戦争狂じゃないんです!!(リメイク版) (ベーコンエッグトースト)
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プロローグ

どうも、はじめましての方ははじめまして
そうでない方はお久しぶりです......

ワタクシ、ベーコンエッグトーストと申します

度重なるガバと、それに伴った「軌道修正の出来ない」物語の歪み、更には週一投稿をキープしようと試みた結果日に日に雑になっていく小説にやる気をへし折られてから早2ヶ月...

全ハーメルン読者達よ、私は帰ってきたァ!!

HELLSINGを読んだ方も、そうでない方も楽しめるよう創意工夫を凝らした(つもり)です(笑)



それでは、本編をどうぞ!!


知らない廊下だ......ああ!!待って待って!!!!!ちゃんと話すからページを閉じないで!!

よしよし戻ってきたね...?

 

.....さっきさぁ... (回想中)

 

 

_______________________________________________

 

(俺の名前は斉藤 和也、彼女いない歴=年齢の35歳!......自分で言ってて悲しくなってきた...)

 

そんな孤高を愛する俺は最近とある漫画にはまっている。

 

紅いロングコートにテンガロンハット、サングラスをかけた男が不敵な笑みを浮かべている表紙絵が特徴の漫画───『HELLSING』

 

 

2000年代初頭のロンドンを舞台に、対吸血鬼専門の特務機関「HELLSING機関」とそのHELLSING機関の使役する最強の吸血鬼アーカード、吸血鬼化したナチの残党勢力「ミレニアム大隊」、ローマ・カトリックヴァチカン教皇庁より派遣された「第九次空中機動十字軍」、が三つ巴の闘いを繰り広げる漫画である。

 

きっかけは本当になんてこともなかった。

ただ当時ハマっていた別の漫画とのクロスオーバーMADを見て興味を持ち書店にて手に取ってみたのだが...読み進めるにつれて少しづつ作中の世界観へと引き込まれていった。

 

作中の登場人物達の信念、狂気、思い、信頼そういった部分に引かれ俺はすっかりHELLSINGにはまりこんでしまった。

 

あの日俺は会社帰りにDVDのレンタル店へと足を運んでいた。

ファンの皆さんからは不評の声が多かったもののHELLSINGファンとしてはTV版も観ておこうと思ったからだ。

 

雨が降っていたが家も近かったこともあり、「あぁ、降ってるな」という程度の認識でそのまま帰路につこうとしたことがマズかったのだろうか。

店を出て横断信号を渡ろうとしたところで......

 

キキィッ!!

 

眩いヘッドライトと甲高いブレーキ音、四肢がバラバラになってしまいそうな強い衝撃と浮遊感を感じた後...そこで俺の意識はプッツリと途切れた......。

 

 

_______________________________________________

 

目が覚めたら知らない廊下にいた(冒頭)、周りを見渡しても無機質な白い壁に無数のドアが列なる空間がどこまでも続いており、自分の目の前にはパッと見数十人はいるであろう人々が何かの列に並んでいて自分はその最後尾につく形だった。(なんか血まみれ甲冑の人が発狂したように騒ぎ立ててるけど...)

 

(何か血まみれ甲冑の人に話しかけるのは怖いし、とりあえず目の前の足軽ぽいコスプレをしている人に声をかけてみよう) そう思い声をかけてみようとしたのだが...

 

「すみまs...?!!!」

 

(え、今の俺の声か......?)

 

声をかけようと思い聞こえてきたのは、慣れ親しんだ斉藤 和也の声ではなく女性としては低めの、それでも男性よりは高いハスキーボイスだった。

 

続けて違和感を感じたのは視点だ。 少なくとも俺は日本人としては平均的な170センチ程度の身長であったはずだが、今の視点はどう見ても180センチ後半はある。

 

嫌な予感が頭を過り、視線を足元に向けると立派な二つの双丘が存在感を主張していた。

 

そこから、恐る恐る股間部へと手を伸ばし、空をきった手ごたえに深い絶望感を抱いた。

 

 

 

ほんの少しの間深い絶望感に打ちひしがれたあと、俺は白い上等な手袋を手にはめていることに気がついた。その手袋の下からは白魚のような指先が...やめておこう......

 

 

 

と に か く ! 俺は少なくとも このような上等な手袋を所持していた覚えはない。

 

さらに服装を確認してみれば黒衣の軍服に稲妻二本の章、 軍服の上からは白いロングコートを羽織っていて、頭に乗っていた帽子を手に取ってみればその帽子には髑髏の紋章がついていた......

 

 

 

.......て、ちょっと待てぃ!! 何か嫌な予感がするぞー...

 

 

恐る恐る壁に無数に設置されたドアのガラス窓を覗き込んでみれば...

 

 

くすんだ色のロングヘアの金髪を、右側のみ後ろにバックで固め、半月型のメガネをかけた金髪美女がいた......がその他の要素がそれをことごとく台無しにしてしまっている。

 

 

濁りきった光のない瞳、整った顔立ちはニタニタとした薄ら笑いを浮かべており試しに人の良さそうな笑みを浮かべてみれば、完全に悪女のそれだっので早々にあきらめた。

 

 

 

......というかこれ、間違いなくアレだよな...。

 

 

 

HELLSING外伝THE DAWNに登場した時の少佐の格好(性転換&肥満解消)だよな!

 

少佐───漫画HELLSINGに登場する三つある勢力の中の一つ、吸血鬼化したナチの残党勢力ミレニアム大隊を纏めあげる大隊指揮官であり、自他ともに認める根っからの戦争狂である。

 

 

ファッ?!!!!!!!!

 

 

俺にどうしろと?!

 

 

まさかミレニアムを率いてくれとでも言うのか?!!!!!!!!

 

 

ムリムリムリムリ、ム〜リ〜 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

何だ?!!!!

 

 

俺に死ねと?!

 

 

こちとら単なる会社勤めのサラリーマンやぞ!!

 

 

カリスマ性なんてあったもんじゃないから速攻喰われる(両方の意味で)な!!!!!!!

 

 

俺がどこの誰とも分からない誰かに対して内心、喚き散らしているとと列がだいぶ進んでおり、残るところあと数人程度だと気がついた。

 

 

 

列の先頭を見てみればデスクが置かれており、そこに座った一人の男が書類と列に並ぶ人々を交互に見比べた後、ただ一言

 

 

 

「次」

 

 

 

というと一人また一人と無数に設置されたドアへと吸いこまれていった。

 

 

 

彼なら何か知っているかもしれない。そう思い待っていると、とうとう最後、自分の番がやってきた。

 

 

 

......いざ何か質問しようとしたものの、書類とこちらを交互に見比べる男の視線に気圧され(軽度コミュ障を患っている俺を見つめないでくれ...!!)気がついた時には、

 

 

 

「次」

 

 

 

先程と変わらぬ平坦な声でそう告げた。

 

 

 

「ちょっと待っ...!」

 

 

 

その事に気がついた俺はとっさに声をあげたものの、ズブズブと扉へのみ込まれてゆき、意識は深い闇の底へと落ちていった。




まぁ、まだ序盤なのでそこまで旧版とはストーリー面で差は無いですね。


それはでは次回、お楽しみに!!


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第一話ナチ娘ミレニアムダービー

どうも〜、初回投稿プロローグのみってのもアレなんで、早速第一話載せてっちゃいマース!!


誤字脱字等ございましたら御報告よろしくお願いいたしますm(_ _)m

それでは、本編をどうぞ!!


Умереть!!

 

ん...?

何だ...?

 

нац■■ты!!

 

 

うるさいなぁ...せっかく人が気持ちよく寝てる時に他人様の家に土足で上がり込んで騒ぎ出すなよ...

 

У■ри нацисты!!

 

ん...?上がり込んで?騒ぐ?

 

俺が今現在の状況の異常さに気がついた瞬間、

 

(キィィィエェエアァアア?!)

 

 

頭にとてつもない激痛が走り意識が覚醒した。

 

 

激痛と共に頭に流れ込んできた情報

 

『艦娘』 『深海棲艦』 『鎮守府』 『提督』 『戦争』 『ミレニアム』 『飛行船艦娘』『Deus Ex Machina』

 

 

(いやいやいやいや!! ちょっと待てよ?!)

 

 

 

流れ込んできた情報を元手にだいたいの現状を理解した......が情報として理解するのと、頭で理解するのは別問題だ。とりあえず今は周囲の状況を把握するのが先だろうと思い目を開けると...

 

 

 

美少女達に見つめられていた......天国か?!ここは!!

 

 

て、んな訳はない...先程情報を理解した俺には全て解っている......今この現状がどちらかと言えば地獄と言うことも。

 

 

 

俺を見つめる『黒衣』の美少女達の正体も。

 

今、俺のいる何かの乗り物の艦橋と思わしき場所も。

 

 

(ハ、ハハ...俺の二度目の人生、終わったかもしれない......)

 

 

 

「お目覚めですか?代行指揮官殿」

 

...と考えていたところで突如、真横から声をかけられた。

 

 

俺に声をかけてきたのは一人の女性だった。

 

 

今の俺と同じくらいの身長で金髪の髪を肩辺りで切りそろえたスレンダーな美人だったが......なんとも奇妙な格好をしていた。

 

顔にはレンズが複数枚ついた変わった形のメガネをかけ、羽織っている白衣は彼女が医者もしくは科学者であることを示していたが真っ紅な返り血に塗られていた。

 

 

 

(誰だ...?)

 

一瞬そう思った(現状を理解したといっても大雑把にしか理解していないのだ)が、その格好を見てその人物が誰であるかについてすぐに思い当たったのだが試しに聞いてみることにした。

 

 

(どちら様ですか?)

「君の名前は?」

 

 

そんな俺の問に対し目の前の女性は恭しく頭を下げ、

 

 

 

「申し訳ございません、自己紹介が遅れました。この度、代行指揮官殿の補佐を勤めさせていただきます

ドク妖精と申します。どうぞドクとお呼びください」

 

 

と、彼女から返事が帰ってきたが、今俺の頭の中はそれ所では無い。

 

(これはとてつもなくマズイのでは...?!)

 

否!!まただ!!まだ、希望を捨てるべき時では無い!!

 

よし!もう一度...!

 

 

(そうですか、考える時間が欲しいのでしばらく一人になりたいです。10分後くらいに、ご報告よろしくお願いします)

「そうか...よし、ではドク私は少し考えをまとめる...10分後に報告に来てくれ」

 

 

 

(アァア゙ア゙ア゙ァ゛ア゙?! やっぱりぃ?!!!!!!)

 

 

そんな内心荒れに荒れまくっている俺をよそに、ドクがポケットからリモコンを取り出し操作すると、ガコンという音と共に椅子ごと下に下がりはじめた。

 

 

 

(いやー、言わなくても気をつかえるとか、できる部下は違うなー......というかツェッペリンIIにもあったこの機構、マキナにもついてんだー)

 

 

 

そんな風に思考を放棄しながら俺は下の部屋へと

ドナドナされていった。

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

さて、あれから暫くの時間が経ちだいぶ落ち着いてきたので現在の状況を整理したいと思う。

 

 

 

その一→店から出たところでトラックにはねられ死亡

 

 

その二→気がついたら謎空間にいた

 

 

その三→そこで自分の姿が変わっていることに気がついた

 

 

その四→こっちの世界にとばされた

 

 

その五→new自分の身体がミレニアム大隊の所有する空中艦隊旗艦 Deus Ex Machinaであることが判明

 

 

その六→new『黒衣(SS軍服)の美少女達』...大隊員が妖精さん化してた

 

 

その七→newドクとの会話にて自分の喋る内容全てが少佐っぽくなっていることが判明

今ココ⤴

(たーのしーい)

「心が踊るなぁ...!!」 

 

試しに某狩りごっこが好きなフレンズの名セリフを言ってみたもののやはりダメらしい。

普通に(コミュニケーション的に)ハードモードでは?

 

まぁ、唯一の救いがドク*1に懐疑心を抱かれていないという事だろうか......

 

 

 

うん、ぶっちゃけドクは普通に頭いいから中身一般人だとバレたらやばいと思う......

 

 

(カリスマなしで言葉だけ偉そうとかまじで笑えんぞ...)

 

それに何だっけ...?

今世の身体はDeus Ex Machina?

あの軽金装甲とV1ロケットをガン積みした、トンデモ飛行船の......?

 

......。

 

ええぃッ!!!!!

 

ま、まぁ異世界転生でチートってのはよくある事だッ!!

 

うん、それに艦これという年中戦争やってる世界でチートを手に入れることができた...むしろラッキーと言えよう(そもそもこっちの世界に来なかったら必要ですら無かったけど)

 

つまり俺の身体はァアアア!!

ゲルマン民族最高知能の結晶であり!!誇りであるゥウウウ!!!!!

つまり!!

 

全ての艦娘を超えたのだァ!!

 

 

(フハハ八八ノヽノヽノヽノ \ッ!!!!!!!

 

ハァーハッハッハッハハッハッハッハッ...グッゲホッゴホッ!!!!!

(あ〜、逃げたいよ...(現実から))

 

 

 

コンッ コンッ コンッ

 

俺が自分の行く末と現実に対して半分思考を放棄し始めていたところに、こ気味良いノックと共に入室の許可を求める声が聞こえてきた。少佐っぽくなってしまう事(長くてめんどくさいからとりあえずのところは少佐フィルターと呼ぼう)を半ば諦めながら入室を促す。

 

(あ...と、とりあえず平静を装って......)

 

(どうぞー)

「入りたまえ」

 

「失礼します代行指揮官殿。先程申し付けられたとおりの時間に参りましたが......お考えの程はどのように...?」

 

あ〜、うん...まぁ治らないよねぇ......

 

 

まぁ、とりあえずアレだ...話を先に進めねば......

 

 

「ドク、ヴェアヴォルフ隊及び各小隊長を至急司令室へと招集しろ。報告はそこで受け取る...と、後もう一つ。詳しい現在地がわかるまで全エンジンが停止しているのであればそのままにしておくように、下手な所へ流されては適わん」

 

「ハッ、了解しました。代行指揮官殿」

 

うん、来てそうそう追い返す形になって申し訳ないけど話し合いはみんなでするべきだと思うんだよね?

 

「私は先に司令室へ向かっているぞ?」

 

 

 

_______________________________________________

 

さっき指示を出す過程でエンジンについて指示を出していたけれど、これについてはまぁ色々と考えがあったりする訳だ。

 

実の所を言うと報告内容に関して言えば、現在位置について俺は割と重要視していたりする。

 

理由を挙げるとするならば、俺達は必然的にどこかの国の庇護を受ける必要性があるのだがここで重要になってくるのが深海棲艦へ対する戦力となる艦娘の人数である。

 

そう、そこで俺が目をつけたのは我らが日本国である。

 

というのもだ。日本では大戦時に多くの艦が建造され沈んだ為か艦娘の数が頭一つ抜けて他の国よりも多いのだ。

 

 

俺の目標は生き残ること。

 

戦争狂集団ミレニアムの旗艦Deus Ex Machinaとして転生してしまった以上、戦いを避ける事はできないと思っている。

 

 

であるならば戦力の豊富な日本の方がそれだけ生存率も上がるという訳だ。

 

 

 

───と、まぁまぁそんな事を考えながら歩いていれば......

 

Haupt quartier→(主要区画)

 

 

お、あったあった!!

Deus Ex Machinaの艦内ってちょいちょい案内板?的なものがあるからそれを『読む』ことによって艦内構造を把握してなくても割とスイスイ歩けるんだよねぇ〜

 

......まぁ、実はこれも転生特典の一つだったりするんだけど。

 

艦内を歩いている時に気がついたがどうやらこの身体、ドイツ語が読めるらしい。

 

うん、出来ればこういうのは前世の方に欲しかったかな......?そしたらワンチャン女の子達からチヤホヤされたかもしれないのに...!!(血涙)

 

まぁ、絵に描いた餅、絵空事、甘い夢......そんなことある訳ないんだけど...

 

 

(ん?なんかドアの前に誰かいる?)

 

 

司令室を表す看板の下に何やら人影らしきものがいることに気がついた。

 

 

その人物はこちらを確認すると直立の姿勢で右手をピンと張り一度、胸の前で手を水平に構えてから、手を下に向けた状態で右腕を斜め上に突き出した完璧な敬礼を取り...

 

「お待ちしておりました。代行指揮官殿」ビシッ

 

と、見事な『ナチス式敬礼』を送ってきた。

 

 

......。

 

あぁ...いや、うん......分かるよ?

確かにここはナチス残党組織ミレニアムだからナチス式敬礼が来るのは分かるけどさ......

 

前世一般人の感覚からするとどうにも抵抗感が否めないというか、なんと言うか......

 

まぁ、そんなこんなで何となく気まずい気分になった俺は何も返事を返さずにいるのも悪いと思い、小さく右手を挙げ礼を返しながらその先へと進んで行ったのであった。

 

_______________________________________________

 

ゴゥウウウウウウン、ガコンッ!!

 

巨大な両開きの扉をくぐり抜けたその先には、広大な空間が広がっていた。

 

壁一面にモニターを貼り付けた大画面のスクリーン。大隊員を収容整列させてもまだ余りある広大な床面に描かれた紋章、その優美な翼を堂々たる様相で広げる鷲の鉤爪に掴まれたナチス党の象徴...『鉤十字』

 

漫画やOVAで見た司令室が現実となって目の前に存在するのだから、やはりファンとしてはグッとくるものがあるだろう......

 

あるのだろう!!...本来であれば、

「「「「ザッ,ビシッ!!」」」」

 

───お兄さんもう疲れたよ...

 

 

 

なんかもう返事を返すのも面倒くさくなってきたので適当に右手を挙げて、「あ、どうも」的な感覚で返しておくと、何となくそういう気分を察したのか敬礼を即座に辞め直立不動の姿勢で整列し始めた。うん、多分そういう気持ちも汲み取ってくれるのだろう......実に良く訓練されていると思う。

 

とりま司令室の奥の方の指揮官席に座るか(なんか、大隊員の整列で一直線に道ができてるし...)

 

カツカツカツカツ...ドサッ

(よっこいせ...お、この椅子意外と座り心地がいいな)

 

前世において革張りのソファという物はお尻が蒸れるのであまり好きでは無かったのだが、多分ドクの特注製?なのかは分からないけど通気性が良さそう&硬すぎず柔らかすぎずのジャストフィットなので普通にアリだと思う。

やはり少佐の専用席なだけあって、椅子ひとつ取っても深いこだわりが見えてくるのだから面白いものだ。

 

 

ん?待てよ...?専用席...?

ここはミレニアムの司令室であって、この椅子は大隊指揮官である少佐の席である=勝手に座ったらヤバくね...?

 

(......。)

 

(まッ!!、まままマズイぞ?!!!!!!!!

隣にはドク、目の前には各小隊長がいるのに目の前でそんなことしたら袋叩きに遭うんじゃ...!!)

 

今自分の置かれている状況が思ったより危機的なものなのではないかと思い、戦々恐々としながら周りを見渡してみたのだが...

 

「......。」パラッパラッ...

 

「......。」ビシッ

 

 

あ、アレ...なんか大丈夫っぽい......?

ドクは報告書の確認してるし、各小隊長も先程同様直立不動の姿勢で立ってるし...

 

ま、まぁ、問題ないなら無いに越したことはないいんだけどさ...?にしても肝が冷えたわぁ...、何がコイツらにとっての地雷なのか未だに把握出来ていないからなぁ......

 

俺は無意識の内に行ってしまっていた行動に対して戦々恐々としていたのだが、そこでふと各小隊長は全員揃っていたのだが、『ヴェアヴォルフ隊』の面々がまだ来ていないことに気がついた。

 

(ん?そういえばドク、大隊員は妖精さん化してたけどヴェアヴォルフ隊の方はどうなってんだろ...?)

 

ゴゥウウウウウウン、ガコンッ!!

 

お、誰か来た...?

 

「さしものやつもぶっ切れてさー?」

「うるさいぞ、あの人の前だ...少しは気を引き締めろ」

「はいはい、またそれかよ。わかってる、わかってますってー」

 

 

 

「ご覧になりましたか?トランプ遊戯においてこの私の右に出る者はいないと」

「でもさー、トバルカイン能力使ったよね?」

「さて?なんのことでしょう...」

「シラを切るなんてずるいや。大尉もそう思うでしょ〜?」

「......。」

 

「だから前から言ってるだろう?アンタもヴェアヴォルフ隊ならもう少ししっかりしな」

「ま、まだあの時のことを引きずるのですか〜...」

「その前からだよ」

 

 

...うん。

なんかエラく濃いヤツらが複数人入室してきた。

 

1組目に入ってきたのは2人組で、1人がジャージにピアスといったストリートギャング風の格好をした短髪褐色女、もう1人は白スーツに白のロングコートを身につけており、髪色は金髪ロングで何やら気取った雰囲気がある。

 

2組目に入ってきた3人組は、1人が茶色の中折帽とコート、スーツを着こなしたペルシャ風美女、そしてそのペルシャ風美女に対して何やら抗議していたもう1人がナチス青少年団(ヒトラーユーゲント)の格好をしたネコミミショタ?(ロリ?)で、最後にネコミミショタ?(ロリ?)から話を振られていたのが熱帯戦線仕様のコートを身につけた無口無表情の高身長銀髪美女。

 

最後に入ってきたのは2人組で1人が大鎌を片手にSS軍服の下半分、黒のタンクトップを身につけ右半身に無数の刺青を入れた斜視気味の短髪筋肉女。そしてその短髪筋肉女からの言葉を耳が痛いとばかりに顔をしかめながら聞いているもう1人は降下猟兵団指揮官服を身につけた黒髪ロングソバカス美女でその手にはマスケット銃が握られていた。

 

 

(噂をすれば何とやら...)

 

 

ミレニアム大隊最高戦力『ヴェアヴォルフ隊(リメイク)』の皆さんデーす、いぇーい!!!!!

 

 

......ハァ?!!!!!!!!

色々変わりすぎだろ!!!!!ほとんど原型残ってねぇじゃねぇか!!ナチ娘ミレニアムダービーッてか?!!!!!(投稿主が街で平野氏(HELLSING原作者)にばったり出会ったらそのまま飛び蹴りくらうんじゃね......?)

 

ま、まぁ一つ一つ情報を整理していこうそうしよう...さすれば自ずと道は開ける!!

たぶん、おそらく、きっと、めいびー...

 

 

 

えーとまず、最初に入ってきた2人組が、白ロングコートのスカシとフルアーマーピアスのチンピラ...多分バレンタイン兄弟*2のルーク・バレンタイン*3とヤン・バレンタイン*4かな...?ん?今はどっちだ?兄弟?姉妹?

 

てか、初っ端からめちゃくちゃ濃いのが来たな......(コイツら退場が早かったけどその分巻末のギャグパートでレギュラー取ってたし...)

 

 

で、次に入ってきた3人組のうちの1人は...トバルカイン*5かな?で、もう1人がシュレディンガー准尉*6か、あいつはほとんど変わらないからわかりやすいな。で無口無表情が多分大尉*7...だと思う。

 

 

で、最後に入ってきたソバカスマスケットと筋肉タトゥーがリップヴァーン・ウィンクル中尉*8とゾーリン・ブリッツ中尉*9で間違いはないだろう。

 

 

 

うん、なんと言うかもう...ね......

 

「それで?代行殿。早速始めるのですか?」

 

そう質問を出してきたのは筋肉タトゥーことゾーリン・ブリッツ中尉だ。

 

(そうだね、そろそろ報告書を読み上げてくれないn...「いえ、まだ2名来ておりませんので」)

 

俺がドクへ報告を促そうとするもドクによって遮られる。(そもそものところで、まだ喋ってすらいないから遮ったことにはならないんだけど...)

 

「2名?あぁ、アルフレートとアルトゥールか...」

 

なんかゾーリンも他の大隊員も訳知り顔と言った感じだし...

 

ここで「俺知りません」て言うの、かなり勇気がいらない...?

 

俺がそんなこんなで『聞くはいっときの恥、聞かぬは一生の恥』理論で迷っていると......

 

ゴゥウウウウウウン、ガコンッ!!

 

扉の開く音と共に、1つの『黒い弾丸』が飛び出して来た。

 

「マキナお姉さまぁああ!!」

 

その黒い弾丸は一直線に、こちらに向かって駆け寄ってきて...

 

ダキッ!!(グボラァ?!!!)

 

その運動エネルギーを保持したまま勢い良く飛びついて来た。

 

俺の顔面へムニムニと押し付けられ潰れる『2つの双丘』

 

(あ、あわわわわわわ?!!!!!お、俺の顔にたわわ様が押し付けられてッ、ついでに俺のたわわ様もお腹ですり潰され...?!!!ん、...ひぁ...ッ)

 

(て、いかん!!)

 

俺がTS物の薄い本のようになる前に何とか彼女を引き剥がすことに成功した。

 

「ご、ごめんなさい!!大丈夫ですか?」

 

いや、大丈夫も何も色々な意味で死にかけたのだが...

 

「......。」ウルウル

 

やめてくれ、そんな無言の上目遣いで俺を見ないでくれ...

 

「......。」ウルウル

 

はぁ、男たるものここで許すしかないか〜...

ここで許さないとか言ったらとんだ鬼畜生野郎である。

 

とりあえず名前を聞いてみよう、と思ったのだが...

「あぁ、ところで君の名前h...「そんな...代行殿はアルフのことを忘れてしまったのですか...?」」

 

俺が名前を尋ねれば潤んでいた目尻にとうとう大粒の涙が溜まり始め...

 

(だァアアアア!!わかった!!わかったから泣くな!!頼むから泣き止んでくれ!!)

 

お、落ち着けッ!!落ち着くんだ俺!!

ここにいるということは間違いなく!!そう、100%作中に出ていた筈だ!!

ア、アルフ...?そんなやついたか?

アルフ、アルフ、アルフ、アルフ?

 

まて、さっきゾーリンは何と言っていた?

『2名?あぁ、アルフレートとアルトゥールか...』

 

アルフレートぉ......

ん?アルフレート...?

 

〜「作中回想中」〜

 

『空中巡洋艦第二番艦

アルフレートローゼンベルク、炎上中!!ダメージコントロール限界点です!!』

 

〜「回想終了」〜

 

アルフレートローゼンベルクってGraf ZeppelinⅡ*10のことか!!

 

どうりで聞き覚えが無いわけだ。

作中はほとんどGraf ZeppelinⅡの名で通っていたからなぁ...、

 

まぁ、そういう訳で答え合わせといこうか。

 

「あぁ、そうだツェッペリンⅡか」

ドキドキドキドキ...

 

あってる?あってる?

さて、どうだろう...

 

「む〜、ツェッペリンⅡなんて硬い呼び名じゃなくてアルフと呼んでください!!」

 

そうプリプリと怒りながら抗議する彼女の様子に、俺は内心胸を撫で下ろした。

(ふぅ...良かった、どうやら間違ってはいなかったらしい)

 

すまん、とひと言謝れば「じゃあ、あたま撫ででくれたら許してあげます」と言うので素直に撫でてやることにした。

 

うん、何だろう...

見た目、スゴい美人なんだけど雰囲気?が幼子というか、懐きの良い猫を撫でてる感じで全然邪な念が湧いてこないというかなんて言うか...

 

_______________________________________________

 

「遅れてしまい申し訳ありません。代行指揮官殿」

 

しばらくアルフの頭を撫でてやっていた頃、

司令室内へまた一人誰かが入室してきたようだ。

 

誰であろうと気になりふと顔を上げてみれば...

 

今俺の膝の上でうずくまり、気持ち良さげに頭を撫でられているアルフと、全く同じ顔をした女性がそこに立っていた。

 

(え?は?いや、何?アルフちゃんここにいるよね?え、じゃあアレか...?目の前にいるの噂に聞くドッペルゲンガーとか言うやつ?!!!)

 

そんな、内心混乱状態の俺を他所にアルフちゃんとアルフちゃんのドッペルゲンガー(暫定)は会話を進めていく。

 

「あ〜!!アルトちゃん、どこ行ってたの!!突然いなくなっちゃうんだから心配したんだよ?」

 

「いえ、むしろ途中で居なくなったのはアルフお姉様の方ではありませんか?申し訳ありません、代行指揮官殿。アルフレートローゼンベルクを探しておりましたら遅れてしまいました」

 

......。

 

ハッ、今の俺に話しかけてきたんだよな?

ならばはよう返事を返さねば...

 

え?放心してたくせに状況掴めてんのかだって?

ばきゃあろう、一字一句聴き逃しただけで命の危機に直面する状況下で、高々放心してたぐらいで状況判断出来なくなるわけねぇだろ!!(逆ギレ)

 

つまり、アレだろ?さっきの会話にて、アルフちゃんのことを『お姉様』呼びしてたって事は、コイツがもう一人のGraf Zeppelin級航空巡洋艦『アルトゥールザイスインクヴァルト』と言うわけだ。

 

「あぁ、Graf ZeppelinⅢka...「アルトですアルトでお願いします」......。」

 

そこは頑なに譲らないようだ。

 

 

 

 

 

*1
ドク───ナチス残党勢力ミレニアムに所属する科学者であり人造吸血鬼の生みの親でもある。ミレニアム大隊、大隊指揮官である少佐を心から尊敬しており少佐の副官的立ち位置も任されている。

*2
バレンタイン兄弟───漫画「HELLSING」に登場した吸血鬼兄弟(人造)であり兄がルーク・バレンタイン、弟がヤン・バレンタインとなっている。

*3
ルーク・バレンタイン───バレンタイン兄弟の兄の方でミレニアムでの階級は准尉。優れた反射神経とスピードを活かしての戦闘が得意であり、その実力に裏打ちされた絶対的な自信を持っている。(なお、作中ではその自信が仇となり死亡した模様)

*4
ヤン・バレンタイン───バレンタイン兄弟の弟の方、ミレニアムでの階級は不明である。性格は残忍かつ下劣であり虐殺に対して性的快楽を覚える。(それが顕著に見て取れるセリフを挙げるのであれば「最高に勃〇モンだぜェ!!」というものが挙げられる)が特にこれといった特殊能力は持ち合わせておらず、他の人造吸血鬼と違う点と言えば多少タフな程度である。

*5
トバルカイン・アルハンブラ───ミレニアム大隊に所属しており階級は不明(実はヴェアヴォルフ隊の所属ではなかったりする)トランプを用いた変幻自在な攻撃を得意としており周囲からは伊達男と呼ばれている(今の場合伊達女...?)

*6
シュレディンガー准尉───同じくミレニアムに所属しており階級は准尉。戦闘能力は一切持たない反面、自身を認識し続ける限りどこにでもいてどこにもいないという「シュレディンガーの猫」に準ずる能力を所持している。性格は...なんと言うかこう、自由な感じ?で平気な顔をして上官である少佐に対してタメ口を使ったりする。

*7
大尉───同じくミレニアムに所属しており階級は大尉。人造吸血鬼ではなく少佐に拾われた最後の人狼であり人狼としての戦闘能力や霧化などといった多彩な能力を持つ。(基本無口無表情でOVA版でも声優は割り振られてはいなかった)

*8
リップヴァーン・ウィンクル中尉───ミレニアムに所属しており、階級は中尉。ホーミング可能な弾丸を放つ能力を有している。(なお、メンタル面は主人公(ラスボス)が相手であったが故に仕方なかったとはいえ結構よわよわな模様)

*9
ゾーリン・ブリッツ中尉───同じくミレニアムに所属しており、階級は中尉。相手の精神へ干渉し、幻術を見せるといった能力を持つ。肉体はそこまで強くない反面(作中、拳銃とタックルでやられてた)性格面で言えば部下からの信頼も厚いいわゆるところの指揮官タイプである(右半身にタトゥーをビッチリと入れており、HELLSING原作者より「いちいちタトゥーを描くのが面倒くさい」といった理由で顔面をもみじおろしにされ死亡した)

*10
Graf Zeppelin級航空巡洋艦───ミレニアム大隊の所有する3隻の飛行船の内1隻であり、16門のV1改発射台と外套を覆う軽金装甲が特徴の一つである




うむ、中途半端なところで切ってスマヌ...

何か、この後のも続けて書くと投稿が更に2週間伸びそうな気がしたので...

さて、次も頑張ってくぞぉ!!(*」>д<)」ォーー!

それでは次回、お楽しみに!!


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第二話 射殺しろ、ご都合主義者だ。

どうも投稿主です。
気がつけば月日が過ぎ、2021年も終わりを迎えようとしています。

遅れてしまい、ほんっっつととうに申し訳ございませんでしたァ!!


いや、言い訳をするのであればですね?
今回の小説、出来があまりよろしくなく出し渋っていたというか何というか...。

※今回、場面転換が多めです。


それでは本編をどうぞ!!


「それでは報告を初めて行きたいと思います」

ドクは一つ咳払いした後にそう話を切り出した...が、しかしだ。その前に待って欲しい。

 

「あ〜、待ちたまえドク。少しいいか?」

「...?ハッ」

 

疑問符を頭上に浮かべながらもハキとした返事で返してくるドク。うむ、実に良い心がけである(上から目線)

 

 

(一応話し合いという名目でやってるから...)

 

「何か意見や疑問点のあった者は遠慮なく発言したまえ?」

 

「「「「ハッ」」」」

 

うんうんよしよし。ささ、ドク続けてくれたまえ?

 

「一つ目に、現在の時間についてはこの海域全体に強力なジャミングが張られているため情報を得ることができませんでした。ですので第二次アシカ作戦からどの程度の時間がたっているのかについては、よく解っていないというのが現状です」

 

ネット関係の報告については何と言うかまぁ...、予想はついていた。妖精さんお手製、艦娘用設備は深海棲艦からの妨害を受けないものの、調べる上で使うのは、あくまでも人間のネットを使う訳だからジャミングを受けるのは当然といえば当然なのだ。

 

俺が無言で次の報告を促すとドクは報告書のページをめくり次の報告へとうつった。

 

「第二に、我々の現在位置は昨晩の観測結果、周囲に島を発見できなかったことも含めて、ちょうど日本国近海...太平洋沖合数十キロ圏内であると思われます」

 

(ほう?日本近海とな?)

現在位置についてはさっきも考えていた通り、割と重要視していたので正直日本近海で助かったと思う。(というか昨日の時点でこっちに来てたんだ...)

 

「続けて現在の我々の戦力につきましては『吸血鬼化装甲擲弾兵戦闘団』大隊員全員の名簿を確認しましたが、欠員はおりません。弾薬につきましても、収納可能量上限値まで備蓄されておりました。エンジン、レーダー機器含めて全て万全の状態となっております。艦隊構成は、

 

旗艦 Hindenburg級空中戦艦

Deus Ex Machina

 

Graf Zeppelin級空中巡洋艦Graf ZeppelinⅡ

アルフレート・ローゼンベルク

 

Graf Zeppelin級空中巡洋艦Graf ZeppelinⅢ

アルトゥール・ザイス・インクヴァルト

 

 

各艦、異常は見られませんでした。

現時点においての報告は以上となっております」

 

 

 

うむ、とりあえず戦力的には不安はなさそうだ。いざという時は深海棲艦の射程圏外から日本を目指すこともできるし、飛行船の天敵たる航空機が相手だったとしてもこちらにはリップちゃんの魔弾がある。

 

 

 

 

 

「そうなるとこれからの補給は...」「新たなる敵対勢力もいるようだが...」「既存の戦法で対処できるかは...」「新しいお友達できるかな〜...」

 

報告結果を踏まえて話し合いを始めるアルフ・アルト、小隊長を尻目に、俺は一人これからの行動について整理をつけていくのであった。

 

 

(とりあえずこれからのプランとしてはこんな感じかな?)

 

①日本国鎮守府へ所属する

・生きる!!

・それから四六時中コイツら(大隊員)と一緒にといると俺のSAN値が急降下しそうだから他にも仲間がほしい...。

 

②少佐を召喚する

・ヴェアヴォルフとか、憲兵少尉とか見覚えのあるキャラは沢山いるのにミレニアム大隊指揮官たる少佐はいない。→多分別の方法で召喚できるんじゃね?(この戦争狂共の指揮を丸々押し付けることもできそうだし...。出すタイミング間違えて用済みと言わんばかりに『海上ポイッ』されたりしないよな...?)

 

③幸せな余生を生きる

・そのまんま。艦娘の平均寿命がどの程度か知らないけど最期は安らかに眠りたい。

 

④大隊員に平和的思想を根付かせる

・せっかく人類が生き残ってもコイツらが『戦争!!戦争!!戦争!!戦争!!』とか言い出したら絶対俺が大隊長として持ち上げられて、ミレニアム共々始末される未来が見える...。

 

以上の作戦を名付けて『マキナちゃん生存ワクワク大作戦★』とする。(自分で言ってて吐き気が込み上げてきた...)

 

 

よし、そうと決まれば早速行動開始だ。

 

 

(とりあえず戦力の豊富な日本を目指すか。あわよくば鎮守府に所属させてもらいたいし)

「ドク、ミレニアム各員に伝達。我々ミレニアムは彼らのより良い友人となるべく日本国本土を目指すぞ。異論のある者は?」

 

 

(だ、ダイジョブだよな...?一人で勝手に決めるなとか言われて袋叩きにされたりしないよな...?)

 

 

内心、ビクビクしながら大隊員達の返事を待っていた俺であったがどうやら気鬱に終わったようだ。それを聞いた大隊員たちは目配せし合い喜びそしてドクが大隊員達の思いを代弁するかのごとく、「了解しました。代行指揮官殿」と、返事を返してきた。

 

 

(ふぅ...、断られなくて良かった...)

 

しかし、日本に行くと言うだけで正直ここまで喜ばれるとは思いもしなかった。やっぱ戦前、同盟国だったってのが関係してくるのかな?

(そうかそうか、君たちも日本文化...。和の心に興味があるのだな?)

 

 

うん、なぜ耳まで釣り上げんばかりに笑みを浮かべているのかについてはさっぱりわからんが...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全フラッペン、発動開始」パチッ,パチッ,パチッ

 

ブルッ,ドンッ!!ドンッ!!ブルルルルルルルルルル!!

「旗艦Deus Ex Machina始動」

 

「舵取り用意」

 

「フラッペン起動を確認」

 

「高度よし」

 

「取り舵20」

 

「LastBattalion代行指揮官より全空中艦隊へ、目標日本国本土上空」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

(ふむ、にしてもアレだ...。日本の鎮守府に所属するにしてもどうやって所属するかが問題なんだよなぁ)

 

司令室のモニター一面に広がる夕日を尻目に、俺は内心そう独りごちる。

 

そう、状況の確認ととりあえずの大隊員の掌握に成功?した俺の次なる課題として立ち塞がるのは『如何にして鎮守府へ所属するのか?』というところにあるのだ。

 

(普通に「オデ,カンムス,オデ,トモダチ」と言えば保護してくれる可能性の方が高いけど、もし仮に「なぬ?!!所属不明だと!!実に怪しい!!切る!!」的な見 敵 必 殺 艦これ世界だった場合そこで終わるし、そうでなくともこんな厄ネタ(ミレニアム)を抱えている訳だし一筋縄で行かんことは間違いないんだろうなぁ...)

 

そう考えると若干気が重くなってきた...。

 

 

(俺はなぁ、楽して安全に所属したいんだよ)

 

 

あーあ、何と言うかこう深海棲艦に襲われて敗走している艦娘を偶然見つけて、「助けねば」的な展開で介入してあわよくばそのまま鎮守府入り────的な、艦これ二次創作王道のパターンが起きたりしないものかn...「レーダーに感あり。確認は取れていませんが敵性勢力の可能性も考えられます」

 

 

 

ぱーどぅん...?

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

とりあえずシュレ(ディンガー准尉)に、「お前ちょっと向こう行って確認してこい」的なこと言ったら、すげぇ面倒くさそうな顔しながらも行ってくれた。俺一応、アイツの上官だよな?何か一瞬面倒くさそうにしてたのシュレが自由奔放な性格だからだよな?

 

やべぇ、何か一気に不安になってきたんだけど...。

 

 

『着いたよ〜』

 

シュレにはとりあえず、作ドクのビデオカメラ?的な物を持たせていったのだが...。

 

 

 

 

 

ザザッ...

ザッ,

 

「おい、どうした?シュレディンガー准尉。全然映らないぞこれ」

 

 

何も見えん

 

 

いや、ホントマジで。砂嵐が酷すぎるのだが?

ん?なんだいドク?シュレに連絡するから一旦無線機を貸せって?ほいほいどーぞ。

 

「シュレディンガー准尉、送信機の出力をあげたまえ。それと敵に見つかると厄介なことになりかねん。くれぐれも向きには気をつけるように」

 

ん〜?おぉ?

 

「あぁ、映った映った」

 

 

砂嵐が消え、クリアになったモニターに映っていた光景。海中を翔ける魚形水雷に吹き上がる黒煙 硝煙...、それは────

 

 

ドォン!!ドォン!!ドォン!!

 

 

 

深海棲艦と艦娘による艦隊戦であった。(鎮守府入り絶好のチャンス)

 

 

(え、えぇ...?こんな都合よくいくもんなん?(困惑))

 

ま、まぁ、こちらに取って都合の良い状況なのには違いない。(それに生き残ることを第一目標としているけど艦娘を見殺しにしたとなったら何となく目覚めが悪いし...)

 

 

よし、後はミレニアムをそれとなく助ける方向に誘導すれば...

 

 

「ドク、アレをどう考えるかね?」

 

うん、まずは意見を聞いてみよう(その先の結果を変えさせる気はさらさらないけど)

 

「ハッ、私が考えるにここで彼女ら...、艦娘へ加勢した上で日本国鎮守府への所属を申し入れてみることが得策と考えております」

 

ほう?ドクも同じ考えだったん?てっきり「リスクも考えて交戦は避けるべき」という意見も予測していたんだけど...?

 

まぁ、こういう時はアレだ。某ホネホネ至高の御方戦法を真似てみれば良いのである。

 

「ほう?ならばなぜそう考える?せっかくの機会だ。説明してみたまえ?」

 

あたかも「これはアナタへのテストですよ〜?」的な感じで質問してやれば、ドクは数瞬考えをまとめた後に答えを返してきた。

 

「はい、代行指揮官殿。私が考える理由を幾つか挙げるとするのであれば、我々の拠点である『豹の巣(パンテルャンツェ)』が現在においても存在するか否か...、確かな確認が取れないという点を初めとし、本艦に備蓄されている『金品』の量につきましても新たに拠点を立ち上げるには少々心もとないという点に加えて第二次アシカ作戦決行時の各国有力者とのコネクションが生きているという保証もありません。したがって今回事ここにいたっては先の二次大戦時において海軍国家であったことから戦力が豊富であり、なおかつここから最短距離にあるという点や欧州各国と比較した場合『我々(ナチス)』へ対する禁忌感が比較的薄いことなども踏まえた上で、日本国での庇護下に入ることが最良であると考えております」

 

そう話し終えた後に直立不動でこちらを見つめてくるドク。

 

......うん。

 

なんにも言うことねぇわ!!

てか、分かってたことだけどさ?!!ドクめちゃくちゃ頭良くね?!!!!もうお前がここの指揮官でいいだろ!!

 

ま、まぁ今はまだその時では無い...。よって俺が無能な上官であると悟られぬよう、全身全霊を持ってして演技に徹しなければ...。

 

(さ、ささすがっすね...?)

「パーフェクトだ、大博士(グランドプロフェッツォル)

「感謝の極み」

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

(え、えーと...こういう時なんて言うんだっけ?)

 

一糸乱れぬ姿勢で整列する大隊員を目の前に俺が考え、思い至った答え...それは、

 

(と、とりあえずこれだけ大勢の人間?の前で喋る機会といったら...)

 

(き、気をつけー、礼!!)

「大隊総員、傾注(Achtung)!!」

「「「「ザッ,ザッ,ビシッ!」」」」

 

小中高の全校集会である。

 

(よ、よし。なんかいい感じにいったぞ?!!ついでに少佐フィルターナイス)

 

え、えーとまずは今回の作戦内容確認と同時に目標の一つである『大隊員に(それとなく)平和的な思考を根付かせる』ところから始めないと...

 

(あ、その...うん。まず一つ、第二次アシカ作戦の件についてはお疲れ様でした)

「諸君、夢は終わった。50年かけて待ちに待ったあの夜...、満願成就の夜は終わった」

 

(で、君たち今ここにいる訳なんですけど〜)

「しかし、我々は我々のいるべきヴァルハラではなくここにいる。いや、呼び戻されたと言うべきであろうか...」

 

 

(どういうことかわかるかな?)

「これは何を意味する...?」

 

(まさか、ロンドン襲撃で満足したとかそういうことは言わないでしょうねぇ〜?)

「君たちは何かね?一夜の夢を終え、輝かしきあの夜を夢想する老いぼれた老兵かね?」

 

(そう、君たちにはまだやるべき事がある!!君たちのやるべきこととは平和のための戦いである!!正義は勝つ!!)

「否、そうでは無いだろう。まだ夢は終わっていない。まだ、戦うべき敵がいるのだろう?ならばまた勝とうではないか...、あの夜のように。それに正義は勝つ(勝てば官軍)のだろう?」

 

「「「「HAHAHAHA!!」」」」

え、いやなんでそこで笑いが起こるの?

やべぇ(.;゚;:д:;゚;.)なんかしくったかも...。

 

(し、しかしだ!!演説ももう終盤!このまま押し通す!!)

 

(さぁ、君たちの力をより良い世界のために振るうのだ!)

「さぁ諸君、銃を手に取りたまえ。まだ討つべき敵がいる。まだ闘う肢体がある。そして作り上げようではないか、より良い世界を...、理想郷を...!!」

 

最後のセリフを一息に言い切りしばしの間を開けた後、司令室に熱狂的な大歓声が巻き起こった。

 

「「「「ウオオオオアアアアアアアアアッッッッ!!!!!」」」」

「代行!!」「代行殿!!」「大隊長代行殿!!」「代行!!」「大隊長代行!!」「代行指揮官殿!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、君たちが静かになるまで58秒かかりました。

 

 

いや、まぁせっかく大隊員達の士気が上がったのであればそれはそれでいいんだけどさ?

いい加減、作戦内容の確認に移りたいと思っているわけだ。

 

 

てな、訳でシュレが持ち帰ってきた情報を読み上げるとしますかな。

 

 

(えーと?シュレの報告によると...、ファッ?!!!戦艦棲姫?!!!まさかの姫級ッスか?!!!しかもその取り巻きも倒さなアカンの?!!!え、これ勝てんの...?)

「我々の目標は戦艦棲姫、及びその随伴艦隊の撃滅だ」

 

 

おいちょっと待て少佐フィルター!!まだ戦うとは言っとらんぞ?!!!

 

今から取り消すことは...「「「「キラキラキラキラキラ」」」」できませんよね?!!!

 

なんでアイツら瞳が濁り切ってるくせに器用にキラ眼なんかできんだよ?!!!あれか?!!!妖精さん化の副産物かなんかか?!!!

 

 

あぁ〜、待て待て待て落ち着け!!

考えをまとめろ...。どうしたら勝てる!!

 

そもそも、ミリタリー素人の俺に戦略が思いつくわけ...、ん?これは...?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

さて、いよいよ深海棲艦との交戦となる訳だが、今回はうまく事を運ぶことができそうである。

 

 

というのもだ。今回の戦闘に関しては俺達ミレニアムに圧倒的なアドバンテージがあるからだ。今日の天候は曇り。つまり敵艦の電探が効きにくい訳である。となると後にやるべき事は、

 

 

 

①分厚い雲の上から戦場へ急接近

 

②こちら側の圧倒的レーダーの性能差をもってしてV1改の雨を投下

 

③続けて武装親衛隊を降下させ鎮圧

 

という簡単なお仕事である。

 

 

ん?今みんな「ミリタリー素人のおまえがなんでそんな作戦思いつけたんだよ」って、思ってるね?

 

いい質問ですねぇ(池上感)

 

どう説明したらいいんかな。何と言うかこうすっげー不思議な感じなんだけど、もう一個脳ミソが増えたような感覚っていうの?

 

俺の頭の中に俺の知らない知識が入ってるというかなんというか...。え?そんな事になってて大丈夫か?って?

 

あまり気にしすぎるのはよろしくないぞ。

ハゲるっていうし。

 

 

 

『投下ポイントまで400 300...』

 

司令室に艤装妖精の声が響く。

 

200 100

 

 

 

50 40

 

 

 

30 20

 

 

10 5

 

 

4

 

 

3

 

ゴゥウウウウウウン、ガコンッ!!

V1改の発射口が開かれ...、

 

2

 

───キイィイイィイイイイイイン

 

 

 

1

 

ドシュッッツ

 

 

 

 

目標ポイントへの到達と同時に三隻の飛行船から発射された64の飛翔体は蒼い残光と黒煙を引きながら、雲の下へと吸い込まれて行った。

 

 

 

 

 

ドォゴオォオオオオオン!!

 

 

 

 

 

分厚い雲一枚挟んでなお余りある閃光が瞬いた後、空を揺るがすかのような轟音が轟いた。

 

V1改に積載された、トルニトロトルエンと硝酸アンモニウムの複合爆薬が圧倒的なまでの破壊力を撒き散らしたのだった。

 

 

 

「V1改全弾命中!!

 

戦果は大打撃!!

 

大打撃!!」

 

 

 

 

「大打撃!!」

 

 

沸き立つ司令室をよそに矢継ぎ早に指示を出す。

 

「V1改第二巡発射、ただし射撃数は半分にしておけよ?そして第二巡目発射の後、降下可能域まで高度を落とし武装親衛隊降下準備!!」

 

「ハッ!!」

 

 

 

 

 

そうして再び発射された32発のV1改は先と変わらぬ美麗な弧を描きつつ着弾。閃光と轟音、黒煙を巻き起こした。

 

 

 

第二巡目が発射された後、空中艦隊は高度を落とし雲の海の中へと潜って行く。

 

 

ゴゥウウウウウウン、ガコンッ!!

 

空中艦隊が雲の中に突入してから幾分と経たないうちに、先程V1改を発射した発射口よりも更に下にある発射口────『降下用カタパルト』が解放され、降下待機所にて艦内放送が流れる。

 

 

 

『敵艦隊追撃作戦開始、降下兵団出撃せよ』

 

 

それを聞いた待機所にて待機していた武装親衛隊妖精達は、あらん限りに口角をつり上げ目配せし会い...、

 

 

「さぁ征くぞ前線豚共、フライト時間だ...!」

 

 

敵艦が明々と燃え盛る海上へ颯爽と跳び出して行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

みーちーをーへいしたちがー

 

ならんでーあるいてゆくー

 

とーおーくのーてきとー

 

いーくさをするためにー

 

くるぅってーしまったー

 

じかんのなかにー

 

しぬためーだーけにー

 

あるきつづけるー

 

......。

 

 

現実逃避すんのもいい加減にしとこ...。

 

 

 

 

いやぁ、初めてV1改を発射したけどあれは凄かったわ......。

 

だって少なくとも海面から3~4ケタ単位で離れた場所に居てなお、あの大音量と閃光だよ?

 

(いや〜凄いっすわ。スターリングラードで名誉の戦死を遂げた某大佐が言うだけの事はあるわ......)

 

そんなことを考えているとどうやら雲を抜けたようだ。

 

 

 

雲を抜け目に飛び込んできた戦場の様子に俺はしばし唖然としていた。

 

 端的に言えば目の前には正に地獄としか言いようのない凄惨な光景が拡がっていた。

 

無数にいたであろう駆逐、軽巡は物の見事に船体に大穴を開けられ、今まさに沈みゆく瞬間であった。

 

『フォルトナー小隊、落着。これより作戦行動へ移行する』

 

『ウムラウフ小隊、先遣隊への援護に入る』

 

 

 

重巡、戦艦はかろうじて浮いてはいるものの、既に戦闘どころか航行不能レベルにまで大破しており、巻き上がる炎によって火達磨にされていたところに海上降下してきた武装親衛隊員の追撃によって艦内の艤装妖精も次々と倒れ伏していっている。

 

 

(いや、オーバーキルもいい所だろ...)

 

 

そう思った俺は間違っていないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

 

さて、俺は今無線機の目の前にいる。

 

というのもだ。さっき艤装妖精から『艦娘側からの通信が入っております』って、言われてさー?

 

しかもその電話のお相手があのクールビューティ(一部例外アリ)の長門さんらしいじゃないっすかッ!!

 

内心ウッキウキで(はい!!喜んで!!)「よろしい、繋いでくれたまえ」と言った俺は、この世界で初めての交流を果たすべく今ここに立っているのだ。

 

 

で、今現在。ぶっちゃけて言うと────

 

 

 

 

めちゃくちゃ緊張してます!!

 

だってそうやん?

今から女の子と無線機(電話)でお話するんやで?

 

断られたら(鎮守府への受け入れ)どうしよーとか、嫌われたらどうしよーとか考える訳で...、

 

 

 

 

てッ?!!!告白前の少年(前世は30代)か?!!!俺わッ!!

フツーに話せばええだけやん......。

 

 

よし、悩んでいても仕方がない。

 

 

 

俺は確固たる決意を決め無線機へと手をかけた。

 

 

 

 

(ど、どうもこんにちは......)

「こんにちはお嬢さん(フロイライン)

 

よ、よし。ひとまず最初の挨拶は、できたから(内心カミカミだけど...)次は自己紹介だ。

 

 

「私はドイツ第三帝国所属 last battalion ミレニアム旗艦 Hindenburg級空中戦艦Deus Ex Machinaだ。今回貴艦らの艦隊が窮地に陥っていると見て、助力させてもらった 」

 

ふぅ...。

な、何とか言い切ったぞ

俺がそんなことを考えながらしばしの達成感(挨拶と自己紹介の)を味わっていると無線機から返事が帰ってきた。

 

『こちらは日本国海軍横須賀鎮守府所属

長門型戦艦一番艦長門

貴艦らの助力ににおいては感謝の言葉もない』

 

うっひょー!!声もカッコエェ!!

お、落ち着けぇ...!!

 

 

よ、よし!!とりあえずは好意的に進めることができそうだ。次は鎮守府への所属を頼んでみるか...。

 

 

「実の所言うと折り入って頼みがあるのだが...。どうだろう直接会って話をすることはできないかね?」

 

そう聞けば一瞬悩む素振りを見せたものの、窮地を救った恩人と言う立場もあってか、直接会っての会話については了承を得ることができたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず向こうへ行くメンバーとして選んだのは、俺、ドク、大尉、そしてシュレディンガーの4人なのだが...、

 

 

(おい、このクソ猫何処触ってやがるッ...?!!!)

 

 

「いや〜、少佐殿のお腹もさわり心地抜群でしたけど、代行殿のココもなかなか......」モミュモミュ...

 

と言いつつ更にさわろうとしてドクにしばかれているシュレディンガーを尻目に俺は内心、(コイツこんなキャラだっけ......)と思っていたのであった。

 

 

 

_______________________________________________

 

 

シュレディンガー准尉の能力にて、一瞬で移動を終えた俺たちは気がつけば長門の甲板上に立っていた。

(これ、初めて経験すると結構酔うな......)

 

そんな半ばグロッキー状態を何とか抑え、俺は目の前にいる女性に声をかける。

 

 

「初めまして、お嬢さん(フロイライン)こうして直にお目見えできて嬉しいよ」

 

突如として現れた俺達に対して、一瞬目を見開いた素振りを見せたものの、すぐに毅然とした態度で返事を返してくる黒髪美人のクールビューティ。流石はビッグセブンと言った所だろうか。

「私が長門だ。私も命の恩人と直接顔を合わせることができて光栄に思う。それで話というのは?」

 

と聞いてきたので、鎮守府に所属させて欲しいという、旨を伝えると『他でもない恩人のためなら』と鎮守府の提督へ話をつけてくれた。

 

その後しばらく、『気がついたら海の上にいた(転生の内容は伏せて)』という話や『ドロップ艦とは違うのか』という当たり障りの無い会話をし(さて、そろそろ出発するかねぇ...)

 

そう思っているとドクが何やら海上降下した武装親衛隊から連絡を受けたらしく、内容を報告してきた。

 

「代行指揮官殿先ほど降下した大隊員が二名捕虜を捕らえたそうですがいかが致しますか?」

と聞いてきたので俺はとりあえず連れて来るように指示を出した...、がしかしだ。

(?待てよ...?なんかそれとなく連れてこいとか言ったけど捕虜の扱い方なんて知らんぞ?)

 

まぁ、こういう時は詳しい人に聞くのが一番である。

 

 

「ん?そういえば、流れで連れて来るように指示を出してしまったが、そちらでは捕虜の扱いはどうなっているのかね?」

 

 

「あぁ、捕虜については以前であれば鎮守府へと連行する手筈となっていたのだが、丁度二年ほど前に連れ帰った捕虜が脱走し、非武装の艦娘、憲兵、鎮守府職員、提督合わせて三十人以上が殺傷された事件があってな。それ以来捕虜の尋問は現地で行いその場で処分する手筈となっている」

 

と言う長門の説明に対し内心(怖っわ...)と話を聞いていると、武装親衛隊員が捕虜────重巡リ級と戦艦ル級を連れてきたので早速尋問を始めることにしたのだが...。

 

「自分達八何モ喋ラナイ」「我々八タダ海ヲ人間共カラ守ッテイルダケデアル」の一点張りで全く尋問にならなかったのだ。

 

はてさてこれは困った...。このままでは彼女達が殺されてしまうのは目に見えているのだがそれはいくらなんでもあんまりだと思う。散々殺しておいて何を今更と言われるだろう。だがあそこで介入していなければ長門達が殺されていたかもしれないのだ。

 

それに俺は深海棲艦が人類に敵対しているとはいえ、深海棲艦のみが悪だとは思はない。彼女達には彼女達なりの理由があるのかもしれないし、今目の前で彼女達が言っていた通りに『深海棲艦とは海を守り海洋を再生する一種の浄化装置ではないか』とする説も存在するのだ。

 

それに彼女らにも仲間、家族がいるのかもしれない、

現にそういった描写を描いた二次創作小説等があるのも事実だし。

 

 

(はぁ...、戦場で敵に情けをかけるのはご法度ってのは定説なんだけどなぁ...)

 

つくづく俺は性格的に甘いらしい。

 

 

ここは彼女達の情報源としての有用性を示すべく、なんとしてでも喋って貰わないと...。たとえその行動が仇となって、俺自身の評価が下がったとしても...。




旧作からの変更点
・方針を決める際の(形だけの)話し合い
・報告を受け取る場所が自室から司令室へ
・シュレに直接偵察に行くよう命じた(頼んだ)
・日本国行きを正当化した
・大隊員を(放送ではなく)直接的な形で鼓舞した
・作戦説明をした
・もう1つの転生特典?に気がつく(知識)
・ラストの処刑シーンが...?

投稿主小話:
史実におけるアルフレート・ローゼンベルク氏はIQが約130あったそうです。(どうしてウチの子はこうなってしまったのだろう...)

それでは次回、お楽しみに!!


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第三話 知ったことではない

どうも、投稿主です。

今回は、前回の半分程度の字数なので早々と投稿させて頂きました。


それでは本編をどうぞ!!


ジャキッ...

 

懐から某怪盗三世も愛用するドイツの名銃『ワルサーP38』を取り出し、彼女────重巡リ級の口へと突っ込む。

 

「ッガ...?!!!」

 

「さて、ここで喋らなければお仲間がどうなるかわかっているだろうね?」

 

なるべく悪い顔(昔刑事ドラマで見た)を意識しながら捕縛された深海棲艦の片割れ...、戦艦ル級へと凄む。

 

「キッ、貴様ッ!!」

 

「お、おい...!!」

 

止めないでくれ!!長門!!

これは彼女達の為に必要なことなんだ!!

 

 

 

 

 

 

あ、どうも俺です。

今現在の状況を説明するのであればリ級の口に拳銃突っ込んでル級を脅迫しているところです。

 

 

 

あぁ!!まてまてまてまて!!違う違う!!

別にそういう趣味に目覚めたとか、諦めてミレニアム思考に染まることにしたとかそんなんじゃないからッ!!

 

そう!これは全て彼女達のためなんだ!!

 

 

捕虜として捕らえられた彼女達だけど、多分このまま有益な情報を引き出せないようなら確実に処分されること間違いなしだと思うんだ。

 

確かに彼女達は敵ではあるものの、このまま殺されてしまうのは俺としてはあんまりだと思う。そこで彼女達に有益な情報を喋って貰うべく一番効果的な方法として選んだのが『脅し』という訳だ。まぁ、俺の残念な頭ではそれ以外に方法が思い浮かばなかったってのもあるけど...(もちろん万が一がないように弾倉から弾は抜いてある)

 

 

「さて、もう一度聞こうか?君の知っている情報を話したまえ?全てだ」

 

「グッ、グググググ...!!」

 

 

な、中々喋らん!!

 

仕方ない、ここは強硬手段に出るしか無さそうだ...。

 

 

俺はゆっくりと見せつけるように引き金へと、指をかけた。

 

「ヤ、ヤメロ!!ヤメテクレッ!!分カッタ話ス!!」

 

 

もちろん本当に殺す気は無い。

弾丸の入っていない拳銃の引き金を引いたところで、鳴るのは撃鉄がうち下ろされる音くらいのものだ。

 

しかし、その音でさえ今現在のこの緊張状態による心的疲労によって、心をへし折る一つの要因となるだろう。

 

(はーい、ちょっとガキンツ、となりますよー)

 

 

───そう、本当にただ脅しの為だけの行動だったのだ。

 

 

 

 

しかしてそれは、俺が想定していたものとは全く違った結末をもたらす。

 

 

引き金をゆっくりと押し込んだ瞬間に響いた音。

 

撃鉄の打ち鳴らされる音。

 

発射薬の爆ぜる音。

 

遊底が動き空薬莢が排出される音。

 

固定された遊底と銃口から...、重巡リ級の口から吹き上がる硝煙と血飛沫。

 

 

 

 

(なにが...、起きた...?)

 

 

気がついた時には全てが遅すぎた。

唖然とする俺の目の前で彼女は...、重巡リ級は物言わぬ骸と化していた。

 

(い、いや...、まさかそんな...!!ありえない?!!!弾丸はキチンと抜いておいたハズなのにッ?!!!)

 

 

 

(あぁ...、俺が慢心したばっかりに...)

「その傲慢さが彼女を殺したのだよ」

 

 

「殺スッ!!殺ス殺ス殺ス殺ス!!殺シテヤルッ!!」

 

殺意を宿らせ血走った目を限界まで見開き、ル級が鎖による拘束をものともせずに飛びかかって来た。

 

リ級を殺してしまったショックと飛びかかってきたル級の剣幕に驚き一歩後ろによろめいた瞬間、『カンッ』革靴のそこが打ち鳴らされ...。

 

(あぁッ、待て!!今のは合図じゃ...ッ?!!!)

 

ザッ,

 

靴音の鳴り響く音と同時に俺とル級の間に割って入る大隊員達。

 

 

そして...

 

ダダダダダダダダダダダダダッ!!

 

けたたましい大音量、思わず目を細めてしまう程のマズルフラッシュと共にMP40より吐き出される9mmパラベラム弾。

 

吸血鬼の超感覚を持ってして撃ち放たれた無数の凶弾は的確に、正確にル級を捕らえ...。

 

 

『ア゙ア゙ァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァア゙ア゙ア゙...ッ?!!!!!』

 

 

自らの主へと喰らいつかんとする敵を一片の容赦もなく肉塊へと変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

(はぁ...)

 

内心ため息を吐きつつ、司令室の椅子に深く腰掛ける。

 

 

 

(あぁ...、やっちまった...)

 

 

どうやら俺は、少佐フィルターのことを少々見くびりすぎていたのかもしれない。

 

しかもそれだけではなく、今回のことについてはほぼ8割がた俺が原因とも言える。だってそうやん?

 

事実少佐フィルターは今回なんも喋ってない上に、余計な動きもしていないんやで?

 

 

 

はぁ、つくづく自分が嫌になってくる...。

 

 

(気分がブルーすぎる...。なんか甘い物飲みたい...)

 

 

(ドク〜、作中少佐が、ココア飲んでたでしょ。あれ持ってきて...。アレ?でも作ってたのはウォルターだっけ?まぁどっちでもいいけど...)

「ドク、バンホーテンのココアをよく練って持ってきてくれ。ミルクと砂糖をありありで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ、やっぱ疲れた時は甘い物が一番や。

 

なんだっけ?ハリ○タでもソウルバキュームお化けに出くわしたら甘い物食べればいいんだっけ?なんか違うような...。

 

 

ゴゥウウウウウウン、ガコンッ!!

 

 

(ん、誰?)

 

司令室の扉が開閉した音がしたので、視線をそちらへ向けてみる。

 

 

ドク...、は隣にいる。

 

ヴェアヴォルフの面々の可能性もあるけど...。

 

 

そこに居たのは...、

 

 

 

「失礼するぞ」

 

 

......。

 

 

 

ア、ドウモ長門=サン

 

 

 

...て、えぇッ?!!!!!

なんでここに長門がいんの?!!!

 

ま、まさかさっきの虐殺劇見て危険因子と判断し直接殺しに来たとか?!!!

一応、俺の前に『指揮者の嗜み』があるけど、流石に戦艦娘相手に耐えられるかわからんぞ?!!!

 

 

 

て、ちょっと待て一回落ち着こう。

なんで交戦すること前提なんだよ。まず、こういう時は話し合いから進めるべきだろう。

 

(あ、あの〜何故ここに...?)

「ん、どうした?何か用事かね?」

 

 

 

やっぱさっきの件もあるのか若干警戒しているような視線を感じる...。

 

 

けどまぁ、一応警戒しつつも答えてはくれたのでその返事として得られた情報を整理すると、

 

『先の戦闘によって航行不能レベルのダメージを負ってしまった為鎮守府まで乗せていって欲しい』との事だ。

 

え、えぇ...。

いやまぁ、乗っけてく分には別に構わないのですけどね?

あのデッカイ戦艦どこにしまったんスか...?

 

 

「?もちろんココにだが?」

 

 

艦娘なら知ってるだろう?と言わんばかりの顔でこっちを見てくる長門。

 

 

その指の指し示す先は、チチ、胸...、π...、じゃなくて体ッ!!

 

 

 

(え、えぇ...(困惑)あんなでっかいブツがその細っそい体に入るの...?)

 

 

艦娘の神秘をまた一つ知った気分であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

とりあえず長門を立ちっぱにさせとくのもあれだから、大隊員達に適当な部屋から机とソファーを持ってくるようにお願いして、ついでに甘い物好きであったのを思い出しドクにココアを入れてきて貰ったのだが...

 

 

座りこそすれど未だに警戒されているのかココアに手をつけることは無かった。

 

 

(あ、あの〜。飲みません?美味しいっすよ?ドク作のココア。あ、後で飲むんすか、ソウナンスカ...)

 

 

どうしてくれよう、この空気

 

時折、司令室の計器の音が鳴り響く中 他に聞こえる音もなく、あるのは耳が痛くなる程の沈黙のみ。

 

 

(さすがに気マズすぎる...)

 

何とも言えない空気感の中をひたすら耐え抜く。

 

 

 

そんな俺にとって地獄にも等しい時間は唐突に終わりを告げた。

 

 

 

『代行指揮官殿』

司令室の気マズすぎる沈黙を破ったのは、艤装妖精からの報告であった。

 

(ナイス、艤装妖精!!よくやった!!)

 

内心ガッツポーズを決めつつ、話の続きを促す。

 

 

『先の戦闘の生き残りと思わしき反応を発見しました。恐らく、速力から推測するに駆逐艦(デストロイヤークラス)かと』

 

あ、敵さんの残り?

 

(うーむ、出来れば戦闘は極力避けたいから無視したいのだけど...。て、どったん長門?そんな難しい顔して?)

 

 

 

「まずいな...、確かこの辺りは地元漁師たちの漁場だった筈だ。場合によっては死傷者も出るかもしれない」

 

 

 

あぁ、なるほどそういうこと...、この近くは地元漁師の仕事場なのか...。

だったら見逃す訳にもいかないよな〜。てか、こんなとこで駆逐艦なんて沈めて、取れ高に影響とか出ないのかな...?

 

ま、まぁ、シラネ...。

 

 

「ふむ、原住民(海域の魚)がいくら死のうが、知ったことではないがコレでは埒が明かない。とはいえ見逃す訳にもいかんだろうしね」

 

 

「なッ?!!!原、住民...?!!!」

 

いや、少佐フィルター、どんな吹き替えしてんだよ。てか、長門がなんか驚愕してるけどそんな環境保護に積極的な艦娘だったかな...?

 

「では、いかがなさいますか?」

 

そう、そこなんだよ。

残りのV1改の数に不安があるから正直、戦闘は極力避けたいのだけれど今回の場合はそうもいかない。ただそう。今回俺にはちょっとしたアイデアがあるのだ。

 

「格納庫ハッチを開き、8.8cm高射砲(アハトアハト)を撃ち下ろせ」

 

「ハッ...?いえ、しかし代行指揮官殿。命中させるのは困難を極めると思われますが...?」

 

ダイジョーブ!!ダイジョーブ!!

大体、ドクは完璧主義すぎるんだって。どうせアレやろ?『成功率100%じゃあないから』とかそんな理由でしょ?まぁ、見てなさいって。でもまぁ、そこまで言うなら...

 

「まぁ、見ていたまえ...。あぁ、そうそう。V1改の発射口も開いておけよ?」

 

「了解しました。代行指揮官殿」

 

まぁ、余裕で当たるだろ。

 

 

 

 

 

 

───そう思っていた時期が俺にもありました。

 

 

 

 

 

 

波に揺られれて、ゆーら、ゆーら、揺れる敵駆逐艦。

 

風に煽られ、ぐーら、ぐーら、揺れる飛行船。

 

 

......。

 

 

ダメだドク、当たらん。

 

 

 

いや、完全に予想外なんだけどッ?!!!

 

正直嘗めてたわ!!うん!!

 

あぁッ!!もう!!

あまりにも当たらなさすぎて司令室がお通夜みたいな雰囲気になってるよ!!

 

多分あれじゃん!!

このまま当たんなかったら、『やっぱコイツ無能じゃんww★KOROSE★』的な展開になるに違いnight!!

 

 

嫌だ!!死にたくない!!

当たれ、当たってください、当たりなさい、当たりたまえ、当たっておくんなまし、当たれッ!!スットコドッコおぉおおおおイぃいッ!!

 

ゼェッ,ゼェッ,ハァッ,ハァッ...。

 

 

 

そんな俺の切なる想いが天の星々へと届いたのだろうか。

 

その瞬間はハッキリと見えた。

 

そう、それこそ俺の近眼のメガネ越しにもハッキリと見えた。

 

 

風の揺れと波の揺れが奇跡的に重なる瞬間が、砲の射線軸が 奇跡的に駆逐艦を捉える瞬間が。

 

 

(あったれぇッ!!)

 

 

アハトアハトより砲弾は吐き出され

 

 

 

 

 

 

 

カーン...

 

 

 

 

 

海中より浮上してきた戦艦棲姫により、弾き返されるのであった。

 

 

はぇ...ッ?

 

アイエェエエエッ?!!!戦艦棲姫?!!!!!戦艦棲姫ナンデ?!!!!!

 

 

 

おおおおぉおおおちつけ、うろたえるな!!ゲルマン艦娘はけしてうろたえなどしない...ッ?!!!!!

 

(なんかよくわかんないけど戦艦棲姫出てきたから早くV1撃って!!)

「ほら、出たぞ?早いところ仕留めたまえ」

 

 

『ハッ!!V1改、全弾発射』

 

 

先の戦闘により、決して少なくは無いダメージを負っていた戦艦棲姫は新たに投射された24発のV1ロケットに耐えられる筈も無く黒煙を吹き上げながら横転、その巨体は真っ二つに裂かれ海底深く沈んでいった。

 

 

 

(ふぃ...、た、助かった...)

 

 

 

 

て、アレ?敵駆逐艦は?

 

 

『ロスト、恐らく潜航し海域より離脱したものかと。追跡は困難と思われます』

 

 

(そっか...、怖いからこれ以上追うのは止めとこ...)

「そうか...、まぁいい。追撃は無しだ、予定通り日本国本土を目指すぞ」

 

 




旧作からの変更点:
・処刑シーンをガブガブからダダダダへ変更
・長門は自力で帰ったのではなく乗せていってもらった
・道中のストーリーを追加

投稿主小話:
ちなみに主人公のワルサーが弾丸を抜いておいたにも関わらず射撃できてしまった理由としては『薬室に一発、弾が残っていたから』ですね。

(主人公君がわざわざ口に拳銃突っ込んだ理由としては長門から『深海棲艦は通常火器の攻撃を受け付けない』と聞いていたので、ただ単に突きつけるだけでは対して脅しにならないと判断したからですね。主人公君のは『艦娘が携行する拳銃』ですから普通に撃っても普通に○せます)

それでは次回、お楽しみに!!


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ながもんとうぉーもんがー

私は無限に(創作を)求め、無限に(読者の皆様によって)求められるのだ。

無限に(フラグを)滅ぼし、無限に(フラグによって)滅ぼされるのだ。

だから私は、エタりの危機と永遠の五月病を超え今ここに立っている。

さぁ、新話が来るぞ...。クソのような茶番と共に...!!




それでは本編をどうぞ!!


『長門や起きなさい』

 

 

───ん...?

 

 

『長門や』

 

 

(声...?)

 

私はそっと目を開けた。

 

 

「お前は...、誰だ?」

 

 

ぼんやりと誰かが見える。

 

『私はあなたの艤装、長門艤装の精です』

 

 

オッサンが中に浮いていた。

 

......。

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

『あぁッ!!逃げないで!!って言うか引かないで!!』

 

 

 

 

ひとまず冷静になってから話を聞くに、どうやらこのおっさんは私の艤装の精?らしい。

 

(こんな薄汚いオッサンが私の艤装の精とは...。どうせならロリっ子の方が良かった...)

 

地味にショックを受けた私そっちのけでおっさんは話を進める。

 

『今日は頑張る君に私、応援しにまいりました』

 

『さぁ、この精霊様に何でも言ってみんさい、ドバーっとね』

 

 

む?そういうことなら無いわけでもない...。

 

 

「そっ、それじゃあ精霊殿。一つだけ聞きたいことがある」

 

「ここの所、少々過激なスキンシップを駆逐艦の子たちにやろうとすると保護者組によって遠ざけられてしまうのだが私のこの不幸はこれからも続くのだろうか?」

 

 

『まぁね』

 

 

返ってきた返事は私にとってあまりにも無情なものだった。

 

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

『まちなさい、長門!!今のノーカン!ノーカン!』

 

 

『長門、よく聞きなさい寝ている場合じゃないよ』

 

『今君の愛する駆逐艦娘達に、ゴイスーなデンジャーが迫っているところだからね』

 

 

 

「ゴイスーって?」

 

 

『スゴいってこと』

 

 

「デンジャーって?」

 

 

『危険なこと』

 

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハ...ッ?!!!!」

 

 

 

私は今度こそ目が覚めたようだ...。

 

(全く...、ココ最近は駆逐艦娘達と戯れたり、駆逐艦娘達と遊んだり、駆逐艦娘達を愛でたりといった幸せな夢しか見てなかったのに何故薄汚いおっさんの夢なぞ...)

 

 

てッ?!!!!などと言っている場合では無い!!

 

あの精霊?の話が正しければ、今日駆逐艦の子達が危険な目に遭うのだ。

 

駆逐艦娘達へ危険が迫っていることを知りながら見過ごす?答えは否!!断じて否である!!

 

(そんな目に遭わせるものか!!私があの子達を守り抜く!!)

 

 

 

ということで愛するロリっ子たちを危険から守るべく、私は駆逐艦の子達に今日の予定を片っ端から聞いてみることにした。すると今日出る予定があるのは第六駆逐隊の子達のみだと言う。

 

なんでも鎮守府近海で不審な影をとらえたとの事で、偵察を目的として出されるらしいのだが...、正直不安である。

そこで私は、何がなんでもついて行くために計画を練り始めたのだった...。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

まず私の計画の第一段階として引率の天龍を何とかする必要があったので...、

 

「おう、なg...ッ?!!!!」

 

「フンッ!!」ガッ

 

 

正面から強襲し一撃。縄で手足を縛り、口をガムテープで塞い...「ンーッ!!ンーッ!!ンーッ!!」塞いだ後、シーツで包んでロッカーに突っ込む事で処理した。これは日頃目の前でイチャつかれている怨m...コホン。

 

 

もちろん駆逐艦娘達の安全がかかっているので仕方の無いことである。

 

 

 

こうなれば後は簡単だ。

 

 

駆逐艦の子達を何とか言いくるめて私が引率役となり沖合まで乗せていってもらい、鎮守府からこちらが見えなくなるくらいの距離まで行ったところで艤装を展開すれば良い。(いくらこの時期書類仕事が忙しく提督が見送りに来れないとはいえ、流石に私の艤装は大きすぎて目立つからな)

 

 

これこそが、私の考え出した完璧かつ大胆な作戦である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

何とか駆逐艦の子達を言いくるめることのできた私は今現在海の上にいる。

 

 

天龍が体調不良故に来ることができないため、かわりに来たことを伝えた時の第六駆逐隊の子達の心配そうな表情は天龍へ対する嫉妬と同時に深い罪悪感をもたらしたが『これもこの子達のため』と思い、そっと仄暗い感情を胸の奥へとしまいこんだのであった。

 

「今回の偵察、何も出てこないといいのです......」

 

「何が出てきてもこの私にかかれば問題なんてないんだから!」

 

「どんな任務でも華麗にこなしてこそ一人前のレディーと言うやつなのよ!」

 

「ハラショー」

 

 

 

うん、可愛い。

 

ただ、そこに立っているだけでも私を魅了して止まないのにその『尊み』が、互いに顔を合わせ会話しているという事実だけで米俵一俵はいけそうだ。

否、眺めているだけで姫・鬼級を軽く一千は屠るだけの力を得ることもできるだろう。

 

(とてつもない尊みに溢れている...)

 

気を抜いたら鼻から尊みが溢れ出てきてしまいそうだ。私を萌え死させる気だろうか?

正直なところ今すぐにでも、向こうの艦に飛び移ってかき集めて両手でギューッとしたいところだが任務中なので我慢しておくことにする。

 

 

そんな役得を味わいつつ深海棲艦の目撃場所へと向かっていたのだが...。

 

_______________________________________________

 

 

 

(完全に迂闊だった...ッ!!)

 

自身の船体スレスレに着弾し、天高く水柱を上げる砲弾を尻目に冷や汗を垂らす。

 

 

思えば完全に油断しきっていたと思う。

 

だがそれも仕方の無いことであろう。なんと言ってもここは横須賀鎮守府の管轄区域。

日本でも三本の指に入るほどの安全地帯であり首都東京に近いここには絶対防衛ラインが引かれているのだ。

 

地元漁師が目撃したと言う影も恐らく何かの見間違えかとタカをくくっていた。

 

 

それがいけなかったのだろうか。

 

 

事の始まりは測的担当の艤装妖精からの報告であった。

『...ッ?!!!電探に感あり!!』

 

焦りを孕んだ艤装妖精の一言により艦全体に一気に緊張が走る。

 

 

次の瞬間海底から浮上してくる()が見えた。

 

紺桔梗の波を割り裂き、仄暗い水底の世界より這い上がってくる存在。

 

 

 

深海棲艦だ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はハッキリ言って焦っていた。

 

手前の駆逐、軽巡の群れは刺し違える事さえ覚悟すれば何とかこの子達が鎮守府へと逃げる時間くらいは稼ぐ事ができただろう。だが、その後ろに控える相手が分が悪いとしか言いようが無かった。重巡リ級、戦艦ル級そして...

 

 

戦艦棲姫だ。

 

 

 

(何故よりによってコイツ(・・・)がいるんだッ?!!!)

 

戦艦棲姫と言えば深海棲艦の中でも特に討伐が難しいと言われる姫級の一体であり、精鋭の艦娘が艦隊を組んでやっと討伐できるような相手だ。

 

そのような奴がどうしてここにいる?

 

 

 

確かに浮上してきた深海棲艦からの奇襲を受けたと言うのはよくある話ではある。

だが、それはあくまでも深海棲艦の占領海域内の話であって潜水艦娘や軍の哨戒艇が目を光らせている人間の領域内ではほぼ不可能に近い行為なのだが...。などと考えていてもこの海域内に深海棲艦、それも姫級がいるという事実に変わりはないし、先程から逃げ続けてはいるものの一向に逃げ切る事ができないと言うのも事実だ。

 

 

─────どうやら覚悟を決めるしか無いようだな。

 

「私が殿を務める。ここは任せて先に行け」

 

「長門さん?!」

 

「あんた何言ってんのよッ!!」

 

「置いて行けるわけないでしょ?!!!」

 

「うるさいッ!!ここでコイツらを全滅させることは現実的ではない上に、このまま連れて行く訳にもいかないという事ぐらい考えれば分かるだろう!!分かったらとっとと行けッ?!!!」

 

あぁ、やってしまった...。

打開策が他に無いことへの焦りで頭に血が昇ったことにより衝動的に怒鳴りつけてしまった...。

 

「わかった...。けど死んだら承知しないんだからね!」

 

「長門さん、死んじゃダメなのです......」

 

「必ず助けを呼んでくるから...!」

 

「助けを連れて来るまで頑張ってて!」

 

「...ッ!!あぁ、もちろんだ...」

 

 

 

あぁ、本当にこの子達はいい子達だと思う。

そんなことを言われてしまったら生き残るしか無いじゃないか。

 

 

 

 

 

さぁ来い、亡霊共。

ココから先へは一歩足りとも行かせんぞ?

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

これから絶望的な勝負を挑むというのに不思議と心は軽い。艦内の艤装妖精達もやる気充分といったところだ。

 

そうして覚悟を決め、砲弾の装填を行っていると不意に空から聞き覚えの無い()が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

キィイイイ────

 

 

 

キィイイィイイ────

 

 

 

その音(・・・)の主はどんどん近づいてくる。

 

 

 

キィイイィイイイイ────

 

 

 

キイィイイィイイイイイイン!!

 

 

 

その音(・・・)ははっきりと聞こえるようになった。

 

 

 

耳障りな低い音が聞こえた瞬間測的担当の艤装妖精から報告が入った。

 

『上空より、飛翔体接近中その数六十四 !!』

 

 

 

キイィイイィイイイイイインッ!!

 

 

 

次の瞬間、分厚い雲をかき分け飛来した無数の薄墨色の柱は、目の前に立ちはだかる無数の駆逐、軽巡クラスの深海棲艦達へ......

 

 

ドォゴオォオオオオオン!!

 

 

圧倒的なまでの破壊の暴力を叩きつけた。

 

 

(なんだ?!!!なんなんだコレはッ?!!!)

 

 

 

防御力の薄い駆逐、軽巡クラスの深海棲艦達は船体に大穴を開けられ炎上し、今正に沈みゆく真っ最中であり、さらに再び追加で降ってきた飛翔体によって重巡、戦艦そして姫級までもが大破にまで追い込まれていっている。

 

そんな状況に唖然とした長門をよそに事態は更に動き出した。上空から飛翔体とはまた違った、別の何か(・・・・)が降ってきた。

 

人間の目では小さすぎて見えないそれも艦娘の目ではハッキリと捉えることができた。あれは───人?いや、違う!! あの気配は艤装妖精?!!!)

 

空から降下してきたのは武装した艤装妖精だったのだ。

 

(な?!!!しかしこのままではッ!!)

 

パラシュートもつけていない艤装妖精がこのまま海面に叩きつけられる。そう思っていたのだが────

 

 

スタッ────

 

 

何事もなかったかのように一人また一人と海面へと落着した、群狼(艤装妖精)は紅い残光を引きながら、(海上)を駆け獲物(深海棲艦)へと喰らい付いていく。

 

 

 

 

(私には彼女らが何者なのか解らない。

何者なのか解らないが、彼女らが何であるかは知っている。全て彼女らの腕章が示していた。

未だ世界で忌み嫌われ続け、ドイツ艦娘達からは信仰対象の様な扱いを受ける存在『鉤十字(ハーケンクロイツ)』)

 

だとしたら何故彼女らが日本近海に...?

 

様々な憶測ををめぐらせていた長門の耳に新たな音・が飛び込んできた。

 

先程の飛翔体の様な低く耳障りな音ではなく零戦等の艦載機に積まれているエンジンの様な音。

 

 

分厚い雲の少し向こう側が無数の光に照らされている。

 

最初に雲から顔を出したのは無数の鉄骨であった。

 

絡み合い、ワイヤーや空中線でつなぎ止められたソレ(・・)は長門の目にも異様にうつったが、艦娘である長門にはすぐにそれが何であるかは直ぐに合点がいった。

 

 

(あれは電探?)

 

 

続けて出てきたのは客船上半分をひっくり返した様な異様な何か(・・)

 

そして最後に出てきたのは赤と黒に塗装され、戦艦さながらの装甲を付与されたツートンカラーの円外套であった。

 

 

 

雲を割って現れたのは...、絶望的な戦力差を瞬く間にひっくり返した怪物の正体は────

 

 

 

(な、こんな巨大なッ?!!!)

 

 

 

たった三隻の飛行船であった。

 

 

 

 

 

 

正に圧倒的と言う他に無かった。

大袈裟かもしれないが姫級を相手取るというのはそういうことなのだから。

 

敵であるならば脅威であったが今回ばかりは、どうやら味方の様だ。

 

(とりあえず窮地を救ってもらった礼、そして確認事項を兼ねた通信を入れてみよう)

そう思いながら無線機を手に取ったのであった。

 

 

 

『こんにちはお嬢さんフロイライン』

 

無線機から入ってきたのはやけに気取った様な声であった。

 

 

 

『私はドイツ第三帝国所属 last battalion ミレニアム旗艦 級空中戦艦Deus Ex Machinaだ。此の度は旗艦らの艦隊が窮地に陥っていると見て助力させてもらった』

 

なるほど、やはりかつて大日本帝国の同盟国であったドイツ第三帝国の艦娘だった様だ。

 

それより、今回はこちらが助力を受けた立場であるにもかかわらず先に挨拶をさせてしまった事を申し訳なく思いながら私は無線機を手に取った。

 

 

「私は日本国海軍横須賀鎮守府所属、長門型戦艦一番艦長門だ。旗艦らの助力においては感謝の言葉も無い」

 

事実この言葉に嘘偽りは無い。

彼女らの助力が無ければ、私も第六駆逐隊の子達も無事ではすまなかっただろう。

 

(あの子達は無事に鎮守府へと行き着いたのだろうか...)

 

そんな事を考えていると、再び通信機から声が入ってきた。

 

『いや、なに...、諸君らへ温情を売りつけそれに漬け込む形となってしまうことについては非常に申し訳ないのだが...、折り入って頼みがある。どうだろう?今から直接顔を会わせて話をすることはできないだろうか?』

 

 

何でも折行って頼みがあるので直接会って話をしたいとの事だった。

 

私は一瞬考え込んだものの恩人の願いを無下にはできないと思い了承の返事を返した。

 

 

「了解した、私自身も直接会って礼を言いたい。今、内火艇の受け入れ準備を......」

 

と言ったところで相手側から静止の声が入った。

 

『あぁ、その必要は無いよ、別の移動手段があるからね。

では、甲板上で会おう』

 

「あ、あぁ...」

 

そう返事を返したところで通信が切れてしまった。

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

とりあえず約束の通りに甲板上にて待っていると、突然背後から声をかけられた。

私が何とか動揺を隠しながら振り返ると、

 

そこには、四人の艦娘...いや、艦娘が一人と三人の艤装妖精がいた。

 

 

まず真っ先に目がいったのは、艦娘───の隣にいる白衣の艤装妖精だった。

 

スラリとした体型に肩口辺りで切りそろえた金髪、奇妙なメガネをかけているが、あれについては覚えがある。以前青葉のカメラが故障してしまい、丁度忙しい時期の明石を頼るに頼れず、地元のカメラ屋に付き添いで行ったことがあるのだが、その店の店主が似たような拡大鏡をつけていたのを覚えている。

 

であれば、あの艤装妖精は技術職とも見れる訳だが......異様なのはその格好だ。

身につけた白衣にはべっとりと赤黒い血がついており、時折こちらを品定めする様な目つきで見てくる。

 

次に目がいったのは、駆逐~軽巡位の見た目の少年?(少女?)であった。頭には猫耳の様なものをつけ、その笑顔からは快活な印象を受ける。

普段の私なら真っ先に飛びつくのであろうが......

 

不思議とその気はおきない。

何故だろう...その笑顔の裏にどす黒い何か(・・)があるように思えてならないのだ。

 

 

その次に目がいったのは、猫耳の少年?(少女?)の横に立っていた大柄の艤装妖精だ。

2mはある身長に、銀髪褐色肌で能面の様な無表情の奥の目は先程の白衣の艤装妖精とは別の意味で品定めをする様な目つきをしている。

 

最後に目がいったのは、この中で唯一の艦娘であった。服装は黒衣の軍服、その上から真っ白のロングコートを羽織っている。くすんだ色のセミロングの金髪を右側のみバックで固めており、その顔は整った顔立ちをしていたが、その他の要素がそれを台無しにしてしまっている。

人形の様な精巧な顔は、底冷えする様なニタニタとした薄ら笑いを浮かべており、その半月形のメガネの奥の目は、泥の様に濁りきっている。

 

(何だ、何なんだコレは......)

私はこの感情を知っている。

骨の髄まで凍てつく様な感覚と共に吹き出る冷や汗。

 

この感情はそう......恐怖だ。

 

 

ビッグセブンとまで呼ばれたこの私が、

たった一人の艦娘(・・・・・・・・)に恐怖している。

明確な根拠はない。

ただ私の中の、歴戦の猛者長門としての本能が

この艦娘を危険だと言っている。

 

 

動揺を必死に隠しながら会話をして、わかった事としては、彼女らは気がついた時には海のど真ん中にいて、所属先も無いため私の鎮守府へ所属できる様提督に掛け合ってほしいと言うのだ。

 

ここで私は悩んだ。

所属させる事でのメリットとデメリット、

 

先程私自身が本能的に感じた恐怖、手元に置くことでできる監視、今の日本に必要な戦力、ドロップ艦を発見した際は即座に連れ帰る様に明記されている軍法、

 

それらを含め考えた結果私は彼女らの要求をのむことにした。

 

無線機を手に取り待つこと数瞬、乱暴に無線機を取る音と共に提督の酷く焦りの伺える声が入ってきた。

 

『長門?!長門無事なの?!』

 

私は提督のそんな様子に深い申し訳なさを感じた。

 

「あぁ、私は無事なのだが、実は......」

 

私を助けてくれた未所属の艦娘がおり鎮守府への所属を望んでいる。

 

という内容の話を伝えると『まあ!仲間が増えるのね!』と言う提督の嬉しそうな声を聞き、見るからに危険(ヤバ)そうな奴らということを伝えにくくなってしまったので、そのまま通信を終えようとしたのだが...。

 

『あぁ、そうそう帰ってきたら天龍も含めてお話があるから......』

 

帰りたくない...。

 

 

 

 

そんなこんなで話し合いにもまとまりがついてきた頃、白衣の艤装妖精(確かドクと言ったか)が何やら無線機片手に報告をしていた。

 

何でも先程の戦闘にて捕虜を捕らえたそうなので連れてくるよう指示を出したらしい。

 

「ん?そういえば、流れで連れてくるよう指示を出してしまったが、そちらでは捕虜の扱いはどうなっているのかね」

 

と質問してきたので二年前におきた捕虜の脱走事件とその後の対応について話していると、

武装した艤装妖精達が二名の深海棲艦、重巡リ級と戦艦ル級を連れてきたのでさっそく尋問を始めたのだが......

「自分達ハ何モ喋ラナイ」「我々はタダ人間共カラ海ヲ守ッテイルダケデアル」の一点張りなのだ。

 

これについては予想はついていた。

というのも過去に深海棲艦を尋問してきたことは度々あったのだが、一度として口を割ったことは無いからだ。

となればもう殺すしかない。

 

可哀想ではあるがここで逃がした敵が、明日の味方、明後日の自分を殺すかもしれないからだ。

 

(ここはせめてもの情で痛みなく殺してやろう...)

 

そんな事を考えていると、隣にいた艦娘 Deus Ex Machinaは底冷えする様な笑みを浮かべながら重巡リ級へと、ツカツカと歩み寄ってゆき...。

 

ジャキ

「さて、ここで喋らなければお仲間がどうなるかは、わかっているだろうね?」

 

リ級の口へと拳銃を押し込み、あたかも今日の空模様でも尋ねるような気軽さで話しかけたのであった。

 

「お、おいッ...!!」

確かに戦場において敵兵へ対し情けをかける必要はない。しかしいくら敵とは言えど、何をしても良いかのと言えばそのような道理は通らないと私は思っている。

 

咄嗟に制止の声をかけようとしたその時...。

 

突如背筋にヒヤリと走った感覚に思わず声を抑えた。

 

 

 

捕虜として捕らえられた深海棲艦をグルリと囲む形で展開された艤装妖精。

しかしその中で2名の艤装妖精は深海棲艦ではなく私へ対して(・・・・・)銃を突きつけていた。

 

(妙な動きをすれば即刻銃殺するという腹積もりか...!!)

 

 

銃を突きつけられ、行動しようにも行動できないという状況下であっても時は刻々と進み、場は進展してゆく。

 

「さて、もう一度聞こうか?君の知っている情報を話したまえ?全てだ」

 

 

「グッ、グググググ...!!」

 

先程からの何番煎じ、一向に喋ろうとしないル級へ対して普通であればシビレを切らす、もしくは情報源としての有用性を見いだせずに処分するところだろう。

 

しかして私のこれまでの修羅場を潜り抜けてきた経験は、戦艦娘長門としての勘は、今も尚興味深げに深海棲艦を見つめる『Deus Ex Machina』の目に一瞬宿った好奇の目を見逃さなかった。

 

(まさか...ッ?!!!)

 

引き金へとゆっくりと指をかける。

 

「ヤ、ヤメロ!!ヤメテクレッ!!分カッタ話ス!!」

 

 

本気でリ級を殺そうとしていることに気がついたのか、焦燥感にかられたように叫ぶル級。

しかし、そのような状況は最早彼女の目には写っておらず、彼女の興味も捕虜を見ているようで全く違うモノを見ていた。

 

ドォン

 

一発の銃声が響き渡り、数瞬遅れ血と硝煙の華が吹き上がる。

 

 

先程まで確かに思考を持ち、意思を持ち、死にながらも生きていたそれは恐怖に塗れた目をあらん限りに見開き、表情を強張らせ物言わぬ骸と化していた。

 

 

その光景(惨劇)を満足気に眺めるDeus Ex Machinaは、座りこみ理解の追いつかぬといった様子のル級の元へと歩を進めてゆく。

リ級の血が、べっとりとついた拳銃を眺めながらDeus Ex Machinaは嘲るように、出来の悪い教え子を諭すようにル級へと話しかけた。

 

 

「その傲慢さが彼女を殺したのだよ」

 

 

「...ッ!!殺スッ!!殺ス殺ス殺ス殺スッ!!殺シテヤルッ!!」

 

 

殺意を宿らせ血走った目を限界まで見開き、鎖による拘束をものともせずに飛びかかってゆくル級。

 

しかし...、

 

 

 

そんな最後の抵抗は無情にも、彼女の合図一つで無に帰すこととなる。

 

カッ

 

子気味良い靴音を合図に前へ踊り出る艤装妖精達。

 

そして

 

ダダダダダダダダダダダダダッ!!

 

思わず目を細めてしまうほどのマズルフラッシュと共にけたたましい唸声をあげる短機関銃。

 

その凶弾の一発々がル級の身を削り取ってゆく。

 

 

『ア゙ア゙ァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァア゙ア゙ア゙...ッ?!!!!!』

 

視界の端をナニか(・・・)の破片が舞った。

悲鳴が、金切り声が、

ボチャボチャと、粘着質な水溜まりにナニか(・・・)の破片がこぼれ落ちていく音がする。

 

永遠に続くかのような一時であった。

 

 

 

銃声も、水音も、悲鳴すら聞こえなくなった。

 

細めていた目を薄らと開けていく。

 

目に飛び込んできた景色は一面の赤。

最早、原型すら留ないほどに損傷し打ち捨てられた肉塊。

 

 

 

 

 

背筋に走る、身の毛もよだつような悪寒を自覚しながらも、この惨劇の主────Deus Ex Machinaを見やる、否『見てしまった

 

 

(ッ...?!!!)

 

 

(あぁ...)

 

 

嗤っていた。

 

 

(あぁ...ッ!!)

 

ただひたすらに嗤っていた。

 

(あぁッ!!)

 

しかしてその嗤みは、

 

決して殺しの悦びから来るものでは無いということを長門は理解していた。理解してしまった。

 

(何と...いうものをッ!!)

 

嗚呼、ただ殺しの悦に浸るだけの者であればどれほど良かっただろうか。

 

こんな世界だ。こんな戦場だ。

探せばそんな手合いはゴロゴロといる。

 

しかして彼女の、否彼女らの嗤みは決して、そう決してソコに由来するものでは無い。

 

 

だからこそ

 

 

コイツは

 

 

こいつらだけはダメだ

 

 

狂ってる

 

 




どうも、投稿主です。
最終投稿日から、早3ヶ月半以上...。

遅れてすんませんしたァッ!!┏○┓ザッ
い、いやぁ、理由としてはですね...?
何と言うかかんと言うか...、はい、言い訳しません。素直にサボってました(勘が戻らず結構苦労しました...)

とりあえず、投稿主の気力が尽きたのとこのままだと総統閣下のお誕生日dayが終わってしまうので中途半端なところではありますが投稿することにしました。

このような小説ではありますが、これからも何卒ワタクシベーコンエッグトーストをよろしくお願い致しますm(_ _)m

旧作からの変更点:
・天龍を正々堂々?正面から撃破した。
・処刑シーンの変更に合わせて長門の内心を調整。

こうしてみると今回はマジで変更点が少ないような...(3ヶ月半待たせた挙句、内容は殆どが旧作からのコピペとか...、これは読者の皆様からお叱りを受けても当然というものです...)

次回投稿日はいつになることやら...、
出来うる限り、早めに済ますつもりです(大本営発表)

それでは次回、お楽しみに!!


追記:本日4/20は総統閣下の生誕日です!!
ハッピーバースデー、マインフューラー!!


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