宵闇解放シンフォギア (火野ミライ)
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001:転生の章
1話:転生とガチャと幼い神


地面ではドロッとした赤い液体【溶岩】が辺り一面に広がり、宇宙(そら)からは雨の様に隕石が降り注ぐ。とても生命が繁栄する事が出来ない環境が眼前に広がる。この光景を現すなら、終末やアルマゲドン・アポカリプスなど世界の滅びだろう。

 

だが実際に起きているの真逆で、星の誕生。まぁ、どっちにしても生命が活動するのは無理な状態なんだけどね。そんな惑星?原始惑星?どっちだっけ?

……取り合えず。そんな環境の中、僕は佇んでいた。いや、第三者の視線からなら浮かんでいるの表現が正しいかも。

 

そもそもの話、なぜ僕がこんな場所いるのか。僕自身も気になる疑問だが、まずはここい来るまでの過程を思い出してみる事にする。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

死んだと思った次の瞬間、僕は白い空間………

と言うより、辺りが光に包まれたような不思議な場所に立っていた。立っていると言っても、地に足が付いている感覚があるにも関わらず、実際に足元を見ると底が見えない。

 

光も明るすぎず、暗すぎない微妙な光量で、目を開いている分には全然苦にならい光量と言う感じで、考えれば考えるほどよく分からなくなってくる。明らかに科学を超越したなにかとしか言いようのない、ファンタジー空間。

 

目の前には銀とも金とも呼べる不思議な髪色に虹色の瞳をした、可憐さの中に神々しさが混じった少女がこちらを見つめている。

 

『誰が少女ですか、誰が!……まぁ、研修神なんですが……

 

頭に優しく響く少女の声。まるで子供の様にムッスとした表情を浮かべた後、直ぐにしょぼくれる。その様子がより少女っぽさを醸し出す。と言うかさっき考えていた事、無意識に口に出ていた?

 

『あ、いえ。言葉に出て無いですよ。私があなたの思考を読んだだけですから。』

 

こちらの疑問に答える彼女の表情はいわゆるドヤ顔で、両腕を腰に置き胸を張っている。正直、驚きよりも微笑ましい気持ちが先だ。なんて言うか、通りすがりに元気な声で挨拶してくる子供を見ている感じ。

 

『子ども扱いしないでください!私、神なんですよ。』

 

こちらに近づいて自慢するかのように宣言する彼女。取り合えず、頭を撫でておく。

 

『えへへ…………』

 

気持ち良さそうに頬を緩めている少女に質問をしてみる。さっきから疑問だらと言うツッコミ話の方向で。

 

「それで神様の君が僕になんの要?」

 

しょうzy……神様に目線を合わせて言葉をだす。

 

『もちろん、転生についてお話をする為です!』

 

どうやら、僕はテンプレ(転生)を体験するようだ。

 

『最初に言っておきますと、転生は生きとし生きるモノすべての命が生涯を終えた際に経験する物です。担当する部署や神によって内容が変化しますが、あなたの場合は運が良い事に記憶を保持して転生します。』

 

先程までの子供っぽさは抜け、説明してくれる彼女。でもやっぱり体系のせいもあるのか、幼さは感じる。

 

『え~っと… まずは……』

 

視線をキョロキョロと動かしたかと思うと、何処からか[マニュアル]と書かれた本を取り出し言葉を続ける。

 

『ふむふむ。まずは転生先を確定させるっと……』

 

出てきた言葉はマニュアルの内容だったけど気にしてはいけない。

 

『え~っと、あなたの転生先の候補は[魔法少女まどか☆マギカ][東方Project][戦姫絶唱シンフォギア]の三つです。』

 

た、戦っても生き残れない!?候補の三つは友人がちょこっと話していたのを聞き流していたぐらいだけど、やばい世界だった気がする。

 

「出来れば、現代ほのぼの系の世界に変更とか出来ない?」

 

『ごめんなさい。他の部署なら可能の場所もありますが、候補はうちは上司の気まぐれで決まる物ですから……』

 

申し訳なさそう俯く彼女。その姿に知り合いの女の子を思い出して、無意識に頭を撫でていた。

 

「分かった。それで、どうやって決めればいいの?」

 

『……これです。』

 

彼女が出したのは赤・青・白のストライプ模様の箱に、割りばしのぐらいの棒が入った物。よくパーティーとかで使われる古典的なくじだった。それに思わず苦笑いを浮かべながら、一歩引き抜く。手に取った棒には[3]の数字が。

 

『3番なので、戦姫絶唱シンフォギアの世界ですね。次は特典を決めましょう。』

 

くじ箱をどこかにしまって、カプセルガチャの筐体を取り出した。いったい何処から出しているのか不思議でしょうがない。

 

『それでは、3回まわしてください。』

 

筐体のレバーを一回転。取り出し口から、紙が入ったカプセルが出てくる。カプセルを手に取り開封、紙をひろげる。

 

「ルーミア?」

 

そこにはカタカナで[ルーミア]とデカデカと書かれており、注意文なのが見た事無い字で書かれている。直ぐに頭に浮かんだのは、さっきの候補の中にあった東方projectシリーズに出てくる妖怪少女。

 

『見せてください。………この特典は種族・性別・容姿がルーミアになり、ルーミアの持つ能力が使えるようになる。これはかなり当たりですよ!普通は容姿だけとか、能力だけとかですから!』

 

一人(一神?)盛り上がっている彼女を余所に性別が変わる事に項垂れる。そんな憂鬱な気持ちから逸らすように次の特典を引く。

 

カプセルの中に入っていたのは紙には[仮面ライダーオーズ]と書かれており、やはり見た事無い字がその下に長々と書かれている。日本語の部分だけなら普通に嬉しい、だってオーズは僕が一番好きなライダーだからね。

 

さっきみたいな事が有るから純粋に喜べないけど、とりあえず神様に紙を渡して内容を説明してもらう。

 

『ッハ! これはオーズの変身する為のベルトとメダル、それにオーズの器です。けど剣やバイク・サポートメカといったアイテムは付いてこないで、注意してください。』

 

いったい何に注意すればいいんだ??

……まぁ、いいや。最後の一回を引き、紙を見る。書かれている文字は[ゲーム]、普通に考えると欲しいゲームを持っていく感じ? 疑問を感じながら神様に紙を渡して説明を聞く。

 

『これはなんて説明したらいいんでしょうか?』

 

どうやら神様でも良く分からないものらしく、マニュアルと睨めっこしながらあーでもない、こーでもないと言葉をこぼしながら悩んでいる。

 

『習うより慣れろタイプの能力なので説明がしずらいんですけど、RPGなどのゲームで、収集したアイテムをどこかへ収納している事と同じことが出来ます。そして収納したアイテムは整理整頓が出来て、収納した空間の中では時が止まっており食べ物などが腐らないようになっています。』

 

分かったような、分からないような……

 

『使用者のイメージ次第で仕様がかなり変わりますから、まんまり先入観を与える訳にも行かないんでよ。それではすべての工程を終えましたので、質問が無ければ後ろの門をくぐってください。目を覚ましたら新たな人生の始まりです。』

 

いつの間にか僕の後ろには巨大な門が浮かび上がっており、重々しい音をたてながらゆっくりと扉が開く。

 

「じゃあひとつだけ、神様の名前を教えて。」

 

『名前ですか?メイです…』

 

何故聞かれているのか分からいと言うような表情を浮かべながらもしっかりと答えてくれた神様(メイ)。特に名前を聞いた理由は無い。ただ単に僕が気になっただけ。

 

「ありがとう、それじゃ。」

 

別れの挨拶をすまして門をくぐる。その瞬間、僕の意思は眠るように沈んでいく………




旧[宵闇解放 シンフォギア]のプロップを紛失したので、一からやり直し。
今回はプロップ組まずにやっているので矛盾があるかもです。(旧バージョンと混同してる可能性もあり)その際には感想で指摘お願いします。

オリジナルコンボは来ている分は出しますし、募集も続けます。けれど出せるのはだいぶ後になると思いますのでその辺はご理解ください。

あと良ければ感想をください。皆さんの反応次第で展開を変えていくかもなので。(非ログでも感想書けます。)


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2話:事後と説明と原始惑星

宵闇解放シンフォギア、前回の出来事!
一つ、神「メイ」と不思議な空間で会話する
二つ、くじの結果「戦姫絶唱シンフォギア」の世界へと転生することに!
そして三つ、「ルーミア・仮面ライダーオーズ・ゲーム」の三つの力を手にし新たな世界への扉をくぐるのだった…


腹に響く衝撃、耳元に残る残響、目を瞑っていても通る赤い光。

生命の危機を知性よりも先に本能が察するほどの巨大な爆発音が響き渡り、慌てて起き上がる。

 

「なんだよ、これ………」

 

視界に入るのは空から絶えず降り注ぐ巨大な岩々。地平線沿いに広がるのは赤い液体。

途轍もない速度で落ちてくる隕石は液体に触れたとたん、大小と際はあるもの爆発を起こす。

 

そんな異常な光景に、自身の声や体格・地面が無いのに立っている事など、ありとあらゆるものを気にする余裕もなく、只々呆然と立ち尽くす事で精一杯だった。

 

自分の事に意識が向いたのはそれから数分・数時間、もしかしたら数日後だったのかもしれない。そもそもの話、僕自身の事より先に地面が無いのに立っている事の方に疑問が先に向いた。

 

足元を含めた空より下は溶岩の海が広がっており、地面と呼べる物は一切ない。たとえあったとしても直ぐに溶岩に飲み込まれるのは火を見るよりも明らかだ。それなのに僕は立っている。

仮に第三者に今の僕の姿を見られたら浮いてるように見えるが、僕としてはしっかりと両足で立っている感覚。この不思議な感覚を一言で表すなら…… (メイ)の所に近いと思う。

 

不思議と言えば、目が覚めてから1歩も動いて無いのに隕石が僕の傍に落ちて来ない事。それどころか、爆発による暴風や熱を一切感じない。何気なく真上を見上げるとその原因と言うか、理由が分かった。

僕の頭上に降り注ぐ隕石は僕にぶつかる前に、見えない壁みたいなものにぶつかり、その破片や爆発は屋根をつたる雨水の如く僕とその周辺を避けて下に…

 

その光景を目にし、記憶よりも小さいく短い腕を水平に伸ばし、恐る恐るゆっくりと足を進める。ある程度歩を進めると見えない何かに触れる感覚が指に伝わる。左右上下の空間、まるで僕をを守るかのように見えない壁があるが何となく分かった。

 

広さとしては一人暮らしかつ物が少ない人なら普通に暮らせるぐらいで、広くも狭くも無い空間。出入り口らしきものは無い。(あったとしても出ないけど)

自身の安全が気休めの物かもしれないが、ひとまず確保されている事に安堵を覚えると共に力が抜け、不可視の床(仮)に座り込む。

 

座り込んだ事で初めて自身の服装に気が向く。

白黒の服に黒色のロングスカート、胸元には赤いリボンが結ばれており、視界の端に映る自身の髪は金色、靴は赤色だ。見えないし触れないけど左頭部にはリボンに見えるお札が有るはず。

 

髪をいじる腕や伸ばしている足は細くモチモチしており、肌色は汚れを知らない綺麗な白。股の部分をスカートの上から触ってみるけど、当たり前だが抵抗なくすんなりと撫でる事が出来る。

 

「ふぅ~」

 

思いつく限りの確認を終え、手を背中の方へ持っていき体を支える。この時口から零れ出たため息は明らかに少女の物だった。否が応でも自分が妖怪少女に転生したことを理解する。

 

「だとしても、コレはいったいどう状況だ……」

 

普通こういう転生物って原作主人公と同い年とか、原作キャラに近しい関係になれる場所に転生するんじゃないのか? 戦記絶勝シンフォニーギアだっけ?よく知らないから、ここが原作にあったら話は別だけど…

 

《この光景は原作と全く関係ありません》

 

「そうなんだ…」

 

頭に響き渡る声に何となく返答する。と言うか、暇すぎて幻聴が聞こえるようになって来たのか…

 

《幻聴ではなく、人間で言うところの天の声やテレパシーにあたいするモノです》

 

どうやら聞こえる声は幻聴では無いらしい。なんて言うか、神って何でもありだな…

 

「それで此処どこ? それにあなたはいったい?」

 

今、一番気になることを聞いてみる。正直、こんな所で長時間居たら頭がおかしくなりそうだったし、話し相手がいるのはありがたい。

 

《今、あなたが見ている光景は地球という星が誕生した瞬間を惑星内から見たの光景です。そして私は【リア】、メイの姉です》

 

メイにお姉さんがいたんだ………… まぁ、神様っていうより妹キャラがしっくりくるけど、本人が聞いたら頬を膨らまして起こるだろうな~

 

《確かにそうですね… それより今はあなたの事です》

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

《___________という訳です。》

 

事細かく説明してくれたリアさん、説明してくれたことを簡潔にまとめるとこうだ。

メイは研修の身で、本来なら指導者(リアさん)と一緒に僕を転生させるはずだったが、勝手に僕を転生させた。その上、転生させる時間(年代)の場所を空欄にしたまま転生させるというミスが発生。

 

その結果、僕は原始惑星の地球に生まれた。(転生した)それに休憩から戻ってきたリアさんが気が付き、すぐさま僕を中心に結界の部屋を生成・保護してくれたのこと。

 

勝手なことをしたメイは転生神の資格を剥奪、生命が暮らせる環境になるまで僕のお守をすることに。時期が来たら、メイの処遇を決めると考えるらしい。その際、僕にも意見を聞くとも言ってた。

 

 

 

 

 

うん、変なことに巻きまれたかもしれない…………………………………




更新遅れてすいません。
低頻度の更新ですが、完結目指して頑張っていきますので、よろしくお願いします。


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3話:力と問題と食事の恐怖

宵闇絶唱シンフォギア、前回の出来事!
一つ、目を覚ましたの灼熱の海が広がる惑星「地球」
二つ、メイの姉「リア」がとっさに結界を張ったことによって一命をとりとめたルーミア
そして三つ、今回のミスと勝手な行動により身の資格を剥奪、処遇が決まるまでルーミアのサポートをする事になった


手のひらと手のひらを合わせ、瞳を閉じる。ゆっくりと息を吐きながら、意識を自身の内側に流れる力へ集中。妖力を感じ取ったら今度はゆっくりと手のひらへと運ぶイメージを浮かべながら、外気へと放出。手のひらの間で球体上に固める。

 

出来上がるのは黄色く発光する[弾幕]、テニスポールぐらいのそれを不可視の結界の壁へとぶつける。ぶつかった弾幕はピンボールの如く反転し床や天井をバウンドしながらこちらに迫りくる。決して遅くないそれをギリギリまで引きつけて、回避。

 

「っく!」

 

少し肩に掠ったのを感じながらも床に手をおき身体を支え転倒を防ぐ。一息つく暇もなく戻ってきた弾幕をまたギリギリまで引きつけて回避、今度は太ももに痛みが走る。

 

今、僕がやっているのは弾幕の生成と[グレイズ]の練習。弾幕は東方projectでの弱攻撃もしくは通常攻撃って思ってくれたらいい。グレイズは当たり判定ギリギリで弾幕を回避するゲーム内のテクニック。

 

マグマやら隕石やら爆発やらで視界は真っ赤なうえ、結界内の小さな部屋で過ごしていては精神が壊れそうだったから出来ること、すなわち能力でどんなことが出来るかの検証をし始めたのがきっかけ。よくあるネット小説の如く無双するには到底も及ばないほど悲しい結果になったけど。

 

まず、そもそもルーミアと言う妖怪の身体をうまく扱えない。前世の身長と違うのもあるけど、身体のスペックが違いすぎた。ちょっと軽く走っただけで前世の最高記録を軽く超えるのは余裕。本気で走ったらすぐに壁にぶつかった。(部屋の端から走ったのに…)

 

つぎにオーズ変身、ベルトの初期登録を済ませて[タトバコンボ]へ(ちなみに音声は本編と同じ高さ)。最初に気が付いたのはテレビの様な姿でなく、S.I.C.シリーズと呼ばれるアレンジされたフィギュアの様な見た目でもなく、ルーミアのカラーと衣装をオーズ風にしたもの所謂[ライダー少女]になっていた(イメージはプ●キュアが近い)

 

メイに聞いてみたところ、ルーミアの頭についている封印の札の影響とのこと。これを外せばよく見習た普通のオーズなれるようだ。代わりにルーミア()の力やオーズの暴走(セイフティ機能の発動)が起きるかもとも言ってたけどね。

 

セイフティ機能OFFのオーズって別の意味で怖くね? ちなみに原作通り札は自力で取れなかった。

ゲームと言う名の収納はとりあえずルーミアの[闇を操る程度の能力]の一部として使っている。(使い方間違っている気はするが使えるので問題視して無い)

 

出し入れは作り出した闇の中に投げ入れたり、自分の影を広げて落とし入れたり、四次元ポケットの如くポケットの影に突っ込んだりそんな感じ。オーズのベルトやメダルもこの中にしまっているので盗まれる心配は無し。

 

そもそもオーズの力は最初に使った人しか使えないんだけどね。

 

「よっと!」

 

手のひらに集めた魔力をレーザーとして放ち、まっすぐに飛んでくる弾幕を相殺。小さな爆発が起き、熱波が髪を揺らす。特訓の結果、妖力・魔力・霊力・気が使えることが分かった。

 

まず[妖力]だが、これは妖怪が持つ独自のエネルギー。ルーミアは[人食い妖怪]なので持って当たり前。次に[魔力]、こっちは魔法を使う時に使う。原作ルーミアが魔法で自身の周囲に闇を展開してるので持ってても可笑しくはない。

 

問題なのは残り二つ。[霊力]は人間とか霊が使う力(たぶん)。この力を使える理由はおそらく前世が人間でその記憶とかを持っているから(フワフワ推測)。[気]は草木や動物、さらには星が持つ命のエネルギー。ぶっちゃけ、ドラゴ●ボールで主流の力。東方的には[紅美鈴(ほんめいりん)]が持つ能力。

 

まぁ、全部超常的な力でまとめたらそれまでなんだけど、使う身で言うと全部違うから区別してないと暴発しそうなんだよね。

 

「…………………………………」

 

ここまで問題点とかを上げてきたけど一番の問題点がある。その話をする前に生物の3大欲求は知ってる?[睡眠欲・食欲・性欲]の3つだね。そのうちの一つ、食欲が問題点として多くなってくる。

 

先の話のように僕ことルーミアは人食い妖怪。その主食は肉、さらに詳しく言うなら[人肉]だ。

もちろん前世では口にした事も無いし、興味すらない。そんな元人間に人を食えと言われて素直に食べれるだろうか?

 

その時の環境・状態もあると思うけど、少なくとも無理な人。でもルーミアとしては食べなきゃ栄養失調症どころか餓死する。

 

倫理観とかを無視しても人が人を食らうことはよくないとされている。科学・医学的に説明できるらしいけど詳しく知らないから説明を省くが、身体に異常をもたらすらしい。どっかで聞いた話だから間違っているかもだけど。

 

そんな風に人を食べることを躊躇しながらも最近は食べているというか、それしか出してくれない。

話が飛んだ?まともに食べるものすらない環境で食事をとるために、メイが食事を用意してくれるんだけど、それが人間の死体な訳よ。

 

今も目の前で転がっている死体、20代後半ぐらいの女性が裸体で転がっている。心は食べることを否定しても、一度口にしてしまったソレを目にし本能が腕を伸ばす。腕をネジ千切り口をめいっぱい広げかぶりつく。

 

初めて食べた時は小さい子供がピーマンをがんと口にしない事にしびれを切らした親が無理やり口に詰め入れ、はき出さないように手のひらで口を閉じる光景まんま。ピーマンが人肉で子供が僕で親がメイだけど。その後、気分が悪くなって嘔吐したのが懐かしく感じる程には慣れてしまった。

 

「_____ふ~」

 

一人をあっという間に平らげた僕は満足そうに息を吹く。そしてすぐにそれに気が付いて罪悪とか嫌悪感に襲われ、逃げるように運動(とっくん)に没入する。やがて人を食べることに今感じてる感情がなくなる恐怖に目をそらして。

 

今日も隕石は嵐のように降り続け、赤い津波があちこちで起きる日常の中で………




今回はがっつり?とした説明会。詰め込みすぎてわかりづらくなってないか心配です。


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4話:影とテイアと宵闇の変身

宵闇絶唱シンフォギア、前回までの出来事!

死を悟った青年が目を覚ますとそこには研修中の転生神「メイ」が待っていた。「ルーミア」として新たな生を受けたものの、眼前に広がるのは、原始惑星時代の「地球」だった。

メイの姉、「リア」の作り出した結界のおかげで事なきを得たのだったが、今回の件を受けメイは転生神の資格を剥奪され、生命が住める星になるまでの間、ルーミアのサポートをする事に。

肝心のルーミアは、メイによって与えられた力(転生特典)を使いこなすため模索し続ける。人間と妖怪の生体の違い。しだいに妖怪の思考に変わっていく自分に困惑しながら…


地球。それは自然と生命が育つ奇跡の星。大気中には酸素があり、地球全土の7割が生命の源である水に覆われた星。月と言う衛星が周囲を回っており、そのおかげで自転が安定しているという。

 

まぁ、それはこれからうん億年後の話なのだ。現在の地球は酸素どころか、月もない灼熱地獄。単細胞生物の影も形もないこの星で僕は一人生きている。生きているのだが…………

 

「あっぶな!」

 

間一髪のところで体をそらす。先程まで僕の顔があったところを黒い影が通り抜け、頬に一筋の傷が出来る。傷口から滴る血を手の甲で拭いながら視線を奇襲者へ。そこには獣のように腰を深く落とし詰めをこちらに向ける人型の影。身長・体格は僕と全く一緒のそいつはこちらの隙を窺っている。

 

ひときわ目につくのはその色合いと言うより、見た目だと思う。全身の全てがどこまでも深い底なしの谷の様な闇であり、そこに存在することを拒む透き通った半透明の影のような存在。だが光を喰らう暗翳(あんえい)のようでもある。

 

『…………………………』

 

一切の言葉を発しない僕の偽物と言えるそいつの正体、それはいまだ使いこなせていない僕の能力で生み出された存在(かげ)。あえて名付けるなら影符『シャドークローン』かな? 今はそんな事どうでも良い。問題はこいつの制御が出来てないという事。暴走ってやつ?

 

能力抑えててもこれなら、本気でやったら世界滅ぶんじゃないかなっと!

ちょっと思考を他のことに割いた瞬間、ものすごい速度で飛び出してきたシャドークローン(仮)は頭部をつかみ取ろうと腕を伸ばしてくる。咄嗟にグレイズ回避に成功、つかみ損ねてがら空きの脇に全力の蹴りを当て吹き飛ばす。

 

『……………………………………』

 

吹き飛ばしと言ってもこの結界、たいして広くないから気休めにもならない。現に体勢を立て直しいつでも攻撃できるように構えているシャドークローン(仮)。力とスピードもオリジナル()と同じため特訓なら良いかもだけど、勝たなきゃいけないとなると難しい。

 

「変身できればな~」

 

警戒しながら思わず現状に愚痴る。まぁ、きっかけは[フランドール・スカーレット]の如く分身出来ないかなって試したからなんだけど…………

 

こちらが変身しようと動いた瞬間、シャドークローン(仮)は野生の勘もしくは本能で察知し邪魔をするように弾幕を張ってくる。今のところ今日までの特訓(暇つぶし)の成果が出ているようでなんとかなっているが、既に戦い始めて10時間を過ぎており、疲労がたまっている(体力的な意味でなく気力的な意味で)。

 

直線的に迫ってくるシャドークローン(仮)の拳を回避、その勢いのまま後方へと下がり距離を取る。

 

《あっ!》

 

今度はこちらから仕掛けようと構えたその時、結界内いや周囲を巨大な影が光を閉ざす。それとほぼ同じタイミングでの聞こえてきたメイの呆気にとられた声。影の正体を探るべく警戒を続けながら空を見渡す。

 

「嘘だろぉ………………」

 

そこに映るのは巨大な隕石、と言うか惑星がものすごい勢いで地球(こっち)に迫り来ている様子。気が抜けた声が口から零れるのもお構いなしに接近戦を仕掛けてくるシャドークローン(仮)。攻防を繰り広げる僕を気にせずメイが悲鳴に近い声でテレパシーを送ってきた。

 

《あれはテイア!? 火星サイズの原始惑星です!》

 

規模がデカすげてよく分かんないけど、穏やかじゃない事は理解してる。シャドークローン(仮)は切り裂かんと爪?で攻撃してくるので受け流して腕を振るう。向こうはすぐに反応してしゃがむ事で回避、そのままアッパーカットの体制へ。

 

妖怪の身体能力にものを言わせ、人間なら到底不可能な回避。視界が回転する中、結界の端へ距離を取る。なんで自分の影相手にこんなに苦戦しなきゃいけないんですかねぇ~

 

両腕をぶら~んっと下げているシャドークローン(仮)を睨めつけながら、ゆっくりと立ち上がる。たぶんスペカとして使うなら耐久スペカだな。なんてのんきな事を考えながらも、視線は目の前の影を捉え続ける。

 

《衝撃に備えてください!》

 

メイの言葉を聞き、後ろの壁にもたれる。その様子を見た(目、無いけど)シャドークローン(仮)は床を踏み込み、オリンピック選手涙目の速度で迫って来た。

 

シャドークローン(仮)との距離が半分まで縮まったその時、結界内いや、地球が大きく揺れ、溶岩の津波が結界の外装を飲み込んだ。[神力]と言う神の力で出来た結界なので壊れることは無いが、とんでもない衝撃が結界内部に響く。片足を上げていたシャドークローン(仮)は体勢を崩して床に倒れこむ。

 

「いま!」

 

未だ地球と[テイア*1]とか言う惑星の衝撃で結界内が揺れるが、闇の中から長方形の物体を取り出す。黒を基調とし、銀やメタリックブルーのラインが入った、3つのスリットがある物体。これこそ仮面ライダーオーズに変身する為に必要なベルト[オーズドライバー]。

 

オーズドライバーを腹部に当てることでベルト帯が自動で巻かれる。続いて取り出すのは[オーメダル]と呼ばれる3枚のメダル。[ウロボロソライト*2]と言う鉱石に保護リング[ゴルドサークレット*3]、この二つの素材と生物のパワーに欲望を錬金術で組み合わせる事で生み出した[コアメダル]を3種類。

 

ゴルドサークレットの表面には[クラウンオーナメント]と呼ばれるメダルに封じられたパワーの反発力で壊れないようにする為の刻印。要は一種の衝撃吸収機構だ。またメダル上下には緊急用排出口[リベットストーン]があり、吸収できないほどのパワーの暴走が起きた際にエネルギーを拡散しながら外部に放射する安全弁の役割を持つ。元の素材の強度とこの二つの構造のおかげでコアメダルは通常の方法なら破壊するどころか、ヒビを入れることすら出来ない。

 

ウロボロソライトはメダルに秘められたパワーで変化。本来なら無色透明とされる色は種類ごとに微妙に変化してしており、表面には[スペリオルフェイス*4]と呼ばれる込められたパワーに対応した生物のレリーフが刻まれ、裏面は[ターンフェイスサイン]と呼ばれ中央にシンプルなラインが1~3本刻まれてる。

 

ターンフェイスサインのラインはオーズに変身する際、どのメダルがどの部位に対応しているのか一目で分かるようになっている*5。今回取り出したのはオーズの基本形態へ変身する為のメダル、赤色の[タカ]・黄色の[トラ]・緑色の[バッタ]。この色にも意味はあるが、今回は割愛。

 

メダル挿入口である銀色のパーツ[ドライブアース*6]に装填、[メダクリスタ*7]内でメダルが固定された。3枚のメダルを装填し終えたら左手でベルト前面パーツ、装填したメダルの覚醒装置[オースレイター]を斜めに傾ける。

 

すると水色のライン[フォースドライブ*8]が完成。フォースドライブはメダルに封じられた生命エネルギーを解放に導くための紋様が刻まれており、オースレイターを傾ける事で初めて完成。ちなみにベルトの背面パーツ[オーカテドラル*9]の上部には、そのメダルをどこに装填するか分かりやすいよう、ターンフェイスサインのラインと同じ本数が刻まれたガイドパーツが有ったり。

 

オースレイターを傾けた時、右手は[スキャナーネスト*10]から[オースキャナー*11]、オーズに変身する為の要ともいえるアイテムを手に取る。

 

[ゴルドサークルポッド]と言う金属性外装部が本体を構成、ゴルドサークルポッドと同じ特殊合金で作られた[コロナサークル*12]で補強して作られた黒と金の丸型のアイテムで、オースキャナーはメダルの力を引き出すための装置。メダルに封じられた生命エネルギーを転位・支配し、使用可能となるパワーを生みだす。

 

キン!キン!キン!

 

持ち手をしっかりと握り、スキャナー背面の[アームマウント*13]を[コンダクター*14]に沿わせて3枚連続スキャン。1枚スキャンするごとにスキャナー埋め込まれた特別な鉱石、[トライスターロック*15]がメダルのパワーを取り込み赤く発光。

 

トライスターロックによって取り込まれたエネルギーは特殊クリスタル[Dムーン*16]によって変換・増幅。

 

「変身!」

 

力強く言葉を発すると共にスキャナーを胸の前にかざす。すると僕を中心に様々なメダルがスロットゲームの様に回る。

 

タカ!トラ!バッタ! 

 

スキャナーによって発生した[オーラングサークル]が胸部に刻まれると共に、Dムーンが振動。その固有の周波数は、妖怪の脳でも意味を持った(うた)と認知。瞬く間に僕の体は無限を超えた欲望の王、[OOO(オーズ)]へと姿を変える。

 

その姿は[仮面ライダー]ではなく、同じ東映作品のヒーロー[プリ●ュア]を思わせる見た目。あえてこの姿に名前を付けるなら、[ライダー少女オーズ タトバコンボ]かな?

*1
オルフェウスと呼ばれることも。

*2
その名称は「無限」を象徴する「ウロボロスの輪」から命名された。いくつかの微量鉱物を混合した鉱石。

*3
ウロボロソライトを浸食や物理的な破壊から防ぐための物。

*4
加工の跡が見られないことから、ウロボロソライト自体の特性と推測される。

*5
1本=頭部/2本=上半身/3本=下半身

*6
メダルから発生した生命エネルギーをオースキャナーが過剰に読み取らないよう、調節・分解し自然界へと還元する重要な部位。

*7
無軌道に放出されるメダルの生命エネルギーを一方向に収束するための補助的な役割を持った部位。

*8
メダルの力をオースレイターに供給させる流動路。

*9
フォースドライブやオースレイターなど、ベルト各部の機能を統括する、いわばCPUのような役割を果たす装置。

*10
スキャナーを固定するための装具であると同時に読み込まれた力を再整理、スキャナーの誤作動を防ぐ役目も持つ。

*11
システムの核に当たり、人間がオーメダルに秘められた力を制御・操作するために作られた。

*12
Dムーンの暴走を抑制し、オースキャナー自体の崩壊を防ぐ役割を持っている。

*13
スキャナーネストに固定するためのフック。オーメダルを読み取る(スキャンする)際のガイドレールとしても活用されている。

*14
フォースドライブの一部でオースレイターを補強する役割を担う。またオースキャナーを安定して発動させるための補助的装具ともなっている。

*15
地下数1000mで形成され、大規模な火山噴火などでしか地表に露出する機会が無いため、ごく稀にしか採取されない。スキャナーには3つ埋め込まれており、メダル3枚分のパワーを取り込むことが可能。

*16
トライスターロックから送られたパワーを光や音階など様々な形式に変換・増幅し、照射する特殊クリスタル。




「仮面ライダーオーズ復活のコアメダル」に「風都探偵」、CSMオーズドライバー10アニバーサリー版とバースドライバー。同期の戦隊の方も盛り上がっていますが、作者の財布はディケイドによって破壊されたので悩み中な今日この頃です。

今回の話は作者的には反省です。長々と設定を書き、注釈で補足。どっちかにしろと怒られそう、と言うか読み飛ばす読者が殆どだと思う。次回もこんな感じになりそうだよ。(;´д`)トホホ

次回はシャドークローン(仮)との決着を予定してます。では!ノシ


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5話:ライダー少女と決着と欲望の器

宵闇解放シンフォギア、前回の3つの出来事
一つ、ふとした思い付きで術による分身体を生成するも力が暴走
二つ、分身体「シャドークローン(仮)」と戦闘を繰り広げる中、火星サイズの原始惑星「テイア」が地球に衝突!
そして三つ、その衝撃で体勢を崩したシャドークローンの隙をつき、ルーミアはオーズへと変身!!


金色の髪は黄色味がかった薄い赤色へと変色し、正面中央にはガーネット色に輝くひし形のクリスタル[オークォーツ]が埋め込まれた、タカを模したティアラ。腕には黄色のかぎ爪がたたまれており、膝から先には緑色の装甲。胸部には上からタカ・トラ・バッタの順で描かれたプレート[オーラングサークル]。瞳の色は赤から緑へと変化し、妖艶(ようえん)に輝く。

 

オーズへと変身したルーミアは全身から力を抜かの様にその場で何度もジャンプを繰り返す。対するシャドークローン((仮))は服装や色が変化した本体(ルーミア)の様子を窺っている。しばらくの静寂が結界内部を支配する中、灼熱の津波の一波が結界を過ぎたのと同時刻、同じタイミングで床を蹴り人間では考えられない速度でぶつかり合う!

 

「ほいっと」

 

まるでリズムゲームをするかのような掛け声で拳を受け流し蹴りを叩きこむ。その一撃を腹部に受け大きく後退したシャドークローン((仮))は、吹き飛ばされながらも自信を構成する妖力の一部を黒い輝きを放つ弾幕へと変化させ、オリジナル(オーズ)へと放つ。

 

オーラングサークルから両手の先目掛けて伸びるエネルギーの動力経路[ラインドライブ]が輝きを放ち、[トラアーム]から手び出る様に展開された3枚の鍵爪[トラクロー]を振るい弾幕を全て切り裂く!

 

その僅かに体勢を立て直したシャドークローン((仮))は壁蹴りオーズへと掴みかかる。その勢いを受け両者は床を転がり、止まった頃にはシャドークローン((仮))がマウントポジションを取っていた。怒涛の勢いでオーズに拳を振り下ろしダメージを与える。

 

ラッシュを受けるオーズはシャドークローン((仮))の背中を蹴り、吹き飛ばす事で体勢を立て直す。腕のトラクローを振るい黄色に輝く真空刃を放つ。迫りくる真空刃を鮮やかな動きで躱しきり、反撃の[レーザー弾幕]を掌から次々と発射、首や脛と言った人間の急所を狙って放たれた弾幕群に対し、足腰に力を溜め前方へ大きく跳ぶことで事なきを得る。

 

その勢いのままシャドークローン((仮))の胸部、人間なら溝内にあたる部位を一度も足を地につけずに何度も蹴りを入れる。ルーミアサイズのバッタの脚力から放たれる蹴りの意威力は、結界内部に置かれていた瓶や骨にひびが入るほど強力であり、衝撃波が緑の波紋として浮かび上がる。

 

最後に回し蹴りを頭部に叩き込んで着地するオーズ。普通の生命体なら首から下と生き別れる程の蹴りは、魔力で構成されたシャドークローン((仮))に手加減される事無くフルパワーで振るわれる。何度も床を跳ね、転がるシャドークローン((仮))を横目にスキャナーへと手を伸ばす。

 

スキャニングチャージ!

 

メダルを再スキャンする事へメダルの力を開放、必殺の一撃を放つため腰を下ろしタイミングを窺う。ふら付きながらもゆっくりと立ち上がったシャドークローン((仮))を他所に跳躍、オーズとシャドークローン((仮))の間に赤・黄・緑のリングが出現。

 

「セイヤァァーーー!!」

 

一度宙返りしたオーズは両足を合わせ重力に身を任せてシャドークローン((仮))目掛けて落下。3つのリングを潜り抜ける事でメダルに秘められた生物パワーを開放、ドロップキックの要領で放たれた急降下蹴り(ライダーキック)、[タトバキック]がシャドークローン((仮))の胴体を捉える。

 

爆炎を背に着地するオーズ、背後に浮かび上がるは三つのO。爆風が赤く染まった髪を靡かせる中、ゆっくりと立ち上がる。振り返ったその瞳には、今なお勝利を掴もうと藻掻くシャドークローン((仮))の姿。その痛々しい姿から視線を逸らすことなく、ベルトの傾きを水平に戻し変身を解除しながらゆっくりと歩み寄る。

 

警戒する事無く近づいてきたルーミアに力なき拳が振るわれた!

顔面向けて無理な体制で放たれた拳を首を最低限傾ける事で躱し、その風圧で髪が大きく揺れる。的を外した拳は込められた力を失い、シャドークローン((仮))はルーミアに待たれるように倒れこむ。その身体をしっかりと受け止めたルーミアはそのまま優しく包み込み、子供をあやす母親の様に語り掛ける。

 

「もう良いだろう。君は君だから、今日限りで終わりって訳じゃない」

 

ルーミアが転生時に貰った[オーズの器]言い換えれば()()()()()()()()()()()。その器は[真のオーズ]に至る為に必要なもので強大な力を受け止める事が可能。その器が有るからこそルーミアはオーズの力を暴走させる事無く使いこなすことが得来ている。また何処までも欲望を受け止める事が可能なのだ。

 

「_________」

 

「僕を信じてとは言えないけど、怖がらないで… 君が望むのならずっとこのままでいいから」

 

今はその器を目の前で苦しんでいるシャドークローン((仮))を受け止める為に使う。もう一人の自分であり、異なる妖怪(意思)の欲望を受け止める為に。テイアとの衝突により激しく荒れる地球とは正反対にシャドークローン((仮))は落ち着いていく。

 

ここから先の出来事は当事者と(メイ)のみぞ知る。ただ一つ、ここから数億年後の未来でシャドークローンと背を合わせて戦うルーミアの姿たが目撃された事を記しておく………




今回は短めですがこれ以上長くできなさそうなのでここまでにします。

正直、復活のコアメダルを見てから上げたかったけどソフト待ちなので……
それと主人子設定公開のアンケート結果は過半数を超える88%だったので鋭意作成中です。めちゃくちゃネタバレ注意な代物になって行ってますが完成後、タイミングを見計らって公開しようと考えています。

それではまた次回!


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6話:流れた時間と恐竜絶滅とイレギュラー

宵闇絶唱シンフォギア、前回までの出来事!

研修転生神「メイ」の元宵闇の妖怪「ルーミア」として新たな生を手にし、生まれたのは時間はなんと原始惑星時代の地球だった!!

独断で動いたメイは転生神の資格を剥奪。処罰が決まるまで、ルーミアの世話をする事となった

そんなある日、ルーミアの力の一部が暴走。原始惑星「テイア」が地球に衝突したのを気にオーズに変身、暴走した力を沈めたのだった…


空に浮かぶ巨大な塊。周囲にはそんなこと気にせずに()()()()()()()()()()()()の姿。いったいこの世界に転生して何年がたったのかなんて考えるを辞めたのは、バクテリアが誕生する前だったのを思うとずいぶんと長い間生きたな~

 

僕自身の事ながらしぶとすぎ。メイが居なくなったのは最初の氷河期の時だっけ?

当時は人肉を食べなくていいとか、またいつか会えるかな~とか、お気楽に考えていたっけ。でも実際にはやった事の無い狩りやら、火起こしやらサバイバル生活の始まりで大変だったよ…… 火を起こすのめんどくさくて魔法やら火のコンボを使ったのが懐かしい。

 

今は狩ったら焼かずにその場で噛み付いて、お腹いっぱいになったら死体をその場で放置してるからな~ だいぶ野生に適した………でいいのか? まぁ、それでも人肉を食べてた時よりも物足りなさを感じるからやっぱ僕は、人を主食とする妖怪(ルーミア)なんだと実感する。

 

懐かしいと言えば月が出来ていく様子を観察するのは楽しかったし、1日6時間の時は太陽が鬱陶しいと感じて闇の中に引きこもっていたな~ 魚が陸に上がる為の進化を横目で眺めながら意味なく空を浮かんでいた時もあった。

 

いきなり溶岩が地面から噴き出した時もあったな~ その後すぐ火山灰の雪や酸性雨が降ってきて大変だった。僕は空を飛べたし、闇を球体状に纏ったからなんとかなったけど、殆どの生物は死んじゃったね。そこを乗り越えたら大陸が分裂したりもしたなぁ……

 

そして今は恐竜が地上の支配者。それでも生きた時間=個体の強さな妖怪()にはかなわないけど。なんなら恐竜にはない俊敏さや、魔法や妖術と言った技術、空を飛ぶといった手段も。人間なら力負けもするが妖怪なのでそれなりに力比べできるし、オーズに変身すれば余裕でやれる。

 

だてに無意味に長生きはしてないのだ~!______っと、回想に浸っている場合ではない。現在空に浮かんでいる塊は巨大隕石であり、恐竜絶滅説の一つ。流石にあれをどうこう出来る気はしないので、穴を掘って地下に逃げようと考えてるんだけど………

 

「どこ掘ろう?」

 

ちゃんと考えないと、掘った場所の真上に落ちてくる可能性もある。なのでしっかりと考えないとな~ ……………めんどくさし、ここ掘って入口に結界を張って終わりでいいや(即矛盾)。

 

手元に闇を集めて圧縮。テニスボールぐらいの大きさにしたそれを地面に向けて斜めには落とす?投げる? まぁ、僕の手元を離れた闇の塊は疑似的なブラックホールモドキとなって、地面を消しながら進んでいく。その穴の大きさは図らずしも僕一人通る分には十分だ。………流石にこの手は封印かな~っと…

 

思ったより強力ビックリしたけど、当初の目的通り出来上がった穴の中へ飛び込む。入口を霊力による結界と妖力による結界の2重の蓋をして一気に下降する。角度的に歩くのはきつそうだから、ドラゴンを召喚するボール集めの漫画の如く飛んでだけど………問題ないよ?

 

結構な速度で飛んだからか、すぐに最奥にたどり着く。弾幕やら魔法である程度住みやすいように整えたら魔力、魔法による闇の結界を張って事が終わるまでその中に引きこもる。とりあえず、3重に結界張っているせいか思ったよりも疲れがたまっているので、いったん寝よう。そういう事でお休み~zzzzzzzzzzzzz……

 

 

____________________________________________

 

 

どこでも無いどこかの闇の中___

生肉、木の枝、容器に入った生水、尖った石、種類も用途も様々な物が乱雑に浮かんでいる。

 

時間と言う概念が無いこの場所で、紫に怪しく輝く10枚のメダル。それはこの空間の向こう側から聞こえる滅びの声に共鳴するかのよう輝き、独りでに動き出し空間に穴を開き外へ抜け出す。

 

闇から出た先もまた闇の中、されど先程までとは違い空間自体が大きく揺れている。どこともなく生き残りたいと叫ぶ欲望が聞こえ、恐怖におびる欲望が増えていく。それを気にせずメダル軍は宙を舞い、闇の中だと言うのに全体像がハッキリと視認できる少女の元へ。

 

少女から溢れる闇。それに共鳴しメダルは少女の胸に突撃、少女の体内へと入り込むのだった。




文才なさすぎ。。。
なんか、思ったように成らなかったけどこれ以上は現状無理ですユルシテ………

正直みんな、早く原作キャラと関われと思っているでしょ? 僕も思ってる。


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7話:飲み込む闇と寄り添う光と座談

宵闇絶唱シンフォギア、前回までの出来事!

生物が住まう事が不可能な原始惑星時代の地球に転生してきた「ルーミア」

第二の誕生から途方もない時間を過ごし、いつしか地球は第2の氷河期を迎えようとしていた。前世の記憶からその事を知っているルーミアは地下へとその身を潜める。

しかしそんな彼女の体内に10枚のコアメダルが入りこんでしまうのだった……


音も無く岩が解ける。地下に広がる空間が闇に触れて広がっていく。闇の中心地点いるルーミアは紫の輝きに包まれ、額には夥しいほどの汗が流れており、身体のあちこちから妖力やら魔力やらがあふれている。当の本人には意識は無く、闇の力がひとりで働き地球を蝕まんと少しずつ広がる。魘されるルーミアの瞳から一筋の雫が___

 

そこに神々しい光と共に現れる人影。その人物はルーミアの涙を親指で拭い、頭部に巻かれた札に手を添える。すると人類には到底理解する事の出来ない光の文字が新たに刻まれてゆき、新たな効果を付与させた。その効果なのか、広がり続けていた闇が止まりルーミアの中へ。

 

その事を確認した人物はホッとため息を付きながらルーミアの頭を撫でる。腰ほどまで伸びる落ち着いたブロンドの髪を一つに束ね、ルーミアを妹や娘を見つめる優しい虹色の瞳。その場に座りルーミアの頭部を膝に乗せた女性は優しい手つきで髪を撫でる。

 

それから約一時間後、ルーミアは女性に膝枕された状態で目を覚ました。

 

「あ、起きましたか?」

 

「…………………………誰?」

 

欠伸をしながら女性に訊ねるルーミア。しかし次第にこの時代に人がいる事実に跳び起きて女性から距離を取る。膝元からルーミアが離れたのを名残惜しそうな表情で見つめながら女性はゆっくりと立ち上がり名乗りを上げた。

 

「こうして顔を合わせるのは初めてですね。改めてリアです、今後もよろしくお願いしますね」

 

頭を下げるリアに会釈しかえすルーミア。闇を支配する妖怪と輪廻を管理する女神は、初めて顔を合わせたのだった。

 

 


 

 

リアさんが出した座布団に座り込む。周囲が岩に包まれている洞窟中、座布団に座り対面する現状に違和感を家事ざる負えないがメイのお姉さんなので仕方ない………

そもそも原始惑星時代から生きてる僕も不思議生物だし気にしたら負けか。

 

「さて、私がなぜあなたの前に姿を現したのかを説明させてもらいますね」

 

そういって真剣なまなざしを向けてくるリアさん。メイとは違う凄みに思わず背筋を伸ばす。

 

「結論から言いますとメイがあなたに与えたコアメダルにイレギュラーが起きたからです」

 

「イレギュラー?」

 

コアメダルと言われて思わず闇の中から適当に数枚メダルを取り出す。取り出したメダルを掌の上に乗せまじまじと見つめるも変わったところは無い。ちなみに取り出したメダルはタカ・パンダ・ゴリラ・クワガタ・コンドル・エビ・シャチ・チーターの八枚だった。

 

「イレギュラーが起きたメダルは紫のメダルです」

 

思わず息をのみながら収納用の闇の中に意識を向ける。食料の生肉、焚き火用の火種、偶々拾った宝石の原石らしき物、オーズドライバー、セルメダル…………………… 何でもかんでも放り込んでいたからいろいろな物が散らかっている。

 

普段なら意識した物を自動で手元に引き寄せているから気にしてないけど、いくら探しても紫のメダルが手元に引き寄せない。こんなことなら闇の中身とリンクするリストアップ魔法を開発しとくんだった……

 

「どんなに探しもメダルは見つかりませんよ。あなたの体内に有るんですから」

 

「え………………え?」

 

リアさんの言葉に思考が一瞬止まる。手に持っていたメダルが地面に落ちる音で再び頭が回転し、慌ててメダルを拾い闇の中へしまうとリアさんへ再び視線を向けた。僕の視線を受けリアさんは言葉を選ぶように視線を逸らしたのち、視線をこちらに向けて説明を始める。

 

「そもそもメイがあなたに授けたメダルはグリードを誕生させないようにしたものです。しかしそれが何の影響か独りでに動き出し、収納空間に穴を開けあなたの内部へと入り込んだ」

 

その説明を受けそっと胸に手を当て瞼を閉じる。妖力や魔力の流れを感知するように内に流れる力に集中。こちらの様子に気が付いてかリアさんは何も語り掛けない。口にはせずとも心使いに感謝し、何処までも深い穴を進むかのように内部を見つめる。

 

「…………ッ!」

 

そして見つけた今まで感じた事の無い力。脳内浮かび上がるは紫の稲妻と熱を奪う冷気。弾かれるかのように自然と開かれた瞼、動揺を隠すかのようにリアさんに視線を向け続きの言葉を待つ。

 

「原因はいくつか考えられますが…… あなたに渡す際にメイが何かしらのミスをした事。光を無に帰し闇の空間を生み出す力と共鳴。あなたの理性で表に出てこない妖怪としての本能が引き寄せた。有力な説はこのぐらいでしょうか?」

 

顎に手を添えながら説明してくれるリアさん。「他にも」と声を続け様々な説を出してくれるが僕にはいまいち理解が出来なかった。

 

「…………原因解明はひとまず置いといて、今のあなたは妖怪でありながら10枚のメダルに身体を蝕まれている状態です。メダルの浸食については頭部の札に追加で浸食を抑える術を刻んだためしばらくは持つでしょう。しかし応急措置でしかない為、過信はしないでください」

 

「はい………… 待って!?恐竜メダル10枚全部僕の中にあるの??」

 

「えぇ。その為、術も効力は装置よりも薄いと考えられます。そのメダルの力を行使する際はそれなりの覚悟を持って下さいね。封印を外し本気を出す際も」

 

今まで説明よりも目力を強くさせ警告してくるリアさん。その言葉に僕は頷く事しかできなかった。

 

「どうにか出来ないかこちらも策を練っておきます。イレギュラー転生に得点の想定外のイレギュラー、過去に例を見ない今回の騒動。特例としてルーミア、あなたには過剰接触を行う事を転生神リアの名のもと宣言します」

 

「お、お願いします」

 

リアさんが宣言を言い始めた頃から洞窟、細かく言えば妖力と霊力で張った二重結界内にリアさんから溢れる神力とも呼ぶべき聖なる力に押されながらもなんとか返事をする僕。この時点でリアさんには敵わないと肌で感じ取った。

 

まぁ、そんなリアさんが知恵を貸してくれるというのだ。ノアの方舟に乗った気でいよう。

…………………同種メダルの10枚を体内に持つ事に対する不安が少し軽くなった気がする。




お久しぶりです。説明会を執筆するのも大変だと思いました(小並感)
数多あるオーズの二次小説でも主人公に同種10枚のメダルを入れてるのはここだけだと思う(多分)。

これからも不定期に投稿していくので、思いだした時にでも読みに来てください。


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002:アヌンナキの章
8話:観測と襲撃と交流


宵闇絶唱シンフォギア、前回までの3つの出来事!

一つ、研修中の神・メイの手により戦姫絶唱シンフォギア世界における原始惑星地球へ、人食いの妖怪・ルーミアとしてオーズの力と共に転生!

二つ、生物が住めぬ灼熱の星から変貌し緑豊かな惑星となった地球で確実に力を付けながらも、第二の氷河期を乗り越えるべく地底奥深くに身を隠す。

そして三つ、恐竜の滅びの叫びとルーミアの持つ闇の力に呼応し、紫のメダル10枚すべてが体内へ。それに対処するべくメイの姉、リアの加護を受ける事となる…


雲一つない青空に浮かび上がる一つの点。

それはありとあらゆる光を無に帰す闇。それはあらゆる色を染める黒。まるで絵が描かれた画用紙に空いた穴の様に不自然に浮かんでいる異物。

 

存在すること自体があり得ないそれを避けるかのように陸に生きるものは距離を取り、空を泳ぐものは何十メートルも距離を取る。その物体に名をつけるなら闇、闇の塊だろう。すべてを拒む闇の中、一つの影が浮かんでいた。

 

その人影の正体はルーミア。この闇を生み出した張本人だ。ルーミアは瞼を閉じ、光閉ざされた闇の中で静かに浮かんでいる。両手両足が力なくぶら下がる中、呼吸すら忘れたと思うほどに音を出さないルーミアはその意識を闇の外の空間へと向けていた。

 

「_________」

 

ゆっくりと瞼が開かれる。その瞳は淡く、優雅に、そして不気味に輝いていた。その瞳が映すは周囲に広がる暗闇……… そして闇から遠ざかろうとする生物のシルエットだった。その内の一つに狙いを定めたルーミアは音を置き去りにして接近。加速した衝撃が闇の外に広がる雲を吹き飛ばす中、その瞬間には翼を持つ生物の頭部をその爪で切り裂いた。

 

突如として現れ、群れの仲間を殺したルーミアから逃げるように思い思いに飛び去って行く鳥と翼竜に近しい生物。それを他所に自身が絞めた生物の足を乱雑に掴むと切口を地面に向け、麵の湯切りするかの如く死体を上下に振り、大地に小規模な血の雨を降らす。

 

「………肉無いな」

 

乱雑に血抜きをしたソレを噛み千切ると顔をしかめボリボリと口の中の骨をかみ砕く。正面の毛も羽も気にも留めず、食し胃の中へ納める。やがて掴んでいた足を口の中に入れ咀嚼、ゴックンっといい音と共に飲み込みと赤黒い液体で汚れた掌を合わせると言葉を紡ぐ。

 

「ごちそうさまでした」

 

その言葉は彼女がただの日本人だった頃のなごりだ。

 


 

両腕を上にあげ背伸びするルーミアの姿がモニターに映される。画面には他にも文字らしき物や数式らしき物の羅列が次々と浮かび上がる。その画面を見ているのは人に酷似した人で無い生物。その人型生物は言葉らしきものを発し、周囲にいた人影が一斉に動きだした。

 

その人型は確かに二本足で立ち、両腕に武装し、容姿も人間じみたものだが一部が違っておりルーミア以上に人外感を醸し出している。そんな彼らが向かう先はルーミアの元、人一人入れるカプセルの中へ入りテレポートしていく。その転送先は地球。それもルーミアが歩いていた荒野だった。

 

「およ?」

 

突如として周囲に現れた人型に驚きの声を零したルーミア。その手に持っていた果実を地面に落としながら自身を囲む彼らに視線を向ける。

 

「なんだのだ~~?」

 

「▼×#$&*<!」

 

「あ~~ 悪いな、僕は英語は分かんないのだ~」

 

「______!」

 

「けどお前ら僕と仲良くしようとしてないのは、その欲望で良く分かったのだっ!」

 

未知なる言語と共に向けられた殺気。それに対して自身の記憶の中にある[ルーミア]らしい言動を取りながら笑みを浮かべ、ほんの僅かに腰を落とし構える。握りしめた右手を正面へ、鋭く指を曲げた左手を顔の横へと持っていく。

 

その立ち姿は10代前半の少女にしては低い身長の少女とは思えない程に凄みがあった。どこかの兄弟戦士が合体となった戦士を想起させる構えを取る彼女の姿に数歩後ずさる襲撃者ら。怯えの表情すらうかがえる彼らに向け、無慈悲にもルーミアから仕掛けに行った。

 

地面スレスレの超低空飛行の体勢から放たれる拳が襲撃者の間を通り抜ける瞬間に襲い掛かる。襲撃者2名が地面へ倒れ込むのとほぼ同じタイミング、包囲網を抜け出したルーミアが地面に跡を残しながら着地。体内に秘めた妖力を開放し無数の弾幕を襲撃者達へと放つ。

 

「?$#%&◆*」

 

「やるな~~」

 

迫りくる色とりどりの弾幕を迎撃や飛翔などで回避していくその様に感心し思わず声を零すルーミア。そんな彼女の様子を他所に弾幕群から抜け出した一部の襲撃者が接近戦を仕掛けてきた。放たれた蹴りを身体の小ささを生かして優に回避。身体をねじり人間では不可能な軌道を取りながら踵で顎を蹴り上げた。

 

小さな身体からは信じられない程の威力を秘めた一撃は襲撃者の意識を刈り取り、後方へと大きな音と共に吹き飛ばす。その図体に後に続くように接近していた別の襲撃者が巻き込まれ失神。その様子を他所に出鱈目な軌跡を描きながら次から次へと打撃を与えていくルーミア。

 

薄茶色のキャンパスが襲撃者の血液で塗られていく中、上空へと上昇したルーミアが必殺の一撃を放つ。自身を中心に青・緑・赤の米粒弾を波紋状に放ちながら、ホーミング性能を持つ青い弾幕を撃ち出す。[闇符「ディマーケイション」]が絶え間なく襲撃者達を襲う。

 

その景色に見惚れていた者から地に伏せていき、残ったものは光の嵐をくぐりながら背後から迫る弾幕を対処する。それでも振り切る事は出来ず、襲撃者達は次々と数を減らしていった。

 

「&%@*>▼#!」

 

これ以上の戦闘は割に合わないと判断したのか、リーダー格と思われる襲撃者の合図によって次々と姿を消していく。

 

「結局なんだったんだアイツら~~?」

 

戦いの爪痕のみが残る地でルーミアの呟きが静かに響き渡る。首をかしげながらもなんとなくその場にとどまる気は起きず、風に身を任せ空を飛び去っていったルーミア。

 

 


 

 

それから幾日か過ぎた頃……

 

「う~~ん、この辺はあまり植物が育ってないな~~~」

 

赤土の荒野の中、手の中に銀色のメダルを遊ばせながらルーミアが歩く。天から降り注ぐ太陽の光を薄く周囲に張った闇で防ぎながらのんきに独り言をつぶやく。そんな彼女……?の前に一筋の光が現れる。

 

「へ?」

 

口を小さく開き唖然とするルーミアではあったがその光を数日前、自身を襲ってきた襲撃者達と同じものであると記憶から引き出す事に成功しすぐに戦闘態勢を取る。

 

「_____ッ!」

 

 

光が晴れるとそこにいたのは人形のような白い肌、長く伸びた白い髪、爬虫類を想起させる赤い瞳の女性。警戒するルーミアの視線を受けながら彼女は言葉を紡ぐ。

 

「我が名はシェム・ハ。シェム・ハ・メフォラス」

 

流暢な日本語で。

人類が誕生する遥か昔、言葉を発する妖怪と異星人が交流が始まろうとしていた。




他の作品の合間に執筆してたら一年経ってました。だが私は誤らない(某社長風)。来年はもう少しだけあげれるように努力はします。


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