転生したら最高最善の魔王だった件 (競馬好き)
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転生したら最高最善の魔王だった

2019年8月12日

 

「あ・・・」

あれ?

「おい大丈夫か!?救急車!!救急車を呼んでくれぇ!!!」

視界が歪んでる。ハッキリとものが見えない。意識も、すぐに消えてしまいそう。

あぁ、仮面ライダージオウ、最後まで見れなかったなぁ。BGMも主題歌もよかったから最後まで見たかった。

『確認しました。ユニークスキル、仮面之戦士(カメンライダー)を獲得。成功しました。続いて、ユニークスキル、時之王者(ジオウ)を獲得。成功しました。付属して、肉体変化(カワルモノ)を獲得。成功しました。さらに付属して、神智核(マナス)逢魔之日(オーマノヒ)を強制獲得。成功しました。さらに、ユニークスキル、演奏者(カナデルモノ)を獲得。成功しました。』

どうなっちゃうんだろう?ソウゴ。本当に最低最悪の魔王になっちゃうんだろうか?グランドジオウも活躍できたところあんまり見れなかったし、残念だったなぁ。そういえば、映画もあるじゃん。絶対映画限定フォーム出るじゃん。見たかったなぁ。

『確認しました。最高最善の魔王(グランドジオウ)を獲得。成功しました。続いて、平成最後之歴史(オーマフォーム)、のデータを19日後の未来から受信、神智核として獲得。成功しました。映画、該当するデータが存在しません。処置として、念写を獲得。成功しました』

どんな姿なんだろう?オーマジオウの力を使うのかな?そうだったらまた新しいチートライダーとして名を馳せるし、熱いシチュエーションだよなぁ。って言うか寒っ!!

『確認しました。炎熱耐性、冷気耐性を獲得。二つを獲得したことにより、熱変動耐性を獲得、成功しました。続いて、チートライダー、スキルとして確立不可。処置として、種族、チートライダーとして再現。成功しました』

人が静かに死のうとしてるのに、一体この声はなんだ?バカにしてるのか?というか、何で急にこんなハッキリとものを考えられるように。あれ?視界が真っ暗でなにも見えない。遂に死んだのか?ハハッ!俺仮面ライダーのこと考えながら死んじまったよ。これからどうなるんだろう?天国にても、行くのかな?死後の世界ってどうなってるんだろう?

そんな、疑問を持ちながら、しばらくの間待っていると、突如、猛烈な光が視界を奪い、それが徐々に晴れていく。

目をシパシパさせながら開けると、そこは森のなかだった。

「ここはどこだ?」

俺は立ち上がりながらキョロキョロと辺りを見回す。どこを見ても森、森、森。道なんかはなく、遭難していると言っても過言ではない状況である。

「マジで、ここどこだ?」

森?何で森?せめてどこかの道にしてくれたらよかったのに。これただの遭難だからね。はぁ、というか、さっきから腰が重いんだが。

俺が腰の辺りをつかむと、ゴツゴツとした感触のものが腰にあった。見てみると、それは黄金の腕時計をもしたとある最強のライダーへと変身するためのベルトだった。驚いていたら消えてしまった。

「さっきの声、こういうことか」

先ほどの声も、何個かを除いて全てジオウに関するものを話していた。仮面ライダー、ジオウ、オーマジオウ、オーマフォーム。

ん?オーマフォーム?ってことはジオウ、映画でオーマジオウの力使うのか・・・って、ネタバレくらったぁああああああ!!まぁもうその映画も見れないんだけどね。見たかったなぁ、オーマフォームの無双。

「あ、俺がやればいいのか」

そうだよ、オーマフォームの力持ってるんだったら俺がやればいいんだよ。

ってそんなことよりもこの森から脱出しないとアカン。俺は、とりあえず小さい頃に見ていたサバイバル漫画の知識を生かして、太陽で方向を知り、とりあえず北に進むことにした。

しばらく進むと、人の足跡と犬の足跡を発見した。

「まだ暖かい」

近くにいるな。もしかしたら森から出る方法を知ってるかもしれない。後を追ってみよう。

俺は足跡をたどり、足跡の主達を発見した。足跡の主達は、なんとゴブリンと巨大な狼だったのだ。

「に、人間じゃねぇ・・・」

しかも魔物ときた、確実に俺は攻撃される。俺はただ森を抜ける道を知りたいだけなのに・・・。

「そこにいるのは誰っすか?」

げっ!気づかれた!

「人間!?どうしてこんなところに!?」

「あはははぁ~、迷って」

「おっちょこちょいな人間っすね、森の出口まで案内するっすよ」

とても親切なゴブリンでよかった。これで攻撃されたらヤバかった。いや、やばくないか、一応偽者だけど我が魔王だし。

「でも少し待ってくださいね?ちょっとこいつの相手しなきゃいけないんで」

ゴブリンが指差した方を見ると、巨大なイノシシがいた。

「なんじゃありゃ」

「魔物っすよ、あれうまいんですよ、焼くと肉汁が溢れだしてきてそれはもう」

よだれを滴しながら言うゴブリン君。

「うまそうだなそれ」

想像するだけでも美味しそうだ。でもどうやって倒すのあれ。剣で斬るのか?いや無理そうだけどな。しかもゴブリン君持ってるの棍棒だし。

「ねぇ、ゴブリン君」

「何すか?」

「あいつ俺が倒してもいいかな?」

「いいっすけど出来るんすか?」

「まぁ、出来ると思う」

俺は体をまさぐりジクウドライバーを取り出そうとするがない。

「あれ?ジクウドライバーは?」

どうしようかと思っていたその時、腰の辺りにクウガのアークルのように体内から現れた。

「あ、俺版のジオウって肉体変化型?」

本物のジオウとは異なることに気づきながら次に、ライドウォッチを探した。ポケットにもどこにもないので困っていたら手に光と共に現れた。

「俺のジオウ、本物と違いすぎね?変身プロセス。まぁいいや、ちょっと俺の力を試してみよう」

ライドウォッチのウェイクベゼルを90度回転させ、ジオウのレジェンダリーフェイスを出現させ、ライドオンスターターを押し、ライドウォッチを起動した。

『ジオウ!!』

それをD9スロットに装填した。すると、時計の紋様が背後に現れ、ライダーの文字が現れる。

「おおおお!!何すかそれぇ!!なんか超カッコいいっす!!」

目をキラキラさせながら俺を見るゴブリン君。

「そうだろう、それじゃあ、変身!!」

ジオウお馴染みの構えからジクウドライバーを360度回転させる。

『ライダーターイム、カメーンライダー!ジオーウ!!』

すると、体がむずむずし始める。肉体変化が始まった証拠だ。肉体変化が完了すると、ライダーの文字が顔面に引っ付く。クウガみたいなジオウだな。

「おおおおおおお!!姿が変わったっす!!すごいっすね!!あんたのスキルの力っすか?」

「うん、ユニークスキル、時之王者っていうやつの力だよ。って、そんなこと説明してる場合じゃない!」

「ブルルルルル!!!」

気をなぎ倒すほどの威力の突進を行ってくるイノシシ。はじめての戦闘なので、ギリギリでそれをよける。

「今の俺には、反射神経とか戦闘センスが皆無。なら、スピードでそれをカバーする」

『ドラーイブ』

俺は頭の中に念じ、ドライブライドウォッチを取り出し起動。それをD3スロットに装填し、また360度回転させる。

『アーマーターイム!!DRIVE!ドラーイブ!!』

ジオウに変化した肉体に、仮面ライダードライブを思わせるアーマーが引っ付く。

「さぁ、ひとっ走り付き合ってね?」

俺はドライブアーマーの加速能力でイノシシを翻弄して、近くの岩に激突させる。

「これで、終わりだ!!」

『フィニッシュターイム!!ドラーイブ!!』

二つのライドオンスターターをもう一度押し、必殺待機状態へと移行させ、ドライバーを360度回転させる。

『ヒッサーツ!ターイムブレーク!!!』

音声と共に、ドライブのドリフトカイテーンをおもわせる回転をしながら高速移動しイノシシに攻撃を加えていく。最後に、体当たりを加え、トドメを差す。

「おおお!なかなかやるっすねぇ!」

「すごいだろう!俺の時之王者!そういえば、ゴブリン君、名前は?」

「俺はゴブタっす!」

「よろしくゴブタ君!俺はソウゴだ」

「よろしくっすソウゴ!そうだ!このイノシシ、うちの村で食べていかないっすか?」

「え?いいの?俺人間だよ?」

「何言ってるんすか?さっきは急だったすから気づかなかったっすけど、ソウゴ魔物っすよ」

きょとんとした顔でゴブタ君が言ってくる。

ええええええ!!俺魔物なの!?そういえば、変な声がこんなこと言ってたな。

(チートライダー、スキルとして再現不可、処置として、種族、チートライダーとして再現。成功しました)

俺の種族チートライダーだ!!なんだ種族チートライダーってバカみたいな名前の種族じゃないか!!!

「さっ!うちの村はこっちっす!」

「え、あ、ちょっと待って!」

俺は変な種族に転生してしまったことに嘆きながらゴブタ君の村へと向かった。



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設定

【オリ主】

 

種族:チートライダー

名前:自分からソウゴと名乗っているが名前はない。

耐性:熱変動耐性のみ。増えていくかも。というか覚醒した場合は要らないかも。

加護:なし

称号:なし

魔法:なし

固有スキル

もうあいつ一人でいいんじゃないかな?:能力はその名の通り。

神智核(マナス)

 

逢魔之日(オーマノヒ):いずれ来る覚醒の日に、最強の魔王へと至らせるために存在するスキル。使用するためには、強い怒り、悲しみ、そして運命の時が必要となる。怒りなどを感じるときは、その魔王のオーラを放つことは可能。

 

平成最後之歴史(オーマフォーム):逢魔之日が覚醒した後に使用可能となるスキル。20ある世界の平成の歴史に存在するすべての戦士達の能力全てが使用可能となる。さらに、その戦士達の召喚も可能。

 

究極能力(アルティメットスキル)

 

最高最善の魔王(グランドジオウ):20ある世界の平成の歴史に存在する特異点戦士、主人公ライダーの能力がほぼ全て使用可能であり召喚も可能。平成最後之歴史の劣化版。

 

ユニークスキル

 

時之王者(ジオウ):仮面ライダージオウへと変身するための道具やアイテムを召喚または体内に保管しておくスキル。仮面ライダージオウへと変身するためにも必要となる。このスキルを獲得した時、逢魔之日を強制的に獲得させられる。

 

肉体変化(カワルモノ):仮面ライダーへ変身する時、肉体を変身させ、本来の変身とは違うものへと変えるスキル。

 

演奏者(カナデルモノ):その場その場に合わせたジオウのBGMを流す。

 

仮面之戦士(仮面ライダー):特定のアイテムを使うことで仮面ライダーへと変身させるスキル。その仮面ライダーの力を全て使用可能となる。

 

 

本物のジオウとは違い、肉体変化型の仮面ライダーである。スペックや能力は全て一緒だが、変身者の気合いや根性などで変身解除を免れる可能性がある、という利点がある。アーマータイムも本来の鎧の上に鎧という変なものではなく、肉体の上に鎧を着込むというものになっている。しかし、肉体変化型のため、敗れたときのダメージは相当に大きい。死んでしまう可能性もある。だが、覚醒した場合はその心配もなくなる。魔素を必要としない攻撃であり、徒手空拳が主な戦闘スタイル。能力での戦闘も可能だが、威力がtのパンチやキックが飛んでくるため、相手にとっては致命傷となる。ユニークスキル、演奏者によって、戦闘時や覚醒の時は本編お馴染みのBGMが流れ、戦闘などを盛り上げる。

 



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運命の出会い

「ここがうちの村っす!」

ついた村は、ゴブリン違と狼が協力しあいながらのどかな暮らしをしている村だ。

「いい場所だね」

「そうっすか?気に入ってくれたなら嬉しいっす!そうだ!ここの村長に会ってほしいっす!」

やっぱり村長いるんだ。まぁそりゃそうか、しきる人がいないと村は機能しないか、ただでさえ小さいのに。

「リムル様ー!お客さんを連れてきたっすよー!」

「おー!ゴブタ君、ありがとう」

この村で一番豪華な家に入ると、水色のスライムがちょこんと座っていた。

え?スライム?

「君がお客さんかい?たいしたもてなしがいま出来ない状況だけど、楽しんでいってくれよ!俺はリムル!」

「俺はソウゴ、よろしくお願いします。あの、ほんとにスライムが村長なの?」

「へー、名前持ちか、誰かに着けてもらったのか?」

「え?どういうこと?」

名前を着けてもらう?誰かに?まぁそうなんだろうけど、俺親居ないし、着けてもらったわけじゃないのか。なら俺名無しなのか。

「いえ、自分で名乗ってるだけです。俺親居ないですし」

「え!?そ、それは悪いことを聞いたね、どうだろう、そのソウゴって名前、俺が着けてあげようか?

「え!?いいんですか?ありがとうございます」

この世界で名付けは特別なことなのだろうか?

俺はそんな疑問を持ちながらリムルさんに名付けされるのを待った。

「お前の名は、ソウゴだ」

リムルさんが俺に名付けをすると、リムルさんから膨大な量のエネルギーが俺に流れ込み、リムルさんがぐったりし始めた。

「大丈夫ですか!?」

「き、君、ものすごいポテンシャルを秘めているね」

スライムの顔がさらに青くなり、具合が悪いことがよくわかる。

名付けをするとこんなことになるんだ!?気軽に頼んださっきの俺を怒りたい。

「本当の本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫だって!君は心配性だなぁ」

リムルさんは軽く言ってるけど、相当キツかったはずだし。

「君、出身はどこなんだい?」

「出身ですか?日本」

そう言おうとして、ふと思った。この世界に日本があるかもわからない以上、存在しない国が出身ですなんて言ったら怪しまれるのではないか?

「君、いまなんて?」

そんなことを考えていると、リムルさんがこっちに近づき、じっと俺の顔をみてくる。

「ゴブタ君、彼と二人にさせてくれ、盗み聞きも無しだ」

「わかったっす!ほら、みんな出るっすよ」

そう言って、リムルさんはゴブリン達を外へ追いやった。

「君、いま日本って言ったよな」

「は、はい」

俺は息をのみ、何をされるのか恐怖しながらリムルさんの次の言葉を待っていた。日本って言葉は言っちゃいけなかったのかもしれない。もしかしたら、呼んではいけない魔物の名前と日本という国名が偶然同じだったのかもしれない。

しかし、俺の心配は、リムルさんのある言葉で意味をなくした。

「君もこの世界に転生してきたのかい!!」

「え?」

どういうこと?

「俺も元日本人なんだよ!!」

えっと、リムルさんは俺と同じように転生してきたってことでいいのかな?ということは、この世界には、俺以外の転生してきた人がいるってことか!!

「まさかもう同郷に人に会えるとは思わなかったよ!!これからよろしくな!」

「よろしくお願いします!俺も同じように転生してきた人が居たなんて夢にも思いませんでしたよ!」

でもスライムに転生したなんてリムルさんは苦労しただろうなぁ。いや、俺と同じように転生したってことは、この人も俺みたいに強い力を持って転生したことになる。もしかしたら俺よりも強いのかも。

「そうだ!同郷のよしみで、お前もここにすまないか?家とか無いだろうし」

「ええ!?いいんですか!!ありがとうございます!!」

こんなにすぐ住むところが見つかるとは思わなかったなぁ。雨風に晒されながら眠るのは辛いからな。

「それじゃあ、小さいけど、この村を案内するよ!!」

「はい!お願いします!」

その日、リムルさんに連れられ、俺は村をまわり、歓迎会をして眠りについた。

 

 

 

これが、後に、俺と共に魔王となるリムルさんとの出会いだった。



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出立

「全然が家が作れませんね」

「そうだな、専門知識もなければ、そもそも技術者がこの村にはそもそも居ないし」

俺とリムルさんは、いま困難に直面している。衣食住を完璧にすることを目標に、村の発展を目指しているが、食は狩りや俺の農業知識でカバーできた。しかし、問題なのが衣と住だ。ゼネコンに勤めていたリムルさんの指導で、家を建てはじめたが、技術不足と、リムルさんの知識だけではカバー出来ない部分が現れ、建ててもすぐに崩れてしまう。衣に関しても、機織りもなければ、裁縫ができる人がいない、そのため安定した供給が出来なくなってしまっている。

「だーめだこりゃ、今の俺たちではなす術無し!」

「ソウゴ君の言う通り、そこで、技術者を連れてこようと思う。そこで、ドワーフの国、武装国家ドワルゴンへ向かう。メンバーは、リグルドが選抜した五人とソウゴと俺だ!留守番は頼んだぞ!!」

「行ってきまーす!!」

「わかりました!!気をつけて行ってきてください!!」

リグルドとゴブリン達に見送られ、俺たちはドワルゴンへと走り出した。ゴブリン達とリムルさんは狼もとい、黒狼にまたがり、颯爽と駆け抜けていく。俺はというと、ジオウでもお馴染みのライドストライカーにまたがり、エンジンをふかせながらリムルさん達の後方から後を追う。川に沿っての移動となるため、迷うことはないとリムルさんは言っていた。ちなみに、ドワルゴンはカナート大山脈の麓にある巨大洞窟を改造した美しい都とリグルドさんが教えてくれた。洞窟を改造なんて、さすが異世界だと思ったよ。

「あんまり無理しなくていいぞ!」

リムルさんがランガと他の黒狼にそう言うと、ランガ達のスピードが早くなった。俺もさらにエンジンを吹かせ、後を追う。

 

 

「リグル君。そういえば、君のお兄さんは誰に名前を着けてもらったの?」

「は!私など呼び捨てで構いません!で、兄の名前ですが、通りすがりの魔族の男に着けてもらったそうです」

へー、リグル君お兄さん居たんだ。というか通りすがりかぁー、仮面ライダーにも居たなぁ通りすがり。通りすがりを名乗っておきながら全然通りすがっていかない仮面ライダー。ジオウにも出て、レジェンド感がすごかったのが最後の記憶だ。

「いいお兄さんだったんだね」

「はい!自慢の兄でした!その魔族、ゲルミュッド様もいずれ自分の部下にほしい!と、仰っていたほどです」

「そのときは連れていかれたりはしなかったのか?」

「はい。兄もまだだいぶ若かったですし、何年かして強くなったらまた来ると仰って旅立たれました」

「そうかそうか。今度きたら様子が変わりまくってビックリするだろうな!!」

「そうですね!!しかし今はリムル様に仕える身、栄えある魔王軍とはいえ、ゲルミュッド様についていくことはでにませんが!」

やっぱり魔王いるんだ。オーマジオウの魔王は平成ライダーの歴史の王としての魔王だけど、この世界の魔王はどんな人達なんだろう?やっぱり魔族の王なのかな?

俺が魔王について考えていると、リムルさんが俺に話しかけてきた。

「なぁソウゴ」

「何ですか?」

「いい加減その敬語やめろよ、この世界ではほぼ同年代なんだから」

「わかったよリムル、それで何のよう?」

「ソウゴの力って何なんだ?」

「俺の力?」

「ああ、名前を着けたときに、ソウゴの力を閲覧できるようになったんだけど、いろいろわからないのとが多くてさ、特に逢魔之日が特にわからなくて」

やっぱり、仮面ライダージオウに関することか。

「教えるよ、俺の力について」

俺は大前提として仮面ライダーについて話した。人類のため、世界中の笑顔のために懸命に戦ってきた戦士達の二十年しかないが、とても濃密な歴史について。

「仮面ライダーか、それで、ソウゴの力と仮面ライダーにどんな関連性があるんだ?」

「俺の力は、平成ライダー最後の集大成として作られた、仮面ライダージオウの力なんだ。仮面ライダーは、すべてのライダーと力を継承し、その力を振るうことができる仮面ライダーなんだ」

「え!?それじゃあ、今話してくれた仮面ライダーの力が全て使えるのか!?」

「うん、でもそれはアーマータイムっていう能力を使うことで一時的に対応するライダーの一部の力を使うことができるってだけなんだ。ジオウのときはね」

「へー、一部かー。ん?待てよ、今ジオウのときはねって言ったよな?どういうこと?」

「ジオウは、歴代のライダーと同じように中間フォームや最終フォームが存在するんだけど、それが強すぎるってファンの間で話題になったんだ」

「一体どんな力なんだよ」

「中間フォームはジオウトリニティとディケイドアーマーで能力値は対したことはないんだ。でも、最終フォームの一つ、グランドジオウは違ったんだ」

「グランドジオウ・・・」

「グランドジオウは20人の主人公ライダーの力が継承し終わり、そのライダー達のライドウオッチ全てが合体したことで生まれたグランドジオウライドウオッチをつかって変身するんだけど、その能力が歴代で類をみない力を持っているんだ。まず一つ目に、歴代のライダーを召喚し一緒に戦うことができる。最終フォームとか中間フォームの縛りとかなしに」

「はぁ!?なんだよそのチート能力!!」

「さらに、グランドジオウは二十人のライダーが使った全ての武器を召喚し、使用することもできる。もちろんライダー達の能力も使用することができるんだ」

「とんだチートフォームだなそのグランドジオウ!!でも、ここもまでのチート能力を持ってないと倒せなかった相手が居たってことだよな?」

「まぁね」

「すごいっすね、リグル」

「ああ、お二人の力は、兄を軽く越え、ゲルミュッド様をも越えているのかもしれないな」

さて、グランドジオウの解説は終わった、次はあの魔王についてだが、話した方がいいのかな?

「そういえば、さっきグランドジオウのことを最終フォームの一つって言ったよな?ってことはジオウにはもう一つ最終フォームがあるのか?」

「うん、あるよ、グランドジオウを軽く越えるヤバいフォームが」

「あ、あるんだ」

「うん、あるよ」

俺は息を整え、リムルに解説を始めた。

「二つ目の最終フォーム、名は、オーマジオウ」

「オーマジオウ・・・」

「オーマジオウは、常磐ソウゴ、ジオウの主人公が未来でなるといわれている究極の時の王者の名だ。その力はサブやダーク、映画などのくくりなしに、全てのライダーを使うことができる。文字通り、本当の意味でのすべてのライダーの力がね」

「エグいな」

「うん、このライダーの登場で、ファンの間で起こっていた最強仮面ライダー論争に終止符が打たれたんだ」

「そりゃ打たれるだろうよ」

「これが、たぶんリムルが聞きたかったことじゃないかな?リムル、スキルで俺のスキルを閲覧したことくらいわかってるんだぞ?」

「げっ!気づかれてたか!!まぁ、やってしまったことは仕方がない。そうだ、もうそろそろ休憩しよう!!」

リムルに流されてしまい、そのまま休憩へと入ってしまった。まぁ、俺も運転つかれたし、今回はこのくらいで許してやるかな。俺はバイクを降り、リムル達が焚き火をたき、座っている場所へ向かった。



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ドワルゴン

村を出発して三日後。遂にドワーフの王国、ドワルゴンへ到着した。

「ここからは俺とソウゴ、案内役にゴブタを連れていく。みんなはここで待機だ、頼んだぞ」

「はい!行ってらっしゃいませ!!」

俺とリムルとゴブタは、ドワルゴンへ入るための行列へと並んだ。軍が出入りするために作られた巨大な門の下につけられた出入り専門の扉が据え付けられており、右と左に一つずつ。しかし、行列が出来ているのは左側で、右側の扉には誰一人並んでいない。俺の予想だが、右側の扉は貴族とかそういう人たちが入るための扉なんだろう。セキュリティもバッチリで、顔パスで入れる人と別室で検査を受けるものとちゃんとわかれている。

「おい!魔物がこんなところにいるぜぇ!!まだ中じゃないし、ここでなら殺してもいいんじゃね?」

「なぁ、なに並んでるんだよ?生意気だな!お前ら、殺されたくなければその場所を譲れ!あと荷物全部おいていけ!それで今回は見逃してやるよ!」

なんてことを言う欲望丸出しの人間もなかには混ざっている。しかも、人間至上主義者という糞みたいなことも考えているようだ。この世界の頂点は人間ではなく自然だというのに。

いまここにはゴブリンとスライム、そして貧弱そうな体の俺たちだけだ、こういうやからに目をつけられるのはまぁわかる。だから一つ言いたい。君たちも、なかじゃないんだから攻撃される可能性があるんだよ?

『ジクウドライバー!』

「じゃあ、相手してあげるよ!」

『ジオウ!』

「十秒間だけだけど」

『ディディディディッケーイド!』

「変身!」

『カメーンライダージオーウ!アーマーターイム!カメンライド!Wow!ディケイドディケイド、ディーケーイード!ファイナルフォームターイム!ファファファ555!!』

「なっ!?姿が変わったからって調子に乗るんじゃねぇ!!おりゃああああああああ!!」

剣を振り上げ、俺に挑んでくる冒険者君。まだ若い、彼の方こそ調子に乗っちゃってるみたいだし、ここで挫折を味わわせておかないと。

『ファファファ555!!ファイナルアタックタイムブレーク!!』

通常の1000倍のスピードで攻撃を叩き込み、冒険者君を気絶させる。

「なっ!?なんてスピードだ・・・たが、ここで負けるわけにはいかない、こんな雑魚い奴らに負けたって知られたら他の奴らにどういう目で見られるかわかったものじゃないからゴハァ!!!」

台詞が長いんだよ冒険者君。とりあえず、道のはしっこの方に片付けておいた。

「スゲーな今の、なんてスピードだよ」

「通常の1000倍のスピードで動けるんだ、目で追えなかったでしょ?」

「当たり前だわ!!」

「おい!お前!!俺の仲間になんてことをしやがった!!殺してやる!!」

まだ仲間がいたらしい。さて、すぐに終わりにしようか。俺は1000倍で動ける残り5秒をつかって残りの冒険者君達を倒し、同じように道端に片付けておいた。変身を解除し、並び直そうとすると、衛兵の人たちが来て、事情聴取をつけることになった。

 

 

 

 

「それで、さっきの姿はなんだ?」

「これをつかって変身したんです」

「ほう、少し貸してみろ」

と、衛兵さんはジクウドライバーを取ろうとするが、俺のスキルによって顕現してるため、他の奴らは持てないし、俺から他の相手に持たせることも出来ない。

「あ、無理ですよ、これ俺のスキルなんで他の人は持てないんです。例え仲間だとしても」

「本当のようだな、それに触れようとするとすり抜けていく。さて、君の種族は一体?」

「え!?あ、あの、その、ち、チート、ライダーです・・・・」

「ブフッ!!」

ちくしょうリムル笑いやがったな!!俺だってこんな変な名前の種族に転生したくなかったよ!!

「ほう、新しい種族か」

「出身はジュラの大森林です」

「あそこで産まれたなら信憑性があるな、何せ邪龍ヴェルドラがつい最近まで封印されていたのだから」

ヴェルドラってドラゴンのお陰で信じてくれたみたい。どこにいるかわからないけどありがとう、ヴェルドラさん!

「さて、今回はの事情聴取はこれで終わりだ、次からは気を付けるように!だが、しばらくは身柄を拘束させてもらうぞ」

「「「はい(っす!)!」」」

「大変だーー!!」

ドアを突き破るように開けて駆けてきた衛兵が、尋問をしていた衛兵に緊急の報告をした。

「鉱山にアーマーサウルスが出やがった!!鉱石を採取していた何名かの鉱山夫が怪我を負っちまった!!」

「何だって!?アーマーサウルスは討伐したのか!?」

「そっちは討伐隊が向かって大丈夫だ!だが、怪我の具合が悪いのが居て、なかには腕がちぎれそうなやつもいる!!戦争の準備やらで薬関係はどこも売り切れ、城の備蓄からも出すことが出来ないらしい!」

「回復術師は!?」

「それが、魔鉱石の採取で奥まで行ってるだろ?その付き添いで出てしまっていてヒヨッ子しか残っちゃいねぇんだ!」

「万事休すか!?」

エグいこと聞いちゃったな、そういえばリムルが回復薬持ってたよな?

「ねぇリムル、ここで恩を売っておいて、釈放してもらおうぜ!」

「それは俺もいま思ってたことだぜ!」

樽のなかに並々の回復薬を入れ、衛兵さんに声をかける」

「おい!旦那!!旦那!!!」

「なんだ!?いま取り込み中だ!!取り調べは終わりだが、まだ解放は出来ん!!潔くこの部屋で待機していろ!!」

「いえいえそうじゃなくて、これなんですけどね?」

吐き出すように、リムルは懐から回復薬を取り出し、衛兵さんに見せる。

「あ?これは?」

「回復薬ですよ!飲んでよし!掛けてよし!の優れものですよ!!」

「あ?何でスライムが回復薬なんて持ってるんだ?」

「そんなことはどうでもいいでしょ?衛兵さん。人命とスライムの不自然、どっちを取るの?人の命は金じゃ買えないんだよ?怪我人の数は?」

「ろ、六人だが、大丈夫なのか?」

「チッ!仕方ない!おい!お前ら!ここから出るんじゃねぇぞ!!」

と言って、回復薬を持っていった衛兵さん達。そこから一時間ほど待つと、何人かの鉱山夫と共に衛兵さんが戻ってきた。待っている間、ゴブタは寝ていた。どんだけ図太いんだこいつ。

「助かった!ありがとう!!」

入ってくるなり深々とお辞儀をしてお礼を言ってくる衛兵さん。

「あんたが薬をくれたんだってな!ありがとうよ!!」

「お陰で千切れ掛けてた腕がくっついて、仕事に復帰できそうだ!!!」

「・・・・!!」

((いや最後の人なんか喋れよ!!))

まぁ、リムルに感謝いていることは伝わったよ。その後、俺達は丸一日拘束させれることになったけど、とても待遇はよかった。俺がやっつけたあの冒険者達は、問題を起こすことが多く、よい薬になったと衛兵さん達は言っていた。

俺はどれだけの数のライドウォッチが出せるか確認してみた。メインライダーはもちろん、サブライダーのライドウォッチや3号ライダーも4号も、あらゆるすべてのライダーのライドウォッチを作り出すことが出来た。さらに、立体化されたものが少なかった中間フォームのライドウォッチや、映画限定フォームのウォッチ、最終フォームのウォッチも作り出すことが出来た。そしてもちろん、グランドジオウのライドウォッチも。ビルドに関してはハザードやラビラビタンタンのライドウォッチまで作り出せた。しかし、一つだけ作り出すことが出来なかったものがある。それは、オーマフォームに使うオーマジオウライドウォッチだ。

もしかしたら、まだ俺に早いのかもしれない。それもそうか、まだこの世界に来てたったの数週間しかたってないのだから。

まぁためしに、このグレイトフル魂ライドウォッチを起動してみよう。

『グレイトフル魂』

『英雄達が全員集合!オールマイティーな、ゴースト、グレイトフル魂!!』

おお!!ちゃんと解説までついてる!こりゃすごい!ラビラビは?

『ラビットラビットフォーム!』

『ハッイェーイ!!紅の装甲でスピードアップ!ビルド、ラビットラビットフォーム!』

おお!!こっちもちゃんとしてるぞ!!これはライダーファンとしては興奮するぜぇ!!

「ソウゴ、何してるんだ?」

「リムル!すごいんだよ!!ライドウォッチをどこまで作れるのか調べたら!中間フォームや映画限定フォームとか立体化されてなかったものまで作れたんだ!」

俺は手から水が沸き出すようにライドウォッチを生成し続け、リムルに見せる。

「へー、それはよかったな、というか、それお前のパワーアップアイテムなんだよな?そんなポンポン作っていいのか?」

「魔素とかは使ってないみたいだし、大丈夫みたい、個数制限はあるみたいだけど」

「そうなんだ、便利だよな、お前のパワーアップアイテム。ほぼなんでも出来るみたいなものだろ?ただウォッチを変えてアーマー着ればいいだけだもんな!」

「でも状況にあわせて瞬時に判断するのさ難しいよ、ライドウォッチも大量に作り出せちゃうから間違えたらヤバいし」

そんなこんな、俺のライドウォッチの話や、リムルがこの世界に転生してきて捕食し手にいてれたスキルの話を聞きながら、夜は明け、釈放された。

「すまなかったな!一日も拘束して、お詫びに、俺が知ってるうでの良い鍛冶職人を紹介するぜ!」

「おお!!それはありがたい!」

「こっちだ!ついてこい!」

俺は衛兵さんのあとをついていき、鍛冶職人がいる武具屋まで連れていって貰った。後は、リムルの交渉次第、頑張ってくれよ。

 

 

 



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ドワーフ鍛冶師

ハーメルンにアカウントをつくっていなくても感想かけるようにしました。どんどん感想書いてください!


あの後、衛兵さんにこの世界のお金の価値と相場、様々なことを教えて貰い、遂にドワーフ鍛冶師さんと初顔合わせだ!

 

「おい!兄貴!いるかい?」

 

衛兵さんもとい、カイドウさんがこじんまりとした武具屋へ入っていき、なかにいる主人に挨拶をする。話からして兄弟のようだ。

 

「お邪魔しまーす!」

「どうもっす!」

「こんにちはー!」

 

俺達もカイドウさんに続き、店に入っていく。そこには、昨日出会った三人組とこの店の主人と思われる人がハンマー片手にこちらを見ていた。

 

「「「「「「あっ!!」」」」」」

 

見覚えのある顔に俺達は驚きながら、再会を喜んだ。

「なんだ?お前達、知り合いか?」

「カイジンさん!!このスライムですよ!昨日俺たちを助けてくれた!!」

「そうそう!隊長さん、旦那の弟さんだったんですね!!」

「・・・」

「おお・・!さっき話してたスライムか!昨日こいつらを助けてくれたそうだな、感謝する!」

「それほどでもあるような?ないような?はっはっはっはっはー!!」

 

これでわかった、リムルはほめられればすぐに調子に乗るタイプだ。ほら、カイジンさん若干引いてるよ。

 

「それで、どうして今日はここへ?」

 

店の奥に移動し、カイドウさんとリムルがここへ来た理由を説明した。

 

「話は判った、だが今は力になれそうもない。とある国から依頼を受けていてな」

 

秘密だぞ?と言って説明してくれた。話を聞くと、どこぞのバカが戦争を起こすかもしれない!!という恐怖から先走った周辺諸国が武具の注文を行っているようだ。昨日の薬の在庫切れもこれのせいか。

 

「で、だ。鋼製の槍200本はできたんだが、肝心の剣20本がまだ一本も出来ていない。材料がなくてな。さらに期日が今週末と来た」

「今週末ぅ!?」

「無理だと言ったらどうですか?」

「最初はそう言ったんだ、そしたらあのクソ大臣のベスターの野郎が、

 

『王国でも名高いカイジンともあろうお人が、この程度の仕事も出来ないのですかな?』

 

などとほざきやがった!しかも国王の目の前でだ!許せるか?あのクソ野郎が!!」

 

あ、荒れてるなぁ。そうだ、ビルドの力でその材料作れないかな?いや無理か、でも武器を作れるから剣のデータと材料さへあればなんとかなる。

 

「その材料がなくて作れないって、槍とは材料が違うんですか?鋼ならいくらでもありそうなのに」

「それがそうなんだ、剣に使う材料は魔鉱石って特殊な鉱石になるんだ。何とかして終わらせないと、職人資格のはく奪もあり得る仕事なんだ」

 

それは大事だ。ん?そういえば、リムル、魔鉱石持ってなかった?確か洞窟のなかでたくさん食べたって。

 

「ねぇーねぇーリムル、魔鉱石、持ってたよね?」

「ああ!もちろんだ!」

「それちょっとくれない?俺がやるよ」

「そんなに作れるのか?」

「見てて」

 

俺はジクウドライバーとジオウライドウォッチ、ビルド、ジーニアスフォームライドウォッチを取り出し言った。

 

「カイジンさん、その剣のレプリカかなにかありませんか?」

「残念だがないんだ」

 

ないんだ、なら俺でも作るのは難しい。ビルドは科学に基づいたものならたくさん作りだせるけど、魔法的力を持ったものを一から作り出すのはちょっと。とりあえずは。

 

(リムル、カイジンさんに魔鉱石あげて)

(なにか考えがあるのか?)

(今回はおれに任せてよ)

(わかった)

 

俺の指示通り、リムルは魔鉱石を吐き出した。

 

「…お、おい! おぃいいい!!! こ、これ、魔鉱石じゃねーーーか! しかも、純度が有り得んほど高いぞ!!!」

「おいおいあんたの目は節穴かい?」

「何・・・?まっ、まさか、いやそんな馬鹿な!この塊すべてが魔鋼だと!?!?」

 

 

急な 魔鋼の登場に驚きを隠せないカイジンさん。それもそうだよね。

 

「こ、これを譲ってくれるのか? 勿論、金は言い値で払うぞ!」

 

(釣れたな)

(釣れたね)

 

「さて、どうしたもんかねぇ」

「く!何が望みだ?できることならなんでもするぞ?」

「その言葉を待ってました!俺たちの事情はさっき話したでしょ?カイジンさんの知り合いとかで技術指導をしてくれる人を紹介してもらいたいんです」

「なんだと?そんなことでいいのか?」

「うん、いまの俺たちの最優先事項は衣と住居の獲得。リムルは寒さを感じないけど、俺たちは感じるから何とかしたいんだ。もしこのまま冬が来てしまえば、凍死してしまうゴブリンたちが出てしまうかもしれない。それを防ぎたいんだ。そのほかには武具や衣類の調達もしたい」

「そんなことでいいならお安い御用だ!」

 

こうして、カイジンさんに魔鋼塊を渡し、契約は成立した。そのほかの細かい取り決めは、作業後、リムルがやってくれるだろう。

 

 

 

 

その日の夜、カイドウさんは晩飯を食べた後帰っていき、カイジンさんは作業に戻った。カイドウさん、昼からさぼってて大丈夫だったのかな?まぁ、怒られるのはあの人だし、俺はしーらない!

そして、ドワーフ三兄弟に俺たちははいたく感謝された。カイジンさんが国ににらまれたのは自分たちのせいだと思っていたらし、恐縮していたんだという。なら、俺たちとこないかとリムルが言うと、きょとんとした顔した後三人で、相談し始めた。

良い返事が聞けると良いな。さて、本題に入ろう。このペースでカイジンさんが剣を作ったとしても、期日には間に合わないだろう。だから、ここはまた俺が何とかしよう。

 

「カイジンさん、間に合うの?」

「正直無理だと思ってる。だが、やるしかねぇんだよ!!」

 

職人さんとくいうの気合いで何とかするか。でも、無理なものは無理だし、効率も悪いしね。さぁ、やるぞー!

 

(リムル、カイジンさんの作った剣を解析して)

(わかった)

 

「ちょっ、おい!!」

リムルが捕食者でカイジンさんが作った剣を大賢者が解析、そのデータを俺とリムルの間にある魂の回廊を通じて送ってもらう。

「よし、あとは」

俺はジクウドライバーとジオウライドウォッチ、ジーニアスライドウォッチを作り出し起動、変身する。

 

『ジクウドライバー』

『ジオウ!』

『ジーニアスフォーム!』

『カメーンライダー、ジオーウ!アーマーターイム!超天才!ビルドジーニアス!ジーニアス!』

「す、す、姿が変わった!?」

俺の横に現れた白をベースにカラフルなボトルが収まったアーマーが現れ、ビルドお馴染みのポーズをとったあと弾け飛び、俺の体に張り付いた。これで、仮面ライダージオウ、ジーニアスアーマーへ変身完了だ。カイジンさんが使っていた魔鋼塊を吸収し、それを材料に万能形成装置で剣を複製していく。

「どうですか?カイジンさん」

「な、な・・・」

言葉を失っているようだ。

「傑作がこんな簡単にコピーされちゃぁ言葉も失うわ!」

(でもリムルも出きるんでしょ?)

(うん、できる)

(人のこと言えないじゃん)

(うるさいやい!)

その後、魔物の体内で生成される魔石の話や、魔鋼で武器を作った場合の性能や性質などの解説をしてもらい。驚きながら興味深くそれを聞いた。後でリムルからパクった魔鋼塊でジカンギレードとサイキョウギレード作っとこ。

「後で魔鋼塊返せよ?」

「チッ!」

「今舌打ちしたな?」

「気のせいだよ?」

「・・・」

さぁ、次は報酬の職人の紹介だ!どんな人が来るかな?



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恐れ

「「「「かんぱーい!!」」」

「か、かんぱーい・・・」

 

お、俺達は、う、打ち上げと称して飲みに出掛けていた。だが、こんな店とは聞いてない!!俺、前世ではこんな店一回も行ったことがないんだぞ!!露出の激しい服を着たお姉さん達が隣に座ってるなんて俺には耐えられない!!なんか悪いことしてるみたい!

 

「ソウゴ、そんなに顔を赤くして、まさかこういう店がはじめてなのか?」

「うぶだなソウゴ、こういう場は楽しんでおけばいいんだよ」

 

楽しむ?そんなの無理だね!だって横を見れば超綺麗なお姉さんがニコッとこちらに笑みを見せ、恥ずかしくなって下を見れば、なにとは言わないがポヨポヨと揺れているものが二つあり、どこを見ればいいのかわからず、涙目でリムルのほうを見る。

 

「こりゃダメだな、ソウゴには刺激が強すぎた」

(おい、お前何歳で転生してきたんだ?)

(17歳)

(あー・・・)

 

なにかを察したような顔をするリムル。学生で転生してきて、ここまでのステップアップは俺は耐えきれないよ!

 

「違う店にすればよかったか?」

「いえいえ!大丈夫ですよ!みんなで楽しんでください、俺はあっちのほうにいますんで!」

「だがなぁ、誘ったほうとしては、二人が楽しんでくれないとなぁ」

「すみません、未熟なばっかりに」

 

何で俺はあんな歳で転生しちゃったんだろう?ちょっとでもいいから社会勉強をしてからがよかった。俺は飲み物を持って少し離れた席に移動した。

 

 

離れたはいいが、やはりつまらないのが現状だ。俺は暇潰しがてら、ライドウォッチを作り出し眺めた。

 

「あら、それはなに?おもちゃ?」

 

すると、この店のママさんが話しかけてきた。

 

「あ、え、えっと、おもちゃじゃないです。こ、これは・・・歴史です」

「歴史?一体なんの?」

「えっと、言ってもわからないかも」

「なら、教えて、どんな歴史なのか」

「わ、わかりました」

 

 

俺はスキルの念写を使って、平成仮面ライダー、20人を写した。それぞれお馴染みのポーズをとるライダー達。その中に、俺が変身する仮面ライダージオウがいる。最高最善の魔王になるライダーが。

 

「この人、いえ、魔物かしら?この方達の歴史なの?」

「はい、平成仮面ライダー、一つの歴史に集結した、立派な戦士達の名前です」

「いっぱいいるわね、私はこの人が好きかな?」

「仮面ライダー鎧武ですね、フルーツのアーマーを纏って戦うアーマードライダーっていう種類のライダー。平成ライダー15人目。最後は神様になった仮面ライダーでした」

「神様!?」

 

ママさんが出すとは到底思えない声を上げると、その声に反応して皆こちらを向く。

 

「なんだソウゴ、結局よろしくやってるじゃねぇか!」

「こ、これは仮面ライダーのことを教えてて」

「カメン、ライダー?」

「なにそれ!私も聞きたい!」

「もしかして、俺の剣を複製したときになったやつのことか?それなら俺も聞きてぇな」

「そういや、俺もちゃんとソウゴに聞いてなかったな、仮面ライダーのこと」

 

続々と集まってくるみんな。お姉さん方の乳圧でちょっと苦しい。でも、仮面ライダーについては、リムルにはちゃんと話したい。この場を借りて話しておこう。

 

「ぷはっ!そ、それじゃあ、話すよ、ライダーのこと。俺の力のこと」

 

俺はまずクウガのライドウォッチを手に取り、話をはじめた。

 

 

 

 

「す、すごいな仮面ライダー」

リムルが額に汗を流しながら答えた。

「ええ、想像していたよりも遥かに凌駕するほどの内容だったわ」

「これうちの店でしてもよかったのかしら?」

「それでそれで、君はどんなライダーなの?」

 

テンション高めのお姉さんが、俺に詰め寄ってくる。これからジオウの話をするところだ。

 

「俺は、この時計をモチーフにしたライダー、仮面ライダージオウだ」

 

仮面ライダージオウ。すべてのライダーの力を受け継ぎ、時空を越え過去と未来をしろしめす時の王者。産まれながらの王にして、最高最善の魔王にも、最低最悪魔王にもなれる平成最後のライダー。

 

「これは俺達が捕まってたときに話してくれたな!さっきまで紹介してたすべてのライダーの力が使えるんだよな?」

「ええ!?そうなの!?」

「とんだ魔王ライダーね」

 

リムルは驚かないけど、他の人は目を見開いて驚いている。やっぱり、ライダーの力って、強いんだなぁ。

 

「そうだよ、このライドウォッチの力でね」

「思うんだが、一体これはどういう仕組みであの鎧が出せるんだ?」

「それは俺もわからない、なんたって、俺は偽物のジオウだから」

「どういうことだ?」

 

俺は、この人達にこの力を手にいれるまでのことを話した。リムルのことを省いて。事故にあい、死んでこの力を持って転生した。右も左もわからない中、俺はゴブタに出会い、はじめてこの力を使った。最初に使ったのはドライブの力。その力で猪を倒し、リムルと出会った。リムルに、ソウゴ。本物のジオウと同じ人物の名前を着けてもらい、ここまでやってきた。

 

「それじゃあ、もともとお前さんは人間だったってことか」

「そうだよ」

「急に魔物になって怖かったでしょうに」

「ううん、そうでもなかった、魔物になったことは怖くなかったけど。内心、自信がなかったんだ、このライダーの力を使うことが」

 

仮面ライダーの名を冠するということは、これまで俺がテレビで見てきた人たちと同じ人物になるということ。ましてやジオウだ。自信がなかった。ただの学生が、急に仮面ライダーになったのだ。もしかしたら失敗しちゃうんじゃないかって、だれかを傷つけちゃうんじゃないかって。

 

「そうだったの」

「うん、いまでも怖いんだ」

 

目を伏せてジオウライドウォッチを見つめる。キラリと光るそのウォッチは、本来俺が持つべきものじゃない。

 

「ソウゴよ、なに気負ってるんだ?」

「カイジンさん?」

「その思いがあれば、お前は大丈夫だ。人ってのは力を持つとすぐに調子に乗っちまう質だ。だが、お前は違った。そのカメンライダーの名の意味をちゃんと理解して、その力と向き合ってる。運命なんて壊していけ!いただろ?その世界の破壊者のでぃけ、ディ」

「ディケイドね」

「そうそうそれだ、そのディケイドのようになればいい。それこそ、本物のソウゴのように最高最善の魔王になればいいさ。そんな魔王だったら、この世界を支配されてもだれも文句はいわないさ。それによ、もし最低最悪の魔王になっても、俺達が止めてやるさ。俺の力をなめるなよ、すべてのライダーの力になんて負けないさ!」

「私も、そのときは一緒に止めるわ。子供の過ちを止めて上げるのも、大人のつとめだもの」

「皆さん・・・」

「そうだぜソウゴ。それに、俺もいるしなぁ、いざとなったら、俺が胃袋で隔離しちまえばいいし」

「それ俺出れなくなるじゃん。まぁ出れるけど」

「え!?出れるの!?」

「オーロラカーテンで」

「それがあったか・・・でもまぁとにかく、ソウゴなら大丈夫。なんたって俺が名前を着けたんだからなぁ!!」

 

俺のまわりにいる人たちが、いい人たちでよかった。少し自信を持てたと思う。それに目標も決まった。

 

「俺、なります。最高最善の魔王に。常磐ソウゴさんがなったように、俺も魔王になる!みんなを幸せに出きるような、笑顔に出きるような、そんな魔王に!!」

「そのいきだ!!さぁ飲め飲め!!今日は無礼講だからな!!ハッハッハッ!!」

「うふふふ、こんないい話聞かせてもらったのだから、お礼をしないとね、ねぇ二人とも、これやってみない?」

 

なんか卑猥な動きをするお姉さん。だが、その膝の上に乗っていたのは水晶玉だ。占いでもするのかな?

 

「占い、やってみない?」

 

やっぱり占いだった。前世では占いは朝のニュース番組の星座占いしかやったことないからな。面白そうだ。

 

「はい!やってみたいです」

「それじゃあ、スライムさんとライダーさんの運命の人なんてどうかしら?」

「いいですね!」

 

俺の運命の人か、どんな人なんだろう?かわいい人がいいな

「まずはスライムさんからね!」

 

と言って、お姉さんが水晶玉に手をかざすと、玉の模様がぐるぐるとまわり、そして、綺麗な黒髪に、ほほに赤いやけどのような痕がある美人が現れた。

 

「ほう、こいつはイザワ・シズエじゃないか」

「イザワ・シズエ?」

「ああ、爆炎の支配者と言われる自由組合のギルドの英雄で、見た目は若いが、何十年と活躍した。いまは引退してるっ話だ。どっかの国で若手を育ててるとか何とか」

「へー」

 

(イザワ・シズエ。どっからどう見ても日本人の名前だ。人の姿を保ってるってことは、俺達とは違う方法でこの世界に来たのかもな)

(この人が俺の運命の人・・・なんか縁を感じるなぁ)

 

リムルはこの人を興味深そうに見る。俺もこういう人なのだろうか?

 

「次はライダーさんね!どれどれぇー」

 

先程のように水晶の模様がぐるぐるとまわり、そして現れた。なんだ?これは?

 

そこにあったのは、真っ青な空だった。不思議に思っていると、とある紋様が浮かび上がった。

 

「これは!?」

 

それは、オーマジオウのような顔の魔方陣だった。その魔方陣に無数のマグマが流れ込み、禍々しいライダーの字を形成する。場面が変わり、炎のなかに立つ者が一人、現れた。顔は見えない。一体こいつは?

そいつが腰に着いていると思われるオーマジオウドライバーのオーマジクウマトリクスに触れると、黄金の時計のバンドが彼を包み込み、オーマジオウへと変身した。

 

「この人が、ライダーさんの運命の人?」

「いや、違うだろう、もしかしたら、こいつ自身かもしれないぞ」

「俺、自身・・・」

 

もしかしたらこの光景は、逢魔之日を表してあるのかもしれない。だとしたら、俺はオーマジオウになってしまうのだろうか?

 

「運命の人じゃなくて、運命の日か・・・」

「待って!まだ続きがあるみたい!」

 

もう一度水晶を見ると、そこには桃色の髪に角が生えたの女の子が悲しい顔をしていた。横には、リムルがいる。

 

「お、俺がいるぞ」

「この女の子が運命の人?」

「こいつはオーガの上位種族の鬼人じゃねぇか。えらいべっぴんさんだなぁ」

 

そんなことよりも、俺がオーマジオウになるかもしれないという事実を重く受け止めなければいけない。もしかしたら、俺はこの世界を・・・。

 

「元気を出せ、さっき言ったことをわすれたのか?」

「っ!?いえ、わすれていません!」

「なら、この運命をぶち壊せ、それで最高最善の魔王になれ」

「はいっ!」

 

そうだ!本物のソウゴさんだって、諦めなかったんだ。きっと、本編でも最高最善の魔王になっているはず。だったら俺も、あきらめず、最後まで全力で足掻いてやる!

 

「さぁ、こんな重い話をここでおしまいだ。飲んでわすれちまうぞ!!」

 

カイジンさんがグラスに入ったワインを一気に飲み干したのを皮切りに、皆はおもいおもいに飲み始めた。俺も、ジュースだけど飲んで食べた。しかし、それを邪魔するやつが現れた。

 

「おやおや?カイジン殿ではありませんか!いけませんなぁこんな上品な店に下等なスライムを連れ込んでは!」

 

口ひげを着けて、いかにも高級な服を着てワインを片手に持つ男。カイジンさんが言っていたベスターだ。

 

 



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大臣

「おやおや?カイジン殿ではありませんか!いけませんなぁこんな上品な店に下等なスライムを連れ込んでは!」

 

口ひげを蓄え、いかにも高級な服を着、ワインを片手にこちらを蔑んだ目で見てくる男。この人がカイジンさんの言っていたベスターってやつだろう。

 

「むむ?そちらの者も魔物でしたか、まったく、ここはどうなっているんだ!!おい!女主人(マダム)!!ここは魔物の連れ込みを許しているというのか!!」

 

いきなり怒り出すなんて情緒不安定かよ。

 

「いえ魔物と言いましても、無害そうなスライムですし」

「はぁ?魔物だろうが!!違うのか?スライムは魔物ではないと抜かすのか!!!?それに、人型の魔物のほうもだ!あの魔物はどうなる?あらも無害そうなとでもいうのか!!」

「いえ・・・そういうわけでは・・・」

 

かわいそうなママさん、ホントにあのベスターさんは倫理観がないんだね。

 

「不味いな、大臣のベスターだ」

 

やっぱりベスターだったようだ。クソだなあの大臣。なんでこの国の王はこういうやつをクビとかにしないんだろう?

 

「ふん!魔物にはこれがお似合いよ!!」

 

冷たっ!!

この野郎、俺に酒をかけやがったな!!!

 

「だ、大丈夫!!ライダー君!!」

「はい、大丈夫ですよ」

 

俺はグランドジオウライドウォッチを出すと、仮面ライダーウィザードを呼び出した。

 

「俺のこと乾かしてくれない?」

「いいぜ、ほれ」

 

『ホット、プリーズ!』

 

暖かい風が吹き、俺の体を完璧に乾かした。

 

「ありがとう!」

「今度は戦いの時に呼んでくれよ?」

 

俺がお礼を言うと、ウィザードは光と共にグランドジオウライドウォッチに消えていった。すると、カイジンさんが机を蹴り上げ、ベスターさんに詰め寄った。

 

「おい・・・。黙って聞いてればいい気になりやがって!!ベスター!俺の客に舐めたマネしてくれやがって、覚悟はできてるんだろうなぁ!!!」

 

くずであっても、この国の大臣であるベスターに向かってそんなこと言っても良いのだろうか?ベスターも驚いてひきつった顔を浮かべている。

 

「き、貴様!この私対してそのような口を・・・!!」

 

怒りによって、その後の言葉が続かないベスター。その怒りに歪んだ顔を、さらに歪ませる者がいた。カイジンさんが殴ってしまったのだ。

 

「お前、そろそろ黙らんかい!!」

 

ええ!?大丈夫なのそれ!!

 

「リムルの旦那、ソウゴ。腕の良い職人を探してたよな?俺じゃ不服かい?」

 

不服も何も大歓迎だけど、お店は大丈夫なのかな?

 

「その言葉を待っていたぞ!よろしく頼むぞ!カイジン!!」

 

ええ!?リムルはいいの!?

 

「カイジンさん、本当に大丈夫なの?」

「ああ、どっちみち、大臣を殴り飛ばしたんだ、この国には居れないよ」

 

何だって?じゃあこの国は特定の位などを作ってその位の人を優遇しているのか?まったく、この国の王はそんな腐ったルールを作ったのか?

 

「なら、いいですけど。一体ここからどうやって逃げる?俺の力使うか?でも、この人数を運ぶのはちょっと無理があるというか、クロックアップに生身の人間やスライムが耐えられるとは思えないし」

「ああ、というより、ここから逃げるのは不可能だ。もちろん、お前さんの魔王としての力が覚醒すれば、行けるかもしれないが、覚醒前は無理だろう。なんたってここは武装国家なんだからな」

 

カイジンさんの解説が入り、この国からの逃亡が無理なのがわかった。オーロラカーテンを使えばいいのかもしれないけど、それで逃げたところで、すぐに見つかって連行されるのがおちだ。大人しく従っておこう。この国の王様に言いたいこともあるし。

 

 

 



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魔装兵事件

翌日

 

「兄貴、なにやってるんだよ・・・」

 

警備兵を連れて現れたカイドウさん。あきれた声でカイジンさんに声をかける。

 

「フン!そこのバカが、客であり恩人でもあるソウゴの旦那に失礼なことをしやがるから、ちょいとお灸を据えてやっただけのことよ!」

 

そう言って引き連れていた騎士に介抱されているベスターを指差す。ベスターは驚きとショックのせいで立ち直れていない。まさか殴られるとは思っていなかったのだろう。

 

「おいおい・・・お灸を据えるって、大臣相手には不味いだろ・・・」

 

ため息混じりに言葉を漏らすカイドウさん。

 

「とにかく!兄貴達の身柄は拘束させてもらう!」

 

そう言って、部下に指示を出し始めるカイドウさん。そして、俺達に聞こえる程度の声でこう言った。

 

「悪いようにはしないから、大人しくしてくれよ」

 

カイドウさんの配慮に感謝しながら、大人しく指示にしたがった。その間に、リムルがママさんに金貨5枚を渡していた迷惑料だろう。俺も、何か渡そうと思ったけど、お金もなければなにもないので渡せなかった。

 

 

 

王宮に連行され、二日ほど牢屋に拘束された。拘束されたと言っても、ちゃんとした食事は出たし、過ごしやすい環境だった。

 

「俺が短気を起こしたばかりに、すまん!!」

 

カイジンさんが謝ってきたけど、あれは俺を思ってのことだし、そんなことで怒る人たちは、ここには居ない。

 

「カイジンさん!大丈夫!問題ないさ!!」

「そうそう!親父さんが気にすることないですよ!!」

「・・・・!!・・・・!!」 

 

三人とも同じ気持ちだったようだ。しかし、やっぱりあの人はなにも言わないんだ。

 

「裁判が終わったら、俺達カイジンさんについていきますぜ!」

「リムルの旦那、ソウゴの旦那、俺達も行ったら迷惑かい?」

「・・・・?」

 

あの人が何を言ったのかわからないけど、満場一致のようだ。

 

「全然迷惑じゃないですよ!!むしろ大歓迎です!!」

「ふん!まとめてめんどう見てやるさ!ただし!こき使うから、覚悟しとけよ!」

「「「おう!(・・・!)」」」

 

こんな感じで、拘束一日目は、釈放後のことを考えていた。

 

 

 

「そういえばあの大臣、えらくカイジンさんのこと目の敵にしてなかったか?」

 

リムルがそんなことを言った。この質問に対して、カイジンさんは苦虫を潰したような顔をして答えた。

 

カイジンさんはもともと七つある王宮騎士団の団長の一人であり、工作部隊の団長であった。ベスターは、団長時代の副官であったらしい。ベスターは、侯爵の出であったらしく、金でその地位を買った等と言われており、カイジンさんが平民の出で妬んでいた。だが、仕事熱心であったらしく、複雑な精神状態であったという。平民出の上官の命令を聞くしかないということは、貴族のもの達は他の何よりも屈辱を感じる。だが、立場上聞くしかない。ベスターもベスターで自分のプライドと仕事の合間で悩んでいたのだろう。そのときのカイジンさんも、王さまの期待にそおうとして、他人の気持ちを考えてやるほど、余裕がなかったのだとか。そんな時、ある事件が起きた。その事件の名は、魔装兵事件。当時の工作部隊は革新的な技術革新がなく、すべての部隊のなかで最低の評価であった。技術大国の立場から、工作部隊は花形であるべきだと主張するベスター派と堅実な研究を行い続けるべきだと主張するカイジン派で争っていた。

両者の意見は拮抗、会議で結論が出ることはなかった。そんな時、エルフの技術者との共同開発の、魔装兵計画が持ち上がった。この計画を成功させ、工作部隊の地位を確固たるものとしよう。そう考えたベスター。ベスターの焦りを感じ取ったカイジンさんは、ベスターに忠告を促したが、平民出の上官の忠告など完全無視し、開発を急いだ。そして、焦ったベスターの独走から、精霊魔導核の爆発事故を起こし、計画は頓挫。こうして、計画は幕を閉じた。

 

 

「その事件の責任を、ベスターはすべて俺に押し付けた。軍の幹部も抱き込み、偽の証言も用意した。そして、俺は軍を去ったって訳よ」

 

貴族の出だから、自分の立場の保身をしたがるのは、まぁ当たり前のことなのだろう。もとの世界での政治家だってやっていた。富裕層やそういう国の重要な立場に関わるとそうなってしまうのだろう。

 

「俺が国から出れば、少しはマシになるだろう」

 

そう言って、カイジンさんはこの話を締めくくった。三兄弟も当時のことを知る人物であり、ベスターを嫌っていた。貴族はどうしてもそうなってしまうのだろう。権力、立場、そして金は人を狂わすものだからかな?

それにしても、この国は貴族を優遇する国。そんな簡単に釈放してくれるとは思えない。そんな疑問に、カイジンさんは。

 

「大丈夫だろ。一応、俺は退役したとはいえ、団長にまでなったおかげで準男爵の地位に戴いている。

庶民が貴族に対して!!てのなら、裁判待たずに死刑もありえたけどな」

 

笑いながらそう言うカイジンさん。だ、大丈夫かなぁ?

 

 

 



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英雄王と時の王者

裁判の日になった。俺達はこの国の王。ドワーフ王ガゼルの前に連行され、王様が裁判長として俺達を裁く。他の騎士などとは比毛にならないほどの威圧感がある。だけど、なんでだろう。俺はこの人のことを弱いと思ってしまう。この人の以上の威圧感を俺は出せると思ってしまう。なぜだかわからないけど。

 

「裁判を始める!皆、静粛にせよ!!」

 

ガゼル王の言葉で、裁判が開始された。一時間に渡って、双方の証言が発表される。俺達の証言は、代理人によって発言される。この裁判も、位が高い貴族の人以外に発言権がないのだ。まったくこの王様は。それにしてもこの代理人、嘘の発言ばかり言っている。ベスターは、この代理人まで抱き込んでいるのだろう。いくら懐の大きい俺でも怒るぞ。

 

「ねぇ、代理人さん」

「貴様!この場での発言は、伯爵位以上の貴族以外は許されないのだぞ!!このまま発言を続ける場合、不敬罪にあたるぞ!!」

「うるさい君は黙っててよ。君の意見は聞いてないの」

「なっ!?」

 

俺はギャーギャーうるさい貴族を黙らせて念写を発動した。そこには、俺にグラスに入ったワインをかけるベスターの姿が写し出される。

 

「それは!?」

「俺のスキル、念写だよ。この念写は、俺が見たもの以外写し出せない。これがベスターさんがやったことだよガゼル王さん。この代理人は嘘の発言をしている。ベスターさんは、この代理人も抱き込んで俺を追い詰めたかったんでしょう。それに、そんな大怪我おってない。カイジンさんは、顔にパンチを一発しか入れてないのに、なにそれ?そんなにカイジンさんをこの国から消したいの?魔装兵計画が頓挫したのは君のせいなのに?」

「貴様!!魔物無勢で私を侮辱するか!!」

「侮辱じゃないよ。俺は君の欠点を言って、君を追い詰めてるだけだよ。ガゼル王もガゼル王だ」

「ほう、余にまで仕掛けてくるか」

「ああ、当たり前だろ?こんなにまで貴族を放っておいたあなたにも責任がある。それに、貴族を優遇する政策もそれに拍車をかけてしまっている」

「それを言われてしまうと、余も言い訳はできぬな。はぁ・・・カイジン!久しいな、息災か!」

「はっ!王におかれましても、ご健勝そうで何よりでございます!」

「よい!余とそちの仲である。本題である!!戻ってくる気はあるか?」

 

周囲はざわめき、ベスターの顔が青ざめる。抱き込まれついる代理人の顔は、死にそうな程の土気色に変わっている。

 

「恐れながら王よ、某はすでに主を得ています!!この契りは某の宝であり、この宝は、王の命令とあれど、手放すことはできません!!」

 

その言葉に、周囲は気色ばみ、騎士達は殺気を送ってくる。だけど、その殺気を俺のオーラで相殺して騎士達を睨み付けた。騎士達は息をのみ、青ざめた顔で俺の方を見てきた。お前は一体なんなんだという顔で。

 

「で、あるか・・・・」

 

ガゼル王の言葉で沈黙。そして、ガゼル王は判決を言い渡した。

 

「判決を言い渡す!!心して聞くがよい!カイジン及びその仲間は、国外追放とする!!

今宵、日付が変わって以後、この国に居ることは余は許しはしない!!

以上、余の前から消えるがよい」

 

寂しそうな顔でそう言うガゼル王。カイジンさんのこと、気に入ってたんだろうなぁ。だけど、こんなことになったのは、あんたの監督不行き届きだよ。

俺達が騎士に連れられて裁判室を出ようとするとき、ガゼル王が声をかけてきた。

 

「待て」

「?」

「そこの、先ほど無断で証言を始めた魔物よ、少し待て」

「なんのよう?」

「名は、なんという?」

「ソウゴ、またの名を、仮面ライダージオウ。すべての時代を知ろしめす、時の王者だよ」

 

俺はそう言って、裁判室から出た。



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ジオウ

裁判後、その場所は静まり返っていた。そして、その場所に居たのは、武装国家ドワルゴンの王、ガゼル・ドワルゴと、先ほどの裁判を起こしたベスターである。

 

「さてベスター、何が言いたいのかわかるな?」

「こ、これは誤解です王よ!!何かの間違いでございます!!」

 

情状酌量の余地がないというのに、いまだに見苦しくわめきたてるベスター。対するガゼルは、感情を除かせない冷酷な態度で、ベスターを追い詰める。

 

「誤解、か・・・。余は忠誠な臣下を一人失うことになるとはな」

「何を仰る!!あの様な者など王に忠誠を誓うどころか、どこの馬ともわからぬ・・・」

 

「ベスター、お前は勘違いをしている。カイジンの奴はすでに余のもとを去っている。余が失う忠実な臣下は、ベスター、お前のことだ」

 

一瞬、ベスターはガゼルが何を言っているのか理解できなかった。

 

王は今、なんと言った?失うのは、お前だ?

 

聞き間違いだと思い、何度も先ほどガゼルが言ったことを考える。だが、何度考えてもガゼルが言った言葉は変わらない。ガゼルが失う忠実な臣下はベスターなのだ。

 

「ベスター、なにか言いたいことはあるか?」

 

ガゼルが問うてくる。ベスターは、なにか弁明しようとするが、恐怖のせいで、何も言えなかった。

 

「余は、お前に期待していたのだ。ずっと、待っていた。魔装兵事件の際も、お前が真実を話してくれるのを待っていた。

そして、今回も。これを見よ」

 

そう言って、ガゼルはとある3つの品を指差す。いつの間にか近習によって運ばれてきていた。ベスターは、それらを虚ろな目で見る。

 

3つの品はカイジンが鍛造し、我が魔王が仮面ライダービルドの力で複製したロングソード。我が魔王の友、リムルがドワーフ達に使用したポーション。そして、濃密すぎて弱者には見えないオーラを可視化することができる水晶である。

 

「教えよ」

 

ベスターが不思議に思っていた謎の球体、ポーションについて、近習が解説を始めた。

 

解説を聞いたベスターがその内容を理解するのに、しばしの時間を有した。

 

ヒポクテ草から抽出された液体で作られる回復薬。それはこの国でも大量に作られていた。だがしかし、作られたポーションには、完全にちぎれている腕や足などをもう一度くっ付ける程の効果は持っていなかった。なぜかというと、この国のすべての技術を使って抽出できるのが、98%までであったからである。しかし、このポーションはこの国の技術で越えることができなかった1%を越えた完全回復薬というものである。

 

なぜ越えることができたのか?なぜそんなものが作れたのか?知りたい!!

 

ベスターは血走った目で回復薬を見た。

さらに、近習がなんの変哲もないロングソードについても解説を始めた。なんと、本来であれば十年、鋼に馴染ませてから行われる魔鋼の侵食がすでに始まっているというものであった。

あり得ない現象が、物が目の前に存在している。その事にベスターの脳が活性化され、そして一つの答えにたどり着いた。それは

 

「このポーションとロングソードを齎したのは、あのスライムと人型の魔物、ソウゴ。いや、カメンライダージオウと言うべきか。お前の行いがあの魔物達との繋がりを断った。その意味がわかるな?さらに、この水晶の映像を見よ」

 

水晶によって映し出されたのは、我が魔王の姿であった。

 

「これはカメンライダージオウのオーラを可視化したものだ。お前は戦闘職についていなかったせいか、わからなかったと思うが、彼が出していたオーラは余は愚か、いまにも魔王に覚醒しそうな勢いのものだった。まさに、時の王者という名にふさわしいのもののな」

 

映像に映る我が魔王のオーラ、そして、我が魔王の背後に映る、未来の我が魔王の姿に恐怖するベスター。

 

わ、私は、こんな化け物にあのようなことをしていたというのか!?

 

「この国が無事であったのは、ソウゴが寛容であったからである。ベスター、なにか言いたいことはあるか?」

 

ベスターは、ガゼルの怒りの深さ、そして、あの瞬間、あの裁判がこの国の命運を左右していたことを知り、そして理解した。自分には、なにか言うべきことなどないのだと。

 

「王よ、何も、ございません」

 

ベスターの目に涙があふれでてくる。

 

自分は、王に捨てられた。その事を初めて理解できた。

王の役に立ちたかった。そして、王に認めてもらいたかった。ただそれだけだったというのに、私は、どこで道を間違えた?カイジンに嫉妬をしたときか?あるいはもっと前か?だが今さら考えても遅い。時は前にしか進まない。過去を変えることは不可能なのだ。

 

「で、あるかベスターよ。お前には、王宮への立ち入りを禁止する。余の前に、二度と姿を見せるな。

だが、最後に一つ言っておこう。大義であった!!」

 

 

ベスターは、王の言葉を聞くと、立ち上がり去っていった。ン我が魔王とリムル、そしてカイジン、ドワーフ三兄弟の証言代理人はすぐに逃げ出した。だが、この国の暗部の人間にすぐ捕まってしまった。

 

 

「暗部よ!すぐにあのスライムと時の王者の動向を探れ!!絶対に気取られるな!!絶対にだ!!特に、あの時の王者には!!命の危険がある!!」

 

念を押してまで発せられる命令。その重要さ、そして危険を感じ、気を引き閉める暗部。

 

「この命に代えましても!!」

 

そう言い、暗部は闇へと消えていく。

 

 

と、ここまでが、この逢魔降臨歴に書かれた、我が魔王の歴史である。お楽しみ頂けただろうか?この後、ドワーフ三兄弟やカイジンの活躍があり・・・おっと、これはあなた方がまだ見ていない未来の出来事であった。



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帰還

森の入り口でリグル達と合流し、村を目指す。なんやかんやあったが、無事、職人さんを仲間にすることができた。しかも凄腕の。

リムルは、自由組合が運営する冒険者ギルドにも行ってみたかったらしい。やっぱり居るんだ、冒険者。

お金もまぁまぁ稼げたし、今回の成果は上場だろう。さぁ、村へ帰ろう。

俺はバイクライドウォッチを取り出し起動。宙へ投げると物理法則をガン無視し、巨大化。バイクの形となり音を立てて地面に着地した。

 

「な、なんだそりゃ・・・」

「ん?ああこれ?バイクだよ」

「ば、ばいく?」

「うん、これに乗って帰るんだ。行きもこれに乗ってきたよ」

「は、はぁ」

 

(俺は、ここまで何個のオーバーテクノロジーを見せられてるんだ?)

 

唖然としているカイジンさんとドワーフ三兄弟。まぁ、バイクなんてこの世界にないからな。もしかしたらこの世界でも作れるかもしれないけど、ガソリンとかの燃料は、魔素とかでどうとでもなるんだろうけど、仕組みがわからないから作るにも作れないよなぁ。トライチェイサーとか作ってみて欲しかったなぁ。まぁ無理だろうけど。

 

あっちではランガとリムルがなんやかんややっている。たぶんランガはリムルを自分の背中に乗せたいんだろう。だがそのランガの期待を裏切り、リムルがカイジンさん達のうちの何人かを乗せろと言ったのだろう。まぁ、ランガがリムルを崇拝ともとれるほどの信頼を寄せている。そのため、リムル以外の人を乗せるのはランガからすると気が引けるのだろう。だが、わがままが毎回通るとは限らない。今回はおとなしくカイジンさん達を乗せるのだねランガ。

 

お!リムルがなんとかランガを説得したみたいだ。さぁ、帰るぞ。

リムルは黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)に擬態し、カイジンさんとガルムさん。ランガがドルドとミルドを背に乗せ走り出す。てかあの四人気絶してね?まぁいいか。俺は、他のゴブリン達がリムル達について行ったところで、ライドストライカーのエンジンを吹かせ走り出す。しばらくすると、絶賛気絶中の四人を気にかけながら、ゴブタの話題となった。リムルの話では、ゴブタが黒狼の召喚に成功したらしい。あいつそんなことできるようになったのか。

 

「ゴブタよ、本当か?」

「はいっす!呼んだら来てくれたっす!!」

 

呼んだらって、曖昧だな。なんかコツとか話してあげないのかな?まぁ、ゴブタって一応おバカさんだからそう言うことはできないんだろう。そういえば、ゴブタは一度一人でドワルゴンに行って帰ってきたんだよな?じゃあ生きる力とそういうのは天性の才能としてあるんだろうな。この世界ではそういう才能は強みだから、バカはバカでもやるときゃやるおバカってことか。

リムルと同じく、ゴブタの評価が、何段か上がった。

 

夜になり、一旦休憩に入る。俺とリムルは一切疲れていない。リムルはスライムだし、俺はバイクだしね。だが、黒狼やゴブリン達には休憩が必要だ。というより、ドワーフ四人組が一番休憩が必要なのだ。

 

休憩の間、リムルは自分のスキルの実験をするみたいだな、俺もやってみよう。まぁ、大体のライダーのウォッチは作り出せる。サブ、三号、四号、ダークとか関係なしに。だが、二つだけ作り出すことができないものがある。それは、ジオウライドウォッチⅡとジオウトリニティライドウォッチである。トリニティはわかる。この世界にウォズもゲイツもいない。居たとしても、俺と関わりを持ってない。だから作れないのは当たり前だ。だけど、ジオウⅡ。なぜ作れないのかわからない。本来のソウゴさんは、覚悟を持って、自分の中にある善と悪、その二つの側面を理解し、力に覚醒した。たぶんだけど俺にはまだそれができてない。まだ、善と悪がどういうものなのか、完全にはわかっていない。だからだろう。俺がジオウライドウォッチⅡが作れない理由は。

 

ドォーン!!

 

あの、なんかあっちで雷落ちてるけど大丈夫かな?

 

 

翌朝

 

 

朝までずっとなんかの音が鳴ってあんまし眠れなかったなぁ。リムルの野郎スキル実験朝までやりやがったな。ドワーフ四人もやっと起き始めた。周りの光景に驚き、二ヶ月かかるだの町を経由しないとなど言っているが、黒狼やこのライドストライカーにそんなの関係ない。人間の徒歩や馬車とはスピードが段違いに速いのだ。

 

「あのカイジンさん、あと二日で村に着きますよ」

「あ、ありえない・・・」

「それがありえるんですよ、人間の徒歩や馬車とは比べ物にならないくらいこの子達のスピードは速いんですから」

 

さぁ残り二日、さっさと帰って家、服作りだ!!

 

その後、カイジンさんが俺達に着いてきた理由やガゼル王のことについて話しながら、村へと帰還した。

 

 

 

 



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村・復・興・!!

題名がすごい無理矢理感がありますがご了承ください。

後、この前のセイバーの剣斬カラミティストライクはエモーショナルだったなぁ・・・。


村に到着すると、皆、歓声を上げて帰還を喜んでくれた。とりあえず、みんなにカイジンさんや三兄弟を紹介しようとしたが、なんと、リムルにお客さんが来ているという。いったいどんな人達だろうと思っていたら、周辺の村のゴブリン達がリムルの配下になるために来たというだけであった。魔物は強い者の配下になるのが常識みたい。まぁ、強い者の配下になれば、それだけ生存率が上がるってのもあるんだろうね。

あと、話では、様々な魔物がこの森の覇権を手にいれるために動き始めたらしい。そのためか、力がもとからないゴブリン達が格好の的になることが目に見えた各ゴブリン村の村長や代表者が、こぞって俺達のところへ来た、というわけだ。

リムルは、このゴブリン達を受け入れることにした。何匹来るんだろうと思っていたら、なんと全部あわせて500匹来たのだ。普通魔物は名前をつけられることはまずない。だが、それでは判別がつかないと、リムルはすべての魔物に名前をつける。だが、この数である。いくらリムルでもすべてのゴブリンに名前をつけることは難しい。なので、俺

も名付けに参加した。魔素が足りなくなるんじゃないかって?なーに、いるじゃないか、魔力が失くなっても、自身が使用した魔力をもう一度取り込み再利用するという裏技を持つライダーが。俺は、ウィザードインフィニティースタイルライドウォッチを作り出し、起動した。

 

『インフィニティースタイル!』

 

俺の体、一時的にウィザードインフィニティースタイルの力が付与される。肉体変化型ジオウである俺は、アーマータイムをしなくても能力だけは使えるのだ。だが、カイジンさんのロングソードを量産するには、ビルドジーニアスに内蔵された装置を使用するため、アーマータイムを使用せざるおえなかったのだ。だが、今回は違う、ただ能力を使用するのみ、これなら変身もアーマータイムも必要ないため、すぐに名付けを行使することができる。それじゃあ、やっていこうか。

 

数時間後

「そ、ソウゴ・・・お前どんだけ魔素あるんだよ」

「え?ああ、俺は魔素のリサイクルをしてるだけでちゃんと失くなってるよ?」

「ま、魔素のリサイクル?」

 

俺はウィザードの力を解説し、ウォッチを渡した。

 

「これを使えば魔素のリサイクルが可能になるのか?」

「俺は仮面ライダーに変身できるからできたけど。リムルはライダーじゃないからなぁ。やってみなきゃ俺もわからない」

「ならやってみるしかないな!」

 

そう言って勢いよくリムルはウォッチのライドスターターを押し込んだ。だが・・・。

 

「あれ?」

「やっぱり無理みたいだね」

「嘘だろ・・・。ズルいぞソウゴだけ!!」

「仕方ないだろう!!ジオウ系のライダーじゃないと使えないっぽいんだから!」

 

残念ながら、リムルは使えなかった。ライダーじゃないとやっぱり使えないみたい。というか、俺が許可すれば、ライドウォッチは渡せるんだな。ジクウドライバーは渡せないくせに。もしかして、ライダーベルト特有のセーフティー機能によって持てないとか?ライドウォッチにはそんな機能ついてないから渡せるのかもな。

 

「仕方ない、俺の魔素を分けるよ」

「サンキュー!」

 

俺は、リムルが俺に名前を着けてくれたときに現れた、魂の回廊を使って魔素を流し込んだ。

 

「!?」

「ん?どうした?」

「いや~、何でもない。それじゃあ続きといこうか」

「ああ」

 

俺達は必死に考え、名前を着けていった。リムルが一人でやる名付けを、俺が参加したことで本来かかる時間よりも半分の時間で名付けが終わった。さぁ、やっと俺も村の復興もとい、拡張に参加することができる。

リムルは前世の知識をいかして建築に参加するようだ。なら俺は、農業とかに参加しよう。ばあちゃんの家が農家でよくやってたからなんとなくできるんだよね。

 

まず、田んぼを作ろうとしたら、そもそも稲がなかった。田んぼを作るには、まず自生している稲をを探すとこらからだった。仕方ないため、別のものがないかと聞いてみたら、残念ながら、ゴブリン達が、過去になにかを植え、育てるということをしていなかったため、種がそもそもない。なので、実や果実の取り方をゴブリン達に教えた。他には、見た目から食べられないと思われていたアケビやイチイの食べ方も教えて上げた。調理方法の伝授は、女性陣に好評で、後に、度々お料理教室を行うことになった。

そんなこんなで復興が進んでいった。

 

ある日、リムルに呼び出され、リムルがいる家へと向かった。そこには、リグルドとリムルの配下となるためにやってきた村の元村長四人が居た。いったいなんのようだろうと思っていると、リムルがこう言った。

 

「お前達に位を授ける!!」

「位?ああ、ソウゴのは少し特殊だけどな」

 

そう言って、リグルドにゴブリン・キングに四人の元村長ゴブリンはゴブリン・ロードの位を授け、そして、俺の番になった。

 

「ソウゴ、ソウゴには、仮面ライダーの位を授ける。これから、みんなの笑顔を守ってくれ!」

「ああ!!もちろんだ!」

 

リムルが粋な計らいをしてくれて、俺はこの村の仮面ライダーに就任した。これからも、最高最善の魔王になるために頑張るぞ!!



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冒険者、そしてスゴイ!ジダイ!ミライ!

ジュラの大森林 林道

 

「いやぁ、二人も助っ人が、現れてよかったですよ!なぁ姐さん」

「ええ!!スッゴく助かっちゃいました!」

「いえいえ」

「いや、私も、この森林には用があったのでね」

仮面を着けた女性と、灰色のボロいマフラーにコートを着、片手には本を持ち、腰には緑色のベルトを着けた男性が言った。

「シズさんと〝ウォズさん〟はなんで助っ人を承諾してくれたんですか?」

「あなた達と同じ。邪龍ヴェルドラが消失したって耳にして、その調査をするために」

「やっぱりそれっすか。一体この大森林に、何が起きてるんすかね?」

「わからない。だから調べに来たんでしょ?」

「それもそうっすね。それでウォズさんはなぜ助っ人に?」

「私は、この大森林の一角に、主の気配を感じてね」

「主?」

「ああ、その名も、ジオウ。過去と未来をしろしめす、時の王者と呼ばれるものだ」

「へー、それは大層ご立派な人なんですね」

その後、五人は大森林に入っていった。

 

 

 

 

 

ゴブリン村

 

 

 

今日も今日とて、釘を打つ音が鳴り響く復興中の村。俺がお料理教室をやっている間に、上下水道まで作られていた。しかし、家はまだ完全には建っておらず、空いた土地がちらほらとある。区画整理も順調なようで、スッキリとした十字型の大通りを設けている。リムルが言うには、攻められた場合は弱いらしい。でも、攻められることなんてないだろう。

お料理教室は順調で、ゴブリン達がホブゴブリンに進化したことで、すぐに調理法を覚えてくれるため、次の料理次の料理と教えることが出きる。だが、もうネタがつき始めた、その為、今日で料理教室は終了だ。

 

「ごめんね、もう教えられる料理は無いんだ」

「大丈夫ですよソウゴ様。ソウゴ様は村を守りながら様々な料理法を教えてくださいました。とても為になりましたよ!」

「そう?ならよかったよ!」

 

女性ボブゴブリン達の話を聞き、料理教室は解散となった。

すると、リムルがぴょんこぴょんこと、俺の方に向かってきた。

 

「ソウゴ!リグルドが、なんか不審な奴らを捕らえたって」

「へー、一体この森になんのようだろう?行ってみようか」

 

俺とリムルはリグルドの後に続いて、不審な人物達がいるテントに行くと、そこでは肉の取り合いをしている三人の男女と一人の女性、そして・・・。

 

「ウォズ・・・何でこの世界に・・・」

「おお!!やっと見つけましたよ、我が魔王!」

 

 

そこには、ジオウ本編で見覚えのあるソウゴの従者。仮面ライダーウォズこと、ウォズが跪いていた。



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ウォズとの出会い

この本によれば、転生者ソウゴには、転生時に与えられた魔王にして時の王者である仮面ライダージオウの力を持ち、オーマジオウとなる未来が待っていた。

とある日、突如この私、ウォズが現れ、彼を混乱に陥れる。だが、そんな混乱の最中、転移者であるシズエ・イザワの体内に封印された上位精霊イフリートが・・・おっと、ここから先は貴方には少し未来の出来事でしたね。

 

 

 

 

 

 

 

「ウォズ、なんですか?」

「その通りでございます、我が魔王」

 

(ソウゴ、この人だれ?ソウゴの知り合い?)

(ううん、だけど知ってる人。ウォズってのは、仮面ライダージオウの側近で、逢魔降臨歴に書かれた通りにソウゴさんをオーマジオウにしようとしていた人なんだ。終盤は少し違ったけど)

(てことは、この人はお前をオーマジオウにしようとしている人ってことか?)

(そういうことになるね)

(まぁまぁ危ない人ってことか)

(そういうこと、気をつけて見ておこう)

 

俺達がウォズを少し危険視しておこうと話している横では、焼き肉を取り合う三人の冒険者の姿があった。

 

「すいません、どうやら荷物類を蟻どもに奪われたらしく、食事を用意してやったもので」

 

リグルド、なかなか優しいところもあるね。

 

「いや、良いんじゃないか? むしろ、よく気付いたな! 困ってる者に親切にしてやるのは、良い事だぞ!」

 

リムルがそう誉める。だんだん、俺やリムルに判断を仰がなくても、皆を纏めることができるようになっている。俺達の肩の荷が少しずつ降りていく感覚がある。

 

「はは!! 今後とも、リムル様とソウゴ様に迷惑をかけぬ様、精進したいと存じます!」

 

堅苦しいところがちょっとなぁ、俺は慣れないや。

そんなことは置いておいて、俺達は三人に近づいていき、挨拶をかわす。

 

「お客人達、大した持て成しは出来んが、寛いでくれておりますかな?

 

 こちらが、我等の主、リムル様!そして、この村を守っている戦士、仮面ライダージオウことソウゴ様である!」

 

ごくりと肉野菜を飲み込む音が聞こえると、驚いた顔でこう言ってきた。

 

「「「え? スライムが!?そっちの魔人じゃなくて!?」」」

「もぐもぐ」

 

一人マイペースに食べ進める仮面の人。

 

「初めまして。俺はスライムのリムル。悪いスライムじゃないよ!」

「プッ!」

 

リムルがそう言うと、仮面の人が飲み物を吹き出す。笑壺にでも入ったのかな?

 

「俺はソウゴ、一応魔人じゃなくて魔物なんだ。よろしく」

 

俺も自己紹介を終えると、あわてて三人が自己紹介とここに来た経緯を話し始めた。

 

「これは失礼しました! まさか魔族に助けて頂けるとも思っていませんでしたが、助かりました!」

「あ! 私たちは、人間の冒険者やってます! このお肉、とっても美味しいです!この3日、ずっと逃げ続けてて、まともな食事も摂れなくて…。本当にありがとうございます!」

「どうも! 助かりやした。しかし、こんな所に人鬼ホブゴブリンが村を建設中とは思いやせんでした。」

「ごほごほ、ぐす。ゴクゴク」

 

仮面の人、気管に入っちゃったみたいだね。俺は仮面の人に近寄っていって背中をさすってあげた。

 

「ありがとう」

「いえいえ、リグルド、この人達が食べ終わったらリムルのテントに呼んで」

「わかりました」

 

リグルドにそう伝え、俺達(とウォズ)はリムルのテントに向かい、お茶を飲んで数分待つと、焼き肉を食べ終わった四人がなかに入ってきた。同時にゴブリナが四人分のお茶をお盆に乗せて入ってくる。四人が席につき、お茶が運ばれたところで、リムルがここに来た用件を訪ねる。

 

「では、改めて、初めまして。ここの主のリムルと言う。ここへは何をしに来られたのかな?」

「初めまして、俺はカバル。一応、このPTのリーダーをしている。

こいつがエレンで、こっちがギドだ。言ってわかるかな? Bランクの冒険者だ」

「初めまして! エレンですぅ!」

「ども! ギドといいやす。お見知りおきを!」

 

この三人はパーティだったんだ。それじゃあ、この人は・・・。

 

「で、こっちが道が一緒という事で、臨時メンバーになった、シズさんだ。そこにいるウォズさんも臨時メンバーの一人だ」

「シズです」

 

声からして女の人のようだ。にしても、すごく日本人っぽい座り方に飲み方だよなぁ。もしかしたら転生者かな?もしくは転移してきた可能性もあるか。

まぁそんなことは今は置いておこう。聞きたいのは四人の目的だ。

 

 

 

話を聞くに、ギルドの依頼を受け、この辺りに怪しいものがないか調べに来たらしい。怪しいものって、すごい抽象的だな。

 

「でな、怪しい物とか言われてもさ、何が怪しいかなんて俺らに判るわけないんだよ!」

「そうそぅ! ちゃんと具体的に何を調べろ! って言って欲しかったよね!」

「いくらあっしらが調査が得意と言っても、限界があるってもんでやす!」

 

三人もどう意見だったようだ。でも、この辺りに怪しいものか・・・。となるとこの村のことか、三種族の戦争とかくらいかな?後は俺達かな?

 

「だいたい、この辺りに怪しい物なんてないんじゃないの? 強いて言えば、洞窟?」

 

リムルに少し心当たりがあったようだ。一番あなたと俺が怪しいものだと思うけどね。

 

「いやいや、あそこには何も無かったんだよ! 知ってるかな〜? 邪竜が封印されてる! とか、言われてたんだよね。中で、お風呂も入れないのに、2週間も滞在して調査したけど、何にも居なかったもんね!」

「って、バカ! それは流石に言っちゃダメな話なんじゃねぇの?」

「知りやせんぜ? バラしたのは、姉さんですぜ! あっしには関係ありやせんぜ!」

「邪竜か、それってワイバーン?それともドラゴン?」

「どういうことっすか?」

「ワイバーンとドラゴンが居るのは知ってるよね?」

「ええ、おとぎ話でも登場するわ」

「そう、でもワイバーンとドラゴンの違いはわかるかな?」

「さぁ?どっちも同じなんじゃないですか?姿が違うくらいで」

「それが違うんだよ、面白いことを教えよう」

 

俺はそう言って、リグルドから木の板とペンを貸してもらって、二つの漢字を書いた。

それは、竜と龍だ。

 

「ワイバーンとドラゴンを現す、俺の故郷の文字だ。こっちがワイバーン、こっちがドラゴンだ」

「ワイバーンのほう、簡単に書けそう。ドラゴンのほうは難しそうでやすね」

「そう、そこがポイントだ。この文字からわかること、それは生物としての位の違いだ。ワイバーンが下でドラゴンが上。さらにワイバーンとドラゴンの体の構造から、進化の違いもあるんだ。ワイバーンは二つの脚に前脚が進化した翼脚、つまり翼って構造をしている。だけど、ドラゴンは四肢、いわゆる四つの脚と背中についた翼脚、つまり、ワイバーンに進化する前の生物は、四肢で地を這っていた。だけど、ドラゴンは、四肢プラス、なぜ必要だったのかわからないもう二つの脚があることがわかるんだ。これが、ワイバーンとドラゴンの違い。だから聞きたい、その邪竜は、二つの脚プラス翼脚かい?それとも、四肢プラス翼脚かい?そうなると話が変わってくるんだ」

「さぁ?わからないっすねぇ、邪竜事態見たこともないんで」

「そうかぁー、そうなると、もし封印が解かれたときの被害がどのくらいになるかわからないなぁ」

 

(あのぉ~)

(どうしたのリムル?)

(その邪竜、いや、邪龍って言ったほうが正しいのか、そいつ、あの洞窟で出会って友達になり、今現在俺のスキル、捕食者の胃袋のなかに居ます。さらに封印解こうとしちゃってます)

(マジ?)

(マジ、隠しててごめん)

(じゃあその邪龍暴れたとき全部リムルの責任ね)

(はい)

 

「まぁとにかく、封印が解かれないことを祈ろう。話を進めよう」

「あの洞窟、調査したと言うけど、何であんなとこ調べに行ったの?」

 

そうそれだ、まぁ大方、このスライムのせいだと思うけどね。

 

「もう言ってしまったもんは、しょーがねえ。

実は、エレンが言った通り、邪竜の反応が無くなったと噂になってな…」

 

エレンさん言っちゃだめなことポロッと言ってたのね。でもやっぱり、このスライムのせいでしたわ。

 

「しかも、中は魔素が濃いから、反応石持って行ったんだが、濃度が低下しててな。完全に、異変は察知出来なかったんだよ。

今ではあの洞窟、普通よりは濃度濃いけど、唯の洞窟になっちまってる」

「まあ、強い魔物いっぱいいるから、入らない方がいいのは確かだけどね!お宝は何にも無かったし、鉱石なんかも何にもなし!

危ない魔物、倒して中に入るメリット何にもないのよ!」

「探せば、盗賊達の装備くらい、落ちてるかも知れやせんが、大した物はなさそうでやす」

 

また横のスライムがギクッと身震いをしていた。この人だな、この人がやったんだな。はぁ、まったくこのスライムは。

 

その後、口を滑らせたのなら仕方ないといろいろな情報を提供してくれた。スライムがやらかしたお陰で洞窟の価値が下がり、ここら一体の調査も減る可能性が高いと言う話だ。これなら、町を作り続けても良さそうだな。あでも、人間はそうはいかない可能性があるのか。聞いてみよう。

 

「そういえば、今ここで町を作ってるんだけど、そこんところはどうなの?」

「いや…、大丈夫だろ?」

「そうねぇ…、ギルドが口出す問題じゃないしね。国はどうなんだろ?」

「うーん…、あっしには判りやせん」

 

とのことだ、国がどう動くのかは、ただのギルド職員めはわからないということなのだろう。

 

ちょっと心配だなぁ・・・。

 

 

そんなことを思っていると、シズさんが突如胸を押さえて苦しみだした。

 

 

「グァアアアアァァァァァアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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炎の支配者:星喰らいのアーマー

シズさんが急に苦しみだし、被っている仮面にヒビが入る。そこから紫とピンク色が混ざったようなオーラが漏れだし、ふらふらと立ち上がりながら魔法の呪文かな?を、唱え出した。

 

「召喚魔法!?」

 

エレンさんが驚きの声を上げ、杖を持って警戒する。俺もジクウドライバーを腰に巻き付け、いつでも変身できる状態にする。

 

「おいおい、マジかよ? どのランクの召喚だ?」

「・・・、ええと、魔法陣の規模からの予想だけど、"B+"以上の魔物!」

「旦那方、悠長な事言ってないで、止めないと!!!」

 

すると、召喚魔法を行使している途中のシズさんを灰色のボロいマフラーが包み込み、離れた場所へ転移させた。

 

「ウォズ!!」

「お役にたてましたかな?我が魔王」

「もちろん!!ウォズ、変身できる?」

「もちろんでございます」

 

『ビヨンドライバー!』

 

緑色のベルトを巻き付けるウォズ。片手にはウォズミライドウォッチを持っている。

 

「大地よ! 彼女を束縛せよ!泥手(マッドハンド)!」

「うぉおおおーーーりゃ!!! 重追突(ノックダウン)!」

 

その横では、エレンさんが足止めのための魔法を行使し、ギドが警戒体勢を入る。見事なコンビネーションでその場が戦場へと変わる。

 

「はぁぁあああ!爆!」

 

目が人間のものではないものに変わっている。すると、叫び声を上げて指を下から上へくいっと上げる。すると、シズさんの周りに小規模の爆発が起こる。 見ると、爆風で三人が吹き飛ばされていた。

 

「おい!大丈夫か?」

「あっしらは、大丈夫でさ!」

「ちょっとぅ、身体中が痛いんですけどぅ! 危険手当上乗せして貰わなきゃ!」

「おお痛てー・・・。お前ら・・・、リーダーの心配をしろよ!」

 

三人の無事をリムルが確認し、エレンが自分の見解を話す。

 

「シズさんって、魔法使えるとは思ってたけど、召喚まで・・・」

「てか、何を呼び出しているんだ?」

「いやいや、そんな話じゃねーでしょ。あっしの知る限り、召喚中に魔法を無詠唱で発動なんて、聞いたこと・・・」

「え・・・、まさか・・・・・・。爆炎の支配者・・・?」

 

爆炎の支配者?なんだそれ?物騒な名前だな。まぁ俺も大概だけど。

 

「ウォズ、知ってる?」

「ああ、爆炎の支配者、シズエ・イザワと呼ばれる冒険者の別名である。何でも、イフリートと呼ばれる上位精霊の力を使うみたいのようだ」

「上位精霊か・・・」

「だが、爆炎の支配者シズエ・イザワはもう何十年も前に居た冒険者、もしかしたら、精霊の力によって老化しないようにされている可能性がある」

「ってことは、イフリートをとりはずしたら、死んじゃう可能性があるってこと?」

「そういうことになる」

 

じゃあどうやって助ければ・・・。いる。一人いる。体の構造を変えられるダークライダーが。

 

俺はそのライダーのライドウォッチを作り出し、リムルに合図を送る。

 

「おーい三人とも!ちょっとソウゴが動けなくなるから気を付けろよ!」

「え!?何ででやんすか?」

「変身、するからさ」

「ヘンシン?」

「まぁ見てろって!おーいソウゴ!!こっちは大丈夫だぞ!!」

「わかった!!」

 

俺はジオウライドウォッチのウェイクベゼルを回転させ、ライドオンスターターを押し込む。

 

『ジオーウ!』

 

さらに、片方に持つライドウォッチも同じ方法で起動する。

 

『エボル!』

 

横ではウォズがミライドオンスターターを押し込み、ミライドウォッチを起動していた。

 

『ウォズ!』

 

『アクション!』

 

そしてマッピングスロットにセット、俺はD‘9スロットとD‘3スロットにそれぞれライドウォッチをセットしライドオンリューザーを押し込んでお馴染みのポーズをとる。すると、俺の背後に透明な時計が、ウォズの背後に電子時計のエフェクトが現れる。

 

「「変身!!」」

 

その言葉と共に、俺はベルトを全体を回転させ、ウォズはクランクインハンドルを操作する。

 

『カメーンライダー、ジオーウ!!アーマーターイム!エボルーション!エボールゥー!』

『投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォオズ!!』

 

俺の体が変化し、ジオウに、その上にエボルのボトルやそれを模したアーマーが張り付く。

横では、エフェクトから構築されたアーマーをアンダーアーマーの上から纏い、変身した未来の仮面ライダーウォズが降臨していた。

 

「私の名は仮面ライダーウォズ!未来の預言者である!」

 

逢魔降臨歴を片手に持ち、そう宣言するウォズ。白ウォズじゃないからそんな感じなのか。

まぁいい、シズさん、行きますよ!

 



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祝え!

「ジオウフェーズ1、完了」

 

エボルが初めて変身したときに言った言葉を模倣し、イフリートに放った。その後、エボル特有の赤いオーラを纏った高速移動で、イフリートに支配されたシズさんに近づこうとしたとき、ウォズが急に俺の前に出てきた。あ、あれが来る。

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウエボルアーマー。一つ、ライダーの歴史が紡がれた瞬間である」

 

(お、おいソウゴ、あれなに?)

(ウォズが俺や本物のソウゴさんがジオウへ変身したときやアーマーやフォームを変えた時に必ずやるやつ。聞き流しといて)

(りょ、了解だ)

 

俺はリムルにウォズの行動を説明し、改めて高速移動でイフリートに迫る。イフリートは炎の魔法でこちらを攻撃してくるが、それは残像に当たるのみで俺を捕らえることができていない。

 

「ふむ、あの早さの魔法、今の状態では、私は近づくこともできないか。では、これを使うとしよう」

 

後ろでは冷静に状況を分析し、フォームチェンジに入るウォズの姿があった。

 

『シノビ!アクション!』

 

『投影!フューチャータイム!誰じゃ?俺じゃ?忍者!フューチャリングシノビ!シノビ!!』

 

『ジカンデスピア!カマシスギ!』

 

「フッ!」

 

ポンッ!

 

ポポンッ!

 

煙と共にウォズが現れ、俺の動きについて来る。片手にジカンデスピアカマシスギモードを持っている。その後散開し、ウォズはイフリートが召喚した魔物の相手をし始めた。俺はもちろん、イフリートの相手だ!

 

「ハァッ!フッ!」

 

紅に星のような輝きを放つエネルギーを纏った拳打やローキックなどを繰り出す。エボルのEVOゼノベイダグローブとEVOゼノベイダシューズには物質を分解し再構築するという能力がある。その能力を使えば、イフリートや精霊を二度とその身に宿せなくなるけど、精霊を拒絶する体質へと変化させることもできる。さらに、老化してしまっている体をまだ若い頃の体に構築し直すことも可能だ。これを同時にやるには、まず、イフリートとの結合を弱めなければいけない。じゃないとこちらが危険だし、何より、結合を弱めずにやると、再構築のした時にシズさんの体が拒絶反応を起こし、死んでしまうかもしれない。とにかく、攻撃あるのみだ!

 

「フッ!ハァッ!オリャッ!」

 

俺はイフリートの攻撃を防ぎながら、隙を見てイフリートを攻撃する。攻撃が当たった箇所は、イフリートの屈強な肉体から、シズさんの綺麗な白い体へと戻っている。その後も、戻った部分を気を付けながら少しずつイフリートととの結合を弱めていく。だが、イフリートもやられまいと、炎で剣を作り出し斬りかかってきた。

 

「やば!」

 

『ジカンギレード!ケン!』

 

ギリギリのところでジカンギレード、ケンモードで防ぐ。だが、イフリートの剛力に、腕が持ちそうにない。そんなとき。

 

 

「アイシクルショット!」

 

後ろから氷の矢が飛来し、イフリートを牽制した。

 

「ソウゴさん!大丈夫ですか!!」

 

後ろを見ると、杖をイフリートに向けるエレンの姿があった。

 

「エレンさん!ナイスアシスト!テヤァアッ!」

 

イフリートの力が弱まったところで剣を弾き、タックルで押し返した。

 

「これで少しは大人しくなってね!」

 

俺はベルトからエボルライドウォッチを取り外し、ジカンギレードにセット。

 

『フィニッシュターイム!!』

 

セットと同時に音声が流れ、待機音が流れ始める。

俺は剣を振り上げ、イフリートへ走り出す。危険を感じたのか、イフリートは炎球を大量に飛ばしてくる。だが、俺には熱変動耐性がある。そんなの効かないぜ!

炎球を真っ正面から受けながら、イフリートにどんどん近づいていき、眼前までに迫る。そこでジカンギレードの刃を腹に押し当て、トリガーを引いた。

 

『エボル!ギリギリスラッシュ!!』

 

星座早見盤を模したエネルギーが現れ、刀身に吸収されていく。完全に吸収されたのを確認し、思い切り振り抜き、イフリートとすれ違う。

すると、イフリートの体に、赤い電撃が走る。さらに、融合が弱くなり始めたのか、イフリートは身動き一つとれなくなっている。見ると、シズさんの顔がうっすらと現れている。綺麗な顔だ。相当モテたんじゃないか?まぁそんなことは置いておいて、俺はエボルウォッチをベルトに戻し、ジオウ→エボルの順にセットしてあるウォッチのスターターを押し込む。

 

『フィニッシュターイム!!エボル!』

 

音声を確認し、ライドオンリューザーを押し込み180度ベルトを回転させ、飛び上がる。

 

『エボルティック!ターイムブレーク!!』

 

「ハァァァアアアァァアア!!!

 

キックの文字がイフリートの周りに現れ、くるくると回り始める。俺は右足を付きだし、典型的なライダーキックのフォームになるとぐんぐんとイフリートに迫る。それと同時にキックの文字は合体していき、俺の足裏に張り付く。そして、イフリートに直撃。先程のジカンギレードと同様に星座早見盤を模したエネルギーが現れ、右足に吸収されていく。

そのエネルギーにより、足にあるEVOエボゼノベイダシューズの物理分解、再構築能力が底上げされ、その範囲はイフリートのもといシズさんの体全体に及ぶ。

 

「グァァアアアァァ!!!」

 

イフリートは苦しみの声をあげ、爆破。その中からシズさんが飛び出してくる。それをウォズが受け止め、問題がないか確認すると、こちらに頷いてくる。俺はそれに頷き返し、変身を解除する。どうやらうまくいったようだ。

 

「ぐっ、貴様ぁああぁぁあ!」

 

弱ったイフリートは怒号を上げて俺に襲い掛かってきた。だが、その攻撃は、俺に届く前に、リムルのスキル、捕食者によって喰われてしまい。意味がなくなる。同時にイフリートも喰らい、胃袋に封印される。

 

「これで、一見落着だな」

「だなっ!」

 

俺達は、笑いあい、気絶しているシズさんをテントへと連れていった。

 

 

 

 

 

 



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シズ

コロニャワクチンしんどい。一回目、熱は37.9くらいまでだったのに、二回目は39.0近くまで上がった。苦しいなか、暇潰しに書きました。物語構成はちゃんと考えて作っているのでご安心ください。

それにしても、リバイスおもろいなぁ!!


シズエ・イザワもとい、井沢静江は、懐かしく、そして忌まわしい夢を見ていた。大昔、四歳のころである。東京大空襲により、燃える街。その中を母と走り、一刻も早くこの場から逃げ出そうとしていた。だが、幼かった彼女にはわかってしまっていた。自分達はここで死ぬのだと。絶望の最中、一つの声が聞こえてきた。これが悪夢の始まりだった。

炎熱操作、のエクストラスキルを手にし、とある世界。本来の道筋とは違う道を進むことになる。いずれ仮面ライダーが、時の王者が誕生する世界へと召喚された。彼女を召喚したのは、レオン・クロムウェル。魔王の一人である。彼は、幼馴染みである一人の少女を探し、異世界召喚を繰り返している。

しかし、今回召喚した彼女も、彼が望んでいた幼馴染みではなかったようだ。だが、気まぐれか、それとも運命か。どちらにせよ彼は彼女を助けた。炎への適性を見抜くと、炎の巨人、イフリートを召喚し、彼女に宿した。彼女はこの魔王の気まぐれにより助かった。しかし、イフリートを宿した時に言われた言葉に、深く傷つき憎しみを覚えた。

 

 

 

その後、彼女は長い年月をこの魔王と過ごした。彼の側近の、上位魔人として。人間ではなくなったのだ。

そんなある日、勇者が現れ、彼女は魔王に捨てられた。

捨てられたにせよなんにせよ、生きるためには勇者を倒さなければ。

そう思い、彼女は勇者に挑んだ。しかし、実力差は歴然。

自分では勝つことができない。そういう心理がイフリートの意識を抑えることが出来、本音が漏れた。

 

「た、たすけ・・・」

 

だが、自分は魔人。自分の言葉を信じてくれるわけがない。そう思っていた。だが、現実は違った。

 

「もう、大丈夫だよ。よく頑張ったね!」

 

予想していた言葉と真反対の言葉が、勇者の口から飛び出した。

その言葉を聞いたシズの目から涙が溢れだした。

 

 

その後は、勇者に保護されたシズ。抗魔の仮面でイフリートを抑え、勇者につき従っていた。いつしか、爆炎の支配者などと呼ばれ始めた。

しかし、勇者はシズを残して旅立った。旅立つ直前、勇者は一つの時計のようなものと伝言を残していった。

 

「ジオウ、時の王者を探して、これを届けて」

 

その時計のようなものには、文字盤がなく。代わりに、メタリックの人の顔のような模様があり、その顔のような模様には、彼女と同じく異世界から来た人に教えてもらった文字が書いてあった。

 

「ライ、ダー?乗り人?」

 

ライダーの文字は目のようになっており、その上には、二つの短針と長針がついてあった。

 

「なんなんだろう、これ?」

 

結局わからなかったが、とにかく、ジオウって人にこれを届けないと。

 

シズは勇者の言いつけ通り、ジオウを探した。だが、見つからなかった。その代わりに、二人の生徒を得た。名は、神楽坂優樹と坂口日向。優秀でシズと同郷でもある異世界人の少年少女。二人は実に対照的であった。

ユウキは明るく前向きな性格をしている。反対にヒナタは常に闇を抱えたような性格だった。

ヒナタがこの世界に来たとき、野党に襲われてしまったという。だからなのだろう。

シズはそう考えていた。

野党は何者かに殺され、ヒナタは無事だったそうだ。怖い思いをしたのだろう。

シズは、自分と似た境遇の彼女に親近感を覚えた。

しかし、それは間違いであった。

 

「先生。お世話になりました。もう、あなたから学ぶことはありません。お会いすることも、もうないでしょう」

 

そう言って、ヒナタは去っていった。振り向くこともなく。

一月もたたずに、シズの上回り、とある国の教会の重要な地位についた。

これには、シズも納得できた。ヒナタには超人的な物覚えのよさがあるからだ。

これには、薄ら寒さを覚えたシズ。

 

それに対して、ユウキは心優しく、冒険者互助組合を自由組合と名を変え、現在のシステムを築いた。魔物に対抗するためのランク評価をいれたことにより、冒険者の死亡数は大幅に減った。

シズは、裏方としてここまでサポートを行ってきた。しかし、寿命が残り少なくなり、イフリートの意識を抑え込むことが出来なくなってきていたシズ。抗魔の仮面の力は失っていないのだから、そうとしか考えられないと、シズは考えた。そこで、勇者に託されたものを思い出した。

物置を探し、大事に保管してある時計を取り出す。

 

「届けないと」

 

ジオウ。時の王者。どこにいるかわからないけど、勇者の知り合いであるならばいい人なのだろう。もしかしたら、この子達の面倒もみてくれるかも。

淡い希望を抱き、もう一度旅に出た。

 

ヴェルドラの消失を確認。引き続き調査を行う。

ファルムス王国のギルドからそんな連絡があり、三人の冒険者に潜り込むことにした。

 

 

そして出会った。人型の、魔人に似た魔物と、偉そうにふんぞりかえっている一匹のスライム。

 

 

シズは、楽しむことが出来た、リムルやゴブリン達の歓迎や三人の冒険者との旅を。

 

しかし、その楽しい時間は唐突に、終わりを告げた。

 

 

 

ソウゴside

 

シズさんを止めることに成功した俺達。テントに運び込み、ベッドに寝かせ、目を覚ますまで待つことにした。

 

「いやぁ、それにしても、ソウゴさん、さっきの姿は一体・・・」

「ああ、さっきの姿は「先程の姿は、魔王にして時の王者である存在、仮面ライダージオウである!」そういうこと」

 

ウォズが割り込んできて、説明する。まだ魔王ではないんだけどね。

 

「ま、ままま、魔王!?」

「そ、ソウゴさん、魔王だったんですか!?」

「いや、君達が思っている、いわゆるこの世界の魔王とは少し違うんだ。それに、俺はまだ魔王になれてない」

「この世界の魔王とは少し違う?どういうことでやんすか?」

「説明するよ」

 

俺は彼らを精神世界に連れ込み、俺の記憶にあるライダーの歴史を語る。

 

「これが、仮面ライダー、みんなの笑顔を守るために、ずっと戦ってきた立派な戦士達。全部で20人。この他にもライダーはたくさんいるんだ。一つの世界に10人以上居たりする世界もある」

「そんなにいるのかよ・・・」

 

龍騎とか響鬼とか鎧武とかね。

 

「そして、これが平成最後の歴史。仮面ライダージオウ。全ライダーの頂点にして最強の仮面ライダー。いわゆるライダー界の魔王。頂点に君臨する存在だ。力としては、さっき話したすべてのライダーの能力を使える。敵のライダーとか関係なくすべてのライダーの能力、力が、思うがままに」

「なっ!?マジですか!!」

「そ、それじゃあ、常に攻撃とかデバフが効かなくなるえぐぜいど、でしたっけ?それの力も?」

「もちろん」

「そ、それじゃあぶらっくほーるっていう何でも吸い込める穴を作り出すことも?」

「可能だよ、さっきシズさんを助けた力もその力を覚醒する前の姿のアーマーを着て助けたんだ」

「へー、そりゃ助けられるわけでやんす」

 

異世界では、こういう風にライダーの歴史は広まっていくんだなぁ。本として書き置きしておいて、人間世界で出版しておこうかな?念射で台詞とかも全部聞けるし、その時の戦闘とかもわかるわけだし。

 

「それで、カメンライダージオウがすごい魔王ということはわかりました。でも、この世界の魔王も、私たちからしたらそのくらい強いのでどう違うのか、よくわからないんですが・・・」

 

と、エレンさんが言ってくる。そりゃそうだよねぇ。魔物がいるんだ。魔王くらいいるだろう。うーん、この世界の魔王とジオウの違いかぁ~。

 

「攻撃に一切魔素を使わないところとか?」

「ええ!?それ本当ですか!?」

「うん、うまく説明できないんだけど、意味のわからないエネルギーを使ったり、そもそもウォッチからエネルギーを取り出してたり、エネルギーの出所がわからなかったりとか、いろいろあるんだよ。そのおかげか、攻撃し続けてもエネルギー切れにならないんだ」

「それは便利ですねぇ」

 

それくらいかなぁ、仮面ライダーの力はスキルとしてこの世界にある以上。この世界のスキルの法則にはちゃんとふれてるだろうし。オーマジオウになったらわからないけど。

 

「とにかく、俺も仮面ライダーの力がこの世界でどのように作用しているのかよくわかってないんだ。わかり次第教えてあげたいけど、それにはこの世界のスキルの仕組みを理解しなきゃいけないから」

「そうなるでやんすよねぇ」

「難しいですね、ソウゴさんの力」

「でも、今の状態でも国一つは軽く滅ぼせるってことはわかりました。一応ギルドに報告しておきます。ソウゴさんには国滅ぼす気とかさらさらないんでしょうけど、この村を守るために、俺達が上にそう報告しておきます。あと、すごく歓迎してくれたってこともな」

「それはありがたいです」

 

カバルがそう約束してくれた。これで、とりあえず冒険者からの攻撃は少なくなるだろう。強さのみを求め、強者を探し求める戦闘バカでもない限り、挑んではこなさそうだ。

 

「とりあえず、シズさんの目覚めを待とう」

「そうですね」

 

精神世界から現実世界に戻し、お茶を飲みのみシズさんの目覚めを待つ。

しばらくすると。

 

「んっ・・・」

「お!」

「シズさん!!」

 

目覚めたようだ。、

 

「どうして?私、死ぬはずじゃ・・・」

「ソウゴさんがね、助けてくれたんですよ!!」

「よかったでやんす!」

「ああ、体に異常はありませんか?」

 

目覚めたシズさんにエレンさんが抱きつき、抱きつかれているシズさんは死ぬはずだった自分が、なぜ生きているのかわからず、困惑した顔でこちらを見てくる。俺は困惑しているシズさんに五大雄介のようにサムズアップした。

 

「本当に、すげぇな、ソウゴ」

「え?なにが?」

 

唐突にリムルが言ってきた。

 

「倒すしかないと思っていたシズさんを。お前が持つライダーの知識とそれをうまく扱うそのセンスには頭が上がらねぇよ。お前、前世では戦ったりしたことなかったんだろう?」

「当たり前じゃん!!普通の学生だったよ!!」

「だとしたらここまで戦えるのはすごいことだぞ!ほら!もっと胸張れ!時の王者様!」

「からかうなよ!!」

 

リムルが俺をからかっていると、突如、シズさんが起き上がり、俺の肩を掴んできた。

 

「あ、あなた、時の王者なの!?!?」

「え、あ、まぁそうですけど・・・」

「名前は!?!?」

「そ、ソウゴですけど」

「違う!そっちじゃない!時の王者としての名前!!」

「あそっちですか、ジオウ。仮面ライダージオウです」

 

そう言うと、

 

「見つけた・・・」

 

呟くようになにかを言ったシズさん。何て言ったんだ?

 

「見つけた!!」

 

突如、シズさんが俺に抱きついてくる。

ええ!?なになになに!?

 

「ずっと探してた!あの人に言われて!」

 

あの人?誰だ?

 

「あなたに渡したいものがあります!」

 

そういってシズさんはごそごそと懐をまさぐり始める。

 

そして、見事引っ張り出したシズさん。

そこには、まさかのものが手にのっていた。

 

「これは!?」

 

 



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魔王の一端

「これは!?」

 

シズさんの手にのっていたのは、D‘9サイドのジオウⅡライドウォッチであった。

 

「これをどこで?」

「私の師匠、勇者が、あなたに渡してって。知り合いなんでしょ?」

「いいや、勇者の知り合いなんていたこともない」

「じゃあ何で?」

 

勇者がなぜジオウを知っていたのだろう?もしかしたら、本物のソウゴと同じく、オーマジオウになってしまった未来の俺のことを知っていたのかもしれない。

 

「とにかく、これをあなたに渡します。どんなものかわからないけど、大事なものなんでしょ?」

「うん、とっても大事なもの。ジオウ関わるキーアイテムだ」

 

俺はジオウⅡライドウォッチを握り、片割れのことを考えた。本来であれば、ジオウⅡはD‘9サイドとD‘3サイド二つのウォッチが一つとなり完成するライドウォッチだ。

もう片方は勇者がもっていなかったということは、この世界のどこかにある。探しに行きたいけど、現状、ここを離れることは出来ない。

 

「とにかくよかったよ、シズさんが無事で、少しこの村で休んでいってくれ!」

 

リムルがそういうと、シズさんは遠慮してすぐ出ていくと言っていたが、リムルがごり押して一週間ほどここに泊まることにしたシズさん一行。

一週間の間、宴をやったり、カイジンさんが作った装備を四人にあげたり、もう一度見せてほしいと言われた変身を見せたり、シズさんの体をコピーさせてもらってリムルが人型になれたりとさまざまなことがあった。

 

「一週間早かったなぁ」

 

俺達は今、村全体を見渡せる丘へと来ている。

 

「まさか、私が生きてるなんて。実感あまりないなぁ」

「ソウゴのとんでも技で助けたからな」

「あれは俺がエボルの歴史を知っていたから出来たことだよ」

「仮面ライダーかぁー、戦争が終わったあと、みんなの希望になるヒーローが生まれてたんだね」

「他にもいろいろと生まれてるよ。ウルトラマンやスーパー戦隊とか。あと、原爆の恐ろしさを忘れないためにゴジラが生まれたり」

 

ヒーローは至るところで生まれて、世代を交代していった。子供から大人までいろいろな人がそれに憧れた。

 

「ねぇ、弟子達に聞いたんだけど、あの火の海だった町。綺麗になったんだってね」

「ああ、なんなら、見せてやるよ!」

 

そう言って、なぜか俺に自分の記憶を送ってくる。

念写で写せってことね。

 

俺は念写を発動させて空中に映像を写し出す。

 

「わぁ、本当だったんだ」

「いろいろあったよ、あの後も。戦争以外の悲劇も起こった。だけど、その度に立ち上がってきた。そしてそこには、お手本となるヒーローがいた。そうやってやってきたんです。これからもおんなじようにやっていくでしょう」

「そうだったんだ」

「さて、もうそろそろお別れですね」

「もうこんな時間なのね」

 

もう四人がここを出立していく時間だ。シズさんは、置いてきてしまった生徒達の元に戻るのだそうだ。

 

「あなた達のこと、あの子達に紹介するわね。ソウゴ君に関しては、興奮する子達が多そう」

「変身!しますからね」

 

無駄話をしながら、村に戻ると、三人が荷物を持って待っていた。シズさんも用意していた荷物を持ち、三人に合流。しばしのお別れだ。

 

「ありがとうございました!」

「いろいろ世話になっちゃいましたからね」

「またここに来たいでやんす」

「そう思ってくれたのなら嬉しいよ!」

「いつかあなた達を、学園に招待するわ」

「待ってます。その頃には、この村も、町ぐらいになってないとな」

「そうだな!」

 

もしかしたら国とかになってたりして。そんなことはないか。ここに住んでるの、ゴブリンと俺達だけだし。

 

「それじゃあ、またどこかで」

「ああ」

 

四人は歩きだし、村を後にする。すると、エレナさんが止まり、こちらに振り向いてきた。そして。

 

「さよーならー!!」

 

そう大きな声で叫んできた。そして、先を歩いていた三人に追っていった。

 

『ユニークスキル、演奏者を発動します』

 

すると、俺のスキルが発動し、ジオウのOP、OverQuartzerのサビが流れ始めた。

 

「お前から音楽流れてるけど・・・」

「こういうスキル」

「変なスキルだな」

「でも、この場にあってるでしょ?」

「そうだな。さて、戻ろう」

「ああ」

 

俺達も、皆の元へ戻っていく。

 

さて、お仕事の時間だ。

 

 

 




皆さんに聞きたいことを活動報告で書きました。二つほどあります。時間があれば読んでください。アンケートとでやると、規約に引っ掛かる可能性があるため、活動報告でという形になります。ご了承ください。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=267470&uid=328898

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=266163&uid=328898


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オーガVS音撃

(おい!ソウゴ!ちょっと来てくれ!)

 

リムルから連絡があり、急いで向かう。

 

向かった先では、角が生えた人たちと、シズさんの体をコピーさせてもらい、急いで人型への変身が可能になったリムルがにらみあっていた。

 

「どうしたの?」

「急にこいつらが襲いかかってきてな。なにか誤解があるようだから説得しようとしてるんだけど・・・」

「また新たな魔人が!!」

 

「いや俺魔人じゃねぇーし!!何回言やいいんだよ!」

 

みんな人型でならみんな魔人扱いするのか?やめてほしいよ!

まぁふざけるのは置いておいて。見たところ、鬼のようだな、どこからか逃げてきたみたいだ。それに、あの桃色の髪の子だけ他の奴らより綺麗だ。姫や上位の位の子なのだろう。

 

「だからな、俺はお前達の敵じゃないって」

「なにを言う!!その仮面が、豚どもの仲間であることを物語っているではないか!!」

 

ん?仮面?俺変身してないよな?

横のリムルを見ると、ライダーの字がついた白い仮面を顔につけていた。

お前のせいか。

 

「なにその仮面、俺の真似?」

「いや、シズさんがつけていた仮面をもらってね。それで漏れでるオーラを抑えてるんだ。形を少し変えて、お前よりにしてみた」

 

なんだよ、仮面は俺の専売特許だと思ってたのに。まぁいい、リムルが少しでもあのちょびっとダサいあの姿をかっこいいと思ってくれたようだし。

 

「おい!この仮面は、ある人からの貰い物なんだ。あんたらが追ってるのとは違うと思うぞ!」

 

「貴様の言葉など、聞く耳を持たん!!同胞の無念、その首であがなってくれる!!」

 

刀を抜き、刀身をこちらに向けてくる赤い鬼。他の鬼達も、棍棒や刀を抜く。桃色の髪の子は、手に蒼い炎を出す。

 

「こりゃ戦うしかなさそうだな」

「ああ、仕方ない」

 

『ジクウドライバー!』

『ジオウ!』

 

「変身!!」

 

『ライダーターイム!カメンライダァー、ジオーウ!』

 

 

「なっ!?姿が変わったじゃと!?」

「妙な魔物だ」

 

さぁ!いっちょやっとるぞ!!

俺が駆け出そうとしたその時、案の定ウォズが現れた。手には逢魔降臨歴である。来るぞ。

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え、過去と未来をしろ示す時の王者!その名も仮面ライダージオウ!!今、降臨の瞬間である!」

 

「毎回やるのかこれ?」

「もちろん!それがウォズだから」

 

俺はジカンギレードを構えて鬼達に向かっていく。

 

ガキンッ!

 

俺は、フレイルを持った女の鬼と、白い老鬼、そして、蒼っぽい黒い髪をした忍者鬼の相手をする。

 

力任せの脳筋攻撃をしてくる女の鬼。それとは対照的に、洗練された動きで的確に攻撃してくる老鬼と忍者鬼。

やっぱノーマルジオウだとキツイな!!

 

老鬼と忍者鬼の攻撃で足止めされ、女鬼のフレイルにより、吹き飛ばされてしまう俺。

 

「仕方ない、アーマータイムを使おうか。というか、ウォズは戦ってくれないの?」

「我が魔王の活躍の場を取ってはいけませんので」

「そんなのいいのに、まぁいいそんなことよりもっ!君たち、鬼なんだよね?」

 

「それがどうした?」

「なら、鬼には鬼の力でね!」

「なに?」

 

『響鬼!』

 

俺は立ち上がりながら響鬼ライドウォッチを作り出し、起動、D‘9スロットにセットし回転!

 

「よっ!」

 

『アーマーターイム!(音角)ヒビキィ~』

 

「なっ!?」

「鬼に!!」

「なっただと!?」

 

俺は炎を纏わせたオンゲキ棒烈火を取り出し、三人に向かっていき、つばぜり合いを始める。

そして、響鬼のライダー界最強のスペックで三人を吹き飛ばし、オンゲキ棒烈火から炎弾を飛ばしてダメージを与える。

怯んでいるところに詰めより、烈火を振るう。

 

「グッ!」

 

「ガハァッ!」

 

「クッ!」

 

そして、攻撃の合間合間に、烈火をくるくると回す。

これ一回やってみたかったんだよねぇ。

 

「さて、これで終わりにしよう」

 

『フィニッシュターイム!響鬼!!』

 

『音撃!ターイムブレーク!!』

 

「音撃打・爆裂強打の型!!」

 

三人の鬼の腹に、オンゲキ鼓・爆裂火炎ツヅミが現れ、電撃が走る。

 

「グアアア!」

 

「な、なんじゃこれは!!!???」

 

「離れろ!!」

 

鬼達は剥がそうと奮闘するが、電撃により、邪魔される。俺はそこに烈火を叩き込む。

すると、ツヅミが巨大化し、エネルギーが鬼達へ叩き込まれる。

 

 

「「「グォオオアアアアアア!!!」」」

 

 

三人は爆発し、吹き飛ばされる。

 

「なっ!?お前達!!」

 

「おい、よそ見してる場合か?」

 

「しまっ、グハァアアアア!!!」

 

リムルの方も終わったみたいだ。さぁ、やっと落ち着いて話ができる。

 

 

 

リムルside

 

「クッ!」

 

「さぁ、話し合いを始めようや」

 

俺はそう言いながら赤鬼に近づいていく。だが。

 

「言っているだろう、同胞を殺した貴様の話など聞く耳を持たんとな」

 

「はぁ」

 

まだダメなのかよ。めんどくさいなぁー。

 

 

「えー、頼むから話聞いてくれよ」

「フッ!」

 

そっぽを向く赤鬼。もう一度対話を試みようとしようとしたその時。

 

「おい」

 

「っ!?」

 

ドスの聞いた声と共に、俺でさえ体を強ばらせるオーラが放たれた。

放たれた方向を見ると、ソウゴが赤鬼を睨み付けていた。

 

「いい加減話を聞けよ。ああ?」

 

しかも、オーラが何かの形を取っている。赤いライダーの文字がうっすらと見え、体は黄金のアーマーのようなものが覆われていた。

 

「グッ!」

 

「お兄様、話を聞きましょう。抵抗したところで、私たちは無力です」

「し、仕方あるまい」

 

桃色の髪の鬼が赤鬼を説得してくれお陰で、話をすることが出来るようなった。

それにしても、怒ったソウゴこわっ!

 

 




しばらく前話の後書きに載せたURL、ここにも載せておきます。どしどしコメントしてください!

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=267470&uid=328898

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守る

あの後、鬼達を村で保護することになった。あの状態だと、冒険者のかっこうの獲物だからね。桃色髪の子は特に。

んで、今は宴を行っている。なにやらリムルが味覚を手にいれたとか何とか。シズさんの、人間の体をコピーさせて貰ったんだ、味覚を手にいれている可能性は十分ある。

 

「我が魔王、お食事でございます」

「ありがとうウォズ」

 

葉の皿にのせて、ウォズが鹿肉の串焼きを持ってきてくれた。

俺はそれを頬張りながら、ジオウⅡライドウォッチ(D9

スロ)を手の上で転がしていた。

 

「おい!」

「ん?」

 

すると、赤鬼が俺に話しかけてきた。一体なんのようだろうか?

 

「先ほどの力、一体なんなんだ?姿が変わったと思えば、我らと同じオーガへ変わる。ソウゴ殿は、いったいなんの魔物なんだ?」

「ぐっ!」

 

や、ヤバい。俺の種族名、エグいくらい恥ずかしい名前なんだよなぁ。言いたくないなぁ。

 

「なんだ、話せない種族なのか?」

「い、いや、話せるは話せるんだけど・・・」

「どんな下位の種族であったとしても、笑わん。強いからな」

 

いや、そういうわけじゃないんだけどなぁ。仕方ない。俺は意を決して赤鬼に自分の種族名を教えた。

 

「チート、ライダー」

「ほう、それがソウゴ殿の種族名か、聞いたことがないな。爺!聞いたことあるか?」

「いや、ありませぬな」

「そうか、爺も聞いたことがないか・・・」

 

赤鬼が冷静に考察している奥で、リムルはプルプルと震えながらどこかに消えた。あいつ絶対また笑ってる!!

 

「俺も、同族がいるという話しは聞いたことないんだ」

「そうか、もしかしたら、ソウゴ殿は新しく産まれた魔物なのかもしれんな」

「まぁね、今は俺の話より、君たちの話だ。一体どうしてあんなところに?」

「ああ、それはだな」

 

 

 

 

「ブフゥ!オークがオーガに仕掛けてきただって!?」

 

カイジンさんがあまりの驚きに酒を吹き出した。相当一大事のようだ。

 

「そんなバカな!!」

「事実だ」

「あり得るのか、そんなこと?」

「わかりませぬ」

 

カイジンさんがこの反応を示すんだ、ほんとにあり得ないことが起きたってことか。

 

「そんなにおかしいことなんすか?」

「ゴブタ・・・」

「当然だ、オークとオーガじゃ強さの桁が違う!格下のオークが仕掛けること事態あり得ん」

 

相変わらずのゴブタ。だが、ゴブタのお陰で、オークはオーガよりも格下だったということがわかった。ということは、オーガがこの大森林の頂点だったわけだ。もう過去形だが。

 

「だが、奴らは来た。いきなり俺たちの里を襲撃してきた。武装し、鎧を身につけ、森を埋め尽くすほどの圧倒的な戦力!あの忌まわしい豚どもに、里は蹂躙し尽くされたのだ!」

「オークが鎧を?」

「ああ、人間が着用するようなフルプレートメイルだ」

「んー、だとすると」

「オークだけで動いているとは考えられませんな」

「オークがそんな高価なもの、用意できるわけがない」

 

普通、魔物が鎧を纏うことはないんだ。じゃあ俺なんかどうなんの?仮面ライダーに変身するんですけど・・・。

 

「その通りだ、軍勢のなかに」

「仮面の魔人・・・」

「あれは上位魔人だ!間違いない!」

 

へー、魔人のなかに下位とか上位とかあるんだ。

 

「ソイツとリムル様を間違え、戦いを挑んだ、というわけですな」

「ああ、ソウゴ殿が姿を変えた姿も、あの仮面の魔人の仲間だと思った」

「ソウゴ様の変身はすごいっすからねぇ。なんたって、別世界の戦士達の力を継承出来るんすから!」

「ほう、そんなことが出来るのか?」

「まぁね」

 

魔王になる可能性がある力ってことは黙っておこう。シズさん達が来たときに、魔王がいることがわかったからね。もしかしたら、魔王を名乗る不届きものが!!って攻めてこられちゃうかもしれないし。

うーん、にしてもオークかぁー、もしかしたら。

 

「もしかしたら、オーク達がどこかの魔王の傘下に入ったんじゃないか?そうすればこの大森林を手にする足掛かりになるからね。確か、ヴェルドラだっけ。その龍種が消えてたからかもしれないね」

「そうかもしれないですなぁ~、ヴェルドラ様が居たことで、この大森林に好き勝手出来る魔王はおりませんでしたから」

魔王

てことは魔王が攻めてくることが頻繁するのかもな。俺も強くならないと。なんなら、オーマジオウに覚醒した方がいいんだろうか?

 

「むー、魔王、かー」

「しかし、いくら好き勝手に出来るとはいえ、この大森林を必要としますでしょうか?」

「わからぬ、ハッキリしていることは、300人いた同胞は、もうたった6人しかいないということだ」

「なるほどなぁ、そりゃ悔しいわけだ」

 

俺を笑ってどこかに消えていたリムルが来た。口に串を加えている。魔王が関わっている可能性があるというのに、呑気なやつだ。

 

「リムル殿、肉はいいのか?」

「ん?ちょっと食休みー。それにしても、お前の妹すごいな」

「ん?」

 

見ると、桃色髪の子がゴブリンたちに囲まれていた。あの子赤鬼の妹だったんだ。

 

「薬草や香草に詳しくて、あっという間にゴブリン達と仲良くなった」

「箱入りだったからな、頼られるのが嬉しいんだろう」

 

嬉しそうに、ゴブリン達と話す桃色髪の鬼。端から見ると、ここまで苦労してきたとは思えない。

 

「んで、お前らこれからどうするの?」

「どう、とは?」

「今後の方針だよ。再起をはかるにせよ、どこかに移り住むにせよ、仲間の命運は、お前の采配にかかってるんだろ?」

「知れたこと、力を蓄え、再度挑むまで」

「だけど、その力をどこでためるの?」

「どこで?」

「うん、今や君たちは、たった6人だ。人間の冒険者、それも手練れの冒険者に襲われれば人溜まりもない。特に君の妹は、美人だからね、狙われるよ。なにされるかわからない。それに、冒険者に襲われなかったとしても、力を蓄え終わるまでに何年かかるかわからない。だろ?だから聞きたい、ここに居ないか?」

「なっ!?」

「ここならさ、リムルもいるし、俺もいる。力を蓄えるにはちょうどいいし、何より、君の妹はここを気に入っているみたいだよ」

 

と、俺は提案した。リムル、勝手に決めて悪いね。だけど、ライダーとして、一人の戦士として、見過ごせないからね。

 

「いい、のか?この町を、俺たちの復讐に、まきこんでしまうのだぞ?」

「復讐っていうかさ、復讐をしたところで、なにも産まれないんだ。もちろん、仇を討てたってことにはなる。だけど、その後にあるのは、喪失感や、生きる意味をなくしてしまう可能性があるんだ。だけど、守るっていうのなら話しは違う。今や、この町、いや、この森全体が、オークの、もしかしたら魔王の脅威に晒されてる。だからさ、守ってくれよ、彼らを。この森を」

「守る、か」

「ああ、俺が継承する別世界の戦士達の中にも、復讐に走った人たちがいた」

 

照井さん、仮面ライダーアクセルとかね。

 

「だけどね、復讐よりも、強くなれる。何度でも立ち上がれるものを見つけたんだ。それが」

「守る、か」

「そう。この世界では、俺とウォズにしか適用されないけど。ライダーの掟、みたいなものなんだ。その掟に、従ってみないかい?」

「・・・少し、考えさせてくれ」

「うん、じっくり、考えてくれ」 

 

俺がそう言うと、険しい顔をし始める赤鬼。

 

「いいこというじゃねぇかソウゴ、さて、俺はもう少し肉を貰ってくるとしよう」

 

と言って、リムルは行ってしまった。

 

 

たぶんだけど、オーク達と、俺達は確実に戦うことになる。そう遠くないうちに。予感がするんだ。俺も準備をしておこう。オーク達に勝つために。みんなを守るために。

 

俺は手のひらに、黒いライドウォッチを作り出して起動した。

 

『ハザード』

 

 

 

 




↓モチベ維持のために書く予定の二作品。選択URL
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↓もうひとつ聞きたいことURL
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仲間が増えました

転スラ映画化ですってね。俺は見る時間とれるかなぁ?MARVELのフェーズ4とヴェノム中心に映画見てるからキツイかもなぁ。数多いし。


翌日

 

 

俺は今、リムルのテントにいる。そこには赤鬼もいた。どうやら、覚悟が決まったようだ。

 

「決めたのか?」

「オーガの一族は戦闘種族だ、人に仕え、戦場を駆けることに抵抗はない。主が強者ならなおのこと喜んで仕えよう。契約は、オークの首魁を討ち滅ぼすまででいいか?」

「その後は自由にしてもらって構わない。俺たちに協力して国をつくるもよし、旅立つのもよしだ」

 

契約内容をもう一度確認すると、数秒沈黙ががあった。その沈黙を破ったのは赤鬼であった。

息を少し吐くと、跪き、一時的なリムルの部下になったことを確認するように敬意の言葉を紡いだ。

 

「昨夜の申し出、承りました。あなた様の配下に加わらせていただきます」

「うむ」

 

少し苦しそうに、悔しそうに頭をリムルに下げる赤鬼。本当なら、今すぐにでも、一族の仇を討ちたかったのだろう。だが、まだ彼には仲間がいる。今の自分では、仲間を守る切ることができない。そのことをわかったうえで、自分の不甲斐なさを悔やんでうえでの、苦渋の決断だったのだろう。

 

 

人型になり、リムルは赤鬼に顔をあげるよう促した。

 

「お前達を受け入れる。皆をここに呼べ」

「ハッ!」

 

他の鬼達を呼ぶよう命令するリムル。その言葉を聞き、赤鬼はテントを出ていく。

 

数分すると、リグルド共に現れた赤鬼。後ろから仲間の鬼達もぞろぞろと中に入ってくる。

リムルは何をするつもりなのだろうか?

 

「俺の配下となった証に、名をやろう」

 

あー、それか。この村じゃ普通のことだから思い付かなかった。

 

「俺たち全員に!?」

「名前、ないと不便だろ?」

「しかし!」

「お、お待ちください、名付けとは、本来大変な危険を伴うもの。それこそ高位の」

「いいからいいから、大丈夫だって!」

「ですが・・・」

 

危険って言うと、前ゴブリン達に名付けしてた時にリムルがぶっ倒れかけたことだろ?

あのときは大量のゴブリン達に名付けをしていたから倒れただけで今回は六人だけだし大丈夫だろう。

 

「それとも俺に名前をつけられるのは嫌か?」

「そういうわけでは」

「異論などない!」

「お兄様!」

「ありがたくちょうだいする」

「若がそう言うのであれば」

 

どうやら大丈夫らしい。妹ちゃんは少し心配しているけど。

 

「じゃあ始めよう!」

 

赤鬼に近づいていき、リムルが名付けをしていく。順調に進んでいるかと思いきや、五人目に到達した時、リムルがその場にぶっ倒れ、人型からスライムの姿に戻った。

 

あーあ、こうなっちまったか。なんでだ?今回は六人だけなのに。もしかして、ゴブリンよりも高位の魔物だからこうなったのか?なら油断してたリムルが悪いな。

 

「リムル様!!」

「あーだいじょぶだいじょぶ」

 

俺はリムルを持ち上げ、ベッドに乗せる。

 

「ここにいるゴブリン全員を名付けしたときにぶっ倒れかけてたけど、今回は倒れちゃったかー。まぁ明日くらいに目覚めるでしょ」

「なっ!?ここにいるゴブリン全員に名付けを!?」

「あー、俺も一応やったけどね。インフィニティースタイルの能力で魔素のリサイクルしてたからリムルほどひどくなかったけど」

 

さて、にしても、最後に残った妹ちゃんの名前、どうしようかなぁ。俺がつけるかぁ。

 

「妹ちゃんの名前は俺がつけるね」

「大丈夫でしょうか?」

「だいじょぶだよ」

 

それじゃ、どうしようかぁ。確か、仮面ライダー響鬼に女性ライダー居たっけ。確か名前は朱鬼。それじゃあ朱を使って、いかにも純粋そうな感じがするし、純白って意味の菜の花の菜を着けて。

 

「朱菜、君の名前は朱菜だ」

 

うおっ!ごっそり持ってかれる!!

こんな持ってかれるんだ。そりゃぶっ倒れるわ。

にしても、心配してたわりには嬉しそうな顔するな朱菜ちゃん。

 

「んじゃ、進化とかあるだろうし、ゆっくり休みなね。はい!それじゃあ解散!!」

 

俺が声をかけ、解散するよう促す。男性陣はテントから出ていったが、女性陣のシオンちゃんとシュナちゃんだけが残った。どうした?

 

「リムル様のお世話をと思いまして」

「あー、んじゃお願いしようかね」

「はい!」

 

シオンちゃんは元気よくへんじをすると、リムルを持ち上げ膝に乗せる。

ワイルドな見た目で乙女チックなことするねぇ。んま進化するばこの姿を見ることはなくなるんだろうけど。

 

俺はディケイドライドウォッチを作り出し、起動。ディケイドの変身者、門矢士がもつカメラを作り出し、二人に向けてシャッターを切った。

 

「んじゃ、おやすみな、リムル」

 

現像技術とか作れたらこの写真現像してバカにしてやろう。俺の種族名を笑った仕返しだ。

 

 




意見箱作りました。

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何かご要望があればこちらに。


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オークロード

「お、起きたのか」

 

翌日、スッキリとした見た目に変わった鬼達、もとい、鬼人達に囲まれて目覚めたリムルの元へ来た。うん、異常はないみたいだ。

 

「よし、それじゃ、ベニマル、少し話が聞きたいんだけど、いいかな?それと、ハクロウ、なんかゴブタが剣術を習いたいとか言ってたよ」

「ほう、それはそれは、言うてくれますなぁ~」

 

あ、アイツ死んだな。

 

「まそれはさておき、ベニマル!ハクロウの剣術修行でも見ながらでいい?」

「いいですが、何を聞くのでしょうか?」

「思い出したくないと思うけど、里を襲ったオークの主領についてだ」

「わかりました」

 

 

 

 

小高い丘の上でゴブタとその仲間達がハクロウにシゴかれているのを見ながら、オークの主領について、ベニマルから詳しい情報を聞く。そこで、興味深いことを聞いた。

 

「オークロード?なんだそりゃ?」

「まぁ、簡単に言うと、化け物です」

「本当に簡単だな」

 

シンプルだなぁ~。でも実際、格上のオーガを倒せるほどになるんだ、そりゃ化け物だろう。

 

「数百年に一度産まれるといわれているユニークモンスターです」

「ユニークって言うと、確かスキルにもあったよな。すごく強力なんだっけ?そのモンスターバージョンってところか。めんどくさそうだな」

「めんどくさそうで済まされるモンスターじゃありません。何でも、味方の恐怖感情すらも喰うため、異常に高い統率能力を持つんだとか」

 

喰う、か。とすると、スキルは喰うことに関するものか。しかもユニークモンスターだ。必ずユニークスキルを所持しているだろう。

俺が使えるスキルは、まだまだ少ない。グランドジオウライドウォッチは作れるけど、変身しようとすると弾かれちゃうしな。どう戦おうか。

 

「里を襲ったオーク共は、仲間の死にまるで怯むことがなかった。あるいは、と思いまして」

「なるほど~」

「ま、可能性でいやぁ、非常に低い話です」

「それはどうかな?」

「どういうことですか?」

「イレギュラーがもうすでに、目の前に二人いる」

 

スライムのリムルと、新たな種族、チートライダーの俺。イレギュラーが二つ現れた。世界がこれを見過ごすとは思えない。ユニークモンスターであるオークロードはこの世界の法則に違反してはいない。

 

「もしかしたら、俺達を殺すために、世界が作り出したのかもな」

「どういうことだ?」

「自浄作用って言葉、知ってる?意味は外部からの力によって、自らの力で異常を浄化する、だ。イレギュラーが突如現れたことで、この世界がその異常を修正するために、自浄作用として、オークロードを産み出したのかも。だとしたら、君達の仲間が死んじゃったのも、俺たちのせいかもしれない」

 

そうなれば、俺達が負けることは免れない可能性がある。だが、俺達のスキルとしてこの世界にある。裏でオークの主領を操って、人工的に産み出した可能性もある。どちらにせよ、戦い、勝ってみないとわからない。

 

「いや、俺達が負けたのは、俺達が弱かったからだ。魔物の力関係は弱肉強食。弱いものが負け、強いものが勝ち、弱いものから全てを奪う。そういう風にできてるんです。ソウゴ様達のせいではありません。ソウゴ様達が産まれたことに罪なんてありませんからね」

 

いいこと言うねぇ~ベニマル。これだからイケメン君は。

 

「それで、里が襲われた心当たりはないか?」

「そうですね・・・。関係あるかわかりませんが、ある魔人がやってきて、『名をやろう』そう言ってきたんてすが、あまりにも胡散臭いんで、追い返しましたところ、悪態をつきながら帰っていきました」

「魔人ねぇー、そいつから恨みを買っているかもしれないってことか」

「魔人って言うと、ゲルミュッドが居たよな。そいつと何か関わりがあるかもしれないぞ。その魔人の名前とかわかる?」

「はい、そのゲルミュッドです」

「そう来たか」

 

ゲルミュッド。この魔人が魔王と繋がっている可能性が高いのか。ん、そういやリグル君の話では、ゲルミュッドは魔王軍の魔人なんだっけ。

 

「お二方は、ゲルミュッドとと知り合いなのですか?」

「いや、昔、この村の一人のゴブリンがそいつに名をもらっているんだ」

「そうでしたか」

「はー、ゲルミュッドって魔人は、至るところで名を着けてまわっているのかもな」

 

さて、魔王が関わってくるとなると、ことが大きくなってくる。どんな魔王だか知らないけど、もし戦うことになれば、俺は、最低最悪の魔王にも・・・。

 

「ソウゴ」

 

リムルが声をかけてくる、見ると、体を左右に揺らしてこちらをみている。

 

「そうだな、仲間を頼らなきゃな」

「そうだぞ、お前を最低最悪の魔王になんかさせないさ!」

 

すると、ベニマルとリムルを頭に乗せているランガが木陰に何かの気配を感じる。

その時、木陰の中から紺の髪の鬼人、ソウエイが現れた。

 

「リムル様、ソウゴ様、リザードマンの一行を目撃しました」

「リザードマン?オークじゃなくて?」

「はい、湿地帯を拠点とする彼らがここまで出向くのは異常ですので、取り急ぎ、ご報告をと」

「ふーん」

「なにやら近くのゴブリン村で、交渉に及んでいるようでした。ここにも、いずれ来るかもしれません」

「そうか、リザードマンが・・・」

「ねぇねぇ、ベニマル、リザードマンって?」

「リザードマンは、蜥蜴の魔物です。足には水掻きがついており、湿地帯での戦闘では、この森では群を抜いての力をもっています」

「へー」

 

蜥蜴の魔物かー。どんな力を持っているのだろうか?やっぱり、湿地帯に住んでいるってことは、水を使った能力やスキルを所持しているのだろうな。仮面ライダーでも、水の力をつかったライダー居たなぁ。ジオウでは仮面ライダーアクアがレジェンドライダーとして出てくれてたっけ、死んじゃったけど。

 

もし、いや、必ずであろう。オークロードと戦かうことになるはず。みんなを守るためにも、リザードマンと手を組むのもありなのかもな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 




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ハザード

「ハザードの力、使ってみよう」

 

今現在作れるライドウォッチの中で、相手を殺すのに特化した力を持っているのは、ビルド、ハザードフォームライドウォッチだ。暴走する危険はあるが、相手の中枢を攻撃し、的確に弱点をつくためには、これしかない。

 

「よし、変身!!」

 

『ライダーターイム!カメンライダァー、ジオーウ!!アーマーターイム!!ヤベーイ!ハザード!!チーン・・・』

 

真っ黒なフレームが現れ、俺を挟み込む。黒い煙を出しながら、それが離れていくと、真っ黒なアーマーを着こみ、仮面の文字がハザードに変わったジオウが中から現れる。

俺は、仮面ライダージオウ、ビルドハザードフォームアーマーに変身完了だ。

 

「暴走せず、どこまで戦えるか実験だ。頼んだよ、ウォズ」

「ああ、我が魔王。だが、我が魔王だからといっても、手加減はしない。全力でいかせていただくとしよう」

 

 

『ウォズ!アクション!投影!!フューチャータイム!スゴい!ジダイ!ミライ!仮面ライダー、ウォズ!ウォオオズ!!』

 

ウォズは変身し、ジカンデスピアカマモードを構えてくる。俺はジカンギレードを構え、黒い煙を纏わせる。

ジリジリと隙をうかがう。

 

「フッ!」

「ハッ!」

 

ガキンッ!

 

ジカンギレードとジカンデスピアがぶつかり合い、火花を散らせる。すると、ギレードに纏わせた黒い煙により、スピアに傷が生じる。

それを見たウォズはすぐさま離れていき、シノビミライドウォッチを取り出した。

 

「やはり、ビルドハザードフォームの力は厄介だ。だが、この変幻自在のシノビの力を攻略することはできるかな?」

 

『シノビ!アクション!!投影!!フューチャータイム!フューチャリングシノビ!』

 

ポンッ!

 

フューチャリングシノビの能力によって白い煙と共に消えていく。

俺は周りを警戒し、ギレードを構える。

 

ポポンッ!!

 

上空からウォズが現れ、スピアを振るってくる。俺はそれを避け、背面キックを繰り出し、距離をとる。

そして、ジカンギレードにビルドライドウォッチを取り出し、スロットにはめようとした。だがその時、頭がくらくらとしてくる。

 

「き、来たか!」

 

俺はD’3スロットから、ハザードフォームライドウォッチを取り外そうと手を伸ばす。しかし、そこで、プツンと意識が途切れた。

 

 

ウォズサイド

 

私がカマモードで仕掛けようとしたその時、頭を押さえたあと、我が魔王の腕がダランと下がる。

 

「ま、まずい!」

 

『フィニッシュターイム!オーバーフロー!ヤベーイ!!』

 

ジクウドライバーを180°回転させ、オーバーフローモードへ移行した我が魔王。このまま放っておけば、被害が出る。何とか変身解除させねば!

 

私はキカイミライドウォッチを取り出し、フォームチェンジする。

 

『キカイ!!アクション!!投影!!フューチャータイム!デカイ!ハカイ!ゴーカイ!!フューチャーリングキカイ!!キカァアアアイ!!』

 

アーマーにあるネジを締め、防御力とスペックを高める。すると、ライダーキックを発動し、こちらに向かってくる我が魔王の姿が目に写る。

 

『ハザード!ターイムブレーク!!』

 

黒いオーラを纏ったキックを、何とか両腕で防ぐ。だが、オーバーフローモードにより、威力がはね上がったことで、限界に近い。早急に何とかせねばならぬ。

私は、さらにネジを締めてスペックをあげ、右腕のみでタイムブレークを抑え、残った左腕でクランクインハンドルを操作し、フルメタルブレークを発動する。

 

『ビヨンド・ザ・タイム!フルメタルブレーク!!』

 

アーマーからアームを出現させ、我が魔王を弾き飛ばす。そして、ジクウドライバーに装填されているライドウォッチを抜き取り、変身を解除させる。

 

 

 

「ああっ!グッ!」

「我が魔王!!」

「だ、大丈夫、大丈夫大丈夫」

 

大きいダメージはないようだ。だが、脳に少々影響があるだろう。私も、少しダメージがあるようだ。

はー、我が魔王が、仲間を殺めずにすんでよかった。

 

 

ソウゴサイド

 

「はー、やっぱり、使わないほうがいいよなぁ、これ。だけど、相手を倒すための攻撃の的確さを考えると、使わざる終えないのが難点だよなぁ」

 

俺は戦闘ド素人。リムルみたいに解析等ができるスキルは持ち合わせていない。だから、こういうのに頼るしかないのが、俺の弱いところだ。

ハクロウに剣術を習っていいけど。俺の戦闘スタイルは基本徒手空拳。ジカンギレード等を使うことはあるけども、戦闘の手助けみたいな部分が多いからなぁ。どこかに徒手空拳ができる人いないかなぁ。

 

「何とか自力でカバーするしかないか・・・」

「我が魔王、お言葉ですが、シズエ・イザワに教えてもらうのはどうでしょうか?」

「いや、ダメだよ、今シズさんは、人間の都市に戻ってるからね。それに、シズさんのところに行っている間に、攻めこまれたらって思うとね」

「出過ぎ真似でした、我が魔王」

「ううん、俺を考えてのことなんだから謝らない謝らない。さぁ、戻ろう」

 

俺とウォズは実験をやめ、村、いや、もうこの規模になると町だな。に戻った。そこでは、なにやら紫色した顔で倒れるゴブタと形容しがたかい色をした料理の前で説教をしているリムル、その説教を受けるシオンがいた。まさかあの見た目で料理があーなのか?でもポンコツっぽいところあったからなぁ、シオンちゃん。あんまり驚かない。

 

俺はシオンが作ったものではなく、ちゃんとした料理を頼もうと席につく。すると、とことことシュナちゃんがやってきた。

 

「ソウゴ様、私がお作りしましょうか?」

「いいのか?仕事は大丈夫?」

「はい!一段落ついたところでして、それにしても、少しケガをしているようですが、大丈夫ですか?」

「え?あ、ああ大丈夫大丈夫!リムルに回復薬もらうから」

「本当ですか?しんどくなったら言ってくださいね?」

「うん、わかったよ」

「ウォズ様はお昼どうしますか?」

「もらうとしようか」

「わかりました!」

 

にしても、シュナちゃんの料理かー。シオンちゃんみたいでは絶対無いだろうな。

 

 

しばらくすると、お盆に料理を乗せたシュナちゃんが厨房から現れた。

 

「どうぞ」

「ありがとう」

 

森で取れた魚をつかった和食だった。懐かしいなぁ、和食。まさかこの世界で食べられるとは。

 

「うん、美味しいよ!」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「ああ、味付けもとてもいい、店を出せるレベルであろう」

「そんな、大袈裟な」

 

恥ずかしそうにするシュナちゃん。でも実際店を出してもいいくらいに美味しい。

 

 

 

 

このほのぼのとした暮らしを、町を守るためにも、俺は、ハザードを使うことにする。暴走したときは。

 

「ウォズ」

「なにかな我が魔王」

「ハザードを使って暴走したときは、俺を殺す覚悟で倒してくれ」

「それは、容認できかねます」

「わかってる。だけど、みんなを守るためだ」

「承知、いたしました」

 

俺は箸を握る手に力を込め、料理を食べ進めた。

 

 

 

 




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俺、参上!!ならぬ、ガビル、参上!!

シュナの飯を食べたあと、俺は、カイジンの様子を見に行くと言ったリムルのあとについていった。

 

「へー、焼き入れん時の温度は勘なのかい!」

「んだ!火の色を見れば大体わかるだよ」

「おらぁ計るなぁ」

 

クロベエとカイジンは職人同士すっかり意気投合し、かれこれ二時間、専門的な話を始めた。黙って聞いてるこっちはなに言ってんのかさっぱりわからん。

 

「な!」

「鍛造って面白いべぇ?」

「え、あ、うん」

「お、おう」

 

ガチャ。

 

誰か来たようだ。

 

「リムル様とソウゴ様はいらっしゃいますか?」

「ん?どうしたの?」

「リムル様!ソウゴ様!蜥蜴人(リザードマン)の使者が、訪ねてきました」

 

どうやらお客さんが来たようだ。たしか蜥蜴人族って湿地帯に住んでるからここら辺には来ないはずだよな?

 

「リムル様!ソウゴ様!」

 

リグルドについて、その使者のところへ向かおうとすると、紅丸、紫苑、白老が現れた。

 

「俺たちも同席して構わないか?蜥蜴人族の思惑が知りたい」

「もちろんだ!」

「俺も構わないよ」

 

さて、果たして、敵か味方か、それとも救援を要請しに来たのか・・・。

 

 

 

 

 

 

紅丸達と共に、蜥蜴人族の使者のところへ向かうと、槍を持った蜥蜴人族達がいた。

 

「どいつが使者だ?」

 

リムルが問いかけると、蜥蜴人族達は槍の柄で、地面を一斉に叩き始めた。まるで王様が登場するみたいだ。

すると、背後から小さな竜に乗った蜥蜴人族が現れた。どうやら、彼が使者らしい。

 

「とーう!!」

 

その蜥蜴人族は竜から飛び降り、名を名乗り始めた。

 

「我輩は、蜥蜴人族のガビルである!!お前らも配下に加えてやろう、光栄に思うがよい!!!」

「よっ!ガビル様!」

「最高ー!!」

「カッコいい!!」

「イカしてる!!」

 

ずいぶんおバカな使者だな。

 

「ご尊顔をよーく覚えておくがよいぞ!このお方こそ、次の蜥蜴人族の首領となられる戦士長、頭が高い!!」

 

なーんか仲間の過剰な評価に完璧に乗せられちゃってるなぁ。誉められたらダメになるタイプの子か・・・。親は相当苦労してるだろうなぁ。

 

「ちょっと!紫苑さんやめて!!スライムボディがスリムボディになっちゃうううううう!!」

「ハッ!すみませんすみませんすみませんすみません!!」

 

どうやら、紫苑ちゃんは怒りのあまりリムルを握りつぶしていたようだ。

 

「うぉっほん!恐れながら、ガビル殿ともうされましたかな?配下になれと突然申されましても・・・」

「やーれやれ、皆まで言わんとわからんか、貴様らも聞いておるだろう、豚頭族のブタ共が、このジュラの大森林を進行中だという話だ」

 

そうなんだ。そういえばこの前、オークロードの話を紅丸から聞いたな。たぶんその軍勢のことだろうな。

 

「しからば、我輩の配下に加わるがよい、このガビルが、貧弱なお前達を、オークの脅威から守ってやろうではないか!!貧弱な!貧弱。貧弱?わーお」

 

おっと、紫苑のデカパイに目を持ってかれたな?俺もたまに持ってかれる。

すると、ガビルは仲間と話し合いを始めた。たぶん、こんなこと言ってるんだろう。

 

「ゴブリンがいないようだが?」

「あれー?」

「ここは確かゴブリンの村のはず」

「ていうか、貧弱な奴が誰もいないよ?」

 

オークロードと戦うために、蜥蜴人族と共闘するのはいいんだけど、あのおめでたい子だとなぁ。頼りないというか、学習能力無さそうっていうか。

 

「あー、おほん!聞けばここには、牙狼族を飼い慣らしたものがいるそうだな?そいつは幹部に引き立ててやる。連れてくるがよいぞ」

「ぐぅうううう!」

 

あ、また紫苑ちゃんがイラつき始めた。

 

「リムル様、ソウゴ様、こいつ、殺していいですか?」

「いいよ!」

 

え!?許可出すの!?

 

「ってNO!NONOOOOOOO!えっと、牙狼族を飼い慣らしたというか、仲間にしたのは俺なんですけど?」

「スライムが冗談を言うでないww」

「あ?ランガ!」

 

あ、ちょっとイラッとしたみたい。影からランガが現れ、ガビルの前に立つ。

 

「お前に話があるようだ、聞いて差し上げろ」

「御意!」

 

ランガはスキル、威圧を使い、蜥蜴人族を怯ませる。そういえば、なんかでかくね?

 

「あれ?あんなにデカかったですかね?」

「あれが本当の大きさなんだよ。まっ、威嚇するにはあのサイズが調度いい」

「へー」

 

あんなデカかったんだ、ランガ。子供大泣きだな。

 

「主より、お前の相手をすることになった。聞いてやるから話すがいい」

「貴殿が牙狼族の族長殿かな?」

 

おー、ガビル、ランガの威圧に耐えてる。根性だけはあるようだな!!

 

「美しい毛並み、鋭い眼光。さすが威風堂々ある佇まい。しかし、主がスライムであるとはいささか拍子抜けであるな!」

「ああああん!?」

 

アイツ煽るのうまいな。

 

「貴殿は騙されておるようだ。よかろう、この我輩が貴殿を操る不埒ものを、倒してみせようではないか!」

「ガビル様カッケエエエ!!」

「見せてやってくださいよガビル様ぁああああ!!」

「ガビル無双!!」

「「「あそーれガビル!ガビル!ガビル!ガビル!」」」

「ハッ!んあっ!ハァッ!!」

 

なんかポーズ取り出したし。

 

「蜥蜴無勢が、我が主を愚弄するとは・・・」

 

あ、アイツ死んだな。

 

「おー!なにやってるんすか?」

「ゴブタ!?」

「お前生きてたのか!?」

「まーたまたひどいっす!ちゃーんと生きてるっすよ!!」

 

『告:個体名紫苑の料理に抵抗して、毒耐性を獲得したようです』

 

紫苑の料理毒なんだ・・・。なんちゅうもんを作るんだ紫苑。

 

「いいところに来た」

「え?」

 

ランガがゴブタを持ち上げ、槍を持たせると、ガビルの前に出した。

「え?なんすかこの状況!?」

「蜥蜴、この者を倒せたのなら、貴様の話し、一考してやろう」

「な、なんでぇ!?」

 

おー、冷静に対処できるようになってる。成長してるんだなぁ。

 

「構いませんぞ!部下にやらせれば恥はかきませんからなぁ。なぁ、スライム殿?」

「むっ、ゴブター、遠慮いらん、やったれー!」

「えー、なんなんすかもー」

「勝ったら黒兵衛に頼んで、お前専用の武器を作ってやる」

「おー!ほんとっすか!ちょっとやる気出たっす」

「負けたら紫苑の手料理の刑な!」

「それだけは勘弁っす!!」

 

あ・・・。

 

「なにやら非常に不愉快な会話(う、うううう!)です!」

 

そんなこと言うからだよ。

 

そんなことはさておき、ゴブタと向き合うガビルの方を見ると、高速で槍を回し、構えていた。

 

「準備は、いいかな?」

「うぉおおおおおおお!!」

 

すごい気合い入ってるなぁゴブタ。そんなに紫苑の料理って酷いんだ。見たことないからわからないけど・・・。

 

「では、始めろ!!アォオオオオオオン!!!」

 

審判のランガの遠吠えにより、試合がスタート。

 

「偉大なるドラゴンの末裔、我ら蜥蜴人が、ホブゴブリンなんぞに」

「ふっ!」

 

余裕の表情で挑発するような台詞を言っていたガビルに槍を投げるゴブタ。

 

「ぬおっ!?おのれ小癪な!!」

 

槍に気を取られたガビル。すぐさま槍を振るうが、そこにゴブタの姿はない。

 

「なっ!消えナァアアアアアアアアアアアアァァァァァァフッ」

 

ガビルの影からゴブタが現れ、後頭部を蹴り飛ばし、試合は終わった。ガビル陣営は地獄絵図である。

 

ゴブタあんなことできるようになってたんだ、すげぇえええ。俺は鏡の中しか移動できないからな。

 

「勝負あり!!勝者、ゴブタ!!」

「よし!」

「よぉおし!」

「やった!」

 

ランガとリグルドにどあげをされ始めるゴブタ。みかけによらず成長してるんだなぁゴブタ。

 

「さすがはゴブタ、我が見込んだだけのことはある」

「ようやった!ホブゴブリンの力をよく見せつけた!!」

「見直したぞ、私に対する失礼な発言は、聞かなかったことにしてやろう」

 

いやぁそれはどうかな?一応覚えといた方がいいんじゃないかな?

 

「俺達と戦ったときより、強くなっているようだな」

「鍛えがいのある才能を持っているそうですじゃ」

 

額に汗を垂らすリムルの姿が見え、どうやらそんなに期待していなかったようだ。だが、すぐに持ち直し、空気を読んでゴブタを誉めた。

 

「やったなゴブタ!約束通りクロベエに武器を頼んでやる!」

「やったスッ!!」

「お前ら、勝負はゴブタの勝ちだ!」

「「「「ハッ!!」」」」

「オークと戦うのに協力しろと話なら、検討しといてやるが、配下になるのは断る!!今日のところはそいつを連れて帰れ!!」

 

気絶したガビルを二人係で担ぐと、

 

「いずれまた来るぜ!」

「然り!」

「これで終わりと思うなよ」

「「「「おっ、覚えてろぉおおおおおお!!」」」」

 

そんな捨て台詞を吐いて、彼らは去っていった。なんかあいつらタロスズみたいだな。まぁ性格は全然違うけど。空気感が同じというかなんというか。

 

「さてと、今後の方針を立てないとな。ソウゴ!!お前も来てくれ!!」

「さっそく戦いの準備をしよう」

 

そんなこんなで、別世界版のタロスズとのゴタゴタが幕を閉じた。

 

 

 

 



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会議 ドライアドとの会合

「20万のオーク、その本隊が大河に沿って北上している。そして、本隊と別動隊の動きから予測できる合流地点は、ここより東の湿地帯」

「つまり、蜥蜴人の支配領域、ということですな?」

 

ソウエイの分身体からの情報を聞いている俺達。どうやら、既に湿地帯の近くにまで来ているらしい。本格的に、戦争の準備をしなくてはならないようだ。オークロードがいた場合の対処法を皆に話しておこう。ハザードアーマーの危険性についても。

 

「20万か、実感がわかないほどの馬鹿げた数だな。うーん・・・オークの目的ってなんなんだろうなぁ?」

「資源が目的じゃないかな?」

「それはそうだと思うけど、それなら交易とかすればいいし」

「それに、オークはそもそもあまり知能の高い魔物じゃねぇ」

「そうなんだ」

「この侵攻に本能以外の目的があるとするなら、何かしらのバックの存在を疑うべきだろうな」

「バックの存在だべか」

「例えば、魔王、とかか?」

 

その言葉に、皆が顔を引き締める。

 

「お前達の村に来た、ゲルミュッドとかいう魔族が絡んでいるんだとしたら・・・まっ、今のところなんの根拠もないが」

 

(それがシズさんを苦しめた、レオンだとは限らないしな)

(レオン?なにその人)

(聞かれてたか)

 

リムルがなにやらレオンとかいう魔王について考えていた。しかも、シズさんとなにやら関係があるらしい。

 

(魔王レオンは、シズさんを召喚して、イフリートを与えた奴だ。そのせいで何度もシズさんは苦しんでいたんだ。お前が居ないときに、シズさんから聞いてね。会えたら一発殴ってほしいって)

(へー)

 

シズさん、魔王に召喚されたんだ。もしかしたら、そのレオンが今回のオーク侵攻に絡んでいるかもしれないんだな。

 

「魔王が絡んでいるかどうかはわからん。だが」

 

どうやらベニマルがなにやら懸念点があるらしい。

 

「だが?」

「オークロードが出現した可能性は強まったと思う」

「数百年に一度現れる、ユニークモンスターだっけ?」

「はい、20万もの軍勢を、普通のオークが統率できるとは思いませんから」

「いないと楽観視するよりも、警戒するべきだと思います」

「そうだな」

「なら、俺が偵察してこようか?ソウエイがいる場所よりももっと近くから」

「どうやって?20万もオークがいるんだぞ?しかもここからじゃ急いでも相当な時間がかかるぞ?」

「そこで、アーマータイムだ」

「他のライダーの力を使うんですね」

「その通り、使うのは、カブトとクロノスだ」

「そうか、カブトのクロックアップでしたっけ?その力を使えばすぐにオークがいる場所にいけるんですね。それはわかりましたけど、クロノスってライダーは何ですか?」

「クロノスは、ゲームエリアの時間を止めることが出来るんだ、俺は、アーマーの力でゲームエリアから隔離された状態になるからその影響は受けない。そいつを使えば、偵察なんて楽勝だ!でも戦闘には使いたくない。ポーズ使って相手を殺してしまえば、死という瞬間のまま永遠に止まり続けることになってしまうからね。いくら敵だとしても、永遠に苦しみ続けるのはかわいそう過ぎる」

「それは残酷すぎるな」

「まぁダークライダーだからねクロノスは。とりあえず、行ってくるよ!」

 

ジクウドライバーを身につけ、ジオウライドウォッチとカブトライドウォッチを生成し、起動する。

 

『ジクウドライバー!!ジオウ!カブト!』

 

「変身!」

 

『ライダーターイム!カメンライダァー!ジオーウ!アーマーターイム!!チェンジビートル!カブトォ~!』

 

「クロックアップ!」

 

クロックアップを発動し、オークのもとへ行こうとしたその時。

 

「っ!?」

「おっとと!!」

「どうした?」

「偵察中の分身体に、接触してきたものがいます」

「接触?」

「リムル様に取り次いでもらいたいとのこと、それと、時の王者、ソウゴ様もその場にいてほしいと。いかがいたしましょう」

「わかった。何で俺のことしってんだろう?というか、俺がオークのところ行こうとしたことわかってたのかよ」

 

俺は変身を解除し、席に座り直す。

 

「誰だぁー?ガビルでもうお腹一杯だし、変な奴だったら会いたくないんだけど・・・」

「変、ではありませんが、大変珍しい相手でして。その、ドライアドでして」

「ど、ドライアド!?」

 

なんかリムルが変なこと考えているのが回廊越しに伝わってくるけど、ドライアドってそんなに珍しいのか?

 

「ドライアドが最後に姿を見せたのは、数十年以上前ではないか?」

 

あ、そんなに珍しいんだ。

 

「構わん!お呼びして!」

「ハッ!」

 

リムルはそんなにドライアドに会いたいんだ。リムルの想像通りの姿なのかね?

 

すると、机の上に緑色の光の柱が現れ、そこに花が咲く。そして、蔦が絡み合い、中から、女性が姿を現した。

 

「おー!」

 

リムルの想像した姿ではなかったね。そんな露出の高い服着てたら風邪引くわ。

 

「魔物を統べるものよ、別世界の戦士達の力を持つ時の王者よ。及びその従者たる皆様、突然の訪問相すみません。私は、ドライアドのトレイニーと申します。どうぞお見知りおきください」

「はじめまして、俺はソウゴ、よろしくお願いします!!」

 

俺は手を差し出し、握手を求める。前世では、これでたくさんの友達を作ってきた。ドライアドに通じるかわからないけど。

トレイニーさんの顔を見ると、呆気に取られた顔をしていた。

 

「えっと・・・」

「あ、すみません、これまでそのように歓迎をされたことがありませんでしたので、よろしくお願いいたします。ソウゴ様」

 

笑顔で握手に対応してくれた。大丈夫だったみたい。

 

「肝が据わってんなぁソウゴ。お、俺はリムル・テンペスト。トレイニーさん、今回はなんのご用向きで?」

「本日は、お願いがあって罷り越しました」

「お願い?」

「リムル・テンペスト、魔物を統べるもの。ソウゴ、時の王者。あなた達に、オークロードの討伐を依頼したいのです」



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狂いゆく歯車 ジオウ版

「リムル・テンペスト、魔物を統べるもの。ソウゴ、時の王者。あなた達に、オークロードの討伐を依頼したいのです」

 

やっぱり居るんだ、オークロード。

 

「オークロードの討伐・・・えっと、俺達がですか?」

「それについてはもう既に対策はこうじてあるよ」

「まぁ、そうでらしたんですね!」

「マジで!?」

「ただし、君たち全員に危険が伴うけどね」

「それはどういうことですか?」

 

シュナが不安そうな顔でこちらを見てくる。俺はラビットタンクハザードライドウォッチを生成し、机に置く。

 

「こいつはもしかして、仮面ライダービルドの」

「そう、ラビットタンクハザード」

「一度、なにやら私と相反する力を確認したのですが、これでしたか」

「まさか一度使ったのか!?」

「うん、使ったよ。他にもハザード系統のライドウォッチを使えば、いけるかもしれない」

 

俺はホークガトリング、海賊列車、キードラゴン、スマホウルフのライドウォッチを生成し、机にのせた。

 

「あの、なぜそんなに警戒しているのですか?これを使えばオークロードに勝てるんですよね?」

 

シュナは不思議そうな顔でこちらを見てくる。そういえば、彼らにはハザードフォームについてなにも教えてなかったな。

 

「勝てるかもしれないって感じだけどね。このウォッチ達は仮面ライダービルドのフォームのうちのひとつ、ハザードフォームっていう形態の力を宿しててね。文字通り、暴走する形態なんだ」

「暴走・・・」

「仕組みとしては、このハザードフォームは、体全体に薬品を浸透させ、戦闘能力を引き上げるんだ。だけど、その薬品の副作用として、戦闘が長引くと、脳が薬の刺激に耐えられなくなり理性を失う。その瞬間、目に写る全てを破壊する」

「っ!?そんな危険な力を使うんですか!?」

「うん、あえて暴走を起こして、オークロードを倒す。俺の戦闘技術じゃ、オークロードを相手にしても勝てないかもしれない」

「他のライダーの力を使ってもですか?」

「能力が強くても、俺の技術が合わないと、能力に振り回されるだけだからね。暴走すれば、的確に相手の弱点を狙ってくれるそれに賭ける」

 

とても心配した顔で俺を見てくる皆。でも覚悟は出来てる。

 

「オークロードに勝ったら、みんなで暴走してる俺を倒してくれ、全力で頼む。俺一人で決めたことは謝るよ。ごめん」

「そんな・・・」

 

俺はウォッチを消すと、皆に頭を下げた。これは、魂の回廊で繋がっているリムルにも内緒にしていたことだ。絶対に止められるからね。

 

「わかった、オークロードの相手、お前に任せるよ。だ!け!ど!妥協案が見つかれば、それを優先するからな!!」

「わかった、ありがとう」

「ソウゴ様の件はわかった。しかしトレイニーとやら、先程から随分と身勝手な物言いじゃないか?なぜこの町に来た?ゴブリンよりも強い種族はいるだろ?」

「そうですわねー、オーガの里が健在でしたら、そちらに出向いたでしょう。まぁ、そうであったとしても、この方達の存在を無視することは出来ないのですけれどね。オークロードにドライアドの里を狙われれば、我々だけでは対応できません。ですからこうして、強きものに助力を願いに来たのです」

 

俺達のことは、前々から知ってたってことか。というか、木の精霊だからこの森の状況を木を通じて知ることなんて簡単か。

 

「オークロードがいるってこと事態、俺達のなかでは仮説だったんだけどー」

「ドライアドは、この森で起きたことなら、大抵のことは把握しておりますの。居ますよ、オークロード」

 

のんきにポテチを食べながら言ってくるトレイニーさん。そんな軽く言われても、こっちはハザードを使って戦うくらいには強敵なんだけどな。

 

「ドライアド様がお認めに!」

「なら、本当だってことか」

 

リムルは、顎に手をやり、しばらく考えた後、トレイニーさんに返答した。

 

「返事は少し待ってくれ、鬼人達の援護はするが、率先して藪をつつくつもりはないんだ。情報を整理してから答えてくれ。こう見えても、ここの主なんでな!」

 

その後、トレイニーさんは会議に出席し続けることになった。両隣にいるリグルドとカイジンさんは額に汗をかいており、気まずいようだ。

 

「会議を続けるぞー、オーク達の意見について、なにか意見があるものはいるか?」

「思い当たることがひとつあります」

「ん!」

「ソウエイ、私達の里、調査してきましたか?」

「はい」

「その様子ではなかったのですね?」

 

どうやら、シュナはソウエイに里の調査を行わせていたようだ。そしてなにやら、わかったことがあるらしい。

 

「はい、同胞のものも、オークのものも、ただのひとつも」

「何が?」

「死体です」

「ええ!?」

 

死体がない?どういうことだ?

 

「20万もの大軍が食えるだけの食料を、どうやって賄っているか疑問だったが・・・」

「もしかして食ったのか?死体を?」

「ユニークスキル、飢餓者(ウエルモノ)

「飢餓者?」

「どんなスキルなの?」

「世に最悪をもたらす者、オークロードが産まれながらにして保有するスキルで、オークロードの支配下にあるすべての者に影響を及ぼし、蝗のようにすべての者を食べ尽くす。喰らった相手の力や能力さえも取り込み、自分の糧とするのですわ。あなた様の捕食者と似ていますわね?飢餓者の代償は、満たされることのない飢餓感。オーク達は果てしない飢えを満たし、力を得るためだけに進むのですわ。ただそれだけに、彼らの王の望み故に」

 

まるでアマゾンズみたいスキルだな。

 

「うーん!!てことは、うちも安全ではないな、嵐牙狼(テンペストウルフ)に鬼人、ホブゴブリン、そして仮面ライダー。味はともかく、オーク達の欲しがりそうなエサだらけだ」

「お前もな」

「え、俺?」

「なーにが俺?だよ、最強のスライム」

「え?」

 

苦笑する皆を。ほんと、この人は自分がどれだけ強い存在なのかわかってないよな。

 

「オークロード誕生のきっかけとして、魔人の存在も確認しておりますわ。あなた様は放っておけない相手でしょうけど」

「魔人か」

「いずれかの魔王の手の者です」

「ふーむ」

 

オークロードへの対処法はあるけど、大軍の相手をどうするかなぁ。

すると、突然トレイニーさんが立ち上がった。

 

「リムル・テンペスト様。改めてオークロードの討伐を依頼します。暴風竜ヴェルドラの加護を受け、牙狼族を下し、鬼人を庇護し、時の王者と友情をかわすあなた様なら、オークロードに遅れを取ることはないでしょう」

 

その言葉を聞いたリムルは、俺と大賢者に相談してきた。

 

(うーん、大賢者、ソウゴ、どう思う?信用して良いと思うか?)

(別に俺は大丈夫だよ。戦う覚悟は元から出来てる)

『ドライアドは、ジュラの大森林の管理者。不届きな者、森に対して害意を持つものに対し、天罰を下す存在と言われています』

(天罰、かぁー。でも20万だぞ?)

(オーズのガタキリバコンボの力を使って50人は人増やせるよ。俺の分身だけどね)

(でもそういうのってあれだろ?スペックが落ちたりとか)

(しないよ)

(えっ?)

(ガタキリバはスペックが落ちたりしない分身を50人作り出せるんだよ)

(マジか、それはすごいな。でも20万だからなぁ・・・)

 

「当然です!!」

「ええ!?」

 

と、紫苑がリムルに抱きつきながら自信満々に言った。

 

「リムル様にかかればオークロードなど敵ではありません!!」

「やはりそうですよね!」

「ええ!!」

 

(うっそー!この子、勝手に・・・)

 

「わかったよ、オークロードの件は俺が引き受ける。皆もそのつもりでいてくれ」

「はい!もちろんです、リムル様!」

「どうせ最初からそのつもりさ」

「俺達は旦那を信じてついていくだけさ」

「その通りですぞ!!我らの力を見せつけてやりましょう!!」

「「「おう!!」」」

 

オークロードと、本格的に戦争をすることが決まった。そして、ハザードの力を使うことも。

そして、作戦会議が始まった。

 

「オーク20万もの大軍を相手取るとなると、蜥蜴人との同盟を前向きに検討したいところだが、使者がアレなんだよなぁ」

 

 

『我が名は、ガビル!!!』←アレ

 

「はぁ、話が通じるやつと交渉したいところだが・・・」

 

ガビルのお父さんとかと話が出来たら良いんだけどね。

すると、ソウエイが立ち上がり、解決案を提示してくれた。

 

「リムル様、蜥蜴人の首領と直接話をつけてもよろしいですか?」

「ソウエイ、出来るのか?」

「はい」

 

すごい自信満々で返事をするソウエイ。もう既に蜥蜴人の村の場所は突き止めてるみたい。

 

「よし!では蜥蜴人と合流し、オークを叩く!」

「「「ハッ!!」」」

「決戦は、蜥蜴人の支配領域である湿地帯になるだろう。これは、蜥蜴人との戦線協定が前提条件だ。頼んだぞソウエイ」

「お任せを」

 

一瞬にして消えていき、任務を遂行しはじめるソウエイ。ほんと優秀だな。

さて、俺も、各ハザードウォッチで出来ることを探ってみよう。というより、ビルドにあるすべてのベストマッチフォームの戦闘スタイルを学んでいけば良い。こういう時に活躍するのが、俺の念写だな!

 

「みんな、俺が暴走したときのために、ビルドにある、あらゆるベストマッチフォームの戦闘スタイルについて、覚えておいてほしい」

「ですが、ライダーと言う戦士達の戦いの資料がこの世界にはありません。どう学べば・・・」

「大丈夫、俺のスキル、念写を使えばすぐに見れるよ!それじゃ、行くよ?」

 

俺はスキル、念写を発動し、白い布で代用したスクリーンに仮面ライダービルドの映像を写していく。

 

「仮面ライダービルドは、有機物と無機物の力を宿した、フルボトルというアイテムを使うライダーだ。基本フォームとなるのが、ラビットタンク。ウサギと異世界にある戦車という兵器の力を使って戦う」

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!イェェエエイ!!』

 

 

「鎧が2色に別れてるんですね」

 

良いところを指摘してくれるベニマル。ここからがビルドのスペックの特徴だ。

 

「そう、だから、部位によっては左右で違う性能を発揮するんだ。まずはラビットの方。ラビットの鎧は俊敏性と跳躍力の強化。高速でジャブなど、手数で攻めてくる。タンクの鎧は高い機動力と頑強さ、そしてパワーを兼ね備えている。このラビットタンクフォームは、とてもバランスのとれたフォームなんだ。だけど、今言った性能は通常のラビットタンクの性能だ。ハザードとなれば、これが強化された性能で君達に襲いかかってくる。さらに、暴走状態では、君達の首、心臓のある胸、脳のある頭を中心に狙い、確実に殺すことを重視した攻撃を仕掛けてくる。以降のフォームも同じだ」

「了解しました!」

「失礼。意見、よろしいでしょうか?我が魔王」

「もちろんだよウォズ」

「ありがとうございます。ラビットタンクハザードの場合、一番隙が有るとすれば、必殺技のライダーキックの時です。ライダーキックを受け止め、ベルトに装填されたウォッチを取り外すことが出来れば、変身を解除することが出来ます。それが、倒さずに我が魔王を止めることが出来る方法でしょうな」

「ありがとうウォズ。ウォズは、この場で唯一、暴走状態のハザードと戦ったことがある人物だ。でも、この方法は、ウォズが変身したフィーチャリングキカイの防御力があってこそのものだ。無理そうだったらやめてくれ、君達の命が危険だから」

「了解しました、ソウゴ様」

 

あまり今言った方法はやらないでほしい。フィーチャリングキカイの防御力でもあれだけの怪我を負ったんだ。変身できない彼らがやったら大怪我間違いなし、命だって危ない。

 

「では、次のフォームだ。次のフォームはゴリラモンド。このフォームはー」

 

 

その後、すべてのベストマッチフォームの解説を終了し、次にハザードという共通の性能を解説していく。

 

「ハザードは、共通してある能力を有している」

「暴走する以外にもあるんですか?」

「ああ、ハザードには、接触した物体を、分解・霧散させる機能があり、必殺技発動時には、敵の装甲を分解し、剥き出しになった中枢にエネルギーを叩き込み、破壊するといった能力がある。この能力は、たぶん肉体にも影響する。だから、再生能力を持ってないと心臓だったり脳に直接エネルギーを叩き込まれる可能性がある。そうなれば即死は免れない」

「なんと危険な能力ですじゃ・・・」

「なら、さっきの方法で止められるのは俺とウォズさんだけか・・・」

 

と、リムルが言う。でもとてつもないダメージがリムルに残ってしまう。そうなればオークロードを討伐できるものがいなくなってしまう。それだけは避けたい。だから、なんとしてでもハザードでオークロードを倒さなければならないのだ。

 

「とりあえず、ハザードの能力については大体わかった。暴走したときの対策は、俺がなんとかしておくよ!」

「ありがとうリムル」

「もしくは、また私が、我が魔王を止めて見せます」

「ありがとうウォズ、頼もしいよ」

「お褒めの言葉、ありがたき幸せ」

「それじゃあ、これで会議は終了とする。武具の点検などを行って出陣の準備をしておくように!」

「「「「ハッ!!」」」」

「了解!」

 

これにて会議は終了。すぐに出陣となる。待ってろよオークロード。絶対倒して、この森に平和を取り戻して見せる。



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大激突

リザードマンの首領と同盟を結ぶべく、リムルと俺、ベニマル、シオン、ハクロウ、偵察中のソウエイ、リムルを乗せるランガとコブリンライダーズは湿地帯へ向かう。

村は、リグルド達に任せてある。俺たちが負けたら、すぐさま逃げるよう手配してある。負ける気はないけど。

 

『リムル様、ソウゴ様、よろしいですか?』

『どうしたの?』

『交戦中の一団を発見しました。片方はリザードマンの首領の側近です。相手はオークの上位個体のようですが、いかがいたしましょう?』

『いかがって、助けないわけにはいかないだろ?勝てるのか?』

『無理そうだったら俺がカブトの力でそっちいくよ』

『ソウゴ様、ご心配ありがとうございます。ですが、オークロードならまだしも、ただの上位個体、容易いかと』

 

自信たっぷりだな。大丈夫そうだし、ソウエイに任せよう。

 

『やれっ!俺たちもすぐいく』

『ちゃんと守ってあげてね』

『御意』

 

「戦闘態勢をとれ!ソウエイのもとに向かうぞ!」

 

「「「「はっ!」」」」

「やるっす!」

「ランガっ!」

「仰せのままに!」

 

ランガ達がスピードをあげる。俺もライドストライカーのエンジンをふかせ、スピードをあげる。

 

 

 

 

俺たちがついた頃には、オーク達は血を流して倒れていた。どうやら、ソウエイが一人で倒したらしい。

 

「あーれ?もう終わってるっすか?」

「少しは残しておけよ」

 

ソウエイの方を見ると、口から血を出しているリザードマンの女性を抱えていた。

 

「深傷を負っています」

「ああ」

 

リムルが回復薬を取り出し、リザードマンに飲ませる。咳き込みながらも飲み干し、傷が完璧に塞がる。

 

「はっ!?致命傷だと思ったのに!?あ、あなたは?」

「俺はリムル・テンペスト」

「っ!?」

 

すると、突然土下座をはじめた。急にどうしたの!?

 

「お願いがございます!我が父、リザードマンの首領と兄たるガビルをどうかお救いございませ!!」

 

ガビル妹!?あの子が!?あれの妹!?マジで!?嘘でしょ・・・。いったいどうしたらあの兄にこんないい妹ができるの!?

 

「ガビルの妹なのか?」

「はい!」

「何があった?」

「兄ガビルが謀反を起こし、首領を幽閉したのです。兄はオーク軍を自分の力で退けるつもりのようです。ですが、兄はオークロードを甘く見ており、このままではリザードマンは滅亡するのとになるでしょう。父は見張りの隙ついて私は逃がしてくれました!先走らぬようにとの約定を守れず、むしのいい話であることは重々承知のことです。しかし、力ある魔人を従えるあなた様のその慈悲にすがりたく!何卒!何卒!」

 

俺はリザードマンに近づいていき、肩に手を置いた。

 

「っ!?」

「もとからそのつもりだから、大丈夫だよ。安心して」

 

俺はリザードマンにサムズアップし、ジクウドライバーを取り出した。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

「リムル、急いだ方がいいみたいだね」

「そうだな。先に行ってるか?」

「いや、ハザードを使うんだ。先に行って、使ってしまったら、誰も止められないからな。今回は行けない」

「そうか、とりあえず、急ごう。えーと、君は首領の娘さんだっけ?」

「は、はい!仰せの通りでございます」

 

膝まずきながら、返事をするリザードマン。

 

「では、君を首領の代理とする。ここで同盟を締結する。異論はあるか?」

「いえ!異論など!」

「じゃあ決まりだ。同盟は締結された」

「ありがとう、ございます・・・」

「ソウエイ、お前、首領のところまで影移動できるか?」

「もちろんです」

 

さすが有能ソウエイくん!首領の救出は大丈夫そうだ。

 

「首領の救出を命ずる」

「御意」

 

ソウエイが消えていく。首領のもとへ向かったようだ。早いなぁ。

 

「感謝いたします」

「俺たちは進軍を続けるぞ!」

「「「「はっ!」」」」

「おう!」

 

ライドクトライカーにまたがり、エンジンをふかせ発進。

待ってろよオークロード。絶対あんたを止めてやる!

 

 

 

 

 

「よーしっ!よーしっ!ええ感じになってきたなぁゲルミュッド様ぁ~」

「うむ」

「計画の方順調に運んどるよーやなぁ~」

「我が軍が森の覇権をとるのは近いだろう。そうなれば俺の野望も」

 

森のどこかで、二人の魔人がオークジェネラルとガビルの一騎討ちを水晶で監視していた。

 

「なかなか楽しそうな話をしていますね」

 

そこへ、ドライアドのトレイニーが現れる。

 

「なっ!?誰や!」

「私の名はトレイニー。この森での悪巧みは見過ごせません」

「こりゃヤバイでゲルミュッド様!森の管理者ドライアドや!!」

「なんだと!?」

「森を乱した罪で、あなた達を排除します」

 

すると、トレイニーの手に、一つのライドウォッチが現れる。

 

「ソウゴ、お力、貸していただきありがとうございます」

 

なぜ、トレイニーがライドウォッチを持っているのか、それは・・・。

 

 

 

 

 

「おおー、お前が許可出せば貸せるようになったのか!」

「うん!これで、みんなもライダーの力を使えるよ!!」

 

 

 

 

 

度重なる戦闘により、ソウゴのスキルがレベルアップ。他人にも、ソウゴが許可を出せば、ライドウォッチを貸し出せるようになったのだ。

 

 

『サイクロン』

 

ライドウォッチのスターターを押すと、トレイニーは緑色のオーラを纏う。

 

「精霊召喚、シルフィード!!」

「いー待て待て待て!気早すぎやろ!!」

「断罪の時です、罪を悔いて祈りなさい。エアリアルブレード!!」

 

シルフィードの隣に、仮面ライダーサイクロンの幻影が現れ、シルフィードと共に魔法を行使する。

魔人二人は、防御魔法を発動するが、防ぎきれず、ピエロの仮面をした魔人の腕が切断される。

 

「お、お前!!腕ぇええええ!!!」

「むちゃくちゃしよるなあんた。問答無用かいな。まぁ、目的は達成しとるし。ワイらは退散させてもらうわ!ほなさいなら!!」

 

煙玉を生成し、地面に叩きつける。ピンク色の煙が吹き上がる。煙が晴れた頃には、魔人達は消えていた。

 

「逃げられましたか。状況は思わしくありません。リムル・テンペスト、ソウゴ、オークロードの討伐、信じていますよ」

 

 

 

 

 

オークの軍に囲まれたガビル軍。その軍のリーダーと思われるオークジェネラルと一騎討ちを行うガビル。しかし、オーガなどの種族を食べ、強化されたオークの力に敗れてしまう。止めの一撃がガビルへと迫る。その時。

 

 

ガキィイイン!!

 

ゴブタが現れジェネラルの一撃を弾く。

 

「おお!!あなたは、あの村の新の主殿!!」

 

(何言ってんすかこの人)

 

「あれは、ゴブリンライダーズの隊長、ゴブタだ」

 

なにやら勘違いをしているガビルへ訂正をいれるランガ。

 

「牙狼族の!!」

「我が名はランガ、リムル様とソウゴ様の命により、助太刀に来た」

「いかにしてここまで?」

「影移動だ学ばんのか」

「リムル?ソウゴ?どこの馬の骨だか知らんが、邪魔立てするなら、容赦はー」

 

その背後で、黒炎の大爆発が起こる。ベニマルだ。

あちこちで爆発を起こし、軍を壊滅させていく。

 

さぁ、ショータイムだ。

 



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全てを喰らうもの:ハザードタイム

『タジャドルゥ~!』

 

ジオウオーズタジャドルコンボアーマーに変身し、リムルと共に空から戦況を見る。

 

「ぼこぼこだねぇ」

「だねぇ」

 

俺たちが何かする必要もないようだ。ソウエイの方はどうだろうか?まぁ、ソウエイなら大丈夫だろうなぁ。

 

「ん?」

 

空に赤い光が現れる。なんかこっち来てない?

俺たちがそれを避けると、ベニマル、ハクロウ、シオン達と残っているオーク軍の間に着弾する。

煙が晴れると、そこには仮面の魔人がいた。

 

「誰だあいつ」

「わからん」

 

すると、その魔人は激怒しはじめた。

 

「どういうことだ!!このゲルミュッド様の計画を台無しにしやがって!!」

 

あいつがゲルミュッドか。どうやら、俺たちが転生してくる前からいろいろと計画していたようだ。リグルドの長男に名前をつけたのも、計画のうちだったのだろう。何をたくらんでる?魂の回廊から、リムルが大賢者の解説を邪魔しているのを感じる。大賢者の機嫌悪くなってもしらないぞ~。

 

「もう少しで俺の手足となって動く新しい魔王が誕生したというのにぃいいい!!!」

 

魔王を産み出すのが狙いだったのか。簡単に吐いてくれるんだなぁ。なんか拍子抜け。

 

「そうだ!!だから名付けをしまくった!種を撒きまくったんだ!!最強の駒を産み出すためになぁあああ!!」

「そのために」

「我らの村にも!」

「来たということか!」

 

そういうことだったのね。だから、この世界では珍しいネームドモンスターがいた。それもゴブリンに。

 

「おお!!これはゲルミュッド様!!」

「あれが、ガビル様の名付け親」

「どうしてここに?もしや、我らを助けに「役立たずののろまが!!」

「「「「え?」」」」

「貴様もさっさとオークロードの糧となれ!!」

「なっ!?」

「あの人、何を言っているの?」

「役立たずの無能で、目障りな奴よ!オークロードに喰われ、力となれ!!俺の役に立って死ねるのだぞぉ?光栄に思え!」

「げ、げろぉる、げるぅー」

 

相当のクズ野郎だな。吐き気がする。

 

「やれ!オークロード!!」

 

ゲルミュッドがオークロードに命令を出す。だが、オークロードはうなり声をあげるだけでその場から動かない。

 

「どうした?」

「魔王に進化とは、どういうことか?」

「チッ!本当に愚鈍な奴よ。貴様が魔王オークディザスターとなり、このジュラの大森林を支配するのだ!それが私と、あのお方の望みだ!!」

 

あのお方?まだ裏がいるのか。まぁ、ゲルミュッドだけじゃあこの計画をここまでうまく動かすことができないだろう。あの感情の高ぶりを見ればわかる。

 

「何をボーッとしている豚が!!はぁ、仕方ない、手出しは厳禁だが、俺がやるしかないか」

 

ゲルミュッドが手に赤い魔力弾を作り出す。

 

「げっ!?」

「が、ガビル様!!」

「お逃げくだされ!!」

「死ねぇええええ!!!」

「ああああああああ!!!!!」

 

部下の三人がガビルを庇い、重症を負う。

 

「お前達!!」

「ぐっ、ガビル様が無事で・・・」

「よかった・・・」

「ああ、あああ、あああ!!うわぁああああああ!!ゲルミュッドざまぁああああ!!」

「オークロードの養分となり、俺の役にたつがいい!!」

 

俺はタカ、クジャク、コンドルの文字がフェニックスを形となり、模様として刻まれているライドスピナーを生成し、すぐさまガビル達の前へと飛んだ。

「ふははは!!上位魔人の強さを教えてやる!!死ねっ!」

 

また魔力弾を生成し、それを天に掲げる。先程よりも大きい。

 

死者乃行進演舞(デスマーチダンス)!!」

 

その魔力弾が無数に分裂、高速で発射される。

 

「ゲルミュッドざまぁああああ!!」

 

『ユニークスキル、演奏者を発動します』

 

『アーマータイム』

 

魔力弾がガビルに当たる直前、俺がガビルの前に現れ、魔力弾をスピナーで受け止め、弾く。

あれ?以外と軽い?

俺はそれを軽く弾き、スピナーを見ながら首をかしげる。

まさかあれでガビルを殺そうとしてたの?

 

「なにっ!?」

「なっ!?」

「えっと・・・あれが全力?あれでガビルを殺そうとしてたの?」

「貴様ぁ・・・」

「あなたは、あなた様は・・・」

 

すると、俺のとなりにリムルが現れる。手には大量の回復薬だ。

 

「ほれっ!」

「おっととと!!」

「回復薬だ、部下達に使ってやれ」

「は、はい!!しっかりしろ!!我輩のために、こんなぁああ!!」

 

どうやら、回復薬のおかげで、ガビルの部下達は大丈夫そうだ。

 

「さて」

 

リムルが手から束になった糸を発射。それはゲルミュッドに巻き付き、拘束する。

 

「貴様ら、上位魔人にこんなこと!!」

 

俺はゲルミュッドの言葉を無視して、ライドスピナーにタジャドルライドウォッチをスキャンする。

 

『ギガスキャンフィニッシュターイム!!タジャドル!!』

 

ライドウォッチの紋様がひとつ浮かび上がり、高速で回転する。

 

「はぁあああ、セイヤッ!!」

 

スピナーを突き出しながら、持ち手のボタンを押すと、不死鳥の形の炎が発射される。

 

「グハァアア!!」

 

その炎は、拘束されたゲルミュッドをオークロードの足元まで吹き飛ばす。

 

「上位魔人とか言って、偉そうにしてるけど、以外と対したことないんだな」

「くっ、なっ、仲間にしてやろう!!俺はグハァッ!!」

 

最後にリムルのキックを食らい、無様に大の字で倒れる。

 

「キィイイイイイ!!貴様らぁ!!終わるぞ!!あのお方がお前達を許さんぞ!!」

「その人、たぶん魔王なんでしょ?だったら、最高最善の魔王として、受けてたつよ」

「ああ、そのためにも、そのお方のこと、詳しく聞かせてくれよ、誰が糸を引いているのか」

「ヒィイイイ!!来るなぁ!!おい!オークロード、俺を助けろ!!」

 

ついにはオークロードに助けをも止める始末。上位魔人の名が廃るね。

助けを求められたオークロードはというと。

 

「腹が減った」

 

あら。お腹すいてるのね。バーガーアクションゲーマーアーマーになればハンバーガーつくってあげられるんだけど。

 

「くそが!俺を助けろオークロード!!いや、ゲルドよ!!」

 

オークロードの名前は、ゲルドっていうのか。

 

「お前がさっさと魔王に進化しておれば」

 

すると、オークロードが動き出す。俺はハザードビルドライドウォッチを作り出し、身構える。

こっちの準備はできている。さぁ、来い!

 

「このクズが、ようやく動き出したか。クハハハハ!!こいつの強さを思いしるがいい!!やれゲルド!!この俺に歯向かったことを後悔させて」

 

ジャキンッ!!

 

「えっ!?」

 

ゲルドが、手に持つ大鉈を使ってゲルミュッドの首を跳ねた。一体何が起こっているんだ?

 

すると、ゲルドは這いつくばり、ゲルミュッドの亡骸を喰らい始めた。

まさか、ゲルミュッドの力を吸収する気か。

ゲルミュッドを喰い終わると、ゲルドから禍々しいオーラが溢れ始めた。

 

『確認しました。オークロード、個体名ゲルドの魔素量が増大しました。魔王種への進化を開始します』

 

「マジかよ!!」

 

『成功しました。個体名ゲルドはオークディザスターへ進化完了しました』

 

これは、ハザードで止められるのか?ハザードの暴走状態で戦闘したとしても、勝てないのではないか?

 

「うぉおおおおおお!!俺はオークディザスター!!この世の全てを喰らうものなり!!名をゲルド!魔王ゲルドである!!」

 

「シオン!」

「ハッ!承知しています!」

「ちょっ!」

「ここは俺たちにお任を」

 

シオンが大剣をかついで、オークディザスター、ゲルドへと突貫を仕掛ける。

 

「薄汚い豚が!魔王だと?思い上がるな!!」

 

ガキンッ!!

 

シオンの重量級の攻撃を、片手で受け止め、吹き飛ばすゲルド。しかし、シオンは負けじとゲルドへ立ち向かっていく。しかし、シオンの突撃はブラフ。ハクロウが突如として現れ、ゲルドの首を切り飛ばす。

だが、切られた首の根本から黄色い触手が現れると、頭を接合。再生してしまった。

 

「凄まじい回復能力だな」

「やっぱりハザードで」

 

俺がハザードアーマーに変身しようとすると、ソウエイが硬糸でもってゲルドを拘束する。そこへ、ベニマルの黒炎獄が放たれる。さらに追い討ちの、ランガの黒雷が襲いかかる。

こちらの陣営の最強の布陣達による集中砲火。だが、ゲルドは生きていた。

 

「マジかよ」

 

すると、一人のオークがゲルドのもとに現れる。膝まずくとゲルドはそのオークに喰らいついた。傷ついたゲルドの体は、気持ちの悪い色のオーラを出しながらみるみるうちに回復。

 

「自己再生と回復魔法か」

「もっとだ、もっと大量に、喰わせろ!!」

 

そう言って、先程喰らったゲルミュッドのデスマーチダンスをこちらに放ってくる。しかし、俺たちに着弾することはなく、リムルが全てを捕食した。

 

「やっぱり、俺が行く」

「ソウゴ・・・」

 

 

 

「ふー・・・。変身」

 

『アーマーターイム!ヤベーイ!ハザード!!チーン…』

 

「フッ!」

 

ゴッ!!

 

黒い煙のようなオーラを放ちながらゲルドと激突。衝撃波を辺りに放つ。

 

ガキン!ガキン!ガキン!

 

 

HZデッドリーグローブの効果により、ゲルドの体のあちこちから血が吹き出し、着実にダメージを与えていく。だが、それも自己再生と回復魔法によって帳消しにされてしまう。

すると、頭に違和感を感じ始める。強化剤が脳に浸透し始めている証拠である。

 

「時間をかけれられない!!ハァッ!!」

 

『フィニッシュターイム!!ハザード!

 

ハザード!ターイムブレーク!!』

 

「ハァアアァァアアア!!」

 

「ヌァアアッ!!」

 

ガキン!!

 

肉切り包丁と俺のライダーキックがぶつかる。ゲルドの肉切り包丁は黒いオーラによって分解、霧散していき、徐々に消滅していく。

 

「ゲルド!!なぜ急にジュラの大森林に侵攻を開始したんだ!!ゲルミュッドにそそのかれた以外に何かあったんじゃないのか!!」

「ヌゥウ・・・」

「やっぱりそうなんだな!そこまでの強さを持つあんたが、ゲルミュッドに操られていたなんてこと、あり得ない!」

 

この世界は、弱肉強食。ゲルミュッドよりも明らかに強いゲルドが、ゲルミュッドに従っている構造は、今思えば、明らかにおかしかった。事実、ゲルドはやつを殺した。自分が魔王になるための糧とした。魔王にならなければならない理由があるはずだ。

 

クラッ・・・。

 

くっ!こんな時に!!

 

俺はなんとか意識を保ちながら、問い詰めていく。

 

「君たちに何があったんだ!!答えてくれ!!もしかしたら、力になれるかもしれない!!」

「ヌゥウ・・・」

「お願いだ!あんたを倒したくない!!」

 

ゲルドは、顔を伏せると、俺にだけ聞こえる声で、語り始めた。

 

「我れらオークは、日照りにより、食料が手に入らなくなってしまった。大飢饉により、一昨日産まれた子供は生き絶え、昨日産まれた子供は虫の息、我が身は、どんなに切り刻もうと再生する。私は、我が身を切り刻み、分け与えた。我らオークは絶望の最中あったのだ」

「そんな・・・」

「そこへ、ゲルミュッドか現れ、我に力を与えた。これしかないと思った。ゲルミュッドは言った、オークロードとなれば、飢えるものの支配下にあるオークが飢えることはないと。そのために!!」

「っ!?グハァッ!!」

 

ゲルドは俺を吹き飛ばし、叫んだ。

 

「もっと喰わせろぉおおおお!!」

 

俺の中に衝撃が走った。民であるオーク達が生きるために、彼は悪役に徹した。魔王となった。もし、今彼を倒せば、俺達やリザードマン達は助かる。

 

 

だけどオークは?

 

 

大勢のオーク達はどうなる?罪のない子供は?

 

今彼を倒せば、オーク達に更なる絶望が降りかかり、飢えて、苦しみながら死んでいく。わからない。俺のやっていることは、本当に正しいのか?彼を倒すことは、本当に正しいのか?

 

わからない。わからない。わからない。わからないわからないわからないわからないわからないわからない。

 

 

わからない!!

 

その時、俺の意識は途絶えた。

 

リムルside

 

 

ソウゴが、その場に棒立ちとなり、動かなくなった。

 

「暴走か!!」

 

ソウゴの指が、ハザードライドウォッチに伸びる。しかし。

 

「?ソウゴ?」

 

ソウゴの腕は、ハザードライドウォッチに触れず、震えていた。

 

「ソウゴ様?」

 

何が起きているんだ?脳に強化剤は完全に浸透しているはずだ。もう既に、暴走が始まっているはず。すると、魂の回廊を通じて、何かを感じた。

 

「ソウゴのなかで、何かが起きてる」

「本当ですか?」

「ソウゴを守るぞ!」

 

ソウゴ、お前のなかで何が起きているのかわからないが、やりとげてみせろよ!

 

 

 

 

 



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正義と悪:2019

ゲルドは、民を守るために、虐殺を行っていた。許されることではない。だが、それをしなければ、未来ある子供は、死んでいってしまう。彼が魔王とならなければ、今頃オークは全滅していたであろう。

 

彼を倒せば、全てが丸く収まる。しかし、オークは全滅する。子供達は、死んでいってしまう。

 

彼を倒していいのか?

 

それが最善の道なのか?

 

それが本当に正しいことなのか?

 

わからない。

 

俺にはわからない。

 

俺は、どうすればいい?

 

俺は彼を倒し、以降、胸を張って生きることはできるだろうか?

 

オーク達を犠牲にして、生きてもいいのだろうか?

 

そんなわけがない。

 

俺は、どうすればいい?

 

何をすれば正解なんだ?わからない。

 

わからない。わからない。

 

わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない。

 

 

わからない!!

 

「落ち着きなよ」

 

すると、背後で声がした。

 

振り向くと、そこには、魔王がいた。

 

「やぁ、この世界のジオウ」

「常磐ソウゴ!?」

 

本物の常磐ソウゴがそこにはいた。

 

「な、なんでここに!?」

「さぁ?でも、君が居るからかな?うん、きっとそうだ!」

 

自信満々に言う本物ソウゴ。オーマジオウの力が影響しているのだろうか?

 

「それで、君はどうしたの?」

「え?」

「そこでうずくまってたじゃん。どうしたのかなって?」

「そ、それは・・・」

 

俺はことの顛末を話した。戦争のこと、オークロードのこと、仲間のこと、オークたちのこと、ほかの種族のこと。なにをどうしたらいいのか、わからなくなったこと。

 

「なにをしたら正しいのか、どうしたらみんなを助けられるのか・・・」

「うーん、確かに、何が正しいのか、何が正しくないのかって、すごく難しいよね。正義と悪ってさ、どちらか一方が存在し続けるってのはないんだと思う。だから、俺はどっちも統べることにしたんだ。だから、俺はみんなを救えた。だからさ、善とか悪とか関係なくさ、全部救えばいいんだよ!」

「そんな綺麗事、実現できるわけない。俺が生きているのは、現実なんだから。作られた世界じゃないんだから」

「別にいいじゃん、綺麗事だって、それがみんな一番望んでいることなんだからさ。それを叶えるだけの力を、俺たちは持ってるんだし。ねぇ、この世界の俺、君のしたいこと、なにかな?」

「俺のしたいこと?」

「そう!君が、あの戦争をどう終わらせたいの?」

 

俺が、したいこと・・・。

 

俺は、オークも、リザードマンも鬼人もみんな救いたい。みんな、笑顔でいて欲しい。

 

「俺は、みんなが笑顔でいられたら、いいと思います」

「なら、それを叶えようよ!俺たちは魔王だ!!みんなが笑顔になれる、そんな魔王を目指せばいいんだ!」

 

みんなが、笑顔になれる魔王、か。

 

「なれますかね?俺に」

「それはわからないよ。でも、時間は前にしか進まない、巻き戻ったりしないんだ。時計の針がぐるっと一周して、もとの場所に戻ったとしても、その時間はもう別のものだ。それに、君には俺と同じく、仲間がいるだろ?」

「はい、たくさんいます」

「ならさ、その人たちも巻き込んでさ、全員で全員のこと救おうよ!独りよがりじゃあ、何にも解決しないからさ」

 

 

全員で全員を救う、か。そっか、俺、さっきまでずっと、俺がみんなを守らなきゃって思ってた。ジオウだから。仮面ライダーだからって。でも、俺の力じゃ、叶わないこともある。善も悪も光も闇も関係なく、みんなで、乗り越えていけばいいんだよな。

 

「もう大丈夫そうだね?」

「はい、行きます。俺、なんか」

「行ける気がする?」

「はい!」

「そっか、それじゃあ、頑張ってね、この世界の俺」

「はい、またどこかで会いましょう。ソウゴさん」

 

そして、俺は、常磐ソウゴと別れた。

 

 

 

 

リムルside

 

 

ソウゴが動かなくなってから少したった。その状態をチャンスと見たゲルドは肉切り包丁を振り下ろす。しかし、不可視のバリアによって、それが弾かれた。

 

「ソウゴ、どうしたんだよ?」

 

 

俺がそう呟くと、突如、ソウゴの体が輝き始める。

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

光が晴れると、変身を解いたソウゴが、現れ、ゆっくりと歩き始めた。

 

 

「見つけたよ、俺が目指す、これからの道を、夢を、歴史を」

 

 

そう言うソウゴの目は、変わっていた。男の目をしていた。

 

「俺は決めたよ。俺は、ここにいる全員を救う!!オークだろうが鬼人だろうが、蜥蜴人だろうが関係ない!!俺は、善も悪も関係なく、全員の未来を切り開く!!その答えが、これだ!!」

 

そう言うソウゴの手には、俺たちが見たこともないウォッチが握られていた。

そして、それを、前に突きだし、スターターを押し込んだ。

 

 

『ジオウⅡ!!』

 

『『ジッオーウ!』』

 

ガシャン!ガシャン!

 

そのウォッチは、一つにして二つのウォッチであった。前まで、アナログ時計の音だった待機音は、未来的で、リズミカルな音へと変化していた。

そして、ソウゴは叫ぶ。己を変える合言葉を。

 

「変身!!」

 

 

『『ライダーターイム!!』』

 

『仮面ライダァ~』

 

『ライダァ~』

 

『ジオウ!』『ジオウ!』『『ジオウⅡ!!!』』

 

 

ソウゴは、仮面ライダージオウⅡへと、新たな領域へと進化を遂げた。

 



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王の凱旋

 

『ジオウⅡ!!』

 

『『ジオーウ!』』

 

ガシャン!!ガシャン!!

 

 

「変身!!」

 

 

『『ライダァーターイム!!』』

 

『カメンライダァー』

 

『ライダァ~!』

 

『ジオウ!ジオウ!ジオウ!Ⅱ!!』

 

【ユニークスキル、演奏者を発動します。[ジオウ変身]】

 

 

 

「な、なんだ、その姿は!?」

 

 

先ほどよりもはるかに強いオーラを放つソウゴに驚くゲルド。

 

 

「ソウゴ!!」

 

 

「ソウゴ様!!」

 

 

リムルとシュナが歓喜の声を上げる。

 

 

「行くぞ、ゲルド!!ハァッ!!「王の凱旋である!!」うぉっと!?」

 

 

ソウゴがゲルドへ攻撃を仕掛けようとしたその時、割り込むように逢魔降臨暦を開いたウォズが現れる。

 

 

「始まったか・・・」

 

 

「リムル様、あれは?」

 

 

「まぁ見てろ」

 

 

「祝え!!全ライダーを凌駕し、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウⅡ。新たな歴史の幕が開きし瞬間である!」

 

 

「うぉおおお・・・ふふふ、うんうん、やっぱジオウはこうでなくちゃね」

 

 

「では我が魔王、存分に戦われよ」

 

 

「あぁ!!」

 

 

「ふざけたことを・・・ヌァア!!」

 

 

「ふっ!!」

 

 

ゲルドの剛腕によって振るわれるに新たな肉切り包丁がジオウⅡに襲い掛かる、しかし、それを右腕で軽く防ぐ。そして、マゼンタのエネルギーを込めた拳撃が放たれる。

 

 

「ハァアッ!!」

 

 

「グアァッ!!」

 

 

そこへ、追撃の前蹴りを喰らわす。そして、今度は右拳にマゼンタのエネルギーを纏った強烈な右ストレートが繰り出された。

 

 

「グァア!!!」

 

すると、ジクウドライバーからメタリックマゼンタ色のライダーの文字が飛び出してくる。そして、ジオウの基本フォームの顔がくっついた剣、サイキョーギレードが生成される。

 

 

「顔だ」

 

 

「顔・・・ですね」

 

 

予想外な見た目の剣に困惑したリムルとベニマルたちを置いてけぼりに、ジオウの凱旋は続く。流れるような剣さばきでゲルドを攻撃するジオウ。

 

 

『ライダァー!』

 

 

剣からインドの音楽を思わせるような待機音が鳴り響く。

 

 

『ライダァー斬り!!』

 

 

トリガーを押すと、音声とともにマゼンタのエネルギーを纏った斬撃がゲルドを襲う。

 

 

「ウグッ!!ヌァアアア!!

 

 

死者乃行進演舞(デスマーチダンス)を発動しようとするゲルド、それを見たジオウはジオウⅡ最大の能力を使用した。二つに増えた仮面の時計の長針が回転した。すると、ジオウの頭に未来の光景が映し出される。

 

 

その光景は、死者乃行進演舞(デスマーチダンス)とともにその剛腕で攻撃を仕掛けてくるゲルドの姿であった。

 

 

「お前の未来が、見える!!」

 

 

ジオウは死者乃行進演舞(デスマーチダンス)をギレードですべてゲルドに跳ね返し、斬撃を喰らわせる。

 

 

「グァアア!!!」

 

 

ジオウの攻撃をもろに食らったゲルドは膝をつく。それをチャンスと見たジオウはギレードキャリバーにあるサイキョーハンドルをスライドさせる。すると、ギレードキャリバーのライダーの文字がジオウサイキョウへと変わる。

 

 

『ジオウサイキョウ!!』

 

 

また、インドチックな待機音が流れ始める。

 

 

「デェイヤァアア!!」

 

 

『覇王斬り!!』

 

 

トリガーを押しながらギレードを振ると、時計の文字盤を模した七色の斬撃がゲルドに襲い掛かる。

 

 

「グァアア!!!」

 

 

「これでとどめだ!!」

 

 

『ジカンギレード!ケン!!』

 

 

ジカンギレードを取り出し、サイキョーギレードを地面に突き刺し、待機状態のギレードキャリバーをジカンギレードのライドウォッチスロットにセットする。

 

 

『サイキョウ、フィニッシュターイム!!』

 

 

そして、相も変わらずインドチックの待機音が鳴り響く。

 

 

そして、サイキョウギレードの残った刀身部分をジカンギレードのギレードエッジに取り付け、王の大剣、サイキョージカンギレードが完成する。

 

 

「うぉおおおおお!!ハッ!!」

 

 

刀身に黄金のエネルギーが充填されていき、それを振り上げると、エネルギーが巨大な刀身を形成し、そして、そこにマゼンタのジオウサイキョウの文字が現れる。

 

 

「文字出てきた・・・」

 

 

「なんで文字?」

 

 

またも困惑する一同。そんな一同を置いていき、凱旋のクライマックスに入る。

 

 

『キング!!ギリギリスラッシュ!!!』

 

 

ゲルドにギレードを振り下ろす。そして、超高速回転したジオウサイキョウの文字と黄金の刀身を叩き込む。

 

 

「ウォリャァアアアア!!!」

 

 

 

「ヌゥウォアアアアアアアア!!!!」

 

 

爆発が起き、その場に倒れるゲルド。

 

 

「よし!」

 

 

「やったのか?」

 

 

「いや・・・」

 

 

「ウ・・・ウゥ・・・」

 

 

これほどのダメージを負っても立ち上がるゲルド。自慢の再生能力のせいで、倒しきることができない。

 

 

 

「なら、もういちど」

 

 

「待て、ここは俺に任せてくれ」

 

 

ライダーキックを放とうとしたジオウを抑え、前に出てきたリムル。なにか考えがあるようだ。

 

 

「わかった」

 

 

それをくみ取ったジオウは後ろへ下がっていく。

 

 

「ゲルド、今度は俺が相手だ」

 

 

「ヌゥ・・・フン!!」

 

 

リムルをつかみあげるゲルド。そして、飢える者を発動し、リムルを食おうとする。

 

 

「俺に、食われろ!!」

 

 

「お前に食われる前に、俺がお前を食ってやるよ。俺は・・・スライムだ」

 

 

捕食者を発動し、人状態を解除、ゲルドにまとわりつくリムル。そして、ドンドンゲルドを捕食していく。捕食者は食うことに特化したスキル、そのため、飢える者の完全上位互換である。この対決はリムルに分がある。さらに、先ほどからずっと戦闘していたゲルドと違い、リムルには魔素がたっぷりと残っている。この対決の勝者は明らかである。ゲルドの体を包み込んだリムル。すると、ゲルドの記憶が流れ込んでくる。

 

 

そこには、乾ききった大地に、ゲルドと部下と思われるオーク、そして、飢えと渇きで泣く、オークの子供たちがいた。ゲルドは、その子たちに自分の腕を引きちぎり、差し出した。それを無我夢中で喰らう子供たち。このころから、ゲルドは自己再生を持っていた、そのため、オークの領土を回り、自分の体を食料として飢える民たちに与えていたのだ。しかし、それはその場しのぎでしかない。その先の未来には絶望しかない。いづれ、みな死んで行ってしまうのだ。それを防ぐために、ゲルドは単身、ジュラの森へと向かった。しかし、たどり着けず、倒れてしまった。そこへ、ゲルミュッドが現れ、彼に名と力を与えた。食べ物とともに・・・。

 

 

「あの方は教えてくれた。オークロードとなった俺が食えば、飢える者の支配下にあるものは死なない。邪悪なたくらみの駒にされていたようだが、かけるしかなかった。だから俺は食わなければならない」

 

 

「だけどそれは、救いとは違う。そうだろ?」

 

 

「だが、それしか、道はなかったお前たちが、時の王者となんでも食うスライムであっても、倒されるわけには、食われるわけにはいかない」

 

 

「食い合いは俺に分がある。ソウゴとの対決ではソウゴの圧勝。お前は負ける」

 

 

「俺はほかの魔物を食い荒らした、ゲルミュッド様も食った。同胞すら食った。同胞は飢えている。俺は負けるわけにはいかない」

 

 

「この世は弱肉強食、お前は負けたんだ。お前は死ぬ」

 

 

「俺は負けるわけにはいかない。俺が死んだら、同胞が罪を背負う。俺は罪深くともよい。皆が飢えに苦しまぬよう、俺がこの世の飢えを引き受けるのだ」

 

 

「それでも、お前は死ぬ。だが安心しろ。ここにはなんでも食うスライムと時の王者の仮面ライダーがいる。俺がお前とお前の民たちの罪を喰らい、ソウゴが皆を守る」

 

 

「同胞を含め、罪を?同胞を守るだと?ふふふ、お前たちは欲張りできれいごとすぎる」

 

 

「そうだな、俺は欲張りで、ソウゴには夢がある」

 

 

すると、ソウゴとリムルを中心に、乾ききった大地が緑と水であふれていき、子供たちの笑い声が聞こえる。

 

 

「なっ!?あ、ぐぅうう・・・。強欲な者よ、夢見る時の王者よ。俺の飢えは今満たされた・・・」

 

 

黄金の光に包まれ、ゲルドが消えてい。

 

 

「時の王者よ、一つ聞きたい。お前の夢は一体・・・?」

 

 

「ふふ、俺の夢はみんなで世界を笑顔であふれさせること、そして、最高最善の魔王になること」

 

 

「そうか・・・。我が同胞を頼む未来の魔王よ」

 

 

『確認しました、オークディザスター、消失』

 

 

朝日が上る中、ゲルドは満たされて、眠っていった。

 




今回の戦いは、ジオウⅡが登場したアナザーリュウガの戦いのオマージュです。


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