セフィロス(偽)の人理修復 (妖怪1足りない)
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プロローグ

思いついたので投稿。不定期投稿になります。


 突然だが、俺はセフィロスになった。

何を言っているか自分でもわからないが、寝て起きたら身体が縮んでいて、鏡を見たら、

セフィロスを幼くした顔立ちになっていた。母親らしき人もセフィロスと呼ぶし、確定だろう。

 

 セフィロス・・・FF7における最強の敵。だが、俺はソルジャー時代のセフィロスに憧れた。

高い実力と優れた人格、そして兵士として必要な冷徹さを兼ね備えた「英雄」と呼ぶにふさわしい人物。

もしこの身体がそうならば、俺はそれにふさわしい人物になる。

こうして俺のセフィロスとしての人生は始まった。

 

 それから数年が経ち、わかったことがある。

ここはFF7ではなく、地球のブリテンという場所だということだった。

そうなるといつの年代かが問題だが、これがわからない。

時折、ピクト人なるもの(襲ってくるので、村の鍛冶師に頼んで作ってもらった正宗で斬った)が出たり、

猪みたいな魔獣、はてはワイバーンまで出る始末である。

その度に俺が出て、そいつらを殺して回った。後、FFの魔法が使えることもわかった。

おかげで飛躍的に害獣駆除が可能になったが、これではダメだ。

あのセフィロスのようになるには、より強くなる必要がある。

そう考えて俺は旅に出ることにした。より強い敵を求めて。

 

 さらに数年が経ち、ブリテンの様々な所を回った。強い魔獣がいると聞けば東へ行き、ピクト人の群れが村を襲っていると聞けば、西へ行った。

そうしているうちに、いつしか英雄と呼ばれるようになった。だが、俺自身はこれではダメだと思い、さらに強い敵を求めた。

そして、強い龍がいるという話を聞いた。その色は白で幾人もの人間が挑んだが、全て殺されたという。

面白いと思った。それがどれほどの強敵なのかをワクワクしながら、白龍退治に向かった。

 

 「ふう……」

拍子抜けだった。ただの一撃。首を落としただけで、白龍は死んでしまった。

これが弱かったのか、俺が強すぎたのか判断がつかなかった。

ここにいる意味もない。さっさと立ち去ろうと俺が判断した時だった。

向こうの方から、騎士の一団がこちらに向かって来るのが見えた。

そして、俺の前で停止し、白龍と俺を交互に見比べた。

 

 「この白龍は貴殿が殺したのか?」

騎士団の一番先頭にいる人物が声をかけてきた。恐らくこの騎士団を率いている者だろう。

「そうだ。俺がやった」

そう言うと、騎士団全員が驚いた顔を見せた。

「? 何を驚いている? 首を落としたら一撃で死んだ。それだけのことだ」

「ちょっと待て! これがどういうものか知っているのか!?」

先頭の騎士が驚いた声をだす。一体何だというのだ?

「ただ単に強い龍がいるという話を聞いてな。それで戦ってみたが、弱すぎる」

その言葉に騎士団の皆があっけにとられていた。

「……貴公の名前は?」

「セフィロス」

「! 英雄セフィロスか!?」

「英雄などよしてくれ。俺の強さの目標にはほど遠い。貴殿の名前は?」

その言葉に先頭の騎士は兜を脱いで答えた。

「アーサー・ペンドラゴンだ」

(! アルトリア! と、いうことはここはFateの世界か!?)

「これは失礼しました、アーサー王。何分田舎から出てきた身ですので」

「いや、いい。しかし、これを単独で討伐するとは……。今までに幾人もの人間が挑戦し死んだものを」

 

 「アーサー王。私にセフィロスと戦わせてもらえませんか?」

「ガウェイン卿……」

これがガウェインか……。力が強そうだ。

「いえ、私にお任せを」

「ランスロットまで……お前達、セフィロスは戦ったばかりだぞ?」

「いえ。構いません。面倒なので二人がかりでどうぞ」

かたや、湖の騎士。かたや、太陽の騎士。・・・面白い。

「なっ!? 正気かセフィロス!? 二人同時など!?」

「問題ありません。むしろ望むところです」

そう言って俺は正宗を構える。

「どうなっても知らんぞ! 開始しろ!」

こうしてセフィロス対ガウェイン、ランスロットの戦いが始まった。

 

 あれから十分程が経過した。私、アーサーから見れば信じられないものだった。

ガウェイン、ランスロットの二人がかりで挑んでいるのにセフィロスは互角以上に戦っている。

信じられないことに左手一本のみでだ。その顔には余裕の笑みがあり、まだ全力を出していない。

それに対し、ガウェイン、ランスロットは息が上がりつつある。円卓の騎士最強の二人がだ。

「そろそろ止めた方がいいね」

「マーリン……」

「これ以上は戦っても無駄さ。セフィロスが勝つよ」

マーリンもそう判断した以上、これ以上は無駄か。

「双方そこまで! 試合は終わりだ!」

アーサーの声が響く。それに対し、ガウェインが口を開いた。

「王よ勝負はまだ……!」

「わかっているのだろう二人とも。セフィロスが全力を出していないことを」

「「…………」」

二人ともわかっていたのだろう。ただ、騎士としての意地があったのだ。

 「セフィロス、私に仕えないか?」

「私は騎士ではありませんので、客将という形でしたら」

こうしてセフィロスは私に仕えることになった。

 

 「……??」

「どうしたセフィロス?」

アグラヴェインが尋ねてくる。

「いや、俺は客将として仕えているな」

「ああ、そうだな」

「ならばなぜ俺が事務仕事をしている? 他に人はいないのか?」

「ケイなら胃に穴が空いて、療養中だ」

「他の騎士達は?」

「お前はガウェインに事務仕事ができると思うのか?」

「……ゴリラに任せた方がましだな。マーリンは?」

「逃げた」

「…………見つけ次第切り捨てて構わないな?」

 そんな会話をしていると王が部屋に入ってきた。

「セフィロス、そろそろお昼を頼む」

「了解した。アグラヴェインも簡単なもので構わないか?」

「ああ。頼む」

俺は厨房に向かった。

この城で何が一番問題だったかといえば、飯だった。

特にガウェイン。何でもマッシュすれば食べられるわけじゃないぞ。

あまりにひどいので、俺が調理したら、いつの間にか調理係に任命されてしまった。

さて、サンドイッチでも作るか。俺は厨房に向かった。

 

 それから月日が流れた。

俺は部下を率いて、ピクト人達の討伐に赴いたり、

事務仕事に勤しんでいた。そんな中、ランスロットとギネヴィア妃の不倫が発覚。

この事態に王はギネヴィア妃の処刑を命じた。

そして、処刑当日、俺は嫌な予感がして、本来武器の所持は禁止だったが、

正宗を持ち、広場近くの家の屋根から処刑の様子を眺めていた。

そして、事件は起こった。ランスロットが広場に乱入してきたのだ。

まずいと俺は判断し、すぐにランスロット目掛けて跳躍した。

ガレスにアロンダイトが振り下ろされる寸前に、俺が割って入ることができた。

「セフィロスさん!」

「ガレス! 城に行きこの事態を王に伝えろ! 急げ!」

そう言われてガレスは弾かれる様に城の方に向かって行く。

「ランスロット……お前は何をしたかわかっているのか?」

その言葉にランスロットは答えず、無言で処刑台に向かって行く。

「処刑人! ギネヴィアの首を急ぎ刎ねろ!」

俺はそう命じたが遅かった。処刑人が斬り殺され、ランスロットがギネヴィアを連れていく。

俺は追おうとしたが、混乱した群衆が邪魔で追跡を断念せざるをえなかった。

 

 翌日、円卓にて会議が開かれた。本来俺は立ったままなのだが、今回は円卓に座ることになった。

そんな中、王が口火を切る。

「皆忙しいところ良く集まってくれた。今回の議題はランスロットのことだ」

やはり……皆が同じ感想を抱いているようだ。

「セフィロスの武器の携行は本来違反だが、そのおかげで犠牲を減らすことができた。よってこれは不問にする。問題はランスロットのことだ。追っ手を出さねばなるまい」

「ならば私が参りましょう。セフィロスが割って入らなければガレスが死んでいたのですから」

王の言葉にガウェインが追っ手を希望する。

「ガウェイン。すまないが俺に行かせてもらえないか?」

「セフィロス?」

「ガウェインでは日没まで持久して、それから勝負に持っていくことだろう。確実を期すなら俺が行った方がいい」

「……そうだな。セフィロス。ランスロットの討伐を命じる」

「承知した」

こうしてランスロットの討伐が決まった。

 

 俺は各地を回った結果、ランスロットの居場所を見つけることに成功。

ランスロットと戦うことになった。

「ランスロット……なぜ、このようなことをした?」

「……ギネヴィアを愛していたからだ」

「それは王への忠義よりもか?」

「…………」

その問いに答えず、剣を構えるランスロット。

事ここに至っては戦う以外道はないか……

俺も刀を構え戦闘モードに入る。こうして俺とランスロットとの戦闘が始まった。

ランスロットは湖の聖剣アロンダイトを鋭く振ってくる。

双方の剣が火花を散らすが、地力で勝る俺の方が押していく。

ランスロットは不利とみたのか、宝具の使用の構えを見せる。

だが、それよりも先に俺の宝具が発動した。

「『八刀一閃』」

八連続の攻撃。ランスロットも流石と言うべきか三つは弾いたが、残り五つは防げず、これが致命傷となった。

倒れ伏したランスロットから、アロンダイトを回収。その後、家の中に隠れていたギネヴィアを切り捨てた。

その後城に戻った俺は、ランスロット、ギネヴィア両名を討ち取ったことと、その証としてアロンダイトを王に差し出した。

王の表情は疲れと悲しさがないまぜになった表情をしていた。

 

 「深淵のなぞ それは女神の贈り物。われらは求め飛びたった。

彷徨いつづける心の水面に、かすかなさざなみを立てて」

「LOVELESS第一章……か」

城壁の上でLOVELESS第一章を呟いた俺に、王が姿を表す。

「……よく知っているな」

「セフィロスがいつも呟いていればな……」

そう言って俺の隣までやってくる。

「・・・・・・モードレッドのことか?」

「・・・・・・ああ。・・・セフィロスは私が女だと知ってどう思った?」

「別に何も。王が男だろうが女だろうが王は王だ」

「…………セフィロスは変わらないな」

「変わらないというのも問題なのだがな」

「……これから国内は荒れるだろうな」

「…………女だからか。実にくだらない。これからどうするつもりだ?」

「予定通りローマ帝国と戦う。そうすれば恐らくモードレッドが反乱を起こすだろう」

「それを取って返して叩く……か。だがそれは……」

「わかっている。危険な賭けだとな」

「わかっているならいい。後悔だけはするな。それがどんな結末だとしても」

 

 そして、やはりと言うべきかカムランの丘で王とモードレッドの軍が激突。

王もモードレッドも死亡した。生き残ったのは、俺の近くで戦っていた俺を含む、ガレス、ベディヴィエールの三名のみ。

死体の山の中で三人で今後のことを話し合う、

「ガレス、ベディヴィエール、今後どうする?」

「私は一度母の元に帰ります」とガレス。

「私は王の遺言を実行したら故郷へ帰ります」とベディヴィエール。

「俺は旅に出ようと思う。……その後のことは考えていない。生きていたらまた会おう」

 

 そうして俺は旅に出た。ブリテンの各地、フランス、ローマ等、ヨーロッパ各地を回り、

困っている人達の為に、正宗を振り続けた。

そして、年老いた俺は故郷に戻り、最後の時を迎えようとしていた。

「ふふ。正宗ももはや杖の代わりか」

己の生涯に悔いはない。俺はベッドに横になり静かに息を引き取ったはずなのだが…………

 

 「…………ここはどこだ?」

ベッドで寝ていたはずの自分が、草原の椅子に座っていた。

同時に情報が頭に流れ込む。ここは英雄の座。英雄に召し上げられたものが来る場所だと。

それと同時に何かが引っ張るのを感じた。これは誰かに呼ばれているな。

「聖杯戦争……。これもまた一興か」

かくして、セフィロスは聖杯戦争に参加することになった。

 



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セイバー

 「いい立香! 強いサーヴァントを召喚しなさいよ!」

「所長。強すぎるのもどうかと。強いサーヴァントほど性格面に難が・・・」

そう言った女性にオルガマリー所長が言葉を返す。

「わかってるわよマシュ! でも今は強いサーヴァントが必要なの!」

「わかりましたから。この呼符で召喚すればいいんですよね?」

そう言う立香にオルガマリーが言葉を返す。

「そうよ! 強いのを呼ぶのよ!」

そう言われて立香はマシュが地面に置いた盾に呼符を置く。

すると、呼符が反応し盾全体が光始めた。

そして光の奔流が収まった後、一人の男が立っていた。

「サーヴァントセイバー、召喚に応じ参上した。お前が俺のマスターか?」

その男は白い肌に長い銀髪、碧い目をしていた。

「は、はい。私がマスターです!」

「承知した。ここに契約はなされた」

「ちょっと待って! あなたの真名は!?」

オルガマリーがヒステリー気味に尋ねると、セイバーは静かに答えた。

「セフィロス」

「セフィロス・・・もしかしてアーサー王に仕えていた!?」

「アーサー王に仕えていた」

その言葉にマシュが歓喜の言葉を上げる。

「成功ですマスター! セフィロスと言えばアーサー王伝説の中でも最強の人物!」

「それに人格者としても知られ、英雄の見本とヨーロッパでは有名な人物よ! 間違いなく当たりよ!」

セフィロスの召喚に成功したことに喜ぶオルガマリー。

 

 その時、セフィロスが立香を抱き寄せると、左手に正宗を出し、前に突き出した。

「がっ!?」

アサシンのサーヴァントが胸を貫かれていた。

「すまないマスター。咄嗟のことだったのでな」

「い、いえ」

「大変だ!君達の後ろにサーヴァントが・・・って倒した?」

「そこの男。情報は早く正確にしろ」

「そうよロマニ! 今のは危なかったわよ!」

「ごめん。ああ、それと・・・」

「背後にもう一騎いるな。隠れてないで出て来い」

すると、背後からサーヴァントが出て来た。

「悪いな。様子を見てたんだ。しかし、セフィロスとは・・・とんだビッグネームだ」

「キャスターか」

「おう。キャスター、クー・フーリンだ」

「スカサハの奴の弟子か」

「師匠を知ってんのか?」

「生前影の国を訪ねたことがあってな。その時に一戦交えた。決着はつかなかったがな」

「ほう、世の中狭いねえ」

「キャスターは現在の状況を知っているのか?」

「ああ、原因は知っている。大空洞に行けばわかる。お前さんにも因縁のある人物だ」

「誰だ?」

「・・・アーサー王だ」

 

 一行はキャスターを加え、大空洞を目指していると、不意にセフィロスが口を開いた。

「マシュと言ったか。その盾の英霊の名を知らないのか?」

「はい・・・。セフィロスさんはご存じ何ですか?」

「ああ、知っている」

「でしたら・・・!」

「俺が言っても無駄だ。本人が自覚しない限りはな」

「そうですか・・・」

「とはいえ宝具を使えないと困る。少し戦うぞ」

「え? セフィロスさんとですか?」

「俺は左手一本でやる。無論加減してな。いくぞ」

そう言ってセフィロスは刀を振るう。

(早い!)

マシュは何とか防ぐも次々と攻撃が襲ってくる。

(これで加減? 早すぎる!)

この状況を他の三人は見守っていた。

「何なのよあれ・・・刀身がほとんど見えないじゃない!」

「マシュ・・・」

「いや。きっちり加減してるぜ。してなきゃ最初の一撃で首が飛んでる」

次第にマシュは追い詰められていく。

「どうした? それではマスターを守れないぞ?」

その言葉にマシュが反応。ついに宝具が展開した。

その宝具に刀身を弾かれるセフィロス。

そしてセフィロスは刀を仕舞った。

「出来たじゃないか。オルガマリー。マシュの宝具に名前を付けてやってくれ」

「え・・・そうね。ロード・カルデアスでどうかしら」

「・・・そうですね。いい名前だと思います」

「よし。少し休憩したら大空洞を目指そう」

一行はしばしの休息を取ることにした。

 



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大空洞

 「そう言えばセフィロスは左手だけでマシュと戦ってたけど、右手は使えないの?」

立香の疑問にマシュが答える。

「いえ。セフィロスさんは右手は使えます。ただ、使う必要がないんです」

「使う必要がない?」

「はい。セフィロスさんはその強さの為、左手一本で相手を充分倒せるんです」

「かの円卓の騎士、ランスロット、ガウェインの二人を同時に相手した時も、左手一本で笑みを浮かべて対処してたというくらいよ。

右手も使って戦ったのは、指で数えられるほどなの。それほどの強さよ」

オルガマリーがマシュの話を補足する。

「つまり、セフィロスに右手を使わせるってのは、真に強敵と認めた証ってことだ。ヨーロッパじゃそいつ等は、真の強者ってことになってる」

ランサーなら戦ってみたかったがなとクー・フーリン。

「ええと、つまりセフィロスにとっては大概の敵は左手一本で充分ってこと?」

「まあ、そうなるな」

特に気負いもなく淡々と語るセフィロス。

自分がそんな英雄をサーヴァントにしていることに、恐縮する立香。

「マスター。気にしなくてもいい。この身はマスターの剣。マスターの前に立ち塞がる敵をただ倒すのみだ」

そろそろ行こうとセフィロス。

一行は大空洞の内部へ向かった。

 

 「さて、そろそろ王様の信奉者が出てくるぜ」

そう言うと、一騎のシャドウサーヴァントが出て来た。

「あれのクラスは何だキャスター?」

「アーチャーだ」

そう答えるクー・フーリン。

「キャスター、これを使え」

そう言ってセフィロスは朱槍の魔槍ゲイ・ボルクを投げる。

「こいつは・・・・・・なんであんたが持ってんだ?」

「スカサハと戦ったのは話したろ? その記念にもらったんだが、俺は槍を使えん。キャスターが使え」

「そういうことか。ありがたく使わせてもらうぜ」

そう言って杖を槍に持ち替えるクー・フーリン。

「ふっ。キャスターが槍を武器にするか」

「!?。てめえ喋れたのか!?」

「まあな。しかし、キャスターが槍など使えるのか?」

「生憎こっちが性に合ってるんでね。杖より強いぜ?」

そう言って槍を構えるクー・フーリン。

「王様の方はあんたに任せたぜ。すぐに追いつく」

「承知した。行くぞマスター」

「う、うん」

クー・フーリンを心配しながらも奥へ進む一行。

そしてついに聖杯が姿を表した。

 

 「何よこれ・・・・・・」

オルガマリーが呆然と呟く。

「久しぶりだなセフィロス」

奥から出て来た女性が声を掛ける。

「アルトリア・・・」

「それに・・・ほう、そこの盾の娘も面白いな。いいだろう。かかってこい」

「ふっ!」

そうアルトリアが言うや否や正宗を振るうセフィロス。

アルトリアは受け止めるが、身体が揺らぐ。

「この重さに速さ・・・・・・変わらんな」

「どいてもらえないかアルトリア?」

「力づくでどかしてみるがいい!」

そういって正宗を弾くアルトリア。

そこからは双方剣の打ち合いとなった。

「なんて速さよ! これがサーヴァント同士の戦いなの!?」

「ですが、セフィロスさんが徐々に押しています! このままいけば・・・!」

「ちっ・・・!」

アルトリアが宝具解放の構えを取る。

対してセフィロスはマシュの横まで退いた。

「マシュ。宝具だ」

「えっ!? で、でも・・・・・・」

「大丈夫だ。マシュならやれる。そうだろうマスター?」

「うん! お願いマシュ!」

「はい!」

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!『約束された勝利の剣』!」

「宝具、展開します……!。『ロード・カルデアス!』」

二つの宝具が激突する。そして、軍配はマシュに上がり、宝具を防ぎ切った。

「まだだ!」

アルトリアが再度宝具を放とうとするが・・・。

「させんよ。『八刀一閃』!」

セフィロスの宝具がアルトリアを捉えた。

「が・・・・・・」

崩れ落ちるアルトリア。

そして、アルトリアは消失した。

 

 「ああ、間に合わなかったか」

「キャスター」

「アーチャーは倒したぜ。それと槍返しとくぜ」

そう言って、セフィロスに槍を返すと、クー・フーリンは消失した。

「・・・・・・さて、そこの奴出て来い」

「・・・・・・まさかここまでやるとはね」

そう言って、現れたのはレフ・ライノールだった。

「レフ! 無事だったのね!」

そう言って走り出すオルガマリーをセフィロスが掴んで止めた。

「放しなさいセフィロス!」

「あれがレフ? 見た目だけだ。中身は人間じゃない」

そう言い放つセフィロスに皆がレフを見る。

そして、レフが見せたものは真っ赤に染まったカルデアス。

そしてオルガマリーの死亡を告げ消えていった。

そして特異点の崩壊が始まった。

「セフィロス! 死にたくない! まだ死にたくないの!」

そう叫ぶオルガマリー。

セフィロスは立香に頼む。

「マスター! 令呪三画全て回してくれ! オルガマリーを蘇らせる!」

切迫した様子のセフィロスに立香は令呪を全て渡す。

「『アレイズ』」

それとともに立香の意識も消失した。

 

 「ん・・・・・・」

立香が目覚めるとベッドにいた。

「先輩。眼を覚まされたんですね」

ベッドの横にマシュが座っていた。

「所長は?」

一番気になることを尋ねる。

「セフィロスさんが蘇らせてくれました。今は皆司令室にいます」

そう言われて起き上がり、マシュと一緒に司令室に向かった。

 部屋では話し合いが行われていた。ロマニ、所長、セフィロス、それとモナリザ?である。

「おはようございます」

「おはようマスター。無理をさせてすまなかった」

「いえ。大丈夫です。こうして所長も無事ですし」

「とはいえ死者蘇生とはね。確かにセフィロスには魔法の逸話があるが驚きだよ」

「セフィロス、この人は?」

「レオナルドダヴィンチだそうだ」

「・・・男の人じゃなかったけ?」

「マスターの言う通りだが、本人はこの姿が気に入っているそうだ。気にしない方がいい」

「ダヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ」

「は、はあ」

「話を変えるわ、いい?」

「はい」

そこから所長の詳しい話が始まった。

「つまり七つの特異点を解決すればいいと?」

「簡単に言えばそうよ。人類最後のマスター藤丸立香。特異点の解決を命じます」

「わかりました」

こうして人理修復の旅が始まった。

 



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百年戦争

 立香達は1431年のフランスにレイシフトしていた。

ちょうど百年戦争の休戦期間である。

マシュが立香に歴史を教えていると、セフィロスが上空を見上げて問いかけた。

「マスター、上空を見てくれ」

セフィロスに言われ空を見ると、光の輪が出来ていた。

「何らかの魔術式だろう。カルデアで解析してくれ」

「わかったよ。そちらは霊脈を探してくれ」

「承知した。行こうマスター。まずは町を探そう」

こうして立香達は移動を始めた。

 

 「前方にフランス兵の斥候部隊です。どうしますか?」

マシュが立香に報告する。

「接触しよう」

「俺が接触しよう。フランス語は喋れるしな」

セフィロスがフランス兵に接触する。

「そこのフランス兵。すまないが道に迷ってしまった。

砦か町のある場所を教えてほしい」

「そいつは災難だな。砦まで案内するよ。この辺も今は危険だ」

「シャルル王は停戦したんじゃないのか?」

「あんた知らないのか?。シャルル王は殺されたよ。蘇ったジャンヌダルクにな」

「それは本物なのか?」

「ああ。俺は見たからな。本物だ」

「そうか・・・。すまないが砦まで案内を頼む」

「ああ。こっちだ」

 

 「マスターこれは・・・」

マシュが呻き声をもらす。

「中はボロボロだな。外壁はそこそこ無事だが・・・、負傷兵だらけだ」

「!。骸骨兵が攻めてきました!」

「マスター指示を!」

「骸骨兵達を蹴散らして!」

「承知した!。やるぞマシュ!」

「はい!」

 

 「せい!・・・これで最後か」

「敵性体の全滅を確認しました」

「お疲れ様、マシュ、セフィロス」

「強いなあんた達」

「慣れているからな。それよりジャンヌダルクのことだが・・・」

「彼女は蘇った。しかも、悪魔と取引して!」

「それは先程の骸骨兵のような?」

「それくらいなら俺達でも何とかなる。それよりも・・・」

「マスター!。ワイバーンだ!この時代にいるはずがないものだ!」

「兵士よ水をかぶりなさい。一瞬だけでも炎を防げるはずです!」

「サーヴァント反応!。しかし弱いな!」

ロマニが報告を上げる。

「マスター。遠距離で出来るだけ数を減らす!。『サンダガ』!」

強力な雷撃がワイバーン達を襲った。

「凄い。一気に数が減った。これが魔法か!」

ロマニが驚く。

「ふっ!」

セフィロスが刀を振るうたび斬撃が飛び、ワイバーンを空中で撃ち落とす。

「凄い・・・」

マシュと立香はその様子を呆然と見ていた。

これがアーサー王伝説最強の実力なのかと。

「これで終わりだ」

セフィロスが最後のワイバーンを斬り、戦闘は終わった。

その後、ルーラーのジャンヌダルクについて行くことになった。

 

 「ここでなら落ち着いて話せるでしょう。

あなた方のお名前をお聞かせ願えますか?」

「藤丸立香です」

「マシュ・キリエライトです」

「セフィロスだ」

「セフィロス・・・アーサー王伝説の!?」

「ああ。情報のすり合わせを行おう。その方が良さそうだ」

 

 「オルレアンを取り戻す・・・それがジャンヌの目的か?」

「はい。その通りです」

「マスターどうする?。一緒に行くか?」

「うん!」

「承知した。まずは斥候からだな」

「オルレアンにいきなり突撃は無謀ですからね」

「セフィロスにジャンヌ。二人共軍の戦いに慣れてるね。僕も同意だよ」

ロマニも同意する。

その後打ち合わせの後、立香は眠りについた。

 

 「さて、お悩み相談といこうか」

セフィロスが話を切り出した。

「お悩み相談?」

マシュが尋ねる。

「ジャンヌ、隠し事はなしだ。悩みを話せ」

「・・・正直言って今の私は新人のサーヴァントです。

能力も落ちてます。ですから不安なんです」

「大丈夫ですジャンヌさん。私もデミ・サーヴァントなので全力を出せません。

それでも戦えます」

「俺も同じだ。亡くなってすぐに召喚されたが戦えた。自信を持て」

「マシュさん、セフィロスさん。・・・はい、ありがとうございます」

 



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情報収集

 「まずはこの森を抜けてオルレアンの方に向かい、

ラ・シャリテへ向かおう」

セフィロスが指針を示す。

「そうですね。周辺の街や砦なら、何かしらの情報が得られるかもしれません」

ジャンヌも同意する。

「ここでオルレアンの情報が得られないと、更にオルレアンに近づく必要があるな」

「なるべくなら避けたいですね」

「ああ。現状の戦力で勝てるか確証がないからな」

「二人共冷静だね」

立香が感心する。

「・・・・・・いえ。私は正直焦っています。もう一人の私はどう考えても正気ではない」

「そうだな。圧倒的な力と憎悪を持つ奴のやることなど決まっている」

その時ロマニからラ・シャリテからサーヴァント反応の報告があった。

しかし、それは遠ざかりロストした。

「マスター! 街が燃えている!」

セフィロスが立香に声を掛ける。

「!」

「急ぎましょう!」

立香達は急いでラ・シャリテに向かった。

 

 「これは・・・」

マシュの顔が歪む。

「ロマニ、生存している者は?」

「ダメだセフィロス。生体反応無しだ」

「そうか・・・」

その時動く人影が現れた。

「リビングデッドか。やるぞマスター」

各自が戦闘態勢に入った。

 

 「ふん!」

セフィロスが最後の一体を切り戦闘は終わった。

「はあ・・・はあ・・・」

「ジャンヌ大丈夫か?」

「何とか大丈夫です」

「そうか・・・すまないがまだ敵がいる」

「アレは・・・ワイバーンですか」

マシュが敵の名を告げる。

それは死体を食べていた。

それを見てジャンヌは猛然と駆けだす。

「セフィロス! ジャンヌを援護して!」

「承知したマスター」

 

 「最後のワイバーンを仕留めました。周囲に敵影無し。戦闘終了です」

マシュがそう告げる。

しかし、ジャンヌの顔色は優れない。

そんな中ロマニから緊急連絡が入る。

ラ・シャリテから遠ざかっていたサーヴァントが反転してきたのだ。

「ロマニ、敵の数は?」

「嘘だろ数は五騎! 高速で接近してくる!」

「マスター、撤退を進言する」

「セフィロスの言う通りだ! 撤退するんだ!」

しかし、ジャンヌは真意を問いただすと言い動かなかった。

マシュが説得に乗り出しても動かない。

「マスター、作戦変更だ。一戦交えた後、隙を見て離脱だ」

「勝算は?」

「現状の敵戦力が不明だが、こちらの戦力を考えると、五分に戦うのも難しい」

「そんなに?」

「マシュとジャンヌは全力を発揮できない。実質二人で一騎分だ。俺一人では流石に無理だ」

「わかった。隙を見て離脱しよう」

「来るぞ!」

 

 それを見た時ジャンヌは絶句した。

無理もないだろう。現れた黒ジャンヌは髪の色等を除けば鏡写しのようだった。

ジャンヌと黒ジャンヌの問答が続き、黒ジャンヌはバーサークランサー、バーサークアサシンを出してきた。

「ジャンヌさん構えて!」

「!?」

「二人共待て。俺がやる」

「セフィロスさん!?」

「マシュはジャンヌを動揺から立ち直らせてくれ」

セフィロスは正宗を構える。

「行くぞ」

 

 ガキンッ!

「ふう・・・」

「やるな。流石はセフィロス」

「英雄と呼ばれるだけはあるわね」

「ふん。血に狂ったヴラド三世にカーミラの二人に言われてもな」

「・・・なぜわかった?」

「二人共血液に固執していたからな。その手の逸話と二人の会話で絞ったまでだ」

「セフィロスさん、もう大丈夫です。戦えます」

「ジャンヌ。それは良かった。とにかく逃げるぞ」

「逃がす気はないわよ?」

黒ジャンヌは残りの三騎を投入しようとしてくる。

「マスター。マシュとジャンヌと一緒に逃げろ。俺が食い止める」

「でも・・・!」

「マスターが死んだら終わりだ。優先順位を間違えるな」

 

 その時戦場に硝子の薔薇が飛んできた。

そして、戦場に一人の女性が現れた。

(新手のサーヴァント! 敵か味方か?)

セフィロスが考えていると、バーサークセイバーが真名を答える。

新手のサーヴァントはマリーアントワネット。

どうやらこちらの味方の様だった。

「マスター。マリーアントワネット王妃を援護しつつ戦うぞ」

「うん。お願い」

マシュとジャンヌも加わり激戦となるが、不利は否めない。

セフィロスがカバーに回り、全員を援護して何とか持ちこたえている状態だ。

「アマデウスお願い!」

そうマリーアントワネットが言ったかと思うと、アマデウスが現れ宝具を展開する。

「マスター! 今のうちに撤退するぞ!」

この隙をついて皆が戦場を離脱。

セフィロス達は虎口を脱した。

 



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