英雄伝説〜偐の軌跡〜 (影後)
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1話

そこは何も無い虚無だった。そこに一人の男が現れた。

 

「ふむ、実験は成功のようだね。さぁ、黄泉がえり紡ぎたまえ。君の偐の物語をね」

 

男が消え、虚無の空間に光が現れた。光は人の形を取り、一人の男が現れた。

 

「俺は、、、」

 

OP銀の意思 金の翼

 

「■■■、レ■■、レー■、レーヴェ」

 

誰だ。俺を呼ぶのは。

 

「ヨシュ、、ア」

 

激しい閃光を浴び目が覚める。周りには花畑が広がり自分は底に仰向けに横たわっていた。

 

「うっ、、」

 

あたりを見回すと廃虚が見えた。草木が建物を多い、周りには何も無い。だが奥へと続く一本の道があった。自分でも良く解らないが身体が勝手に動いていた。一歩一歩踏みしめ、前に進む。あったのは一つの慰霊碑だった。そして半ばから折れた一本の剣。

 

「ハー、、、メル。ケルン、、、バイター」

 

慰霊碑と剣に手を触れる。すると、今までの事がフラッシュバックし、俺はケルンバイターから手を話した。

 

「ここは、ハーメルか。しかし、俺が何故生きている」

 

俺が生きている理由は解らない。だが、目の前に存在するケルンバイターが光り輝く。

 

「フッ、また俺と共に戦ってくれるのか魔剣ケルンバイター」

 

引き抜くとケルンバイターの折れた刀身が蘇る。それはまるで所有者の帰還を祝福している様だった。

 

「フッ、しかし今は一体何年だ」

 

俺が死んでから時間は経っているはずだ。今は、それを調べるしかない。俺は先にハーメルにて使える物がないかを確認した。今は無一文だ。まともな生活を送るにはミラが必要だからな。

近くの廃墟を探すと鞄が見つかった。煤けているが、穴は空いていない。

 

「!カリン・アストレイそうか、、、ここだったのか」

 

それはかつてカリンが着けていた物だと、縫われた刺繍からわかった。

 

「借りるぞカリン」

 

魔獣を倒しながら山道を降る。そして南京錠の付いたフェンスを見つけた。

 

「!貴様等は、、、」

 

帝国が、リベールがハーメルを未だに隠し続けている事に怒りを露わにしてしまった。俺はケルンバイターを構え、フェンスに向かいクラフトを放つ。

 

「破砕剣」

 

フェンスは音を立てて崩れ落ちる。俺は迷った。このまま何処へ行くか。遊撃士達から情報を集めるのなら、リベールが最適だ。だが、最悪の場合ヨシュアやエステル・ブライトと鉢合わせする可能性もある。事実、生きていると知られればアガット・クロスナー等は戦いを挑んで来るだろう。帝国には遊撃士協会は解らない。俺がロランス・ベルガーとして雇った猟兵達に襲撃させてから、活動が困難になっていたはずだ。だが福音計画が終了しているはずだ。今は幻焔計画、帝国に行けば奴等はいる。俺はパルムの方へ向け歩き始めた。パルムに到着し、近くの工房にてセピスを換金した。今の俺は導力端末を所持していない。セピスは無用の端末だ。

 

「兄ちゃん、一体どれだけのセピスを、、、まぁいい。全部で16,980ミラだ。他に要件はあるかい?」

 

「では食材が欲しい。旅用の品はあるか?」

 

「隣に売ってる」

 

教えられた位置では確かに旅人用の品を売っていた。乾物、野菜。必要最低限の物だけを購入しパルムを出た。あたりは夜更け、既に人の気配は無い。セントアークも、既に門は閉まっているだろう。

 

「フッ、遊撃士はこの様に星を見ていたのかもな」

 

柄にもない事をしていたと自分でも感じていた。夜の街道を魔獣を仕留めながら進む。すると急な爆発が聞こえてきた。俺は爆発のあった位置まで走った。

 

 

「シャーリィ、てめぇ!」

 

「あはは……!ランディ兄、久し振りだね」

 

「昼間の……!それにアンタは」

 

「フフ、久しいですわね。灰の起動者」

 

赤髪の男女に、黒髪の男、それにデュバリィだと?結社が動いていると仮定して来てみたが、まさか知り合いに出会うとはな。

 

「執行者No.ⅩⅤⅢシャーリィ・オルランド」

 

そうか、俺が死んだ間に執行者となった。そんな所か。話し込んだ後、少年少女達に対し人形兵器が襲いかかる。どう考えても過剰だと言わざるえない。

 

「?!アレは」

 

「キャァァァ」

 

「ティータ!」

 

身体が動いていた。ヨシュアが妹言った少女。

 

「え?」

 

「なっ、なっ!」

 

「ティータ・ラッセル、お前はあれから成長した様だがまだまだだな」

 

「へぇ、アンタ中々やるじゃん。ちょっと、遊んでよ!」

 

「止めなさいシャーリィ、その男は貴女の敵う男では!」

 

「受けてみよ……剣帝の一撃を!」

 

「テスタ・ロッ」「鬼炎斬!」

 

シャーリィ・オルランドと名乗った執行者に対し、俺のSクラフトを放つ。

 

「えっ、キャァァァ」

 

工房で作られたと思われる武器ごと切り裂き、地面へと打ち付ける。

 

「フッ、仕留めたと思ったんだが運が良かったな」

 

「ハハッ…お兄さん容赦ないね」

 

目の前には切り裂かれ大量の血を流したシャーリィ・オルランドが立っている。普通なら立つこともままならない状況のはずだが、流石執行者と言った所か。

 

「ならば、次で仕留める」

 

「影技・剣帝斬」

 

「分身」

 

「くぅ、どうやって生き返ったのかは知りませんが!本物のようですわね!執行者No.Ⅱ剣帝レオンハルト!」

 

「あっ、、、あ」

 

名乗りを上げるつもりは無かったが、デュバリィのせいで俺の方にまで警戒が向く。

 

「俺は結社を抜けた身だ。今更執行者呼ばわりは止めてもらうか」

 

「くっ…くぅ、、、マスターに認められていながら執行者を辞める?ふざけてますわ!」

 

「さて、あれから強くなったのか試させて貰う」

 

「ちょっ、あぁぁぁぁ!もう良いですわ!プリズムキャリバー!」

 

「燃え盛る業火であろうと砕け散らすのみ…ハァァァ……滅!」

絶技・冥皇剣

 

デュバリィのプリズムキャリバーを打ち破り、冥皇剣は彼女の剣を砕いた。

 

「あっ、あぁマスターから頂いた剣が…」

 

「ふむ、実力は変わっていないか?いや少しは上達しているようだな」

 

「コッこいつ……覚えてやがれですや!……あ」

 

「くっくく、最後の最後まで変わらないなお前は。第7柱に伝えておいてくれ。貴女を越えると」

 

「……!!!良いですわ。しっかりと伝えます、ただし今度は負けませんわ」

 

デュバリィは最後にそう言い残すとシャーリィ・オルランドを連れて撤退した。周りの人形兵器も少年少女達が制圧し終えた様だ。どうやら、実力は有るらしい。

 

「あっあのぉ、レオンハルトさん?」

 

「どうしたティータ・ラッセル。お前とは影の国以来だな。少し話をしたいがそうは言えないようだ」

 

「え?」

 

俺を囲む様に双剣使いの少年、刀使いの男、トンファー使いの少女、戦術殻を使う人形が立っている。

 

「代表として言わせて貰います。俺はリィン・シュバルツァー、この度は援護感謝します」

 

「俺は、、、ロランス・ベルガーだ」

 

レオンハルトの名前を伝えるか迷ったが、身分としては存在しているロランスの名を名乗った。

 

「貴方は、結社の一員ですか?」

 

「シュバルツァー、何をしている。直ぐにその男を拘束しろ!」

 

「だっ駄目!駄目です!レオンハルトさんは」

 

「よせ、ティータ・ラッセル。どうせ、コイツラに捕まるほど弱くない。離れろ、お前を巻き込みたくない」

 

「はっはい」

 

「随分と余裕そうね!私達から逃げれると」

 

「既に俺はそこにいないぞ」

 

「分身?しかし」

 

俺は離れた。そして居るだろう男の下に向かう。ティータ・ラッセルが居るんだ。あの男も居ておかしくない。

 

ーアガット・クロスナー

 

 

 

 

 



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第2話

黄泉帰りし剣帝と出会う重剣、二人が出会う時何を見る。


「ふっ、セントアークか10年前と余り変わらないな」

 

俺は今夜のセントアークを歩いている。時間的に最後の買い物だろうか、皆急ぎ足で動いている。だが、今はそれよりもアガット・クロスナーを探すのが先決だ。先程、大剣を背負った赤髪の男と刀を持った女が歩いているのが見えた。アガット・クロスナーとアネラス・エルフィードだ。今回は二人に合流し、奴等から情報を得なければ。

 

聞き込みから開始すると何故か俺は子供達に引っ張られた。

 

「ねぇ、お兄ちゃんってアガット兄ちゃんとアネラス姉ちゃんの知り合い?」

 

「あぁ、リベールでは共に戦った仲間だ」

 

間違いじゃない。ゲオルグ・ワイスマンとは敵対していたからな。

 

「こっちだよ、遊撃士さん」

 

「?」

 

一人の少年に連れてこられたアパート。その一室には導力端末があり通常の部屋とは思えない。

 

「後で帰ってくると思うから、バレないようにね!」

 

帝国は遊撃士を取り締まっているらしいからな。仕方がないが、それよりも俺は部屋の段ボール箱の中身が気になった。中身は壊れた戦術オーブメントだ。近くに工具もあり、一つを治すことに決めた。博士から色々と言われていた事もあるが、いざやるとなると難しいな。四苦八苦しながらも何とか形になった。だが、解らない何だ。この中心のスロットは、少なくとも俺の知るクオーツの大きさでは無い。考えたいが、目的の人物は既に廊下に立っていた。

 

「入れば良いだろう。元はお前達の物だ」

 

「てめぇ、結社の一い…ん?」

 

「アガット先輩、どうしたんですか?あれ、え?」

 

「久し振りだな、アガット・クロスナー。ヨシュアは元気にしているのか?」

 

「フックハハ!出会って最初にヨシュアかよ」

 

「大事な弟だからな。アネラス・エルフィードも、久し振りだ」

 

俺は暫くの間二人から質問を受けた。何故生きているのか、どこに居たのか。最後は他愛もない雑談だったが。

 

「それで、剣帝お前はどうするんだ?」

 

「結社にか…今更戻るつもりは無い。だが、越えたいと思った人はいる。その人に勝つ、それで完全に結社と縁を切ろう」

 

「なら、遊撃士になりませんか?きっと天職になると思います」

 

「…遊撃士か、考えた事も無かったな」

 

「しかし、結社が来てるとはな」

 

「ティータ・ラッセルを労ってやれ。勇気を出し戦っていたぞ」

 

「そうだ!なら、一緒に行動しましょう!なら私もティータちゃんの可愛い成分を堪能できます!」

 

つい笑ってしまった。しかし、遊撃士と言うのも悪くないかもしれない。ヨシュア達と行動するのもな。

 

「それで、ソレが御前の組み立てたアークスⅡか。まったく凄えよ」

 

「アークスⅡとはなんだ?」

 

「あー…悪ぃ、そう言うのはティータに聞いてくれ」

 

「アガット先輩?」

 

アネラス・エルフィードの顔が曇った。何だ、嫌な予感がするが。

 

「それよりもだ、レオンハルト。お前リベールに来るのか?」

 

「どうだろうな、今結社が帝国で活動しているのなら。俺は帝国に残ろう、それに越えたいと思える人が居るからな」

 

アガット・クロスナーは今までの見たことの無い顔を俺に見せてきた。驚いている顔だ。

 

「お前、その相手は超えるべき壁なのか?」

 

「解るのかアガット・クロスナー」

 

「昔の俺みたいな顔してやがるからな」

 

「え!嘘だ、アガット先輩よりも爽やかでしたよ!」

 

「てめぇアネラス!」

 

「クックハハハ、まったく面白いなお前達はアガット・クロスナー、アネラス・エルフィード」

 

「アガットだ」「アネラスです」

 

急に二人は俺にむけて名前を言う。知っているのに何故だ?

 

「アガット・クロスナーって、なんか呼ばれなれねぇんだよ。だから、俺はアガットだ」

 

「私もアネラスです!」

 

アガットが左腕を出してくる。俺もそれに右腕を返し

 

「レーヴェでいい」

 

「おうレー「はい、レーヴェさん!」」

 

「アネラス、お前な」

 

まったく、面白い奴等だ。

 

「それで、状況は?」

 

「あぁ、先刻だが俺はデュバリィとシャーリィ・オルランドと言う執行者と戦闘した。結社が何かしら動いてるのは確実だろう」

 

俺の言葉にアガットとアネラスは顔を曇らせる。

 

「レーヴェ、そのシャーリィ・オルランドってのは紅の戦鬼の呼び名がある。そしてオルランドって言ったら」

 

「はいアガット先輩、赤い星座の現団長のシグムント・オルランドの娘です」

 

「チッまさか猟兵まで絡んでくるのか」

 

「それに赤い星座って言ったら」

 

「はい、クロスベルで虐殺事件が」

 

それを聞いた時、頭にあの時の風景が浮かんだ。

 

俺はカリンとヨシュアに連れて逃げている。逃げていた。そこに…

 

「また、またなのか。最初は帝国で、今度は結社か!俺はクソォォォッ!」

 

俺は机に拳を叩きつけた。俺はすぐに自分を見る二人に気付き、心を落ち着かせる。

 

「すまない」

 

「いや、誰だってそうなる。俺も…妹が死んだからなあの戦争で」

 

「アガット先輩、レーヴェさん…よし、アガット先輩、レーヴェさん、今日は再会を祝して御祝いしましょう!」

 

「ふっ、悪くないな」

 

「しょうがねぇ、エステルとヨシュア、レンとティータも居れば完璧だったんだけどな」

 

俺達は笑った。少しの酒とアネラスの作った料理を食べて。

2時間ほどでお開きとなり、明日に備えて休む。ベッドはアネラスに使わせ、俺とアガットとは地面に座る様に眠った。

 

 

「ふむ、どうやら安定しているようだね」

 

「貴様、何故」

 

「君を黄泉帰らせたのは私なのだよ?感謝される筋はあれど恨まれる筋は無いと思うが。まぁ、今は忘れたまえ。直にわかるさ」

 

「待て!」

 

 

 

 

目覚めは素晴らしいものだった。窓から指す光を受け、小鳥が鳴いている。たまにはこんな休日も良いかもしれないな。

 

「アガット、アネラス、起きているか?」

 

「あぁ、起きてるぞ」

 

「むにゃむにゃ、可愛いは正義、可愛い物には福がある、可愛さ余って可愛さ100倍」

 

惚けると言うか、気が抜けると言うか。

 

「こいつ、影の国でも同じ事言ってなかったか?」

 

影の国か、あの時にヨシュアやレンと交わした言葉、無駄になってしまったな。

 

「おいアネラス起きろ」

 

「ふぁ…アガット先輩?レーヴェさんもおはよう御座います」

 

「ふっ、朝食位奢ろう10年前の記憶だが手頃な値段で美味い店を知っている」

 

「なら、そこにするか」

 

「わーい!ありがとうございますレーヴェさん!」

 

こうして友人と笑い合える。いつか、ヨシュアともできるだろうか。

 




今の所の原作との相違点
アネラス・エルフィードも帝国に来ている。
シャーリィ・オルランドが戦える状況に無い。
神速のデュバリィは剣を折られている。
剣帝が黄泉帰る
ミュゼの盤はきっと狂ってる。



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第3話

剣帝レオンハルト、重剣のアガット、アネラスは結社の計画を妨害するため行動を開始する。そして、彼等が向かったのはこのサザーランド州において、結社の襲撃をうけた場所だった。


昨晩の襲撃の事を改めて二人に話す。襲撃の状況等も調べる上では必要だろう。その後、俺はセピスをクォーツにそして、マスタークォーツと呼ばれる物の売買にでかけた。今の俺はアーツ一つ扱えん。負けるつもりは一切無いが、これでは戦闘は不利だ。

 

「お兄さん、工房にようかい?」

 

「あぁ、クォーツとマスタークォーツが欲しい」

 

「クオーツならセピスがあればできるけど、マスタークオーツは難しいよ。一様、何個か在庫はあるけど、見てみるかい?」

 

ミラを支払いシルバーソーン、アースガード改、ティアラルのクオーツを。空いているスロットは身体能力強化系統のクオーツをつける。

 

「マスタークオーツは残念だけど置いてないんだ」

 

「そうか、残念だ」

 

俺が店を出て帰ろうとしたとき、ズボンの裾を子供が引っ張る。

 

「お兄さん、探してるのコレ?」

 

そこには俺のケルンバイターの様な模様が刻まれた大きめのクォーツがあった。

 

「お兄さんにあげる、だからまた家のお店に来てね!」

 

「ふっ、商魂逞しいな」

 

子供はそそくさと帰っていく。これが本物かは解らないが、良いだろう。俺はアークスⅡにセットした。すると、全ての導力回路が繋がり今までよりも身体が軽く感じる。

 

「俺と相性が良いようだな」

 

俺はアガット、アネラスと合流するため拠点に帰った。

 

戻ると丁度二人が荷物を持った所だった。

 

「しかしレーヴェ、そのバッグは」

 

「煤けているが使える。個人的には修理したいのだがな」

 

「わかった。これが上手く行ったら後で俺がリベールの優秀な奴に預けてやる」

 

「なら、私はプレゼントととして遊撃士御用達のバッグあげますね!」

 

まったく、最初から上手く行くとはこいつ等は本当に変わらないな。

 

「あと、レーヴェ。身分証明書はあるのか?」

 

「ロランス・ベルガーの物があったが、お前達に潰されただろうな」

 

アガットは悩んだ様だがすぐに答を出した。

 

「わかった。レーヴェ、お前は俺達の民間人の協力者だ。身分は俺とアネラスが保証する。アネラス良いか?」

 

「勿論です、アガット先輩!」

 

「良し、なら行くぞアネラス、レーヴェ!」

 

 

セントアークを出て街道を歩く。

 

「ンフフっん、ティータちゃんの可愛い成分絶対堪能しちゃうんだから!」

 

「おいおい、アネラス」

 

「アガット先輩は良いじゃないですか!皆でお別れパーティーしたのにアガット先輩だけ帝国まで行って……オリビエさんの招待だったんでしょう!ずるいです!」

 

「いや、俺はヨシュアやエステルからも」

 

そこで俺はふと疑問に感じた事を尋ねる。

 

「何故ヨシュアやエステル・ブライトが帝国に来なかった?」

 

「…帝国政府はギルドに規制を強いてな。エステルとヨシュアは国内に入った瞬間逮捕されてもおかしくない」

 

それをアガットは悔しそうに話す。帝国、ギルドの規制恐らくは俺の1件も関わって来るだろう。今更謝る理由は無いが、本当に俺の1件だけなのか?他にも何か理由が。

 

「着いたな」

 

「アガット。アネラス、すまないな。俺は一端隠れさせて貰いたい。昨晩の件もある。俺がいると警戒されるだろう」

 

「わかった、なら警戒を頼む。結社の奴等が居てもおかしく無いからな」

 

俺はアガットに頷くと崖を駆け上がる。ここはアガットに任せるのが最適だろう。

 

 

 

ティータが学生と話してる。彼奴の性格だ、機械が関わったりしなけりゃ友人は簡単に作れるだろう。

 

「よう、丁度昼飯時か?」

 

ティータは俺の声に気付くとゆっくりと振り返った。

 

「あ、あ……アガットさんっ?!わああっ、アガットさん!ほ、本物ですよね?!」

 

俺に本物も偽物もあるかよ。

 

「って、見りゃ分かるだろ。3週間ぶりってとこか。元気にしてたか、ティータ?」

 

「えへへ、はい!みんなとっても良くしてくれて……」

 

俺とティータが話してると来たぜ。可愛い物好きが。

 

「わぁ!アガット先輩ばっかりずるいです!私もティータちゃんよ可愛い成分を堪能させて貰います!おぉ、ティータちゃんのほっぺたは何時まで経ってもプニプニで!」

 

「はわわわ、アネラスさん、やっ止めて下さい!くすぐったいですよぉ」

 

まったく、リベールに居るときと変わんねぇな。まぁ、ティータが元気なら良かった。これで体調崩してたりしてら、エリカ・ラッセルあたりが煩いからな。

 

「そうだ!聞いてください、昨日結社に襲撃を受けたんです。その時、レーヴェさんが」

 

「あぁ、昨日俺達に会いに来た。今は隠れてるが、俺達の見える位置にいるだろうな」

 

「レンちゃんとヨシュアお兄ちゃんに会わせてあげたいです」

 

あぁ、きっと喜ぶだろうな。

 

「絶対にな」

 

俺がティータの頭をなでているとトールズ分校の教師らしい二人が来た。

 

「あぁ!先輩見てください!ティータちゃんとはまた違った可愛い少女が!」

 

「アガット!」

 

「てめぇ、昨日の!」

 

レーヴェが急に現れ、目の前の赤毛の男がスタンハルバートを構える。こいつ、確かクロスベル警察の特務支援課にいたはず。

 

「待て敵じゃない、レーヴェどうした?」

 

「おかしな男を見た。西風の旅団のマークの付いたジャケットだ。俺はそいつを追う」

 

くそ、赤い星座に西風の旅団だって、何が起きてやがる。

 

「悪いなティータ、だが安心しろ。俺達がどうにかする」

 

「そうだよティータちゃん、アガット先輩にレーヴェさん、それに私がいるんだもの!」

 

「でもぉ……」

 

「ティータ・ラッセル、お前のできる事をしろ。お前の敵だった俺が良く知っている。お前の行動力、心の強さ、リベールの時の様に見せてみろ」

 

まさかレーヴェがティータを焚き付けるとは思わなかった。

 

「行くぞ、アガット、アネラス」

 

頑張れよ、ティータ!

 

 

 

 

 

 

俺が確認した位置に居た。西風のメンバーと思われる人間が。

 

「アガット、アネラスわかるか」

 

「あれは罠使いゼノと破壊獣レオニダス」

 

「それに猟兵王ルドガーですよ!死んだはずなのに」

 

つまり俺と同じという訳か。俺が黄泉帰った訳も彼奴に聞けば分かるかもしれないな。

 

「アネラス、行けるか?」

 

「勿論です、アガット先輩!」

 

「容赦できる相手じゃない、行くぞ!」

 

俺は二人と共に西風を襲撃した。

 

「なんやねん!」

 

「ほぉ」

 

「やるじゃぁねぇか」

 

俺が猟兵王、アガットが破壊獣、アネラスが罠使いへと攻撃をする。

 

「ふっ、受けてみろ剣帝の一撃を!」

 

「ドラゴンフォール!」

 

「八葉滅殺!」

 

それぞれのSクラフトで各人を攻撃する。初手で沈めるつもりだったが、やはり一筋縄では行かないようだ。

 

「流石猟兵王とその部下と言ったところか」

 

「てめぇ、何もんだ?」

 

「ふっ、昨日死んで黄泉がった男だ。猟兵王、お前は何故黄泉帰った。俺と同じなのか?」

 

「まさか、団長と同じ騎神の起動者(ライザー)?!」

 

起動者、確かあの青年も灰の起動者と呼ばれていたな。俺とは別口で黄泉帰ったということか。

 

「ならば、貴様等が問題を起こす前に仕留める」

 

「ほぉ、俺達を仕留めると」

 

「遊撃士3人にとは舐められたモノやな」

 

遊撃士3人か、確かにな。……遊撃士か、良いかもしれないな。

 

「なら名乗らせて貰うぜ。Aランク遊撃士重剣のアガット」

 

「Bランク遊撃士アネラス・エルフィード」

 

「執行者No.Ⅱ剣帝レオンハルト」

 

名乗りは久し振りだな。この肩書も、近いうちに取払う事になるだろうな。

 

「なぁ、あんたが結社の執行者ならマクバーンって知ってるか?」

 

「マクバーンか、また懐かしい名前が出たな」

 

「前にあんたが死んだ事を悔やんでたで。殺りあえる奴が減ってつまらんと」

 

彼奴らしい、結社最強の執行者。マクバーン、お前も俺の前に現れ邪魔をするのなら…

 

「さて、雑談は終わったか?なぁ、今回俺達は一切関わってねぇ。聞きたいことは話すからよ、邪魔しないでくれないか?」

 

「アガット先輩…」

 

「ちっ、俺達も情報が欲しい。良いだろう、条件を飲む」

 

「わかった。俺達は」

 

奴等が言うには不紫の騎神ゼクトールの起動者になる様に嵌められた。そして、不死者として黄泉帰ったらしい。

 

「お前も騎神の起動者なのか?」

 

「生憎だが、俺は騎神と言う物は知らん。……話は以上か?」

 

「あぁ、お前と相克がない事を祈るぞ。骨が折れそうだ」

 

「レーヴェ、もう良いのか?」

 

「猟兵に思う所はあるが、話は聞けた。アガット、アネラス、付き合って貰い助かった」

 

俺は二人に感謝を伝える。

 

「そうだ、ハーメルの方に行ってみろ」

 

「何?」

 

「俺は伝えたからな」

 

「ふっ、重剣。いつかまた会うことになるだろう」

 

「じゃあな嬢ちゃん、フィーの事頼んだで」

 

あのゼノと言う男、俺の知っている男に似ている気がするな。彼奴にも、感謝しなければな。…ケビン・グラハム、そしてリース・アルジェント。

 

 

 

 

また別の場所で

「待ってて下さい、アガットさん!」

 

とある少女が準備を始めていた。

 

 




オリジナルマスタークォーツ
剣帝
アーツは使用できないが、剣帝レオンハルトの身体能力(クォーツで増加した現在の身体能力)を1.5倍させる。通常攻撃、クラフトの攻撃力を2.5倍させる。

原作との相違点
アガット、アネラス、レーヴェが西風の旅団と遭遇。黄泉がえりの理由の一部を知る。

ティータ、出撃


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第4話

黄泉がえりの地、故郷であるハーメル村へと歩みを進める剣帝と仲間たち。結社の作戦が行われていると猟兵王は言うが、真実は…


宿営地たてティータ・ラッセルは装備を準備していた。先に進んだアガットに追いつく為、デアフリンガー号の個室にて母親エリカ・ラッセルから持たされたかつての装備と同じ物に着替え、誰にもバレない様に出ていく。

 

「アガットさん、待ってて下さい!」

 

「えっ!ティータちゃん!待って!」

 

その教師の声は届かない。ティータは愛用の導力砲を持ち、宿営地を後にした。

 

 

 

 

「おいおい、このフェンス壊したのお前か?レーヴェ」

 

「出てくる時にな。俺の邪魔をするものだ。関係あるまい」

 

「確かに、レーヴェさんなら自分の道を信じて突き進むって感じですもん!」

 

話しながらも襲って来る魔獣に注意を向ける。邪魔者を狩り、セピスに変える。

 

「レーヴェ、セピス塊も回収してけれ、今は換金してくれるんだ」

 

「ふっ、俺は古い人間だな」

 

軽口を言いながらも山道の入り口へと足を進める。

 

「あっ、アガットさん!」

 

「まてティータ!」

 

後から来たのはティータ・ラッセルと昨日見た八葉を使う青年だ。

 

「!貴方は」

 

「なんだ、リィンの知り合いか?」

 

「ラウラ、この人はデュバリィさんとシャーリィ・オルランドをほぼ一撃で倒したんだ。それに、剣帝と呼ばれていた」

 

「リィン、それおかしいよ。サラとエステルとヨシュアから聞いたことあるけど、剣帝レオンハルトは死んだって」

 

死人が黄泉帰るなんて、誰も信じはしないだろう。

 

「俺はロランス・ベルガー元特務少尉だ。数年前までリベール軍に所属していた。今はアガットとアネラスの友人として結社の作戦を打ち砕く為に動いている」

 

アガットとアネラスが苦い顔をしていた。あの時の事を思い出したんだろうか、全てが懐かしい。今ならそう思える。

 

「リィン・シュバルツァーです。帝国政府からの要請(オーダー)により行動しています」

 

「ふっ、帝国の生き人形と言う訳か」

 

「?!」

 

当りと言う訳か、不様だな。この男リィン・シュバルツァーと言ったか。技術は有るだろうが、芯が無いな。

 

「ロランスと言ったな。…リィンが人形だと言うのか!」

 

「与えられた命令に疑問を持つことも、ましてや反発する事もしない。そんな存在を人形と言った。お前が違うというのなら、見せてみろ」

 

教授は、ヨシュアを生き人形とした。リィン・シュバルツァー、お前もヨシュアと同じなのか。

 

「……少なくとも、俺は確かに要請を受けました。でも、要請が無くても、目の前で誰かが傷付くかもしれない状況を見過ごすことはできません」

 

「なら、見せてみろ。お前の剣を。剣士ならば剣で語れ」

 

俺はケルンバイターを抜き、リィン・シュバルツァーに構える。

 

「リィン、こんな事してる場合じゃないよ!」

 

「エリオット、悪い。でも、俺は逃げない。ラウラ、立会人になってくれるか?」

 

「……わかった。見せてやれ、リィンお前の剣を!」

 

リィン・シュバルツァーと俺は対面する。

 

「八葉一刀流中伝リィン・シュバルツァー」

 

「偽銘は名乗らん。身喰らう蛇が執行者No.Ⅱ剣帝レオンハルト」

 

「……始め!」

 

俺のケルンバイターとリィン・シュバルツァーの刀が打つかる。

 

「くっ、強い」

 

「弱いな。お前はあの時のアガットよりも弱い、良くこの剣技で俺に挑む気になったな。逃げていれば良かったものを」

 

俺は刀弾き、ケルンバイターでリィン・シュバルツァーを吹き飛ばす。岩に岩に背中からぶつかった様だが、俺は手加減はしない。

 

「どうした?動けないか、ならばそこで寝ていろ。結社は俺とアガット、アネラスが相手をする。お前達は」

 

「俺は…ガァァ!」

 

黒髪だった筈が白く変色し、戦い方もまるで獣の様に変貌している。

 

「…無駄だ。受けてみよ……剣帝の一撃を!」

 

「おい、レーヴェ待て!」

 

「……ぐぅ、まだだ!灰の太刀・絶葉!」

 

俺の一撃と八葉の奥義がぶつかる。それを正面から打破り、リィン・シュバルツァーの刀を吹き飛ばした。

 

「!…完敗です」

 

「お前の剣には真っ直ぐな意志があった。良いだろう、リィン・シュバルツァー。俺はお前を認めよう」

 

「ハハッ…ありがとうございます」

 

リィン・シュバルツァーはふらつきながらも立ち上がり、刀を拾い鞘に納める。一瞬見せたあの力も鳴りを潜め、今は落ち着いている。

 

「リィン、ヒヤヒヤさせないで」

 

「そうだよ、心配したんだから」

 

「リィン、怪我はないか?」

 

お前も、仲間に恵まれているのだな。個人で戦う者は弱いが、仲間と戦う者は…

 

「時間が惜しい、行くぞ」

 

「「おう!」」

 

道中、アネラスとリィン・シュバルツァーが話をしていた。同門の師姉と師弟だ。話したい事はあるだろう、それにアネラスは剣仙ユン・カーファイの実孫だ。話す話題には尽きないだろう。

 

「あっ……」

 

「白い花、か」

 

「こんな山の中で…………綺麗だね」

 

「ひょっとしたら村の人が世話をしてたのかも」

 

「流石元園芸部、そんな感じはするな」

 

「あぁ…カリンや知り合いの何人かがこの花壇を世話していた。俺も、ヨシュアも、カリンに付き合わされた事があったな」

 

「人が居なくなっても花は残るか…」

 

会話が続かず一定の間静寂が俺達を包む。

 

「……すみません、少し待ってもらえますか」

 

「俺も思った。レーヴェ、少し摘ませて貰うが良いか?」

 

「すまないな、俺にはその資格は無いからな」

 

一度修羅となり、弟までも売った俺には…

 

「忘れてくれ」

 

何か話していた様だが、俺は聞こえなかった。歩みを早め、ついに俺達はハーメル村まで来た。

 

「ここがハーメルか、お前とヨシュアが生まれた」

 

「……………」

 

「……どうしてだろう。こんなに哀しい風景なのに」

 

「……綺麗だね」

 

「うん、哀しいのに優しい気がする」

 

「……美しい邑だったのだろう。この地に眠る魂が今は安らいでいる証拠かもしれぬ」

 

「……そうだと良いんだが」

 

「……レーヴェさん?」

 

頬を伝わる雫に気が付き、手を触れる。そこには今まで流れなかった俺の涙が確かにあった。

 

「すまないアガット、一人にさせてくれ」

 

俺を見たアガットは頷く事もせずただ、後ろを向いた。ハーメルの悲劇を知らない者もいる。恐らく、アガットなら話すだろう。俺は、あの木の下へ行った。

 

「君の影 星のように 朝に溶けて消えていく 行き先を失くしたまま 想いは溢れてくる」

 

気付いた歌っていた。ヨシュアが奏で、カリンが歌っていた星の在処。

 

「カリン、安らかに眠ってくれ。俺もいつかお前の下に」

 

「へぇ、報告を受けた時は何の冗談って思ったけど、まさか本当に生きてるなんてね」

 

俺は振り向いた。空中に浮くピエロの様な少年、いやそれ以上の悪魔の存在をこの目に捉え。

 

「…カンパネルラ」

 

「う~んと…僕としては君の唄を聞いていても良かったんだけどさ。マクバーンが君を呼んで来いって。速く行ったほうが良いんじゃないかな?デュバリィが止めてると思うけど、彼、セッカチだからさ」

 

俺は話を最後まで聞く前に走り出した。多数の気配が村の奥から感じる。

 

「マクバーン!!」

 

俺は奴に向かいケルンバイターを振り下ろす。だが、奴もアングバールで俺のケルンバイターを受け止める。その時、軽い衝撃波が起き、あたりが揺れる。

 

「クハハッ!ヨォ…レオンハルト、何年振りだ?」

 

「黙れ……」

 

「良いねぇ、もっと俺を熱くしろや!」

 

「待ちなさいレオンハルト、マクバーン!ここで戦うつもりですか!」

 

デュバリィに言われ、当たりを見渡す。それぞれが献花しようとしている最中に俺が乱入し、邪魔をしてしまったようだ。

 

「うわぁ、マクバーンにやれるって流石剣帝レオンハルトだね!シャーリィも本調子なら殺りあえたんだけどなぁ」

(マクバーンと殺れるってorマクバーンと戦れるって)

 

あの時のシャーリィ・オルランドも包帯をしながらも話しかけてくる。

 

「もぉ!どいつもこいつも自分勝手ですわ!」

 

「あれ?感動の再開とは行かなかったみたいだね?」

 

「そうですか、剣帝が襲ってきたのは貴方のせいですわね?カンパネルラ」

 

「僕はマクバーンを止めてるけど、彼はセッカチだからってレーヴェに伝えただけだよ」

 

「貴方は!マクバーンを知っていれば予想しますわ!よりにもよってここで戦わせるつもりでしたの!」

 

つまり、俺はカンパネルラの遊びに見事乗り、ましてや仲間の邪魔をした訳か。

 

「…ぐぁぁぁ!」

 

俺は崖下に向かい一撃を放つ。八つ当たりだと理解しているが、俺の中にはまだ激しい怒りが渦巻いている。

 

「へぇ、結社にいた時より強くなってるね」

 

「おいレーヴェ、良いじゃねぇか…クハックハハハッ」

 

結社の構成員と雑談をし、ハーメル村前の広場に出る。

 

「ここならハーメルに被害は出ない。カンパネルラ、マクバーン、お前達はここで倒すアガット、お前達はデュバリィとシャーリィ・オルランドと戦え」

 

「そんな、一人でなんて無茶ですよ!」

 

「ティータよせ、レーヴェ。任せるぞリィン、聞いたな。マクバーンとカンパネルラはレーヴェが抑える。俺達は二人に専念するぞ」

 

これで良い、俺は今。あの時の様に激しい憎悪に包まれている。マクバーン、カンパネルラ、お前達に手加減は無用だからな。

 

「へぇ、僕等と戦うんだ」

 

「お前、結社の時より鋭い目をしやがるな。良いぜやってやるよ!」

 

狂気の笑顔を受けべるマクバーン、道化師特有の笑顔を見せるカンパネルラ。

 

「こんな時、こう言うんだよね?身喰らう蛇が執行者No.0道化師カンパネルラ」

 

「身喰らう蛇が執行者No.Ⅰ刧炎のマクバーン」

 

「身喰らう蛇が執行者No.Ⅱ剣帝レオンハルト」

 

「行くぜ!」「行くよ!」

 

「参る」

 

こうして道化師、刧炎対剣帝の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 




原作との相違点
マクバーンとカンパネルラが参戦
ティータがついて来ちゃった。
ミュゼの盤は…


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第5話

ハーメルにつき失った日常を思い出す剣帝。そこに現れた道化師の策略により剣帝は故郷を燃やす所であった。神速の言葉に助けられ、今道化師と刧炎と対峙する。


「うーん試しかな」

 

カンパネルラがアーツを駆動させようとしている。

 

「零ストーム」

 

「ぐう」

 

「ヘルハウンド!」

 

「ぐぅ!」

 

炎が全身を焼く。だが、俺にとってそんな事はどうでも良かった。

 

「破砕剣」

 

「へぇ、流石にやるなぁ!レーヴェ」

 

「俺はお前と対峙するのは望んでいなかったがな」

 

マクバーンは最強。俺でさえ勝つのが困難な相手だ。だが、マクバーン。お前に勝てないのでは、師であるあの人には届かない。

 

「ねぇ、まだ忘れて貰っちゃ困るんだよねナイトメアシャッフル」

 

「なっ、マクバーン!」

 

「灰の小僧か良いじゃねぇか…前より混ざってるな」

 

「カンパネルラ、貴様!」

 

「「リィン(教官)!!!」」

 

「レーヴェか」

 

「相変わらずカンパネルラはろくな事を」

 

カンパネルラは隣で戦う者と俺の位置を入れ替えた。八葉の青年がマクバーンと対峙する。

 

「お?使わずに俺に勝てるのかよ」

 

「く!……神気合一」

 

「そうだ…面白いじゃねえか!」

 

「剣帝のお兄さん!昨日のお返しだよ!」

 

「邪魔だ!」

 

迫りくる女の武器をケルンバイターで弾き、アガットの方に飛ばす。

 

「アガット、任せるぞ」

 

「ちっ、そう言うこった。俺が相手だ…ドラグナーエッジ!」

 

「……へぇ、赤毛のお兄さんもやるじゃん。シャーリィを本気にさせたんだから………付き合ってもらうよ!」

 

何とかアガットに任せられたが、今度はデュバリィが俺の前に立つ。

 

「デュバリィ、邪魔をするのか」

 

「今回に限り私は貴方の邪魔はしませんわ。速くリィン・シュバルツァーを助けにお行きなさい」

 

「……わかった」

 

デュバリィに感謝しながらも俺は、彼女が邪魔をしたら今度こそ斬るつもりでいる。敵の敵は味方ではない。ただの敵だ。

 

「灰の太刀・絶葉」

 

「ぐ…なんてな」

 

「甘いね、イクシオン・ヴォルト」

 

「ぐぁ!」

 

吹き飛ばされる八葉の青年を受け止め、立たせる。

 

「下がれ、お前には無理だ」

 

「……わかりました。レオンハルトさん、頼みます」

 

実力を理解しているのは良い事だ。

 

「灰の小僧も前よりマシになってたな。…まぁ混ざりきってないが」

 

「うわぁ…レーヴェが帰って来ちゃったな」

 

「クハハハ……レーヴェ、やるか」

 

「「「死ね、マクバァァァーン!!!」」」

 

俺は分見を使い3人になり、マクバーンに斬りかかる。

 

「てめぇ!」

 

「カンパネルラ、お前の相手は俺だ。零ストーム」

 

「うんうん、前よりも強くなってるしキレも増してるね」

 

「幻術か、だがルシオラの方が上だ!」

 

一人がマクバーンのアングバールを受け止め、一人がカンパネルラを抑える。そして俺はマクバーンの頭にケルンバイターを振り下ろす。

 

「………レーヴェ、最高だぜ。やっぱりこうじゃなくちゃなぁ!」

 

「……火焔魔神」

 

マクバーンの体中から刧炎が溢れ出し、姿が変貌する。異能を全解放したか、これは尚更やりづらい戦いだな。

 

「…レーヴェ、お前はビビらないんだな、面白いな」

 

「その程度、恐怖する理由はない。俺は、俺の邪魔をする存在を斬る。それが何だろうと、俺とケルンバイターの前には無力だ」

 

「啖呵きったな、なら見せてみろや!燃えろ!」

 

ギルティフレイムが俺を襲うが、俺も本気で行く。最早、手合わせじゃない、死合いだ。

 

「ケルンバイター、理の外の剣の力見せてみろ!」

 

ケルンバイターが蒼く輝き、マクバーンのギルティフレイムを打ち消す。改めて、この剣をくれた盟主には感謝しかない。

 

「使いこなしやがったな、レーヴェ!」

 

「何も外の理の剣を扱えるのはお前だけではない、沈め!マクバーン!」

 

「へぇ……熱いが我慢してみせろよソル・イラプション」

 

「なんだこれは!」

 

「ロストアーツ、失われたアーツだ。お前も、これには終わりだろうな」

 

巫山戯るな、俺は終わらない。彼奴に、

 

「ヨシュアに会うまではな!燃え盛る業火であろうと砕け散らすのみ…受けろ、剣帝が絶技・冥皇剣!」

 

「やってやるよ…オラオラ!こいつで仕上げだ!ジリオンハザード!」

 

「え!マクバーン、レーヴェ!」

 

「ちぃ、お前ら避けろ!ティータ、行くぞ!」

 

「ティータちゃん、行くよ!」

 

「あわわわ」

 

「ラウラ、エリオット、フィー、今は隠れるんだ」

 

「わかった」「うん!」「了解」

 

「あはは、シャーリィでもこれは不味いかな」

 

「彼奴等ァァァ、巫山戯るんじゃありませんわ!」

 

俺とマクバーンの技がぶつかり当たりに衝撃波が巻き起こる。木々は倒れ、俺とマクバーンを中心に大規模なクレーターが出来上がった。

 

「ちぃ、」「…マクバーン!」

 

 

煙が晴れ、睨み合う俺とマクバーン。俺がもう一度ケルンバイターを構えようとした時、奴から思いも依らない台詞が出た。

 

「今回は…てめぇの勝ちだ。レーヴェ、…今回はな」

 

「う~んと、僕も退散させて貰うね。」

 

マクバーンに続くようにカンパネルラも消える。マクバーンは俺と戦うのが目的だったのだろう。だが、カンパネルラが解らない。デュバリィの事だ、言いふらした挙げ句厄介なのに捕まったと言ったところか。

 

「此方は終わったが、お前達の方はどうやら厄介なようだな」

 

「レーヴェ、それだけか!」

 

「ハハ…剣帝のお兄さん、シャーリィじゃどうやっても勝てないかな。流石に刧炎のお兄さんと渡り合うなんてできないし」

 

「かぁぁぁ…何なんですの彼奴等ぁ!勝手に付いてきた挙げ句勝手に帰りやがりましたわ!」

 

やはり俺の思った通りか。

 

「まぁまぁデュバリィも落ち着いて、速く帰りお菓子でも食べましょうか?」

 

「ふっ、まだ幼いのだ。抱え込みはすべきではない」

 

「子供扱いするな!ですわ!」

 

「アイネス、エンネア久し振りだな。……一つだ、デュバリィの扱いは変えてやれ。今回、俺は彼女に助けられた。その行動は子供にできる事では無い」

 

「お前も五月蝿いですわ!」

 

そこから俺は傍観することにした。行動を起こしたいが、マクバーンに負わされた傷も深い。ここで戦っても、勝てはしないだろう。

 

「赤い星座の連隊長ガレス、お嬢のお供に推参した」

 

これで奴等は5人、それでも此方は俺を含め8人。人数なら此方の方が有利だ。

 

「わーハッハッハ、このギルバート、応援要請に応じ助太刀」

 

「新たに3人か、デュバリィ。戦力に数えるのはどうかと思うぞ」

 

「あー、てめぇ、雑魚いんだから来るなよ」

 

「う~んと……ごめんなさい。誰ですか?」

 

「あっ、ヨシュア君とエステルちゃんに倒された人!」

 

「五月蠅い!影の国で助けてあげたのを忘れたのか!それに僕は今や結社の強化猟兵の連隊長だ!」

 

「……まただよ」

 

「カンパネルラ様に言われたから来たけど……勝てるかよこれ」

 

そう言って増えたのは結社の強化猟兵が奴を含めた9人。少々、面倒になってきた。

 

「わーハッハ…こい!G・アパッシュ!」

 

その時だ。後ろの気が揺れた。

 

「ハッ、もらったぜ!!」

 

「おっと…!」「むっ……!」「あ~れ~!」

 

ギルバートは人型兵器の斧にあたりG・アパッシュが大破。何処かへと吹き飛んで行った。

 

「その声、Ⅷ組のアッシュか」

 

「私達もいます」

 

「参る」

 

トールズ分校の制服を着た少年と少女がアイネスとエンネアを狙う。だがそれは安安と避けられる。

 

「……ほぅ」

 

「あら……?」

 

「くっ、雛鳥ごときが」

 

デュバリィがクラフトを使おうとした時、急に謎の兵器が現れたデュバリィを襲う。彼女は瞬時に盾で受けたが、衝撃で思わず下がる。しかし、アレは確か戦術殻と言ったな、昔博士が意気揚々と話していた。

 

「ぐ……黒兎……!貴女がいましたか」

 

「久し振りですね、神速の」

 

「アルティナ、クルトにユウナまで……!」

 

まるで茶番劇のようなものが繰り広げられる。似たような事が昔あったな、俺もかつてヨシュアに……。感慨深いものがあったが、それ以上に嫌な予感があった。

 

パチン

 

「なっ、なんだぁ」

 

巨大な影が動き出し、人型兵器を吹き飛ばす。巨大な人形兵器だった。奴等が解説をしているが、それ以上にアガットの

 

「エステル達が戦った奴か」

 

その台詞が俺の耳にはっきりと聞こえた。あの二人が戦ったのか。ならば、俺が倒せない道理は無い。そんな時、八葉の青年。リィン・シュバルツァーが手を空へと掲げた。

 

「来い、灰の騎神ヴァリマール!!」

 

何だあれは、巨大な騎士人形が空を飛んでいる。

 

「ハハ、まさか演習地から飛んでくるとは」

 

アガットはあれが何か知っているようだ。後で話を聞いても良いかもしれないな、リィン・シュバルツァーからも。そこからは人の入る余地は無い。結社の連中も実験と称していた。俺も今は敢えて手を出すのは控えよう。奴等の実験が気になる。恐らくは博士も関与しているだろう。下手に動き、止めるのは不味い。

 

「あんなデカ物に1機じゃ無理があるわよ」

 

それに反応した少年があの人形兵器に乗って現れた。あの斧から換装したようだ。二刀流になっている。

 

「助太刀します」

 

「クルト、下がれ!機甲兵の敵う相手じゃない!」

 

「百も承知です!ですが見過ごす事はできない」

 

「話している場合か!避けろ!」

 

何故俺は彼等と同じ力いやそれ以上の力を持ちながら戦えない。

 

 

 

「ふむ、中々面白い事をノバルティスはしているじゃないか。くく、良いだろうレーヴェ。君に新たな力をあげよう。■■■■の為にね」

 

俺が嘆いていると、まるでそれに鼓動するかのように俺の相棒とも呼べる存在が現れた。

 

「まっ、待ちなさい!何故アレも有るのですの!」

 

「デュバリィ、何故コレがここにあるの!アイオーンだけのはずでしょうが」

 

「くっ、しかも我々も狙っているぞ」

 

「おいレーヴェ!てめぇ……こいつと一緒に黄泉帰ってたのかよ!」

 

「さぁな……だが俺の相棒であることに変わりない。ドラギオン行くぞ!」

 

ギャァァァ

 

機械音にも似た咆哮を上げ、ドラギオンが結社の神機に襲いかかる。

 

「よし、クルト行くぞ!」

 

「はい」

 

ドラギオン、灰の騎神、機甲兵だったな。3機の連携で神機を追い詰める。

 

 

「ふむ……これではレーヴェを黄泉帰らせた意味が無いな。マイスターや13工房に頼んだ意味がない。神機よ、私の力でより…」

 

 

 

「ちょっと、神速さん?これ、博士から聞いてないよ」

 

「神機の暴走?…くっ、無差別攻撃!」

 

結社の神機が暴走を始め、手当たりしだいに攻撃を開始するのそれに巻き込まれたドラギオンが火花を散らしながら俺の前に横たわる。

 

「……ドラギオン、眠れ。俺の相棒よ」

 

「君は私のプレゼントを喜んでくれるかな?」

 

「何?」

 

ドラギオンが破壊されたと思ったが、急に光りだす。あの時の、まるで空の至宝の光だ。俺だけじゃない、アガット、アネラス、ティータは気付いた。

 

「ドラギオンが……騎神になった」

 

「まさか、空の至宝の欠片ですの!それが剣帝に…」

 

「ならば、リィン・シュバルツァーはこうしていたな。だが、俺はこうだ、行くぞ、ドラギオン」

 

「ギャァァァ」

 

俺はケルンバイターを掲げるとドラギオンが咆哮を上げる。すると身体が謎の浮遊感に満たされ気付くとドラギオンの内部に居た。掲げたケルンバイターは巨大化し、ドラギオンが構えている。

 

「動けるのは一瞬か……」

 

あの時、ヨシュア達と戦い俺は2度破れた。一度目は死ぬ前、二度目は死んでからだ。俺は彼奴等の芯の強さ、それに負けた。今まで、孤独に戦い敵を殺す修羅として刃を振るってきた。だが、今は……奴等に会い成長を見てみたい。俺の選択が間違いじゃない事を教えてくれない。

 

「受けてみよ……絶技を越えし剣帝の一撃を!…神技」

 

−レオンハルト、貴方が理へと至るとき、ケルンバイターは貴方に応じ、その技を放てるでしょ

 

「破空蒼魔斬」

 

理の外の魔剣であるケルンバイターだからこそ放てる一撃。空間を切り裂き、その存在そのものを理の外へと斬り捨てる。

 

「まさか……実験どころではありませんわ。剣帝、今は届きませんが次は必ず勝ちますわ」

 

「デュバリィ、何時でもかかってこい。そして言う、俺は必ずお前達のマスターに、第7柱に勝利する」

 

「我々も聞いた。その宣戦布告、必ずやマスターに」

 

「そうねぇ…その時は私達鉄機隊が相手になるわね」

 

3人と結社のメンバーはトールズ分校の教員と生徒が合流した当たりで挑発し、消えた。まるで自分達の存在を誇示するかのようだった。

 

 

 

 




ドラギオン復活
剣帝レオンハルト機神ドラギオンを入手
剣帝レオンハルト理に至る
ミュゼの盤はもうどうしようも…


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第6話

機神ドラギオンの力で灰の騎神と共に神機を征した。だが、トールズ第2分校は機神ドラギオンいや剣帝に刃を向ける。


結社との戦闘が終わりを告げる。ドラギオンから降りる。すると、ドラギオンは人型から竜の姿へと変形した。

 

「……どうなってんだ」

 

「わ!わ!凄いですよアガットさん!レーヴェさん、分解して調べても良いですか!」

 

「……ティータ」

 

「…ティータちゃん、一旦落ち着こうね」

 

「…ティータ・ラッセル、話には聞いていたが……駄目だ。ドラギオンは俺の相棒なんでな」

 

そんな話をしていると、周りをトールズ分校の生徒及び教官達が取り囲む。それをアガット、アネラス、ティータそしてⅦ組が俺を守るように立ち塞がる。

 

「シュバルツァー教官、その男は事件の重要参考人だ。我々が確保する必要がある」

 

「ミハイル教官…待って下さい!彼は俺達を支援してくれました。紛れもない事実です」

 

「……リィン君」

 

「シュバルツァー…そいつは無理な相談だな」

 

何処からともなく軽薄そうな男が現れる。だが、俺の勘が執行者並の脅威であると告げている。

 

「おいおい、結社の奴等に挨拶しようと思ったのにな。どう言う状況だ?」

 

「…おぃ、なんでアンタが生きてんだ!親父と戦って死んだはずだろう!」

 

「おお!オルランドの息子か、それにフィー!久し振りだなぁ」

 

「……ゼノ、レオ、知ってたの?」

 

「悪いなぁフィー、これも約束なんや」

 

「あぁ、黙っていた事には謝罪しよう」

 

西風の旅団メンバーとアガット達と同じ遊撃士だったはずだ。今、俺への視線は無い。全てあの3人に向いている。ならば……

 

「ドラギオン!」

 

「ギャァァァ!!!」

 

ドラギオンの背中に乗り、空へと飛び立つ。色々と仕方がないが、やめだ。結社の計画には興味があるが今は危険すぎる。俺はリベール方面へと飛び立った。国境の頃にはアガットに対してメッセージをアークスⅡに送っておいた。

 

ヨシュア、エステルに会おうと思う。アガット、アネラス、リベールでまた会おう。

 

レーヴェの野郎が飛び去った後、あの西風の3人も消えていた。帝国の奴等は俺達まで捕獲しようとしたが、フィーの持っていたスタングレネードで助かった。奴等の目を潰したすきに崖を降りてタイタス門へと走った。街道を離れての移動だ。時間もかかったし、リベールに着くまでが大変だった。

 

「おいおい、なんで案山子男がいるんだよ」

 

「いやぁ……そりゃあな。いくら犯罪してないと言えど逃げたら捕まえるしかないだろう?」

 

帝国情報局の兵士が武器を構えて俺達を取り囲む。戦力差は丸わかりだ。これで下手に応戦でもしたら帝国のティータにまで迷惑がかかる。

 

「…朧」

 

「な!」「ギャ!」「カヒュ」

 

「あん?どうなって……」

 

目の前で帝国の奴等が片っ端から倒れていく。その場に立っていたのは黒装束を纏った俺達のよく知るアイツだった。

 

「まったく、遅いから駆け付けて見ればこんな事になっているなんてね」

 

「ヨシュア!お前……大丈夫なのか?」

 

「…アガット、僕は元々こう言う任務をしてきたんだ。隠密はお手の物だよ。それに、殺してない。峰打ちだから数時間もしたら起きるだろうね、早く移動しよう」

 

「あぁ、助かったぜ」

 

帝国情報局を退けた俺達はなんとかリベールのハーケン門へとたどり着いた。

 

「あっ貴方達は!…すぐにモルガン将軍に連絡します」

 

「待っ待て、」

 

言うより先に兵士の男はモルガンの爺さんの所に行っちまった。はぁ、怠い報告会かよ。俺はアネラスとフィーの方を見るが両方から、[頼む]と言った有り難くない視線を貰った。

 

「災難だったなクロスナー、しかしお前たちの帰還は嬉しく思うぞ」

 

「相変わらず硬いな爺さん。それよりも……聞いて欲しい。ロランス・ベルガー又の名を剣帝レオンハルト」

 

「懐かしいな、それがどうしたと言うのだ」

 

俺は意を決してモルガンの爺さんに話した。勿論、ここにはヨシュアもいる。どう言う顔をするかは解らない。

 

「俺達はレーヴェの野郎と一緒に結社と戦った」

 

「なんと!」「ありえない!」

 

ヨシュアは悲痛な叫びを上げる。俺もわかってた、ヨシュアにとって彼奴は兄同然なのだから。

 

「ヨシュア君、本当なの。レーヴェさんは生きてる、そしてアガット先輩!レーヴェさんに連絡しましょう!」

 

「あっ、そうだな」

 

俺はアークスⅡを取り出し、ヨシュアとモルガンの爺さんが見る前でレーヴェに連絡を取った。

 

「アガットか、丁度いい。リベール空軍に見つかった、適当な位置で捕縛されようと考えている。おそらく裁判が起こるだろう…すまない、ヨシュア達を」

 

「…レーヴェ!」

 

「何?」

 

「なんで…なんで生きて…」

 

ヨシュアは泣いていた。死んだと思った奴が生きていたんだ。当たり前だろうな。

 

「気が変わった。リベール空軍は振り切る、アガットお前達は恐らくはハーケン門の近くだな」

 

「当たりだ。流石の状況判断力だな、剣帝」

 

「…ふっ、モルガン将軍か。ハーケン門の一角を開けておいてくれ、俺はそこ着陸する」

 

 

 

 

通信を切った俺は追手に対してドラギオンを向ける。たったの2機だ。どうとでもなる。

 

「…エンジンに損傷を与えるだけでいい。ドラギオン、行け!」

 

「ギャァァァァ」

 

あの時の様にドラギオンの背中でケルンバイターを構える。あの時と違うのはアルセイユでないこと、そして2機と言うこと。だが、俺にとっては関係ない。

 

「……はぁ!」

 

ドラギオンとのすれ違い様にエンジンに傷を入れる。黒煙が出ている以上、あの2機はコチラの追跡を断熱せざる得ない。

 

「…俺も優しくなったものだな」

 

ドラギオンの背中に座りながら、空を見上げる。夕焼けに染まるリベールの空は相変わらず、綺麗だった。

 

 

時間が過ぎ、ハーケン門が見えてくる。兵士達が武器を構えているが、一人の老人は堂々と俺達が着陸しようとした位置に座している。

 

「ドラギオン、助かった」

 

「ギャア」

 

たった数時間だが、ドラギオンに意志があるのがわかった。かつての人形兵器ではない、れっきとした意志が存在している。

 

「…剣帝レオンハルト、先ず聞こう。おぬしは黄泉がえり何をする」

 

「……俺は人を信じると決めた。黄泉帰ったからには、俺はその

未来と今を見てみたい、それに……お節介な弟にも挨拶をしなくてはいけないからな」

 

モルガン将軍は悟った様に自慢のハルバートを構え、俺に向ける。

 

「その言葉、しかと受け取った。だが、真実であるかは否、その刃で語れ」

 

「ふっ、良いだろう。行くぞ、武神!」

 

「来い!剣帝!」

 

クラフトなんてない。ただ刃と刃のぶつかり合い、武人として剣士として、俺達はただ戦った。打ち合う事に鋭さを増す一撃、俺も同じように速度を上げる。ハルバートの一撃が重くなる、ならび俺もケルンバイターに力を入れる。

 

「うむ、素晴らしいなだがこれまで」

 

「こちらの台詞だ!」

 

振り下ろされるハルバート、振り上げるケルンバイター。ぶつかりあった瞬間、モルガン将軍のハルバートの刃が砕け散った。

 

「…ぬぅ、流石剣帝だな」

 

「嫌、俺もまだまだだ」

 

そう、ケルンバイターにも罅が入っていた。小さな罅だ、理の外の魔剣であるケルンバイターなら、今の生きているケルンバイターなら気付かないうちに修復されるだろう。だが、ケルンバイターに罅を入れた。入れられた。マクバーン、鋼の聖女にもされなかった。

 

「……俺はどうだ」

 

「…ふっ合格だ。皆の者、ここにいる者は我がリベール軍の盟友だ。…総員……敬礼!」

 

ザッ!空気をきるおとが聞こえた。俺を囲んでいた兵士達は一斉に敬礼をし、礼砲まで上げている。流石にこれには驚いた。俺はかつてリベールを襲撃し、多くの被害者を出した。それを…

 

「一つ、済まなかった。国を守る為、俺等はお前達を犠牲にした。他国のといえど、民間人を見捨てたのだ。軍人として…人として我々はもう償えん。だから、せめてお前達は生きてくれ。この…未来をな」

 

モルガン将軍の目には謝罪と決意の目があった。俺も、同じ物を見てみたい。鋼の聖女とは別に、俺が尊敬の念を抱いた人物だ。

 

「モルガン将軍、よろしく頼む」

 

「うむ、ならば……すまぬが王都グランセルへと我等の飛空艇で向かってほしい。陛下も、おぬしと話したいとおっしゃった」

 

リベール女王、そうだな。俺も……言葉を交わさなくてはいけない。

 

「わかった、全員で向かって良いのだろう?」

 

「ふっ、そうだな。おぬしと話したい者もいるだろう、今の時間を大切にすることだ」

 

俺は案内されるまま、飛空艇に搭乗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遊撃士組及び剣帝リベールに帰還する
ヨシュアとレーヴェが出会おうとしている


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第7話

飛空艇にのる剣帝そこで弟分である漆黒の牙と再開をはたす。死した存在との邂逅が物語の歯車を狂わせる。


数時間の旅だ。高速艇という訳ではなく、リベール軍の輸送船を借りてのものだからな。中はある程度、結社の戦闘艇に比べれば居住性もある程度はマシだ。

 

「いつまで隠れているつもりだ……ヨシュア」

 

「……レーヴェ…なんだよね」

 

ヨシュアの瞳は信じられない物を見ているかの様だ。まぁ、リベルアークで俺は死に、影の国で完全に消滅した。だが、俺はこうして立っている。

 

「…ヨシュアお前は……いやすまない。お前に会いもう一度話そうと考えていたが……こうしていると言葉が浮かばないな」

 

「……レーヴェ、優しい笑顔だよ…あの時みたいな…」

 

ヨシュアと会い、喋っただけだった。だが、俺の頬に少なからず雫が垂れる。泣いているのか…俺は、いや嬉しいのか。

 

「ふふ…レーヴェ、泣いてるよ」

 

「泣き虫に言われるとは……俺も焼きが回った、ぐっ」

 

急に身体中が激しい痛みに襲われる。まるで中から破壊されるかの様に激痛が襲う。

 

「ぐは」

 

大量の血が吐き出され、それを見たヨシュアが慌てて助けを呼んでいる。

 

「レーヴェ、大丈夫だから!すぐに医者が…」

 

「ぐぅぅ…うぁ…」

 

「…レーヴェ!その姿は」

 

身体が何かに変貌しようとしている、駄目だ。それだけは

 

「ヨシュア、俺を…斬れ!」

 

「待って!…まだ再会したばかりなのに…」

 

 

 

 

「クククッ…しかし、まだ早いな。ヨシュアの絶望する姿を見るのはもっと……ほぉ」

 

 

 

 

 

 

「レーヴェ、大丈夫。私が付いているから」

 

「…なに」

 

「!…姉さん」

 

 

 

 

レーヴェが突然苦しみだして影の国の黒騎士の様な姿に変貌しようとした時、僕は奇跡だと思った。僕の前に良く知る女性が現れてレーヴェを助けてくれた。

 

「ヨシュア、レーヴェをお願い。…助けてあげてね」

 

「……」

 

何も言えなかった。一瞬の出来事だったし、でも確実に言える。あの人影は姉さんだ。姉さんは死んでもレーヴェを守り続けているんだ。

 

「…っ、俺は」

 

「レーヴェ、取り敢えず休んで!」

 

僕は立ち上がろうとするレーヴェを無理矢理座らせる。すぐに飛行艇の船医が来てレーヴェを診察してくれた。一緒に来たアガット達も心配そうにレーヴェを見ているけど、船医の診断は以外なものだった。

 

「…健康体そのものです。しかし、あくまでも今ある機材で調べてですので……それ以上の検査はグランセルに行かなくてはわかりません」

 

レーヴェは今死んだように眠っている。生きているのはわかったけど、その姿はリベルアークの時みたいだ。せっかく…せっかく会えたのに、また…。

 

(…姉さんレーヴェは必ず助けるから)

 

レーヴェを寝かせた僕達はグランセルまでの足を早めた。もし、何かあれば大変な事になるから。

 

「ヨシュア!」

 

グランセルの軍港について直ぐ、僕の恋人が抱き着いてきた。アガットとアネラスさん、フィーから温かい目を向けられて僕は恥ずかしくなってしまった。

 

「…エステル、今この体勢は恥ずかしいんだけど」

 

「?なん…げっ!アガット!」

 

「げ!ってなんだ。げ!って…まったくBまで上がっても結局代わり映えしねえなぁ、エステル。クロスベルから戻ってきても……」

 

「五月蝿いわよ!いいじゃない…アガットはティータに会えたくせにさ。まったく、オリビエもオリビエよ!どうせなら私達も入れなさいっての!」

 

エステルの暴走が始まってしまった。僕は急いで彼女を宥める。

 

「エステル、今帝国の実権はあの鉄血宰相にある。いくらオリビエさんが皇子でも、そこに割り込むのは難しいんだ」

 

「う…わかってるわよ。オリビエも頑張ってるのは」

 

エステルがシュンとしてしまった。僕も気持はわかる、ティータは君にとっても妹の様な存在だし…エリカ博士の相手を押し付けてしまったのも

 

「…アガット・クロスナーァァァァア!!!」

 

「エリカ!」

 

「シイイイネェェェェ!」

 

「おい!オーバルギアⅡ?てめぇ!破棄したんじゃ無かったのかよ!」

 

「私のティータを危険な目に合わせて貴ぃい様ぁあ!」

 

「おい!ヨシュア!エステル!アネラス!フィー!誰でも良い!助けろ!おい!」

 

僕達は見て見ぬ振りをしていると、エステルが驚いた顔で後ろを見ている。

 

「エステル・ブライト、ヨシュアをここまで支えてくれた事、感謝する。これからも、ヨシュアを支えて欲しい」

 

「あ……あんですって!ヨシュア、なんでレーヴェが生きてるのよ!まさか、また結社の実験!?どうしよう!この場合ってケビンさんに連絡すればいいの?!でも、レンもきっと会いたいだろうし……」

 

「慌て過ぎだよ、それよりもレーヴェ、まだ寝てなくちゃ駄目だよ」

 

「関係ないな、俺に休息は必要ない」

 

僕の言葉への返事は何時もと変わらないようでもあったけど、僕にはわかる。レーヴェは無理をしてる。

 

「…レンか、元気にしているか?できれば挨拶をしたい」

 

レンの名前を出した瞬間、レーヴェの表情に影が見えた。それは結社にいた時からの負い目なのか、それとも別の理由なのからは僕には解らない。

 

「ジェニス王立学園にいるわよ。会いに行ってあげたら?」

 

「…そうか、ブルブランと彼奴が迷惑をかけたな。(しかし、あの男……カンパネルラか)」

 

レーヴェは最後の方を小声で言ったつもりだろうけど、僕にははっきりと聞こえた。

 

(カンパネルラ?まさか彼が動いているの?)

 

僕達(執行者)にとってカンパネルラの名前は大きい。盟主の代行No.0。純粋な戦闘能力なら僕が上だ。でも…勝てないだろう。

 

「今はお城に行こうよ。女王陛下も待ってるし」

 

今は考えてる場合じゃない、僕は遊撃士だ。今は今だけは素直にレーヴェの帰還を祝福しよう。

 

 

 

 

俺達エステル、ヨシュア、アガット、アネラス、フィーの6人は謁見の間にいた。周りには見覚えのある顔が大勢いる。中でも一番の視線はあの女、カノーネだ。リシャールを操った俺を憎んでいるのだろう。だが、何故かリシャールは笑顔を浮かべているが。

 

「久し振りですね、剣帝レオンハルト」

 

「…ハーメルの事を聞いた。帝国に交渉してくれた事、ハーメルに居た全ての命に変わり感謝する。俺よりも先に死んだ奴等にとって、ヨシュアが献花してくれた事は嬉しいはずだ。……ありがとうございます」

 

俺は跪いた。全ての感謝を伝える為、まだ顔は合わせられない。俺はハーメルの悲劇を忘れない。だが、今を生きる者達の為には、俺の恨みなぞ些細なものだ。

 

「いえ、ハーメルの悲劇を…国民の為とはいえ帝国と協議し隠蔽したのは私達でもあります。貴方の怒りは最もです。ここで貴方が私を討とうとも、この国の兵士は貴方を捕らえることは致しません」

 

「あっ!あんですってぇ!クローゼ!どういう事なのよ!」

 

クローゼ、クローディア妃殿下か。影の国でも、あの剣さばきは記憶に残っている。

 

「陛下はこの再会で、ご自分の罪を命で償いこともじさないと、おっしゃいました」

 

「巫山戯るな、一国の王がただの復讐に命を差し出すだと?俺は確かにリベールが憎いたが、それでも俺はこの国を…人を信じると決めた。それに…ヨシュアの恩人を殺したくない」

 

これは俺の本心だ。それを信じるかはこいつ等次第だがな。

 

「ありがとうございます」

 

女王との謁見は終わった。もう、ここに用はない。今はレンに会いそして……

 

気付くとバルコニーにいた。俺が、ロランス・ベルガーとしてエステル達と戦ったこの場所。未だに鮮明に覚えている。

 

「ぐぅ…」

 

身体中から張り裂ける様な痛みを感じあの時の様に血を吐く。

 

「おいおい、そんな体でどうするつもりだ?」

 

「…カシウス・ブライト」

 

「影の国では会わなかったな、こうしての再開を祝いたい。どうだ?小さいが、宴会が開かれているぞ?」

 

カシウス・ブライトか俺に何を言いたいのかは知らん。だが、無用なお節介をやこうとしているのはわかる。

 

「ヨシュアの事は感謝している。だが、俺に関わるな」

 

「嫌われたものだな、だが俺の息子の為にもだ。お前を気絶させて病院に運ばせて貰うぞ」

 

「来るか、剣聖!」

 

「悪いなぁ、今は棒術なんだ!」

 

一撃だった。普段の俺なら簡単にいなせるはずの一撃が俺の腹に入る。

 

「ぐ」

 

「今のも防げない、その状態でどうするつもりだ?剣帝、お前の事を考ている弟分の事を忘れるな?」

 

「…肝に銘じ…よう」

 

俺は意識を失った。これがさらなる異変に繋がるとは俺は思ってもみなかった。

 

 

 

 

 




さあ、リベールへと帰還したレーヴェ。かつての仲間達と再開することができるのか、そして身体は大丈夫なのか!それはこれからのお楽しみ!


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第8話

剣聖との打ち合いに敗れる剣帝。気絶した彼が目覚めた場所では何人もの人間が深い眠りについていた。剣帝はかつての仲間の存在を感じ取り、行動を起こす。


見覚えのある天井だった。王城の一室だろう、カシウス・ブライトに倒された俺は恐らくこの部屋に運ばれたのだろう。だが…何故だか懐かしいと感じてしまう。ん?懐かしい、何を言っているんだ。ここはハーメルの俺の家だろうに。

 

「レーヴェ、レーヴェったら!」

 

「カリンか、まったく…」

 

幼馴染みのカリンが泥だらけになりながら俺の家の扉を叩いているのが見える。弟のヨシュアの姿は無く、慌てているのだけがわかる。

 

「レーヴェ…どうしよう。ヨシュアの大切にしてるペンダント、どこ探しても見つからないの!お願い!探すの手伝って!」

 

「馬鹿だ…」

 

弟の宝物を何故無くす?俺はカリンの行動に対して頭を抱えた。ヨシュアは俺にとっても大切な弟分だ。…泣き虫なのが玉に瑕だが。

 

「それで、どんなペンダントなんだ?」

 

「うん、本当に細かくだけど風属性のセピスが付いてるやつ。お願い、手伝ってください!」

 

俺はそれを聞いて余計に頭を抱えた。それはあの泣き虫のヨシュアが自分で魔獣を罠にかけ、倒した時に手に入れた物で作ったカリンへの誕生日プレゼントのハズだ。

 

「まったく…お前という奴は」

 

「だからお願い!」

 

ここで無視して二人の仲が拗れるのは不味い。俺は、、、待て、何故カリンが生きている。カリンはあの時殺されたハズだ。

 

「もう良い」

 

「え?レーヴェ、どうしたの」

 

「ルシオラ!お前しかいない、ここレベルの幻術を俺に仕掛けられるのはな!」

 

「レーヴェ?!」

 

「消えろ、カリンは……もう居ない」

 

何処からか現れたケルンバイターでカリンを斬る。流れ出る血も本物の様に感じるが、世界が暗転し、王城の一室で目覚めた。

 

「…ルシオラとブルブランか」

 

「ふっ、完璧に気配を消したのだが。流石だな、我が友は気付くか」

 

「あら、速かったわね。どんな方法で帰ってきたの?」

 

「俺の心の弱さを消しただけだ」

 

カリンは死んだ。だが、俺とヨシュアの思い出の中で生きている。それでいい、それで良いんだ。

 

「そう、改めて久し振りね。レオンハルト」

 

「君が生き返った話を聞いてね、私は居ても立っても居られず、幻惑の鈴と共に来たのだが。どうやら、面倒な事になっているようだ。友よ、いやレーヴェ。君のその姿、まるで火焔魔神の様だ」

 

ルシオラが気を利かせ鏡を渡してくる。そこにはあの黒騎士の姿が映っている。

 

「ぐっ」

 

ドクンと俺の鼓動が響く。すると、あの姿から普段のコートに変わった。

 

「まるでリィン・シュバルツァーの力の様だ。…彼は姿まで変わりはしないがね」

 

リィン・シュバルツァー、帝国で出会った八葉の使い手か。

 

「ところでレーヴェ、貴方はこれからどうするの?」

 

「さぁな、少なくともハーメルでの借りがある。結社の幻焔計画か、あれを打ち砕こうと考えている」

 

俺の言葉にルシオラは目を見開き、ブルブランは笑った。

 

「貴方は、一人でも戦うつもりなの?」

 

「ククックハハハ!流石我が友だ、良いだろう。私は君を最大限支援しよう!」

 

その時だ。間が悪すぎた、話し込んでいた俺達の部屋に遊撃士達が入ってきた。

 

「なっ!てめぇ、怪盗紳士!」

 

「あははっ、少し予想外だね」

 

「あっ!あんですってぇ!」

 

アガット、ヨシュア、エステルは驚きの声をあげる。特にアガットに至っては重剣を何時でも抜ける様な体制にいる。

 

「久し振りだね、ルシオラ、ブルブラン。福音計画以来かな?」

 

「そうねぇ、MWLで占い師してた頃は貴方と彼女は訪ねて来なかったもの」

 

「私は何度かリベールやクロスベルにお邪魔していたが.君達は教団とレンに熱心だったからな」

 

アガットと今戦うつもりが無いと悟ったのか、体制を解いた。

 

「ルシオラ、確か幻惑の鈴だよな?シェラザードの奴が探してたぜ」

 

「……そう、でも合う訳には行かないわね。私はシェラザードにとって仇でもあるのだから」

 

「そんな!シェラ姉はそんな事おもってないわ、ルシオラお姉ちゃん!」

 

「…そうね、シェラザードならきっとそう。でも、私は駄目なの。だから、ごめんなさいね」

 

シェラザードがそう言うと濃霧があたりに現れる。

 

「うそっ、これってロレントの時の!」

 

「ルシオラ!まさか、まだゴスペルがあるの?!」

 

「ヨシュア、違うわ。ゴスペルはない、でもこの王城一つに幻術を起こすのは造作もないわ」

 

「くっ、ロレントには行ってねぇが…くそ」

 

アガット、エステルが倒れ残るはヨシュアのみ。

 

「…ブルブラン、ヨシュアは連れて行く。レンの所までな。そこで改めて話をしたい」

 

「良いだろう、来るかヨシュア」

 

「…わかった。レーヴェが何をするのか、僕も知りたいからね」

 

王城から抜け出すのに苦労は無かった。全員が幻術にかかり朝まで目覚めることは無い。俺は堂々と、バルコニーに相棒を呼んだ。

 

「来い、ドラギオン」

 

「ギャァァァス」

 

機械の咆哮が轟く。そして、バルコニーにドラギオンが現れる。

 

「ドラギオンの背に乗れ」

 

全音が乗ったのを確認し、ジェニス王立学園に向かった。

 

「まだ明かりが付いているんだな」

 

「あぁ…私の時もある程度起きていた。しかし、懐かしい。我が美のライバルとの出会いの地へと再び舞い戻る事になるとは」

 

バレてしまう前に旧校舎にドラギオンを下ろす。そして俺は行動に移る。

 

「レンを呼ぶ。猛れ、ドラギオン!」

 

「ギャァァァァァ!」

 

凄まじい咆哮、あたりにそれが響く。警備がいるのなら、真っ先に来るだろうが…誰よりも速く彼女は現れた。

 

 

 

 

私が鎌の手入れをしていると、結社の人形兵器の叫び声が聞こえてきた。私を呼んでいるのだと思う、学園の制服のまま飛び出したわ。

 

「レディを呼びつけるなんて、おかしいんじゃないの?あら、ヨシュア。エステルと違ってブルブランにルシオラ?結社にでも戻るつもりなのかしら」

 

「違うよ、レン。仕方ないけど邪魔はされたくないし、ルシオラ、幻術を頼める?」

 

「安心なさい。既に出してあるわ、学園の人間は朝まで起きることはないわ」

 

かつて福音計画を共に行った執行者達が私の前にいる。ヨシュアは違うけど、同じようなモノね。でも、ヨシュアが会いに来るだけなら明日訪ねてこれば良いだけ、今なんておかしな話よ。

 

「流石の仕事だな。ドラギオンを隠す理由はなかった訳か」

 

聞き覚えのある声、二度と聞けない声。私はそれに向かって鎌を振るった。

 

「一撃の鋭さは変わらないな。久し振りだな、レン」

 

「気安く呼ばないでくれる?そう、あなた達は博士が作ったのね、きっと偽物としてでなければ」

 

「お前を引き込んで…すまなかった。お前を執行者にしたのは俺が原因だ。お前の怒りは…最もだからな」

 

私は鎌を投げ出した。そして偽物や本物なんてかんけなく、レーヴェに抱きついた。

 

「…なんで…なんで…その姿なの…レンは…レンは…レーヴェも大好き…だった…のに」

 

泣く私の頭にレーヴェは手を乗せ、ただ一言。

 

「すまなかった」

 

と言ったわ。泣き止んで、改めて話をすると驚きの連続だったもの。涙なんて一瞬で乾いたわ。

 

「レーヴェ、その身体大丈夫なの?」

 

「解らないとしか言えないな。自分の意志で黒騎士の姿に変われるが、激しい痛みが代償と言うのは戦闘面で困る」

 

そう言ってのけるレーヴェに呆れつつも、レーヴェの目的を聞いて私も協力する事にした。

 

「ヨシュアはどうするの?エステルと離れる事になるけど」

 

「うん、でも今回僕は漆黒の牙として動く。レーヴェを助けたいからね」

 

ヨシュアの瞳には覚悟が見えたわ。私も殲滅天使として頑張らないとね。

 

「ふふっ、ならば……目的地は魔都をオススメしよう。彼の地で結社はある実験をするらしい。魔女からの押し売りだがね」

 

「…ヴィータか」

 

また懐かしい名前が出てくるわね。魔女さん、レーヴェの事好きだったようだけど、跳び上がったりするかしら?

 

「5月にはクロスベル入りしたほうが良い。それまでは、しばしの休養だ」

 

「…わかった。ヨシュア、俺はルシオラ、ブルブランと行動を共にする。時が来れば、迎えに行こう」

 

「ええ、まったく大変な事しかしないお兄さんだこと」

 

「…エステルの説得は期待しないでね」

 

ヨシュアの弱々しい声を聞いたレーヴェはあの時の様に笑ってドラギオンで飛んでいった。

 

「さてヨシュア、私もエステルの所に行かせて」

 

「レン?」

 

「旅支度ぐらい自分でするわ、それともヨシュアは私の私物品も管理したいのかしら?」

 

「…もう」

 

ふふっ懐かしいわね。結社の時みたいだけど、あの時よりもずっと楽しい。レーヴェ、私を助けてくれた借りは返すから。

 

 

 




遂にレーヴェ、ヨシュア、レンが再開!さらにここでルシオラとブルブランも入れました!書いててだんだん次はどうしようかと悩んでいます!


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第9話

時は過ぎた。剣帝との再会を果たした漆黒の牙、幻惑の鈴、怪盗紳士、殲滅天使。彼等は剣帝と共に魔都クロスベルへと侵入を開始した。そして…そこにはかつて敵対した山猫号の姿があった。


「しかし、生きてたとはな。ジョゼットの話じゃ影の国で消滅したって聞いたけど」

 

「かつてお前達を利用した男に対して、少し呑気過ぎるのではないか?ドルン・カプア、キール・カプア」

 

今俺達はカプア宅急便の山猫号に乗艦している。俺と関わりがあり、ヨシュアの推薦で選んだがまさかあれから事業を拡大しているとはな。

 

「確かにな、でもよ。俺達はリベールであった事はある意味思い出になってるんだ。あれがあったから、王女様から恩赦も受けれたし山猫号も帰ってきた。犯罪者としてじゃなくて普通の人として、表を歩けるしな。だろ?ドルン兄」

 

「あぁ、確かにお前と俺達はあった!でもなぁ!既に終わった事だ!…だからなお前も気にするなよ」

 

ふっ、まったく…俺もこんな仲間がいれば間違いを犯す事も無かったんだろうな。

 

「レーヴェ、ドルンさんとの話は終わった?」

 

「よぉ、ヨシュア!今終わったところよ!」

 

「よっ!あの時より良い顔してるじゃないかヨシュア!」

 

「ドルンさんも、キールさんも、茶化さないで下さい。誰でも死んだと思っていた兄弟が帰ってきてくれれば嬉しいですよ」

 

兄弟か、嬉しさと何だろうな。長らく抱いた事のない感情だ。そして、俺は笑う様になった。自分でもわかる。結社の時の様な俺の心は癒やされている。

 

「友よ」

 

「ブルブラン、俺の事はレーヴェで良い」

 

「そうか、ではレーヴェ。もうすぐクロスベルだ。帝国の対空レーダーはルシオラの幻術で騙せるが、何処に着陸するかは考えてあるのか?」

 

「ヨシュアから話を聞いてな。開けた位置がある、そこに着陸地点にしようと思っている」

 

ヨシュアの情報を聞いた俺は仲間の安全の為に帝国軍に対して陽動を仕掛ける事にした。

 

「先に俺は出る。帝国軍の警備を軽くしてこよう」

 

「あはは、レーヴェ。お手柔らかにね」

 

「安心しろ、あまり殺しはしない」

 

俺は山猫号のハッジから飛び降り、ドラギオンを呼んだ。

 

「ギャァァァス」

 

姿を見られる訳には行かない、すぐさま姿を変化させる。

 

「ふっ、黒騎士が相手になる」

 

帝国軍を煽り、すぐに発見される。

 

「ともに行くぞ、ドラギオン!」

 

ドラギオンを上昇させ俺は背から飛び降りる。

 

「はぁ!」

 

「何だ!」

 

「エンジンが、、、エンジンが動きません!」

 

すれ違いざまにエンジンを斬りつけ、航行不能にする。あの時はドラギオンの背に乗りながらだったが、今は…

 

「ふっ…」

 

「対空砲撃て!」

 

何機も斬りつけていると陸上戦力も出てきた。だが、その程度で俺とドラギオンは倒せん。

 

「ドラギオン、お前はそのまま空を排除しろ」

 

「ギャァァァス」

 

俺はドラギオンの背からの飛び降り、帝国の機甲師団の前に立つ。通常の人間なら死ぬ高さだが、俺にダメージは無い。

 

「撃て!」

 

機甲兵、戦車、その程度で俺は止まらん。

 

分見を使い今回は6人になる。

 

「「受けてみよ、黒騎士の一撃を!」」

 

6人の俺が同時に鬼炎斬を放つ。戦車、機甲兵、全てが爆散しあたりを鉄屑へと変貌させる。

 

「くっ黒…騎士」

 

生き残った女兵士が俺を睨む。TMPと書かれたその軍服は血にまみれ、煤けている。

 

「レーヴェ、陽動はもういいよ。僕達はクロスベル市に入った。後は離脱して!」

 

「…わかった。運が良かったな。ドラギオン!」

 

ドラギオンを呼び背中に飛び乗る。ドラギオンは多少ダメージを受けていたが、機神と化した事で手に入れた自己修復能力ならすぐに直る。

 

「ドラギオン、お前は自身の判断で行動しろ。呼び出す必要があれば、呼ぶ。それまでは自由だ」

 

「ギャァァァス」

 

魔都クロスベルの直上で俺は飛び立った。ドラギオンはそのまま何処かへと飛んで行った。

 

「ふっ」

 

着地までに姿を戻す。ついたのは真新しい廃ビルだった。さっさと飛び降り闇に紛れる。

 

「あら、レーヴェは支援課のお兄さんのビルに降りたのね」

 

「支援課?なんだそれは」

 

「特務支援課、ここにいる僕等は少なからず関わりがあるんだ」

 

ヨシュアが懐かしむ様に話す。そうかお前の友人なんだな。

 

「まずは拠点が必要だ。俺はクロスベルには任務以外で来た事がない。何処か拠点になる様な場所はないか?」

 

「う~ん…ローゼンベルクのお爺さんならどうかしら」

 

「マイスターか…現在のクロスベルに居るのか?それ以上に、13工房か。アレは結社と関わり深い…」

 

「わかったわ。レンはお爺さんの方を訪ねてみるわ。レーヴェ達とは別行動ね」

 

「…今更お前にかける言葉では無いが、気を付けろよ」

 

「えぇ、ここ(クロスベル)にはレンの大切な者があるし」

 

レンはそう一言述べると、クロスベル市内へと消えた。

 

「なら、私はミシュラムの伝手を使ってみるわ。クロスベルにいた頃に世話を焼いてあげた人がいるし、期待はしないで」

 

ルシオラは幻術を使い俺達の前を離れた。

 

「拠点ではないが、私は情報を集めてこよう」

 

ブルブランは転移の魔法を使い離れた。奴も。ヴィータとは別な意味で魔法使いだな。

 

「あまったのは俺とヨシュアか」

 

「…クロスベル。レーヴェ、一度港湾区に行こう。伝手じゃないけど、クロスベルを良く知る人達への足掛かりならあると思う」

 

「わかった。行こう」

 

俺はヨシュアに連れら港湾区に連れてこられた。ミッシーと言う鼠か猫のキグルミが客寄せをしている。

 

「ここだよ」

 

「黒月(ヘイユエ)貿易公司」

 

たしかカルバードの頂点に位置するマフィアだったハズだ。結社の頃に何度か相手をしたこともあったな。

 

「失礼します」

 

「ほぉ、珍しいお客様ですね。お久し振りですヨシュアさん、ソチラのお方は初めてでしたね」

 

「レオンハルトだ。単刀直入に聞こう。《銀》は何処だ?」

 

「レーヴェ?!」

 

「カルバードの黒月には《銀》と言う凶手がいたはずだ。ヨシュア、恐らくだが現代の《銀》がお前の言う足掛かりなのだろう?」

 

「フフフッ、素晴らしいですね。剣帝レオンハルト。死んだという情報は間違いのようですね」

 

この男、始めから気付いていたな。黒月は帝国にも耳があると考えた方が良いかもしれないな。

 

「《銀》の居場所。良いでしょう、貴方方が居れば面白い事になりそうだ。クロスベルにはジオフロントと呼ばれる地下施設があります。そして現在ラインフォルト社クロスベル支部となっている場所には特務支援課に在席していたメンバーが研究員として活動しています。私の言葉は…ヨシュアさん。貴方ならわかりますね」

 

俺はヨシュアとアイコンタクトを取り、共に頷き合う。

 

「うん、大丈夫。そうだ、今夜は気を付けてね。帝国軍が騒がしくなるかもしれないから」

 

「……わかりました」

 

黒月との会話は終わった。目的とは違うが面白い情報が手に入り俺は夜の作戦を考える為、ヨシュアと宿を取った。東方人街の宿だ。仲間達にそれをアークスで伝え作戦会議へと移った。

 

 

 

 

そのシスターは見ていた!

クロスベル中央区を一人のシスターが歩いている。カゴいっぱいにパンを持ち、大きなバケットを可愛らしく頬張る。

 

「ん~ふうひつのふほふへふははいほふへ」

(ん~休日のクロスベルは最高ね)

 

彼女は従騎士として一人の騎士を支えている。今日は休日でありパートナーに無理を言い、わざわざクロスベルのパンを食べに来たのだ。彼女が食べながら移動し、カゴからパンを取ろうとするが入っていない。

 

「はぁ、美味しかったな」

 

残念がりながら空を見上げるとかつて影の国で退治したドラギオンが飛んでいた。そして背中から忘れるはずのない姿、黒騎士が降りてきた。黒騎士は途中で姿を変え、支援課のビルに着地。教会騎士として、彼女は訓練されている。バレない位置から、その姿を確認した。

 

「剣帝」

 

黒騎士の正体であり、既に死んだ男性。死人とは思えない。後をつけると怪盗紳士ブルブラン、幻惑の鈴ルシオラ、殲滅天使レン、漆黒の牙ヨシュアが立っていた。各人はそれぞれ何処かへと移動した。彼女はすぐに端末を開き、パートナーに連絡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




特務支援課いや、ロイド・バニングスへの足掛かりを探す二人。しかし、それは至難の業だった。
漆黒の牙は再びその手を汚す事になる。


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第10話

ラインフォルト社クロスベル支部潜入作戦。彼等にとって一大イベントとなり得るものだ。彼等はそれぞれ伝手から情報を集めてくる。


「ふむ、ならば……私が誘拐でもしようか?一番手っ取り早い事ではある」

 

ブルブランの返答に悩みながら周りを見る。ルシオラは微笑むだけだが、ヨシュアとレンは口を開いた。

 

「あら、ならお茶会はどうかしら?私が招待状を

出してあげましょうか?」

 

お茶会か。リベールの時を思い出す。確かにブルブランの謎解きよりもレンのお茶会の方が特務支援課と会うのには良いかもしれない。

 

「どちらにしても誘拐は変らないね」

 

「違うわ。レンとヨシュアがいれば支援課の人は事情を察してくれるはず。レーヴェ達は駄目だけど、レンとヨシュアだからお茶会ができるのよ」

 

「ならば、俺は帝国兵を集めよう。総督府で戦えば嫌でも集まってくる」

 

「レーヴェ、気を付けてね」

 

「なら私とブルブランでラインフォルトに幻術をかけましょう。レンとヨシュアを回収したらレーヴェ貴方の回収に向かうわ」

 

レンの言葉により夜分ラインフォルト襲撃計画は完成した。俺達は食事を取り、夜が更けるのを待った。

 

レーヴェSide

剣帝は一人路地裏に居た。月下に照らされその姿を変える。禍々しくも信念を思わせるその姿に。

 

「民間人に被害は最小限に」

 

罪もない人間を殺すほど俺は落ちぶれてはいない。そんな事をすれば修羅でもない、ただの人殺しに成り下がるだろう。それは認めない。俺はケルンバイターを抜き、月光に照らされたその刀身を見る。まるで、俺を悲しむかの様に青白い輝きが起こる。

 

「済まないな。折れて…そしてもう一度俺の手に戻ってくれた。その力、借りるぞ」

 

ケルンバイターはまるで頷く様に輝きが消えた。

意思があるのか等はどうでもいい。死人であり、黄泉帰った俺にとって無意味なことだ。

 

「総統府、警備は少ないな」

 

「貴様、黒騎士!」

 

俺が現れるとゾロゾロとまるで虫の様に敵が現れた。斬りかかる者は腕を斬り落とし、銃を撃つ物はその銃を奪い、肩に弾丸を撃つ。

 

「殺しはしていない。ただ、重症になるだけだ。手当が遅ければわからんがな」

 

悲鳴とうめき声の中を進む。黒騎士の状態では傷は速く治る様だ。かすり傷が何箇所ができたのだが、すぐに塞がっていた。

 

階層を上がるにつれ、兵士の動きが段々と良くなっている。これは優秀な指揮官が居るようだ。そいつを制圧なり、重症なりすれば任務完了だ。

 

「ふむ、君が件の黒騎士か。一体何用かな?」

 

兵士達が護っていた部屋の中では金髪の男が騎士剣を帯剣し待っていた。

 

「このクロスベルの混乱と災厄…と言えば納得か?」

 

「……良いだろう、私が総督を務めるクロスベルでの蛮行はこれ以上許す事はできない」

 

「お前、名前は」

 

「ルーファス・アルバレア」

 

「…黒騎士」

 

俺のケルンバイターについてくる剣撃。実力は間違いなく執行者並だ。だが………遅い。

 

「くっ」

 

「しっ」

 

仕留めたと思ったが、ルーファスはぎりぎりで身を翻し、致命傷を避けた。この狭い部屋での身のこなし、普通の剣術を極めたものではない。戦いつつも全てを把握し、自分に利用する。恐ろしい存在だ。

 

「そろそろ私の勝ちだ。黒騎士殿、貴方を確保させて頂く」

 

「無駄だ」

 

扉の外には何人もの気配がする。恐らくは、俺を捕まえる為だろう。しかし、その程度で俺が捕まると考えている方がおかしい。

 

「止まりなさい黒騎士」

 

「無駄だと言ったのがわからないか」

 

ケルンバイターを構え闘気を纏う。そして

 

「あの青年の技だが、受けてみよ。八葉一刀流」

 

「まさか、リィンさんの」

 

「これは以外だな」

 

「七の太刀・落葉」

 

リィン・シュバルツァーだったな。他流の技だが、使いやすいものだな。

 

「さて、目的は達し」

 

「まっ!待ちなさい!」

 

俺は目の前のガラスをケルンバイターで割り、暗い闇に飛び出した。

 

「ドラギオン」

 

「GAAAAA」

 

俺の目的は達したが…ヨシュア達か。世話の焼ける弟だ。

 

「ヨシュア、乗れ!」

 

「レーヴェ?!」

 

「あら、真っ赤っ赤ね」

 

「レンちゃん、ヨシュアさん待ってくだ…結社の人形兵器?!」

 

 

 

 

ヨシュアSide

爆発音や銃声がそこら中から聞こえてくる。クロスベル警察の人達は市民の避難を進めている。

 

「ヨシュアも手伝いたくなったのかしら」

 

「うん、でもクロスベル警察は僕達が思っているよりすごいさ」

 

「そうね、なんと言ってもあの支援課さんたちの仲間だもの」

 

そして見つけた。支援課が解散されてもたった一人で避難誘導している少女。いや、隣には変わった人が…

 

「ねぇ、あの人。ラインフォルトの次期社長のお姉さんじゃなくて?」

 

「あはは、これは以外だな。まさか、彼女もいるなんて」

 

「もぅ、こう言うのも調べておくべきでしょ?レーヴェもヨシュアも抜けてるんだから」

 

「…返す言葉もないよ」

 

レンの辛辣な言葉を受けつつも、僕は避難が完了したラインフォルトビルの前にたった。フードを被って二刀流の青年に大きな鎌を構えた少女。警戒しないはずないもの。

 

「あなた方は引退した筈ではないですか?No.ⅩⅢ漆黒の牙、No.ⅩⅤ殲滅天使」

 

「結社の執行者?!」

 

「レンちゃん?!」

 

「支援課のお姉さん…う~ん私からしたら支援課のお姉さんってあの胸の大きなお姉さんなのよね」

 

「な!私だってないわけじゃないです!それにロイドさんにも!……あっ」

 

「へぇ…支援課のお兄さんにも……なに?レン、教えて欲しいなー」

 

「レンもティオさんも…はぁ。エステルが居なくて良かったよ。居たらもっとひどい事になってただろうし」

 

僕達はもう正体とか関係なくなったけど、取り敢えず争う気は無いし、僕達は武器をしまった。

 

「ティオさん、久し振り」

 

「ええ、それでヨシュアさんはどうしてクロスベルに?確か、帝国から要注意人物と指定されていたはずですが」

 

「それは…はい。僕達はほぼ密入国しています。そして…ティオさんに協力して欲しいんです。ロイド達と会うために」

 

「ロイドさんと?」

 

「はい、ティオさんを誘拐すればロイドたちは必ず出てきます。本当なら銀さん経由で話たかったんですけど、黒月にティオさんの事を言われて」

 

ティオさんは話を聞くと悩んだ素振りを見せず、すぐに頷いた。

 

「アリサさん、きっと直ぐに戻りますから。私が誘拐された事広めておいてください!」

 

「えっ、ティオ主任?!」

 

「ほら!行きますよ!」

 

説得というか、逆に連れて行かれる姿には流石のレンも笑っていた。ラインフォルトの人はクルーガーさんの言葉で納得していたけど、でもさらなる爆弾がここで現れた。

 

「ヨシュア、乗れ!」

 

「レーヴェ?!」

 

「あら、真っ赤っ赤ね」

 

「レンちゃん、ヨシュアさん待ってくだ…結社の人形兵器?!」

 

まさかのタイミングでレーヴェが現れた。しかも変身を解除した状態で。

 

「死線か、お前がラインフォルトに侵入して以来だがだいたい10年振りと言ったところか」

 

「ええ、剣帝レオンハルト。生きていたのですね。そして、この混乱はやはりあなた方が引き起こしたのですか!」

 

「愚問だな、クルーガー。お前もこれ以上の惨劇を起こし、その姿は血にまみれている。俺と変わらん。月光木馬團、破戒や黄金蝶と同じそこの女がお前のしてきた事を知れば…フッ」

 

「レーヴェ!」

 

「…お前は諸善裏の人間。俺と同じだ。ヨシュアやレンと同じ様に表として生きたいのなら、お前はその女を護れ。俺達から、それが出来ないのなら、今ここで散れ!」

 

「私は死にません。お嬢様を…守るために!」

 

「行くぞ!クルーガー!」

 

僕とレンはティオさんとラインフォルトの女性社員さんに手を出さない様に言い。二人の立会人となることを選んだ。

 

「レーヴェも素直じゃ無いよね」

 

「えぇ、死線さんとは話した事は数える程しか無いけど、結社よりも表にいる方が彼女にとっても…ね」

 

レーヴェは僕とレンを結社から遠ざけようとずっと思ってた。もしかしたら、レーヴェにとってもこれは償いなのかもしれない。

 

 

 

 




魔都の夜、警備が追いかけてくる刹那の時間。死線と剣帝は争う。死線の本心を知る為、己の目的の為、戦いはまだ終わらない。


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第11話

己の道を通す為、死線は剣帝にその刃を向ける。剣帝はその真意を確かめる為、死線にその剣を向ける。
血と硝煙の起こるクロスベルの夜、二人の意思はぶつかり合う。


クルーガーの放つ糸を俺はケルンバイターで切り裂く。正面からの攻撃を無効化すると、今度は後ろ、そして直上からも俺へと糸が襲いかかる。

 

「腕を上げたな、クルーガー」

 

「えぇ、お嬢様のメイドとして覚えなければいけない事が沢山ありましたので」

 

「シャロン!」

 

叫ぶ少女を尻目に迫りくる移動しをただただ切り裂く。

 

「貴方はより鋭さを増しましたね」

 

「死んでから、より世界が見えるようになってな。己の弱さをより実感した」

 

軽口を言いつつも俺と死線の戦いに終わりはない。奴の好きを付き俺はケルンバイターを腹に

 

「シャロン!」

 

その時、俺の身体に導力矢が刺さった。ダメージは無いが、それが連続して行われる。死線から離れるしか無かった。

 

「私は、貴女に護られるだけの私じゃないの!」

 

「…お嬢様」

 

「…貴方が誰とか関係ないわ!私の!私の家族を攻撃するのなら!私も戦う!」

 

決意の目だ。俺は名前が知りたくなった。この目を、俺は4年前リベールで見ている。

 

「お前、名前は」

 

「…私はアリサ!アリサ・ラインフォルトよ!」

 

アリサはそう叫ぶと剣帝に向かい導力弓を向ける。そして矢を放った。

 

「正面からなぞ無駄だ!」

 

ケルンバイターにかき消される矢しかし、その一瞬で糸が迫る。

 

「無駄だ」

 

腕で糸を掴む剣帝。通常なら触るだけで腕は切り裂かれるが、剣帝は何事も無い様に掴み、そして手繰り寄せる。

 

「お前が離せば逃げられるぞ?」

 

「シッ!」

 

剣帝の左腕も糸で固定する死線、それは既に力比べにも等しい物へと変化していた。

 

「どうした?」

 

「私…は」

 

剣帝の力に引き寄せられる死線の体。アリサはどうにかして死線を助けようとするが、剣帝はそれを見越し、常に死線が射線に来るように動いている。

 

「見えなくてもこれなら当たるわ!メルトレイン!」

 

矢の雨が剣帝に降り注ぐ、即座に離れのようと糸を斬ろうとするが、それを死線が邪魔をする。

 

「させません」

 

「ちい!」

 

矢の雨は剣帝に降り注ぎ、剣帝は撃たれる。振り解こうとするが死線は邪魔をし続ける。

 

「ダメージが多いな」

 

「降参かしら!」

 

「お嬢様、お逃げください!きゃあ!」

 

死線が離されその肉体がアリサへと投げられる。アリサは死線の身体を受け止めると、改めて導力弓を構える。

 

「有り得ないわ」

 

「剣帝、その姿は」

 

「黒騎士、俺の新たな力だ」

 

姿が変わった剣帝、いや黒騎士はケルンバイターを改めて死線に向ける。

 

「終わりだ死線のクルーガー」

 

「お嬢様!」

 

死線はアリサを守る為に糸の結界を作るが、黒騎士の無慈悲な一撃を防ぐ事は叶わなかった。

 

「受けてみよ、剣帝の一撃を!」

 

剣帝はSクラフト鬼炎斬を放つ。

 

「冥技・死縛葬送」

 

死線も対抗するためにSクラフトを放つが剣帝には届かなかった。投げ出される身体、斬られるメイド服。肉体からは既に血が流れている。しけし、剣帝は歩みを止めない。死線へと止めを指すためゆっくりと、そして着実に近付いていく。

 

「シャロンは…殺させない」

 

「お嬢様!おやめ下さい、ご自分の」

 

「シャロン、私は貴女のことを本物のお姉ちゃんだと思っているわ。何時も助けてくれて…大切な人の一人!そんな人を護りたいの!私は!」

 

「ほぉ、ならば……」

 

「ジブリールアロー!」

 

「「無駄だ」」

 

剣帝は分見を使い、二人になるとアリサに迫る。そして同時にケルンバイターを振り降ろした。アリサはそれを導力弓で防ぐが、二人の攻撃で3つに斬り落とさせる。

 

「私は…(ごめんなさい、シャロン、お母様、お祖父様……ごめんね…リィン)」

 

死ぬとわかっていても、その目には闘志が残っていた。武器を斬られ、何もできなくなった。しかし、その目は最後まで剣帝を見続けていた。

 

「…合格だ」

 

「…え?」「何を」

 

「死線、いやシャロン・クルーガー。お前にも、俺と同じ様に家族が居るんだな。敢えて言おう、お前は間違えるな。この家族を、お前を姉と慕う女を、お前は裏切れるか?もし…いや、必ず選択の日が来るだろう。お前は…かつての俺の様になるな。クルーガー、お前は結社に居るべきではない」

 

剣帝はそれだけを話すと仲間の元へと向かった。

 

「あら、速いのね」

 

「行こうかレーヴェ」

 

「ドラギオン!」

 

「ギャァァァ!!!」

 

「う~んと、ロイドさん。ごめんなさい!」

 

仲間とその友人を乗せ、ドラギオンは大空へと羽ばたいた。迫りくる帝国軍をスクラップへと変えながら。

 

 

 

 




今回はかなり短くなってしまいました。シャロンが嫌いな訳じゃありません。ただ、マクバーンの様に執行者対執行者が上手く書けないだけです。
でも、私の中ではレーヴェがNo.1ですからね。
あれ?ブルブランとルシオラって何処だっけ


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第12話

ティオ・プラトーを連れた剣帝の一行はとある場所に身を隠した。それは仔猫に取って最も関わりの深いマイスターの邸である。主のいない邸にて、剣帝達は魔都で初めての深い眠りをとった。


「不法侵入罪なのですが」

 

「ふっ、俺達にはその程度だな」

 

「あはは…ティオさん、ごめんね」

 

「う~ん、導力ネットで何とか支援課のお兄さんに連絡が取れたわ。多分数時間したら来るんじゃないかしら?」

 

そう言うとレンは俺に導力端末を見せる。メッセージ機能を使いロイド・バニングスと言う男に連絡したようだ。

 

《魔都において並ぶ者なき捜査官殿へ

私の主催するお茶会に参加しませんか?

参加者は魔都の楽園、その妖精を愛するエプスタインの申し子。そして永遠に己を喰らい続ける蛇から4人、会場はかつて私の機と両親が傷を癒やした地。是非とも参加お待ちしています

仔猫より》

 

「似合わんな」

 

「そんな事言わなくても良いじゃないの?」

 

「確かにね、昔からレンのお茶会は何かしら問題が起きてたからね」

 

3人の語らいをブルブランとルシオラは見る。二人にとって剣帝は友人と言える間柄であり、ヨシュアとレンは幼かった事もあり、自身らの弟と妹の様に接してきたからである。

 

「しかし、今日は災難だったな」

 

「確かに、我が友はかの新総督殿と相見えたそうじゃないか。ふっ、その勇姿見れないのが残念だよ」

 

「……もうさ潜入は僕かブルブランがやろうよ。レーヴェに任せてたら気が気じゃないよ」

 

「そうね…ヨシュアには未だに隠れんぼで勝てないもの」

 

陽動、潜入、俺も大抵の事はこなせるのだがこの頃は正面突破での戦闘が多かったせいか、焼きが回っているな。

 

「さて、彼等が来るまでは休んでいなさい。来たら、私が教えてあげるわ。レーヴェ、わかってるわね?」

 

「安心しろ、支援課の者達の実力を測るだけだ」

 

俺は素直にまだ見ぬ強者との戦いに期待をしている。特務支援課、レンとヨシュアからの話では鉄機隊ともやり合い、かの教団の残党を倒し、至宝の力を退けた。

 

「俺と違い、自身の信じる物を持ち今も戦い続けている。俺の様に人間に絶望してもおかしくないこの状況でもだ」

 

「レーヴェ、貴方は」

 

「俺は…どうしたいんだろうな」

 

一人、部屋を離れ空き部屋へと向かう。気配は無い、今は今だけは

 

「ゴフッ…ゴハッ……」

 

辺り一面を自分の吐いた血が染める。肉体、苦しさ、わかりきっている。彼奴等の前では何とか平常を保ってはいるが……俺の中で何かが叫んでいる。殺せ、破壊しろと、恐らくそれが俺を黄泉がえらせた何かなのだろう。そして…

 

「悪魔か」

 

影の国では奴等が何度も現れた。その一体が自分を器に具現化しようとしているのではないか?という不安を拭う。悪魔程度に俺は負けはしない。

 

「……くっ、ふぅ。問題ないな。それよりも」

 

俺は屋敷の外に気配を感じた。人数は4人だ。普通誰かなどわからいハズだが、俺には確信があった。ヨシュア、レンの話を聞きそう思うまでに彼等の存在は俺に取って大きい物だ。

 

「来たか、特務支援課」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロイドside

「アリオスさん、リーシャ、キーアも、こんな事に突き合わせてすまない」

 

「ロイド、気にするな。仲間が攫われて動かない人間じゃないのは知っているさ」

 

「そうです、ロイドさんは私達のリーダーでもあります」

 

「キーアもだよ、大丈夫。ロイドだけじゃない、アリオスさんもリーシャも居るから!」

 

キーアだけじゃない、皆が笑顔を向けている。そうだ、俺には仲間がいる。今は居ないけどエリー 、ランディ、ノエル、ツァイト。必ずティオを助けて見せる。

 

「あら、支援課の皆さんいらっしゃい。お兄さんも久し振りね」

 

「あぁ、2年前以来だね」

 

「久し振りロイドさん」

 

「ヨシュア?!」

 

まさかエステルとパートナーを組んでいるヨシュアが敵に居るなんて…まさか結社に

 

「あっ、ロイドさんこんばんわ~!見てください、レンちゃんからリベール限定みっしぃを受け取ったんです!!!」

 

「え?」

 

誘拐されたと思ったティオだけど、みっしぃのぬいぐるみを抱きながら俺の所に走ってくる。おかしくて、懐かしくてつい笑いがこみ上げてきた。

 

「キーアちゃんもどうぞ!」

 

「わー!ティオありがとう!」

 

微笑ましくて、ずっと見ていられると思った時、二人が武器を構えた。俺はキーアとティオを守るようにトンファーを構える。

 

「ふっ、贈り物は喜んで貰えたようだな」

 

「お前は……!!!」

 

アリオスさんが驚愕した顔をしている。感じる、俺が到底敵わないレベルの実力者だ。

 

「風の剣聖か、教団壊滅以来だな。そして…そあかバニングス…あの刑事の弟か!」

 

「!兄貴を知ってるのか!」

 

「ロイド、下がれ。こいつは結社の執行者No.2剣帝レオンハルトだ!」

 

「!執行者?!」

 

「…ロイドさん」

 

俺は一旦トンファーをしまい、右手を出した。

 

「ガイ・バニングスの弟。ロイド・バニングスです。色々と言いたい事は有りますが…初めまして」

 

「執行者No.2剣帝レオンハルトだ。お前達への連絡手段がわからなかったのでな。ティオ・プラトーを誘拐させて貰ったしだいだ。すまなかった」

 

「いえ、ティオも楽しそうでしたし」

 

するとレオンハルトさんは目を閉じで俺に剣を構えた。

 

「ロイド・バニングス。俺と立ち会ってもらう。そちらは支援課として俺と戦って欲しい。魔都の護り手の実力、俺に見せて欲しい」

 

純粋な瞳で俺達を見る。皆、用意は終わっていた。

 

「特務支援課として、剣帝レオンハルト。誘拐の現行犯で逮捕します。…これで準備はできましたよ」

 

「そうか…ならば!」

 

激しい一撃が俺のトンファーを伝って身体にくる。でも、受け切れない物じゃない!

 

「セィ!」

 

「ハァ!」

 

「アリオス・マクレインか!」

 

俺が剣を弾くとそこにアリオスさんが一撃を与える。そして次はリーシャだ。

 

「逃しません」

 

「銀か!」

 

リーシャの振るう大剣をあの剣で受けて、アリオスさんへと飛ぶ。

 

「アリオスさん!」

 

「あぁロイド!」

 

戦術リンクを利用してアリオスさんの代わりに受ける。

 

「何!」

 

「連携なら…負けはしない!」

 

この中で俺は一番防御できる。なら、受けるのは俺の仕事だ!

 

「行けます!クリスタルエッジ!」

 

「無駄だ!」

 

「なぁ!アーツを斬った!」

 

ティオの放ったアーツが斬られる。これには驚きが隠せない。レンちゃんとヨシュアも驚いていたし…

 

「鳳凰裂波!」

 

「無駄だ!」

 

アリオスさんのSクラフトが防がれる。それ程の実力者と今俺達は戦っているのか!

 

「リーシャ!」

 

「ロイドさん!」

 

「「真!比翼双竜撃!!!」」

 

「ぐはっ」

 

レオンハルトさんが下がり、今度俺はティオと戦術リンクを繋げる。

 

「ティオ!」

 

「ロイドさん!」

 

「「ΩストライクⅢ!!!」」

 

遂にレオンハルトさんが膝を付いた。ソレを結社の人達が驚く様に見ている。あれ?占い師の人に、怪盗Bまで?!

 

「流石だな。この所、膝を付く事がなかったのだが…」

 

「改めて、俺は特務支援課のロイド・バニングスです。お話を聞かせて欲しいのですが」

 

「良いだろう、特務支援課。お前達に支援を要請したい」




動き出す剣帝と特務支援課。しかし、渦は加速する。現れる帝国からの雛鳥。魔都は再び炎に包まれる!


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第13話

剣帝達と特務支援課は向かい合いながら会談の姿勢をとる。結社の執行者である剣帝に対しロイドは警戒を抱きながらも、普段と変わらぬ顔で対面していた。


俺はレオンハルトさんの話を聞くため、ローゼンベルク工房の一室に通された。

 

「まず、俺は執行者No.2剣帝レオンハルトだ」

 

「特務支援課のリーダーを努めています、ロイド・バニングスです。俺達に支援を要請したいとの話ですが、いったい」

 

レオンハルトさんは俺を見ると重い空気になりながらも話し始めた。

 

「まずお前達も結社身喰らう蛇は知っているな」

 

「はい、アイアンリードさんと鉄機隊とは一度手合わせをした事があります」

 

「奴等が動いている。時期は…まだ解らない、ただ今月中に動き始めると俺は見ている。俺達だけではクロスベルで動くのは難しい地の利があり、なおかつ実績もあるお前達に支援を要請した次第だ。頼む、奴等の計画を潰す為に協力してくれ」

 

レオンハルトさんは俺達に頭を深く下げた、アリオスさんは激しい目を向けているが、ソレをキーアがやめさせた。

 

「アリオス…キーアね、この目判るよ。信じられる、私達と同じだよ…信じて」

 

「…キーア、君はこの男が何をしたか知らない。ティオ・プラトー、君は覚えているだろう。ガイに救われた時を、コイツは教団の科学者を目の前で殺した。この男に慈悲は無い」

 

「…あぁ、俺の本質は変わらないだろう。修羅として戦い続ける。だが…いやもしお前が俺を信じられない時、俺を斬れ」

 

レオンハルトさんから只ならない程の気を感じた。自分を斬れ、簡単には言えるだろう。でも、ソレを本気の目でアリオスさんに向けて言ったんだ。覚悟もすべてが……

 

「わかりました。俺は…協力します、でも貴方達の様に殺人はできません」

 

「構わない、お前達は俺達(身喰らう蛇)とは違う、お前達のやり方で手伝ってくれればいい。俺達も、お前達のやり方でやる」

 

俺とレオンハルトさんの瞳が重なった、わかる。レオンハルトさんの悲しみが、決意が、俺も負ける訳には行かないんだ。

 

「わかりました。俺達は俺達の方法でやります」

 

「さらばだ」

 

帰りは怪盗紳士の魔法で送られた。

 

「…ロイド」

 

「ロイドさん」

 

「ロイドさん」

 

「ロイド!」

 

「…ティオ、ごめん。迷惑かける事になるけど」

 

「大丈夫です、私も特務支援課の仲間ですから」

 

皆大丈夫だと言ってくれた。俺はアークスⅡを開いてある人物にメッセージを送った。

 

《ごめん、迷惑かける事になる。でも、信じてくれ》s.s.s.

 

メッセージはバレない様にティオにサーバーを何個か経由して貰った。誰から送られたかも解らないだろうけど、これなら伝わる筈だ。

 

「みんな!行くぞ!」

 

「「オォ!!!」」

 

 

 

 

 

ロイド達を返し、俺達は情報収集に勤しんだ。そして5月20日、俺達の道はまた重なった。

 

「へぇ、新しいビルも多いし帝国の都市とは随分違うな」

 

「あのオルキスタワーが特に印象的ではありますね」

 

「元々、帝国と共和国に共同統治されていた自治州なだけにどちらの影響も受けているし」

 

トールズ第2分校の面々が歩いていた。剣帝は変装しているが、関わらない為に離れた。

 

 

 

俺はクルト、ユウナ、アルティナと共にオルキスタワーに向かった。でもおかしい、入ってから解ったんだが内戦でもあったかの様に所々戦闘の跡が見える。ユウナは気丈に振る舞っていたが、無理してるのはわかる。

 

「教官、ユウナさんは……」

 

「アルティナ、大丈夫だ。…大丈夫」

 

今は見守るしかない、見守るしかできないんだ。

今は目的地である総督執務室に向かった。簡単なチェックを受けて通される。ノックを3回行い入る。

 

「総督閣下、失礼します」

 

「あぁ、入りたまえ」

 

「ぁ……」

 

「……お久しぶりです」 

 

「失礼します」

 

「あぁ、二人共久しぶりだ」

 

そこには物々しい雰囲気の中で書類仕事を行うルーファス総督がいた。書類をどかし立ち上がる。

 

「それ以外は初めてだったかな?クロスベル州総督ルーファス・アルバレアという。見知り置き願おうか、トールズ第Ⅱ、新Ⅶ組の諸君」

 

ルーファスさんに近付き改めて話しかける。書類仕事をしながら雑談が始まった。

 

「フフッ、久々の邂逅にはなるが…隔世の感があるかもしれないな。背も伸びたようだが、随分見違えたものだ」

 

「……恐縮です。自分以上にユーシスの方も随分と見違えたようですが」

 

「あぁ、そうらしいな」

 

弟の事でありながら、簡単に述べる。でも若干だが喜んでいる様にも見える。

 

「ーそして、そなたもまた雰囲気が変わったものだ」

 

皆がアルティナを見つめる。内戦の時を知っている俺としては確かにとしか言いようがない。でも、背は伸びたのか?

 

「総督閣下はお変わりなく。まぁ、身長はそれ程伸びてはいませんが」

 

何故かアルティナから薄目で睨まれてしまった。それがバレたのかユウナから脇腹を小突かれる。

 

「フフ、事務的な所も変わっていなさそうだが良き仲間に恵まれたようだ」

 

「初めまして閣下、ヴァンダール家が次子、クルト・ヴァンダールと申します」

 

「フフ、ソナタの御父上には以前お世話になった事がある。本校に入らなかったのは惜しいが、これもまた巡り合せだろう。そして、そちらの君は……」

 

ユウナは静かな怒りを抱きながらもルーファスさんを見ていた。

 

「ーユウナ・クロフォードです。クロスベル軍警学校出身で改めてトールズ第Ⅱに入学しました」

 

話すユウナをクルトも見つめる。

 

「フフ、君のことも聞いている。オルランド中尉やシーカー少尉の後輩に当たるのだったかな?」

 

「っ……」

 

「そして、リーヴェルト少佐の推薦を受けて第Ⅱに入ったと聞いた。色々あるだろうが、これもまた善きめぐり合わせだろう。帝国とクロスベル、二つの視点を融和する意味でもね」

 

そこから帝国本土からくる視察団の話を聞き、特務活動の報告を受ける。

 

「…本当ですか」

 

「あくまで現在は調査だ」

 

幻獣の調査の下に俺とアルティナにしか解らない暗号文が掲載されていた。

 

《剣帝レオンハルトの調査》

 

「詳しくは用紙に書いてある。……さて、ユウナ君とクルト君には一度退出して貰おう」

 

「…なん」

 

「わかりました…行くぞユウナ」

 

クルトに静止されたユウナ、二人は警備をつけられながら部屋を退出する。

 

「さて、本題の件だ。現在、剣帝レオンハルトと思われる人物がクロスベルを強襲した。クロスベル方面師団の1割が個人に敗れた。コレは如何ともし難い事態だ。君達には悪いが、調査して貰いたい。勿論、片手間で構わない。レクター少佐とクレア少佐も行っているのでね。だが、広める事はしないで頂こう……クロスベルでの特務活動、頑張りたまへ」

 

ユウナ達と合流して特務活動に入る。でも…

 

「教官、どうしたんですか?」

 

「…ユウナ、いや何でもないんだ」

 

剣帝レオンハルト、本当にクロスベルに居るのか。居たとして一体…何を。

 

 

 

 

 

 

 

とある不良神父はミシュラムワンダーランドを相棒と共に歩いていた。

 

「んで、なんやリース。あの巫山戯た報告は」

 

「しょうがないじゃない、直ぐに連絡したんだもの」

 

「阿呆、何考えてんねん。お前休暇でクロスベル入りしただけやろう、此方は大問題や。新人に死人の復活、最悪外法狩りが動く。クロスベルでまた紛争が起こるぞ」

 

「でも、止めてくれたんでしょ?千の護り手さん」

 

「…団長にてこ言われたわ。今回動けるのはオレとリースだけや。やるしかない」

 

ネギのように緑色でツンツン尖った頭の神父は愛用のクロスボウを持った。

 

「…やってやるわ」

 

「はふはんは!」

 

「はぁ、何くってんねん」

 

変わらない相棒、笑いながらクロスベルへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 




動き出す剣帝一行、Ⅶ組、教会、特務支援課、帝国、そして身喰らう蛇。策謀の渦巻く中、剣帝は何を思い、進むのか。


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