトロンがあるので今回は割とすらすら書けました。題名からお察し通りあのアーマーが登場です。

今回はデスマウンテン編終盤。楽しんでいただけたら幸いです。


 メガマグロックに空から突撃した私の、目の前から迫る溶岩流。メガマグロックが溶岩に浸した腕を振るっただけで起きたその攻撃は、このアーマーでは耐えきれないと嫌でも分かって。諦めてしまう。

 

 

≪「諦めるな姫様!両腕を突き出して!緊急機能!内部冷気放出!」≫

 

 

 プルアの声で我に返った私は両腕を溶岩流に向けて突き出すと、手首から冷気が放出。溶岩を冷やし固めて、私は殴り壊して危機を脱する。恐らく内部機構を冷やしているアイスウィズローブの結晶を利用したものだろう。現に、先ほどまで快適だったアーマー内が暑さで籠ってきた。少しだけ冷気が残ってるのか、溶岩の熱さを直に浴びている訳ではないが、これはきつい。

 

 

「プルア、暑いです…危機を脱しましたがこれでは戦闘は」

 

≪「少し我慢して姫様!さっき“ベロニカ”を向かわせたから!」≫

 

「ベロニカ?」

 

 

 聞いたことのない名称だ。なんだろう?そう思っていると、地響きと共に何かが跳躍してやってきた。それは、巨大なアイアンメイデンだった。三メートルを超える大柄な体格。アイアンメイデンでは四肢に使われているメカアームではなく全身装甲に覆われ、マッシブなフォルムになっている。右の掌を突き出しユニビームと変わらない威力の光線でメガマグロックを怯ませると、アイアンメイデンをすっぽり覆えてしまう巨体の胴体前部が開き、中からロベリーが現れる。

 

 

「お待たせした、姫様!対巨大魔物用アイアンマン、マーク6!名をベロニカ。そのパワー、インビンシブル!」

 

「マーク6、ですか?4と5は…」

 

「それは後のお楽しみ。今はこれを装着して奴を倒すのです!スーツを着たまま装着できますぞ!」

 

 

 あらかじめ燃えず薬を塗ってるらしいロベリーはそのまま安全な場所まで離れていき、私は言われるままに残りの元気を振り絞って飛行、ロベリーが収まっていた胴体に背中から入り込むと胸部アーマーが閉じて、二重のモニターが展開され、さらに全身がアーマーごと冷却される。ありがたい。

 

 

≪パワーアシスト、バランサー、各部スラスター、内部温度調節、駆動確認、いずれも問題は見られない。システムオールグリーン≫

 

「行きます!」

 

 

 プルアではない、聞き慣れない、だけど妙に既視感を感じる声を聞きながら足裏のビームで跳躍。巨体とは思えない程高く跳んだ私はそのまま脚部と背部ユニットから炎を噴いて高速で突撃。メガマグロックが拳を振るってきたのでこちらも拳を突き出し激突。

 

 

≪腕部スラスター展開≫

 

 

 勝手に手首部分にある複数のスラスターが変形、火を噴いて加速し、連続でパンチしてメガマグロックの右腕を粉砕。そのまま本体の巨岩にひびを入れて殴り飛ばした。

 

 

「ベロニカは両手部分にも大型ガーディアンのモノアイをチューンナップ!圧倒的パァワーで押し切るのです!」

 

「了解です!えっと、誰かさん!照準をお願いします!」

 

≪ロック・オン。大型リパルサー・レイ。発射≫

 

 

 名前が分からない誰かにメガマグロックの弱い部分をターゲッティングしてもらい、両腕の大型モノアイから放たれる光弾…リパルサー・レイが連続発射。次々とメガマグロックの四肢を撃ち砕き、その巨体を傾けさせる。

 

 

「誰かさん、ユニビームを!」

 

≪既に完了しているよ。充填120%≫

 

「これでとどめです!」

 

 

 そして、100%以上も充填できるらしい胸部からの光線、ユニビームが炸裂。罅に直撃したメガマグロックは耐えきれず砕け散り、爆散した。

 

 

≪目標の沈黙を確認。お疲れ様、姫様≫

 

「やった…!ありがとうございます、名も知らぬ人!」

 

≪僕は…≫

 

「おー、心配して魔物どもを蹴散らして様子を見にきりゃ…見事なもんだぜ姫さん!…だよな?リンクの奴も強いし、これは俺もうかうかしてられねえな!」

 

 

 謎の声と会話しながら一息ついていると、転がってダルケルがやってきた。リンクも一緒だ。こんなに見た目が変わったのに私だと分かってくれるのはなんか嬉しい。ロベリーはいつの間にかいなくなっていた。インパの元に向かったのならいいが。

 

 

「いやあ、手伝って貰っちまって悪かったな!それじゃデスマウンテンに登るとするか!」

 

「うわわ!大変ゴロ大変ゴロ!また魔物が出て採掘場を狙ってるゴロー!うわっ、なんかでかいのもいるゴロ!?」

 

「なっ、また魔物だと!?悪い姫さん、リンク。ここまで来て悪いが助けに戻らねえと…」

 

 

 そこにゴロン族の若者が知らせにやってきてダルケルが考え込む。どうやらまた魔物が湧いているらしい。すると駆けだしたのはリンクだった。

 

 

「俺とインパが採掘場を守る!ダルケルは姫様と一緒に先に向かってくれ!」

 

「リンク!?…いや、そうか!一方が採掘場を守ってる間にもう一方が先に進んで道を切り開きゃいいんだな!姫さん!」

 

「はい、乗ってくださいダルケル!」

 

 

 大きな手を差し出し、それにダルケルが乗ったことを確認すると飛行する。飛行には各部スラスターと両脚と片腕のモノアイだけでも十分可能らしい。いつもより大きいのに凄いスーツだ。

 

 

「姫さん!俺を投げてくれ!」

 

「行きますよ!」

 

 

デスマウンテンの登山口まで来ると、二体の炎のモリブリンがボコブリンを率いて待ち構えていたので、ダルケルに言われて投げつけ、私自身も着地と同時にモリブリンに拳を頭から叩き付け、ダルケルももう一匹を巨岩砕きで吹っ飛ばす。溶岩の河にかかる橋が上がっていたが、ダルケルが体当たりで落とすことで道を切り開いた。

 

 

「豪快ですね」

 

「こうしなきゃ魔物がすぐ入りこんでしまうんでな。おっ、来たかリンク!行くぞ!」

 

 

 リンクも追いついて来て、三人で魔物を薙ぎ払いながら突き進む。そして中腹まで来ると、またマグロックがいた。側にはファイアウィズローブもいる。

 

 

「今度はまとめておでましか!力を合わせて倒すぞ!」

 

「私が押さえますので、その間に!」

 

「おう!行くぜリンク!いや、相棒!」

 

「でやあ!」

 

 

 マグロックと組み合い力比べ。ファイアウィズローブの火炎弾を守護の力で受け止めながらダルケルは近づいて巨岩砕きで叩き潰し、リンクはベロニカを足場に跳躍し、マグロックの弱点であるコアの岩石へと急降下からの斬撃を叩き込み、爆散。英傑と呼ばれるべき二人の活躍であっという間に倒してしまった。マグロック一体だけでも苦戦した私は一体……

 

 

≪気にしないで。君も頑張ってるよ、姫様≫

 

「ありがとうございます…ところで貴方は一体…?」

 

≪「それに関しては研究所に来てから紹介するわ!」≫

 

「わかりました…」

 

 

 プルアからも言われたのでとりあえず納得していると、どうやらリンクとダルケルは仲良くなったらしかった。男の友情、という奴だろうか。

 

 

「リンク、色々助かった!おめえのこと、気に入ったぜ!このダルケル様が背中を預け、共に飯を喰らうに相応しい男だ!よしリンク!今日からおめえは俺の相棒だ!よろしくな!相棒!」

 

「ああ、よろしく。ダルケル」

 

 

 その後。火口に鎮座していたヴァ・ルーダニアをダルケルが起動して魔物の軍勢を掃討したり、ダルケルから「お礼」として勧められた特上ロース岩を、リンクが物ともせずに食べて私とインパが驚愕したりした。そして、古代研究所まで戻ってくると、驚愕の存在があったのだ。

 

 

「これがマーク4。これがマーク5。マーク6こと“ベロニカ”は紹介はいらないかな?」

 

 

 そういってインパが紹介するのは、マーク3とよく似たアーマーと、鞄の様な物。どうやら3の改良型と、持ち運びがお手軽なアーマーの様だ。

 

 

「そしてここからが重要なのだけど。私も忙しくてサポートを十二分にできないことがわかってね。シーカーストーンを利用した人工知能を開発したわ!マーク4からはこの子がサポートするから!」

 

≪よろしく、姫様≫

 

 

 巨大な擬似シーカーストーンのモニターで輝くシーカー族の紋章。人工知能を作るなんて…さすがはインパ、そしてロベリーです。新しいアーマーだけでもすごいのに。

 

 

「シーカーストーンだったのですか…呼びにくいですね。縮めてシーク、とお呼びしても?」

 

≪呼び方は気にしないつもりだったけどいいね。悪くない≫

 

「ではこれからよろしくお願いしますね、シーク」

 

 

 新たな仲間を得て、私達は次の目的地。タバンタ地方リトの村へ向かうことにした。…さすがに雪山で戦闘はなさそうですし、念のためにマーク5を持っていくだけでいいかな?




ハルクバスターって名前にするわけにもいかないので「ベロニカ」として登場、大型アーマー、マーク6。リパルサーレイがユニビームと同威力になってるのが特徴。連続パンチと原作を踏襲した性能も。対巨大魔物専用アーマーです。さすがに人工衛星がないので直接持ってくるしかないのが惜しい所。

マーク4と5もチョロッと登場。5はやっぱりこれよね。そして待望の人工知能、シークが誕生。シーカーストーンのナビ機能をアーマー用にしたプルアの有能ぷりよ。ネーミングは時のオカリナの彼から。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様、脱ぐ

どうも、放仮ごです。書き終ってからそういや原作のマーク5って飛べなかったなって思い至りました。今作品のマーク5は飛べるってことで許してください。

今回はリトの村での攻防。大空中戦です。楽しんでいただけたら幸いです。


 タバンタ地方。雪山の山岳地帯であるタバンタ辺境にて集落を構えて暮らす、天を翔る翼を持ち弓の扱いに長ける空の民リト族。中でも腕利きと名高い戦士である戦士リーバル。彼に風の神獣ヴァ・メドーの繰り手になるよう依頼すべく使者としてリト族の村を目指して進む私達。今回は過酷な道のりなのでリンクとインパの二人だけお供に連れ、雪山で大荷物を持つわけにもいかないので持ち運びが便利なマーク5を持って来た。万が一の戦闘でも何とか乗り切れるだろう。

 

 魔物の群れを避けて雪原を進んでいたのだが、道中急な猛吹雪に襲われてしまい、リンクとインパ、そして私で分かれて周囲の探索をすることになった。

 

 

「早速使うことになりましたね、シーク」

 

≪僕の出番みたいだね≫

 

 

 鞄型のそれを地面に置いて足を置くとアームアーマーが展開。両手を突っ込んで胸の前まで持ち上げ、腕を外側に開く様にして広げるとアーマーが展開。装甲が足元まで広がっていき私の身体に張り付くようにして装着、変形式の口元まで覆う兜が装着されて内部モニターが輝き装着完了する。

 

 

「シーク、装着具合はどうですか?」

 

≪パワーアシスト正常、内部温度調節正常稼働、駆動確認、完了。問題なしだよ姫様≫

 

赤外線感知機能(サーモグラフィー)起動、お願いします!」

 

 

 吹雪の辺りを見渡し、熱源を感知する。この雪山で動き、なおかつ特徴的なシルエットをしていればリト族だろう。そう思っての事だったがしかし。リト族と思われるシルエットが、軍勢で迫って来ていた。何事ですか…!?するとマーク4からの新機能である他のシーカーストーンからの通信が入る。インパだ。

 

 

≪「姫様、聞こえますか!」≫

 

「インパ、これは何事ですか!?」

 

≪「現在リト族に襲われ、やむ得ず交戦中!いくら吹雪とはいえ私達は魔物に見えない筈。何故、私達に武器を向けるのでしょうか…!?不本意ですが峰打ちで静かにしてもらいます、姫様もお気をつけて!」≫

 

「ええ、インパもリンクも気を付けて!リトの村で落ち合いましょう!」

 

「村に近づけるなー!」

 

 

 とりあえず、襲ってきたリト族の放った矢を真正面から受け止め、弾き返していく。埒が明かないと思ったのか空中から高速で蹴りを繰り出してきたので掴んで地面に叩きつけていると、また別のリト族が特徴的な剣を手に斬りかかってきたが、それは飛び込んできたリンクの盾に防がれ、弾かれた。

 

 

「リンク!戻ってきたのですか?」

 

「優しい姫様だとリト族相手に苦戦すると思いまして…」

 

「それは…いえ、助かります。行きましょう」

 

 

 なんとか応戦しながら村へと繋がる橋へ向かうと、ちょうど爆弾矢で橋が落とされた場面に出くわす。どうやら回り道をさせたいようだ。もし、このアーマーが無ければそうなっていただろう。

 

 

「シーク、たしかマーク5も飛べるのですよね?」

 

≪他のアーマーよりも短時間だけど一応飛べるよ。あの距離なら問題ない。長距離飛行は無理だ、気を付けて≫

 

「了解です!リンク、掴まってください!」

 

「!?」

 

 

 急いでいたのでリンクをお姫様抱っこして足裏からビームを放射して跳躍、切り立った断崖を飛び越える。すると驚いたリト族が村から溢れ出てきた。降りたリンクが剣を抜いて盾を構えて突撃。私もそれに続く。

 

 

≪威力を最小限に抑えたリパルサー・レイ。行けるよ姫様≫

 

「助かります!」

 

 

 対人用にシークが威力を調整してくれた両手のモノアイからのビーム、リパルサー・レイで次々とリト族の戦士たちを吹き飛ばしていく。リンクは剣の腹の部分や柄で殴って気絶させていき、そうして突破した私達は広場に出た。

 

 

≪高速で飛翔する飛行物体を確認。空だ、姫様≫

 

「上です、リンク!」

 

 

 その瞬間、空中から爆弾矢の雨が降り注ぎ、咄嗟に防御して耐え切る。そして舞い降りてきたのは、青い羽毛に覆われ大弓を担いだリト族の戦士だった。アレがリーバル…!?

 

 

「確かに何時もの襲撃とは違うようだね。リト族でもないのに飛んでくるとは。残りの策は使う前に防がれたって訳だ。…この僕、リーバルを残してね」

 

「待ってください!私達は敵では…」

 

「言い訳は聞かないよ、鉄男。いや、女かい?厄介な侵入者は手厚く歓迎してあげなくちゃね。数えきれないほどの矢をその身に撃ち込んでさ!」

 

 

 そう言って三本の矢を掴んで飛び上がり、射出してくるリーバル。しかしそれはリンクが剣の一振りで斬り払い、突撃するが剣の一撃はあっさり避けられる。空を飛べないリンクでは相手が悪いか。私がやるしかない。

 

 

「あはは!剣の君は飛べない様だ!それじゃあ勝負にならないんじゃないかな!襲撃者君たち!」

 

「私達の、話を、聞いて、ください!」

 

 

 高速で空を舞うリーバルを追いかけ、対人用リパルサー・レイを乱射。しかしそのいずれもアクロバティックに避けられる。空を飛ぶことに慣れてない私じゃ追い切れない…!

 

 

「む?ほう、君も弓を使うのか」

 

 

 すると地上から援護射撃。リト族から弓矢を手に入れたらしいリンクだった。空中だとさらに集中力が高まって凄まじい精度で弓矢を射出できるらしい彼の矢を無視することはできないらしく、大きく旋回して回避に徹するリーバル。

 

 

「シーク、最高速度で突っ込みます!」

 

≪了解。スラスター展開。エネルギーを全て四肢のモノアイに送るよ≫

 

 

 地上からの矢を避けているリーバルの動きが鈍ったところに、加速。体を横にして、両手両足のモノアイからビームを連射して炎の勢いも増して高速で突撃。胴体に組み付き、リーバルごと地上に落下。地面と激突してクレーターができて粉塵が舞う中で、私は腹部を蹴り飛ばされて宙を舞い、背中から激突する。

 

 

「無茶をするねえ。僕を地上に引きずり下ろすだなんて。でも勘違いしないでほしいんだけど、僕は地上でも強いよ!」

 

 

 リーバルが数えきれない量の矢を取り出し、モニターで計測。二十本もの矢を一気に番え、空中に舞い上がって連続で発射。腕の装甲で弾くもきしむ音が聞こえ、見て見ると罅が入っていた。このアーマーに傷をつけるってどんな膂力してるんですか!?

 

 

「はあ!」

 

 

 とりあえず、矢を弾きながらリパルサー・レイで反撃。さっきのダメージが響いているのか当たり始め、リンクも剣で矢を斬り払いながら盾を投げつけ、避けきれず直撃したリーバルは痛そうに胸部を擦り、弾かれた盾をキャッチするリンク。すごい技術ですね、専用の盾を作ってあげるのもいいかもしれません。

 

 

「へえ、ここまでやるとはね。僕も覚悟を決めなきゃいけないようだ。判った。認めよう。確かに君達は弱くない、僕が手を抜いたまま勝てる程にはね。さあ勝負と行こう。勝つのは本気の僕だよ!」

 

「お願いだから、話を…!」

 

「…姫様は下がっていてください。ハアァアアア!」

 

 

 本気で襲いかかってきたリーバルを何とか止めようとするも、私を制して剣を手に本気で突撃するリンク。放たれた矢を真っ二つに斬り裂き、弓と剣が交差。渾身の一撃で剣の腹を腹部に受けて殴り飛ばされるリーバル。しかし吹き飛ばされた勢いのままに門に足を付け、何かしらの力で上昇気流を起こして高速で天高く飛翔。上空に向けて爆弾矢を一本射出したかと思えば急降下してリンクに飛び蹴りを入れ、盾で弾かれて距離を取る。

 

 真の実力者同士の対決だ、あまりの攻防に手出しできない。どうすれば…と思っていたら、爆弾矢が落ちてきてリンクの盾を弾き飛ばしてしまった。さらにそこ目掛けてリンクの周囲で爆発して煙幕を張り、動きを阻害する爆弾矢。リンクが怯んでいる間に旋廻するリーバル。決着が、すぐそこだ。どうすれば…そうだ!

 

 

≪姫様!?それはさすがに危険…≫

 

「さすがの君も…!」

 

 

 煙幕から飛び出してきたリーバルに気付き、一閃するリンクだがリーバルは直前で宙返りしてそれを回避。リンクの背後を取り矢を引き絞る。

 

 

「ここまでだ!」

 

「っ!」

 

 

 リンクも負けてはおらず、背後のリーバル目掛けて剣を振るおうとするが、私はアーマーを脱いで飛び出していた。

 

 

「待ってください!」

 

 

 私の声を聞いて同時に止まるリンクとリーバル。すっぽ抜けた矢が私のすぐそばに落ちてきた。

 

 

「君、ハイラルの…姫だったのかい!?」

 

 

 私の正体に驚くリーバル。アーマーを脱ぐ判断は正しかった。危なかった、遅かったらどちらかが、いやどちらとも確実に負傷していた。さすがのリーバルも私達が敵ではないと気付いたようで、とりあえず落ち着いたところで事情を聞くことにした。




イメージはアイアンマン&キャプテンアメリカVSホークアイでした。リンクが地味に盾投げを使い始めました。

マーク5は武装がリパルサー・レイとユニビームしかないですが持ち運びが便利なのが一番の利点。雪山などの難所だと便利なアーマーです。何気に対人用にも調整可能が有能シーク君。

ところでアイアンマンにスパイダーウェブとかマーベルヒーローの科学由来の装備を付けていいものか。意見をもらえると嬉しいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマー姫様、模擬戦する

どうも、放仮ごです。こっそりアンケート始めてました。

今回はリンクのモーショントレースとゲルド地方へ。リンクVSゼルダです。楽しんでいただけたら幸いです。


 リトの村での激戦を終え。リーバルから、小型ガーディアンによく似たガーディアンが扇動する魔物の群れに何度も襲われて警戒態勢を敷いていたことが話され、リーバルとリンクが仲が悪いと言う一悶着があったもののとりあえずヴァ・メドーの繰り手を引きうけてもらった。そして一度古代研究所に戻ってきた私、リンク、インパの目の前にはプルアが用意した真っ白なアーマーがあった。

 

 

「これが…」

 

「そ。マーク3.5。リンクのモーションをトレースするためだけの軽量アーマーだよ」

 

「なんというかその……すごく、味気ないですね」

 

 

 インパの言う通りだ。これまでのアーマーは元々の素材の色である黒や、私に合わせて青や金で彩っていた。それらに比べるとあまりに味気ない。

 

 

「戦闘用じゃないし外にも出さないし余計な物を全部削ったのよ。パワーアシストも邪魔しない程度の最低限。じゃあはいリンク、これを装着して。あ、念のために何も身に付けてない状態で装着してくれる?最大限のパフォーマンスをしてほしいから。あ、もちろんパンツは脱がなくていいわよ」

 

「はい」

 

「キャー、姫様!見ないでください!」

 

「え?あ、はい」

 

 

 インパに目隠しされながらリンクが服を脱ぐ音が聞こえ、カチャカチャと装着していく音が聞こえる。音から見て、マーク1と同じで一つ一つ装着していくタイプらしい。マーク5の変形装着機構はよかったですね…と感慨深く思っていると、準備が終わったらしくインパが手を退かしてくれた。そこには、全身真っ白のアーマーを着たリンクがいた。

 

 

「兜との通信、問題なさそう?オッケー!じゃあ裏庭に出て。片手剣、両手剣、槍、盾を渡していくから兜に映る指示通りに最大限の動きをお願いね!」

 

 

 そう言ってシーカー族の武具である残心の小刀、無心の大剣、護心の盾と、あと一般兵士が使う兵士の両手剣と兵士の槍を用意するプルア。まず渡したのは兵士の槍だ。

 

 

「フゥゥ……ハアッ!セイヤーッ!」

 

 

 すると裏庭の中心に立ってクルクルと振り回して流れる様に突き、薙ぎ、払いを披露したかと思えば跳躍し、怒涛の連続突きを地面に叩き込む。その範囲がすごい。まるで嵐の様だ。

 

 

「次、両手剣!」

 

 

 槍を手放し、兵士の両手剣を受け取るリンク。するとその場でグルグル回転、遠心力を加えた凄まじい一撃を地面に叩き付け、大きく抉ってしまう。

 

 

「…えっと、あれ、パワーアシスト、最低限なんですよね?」

 

「そうよ。アーマーのアシストに頼らない素の動きのはずだけど…貴方の近衛騎士、天才ね」

 

「………そう、ですね」

 

 

 やや複雑な思いを抱きつつ、リンクがグルングルンと今度は空中を回転して何度も何度も叩きつける光景を見る。…やはり彼は凄い。伝説の、退魔の剣を持つ勇者は恐らく……彼しかいない。

 

 

「次よ。姫様にも手伝って貰おうかしら」

 

「はい?」

 

「マーク3、修理しておいたからそれを装着してリンクと戦ってほしいのよ。片手剣と盾は対人戦で最も有効だから」

 

「なるほど。模擬戦と言う奴ですね」

 

 

 インパに手伝って貰い、マーク3を装着。シークはそう言えばマーク4からサポートしてくれるんだったなと思い直し、リンクの元に片手剣と盾を持って近づいて手渡す。リンクは躊躇していた様だったが、私が「お願いします」と頭を下げたことで快く引き受けてくれた。…これは八つ当たりだ。プルアには悪いが、手加減はしない!

 

 

「ハアアアッ!」

 

 

 足裏からのビームで跳躍、高速で拳を叩き込む。しかし剣を円形に振るうリンクの回転斬りで大きく弾かれ、私は空中に浮遊。両手からリパルサー・レイを二連続で放つ。

 

 

「フッ!」

 

 

 それをリンクは一発目を宙返りで回避。二発目を盾で弾き返してきたので慌てて回避。地上に降りたところをジャンプ斬りで斬りかかってくるのを、左腕の装甲で受け止める。

 

 

「甘いです!」

 

 

 そのまま接近戦に移行、連続で殴りつけるが、剣で斬り払われ盾でいなされ、彼のアーマーに傷一つつけられない。頭に血が上った私は胸部モノアイからユニビームを発射。しかしとんでもない反射神経で盾で受け止められたばかりか向きを変えて私に当ててきた。大ダメージでアラートが鳴り響き、よろめいたところを突撃してくるリンク。

 

 

「くっ!」

 

 

 咄嗟に両手を前に出して防御体勢を取る私に、怒涛の連続攻撃が炸裂。下からの斬撃で防御を崩され、流れる様な四連撃が胴体に炸裂。さらに斬り上げ、着地と同時に回転斬りで浮かされて上突きが背部に炸裂して私は宙に吹っ飛ばされ、落ちてきたところをシールドバッシュで殴り飛ばされる。

 

 

「リンクが片手剣が得意なのはわかってましたがこれほどとは…」

 

 

 アーマー自体のダメージは意外とない。ただの剣じゃこのアーマーはビクともしない。だが、背部の巨大な古代のコアを損傷してパワーアシストが働かず、動けない。それだけじゃない、勢いと気迫には敵わない。確かな恐怖が私に刻まれた。これが、天から才を得た者の力……完敗、です。

 

 

「そこまで!姫様、大丈夫!?」

 

「やりすぎ、やりすぎでーす!」

 

 

 慌ててプルアとインパが駆け寄ってきてアーマーを脱がしてくれていると、兜を外したリンクが申し訳なさそうにやってきた。

 

 

「姫様、申し訳ありません。いくら斬ろうが効かないことはわかっていたので俺の持ちうる最大限の技を叩き込みましたが、やりすぎました…」

 

「なにを謝ることがあるのです、リンク。これほどの力ならば必ず私の力になるでしょう。…本気で来てくれて、ありがとうございました」

 

 

 こんな私相手でも、姫である私に対して本気で来てくれたことに感謝しかない。あの動きを私もできるようになるのか…少し、嬉しいかもしれない。

 

 

 

 そうしてリンクの協力もあり、武装を付けたアーマー、マーク4は完全に完成した。携帯型のマーク5と大型アーマーのマーク6が先にできたが、性能はこれが随一のはずだ。最後の神獣、ヴァ・ナボリスを有するゲルド族訪問も頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

砂漠が広がるゲルド地方に集落を構える女性のみで構成された気高く逞しい砂漠の民、ゲルド族。かつて魔王ガノンを生み出した一族ではあるが今はハイラル王家との関係も良好であり、特に優れた戦闘力と雷を操る力を持ち神獣ヴァ・ナボリスの繰り手に選び出されたゲルド族の族長ウルボザは私の母、亡きハイラル王妃の親友だ。だから今回は魔物に襲われるだけだと、思っていたのだが…

 

 

「はあ、はあ、はあ…どうして、こんなことに…」

 

 

 そうぼやきながら小型ガーディアンを抱えて砂地を走るインパ。警戒しながら先行するリンク。そしてさっそく着てきたマーク4で低空飛行し二人についていく私。それを追いかけてくるのは、赤髪に褐色肌で私やインパどころかリンクさえ優に超える高身長の女性、槍を手にしたゲルド族の兵士たち。

 

 

「とにかく、あの岩陰に隠れましょう!」

 

 

 リパルサー・レイを地面に撃って砂ほこりで目暗まししながら岩陰に隠れる私達。ゲルドの兵士たちは気付かずに走り去って行った。

 

 

「どどっどうしてゲルド族が私達を…」

 

「…ウルボザ本人に真意を問い質すより他ありませんね。二人とも、ゲルドの兵士を極力気絶させてゲルドの町に直行しましょう。そこにウルボザがいるはずです」

 

 

 リト族との戦いと同じことになってしまった。私から連絡を受けたプルア経由でハイラル軍の兵士があとから援軍に来てくれるはずだが、それまでは三人で何とかしなければ…!

 

 

「見ろ!ハイラル軍の新兵器だ!ウルボザ様の言う通りハイラル軍が攻めてきた。やはりゲルドを滅ぼすつもりか…!」

 

「そんなつもりは、ありません…!」

 

 

 空から非殺傷モードのリパルサー・レイを撃つことにした私を見て指を差すのはおそらく隊長格と思われるゲルド兵。ウルボザが、そんなことを!?

 

 

「私は空から街に入ります。二人は手薄な南側から回ってください!」

 

「え、姫様!?一人じゃ危ないですよ!」

 

「一人じゃありません、ね、シーク?」

 

≪嬉しいこと言ってくれるね姫様。ところで下から弓矢だ≫

 

「っ!」

 

 

 下からのゲルド兵の弓矢一斉掃射を何とか回避しながら侵入を試みる。ウルボザ、一体何が…必ず問いただして見せます!




・アイアンマンマーク3.5。モーショントレースの為だけに急造されたアーマー。モーショントレース以外には最低限のパワーアシストぐらいしか機能がない。装甲も貧弱ながら、リンクは無傷でアーマー姫様を倒して見せた。

ついに完成マーク4。既に5と6は完成していたけど先に開発されていたのはこっちなのでマーク4。マーク3からプルアの援護を抜き、シークの補助、ガーディアンシリーズの武装、リンクのモーショントレース他、もう一つの機能が追加されている。本格的な活躍は次回にて。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 5~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。