宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" (箕理 田米李)
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『雷王作戦(ガトランティス戦役終戦後)編』
第1話「新生BBB戦隊」


ヤマトの小説書くのは初めてで、至らない点があるかもしれませんがどうか温かい目でお願いします。


無限に広がる大宇宙、この無数の星々の煌きの中に、様々な生命の営みがある。西暦2203年。辛うじて「ガトランティス戦役」に勝利した地球連邦であったが、多くの艦船と将兵を失い疲弊し切っていた。そんな地球の事情を宇宙は知ってから知らぬか...脅威が差し迫りつつあったのだ。

 

地球圏外縁 第11番惑星宙域

第99特殊戦略戦術機動打撃群

パスファインダー級早期警戒管制艦 CRS-85≪ペネムエル≫

CIC(戦闘情報センター)

 

レーダー手「現在、レーダー半径に敵影認められず。」

戦術行動士官「通信、早期警戒機と僚艦のプロケルからは❓」

通信手「両者とも異常なしとの報告です。」

戦術行動士官「艦長、こちらCIC戦術。こちらのレーダー半径並びに展開中の早期警戒機と僚艦プロケルの監視状態問題なし。」

艦橋

艦長「分かった。引き続き監視させろ。通信、我らが艦隊旗艦にご報告だ。」

通信手「はっ。」

 

早期警戒管制 ペネムエル達より少し離れた宙域

同艦隊 旗艦 アンドロメダ改級戦略指揮戦闘航宙母艦

ACVBC-99≪デア・エクス・マキナ≫

艦橋 

通信手:栗梶 花充(くりかし はなみつ)「司令、早期警戒艦≪ペネムエル≫より入電、「本艦並びに僚艦プロケル及び早期警戒機は警戒/監査続行中。現在異常なし」との事です。」

副長:金田 明雅(かねだ あきまさ)「今の所"凪いだ海"の様ですな。」

艦長兼艦隊司令:多田部 拓郎(おおたべ たくろう)「静か過ぎますね。今頃土星圏じゃ艦隊総旗艦≪アルデバラン≫率いる総旗艦艦隊が出張って「雷王作戦」が始まろうとしているのに。」

眼前に広がる漆黒の宇宙に点々と点在するカラクルム級の動きも物も言わぬ残骸を見つめながら土星圏の地球連邦防衛軍総旗艦艦隊の活発な動きとは対象な静か過ぎて何も起きなさ過ぎなこの第11番惑星を見てボヤく多田部艦長兼司令。

金田「ははは、それにしても脇役とはいえ我々まで出撃とは。」

多田部「ガトランティス戦役が終わってから人手不足にさらに拍車が掛かりましたもんね。私ら本来"研究開発実験艦隊"の名目で成り立ってますけど、側(はた)から見たら立派な独立機動艦隊ですから。それに「"黒いモルモット"さん達にとっては良いデータ収集の場でもあるだろ❓」的な事思われたんでしょうね〜。」

砲術長:烈禍 剛(れっか つよし)「それって俺達バカにされてねぇか司令ッ⁉️」

戦術長:高佐田 修斗(こうさだ しゅうと)「落ち着け烈禍。お前も分かってのことだろ❓」

技術長:手邦 薫(てくに かおる)「まぁ、我々新生BBB戦隊、正式名称「第99特殊戦略戦術機動打撃群」はアンドロメダブラック級の略称であった「BLACK BERSERK BATTALION:黒色狂戦士大隊」から「BLACK BAD BUTCH::黒色不良艦隊)」と名称されましたが、「人が制御する無人艦隊」の研究開発部隊という性質上、不本意ながら"モルモット扱い"も当然ではと...。」

烈禍「おいガリ勉❗️そこは否定しろよ‼️」

手邦「いや、私はその...。」

金田「やめないか❗️作戦中だぞッ❗️」

「モルモット扱い」について口論する部下を制する副長 金田。

多田部「ストップ❗️皆の気持ちは分かるけど喧嘩はやめてちょうだい。その手の扱いしてる奴のことなんかほっとけよ言わしときゃ良いから。我々が艦に髑髏(どくろ)を刻んでるのはなぜだった⁉️」

皆「「骨にになっても戦い❗️艦(ふね)は残骸になっても戦う‼️」」

新生BBB戦隊所属の艦は全て黒色に塗られ所々にオレンジが塗られており、そこに白い髑髏(どくろ)がマーキングされている。皆が言ったように髑髏は「どんな戦いで傷付こうとと戦い続ける」という意志が篭っているのだ。

多田部「俺達は華やかな表舞台に出ることないが、我々の姿を見た者はこの黒い艦隊とそこに刻まれた髑髏を忘れることはないだろう。その事を頭か心に入れて忘れないでください。」

そう多田部が言うと皆鎮まり返り、喧嘩していた2人も各々の席に座る。

金田「ありがとうございました司令。今のは名演説でしたよ。」

多田部「よしてくださいよ金田さん。それに司令じゃなく艦長でお願いします。それは性に合わないんで。」

金田「ははは、了解しました艦長。」

ピピーッピピーッ❗️

栗梶「おっと、通信が入りました。」

多田部「作戦始まったか❓」

栗梶「その様です。」

多田部「さぁてさてさて、今日の勝利の女神はどちらに微笑んでチューしどちらに雷の矢をブッ刺すのかな❓」

 

同宙域

戦略指揮戦闘空母≪デア・エクス・マキナ≫所属航空隊

コスモタイガーⅡ/早期警戒管制機型

コールサイン"シャドーアイ3"

レーダー担当手(後部座席)「ん❓」

パイロット(前部座席)「どうした❓」

レーダー担当手「いや、今一瞬カラクルムの残骸から熱反応が...。」

パイロット「おいおい、こいつらはもう死んでるんだろ❓そんなバ○オのゾンビみたいに...。ッ❗️」

「冗談はよせ」と言いかけた時、一瞬キラッと光るのが見えた。

パイロット「舌噛むなよッ❗️」

パイロットは急にロールして回避運動する。緑色のビームだった。

パイロット「まさか❗️おい、急いで付近のパト艦に伝えろ‼️」

レーダー担当手「は、はい❗️こちら"シャドーアイ3"❗️攻撃を受けた❗️カラクルム級の残骸が突然撃ってきた‼️」

 

付近宙域

早期警戒管制艦≪ペネムエル≫

艦橋

"シャドーアイ3"「繰り返す❗️カラクルムの残骸が生きています❗️」

艦長「聞き間違いじゃないのか⁉️」

通信手「いえ、ハッキリと「カラクルムが攻撃してきた」と。」

艦長「信じられん...ヤマトが沈黙させた筈なのにどういうことだ...❓」

艦長が"シャドーアイ3"の報告を不思議がっていると左舷前方で艦尾を上げて斜めに傾いた状態で浮かぶカラクルム級の残骸が≪ペネムエル≫に向かって発砲する。≪ペネムエル≫は反応が遅れ艦首波動砲と第一主砲の間を削られる。

艦長「くっ...❗️損害報告ッ❗️」

ダメコン員(艦内通信)「艦首付近に被弾❗️ダメコンに入ります❗️」

攻撃した奴に続き、周りにいたカラクルム級が次々と≪ペネムエル≫に向かって攻撃を始める。

レーダー手「艦長❗️カラクルム級が次々とこちらにッ❗️」

艦長「機関後進一杯❗️波動防壁を展開しつつ後退しながら応戦‼️」

艦首の姿勢制御スラスターを逆噴射させ急制動し一気に後進をかける≪ペネムエル≫。第1、第2主砲のMK.12 127㎜速射衝撃破砲とMK.32 324㎜三連装魚雷発射管 計12門が一斉に火を噴き弾幕を張る。

艦長「通信❗️旗艦≪マキナ≫に打電しろ❗️」

通信手「は、はいッ‼️」

 

旗艦 戦略指揮戦闘空母≪デア・エクス・マキナ≫

艦橋

栗梶「警戒艦≪ペネムエル≫より入電❗️「カラクルム級残骸群、活動再開。突如攻撃を開始、現在応戦中」❗️」

金田「艦長❗️」

多田部「えぇ、航海長❗️針路セット、≪ペネムエル≫の救援に向かう❗️」

航海長:鷹乃目 宙(たかのめ そら)「了解、すぐ向かいます。」

多田部「機関長❗️エンジンは大丈夫ですか⁉️」

機関長:呉賀 優(くれが すぐる)「えぇ、全速発揮も全力応射も波動砲もいつでも可能ですよ艦長❗️」

多田部「よろしいわ。全艦に達する。これより僚艦の救援に向かう。最大戦速❗️」




まずはヤマトの伝統である「冒頭の即宇宙と即戦闘開始または開始前」をしつつ展開とキャラ紹介もさらっとやりました。この物語は私が作ってる模型の世界観を「旧作とそのゲーム版とリメイクの要素+オリジナル設定と世界観」で仕上げています。登場している艦は模型として作ったあるいはこれから作るかもしれない奴です。艦の設定を詳しく知りたい方はTwitterの#新生BBB戦隊と#ターベワールドのヤマト世界と艦船をご覧ください。


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第2話「雷王作戦」

冒頭から第11番惑星で始まり、「ガトランティスが生きていたから備えてる」的な感じで前回話をしました。今回は「なぜ生き残ったのか❓」とPS2版「宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶」で行われた対ガトランティス残党作戦、「雷王作戦」をリメイク版準拠で構築してみました。それではどうぞ。


「ガトランティスが生きていた」、これを聞いた防衛軍とガミラスの関係者は耳を疑ったし信じたくもなかっただろう。「ガトランティス戦役」の終盤、ヤマトとガミラス艦隊の奮闘によりガトランティス人を滅ぼす安全装置「ゴレム」を発動させる事に成功しこれにより彼らは全滅したと思われていた。

しかしガミラスが収容所惑星で捕虜にしたガトランティス人達はゴレムが発動したにも関わらず死亡しなかったのだ。後に戦役中に回収したガトランティス人の遺体と比較した結果、遺伝子構造に違いがある事が判明したのだ。ガトランティス人は「クローニングで世代を重ねる」のが特徴で生体遺伝子構造的にも数回のクローニングで遺伝子の劣化を抑えれるよう遺伝子操作されていたが、収容所惑星で捕虜となっているガトランティス人の遺伝子構造には人為的な操作が加えられた形跡がない"自然体"だったのだ。

要約すると「遺伝子構造に改良を加え、クローニングで世代を重ねた者達」がゴレムで死に絶え、「人類と同じ自然な生殖によって世代を重ねた者達」が生き残ったという訳だ。後に防衛軍とガミラスの関係者達は彼等をそれぞれ前者を「クローンガトラン」後者を「ナチュルガトラン」と呼称する事となった。

戦役終結後、この「ナチュルガトラン」率いるガトランティス残存艦隊は地球圏のアステロイド帯等に身を潜め、集まって残党となり力を蓄えつつ反抗の時を耐えて待った。

地球・ガミラス側は身を潜めるガトランティス残党軍の動向を監視しつつ「土星沖に集結する」との情報を掴み、それを撃滅する事を決定する。

 

土星宙域(土星本星なし)

地球連邦防衛軍 第1艦隊(総旗艦艦隊)"ブループルミエ(青の一番)"

艦隊総旗艦 アンドロメダ級前衛武装航宙艦

AAA-02 アルデバラン

艦橋

副長「艦長、前衛ピケット艦及びAWACS(早期警戒管制機)群の配置完了とのこと。」

艦長:谷 鋼三(たに こうぞう)「うん。ガトランティス残党軍機動部隊は必ずいる筈だ。早期発見と包囲、先制攻撃で敵旗艦を撃沈し敵の混乱に乗じて一気に無力化する。まずは敵を早く見つける事だ。「雷王作戦」の成否はそこにある。」

副長「はっ❗️」

地球防衛軍 総旗艦艦隊 総旗艦 アルデバラン艦長の谷は「敵の早期発見」を徹底するよう副長に伝える。

土星は先の戦役で彗星都市帝国の通過により消滅してしまい今や縦長に伸びた茶色の渦の様な姿となってしまっている。しかし土星の衛星"エンケラドゥス"は被害を免れたため守備隊は健在であり、戦役中に受けた損害を回復させこの「雷王作戦」に臨んでいる。

 

コスモタイガーⅡ/早期警戒管制型(A級戦闘空母 アンタレス所属機)

コールサイン"スコルプ・アイ6"

レーダー担当手「あ❗️」

パイロット「いたかッ⁉️」

レーダー担当手「3時の方向に反応❗️この波長はガトランティスです❗️」

アンドロメダ級戦闘空母アンタレスの所属の1機が遂に身を隠す大きな星もない宙域にいるガトランティス残党機動部隊を発見する。

 

第1艦隊 旗艦 アルデバラン

艦橋

通信手「艦長❗️アンタレス所属の"エリントタイガー"が敵機動部隊を捕捉。艦隊より1時の方向。距離2500宇宙キロ。」

谷「編成は❓」

通信手「ナスカ級10、ゴストーク級18、ラスコー級通常型と雷撃型含む24、ククルカン級32、計84隻。」

谷「(先の戦役での物量に慣れてしまってか数が少ないように思えてしまうが、隻数でも我が第1〜6艦隊とエンケラドゥス守備隊を合わせても多いな...。)」

第1〜6艦隊は一個艦隊6隻編成でエンケラドゥス守備隊は36隻と計72隻だ。

谷「(だが、数は多くても航空戦力はこちらが上。それを活かせば数的不利は覆せるはず)第3〜5艦隊は直ちに攻撃隊発艦させ敵機動部隊航空隊を誘引❗️第2及び第6艦隊とエンケラドゥス守備隊は本艦隊に合流後、突撃隊を編成し待機だ❗️」

 

谷がそう言うと、各艦隊がそれぞれ所定の行動に移り始め慌ただしくなった。空母艦隊は自身の航空隊を発艦させなければならないし、打撃艦隊は総旗艦艦隊に速やかに合流しなければならない。

 

第3艦隊"ポイズンテール(毒の尾)"

旗艦 アンドロメダ級前衛武装艦(空母型)

AAA-05 アンタレス

艦橋

通信手「艦長❗️総旗艦 アルデバランより攻撃命令来ました❗️」

艦長:富山 繁(とみやま しげる)「よし、"スコルプ・クロウ"、"ポイズン・ベクター"、"ダーク・ハイディング"隊発艦だ❗️」

 

第4艦隊"コールドウォー(冷戦)"

旗艦 アンドロメダ改級戦闘航宙母艦

ACV-65 エンタープライズ(旧CCC級 CCC-01 ノイ・バルグレイ)

艦橋

艦長:エメラルダ・イシカワ「"ウォーウルフ"、"ヘルダイバー"、"ジェリコ"各隊、発艦用意(エンゲージ)❗️」

 

副旗艦 同級戦闘航宙母艦

ACV-63 アドミラル・クズネツォフ(旧CCC級CCC-02 ノイ・シュデルグ)

艦橋

艦長:ユリィーシュ・アンドロポフ「"アクーラ"、"バラライカ"、"スチェッキン"隊、発艦開始してください❗️」

 

第5艦隊"キングス&ケーニヒ"

旗艦 アンドロメダ改級戦闘航宙母艦

ACV-91 アークロイヤル(旧CCC級 CCC-03 ノイ・ランベア)

艦橋

艦長:キャメラ・レーアド「"スクアー"、"バラクーダ"、"ガーネット"隊、発艦早くなさい❗️」

 

副旗艦 同級戦闘航宙母艦

ACV-101 グラーフ・ツェッペリン(CCC級 CCC-04 ノイ・ダロルド)

艦橋

艦長:サオリナ・D・ヴェルケ「"シュミット"、"フォッカー"、"ミステル"各隊発艦遅れるな❗️」

 

各A級戦闘空母の艦橋から大きくはみ出た"航空艤装ユニット"の艦載機発艦口が開き三個飛行中隊(一個飛行中隊6機、三個で18機)が次々と飛び出していく。他にも艦隊中央部両舷のバルジや艦底部の発艦口も合わせれば同時に180機の艦載機を一気に戦場に展開させる事が可能だ。しかし今回はまず敵空母の艦載機隊を誘引しつつ敵艦隊の戦力を削るので第二次攻撃隊も用意しなければならないし、それでも敵戦力を減殺させれなければ第三、四次攻撃もあり得るので全機発艦は行わない。

第3艦隊旗艦で戦役の生き残りでベテランのアンタレスは手慣れたもので一番早く三個飛行中隊全てを発艦させ終えたが、ガミラスがライセンス生産で建造したCCC級の内装を防衛軍規格に戻し乗員も一新したACV(アンドロメダ改級戦闘航宙母艦の艦略記号。アンタレスも後日更新予定。)級群は遅れは取ったもののなんとか発艦を終えた。艦を運用するクルーはまだ未熟だが、艦に属する空母航空団は戦役でほとんど消耗せず生き残ったベテラン達のお陰である(「ガトランティス戦役」では空母が主の「機動部隊戦」ではなく戦艦が主の「航宙打撃戦」がほとんどだった)。

 

第2艦隊"ファスト・ライトニング(速い稲妻)"

旗艦 アンドロメダ級前衛武装航宙艦 AAA-04 アキレス

艦長:仁科 鷲雄(にしな わしお)「始まったな、総旗艦艦隊に合流する❗️稲妻の様に瞬時にやれ‼️」

 

第6艦隊"重桜(じゅうおう)"

旗艦 アンドロメダ級前衛武装航宙艦 AAA-19 アマギ

艦長:沢城 美希(さわしろ みき)「さぁさぁ皆さん、早く移動しますよ❗️」

 

エンケラドゥス守備隊

ドレッドノート級主力航宙戦艦(前期生産型/旧艦名"E24") DBB-24 えぞ

艦橋

艦長兼守備隊司令:尾崎 徹太郎(おざき てつたろう)「総旗艦艦隊に合流する❗️両側前進強速、方位0-1-4❗️」

 

戦艦を主力とした第2、6艦隊及びエンケラドゥス守備隊は空母群から次々と放たれる艦載機群を見ながらアルデバラン率いる総旗艦艦隊に合流すべく動き始める。1番早く動いたのは第2艦隊のアキレスだった。さすがは「極初期型」アンドロメダ級の4番艦。戦役中は常に前線にあり続けるたものの姉妹艦のアルデバランやアンタレスよりも損傷が軽微で、二艦と違い応急処置を施し戦線に復帰しアルデバランに代わって地球艦隊総旗艦代理を見事に務めた。 

アンドロメダ級"19番艦"アマギ"も「初期型」の数少ない生き残りの幸運艦だが、ACV級群と同じく乗員が一新されている為まだ練度が伴ってない。防衛軍の人員不足の弊害と言えるだろう。

エンケラドゥス守備隊の尾崎司令は先の戦役の前哨戦であり、まさにここで行われた「土星沖会戦」での雪辱を果たすべく修理を終え艦名を改められたドレッドノート級主力戦艦"えぞ(旧艦名"E24")と回復した艦隊戦力を持って作戦に挑む。

 

一方のガトランティス残党機動部隊側...

ナスカ級打撃型航宙母艦(前期生産型/左舷艦橋艦)"アギカ"

艦橋

レーダー手「甲殻電子警戒機"エラッテデーター(早期警戒型デスバテーター)より敵航空隊接近❗️総数90‼️」

副長「司令❗️奴らが来ました❗️」

チュイチー・ナグモー(艦隊司令兼"アギカ"艦長)「向こうのが数が多いか...全機発艦させよ❗️直掩機も出して全力で応戦だ‼️」

残党軍機動部隊を指揮する「颶風(ぐふう)のナグモー」の異名を持つナグモーのナスカ級10隻を含む大機動部隊であるが、ナスカ級自体の艦載機搭載数は24機と少なく10隻合わせても全艦載機数は240機で地球艦隊はA級戦闘空母だけに限っても5隻で合計920機と差は歴然としている。長期戦になれば不利なのは避けられない。

しかし艦載機数や自身が艦長を務める良く言えば「歴戦」、悪く言えば「旧式」な老朽のナスカ級前期生産型"アギカ"でもナグモーの表情に「この戦力差でやれるのか❓」と不安に思う気持ちがほんのりと出ていても「負ける」とは思っていなかった。

 

第11番惑星外縁

???「まだ完成しないか⁉️」

ガトラン兵「はっ❗️今暫しお待ちを❗️」

???「ナグモー司令が土星沖敵を抑えている❗️この艦を譲って頂いたのは地球艦隊に一矢報いる為だ、早急に完成させるのだ❗️戦闘に不要な部分は省いて構わん‼️」

ガトラン兵「はっ❗️直ちに‼️」

 

土星沖での戦いが始まる中、第11番惑星外縁に新たな不穏な動きがあった...。




2話目で自分で書いといてなんですが、早くもネタ祭りと化してますw.
一個一個やると長くなるので一部だけ紹介し後はまた設定を書いて載せます。
ヤマトは「旧作」「リメイク」「ゲーム版」「没設定」「独自考察/解釈」は言うまでもなく、「史実」「実在武器/兵器名」「艦これ」「マクロス」「沈黙の艦隊」「ストライクウィッチーズ」「アズールレーン」「エースコンバット」「声優」とあらゆるネタを詰め込みました(読者の皆さんはどれくらい分かったかな❓)。
まず「ガトランティス人」についてですが、ファンの間でも「星巡る」のダガーム達と「2202」のズォーダー達は同じガトランティス人でも違う人種のでは❓度々議論されていましたので、ここでは「クローンガトラン(「2202」のクローン世代交代種)」と「ナチュルガトラン(「2199」「星巡る」」と解釈しています。
続いてアンドロメダ級祭りですが、艦隊にニックネームをつけましたが、これはアルデバランの総旗艦艦隊をメカコレで作ろうと計画しててその時に思いつきそれ以外の艦隊にもあった方がいいかな❓と思ってそれっぽいものを考えました。
CCC級は「2205」で登場せずバーガーも乗艦を変えてたので「戦役終結でライセンス契約が切れた」のと「ガミラスの運用形態に合わなかった」と解釈して「防衛軍式の改装を施された上で地球艦隊に戻った」としています。艦種/艦略記号も「アンドロメダ改級戦闘航宙母艦:ACV」と「2205」方式に改められてます。しかもそれぞれ日本、アメリカ、ロシア、イギリス、ドイツの艦名と所属であります。ヤマトファンの皆さんはもうお気づきですよね❓そうです。「Ⅲ」で護衛戦艦たちを建造する国々です。「後にこの艦の運用データが護衛戦艦の建造に活かされた」としています。艦長の名前もその艦名に由来のあるネタで名付けましたので、また人物紹介で解説します。
アンドロメダ級19番艦"アマギ"は「2205」に登場した同級21番艦"アルフェラッツ"同様、戦役を生き残った「初期型」アンドロメダ級です。2隻を「初期型」とするならアルデバランやアキレス、アンタレスは「極初期型」に当たるかな❓と設定しました(ドイツ軍のティーガーⅠ的な)。
エンケラドゥス守備隊も登場です。イーターⅠの猛攻にやられた尾崎司令が帰ってきました。ドレッドノート級"E24"は修理の上"えぞ"と艦名を与えられました。この艦名はPS2「イスカンダルへの追憶」で「雷王作戦」に参加した同名の主力戦艦級からの引用です。アルファベットにすると「E」から始まるのでちょうどいいと思いつけました。
「ナグモー」は旧作で「超大型空母(リメイクで言うアポカリクス級)」を指揮する人物として設定されたけど没になったキャラクターで、本作では「ガトランティス残党軍機動部隊の司令官で前期型で旧式のナスカ級"アギカ"に乗艦し「颶風のナグモー」の異名を持つ司令官」とフルネームと異名(「星巡る」準拠)付きで設定しました。
ナスカ級"アギカ"は前期生産型で、旧作のナスカ級が左舷艦橋でしたがリメイクでは右舷艦橋になっているのを逆手に取って「最初の生産型は左舷艦橋だったのでは❓」と考察してそうしました。左舷にある艦橋と艦名と乗艦してる人の名前、太平洋戦争史に詳しい人には言わずとも元ネタ分かりますねw.
コスモタイガーⅡもそうですが、デスバテーターにも早期警戒管制型がいるので「エラッテ・データー」と名を付けました(「エリント」をガトランティス語風にもじったもの)。「2199」〜「2202」まで結局ガトラン側の艦載機はデスバテーター一択でつまらなかったですしなにより地球側にしか警戒機がいないのは不自然ですからね。
さてお次の話は新生BBB戦隊に話が戻ると思います。最後に出てきたキャラが何者か❓彼らは遭遇します。ヤマトファンの皆さんが良く知り「結局どうなったのこの人❓」な人物ですよ。


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第3話「11番惑星の激闘と潜んでいた脅威」

前回は土星本隊の話でしたが、今回は新生BBB戦隊側に話が戻ります。突如復活したカラクルム級群に襲撃されたパトロール艦2隻の救援に旗艦 マキナ達は間に合うのか❓


第11番惑星 

第99特殊戦略戦術機動打撃群

旗艦 戦略指揮戦闘空母デア・エクス・マキナ所属

戦闘攻撃飛行隊"シャドウ・バンガード"

飛行隊長:ザビネル・シャルマーニュ(コールサイン:"SVリーダー")「"SVリーダー"よりSV隊及びDT(ダーク・タイガー)隊各機、まもなく交戦宙域に入る。パトロール艦"ペネムエル"の救助が優先だ。突如活動を再開したカラクルム級が群がってるらしい。そいつらを排除してペネムエルを救うぞ。」

セシリア・ローナ(コールサイン:SV2)「早く向かいませんと❗️あれから時間が経ち過ぎてるわ‼️」

シブキ・アノウナ(コールサイン:SV3)「そうだな、相手はあのカラクルムだしな。」

 

新生BBB戦隊総旗艦"デア・エクス・マキナ"に属する航空隊"シャドウ・バンガード"と"ダーク・タイガー"の計12機のコスモタイガーⅡは艦隊に先んじて味方パトロール艦の救援に向かっている。「カラクルム級、突如活動を再開❗️」の報を受けてから時間が経っておりその安否が心配な所だ。

 

ザビネル「ッ❗️いたぞ❗️2時の方向下方だ❗️」

 

隊長のザビネルが言った方向に目を向ける他の機のパイロット達。そこにはカラクルム級数十隻からの攻撃を受け艦首の波動砲口や第二主砲塔、魚雷発射管の一部が抉られ、左舷(正面から見て)のコスモレーダーアンテナが欠損し船体各所に大小様々な穴が空きながらも残った第一/第三主砲や前甲板のVLSで応戦するペネムエルの姿があった。

 

ザビネル「仕掛けるぞ❗️先に我が隊が先頭のをやる❗️DT(ダーク・タイガー)隊は後方から攻撃しろ❗️続けッ‼️」

 

そう言うとザビネルの"シャドウ・バンガード"隊は一番槍に飛び出しカラクルム級に猛禽の如く襲い掛かった。

 

新生BBB戦隊

旗艦:戦略指揮戦闘空母"デア・エクス・マキナ"

CIC(戦闘情報センター)

 

栗梶「艦長、"SV"及び"DT"両隊がペネムエルを発見、交戦開始しました。」

多田部「そうか、間に合った様だね。」

 

その頃、旗艦マキナでは多田部艦長たち艦橋クルーがCICに移り戦闘の経過をパネルで見ていた。

 

金田「しかし、あれだけ攻撃を受けてよく持ち堪えましたなペネムエルは。」

多田部「波動防壁を常時展開せず直撃しそうなのだけに展開して消費を抑え当たっても航行に支障出ない所は展開せずに節約していたんでしょう。でなければあの数であの攻撃を受ければ10分と保たなかった筈です。」

 

アンドロメダ級やクラスD(ドレッドノート級)の戦艦クラスならともかく巡洋艦/パトロール艦そして護衛艦/駆逐艦の様な小さな艦艇ではそれに比例して波動エンジンも小型で出力が低く波動防壁の展開時間も戦艦クラスに比して短い。それ故に常時艦体の周囲に展開し続けさらに攻撃を受け続ければあっという間に飽和状態に陥り防壁は消失してしまう。それを防ぐ為の芸当をやってのけ生き延びているのはペネムエルの艦長の経験の豊かさの証明だ。

 

多田部「プロケルの方に向かった"バイオレット・バンガード"隊は❓」

 

多田部がペネムエルと同じパトロール艦のプロケルの方に救援に向かった航空隊の様子を尋ねたのと同じくしてピピーッ❗️ピピーッ❗️と通信が入る。

 

パトロール艦"プロケル"がいると思われる宙域

同艦所属

戦闘攻撃飛行隊"バイオレット・バンガード"

飛行隊長:ドレルス・ローナ「旗艦マキナへ、こちら"VV(ブイツー)リーダー"。プロケルの現場に到着した。しかし...。」

 

多田部「ダメだったか❓」

 

ドレルス「...はい。」

 

VV隊が到着した時には既に遅し、プロケルは艦体が真っ二つに割れ艦首部と艦橋らのある艦体の主要部分に別れてバラバラに宙域を漂っていた。

 

多田部「生存者がいるかもしれない。宙域に留まって捜索してください。"ガブリエル"を向かわせる。」

 

ドレルス「了解。」

 

艦隊に続いていた"ガブリエル"はプロケルとVV隊の方へと針路を取り離脱する。"ガブリエル"はパスファインダー級のベースとなった「ガーランド級航宙巡洋艦」の「軽巡仕様(type-A)」だ。主砲や雷装等はパスファインダー級と同型の物を搭載している。本艦隊にはもう一隻"MK.16 三連装8inch衝撃破速射砲"を主砲とする「重巡仕様(type-B)」の"グシオン"がいる。

 

多田部「栗梶、カラクルム級の動きは❓」

栗梶「プロケルと戦闘を行ったと思われる"カラクルム級A群"は現在ペネムエルと交戦中の"カラクルム級B群"に合流しようとしています。」

 

通信手だけではくレーダー手も兼務する栗梶はパネルの映像を分けて情報を提示し多田部の問いに答える。

 

多田部「"ベリアル"01〜03の到着は❓」

栗梶「まもなくです。」

金田「プロケルの方に回した"バフォメット"01〜03はどうします❓」

多田部「小ワープですぐペネムエルの方に回します。なんとしてでもペネムエルを救います。」

 

プロケルはダメだったが、ペネムエルはそうはさせまいと伝える多田部に金田は「さすがです」と微笑む。

 

金田「それにしてもなぜ急に動き出したのでしょうね❓」

手邦「あぁ〜その事なんですが...。」

多田部「どうしました技術長❓」

 

カラクルム級の突然の活動再開に疑問を口にする金田副長に手邦が何か分かったらしく意見を言おうとする。何かこの事態を解決することができるかもしれないと多田部は何が分かったのか❓と質問する。

 

手邦「この宙域を進んでいて分かったんですが、活動していないカラクルム級の中に艦体表面が茶色に変色している個体が複数あったんです。」

金田「艦体が変色を❓」

手邦「えぇ、それにシワが寄っていてまるで植物が枯れたみたいな感じになっているんです。」

烈禍「おい❗️周りくどい言い方してねぇで早く言えよ‼️」

多田部「静かに砲術長❗️」

高佐田「黙って静かに話聞いて仕事しろ。」

烈禍「ちっ、悪かったよ。」ボソッ

手邦「ヤマトが得た情報によればカラクルム級は"ガイゼンガン兵器群"と呼ばれる特殊な兵器群で、艦がまるで植物の様に"生えてくる"というのは艦長もご存じと思います。これはあくまで私の仮説ですが、カラクルム級には何らかの方法で別のカラクルム級から養分らしき物を抽出しそれで活動を再開できる特性があるのではないか❓という事です。」

多田部「なるほど、茶色く萎れたやつはその"絞りカス"ってわけか。」

金田「しかしもしそうなら、養分を吸われていない奴はなぜ動かないのでしょう❓」

手邦「さぁ、そこまでは。あくまで仮説ですから。」

 

「ガイゼンガン兵器群」、それはガトランティスがテレザート星発見以後に確立された「生体技術を用いた兵器の製造」で生まれた兵器達の総称である。その代表格であるカラクルム級戦闘艦は地球・ガミラス連合艦隊が「浮遊大陸奪還戦」に於いて初めて確認、交戦した艦種だ。

しかし分かっているのはそれだけでありそれを用いていたガトランティス(クローンガトラン)がゴレムで全滅してしまったが故にその製造工程や正確な資料を得る機会を完全に失ってしまった為、その全容は永久に謎に包まれたままとなったのである。

手邦が言った仮説も「ホントにホントにホントにホントにラ○オンだ❗️」くらいにあくまであるだけの情報で立てた仮説でしかないのだ。

 

多田部「敵の技術を奪って使うが取り柄のガトランティスの事だからブラックボックス染みた物でも兵器だけに気にせず平気で使ったんでしょうよ。中身や仕組みなんて連中には使えればどうでも良いのさ。」

 

ジョークを交えつつ皮肉めいた事を言う多田部、CICに集う艦橋クルーはそれに笑みを浮かべる。

 

多田部「さてさて私の言いたい事はこれくらいにして、このまま合流されると4隻の増援じゃ防げないな...SV隊もそろそろ弾やミサイルを使い切るだろうし。」

 

多田部はカラクルム級両群が合流し僚艦のペネムエルを沈めずに帰す方法を模索する。そして...。

 

多田部「"バルバトス"01〜03に拡散波動砲発射体制を指示❗️栗梶、SV隊に帰投命令とペネムエルにこちらのタイミングで退避しくよろと伝えてください。」

栗梶「了解❗️」

多田部「手邦、うまく"マリオネット"してペネムエルを守りこちらに引きつけてくださいよ。」

手邦「はい❗️お任せ。」

烈禍「おい艦長❗️俺の出番ないのかよ⁉️」

高佐田「文句言うな、黙って従ってろ。」

多田部「砲術長、撃たせる機会はやる時はやるから待っててちょうだい。」

 

出番がなくブー垂れる砲術長 烈禍を宥める艦長 多田部と戦術長 高佐田。

 

"シャドウ・バンガード"隊

ザビネル「クッ...❗️一向に数が減らん❗️」

 

一方のSV隊はペネムエルに群がるカラクルム級を撃ち減らしているのだが、なにぶん数が多く沈めはいても数が減ってる気がしなかった。そして頑丈な艦である為に沈めるにもそれなりの数の対艦ミサイルが必要で消費量も馬鹿にならない。

 

セシリア「ザビネル❗️そろそろ残弾が...ひゃあッ⁉️」

シブキ「セシリアッ❗️クソッ❗️もう十分湧いて出たろ❗️出てけよッ‼️」

 

戦闘が思った程長引き搭載してる機銃とミサイルも枯渇寸前だ。「このままでは突破されペネムエルが❗️」と誰もが脳裏に浮かべる。

 

ザビネル「増援はまだかッ❗️んっ⁉️来たかッ⁉️」

 

ザビネルが気付いた方向に目を向けるとペネムエルの後方両舷からカラクルム級群の間に割って入る様に漆黒に包まれた3隻の艦が飛び込みペネムエルを前方を塞ぐ様に一隻が上、もう一隻がその真ん中、最後の一隻が下になって壁を作る。その艦は"アンドロメダ・ブラック級"通称「BBB級」と称される無人艦だ。

 

パトロール艦 ペネムエル

艦橋

 

副長「艦長❗️」

艦長「あぁ味方の無人艦だ❗️多田部司令達が来てくれたんだ❗️」

 

 

旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ

CIC

 

手邦「"ベリアル"01、02.、03現場に到着。砲戦開始させます。戦略指揮システム"オルケストラ"正常に稼働中❗️」

多田部「戦術長❗️砲術長❗️撃ち込みだ❗️弾幕❗️弾幕で❗️ペネムエルを守れ❗️もうすぐ"バフォメット"の3隻も来る❗️そっちも頼むぞ‼️」

高佐田/烈禍「了解❗️/へっ❗️待ってました❗️ぶっ放(ぱ)でいくぜぇ‼️」

 

これこそ新生BBB戦隊旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナの真骨頂。「無人艦の複数隻同時遠隔操作」だ。

以前のBBB級はAI(人工知能)により稼働する自立無人戦闘艦であったが、AI自体が未熟であった為にガトランティス戦役中はその性能を存分に生かす事が出来なかった。その光景を間近で見ていた多田部は「ただのカカシですな、あれなら敵から見たら瞬きする間にパチン!(指パッチン)全艦沈められる。間違いないな。」と思わずにはいられなかった。多田部はかの有名なBBY-01 宇宙戦艦ヤマト副長の真田志郎(さなだ しろう)の著書「血の一滴も通わないメカニズム」に感銘を受けた同氏と同書のファンであった事もあり益々(ますます)どうにかしなければと思った。

戦役後、多田部は同志を集め「AI搭載型無人艦の限界」と「戦略指揮艦による無人艦制御艦隊構想」を防衛軍会議に提出した。それが防衛軍幕僚と真田志郎の目に留まり早速計画が開始された。こうして"新生BBB戦隊"こと「第99特殊戦略戦術機動打撃群」とその旗艦 戦略指揮戦闘空母 "デア・エクス・マキナ(「機械仕掛けの女神」)が生まれた。

ガトランティス戦役中、※20数隻(※戦役中の混乱により正確な建造数不明)の初期型アンドロメダ級の建造後、後期型が建造される予定であったがガトランティスの電光石火の進撃速度に対し時間断層AIはBBB級とクラスD(無人艦型)の建造を優先し後期型アンドロメダ級の建造は中止され半ば放棄された艦や一部はBBB級に転用されるに至ったのもある。後にデア・エクス・マキナとなる艦はその前者に当たる放棄艦の一隻だった。戦役終結後にそれを改修し戦略指揮システム"オルケストラ"を搭載した無人艦及び艦隊戦略指揮艦として彼女は生まれ変わったのだ。"オルケストラ(オーケストラの意)"の指揮者の如く有人無人問わず艦を指揮する姿こそ、旗艦 マキナ本来の姿なのだ。

現在の新生BBB戦隊にはそれぞれ"ベリアル"、"バフォメット"、バルバトス"と悪魔の名をコールサインに持つBBB級が3隻(一個艦隊)ずつの計9隻とエスコート/フォレスター級航宙護衛艦の同一船体バリエーション艦である「ハヴォック級航宙駆逐艦」の無人艦仕様、コールサイン"ハルバード"、"ハスタ"、"ホルカンカ"の槍の名のコールサインを持つ9隻の合計18隻の無人艦が所属し全て旗艦 マキナが管制/制御している。

 

栗梶「"バフォメット"01、02、03が到着、防御態勢良し砲戦開始します❗️」

 

さらに3隻が増援がワープアウトして到着しペネムエルの壁となり弾幕射撃を始める。カラクルムA群とB群が合流し数が倍以上になって攻撃がさらに激しさを増すが、こいつらを罠に嵌(はめ)て一網打尽にすべくさりげなく迎撃ポイントへと誘導していく。

 

栗梶「カラクルム級群A、B合流しました❗️まもなくキルポイント❗️」

多田部「上手く乗ってくれましたか❗️BBB級3隻の拡散波動砲はッ⁉️」

手邦「いつでも良いですよ❗️」

多田部「よろしい❗️高佐田❗️拡散波動砲のトリガーを頂け❗️」

手邦「BBB級3隻の拡散波動砲トリガー、戦術長に回します❗️」

高佐田「戦術長頂いた❗️」

多田部「カウント10秒前だ❗️そこまで来てる、頼むぞ❗️」

高佐田「仰せのままにお任せを❗️」

 

手邦からBBB級3隻の拡散波動砲発射管制を引き継いだ高佐田の座席のデスクから波動砲のトリガーが回転し飛び出してくる。その間にもペネムエルとそれを守るBBB級3隻が目標位置(キルポイント)に迫ってくるのがレーダーに表示され続けている。

 

高佐田「9...8...7...6...5...4...3...2...1...❗️拡散波動砲❗️てぇッ‼️」カチッ

 

波動砲のトリガーを引く高佐田、それと同じくしてペネムエルと盾となっているBBB級6隻がマキナ達本隊の前から散開すると後ろから青い閃光が6つ走った。それは本隊に付いているBBB級、コールサイン"バルバトス"の3隻から放たれた拡散波動砲の光だ。その6つの閃光は真っ直ぐ進みカラクルム級群の手前まで迫ると複数の細い帯の形に炸裂する。その帯状の光がカラクルム級群を包み込み襲い飲み込む。「これが拡散波動砲だ❗️」と改めて新生BBB戦隊所属の艦艇群は思い知らされる。

 

栗梶「カラクルム級群A及びB、殲滅を確認。やりましたよ❗️」

烈禍「やったな、修斗❗️」

高佐田「ふ、当然❗️」

多田部「よくやった、ペネムエルは⁉️」

 

(通信)"ペネムエル"艦長「こちら"ペネムエル"、ありがとうよく来てくれました❗️」

 

多田部「こちら"マキナ"。いえ、プロケルは救えませんでした。私の対応が早ければ...。」

 

(通信)"ペネムエル"艦長「司令に非はありません。彼らも全力を尽くしました。その想いだけで充分ですよ。」

 

多田部「恐縮です。」

 

「僚艦一隻とその乗員を救えず、部下に気を遣わせてしまった」と残念に浮かない表情で通信を切る多田部。だが、いつまでも悔いていられないとして気持ちを切り替える。

 

多田部「副長、"これで"終わりだとお思いで❓」

金田「分かりません。いきなり動きだしたんです。このまま再び素直に眠りにつくものとも思えますまいが...そうであって欲しいと思うのが本音です。」

烈禍「ちぇっ❗️なんだ出番なしかよッ❗️もっと来いやぁッ‼️」

高佐田「おい、本当にきたらどうすんだよ❗️」

 

「このままなにも起きずに終わって欲しい」と願わずにはいられない新生BBB戦隊の面々(例外者1名)だが... ...。

 

手邦「艦長、少しよろしいですか❓」

多田部「どうした❓」

手邦「この辺りのカラクルム級、茶色に変色してるのが多くありませんか❓」

 

手邦に言われ多田部は外の景色を見る。手邦の言う通り何かしらの養分的な何かを吸われ萎びて茶色になったカラクルム級の数が異常に多い事に気づく。

 

多田部「言われてみれば...さっき通ってきた所よりも多い気が...。」

栗梶「ッ❗️熱源❗️急に反応が‼️」

多田部「うぇっ⁉️」

 

突如「熱源の反応あり❗️」と叫ぶ栗梶に驚く多田部とマキナのクルー達。

 

高佐田「烈禍❗️お前が呼んだなッ⁉️」

烈禍「俺のせいかよッ⁉️」

金田「喧嘩は後にしろッ❗️」

多田部「またカラクルさんかッ⁉️」

栗梶「いえ❗️大きい❗️もっと大きな奴ですッ‼️」

 

いつになく驚く栗梶に「カラクルムじゃなきゃ何が来たってんだよッ⁉️」となるマキナのクルー達。今まで反応が表れなかったデカブツ・オブ・デカブツ、「なぜだ❓」と考える間もなくそれは彼らの頭上に現れる。

 

金田「こ、こいつは⁉️」

多田部「まさかこんなのがまだいたのかッ⁉️」

 

その圧倒的としか形容しようのないスケールの巨体を多田部は忘れたことはない。先の戦いで全て戦没したと思われていた艦に生き残りがいたとは素直に信じられないでいた。

 

手邦「敵艦ワープ態勢に入ります❗️」

多田部「なんだつてッ⁉️」

金田「まさか、土星に⁉️」

多田部「迎撃は⁉️」

手邦「間に合いません❗️すぐ行ってしまいます‼️」

 

巨大艦はガトランティス艦特有の何十の青い三角形を展開させるワープを行い消えた。そしてそれと同時にどこから湧いて出たのか、再びカラクルム級が新生BBB戦隊に襲い掛かる。

 

多田部「またですかッ❗️土星の本隊に連絡ッ❗️「"逃がした魚は大きい"❗️備えられたし‼️」ってね‼️」




冒頭から登場した新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ所属の航空隊の名前とパイロットの元ネタは「機動戦士ガンダムF91」です。クロスボーン・バンガードは劇中連邦軍から「海賊」扱いされてたので髑髏をシンボルマークとする新生BBB戦隊にピッタリと思いそうしました。
パトロール艦"ペネムエル"は賢い戦い方でなんとか生き延びましたが、僚艦と同じパト艦の"プロケル"は残念ながら戦没してしまいました。
「ガイゼンガン兵器群」は「2202」に劇中ではその内容が多く語られる事がなかったので、「植物みたく生えてくる有機体兵器ならこんな設定でも良いよな❓」と思いそのブラックボックスさを利用させていただきました。「2205」で「アンドロメダ級21番艦"アルフェラッツ"が監視任務に就いていたのはこういう事象があったから」というのを勝手に理由付けた感じですが、納得していただけたら幸いですw.
マキナの真骨頂である「無人艦複数隻の同時管制」がここで披露されます。マキナは後に建造される「アンドロメダ改級戦略指揮航宙戦艦"しゅんらん"のテストベッド艦」という設定であり、搭載する指揮管制システム"オルケストラ"も試作品です。「ガトランティス戦役」で無人艦の限界を目の当たりにした多田部がある意味「僕が考えた最強のアンドロメダ」という形で生み出された彼女の活躍がここで光る訳です。
「血の一滴も通わないメカニズムの結晶」は旧作の「2」に於いて真田さんがアンドロメダを表現した言葉でヤマトで私が好きなセリフの一つなんですが、残念ながら(❓)リメイクである「2202」では登場しなかったのでここでは「真田さんが書いた本のタイトル」という形で登場させました。「2202」でもアンドロメダは大幅に省人化した戦艦ではありましたが、銀河は AIによる効率かつ冷徹な判断をする艦で「リメイクだとこの言葉に当てはまるのはアンドロメダじゃなく銀河ではないか❓」と個人的には思っています。
ペネムエルを救い出しカラクルム級群を殲滅できましたが、最後の最後に大きなとんでもないモノを流してしまった新生BBB戦隊。土星本隊と彼らの運命はいかに⁉️


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第4話「ガトランティスの反撃❗️雷王作戦クライマックス‼️」

味方のパトロール艦1隻をなんとか救助し突如動き出したカラクルム級を撃滅する事に成功した新生BBB戦隊だが、巨大な艦影を捕捉し取り逃してしまう。「雷王作戦」いよいよクライマックスです❗️


土星沖 ガトランティス残党軍 機動部隊側の宙域

 

スコルプ・クロウ3「いいぞそのままやっちまえ❗️」

ウォーウルフ1「ジェリコ2❗️ケツに着かれてる‼️」

スチェッキン6「ダメだ❗️振り切れない‼️」

バラクーダ4「対空砲火激し過ぎッ❗️照準ブレるッ‼️」

フォッカー2「誰かあの※"サボテン(※ゴストーク級の事)"を殺れるかッ⁉️」

ダーク・ハイディング5「クッソォッ❗️仕留め損なった‼️」

ヘルダイバー7「どっちが旅立っちまうか分からんな❗️」

バラライカ8「ガーネット5❗️持ち堪えて❗️今行くわ‼️」

 

土星沖は無数の閃光がちらついては消えちらついては消えを繰り返す。アンドロメダ級戦闘空母型5隻の航空隊がガトランティス残党軍 機動部隊に攻撃を開始して数時間が経ったが、艦隊の20%程の敵艦を沈めただけで空母等の主力艦には未だ決定的なダメージを与えられないでいた。ガトランティス艦特有の主砲「速射輪胴砲塔」は対艦/対空に優れた両用砲であり、砲塔をガトリング砲の如く回転し撃ちまくり濃密とも言える弾幕を張っている。さらにガトランティス主力艦載機 デスバテーターの迎撃隊の抵抗も激しくその防空網の厚さに防衛軍パイロット達は舌を巻き、経験不足なパイロットは窮地に陥ったり攻撃が失敗やそれどころじゃない者も多かった。

 

地球連邦防衛軍

第1艦隊"ブループルミエ(青の一番)"

旗艦:アンドロメダ級前衛航宙武装艦 アルデバラン

CIC(戦闘指揮所)

 

副長「かなり粘りますねガトさん。」

谷「そうだな。少しずつではあるが戦力は削れてる。だが...。」

副長「どうされました艦長❓」

通信手「第2艦隊 旗艦 アキレスより入電、「突撃はまだか❓」。」

谷「待てと伝えろ。今飛び込んだら最悪同士討ちになる。」

 

「雷王作戦」本隊を指揮する総旗艦艦隊の旗艦 アルデバラン艦長の谷と艦橋(ブリッジ)クルーは第1艦橋下方のCICに移り戦闘の様子をディスプレイで見守る。粘り強く抵抗する敵だが、戦力は少しずつ消耗している。その事実が現在進行形でいるのだが、谷は表情を曇らせている。

 

谷「妙...だと思ってな。」

副長「敵が...という事ですか❓」

谷「そうだ副長。君も私の隣であの戦いを見てきたから分かっていると思うが、ガトランティスらしくないとは思わんか❓」

副長「確かに、あの電光石火の様な攻撃を得意とするガトランティスが防戦一方とは...いくらこちらの航空戦力が圧倒的だからといってもそんな状況も構う事なく攻めに回る。それが本来の彼らの戦い方のはず。」

 

「機動型攻撃一辺倒」と評しても微塵(みじん)も間違いでないガトランティスの戦術を先の戦いで目の当たりにし続けてきた谷にはその攻撃的な姿勢が見受けられないどころか真逆の「防御一辺倒」な戦闘に違和感を感じずにはいられないのだ。

 

谷「(まるで何かを待っている様な...。嫌な予感がするな。)」

通信手「艦長❗️"デア・エクス・マキナ"より入電が❗️」

副長「"デア・エクス・マキナ"⁉️11番惑星にいる新生BBB戦隊の旗艦から⁉️」

谷「読み上げろ。」

通信手「「"逃がした魚は大きい"備えられたし」と。」

副長「"逃がした魚"...❓どういう意味でしょうか❓」

 

副長は艦長に尋ねる。だが答えはすぐ向こうから目の前にやって来た。

 

レーダー手「ワープアウト反応❗️巨大です‼️」

谷/副長「なにッ⁉️」

 

フワワワン❗️フワワワン❗️とガトランティス艦特有のワープアウトが不気味に響いてアルデバラン達防衛軍艦隊の頭上に現れる。その巨体は影を作り艦影に見覚えのある者ない者問わず唖然とさせられ思わず息を呑む。

 

エンケラドゥス守備隊

旗艦 ドレッドノート級航宙戦艦 えぞ

CIC

副長「艦長ッ❗️」

尾崎「ま、まさかこいつはぁッ⁉️」

 

エンケラドゥス守備隊司令 尾崎の脳裏に土星沖の戦いが蘇る。その艦影を初めて見たのは紛れもない自分と自身の指揮する守備隊の者達であり、その艦の攻撃で多くの艦と仲間を失ったのだ忘れようがない。その白く巨大な平たい艦体をした「イングリッシュマフィン」と誰かが称したその艦を。

 

ガトランティス残党軍艦隊 総旗艦

"ガイゼンガン兵器群"アポカリクス級航宙母艦"ナグモー"

艦橋

 

レーダー手「艦長❗️地球艦隊の上方につけました‼️」

 

レーダー手からの報告に静かに頷く艦長。背後にいる副長が静かに側による。

 

キチェ・トールギン("ナグモー"副長)「遂にこの時が来ましたな、パラカス殿。」

イスラ・パラカス("ナグモー"艦長)「うむ、よく間に合った。ナグモー司令の艦隊もよく耐えてくれた。それに報いる為に地球艦隊大将の素っ首、我らの手で上げようぞ❗️」

副長以下艦橋クルー「オォォォォッ‼️」

 

艦長のパラカスと副長のトールギン、かつて"グダバ遠征群"で"キスカ遊撃隊"同隊旗艦 ナスカ級打撃型航宙母艦「キスカ」の艦長兼指揮官と副長だ。イスカンダルから地球への帰路にある「ヤマト」を襲撃し、後に地球艦とガミラス艦隊初の共闘戦となり「ヤマト」の経験した戦いでも最も奇妙かつ名高い「シャンブロウ会戦」でガミラス側の旗艦 ゲルバデス級戦闘空母「ミランガル」所属のツヴァルケの急降下爆撃を受け「キスカ」は戦闘不能となったが、撃沈は免れなんとか戦線を離脱することに成功した。

それから月日が経ち「ガトランティス戦役」では修理した「キスカ」に再び乗艦し遊撃隊も戦力を補充され冥王星での陽動作戦を指揮した。幸いナチュルガトランであったパラカスと彼の指揮する艦隊の者達はゴレムの発動で死なずに済んだものの、都市帝国の崩壊とガトランティスの滅亡の報を聞き驚愕した。

帰るべき所を失ったパラカスは地球への復讐を誓い生き残ったガトランティス人(ナチュルガトラン)の同胞を集めて力を蓄える事にした。その中でかつて自身の機動部隊戦術の師であったナグモーと再会した。ナグモーは建造途中だった自身の名を持つアポカリクス級4番艦"ナグモー"を密かに回収し、地球沖で撃沈波された同級1〜3番艦と多数のカラクルム級からパーツをかき集め共食い整備を施しながら完成させようとしていた。しかし「自身はもう老いぼれでこれからは若いお前がこの艦を駆って指揮を取れ」と艦をパラカスに譲り渡したのだ。

 

パラカス「攻撃開始❗️雨を降らせろッ‼️」

 

パラカスがそう言うとアポカリクス級の長大も長大な飛行甲板上の搭載火器が一斉に下方にいる地球艦隊に向け緑の雨を降らせる。虚を突かれ反応が遅れた何隻かは攻撃をまともに食らって損傷または爆沈する。

 

「やましろ被弾❗️」

「アイル・オブ・スカイ、損傷❗️」

「みょうこう、轟沈❗️」

「ホーキンス、大破❗️」

「イェットミンスター、戦列を離れるッ❗️」

「バトラーがやられた❗️」

 

各艦隊から次々と被害報告の無線が飛び交うアルデバランの艦橋。艦長の谷はハッと我に返って指揮を再開する。

 

第1艦隊 旗艦 前衛武装航宙艦 アルデバラン

CIC

 

谷「各艦回避運動しながら応戦しろ❗️航空隊をすぐ呼び戻せ‼️」

レーダー手「艦長❗️ワープアウト反応❗️艦隊下方です‼️」

谷「なにっ⁉️」

 

今度は地球艦隊の下方からガトランティス艦隊が出現する。それはさっきまで航空隊と激しい戦闘を繰り広げていたナグモー率いる機動部隊だった。

 

ガトランティス残党軍 機動部隊

旗艦 ナスカ級打撃型空母 アギカ

艦橋

 

ナグモー「ようやく来たかパラカス。待っておったぞ。上手く敵の頭を抑えた、さすが我が弟子。攻撃開始だ❗️上下で挟み撃ちにしてしまえ‼️」

 

地球艦隊の下方に陣取ったナグモー機動部隊が地球艦隊の下っ腹に向けて火線を放つ。上と下で完全にサンドイッチされ、また艦底部に殆ど武装を施していない地球艦隊は圧倒的に不利であった。これでは上にも下にも行けず左右のどちらに行ったとしても逃げきれない。

そんな状況を察した第4艦隊"コールドウォー"旗艦のアンドロメダ改級戦闘空母 エンタープライズの艦長 エメラルダは操舵手にこう言い放つ。

 

第4艦隊"コールドウォー"

旗艦 アンドロメダ改級戦闘空母 エンタープライズ

※CDC(※戦闘指揮センター、空母版CICでCICに航空管制能力を付与したもの。アンタレスとマキナは空母型であるがアンドロメダ級の初期生産型に属する為、まだCICなのである)

 

エメラルダ「ッ❗️操舵手❗️艦体上下反転180°❗️ひっくり返るんだ‼️」

操舵手「は、はいッ❗️」

副長「艦長ッ⁉️」

エメラルダ「こっちは下に武装はほとんどない❗️なら上と下を逆にすればいい❗️それにこの艦の艦橋構造物の大きさなら盾になるだろッ‼️他の空母型や皆にも今何をすべきか我が艦が行動で伝えるんだ急げッ‼️」

副長「は、はいッ‼️」

 

エメラルダの指示の下、エンタープライズは艦体の姿勢制御スラスターを噴かし敵艦隊から見れば上下逆さまの体勢になってショックカノンをバキュルバキュルと撃ちまくる。第4艦隊に属する全ての艦も旗艦の行動にならい艦体を上下反転させる。

 

第3艦隊"ポイズンテール"

旗艦 アンドロメダ級戦闘空母 アンタレス

CIC

 

副長「艦長❗️エンタープライズと艦隊の僚艦が上下逆さまに‼️」

富山「なるほど考えたな。若いながら柔軟な発想をする。我々も続くぞ❗️」

副長「はい❗️」

富山「第5艦隊は総旗艦艦隊及び第2、第6艦隊の"傘"となれと伝えろ❗️」

 

第5艦隊"キングス&ケーニヒ"

旗艦 アンドロメダ改級戦闘空母 アークロイヤル

CDC

 

キャメラ「なるほど、確かに雨には傘がないとな。よしやるぞ❗️」

 

副旗艦 同級 グラーフ・ツェッペリン

CDC

 

サオリナ「※雨が降っても傘は差さない国出身の私が傘になれとは。まぁいいだろう。しっかり差してやろうではないか❗️」

 

※ドイツでは雨が降ってもすぐ止むので人々は傘を持ち歩く事はないらしい。

 

エンタープライズに続いて各A級空母群が動き始める。一部は艦隊下方、一部は艦隊情報にそれぞれ展開し防御態勢を取る。

しかし一時的に過ぎず今は凌げるかもしれないが長くは保たない事は明白だとアルデバラン艦長 谷は思わずにはいられなかった。「なんとかこの窮地を打破しなければ❗️だがどうやって❓」と自問自答している時だった。

 

第1艦隊 旗艦 前衛武装航宙艦 アルデバラン

CIC

 

通信手「艦長❗️マキナより入電です❗️作戦内容とかッ‼️」

谷「なに⁉️よし、こっちに回してくれ。」

 

谷は新生BBB戦隊旗艦 マキナから送られてきた作戦内容を艦長席のディスプレイに移す様言うと目を右往左往させて読む。こちらの状況を聞き急いで逆転の一手を考えたものらしい。

 

谷「重力子スプレッド弾、発射用意❗️」

副長「え⁉️」

谷「重力子スプレッド弾だ❗️"黒い不良たち"に考えがあるようだ。それに賭ける❗️全アンドロメダ級にも伝えッ‼️」

副長「はっ❗️」

 

アンドロメダ級の波動砲口上下に装備する「重力子スプレッド発射機」の射撃準備を整えるよう言う谷艦長。着弾すると重力フィールドを発生させるエネルギー弾を放つこの発射機は攻撃に使えば小惑星群を一瞬で消滅させ、防御に使えばシールドとして機能する。これに向けて収束波動砲を撃てばさらに強大な威力の波動砲にする事ができるという攻防一体の兵器だ。先のガトランティス戦役の土星沖会戦での使用した際の活躍が記憶に新しい(❓)読者の諸君もいる事だろう。まだ観てない人は今すぐ「2202」をレンタルか円盤を買うとイイだろう❗️

おっとと話が少しそれかけましたが、アンドロメダ級全艦が重力子スプレッド弾の発射用意を進める中、そんなのお構いなく防衛軍艦隊の上下からビームのシャワーを浴びせて浴びせて浴びせまくってらっしゃるガトランティス残党軍の背後からワープアウトする艦影が三つあった。新生BBB戦隊所属のハヴォック級航宙駆逐艦の無人艦仕様、コールサイン"ハルバード"の01〜03だ。しかもただ3隻がワープアウトしただけではない、艦体に"小判鮫(こばんざめ)"の如く張り付いてきた乗客を乗せてだ。

 

新生BBB戦隊 旗艦 デア・エクス・マキナ

戦闘攻撃飛行隊"クレイジー・スカル"

飛行隊長 ロイ・カミヤ(コールサイン:CSリーダー)「"戦術DE"完了❗️全機散らばれ❗️"特急列車"が突っ込むぞッ‼️ミサイルを全弾発射した後、上空へ退避だッ‼️」

無人ハヴォック級"ハルバード"に同乗していた航空隊"クレイジー・スカル"隊は機体をハヴォック級から離して散開する。無人ハヴォック級3隻はそのままガトランティス残党軍旗艦 アポカリクス級"ナグモー"に向かって突っ込み、一隻は艦橋下部に後二隻は両舷それぞれのエンジンに向かって突き刺さった。それと同時にクレイジー・スカル隊のコスモタイガーⅡ4機が装備する対艦ミサイルを全弾放つ。「傷口に塩を塗る」を読んで字の如く表現するかのように鮮やかにやった。

 

ガトランティス残党軍 旗艦 アポカリクス級航宙母艦"ナグモー"

艦橋

 

パラカス「何事だッ⁉️」

トールギン「後方から空間跳躍した艦が艦尾に衝突したようです❗️それに艦載機からミサイルがッ❗️」

オペレーター「艦長❗️真上と真下にも空間跳躍の反応ッ‼️」

パラカス「なにッ⁉️」

 

同じ無人ハヴォック級の"ハスタ"が真上から"ホルカンカ"が真下から同じくコスモタイガーⅡを4機貼り付けた状態でワープアウトしクレイジー・スカル隊と同じ手順で攻撃して散開、無人駆逐艦はそのままナグモーの艦体に突き刺さり皆それぞれ自爆プログラムに従い自爆する。

ガミラスの「瞬間物質移送機」を使った奇襲戦術「デスラー戦法」を参考に※ワープ機能を持たない航空機(※コスモタイガーⅡのオプション装備として往復2回分のワープが行える使い捨て装備の"ワープブースター"があるが、単機にしか装備できない)を艦艇に磁力で吸着してそのままワープする。そして艦艇と航空機によるダブルパンチを持って一撃離脱の奇襲を敢行する。これを無人仕様の駆逐艦で行い艦はそのまま敵艦に体当たりして自爆する。これが「戦術DE」、"デストロイヤー・エクスプレス(駆逐艦特急)"だ。

 

ダメコンオペレーター「パラカス殿❗️艦体上下部が中破❗️メインエンジンが損傷し攻撃航行共停止しましたッ‼️」

パラカス「ぐぬぬ...目の前の敵に注意が向き過ぎたか❗️」

レーダー手「後方よりさらに空間跳躍の反応❗️」

トールギン「まだ来るのかッ⁉️」

 

第1艦隊 旗艦 アルデバラン

CIC

 

副長「艦長❗️新生BBB戦隊がきましたッ❗️」

谷「アンドロメダ級全艦、重力子スプレッド弾発射ッ❗️」

 

無人駆逐艦の自爆後、空母ナグモーの背後に新生BBB戦隊本隊がワープアウトする。それを確認した防衛軍艦隊のアンドロメダ級全艦が装備する重力子スプレッド弾を前方に放ち防御膜を展開させる。クラスD2隻を両舷に連結させワープブースターにさせてやって来た旗艦 デア・エクス・マキナとその指揮管制下にあるBBB級は拡散波動砲発射態勢を取っている。艦長兼司令の多田部の「発射ッ❗️」の指令と同時にそれが炸裂する。それは瞬く間にガトランティス残党軍艦隊を飲み込み、機動部隊とそれをナスカ級空母 アギカで指揮していたナグモー司令は断末魔の叫びを上げる暇(いとま)もなく乗艦ごと蒸発する。一方新生BBB戦隊の正対する位置にいる地球艦隊は重力子スプレッド弾の防御膜に守られているお陰で全艦無傷であった。

死の閃光の尾が切れた後に残ったのは無数のガトランティス艦の残骸と無数の弾痕と黒煙を上げ今にも爆沈しそうなアポカリクス級ナグモーだけだった。

 

谷「通信手、敵艦と交信できるか❓」

通信手「え❓あ、はい可能ですが。」

副長「艦長❓」

谷「もう戦いは終わったも同然だ。降伏を呼びかける。」

副長「しかし相手は...❗️」

谷「彼らは"あの手(クローンガトラン)"のガトランティスとは違うのだろう❓メンタリティが同じなら話が通じる筈だ。」

 

そう副長を諭(さと)すと通信手に映像通信を繋ぐよう言う。どうやら答えたらしく映像がメインパネルに映される。

 

パラカス(映像通信)「当艦ナグモー艦長の"疾風"のイスラ・パラカスである。」

谷「地球連邦防衛軍 総旗艦 アルデバラン艦長の谷だ。もはや残党軍の艦は損傷した貴艦しか残っていない。降伏したまえ、その様な状態ではもはや戦えまい。兵の事を考えるならば...。」

パラカス(映像通信)「なぜ私の首を取らぬッ❗️ここまで追い詰めた貴官らにその資格あり❗️なぜ最後まで戦わぬのだッ⁉️」

 

降伏勧告を受けるか受けないかの答えの前に「そちらの方が上手(うわて)だったのだ、瀕死の相手とて遠慮なく首を取れ❗️」と一喝(いっかつ)するパラカス。その気迫に少し押され表情がピリッとする谷。

 

谷「しかしそれは...」

パラカス(映像通信)「くどいッ❗️我らは既に故郷を無くした身❗️戦いで散る覚悟はとうにできている❗️そちらも軍人いや"戦士"ならば遠慮は無用❗️最後までこちらと一戦交えてもらうぞッ‼️」

 

そう言って通信を切るパラカス。その後突如に新生BBB戦隊の無人駆逐艦の突撃で破壊した筈の空母 ナグモーの機関部が再起動し動き始めた。

 

新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ

CIC

 

烈禍「おい❗️アイツまだ動いてるぜ❗️」

多田部「破壊が内部にまで至らなかったのか⁉️」

栗梶「いえ、先程敵艦のレーダー反射率の変化を確認してんですが数値がマイナス方向に変動していました。」

多田部「なんだつてぇ❓」

手邦「こっちも微(かす)かですが機関部に反応がありました。この反応の後、機関が再起動しています。」

金田「まさか、"自動修復機構"があるのか❓」

手邦「はい、そうとしか...。」

多田部「考えられますね。"生体兵器"染みたガイゼンガン兵器群なら。なんと厄介な。それならまだ戦意を失ってないのと頷(うなず)けます。」

金田「いかがされますか艦長❓」

多田部「機関が直っただけでなく艦体と艤装も直されちゃさらにヤバいです。その前に全力で撃ち込みます❗️向こうがまだ戦うなら存分にやってやろうじゃないですか、どうやら遠慮はいらないと言ってる事ですしね。」

金田「その返事をお待ちしてましたよ。戦術,砲術全力応射だ❗️」

 

防衛軍本隊と新生BBB戦隊は前と後ろで挟み撃ちする形でアポカリクス級にショックカノンと魚雷とミサイルとありったけの武装で撃ちまくる。対する空母 ナグモーも損傷を免れた武装で応戦するが、その手数は全力発揮よりも劣ってたかが知れており火力の差は歴然であった。

 

新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ

CIC

 

多田部「機関長、波動砲を撃った後だけど機関は平気で⁉️」

呉賀「えぇ❗️まだまだ暴れ足りないと言ってますよ❗️」

多田部「そりゃ大変結構❗️どんどん唸(うな)らせてやっちゃって❗️」

栗梶「地球艦隊本隊の航空隊をレーダーで確認、戻って来たようです❗️」

多田部「よし❗️こっちも出せる隊は全部出してください❗️とどめで仕上げです‼️」

 

第2艦隊"ファスト・ライトニング"

旗艦 前衛武装航宙艦 アキレス

CIC

 

仁科「もうすぐ航空隊の奴らが来る❗️それでも撃ちまくれ❗️本艦が仕留める‼️」

 

第6艦隊"重桜"

旗艦 前衛武装航宙艦 アマギ

CIC

 

沢城「怯(ひる)まず撃ち込みなさい❗️じゃなきゃやられますよ‼️」

 

エンケラドゥス守備隊

旗艦 主力戦艦 えぞ

CIC

 

尾崎「雪辱戦だ❗️ここで散った仲間の手向けにするぞ‼️」

 

地球艦隊本隊のアンドロメダ級空母群から発艦した航空隊がやっと戻った。ほとんど装備を使い切った機や損傷した機も多いが、それでも彼らは自分達の家である艦が心配で急いで急行し瀕死のナグモーを喰ってかかろうと躍起(やっき)になっている。新生BBB戦隊も負けじと旗艦 マキナから稼働機を全機出して支援するよう多田部が命じる。空母ナグモーは前後を挟まれただけでなく制空権も完全に失いもはや逃げ道はなく残りは死への真っしぐらロードだけだ。ナグモーはなにぶん全長が1㎞もある巨体なのでめちゃんこ攻撃されてるが中々沈まないもののダメージは確実に蓄積されていく。それは遂に艦橋にも及び爆発と火の手が上がり次々と死傷者が出る。残ってるのはもうパラカスとトールギンの2名のみだ。

 

ガトランティス残党軍艦隊 旗艦 アポカリクス級空母 ナグモー

艦橋

 

パラカス「トールギン。」

トールギン「はっ。」

パラカス「ここまでついて来た事...礼を言うぞ。」

トールギン「ふっ、当然です。艦が変わっても私は貴方の副長ですよパラカス殿。」

パラカス「よしでは副長❗️最後の戦(いくさ)、存分に味わい向かおうぞ❗️」

トールギン「ウラァァァァァッ‼️」

 

パラカスはこれまで自分に付き従ってくれたトールギンに感謝を述べるとナグモーを加速させ地球艦隊に突撃していく。もはや被弾による損傷が大きく自動修復も間に合わない。被弾に被弾を重ね遂に使用できる火器も尽きた。被害はナグモーはもうもうと大きく広がる炎に包まれていき、そしてそれへパラカスとトールギンの2人も遂に飲み込み強烈で巨大な閃光となって暗闇の宇宙に一筋に現れ消えた。




「星巡る」に登場した空母キスカのパラカスとトールギンがここで再登場です。「2199」で監督だった出渕裕氏のお気に入りで次回作に登場させる余地の為わざと明確な撃沈死亡描写が描かれなかったパラカスですが、結局次作の「2202」ではファンの期待も虚しく残念ながら登場することはありませんでした。劇中「土星沖海戦」の前にガトランティスが冥王星や海王星など太陽系の各惑星で陽動作戦を展開していたと語られていたので「パラカスもその内のどこかにいて指揮ってたんじゃないかな❓」と誰もが考察したと思います。
しかし乗艦はキスカではなくアポカリクス級航宙母艦"ナグモー"です。アポカリクス級もとい旧作における「彗星帝国超大型空母」は「さらば」ではバルゼーが「2」ではゲルンがそれぞれ乗っていた艦ですが、原案では「ナグモーの乗艦」という設定があります。アポカリクス級は「2202」の終盤で3隻が登場しましたが、「ガイゼンガン兵器群の大量スピード建造であんなデカい空母が最終的に3隻になったんだから4番艦くらいいても良いよな❓」と思い「建造中にガトランティスは滅亡したけどなんとか艦は回収できて同型艦やカラクルムなパーツぶん獲りして作った」という事にしました。その艦影から「ハンバーガー空母」と呼ばれていますが、そのまんまだと面白くないしなによりハンバーガーは白くないので「イングリッシュマフィン」、冒頭でパイロットが前期ゴストーク級を「サボテン」と勝手にあだ名を付けさせていただきましたw.
最後はパラカスとトールギンそしてナグモーは戦死してしまいますが、彼らの関係性とドラマが少し垣間見えるよう書いたつもりです。特にパラカスが降伏勧告を受けて「勧告をしてきた事」に怒ったのではなく「殺すのになにを躊躇ってる❗️」とキレた所と「トールギンにここまで付いてきてくれてありがとう」と感謝を述べるシーンはパラカスの武人らしさを表現できたかと思います。
変わって防衛軍側ですが、本隊も新生BBB戦隊も「どう戦うか❓」という事で戦術面を強く意識して書きました。 A改級戦闘空母 エンタープライズ艦長のエメラルダの機転で上下に挟まれながらも地球艦の「下部に武装がない」という弱点をカバーする事に成功しました。空母型アンドロメダのあの頭デッカちを活かさない手はないでしょうw.
新生BBB戦隊の戦術DE(デストロイヤー・エクスプレス:駆逐艦特急)は「無人艦の特性を活かした戦術」を考えてるうちに思いついたもので、地球側には瞬間物質移送機なんて便利な物はないですしかといってワープブースターでは割に合わないので「無人艦に航空機を貼り付けて一緒にワープする」という形になりました。新生BBB戦隊こと第99特殊戦略戦術機動打撃群はただ試作艦や装備の試験のみならず艦隊名にある通り非正規な戦略と戦術を研究し実践する部隊でもあるという面がここで披露されたわけです。彼らは部隊章として髑髏を掲げてるのは「残骸になっても戦う」のと「海賊の様にルール無用」という意味合いもあります。
これで「雷王作戦」も終了となります。原作ゲーム版の「ヤマトを中心とした戦艦戦隊と宙雷戦隊による包囲殲滅戦」ではなく「空母を中心とした機動部隊戦」となりましたが、「2202」ではあまり発生しなかったというか映らなかった空母同士の対決(「2」のフェーベ沖はついぞリメイクされず)や原作ゲーム版のネタ(攻撃された艦の名前など)も盛り込み個人的には満足いく形になりました。読んでくださる方もそう思っていただけたら幸いです。次回でエピローグとなり、「対ガトランティス残党編」は終了となります。お楽しみに。


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第5話「Taking off❗️」

「雷王作戦」後のエピローグです。あくまでその後を描いてるので戦闘パートではありませんが、次の物語の展開の伏線や"大物"のご登場など楽しめる要素は詰めたつもりです


ナレーション(多田部)「「雷王作戦」が辛くも防衛軍の勝利で終わって数ヶ月が経った。あの戦いでガトランティス残党軍は主戦力のほとんどを失い、例え残存戦力がいたとしても組織的な抵抗ができないと防衛軍本部は判断した。ガトランティス残党軍がどれほどの規模の組織なのかは戦役中の混乱もあってか正確な数は分かっていないが、少なくとも旗艦と思われるアポカリクス級を失ったことで大きく士気を低下させる事には成功した筈だ。

しかし「備えあれば憂いなし」と星間航宙路を通る輸送船団が襲撃される可能性もある為、防衛軍は護衛戦力の強化と所謂(いわゆる)"残党狩り部隊"の編成が行われる事が決定した。その中には我々新生BBB戦隊の第11番惑星での戦闘レポートにより、「カラクルム級の再活性化の可能性」を懸念して修理中のアンドロメダ級初期型21番艦"アルフェラッツ"は修理完了後に二個パトロール戦隊(一個戦隊:パスファンダー級2、エスコート/フォレスター級4)を付けた臨時編成の特務艦隊(通称"ファントム・スイープ")が編成されることが決まったという。

 

地球 地下工廠エリア 修理ドック

新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ

艦橋

 

多田部「副長、全艦の修理終わりました❓」

金田「はい、元々本艦は損傷が軽微でしたし他の艦も大した被害では無かったですからね。ただパトロール艦一隻を失ったのは痛いですな。」

多田部「ですね。彼らの"再就職先"の方は❓」

金田「あちらで整備しております。」

 

金田の手で指した左手の方を見る多田部。マキナが腰を据えているドックの隣の隣のドックにその艦は鎮座している。見た目は「クラスD」こと「ドレッドノート級主力航宙戦艦」だが、艦橋トップ、艦橋部連装パルスレーザー砲、艦底部エアインテーク部にレーダーが新造/増設されている。

 

金田「ドレッドノート改級早期警戒管制艦 試作第一号艦 DPR-71"ダンタリオン"、クラスDをパスファインダー級の様な早期警戒任務に就かせれるよう改装した艦ですね。」

多田部「そ、戦役中も戦後もバンバカ優先で作られまくった無人型クラスDの一隻。本来艦隊の目となったり地球圏早期警戒網を構築しなければならないパトロール艦が不足も不足で大不足してる訳だから、「だったら有り余ってるクラスDを改装すればいい」と思って設計したんだ。」

 

早期警戒型クラスDは多田部が提案し設計した艦だ。多田部は戦役後に艦の設計について学び、新生BBB戦隊旗艦 デア・エクス・マキナの設計もした。しかしそれだけに留まらずこうして防衛軍の再建計画に必要であろう艦の設計も行っており、この早期警戒型クラスDも彼の設計案のほんの一つに過ぎず彼の頭の中には様々な艦の設計/改装案が巡り巡って湯水の如く溢れている。

 

金田「まさに「発想の転換」ですね。お見事です。」

多田部「ありがとう副長。ですがまだあの艦は試作第一号艦とある様にまだまだ改善の余地ばかりです。単にクラスDにレーダーを貼り付けただけなんですからね。まだ最適化には至ってません。」

金田「ハハハ、いやでも立派なものですよ。」

 

そんな話を交えながら新生BBB戦隊の全艦艇は修理に入っている。完了次第次の任務の事もあるからだ。そして、その日が来た。

艦隊所属の全艦艇の修理と補給を終えた新生BBB戦隊は発進準備を整えていた。旗艦 デア・エクス・マキナでは艦長兼司令の多田部が艦橋に上がり艦橋要員から敬礼を受けて応えて腰を掛ける。副長 金田から「全艦発進準備完了」との報告を受け「新生BBB戦隊、全艦発進せよ❗️」の号令の下、マキナを始めに漆黒の艦(ふね)達は次々とドックから離れて上昇していく。だが、そこに華やかな見送りをする人々の姿はない。

 

新生BBB戦隊

戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ

艦橋

 

鷹乃目「大気圏離脱、操舵コントロールをオートからマニュアルに戻します。」

栗梶「全艦の大気圏離脱を確認。レーダー及び通信機器問題なし。」

呉賀「機関、内圧に異常なし。」

高佐田「火器管制も問題ない。オールオッケーだ。」

金田「全システム良好です艦長。」

多田部「よろしいです。え〜っと副長、今後の我々の予定を再確認したいんだけどよろしくて❓」

金田「今回の航海の主な目的は「クラスD改装型早期警戒艦 ダンタリオンの試験とそれを交えた演習」と「地球・ガミラス・ガトランティス艦問わずの残骸(デブリ)回収」です。損傷の少ない艦は回収後に工廠で修理するとのことです。」

多田部「「新型艦の試験かつ演習」と「廃品回収」ね。これからあの改装クラスDも必要になってくるだろうからね。残骸(デブリ)も地球や各惑星にもあっちこっち散らばってるから大変だな。それと艦と資源の再利用って事か、まぁ必要ですわな。」

烈禍「ったく、なぁ艦長ひでぇ話と思わねぇか❓任務の事はともかくよぉ、俺達を見送る連中が1人もいねぇなんてよぉ❗️」

多田部「無理もないよ砲術長。なんせ私達は秘密の実験部隊だ。正規軍を"表の光"とするなら我々は"裏の影"さ。華々しさとは無縁だけど、うちらは存在してない訳じゃないさ生きてここにいるのだから。それを忘れなければ良いんだよ。」

 

不満をこぼす烈禍を諭す多田部。艦隊が出撃する際には大なり小なり見送りがあるものだが、新生BBB戦隊は「バリバリの実戦部隊」ではなく「秘密の独立実験部隊」だ。それゆえ例え家族や友人であってもその存在は秘匿しなければならない。それに先の戦役が終わり疲弊した今の地球人類は「しばらく戦争関連のものなんか見たくない」という感情もあるだろうからと思っている。

 

多田部「それに見送りがなかったのは他に用事があるからだと思うよ。」

烈禍「え、なんだよそれって❓」

 

なんの話か分からない烈禍だったが、艦隊後方から黄色い眩しい光が現れて照らしてきた。「おいおいなんの光だよ⁉️」とざわつく新生BBB戦隊所属の全艦艇だが、多田部や副長 金田はなんのことだか理由は分かっているので特に驚かない。ただ「帰ってきた様ですな」「そうみたいですね、やっぱり"あちら"が光で"我々"は影ですな」と2人が会話を交わす。

 

西暦2203年 12月31日 宇宙戦艦ヤマト 古代 進・森雪の両名を乗せ高次元宇宙から帰還する。

 

オカエリナサイ

 

多田部「通信長。ヤマトに電文を頼む。」

栗梶「え❓は、はい。」

 

 

ヤマト型宇宙戦艦 BBY-01 ヤマト

艦橋

 

ピピーッ❗️ピピーッ❗️(電子音)

通信長:相原 義一(あいはら よしかず)「これは...❓副長、通信が。」

副長:真田 志郎(さなだ しろう)「ん❓前にいる銀河からか❓」

相原「いえ、別の艦からです。読み上げます。「ヤマトの帰還、我々は影からお祝い申し上げる。ヤマトはやはり光、そのまま地球人類を希望で照らされたし。今後ともヤマトの行く道に幸のあらんことを、第99特殊戦略戦術機動打撃群 旗艦 デア・エクス・マキナ」。」

真田「ッ❗️」

相原「聞いたことのない部隊ですね。真田さん、知っていますか❓」

真田「いや、私もよくは...な。」

 

そういう真田であったが、「そうか、あの部隊のあの指揮官からか...」と内心微笑んだ。

 

 

戻って新生BBB戦隊 デア・エクス・マキナ

 

金田「なかなか詩人ですね艦長。」

多田部「いやいやそんな事ないですよw. ありのままを書いたつもりです。さて、私らはひたすら影に徹して進んでいきましょう。音楽(ミュージック)スタート❗️」

 

そう言うと多田部は艦長席のデスクの音楽機能をONにして艦隊全艦艇に繋がる様にした。流れる曲のタイトルは「Taking off❗️」だ。

 

金田「艦長、作品を間違えてないでしょうか❓」

多田部「えぇ❓良いでしょう❓これは軍艦で銀河○道じゃないけど同じ関係者の作品なんだから、それに我々の新たな航海にピッタリでしょうさ❗️」

金田「それもそうですねw.」

多田部「さぁ気を取り直して歌いますよぉ❗️」

 

細かい事(メタ的な)は気にしない多田部に「相変わらず自由ですな」と思う金田であった。前奏が一通り流れ、歌い出しが来る。

 

多田部「♪明日の汽笛が君にも 聴こえるだろう〜」

金田「♪汗ばむ夢の切符を 握りしめ〜ろ〜」

栗梶「♪年老〜いた〜」

鷹乃目「♪大地を〜」

手邦「♪思いっきり〜」

烈禍「♪蹴って〜」

高佐田「♪星たちの〜」

呉賀「♪彼方へ〜」

マキナ艦橋クルー全員「♪さぁ飛〜び〜立〜て〜 ♪I'm leaving I'm flying I'm taking off to the unknown(私は旅立つ 私は飛び立つ 私は未知の世界へ旅立つ)〜 ♪新しい〜星を〜探す〜んだ TAKING OFF〜TAKING OFF〜 ♪誰も行かない未来へ〜」

 

声高らかに歌い漆黒の闇広がる宇宙へと向かう新生BBB戦隊であった。

 




ナレーションで語られた様に本話は「雷王作戦」後の話となっています。「2205」にて登場し第11番惑星でカラクルム級の再活性化を監視する事になるアンドロメダ級初期型21番艦"アルフェラッツ"の名前がここに登場です。「この艦がこの任務に就く事になった過程」はこれまでの話で個人的に丁寧に書けたとは思います。ただTwitterでフォロワーさんと話した時に「いくら強力なアンドロメダ級でも一隻だけなのはおかしくない❓」との事で二個パトロール戦隊を編成に入れました。「「2205」の劇中では映ってなかっただけでいた」という事にしておけば辻褄が合いますからねw.名称の"ファントム・スイープ"は「機動戦士ガンダム戦記(PS3版)」とそれを原作とする漫画「機動戦士ガンダム戦記U.C.0081-水天の涙-」に登場する連邦側主人公ユーグ・クーロ大尉率いる対ジオン残党遊撃部隊の名前から取りました。同じく「残党を狩る部隊」ですからピッタリと思いましてねw.
新生BBB戦隊は新たな任務に向け旅立っていきます。新型とクラスD改装艦はTwitterの#新生BBB戦隊で見てもらえれば分かります。
ヤマトが高次元宇宙から帰還してきましたね。本話で正確な時系列が判明した訳です。実は匂わせ程度で登場させないしキャラも喋らせないつもりでしたが、「表のヤマト、裏のマキナ」という形で我が新生BBB戦隊の立ち位置を表現するにはこれくらい出させないとダメかなと思い急遽書きました。「オカエリナサイ」は「トップをねらえ!」最終話のオマージュです。
最後に新生BBB戦隊の皆が歌っているのは劇場版「銀河鉄道999」の挿入歌です。今年の一月に"ドルビーシネマ版"を観に行ってそこで大きく影響を受けたのと同じ松本零士先生関係の作品だから入れてみました。
本話をもって「対ガトランティス残党編」は終了となり次は「2205」にて絶賛盛り上がり中の「デザリアム戦役編」ですが、まだ自分が後章を観てない(コロナで劇場に足を運べなかった)のと「3199」の情報を待ちシナリオを整理したいのと模型の方で世界観を広げてから本格的に書き始めたいと思います。ただ「リメイクの設定を取り入れつつも話の大筋はゲーム版の「暗黒星団三部作」で進めていく」のでここからリメイクアニメ版と異なる"本作独自のパラレルワールド"になっていく事をご理解くださいという事は言っておきます。この話の次は「登場人物」と「メカニック」のそれぞれを紹介するので、気長にお待ちいただけると幸いです。では、また会いましょう。


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『設定集その1』
登場人物紹介 その1


タイトル通り出てきた人物達を紹介します。こちらもめちゃんこネタ満載なので楽しんでいただけたら幸いです。ではどうぞ↓


第99特殊戦略戦術機動打撃群(新生BBB戦隊)

 

多田部 拓郎(おおたべ たくろう)

通称"タクロー"。新生BBB戦隊司令兼旗艦デア・エクス・マキナ艦長。24歳。「ガトランティス戦役」を経験後に新生BBB戦隊を設立させる。艦隊指揮のみならず艦の設計も行う自称「この艦隊の色と同じく腹も真っ暗な変わり者」。通称の元ネタは松本零士作品の常連キャラである"トチロー"から。同作者の小説作品「艦これ Modern Record」に登場する多田部 拓海(おおたべ たくみ)の子孫と思われるが❓モデルは作者本人。

 

金田 明雅(かねだ あきまさ)

マキナ副長兼船務長。36歳。司令兼艦長の多田部を冷静にサポートする頼れる父親的存在。元ネタは「STAR WARS」シリーズでジャンゴ・フェット、クローン・トルーパーの日本語吹き替えを担当している金田 明夫さん。

 

栗梶 花充(くりかし はなみつ)

マキナ通信手兼レーダー手。21歳。通信にレーダーに忙しくよく喋る。元ネタは「STAR WARS」のスピンオフアニメ作品「CLONE WARS」に登場するクローン・トルーパーのエコー。

 

烈禍 剛(れっか つよし)

マキナ砲術長。21歳。考えるよりも行動が先で短気で豪快な性格。たまに技術長の手邦に強く当たる時があるが嫌っているわけではない。元ネタは上記と同じクローン・トルーパーのレッカー。

 

高佐田 修斗(こうさだ しゅうと)

マキナ戦術長。21歳。砲術長の烈禍と違い寡黙で冷静で彼のストッパー役。「弾幕を張って撃ちまくる」やり方の烈禍と違い「的確に狙って確実に撃破する」を戦いの心情とするスナイパー気質。元ネタは上記と同じクローン・トルーパーのクロスヘア。

 

鷹乃目 宙(たかのめ そら)

マキナ航海長兼操舵手。21歳。艦だけでなくパイロットもやれる飛ばし屋。元ネタは上記と同じくクローン・パイロットのホーク。

 

手邦 薫(てくに かおる)

マキナ技術長。21歳。マキナの艦内システムに精通する技術屋。無人艦管制システム「オルケストラ」の操作チェックも担当している。オタク気質で時折解説が長くなり過ぎる。元ネタは上記と同じクローン・トルーパーのテック。

 

呉賀 優(くれが すぐる)

マキナ機関長。21歳。冷静な時はとことん冷静だが、時折変なテンションになる事もある。元ネタは上記と同じクローン・トルーパーのグレガー。

 

ザビネル・シャルマーニュ

マキナ航空隊「シャドウ・バンガード」隊隊長。24歳。フランス系。眼帯をしているが、これはガトランティス戦役中の負傷による物だという。コールサインは"SVリーダー"。元ネタは「機動戦士ガンダムF91」のザビーネ・シャル。

 

セシリア・ローナ

同航空隊 コールサイン"SV2"。21歳。ドイツ系。良いとこのお嬢な美しい容姿や気品を持ち合わせているが実家はパン屋。「常に前線にあって戦い高貴な精神を示す」という強い志を胸にパイロットの道を選んだ。元ネタは「F91」のセシリー・フェアチャイルドと本名ベラ・ロナの合作ともじり。

 

シブキ・アノウナ

同航空隊 コールサイン"SV3"。日系人。21歳。機械に強く元は整備工として軍に入ったが、パイロットとしての腕を見込まれてパイロットになった。元ネタは「F91」のシーブック・アノーと偽名のキンケドゥ・ナウの合作。

 

ドレルス・ローナ

「バイオレット・バンガード」隊隊長。コールサインは"VVリーダー"。23歳。ザビネルに対抗心を燃やしている。セシリアとは兄妹の関係。元ネタは「F91」のドレル・ロナ。

 

ロイ・カミヤ

「クレイジー・スカル」隊隊長。コールサインは"CSリーダー"。日系アメリカ人。26歳。酒好きで女好きの豪快な性格の持ち主だが腕は一流。元ネタは「超時空要塞マクロス」のロイ・フォッカーと声を担当した神谷明さん。

 

地球連邦防衛軍

 

谷 鋼三(たに こうぞう)

現防衛軍総旗艦 アンドロメダ級 アルデバラン艦長兼第1艦隊"ブルー・プルミエ(青の一番)"司令。

 

仁科 鷲尾(にしな わしお)

アンドロメダ級 アキレス艦長兼第2艦隊"ファスト・ライトニング(速い稲妻)"司令。

 

富山 繁(とみやま しげる)

アンドロメダ級空母型 アンタレス艦長兼第3艦隊"ポイズン・テール(毒の尾)"司令。

 

尾崎 徹太郎

エンケラドゥス守備隊司令兼ドレッドノート級 DBB-24 えぞ艦長。

 

エメラルダ・イシカワ

第4艦隊"コールド・ウォー(冷戦)"旗艦 アンドロメダ改級戦闘航宙母艦 ACVB-65 エンタープライズ艦長兼艦隊司令。日系アメリカ人。24歳。元ネタは「アズールレーン」でエンタープライズ(但し艦番号は同名の原子力空母から)と「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」でエメラルダ・ズービンを演じた石川由依さん。

 

ユリィーシュ・アンドロポフ

同上艦隊 副旗艦 アンドロメダ改級戦闘航宙母艦 ACVB-63 アドミラル・クズネツォフ艦長。ロシア系。24歳。元ネタは「沈黙の艦隊」のソ連海軍太平洋艦隊司令 ユーリ・アンドロポフ。

 

キャメラ・レーアド

第5艦隊"キングス&ケーニヒ" 旗艦 アンドロメダ改級戦闘航宙母艦 ACVB-91アーク・ロイヤル艦長兼艦隊司令。イギリス人。24歳。元ネタは空母アーク・ロイヤル(初代)を建造したキャメル・レアード社。

 

サオリナ・D・ヴェルケ

同上艦隊 副旗艦 アンドロメダ改級戦闘航宙母艦 ACVB-101 グラーフ・ツェッペリン艦長。ドイツ人。24歳。元ネタは空母 グラーフ・ツェッペリンを建造したドイチェヴェルケと「艦これ」で同空母艦娘を演じた早見沙織さん。

 

沢城 美希(さわしろ みき)

第6艦隊"重桜(じゅうおう)"旗艦 アンドロメダ級 AAA-19 アマギ艦長兼艦隊司令。24歳。元ネタは「アズールレーン」で重桜のKAN-SEN 天城を演じた沢城みゆきさん。

 

真田 志郎

BBY-01 ヤマト副長。本作では無人艦の可能性と危険性を指摘した「血の一滴も通わないメカニズム」の著者。以上ッ❗️

 

相原 義一

BBY-01 ヤマト 通信長。こちらも以上ッ❗️

 

ガトランティス残党軍

 

イスラ・パラカス

元グダバ遠征群 ナスカ級空母"キスカ"艦長。「シャンブロウ会戦」後に生還しナチュルガトランだったお陰で「ガトランティス戦役」も生き残った。残党軍を纏め上げナグモーからアポカリクス級"ナグモー"を譲り受け地球艦隊に雪辱戦を挑む。

 

キチェ・トールギン

同上遠征群 同艦 副長。

 

チュイチー・ナグモー

ナスカ級空母"アギカ"で残党軍を指揮する提督。二つ名は「颶風(ぐふう)」。57歳相当。元ネタは原案で超大型空母(リメイクでいうアポカリクス級)の乗艦する筈だったキャラクターのナグモー(「ヤマト2」第1話では名前だけ呼ばれており実在は示唆されているが、登場はなく容姿不明)とそのさらに元となったであろう大日本帝国海軍の南雲忠一中将から。




本家のキャラクターは少なめで本作オリジナルキャラが多めとなりました。マキナ乗員や旧CCC級艦長ズは自身の趣味ネタを落とし入れてぶち込みまくりましたw.「ヤマトの地球側キャラは日本人ばかりで外国人が居なさ過ぎて不自然」というのはよく聞く話で私もそう思うので、旧CCC級艦長ズやマキナ航空隊のパイロット達を登場させました。主人公である多田部と旧CCC級艦長ズとアマギ艦長は年齢が同じの同期とか設定しましたが、年齢設定は物語の進行上あんまり関係ない(そんなのなくても物語は進めれるから)ので割と適当ですw.あんまりガチガチに設定し過ぎると後で融通が利かなくなるのでね。


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登場艦船/メカ紹介 その1

「登場人物」に続き「登場艦船/メカ紹介」です。
「本アニメ」「ゲーム版」「没設定」「他作品クロスオーバー/オマージュ」「オリジナル考察/解釈」が織り混ざった解説となっています。ファンなら思わずニヤりとする様な所を多く詰めましたので、この作品の世界観にいる艦とメカがどういう風に存在しているのかを楽しんで頂ければ幸いです。ではどうぞ↓


第99特殊戦略戦術機動打撃群

 

艦船

アンドロメダ改級戦略指揮戦闘航宙母艦

ACVBC-99 デア・エクス・マキナ

新生BBB戦隊旗艦。ガトランティス戦役中にBBB級と無人型クラスDの建造が優先され、放棄されていたアンドロメダ級の一隻を戦後に改修して建造された。

空母型だがアポロノームやアンタレスと違い、前甲板にアングルドデッキ型の飛行甲板を持つ。

艦隊及び無人艦を多数管制下に置く事ができる戦略指揮システム「オルケストラ」を搭載し、戦場の情報を速やかに分析して有人艦を指揮し無人艦を手足のように操る事ができる。

新生BBB戦隊司令であり本艦を設計した多田部曰く「ガミラスのゲルバデス級の偏愛により生まれた艦」「自身の理想のアンドロメダ」「嫁みたいな存在」と称し大変気に入っている。 

名前の由来は「機械仕掛けの女神」から。

 

アンドロメダ・ブラック級自立無人戦闘艦

ガトランティス戦役中に大量に建造された指揮AI搭載型の無人型アンドロメダ。戦役中に指揮AIの未熟さ故に大した活躍ができず、戦後この反省を活かし新生BBB戦隊に配属された本艦は「指揮AI搭載の自立無人艦」から「戦略指揮艦による遠隔操作艦」に改造された。ただし外見上の大きな変化はない。

元が有人の艦を無人化した為、「遠隔操作で運用する無人艦」としての出来には新生BBB戦隊司令 多田部は満足しておらず本級をベースにし遠隔操作にさらに対応及び最適化した艦を計画している。

新生BBB戦隊所属艦には悪魔の名をコールサインに持つ。

 

同型艦

ベリアルⅠ、Ⅱ、Ⅲ

バフォメットⅠ、Ⅱ、Ⅲ

バルバトスⅠ、Ⅱ、Ⅲ

 

ドレッドノート改級早期警戒管制艦

クラスDをベースにした早期警戒管制型。ガトランティス戦役中、BBB級及びクラスD(有人/無人両型)の建造が優先され、艦隊のレーダー・ピケット及び地球圏早期警戒網の構築に必須なパスファインダー級早期警戒航宙軽巡洋艦(後述)の不足を補うべく計画された。

艦橋トップのレーダーを大型化、同連装対空パルスレーザー砲を小型のレーダーに換装、艦底部に大型三面レーダーが増設されている。

設計した新生BBB戦隊司令 多田部曰く「ただ単にレーダーを増設しただけでまだまだ改良の余地ばかり」と評している。

同型艦

DPR-71 ダンタリオン(試作第一号艦)

 

航空機

1式空間早期警戒管制機 エリントタイガー

コスモタイガーⅡの早期警戒管制機型。ガトランティス戦役中に生み出された「彗星探査機型」を艦隊早期警戒任務向けに再設計した機種。

機首に十手(じゅって)型のレーダー、機体上下部にレドーム、両翼下にECM(電子戦)ポッドを搭載している。

先行試作機が新生BBB戦隊に配備され、そのデータを元にした先行量産型が地球軌道艦隊と地球圏外縁の惑星基地及び外洋機動部隊を優先に配備が進んでいる。

元ネタはPS2「宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊」に登場する同機の早期警戒型で、ペットネーム(愛称)は「超時空要塞マクロス/愛おぼえていますか」に登場するVE-1 エリントシーカーから。

 

地球連邦防衛軍

 

艦船

ヤマト型超弩級宇宙戦艦

BBY-01 ヤマト

 

言わずとしたしれた地球をガミラス、ガトランティスから救った英雄の艦(ふね)。

 

アンドロメダ級前衛武装航宙艦

通称「クラスA」。「波動砲艦隊構想」の頂点に君臨する戦艦。※「極初期型」の5隻の内、ネームシップのアンドロメダ、3番艦(空母型)アポロノームの2隻がガトランティス戦役中に戦没したが、残る3隻は大小それぞれ損傷を受けるも残存した。「初期型」も少数ながら生き残り防衛軍の戦力の要として現在も大きな期待と人気を博している。

(※「初期型」の発出は「2205」だが「極初期型」の区別は本作オリジナルでドイツの重戦車 ティーガーⅠをモチーフにしている。)

 

同型艦

AAA-2 アルデバラン(二代目防衛軍総旗艦)

AAA-4 アキレス

AAA-5 アンタレス

AAA-19 アマギ

AAA-21 アルフェラッツ

 

アンドロメダ改級戦闘航宙母艦

アンドロメダ級をガミラスがライセンス生産した元CCC級。戦役後、「ライセンス契約が切れた」事と「運用形態が合わない(元々地球製航宙機の運用を想定して設計されていた為、ガミラス製の機体のほとんどが甲板に露天駐機されていた)」との理由で返還され、防衛軍式の内装に戻された(艦橋のガミラス式航空管制用電子装備は残された)上で正規軍に復帰した。

 

同型艦

ACVB-65 エンタープライズ(旧CCC-01 ノイ・バルグレイ)

ACVB-63 アドミラル・クズネツォフ(旧CCC-02 ノイ・シュデルグ)

ACVB-91 アーク・ロイヤル(旧CCC-03 ノイ・ランベア)

ACVB-101 グラーフ・ツェッペリン(旧CCC-04 ノイ・ダロルド)

 

ドレッドノート級主力航宙戦艦

通称「クラスD」。ガトランティス戦役中は「前衛航宙艦」という艦種名だっが、戦役後には「主力航宙戦艦(艦略記号:DBB、(M)をつける場合もある。Mは「Main:主力」と「Multipurpose:多用途」を兼ねた意。)」と改められている。アンドロメダ級についても艦種名の変更が予定されている)。

戦役中から戦後の時間断層の消失にかけて大量に建造された為、上記の早期警戒管制艦を含め様々なバリエーションへの改装が計画されている。

 

同型艦

DBB-24 えぞ(エンケラドゥス守備隊旗艦 旧艦名 E24(前期生産型))

やましろ(同上)

アイル・オブ・スカイ(後期生産型)

 

ガーランド級航宙巡洋艦

通称「クラスG」。パスファインダー級のベースとなった巡洋艦。時間断層AIの初期の計画にてパスファインダー級と同様の規模で建造される予定だったが、「カラクルムショック(第11番惑星での250万隻のカラクルム級の出現)」と金剛改型の「改ニ化(第二次改装)」によって変更され戦役中は初期に建造された少数のみが実戦に投入された。戦役後半に金剛改/改ニ型及び村雨改型の二線級任務への格下げなどによって需要が増えた事により、戦役後には細々と建造が再開した。

主砲が5inch(127㎜)連装型の「type-A 軽巡型」と8inch三連装型の「type-B 重巡型」がある。

 

同型艦

(type-A 軽巡型)

みょうこう(前期生産型、❌戦没)

CLS-29 ガブリエル(後期生産型、新生BBB戦隊所属艦)

 

 

(type-B 重巡型)

CAS-40 グシオン(後期生産型、新生BBB戦隊所属艦)

ホーキンス(同上生産型)

 

パスファインダー級早期警戒航宙軽巡洋艦

通称「クラスP」。上記のガーランド級をベースにタキオンレーダーとパトランプ(簪(かんざし))型の次元振動検出機を増設した哨戒巡洋艦(パトロール艦)。

「波動砲艦隊構想」の一環として原型艦を差し置いて多く建造された。長期的な単独航海任務が可能で、その優秀な索敵電子装備は「土星沖会戦」に於いても発揮された。

ガトランティス戦役末期はBBB級や無人型クラスDの建造が優先された為、それよりかは建造/配備数が少なくなってしまい現在では貴重な艦種となっている。地球圏早期警戒網の構築と艦隊戦力の再建が急務の為、防衛軍主力艦隊や地球圏外縁部の基地等に優先的に配備されている。

 

同型艦

CLRS-84 プロケル(前期生産型、新生BBB戦隊所属艦(❌戦没))

CLRS-85 ペネムエル(後期生産型、同上所属)

イェットミンスター(同上生産型)

 

ハヴォック級航宙駆逐艦

通称「クラスH」。エスコート/フォレスター級航宙護衛艦とは共通の船体設計を持つ駆逐艦。地球連邦防衛軍随一の速力を誇る「韋駄天(いだてん)」。

ガーランド級同様「カラクルムショック」を受けた時間断層AIにより建造計画縮小の煽りを受けたが、初期生産分が実戦に参加した事が記録されている。

新生BBB戦隊所属艦は無人艦に改装された上、槍の名前をコールサインに持つ。

 

同型艦

ハルバードⅠ、Ⅱ、Ⅲ(敵艦に突撃、自爆により戦没)

ハスタⅠ、Ⅱ、Ⅲ(同上)

ホルカンカⅠ、Ⅱ、Ⅲ(同上)

バトラー(後期生産型、❌戦没)

 

航空機

1式空間戦闘攻撃機 コスモタイガーⅡ

コスモファルコンの後継機。「波動砲艦隊構想」の一環である「次期主力艦載戦術戦闘攻撃機計画(CT計画)」に於ける競争試作第Ⅱ案として開発され、正式採用された機体。

基本型の「単座型」「複座型」「雷撃型」そして上記の「早期警戒型」と発展性に余裕がある為、今後も更なる派生型が誕生すると思われる。

 

ガトランティス残党軍

 

艦船

アポカリクス級航宙母艦

ガトランティス戦役で地球侵攻に合わせて建造された「ガイゼンガン兵器群」に属する新型航宙母艦。全長1240メートルに及ぶ巨艦で、運用は「空母」というよりかは「移動橋頭堡」という役割を持つ。

「土星沖会戦」並びに「火星戦線」にて活躍した第七機動艦隊 旗艦 バルゼーが有名で、後にさらに2隻(ゲルン、イーロク)が完成し地球軌道上にて地球・ガミラス連合軍との激戦を繰り広げたが「ゴレム」の発動により乗艦は死亡し制御を失って爆沈した。「雷王作戦」で確認されたのは戦役中に建造中だった4番艦と思われ、密かに回収し戦没した同型艦のパーツを用い完成させ投入された。

防衛軍側からのあだ名は「イングリッシュマフィン」。

 

同型艦

ナグモー

 

ナスカ級打撃型航宙母艦

ガトランティスの主力空母。分類上「軽空母」と思われるが、巡洋艦並みの武装を持つ。

ナグモーが乗艦としていたアギカは「前期生産型」に位置する艦で、※艦橋が左舷にあるのが特徴。現運用艦は艦橋が右舷にある「後期生産型」で前者は旧式に位置し現役艦は少ない。

(※旧作版設定の考察及び活用)

 

同型艦

アギカ(前期生産型)

 

前期ゴストーク級ミサイル戦艦

ハリネズミと如くミサイルを艦一杯に装備した大型戦艦。ゴーランド提督座乗のゴーランドが有名。防衛軍側からのあだ名は「サボテン」。

 

ラスコー級突撃型巡洋艦

ガトランティスの主力巡洋艦。バランスの取れた性能を持ち、艦隊の中核を成している。「雷王作戦」では派生型の「雷撃型」も確認された。

 

ククルカン級襲撃型駆逐艦

ガトランティスの主力駆逐艦。ガトランティス艦一の快速でそのスピードを活かし艦型の如く敵を襲撃し、速射輪胴砲塔で弾幕のシャワーを浴びせる。

 

カラクルム級戦闘艦

「ガイゼンガン兵器群」として最初に確認された大型戦闘艦。その圧倒的な物量で地球・ガミラス連合軍を圧倒した。

「ガトランティス艦で最も謎が多い艦種」として知られ「雷王作戦」での第11番惑星での突然の活性化など、その全容はガトランティスの滅亡もあって永遠の謎となった。

 

航空機

甲殻攻撃機 デスバテーター

ガトランティスの主力艦載機。防衛軍側からのあだ名は「カブトガニ」。

 

甲殻電子警戒機 エラッテデーター

デスバテーターの早期警戒管制機型。機体色は青を基調とされ、機体上部にレドームが装備されているのが特徴。エラッテはガトランティス語で「エリント(電子情報)」の意。

元ネタは「さらば」「ヤマト2」に登場する大型長距離艦上戦略偵察機。




いかがだったでしょうか❓
「新旧入り乱れ他作品オマージュとファン考察過多にオリジナルぶっかけアレンジソース」な解説となりましたw.
新生BBB戦隊所属艦はTwitterにて同名のハッシュタグを付けてメカコレで紹介してますのでそちらを見ていただければ良いとして、他は全部取り上げるとキリがないので一部抜粋で話しますと、旧CCC級が防衛軍に戻ってきたというね。「2205」に登場しなかったのは「制作側の事情」だとかなんとかではなく自分なりに真剣に考察してみた結果、やはり「元が地球艦なのでガミラスの運用形態に合わなかった」というのが1番しっくりくるかなと思いそうしました。それぞれ艦名が改められて、アメリカ、ロシア、イギリス、ドイツに由来する名を与えられました。これが何を意味するのか❓ファンなら言うまでもありませんよねw.
クラスDは「前衛航宙艦」から「主力航宙戦艦」に艦種が改められています。カッコいい名称ではありますが、「シンプルに戦艦なら戦艦とすればいい」と思い「戦役後に変わった」という事にしました。
リメイクでも登場したパトロール艦と護衛艦もそうですが、登場しなかった巡洋艦と駆逐艦には艦級名を独自につけました。それぞれ「クラス○」と付く様に調整しています。そのアルファベットと頭文字で艦名が付けられるのはクラスDと同じですが、「戦役後にはその基準は無くなった」としました。
ガトランティス側に移しますと、アポカリクス級のバルゼー以外の艦名不明艦2隻に艦名をつけました。ゲルンは「ヤマト2」で超大型空母を旗艦とする機動部隊を率い「フェーベ沖会戦」でヤマト率いる機動部隊にやられてしまった提督の名前からとイーロクは大戦艦の艦隊を率いるはずだった司令の没案から来ています。名前の元ネタ的に帝国海軍の山本五十六だと思われますので、「空母の優位性を説いていた人が空母の指揮官じゃないのは変(まぁ一説には空母もそうだが、戦艦にも信頼を寄せていたとする話もあったとか)」と思いそうしました。
ラスコー級は「雷撃型」の存在が示唆されていたにも関わらず「2202」に於いて登場する事もなく終わってしまったので、ここで活かす事にしました。
数自体は少ないはずなのに一話書くくらいの分量になってしまいましたが、楽しんでいただけましたでしょうか❓「小説も模型も表現力で勝負ですよ❓でもヨォ、設定はぜってェ大事なんだって❗️(「岸辺露伴は動かない」志士十五(ししじゅうご)風)」をモットーというかなんというかしてるのでどうしてもこうなっちゃいます(汗)。それでも最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。次は「用語解説」となりますので、そちらもお楽しみに。ではまたバイバイ。


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「用語解説」その1

お次は用語解説です。ここでも本編では語られなかった設定が読者さんを楽しませてくれることでしょう。ではどうぞ↓


「新生BBB戦隊」

正式名称「第99特殊戦略戦術機動打撃群」。アンドロメダ改級戦略指揮戦闘航宙母艦 ACVBC-99 デア・エクス・マキナを旗艦とする独立実験開発部隊。「戦略指揮艦管制型無人艦隊の研究/開発」「特殊装備による戦略と戦術の研究」「防衛軍次世代艦/兵器/装備の試験」などを主に担当している。

略称の「BBB(BLACK BERSERK BATTALION(黒色狂戦士大隊)」はこの部隊では「BLACK BAD BUTCH(黒色不良艦隊)」と改名されている。

BBB級の特徴的なマーキングであった髑髏(どくろ)を艦隊章として引き継いでおり「骨になっても戦い、艦(ふね)は残骸になっても戦う」という意味合いが込められている(多田部曰く「ナチスドイツの親衛隊の紋章だったトーテンコップ(ドイツの髑髏のシンボル)から引用したという)。

その任務と艦隊章から「バッド・バッチ(不良)」「黒いモルモットたち」「ブラックパイレーツ」などと揶揄されている。

 

「雷王作戦(オペレーション・ゼウス)」

ガトランティス戦役を生き延び、アステロイドベルト帯に逃げ延びたナチュルガトラン率いるガトランティス残党軍が土星沖に集結するとの情報を得て立てられた作戦。

3個空母打撃群からなる航空隊による奇襲と制空権の確保、敵戦力の漸減(ぜんげん)の後に2個打撃艦隊が敵艦隊直前にワープアウトし敵旗艦に火力を集中して撃沈するという手筈だったが、突然のアポカリクス級の出現により作戦は頓挫したものの第11番惑星で哨戒任務に付いていた別働隊の新生BBB戦隊の救援もあり防衛軍本体の被害は最小限に留められた。この戦いで旗艦と戦力のほとんどを失ったガトランティス残党軍は、事実上瓦解したとされ「これ以上は組織的な作戦行動はできないであろう」と判断された。

 

「オルケストラ」

新生BBB戦隊 旗艦 デア・エクス・マキナに搭載されている戦略指揮システム。従来のアンドロメダ級に備わっていた「艦隊の戦略/戦術規模の指揮」に「無人艦隊の指揮管制」を加えたもの。それまでの「指揮AIによる自立無人戦闘艦」から「戦略指揮艦による指揮管制」を念頭にしたこのシステムにより、先のガトランティス戦役に於ける無人艦の脆弱性は大幅に改善された。

マキナに搭載された物はまだ試作品に過ぎない為、データの収集は新生BBB戦隊にとって最重要課題である。このシステムで得られた蓄積データを元にさらに発展/改良させたものを搭載した「第二世代型戦略指揮艦」の建造が予定されている。

 

「血の一滴も通わないメカニズム」

ヤマト副長兼技師長の真田志郎が執筆した書籍。「AI搭載型無人艦隊の可能性と脆弱性」について彼なりの推測と論理が書かれており、この本を読みガトランティス戦役でそれを目の当たりにし実感した多田部が新生BBB戦隊を創設するきっかけを作った本。

元ネタは「宇宙戦艦ヤマト2」に於ける同氏がアンドロメダについて語ったセリフから。

 

「クローンガトラン/ナチュルガトラン」

"クローニングで世代を重ねる者"と"人為的な遺伝子構造の変更をせず、自然の摂理に従って繁殖する者"を指す地球・ガミラス側のガトランティス人それぞれの通称。"作られし命を死に追いやる制御装置"である「ゴレム」の発動で死亡したのは前者の「クローンガトラン」であり、自然の状態にある「ナチュルガトラン」は生き残った事が戦役後の調査で判明した。

 

「波動砲艦隊構想」

ガミラス戦争後に地球連邦が進めた軍拡路線の中核を成す計画。その名の通り多数の波動砲搭載艦によって、強大な火力を有する艦隊を編成するもの。

旧ヤマトクルーらや内外からの反発・疑問視する声が大きく、ガトランティス戦役中に構想の限界が露呈し時間断層も失った事で本計画は凍結及び見直されることになった。

 

「ガトランティス戦役」

西暦2203年 5月8日〜6月某日まで行われた地球・ガミラス連合と帝星ガトランティスとの戦争。

 

「ガイゼンガン兵器群」

ガトランティスがテレザート星発見後に確立し生体技術を利用した兵器群の総称。その全容と詳細はガトランティスの滅亡により永遠の謎となってしまった。

 

「カラクルムショック」

第11番惑星に出現した250万隻のカラクルム級の大群を確認した防衛軍がガトランティスの軍事力を知り、防衛計画を根本から覆させられる事になった事件。これにより巡洋艦、パトロール艦、駆逐艦、護衛艦の建造計画は大幅に縮小され、アンドロメダ級簡易量産型自立無人戦闘艦のBBB級及び「最小の拡散波動砲搭載艦」であるクラスDの建造が最優先となった。

敵艦隊の撃破効率は高かったが、この極端な艦隊編成が「艦隊運用の柔軟性を欠いたピーキーなものであった」という評価が下されている。

 

「時間断層」

別名「リバース・シンドローム」。コスモ・リバース・システム(CRS)による副作用で地下空間の時間が地上の10倍の速度で進む"特異点"。

ここに大規模軍事工廠を作り「波動砲艦隊構想」と「地球の復興政策」植民星と資源を見返りに時間断層の所有権を得たガミラスの軍事力増強、「G計画(地球脱出兼地球人類存続を目的)」の準備が可能となった。

ガトランティス戦役後、高次元世界から古代進、森雪両名を救う為、時間断層は消滅した。しかしそれはあくまで「時間の経過が地上の10倍」という事情が消滅しただけでその巨大な工廠設備自体は健在であり、現在も稼働し続けている。

 

「第11番惑星」

元はガミラスが地球侵攻作戦(地球側呼称:ガミラス戦争)中に開拓した地球圏最外縁部に位置する惑星。地球との和平後は連邦政府が管理する事になったが、ガトランティスの襲撃により都市と駐留していた「外洋防衛師団」は壊滅し住民の9割は虐殺され、ガミラスが設置した人工太陽もヤマトの波動砲により機能が停止してしまう。

ガトランティス戦役後には復興計画が立てられたが、地球は自身の復興、ガミラスは移民計画がそれぞれ優先され遅々として進んでいない。それだけでなく未だ宙域に浮かぶ250万隻のカラクルム級の残骸が復興計画の妨げとなっている事もある。

 

「土星沖海戦」

西暦2203年 5月8日にエンケラドゥス守備隊とガトランティス軍 第七機動艦艦隊が激突し、後に防衛軍総旗艦 アンドロメダ率いる主力艦隊が到着。有利に戦闘を進めるも突如ワープアウトした白色彗星の撃退に失敗し、ガトランティス側の勝利で終わった。

 

「シャンブロウ海戦」

西暦2199年 8月某日に古代アケーリアス文明の遺跡にしてジレル人の聖地である恒星間播種船「シャンブロウ(ガトランティス側呼称「静謐(せいひつ)の星」)」周辺で行われたヤマトとガミラス第8警務艦隊の連合部隊と帝星ガトランティス グダバ遠征群との戦闘。

第8警務艦隊はほぼ全滅したが、奮闘もあってグダバ遠征群も壊滅的打撃を被りヤマト・ガミラス連合の勝利で終わった。「ヤマト(地球艦)とガミラスが共闘した初めての例」として知られ、戦史ファンの間では「ガミラス戦争中、最も奇妙な戦い」と称されている。

 

「第1艦隊"ブルー・プルミエ(青の一番)"」

現防衛軍総旗艦 アンドロメダ級2番艦 アルデバランが率いる主力艦隊の一つ。「総旗艦艦隊」とも呼ばれる。艦隊所属艦が青色に統一されているのが特徴。艦隊司令は谷 鋼三(たに こうぞう)。艦隊のニックネームである"ブルー・プルミエ"は「ストライクウィッチーズ」の登場人物であるペリーヌ・クロステルマンの通称から。

 

「第2艦隊"ファスト・ライトニング(速き稲妻)"」

アンドロメダ級4番艦 アキレスが旗艦を務める艦隊。艦隊のニックネームにある通り機動力に於いては「防衛軍No.1」とされており、「雷王作戦」では突撃部隊の先鋒を務める筈だった。艦隊司令は仁科鷲雄(にしな わしお)。

 

「第3艦隊"ポイズン・テール(毒の尾)"」

アンドロメダ級5番艦 アンタレス(空母型)が率いる艦隊。アンタレスは正座のさそり座であり、「サソリの尻尾に毒がある」事に由来して艦隊所属艦のエンジンノズルは紫色に塗装されているのが特徴。艦隊司令は富山繁(とみやま しげる)。

 

「第4艦隊"コールド・ウォー(冷戦)"」

アンドロメダ改級戦闘航宙母艦(旧CCC級) エンタープライズを旗艦、同級アドミラル・クズネツォフを副旗艦とする艦隊。ニックネームに由来して所属艦はアメリカ、ロシアに所縁のある艦名が付けられている艦で構成されているのが特徴。決して艦隊間の中が冷戦(コールド・ウォー)しているわけではない。

艦隊司令はエメラルダ・イシカワ、副司令はユリィーシュ・アンドロポフ。

 

「第5艦隊"キングス&ケーニヒ"」

上記と同じくA改級戦闘空母(旧CCC級) アーク・ロイヤルを旗艦、同級グラーフ・ツェッペリンを副旗艦とする艦隊。艦隊のニックネームは英語とドイツ語でそれぞれ「王」という意味。イギリスとドイツに所縁のある艦名が付けられた艦が多く所属している。

艦隊司令をキャメラ・レーアド、副司令をサオリナ・D・ヴェルケが務める。

 

「第6艦隊"重桜(じゅうおう)"」

アンドロメダ級19番艦 アマギが旗艦を務める艦隊。日本の所縁のある艦名が付けられている艦が多く所属している。艦隊司令は沢城 美希(さわしろ みき)が務める。

 

「エンケラドゥス守備隊」

土星の衛星であるエンケラドゥスに駐留する戦闘艦40隻からなる部隊。ガトランティス戦役の「土星沖海戦」ではバルゼー率いる第七機動艦隊により壊滅的打撃を受けたものの、戦役後にはその戦略のほとんどが回復している。守備隊司令は 尾崎 徹太郎(おざき てつたろう)。

 

「ファントム・スイープ」

アンドロメダ級21番艦 アルフェラッツを旗艦に二個パトロール戦隊(一個戦隊:パトロール艦2隻と護衛艦4隻)を付けた特務艦隊の名称。「雷王作戦」の最中に起きた第11番惑星のカラクルム級の再活性化を監視すべく特別に編成された"亡霊狩り部隊"。




いかがだったでしょうか❓オリジナルや「旧作シリーズ」に他のヤマトファンの考察を含め「2199」と「2202」の設定もおさらいという形でここに書いています。「あれってどういうのだっけ❓」とか「あれどうだったっけか❓」や「「2205」から見始めたんだけど、前作と前々作ってどんなでした❓」や「実はこの小説が初ヤマトです←ってさすがにそれはないかw.」って人向けに用意しておきました。
第1〜6艦隊のニックネームは旗艦の艦名に因んだ物をできるだけ用意して設定し、既存の設定には本作オリジナル要素と自身の考察とヤマトファンの皆さんの考察の混合トリプルで仕上げました。「2205」では前作の「2202」の事があまり語られてないのが寂しいというか、「まぁ本筋に関係ないから触れてないんだろうけれども」で済ませたくなかったのでこちらで色々勝手に書かせていただきました。それでも楽しんで頂けたら幸いです。
さて次はいよいよ「2205」そして次作の「3199」で期待大の絶賛盛り上がり中の「デザリアム戦役編」となります。ですが私コロナの影響で「後章」が観に行けなかったのでまだ観ておらずですし、ストーリーはほぼできたんですが「世界観がまだ狭い」と思い模型や設定についてまだ作り考えたい所があるので、間が空くと思います。その間はTwitterで#新生BBB戦隊や#ターベワールドのヤマト世界と艦船、#宇宙戦艦ヤマト外伝BLACKBADBUTCHで模型作品を展開していますのでそちらをご覧くださいませ。
尚、本作の「デザリアム戦役編」はPS2版「暗黒星団三部作」の内容を基にリメイクの設定と世界観を入れていくので「リメイクアニメ」とはパラレルワールド的な物になっていく事をご了承ください。それでも楽しみと思ってくださる方がいましたら、ごゆっくりお付き合いとお待ちくださいませ。ではさらば。


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『デザリアム戦役編』
第6話「新生BBB戦隊の新たなる航海(たびだち)の最中に起こる波乱 Part.1」


「2205」後章も観た(DVD待ち勢)ので書く事にしました。
本話から「デザリアム戦役編の前日譚」ということで「2205」の裏側を前後編に分けて書いていきたいと思います。恐らく自身が書いた中でも最も長い話になったと思いますが、最後までお付き合い頂けたら幸いです。


無限に広がる大宇宙 この無数の星々の煌めきの中に 様々な生命の営みがある

 

「愛」「希望」「野心」「戦い」それは 地球人類の営みと なんら変わることはない

 

ガトランティス残党を弱体化させる「雷王作戦」が終わって2年の月日が流れた

 

時に西暦2205年 地球は時間断層を捨て復興に向けての再出発 ガミラスはガルマン星への大移住計画と それぞれ新たな一歩を歩み始めていた

 

 

地球圏外縁部

第99特殊戦略戦術機動打撃群(新生BBB戦隊)

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪デア・エクス・マキナ≫

 

艦橋

 

多田部「旗艦≪マキナ≫より、新生BBB戦隊に所属する全艦と乗員に達する。諸君らも先程の報せを聞き驚いている事だろうが、今は落ち着いて私の話を聞いて欲しい。

先程、防衛軍司令部から我が艦隊に新たな任務が与えられた。これより我が新生BBB戦隊は現在の新乗員訓練航海を中止し、ガミラス第28移民船団護衛任務に就く。全艦、ワープ準備にかかれ。」

 

西暦2205年、その驚愕の報(しらせ)は突然もたらされた。「ガミラス本星が謎の敵から襲撃を受け消滅」、これをすぐに理解し事実を認め受け取れる脳みそを持ってる人間は地球人にもガミラス人にも居なかった。

こういうのを「青天の霹靂(へきれき)」と言うのだろうと多田部を含む新生BBB戦隊の面々は思うのだったが、今は自分達に与えられた任務に集中すべきと気持ちを切り替える。

 

多田部「ハーガワネン大尉。データ収集が足りないかもしれなくてすまないが、ここで一旦ストップさせてください。」

ミホノラ・ヴラディレタ・ハーガワネン(技術科員/戦略指揮システム「オルケストラ」新任担当オペレーター)「は、はい。了解しました。」

 

新任下士官で戦略指揮システム「オルケストラ」担当オペレーターのミホノラ・ヴラディレタ・ハーガワネンは少しオドつきながらも返事を返して無人艦の制御及び戦闘データを記録していた。

 

多田部「焦らんくていいよ。火星での演習の時よりも練度は良くなったるから。」

ミホノラ「は、はい❗️ありがとうございます❗️」

 

まだ新米だけあってシステムの実戦を想定した訓練操作はまだ不慣れな彼女だが、出航当初よりかは確実に練度が向上しているのは多田部も感じているところであったため「できてきてますから、焦らずでやってください」と声を掛けてやる。

 

ピピーッ❗️ピピーッ❗️(通信の電子音)

 

エドワード・クロンナウア(通信手兼レーダー手交代要員)「艦長、第26戦隊 旗艦≪うらぬす≫からグーーーーーーーーーッモーニング・マキナァーッ‼️が来てますよ。」

ゴルド・ガルシア(操舵手交代要員)「Suprime tu voz americana(声抑えろやアメリカ人)❗️」

多田部「メキシコの言葉が喋りたきゃ、メキシコの艦に乗ってください。言っと来ますがこの艦は艦名は洋だが艦長の私は日本人です。」

ゴルド「そんなにキレんでくださいよ艦長❗️あんたの日本語は⁉️そっちは良くて俺のスペイン語はダメですかッ⁉️」

多田部「この艦は何割が日本人でしたっけ副長⁉️」

金田「6〜7割でしたかと。」

多田部「だってさ、だから日本語喋ってんです。"武器"になるって教えてください。」

金田「"言葉は武器"ですよガルシア操舵手。今は集中を。」

ゴルド「けっ❗️アイサーですよ。」

多田部「気を取り直して繋いでクロッち。」

クロンナウア「あいよ艦長❗️どうぞぉ〜‼️」

 

栗梶と同じ通信手兼レーダー手で交代要員の陽気なアメリカ人 クロンナウアの大声に「耳が痛ぇ❗️」と怒る操舵手の鷹乃目の交代要員のメキシコ人のガルシアが腹を立てて母国語を喋るのを制止させ、クロンナウアは仕事に戻らせてメインパネルに映像を送らせる。先程まで新生BBB戦隊と演習を繰り広げていた地球連邦防衛軍 第26戦隊 旗艦 ドレッドノート級主力航宙戦艦 DBB-261≪うらぬす≫艦長兼戦隊司令の西 麻沙美(にし あさみ)が映し出される。

 

西 麻沙美(映像通信)「多田部殿、我々も貴艦隊に同行するよう命令を承りました。ワープをご一緒させていただきたく思います。」

多田部「それはありがたいです。人助けするに人が多いに越した事はないですからね。」

西「全くその通りです。同盟国ガミラスの危機、これ見捨てれば両国の関係に歪(ひず)みが生ず。ですよ。せっかく仲良くなったんです。この絆、保たなくては損でしょう。」

多田部「ははは、上手い詩です。では参りますか。」

 

両艦長兼司令の話が終わり、両艦隊はワープに突入する。

 

 

オリオン座a(アルファ)星宙域"ベテルギウス"

 

新生BBB戦隊

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪デア・エクス・マキナ≫

 

艦橋

 

ガルシア「ワープ終了。」

クロンナウア「現在位置、太陽系から約550光年の位置、オリオン座a星・ベテルギウスです。ベリベリホットヒットハット、フゥッ❗️」

 

オリオン座a星、別名"ベテルギウス"はおおいぬ座の"シリウス"とこいぬ座の"プロキオン"と共に「冬の大三角形」を構成する星の一つとして星に詳しい者達には知られている。遠くから見れば綺麗な三角形を形成する星座だが、近くで見る"ベテルギウス"は太陽の如くメラメラと活発にうごめく恒星だ。

 

ピュイーン❗️ピュイーン❗️(レーダーの反射音)

 

クロンナウア「おっと❗️」

多田部「どうしましたクロロン❓」

クロンナウア「我々の反対側の位置、前方に見える恒星の向こう側に反応ありですよ❗️」

多田部「ウチ(防衛軍)か❓ガミさんか❓警戒艦≪べんてん≫から映像を中継、拡大/鮮明化させてこっちに送るよう言って。」

クロンナウア「サー❗️」

 

≪べんてん≫から送られてきた映像がメインパネルに投影される。そこに映し出されたのは黒を基調として赤いラインの入った円盤状の軍艦で構成された艦隊だった。

 

多田部「あれが、ガミラスを消した艦隊の...❓」

金田「えぇ恐らく。報告にあったのと外見が酷似します。」

手邦(CICからの通信)「それだけじゃないですよ❗️」

多田部「おっと❗️手邦、何か分かったの❓」

 

メインパネルの隅っこに手邦の顔が映し出される。彼は今、艦橋下部のCIC(戦闘指揮所)から通信している。

 

≪マキナ≫CIC(戦闘指揮所)

 

手邦「敵艦隊の放射エネルギーパターンが完全に一致してるんです。我々が使う波動エネルギーとは違う"ドス黒く重い"波長ですよ。」

 

≪マキナ≫艦橋

 

多田部「待った、なんでそこまで分かるんだ❓まだ詳細は分かってないはずだぞ❓」

手邦(CICからの通信)「あぁ、デスラー艦隊の戦闘記録を様々なガミラスのネットワークを経由してハッキングしたんですw.」

多田部「うえぇッ⁉️」

金田「手邦お前という奴は...(呆れ)。」

多田部「まぁこの際良いですか、今は地球もガミラスも混乱してますしハッキングの一つや二つやっても誰も気づかんだろうし敵の情報は必要です。無くて挑んでこっちがおっ死(ち)んだら元も子もないしね。」

 

手邦は技術屋であると同時にハッカーとしての能力も高くこの手の事は朝飯前どころではないチョチョイのチョイと松茸なのだ。本来なら軍関係のハッキングは処罰される案件だろうが、「こんな状況だから臨機応変にしましたって言えば良いだろう」と多田部はそう言って手邦を咎める事はせずで済ませた。

 

金田「それにしてもマゼラン星系のみならずこんな地球圏の近くまで来ているとは...敵の勢力は我々の想像していたよりも広いのかもしれませんな。」

多田部「そうですね、何しに来たのか偵察か❓」

金田「でしたら下手に手を出して戦闘をする必要はありませんな。ガミラス移民船団護衛に向かうのに貴重な時間をロスするわけには。」

手邦(CICからの通信)「いえ、そうはいかないかもですよ。」

 

そう言うと手邦は艦橋のディスプレイのサブパネルに何かのデータを転送する。

 

多田部「これは❓」

手邦(映像通信)「恒星と敵艦隊近くに大きなエネルギー反応があるんですが、このエネルギー体に向かって恒星の持つエネルギーが引き寄せられていってるんです。」

多田部「えっと、つまり...それはエネルギー吸収装置か何かって事か❓」

手邦(映像通信)「はい、恐らくは。だとしたら大変な事ですよ。

仮にこのままエネルギーを吸い出され続けると、あの恒星は何万年も早く超新星化してしまいます。それもただの超新星爆発じゃありません。"ハイパー・ノヴァ"です。」

多田部「ハイパー・ノヴァ❓」

ミホノラ「確か20世紀の終盤に初めて観測されて定義された星の爆発...でしたよね❓」

多田部「おぉ、詳しいね。グリフィンドールに10点❗️」

ミホノラ「あ、ありがとうございます❓(困惑)」

多田部「あぁ、手邦お話続けてちょうだい。」

手邦(映像通信)「はい。通常恒星は寿命が尽きると超新星爆発を起こして星間ガスへと還ります。

しかし、太陽の30倍以上の大きさを持つ恒星は爆発すれば桁違いの被害を周囲にもたらすことが分かったんです。それが"超・超新星爆発"ことハイパー・ノヴァです。

天文学者の計算によれば地球から3000光年以内でハイパー・ノヴァが起こった場合、地球は壊滅的な被害を被る事になるという結果が出たんです。

ベテルギウスの場合は地球からは経ったの500光年くらいしか離れていません。直径が太陽の500倍以上で、比重が軽いですが質量比でも優に数十倍はあります。

すなわち、ベテルギウスはハイパー・ノヴァを充分に起こし得る超巨星なんです。」

多田部「❗️なんてこったでパンナコッタだな❗️」

持月アンナ(新任砲術長)「でも艦長、要はそいつららをぶっ倒せばそのはいぱー・のゔぁ❓ってのは起きないんでしょ❓だったらやっちゃいましょうよ❗️」

高佐田「おい❗️簡単に言うな❗️艦長へのタメ語も慎め❗️ったく、なんで砲術長関連は血の気の多いやつばかりなんだよ。」

多田部「フフ、良いよ戦術長。持月の言う事も一理ある。だけど不用意に仕掛けちゃダメよ。」

持月「ちぇ〜。」

 

長々と会話が続いたが、要するに「ベテルギウスがエネルギー吸い込まれ続けていくとハイパー・ノヴァばばんばんが起きて約550年後の地球がべーからどげんかせんといかん」という事である。「じゃあ、ピンチはパンチでねじ伏せる❗️(セリフ/演技指導 川上 姫路(かわかみ ひめじ)←誰ヤネーン❗️)で行けば良くね❓とハーガワネン大尉と同期の新任砲術長の持月が言うのだが、「それも悪くないけど慎重にね❓」と多田部は却下する。

そこで多田部はこの見過ごす事ができない危機をどう対処してしんぜようかと頭を回転させる。

 

多田部「・・・・・クロ助、無駄かもしれんけど敵艦隊に忠告文を打って貰えますか❓」

クロンナウア「え❓構いませんが...。」

金田「何をお考えで艦長❓」

多田部「宣戦布告もしてないししてきてない相手をいきなり奇襲したらアレだからね。一応ポーズ取りをしてやるんです。」

金田「なるほど、だいじな事ですな。」

多田部「ハーガワネン大尉。」

ミホノラ「は、はい❗️」

多田部「実戦における君の初仕事が遂にやってきたようですわいえ。新型も含む無人艦達で良いメロディを奏でてほしい。頼めますか❓」

ミホノラ「わ、私に任せると言うんですか⁉️」

多田部「これまでの訓練で君の資質は計れた。手邦にだって負けない"識者"だってね。だいじょぶだいじょぶ、君をサポートする人員はたくさんいる。思う存分やってくれ。さぁ復唱して。」

ミホノラ「りょ、了解しました❗️ハーガワネン、無人艦隊指揮の任を承ります‼️」

 

そう言うとハーガワネンは早速準備を始める。彼女だけだなく今回操作する無人艦の中には「戦略指揮艦操作対応の新型無人艦」が2種にとっても初陣である。「大丈夫、訓練はやってきた。やれる❗️私ならやれるはず❗️」と自分に言い聞かせて事に挑もうとしていた。

 

多田部「では、とりま頑張って始めていきまっしょい❗️」

 

 

デザリアム

第XXⅣ師団 第Ⅰ旅団

 

プレアデス級艦隊指揮型戦艦

≪エルダータ≫

 

艦橋

 

通信手「突如宙域に現れた謎の艦隊より電文を受信。言語解析開始。完了まであと65メラ(地球の単位でいう「秒」)。」

デザリアム側の旗艦 エルダータは新生BBB戦隊から送信された電文を解析し始める。

 

旅団長「うむ、続けろ。」

 

同師団の旅団長の役職を持つデザリアム人の男が解析を続けるよう言う。無視するかと思ったが、意外に聞く気はあるようである。

 

オペレーター「プラント稼働32パセラー(地球の単位で言う「%」)に到達。熱核エネルギーから暗黒物質"ウラリウム"へのエネルギー変換は順調。」 

旅団長「これだけエネルギー変換効率の良い恒星は久しぶりだな。わざわざこんな時空間のこんな辺境に出向いた甲斐があったというものだ。

後はメルダーズ閣下と麾下のデーダー司令の第Ⅰ艦隊が"忌むべき星"イスカンダルを略取すれば、我ら「デザリアム千年の夢」の実現に大きく近づく。」

通信手「電文の言語解析完了です。旅団長。」

旅団長「読み上げよ。」

通信手「「貴艦隊は星系の平穏を脅かしている。採掘を続行すればハイパー・ノヴァの可能性が大。

即時エネルギー採掘作業の中止することを求む。尚、武力を以て貴艦隊を排除することはこちらの本望にあらず。熟慮されたし。」以上です。」

旅団長「ふ、舐められたものよ。我らデザリアムの調律に示された行動に水を差すつもりらしい。ククク...面白い採掘任務ばかりやらされていたからな。退屈しのぎに少し遊んでやろう。我らデザリアムの力を以て制してやればその舐めた口と態度を改めよう。レーダー妨害開始❗️」

 

 

新生BBB戦隊

旗艦≪デア・エクス・マキナ≫

 

艦橋

 

クロンナウア「わぉッ❗️艦長❗️敵さんジャミングをジャラジャラさせてきましたよ‼️」

金田「どうやらこれがあちらの出した"答え"のようですな。」

多田部「まぁ警告を素直にうんうんはいはいカクカクシカジカ聞くような相手じゃないのは分かりきってましたけど、まぁとりあえず体裁は整えたワケだからこれで容赦なくやっていいって向こうが言った様なものですし。きっと向こうは自信過剰も甚(はなはだ)しい態度して私達のこと笑ってんだ。そうでしょ大尉❓」

ミホノラ「えっ⁉️そ、そうなんでしょうかね〜(汗)。」

 

急に話を振られて動揺して答えるミホノラ。彼女自身はこういう話の振りに慣れてない。

 

多田部「そうだよ大尉。笑ってやがんだよデザリアムという奴らはさ。ガミラスの星と臣民の皆さんを消し飛ばしてさぞ気持ちがいいこったろうなしてやがんだよしてるぅ〜。つまり向こうは腐ったゴ○ブリ野郎だ❗️ゴ○ブリが目の前に出てきたらどうする大尉❓」

ミホノラ「え〜っと、雑誌か何かを使って叩き殺します。ですかね❓」

多田部「そっか君はそっち派か、それも方法だが違う❗️答えは踏み殺すだろぉッ⁉️今から君の方法でそれを殺っちまえよ殺れ❗️してくださいな。」

ミホノラ「りょ、了解しましたサー(この人怖い...汗)」

金田「はい、全艦の配置完了しています。」

多田部「クロッポ❗️全艦戦闘開始だ❗️戦術WS発動‼️」

 

第26戦隊

旗艦:主力戦艦≪うらぬす≫

艦橋

 

通信手「≪マキナ≫より作戦開始の合図来ました❗️」

西「よし❗️いよいよ合戦だ。皆、敵の懐(ふところ)へいざ吶喊(とっかん)だ‼️」

艦橋クルー全員「おぉーッ‼️」

 

マキナからの作戦開始の合図を受け、第26戦隊は新生BBB戦隊から離れていく。これから彼らの大立ち回り大暴れ祭りが始まるのだ。

一方のデザリアム 第XXⅣ師団側の旅団長は余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)の表情で迎撃体制を整えていたのだが、それを突き崩すかの如くそれは突然やってきた。

第XXⅣ師団上方より第26戦隊旗艦≪うらぬす≫が戦隊の僚艦を引き連れワープアウトし急降下して襲い掛かってきたのだ。

 

第26戦隊

旗艦 主力戦艦≪うらぬす≫

艦橋

 

西「吶喊❗️吶喊❗️吶喊❗️すれ違い様にばら撒くだけ弾をばら撒けッ‼️」

 

同戦隊所属 ガーランド級巡洋艦 CLS-262≪しちは≫

艦橋

 

艦長:玉田 円(たまだ まどか)「魚雷全力投射❗️1発も撃ち漏らすなよ‼️」

 

同戦隊 同級 CAS-263≪きゅちは≫

艦橋

 

艦長:細見 亜深(ほそみ あみ)「細見隊も遅れを取るなッ‼️」

 

同戦隊 ハヴォック級駆逐艦 DDS-269 ≪はご≫

艦橋

 

艦長:福田 直美(ふくだ なおみ)「先輩方に続くであります❗️前進前進‼️」

 

そう言ってショックカノン、魚雷、パルスレーザーを四方八方にばら撒き撃ちする。突然の出来事でデザリアム側は「修正」という単語を用いて冷静に対処しようとする。旅団長も「まぐれだ。それにまだ対処可能だ。」と先手を撃たれた事に若干動揺(❓)してんのかしてないのか分かんないや❗️←それで済むかッ‼️(怒)ベシッ!だけどもだっけどで指揮に戻る。

だが、ワープアウトはそれだけに止まらず前後に左右に斜めとありとあらゆる方向から次々にお出まししてきた。その中には「時間断層が生み出した異端児」とも言える艦の姿もあった。

 

アンドロメダ改級強襲型突撃戦艦

ABBAS-6≪アマテラス≫

 

艦橋

艦長:天伝雷 諏訪(あまでら すわ)「アッハハハハハハッ❗️これよこの感覚ぅ❗️ガトランティス戦役以来よぉ❗️ゾクゾクしてイッちゃいそう‼️

私の愛する主様は私の扱い方を誰よりも知っているわぁッ‼️アッハハハハハハ‼️」

 

発狂な狂喜乱舞(きょうきらんぶ)をしているのは先の戦役で中破するも回収され、改装の上で新生BBB戦隊に配属されたアンドロメダ級6番艦≪アマテラス≫艦長の天伝雷だ。

新生BBB戦隊司令の多田部を「主様(あるじさま)」と呼び絶対の信頼と忠誠を誓う和風美女。年齢経歴共に不明で、「アマテラスの魂が人の形を得たのでは❓」という荒唐無稽(こうとうむけい)な話もある。

≪アマテラス≫は全十門の主砲を全方位に向け無数にばら撒いていき、その牙にデザリアムの艦艇は次々と火球と化す。

 

レーダー手兼通信手「前方に敵艦ッ❗️」

アマテラス「アマテラスが通るのよ❗️おどきなさいッ‼️」

 

レーダー手兼通信手がそう叫ぶ間もなく天伝雷はアマテラスの衝角(ラム)に波動防壁を纏い敵艦に体当たりして粉砕しいく。これもアマテラス本来の運用法だ。そんなアマテラスの後続にはBBB級と無人型ハヴォック級、そしてBBB級とクラスDそれぞれをベースにし、より「戦略指揮艦の制御に適した無人戦闘艦」であるハンマーヘッド級≪ハンマーヘッドⅠ~Ⅲ≫とデリンジャー級≪デリンジャーⅠ~Ⅲ≫がハーガワネン大尉の指揮制御の下に全方位火力投射を行っていき更に被害が拡大していくデザリアム側。

正確無比なワープに「ジャミングしてるのになぜ⁉️」と思っている旅団長だが、このデザリアム的に言う「ノイズ」の正体はまだ掴めてない。

ではその「ノイズ」側に場所と話を移そうか読者諸君。

 

新生BBB戦隊とデザリアム第XXⅣ師団それぞれの立ち位置の中間の宙域で僅かにデザリアム寄りな所

 

新生BBB戦隊所属

パスファインダー級早期警戒航宙軽巡洋艦

CLRS-10≪べんてん≫

艦橋

 

通信手兼レーダー手「戦術WSは順調。宙域観測データを≪ラジエル≫に転送します。」

戦術長「いいな〜、あたしらもド派手にドンパチしたいですよ〜。ねぇ〜艦長〜❓」

 

艦長:宗谷 知冴(むなたに ちさ)「そういうなら司令に言えよ。今のあたしらの位置情報のデータ収集だ。大人しく飯食っとけ。」

 

戦術長「は〜い。」

 

同宙域 同所属 同級 CLRS-169≪エゾーケン≫

艦橋

 

艦長:浅草 さいり「いや〜、にしても派手に撹乱してるね〜金森君(双眼鏡で様子を見ながら)。」

 

副長:金森 むつみ「落ち着いてるように見えますが、敵さんも慌ててると見えます。"瞬間物質移送機の戦術の真似事"ですが、司令もやりますね。」

 

戦術長:水崎 みさと「え❓それどういう事なの金森さん❓」

 

パトロール艦≪エゾーケン≫の艦長の浅草、副長の金森、戦術長の水崎が会話しつつ観測と観戦をしている。金森の意見に対し水崎は質問する。

 

金森「司令は敵への通告文を送り相手がそれを読んでる間に我々に敵艦隊の状況とその周辺のデータを観測するよう言いました。

つまりは司令は初めから敵が通告文をガン無視することを見越してジャミングされる前にこの戦術を展開する下準備を整えたいたというワケです。」

水崎「なるほど、予めデータ取っとけばジャミングしても意味ないね。すごいじゃんウチの司令❗️」

浅草「うむ、中々に参考になる人物だ。よし❗️後で司令をモデルにした人物の設定を書こう❗️」

金森「その前にちゃんと今の仕事してくださいよ。」

 

同宙域 同所属

ドレッドノート改級早期警戒管制艦

DPR-213≪ラジエル≫(旧 ラボラトリー・エピメテウス)

艦橋

 

オペレーター「≪ペネムエル≫≪べんてん≫≪エゾーケン≫≪ダンタリオン≫から観測データ受領。最適ワープ座標位置の計算、「E.R.I.K.A」に送ります。」

 

新生BBB戦隊所属の全ての警戒担当艦が送ってきたデータを集めているのはドレッドノート改級早期警戒管制艦の≪ラジエル≫だ。

 

艦長:本城 ヒトミ「あぁ〜おつかれ〜。ちゃちゃっと計算よろぴくね"エリカたん"。」

 

≪ラジエル≫は表向きは早期警戒管制艦であるが高度情報処理特化型AI「E.R.I.K.A」を搭載した解析艦であり、かつて時間断層の制御を担当していた≪ラボラトリー・エピメテウス≫なのだ。艦長である本城はエピメテウス時代からの艦長で時間断層でAIの研究を波動実験艦≪銀河≫とは違うアプローチで行っていた。時間断層破棄後は艦共々職を失ってしまったが、新生BBB戦隊にスカウトされ今に至る。

「戦術WS」、"ワープ・スポッター"はパトロール艦複数隻を展開して特定宙域を観測。そのデータを高度な分析AI搭載の警戒艦兼解析艦≪ラジエル≫が宙域データを精査し攻撃を仕掛ける艦に最適なワープ位置を提示するというもので「雷王作戦」で見せた「戦術DE(デストロイヤー・エクスプレス)」とは異なるがこれもガミラスの「瞬間物質移送機による奇襲戦術」の地球版と言える戦術だ。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫

艦橋

 

クロンナウア「敵艦隊混乱中❗️まるで株価が大暴落した時のウォール街みたいですよ‼️」

多田部「とりま成功だね。大尉、よくやりましたね。アマテラスも背中を預けてるという事は安心して信頼してるって事だと思うよ。引き続きそのままよろしく。」

ミホノラ「は、はい❗️ありがとうございます‼️」

金田「まもなく第2群が陽動に入ります。」

多田部「よしよし、思いっきし引きつけてもらいましょう。もう一隻の元"時の住人"にも伝えて。そろそろ出番でっせと。」

 

新生BBB戦隊 第2群

旗艦:アンドロメダ改Ⅱ級超弩級戦略指揮航宙戦艦 ABBSC-49≪ネメシス≫

艦橋

 

艦長:冬月 元夢(ふゆつき もとむ)「やれやれ私の様な老人の出番は無いかと思ったが、ここで来たか。では派手に行くとしよう。」

 

ガトランティス戦役後に新生BBB戦隊は増強され第2群(第2艦隊)を編成するまでに至った。その旗艦を務めるのがアンドロメダ改Ⅱ級の≪ネメシス≫だ。新生BBB戦隊旗艦≪デア・エクス・マキナ≫と同様、次世代艦のテストベッドの任を帯びたアンドロメダ級の改良型である。

艦長は冬月 元夢。まもなく還暦を迎える自身を「老人」と揶揄(やゆ)しているが、年相応の落ち着きがある為信用され第2群の司令も務めている。今回の陽動も彼のその冷静かつ敵に悟られぬよう指揮できるという点から選ばれたのだ。

 

デザリアム

第XXⅣ師団

旗艦≪エルダータ≫

艦橋

 

レーダー手「我が方の被害拡大中。敵艦隊に新たな動きあり、我が方の正面からワープアウトしてきました。」

旅団長「ぐぬぬ...トドメを刺しに来たという訳か。小癪(こしゃく)な❗️返り討ちにしろ‼️」

 

旅団長は感情に流されそれが陽動だとも知らず新生BBB戦隊第2群に艦隊を向けてしまう。まず正面から撃ち合いしゆっくりと右舷を晒して全砲門を向けて撃ちつつ第XXⅣ師団をエネルギープラントから引き剥がしていく。そして...。

 

レーダー手「我が方の後方に新たなワープアウト反応検知、隻数3。」

旅団長「なに⁉️たったの3隻だとッ⁉️」

 

デザリアム 第XXⅣ師団後方より現れたのは新生BBB戦隊所属の3隻のクラスD。2隻は通常の戦艦型≪ディアボロス≫と≪ダエーワ≫だが、その二艦をワープブースターにして挟まれるように間にいる一隻は黒とオレンジと縞模様(ストライプ)の塗装が施された特異な艦であった。

 

ドレッドノート改級早期警戒管制艦

DPR-963≪ザフキエル≫(旧ラボラトリー・プロメテウス)

艦橋

 

艦長:刻崎 アサミ「きっひひひ❗️ダァァァメですわよ後方の警戒を疎かにしては、そのエネルギー変換装置とやらがガラ空きではありませんの‼️」

 

独特な笑い声を発しながら艦長の刻崎は「やっと出番が回ったきましたわ❗️」と嬉しそうな笑みを浮かべる。

彼女が指揮する≪ザフキエル≫はかつて「時間断層の番人」と呼ばれた制御艦≪ラボラトリー・プロメテウス≫その艦である。先程紹介した≪ラジエル≫こと旧≪ラボラトリー・エピメテウス≫と同じく時間断層の消失により職を失った所を新生BBB戦隊のスカウトを受けその艦体を黒く染めた。

艦長 刻崎アサミは波動実験艦≪銀河≫艦長の藤堂早紀(とうどう さき)から引き継ぎ《ラボラトリー・プロメテウス》の艦長に就任し時間断層の制御の任を引き継いだが、「有意義な場所であり、退屈な場所だった」とどこか矛盾した言動を取っているもよう。

 

刻崎「さぁ、始めますわよ❗️時空逆行弾<バイツァ・ダスト>、発射ですわ。」

 

第二主砲塔基部の両舷にある多目的ランチャーの右舷一門からミサイルが1発発射される。放たれたそれは弾頭を開き灰色っぽい空間を展開させる。そして少し時間が経過すると、デザリアムが設置したエネルギープラントがゆっくりとその姿を消していく。

 

デザリアム

第XXⅣ師団

艦隊指揮型戦艦<エルダータ≫

艦橋

 

旅団長「な、何が起きたッ⁉️」

オペレーター「エネルギープラントが消失、反応ゼロ。」

 

突然の事に驚きを隠せない旅団長。「なぜプラントが消えたのか❓」思考を巡らせても答えが出ない。後方の敵艦から何かが発射されたのは確認していたが、それが発射されて数秒後にプラントの反応が消えた。無関係とは思えなかった。

 

旅団長「消えた...❓いや、"消し去った"、というのか⁉️」

 

クラスD改級早期警戒艦≪ザフキエル≫

艦橋

 

刻崎「きひひひ❗️違いますわよ。"時間を戻して無かった事にした"だけですわ。」

 

時間断層での任務をこなしつつ彼女はある研究をしていた。「時空研究」だ。

「通常空間よりも10倍の速度で時間が経過するという特異な空間である時間断層の特性を何か別の方法で使えないか❓」という発想の元に生み出されたのが先程使用した「時空逆行弾」通称<バイツァ・ダスト>の様な「時空兵器」だ。空間を漂う「タキオニウム=「時流」とも言う。時の流れを司る物質」を縮退してエネルギーを抽出し生み出されたこの兵器はその名の通り「時空間に影響をもたらす兵器」だ。例えばこの逆行弾では「展開した空間の時間を戻す」という作用を持つ物で、時間を長く調整すればただ戻すだけでなく「存在そのものを無かった事にする」という恐ろしい代物なのだ。この逆行弾だけでなく他にも数種類の時空弾が存在するらしい。

 

刻崎「ではデザリアムの皆さん。これにて失礼、ごきげんよう。」

 

デザリアム 第XXⅣ師団

艦隊指揮型戦艦≪エルダータ≫

艦橋

 

レーダー手「敵艦ワープで離脱したもよう。」

オペレーター「艦隊損耗率68パセラーです。」

旅団長「バ、バカな❗️我々の戦力とプラントをこうも容易く...⁉️」

 

プラントの消失を確認しザフキエルはワープブースターとなっている2隻のクラスDを使ってワープして戦線から離脱した。最重要防衛目標であったエネルギープラントが消失し驚きと悔しさを禁じ得ないデザリアム第XXⅣ師団。もはや早くこの宙域から撤退すべきであろうが、徹底抗戦の姿勢を取るべきが悩んでいる時だった。

 

通信手「ッ❗️旅団長、敵艦隊旗艦から通信。」

旅団長「なに⁉️降伏でもしろと言うのか⁉️」

通信手「「そちらの優先防御目標は消滅した。これ以上の戦闘はこちらの望むところではない。直ちに現宙域より退避されたし。

追伸:また次に来て性懲りも無く同じ事をした時は大穴が空く事になる。それは貴艦か中の乗員かもしれない。」以上です。」

 

降伏の勧めではなかったものの、屈辱的な物言いであった。だが、守るべき物も既になくここでイタズラに戦力を消耗させるのは賢明な判断ではないのも事実であった。数刻の考える間を持ち、旅団長は命じる。

 

旅団長「... ... 全艦に通達せよ。」

 

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫

艦橋

 

クロンナウア「ッ❗️敵さんワープで撤退を開始したもよう。」

多田部「退いてくれましたか、艦隊全艦に通達。攻撃中止、逃げる奴は逃してやって。」

ミホノラ「ッ⁉️あの...艦長❓」

多田部「どうしました大尉❓」

ミホノラ「追わなくてよろしいんですか❓」

持月「そうだぜ、アタシ結局一発も撃ってねぇんだぜ❗️」

高佐田「お前はただ撃ちたいだけだろうが❗️」

 

ハーガワネンと持月は「ここまで来てみすみす敵を見逃すとは、ましてやガミラスを容赦なく消し飛ばした相手を」と思うのは無理なかった。

 

多田部「あぁいいよいいよ。ハイパー・ノヴァを起こす要因を消すのが目的だったんだ。別に殲滅なんかしなくて良いんだよ。

それに向かうさんあれ以上戦ってたらさらに戦力を消耗していたし、こちらの意志と実力を充分に伝わったろう。敵が思ったよりお利口さんで助かったわ。殲滅しちゃったら相手に伝わらないしね。」

ミホノラ「はぁ...理由は分かりましたが、体制を立て直して再戦を挑んでくる可能性も。」

多田部「そうだな〜、じゃあこうが良かったかな〜❓「3つ数える間に俺たちの前から消えろ❗️この引っ越し中の相手しか殺れない下○太郎がッ❗️テメェらみたいな腰抜けの真っ黒○スケにもう用はねぇ❗️とっとと出て失せろッ‼️(※一人芝居中)」って言い放って逃げる相手に向かって笑いながらショックカノンを乱射した挙句に「血だらけのメリークリスマスだ❗️良い年が来るゼェ‼️」と吐き捨てる。そんなのお望みだった大尉❓」

ミホノラ「い、いえ...そこまで私は...(汗)」

 

多田部のエキセントリックで情け容赦ない一人語りに困惑するハーガワネン。

多田部が「エキセントリック」と言われる所以(ゆえん)の一つである「タクロー節」が今日も快調に炸裂している。

 

多田部「なんてね、冗談だよ冗談。マジでマイケルかトーセンなジョーダンだからさ。君から「相手を逃さずもっと叩くべきだった」って言う好戦的な意見が出るとは思ってなかったから驚いたんだよ。」

ミホノラ「は、はぁ...。」

多田部「確かに戻って来て「レッツ・再見(ツァイツェン:中国語で「また会おう」という意味)❗️」だのなんだの言ってやってくる事もあるだろうけど、その時はその時だ。また返り討ちにしてやれば良い。大切なのは相手を必要以上に追い詰めて"死に物狂い"にさせない事なんだ。そうなった相手は何をしでかすか分かったもんじゃないからね。

新生BBB戦隊(うち)は"殺し合い"はやらないの、やるとしたら"一方的な殺し"だ。捨て身の突撃が必要な場合もあるだろうけどそれは訓練に訓練を重ねたテクニックで覚えた時にしかやっちゃダメだ。あぁこれ全部自分のかつての上官の受け売りなんだけどね。

それにこれ以上戦闘して本来の任務である移民船団護衛で貴重な戦力を消費するのは得策じゃない。向こうで補給が確実に受け取れるという保証はないからね。」

ミホノラ「ッ❗️」

 

多田部はハーガワネンになぜ追撃しないのかを説明する。先程のエキセントリックなタクロー節と打って変わって真剣でしっかりとした戦略/戦術眼にいつしか言い返す言葉を失っていた。

 

多田部「というわけです。もちづっきーも聞き分けてくださいな。大丈夫大丈夫またまた撃つ機会くらいあるでしょうよなんて。」

持月「ちぇ〜、分かったよ艦長。」

西(映像通信)「多田部殿。」

多田部「あぁ、西艦長。作戦ご苦労でした。」

 

作戦を終えた第26戦隊の西から映像通信が入る。

 

西(映像通信)「いえいえなんの。本来の我々の本領を発揮できる一撃離脱戦法をさせていただいて大満足でありますとも❗️」

多田部「艦隊の損害はどうですか❓」

西(映像通信)「戦没艦は0でしたが、少なからぬ損傷と弾薬の欠乏でどうやら我々はこれまでの様です。」

多田部「そうですか、ここでお別れとは残念です。」

西(映像通信)「こちらもです。貴艦隊の任務成功を祈ります❗️」

多田部「こちらこそ、無事な帰還を。」

 

そう言って二人は敬礼して通信を終えた。

 

多田部「では本来の任務に戻りましょう。針路再設定❗️」

金田「アイアイサー❗️針路再設定❗️」

 

第26戦隊

旗艦 主力戦艦≪うらぬす≫

艦橋

 

西「艦隊、針路変更❗️地球へ帰還する❗️」

 

多田部と西がそれぞれそう言うと各々の艦隊は針路を変え第26戦隊は反転し地球への帰路に、新生BBB戦隊は再びガミラス移民船団護衛任務に向け船足を上げるのだった。

 

銀河方面 某所

デザリアム 第XXⅣ師団

≪???≫

艦橋

 

師団長:???「バカ者ッ❗️それでノコノコと逃げ帰ってきおったのかッ⁉️」

 

銀河のとある場所でデザリアム 第XXⅣ師団の師団長と思われる気の強い女性の上官にお叱りを受け苦い顔をしてそれを聞いている旅団長の姿があった。

 

副師団長:???「まぁ本来ならか〜な〜り〜の厳しい罰が下される所なんだけど、戦力を保持して撤退を選んだのは結果だけど良かったんじゃないかな〜❓」

師団長:???「ふんッ❗️しょせん"無知"な男のやる事、相手のやり口にハマり後手に回ってしまっているのでは話にならん‼️」

 

少し幼さのある声と話し方で副師団長(こちらも女性)は旅団長の失敗をフォローするが、師団長のお怒りは鎮まらず叱責も止まないようだ。

 

師団長:???「まぁ、プラントを失ったのは痛いがその後の戦闘で戦力の消費をさせなかったその判断は認めてやるとしよう。」

旅団長「ははぁ❗️恐縮であります❗️」

師団長:???「して、お前が相手をしたのは黒い艦隊だと言ったな❓」

旅団長「はっ❗️こちらでございます...。」

 

旅団長から送られてきた映像を端末で確認する師団長は様々なアングルで撮られたその艦隊の画像を見て眉間にシワを寄せる。

 

副師団長:???「どうしたの〜、そんなに眉間にシワ寄せちゃって❓」

師団長:???「いや、メルダーズ閣下とデーダー司令も"大喪失"に類する存在にイスカンダル略取作戦の妨害を受けたと先程報告があった。恐らくは旅団長が遭遇したこの艦隊も同じ存在だろう。」

 

不思議そうにする副師団長にも画像を飛ばして見せる師団長。

 

副師団長:???「へぇ〜、私達と同じく真っ黒い艦だね〜。」

師団長:???「(イスカンダルでの事と言いこの邂逅は記録になかった筈...。彼らは何者だ❓それにこの艦隊色、なぜ我らデザリアムと同じ色をしているのだ❓この時空間には"まだ"我々は存在していない筈だが...。)」

 

師団長は難しく考え込む。「記録に存在しない者たちとの邂逅」をした事に。デザリアムの言う「大喪失」のせいで彼らの事は分からない事だらけであった。

 

師団長:???「とりあえずお前の処分については後で報告する。今は下がれ。」

旅団長「はっ❗️」

 

これ以上考え込み過ぎても答えは出ないのでしょうがないと思い、とりあえず旅団長の処分は後にして下がらせる師団長。

 

副師団長:???「でどうするの〜❓またプラント置きに行く❓」

師団長:???「いや。アレは意外と高価な代物だ。上もおいそれと出せる代物でもない。かといってデザリアム・ハンマーも使えん。あれは死にゆく星にこそ効果を発揮する物で恒星には使えん。

それに旅団の戦力の立て直しが先だ。現地にもう敵がいないという保証もない。あの恒星からエネルギーが取れないのは惜しいが、なにこの時空間にはまだまだ抽出しがいのある星などいくらでもある。修正は容易だ、焦ることもないだろう。

(この黒い艦隊...旅団長が油断していた事もあったが、ほぼ一方的にこちらに攻撃を加えて向こうはほぼ無傷。いや完封勝ちと言っても差し支えない戦果だ。それにエネルギープラントの無力化をした後はこちらを追撃せず「退去せよ」との通告をした。ふっ「不用意な殺生を好まぬ」ということか。面白い敵だ。この艦隊にはまた相見える予感がするな。)」

副師団長:???「どうしたの❓どうしたの❓師団長が笑みを浮かべるなんて久しぶりだね〜❓」

師団長:???「いやなに、興味深い相手だと思っただけだ。それに、我らデザリアムを差し置いて黒づくめをしているとは生意気な奴だともな。

今度出会った時には教えてやろう。「宇宙に黒い艦隊は二つもいらん❗️」とな。」

 

デザリアム 第XXⅣ師団 師団長は厳ついながらもどこか楽しそうな笑みも微かに浮かべて新生BBB戦隊との再戦を願うのだった。




まずは読了ありがとうお疲れ様でした。15,000字越えという過去最大の文字数と新旧ゲームのヤマトのみならず「86/エイティシックス」「ウマ娘」「声優」「史実」「ガルパン」「グッドモーニング・ベトナム」「フューリー 」「ジブリ」「ジョジョ」「ハリー・ポッター」「けものフレンズ」「小島よしお」「チャーリーとチョコレート工場」「プラトーン」「ホーム・アローン2」「スパイダーマン(東映版)」「暴走特急」「よしもと新喜劇」「政治家」「遊戯王ZEXAL」「艦これ」「ハイスクール・フリート」「ガンダム0083」「映像研には手を出すな!」「デート・ア・ライブ」「エヴァ」「ガンダム00」「空母いぶき」「沈黙の艦隊」「日常」「ヨルムンガンド」「クイーン・エメラルダス(OVA版)」「美味しんぼ」など名前やセリフにフレーズ、表現に至るまでのありとあらゆるネタを片っ端からぶっ込みました。皆さんはどれだけ分かりましたか❓
本話は「2205」の裏側で起きた新生BBB戦隊(とお付きの第26戦隊)とデザリアム 第XXⅣ師団との戦いを描きました。ガミラス第28移民船団護衛に向かう道中で遭遇戦でペテルギウスが爆発したらヤバイのでそれを阻止する戦いでした。元ネタはps2「イスカンダルへの追憶」です。
新キャラ、新メカを「これでもか❗️」と自分で言うのもあれですが「正義の大盤振る舞い❗️(これも遊戯王ZEXALネタ、因みに余談ですが私は「遊戯王DM」〜「5D"s」まで世代ですが、「ARC-Ⅴ」まで観てた人です。)したので一応解説はいれましたが、長くなるのでちょこっとしか紹介してないのもあるのでそこはまた今後の話で描写を入れたり解説文で紹介したりするので御了承くださいますようお願いします 
デザリアム側の描写は「ps2」版のを元に「2205」の設定や雰囲気を取り入れて描きました。最後の方に出てきた師団長は中々に有能そうな方のようです。それこそps2版に出てきたミヨーズみたいな。しかも旧作にも現時点でのリメイク版にも出ていない女性士官とは、「デザリアム戦役編」本編での登場でその正体が明らかになるのか⁉️
今回出てきた新生BBB戦隊の新艦艇≪ネメシス≫≪ザフキエル≫≪ラジエル≫は模型の方で鋭意製作中なので気長にお待ちくださいますようお願いします。
次回はガミラス移民船団護衛作戦の回となります。また間が空きますが、それまでTwitterで模型や考察等のつぶやきで世界観を語ったらしてくのでそれもよろしくです。ではまたバイビーなの〜(「のんのんびより」のれんちょん風)。


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第7話「新生BBB戦隊の新たなる航海(たびだち)の最中に起こる波乱 Part.2」

ガミラス移民船団の護衛に向かう道中でデザリアムの一部隊を蹴散らした新生BBB戦隊。共闘して事に当たった第26戦隊は戦没艦は無かったものの損傷艦の修理と補給が必要となり道中でリタイアとなった。
という感じで新生BBB戦隊は引き続き移民船団に合流すべく針路を進みます。果たして何事もなく守り切れるのでしょうか❓ではスタートです↓


新乗組員の訓練の最中(さなか)、突如ガミラス星消滅の報を受け新生BBB戦隊は訓練を中止しガミラス第28移民船団の護衛任務に就くこととなった。

道中、オリオン座a星系・ベテルギウスにてガミラスを襲った敵「デザリアム」がベテルギウスから熱核エネルギーを吸収しエネルギー資源を採掘しようとしていた。このまま恒星からエネルギーを吸い出し続ければ「ハイパー・ノヴァ」と呼ばれる超新星爆発が起き何百年後の地球に壊滅的な被害を受けると分かった新生BBB戦隊は同航していた防衛軍 第26戦隊と共にこれを阻止しデザリアム 第XXⅣ師団 第Ⅰ旅団の撃退とハイパー・ノヴァの阻止に成功した。

第26戦隊は所属艦の多少の被害と弾薬の欠乏で地球への帰路に就いたが、新生BBB戦隊は引き続きガミラス移民船団護衛任務に向け舵を切った。

 

新生BBB戦隊

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪デア、エクス・マキナ≫

放送室

♪〜(軽快なノリのBGM)

クロンナウア「グーーーーーーーーーッモーニング・マキナァーッ‼️これはマイクのテストじゃないぜ、ロックンロールのオープニングだぁ❗️太陽系からマゼラン星雲までエヴリバディ・ロックンロール❗️こんなの昔の映画にもなかったっけ❓"逃げる奴は敵さんだ、逃げない奴はよく訓練された敵さんだ"❗️ってさぁッ❗️えぇ⁉️こんなハイテンションで話すには早過ぎるって⁉️そんな事ないぜ、えぇ〜っと今何時だ(腕時計を確認する)❓0800(マルハチマルマル)時か、ホントだ早いな❗️」

 

新しい一日の始まりはクロンナウアがMCを務めるラジオ放送「グッドモーニング・マキナ」での元気の良過ぎるハイテンショントークから始まった。

 

艦橋

多田部「始まりましたね。クロッチのラジオ。」

金田「えぇ、相変わらずのハイテンションさですなw.」

多田部「こんな時こそ明るさが必要ですよ。今のガミラスの人達には特に。」

金田「同感です。少し上げ過ぎな気もしますがね(汗)。」

 

母なる星を失って少し時間が経ち落ち着いて事実を飲み込む事ができつつあったガミラス移民船団の人々だが、それを少しでも励まそうとこの新生BBB戦隊で流れるラジオを船団とそれを護衛する地球・ガミラス艦隊にも繋げて聞かせる事にしたのだ。

 

ピピーッ❗️ピピーッ❗️(通信音)

 

栗梶「艦長、ガミラス第1DSS空間装甲師団 第22戦隊 旗艦≪イェグズバイム≫から入電です。」

多田部「28船団護衛のガミラス側旗艦からか、確か艦長の名前はルクツィア・マーイヤでしたね。お繋ぎしてくりかっしー。」

 

ガミラス総統 アベルト・デスラーに忠誠を誓いその身を守るデスラー親衛隊(通称:DSS)に属する第1DSS空間装甲師団「LSSAD(ライベルシュタルダルベク・SS・アベルト・デスラー/地球語訳:SS・アベルト・デスラー身辺護衛連隊)」は第一次アベルト・デスラー政権発足後から存在し、設立当初こそデスラー個人の護衛部隊であったがデスラー親衛隊が組織を拡大していく中でエリート集団である「DSS空間装甲師団」へと発展しその中でも最精鋭の師団である。

その大部分の戦力は現在デスラー総統の座乗する特一等航宙戦闘母艦≪デウスーラⅢ世≫を旗艦とする「デスラー艦隊」の一翼を担っているが、一部の戦力をガルマン星防衛の予備戦力として温存していた。しかしガミラス星消滅の報を聞きその防衛に当たっていた「ディッツ艦隊」のガル・ディッツ提督は急遽第22戦隊を移民船団護衛に派遣したのだ。

 

第1DSS空間装甲師団「LSSAD」

第22戦隊 旗艦

メルトリア級航宙巡洋戦艦≪イェグズバイム≫

艦橋

(通信中)

<艦長兼戦隊司令>ルクツィア・マーイヤ「こちら≪イェグズバイム≫のマーイヤ。多田部艦長。我がガミラス移民船団の護衛任務を引き受けてくれたこと、そしてこのラジオ放送に対し第1DSS空間装甲師団を代表し感謝を述べたい。」

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫

艦橋

(通信中)

多田部「いえいえ、たまたま地球圏の端っこにいただけですから。お役に立てて光栄ですよ。それにお礼を言うなら私達だけでなく。ここに来られなかった第26戦隊や来てくれた第440艦隊に言ってあげてください。」

 

≪イェグズバイム≫

艦橋

(通信中)

ルクツィア「はっ❗️お気遣い感謝致します❗️ガミラス式敬礼)」

 

第28船団の護衛戦力は国防軍やかつて各植民惑星に駐留していた艦隊の寄せ集めで数も少なく市民も戦力の少なさに不安がっていたが、第22戦隊の派遣はそれを少なからず払拭する事はできた。デスラー親衛隊の傍若無人(ぼうじゃくぶじん)振りを知っている者達にとっては恐怖の対象でしかない存在ではあるが第一次アベルト・デスラー政権崩壊とその後の混乱、親衛隊内部の「デスラー派」と「ギムレー派」の抗争(元親衛隊長官 ハイドム・ギムレーは後に逮捕)、そして「ガトランティス戦役」後に帰還したデスラー総統の計らいもあってその暴虐ぶりは鳴りを潜めた。しかし確かに「総統の私兵」「ガミラスの暴力装置」と揶揄された彼らであるが、親衛隊に属する者全てが冷酷で冷徹で冷淡で残忍で残虐で残酷で見苦しくて最高や❗️という人達ばかりではなくこのルクツィア艦長の様な良識なある人物もいる。さらに宝○スターの様なルックスを持つ麗人である彼女は「LSSADのアイドル」としての側面も持っており、ガミラス臣民の中には熱狂的なファンも存在しディッツ提督もそれを知って「彼女なら受け入れてくれるだろう」と彼女の率いる戦隊を派遣したのだ。

 

ルクツィア「そういえばここに来る前に"デザリアム"の艦隊と交戦したとお聞きしましたが、本当なのですか❓」

 

多田部「はい本当ですよ。地球圏外縁でコソコソと恒星からエネルギーを吸い出していた腐ったゴ○ブリ野郎だ❗️でしたよ(ケロッとした顔)。」

 

突然声を上げた多田部に「ビクッ❗️」となるルクツィア。いきなりでビクついてしまったようだ。

 

多田部「ガミラスを襲った相手と聞きどんな相手かと思いましたが、要するに汚いウ○虫野郎でペテン師の集まりです。泥棒、人間の屑(ク○)、チ○ピラ、ゴ○ツキ、犯罪者です❗️引っ越しの最中を襲うだけでは飽き足らず土足で人様の宙域に入った挙句に甘い蜜をくまの○ーさんよろしく吸うだけ吸ってブクブク太りやがろうとしたので、その贅肉(ぜいにく)だらけの腹に思いっきり蹴飛ばして背骨をへし折って地獄に送ってやりましたよ(ニコり顔)。」

 

ルクツィア「そ、そうでしたか...(汗)」

 

親衛隊に務めてそれなりであるルクツィアだが、親衛隊はおろか国防軍の知り合いにもここまでノンストップで敵をユーモアを交えて笑いながら口汚く罵る事ができる人を初めて見てただ驚くだけではリアクションが足りないと思ってしまうくらいに多田部という地球人に圧倒された。しかしそれと同時に自分達ガミラスの事も配慮して仇を取ってくれたのだとも思い感謝の念も心に浮かんでいた。

 

多田部「もしこの船団をも襲ってくるような事態が起きましたら、その時は協力して返り討ち...いや足りませんね。「逆血祭り」にするんです。二度と目の前に現れないよう恐怖を植え付けてやりましょう。」

 

ルクツィア「は、はぁ...(汗)」

 

「この人はガトランティスよりも悪魔かも知れない」とルクツィアは後に語ったという。ルクツィア本人は地球に行ったことはなく地球人との交流もない彼女は、「地球人って怖っ」とどう返答を返すべきか困っている。

 

多田部「あぁそうだ。艦長はゴ○ブリは踏み殺す派ですか❓それとも叩き殺す派ですか❓ガミラスにゴ○ブリがいるかどうか知りませんが、もし宜しかったら後で教えてくださいね❓(ニコニコ顔)」

 

ルクツィア「は、はい。少し考えてみますね(汗)」

 

「ではまた」と通信を終える多田部。「す、すごい艦長でしたね❓(汗)」と≪イェグズバイム≫副長に「え、えぇ。"防衛軍一のエキセントリッカー"と呼ばれる所以(ゆえん)が分かった気がするわ(汗)」と終始汗をかきっぱなしだった。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫

艦橋

 

多田部「親衛隊の人って言うからおっかない人かなと思ったけど、思ったより良い人でしたね。」

金田「えぇ、ギムレーが逮捕された事により彼の派閥も勢力も事実上瓦解しました。ギムレーの指揮下で戦争犯罪を犯した部下達は彼と同じく軒並み逮捕、勾留され後は生粋のデスラー派のみが残ったと言う訳です。」

多田部「民主化したのに親衛隊が健在で名称の変更なし。随分な好待遇処置ですよね。」

金田「それもデスラー総統の働きかけとマーイヤ艦長の様な親衛隊員が頭角を表してきたからだと思われます。」

多田部「まぁとりあえず腑(はらわた)にいた寄生虫は取り除いたって所ですか。なんにせよ、あの人みたいな人達がいる親衛隊なら悪くないと思えますよ。」

金田「同感です。」

 

ピピーッ❗️ピピーッ❗️(通信音)

栗梶「おっと、艦長。今度は第440艦隊旗艦≪ザドキエル≫から通信ですよ。」

ゴルド「艦長ひっきりなしじゃないですか、モテモテっすね。」

持月「だねだね。」

高佐田「コラ2人とも❗️タメ語は禁止つったろ❗️」

多田部「あはは、良いよ良いよコウサン。お繋ぎしてテック。」

 

栗梶に通信を繋いでもらいメインパネルに映し出されたのは小柄で愛くるしい容姿(だがちゃんとした大人である)を持つ第440独立機動防衛艦隊 旗艦≪ザドキエル≫艦長 四糸乃 いおりだ。

 

第440独立機動防衛艦隊「シールド・オブ・アース」

旗艦:アンドロメダ改級戦略指揮航宙戦艦(丙型/Type-C)

ABBSC-440≪ザドキエル≫

 

艦長:四糸乃いおり「あ、あの...多田部さん。来てくれてありがとうござい...ます。」

副長:野水よしのり「やっはー❗️久しぶりだね〜タクロー君。」

 

辿々(たどたど)で弱々しくだが、新生BBB戦隊が護衛任務に参加してくれた事に感謝を述べる四糸乃艦長とフランクに接するややお調子者でおしゃべりな野水副長。

 

多田部「いやいやこちらこそ。あ、タクローと呼んでくださってよろしいですよ。26戦隊が弾切れ起こしちゃったもので我が隊の他にも移民船団護衛に向かっている防衛軍艦隊がいることは知っていましたが、まさか君がこの艦隊の指揮官に任命されてその艦の艦長になっていたとは。」

 

四糸乃「は、はい。選ばれたよう...です。」

 

四糸乃は多田部の後輩に当たる。気弱で積極性に欠け「おおよそ軍人には向かない気質で性格の持ち主」と評されたものの「誰かの為に役に立ちたい❗️」「守りたい❗️」という気持ちは人一倍強い彼女にピッタリな艦に収まったなと多田部は思った。

 

多田部「亜空間ゲートまであと一回のワープです。ここまで順調ですからお互い最後まで気を抜かず行きましょう。」

 

四糸乃「は、はい。よろしく...お願いします。」

野水「そだね〜、今の調子を続けていけばきっと上手くいくよ。頑張ろ四糸乃❗️」

四糸乃「う、うん❗️」

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫ 食堂

 

ミホノラ「はぁ...。」

 

≪マキナ≫の食堂で朝食を摂っているミホノラは手に持ったスプーンで料理の盛った皿を突きながらため息をついている。

 

???「あら、らしくないため息ですねミホ。」

ミホノラ「あ、エレン先輩。」

 

ミホノラが声をする方向を見やると、そこにはミホノラの先輩に当たるエレン・S・伊藤が朝食の乗ったトレーを持ってる姿があった。「相席良いかしら❓」とエレンが言い「どうぞ」とミホノラが返すと向かいの席に座る。

 

エレン「ため息をつくほどの何があったというのですか❓」

ミホノラ「あの〜先輩は多田部艦長についてどう思いますか❓」

エレン「タクローの事ですか❓」

ミホノラ「(あ、あだ名でしかも呼び捨て⁉️)は、はい。先輩は私よりも艦長と付き合いが長いとお聞きしましたから、何かご存じなんじゃないかと。」

エレン「なるほど、彼の人柄をどう捉えれてどう付き合っていけばいいか困ってる訳ですか。」

ミホノラ「あはは、先輩にはお見通しですね。つまりそういうことなんです。」

エレン「そうですね。彼とはガミラス戦争以来からの付き合いですが、最初に会った時からあぁでしたよ。私も当時も今も時々あのエキセントリックさに参ってしまいますが、決して悪い人ではありませんよ。なんでもタクローは人の顔と言動で大体相手がどんな人なのか分かるそうなので、貴女をデザリアムとの戦いで戦わせたのも信頼を置ける存在だと思ったからだと思います。」

ミホノラ「そ、そうですか...。」

???「まだ安心し切ってる様子ではなさそうだよエレン。」

エレン「アイク。」

 

2人の会話に入ってきたのはエレンと同期のアイザック・O・クシュナーダだった。親しい人には「アイク」の愛称で呼ばれる。

 

アイザック「初めましてかなハーガワネン大尉。アイザック・O・クシュナーダだ。」

そう挨拶するアイザックに「は、初めまして❗️」と元気よく挨拶し握手を交わす2人。

 

アイザック「タクローの事を話していたのだったね❓ほとんどエレンの話した通りだが、それだけではないよ。彼はとてもユニークだ。私がこの艦隊に入ったのも彼が"同志"であるからなんだ。」

ミホノラ「"同志"...ですか。」

アイザック「私も彼と同じく自立型の無人戦闘艦には反対でね。その点に見事意見が一致し協力してこの艦隊を立ち上げた。いわば私とエレンはこの新生BBB戦隊と旗艦≪デア・エクス・マキナ≫の創設及び建造立ち会いメンバーという訳だ。タクローと私達の理想がこの艦と艦隊にあると言っても良い。

そして「戦略指揮艦による無人艦の管制」の正しさを証明した。君の活躍も含めてね。」.

 

ミホノラはアイザックから語られた新生BBB戦隊の成り立ちを聞き、改めて艦長の多田部を「変わってるけど、先輩と同僚のこの2人が言うくらいだから凄い人なんだな」というのを理解したのだった。

 

ミホノラ「お話、ありがとうございました。」

アイザック「構わないさ。あとは君がタクローとどう接するかだが、なぁに心配はいらないさ。部下を無碍(むげ)に扱う様な事は彼はしないからね。長く付き合えれば、の話でもあるかな。」

ミホノラ「え❓」

エレン「アイク、私の後輩を心配させる様な事を言わないでください。」

アイザック「ははは、冗談だよ冗談。」

 

ピロピロピロピロ プウィーン❗️ピロピロピロピロ プウィーン❗️(戦闘配置のサイレン音)

 

ミホノラ、エレン、アイザック「ッ⁉️」

 

突然の戦闘配置のアラームに驚く食堂にいる乗員たち。

 

ミホノラ「わ、私は艦橋に戻りませんと❗️お二人ともありがとうございました❗️私はこれで‼️」

 

そういうとミホノラはさらに残ったサンドイッチ一切れを手に持って艦橋へ駆け出して行った。

 

アイザック「可愛くて面白い後輩ができたようだねエレン❓」

エレン「えぇ、自慢の後輩です。」

アイザック「ふふっ、彼女の成長が楽しみだよ。」

エレン「全くです。」

 

≪マキナ≫艦橋

 

多田部「どったの⁉️」

栗梶「軽空母≪コリブリ≫所属のエリントタイガーが次元反応を検知。近くに次元潜航艦がいるもよう❗️現在、護衛戦闘艦≪ブラックオター≫他4隻が対処交戦中。」

金田「次元潜航艦が・・・❓」

多田部「といえばガミさんだが、あの4隻はデスラー艦隊で今はデザさんとドンパチってるから違うな。」

栗梶「≪イェグズバイム≫のマーイヤ艦長です。繋ぎます。」

 

ルクツィア(通信)「多田部艦長。」

 

多田部「相手が誰か分かるんですね❓」

 

ルクツィア(通信)「えぇ、恐らくボラー連邦です。」

 

試製ナスカ改級鹵獲改装型航宙母艦 CVLS-96≪コリブリ≫所属のエリントタイガー(コスモタイガーⅡ早期警戒管制/電子戦機仕様)の一機が船団近くに次元反応を検知した。近くにいたドレッドノート改級汎用護衛戦闘艦 DDEM-333≪ブラックオター≫とエスコート/フォレスター級航宙護衛艦≪フレイ≫≪フレイヤ≫が急行し、≪ブラックオター≫は後部の飛行甲板から直ちに「空間対潜哨戒機SC97B ハンターシーガル(対次元潜航艦哨戒機仕様)」が発艦し、亜空間ソノブイを投下して網を張る。さっそく反応があり、亜空間から通常空間へ向けて魚雷が4発飛び出してくる。狙いは移民船であった。存在がバレて焦っての一撃だろうか❓移民船に被害を出すわけにはいかないと試製ラスコー級鹵獲改装型航宙巡洋艦 CAS-61≪ジャベリン≫と試製ククルカン級鹵獲改装型航宙駆逐艦 DDS-42≪ダガー≫が移民船の盾となって防衛軍式に改められた対空火器を用いて弾幕を張り見事魚雷を全弾迎撃してみせた。その間に≪ブラックオター≫は次元ソナーを「パッシブモード」から「アクティブモード」にスイッチして捜索を始める。敵次元潜航艦の反応を次元ソナーが捉える。反応は一隻のみ、艦長の指示の下艦首両側にある亜空間魚雷発射管の扉を開け両舷一基ずつ計2発を発射する。一定の距離を進むと魚雷は亜空間に入り込む。推進機関をロケット推進から亜空間推進に切り替えて次元空間を進んでいく2発の亜空間魚雷。敵艦に近づき近接信管が作動し爆発。その様子を≪ブラックオター≫のソナー手と哨戒機ハンター・シーガル(コールサイン「オター1」)が垂らした亜空間ディッピング・ソナー(吊下式ソナー)で聞き耳を立ててるソナー手も確認したが、効果はあったものの撃沈を確認する事はできなかった。

 

≪マキナ≫艦橋

 

栗梶「≪ブラックオター≫、敵次元潜航艦を攻撃するも効果はあれど撃沈は未確認。」

金田「仕留めたかどうかは不明ですが、無傷ではないでしょうね。」

多田部「恐らくはですが、あと亜空間魚雷が艦首発射管からしか発射できないのは問題だな。ランチャー型で発射できるよう設計しよう。」

 

ルクツィア(通信)「あ、あの〜多田部艦長❓」

 

多田部「あぁすいません。見つかっちゃいましたかね我々❓」

 

ルクツィア(通信)「恐らく。ボラーがもう次元潜航艦を実戦配備できる所まで言っていたとは驚きでしたよ。」

 

ガミラス諜報部にいるルクツィア艦長の友人から聞いた話によると、第一次デスラー政権崩壊のどさくさに紛れてボラー連邦がガミラスの科学者や技術を誘拐/盗んだという話があり次元潜航艦の技術もそれで得たのではないかと言うのだ。

だが、次元潜航艦特有の推進機関である≪ゲシュ=ヴァール機関≫はその特異性から模倣(コピー)は容易ではなく同じくガミラスの科学者達を「科学奴隷」と称して<瞬間物質位相機>や<反射衛星砲>及びセット運用の<反射衛星>を技術転用と完コピして作らさせたガトランティスでさえ作れなかった或いは不完全な形での実現、所謂(いわゆる)"デッドコピー"という形で開発し、ガトランティス戦役中の地球・ガミラス連合艦隊の戦闘詳報にはそれらしき艦からの攻撃を受けたという報告が少数だが上がっていた。

それに今でこそ4隻が就役しているが、それまでに何度も行方不明事件を起こし「異次元の棺桶」と揶揄されてきた艦をガミラスと並ぶ大国だが工業/技術力は低いとされるボラー連邦がそこまで持ち込めたのかは未だににわかには信じ難い事なのだが実際問題攻撃を受けてるのは事実of事実である。

長々と話して読者の皆様にも申し訳ないが、とりまそのボラー次元潜航艦が船団の位置を味方に通報してるかもしれないっつう事でどげんかせんとな〜ということを理解していただければおけでおなしゃすです❗️

 

第28移民船団と同じ宙域近郊

 

ボラー連邦

第116機甲旅団(正規軍)

旗艦:ボラーヅェ・ラ・バスード(Ⅱ)級艦隊指揮装甲航宙艦

≪ヴォルホミェンゴ≫艦橋

 

艦長「近くにガミラスの船団が❓」

通信手「はい、哨戒中の我が軍の次元潜航艦が捉えたと。位置を報告した後に通信が途絶えました。現在安否不明につき所在確認中。」

副長「いかがいたしますか❓」

艦長「ふむ、明確な宣戦布告は無かったにせよ我らボラーの衛星国であったガルマン星を奪われたのだ。本国からも「ガミラスに属する艦船/船舶に対する攻撃を許可する」とのお達しだ。針路をガミラス船団に向けよ❗️襲撃の準備だ‼️」

 

ガミラス第28移民船団のいる宙域の近郊を哨戒中だったボラー連邦正規軍 第116旅団は次元潜航艦の発信を受け、艦長は旅団所属の全艦艇に襲撃すべく針路を変えるよう指示を出した。

その様子を≪マキナ≫所属のエリントタイガー(コスモタイガーⅡ早期警戒管制型)<シャドー・アイ6>が発見、艦隊に通報する。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「艦隊総数約140隻の艦隊に見つかっちゃうとは、これでも少ない方なんですよねマーイヤ艦長❓」

 

ルクツィア(通信)「えぇ、主力艦隊レベルはさらに倍以上の数を有しています。小回りの利く旅団規模の艦隊なだけ幾分かは、しかしそれでも現状の我々の護衛戦力を大きく上回っている事に変わりありません。」

 

第28移民船団の護衛戦力はガミラス 第1DSS空間装甲師団 第22戦隊と各方面艦隊の寄せ集め、防衛軍 第99特殊戦略戦術機動打撃群(新生BBB戦隊)、第440独立機動防衛艦隊の計3個艦隊だが、対するボラー連邦 第116独立機甲旅団とざっと比較しても約3倍の戦力の開きがある。しかも護衛戦力の何倍もの規模の移民船団を抱えての防衛戦となると厳しい戦いを強いられる事は明白であった。

 

四糸乃(通信)「ど、どうしましょう・・・。」

 

刻崎(通信)「あらあら、どうやらまた私の出番が来たようですわねタクローさん❓」

 

多田部「その声はアサミっちか⁉️」

 

そう通信してきたのは早期警戒管制艦兼解析艦≪ザフキエル≫艦長の刻崎アサミだった。≪ザフキエル≫はボラー第116旅団の前方にワープアウトする。

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「時空停止弾【ザ・ワールド】❗️」

 

≪ザフキエル≫艦中央両舷にある多目的ランチャーの内、右舷の一門からご自慢の「時空弾」の一発が発射される。ボラー第116旅団に向かって真っ直ぐ向かっていく「時空弾」、弾頭が開き灰色の空間がボラーの旅団を包み込むとその動きが止めた。

 

≪イェグズバイム≫艦橋

ルクツィア「敵が・・・止まった・・・❓」

 

≪ザドキエル≫

四糸乃「す、すごい・・・です。」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「これが停止弾【ザ・ワールド】か、実戦で使うとこうなるんだね。」

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「きひひひひ❗️えぇ、その通りですわ。えぇ❗️えぇ❗️その通りですわ‼️最も敵方にとっては止まってる感覚はありません。彼らからしたら「無自覚にゆっくりな動きになってる」としか感じていませんわ。」

 

ルクツィア艦長は瞬間物質移送機や次元潜航艦など我々(ガミラス)の技術力の高さを自負し誇りに思っている節があったが、地球の技術力の飛躍的な向上に驚きを隠さず息を呑む。後に彼女は「彼らが味方で良かった。でなければ我々は手のひらで踊らされるじゃすまない目に遭っていただろう」と語ったという。

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「ですがタクローさん。お忘れではないと思いますが、「時空弾」は乱発すれば波動砲を乱射するのと同じく"宇宙を引き裂く"危険性を持っていますわ。特にこの停止弾はより多くのタキオニウムを使っていますから尚の事、改めてご使用の命令を下す際はご注意を。」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「了解、肝に銘じますよ。確か止められる時間も限度があるんでしたよね❓」

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「えぇ今の艦の状態で放射できる共鳴波装置と発射した弾頭の容量から、約1時間行くか行かないかといったところでしょうか❓そのデータを既に≪ラジエル≫に転送してその時間でどれくらいの移民船がワープできるかどうかを計算してもらってますわ。ですわよね❓ヒトミさん❓」

 

本条(通信)「はいはーい♪こっからは私のターンドロォッ❗️だねあさみん❗️」

 

≪マキナ≫のサブパネルに≪ラジエル≫艦長の本条の顔が表示される。

 

≪ラジエル≫艦橋

本条「今エリカたんに計算させたよ❗️結果、停止弾の効力と我々と敵との距離諸々(もろもろ)を加味すると船団の約6〜7割がワープに入れるって感じだね〜。」

 

半数以上はワープして亜空間ゲートを目指せるが、残りの3〜4割をどうにかして守らないといけないらしい。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「計算ありがとう"ヒトミン"。さてさて約1時間で船団を守りつつボラーを"ボラーレ・ヴィーア(イタリア語で「飛んでいきな」の意味)"❗️しなきゃいけなくなった訳ですが、なんとか追っ払って差し上げましょう。このメンツでも色々と嫌がらせする方法を思いついてますからね。」

 

多田部が少し悪い顔になってるのを見てルクツィア、四糸乃は「うわ、何この人怖い」と思う反面、新生BBB戦隊の面々は「お、出た出た艦長の容赦ない悪巧み」と笑みを浮かべた。

しばらく時間が経って・・・

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「そろそろ限界時間が来ます。カウントダウン始めますわよ。10秒前...9...8...7...6...5...4...3...2...1...」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「作戦スターーートッ‼️」

 

刻崎のカウントダウンが終わり多田部が作戦開始を告げると同時に停止弾【ザ・ワールド】の効力が切れる。そしてボラー第116旅団は突如目の前に現れた魚雷・ミサイル群の攻撃を受け混乱する。これは停止弾が消滅する前に≪ザフキエル≫と停止弾の効力が切れた後にワープで離脱するためのブースター役として送られてきた2隻のデリンジャー級無人戦闘艦が搭載数をありったけ放ったものである。そしてその混乱の様子を見届けた後、≪ザフキエル≫はデリンジャー級2隻を両舷に接舷してワープしていった。

レーダーに何も反応せずにいきなりミサイルと魚雷のシャワーを浴びた事に驚くボラー第116旅団の全艦艇。それだけではない、旅団旗艦の≪ヴォルホミェンゴ≫のレーダーは捉えていたガミラス移民船団の船舶数が減っている事に気付く。「どうなっているのだ⁉️突如ミサイル攻撃を受けたかと思えば、ガミラス移民船団の船の数が減ってるし。まるで私達の時が止まっていたかの様だ」と思わずにはいられなかった。まさに正解ジャストミート❗️な訳だがまさか本当に時を止められていたとは夢にも思っていない。

ビュビューッ❗️ビューッ❗️ドドォンッ‼️と間髪入れずに今度は旅団右舷から攻撃を受けた。ガミラス第1DSS空間装甲師団 第22戦隊率いるガミラス艦隊が砲戦を始めたのだ。続いて上方からは新生BBB戦隊所属のコスモタイガーⅡと新たに開発された「試製空間戦闘攻撃機<コスモパイソン>」の合同航空隊が猛禽の如く襲い掛かる。さらにさらに左舷にも新生BBB戦隊 第二群旗艦の≪ネメシス≫と≪アマテラス≫が少数の艦を引き連れ砲戦に参加している。混乱する旅団に「狼狽えるな❗️敵の護衛戦力は少ない❗️一隻も沈めずにこのまま(船団を)逃してなるか‼️」とまともに相手をせずビームとミサイルによる弾幕を張りながらも船団へ向かう。ワープで次々と現宙域を離れていく移民船に対しワープで追いかけようとするも「ワープできません❗️原因不明‼️」とオペレーターに言われまたも「ドユコトッ⁉️」と混乱する≪ヴォルホミェンゴ≫艦長兼旅団長。「ならば近づいて仕留めろ❗️」と旅団の一部を向かわせ攻撃を掛ける。しかし「そうは問屋が卸さないぜ❗️」と巨大な雪の結晶の形を取った波動防壁が移民船を守った。≪ザドキエル≫率いる第440独立機動防衛艦隊だ。

 

第440独立機動防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「ここから先は、通しま...せん❗️」

野水「ふっふふ〜、まさに「私を倒してから行くといい❗️」なんてね。」

 

第440独立機動防衛艦隊は旗艦≪ザドキエル≫と麾下のドレッドノート改級(丙型)にはガトランティスのカラクルム級が装備していた「雷撃ビット」を参考に艦体から分離して波動防壁を展開する「波動防壁展開ビット」が装備されている。これにより更に広範囲に向けて波動防壁を展開する事が可能になっており、艦からの共鳴波装置を照射し続ければ長時間の展開も可能となる。さらに極めつけはガミラスの「臣民の盾」と同じワープ阻害機能もあり、今の様に宙域から離脱する移民船を追撃しようとするボラー艦隊のワープを阻止することができるまさに「鉄壁の布陣」なのだ。

次々とボラー艦のビーム、ミサイルを防ぎ船団を守る第440艦隊。しかし幾ら共鳴波装置があるとはいえ通常の波動防壁と同様に被弾し続ければいずれ消滅してしまう。「守ってばかりでは勝てない❗️」と同じく船団の守りに付いていた新生BBB戦隊旗艦≪マキナ≫の多田部は思う。そして・・・。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫艦橋

多田部「四糸乃艦長❗️そのビットのコントロールを少し貸してくれ‼️」

 

突然に提案に戸惑う四糸乃艦長に「ビットの応用で追っ払います❗️すぐ返しますよ❗️よぉく見て覚えておいてちょッ‼️」と考えを持って言う多田部を信じ麾下のクラスD丙型≪マトリエル≫と≪しゅうう≫の波動防壁展開ビットのコントロールを≪マキナ≫に移してもらう。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「大尉❗️今から私が言う通りにビットを動かしてちょうだいな❗️」

ミホノラ「え⁉️は、はい‼️」

 

ミホノラはビットのコントロールを頂き操作を始める。多田部がそれを確認すると「壁ドンッ❗️」と叫び、ミホノラはビットを波動防壁を展開させたままボラー艦にぶつけ押し潰され2隻が轟沈する。後ろにいた2隻に向かって今度はビットを水平にしてカッター状にし「そぉれ首切り包丁❗️」と多田部が叫びボラー艦の艦橋をすっ飛ばす。そのまた後ろにいた別のボラー艦からミサイルが飽和攻撃をしてくる。「防壁をブレード状に展開させ回転、全艦そこにショックカノンを斉射だ❗️」と多田部が指示する。雪の結晶状からブレード状に変形した防壁はプロペラの様にグルグルと回してそこに新生BBB戦隊と第440艦隊の艦がショックカノンを撃ちまくる。そうするとショックカノンを当てられた防壁から水飛沫(みずしぶき)の様にビームが拡散しミサイルが次々と撃沈される。

 

ミホノラ「す、すごい❗️あれだけのミサイルを❗️」

多田部「名付けて"ウェーブ・コンフューズ"よ❗️まだまだやるよ❗️ビットを今ミサイルを撃ってきたボラー艦の上方に❗️」

ミホノラ「りょ、了解‼️」

 

感心する間も無く次の操作に入るミホノラ。今度は敵艦の上方にビットを向けさせる。そして防壁を再びカッター状にして一気に敵艦の真上から落とす。

 

多田部「"波動ギロチン"だ❗️」

 

カッター状に展開する防壁を受け、まるで包丁で切られた野菜の様にスパッと切断されるボラー艦。まさにギロチンの名に相応しいというか恐ろしい技だ。

 

第440独立艦隊

≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「す、すごいです。」

野水「いや〜なんとも容赦ないね〜。」

 

四糸乃艦長は多田部の波動防壁展開ビットの応用術を見て驚愕と恐れを抱くものの「皆を守る為には自分はまだまだ技量が足りない」と己自身の未熟さも痛感するのだった。

 

新生BBB戦隊

≪マキナ≫艦橋

多田部「お疲れ大尉。よくやってくれましたよ❗️」

ミホノラ「は、はい。お、お見事でした艦長。あんな使い方をするなんて。」

多田部「あぁあれね、実はあのビットと第440艦隊は私が開発と創設に携わったからなんだ。」

ミホノラ「え⁉️そうだったんですか⁉️だからこちらからコントロールしてあんな戦い方を❓」

多田部「ままソユコト、こっちからいつでも操作できる様にね。でもコードさえ知ってれば同じ戦略指揮システムを搭載している他のアンドロメダ級でも操作できるさ。(ドォン❗️(爆発と揺れ))おっと⁉️」

 

話に水を差す様に艦を揺さぶる衝撃が走る。ボラー艦隊の反撃だった。ボラー艦の特徴でご自慢の高収束エネルギー速射砲、通称「ボラー砲」の連続斉射による弾幕だった。

 

ガミラス 第1DSS空間装甲師団 第22戦隊

≪イェグズバイム≫艦橋

ルクツィア「多田部艦長❗️」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「マーイヤ艦長ですかッ⁉️」

ルクツィア(通信)「申し訳ない❗️奇襲は上手くいったが、敵はすぐに体勢を立て直して猛反撃を受けてしまった。こちらの被害が増えて敵を抑えることがッ❗️」

 

無理に沈めようとせず手負いを増やし続ければ無事な艦は損傷艦を守る動きに手一杯となり撤退すると踏んでいた多田部とルクツィアだったが、互いにボラーとは初対戦と交戦経験の不足でその考えは甘かった事を実感する。

ボラー連邦の常套戦術はガトランティス程ではないものの物量に物を言わせ横隊を左右に上下に目一杯広げてのひたすら攻撃という「スペース・ローラー戦術」が基本だ。それは例え僚艦が損傷しても陣形を崩さない為に無視してひたすら前進して撃ち続けるという「味方の損傷など最初から構うつもりはない」というものなのだ。さらにボラー艦隊は戦艦クラスで纏められている為に総じて※火力が高く装甲も厚い。攻撃の手数も防衛軍のクラスDと同等かそれ以上であり一斉射されると脅威だ。

(※ガルマン星のボラー艦隊が奇襲を許したとはいえ、一方的にやられてしまったのはガルマン本星で建造された本仕様艦よりも性能を落とした廉価版(モンキーモデル)であるからとされているが詳細不明)

奇襲から態勢を立て直し反撃して両翼のガミラス・防衛軍艦隊を蹴散らしボラー砲を船団とそれを守る新生BBB戦隊と第440艦隊に向け浴びせる。ボラー砲自体は波動砲よりも威力は大きく劣るもののショックカノンや陽電子ビーム砲よりも射程が長く高威力であり加えてボラー製対艦ミサイルも同様に射程も威力もあるものを飽和攻撃も良いとこな感じでありったけぶち込んでくるのでいくら波動防壁があっても受け続ければ長くは保たない。遂に≪マキナ≫の波動防壁に限界が訪れ被弾する。まず受けたのは艦首の飛行甲板だった。

 

≪マキナ≫艦橋

ダメコン要員(ダメージ・コントロール室からの通信)「飛行甲板に被弾❗️格納庫損傷ッ‼️」

金田「直ちに隔壁を閉鎖❗️栗梶❗️帰投する航空隊は船団後方の≪コリブリ≫か≪ウルヴァリン≫(クラスD改装軽空母)など近くの軽空母に着艦するよう伝えろ‼️」

栗梶「りょ、了解❗️」

高佐田「こっちが撃てないのを良い事にバカスカ撃ちやがるな。」

持月「艦長❗️拡散波動砲撃とうぜ‼️」

多田部「ダメです❗️準備してる間に木っ端ですよ‼️」

 

≪ザドキエル≫艦橋

野水「艦長❗️このままじゃ≪マキナ≫がやられちゃうよ‼️」

四糸乃「タ、タクローさん❗️共鳴波を≪マキナ≫に...ひゃあッ⁉️」

 

≪マキナ≫に波動共鳴波を放射し機関を活性化させて再び波動防壁を展開させようと試みるもボラー艦の猛攻の前に放射どころか前に進む事すら叶わない。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「≪ラジエル≫❗️本城艦長❗️移民船団のワープはッ⁉️」

 

本城(通信)「89%が終わったよタクロッち❗️今の所は船団に被害は無いよ❗️そっちは大丈夫⁉️」

 

多田部「素直に大丈夫とは言い難いがまだ生きてまっせ❗️おわってぇッ⁉️」

 

≪マキナ≫に更なる衝撃が走る。艦橋、艦体各所に多数被弾したのだ。

 

ミホノラ「ひゃあっ❗️オ、オルケストラが‼️」

 

≪マキナ≫の肝である無人艦管制システム「オルケストラ」が艦橋の被弾により機能を停止してしまい、ハーガワネンが操作するコンソールに火花が走る。それに伴い作戦行動中で制御下にある無人艦の機能が停止する。

 

多田部「無人艦の一部の管制を≪ネメシス≫に移譲❗️一部は自律モードに切り替えて戦闘続行❗️主砲は引き続き三式弾を連続発射❗️波動防壁弾の展開慎重に❗️重力子スプレッド及び対空ミサイルも絶えず撃ち続けろ‼️大尉❗️「M.E.T.I.S」は生きているか⁉️」

ミホノラ「はい❗️こっちのシステムはまだ健在です❗️」

多田部「よし、すぐ切り替えて指揮戦闘続行です❗️」

 

無人艦管制能力が無くなったがアンドロメダ級が本来持つ戦略戦術指揮システム「M.E.T.I.S」はまだ健在であった為、そちらに切り替えて損傷あるもまだ指揮を続行する気概でいる多田部。しかし「無人艦管制システム破損/機能停止」「飛行甲板被弾につき使用不能/格納庫中破」「艦体各所に多数被弾」と状況は芳しくなかった。

 

新生BBB戦隊 別働隊

アンドロメダ改級戦略指揮航宙戦艦

≪ネメシス≫艦橋

冬月「≪ネメシス≫了解、無人艦管制を一部引き継ぐ。こちらも立て直し引き続き砲戦再開する。」

通信手兼レーダー手「艦長❗️アマテラスが‼️」

冬月「ッ⁉️」

 

≪アマテラス≫艦橋

天伝雷「主様の艦になんて事するのよッッッ‼️‼️」

 

≪アマテラス≫は≪ネメシス≫率いる別働隊から離れ、単艦でボラー艦隊に突っ込んでいく。艦首にある波動触角に防壁を集中しつつ全方位に向けて撃ちまくる。道中の敵を手当たり次第に体当たりで悉(ことごと)く砕き押し潰しぶっ壊す。主様と慕う多田部とその乗艦≪マキナ≫の危機に怒りを顕(あらわ)にする天伝雷艦長、こうなった彼女は破壊し尽くすまで止まらない。

 

ボラー第116独立機甲旅団

旗艦≪ヴォルホミェンゴ≫艦橋

レーダー手兼通信手「敵艦一隻、真っ直ぐこちらに❗️あぁッ‼️」

 

≪アマテラス≫艦橋

天伝雷「死んで償いなさぁぁぁぁァァいッッッッ‼️‼️‼️」

 

「ひいぃッ⁉️」と恐怖を感じ震えた後、≪ヴォルホミェンゴ≫は≪アマテラス≫に殴り飛ばされる様な形で押し出され潰された後、爆発した。

「主様に立ちはだかる者は消すわよ」と天伝雷は鬼の様な怒りの形相を浮かべる。

旗艦を失って多少の動揺があったもののボラー艦隊はすぐさま指揮権を次席指揮官の乗る艦に移し交戦を継続する。態勢と統制を立て直した艦隊の弾幕は尚厚く、その中の一撃が≪マキナ≫の第一主砲塔と飛行甲板と格納庫を盛大に吹っ飛ばした。≪マキナ≫が就役して以降、ここまで大きく損傷した事はなかった。過去最大と言っても良い被害とピンチが訪れる。旗艦のピンチに僚艦が盾になって弾幕を張ろうとするもそれさえもさせてもらえず援護に回って即被弾する。「敵の事甘く見ちまったな、あともう少しだってのに❗️」と漏らす多田部。ヤバイヤバイと流石に焦る。

 

ガミラス第1DSS空間装甲師団 第22戦隊

旗艦≪イェグズバイム≫艦橋

ルクツィア「何をやってるッ⁉️地球の艦が我々の臣民に対しあれだけ戦ってるくれてるんだぞ‼️負けずに撃ち返せッ‼️」

オペレーターA「しかし❗️こちらもそこまで戦力の余裕が...。」

ルクツィア「くっ・・・❗️まだか❗️・・・まだなのかッ⁉️」

 

ピュインヨーン(ガミラス艦特有の電子音)

 

オペレーター「ッ❗️少佐❗️」

ルクツィア「ッ❗️来てくれたか‼️」

 

ルクツィアが待っていたのはガルマン星の守備についていたディッツ艦隊からの救援だった。ボラーと先端を開く前に連絡を付けておりガミラス本星消滅による混乱もあって届くかどうか不安だったのだが、今その到着の報せが来たのだ。

 

ガミラス 第8独立空間機動旅団

旗艦:ゲルバデス級航宙戦闘母艦≪ネレディウズ≫

艦橋

ネレディア・リッケ(艦長)「ようやく着いたか❗️全艦対艦戦闘、蹴散らせッ‼️」

 

次々とワープアウトする応援のガミラス艦達。艦隊の先頭に立つ航宙戦闘母艦≪ネレディウズ≫は長大な艦首飛行甲板を裏表ラバーズして戦闘甲板を開きご自慢の砲火力をボラーへの挨拶がわりに浴びせる。艦長は「シャンブロウ会戦」に参加したネレディア・リッケ大佐。同会戦後、彼女を含み指揮する第8警務艦隊の一部の軍人達が生き残ったが艦隊自体は戦闘で消耗し壊滅してしまった。しかし同会戦に於ける艦隊の功績を認められ第8警務艦隊は「第8独立空間機動旅団」へと改名/再編されリッケ大佐も同旅団の司令官に就くこととなったのだ。現在の第8独立空間機動旅団はガルマン星を守る「ディッツ艦隊」の一部に組み込まれており、第28移民船団襲撃の報を受けたディッツ提督は「信頼できる部隊」として彼女の艦隊を送ったのだ。その期待に応えるかの様にガミラスお得意の電撃戦が炸裂し、ボラー第116旅団はパニクって次々と撃沈され火球と化していく。その光景を目の当たりにするボロボロになった新生BBB戦隊旗艦≪マキナ≫の艦橋クルー達、救援の来訪にべらぼう正直にホッと胸を撫で下ろす。

この救援で勝負は決まった。物量によるゴリ押しが得意なボラーも流石に不利を悟ったか引き上げていった。地球・ガミラス側は消耗していた事と移民船を一隻も失わず守り切った事で追撃は不要とした。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫艦橋

多田部「損傷箇所のチェックと負傷者の処置は済みました❓」

金田「えぇ、ダブルチェック済みです。派手にやられましたな今回は。」

多田部「えぇ、私の判断ミスでした。ボラーの戦い方を分かっていなかった。

金田「そうご自身をお責めにならないように。よくやりましたよ。本艦を含め他にも損傷艦はありましたが、一隻も失わずに船団を守り切れたんです。」

多田部「ありがとう副長。」

クロンナウア「艦長、≪ネレディウズ≫のリッケ大佐からです。」

多田部「お繋ぎしてちょ。」

 

ネレディア(映像通信)「ガミラスを代表して感謝を申し上げます。移民船を一隻も失わせずよく守り切ってくださいました。」

 

多田部「いえいえ、私らだけでやったのではありません。マーイヤ艦長の22戦隊や四糸乃艦長の第440艦隊にも言ってあげてください。

それと本艦はご覧の通りボロになってしまいましたが、応急修理と負傷者治療の部品や備品の提供感謝いたします。」

 

ネレディア(映像通信)「お安い御用ですよ。"船団の守護者"には足りないくらいかもしれませんが...。」

 

「地球・ガミラス安全保障条約」締結から5年が経ち、地球とガミラスが共有できる艦船等の兵器の部品や艦の運用に必要な備品も共有化が進んでいる。その為、中破した≪マキナ≫もこうやって現地での応急処置等ができているというわけだ。締結前〜後から色々言われてきた安保条約であったが、しっかりとメリットがここで出ている。

 

ネレディア(映像通信)「そちらはこれからどうします❓」

 

多田部「そうですね。派手にやられたもんですから応急処置して着いて行っても足手まといです。指揮を≪ネメシス≫に移譲し本艦を含む損傷の大きい艦は護衛数隻と共に地球への帰路に着く事にします。」

 

その後≪マキナ≫を含む数隻の損傷艦達は四糸乃艦長の計らいで第440艦隊所属艦の内の数隻を護衛に付けてもらい、地球への帰路に着いていた。

 

≪マキナ≫艦内通路

ミホノラ「(オルケストラシステムのプログラム整理手間取っちゃったな〜、やっぱりまだまだ先輩みたいには行かないな〜。)」

 

夜遅くまで損傷した「オルケストラ」のチェックをしていたハーガワネンは仕事を終え自室に戻ろうとしていた所だった。資料室の側を通ると明かりが付いている事に気付きそっと中を覗く。そこにはテーブル一杯に資料を広げ考えに耽(ふけ)っている艦長 多田部の姿があった。

 

多田部「う〜〜〜〜〜ん・・・。」

エレン「根を詰めすぎですよタクロー。」

ミホノラ「(先輩❓あ、クシュナーダさんもいる。)」

アイク「相変わらずこの手の事には熱心だねタクロー。ところで何の資料なんだこれは❓」

多田部「あぁこれ❓これは旧ソ連の戦闘ドクトリンとガミラスの対ボラー戦の戦闘記録。ボラーの戦い方は旧ソ連の戦い方に非常に良く似ている事に気づいてマーイヤ艦長から送ってもらったボラー戦の記録と照らし合わせて何か弱点を見つけれないかと思ってな。こっちは我が艦隊の戦闘記録から出た問題点をまとめた書類、艦隊全体と個艦別にね。それと本艦≪マキナ≫の改装案、まだ大まかだけどさらっと書いてみた。」

エレン「こ、こんなにたくさん...❗️」

アイク「ほぉ〜、中々魅力的な艦容じゃないか。」

多田部「まぁね、≪マキナ≫の改装は皆とまだ詰めるとこあるけどざっとこんなもんよ。今回も勝ったけど艦をズタズタにされた、大勢死なせちゃった、けど次はそうは行かない。あとまたデザリアムの記録も精査しないといけないし、ボラーも含めてまた会わないとも限らんしそれまでに色々やることは山積みよ。」

ミホノラ「(艦長、、、ただ明るくて変わってるってだけの人じゃなかったんだ。)」

 

普段と明るいエキセントリッカーと戦ってる時の姿からは想像できない「睡眠時間を削ってでも物事に熱中し打ち込み次の糧とする姿に驚くミホノラ。エレンとアイクはそんな多田部の様子を心配しながらもどこか楽しそうに見ている。

 

ミホノラ「(まだまだ艦長のことよく分からないけど、あれだけ打ち込んで葛藤できる人だ。もっと食いついていけばエレン先輩みたいき理解できるかも❗️)」

 

と思いながらその場を後にしミホノラは今日一日を終えるため一人部屋へ向かうのだった。




前話と同じく色んな要素をぶっ込みまくったらまたまた文字数記録を更新してしまいました(汗)。
「2205」本編にて登場した第28移民船団の護衛に我らが新生BBB戦隊が就く事になりました。明言はされてませんが恐らく最後のガミラス移民船団ではないかな❓と思いまして護衛のガミラス艦隊は必死です。
「2199」から度々出てきた「デスラー親衛隊」なんですが、「「2205」でもまだ存続してる理由」と「一括りにされてるけどもっと細かく部隊が編成されてるんじゃないの❓」と思い独自に考察して仕上げました。特に部隊名の「第1DSS空間装甲師団"LSSAD"」と所属する第22戦隊のルクツィア・マーイヤはそれぞれナチスドイツの武装親衛隊「第1SS装甲師団LSSAH(ライプシュタンダルテ・SS・アドルフ・ヒトラー)」と「パンツァー・マイヤー」の異名で知られたクルト・マイヤーSS少将がそれぞれの元ネタです(ルクツィアは「ガンダムW」に登場するルクレツィア・ノインから)。
第26戦隊に代わり登場し一緒にガミラス移民船団の護衛をする事になった第440独立機動防衛艦隊は「ガトランティス戦役」での反省から誕生した「機動防御」に特化した艦隊編成となっておりPS2版「暗黒星団三部作」に登場した<主力戦艦丙型>をリメイク版準拠にしアンドロメダにもその設定を逆輸入して≪ザドキエル≫を作りました(模型方でも再現したのでTwitterで検索を)。
デザリアムのお次の相手はまさかのボラー連邦でした。「2205」本編だと前章の冒頭にしか登場しなかったリメイク版ボラーですが、ヤマト率いる第65護衛隊が亜空間ゲートに迫った際のブリーフィングにて山南司令が「ボラーの襲撃に備え、各ゲートには警備のガミラス艦隊が常駐している」と語られていましたから既にボラーが動いていてもおかしくないと思い出演させました。登場させた艦隊は旧ソ連の戦車T-34のカラーリングとマーキングが書かれてる本から適当に取ってそれっぽく名付けました。旗艦の<ヴォルホミェンゴ>もといボラーヅェ・ラ・バスード級は旧作でいう「ラジェンドラ号」の私的リメイクです。第116旅団はこの<ヴォルホミェンゴ>を旗艦としリメイク版<戦艦A>及び<戦艦B>で構成されています。まだ名前の発表が公式からまだなのと個人的に考えてるのがまだ纏まらないので今回は明記はしませんでした。
ボラー型次元潜航艦の存在も語られましたが、「第一次アベルト・デスラー政権崩壊後の混乱に乗じてガトランティスとは違ったやり方で技術者を拉致ったりしてたのでは❓」という史実でいう「ペーパー・クリップ作戦」的な感じの設定にしました(作戦自体はアメリカのですが当時のソ連も似たような事をやっていたとか)。艦名とかはまだ全然考えてないので敢えて書かずにいきました。対処した新生BBB戦隊の新艦と新メカはまたメカ紹介でやります。
ボラーの戦い方は完全に元ネタのソ連軍を意識しています。倒しても倒しても怯まず攻撃してくるボラー艦隊に初めて新生BBB戦隊と旗艦≪マキナ≫が窮地に立たされ大きく損傷してしまいました。最後の方で大改装の話が出てたのでどう生まれ変わるのかお楽しみに。
ネレディア艦長が救援に駆け付けてきてくれました。「2205」本編だと中の人がヤーブの嫁のバルナ役で出演していた為か登場せずでした。「でも実力者なのは間違いないし「2202」でもちょこっと出てたしでディッツ提督の艦隊にいたのでは❓」と思い出演させました。駆け付けてきた時のセリフは「2205」でバーガーがイスカンダルに追いついた時のセリフをオマージュしています。
てな感じで今回も色んな要素を詰め合わせた回、いかがだったでしょうか❓これでとりあえず「「2205」の裏話」を前後編に分けて書き切った訳ですが、自分でもまさかこんなに長い話になるとは思いませんでした(汗)。でも楽しんでいただけたのなら幸いです。次回からは「デザリアム戦役編」が本格的にスタートします❗️どうぞよろしくお願い致します。


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第8話「暗黒(デザリアム)の襲来」

お待たせしました「デザリアム戦役編」本編の始まり始まりですよ。「2205」が終わってしばらく、「3199」を楽しみにされてるファンも多い事でしょうが、「公式が情報を出さない」と嘆いているファンもいる事でしょう(汗)。「3199」は旧作の「永遠に」のリメイクとして本格的にデザリアム(旧名称:暗黒星団帝国)と対峙する事になるんでしょうが、本作では「3199」の公開を待たずにゲーム版「暗黒星団帝国の逆襲」及び「二重銀河の崩壊」を話のベースにしつつリメイク版と本作オリジナル設定をぶっ込んでいき本編以降は本作オリジナルの展開になっていく事を予めご了承頂きたく存じます。もしこの「デザリアム戦役編」を執筆中に「3199」が始まったらその時はそちらの設定も入れるかもしれません。
とりあえずよろしくお願いします。それではどうぞ↓


無限に広がる大宇宙 この無数の星々のきらめきの中に さまざまな生命の営みがある

 

「愛」「希望」「野心」「戦い」それは 地球人類の営みと なんら変わることはない

 

そして今 この大宇宙の中で一つの戦いが終わった

 

突如襲来した謎の敵「デザリアム」によってガミラス本星は消滅 そして彼らは双子星であるイスカンダルを持ち去ろう画策する

 

ガミラスのデスラー艦隊と地球のヤマト率いる第65護衛隊の活躍 そしてイスカンダルによる犠牲を以て「デザリアム」を撃退することに成功した

 

その裏で ガミラス第28移民船団をボラー連邦の襲撃から守ろうと奮戦した新生BBB戦隊がいた

 

ガミラスと防衛軍の護衛戦力と共に船団を守り切った新生BBB戦隊だったが 旗艦≪デア・エクス・マキナ≫が中破という深手を負ってしまうもなんとか生還した

 

時に西暦2207年 「サレザー事変」から2年が経ち 落ち着いた地球とガミラスであったが デザリアムの魔の手が迫ろうとしていたことをこの時はまだ知らなかった

 

※ここからは♪「若き翼たち」を聴きながらお読みくださいまし

 

地球圏外縁 第11番惑星 近傍宙域

 

新生BBB戦隊 旗艦≪マキナ改≫所属航空隊

<シャドウ・バンガード>

ザビネル「SVリーダーより各機、これより対艦戦を行う。敵さんは堅いぞ、油断するな❗️」

セシリア「なんとかして弱点を早く見つけないとね。」

シブキ「そうだな、敵の防御範囲を予想しとかなくちゃ。」

 

同航空隊<クレイジー・スカル>

ロイ「ハッハハ❗️そう堅くなさんな。俺達までカチンコチンしててもしょうがねぇぜ❗️気楽に行こうぜ❗️行くぞフォーメーション❗️BF(戦闘体系)9❗️」

奨(しょう)・マクシミリアン「CS2了解❗️」

一条 有洋(いちじょう ありひろ)「CS3了解❗️」

柿崎 勝美(かきざき かつみ)「CS4了解❗️」

 

旗艦:アンドロメダ改級戦略指揮戦闘航宙母艦

ACVBSC-991≪デア・エクス・マキナ改≫

艦橋

栗梶「<SV>及び<CS>両隊、まもなく敵と接触します。」

多田部「よろしい、さあてどれだけできるようになったかな〜❓」

金田「ははっ、見ものですな。」

 

第440独立機動防衛艦隊

旗艦:アンドロメダ改級戦略指揮戦艦

ABBSC-440≪ザドキエル≫

艦橋

レーダー手「敵編隊捕捉❗️二個中隊が来ます‼️」

四糸乃「き、来た❗️た、対空戦闘❗️防壁展開ビット、用意‼️」

野水「さぁ〜ウチらの鉄壁の布陣をどう破るのかなぁ〜❓」

 

新生BBB戦隊と第440艦隊は第11番惑星での演習を行なっていた。※アグレッサー(侵略側/仮想敵国)役を新生BBB戦隊が請け負い(※司令の多田部曰く「艦と装備の実験部隊だけでなく新生BBB戦隊はその特異さ故にこういう役が適しているというかそういった一面もある。なんせウチは真っ黒な海賊だし悪役にピッタリ。」と語っている)、第440艦隊の練度向上を目指しているのだ。「第28移民船団護衛戦」での「積極性に欠けた防御」と「波動防壁展開ビットの応用性の無さ」という課題を克服すべくこの点に重点を置いた訓練を実施している。

演習の初っ端は第440艦隊の対空砲火が火を噴いたところから始まった。<SV>及び<CS>両隊は弾幕を掻い潜りながら対艦ミサイルを放つ。それをA級とクラスD丙型それぞれが装備する波動防壁展開ビットがミサイルを一つ残らず防御する。

 

≪ザドキエル≫艦橋

レーダー手「ッ❗️反応ッ❗️真下からッ‼️」

四糸乃と野水「ッ⁉️」

野水「おんや〜、コスモパイソン編成の別働隊がいたんだね〜。やるね〜タクロッチ。」

 

≪マキナ改≫所属航空隊

<ダーク・ホース>隊

金舟 瞳(こがぶね ひとみ)/コールサイン:<DH1>「おいおいおい❗️あたしらのこと忘れちまってんなコイツら❗️」

沙織・M・マックイーン/コールサイン:<DH-2>「それは作戦なのと私達の乗るコスモパイソンがコスモタイガーよりもステルス性が高いからですのよ。」

米浴 舞菜香(まいよく まなか)/コールサイン:<DH-3>「そ、そうだよね。舞菜香たちが忘れられちゃった訳じゃないよね(汗)」

金舟「おっと、それもそうだったな。うっしゃ❗️いっちょやるか❗️いっくぞ〜ッ‼️」

 

<ダーク・ホース>隊のコスモパイソンが第440艦隊の真下から攻撃を掛けようとしている。同隊は2年前の「ガミラス第28移民船団護衛戦」でボラー連邦艦隊に対する攻撃で活躍したが、隊長である金舟、副隊長のマックイーン、3番機を務める米浴以外の隊員達は同戦が初陣の者も多かった為に奇襲成功以後はボラーの立ち直りの早さと弾幕に圧倒され練度不足が顕著に現れたのだった。コスモパイソンはマックイーン曰くコスモタイガーⅡに比べてステルス性能が高くそれを利用してレーダーに察知されずに接近していたのだ。各部がユニット化され任意のモードに変形する機能を持っており水平飛行から翼を少し後退させてから機首をグリっと曲げて垂直上昇飛行するなんて芸当も可能なのだ。対艦ミサイルを放ち決まったかに思えたが、防壁ビットがすかさず防御に入った。どうやら<ザドキエル>の隣にいたクラスD改/丙型の<スコール>が防護したのだ。

 

≪マキナ改≫艦橋

多田部「お、今の防いだか❗️」

金田「やりますな。」

多田部「後輩が成長してるのを見るのって良いもんですね。」

金田「えぇ、本当に。」

 

ピュイーン! ピュイーン!(レーダー音)

 

栗梶「おっと❗️お客さんです‼️」

エレン「無人艦全艦、コントロールスタンバイ❗️」

ミホノラ「は、はい❗️」

エレン「遅い❗️ぶつける気でやりなさい❗️できる筈です貴女なら‼️」

ミホノラ「はい先輩❗️」

 

それからさらに数時間の共同戦闘訓練を繰り返した新生BBB戦隊と第440艦隊。2年前の戦いとはうって違い「防御は最大の攻撃」を積極的かつ実践的に行った第440艦隊の成長ぶりに新生BBB戦隊司令の多田部は素直に喜ぶ。

 

≪マキナ改≫艦橋

多田部「長時間の演習お疲れ様でした四糸乃艦長。」

 

≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「は、はい。お疲れ様、でした。」

野水「どうだった❓よしのり達の戦い振り❓」

 

≪マキナ改≫艦橋

多田部「あぁ、見違えるほどに良くなったよ。途中≪いわたに≫(クラスD丙型)、≪ラフタリア≫(クラスG(ガーランド級)/軽巡型)、≪フィーロ≫(クラスH(ハヴォック級))の3艦の連携プレーには参りましたよ。危うく一本取られる所だったわw.」

 

≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「は、はい。タクローさんの艦隊も、有人艦もそうですが無人艦が立ちはだかって来て、攻撃しづらかった、です。」

野水「ん〜、攻撃の方はまだまだねウチは。」

 

互いの奮闘振りを讃え合い、このまま演習を終えようとした時だった。

 

≪マキナ改≫艦橋

栗梶「ッ⁉️ワープアウト反応複数ぅッ‼️しかも巨大ぃッ❗️説明不要ッ‼️」

多田部を含む艦橋クルー全員「ッ‼️」

 

※ここからは♪「ゴルバ、その姿」を掛けながらお読みください。

 

≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「ひゃあッ⁉️」

野水「なになになになんなのさーッ⁉️何がおでまししてきたのぉーッ‼️⁉️」

 

新生BBB戦隊、第440艦隊の皆が「何が来やがったでいやがりますかぁッ⁉️(デアラの真那節)」な反応をしその答えが姿を現す。巨大な黒い物が黒い艦隊を引き連れワープアウトする。それは2年前にガミラスとイスカンダルを襲った者達だった。

 

≪マキナ改≫艦橋

栗梶「識別確認ッ❗️コイツら"デザリアム"です‼️」

烈禍「おいおいおい❗️ゴルバまで来たんじゃねぇかッ‼️」

多田部「いや❗️コイツは2年前にガミラスとイスカンダルに現れた奴よりもデカいぞ⁉️」

栗梶「ッ⁉️艦長❗️まだまだ来ます‼️ワープアウトまたッ‼️」

 

栗梶はさらにワープアウト反応を報告する。「どんだけ出てくんだよ❗️」と艦橋クルー皆がそう思った。そしてその規模が半端じゃない事を知る。

 

栗梶「敵ゴルバ型要塞、反応が2...3...4...5...6...7...計7基と艦隊多数ッ‼️」

烈禍「あのバケモノが7基もいんのかよッ⁉️なにしに来やがったんだ⁉️」

 

イスカンダルを運び去ろうとし、ヤマト率いる第65護衛隊とガミラスのデスラー艦隊を圧倒的な力で翻弄した<自動惑星ゴルバ>が倍近くあろう巨体を有して7基も現れると圧倒と驚愕を同時に与えられる。そのタダでさえバケモノサイズのゴルバが何かを抱えている様に見えたが確認する暇もなくゴルバを取り巻くデザリアム艦隊から激しい砲火を受ける。

 

≪マキナ改≫艦橋

烈禍「どうする艦長ッ⁉️やりあうのかッ‼️⁉️」

多田部「ダメだ❗️明らかに多勢に無勢過ぎる‼️栗梶❗️防衛軍司令部に通信できるかッ⁉️」

栗梶「ダメです❗️ワープによる電波障害が酷くて繋げれません❗️」

 

敵の数が多過ぎる上、襲撃の報も送れない。事態は良くなかった。このまま戦っても勝てる見込みがないのは誰の目にも明らかだった。

 

多田部「ワープするぞ❗️」

金田「行き先は⁉️」

多田部「この宙域の外縁、"オールトの雲"だ❗️急げ‼️」

呉賀 優(くれが すぐる):≪マキナ改≫機関長「了解❗️波動エンジン、ワープのシークエンスに入る❗️」

多田部「四糸乃艦長、すまないが防御を頼みたい❗️」

 

(通信)四糸乃「りょ、了解❗️」

(同上)野水「はいよ〜よしのり達にまっかせてよぉ〜❗️」

 

第440艦隊は各艦がワープに移行しつつも新生BBB戦隊のワープを援護すべく波動防壁と共鳴波放射を全力で行う。

440艦隊の≪ザドキエル≫と数隻のクラスD丙型が防御陣を張り、≪マキナ改≫は強化された前方火力で弾幕を≪アマテラス≫以下数隻の戦艦級と共に形成する。航空設備も強化された≪マキナ改≫だが、この戦闘では出番は無さうそだし詳しい解説は後にするよ同志(今読んでる読者の事)。だから同志どうしたんだい同志❓(艦これ タシュケントのセリフネタ)にはしない様にしますから後でねよろしく〜。

 

新生BBB戦隊 第二群旗艦≪ネメシス≫

艦橋

冬月「全艦、所定の手順でワープを実施せよ。急げよ。」

 

ワープの指揮を取るのは新生BBB戦隊 第2群旗艦の≪ネメシス≫だ。ガトランティス戦役後半で多用された「ワープ・ブースター法」で大型艦が中型艦に中型艦は小型艦に両舷から挟まれてワープに入る。これにより多くの艦を多く素早くワープさせることができるのだ。戦闘の方は撃沈または中〜大破に追い込む事はできるが、数が劣っている現状では敵には悪足掻きに見えている事だろう。「ここに≪ザフキエル≫が居てくれたら」と思わず思ってしまう多田部。現在クラスD早期警戒艦≪ザフキエル≫は同型艦≪ラジエル≫を護衛に連れ現在は艦隊を離れている。「時空弾」の製造に欠かせない<タキオニウム>を収集する為だ。それまで「時間断層」の異常な時間(とき)の流れが起こる特異空間でそれを行なっていたが、断層の消失に伴い<タキオニウム>の収集も行えなくなってしまった。しかしヤマトがテレザート星への航海途上で偶然発見した時間断層と同じく時間が異常増進する宇宙気流「時空乱流」の存在が明らかとなり、そこに大量の<タキオニウム>の存在も確認されたのだ。もはや「時空弾」の製造は絶望的と思われたが、これを知った刻崎艦長は「きひ...きひ...きっひひひひひひひひひッ❗️」と狂気的な笑みを浮かべたという。

話が大きくそれて申し訳ない読者の諸君、まぁとにかく≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫は留守だよ。休暇取ってベガスに行ってる(大ウソ←「BLACK LAGOON」ネタ)。

「///べ、別に頼りきりというかそういうんじゃないからねっ❗️///(←謎のツンデレ)」って訳です。居てくれたら頼もしいとつい思ってしまうのだ。そんな考えが頭をよぎった時、つい攻撃を受けそうになった所をエレンとハーガワネンが管制下に置いてる無人艦が防御する。「助かった2人とも❗️」と多田部は例を述べる。

 

多田部「エレン、ミホホン。いざとなったら無人艦はここに置いてっていい。有人艦のワープを優先させる。君達の仕事が少し減ってすまないが。」

エレン「気にしないでください艦長。ですが、簡単には潰させはしませんよ、ではければこの艦と「オルケストラ」の意味がないでしょう❓そうよねミホ⁉️」

ミホノラ「はい先輩ッ❗️」

 

ハーガワネンは元気よく返事を返し滑らかな指揮管制で無人艦を操ってみせる。2年前の戦闘の時よりも頼もしく堂々としている。これも先輩であるエレンの指導の賜物(たまもの)であろう。

艦隊とワープ完了が93%完了し始めた所で、≪マキナ改≫と≪ザドキエル≫そして両旗艦に付き添い攻撃を行っていた僚艦達もワープに入り始める。「させん❗️」と言わんばかりに攻撃の手を緩めないデザリアムだが、多田部が※「フラッシュッ❗️」と叫ぶと烈禍が「サンダー❗️」と応えると艦首速射魚雷発射管から4発魚雷が放たれる。だがただの魚雷ではない。2発が閃光弾(フラッシュバン)であと2発がチャフ入りの弾頭だ。敵艦隊の手前で爆発し強烈な閃光とチャフの吹雪に覆われる。デザリアム側がこちらをハッキリと認識できない内に≪マキナ改≫と≪ザドキエル≫以下、残ってる艦は先にワープした艦達と同じくワープブースター(逆向き=艦尾が連結対象の艦の艦首側に位置してる)して現宙域を離脱した。

 

※第二次大戦の「ノルマンディー上陸作戦」でドイツ軍陣地後方に空挺降下したアメリカ陸軍 第101空挺師団"スクリーミング・イーグルス"の隊員達が同士討ちを避ける為に用いた合言葉。よく分からない人は映画「プライベート・ライアン」かドラマ「バンド・オブ・ブラザース」を観てください❗️(←ここはVガンのシャクティ風)

 

第11番惑星外縁部 "オールトの雲"

 

≪マキナ改≫艦橋

鷹乃目「ワープ終了。離脱完了しました。」

栗梶「ふぅ、なんとか逃げ切れたな。」

多田部「まだ油断できんよ。ここに敵が居ないとも限らんからね。副長、うちも含む全艦隊の艦艇の点呼と警戒態勢を取る様に。」

金田「はっ、直ちに。」

 

ピピッー! ピピッー!(通信音)

 

栗梶「第440艦隊旗艦≪ザドキエル≫より映像通信が入ってます。」

多田部「お繋ぎして。」

 

≪ザドキエル≫からの通信が入る。どうやらちゃんと離脱できた様で多田部は内心で安心する。

 

(映像通信)

四糸乃「あ、あの、拓郎さんも、無事離脱、できたんですね。」

 

多田部「えぇ、えぇ、お互いにね。声が聞けて嬉しいよ四糸乃艦長。」

 

(同上)

四糸乃「あ、あの、これから私達どうすれば、、、❓」

 

多田部「一刻も早く地球に連絡をつけて事態を知らせないといけません。そちらで連絡はつきませんか❓」

 

(同)

野水「それがダメなんだよタクロッち〜、さっきからなんどもウチの通信長が試してるんだけどもね〜。ノイズが霧の様に晴れないんだよ〜。」

 

多田部「栗助、やっぱりこっちもダメ❓」

栗梶「えぇ、手邦の案でガミラス式のシングルや地球とガミラスの共同周波数帯で送ってもダメです。」

 

先の戦闘でデザリアムが明らかに地球への侵攻を意図してる事は明白、事は一刻を争う事態なのは皆百も承知であり早急に伝えるべきなのだが肝心の通信機能が全く持って役に立たなかった。地球との連絡手段がダメな今、多田部率いる新生BBB戦隊と四糸乃率いる第440艦隊は孤立し臨機応変な独自の判断を求められる状況となってしまった。だが、、、

 

≪マキナ改≫艦橋

烈禍「どうすんだ艦長❓」

多田部「まぁ慌てないでれっかん。なにも考えなしに"ここ(オールトの雲)"に来たわけじゃない。」

烈禍「じゃあなんでだ❓」

多田部「オールト雲には地球とガミラスが共同で使用できる無人の補給基地があるんだ。とりあえず今はそこを目指す。よろしいね四糸乃艦長❓」

 

(映像通信)

四糸乃「は、はい、分かりました。」

 

何が起きてるのか、これから何が起こるのかさっぱり分からない状況ではあるが、今はとりあえず補給と艦と乗員を休ませる場所へと向かうべきと新生BBB戦隊と第440艦隊は別名「彗星の巣」と呼ばれるオールト雲の中へと艦を進めるのだった。

 




とりあえず「デザリアム戦役編」本編の最初のお話はここで終了です。「「3199」は「2205」から2年後の2207年から始まる」という公式からの発表に基づき西暦2207年からスタートです。前回大きく損傷した新生BBB戦隊旗艦のマキナは「マキナ改」としてパワーアップして登場(模型の方は現在製作中)、し前話に登場したアンドロメダ級丙型≪ザドキエル≫率いる第440独立機動防衛艦隊と演習をしています。前回で「受け身すぎる防御姿勢と防壁展開ビットの応用性の低さ」の弱点を克服すべく新生BBB戦隊がアグレッサーとしての任務に就いています。新生BBB戦隊は実験部隊であると部隊としての特異性( 艦や装備が正規軍の使用する物と異なる物が多く「未知の敵」を演じるにはうってつけ)故にこういう訓練での敵役を務める事もあります。前回から2年も月日が流れた為か440艦隊も練度が向上したのが確認できますね。
440艦隊への対艦攻撃を実施した<ダーク・ホース>隊は前回では名前の登場はありませんでしたが、「ガミラス第28移民船団護衛戦」でボラーへの攻撃を実施した航空部隊です。隊長の金舟と沙織、米浴の3名以外は新米パイロットが多数を占めていた事もあり奇襲には成功したもののボラー艦隊の立ち直りの早さと厚い弾幕に遮られ、以降は目立った活躍ができませんでした。この演習でそれを反省し彼らも練度を上げようとしているようです。
演習が終わったのも束の間、突如としてデザリアムが襲来しました。しかも「永遠に」に登場したデカい方と思われるゴルバが原作通り7基(でも地球侵攻の時ではない)も登場というヤバ展開(しかも何かデカいのを抱いてる❓←勘のいい人はこれが何か分かるはず)、新生BBB戦隊と第440艦隊は突然の襲来と数に圧倒され逃げるのがやっとでした。逃げた後に補給へと向かう所はドラマ「ザ・ラストシップ」シーズン1 第1話を参考にしています。
地球とも連絡が付かず孤立したも同然な両艦隊は果たして今後どうしていくのか❓続きをお楽しみに。


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第9話「地球の占領、多田部の決断」

さてさて前回突然のデザリアムの襲来により逃げるしかなかった新生BBB戦隊と第440艦隊の面々ですが、なんとか地球圏外縁に逃げ延びたようです。
今回はそこから物語がスタートしますが、まぁ旧作を観た事ある人にはわざわざ説明する必要もないことが話される訳ですが見たことないって人もいるでしょうからどうかお付き合いくださいまし。それではいきましょーッ‼️


"オールトの雲"、それは地球圏の最辺境に位置する第11番惑星の外縁部にある別名「彗星の巣」と呼ばれる宙域だ。ここには大小様々な大きさと形をした氷塊が無数に混在している。通常彗星は太陽に近ければ近いほど重力に引かれて尾を発生させて進むが、ここオールト雲にある氷塊は彗星であることに間違いはないが太陽から遠いので尾は引いていない。しかもこの彗星の組成は氷塊なので当然ほとんど氷であるが、中に微量の金属原子がありそれが昇華してレーダーに反応してしまうのだ。その為この宙域での操艦は困難を極めるので多くの船乗り達は「できれば通りたくない」と誰もが思う所だ。しかしその宙域の複雑さは一種のカモフラージュとして利用でき新生BBB戦隊司令 多田部はそれを逆手を取ってここを退避場所に選び補給基地が建設されたのもここが「味方もそうだが敵にとっても捜索しづらい厄介な場所」とされたからだ。デザリアムの突然の襲来からなんとかここに逃げおおせた新生BBB戦隊と第440艦隊の艦艇群はドックに腰を据え整備と補給に入る。旗艦級艦艇、損傷艦、補給担当艦(空母を含む)が優先的にドック入りし残りは基地周辺の警戒を行っている。

 

地球圏 第11番惑星外縁部"オールトの雲"

無人補給基地

艦艇ドックエリア

 

新生BBB戦隊 旗艦≪デア・エクス・マキナ改≫

艦橋

 

多田部「金森さん、補給と整備は順調❓」

金森「えぇまぁ、あぁ川上さんそれは向こうの護衛艦の方に回してください。」

川上 姫路(かわかみ ひめじ)「分かりましたでございますわーッ❗️」シュタタタッ!

金森「失礼、無人とはいえキチンと整理されていたので装備も部品/備品、OMCIS(有機物リサイクル式食料製造/供給システム)をフル回転させても平気な程の十分な量の水と有機物はありますので長居することになっても大丈夫そうです。」

多田部「そっか、ガミラス戦争の時にガミラス側が作った基地らしいからそれなりに年数は経ってるみたいだけど安保条約が結ばれてからは防衛軍も使う事を考慮して少し改良を加えてるし補給のついでにくる清掃業者のガミロイドやアナライザー型ユニットのお陰で綺麗に保たれてるんだね。」

 

多田部は補給と整備の事でパトロール艦≪エゾーケン≫の副長である金森 むつみと話をしていた。多田部曰く「この2つに関しては彼女の力が大いに助かっている」とのこと。

 

多田部「そういえば金森さんは自分の艦の事は良かったんですか❓まぁこちらとしては補給の維持管理できるベストな人材である君の力が今まさに現在進行形で必要なんだけどもだっけど。」

金森「あぁ〜良いんですよ。あの2人(艦長の浅草と戦術長の水崎)と違って私が好きなのは航海じゃなくこういった後方任務ですから。周辺警戒が任務ですと告げたら喜んで飛んでいきましたよ。「冒険だ❗️冒険❗️」と言ってね。普段立ち寄れない所ですから尚更です。」

多田部「そっかそっか、まぁ本人達が楽しんやってくれてるなら良いよ。浅草艦長は確か退役したらアニメの監督になるのが夢って言ってたね。」

金森「えぇ、防衛軍に志願したのもその為のネタ探し的意味合いもあります。「遠い宙域へも足を伸ばせて色々観測できる」という事でパトロール艦勤務を志願したらほんとに叶って挙句艦長にまでなるんですから何が起こるか分からないものですよほんと。」

多田部「アハハハハ(汗)」

 

淡々に自身と艦と乗員達について色々と話してくれる金森に多田部は苦笑いも交えつつ「ほんと色んな人がいるな〜」と思うのだった。

そこにピピーッ!ピピーッ!と突然多田部が身に付けてるヘッドセットから通信音が入る。

 

多田部「はい多田部、どちらサンジョルジョマジョーレ❓」

(通信)クロンナウア「CIC(戦闘情報センター)通信からクロンナウアがお送り致します❗️至急ブリッジへお越し願います艦長殿❗️」

 

※多田部、移動中、、、

 

≪マキナ改≫艦橋

 

金田「艦長上がられます。」

多田部「なんだった❓」

クロンナウア「やっと地球との通信が繋がったと思ったらこんなのが来ましたね。見てくださいびっくらこきますよ❗️」

 

そう多田部を呼び出したクロンナウアは艦橋のメインパネルに地球からの映像を流す。そこには青い肌にスキンヘッドをした人物が大きくアップで映し出されていた。だがその男はどうやらガミラス人ではないようだ。

 

(地球 防衛軍司令部からの放送)

デザリアム 地球攻略特別編成派遣軍

総司令長官 カザン「私がデザリアム地球攻略特別編成派遣軍 総司令長官のカザンである。」

 

地球の防衛軍司令部からの放送に映るカザンと名乗る男はデザリアム人だという。多田部はそれを見るや否や「クロロン、この放送を艦隊全艦に」と言いクロンナウアも「了解❗️」と言って直ちに新生BBB戦隊と第440艦隊全艦に放送を流す。

 

カザン「本日、我がデザリアム軍が地球全土を完全に占領した事をここに宣言する......。もし我らデザリアムに反抗する者が1人でも居ようものなら地球の各地域に撃ち込んだ"重核子爆弾"を直ちに爆発させる。」

 

「なんだそれ❓」とザワつく捕虜にされた防衛軍司令部の軍人達と放送を見る新生BBB戦隊と第440艦隊の面々。不思議そうな反応をする地球人達に「見るがいい」と司令部のメインパネルに映像が流される。それは防衛軍司令部のある日本(【極東管区】)や【北米管区】【欧州管区】【中東管区】【アフリカ管区】【中南米管区】【中央アジア管区】それぞれの地域に黒く巨大な物体がそびえ立っている映像だった。これが重核子爆弾というものらしい。

地球占領という事実もそうだが、画面に映るその馬鹿デカい爆弾の存在にも驚いて圧倒される。

 

カザン「我らデザリアムの文明の粋を極めた大量破壊兵器だ。最も諸君ら地球人の定義による大量破壊兵器とは少し違うがな。」

 

「どういうことなんだ❓」と疑問に思い各々顔を合わせて不思議がる防衛軍司令部の捕虜にされた軍人達はザワつくが、直様(すぐさま)カザンが説明する。

 

カザン「この爆弾が一度起爆すれば、地球の自然には何ら影響を与える事なく一瞬の内に諸君ら地球人類の脳細胞のみを破壊し絶滅させる事が出来るのだ。」

捕虜にされた防衛軍官僚と軍人達、新生BBB戦隊と第440艦隊の面々は動揺を隠さずにさらにざわつき始める。

 

カザン「この脅威に晒されたくなければ無用な抵抗を示さず、我らの要求を呑むことだ。」

 

「重核子爆弾というヤバめな代物を突きつけられた状態でするような要求とは一体なんなのであろうか⁉️」とまたまたザワつき始める。「静かに聞くんだ❗️」とデザリアム兵が言う。

 

カザン「2年前に我らデザリアムの調律を妨害した悪魔の船、、、そう、"宇宙戦艦ヤマト"の所在を明らかにせよ。」

防衛軍官僚A「ヤマトッ⁉️

同B「ヤマトだってッ⁉️」

 

「ヤマトはどこだ❓」という質問にま〜たまたまた動揺する官僚達。「ヤマトになんのようだ⁉️」「なぜ探してる⁉️」との声も聞こえてくる。

 

≪マキナ改≫艦橋

 

多田部「ッ⁉️(ヤマトの所在❓なぜそんな事を❓そういえば「サレザー事変」以降ヤマトを含む第65護衛隊は再編成されたとは聞いていたが、その後詳しい所在については機密となっていたっけ、、、。)」

 

ヤマトがイスカンダルでデザリアムと戦った後、旗艦を務める第65護衛隊は艦隊戦力の増強、人員の補充、装備拡張等の再編成が行われたのは防衛軍関係者は知る所であるが、その後の65護衛隊の所在は何故か機密扱いされており知る者は少ない。

 

???「ヤマトの所在を知ってどうすると言うのだ。」

???「長官❗️」

カザン「ほぉ...。」

 

そう口を開いたのは地球連邦防衛軍の統括司令長官の藤堂平九郎(とうどう へいくろう)だった。それに驚いて次に口を開いたのは副司令の芹沢虎徹(せりざわ こてつ)だ。

 

カザン「そういえざ貴君らは地球軍のNo.1と2だったな。なら知っておろう。答えろ、ヤマトはどこだ❓」

芹沢「ちょ、長官...。」

藤堂長官「ヤマトの所在を知ってどうしようと言うのだ❓」

芹沢「ッ⁉️」

 

「質問を質問で返す」某奇妙な冒険する漫画だったら絶対に怒られるパターンであるがここはヤマトなので気にせずに読んでくださいましw.

 

カザン「質問は許されない。貴君はこの爆弾の威力そして軌道上に配備した7基のゴルバ型浮遊要塞の存在を知った上ですぐに地球人類を抹殺するとは思わないのか❓」

藤堂長官「ふん、恐ろしいのだろう❓ヤマトが。」

カザン「なに❓」

藤堂長官「でなければとっくにやっているだろう❓ガミラスをそうしたように、違うか❓」

 

藤堂長官は怖気づくどころか堂々かつ毅然とした態度で冷静にデザリアム側の行動を分析して論じ始める。

 

藤堂長官「たかだか宇宙戦艦一隻に何をそんなに怯えているのだ❓」

カザン「我々が...デザリアムが...ヤマトを恐れているだと❓」

芹沢「長官、もうその辺で...。」

藤堂長官「そうだ。お前達が恐れているヤマトは我々の希望だ。それだけじゃない、地球にはまだまだ戦える力が残っているぞ。ヤマト一隻に対しそれだけの戦力を繰り出して挙句に我々を人質にとらなければ戦えないとは、想像してたよりもちっぽけなものなのだな。お前達デザリアムは。」

カザン「き...貴様ァ...(恐)」

藤堂長官「ヤマトを倒したければ自分達で探すが良い❗️そしてお前達にはかつての親友の言葉でこう言おう。「バカめ❗️」とな‼️」

防衛軍官僚A「そうだ❗️俺達はお前らなんかには従わないぞ‼️」

同B「人質取らなきゃ喧嘩もできねぇ卑怯者野郎がよ‼️」

同C「そんなに凄い爆弾ならやれよこの野郎ッ❗️早くやれッ❗️オモチャかあれ⁉️」

 

藤堂長官の相手を恐れぬ反論にデザリアムに圧倒され沈黙していた防衛軍官僚達に火を付けた。

 

カザン「この愚か者共めェ...えぇいこの者達を全員黙らせて引っ捕らえろ❗️見せしめに処刑してやれぇッ‼️」

 

先程までの紳士的な対応と打って変わって図星をつかれたのか、声を荒げて「死刑にしてやる(激おこ)」と怒鳴り上げるカザン。そしてそこで放送が途切れる。

その後少し沈黙の間が続いた。地球が占領されたこと、重核子爆弾とゴルバの存在、藤堂長官の反論、放送を聞いた皆の頭はまだ状況全てを落ち着いて飲み込む事ができないでいる。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ改≫艦橋

 

多田部「クロロール、艦内マイクを。」

クロンナウア「え❓は、はいよ。」

 

多田部はクロンナウアに「艦内放送をするから準備してちょ」という。クロンナウアがマイクにスイッチを入れる。

 

多田部(艦内放送)「皆、地球の放送は見たよね❓地球はデザリアムに占領された。残念ながらこれは事実らしい。だが藤堂長官のあの態度を見た事だろう。ガミラスに滅亡されかけた時もガトランティスに地球を占領されかけた時もあんな風に決して諦めず希望も捨てないでいた。なら我々もそうしなければならないようだ。ヤマトに依存するつもりじゃないが、我々にだってできる事があるはず。長官が示した気概に負けない様に、我らもデザリアムに反抗する海賊となろう❗️」

 

「ウオォォォォォォォォッ❗️」と新生BBB戦隊の全艦全乗員が声を上げた。

 

金田「素晴らしい演説でした艦長。」

多田部「いやいやらしくないですよほんとw.それに、長官があぁ言ってくれなかったらどうなってたか。」

アイク「どうやら士気は高まった様だねタクロー❓」

多田部「アイク。うんそうだね。」

 

四糸乃(映像通信)「多田部さん。」

 

多田部「お、四糸乃艦長。」

 

四糸乃「わ、私も、一緒に、戦い、ます❗️」

野水「ヒュ〜、あんな演説聞いちゃやる気にならない訳ないよタクロッち〜。よしのり達もこのまま黙って占領を受け入れるのは承伏しかねるからね〜。」

 

多田部「ありがとう2人とも。実はこれからどうするかもう考えてあるんだ。四糸乃艦長にも是非バリクソ協力したもらいたい。」

 

野水「オーケーオーケ〜、よしのり達がやれることならなんだってやるよ〜。ねぇ四糸乃❓」

四糸乃「が、頑張り、ます❗️」

 

多田部「それとアイク。参謀の君にも手伝って欲しいんだ。知恵を借りたくて。」

アイク「ほぉ、何をするつもりなんだ❓」

多田部「今からこの宙域をホームア○ーンばりの拷問宙域にしてやるのさ。フフフフフフフフ(悪い顔)」

ミホノラ「(ま、また艦長が悪い顔してる、、、。)」

 

2年も経てば流石に見慣れてきたハーガワネンであるが、やはり多田部の悪巧み顔は恐ろしいと思ってしまうも「戦略/戦術家として学ぶべきことは多い」とも思っている。

 

多田部「っとその前に、こんな状況にこそピッタリな曲があったなぁ❗️ミホホンッ❗️」

ミホノラ「は、はい⁉️」

多田部「君の出身は確かフィンランドだったよねぇッ⁉️」

ミホノラ「は、はいそうですが、、、。」

多田部「なら尚のことピツタシだ❗️ほれっ❗️」

 

多田部がハーガワネンに投げ渡したのはフィンランドの撥弦(はつげん)楽器であるカンテレだった。「うおっと⁉️え❓カンテレ⁉️なんでぇ⁉️」とハーガワネンが驚く間も無く音楽が流れる。それは彼女にとって懐かしい故郷のイントロだった。

 

多田部「さぁ音色のお奏でしくよろよぉッ❗️ビート鳴らせぇッ‼️」

ミホノラ「は、はい❗️(ええい、こうなったらヤケって奴です❗️)」

 

ミホノラは生まれ故郷のフィンランドの民謡である「Sakkijarven polkka」を弾き始める。"サッキヤルヴィ"と呼ばれるフィンランドの都市が第二次大戦中の継続戦争に於いてソ連に占領され、その土地を奪われたフィンランド人達の哀愁を込めてこの曲が作られたという。今まさに地球を占領されたが、藤堂長官の言葉に奮起し「(地球を)占領されても挫けない❗️」という意を込めて流し新生BBB戦隊と第440艦隊の面々は歌うのだった。




第5話以来の戦闘のない回となりました。第11番惑星の外縁にある「オールトの雲」と呼ばれる宙域はPS2「暗黒星団帝国の逆襲」に登場した場所です。リメイク風に「ガミラス戦争時にガミラスが基地作ってて、それを防衛軍も使い始めた」という事にしました。「無人基地だから物資の搬入とか清掃とかどうする❓」という点はフォロワーさん達と意見を交えながら決めました。
カザン率いるデザリアム[地球攻略特別編成派遣軍]の名称についてはそのまま[地球侵攻軍]だとまんま過ぎて面白くないのでナウシカのクシャナ殿下率いるトルメキア帝国辺境派遣軍の名称をモチーフにしつつ「デザリアムには本来ないし作るつもりもなかった軍だから2年の歳月を掛けて編成した特別部隊」という感じにしました。
カザンは旧作(ゲーム版)同様に最初は落ち着いた態度で話始めるわけですが、藤堂長官に図星を突かれて最終的にキレてしまいましたねwww.藤堂長官が沖田艦長の台詞である「バカめ❗️」と言わせた所は個人的に気に入ってる演出です(自画自賛)。
そんな長官の姿を見て多田部達も奮起する事になりサッキヤルヴィン歌って士気上げてますね。デザリアムに対し一体どんな嫌がらせを考えているのか❓次回をお楽しみに。


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第10話「海賊はじめました❗️」

前回は地球が占領されたものの新生BBB戦隊らは藤堂長官の言葉により徹底交戦に出る為「海賊になる❗️」と宣言したところで終わった。今回の話はさっそく海賊らしく戦う回です。それではどうぞ↓

※本話から新生BBB戦隊司令兼≪マキナ改≫艦長:多田部の名前の表記が「多田部」から通称の「タクロー」に「オルケストラ改」担当オペレーターのハーガワネンもファーストネームの「ミホノラ」に変更していますのでよろしくお願い致します。


地球圏最外縁部"オールトの雲"

無人補給基地 艦艇ドック

 

≪マキナ改≫通路

 

ミホノラ「艦長どこに行ったのでしょう❓艦橋から降りたと思ったら。」

 

ミホノラは≪マキナ改≫の通路を歩きながら呟いている。どうやら艦長であるタクローこと多田部を探している様だ。先輩であるエレンやアイクに聞いたが、「彼はどこにでも現れてどこにでもいない。つまり神出鬼没です。」と言われてしまい歩きながら会う人会う人に尋ねて回っているのだ。

 

ミホノラ「(この先デザリアムに対しどう戦うのか具体的には聞いてませんでした。色々聞いておかなければ。)」

 

タクローがデザリアムの地球占領の報を聞いても尚、抵抗を続けると宣言して数日。まだこれといった動きを見せていないことを不思議に思っているミホノラ。作戦会議に出席できる階級ではない為、余計に気になるのだ。

 

ミホノラ「あ❗️いた❗️えぇッ⁉️」

 

ようやくミホノラはタクローを見つけたが、そこにいたのは牧師さんの格好をして参拝に来てる人達の悩みを聞いている艦長の姿があった。

 

乗員A「大勢の前で話すのは躊躇いがあるけど、、、自分の、、、母の事を是非話したくて、、、今アイオワ(州)のどこかにいるはず、、、神様、どうか母をお守りください❗️」

タクロー「お母さんの名前は❓」

乗員A「バネッサ、、、バネッサ・ミラルスです❗️これが母です❗️」

 

乗員Aはポケットに忍ばせた写真を皆に見えるように見せる。

 

乗員B「、、、恋人の為に祈りを捧げたいんです❗️名前はミッキー、本名はモーリスですが、彼、、、写真を撮られるのが好きじゃなかったら、これしかあまりせん。これ彼の写真です。」

 

乗員Bは恋人の数少ない手持ち写真をスマホから出して皆に見せる。

 

乗員C「自分の親父です。兄弟のネットとロニエル(こちらもスマホを使って家族の写真を見せる)。連絡がつけれないのでどうしているか、心配です。でも今、彼らを救えるのは、自分達しか居ないと信じて頑張ります❗️自分達がここにいるのは決して偶然じゃない、神のご意志だと信じます。」

タクロー「共に祈ろう。」

全員「アーメン。」

ミホノラ「「あの〜艦長❓」

タクロー「ん❓あぁこれはこれは大尉殿。今終わった所だよ。待ってて着替えるから。」

ミホノラ「は、はぁ、、、。」

 

祈りが終わって着替え終わったタクローとしばらく通路を歩くミホノラ。少しの間があった後、ミホノラが尋ねる。

 

ミホノラ「艦長❓なんでさっきは牧師さんの格好を❓」

タクロー「あぁあれ❓いや〜うちの艦隊さ牧師さんやシスターさん雇えなかったから他にやれる人がいなくてね。こうやって手が空いてる時は俺がやってる。地球占領の報を聞いて皆不安がってるからね、こうして悩みや不安を打ち明ける場が必要さ。」

 

本来艦長の役目ではないことを考え実行に移す。ミホノラがタクローから本当に学びたいのは戦略と戦術だが、「この様な事態への対処も考えなくてはならないのか」と思った。次の瞬間に警報が鳴り響き始める。「おっと、行かんくちゃ」とタクローが言い艦橋へ向け走り出すと「はい❗️」と言ってミホノラも同じく走り出した。

 

≪マキナ改≫艦橋

 

タクロー「ごめん遅れた❗️」

ミホノラ「遅れました❗️」

タクロー「状況はどない❓」

栗梶「≪エルコンドルパサー≫所属のCSP(Combat Space Patrol=戦闘航宙哨戒)機がデザリアムの艦隊を捕捉。編成から輸送船団のもよう。」

 

ホワイトスカウト級(ナスカ級鹵獲艦正式採用型)の≪エルコンドルパサー≫(所属のエリントタイガー(早期警戒/電子戦機型コスモタイガーⅡ)がデザリアムの輸送船団を捕捉したという。

 

金田「地球にいる占領軍への補給でしょう。それにしても数が多いですな。」

 

まだ正確な数は判明してないが100隻近くはいる。その内約半数が輸送船といったところだ。

 

タクロー「そうはいかのなんとかよ❗️皆ァ❗️こっちも本気だってとこ見せてやりますよ、輸送船団を潰してデザリアムに嫌がらせするぞぉ〜決定ーいっ❗️」

皆「おぉッ‼️」

 

デザリアムの輸送船団はここ「オールトの雲」に新生BBB戦隊と第440艦隊の二個の防衛軍艦隊がいるなど思いもしていない。なにせもう勝った気でいるからだ。後は地球の反乱分子を一掃するだけの楽な任務に必要な物資を届けるだけの簡単な作業だと思っている。プレアデス級輸送型戦艦50隻を囲む様にプレアデス級艦隊指揮型を旗艦とした護衛艦隊、堂々たる余裕綽々の航行だ。

 

デザリアム 輸送船団

プレアデス級艦隊指揮型戦艦(旗艦)

艦橋

 

艦長「やっと地球圏外縁か、それにしてもこの宙域はワープで越えれないのがネックだな。」

 

「オールトの雲」は彗星が無数に存在する関係でワープ航法装置がそれら障害物の多い宙域の前に強制的にワープアウトしてしまうのだ。ただでさえ動きにくいしレーダーばかり当てにならない宙域だからさっさと過ぎ去って行きたいと思っている。だが、そんなことさせやしないという目をして潜む者たちの存在にまだ気づいていない。

そして事は起こった。突然右舷から攻撃を受ける。ビームとミサイルだ。相手の数をすかさず確認するようレーダー手に伝える旗艦のプレアデス級艦長。「敵戦力、推定我が方の倍以上」との報に驚く。しかも輸送型プレアデスのみを的確に狙っている。我が方のハイバリュー・ユニット(最重要物)である輸送船がやられてしまっては例え護衛戦力が残っていても意味はない。どうしたものかと思考を働かせていた時、レーダー手から「左舷にアステロイド群あり、艦隊と船団を隠せる規模」との報を受けそこに退避するよう命じる。

 

新生BBB戦隊 第二群

【志摩戦隊(譲渡ガミラス艦防衛軍式改装艦編成部隊)】

ゲルバデス級航宙戦闘母艦(防衛軍譲渡改装仕様)

CVBS-87≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

≪リリー・マルレーン≫副長

掛川 郎夫(かけがわ ろうふ)「志摩サマ、奴らアステロイド群に逃げていきますぜ❗️」

 

とデザリアム側の動きを確認し、艦長に伝える防衛軍式に改められたゲルバデス級の≪リリー・マルレーン≫副長の掛川。

 

≪リリー・マルレーン≫艦長

我羅波 志摩(がらは しま)「ハッハハハハハハ❗️面白い具合にハマってくれたじゃないのさ❗️それにしても長官の言う通り、強気で出てきた割には受けに回ると脆い連中なんだねぇ。」

 

志摩艦長率いる【志摩戦隊】は旗艦のゲルバデス級≪リリー・マルレーン≫をはじめ重巡のデストリア級、軽巡のケルカピア級、駆逐艦のクリピテラ級と全てガミラス艦で構成されている。しかしただそのまま運用しているわけではない。艤装や艦を構成する部品や艦内の備品等が防衛軍式に改められている。要するに規格合わせなのだが、地球とガミラスが安保条約で同盟関係である故の処置であるので当然といえば当然である。特にこの【志摩戦隊】の主力を占めるガミラス主力艦の三羽烏(さんばがらす)であるデストリア級/ケルカピア級/クリピテラ級は元は時間断層で建造された艦達で最初期の「地・ガミ艦艇群統合運用整備計画」適用実施艦達である。

 

レーダー手「ホントっすね姐さん❗️奴ら勢子(せこ:狩猟で獲物を追い立てる役)に驚いた鹿の飛び跳ねっぷりみたいに逃げていきましたよ‼️」

艦橋の皆「ハッハハハハハハッ‼️ヘッヘヘヘヘヘヘ‼️」

志摩「全くだねぇ、こっちの艦隊の数が"ダミー"だって事にも気づかないなんてさぁ。」

 

敵が案外攻められると弱いのとこちらの数が多いと逃げるのと拍子抜け過ぎて思わず笑ってしまう≪リリー・マルレーン≫の乗員たち。かといって油断しているわけではない。志摩艦長の言う"ダミー"の意味はもうすぐ明らかになるのでまぁまぁ待ちたまえよ読者諸君。

アステロイド帯に逃げ込んだデザリアム輸送船団。探知されないよう無線やIFF(敵味方識別装置)等を切る電波管制を行い身を潜めている。攻撃してきた相手がなぜか追撃してこないのを不思議がるが、今はその敵さんが来ないことを祈りたい。だがそれもすぐに終わりを告げた。アステロイドに隠れるデザリアム輸送船団をミサイルと魚雷の応酬が襲う。【志摩戦隊】の別働隊のガミラス艦と新生BBB戦隊 第二群所属の金剛改三型宇宙戦艦、村雨改二型宇宙巡洋艦、第二群旗艦≪ネメシス≫が管制する金剛改型/無人戦闘艦型と磯風改型/無人戦闘艦型、"スカウト"、"ランサー"、"パイカー"の各【ホワイト級】がデザリアム輸送船団を取り囲んで攻撃を加える。デザリアム側はアステロイドに隠れているから平気とタカを括っていたが、突如岩影に隠れてる一隻のヒアデス級が爆発した。ミサイルがアステロイドに当たって共に消滅したのだ。

 

プレアデス級艦隊指揮型戦艦

艦橋

 

レーダー手「味方ヒアデス級一(いち)、アステロイドと共に爆発。」

艦長「なにっ⁉️」

通信手「同様の被害報告多数。」

艦長「しまった❗️このアステロイドは"ダミー"だ‼️」

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ改≫艦橋

 

ミホノラ「すごい...❗️」

 

そうミホノラは素直に声に出した。これほどスムーズに行った包囲戦など演習でしか起きないと思うくらいのスムーズさとピタリさだからだ。

 

金田「見事にハマりましたな。」

タクロー「えぇ、えぇ。見事過ぎ。皆の実力もそうだけど、相手がどれだけ油断してるか見える様だよw.」

ミホノラ「何をしたんですか艦長❓」

タクロー「なに、二群の【志摩戦隊】の周りを[戦術FF(フェイク・フリート)]でダミーバルーンで囲んで艦隊総数を欺瞞したのさ、そして[戦術DM(ダミー・メテオ)]で展開させたダミーの隕石群の方に誘導させ隠れて安心し切った所を襲ったってわけさ。」

クロンナウア「スゲェ、まるで"こうすりゃこうなる"って分かってたみたいじゃないですか❗️」

ゴルド「ホントだな、なんでなんだ❓」

手邦「デザリアムが電子情報に対し信頼を大いに寄せてるからだ。」

タクロー「そゆこと、補足ありがとうねッ❗️」

ミホノラ「どういうことですか❓」

タクロー「2年前にヤマト達65護衛隊が持ち帰ったイスカンダルでの戦闘データを解析したところ、デザリアムはかなりの偏重的な電子兵装/情報至上主義であることが分かったんだ。」

手邦「デザリアム艦隊の電波や通信頻度の異常な数と回数に加えて航空隊の戦闘記録でも「チャフやECM(電子的妨害装置)のせいか敵艦や敵機の動きが鈍った」との報告もあったんだ。つまり奴らは幾らでも誤魔化しが効くレーダーに頼り切りだということだ。」

ミホノラ「ッ❗️だから艦隊やアステロイドがダミーだと気付かなかったんですね。」

タクロー「そゆこった❗️自分の目で近づいてよ〜く見ないと分からないくらいに精巧に作ってあるダミーバルーンさ。訓練用の奴を流用して弄ったから作るのは簡単だったよ。

さぁ諸君仕上げに入るよ❗️第一群、突撃開始‼️」

呉賀「機関出力いっぱーっい‼️」

ゴルド「全速前進了解❗️」

 

作戦の仕上げにと新生BBB戦隊 旗艦≪マキナ改≫率いる第一群がデザリアム輸送船団に引導を渡す為、艦隊を進める。

一方のデザリアム側は新生BBB戦隊の特殊戦術の組み合わせにより身動きが取れずにいた。アステロイドはダミーで隠れることはもはや無意味だし、前後に左右に斜めにと四方八方囲まれて身動きができないし、またワープで逃げようにもA改級≪ザドキエル≫率いる第440艦隊の持つ[波動防壁展開ビット]によってそれも封じられている。デザリアム側はそのことを知らない為なぜワープできないのか疑問を解決できず、隕石のダミーバルーンの中に仕込まれたチャフにより電波撹拌されすぐ側にいる僚艦との通信もままならない混乱状態であった。そこに本隊である≪マキナ改≫率いる新生BBB戦隊/第一群らが殺到してきたのを確認する。空母を含む本隊であるとすぐに理解した旗艦のプレアデス級艦長は迎撃のため艦首艦載機発着艦口から地球とガミラス側が「芋虫型戦闘機」と呼称する<襲撃戦闘機カタピラス>を緊急発艦(スクランブル)させるが、「今更遅いぜ❗️」と言わんばかりに≪マキナ改≫の強化された空母能力がここで力を発揮する。A級3番艦空母型のアポロノーム(又は5番艦アンタレス)譲りの飛行甲板の上下段発艦口のリニアカタパルトから漆黒の艦載機達が次々と勢いよく飛び出していく。射出された編隊は瞬く間にカタピラス達をこんがりロースト上手に焼けました出来上がりーっ♪としてついでにプレアデス級の艦載機発進口に「その汚ねぇ口を閉じてろ、そして良いから座ってろッ‼️」とミサイルを突っ込んでやった。これで艦載機はもう出せないがこれにキレたか「舐めるな❗️」言わんばかりに旗艦の艦隊指揮型プレアデス級から反撃の一撃が≪マキナ改≫の左舷補助エンジン部を掠め、舷側主砲4番砲塔に直撃した。

 

≪マキナ改≫艦橋

 

タクロー「おっと❗️隔壁閉鎖❗️ダメコンチーム急いでッ‼️」

持月「艦長❗️舷側4番砲塔大破❗️後は大丈夫だ❗️」

タクロー「機関は⁉️」

呉賀「掠めただけですが、異常が起こるかもしれないので急ぎチェックします。」

タクロー「了解、ちょっと追い詰め過ぎたかな❓(自分的にはそんなつもりじゃなかったんだけどなぁ〜)よし。」

 

補助エンジンと砲塔と一部をやられてしまい「追い込み過ぎはやっぱやっちゃダメだな」と思い作戦を改めるため知略を巡らせる。

 

タクロー「440艦隊に連絡、防壁ビットの包囲陣に若干隙間を作るよう言ってくれます❓」

栗梶「え❓は、はい。」

タクロー「あ、"さりげなく"と付け加えておいて。」

ミホノラ「艦長、やはり...。」

タクロー「大尉の思ってる通りだよ。逃してやるのさ、ただし「輸送船全滅付き」で、ね。」

ミホノラ「ッ❗️...はい。」ニャァ

 

2年前の彼女なら「なぜですか⁉️」と突っかかっていたところだが、「慣れたものだな〜」と艦橋の皆の誰もが思った。「艦長にある意味毒されたな大尉(汗)」とも心の中でも思う艦橋クルーの皆である。

タクローの指示通り第440艦隊は包囲陣にさりげなく隙間を作り始め新生BBB戦隊はデザリアム輸送船を確実に全艦撃沈へと追いやっていくと同時に包囲を狭めていき、無人艦隊を指揮するミホノラがさりげなく開けていく包囲陣の隙間にさりげなく誘導すべく攻撃の圧を掛けていった。

 

デザリアム輸送船団

プレアデス級艦隊指揮型

艦橋

 

レーダー手「最後の輸送船、撃沈されました。」

オペレーターA「輸送船隊全滅。護衛戦力、損耗率54パセラー(%)。」

艦長「く、や、やられた...❗️」

 

新生BBB戦隊の仕掛けた罠の数々に対して後手後手(ごてごて)に周りまくりまともな反撃も出来ずに護るべき輸送船団を全て失ってしまった。「このまま自分達も狩られてしまうのでは❓」という考えが頭をよぎる。しかしオペレーターの1人が「包囲陣に僅かな隙間あり、艦隊退避可能」との報告に「よし急げ❗️包囲が固まる前に‼️」と命じ、艦隊の残存戦力をまとめ離脱を図った。包囲する新生BBB戦隊と第440艦隊は敵を中〜大破させつつさりげな〜く包囲陣の隙間へと誘導していく。その誘導は上手く行き、旗艦の艦隊指揮型プレアデス級を最後にデザリアム全艦がワープし宙域を離れていった。

戦闘からしばらくして≪マキナ改≫はドックに入渠した。タクローは修理状況の確認と戦闘報告を受ける。一見ワンサイドゲームに見えるが≪マキナ改≫も含めてデザリアムの反撃にあった艦は複数隻いたが、どれも軽傷で済んだようだ。

 

≪マキナ改≫艦内通路

ミホノラ「(はぁ、結局艦長にまた聞きそびれちゃったな〜。)」んっ⁉️」

 

ハーガワネンが残念な思いをしながら歩いていると[中央作戦室]と書かれた部屋の側に来ていた。会議の声が聞こえてくる。

 

中央作戦室

 

タクロー「今回撃退したデザリアムの輸送船団だけど。こちらの意図と意思表示は伝わったとは思うが、無論あれだけで諦める様な相手じゃないよね。」

アイク「そうだねタクロー。懲りずにここをまた通るか、あるいは大きく迂回してでも地球への物資輸送を強行するだろうが、そうはさせる気はないんだろう❓」

タクロー「もちのロンダルキアの悪魔たちよ、我が新生BBB戦隊と第440艦隊の面々を持って全力で容赦なく阻止してやるさ。

まず手始めにこの基地周辺に機雷をばら撒いてまたここを通ろうするのを封じる。次にここの氷塊にカメラや砲台、氷塊を模したダミーバルーンを配置して要塞化したり...」

 

今後ともさらに来るであろうデザリアム輸送船団に対しありとあらゆる手段を持って参謀達と話し合うタクローに「すごい、あんなに作戦をポンポンと」と正直に驚くミホノラはレベルの違いを認識している。

 

エレン「ッ⁉️何者ですッ❗️」ヒュッンッ!

ドスッ!

ミホノラ「ひぃッ‼️⁉️」

エレン「ッ❗️ミホ、貴女でしたか。」

ミホノラ「いきなり投げナイフをしないでください先輩❗️」

 

聞き耳を立てていたミホノラを不審な輩だと誤解したエレンはつい太ももに隠している投げナイフ用のナイフを投げてしまった。幸い壁に刺さったのでミホノラは怪我をしていない(※ただしめっさ近くに刺さった)。

 

アイク「おやおや、もう少しズレてたら君の可愛い後輩が串刺しになったところだったねエレン❓」

エレン「不覚でした。申し訳ありませんミホ。」

ミホノラ「い、いえ。こちらこそ盗み聞きするつもりはなかったのですが...。」

タクロー「もしかして大尉殿は作戦会議に参加したいのかな❓」

ミホノラ「え❓あ、あの私は... ...私の立場ではここには立ち入れませんし艦長の艦隊の方針に口を挟む権利はありません。しかしやはりその、気になってしまって。すみません、出過ぎてるってことくらい(汗)」

エレン「ミホ...。」

アイク「タクロー❓」

タクロー「そうだね。良いよ大尉。丁度今からどう防衛計画しようか検討するとこがあるんだけど、君ならどうするかやってみてほしい。頼めるかな❓」

ミホノラ「え⁉️」

アイク「良いんじゃないか、なぁエレン❓」

エレン「えぇ、ミホは作戦立案の面でも才能があると私も思います。さぁミホ。」

 

戸惑いながらもミホノラは部屋の中央へと歩みを進める。「自分が気になるって突っ込んだんだ。こうなったらやるしかない❗️」と気持ちを切り替え顔をキリッとピシッとさせてホログラムで表示される宙域図を見やる。「やるぞ❗️」という顔になったのを見て微笑む3人。この後4人で意見をそれぞれ出し合い防衛及び通商破壊作戦はさらに煮詰まっていった。




というわけで新生BBB戦隊の海賊業最初の1日目でした。タクローが牧師さんの格好して乗員達の悩みを聞くシーンはドラマ「ザ・ラストシップ」シーズン1第2話のオマージュです。新生BBB戦隊は最新式の兵器(の試作品)を優先的に与えられたりと割と優遇されていますが、一部の人材に関しては不足や未配属がいたりで兼任しなければならない人事が多いです。タクローの場合はたぶんそれもありますが、単に暇だったからというのもあるでしょうw.
またまた新たなキャラクターの登場や新要素と新単語と新艦艇がポンポン出てきてますが、それはまた紹介と模型でやります。
ミホノラが2年でそれなりに新生BBB戦隊に馴染んできてますよね。この「デザリアム戦役編」は彼女の成長の話の要素も含んでいます。一応彼女は土門達38期生と同期(ただし訓練を受けていた学校は違う)で映してはいませんが、きっと土門達もヤマトにこんな風に慣れてるんじゃないでしょうか❓
さて気になっていた対デザリアム戦の作戦会議に参加できるようになったミホノラですが、タクロー達とどんな作戦を思いついたのでしょうか❓次回のお楽しみです。ではまた。


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第11話「我、貴艦隊に希望を託す❗️」

前回「第1回海賊大会」が成功し、幸先の良いスタートとなりました。ですがまだ序の口でこれからもっと増えると事を予見し更なる罠を張ってデザリアムに嫌がらせする様です。さてさてどんないやらしい罠を仕掛けたのでしょう❓ではご覧ください↓


地球圏の最辺境に位置する第11番惑星外縁の「オールトの雲」に逃げ延び、デザリアムへの徹底交戦の為この宙域を通るデザリアム輸送船団に対し海賊行為的に通商破壊戦を行うことを決めたタクロー達。とりあえず第一回目は特殊戦術を多用した包囲戦にて見事勝利を納めた。

その後タクローは参謀と途中参加したミホノラと共に「オールトの雲」を某クリスマスに一人で留守番し泥棒退治するコメディ映画に由来する「ホーム・メニー作戦」を実施する拷問宙域へと変えるべくありとあらゆる策を講じ配置し待ち伏せた。

 

宙域中央部

 

新生BBB戦隊【第3早期警戒分隊】

パトロール艦≪ペネムエル≫&ホワイトパイカー級無人電子哨戒駆逐艦≪ウエイターズ≫のペア

 

≪ペネムエル≫艦橋

ピピッ!ピョピョッ!(レーダーの電子音)

 

レーダー手「デザリアム艦隊、宙域中央の機雷群に触雷。効果アリ。」

艦長「引っかかったな。偵察か掃宙(掃海の宇宙版)に来たんだろうが、簡単にはいかんぞ。」

 

デザリアム艦の動きを監視しているのはパトロール艦≪ペネムエル≫と無人化されたホワイトパイカー級(ククルカン級鹵獲改装艦正式採用型)のレーダー・ピケット艦仕様≪ウエイターズ≫の二隻で編成された【第3早期警戒分隊】(臨時編成)だ。デザリアム艦が敷設した空間機雷に触雷したのを確認する。混乱しているようでどうやらこれ以上侵攻はしてこないようだ。

 

≪ペネムエル≫通信員「艦長、【第8早期警戒分隊】(パトロール艦≪プルート≫&ホワイトランサー級無人電子哨戒巡洋艦(ラスコー級鹵獲改装艦正式採用型無人艦仕様)≪ファラリカ≫)より入電、「交代されたし」。」

艦長「了解と伝えろ。よし戻って我々と艦は飯(メシ)だ。」

 

脅威は迫ってこないことと交代を確認し≪ペネムエル≫は僚艦≪ウエイターズ≫と共に後方に艦を進めた。

 

「オールトの雲」無人補給基地 近傍宙域

 

新生BBB戦隊旗艦

≪デア・エクス・マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

クロンナウア「敵さん触雷しました。また一隻仕留めましたよ❗️あぁそれと第3、第8と警戒任務代わります。」

 

新生BBB戦隊旗艦≪マキナ改≫のCDCでは、「オールトの雲」の広大な宙域マップに多く点在する【早期警戒分隊(Early Warning Squad:EWS】の動きを艦長タクロー達艦橋クルーが目で追っていた。

 

ピピッ!(電子音)

栗梶「【第13EWS】が警戒宙域に中規模のデザリアム輸送船団の侵入を捕捉、氷塊砲台がこれを迎撃中。付近にいる【ツェルベルス戦隊】が迎撃に向かっています。」

 

ピピッ!(電子音)

クロンナウア「【第7EWS】デザリアムの空母を含む中規模機動部隊のブービートラップの接触を確認。近辺の第440艦隊と新生BBB戦隊の一部に機動防御戦を依頼。対処開始です❗️」

 

タクロー「いいねいいね〜上手いことハマってるよミッホ大尉❓」

ミホノラ「は、はい❗️その様ですね❗️」

 

「オールトの雲」の宙域のありとあらゆる所に配置した砲台やダミー、ブービートラップの数々、そしてそれと共に待ち伏せて監視する臨時編成のEWS(早期警戒分隊)。この分隊は有人と無人のレーダー・ピケット艦それぞれ1隻ずつの計2隻で編成され「有人の監視」と「無人の監視」のそれぞれの長所と短所を組み合わせて欠点を減らした即席の監視部隊であり、ミホノラの無人艦操作による経験と知識により出た提案だ。無人ピケット艦の管制は本艦≪マキナ改≫と一部を新生BBB戦隊第二群旗艦≪ネメシス≫が請け負っている。それぞれ警戒する宙域はバラバラで離れていても強化された無人艦管制システムには余裕だ。

 

タクロー「このまま監視と迎撃を続行。戦闘を行った艦は各々最寄りのキュア・ポイント(補給・整備艦隊が待機するエリア)に移動せよ。」

 

では反応があったそれぞれの宙域の様子を見てみよう。パトロール艦≪パトローナス≫と磯風改型無人戦闘艦/早期警戒仕様≪リリンⅡ≫の【第13早期警戒分隊】は氷塊に設置した砲台(退役または改三型改装時に下ろされた36センチ三連装陽電子衝撃砲や同様の理由で下された村雨改型の20センチ連装陽電子衝撃砲の流用)からの攻撃に混乱するデザリアム輸送船団の様子を観測していた。見たところ護衛艦の中にはデータにない新型艦も混じっているようだ。

 

デザリアム輸送船団 旗艦 

プレアデス級艦隊指揮型戦艦

艦橋 

 

レーダー手「ヒアデス級≪モラデス≫、≪グアデス≫轟沈、ケラエノ級(ヒアデス級と同型の船体を持つ姉妹艦。ヒアデス級に比べミサイルや魚雷の装備が多い駆逐艦)≪ワリエノ≫、≪モラリノ≫大破。」

オペレーター「反撃しますか❓」

艦長「ダメだ❗️不用意に攻撃すれば電子機器が混乱する❗️」

 

艦長の言う通り、いくら攻撃が鬱陶しいからと言って不用意に反撃して砲台を破壊しようとすれば氷塊ごと破壊してしまい氷塊内にある金属粒子が拡散してレーダー等の電子機器に悪影響を与えるのが分かっているからだ。「接近する反応アリ、増援のもよう」との報告がレーダー手から挙がる。村雨改ニ型≪ドイッチュラント≫を旗艦とし≪アドミラル・シュペー≫、≪アドミラル・シェーア≫で編成された【※ツェルベルス戦隊】(※「ケルベロス」を意味するドイツ語)がデザリアム輸送船団に飛びつき血に飢えた猛獣の如く襲い掛かる。なす術がないデザリアム輸送船団はプレアデス級輸送型戦艦と護衛の艦艇数隻の損失を受け撤退した。またもや輸送船団を撃退することに成功したようだ。

 

一方【第7早期警戒分隊】の方はこちらも初めて観測されたデザリアム空母を中心とする機動部隊を探知した。クラスD早期警戒艦≪スティール・レイン≫(第440艦隊所属)と村雨改型早期警戒管制艦/無人艦仕様≪マルティマⅢ≫がデザリアム機動部隊のマイア級主力航宙母艦(新たに確認)を中心に護衛のプレアデス級、ヒアデス級、そして空母と同じくこちらも新型の巡洋艦型タイゲタ級とその情報処理能力向上型のプレイオネ級がガッツリ固められている。2年前の戦闘では確認されていなかった艦種を携えてやってきたデザリアム式空母機動部隊。地球占領での制空権強化の為だろうか、だがそんなことさせやしないという気でいるは我ら新生BBB戦隊と第440艦隊である。氷塊の群れの中を進んでいくデザリアム機動部隊の様子を見ている【第7EWS】の2隻、「そろそろ例のポイントだ」とその例のポイントを通るまで仕掛けないつもりだ。それは氷塊と氷塊を結ぶありとあらゆる所に赤外線センサーが配置されており、先頭にいたヒアデス級の一隻がそれに引っ掛かり氷塊に隠してあった波動防壁ビットが一直線に波動エネルギーの線を結びヒアデス級の艦橋をスパッと首チョンパする。慌てた後続艦が回避運動を取ろうとするもまたセンサーに引っ掛かり今度は氷塊に仕掛けられた対艦ミサイル発射機の攻撃を受ける。またある艦はガトランティスの人型無人機動兵器<ニードル・スレイブ>の出す赤いニードルが弾頭にたっぷり詰められたミサイルが手前で炸裂し何隻かが針串刺しの刑になる。またまたある艦は網目状に結ばれた波動防壁ビットによってサイコロステーキとなった。下手に動きが取れなくなった所を第440艦隊と新生BBB戦隊の有人/無人艦が群がってきた。クラスD丙型≪いわたに≫、≪スコール≫、同汎用護衛戦闘艦type-B(大口径連装砲搭載型)≪ヘイズル≫、金剛改三型≪マッケンゼン≫、≪ヨルク≫、同改無人艦型≪キルケーⅠ≫、磯風型改二型突撃駆逐艦≪レイヴン≫、同改型無人戦闘艦型≪マリスボラスⅠ≫、≪同Ⅱ≫、≪同Ⅲ≫がショックカノンとミサイルと魚雷をシャワーの如く無数に浴びせる。空母は航空機を発艦することも護衛艦は迎撃機の姿勢を見せる暇も与えられず一方的に次々と一方的に撃破されていった。

 

新生BBB戦隊

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

クロンナウア「デザリアム機動部隊、撤退するみたいですよ❗️」

金田「また退けましたね。」

タクロー「うん、航空隊を出すまでもなかったですね。」

ミホノラ「す、スゴいです...「宙域の特徴を上手く使いトラップを多用しての機動防御戦」完璧です。」

タクロー「「いやいや、こちらに"地の利"がある事とミホ大尉の【EWS:早期警戒分隊】あってこそさ。有人艦ばかりに見張りやらせると疲れるし、かといって無人艦だけにするとそれはそれでね。それを有人/無人のペアにして交代制度にするのは良い戦術だよ。脅威次第で対処可能かどうか人と無人艦では判断が違うだろうからさ。そして戦いは基本的に「攻め側」よりも「守り側」の方が有利だ。ましてや我々は地球連邦防衛軍、「防御は最大の攻撃」を地で行ってなきゃ話にならんよ。その点ではたぶんガミラスさんよりも上手いと思うよウチら。」

 

「これも自分と艦長の経験の差なのだろう」というのを痛感したミホノラだった。もっと戦場となる場所の特徴を掴んでそれを武器にしなければならないのだと学んだ。

後にこれらの戦術は「艦隊早期警戒網展開論法」と「航宙艦隊遊撃戦」の手本としてマニュアル化され防衛軍では必須の講義となるのはまた別の話である。

 

ピピッ!(電子音)

栗梶「ッ❗️艦長、宙域六時の方角にワープアウト反応です‼️」

タクロー「六時❓地球の方向だな。」

 

突如地球の方角からのワープアウト反応を捉えた事を伝える栗梶と応じるタクロー。まず第一に考えられるのはデザリアムの艦だろう。今は地球は奴らの占領下だから当然だろう。が、その予想はどうやら外れた様だと栗梶からの報告で分かる。

 

栗梶「識別反応該当あり、これは友軍です❗️」

タクロー「なに⁉️」

栗梶「これは...≪ヤマト≫です❗️」

タクロー「ッ❗️生き延びてたか、≪ヤマト≫。」

 

それは我らが「地球の英雄」宇宙戦艦ヤマトの反応であった。デザリアムが恐怖し血眼になって探しているあの≪ヤマト≫だ。だが反応はそれだけではなかった。

 

栗梶「ワープアウト、さらに続きます。」

 

レーダーに≪ヤマト≫に続いてワープアウトする反応を伝える栗梶。ワープし終えるとレーダーに識別表記が載る。

 

クロンナウア「アンドロメダ級戦略指揮航宙戦艦 ABBSC-14≪アマクサ≫、クラスD改型軽空母 DCVL-01≪ヒュウガ≫、DCVL-02≪イセ≫、同補給母艦 DAOE-01≪アスカ≫、パスファインダー級パトロール艦 CLRS-54≪ヤハギ≫、CLRS-182≪ミライ≫、エスコート級護衛艦(フォレスター級の波動砲非搭載型)FFS-501≪スズツキ≫、FFS-333≪フユヅキ≫、こりゃビッグパレードだ❗️」

 

艦隊は≪ヤマト≫を含め全9隻の編成だ。ヤマトが旗艦を務める【第65護衛隊】は2年前の2205年に設立され、同年の「サレザー事変」で活躍した後、艦隊編成を大きく見直され【第65護衛機動群】へと再編成された。

当初≪ヤマト≫を含め3隻編成で始まり、旗艦宇宙戦艦≪ヤマト≫、軽空母の≪ヒュウガ≫、補給母艦≪アスカ≫と戦艦と母艦クラス2隻で非常にコンパクトな自己完結型艦隊であったもののイスカンダルへの遠洋航海の中行われた戦闘訓練及び「サレザー事変」内の一連の戦闘で※「護衛の汎用艦の必要性」や「艦隊運用の柔軟性の低さ」「有事の指揮系統移譲への問題」が露呈し事件の後の再編成は急務であった。

(※そもそも戦艦と空母を含む機動部隊に護衛を務める筈の巡洋艦や駆逐艦がいないのは現実的に見ても不自然であり大型主力艦が護衛も伴わずに艦隊運用することは本来なら愚行である。戦艦ならまだしも空母を単艦、あるいは空母のみの編成で作戦行動を取るなど非常識である。例えるなら「VIPがボディガードをつけずに犯罪が横行する無法地帯を歩いている」様なものなのだ。)

「砲戦火力」及び「艦隊指揮能力」、「艦隊航空戦力」向上の為、アンドロメダ級とクラスD改型軽空母をそれぞれ1隻ずつ増やし、レーダー・ピケット担当のパトロール艦2隻、多用途任務担当の護衛艦2隻ずつと非常にバランスの取れた編成で「航宙空母戦闘群」と称されるほどの規模となった。

 

金田「無事だったんですな。それにしてもよくデザリアムに見つからなかったものです。」

タクロー「えぇ(地球を離れてここまで...ただここに来たんじゃないよな、≪ヤマト≫❓)」

 

デザリアムの支配する地球を離れ遠路はるばる≪ヤマト≫が、あの≪ヤマト≫が新たなメンバーを従えてこの地球圏の最果てである「オールトの雲」に来た。ガミラスからも、ガトランティスからも、幾度も地球の危機を救ってきたあのヤマトが、なんの考えもなしにこんな所に来る筈がない。そう思わずにはいられないタクローや≪マキナ改≫クルー。だが、そこからさらに深く考える余地を与えまいとする存在が、今まさに≪ヤマト≫たち「第65護衛機動群」の背後に現れる。

 

栗梶「ワープアウト❗️ヤマト艦隊後方に多数ッ‼️」

≪マキナ改≫クルーたち「ッ⁉️」

 

※♪「ゴルバ、その姿」を流してお読みください

 

≪ヤマト≫らの後方にデザリアムの艦隊が次々とワープアウトしてくる。十中八九≪ヤマト≫を追ったきたのだろう。なんせ「≪ヤマト≫を寄越せつってんだろこの野郎❗️」って言って地球に突撃となりの晩御飯してきたのだから当然だろう。現にワープしてくるなり攻撃を始めるデザリアム艦隊は他の艦のことなど目もくれず≪ヤマト≫ばかりを攻撃している。

 

栗梶「デザリアム艦隊、65機動群に攻撃を開始❗️≪ヤマト≫に攻撃が集中‼️」

タクロー「さすが≪ヤマト≫人気者だな。」

クロンナウア「それだけ≪ヤマト≫のケツ(艦尾)がいいってことでしょうね艦長w.⁉️」

タクロー「かもな。デザリアムにも≪ヤマト≫のおケツの魅力が分かるらしい。」

 

艦尾ジョークに会話の花を咲かせるタクローとクロンナウア。因みにタクローが好きな艦の艦尾はもちろんこの≪マキナ改≫のベースとなったアンドロメダ級だ。

 

ミホノラ「艦長❗️冗談言ってる場合じゃ‼️」

タクロー「もちよミホ助ここまでん❗️近くにいるのはッ⁉️」

 

第65護衛機動群

旗艦:ヤマト型宇宙戦艦 BBY-01≪ヤマト≫

艦橋

艦長:古代 進(こだい すすむ)「くっ...❗️」

船務長/主任レーダー手:西条未来(さいじょう みき)「デザリアム艦隊、ワープアウト後もなお本艦を攻撃中❗️」

戦術長:北野哲也(きたのてつや)「砲雷長❗️さばききれますかッ⁉️」

砲雷長:仁科春夫(にしな はるお)「ムズいな❗️向こうのが数が多いしこっちは防御で手一杯だ‼️」

機関長」山崎 奨(やまざき すすむ)「エネルギーも波動防壁とショックカノンに回すのに手一杯だ❗️僚艦がなんとか反撃してるがいつまで保つか‼️」

 

現状なんとか防げてはいるがいくら≪ヤマト≫でもこの状況はマズい。僚艦も反撃しているし当たれば沈めれるのはイスカンダルでの戦いで承知だが、なんせ背後から撃たれながであるため効果的な反撃できてるとは言い難かった。

しかしそこに思わぬ相手からの救いの手が差し伸べられた。攻撃を受けている≪ヤマト≫の周りを自艦が纏うよりも大きな波動防壁が上から覆ったのだ。

 

古代「こ、これは⁉️≪アスカ≫の❓」

西条「違います❗️これは、波動防壁展開ビットです❗️」

 

それは第440艦隊旗艦 A改級≪ザドキエル≫の波動防壁展開ビットだった。だが救いの手は防御手段の補助だけではない。突如ヤマトの横をビュンッ!と凄まじい勢いで一瞬で駆け抜けた存在がいた。

 

副長/航海長:島 大介(しま だいすけ)「ぐおっ⁉️」

古代「なんだ⁉️」

西条「し、識別目標該当あり❗️これは❗️アンドロメダ級6番艦≪アマテラス≫‼️」

古代「ッ⁉️」

 

それは「漆黒の太陽神」こと≪アマテラス≫であった。≪ヤマト≫達の艦隊のど真ん中を突き抜け≪ヤマト≫を横切り、第65機動群とデザリアム艦隊の中間くらいに位置した。

 

新生BBB戦隊

アンドロメダ改級強襲突撃型戦艦 ABBAS-06≪アマテラス≫

艦橋

 

天伝雷「アッハハハハ❗️ダァァメじゃないですかそんなにぞろぞろと集まって寄ってたかってしては❗️だって私には敵わないんですものッ‼️」

 

艦長と天伝雷がそう言うと≪アマテラス≫が全砲門とミサイル、魚雷各種発射管を全て開き一斉射する。その「百花繚乱」と称しても良い華やかに咲くショックカノンの青い閃光とミサイル/魚雷の弾幕の華が40隻近くのデザリアム艦を葬った。

 

仁科「す、スゲェや...。」

 

ピーンッ!ピーンッ!ププッ!(レーダーの電子音)

 

西条「ッ❗️前方より更なる増援確認❗️」

 

≪アマテラス≫に続き旗艦ゲルバデス級≪リリー・マルレーン≫率いる第二群【志摩戦隊】がヤマト艦隊の救援に馳せ参じた来た。

 

新生BBB戦隊 第二群 【志摩戦隊】

旗艦:戦闘空母≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

志摩「なにしてんだい❗️さっさと砲戦甲板開きな‼️ヤマトに近づけさせんじゃないよ❗️」

オペレーターA「おっしゃ❗️砲戦甲板展開‼️」

 

ゲルバデス級特有の「遮蔽式砲戦甲板」がくるんと回ってワォ❗️して飛行甲板上に現れる。ゲルバデス級の「戦艦」としての面が顔を出した。「どっちつかずの中途半端な失敗艦」と揶揄された本級だったが、「シャンブロウ会戦」での≪ミランガル≫の奮闘振りが伝わった事により現在は再評価されている。単艦でガトランティス艦を複数隻仕留めたという≪ミランガル≫と同じ艦、同じ火力で迫るデザリアム艦を圧倒する≪リリー・マルレーン≫と僚艦の地球式改装のガミラス艦たち。

 

≪ヤマト≫

艦橋

 

古代「黒い...ガミラス艦❓」

通信長:市川 純(いちかわ じゅん)「ッ❗️通信文が届きました❗️第99特殊戦略戦術機動打撃群 旗艦からです‼️r

古代「ッ❗️読んでくれ❗️」

市川「「ヤマト、地球を離れた目的は何か❓」です。」

 

「最もな質問が来た」という感じだった。少し間を置いて古代は「返信」と口を開く。

 

新生BBB戦隊 旗艦≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

栗梶「≪ヤマト≫より返信❗️」

タクロー「読んで。」

栗梶「「我、デザリアム本星の捜索を行うべく航海に就く、現有戦力での地球占領軍の攻略と地球の解放は困難なり」。」

ミホノラ「どういう事でしょう❓それがなぜ敵本星に向かうことに繋がるんです❓」

タクロー「もしかしたら"重核子爆弾"のことかもな。」

ミホノラ「え❓」

タクロー「仮にあの戦力で、まぁ幾らヤマト達でもちょっと無理ゲーかもだけどデザリアムの占領軍を倒したとしても重核子爆弾を起爆されたら人類はオジャンだ。不用意に地球に近づくのは得策じゃない。それに爆弾の起爆スイッチがどうなってるか分からないのもある。」

金田「それはどういう❓」

タクロー「あの爆弾の機能と目的からして起爆・制御装置云々は地球上には置かないと思います。しかし、軌道上にいるゴルバ型浮遊要塞や艦隊から行うのもたぶん違うだろう。」

アイク「なるほど、地上に置けばいるかどうかは分からないが防衛軍の残存地上戦力に、軌道上なら生き残りの防衛軍艦隊にやられるかもしれないからね。」

タクロー「その通り補足ありがとアイク。それならじゃあどこなんだ❓ってなった時、俺達地球人が決して手を出せない場所、いや出せるわけがないと思ってる場所。そうデザリアムの本星にそれはあるんじゃないかという結論に至ったんだろう。」

ミホノラ「そ、そんな遥か彼方から操作を...⁉️」

タクロー「あくまで推測だ。けどデザリアムの電子技術の高さをもってすれば可能かもしれん。ヤマトはその可能性に賭けて敢えて敵本陣に行く道を選んだんだろう。

手邦、例のデータをヤマト以下65護衛隊の全艦に送ってくれないか❓」

手邦「は、"空間歪曲のエコー"の奴ですね。了解です❗️」

 

第65護衛機動群 旗艦≪ヤマト≫

艦橋

 

ピピッ!(電子音)

市川「ッ❗️≪マキナ改≫よりデータ受領❗️」

古代「ッ⁉️」

市川「情報、技術長に回します。」

技術長:新見 薫(にいみ かおる)「いただきました。これは、"空間歪曲のエコー"のデータ⁉️」

古代「なんなんですそれは❓」

 

聞き慣れない単語に疑問を抱く古代に「古代❗️」と声が艦橋に響く。クラスD改型軽空母≪ヒュウガ≫の艦長 真田志郎だ。

 

古代「真田さん、このデータは一体❓」

真田(映像通信)「うん、"空間歪曲のエコー"だな。大きな質量を持つ物体、例えば戦艦などがワープアウトをした際にその進行ベクトル前方に波紋状の空間歪曲のエコーが放出されるんだ。かなり微弱なもので前方からしか観測できない。そしてそのエコー形状はワープの距離によって左右される。

つまりこのデータがあればデザリアムが来た方向だけでなくどれくらいの距離を飛んできたかも分かるという事だ。」

 

ここ「オールトの雲」でゲリラ戦を展開してデザリアムを迎え撃っていた新生BBB戦隊と第440艦隊だからこそ取れた敵の本拠地の所在を掴めるかもしれない貴重なデータだ。

 

古代「分かりました。すぐ解析して次のワープをぐっ...⁉️」

 

そう話している間にも追手のデザリアム艦隊の攻撃と増援のワープアウトが続く。

 

市川「艦長❗️≪マキナ改≫より再び通信❗️「我、貴艦の作戦行動を支援する。敵艦隊は我々が引き受ける、ワープで宙域を離脱されたし、我ら、貴艦隊に希望を託す❗️」」

 

「ここは任せて先に行け❗️」とのカッコいい(けどベタで少しクサい)返信を受けた≪ヤマト≫。艦長の古代は「巻き込んでしまったのに」と相手を任せるのに気後れしている。

 

 

真田「古代❗️ここは彼らの言う通りだ❗️我々は先に進もう❗️」

 

クラスD改型補給母艦 DAOE-01≪アスカ≫

艦長:森雪(映像通信)「私も賛成よ古代艦長❗️任せて進むべきよ‼️」

 

≪ヒュウガ≫艦長の真田と≪アスカ≫艦長の森にそう言われる。急ぎの用だし敵の数も多い、ここで時間をロスする訳にはいかない。分かってはいるが...

 

志摩(音声通信)「なにやってんだい≪ヤマト≫❗️モタついてんじゃないさ早く行きな‼️」

天伝雷(音声通信)「あらあら、迷っちゃって可愛い。でも私達は大丈夫でしてよ❗️主様の言う通り先に行ってくださいまし‼️」

 

援護に来てくれた新生BBB戦隊側からの通信もあり古代はようやく意を決して命令する。

 

古代「これより65護衛隊はデザリアム追撃艦隊を味方に任せワープに入る❗️本艦と≪アマクサ≫が殿(しんがり)を務める。残りの艦は準備が完了した艦から順次ワープに入れ‼️市川、新生BBB戦隊旗艦に返信を❗️」

市川「は、はい❗️」

 

ようやくワープの態勢に入ったヤマト艦隊。「ようやくか」とこちらを信頼してくれたことに安堵したタクロー達新生BBB戦隊側。

 

新生BBB戦隊 旗艦≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

クロンナウア「艦長❗️≪ヤマト≫達がやっと動きましたぜ❗️」

栗梶「≪ヤマト≫より返信❗️「援護感謝する、我ら期待に応えんとす」です。」

タクロー「ふぅ、やっとその気になってくれましたか。」

金田「えぇ、また彼らが地球を救うのでしょうね。」

タクロー「えぇ、さすが"主役"ですよ。それを護るのが我ら"脇役"、これも大役でしょう。」

金田「ふっ、確かに。」

 

副長 金田と言葉を交わした後、多田部は「ヤマト艦隊の航海の無事を祈って、敬礼❗️」と言いCDCと艦橋のクルーはヤマト達の全艦のワープを見守りつつ敬礼を送った。

 

タクロー「よし❗️本艦も戦闘に加わる❗️最大戦そーっく‼️」

鷹乃目「了解❗️最大戦速アイッ‼️」

 

距離を置いた所から一連の状況を見て指揮していた≪マキナ改≫が側に控えていた無人艦複数隻と共に≪アマテラス≫、第440艦隊と【志摩戦隊】の一部が戦う戦列に加わるべく前進する。

デザリアム側も≪ヤマト≫追撃に意固地になってるのか、全く退く気がなかった。それどころか...。

 

第440独立機動防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫

艦橋

 

四糸乃「行かせません❗️あっ...⁉️」

野水「抜かれたよ四糸乃❗️」

 

さすがの敵の数の多さと戦列にいる防壁ビット持ちの艦が少ないこともあって、440艦隊お得意な「波動防御陣」は範囲と効果が薄かった。そこを突かれヒアデス級の一隻に突破を許してしまう。そこをすかさず対処し沈めたのは≪アマテラス≫だった。

 

四糸乃「あ、ありがとうございます。天伝雷...艦長❗️」

野水「ナイスフォロー助かったよぉ〜。」

 

≪アマテラス≫

 

天伝雷「うふふ、"テラス"で良いわよ四糸乃ちゃん、よしのりちゃん。お安い御用よ♪」

 

一方【志摩戦隊】は旗艦 ゲルバデス級≪リリー・マルレーン≫が※アルカディア撃ち(※各砲塔左右に指向及び砲身バラバラ撃ちのこと、詳しくは「銀河鉄道999(劇場版)」を観ると分かりやすい。ガミラスでは同型艦≪ミランガル≫が同様の砲戦を披露したことから「ミランガル撃ち」と呼ばれている。)をお披露目して次々と迫るデザリアム艦を屠っている。が... ...。

 

≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

オペレーターA「≪ニーベルング≫轟沈❗️」

同B「≪ケンプテン≫、≪マックス・シュルツ≫、戦列を離れる❗️」

 

敵の猛攻で僚艦の防衛軍式改装を施されたガミラス艦が次々と撃破されていく。

 

掛川「艦長❗️」

志摩「怯むんじゃないさ❗️落とせない敵じゃない、こっちよりも先に敵の被害を増やせば良い話さね‼️」

 

≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

タクロー「うひぃ❗️敵さんよっぽど≪ヤマト≫が好きらしいや❗️そんなに追っかけたいんかい❗️まるでパパラッチだね‼️」

 

敵の執念深いとも言えるヤマト追撃に感心❓してるかは分からないが軽口を漏らすタクロー。そう言ってる間に≪マキナ改≫の側を守っていた無人艦が被弾し爆発する。直撃だ。

 

エレン「≪スピアヘッドⅡ≫、≪トーキングヘッドⅣ≫、≪パイソンⅢ≫、被弾直撃❗️オフライン❗️≪ツインヘッドⅥ≫、≪ベルグマンⅤ≫、≪ストライク・ウォーリアⅡ≫被弾損傷❗️されど戦闘継続可。ミホ❗️管制制御モード、スイッチ変更‼️」

ミホノラ「了解❗️」

 

新生BBB戦隊ご自慢のハンマーヘッド級とデリンジャー級が敵も沈めると同時に次々と被弾していく。それの対応に追われるミホノラ。以前なら慌てていたが、今では落ち着いて処理できており立派な戦士となったようだ。

 

タクロー「(こんなにもしつこいとはなぁ、、、どうする❓これ以上損害は出せんよな。)」

 

ヤマトらがワープし終えたのにも関わらず予想以上に食い下がるデザリアム追撃艦隊の執念深さ。抑え込めない数じゃないと思って真面目に戦闘したり「流石に諦めるだろう」と思っていたがら今や「あやや(汗)」となっているタクロー。これ以上被害が出すのは得策ではない、なんとか打開の手を打たねばと思考を巡らせていた時だった。ピピッ!とタクローの手元のコンソールになにやら情報が送られてきた。それを見て「これなら打開できるかも❗️」と思い戦闘参加の全艦艇に「一気に片付ける策が来るぞ❗️備えろ‼️」と通告する。

 

タクロー「≪ザドキエル≫❗️四糸乃艦長‼️」

 

四糸乃「は、はい❗️」

 

タクロー「今からすんごい一撃が来る。俺達を丸ごと囲めるデッカい防壁を頼む❗️」

 

四糸乃「え❓あの、は、はい‼️頑張り...ます‼️」

 

タクローの言う「すんごい一撃」を放つ艦は「ワープ・ブースター法」を使って両舷にブースター役艦を引っ提げてワープアウトしてきた。

 

新生BBB戦隊 第二群 旗艦≪ネメシス≫

艦橋

 

冬月「【三連装クラスター波動砲】、拡散モード。発射用意❗️」

戦術長兼砲術長「艦長❗️射線上に味方がいますが‼️」

冬月「構わん❗️司令には話してある❗️「対応可能だド派手にやってくれ❗️」とな❗️」

 

≪ネメシス≫の波動砲の砲門が開き、青く眩しい閃光が顔を覗かせる。しかもそれはアンドロメダ級特有の二門ではない。そう≪ネメシス≫にはもう一門、計三門の波動砲が装備されている特異なアンドロメダなのだ。

 

冬月「拡散波動砲❗️発射ァッ‼️」

 

艦長の冬月号令の下、青き三つの閃光が放たれる。それは敵にとって死と破滅を意味する一撃だった。三本の光の筋が敵に向かって一直線に進み敵の手前で炸裂、拡散した。拡散波動砲なのだから当然なのだが、違うのはその威力と範囲だ。たった一門増えただけなのだがその加害範囲は約1.5倍に増えただけなのだが、凄まじい破壊力を誇りデザリアム艦隊を全て飲み込み消滅させてみせた。

 

レーダー手「艦長、僚艦は...❓」

 

≪ネメシス≫レーダー手の心配する通り、その射線上にはさっきまで奮戦していた新生BBB戦隊旗艦≪マキナ改≫等や第440艦隊の面々もいた筈だった。しかし艦長の冬月は「案ずるな」と言わんばかりに心配する顔も素振りも部下には見せていなかった。なぜならば、彼らがどうなったかの答え合わせが眼前にあるからだった。

第440艦隊旗艦≪ザドキエル≫他クラスD丙型の持つ波動防壁展開ビットを四方八方に展開してそれを線と線を繋ぎ合わせ面にしてバリアを形成し自身だけでなく≪マキナ改≫以下の新生BBB戦隊の面々を守っていたのだ。

 

新生BBB戦隊旗艦≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

タクロー「ふぃ〜危なかった〜。自分の提案とはいえやっぱり賭け事は性に合わないな(汗)」

金田「確かに、艦長にしては今日は一段と大胆でしたな。」

第440艦隊旗艦≪ザドキエル≫

艦橋

 

四糸乃「あ、あの...皆さん、無事...ですか❓」

 

新生BBB戦隊 第二群【志摩戦隊】

≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

志摩「≪リリー・マルレーン≫無事だよ。やるじゃないさね。」

 

同戦隊≪アマテラス≫

艦橋

 

天伝雷「私も大丈夫よ。うふふ、助かったわ四糸乃ちゃん。」

 

四糸乃「は、はい。お役に立てて嬉しい、です。」(超絶スマイル)

 

天伝雷「(やぁぁぁ〜ん、カワイイぃ〜〜〜❗️)」

 

タクロー「こちらは全艦無事ですよ。ありがとうございます冬月艦長。」

 

冬月「いえいえ、無事で何よりですよ。三連装波動砲へのエネルギー供給がコア一基なので出力は予定値に満たない78%でしたから撃ち漏らしが出てしまうかどうかは少し不安はありましたがね。」

 

タクロー「それでも十分な破壊力でしたよ。お陰で助かりました。よし戦闘配置から警戒態勢に移行。損傷艦は我に続き基地に帰投する❗️」

 

まだ敵が襲来してくる可能性を考慮しそうタクローが言うと、艦隊は陣形を組み直してそれぞれの持ち場等に舵を切った。

 

地球圏外縁部 「オールトの雲」より手前の宙域

 

デザリアム 地球攻略特別編成派遣軍 第Ⅱ特務艦隊

旗艦:プレアデス改級攻勢型戦艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「ワープした味方艦隊からの連絡途絶。」

オペレーターB「途絶前に我が方に電文の送信あり、「≪ヤマト≫及びその麾下艦隊、ワープアウトし宙域を離脱」です。」

 

ミヨーズ(≪グレート・ガリアデス≫艦長兼第Ⅱ特務艦隊司令)「そうか、仲間の手を借りて見事このミヨーズの艦隊から逃げおおせてみせたか...ふふふふふ...≪ヤマト≫か、さすがメルダーズ閣下とデーダー司令を破った艦だけの事はある。噂通りやりおるわ。

まぁこの程度の事を容易く乗り切れなければこのミヨーズの相手は務まらんわ。」

 

デザリアム 第Ⅱ特務艦隊司令のミヨーズは部下からの報告を冷静に聞き感想を口にする。話からしてミヨーズという男はどうやら≪ヤマト≫とその艦隊を敵としてそれなりか或いは高く評価している節がある。

 

オペレーターA「あの...司令...❓」

ミヨーズ「なんだ❓いちいち命令されなければ次の行動の判断がつけれない様な鍛え方をしたつもりはないが❓」

オペレーターA「い、いえ...それはもちろん...。」

ミヨーズ「ふん、≪ヤマト≫をこのまま行かせて良かったのか❓と聞きたいのだろう❓案ずるな、≪ヤマト≫とその艦隊がどこへ向かうかは針路を見るからして察しが付いている。大きく迂回するハメになるが、先回りして網を張れば良い事だ。貴様が気にすることではない。」

オペレーターA「申し訳ございません。」

オペレーターC「司令、万が一の可能性の話でありますが...仮に≪ヤマト≫が我々の罠を掻い潜り、このまま我らが母星へと向かう針路を進み続けたとすれば、ここより20万光年先には我らの中間補給基地がございます。

基地に打電し援軍を派遣するよう進言してはいかがかと。」

ミヨーズ「ほぉ、中々面白い提案をするではないか。貴様は我が艦隊がヤマトとその艦隊に負ける思っているほど自信がないというのか❓」

オペレーターC「そ、そんなことは...❗️決して...❗️」

ミヨーズ「ふっ、まぁいい今の発言は不問に付してやる。中間基地か、司令官は確かグノンの奴だったな...。」

 

ミヨーズは瞼(まぶた)を閉じて沈黙し思考を巡らせる。

 

ミヨーズ「連絡は不要だ。基地の事は放っておけ。手出し無用だ。」

副長兼副司令「しかし艦長...。」

ミヨーズ「副司令、良いかよく聞け。ヤマトは...私の獲物なのだ...分かったな❓(静かな威圧)」

副長兼副司令「は、はい。了解致しました...(汗)。」

ミヨーズ「何をやっている。命令は聞こえただろう❗️さっさと動け‼️」

部下達「は、はい‼️」

ミヨーズ「全くいつまで経っても使えん部下どもだ。」

 

その後デザリアム 地球派遣軍 第Ⅱ特務艦隊はミヨーズの指揮の下、現宙域を静かにゆっくりと離れていった。




呼んでくださってる方お久しぶりです。そしてお待たせ致しました。いや〜筆が進まなかった訳じゃないんですが、遅くなってしまって申し訳ないですはい(汗)
今回は前回よりもさらに用意周到にありとあらゆる罠を仕掛けてデザリアムを待ち伏せてます。新生BBB戦隊と第440艦隊はまたもや見事な連携を見せましたね。作戦会議に参加し自身の戦術の正しさを証明し、それでもまだタクローには遠く及ばないと感じてます。デザリアム側も艦隊数を増やしたり新型艦(ゲーム版から引用、艦級名はプレアデス星団の星から)を投入したりでなんとしてでも物資の輸送や艦隊戦力の強化を行うとしてますが、悉く阻止されてしまいましたね。これが後からジワジワと地球侵攻軍に効いてくると思いますw.
さてさてヤマト達が来ましたね。「2205」から2年後が舞台らしい「3199」。まだまだ全然情報がない中での勝手な妄想をしています。「イスカンダルへの遠洋航海」の中で劇中ではあまり明言や描写がありませんでしたが、「運用面においては色々問題があったのではないか❓」と思い艦隊編成を大きく変えました。ついでに「もう"護衛隊"という名称も相応しくない」と思いこれも勝手に変えさせていただきましたのでご了承くださいますようお願いします(汗)。
ヤマト達の意図を知りそれに協力する形でデザリアムとの戦闘に割って入った新生BBB戦隊と第440艦隊。多少の損害を受けながらもなんとか敵の撃退に成功しました。これが後々響いてこないか心配ですね。
さてさて最後の最後でゲーム版オリジナルキャラであるミヨーズとその艦隊が登場しましたね。原作ゲーム版と同じくヤマトを追っかけてるようです。ミヨーズは原作だと「普段部下には"使えん部下"とか言ってめちゃんこ厳しい」ですが、知ってる人は「それは部下思いの裏返しだった」というのを知ってるのでそれを少しばかり出してマイルドな感じにしました。
さてさて色んな要素を性懲りも無くまたまた出しまくった回となりましたが、いかがでしたでしょうか❓次話は更なるビックゲスト達が登場しますのでお楽しみに。ではまた。


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第12話「激闘❗️「シリウス宙域会戦」前編」

前回、ヤマト艦隊のデザリアム本星への遠征を援護した新生BBB戦隊。地球最後の希望たるヤマト達を敵の追ってから守り切る事に成功したところで終わりました。ヤマト達に本丸を討つ事を託し新生BBB戦隊は自身のやれる事をするため通商破壊を続けています。今回もヤマトに次ぐファンが喜ぶ新たなゲストがご登場します。ではどうぞ↓


地球

デザリアム地球侵攻派遣軍司令部(旧地球連邦防衛軍司令本部ビル)

 

(映像通信)

???「して、地球の完全なる占領は未だなし得てないと❓」

 

カザン「は、はい。未だ防衛軍の生き残り連中が<パルチザン>を組織し抵抗を続けております。」

 

新生BBB戦隊と第440艦隊が海賊的通商破壊作戦をしたり≪ヤマト≫率いる「第65護衛機動群」を手助けし道を切り拓いていた頃、地球ではデザリアムの地球占領軍が防衛軍の残党を中心に組織された抵抗組織<パルチザン>に対し苦戦を強いられていた。

 

カザン「敵は予想外にも纏った組織を形成しており、地形を利用したゲリラ戦を各地で展開しています。」

 

(映像通信)

???「ならば圧倒的戦力を動員し揉み潰せばよかろう❓」

 

カザン「は、しかし奴らは頑強な抵抗を見せておりまして...更に予定されていた補給物資の70%近くが届かずにおり、補給と整備が追いつかず疲弊しているのが現状です。」

 

ここに来て新生BBB戦隊と第440艦隊の通商破壊戦の効果が現れている。地の利は地球人側にあるため地形を利用したゲリラ戦によりただでさえ慣れないよその星での戦いは彼らデザリアム軍兵士にも苦しいようだった。殲滅多脚戦車やさらに大型の殲滅制圧多脚戦車も対策が立てられつつあり損害も増えている。しかし人員の補充も兵器の整備、補給も通商破壊によって予定数が届いていないせいで戦力の立て直しが困難になっている。

 

(映像通信)

???「その件については報告は受けている。かなり厄介な"ノイズ"だそうだな。こちらで対応する。お前は引き続き地球の制圧に全力を尽くせ。」

 

カザン「はっ❗️」

 

そう言うと???は通信を切りまた通信を切り替えスイッチを押す。

 

???「XXⅣ師団のルーギラを呼び出してください。」

 

数分後...

 

(映像通信)

ルーギラ(第XXⅣ師団 師団長)「お呼びですか❓」

 

???「我らデザリアムの地球侵攻の戯曲にノイズを混じらせる者達がいるのは知っているな❓」

 

(映像通信)

ルーギラ「はっ、2年前我々が遭遇した例の【髑髏艦隊】ですね。」

 

???「そやつらの"除去"を命じる。できるなルーギラ❓」

 

(映像通信)

ルーギラ「は❗️直ちに向かいます閣下。」

 

そう言い通信を終えるルーギラに違うところから映像通信が入る。

 

(映像通信)

クーギラ「通信なんだったのお姉ちゃん❓」

 

ルーギラ「今は作戦中だ副師団長。それと"師団長"もしくは"姉上"と呼びなさい。」

 

(映像通信)

クーギラ「はぁ〜い。でぇでぇ何よ何よ本星の聖総統からだったんでしょ❓」

 

ルーギラ「我らの地球占領の調律を乱す者共の討伐を命じられたのだ。覚えているか❓2年前に遭遇した...」

 

(映像通信)

クーギラ「あぁ〜あの私達と同じ黒くて髑髏マークの付いた艦隊でしょ❓あれからどーなったのかな〜❓って思ってたけど、やっと会えるんだね。楽しみぃ〜♪」

 

ルーギラ「遊びに行くのではないぞ妹よ❗️"例の装置"の曳航準備をしろ。ファグリフォの部隊も呼べ。」

 

(映像通信)

クーギラ「ファグリフォお姉さんのXXⅨ狙撃大隊も❓あの装置を持ってくなら分かるけどそこまでやるの〜❓」

 

ルーギラ「師団の一部とはいえ我々を破った相手だ。用心に越した事はない。直ちにかかれ。」

 

(映像通信)

クーギラ「はぁ〜い♪≪グレート・エルクーギラ≫❗️」

 

ルーギラ「≪グレート・エルギーラ≫❗️」

 

ルーギラ/クーギラ「前進せよッ‼️」

 

地球 某海域 海中

金剛型宇宙戦艦 BBS-555≪キリシマ≫

艦橋

 

藤堂平九郎「どうか❓」

通信員「はい、各国各地域で同胞達が抵抗運動を続けています。敵は補給が充分ではなく満足な対応ができずにいるとのこと。」

芹沢「敵が弱体化していると❓どういうことでしょう長官。」

 

一方、地球のどこぞの海域の海中では現在では退役し記念艦となった【国連宇宙海軍最期の生き残り】こと金剛型宇宙戦艦≪キリシマ≫が潜航していた。なんとかしてデザリアムの捕虜から脱した藤堂長官は芹沢副司令ら複数人と共に<パルチザン>に合流しその海中司令船となった≪キリシマ≫に拾われ今に至り指揮を執っている。

デザリアムは【波動機関】には敏感であり反撃もしくは停泊していた波動機関搭載艦艇は片っ端から破壊していったが、旧来の【核融合推進機関】搭載の≪キリシマ≫は眼中にはなくそのまま放置されていたのを司令船として再び機関に火が灯されたのだ。全くのノーマークかつまさか<パルチザン>の司令部が海中にいるなんてデザリアム側は思いもしていないだろう。

 

藤堂平九郎「生き延びて抵抗を続けているのは我々だけではないということだ。」

芹沢「❗️」

藤堂平九郎「そういえば先程収容した負傷者達はどうなっている❓」

専任兵曹「は、既に医療区画に。」

 

藤堂長官は艦橋での指揮を芹沢に任せて席を外し医療区画へと足を運んだ。いくつものベッドに横たわる負傷者たち。既に手当が済んだ者、手当を待っている者、既に息を引き取った者、様々だった。

 

加藤 真琴(かとう まこと)【元ヤマト衛生科員】「あ、長官(敬礼)。」

藤堂平九郎「あぁ、はら...いや加藤君。ご苦労、敬礼は結構だよ。」

真琴「あ、すみませんつい軍にいた時の癖が...(汗)。」

藤堂平九郎「いやいや構わんよ。それよりすまないな。既に軍を退いてる身であるのに。」

真琴「いえいえ、それは私だけではないですから❗️私も含めて民間人も混ざってますから言いっこはなしだと思います。それに衛生士の私がこういう場面で役に立ちませんと。」

藤堂平九郎「そうか、ありがとう。」

 

元ヤマト乗組員で「ガトランティス戦役」で戦死した夫の加藤三郎の妻、加藤 真琴(旧姓:原田)も息子の翼と共にこの≪キリシマ≫に収容され医療スタッフとして働いている。既に軍を退いて8年になるも、衛生士としての腕は衰えていない。息子の翼もまだ7歳ながらも命のやり取りを行う母を時折手伝っている。

 

真琴「あの、もうすぐ処置が済むのでこのあと私ここを空けてよろしいですか❓翼の所に行ってあげたくて。次郎(島大介の弟)君やミリィちゃんら他の子達とも遊んでますが...。」

藤堂平九郎「あ、あぁ行ってあげたまえ。子供には母親がついていなければな。」

真琴「ありがとうございます。」

藤堂平九郎「(我々と同じ様に宇宙でも戦ってる者達がいる。なんとしてでも彼らと接触し、反抗作戦の足並みを揃えれるようにしたいものだな...。)」

 

自身がデザリアムに言い放った事を行動で示す者達が地球上だけでなく宇宙にもいる。それに希望を見出して天を見上げた。

 

一方その頃、第11番惑星外縁「オールトの雲」で通商破壊を続ける新生BBB戦隊と第440艦隊は今日も今日とてデザリアムに対し嫌がらせを繰り返していた。

 

新生BBB戦隊旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

クロンナウア「艦長❗️またやりましたぜ❗️これで通算63回の【デザリアム】艦隊の撃退ですよ‼️」

タクロー「うん、お見事でした。伝えてください。」

金田「彼女ら(四糸乃艦長の第440艦隊)もだいぶ慣れてきましたな。」

タクロー「えぇ、もう心配いらないくらいに成長しました。エレン、ミホッホ、無人艦の損害は❓」

エレン「0...ですよ。」

ミホノラ「艦長、酷使し過ぎなのか反応が遅れる艦が出てきました。」

タクロー「そっか〜、まぁ長く作ってるし連戦続きだしね。そろそろ"共食い(整備)"行きかな〜。作戦行動に支障は❓」

エレン、ミホノラ「まだ出ないと思います。」

タクロー「アイク❓」

アイク「ここに来た時よりは物資は減り、損害も積もりつつあるが微小だ。まだやれるさ。」

タクロー「(ここに留まってそれなりに時間が経ったな...。確認しようがないが俺達の行動の効果は現れてきてんだろうけど流石に消耗してきたな〜。地球圏内縁に偵察を出してるが未だ勢力的には向かうのが多い。まだまだ崩さないとダメなのか❓いやでもこのまま行くと...。)」

 

タクローは微々たるものの表面化してきた戦闘による消耗と補給の問題を「出てきたか、なんとかしなければ」と思考を巡らせていた時だった...。

 

ピピッ!(レーダーの電子音)

 

クロンナウア「おっ⁉️艦長、ワープアウト反応でっせ❗️」

タクロー「またデザさんでして❓」

クロンナウア「いえ❗️このパラメーターは防衛軍のコードですよ‼️」

タクロー「おっととまさかのお仲間か...。」

 

ハヴォック級航宙駆逐艦 DDS-467≪はれかぜ≫

艦橋

 

≪はれかぜ≫艦長:岬しいな「こちら第7艦隊【ギャラクシー・エクスペディション】所属 航宙駆逐艦≪はれかぜ≫艦長 岬です❗️救援を呼ぶよう言われて来ました❗️艦隊が危ないんです❗️助けてください‼️」

 

タクロー「第7艦隊...といえば副長❓」

金田「えぇ、≪シュンラン≫を旗艦とする今年に創設されたばかりの遠征打撃艦隊です。≪シュンラン≫竣工直後に編成され、新型波動エンジンのテスト兼長期遠征航海に出たと記憶しています。」

タクロー「そういやあの式典派手でしたよね。≪アルデバラン≫他3隻が竣工した時のと同じくらいに。ってそんなことは置いといてこっちに接舷するよう言ってちょうだい。」

 

しばらくして...

 

≪マキナ改≫中央作戦室

タクロー「で、シリウス宙域を航海中に突如デザさんの攻撃を受けたんだね岬艦長❓」

岬「は、はい。」

 

≪マキナ改≫に接舷した≪はれかぜ≫は艦の応急処置と乗員の手当を受けた。岬艦長は中央作戦室に呼ばれ事情聴取を受けている。

 

岬「敵の攻撃と通信妨害によって連絡手段を断たれてしまって、救援を呼ぶ為にワープをしろと言われてここまできました。」

タクロー「なるほどね、でこれが敵さんの戦力ですか...。」

アイク「うん。観測結果が不完全ではあるが、空母を中心とした機動部隊であることは間違いないようだね。」

 

中央作戦室の立体ホログラフに宙域マップとデザリアム艦隊のデータが映し出される。大規模な機動部隊のようだ。

 

タクロー「... ... ...。」

アイク「艦長。こちらが消耗してることは...。」

タクロー「分かってる。でも防衛軍のモットーは...」

アイク「「目の前で溺れている人間を見捨てない」忘れてはいないさ、そう言ってくれると思ったよ。」

タクロー「よろしいよ。アイク、直ぐに救助作戦の立案を。」

アイク「直ちにやろう。」

タクロー「副長、動かせるのと留まらせる艦のリストアップを。そして440艦隊にも協力の要請を。」

金田「了解。」

タクロー「岬艦長。君達≪はれかぜ≫のが状況に詳しい。また戦場に戻ることになるが、構わないか❓」

岬「はい❗️」

タクロー「良い返事です。我が新生BBB戦隊は第7艦隊救助作戦を開始する❗️」

 

大犬座a星・シリウス宙域 アステロイド帯

 

地球連邦防衛軍 第7艦隊【ギャラクシー・エクスペディション】

総旗艦:アンドロメダ改II級超弩級戦略指揮航宙戦艦 ABBSC-777≪シュンラン≫

艦橋

 

オペレーターA「主力戦艦≪ネヴァダ≫戦列を離れる❗️」

同B「駆逐艦≪ズールー≫戦線離脱❗️」

 

第7艦隊旗艦≪シュンラン≫の艦橋内で次々と挙がってくる損害報告。艦長をはじめクルー達に焦りの顔が嫌でも浮かぶ。

 

副長「艦長❗️」

山南 修(やまなみ おさむ):第7艦隊司令兼≪シュンラン≫艦長「くぅ...運がないな。こんなところで敵に出くわすとは...。」

第7艦隊司令兼総旗艦≪シュンラン≫艦長である山南は苦渋の表情を浮かべる。≪シュンラン≫の処女及び試験運用航海も兼ねる本遠征は「次世代型艦艇編成艦隊のテスト」並びに「防衛軍の外宙域活動領域の拡大」を目指した極めて重要な任務であるが、2年前に行われたヤマト艦隊の「イスカンダルへの表敬訪問」(「サレザー事変」により中止となった)の様にお偉方を乗艦させてない為に少し気が楽な任務の筈だったのだが、よりにもよって2年前にヤマト達がドンパチした相手とこんな形で山南たちは初対面してしまったのだ。

 

山南「(しかし妙だな...向こうのが数では勝ってる筈なのになぜ本格的に攻めてこない❓まるで何かを待っている様な...❓)」

 

山南はデザリアム側の動きを不思議に感じるも攻撃を受け続けている今、深く考えてる暇はなかった。

山南の言う通りデザリアムは第7艦隊とは距離を置き不動の姿勢で砲撃を続けていた。

 

デザリアム【第XXⅣ師団】

プレアデス改級攻勢型戦艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ(第XXⅣ師団師団長兼≪グレート・エルギーラ≫艦長)「無理に沈めようとするな❗️手負わせるだけでいい‼️」

オペレーターA「数ではこちらが有利です。一気に仕留めてしまえばいいのでは❓」

ルーギラ「無知が❗️我らの目的は眼前の敵ではない❗️忘れるな❗️奴らは餌に過ぎん❗️2年前に我らに屈辱を与えた黒髑髏の艦隊が我らの狙いだ‼️」

オペレーターA「し、失礼しました。」

ルーギラ「ふん❗️これだから男というのは...❗️」

オペレーターB「司令、≪グレート・エルクーギラ≫から通信。「退屈ぅ〜いつまでチマやってるのぉ〜お姉ちゃぁ〜ん❗️」と。」

ルーギラ「こらえなさいと言いなさい❗️それと"司令"と呼びなさいと付け加えろ‼️」

オペレーターC「艦長、XXⅨ大隊のファグリフォ司令から。「出番はまだか❓」と。」

ルーギラ「「まだだ、待機せよ」と伝えろ❗️」

 

「皆堪え性がない」と内心で怒気って毒づく第XXⅣ師団長 ルーギラ。これだけ味方を痛めつければあの髑髏艦隊がすぐさま救援に駆け付けてくると思っていたが、意外にもまだ来ない。全艦沈めてしまっては元も子もないのですごく加減して攻撃するよう部下に指示している。

 

ピューンッ!(電子音)

オペレーターA「交戦中の地球艦隊後方にワープアウト反応。」

ルーギラ「ふっ、ようやく来たか...❓」

 

第7艦隊の後方に氷塊がいくつも現れ砕け散り"漆黒の艦隊"が姿を現す。それは総旗艦の≪シュンラン≫でも捉えていた。

 

≪シュンラン≫

艦橋

 

通信手兼レーダー手「艦長❗️後方にワープアウト反応。識別信号該当あり、これは友軍です❗️」

山南「ッ⁉️」

副長「おぉ❗️」

 

※ここからは「♪運命の時」を流しながらお読みください

 

≪マキナ改≫

艦橋

 

タクロー「こちら第99特戦群 旗艦≪マキナ改≫の多田部 拓郎。第440艦隊と共にこれより貴艦隊を援護する❗️」

 

≪マキナ改≫率いる新生BBB戦隊は空母を中心とする機動部隊編成で第440艦隊の一部を伴って第7艦隊とデザリアム艦隊の前に姿を現す。

 

タクロー「各空母は艦載機即発艦❗️制空権を奪い返してお返し差し上げろ‼️」

 

タクローの号令の下、乗艦の≪マキナ改≫とクラスD改型空母(正規空母型と軽空母型)から艦載機が次々と発艦していく。久々の出撃もとい出番である為かここでは書ききれないほどパイロットの皆が大興奮でやる気にまた溢れた雰囲気と台詞が飛び交っている。航空隊は瞬く間に第7艦隊の制空権を脅かしていたデザリアムの芋虫型戦闘機"カタピラス"を蹴散らし、空母には金舟らコスモパイソン組らが攻撃を仕掛けている。あまりの手際の良さに≪シュンラン≫を含む第7艦隊の面々は≪ザドキエル≫率いる第440艦隊が形成した波動防壁陣の中で波動共鳴波を受けて機関の応急処置を受けながら呆然としていた。

 

通信手兼レーダー手「駆逐艦≪はれかぜ≫より入電。「救援のアテが付いた。遅れたことを謝罪する」です。」

≪シュンラン≫副長「い、いやそれよりも、すごい瞬く間に制空権を奪った。」

山南「あれが第99特戦群、"新生BBB戦隊"か...。噂以上の実力だな。」

 

冬月(映像通信)「そうだ。久々だね山南❓」

 

山南「ッ❗️冬月艦長⁉️まさか貴方が新生BBB戦隊に❓」

 

冬月(映像通信)「あぁ、君が第7艦隊と≪シュンラン≫を預かりたいと言ってからここにお世話になっている。なんの因果か≪シュンラン≫のプロトタイプの艦長に落ち着いたよ。」

 

≪ネメシス≫艦長の冬月は山南の先輩で現防衛軍総旗艦≪アルデバラン≫艦長兼第1艦隊[ブルー・プルミエ]司令の谷鋼三と同期だ。冬月の言う通り第7艦隊と

旗艦≪シュンラン≫は本来、冬月が司令と艦長を兼任/就任する筈だったのだがヤマト率いる第65護衛隊(2205年当時)が「サレザー事変」の際にイスカンダルへ司令部の許可なしに救援に向かっていったのを見守った(というより丁重にご退艦させられた)のを機に「護衛隊の司令なんかより、俺はやはり艦長がしっくり来るな」とヤマトと艦長 古代達の姿に感化され新設される第7艦隊とその旗艦への司令兼艦長に立候補したのだ。それを聞いた冬月は彼の心情を察し艦長の席を後輩に譲る形で自ら辞退を申し出て以降は互いに任務に勤しんでいた為に連絡を取り合っていなかった。

 

冬月(映像通信)「おっと、今は再会を喜ぶ暇はなかったな。応急処置できる艦はこちらで施そう。損傷の大きい艦はワープで宙域の離脱を第440艦隊と共に援護する。良いか❓」

 

山南「は、了解しました。」

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

総旗艦≪グレート・エルギーラ≫

 

ルーギラ「待ちかねの相手が来た❗️「デザリアム・フィールド・ジャマー(D.F.J)」起動させよ❗️」

オペレーターA「了解。」

オペレーターB「ジャマーⅠ号からⅣ号までエネルギー駆動開始。」

 

お目当てのご登場を待ちかねて遂に目の前に現れたの確認したルーギラは部下に艦隊後方にある四基の巨大な装置がなにやら特殊な波長のエネルギー波を放出し始める。それは防衛軍側の新生BBB戦隊と第7艦隊も確認していた。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ改≫艦橋

 

クロンナウア「おっとと❗️なんだなんだぁ⁉️カンチョーさん❗️敵艦隊の後方からなんやら異様なエネルギー波長を検知しましたぜぇ‼️」

タクロー「エネルギー波❓」

クロンナウア「えぇ、なんやらもわわ〜んのフワフワしたなんかおかしな感じのが❗️」

 

「何を始めようってんだ❓何が狙いだデザリアム❓」とタクローら≪マキナ改≫クルーと≪シュンラン≫の山南は思った。




読了ありがとうございます 今回は久々に「地球」の様子を書きました。新生BBB戦隊側は直に見てないので分かりませんが、通商破壊が効いて来ているようで地球で抵抗運動をしている<パルチザン>に苦戦しているようです。一方で補給や整備の問題も出始めてきた少し怪しくなってきましたね。どうなってしまうのか危うし新生BBB戦隊と第440艦隊❗️です。【デザリアム】は補給が届かない原因である新生BBB戦隊を叩くべく第6話に登場した第XXⅣ師団を派遣する事を聖総統スカルダートらしき人物が決めたようです。ルーギラとクーギラというデザリアムの女性指揮官が登場しました。リメイクで女性が増えたガミラスはともかくガトランティスに至っては女性が変わらずサーベラーぐらいしか出てこなくて【デザリアム】もメルダーズに話しかけた「声」だけという「ガミラス以降の敵勢力女性陣少な過ぎ問題」があるので出したキャラです。二人の紹介についてはもう一人語られたデザリアム女性キャラと共に次回さらっと後書きで紹介します。
<パルチザン>の司令部兼活動拠点として「2202」でヤマトクルーが叛乱の際に運用した金剛型≪キリシマ≫が活躍しています。このアイデアは「デザリアム戦役編」を始める前から考えていたもので、「どうせデザリアムは波動機関搭載艦にしか興味ないだろうしまた活躍させる機会があったら面白いよな」という事で登場させました。潜水艦のように水中に潜む司令部は「ターミネーター4」モチーフです。藤堂長官や芹沢副司令のみならず加藤真琴(旧姓:はらだ)や息子の翼、島の弟の次郎、「2202」と「2205」に登場したガミラスの少女ミリィ、などの民間人も多数乗り込んだりと旧作同様に軍民の寄り合い所帯となっています。
さてさていよいよお待ちかね❗️ゲーム版屈指の人気艦≪シュンラン(春藍)≫のご登場ですよ‼️艦長は山南さんにしてもらってます(原作ゲームでもそうだし)。「2205」での「ヤマト達の行動に感化されて艦長職に戻った」と勝手な妄想。山南さんの性格ならありえるかもと思ってそうしました。原作ゲーム版同様初登場が敵に押され気味での登場という最新鋭艦なのにちょっと情けない(って言っちゃいけないんだけども)かつデザリアムが新生BBB戦隊を誘い出す為のエサに利用されてしましいました。しかし安心してください❗️次回からは大活躍しますよぉ❗️それでは次の「後編」をお楽しみに‼️


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第13話「激闘❗️「シリウス宙域会戦」中編」

地球での<パルチザン>の抵抗に悩む【デザリアム】地球侵攻軍に頭を悩ませる"聖総統"なる【デザリアム】のトップ。その原因が「補給船団が地球艦隊による通商破壊に遭っているため」として新生BBB戦隊と第440艦隊の討伐に艦隊を派遣することを決定する。
ルーギラとクーギラ姉妹の第XXⅣ師団とファグリフォ率いる第XXⅨ狙撃大隊は道中で≪シュンラン≫率いる防衛軍第7艦隊と遭遇し本命の新生BBB戦隊を釣る為の"餌"として利用する。救援を求めるよう言われた第7艦隊所属の駆逐艦≪はれかぜ≫からの報を受け新生BBB戦隊は第7艦隊救助に向かってしまう。
しかしそこには、【デザリアム】の恐るべき罠が待ち構えていた。


大犬座a星・シリウス宙域 アステロイド帯

 

新生BBB戦隊

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪マキナ改≫

艦橋

 

クロンナウア「なんだなんだぁ⁉️この変な波長のエネルギー波はぁ⁉️」

タクロー「落ち着いてクロー❗️報告‼️」

呉賀「ッ⁉️機関の出力が不安定に⁉️しかも少しずつ低下し始めてる❗️」

タクロー「ッ⁉️」

 

デザリアムの攻撃を受ける防衛軍新設の第7艦隊の救援に向かう為に大犬座a星・シリウス宙域に来た新生BBB戦隊と第440艦隊。制空権を奪われて劣勢だったところをご自慢の航空戦力で一掃し逆転してみせた。が、突如デザリアム側から謎の波長のエネルギー波が放出され始めると急に波動機関に不調が表れ始めたのだ。

 

ピピーッ!

(通信)

手邦「艦長❗️」

 

タクロー「手邦か❗️」

 

≪マキナ改≫CDC (戦闘指揮センター)

 

手邦「敵側のエネルギー波長を分析できました❗️どうやら空間歪曲波の類(たぐい)です❗️」

 

艦橋

タクロー「分かりやすく言うと⁉️」

 

(通信)

手邦「この辺り一帯の空間が歪められて、それが波動機関に影響を及ぼしているんです❗️」

 

手邦がそう説明し現在進行形で起こっている機関の出力低下も納得する。

 

バキュルルルゥ〜ンゥゥゥゥ❗️ヒュウゥゥゥゥゥゥウィィィィン⤴︎⤵︎

 

持月「なんだぁぁぁ⁉️ショックカノンが曲がったまったぁ⁉️」

高佐田「まさかこれもあのエネルギー波のか⁉️」

 

≪マキナ改≫CDC(戦闘指揮センター)

 

手邦「そうだ❗️強力な歪曲波が波動機関からのエネルギー武装のエネルギーをも歪ませている❗️」

 

高佐田「じゃあ波動砲も⁉️」

 

手邦「あぁ、この分だと波動砲の使用は危ない❗️最悪機関が止まって再起動不可になる❗️」

 

タクロー「くっ❗️なんとまぁ‼️」

 

「厄介なモノを❗️」の表情をするタクロー。その間にも敵側の攻撃が来る。しかも相手の方の攻撃や艦と艦隊の動きにはなんら悪影響を受けていないようである。

 

持月「おいおい❗️なんで向こうのは真っ直ぐくんだよッ⁉️」

 

手邦「恐らくこの空間歪曲波は【波動機関】にのみ影響を与えるモノなんだ❗️デザリアムはこちらの機関とは違うモノを持っているのは知っていたが...。」

 

高佐田「弱るのはこっちだけってか❗️」

 

デザリアムの空間歪曲装置【D・F・J(デザリアム・フィールド・ジャマー)】は波動機関とそれに由来するエネルギー装備のモノの活動を妨害するが、自身等の艦の動力源である【重核子機関(ウラリウムドライヴ)】には何ら影響を及ばさないのだ。

 

バビュゥゥゥーンッ! ドガァァァンッ!

突如新生BBB戦隊所属のクラスD正規空母型が被弾する。

 

≪マキナ改≫艦橋

 

タクロー「ッ❗️今のはッ⁉️敵前衛艦隊よりも後方から⁉️」

クロンナウア「レーダー範囲外からのビーム攻撃です❗️長距離砲による狙撃でっせ❗️≪ナッサウ≫(クラスD改正規空母型)被弾❗️小破です‼️」

 

敵のエネルギー妨害に驚く間も無く超長距離のビームによる狙撃が飛んでくる。その一撃がまた別の空母をも襲った。

 

【デザリアム】第XXⅨ狙撃大隊

旗艦:プレアデス改級狙撃型戦艦≪ザーネグルズ≫

艦橋

 

ファグリフォ(第XXⅨ狙撃大隊長/≪ザーネグルズ≫艦長)「ふっふふふふ、見える感じる捉えられる。掻き乱された空間歪曲の波の中にある微かな灯火を示す忌むべき力【波動エネルギー】。

≪ザーネグルズ≫を含む我が狙撃型のプレアデス級に搭載された各種センサー類と頭に取り付けた"感応波ヘッドギア"を連動させることによって私達の頭の中に、敵の姿を感じさせるんだよ。」

 

それはルーギラたちXXⅣ師団後方に陣取るファグリフォ大佐率いる狙撃型プレアデス級で構成された【第XXⅨ狙撃大隊】による狙撃だった。デザリアムの主力艦であるプレアデス級はその高い発展性と拡張性が評価されており拡大発展/指揮官専用の「改級攻勢型」を始め、小規模艦隊の旗艦を務める「指揮型」や新生BBB戦隊らが獲物としてきた「輸送型」などの派生艦が確認されている。

「狙撃型」は主砲を[超長距離射撃専用重核子ベータ砲]に換装し艦橋のレーダー類も一部が超長距離の高精度射撃を可能とする物に仕様が変更されている。【D.F.J】により【波動機関】を搭載した艦の出力が低下し風前の灯(ともしび)と化していても、センサーと同調した"感応波ヘッドギア"により正確な位置が掴めるのだ。そして≪ザーネグルズ≫他の狙撃型プレアデス級は目標の照準を修正し直すと艦両舷側に装備された[重核子加速器(ウラリウムチャージャー)]がそれぞれ円環状のエネルギーが輝きを見せると血のような真っ赤な重核子のエネルギービームがクラスD改軽空母≪ヴェーザーラント≫に向かう。波動防壁が守るが出力が落ちてる為に突き破られ右舷側を大きく抉った。

 

ファグリフォ「≪ザーネグルズ≫の攻撃に驚いた時には❗️お前らは死んでいるよ‼️」

 

<ダーク・ホース隊>

金舟「おいおいおい❗️≪ナッサウ≫に続いて≪ヴェーザーラント≫もかよ‼️」

米振「そ、そんな❗️」

沙織「ッ❗️総旗艦≪マキナ改≫より入電、「こちらに構うな、空母への攻撃を続行されたし」ですわ❗️」

 

<シャドウ・バンガード隊>

ザビネル「今自由に動けるのは我々だけの様だ。司令の言う通りこちらは空母を叩くのに集中するぞ❗️」

 

金舟「そ、そうだな❗️よっしゃあ❗️1発重いのぶち込んだらぁ‼️」

 

金舟ら<ダーク・ホース隊>は<シャドウ・バンガード隊>らの援護を受けデザリアム機動部隊に攻撃を掛ける。猛烈な弾幕を掻い潜り外付けの機体中央のハードポイントに装備された大型の弾頭を発射し離脱する。その弾頭が機動部隊の旗艦と思われる一際デカい空母に突き刺さる。

 

【デザリアム】

メローペ級戦闘航宙母艦≪ダムドーラ≫

艦橋

 

艦長「バカめ、航空機の爆弾程度でこの≪ダムドーラ≫の位相変調装甲が破れるものか❗️」

 

金舟「とか思ってんだろうがな❗️この爆弾はただの弾頭してないんだぜ‼️」

 

≪ダムドーラ≫の位相変換装甲にぶつかった弾頭はキィィィィウィィィィン❗️という音を立てながら装甲を食い破り始め、次の瞬間キィンッ❗️という音を立てて装甲を突き抜けて爆発した。「な、なんだとぉっ⁉️」と驚く≪ダムドーラ≫の艦長。

 

金舟「どうだい❗️ガトランティスのイーターⅠとニードルスレイヴに装備された[波動防壁中和システム]を参考に開発された新型の[A.E.A.N.P.B(エアンピブ:対エネルギー装甲中和貫通爆弾)]の威力はぁ‼️ちったあ美味しいもんだろぉッ⁉️」

 

金舟が意気揚々と語るこの新兵器は2年前の「サレザー事変」での一連の戦闘における「※航空機によるデザリアム艦への対艦攻撃力の不足」が問題を解決すべく生み出されたものである。位相変調装甲を持たない小型のヒアデス級ですら通常の対艦ミサイルでの撃沈が困難であった戦訓を活かし強力な対エネルギー防御を破る事に特化している。

この攻撃により≪ダムドーラ≫を始め多くの空母が大破または轟沈し、制空権は完全に新生BBB戦隊ら防衛軍艦隊に有利に傾いた。

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦:プレアデス改級≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターA「司令❗️機動部隊壊滅です‼️」

ルーギラ「狼狽えるな無知が❗️制空権を失ったが、まだこちらにはジャマーによる妨害がある❗️戦略的戦術的にはまだこちらが有利よ❗️狼狽してる暇があるなら近づいて包囲陣を狭めろ‼️」

オペレーターA「は、はっ‼️」

 

【防衛軍側】新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

タクロー「航空隊が空母をやってくれたか❗️」

金田「はい❗️ですが、こちらの方はまだ危機から脱しれてません‼️」

 

航空隊によるデザリアム機動部隊の排除を喜ぶ間も無く。タクローは思考を巡らせている。デザリアムの戦略も戦術を冷静に頭の中で分析しているのだ。

 

「空間歪曲装置による【波動機関】及びそれを用いる兵装の使用を封じる」

「反撃やワープでの逃亡手段を奪い狙撃により追い詰める」

 ↓

「適度に戦力が弱まったら包囲陣を狭め、締め上げる」

 

のが敵の魂胆だろうと軽く整理する。まず最優先に撃破しなければならないのは敵の空間歪曲装置だと思うタクローだが、あれに乗艦と艦隊全艦の最大パワーの発揮を妨害されてる最中、どうこの状況を打開すべきかまたもや頭を巡らせる。そんな中、≪マキナ改≫は敵艦の攻撃の至近弾でバランスを崩しよろめく。

 

金田「あ❗️マズイ‼️」

 

副長の金田がそう叫ぶ。同時にガコンッ!ガシンッ!と音と振動が≪マキナ改≫の両舷に響く。タクローが見やるとデリンジャー級無人戦闘艦2隻が接舷し≪マキナ改≫の体勢を立て直したのだ。

 

タクロー「ミホ大尉か⁉️」

ミホノラ「はい❗️すみません❗️この方法が良いかと❗️」

タクロー「いやワープ・ブースター法か、なるほど良い手だ❗️全艦へ❗️近くの艦を同じ方法で重力アンカーで固定させろ‼️そして波動機関を同調させるんだ‼️」

 

第7艦隊

ハヴォック級航宙駆逐艦≪はれかぜ≫

艦橋

 

岬「あわわ❗️おぉーっと❗️」

≪はれかぜ≫副長:宗谷(むねたに)りん「艦長❗️」

 

倒れそうになる艦長の岬の背中を支えてやる副長の宗谷。「あ、ありがとう」と礼を言うとガコンコンッ!という音に驚く二人。見ると新生BBB戦隊所属の自分達の乗艦≪はれかぜ≫と同じハヴォック級無人艦仕様が接舷して≪はれかぜ≫を支えたのだ。ホッとしたのも束の間、そこに狙撃型プレアデス級の重核子ビームが飛んでくる。「やられる❗️」と思った≪はれかぜ≫。そこに440艦隊所属のクラスD丙型の一隻が割って入り防壁ビットで守ったが、空間歪曲干渉装置で出力が落ちている為か充分に防御できるビットは破壊されそのクラスD丙型は被弾してしまう。「自分達の盾になって犠牲に❗️」と驚く岬艦長らだったが、同時に「これが戦いなんだ」と強く認識するのだった。

 

同艦隊旗艦≪シュンラン≫

艦橋

 

山南「なるほどその手があったか、さすが"先輩艦隊"。我々も続けてやれ❗️」

≪シュンラン≫副長「はっ❗️」

 

第7艦隊の面々も新生BBB戦隊の後に続くが如くワープ・ブースター法で艦の安定を図った。

 

タクロー「(なんとか皆バランスを崩さずに済んでるけどいつまでも保たない...拡散波動砲が撃てれば敵の方位陣に穴を開けられるんだけども...❗️)機関長❗️なんとかならんッ⁉️」

呉賀「ダメです❗️やはり機関への影響をモロに受けてます❗️さっき手邦が言ったようにこの影響下で波動砲へのエネルギーチャージは艦の命を止めることに繋がりかなません❗️いや... ...しかし... ...。」

タクロー「なんです❓」

呉賀「いや、波動エンジンを三基搭載している≪シュンラン≫ならあるいはと。」

 

タクローは呉賀の意見にハッとして≪シュンラン≫の方を見やる。ちょうどその時≪シュンラン≫はデザリアム狙撃艦隊の猛烈なビーム攻撃を≪ザドキエル≫率いる440艦隊の面々に守られていた。防壁ビットも波動エネルギーを使っているのでもちろん出力が落ちている筈だが、それでもその中でも四糸乃艦長達は上手くやっている。成長を感じられるが今は感慨に耽っている場合ではない。

しかしその姿と周りのアステロイドを見てタクローは作戦を思い付いた。

 

第7艦隊

旗艦:≪シュンラン≫艦橋

 

山南「なるほど、我々の力が必要な訳だな多田部司令❓」

 

タクロー(映像通信)「はい❗️出過ぎた発言をしているのは承知ですが、この状況を打破できるかもしれないのです。お願いします‼️」

 

山南「ハッハハ、構わん。どのみち向こうさんとの戦闘経験のある君たちの方が一日の長(ちょう)がある。この際私の肩書きなど役に立たん。逆転の一手があるなら私と≪シュンラン≫が幾らでも力を貸そう。」

 

タクロー(映像通信)「ありがとうございます❗️」

 

山南の許可を得て通信を切るタクロー、そうして部下に命じる。

 

タクロー「高佐田❗️主砲実弾モード❗️M・W(マグネトロン・ウェーブ)弾に❗️」

高佐田「はっ❗️」

タクロー「クロッナ❗️≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫に連絡❗️2隻にやってもらいたい事があると伝えてください‼️」

クロンナウア「あいよぉ❗️」

タクロー「エレレン❗️ミホン❗️無人艦隊も動かすからね‼️」

エレン/ミホノラ「はっ❗️/りょ、了解❗️」

タクロー「よし❗️≪シュンラン≫からの"狼煙"が上がり次第、反撃開始だ‼️」

 

第7艦隊旗艦≪シュンラン≫

艦橋

 

山南「拡散波動砲、発射用意❗️」

≪シュンラン≫戦術長/砲術長「了解。拡散波動砲、発射シークエンス開始します。」

 

その頃≪シュンラン≫は艦首『三連装クラスター波動砲』からの拡散波動砲による砲撃準備を始めていた。

 

山南「機関長❗️エンジンの方はどうだ⁉️」

≪シュンラン≫機関長「はい❗️出力は落ちていますが、こっちには波動機関が三基もあるんです❗️あれくらいの妨害じゃあこの艦の息の根は止められませんぜ‼️」

山南「ふっ、頼もしい言葉助かる❗️」

 

デザリアム 第XXⅨ狙撃大隊

旗艦≪ザーネグルズ≫

艦橋

 

ファグリフォ「みんな重核子で❗️消し飛ばしてやるッ‼️ナニッ⁉️」

 

このまま狙撃で捻り潰そうとしていたファグリフォは突如感じ取った異様な何かに驚く。

 

ファグリフォ「な、なんだこの反応ッ❗️ッ⁉️一つの艦の中に三つの忌むべき力がある艦がいるだと⁉️... ...ルーギラ❗️」

 

【デザリアム】

第XXⅣ師団旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

ルーギラ「どうしたファグリフォ❓」

 

ファグリフォ(映像通信)「艦隊を散開させろ❗️」

 

ルーギラ「なんだと⁉️」

 

ファグリフォ(映像通信)「マズイのが来るんだ急げっ❗️」

 

【第7艦隊】

≪シュンラン≫艦橋

戦術長兼砲術長「発射10秒前、9...8...7...6...」

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ「艦隊散開❗️間隔をできるだけ空けろッ‼️」

 

≪グレート・エルクーギラ≫

艦橋

 

クーギラ「なになになによ⁉️とりあえず散開❗️散って散って‼️」

 

≪シュンラン≫艦橋

戦術長兼砲術長「5...4...3...2...1...」

山南「拡散波動砲❗️発射ァーッ‼️」

 

山南の号令の下にそれは放たれた。たかが一基、それは単に一基増えただけなのだ。『三連装クラスター波動砲』アンドロメダ級の特徴である水平に連装ある艦首波動砲の下にもう一基増やしただけでそこからは変わり映えしない拡散波動砲の筈なのだが、波動機関三発分による十分過ぎる機関出力により可能となりド太さを増した光の帯は真っ直ぐデザリアム艦隊に向かい手前で完熟した柘榴(ザクロ)の実の如く弾け飛び被弾に強いデザリアム艦を襲った。ルーギラ、クーギラ、ファグリフォの乗るプレアデス改級とその一部の同航艦は回避行動を位相変調装甲の機能を最大にして身を守ったが、そのほとんどが光に飲み込まれた。その被害範囲は空間歪曲装置により多少威力は落ちているものの原型のアンドロメダ級の連装波動砲を大きく上回りデザリアム艦隊の3〜4割を削り空間歪曲装置をも消滅させて見せたのだ。

 

新生BBB戦隊 第二群

旗艦≪ネメシス≫

艦橋

 

冬月「これが完成された『三連装クラスター波動砲』から放たれた拡散波動砲の破壊力か...。」

副長・艦橋クルー「・・・・・・。」

 

その破壊力と破壊された様を見て驚き、言葉を失う者もいる≪ネメシス≫の乗員達。特に副長や艦橋クルーらは複雑な表情を浮かべている。

 

冬月「諸君、気に病むことはない。我々≪ネメシス≫は≪シュンラン≫とそれが装備するクラスター波動砲を始めとする武器システムを完成させる為に生み出されたのだ。我々の方が"未完成"なのは致し方ないことだぞ。」

副長「...はい、艦長。」

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターA「なんだぁ⁉️なんなんだあの兵器は⁉️」

ルーギラ「落ち着けぇ❗️敵の兵器にイチイチ驚愕するでない❗️脅威には値するが、まだこちらの戦力は十分ある❗️あの艦だ、あの艦最優先に叩き潰せぇッ‼️(しかしなんだ今の攻撃は...記録に存在しない兵器...これも[大喪失]と関係が❓)」

 

狼狽える部下を叱責して落ち着くよう言う。だが内心ルーギラも動揺しているのである。

 

新生BBB戦隊

総旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

クロンナウア「敵艦隊に穴が空きました❗️しかも空間歪曲装置の一つも消し飛ばしましたぜ❗️スゲェ威力っすよ‼️」

タクロー「反撃の狼煙は上がったな、≪アマテラス≫❗️≪ザドキエル≫❗️そしてその他に連絡❗️それと無人艦ズをスタンバらせろ‼️こっから反撃開始だ‼️」




読み終わった後で申し訳ありませんが、一言謝らせてください。本来今回は「後編」として書くつもりでしたが、書いてて考える内に長くなってしまうとの事で急遽「中編」という形になってしまった事です。ですが内容に関してはボリューミーさは減ってないとは思うので悪しからずでよろしくお願いしますですはい(汗)。
空間歪曲装置【D・F・J(デザリアム・フィールド・ジャマー)】によって波動エネルギーが歪められ艦の運用に大きな支障をきたしてしまっています。原作のps2では単なる【空間歪曲干渉装置】という名前だったので「2205」で出て来た【デザリアムハンマー】みたくそれっぽい名前を付けさせていただきました。
そしてそれらを仕掛けた第XXⅣ師団を率いるルーギラとクーギラそれに第XXⅨ狙撃大隊のファグリフォさんの紹介を少しだけします。第XXⅨ(アラビア数字で「24」)師団はps2「イスカンダルへの追憶」で登場し本小説第6話でも登場しました。もうお分かりの人もいるでしょうが、この2人はその部隊の指揮官であるルーギスとクーギスの女性化キャラです。なんで女性化したかと言うと前回に話した通り「ガミラス以外の敵勢力に女性キャラが少ないから」という事なんです。しかし単に性転換しただけでなく性格や言動も原作からかなり外して"デキる指揮官"振りを強調して書きました。
ファグリフォの方の由来は「機動戦士Vガンダム」に登場するザンスカール帝国のキャラクター ファラ・グリフォンです。乗艦である狙撃型プレアデス級(ps2版の狙撃戦艦級の私的リメイク)の≪ザーネグルズ≫はファラの乗機であった戦略級重攻撃型MSのザンネックが名の由来です。狙撃型プレアデス級に関しては模型の方でも製作したので宜しければTwitterで検索してみてください。
新生BBB戦隊航空隊が新兵器を使いました。[A.E.A.N.P.B(エアンピブ)]、「サレザー事変」での戦いの反省から生まれたデザリアムの堅い防御を破る為の航空爆弾。「ガトランティス戦役」終戦後に大量に放棄や突き刺さったイーターⅠにヤマトが≪ノイ・デウスーラ≫と戦った際に遭遇したニードルスレイヴを回収して分析してる筈ですからこういう応用兵器も開発してるのではないかと思います。恐らくこの武器が後の『波動カートリッジ弾』に繋がるのではないかな❓と個人的に思っています。←まだ設定を煮詰めてない奴
デキる指揮官に厄介な干渉装置、危うしか❓と思われたが原作ゲーム版よりも強力となった『三連装クラスター波動砲』が炸裂しましたね。それを見て複雑な心境になる≪ネメシス≫クルー達。実験艦である≪ネメシス≫と完成形の≪シュンラン≫、そりゃそう思って仕方ないですね。とりあえず反撃の狼煙は上がりました。次回から反撃開始です❗️今回の投稿が今年最後の投稿となり次回は来年になりますが、どうか気長に待ってくださるようお願いします。ではまた。


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第14話「激闘❗️「シリウス宙域会戦」後編」

遅れましたが明けましておめでとうございます。今月14日でこの「ヤマト外伝BBB」も連載1周年を迎えました。これも読者の皆さんのお陰です。
さてさて去年からの続きとなります。【デザリアム】の空間歪曲干渉装置により波動エネルギーが歪められてしまって大ピンチとなった第99、第440、第7の三個艦隊ですが≪シュンラン≫の三連装クラスター波動砲から放たれた拡散波動砲により装置一つを破壊して突破口を開いた所で終わりました。さぁていよいよ反撃開始です❗️


大犬座a星・シリウス宙域に於ける【防衛軍】第99特戦機群(新生BBB戦隊) 第440防衛艦隊 第7艦隊と【デザリアム】第XXⅣ師団 第XXⅨ狙撃大隊との戦闘はいよいよ佳境に入ろうとしている。【デザリアム】側が設置し展開した【D・F・J(デザリアム・フィールド・ジャマー)】という空間歪曲干渉装置により波動エネルギーと関連兵器の全力発揮を妨害されてしまった【防衛軍】側だが、第99特戦機群司令 タクローの策により第7艦隊旗艦≪シュンラン≫の『三連装クラスター波動砲』の拡散波動砲により迫り来る【デザリアム】艦隊の包囲網に穴を開け【D・F・J】の一基を葬り去ったのだ。

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ「落ち着け無知共❗️残存艦で包囲陣を再構築しろ‼️(クッ❗️今ので包囲艦隊の37パセラー(%のこと)が消失しただと⁉️)

 

敵の絶大な威力の反撃に動揺を隠せない自身の部下達をいつもの調子で「狼狽えるな❗️」と叱責し落ち着かせるルーギラだがことはそうはいかない。なぜならルーギラ自身も内心動揺しているからだ。

 

オペレーターA「か、艦長❗️敵艦隊に動きがッ‼️」

ルーギラ「ッ⁉️」

 

だが動揺する暇はどうやらなさそうである。なぜなら敵艦隊に動きがあるからだ。

 

第99特戦機群

アンドロメダ改級強襲突撃戦艦≪アマテラス≫

艦橋

 

天伝雷「アッハハハ❗️ここからは私達の番でしてよ‼️」

 

天伝雷は高笑いをしながら≪アマテラス≫を勢いよく飛び出させる。そして【デザリアム】包囲艦隊の内のプレアデス級とヒアデス級それぞれ1隻ずつに目掛け艦首両舷にあるロケットアンカーを放ち突き刺す。「な、なんだこれはッ⁉️」と驚く【デザリアム】艦2隻の乗員達だが、天伝雷はそんな暇(いとま)を与えてやるものかと次の行動に移す。

 

天伝雷「今でしてよ❗️取舵一杯❗️ぶん回してくださいましィィィィィーッ‼️」

≪アマテラス≫航海長/操舵手「りょーかいっ‼️」

天伝雷の号令の下、航海長兼操舵手は思いっきり≪アマテラス≫をローリングさせ、アンカーで突き刺した敵艦ごと回り始める。

 

プレアデス級とヒアデス級それぞれの艦長「な、なにぃぃぃーッ⁉️」

 

≪アマテラス≫艦橋

天伝雷「ハッハハハ❗️"地獄のメリーゴーランド"の始まりでしてよッ‼️」

 

そう言いながら回転し【デザリアム】包囲艦隊に突っ込む≪アマテラス≫。ぶん回してる【デザリアム】艦をまるでムチや鎖鎌を叩きつけるかの如く乱暴に相手にぶつけまくりながら突進する様子に【デザリアム】側は思わずビクついてしまう。ルーギラは「落ち着けぇ❗️奴に砲火を集中せよ‼️」と指示を飛ばし≪アマテラス≫に十字砲火を浴びせる。しかしそれらの攻撃は≪アマテラス≫に到達せず周囲にチカチカと青い光を点滅させたかと思ったら重核子の赤いビームが自分達に跳ね返り何隻かは被弾してしまった。

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

ルーギラ「なにッ⁉️攻撃が跳ね返った⁉️」

 

第440独立機動防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫

艦橋

 

四糸乃「440艦隊式波動防御結界陣ッ❗️『ジェントリー・ウィープス(静かに泣く)』ッ‼️」

野水「ひゃっはは❗️この防御陣はちょーっと簡単にはいかないよぉ〜❗️」

 

≪ザドキエル≫の自前分と複数隻のクラスD丙型の波動防壁展開ビットを拝借して形成した波動防壁の結界。第99特戦機群(新生BBB戦隊)との演習の際に司令であるタクローの指導の下に編み出した戦術だ。今その成果が現れている。≪アマテラス≫が敵艦をぶん回して敵艦にぶつけまくりの暴れん坊将軍顔負け状態。そこに迫る集中砲火を≪ザドキエル≫の『ジェントリー・ウィープス』が防ぐという見事なまでの攻防一体のコンビネーションだ。ルーギラはファグリフォ達狙撃艦隊に狙えと言うが敵の機動が激しく味方を盾にされてるも同然な為、まともに「狙い撃つぜッ❗️(ロッ○オン風)」もできなかった。

 

オペレーター「司令❗️敵の狙いは恐らく...」

ルーギラ「分かっている❗️ジャマーに手出しさせるな❗️それと...ッ⁉️」

 

ルーギラが相手の意図を理解しジャマーへの攻撃を防ごうと動こうと指示を出そうとした矢先、乗艦の≪グレート・エルギーラ≫の横を物凄い勢いで何かが横切った。それは妹で副司令のクーギラ乗艦の姉妹艦≪グレート・エルクーギラ≫だった。

 

≪グレート・エルクーギラ≫

艦橋

 

クーギラ「アッハハハハッ❗️面白い❗️アイツ面白いよお姉ちゃん‼️アイツ私にやらして‼️やらしてよぉぉぉッ‼️‼️」

 

久々の面白く歯応えのある相手に出会えて余程興奮してる戦闘狂気味の副師団長クーギラ。姉で師団長のルーギラの指示を待たず≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫の攻防一体のコンビに食って掛かろうとする。「勝手に動くな❗️私が命令を...」と言うルーギラの声などもう届いていなかった。

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーター「あの...司令...❓」

ルーギラ「なんだ❗️もうあぁなっては私の指示など聞かぬ事ぐらい分かっている❗️手を止めずに敵の本艦隊の方を狙え❗️我らの"包囲の調律を乱した艦(≪シュンラン≫のこと)"のいる艦隊を叩き潰せぇッ‼️」

 

ルーギラは狙いを変え、【防衛軍艦隊】の本隊。第99/440/7からなる三個艦隊を直接叩くことにする。一斉に重核子の深紅のビームが放たれるもそれを何かが遮って防いだ。「な⁉️今度はなんだ⁉️」と驚くルーギラ、その正体はアステロイドだった。

 

第99特戦機群≪マキナ改≫

艦橋

 

タクロー「おっと❗️成功成功❗️」

金田「なるほどこの手がありましたか。」

ミホノラ「M・W(マグネトロン・ウェーブ)...ヤマトがガトランティス戦役で使った技術ですね。」

タクロー「ピンポン⭕️ピンポン⭕️❗️まぁそれ以前にガミラス戦争時のアステロイドシップ構想の奴だけどな❗️そいつをさらに小型化して砲弾に目一杯詰め込んだのさ。」

エレン「そうか❗️この技術は波動エネルギー関連のものではないから敵のジャマーの影響を受けない❗️」

タクロー「その通り❗️こんなにアステロイドが周りにあるんだ使わない手はないね❗️」

クロンナウア「ヒュー❗️さすが艦長❗️で戦術名あるんでしょ❓」

タクロー「名付けて〔戦術MP(マグネトロン・プレイ)〕よ❗️」

 

第7艦隊旗艦≪シュンラン≫が拡散波動砲の発射準備を整える間に≪マキナ改≫や麾下の制御中の無人艦は周囲のアステロイドにM・W(マグネトロン・ウェーブ)弾を放っており【デザリアム】のジャミング装置【D・F・J】の影響を受けない攻防一体のアステロイドの結界を作り上げていたのだ。砲撃を遮られ、進めばアステロイドに揉みくちゃにされフルボッコだドン❗️(太鼓の達人的な)されてしまう。第XXⅨ(29)狙撃大隊からの長距離精密射撃もまるで意味を為さず、大隊長のファグリフォを舌打ちさせた。

 

第99特戦機群

≪マキナ改≫艦橋

 

クロンナウア「敵の隊列が乱れました❗️飛び出すなら今でっせ‼️」

タクロー「よし❗️第二群【志摩戦隊】及び無人艦隊、左のジャマーに突撃‼️440艦隊は突入を援護‼️"無人艦隊の先輩"の実力見せまっせ‼️」

艦橋クルー全員「了ッ‼️」

 

第7艦隊

旗艦≪シュンラン≫艦橋

 

レーダー/通信手「99戦隊が動きました❗️」

山南「では"後輩"は右をやろう。無人艦隊、有人の打撃部隊、右のジャマーへ突撃開始❗️」

 

第99特戦機群 第二群【志摩戦隊】

旗艦:ゲルバデス改級≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

志摩「砲戦甲板をお開き❗️遠くから撃ってもビームが曲がっちまうなら、近づいて当てれば良いんだ❗️接近戦ならこっちのもんだよ‼️」

艦橋クルー皆「おぉ‼️」

 

第440艦隊

ドレッドノート改級主力戦艦 丙型/type-C

DBB-7023≪いわたに≫ 艦橋

艦長:石川尚文(いしかわなおふみ)「≪リリー・マルレーン≫に続け❗️≪ラフタリア≫ (G級軽巡型)と≪フィーロ≫(H級駆逐艦)は本艦に続きフォーメーションを形成❗️≪スコール≫(クラスD丙型/DBB-811)と≪パトローナス≫(P級早期警戒軽巡/CLRS-8109)の戦隊は第7艦隊の援護だ‼️」

 

第7艦隊

アンドロメダ改級戦略指揮航宙戦艦『乙型/type-B』

ABBSC-269≪リヴェンジ≫

艦橋

≪リヴェンジ≫艦長「我々も続くぞ❗️両舷全速‼️≪ヴァンガード≫(同A改級)主力戦艦(乙型/type-B」)≪アイル・オブ・スカイ≫と≪レナウン≫は本艦のバックアップと麾下の巡洋艦、駆逐艦の指揮を任せる❗️続けぇッ‼️」

 

【デザリアム】が〔戦術MP〕に驚き体勢を崩した隙を突いて第99特戦機群と第7艦隊は有人/無人それぞれの艦隊を中央のジャマーに向かった≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫に続き左を99特戦機群と440艦隊、右を第7艦隊が撃破目標と定めた。

一方はゲルバデス改級≪リリー・マルレーン≫を旗艦とする地球式改装ガミラス艦中心の「突撃大歓迎❗️」な【志摩戦隊】に地球旧式改装艦、ガトランティス鹵獲改装艦などの寄せ集め寄り合い所帯部隊に440艦隊の波動防御術を加えた攻撃、防御、機動力の三種が揃った隙のない突撃部隊+無人艦隊。もう一方の第7は「巡航性能向上型」のアンドロメダ級「乙型/type-B」≪リヴェンジ≫と≪ヴァンガード≫そしてクラスD/type-B(乙型)を中心とする打撃部隊+無人艦隊という構成だ。

 

【デザリアム】艦隊がアステロイドにしどろもどろ子であたふた男(お)してる間に≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫コンビに遅れて飛び出した地球側艦隊に対処できず突破を許してしまう。

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ「くっ❗️包囲艦隊❗️包囲陣解除‼️」

オペレーター「は⁉️」

ルーギラ「艦隊各艦は態勢を立て直し各個に応戦しジャマーを死守せよ❗️予備部隊も全部出せ❗️出し惜しみして勝てる相手じゃないのは明白だろう‼️」

オペレーター「りょ、了解❗️」

ルーギラ「ふん❗️対応の遅い無知共が...。」

 

ルーギラはもう包囲陣は意味を為していないと判断し包囲の輪を解いた。想定外の手段の反撃にお行儀よく隊列を組む必要性は打ち砕かれたのだ。「ジャマー死守の為にはもう別の手を使って全力で敵を粉砕するしかないぞ❗️」と部下に言い聞かせたのだ。

一方の≪アマテラス≫&≪ザドキエル≫のコンビは第XXⅣ師団副師団長クーギラ座乗の≪グレート・エルクーギラ≫とやり合っていた。互いに「やるじゃない❗️」「そっちこそね❗️」と言ってるのが聞こえるくらいの距離での撃ち合いを演じている。≪アマテラス≫は波動エネルギーが減衰してる為ショックカノンは効果が薄いのでで実弾オプションの【三式融合弾】で全砲門射撃と28連装汎用弾頭発射機に対艦グレネード投射機、対空パルスレーザー砲等の近接防御火器をフルパック❗️して撃ちまくる。相手が一際デカいプレアデス改級だからか、いや≪アマテラス≫の戦術/砲術長の技量なのだろう。こんな文章では伝えきれない程の大回転かつ高機動での撃ち合いにも関わらず90%以上の命中率を叩き出している。≪グレート・エルクーギラ≫も必死に応戦する。しかしそれらは≪ザドキエル≫の防御陣『ジェントリー・ウィープス』で「守ります❗️させません‼️」と四糸乃艦長の強い意志が表れてるかの様に強く防がれ弾かれてしまうしこんなに命中弾を浴びせられてしまえば防御自慢の【デザリアム】艦も流石に応えるらしく船体が被弾で穴だらけになった。だがそんな事を気にする"戦闘狂"クーギラさんではない。むしろ「アッハハハ❗️いいよいいよ❗️もっと遊んでよトゲトゲェェェェェェッ‼️」とデート・ア・アンコールを激しくご所望らしい。だが、それも長くは続かない。なぜなら、≪アマテラス≫は単に撃ちまくって命中させていた訳ではない。プレアデス改級攻勢型の機動力を担っている翼状の『積層型姿勢制御ユニット』と下部サブエンジンユニットに集中砲火していたからだ。そしてそれが遂に限界に達しようとしていた。ユニットは砲弾を受け続け穴だらけのボコボコでへしゃげてクッシャクシャになり、下部サブ・エンジンは根本からネジ切れてどこかにフライアウェイ❗️してしまった。バランスを崩す≪グレート・エルクーギラ≫を≪アマテラス≫は見逃さなかった。アンカーで回転させぶつけまくり既に廃品回収で捨てる状態の潰れた空き缶の様になったプレアデス級を切り離し、そのアンカーを≪グレート・エルクーギラ≫に向け突き刺しぶん回し始める。そしてようやくお目当ての【D・F・J】の目の前まで来た。

 

≪アマテラス≫艦橋

 

天伝雷「回転やめ急制動❗️アンカー切り離せ❗️ポイ捨てでしてよ‼️」

航海長/操舵手「りょーかいッ‼️」

 

天伝雷の号令の下、≪アマテラス≫は回転を止め、艦首の姿勢制御バーニアを噴射して急制動を掛けると同時にアンカーで繋いでいた潰れたヒアデス級ともはや側から見たら残骸と変わらない≪グレート・エルクーギラ≫を前方の【D・F・J】に向かって思いっきし投げつけた。ヒアデス級に続き≪グレート・エルクーギラ≫がジャマーにぶつかり爆発した。これで残る【D・F・J】は二基。

第99特戦機群

≪マキナ改≫艦橋

タクロー「≪アマテラス≫達がやったか❗️」

呉賀「おっと❗️機関が少しだけ勢いが戻ってきました❗️」

金田「艦長❗️」

タクロー「えぇ、艦隊全艦前進強速❗️ジャマーばかりにかまけてると"サンドイッチ"だぞ❗️ってのを教えてやりまっせ‼️」

鷹乃目「ヨーソロー❗️」

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーター「ジャマーがさらに一基破壊されました❗️残り二基、敵艦隊が別れてそれぞれに向かっています。しかしこちらも本隊が動きを‼️」

ルーギラ「くっ...(我々をジャマーの守備に回させない気だな。あの手この手と敵の指揮官は手強いな...くっ...❗️)」

 

ジャマーの守備に回れば地球艦隊の本隊に攻撃され、本隊にかまければジャマーが破壊される。包囲作戦は完全に破綻してしまったとルーギラは苦虫を噛む様な思いであった。既に優勢は【デザリアム】側から【防衛軍】側に傾きつつあった。【志摩戦隊】は自慢の電撃戦で迎撃に来たデザリアム艦隊を突破しジャマーにビームを浴びせた。≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫が二基目を破壊したお陰で減衰していたビーム(波動関係だからもちのろんでショックカノンもよ)も機関系同様に威力と勢いが少し戻って来たのかさっきより射程も威力も上がっていたのでなんなく浴びせて破壊に成功した。

一方の第7艦隊もジャマーに向かって全速前進DA☆(海馬風)してる最中(さいちゅう)だ。ジャマーもあと残り最後の一基なので守るのに必死な【デザリアム】第XXⅣ師団とXXⅨ狙撃大隊。A改級【乙型/type-B 】≪リヴェンジ≫指揮の第7艦隊有人部隊別働隊は凄い猛攻を受けている。だが、そこに割って入ったのがいた。そう第7艦隊総旗艦≪シュンラン≫が管制する無人艦隊だ。

 

第7艦隊

総旗艦≪シュンラン≫

艦橋

 

無人艦管制官「≪クレイモア≫/≪モーニングスター≫/≪シャムシール≫各オベリスク級計9隻管制良好。≪ヴァンガード≫麾下の有人艦隊の援護に入ります。」

山南「よろしい。敵の隙を狙って有人突撃艦隊と≪エリカ≫/≪フローラ≫/≪ミミ≫/≪ネリ≫各ヘッジホッグ級無人駆逐艦隊は第99特戦機群所属同型無人艦と共に突撃せよ❗️」

 

山南の指揮の下、新鋭無人主力艦『オベリスク級』の加勢で勢いを増した≪ヴァンガード≫率いる有人艦隊は猛反撃で敵の防衛網に穴を開けた。その間を狙って駆逐艦≪はれかぜ≫率いる突撃駆逐艦隊とこちらも新鋭の無人駆逐艦『ヘッジホッグ級』の第7艦隊所属艦の各3隻ずつ計12隻と第99特戦機群所属の同艦先行量産型≪ヘッジホッグ≫/≪スキッド≫/≪リンボー≫/≪スメルチ≫が同じく12隻が無人突撃艦隊として有人部隊共同でジャマーに対し突撃を敢行する。物凄い勢いで突破を試みる防衛軍側の合同突撃艦隊に対しデザリアムの快速艦クラスであるタイゲタ級やケラエノ級、ヒアデス級ら各巡洋艦、駆逐艦、護衛艦が食い止めようと追撃し同航並走し阻止砲撃するもそれを守護神の如くエスコートしていた第99特戦機群のオベリスク級先行試作量産型≪オベリスク≫/≪ストーンヘンジ≫/≪モアイ≫の計9隻が防ぎお返しをお見舞いする[無人艦隊管制艦隊]として生まれた第99特戦機群と第7艦隊の見事なまでの連携プレーに敵味方問わず「見事」と息を呑む。

 

第99特戦機群

旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

ミホノラ「突入部隊はやらせません❗️ピッタリ張り付いてやります‼️」

エレン「まもなくアタックポイント、オベリスク級の管制をこっちに❗️ヘッジホッグ級の誘導弾発射スタンバイ‼️」

多田部「これで決めちゃってミホ大尉‼️」

ミホ「ヨーソロー❗️誘導弾、全弾発射ッ‼️」

 

エレンからミホノラにヘッジホッグ級の管制が渡りミホノラが誘導弾のスイッチを押す。ヘッジホッグ級は"ハリネズミ"の如く武装を満載しておりその中で特に目立つのは艦体各部に備え付けられた四連装大型対艦誘導ミサイル発射機だ。その中から戦艦すら軽く風穴を空ける"死神"が顔を出す。それが真っ直ぐジャマーに向かうのをデザリアム艦隊が阻止しようと盾になるも飽和攻撃を防ぎきれず対艦ミサイルはジャマーに到達し爆炎の華を漆黒の宇宙に咲かせ消えた。

 

【デザリアム艦隊】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

オペレーターA「【D・F・J】4基全て破壊されました❗️」

ルーギラ「くっ...❗️」

オペレーターB「ッ⁉️敵艦隊後方に反応❗️敵空母の航空編隊と思われます‼️」

ルーギラ「ッ❗️」

オペレーターB「司令❗️このままでは敵艦隊の挟撃と上空から集中攻撃を受けてしまいます‼️」

 

第7艦隊

旗艦≪シュンラン≫

艦橋

 

レーダー/通信手「≪グァンタナモ(DCV-299)≫、≪モモイ(DCV-375)≫、≪ウラガ(DCVL-404)≫、≪ケフラヴィーク(DCVL-417)≫所属の航空隊、第99特戦機群所属空母航空団編隊と共に現宙域に到着❗️」

副長「来ましたね。」

山南「あぁ、実にナイスタイミングだ。このまま押し切るぞ❗️波動共鳴波装置最大稼働‼️」

 

第99特戦機群

旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

呉賀「≪シュンラン≫からの波動共鳴波を確認❗️機関が喜んでます‼️」

タクロー「さぁさぁ"天からの友"の助けも来た事ですしやったりますかぁ❗️マグネトロン・ウェーブ解除❗️艦速上げぇ❗️全力応射‼️」

持月「ヨーソロー‼️」

高佐田「各砲塔各個に自由射撃開始‼️」

 

ジャマーを全基破壊して波動機関の全力発揮が可能となり且つ航空隊の加勢もあって本来の力を出せるようになり完全になった地球艦隊はもう自分達を縛りつける物を排除しそれを設置したデザリアムに逆襲すべく突撃する。 

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

 

オペレーターA「司令❗️≪ザーネグルズ≫から通信が❗️」

ルーギラ「繋げ❗️」

ファグリフォ(通信)「ルーギラ、撤退しよう❗️ジャマーが破壊されてしまって流れはもう完全に向こう側だ‼️」

ルーギラ「やむを得ないか...クーギラは、≪グレート・エルクーギラ≫は無事か❓」

ファグリフォ(通信)「あぁ、艦はボロボロだが生きてる❗️こちらで回収した、髑髏艦隊のデータが取れただけでも充分だよ❗️私らが殿(しんがり)を引き受ける❗️退きな‼️」

ルーギラ「ぐぅ...そうね分かった。全艦に通達❗️応戦態勢維持しつつ順次撤退可能なら艦からスキップ(【デザリアム】内でのワープの呼称)せよ‼️」

 

第99特戦機群

旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

クロンナウア「ッ❗️敵が退却を始めました❗️ワープしてきまっせ‼️」

持月「逃がすな撃て撃てぇ‼️」

タクロー「まてもっちー❗️行かせるんだ。」

持月「なんでだよ❗️」

タクロー「目的忘れない❗️第7艦隊の救助に来たんだよ。」

持月「...イエッサー。」

タクロー「こっさー、砲撃を徐々に緩めるようにしてくれ。撤退を促すんだ。」

高佐田「アイサー❗️」

 

【デザリアム】第XXⅨ狙撃大隊が殿を務め第XXⅣ師団の撤退を援護すべく阻止狙撃砲撃が行われる。自分達が不利になり退くことになったも慌てる様子もなく冷静かつ正確な狙撃が行われている事に「見事過ぎて怖い」と思わずにはいられないタクローら≪マキナ改≫クルー。

次々と撤退を始める第XXⅣ師団。その中でヒアデス級の一隻が被弾して速力が落ちたのを見逃さず。旗艦≪グレート・エルギーラ≫がそのヒアデス級を身を挺して守りに入る。

 

ヒアデス級艦長「し、司令❗️」

 

≪グレート・エルギーラ≫

ルーギラ「グズグズするな❗️早く行け‼️」

 

ヒアデス級艦長「す、すみません‼️」

 

≪グレート・エルギーラ≫

ルーギラ「ふん、鈍臭い無知が...。」

オペレーターA「撤退率86パセラー、順調です❗️」

ルーギラ「よし、敵旗艦に通信を送れ❗️」

オペレーターB「は❓」

ルーギラ「髑髏艦隊の旗艦にだ❗️暗号化せずに平文だ早くやらんか‼️」

オペレーターB「は、はい‼️」

 

第99特戦機群

≪マキナ改≫艦橋

 

手邦(第2艦橋から通信)「艦長❗️敵艦より入電が❗️」

タクロー「え⁉️分かった、訳して読み上げて❗️」

手邦(同上)「「貴艦隊の見事な戦い振りを我らは称賛す。次に会う時が楽しみだ。貴艦隊の撃滅が我等の使命。必ず果たす為にも貴艦隊のこれからの奮闘を期待する。【デザリアム】第XXⅣ師団長 ルーギラ」以上です。」

 

敵方から称賛のメッセージが届くとは思わず驚くタクローら≪マキナ改≫クルー。ご丁寧に名乗ってもいる。ヤマト達が2年前に出会った相手もそれなりに紳士的な態度であったというのは聞いてはいたもののそれでも驚いている。

 

クロンナウア「艦長❗️俺達気に入られたんすか❓それとも目の敵にされてんですか❓」

タクロー「両方じゃないかな❓分からんけどさ。どっちにせよ、これからデザさんとの戦いは厳しくなるってことだな。それと向こうさんの言う通り同じお相手に合うかも分からんけどねw.」

 

【デザリアム】からの意外も意外な通信文が来てこれから厳しくなるやどうか分からないが、艦長タクローのいつもの軽口が戻ってきて安心する≪マキナ改≫艦橋クルー達だった。

 

某宙域

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

???「ルーギラ。戦いに敗れたそうですね。」

ルーギラ「なんなりとご処罰を.....。」

???「落ち度を感じずとも良い。お前程の戦士が敗れるとは相手が上手だったということであろう❓私には分かっている。」

ルーギラ「恐縮であります。」

???「どうだ❓≪ヤマト≫はミヨーズめが付きっきりになっている故に心配はいらない。今後もあの髑髏艦隊を相手してみる気はあるか❓」

ルーギラ「ッ❗️はっ‼️」

???「では任せましたよルーギラ。必要なものがあればすぐ手配させます。」

ルーギラ「ありがたき幸せです。"聖総統閣下"...。」

 

【デザリアム】の艦隊が完全にシリウス宙域から撤退して行ったのを確認し警戒態勢を敷きつつ第99特戦機群と第440艦隊、第7艦隊はしばしの休息もとい補給と修理を持ちつ持たれつする。≪マキナ改≫と≪シュンラン≫はアンドロメダ改級補給母艦 AAOE-485 ≪サニーフラワー≫を両舷に挟むようにして接舷し補給と整備を受けていた。タクローは≪シュンラン≫に招かれ士官室で山南司令と対面し握手を交わした。本当なら440艦隊司令の四糸乃も来るはずだったのだが、彼女自身の引っ込み思案さと「私達の今の指揮官は実質タクローさんですから」と一任されてしまった為タクロー1人だ。山南はそこで地球が【デザリアム】により占領された事実を聞き驚愕するも素直に状況を受け入れ、タクローは自分達の艦隊がこれまでどうしたきたか、ヤマトはどうなったかなど自分達の現状知り得る情報を余す事なく話し山南も自分達のこれまでの事を話したりして情報を交換し合った。

山南「うむ、それでは我々が地球へ帰還しても全く意味がないという事になるな。」

タクロー「はい司令。我々も何度も通商破壊を実施し敵地球占領勢力の弱体化を図りつつ地球圏内縁への偵察を行い様子を伺ってはおりますが、まだ帰還するまでは...それに味方が生き残っているかも不明です。」

山南「う〜ん...。我々第7艦隊は≪ヤマト≫に合流しようと思う。」

タクロー「≪ヤマト≫に...ですか❓この艦隊の足なら充分追いつけますが...。」

山南「いくら≪ヤマト≫率いる艦隊が強化されたと言っても今回の相手は荷が重いと思ってな。それに我々の艦隊は長期遠征を前提としている。足を引っ張らないだろう。」

タクロー「はい、それはもちろん...。」

山南「それだけではない。先ほどの戦いとその指揮ぶりを見て分かった。君の艦隊は名前通り戦略戦術ともに実に優秀だ。本当なら君達にも来てもらいたいものだが、地球圏にも【デザリアム】に対する力が必要だ。なんとかここで踏ん張って戦い続けて欲しい。君達にも"希望"になって貰いたい。」

タクロー「...分かりました司令。第99特殊戦略戦術機動打撃群と第440独立機動防衛艦隊は地球圏に留まり抵抗活動を続けます❗️」

 

タクローと山南は共に敬礼を交わす。タクローは「うわぁ〜引き受けるって言っちゃった〜。でもうちの艦隊はまだまだ第7みたく外洋での活動に向いてなさいのは事実だし、ぼちぼちやってくしかないか。補給の事もあるし地球圏の【デザリアム】を弱体化させつつ内縁に戻り味方を探す事も本気で考えないとな(汗)」と内心ヤベーこと頼まれたなとヒヤヒヤしていたのは内緒である。




長文お疲れで読了ありがとうございました。去年から書き続けてましたが繁忙期ゆえに中々進まずで新年にも入ってしまいさらに拘ってしまって一万字を越えてしまいました。それでも内容濃いめマシマシにしたのでお楽しみ頂けたと思います。
≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫の名コンビ振り良かったでしょう❓アンカーを敵に突き刺してぶん回して戦うのは漫画「クロスボーン・ガンダム」での「X3vs死の旋風(デス・ゲイルズ)隊」や続編の「ゴースト」のサーカス側のMS ガラハドの戦法、「エヴァQ」でのヴンダーvsネーメジィスシリーズ/コード4c戦を意識しています。≪ザドキエル≫の防御戦術は「ジョジョ」第5部のギアッチョのスタンド「ホワイトアルバム」の同名の必殺技から来ています。
≪マキナ改≫の〔戦術MP(マグネトロン・プレイ)〕は「2202」でヤマトが取った戦法と同じですが、マグネトロン・ウェーブが弾頭共々効率化されており劇中でもえらいぶん回してます。
第7艦隊から多くの新型艦が出ましたね。アンドロメダ級とクラス改級の「乙型/type-B」とか補給母艦型アンドロメダ級とか新型無人艦とか。アンドロメダ級の≪リヴェンジ≫はps2「二重銀河の崩壊」に登場するボーナスユニットであるアンドロメダ級≪ネメシス≫と同じ「復讐」という意味を兼ねて登場させました(≪ネメシス≫な方は第99特戦機群 第二群旗艦に使った為、元の神話によれば「復讐」という意味ではないらしいが)。同級の≪ヴァンガード≫ど共々艦隊を分けて行動する際の臨時指揮艦や≪シュンラン≫の有事の際に指揮移譲などで活躍するという感じです。第7艦隊は長期遠征艦隊なのでそれに伴い艦艇も足の長さが重要であるわけなので補給艦もそれを含めて設定しています。新型無人艦の「オベリスク級」と「ヘッジホッグ級」はこちらもps2版から来てます。実は書いてないけど前々から第99特戦機群(創設されてそれなりにたったのでいつまでも新生BBB戦隊もあれなので)で先行試作量産型は活躍してたんです。乙型とヘッジホッグ級は模型製作中なのでお待ちを。第7艦隊の空母と補給艦の名前については「マクロス7」のマクロス7船団所属の軍艦や施設艦から来ています。
【デザリアム】もキャラクターをイキイキと描いています。ルーギラも単に男を罵倒するだけでなく部下がピンチに陥れば助けるといった感じでちゃんと指揮官しています。クーギラは戦闘狂さを表現しました。一度スイッチが入ると止められないということで≪アマテラス≫と良い勝負を演じてくれました。ファグリフォさんは出番が少ないですが、よくいる「寡黙なスナイパー」って感じではなく単純にルーギラクーギラ姉妹よりも後方で狙撃してる為で必要な時にはちゃんと意見を出して撤退を促してます。
とりあえず敵を撃退して補給を受け会談するタクローと山南さん。山南さん達第7艦隊はヤマトに追い共に【デザリアム】本星に向かう事としタクロー達は留まることになりました。両者共さらに厳しい戦いが待っていることでしょう。
本編も含め長い後書きも読了してくださりありがとうございます。今年2023年も作者の私とヤマト外伝BBBそして製作する模型達共々よろしくお願いします。


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第15話「思わぬ来客 ボラーの衛星国から」

前回で3話に渡って年を跨いだシリウス宙域での戦闘を書き終えたので、今回は落ち着いて戦闘無しのパートにしてます。ちょっとした「艦隊の日常」と「政治」をお楽しみ頂けたらと。


某宙域

 

第99特戦機群

ドレッドノート級早期警戒管制艦 DPR-963≪ザフキエル≫

艦橋

 

刻崎アサミ「ヒトミさん、地球との通信はまだ回復しないんですの❓」

 

同級早期警戒管制艦 DPR-213≪ラジエル≫

艦橋

 

本城ヒトミ「それがね〜何度も試してるんだけどもダメみたい。ノイズだらけでさ〜、エリカたんもお手上げだってさ〜。」

E.R.I.K.A(≪ラジエル≫搭載高度情報処理特化型AI)「あんたね、その呼び方やめてって言ってるでしょ❗️」

本城「ごめんごめんそんなに怒らないでよ。良い名前でしょエリカたん(ハート)❓」

E.R.I.K.A「またぁ❗️」

 

対話インターフェースを追加して会話できるようになった≪ラジエル≫搭載のAIとは毎度こんな感じである。≪ザフキエル≫艦長の刻崎は「やれやれ相変わらずですこと」とやや呆れながら地球との通信が繋がらないのを不思議がっていた。この2隻は第99特戦機群本隊と離れ≪ザフキエル≫の搭載特殊兵装である『時空干渉弾』通称『時空弾(時干弾とも言う)』の元となる物質<タキオニウム>を採掘、精製の為に地球圏から遠く離れた所にある時間の異常増進停滞逆行が起こる特異な宇宙気流である『時空乱流(タキオニック・タビュランス)』にいた。十分な<タキオニウム>を収集し後は帰還するのみとなりその旨を地球防衛軍司令部に報告しなければならないのだが、その地球への通信が全く繋がらないのだ。

 

ピュイーン!ピュイーン!(レーダーの電子音)

 

≪ラジエル≫通信手/レーダー手「ッ❗️艦長、レーダーに反応あり。艦隊規模。」

本城「エリカたん❗️」

E.R.I.K.A「もう済んでるわよ。パラメーターは防衛軍とガミラスの物ね。」

本城「防衛軍とガミラスの艦隊❓カメラ映像❗️最大望遠で❗️」

 

本城の指示によりメインモニターに映像が映し出される。そこには「まさかこんな宙域に⁉️」と思う様な艦のビッグパレードがあった。

 

本城「≪ヤマト≫だ❗️」

 

≪ヤマト≫の名を聞いて少しピクつく≪ザフキエル≫艦長の刻崎。

 

E.R.I.K.A「≪ヤマト≫旗艦の【第65護衛機動群】だけじゃないでしょ❓≪シュンラン≫旗艦の遠征打撃群【第7艦隊】にガミラスの方はフォムト・バーガー中佐率いる【第27空母打撃群(別称『バーガー空母戦闘団』】もいるわね。」

本城「≪ヤマト≫に≪シュンラン≫に≪ランベア改≫、なんでこんな艦達が集まって...❓」

 

≪ザフキエル≫

艦橋

 

刻崎「只事ではないことが起きている。というのは分かりますわ。こんな大きい顔を持った艦艇、ましてや≪ヤマト≫が集まりの中心にいるなんて明らかに普通ではありえませんもの。」

 

≪ラジエル≫

 

本城「地球に何かあったってことアサミン❓」

 

刻崎「さぁどうでしょう。少なくとも≪ヤマト≫の行くところ戦いありなのは過去の記録で実証済みですから。」

 

本城「ねぇアサミン❓平気なの❓≪ヤマト≫はアサミンにとって因縁のある相手なんでしょ❓」

 

刻崎「あら、それを言うのなら貴女も同じではなくてヒトミさん❓」

 

本城「私はアサミン達に比べて『時間断層』にいた期間はこの≪ラジエル≫共々短かったからさ。そこまで≪ヤマト≫に対して思うとこないよ。でもアサミンにとって『時間断層』は特別な場所だった筈でしょ❓だから...。」

 

刻崎「きひっ❗️きっひひひひひひひ❗️えぇえぇ、仰る通りでしてよ。でも大丈夫ですわ。それに、私これはとても良い機会だと思っているんですのよ。」

 

本城「というと❓」

 

刻崎「地球に何があったのかを聞けるだけでなく、≪ヤマト≫が本当に『時間断層』を破棄してまで救うに値する艦だったのかどうか間近で見て確かめる事ができるかもしれないんですもの。」

 

本城「ッ⁉️」

 

刻崎「さぁさぁ参りましょうヒトミさん。英雄さん達にお尋ねとご挨拶申し上げようではありませんの。」

 

この時の本城は刻崎の心境が分からなかった。それは単に好奇心の興味本位なのかそれとも『時間断層』という名の自分達の居場所を奪った悪魔の艦≪ヤマト≫への憎悪なのか。だが今は地球の状況を知るには≪ヤマト≫らに接触するしかないと思い艦を進めるのだった。

後にこの艦隊が【デザリアム本星殴り込み艦隊】と称されるのは戦役後のことである。

 

地球圏外縁 オールトの雲

 

ドレッドノート改級汎用護衛戦闘艦 type-B(大口径連装主砲搭載型)

DDEM-334≪ヘイズル≫

艦橋

 

≪ヘイズル≫艦長「デザさん、なんだか様子がおかしくなってないか副長❓」

同副長「そうですね。定期便(【デザリアム】の輸送船団のこと)は毎度ですが、輸送船の数に対して護衛の艦艇が少なくなって来ている気がします。」

艦長「ガトさんと違って戦力がほぼ無尽蔵って訳じゃないってことなのかな❓それとも船団輸送どころの話じゃない状況になった。とかね❓」

副長「≪ヤマト≫...でありますか❓」

艦長「たぶんな。理由は分からんが敵はなぜか≪ヤマト≫に倒すのに夢中で躍起になってる。地球も占領しつつ≪ヤマト≫も倒さなきゃで戦力が分散しちゃってるんだろうな。」

副長「これが我々にとっても良い方向に進むと良いですな。」

艦長「ふっ、全くだよ。」

 

ピピプッ!(レーダーの電子音)

 

通信手兼レーダー手「レーダーに艦種❗️ワープアウト反応❗️」

艦長「総員警戒態勢❗️」

 

ピロピロピロプゥィーン!と警報が≪ヘイズル≫の艦内に鳴り響き、乗員達は各々の部署に走り始め配置に着く。

 

艦長「相手は誰だ⁉️また【デザリアム】か❓」

通信手兼レーダー手「いえ、このパラメーターは...これって...⁉️」

 

オールトの雲の補給基地整備ドック

 

第99特戦機群 旗艦≪デア・エクス・マキナ改≫

艦長室

 

タクロー「Zzz...。」

天伝雷「主様、主様。起っきですわよ。」

 

≪アマテラス≫艦長の天伝雷は先のシリウス宙域での戦闘に関する戦闘詳報と消耗した弾幕等の備品のリストを持って≪マキナ改≫に乗艦しているのだが、それはあくまで建前で本当は主様と慕うタクローに世話を焼く為である。

 

タクロー「天伝雷さんまだ起っきじゃないでしょどうしたんです❓」

天伝雷「≪ヘイズル≫から連絡が来てますの。」

タクロー「なにデザさんがまた絶賛働きアリしに来たって❓」

天伝雷「いいえ、ボラー連邦艦ですわ。」

タクロー「...なんだつて❓」

天伝雷「艦橋に来るよう言っておりますわ。早く支度してくださいまし。」

タクロー「ふわぁあぁぁうぇいうおおおおおごごごごぎぎぎぎ(※あくびです)。分かった顔洗ってカフェインたっぷりのガム噛んで黒酢ドリンク飲んで頭スッキリさせたらすぐ行くよ。」

天伝雷「はい。それで主様❓」

タクロー「なによ❓」

天伝雷「久々に2人きりになったんですもの。下の名前で呼んでくださいまし。それとハグして頭を撫でて褒めてくださいまし。」

タクロー「あぁ分かったよ諏訪(ギュッ)。 よしよしこれで良い❓」

天伝雷「えぇ、最高ですわ主様。」

 

タクローも含め≪アマテラス≫の蛮勇さと凶暴さは皆が知るところであるが、天伝雷は戦いの時以外は物腰丁寧でお嬢様口調の大和撫子であり、特にタクローの前のみこの様にして甘える姿を見せる。先の戦役で重傷を負った自分を救ってくれた事を大いに感謝しているだけでなく全幅絶対の信頼と愛を寄せているのだ。

 

また時間が戻って≪ヘイズル≫は...

 

汎用護衛戦闘艦≪ヘイズル≫

艦橋

 

≪ヘイズル≫艦長「パラメータ解析済んだか❓」

通信手兼レーダー手「識別はボラー連邦艦で間違いありません。2年前にガミラス第28移民船団護衛作戦で遭遇した指揮艦型と型式が一致しました。」

艦長「総員戦闘配置❗️旗艦≪マキナ改≫にも打電しろ❗️「我ボラー艦と遭遇指示を請う」だ❗️」

 

アンドロメダ級と同じ40.6センチ口径の連装衝撃砲を主砲とする≪ヘイズル≫を含むクラスD改級汎用護衛戦闘艦[type-B]は12.7センチ連装速射衝撃砲を持つ同級≪ブラックオター≫を含む[type-A]と違い対艦戦向きとなっている。2年前の『ガミラス第28移民船団護衛作戦』にて偶然接敵したボラー連邦艦隊との戦闘の教訓から[type-A]では火力不足が指摘された為に生まれた派生艦で姉妹艦と言える。計算上ではガミラスより提示されたボラー艦の推定スペックから逆算しても十分に装甲を貫徹可能だという。それが今まさにそのボラー艦に向けられているのだ。しかし艦長には懸念があった。変更、強化されたのは主砲のみである本艦で果たして撃沈する前に攻撃の手数の多いボラー艦を仕留められるかということだ。

 

戦術/砲術長「全火器スタンバイよろし❗️主砲射程圏内❗️」

艦長「撃ち方...」

通信手兼レーダー手「ッ⁉️ボラー艦より通信❗️」

艦長「何⁉️読み上げろ。」

 

時を同じくして≪マキナ改≫に場所が戻る

 

≪マキナ改≫艦橋

 

金田「艦長上がられます。」

タクロー「楽にしてください。状況は❓」

栗梶「ボラー艦一隻が本宙域にワープアウト。≪ヘイズル≫によると黒煙を上げており損傷しているそうです。それと指揮官と話がしたいとのこと。」

金田「艦長...。」

タクロー「応じましょう。損傷してて≪ヘイズル≫に対して攻撃してないということは敵対する意思はないようだからね。かっしー、お繋ぎして。」

栗梶「はい、出します。」

 

非公式とはいえ、これが恐らく地球連邦とボラー連邦とのファーストコンタクトとなるのだろう。どうなるか分からない不安な空気がある中メインパネルにボラー艦の艦長と思しき男が映し出される。ガトランティス人とは若干色調が異なる緑の肌を持ち、短い頭髪に太い眉毛ともみあげ、年齢は50〜60代だろうか顔に皺(しわ)が多い。

 

(映像通信)

ボラー艦艦長???「※イゼルニァウダ ザフプィエルン オプショル。ノオウオ オナセルニィアトラフィセ ニエィ フメイエイ。

(※地球語訳:突然の通信、申し訳ない。だが我が方に敵対意思はない。)」

 

栗梶「言語一致。ボラー連邦。」

 

(映像通信)

アグォルコ・ラム「私はボラー連邦加盟衛星国 バシウド星系第4惑星【バース民主共和国】艦隊司令兼旗艦≪ラジェンドラ≫艦長 アグォルコ・ラムです。」

 

タクロー「地球連邦防衛軍 第99特殊戦略戦術機動打撃群司令兼旗艦≪デア・エクス・マキナ改≫艦長の多田部 拓郎です。」

 

ラム「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。」ペコッ

 

タクロー「(ボラー本国艦隊じゃなく衛星国の艦のお出ましか意外も意外だ...)。」

 

【ボラー連邦】は「連邦」の名の如く[本国]と傘下の[衛星国]によって成り立つ星間国家である。今から8年前、西暦2199年のガミラス第一次アベルト・デスラー政権崩壊後の混乱に乗じガミラス傘下の星間/惑星国家を次々と手中に収め勢力を拡大し今やもう一つの巨大星間国家【ゼニー合衆国】と覇権を争う程の大国となっているという。

 

ラム「我が艦≪ラジェンドラ≫はご覧の通り戦闘で損傷しておりその修理をしたい。貴官らの基地のドックに入渠させて貰いたいのだが...。」

 

とラム艦長は≪ラジェンドラ≫の修理を申し入れてきた。確かに艦の後部から酷く黒煙が上がっており艦橋部分が見え隠れしてるくらいだ。とても戦闘したり速度も出せそうにないのは外から見ても明らかだ。

 

タクロー「敵対意思がないのは分かりました。しかし国交のない艦を援助することはできません。それに我々も現在戦争状態なものですから。」

 

ラム「迷惑を言っているのは百も承知だ。だが我々も出て行きたくても出ていけないのだ。それに乗組員の中には負傷者も大勢いる。食糧も国に帰るまで保ちそうにない。」

 

金田「艦長。」

タクロー「少し時間を頂いてよろしいでしょうか❓部下達と話をして決めたいと思います。」

 

ラム「分かりました。」

 

ラム艦長からの了承を得て時間を頂いたタクローは士官室に副長と参謀クラスを招いてボラー艦≪ラジェンドラ≫をどうすべきか話し合う事となった。

 

タクロー「さっきはあぁ言ったけど、私は助けて良いと思ってる。」

テーブルに座る副長達「ッ‼️」

 

艦長であり司令のタクローが≪ラジェンドラ≫への援助をOKして良いと発言をしたのに驚くお集まりの皆さん。しかし副長の金田と参謀のアイクはその決定に笑みを浮かべる。

 

タクロー「あぁ、あくまで食糧と水の支給と機関系の修理だけ。武器弾薬の修理/補充はなしでの話よ。」

参謀A「私は反対です❗️」

参謀B「そうです相手は敵国ですよ❗️」

アイク「それは【ガミラス】、いや今や【ガルマン・ガミラス連邦共和国(※西ガルマン)】だったな。ボラーが戦争してるのは彼等だ。我々(地球連邦)じゃないそうだろう❓」

(※ボラー派のガルマン人の一部はボラー連邦の支配領の一惑星(いちわくせい)に移住し【ガルマン・ボラー民主共和国(東ガルマン)】を建国(非承認国家)した)

金田「その通り。地球はボラーには宣戦布告していません。ガルガミとの領土紛争には我々はあくまで中立の立場にあります。」

参謀A「防衛軍司令部に掛け合うのが筋だろう❗️」

アイク「その司令部は今機能していないだろう❓電話を掛けても出てくるのは真っ黒々助さ。」

参謀B「ガルガミとのことは⁉️同盟国が聞いたらどう思う‼️」

金田「そのガルガミは今はここにはいません。それとも我々の艦隊にガミラス人が一人でもいましたか❓"元"ガミラス艦はいますが。」

タクロー「はいはい皆さんストップストップ。皆さん私の思い悩んだこと全部言ってくれてありがとう。確かにそれらは憂慮すべきことです。ですが国連宇宙軍だった頃からのモットーを皆さんお忘れでないでしょう❓ほら「目の前で溺れる者を見捨てない」と、これには別に"敵味方"なんて区別は付いてないし誰も言ってないし書いてもいない。尤(もっと)もモットーなんてのは規則というよりかはただの"心得"みたいなもんだけども、、、とにかく我々も苦しい状況なのは分かりますよ。でも私達人間はまだ良いとして艦艇達の方のが補修パーツも減ってきてちょいと危ないでしょ❓でも食糧の方はなんとかなってる訳だ。幸いこの基地には一生どころか私達が1000年生きたって食い切れない量の食糧があります。少しぐらい分けたって構わないでしょう❓

瀕死の相手を倒したり見捨てるなんて夢見も後味も悪いじゃないですか。私達『不良艦隊』や『海賊』『ヴィラン(悪役)』で通ってるけどそこまで非人道的じゃない、皆そのつもりでしょ❓」

 

タクローのいつもの"節"が効いたマシンガントークで考えを話す。「お互いに苦しい時にこそ助け合うことって大切よ例え敵でもね難しいけどさ」というのを伝え≪ラジェンドラ≫に救援の手を差し伸べるのに難色を示していた参謀達も7艦長がそう仰るなら...」と表情が少し和らぐ。

 

戻って≪マキナ改≫艦橋

 

タクロー「お待たせしました。貴殿の申し出をお受けします。どうぞ3番ドックへ入港してください。」

ラム(映像通信)「感謝します。」

 

クラスD改級汎用護衛戦闘艦≪ヘイズル≫はタクローの司令の下≪ラジェンドラ≫を重力トラクタービーム(重力アンカーを牽引ビームに応用したもの)で曳航し始める。≪ラジェンドラ≫右舷にはパトロール艦≪エゾーケン≫が同航し連装主砲三門を≪ラジェンドラ≫に向ける。

 

ボラー連邦 衛星国【バース共和国】艦隊 旗艦

ボラーヅェ・ラ・バスード級艦隊指揮型装甲航宙艦

≪ラジェンドラ≫

艦橋

 

レーダー手「艦長❗️※地球警備艦(※地球、ガミラス側で言う所の巡洋艦・駆逐艦に相当するボラー連邦独自の艦種呼称)本艦と同航。主砲をこちらに指向中。」

副長「艦長❗️」

ラム「狼狽えるな❗️当然の措置だ。我々が妙な動きを見せなければ発砲はしてこない‼️静かにこのままドックに入るのだ。」

 

狼狽える副長と部下を落ち着かせるラム。歴戦の艦長の言う事ならと艦橋にいるクルー達は徐々に落ち着きを取り戻す。

 

パトロール艦≪エゾーケン≫

艦橋

 

浅草「見たまえ金森君よ❗️あの流線的なフォルムなれどドッシリとした重厚感あふれるボディ❗️それに目立つ赤色❗️損傷しているとは言え良い艦だと思わんかね⁉️」

 

ゴチンッ!(ゲンコツ)

 

浅草「あいてッ⁉️」

金森「なぁ〜に絵描いてんだ仕事しろオラァッ❗️」

 

そんな≪ラジェンドラ≫の緊張状態を知ってか知らぬか、≪エゾーケン≫艦長の浅草はスケッチブックを取り出して≪ラジェンドラ≫をスケッチする。副長 金森に怒られるも「まぁいつもこうだから言っても聞かんか」とすぐ説教を諦めた。≪ヘイズル≫に曳航され数十分後、オールトの雲の補給基地に到着し≪ラジェンドラ≫は第3ドックに入渠する。タクローは≪ラジェンドラ≫が入港したドックに宇宙服姿で立っている。≪ラジェンドラ≫から折り畳み式のタラップがせり出し同じく宇宙服を着たラム艦長が降りてくる。

 

タクロー「第99特戦機群司令兼旗艦≪マキナ改≫艦長、多田部拓郎です。基地へようこそ。」

ラム「バース共和国所属≪ラジェンドラ≫艦長のラムです。御招き感謝します。」

 

互いに敬礼で挨拶し握手を交わす。ここに非公式なれど地球連邦とボラー連邦の艦長同士が直に顔を合わせたのだった。

 

基地内士官室

 

タクロー「どうぞ。」

ラム「おっとこれはどうも。」

 

タクローはラムのグラスにお酒を注ぎ、「乾杯」とグラスをキンッ!とぶつける。因みにタクローはあまり酒に強く無いのでコーラにしラム艦長も一杯だけにするつもりだ。部屋のドアからコンコンッ!とノックの音がする。「入ってよし」とタクローが言うと給仕係が入室して来たのだが、入って来たのはミホノラ大尉だった。「失礼します」と入ってくるミホノラにタクローは少し驚いて目を丸くし「ちょいちょい」と人差し指を動かしてミホノラを呼ぶ。

 

タクロー「いつから給仕に転職したの大尉❓」ヒソヒソ

ミホノラ「これも良い機会だと思いまして担当に変わって貰いました。」ヒソヒソ

 

同盟国【ガミラス】もとい【ガルマン・ガミラス】が敵対する国家の軍人なんて滅多に直接お目にかかる事はできないので「これも自分にとって良い経験になるはず」と思っての行動らしい。確かに滅多に経験できることではないと思うタクローとラムの前でミホノラは慣れた手付きで食事の皿をテーブルに並べていく。 

 

タクロー「(そういえば大尉は故郷のフィンランドでは結構良いとこの軍の家系のお嬢なんての聞いたことあったけ❓給仕さんの一人や二人くらいいてその動作を見て覚えたんだろうな)」

 

食事の皿を並べ終え「失礼します」と一礼しミホノラは部屋を後にした。

 

ラム「いやはや驚きましたよこんなオモテナシを受けるとは。しかし良かったのですかな❓助けて貰ってこんなことを言ってはあれですが我々は貴方達の同盟国【ガルマン・ガミラス】の敵ですぞ❓」

タクロー「あぁ、その件については部下達と散々話して来ましたよ。ですが敵対してるのはあくまで同盟国の方なので...。」

ラム「なるほど、ここにその同盟国の方が1人もいらっしゃらないからというのも決め手の一つという事ですかな❓」

タクロー「おっと当たりですよ。」

 

そう会話を弾ませながら二人の食事と会談は続いた。その頃基地のドックに入港した≪ラジェンドラ≫は≪マキナ改≫技術長の手邦と機関長の呉賀さらに≪エゾーケン≫副長の金森を加えた主導陣の下に修理作業に入っていた。

 

手邦「損傷の軽微な部分を優先してくれ。大きい所は軽微の部分が終わり次第人をそちらに回すように。修理にはこちらの損害艦を使って良い。金森副長、資材運搬の指示を頼みます。」

金森「分かりました。あぁその資材は艦内へそっちは艦外です。」

手邦「整備担当のお三方、状況知らせ。」(インカム通信)

 

第3ドック

 

ロゥジィー・ウェルダース(第99特戦機群 艦隊統括整備長)「突貫でやってます❗️ウィニー❗️」

 

ウィニー・ウェルダース(同統括整備副長)「はーいこっちももうじき終わるから手が空くよ〜❗️」

シブキ「ウィニーさん、こっちは終わりました❗️」

ウィニー「はいよ〜❗️」

セシリア「お疲れ様です。ウィニーさん、シブキ。」

ウィニー「セシリー、どうしたのこんなとこ来て❓」

セシリア「整備の人は食堂行く暇がないと思って兄と一緒にパンを焼いてサンドイッチにしてきたの。皆の分もあるからどうぞ。」

シブキ「お、ありがてぇ❗️セシリアん家のパンは最高だからな❗️」

 

ロゥジィー「ロニーザそっちは❓」

 

ロニーザ・ブレンガー(同統括整備班長)「驚きだね❗️地球製のパーツがピッタシハマるとこあるよ❗️」

 

整備班長のロニーザはボラー艦に地球製のパーツ規格が通用する事に素直に驚いている。士官学校で火星軍の艦は墜落していたボラー連邦艦と思われる残骸を解析して建造されたというのを習ったのを思い出す。「地球艦のご先祖はボラー艦」という説が正しかった事を今まさに実感している。

 

ロニーザ「でも幾らハマるからって大丈夫かな❓全然違う星系の艦同士だし。」

???「なぁに心配することはねぇよロニーザ。」

ロニーザ「マッコイ爺さん...。」

 

心配するロニーザにそう声をかけたのは≪マキナ改≫の主計長で「トイレットペーパーから惑星間弾道弾まで」「金さえ積めばデスラーパレスさえ引っ張ってきてやる」が信条のマッコイ・カーユミだ。根っからの商売人気質な爺さんでこの第99特戦機群の古参でもあり旗艦≪マキナ改≫のみならず艦隊全体の兵站関連を任されており時折強引かつ違法スレスレな物資の調達をするやり手だ。

 

マッコイ・カーユミ「大昔も作ってる国が違えどパーツの口金さえ合えば直せたって話がある。宇宙に出てもそれは変わらねぇってことじゃて。」

ロニーザ「へぇ〜この広い広い宇宙でも共通することってほんとにあるんだね。本当はウチや440艦隊の損害艦からじゃなくてデザリアム艦の残骸が使えれば良かったんだけどな〜。」

マッコイ「それはそうなんだがほれ、"波動融合反応"とやらのせいで波動エネルギーを受けると奴らの艦とその構成部品は熱を持っちまって役に立たんらしいからな。」

ロニーザ「うちらみたいに"残骸(ほね)になっても役立ってほしい"ね。」

マッコイ「ふ、全くじゃな。」

 

基地医療区画

 

ジャック・B・オオツカ(≪マキナ改≫衛生長・艦医)「スペースは空けておけ❗️まだ患者は来るぞ❗️そこ軽傷者を先に❗️重傷者の方は私がやる。」

助手達「はい❗️」

 

≪ラジェンドラ≫の負傷者で溢れかえった基地の医療区画では≪マキナ改≫衛生長で艦医のジャックが重傷者を治療しつつ助手達に指示を飛ばしている。ガミラス人以外の異星人を治療するのはオオツカ艦医を含め医療スタッフも初めてのことであるが、≪ラジェンドラ≫から入港する前にメディカルデータを受け取っていたこともあって対応はスムーズだった。

 

助手「衛生長、負傷者全員分のチェックを終えました。」

オオツカ「ご苦労。ボラー人いや正確にはバース人の身体構造が我々と同じで助かったな。」

助手「えぇ、驚くべき一致率です。≪ヤマト≫が初めてガミラス人を解析した時もこんな感じだったんでしょうね。」

オオツカ「あ、四糸乃艦長(敬礼)。」

助手達「(敬礼)」

四糸乃「あ、敬礼はいい、です。」

オオツカ「どうかされましたか❓何か不備でも❓」

四糸乃「い、いえ。私も手伝いたくて、来ました。」

オオツカ「え、いや大変ありがたい申し出でありますが、一艦隊司令(いちかんたいしれい)のお手を煩わせては...。」

四糸乃「オオツカ先生、みたいな本格的な外科手術はできませんけど、私も治療くらいは、お手伝い、できます❗️」

助手「どうします先生❓」

オオツカ「そこまで言うなら良いだろう。四糸乃艦長は医療コースを受けていたとタクロー艦長からは聞いているしな。ではあちらの患者からお願いします。」

四糸乃「は、はい❗️」

 

艦修理ドック、医療区画それぞれのスタッフ達が奮闘し≪ラジェンドラ≫とその乗員達は順調に修理/回復していき約半日を賭けてこれを全て完了した。

 

第3ドック

 

ラム「大変お世話になりました(敬礼)。」

タクロー「いえ、自分達のモットーに従ったまでです。感謝を述べられることでは(敬礼)。」

ラム「瀕死の我々の相手があなた方で良かったです。地球の方がこんなに素晴らしい人達がいるとは、ボラー連邦にも教えてやりたいものです。」

タクロー「恐縮であります。」

ラム「そういえば最後まで聞きませんでしたな。我々がどこの誰と戦い損害を受けたのか、我が国そしてボラー連邦の情勢についてなど。」

タクロー「おやおや、そういうラム艦長こそ我々地球連邦の事をお聞きにならなかったでしょう❓おあいこですよ。」

ラム「おっとそうでしたな。私達と貴方達の祖国は互いに微妙な政治関係ですが、時が経って遠慮なく話せる時代になれたら良いものですな。」

タクロー「はい、全くですよ。」

 

そう互いに最後の挨拶を交わしラムは≪ラジェンドラ≫に乗艦し第3ドックから出航していく。「バース共和国旗艦≪ラジェンドラ≫の航海の無事を祈って、全員敬礼❗️」とタクローの指示で第3ドックや基地にいるスタッフ、各艦の艦長と乗員それぞれが≪ラジェンドラ≫に対し敬礼を贈る。タクロー達からは見えないがラム艦長ら≪ラジェンドラ≫のクルー達も敬礼に応え送る。≪ラジェンドラ≫は第99特戦機群所属パトロール艦≪ペネムエル≫が誘導のため前衛に、側面を≪ザドキエル≫以下第440防衛艦隊がエスコートを受け無事オールトの雲の宙域を離脱していったのだった。




いかがだったでしょうか❓タクローら第99特戦機群本隊と離れている≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫の視点から≪ヤマト≫と≪シュンラン≫の動向を描きました。ps2「暗黒星団帝国の逆襲」と同じく無事合流できたようです。そこにバーガー乗艦の≪ランベア改≫率いる【第27空母打撃群】も加わります。番号は≪ランベア≫が旧作で言う「第二空母」からとバーガーが第6空間機甲師団所属時に「第7駆逐戦隊」戦隊長だったとこから来ています。せっかくリメイクでガミラスが同盟国になったんですからガミラスさんも連れて行きませんとね。
≪ザフキエル≫艦長の刻崎さんは『時間断層』という居場所を奪った≪ヤマト≫と因縁があるらしく今後ギクシャクしないかどうか心配ですね(汗)
一方の第99特戦機群本隊の方では突如出現したボラー連邦の衛星国【バース共和国】艦隊旗艦の≪ラジェンドラ≫と艦長のラムと相対します。「Ⅲ」に登場したラム艦長がファーストネーム付き(ラム酒の種類から取ってもじった)で登場です。地球連邦とボラー連邦の非公式のファーストコンタクト(「星巡る」のオマージュ)に当初は「支援できない」と断るタクローでしたが、内心は助けるつもりでいたようです。【ガミラス】改め【ガルマン・ガミラス連邦共和国】が知ったら黙ってないでしょうが、まぁそこは「戦争中だし何より敵をさらに増やすのは得策じゃない」というタクローの判断は間違いではないとは思います。
それとガルガミの国家体制は「3199」では旧作通り「帝国」になるそうですが本作では「連邦共和国」にしました。理由としては「もう新たな移住先の星を探す為の侵略戦争をする必要もなくなったし、【デザリアム】のせいで人口も減って国力も低下したしでもはや「帝国」を名乗るほどの国家体制にはならないしなる必要もない」と解釈したからです。一方で「ガミラスが解放したは良いけどボラーに付いていた方が得する」というガルマン人達もいると思うのでその人達がボラー連邦領の惑星で【ガルマン・ボラー民主共和国】というのを建国したという事にしました。"ガルガミ(西ガルマン)"と"ガルボラ(東ガルマン)"、史実で言う所の西ドイツと東ドイツの様なものだと思っていただければ幸いです。
さて話を戻して≪ラジェンドラ≫を機関系の修理と水と食糧の補給及び負傷者の治療のみ行う事を条件に基地への入港を許可しました。これを機に≪マキナ改≫の主計長や整備長、衛生長などを設定しました。4人とも本話初登場ですが最初から乗艦していた設定です。それとシブキの整備工とドレルスとセシリア兄妹の実家パン屋設定をここで活かさせていただきました。こんな時でもなければせっかく設定を作った意味がないのでね。
「ボラー艦と地球艦の繋がり」「デザリアム艦の残骸を修理に使わない訳」など色々と謎というか疑問についてもサラッと程度ですが書いておきました。ご納得頂けたら幸いです。
さてさて短い交流でしたが、タクローとラム艦長の仲は良さげなままお別れしました。今度会う時は恐らく敵同士ですね。ん❓出る予定あるかな❓ちょっとスケジュール確認してきますね。ではまた次回に。


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第16話「友との合流と地球への帰路へ」

前回ボラーの≪ラジェンドラ≫を助けた話で終わりましたが、今回は話の構想の段階から出そうと思っていた"ある2隻"の登場と「永遠に」の名場面を私なりにリメイクし直した物をお送り致します。それではお楽しみを↓


地球から約20万光年に位置する宙域。【デザリアム】の本星があると思われる宙域の手前、暗黒星雲と地球の中間に位置するこの宙域には【デザリアム】側の中間補給基地があった。

【デザリアム本星殴り込み艦隊】はこれ以上の地球侵攻の足掛かりにされるのと迂回してやり過ごした場合の追撃を阻止すべく基地攻略を決めそれに際し情報収集を開始した。各種偵察/早期警戒機、パトロール艦から得た情報を第99特戦機群所属の早期警戒管制艦≪ラジエル≫が精査し纏めた。

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

[第65護衛機動群]旗艦兼殴り込み艦隊総旗艦≪ヤマト≫

中央作戦室

 

本城(早期警戒艦≪ラジエル≫艦長)「皆が集めてくれた事前情報をエリカたん...じゃなかった私の艦のAI(人工知能)に精査して貰った結果ですがこの基地のドーム状の部分が艦船の整備/補給ドックと見て間違いなさそうです。」

 

≪ヤマト≫の中央作戦室には各艦隊旗艦/副旗艦の艦長や副長クラスが集まり中間基地攻略作戦を練っていた。本城が纏めた情報を基に敵基地の現状を説明している。

 

本城「基地ドーム内部には70隻以上のエネルギー反応があります。同甲板上にも係留されている艦が20隻程で、外部の守備隊と思しき艦隊の数は約30隻と我々の艦隊総数の約3倍に相当します。」

 

フォムト・バーガー(【ガルマン・ガミラス】第27戦闘空母打撃群司令兼旗艦≪ランベア改≫艦長)「こりゃあえらい数だな。」

 

山南(第7艦隊司令兼旗艦≪シュンラン≫艦長)「うん...仮にドーム内部にいる艦船が補給中で即座に動けないとしても、基地から外に出てきて周辺にいる艦隊と合流されては厄介だな。」

 

古代(第65護衛機動群司令兼旗艦≪ヤマト≫艦長「そこで艦載機隊による奇襲を考案しました。」

 

「真正面から戦うのは自殺行為だ」と思い苦い顔をするバーガーと山南に古代が攻略作戦の説明をする。

 

古代「敵総数の大半を占めているドーム内の敵を外に出さない為にも電波管制と電子妨害支援下の合同航空隊が基地内部へ突入し係留中の敵艦隊を襲撃。その後、混乱した基地と敵艦隊をこの≪ヤマト≫を中心とする二個打撃部隊と第7艦隊の無人艦隊で一気に叩きます。」

バーガー「なるほど、悪くねぇな。」

山南「奇襲にはスピードが肝心だ。航空隊と艦隊全体の指揮は我が≪シュンラン≫が引き受けよう。」

古代「分かりました。では補佐に我が艦隊の≪アマクサ≫を付けましょう。よろしいですか❓霧下艦長。」

霧下 志郎(きりした しろう)(第65護衛機動群所属≪アンドロメダ級≪アマクサ≫艦長)「え、えぇはい分かりました(うわ、絶対前に出てガチ砲戦する気だよこの人(汗)。」

 

作戦が決まり掛けた時、「意見具申よろしくて❓」と声を掛けた者がいた。≪ラジエル≫と同じ第99特殊戦略戦術機動打撃群所属のクラスD改級早期警戒管制艦≪ザフキエル≫の艦長 刻崎だった。

 

刻崎「決まり掛けた作戦に水を差すようで申し訳ないですけれど、ご自慢の"波動砲"はお使いになりませんの❓」

 

刻崎から「波動砲」の単語が出て少しザワつき始める古代以外の艦長及び副長ズ。

 

刻崎「今は一刻を争う時ですわ。ロングレンジによる波動砲攻撃で最短に基地を攻略し先を急ぐべきではありませんこと❓

それに、もう【イスカンダル】とその王族はいませんわ。彼女達のことを思って配慮する必要はないと思うのですけれど...❓」

バーガー「おい、あんた...ッ⁉️」

 

刻崎の提案に返そうとするバーガーを古代が手を出して制止させる。どうやら古代自ら刻崎の問いに答えるようだ。

 

古代「刻崎艦長。貴女は我々の航空隊ひいては艦隊の力が波動砲よりも劣っているとお思いですか❓」

刻崎「ッ⁉️」

 

刻崎は古代の視線に驚いた。返しの意見にではなく視線にだ。刻崎自身は「≪ヤマト≫の艦長は未だ波動砲の使用について躊躇いまくっているおセンチなボウヤ」だと思っていた。しかし今視線を合わし話をしている古代からはそれらは感じられない。むしろ強い意志に染められた真っ直ぐな瞳がそこにあったのだ。彼女はそれに驚いている。

 

古代「提案には感謝しますがこの作戦は波動砲なしでいきます。我々の力が"波動砲"にも負けないということを証明してみせましょう。」

真田(戦闘空母≪ヒュウガ≫艦長)「古代...。」

森雪(補給母艦≪アスカ≫艦長)「古代君...。」

 

少し古代の目つきに圧倒された後、刻崎は我に返りいつもの余裕を含む笑みに戻る。

 

刻崎「... ...ふふっ、えぇえぇそうでしたわそうでしたわね。今の艦隊旗艦及び司令はあなたでしたものね。わたくし別に皆さんのお力を侮っていた訳ではありませんの、ご気分を害されたのでしたら謝罪致しますわ。」

 

自身の発言を謝罪する刻崎。古代は場の空気のザワつきをなんとか収めたようだ。中々ヒヤヒヤもんだったとこの場にいたクルー達は後に語ったというのはまた別の話である。

 

古代「山南、バーガー両艦長は後で作戦に参加する空母航空隊と艦艇をリストアップして提出願います。」

山南「了解した。」

バーガー「お、おう。」

古代「各艦は作戦準備を整えておくように、以上だ。解散❗️」

 

古代が作戦会議の終わりを告げ各艦長/副長ズはそれぞれの艦に戻る。古代も作戦室を後にしようとするとバーガーに声を掛けられる。

 

バーガー「古代、大丈夫だったか❓」

古代「あぁ平気だ。」

バーガー「あの刻崎って女艦長...用心しといた方が良いぞ。」

古代「ありがとうバーガー。だが今は仲間同士での揉めごとはしたくない。」

バーガー「ふっ、お前らしいな。だが一応目を光らせとくぜ。」

古代「...分かった。」

 

そう言って「じゃあな」と手を振られバーガーは自身の艦に戻るべく部屋を後にする。その次に声を掛けられたのは≪ラジエル≫艦長の本条だった。

 

本城「すみません古代艦長(汗)。」

古代「何を謝ってるんですか本城艦長❓」

本城「アサミン...じゃなくて刻崎艦長のことです。彼女悪気があってあんなこと...。」

古代「分かっています。今後の航海と戦闘のことを考えれば彼女の考えは正しい。だが波動砲を使わないことに僕は意味があると思っています。イスカンダルが...スターシャさん達ができなかったことを僕達が引き継いでやっていきたいんです。」

本城「古代艦長...。」

刻崎「・・・・・・。」

 

古代の真意を聞き並々ならぬ思いを背負っていることに驚く本条。その言葉は作戦室の外の扉近くで背にもたれている刻崎にも聞こえていたのだった。

 

 

≪ヤマト≫航空隊

山本 玲(やまもと あきら)/≪ヤマト≫航空隊長:コールサイン【ヤンキー1】「ヤンキー・リーダーより合同航空隊へ、これより敵中間補給基地への攻撃を行う❗️目標は基地内部の係留中の敵艦だぞ、一隻も外に出すな❗️」

 

古代(第二艦橋(CIC)からの『通信』)『艦長よりヤンキー・リーダー。』

 

山本「古代さ⁉️...いえこちらヤンキー・リーダーですどうぞ。」

 

古代『この奇襲が要だ。コスモパイソンとストライクタイガー(コスモタイガーⅡの複座機型の愛称)両攻撃隊を無事に送り届けて基地を徹底的にやってくれ。』

 

山本「了解です。そちらの相手は外の敵艦隊だけにするつもりでやります。」

 

古代『分かった。だが、無茶はするなよ。』

 

山本「ッ⁉️、、、ヤンキー・リーダー了解❗️」

 

電波管制に入る前の艦長からの労いの言葉に山本は気を引き締め作戦に掛かるのだった。

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時を同じくして地球圏外縁のオールトの雲では...

 

【地球連邦防衛軍】

第3波動実験開発隊群

旗艦:アンドロメダ改級波動技術試験艦 AASE-08≪アクエリアス≫

艦橋

 

操舵手兼通信手「ワープ終了。艦長、地球圏外縁"オールトの雲"です。」

≪アクエリアス≫艦長/安玖園 凛亜(あくえ りあ)「あぁ、ご苦労だったね。向こうも来ているかい❓」

副長「はい、我が艦隊の左舷の位置です。」

 

副長に言われ銀髪のサイドテールで紅い瞳の下に分厚い隈ができた顔と視線を左に向ける。

 

【ガルマン・ガミラス連邦共和国軍】

在地球(テロン)駐留艦隊 第2戦略即応機動旅団

旗艦:ランダルミーデ(アンドロメダ改)級戦略指揮特一等航宙戦闘艦 ABBSC-010≪ヴェム・ハイデルン≫

艦橋

 

≪ヴェム・ハイデルン≫艦長/ヴェロニカ・ハイーデシュタイン「おぉおぉ❗️着いたぜ着いたぜ地球圏の端っこにさ‼️」

 

こちらも同じく紅目で左向きのサイドテール(長め)で右目に眼帯をした いかにも俺っ娘いや中二っぽいスタイルと言うべきか、ドイツ系の少女は少しウキウキ気味である。長く何もない宇宙空間を航行し且つ連続ワープしていたからである。艦長のヴェロニカは座席の無線機を取り出すとお隣艦隊の旗艦≪アクエリアス≫に連絡を取る。

 

ヴェロニカ「凛亜〜、地球に何があったと思う❓」

 

凛亜『さぁね。通信障害にしては不自然なのは確かだ。さらに地球とガルガミが使用するあらゆる周波数を組み合わせて打ってもダメだったのだから尚更さ。』

 

ヴェロニカ「早く行かなきゃいけないのにどうしてもここで止まるんだよなぁ〜。(♪フィヨヨ~ン❗️フィヨヨ~ン❗️)おっと❗️」

 

突然警報が鳴り出し姿勢を正すヴェロニカ。≪アクエリアス≫の方でも当然探知してるのでこちらも警報が鳴っている。

 

≪アクエリアス≫

艦橋

 

安玖園「状況は❓」

通信手兼レーダー手「レーダー探知、艦2(かんふた)、距離30,000宇宙㎞。データ照合中❗️」

安久園「急いでくれ。戦闘に不慣れな乗員もいるからね。」

 

≪ヴェム・ハイデルン≫

艦橋

 

ヴェロニカ「解析急げ❗️場合によっちゃCICに降りるぞいいなッ⁉️」

艦橋クルー全員「おぉ❗️」

通信手兼レーダー手「識別出ました❗️第99特殊戦略戦術機動打撃群所属、アンドロメダ改級≪アマテラス≫❗️及び後方は第440独立機動防衛艦隊旗艦≪ザドキエル≫❗️」

ヴェロニカ「え⁉️諏訪っちの❓」

 

≪アクエリアス≫

艦橋

 

安玖園「440艦隊は彼が関わった部隊か...まさかのお相手とご対面だね。」

副長「≪アマテラス≫より発光信号。「お元気そうでなによりよ。積もる話もあるけど、まずは主様が話を聞きたい筈ですわ。私に続いてくださいまし」です。」

安玖園「実に彼女らしいね。分かったと返信してくれたまえ。」

 

≪アマテラス≫

艦橋

 

通信手兼レーダー手「返信。「了解、そちらに続く」です。」

天伝雷「うふふ。(無線機を取り出す)四糸乃さん❓大丈夫ですわ。私の"同胞"でしてよ。」

 

≪ザドキエル≫

艦橋

 

四糸乃「は、はい。分かりました。反転180°、基地へ帰投します。」

 

≪ザドキエル≫が反転し≪アマテラス≫もそれに続く。≪アクエリアス≫と≪ヴェム・ハイデルン≫の艦隊も彼女達の後に続いてオールトの雲の奥深くへとご案内されていく。

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また話は【デザリアム本星殴り込み艦隊】に戻る。中間補給基地に対し航空隊による奇襲を敢行しこれを見事に成功させた。不思議なことに敵基地はCSP(戦闘航宙哨戒機)機も迎撃機も出すこともせずあっさりと奇襲を許してしまったことを不思議に思ったが、今は皆(みな)基地を叩くことに専念している。

 

【第65護衛機動群】

総旗艦≪ヤマト≫

第二艦橋(CIC:戦闘情報センター)

 

市川 純(≪ヤマト≫通信長)「航空隊より入電、奇襲に成功したとのことです❗️」

古代「了解。合同航空隊のうち攻撃隊は母艦に帰投し護衛機隊は損傷ある機を除いて制空権確保の任に着け❗️≪ランベア改≫に打電、「これより突撃に入る、準備されたし」。」

 

【第27戦闘空母打撃群】

旗艦≪ランベア改≫

艦橋

 

通信士「≪ヤマト≫より入電来ました❗️」

バーガー「っしゃあ❗️≪ガーラドルフ≫、≪ドーラドルフ≫突撃艦隊両隊の前へ‼️」

 

バーガーの指揮の下、艦隊麾下のゼルグート級一等航宙戦闘艦(時間断層工廠製/戦時簡易生産型)の2隻が≪ヤマト≫と≪ランベア改≫それぞれ率いる突撃艦隊の前へ遷移し「盾」となって基地へと突撃していく。

 

【第7艦隊】

旗艦≪シュンラン>

第二艦橋(CIC)

 

通信手兼レーダー手「≪ヤマト≫、≪ランベア改≫両突撃艦隊前方、簡易型ゼルグート級2隻が遷移中。艦隊前進します❗️」

山南「ん、≪アマクサ≫こちら≪シュンラン≫。」

 

『映像通信』

霧下『こちら≪アマクサ≫ですどうぞ。』

 

山南「我々は引き続き艦隊全体の指揮を執る。お留守番で申し訳ないが、協力してくれ。」

 

霧下『いえいえむしろアンドロメダ級はこれが正解な運用だと思っています。≪ヤマト≫は旗艦であるのにホントによく先陣をお切りになる(汗)。」

 

山南「ハッハハ、≪ヤマト≫と古代艦長に付き合っていけば分かります。どんな任務だろうと攻撃に変わる。確かに旗艦としてはどうかと思うが、その姿勢が常に他の者の士気を上げ導いてきたのも事実だ。≪ヤマト≫はむしろあれで良いんだと私は思う。」

 

霧下「は、はぁ...。」

 

山南「心配なさらず。貴方もすぐ慣れる。」

 

霧下の今と今後の不安に対し山南は≪ヤマト≫をよく知る者としてフォローするのだった。

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〈オールトの雲〉補給基地

[士官室]

 

タクロー「なるほど、≪アクエリアス≫及び姉妹艦の≪ラボラトリー・アクエリアス≫(第2波動実験開発隊群旗艦)は≪ヴェム・ハイデルン≫艦隊の護衛の下【ガルマン・ガミラス】との技術交流の為に同星に派遣されてたと。」

安玖園「あぁ、だが地球との交信ができなくなったのを不思議に思ってね。予定より早くガルマン星を離れる事にしたんだ。」

タクロー「≪ラボラトリー・アクエリアス≫は❓」

ヴェロニカ「それがさ、まだやり残してる任務をしなきゃいけないからって別行動になったんだよなぁ〜。」

安玖園「サイラム恒星系の惑星国家【アマール王国】への交流任務もあってね。」

タクロー「あぁ、確かガトランティス戦役末期に単艦で長期探査任務に出た≪ラボラトリー・アクエリアス≫が発見したっていう地球によく似た二重惑星だっけ❓」

ヴェロニカ「そ、あたしらもガルマン星の帰りに立ち寄る筈だったんだよ。」

安玖園「だがサイラム恒星系はガルマン星から地球への帰路からは少し外れていたし、交流任務は一個艦隊で充分とされて我々だけが戻る事になったんだ。

そしてここまで辿り着いてようやく事態が飲み込めたわけだよ。君達はここでよく耐え忍んでいるわけだね、タク❓」

タクロー「あぁもう半年以上になるかな❓もうどれくらい経ってどれくらいの数のデザリアムの輸送船団を潰したから覚えてないくらいだ。」

安玖園「そのデータなら先程見させてもらったよ。すごい数をやったんだね。」

ヴェロニカ「やっぱタクローの兄貴はすごいな❗️」

タクロー「ありがとう。ただ地球を占領してる敵さんに対して効果が現れてんのか分かんないのが難点でな。」

安玖園「確かに、だが半年も続けてるんだ。向こうもかなり疲弊している筈だ。」

 

ピロピロピロプウィ~ン❗️ピロピロピロプウィ~ン❗️(警報)

 

3人共「ッ⁉️」

 

突然の警報に驚く3人。状況を確認すべくそれぞれの艦に向かって走る。

 

≪マキナ改≫

艦橋

 

金田「艦長上がられます❗️」

タクロー「状況は⁉️」

クロンナウア「440艦隊所属のクラスD警戒艦≪スティール・レイン≫より入電、地球方面からワープアウトしてくる反応ありとのことでっせ❗️」

タクロー「ッ⁉️」

手邦「出てきます❗️大きいのが...4つ‼️」

 

タクローと艦橋クルー全員がそのお出ましになった物に驚愕した、、、。

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【デザリアム】の中間補給基地

基地司令室

 

基地オペレーターA「敵艦隊接近、二個艦隊に分かれ一個が右、もう一個が左に舵を切ります。」

グノン(基地司令)「取り囲んで総攻撃する気だな...❗️大型対艦ミサイルVLSハッチオープン❗️艦隊を防衛に回せ❗️狙撃型プレアデス級でまだ無事な艦はいるか⁉️」

同オペレーターB「はっ、基地外部甲板上の5隻が調整と補給が済んでいます❗️」

グノン「よし、全て出撃させろ❗️基地に近づかせるな❗️応急修理要員と手空き要員は基地の消火作業に務めろ‼️」

 

一方、基地に近づきトドメの砲戦を行うとする≪ヤマト≫と≪ランベア改≫は敵の攻撃を受けるも双方の前方にいる簡易型ゼルグート級が盾となって守りながら前進している為、被害は出ていない。さながら第二次大戦にドイツ軍装甲師団が用いたパンツァーカイル戦術の如くである。そして≪ヤマト≫艦隊は右に≪ランベア改≫艦隊は左にそれぞれ展開し舷側を晒し全砲門を基地に向けての砲撃を始めるが...。

 

≪ヤマト≫

第ニ艦橋(CIC)

 

西条「敵艦隊が左右に分散しこちらともう一個艦隊に向かってきます。それと基地甲板より対艦ミサイル総数25が来襲❗️」

仁科「ドックはやれたが基地自体の攻撃機能は生きてるらしいや❗️」

古代「北野、敵艦隊と基地からの攻撃をどっちも対処しながらだがやれるか❓」

北野「なんとかします❗️土門❗️一部の武器管制任せるぞいいな⁉️」

土門竜介「は、はい‼️」

 

一方の≪ランベア改≫の艦隊も敵基地からの対艦ミサイル攻撃に晒されていたが、それだけではなかった。突如紅く太い一筋の閃光が≪ランベア改≫から後方5隻目辺りいたデストリア級一隻に命中し爆散した。

 

≪ランベア改≫

艦橋

 

オペレーターA「≪バドストリア1709≫轟沈❗️」

バーガー「砲撃⁉️おいどっからだッ‼️⁉️」

オペレーターB「レーダー範囲外からです❗️位置割り出せず‼️」

 

そのレーダー範囲外からの一撃は≪ヤマト≫艦隊も襲い、ガーランド級巡洋艦一隻を沈めた。

 

≪ヤマト≫

第ニ艦橋

 

西条「巡洋艦≪ミルウォーキー≫轟沈❗️またも範囲外からの攻撃です‼️」

新見 薫「恐らく超長距離砲を持つ狙撃艦からの物と思われます。」

古代「島❗️」

島「回避運動、ヨーソローッ‼️」

 

古代の指揮の下、副長/航海長/操舵手の島が回避運動に入る。しかし甲板上にいる狙撃型プレアデス級達はそれを見逃さず≪ヤマト≫に対し集中砲火を浴びせてくる。何発かは波動防壁で防いだものの、エネルギーを砲兵装に配分してる為に防御が完璧でなく遂に貫通し破られ被弾、艦が揺れる。間髪入れずに攻撃が飛びやられると思った≪ヤマト≫とそれを見ていた≪ランベア改≫のバーガーだったが、次の瞬間、艦自体が一気に加速し攻撃を避けた。機関の出力を上げた訳でもない、明らかに直撃コースであったあの攻撃全てをかわしたのだ。何が起こったのか分からない様子の古代達艦橋クルー。そこに一本の『映像通信』が入る。

 

刻崎『きっひひ❗️危なかったですわね≪ヤマト≫の皆さん❓』

 

古代「刻崎艦長⁉️今の、時間が進んだ様な変な感覚は貴女が❓」

 

刻崎『えぇ、えぇその通りですわ。時空加速弾<メイド・イン・ヘヴン>と本艦搭載の時空予測システム[エピタフ]の成せる技でしてよ。」

 

刻崎は自艦の時空予測システム[エピタフ]にて≪ヤマト≫への攻撃が直撃し多大な被害を受けるという予測が立ちそれを回避させる為にご自慢の秘密兵器「時空弾」の一つ、時を加速させる効果を持つ<メイド・イン・ヘヴン>を放ったのだ。≪ヤマト≫の回避運動を加速させ直撃の未来を変えたのだ。

 

≪ヤマト≫

第二艦橋(CIC)

 

古代「刻崎艦長、貴女は...。」

 

刻崎『持ち場を離れたことについては後で謝罪致しますわ。今は敵基地への攻撃に集中を。』

 

古代「りょ、了解した。」

 

作戦会議前ではイスカンダルの事を持ち上げて反対意見を唱えた刻崎だが、こちらのピンチを助けた。一応は協力的な態度はあるらしいということが分かったのは良いが、まだ彼女自身の真意は見えない。だが今は戦闘に集中すべきと古代は気持ちを切り替えるのだった。

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オールトの雲に激震が走る。それも極めて巨大な四つの激震だ。宇宙なのに揺れとは変だと思うタクロー達は基地にいても感覚的に心理的にも衝撃な光景なのだ。

 

≪マキナ改≫

艦橋

 

手邦「あれは❗️...ゴルバだ‼️」

 

≪アクエリアス≫

艦橋

 

安玖園「ゴルバ...これが...。」

 

≪ヴェム・ハイデルン≫

艦橋

 

ヴェロニカ「うへぇ〜❗️デッカルチャーだなぁ〜‼️」

 

タクローから話を聞いたばかり且つ初めてお目にする【デザリアム】のゴルバに驚く三艦三者三様。地球占領の要たる筈である7基の内の4基が艦隊を引き連れここオールトの雲にやってきたのだ。

 

≪マキナ改≫

 

烈禍「どうする艦長❗️応戦すんのか⁉️」

タクロー「いいや相手が悪過ぎる撃つのは控えろ❗️哨戒に出てる艦や航空機には一切手を出すなと言ってください❗️逃げるか死んだふり戦法してとな‼️」

 

タクローは味方に手を出すなと指示した。どうせ並みの艦が抵抗したところでビクともしないからだ。だがその心配は無用と言わんばかりにワープしてきたゴルバと追従する【デザリアム】艦隊はこちらを攻撃するどころか無視して素通りしていくのである。

 

手邦「艦長❗️奴ら攻撃しません❗️」

烈禍「どうゆうこったぁ⁉️」

高佐田「ありえん❗️こっちに気付いてない訳がない‼️」

タクロー「静かに❗️気付いていようといまいととにかく手を出すな❗️」

 

【デザリアム】

ゴルバ型浮遊要塞/コールサイン【ニィデ・ドゥ・ディアブルⅣ】

 

オペレーターA「司令、敵艦隊の反応が❗️」

司令「構うな❗️今はグロータス准将閣下の御命令が先だ‼️」

オペレーターA「了解❗️」

同B「即ワープに入ります。」

 

道中出くわす相手にも目もくれず、艦隊を引き連れて行ってしまうゴルバ型4基と艦隊だった。

 

≪マキナ改≫

艦橋

 

手邦「ゴルバと【デザリアム】艦隊...離れていきます...。」

高佐田「ホントだ...艦長の言う通りにしたら奴ら撃ってきませんでした...。」

タクロー「いや、私自身も驚っきーよ。」

烈禍「クッソォ❗️艦長、奴ら俺たちを舐めてるぜ‼️」

タクロー「いや待て、問題はそこじゃナイツよ。」

金田「というと艦長❓」

タクロー「もしかしたら敵(デザ)さん、本格的に地球占領どころじゃなくなってるのかも...❓」

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≪ヤマト≫

第二艦橋(CIC)

 

西条『敵艦隊、誘引率80%超えました。」

古代「よし、≪ヤマト≫より≪シュンラン≫へ❗️」

 

≪シュンラン≫

CIC(戦闘情報センター)

 

山南「了解❗️無人艦隊スタンバイ❗️敵基地に突入‼️」

 

山南の命令が飛ぶ。≪シュンラン≫の無人艦管制担当官達が一斉にパネルを操作し始める。

 

≪シュンラン≫無人艦管制担当官A「≪ダガー≫/≪レイピア≫/≪シミター≫/≪メイス≫/≪カタール≫は単縦陣で突撃❗️」

同B「≪クレイモア≫/≪モーニングスター≫/≪シャムシール≫/は右舷を≪ハルバード≫/≪ファルシオン≫/≪トライデント≫は左舷の位置へ❗️」

同C「各艦管制良好、異常なし。」

同D「各艦フォーメーション形成開始。」

 

単縦陣に組んだヘッジホッグ級各コールサイン3隻ずつ計15隻をオベリスク級計18隻が左右に挟んで中間基地に向けてまっしぐらに突撃していく。≪ヤマト≫と≪ランベア改≫にそれぞれ率いられた艦隊が中間基地守備艦隊を誘引していた為、基地の守備がほぼガラ空きなのだ。そこを「隙あり❗️」と殺到する第7艦隊所属の無人艦隊。中央の無人駆逐艦隊が両脇に並んだ無人戦艦群のエスコートを受けて吶喊していく。無人駆逐艦ヘッジホッグ級は艦体6箇所に備わっているウェポンラッチに中〜大型対艦ミサイル発射器、ロケット弾発射機、パルスレーザーガトリングガンポッド、対地爆弾倉とそれぞれ装備した艦が一斉に火を噴き中間基地に「サンタクロースのプレゼントだぁ❗️」と言わんばかりに持てる火力をジングルベルさせる。一撃離脱なので基地に叩き込めるだけ叩き込み次々と大小様々な爆炎の火球が華を咲かせる。

 

基地要員A「し、司令❗️敵の艦隊が❗️ぐあッ‼️」

グノン「な、なにぃ⁉️か、艦隊を引き剥がしたのはこの為だったか‼️」

 

基地要員と司令であるグノンが驚くのも束の間、基地は廃墟同然な様に成り果てつつある。基地各所で動力炉が連鎖的に爆発または機能停止していきその炎は瞬く間に基地司令部中枢まで侵攻し司令のグノンや要員までを断末魔を叫ぶ暇を与えず無慈悲に飲み込んだ。巨大な赤い閃光が一瞬バッ❗️と走り衝撃が殴り込み艦隊に伝わった後、基地は消滅したのだった。

 

≪ヤマト≫

第二艦橋:CIC

 

西条「敵基地の破壊を確認。残存艦は撤退を開始、次々と戦闘を中止しワープで撤退するもよう。」

北野「追いますか艦長❓」

古代「いや、艦隊を立て直すのが先だ。行かせてやれ。」

 

刻崎『あらあら、敵を逃してしまうなんて少し情けをかけ過ぎではありませんこと≪ヤマト≫❓」

 

古代「刻崎艦長。」

 

≪ヤマト≫のメインパネルに刻崎の姿が映し出され「敵に甘いのではなくて❓」と問う。

 

古代「基地は潰しました。敵艦隊の殲滅は我々の目的ではありません。」

 

刻崎『... ...そうですの(その甘さがいずれ命取りになりますわよ)。』

 

古代「それと刻崎艦長。」

 

刻崎『え❓』

 

古代「先程の援護に感謝します。あれは危なかったですから。」

 

刻崎「...⁉️きひっ、きっひひひひ❗️いえいえ貴艦が沈められては艦隊全体の士気に関わりますもの、僚艦として当然のことをしたまでですわ。」

 

今さっき批判した相手から援護の感謝の意を述べられ刻崎は驚くと共に「当然のこと」と笑みを浮かべ返すのだった。

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≪マキナ改≫

艦橋

 

(艦内放送)

タクロー「全艦に達する。私を含め先程の光景に驚いていてまだ心臓がドギマギしてる者もいることだろう。そう、ゴルバが、我々の地球の頭上で絶賛我が物顔ヅラしてる筈のゴルバが、地球を後にして出ていくのを見たからだ。しかも4基もだ。

ではなぜそのゴルバが地球の占領をほっぽいて出ていったかだ...恐らく連中はそれどころじゃない様なことが起きて我々にも構っていられないほど急いでいたんだろう。ではその理由とはなんだろうか...❓たぶん≪ヤマト≫だ。」

 

≪ヤマト≫の名が出て動揺する各艦隊の面々。推測だろうがタクローの予測は的を得てもいる。

 

タクロー「デザさんが≪ヤマト≫に夢中なのは皆ご存知だろう。なんせ≪ヤマト≫を探しどうにかする為にあれだけの戦力を地球に突っ込んだらしいからな。

それとこれも推測だが、ゴルバの件と我々がこれまでやってきた通商破壊により敵占領軍の戦力は大幅に低下しているものと思われる。そこで、これより我々は地球への帰路に着こうと思う。」

 

タクローの口から地球への帰還が語られさらに動揺する各艦隊各艦面々。しかしそこには喜びの感情も表れる。

 

タクロー「ただし一気に地球への帰路に着くのではなく、第11番惑星を皮切りに生存者を捜索しながら徐々に地球に戻ろうと思う。

諸君らのこれまでの努力に感謝を述べる。敵は弱ってるとは思うが手強い相手であることは承知だろう...必ず戻ろう...地球へ。」

 

「うおぉぉぉーッ❗️」という歓声が各所から上がった。

 

カチャッ(無線機を置く音)

タクロー「ふぅ...。」

金田「いやいや素晴らしい放送でしたよ艦長。」

タクロー「よしてくださいよ。またらしくもないことたくさんペチャクソと喋ってしまいましたよ(汗)。」

アイク「しかし、推測は間違いではないと思うよ。」

烈禍「地球まで行って【デザリアム】をぶっ潰してやろうぜ❗️」

クロンナウア「そうよ❗️地球占領の礼をしてやらんとですよ‼️」

 

『映像通信』

四糸乃『わ、私達も、着いて行き...ます❗️』

よしのり『よしのり達とは一蓮托生でしょう〜ねぇタクロッち〜❓』

 

安玖園『着いたそうそう地球に帰れるとはね。』

 

ヴェロニカ『やったぁ❗️帰れんだね兄貴ぃ‼️』

 

440艦隊の≪ザドキエル≫、第3実験隊群の≪アクエリアス≫、第2戦略即応の≪ヴェム・ハイデルン≫がそれぞれ≪マキナ改≫のメインパネルを3分割して映像通信を送ってくる。

 

タクロー「皆さん、また違うパターンでお忙しくなると思いますがよろしくお願いします。」

 

タクローからの言葉にそれぞれ「任された❗️」と各々違う形で似た様に返す各艦長ズだった。




いかがだったでしょうか❓「永遠に」の名場面「中間基地戦」とアンドロメダ級≪アクエリアス≫と≪ヴェム・ハイデルン≫の登場です。
まず「中間基地戦」ですが、実は≪ヤマト≫視点での物語は書かないつもりでいたんですが、書くと筆が進む事に気付いき『全部(フル)には書かないけど様子見程度で少しだけ書こう」ということにしました。作戦会議の段階からなんかうちのオリキャラの刻崎さんが古代君と一悶着手前でギクシャクってますが本条さんが古代君にフォロー入れたり、結局なんだかんだで≪ヤマト≫を助ける刻崎さんと乗艦の≪ザフキエル≫でした。戦闘パートはゲーム版を意識しつつ各艦隊及び個艦の能力を活かした物にしました。楽しんで頂けたら幸いです。
一方のタクロー側は、≪アクエリアス≫と≪ヴェム・ハイデルン≫がお見えになりました。両艦共「ガトランティス戦役」戦没組(≪アクエリアス≫はそうだが、ランダルミーデ級はどの艦かは分からないのでそこはオリジナルで)で新たな艦長を迎え新たな艦隊の長となりました。それぞれの艦長である安玖園とヴェロニカは≪アマテラス≫艦長の天伝雷さんと同類です。意味深ですが、名前をよく見れば分かったりしてなんてね。この2人とタクローはまた知り合いで途中からの合流ですが、きっと息のあった連携プレーを見せてくれると思います。声は安玖園は「デート・ア・ライブ」で令音さんか「ダンボール戦機W」の大空ハルカをやってる時の遠藤綾さん、ヴェロニカは「織田信奈の野望」で梵天丸(伊達政宗)をやってる時の大久保瑠美さんか「ガンダムマキオン」のセシア・アウェア・アハト、「艦これ」の長波をやってる時の竹達彩奈さんをイメージしていただければ幸いです。
≪アクエリアス≫旗艦の〔第3波動実験開発隊群〕と≪ヴェム・ハイデルン≫の〔第2戦略即応機動旅団〕は本作オリジナルの部隊名で波動開発隊群は第1の旗艦は≪銀河≫で第2は作中に「惑星アマールで絶賛交流任務等中」と台詞のみで登場の≪ラボラトリー・アクエリアス≫。戦略即応群と旗艦を務めるランダルミーデ級は本来【ガミラス(現在はガルマン・ガミラス連邦)】が在テロン(地球)駐留艦隊の一角として「地球連邦が敵対しないよう見張る部隊」としてガトランティス戦役中に創設される予定でしたが同戦役のガトランティスの電撃的侵攻により計画が前倒しになり頓挫してしまいましたが、戦役後に本来の役割に為に再編成され直して誕生したというわけです。第1〜4までいて第4には設定には存在したという4番艦≪ゼイラギオン≫が旗艦を務めてます。
そしてゴルバが四基地球占領の任を離れ≪ヤマト≫達を追撃すべく出て行きました。タクローはこれを好機と見てやっとこさ地球への帰路に着こうとしています。ですが、まだまだ厳しい戦いが待っていることでしょう。お次をお楽しみに。


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第17話「地球へ帰還せよ❗️基地脱出作戦‼️」

前回、≪アクエリアス≫、≪ヴェム・ハイデルン≫それぞれの艦隊がタクロー達第99特戦機群に合流し<ゴルバ>が4基過ぎ去って行くのを見て自分達がしてきた通商破壊作戦が効いてきたと思い地球への帰還を目指す事を決意するタクローで終わりました。今回はその続きでいよいよ艦隊は地球に帰りますよ。


地球 某海上

金剛型宇宙戦艦 BBS-555≪キリシマ≫

艦橋

 

古野間 卓(このま すぐる)/〔[第6空間騎兵連隊]連隊長(一等宙佐)「総員、対空海上警戒を厳に。」

見張員全員「了解❗️」

宗像 和之(むなかた かずゆき)/同隊 宙曹長「今日も星が綺麗ですね。」

古野間「あぁそうだな。地球は今大変な時だが、この星々はそんなの関係ない様に変わらず輝いてる...。」

宗像「へっへへ隊長、なかなか詩人なんですねw.」

古野間「よせよ揶揄うなw.それより周りの警戒を怠るなよ。」

宗像「りょーかいw.」

 

辺りはすっかり深淵の夜闇とそこに輝く満点の星々の下、【デザリアム】の地球占領に断固として抵抗する<パルチザン>を指揮する退役戦艦≪キリシマ≫の姿が海上にあった。元来が宇宙戦艦である為に潜水機能にも限度があり潜水艦の如く潜りっぱなしが出来ないのでこの様に浮上しては警戒配置に着くというさながら第二次大戦期の潜水艦行動の様相を呈している。今はこの≪キリシマ≫に拾われ世話になっている古野間率いる〔第6空間騎兵隊〕は双眼鏡を両手に対空・対水上警戒を厳にしている。そんな屈強な男達に差し入れのココアをおぼんに乗せて持ちカンカンカンッと足音を立てて艦橋に上がってくる小さな女の子がいた。

 

真田 澪(さなだ みお)「おいたんたちココア。」

宗像「おぉありがたい。」

古野間「ありがとな澪ちゃん。小さいのに偉いな。」(頭ナデナデ)

澪「えへへ、ありがと古野間おいたん(ニコッ)。」

 

≪キリシマ≫で看護師として働く加藤 真琴が艦に避難する際に連れて来た地面に着く程の長い金髪が特徴の誰が見ても十中八九に「美少女」と呼ぶ美しい容姿をした少女 真田 澪。年齢は4〜5歳くらいだろうか...❓加藤婦人の話によると「現≪ヒュウガ≫艦長の真田さんの姪」らしいのだが、その容姿はどことなく現≪アスカ≫艦長の森雪に似ている。

 

真田 澪「あ...❗️」

古野間「どうした❓」

真田 澪「"おっきいおほしさま"がいないよ❓」

宗像「星...❓」

古野間「んっ⁉️」

 

澪が指を指した方向を双眼鏡で確認する古野間。彼女の言う"おっきいおほしさま"がゴルバ型浮遊要塞のことだと即理解し目を凝らして見る。しかしそこに居るはずのゴルバの姿は確かに無かったのだ。

 

古野間「ッ❗️いねぇ❗️あのゴルバ野郎が⁉️」

東 俊明(あずま としあき)/〔第6空間騎兵連隊〕宙曹「隊長❗️」

古野間「東か⁉️」

東「先程通信班が敵の暗号電を解読したそうで❗️これです‼️」

 

長い【デザリアム】地球占領軍との戦いで敵の兵士や兵器群の行動パターンとその対策が進みゲリラ戦を持って有利に進めてきた<パルチザン>は戦いの中で敵の通信機器等を鹵獲し密かに暗号文の解読も進めていたのだ。

 

古野間「ッ❗️長官と副司令に連絡だ❗️ありがとよ澪ちゃん❗️」

澪「...うん。」

 

部下からの報告を受けお偉方2人にご連絡をしに走り発見した澪に礼を述べつつ古野間は艦橋を後にした。

 

徳川アイ子「あ、こんなとこに居た❗️ダメだよ澪ちゃんこんなとこまだ来ちゃ❗️」

ミリィ「真琴お姉さんが心配してるよ。さ、行こ❓」

澪「うん、ごめんなさい(... ...古代おいたん、真田おいたん、雪おねーたん...皆がやったんだよね...❓)」

 

地球 某所【デザリアム】地球攻略特別編成派遣軍 情報機関臨時司令部(旧地球連邦内務長官官邸)

 

旧内務長官室

 

コンコンッ!(ノックの音)

???「入れ。」

兵士「失礼します少尉。カザン司令からお呼びが...。」

???「分かった。すぐ行く。」

 

一方、地球のパルチザンを相手に戦う兵士と共に手を焼いている【デザリアム】情報部の甘いマスクでイケメンのアルフォン少尉が迎えに来た兵士にカザン司令にお呼ばれですと報告を受ける。

 

アルフォン「また<パルチザン>のことで私に不満を言うのだろう。ふっ、まぁ補給もまともに届かずおまけにゴルバを4基も動かさぜるを得なくなったのだ。誰かに怒りの矛先を向けねば気が済まないのだろうな。」

兵士「申し訳ありません。」

アルフォン「なに、君が謝る必要はないよ。我々情報部がしっかりしていれば君達の被害を抑え<パルチザン>を早急に始末できていた筈だからな。私の落ち度でもあるわけだ。」

兵士「何を仰います❗️少尉がもたらした情報は役に立っています‼️」

アルフォン「ありがとう。その気持ちだけだ充分だ。さぁ...行こうか。」

兵士「、、、はい。」

 

アルフォンは静かに部屋を後にし兵士も背後から着いて行った。

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暗黒銀河外縁部

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】総旗艦兼[第65護衛機動群]旗艦≪ヤマト≫

艦橋

♪ピロピロピロプウィ~ン×3

西条「前衛パトロール艦≪ヤハギ≫さらに触雷❗️護衛艦≪スズツキ≫/≪フユヅキ≫も触雷、されど3隻とも航行に支障なし。」

市川「≪ミライ≫より入電、「機雷原分布広い、データを送る」。」

古代「≪ラジエル≫にも送るよう打電しろ。機雷か...厄介だな。」

島「なんでレーダーに引っ掛からなかったんだ⁉️」

新見「恐らくこの宙域の暗黒物質を上手く加工した物と思われます。」

 

一方、≪ヤマト≫率いる[第65護衛機動群]もとい【デザリアム本星殴り込み艦隊】は中間補給基地を破壊後さらに前進を重ね暗黒銀河外縁に到達したが、そこはレーダーが効かずワープをするのも危険な濃密な暗黒物質のガス帯が広がる宙域だった。そんな目と耳が効かない状況の中を航行中、突如前衛を務めていた65艦隊所属のパトロール艦≪ヤハギ≫、護衛艦≪スズツキ≫/≪フユヅキ≫の3隻が機雷に接触したのだ。

 

北野「見つかったか...❓」

♪ピュイーン!ピュイーン!

市川「ッ❗️機雷原の中から通信波を確認❗️警戒衛星の類(たぐい)からだと思います。」

西条「ッ❗️高エネルギー反応多数❗️」

 

機雷の爆発に反応してか機雷原の中にある【デザリアム】製の早期警戒衛星の一基が近くの味方艦隊に≪ヤマト≫達の位置を通報し、更に近くに複数いる戦闘衛星の火砲が殴り込み艦隊に向かって火を噴き始めた。

 

仁科「クソッ❗️撃ってきやがったぜ‼️」

土門「艦長❗️反撃を‼️」

古代「ダメだ❗️下手に反撃すれば機雷に当たる。」

 

古代の言う通り無闇に反撃を加えれば機雷に命中し連鎖的に爆発て自艦のみならず艦隊に被害が拡大するのは阻止したかった。機雷と戦闘衛星で足を止め、その間に警戒衛星が近くの艦隊に通報し仕留める。敵ながら良く出来た警戒システムだと思う古代。どうにかしなければと思ったその時、艦橋窓の右から飛翔体が過ぎ去って行くのを見る。その飛翔体はどうやら砲弾でありパカっと開いて展開し何かしらのエネルギー波が放たれるとそれを浴びた機雷が瞬く間に錆びて劣化していく。  

 

古代「こ、これは⁉️」

 

『映像通信』

刻崎『それは私のですわ古代艦長。」

 

古代「刻崎艦長❗️あれは一体...❓」

 

刻崎『「時空劣化弾/グレイトフル・デッド」。周囲の時間を急速に早め劣化させてしまう弾頭ですわ。』

 

古代「援護感謝します。」

 

刻崎『礼には及びませんわ。こんな所で立ち止まってはいられないのでしょう❓』

 

古代は刻崎に礼を言い終えると刻崎が映るメインパネルが二分割になり右に刻崎で左に第7艦隊司令兼総旗艦≪シュンラン≫艦長の山南が映し出される。

 

山南『こちらの無人艦隊を前に出す。無人なら機雷の被害も考慮はいらん、それで良いか❓』

 

古代「了解、お願いします。」

 

山南『よし、≪シザークロス≫、≪クリッパー≫、≪プライヤー≫/≪トルクス≫、≪トライウィング≫、≪スクエア≫、全艦のシグナル確認、すぐやれ❗️』

 

山南の指示の下、≪シュンラン≫管制のネプチューン級遠隔管制型無人戦闘艦とラティメリア級遠隔管制型無人護衛戦闘艦が≪ザフキエル≫が開けた突破口を突き進み戦闘衛星を蹴散らしていった。

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オールトの雲の手前の宙域

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

プレアデス改級攻勢型戦艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターA「司令、目標宙域に近づきました。」

ルーギラ「ご苦労、また戻ってきたな...クーギラ、そっちはどうだ❓」

 

『映像通信』

同級≪グレート・エルクーギラ≫

クーギラ「うん調子いいよ〜♪やっと艦も治ったし〜ずっと医療用タンクに入りっぱなしでようやく外に出られたしね〜♪それより中間基地が≪ヤマト≫率いる艦隊にやられたって本当なの❓」

 

ルーギラ「その様だ。ミヨーズの奴が≪ヤマト≫を取り逃したばっかりに...もう奴らは暗黒銀河の外縁まで達してしまったのだぞ...❗️」

 

クーギラ『グノンおじちゃんとミヨーズお兄さんって仲悪かったんでしょ❓協力するなんて考えられないとは思ってたけどホントにしなかったなんてね〜。』

 

ルーギラ「お陰で地球占領任務のゴルバを4基も呼び戻すハメになったのだ。一体どうなってしまうというのだ❓内一基は中間基地の穴埋めとして呼び戻すのは分かるが、グロータス准将は何を考えているのか...❓」

 

クーギラ『んも〜どうでもいいでしょ今それ考えたってさ〜。それよりも黒髑髏艦隊へのリベンジマッチ早くやりに行こうよぉ❗️』

 

ルーギラ「全くお前という奴は...まぁそうだな。聖総統からを授かった"新鋭艦"を以て今度こそ...❗️」

 

オールトの雲 補給基地 艦艇ドック

 

≪マキナ改≫艦橋

♪ピロピロピロプウィーン❗️×3(警報音)

クロンナウア「警戒中の440艦隊と第3実験隊群よりパターンブラック❗️【デザリアム】です❗️」

金田「良いタイミングでおいでになりましたな(皮肉)。」

タクロー「全くです。補給関連作業は中止、ワープ可能艦はグループを形成し予定されたポイントへのワープへ。全艦に警報レッド発令、総員第1種戦闘配置❗️クレガー、機関始動。タカメ、出港用意。基地と440艦隊の中間宙域まで艦を進めてください。」

金田「了解、総員第1種戦闘配置。」

クロンナウア「対空、対艦戦用意❗️」

呉賀「機関始動。フライホイール接続❗️」

鷹乃目「ヨーソロー❗️出港よーいっ❗️」

手邦「補給作業は中断。総員移乗とワープを最優先❗️」

 

※ここからはエヴァQのBGM♪-「Serenity Amongst the Turmoil」を掛けながらお読みください。尚、これからの無線は第99特戦機群各艦の様々な無線が飛び交います。

 

乗員A「全艦総員戦闘配置❗️全周警戒を厳となせ。」

乗員B「各シーガル輸送機は現在積載中の積荷の搬送を急げ。」

乗員C「積み残しは置いていけ❗️乗組員の移乗が最優先だ❗️」

乗員D「手空き要員は即時内火艇に集合し乗り込め❗️」

乗員E「各砲塔各個に発射準備。」

乗員F「各艦とのデータリンク接続に問題なし。」

 

【デザリアム】の襲来により補給関連作業を途中で切り上げ戦闘配置に着く為に慌ただしくなる基地と艦隊。まさに♪どったんバッタン大騒ぎ(出典:「けものフ○ンズ」)である。

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターA「敵基地をレーダーで探知。」

オペレーターB「ッ⁉️その遥か前方、我々の方を向く艦隊が❗️」

ルーギラ「なに❓」

 

ルーギラ達の艦隊の前方に現れるは、黒髑髏艦隊のと共に向かって来た緑と青色の艦隊。≪ザドキエル≫率いる第440独立機動防衛艦隊だ。僚艦のクラスDと共にご自慢の波動防壁展開ビットで巨大な"雪の結晶の壁"...もとい物理/エネルギー攻撃及びワープ阻害の鉄壁の波動防御陣を形成している。もう一個艦隊(第3実験隊群)の姿も見えるが、こちらはお初にお目にかかる連中だが今はそんな事を気にしている場合ではないのでとりあえず無視する。

 

オペレーターA「いかが致しますか❓」

ルーギラ「構わん、試し撃ちに丁度いい。大口径収束式重核子アルファ砲搭載艦前へ❗️戦列を形成❗️盛大に吹き飛ばせ‼️」

 

ルーギラの指示により艦隊の前へ艦首甲板上に大口径の収束式アルファ砲搭載型のプレアデス級が戦列を並べ出てくる。

 

プレアデス級大口径収束式重核子アルファ砲搭載型戦艦

≪ダリュー≫

艦橋

 

艦長「収束式アルファ砲、発射用意❗️」

オペレーターA「重核子(ウラリウム)エネルギー充填開始❗️」

オペレーターB「≪レバルカ≫/≪ドラーネ≫/≪メールーガ≫、エネルギー充填開始を確認。全艦連動、砲照準及び戦列形成に問題なし。」

 

艦首の大型アルファ砲の砲口に重核子(ウラリウム)の赤いエネルギーの閃光が迸(ほとばし)る。ルーギラが今回の作戦の為に聖総統閣下に用意して頂いた新型艦なのだがルーギラは不思議がっていた。自軍製の重核子アルファ砲とはいえ明らかに地球艦(及びガルガミ艦)の持つ波動エネルギー砲を意識した様な兵器だからだ。恐らくは聖総統や側近クラスのみが知るという『大喪失』に含まれる情報により建造されたと推測するルーギラだが、今は作戦に集中しようと考えるのを一旦止める。

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターB「収束アルファ砲搭載艦、全艦発射態勢整いました。」

ルーギラ「収束アルファ砲❗️放てぇッ‼️」

 

ドドドドビャアァァァゥゥゥッ!という凄まじい音を立ててド紅い光線が一直線に440艦隊に向け四つ放たれる。いつもの重核子ビームと違うド太い紅い四撃に対し「衝撃に備えて❗️」と四糸乃艦長が叫ぶ。バキュウィィィィィンッ!と音を立てて紅と蒼の強烈な閃光が交差し走る。

 

【地球連邦防衛軍】第440独立機動防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫

艦橋

 

よしのり「な、なにさぁ〜今のビーム...❓」

四糸乃「い、今までのとはまた...ち、違う...⁉️」

オペレーターA「≪マトリエル(クラスD丙型)≫及び≪イワタニ(同丙型)≫の波動防壁ビット制御及び機関出力低下❗️防御陣列から落伍してします‼️」

四糸乃/よしのり「ッ❗️」

 

敵の大出力エネルギービーム攻撃の影響かクラスD丙型の2隻の出力が低下して防御陣から落伍してしまう。かなり強力な兵器だと確信する2人。

 

『映像通信』

安玖園『四糸乃艦長。』

 

四糸乃「安玖園艦長...。」

 

突如メインパネルに≪アクエリアス≫艦長の安玖園が映し出される。

 

安玖園『データを回してくれないか❓こちらで分析しよう。』

 

四糸乃艦長からデータを受け取り早速解析に入る第3波動実験開発隊群旗艦≪アクエリアス≫。送られてきたデータは第三艦橋の大型研究施設ドームですぐさま解析され結果が艦長 安玖園のいる第2艦橋(CIC)のメインパネルに映し出される。

 

≪アクエリアス≫第二艦橋(CIC:戦闘情報センター)

安玖園「うむ...過去のデータからしてビームの素性は同じだが通常の約60%増しか...。通信長、総旗艦≪マキナ改≫にこのデータを。」

通信長/レーダー手「了解です。」

 

【デザリアム】艦隊とオールトの雲基地の中間に位置する宙域

 

≪マキナ改≫第二艦橋(CIC)

 

タクロー「波動砲よりかは劣る大威力のビーム砲か...またえらい"オモチャ"を持ってきたな。」

金田「どうします艦長❓」

タクロー「とりあえず"彼女達"に動いてもらいますかな...サンドイッチ初めて良いよって伝えてください。」

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ピュンインッ!(電子音)

オペレーターA「ッ❗️敵反応、上方から。」

ルーギラ「なにッ⁉️」

オペレーターB「下方からも来ます。」

ルーギラ「くっ❗️"盾"を出せ‼️」

 

第99特戦機群 第1群

≪アマテラス≫

艦橋

 

天伝雷「アッハハハハハ❗️上から来るゾォッ❗️気をつけろォッ‼️でしてよ‼️」

 

同第2群[志摩戦隊]

旗艦≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

志摩「≪アマテラス≫に遅れるんじゃないさ❗️獣の様に喰らいついてくんだよ‼️」

 

【ガルマン・ガミラス】第2戦略即応機動旅団

旗艦≪ヴェム・ハイデルン≫

艦橋

 

ヴェロニカ「あたしらは下から突き上げてやるよ❗️初めての相手だからってビビんなよ‼️」

艦橋クルー「おうよキャプテン‼️」

 

上と下から挟撃に入る第99特戦機群と第2戦即旅団。一撃離脱を前提とした攻撃。これは決まっただろうと誰もが思った。しかし全てのショックカノンと陽電子ビームの青赤の粒子が敵に直進していたにも拘らず直前でグニャンッ❗️と曲がった。

 

天伝雷/志摩/ヴェロニカ「ッ⁉️」

 

ルーギラ「お前達の対策は考えさせて貰った。"プレアデス級空間歪曲防護型"。これが答え...ってクーギラ❗️」

 

≪グレート・エルクーギラ≫艦橋

クーギラ「トゲトゲまた会えたねぇぇぇ❗️さぁ早く遊ぼぉぉぉぉお‼️」

 

地球/ガルガミ艦隊の上下サンドイッチから守ったのはプレアデス級空間歪曲防護型戦艦という収束アルファ砲搭載型同様の新型艦で艦体に"D・F・J(デザリアム・フィールド・ジャマー)"からワープ及び波動機関への妨害機能を取り除き空間歪曲防御に特化させた艦だ...という解説などなんかどこぞにござれでクーギラさんは「愛しいトゲトゲさん」こと≪アマテラス≫(+その他)を見掛け攻撃失敗の為そのまま一撃離脱して行ったのを追いかけるべく艦隊から離れていったまたである。ルーギラさんは「全く」と呆れ顔だ。

 

≪マキナ改≫第二艦橋(CDC(戦闘指揮センター)

 

金田「高威力ビーム砲搭載艦だけじゃなかった様ですな。」

タクロー「強力な"矛(ほこ)"に"盾(たて)"も添えてハッピーセットの出来上がりのつもりかなルーギラさん❓」

高佐田「艦長。もちろん対策は練ってあるんで❓」

烈禍「そうだぜ。波動砲より劣るって言うけど強力なビーム出す奴とそれを守る鉄壁な野郎共が固めてんだぜ❓」

タクロー「二、三(に、さん)考えてあるよ。その為に今≪アクエリアス≫に頼み事をやってもらってる。クロッナ、もしかしたら別働隊が包囲しようとしてるかもしれん分かりる❓」

クロンナウア「ビンゴ❗️左右からコッソコソしてきてまっせ❗️」

タクロー「エレンとミホ大尉は無人艦管制しくよろね。」

エレン/ミホノラ「はっ❗️/おまかせください❗️」

タクロー「第一艦橋へこちら艦長。キョウキョウ❓より綿密な動作と数が必要になる。こっちだけじゃ管制が足りない。手邦と強力してそっちでもやって貰える❓」

 

≪マキナ改≫第一艦橋

 

[オルケストラ]オペレーター:黒異士 狂耶(くろいし きょうか)「あぁ分かった。テック、アタシらはネプチューン級とラティメリア級で良いか❓」

手邦「あぁ、取り掛かろう。≪ネプチューン≫、≪ヘルクレス≫、≪グラントホワイト≫/≪ラティメリア≫、≪カルムナエ≫、≪メナドエンシス≫全艦Ⅰ〜Ⅲまで感度良好だ。」

黒異士「よし、掛かれ‼️」

 

【デザリアム】第XXⅣ師団

≪グレート・エルギーラ≫艦橋

オペレーターA「あの...司令❓」

ルーギラ「我が妹なら心配いらぬ、いつものことだ。それより我が艦隊の別働隊はどうなっている❓」

オペレーターA「は、順調に左右から包囲を...ッ❗️報告あり、敵無人戦闘艦に阻まれたもよう。」

同B『こちらも同じです。」

ルーギラ「くっ❗️さすがに読まれていたか...ならば仕方がない。このまま正攻法で突破してやるとしよう。」

 

別働隊を以ての包囲戦を見破られたので正面突破を図ろうとするルーギラたち第XXⅣ師団。その様子は≪マキナ改≫の第二艦橋/CDCでも捉えていた。

 

≪マキナ改≫第二艦橋/CDC

 

ピピーッ!ピピーッ!(通信音)

(黒異士「第1艦橋よりCDC。敵艦隊の包囲狙い艦隊は撃退した。」)

 

タクロー「了解ありがとう。」

ミホノラ「さすが黒異士先輩...早いです。」

タクロー「クロポン、味方の基地離脱及びワープ率は❓」

クロンナウア「78%まで終わってます。(ピピッ!)おっと❗️敵本隊主力こっちに向かってきますぜ❗️」

タクロー「クロ助❗️≪アクエリアス≫からの解析データ来てるね❓≪ネメシス≫を早く来させて❗️≪ザドキエル≫と協力してもらう❗️<シャドウ・バンガード>、<ダーク・ホース>両航空隊は発艦❗️<クレイジー・スカル>は待機させて❗️その前に時間稼ぎの妨害始め❗️」

 

タクローが指示を出した瞬間、前進する第XXⅣ師団の周りにあるオールトの雲名物の"尾を引かない彗星"に仕掛けられた爆弾が起爆し細かく砕け散る。驚き前進を止める【デザリアム】第XXⅣ師団。艦そのものに損害は出ていないが、彗星の中に含まれる金属粒子が広範囲に飛び立った為レーダーが効かなくなる。突然のことに狼狽える部下にいつもの「狼狽えるな無知ども❗️」と叱責する。妨害される前の敵配置のデータを用いて収束アルファ砲搭載プレアデス級に攻撃を命じる。レーダー妨害をされてる為に射撃は正確ではなく側から見れば当てずっぽうだ。更に続いて特殊装備を積んだ<ダーク・ホース>隊とそれを護衛する<シャドウ・バンガード>隊が第XXⅣ師団上方から襲い掛かる。しかし対艦攻撃の為ではない。その特殊装備とやらを第XXⅣ師団の前に発射する。そのミサイルが爆発すると内部から青い光りの粒子が辺り一面に散らばり♪キラキラ光る夜空の星よになる。収束アルファ砲のど太い紅い粒子がその青煌びやか粒子の中を通り過ぎると紅いビームは勢いと威力を失って消滅してしまう。そう、この特殊弾頭は「タキオン撹乱幕」で内部にはタキオン粒子が詰まっており【デザリアム】の使うウラリウム(暗黒物質)とは相性が悪い性質を利用しアルファ砲やベータ砲の威力を減衰、消滅させているのだ。

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターA「艦長❗️」

ルーギラ「えぇい❗️いちいち狼狽えるな無知共‼️妨害が永遠に続くわけではない❗️一時期的な物だ❗️攻撃をミサイルと魚雷に切り替えろ‼️」

オペレーターA「りょ、了解❗️」

ルーギラ「ふん❗️全くいつまで経っても...❗️」

オペレーターB「ッ❗️左右から敵艦隊‼️」

 

仕掛けた罠と罠2号、そして先に上下方向からの奇襲に失敗した≪リリー・マルレーン≫及び≪ヴェム・ハイデルン≫のそれぞれの艦隊が挟撃を仕掛ける。敵は態勢が乱れているせいで空間歪曲防御を働かせる余裕がないのか何隻か撃沈破に成功する。敵の態勢が乱れるのをモニターで確認するタクロー以下≪マキナ改≫クルー。時間稼ぎは成功の様だ。相変わらず【デザリアム】は突然の出来事に弱いらしいと思うのだった。

 

≪マキナ改≫第二艦橋(CDC)

 

タクロー「よし、引っ掛かってくれた❗️クロン❗️≪ネメシス≫は⁉️」

クロンナウア「間も無くお目見えです❗️」

タクロー「よぉし、≪ザドキエル≫の前にピッタし小ワープする様にね。」

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ「怯むな❗️落ち着いて立て直せば即反撃できる‼️」

オペレーターA「は、はい❗️」

同B「か、艦長❗️正面の敵艦隊に動きが‼️」

ルーギラ「ッ⁉️」

 

ルーギラの第XXⅣ師団があたふたはしゃいでるぅ〜してる間に第99特戦機群 第二群旗艦≪ネメシス≫が≪ザドキエル≫の440艦隊の前にワープアウトする。

 

≪ネメシス≫艦橋

 

航海長/操舵手「ワープ終了❗️」

冬月「よろしい、拡散波動砲発射用意❗️」

戦術長/砲術長「了解、拡散波動砲スタンバイします。」

 

≪ザドキエル≫艦橋

 

四糸乃「本艦の防壁陣解除、他艦へ管制引き継ぎ❗️波動共鳴波装置稼働開始❗️照射対象は≪ネメシス≫❗️」

 

≪ザドキエル≫が波動防壁陣の形成を止め波動共鳴波をワープ直後から波動砲発射態勢を整える≪ネメシス≫の後方から照射し始める。≪ネメシス≫の波動砲パラメーターの数値がみるみる上がっていく。

 

≪ネメシス≫戦術/砲術長「≪ザドキエル≫からの共鳴波照射順調です。艦長これなら❗️」

冬月「うむ❗️拡散波動砲、発射ァッ‼️」

 

≪ネメシス≫の艦首三連装波動砲から強烈な閃光が走り華を咲かせる。それはいつにも増して輝きが強い。その強化された波動砲の青く巨大な閃光は空間歪曲防御のプレアデス級の防御力の容量を遥かに超えていた為に受け止めきれず収束大口径アルファ砲搭載プレアデス級の一部を飲み込んで消し去った。しかし旗艦の≪グレート・エルギーラ≫は事前に退避していたので難を逃れていた。

 

≪マキナ改≫第二艦橋(CDC)

 

烈禍「命中だ❗️すげぇ❗️今の≪ネメシス≫の波動砲かよ‼️」

高佐田「通常の威力を超えてる...⁉️艦長あれは❓」

タクロー「≪アクエリアス≫にデータの解析を頼んでそこからはぶっつけ本番だったけど、上手くいった様だね。」

ミホノラ「それは一体❓」

 

『映像通信』

安玖園『私から説明しよう。』

 

タクロー「おっと、リアリアのご登場とご解説ね。よろしく。」

 

安玖園『そちらから≪シュンラン≫があの敵艦が持つ物と似た空間歪曲装置を拡散波動砲で破壊した時のデータからあの装置で防御できるエネルギー量には限界があると思ってね。ただ通常の波動砲攻撃で防御される可能性も否定できなかった。そこで≪シュンラン≫と同じ三連装波動砲を持つ≪ネメシス≫の波動機関を≪ザドキエル≫の波動共鳴波装置で≪シュンラン≫の機関出力を擬似的に再現して拡散波動砲を撃ってもらったという訳さ。』

 

呉賀「そうか❗️ガトランティス戦役で≪アンドロメダ改≫が≪銀河≫からのCRS(コスモリバースシステム)の放射エネルギーで波動砲を増幅させた時の要領か❗️」

タクロー「そゆこと、解説サンキューね。よぉし❗️態勢が崩れた❗️反撃よ‼️」

≪マキナ改≫クルー全員「了解❗️」

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

オペレーターA「味方艦多数消滅❗️」

オペレーターB「攻撃と防御の要(かなめ)がやられた❗️」

ルーギラ「狼狽えるな❗️落ち着いて状況を報告しろ‼️」

オペレーターC「収束アルファ砲搭載プレアデス級≪ダリュー≫、≪ドラーネ≫、≪メールーガ≫戦没❗️空間歪曲型防護型≪アラース≫、≪キュネー≫、≪マカライ≫、≪ヘードス≫全艦及び他多数が消滅しました‼️」

ルーギラ「くっ❗️アルファ砲型が壊滅に防護型が全滅だと⁉️...仕方ない❗️包囲別働隊に伝令❗️本隊に合流する様に言え❗️予備部隊もこちらに呼べ❗️こうなれば戦力を総結集し黒髑髏艦隊の防御陣を強引に突破するぞ‼️」

全オペレーター「は、はい‼️」

 

≪マキナ改≫第一艦橋

栗梶「ッ⁉️敵艦隊が退いてく⁉️」

手邦「本隊と合流するんだろうな。」

黒異士「させるか❗️第一(艦橋から)艦長❗️」

 

同 第二艦橋(CDC)

 

タクロー「はいよ、けどそろそろこっちも引き上げてワープしたいところだな。第二、第三案(最終案)と参りますか❗️

"無人艦誘導爆弾"、全艦投入❗️護衛に"拡散波動砲お取り寄せ艦隊"も備え付けぇい‼️」

 

ここから♪「宇宙大戦争」を聴きながらお読み下さるとちょーちょーちょー助かるよ☆

 

440艦隊の後方から艦隊がワープアウトする。第99特戦機群のお馴染みの黒とオレンジのツートンカラーだ。≪マキナ改≫管制の無人艦隊の様だがいつもとは調子が違う。それは艦体各所に無数の弾痕や摺り切り傷だらけで各砲塔は砲身がひしゃげてたりそもそも砲塔が無い艦もいる。そう、どれもこれも度重なる戦闘で修理不可となり一部は所謂(いわゆる)"共食い整備"された廃艦予定の無人艦ーズだ。ワープブースター法が飛び込んできたこれらのオンボロ無人艦達はそのまま敵艦隊に真っ直ぐ突っ込んで行く。突然のこれらの自意識を持たぬ艦達の来襲に第XXⅣ師団は予備部隊の到着と再編が整う間もなく次々と激突され爆沈していく。それを援護するかの様にこちらは整備された(それでも複数艦は傷アリ)な無人艦隊の波動砲発射組が同方法でワープアウトして拡散波動砲をぶっ放す。

 

第XXⅣ師団

旗艦≪グレート・エルギーラ≫

 

オペレーターA「し、司令❗️敵艦隊が突撃を‼️」

ルーギラ「狼狽えるな❗️」

オペレーターB「う、ウワァァァァァァァッ⁉️」

ルーギラ「ッ❗️」

 

オペレーター達がまた狼狽し始めたのを鎮めようとした瞬間、無人艦誘導爆弾の一つが≪グレート・エルギーラ≫に体当たりして大きな閃光を発して爆発した。対エネルギー兵器防御に特化している【デザリアム】の艦艇群だが、こういった物理攻撃にはすこぶる弱々しい。

 

≪マキナ改≫第二艦橋

 

クロンナウア「敵艦隊に着弾❗️効果アリ❗️陣形乱れてます‼️」

タクロー「よし❗️我々もトンズラするぞ、≪アマテラス≫にも伝えてまだやり合ってらっしゃる様だからね。440艦隊は波動防壁陣を維持しつつ順次ワープで離脱せよ。」

烈禍「おい❗️もう終わりかよ❗️」

高佐田「黙ってろ。目的は戦闘じゃないんだ。」

タクロー「その通りよ、かっしー。"基地の仕掛け"はこちらで出来るようにはしたよね❓」

 

『第一艦橋からの音声通信』

栗梶『はっ、滞りなくです。しかし良いんですか❓』

 

タクロー「構わない。これで地球もガルガミも"解体"に金も手間も掛けなくて済むでしょうから。そっち管制の無人艦隊も引き上げさせて。敵艦隊が近づいた時にやる。タイミングを間違わないでね。」

 

栗梶『はい❗️』

 

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ「ぐ...う...❗️被害は⁉️」

オペレーターC「艦長、腕を...。」

ルーギラ「良い❗️被害を先に言え‼️」

オペレーターC「はっ❗️艦隊損耗率、現在約27パセラー。敵艦隊は順次ワープで離脱を。」

ルーギラ「逃すな❗️艦隊を立て直し、基地の確保も忘れるな❗️」

オペレーターA「はっ❗️別働隊、基地に接近中。」

 

第XXⅣ師団がオールト雲の補給基地に近づくのをメインモニターで確認するタクローら≪マキナ改≫クルー。

 

≪マキナ改≫第二艦橋

 

クロンナウア「敵艦隊、基地に接近中❗️」

タクロー「よし、≪アマテラス≫と≪ザドキエル≫へタイミング合わして同時にワープする。四糸乃艦長❗️よろしいね⁉️」

 

『映像通信』

四糸乃「は、はい❗️備えます❗️」

 

一方の≪アマテラス≫はいつぞやの時と同じくまたもや≪グレート・エルクーギラ≫とガチンコタイマン砲戦を繰り広げていた。前回と違いミサイルや魚雷等の実弾兵器は今後の戦闘を考慮して使用を控えている。その為エネルギー兵器に強い【デザリアム】の艦艇相手にほぼショックカノンで立ち向かわなくてはならないのだが、≪アマテラス≫とその乗員そして艦長の天伝雷はそんなものハンデのうちにも入らないのか手数の多い的確な砲撃で装甲をぶち抜いていく。逆に≪グレート・エルクーギラ≫の攻撃を受けるも直撃の寸前に当たる部分に波動防壁を纏い艦を回転させ受け流すという高度なテクを見せ付けている。

 

≪アマテラス≫艦橋

 

通信/レーダー手「艦長❗️多田部司令からです‼️」

天伝雷「主様ッ⁉️」

 

『映像通信』

タクロー『天伝雷艦長。そちらに迎えを2隻やった。難しいかもだけどそろそろ退く準備をしてくれ。』

 

天伝雷『わっ...かりましたけれど、も❗️お相手は退く気配ないのでありしまし.,て❗️」

 

タクロー『"派手な花火"をやる。それに巻き込まれない様に頼む❗️』

 

天伝雷「それは楽しみですわ、ね❗️」

 

≪グレート・エルクーギラ≫艦橋

 

『映像通信』

ルーギラ『クーギラ❗️』

 

クーギラ「お姉ちゃん後にして❗️」

 

ルーギラ『何かある❗️ここは退くんだ‼️』

 

クーギラ「やだよ❗️"トゲトゲ"とはここでやってやるんだから‼️」

 

ルーギラ『クーギラ‼️』

 

≪マキナ改≫第二艦橋

 

クロンナウア「艦長❗️いよいよ敵さん来ましたぜ❗️」

タクロー「今だ❗️爆破しろ‼️」

 

クロンナウアがポチッと何かのキーを操作する。すると無人となったオールトの雲補給基地が各所から連鎖的に爆発が起こり近づいてきた【デザリアム】第XXⅣ師団の一部の艦隊を巻き込んだ。タクローが栗梶と先程話したこと、それは基地の爆破だったのだ。基地のデータログを調べ近々基地が解体されることを知ったタクローは基地を巨大な爆弾にして【デザリアム】を引きつけて爆破することを思い付きそれを決行したのだ。

≪マキナ改≫第二艦橋

 

タクロー「脱出、開始‼️」

 

だがそれは序章に過ぎずさらに今度は青い光となってその波紋が広がり始める。それは基地の電源として用いていた波動機関の暴走と爆発による波動エネルギーの衝撃破だ。それに巻き込まれる前に≪マキナ改≫ら第99特戦機群、≪ザドキエル≫の440艦隊そして離れて戦ってる≪アマテラス≫もギリギリの所で迎えに来た2隻のクラスDを接舷させワープして行き戦っていた≪グレート・エルクーギラ≫は巻き込まれ「クーギラ❗️」とルーギラが叫ぶも艦は思いっきし吹き飛ばされた。

 

数時間後...

≪グレート・エルギーラ≫

艦橋

 

ルーギラ「被害は...どうなっている...❓」

オペレーターA「はっ、艦隊損耗率56パセラー。敵基地は消滅し周囲には濃密な波動エネルギーが充満しています。位相変換装甲を最大限に稼働してなんとかダメージを軽減させていますがいつまで保つか...これがいつまで続くのか分かりませんしここに留まり続けるのは危険です。」

ルーギラ「くっ...❗️」

 

戦いは終結した。第XXⅣ師団は敵を取り逃しただけでなくせっかく再編された艦隊は戦闘及び基地の爆破とその波動エネルギー衝撃破により約半数を失って壊滅し、その波動砲エネルギーが宙域全体に広まった事で【デザリアム】の艦艇にとっては"猛毒"な場所となってしまったとルーギラは負傷した腹を抑えながら部下からの報告を聞く。

 

ルーギラ「クーギラは無事なのか❓」

オペレーターA「はっ、確認できております。」

ルーギラ「そうか、何よりだ...ぐっ...❗️」

 

妹クーギラの無事を知りホッとして立ち上がろうとするルーギラだが、脇腹を痛めてたのか抑えてまた膝を着く。「大丈夫ですか⁉️」とオペレーターの1人がルーギラに近づく。

 

ルーギラ「触るな❗️」

オペレーターA「ッ❗️」

ルーギラ「貴様ァ...❗️いくら負傷しているとはいえ"神聖たる命の源"を触ろうとするとは何事かッ‼️貴様も【デザリアム】の男であるなら分かっていることであろうッ‼️」

オペレーターA「も、申し訳ありません❗️」

ルーギラ「くっ...傷に響いた。腕と足と調子もおかしいようだ。"取り替えてくる"しばらくの間任せるぞ。」

オペレーターA「りょ、了解。」

 

ひとしきり激怒した後、ルーギラはオペレーターに艦橋をしばらく任せて足を引き摺りながら去った行ったのだった。




読了ありがとうございます。今回は『地球』『ヤマト達デザリアム本星殴り込み艦隊』『タクロー達』の三視点からお送り致しました。
古野間さんら空間騎兵隊、真田澪(サーシャ)、徳川アイ子、ミリィ、アルフォンらがゲスト出演です。古野間さんは変わらずで、澪もといサーシャは原作が容姿が15〜17歳くらいでしたがさすがにどうかと思うので成長しても4〜5歳くらいの容姿にしました。台詞の感じは海外ドラマ『フルハウス』のミシェル風にしています。アイ子とミリィは本来ならもっと早い段階で出すべきだったんでしょうけど忘れてて今になりましたw.アルフォン少尉もここで登場ですがあくまで他キャラと同じくゲストなのでこの作品では深く関わりません。
≪ヤマト≫ら【デザリアム本星殴り込み艦隊】はps2「暗黒星団帝国の逆襲」での機雷ステージを基にした話となりました。ゲームだと機雷は除去できずダメージを負いつつ無理矢理突破してますが、≪ザフキエル≫のまた新たな時空弾を用いて突破口を開きそこに新たな無人艦のネプチューン級とラティメリア級の二種が飛び込みました。この二種は『3199』で登場が発表された『永遠に』版無人艦の本作独自の名前ででそれぞれカブトムシとシーラカンスの種類から見た目で判断して名付けました。
一方のタクロー達は新型プレアデス級派生艦二種を引き連れた【デザリアム】第XXⅣ師団と対峙しました。一隻は「二重銀河の崩壊」するa砲搭載艦の私的リメイクで空間歪曲防護型は本作オリジナルです。イメージは「ガンダムSEED」のフォビドゥンガンダムが持つ"ゲシュマイディッヒ・パンツァー"です。タクロー達がピンチかと思われたが、今回もタクロー達のが一枚上手だったようです。
せっかく再編した艦隊をまたもやボロボロにされてしまった第XXⅣ師団(汗)。ルーギラさんも深傷を負った❓みたいです。腹部を"神聖な物"と手足の取り替え"、【デザリアム】の正体の伏線かもしれませんね。続きをお楽しみに❗️


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第18話「帰還への旅路、第11番惑星」

前回地球への帰還とそれを阻もうとするルーギラさん達第XXⅣ師団の追撃を返り討ちにし長らくお世話になったオールトの雲の補給基地を爆破して追撃を振り払ったとこで終わりました。そしてこれよりタクロー達の地球帰還の旅が始まります。


第99特戦機群

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪デア・エクス・マキナ改≫

放送室

 

♪テーレレレレッレレ〜×2

クロンナウア「グーーーーーーーーーーーーーーモッニング・BBB(トリプルビー)ィーッ❗️現在第11番惑星宙域にまた俺達戻ってきたぜ❗️今日まで色々あったしまだ地球には遠いけどよ良いニュースで皆嬉しいよなそうだろ⁉️ってことで今日の最初の一曲はラジオネーム"クレイジー・タレント"さんからのリクエスト❗️ボヘミアンでラプソディな名曲から行くぜ〜。さぁLet's Music♪❗️」

 

※読みながらお聴き下さい、なお映画冒頭で流れた短縮版になっていますのでそちらで調べて聴いて頂けると助かります。

 

♪『Somebody to Love』(1976)

 

艦長室で眠りについていたタクローは曲が始まると同時に目を覚まし身支度を整え部屋を後にしていた。廊下ですれ違う乗員達に挨拶を交わし第1艦橋へ向かう。放送は第99特戦機群のみならず他の艦隊にも流された皆各々の部署で作業をしながら聴く。

第1艦橋の扉の前でピョンっとまっすぐ飛んでから中に入るタクロー。金田から「艦長上がられます」の一言が発せられ曲の終わりと同時に皆が気を引き締める。

 

タクロー「おはよう。皆異常はなかった❓」

栗梶「レーダーにはエネミーなし。通信共に感度良好です。その他の艦隊からも特に報告ありません。」

高佐田「火器管制いつでも撃てる。」

黒異士「無人艦隊オンライン中、問題ない。」

タクロー「よろしい、まもなく11番惑星だ。敵がいるかも気をつけて行こう。」

 

ミホノラ(ナレーション)「地球への帰還を目指すべくオールトの雲基地から脱出を図ろうとした私達は、途中【デザリアム】の艦隊の妨害があったものの艦長の策と四糸乃艦長らとの連携により敵に打撃を与え見事私達はワープで離脱することができました。解体される予定だったとはいえ爆破してしまったオールトの雲の基地と宙域には大変お世話になったのでなんだか感慨深いと言いますか、惜しいことをしたと思いました。

そんな基地と宙域に別れを告げ、私達は今第11番惑星宙域にいます。とりあえずそこから順次生存者の捜索及び補給を行なっていくのが今後の航海の予定です。」

 

♪ピピッー×2

栗梶「ッ❗️艦長、無人警戒艦≪カランビット≫(ホワイトパイカー級無人早期警戒艦)から通報、カラクルム級残骸群の中からメーデーらしき物を受信したとのこと。」

タクロー「識別は❓」

栗梶「お待ちを...これは、防衛軍の物です❗️」

タクロー「ッ❗️」

金田「艦長。」

タクロー「えぇ、直ちに向かいましょう。≪カランビット≫は≪ソリフェラム≫(ホワイトランサー級正規実用型)と≪ロックドフォールディング≫(ホワイトパイカー級正規実用型)と共に先行❗️艦隊はこのまま前進。」

 

メーデー(救難信号)の発信元に辿り着いた一同は驚愕した。そこにあり眼前に広がっていたのが大はアンドロメダ級から小はエスコート/フォレスター級護衛艦の残骸だったからだ。

 

≪マキナ改≫艦橋

 

栗梶「アンドロメダ級舷側部の部隊章(マーキング)に該当あり、第81特務戦隊[ファントムスイープ]旗艦≪アルフェラッツ≫です。」

タクロー「... ...生存者は❓」

栗梶「救難のシーガル隊からは報告はありません。」

タクロー「そうですか...。」

 

艦長の声のトーンがいつもより一層表情が暗く声も低い事を感じるミホノラ。

 

タクロー「≪アクエリアス≫、解析はどうですか❓」

 

『映像通信』

≪アクエリアス≫艦橋

安玖園『被弾箇所の成分分析をした。【デザリアム】の攻撃で間違いないだろうね。暗黒物質がびっしり付いていたよ。』

 

タクロー「そうか、恐らく最初の地球侵攻で奇襲を受けたんだろう。」

 

話を聞いていたミホノラはふと隣の席の黒異士の方を見やると彼女がお腹に手をグッと当てていた事に気付く。黒異士の視線の先には艦底部大きく抉られた≪アルフェラッツ≫の姿だった。もう一度モニターを方を見ると安玖園艦長も同様にお腹に手を当てている様に見える。同じ頃≪アマテラス≫艦長の天伝雷、≪ヴェム・ハイデルン≫艦長のヴェロニカも同じくお腹に手を当て「くっ...」という苦悶な表情を浮かべていた。

 

ピピッー!×2

栗梶「ん⁉️」

タクロー「どった❓」

栗梶「警戒艦≪べんてん≫から。敵艦隊探知。距離20万宇宙キロ。」

タクロー「敵❓」

栗梶「デザさんです間違いなく。」

タクロー「警報レッド伝え❗️戦闘態勢に移行‼️」

 

タクローの号令の下、≪マキナ改≫を始めとする第99特戦機群、第440独立機動防衛艦隊、第3波動実験開発隊群、第2戦略即応即応機動旅団の全艦隊が戦闘態勢を敷く。

 

タクロー「非常電源に切り替え、生命維持と火器管制以外の不要なシステムを全部切れ❗️」

 

タクローがそう命じると≪マキナ改≫の艦橋内の明かりが非常灯を示す赤が灯る。

 

持月「こっちから仕掛けないのか艦長⁉️」

ゴルド「そうだぜ動くんなら早くしようや❗️」

 

と砲術長の持月が尋ね操舵手のゴルドもそれに賛同する。先手必勝ならまさしくそうするべきだがタクローは首を縦じゃなく横に振る。

 

タクロー「忘れないでウチらは"根無し草"になったんだ。補給と今後の事を考えると戦闘は極力避けたい。幸い敵まではまだ距離がある。向こうがこっちに気付かないで通り過ぎてってくれればそれでいい。だが必要に備えていつでも動いて撃てるようにはしておいてお二人。」

 

持月/ゴルド「あいよ❗️/了解❗️」

 

2人が返事し終えた時、無人艦隊管制システム<オルケストラ>管制官の黒異士は手をコンソールに置き操作する。グリップのトリガーに指を掛けようとするのをタクローが見つけ「キョウキョウ」と静かに言われ黒異士は手を止める。

 

黒異士「... ...。」

タクロー「気持ちは分かるけど抑えてね。よろしい❓」

黒異士「...あぁ、分かっている。艦長。」

ミホノラ「...❓」

 

タクローの顔を睨むも了承する黒異士とその横で疑問の表情を浮かべるミホノラ。

 

タクロー「かっしー、≪アマテラス≫と≪アクエリアス≫それに≪ヴェム・ハイデルン≫に回線を繋いでくれませんこと❓個人通話モードで。」

栗梶「え❓あ、はい。繋ぎます。」

 

ミホノラ(ナレーション)「艦長はそう通信長に言うとそれぞれの艦長に話し始めました。その会話内容は上官と部下というよりかは友人との会話を思わせる様な感じでした。≪アマテラス≫の天伝雷艦長はともかく、≪アクエリアス≫の安玖園艦長と≪ヴェム・ハイデルン≫のヴェロニカ艦長ともお知り合いだとは黒異士先輩からお聞きはしていましたが、艦長と彼女達の関係性は良く分かっていませんでした。」

 

タクローが各艦長と話を終え「話は付きました。皆動かずそのままね」と言い艦橋クルーがきを引き締めるが...。

 

栗梶「ッ❗️敵艦隊遠ざかります。...ワープして消えました❗️」

金田「ふぅ、気付かれなかった様ですね。」

タクロー「良かったですよ。戦闘態勢解除、警戒態勢に移行しつつ第11番惑星に向かいます。」

ミホノラ(ナレーション)「第11番惑星。地球圏最果ての惑星でガミラス戦争中は【ガミラス】こと現【ガルマン・ガミラス】の兵站基地でしたが、戦争終結後は国交を結んだ地球-ガミラス両国が共同運用する基地へと代わり周囲に都市を築いていく開拓惑星に変化していきました。

西暦2202年12月24日にあの彗星都市帝国【ガトランティス】の襲撃を受け基地と周辺の都市は壊滅し同時に多くの死傷者を出しましたが、≪ヤマト≫の活躍により【ガトランティス】艦隊を撃退し基地は敵に利用されずに済んだもののその後は地球はガトランティス戦役後の復興、ガミラスは移民政策に掛かり切りとなった為に復旧は後回しにされに基地として最低限の機能を持った程度にまで規模を縮小して今に至るという。」

 

11番惑星の眼前にまで迫ったタクロー達。不思議なことに道中は先の敵以外は全く接敵が無く静かであった。それどころか警戒装置や罠の類も一切なく怪しく思ったが、基地の様子を調べていた栗梶からの報告でさらに不安になった。

 

タクロー「何か反応はあったか❓」

栗梶「いえ、敵反応はありません。」

タクロー「敵がいない❓一隻も人っこ1人もか❓」

栗梶「はい、それどころか基地所属の人間やアンドロイドの類(たぐい)の反応もとにかく動いてるモノは一切存在しないんです。」

金田「どういうことでしょう❓」

タクロー「上陸チームを2班に分けて出そう。1班は基地の調査をもう1班は倉庫の確認だ。」

栗梶「了解。」

 

パトロール艦≪エゾーケン≫と≪べんてん≫の2隻の艦底部の艦載機格納庫から汎用輸送機<コスモシーガル>が上陸調査部隊を乗せ飛び立つ。基地に着陸したシーガルから調査隊が降り基地を調べ始める。≪マキナ改≫を含む艦隊はまた敵が来ないかどうか警戒しつつ調査隊からの報告を待った。

 

≪マキナ改≫艦橋

 

ピピーッ!×2

栗梶「艦長。上陸班から通信です。繋ぎます。」カチッ

 

『通信』/≪エゾーケン≫上陸班班長『こちら上陸班a(アルファ)、基地司令部内に入りました。』

 

金田「生存者は❓」

 

≪エゾーケン≫上陸班班長『いません...。」

 

タクロー「・・・・・。」

金田「艦長❓」

タクロー「捜索を続けて下さい。」

 

「生存者なし」の報告にタクローを始めとする≪マキナ改≫艦橋クルーが沈黙する。しかしまだ分からないとしてタクローは捜索を続けるよう命じた。

 

『通信』/≪べんてん≫上陸班班長「こちらb(ブラボー)。倉庫と同じく生存者はありませんが、異常もありません。食糧、資材共に潤沢です。」

 

タクロー「...分かった。(無線機を取り出す)≪マキナ改≫のタクローより達する。これより基地に入港する。補給担当艦を優先、まず空母からだ。残りは基地と宙域の警戒に当たれ。」

ミホノラ(ナレーション)「それから私達も基地に降りて内部を歩いて回りました。言葉を失うとはまさにこの事を言うのだと思わざるを得ない様な惨憺たる有様でした。歩けば基地のどこにでも遺体が転がっているからです。しかし不思議なのは死後半年近くは経ってるのに遺体は腐敗どころか外傷が見受けられずまるで皆眠る様に亡くなっていた事です。後で艦医のオオツカ先生が検死した所、どの遺体も脳細胞を破壊されており恐らく【デザリアム】の重核子爆弾による物だと推測されました。」

 

エレン「...ホ❓...ミホ...❓」

ミホノラ「は、はい⁉️」

エレン「大丈夫ですか❓疲れているなら休んでください。」

ミホノラ「い、いえ、すみせまん大丈夫です。」

 

そう心でナレーションするミホノラは現在(いま)≪マキナ改≫の中央作戦室に99特戦機群の主たるメンバーと440機防隊、第3波動隊群、第2戦略旅団の各司令も来ている。

 

金田「基地に損害がなかったお陰で補給とスムーズに行う事ができました。後は各艦の整備/補修が完了すればいつでも出航可能です。」

タクロー「ありがとう副長。」

ヴェロニカ「なぁなぁ、なんで【デザリアム】の奴ら基地の人達だけ手を掛けて基地は放置したんだ❓」

 

ヴェロニカが最もな質問をする。言われてみれば確かに疑問な事だ。現在進行形で絶賛占領中の地球の事はともかく後先の事を考えれば他の地球圏の各惑星群の占領もしておくべきだと思う。

 

安玖園「恐らく彼等の目的が「地球人類の奴隷化」と「≪ヤマト≫の捜索及び撃沈」にあるとするなら地球以外の惑星や基地には興味がなかったんじゃないかな❓だがそのまま放置しておくと後が厄介な事になるのを防ぐ為に重核子爆弾を使って基地の人達を皆殺しにした。」

アイク「もしくは単に戦力的に地球以外の太陽系の惑星全てを占領する数が無かったからとも考えられるが彼女と同じくこれも推測だよ。そうでしょう❓安玖園艦長。」

安玖園「無論だよ。」

タクロー「ありがとう2人とも。今後向かう他の惑星基地でも同様の事があるかも知れない。皆、覚悟して臨む様にお願いします。解散。」

 

会議を終え皆が各自の持ち場に戻ろうとする。ミホノラも先輩のエレンや黒異士と共に戻ろうとするが、艦長タクローの表情が冴えない事が少し気になったのだった。

 

ミホノラ(ナレーション)「それから私達は艦の修理/点検が終わるまでこの11番惑星基地に留まる事になりました。その間できる限り遺体を丁重に葬りました。しかし艦長は『もしこれから向かう惑星基地でも同じ様な光景が広がっていたらなるべく葬ってやりたいが今は時間が惜しい。これからはそのまま放置するかもしれないと思って下さい」という厳しくも現実的な発言でした。

あ、今私は無人艦隊の近況報告を書いたタブレットを艦長に提出する為に探しています。」

 

廊下を歩いて艦長室の前に立ちノックをしようとした時だった。

 

金田「ハーガワネン大尉❓」

ミホノラ「あ、金田副長❗️」ビシッ(敬礼)

 

≪マキナ改≫副長の金田に声を掛けられ敬礼を返す。「あぁ敬礼は良いよ」と言う金田に「失礼しました」と言うミホノラ。

 

金田「艦長をとお探しのようだが今はこの艦に居ないよ。」

ミホノラ「え❓どちらに...❓」

金田「今は≪アマテラス≫にいらっしゃるとか。」

ミホノラ「≪アマテラス≫に一体何の用で❓」

金田「いや、たぶんお茶に行ったのでしょう。」

ミホノラ「...え❓」ズコッ

 

「仕事じゃなくて❓」と思わずちょっとしたズッコケ3人組するミホノラ。

 

ミホノラ「そ、そうでしたか。ではその後...」

金田「いや、その次は≪ヴェム・ハイデルン≫で厨二病講習、≪アクエリアス≫で安玖園艦長のお世話の予定が入っています。」

 

「うちの艦長は一体何をしているんだ❓」と口に出しそうになるも胸中のみに発しているミホノラ。ふざけている場面が多いが戦闘や仕事は真面目にする艦長の事だから何か意味があるのだろうとは配属されて2年だが分かってきたつもりのミホノラだったが、「なぜその3艦なのだろうか❓」という疑問を多少抱きつつ「分かりました。少し時間を置いてからにします(汗)」と金田に言い立ち去るのだった。

数時間が経ち、各々の艦の用事を済ませた艦長のタクローが≪マキナ改≫に戻ったとの話があり今後こそとミホノラは向かう。...がそこにはまたもや驚きな光景が眼前にあった。艦長のタクローは確かに居たのだが、いや正確に言うならベンチに横になってしかも自身の先輩である黒異士に膝枕され顔に帽子を被せて眠っていたのだ。驚き固まるミホノラに気付いた黒異士は「ミホか、お前も座れ」と言われ「は、はぁでは(汗)」とベンチに腰を下ろす。

 

ミホノラ「どうして先輩はその...艦長に膝枕を❓」

黒異士「ん❓あぁ、コイツと何気ない話をしていただけだが疲れたのか眠ってしまってな。で膝を貸してやった訳だ。」

ミホノラ「そ、そうですか...。」

 

経緯は分かったがイマイチこの2人からは想像できない光景なのが余計に完全理解を拒んでいる。

 

黒異士「そんな顔をするな。これもコイツなりの気遣いだ。」

ミホノラ「気遣い...ですか❓」

黒異士「あぁ、≪アルフェラッツ≫の無惨な姿を見てた時、私が腹を抑えていたのをお前は見ていただろ❓」

ミホノラ「え❓あ、はい。」

黒異士「訳を言おう。見ろ。」

ミホノラ「ッ❗️」

 

そう言って黒異士は服のファスナーを腹まで下ろしてミホノラに見せる。思わず口元を手で抑え驚く。黒異士の身体には胸から腹に掛けて傷が走り特に腹部の物が大きかった。それはとても大きく知らない者が見たら黒異士の褐色の肌も相まってワイルドさとセクシーさがそこに同居して魅力的に映るのだろうが今のミホノラにそんな事は微塵も頭の中に存在する余裕がなかった。

 

黒異士「5年前のガトランティス戦役で受けた傷だ。死ぬかと思う程出血が酷かったが、艦長に命を助けられた。天伝雷も安玖園もヴェロニカも似た様なモノだ。」

ミホノラ「・・・・・・。」

 

傷とその訳に言葉が出なくなるミホノラ。いや、何をどう返事すれば良いか分からないのが正解だろう。浅い傷ではないだろうから恐らく"女性としての機能"も...と思うミホノラだが思うだけに留めた。

 

黒異士「≪アルフェラッツ≫を見て久々に傷が疼いた。他の3人もだろう。艦長はそんな私達に気付いて時間を作ったという訳だ。」

ミホノラ「そう...だったんですか...。」

 

少しの間沈黙する両者...2年も、いやそれしか付き合いがない上に先輩と艦長についてまだまだ知らない事だらけで艦長の行動には(ほぼ)必ず何か意味があるものだと自分を恥じた。

 

黒異士「そんな顔をするな。戦争では良くある事だ。お前もまだ2年だがコイツと戦争と戦場について分かってきたのだろう❓それで十分だ。」

ミホノラ「は、はい...。」

黒異士「ところでミホ。」

ミホノラ「はい先輩。」

黒異士「この後どうすればいい❓」

ミホノラ「え、あの、はい❓」

黒異士「いやその...この様な状態(膝枕)になったのは初めてなのでな。お前ならこういう状況の対処の仕方が分かるんじゃないかと思ってな。」

 

今の今までどシリアスな話をしていた最中(さいちゅう)の黒異士から突然の膝枕対処術のご教授を願われたミホノラ。

 

ミホノラ「そ、そうですね...こういう時はゆっくりその...持ち上げて...部屋に連れて行く...とかですかね❓」

黒異士「そうか、分かった。」

 

そう言うと黒異士はタクローをそっと持ち上げるとそのままお姫様抱っこする。それに思わず「え⁉️」と声を上げ驚くミホノラをよそに「ではまた」と言って黒異士はその場を後にしていく姿をミホノラはキョトンとした顔で見送るしかなかった。




読了ありがとうございます。冒頭の選曲は完全に私の趣味というか最近映画『ボヘミアン・ラプソディ』のBlu-ray買ったのもあって書かせて頂きましたw.孤独に戦うタクロー達にはピッタリかな❓と思いましてね。
まずは近場の第11番惑星基地に向かうタクロー達ですが、その宙域にはアンドロメダ級21番艦≪アルフェラッツ≫率いる第81特務戦隊[ファントムスイープ]達の残骸が漂っていたのに衝撃を受ける面々でした。大好きなアンドロメダ級の一隻を沈めたくはなかったですが、生き残ってるのも不自然だと思い止むを得ずにさせて頂きました。
敵との交戦を可能な限りさせるべくやり過ごし基地に到着しましたが重核子爆弾の仕業かそこに生存者はいませんでした。とりあえず補給と整備に必要な資材を調達/使用し基地を後にする事に決めました。
今回はミホノラ視点でのドラマパートでタクローと黒異士、天伝雷、安玖園、ヴェロニカの4名との関係性が見える話にしました。なぜタクローが彼女らを気に掛けるのか少しでも見えたのなら幸いです。
では短い話となりましたが、今回はここで。ではまた。


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第19話「冥王星の死角なき罠 前編」

地球圏へ目指す第一歩として第11番惑星へ立ち寄ったタクロー達だが、そこで目にしたのは重核子爆弾の仕業と思われる大量虐殺の光景だった。言葉にできない様な光景に怒りや悲しみをグッと堪え同基地にて補給と整備を行なった。
黒異士、天伝雷、安玖園、ヴェロニカの知られざる秘密を知ったミホノラ大尉で前回は終わりました。さて続きをどうぞ。


【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫

 

艦橋

 

古代「クソッ❗️なぜこんなッ‼️」

西条「完全に包囲されています❗️」

島「罠に嵌められた❗️前も後ろも塞がれて完全に逃げ場もないぞ‼️」

 

暗黒星雲の中心部へと進む≪ヤマト≫率いる艦隊はワープで逃げることもできない濃密な暗黒ガスが広がる宙域へと進む【デザリアム本星殴り込み艦隊】はその道中に後方から【デザリアム】艦隊の攻撃を受けさらに暗黒星雲の奥へ奥へと追いやられていた。しかしそこに待ち受けていたのは"真っ黒い絶望"だった。

 

ゴルバ型浮遊要塞≪ロア・ディモン・ノアⅠ≫

司令室

 

グロータス(【デザリアム】防衛軍総司令/浮遊要塞戦隊総司令/同要塞指揮官)「フッハハハハ❗️驚いたか⁉️このグロータスの指揮するこの浮遊要塞戦隊を以てすればキサマらなどの虫ケラ以下だと言う事をな‼️」

 

意気揚々と余裕綽々と尊大な物言いをするは【デザリアム】の防衛軍総司令兼浮遊要塞戦隊総司令で自身座乗のゴルバ型要塞の指揮官であるグロータス准将だ。今回の作戦に辺り自身の権限を用い地球占領任務のゴルバ4基をも呼び戻して完全な包囲陣を敷いたのだった。

 

オペレーターA「全ゴルバ型要塞の配置、完了しました。これで≪ヤマト≫達は逃げられません。」

オペレーターB「ミヨーズ司令の第Ⅱ特務艦隊も≪ヤマト≫艦隊後方に布陣完了しました。」

グロータス「よし、さぉ〜深淵へと続く暗黒星雲の渦の中に巻き込まれ永遠に彷徨い続けるが良い❗️全要塞❗️攻撃準備ぃ❗️≪ヤマト≫を原子の塵(ちり)へと帰すのだ‼️」

 

【デザリアム】第Ⅱ特務艦隊

旗艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「司令。我々は何を❓」

ミヨーズ「知れたこと。グロータス准将のゴルバ戦隊が≪ヤマト≫を嬲り殺しにできるようここに留まらせる事だ。分かったらさっさと動け❗️」

オペレーターA「りょ、了解❗️」

ミヨーズ「ふんっ、全くいつもながら使えん部下だ。」

 

周りにはゴルバ型7基、後方には敵艦隊。まさに袋のネズミの八方塞がりな状況で絶対で絶命な≪ヤマト≫達【デザリアム本星殴り込み艦隊】。古代艦長は奥歯をグッと噛み締めこの状況をどう打破するか思考を巡らせている。

 

『映像通信』

山南『古代艦長❗️』

 

古代「山南司令❗️」

 

突如≪ヤマト≫のメインパネルに第7艦隊司令兼≪シュンラン≫艦長の山南が映し出される。

 

山南『後方の艦隊は我々とバーガー艦隊が相手する。≪ヤマト≫はゴルバを頼む❗️』

 

古代「しかし...。」

 

メインパネルが二分割し今度は第27戦闘空母打撃群旗艦≪ランベア改≫のバーガーが出る。

 

バーガー『美味しい役をまたやろうってんだ。黙って頼まれろよ。』

 

古代「バーガー...。」

 

バーガー『といっても、あの時とは状況が違うがな...。」

 

山南とバーガーはミヨーズの艦隊の相手を買って出たが、バーガーは「コイツはマジヤバいかも」という曇りな表情と声音を発する。古代もバーガーと気持ちは同じだった。画面が更に分割し刻崎と本条が映し出される。

 

刻崎『≪ヤマト≫の援護は私達が引き受けますわ。』

 

本城『ゴルバにも弱点が無いわけじゃないんでしょ❓だったら私とエリカたんの出番っしょ❗️ね❓古代艦長☆❓』

 

古代「刻崎艦長...本城艦長...。」

 

刻崎『あら、私達2隻だけでは不足でしたかしら❓それともガミラスもガトランティス相手にもどうにかしてみせた≪ヤマト≫が今更この程度に危機に恐れを成しまして❓』

 

古代「、、、そうでしたね。地球で今も苦しんでる人達が待ってるんです。こんな所で立ち止まってられませんね。お二方、これから少し無茶をやります。着いて来てください❗️」

 

刻崎『ッ❗️...きひっ❗️きっひひひひひひひひ❗️えぇえぇ、参りましょう。』

 

本城『いいよいいよ〜その気概それでこそ≪ヤマト≫だよね〜❗️』

 

皮肉ったつもりで言った刻崎だったが逆に古代の闘争心に火をつける事となったが、「ここで意気消沈するのもらしくないので寧ろプラスになった」と考え改め昂った時に出るきひひ笑いで応じ、本条もそれでこそと言い笑んだ。

 

古代「これより65艦隊は包囲するゴルバ型要塞に向け攻撃を掛ける❗️≪ヤマト≫発進‼️」

 

=======================================

冥王星...太陽系外伝天体の一つでその直径は2,370km。表面温度はマイナス230度でメタンや窒素で覆われ人類の居住には適していない。【ガミラス】は地球侵攻に際し同星に環境改造用無人プラントを送り海を形成させ前線基地を築き地球人にとっては悪名高い星間大量破壊戦略兵器「遊星爆弾」の発射ターミナルとなった。西暦2199年 2月14日に≪ヤマト≫が同基地攻略を目的とする「メ2号作戦」により基地は陥落し遊星爆弾の脅威を取り除いた事でよく知られている。タクロー達の艦隊は第11番惑星で補給と修理を済ませ今はこの冥王星のある宙域にいる。≪マキナ改≫を含む空母群は冥王星の敵の有無の調査と警戒の為、偵察機と早期警戒管制機を飛ばしていた。

 

冥王星・地表上空

99式空間戦術偵察機 ピーピングファルコン

コールサイン/グレーター7-2(ドレッドノート改型航空母艦/艦首飛行甲板型(ウルヴァリン型)DCVL-81≪セーブル≫所属機)

 

パイロット・機長「グレーター7-2より、≪マキナ改≫へ。地表に敵反応未だ無し。静かです。」

同・レーダー/通信手「機長。他の偵察機隊も同じです。敵さんの影も形もありません。」

同・機長「だからと言って油断すんなよ。そういう時が一番危ねぇんだからな。」

同・レーダー/通信手「は、はい❗️」

 

同・宙域

≪マキナ改≫艦橋

 

栗梶「≪マキナ改≫よりグレーター7-2了解。引き続き僚機と共に警戒に当たられたし。

艦長、早期警戒管制機の方も同じく宙域、地表共に冥王星に敵反応ありません。このまま基地に進んでもよろしいのでは❓」

タクロー「いや、余りにも静か過ぎるな。"凪いだ海"、"嵐の前の静けさ"って奴かもしれない。警戒態勢は継続、他の艦隊にも伝えて下さい。」

 

タクローは警戒を継続するよう命じ少しずつ冥王星に向け艦隊を近づけていく。タクローの言った通り冥王星とその宙域はあまりにも静かだった。先の11番惑星では交戦は無かったが接敵したのと比べるとあまりにも静かである。それを感じ取っているのは他の艦隊の面々もそうだ。特に440艦隊の四糸乃艦長は「怖い」とすら口にしている。

その予感は悪い形で的中する。冥王星を偵察飛行していたピーピングファルコンの1機が目撃した。強烈な閃光が地上から走るのを目撃し続いて早期警戒管制機がその光が次々と屈折していく様子を「なんだゔぁれ❓」と思ったらその光が一隻の艦に直撃する。

 

金田「どうしたぁ⁉️」

栗梶「攻撃です❗️巡洋艦≪ガブリエル≫に直撃❗️」

タクロー「損害は⁉️」

栗梶「『機関損傷、戦列を離れる』と❗️」

タクロー「[戦術FF(フェイク・フリート)]並びに[戦術DM(ダミー・メテオ)]発動❗️艦隊間隔を空け退避行動始め‼️艦橋要員はCDC(戦闘指揮センター)に降りるぞ❗️」

 

タクローは即座に艦隊に艦と隕石のダミーバルーンを展開し同時に回避運動を命じる。しかし先に味方の巡洋艦を仕留めた紅い光がさらにまた艦隊を襲う。今度は≪ヴェム・ハイデルン≫麾下の第2即応機動旅団のクリピテラ級の一隻が沈んだ。

 

第2戦略即応機動旅団

≪ヴェム・ハイデルン≫

艦橋

 

オペレーターA「駆逐艦≪イハルア307≫轟沈❗️」

ヴェロニカ「なんなんだこの攻撃ィッ⁉️ごぉッ⁉️」

オペレーターB「巡洋艦≪スタルフ504≫もやられました❗️」

 

攻撃に驚く間も無くクリピテラ級に続き今度はケルカピア級の一隻が沈む。攻撃はダミーバルーンには目もくれず確実に的確に艦隊を攻撃している。

 

≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

烈禍「また一隻やられた⁉️野郎どっから撃ってきやがんだ⁉️」

高佐田「ダミーに目もくれずこんな的確に...。」

タクロー「(冥王星...突然の攻撃...ッ❗️まさか⁉️)」

 

タクローは一連の攻撃の正体に心当たりがあった。その時、第3波動実験開発隊群旗艦の≪アクエリアス≫から映像通信が入る。

 

≪アクエリアス≫からの『映像通信』

安玖園『タク。これは恐らく"反射衛星砲"ではないかと思うんだが❓』

 

タクロー「あぁ、俺も同じ答えに辿り着いたよ。」

金田「まさかあの兵器が...❓」

 

"反射衛星砲"...それは冥王星基地から発射する遊星爆弾の点火装置として使用された兵器で「メ2号作戦」に於いて≪ヤマト≫に対し使用された事でも防衛軍関係者のみならずミリタリーファンにもよく知られている。

 

金田「しかしあの兵器は...衛星に関しては数が多く全基の回収は実施されませんでしたが砲自体は≪ヤマト≫が完全に破壊し、戦後の冥王星基地再建の際には再設置されなかったものの筈です。」

 

安玖園「金田副長の言う通りだ。だが今まさに攻撃してきてるのは反射衛星砲、いや正確にはそれに準ずる代物であるのは間違いない。地表と宙域に微弱だが反射衛星を動作させ指令を送る電波発せられてるのが調べて分かったからまず間違いないのだが、二つ違う点がある。」

 

タクロー「それは❓」

 

安玖園『一つはビームの素性成分、二つが反射衛星に指示を出している電波のパラメータがオリジナルと異なっているという事だ。」

 

攻撃の正体が反射衛星砲によるものではないかという推測が安玖園から為されたのと時を同じくしてクラスD軽空母≪セーブル≫の偵察機が新たな情報をその目で目撃する。

 

グレーター7-2/機長「ッ❗️こいつが攻撃の正体か⁉️」

 

≪マキナ改≫

CDC

ピピッー!×2

栗梶「ッ❗️艦長、≪セーブル≫所属の偵察機からです❗️」

タクロー「パネルによろしく。」

 

≪セーブル≫所属の偵察機型コスモファルコン/グレーター7-2から撮影された一枚の静止画像が送られて来る。映し出されていたのは間違いなく【デザリアム】の艦艇で以前≪シュンラン≫率いる第7艦隊を救援/共闘した際に遭遇した狙撃型戦艦であるが艦体は固定され艦橋部の形状も若干異なっている。

 

※庵◯式テロップ

【デザリアム】反射衛星鹵獲運用宙域防衛無人固定砲台(プレアデス改級狙撃型戦艦流用)

 

無人固定砲台搭載AI「ピロピロパロポロピピピピピピピポポポッ!」

 

バビュゥウゥゥゥゥン!

 

反射衛星と同時に複数が廃棄されずにいた【ガミラス】のアステロイド偽装型監視カメラからの情報で敵艦隊の位置と目標を定めた【デザリアム】無人固定砲台はその血の様な紅い閃光を放つとそれは宇宙の闇に真っ直ぐ向かったと思えば反射衛星に当たりそれを跳ね返し次の衛星へそしてさらにまた次の次の次の衛星へとビームをバトンパスしまたもやタクロー達の艦隊の一隻を仕留める。

 

栗梶「巡洋艦≪バルディッシュ≫(ラスカー級鹵獲巡洋艦ホワイトランサー級正規実用型)被弾❗️」

タクロー「なるほど敵さんも上手く置き土産を利用したもんだ。孫子の兵法で言うとこの『敵の質を取る者は利なり(敵の物を奪って上手く使うと自軍に有利になるという意味)』ってやつか。」

 

安玖園『タク、関心も良いがこのままやられるのは君の趣味ではないだろう❓』

 

タクロー「もちよ。ECM(電子的妨害装置)最大稼動❗️スモーク散布❗️敵の目を電子、目視共に目眩ますぞ❗️」

 

タクローの指令で各艦隊は電子妨害装置の一斉最大稼働とチャフ発射機及び汎用弾頭発射機持ちの艦艇からスモーク弾が放たれレーダーと目、両方の妨害が掛かる。レーダーに頼りがちな【デザリアム】にはこのダブルパンチは効いており無人固定砲台は砲撃を止めた。

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【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫

艦橋

 

古代「西条。≪シュンラン≫と≪ランベア改≫は⁉️」

西条「現在も敵艦隊と交戦中。戦況は拮抗とのこと。」

島「にしても妙だな、ゴルバはなんで撃ってこないんだ❓」

古代「・・・(確かに...どういうつもりなんだ...❓)」

 

第7艦隊 旗艦≪シュンラン≫

艦橋

 

山南「敵艦隊を押し返せ❗️この≪シュンラン≫ならできる‼️(艦隊だけに攻撃させて、ゴルバは何している❓)」

 

【ガルマン・ガミラス】第27戦闘空母打撃群

旗艦≪ランベア改≫

艦橋

 

バーガー「怯むな❗️数でも火力でも負けてねぇ筈だぁ❗️≪ガーラドルフ≫、≪ドーラドルフ≫は引き続きこっちと第7艦隊の盾に❗️距離詰めて突っ込め‼️(囲んでばかりで何もしやがれねぇで...気味悪いぜ)。」

 

【デザリアム】第Ⅱ特務艦隊

旗艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

ミヨーズ「何をしてる押されてるぞ‼️」

オペレーターA「も、申し訳ありません❗️敵の抵抗が予想より激しく‼️」

ミヨーズ「反論する暇があるなら一隻でも多く沈めてからにしろ‼️」

オペレーターA「は、はい❗️」

ミヨーズ「全くいつもながら使えん部下だ(我々だけに戦わせて高みの見物のつもりですか❓グロータス准将❓)」

 

先程から攻撃しているのは≪シュンラン≫と≪ランベア改≫が相手取(ど)っているミヨーズの第Ⅱ特務艦隊のみ。ゴルバは周りを日本風で言えば「かごめかごめ」、イタリア風に言えば円形闘技場で首都ローマの観光地「コロッセオ」の如しに全く動かず囲っていた。後者で表現するなら≪ヤマト≫達はさながら剣闘士(グラディエーター)だ。

 

補給母艦≪アスカ≫

艦橋

 

南部(≪アスカ≫副長/戦術長)「にしても気味悪いな。なんで撃ってこないんだ...❓」

森雪「恐らく"同士討ち"を避ける為ね。」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋 

 

古代「こちらを包囲している限り無闇に撃てば山南司令やバーガーが相手している艦隊はおろか反対側の<ゴルバ>に当たってしまう。」

土門「じゃあ、あの主砲は飛んでこない...❓」

古代「いや、それはあくまでこちらがこの包囲陣の中にいる場合の話だ。一歩でも外に出れば集中砲火を受ける。」

北野(≪ヤマト≫戦術長)「クソッ❗️主砲で一気に殺るんじゃなくてジワジワ痛ぶろおってか❗️」

仁科「今は安心かもしれねぇがヤバいぞ❗️主砲も波動砲も効かねぇ、効果あるのは実弾だがミサイルも魚雷も数に限りがある❗️ここで撃ち尽くすと補給が...❗️」

古代「くっ...❗️」

 

仁科の言う通りショックカノンも波動砲が効果的ではなく≪デウスーラⅢ世≫のデスラー砲も例外ではないが一撃の後に体当たりをかましてゴルバの特殊障壁を破るという荒技と攻略法も2年前の「サレザー事変」で経験している。魚雷やミサイルは有効なれどエネルギー弾と違って数に限りがある実弾は今後の航海で起きるであろう戦闘の為にも温存しておくべきと古代も同じ考えだった。残る手段は肉薄しゼロ距離射撃を浴びせゴルバのエネルギー装甲を焼き切る事を考えている時だった。「古代❗️」と突然無線から声が入る。声の主は戦闘空母≪ヒュウガ≫の真田からだった。

 

古代「真田さん⁉️」

 

『映像通信』

真田『試したい装備があるんだ。』

 

古代「装備...ですか❓」

 

真田『あぁ...対ゴルバ戦に備えて開発していた物があるんだ。"七式波動成形炸薬弾"だ。』

 

古代「七式波動...成形炸薬弾❓」

 

聞き慣れない武器に聞き返す様に名前を言う古代。

 

真田「通称『波動カートリッジ弾』。波動砲の100分の1の波動エネルギーを詰めた実体弾だ。イスカンダル戦のデータを解析して密かに開発していた物だ。<ゴルバ>が本来エネルギー攻撃に弱い事は分かったが、あの特殊な障壁を破るには実弾しかないという事で実弾そのものに波動エネルギーを込めて撃ち込めば良いと結論付けた代物だ。』

 

古代「な、なるほど...。」

 

真田「本艦と≪ヤマト≫を含め≪アマクサ≫、≪イセ≫、≪アスカ≫に密かに搭載させた。テストも無しのぶっつけ本番だが試してみる価値はある筈だ。』

 

古代「分かりました❗️七式波動カートリッジ弾、装填❗️各搭載艦も装填を指示‼️」

仁科/西条「了解❗️」

 

艦長 古代の指示の下、≪ヤマト≫の各主砲塔と波動カートリッジ弾装備艦全艦が砲弾の装填を始める。各艦の装填完了の報せを受けると同時に「撃ちぃー方ーはじめー❗️」と号令し発砲する各艦。放たれた七式波動成形炸薬弾は真っ直ぐゴルバ型浮遊要塞に向かうと位相変換装甲に当たりバチバチバチィッ!と電流が走って防御しようとする。波動カートリッジ弾の弾頭の先端が突き刺さり内部の波動エネルギーが先端部そして刺さってるゴルバに向かって流れ込み相性の悪い暗黒物質と反応して爆発する。

 

土門「や、やった❗️」

北野「効いてる❗️これならいけるぞ❗️」

 

土門と北野が「やった❗️」と歓喜する間も無く「こなくそ❗️」と言わんばかりに攻撃を受けたゴルバから反撃が飛んでくる。それを僚艦の補給母艦≪アスカ≫が四式波動防壁展開弾を放ち旗艦≪ヤマト≫を守る。

 

古代「気を緩めるな❗️チャンスがあるうちにありったけ撃ち込め❗️装備僚艦にも伝え‼️」

土門/北野「は、はい❗️/了解❗️」

 

≪ヤマト≫達の攻撃、≪アスカ≫の防御の様子を側で見ていたクラスD改警戒艦≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫は≪ヤマト≫が反撃の一手を思い付いたのを確認する。

 

≪ラジエル≫

艦橋

 

本城「お、どうやら≪ヤマト≫が良い事思い付いたみたいだねアサミん❓」

 

≪ザフキエル≫

艦橋

 

刻崎「えぇ、えぇそうみたいですわね。では、私達も手助けし差し上げないといけませんわね。ヒトミさん❓座標データはよろしくて❓」

 

本城「うん、バッチリよ。」

 

刻崎「では参りましょう。時間遅延弾<エコーズ>❗️」

 

ゴルバ型浮遊要塞≪ロア・ディモン・ノアⅠ≫

司令室

 

オペレーターA「司令❗️敵の実弾攻撃が我が要塞の装甲を貫通❗️」

同B「波動エネルギーを込めた砲弾の様です❗️現在被害状況を確認中❗️」

グロータス「ぬっぐ...❗️ミサイル攻撃といいこの砲弾といい"実弾"などという下等な攻撃を行いおってぇ〜❗️えぇい❗️早く位相変換装甲を復旧させろ❗️」

オペレーターC「それが...システムに異常はありませんが変換装甲の展開が遅れています。原因は不明。」

グロータス「な、なんだと⁉️」

 

自分達のテクノロジーの粋(すい)を集めたゴルバに下等で野蛮な実弾攻撃に憤慨するグロータス。位相変換装甲の再展開を命じるがシステムに異常がないのに展開が遅れている事に驚いている。しかしそれが≪ザフキエル≫の持つ数ある時空弾の一つで「対象の時間を遅らせる」能力を持つ<エコーズ>の効果によるモノだという事を知らない。

 

グロータス「えぇい❗️主砲以外の全砲門を開け❗️"テンタクルズ"を射出しろ❗️一気に≪ヤマト≫を叩き潰すのだ‼️」

 

≪ヤマト≫艦橋

 

西条「ッ❗️<ゴルバ>に動きあり❗️内部より艦載機...いえ大型攻撃艇クラスが射出されてきました‼️」

島「クソッ❗️こんな時に増援か⁉️」

古代「迎撃用意❗️副砲は三式弾を装填❗️各護衛艦艇は応戦‼️」

 

ゴルバから飛び出したのは『テンタクルズ級無人重攻撃艇』と呼ばれる全身武器の塊の無意思の殺し屋だった。わらわらゴルバ中央のハッチから出てくるテンタクルズに警戒巡洋艦≪ヤハギ≫は危機を感じる。

 

早期警戒軽巡≪ヤハギ≫

CIC(戦闘情報センター)

 

レーダー/通信手「艦長❗️敵の攻撃艇が❗️」

≪ヤハギ≫艦長「≪ヤマト≫を守れ❗️全速だ❗️前へ出ろ‼️」

 

≪ヤマト≫艦橋

 

西条「ッ❗️艦長、≪ヤハギ≫が前へ出ます‼️」

古代「ッ❗️」

 

65護衛機動群所属≪ヤハギ≫が旗艦≪ヤマト≫の前へ出て盾となる。向かってくる意思なき殺人マシーンに対し≪ヤハギ≫は主砲、魚雷持てる火力を以って応戦する。テンタクルズの容赦ない一撃の一撃が≪ヤハギ≫の艦体を削っていく。それにも怯まず≪ヤハギ≫は撃つ、撃ち続ける。第二主砲は直撃全壊、左舷上部魚雷発射管と右舷レーダーマスターが弾け飛び、艦体の各所を重核子の紅いビームが抉る。それでも≪ヤハギ≫は攻撃を止めない。普通の巡洋艦ならとっくに沈んでるであろうラッシュの連続を≪ヤハギ≫は受け切っている。

 

古代「≪ヤハギ≫に退がるよう言え❗️」

西条「しかし...❗️」

 

古代が命じるのも遅く≪ヤハギ≫は既に虫の息となっていた。≪ヤマト≫の前でボロ雑巾にされるも前進する≪ヤハギ≫の艦橋で艦長が敬礼を贈るのを≪ヤマト≫の艦橋にいる者全員が見ていた。≪ヤハギ≫は向かってくるテンタクルズにそのまま体当たりし道連れ爆散したのだった。

 

西条「≪ヤハギ≫...轟沈です...。』

古代「くっ...❗️ゴルバに攻撃を集中❗️≪ヤハギ≫の犠牲を無にするな❗️」

北野/仁科/土門「了解❗️」

 

≪ヤハギ≫轟沈を嘆く暇もなテンタクルズは次々と発進していき≪ヤマト≫を中心に【デザリアム本星殴り込み艦隊】に襲い掛かる。が... ...。

 

≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

ミヨーズ「ッ⁉️なにッ⁉️」

オペレーターA「司令❗️テンタクルズが我が方も攻撃しています❗️」

オペレーターB「恐らく無制限攻撃モードにセットされています❗️」

 

恐れと死を知らない無人のハリネズミは≪ヤマト≫達のみならず味方である筈のミヨーズたち第Ⅱ特務艦隊をも襲い掛かる。敵味方を区別なく攻撃する「無制限攻撃モード」にセットされているらしい。その様子をミヨーズと対峙する≪シュンラン≫の山南、≪ランベア改≫のバーガーも戦闘艦橋から見ていて驚いている。「自分達も攻撃されているが敵も同じなら❗️」という状況を利用し一気にミヨーズ艦隊を叩きに掛かる。

 

ミヨーズ「(≪ヤマト≫に攻撃されて血迷ったか...❓いや、≪ヤマト≫を仕留めるついでに自身の地位を脅かしかねない存在をまとめて消そうというわけか、グロータス准将...❓)」

======================================

冥王星 海面

≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

鷹乃目「冥王星海面に着水完了❗️」

タクロー「本艦と≪ネメシス≫、≪アクエリアス≫をそれぞれ中心に輪形陣を展開❗️このまま警戒航行を続け敵無人砲台に近づく❗️攻撃隊の位置は❓」

栗梶「進行中、敵に探知された気配ありません。攻撃開始まであと15分。」

タクロー「ヨーソロー(ニッカ、四糸乃艦長。上手くやって切り抜けてくれよ...)❗️」

 

同・宙域

第2戦略即機旅団

≪ヴェム・ハイデルン≫

CIC(戦闘情報センター)

 

ヴェロニカ「兄貴達、ちゃんと着水できたかな⁉️をぉッ⁉️」

 

煙幕と電波妨害で【デザリアム】冥王星無人防衛システムに対し二重の目眩しをしている間に第99特戦機群と第3波動実験群はそれまでの簡素的な物ではなく精巧に似せて作られたダミーバルーンを離脱する艦艇数分に展開し共に艦隊を第2戦略即機旅団と第440独立機動防衛艦隊を残して離脱する。第2と440は引き続き反射衛星無人砲台を相手にしその隙に離脱した99と第3が航空隊を送り敵対空砲台やレーダー施設、飛行場等を破壊しそこに海上から接近し砲台を破壊するという算段である。実質囮役を仰せつかった≪ヴェム・ハイデルン≫に血の様に紅く輝く一撃が飛ぶ。直撃かと思われたが瞬時に蒼く美しい巨大な雪の結晶が防ぐ。

 

ヴェロニカ「た、助かったぜヨッシー❗️」

 

第440防衛艦隊

≪ザドキエル≫

CIC

 

四糸乃「い、いえ❗️大丈夫でしたか❓」

 

ヴェロニカ「おう❗️こっちもなんとか回避すっけど、引き続き防御を頼むぜ❗️」

 

四糸乃「は、はい❗️任せて、ください❗️」

 

ペアを組むのは初めての両者だが、短期間の共闘の内にもう連携が取れている。勇猛且つ攻勢を得意とし突撃したがりの第2機動旅団を2年前から数々の戦いを99特戦機群と共にして来た440防衛艦隊。互いに足りない部分を支え合うには充分な練度を持っていた。

 

冥王星・地表上空

≪マキナ改≫所属航空隊<シャドウ・バンガード>

ザビネル「SVリーダーより各隊へ、まもなく敵のエリアだ。偵察機の情報では無人固定砲台を中心に防衛システムと飛行場があるらしい。攻撃機隊が砲台と基地の防衛システムと飛行場をやれ、我々はそちらを援護並びに敵迎撃機隊を歓迎する。」

 

<ダーク・ホース隊>

金舟「おっしゃ❗️今回は対艦戦じゃねぇが、久々に派手にやっか❗️<ルクソン隊>❗️あたしらとペアよろしくな❗️」

 

<ルクソン隊(第3波動実験開発隊群 クラスD改軽空母(ヒュウガ型)DCVL-427≪ルクシオン≫所属)>

ストライクタイガー/ルクソン1-1「ルクソンリーダー了解。バッチリ着いて行きますよ❗️」

 

<クレイジースカル隊>

ロイ「そちらさんのお守りを俺らがやってやるぜ、よろしく頼むぜ。」

ピピッ!(電子音)

おっ❗️来たぜ来たぜ敵さんがよ❗️」

 

米浴「き、来た❗️沢山来たよ❗️」

沙織「落ち着いてくださいまし、シャドウ隊任せましてよ❗️」

 

ザビネル「無論だ、露払いはさせて貰う❗️攻撃開始❗️」

 

同・海上

≪マキナ改≫

CDC

 

栗梶「航空隊交戦開始のもよう❗️あ❗️敵攻撃機と思われる編隊がこちらに❗️」

金田「なに⁉️別の基地からか⁉️」

タクロー「見つけられた以上は腹を括りましょう副長。全艦対空戦闘❗️攻撃隊の攻撃成功と艦砲射撃ポイントまで決して止まっちゃなりませんよ‼️」

クルー全員「了解❗️」

 

航空隊の攻撃開始を確認するのと同時に向かってくる敵航空隊に備え≪マキナ改≫らは対空戦闘の構えを取った。




『永遠に』の名場面の一つ。「ヤマトvsゴルバ7基」をゲーム版を基にリメイクさせました。ゲーム版を知ってる人には分かりますが、ミヨーズ大佐が戦いに参加しています。ゲーム版ではこの前にグロータス准将に嵌められて戦死してしまうのですが「もし共闘したら❓」という展開にしようと思っていて書きました。原作通り波動砲もショックカノンも効かず絶体絶命の中、「こんなこともあろうかと」と真田さんが用意していた必殺の砲弾「波動カートリッジ弾」が遂に登場です。構造や原理は現実の成形炸薬弾に近いので本作では「七式波動成形炸薬弾」という名称にしました。ゴルバには効いているようですがただでやれまいとゲーム版オリジナルの無人攻撃艇テンタクルズが≪ヤマト≫達を襲います。僚艦のパト艦≪ヤハギ≫がそれを庇い史実の坊ノ岬沖海戦みたく≪ヤマト≫を守りとんでもない粘り強さを見せましたが力尽き第65護衛機動群初の戦没艦が出てしまいました。≪ヤマト≫は≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫の援護でゴルバを撃ち仇を撃つことができるのでしょうか❓
一方のタクロー達は冥王星名物反射衛星砲の攻撃を受けています。『2199』を観返してて「反射衛星砲のエピソードを本作ではなにかやれないかな❓」と思い「プレアデス級狙撃型を無人にして固定、反射衛星を鹵獲運用する」というのを考えました。反射衛星がどれだけの数あったかは知りませんが、結構な数だと思うので全部除去はできないと思いますし「敵の物を鹵獲して利用する」というのは現実の戦史にもあることですからね。とにかくまたまた厄介なモノを【デザリアム】さんに利用されて向けられているタクロー達は果たして攻略できるのか❓どうぞ次回をお楽しみください。ではまた。


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第20話「冥王星の死角なき罠 後編」

前回の続き、「≪ヤマト≫艦隊vsゴルバ7基+ミヨーズ艦隊」と「タクロー艦隊vs無人自動狙撃砲台」それぞれの戦いの決着をどうぞ!


ゴルバ型浮遊要塞≪ロア・ディモン・ノアⅠ≫

司令室

 

オペレーターA「敵の砲弾が動力炉を貫通!誘爆が広がっています!ダメコン間に合いません‼︎」

グロータス「なにっ⁉︎なぜだ...⁉︎どうしてこのゴルバが地球の艦如きに...⁉︎うわァァァァァァァァッ⁉︎アァァァァァァァァッ‼︎⁉︎」

 

ゴルバの強靭!無敵!最強!と信じて疑わない位相変換装甲を≪ヤマト≫らが装備し発砲する『七式波動成形炸薬弾』、通称『波動カートリッジ弾』は易々と貫通し内部に仕込まれた波動エネルギーが注入され相性の悪い事この上ない暗黒物質"ウラリウム"と混ざり合って反応しそれが当たり所が悪く動力炉に飛び込み爆発する。それが連鎖的に誘爆広がって上がって行きその爆炎が司令室にまで迫る。「そんな⁉︎このゴルバが‼︎⁉︎」と「ありえない!」「信じられない!」という思いしかなく何が起こっているのか状況を理解できないままグロータスは絶叫しながら紅蓮の焔に呑まれる。≪ロア・ディモン・ノアⅠ≫内部から発生した爆炎は遂に外側にも飛び出し華が咲くが如く、或いは柘榴(ざくろ)の実が弾ける如くな飛び散りザマを周囲に披露している。その光景を見た周りのゴルバ型浮遊要塞の指揮官や兵士達は凄まじく動揺しているもそんな間もくれないことが起こる。≪ロア・ディモン・ノアⅠ≫から溢れ出た炎の中に含まれる波動エネルギーの粒子が爆発の影響で周囲に拡散し包囲陣を形作っていたゴルバ型に"飛び火"ならぬ"飛びエネルギー"したのだ。その影響で周囲のゴルバ型は装甲が溶解したり穴が開いたりとそれぞれが色んなダメージを負い混乱はさらに広がった。

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫ 第一艦橋

 

古代「・・・ッ⁉︎」

西条「正面のゴルバ大破!周囲のゴルバに混乱が生じているもよう。陣形が乱れています‼︎」

古代「ッ!この隙に離脱する!後方の≪シュンラン≫、≪ランベア改≫の艦隊にも伝え‼︎」

島/西条「ヨーソローッ!/了解!」

 

一瞬ゴルバの爆発とその影響に驚いてポカーンとしていた古代は西条からの報告で我に返り隙をついて包囲陣から抜け出すよう島に第7艦隊と第27空母打撃群にも戦闘を切り上げ離脱するよう西条にそれぞれ命じた。

 

【デザリアム】第Ⅱ特務艦隊

旗艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「敵艦隊、離脱していきます!」

ミヨーズ「追え!≪ヤマト≫らを逃すな‼︎」

オペレーターB「しかし司令、グロータス准将のゴルバが!」

ミヨーズ「分かっている!だが今は敵を追う方が先だ!前進し...ッ!なんだ⁉︎」

 

部下にそう檄(げき)を飛ばし艦隊を進めるよう命じるミヨーズ。先程まで交戦していてお尻を向けて離脱していく≪シュンラン≫と≪ランベア改≫の両艦隊を追撃しようとするが、目の前に立ち塞がるモノがある。こちらも先程までグロータス准将座乗指揮の≪ロア・ディモン・ノアⅠ≫と共に包囲陣を形作り「死のかごめかごめ」をやっていたゴルバ型浮遊要塞だ。指揮要塞を失いその爆発の余波を受け混乱し陣形を乱した為に誤って【デザリアム本星殴り込み艦隊】を追撃するミヨーズ達前に出てしまったのだ。

 

ミヨーズ「えぇい!何をやってるのだゴルバ共は‼︎迂回して追え‼︎」

オペレーターA「ダメです!後方や側面からも接近して来ます!」

ミヨーズ「くっ...この完璧だと思われた布陣がアダになるとは...!」

オペレーターB「し、司令...!」

ミヨーズ「致し方ない!浮遊要塞戦隊の次席指揮官と連絡を取れ!」

オペレーターB「は?」

ミヨーズ「混乱を収拾してやると言っている!早く連絡をつけんか‼︎」

オペレーターB「りょ、了解!」

オペレーターA「≪ヤマト≫は如何しますか⁉︎」

ミヨーズ「奴との決着は必ず付ける!今はこの場を治めるのが先だと言った!聞こえてただろうさっさとやらんか‼︎」

オペレーターA「は、はい‼︎」

ミヨーズ「混乱の収拾後にサーグラス准将に連絡を取る!通信機器のチェックもしておけ‼︎」

オペレーターB「りょ、了解!」

ミヨーズ「ふん!いつまで経っても使えん部下共が!」

 

今すぐにでもこの目の前の絶賛お邪魔虫して目障り極まりないゴルバ共を無理矢理どかすか迂回して≪ヤマト≫の艦隊を追いかけたい気持ちで一杯だったが、追撃を止め不本意ながらも先程まで故意か否かは戦死した今では不明になったが、グロータス麾下の浮遊要塞戦隊の混乱の収拾を買って出る事にしたミヨーズ。しかし「これで終わりじゃない、今は見逃してやるが決着はちゃんと付けてやる!それまで決して沈められるんじゃないぞ‼︎」と心中で決意を固めと≪ヤマト≫の無事をささやかに敵意と敬意を込めて祈るのだった。

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冥王星・海上

第99特戦機群 旗艦≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

タクロー「ショックカノン対空拡散モード!パルスレーザー!手を緩めないの‼︎弾幕が薄いと付け入られるんだからね‼︎こっさん!今回は当てに行かなくていいよ‼︎追い散らすだけで良いかんね‼︎」

高佐田「あぁ!狙いを付けずに狙いに付けさせない様にだな!」

烈禍「へっ!撃ちまくってまる焦げにしてやんよ"イモムシ"、ゴキブリ"、"みつばちハッチ"よぉ!」

 

≪ヤマト≫率いる艦隊が窮地を脱したのと同じ頃、冥王星の海上で絶賛【デザリアム】の襲撃戦闘機《カタピラス》、駆逐重戦闘機《ベスパラス》、殲滅爆撃機《コクロチス》の戦爆連合編隊の攻撃を受け対空戦闘をしていた。虫の名前の通りブンブンブンとピーチャカと動き回って!(カ◯ジナさん語録より)を≪マキナ改≫を含む大型主力艦は主砲のショックカノンを対空攻撃用の拡散モードに切り替え弾幕を張っている。波動機関の改良による出力向上によりそれまでの対艦、対中〜大型目標射撃用途の収束モードだけでなく対空戦闘用の拡散モードが発射可能となった。これにより実弾で消耗品の三式弾を用いる事なく或いは装備しないエレン、ミホノラ、黒異士が制御する無人艦や戦艦以下の巡洋艦、駆逐艦、護衛艦クラスでも対空戦闘を行える様になり今まさにそれを使って絶賛"ハエ叩き"をしている。

 

タクロー「カッシー!航空隊の様子は⁉︎」

栗梶「飛行場、迎撃機隊、対空砲台にダメージを与えるもの未だ攻略ならずだそうで!」

タクロー「クロロン!上の様子は分かりる⁉︎」

クロンナウア「持ち堪えてるが押されてるらしいぜ!」

 

その頃、冥王星の宇宙(うえ)では≪ヴェム・ハイデルン≫麾下の第2戦略即応機動旅団、≪ザドキエル≫麾下の第440独立機動防衛艦隊は≪マキナ改≫等の海上攻撃隊の囮となって敵の狙撃戦艦流用無人砲台の攻撃を引き受けていた。8年前に≪ヤマト≫が「メ2号作戦」で反射衛星の起動信号を探知し攻撃を予測したという事でそれに倣いヴェロニカと四糸乃の艦長ズもそれを実戦で実践している。予測された攻撃ポイントに波動防壁展開ビットを張り完璧に防御する。しかしダミーバルーンは良いとしても艦隊防御の範囲が広く防壁ビットが広範囲に散らばっており油断すると予測システムがあってもうっかり防御し損ねてしまいそれで撃沈する艦も出てきてしまう。

 

冥王星の宙域

 

第2戦略機動旅団

旗艦≪ヴェム・ハイデルン≫

CIC(戦闘情報センター)

 

オペレーター「ごぉッ⁉︎また巡洋艦がやられました!」

ヴェロニカ「くぅッ!ヨッシー!また一隻やられちまった‼︎」

 

第440防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫

CIC

 

四糸乃「す、すみません!ぐっ‼︎」

 

440艦隊の方も狙われ旗艦≪ザドキエル≫の側にいたクラスD改級丙型の一隻がやられ爆発し衝撃が伝わる。艦隊自慢で幾度も自艦隊だけでなく99特戦機群の危機を救い連携も見せてきた防壁ビットをフルに駆使して防御して見せる。しかしビットの一基がビームを防いだ瞬間、バチバチィ!と火花が散った後に爆発した。

 

よしのり「おっと!ビットが爆発した⁉︎」

四糸乃「制御官!今のは⁉︎」

防壁ビット担当制御官「はっ!ビットの問題では...ぐっ!恐らくビット自体の耐久性の低下が...!」

 

ビットは確実に敵の紅いビームを守っていた。しかし度重なる戦闘での使用により限界を迎えて爆発したのだ。

 

よしのり「いくら整備してもそれ以上に使い続けてたからしょうがないね〜。」

四糸乃「ビ、ビットを減らさない様にしなきゃ!でもどうすれば...。」

 

冥王星・海上

 

≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

クロンナウア「ビットでの防御がヤバいらしいでっせ!

金田「酷使し過ぎましたな!」

タクロー「マズいな。これからの戦闘でもまだ必要なのに...。」

 

世話になりっぱなしになっておいて言うのもあれだが、今後の戦闘に差し支えるかもしれない重要な問題だ。尚も一基また一基のビットが先程の様に爆発し失われる。良い手が思い浮かばず歯痒い思いをしている四糸乃艦長の手元のコンソールに第3波動実験隊群旗艦≪アクエリアス≫から連絡が波動防壁展開ビットに関する何かしらのデータが送られてくる。

 

四糸乃「ッ!ビット担当!防壁展開の波長をランダムに!」

ビット制御担当官「え⁉︎しかしそれでは防壁がちゃんと展開しませんよ艦長!」

四糸乃「こ、このデータの通りやってみて下さい!急いで‼︎」

ビット制御担当官「りょ、了解!」

 

ざっと目を通し概要を頭に入れた四糸乃はビットを制御する担当官にデータを送り早速実戦で実践する事にする。防壁から出るエネルギーの波長を一定周期から波を打つ様な規則的と不規則的のランダム波長に変換する。綺麗な雪の結晶を描いていた波動防壁は形が崩れて擬音のオノマトペを付けるとしたらモワワワ〜ンな感じになっていく。その雪解け...と表現すると詩的かと言ってる場合もなく新たな一撃がやってくる。その一撃がまたもやビットを軽く吹っ飛ばされると思いきやだった。紅いビームがビットのふにゃっふにゃの波動防壁に当たる...とは違うがグニャん!と曲がるというか歪められたのだ。

 

よしのり「ッ!て、敵のビームがグニャッ!と曲がったよ四糸乃‼︎」

四糸乃「う、うん!す、すごいね...。」

 

冥王星・海上

第3波動実験開発隊群

旗艦≪アクエリアス≫

CIC

 

副長「やりましたね艦長!」

安玖園「あぁ、良くやってくれた。」

 

タクロー(≪マキナ改≫からの通信)『安玖園艦長。四糸乃艦長達に何を?』

 

安玖園「【デザリアム】の空間歪曲干渉装置のデータを貰った時にこれを波動関連技術で出来ないかと思ってね。四糸乃艦長達の艦隊が持つ波動防壁ビットにはちょうど〔ガミラス臣民の壁〕由来のワープ阻害機能があったから可能だと思い密かにシミュレートしたデータを送ったんだ。ぶっつけ本番だったが、なんとかやってくれた様だ。」

 

タクロー『なるほど、そりゃすご...ぐおっ⁉︎』

 

安玖園の案に関心関心な気になる間も無く敵の攻撃は苛烈に続く。ミサイルに時々に魚雷(しかもちゃんと着水して航行する)の雨霰である。至近弾だけで済めば良いが手加減なんてしてくれる様な相手ではない。直撃弾を受ける。受けたのは第3波動実験隊群の巡洋艦だ。

 

≪アクエリアス≫

CIC

 

通信/レーダー手「重巡< ≪ターディオン≫被弾!軽巡≪フェルミオン≫戦列を離れる‼︎」

安玖園「構うな!」

副長「しかし!」

通信/レーダー手「ッ!2艦より入電、『我ニ構ワズ先ヲ急ゲ!』です!」

安玖園「陣形を崩すな!このまま前進するんだ‼︎」

副長「艦長!軽空母≪ルクシオン≫が‼︎」

 

≪アクエリアス≫の右舷後方のクラスD改級軽空母≪ルクシオン≫の飛行甲板から火の手と煙が上がる。どうやら飛行甲板に命中弾らしい。巡洋艦2隻離脱に軽空母損傷と「気にせず進め!」とは表情を変えずに言っているが、「本艦もいつまで無傷か...」とも心の隅のどこかにあった。

 

第99特戦機群 第二群 志摩戦隊

旗艦 戦闘空母≪リリー・マルレーン≫

艦橋

 

レーダー手「右舷、雷撃接近!」

志摩「操舵手!」

操舵手「とーりかじ一杯!」

 

同じ頃、99特戦機群の第二群 志摩戦隊旗艦≪リリー・マルレーン≫が敵機から放たれ右舷から航跡を引いて魚雷を避けようと取り舵を切る。しかし敵は巧妙にも魚雷を放射状に放ちどらちに舵を切ってもヒットするようにしていたのだ。2発は避けれたが、さらに来たもう2発は避けれず被弾する。その箇所から海水が大量に流れ込みダメコンで隔壁を閉じて浸水を防ぐ。原型がゲルバデス級である≪リリー・マルレーン≫は安定性のある双胴構造のお陰で魚雷2発程度で受けた浸水など造作もない事だが、その僅かな隙を敵が見逃す筈もなく今度は右舷のエンジン部分に魚雷が命中する。すぐに被弾したエンジンの一部を止め誘爆を防いだは良いがそれは同時に速力の低下も意味する。

 

オペレーターA「右舷浸水停止。」

機関長「しかし右舷部メインエンジン部に損傷!損傷部分を停止して誘爆は防ぎましたが、このままではいずれ艦隊から落伍します‼︎」

志摩「ちっ!味な真似をしてくれるじゃないかい!」

 

『映像通信』by≪マキナ改≫

タクロー『志摩艦長!』

 

志摩「すまないねぇ司令。情けないがあたしらはここまでだそうだよ。』

 

タクロー『艦長...。』

 

志摩「そう情けない声を出すんじゃないさね!どうせこの艦は艦砲射撃に参加できないからね!せいぜい落伍仲間を守ってやるくらいの事はやってやるつもりさ!分かったから早く行っとくれ‼︎」

 

タクロー『了解しました!後で迎えに来ます‼︎』

 

通信を切り艦隊から落伍する≪リリー・マルレーン≫に対し小さく敬礼し無事を祈るタクローだった。そこに通信が入る。

 

クロンナウア「攻撃隊より通信!『更なる攻撃の要を求む。敵飛行場及び迎撃設備に損害与えるも未だ狙撃砲台と共に健在』‼︎」

 

ザビネルたち航空隊の攻撃も虚しく敵の迎撃能力はまだ擦り傷程度との報告にゴルバや艦だけでなく基地とその設備に関しても防御性が高いのかと認識する。第二次攻撃の要が来たのならすぐに飛ばしてやりたいが今まさに絶賛対空戦闘中のこの状況下で艦載機を飛ばし通信を送って来たザビネルら第一次攻撃隊を収容するのも危険である。その隙を突いて敵は必ず空母を狙うからだ。

 

冥王星の宙域

 

第2戦略即応機動旅団

旗艦≪ヴェム・ハイデルン≫

CIC

 

通信手/レーダー手「艦長。敵基地は未だ健在、攻撃は充分ではない様です!」

ヴェロニカ「よしっ!こっちでやってやろう‼︎ヨッシー‼︎」

 

ヴェロニカは何か案を思いついたのか共闘する≪ザドキエル≫の四糸乃艦長に連絡を付ける。

 

第440防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫

CIC

 

四糸乃「は、はい!」

 

『無線通信』by≪ヴェム・ハイデルン≫

 

ヴェロニカ『航空隊の攻撃が半端に終わっちまったらしいからよ!アタシらが上からダイブして攻撃を浴びせに行く!それならこっちを守る必要がなくなって自分達だけの防御に専念できるって訳だけどよ、そっちは大丈夫かそれで⁉︎』

 

四糸乃「ッ!」

よしのり「いや〜大胆だねヴェロニカちゃ〜ん!」

四糸乃「わ、分かりました。こちらは私達で踏ん張って、みます!」

 

ヴェロニカ『よっしゃ!艦隊転進!大気圏突入して敵基地を頭上から奇襲する‼︎』

 

ヴェロニカの号令の下、第2戦略即応機動旅団は440艦隊と離れ冥王星の大気圏へと向かって♪真っ逆さ〜ま〜に降下して行く。

 

※ここからは♪『ヤマト渦中へ(降下するヤマト)』を流しながらお読みくださるとちょーちょーちょー!助かるよ。

 

同・海上

≪マキナ改≫

CDC

 

クロンナウア「敵基地直上から大気圏に突入する艦隊!≪ヴェム・ハイデルン≫の第2機動旅団だ!」

金田「真上から強襲する気か⁉︎」

栗梶「≪ヴェム・ハイデルン≫より入電、「攻撃後、直ちに艦砲射撃を!畳み掛けられたし‼︎」です!」

タクロー「航空隊にRTB(リターン・トゥ・ベース)!全艦艦砲射撃可能エリアまで前進!ケリをつけますよ!」

 

ヴェロニカの意図を読み取ったタクローは対空戦闘の真っ最中にも関わらず艦隊を進める。

 

≪ヴェム・ハイデルン≫

CIC

 

ヴェロニカ「全門斉射だーッ!血の雨(ブラッディ・レイン)を降らせるてやれぇーッ‼︎」

 

号令の下、ヴェロニカ乗艦の≪ヴェム・ハイデルン≫を皮切りに麾下のガミラス艦達がガミラス特有の赤い陽電子ビームを無人狙撃砲台とその周りの施設に対し一斉に降り注がせる。砲台以外は甚大な損害を受け沈黙し石器時代の更地っちに早変わりしたよ見てよ奥さんこれ買いだよ間違いねぇな余裕の威力だ火力が違いますよ!

 

≪マキナ改≫

CDC

 

金田「≪ヴェム・ハイデルン≫がやりましたよ艦長!」

タクロー「えぇ、サッダ!レッキー!派手に撃ってやって!」

烈禍「おう!三式弾装填、対地攻撃よろし!」

高佐田「攻撃参加の艦艇全てにデータ共有、連動しての砲撃を行う!」

 

艦砲射撃参加全艦からの準備OKのシグナルが次々と高佐田の操作するコンソールのパネルに点灯していく。

 

高佐田「全艦からOKのシグナル来ました!」

タクロー「撃ち方始めーッ!」

 

轟音、爆音、大爆破!戦艦クラスの主砲を持つありとあらゆる艦艇が三式弾を撃って!撃って!撃ちまくる!ただひたすら敵の無人狙撃砲台に向けて、鉄の暴風(スティールレイン)と人は呼ぶ。怒涛の勢いで迫る鋼鉄の暴力に飽和状態に陥った敵はなす術(すべ)なく炎上し蹂躙され蒸発した。敵戦力の消滅に喜ぶ間も無く「一難去ってまた一難」が訪れる。帰る場所を失った暗黒の昆虫達"幼虫"、"蜂"、"ゴキブリ"の戦爆連合は次々と体当たりを敢行して来たのだ。重駆逐機《ベスパラス》の1機が飛行甲板に被弾し火災を起こしていた第3波動実験隊の軽空母≪ルクシオン≫の左舷に向かって突入し舷側の装甲を突き破り火災を起こしている飛行甲板も格納庫に更なる災厄となって艦と乗員達に襲い掛かる。"カミカゼ"の被害は≪ルクシオン≫だけに留まらず次々と大なり小なりの被害艦が増えていく。そんな中、敵基地へ向かっていた航空隊が帰投するついでと特攻する敵機の掃討に入り艦隊の対空戦闘は更に混迷を極めたのだった。

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ゴルバとミヨーズの激戦を切り抜けた≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】は暗黒銀河を更に奥へ奥へと突き進んでいる。

 

宇宙戦艦≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「西条、レーダーはやっぱりダメなのか⁉︎」

西条「ダメです。光学モードでも何も映りません。」

島「肉眼でも何も見えない!これじゃあ障害物が出てきても回避のしようがないぞ。」

 

軽空母≪≪ヒュウガ≫

第1艦橋

 

真田「う〜む、暗黒物質の濃度が更に上がっている。厄介だな。」

 

レーダーは砂嵐でおまけに有視界航行も全くダメの光も通さないお先真っ暗蔵之介状態で航行を余儀なくされていた。

 

補給母艦≪アスカ≫

第1艦橋

 

桐生御影(きりゅう みかげ)/≪アスカ≫情報解析/通信担当「どんどん暗くなって気味悪いですね。」

森雪「(ガチャッと無線を取り出す)艦長より達する。手空き要員は360°監視!(ガチャッと無線を置く)と言っても見えないんじゃ一緒かしらね。」

ピピーッ!×2(電子音)

柏木紗香(かしわぎ さやか)/≪アスカ≫主任レーダー手「ッ!≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫が前に出ると!」

森雪「えッ⁉︎」

 

早期警戒管制艦≪ザフキエル≫

艦橋

刻崎「ここは私達の出番でしてよ!ヒトミさん!」

 

同・≪ラジエル≫

艦橋

 

本城「よっしゃ!エリカたん!エピタっちと連携しちゃって‼︎」

E.R.I.K.A「了解よ!時空予測システムと回路接続および連携、同期開始!」

 

時空間の流れを読み艦に伝える≪ザフキエル≫の時空予測システム〔エピタフ〕と時間断層AIを上回る超高度演算処理能力を持つ≪ラジエル≫の E.R.I.K.Aが連携する。この視界もレーダーも効かないこの状況。ならばこの暗黒星雲の真っ只中の時空間を読み取りそれに最適なルートを割り出そうというのだ。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

市川「≪ザフキエル≫より『システムを同期し我と≪ラジエル≫に続け』と言ってきています!」

古代「了解したと伝えろ!僚艦と他の艦隊にもだ‼︎」

市川「りょ、了解!」

 

≪ヤマト≫からの指令で【デザリアム本星殴り込み艦隊】の全艦艇にデータリンクで共有する。それにより全艦の動きが≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫に続く形となる。「手を引くからしっかり着いて来な❗️」と言っているかのように導く二艦にしばらく航行する艦隊全艦の前に一筋の光が現れる。恐らく出口だろうと誰もが思い増速を掛ける。そこに出た瞬間に強烈な光に晒され画面真っ白になる。

 

古代「...ッ!... ...ッ⁉︎ハッ!」

島「暗黒星雲を抜けた先にこんな...!」

 

≪アスカ≫

第1艦橋

 

森雪「綺麗...。」

桐生「まさに宇宙創生の神秘ですね。」

 

≪ヒュウガ≫

第1艦橋

 

真田「闇と光...二つの銀河が隣り合って存在している。まさに"二重銀河"だな。」

 

強烈な閃光の開けた眼前の先に広がるは闇と光、二つの銀河が隣り合って存在する"二重銀河"と表すべき光景だった。

その光景を少しの間魅せられた後、≪ヤマト≫艦長の古代は手元の無線機を取る。

 

古代『≪ヤマト≫より≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫へ。』

 

『無線通信』by≪ザフキエル≫&≪ラジエル≫

 

刻崎『あら、古代艦長。』

本城『なになに"すっすむん"❓』

 

古代『誘導感謝します。お陰で本艦を含む艦隊全艦が辿り着けました。」

 

刻崎『うっふふ、礼には及びませんわ。それに私達は今ようやく敵の母星があると思われる宙域に辿り着いたに過ぎませんわ。ここからは敵の領域、引き続きエスコートさせて頂きますわ。よろしくてヒトミさん?」

本城『うんうん任されたよアサミン!ばっちりやるからよろしくね!」

 

古代『了解です。よろしくお願いします。』

 

刻崎の言う通りまだ【デザリアム】の本陣に辿り着いただけで母星を見つけた訳ではない。敵の領域深く入った以上は更に厳しい戦いが待っているのだろうと古代は覚悟をしなくてはと拳をギュッと握り締める≪ヤマト≫を前進させるのだった。

 

※ここからここまで読んでくださった読者様の目の休憩も兼ねEDテーマとして♪『星のペンダント』を掛けてください。なお話はまだ続くのでお忘れなく。

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冥王星・海上

第99特戦機群 旗艦≪マキナ改≫

艦橋

 

タクロー「艦隊は集結して各自点呼の上、状況を確認!」

金田「航空隊も警戒シフトだ!警戒機要員は全員スクランブルさせろ!」

高佐田「残敵に警戒、各砲塔バラバラ指向で待機だ。」

クロンナウア「警戒艦は地球と外縁に向けて展開だ!何が飛んできたかちゃんと報告しろよ!」

栗梶「そちらに手空きの護衛艦を送りますから負傷者等をそちらに!」

エレン「ミホ!無人艦隊も警戒任務以外は救助任務に回して!」

ミホノラ「は、はい!」

黒異士「他艦の医療チームを無人艦の乗艦させた。そちらに向かわせている待機せよ。」

 

冥王星での戦いは終わった。敵無人狙撃砲台陣地は壊滅、帰る場所を失った敵航空隊を退けたタクロー達だったが、"カミカゼ"と化した敵機の大群に襲撃に遭いそれを対処し切れずに被弾する艦が続出した。現在は≪マキナ改≫を始め各艦隊旗艦を中心に損傷艦への対処と周囲の警戒に大忙ししている。

 

『映像通信』by≪ネメシス≫

冬月『艦長。』

 

タクロー「あぁ冬月司令。どうでした≪リリー・マルレーン≫と志摩戦隊は?」

 

冬月『... ...残念ながら...。』

 

タクロー「...そうですか...。」

 

冬月の言う所によれば、≪リリー・マルレーン≫は被弾多数に加え浸水し更に艦橋を破壊され機能を停止、総員退艦が命じられた。艦橋で指揮を執っていた戦隊司令兼艦長の志摩は戦死と思われ遺体は跡形もなかったという。生き残った≪リリー・マルレーン≫の乗員や同じく落伍した第3波動実験隊群の艦乗員の話によれば被弾してるにも関わらず補佐し補佐されつつ最後の最後まで奮闘したと言う。事実、≪リリー・マルレーン≫の第1〜4番主砲は左右に指向し砲身はバラバラで天を仰いでいた。

 

タクロー「.......退艦命令は出たんですね。戦隊は再編して冬月司令、しばらく貴方の指揮下に置きます。よろしいですか?」

 

冬月『了解しました。』

 

そう言って通信を終えるタクロー。今度は2番目に被害が大きかった≪アクエリアス≫の安玖園艦長率いる第3波動実験開発隊群に連絡を付ける。軽空母≪ルクシオン≫大破炎上に付き総員退艦及び自沈用意済み、主力戦艦≪エクセリヲン≫中破、同≪エルトリウム≫と補給母艦≪スプライト≫、フォレスター級護衛艦≪リアゴード≫、≪コカーラ≫小破、重巡≪ターディオン≫戦没、軽巡≪フェルミオン≫自沈と艦隊構成の約半数が被害に遭ったという。

 

第3波動実験隊群

旗艦≪アクエリアス≫

艦橋

 

ピピッー!×2(通信音)

副長「はい、あぁ多田部司令。...艦長ですか❓いえ、艦橋には上られていません。...えぇ、ようやく各艦の状況がひと段落したので外の空気を吸いに行くと。はい、ではまた。」

 

「はい、それはどうも」と聞いて無線機を置く。「どこ行っちゃったんだろう?」と思い「ちょっと席を外すから後を頼みます」と副長の金田に託して艦橋を後にする。艦の外に出て左舷近くにいる≪アクエリアス≫の方に双眼鏡を見やるとそこに彼女の姿はあった。よく見ると手元にバイオリンを持ち演奏しようとしている。そして弾き始める。

 

タクロー「これは...『主よ御許に近づかん』か...。」

 

今から295年前の西暦1912年。豪華客船タイタニック号沈没の際、乗り合わせていたバンドメンバーが演奏していたとされる有名な讃美歌でタクロー自身も1997年放映の古典映画を視聴したことがあったのでこの曲はよく知っているし、安玖園のバイオリンの腕前もよくご存知で丁寧かつ繊細でいて力強い響きのある音色が耳に入り込み状況が状況なだけに鎮魂歌(レクイエム)としてこれでもかと心に沁みている。

演奏をし終えたのを見計らって、タクローはヘッドセットの無線機を合わせて安玖園とコンタクトを取る。

 

タクロー「ここにいたんだね凛亜。」

 

安玖園「タクか、聴いていたんだね。」

 

タクロー「良い演奏だったよ。聴き入っちゃった。」

 

安玖園「ありがとう。君も知っての通り私は口下手だからね、こういう手段でしか仲間達をそして互いを支えながら最後まで戦ってくれた志摩艦長達に感謝を伝えれないんだ。」

 

タクロー「...いや、それで充分だよ。充分さ...。」

 

安玖園の不器用ながらも戦死した仲間達への弔いの仕方にタクローは感謝を延べ静かで蒼く美しい冥王星の夜空を見上げるのだった。




読了ありがとうございました。本話通算20話目です!ここまでのお付き合いありがとうございますですはい。あ、それと今まで❗️や❓と赤を使ってましたが、ある読者の方から「目に良くない」と言われたので!と?の黒字にしました。
≪ヤマト≫らはゴルバを倒し無事に二重銀河に到達しました。本作ではサーシアが≪ヤマト≫に乗艦していないので暗黒星雲内の誘導は本作オリジナル艦≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫にやって貰いました。一方のミヨーズは原作ゲーム版ではこの前に退場してる身ですが、ゴルバのせいで≪ヤマト≫らを追撃できず仕方なく混乱するゴルバ戦隊の収拾を行いサーグラス准将にも連絡を付けました。この2人もタッグを組んで戦うかも?
タクロー達は【デザリアム】の艦載機群に襲われています。本話初登場の駆逐重戦闘機《ベスパラス》と殲滅爆撃機《コクロチス》はゲーム版登場の航宙機で名前はそれぞれ蜂(イタリア語)とゴキブリ(英語)から取りもじっています。
安玖園艦長のアイデアで四糸乃艦長はビットを複数失うも狙撃砲台からの攻撃を回避できました。空間歪曲装置と波動防壁ビットのワープ阻害機能(ガミラス臣民の壁)を似ていたので活用できると思い付きそうしました。
ヴェロニカ達のお陰で敵砲台の破壊に成功はしたものの志摩戦隊は残念ながら壊滅、第3波動実験開発隊群はほぼ全艦が損傷と大きな被害が出てしまいました。それに対し安玖園艦長はバイオリンで鎮魂歌を弾きました。地味に気密服なしで外出てますが、「環境改善プラントがまだ動いていて人が気密服やヘルメットなしで過ごせるにまでになった」ということでしょう。選曲は最近映画を観たからです。因みにあの映画と私は同い年です。
さて原作ゲームで言う所の「暗黒星団帝国の逆襲」の中盤戦が終わり次はクライマックスの「二重銀河の崩壊」と後半戦に突入です!次回をお楽しみに‼︎


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第21話「前に進んで謎が増える」

本話から原作で言う所のps2『二重銀河の崩壊』に入ります。ではお楽しみくださいまし↓


※ナレーション(※CVは広川太一郎さんの声で脳内再生をよろしくお願いします)「無限に広がる大宇宙...この無数の星々の煌めきの中に...様々な生命の営みがある。そして、この生命の息吹は...時に宇宙の平和を乱す時がある...。

地球へと突然襲来した【デザリアム】の大艦隊の猛攻の前に【地球連邦】そして防衛軍はなす術もなく崩壊してしまう。

一夜にして占領され、重核子爆弾によって全人類を人質に取られてしまった地球を救う為、≪ヤマト≫は再販された自らの艦隊を率い再び宇宙の深淵へと旅立って行った。

だが...地球は死んでしまったわけでは無かった。多くの者達が"パルチザン"として立ち上がり明日へと希望を繋ぐ戦いを続けていた。宇宙(そら)を...≪ヤマト≫が飛び立って行った虚空(こくう)を眺めながら...。

そして現在(いま)...地球から約400万光年の彼方...≪ヤマト≫を旗艦とする【デザリアム本星殴り込み艦隊】は暗黒星雲の裏に隠された白色銀河へと進みつつあった。敵...【デザリアム】の母星を見つける為に...。」

 

【デザリアム】本星 某所

 

サーダ/【デザリアム】聖総統側近「聖総統閣下...あの≪ヤマト≫率いる艦隊が暗黒星雲との境界面を越え、我々の白色銀河へと侵入して来ております。」

 

聖総統「報告は受けている。グロータスが敗れたそうだな...。」

 

サーダ「はっ、グロータスは戦死し麾下のゴルバも被害甚大...これでは≪ヤマト≫と率いている艦隊の迎撃も地球の占領も疎かになってしまいます。」

 

聖総統「我らが最優先すべき目的は"大喪失の中の特異点"たる≪ヤマト≫の撃沈だ。。地球派遣軍のカザンには今しばらく現有戦力で持ち堪えて貰いその間(かん)に≪ヤマト≫を仕留めるのだ。サーグラスはミヨーズと合流し作戦を練っているのだろう?とりあえず彼らに任せておけば良い。」

 

サーダ「仰せのままに...。しかしカザンはともかくあの2人に任せてよろしいのでしょうか?デーダーとメルダーズの事もありやはり"血の通わぬ性"たる者である男連中では不足、今からでも黒髑髏艦隊と相手をしているルーギラとクーギラも≪ヤマト≫の撃沈の任に就かせるべきでは?」

 

聖総統「サーダ...我らの手足から血の気を捨てても"神聖なる命の源"たるその身を残している意味をお前は分からない訳ではあるまい。"無知"と対の意味たる"無血(むち)"とそう男共を蔑む事はない。男は我らの身を守る為にあり、それに殉ずるが【デザリアム】の男のしきたりだ。ルーギラとクーギラそしてファグリフォらはその例外、彼女らの闘争心の高さ故、男と並び戦士の道を歩んだのだ。その意思を汲んでやるが良い。」

 

サーダ「はっ!失言でありました...閣下。」

 

その頃、先の戦いで≪ヤマト≫艦隊の追撃を止め戦死したグロータス亡き後の混乱するゴルバ型戦隊の混乱を収拾したミヨーズは【デザリアム】近衛軍直轄艦隊所属のサーグラス准将麾下の艦隊と白色銀河表面宙域にて合流していた。

 

二重銀河・白色銀河表面宙域 最外縁

【黒師団】

総旗艦/メローペ級戦闘航宙母艦≪サーグロンダ≫

艦橋

サーグラス/【デザリアム】近衛軍直轄艦隊【黒師団】司令「バ、バカな!...グロータスが...あのグロータスが敗れただと...⁉︎」

 

『映像通信』by≪グレート・ガリアデス≫

ミヨーズ『は、間違いありません。」』

 

ミヨーズからの報告を受けにわかに信じ難いというリアクションをするサーグラス。同じ釜の飯を共にした無二の戦友であり、人となりそして戦い方をよく知っている。古武人として正面から正々堂々と戦うことしか知らない自分と違い頭が回り策謀に長けた奴だ。そんな策略家のアイツが地球の艦隊に負けて死んだ事に動揺を隠せないでいた。しかし、少しして自身を落ち着かせるとミヨーズに問う。

 

サーグラス「... ...最後まで立派だったか...グロータスは?」

 

ミヨーズ『...はい...。』

 

少し間を置いてミヨーズは真顔でそう答えた。サーグラスも瞼(まぶた)を閉じ少し沈黙した後、締まった顔をして答える。

 

サーグラス「そうか、ならば良い。この仇は必ず取らせて貰う。ミヨーズ、共に≪ヤマト≫を討とうぞ。」

 

ミヨーズ『は、そのつもりでございます。』

 

そう言って通信を切る。

 

オペレーター「あの...司令...よろしいのですか?本当の事をお伝えしなくても?」

ミヨーズ「ふん!私の問いの答えの真意が分からないのか?貴様が心配すべき事ではない!それより※ピケット艦の探知網にそろそろ≪ヤマト≫と艦隊が掛かる。目を離すなと伝えておけ‼︎」

オペレーター「りょ、了解‼︎」

ミヨーズ「全く、使えんだけでなく読解力もない部下だ。」

 

※索敵担当の艦艇の事。艦隊から離れ単艦で行動し敵への警戒を行う。

 

部下の言った通り事実とは異なる答えをしたミヨーズ。だが、例え真実を告げたとしても信じないだろうしサーグラスにとっての大事な戦友の名誉を汚す様な事を言うのは今後の共同作戦に支障をきたすと考えての事だった。「准将にとっては良い友だった事にしておこう」と私情を押し殺したのだ。

 

同・最外縁 まだ暗黒銀河寄りの宙域

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫ 第1艦橋

 

古代「どうだ林?」

 

林繁(はやし しげる)/≪ヤマト≫気象長「う〜ん、ダメですね。これ以上は敵の足取りが掴めそうにないです。この白色銀河の何処かだというのは確かなんですが...。」

 

山崎 奨(やまざき すすむ)/≪ヤマト≫機関長「もしかしてあの暗黒星雲の中にあって通り過ぎてしまったという可能性は?」

 

新見 薫(にいみ かおる)/≪ヤマト≫技術長「可能性はないとも言い切れませんが、それでは先の宙域でのあのゴルバの数の説明が付きません。【デザリアム】は私達がこの白色銀河に到達するのをなんとしても防ぎたかった筈です。そして私達は来た。この地球のある我々の銀河系に匹敵する程の広さを持つ宙域をなんとか探すしかないと思います。」

 

島「捜索するにしたって広さが広さだからな...。」

 

白色銀河に到達した≪ヤマト≫麾下の【デザリアム本星殴り込み艦隊】だったが、その規模が地球のある銀河系に匹敵する広さを誇るこの美しい銀河から【デザリアム】の本星を地道に探すしかないのかと途方に暮れていたその時だった。

 

ピーンッ!ピーンッ!ププッ!(レーダーの電子音)

 

西条「前方、我が艦隊の警戒艦≪ミライ≫からレーダー・データリンク!コンタクト・コール(探知報告)です!12時の方向、距離23万宇宙km、上下角+8°‼︎」

仁科「どうやらそんな心配は無用の様だな...お客さんです!」

土門「待ち構えていたかの様な現れ方だな...。」

古代「恐らくピケット艦隊だ。この白色銀河が敵の本拠地ならここ暗黒星雲との境界面は敵の第一警戒防衛線に相当する(≪ミライ≫...戦没した≪ヤハギ≫の穴を埋めてくれているな...)。

よし、全艦に警報発令!総員第一種戦闘配置!技術長!この機会に...。」

新見「はい!敵の航路データをなんとしても取ってみせます!」

古代「お願いします。市川、≪ヤマト≫より艦隊全艦へ通達。航路データ確保の為、敵を撤退させるよう攻撃は控えられたし、なお航空隊は発艦準備を整えて待機、パトロール艦及び早期警戒機は周囲の索敵に専念、360°監視を怠るな!」

市川「りょ、了解!」

北野「難しい注文ですが...なんとかやってやる!」

仁科「その息でっせ戦術長!」

島「≪ヤマト≫、両舷全速!」

 

敵のピケット艦隊に探知され交戦に入る≪ヤマト≫艦隊。敵がワープした時に出る"空間歪曲のエコー(波動エコーとも言う)"のデータを確保すべく敵を全滅させない戦う為、艦隊は戦闘態勢に入った。

=======================================

その頃、第99特戦機群≪マキナ改≫の艦長室で睡眠を取っていた司令兼艦長のタクローはゆっくりと瞼(まぶた)を開け目を覚ましていた。

 

タクロー「...ん...んぐぐぐぐ〜...。」

黒異士「起きたか?」

タクロー「あれ?キョウキョウ?俺、寝てたのか...?」

黒異士「あぁ、かなりな。」

タクロー「(時計を見る)あ!もうこんな時間‼︎早く起きないと‼︎」

黒異士「落ち着け、会議なら延ばした。」

タクロー「え?」

黒異士「お前、少し働き過ぎだぞ。だからあそこまで爆睡してたんだ。休む時にちゃんと休むお前らしくない。」

タクロー「そっか、ヤケに眠気が襲って来ると思ったら...。」

 

寝過ぎてしまって会議に寝坊したと思い飛び起きようとするタクローを抑え会議は伸ばしたと黒異士が告げる。先の戦いの損害から自艦と艦隊を立て直す為に再編の指揮を執っていた事による疲労が溜まったのだろうと思うタクロー。

今艦隊がいるのは海王星の浮遊ドック。先の冥王星での戦闘により損傷した艦艇は≪マキナ改≫を含めドックに入渠している。損傷の少ない艦を優先的に修理し終わり次第また次の損傷艦を入渠させている。≪マキナ改≫は飛行甲板や艦後部に被弾、体当たりを受けたが、思ったほど軽微だったらしく直ぐに修理を終えるらしい。

 

黒異士「ロゥジィーとロニーザが今突貫作業で修理をしている。終わり次第、中〜大破艦艇を入渠させるそうだ。損傷の大きい艦は破棄しても良いな?」

タクロー「うん、やむを得ないね。使える装備や部品は取り外して共食い整備に使おう。そういえば天王星からの報告は間違いないんだっけ?」

黒異士「あぁ、海王星(ここ)と同じく生存者なしの敵影なしだった。先行偵察に行った第二群の≪コリブリ≫旗艦の軽空母戦隊(ガトラン鹵獲改装艦構成艦隊)が宙域周辺と基地の様子を確認した。」

 

第99特戦機群 第二群の偵察隊は先行して天王星を偵察していたが、海王星と同じく敵影なしの生存者なしだった。

あらかた調査を終えた後、現在は第二群旗艦≪ネメシス≫の指揮の下に演習が行われている。

 

第二群旗艦 戦略指揮戦艦≪ネメシス≫

CIC(戦闘情報センター)

 

冬月「戦艦戦隊は後退しながら砲撃!敵の突撃を誘い込め‼︎巡洋艦及び駆逐艦戦隊は左右から包囲だ‼︎」

 

冬月艦長の指示の下、第二群所属のガトランティス鹵獲改装艦のWⅢ(ホワイトスリー)艦や地球第一世代艦改装艦が指示された通りに艦隊運動する。その中には先の戦いで旗艦≪リリー・マルレーン≫とその艦長兼司令の志摩そして多くの僚艦を失った元【志摩戦隊】のガミラス改装艦の姿もあった。

 

第2戦略即応機動旅団 旗艦≪ヴェム・ハイデルン≫

CIC

 

ヴェロニカ「誘い出す気だな!良いぜ乗ってやる‼︎うおっと⁉︎」

 

対するは≪ネメシス≫指揮の艦隊の誘いを受けて猛追する旗艦≪ヴェム・ハイデルン≫の第2戦略即応機動旅団とその包囲戦術を読んでいたか、攻撃の寸前に波動防壁ビットを展開した≪ザドキエル≫と麾下の第440独立機動防衛艦隊だ。先の冥王星での戦いでは良いコンビを組んで戦っていた。

 

第440独立機動防衛艦隊 旗艦≪ザドキエル≫

CIC

 

四糸乃「大丈夫ですか⁉︎ヴェロニカさん⁉︎」

 

『無線通信』by≪ヴェム・ハイデルン≫のヴェロニカ

 

ヴェロニカ『ナイスフォローサンキュー!」

 

この演習でもその名コンビ振りを発揮している。即席のペア艦隊だった筈だが、攻撃の第2戦略と防御の第440と役割をハッキリさせそれを実行している所を見るとそう感じさせない。

 

≪ネメシス≫ CIC

副長「見事に塞がれましたね。」

冬月「元【志摩戦隊】の面々も挙動は完璧だったんだがな、やはり旧式艦や雑多な寄せ集め改造艦では分が悪いか?」

副長「ではこちらも"切り札"を出しますか?」

冬月「そうしよう。"ブラック・サン"に打電!ご登場だ‼︎」

 

そう冬月が命じた直後、≪ネメシス≫の後方から一隻の黒い影が思いっきし通って行ったと思いきや更に何隻かが後に続いて行く。

冬月の言う"ブラック・サン"の正体、それは第一群(本艦隊)のアンドロメダ級≪アマテラス≫だった。

 

第99特戦機群 第一群(本艦隊)

≪アマテラス≫

CIC

 

天伝雷「アッハハハハ!さぁさぁヴェロニカさん!四糸乃さん勝負でしてよぉ!この演習で活躍して主様にたっぷり愛して貰いますわぁーッ‼︎」

 

そう息巻く≪アマテラス≫艦長 天伝雷は第二群旗艦≪ネメシス≫が管制する無人艦隊を率いて突撃を敢行する。相変わらずの速さと勢いだ。

 

ヴェロニカ「おぉーッ!すわっち来たかー‼︎一度やり合ってみたかったんだ!受けて立つ!よっしー‼︎」

 

四糸乃「は、はい!着いて行きます!守って...見せます‼︎」

 

突撃狂で真っ黒で強大な相手である≪アマテラス≫に臆する事なく2人は挑みに行った。

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≪マキナ改≫艦長室

 

黒異士「てな感じで諏訪にはそう言いくるめて演習に向かってもらった。あいつの愛ともてなしは重過ぎて逆に疲れが増すと思ってな。」

タクロー「ふっ、そうかもね。ちょっと疲れた時くらいが彼女の支え的に丁度良いわw.」

黒異士「本当は凛亜に頼もうと思っていたんだ。」

タクロー「そうだったん?確かに免許はねぇけど簡単な治療と看護くらいはできるのは知ってるけど...。」

黒異士「冥王星での戦いで回収した基地の備品や機体の残骸の調査をしている。今は仕事に没頭していた方が気が紛れると言ってな。」

タクロー「、、、そっか、今の凛亜にはそれが良いかもね。」

黒異士「だが相当に我慢しているんだと思う。あとで会いに行ってやってくれ。」

タクロー「そだね。そうするよ。」

 

しばらくして休息を十分に取ったタクローは第3波動実験開発隊群 旗艦≪アクエリアス≫へと赴いた。ドックに入渠していたので徒歩で乗艦し、乗員の1人に艦長の安玖園の居場所を聞き艦長室の前にやってきた。ノックをするが返事はない。しかも扉のロックは外れて開いている。中に入るとそこは"ザ・汚部屋"という様相を呈していた。食事の容器はそのまま、服等はソファに掛けっぱなしと荒れている。「凛亜〜?どこ〜?」と真っ暗闇な部屋を歩いて名を呼ぶ。するとふと後ろに気配を感じ何かに抱きつかれる。

 

タクロー「...凛亜?」

安玖園「... ...。」

 

研究者の白衣姿で後ろから手を回して無言で抱きついてくる安玖園。彼女の温もりと静かな呼吸、豊かな胸部の柔らかさが伝わってくる。

 

タクロー「安玖園艦長〜?」

安玖園「やぁ、来たんだねタク。」

タクロー「後ろからのそって来ないでよ怖いやんけ(汗)」

安玖園「それはすまなかったね。でも私と君の仲を考えればこれくらいのスキンシップは普通ではないかな?」

タクロー「まぁ〜そう言えなくもないかな...?」

安玖園「ありがとう。私を気遣って来てくれたのだろう?」

タクロー「まぁねそゆことよ。」

 

普段はこの様に甘えてくる事はまずない彼女だが、2人きりの時は好意を示してくる...のだが、今日はなんだか一段と抱きしめる力が強いと感じているタクローだ。

 

タクロー「いだだっ...!ちょっと凛亜さん凛亜さん力強いって..!(汗)」

凛亜「... ... ...。」

タクロー「もしかしてまだ怒ってる?...≪アクエリアス≫をうち(99特戦機群)に配属させなかったこと?」

凛亜「おや、よく分かってるじゃないか?」グググッ...(更に力を強める)

タクロー「うぐごごっ...?説明しただろ?≪アクエリアス≫は修理次第、≪銀河≫の第1、≪La(ラボラトリー)・アクエリアス≫の第2に次ぐ波動実験部隊の旗艦にするって決まってたんだって。そりゃうちにも君と≪アクエリアス≫の様な研究調査艦が欲しくなかった訳じゃないけどね...って凛亜?」

 

そう慌てて説明するタクローだが、安玖園艦長は黙り込んでいた。よく見るとギュッと抱きしめたままスゥスゥと寝息を立てていたのだ。「あらあらお疲れでたのね」と言い安玖園をおんぶして持ち上げそのままベッドに運び置いて毛布を掛けて寝かしつける。ふと側の机を見るとタブレット端末が置いてあり、そこには冥王星での戦闘データや鹵獲/回収した【デザリアム】の品々に関する解析データが記されていた。

 

タクロー「(キョウキョウが言ってた奴をやってくれていたんだな...それで寝ちゃったのか、お疲れ様ね凛亜)」

 

と頭を軽く撫でて労を労う。するとそれに反応してか気分良く良い表情になる。タクローはそれを見た後、起こさない様にそっと部屋を出る。それから廊下を歩きながら安玖園が調べてくれたデータをタブレットで確認する。

 

タクロー「(無人機だった敵の艦載機...手付かずの防衛軍冥王星基地...これまでの基地の様子と同じ様に敵は地球以外の惑星には基本戦力も人員も配置しない方針を取っている。だがこの冥王星基地は違った...しかも奴ら反射衛星の事を知っていた様に利用しやがった。それに我が軍の基地内を調べた様な跡があったが、武器も弾薬も情報端末も食糧も...何も手を付けた跡がなかった...。なぜなんだ?調べる必要がなかったのか?それに奴らだって人間なら飯くらい食うだろうし、自分達の艦の食糧もあるだろうが基地からパクってもなんら不思議ではない...益々(ますます)謎だらけな敵だ)」

=======================================

【デザリアム】近衛軍/黒師団

旗艦≪サーグロンダ≫

艦橋

 

オペレーターA「≪ヤマト≫艦隊。我が方の防衛網第一陣を突破!残存艦、残り僅かです‼︎」

 

≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】と交戦した【デザリアム】の精鋭艦隊【黒師団】総旗艦 戦闘母艦≪サーグロンダ≫の艦橋でオペレーターの報告を静かに聞くサーグラス。

 

サーグラス「そろそろ良いだろう。残存艦に撤退指令を..."例の場所"だ。」

オペレーターB「はっ!撤退指令を伝達します。」

 

同・第Ⅱ特務艦隊

旗艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「ピケット及び対応艦隊、撤退指令通りの行動プロセスを進行中...ワープ開始まであと10メル(秒)。」

ミヨーズ「ふん...さすがの対応の早さだなサーグラス准将閣下...激情家で情に厚い准将のことだ、グロータス准将の敵討ちとしてこのまま≪ヤマト≫達と刃を交えると思っていたのだが、やはりサーダ様直々の命とあっては無視する訳にもいかないという事か...。」

オペレーターB「あの...司令...?」

ミヨーズ「なんだ?作戦の内容は頭に入っているだろう!黒師団との艦隊行動を行うのもこれが初めてではない!さっさとこちらもワープの態勢に入り、≪ヤマト≫率いる艦隊を待ち伏せるポイントへ向かうのだ‼︎」

オペレーターB「りょ、了解‼︎」

ミヨーズ「ふん!全くいつもながら使えん部下だ...。」

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫

第1艦橋

 

西条「敵艦隊、転進してワープの態勢に入りました。」

古代「撃ち方止め、そのままワープさせろ。新見、林、頼むぞ。」

新見/林「了解!/はい。」

西条「敵反応、ワープにより消失!」

林「空間歪曲のエコー(波動エコー)を探知!」

新見「記録...しました!」

仁科「すげぇや、何もかも予定通りだぜ!」

古代「... ... ...。」

北野「どうかしましたか艦長?」

古代「いや、防衛線にしてはえらく簡単に突破できたとなと思って。」

島「俺もそう感じた。」

山崎「引き際が良過ぎて逆に気味が悪いですよ。」

土門「だとするとこれは...罠...?」

古代「いや、考え過ぎならそれに越した事はない。ともかく分析作業を急いでくれ。」

新見「はい。」

 

あまりにも上手くいき過ぎてて素直に喜べない艦長の古代や副長/航海長/操舵手の島、機関長の山崎がそう各々語りそれまで喜んでいた他の艦橋クルーも声が静かになる。

数分後、≪ヤマト≫の中央作戦室に艦長を始めとした艦の責任者が集まる。一部の艦の艦長と第7艦隊及び【ガルマン・ガミラス】の第27空母打撃群の艦隊責任者はホログラム映像通信で作戦会議に出席している。

 

新見「これを見てください。」

 

新見≪ヤマト≫技術長が手元のタブレットの情報を足元のディスプレイに添付、反映させ皆に見せる。

 

新見「敵の撤退方向、そして距離から敵が逃げた宙域を特定することができました。誤差を含めても50光年の位置にあります。」

仁科「そんだけ狭い範囲に絞れたんなら大したもんだぜ。」

新見「そうなのですが...。」

古代「何かあるんですか❓」

 

地球のある銀河系に匹敵するこの二重銀河...例えるなら砂漠の中から金一つ見つける様な途方もない事をして敵である【デザリアム】の母星を見つけなければならない。それがあると思われる宙域を絞ることができたのは良いことなのだが、朗報に喜ぶ仁科に対し声が冴えない新見。古代がその理由を聞こうとすると「そこは私が答えよう」と≪ヒュウガ≫の真田艦長がホログラム映像通信で応える。

 

真田/ホログラム映像通信by≪ヒュウガ≫『まず考えなければならないのは、その宙域に存在する※恒星(※太陽の様に自ら発光する天体のこと)のことなんだ。

地球を占領している【デザリアム】の兵士達は地球の大気、重力、温度や湿度共に完全に適応している。つまり敵の母星も、地球の太陽と同じタイプの恒星を巡る惑星の可能性が大だということだ。

敵が地球を植民地又は奴隷化目的で占領し支配、利用しようとするのなら尚更そうでなければならない。』

 

古代「同じタイプの恒星...。」

 

真田『そう、地球以外で話をするなら【ガミラス】と【イスカンダル】がそうだ。この二つの国の星を巡る恒星であるサレザーは我々の地球の太陽と同じG型スペクトルの恒星だ。

【ガトランティス】もそうだ。≪ヤマト≫が都市帝国内部に侵入した際に記録したんだが、都市内の照明は我々の太陽光スペクトルと酷似していた。彼らもそして彼らを作った【ゼムリア】も滅びの方舟で放浪する前は、同じタイプの恒星の元に生まれた民族だったと可能性が高い。』

 

山南/ホログラム映像通信by≪シュンラン≫『つまりその円の中からそのタイプの恒星を見つければ良いという事か...。』

 

真田『そうなんですが...全くないんです。』

 

真田の答えに皆が「え...⁉︎」と言ったり思って思わず息を呑む。

 

バーガー/ホログラム映像通信by≪ランベア改≫『全くって...おいおい全然って事かよ...!」

 

本城/ホログラム映像通信by≪ラジエル≫『うん、真田艦長らと一緒に宙域データに目を通しまくったんだけど...そこには褐色矮星や中性子星ばかりで生命体がいそうな星がありそうになかったんだ。」

 

真田『しかし元々、我々の太陽やサレザーの様な黄色主系列星は星の種類としてはかなり稀な部類に入る。地球の統計では、宇宙にある半数以上の星が小さな褐色矮星だと言われているくらいだ。

この宙域に黄色星が完全にないというのは変だが、まぁありえないことではない。」

 

古代「しかし、その宙域に生物が存在できる環境がないということは...。」

 

刻崎/ホログラム映像通信by≪ザフキエル≫『罠...という事ですわね。」

 

古代の考えに対し答える様に刻崎が言う。古代は視線を刻崎に向けると妖しく笑って返され思わず少しドキッとしてしまう。それを見ていた≪アスカ≫艦長の森はぷくぅと顔を膨らませ嫉妬である。

 

刻崎『分かっていても飛び込まない事には前へ進めませんわ。敵の母星を探し出す事はできませんわ、そして地球を救う事も...。」

 

雪/≪アスカ≫からのホログラム映像通信『古代艦長...。』

 

古代「分かっています。艦隊陣形を立体式警戒陣に移行後、直ちに該当宙域へワープに入ります。本艦隊を中心とし第7艦隊と第27空母打撃群は周囲の警戒をお願いします。」

 

山南『了解した。』

 

バーガー『おう!罠だろうがなんだろうがいつでも来いってんだ!任せとけ‼︎』

 

刻崎の三段活用の迫りにも怯まず、これからの艦隊の針路を決定し各々の艦隊指揮官に伝える古代。「そろそろ古代艦長への当たり、やめどきかなアサミん?」とアイコンタクトする本城に対し「えぇ、そうかもしれませんわね」と瞳を閉じて微笑む刻崎だった。

少し時間が経って各々がそれぞれの艦と艦隊の指揮に戻り配置に着く。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

『無線通信』

山南『こちら≪シュンラン≫の山南。第7艦隊は配置完了。」

バーガー『≪ランベア改≫のバーガー、全艦所定の位置に着いたぜ。』

刻崎『≪ザフキエル≫並びに≪ラジエル≫以下、警戒艦の配置を終えましたわ。いつでもどうぞ。」

市川「全艦隊、配置完了です艦長。」

古代「了解。≪ヤマト≫より全艦に達する。これより我が艦隊は敵の領域である白色銀河へと突入する!全艦ワープ準備!」

島「ヨーソロー、針路、10時方向と渦状腕間隙(かじょうわんかんげき)に固定。」

古代「≪ヤマト≫、発進!」

=======================================

≪マキナ改≫艦内通路

 

天伝雷「主様〜!」ダキッ!

タクロー「おっとっと!天伝雷さんか。」

ヴェロニカ「あー!すわっちズルーいっ!」

冬月「ハハハ、人気ですな司令。」

四糸乃「あわわ...(汗)」

 

通路を歩いていると天王星の調査及び演習から帰還した冬月第二群司令、天伝雷、ヴェロニカ、四糸乃の4名に遭遇し内1名の天伝雷さんから絶賛熱烈なハグを受けている。

 

天伝雷「ん?スンスン...薬品の匂いがしますわよ主様?さては凛亜さんの所に行ってましたわね?」

タクロー「あ、あぁ頼んでいた調査結果を見に行ったんだけだよ。」

天伝雷「いえ、これは抱きしめられましたわね?」グギギギッ!(強く抱き締める)

タクロー「いででっ!そうそうそんな感じででもそれだけそれだけ!」

天伝雷「もう主様ったら。私がいつでもお世話して差し上げますのに...朝から晩まで...。」

 

抱き締める力を弱めタクローの耳元で囁く様に言う天伝雷。タクローは逆に抱き締め返し、「ありがとう。また落ち着いたら頼むね」と静かに返し天伝雷はこの上なく満足した表情を浮かべ「はい」と目の奥をハートにして答えた。それを見たヴェロニカは「さっきから2人だけズルいってば!」と言ってこちらも抱きついて来た。

 

タクロー「ごめんごめんニッカ。演習はどうだった?」

ヴェロニカ「あぁ!よっしーとの連携をさらに強めて来たぜ!アタシら良いコンビなんだ!な!よっしー⁉︎」

四糸乃「は、はい!」

タクロー「そうかそうか、2人ともご苦労だったね。これから冬月司令と話す事がある。3人とも先に行っててくれ、今日はもう休んで良いぞ。」

 

3人は「は〜い」「おうよ!」「そ、それでは!」と各々返事して去っていく。タクローが手を振りながら彼女らを見送ると「立ちや歩きながらではアレですし場所を変えて話したいんですが?」と冬月に言うと「では士官室で」と答え2人は場所を移した。

 

≪マキナ改≫士官室

 

タクロー「天王星も生存者なしのこれまでとほぼ同じでしたか。」

冬月「はい、偵察隊の報告に間違いはありません。今は第二群の手空きの艦艇を向かわせ集めれるだけの物資を積め込ませています。」

タクロー「分かりました。修理及び積み込み作業終了後、艦隊は土星へ向かいます。といっても本星がないので正確にはその衛星と言うべきでしょうか?」

冬月「タイタンかエンケラドゥスに❓」

タクロー「はい。生存者の確認は引き続きにですが呉賀や他の艦の機関科員からエンジン関係の部品のストックが足りないと報告を受けましてね。その2つの衛星にある"コスモナイト90"の確保を目指したいんです。

その前にエンケラドゥス及びヒペリオン駐留艦隊の安否の確認を行います。」

冬月「生き残っていると言いですな...。」

タクロー「えぇ、そろそろ味方にお会いしたいです。」

 

次の行動方針を話し合い決まる2人。機関系パーツのストック不足、味方の不在と不安要素は多々あるが、それでも生き残り戦っている者がいると信じ進むしかないとタクローと冬月は思うのだった。




読了ありがとうございます。今回はほぼ戦闘パートなしの日常寄りで描きました。冒頭のナレーションの声はファンなら脳内再生余裕でしょうw.?
≪ヤマト≫達【デザリアム本星殴り込み艦隊】側も冒頭と同じく原作ゲームの『二重銀河の崩壊』でのやりとりをベースにリメイク風に大幅に書き直しました。これが1番大変だったかもしれません。
【デザリアム】の聖総統とサーダのやりとりから何やら宗教らしい雰囲気が感じられますね?彼らの正体に直結する物だと思われるが真相はいかに?そしてここで何気にルーギラさんがよく部下に口にする「無知」が二重の意味だったと判明します。これも重要な伏線かも?覚えておいて下さい。
サーグラス准将が登場し同じゲームオリジナルキャラのミヨーズと共同戦線を張ることになりました。原作ゲームでは実現しなかった共闘を実現させました。知ってる人はニヤニヤが止まらんことだと思います。尚、艦隊名は『黒色艦隊』から『黒師団』に変えました。そのままだと安直過ぎるので第二次大戦時にスペインが当時のナチスドイツに義勇部隊とした派遣した「青師団」が名のモチーフです。
一方のタクロー達は海王星と天王星で修理と調査と演習をしています。海王星のドックは旧作の『Ⅲ』に登場しバース星艦隊旗艦のラジェンドラ号が入渠するシーンで出て来ます。天王星は「旧作でもリメイクでもヤマトシリーズにおいて一度も星自体が映ったことのない太陽系の惑星」らしくどう書こうか迷いましたが、調査+演習をしたって事にしてお茶を濁したような表現になってしまいましたがこれで許してください。
次はいよいよあの土星沖会戦が行われた土星に向かいます。といっても星自体はもうないんですけどね(汗)。エンケラドゥスとヒペリオン両艦隊の安否は?そして無事コスモナイト90を確保できるのか?次回をお楽しみに!


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第22話「タイタン奪還作戦!コスモナイトを確保せよ‼︎ 前編」

皆さん謹賀新年明けましておめでとうございます。『3199』の新情報と公開日とPVが公開されて更に盛り上がりを見せていますね。公式様より先に書いてしまってる本作も負けじと書いていきますよ!ではどうぞ↓


暗黒星雲と白色銀河の境界面に於いてミヨーズの第Ⅱ特務艦隊と合流したサーグラス准将率いる精鋭【黒師団】と接敵した≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】だったが特に手応えもなくこれを退け、まるで誘うかの様にワープで撤退して行くのを確認する。作戦会議の結果、罠を承知で先に進むことにした≪ヤマト≫率いる艦隊はワープで敵の撤退方向に向かう。

ワープアウトした≪ヤマト≫達を待ち受けていたのは、ぼんやりとした薄茶色の宇宙空間にあるアステロイドベルトだった。

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫

第1艦橋

 

林「スクリーン全てグリーン。左舷前方にクラス3の褐色矮星を確認。4光年以内にあと三つほど恒星を確認できますが、ほぼ赤外線反応のみです。全て同じ褐色矮星ですね。」

西条「レーダーに敵影ありません。」

古代「ッ⁉︎一つもか?」

西条「はい、暗黒ガスが点在しているのでそこに潜んでいると思われます。」

島「罠にしてはなんだか静か過ぎるな...。」

 

軽空母≪ヒュウガ≫

第1艦橋

 

太田「それにしても不気味な場所ですね。近くに恒星があるのに眩しいどころか薄暗いだけですし...。」

真田「それは無理もない。もともと褐色矮星自体が"恒星になりきれなかった星"だと言われているからというのと関係している。つまり恒星と惑星の中間の存在だ。

褐色矮星は核融合反応を起こす程の高熱を発することができない。その殆(ほとん)どは光をあまり発せず、自重による収縮時に僅かに赤外線を放出する程度なんだ。」

 

補給母艦≪アスカ≫

第1艦橋

 

森雪「とにかく警戒しつつ先を進みます。敵がいないとはいえここに撤退し潜んでいるとすれば即戦闘になるわ。南部君。いつでも戦闘配置に付けるようにして。」

南部「了解です艦長。」

 

通信して話し合ってるわけではないのに妙に繋がってる会話が繰り広げられてる中、【デザリアム本星殴り込み艦隊】前衛に位置するピケット艦隊の一隻≪ザフキエル≫のレーダー手が妙な反応を捉える。

 

早期警戒管制艦≪ザフキエル≫

第1艦橋

 

レーダー手「艦長!レーダー...いえ[エピタフ]システムに反応ありですわ。」

刻崎「[エピタフ]に?ここに時空乱流の類でもあると言うんですの?」

レーダー手「分かりません。反応が極めて微弱なんですの、けど...この波形は時空乱流でもそして時間断層のとはまた違った別の物ですわ。」

刻崎「どういうことですの?」

レーダー手「とにかく今まで見たことないものだということしか分かりませんわ。」

 

時空乱流でも時間断層でもない時空の流れの波形を観測する≪ザフキエル≫。「何があるというんですの?この薄暗い宙域に?」と刻崎は考え込む。

その時だった。≪ヤマト≫の左舷上後方に位置するアンドロメダ級≪アマクサ≫が突如として被弾し黒煙を上げる。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「なんだ⁉︎」

西条「左舷上後方にいる≪アマクサ≫です!被弾の模様!」

 

≪アマクサ≫

第1艦橋

 

霧下「どうしたぁ⁉︎」

レーダー/通信手「分かりません!いきなりやられました‼︎あ!敵の反応がッ‼︎」

霧下「くっ...!アンドロメダ級たる本艦の※[M.E.T.I.S]システムが遅れをとるとは...!」

 

※Merge/Erint/Tactics/Intelractive/Strategy(戦略/電子/戦術/情報)の略。アンドロメダ級の戦略戦闘指揮システムでギリシア神話の知恵の女神から取られている。

 

≪アマクサ≫の攻撃をきっかけにアステロイドに潜んでいた敵が一斉に湧いて出る。それを艦隊各艦が次々と敵をレーダーに捉え始める。それは≪ヤマト≫も同じだった。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

西条「敵のパラメータ出ました!ゴルバから射出されたあの無人重攻撃艇です‼︎」

島「アステロイドを影にして潜んでいたんだな!」

古代「全艦戦闘配置!各個に応戦‼︎」

西条「攻撃は本艦と≪シュンラン≫そして...ッ⁉︎...≪ザフキエル≫に集中しています‼︎」

古代「なんだって⁉︎」

 

≪ザフキエル≫

第1艦橋

 

レーダー/通信手「敵攻撃艇!多数左右前方いえ後方からも来ますわ!」

刻崎「なんなんですのいきなり⁉︎主砲、パルスレーザー各対空砲は自由射撃ですわ‼︎」

砲術/戦術長「急ですわね!これではまともに...あぁッ⁉︎」

 

突然の襲来に対処せざるを得なくなる≪ザフキエル≫。しかし本来戦闘向きではない警戒艦が応戦するには数が多い。砲術/戦術担当が対処しきれずでいるとそこにある物が飛来し≪ザフキエル≫の前方に青色の傘が広がる。補給母艦≪アスカ≫から放たれたご自慢の波動防壁弾だ。2205年時では艦中央両側にある多目的ランチャーでしか射出できなかったが、2年の間に弾頭の小型化に成功し主砲から発射可能になった事により使用の柔軟性が飛躍的に上がったのだ。今まさに迫り来るテンタクルズ無人重攻撃艇を相手取りながら同じ敵に囲まれてピンチな≪ザフキエル≫の前方目掛けて2番主砲の右砲で発射したところだったのだ。刻崎が≪アスカ≫の森艦長に礼を言おうとしたその時、≪アスカ≫の背後に迫る一艇のテンタクルズが見えそれに後部主砲を向け、左砲から時空停止弾[ザ・ワールド]を放って動きを止め残りの中砲と右砲のショックカノンで仕留めた。こちらも≪ザフキエル≫ご自慢の時空弾が主砲で撃てる程小型化し柔軟性が増している。

 

補給母艦≪アスカ≫

第1艦橋

 

森「ッ⁉︎」

 

『無線通信』by≪ザフキエル≫

 

刻崎『大丈夫でして森艦長?』

 

森「え、えぇ...助かりました...刻崎艦長。」

 

刻崎『いえいえ、こちらこそ先程は助かりましたわ...っておっと⁉︎』

 

互いに一難去ってまた一難というのはこの事を言うのだろうと認識しつつまたまた降り掛かる火の粉を払う。

 

森「くぅ...!?」

 

刻崎『あらあら、人が話しているというのに随分と行儀の悪いですこと‼︎」

 

中々悪くないコンビネーションを見せた2人をよそに、【デザリアム本星殴り込み艦隊】への攻撃は苛烈さを増していく。その時だった。艦隊の後方に強烈な閃光が走る。

 

第7艦隊

旗艦≪シュンラン≫

第1艦橋

 

山南「なんだ⁉︎今の光は⁉︎」

 

第27空母打撃群

旗艦≪ランベア改≫

艦橋

 

バーガー「観測班!今のは⁉︎」

甲板見張員「褐色矮星からの光です!」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「ッ⁉︎褐色矮星が光った...?」

西条「ッ!矮星に強烈な熱核反応!これは...褐色矮星が爆発しました‼︎」

古代「何っ⁉︎」

 

≪ヒュウガ≫

第1艦橋

 

真田「ッ!マズい!古代‼︎全艦に波動防壁を最大展開させろ!衝撃破が来る‼︎」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「全艦、波動防壁最大出力!衝撃に備え!波動防壁弾装備艦は防壁展開!非装備艦を守れ‼︎」

 

真田が無線で古代に警告する。褐色矮星の爆発。星が一つまるごと吹き飛んだ。【ガルマン・ガミラス】第27空母打撃群のバーガーには見覚えがある光景だった。そう...2年前のガミラス星の消滅。あの"黒い槍"が何百何千と地上に降り注ぎ星を崩壊へと至らしめたあの光景とだった。

=======================================

ミホノラ(ナレーション)「土星... ...太陽から6番目の惑星で太陽系の中では木星に次いで2番目に大きい。今から4年前の西暦2203年5月8日、ガトランティス戦役に於ける最大の激戦となった『土星沖会戦』が勃発したことでも地球の軍民共々に知られている。戦いは最終的にガトランティス側の勝利で終わり、ワープして来た都市帝国に土星は吹き飛ばされ消滅してしまいました。戦後、波動実験艦である≪銀河≫による修復が計画されましたが現在に至るも遅々として進んでいません。現在は衛星エンケラドゥスとヒペリオンそれぞれに駐留する艦隊が土星宙域での警戒を担当しています。私達はその両駐留艦隊の安否を確認しつつ希少鉱物である"コスモナイト90"の確保を行うべく防衛軍とガトランティスの無数の残骸が跋扈(ばっこ)する土星沖を進んでいます。

私が乗艦する≪マキナ改≫麾下の99特戦機群/第一群は≪ヴェム・ハイデルン≫率いる第2戦略即応機動旅団、≪ザドキエル≫の第440独立機動防衛艦隊と共にエンケラドゥス、≪ネメシス≫麾下の99特戦機群 第二群は旗艦≪アクエリアス≫率いる第3波動実験開発隊群(艦隊壊滅に付き残存艦少)はヒペリオンにそれぞれ針路を取っている。」

 

第99特戦機群

総旗艦≪マキナ改≫

第二艦橋(CIC:戦闘情報センター)

 

鷹乃目「全艦ワープ終了。現在、土星宙域。右舷前方に第2衛星エンケラドゥスを確認。」

タクロー「(無線機ガチャッ)艦長より達する。警戒配置のままエンケラドゥスに接近、いつでも戦闘可能な状態を保て。(無線機ガチャッ)カッシー、テック、周囲に反応はないか?」

栗梶「敵影、認められません。」

手邦「こう残骸だらけだと探知は困難ですね。」

タクロー「タッキー、デブリに注意しながら進んで。キョウキョウとエレレンとミホ大尉の3人もなるべく無人艦を穴だらけにしないように。クロン、エンケラドゥスに通信を、もち暗号でね。」

鷹乃目「ヨーソロー!」

黒異士/エレン/ミホノラ「了解!」

クロンナウア「あいよ!」

金田「今後こそ味方に会いたいものですな。」

タクロー「全くです。カッシ、暗号通信は...。」

栗梶「えぇ分かってます。旧国連統合軍のコードですよね?」

タクロー「そうだ。敵に知られてないコードでやるんだ。」

 

同じ頃、≪ネメシス≫率いる第二群は第7衛星ヒペリオンに向け航行し、≪マキナ改≫ら第一群と同じく警戒態勢のまま同基地に生存者がいないかを探ろうとしていた。

 

同艦隊・第二群

旗艦≪ネメシス≫

第二艦橋(CIC)

 

冬月「間も無くヒペリオンが見える。戦闘配置と暗号通信の用意をしておけ。」

副長「生存者がいるでしょうか?」

冬月「居ても居なくても気を抜くな。何が飛び出して来ても良い様にする。それだけしか我々にできんのだ。」

副長「はっ!」

 

≪マキナ改≫と≪ネメシス≫それぞれの艦隊組がエンケラドゥスとヒペリオンに向け暗号を打電する。沈黙... ... ...が静寂... ... ...カッコーが鳴...かないくらいの間(ま)が流れる。第11番惑星、冥王星、海王星、天王星とこれまで4つの惑星を巡って来たが、どこもかしかもいずれかも生存者なしの何もなさ過ぎの百回覗いて百回同じの惨憺(さんたん)たる有様を見てきた。今回もまた同じか...と思った時だった。

 

???『こち...ら...ンドゥス...備隊...』

 

クロンナウア「ッ⁉︎艦長!」

タクロー「ッ!」

 

???『...ペリ...ン駐...隊だ...そちら...』

 

≪ネメシス≫レーダー/通信手「来ました返信!」

冬月「答えたのか⁉︎」

 

途切れ途切れの微か微かに聞こえてくる声をハッキリくっきりさせるべく≪マキナ改≫と≪ネメシス≫それぞれのレーダー/通信手は急いで感度を調整する。

 

尾崎徹太郎/【エンケラドゥス守備隊】司令『こちら【エンケラドゥス駐留守備隊】司令の尾崎だ。そちらは99特戦機群だな?味方に会えて嬉しい。歓迎の上、入港されたし。』

 

ケイン・オーガスタ/【ヒペリオン駐留艦隊】司令『こちら【ヒペリオン駐留艦隊】のオーガスタだ。久々に味方の声が聞けて嬉しい。入港を許可する。ゆっくりはできないかもだがな。』

 

ここに来てようやく味方に会えた、声が聞けた、「自分達は孤独では無かった」「地球圏にはまだ同胞が居た」それが分かった事にタクロー達は歓声を上げたり安堵したり各々のリアクションの仕方で味方との合流を喜んだのだった。

=======================================

その頃、無数のテンタクルズ級無人重攻撃艇とデザリアムハンマーによる褐色矮星の爆発とその衝撃波を受けた≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】はその全ての撃退と第7艦隊旗艦≪シュンラン≫を始めとする波動共鳴導波装置持ちの艦艇による波動共鳴で強化された防衛軍艦艇の波動防壁の傘で自艦自身と第27空母打撃群のガルガミ艦艇と各々がペアを組んで囲んで守ったお陰で多少の損傷艦が出た程度で戦没艦は皆無だった。

その様子を戦闘宙域外縁で様子を伺っているのは【デザリアム】の黒師団と第Ⅱ特務艦隊の連合艦隊。それらをオペレーターから報告され黒師団司令兼旗艦戦闘空母≪サーグロンダ≫艦長のサーグラスは「ぬぅ...やるおるわ」と苦い顔で呟く。その時、オペレーターからサーダより入電との報を聞き繋ぐよう言う。

 

戦闘空母≪サーグロンダ≫

艦橋

 

サーグラス「サーダ様!ご提供を頂きました無人重攻撃艇隊及びハンマーによる褐色矮星爆発の攻撃に≪ヤマト≫とその艦隊は切り抜けた様でございます...。」

 

『映像通信』by???

サーダ『その様ですね。状況は中継している映像でモニターしていました。よくぞ我慢してくれましたね。一刻も早くグロータスの仇を討ちたい気持ちを抑えてくれたお陰で、≪ヤマト≫とその艦隊が我々"【デザリアム】1000年の夢"に対する脅威だという事が改めてよく分かりました。

とりあえずそその宙域での任務はそれで終えて良い。次に≪ヤマト≫達を誘い込む宙域のデータをそちらとミヨーズに伝える。待機の上、誘導役の艦艇の用意をして待っているのよ?」

 

サーグラス「はっ!心得ました‼︎フッハハハハ!ようやく!ようやく仇を討てる...!待っておれグロータス、そしてぇ≪ヤマト≫ォォォ‼︎」

 

勢いよく返事をし通信を終えると喜びを口にするサーグラスだった。その頃、≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】は艦隊の損害状況の確認の為に各艦隊の通信が慌ただしくなっている。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

西条「ッ⁉︎ワープアウト反応ッ!3隻です‼︎」

仁科「クッソ...!今度は艦隊の尖兵様がお相手ってか⁉︎」

西条「ッ⁉︎...敵艦、再びワープで撤退...反応消えました。」

林「どういうつもりなんだ...?」

古代「... ... ...。」

島「わざと足跡を残してったんだ。...誘ってるな?」

 

『映像通信』by≪シュンラン≫&≪ランベア改≫&≪ザフキエル≫

 

山南『古代艦長。こちらでも敵のワープアウト及び再ワープを確認した。十中八九(じゅっちゅうはっく)罠だろうが、追い掛けるつもりなのだろう?』

 

古代「はい、敵としても罠を張るのに自分達の知らない場所を選ぶ事はない筈です。どれだけ引き摺り回され罠を張り巡らされようとそこは必ず敵の領域です。何かしらの手掛かりはあると思います。」

 

バーガー『あぁ!どんだけ待ち伏せてようが全部ぶっ飛ばして、必ず【デザリアム】の本星を見つけてやろうぜ‼︎』

 

刻崎『きひっ!きっひひひひひひ‼︎えぇ、えぇ!渦中への飛び込み上等ですわ!"虎穴に入らずんば虎子を得ず"...ついでにその正体も引っ剥がして暴いて差し上げましょう?』

 

古代「了解しました。艦隊状況を確認後、ワープで追跡します。ご用意を。」

 

と敬礼を送り通信を切る古代。どんなに翻弄されようともこれだけの仲間がいればなんとかなるなんとかできる。そう思うのだった。

 

【デザリアム】第Ⅱ特務艦隊

旗艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「≪ヤマト≫とその艦隊。動き始めました。ワープの態勢に入る模様。」

ミヨーズ「ふ、やはり追ってくるか≪ヤマト≫...!それでこそ...それでこそだ。」

オペレーターB「あの...司令...?」

ミヨーズ「なんだ?」

オペレーターB「少々気になっていたのですが、あのテンタクルズをサーダ様がコントロールしていたのは承知しています。しかし先の戦い...≪ヤマト≫と超弩級戦艦(≪シュンラン≫のこと)を狙ったのは理解できましたが、なぜあの艦隊先頭にいた縞色の艦(≪ザフキエル≫のこと)も攻撃の対象となったのでしょう?」

ミヨーズ「ふんっ!貴様如きが一丁前に上(うえ)の作戦に疑問を感じる必要はない!それよりも我々も予定宙域に飛ぶぞ早くせんか‼︎」

オペレーターB「は、はい!申し訳ございません...(汗)。」

ミヨーズ「全くいつまで経っても使えん部下だ。」

 

そうは言いつつも部下の感じた疑問はミヨーズも感じていた。これまで特に重要な攻撃目標としていなかった艦をなぜ今になって?...と。そんな事を思いつつミヨーズとその艦隊もワープに入り≪ヤマト≫を待ち伏せに向かった。

 

【デザリアム】本星 某所

 

聖総統「≪ヤマト≫の誘導に成功した様ですね。サーダ?」

サーダ「は、これで奴らを本星から離す事ができます。それにしてもあの縞色の艦...時空の流れを読み取れるとは、≪ヤマト≫とあの超弩級戦艦ばかりに気を取られていて今の今まで盲点でした...。」

聖総統「あの艦も大喪失の存在か...いや、存在したかも分からぬものだ。」

サーダ「聖総統ですら認知しない存在が...⁉︎」

聖総統「... ...とにかく、≪ヤマト≫とその艦隊を本星から離している間にやるべきことはまだある。あの波動エネルギー応用大出力砲の対抗だ。」

サーダ「はっ!ベータ砲の発展型である"インフィニア・ベータ砲"を開発しています。ゴルバ型装備のをダウンサイジングするのに手間取りましたが、今の所は順調です。」

聖総統「よし、そのまま開発を続けさせよ。お前の用意した罠とサーグラスとミヨーズらの時間稼ぎで≪ヤマト≫達を存分に歓迎、釘付けにするが良い。」

サーダ「はっ!」

 

【デザリアム】は続々と罠や策謀を張ら巡らせ、≪ヤマト≫達をそこに誘おうと画策する聖総統なる人物とサーダ。果たして≪ヤマト≫達に何が待ち受けているのか...?

=======================================

ミホノラ(ナレーション)「エンケラドゥス、ヒペリオンの味方が健在なのを知り歓声を上げ喜んだ後、私達はそれぞれのドックに入港しました。エンケラドゥス守備隊の尾崎司令及びヒペリオン駐留艦隊のオーガスタ司令の話によれば【デザリアム】は地球侵攻当初は両方とも小さな衛星であったことと今は無き土星本星宙域から離れている為か無視して地球へ向かったが、その後しばらく経ってから同じく土星を回る衛星タイタンにある採掘基地を占拠しそこで採掘された金属資源を地球に輸送していると話してくれました。基地を叩くにも戦力が足りないのでそれぞれの衛星でじっと息を潜めていたそうです。それからもこちらの存在に気付いているのかいないのか、特に何もしてこない日々が続いている中で時折地球側から艦隊がワープアウトして来てはまたそそくさとワープして地球圏外に出ていく姿を何度か観測したのは私達と同じだったようです。

今私はエンケラドゥスの作戦室にて情報交換や今後の方針について語り合っています。ヒペリオン側とはホログラム通信でやりとりしています。その中でとりあえず決まったのは基地に備蓄されたコスモナイト90を使った機関系の修理が必要な艦のドック入り。≪ザドキエル≫とその麾下の第440艦隊が用いる波動共鳴導波装置もコスモナイトを使う機器の為ドック入りしています。酷使が祟ったので修理に時間を要するとか、次に決まったのはタイタン採掘基地の奪還です。【デザリアム】がタイタンに眠る金属資源の数々を採掘した後、地球に輸送し何かに利用しているならばそれを止めれば地球奪還に一歩近づくと我らがタクロー司令の提案に尾崎、オーガスタ両司令も99特戦機群等の実戦経験の豊富さと戦力を鑑みてこれを了承、作戦を立てる事となりました。」

 

衛星エンケラドゥス

作戦室

 

タクロー「敵の戦力数はどれくらいですか?」

尾崎「当初は100隻近い艦隊戦力が守っていましたが、現在はその数を半数以下に減らしていると思われます。

なにぶん長距離での観測のみでの情報収集には限界がありますので、偵察機による強行偵察は可能でしたが危険が強かったため断念しました。」

タクロー「懸命です。【デザリアム】の"目"は優秀です。我が艦隊のエリントタイガーやピーピングファルコンは通常機仕様よりも高いステルス性能を有していても、ギリギリ探知されるかしないかですから。」

 

『ヒペリオン基地からの映像通信』

 

オーガスタ『してどのように作戦を?』

 

タクロー「今から説明を、アイク、チャートを出して。」

 

タクローに言われ、≪マキナ改≫付き参謀のアイクが機器を操作して※足元のディスプレイに作戦図を表示する(※ヤマトの中央作戦室みたいな奴)

 

タクロー「陽動と欺瞞を用いた二面作戦で行きます。まず我々エンケラドゥス組が採掘基地正面に出て敵艦隊と共に注意をこちらに向けさせます。その間(かん)にヒペリオン組は空母航空隊を用いてタイタン基地を攻撃するという手筈です。」

尾崎「なるほど、実に単純且つ見事な作戦です。基地とその採掘機能を利用不可にさせてしまえば敵は基地を放棄し、挟み撃ちを恐れ撤退するという算段ですな。」

 

オーガスタ『しかし敵のレーダー網及び防御網は厚いと思われます。【デザリアム】の優秀な警戒レーダーの脅威だけでなく採掘基地に元からある我が防衛軍式の対空火器等も鹵獲し利用しているのを考慮しますと攻略は難儀するかと...。』

 

タクロー「それに関しては手は考えてあります。各艦隊の準備が整い次第、作戦を開始します。尚、本作戦は【タダ作戦(タイタン基地奪還を目的とする作戦)】とする。以上です。解散!」

 

数時間後、作戦準備を整えたエンケラドゥス組とヒペリオン組(以下、戦闘序列を記す)は各自出航し位置に付く。

 

【タダ作戦】戦闘序列

〈エンケラドゥス組〉

・第99特殊戦略戦術機動打撃群/第一群

・第2戦略即応機動旅団

・エンケラドゥス守備隊

 

〈ヒペリオン組〉

・第99特殊戦略戦術機動打撃群/第二群

・第3波動実験開発隊群(旗艦≪アクエリアス≫を含む残存艦少状態編成)

・ヒペリオン駐留艦隊

 

〈予備軍及び修理につき戦闘不参加〉

・第440独立機動防衛艦隊

 

以上が編成となる。〈ヒペリオン組〉の方を見てみよう。

 

衛星タイタンの裏側の宙域

〈ヒペリオン組〉

第99特戦機群/第二群

旗艦≪ネメシス≫

第二艦橋(CIC)

 

冬月「時間だ、作戦開始!航空隊は全機発艦せよ‼︎」

レーダー/通信手「了解、艦隊旗艦≪ネメシス≫より各空母群へ通達。作戦開始、繰り返す。作戦開始、作戦参加の航空隊は全機発艦せよ。」

 

ヒペリオン駐留艦隊

旗艦:ドレッドノート改級/甲型(砲戦能力強化型 type-A)主力航宙戦艦

≪ドレッドノート≫

第二艦橋(CIC)

 

レーダー/通信手「≪ネメシス≫から信号来ました!」

オーガスタ『各空母に航空隊を出させろ!遅れるなとな‼︎」

 

≪ネメシス≫レーダー/通信手が冬月の命令を各空母に無線で伝える。まず≪ネメシス≫が所属する第二群の空母群から発艦した艦載機が先陣を切る。ヒペリオン駐留艦隊所属のホワイトスカウト級(正規実用型)からも艦載機がその後に続いて次々と発艦していく。ヒペリオン駐留艦隊は旗艦≪ドレッドノート≫と同型艦3隻を始めパスファインダー級パトロール艦とエスコート/フォレスター級護衛艦の防衛軍艦艇とホワイトスカウト/ランサー/パイカー各級のガトランティス鹵獲改装艦の正規実用型で構成される艦隊であり、第99特戦機群第二群と編成が似通っていた為(第二群のは試製型)に同級艦艇が複数いることによる連携の取り易さを考慮し本作戦で艦隊を組む事となったのだ。

 

衛星タイタン正面宙域 

〈エンケラドゥス組〉

第99特戦機群/第一群

旗艦≪マキナ改≫

第二艦橋(CIC)

 

タクロー「(腕時計をチラ見して)時間ね。ダミー射出!艦船型と隕石型両方だ!艦首長(射程)魚雷、第一波斉射!」

 

号令の下、各艦がダミーバルーンを射出し偽の艦と隕石群を周囲に演出させる。艦首に魚雷を装備する艦艇から一斉に長射程型の魚雷が飛び出す。間を置かずして第二斉射目が始まる。

 

タクロー「魚雷第四波斉射後、航空隊第一陣発艦せよ!」

クロンナウア「アイサー!エンケラさんも含む各空母にも伝えまっせ‼︎」

 

魚雷攻撃の第一波がタイタン宙域を警戒していた【デザリアム】艦隊に着弾し警戒及び戦闘態勢が張られる中の続いて第二波が襲う。対応が遅れて艦隊がそしてタイタンの基地に警報が鳴り響き艦隊と基地航空隊が迎撃に動き出す。タクロー達も魚雷の第三、四波に続いて航空隊を発艦させる。その様子を見てエンラドゥス守備隊の尾崎司令も麾下のクラスD軽空母からも同様に航空隊を出させる。作戦の推移は反対側にいる〈ヒペリオン組〉も確認している。

 

〈ヒペリオン組〉

第99特戦機群/第二群

旗艦≪ネメシス≫

 

レーダー/通信手「〈エンケラドゥス組〉、作戦開始しました。タイタン基地と守備艦隊はあちらに釘付けです。」

副長「こちらにはまだ気付いていませんね。」

冬月「その様だが油断は禁物だ。こちらの攻撃が成功か否かに作戦完遂が掛かっていると言っても良いからな。」

 

作戦の推移をメインモニターで確認しながら冬月は副長を宥める。自身の第二群とヒペリオン艦隊合同航空隊がタイタンへ大気圏突入を果たし順調に同基地に向かって飛行している。彼等の働きが作戦の成否を左右する。「上手くやってくれよ...」と冬月自身も内心祈りつつ見守った。




読了ありがとうございます。サーグラスとミヨーズの共闘+サーダの罠です。原作ゲームではサーグラスのみで罠で出て来たのは駆逐艦の無人仕様でしたが、せっかくテンタクルズという無人の兵器が既にいるのでそちらに変えました。あと褐色矮星の爆発もリメイク風にデザリアムハンマーの仕業に変更しました。さりげなく"無限β砲"についても語られましたね。そのまんまだと安直なので"インフィニア・ベータ砲"という名前にしました。
ザフキエルのエピタフシステムが謎の反応を起こしました。時空乱流でも時間断層でもない反応、これは何を意味するのか!デザリアムがこれに反応したことも含めて伏線です!そしてなんとか罠を突破したヤマト達、明らかに誘ってるデザリアム側から次々と繰り出される魔の手を突破して本星へ辿り着けるのか⁉︎
タクロー達はようやく味方に合流する事ができました。『雷王作戦編』以来の登場のエンケラドゥス守備隊と旧作『2』だと彼等に当たるヒペリオン駐留艦隊が夢の共演です。ヒペリオン駐留艦隊司令の名前は声を担当した(クレジットはなかったけど)緒方賢一さんに因んでもじって付けました。ヒペリオン駐留艦隊の旗艦はあのクラスDのネームシップでしかもゲーム版の甲型(火力強化仕様)となっています。具体的に言えば主砲をアンドロメダ級の40.6㎝に換装したものです。模型は製作中なのでそれはまた。
タイタン基地が占領されたので奪還する作戦【タダ作戦】(シンゴジのタバ作戦が元ネタ)が開始されました。四糸乃艦長達440艦隊のメンツは今回はお休みで若干防御に不安が残りますが、果たしてデザリアムの金属資源利用を阻止できるのか?次回をお楽しみに。


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第23話「タイタン奪還作戦! コスモナイトを確保せよ‼︎ 後編」

前回、エンケラドゥスとヒペリオンに駐留する両艦隊と合流しタイタン基地奪還作戦【タダ作戦】に入ったタクロー達と【デザリアム】の罠に誘われるもそれに敢えて挑もうと進む≪ヤマト≫ら【デザリアム本星殴り込み艦隊】それぞれの新たな動向と世界観と設定の嵐に注目してください!それではどうぞ‼︎↓


【ボラー連邦】

ガルマン・ボラー民主共和国(東ガルマン)

国家人民航宙軍 第9空間装甲師団

第23偵察連隊 第9防空指揮管理中隊

旗艦:ミズグーン級重航宙母巡洋艦

≪ハイルタ・ホッフルマン≫

艦橋

 

艦長「ったく、ボラー本国の連中は人使いが荒いな。我々を薄暗いしかもこんな辺境の宙域を偵察しろだなんてな。」

 

ぶすっとした顔を頬杖付きながらボヤく東ガルマン戦闘空母の艦長。ガミラスによるガルマン星の解放を良しとせず、「あくまでもボラー側」であると主張した人々が集い成立した別のガルマン人国家、それが【ガルマン・ボラー】である。その国家人民航宙軍の艦隊が今どこを航行しているのかと言うと≪ヤマト ≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】が絶賛【デザリアム】の本星を捜索中で彼らの領域である二重銀河の白色銀河だ。

 

副長「致し方ありませんよ。本国は今、アガータ侵攻と対ガルガミ戦線それに【マゾーン】と【アルフォート】の方にも注力したいとの方針です。」

艦長「あぁ、あの※プラントリアン(※植物型人型生命体である双方の総称並びに蔑称)共のいざこざに本国が首を突っ込んで三つ巴らしいな。【アガータ】の方は反ボラー政権が出来て親ボラー政権側が親分に泣きついたってあれか?本国の兵隊は気の毒だよな。すぐ帰れると思ったのに5年経っても終わりが見えないんだから。」

副長「未確認の情報ですが、裏で【チュシン人民共和国】と手を組んだ【ゼニー合衆国】が反ボラー政権ゲリラに軍事支援をしてるとのことです。」

艦長「ヴェルトム戦役の時までは本国さん(ボラー)仲良かったのにな、領土問題で揉めた後にまさか冷戦の相手側に鞍替えとはな。」

副長「それを言うなら我らの母星であった【ガルマン】もです。」

 

故郷の名を聞いた時、艦長そして艦橋クルーも副長の顔を見て黙り込む。「すみません...」と謝罪する副長に「いいさ」すぐ返す艦長と振り向きなおして仕事に戻る艦橋クルー。

 

艦長「突然『自分達の起源の星だから譲ってください』だの言って武力押し掛けて勢いで建国した国家だ。うちらもそうだが、本国さんは堪らんだろうよ。」

副長「そして外縁は我々衛星国が警戒の小間使い...嫌な話です。まぁ、私の場合は家族がバラバラにされなくて良かったのが幸いですね。」

艦長「それは私もだ。だが、そうじゃなかった奴もいる。」

レーダー手「艦長。」

艦長「どうした?」

レーダー手「左舷前方に惑星を確認、表面全体の組成は金属で構成された変わった星ですね。」

通信手「しかも今まで見た事のない波長の電波を複数発しています。」

艦長「変な星から見た事ない波長の電波だと?」

通信手「はい。様々ですよ様々...。」

レーダー「あっ!右舷前方にワープアウト!艦隊が出てきます‼︎」

艦長「なに⁉︎」

 

【ガルマン・ボラー】艦隊が探知したワープアウト反応は≪ヤマト ≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】だった。

 

総旗艦≪ヤマト ≫

第1艦橋

 

島「ワープ終了。」

古代「林、後続の艦隊は?」

林「ちゃんと着いて来てます。」

西条「ッ!前方に惑星と...ッ⁉︎艦隊もいます!」

古代「【デザリアム】か?」

西条「いえ...これは【ボラー連邦】の艦隊です!」

古代「なにッ⁉︎」

 

≪ヤマト ≫等本隊より前方

早期警戒艦≪ラジエル≫

第1艦橋

 

本城「ボラーはボラーでも衛星国の艦だね〜。」

E.R.I.K.A「えぇ、舷側の国章からして【ガルマン・ボラー】...こんなところで意外なお客さんね。」

 

本隊の方、ガルガミ第27空母打撃群

旗艦≪ランベア改≫

艦橋

 

バーガー「確かなのか⁉︎」

通信手「≪ラジエル≫からの情報です。間違いありません!」

バーガー「同胞さんかよ...。」

 

≪ヤマト ≫

第1艦橋

 

土門「なんでこんな宙域にボラーのしかも衛星国の艦隊が...?」

古代「ここも彼等の領域なのか?いや、向こうもここに何か用なのか?」

 

思わぬ相手に出会して様々な思惑を各々浮かべる【デザリアム本星殴り込み艦隊】の面々と【ガルマン・ボラー】第9防空指揮管理中隊。互いに様子を見る様にしばし沈黙した。攻撃するか否かを互いが迷っている間に事は起きた。

 

≪ヤマト ≫

第1艦橋

 

ジッ...ジジッ!...ジッ!

市川「ッ⁉︎...何...これ...?」

古代「どうした⁉︎」

市川「見た事も聞いた事もない電波とノイズが!」

古代「なにっ⁉︎」

西条「ッ!レーダー!突然ブラックアウト‼︎」

 

市川が通信の異常を報告した矢先、西条もレーダーの異常を訴える。そして突然警報がピロピロピロプウィーン!と鳴り響く。

 

古代「なんだ⁉︎」

新見「本艦の予備コンピュータがハッキングを受けています!侵入者不明‼︎」

古代「なんだって⁉︎」

 

≪ラジエル≫

第1艦橋

 

本城「≪ヤマト ≫にハッキング⁉︎」

通信手「≪ヤマト ≫だけではありません!≪シュンラン≫と≪ザフキエル≫もです‼︎相当強力な物だそうです!人間技じゃないとのこと‼︎」

本城「エリカたん!」

E.R.I.K.A「逆探やってるわよ!この近くよ‼︎...!あの惑星から出てるわ‼︎」

本城「えっ⁉︎あの前の惑星から...⁉︎」

 

マディノ級ウラリア式機械化電子諜報自動惑星≪マディノアルパⅡ≫

 

≪マディノアルパⅡ≫中枢AI「・・・・・、・・・・!」

 

≪ラジエル≫付きの高度演算AIシステムのE.R.I.K.Aの出した答えに驚く本城。そう≪ヤマト ≫と≪シュンラン≫そして≪ザフキエル≫を絶賛ハッキング攻撃を仕掛けているのは【デザリアム本星殴り込み艦隊】と【ガルマン・ボラー】艦隊それぞれの目の前にある惑星。それはただの惑星ではない。【デザリアム】の有するAI搭載のハッキング惑星≪マディノアルパⅡ≫だ。

 

≪シュンラン≫

第1艦橋

 

山南「サブ配線を主要端末から切り離せ!戦略指揮システムを守るんだ‼︎」

〔M.E.T.I.S/Ⅱ〕担当官「は、はい!」

レーダー/通信手「艦長!【ガルマン・ボラー】の艦隊が!」

山南「んっ⁉︎」

 

肝心の戦闘システムをジャックされまいと≪シュンラン≫の指揮を執る山南にレーダー/通信手が指を指した方を見やると同じくハッキングを受けているのか隊列が乱れ始める【ガルマン・ボラー】艦隊の姿があった。

 

重航宙母巡洋艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫

艦橋 

 

艦長「早く回線を切れ!」

通信手「ダメです!完全に掌握されました‼︎」

レーダー手「レーダー切れました!」

機関長「エンジン出力低下!」

戦術士官「火器管制及び戦闘システム沈黙‼︎」

副長「予備動力は⁉︎」

機関長「立ち上がりません!補助もやられました‼︎」

艦長『(デスクをバンッ!)クッソ!ボラー製の貧弱機器が‼︎」

 

冷戦で敵対するゼニー合衆国に比べて簡素で時に粗製乱造さと立ち上がりの遅さ、電子戦能力の低さがここで響いている。「本国仕様」はともかく彼ら【ガルマン・ボラー】を含む「衛星国仕様」の内、所謂(いわゆる)「供与/ライセンス生産型」は本国仕様とほぼ同じなので少しはマシだがもう一つの仕様である「モンキーモデル」と呼ばれる他国輸出向けのスペックダウンモデルは質は言うまでもなく最悪であるそうだ。これはボラー本国の衛星国支配の為の措置などの理由があるが今は余談なのでまたの機会に話そう。とにかく電子機器がアジャパーで艦を動かすこともままならなくなってしまっているのが今現在の【ガルマン・ボラー】艦隊の様相である。そんな中、紅い一筋の光が襲った。「なんだ⁉︎」と驚く≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長。方向は≪マディノアルパⅡ≫、そこに係留する狙撃戦艦からだった。

 

第XXⅨ狙撃大隊

旗艦≪ザーネグルズ≫

艦橋 

 

ファグリフォ「第Ⅲ、Ⅳ中隊は溺れた奴等(【ガルマン・ボラー】艦隊)を!私ら第Ⅰと第Ⅱは≪ヤマト ≫をやるよ‼︎」

 

前にシリウス宙域でルーギラとクーギラ率いる第XXⅣ師団と共に防衛軍第7艦隊とその救援に来た第99特戦機群+第440艦隊と戦ったファグリフォ率いる第XXⅨ狙撃大隊はあの戦いの後【デザリアム】本国に呼び戻され、部隊の再編を行ったのち、ここ≪マディノアルパⅡ≫でサーダの立案した作戦に参加することとなったのだ。

 

ファグリフォ「へぇ、あれが≪ヤマト ≫か...ミヨーズとサーグラスがご執心な理由を確かめさせていただこうかね!」

 

ファグリフォ座乗の旗艦≪ザーネグルズ≫等、麾下の第Ⅰ/Ⅱ中隊の狙撃戦艦は照準を≪ヤマト ≫と率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】に合わせ一斉に狙撃し始める。≪ヤマト ≫以下ジャミングを受けた艦以外は回避行動に入る。≪ヤマト ≫、≪シュンラン≫、≪ザフキエル≫はジャミングの影響でまともに動けないどころそれどころではない。

 

≪ヤマト ≫艦橋

 

古代「島!」

島「クッソ!まともに動かさせてもくれないか‼︎」

市川「ッ!これは⁉︎」

古代「どうした市川⁉︎」

市川「≪ラジエル≫から何かのデータが!」

新見「これは...アンチ・ハック・プログラム...?」

ピピーッ!×2(通信の電子音)

市川「ッ!≪ラジエル≫と≪アマクサ≫それと≪ランベア改≫からです!繋ぎます‼︎」

 

『映像通信』by≪ラジエル≫&≪アマクサ≫&≪ランベア改≫

 

本城『古代艦長!今そっちにハッキング対策のプログラムを送った!同じ物を≪シュンラン≫と≪ザフキエル≫にもやったよ‼︎これで少しは持つ筈‼︎』

 

霧下『≪ヤマト ≫に代わり指揮は我々≪アマクサ≫が執ります!≪アスカ≫と≪ヒュウガ≫は既にそちらの援護に回しました!こちらはお任せを‼︎」

 

バーガー『少し休んでな!あとは俺達がやってやる‼︎』

 

古代「感謝します!」

 

3人は映像通信を切り、≪ラジエル≫はハッキング対策の補助を行い≪アマクサ≫と≪ランベア改≫は動ける艦艇を集め≪マディノアルパⅡ≫に向かう。

 

第65護衛機動群/副旗艦

≪アマクサ≫

第1艦橋

 

霧下「本艦は波動砲発射態勢に入る!僚艦は本艦の援護を!各空母は≪イセ≫と≪ランベア改≫の指揮の下、敵狙撃戦艦の陽動を頼む‼︎」

 

同所属/クラスD改軽空母≪イセ≫

第1艦橋

 

艦長:松田智秋(まつだ ちあき)「了解!回避運動始めつつ航空隊発艦始め‼︎」

 

ガルガミ 第27空母打撃群/旗艦

≪ランベア改≫

艦橋

 

バーガー「おっしゃあ!で、ガルボラさんの方はどうすんだ⁉︎」

 

≪アマクサ≫

霧下「向こうもハッキングのせいで我々に構うどころじゃないでしょうから今は無視して良いでしょう。それに、同胞は撃ちたくないのでは?バーガー艦長?」

 

≪ランベア改≫

 

バーガー「... ...あぁ、その言葉が聞けて良かったぜ。よぉし!それじゃあ始めるぜ‼︎」

 

そう打ち合わせを終えると二艦は各々の行動に移りこの状況を打破すべく動くのだった。

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衛星エンケラドゥス/乾ドック

第440独立機動防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫

第2艦橋(CIC:戦闘情報センター)

よしのり「おぉ!おぉ!おぉ!始まったよ四糸乃‼︎」

四糸乃「皆さん、頑張って、そして戻ってきて...ください。」

 

同じ頃、土星の衛星タイタンで同衛星攻略作戦「タダ作戦」を実行中のタクロー達、第99特戦機群/第一群+第2戦略即応機動旅団+エンケラドゥス守備隊の「エンケラドゥス組」と同/第二群+第3波動実験開発隊群+ヒペリオン駐留艦隊の「ヒペリオン組」に別れている。タイタン基地奪還作戦、通称【タダ作戦】の経過を衛星エンケラドゥスで見守るは度重なる波動共鳴導波装置と波動防壁展開ビットの酷使でそれを修理する為の特殊金属"コスモナイト90"の提供を受け乾ドックにいる≪ザドキエル≫の艦長 四糸乃と副長のよしのりだった。本作戦では第440はお留守番だ。見守る事しかできない現状にもどかしさはあるものの成功と艦隊の皆の無事を祈る四糸乃だった。

さて話をタクロー達のいる「エンケラドゥス組」に移そう。「ヒペリオン組」の基地航空攻撃を成功させる為そちらから敵の目を逸らすのを目的とした陽動を行う艦隊だ。だがそう思わせないよう「こっちが本隊だぜ!潰しに来いよベイベェ‼︎」と言わんばかりに攻撃やそれに随する機動は徹底している。≪マキナ改≫所属航空隊<ダーク・ホース>隊の金舟達もそんな徹底した攻撃の只中にいた。

 

金舟「遠慮はしなくて良いってさ皆!このアタシに着いてきな‼︎」

沙織「私(わたくし)達の攻撃の派手さで如何に第二群とヒペリオン艦隊の皆さんの攻撃を誤魔化せるかどうかにかかってますものね!」

米浴「そ、そうだね!<クレイジー・スカル>の皆さん!エスコートよろしくね‼︎」

 

<クレイジー・スカル>隊

 

ロイ「ハッハハ!もちろんよ!お前らダクホー隊の嬢ちゃん達をエスコートしつつ俺達も敵さんにちょっかい掛けるからその気でいろよ‼︎フォーメーションEF-4!行くぞ‼︎」

奨/一条/柿崎「了解!」

 

<ダーク・ホース>の3機のコスモパイソンは<クレイジー・スカル>の4機のコスモタイガーⅡのエスコートを受け派手に敵艦隊を攻撃、撹乱した。

 

作戦宙域ちょい外縁

≪マキナ改≫

第二艦橋(CIC)

 

金田「制空権はこちらが優勢ですね。」

タクロー「はい。こっちに目が入ってるようなら良いんですが...。」

アイク「またいつもの心配性だねタクロー?」

タクロー「すまない、こういう性分だからね(汗)。」

金田「大丈夫、冬月司令ならやってくれますよ。」

タクロー「そ、そうですね。無人艦隊!まだ突っ込めるよ!今回は≪ザドキエル≫達の盾はないからね!攻撃は最大の防御で頼んまっせよ‼︎」

黒異士「了解、私は右をやる2人は左から頼む。」

ミホノラ「はい!強めにやって引き付けます‼︎」

エレン「そのいきよミホ!」

 

いつもの心配性な面を出すタクローを他所に「ヒペリオン組」から発艦した合同航空隊はレーダーに探知されぬよう地表スレスレを飛行していた。

 

第99特戦機群/第二群 ナスカ級鹵獲改装空母≪コリブリ≫

第1攻撃飛行隊[チコリブリ1]

チコリブリ1-1「皆ここまで探知されずに付いてきてるな?」

同1-2「えぇ、この低高度ならどんなに【デザリアム】のレーダーが優秀でも探知できませんからな!それにエリントタイガーの対【デザリアム】用のレーダーステルスプログラムと≪アクエリアス≫からの対レーダー妨害支援があるお陰です‼︎」

 

衛星タイタン宙域/「ヒペリオン組」

第3波動実験開発隊群

旗艦≪アクエリアス≫

第二艦橋(CIC)

 

副長「凄いですね。地表ギリギリの飛行で探知されにくくしてるとはいえ、研究の成果です。」

安玖園「あぁ、タクロー達のこれまで収集して来たデータを地道に解析した甲斐があったね。」

 

第99特戦機群がこれまで【デザリアム】との戦闘での通信記録やレーダー波長、周波数を収集、解析していた。それを基に強力な眼を持つもそれに頼りきりな【デザリアム】への対抗策として攻撃隊発艦前に早期警戒管制機のエリントタイガー複数機に予めプログラムしておいたレーダーステルスプログラムと≪アクエリアス≫のレーダー妨害支援を行っている。これにより今やタイタン基地を掌握している【デザリアム】側から見れば敵編隊を探知はおろか妨害されてることすら気付いていない様な状態になっているのに気付いていないのだ。

 

安玖園「≪アクエリアス≫より≪ネメシス≫、≪ドレッドノート≫へ、攻撃隊は順調に作戦目標へ進行中。敵側はこちらに気付いていない模様。」

 

≪ネメシス≫

第2艦橋(CIC)

 

冬月「了解。オーガスタ司令!」

 

≪ドレッドノート≫

第2艦橋(CIC)

 

オーガスタ「ヨーソロー、攻撃隊の基地攻撃と同時に艦砲射撃を行う。艦隊前進‼︎」

 

「ヒペリオン組」は攻撃隊の攻撃を支援すべく艦隊を前進させる。それと同時に攻撃隊は基地の目の前に来た「来たぞ!皆派手にぶちかませぇいッ‼︎」というチコリブリ1-1の掛け声の元、全機が※ホップアップ(※機体を上昇させること)しすぐに※トップアタック(※真上からの攻撃のこと)の要領で真上から迫る。タイタン基地を牛耳る【デザリアム】側は突然の奇襲に驚く。基地司令室は「なぜレーダーに映らなかったんだ⁉︎」「迎撃を早く!」「もう目の前だぞ間に合わない‼︎」とてんやわんやのワニワニ(おもちゃ)でもフルメタル(ラノベ)でもないパニパニパニック(ス○ムクラブ)!状態に陥ってる間に攻撃隊の主力であるストライクタイガー全機が搭載する対地ミサイル/航空爆弾(レーザー誘導爆弾を含む)を一斉に落としまくる。瞬く間に基地と防空設備その他諸々をボンバカボンボンボンスカバカテンポ!と業火に包まれる。それは大気圏外の宇宙からでも確認できるほどの見事な大文字焼きじゃなかった焼け野原ひ○しが見える。それを横目に単縦陣を取りながら接近して砲を基地に向ける≪ネメシス≫率いる「ヒペリオン組」の艦隊。冬月の「各戦艦クラスは軌道砲撃開始、順次撃ちー方はじめ‼︎」の号令の下、所属の戦艦クラスがヒペリオン艦隊旗艦の≪ドレッドノート≫も座乗指揮のオーガスタの号令の下に麾下のクラスDが軌道砲撃を加え攻撃隊が撃ち漏らした目標を掃討して行く。固定砲台やレーダー施設、飛行場、艦船を係留するドックとありとあらゆる物が人工の業火の中に消える。

 

「エンケラドゥス組」

第99特戦機群 旗艦≪マキナ改≫

第2艦橋(CIC)

 

栗梶「≪ネメシス≫より入電、「奇襲成功、基地の無力化を確認』とのこと!艦隊は混乱してるらしく通信がオープンになってハッキリ聞こえますよ‼︎」

タクロー「よし!全艦さらに攻勢強めぇ!敵をこの宙域から追っ払う‼︎尾崎司令‼︎」

 

エンケラドゥス守備隊

旗艦/DBB-24≪えぞ≫

第1艦橋

 

尾崎「尾崎了解、よぉし!畳み掛けるぞ‼︎≪マキナ改≫達に続けぇ‼︎」

 

基地の無力化の報せを受け、タクローは艦隊の攻撃を強めるよう指示し混乱する【デザリアム】艦隊を情け容赦なく襲った。混乱する【デザリアム】は態勢を立て直そうとするも基地の攻撃を終え背後に迫って来た「ヒペリオン組」に挟み撃ちにされる。その中でもまだ射程ギリギリの長距離の射撃にも関わらず一際命中弾を叩き出していたのはヒペリオン駐留艦隊旗艦の≪ドレッドノート≫だった。栄えあるドレッドノート級のネームシップがガトランティス戦役を生き残った後に施された「甲型/type-A」の改装。つまり主砲をアンドロメダ級と同じ40.6㎝に換装し戦役を生き残った熟練の乗員によるものだからこそなせる業であった。

 

主力戦艦≪ドレッドノート≫

第2艦橋(CIC)

 

戦術/砲術長「命中!※フリスビガーtype-A(※プレアデス級の防衛軍識別表記、タクローが命名、形状がフリスビーみたいだから大きい(ビッグ)から)と撃破!」

オーガスタ「良い腕だ!続いて※フリスベビーtype-A(※ヒアデス級の識別表記、子供みたく小さい(ベビー)だから)に照準!」

 

≪ネメシス≫

第2艦橋(CIC)

 

副長「やりますねこの距離から。」

冬月「我々も倣うとしよう。砲撃、慎重に必中でやれ!」

戦術/砲術「了!」

 

第99特戦機群/二群旗艦≪ネメシス≫と僚艦もヒペリオンの≪ドレッドノート≫に倣って長距離精密砲撃を実施し遅れて命中弾を叩き出す。基地を破壊され挟み撃ちにされこのままでは殲滅全滅ゲームオーバー!ビ○リもうダメ...なんつって!テヘッ!(出典:ビ○リボン)なんて言ってる場合ではない様な現実にそうなりそうな状況になった【デザリアム】タイタン基地駐留守備艦隊旗艦のプレアデス級指揮型の艦長は完全に包囲される前の撤退を決断し地球圏内縁の方へ向けワープで撤退した。それを確認したタクローは全艦に撃ち方を止めさせ且つ追撃もしない様命じるのだった。こうして「タダ作戦」は成功を収め、タイタン基地は見事に奪還されたのだった。

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早期警戒管制艦≪ラジエル≫

第2艦橋(CIC)

 

本城「エリカたん⁉︎」

E.R.I.K.A「さっき≪アマクサ≫にデータに送ったわよ!」

本城「オッケー!後は頼んだよキリリンズ‼︎」

 

クラスD改級軽空母≪イセ≫

第1艦橋

 

松田「航空隊全機!まもなく波動砲が発射させる!射線上から離れろ‼︎操舵!こちらも回避だ!敵の攻撃を避けるのが得意な本艦だが、波動砲はそうは行かないぞ‼︎」

操舵手「ヨーソロー!」

 

≪アマクサ≫

第1艦橋

 

レーダー/通信手「≪ラジエル≫から敵惑星中心部の座標データ...来ました‼︎≪イセ≫及び空母と随伴護衛艦艇群の退避を確認!」

戦術/砲術長「波動砲、モード収束、発射まで5...4...3...2...1...」

霧下「発射ァーッ‼︎」

 

≪アマクサ≫艦長の霧下の命で≪アマクサ≫を始め第7艦隊所属の同型乙型である≪リヴェンジ≫、≪ヴァンガード≫、クラスD改級乙型≪アイル・オブ・スカイ≫、≪レナウン≫の計5隻から放たれる強烈な一筋の青い閃光が【デザリアム】が誇る(?)機械化諜報惑星≪マディノアルパⅡ≫へ≪ラジエル≫からのデータを受け波動砲の光は機械まみれの惑星の中枢に一直線へと向かって行く。直撃を受けた星の中心核は強烈な「※なんの光ィィィィーッ⁉︎(※出典『ガンダムZZ』)を発した後、中心から亀裂と同時に連鎖爆発が起き惑星表面で狙撃を行っていたファグリフォ率いる【デザリアム】第XXⅨ狙撃大隊の面々は断末魔を上げる間も無く光に呑まれ消滅する。≪マディノアルパⅡ≫を制御するシステムも星の破壊と同時に機能を停止した為、ハッキングを受けていた≪ヤマト≫、≪シュンラン≫、≪ザフキエル≫そして【ガルマン・ボラー】の艦隊は制御を取り戻し態勢を整える。≪マディノアルパⅡ≫は亀裂が広がりバラバラでメラメラと燃え盛りながら崩壊しながら全体的に発光が満遍なく広がった次の瞬間爆発し消滅してしまうのだった。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

土門「や、やったぁ!」

仁科『やりましたぜ艦長!」

古代「波動砲を使ったとはいえ、星の制御系を司る中心核だけを撃ち抜いただけなのに...。」

 

土門と仁科が喜ぶ中、古代は「おかしいな?星全体が吹っ飛ぶす様な攻撃はしてないはず」と不思議がる。それは≪アマクサ≫らと≪ラジエル≫もそうだった。

 

≪アマクサ≫

第1艦橋  

 

霧下『本城艦長、これは一体...?」

 

≪ラジエル≫

第1艦橋

 

本城「おっかしいな〜、計算では星の機能を停止させるだけのつもりだったのに木っ端微塵に吹っ飛ばしちゃったよ〜(汗)」

E.R.I.K.A「敵の強力なエネルギーシールドを考慮して5隻分の波動砲と余裕を持たせはしたけど...予測情報処理特化型AIたるこの私が計算を誤ったっていうの...?」

 

皆が驚愕して言葉も出なくなった中、≪ヤマト≫のメインモニターに≪ヒュウガ≫の真田艦長が映し出される。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「真田さん?」

 

『≪ヒュウガ≫からの通信』

真田『これは推測だが、暗黒星雲の深部宙域に入っているせいで物質の反応自体が変化しているのかもしれない。』

 

 

古代「反応が...ですか?」

 

真田『例えば、テレサの住むテレザート星にあり【ガトランティス】がそれを採取、利用していた"反物質"を覚えているか?

我々の世界を構成する常物質(じょうぶっしつ)とその対極に位置する反物質が接触すると"対消滅"と呼ばれる現象が起き莫大なエネルギーを放出する。

そして今回の場合、波動エネルギーが常物質で暗黒星雲この二重銀河や【デザリアム】が用いる暗黒物質をだとしよう。」

 

古代「なるほど、それなら2年前の≪ゴルバ≫が波動掘削弾1発であれほどの被害を受けたのも納得ですね。」

林「だとすると、敵のあのエネルギーシールドさえ破ってしまえば波動砲や衝撃砲(ショックカノン)は敵に効果抜群どころか無敵になるってことですか⁉︎」

仁科「おぉそりゃすげぇや!」

 

真田「いや、メリットばかりで済む話ではないんだ。暗黒物質の密度がここよりも濃い宙域はこれから先にいくらでもあると予想される。そこでもまた今回の様な波動エネルギーの過剰反応が起こりうる可能性は非常に高い。

"対消滅"とまではいかずそれに近い反応、仮に"波動融合反応"とでも呼ぼう。それほどのいやそれ以上の反応を示すとどうなってしまうか予測ができん。下手をすると波動砲を使用した我々も巻き込まれ、いやこの二重銀河全体がどうなってしまうか...。』

 

【デザリアム】に対抗できる有効な手段を見つけた良い話だと思いきや状況を考えず使用を誤れば自分達はおろか宇宙規模でヤバいかもしれないというのを危機喜びの表情から一点、引き締まった顔に戻る≪ヤマト≫クルーだった。

 

古代「なるほど、分かりました。この件はまた考えましょう。とりあえず艦隊の状況の確認を、それと...【ガルマン・ボラー】の艦隊に通信を...。」

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その頃、「タダ作戦」を無事に終えたタクロー達は奪還した衛星タイタンにいた。空母や補給艦は基地の無傷のドックに降り立ち武器に弾薬に食糧、コスモナイトを始めとする戦略物質をありったけ掻き集め積み込ませていた。今回の作戦はお留守だった≪ザドキエル≫ら第440艦隊の面々も合流し艦艇の修理や補給品の融通、負傷者の手当てもし束の間の休息を取る者はそれを取っていた。しかしタクローにはまだ休む間もなかった、冬月、四糸乃、安玖園、ヴェロニカ、尾崎、オーガスタの6人の各艦隊の司令のホログラム映像と共に中央作戦室で艦隊の状況確認と次の木星宙域での作戦会議を行なっているからだ。2人は基地を離れタクロー達の艦隊に同行する事を決めたのだ。こうして会議している最中、基地を利用されない様に機密は処分、周りを対【デザリアム】用に開発した波動機雷(【デザリアム】が苦手な波動エネルギーを込めた多感応式機雷)で固めている。

 

≪マキナ改≫中央作戦室

 

タクロー「艦隊の修理と補給は済んだ四糸乃艦長?」

四糸乃「は、はい...次回からの作戦から参加でき...ます。」

タクロー「そうか、なら良かった。」

ヴェロニカ「やっぱヨッシー達の防御陣ないとキッツイからさぁ〜居てくれるとほんと助かるんだよね。木星での戦いも頼むぜヨッシー!」

 

【タダ作戦】では留守番だった四糸乃艦長ら440艦隊の面々の作戦復帰に喜ぶヴェロニカは満面の笑みに対し四糸乃艦長は照れ隠しで顔を隠す。

 

尾崎「木星は近場だが我々は基地から動けなかった故、すまないが情報があまりない。」

冬月「既に我が艦隊麾下の哨戒艦及び無人ピケット艦が先行して本星とそれ以外のガニメデ、カリスト、エウロパ、イオの衛星群の情報収集に当たっています。」

安玖園「【デザリアム】が資源採掘を目的としている場合、戦力は木星か資源開発基地があるガニメデのどちらかか或いは両方に点在している可能性がある。」

オーガスタ「ガニメデの方はエンケラドゥスやタイタンと同じく金属資源だが、木星本星では"ジュピロンガス"が採れます。」

タクロー「"ジュピロンガス"...【ガミラス】名※"ズピロンガス(※木星の【ガミラス】側呼称である「ズピスト」に由来)"は一般家庭の冷暖房の燃料や波動機関の冷却剤として効率的な気体でしたね...元は旧【ガミラス】が地球-ガミラス戦争時に木星を占領していた際に見つけた物らしいですが...。ッ!安玖園艦長、この基地にあった【デザリアム】のライフル銃って確か‼︎」

安玖園「あぁ、高出力のレーザーライフルだ。"ジュピロンガス"はレーザー銃の導電材や出力増強剤としても使われるな。旧【ガミラス】でもここで採掘し利用していたという記録がある。もし【デザリアム】も利用しているとすれば...。」

タクロー「木星を失えば地球の占領軍は銃を撃てず、寒さを凌ぐこともできずでまともに戦えなくなるということだね...。ますます抑えておかなきゃいけないな木星は...。」

 

敵の重要な戦略物質を使えなくさせる事ができれば地球の奪還にまた一歩近づくと思い、情報収集を続けながら奪還作戦を練るべく話し合いはまだ少し続いた。終わってしばらく経った後、タイタン基地の地下ドックに赴いていた。

 

ミホノラ「艦長。」

タクロー「おぉ、大尉。そっちはどう?」

ミホノラ『はい、鹵獲した【デザリアム】艦の無人化作業は順調です。廃艦になった我が艦隊の無人艦の制御系を流用した分、早く済みそうです。」

 

敵が慌てて撤退して行った為か、先程の会議に出てきたレーザーライフルを始め地下ドックではプレアデス級やヒアデス級が鎮座したまま放棄されていた。ミホノラは艦長の命によりこれらを鹵獲運用できるように言われ無人化改造を先輩のエレンや黒異士そして手邦と共に行っていたのだった。2人が話してる中、手邦が小走りでやって来る。

 

手邦「艦長、デザ艦のデータバンクを漁ってたらこんなものが...。」

タクロー「ん〜?なになに?」

 

手邦は手元の情報端末のページを開き、艦長に手渡す。

 

手邦「詳しい解析はこれからですが、恐らくは【デザリアム】の暗号表の類(たぐい)かと...。」

タクロー「そうか、敵さんサンタクロース顔負けの慌てん坊ぶりだなこんな大事な物を消去し忘れるなんて。トナカイもドン引きだ。」

 

タクローはニヤニヤが止まらなかった。それを見て「あぁ〜まぁ〜た悪巧みしてるよこの人〜(汗)」と思う2人は苦笑いだ。

 

タクロー「っし!コイツも利用できそうだな。2人ともしっかり仕上げてください。特に大尉、君も含む無人艦管制官達の腕が試される。しっかりやって欲しい。」

ミホノラ「はっ!」

 

敵の暗号表を使って次の木星攻略作戦に一捻りできる事を確信したタクローは2人を鼓舞し、特にこれまで2年間で大きな成長を見せたミホノラに期待の声を掛けミホノラは元気よく返事を返した。

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≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】と【ボラー連邦】ガルマン・ボラー 第9空間装甲師団 第9防空指揮管理中隊は互いの艦隊の状況確認と整理を終え正面を向き合っていた。≪ヤマト≫艦長 古代は通信長の市川に「ガルマン・ボラー艦隊旗艦との回線を開け」と命じメインパネルに旗艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長が映し出される。 

 

≪ヤマト≫第1艦橋

 

『映像通信』by≪ハイルタ・ホッフルマン≫

 

≪ホッフルマン≫艦長「【ボラー連邦】衛星加盟国 ガルマン・ボラー民主共和国 第9空間装甲師団 第9防空指揮管理中隊 旗艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長です。」

 

古代「【地球連邦】防衛軍 宇宙戦艦≪ヤマト≫、艦長の古代です。」

 

≪ホッフルマン≫艦長『古代艦長、貴艦と麾下の艦隊のお陰で我が艦隊も助かった事をまず御礼を言いたい。』

 

古代「いえ、あの状況ではお互い様です。」

 

≪ホッフルマン≫艦長『で、これからの事なのだがどうする?我々と一戦交えるおつもりか?」

 

決して挑発した訳ではなく尋ねる様に「これから我々と戦うのか否か?」を聞かれた事に「むっ」とした顔になる古代と≪ヤマト≫クルーと通信を聞いている艦隊の皆、特にバーガー率いる【ガルマン・ガミラス】第27空母打撃群。

 

≪ホッフルマン≫艦長『知っての通り我が衛星国を統治する大国【ボラー連邦】は貴艦の属する【地球連邦】と同盟を結ぶ【ガルマン・ガミラス】と戦争状態にあり貴艦にとっても我々は敵という事になる。先程の【デザリアム】との戦闘が集結した今、貴艦と艦隊が相対するは当然ではないかな?』

 

≪ホッフルマン≫艦長の言う通りだった。先程まである意味では共通の敵であった【デザリアム】を一掃する事ができた今、【ガルマン・ボラー】艦隊と対峙するのは【地球連邦】と【ガルマン・ガミラス】の関係からすれば極めて自然の事だからだ。

 

古代「仰りたい事は理解しています。しかし我々【地球連邦】は【ガルマン・ガミラス】と同盟関係にはありますが、【ボラー連邦】との戦争にはあくまで同盟国【ガルマン】への援助のみであり直接的な対峙は望みません。

自分は政治家ではない一介の艦長ですから、こんな事を言うのはおかしいかも知れませんが...。」

 

≪ホッフルマン≫艦長『というと?』

 

古代「我々と共に対【デザリアム】戦の共闘を提案、希望します!」

 

雪、真田、山南、バーガー、刻崎、本城らが古代の提案を聞いていた【デザリアム本星殴り込み艦隊】全艦艇の艦長クラスや艦橋クルーの皆が驚愕する。それは提案を聞いた≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長も同じだった。

 

≪ホッフルマン≫艦長『ほぉ、一介の艦長にしてはなんとも政治家の様な提案ですな?』

 

古代「この先も【デザリアム】が待ち受けてるのは間違いありません。ならば、ここは協力といきませんか?」

 

≪ホッフルマン≫艦長『... ...少し部下と話す時間を頂けるかな?古代艦長。』

 

古代「返事をお待ちしております。」

 

≪ホッフルマン≫艦長が少し頷いて映像通信を切る。

 

重航宙母巡洋艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫

艦橋

 

副長「艦長、まさか先の提案、やぶさかなのではありますま...」

艦長「副長、我々の任務はなんだった?」

副長「え?は、それはこの二重銀河の偵察ですが...。」

艦長「先程の【デザリアム】との戦闘で分かっただろう。奴らは強力だ。今後ともあれ以上の相手が現れた時、任務も果たせず帰還したり力尽きたりでもすれば我々【ガルマン・ボラー】の立場も少し危うくなろう。」

副長「... ...。」

 

一方の≪ヤマト≫でも雪、真田、山南、バーガー、刻崎、本条の6人の艦隊メンバーがメインパネルを六分割して古代と話をしていた。

 

『映像通信』

 

雪『先程の提案は本気ですか古代艦長⁉︎』

バーガー『全くだ急過ぎるぜ‼︎』

 

古代「先の戦いで【デザリアム】にとって我々だけでなく【ボラー連邦】も敵だと言うことが分かりました。」

 

刻崎『"敵の敵は味方"の論理ですの?ふふふ、まさか本当にやる方がいるなんて思いませんでしたわ。やれやれ、また貴方の悪い癖が出ましたわね。』

山南『いやはやなんとも、君らしい大胆ぶりだ...が、そう割り切れないのが世の常ではないかな古代艦長?』

 

古代「... ...。」

 

真田『いや、可能性は低くとも完全にない線とは言い切れないかもしれませんよ御二方。』

 

6人の内、雪とバーガーそれに刻崎と山南の4人は否定的且つ懐疑的な意見を言った所に真田が待ったをかける。

 

古代「真田さん...。」

 

真田『【ボラー連邦】は巨大な星間国家だ。かつての第一次デスラー体制を敷いていた旧【ガミラス】の様に多くの版図を持ち尚且つ様々な宙域で戦線を押し広げているという。しかしその時の【ガミラス】がそうだった様に推測に過ぎないが、それらを広げ過ぎた彼等にとってもこれ以上敵対国を増やす余裕はない可能性も否定できない。最も【ボラー】本国と一(いち)衛星国の内情は異なるかもしれいないがね。』

本城『それに一戦交えるとか言ってたけどあの戦力でこっちに挑むには数が足りてないね。増援を呼ぶにしてもその前に私達が蹴散らせるよ。

もし向こうさんがこの銀河の奥地に用があってこれからもさらに進むってんなら私達と組んでやった方がやりやすいと私とエリカたんは思うな〜。』

真田『とまぁ色々語ってはみたが、正直私もその提案は驚いた。イスカンダルの旅の帰路の「シャンブロウ」の時を思い出す。実に古代らしくて少し安心したよ。』

 

古代「本城艦長...真田さん...!」

 

真田と本城の分析を広げ「久しぶりにいつもの古代を見た気がする」と安堵した様な表情を浮かべる真田に古代もホッとした顔を返す。それを見た刻崎艦長は「ふんっ!ですわ」とムスッとした顔をしている。

 

古代「それにこれはバーガー艦長達の為でもある。」

 

バーガー『俺達の⁉︎』

 

古代「ガミラス人のルーツであるガルマン人、今は陣営が分かれているとはいえ同胞が撃ち合うのは互いに気持ちの良いモノではない筈だ。バーガーも≪ホッフルマン≫の艦長も。」

 

バーガー『そりゃあそうだが...。』

 

古代の言う事も一応一理あるとやや曇り顔がありつつも認めるバーガー。そこに『お待たせした』と≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長が≪ヤマト≫のメインパネルに大きく出て先の6人が更に小さく分割される。

 

古代「艦長、で返答は?」

 

≪ホッフルマン≫艦長『うん、貴官らの提案を...受けようと思う。』

 

まさかのOK牧場の返答に各々「おぉ」「うぇ〜」「マジかよ」「あらあら」と声が漏れる。

 

≪ホッフルマン≫艦長「貴官らの言う通り、我々だけで【デザリアム】に対処して行くのは難しい。それに貴官の艦隊は強力だ、とてもじゃないが相手にはできん...。すぐには我々を信用して貰えないとは思うがしばらくの間だけ一時休戦と共闘と参らせていただこう。』

 

古代「はい!こちらこそよろしくお願いします‼︎」

 

ルドフ・デリケ『あ、そういえば肩書きだけでちゃんとした自己紹介がまだだったな。改めて第9防空指揮管理中隊司令兼重航宙母巡洋艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長のルドフ・デリケ、大佐だ。』

 

古代「はっ!歓迎しますデリケ大佐‼︎(敬礼)」

 

デリケ『(敬礼)』

 

こうして衛星国とはいえまさかの【ボラー連邦】の艦隊も加わり、ここに【デザリアム本星殴り込み艦隊】は【地球連邦】【ガルマン・ガミラス】【ボラー連邦/ガルマン・ボラー(衛星国)】の「三ヶ国臨時同盟艦隊」の様相を呈する大艦隊が誕生したのだった。




読了ありがとうございました。最初はタクロー達から話を始めます。これまでの戦いで【デザリアム】が使用する各種レーダーや電波の固有パターンを収集していたこととそれを更に詳しく解析し尚且つより強力な妨害・支援プログラムに強化した実験艦≪アクエリアス≫の活躍もあって「ヒペリオン組」基地への奇襲は見事成功しました。オーガスタ司令座乗の≪ドレッドノート≫はあの地獄の様なガトランティス戦役を生き残った幸運なクラスDにネームシップです。しかも主砲をアンドロメダ級と同じ40.6㎝に換装し不足していた火力が向上しています。それに乗員達の練度も合わさって長距離砲撃で敵艦を次々と仕留めました。見事です。
さて見事作戦は成功、肝心のコスモナイトを大量に確保できてしばらくはエンジンがトラブった艦が出ても大丈夫ですね。尾崎司令とオーガスタ司令はタクロー達に着いて行くそうでその間基地はお留守になるので機密処分したりいつの間に作ったのやら「波動機雷」なる防御兵器まで作って敷設してしまってますよ(汗)。次の目標は木星、敵のガスの供給を止める?のが目的になるかもです。
さて次は≪ヤマト≫達のターンですね。「ボラー側のガルマン」こと【ガルマン・ボラー】の艦隊の冒頭の話からいきなり冷戦ネタてんこ盛りです。「ベトナム戦争」と「ソ連・アフガン侵攻」がモチーフです。こりゃ冷戦好きにはたまらんでしょ?しかも『ハーロック』の【マゾーン】、『銀鉄』の【アルフォート】の植物型異星人の星間国家の名が出てきましたね。どうやら【ボラー】は両国とも戦ってるようですよ?かつての【ガミラス】みたく絶賛戦線拡大中のご様子。そんなガルボラさんは≪ヤマト≫達と遭遇、一触即発かと思いきやそこには【デザリアム】の機械化惑星からハッキング攻撃されててんやわんや≪アマクサ≫と≪イセ≫(ここで艦長の名前が初めて出しました。モデルは史実の帝国海軍で航空戦艦 伊勢と日向が所属する第4航空戦隊の司令 松田千秋)、≪ラジエル≫そして第7艦隊の主力艦らの活躍により機械化惑星は破壊、そこにいた≪ザーネグルズ≫と艦長のファグリフォさんは残念ながらここで退場です。この機械化惑星の元ネタは『無限軌道SSX』に登場するマイコン惑星で名前はフランスの対ドイツ要塞陣地「マジノ線」と同じマジノ線でも対イタリアの「アルパイン線」を掛け合わせもじった名前にしました。ゲーム版に登場した用語「波動融合反応」はここで出させていただきました。前回のゴルバ型浮遊要塞戦では旧作みたく連鎖爆発消滅していないのでその要素はここで登場という形にしました。えらいこっちゃな現象ですね(汗)。
最後まさかの古代のまさかの提案で衛星国とはいえ【ボラー】も艦隊に加わる事となりました。案の定反対意見が出てしまいますが、すかさず真田さんと本条艦長がフォローに入ります。安心した様な感じで古代を見る真田さんはなんか良いですね。『2202』以降、暗い且つ重圧に負けそうになる姿を間近で見ていて心配な筈ですが『2205』では主に雪がフォローしてたので真田さんが古代を気に掛けるシーンがそういえば無いなと思ってここで書きました。書いたことが伝われば幸いです。
そしてまさかの同盟OKの報せ、なんか「敵の敵が味方になる」っていかにもヤマトでフィクションらしいかな?と思いそうしました。最初から考えてた訳ではなく書いてる内に決まったので最初≪ホッフルマン≫艦長の名前がないのはその為です。因みに≪ホッフルマン≫の艦隊は実在した東ドイツの国家人民軍 第9装甲師団から名前を含め色々モチーフにしています。どんな共闘ぶりを見せるか楽しみですね。ではまた次をお楽しみに、さらば。


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第24話「木星奪還と決闘‼︎」

『3199』のキャラ情報やメカ解説の情報が新たに解禁、『2199』及び『2202』関連のプラモデルの再販決定と大盛り上がりのヤマト界隈。本小説もそれに負けじとパラレルなれど熱量と愛も込めて書いています。それではどうぞ↓


先の宙域で【デザリアム】の機械化諜報惑星≪マディノアルパⅡ≫のハッキング攻撃を退け、新たに【ボラー】の衛星国【ガルマン・ボラー】第9空間装甲師団 第9防空指揮管理中隊が加わった≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】は陣形を整えあれからしばらく航行した後、白色銀河の渦状腕内(かじょうわんない)に入る。

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

旗艦≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「西条、敵のワープアウト予測地点までは?」

西条「約20,000宇宙㎞です。」

 

補給母艦≪アスカ≫

第1艦橋

 

南部「とんだトラブルやお客さんを迎えたりしたが、なんとかここまで来たな。」

雪「でも、まだ敵の逃げ込んだ先に来ただけ...。敵本星に近づいてる様なら良いんだけど...。」

 

軽空母≪ヒュウガ≫

第1艦橋

 

相原義一(あいはら よしかず)/≪ヒュウガ≫船務長「実際どうなんですか艦長?我々は敵の母星に近づいているんでしょうか?」

真田「分からん...だが敵はあれだけの罠を執拗に仕掛けた来たということはここにもそれ相応の罠を張って待ち構えているということだ。レーダー、何か反応は?」

星名 百合亜(ほしなゆりあ)/≪ヒュウガ≫主任レーダー手「残念ですが目当てのG2型スペクトルの恒星は確認できません。矮星(わいせい)が幾つかとサイズの大きいM型スペクトルの星、赤色巨星があるだけです。」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

西条「周囲にアステロイド帯を多数確認。宙域全体に編み目の様に広がっています。濃密な暗黒ガスの反応も同時に探知。」

島「厄介だな...レーダーに映らない部分が多いって事か...。」

新見「それだけではないわ。"波動融合反応"の事もあるから早速この宙域のガスの分析を行うわ。」

古代「お願いし...ぐぉっ⁉︎」

 

話が進む中、突然揺れる≪ヤマト≫と艦内。艦橋クルーや乗員達がよろける。

 

古代「機関長⁉︎」

山崎「機関室⁉︎若狭!どうしたぁ⁉︎」

 

≪ヤマト≫機関室

 

若狭祥司(わかさ しょうじ)/≪ヤマト≫機関科員「今見てます!太助ぇ!どうだぁ⁉︎」

徳川太助(とくがわ たすけ)/同・機関科員「波動エンジンのフィルターが詰まってます!」

栗 哲夫(くり てつお)/同・機関科員「こんな事例初めてだ...マニュアルにもないぞこんな...。」

 

2年前の「サレザー事変」から≪ヤマト≫に乗艦しそれなりに成長を見せた若手機関科員の2人は想定外の事態に困惑していた。一方の艦橋でも早く対処しなければ本艦だけでなく他の艦も同様の事態が起きて航行不能になってしまうと古代がどう対策すべきか悩んでいたところに「古代艦長」と【ガルマン・ボラー】第9空間装甲師団 第9防空指揮管理中隊司令兼旗艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫艦長のルドフ・デリケ大佐が≪ヤマト≫のメインパネルに映し出される。

 

古代「デリケ大佐?」

 

【ガルマン・ボラー】

第9防空指揮管理中隊

旗艦/重航宙母巡洋艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫

第1艦橋

 

デリケ「機関に異常が出たそうだな。このデータを使ってくれ。」

 

と言い≪ホッフルマン≫から送られて来たデータを受け取り新見に解析させる古代。

 

新見「これは...波動エンジンのフィルターと機関出力調整のデータ?」

 

デリケ/『映像通信』by≪ハイルタ・ホッフルマン≫『恐らくこの宙域の濃密な暗黒物質を波動機関が吸い上げ続けたせいでフィルターが詰まったんだ。【ボラー】はこの手の宙域の航行の仕方は慣れていてな。入ったばかりのよそ者が差し出がましい真似をして申し訳ないが、少しでも役立てて欲しい。」

 

古代「は!ありがとうございます大佐。機関長さっそく反映を、新見は下に行って調整を。」

山崎/新見「了解!」

 

第7艦隊

旗艦≪シュンラン≫

艦橋

 

山南「ほぉ、早速良いポーズを取りに来たかガルボラさん...?まぁいい、艦隊全艦にデータ送れ!直ちに対応させろ‼︎」

レーダー/通信手「了解!」

 

【ガルマン・ガミラス】

第27空母打撃群

旗艦≪ランベア改≫

艦橋

 

オペレーター「艦長...。」

バーガー「悔しいが、星間物質の多い空間での航行は【ボラー】のが上だからな。俺達も利用させて貰うか...。」

 

≪ハイルタ・ホッフルマン≫

艦橋

 

副長「よろしかったのですが艦長?」

デリケ「協力すると言った以上はこれくらいの事をしないとな。それに申し出た相手がこんな所で足下がおぼつかないようでは見てるこっちがヒヤヒヤものだ。我々の任務にも差し支える様でもいかんしな。」

 

デリケ大佐からもたらされたデータを反映し≪ヤマト≫を始めとする【デザリアム本星殴り込み艦隊】全艦の動きの乱れが直る。了承してくれたとはいえ衛星国とはいえ【ボラー】は【ボラー】な相手を信用すべきか否かまだ疑う気持ちがある者もまだいる。【ガルマン・ボラー】側のデリケ大佐らも「自身達の任務の為にも」と互いの思惑がある中、艦隊は先を進む。そしてそれを遥か遠くから見つめる者達が居た...。

 

【デザリアム】

帝国近衛軍直轄艦隊【黒師団】/第Ⅱ特務艦隊臨時編成連合艦隊

【黒師団】側

旗艦/戦闘空母≪サーグロンダ≫

 

オペレーターA「警戒中のピケット艦より入電、「≪ヤマト≫を含む艦隊を捕捉、指示を待つ」。」

サーグラス「来たか、よし≪ヤマト≫に電文を打て。」

オペレーターB「は...?今...なんと...?」

サーグラス「聞こえなかったのか⁉︎≪ヤマト≫に通信するのだよ...。」

オペレーターB「しかしそれではこちらの位置を敵に知られてしまいますが...。」

サーグラス「我々が待ち伏せを仕掛けてることくらい≪ヤマト≫とその艦隊は既に推測しておるわ。先の宙域での戦いで≪ヤマト≫とその艦隊がどれ程の力を持った相手なのかを知ることができた...。

そして分かったのだ、"本物の強敵"だ...とな。」

 

【第Ⅱ特務艦隊】側

旗艦/攻勢型戦艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「≪サーグロンダ≫から敵艦隊へ向け通信...※平文(※暗号化していないそのまま素の電文)です!」

ミヨーズ「ふっ、いかにも准将らしいわ。」

オペレーターB「と...仰りますと...?」

ミヨーズ「准将の良い意味でも悪い意味でもある癖(くせ)だ。グロータス准将やサーダ様そして私の様な策略家タイプではなく武人タイプな准将は≪ヤマト≫とその艦隊を強敵と認め正々堂々と戦うつもりでいるということだ。」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

ピピーッ!×2(通信の電子音)

市川「ッ⁉︎艦長、敵艦隊旗艦からと思われる通信文を受信しました!」

古代「何っ⁉︎...読んでくれ。」

市川「はい。「貴艦と艦隊の進撃を我は称賛す。されど貴艦らは我ら同胞の仇(かたき)。これより我が【黒師団】及び【第Ⅱ特務艦隊】は貴艦と艦隊に対し宣戦を布告する」...以上です。」

古代「(わざわざ宣戦布告を告げるために通信を...?どういうことだ...?)」

 

≪アスカ≫

第1艦橋

 

南部「同胞の仇(かたき)だって⁉︎クソッ!...勝手なこと言いやがって!じゃあお前達が殺してった地球の人達はどうだって言うんだよ...‼︎」

雪「南部君、落ち着いて...。」

南部「あ、はい...すみません...つい...。」

 

≪ヒュウガ≫

第1艦橋

 

真田「わざわざ自分達の位置を晒してまで平文で打電してくるとはな...。」

 

≪シュンラン≫

第1艦橋

 

山南「レーダー通信手、敵さんの位置は掴んでるな?」

レーダー/通信手「はっ!≪ラジエル≫と≪ザフキエル≫が抜かりなく取ってました!ちょうど我々の正面、大きなアステロイドベルトの中だそうです。どの警戒艦よりも早いです!神業ですね...‼︎」

山南「艦種は分かるか?」

レーダー/通信手「戦艦...巡洋艦...警戒艦...駆逐艦...空母に...ッ!狙撃戦艦もいます‼︎」

 

≪ランベア改≫

艦橋

 

バーガー「えらく正々堂々な敵さんだな。殴り合いを所望(しょもう)ってか⁉︎」

オペレーターA「ッ!敵、レーダージャミング開始‼︎」

同B「対ジャミング戦開始!」

バーガー「サービスはここまでってか...?上等だぜ‼︎」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

土門「どうします艦長?」

古代「恐らく避けては通れない、いや通らせてくれそうな相手とも思えない。全艦戦闘配置!」

 

≪ハイルタ・ホッフルマン≫

艦橋

 

デリケ「戦闘配置だぞ!ジャミング!対応遅いぞ!なにやってる‼︎」

オペレーターA「申し訳ありません!」

同B「先の機械化惑星よりかはマシですが、やはりボラーさんの艦は電子機器が貧弱で...。」

デリケ「機械のせいにするな!マシならなんとかしてみせろ‼︎」

オペレーターB「りょ、了解!」

 

戦闘配置により各艦隊が一斉にスタンバる中、またもやジャミング攻撃であたふたする乗員を叱責するデリケ大佐の下に今度は≪ヤマト≫の古代から連絡が入る。

 

『映像通信』by≪ヤマト≫

古代『デリケ大佐、レーダー及び通信関連はこちらとリンクさせてください。それと【デザリアム】のジャミング対策のデータも添付します。ご活用を!』

 

デリケ「ッ!すぐに対応させろ‼︎」

オペレーターA「りょ、了解!」

デリケ「感謝する古代艦長。これで貸し借りはなしでよろしいか?」

 

古代『えぇ、ですがこれからは毎度貸し借りの話ではなく互いに助け合って行きたいと思います。』

 

デリケ「ふ、そうですな。それと艦隊の防空は我々の艦隊に任せそちらの航空隊は敵艦隊への攻撃に集中して貰ってはいかがでしょう?防空指揮管理中隊の名に掛けて必ず貴艦隊の上を守り抜いて見せましょうぞ。」

 

古代「ッ⁉︎わ、分かりました。頼みます。全艦に達する。これより我が艦隊は【デザリアム】連合艦隊と交戦に入る!総員戦闘配置‼︎」

 

まさかの申し出に驚きを見せつつ通信を終え古代は≪ヤマト≫の指揮に戻る。相手がどんな手を使って来ても良い様に空母を含む戦闘航空隊持ちは直ちに艦載機を飛ばす。ここに【デザリアム本星殴り込み艦隊】vs【デザリアム】臨時編成連合艦隊の決闘の火蓋が切って落とされたのだった。

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ミホノラ(ナレーション)「木星...太陽系の5番目の惑星で且つ大きさ質量共に最大を誇り地球-ガミラス戦争時は【ガミラス】に占領され「ズピスト」と呼称され地球では≪ヤマト≫がいや地球の艦が初めて波動砲を使用した惑星として知られている。その初めての波動砲の試射の目標となった【ガミラス】の浮遊大陸基地は補給基地だが同時に木星から採れる天然ガスを採取・精製する採掘基地でもありました。今まさに現在進行形で占領中の【デザリアム】もそれを知ってか知りまいか、戦後に地球とガミラスが共同で再建した採掘基地を【デザリアム】が接収しそこで採取した"ジュピロンガス"を地球の占領軍へ向け輸送していた。その基地は現在、先に私達が攻略した土星のタイタン基地の生き残りが合流しているのだが今後の方針について論争になっているのでした。」

 

木星 旧防衛軍ジュピロンガス採取基地

基地司令部

 

基地司令「地球圏を脱し本星へ帰還するだと⁉︎」

 

元タイタン基地所属艦隊の生き残りを臨時に纏めている指揮型プレアデス級の発言に驚く木星ガス採取基地司令。

 

基地司令「そちらが遭遇した敵艦隊は間違いなくここを攻めて来るだろう!鉱物基地を失っただけでなくここまでもが万が一にも堕ちる様な事があればカザン総司令はなんと思うか‼︎」

 

元タイタン基地所属艦隊

プレアデス級指揮型戦艦(臨時旗艦)

艦橋

 

艦長「しかし本星のサーダ様からも帰還するよう命も受けていますし、基地を死守するには我々が加わっても数が足りません。相手は相当の手練れでありましたから...。」

 

基地司令「だとしてもだ!我々の所属はカザン総司令の占領軍だ!私が指揮する以上、従ってもらう‼︎」

 

ここに来てここだけの話か【デザリアム】側の意見が二分(にぶん)していた。「あくまで地球占領軍のカザン総司令の命に従い地球圏に留まろうとする者」が木星ガス採取基地の人達、「聖総統とサーダに従い地球圏を脱し≪ヤマト≫率いる艦隊を迎撃する者」が元タイタン基地所属艦隊の生き残り達だ。

 

プレアデス指揮型艦長「やむをえんな、基地司令や副司令が生き残ってくれていたら話を付けれたかもしれんが...。」

オペレーターA「艦長...。」

プレアデス指揮型艦長「木星基地所属艦が出て来たぞ、艦隊陣形を警戒陣に、共に組むんだぞ?慎重にやれ。」

オペレーターA「了解。」

オペレーターB「艦長、本艦前方に空間跳躍の反応、友軍です。」

プレアデス指揮型艦長「基地の生き残りか...!よく生き残ってくれた...。さっそく通信を入れろ、迎え入れるんだ。」

 

木星基地司令の命を受けやむを得ず共に地球艦隊の警戒の任に就こうとしてた元タイタン基地所属艦隊のプレアデス指揮型の艦長は先の戦いを生き残った友軍が居た事に喜び通信を掛ける。

 

木星圏外縁

第99特戦機群/第一群

≪マキナ改≫

CDC(戦闘指揮センター)

 

クロンナウア「敵さん、通信ONにして来やしたぜ!」

タクロー「大尉、こっからだよ慎重にね。キョウキョウ、エレエレ、フォローしくよろ。」

ミホノラ/黒異士/エレン「りょ、了解!/分かっている/了解ボス。」

タクロー「≪マキナ改≫より≪アクエリアス≫へ、そちらも順調かどうぞ?」

 

第3波動実験群

≪アクエリアス≫

第二艦橋(CIC)

 

安玖園「こちら≪アクエリアス≫、良好だ。超空間遠隔操作システム、【デザリアム】式通信周波数に合わせのコントロールは正常に稼働している。通信内容も通信マニュアルと暗号表を元に送る。」

 

≪マキナ改≫

タクロー「ヨーソロー、良い演技をしくよろね。こちらもその分良いお芝居すんかんね!『I・M(作戦』開始‼︎」

 

なんと元タイタン基地所属艦隊の皆が味方が生き残っていたと喜んでいたのはタクロー達が同基地で無傷で鹵獲し遠隔操作でコントロールできるようにした戦艦のプレアデス級、護衛艦のヒアデス級を始め巡洋艦のタイゲタ級、ピケット艦のプレイオネ級、駆逐艦のケラエノ級の合計13隻の【デザリアム】鹵獲艦隊を使った木星攻略の為の欺瞞作戦『I・M(Impersonating Marionette:なりすましのマリオネット)作戦』が始まったのだ。

 

元タイタン基地所属艦隊

プレアデス級指揮型戦艦

艦橋

 

オペレーターA「1隻が損傷あり、基地に帰投し修理を行いたいとのことです。」

艦長「それ以外の艦はどうだ?」

オペレーターB「健在だそうで、そちらの指示に従うと。」

艦長『よらしい、各警戒ラインに配置させろ。」

オペレーターB「はっ!」

 

【デザリアム】側は何の疑いも抱かず人っ子1人乗っていない"電子仕掛けの操り人形"達はそれぞれの場所に位置すべく動き出す。13隻の内12隻は警戒に就く艦隊に、残る1隻が損傷(に偽装)し木星基地へと向かう。基地は損傷艦のアプローチをすべく準備で慌ただしくなる。損傷しているというタイゲタ級の一隻は艦体は大小様々な傷や弾痕が残り、レーダーは片耳、主砲が一基欠損とざっと見かなりの損傷具合だった。ドック入りを完了し木星基地の修理作業員が直ちに作業に入ろうとする。その時だった。損傷偽装艦木星基地入りを確認したタクローは「今だ!ビリビリ花火ね‼︎」と号令を下し、ミホノラはスイッチを入れる。するとタイゲタ級の内部から青白い光の衝撃が艦体から外へと飛び出していくと瞬く間に基地の照明や機能がダウンし"まっくろくろすけ"となる。

 

木星基地司令「ぐおぉぉぉぁぁッ⁉︎な、なんだこ...これは...‼︎⁉︎」

オペレーターA「い、※EMPです!基地の電気系統が破壊されました‼︎」

(※電磁パルスのこと、高エネルギーの電磁波を放出し過剰電流によって電子機器をショートや誤作動させる)

 

木星基地所属艦

プレイオネ級レーダー・ピケット巡洋艦

艦橋

 

艦長「な、なんだ今のは⁉︎」

オペレーター「EMPです!司令部と繋がりません‼︎」

 

元タイタン基地所属艦隊

臨時旗艦プレアデス級指揮型

艦橋

 

艦長「警戒警報!敵艦隊が来るかもしれん‼︎」

オペレーター「りょ、了解‼︎」

 

その様子は警戒艦隊の皆も確認していた。突如自分達の後ろから青白い電流の光が放たれたのだ。気付かぬわけがない。直ちに敵襲に備え警戒する中、木星基地所属のプレアデス級の一隻に衝撃が走る。

 

木星基地所属艦隊

プレアデス級攻勢型戦艦

艦橋

 

ドドォンッ!(衝撃音)

 

艦長「ごっ⁉︎おい!キサマ何のマネだ⁉︎さては先程の司令の命令が気に食わないことへの腹いせのつもりかッ⁉︎砲手!構わんやっちまえ‼︎」

 

元タイタン基地所属臨時旗艦プレアデス級

艦橋

 

艦長「ち、違う!おい何してる攻撃をやめろ‼︎通信手!やめさせるよう言え‼︎」

オペレーター「それが応答ありません!」

 

それは先程警戒陣に加わったタクロー達お手製の遠隔操作装置を備え付けられた鹵獲【デザリアム】艦からだった。地球側に鹵獲され利用されている事も知らずその内輪揉めは次々と飛び火して激しさを増す。その様子を観測するタクロー達はモニター越しで観戦している。

 

第99特戦機群

≪マキナ改≫

第二艦橋(CDC:戦闘指揮センター)

 

クロンナウア「作戦通り!敵さん内輪揉め始めましたぜ‼︎」

金田「おっと、予想より派手ですね?」

タクロー「えぇ...意外も意外です。」

 

少し混乱させるくらいのつもりが、思いの外(ほか)派手に内輪揉めしてるのに若干困惑しているタクロー。

 

ミホノラ「艦長、、、?」

エレン「敵が混乱してる今が叩く時では?」

タクロー「おっと、よくやった大尉とそうだねエレエレ。キョウキョウ、天伝雷さんとニッカ達の突撃に合わせて無人艦隊を小ワープ。クロロン、エンケラドゥス及びヒペリオン艦隊は後方からバックアップする様に。」

 

それぞれ指示を受けた者が返事を返すと直ちに作戦が一気に動き出す。まだ身体に痺れは残るもようやくEMPが晴れ動けるようになった木星基地は現状の確認に入る。味方は何故か同士討ちをして混乱し、その隙に地球艦隊が次々にワープアウトし味方を次々と蹴散らされて行くサマに呆気に取られ「もはやこの基地もここまでか...」と基地の放棄と撤退を指示し始めた。

 

クロンナウア「ッ!敵基地に動きあり!敵艦隊が出て来ましたッ‼︎」

タクロー「増援?」

クロンナウア「いえ、撤退でっせ!」

タクロー「≪アマテラス≫と≪ヴェム・ハイデルン≫に通達!追わないよう言ってください!それと基地への攻撃も!ガスは欲しいから基地ごと吹っ飛ばさんでよ‼︎」

=======================================

地球/攻略特別編成派遣軍総司令部(旧地球連邦防衛軍総司令部)

 

カザン「なにぃ⁉︎木星基地が堕ちただとぉッ⁉︎」

 

その後、タクロー達が木星宙域の【デザリアム】を敗走に追いやってしばらくして基地陥落の報は地球占領の大任を仰せ使っているも絶賛消耗中のカザン総司令にもたらされていた。

 

オペレーター「は...防衛に当たっていた木星基地及びタイタン基地の生き残りは散り散りとなら敗走し一部は本星に、一部は地球に帰還中とのことです。」

カザン「タイタン基地の鉱物資源だけでなく木星の天然ガスまでも失ったと...これでは新型歩行戦車の増産はおろか、銃すらまともに撃てないだけでなく厳しい冬を越す事もままならなくなるというのか...!

それでいて本星に侵攻中の≪ヤマト≫率いる艦隊迎撃にこちらの戦力をまだ回し続けろと...聖総統は我々に負けろと言っているのか...!?」

 

カザンは益々悪くなる地球占領状況に頭を抱えるどころでは済まない焦りを募らせていた。

 

オペレーター「如何されますか...司令?」

カザン「只今を以て戦線を縮小する旨を現場の兵に伝えよ!どうせもうゴルバは三基しかおらんのだ。重核子爆弾四基は放棄して構わん、直ちに指令せよ‼︎」

オペレーター「はっ‼︎」

=======================================

【デザリアム】黒師団

旗艦:戦闘空母≪サーグロンダ≫

 

オペレーターA「前衛艦隊及びアルファ砲搭載艦≪ダルー≫/≪ルバルカ≫/ドリーネ≫/≪ムールーグ≫立て続けに轟沈!」

オペレーターB「敵波動砲によりアステロイド帯に穴を穿(うが)たれました‼︎」

サーグラス「ぐぅ〜やるなぁ〜≪ヤマト≫艦隊ィィィ〜!」

オペレーターB「ッ!敵艦隊、単縦陣にて急速接近‼︎」

サーグラス「狙撃戦艦戦隊に阻止させろ!航空隊も攻撃の手を緩めるな‼︎」

オペレーターA「ッ!第Ⅱ特務艦隊が動きます‼︎」

サーグラス「なにっ⁉︎ミヨーズがかッ‼︎⁉︎」

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】

総旗艦≪ヤマト≫

第1艦橋

 

山南(≪シュンラン≫からの通信)「古代!アステロイドベルトに波動砲で穴を開けた!これで敵空母艦隊は丸裸だ‼︎」

 

古代「感謝します!島、最大戦速で全艦突入‼︎」

島「ヨーソロー!」

古代「北野!主砲実弾、弾種"MW"‼︎」

北野「了解!」

 

一方、≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】はサーグラス率いる【デザリアム】の精鋭"黒師団"の空母航空隊による爆撃とそれを囮にした狙撃戦艦による超長距離射撃に悩まされつつも【ガルマン・ボラー】のデリケ大佐ら第9防空指揮管理中隊が本領発揮の防空戦闘を見せ、≪ヤマト≫率いる航空隊がa(アルファ)砲搭載艦隊を撃滅しつつサーグラス座乗の戦闘空母≪サーグロンダ≫率いる主力空母機動部隊を宙域中央のアステロイドベルトに潜んでいたのを発見し山南司令の≪シュンラン≫率いる第7艦隊の無人艦隊が宙域のガスが安全なモノと確認が取れた上で波動砲を使用してアステロイド帯に穴を開けることに成功。≪ヤマト≫は最大戦速で艦隊を率い敵空母を叩きに行く。「ところがぎっちょん!」と阻止行動に入る【デザリアム】側に対し≪ヤマト≫は周囲に残ったアステロイドに向けMW(マグネトロン・ウェーブ)を発射し磁力制御された小惑星は艦隊を攻撃から守りながら進んで行く。そんな中、【デザリアム】第Ⅱ特務艦隊のミヨーズが満を侍して≪ヤマト≫艦隊迎撃に動き出してきたのだった。

 

【デザリアム】第Ⅱ特務艦隊

旗艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

ミヨーズ「≪ヤマト≫を迎え撃つ!全艦突撃だ‼︎我が方の戦力を以て全力で≪ヤマト≫の前に立ち塞がれ‼︎」

艦橋全クルー「了解‼︎」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

西条「敵艦隊接近します!」

島「地球圏から着いて来たあの追撃艦隊か!」

古代「アステロイド防御解除!主砲、七式波動カートリッジ弾装填!カートリッジ弾装備艦は陣形をウィング隊形へ移行‼︎」

 

先手を取ったのはミヨーズの艦隊だった。重核子の紅いビームが一斉に≪ヤマト≫艦隊の前面の全面に降り注ぐもアステロイドのカーテンがこれを防ぎそして解除してバラバラに散らばった岩々が接近してくる【デザリアム】艦に次々とぶつかり凹んだり撃沈されたりする。隊列が乱れた所で≪ヤマト≫を含む波動カートリッジ弾装備艦が単縦陣からウィング隊形に移行し雑魚には目もくれずというかカートリッジ弾を持たない艦に対処を任せミヨーズ座乗指揮の≪グレート・ガリアデス≫のみの一点集中攻撃だった。「てーっ‼︎」の古代の号令で全艦一斉に放たれる波動カートリッジの蒼い直線は次々と≪グレート・ガリアデス≫に命中する。しかしミヨーズも負けじと僚艦が次々と撃沈破されようとも撃ち返していく。

 

戦闘空母≪サーグロンダ≫

艦橋

 

オペレーターA「≪グレート・ガリアデス≫、交戦!」

サーグラス「ミヨーズ!」

 

改級攻勢型戦艦≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

オペレーターA「敵実弾攻撃で被害が!ぐおっ‼︎⁉︎」

ミヨーズ「狼狽えるな!まだ負けているわけではない‼︎位相変換装甲、出力最大‼︎」

オペレーターB「これ以上稼働させれば艦が保つかどうか...!」

ミヨーズ「オーバーロードを起こす前に仕留めればよい!キサマらも死にたくなければ早くやらんか‼︎」

オペレーターB「りょ、了解!」

 

その後の≪グレート・ガリアデス≫は驚異的な粘りを見せた。艦体は波動カートリッジ弾でボコボコ、位相変換装甲もとっくに中和されエネルギー弾攻撃でジュワジュワと溶かされての被弾に次ぐ被弾をしたのにも拘らずその姿はまだ現在であった。その頃には僚艦は全て撃沈または大破、被弾による戦線離脱などで第Ⅱ特務艦隊は事実上壊滅状態となり≪ヤマト≫達も勝敗は決したと見たか古代は「撃ち方やめ」を命じていた。

 

戦闘空母≪サーグロンダ≫

艦橋

 

サーグラス「ミヨーズ!なぜだ⁉︎正面きっての戦闘など貴様らしくないことを...!」

 

≪グレート・ガリアデス≫

艦橋

 

ミヨーズ「ふっ...お忘れですか...?戦略や策略を教わったのはグロータス准将からでしたが、艦隊指揮は貴方から教わりました...。これまで≪ヤマト≫とその艦隊を相手に様々な策略を練って挑んで参りましたがその悉(ことごと)くが敗られ、閣下の正々堂々たる態度を見て初心に帰り正面切って戦ってみたくなったのです...あの≪ヤマト≫に...。」

 

サーグラス(『映像通信』)『ミヨーズ...。』

 

ミヨーズ「准将...私の部下と艦隊の残存艦を...よろしく...お願い致します...。」

 

「待て!ミヨーズ‼︎」とサーグラスが言った後、通信を切るミヨーズ。そしてヒビ割れながら僅かながらに映る≪ヤマト≫の姿を見る。

 

ミヨーズ「≪ヤマト≫...実に素晴らしい相手だった...。狩人(かりゅうど)たる私の牙で屠(ほふ)るには相応しい獲物...いや、既に私の方が獲物か...。」

オペレーターA「ミヨーズ司令...。」

オペレーターB「これ以上は艦が...!」

ミヨーズ「爆発までにはまだ間がある。お前達は脱出し、サーグラス准将の指揮下に入れ‼︎」

オペレーターA「ミヨーズ司令...!」

同B「司令はどうされるのですか⁉︎」

ミヨーズ「命令は伝えた筈だ!早く行け‼︎」

艦橋クルー全員「りょ、了解‼︎」

 

もたつく部下に檄(げき)を飛ばし退艦を促すミヨーズ。艦橋クルーはミヨーズに敬礼しその場を後にし始め走り出す。

 

≪ヤマト≫

第2艦橋(CIC)

 

西条「敵旗艦と思われる艦艇から小型艇の反応あり。恐らく脱出艇かと思われる。」

北野「攻撃しますか?」

古代「待て、もう彼らは戦えない。だが後方の艦隊が脱出艇を回収し終えたら即攻撃できるようにはしておけ。」

北野「了解。」

 

さすがに脱出を図る相手は撃てないと艦隊に攻撃をやめさせている≪ヤマト≫。それを艦橋で1人になったミヨーズは再びヒビ割れ壊れたモニターから直接艦橋外の窓から見る。そして再びクルーがいなくなり赤色灯がチカチカと点滅し警報音がウビャア!ウビャア!ウビャア!と鳴り響く艦橋の様子を見やる。

 

ミヨーズ「やっと退艦しおったか...全くいつまで経っても最後の時までも...使えん部下達だったな...。」

 

次の瞬間にはミヨーズの身体と≪グレート・ガリアデス≫は光に包まれ消滅する。≪ヤマト≫艦長 古代は地球圏から執拗に追い、最後の最後まで時に恐ろしく時に勇敢に迫った強敵に敬意を払い敬礼を送る。それに艦橋クルーや【デザリアム本星殴り込み艦隊】の全艦も続いた。

 

【デザリアム】黒師団

旗艦/戦闘空母≪サーグロンダ≫

艦橋

 

オペレーターA「≪グレート・ガリアデス≫...消滅...。」

サーグラス「ミヨーズ...。」

オペレーターB「司令...。」

サーグラス「...脱出艇の回収を急がせろ...!終了次第≪ヤマト≫ととの戦闘に備えよ‼︎ミヨーズに託された思いを...無念を無駄にしない為にもだ‼︎」

オペレーターA「りょ、了解‼︎」

 

そう命じた矢先、【デザリアム】本星のサーダから映像通信が入りメインパネルにその姿が映し出される。

 

サーグラス「サーダ様...!」

 

『映像通信』by【デザリアム】本星(?)

サーダ『ミヨーズが戦死し、第Ⅱ特務艦隊が壊滅したそうですね?サーグラス。」

 

サーグラス「ぐぬぬぬぅぅぅ〜、お借りしたアルファ砲搭載艦は愚か、ミヨーズ以下優秀な艦と乗組員を失ったこのサーグラスの不甲斐なさ、お笑い下さい...。かくなる上はこの身を以て責任をば...。」

 

サーダ『それはならぬ!ミヨーズがお前の盾になった理由を考えよ!お前なら≪ヤマト≫を仕留めれると判断したが故の筈だ。』

 

サーグラス「では、生き恥を晒して、なお生きよと...?」

 

サーダ『現在我が方ではアルファ砲搭載艦に次ぐベータ砲搭載艦...いえ、インフィニア・ベータ砲搭載の新型戦艦を順調に建造しています。

どう?その艦で≪ヤマト≫を粉々に吹き飛ばしてグロータスやミヨーズの仇を撃ってみたくはない?』

 

サーダの提案に悔し顔と握り拳をギュッと握りしめるサーグラス。「ミヨーズが生かしたチャンスをここでむざむざふいにすることはない。チャンスはまだある」と言い聞かせているのだ。

 

サーダ『本星へ戻ってくるのです。幸い≪ヤマト≫と艦隊はまだ我々の本星も正体にも気付いていない。ここは退いて態勢を立て直し無駄に宙域を捜索させ戦力の消耗を図るのです。』

 

サーグラス「... ...了解、いたしました。」

 

サーダ『では待っていますよ、本星で。』

 

そう言って通信を切るサーダ。その後のサーグラスはしばし瞼(まぶた)を閉じて沈黙する。

 

オペレーターA「サーグラス様。無念ほど、痛い程よく分かります。」

サーグラス「... ... ...。」

オペレーターB「ご命令を!サーグラス様。」

サーグラス「帰るしかあるまい...本星へ...師団全艦に撤退指令、前衛艦は≪ヤマト≫らを足止めしつつ用意のできた艦からワープせよ。もう航路を見せ付ける必要はない、"足跡"を消すのを忘れるなと厳命せよ。」

オペレーターA/B「はっ!」

 

そう命じたサーグラスはいつもの毅然と自信に満ちた指揮官らしい顔立ちに戻ると同時に「グロータスやミヨーズ、そして散って行った同胞達の仇撃ちだけでなく、自ら受けた屈辱を果たす為にも次こそ≪ヤマト≫達を討ってやる‼︎」と胸中で意気込むのであった。

 

【デザリアム本星殴り込み艦隊】前衛

早期警戒管制艦≪ザフキエル≫

第2艦橋(CIC)

 

刻崎「敵は内火艇を収容し終えたんですのよ!手加減なくやってくださいまし‼︎」

レーダー/通信手「ッ!なんですの⁉︎」

刻崎「どうしましたの⁉︎」

レーダー/通信手「宙域外縁に爆発反応を探知、"空間振動波"と思われます。」

刻崎「空間振動波...ですの?」

 

同・≪ラジエル≫

第2艦橋(CIC)

 

レーダー/通信手「今の反応と同時に敵艦隊が転進、ワープに入りました!交戦中の前衛艦隊も続いて行きます!」

本城「ありゃりゃ?ここで逃げる〜...?ッ!エリカたん!航路分析は⁉︎空間歪曲のエコー‼︎」

E.R.I.K.A「チッ!...ダメね!あの空間振動波がワープのエコーを掻き乱してる!データが取れない...航路追跡不能‼︎」

 

交戦が再び始まると≪ザフキエル≫と≪ラジエルが宙域の遥か先で爆発を探知しそれに連動する形で敵艦隊が退却していくのを確認する。

 

総旗艦≪ヤマト≫

第2艦橋(CIC)

 

『映像通信』by≪ランベア≫/≪シュンラン≫/≪ホッフルマン≫

バーガー『古代!』

山南/デリケ『古代艦長!』

 

古代「敵が退却しました。ワープの足跡を完全に消し去ったということは、恐らくもう我々を誘い出す必要が敵になくなったからと思われます。」

 

バーガー『敵艦からの脱出艇を拾う時間を与えてやったのはマズかったんじゃねぇか?いや、お前さんの性格上、そういう事はしねぇと分かってたがな...。』

 

デリケ『いやバーガー艦長。例えその時間を与えようといまいと敵が最初からそのつもりなら結果は同じだった筈だ。まぁ向こうの都合など分かるまいがな。』

 

古代「... ...。」

 

山南『これからどうする?古代艦長?』

 

古代「ひとまず艦隊を集合させ損害報告を纏めます。シーガルを捜索救難に、艦載機と警戒艦は警戒態勢に移行。刻崎艦長、本城艦長、警戒の指揮はそちらに任せます。」

 

バーガー/山南/デリケ「ザーベルク!/了解/ダーヤ(ボラー語で「了解」の意)!」

 

『映像通信』の追加 by≪ザフキエル≫/≪ラジエル≫

 

刻崎/本城『了解!』

 

古代の指示を閉じた後、≪ラジエル≫の本城は≪ザフキエル≫の刻崎との通信を開き会話を始める。

 

≪ラジエル≫

本城「珍しいねアサミ〜ン?」

 

≪ザフキエル≫

刻崎「どういう意味でしてヒトミさん?」

 

本城「いやねいやね、アサミンも随分と丸くなったな〜と思いましてな〜。ほら、すっすむん(古代のこと)が敵に脱出艇を逃す時間を与えた事だよ。前のアサミンなら「甘いですわ!敵に情けを掛けるなんて!そのせいで逃げられてしまったではありませんの‼︎(モノマネ口調)」って苦言を言うと思ったんだよ〜。変わったねアサミン(ニコッ!)」

 

刻崎「ッ!べ、別にそんなんじゃありませんわ!ただ古代艦長さんのやり方に慣れただけですわ!決して私が変わった訳でも、影響された訳でもありませんでしてよ‼︎」

 

本城「はいはいそういうことにしとくね〜。」

 

最初の頃より古代艦長に対する態度が軟化した事を本城に指摘されツンとデレの入った様な感じで答える刻崎に「素直じゃないの〜ういういw.」とニヤニヤが止まらない本城であった。

そんな2人のじゃれあいを他所に古代は≪ヤマト≫艦橋にて敵本星への手掛かりを失いこの先どうすべきかを悩み不安がっていた。しかしそれを仲間や部下に見せまいと心に押し込め表情に出さず暗黒の虚空をじっと見つめた。




読了ありがとうございます。まず木星基地奪還作戦からお話をしていきます。【デザリアム】側が「聖総統派」と「カザン派」で割れている様な話になっていますね。≪ヤマト≫とその艦隊を撃つか、地球の占領を継続すべきか、目的がハッキリとしておらず指揮系統が二重となり現場の兵士達は混乱してしまってるようです。そんな事情を知らずではありますが、タクローの無人艦マリオネット同士討ち作戦が上手くハマって本人も驚いています。この同士討ちは『ガルパン』最終章の対BC自由学園戦を観て思い付きました。タイタン基地で鹵獲した【デザリアム】艦を無人艦に仕立てられたのもエンケラドゥス守備隊とヒペリオン駐留艦隊が加わり余裕が出来たからです。敵はタイタン基地の時と同じく空母艦載機による奇襲を警戒していたようですが「同じ手は使わない」をやられてしまいましたね。それと連動して戦力を減らされさらに鉱物資源に天然ガスを失い地球占領の任に多大な支障をきたし遂に重核子爆弾四基の破棄と戦線縮小を決定するカザン総司令と地球占領派遣軍。地球のパルチザンもいよいよ反撃の時か❓
時を同じくして≪ヤマト≫率いる【デザリアム本星殴り込み艦隊】vs【デザリアム】黒師団+第Ⅱ特務艦隊の決闘が行われました。艦隊戦が始まる前に起きた機関の不調を【ボラー】の「星間物質の濃密な空間を移動する事が多い」という設定を活かし武装が隠顕式になっているだけでなく機関系もその様に調整されているよというのを表しました。【ガルマン・ボラー】のデリケ大佐らも自身の目的があるとはいえちゃんと協力的ですね。話を戻して戦闘パートは基本原作ゲーム版に忠実にしています。ただゲーム版と違うのはミヨーズがここにいるという事です(原作ゲーム版だとグロータス麾下のゴルバ戦の前に戦死している)。そのミヨーズが策略家の面はグロータス、艦隊戦に関してはサーグラスが師匠というのが判明します。これは本小説オリジナル設定で原作ではキャラ同士の関係までは描かれていないので勝手に書きました。ドラマに一花添えて良く見えたなら幸いです。刻崎さんの方も本城さんに揶揄われながらも古代君に対する態度が軟化している事を表しました。本当ならもっと会話パートとか増やして徐々に関係性が良くなって行く様子を書くのが丁寧なんでしょうが、あくまで≪ヤマト≫のパートはオマケというか主人公はあくまでタクロー達なのでね、それにユリーシャの言葉を借りるなら「言葉ではなくその行動で」が≪ヤマト≫という艦なのでこれで良いと思います。たぶんね。原作通り上手く逃げられてしまった≪ヤマト≫達、この先どうなってしまうのでしょうか?いや必ず本星の手掛かりを見つけるでしょう!ではまた次回お楽しみに。


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