暗殺とテストと召喚獣 (麒麟)
しおりを挟む

プロローグ

春、新しい季節になり既に新しく学校になる

珍しく三日月が見えながら学生たちと同じように新しい通学路を歩いていると、見慣れたポニーテール姿がある

あれ?中学と同じだったかと少し考えながらその後ろ姿に近づく

 

「あれ?矢田?」

「……えっ?あれ?佐伯くん?」

「あーそういや同じ学校かぁ。椚ヶ丘の時は少し離れていたけど、高校は同じ道になるんだなぁ」

「あはは。こうやって学校に行くのって新鮮だね」

「そうだな。ということは磯貝や片岡、寺林も会う可能性あるよな」

「そうだけど、片岡さんと磯貝くんは厳しいんじゃないかな?私たちって駅が同じだから来れるけど二人歩いてくるんだって」

「……椚ヶ丘から?」

 

一瞬遠いんじゃないかと思ったけどよくよく考えたらあの学校でやった時に使った体力なら二駅くらい余裕なのか

 

「……中学校時代の名残だな。結局この春休み色々と大変だったし」

「あはは。休むことも報道陣も取材に来たしね」

「本当だよ。小学生時代のダチからも結構連絡来たしな」

「相変わらず交友関係広いね。……影は薄いけど」

「薄くて悪かったな。あいにく生まれ付きなんだよ」

 

まぁそれがまさかの中学生時代は大活躍だったわけだけど

気配が薄いのは生まれつきだから仕方ないのだが

 

「そういえばさ。この学校も区別結構激しいよな。俺前の学校見学に行った際Fクラスの教室見たけど、かなりボロボロだったぞ」

「そうなの?」

「あぁ。かなり悲惨だった。なんかE組みたいだったなぁ」

 

学校見学の際ほとんどがAクラスに見学に行く中で俺だけは旧校舎側へ見学に行っていた

 

「…それってFクラスにいったら格差はあるのかな」

「ん〜というよりも勉強のやる気を削がないって感じだろうな。先生も一部先生に問題はあるけど基本的には問題なさそうだったし」

「問題のある教師?」

「高圧的な先生と補修で趣味が勉強、尊敬する人が二宮金次郎にする生徒指導部の先生、あと一番やばいのは生徒に婚姻を迫る教師らしいけど」

「……それって椚ヶ丘より」

「ひどいのかな?差別はなさそうだけど」

 

話しながら歩いていると学校が見えてくる

一学年までは普通であるがこの文月学園では二学年からとある学校事業があるのだ

 

「…さってとクラス表は?」

 

俺は見るとすると気になる文字が見つける

 

木下優子

 

佐伯浩介

……

矢田桃花

 

「あっ。ユウと同じクラスだ」

「ユウ?」

「知り合い。小学生のころ姉と同じクラスだったんだよ。まぁ俺は弟の方と仲がいいからな。そいつとは離れてるし、E組メンバーは俺たちだけぽいな」

「そっか。でも佐伯くんがいてくれて助かったかも。私この学校に知り合い少ないから」

 

元々家は少し離れていることもあるしなぁ

そう行った意味では俺も矢田と同じクラスはラッキーなのかもな

 

「んじゃ。行くか」

「そうだね。……あっ。今年一年よろしくね。佐伯くん」

「こっちこそ。よろしくな」

 

そうやって校舎へ向かっていく途中で暖かな風が俺と矢田の周りを通りすぎる

 

「……入学おめでとうってか?」

「あの二人もしかして見てくれているのかな」

「見てくれてるような気がする。

 

 

その並びは中学生時代のままで

そして新たな門出を天から見守ってくれているだろう二人に見送られながら校舎をくぐった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話

「……普通だね」

「そりゃクラス分け初年度からひどい教室だったら国からも叩かれるだろうしスポンサーもつかないだろ」

 

と俺は少し苦笑してしまう。一学年からクラス差別があったなら即この学校も問題しされるだろう

教室に入ると既に数人の生徒が入って雑談をしている。グループ分けという面では矢田が居て正解だったな

すると一人のショートカットの女性が自分に近づいてくる。先月色々とお世話になった少女に苦笑してしまう

 

「あら?久しぶり」

「…おっ?ユウか。てか先月会ったじゃねーか」

「貴方結局忙しくて……ユウっていうのやめてくれないかしら」

「いや、だってお前名前で呼んだら嫌がるじゃんか。木下って言えばヒデも振り返るしそ

れ以外ならなんて言えばいいんだよ」

「優子でいいわよ。もう小学生の頃じゃないんだから」

「まぁぶっちゃけあだ名で呼ぶ方がよっぽど恋人らしいってずっと思ってたけど」

「貴方人が気にしていたこと言うのやめた方がいいわよ」

 

呆れた様子の木下優子に俺も苦笑してしまう

 

「…あっそうそう。こっちは矢田桃花さん。同じ中学で今年も同じクラスだった友達」

「えっ?あっ矢田桃花です」

「貴方本当に身勝手すぎるわよ。初めまして。聞いているかも知れないけど、このバカの友達の木下優子です。まぁ貴方達のことはこのバカから聞いているかも知れないけど」

「…お前も大概だろ?」

 

本当に変わってないなぁと思いつつ頭を掻く

まぁこれでも優等生で通ってるわけだし外分けは出来る方だろう

 

「珍しいね。佐伯くんがここまで仲良い人って」

「ん?まぁ俺と同類だしな。俺とは反対の意味でだけど」

「…どういうことよ」

「そういうところだよ」

「あだち充みたいに返さないでよ」

「……なんであだち充なんて知っているんだよ」

「あなたの部屋にあるからでしょ?あなたの家行っても去年は殆ど帰ってくる時間遅かったから適当に漫画見るしかなかったのよ」

「本当に仲いいね」

 

笑っている矢田に俺も優子も苦笑してしまう。元々がお調子者やバカとして通っているのでこういうことを受け入れてくれる友達がいることは本当に楽なのだ

 

「でも、私あの学校の結末って知らないのだけど。貴方話してくれるって言ってたわよね」

「それについては時間はあるからゆっくり話すよ。隠れ家になってくれたし」

「あっ。木下さんの家に潜伏してたんだ」

「まぁ烏間先生には場所バレしてたと思うけど、一般人だからむやみに関わることもできないからな」

 

昨年度末俺たちのクラスメイトは捕まり監禁されていた中で俺は地図の制作やドローンの

整備など、最後に先生に会うために俺は自分の刃を磨き続けた

 

「潜伏期間の矢田にも話してなかったしあのタコのことは俺も知らないことも多いしな。話せないところも多いけど話すよ。どうしてあんなにも殺せんせーに会いたかったのかをな」

 

矢田も俺も恐らくずっとあの時はからずっと気にしているのだ

殺せんせーを殺し、一歩踏み出すきっかけを掴めないでいるから

 

 

入学から一年が経つにつれて普通なら人間関係が変化する

のだが結局俺は今までの交友関係に変化することはなかった

 

「ふぁ〜」

「あんた眠そうね」

「まぁ振り分け試験前だしな。少しだけ寝不足ぎみ」

「ふ〜ん。そういや桃花は?」

「遅れるって。つーかお前ら本当に仲良くなったな」

 

実際人間関係が一番変わったのは優子と矢田だろう

成績上位者でこの学年で成績が飛び抜けている10人になっており、竹林が学年次席、磯貝と片岡が学年4〜6を争っていて、優子、俺が基本的に7、8矢田が10位が基本になっている

 

「つーか優子は音楽とかもう少しあげろよ。いくら総合点数的には関係ないけど、音楽や家庭科に関してはFクラス並だぞ?」

「あんたが取りすぎなのよ。音楽や家庭科美術では主席って」

「普通なら保体でも一位取れるはずなんだけど……トップ2が取りすぎなんだよな」

「それは同意するわ」

 

学校へと向かう途中もテストの話ばかり

まぁこれが普通なのだが

そうして学校に向かう頃には矢田はいない

それがどこか違和感として残っている

そしてそれはチャイムがなってもその席は空席のままであった



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。