地球さんはLevel Upしました~ありふれてない天職で世界最強~ (大筒木朱菜)
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トータス産ステータスプレート風のスキル情報開示と装備品情報を開示

※新規情報は赤文字表記です。


※主人公

【名前】

羊谷命子

 

【年齢】

15歳

 

【性別】

 

【天職】

大魔導剣士[錬成師+神代魔法師+概念魔法師+滅竜魔導士+鬼狩り+大魔導書師]

 

【レベル】

*#&%

 

【カルマ】

+3500

 

【ステータス】

《【ステータス】

筋力:16950

体力:17190

耐性:13670

敏捷:19450

  (瞬光状態:194500)

  (電光石火状態:389000)

  (疾風迅雷状態:389000)

魔力:22970

魔耐:21780

 

技能(スキル)

錬成魔法(極)(※1)

錬成[+物質鑑定][+物質探査][+物質分離][+物質融合][+高速錬成][+精密錬成][+自動錬成][+複製錬成][+圧縮錬成][+集束錬成][+創造錬成][+想像構成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少]

滅竜魔法(極)

[炎][+鉄][+雷][+天空][+毒][+光][+影][+ドラゴンフォース]

神代魔法(極)

生成[+重力][+空間][+再生][+魂魄][+昇華][+変成]

概念魔法

導越[+界越][+神越][+全存在否定][+継承]

魔導書術(極)

魔導書解放[+魔導書装備枠10冊][+魔導書操作補正][魔導書装備時 魔攻上昇][+魔導書魔攻合成][+消費魔力減少]

呼吸術(全/極)

全集中の呼吸[+全集中・常中][+止血の呼吸][+全集中・修羅][+全集中・羅刹][+痣覚醒][+透き通る世界]

剣術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+刀剣装備時 物攻上昇]

二刀剣術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+連撃時 物攻上昇][+二刀装備時 物攻上昇]

棍術(極)

打撃速度上昇[+棍装備時 物攻上昇][+与ノックバック]

槍術(極)

刺突速度上昇[+薙ぎ払い速度上昇][+槍装備時 物攻上昇]

薙刀術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇] [+薙刀装備時 物攻上昇]

格闘術(極)

打撃速度上昇[+無手時 物攻上昇]

斧術(極)

斬撃速度上昇[+斧装備時 物攻上昇]

鎖鞭術(極)

操作精度上昇[+操作速度上昇][+鎖鞭装備時 物攻上昇]

弦術(極)

操作精度上昇[+操作速度上昇][+操作範囲拡大]

投擲術(極)

対物障壁貫通[+命中精度上昇][+投擲威力上昇][+投擲速度上昇]

魔法全属性適性(極)

発動速度上昇[+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]

魔力術(極)

魔力操作[+魔力障壁][+魔力認識阻害][+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+体力変換][+治癒力変換][+衝撃変換][+高速魔力回復][+魔素集束]

雷装術

纏雷[+雷耐性][+出力増大][+電光石火][+疾風迅雷]

爪撃術

風爪[+三爪][+飛爪]

歩法(極)

抜き足[+天歩][+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]

視力

夜目[+遠見][+心眼][+千里眼]

感知術(極)

気配感知[+特定気配感知][+魔力感知][+特定魔力感知][+熱源感知][+特定熱源感知]

隠密術(極)

気配遮断[+幻踏][+滅心]

能力強化術

限界突破[+覇潰][+真匠][+一刀修羅][+一刀羅刹]

防御術

金剛[+部分強化][+集中強化][+付与強化]

耐性(極)

毒耐性[+麻痺耐性][+石化耐性][+恐慌耐性][+全属性耐性]

豪腕

振動破砕

見取り稽古

模倣技術[+完全掌握]

胃酸強化

先読術

千手無双[+萬手無双][+????]

威圧

念話

追跡

言語理解

 

【称号】

地球さんを大いに祝福した者

魔本スレイヤー

 

【装備】

武器1:阿朱羅丸

武器2:滅竜刀・雷光(真打)

武器3:水の魔導書

武器4:火の魔導書

武器5:風の魔導書

武器6:土の魔導書

武器7:雷の魔導書

武器8:氷の魔導書

防具/体:死覇装

防具/頭:鉢金

防具/腕:籠手

防具/足1:足袋

防具/足2:火焔柄の脚絆

防具/足3:草履

防具/その他1:火焔柄の白地外套

防具/その他2:大袖

アクセサリー1:蝶のヘアピン

宝物庫:滅竜刀・聖炎(真打)[保管中]

宝物庫:滅竜刀・聖天(真打)[保管中]

宝物庫:滅竜刀・聖影(真打)[保管中]

宝物庫:強化型特殊木刀・灰王の剣[保管中]

宝物庫:試作可変式大刀型滅竜武装・時雨[保管中]

宝物庫:試作可変式連鎖小太刀型滅竜武装・時雨[保管中]

宝物庫:強化型特殊木刀・灰王の剣(連鎖小太刀)[保管中]

宝物庫:剣道着(白)[保管中]

宝物庫:運動セット(赤)[保管中]

宝物庫:山登り用の服セット[保管中]

 

 

 

 

※主要登場人物①

【名前】

笹笠ささら

 

【年齢】

15歳

 

【性別】

 

【天職】

見習い騎士

 

【レベル】

7

 

【カルマ】

+1700

 

【ステータス】

筋力:280(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

体力:280(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

耐性:275(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

敏捷:280(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

魔力:272(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

魔耐:270(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

 

技能(スキル)

呼術術(花/小)

全集中の呼吸

剣術(小)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+刀剣装備時 物攻上昇]

騎士剣技(初)

スラッシュソード[+ダブルスラッシュ][+ヘビースラッシュ]

自己回復能力(微)

自動回復

性能強化

防具性能上昇(小)×2

 

【称号】

地球さんを祝福した者

 

【装備】

武器1:滅竜刀(真打)

防具/体:死覇装

防具/頭:鉢金

防具/腕1:手套

防具/腕2:手甲

防具/足1:ハイソックス足袋

防具/足2:脚絆

防具/足3:編上げブーツ

防具/その他1:蝶羽柄の羽織

アクセサリー1:ラスト・ゼーレ改

アクセサリー2:蝶の髪飾り

 

 

 

 

※主要登場人物②

【名前】

有鴨紫蓮

 

【年齢】

14歳

 

【性別】

 

【天職】

見習い棍術士

 

【レベル】

7

 

【カルマ】

+1500

 

【ステータス】

筋力:275(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

体力:279(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

耐性:273(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

敏捷:275(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

魔力:273(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

魔耐:270(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

 

技能(スキル)

生産魔法

呼吸術(岩/小)

全集中の呼吸

棍術(小)

打撃速度上昇[+棍装備時 物攻上昇][+与ノックバック(微)]

棍技(初)

強撃[+剛撃][+重撃]

 

【称号】

地球さんを祝福した者

 

【装備】

武器1:滅竜棍・白鉄(真打)

防具/体:死覇装(ミニスカ風)

防具/頭:鉢金

防具/腕1:手套

防具/腕2:手甲

防具/足1:足袋

防具/足2:下駄

防具/その他1:黒マフラー

防具/その他2:黒無地羽織

アクセサリー1:宝物庫の指輪

アクセサリー2:ラスト・ゼーレ改

アクセサリー3:蝶の髪飾り

宝物庫:試作型滅竜刀[保管中]

宝物庫:強化型特殊木刀・灰王の剣[保管中]

宝物庫:水の魔導書[保管中]

宝物庫:試作型滅竜棍[保管中]

宝物庫:運動セット(黒)[保管中]

 

 

 

 

※主要登場人物③

【名前】

流ルル

 

【年齢】

15歳

 

【性別】

 

【天職】

見習いNINJA

 

【レベル】

7

 

【カルマ】

+1916

 

【ステータス】

筋力:273(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

  (半獣化状態:1365)

体力:275(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

  (半獣化状態:1375)

耐性:282(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

  (半獣化状態:1410)

敏捷:293(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

  (半獣化状態:1465)

魔力:273(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

魔耐:268(ラスト・ゼーレ改補正、基礎能力+250)

 

技能(スキル)

呼吸術(音/小)

全集中の呼吸

双短剣術(小)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+連撃時 物攻上昇][+二刀小太刀装備時 物攻上昇][+二刀脇差装備時 物攻上昇][+二刀短剣装備時 物攻上昇]

耐性(微)

毒耐性[+麻痺耐性]

見習いNINPO

水芸[+敏捷強化][+走行補助]

 

【称号】

地球さんを祝福した者

 

【装備】

武器1:滅竜刀・爆雷(真打)

防具/体:死覇装(刑戦装束)

防具/頭:鉱石付鉢金

防具/腕1:手套

防具/腕2:手甲

防具/足1:ハイソックス足袋

防具/足2:脚絆

防具/足3:仕込み小刀内臓草履

防具/その他1:麻の葉紋様の羽織

アクセサリー1:ラスト・ゼーレ改

アクセサリー2:百獣王化・ライオネル

アクセサリー3:蝶の髪飾り

 

 

 




※1)錬成魔法の鉱物系項目が物質系項目に変化しているのは、地球さんがレベルアップすると同時に獲得した合成強化技能(スキル)錬成魔法が統合された結果、錬成魔法の効果範囲が鉱物以外にまで広がった為である。


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装備品一覧

・本作に登場する宝箱で手に入る装備品&アイテムの等級判別は、以下のものとなってます。

虹色宝箱=幻想級(ファンタズマ)or伝説級(レジェンダリィ)(ダンジョン式等級)=SE(シークレットレア)orUR(ウルトラレア)(命子式等級)
緑、青、赤等の色付き宝箱=伝説級(レジェンダリィ)UR(ウルトラレア)
金色宝箱=遺物級(エンシェント)SSR(スペシャルスーパーレア)
銀色宝箱=固有級(ユニーク)SR(スーパーレア)
銅色宝箱=稀少級(レア)R(レア)
木製宝箱=通常級(ノーマル)|N(ノーマル)


阿朱羅丸(阿朱羅観音)

【所有者】

羊谷命子

【攻撃力】(モンハン4風)

726(覇刀タンネカムトルネ相当)

【命子式等級】

アルティメットレア(UL)

【ダンジョン式等級】

幻想級(ファンタズマ)

【強化値】

0/???

【金額】

(販売額)???????ギニー/(買取額)???????ギニー

【説明/能力】

・対魔物殲滅武装。その最上位等級である黒鬼。

・阿朱羅丸に宿っているアシェラ=ツェペシは、羊谷命子が弱っていると体を乗っ取ろうとする。

・魔物の頸を斬り落とした時のみ、死霊系の魔物や不死性の魔物が相手であっても即死効果が発揮される。(基本特性)

・自己治癒、自己再生能力を持つ魔物に対して、能力封印効果が発揮される。(基本特性)

・魔力以外のステータスを10倍強化する。(基本特性)

・魔力を消費することで憑依化を使用可能。魔力以外のステータスが基本特性から更に乗算される形で10倍(最大値)強化される。(消費魔力:200)

・魔力を消費することで具現化能力が使用可能。見た目が阿朱羅丸と同じ複製刀を創造できる。複製刀の性能によって消費魔力が異なる。(消費魔力:100~1000)

・複製刀は破壊されるまで具現し続ける。(魔力が消費されるのは最初の具現化時のみ)

・複製刀の所有権を他者に譲渡することが可能。

・刀身強度は90tの加重にも耐えられる。

・切れ味は全高3mの鋼鉄を熱したナイフでバターを切るように容易く一刀両断できる。

 

 

 

鬼呪装備(阿朱羅丸複製刀)

【所有者】

未定

【攻撃力】(モンハン4風)

330~693(斬破刀~威風堂々に薙ぐジゲン相当)

【命子式等級】

スーパーレア(SR)~シークレットレア(SE)

【ダンジョン式等級】

固有級(ユニーク)幻想級(ファンタズマ)

【強化値】

0/???

【金額】

(販売額)???????ギニー/(買取額)???????ギニー

【説明/能力】

・対魔物殲滅武装。等級は菩薩>羅刹=茶枳尼>童子>明王>夜叉>餓鬼となっている。

・原典である阿朱羅丸と異なり、アシェラ=ツェペシは宿っていない。

・魔物の頸を斬り落とした時のみ、死霊系の魔物や不死性の魔物が相手であっても即死効果が発揮される。(基本特性)

・自己治癒、自己再生能力を持つ魔物に対して、能力封印効果が発揮される。(基本特性)

・魔力以外のステータスを菩薩級は7倍、羅刹・茶枳尼級は6倍、童子級は5倍、明王級は4倍、夜叉級は3倍、餓鬼級は2倍強化する。(基本特性)

・憑依化、具現化能力は存在しない。

・刀身が破壊されると武器そのものが消滅する。

・刀身強度は最下級でも1tの加重にも耐えられる。

・切れ味は最下級でも全高1mの岩を熱したナイフで冷凍バターを切るように一刀両断できる。。

 

 

 

魔鋼製大刀型滅竜武装:雷光・真打(通称:滅竜刀・雷光)

【所有者】

羊谷命子

【攻撃力】(モンハン4風)

568(基本値528:王牙刀・伏雷相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+20/250

【金額】

(販売額)312,000ギニー/(買取額)156,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・雷竜と白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光を纏う。

雷電型(イカヅチノカタ)で技を放つ時、刀身が雷を纏うことで超音波振動を起こし、切れ味を向上させたり、雷そのものを放出することが出来る。

・太陽光や静電気、雷などを吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

・初期所有者以外が触れようとすると、何故か刀全体から放電する。

 

 

 

バネ金属製鞘型滅竜武装:紫電

【所有者】

羊谷命子

【攻撃力】(モンハン4風)

370(基本値330:斬破刀相当)

【命子式等級】

スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

固有級(ユニーク)

【強化値】

+20/200

【金額】

(販売額)124,800ギニー/(買取額)62,400ギニー

【説明/能力】

・バネ金属製大刀型滅竜刀:雷光・影打を素材にした鞘なので、対竜型魔物滅殺装備でもある。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・雷竜と白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

・打撃武器と使用する際、鞘が敵と触れた瞬間に高圧電流が流れ、敵を感電させる。

・太陽光や静電気、雷を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、鞘を自動修復できる。

・初期所有者以外が触れようとすると、何故か鞘全体から放電する。

 

 

 

魔鋼製大刀型滅竜武装:聖炎・真打(通称:滅竜刀・聖炎)

【所有者】

なし

【攻撃力】(モンハン4風)

528(海賊狩りの魂相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

0/250

【金額】

(販売額)260,000ギニー/(買取額)130,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・炎竜と白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光を纏う。

焔燃型(カグツチノカタ)で技を放つ時、刀身が炎を纏う。

・太陽光や炎を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

魔鋼製大刀型滅竜武装:聖天・真打(通称:滅竜刀・聖天)

【所有者】

なし

【攻撃力】(モンハン4風)

528(ディオスソード改相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

0/250

【金額】

(販売額)260,000ギニー/(買取額)130,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・天竜と白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光を纏う。

虚空型(オボロノカタ)で技を放つ時、刀身が風を纏うことで切れ味を向上させたり、風そのものを放出することが出来る。

・太陽光や空気を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

魔鋼製大刀型滅竜武装:聖影・真打(通称:滅竜刀・聖影)

【所有者】

なし

【攻撃力】(モンハン4風)

528(鋸斬り匕首・直参相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

0/250

【金額】

(販売額)260,000ギニー/(買取額)130,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・雷竜と白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光を纏う。

・太陽光や影を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

魔鋼製大刀型滅竜武装:無銘・真打(通称:滅竜刀)

【所有者】

笹笠ささら

【攻撃力】(モンハン4風)

568(基本値528:パラコイルドサーベル相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+20/250

【金額】

(販売額)312,000ギニー/(買取額)156,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光を纏う。

・太陽光を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

魔鋼製多節棍型滅竜武装:白鉄・真打(通称:滅竜棍・白鉄)

【所有者】

有鴨紫蓮

【攻撃力】(モンハン4風)

567(基本値527:黒龍棍改相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+20/250

【金額】

(販売額)312,000ギニー/(買取額)156,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・鉄竜と白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法空間魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、棍の色を変化させる。(棍の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、棍が光を纏う。

土公型(ドコウノカタ)で技を放つ時、棍の強度が増す。

・太陽光や砂鉄などの鉄分を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、棍(と内蔵されている鎖)を自動修復できる。

・通常の棍から多節棍へと形状変化が可能。

・棍内部は空洞となっている上、空間魔法で拡張されているので、内蔵されている鎖が長い。(鎖込の全長が最長で50mに達する)

 

 

 

魔鋼製連鎖小太刀型滅竜武装:爆雷・真打(通称:滅竜刀・爆雷)

【所有者】

流ルル

【攻撃力】(モンハン4風)

572(基本値532:衛爪・虎豹×2相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+20/250

【金額】

(販売額)312,000ギニー/(買取額)156,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・炎竜と雷竜、白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光を纏う。

鈿女型(ウズメノカタ)で技を放つ時、刀身から雷を纏った爆炎を発生させる。

・太陽光と炎、静電気、雷などを吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

バネ金属製大刀型滅竜武装:無銘・影打

【所有者】

有鴨紫蓮

【攻撃力】(モンハン4風)

297(骨刀・狗牙相当)

【命子式等級】

スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

固有級(ユニーク)

【強化値】

0/200

【金額】

(販売額)104,000ギニー/(買取額)52,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光属性を纏う。

・太陽光を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

強化型特殊木刀:灰王の剣

【所有者】

笹笠ささら→羊谷命子(預かり)、流ルル→羊谷命子(預かり)、有鴨紫蓮

【攻撃力】(モンハン4風)

98(基本値84:ハンターナイフ→ハンターナイフ改相当)

【命子式等級】

ノーマル(N)

【ダンジョン式等級】

通常級(ノーマル)

【強化値】

+7/100

【金額】

(販売額)535ギニー/(買取額)268ギニー

【説明/能力】

神代魔法重力魔法魂魄魔法が付与されている。

・所有者の力量に合わせてが重量が自動調整(加重)される。

・バネ風船のバネと風船残骸を素材に生産魔法で補強されている。

 

 

 

バネ金属製多節棍型滅竜武装:無銘・影打

【所有者】

羊谷命子→有鴨紫蓮

【攻撃力】(モンハン4風)

279(ボーンロッド相当)

【命子式等級】

スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

固有級(ユニーク)

【強化値】

0/200

【金額】

(販売額)104,000ギニー/(買取額)52,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法空間魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、棍の色を変化させる。(棍の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、棍が光属性を纏う。

・太陽光を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、棍(と内蔵されている鎖)を自動修復できる。

・通常の棍から多節棍へと形状変化が可能。

・棍内部は空洞となっている上、空間魔法で拡張されているので、内蔵されている鎖が長い。(鎖込の全長が最長で50mに達する)

錬成魔法の圧縮錬成で製作されているので、アフリカゾウ(平均体重8.5t)に踏まれても壊れない強度を持つ。

 

 

 

バネ金属製連鎖小太刀型滅竜武装:無銘・影打

【所有者】

羊谷命子

【攻撃力】(モンハン4風)

308(デュアルトマホーク改×2相当)

【命子式等級】

スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

固有級(ユニーク)

【強化値】

0/200

【金額】

(販売額)104,000ギニー/(買取額)52,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光属性を纏う。

・太陽光を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

 

 

 

試作可変式大刀型滅竜武装:時雨

【所有者】

笹笠ささら→羊谷命子(預かり)

【攻撃力】(モンハン4風)

112→266(凄く錆びた片手剣→エストレモ=ダオラ相当)

【命子式等級】

レア(R)~スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

稀少級(レア)固有級(ユニーク)

【強化値】

0/150

【金額】

(販売額)2,000ギニー/(買取額)1,000ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光属性を纏う。

・太陽光を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

・通常状態が木刀形態で、全集中の呼吸を使った状態で振るうと滅竜刀形態へと可変する。

 

 

 

試作可変式連鎖小太刀型滅竜武装:時雨

【所有者】

流ルル→羊谷命子(預かり)

【攻撃力】(モンハン4風)

118→272(基本値112:デュエルツインダガー→基本値266:衛爪・虎豹相当)

【命子式等級】

レア(R)~スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

稀少級(レア)固有級(ユニーク)

【強化値】

+3/150

【金額】

(販売額)2,060ギニー/(買取額)1,030ギニー

【説明/能力】

・対竜型魔物滅殺装備。竜型魔物を攻撃する時のみ攻撃力が上昇する。(竜型以外の魔物相手でも基本性能が落ちる訳ではない)

・白竜(もしくは光竜、聖竜)の滅竜魔法神代魔法重力魔法魂魄魔法錬成魔法が付与されている。

・(LV5以上の)初期所有者に適した全集中の呼吸を判別し、刀身の色を変化させる。(刀身の色は最初に変わったもので固定)

・装備者が最も使い易い重さへと重量が自動調整される。

天照型(アマテラスノカタ)で技を放つ時、刀身が光属性を纏う。

・太陽光を吸収し、魔力へと変換することで錬成魔法の自動錬成が発動し、刀身を自動修復できる。

・通常状態が木刀形態で、全集中の呼吸を使った状態で振るうと滅竜刀形態へと可変する。

 

 

 

死覇装

【所有者】

羊谷命子、有鴨紫蓮、笹笠ささら、流ルル

【防御力】(モンハン4風)

67(基本値47:ドーベルメイル相当)

【命子式等級】

スーパーレア(SR)

【ダンジョン式等級】

固有級(ユニーク)

【強化値】

+10/200

【説明/能力】

・防刃、防撃、防熱、防寒、防水が付与がされた着物。斬撃、刺突、衝撃、炎熱、氷雪、流水によるダメージを15%以上減少させる。

・自動修復機能付き。

 

 

 

火焔柄の白地外套

【所有者】

羊谷命子

【防御力】(モンハン4風)

101(基本値81:怒天の羽織相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+10/250

【説明/能力】

・防刃&防炎付与がされた外套。斬撃、刺突、炎熱によるダメージを50%以上減少させる。

・自動修復機能付き。

 

 

 

黒無地の羽織

【所有者】

有鴨紫蓮

【防御力】(モンハン4風)

101(基本値81:怒天の羽織相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+10/250

【説明/能力】

・防刃&防闇付与がされた外套。斬撃、刺突、闇黒によるダメージを50%以上減少させる。

・自動修復機能付き。

 

 

 

蝶羽柄の羽織

【所有者】

笹笠ささら

【防御力】(モンハン4風)

101(基本値81:怒天の羽織相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+10/250

【説明/能力】

・防刃&防水&防毒付与がされた外套。斬撃、刺突、流水、毒によるダメージを50%以上減少させる。

・自動修復機能付き。

 

 

 

麻の葉紋様の羽織

【所有者】

流ルル

【防御力】(モンハン4風)

101(基本値81:怒天の羽織相当)

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+10/250

【説明/能力】

・防刃&防炎付与がされた外套。斬撃、刺突、炎熱によるダメージを50%以上減少させる。

・自動修復機能付き。

 

 

ラスト・ゼーレ改

【所有者】

笹笠ささら、流ルル、有鴨紫蓮

【命子式等級】

スペシャルスーパーレア(SSR)

【ダンジョン式等級】

遺物級(エンシェント)

【強化値】

+10/250

【説明/能力】

・身体強化術である限界突破、覇潰、一刀修羅、防御術である金剛が付与されている。

・筋力、体力、耐性、敏捷、魔力、魔耐の数値を250加算。

 

 

 

百獣王化・ライオネル

【所有者】

流ルル

【命子式等級】

ウルトラレア(UR)

【ダンジョン式等級】

伝説級(レジェンダリィ)

【強化値】

+10/250

【説明/能力】

・身体強化術の一種である装着者の半獣化能力が付与されている。

・半獣化すると筋力、体力、耐性、敏捷の数値を5倍乗算される。

・使用時間制限あり。(装着者の力量で変化。最短10分最長2時間)

・半獣化すると自己回復能力の自動回復(大)が使用可能。

 



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戦力表(19話時点)

ネギま風戦力表を備考込みで挙げて見ました。

あと、アンケートを実施中です。詳しくはあとがき参照。


……下の戦力値を見ると、全集中の呼吸を極めただけの人間(継国縁壱)が、バグった基本スペック(最終決戦魔王+星脈世代(ジェネステラ)の身体能力)に全集中・常中(極)を加えた超越者(羊谷命子)と普通に戦えるという事実がある意味で驚愕ではないかと思います。(笑)
(しかも、羊谷命子はレベルがバグってるのに、継国縁壱はレベル0。
ちなみに継国縁壱が互角以上に渡り合えるのは、経験で身体操作技術が19話時点での羊谷命子を上回っているからだったりする)


Sランク(15001~)】

20000(?):羊谷命子

[備考]

痣覚醒あり。

一刀羅刹あり。

ドラゴンフォースあり。

魔導書あり。

戦闘スタイル:剣書一体の全距離対応型。

※本人曰く、防御を捨てた全力全開の予想戦力値。

ただし、全力で戦ったことなんて当然のことながら一度も無い為、正確な数値は不明。

 

 

Aランク(8001~15000)】

12000(?):羊谷命子

[備考]

全集中・常中あり。

魔導書あり。

滅竜魔法あり。

戦闘スタイル:剣書一体の全距離対応型。

※本人曰く、滅竜奥義も使った予想戦力値。

ただし、Dランク以下の魔物にしか滅竜魔法(滅竜奥義以外)を使ったことがない上、使ったら瞬殺になっていた為、正確な数値は不明。

 

 

Bランク(2501~8000)】

7000~5000(?):羊谷命子

[備考]

全集中・常中あり。

魔導書あり。

滅竜魔法なし。

戦闘スタイル:剣書一体の全距離対応型。

※ただし本人曰く、魔物相手でも全集中・常中と保有する全魔導書を使用した全力戦闘が一度も無い為、正確な数値は不明。

 

6000:継国縁壱(レベル0)

[備考]

全集中の呼吸を使った状態での最大戦力値。

 

6000~4000(?):羊谷命子

[備考]

全集中・常中あり。

魔導書なし。

滅竜魔法なし。

戦闘スタイル:物理戦闘の中・近距離型。

※本人曰く、魔物相手でも全集中・常中による以下略。

 

 

Cランク(1301~2500)】

2500:全集中の呼吸を極めし者(レベル0)

[備考]

全集中の呼吸を使った状態での大体の戦力値。

※個人によって数値が上下する。

 

2000:羊谷命子

[備考]

全集中・常中なし。

魔導書なし。

滅竜魔法なし。

戦闘スタイル:物理戦闘の中・近距離型。

基礎戦力値。

 

2000:戦車

[備考]

地球さんレベルアップ前の戦力値

 

 

Dランク(751~1300)】

1300~1100:鬼殺隊の歴代柱(レベル0)、柱になれる素養のある者(レベル0)

[備考]

全集中の呼吸を使った状態で最低戦力値。

※個人によって数値が上下する。

 

1200(?):流ルル(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小あり。

ラスト・ゼーレ改あり。

ライオネルあり。

 

1200:牛鬼

 

1100:全集中の呼吸を使いこなせる者(レベル0)

[備考]

全集中の呼吸を使った状態で最低戦力値。

※個人によって数値が上下する。

 

1050:狒々、大百足

 

1000:流ルル(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小なし。

ラスト・ゼーレ改あり。

ライオネルあり。

 

980:惡鬼

 

900:大蜘蛛

 

 

Eランク(351~750)】

750:モシャス魔物

 

600:市松人形(大)

 

530:ぬっぺふほふ

 

450:鎌鼬

 

380:一反木綿、火鼠

 

 

Fランク(101~350)】

300:流ルル(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小あり。

ラスト・ゼーレ改あり。

ライオネルなし。

 

300:笹笠ささら、有鴨紫蓮(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小あり。

ラスト・ゼーレ改あり。

 

300:提灯お化け

 

280:流ルル(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小なし。

ラスト・ゼーレ改あり。

ライオネルなし。

 

280:笹笠ささら、有鴨紫蓮(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小なし。

ラスト・ゼーレ改あり。

 

140:羊谷命子

[備考]

全集中・常中あり。

魔導書なし。

滅竜魔法なし。

手抜きによる力加減あり。

戦闘スタイル:物理戦闘の中・近距離型。

※7話で披露した全集中・常中によるバフと『刀語』の忍法・足軽を利用した応用技のようなデバフを両立させた矛盾しかない超絶手抜き本気モード。(笑)

 

 

Gランク(0~100)】

100:市松人形(小)

 

50:流ルル(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小あり。

ラスト・ゼーレ改なし。

ライオネルなし。

 

50:笹笠ささら、有鴨紫蓮(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小あり。

ラスト・ゼーレ改なし。

 

50:魔本

 

50~30:軍人(レベル0)

 

40:杵ウサギ

 

40:全集中の呼吸を使える者(レベル0)

[備考]

全集中の呼吸を使った状態で最低戦力値。

※個人によって数値が上下する。

 

30:流ルル(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小なし。

ラスト・ゼーレ改なし。

ライオネルなし。

基礎戦力値。

 

30:笹笠ささら、有鴨紫蓮(レベル7)

[備考]

全集中の呼吸・小なし。

ラスト・ゼーレ改なし。

基礎戦力値。

 

30:バネ風船

 

20:プロ格闘家(レベル0)

 

12:格闘技有段者(レベル0)

 

5:格闘技経験者(レベル0)

 

2.5:一般的な成人男性(レベル0)

 

1.6:一般的な成人女性(レベル0)

 

1.2:一般的な女子高生(レベル0)

 

1.1:一般的な女子中学生(レベル0)

 

1:一般的な女子小学生(レベル0)

 

0.5:ネコ(レベル0)

 




アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
(鬼滅流術技設定―天神型イザナギノカタ―~18話のあとがき後で実施中)
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ



②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
(第19話のあとがき後で実施中)
・八岐大蛇幻影体・弱(戦力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦力値:4250?)←8つ首


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鬼滅流術技設定―天神型(イザナギノカタ)冥神型(イザナミノカタ)

天神型(イザナギノカタ)「呼吸音:シュゴオォォォォ」

(くろがね)ノ秘剣

一式〝虎穿(こせん)〟(参考作品:我間乱)

 一式・改〝虎穿(こせん)無刀(むとう)

二式〝犀撃(さいげき)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

三式〝裂甲(れっこう)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

四式〝(まどか)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

五式〝蜃気狼(しんきろう)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

六式〝(くる)(ざくら)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

七式〝毒蛾(どくが)太刀(たち)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

八式〝雷光(らいこう)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

九式〝天津風(あまつかぜ)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

十式〝凪繊月(なぎせんげつ)〟(参考作品:我間乱)

十一式〝卍抜(まんじぬ)き〟(参考作品:我間乱)

終式〝追影(おいかげ)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

 

修羅(しゅら)ノ秘拳』(参照作品:修羅の門)

蔓落(かずらお)とし〟

上腕蔓(じょうわんかずら)ひねり〟

(いかづち)

飛燕十字蔓(ひえんじゅうじかずら)

 〝飛燕裏十字(ひえんうらじゅうじ)

斗浪(となみ)

狼牙(ろうが)

巌颪(いわおろし)

獅子吼(ししこう)

羽車(はねぐるま)

傾葵(なだれあおい)

葛風(くずかぜ)

孤月(こげつ)

 〝裏孤月(うらこげつ)

無刀金的破(むとうきんてきは)

紫電(しでん)

(つむじ)

斧鉞(ふえつ)

虎砲(こほう)

蛇破山(じゃはざん)

 〝裏蛇破山(うらじゃはざん)朔光(さくこう)

牙斬(がざん)

浮嶽(ふがく)

浮身(ふしん)

指穿(しせん)

金剛(こんごう)

訃霞(ふがすみ)

(ひょう)

奥義〝無空波(むくうは)

奥義〝龍破(りゅうは)

奥義〝神威(かむい)

四門〝朱雀(すざく)

四門〝青龍(せいりゅう)

四門〝白虎(びゃっこ)

四門〝玄武(げんぶ)

 

(はがね)ノ秘剣』(参照作品:ツバサ・クロニクル)

一式〝破魔(はま)竜王刃(りゅうおうじん)

二式〝閃竜(せんりゅう)翔光撃(しょうこうげき)

三式〝天魔(てんま)昇龍閃(しょうりゅうせん)

四式〝地竜(ちりゅう)陣円舞(じんえんぶ)

五式〝破魔(はま)龍王陣(りゅうおうじん)

六式〝閃竜(せんりゅう)飛光撃(ひこうげき)

七式〝天魔(てんま)空龍閃(くうりゅうせん)〟(オリジナル)

八式〝地竜(ちりゅう)陣炎舞(じんえんぶ)〟(オリジナル)

 

(おおかみ)ノ秘剣』(参照作品:るろうに剣心)

一式〝牙突(がとつ)

二式〝牙突(がとつ)天墜(てんつい)〟(※1)

三式〝牙突(がとつ)絶空(ぜっくう)〟(※2)

四式〝牙突(がとつ)六刃(むじん)

終式〝牙突(がとつ)無窮(むきゅう)〟(※3)

 

(うつろ)ノ秘剣』(参照作品:刀語)

(きく)

牡丹(ぼたん)

百合(ゆり)

鬼百合(おにゆり)

(さくら)

薔薇(ばら)

(すみれ)

(うめ)

鷺草(さぎぐさ)

柘榴(ざくろ)

菖蒲(あやめ)

木蓮(もくれん)

桜桃(おうとう)

野苺(のいちご)

桔梗(ききょう)

雛罌粟(ひなげし)

沈丁花(じんちょうげ)

女郎花(おみなえし)

銀杏(いちょう)

山茶花(さざんか)

蓮華草(れんげそう)

蒲公英(たんぽぽ)

一ノ奥義〝鏡花水月(きょうかすいげつ)

二ノ奥義〝花鳥風月(かちょうふうげつ)

三ノ奥義〝百花繚乱(ひゃっかりょうらん)

四ノ奥義〝柳緑花紅(りゅうりょくかこう)

五ノ奥義〝飛花落葉(ひからくよう)

六ノ奥義〝錦上添花(きんじょうてんか)

七ノ奥義〝落花狼藉(らっかろうぜき)

終ノ奥義〝七花八裂(しちかはちれつ)

 終ノ奥義・改〝七花八裂(しちかはちれつ)(かい)

 

 

冥神型(イザナミノカタ)「呼吸音:シュフゥゥゥゥ」

一式〝桜舞(おうぶ)〟(参照作品:BLACK CAT)

二式〝飛影(ひえい)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

三式〝朧月(おぼろづき)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

四式〝???(???)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

五式〝???(???)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

六式〝断界(だんかい)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

七式〝冥轟(めいごう)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

八式〝瞬閃(しゅんせん)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

九式〝八咫烏(やたがらす)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

 九式・改〝八咫烏一閃(やたがらすいっせん)神速(しんそく)

十式〝雷霆(らいてい)〟(参照作品:BLACK CAT)

十一式〝神威(かむい)〟(参考作品:我間乱)

終式〝滅界(めっかい)〟(参照作品:BLACK CAT)

 




※1)牙突弐式
※2)対空式の牙突参式
※3)牙突零式


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鬼滅流術技設定―陰陽五行―

― 陰陽 ―

天照型(アマテラスノカタ)「呼吸音:ゴォォォォ」

一式〝円舞(えんぶ)

 一式・改〝円舞一閃(えんぶいっせん)

 一式・改〝円舞一閃(えんぶいっせん)神速(しんそく)

二式〝碧羅(へきら)(てん)

三式〝烈日紅鏡(れつじつこうきょう)

四式〝灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)

五式〝陽華突(ようかとつ)

 五式・改〝陽華突(ようかとつ)虎穿(こせん)

六式〝日暈(にちうん)(りゅう)頭舞(かぶりま)い〟

七式〝斜陽転身(しゃようてんしん)

八式〝飛輪陽炎(ひりんかげろう)

九式〝輝輝恩光(ききおんこう)

十式〝火車(かしゃ)

十一式〝幻日虹(げんにちこう)

十二式〝炎舞(えんぶ)

終式〝日ノ神神楽(ひのかみかぐら)

 

 

月詠型(ツクヨミノカタ)「呼吸音:ホォォォォ」

一式〝闇月(やみづき)(よい)(みや)

二式〝珠華ノ弄月(しゅかのろうげつ)

三式〝厭忌月(えんきづき)(つが)り〟

四式〝天狼(てんろう)月暈(つきがさ)〟(※1)

五式〝月魄災禍(げっぱくさいか)

六式〝常世孤月(とこよこげつ)無間(むけん)

七式〝厄鏡(やっきょう)月映(つきば)え〟

八式〝月龍輪尾(げつりゅうりんび)

九式〝(くだ)(つき)連面(れんめん)

 

 

 

― 五行 ―

水龍型(ミズチノカタ)「呼吸音:ヒュゥゥゥゥ」

一式〝水面斬(みなもぎ)り〟

 一式・改〝水面一閃(みなもいっせん)十二連(じゅうにれん)

二式〝水車(みずぐるま)

 二式・改〝横水車(よこみずぐるま)

 二式・改〝水車一閃(みずぐるまいっせん)

三式〝逆鱗(げきりん)〟(参照作品:我間乱)

四式〝流流舞(りゅうりゅうま)い〟

五式〝()(しお)

 五式・改〝()(しお)流流(りゅうりゅう)

 五式・改〝()(しお)(らん)

六式〝干天(かんてん)慈雨(じう)

七式〝ねじれ(うず)

 七式・改〝ねじれ(うず)流流(りゅうりゅう)

八式〝雫波紋突(しずくはもんづ)き〟

 八式・改〝雫波紋突(しずくはもんづ)き・(きょく)

 八式・改〝雫波紋突(しずくはもんづ)き・虎穿(こせん)

九式〝湍流桧瀑(たんりゅうひばく)〟(参照作品:我間乱)

十式〝滝壺(たきつぼ)

十一式〝水流飛沫(すいりゅうしぶき)

 十一式・改〝水流飛沫(すいりゅうしぶき)(らん)

十二式〝漣回天(れんかいてん)〟(参照作品:我間乱)

十三式〝生生流転(せいせいるてん)

 十三式・改〝生生流転(せいせいるてん)(ねじ)流流(りゅうりゅう)

十四式〝明鏡止水(めいきょうしすい)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十五式〝鏡花水月(きょうかすいげつ)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十六式〝(なぎ)

十七式〝水鏡(みかがみ)〟(※2)

終式〝青龍(せいりゅう)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

焔燃型(カグツチノカタ)「呼吸音:コォォォォ」

一式〝不知火(しらぬい)

二式〝(のぼ)炎天(えんてん)

三式〝火柱(ひばしら)〟(参照作品:我間乱)〔※〕

 三式・改〝紫電火柱(しでんひばしら)

 三式・改〝虚蹴紫電(こしゅうしでん)火柱(ひばしら)

四式〝気炎万象(きえんばんしょう)

五式〝紅蓮旋(ぐれんせん)〟(参照作品:我間乱)〔※〕

 五式・改〝紫電紅蓮旋(しでんぐれんせん)

 五式・改〝虚蹴紫電(こしゅうしでん)紅蓮旋(ぐれんせん)

六式〝盛炎(せいえん)のうねり〟

七式〝朱円月(しゅえんげつ)〟(参照作品:我間乱)〔※〕

八式〝炎虎(えんこ)

九式〝鳳凰天駆(ほうおうてんく)〟(参照作品:テイルズシリーズ)〔※〕

十式〝煉獄(れんごく)

十一式〝濃紅大申爪(こきくれないだいしんそう)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十二式〝火産霊神(かぐづち)〟(参照作品:るろうに剣心)〔※〕

終式〝朱雀(すざく)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)〔※〕

 

 

虚空型(オボロノカタ)「呼吸音:シィァァァ」

一式〝影縫(かげぬい)〟(参照作品:我間乱)

二式〝影喰(かげぐ)い〟(参照作品:我間乱)

三式〝塵旋風(じんせんぷう)()ぎ〟

四式〝爪々(そうそう)科戸風(しなとかぜ)

五式〝晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)

六式〝昇上砂塵嵐(じょうじょうさじんらん)

七式〝木枯(こが)らし(おろし)

八式〝黒風烟嵐(こくふうえんらん)

九式〝勁風(けいふう)天狗風(てんぐかぜ)

十式〝初烈風斬(しょれつかぜき)り〟

十一式〝韋駄天台風(いだてんたいふう)

十二式〝襲色紫苑(かさねいろしおん)(かま)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十三式〝草薙(くさなぎ)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

終式〝白虎(びゃっこ)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

土公型(ドコウノカタ)「呼吸音:ゴウゴウゴウン」

一式〝荒神(あらがみ)〟(参照作品:我間乱)

二式〝岩喰(いわぐい)〟(参照作品:我間乱)

三式〝磐裂根裂(いわさくねさく)〟(参照作品:我間乱)

四式〝蛇紋岩(じゃもんがん)双極(そうきょく)

五式〝天面砕(てんめんくだ)き〟

六式〝岩軀(がんく)(はだえ)

七式〝流紋岩(りゅうもんがん)速征(そくせい)

八式〝瓦輪刑部(がりんぎょうぶ)

終式〝玄武(げんぶ)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

雷電型(イカヅチノカタ)「呼吸音:シィィィィ」

一式〝紫電閃(しでんせん)〟(参照作品:我間乱)

 一式・改〝虚蹴紫電閃(こしゅうしでんせん)

 一式・改〝紫電虎穿(しでんこせん)

 一式・改〝虚蹴紫電(こしゅうしでん)虎穿(こせん)

二式〝霹靂一閃(へきれきいっせん)

 二式・改〝霹靂一閃(へきれきいっせん)六連(ろくれん)

 二式・改〝霹靂一閃(へきれきいっせん)八連(はちれん)

 二式・改〝霹靂一閃(へきれきいっせん)神速(しんそく)

三式〝雷切(らいきり)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

四式〝稲魂(いなだま)

五式〝聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)

六式〝遠雷(えんらい)

七式〝熱界雷(ねつかいらい)

八式〝電轟雷轟(でんごうらいごう)

九式〝鳴神(なるかみ)〟(参照作品:我間乱)

 九式・改〝鳴神(なるかみ)虎穿(こせん)〟(参照作品:我間乱)

十式〝建御雷神(たけみかづち)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

終式〝火雷神(ほのいかづちのかみ)

 




※1)鬼滅流オリジナル。天照型(アマテラスノカタ) 六式〝日暈(にちうん)(りゅう)頭舞(かぶりま)い〟と同質の移動斬撃術。
※2)鬼滅流オリジナル。相手の技を〝凪〟で無効化すると同時に、剣技で疑似再現した攻撃を敵に向かって放つ反射斬撃術。


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鬼滅流術技設定―派生型―

水龍型(ミズチノカタ)の派生 ―

氷輪型(ヒョウリンノカタ)「呼吸音:スゥゥゥゥ」

一式〝霜天六花(そうてんりっか)〟(※1)

二式〝夢氷月天(むひょうげってん)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

三式〝牙廻氷衝(がかいひょうしょう)〟(※2)

四式〝氷繭星霜(ひょうけんせいそう)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

五式〝氷刺雪魄(ひょうしせっぱく)〟(※3)

六式〝青藍氷翠(せいらんひょうすい)〟(※4)

七式〝月下氷刃(げっかひょうじん)〟(※5)

終式〝(ゆき)下紅梅(したべにうめ)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

 

 

繚乱型(リョウランノカタ)「呼吸音:フゥゥゥゥ」

一式〝菖蒲斬(あやめぎ)り〟(※6)

二式〝御影梅(みかげうめ)

三式〝(みだ)山吹(やまぶき)〟(※7)

四式〝紅花衣(べにはなごろも)

五式〝(あだ)芍薬(しゃくやく)

六式〝渦桃(うずもも)

 六式・改〝渦桃(うずもも)流流(りゅうりゅう)

七式〝桜閃(おうせん)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

 七式・改〝連桜閃(れんおうせん)

八式〝桜吹雪(さくらふぶき)〟(参照作品:新サクラ大戦)

九式〝百花繚乱(ひゃっりょうらん)〟(参照作品:ラブひな、魔法先生ネギま!、UQ HOLDER!)

十式〝雷桜(らいおう)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

 

 

常世型(トコヨノカタ)「呼吸音:フウゥゥゥ」

蝶ノ舞一式〝(たわむ)れ〟

蝶ノ舞二式〝蜂雀(ほうじゃく)〟(参照作品:胡蝶の忍び)

蝶ノ舞三式〝鱗翅刃(りんしじん)〟(参照作品:胡蝶の忍び)

蜂牙(ほうが)ノ舞一式〝真靡(まなび)き〟

蜻蛉(せいれい)ノ舞一式〝複眼六角(ふくがんろっかく)

蜈蚣(ごこう)ノ舞一式〝百足蛇腹(ひゃくそくじゃばら)

蜘蛛ノ舞一式〝蜘蛛糸絡(くもいとがらみ)〟(参照作品:胡蝶の忍び)

蜘蛛ノ舞二式〝蜘蛛糸傀儡(くもいとくぐつ)〟(参照作品:アラクニド)

蟷螂(とうろう)ノ舞一式〝千手観音蟷螂斬(せんじゅかんのんとうろうざん)〟(参照作品:キャタピラー)

 

 

大蛇型(オロチノカタ)「呼吸音:シュゥゥゥゥ」

一式〝委蛇斬(いだぎ)り〟

二式〝狭頭(きょうず)毒牙(どくが)

三式〝塒締(とぐろじ)め〟

四式〝頸蛇双生(けいじゃそうせい)

五式〝蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

終式〝八岐大蛇(やまたのおろち)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

 

 

水波型(ミヅハノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 雨の秘剣)】「呼吸音:ヒュゥゥゥゥ」

(参照作品:家庭教師ヒットマンREBORN!)

一式〝車軸(しゃじく)(あめ)

二式〝逆巻(さかま)(あめ)

三式〝()らずの(あめ)

四式〝五風十雨(ごふうじゅうう)

五式〝五月雨(さみだれ)

六式〝秋雨(あきさめ)

七式〝繁吹(しぶ)(あめ)

八式〝篠突(しのつ)(あめ)

九式〝うつし(あめ)

十式〝霧雨(きりさめ)

十一式〝斬雨(きりさめ)

終式〝時雨之化(じうのか)

 

 

 

虚空型(オボロノカタ)の派生 ―

宿儺型(スクナノカタ)「呼吸音:フウウウウ」

一式〝垂天遠霞(すいてんとおがすみ)

 一式・改〝垂天遠霞(すいてんとおがすみ)虎穿(こせん)

二式〝うろこ(ぐも)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

三式〝八重霞(やえがすみ)

四式〝霞散(かさん)飛沫(しぶき)

五式〝移流斬(いりゅうぎ)り〟

六式〝霞雲(かうん)(うみ)

七式〝(つき)霞消(かしょう)

八式〝(おぼろ)

終式〝雲散霧消(うんさんむしょう)〟(※8)

 

 

千手型(センジュノカタ)「呼吸音:シュフゥゥゥゥ」

(参照作品:刀語)

一式〝走法(そうほう)地抜(ちぬ)き〟

二式〝一刀(いっとう)一文字斬(いちもんじぎ)り〟

三式〝二刀(にとう)十文字斬(じゅうもんじぎ)り〟

四式〝空中一刀(くうちゅういっとう)億文字斬(おくもんじぎ)り〟

終式〝千刀巡(せんとうめぐ)り〟

 

 

 

雷電型(イカヅチノカタ)の派生 ―

飛天型(ヒテンノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 龍ノ秘剣)』「呼吸音:シィィィィ」

(参照作品:るろうに剣心)

一式〝龍槌閃(りゅうついせん)

 一式・改〝龍槌閃(りゅうついせん)(ざん)

二式〝龍翔閃(りゅうしょうせん)

 二式・改〝龍槌翔閃(りゅうついしょうせん)

三式〝双龍閃(そうりゅうせん)

 三式・改〝双龍閃(そうりゅうせん)(いかずち)

四式〝土龍閃(どりゅうせん)

五式〝龍巻閃(りゅうかんせん)

 五式・改〝龍巻閃(りゅうかんせん)(つむじ)

 五式・改〝龍巻閃(りゅうかんせん)(こがらし)

 五式・改〝龍巻閃(りゅうかんせん)(あらし)

六式〝龍巣閃(りゅうそうせん)

 六式・改〝龍巣閃(りゅうそうせん)(がらめ)

七式〝飛龍閃(ひりゅうせん)

八式〝龍鳴閃(りゅうめいせん)

九式〝九頭龍閃(くずりゅうせん)

 九式・改〝二十七頭龍閃(にじゅうななずりゅうせん)

終式〝天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)

 

 

鈿女型(ウズメノカタ)「呼吸音:スィィィィィ」

一式〝(とどろき)

二式〝鋼伸牙顎(こうしんががく)〟(※9)

三式〝転環遁走(てんかんとんそう)〟(※10)

四式〝響斬無間(きょうざんむけん)

五式〝鳴弦奏々(めいげんそうそう)

 




※1)鬼滅流オリジナル。るろうに剣心に登場する飛天御剣流の〝龍巣閃〟と同質の6連乱撃斬術。
※2)鬼滅流オリジナル。水龍型(ミズチノカタ) 七式〝ねじれ渦〟繚乱型(リョウランノカタ) 六式〝渦桃〟と同質の回転斬撃術。
※3)鬼滅流オリジナル。るろうに剣心に登場する倭刀術〝回刺刀勢〟と同質の反射刺突術。
※4)鬼滅流オリジナル。。繚乱型(リョウランノカタ) 五式〝徒の芍薬〟と同質の多連撃斬術。
※5)鬼滅流オリジナル。神速抜刀術。
※6)鬼滅流オリジナル。水龍型(ミズチノカタ) 一式〝水面斬り〟と同質の斬撃術。
※7)鬼滅流オリジナル。水龍型(ミズチノカタ) 十一式〝水流飛沫〟と同質の地形対応術。
※8)鬼滅流オリジナル。相手を塵すら残さず粉微塵にする超神速の乱撃斬術。使えば利き手腕が壊れる。(再起可能かは使い手の才能次第)
※9)オリジナル名称。柄頭が鎖で繋がったニ刀の内、片方の刃先を摘まんで振り回すことで間合いを伸ばす斬撃術。
※10)オリジナル名称。敵の動作を音楽の旋律として把握し、攻撃を弾いたり受け流しながら反撃に転じる戦闘技術。


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鬼滅流術技設定―複合派生型―

― 陰陽五行の派生 ―

桃源型(トウゲンノカタ)「呼吸音:ポォオオオ」

(参照作品:ラブひな、魔法先生ネギま、UQホルダー)

一式〝斬岩剣(ざんがんけん)〟(岩系+炎系)

 一式・改〝斬岩剣七連(ざんがんけんななれん)〟(岩系+炎系+雷系)

 一式・改〝斬岩剣十四連(ざんがんけんじゅうよんれん)〟(岩系+炎系+雷系)

 一式・改〝斬岩剣(ざんがんけん)弐ノ太刀(にのたち)〟(岩系+炎系+水系)

二式〝斬鉄閃(ざんてつせん)〟(岩系+日系)

 二式・改〝二刀連撃斬鉄閃(にとうれんげきざんてつせん)〟(岩系+日系+雷系)

三式〝斬空閃(ざんくうせん)〟(風系)

 三式・改〝斬空閃(ざんくうせん)弐ノ太刀(にのたち)〟(風系+水系)

 三式・改〝斬空掌(ざんくうしょう)〟(風系)

 三式・改〝斬空掌散(ざんくうしょうさん)〟(風系)

四式〝斬光閃(ざんこうせん)〟(月系)

 四式・改〝拡散斬光閃(かくさんざんこうせん)〟(月系)

五式〝飛燕抜刀霞斬(ひえんばっとうかすみぎ)り〟(風系)

六式〝竜破斬(りゅうはざん)〟(岩系+炎系+日系)

七式〝百烈桜華斬(ひゃくれつおおかざん)〟(水系+雷系)

八式〝剣風華爆焔壁(けんふうかばくえんへき)〟(炎系+雷系)

九式〝桜花乱舞(おうからんぶ)〟(水系+岩系)

 

 

 

天神型(イザナギノカタ)天照型(アマテラスノカタ)水龍型(ミズチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)の派生 ―

春山型(ハルヤマノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 藤ノ秘剣)】「呼吸音:フゥウウウゥゥ」

(参照作品:学戦都市アスタリスク)

一式〝拾餌(えひろい)

二式〝釣船(つりふね)

三式〝妙妙(みょうみょう)

四式〝妹背山(いもせやま)

五式〝八橋(やつはし)

六式〝昔男(むかしおとこ)

七式〝楽々波(さざなみ)

八式〝迦陵頻(かりょうびん)

九式〝芙蓉(ふよう)

十式〝熊谷(くまがえ)

十一式〝風車(かざぐるま)

十二式〝村雲(むらくも)

十三式〝呉竹(くれたけ)

十四式〝(ゆめ)(かよ)()

十五式〝九万里(くまんり)

十六式〝布晒(ぬのさらし)

十七式〝()ツの(そで)

十八式〝つく羽根(ばね)

十九式〝青海波(せいがいは)

二十式〝澤瀉(おもだか)

二十一式〝比翼(ひよく)

二十二式〝瓢箪町(ひょうたんまち)

二十三式〝鶺鴒(せきれい)

二十四式〝三巴(みつどもえ)

二十五式〝雛遊(ひなあそ)び〟

二十六式〝(かなえ)

二十七式〝寄木(やどりぎ)

二十八式〝花橘(はなたちばな)

二十九式〝蓬莱(ほうらい)

三十式〝花見車(はなみぐるま)

三十一式〝鳴子(なるこ)

三十二式〝花菱(はなびし)

三十三式〝百鶴(ひゃっかく)

三十四式〝早乙女(さおとめ)

三十五式〝(みつ)(いち)

三十六式〝(あさがお)

三十七式〝横雲(よこぐも)

三十八式〝荘子(そうじ)

三十九式〝巣籠(すごもり)

四十式〝相生(あいおい)

四十一式〝風蘭(ふうらん)

四十二式〝葭原雀(よしわらすずめ)

四十三式〝(はる)(あけぼの)

四十四式〝龍膽車(りんどうぐるま)

四十五式〝(あり)(とう)

四十六式〝野干平(やかんべい)

四十七式〝杜若(かきつばた)

四十八式〝(うり)(つる)

四十九式〝稲妻(いなづま)

終式〝連鶴(れんづる)

 終式〝連鶴(れんづる)(あらた)

 

 

 

虚空型(オボロノカタ)雷電型(イカヅチノカタ)の派生 ―

雲耀型(ウンヨウノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 雲ノ秘剣)】「呼吸音:シィアアァァ」

(参照作品:竹刀短し恋せよ乙女、武装少女マキャヴェリズム)

一式〝疾風(しっぷう)〟(風系)

二式〝迅雷(じんらい)〟(雷系)

三式〝瞬光(しゅんこう)〟(雷系)

 



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地球さんlevel up 1年目!
プロローグ(一部編集 2023/06/10)


おはこんばんにちは、大筒木朱菜です!

最近、仕事のストレスで円形脱毛やら味覚障害になって、ストレス発散の為に執筆し、投稿してみました。

2日で3話も執筆できたので、一気に投稿してみます。

読んで頂き、楽しんで頂けると幸いです。





※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです


 

 

 

【視点:???】

 

 

 

私の名前は羊谷(ひつじや)命子(めいこ)。15歳のどこにでもいる普通の女子校生―――ではなく、ラノベなどによく登場する転生者の女子校生だったりする。

 

前世の記憶は大雑把にしか残ってなくて、性別とか死因とか前世で歩んだ人生なんかは思い出せないんだけど、自分が漫画やアニメ、ラノベをこよなく愛するサブカル(サブカルチャー)オタクで、神様転生を果たしたことだけは覚えている。

 

っていうか、15年も親の庇護下で過ごしてきてなんだけど、私をこの世界に転生させた神様に一言物申したい。

 

明らかに前世と変化が無さそうな世界に対して、何でダンジョンと冒険に満ち溢れた世界とか言いやがった、コノヤロー!!?

 

押し付けられる様な形だったけど、大盤振る舞いで同じ神様の手によって異世界転生(?)させられた先輩転生者の特典+私だけの転生特典っていうのが貰えたけど、平和そのものな世界だから使う機会が皆無だろうが!!

 

ダンジョンと冒険に満ち溢れた人生とか言われたから、「ダンまち」とか「ありふれ」とか「ダンジョン○ーカー」とか、ワンチャン「ドラクエ」とか「FF」とか「テイルズ」世界に行くと思ってただろうが!!

 

………先輩転生者の特典は基本的に戦闘特化だし、私が貰った特典も幻想技能(ファンタジースキル)だから、地球の平和な日本ではほとんど無意味。

 

いや、一部の能力は中学時代の部活動で大いに役立って、その功績が高校の推薦入学にも一役買ってたけど、ぶっちゃけそれ以外では役になってない。

 

…………いやいや、転生特典を貰って置きながら腐るんじゃない、羊谷命子!特典を思い返せば、現代社会でも何かしらの役に立つかもしれない!

 

特典その①、第25788並行世界に転生した転生者(現地個体名:奴良リクオ)の技能(スキル)と戦闘経験

 

この特典は5つの転生特典+αを1つに圧縮した様なものだから、1つずつ思い返そう。

 

1つ目は、「ありふれた職業○世界最強」に登場する南雲ハジメが異世界・トータスで形成した価値観と地球に帰還するまでに獲得した技能(スキル)を含む全ステータス+α。

 

この特典で得られる価値観は、世界に存在するモノを〝特別〟、〝敵〟、〝それ以外〟の3つに分類し、自分の目的や生存を阻む存在、〝特別〟に害する存在を〝敵〟と認識し、〝敵〟絶対殺すマンになれる精神強化系っぽい能力。

 

ぶっちゃけ、命の遣り取りが行われる世界でしか役に立ちそうにない特典。地球の平和な島国・日本では1円の価値も無い。紛争地帯で少年兵をするなら役に立つかもしれない。

 

先輩転生者―――リクオ先輩の世界では魔力が存在しないから、南雲ハジメがトータスで形成した価値観しか得られなかったみたいなんだけど、私の場合は個人的な特典で魔力を獲得してることから、技能(スキル)も使える様になってるみたい。

 

技能(スキル)はそのまま錬成魔法とか神代魔法概念魔法、魔物を喰らうことで得られる魔物の技能とかで、現代の日本社会どころか地球社会で使ったら、各国から家族諸共狙われかねない。

 

しかも、南雲ハジメの場合は神代魔法でも得手不得手があったのに、私は全ての神代魔法を十全として扱える特別仕様。

 

2つ目は「落第騎士○英雄譚」に登場する黒鉄一輝の保有技能。

 

これは模倣剣技(ブレイドスティール)完全掌握(パーフェクトビジョン)。秘剣、抜き足、比翼の剣技が含まれる。模倣剣技(ブレイドスティール)に関しては模倣技術(スキルスティール)と呼べる代物。

 

剣技以外の技術――柔術や柔道、空手などの格闘技や医療技術、調理技術などの技術関連なら何でも模倣できるので。

 

ちなみにこの特典も私が魔力持ちだから、リクオ先輩が使えなかった〝一刀修羅〟〝一刀羅刹〟を使えたりする。

 

3つ目は「学戦都市○スタリスク」に登場する星脈世代(ジェネステラ)級の身体能力。

 

ぶっちゃけ、南雲ハジメのステータスの時点で身体スペックは人間離れしてる上、〝一刀修羅〟〝一刀羅刹〟を使えることで人外の域に達してるのに、更に重ね掛けの様な身体強化特典。

 

しかも、飽く迄星脈世代(ジェネステラ)級の身体能力だから、万応素(マナ)星辰力(プラーナ)を使った異能は使えない。身体強化系特典はもうお腹いっぱいなので必要ありません。

 

4つ目は創作物に登場する武術の知識と行使技術。

 

これを見た瞬間、私は黒鉄一輝の保有技能いらなくない?と思ったけど、どうやら現実に存在する剣技はこの特典の対象外っぽい。

 

つまり、天霧辰明流や刀藤流、無明神風流、無明歳刑流、飛天御剣流、隠密式小太刀二刀流、牙突、時雨蒼燕流(特式の一部除外)などの創作物の武術のみが該当するみたいだ。

 

使用方法は例えば刀藤流を使う場合、刀藤流のことを考えると基本となる49の型だけでなく、刀藤綺凛が編み出した連鶴・新の知識が浮かび上がり、行使できるといった感じ。

 

あと、現実に存在する流派でも剣技そのものが創作である場合はこの特典に該当し、使用可能となる。例えば、「し○こいっ」と「武装少女○キャヴェリズム」に登場する示現流と薬丸自顕流の雲耀〝疾風〟〝迅雷〟〝瞬光〟など。

 

他にも「鬼滅○刃」に登場する全集中の呼吸の流派の型だけでなく、全集中の呼吸・常中を含む呼吸術そのものや、創作物に登場する武術全般なので「刀○」の虚刀流や「修羅○門シリーズ」の陸奥圓明流と不破圓明流、「Ultra ○ed」の破傀拳なども該当する。

 

5つ目は「終わり○セラフ」に登場する鬼呪装備・阿朱羅丸。

 

リクオ先輩の世界では対吸血鬼殲滅装備ではなく、対惡鬼殲滅装備に仕様変更がされてるみたいなんだけど、基本的な特殊能力は原典の阿朱羅丸と同じみたい。

 

私の世界ではダンジョンと冒険に満ち溢れた世界になる予定だったので、リクオ先輩の対惡鬼殲滅仕様から私用の対魔物殲滅仕様に変更されている。

 

あと、原典の阿朱羅丸と違う点は、リクオ先輩の阿朱羅観音と同じで創造した刀を第三者に渡すと壊れるまでこの世に具現化し続けるという点かな?

 

まぁ、リクオ先輩の阿朱羅丸が対惡鬼殲滅仕様から対魔物殲滅仕様に変更された以外の違いは特にないと思うよ。

 

ちなみにこの阿朱羅丸を私がどうやって手に入れるかというと、実は私が生まれた時から所持していたりするよ。

 

勿論、阿朱羅丸と一緒に母親の胎内から生まれたって訳じゃない。私の意識が目覚めた時点で、空間魔法で干渉可能な異空間に保管されてた形になる。

 

6つ目は第25788並行世界転生者の技術と戦闘知識

 

これは第25788並行世界でリクオ先輩が生み出したり、獲得した技術と戦闘知識を得られるというもの。

 

リクオ先輩が生み出した技術は主に「鬼滅○刃」の全集中と呼吸と他作品の戦闘技術を組み合わせたものだね。

 

例えば、「るろう○剣心」に登場する飛天御剣流を同じ技量の使い手同士が相対して、片方が全集中の呼吸を使えたとするなら、確実に呼吸術を使える方が強い。

 

そういう考えから生み出されたと思われるのが、他作戦闘呼吸術だと私は思ってる。ぶっちゃけ、一から組み合わせて最適化する手間が省けるので、凄く助かってます。

 

他にリクオ先輩が生み出した技術といえば、魔力が存在しない世界で〝一刀修羅〟〝一刀羅刹〟全集中の呼吸で再現した全集中・修羅全集中・羅刹かな?

 

身体強化系とは言え、魔力で起こしている現象を全集中の呼吸で再現しようとは、普通は考えないだろうからね。

 

他にリクオ先輩は、継国縁壱と同じく痣覚醒によるデメリットに影響されず、〝透き通る世界〟を十全と扱えたみたいだから、私も痣覚醒のデメリットの影響を受けず、〝透き通る世界〟を普通に使えたりする。

 

痣覚醒のデメリットを受けない影響というべきなのか、私は生まれた時から肩甲骨の所に翼の様な形の痣があって、体温を39℃以上キープし続けていたりもする訳だけど。

 

そのせいで幼少期は入院生活を送っていたよ。小学校に入学する頃には、一般人にとっての高熱でも普通に走り回ったり、意識もはっきりしていて受け答えもできることから、突然変異の特異体質ではないかということで、退院することはできたけどね。

 

それでもその特異体質の研究って言うのかな?取り敢えず、検査の為に定期的な通院は今でも続いている訳なんだけど。

 

ちなみに身体強化の序列は、痣覚醒≧全集中・羅刹>>>>>全集中・修羅>>>>>>>>>>全集中・常中>>>>>全集中の呼吸といった感じ。

 

リクオ先輩が獲得した技術は第25788並行世界で独自に生まれた雪の呼吸と呼ばれる呼吸術や忍者が使いそうな操糸術・弦術とか色んな技術だね。

 

詳しく説明するのは面倒だから、ここら辺でリクオ先輩から得られた転生特典の説明は終了だよ!!

 

特典その②、「FAIRY ○AIL」に登場する炎、鉄、天空、雷、毒、光、影の滅竜魔法

 

七属性の滅竜魔法〝ドラゴンフォース〟も含めて十全と扱える能力だね。

 

原作では基本的に雷炎や鉄影、聖影なんかの二重複合が出てたと思うけど、私の場合は最終決戦でナツが使ってた七重複合もできるみたい。

 

特典その③、「終末○ワルキューレ」に登場する佐々木小次郎の〝萬手無双〟

 

〝透き通る世界〟完全掌握(パーフェクトビジョン)と併用することで、同作の釈迦が使用する未来視・正覚〝阿頼耶識〟に匹敵する究極の未来予測(神の一手)に至れる。

 

ただし、一般的な未来視や未来予知と違って、体を動かすことで発生する事象しか予測できないので、テストの問題や宝くじの当選番号を予測することなどはできない。

 

…………うん。思い返してみても戦闘寄りの万能型。けど、科学発展世界では魔法なんて公には使えないから、完全な近接物理特化。

 

20××年現在。紛争や内乱が起き易い地域でも、刀剣類や無手格闘技で戦争してる所は無い。少年兵でも拳銃や軽機関銃を使ってる筈。

 

そう考えると、私の戦闘系技能(スキル)は紛争・内乱地帯でもほとんど役に立たない気がする。

 

いや、〝萬手無双〟〝透き通る世界〟完全掌握(パーフェクトビジョン)全集中の呼吸術を使えば、「鋼○錬金術師」のキング=ブラッドレイみたいに戦い方次第で戦車も破壊できる可能性はあるかも。

 

………さて、改めて考察してみた結果、私が転生特典で得た技能(スキル)は平和な日本では無意味なものだと再認識できた。

 

技能(スキル)を有効活用するとしたら、将来的になる職業は女性警官か、女性自衛官かな?

 

高校生の剣道や柔道といった武道系部活は、全国大会で個人的に優秀な成績を出すと、警察に就職する際、色々と有利になるって聞いたことがあるから、高校でも入部するとしたら剣道部かな?

 

そんなことを考えながら、剣道着姿(白)に竹刀と木刀の入った竹刀袋と防具一式を収めた防具袋を担いで、小4から通ってる剣道場に向かっていると、いつも通り過ぎる郵便局の前で不可思議な現象と遭遇した。

 

今まで生きてきた人生で一度も聞いたこともない重低音が頭の中に直接響く様に聞こえて来て、体を揺らした。

 

周囲の建物が揺れていないことから、地震が起こった訳ではないと即座に把握した私は、頭に直接響く様に聞こえてきた重低音が原因で体が揺れたことを理解し、周囲を見渡して重低音の原因を探る。

 

近くで交通事故があったのか?はたまたガス爆発でも起こったのか?兎に角、何かしらの事故が起こったのなら110番と119番をしなければいけない。

 

私は防具一式と一緒に防具袋に入れていたスマホを取り出し、いつでも電話できる状態にしてから周囲を見渡すけど、特に事故などは起こっていない。

 

一体どういうこと?そんなことを考えていると、何処からともなく謎の声が聞こえてきた。その謎の声の主は、何と私達が住んでいる惑星―――地球が自我を持ち、発しているものだった。

 

あまりにも理解不能な展開に一瞬だけフリーズする私。けど、私の頭は即座に再起動を果たした。何故なら私自身が並行世界への転生という不可思議体験を既に経験している存在だからだ。

 

そして、地球さんから一方的に話される重大発表。内容は地球上に存在する大量破壊兵器は全て土に還すというもの。地球でマナが放出され、ダンジョンが出現するというもの。地球上の全生物にカルマ式ステータスシステムが実装されるというもの。

 

神様がダンジョンと冒険に満ち溢れた世界と言っていたのは、将来的に地球さんがレベルアップするということを意味していた訳だ。

 

地球さんは最後に「自分、頑張ったよね?地球さんに住む皆、オラに称賛を浴びせてくれ」と、元気玉ならぬ称賛玉を作りたい的な感じで褒めてアピールをしていた。

 

地球さんがレベルアップしたことで、死蔵することになりそうだった私の転生特典が日の目を見ることになったので、私は大いに地球さんを称賛することにした。

 

 

「地球さん、おめでとう!最高だよ!!Bravo(ブラボー)!!!I love Earth!!!」

『わお!称賛の言葉だけでなく、愛の言葉まで貰えて地球さんは感激だよ!それじゃあ、レベルアップした地球さんを楽しんでね。皆、アディオス!』

 

 

地球さんが重大発表をそう言って締め括ると同時に私は光に包み込まれ、光が収まると、私の眼前には石畳と煉瓦作りの通路が広がった。

 

 

「………地球さん。私、ダンジョンができることに狂喜したし、地球さんにも称賛の声を高らかに上げたけど、少しだけでも心の準備って言うか、ダンジョンに踏むこむ情緒的なものを味わう時間をくれても良かったと思うんだよね。

重大発表終了と同時にダンジョン送りとか、殆ど落とし穴みたいなもんじゃん」

 




今日中にキャラ設定とか、こっちにも鬼滅流設定を上げた方がいいかな?とか思ってたり、思ってなかったり。(笑)


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第1話(一部編集 2023/06/10)※

※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

地球にダンジョンが生み出されて早々、そのダンジョンに半強制で取り込まれた私は、取り敢えず防具袋と竹刀袋を空間魔法で作られた異空間に収納。

 

そして、逆に異空間に収納されていた阿朱羅丸を取り出し、念じると表示されるというステータス情報を確認する。

 

 

※ウインドウステータス

羊谷命子(15歳)

 

ジョブ

大魔導剣士

 

レベル

*#&%

 

カルマ

+2000

 

魔力量

22920/22970

 

スキル

【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】

 

ジョブスキル

【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】

 

称号

【地球さんを大いに祝福した者】

 

 

……スキル項目に表示されてるスキル名が意味不明過ぎて、何も分かんない。地球さん、トータス産のステータスプレートみたいに細かく表示することができなかったの?

 

多分、錬成師セット=錬成魔法、滅竜魔導士セット=滅竜魔法、鬼狩りセット=呼吸術+鬼滅流剣術、神代魔法師セット=神代魔法、概念魔法師セット=概念魔法だよね?

 

雷装術は纏雷で、爪撃術は風爪、見取り稽古は模倣技術(スキルスティール)完全掌握(パーフェクトビジョン)になるのかな?

 

スキルの詳細が分からなくてモヤモヤするけど、ウインドウステータスにも役立つ点があった。それは魔法を使うことで消費する魔力量が確認できること。

 

……空間魔法で異空間の宝物庫を開くのに使う魔力消費量って1回で50ポイントなんだ。滅竜魔法の場合はどれだけ魔力を消費するのかな?

 

 

「というか、このステータスは完全にチートなんだろうな。多分、他の人はレベル1からのスタートで、技能(スキル)も1つからスタートだろうし。

………………取り敢えず、待ちに待ったダンジョンでもある訳だし、探索とか魔物狩りとか、色々と楽しもう。

ゲームとかだと魔物を斃すとアイテムをドロップしたり、ダンジョン内に宝箱が有ったりするけど、このダンジョンはどうなんだろう?

もし、ゲームと同じ様にアイテムドロップや宝箱が有るなら、金属素材を手に入れた時に錬成魔法神代魔法を駆使して、トータス風ステータスプレートを作ってみよう。

あと、お母さん達に心配を掛けたくないから、18時までにダンジョンから出る方法が見つからなかったら、空間魔法概念魔法脱出(リレミト)を試してみよう」

 

 

周囲には誰も居ないから完全に独り言になってる訳なんだけど、今後の行動方針を口にした後、私は道なりにダンジョンを進むことにした。

 

このダンジョンは20~50m間隔で丁字路や曲がり角が存在し、私は直感に任せて道を選び、兎に角進み続けた。

 

すると、ダンジョンに入ってから約10分後に私は魔物との初エンカウントを果たすこととなった。

 

記念すべき初の魔物狩り(モンハン)対象は甲虫種のオルタロス――ではなく、けん玉みたいな拳とバネの様な腕の付いた子供の落書きの様な顔がある水色の風船だった。

 

この魔物の仮称はバネ風船としておこう。バネ風船は私に気付くと、ア○パンチならぬけん玉パンチを私の顔面に目掛けて繰り出してきた。

 

その攻撃に対して、私は真半身で躱し、そのまま回転しながらバネ風船の背後に回り込んだ。そして―――

 

 

「シィィィィ―――全集中、飛天型(ヒテンノカタ) 五式〝龍巻閃〟!!」

 

 

バネ風船の背後目掛けて、阿朱羅丸による斬撃を放った。この一撃でバネ風船は呆気なく光になって消えると、その真下には赤石とバネ風船のバネ腕が転がり落ちた。

 

恐らく、この赤石とバネ腕がゲームでいう所のドロップアイテムなんだろう。………うんうん。「ダンまち」の迷宮都市オラリオみたいでいいね!滾って来たよ!!

 

初エンカウントのバネ風船を倒したけど、ステータスに何か変化はあったかな?

 

 

※ウインドウステータス

羊谷命子(15歳)

 

 

ジョブ

大魔導剣士

 

レベル

*#&%

 

カルマ

+2050 《折れぬ意思+50》

 

魔力量

22970/22970

 

スキル

【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】

 

ジョブスキル

【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】

 

称号

【地球さんを大いに祝福した者】

 

 

カルマ値が上がってる以外の変化は、魔力量が回復してるくらいか。空間魔法を使ってから魔力量が回復するのに掛かった時間は約10分。

 

ということは、約1分で5魔力も回復するってことかな?ソシャゲでクエスト進行に必要なポイントを回復する場合、1~5分で1ポイント回復することが多いから、1分で5魔力も回復するのはかなり良心的な仕様だ。

 

けど、「ありふれ」には、確か高速魔力回復っていう技能(スキル)があった筈。記憶が曖昧だけど、南雲ハジメも獲得してた気がする。

 

私も高速魔力回復を保有していると想定するなら、私の魔力回復率が1分5魔力だったとしても、他の人は逆に5分1魔力の可能性もあり得るかな?

 

普通だったら分かる筈のことがチート故に分からないとは、チートも善し悪しってことを改めて思い知らされる ね。

 

取り敢えず、今回は自分の保有技能(スキル)の検証を最優先しよう。感知系技能(スキル)がどのくらいの距離まで有効なのか?とか、隠密系技能(スキル)が魔物に対してどれくらい有効なのか?とか。

 

あと、魔物のドロップアイテム―――初っ端から金属素材っぽいのを手に入れたから、錬成魔法で加工できるかの検証を行おう。

 

ステータスプレート1枚なら、今回手に入れたバネ程度で十二分に足りている筈。まぁ、それなりの強度の武器を造るとなると40~50個は手に入れて圧縮錬成を使わないといけないだろうけど。

 

ということで、早速私の持ち得るスキルを駆使して、トータス風ステータスプレートを作った上、使ってみた。ちなみに使用したバネ風船のバネは半個分。

 

 

※ステータスプレート(オリジナルと若干異なる)

【名前】

羊谷命子

 

【年齢】

15歳

 

【性別】

 

【天職】

大魔導剣士[錬成師+神代魔法師+概念魔法師+滅竜魔導士+鬼狩り]

 

【レベル】

*#&%

 

【カルマ】

+2050

 

【ステータス】

筋力:16950

体力:17190

耐性:13670

敏捷:19450

  (瞬光状態:194500)

  (電光石火状態:389000)

  (疾風迅雷状態:389000)

魔力:22970

魔耐:21780

 

技能(スキル)

錬成魔法(極)(※1)

錬成[+物質鑑定][+物質探査][+物質分離][+物質融合][+高速錬成][+精密錬成][+自動錬成][+複製錬成][+圧縮錬成][+集束錬成][+創造錬成][+想像構成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少]

滅竜魔法(極)

[炎][+鉄][+雷][+天空][+毒][+光][+影][+ドラゴンフォース]

神代魔法(極)

生成[+重力][+空間][+再生][+魂魄][+昇華][+変成]

概念魔法

導越[+界越][+神越][+全存在否定][+継承]

呼吸術(全/極)

全集中の呼吸[+全集中・常中][+止血の呼吸][+全集中・修羅][+全集中・羅刹][+痣覚醒][+透き通る世界]

剣術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+刀剣装備時 物攻上昇]

二刀剣術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+連撃時 物攻上昇][+二刀装備時 物攻上昇]

棍術(極)

打撃速度上昇[+棍装備時 物攻上昇][+与ノックバック]

槍術(極)

刺突速度上昇[+薙ぎ払い速度上昇][+槍装備時 物攻上昇]

薙刀術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇] [+薙刀装備時 物攻上昇]

格闘術(極)

打撃速度上昇[+無手時 物攻上昇]

斧術(極)

斬撃速度上昇[+斧装備時 物攻上昇]

鎖鞭術(極)

操作精度上昇[+操作速度上昇][+鎖鞭装備時 物攻上昇]

弦術(極)

操作精度上昇[+操作速度上昇][+操作範囲拡大]

魔法全属性適性(極)

発動速度上昇[+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]

魔力術(極)

魔力操作[+魔力障壁][+魔力認識阻害][+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+体力変換][+治癒力変換][+衝撃変換][+高速魔力回復][+魔素集束]

雷装術

纏雷[+雷耐性][+出力増大][+電光石火][+疾風迅雷]

爪撃術

風爪[+三爪][+飛爪]

歩法(極)

抜き足[+天歩][+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]

視力

夜目[+遠見][+心眼][+千里眼]

感知術(極)

気配感知[+特定気配感知][+魔力感知][+特定魔力感知][+熱源感知][+特定熱源感知]

隠密術(極)

気配遮断[+幻踏][+滅心]

能力強化術

限界突破[+覇潰][+真匠][+一刀修羅][+一刀羅刹]

防御術

金剛[+部分強化][+集中強化][+付与強化]

耐性(極)

毒耐性[+麻痺耐性][+石化耐性][+恐慌耐性][+全属性耐性]

豪腕

振動破砕

見取り稽古

模倣技術[+完全掌握]

胃酸強化

先読術

千手無双[+萬手無双][+????]

威圧

念話

追跡

言語理解

 

【称号】

地球さんを大いに祝福した者

 

 

………私自身の記憶にある「web版ありふれ」に掲載されていた南雲ハジメのステータス情報と、今見ているステータスにかなり違いがあるような気がするのは、私の気のせいだろうか?

 

魔法全属性適性と物理戦闘系技能は、ジョブスキルだけでなく転生特典の恩恵も含まれてると考えれば納得できる。

 

斧術は(いわ)の呼吸、鎖鞭術は(こい)の呼吸でウルミに近い形状の武器を使ったり、(いわ)の呼吸で鎖鎌ならぬ鎖斧(棘付鉄球)を使うし、格闘術は(そら)の呼吸関係に存在するからね。

 

棍術、槍術、薙刀術、弦術も古今東西あらゆる武器を扱ったリクオ先輩の戦闘経験が転生特典に含まれているから、技能(スキル)に存在してもおかしくは無い。

 

けど、雷装術の電光石火と疾風迅雷は意味不明。もしかして、「HUNTER×HUNTER」のキルアが使ってた念能力?

 

あと、錬成魔法が私の記憶にあるものと違う。私の記憶が正しければ鉱物限定で作用する鋼の錬金術的な魔法だった筈なのに、作用する範囲が鉱物限定じゃなくなっている。

 

……………まぁ、どれだけ考えたところで、技能(スキル)が追加された理由なんて分らないから考えるのは止めよう。

 

そんなことにより気配探知の検証だ。そう考えると同時に私が気配探知を使うと、進行方向で大して離れてない距離に動く物体が存在することを感知できた。

 

念の為、気配遮断を使った状態で気配探知に引っ掛かった物体がいる方向に歩を進める。そして、私が二度目の遭遇した物体は、バネ風船と同じ様に宙に浮かぶ本だった。

 

しかも、この本の表表紙にはバネ風船と同じ様な落書きみたい顔が存在した。気配探知に引っ掛かったことから、生物として気配を発していることも確定。つまり、100%魔物ということになる。

 

相手は魔物とはいえ本。本=紙=火で燃やせる。ということで、今度は炎の滅竜魔法を使ってみよう。相手はドラゴンじゃなくて本だけど。

 

私は炎に変換した魔力を右前腕に集束させるイメージを思い浮かべる。すると、真っ赤に燃え盛る炎が右前腕部から噴き出た。当然だけど、燃えている私の前腕に火傷などは一切できていない。

 

こちらが攻撃体勢を取ると気配遮断技能(スキル)が自動でoffに切り替わるのか、本の魔物は私に向かって開かれたページをパラパラと捲り始める。

 

先手必勝!何かを仕掛けられる前にこちらが仕掛ける!ダンジョンとは弱肉強食の世界なのである!!

 

 

〝火竜の鉄拳〟!!」

 

 

本の魔物―――もう魔本でいいや。魔本に向かって真っ直ぐ突っ込みながら、炎を纏わせた右ストレート放つと、魔本は湿気に弱い本という立場の癖に水球を生み出し、私に向かって放ってきた。

 

放たれた水球は見事に〝火竜の鉄拳〟とぶつかり、大して広いとも言えないダンジョンの通路を蒸気で満たす。

 

この蒸気が目晦ましとなったのか、魔本は私に向かって追撃などはして来なかった。逆に私は特定気配感知と特定魔力感知を同時に使うことで魔本の位置を正確に把握できたので、魔本の背表紙に回り込んで攻撃を仕掛ける。

 

 

〝火竜の翼撃〟!!」

 

 

〝火竜の翼撃〟が直撃した魔本は派手に燃え上がり、最終的はバネ風船と同じ様に光の粒となって消えてしまった。

 

そして、魔本が消えた場所の地面に残ったのは1冊の本とバネ風船も落とした赤い石。多分、赤い石はファンタジー系の物語によく出る魔石的なものなんだろう。

 

本の方は読めば魔法が使える様になるとか、本を装備品として扱うことで魔法を使える様になるとか、そういった類のものだろう。

 

取り敢えず、気配感知で周囲を警戒しつつ、魔本について色々と調べてみる。

 

…………………………………色々と調べた結果、装備すると念じることで私を中心とした半径50m以内(少なくとも前後は50m先まで移動させることができることを確認済み)に浮遊させ、私のイメージ通りに操作できることが判明した。

 

そして、バネ風船の時と同じ様にステータスウインドウの確認を行うと――――

 

 

※ウインドウステータス

羊谷命子(15歳)

 

ジョブ

大魔導剣士(+大魔導書師)

 

レベル

*#&%

 

カルマ

+2050

 

魔力量

22770/22970

 

スキル

【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【大魔導書師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】

 

ジョブスキル

【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】

 

称号

【地球さんを大いに祝福した者】

 

 

なんか大魔導書師セットって技能(スキル)が増えていたけど、詳細が確認できなくて謎だった。仕方なくステータスプレートで確認すると――――

 

 

【名前】

羊谷命子

 

【年齢】

15歳

 

【性別】

 

【天職】

大魔導剣士[錬成師+神代魔法師+概念魔法師+滅竜魔導士+鬼狩り+大魔導書師]

 

【レベル】

*#&%

 

【カルマ】

+2050

 

【ステータス】

筋力:16950

体力:17190

耐性:13670

敏捷:19450

  (瞬光状態:194500)

  (電光石火状態:389000)

  (疾風迅雷状態:389000)

魔力:22970

魔耐:21780

 

技能(スキル)

錬成魔法(極)(※1)

錬成[+物質鑑定][+物質探査][+物質分離][+物質融合][+高速錬成][+精密錬成][+自動錬成][+複製錬成][+圧縮錬成][+集束錬成][+創造錬成][+想像構成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少]

滅竜魔法(極)

[炎][+鉄][+雷][+天空][+毒][+光][+影][+ドラゴンフォース]

神代魔法(極)

生成[+重力][+空間][+再生][+魂魄][+昇華][+変成]

概念魔法

導越[+界越][+神越][+全存在否定][+継承]

魔導書術(極)

魔導書解放[+魔導書装備枠10冊][+魔導書操作補正][魔導書装備時 魔攻上昇][+魔導書魔攻合成][+消費魔力減少]

呼吸術(全/極)

全集中の呼吸[+全集中・常中][+止血の呼吸][+全集中・修羅][+全集中・羅刹][+痣覚醒][+透き通る世界]

剣術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+刀剣装備時 物攻上昇]

二刀剣術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇][+抜刀速度上昇][+連撃時 物攻上昇][+二刀装備時 物攻上昇]

棍術(極)

打撃速度上昇[+棍装備時 物攻上昇][+与ノックバック]

槍術(極)

刺突速度上昇[+薙ぎ払い速度上昇][+槍装備時 物攻上昇]

薙刀術(極)

斬撃速度上昇[+刺突速度上昇] [+薙刀装備時 物攻上昇]

格闘術(極)

打撃速度上昇[+無手時 物攻上昇]

斧術(極)

斬撃速度上昇[+斧装備時 物攻上昇]

鎖鞭術(極)

操作精度上昇[+操作速度上昇][+鎖鞭装備時 物攻上昇]

弦術(極)

操作精度上昇[+操作速度上昇][+操作範囲拡大]

魔法全属性適性(極)

発動速度上昇[+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]

魔力術(極)

魔力操作[+魔力障壁][+魔力認識阻害][+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+体力変換][+治癒力変換][+衝撃変換][+高速魔力回復][+魔素集束]

雷装術

纏雷[+雷耐性][+出力増大][+電光石火][+疾風迅雷]

爪撃術

風爪[+三爪][+飛爪]

歩法(極)

抜き足[+天歩][+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]

視力

夜目[+遠見][+心眼][+千里眼]

感知術(極)

気配感知[+特定気配感知][+魔力感知][+特定魔力感知][+熱源感知][+特定熱源感知]

隠密術(極)

気配遮断[+幻踏][+滅心]

能力強化術

限界突破[+覇潰][+真匠][+一刀修羅][+一刀羅刹]

防御術

金剛[+部分強化][+集中強化][+付与強化]

耐性(極)

毒耐性[+麻痺耐性][+石化耐性][+恐慌耐性][+全属性耐性]

豪腕

振動破砕

見取り稽古

模倣技術[+完全掌握]

胃酸強化

先読術

千手無双[+萬手無双][+????]

威圧

念話

追跡

言語理解

 

【称号】

地球さんを大いに祝福した者

 

 

魔導書技能(スキル)の詳しい内容が分かった。というか、今更だけど新しく獲得した技能(スキル)項目の色を分かり易く変化させる機能なんて無かった筈なんだけど、地球産ステータスウインドウの影響を受けて勝手に変化してるのかな?

 

あと、魔導書技能(スキル)の詳しい内容は分かったけど、どうすれば魔導書を使える様になるんだろう?

 

そんなことを考えていると、唐突に頭の中で魔導書技能(スキル)に関する知識がピシャゴーンと流れ込んできた。

 

事前に自分で検証していたことと、ステータスプレートに書かれていた技能(スキル)名称から能力を予想していたお蔭か、頭に流れ込んでくる知識は把握し切れていなかったものの補完程度だった。

 

もし、名称だけで予想すらできない技能(スキル)の情報が頭に直接叩き込まれたら、情報処理に脳が追い付かなくて、一時的なフリーズ状態になってもおかしくないかもしれない。

 

つまり、このピシャゴーンを魔物が蔓延るダンジョンで行うと、命の危険に晒される可能性が高いということになる。

 

まぁ、単独(ソロ)じゃなくて一党(パーティ)で行動している状態なら、ダンジョン内でピシャゴーン状態になっても大丈夫だとは思うけど。

 

取り敢えず、魔導書で魔法を使う方法が分かった。簡単に例えると魔導書=ラジコン、私=コントローラーだね。

 

私というコントローラーから魔力という電波を放つと、ラジコン的な魔導書を操作して魔法を放てるみたい。

 

魔導書から放てる魔法の形状や威力は、私から供給された魔力量と使用する魔法のイメージで決まるということも分かった。

 

使える魔法のバリエーションは、魔導書解放技能(スキル)の錬度で決まるみたい。魔導書解放(小)の場合、水の魔導書を使えばバケツ1杯分の水を生成したり、単発の水弾を放つことができる。

 

魔導書解放(極)の場合、頭でイメージした通りの魔法を放てるみたい。水の魔導書を使えばウォーターカッターみたいな高圧水流を放つとか、某忍者漫画の〝水龍弾〟を放つことができる。

 

そういえば、私の魔導書装備枠は10冊だけど、魔導書もとい魔本の種類も10種類なのかな?ファンタジー世界とかだと世界を構成する五大元素が魔法の属性としてよく挙げられるけど。

 

五大元素で絶対外れないのが火、水、土もしくは地の3属性だよね。仏教だとこの3つに風、空の2属性が加わるし、道教だと木、金の2属性が加わる。有名なラノベだと風、虚無の2属性かな?

 

某少年週刊誌に掲載されていた漫画では火と地の2属性に、雨、風、雷の3属性を加えた大精霊が地球を構成する五大精霊ってされてたっけ。

 

まぁ、少なくとも五大元素と四大元素に含まれる火、水、風、土の魔導書は存在しそうだよね。

 

よし!魔導書のドロップ率や水以外の魔本が存在するか分からないけど、帰宅予定時間ギリギリまで魔本狩りをしよう!!

 

魔本の位置は特定魔力感知で把握できるし、他の魔物への警戒は気配感知を併用すれば問題ないからね!!

 

………………………………………………魔本狩りを始めて数時間後。討伐した魔物の数は合計500体。内、魔本の数は約300体。

 

入手できた魔導書の数は最初の1冊目を含めて計7冊。属性は水2冊、火1冊、風1冊、土1冊、雷1冊、氷1冊。

 

私の運が良いのか悪いのか分からないけど、魔導書のドロップ率は3.5%。基本的にドロップするのは魔導書の紙片だった。

 

このダンジョンが1層構造なのか、それとも多層構造なのかは分からないけど、少なくともこの階層で現れる魔物はバネ風船と魔本だけみたい。

 

つまり、討伐した残り約200体の魔物は全てバネ風船。ドロップ品はバネと風船の残骸、けん玉拳だった。ドロップ品のバネは金属扱いになっていて、30個のバネで一振りの大刀を錬成できる質量だった。

 

バネを流用した日本刀。神代魔法の1つである生成魔法光の滅竜魔法を付与しながら作ってみたんだ。

 

どうして光の滅竜魔法を付与したかというと、太陽光を吸収し続けた鉱物と砂鉄で日輪刀が造れるなら、魔物由来の金属に光属性魔法を付与すれば日輪刀と同じになると思ったから。

 

結果、日輪刀は出来ました。完成した滅竜魔法を付与した日輪刀モドキ―――滅竜刀を握ると、日輪刀と同じ様に色が変わりました。

 

ちなみに私の刀身の色は、金、銀、黒、白、灰、紫、赤、青、黄、橙、緑、瑠璃、桃、桜、撫子、藤、桔梗の少なくとも17色がダマスカス模様みたいに見えるようになってます。

 

多分、全ての型式を扱えるから多色になったんだと思う。特に色が濃く見えるのが黒色と黄色だから、日の呼吸雷の呼吸の適性が高いみたい。

 

まぁ、技能(スキル)にも雷装があるし、雷の呼吸の適性が高くてもおかしくは無いかな?このことが判明した直後、私は雷の滅竜魔法を滅竜刀に追加付与していたりする。

 

形状は「D.○ray-man」に登場した神田ユウの対アクマ武器・六幻の初期形態(鍔なし)で、柄の部分に滑り止めとしてバネ風船の風船残骸を使用している。

 

滅竜刀の性能は、剣術の経験者が使えばバネ風船や魔本を一撃で倒せる位の攻撃力はあって、バネ風船のけん玉パンチを受けても刀身が欠けたり歪まない位の耐久力はある。

 

あと、僅か数時間で約300体の魔本を葬ったせいか、新しい称号を貰えていたりもする。

 

 

※ウインドウステータス

羊谷命子(15歳)

 

ジョブ

大魔導剣士

 

レベル

*#&%

 

カルマ

+2350《魔本スレイヤー+300》

 

魔力量

22970/22970

 

スキル

【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【大魔導書師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】

 

ジョブスキル

【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】

 

称号

【魔本スレイヤー】

【地球さんを大いに祝福した者】

 

 

今の所、カルマ値が増えることのメリットが良く分からないけど、もしかしたらカルマ値が高ければ、レベル上げの経験値上昇的なメリットがあるのかもしれない。私のレベルは初期状態でバグってるけどね。

 

私が魔本狩りに集中していたのは日本時間で16:40までで、それ以降はダンジョンからの脱出手段を探すことに集中していたよ。

 

脱出口探しの過程で魔本とエンカウントしたら、嬉々として魔本絶対殺すガールになってたけど、真面目に脱出口探しを優先していたからね。

 

時間帯を明言できるのはスマホのアラーム設定を利用していたからだよ。18:00にもアラーム設定をしているけど、これは空間魔法概念魔法での脱出を試みる時間を知らせるものだったりする。

 

そして、脱出口探しの結果。私は18:00のアラームが鳴るより早く、それっぽいのを発見することができた。私が見つけた脱出口っぽいものは、地面から発生してる赤い渦と青い渦の2つ。

 

信号機の色で考えると、青=進め=2層目にGO!赤=止まれ=地上へGO!けど、赤=キケン=2層目にGO!の可能性もある。

 

…………まぁ、選択ミスって2層目に行くことになったら、即行で空間魔法〝界穿〟か、概念魔法〝界越〟で脱出しよう。

 

〝界穿〟〝界越〟で脱出不能だった場合、家族に心配をかけることになるかもしれないけど、脱出口を求めてダンジョン探索をするしかないね。

 

という訳で、ダンジョンから脱出できる可能性の高い赤の渦の中に踏み込むと、赤い渦が光の柱を形成し、私を包み込んだ。

 



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第2話(一部編集 2023/02/14)

※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

ダンジョンで脱出口と思しき赤い渦に踏み込んだ私は、光の柱に包み込まれてダンジョンの第1層から別の場所へと強制転移させられた。

 

強制転移させられた場所の地面に足が着くと、私を包み込んでいる光が収まる前から光の柱の外側が騒がしくしていることが聞き取れた。

 

私は魔物のひしめく部屋――ダンジョン系ラノベや漫画で魔物箱(モンスターボックス)と表現されることが多い場所に転移させられた可能性を考慮し、腰に二本差ししている阿朱羅丸と滅竜刀を抜刀して警戒する。

 

そして、光が完全に治まって私の視界に入って来たのは、事件現場を隔離する立ち入り禁止のテープとバリケード。

 

そんな物が設置されていたら、真っ先に思い浮かぶのは警察官や消防職員の存在だと思うけど、実際にテープとバリケードの内側に居たのは迷彩服を着た自衛官だった。

 

あと、テープとバリケードの外側には報道関係者っぽい人達と野次馬が大勢集まっていた。

 

 

「た、たった今現場で変化がありました!安否不明の少女が光の柱から現れました!

しょ、少女は剣道着姿で日本刀を2本所持!周囲にはちゅ、宙に浮かぶ本が7冊確認できます!!」

 

 

リポーターの白熱した声に反応してなのか、野次馬達もスマホを向けて来る。多分、Webに挙げるんだろうな。

 

そんなことを考えながら私はちょっと格好つけようと、「鬼滅○刃」の蟲柱・胡蝶しのぶのように両手に持つ阿朱羅丸と滅竜刀を軽く振るってから回転させ、2本同時に納刀させると、口を開く。

 

 

「世間様には随分とご心配をおかけしたみたいですね。大魔導剣士・羊谷命子、ダンジョンでの魔物狩りの果て、無事に地上への帰還を果たしましたこと、メディアを通して皆様にお伝えさせて頂きます」

 

 

後日判明したことだけど、この時の格好つけアクションと発言は某動画投稿サイトで複数――数十に及ぶ動画で挙げられ、世界中に拡散されていた。

 

閑話休題。世間様への謝罪と感謝を伝え終えた私が近くに立っている自衛官へと近付くと、隔離現場の近くに用意された天幕まで案内してもらえた。

 

その天幕の中には青褪めた顔の父と、涙を浮かべた母と妹(妹に至っては鼻水まで垂らしていた)がパイプ椅子に座った状態で項垂れていた。

 

 

「お父さん、お母さん。モモちゃん、心配かけてごめんね。それからただいま」

 

 

私が声を掛けると、家族全員がほぼ同時に顔を上げ、父は立ち上がるものの動けず、母は立ち上がることもできずに手で顔を覆い、妹――モモちゃんは即行で私に駆け寄って来た。

 

その後、私と私に駆け寄って抱き着いたモモちゃんは病院――私が幼少期からお世話になってる風見病院に搬送され、精密検査を受けることになった。

 

まぁ、詳細不明のダンジョンでパンデミック級の病原菌に感染している可能性も無いとは言い切れないから、仕方のないことだよね。

 

そして、精密検査後に念の為病院で一泊することになった私とモモちゃんの所に女性自衛官がやって来て、私がダンジョンに入っている間の話とかをしてくれた。

 

TickTack(チックタック)に投稿しようとしていた動画に、偶然私が映り込んでいたことで、開始0秒で私がダンジョンに落とされたことが判明し、私の家族に連絡を入れることができたらしい。あと―――

 

 

「現時点でダンジョンから生還できた人類はあなただけなの」

「……えっと。それって、国内規模ですか?それとも世界規模?」

「現時点で国内は確定。他の国からの生還者情報も無いから、暫定的には世界規模ではあるわ」

「……………まぁ、人類にとってダンジョンや魔物なんて空想の産物ですし、基本的には初見殺しになりそうですよね。

私の入った所も武術経験皆無の人間相手なら首なし死体や四肢欠損死体を量産できそうな魔物が闊歩してましたし」

「…………一歩間違えれば自分も同じ様なことになってたかもしれないのに、平然としていられるなんて肝が据わってるのね。

取り敢えず、どうしてあなたが生還できたのか、その謎を解き明かす為にも、あなたには協力して欲しいの」

 

 

女性自衛官が真摯な顔でそう言ってきたので、私はその要請に対して了承の返答をした。それから半日の時間が経過した検査入院の翌日。

 

自衛隊―――というか、実際は政府かな?が、私とモモちゃんの検査入院した風見病院にある応接室を貸し切る手配をしたみたいで、私は入院服のままダンジョンの聞き取り調査をされることとなった。

 

聞き取りに参加する人はスーツ姿の女性自衛官が4名。内3名が記録係で、1名が聞き取り担当。あと、研究員と思しき白衣の女性が1名だった。

 

聞き取り担当の女性自衛官―――馬場翔子さんと女性研究員の音井礼子さんとは、個人的に長い付き合いになりそうな気がする。

 

私が話した内容はダンジョン内の様子、魔物の特徴、自身のステータス情報etcetc。特にステータスを開示した時は驚かれた。

 

まぁ、ダンジョンに入ってからたったの数時間しか経ってない中学生以上高校生未満の少女のステータスレベルがバグってたら驚かない方がおかしいよね。

 

ちなみに私のステータス以外の情報は、ダンジョン研究の為にこれから立ち上げられるダンジョン専門の研究機関で活用されるみたい。

 

私のステータスに関しては、個人情報ということでこの場に居る人間以外には開示されることがないとのこと。

 

聞き取り調査が終わった後は、体力測定をさせられた。礼子さん曰く、地球さんがレベルアップしてから既存の物理法則が通用しなくなったみたいで、一見すると雑魚っぽい私が見た目に反する能力をどれだけ得ているか確認したかったみたい。

 

まぁ、私が見せたステータスも地球産ステータスウインドウで、トータス風ステータスプレートじゃないからね。ステータスウインドウじゃ筋力値や体力値が分からないから調べるよね。

 

一般人も利用する施設で急遽行ったということあって、今回は握力検査だけに留まったけど、結果は150kgまで計測できる握力計を握り潰しちゃったから、測定不能扱いを受けた。

 

握力以外の測定―――走力や持久力、瞬発力、跳躍力etcetcは、風見町に設営される自衛隊の仮設駐屯地で後日行いたいと言われ、それに対して私は快諾した。

 

握力測定を終えた後、ダンジョンから持ち帰ったアイテムの検査が行われたんだけど、これにも私は付き合うことになった。

 

本来ならアイテムを預けて、翌日には返してもらうという話の流れだったんだけど、阿朱羅丸は何故か私以外の人―――少なくとも手渡そうとした自衛官と触れようとした検査員を弾き飛ばし、滅竜刀も私以外の人が触れようとすると放電を始める始末。

 

魔導書に至っては私から引き離そうとすると、まるで意思を持っているみたいにイヤイヤと本を左右に振って他者の検査を拒絶。

 

空間魔法の宝物庫から取り出した約500個の魔石と約500点のアイテムドロップを先に検査して貰い、その光景を見ることで検査技術を模倣技術(スキルスティール)で会得し、私自身が阿朱羅丸と滅竜刀、魔本の検査を行うことになるなんて誰が予想できただろうか?

 

予定では昼過ぎには家に帰れた筈なのに、結局家に帰れたのは23:00過ぎになっちゃったよ。不幸中の幸いは翔子さんに車で家まで送り届けて貰えたことかな?

 

もし、これで私が歩いて帰宅した日には、そんな度胸は無いと思うけど父が防衛省にクレームを入れていたかもしれないしね。そんな度胸無いと思うけど。(大事なことだから2回言ったよ)

 

 

 

【某掲示板サイト】

 

 

 

312 名無しのアニメスキー

けけけけ、剣術ロリ娘キターッ!

313 名無しのアニメスキー

ヒーラリヒラヒラヒラヒラリー、ローリガキタキタキタキタリー

314 名無しのアニメスキー

ガタッガタッ!

315 名無しのアニメスキー

ドンガラガッシャーンッ!!

316 名無しのアニメスキー

落ち着け、お前ら。荒ぶるには情報過少だぞ。

317 名無しのアニメスキー

ってか、誰か313にツッコミいれろよ。こいつ、きっとキt

318 名無しのアニメスキー

オヤジのことはどうでもいい。今重要なのはロリだ!今すぐ情報プリーズ!!

319 名無しのアニメスキー

取り敢えず、大江戸TVニュースを見ようか。話はそれからだ。

320 名無しのアニメスキー

なに、この子?凄くね?

321 名無しのアニメスキー

きっと前世が美少女新選組の鬼の副長なんだよ。

322 名無しのアニメスキー

入隊条件を教えろ下さい。

323 名無しのアニメスキー

322、男子禁制だから俺もお前も入隊できん。諦メロン。

324 名無しのアニメスキー

黒☆魔☆導☆爆☆裂☆波!!

325 名無しのアニメスキー

320~323は刀と道着に目が行き過ぎ。そして、324は良く気付いた。褒めて遣わす。

326 名無しのアニメスキー

325、お前何様wwwwwwwww?けど、周囲に魔導書っぽいのが浮いてる!魔法少女キタコレッ!!

327 名無しのアニメスキー

ってか、さっきから刀を回転させるシーンをリピート再生し過ぎwwwwwwww 大江戸TVどうしたwwwwwwww?

328 名無しのアニメスキー

真面目な話、俺は真剣使ってあんな芸当しろとか言われても無理。絶対にミスって大怪我する。強要されたらビビって漏らす自信がある。

329 名無しのアニメスキー

そんな自信はタイムカプセルと一緒に小学校の校庭に埋めてしまえ。まぁ、分からんでもないけどな。

330 名無しのアニメスキー

あっ、メディア越しに感謝と謝罪してる。見た目に反してクールだ。クール・ビューティ・ロリータだ!

331 名無しのアニメスキー

こ、これが鬼の副長のカリスマ性とでもいうのか?函館までと言わず死後の世界までお供します、副長!!

332 名無しのアニメスキー

アッ、貴様の様な穢れた者が副長に近付くんじゃない!副長の魂が穢れるだろうが!!

333 名無しのアニメスキー

悪いけど、命子様は俺の副長で、嫁で、姉ちゃんで、妹だから。お前らの割り込む隙は一寸たりともない。

334 命子教信者

その工業廃水を撒き散らす口で御神体様の御名を汚すな、下郎共。

335 名無しのアニメスキー

や、野生の変人が現れた?

336 名無しのアニメスキー

335、何で疑問形なの?ってか、命子教?新興宗教?一応指摘しておくと、御神体に人型の物は存在しない。基本的には御幣(おんべ)や鏡だ。

あと、寺の御本尊は拝見できるけど、神社の御神体は拝見できないからな。テレビに映ってる時点で御神体じゃないからな。

337 命子教信者

各国政府も混乱を極め、ネット上に溢れる真偽不明な情報に踊らされる憐れな仔羊達を一条の光で照らす者。

338 名無しのアニメスキー

な、なんか語り始めたぞ!?しかも、336の指摘をガン無視!!?

339 命子教信者

そんな憐れな仔羊達の為、ダンジョンより得られた正しき情報で世界を導く。

340 命子教信者

情報の探究者たるネット民の救世主!冒険者達を照らす現世に顕現した天照。

341 命子教信者

その名もクール・ビューティ・ロリータ、大魔導剣士・羊谷命子。

342 命子教信者

入信者、随時募集中。

343 名無しのアニメスキー

布教活動かよ!!

 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

ダンジョン脱出後の検査入院も終え、地球さんがレベルアップしてから4日目。私は家に帰宅できた翌日から早朝鍛錬を始め、本日が早朝鍛錬2日目だったりする。

 

私は5:00にパジャマから着慣れた剣道着に着替えると、木刀を腰に差して早朝ランニングの為、家族を起こさない様に音を立てずに家を出る。

 

私は自分のステータスがバグってるから、レベルアップが身体に与える影響を検証することができない。

 

けど、地道なトレーニングが身体に与える影響から、地球さんのレベルアップ前とレベルアップ後の違いが検証できると考えた訳だ。

 

例えば、レベルアップ前と後では全集中の呼吸が、練度次第で体に与える負担を軽減度合に違いがあるとか、そういうことが分かるかもしれない。

 

そんな訳で私は早朝から全集中・常中で5kmはランニングし、ランニングの後は鬼滅流の全ての型式を派生→五行→陰陽→天の順番で一式~終式までを振り続ける。

 

これだけで気が付いた時には9:00前くらいになっていたりする。まぁ、鬼滅流の中でも天神型(イザナギノカタ)は複数の秘剣と型式が存在するから、時間が掛かるのも仕方がない。

 

そして、今日も川原で木刀を使った鬼滅流の剣技を振るい、天照型(アマテラスノカタ)終式〝日ノ神神楽〟までやり終え、天神型(イザナギノカタ)の構えを取ろうとした時、見知らぬ女の子からいきなり声を掛けられた。

 

 

「あの……」

「はい?」

 

 

声を掛けて来たのは軽くウェーブする亜麻色のロングヘアがとても似合ったお嬢様だった。いや、その格好はジャージ姿でお嬢様っぽくは無かったけど。

 

〝透き通る世界〟で見た身体の成長度合から察するに、年齢は私と同じか1つ年上くらい。ただ、胸の大きさに関しては2~3歳年上に見える女の子だった。

 

 

「あなた、昨日もこの川原で木刀を振るっていませんでしたか?」

「はい。自己鍛錬の為に振るっています」

「自己鍛錬?」

「地球さんがレベルアップしたことで世界情勢が変わりました。誰かに守って貰うのではなく、自分や自分の大切な人を守る為には、自分自身が強くならなければいけないと私は思ったので、自己鍛錬を行っています」

「淑女らしい強い意志を持っていらっしゃるのね。尊敬いたしますわ!」

「今までの人生で淑女扱いされたのは初めてです。小学生から剣道やってるんですけど、中学では男子だけでなく女子からも剣鬼(けんき)扱いされてましたから」

剣姫(けんき)ですか?確かに先程の剣技は神楽舞の様でしたし、あなたは凛とした舞姫の様なので似合っていますわ」

「????」

「????」

 

 

剣鬼と舞姫にどんな関係性があるのだろう?もしかして、この子は不思議ちゃん系お嬢様なのかな?そういえば、自己紹介を忘れてた。

 

 

「私の名前は羊谷命子。今年の春から女子高校生になります」

「あら、私と同学年でしたのね」

「同学年?ということは―――」

「私も今年の春から女子高生ですわ。通う学校は風見女学園ですのよ」

「風見女学園?なら、同級生ですね。私も同じ学校に通いますから」

「……凄い偶然ですわ。……あっ、自己紹介を忘れていました。名乗り遅れて申し訳ありませんわ。私の名前は笹笠ささらと申します」

「ご丁寧な挨拶、ありがとうございます。ところで、笹笠さんがジャージ姿なのは日課でジョギングでもしてるんですか?」

「走り始めたのは今日からなのですが、羊谷さんと同じ様に自己鍛錬の為ですわ」

「…………もし、笹笠さんが剣術や剣道に興味があるなら、明日以降で一緒にやってみませんか?」

 

 

何となく手を差し出しながら剣術鍛錬に誘ってみると、笹笠さんは顔を紅潮させながら、唇をムニムニし始めた。そして――――

 

 

「宜しくお願いしますわ」

 

 

そう言いながら私の差し出していた手に握手をしてくれた。うん。高校入学前の春休みなのに、高校の同級生と青春しちゃってるね。

 

その後、笹笠さんの見ている前で天神型(イザナギノカタ)の型式鍛錬を続け、鍛錬を終えた後は私も笹笠さんも挨拶をしてからそれぞれの自宅に帰宅した。

 

午前中に笹笠さんと出会い、午後は風見町内にある自衛隊の仮設駐屯地で体力測定を行ったその日の夜。

 

自室でバネ風船のドロップ品を、錬成魔法生成魔法で滅竜刀に加工する作業を行っていると、母さんが来客を迎える声と同時に、階段を凄い勢いで駆けあがる音が私の部屋まで響いてきた。

 

そして、壊れそうな勢いで私の部屋のドアが開けれ、1人の女の子が息を切らせながら現れた。

 

隣家の娘さんで1つ年下の幼馴染。私にとっては思春期最高潮(まっさかり)なもう1人の義妹(いもうと)有鴨(ありかも)紫蓮(しれん)だ。

 

紫蓮ちゃんは思春期最高潮(まっさかり)ということもあって、某二刀流の様に黒をこよなく愛し、肌寒くも無い3月下旬から4月上旬であっても黒マフラーと黒コートを愛用し、片目に赤のカラコンを入れる中二病を極めた女の子なのだ。

 

 

「紫蓮ちゃん、お婆ちゃん家は楽しかった?」

 

 

私がいつも通りの笑顔で紫蓮ちゃんに接すると、紫蓮ちゃんは涙を浮かべ、「ぴゃぅ、ぴゃぅ」と泣きながら椅子に座っている私の腰に抱きついて来た。

 

 

「めーちゃん、無事で良かったよぅ……」

 

 

最近は思春期最高潮(まっさかり)で私のこともフルネームでしか呼んでくれなかったのに、今は幼児退行でも起こしたのか、幼少期の呼び方をするので愛しさ万倍だ。

 

 

「ほら、あんまり泣き過ぎると元気一杯な向日葵と太陽に笑われるよ?」

「………太陽は余計では?」

「擬人化って言うのかな?顔が描かれた太陽の中には暑苦しい笑顔を浮かべてるのもいるでしょ?」

 

 

取り敢えず、紫蓮ちゃんが落ち着くまで頭をよしよしと撫でて、落ち着いた後はダンジョンでの話を聞かせてあげた。

 

ついでに所有者認証とでもいうのかな?私以外が触れられないことを伝えた上で、阿朱羅丸と滅竜刀・雷光、魔導書を見せてあげると、紫蓮ちゃんの眠たげな眼は今まで見たことがないほどの輝きを放った。

 

是非とも紫蓮ちゃんのこの目の輝きは維持したい。そう考えた私は、錬成魔法を使ってバネ風船のバネから指輪を作り出し、生成魔法で異空間宝物庫のみ使える程度の空間魔法を付与して、紫蓮ちゃんに渡すことにした。

 

あと、出来立てホヤホヤの滅竜刀もプレゼントだ。ついでにダブってる水の魔導書も渡せないかな?意思を持ち始めてるっぽい水の魔導書にお願いしてみると、水の魔導書2号さんは了承してくれた。

 

私が宝物庫(指輪)と滅竜刀、水の魔導書をプレゼントすると、紫蓮ちゃんは餌を貰ったトイプードルみたいにじゃれついて来た。まったく、愛い奴よのぅ。

 

で、私が自己鍛錬を始めたことも話すと、紫蓮ちゃんも気合満々というか、気合万倍みたいな雰囲気で自分もやると言い出し、更に今日は私の部屋に泊まるとまで言い出した。

 

こやつ、私を萌え殺す気か?まぁ、一緒の布団で寝るんだけどね。念の為言っておくと、百合百合な展開などは起こっていない。

 



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第3話(一部編集 2023/02/14)

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

GW中は仕事が忙しくて投稿できないと思っていたのですが、どうにか執筆完了したので投稿します。

後書きまで読んで頂けると幸いです。





※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

今日は地球さんがレベルアップして5日目。そして、私が自己鍛錬を開始してから3日目の朝。

 

自己鍛錬を始めた2日前から私は5:00に起きることを心掛け、剣道着に着替えると直ぐに家を出ていたけど、今日は出発時間を1時間遅らせます。

 

理由は鍛錬に幼馴染 兼 義妹的存在の紫蓮ちゃんが参加することになったからだ。流石に学校で運動部に所属している訳でも無い紫蓮ちゃんを5:00に起こすのは心苦しいのだ。

 

まぁ、紫蓮ちゃんを起こすのは6:00であっても、私が起きるのは5:00なんだけどね。紫蓮ちゃんが寝てる間に着替えを済ませ、家の庭でストレッチと鬼滅流の派生型式の素振りを先に済ませておく為です。

 

………そして、あっという間の1時間が経過。派生型式の素振りを終えた私は紫蓮ちゃんを起こし、笹笠さんと待ち合わせをしているランニングコースの入口へと向かった。

 

移動中に紫蓮ちゃんには笹笠さんも一緒に鍛錬を行うことを、笹笠さんとの出会いを含めて説明したんだけど、人見知りな紫蓮ちゃんは私と2人だけで鍛錬をすると思ってたみたいで、「ぴゃぅ」と可愛い悲鳴を上げていた。

 

ランニングコースの入口に到着すると、まだ笹笠さんの姿が見当たらなかったので、私は走る前にストレッチをすることを紫蓮ちゃんに勧め、私自身も追加のストレッチを始める。

 

ストレッチを始めて10分経った頃に笹笠さんが小走りで、私達のいるランニングコースの入口にやって来た。

 

 

「おはようございますわ!」

「おはよう、笹笠さん。……って、今日から鍛錬仲間になるのに敬語で話したり、苗字で呼ぶのは堅苦しいなぁ。タメ口でいいかな?あと、ささらって呼んでもいい?私は命子でいいから」

「か、構いませんわ!」

 

 

私の提案にあっさりと了承したささらだけど、その後にチラチラと紫蓮に視線を向け始めた。まぁ、紫蓮ちゃんを連れて行くとか言ってなかったから、誰だか気にはなるよね。

 

 

「この子は私の隣の家に住んでる幼馴染で、名前は有鴨紫蓮ちゃん。一緒に鍛錬したいって言ってたから連れて来たんだけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫ですわ!」

「紫蓮ちゃん。こちら、さっき説明したこの春から私と同じで風見女学園に通う笹笠ささらさんだよ」

「わ、我は有鴨紫蓮ですけど。よ、よろしくですけど」

「わ、私は笹笠ささらですわ。こちらこそ宜しくお願い致しますわ」

 

 

2人の様子から私は、もしかしたら紫蓮ちゃんもだけでなく、ささらも人見知りし易い性質なのでは?と思ってしまった。

 

自己鍛錬中の私に声を掛けてきたくらいだから、ささらはそれなりにコミニュケーション能力が高いと思ってたし、紫蓮ちゃん相手でも上手く立ち回れると思ったんだけど、予想外の展開だ。

 

コミュ力人並みの私じゃ、ミジンコミュ力の紫蓮ちゃんと人見知り(仮)のささらの緩衝材を務めるには力不足!

 

 

「(何処かに2人の緩衝材を務められる陽キャなコミュ力の化身はいないものか?)」

 

 

そんなことを考えていると、ヘソだしタンクトップ&スパッツ姿の女子大生(仮)さんが小走りで私達の所にやって来た。

 

 

「おはよー。あなた、最近川原でよく木刀振るってる子よね?ここにいるってことは走ったりもするの?もし良かったら、お姉さんも一緒に走っていい?」

 

 

やってきた女子大生さん(仮)は私の求めていた陽キャなコミュ力の化身だった。唐突なメンバー追加にささらと紫蓮ちゃんが許容限界を迎えないか少し心配にはなったけど、これも1つの鍛錬だと思って、私は女子大生さん(仮)の提案を快諾した。

 

そんな訳で朝のランニングは急遽4人でスタート。ささらと紫蓮ちゃん、女子大生さん(仮)は普通に走ってるけど、私は木刀1本と竹刀2本が入った竹刀袋を肩に担いで、全集中・常中の状態で走ってる。

 

ランニングを始めたのは2日前からだけど、走る時に使う全集中の呼吸は毎日変化させている。2日前は岩の呼吸だったし、昨日は雷の呼吸。そして、今日は水の呼吸だ。

 

 

「命子さん、変わった息遣いをしますのね」

「ヒュゥゥゥゥ――――呼吸って――――ヒュゥゥゥゥ――――仕方によって――――ヒュゥゥゥゥ――――色々と身体に影響を与えたり――――ヒュゥゥゥゥ――――するんだよ。

一般的に知られてるのは――――ヒュゥゥゥゥ――――ラマーズ法だね。――――ヒュゥゥゥゥ――――私が使ってるのは――――ヒュゥゥゥゥ――――身体能力を向上させる呼吸術――――ヒュゥゥゥゥ――――だけど」

「まぁ!呼吸でそんなことができますの!?」

「うん。――――ヒュゥゥゥゥ――――どれだけ動いても疲れなくなる――――ヒュゥゥゥゥ――――息の仕方があるんだ。――――ヒュゥゥゥゥ――――

正しい呼吸が――――ヒュゥゥゥゥ――――できるようになれば――――ヒュゥゥゥゥ――――半日以上剣を――――ヒュゥゥゥゥ――――振り続けることもできるし――――ヒュゥゥゥゥ――――毎日フルマラソンを走ることも――――ヒュゥゥゥゥ――――できるようになるよ」

 

 

私が全集中・常中のことを分かり易く説明すると、ささらと紫蓮ちゃんだけでなく、女子大生さん(仮)まで「ほえ~」と感心というか、尊敬みたいな眼差しを向けてきた。

 

 

「それじゃあ、命子ちゃんはその正しい呼吸っていうのが使えるから、ダンジョンから帰って来れたの?」

「――――ヒュゥゥゥゥ――――あっ、お姉さんは私が――――ヒュゥゥゥゥ――――ダンジョン帰還者(サバイバー)って――――ヒュゥゥゥゥ――――知ってたんですね?」

「うん。TVに映って子だし話をしてみたくて、実は声を掛ける機会を狙ってたんだ。で、どうなの?」

「まぁ――――ヒュゥゥゥゥ――――全集中の呼吸――――ヒュゥゥゥゥ――――あっ、私の使ってる呼吸術の――――ヒュゥゥゥゥ――――正式名称なんですけど――――ヒュゥゥゥゥ――――全集中の呼吸が使えたから――――ヒュゥゥゥゥ――――ダンジョンの魔物と戦えたっていうのは――――ヒュゥゥゥゥ――――事実ですね」

「命子さんはTVに出たことがありますの!?」

 

 

この時、大江戸TVのニュースで私のことが報道されていたことを、ささらが知らなかったという事実が判明した。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ――――(まぁ、映っている時間は街頭インタビューされる一般人程度の筈だったから、知らなくても仕方がないか)」

 

 

私がそんなことを考えていると、私も予想していなかったことを紫蓮ちゃんがぼそりと呟いた。

 

 

「フォーチューブに羊谷命子が刀を回転させながら納刀する所の動画がかなり出回ってる」

「あっ、それなら私も見たよ。大学でも知らない人がいなくて、ホームセンターで売ってる木の棒で再現しようとした人もいたよ」

「ヒュゥゥゥゥ――――!?フォーチューブで動画拡散とか――――ヒュゥゥゥゥ――――初耳なんですけど、私!!?」

 

 

えっ?あの場のノリでやった胡蝶しのぶモドキな納刀がフォーチューブで拡散されてるとか、肖像権は何やってるの!?

 

………けど、私もフォーチューブで街頭インタビューの放送事故動画とか見たことあるし、文句を言える立場じゃないのかな?

 

納得できる様な納得できない様な、そんな微妙な気持ちに心を揺さぶられる私に、ささらは褒め言葉を口にする。

 

 

「真似する方がいらっしゃるなんて、命子さんはすごい方ですのね」

「ささら、私はそんな大層な人間じゃないよ。長い長い人の歴史のほんの一欠片でしかないんだから」

「…………」

 

 

私とささらが仲良く(?)会話していることに嫉妬したのか、はたまた私の自己評価が低いことに納得いかないのか、紫蓮ちゃんは少しだけ頬を膨らませていた。

 

そして、ランニングを終えた私達が女子大生さんと別れ、川原で素振り―――ささらと紫蓮ちゃんには竹刀を貸して上げたよ―――を始めようとした瞬間、ランニングの時の女子大生さんみたいに追加メンバーが現れた。

 

 

「命子お義姉様!」

 

 

現れたのは小学生女児6人―――小学生女児6人?なんか見た目が男児っぽい子もいるけど、多分ボーイッシュな女児だろう―――で、リーダー(?)っぽいツーサイドアップの女の子が私をお義姉様と呼んできた。

 

 

「………お義姉様なんて呼ばれる日が来るとは思わなかった」

「命子お義姉様、私達も一緒に剣の修行をさせて下さい!」

「「「「「させてください!」」」」」

 

 

自己鍛錬の素振りに参加したいと嘆願する小学生女児6人組。話を聞くと、大江戸TVニュースで放送された私の胡蝶しのぶ風アクションに魅せられ、少し早めの中二病(?)に覚醒してしまったみたい。

 

まぁ、真面目な部分を語ると、他人任せな大人の発言を腑抜けと断じ、自分の身は自分で守るという精神が小学生とは思えない成熟度合だった。

 

 

「その意気や良し!」

「命子さんの言う通りですわ!強くありたいと願うその思い、正しく淑女の精神ですの!皆さん、しっかりと命子さんについて行くのですよ!」

 

 

リーダー女児の話に人見知りの呪縛を消し飛ばされたささらは、私の言葉に続く様に言葉を紡いだ。

 

 

「はい!……ところで、お姉さんは……?」

「彼女は笹笠ささらさん。で、もう1人のお姉さんが有鴨紫蓮さん。2人とも鍛錬仲間で、義兄弟ならぬ義姉妹みたいのものかな?」

 

 

ささらに関しては出会ってまだ2日しか経ってないから、馴れ馴れしいかとも思いつつも小学生女児6人組にそう紹介するが、ささらからは特に否定の言葉は出て来なかった。

 

というか、私の発言にささらは顔を少しだけ赤く染めながら口をムニムニさせていた。

 

 

「そうでしたか。では、ささらお義姉様、紫蓮お義姉様とお呼びしてもいいでしょうか?」

「構いませんわ」

「ん」

 

 

親交を深めたかどうかは分からないけど、取り敢えず馴染むことはできたみたいなので、私は小学生女児達に鍛錬への参加条件を言っておくことにした。

 

 

「学校や家のことをちゃんとする。大怪我する様な無茶はしない。それを守れる子だけ鍛錬に参加なさい」

「「「「「「分かりました、命子お義姉様」」」」」」

 

 

小学生女児達の元気な返事に私は満足し、鍛錬への参加を許した。ただ、この日は小学生が使えそうな棒が無かったので、見取り稽古の重要性を説いた上で、今回は見学だけをさせることにした。

 

ささらと紫蓮ちゃんに関しては、竹刀の握り方から素振りの仕方といった基礎中の基礎を教え、最後に小学生女児達と一緒に私の使う鬼滅流の型式を見学して貰った。

 

鬼滅流の型式を目にしたささらと紫蓮ちゃん、小学生女児達の目は自然豊かなキャンプ地で見上げる星空の様に輝いていた。

 

自己鍛錬4日目。ランニングに新たな参加者現る。頬のこけたいかにもインドア派といった男の人だった。

 

ある意味予想通りなんだけど、インドア兄ちゃんはランニング1kmで嘔吐してしまい、ヨロヨロと帰っていった。まぁ、この時に女子大生さんが明日も来る様に一喝してたけどね。

 

ランニングを終えた後は軽いストレッチと筋トレを行い、そして素振りを始める。素振りの時には、前日の小学生女児6人組以外に私の妹であるモモちゃんを含む新しい小学生集団が参加することになった。

 

ささらと紫蓮ちゃんは3日目と同じ様に私の持ってきた竹刀を使い、小学生組には3日目の鍛錬終了後に私が100均で買っておいた木工用の棒を使って貰った。

 

普通なら急に人数が増えたことで棒が足りなくなる筈なんだけど、100均の壊れ易い棒であることを考慮して、最初から12本買って来ていたことと、自分で棒を持参した子がいたことから、小学生用の棒は全員に行き渡った。

 

 

「「「「「「「「「「1!2!3!4!」」」」」」」」」」

 

 

少女達の掛け声が川原に響き渡る中、私は変な癖がつかない様、1人1人に素振りの基礎中の基礎を指導していく。すると、1人の老人が川原に姿を現した。

 

 

「………只者じゃないですね。何者ですか?」

 

 

私達の前に姿を現した老人に対し、私は一流の剣客が放つ裂帛の気合―――剣気を放つ。

 

 

「ほっほっほっ。よもや、その歳でそれほどの剣気を放てるとは、驚かされるわ」

 

 

老人は私の放った剣気を笑って受け流した。この老人、かなりできる。

 

 

「ささら、紫蓮ちゃん。ちょっと竹刀返してくれる?」

「は、はい」

「……ん」

 

 

私は自分の持ってる木刀を預けて、代わりに2本の竹刀を受け取ると、その内の1本を老人に投げ渡した。

 

 

「何処の何方か存じませんが、かなりの使い手とお見受けします。ここは1つお手合わせを願えませんか?」

「よかろう。掛かって来なさい」

 

 

この掛け合いの後、私と老人による川原でのストリートファイトが開始。最数的には体力の差で私が勝てたけど、老人が全盛期だったなら技量の差で負けていたかもしれない。

 

取り敢えず、毎日昼過ぎに尋ねている自衛隊の仮設駐屯地で、現役自衛官と竹刀を使った試合をしているんだけど、この老人は確実に現役自衛官より強いと言い切れる。

 

そして、この日からこの老人―――サーベル老師も私と一緒に素振り―――剣術の指導役を務めることになった。

 

自己鍛錬もとい集団鍛錬5日目。前日のことで心が折れたかと思ったインドア兄ちゃんは、今日もランニングをしに来た。

 

ただ今日も1kmで嘔吐し、女子大生さんに活を入れられて帰宅。暫くは同じ光景を目にする気がするけど、このまま心が折れなければ、インドア兄ちゃんは強くなれる気がする。

 

あと、この日も素振り――剣術の時間になると参加者が増殖していた。しかも、小学生だけでなく高校生まで。ただ、参加者は何故か女子だけで男子がいない。

 

日に日に男子への敷居が高くなっている状態で、4日目に指導役として参戦したサーベル老師のハーレムとなっていた。

 

集団鍛錬6日目と7日目には川原周辺に住む御隠居さんや専業主婦さんが持て余している時間を利用して鍛錬への参加を始めた。

 

大人達の役割は子供組へのサポートがメインで、脱水症状防止のスポーツドリンクによる給水サービスや、休憩用設備の設置。

 

子供の使う木の棒の加工やプラスチックゴーグルなどの小学生用防具の購入など、金銭面のサポートまで行ってくれて、本当に頭が上がらなくなった。

 

8日目以降は呼吸術無しで鬼滅流の型式指導を開始。14日目――私とささらが風見女学園に入学する3日前には全集中の呼吸の存在を開示したんだけど、集団鍛錬の参加者が肺活量を鍛える為、剣術そっちのけで走り続ける異常事態が数日続いた。

 

ちなみに、私が毎日顔を出している風見町仮設駐屯地に所属する自衛官には、集団鍛錬より6日早く全集中の呼吸の存在を開示していたりする。

 

まぁ、全集中の呼吸は一朝一夕で身に付くものでもないんだけどね。………いや、時透無一郎が1ヶ月で鬼殺隊の柱になったことを考えると、才能があれば一朝一夕で身に付く可能性も無きにしも非ず、かな?

 

実はこの集団鍛錬組織、世界中で形成される青空修行道場の元祖となり、私のその鍛錬組織の総師範的な認識をされるとは、この時の私は思ってもみなかったのである。

 




羊谷命子の時系列(オリ)

202×/03/16
風見中学校を卒業
202×/03/21
地球さんレベルアップ
魔本スレイヤー・命子誕生
ダンジョン帰還者(サバイバー)・命子誕生
202×/03/23
鍛錬を開始(1日目)
202×/03/24
鍛錬2日目
笹笠ささらと出会う。
202×/03/25
鍛錬3日目
笹笠ささら、有鴨紫蓮、以下複数名と集団鍛錬を開始
202×/03/26
鍛錬4日目
サーベル老師と出会う
202×/03/28
鍛錬6日目
川原周辺の住人が集団鍛錬のサポーターとして参加。
202×/03/30
鍛錬8日目
鬼滅流の型式指導(呼吸術なし)を開始。
呼吸術の存在を自衛隊開示
202×/04/05
鍛錬14日目
呼吸術の存在を一般開示
202×/04/07
風見高等女学園に入学








プロローグ~最新話の後書き後に複数のアンケートを実施中です。
内容は以下の5つ。
1)笹笠ささらの適性呼吸
2)有鴨紫蓮の適性呼吸
3)流ルルの適性呼吸
4)羊谷命子が無限鳥居で入手する防具
5)無限鳥居の難易度
宜しければご協力ください。


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第4話(一部編集 2022/10/12)

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

今回は本文が少し短めな上、特に重要とも言い難いものです。ぶっちゃけると早く無限鳥居編を書きたいです。

次話は千本鳥居編のプロローグ的な話(転移渦による強制転移)まで書こうと思ってます。









※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

出会いと別れの季節を象徴する日本の国花―――桜。その桜が咲き乱れ、舞い散る4月某日に私が通うことになる風見女学園では入学式が執り行われた。

 

大概の学校は同じ様な流れで入学式が行われると思うけど、風見女学園では入学式が始まる前、式場である講堂に新入生の親が先に入って待機する。

 

そして、新入生は連絡掲示板に張り出されているクラス名簿で自分のクラスを確認し、入学式開始まで教室で待機。で、時間になると先頭クラスから順番に講堂に入場し、入学式が開始。

 

入学式の定番である校長先生の長い挨拶には、地球さんに新規実装されたカルマシステムの話も含まれていて、カルマ値マイナスの子達に対して良い事を言っていた。

 

自分を見つめ直し、思いやりのある淑女に生まれ変わるチャンス、的なことを言っていた。つまり、ピンチはチャンス!ぷ○ぷよの攻略本の名言を良い感じにリメイクして言ってたんだよ!!

 

多分、校長先生は○よぷよ信者なんだろうなぁ。まぁ、私もテト○スよりぷよ○よ派だから、校長先生の気持ちは分からなくもない。

 

入学式が終わった後、新入生は先頭クラスから順番に講堂から退場し、各教室へと戻っていく。そして、教室に戻ってから少しの間は待機時間。

 

この風見女学園では入学式終了後、各教室の担任から行われる初めてのホームルームを父兄に参観して貰うスタイルみたいで、待機時間は父兄が集合するのを待つ時間だったりする。

 

授業参観と同じ様に教室最後尾と、窓の開け放たれた廊下側に父兄が集まっていることを確認した担任は自己紹介を始める。

 

私の担任は、見た目が日本酒を杯で飲んでいる任侠の姐さんみたいな凛々しい女性だったので、私は心の中で姐さん先生と呼んでいる。

 

姐さん先生は自己紹介の後、新入生である私達に祝辞と激励の言葉を送り、続けて出席番号順で自己紹介をするように促してきた。

 

まぁ、入学式や新学年の最初のホームルームでは生徒の自己紹介なんてテンプレだよね。高校生になるまでの9年間の学生生活で9回も同じ経験をしていると、コミュ障でもなければ楽にこなせる作業だ。

 

知人でも知人じゃなくても、自己紹介を終えたクラスメイトに惜しみない拍手を送るのは、小中で培った学生の自然な行動だよね。

 

あ行、か行のクラスメイトが自己紹介を終え(ターンエンドし)、さ行のクラスメイトの自己紹介(ターン)に突入すると、数週間前から親しくなった鍛錬仲間に自己紹介をする順番が回って来た。

 

 

「笹笠ささらです。風見学園での生活を通して立派な淑女になれる様、勇往邁進したいと思っております。皆様、宜しくお願い致しますわ」

 

 

自分だけでなく他人にまで厳しいお嬢様と勘違いされかねない自己紹介をしたささらに、私は父兄も含めた教室にいる誰よりも早く拍手を送った。

 

すると、ささらは私の方に顔を向けて微笑み、クラスメイトはささらの微笑みを見たことで、ささらが厳粛系(?)お嬢様ではないと安堵していた。

 

淑女という単語や勇往邁進なんて四字熟語が飛び出したささらと違って、その後に行われる自己紹介は無難なもので、自己紹介を終えたクラスメイトは春の陽射しもあってか、欠伸しそうな子が何人か見て取れた。

 

自己紹介がな行に突入し、私の隣席のクラスメイトに順番が回って来ると、隣席のクラスメイトは元気よく立ち上がり、これまた元気よく自己紹介を始めた。

 

 

「ワタシはルル=ナッガーレというデース。日本人パパとキスミア人ママの子供で、ハーフになりマース。多分、日本に永住?するデス。皆、仲良くして欲しいデース!!」

 

 

初見から何となく外人さんかと思ってたけど、隣席のルル=ナッガーレさんはハーフなのか。まぁ、純日本人で色白金髪碧眼美少女なんて生まれる訳ないよね。

 

もし、この容姿で純日本人なら髪色も目の色も天然じゃなくて、毛染めやカラコン使ってることになるから、カラコン使ってる紫蓮ちゃんの進化系中二病者ということになっちゃうよ。

 

取り敢えず、私は外人だろうとハーフだろうと臆することが無い。何故言語理解技能(スキル)のお陰で、本来なら壁となりかねない言語の違いがハードルにもならないからだ。

 

ナッガーレさんへの拍手も、ささらの時と同じ様に私が教室内で真っ先に送ると、ナッガーレさんは花が咲いた様な笑顔を私に向けてくれた。

 

ちなみにキスミアはヨーロッパでおしゃれの国としてよく知られるフェレンスと、租税回避地として有名なセイスの間にある山に囲まれた小国で、ぶっちゃけると陸の孤島だったりする。

 

 

「念の為言っておくと、彼女の本名は流ルル。西洋風に言い直したとしてもルル=ナガレだ。流は河童の川流れの『流』になる」

ニャウ(はい)!わざとニュアンスを変えて言ってみたデース」

 

 

姐さん先生の捕捉に流さんは笑顔で返答し、クラスメイトはそのネタがツボったようで、クスクスと笑いながら流さんを自然と迎え入れた。

 

あと、英語や古語、漢語の授業以外で初めて言語理解さんが発動したよ。お母さんがキスミア人って言ってたし、多分キスミア語かな?キスミア語で「はい」のことを「ニャウ」って言うんだね。

 

流さんの自己紹介が終わると、また当たり障りのない自己紹介が続き、は行でついに私の順番が回って来た。

 

 

「羊谷命子といいます。趣味は鍛錬。特技は実戦剣術を中心とした武術全般と魔物討伐―――特に魔本狩りが得意で、魔本スレイヤーの称号を獲得してます。

ダンジョンや魔物に興味がある人は気兼ねなく話し掛けて頂けると幸いです。3年間、宜しくお願い致します」

 

 

自己紹介で女子校生らしからぬ趣味と特技を言ったものの、クラスメイトの大半は大江戸TVニュースやフォーチューブで私のことを知っていたみたいで、私の趣味と特技に納得した状態で拍手をしてくれた。

 

私が自己紹介を終えると、わ行まで一般的な自己紹介が行われ、クラスメイト全員の自己紹介が終わると、時間割表などのプリントが配られたりして、その日は自由解散となった。

 

そして、その日の夜。母を手伝いで夕食の準備をしていると、父さんが唐突に質問をして来た。

 

 

「命子、今日の自己紹介で特技が実戦剣術とか武術って言ってたけど、そんなのいつの間に覚えたんだい?」

「……河川敷で行ってる集団鍛錬で、実戦剣術が得意なご隠居さんと出会って、手合せしている時に見様見真似で覚えたんだけど、それがどうしたの?」

 

 

家族の中で私が実戦剣術を使える上、バトル漫画のキャラクターみたいな挙動ができることを知っているのは、妹のモモちゃんのみ。

 

父と母はランニングをしていることは知っていても、剣術の鍛錬をしていることまでは知らない。多分知った所で、剣道の素振りをしているだけと、勝手に自己完結していただろうから、私自身報告する気は無かった。

 

 

「なんで実戦剣術?危なくない?」

「ダンジョンを冒険するのに剣道じゃ力不足じゃない。ダンジョンが一般公開されたら、私も冒険したいし」

「えっ?そんな危ないこと、女の子がしちゃダメでしょ」

「……………お父さんのその発言、性差別だよね。ぶっちゃけ、お父さんの考え方って旧時代のものだよ。

地球さんが進化したことで、カルマ値の±ってハンデはあるけど、基本的には努力次第で平等に進化する権利を地球上の全生物は与えられたんだよ。

新時代では女でも身体能力が男より劣るとは言えなくなるんだ。女だから冒険しちゃいけないとか、馬鹿馬鹿しい考え方だよ」

「ッ!?」

「それに地球さんが将来的にはダンジョンの魔物が地上に出て来るって言ってたよね?その将来っていつ?

100年後?10年後?それとも1年後?1ヶ月後や1週間後、もしかしたら明日の可能性もあるかも知れないよね?

私は魔物と戦える術を得られる環境にいるのに、何もせずに魔物に殺されるなんて絶対に嫌だよ。自分だけじゃなくて、家族や友達が殺されるのも嫌だ。

自分や自分の大切な存在が害される前に、害する存在を叩き潰す。その手段を得る為に自己鍛錬を行う。至って普通のことじゃない?」

「ふ、普通じゃないよ!魔物が地上に出て来たとしても自衛隊や警察が対処する筈だから、命子が戦う必要は無いでしょ!?」

「出現する魔物の数が風見警察署の署員の10倍以上でも警察は民間人に犠牲者を出さずにいられると思うの?

警察が政府に救援要請を出したとして、政府が自衛隊に出動要請をして、自衛隊が風見町に到着するまで警察は民間人を守りきれるの?

もし、日本中で同時多発的に魔物が地上に溢れ出たとしても、自衛隊と警察だけで民間人を守りきれる?

仮に守りきれたとしても、警察官と自衛官に大勢の犠牲者が出るよね?自衛隊と警察の戦力が減った状態で、魔物の地上出現が長期間続いたらどうなると思う?

最終的には戦える人間がいなくなって日本人が絶滅することになるよね。極端な話になるけど、地球さんが進化したことで全世界は国民皆兵を強制されてると言えなくもないんだよ」

「………………………」

 

 

可能性としては極小だけど、無いとは言い切れない最悪なシナリオを口にすると、父は黙り込んだ。

 

 

「それに――――」

「!?」

 

 

私は気配遮断技能(スキル)を使って、父に私の姿を認識できなくさせ、背後に回り込んで首元に手刀を添える。

 

 

「少なくとも私はお父さんより強い。………私が魔物じゃなくて良かったね。もし魔物だったらお父さんは死んでたし、お父さんが死んだらお母さんとモモちゃんも守ってくれる人がいないから死んでたよ」

「―――――!?」

「真面目な話、守りたい人がいるなら実戦武術を学ばないとしても、体を鍛えるくらいはした方がいいと思うよ。圧倒的強者の前では弱者なんて選択肢も与えられないんだから」

 

 

無慈悲かもしれないけど、私は父に現実を叩き付けた。すると、当然と言うべきなのか父は呆然自失になってしまい、夕飯も食べずに自室に篭ってしまった。

 

すまない、父。けど、これも父に危機感を持って貰いたいからだ。だから、私は心を鬼にして進化した地球さんの新時代の現実(〝七花八裂・改〟)を叩き付けたんだ。

 

別に私がダンジョンで冒険に満ちた生活をエンジョイしたいとか、そんな利己的な理由で新時代の現実(〝七花八裂・改〟)でフルボッコした訳じゃない。断じてない。

 

 



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第5話(一部編集 2023/02/15)

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

今回も前回と同じく本文が少し短めです。ただ、次回から本格的に無限鳥居編の話が書けるので、少しテンションが上がってます。(笑)







※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

私が風見女学園に入学して1週間。クラスメイトだけでなく、他の同学年や上級生もダンジョンに興味津々の様で、毎日違う人からダンジョンについての質問される日々を送っている。

 

私が学園の休み時間にする会話は、基本的に私の知り得るダンジョン情報の公開で、極偶にダンジョンの質問ではなく、部活動の勧誘で上級生から話し掛けられることもある。

 

部活動の勧誘に関しては、私自身が鍛錬コミュニティで鬼滅流の型式指導役を務めていることもあって、全て断る様にしていた。

 

鍛錬コミュニティといえば、9日前に呼吸術の存在を開示したことで、肺活量を向上させる為に走り込みをメインに鍛錬を行う者が増えた。

 

開示してからの3日間は、中学生以上のコミュニティ参加者が走り込みだけしかやらなくなり、小学生組だけが走り込みと剣術の素振りの両方を行うという事態になっていたりもした。

 

4日目以降は、中学生以上の参加者も走り込みだけでなく、剣術の素振りも行うようにはなったけど、それでも鍛錬に費やす時間の割合は走り込みが8に対して、剣術が2といった感じ。

 

まぁ、鍛えられた肺でなければ呼吸術を会得するなんて、夢のまた夢だからね。肺活量に自信のない人は有酸素運動で肺を鍛える為に走り込みを優先するのも仕方がない。

 

コミュニティ参加者の中には日常的に有酸素運動を行っている陸上競技経験者も居て、そういった人達には優先的に呼吸術の指導を行っている。

 

私の場合、転生特典のお陰というべきなのか、〝透き通る世界〟で肺を見ることで、どの系統の呼吸術と相性がいいのかを判断ができるので、適切な指導を行えていると思っている。

 

私の鬼滅流の素振りを見たことのある若年層~青年層(?)のコミュニティ参加者は、ほぼ全員が鬼滅流を使える様になることを目標としている節がある。

 

多分、その理由は呼吸術を使用した鬼滅流の剣技に、魔法適性の無い者でも魔法現象染みたエフェクトを発生させることができるからだろう。

 

普通に使える私が言うのも変だけど、鬼滅流の剣技で発生するエフェクトはカッコいいからね。天照型(アマテラスノカタ)月詠型(ツクヨミノカタ)焔燃型(カグツチノカタ)雷電型(イカヅチノカタ)水龍型(ミズチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)のエフェクトは個人的にも魅せる技だといっても過言じゃないと思ってる。

 

だからと言うべきなのか、肺活量に自信のない人は私から優先的に呼吸術の指導されている人を羨み、1日でも早く呼吸術を学べるように走り込みの鍛錬を優先するのかもしれない。

 

私個人に関わる出来事ではないけど、この1週間でダンジョンやステータス関係の情報が防衛省から発表されるという出来事もあった。

 

 

一党(パーティ)でダンジョンに入る場合、1組の最大人数は6人。

・ダンジョンに入ったら、視認可能距離に脱出用転移渦は存在しない。

・ダンジョンに入ってから1時間以上経過するとジョブ選択が可能となる。

・ジョブに就くと総合魔力が10減少する。

・マイナスカルマ者はジョブに就けず、レベルが上がらない代わりにカルマが少しずつ回復する。

・犯罪者など、一定数値下回るマイナスカルマ者は、黒炎でその身を焼かれながら地獄へと引き摺り込まれ、カルマログによって犯した罪が晒される。

・現時点で確認できている最弱の魔物スペックは、移動速度が中学生の徒歩相当、攻撃力が直撃で世界へヴィー級ボクサーのパンチ相当。

※当たり所が悪ければ一撃必殺もあり得る。

・時速約140kmの魔法攻撃(水、火、風、土、雷、氷の6属性が確認済)を放つ魔導書型の魔物を確認

・遠距離攻撃に該当する旧時代(地球さん進化前)の物理法則が、ダンジョン内外に関係なく通用しなくなっており、投擲物によるダメージは魔物・人間・動物に問わずほぼ無効。銃火器によるダメージも魔物・動物で意味を為さないことが確認済み。

※ただし、遠隔操作された魔本による物理攻撃は効果があるので、技能(スキル)やジョブが関与している遠距離攻撃に関しては要検証。

 

 

これらの公開された情報の中には、私がダンジョンから脱出した後に行われた聞き取り調査で提供した情報も含まれている。

 

例えば、某ハンティングアクションゲームの小型甲虫種モンスターに相当するであろうバネ風船のスペック情報とか。

 

阿朱羅丸でけん玉パンチを捌いた時の衝撃から、世界へヴィー級ボクサーのパンチに相当する判断し、聞き取り調査でもそのまま報告している。

 

ニュースでは魔物の攻撃を受けたダンジョン調査団の自衛官1名が重症って報道されていたけど、これは私の報告を鵜呑みにする訳にもいかないから、実際にバネ風船の攻撃を受けてみたのかもしれない。

 

魔本の属性に関しては、情報元が完全に私からのものだ。聞き取り調査で出会ったダンジョン研究員(?)の礼子さんとモバイルメッセージアプリ・ルインを交換していて、自衛隊が確認できた魔本は水と火の2属性だけだと教えて貰えたからね。

 

自衛隊が命懸けで手に入れたダンジョン情報を、一般人に漏洩したら普通なら厳罰ものなんだろうけど、私の場合は一般人ではなく世界初のダンジョン生還者という逸般人だし、私も錬成魔法で既存の地球産鉱物とバネ風船のバネを物質融合し、物質鑑定で新しい合金の鉱物特性を合成比率も含めて礼子さんに詳細に報告しているから、情報共有が許されているのかもしれない。

 

できればレベルアップが身体能力に与える影響などの報告も行いたい所なんだけど、私は元からレベルもステータスもバグっている上、オルタロスやブナハブラに相当するバネ風船や魔本を倒した所でステータス上昇も起きないので報告しようがない。

 

本当、レベルやステータスを上げる条件すら検証できないこの身が恨めしい。RPG的に考えれば、魔物を斃すことで経験値を獲得し、レベルとステータスを上げられる訳なんだけど、現実とゲームのシステムを混同するのは愚かしいことでもある。

 

それに可能性は極小だけど、レベルアップせずとも、鍛錬によるステータスの上昇効果はあり得るかも知れない。

 

ステータスプレートのステータスで例えると、レベルアップによるステータス上昇は6項目を万遍なく急成長させられるけど、鍛錬によるステータス上昇は鍛えた項目―――素振りなら筋力(攻撃力)と体力、走り込みなら体力と敏捷―――のみを少しだけ成長させられるとか。

 

鍛錬によるステータスの上昇効果は、コミュニティ参加者の成長速度から私が検証できる唯一の事柄なので、少しの変化も見逃さない様に指導するようにしないといけない。

 

公表された情報で私が一切関与してないのは、ジョブ関係とカルマ関係、飛び道具関係かな。

 

飛び道具の情報で投擲物のダメージがほぼ無効されるという話は、ダンジョン帰還後の聞き取り調査で聞かされてはいたし、魔物に対して銃火器攻撃が無効化されるという話も礼子さん経由で知っていた。

 

けど、銃火器攻撃が魔物だけでなく動物にも意味を為さないというのは、礼子さんからも教えて貰ってなかった情報で、完全に初耳だった。

 

多分、自衛隊員が猟友会員と一緒に山に入って、熊や猪を対象に猟銃を使って銃撃効果の有無を確認したのかもしれない。

 

ただ、この確認方法は人間を殺傷して害獣認定された訳でも無い熊や猪を、人間の都合で射殺する行為だから、カルマ値に影響を及ぼす可能性もあると思うんだけど、どうだったんだろう?

 

カルマ値といえば、風見女学園―――略称:風女の同学年でマイナスカルマの女の子集団から泣きつかれたりもした。

 

15~16歳でマイナスカルマになった原因は、小中学校時代にいじめや万引き、恐喝etcetcといった害悪行為を行ってしまっていたんだと思う。

 

私に泣きついて来た理由は、私が防衛省の発表したダンジョン関係の情報に詳しいから、カルマ関係の情報も詳しいと思ったらしい。

 

実際の所は、カルマ関係について私の持つ知識は大して多くも無い。ダンジョンでの行動―――主に魔物との戦闘行動でカルマ値が増えるとか、鍛錬コミュニティでの剣術指導といったボランティア活動でカルマ値が増えるといったものしか知らない。

 

だから、私はボランティア活動の貢献度でカルマ値が増えることを教えた上で、マイナスカルマっ娘達に鍛錬コミュニティへの参加を提案した。

 

提案するだけで強制はしてない。だって、カルマ値をプラスに戻そうと努力するのも、努力をせずにマイナスのまま嘆き続けるのも本人達次第で、私にとってはどうでもいい事柄だからね。

 

閑話休題。他に身の回りで起こった出来事といえば、父を論破――論破なのかな?取り敢えず、父を言い負かした翌々日から、私が自己鍛錬の走り込みに向かう前に家の庭で柔軟運動をしていると、カーテンの隙間から毎日鬱陶しい視線を向ける様になったことかな。

 

娘に危険なことをさせたくないって気持ちは理解できるし、家族を養う為に働いて、貴重な休みの日に疲れ切った心身を癒すという行動も理解できる。

 

けど、出勤日も会社まで車移動で、休みの日にはグータラしている姿を見せつけられ、大切な家族を守る手段も警察頼り、自衛隊頼りの他人任せとか、話にもならないよ。正に片腹痛し。

 

将来的にはダンジョンが一般公開され、魔物のドロップ品を公共機関が買い取る様な制度が導入されると私は確信している。

 

その理由は、将来的にダンジョン内だけでなく地上にまで出現する魔物に対して、自衛隊と警察、消防だけでは確実に手が回らなくなるからだ。

 

つまり、必然的に民間人からも戦力を提供しなければいけない状態になるということ。けど、中途半端な戦力は余計な犠牲を生むことになり兼ねない。

 

犠牲者を出すとしても最小限に抑えるにはどうするべきか?H○NTER×H○NTERのプロハンターやBL○CK CATの掃除屋みたいに、生命保障は自己責任なダンジョン活動の専門職―――冒険者と仮称しようか、冒険者(仮)という新しい職業を作る以外に方法は無いと思う。

 

冒険者(仮)はプロハンターや掃除屋みたいなライセンス制になるだろうね。まぁ、ダンジョンへの転移渦は発見され次第、各国の政府が管理するだろうから、ライセンスを持たないアマチュアやモグリの冒険者(仮)が生まれる可能性が限りなく低いだろう。

 

………まぁ、これらの冒険者(仮)という新しい職業の重要性や全都道府県で魔物が大量発生した時の危険性、自衛隊と警察、消防だけで対処した時の被害予想、冒険者(仮)という職業もしくは組織を作る場合の草案的な物は既にレポートとして纏め、礼子さんとダンジョン対策本部の女性自衛官である翔子さんに書面で提出してるんだけどね。

 

レポートの内容を読み終えた2人は、声を揃えて――――

 

 

「「命子ちゃん(くん)は本当に女子高生なの(か)?」」

 

 

と言い、訂正などは特にせずレポートを防衛省の上層部に提出するとまで言っていた。

 

女子高生の考えをそのまま採用するとは思えないけど、少しくらいは問題点を探し、それを訂正して制定して下さいね。お願いします、国会議員さん。

 

っと、少し話が逸れた。近い将来――1年以内、冒険者(仮)という新しい職種ができて、ドロップアイテムの買い取り制度とライセンス制度が導入されたら、私は絶対にライセンスを取得する。

 

取得年齢で引っ掛かったら諦めるけど、原付免許が16歳で取得できることを考えると、16歳からライセンス取得ができる可能性も十二分にあり得る。

 

私は10/10には16歳になるから、ライセンスの取得可能年齢が16歳からなら、10月中にライセンスを取得する。

 

父の態度が来年の3月までに変わらなければ、家を出てドロップアイテムの売買で得たお金で1人暮らしを始める。

 

その時は母に迷惑を掛けることになるけど、連帯保証人になって貰おう。と、こんなことを考えてしまえるくらい、今の父を鬱陶しく感じてしまっていたりする。

 

そして、私は今日も剣道着姿で背中に父の鬱陶しい視線を感じながら、自己鍛錬の為に家を出て、紫蓮ちゃんと一緒にささらとの待ち合わせ場所へと向かう。

 

いつもは河川敷で走り込みをするんだけど、今日は気分転換も兼ねて山の麓にある農道で走り込みをすることになっている。

 

私は紫蓮ちゃんと一緒にささらと合流すると、水の呼吸を使いながら、ささらと紫蓮ちゃんの速度に合わせて走る。

 

私が呼吸術の存在を開示してから、2人も走り込みの際は呼吸を意識する様になったみたいで、今もささらは水系統を思わせるの柔らかい息遣いで、紫蓮ちゃんは炎系統や岩系統を思わせる力強い息遣いで走っている。

 

まぁ、2人とも現時点では肺も発展途上で、呼吸も正しい呼吸術とは言い難い拙いものだから、自分に合った呼吸術を自分なりに探っているといった所なのかもしれない。

 




無限鳥居編前の日常編は今回で終了という形になります。

そして、次回からは新キャラ(原作キャラ)登場と無限鳥居編の開始です。

ただ、主人公以外の3人娘が本格的に呼吸術を使い始めるのは、妖精のお宿に到着して、装備を整えてからの予定となっています。

なので、妖精のお宿に到着する話を執筆するまでは3人娘の適性呼吸アンケートは続行します。是非ともご協力をお願い致します。


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第6話(一部編集 2023/02/16)

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

今回はルビ込みで6600字越えとそこそこの文章量です。そして、ついに無限鳥居編の序章です。
(次回から無限鳥居攻略編の開始となります。このままテンションを維持できれば運が良ければ明日の夜投稿できるかもしれません。通常速度なら来週の水曜日。ちょっと遅れる場合は再来週の火曜日か水曜日投稿になるでしょうか?(笑))









※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

地球さんがレベルアップして以降、日課となっている走り込み。いつもは河川敷を走っているんだけど、今日は気分転換に農道を走っている。

 

河川敷で走る時は鍛錬コミュニティの女子大生さんやインドア兄ちゃんも含まれるんだけど、今日は急遽場所を変更した為、農道を走っているのは私とささら、紫蓮ちゃんの3人だけだ。

 

全員が給水用のスポーツドリンクや何かあった時の応急治療セットが入ったリュックを背負った状態で走っている。

 

というか、傍から見れば私が一番目立つと思う。剣道着姿でリュックを背負って、御小遣いで追加購入したのも含めて木刀が3本入った竹刀袋を肩に担いで走っているからね。

 

リュックを背負ったジャージ姿のささらと紫蓮ちゃんが普通過ぎるから、私の目立ち度は倍ドン倍といったところかもしれない。

 

ちなみに木刀が増えた理由は、ささらと紫蓮ちゃんの剣術鍛錬で使用している竹刀から持ち替えて貰おうと思ったからだ。

 

竹刀、木刀、コスプレとかで使用される模造刀(金属製)、本物の刀剣を重さで分かり易く比べると、竹刀<木刀≪≪模造刀≪刀剣となる。

 

竹刀は竹材を4つ組み合わせた構造で中身が空洞な為、剣術の道具の中では一番軽い。木刀は木材から加工されているとはいえ、中身が空洞という訳ではないので、竹刀より当然重い。

 

金属製の模造刀は、コスプレ用のものであっても金属が使用されているので、木刀より圧倒的に重い。

 

ただ金属製模造刀はアルミ、亜鉛、銅などの合金類を素材に作られているから、鋼と鉄を素材にしている本物の刀剣より幾分か軽い。

 

将来的に魔物が地上に出て来た時、本物の武器を手にしなければならないなら、鍛錬用の道具は使い慣れる度に本物の武器に近い重さのものに変更していくべきだと思って、2人用に新しく木刀を用意したって訳だ。

 

まぁ、刀剣類に著しく類似した形態、構造を有する硬質性のものを携帯することは銃刀法に抵触するから、金属製模造刀は野外鍛錬で使用できないんだけどね。

 

野外鍛錬で使用できる鍛錬道具は木刀までが限界。今の重量に慣れたら、重力魔法で徐々に加重していく位しか、実戦武器に近い重さに慣れる手段がなかったりする。

 

捕捉なんだけど、ささらと紫蓮ちゃんに貸し出すのも含めて、3本の木刀はに重力魔法魂魄魔法生成魔法で付与していたりする。

 

木刀に付与された能力を端的に述べると、使用者の技量に合わせて実戦武器に近い重量へと加重していくというもの。

 

ただ重量に慣れるだけなら竹刀に同じ付与をしても良かったんだけど、中身が空洞の竹刀より密度のある木刀の方がより実戦的な雰囲気で鍛錬できると思って、新しい木刀を買って付与した訳だ。

 

つまり、私は走り込みに向かない剣道着姿で、応急治療キットやスポーツドリンク(2L×2)等が入ったリュックを背負い、実戦武器(私の場合、斬馬刀もしくはバスターソード)相当の重量の木刀3本を肩に担いで走っていることになる。

 

これだけの荷物を持って走り込みをすれば、それなりの負荷が身体に掛かって、体も鍛えられるんだろうけど、私の場合はステータスのお陰もあって、特に体が鍛えられるといった感じもしない。

 

 

「………(ステータスが高過ぎるのも善し悪しだなぁ……)」

 

 

そんなことを考えながら走り込みを続けていると、私達は数台の工事車両と擦れ違った。

 

地球さんがレベルアップし、私がダンジョンから生還して以降、風見町で工事車両が走っている光景は下校中でもよく見かけるものとなった。

 

出現方法は未公開だけど、将来的に魔物が地上に出現することは地球さん自身が公開した確定情報だ。

 

可能性として考えられるのは、ダンジョン内の魔物が転移渦から溢れ出て来る状態だろうから、発見済みのダンジョン転移渦を囲う様な設備を建設する為、工事業者が派遣されるのは自然な流れだろう。

 

そして、詳細では無いものの、世界で最も情報を得られているダンジョンのある町ということもあって、風見町には日本中の自衛官や警察官が研修の為、訪れる様になった。

 

ぶっちゃけ、地球さんがレベルアップするまでの風見町は、東京に近いとはいえ山と川がある割と一般的な日本の田舎町でしかなかったので、凄い変わり様だと思う。

 

工事車両と擦れ違ってから暫く経ち、農道の中間にある駐車スペースで小休憩を取りながら、少しずつ変化していく生まれ育った町を眺める。

 

 

「………(ダンジョンが一般公開されるようになるとしたら、風見ダンジョンは初心者冒険者向けダンジョンとして活用されるのかな?

もし、そうだとするなら風見町は冒険者を育成する町として発展するだろうし、冒険者学校とかも開校するかもしれない)」

「これから先、風見町は賑やかになっていきそうですわね」

「………政府から風見ダンジョンが【ランク1】に認定されたから、ダンジョンが一般公開されたら、ダンジョンを探索する冒険者の町になりそうだね」

 

 

風見町を眺めながら考え事をしていた私に、ささらが同じ様に街を眺めながら言葉を掛けてくれたので、私は自分の想像する風見町の未来を口にした。すると――――

 

 

「…………冒険者の町」

「どうしたの、紫蓮ちゃん?」

「RPGの始まりの町みたいな響き。この町で勇者が誕生する前兆かも」

「…………私が言えた義理じゃないけど、中二病が過ぎると思うよ。紫蓮ちゃん」

「ぴゃぅ!?」

「紫蓮さんのお言葉、強ち間違ってないかもしれませんわ。命子さん」

「ささら?」

「この町にはダンジョンから情報を持ち帰った世界初のダンジョン生還者がいるのですもの。勇者や英雄といったジョブに就ける人もきっと現れますわ」

 

 

ささらは紫蓮ちゃんの発言を肯定しながら、私に輝く視線を向けてきた。いや、ステータスや技能(スキル)、転生特典的に考えて、私の最終ジョブは勇者や英雄ではなく魔王だと思うんだけど?

 

勇者や英雄とは対極の存在だよ。どうせ魔王になるなら、覚醒魔王ではなく真なる魔王になりたいかな?そもそも勇者や英雄、魔王ってジョブなの?どちらかというと称号な気もするんだけど。

 

閑話休題。軽いお喋りと水分補給で小休憩を終えた私達は、再び走り込みを始めた。

 

私達の走っている農道の左手は町を眺めることができ、右手には見慣れた風見山を見上げることができる。

 

 

「…………(漫画やラノベの創作物だと、山で鍛錬や修業するのが定番だよね。普通に山を登り下りするだけでも鍛錬になりそう)。ねぇ、2人と――――」

「命子さん。あちらに居られるのはルルさんでは?」

 

 

私が2人に登山を提案しようとした瞬間、ささらが唐突に私にそんなことを訪ねてきた。ささらの視線の先に目を向けると、そこには確かに見知った姿があった。

 

見慣れた制服姿ではなく、チェック柄のワイシャツにオーバーオールという牧場主の一人娘を彷彿させる姿ではあったけど、絹の様なロングの金髪に雪のように白い肌、宝石のように輝く青い瞳に170cmの長身を持つ女子は、私の記憶の中にも流ルルしか存在しなかった。

 

 

「偏見かもしれないけど、チェック柄のワイシャツにオーバーオールの女の子って、牧場主の一人娘っぽいよね?牛や羊と戯れて、牧羊犬を引き連れてそうなイメージ」

「………ルルさんは陽気な方ですし、確かに似合いそうですわね」

「???……誰?」

「あの子は私とささらのクラスメイトだよ、紫蓮ちゃん」

「この近くに住んでいらっしゃるのでしょうか?」

「どうだろう?散歩でこの辺りまで来た可能性もあるし、土地勘がない場合は迷子の可能性もあり得るかな?念の為、声掛けとこうか」

「確かにキスミアから日本に来られたばかりですし、その方がいいかもしれませんわ」

「………」

 

 

ささらとの軽い話し合いで流さんに声を掛けることとなり、念の為紫蓮ちゃんにも視線で尋ねてみると、私とささらの会話から流さんが日本に来て間無しだと理解できたようで、声を掛けることに納得して貰えた。

 

 

「流さーん。流ルルさーん。もしくはルル=ナッガーレさーん」

 

 

私が病院や市役所での呼び出しみたいな呼び掛けをすると、流さんは私達の方に振り返って、花の咲いた様な笑顔を見せてくれた。

 

 

にゃーん(わー)!こんにちはデス、こんな所で会うとは奇遇デス。メーコ」

「本当、奇遇だね。私達は普段、農道なんて利用しないから、正に奇跡的偶然だよ」

にゃーん(キャー)!それは本当にすごいデース。トコロでメーコは皆とタンレン中デスか?」

 

 

猫ちゃんの鳴き真似もとい、キスミア語をガンガン飛ばして来る流さん。日本語の「うん」や「はい」に相当するキスミア語が「ニャウ」で、日本語の「わー」や「きゃー」、「やーん」に相当するキスミア語が「にゃーん」になるみたいなんだけど、キスミアは猫人の国なんだろうか?

 

いや、可愛いけどね。アニメ版ゲゲゲ○鬼太郎6期の猫娘が現実に現れた様なものだから、可愛いのは理解できるけどね。

 

 

「今は鍛錬の基礎である走り込み中だよ」

ニャウ(うん)!ニンジャにとっても足は命。走り込みはとっても大事デスね」

「(ん?今、忍者とか言った?私の聞き間違いかな?)……流さんは何してたの?」

「私のことはルルでいいデスよ。私はニンジャのカクレ里を探してたデス!」

「(聞き間違いじゃなかった!まぁ、ルルは海外暮らしの長いハーフさんだから、忍者が現代日本にもいると思ってるんだろうな)……あのね、ルル―――」

「ル、ルルさん。今の日本―――」

「(紫蓮ちゃん!)」

「(了解!)」

 

 

私がルルの夢を壊さない様にオブラートに包んだ現実を教えようとすると、ささらがオブラート無しで現実を叩きつけようとしたので、私は紫蓮ちゃんにささらの発言を妨害するように視線で指示を送った。

 

紫蓮ちゃんはささらの口を手で覆って発言を妨害。私はささらの発言に続く様に現代日本の忍者について語り始めた。

 

 

「ルル。現代日本でも残ってる忍者の隠れ里は、伊駕や甲駕、楓魔といった有名所だけで、風見忍軍みたいな小さい忍者の隠れ里は有名な所に吸収合併されちゃってるんだよ」

にゃーん(えー)!?そうなんデスか、メーコ!!?」

ニャウ(うん)。あと、明治時代以降は忍者も近代化が進んでいて、殆どの人材が警察官や自衛官、皇族や政府高官の専属護衛になってることが多いみたい」

「………その噂、我も聞いたことがある」

「わ、私も聞いたことがありますわ!!」

 

 

紫蓮ちゃんが手で口を覆った理由を察したのか、私の法螺話に紫蓮ちゃんだけでなく、ささらまで話を合わせてくれた。

 

他者に不利益をもたらす嘘―――詐欺行為などの場合、カルマ値が引かれることになるけど、今回の様な人の夢を壊さない為の優しい嘘の場合はカルマ値が下がることがない。

 

 

ニャウ(うん)……、ニンジャに会えないのは残念デス」

「………忍者には会えないけど、隠れ里跡地なら見れるかもしれないよ?まぁ、跡地と言っても元は隠れ里だから、そう簡単に見つからないかもしれないけど」

「………ニャウ(うん)!ニンジャに会えなくても、カクレ里に興味シンシンだから探してみるデース」

「これから山に入るなら、私達も一緒に行っていい?登山も良い鍛錬になりそうだし」

 

 

私がそう言いながら、ささらと紫蓮ちゃんに事後承諾を得ようと視線を送ると、2人とも私の提案を受け入れて頷いてくれた。

 

 

「実は1人で登るのが心細かったデス。だから、メーコとシャーラ、あと―――」

「紫蓮。有鴨紫蓮ちゃん、ね。私の幼馴染で妹分だよ」

ニャウ(うん)!シレンちゃんが一緒に来てくれたら心強いデス!!」

「あの、ルルさん。私はシャーラではなく、ささらですわ」

フニィー(えーっと)?シャーラ、デスよね?」

「いいえ。ささら、ですわ」

「???シャーラ?」

「……キスミア風の発音だと、「ささら」が「シャーラ」になるんじゃない?私も「めいこ」じゃなくて「メーコ」だし、可愛い渾名や愛称だと思って受け入れようよ」

「渾名……。仲の良い友達同士で使われる愛称ですわね!ルルさん、私のことはシャーラで構いませんわ!!」

「???シャーラ、デス!!」

 

 

私達はルルと友好を深めた後、ありもしない風見忍軍の隠れ里跡地を探す為、風見山へと登ることになった。

 

風見山の山道を歩いてる間、私はルルと色んな話をした。まぁ、私からできる話はダンジョン関係と自分の特技や趣味の話だけなんだけどね。

 

ルルから聞けた話は、キスミアは親日国で純キスミア人でも簡単な日本語なら通じるとか、日本の漫画がキスミア国民に多大な影響を及ぼし、社会現象を起こしたといったものがメインだった。

 

あと、猫語を彷彿させるキスミア語は日本でも使うべきという、ルル父の(へき)を垣間見る情報まで聞いてしまった。

 

まさか、ルル父も実の娘の口から自分の(へき)が、女子高生と女子中学生にバラされるとは思ってもいなかったことだろう。南無阿弥陀仏……。

 

そして、登山中に女子中高生4人で猫語もといキスミア語の「ニャウ」と言い合う、萌えを知る者にとって最高の萌えイベントも発生した。

 

ぶっちゃけ、鍛錬とは思えないほのぼのとした時間を楽しみながら、私達はあっという間に風見山の中腹に存在する桜の木とお社のある場所に辿り着いた。

 

桜の花は満開で、散り積もった桜の花弁は地面にピンクの絨毯を作り出し、現在進行形で舞い散る桜吹雪と山の神様を祭っていると思しき社が幻想的な光景を生み出している。

 

もし、風見山に京都の伏目稲荷の万本鳥居みたいに大量の鳥居が存在したら、私達は和風ファンタジーな世界に迷い込んだと勘違いしていたかもしれない。

 

…………実際に地球さんがレベルアップしたことで、ファンタジー世界そのものは現実化している訳なんだけど……。

 

取り敢えず、滅多に来ることの無い風見山のお社まで来たんだから、山の神様(仮)に願掛けでもしておこう。

 

 

「…………」

「何をしてるデスか、メーコ?」

「願掛け」

「願掛け、ですの?」

ニャウ(うん)。人生初のダンジョン入りが落とし穴みたいな不意打ちだったから、今後同じような状況に陥っても、無事にダンジョンから生還できますように、って願掛けしといた」

 

 

ルルとささらの質問に答えると、紫蓮ちゃんも私と同じ様にお社様に願掛けを始めた。

 

 

「…………」

「紫蓮ちゃん?」

「羊谷命子の身に起こったことが我が身に起こらないという保障は無い。だから、気休めでも我も願掛けしておく」

「そう、ですわね。予期せぬ形でダンジョンに入ってしまう可能性は、前例がある以上私達にもあり得ることですわ」

「シャーラとシレンの言う通りデス。それにダンジョンじゃなくて山でもソウナンしたら大変デス。無事に帰れる様、神サマにお願いしておくデス」

 

 

ささらとルルもそう言い終えると、紫蓮ちゃんに続く様に願掛けを始めた。

 

風見山は山道が整備されているから、流石に中高生4人組が遭難することを心配する必要はないと思うんだけど、願掛けの内容は人それぞれかな。

 

3人は願掛けを終えると、スマホで写真撮影を始める。紫蓮ちゃんは前にウィンシタをやってると聞いたことがあるけど、ささらとルルもやってるのかな?私はルインしかやってないから良く分からない。

 

 

「メーコは写真を撮らないデスか?」

「ん~……、撮った所で家族以外に見せること無いだろうし、写真見せる位なら休日に家族と直接見に来るかな」

「………そういえば、羊谷命子はウィンシタやってない」

「「!!?」」

TickTack(チックタック)ならインストしてるよ?見る専だけど」

 

 

この後、3人の勧めで、色々と教えて貰った上で私もウィンシタを始めることになった。互いにアカウント登録をし合って、自撮りで集合写真を撮り終えると、それぞれが画像をウィンシタに上げた。

 

これが所謂ウィンシタ映えという奴なんだろうか?その辺りの感覚が私にはよく分からない。TickTack(チックタック)で可愛い小動物を見た時の尊いって感情は理解できるんだけどね。

 

お社正面である程度写メを取り終えると、今度はお社の裏側でウィンシタ映えする絵が撮れるかな、という話になり、私達はお社の裏側へと移動し始める。

 

この考えと行動がお社に祭られている神様の気に障り、神罰を喰らわされたのか、私達は不運にも桜の花びらの絨毯で隠されていたダンジョンの入口である転移渦を踏んでしまい、ダンジョンへと強制転移させられることとなった。

 

これが私にとって2回目であり、ささらとルル、紫蓮ちゃんの3人にとっては初めての、そして私達4人一党(パーティ)の初ダンジョン攻略の始まりとなった。

 



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第7話(一部編集 2023/06/10)

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

リアルの友人から旧7話&旧8話の文章数が少ないから、統合して1つの話にした方がいいと言われ、統合版を新しく7話として投稿させて頂きました。










※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

これは所謂神罰というものなんだろうか?風見山にあるお社の裏側で、ウィンシタ映えしそうな画を撮ろうと移動したら、明らかにお社の裏側とは異なる場所に強制転移させられた。

 

本来なら私達の後ろ側にある筈のお社と桜の木が消え去り、立っている場所も円形に整備された石畳に変化している。

 

更に目の前には兵庫県朝呉市の嶽田城から見渡せる様な見事な雲海と、京都府の伏目稲荷大社の万本鳥居みたいに全てが整然と並んでいる訳ではないけど、大量の立派な朱の鳥居を見ることができた。

 

明らかにダンジョンへと強制転移。風見山との共通点は満開の桜だけしかない。これが神罰でないとするなら、お社に願掛けしたことで建ってしまったフラグというものだろうか?

 

しかも、このダンジョンは明らかに現時点で日本政府の確認できている迷宮型とは異なる、建造物の外側―――野外(フィールド)型と言える未発見ダンジョンだ。

 

転移渦の色が確認できなかったから、ダンジョン難易度は未知数。帰還者0の不帰級ダンジョンの可能性も十二分にあり得る。

 

私はここまで思考した時点で空間魔法〝界穿〟でダンジョンからの脱出を試みる。しかし―――――

 

 

「!?(〝界穿〟を使おうとすると魔力が霧散する!!?なら、〝界越〟で―――!!!?)」

 

 

私が〝界穿〟だけでなく、〝界越〟すら使えないことに驚愕していると、その理由が地球さんに似た声音だけど、やけに事務的というか棒読みな声質で脳内に直接叩き込まれた。

 

 

≪告!魔法や技能(スキル)によるダンジョンからの脱出は、離脱経験済みの階層か攻略済みのダンジョンでなければ不可能です≫》

 

 

つまり、一度はダンジョン攻略もしくは離脱転移渦を探さなければならないということ。神代魔法だけでなく、概念魔法にすら干渉するとは、地球さんも中々にやりおるわ。

 

魔法での強制脱出が不能であると理解できた私は、即断即決で空間魔法の宝物庫から阿朱羅丸と滅竜刀・雷光、6属性の魔導書を取り出して装備する。

 

 

「命子さん?」

「メーコ?」

「めーちゃん………」

 

 

某英雄王がバビロンの宝物庫から宝具を取り出す様な光景を初めて目の当たりにしたささらとルルは呆気にとられた様な顔をし、私がいきなりフル装備したことで不安そうな顔を浮かべる紫蓮ちゃん。

 

 

「私達、ダンジョンに強制転移されたみたい」

「こ、ここがダンジョンですの!?」

「想像してたのと違うデス!」

「……………」

「安心して、3人共。私が生きている間は仲間一党(パーティメンバー)を1人だって欠けさせない。絶対に地上に還してあげるから」

「「「……………」」」

 

 

私が出発点から唯一の先に進めると思しき下り階段に向けて歩を進めながらそう告げると、3人は黙り込んだ。

 

私と違ってチートではない女子中高生だ。これから我が身に起きることを考えれば、さぞ不安なことだろう。さぞ怖いことだろう。黙してしまうことも仕方ないこと。

 

私がそんなことを考えていると――――

 

 

「………私達が命子さんに全ての責任を押し付けるとお思いですか?」

「ささら?」

「シャーラの言う通りデス。皆で力を合わせてダンジョンから出るデスよ」

「ルル」

「……桃園の誓いならぬ桜園の誓い」

「紫蓮ちゃん」

「それは良いですわ、紫蓮さん!」

「トーエンの誓い?」

「三国志演義で劉備、関羽、張飛が結んだ義兄弟の契りのこと」

「………まぁ、結婚式での死が2人を別つまで、っていうのが一番近い宣言なのかな?

私達4人の姓は違うけど、義姉妹の契約を結んだからには互いに助け合い、生まれた日は違っても死ぬ時は同年同月同日を願う、っていう意思表明だね」

にゃーん(わー)……、スゴく重い意識表明デス。本当にするデスか、メーコ?」

「いやいや、ダンジョンに関しては生き急いでる感が半端無い私に3人を巻き込む気は毛頭ないよ。けど、1人より4人で頑張った方が早く脱出できるかもね」

 

 

私はそう言い終えると、竹刀袋に入れていた特殊木刀と宝物庫に保管していたネックレスを3人に手渡す。

 

 

「羊谷命子、このネックレスは?」

「身体能力と防御力を向上させる技能(スキル)が付与されたネックレスだよ」

 

 

私が3人に渡したネックレスは改良型ラスト・ゼーレ。付与されている基本効果は所有者の基礎能力向上。

 

あと、技能(スキル)の身体強化術である限界突破、覇潰、一刀修羅、防御術である金剛が所有者の任意で使用可能だよ。

 

まぁ、「ありふれ」のラスト・ゼーレとチートメイトが融合して、一刀修羅、金剛が追加されただけのチート系身体能力強化アーティファクトでしかない。

 

ちなみにアーティファクトの素材はダンジョン産バネ風船のバネだよ。武器にも装飾品にも流用できる万能金属だね。

 

特殊木刀とラスト・ゼーレ改を装備していれば、無職でもバネ風船程度なら対応できる筈。

 

 

「羊谷命子。我、滅竜刀ある」

「流石に素振り経験数週間のジョブ無しが実戦で本物の刃物をいきなり使うのは危険だと思うよ?」

「…………一理ある。なら、少しだけ木刀を強化したい。改造してもいい?」

「そういえば、紫蓮ちゃんは生産魔法持ちだったね。いいよ。使う素材は何にする?」

「ん。バネ風船のバネで木刀を補強して、滑り止めとして柄に風船残骸を付けたい」

「分かった」

 

 

4人で協力してダンジョン探索をすると決めた以上、出発前に現時点でできる限りの準備を整える必要がある為、私は紫蓮ちゃんの意見に同調し、特殊木刀の強化素材を提供する。

 

 

「紫蓮ちゃんが武器の強化を行ってる間に私達の戦力確認をしよう。ささらとルルの技能(スキル)と魔力値を教えてくれる?」

「ええ。私の技能(スキル)は防具性能上昇(小)で、魔力値は20ですわ」

ニャウ(はい)!私も魔力値は20で、技能(スキル)は見習い忍法デス」

「……魔力値20ってことは、2人とも地球さんがレベルアップした時に祝福したんだね」

 

 

地球さんレベルアップした時に祝福した人は、称号と+10の魔力値が得られることが某掲示板でも特定されている確定情報だ。

 

つまり、この一党(パーティ)は基本的に他人の努力を称賛できる善人の集まりと言うことになる。……基本的と言ってるのは私が3人ほど善人ではないと自分自身を評価してるからだよ。

 

 

「ささらの防具性能上昇は分かるけど、ルルの見習い忍法って何ができるの?体術能力向上とか幻術とか忍術が使えるの?」

「水遁忍術が使えるデスよ」

「(水遁忍術!?NAR○TOの〝水遁・水龍弾の術〟とか使えるのかな?いや、見習いだし使えるとしたら〝水遁・水弾の術〟とかかな?)……それ、凄くない?」

ニャウ(うん)!地面から水がぴゅーっと出るデス。ニンニーン」

 

 

ルルはそういうと印を組み、地面からショボイ噴水みたいな水を出し始めた。

 

 

「……………それ、水遁忍術じゃなくて水芸じゃない?ルルの技能(スキル)ってそれだけなの?」

「水遁忍術以外にも高速移動がありマース。最初からトップスピードが出せる地味な技能(スキル)デス」

「………いやいや!?高速移動の方が水遁もどきより凄い技能(スキル)だよ!?」

 

 

取り敢えず、全員の技能(スキル)が確認できた時点で、私は陣形(フォーメーション)を考え始める。

 

 

「一番手っ取り早いのは私が最前衛(フロントアタッカー)になることなんだけど、皆で協力して進む以上、私だけが戦うのは意味がないよね」

「はい!」

ニャウ(うん)!」

技能(スキル)で考えると、防御力が向上するささらが最前衛(フロントアタッカー)、一撃離脱の高速戦闘が可能なルルは前衛(ガードウイング)、魔導書で中距離戦闘が可能な私は中衛(センターガード)、生産職の紫蓮ちゃんは後衛(フルバック)とするのが普通だね。

けど、魔物との戦闘で相手にダメージを与えないと、レベルを上げる為の経験値は得られない。

私の場合は魔導書の操作範囲が直線距離で50mはあるけど、紫蓮ちゃんも私と同じとは限らない」

「あの、紫蓮さんが魔導書を使うことを前提に話を進めるのはどうしてですの?」

「ああ。私が最初のダンジョンに入った時、ドロップアイテムで水の魔導書が重複して、紫蓮ちゃんに譲ったんだよ。だから、紫蓮ちゃんが水の魔導書を装備することを前提で陣形(フォーメーション)を考えてるんだ。

魔導書から放つ魔法も、ジョブに就くことで使用可能と考えるなら、魔導書でできる攻撃手段は物理打撃のみ。ジョブ無しでも遠隔操作ができるなら、操作範囲次第で中衛(センターガード)後衛(フルバック)を務められるね。

遠隔操作ができない場合は、ささらと紫蓮ちゃんが2人1組の最前衛(フロントアタッカー)という方向で陣形(フォーメーション)を組むことになるかな?

最前衛(フロントアタッカー)=ささら&紫蓮ちゃんペア、前衛(ガードウイング)=ルル、中衛(センターガード)後衛(フルバック)=私か。

まぁ、この陣形(フォーメーション)なら後方襲撃(バックアタック)されても対応できるから、現時点では理想的な陣形(フォーメーション)かもしれない。

遠距離攻撃手段のある私なら後方から全体を見渡すことで、適宜援護射撃ができるだろうし。紫蓮ちゃんの魔導書操作技術次第では陣形(フォーメーション)最前衛(フロントアタッカー)=ささら、前衛(ガードウイング)=ルル、中衛(センターガード)=紫蓮ちゃん、後衛(フルバック)=私に変更かな。

陣形(フォーメーション)について2人から何か意見はある?」

「「…………」」

「ささら?ルル?」

「ッ!だ、大丈夫ですわ!命子さんの考えた陣形(フォーメーション)でいいと思いますわ!!」

「ワ、私もシャーラと同じデス!」

「???そう?まぁ、魔物との初戦闘は参考にならないかもしれないけど、私が見本戦闘を見せる為、最前衛(フロントアタッカー)を務めようかな」

 

 

陣形(フォーメーション)も決まり、紫蓮ちゃんが特殊木刀の強化を終わらせるまでの間、私達は自分達で分かる範囲のことを検証した。

 

例えば、ルルが1回の水遁忍術もどきでMPを3消費した訳なんだけど、MPを回復させるのにどれだけの時間が掛かるのか、といった検証だ。

 

検証結果は1分でMP1回復することが分かった。ソシャゲとかだと、戦闘ポイントを1回復させるのに5分かかるのもあるから、それから考えると回復時間が良心的だよね。

 

紫蓮ちゃんが特殊木刀の強化を終えると、陣形(フォーメーション)のことを伝え、紫蓮ちゃんが魔導書の遠隔操作範囲が半径2mと判明したことで、基本陣形が最前衛(フロントアタッカー)=ささら&紫蓮ちゃんペア、前衛(ガードウイング)=ルル、中衛(センターガード)後衛(フルバック)=私で確定し、ついにダンジョン踏破を始めることとなった。

 

大量の朱の鳥居が立ち並ぶ純和風ダンジョン。参道のようなダンジョン通路を歩いていると、10分も経たない内に魔物は現れた。

 

 

「……あれが魔物?」

「……風見ダンジョンでは1体ずつしか出なかったのに、こっちが4人だからか4体も出て来たね。しかも、内2匹は初見だ」

 

 

現れたのは風見ダンジョンでも遭遇したバネ風船が2体。残りの2体は餅つきの杵を持った兎だ。

 

 

「紫蓮ちゃん、木刀貸して」

「???」

「阿朱羅丸や滅竜刀を使ったら一刀両断の瞬殺だから、参考にならなくなちゃう」

「ん」

 

 

私が木刀を借りる理由を告げると、紫蓮ちゃんは納得し、特殊木刀を渡してくれた。

 

あっ、全集中の呼吸を使いながら本気で攻撃したら、特殊木刀でも瞬殺する可能性が高いから、全集中の呼吸を使いつつ、一撃必殺にならない様に絶妙な力加減で攻撃する様にしよう。

 

 

「それじゃあ、見本を見せるね。………シィィィィ」

 

 

私は(かみなり)の呼吸を使い、1体目のバネ風船―――バネ風船Aを標的に定め、前傾姿勢で抜刀術の構えを取る。そして―――

 

 

「………全集中、雷電型(イカヅチノカタ) 二式〝霹靂一閃〟

 

 

電光石火の速度でバネ風船Aとの間合いを詰め、特殊木刀による斬撃を繰り出す。斬撃を顔面にモロに喰らったバネ風船Aは数m程吹き飛び、私はその隙に次の標的であるバネ風船Bに攻撃を仕掛ける。

 

 

「フゥゥゥゥ………。全集中、繚乱型(リョウランノカタ) 一式〝菖蒲斬り〟!」

 

 

バネ風船Aと1mも離れていないバネ風船Bに、軽く飛び掛かりながら横薙ぎの斬撃を放つ。当然と言うべきか、バネ風船BもAと同じ様に吹き飛んだ。

 

バネ風船は移動速度が遅いので、体勢を整えてから私を自分の間合いに捉えるまで少し時間が掛かる。私はその時間を利用して、杵を持った兎――杵ウサギAに攻撃を仕掛ける。

 

 

「フウウウウ………。全集中、宿儺型(スクナノカタ) 五式〝移流斬り〟

 

 

杵ウサギAに攻撃が当たると、間髪入れずに杵ウサギBへと攻撃を仕掛ける。

 

 

「コォォォォ………。全集中、焔燃型(カグツチノカタ) 二式〝昇り炎天〟!」

 

 

それぞれが別の所に吹き飛んだバネ風船ABと杵ウサギABを一カ所に集められる様、今度は動き回りながら攻撃を仕掛ける。

 

 

「ゴォォォォ………。全集中、天照型(アマテラスノカタ) 六式〝日暈の龍・頭舞い〟

 

 

一カ所に集まるように力加減をして攻撃すると、私の狙い通りに魔物は一塊となった。そろそろ止めかな。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ………。全集中、水龍型(ミズチノカタ) 十式〝滝壺〟!」

 

 

一塊となっている魔物に唐竹の一撃を叩き込むと、4体の魔物は光となって消え、あとには4個の魔石とバネ風船のバネが2個、ウサギの毛皮が2個残された。

 

 

「まぁ、こんな感じかな」

「「「……………」」」

「ハンティングアクションゲームで有名なモン狩りで例えると、バネ風船は小型甲虫種、杵ウサギは獣人種相当だと思うけど、その攻撃力は人間にとって脅威でしかない。だから、絶対に反撃される様な機会を与えちゃ駄目。

魔物は攻撃を受けるとノックバックするから、自分の攻撃範囲に標的を捕捉するまで突っ込んで来るだけのバネ風船みたいな猪突猛進が相手なら、一撃離脱戦法を繰り返すだけでも勝てる筈だよ」

「「「……………………」」」

「………3人とも、私の話を聞いてる?」

「「「………スゴい(デス)(ですわ)!!」」」

 

 

真面目にアドバイスしたのに、3人から何の反応も返って来なかったから、少し怒り気味で問い掛けると、3人は目を輝かせながら、大声で私を称賛(?)してきた。

 

 

「メーコ、バチバチッって電気出しながら瞬間移動したデス。ニャルトの四代目雷光サマが使ってた雷の衣デスか?」

「その次に放たれた木刀の軌跡には、花弁だけでなく菖蒲の香りまでしていましたわ」

「木刀の刀身から素振りの時よりはっきりとした炎や水が発生してた。もしかして、魔法剣?」

 

 

続けざまに質問を投げ掛けて来る3人。ささらと紫蓮ちゃんに関しては、鍛錬の時に毎回見せていた筈なんだけど………。

 

まぁ、鍛錬の時は真剣に素振りすることはあっても、戦う時みたいに本気で剣を振ることがないから、素振りだと型ごとに発生する筈のエフェクトが薄かった気もする。

 

 

「別に魔法や忍術は使ってないよ。目にも止まらぬ速さで間合いを詰めただけだから、瞬間移動じゃないよ。

木刀の刀身から発生したエフェクトは、全集中の呼吸を使った状態で本気で剣を振るったから、各型の特徴でもある幻が素振りの時よりはっきりと可視できただけだよ」

ゼンシューチューの呼吸って何デス?」

 

 

3人の中で唯一全集中の呼吸を知らないルルに、全集中の呼吸のことを詳しく教えてあげると――――

 

 

「何デスか、それ!?シャーラとシレンもゼンシューチューの呼吸を使えるデスか!!?」

「ぴゃぅ、我等は………」

「私も紫蓮さんも全集中の呼吸をまだ使えませんわ。ですが使える様になる為、走り込みでも呼吸を意識して走るようにしていますわ」

「う~、う~……。シャーラとシレンだけズルいデス!メーコ、私にもゼンシューチューの呼吸を教えて欲しいです!」

「一朝一夕で覚えられるものでもないから、今日中にダンジョンから脱出で来たら、明日にでも呼吸を意識する方法を教えてあげる。

今日中にダンジョンから出られなかったら、このダンジョン内で野宿する時にでも教えてあげる」

「ダンジョンで野宿は嫌デスけど、約束ですよ。メーコ」

 

 

全集中の呼吸を会得する為の基礎中の基礎である肺活量の強化と、意識した呼吸法をルルに教えることを約束させられた私は、正真正銘の全集中の呼吸を見て興奮している3人にこの場からの移動を促し、歩を進めて行く。

 

そして、500mも進まない内に今度は3体の魔物が現れた。どうやら、このダンジョンでは現れる魔物の数が固定されている訳ではないみたいだ。

 

運が良ければ1体の可能性もあるけど、運が悪ければ一体何体の魔物が現れることになるんだか。流石に百鬼夜行みたいに一度で100体の魔物が現れるとかないよね?

 

………うん。4人相手に100体は絶対にない。多くても精々10体の魔物(バネ風船などの最下級魔物)が現れる程度だろう。

 

閑話休題。3人の記念(?)すべき初魔物は、私がダンジョン界のオルタロスと認定しているバネ風船だ。

 

相手がバネ風船とはいえ、レベル0の3人の場合は一撃受けるだけでも死に兼ねない。だから、私はいつでも攻撃できるように魔法待機させたまま、援護の為のベストポジションへと全ての魔導書を移動させておく。

 

事前に決めていた陣形(フォーメーション)だと、ささらと紫蓮ちゃんの2人が最前衛(フロントアタッカー)で、ルルが前衛(ガードウイング)となっていたけど、初魔物が3体ともバネ風船だったので、ルルも最前衛(フロントアタッカー)で応戦することとなった。

 

一般的な成人男性の徒歩速度と同側で近付いて来るバネ風船が3人の間合いに入ると、ささらは〝菖蒲斬り〟のような横薙ぎ、紫蓮ちゃんは〝昇り炎天〟のような逆風、ルルは〝滝壺〟のような唐竹の斬撃を繰り出す。

 

強化型特殊木刀の斬撃をモロに受けたバネ風船は簡単にノックバックし、3人はバネ風船が体勢を整える前に半歩だけ後ずさり、次の攻撃を放つ為の構えを取る。

 

私が事前にアドバイスしておいた一撃離脱戦法で攻撃を繰り返す3人。けど、3人の顔は攻撃をする度に罪悪感に染まったものへと変わっていった。

 

「「「………………」」」

 

 

バネ風船を斃し終えた後、3人が微動だにしなかったので、私は3人が斃したバネ風船のドロップアイテムと魔石を拾いながら、3人に声を掛けた。

 

 

「………やっぱり、戦闘担当は私が務めた方が良さそうだね」

「「「!!?」」」

「魔物は私達に対して殺意を持って襲い掛かってくる。そんな魔物に対して、攻撃することで罪悪感を覚えてしまうなら、3人は戦わない方がいい。その感情がいつか3人の命取りになる」

「命子さん」

「めーちゃん」

「メーコ」

「ダンジョンで生殺与奪の権を魔物に握られたら駄目なんだよ。奪うか奪われるかの瀬戸際に主導権を握れない弱者は、いとも容易く魔物に捻じ伏せられる」

「「「……………」」」

 

 

3人の視線を感じながら、私は刃の様に鋭い言葉を続けて口にする。

 

 

「魔物は3人の感情を尊重してくれたりはしない。私も罪悪感に苛まれながら戦うことを強制したくないから、3人が魔物に対する罪悪感を捨てられないなら、魔物と戦うなんて意思を尊重できない」

 

 

心を鬼にして私がそう言い終えると、完全に3人は沈黙してしまった。やっぱり、3人は戦わせない方がいい。

 

カルマ値からも分かるように、3人は善人で優しい。いや、優し過ぎるんだ。その優しさがダンジョンでは命取りになる。

 

 

「(3人の命を守る為にも、ここで戦う意思を折っておかないと―――――)」

 

 

そんなことを考えていると、パチーンと頬を叩く音が凄く大きな音でその場に響いた。

 

バネ風船のドロップアイテムと魔石を拾う為、視線を地面に向けていた私が顔を上げると、3人が両手で自分の頬を叩いている姿が目に入って来た。

 

 

「ッ―――……命子さん、次こそは無様を晒しません。完全勝利をお見せしますわ!」

「……我も」

「ダンジョンがヤキニクコウシャクでも私は大丈夫デシュ」

 

 

私が3人の戦う意思を叩き折ろうとしたことを感じ取ったのか、私が行動に移す前に3人が意思表明をしてきた。

 

真っ直ぐな眼を向けられながら表明された戦う意思。それを誰が叩き折れるだろう?誰が叩き潰せるだろう?

 

 

「そう。じゃあ、問題無しってことで先に進もうか?」

「はい!」

「ん!」

ニャウ(うん)!」

 

 

気合の入った返事が帰って来たので、私達はダンジョン探索を再開した。………ところでルルの言ったヤキニクコウシャクって何?焼肉公爵?それとも焼肉侯爵?鍋奉行の焼肉verかな?

 



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第8話(一部編集 2023/02/24)※

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

8話は3人娘の就職回だと言っていたが、アレは嘘だ。3人娘は9話で就職して頂くことになりました(笑)

あと、今回も原作とは異なる点が多数存在します。原作では魔物が5体以上の編隊で出現するのは2つ目の山からですが、本作では1つ目の山から出現することがあります。
(魔物単体の難易度は原作通りだけど、出現率が上がってるって感じですね。(笑))










※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。



 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

和製ダンジョンの踏破を始めて数十分。私達4人は30~50m間隔で現れる魔物を、ブッ血斬っては歩を進めるという行動を何度も繰り返している。

 

現れる魔物の数はマチマチで、最下級のバネ風船が3体現れることもあれば、バネ風船と杵ウサギ、魔本が3体1組(スリーマンセル)で現れることもあり、ヤバい時は魔本が5体も現れることがあった。

 

ささらとルル、紫蓮ちゃんの3人は、スポーツ―――格闘技も含めて戦闘経験皆無な素人。当然、魔物相手の彼我兵力差を判断することも不可能。

 

故に私の独断でバネ風船の場合は1人で1体を相手して貰い、杵ウサギの場合は2人で1体を相手して貰う形をとって貰っている。

 

出現する魔物がバネ風船1体、杵ウサギ2体、魔本2体の場合は、私が1人で魔本2体と杵ウサギ1体を相手取り、残りを3人が相手するということでもある。

 

魔本が5体現れた時は、完全に私だけが戦う形をとっている。流石に遠距離攻撃ができる魔本の相手を3人にさせるのは、危険度がかなり高いだろうからね。

 

で、私が1人だけで戦う時は見取り稽古も兼ねて、鬼滅流の剣技を色々と見せたりもしていた。

 

(おと)の呼吸―――鈿女型(ウズメノカタ)を使う時は、柄頭が鎖で繋がった二刀―――連鎖刀を使って見せたし、全集中の呼吸の中で唯一女性の使い手が居ないであろう(いわ)の呼吸も、女性が使い易い様にアレンジして、多節棍で実演して見せた。

 

これらの鬼滅流剣技を見せてみて、私は気付いたことがある。まず、ささらは水龍型(ミズチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)大蛇型(オロチノカタ)水波型(ミヅハノカタ)などの技巧型の剣技に興味があるみたいだ。私が水系統の鬼滅流剣技を使うと、ガン見してくる。

 

ルルは保有技能(スキル)が速力強化系だからか、雷電型(イカヅチノカタ)鈿女型(ウズメノカタ)飛天型(ヒテンノカタ)といった速度重視の剣技に興味があるみたいで、私が雷系統の鬼滅流剣技を使うと、キラキラエフェクトを幻視してしまう様な視線を私に向けて来る。

 

紫蓮ちゃんは中二病で、カッコいい自分を見せ付けたい年頃だからか、強者感が半端無い天照型(アマテラスノカタ)炎燃型(カグツチノカタ)土公型(ドコウノカタ)に興味津々だ。

 

発生させるエフェクト的には月詠型(ツクヨミノカタ)も心惹かれる物があるみたいだけど、エフェクトと一撃の破壊力的には炎燃型(カグツチノカタ)、仁王を彷彿とさせる圧倒的強者感では土公型(ドコウノカタ)が勝るみたい。

 

もし、このダンジョンからの脱出に数日の時間を要することになるとするなら、ささらには水系統、ルルには雷系統、紫蓮ちゃんには炎か岩の全集中の呼吸を教える必要があるかも知れない。

 

あと、10~20分でダンジョンに入ってから1時間が経過する。政府から一般公開された情報では、レベル1以上になってる上でダンジョンに入ってから1時間経過すると、ジョブに就くことができる。

 

3人ともレベル1になってるから、ジョブ選択が可能。物理戦闘職に就けば、身体強化の恩恵が得られる可能性もあるし、身体強化の恩恵を得られたなら全集中の呼吸も会得し易くなるかもしれない。

 

一般的にはジョブ変更も24時間経過すると可能らしいから、ダンジョン脱出に数日かかる場合は、1日置きにジョブ変更を行い、自分に適したジョブを探すこともできる。

 

ちなみに私の場合、他のジョブの適性を獲得してもジョブ変更ができず、大魔導剣士というジョブに新しい適性ジョブの技能(スキル)が自動的に追加されるみたい。

 

閑話休題。ダンジョンを進んでいて、今の所遭遇する魔物は風見ダンジョンで遭遇したバネ風船と魔本を除けば、杵ウサギのみ。しかも、スペックは前者2体と大して変わらない。

 

現時点で把握できている風見ダンジョンとの違いは、一度の戦闘で遭遇する魔物の数が1~5体とランダムに設定されているくらい。

 

政府が設定したダンジョンランクが何段階か分からないけど、もし10段階だとするならこの無限鳥居のランクは1.5といったところかな?

 

少なくとも複数体の魔物が出現する時点で風見ダンジョンより難易度は高い。けど、出現する魔物が最下級だから、魔物を斃すこと自体は難しくも無い。

 

個人的にダンジョンの難易度を評価するなら、モンハンのオルタロスやブナハブラ、アイルー相当の最下級魔物しか出て来ないダンジョンは【ランク1】、ブルファンゴやジャギィ、ジャギィノス相当の魔物が出て来て、漸く【ランク2】って所かな?

 

 

「………(3人を無事に地上まで返すことを考えると、このまま最下級魔物しか出て来ない方がいい)」

 

 

そんなことを考えながら、3人の援護をしつつダンジョン探索を続けていると、明らかに最下級ではない魔物が現れた。

 

 

「ギギギ、ギギ、ギギギギ」

「「「ひぇっ!!?」」」

「………(ダンジョン初の刃物持ち魔物。ついにジャギィ相当が現れたかな?)」

 

 

抜身の脇差を手にした体長50cmくらいの市松人形が、私達の進行先で待ち伏せる様に佇んでいた。

 

今まで現れていた魔物で装備持ちは杵という鈍器を持った杵ウサギのみだったので、いきなり刃物持ちの魔物が出現したことで、3人は悲鳴を上げ、私は冷静に分析をする。

 

 

「………1体だけだけど、今までの魔物とは格が違う。取り敢えず、私が遠距離攻撃で様子を見るけど、いい?」

「「「…………」」」

 

 

私がそう尋ねると、3人は無言のまま首を千切れそうな勢いで縦に振る。3人の了承を得られたので、私は水の魔導書、雷の魔導書、氷の魔導書、火の魔導書の4冊で魔法攻撃の準備を整える。

 

水の魔導書は単発式水弾。雷の魔導書は「リリ○ルな○は」の〝フォトンランサー・ファランクスシフト〟のような一点集中連射式雷槍。氷の魔導書は〝スティンガーブレイド・エクシキューションシフト〟のような中規模範囲一斉射撃氷刃。火の魔導書は「烈火○炎」の〝崩〟による単発式巨大炎弾―――と見せかけた無数の炎弾による全周囲攻撃。

 

各魔導書から放たれる魔法攻撃に対して、市松人形はどの様な反応を示し、どんな対応をしてくるのか?見極めさせて貰おうか。

 

 

「水弾!」

 

 

私達に気付き、浮遊しながら成人男性の競歩くらいの速度で近付いて来る市松人形に水弾を放つと、移動速度より素早いバレルロールを彷彿させる動きで、市松人形は水弾をいとも容易く回避して見せた。

 

 

「次!雷槍!!」

 

 

水弾に続き、球体状の雷の発射体(スフィア)から雷槍を一点集中連射で放つと、これも市松人形は連続でバレルロールを行い、回避して見せた。

 

ただ、雷槍の速度が水弾より速かったからか、市松人形の振袖に攻撃が掠ったみたいで、身に付けている着物が所々破けている。

 

 

「次!氷刃!!」

 

 

雷槍の次は無数の氷刃をショットガンの面制圧のように一斉発射する。今までの最下級魔物とは一線を画した回避能力を持つ市松人形も、流石に面制圧攻撃は回避できず、ノックバックで吹き飛んだ。

 

 

「ギ、ギギ」

「おかわりの炎弾だよ!!」

 

 

吹き飛んだ拍子に地面へと叩き付けられた市松人形に、追い打ちで直径2mの炎弾を放つ。

 

 

「ギギ」

 

 

炎弾の速度は水弾と同速である為、いくら大きくても体勢を整えた市松人形なら容易に回避できる。しかし――――

 

 

「量より質だと思った?」

 

 

市松人形が巨大炎弾を回避した瞬間、ホウセンカの種が破裂する様に巨大炎弾が弾け飛び、市松人形の全周囲を無数の炎弾が包囲する。

 

 

「残念、質より量で御挨拶だよ」

 

 

私がそう告げると同時に無数の炎弾が全周囲から市松人形に襲い掛かる。前方から襲い掛かってくる炎弾に対して、市松人形は回避行動を取れたけど、後方や真上、真下、真横からの攻撃は回避ができず、炎弾によるフルボッコで呆気なくドロップアイテムと魔石に姿を変えてしまった。

 

どうから、市松人形は視覚で認識できた攻撃は回避できるけど、視覚外である死角からの攻撃は回避できないみたいだ。

 

この市松人形、スペック的にはジャギィノス相当かな?流石にジョブ無しの3人ではまだ相手をできない魔物だけど、ジョブに就いて連携を取れるようになれば、十二分に対応できる魔物だ。

 

さて、市松人形のドロップアイテムは何かな?……………市松人形が装備してた脇差の刃先?物質鑑定で調べてみると、構成材質はダンジョン産玉鋼というバネ風船のバネ金属より優秀なものだと分かった。

 

脇差刃先のドロップ率がどの位のものか分からないけど、5~6個集めれば脇差1本分にはなりそうだから、強化素材としての使用は今回見送って置こう。

 

………というか、滅竜刀を含む武器を造るなら、やっぱりバネ金属より市松脇差とおなじダンジョン産玉鋼で造った方が性能はいいのかな?

 

もし、そうだとするなら武器製造に適したダンジョン由来のファンタジー金属をドロップする魔物とか現れないかな?

 

ミスリルゴーレムとか、オリハルコンゴーレムとか、アダマンタイトゴーレムとか、ヒヒイロカネゴーレムとか。百歩譲って、スチールゴーレムとアイアンゴーレムでもいいや。

 

ダンジョン産の鋼と鉄なら地上産の鋼と鉄より丈夫な可能性が高いし、バネ金属製より性能の高い滅竜刀を造れる気がする。

 

閑話休題。ドロップアイテムの回収を終えた後、私達はダンジョン探索を再開。市松人形という新しい魔物が現れたことから探索も慎重に行うことになった。

 

そして、探索再開から10分後。参道のようなダンジョン通路の外れ―――不自然な場所に配置された宝箱を発見した。

 

しかも、ただの宝箱ではなく金色の宝箱。鍍金とかじゃなくて、純金製と一目見ただけで分かる耀きを放っている。

 

 

「凄く不自然。しかも、純金製?某国民的RPGで例えると、人喰い箱かミミックの類かな?」

「羊谷命子。某RPGだったらダンジョン内で無防備に配置された宝箱は凄く自然。ファンタジー化した地球さんのダンジョンもまた然り」

「メーコはインパス使えないデスか?」

「インパスは使えないけど、感知技能(スキル)は持ってるから、それで判別しよう」

 

 

宝箱の正体が擬態した魔物の場合、気配感知や魔力感知、熱源感知に引っ掛かる可能性が極めて高い。

 

私は3つの感知技能(スキル)を同時に使用した。その結果、感知技能(スキル)に魔物の反応が引っ掛からなかったので、私は正真正銘の宝箱だと判断した。

 

 

「魔物では無さそう。何か良い物が入ってるかもしれないし、開けてみよう」

 

 

念の為、魔導書に魔法を待機させ、宝箱を包囲した状態で開封する。すると、中に入っていたのは――――

 

 

「岩?」

「魔物に投げるデスか?」

「岩ではなく鉱石では?」

 

 

中に入っていた物を見た3人がそれぞれの考察を口にしている間、私は物質鑑定で入っていた物の正体を調べる。

 

 

「…………………これ、ダンジョン産の玉鋼だ」

「タマ、ハガネって何デス?」

「刀を製作するのに使われる専用の鋼材」

「詳しいですわね、紫蓮さん」

 

 

鑑定の結果、魔法を付与した剣―――魔剣を造るのに適した玉鋼―――魔鋼と言うことが分かった。しかも、魔鋼の数は日本刀なら10振りは作れそうな量がある。

 

武器を造るのに適した鉱石が欲しい。そんなことを思った10分後に魔鋼を手に入れるとは、10分前の私は思ってもいませんでした。

 

……………兎に角、折角魔鋼を手に入れたので、錬成魔法で武器を造りましょう。幸いにもこの周辺には感知技能(スキル)に引っ掛かる魔物はいませんでしたし。

 

………魔鋼を手に入れてから20分後。私は錬成魔法生成魔法で7つの滅竜武装を作った。

 

1つ目は私が最初に作ったバネ金属製滅竜刀・雷光(影打)と同じ付与を施し、市松脇差の刃先を組み込んで強化した魔鋼製滅竜刀・雷光(真打)。

 

2つ目は光と炎の滅竜魔法を付与した魔鋼製日本刀型滅竜武装――――滅竜刀・聖炎(せいえん)(真打)。

 

3つ目は光と天空の滅竜魔法を付与した魔鋼製大刀型滅竜武装――――滅竜刀・聖天(せいてん)(真打)。

 

4つ目は光と影の滅竜魔法を付与した魔鋼製大刀型滅竜武装――――滅竜刀・聖影(せいえい)(真打)。

 

5つ目は光の滅竜魔法のみを付与したシンプルな魔鋼製大刀型滅竜武装――――滅竜刀(真打)。

 

6つ目は光と鉄の滅竜魔法を付与した魔鋼製多節棍型滅竜武装――――滅竜棍・白鉄(しろがね)(真打)。

 

7つ目は炎と雷、光の滅竜魔法を付与した魔鋼製連鎖小太刀型滅竜武装――――滅竜刀・爆雷(ばくらい)(真打)。

 

滅竜刀・雷光(影打)と同じく宝物庫に仕舞っていたバネ金属製滅竜刀(影打シリーズ)の一部は、錬成魔法で魔鋼製滅竜刀(真打シリーズ)を納める為の鞘に作り直した。

 

滅竜刀・雷光(影打)を滅竜刀・雷光(真打)の鞘に作り変えたことで、雷光は刀だけでなく鞘まで放電できる様になった。飛天型(ヒテンノカタ)〝双龍閃〟を使う時とかに凄く便利な機能だ。

 

ささら達のジョブ選択次第で滅竜武装(真打シリーズ)はすぐに日の目を見ることになると思うけど、今の所は使う予定も無いので空間魔法の宝物庫に仕舞っておく。

 

空中に形成された波紋―――宝物庫の出入口に雷光以外の滅竜武装(真打シリーズ)をズブズブと入れていると、複数の視線が私に突き刺さってきた。視線の主はささら、ルル、紫蓮ちゃんの3人だ。

 

 

「……素人に毛が生えた程度の3人に刃物はまだ早いよ。試作品の棍なら別に構わないけど」

 

 

私が3人にそう告げると、ささらとルルはションボリし、紫蓮ちゃんは目を輝かせ始めた。紫蓮ちゃん、剣術より棍術や棒術、杖術に興味があるのかな?

 

私は滅竜武装(真打シリーズ)を全て宝物庫に仕舞うと、改めてバネ金属製滅竜棍(影打)を取り出して、紫蓮ちゃんに手渡した。

 

 

「羊谷命子」

「多節棍としてじゃなく、棍や棒として振るうなら木刀振るうのと大した違いは無いから、貸してあげる。

ただ、木刀と違って全てが金属製だから、魔物と戦う時は周囲に気を配って、ささらやルルに当てない様にするんだよ」

「ん」

 

 

私が滅竜棍(影打)を振るう時の注意点を口にすると、紫蓮ちゃんは短い返事をして、初期装備でもあった強化型特殊木刀を自分の宝物庫へと仕舞い込んだ。

 

いつまでもこの場に留まっている訳にもいかないので、私達は早々にダンジョン探索を再開。

 

そして、探索再開から1時間が経過し、ダンジョンに入ってから60体目の魔物を紫蓮ちゃんが滅竜棍(影打)で斃した瞬間、私はあることを思い出した。

 

 

「………2時間」

「え?」

「命子さん?」

「どーしたデスか、メーコ?」

「私達がダンジョンに入ってから約2時間が経過した。つまり、ささらとルル、紫蓮ちゃんは約1時間前にはジョブチェンジが可能だったということ」

「「「!!?」」」

 

 

私がジョブチェンジのことを伝えると、3人は慌ててステータスの確認を始めた。その時に見えた地球さんステータスは―――――

 

 

 

※ウインドウステータス

有鴨紫蓮(14歳)

 

ジョブ

なし(変更可能)

 

レベル

3

 

カルマ

+1392

 

魔力量

274/274(装備品補正+250)

 

スキル

【生産魔法】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

※ウインドウステータス

笹笠ささら(15歳)

 

ジョブ

なし(変更可能)

 

レベル

3

 

カルマ

+1592

 

魔力量

273/273(装備品補正+250)

 

スキル

【防具性能上昇(小)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

※ウインドウステータス

流ルル(15歳)

 

ジョブ

なし(変更可能)

 

レベル

3

 

カルマ

+1755

 

魔力量

274/274(装備品補正+250)

 

スキル

【見習い忍法】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

―――――となっていた。某国民的RPGでいえば、始まりの町周辺でレベル上げを始めたばかりの初心者ステータスだ。

 

 

「命子さんの言う通りですわ」

「変更してみる」

ニャウ(うん)!」

 

 

3人はそれぞれにジョブ選択のウインドウを開き、選択できるジョブの確認を始める。3人が選べるジョブの内容は――――

 

 

 

※有鴨紫蓮の場合

・女子中学生

・中二病

・見習い職人

・見習い魔導書士

・見習い戦士

・見習い剣士

・見習い鬼狩り

・見習い棒術士

・見習い棍術士

・見習い槍術士

 

 

 

※流ルルの場合

・女子高生

・猫(っぽい)娘

・見習い戦士

・見習い剣士

・見習い鬼狩り

・見習い棒術士

・見習い忍者

・見習い鬼狩り忍者

・見習いNINJA

・見習いONI狩りNINJA

・隠

・KAKUSHI

 

 

 

※笹笠ささらの場合

・女子高生

・淑女

・見習い戦士

・見習い剣士

・見習い鬼狩り

・見習い武士

・見習い棒術士

・見習い騎士

 

 

 

色々な職業が選択肢として表示された。ジョブ詳細は分からないけど、多分見習い戦士は近接戦闘の総合職なんだろうな。

 

特定武器を装備することで強化補正を受ける技能(スキル)は得られないけど、物攻上昇(微)が得られるとか。

 

見習い剣士、見習い武士、見習い騎士は刀剣装備時 物攻上昇(小)とかが得られるかな?他の近接戦闘職も似た様なものでしょ。

 

見習い忍者系は良く分からないけど、敏捷強化とか反射神経強化とか得られそうな気がする。ってか、忍者とNINJAはどう違うの?忍んでるか、忍んでないかの違いだけとか?

 

見習い鬼狩りは鍛錬無しで全集中の呼吸を得られるんだろうな。けど、ジョブ技能(スキル)でなくても全集中の呼吸は鍛錬次第で会得できるから、自力で会得できる自信があるなら、他のジョブを選んだ方が絶対に良いよね。

 

まぁ、何にしても私は3人のジョブ選択に口出しはしない。こういうのは直感で選んだ方が絶対に良いからね。

 



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第9話(一部編集 2023/02/28)※

おはこんばんにちは、大筒木朱菜です。

編集に伴い、ささら&ルルの羽織の柄を変更しました。


















※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

ささら、ルル、紫蓮ちゃんにとって人生初のジョブ選択。3人は互いのジョブが被らないようにする為か、相談しながらジョブを選んでいた。

 

私もアドバイスを求められて、それぞれのジョブで得られる可能性のあるジョブ技能(スキル)を話したけど、最終的には直感で選択してもいい、と話した。

 

そして、3人のジョブ選択開始から30分後。3人はジョブ選択を完了して、ジョブ変更後の初戦闘に突入した。

 

私達の前に現れたのはバネ風船1体と杵ウサギ2体で、紫蓮ちゃんがバネ風船を、ささらとルルが杵ウサギの相手をすることになった。

 

 

「新たなる我が力、受けてみよ。――――〝強撃〟!」

 

 

紫蓮ちゃんがバネ風船に滅竜棍・影打を叩き付けると、ジョブ変更前とは比べ物にならない勢いでバネ風船が吹き飛び、鳥居の柱に叩き付けられた。

 

 

〝スラッシュソード〟

 

 

杵ウサギAと戦っているささらも、戦闘系ジョブで得られるジョブ攻撃技を放っていた。〝スラッシュソード〟天神型(イザナギノカタ) 鉄ノ秘剣三式〝飛影〟と同系統の飛ぶ斬撃だ。

 

で、杵ウサギBと戦ってるルルはというと―――――

 

 

「ニンニーン」

 

 

見習い忍法ならぬ見習いNINPOの水芸で杵ウサギBの洗顔を行っていた。

 

……うん。地面から噴き出す水が杵ウサギの顔面に当たっている光景は、顔面ウォシュレットもしくは洗顔としか言い表しようがない。

 

バネ風船と杵ウサギAを倒し終えた紫蓮ちゃんとささらは、顔面ウォシュレット中の杵ウサギBを挟撃し、倒す。

 

物理戦闘系ジョブに就くと、ジョブ攻撃技を得られるだけでなく、筋力強化などで攻撃力そのものが上昇するみたいだね。通常攻撃でも魔物を斃すまでの攻撃回数が確実に減っている。

 

ちなみにジョブに就いてからの3人のステータスは――――

 

 

 

※ウインドウステータス

有鴨紫蓮(14歳)

 

ジョブ

見習い棍術士

 

レベル

3

 

カルマ

+1422(就職したよ+30)

 

魔力量

254/264(装備品補正+250)

 

スキル

【生産魔法】【&集@%#吸(?/?)】

ジョブスキル

【棍技】【打撃速度上昇(小)】【棍装備時 物攻上昇(小)】【与ノックバック(微)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

※ウインドウステータス

笹笠ささら(15歳)

 

ジョブ

見習い騎士

 

レベル

3

 

カルマ

+1622(就職したよ+30)

 

魔力量

255/263(装備品補正+250)

 

スキル

【防具性能上昇(小)】【?¥中*呼$(?/?)】

 

ジョブスキル

【騎士剣技】【斬撃速度上昇(小)】【刺突速度上昇(小)】【抜刀速度上昇(小)】【刀剣装備時 物攻上昇(小)】【自動回復(オートヒーリング)(微)】【防具性能上昇(小)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

※ウインドウステータス

流ルル(15歳)

 

ジョブ

見習いNINJA

 

レベル

3

 

カルマ

+1785(就職したよ+30)

 

魔力量

261/264(装備品補正+250)

 

スキル

【見習いNINPO】【全+&の%#(?/?)】

 

ジョブスキル

【斬撃速度上昇(小)】【刺突速度上昇(小)】【抜刀速度上昇(小)】【連撃時 物攻上昇(小)】【二刀小太刀(脇差、短剣可)装備時 物攻減少無効】【毒耐性(微)】【麻痺耐性(微)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

ジョブ技能(スキル)の影響でルルは大刀型の武器より小太刀型の武器を持った方が攻撃力が上がるということで、強化型特殊木刀とバネ金属を素材にして錬成魔法で連鎖小太刀風強化型特殊木刀を新しく作った。

 

あと、ジョブに就く前は無かった筈の文字化け技能(スキル)が、3人の技能(スキル)欄に追加されていた。

 

文字数から考えるに、追加された技能(スキル)は未開放状態の「全集中の呼吸(○/○)」だと思う。

 

「(○/○)」の部分は全集中の呼吸の適性呼吸と練度を現してるんだろうな。

 

例えば、(みず)の呼吸を常中に至れていない初歩しか使えない場合、「全集中の呼吸(水/小)」っていう感じで表示されるんだと思う。

 

初歩で小、常中と止血ができて中、修羅と羅刹を使いこなせて大、痣覚醒と〝透き通る世界〟に至って極って所かな?

 

そして、3人は全集中の呼吸の初歩に至れてないけど、呼吸を意識して魔物と戦えているから、未開放状態で技能(スキル)欄に表示されてるのかもしれない。

 

ただ、ささらと紫蓮ちゃんに未開放状態の技能(スキル)が表示されてるのは納得できるけど、全集中の呼吸を知って3時間も経ってないルルの技能(スキル)欄にまで追加されたのは何でだろう?

 

ささらと紫蓮ちゃんの拙い呼吸や私の全集中の呼吸を見様見真似で真似たとしても、技能(スキル)化の足掛かりにするのは早過ぎない?無一郎か?ルルは時透無一郎並の天才なのか?

 

その他に気になる点は、ルルのジョブが忍者―――元を辿れば暗殺者系になるのかな?兎に角、感知や隠密技能(スキル)必須系ジョブなのに、感知だけでなく隠密すらないことに驚かされた。

 

忍ぶ存在である暗殺者や忍者とは異なり、忍ぶことを止めて魅せる存在となったNINJAだから、感知や隠密は不要ってこと?

 

ダンジョン活動を前提としたジョブなら最低限、感知技能(スキル)は必要でしょ?地球さんはどういう基準でジョブ技能(スキル)を決めてるの?

 

ルルのジョブ技能(スキル)で忍者っぽさが残ってるのは、毒耐性と麻痺耐性くらいかな。暗殺者や忍者が毒耐性を獲得してるのは、漫画とかでもよく見る設定だし。

 

閑話休題。3人全員が物理戦闘職に就いたことで、一度の戦闘に要する時間が短縮され、ダンジョン探索に費やす時間を増やすことができるようになった。

 

けど、私達がダンジョンに取り込まれて2時間30分以上経過した現時点でも、ダンジョン離脱用の転移渦は発見できずにいる。

 

まぁ、私が風見ダンジョンの離脱用転移渦を発見するのにも数時間要したことを考えると、2~3時間で見つからないのは当然なのかもしれないけど、風見ダンジョンの時はドロップアイテムの魔導書を手に入れる為、魔本狩りを重視していたから、正直な所参考にはできないんだよね。

 

RPGダンジョンを参考にすると、脱出用の転移渦が存在するのは階層毎の終着点、もしくはボスの間ということになる。

 

屋外型のこのダンジョンに階層が存在するとも思えないし、ダンジョンボスを斃すことで出現する転移渦が唯一無二の脱出手段と考えるのが妥当かもしれない。

 

ボス戦が不可避なら、防御面をどうにかしたい。私を含めて着ている服が全員地上産のものだから、防御力は甘く見てブレイブベストと同等。厳しめに評価するブレイブベスト以下。

 

現時点で保有している全てのバネ風船金属や端材を、錬成魔法の物質融合で各々の服と融合させたとしても、ボーンメイル相当の防御力すら得られない可能性がある。

 

もし、ジャギィメイル相当まで強化するとしたら、どれだけの数のバネ風船金属を集める必要があるのか、私にも想像できない。私がそんなことを考えていると――――

 

 

「メーコ、また宝箱デス!」

「えっ?」

 

 

ルルが宝箱を発見し、私はルルの指差す方向に視線を向ける。すると、そこには虹色に光り輝く宝箱が置かれていた。

 

 

「………金の宝箱の次は虹色に光り輝く宝箱?宝箱ってソシャゲのガチャか何かなの?」

「……………その理論なら、この宝箱の中身はUR(ウルトラレア)確定。きっと金の宝箱はSSR(スペシャルスーパーレア)

「なら、銀の宝箱がSR(スーパーレア)、普通の木の宝箱がR(レア)N(ノーマル)デスね」

「???????」

 

 

ささらはソシャゲをやったことがないのか、私と紫蓮ちゃん、ルルの会話が理解できず、頭の上に疑問符を大量に浮かべている状態になった。

 

 

「…………取り敢えず、開けてみよう」

 

 

そう言いながら私が代表して宝箱を開けると、中には4着の服―――いや、1着の外套と3着の羽織が入っていた。

 

羽織は3着中2着が「鬼滅○刃」由来のもので、竈門禰豆子の着物柄である桃色生地に麻の葉紋様が施された羽織と胡蝶カナエと胡蝶しのぶが使っていた蝶の羽柄の羽織。

 

残り1着の羽織は黒無地の羽織。外套は「鬼滅○刃」の煉獄家が継承している火焔柄のものだった。

 

 

「…………これはRPGでいう所の防具って認識でいいのかな?」

「多分?」

にゃう(うん)?」

「?????」

「……………取り敢えず、羽織ってみよう。皆、どの柄がいい?」

 

 

私は最後に選ぶ予定だったけど、皆も自分が最後でいいと言い出したので、ジャンケンで順番を決め、羽織と外套を選ぶことになった。

 

ジャンケンに最初に勝ったのはささらで、選んだのは蝶の羽模様の羽織。二番目に勝ったのはルルで、選んだのは麻の葉紋様の羽織。三番目に勝ったのは紫蓮ちゃんで、迷いに迷った結果、選んだのは黒無地の羽織。最後の私は自動的に火焔柄の外套となった。

 

ちなみに最後まで私が残ったのは、態とジャンケンに負けていたから。〝透き通る世界〟を使えば、100%勝てるから、負け惜しみじゃないよ。

 

ジャージ&オーバーオール姿の3人にはミスマッチかもしれないけど、本当にダンジョン産UR防具なら装備しておくべきだと思い、身に着ける様に勧める。

 

 

「………運動着に羽織は似合いませんわね」

「同意」

「シレンは全身黒だからまだ似合ってるデスよ。私は柄的にもオーバーオールと合わないデス」

 

 

羽織に袖を通した3人は互いの姿を見てションボリとする。そして、3人は同時に私へと視線を向けると――――

 

 

「羊谷命子は道着姿だから似合ってる」

「違和感がありませんわ」

「サムライガール、デスね」

 

 

羨ましげな顔でそう言ってきた。私的には火焔柄の白地外套を纏うなら、白道着より黒や藍といった外套に使われている色とは真逆の色を使った服を着ていた方が似合うと思うんだけど。

 

兎に角、性能不明な防具を入手&装備し、ここに留まる理由も無いので私達はダンジョン探索を再開する。

 

 

「………………(袴でもある剣道着姿に火焔柄の白地外套。こんな恰好をしたら、あの場面を再現したいなぁ)」

 

 

そんなことを考えながらダンジョン探索を続けていると――――

 

 

「オ、オソマツ人形デス」

「……それ、なんて六つ子人形?」

「ルルさん、市松人形ですわ」

 

 

本日、二度目の市松人形と遭遇した。攻略方法も把握できてるし、相手は1体だから3人に任せてもいいんだけど――――

 

 

「ねぇ。あの市松、私が殺ってもいい?」

「め、めーちゃん?」

「命子さん?」

「メーコ?」

 

 

私は火焔柄の白地外套姿でどうしてもあの場面を再現したい衝動から、3人の返答を聞く前に市松人形へと突撃した。

 

 

「コォォォォ………。全集中、焔燃型(カグツチノカタ) 一式〝不知火〟!」

 

 

私は一瞬の内に市松人形との間合いを詰め、その首を阿朱羅丸で斬り落とす。そして、阿朱羅丸が纏う幻炎を振り払い、腰に差している鞘を少しだけ引き出し、納刀し終えると深く息は吐く。

 

息を吐き終えると、阿朱羅丸の柄を柄頭に向けてゆっくりと撫で、柄頭に手を添える。

 

そう。私がやってみたかったのは、「アニメ版鬼滅○刃 無限列車編」の第1話で炎柱・煉獄杏寿郎が見せたアクションだ。

 

煉獄さんの炎柱の羽織なんて身に付けたら、一度はやってみたいアクションだと思わない?

 

 

「「「…………」」」

「(ヤバッ!いきなり私の戦闘狂みたいに市松人形に斬り掛かったから、3人を怖がらせちゃったかも)」

 

 

折角築き上げた関係が崩壊の危機!?と思って内心でビクビクしながら、3人にどうやって声を掛け様かと悩んでいると――――

 

 

「羊谷命子」

「紫蓮ちゃん」

「次、また市松人形が現れたら、さっきの一連のアクションをもう一度やって欲しい。そして、その動画を撮らせてほしい」

「へ?」

「私も撮りたいデス!そして、TickTack(チックタック)かフォーチューブに投稿させて欲しいデス!」

「え?」

「命子さんが良ければ私も撮らせて頂きたいですわ!」

「は?」

 

 

………どうやら私が煉獄さんのアクションに心奪われた様に、3人も私の煉獄さんムーブに心奪われていただけみたい。

 

というか、若干戦闘狂染みている私なら兎も角、一般人なのにダンジョン内で女学生らしい会話をする余裕がある3人には本当に驚かされる。

 

この状態ならダンジョン脱出に数日の時間が掛かったとしても、取り乱したりすることもないかもしれない。

 

そんなことを考えながら、私は好きに動画撮影していいと告げ、ダンジョン探索を再開した。

 

 



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第10話(一部編集 2023/02/28)

はい、皆さんこんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

今回はルビ込4000字ちょっとで文字数が少ないですが、キリが良かったので投稿させて頂きました、

原作で命子一党(パーティ)がダンジョン装備を整える妖精のお宿は6/7か6/14に投稿しようと思ってます。














※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

私達がUR(ウルトラレア)宝箱(仮)からダンジョン産防具である外套と羽織を手に入れてから数時間後。

 

地上の日本時間で17:30までダンジョン探索を行ったけど、ダンジョン脱出用の転移渦を見つけることは出来ずにいた。

 

転移渦の代わりに見つけることができたのは、SR(スーパーレア)宝箱(仮)が1つとR(レア)もしくはN(ノーマル)宝箱(仮)が3つ。

 

SR宝箱宝箱(仮)には液体の入った瓶が4本入ってて、RorN宝箱宝箱(仮)には合計で50枚の金貨(?)が入っていた。

 

宝箱以外にも休憩所という、ダンジョン探索者に休息を与える魔物にとって絶対不可侵領域と呼べる場所も発見した。

 

ただ、休憩所の説明文が記載されている高札には、休憩所毎によって時間は異なるものの滞在時間というものが存在し、滞在時間を超過すると休憩所から放り出される旨が書かれていた。

 

休憩所には居間だけでなく、台所やトイレまで完備されていて、更に調理道具一式も最低限揃っていたから、1泊OKなデイリーマンションのようにも思えた。

 

デイリーマンションと違う点は調理器具だけでなく調味料も最低限揃っていることと、庭付き一戸建ての純和風建築で庭も魔物不可侵領域となっている点だろうか?

 

というか、この高札の説明文、明らかに複数の休憩所がこのダンジョン内に点在していることを示唆してるよね?

 

このダンジョン、出現する魔物はそんなに強くないし、探索に時間が掛かるタイプなのかな?

 

もし、探索を終えるのに1週間以上かかる場合、ダンジョンを攻略し終えるまで地上では私達が行方不明になってることになるから、地上に戻った時は大騒ぎになってる可能性が高い。

 

ニュースに取り上げられる様なことは避けたいから、日が暮れてもダンジョン探索を続けて、脱出手段を見つけたい所だけど、流石に実戦を経験したばかりのささらとルル、紫蓮ちゃんに夜戦を強制したくもない。

 

私は悩みに悩んだ結果、3人の身の安全を最優先とし、休憩所で一泊することにした。

 

ちなみに、この第1休憩所(仮名)の滞在時間は12時間。私達は発見してから1時間後の17:40にチェックイン(?)したので、翌日の5:40まで滞在できる。

 

食事はドロップアイテムで手に入れた杵ウサギの肉を使った塩焼き鳥ならぬ塩焼き兎となり、意外と美味しかった。

 

夕食後は自由時間とし、3人は休憩所の庭でそれぞれの得物で素振りを行い、私は今日手に入れたドロップアイテムを使って新しい武器を造る。

 

杵ウサギのドロップアイテムである杵柄と、宝物庫に死蔵してある大刀型の滅竜刀・影打を使って、「家庭教師ヒットマンREB●RN!」に登場する可変型竹刀・時雨金時の木刀verを造ろうと思う。

 

時雨金時は時雨蒼燕流の剣技を振るうと、刀身が潰れて真剣へと変化する特殊竹刀。それを私の錬成魔法神代魔法、ダンジョンで手に入れたドロップアイテムを駆使して、再現しようという訳だ。

 

――――――――武器製造開始から1時間後。試作可変型滅竜武装・時雨が完成した。

 

見た目は木刀だけど、素材はバネ風船金属と杵柄を物質融合させた特殊素材。全集中の呼吸を使って振るうと刀身が潰れ、滅竜刀・影打へと姿を変える鬼滅流版の時雨金時だ。

 

素材がダンジョン産のものしか使っていないので、木刀形態でも確実に強化型特殊木刀より攻撃力が高い。

 

木刀形態で刀身の色が変化することは無いけど、完成した試作1号を滅竜刀形態に変化させたら刀身の色が変化したから、呼吸適性を判別する色変わりの刀としての特性もちゃんと残っている。

 

ちなみに試作1号は私が色変わりさせてしまったから、ルル用の連鎖小太刀型試作2号だけでなく、ささら用に新品の試作3号も作った。紫蓮ちゃんには滅竜棍・影打を渡してるから、用意していない。

 

私が試作可変型滅竜武装を持って休憩所の庭に続く縁側へと向かうと、庭では3人が素振りを続けていた。

 

3人とも私が来たことに気付かず素振りを続けていたので、暫く様子を見ていると少しずつではあるものの、動きが良くなっているのが目に見えて分かった。

 

大げさな表現をするなら、柱稽古で時透無一郎に筋肉の弛緩と緊張の円滑な切り替え方法を教わり、伊黒小芭内に太刀筋を矯正されている一般鬼殺隊士みたいな感じ?

 

呼吸を意識しながら素振りを行っているからなのか、徐々に呼吸も全集中の呼吸に近い息遣いへと変わりつつある。

 

これは所謂、決まった動作を繰り返し練習して、「できる」ようになろうとしてるのかもしれない。けど、これは素振りを始めて1ヵ月も経っていない人のものとは思えない成長速度だ。

 

 

「(もしかしたら、物理戦闘系ジョブには戦闘技術の習熟を早める補正効果があるのかもしれない)」

 

 

物理戦闘系ジョブがジョブ選択者に与える影響を私なりの考察していると、一心不乱に素振りをしていた3人も漸く私の存在に気付いた。

 

 

「メーコ?」

「あら?命子さん、いつからそちらに?」

「………全然気付かなかった」

「3人の素振りの邪魔にならないよう、声を掛けなかったからね。気付かなくても仕方がないよ」

 

 

私はそう言いながら縁側から庭に居り、3人に近付く。

 

 

「メーコ。その手に持ってるのは何デスか?」

「見た目は木刀、ですわね?」

「ささらとルルの為に新しく造った武器だよ」

「………2人とも灰王の剣を持ってる」

 

 

紫蓮ちゃんの言う灰王の剣とは、強化型特殊木刀の名前である。名付け親は紫蓮ちゃん。

 

 

「バネ風船や杵ウサギが相手なら灰王の剣でも十分だけど、市松人形が相手だと灰王の剣の攻撃力じゃ心許ないからね。

杵ウサギの杵柄とバネ風船金属を使って、ダンジョン用の初級武器を作ってみたんだよ。ちなみにこの剣―――」

 

 

私はそこまで言い終えると、()の呼吸を使いながら試作1号を振るって、木刀形態から滅竜刀形態へと形状を変化させた。

 

 

全集中の呼吸を使いながら振るうと、形状が木刀から真剣に形状が変化する試作可変型滅竜武装だったりする。

見た目が木刀の通常形態でも、杵柄とバネ金属を物質融合させた特殊素材だから、地上産の鉄パイプより硬い。

滅竜刀形態も地上産の刀剣類より頑丈な造りになってる。銘は時雨だよ。」

 

 

私はそう言い終えると試作2号をルル、試作3号をささらに手渡した。試作1号は宝物庫に戻した。

 

試作1号を渡す相手がいるとしたら、青空鍛錬道場に参加している小学生組のモモちゃんか蔵良(くらら)ちゃんくらいかな?

 

無論、2人が小学生の間は試作1号を渡す気はない。渡すとしたら、2人が中学生になってからだ。

 

ちなみに蔵良ちゃんは、青空鍛錬道場に最初期で参加した小学生グループのリーダーの女の子のことだよ。

 

私が試作1号を宝物庫に戻すと、紫蓮ちゃんはスモークチーズの御預けを喰らったちゅるやさんみたいに、にょろーんっとなっていた。

 

にょろーん紫蓮ちゃんはとても可愛いけど、紫蓮ちゃんには試作型滅竜棍があるし、私は硬派な人間だからあんまり甘やかしたりしないよ。

 

…………ごめんなさい、嘘です。私は硬派な人間じゃないです。けど、紫蓮ちゃんは宝物庫に滅竜刀・影打と灰王の剣もあるから、絶対に試作1号を渡しません。

 

 

「魔物との戦闘中、攻撃を捌いたり、受け流した衝撃で得物を取り落とす可能性もあるから、灰王の剣と時雨のどちらかを主武装にして、もう片方は主武装を取り落とした時に使う副武装にしたらいいと思うよ」

 

 

私はそう言いながら、市松人形のドロップアイテムである帯を使って錬成した剣帯――ささらには2つ武器を吊るせる剣帯、ルルには両腰合わせて4つの武器を吊るせる剣帯を渡した。

 

今回渡した剣帯、吊るして置く武器が基本的に木刀型ということでもあったので、迅速かつ簡単に武器を装備できる様、バネ金属製のスナップボタンを利用した簡易固定方式を採用している。

 

私は剣帯の着け方をささらとルルに教えて、念の為に灰王の剣と時雨を剣帯に吊るした状態から、すぐに攻撃に転じる練習をして置く様に伝えた。

 

 

「ありがとうございます、命子さん」

メルシシルー(ありがとう)、メーコ」

「それじゃあ、私は先に休ませて貰うね。3人も明日は早いから、鍛錬も適当な所で切り上げるんだよ」

「はい」

「ん」

ニャウ(うん)

 

 

3人の返答を聞き終えると、私は先に休憩所の屋内に戻り、今で仮眠をとることにした。

 

―――――私が仮眠を取り始めて数時間後。地上の日本時間2:00を少し過ぎた辺りで私は目を覚ました。他の3人は穏やかな寝息を立て、目を覚ます素振りは無い。

 

自宅で深夜帯に目を覚ましたなら二度寝をするところだけど、ここは安地の休憩所とは言えダンジョン内。

 

昼と夜で現れる魔物の違いも検証したいから、私は隠密術で気配を絶ち、3人に気付かれない様に休憩所の外へと出た。

 

休憩所を出てすぐに魔物が現れるということは無く、大体40~50mほど歩いていると、明らかに昼間遭遇した魔物とは段違いの魔物と遭遇した。

 

現れた魔物の数は5体で、「鬼滅○刃」の無限城編で登場する下弦級の力を与えられた異形の惡鬼(おに)と似た姿をしていた。

 

 

「シュゥゥゥゥ…………。全集中、大蛇型(オロチノカタ) 五式〝蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

 

 

私は巨大な白蛇の残像を描きながら、5体の魔物に一太刀ずつ斬撃を放ち、その首を刎ね飛ばしていった。

 

惡鬼(おに)の魔物は、昼間の市松人形よりも硬くて、地上で斬った経験は無いけど、市松人形の硬さを石だとするなら、惡鬼(おに)の硬さは鋼の様に思えた。

 

首を刎ね飛ばした惡鬼(おに)は、その姿をあっさりと消滅させ、魔石とドロップアイテムに変わる。

 

ドロップアイテムは「NAR●TO」に登場したカグヤ一族の君麻呂が生成した骨の剣や骨の弾丸、脊柱の大剣だった。

 

取り敢えず、惡鬼(おに)の魔物との初戦闘で分かるのは、現時点でのささら達では倒すことのできない硬さであることと、ドロップアイテムが骨系であることだけだ。

 

鳥居と共に参道風のダンジョン通路に一定の間隔で配置されている石灯籠が、昼間は灯してい無かった筈の炎を灯していることを考えると、石灯籠に炎が灯ってから出現する魔物が変わる可能性がある。

 

石灯籠は休憩所の近くにも配置されていたから、明日もダンジョン脱出ができず、第2休憩所を発見して宿泊することになった場合、石灯籠に炎が灯る時間帯を確認して置くようにした方がいいかもしれない。

 

私は惡鬼(おに)のドロップアイテムを回収し終えると、惡鬼(おに)以外に出現する夜の魔物を調べる為、休憩所から100m以内の場所で1時間半ほど魔物狩りを続けることにした。

 



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第11話(一部編集 2023/02/28)※

はい、こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

11話は妖精の宿で防具新調だと言っていたが、アレは嘘だ。防具新調は12話でして頂くことになりました(笑)

理由は死覇装と鬼殺隊服は同票で決選投票をすることになった為と、新しいアンケートを行うことになったからです。









※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

夜の魔物の調査を終え、皆を起こすことなく休憩所に戻って来れた私は、居間の壁に背中からもたれ掛かり、休憩所を発つ15分前―――5:25までの約2時間、仮眠を取ることにした。

 

深夜2:00過ぎから約3:30まで夜の魔物狩りを行ってた訳なんだけど、出現した魔物は惡鬼(おに)を始め、日本の昔話に登場する妖怪みたいな姿をしていた。

 

一反木綿や狒々、大蜘蛛、提灯お化けetcetcと戦って、木綿布や狒々の毛皮、大蜘蛛の糸、提灯残骸などをドロップアイテムで手に入れた。

 

これは現時点での私の主観なんだけど、私が遭遇した夜の魔物の中で割に合わない存在は提灯お化けということになるかな。

 

攻撃を受けてないから攻撃力は分からないけど、こっちから攻撃した時の感覚から確実に耐久力が市松人形以上はある。

 

なのに、ドロップアイテムはバネ風船の風船残骸みたいにボロボロの提灯残骸。質感的にはダンジョン産和紙なんだと思うけど、少量が千切れた状態で手に入るだけというショボさ。

 

多分、錬成魔法の物質融合を使っても、5体分の紙片を使って漸く15cm四方の紙ができる程度だと思う。

 

で、私的に大当たりの魔物は一反木綿&大蜘蛛。私見だけど、ドロップアイテムの木綿生地は「鬼滅●刃」の上弦の陸・堕姫の帯並の強度としなやかさがあって、蜘蛛糸も「アカメ●斬る!」に登場する糸型帝具・千変万化クローステールの通常の糸並の強度があると思う。

 

一反木綿を16体、大蜘蛛を2体斃せば、ドロップアイテムで私達4人分の着衣型防具を作り出せる素材が確保できる。まぁ、私が深夜帯に斃せたのは一反木綿が3体で大蜘蛛は1体だったんだけどね。

 

現時点で私達が身に着けてる着衣と物質融合させることで、防御力を向上させることもできるだろうけど、強化素材として使うなら、宝箱でダンジョン産防具を手に入れてからの方がいいと思える。

 

私が深夜帯にダンジョン探索を行ったことを3人に知られないようにする意図もあったけど、現時点で素材の無駄使いを回避する為、私は全てのドロップアイテムを宝物庫に仕舞っておくことにした。

 

……起床時間の5:25になると、スマホのアラームが鳴るより早く目を覚まし、私より睡眠時間が多い筈なのに、未だに夢の住人となっている3人を起こす。

 

全員が目を覚ますと、私の装備品である水の魔導書から出した水で洗顔等の身支度を整え、休憩所を発つ。ダンジョン探索2日目の開始だ。

 

ダンジョン探索を始めると、初日と同じく30~50m間隔で魔物が現れるんだけど、3人とも昨夜の素振りで武器の扱いのコツでも掴んだのか、バネ風船や杵ウサギ程度なら1対1でも危な気なく勝てる様になっていた。

 

3人とも魔物との戦闘を終える度、意識しながら行っている呼吸とそれぞれの武器の振り方の改善点を模索し、軽く素振りをし終えてから探索を再開する様になった。

 

ちなみに3人が呼吸と武器の振り方を模索している間、私は3人の斃した魔物の魔石とドロップアイテムの回収を行っている。

 

 

「………3人とも、ダンジョンに入る前―――というよりジョブに就く前とは比べ物にならない速度で強くなってるね」

「……まだ羊谷命子みたいに一撃で魔物を斃せない」

「紫蓮さんの言う通りですわ。私達はそれほど強くなっているとは思えませんわ」

「私達はまだ弱々(よわよわ)デス」

「物理的な力を強いっていうなら、戦い方が上手くなってるって言えばいい?客観的に見て、3人とも実戦を経験したとはいえ1日しか経ってないのに、ダンジョンに入る前とは比べ物にならない戦闘技術を身につけてるよ」

「……多分、それはジョブに就いたお陰。武器を振ってると、振り方の改善点が頭に思い浮かぶ」

「紫蓮さんもですか?私も同じですわ。灰王の剣や時雨を振るっていると、変な癖がつかない様に指導される感覚といえばいいのでしょうか?兎に角、反省点が見えますわ」

「私も同じデス。あと、シャーラとシレンを真似て呼吸を意識してると、もっとスィィィィィと呼吸しなきゃいけないと思ったデス」

「…………皆の様子を昨日から見ていて私なりに考察してたけど、やっぱり物理戦闘系ジョブには武術習熟補正が付くみたいだね」

「………羊谷命子は魔法系と剣士系を両立してるジョブの筈。何で武術習熟補正に気付かなかったの?」

 

 

紫蓮ちゃんにそう問われ、ささらとルルも気になるといった視線を向けて来たので、私は軽く溜息を吐きながら自分の地球産ステータスを3人に見せた。

 

 

 

※ウインドウステータス

羊谷命子(15歳)

 

ジョブ

大魔導剣士

 

レベル

*#&%

 

カルマ

+2350

 

魔力量

22970/22970

 

スキル

【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【大魔導書師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】

 

ジョブスキル

【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】

 

称号

【魔本スレイヤー】

【地球さんを大いに祝福した者】

 

 

 

「私、物心ついた頃から全集中の呼吸が使えた上、小学生の頃から剣道やってたし、ダンジョンに入ったら入ったでその瞬間からレベルがバグって、技能(スキル)欄に凄い数の技能(スキル)が存在したチートさんだから、武術習熟補正のお世話になったことが無いんだ」

「「「……………ファッ!!?」」」

 

 

私のステータスを見た3人が面白い驚き声を上げる。紫蓮ちゃん辺りは数秒の無言から「チート乙」とか言ってくると思ったから、その点だけ予想外の反応だった。

 

 

「このダンジョンに入った直後、私は皆に「私が生きている間は仲間一党(パーティメンバー)を1人だって欠けさせない。絶対に地上に還してあげる」って言ったよね?

このステータスを見れば分かると思うけど、あの発言はステータス的にも皆を守りながらダンジョンから脱出できる自信があったからだよ」

「……………羊谷命子。ダンジョンといえば、階層主やダンジョンマスター的なボスモンスターが存在するのがお約束」

「ゲームとかだとそうだね」

「もし、このダンジョンの脱出方法がボス攻略を絶対条件としていた場合、羊谷命子のステータスでボスモンスターを打倒できる確証があった?」

「確証はないけど、日中の魔物の強さや出現傾向を考え、ダンジョンの最上位等級をSSS、最下位等級をGとするなら、私見だけど日中のダンジョンの難易度はF級かF+級。

ボスモンスターがバネ風船の240倍の強さだったとしても、私にとっては少し梃子摺る程度。私の予想を上回るボスが現れたとしても、差し違える覚悟で挑めば斃せる自信はある」

 

 

ちなみにバネ風船の筋力(?)、体力等のスペックをオール50とした場合、240倍はトータスの邪神・エヒトの使徒のスペックと同等のオール12000になる。

 

流石にエヒトの使徒級が相手となると、普通に相手をする場合は楽勝とはいえなくなる。

 

戦闘後に気を失うことを前提とした〝一刀羅刹〟を使った上、1対1での戦闘ならエヒトの使徒級が相手でも楽勝だろうけど。

 

首1本1本がエヒトの使徒級スペックまで魔改造された、真オルクス大迷宮のラスボス・ヒュドラみたいなのが相手だった場合、痣覚醒、〝一刀羅刹〟〝ドラゴンフォース〟を併用した上、防御と回避を捨てた攻撃特化の差し違える覚悟で戦えば、現時点での私でも斃せる自信はある。

 

 

「………命子さんは圧倒的な実力差があるから、私達にもう戦わなくてもいいと仰りたいのでしょうか?」

「え?別にそんなこと言う気はないよ。私がステータス見せたのも、武術習熟補正の影響を受けたことがないって発言を証明する為だったし。

ただ、私との能力差を知ったことが原因で挫折したなら、ダンジョン攻略は全て私に任せて貰った方がいいかもね」

 

 

少し険しい顔をしたささらの問いに対し、私はチートなステータスを黙っていたことから嫌われたかもしれないと思いつつ、3人を無事に地上へと帰す為に敢えていけず返答を返した。すると――――

 

 

「なら、別に問題ありませんわね」

「ん」

ニャウ(うん)!昨日と同じようにダンジョン探索をするデス」

 

 

チートステータスを黙ってたことやいけずな発言に対して、罵倒から友達関係悪化へと繋がると思いきや、3人とも特に気にした様子もなくいつも通りの態度を取って来た。

 

 

「…………3人ともチートステータスについて何か思う所は無いの?」

「ステータスには驚かされましたけど、それ以外は特に何もありませんわ。そもそも、私はステータスを個性の1つだと思っていますので、個性を否定することなんてできませんわ」

「…………私見だけど、地球さんによって齎されたステータスに、我等人間が干渉することなど不可能だと思う」

ニャウ(うん)!シャーラとシレンの言う通りデス!!」

 

 

私の問いに、3人は笑顔で答えを返してくれた。流石、初期カルマ値+1000越えでレベルアップした地球さんを祝福するピュアっ子3人娘というべきなのかな?

 

 

「それではダンジョン探索を再開しましょう」

ニャウ(うん)!いっぱい魔物を斃して、強くなるデス」

「ん。どんな強い魔物が現れても、全員で生きて地上に帰れる力を身につける」

 

 

3人はそう言い終えると、3人の精神的強さに内心で感動していた私を置いて先に進もうとする。

 

 

「ちょっ、市松人形みたいな未確認の強い魔物が現れるかもしれないんだから、不用心に進んだら駄目だよ!石橋は爆破して鉄橋を建設してから渡るくらい慎重でないと!」

「石橋を叩くではなく、爆破ですの?」

「メーコはアグレッシブ、デスね」

「テロ乙」

 

 

こうして、私達は笑い合いながらダンジョン探索を再開。魔物との戦いや小休止を挟みながら、6時間掛けて通常ダンジョンの第1層に相当するエリアの山頂に到着すると、昼食も兼ねてお昼休憩を取る。

 

ちなみに私達は現在いる場所を通常ダンジョンの第1層相当だと判断したのは、山頂から2つ目の山へと繋がる橋を確認することができたからだ。

 

多分、1つ目の山=第1層で2つ目の山=第2層みたいになってるんだと思う。

 

 

「……絶景とはこの光景のことをいうのでしょうね」

「ウィンシタ映えデス!」

「プイッターでも良きかな、待ったなし」

 

 

3人が電池の残ってるスマホで写真撮影を始める中、私は昨夜の内に作り置きしておいた杵ウサギの串焼きを宝物庫から取り出す。

 

宝物庫の中では時間が停止するみたいで、取り出した杵ウサギは焼き立てが維持されていて、とてもジューシーだ。

 

皆で串焼きを食べ終えると、宝物庫解禁前に使用していたリュックの中に、塩分補給用として塩飴を入れていたので、食後のデザートとして皆で1個ずつ舐める。

 

 

モゴモゴ、モゴゴモゴゴモゴモモ。(そういえば、この山頂の桜は立派だね。)モゴゴモ、モゴモモゴモゴゴゴモ?(もしかして、この山の御神木なのかな?)

モゴモモ――――以下略――――(この桜からは凄い波動を感じる)

モモ――――以下略――――?(ニャオニョロズノ神デスか?)

「……………」

 

 

ボケとツッコミの二刀流であるルルと異なり、基本的にツッコミ属性と思しきささらが、八百万を間違って覚えてるルルにツッコミを入れるかと思いきや、無言を貫いていた。

 

恐らく、口にものを入れたまま喋るのは淑女としてあるまじきこととし、無言を貫いているのかもしれない。

 

まぁ、淑女云々関係なく、口にものを入れたまま喋るのは一般常識的にもマナー違反なんだけどね。

 

無言のささらに釣られて、私と紫蓮ちゃん、ルルも無言となる。そして、一番最初に飴を舐め終えた私が口を開く。

 

 

「気休め程度だけど、出発前に願掛けも兼ねて二礼二拍手一礼しとく?」

 

 

私が3人に尋ねると、アメが口の中に残っていた3人は無言で頷いてきた。3人が飴を舐め終えると――――

 

 

「「「「…………(4人全員が無事に地上へと帰れますように!)」」」」

 

 

4人で一緒に願掛けをした。すると、桜の根元が光を発し、ポンッという音と共に宝箱が出現した。

 

しかも、出現したのは今まで見たことのある宝箱とは異なり、木製ではなく材質不明な緑の宝箱だ。

 

 

「………願掛けイベントで出現する宝箱?」

「レベルアップした地球さんを祝福するピュアっ子じゃないと素通りするだろうから、絶対に見逃すイベントだね」

「桜さんのプレゼントデス。何が入ってるデス?」

「私、気になりますわ」

 

 

桜の御神木(仮)の粋な計らいに、それぞれが感想を口にし、誰が宝箱を開けるか決める為、視線を合わせる。

 

すると満場一致で私に視線が集中した。まぁ、今までの宝箱も私が開けてきたから、必然なのかもしれない。

 

私が宝箱に触れると、不意打ちで頭の中にピシャゴーンと衝撃が走る。頭の中に叩き込まれたのは、緑の宝箱の説明だった。この緑の宝箱は、開けた人間の望む道具が必ず手に入る特別な宝箱らしい。

 

私が宝箱を開けるとしても、他の3人の戦力強化に繋がる道具を望む。ささらが持つなら攻撃力か防御力を向上させるもの、ルルなら速力強化に繋がるもの、紫蓮ちゃんなら多節棍を自在に操れる手先の器用さが向上するものがいい。どれを望むべきだろう?

 



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第12話(一部編集 2023/06/17)

はい、皆さんこんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

編集に編集を重ねた結果、ルビ込8800字越えとなっています。(笑)

そして、今回は妖精の宿での話となっています。読者の皆さんがアンケートに協力してくれたお陰で妖精の宿で手に入れる防具が決定しました。

装備後のファッションショーは13話に持ち越すことになりましたが、今回も本文を楽しんで頂けると幸いです。









※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

私、ささら、ルル、紫蓮ちゃんが取り込まれた無限鳥居ダンジョン。その第1層に相当すると思しき1つ目の山の山頂で、私達4人が山一番の立派な桜の木に願掛けをすると、なんと宝箱が出現した。

 

しかも、現れた宝箱はUR(ウルトラレア)SSR(スペシャルスーパーレア)SR(スーパーレア)、でもなければ、R(レア)N(ノーマル)でもない特別な宝箱。

 

いや、むしろ望んだ道具が必ず手に入るこの特別な宝箱こそURなのかもしれない。虹色宝箱はSSR、金色宝箱はSR、銀色宝箱はR、木製宝箱はNの可能性が十二分にあり得る。

 

宝箱の見た目から感じる特別感は明らかに虹色宝箱がURっぽいんだけどね。真UR宝箱(仮)は金具部分が金色だけど、それ以外は真緑だから特別感が薄いのかもしれない。

 

虹色の様な派手さは無いけど、メタリックグリーンとかで輝いてたら特別感もあって、URっぽさが出てたかもしれない。

 

閑話休題。私はささら達3人の内、誰の為の道具を望むか悩みに悩んだ結果、ルルのスペックを向上させる道具を望むことにした。

 

最前衛(フロントアタッカー)のささらと紫蓮ちゃんのどちらかを強化するより、速度重視の前衛(ガードウイング)であるルルの速力を向上させる道具を望んだ方が色々と応用が利くと思ったからだ。

 

 

「………(速力強化―――贅沢を言えば、身体能力全般を向上させる道具を下さい)」

 

 

私が欲しい道具を思い浮かべながら真UR宝箱(仮)を開けると、中には1つのベルトが入っていた。

 

 

「ベルト?」

「………ベルト」

「ベルトですわね」

「ベルト、デス」

 

 

中に入っていたベルトを取り出し、様々な角度から見てみるものの、何処にでもありそうなベルトにしか見えない。

 

 

前衛(ガードウイング)のルルが活用できそうな速力強化系の道具を望んだんだけど、このベルトには某RPGの星降る腕輪みたいな効果があるのかな?」

「ワ、私が使う道具を望んだデスか、メーコ!!?」

「取り敢えず、装備してみたら効果が分かるかも」

「ルルさん、装備してみて下さい」

 

 

1人驚くルルをスルーし、ささらと紫蓮ちゃんも特に不満を漏らすことなく、手に入れたベルトの効果を知る為にどうするべきかを真剣に考える。

 

このベルトの見た目、どこかで見たことがあるんだけど思い出せない。私が見たことある時点でサブカル系だから、多分登場作品は漫画なんだろうけどベルト系の特殊武装が中々思い浮かばない。

 

ベルトで印象的な道具といえば、代表格は仮面ライダーの変身ベルトだし、漫画で真っ先に思い浮かぶのは「ダイ●大冒険」に登場するマトリフのベルトだ。

 

前者は身体強化系の道具と言えないこともないだろうけど、後者は特別な能力が付与された魔道具という訳じゃない。

 

マジックアイテム的な物が登場する作品で他に思い浮かぶのは、「烈火●炎」、「封神●義」だけどベルト型の道具が登場した記憶がない。覚えてないだけかもしれないけど。

 

私がベルト型アイテムの記憶をどうにか思い出そうと頭を抱えている横で、ささらと紫蓮ちゃんはルルにベルトを装備する様に勧め、ルルも2人の勢いに負けてベルトを装備し始める。すると――――

 

 

「!!!」

 

 

ルルはジョブに就いた時と同じ様にピシャゴーンと身体をビクつかせ、涎を垂らした呆け顔を晒し始めた。この呆け顔、ゆるキャラっぽくて私は好きなんだよね。

 

で、ベルト型装備の情報をインストールし終えたルルは、正気を取り戻すと同時にベルトの能力を使い始めた。

 

 

「………!?(これは!?)」

「あら、とても可愛らしいですわ」

「ん」

「これがこのベルト―――百獣王化・ライオネルの能力デス!!」

 

 

ベルトの能力を使ったルルは頭に猫耳を生やし、両腕を漫画に登場する獣人の様な人と獣の中間のものへと変化させていた。

 

百獣王化・ライオネル。「アカメ●斬る!」に登場する帝国の始皇帝が開発させた帝具と呼ばれる48の超兵器の1つだ。

 

確か、能力は装着者を半獣化させて身体能力や五感、野生の勘を大幅に向上させる身体強化系だったかな?あと、自己治癒力を爆発的に向上させる奥の手もあった気がする。

 

 

「速力強化というより全身体能力強化系のアイテム?」

ニャウ(うん)!筋力や体力、敏捷、五感なんかが最低でも通常時の5倍まで向上するみたいデス!」

 

 

最低でも通常時の5倍って、一体どこの卍解?最大強化値は10倍とかじゃないよね?

 

 

「……身体能力が5倍も強化されるのは純粋に凄い」

「紫蓮さんの言う通りですわ。ですが、それ程の恩恵を受けられる以上、何かしらのデメリットもあるのでは?」

ニャウ(うん)。半獣化には時間制限があるデス。今の私じゃ、動き回った状態で半獣化を維持できるのは10分が限界デス」

「ニャルトの主人公が初めて妖獣化した時みたい」

ニャウ(うん)。私もシレンと同じことを思ったデス」

 

 

「アカメ●斬る!」に登場した百獣王化・ライオネルのデメリットは、長期間使い続けると素材となった超級危険種と装着者が混じり合い、装着者自身が危険種もしくは危険種と人間の中間みたいな存在になってしまうといったもので、使用時間制限なんて無かったと思うけど、地球産の百獣王化・ライオネルは装着者の危険種化という危険性を無くす代わりに使用時間制限が設定されたってことなのかな?

 

 

「ルル。その使用時間制限って、1日の内に使える時間が10分だけってこと?」

「そういう訳じゃ無いデスよ。連続使用はできないデスが、10分間使った後に30分の時間を置けば、再使用は可能デス。

使い慣れれば最長で2時間使用できるみたいデスけど、その場合は6時間経たないと再使用できないデス」

「強力な道具に使用時間制限や使用回数制限があるのは王道」

「そうなんですの?」

 

 

私の質問に対するルルの返答を聞いた紫蓮ちゃんは、ドヤ顔でサブカル知識を語り、ささらはその説明を不思議そうな顔で聞いていた。

 

 

「それじゃあ、今は半獣化を解除しとこうか。魔物との戦闘で使った方がいいだろうし」

ニャウ(うん)!」

 

 

現時点での最長使用時間が10分だから、魔物と遭遇するまでは温存しておくように伝えると、ルルはあっさりと半獣化を解いてくれた。

 

ちなみに、これは数日後に判明したことなんだけど、地球産の百獣王化・ライオネルは使用限界時間に近付くにつれて銀のバックルが黒ずんでいき、使用時間が回復するとバックルの元の銀色へと戻る仕様になっていた。

 

ルルが百獣王化・ライオネルを初装着&初使用したこの時も、半獣化を解くまでに要した時間は約5分だったから、多分ベルトのバックルも半分位黒ずんでたんだと思う。

 

私だけでなく、ささらや紫蓮ちゃん、装着者のルル自身もバックルの色の変化なんて、全然気付いてなかったけどね。

 

昼休憩と思わぬ形で手に入れた百獣王化・ライオネルの現状で行える検証を終えた私達は、2つ目の山へと架かる橋のある麓へと下山を始める。

 

道中では当然魔物と遭遇し、戦闘することがあったけど、その出現率は45%がバネ風船、40%が杵ウサギ、10%が魔本、5%が市松人形となっていて、私が戦闘に参加したのは2回ほど。

 

殆どささら達3人だけで魔物を斃していたこともあって、3人の戦闘技術や身体能力は私の予想を上回る速度で成長していった。

 

半獣化状態のルルの攻撃をモロに喰らった杵ウサギは、血反吐撒き散らしながら20mくらい吹き飛んでたしね。

 

1回の戦闘に要する時間もかなり短縮され、日本の地上時間の15時前には麓へと辿り着くことができた。

 

2つ目の山へと架かる橋の手前には分かれ道があったので、橋に繋がらない方の道が何処に続いているのかと、念の為に確認しておく。

 

分かれ道の行き着く先にあったのは、私達が昨夜お世話になった庭付きの平屋建てよりも立派な二階建ての休憩所――――

 

 

「………休憩所?いや、でも名物(?)の桜団子を宣伝する(のぼり)が立ってるから、お土産屋さん?」

「武器・防具あり、と書いていますわ」

「なんでも屋さん?」

「妖精のお宿って看板があるデス」

「それって店主が妖精なの?それとも妖精しか利用できない宿なの?」

「そ、それは前者だと思いますわ(汗)」

「………後者だと、遠目でここを見つけた人間を糠喜びさせる鬼畜な宿になる」

「……妖精さんが一緒じゃないと利用できない宿の可能性もあるデスよ?」

「……………まぁ、取り敢えずは入ってみようか?人間お断りの宿なら、先に進んで別の休憩所を探そう」

 

 

私は3人にそう言い終えると、少しだけ警戒しながら暖簾を潜った。するとそこには―――――

 

 

「…………!?ようこそ、いらっしゃいませニャ!!」

 

 

カウンターと思しき場所に茶を啜っている猫が居て、その猫は私達が入店したことに気付くと即座に接客の挨拶をし始めた。

 

 

「……ケット・シー?」

 

 

店主が妖精であることも想定はしていたけど、まさか猫妖精だとは思ってっもいなかったので、思わず私の知っている猫妖精の種族名(?)を口にしてしまった。

 

 

「ニャニャッ!御嬢さんは物知りだニャ。厳密には違うけど、ニャーはケット・シーと似た様な妖精ニャ」

 

 

どうやら、このケット・シーっぽい猫妖精の一人称はニャーみたい。

 

 

「御嬢さん達はこのダンジョンで初めてのお客さんだニャ!」

 

 

店主の猫妖精はそう告げると同時に、カウンターから取り出したクラッカーを鳴らし、私達を歓迎した。

 

 

「ここは武器や防具、お土産を売ってるだけの何でも屋さん?それとも休憩所も兼ねた何でも屋さん?」

「ここは休憩所を兼ねた万屋だニャ。お金を払うことで休憩所として利用できるようになるニャン」

 

 

お金。そういえば、昨日宝箱で金貨っぽいのを手に入れた筈。私は宝物庫から金貨を取り出して、猫店長に見せる。

 

 

「お金って、この金貨ですか?それとも地上のお金ですか?」

「ダンジョンで使えるお金はこの金貨―――ギニーだけニャ。この中金貨1枚の単位は500ギニーだニャ。地上のお金はダンジョンでは使えないニャン」

「このギニー金貨、宝箱から手に入れた物なんですけど、宝箱以外からギニー金貨を手に入れる方法ってあるんですか?」

「この万屋で魔物の魔石やドロップアイテム、いらない装備品を買取してるから、それでギニーは手に入れられるニャ」

「この休憩所を利用するのにもギニー金貨が必要って言ってたけど、1泊おいくらギニー?」

「ここは休憩所だから1泊じゃなくて1回だニャ。ここの場合、1回48時間で個室のマグロブシの間は1人2,000ギニー。

一党(パーティ)用の大部屋――カツオブシの間は1人1,000ギニー、4人合わせて4,000ギニー。雑魚寝部屋―――ニボシの間は1人400ギニー、4人合わせて1,600ギニーとなってるニャ」

「……金貨1枚が500ギニーなんですよね?仮に私達が雑魚寝部屋を利用するとして、金貨4枚で支払いを済ませた場合、お釣りはどうなるんですか?」

 

 

1枚100ギニーの銀貨でもあるの?それともお釣りの400ギニーはチップとして取られちゃうの?

 

 

「ギニー金貨の最小単位は100からになってるニャ。1枚100ギニーの小金貨、1枚500ギニーの中金貨、1枚1,000ギニーの大金貨の3種類が存在してるニャ。

ギニーには金貨以外に銀貨と銅貨も存在するニャ。1枚1ギニーの銅貨、1枚10ギニーの銀貨だニャ」

 

 

成程。ギニー銅貨1枚=1円、ギニー銀貨1枚=10円、ギニー小金貨1枚=100円、ギニー中金貨1枚=500円、ギニー大金貨1枚=1,000円みたいなもんか。

 

 

「けど、ダンジョン内で買い物をするなら、嵩張るギニー貨幣を持ち歩くより、これを持っていた方が支払いも楽だニャ」

 

 

猫妖精はそう言いながらカウンター下から1枚のカードを取り出した。

 

 

「ニャッニャニャーン!妖精カード!!これは地上でいう所の電子マネーに相当するチャージ式マネーカードだニャ」

 

 

おっふ!ファンタジーなダンジョンにもチャージ式マネーカードを導入するとは、流石はやり手な地球さんだ。

 

 

「御嬢さん達は初めてのお客さんだから、500ギニーチャージ済みの妖精カードを人数分無料で作ってあげるニャ」

「なんというサービス精神。商人の鏡だ。ありがとうございます、猫店長」

 

 

私がお礼を言うと、猫店長は何処からともなく湯呑みを4つ取り出した。妖精カードを貰うって話だったのに、どうして湯呑み?

 

 

「これを飲むんだニャ」

 

 

………これは妖精カードを4人分作るのに、少し時間が掛かるからお茶でも飲んで待て的な意味なのかな?

 

けど、湯呑みの中の液体がどう見ても緑茶や番茶、麦茶とは異なる色合い。近い色合いのお茶は蕎麦茶かな?

 

出された飲み物を口にしないのは失礼だけど、正体不明な液体を口にするのも少し戸惑う。

 

いや、毒無効技能(スキル)があるから、この液体が毒物だったとしても問題ないんだけど、こういうのは気持ちの問題なんだよね。

 

私が湯呑みを手にして謎の液体を飲むべきか否か迷っていると、他の3人が私より先に謎の液体を飲み始めた。

 

くっ!3人が飲んだ以上、私が飲まないという選択肢はあり得ない!私は覚悟を決め、謎の液体を一気に飲み干した。

 

 

「…………………これは鯖節と鰹節、鮪節、昆布から作られた合わせ白出汁?」

「当店で妖精カードを作る為には、この出汁を飲まないといけないニャ。飲み終えたら、「妖精カードよ、出るニャー」と念じるだけで掌からカードが出るようになるニャン」

 

 

妖精カードを含む妖精の宿の仕組みを猫店長から教えて貰った後、私は風見ダンジョンから溜まりに溜まった魔石を一気に売却した。

 

溜め込み過ぎたせいで猫店長には呆れられてしまったが、別に気にしていない。

 

買取査定をしている猫店長の邪魔になるかとも思ったけど、時間を無駄にしたくない私は猫店長からダンジョン情報を聞き出す。

 

 

「ねぇ、猫店長。このダンジョンの帰還用ゲートが何処にあるか分かる?」

「ここの帰還ゲートは最奥のボスモンスターを斃さないと現れないニャ」

「マジ?」

「真剣と書いてマジだニャ」

 

 

猫店長の言葉にささら、ルル、紫蓮ちゃんの3人は固まってしまう。

 

 

「そのボスって私達でも倒せる?」

「日中に出るボスなら、御嬢さん達の持ってる武器で十分倒せるニャ。ただ――――」

「ただ?」

「まともな防具が羽織と外套だけなのが少し心配な点だニャ」

「この店って防具も売ってるんだよね?店で取り扱ってる最高品質の防具と私達の羽織や外套だと、どっちが防御力高いの?」

「御嬢さん達の羽織と外套は何色の宝箱から手に入れた防具かニャ?」

「虹色の宝箱だけど?」

「虹色宝箱なら幻想級(ファンタズマ)、もしくは伝説級(レジェンダリィ)の防具になるニャ」

 

 

ファンタズマ?レジェンダリィ?何、それ?多分、ダンジョン式のレア度表現なんだろうけど、URなんかとは比べ物にならないカッコいい表現方法だ。

 

 

「ダンジョンで手に入る装備品やアイテムの最高等級は幻想級(ファンタズマ)、最低等級は通常級(ノーマル)になるニャ。

そして、御嬢さん達の羽織と外套は第二等級である伝説級(レジェンダリィ)装備だニャ。

うちの店―――というか、他のダンジョンにも存在する妖精の宿でも最高品質装備は、基本的に第四等級である固有級(ユニーク)が限界だから、御嬢さん達はかなり運が良いニャ」

「基本的に、ということは例外もあるの?」

「御嬢さん達みたいに妖精の宿まで辿り着いた者が、遺物級(エンシェント)―――第三等級以上の装備を売ってくれたら、中古品ではあるけど商品として取り扱うニャ」

「………つまり、新品での最高品質は固有級(ユニーク)装備が限界だけど、中古商品なら装備品質等級に上限が存在しないってことね」

「そういうことニャ。うちの店で取り扱ってる一番安い初心者用装備は第六等級の通常級(ノーマル)だニャ。

ちなみに御嬢さん達が今着ている地上産の服は、防具としての機能が一切ない普通の服だから、等級をつけた場合、通常級(ノーマル)より下の粗悪級(インフェリオリティ)になるニャ」

 

 

まぁ、普通に考えたら地上産の一般人が着る服なんて、防具価値が最低級以下で評価されるよね。

 

話の流れでダンジョン産アイテムの等級と宝箱の関係とかも教えて貰えるなら聞いてみよう。

 

 

「猫店長との話から宝箱の色で中に入ってるものの等級が判別できることが分かったけど、ダンジョンで手に入るアイテムの品質等級の呼び方と一緒に、どの色の宝箱にどの等級のアイテムが入ってるのかとか、教えて貰えたりしない?」

「虹色宝箱は幻想級(ファンタズマ)伝説級(レジェンダリィ)。緑、青、赤なんかの色付き宝箱は伝説級(レジェンダリィ)

金色宝箱は遺物級(エンシェント)。銀色宝箱は固有級(ユニーク)。銅色宝箱は稀少級(レア)。木製宝箱は通常級(ノーマル)になってるニャ。

地上のTCG(トレーディング・カード・ゲーム)で例えるなら、幻想級(ファンタズマ)SE(シークレットレア)伝説級(レジェンダリィ)UL(アルティメットレア)遺物級(エンシェント)はSSR。固有級(ユニーク)はSR。稀少級(レア)はR。通常級(ノーマル)はNと言えば分かり易いかニャ?」

 

 

私の質問に対して、猫店長は算盤で買取り計算を行いながら、私達にも分かり易い捕捉を加えながら説明してくれた。

 

銅色宝箱なんてあるんだ。この妖精の宿に至るまで間で発見した宝箱は、銅色宝箱以外だったから、銀色宝箱をRアイテムと勘違いしてたよ。

 

 

「取り敢えず、店で取り扱っている防具と比べても、御嬢さん達の羽織と外套は圧倒的に性能が高いニャ。

けど、御嬢さん達が着ている地上の服と比べたら、うちで扱っている防具の方が段違いで性能が上だニャ」

「まぁ、品質等級が1ランク違えば、性能も文字通り段違いだろうね。話は変わるけど、魔石の買取金額って、ドロップする魔物によって違ったりするの?」

「多少の違いはあるニャ。昼の魔物の魔石なら1個の最低買取価格は20ギニー、最高買取価格は25ギニーといった所だニャ」

 

 

多分、20ギニーはバネ風船で確定だ。25ギニーは魔本か市松人形、もしくは私達がまだ出会ってない魔物ってことになる。

 

 

「っと、買取は〆て32,000ギニーになるニャ。全額妖精カードへの入金でいいかニャ?」

「4等分でお願いできますか?」

「大丈夫ニャ。それじゃあ8,000ギニーずつ入金して置くニャ」

 

 

取り敢えず、防具一式をこの店で買い揃えるのは確定だ。武器の方はどうだろう?

 

 

「この店の既成武器と私達の持ってる武器だと、どっちの方が強い?」

「バネ風船のバネが巻きつけてある木刀はギリギリ通常級(ノーマル)武器に分類できるニャ。けど、同じ通常級(ノーマル)武器でも店の武器の方が強いニャ。

生産魔法だけしか使われてなければ粗悪級(インフェリオリティ)武器に分類してたけど、別の魔法も付与されている上、合成強化もされているみたいだから、ギリギリ通常級(ノーマル)武器に分類したニャ。

ニャーの店で売るとしたら535ギニー、買取価格は267.5を四捨五入して268ギニーといった所だニャ」

「買取価格は売値の半値なんだ」

「それが妖精の宿の鉄則なんだニャ。そっちの2人の御嬢さんが持ってる、もう1つの木刀っぽい武器は見た目に反して高性能っぽいから、稀少級(レア)装備認定で1つ1,000ギニーの買取になるニャ」

「ってことは、この店での時雨の売値は2,000ギニーなんだ。この店で2,000ギニー前後の武器って、どんなのがあるの?」

「2,000ギニーなら大刀サイズのサーベル、1,500ギニーなら小太刀や戦闘杖があるニャ」

「等級は?」

「当然、稀少級(レア)だニャ」

「それじゃあ、この武器に値段と等級を付けたらどうなる?」

 

 

私はそう言いながら宝物庫に死蔵していた滅竜武装・影打を10振取り出した。

 

 

「………これには魔鋼や玉鋼じゃなくて、バネ風船の金属が使われているニャ。けど、圧縮されているのか金属密度が高い上、属性付与までされた魔剣と呼べる代物だニャ。

魔鋼製なら最低でも遺物級(エンシェント)認定で1振130,000ギニーの買取になったけど、バネ金属製だから固有級(ユニーク)認定で1振52,000ギニーの買取が限界だニャ」

「それじゃあ、10振合わせて520,000ギニーで買取ってくれる?」

「……いいのかニャ?バネ金属製とはいえ、この武器はうちの店で扱ってる最上級武器より性能が高いニャ」

「魔鋼で造った武器があるから、バネ金属製の武器は死蔵してたんだ。だから、買い取ってくれると助かる」

「……分かったニャ!10振〆て520,000ギニーで買取るニャ」

「で、この店で扱ってる最高品質の防具4人分を、その買取金額を使って支払いたいんだけど、金額は足りる?」

「最高品質の防具をフルで揃えても、1人辺りに掛かる費用は40,000ギニーで約360,000ギニーのお釣りが出るニャ」

「じゃあ、そのお釣りを4等分にして、妖精カードにチャージしといてくれますか?」

「承ったニャ」

 

 

猫店長はそう言い終えると高速で買取作業を終え、滅竜武装・影打を店の奥へと持って行くと、戻って来る時にこの店で取り扱ってる最高品質の防具を4人分の持ってきた。

 

 

「これが当店の最高品質の防具―――死覇装だニャ!!」

 

 

漆黒の着物を持ってきたと思ったら、「BLE●CH」に登場する死神の標準装備かい!?けど、この世界に「BLE●CH」という漫画は存在しないから、私以外にツッコミを入れる人間は存在しない。

 

 

「一般的な袴タイプ以外に忍者風の刑戦装束も存在するニャ」

 

 

刑戦装束は漫画版ではなくアニメ版のチューブトップ風の服が付属したタイプになっている。

 

………けど、この店で最高品質の防具だっていうし、私達の持ってる羽織や外套と合わせても特に違和感はないだろうから問題ないかな?

 




原作では4人娘の装備は異なるものでしたが、本作では仲間意識を強調する為(?)、全員が同じ防具(バリエーションはあり)を装備することにしようと思いました。

ちなみに命子の死覇装はスタンダードなもので、ささらは卯の花さん風、ルルは過去編の夜一さん風刑戦装束(+百獣王化・ライオネル)で考えています。

紫蓮ちゃんはスタンダードにするか、涅ネム風ミニスカ死覇装にするかで迷ってます。
(原作装備がミニスカ女法師風装備だったので(笑))


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第13話(一部編集 2023/02/28)

はい、皆さんこんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

今回はルビ込約5000字となっています。(笑)

そして、今回はファッションショーの話となっています。といっても全員がベースとなる防具を死覇装としているので、補助装備でお洒落している感じになります。(笑)

次話辺りで百鬼夜行が描けたらいいなと思っている作者なんですが、有言実行できるか否か?








※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

無限鳥居ダンジョンの1つ目の山と2つ目の山へを繋げる橋。そこから少し外れた場所にあるダンジョン内で経営されている万屋さん―――妖精の宿に訪れた。

 

妖精の宿は万屋ということもあって、武器や防具、回復アイテム、食品なども扱っていて、魔物から手に入れられる魔石やドロップアイテムなどの買取も行い、お金を支払うと休憩所としても利用できる場所だった。

 

妖精の宿で取り扱われている装備等級は基本的に稀少級(レア)通常級(ノーマル)で、1人辺り6,000ギニーも支払えば最低限の武器と防具一式を手に入れることができる。

 

私は荷物となっている魔石や魔鋼製滅竜武装・真打シリーズを完成されてから不要となったバネ金属製滅竜武装・影打シリーズを妖精の宿で売却し、ダンジョン貨幣であるギニーを数十万単位で手に入れ、妖精の宿で取り扱われている1人辺り40,000ギニーの最高品質――固有級(ユニーク)防具一式を購入した。

 

防具のみを購入したのは、滅竜武装・影打でも妖精の宿で取り扱っている固有級(ユニーク)武器の中でも結構な業物だと猫店長が教えてくれたからだ。

 

で、私達4人が無限鳥居ダンジョンの妖精の宿で手に入れた固有級(ユニーク)防具がどんなものかというと、私が前世の読んだことのある漫画で登場していた物だった。

 

防具の名前は死覇装。この世界には存在しない「BLE●CH」という漫画に登場する死神が身に纏う漆黒の袴着物。

 

妖精の宿の猫店主曰く、防刃、防撃、防熱、防寒、防水、自動修復機能が付与されていて、妖精の宿で購入可能な既製防具の中では誇張表現無しで最高品質の防具らしい。

 

形状も「BLE●CH」に登場する死神の大半が使用している一般的な死覇装から、帯を半幅帯へと変更したもの。丈を短くしたミニ着物風のもの。袖が切り取られたノースリーブ風のもの。隠密機動総司令官 兼 同第一分隊――刑軍統括軍団長が使用する刑戦装束まで色々なものが存在する。

 

もし、このダンジョンから脱出する絶対条件にボス討伐がなければ、ささら達には死覇装以外の稀少級(レア)通常級(ノーマル)級防具を選ばせて上げることができたかもしれない。

 

稀少級(レア)通常級(ノーマル)級防具は、死覇装と似た様な形状の袴着物でも、明治時代のハイカラさんみたいに小洒落た柄となっていて、防具カタログに目を通していたささらも素敵だって言ってたからなぁ。

 

申し訳ないけど、今回は安全第一ということで黒一色の死覇装で我慢して貰うしかない。

 

閑話休題。私達はそれぞれに気に入った形状の死覇装と一緒に、アクセサリーなどの補助防具も選び、妖精の宿に用意されていた試着室で順番に着替え、お披露目会をすることになった。

 

最初に着替えを始めたのはささらだ。あっ、ちなみにそれぞれが着ていた地上産の服は、私の宝物庫で預かることになっている。

 

 

「ど、どうでしょう?」

 

 

ささらが選んだのは、帯を半幅帯へと変更した「BLE●CH」の護廷十三隊四番隊隊長――卯ノ花烈風の死覇装だ。

 

補助防具に鉢金と「鬼滅●刃」の胡蝶カナエが着けていた蝶の髪飾り、手套と手甲、ハイソックス足袋、脚絆、編上げブーツを身に着けている。

 

死覇装の上に蝶羽柄の羽織を羽織っているから、見た目が殆ど胡蝶カナエのコスプレをした美少女にしか見えない。

 

 

「超似合ってるよ」

「超キャワワデス!」

「………!」

 

 

私とルルが絶賛する横で、紫蓮ちゃんは無言のまま私達の意見に同意し、首が千切れそうな勢いで頷き続けていた。

 

ささらが装備のお披露目を終えると、入れ替わりでルルが試着室へと向かう。ルルが着替えている間、私はささらを褒めちぎり、紫蓮ちゃんは写メを撮り続け、ささらは赤面しながら私達の言動を止めようとしていた。

 

そうこうしている間にルルは着替えを終えたみたいで、試着室の扉が開き、私達の前にその姿を現した。

 

 

「ニンニンでゴザルデス!」

 

 

ルルが選んだのは、「BLE●CH」の元護廷十三隊二番隊隊長 兼 隠密機動総司令官 兼 同第一分隊刑軍統括軍団長を務めていた四楓院夜一風の刑戦装束(アニメver)だ。

 

帯の部分は完現術(フルブリング)編以降の護廷十三隊九番隊隊長――六車拳西の様にベルト―――ルルの場合は百獣王化・ライオネルに変更した状態だ。

 

補助防具は金剛石(ダイヤモンド)っぽいダンジョン産鉱石が埋め込まれた鉢金と「鬼滅●刃」の胡蝶しのぶの蝶の髪飾り、手套と手甲、ハイソックス足袋、脚絆、踵に隠し小刀が仕込まれた草履を身に着けている。

 

ちなみに蝶の髪飾りは夜会巻きにした状態の髪に着けていて、金髪碧眼の美少女外人が胡蝶しのぶコスをしている様に見えなくもない。

 

刑戦装束の上に羽織っている羽織は蝶柄ではなく、禰豆子の着物柄である麻の葉紋様だけどね。

 

護廷十三隊二番隊隊長 兼 隠密機動総司令官 兼 同第一分隊刑軍統括軍団長を務めている砕蜂(ソイフォン)が黄色の帯で隊首羽織を固定している様に、ルルも刑戦装束の上に羽織っている麻の葉紋様の羽織を黄色の鱗文様の帯で固定している。

 

 

「きゃぁああああ!?る、ルルさんはあの大胆な防具にされましたの!?」

「羽織無しだと背中丸見えで恥ずかしいデスけど、羽織を羽織ってたら恥ずかしくないデスよ?それにこれが一番忍者っぽいデス!ニンニン!」

「……鉢金や羽織の柄が派手で全然忍んでない」

「紫蓮ちゃん、現代社会でのNINJAは派手さが求められているんだよ」

 

 

淑女であるささらにはルルの選んだ刑戦装束は刺激が強過ぎたみたいだけど、中二病な紫蓮ちゃんには刑戦装束の露出度より、補助防具の派手さの方が気になったみたい。

 

ルルが装備のお披露目を終えると、私は最後のお披露目を希望したので、紫蓮ちゃんが試着室へと向かう。

 

紫蓮ちゃんが着替えている間、憧れの忍者衣装―――厳密には隠密機動第一分隊・刑軍の軍団長の衣装だけど―――を着れたことで、ルルがハイテンションを通り越して切なげな声を出し始めたので、正気を取り戻させる為、私がルルのお尻をペシッと引っ叩いたりしていた。

 

そして、ルルが落ち着いた所で紫蓮ちゃんが試着室からお出ましだ。紫蓮ちゃんは割と空気が読める子だから、着替え終えた後にルルが落ち着くまでスタンバってたッ可能性がある。

 

 

「我、ここに顕現!」

 

 

紫蓮ちゃんが選んだのは、帯を半幅帯へと変更し、丈をミニ着物みたいに短くした「BLE●CH」の護廷十三隊十二番隊副隊長―――涅ネム風の死覇装だ。

 

補助防具はささらと同じ鉢金、「鬼滅●刃」の栗花落カナヲの蝶の髪飾り、黒マフラー、手套と手甲、足袋、下駄を身に着けている。

 

紫蓮ちゃんは蝶の髪飾りを使うに当たって、髪型を栗花落カナヲと同じサイドポニーへと変更している。

 

当然のことだけど、ささらやルルと同じ様に虹色宝箱から手に入れた黒無地の羽織を死覇装の上から羽織った状態だ。

 

 

「にゃふーっ!シレン、可愛さ大爆発デス!!」

「はわわ!紫蓮さん、丈が短過ぎませんか!?」

「アニメやラノベだとダークヒーローならぬダークヒロインっぽい見た目だね」

 

 

大絶賛のルルに対して、恥ずかしそうにミニ死覇装を指摘するささら。丈の短さならウチの女子校のスカートもどっこいどっこいじゃない?

 

紫蓮ちゃんのお披露目が終わったので、今度は私が試着室へと向かう。試着室で剣道着から一般的な死覇装へと着替えた私は、火焔柄の白地外套と既製補助防具を身に付け、皆の前に姿を見せる。

 

 

「ふぉおおおお!メーコ、カッコいいデス!!」

「侍みたいで素敵ですわ!!」

「羊谷命子、カッコいい。流石、剣鬼」

 

 

私は何故か可愛いではなくカッコいいと評された。私、これでも女の子なんだけどな。

 

ちなみに私の格好は、さっきも言った通り一般的な死覇装に火焔柄の白地外套を纏っている状態で、補助防具として、「シャーマ●キング」に登場人物である阿弥陀丸が身に着けていた籠手と大袖を装備。

 

これだけを見れば、今の私は「BLE●CH」、「鬼滅●刃」、「シャーマ●キング」の融合系。というか、見た目だけなら殆ど炎柱の外套を纏った縁壱零式。もしくは阿弥陀丸だ。

 

……むしろ阿弥陀丸が正解かも知れない。だって、阿弥陀丸の着物は色だけでいえば死覇装と同じだし、外套も火焔柄が加わっただけで、形状は炎柱の外套と大して変わらない。

 

週刊少年ジャ●プ装備以外に買った補助防具は鉢金、足袋、火焔柄の脚絆、草履と他の3人が買っていた物と大して変わらない。

 

あっ、私は3人と違って髪が短いから蝶の髪飾りは買ってない。代わりではないけど、蝶飾りが付いたヘアピンを買って、髪に付けている。

 

……さて、全員分の防具を揃え終えた所で、今後のダンジョン活動の予定を組む為にも猫店長から色々と情報収集をしておこう。

 

 

「猫店長。この妖精の宿が万屋ならダンジョン情報とか売ってたりするの?」

「御嬢さん達には一番高い防具を買って貰ったし、うちで扱っているのより性能のいい武器を売って貰ったから、ある程度ならダンジョン情報もタダで教えてやるニャ」

「それじゃあ、このダンジョンでの日の出と日の入り時間を教えて?」

「地上の日本時間で日の出は5時、日の入りは18時30分だニャ」

「日中と夜では魔物の種類や強さが変わるよね?レベル的にはどの位の差があるの?」

「日中に現れる魔物のレベルは1~5、夜に現れる魔物のレベルは15以上で基本的に上限は存在しないニャ。

御嬢さんなら夜の魔物相手でも余裕だと思うニャけど、他の3人の御嬢さん方は今の装備で挑んでも間違いなく死ぬニャ」

「……このダンジョンのボス情報は教えて貰える?」

「それは簡単な情報でも、流石に情報料が足りないから教えられないニャ」

「追加で情報料を払えば簡単な情報を教えて貰える?」

「…………ダンジョン装備の御品書きのモデルになってくれるなら、簡単な情報ならタダで教えてやるニャ」

「御品書きのモデルって、装備を試着して写真撮るの?」

「ダンジョン装備は一度着用すると、着用者のサイズで固定されるから、そんなことをしたら試着した防具をすべて買い取って貰うことになるニャ」

「じゃあ、どうすんの?」

「地上でいう所の合成写真技術的なもので、御品書きのマネキン素体を御嬢さん達の姿に変更するニャ」

「……モデルになるだけでボスの簡単な情報を得られるなら、モデルにして貰っても構わないよ」

「交渉成立ニャ。ボスのどんな情報が知りたいニャ?」

「ボスの種族とか強さ、使用する技、弱点を教えて貰えると助かるんだけど?」

「ボスの種族か強さのどちらかなら教えられるニャ。使用する技や弱点は、最低でも1000万ギニー支払って貰わないと教えられないニャ」

「んじゃ、ボスの種族を教えて」

「この無限鳥居ダンジョンのボスは龍――ドラゴンだニャ」

 

 

ボスモンスターはドラゴン。つまり、滅竜刀・真打と滅竜魔法の検証相手としてはうってつけと言うことになる。

 

猫店長の情報を聞いて思わずニヤケそうになる私に対して、ささら達はこのダンジョンから脱出できるのか不安になったみたいで息を呑む。

 

 

「ドラゴンといっても強さはピンキリ。火蜥蜴(サラマンダー)なんかの空を飛べない下級ドラゴンはLV10程度だニャ」

「そういえば魔石の買取査定をして貰っている時、日中のボスなら私達の持っている武器でも倒せるって言っていたね。

もしかして、このダンジョンのボスは通常モンスターと同じで時間帯によって強さが変わるのかな?」

「…………これ以上の情報は別料金になるニャ」

 

私が更に情報を引き出そうとすると、猫店長は口にチャックをしてしまった。まぁ、有益な情報は得られたし、これ以上は嫌われかねないから聞き出さないでおこう。

 

 

「妖精の宿を休憩所として利用する場合、滞在時間は48時間。そして、ダンジョンが最も危険になる時間は18時半からの10時間半。

日の入りから日の出までを妖精の宿で過ごし、日の出から日の入りまでの日中でレべリングをするなら、約42時間の利用で4泊は余裕でできる。

余った約6時間も4日間利用する場合、1日辺り約90分の休憩時間として妖精の宿を利用できることになる。

今チェックインして、90分休憩してからレベリングに行くこともできるけど、休憩する?」

 

 

私が3人にそう尋ねると、3人は無言で首を横に振った。まぁ、ダンジョンボスがドラゴンで、夜のモンスターと戦えば死亡確定なんて聞かされたら、貴重な日中のレベリング時間を無駄にしたくないよね。

 

私達は猫店長に18時半前に再来店することを伝えると、レベリングの為の魔物狩りをギリギリまで行うことにした。

 



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第14話(一部編集 2023/02/28)※

はい、皆さん。お久しぶりです、こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

リアルが忙しくて投稿が遅れました。申し訳ないです。

今回も前回と同じくルビ込約5000字となっています。(笑)

そして、今回は命子一党(パーティ)の2人が成長した話となっています。(笑)

百鬼夜行は次話か次々話くらいになりそうです。有言実行できずに申し訳なし。









※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

妖精の宿で防具一式を買い揃えた私達は、夜の魔物が現れる18時半前ギリギリまで、1つ目の山の探索と魔物討伐によるレベリングを行うことになった。

 

当然、レベリングの対象はささら、ルル、紫蓮ちゃんの3人。ダンジョン産の防具を手に入れたことで、魔物の攻撃で受けるダメージ量を装備前と比べて心配する必要が無くなったので、3人とも積極的に攻撃を仕掛けられる様になった。

 

3人が積極的に攻撃を仕掛けられる様になったお蔭なのか、再探索とレベリングを始めてから1時間程でささらが最初に時雨を木刀形態から滅竜刀形態へと変化させられる様になった。

 

 

「………え?」

 

 

ささらが未熟な(はな)の呼吸を使いながら、繚乱型(リョウランノカタ) 一式〝菖蒲斬り〟を放つと、ささらの時雨が滅竜刀形態へと変化し、相対していた市松人形の首を刎ね飛ばした。

 

滅竜刀形態となった時雨の刀身は、ささらにとって最も適性の高い呼吸の色―――鮮やかな桜色へとその色を変化させた。

 

 

「おめでとう、ささら。初歩中の初歩だけど、ついに全集中の呼吸を会得したみたいだね」

「…………」

 

 

自分が全集中の呼吸を使える様になったことが未だに信じられないのか、呆けているささらに私は言葉を続けながら宝物庫から武器を取り出す。

 

 

「まぁ、会得したといっても初歩の初歩ができる(・ ・ ・)ようになっただけ。四六時中全集中の呼吸を維持する全集中・常中に至り、全集中の呼吸で止血をすることができるようになって、漸く使い熟す(・ ・ ・ ・)域に足を踏み込み始めたといえる状態だから、呼吸術を極めようと思うならまだまだ先は長いよ」

 

私はそう言いながら、宝物庫から取り出した無銘の滅竜刀・真打とささらが腰に差している灰王の剣を交換した。

 

呆けたままのささらは、本当に自分が全集中の呼吸を会得したという確証が欲しかったのか、地球産のウインドウステータスを開く。

 

 

 

※ウインドウステータス

笹笠ささら(15歳)

 

ジョブ

見習い騎士

 

レベル

7

 

カルマ

+1672

 

魔力量

272/272(装備品補正+250)

 

スキル

【防具性能上昇(小)】【全集中の呼吸(花/小)】

 

ジョブスキル

【騎士剣技(初)】【斬撃速度上昇(小)】【刺突速度上昇(小)】【抜刀速度上昇(小)】【刀剣装備時 物攻上昇(小)】【自動回復(オートヒーリング)(微)】【防具性能上昇(小)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

ジョブ技能(スキル)をFa●eシリーズに登場する英霊がサーヴァントとなることで得られるクラス技能(スキル)だとすると、技能(スキル)は英霊が生前に身に付けた保有技能(スキル)に該当すると思う。

 

そして、ささらの技能(スキル)欄には新規獲得技能(スキル)を表す赤字で、【全集中の呼吸(花/小)】が加えられていた。

 

 

「……本当、ですわ」

「………ささらさんに先を越された」

「おめでとーデス、シャーラ!私達もシャーラに続くデスよ、シレン!!」

「ん」

 

 

ささらが全集中の呼吸を会得したことを、自分のことの様に喜びつつ、対抗意識を燃やす紫蓮ちゃんとルル。

 

 

全集中の呼吸を会得したばかりのささらが次にするべきことは、自分の適性剣技を使える様になることかな?」

「適性剣技、ですの?」

「うん。ささらのステータスにも全集中の呼吸の横に花って書かれてるでしょ?これは(はな)の呼吸―――繚乱型(リョウランノカタ)が適した剣技だって教えてくれているんだと思う。

繚乱型(リョウランノカタ)は全部で十の型式があるから、ジョブ補正である戦闘技術の習熟効果を活用し、最短時間で全ての型式を使えるようになろう」

 

 

このあと、私はささらへの見取り稽古も兼ねて、繚乱型(リョウランノカタ)の型式を全て見せ、太刀筋などのアドバイスを終えると、ダンジョン探索と魔物狩りを再開。

 

ささらは魔物と遭遇すると、繚乱型(リョウランノカタ)で最も使い易い一式の〝菖蒲斬り〟で魔物を斃す様になり、自分で納得できる〝菖蒲斬り〟を放てるようになると、二式の〝御影梅〟を使い始めるというスタイルで繚乱型(リョウランノカタ)の型式を覚える様になった。

 

妖精の宿から出て1時間、2時間と着実に時間が経過している訳なんだけど、その経過している時間で私はこのダンジョンの法則を1つ把握することができた。

 

それは18時半に近付くにつれて魔物の出現率が上がるということ。妖精の宿を出た15時以降、気配感知に引っ掛かる魔物の数が15時前と比べて少しずつではあるものの、確実に増えていたので気付けた法則だ。

 

まぁ、日中の魔物相手なら3人とも危な気も無くなったし、魔物の出現率が上がる=ささら達の戦闘経験が増える=ささら達がレベルアップし、ステータスと戦闘技術の向上する=ボス戦での生存率上昇に繋がる訳だから、特に問題視することでもないんだけどね。

 

魔物の出現率上昇を考慮して、18時30分前には妖精の宿に辿り着ける様にダンジョン探索を続けていると、18時少し前くらいに遭遇した魔物を斃したタイミングで、ささらに続く形で紫蓮ちゃんの滅竜棍・影打の色が灰色に変化した。

 

 

「おっ!ささらに続いて紫蓮ちゃんも全集中の呼吸を会得できたみたいだね。滅竜棍・影打の色が変わったよ」

「……………」

 

 

私が紫蓮ちゃんに全集中の呼吸を会得できたことを教えてあげると、紫蓮ちゃんはささらよりも冷静な態度で地球産のウインドウステータスを開く。

 

 

 

※ウインドウステータス

有鴨紫蓮(14歳)

 

ジョブ

見習い棍術士

 

レベル

7

 

カルマ

+1472

 

魔力量

273/273(装備品補正+250)

 

スキル

【生産魔法】【全集中の呼吸(岩/小)】

ジョブスキル

【棍技(初)】【打撃速度上昇(小)】【棍装備時 物攻上昇(小)】【与ノックバック(微)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

紫蓮ちゃんの技能(スキル)欄で文字化けしていた全集中の呼吸が、ささらのウインドウステータスと同じ様にはっきりと表記されたものへと変化していた。

 

私はささらの持っていた灰王の剣を滅竜刀・真打へと交換した時と同じ様に、宝物庫から滅竜棍・白鉄を取り出して、紫蓮ちゃんに差し出す。

 

 

「会得したのは初歩の初歩だけど、全集中の呼吸を使える様になったから、ささらと同じ様に魔鋼製滅竜棍を渡しておくね。

滅竜棍・影打は紫蓮ちゃんがそのまま持っていていいよ。見習い職人にジョブチェンした時の研究材料にできると思うから」

「ん。ありがとう、羊谷命子」

「アーッ!シレンに先越されたデス!!……………ハッ!!もしかしたら、気付かない内に会得してる可能性もあり得るデスか?」

 

 

希望を持つのは悪くないけど、時雨を可変させられない時点で全集中の呼吸は会得できていない。ルルは儚き夢を打ち砕く現実が記されたウインドウステータスを開く。

 

 

 

※ウインドウステータス

流ルル(15歳)

 

ジョブ

見習いNINJA

 

レベル

7

 

カルマ

+1835

 

魔力量

272/272(装備品補正+250)

 

スキル

【見習いNINPO】【全+中の%吸(?/微)】

 

ジョブスキル

【斬撃速度上昇(小)】【刺突速度上昇(小)】【抜刀速度上昇(小)】【連撃時 物攻上昇(小)】【二刀小太刀(脇差、短剣可)装備時 物攻減少無効】【毒耐性(微)】【麻痺耐性(微)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

「………私だけ文字化けしたままデシュ」

 

 

ウインドウステータスに記された現実を直視したことで、涙目で凹むルル。ちなみに先程まで魔物と戦っていたこともあり、ルルは百獣王化・ライオネルで半獣化していて、頭に生えている猫耳がヘニョッとなっている。

 

 

「………ルルが全集中の呼吸を知って呼吸を意識し始めたのは、このダンジョンに入った昨日からだから、会得するのに時間差があっても仕方ないことだと思うけど?

それに文字化けしてるっていっても、2文字だけだし、呼吸の仕方も徐々に全集中の呼吸に近付いてるから、明日か明後日にでも会得できるかも知れない。

取り敢えず、焦って物事を進めようとすると絶対に失敗するから、焦らずに呼吸を意識することに集中しよう。

あと、ダンジョンで魔物と戦えばレベルも上がり易いみたいだし、私はレベルが上がれば上がる程、技能(スキル)の熟練度も上がると思ってるんだ。

だから、明日も頑張ってレベルを上げれば、ルルもすぐに全集中の呼吸は会得できると思うよ」

ニャウ(うん)……。メーコの言葉を信じて、シャーラ達に追いつける様に焦らず頑張るデス」

「ルルさん、勇往邁進ですわ」

「ファイト」

「シャーラ、シレン。ありがとうデス」

 

 

上から目線からとかではなく、純粋にルルを応援するささらと紫蓮ちゃん。そして、その応援を純粋に受け止めるルル。流石、純粋に地球さんを祝福するピュア娘三人組だなぁ。

 

それにしても、私が助力することがあるとはいえ、たったの2日でレベルが1から7まで成長したことには驚かされる。

 

多分だけど、「ソードアー●・オンライン」に登場するVRMMOのSAOでも2日――ダンジョン探索に費やす時間が24時間未満、モンスターとの総合戦闘時間も6時間以下でレベルを7まで上げられないんじゃないかと思う。

 

「SAO」の場合、確か階層の数字+10がボスの設定レベルになるんだったっけ?第1層ボスはLV11、第2層ボスはLV12みたいな?

 

………う~ん、記憶が曖昧過ぎて詳しい設定を思い出せない。印象に残っている設定は、プレイヤーレベルがボスの設定レベル+10以上で安全マージンってやつなんだけど、この記憶も自信が無いなぁ。

 

………ボスの設定レベルじゃなくて、プレイヤーレベルの安全マージンが階層の数字+LV10だったような気もして来た。

 

何はともあれ、現実にもダンジョンが顕現した以上、似た様な安全マージン理論を確立する必要がある。

 

 

階層+LV10の安全マージン理論は、全100層からなる浮遊城アインクラッドみたいな超大型ダンジョンだからこそ確立されたもので、階層型とは異なるこの無限鳥居ダンジョンみたいな野外(フィールド)型ダンジョンでは意味を為さない気がする。

 

では、野外(フィールド)型ダンジョンの場合、どの様にして安全マージン理論を確立すべきか?

 

ダンジョン内で出現する魔物レベルを参考に、ボスの設定レベルを予想。ボスの設定レベル+LV 10を無限鳥居での暫定的な安全マージン理論とするのが理想かな?

 

猫店長から得た情報で、日中に出現する魔物のレベルが1~5ということは確定している訳だし、日中であればボスの設定レベルも予想し易い。

 

私の助力無しで一般的な魔物からささら達の身の安全を最低限保証できるレベルは、日中だと15以上ということになる。

 

夜に出現する魔物はレベルが15以上で上限無しって話だから、夜に関してはレベルだけの安全マージンなんて設定できないことになるけど。

 

無限鳥居のボスは、一般的な魔物と同じ様に日中は弱体化するって話だけど、どれだけ弱体化したとしても、夜に出現する最下級魔物と同等かそれ以上と考えるべきだろう。

 

つまり、日中ボスの予想レベルは15~20。そのボスを攻略する為の安全マージンはLV30あった方がいいかもしれない。

 

妖精の宿で4泊し5日目で一気にボス攻略する場合、明日以降1日辺りレベルを6~7ずつ上げる必要が出てくる。

 

多分、2つ目の山にも休憩所はあるとは思うけど、利用時間は確実に妖精の宿より短い筈。今後のことを考えて、どういった感じでレベリングするか、3人とも相談して決めないといけない。

 

もし、妖精の宿に無限鳥居のダンジョンマップが販売しているなら、それを購入した上で魔物の出現率が高い所を自分達の足で探し当てて、効率よくレベル上げをする様にしよう。

 

まぁ、猫店長から効率よくレベルを上げられる狩場の情報を買うことができたら、それが一番なんだけどね。

 

最悪の場合、3日目くらいに昇華魔法変成魔法の説明をして、皆の了承を得られたら、肉体改造で使徒化するという最後の手段もある。正直、使いたくない手段だけど。

 

取り敢えず、今後の方針は妖精の宿で晩御飯とか食べて、一息ついてから決めればいいか。

 




本作の命子はささら達を無限鳥居でLV30まで成長させようとしてますが、書籍原作の命子一党(パーティ)の無限鳥居攻略時のレベルはLV12となっています。
(ちなみにWeb原作版の命子一党(パーティ)は8章終了時でもLV27です。)

という訳でアンケート実施です。

アンケート内容
【ささら達のボス攻略LVもとい無限鳥居の安全マージン】
・原作通りLV12
・原作より少し高いLV15
・原作より割と高めのLV20
・原作よりかなり高めのLV25
・原作8章超えのLV30


どれがいいでしょうか?


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第15話

はい、皆さん。お久しぶりです、こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

本当、リアルが忙しくて執筆する暇もなければ元気もなく、投稿が遅れました。申し訳ないです。

今回はルビ込約4400字となっています。かなり短いです。

ちなみに1~14話までを少しだけ加筆修正していたりします。

14話の時点で行っていたアンケートの関係で、追加アンケートも行おうと思います。

よければご協力をお願いします。











※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。


 

 

 

【視点:ささら】

 

 

 

私達がダンジョンに取り込まれて2日目の夕方。ダンジョン内で出現する魔物の強さが変化する18時30分になる前に安全地帯である妖精の宿に辿り着くことができました。

 

命子さんが妖精の宿の店主である猫妖精さんに、魔物から回収した魔石の買い取って貰ったり、宿泊する為のチェックイン作業をしている間、私と紫蓮さん、ルルさんはカウンター近くのベンチに座っています。

 

前日に利用した休憩所では、庭で武器の素振りなどを行いましたけど、流石にお店の玄関フロアで素振りをするのは非常識なので、今回は全集中の呼吸の反復練習を行います。

 

技能(スキル)として全集中の呼吸を獲得できた私と紫蓮さんは、命子さんが教えてくれた全集中の呼吸を365日24時間維持する全集中・常中を会得する為の反復練習を、ルルさんは全集中の呼吸技能(スキル)化する為に呼吸の精度を上げる反復練習を行っていますわ。

 

 

「フゥゥゥゥ………、フゥゥゥゥゥゥゥゥ………、フゥゥゥゥゥゥ………」

「ゴゥゴゥゴゥ………、ゴゥゴゥゴウゴウン………、ゴゥゴゥゴゥン………」

「シィィアァァ………、シィィィィィ………、スィィィィィ………」

 

 

私と紫蓮さんは呼吸の律動を浅くしたり深くしたりと、色々と工夫しながら全集中の呼吸を長く維持できる方法を模索しているのですが――――

 

 

「「ッ!!」」

 

 

全集中の呼吸を長時間維持しようとすると、肺や耳が凄く痛くなって、死にそうになるほど苦しくなります。

 

今まで生きてきた中で一度も感じたことの無い耳から心臓が、口からは肺が飛び出す様な感覚に襲われ、私だけでなく紫蓮さんも両手で耳を押さえた後に、口元に手を添えます。

 

 

「しゃ、シャーラ!?シレン!?大丈夫デスか!!?」

「し、心臓が耳から飛び出したかと思って、驚いてしまいましたわ」

「ぴゃ、ぴゃぅぅぅ……」

 

 

技能(スキル)化前、全集中の呼吸を会得する為、試行錯誤で呼吸していた時は、呼吸を長時間維持しても死にそうな程苦しくなることはありませんでした。

 

 

「…………今の私達は身体が―――肺が貧弱過ぎて、全集中の呼吸を長時間維持することに耐えられない、ということなのでしょうか?」

「ん。多分、技能(スキル)化しても使える様になっただけ。使えることと、使いこなせることは別」

「呼吸の律動に緩急を付ければ、肺への負担も軽くなると思ったのですが……」

「我も同じ考えだった。けど、よくよく考えると身体能力を爆発的に向上させる技術を簡単に使いこなせる訳が無い」

「そうですわね。私も甘い考えでしたわ。使いこなせる様になるには、日々鍛錬を行って体に慣らしていくしかないということですわね」

 

 

命子さんに尋ねてみれば、全集中・常中を会得するコツを教えて頂くことができるでしょうか

 

全集中の呼吸を会得することができたからこそ、今更ですが私は命子さんが出会った時から今に至るまで、様々な全集中の呼吸を戦う時以外にも使い続けていることに気付くことができました。

 

……………ですが、命子さんは物心がついた頃から全集中の呼吸を使っていると言っていたことを考えると、その頃から既に全集中・常中へと至っていた可能性もあり得るかもしれませんわ。

 

その場合、命子さんは私達が全集中・常中を使えない理由を理解できず、改善点やコツを伝えることができないかもしれません。

 

全集中の呼吸に関して、命子さんは指導者向きの秀才か、それとも指導者に不向きな天才なのか。

 

もし後者の場合、命子さんは人を見下す様な方ではないので、凡人の悩みを理解できない自分を不甲斐なく思い、精神的な意味で私達と距離を取ったり、壁を作る可能性があるかもしれませんわ。

 

命子さんは私にとって人生初の友人なので、物理だけでなく精神的に距離を取られたり、壁を作られるのは絶対に回避しなければいけません。

 

けれど、命子さんに依存することなく、一致団結してダンジョン攻略することを考えると、戦闘技術の向上だけでなく、全集中・常中に至ることも必須。

 

………………やはり、独学の反復練習しか全集中・常中に至る手段は無いのでしょうか?

 

私が全集中の呼吸ではない、普通の呼吸で息を整えながらそんなことを考えていると、猫妖精さんとの遣り取りを終えた命子さんが私達の方にやって来ました。

 

 

「魔石の買取とチェックイン、終わったよ。すぐ部屋まで案内して貰えるみたいだけど、どうする?

日中はゆっくり見ることもできなかったから、部屋に移動する前に、この店で取り扱ってる商品の御品書きを再確認するのもありだと思うんだよね」

「そう言われれば、私達が確認したのは補助防具と装飾品の欄だけで、体防具や武器の欄はちゃんと確認していませんでしたわね」

「体防具も武器も私達が持っているのを上回るのは無いみたいだけど、ファッション的な意味でどんなのがあるのか気になるよね?

ダンジョン滞在中に稼いだギニー次第では、家族へのお土産にカッコ可愛い防具を買って帰るのもありかも知れないよ」

 

 

命子さんと私が妖精の宿の商品について話していると、ルルさんと紫蓮さんも話に加わって来ました。

 

 

「羊谷命子。この店の商品のラインナップも気になるけど、それよりも気になってることがある」

ニャウ(はい)!私も気になってることがあるデス!」

 

 

……これは加わっていると言えるのでしょうか?2人はお店の商品とは異なる話をしようとしています。何だか嫌な予感が………。

 

 

「どうすれば最短で全集中・常中に至れる?」

「どうすれば早く全集中の呼吸を会得できるデスか?」

 

 

言いましたわ!言ってしまいましたわ!?私が躊躇して頭を悩ませていたことを、何の躊躇もなく言ってしまいましたわ!?

 

 

「………全集中の呼吸は肺に空気を沢山取り込んで、心臓の鼓動を強めることで血の巡りを早め、体温上昇と共に筋力を増強させる技術。

肺が弱ければ、全集中の呼吸は会得できないし、維持もできない。ぶっちゃけ、肺を死ぬ程鍛える以外にできることはないよ」

 

 

そうですわよね。肺を死ぬ程鍛える以外に最短の手段は無いですわよね。命子さんからコツを聞こうとした自分が不甲斐ない。穴があったら入りたいですわ。

 

 

「まぁ、昼間は魔物との戦闘で肺を酷使して、夜は瞑想しながら指先まで空気を巡らせる様に、ゆっくりと深く呼吸するようにしたら、少しずつだけど肺が全集中の呼吸に慣れていくとは思うよ」

 

 

私が自分の不甲斐なさに打ちのめされていると、命子さんはより具体的な肺の鍛え方を教えてくれました。

 

 

「ゆっくりと呼吸するのは、酷使した肺に過剰な負担を加えない為だと理解できますが、どうして瞑想しながらなんですの?」

「瞑想は集中力を向上させるからね。ただ全集中の呼吸を使うだけの場合、無意識に呼吸の速度が早まって、肺に過剰な負担が加わるかも知れないでしょ?」

 

 

なるほど。集中しながらゆっくりと深く呼吸することで、過剰な負担を加えずに肺を鍛えられるから、集中力が向上する瞑想が効率的という訳ですわね。

 

 

「適性呼吸の全集中・常中なら、地上でも日中の全集中の呼吸を使った素振りと筋トレ、ランニング、夜の瞑想とゆっくり呼吸をするだけで9日もあれば会得できると思う。

ダンジョン内ならステータスのレベルが上がり易いし、レベルアップすれば鍛錬効果が上昇するみたいだから、魔物と戦えば戦う程、全集中の呼吸全集中・常中に至り易くなるんじゃない?」

「…………レベルアップが鍛錬効果の上昇に繋がるなんて発表、防衛省からされていたでしょうか?」

「…………………あ」

 

 

今、命子さんは「あ」って言いましたわ。「あ」って、どういうことでしょうか?

 

 

「…………今の話、防衛省所属(?)のダンジョン研究員である礼子さんから聞いた話なんだけど、まだ防衛省から公表されてない情報だから、オフレコでよろしく」

 

 

そういえば、青空修業道場での休憩時間中に聞いたことがある気がします。命子さんが人類初のダンジョン帰還者になった時、防衛省の女性自衛官1人とダンジョン研究員1人の計2名と親しくなって、ダンジョン研究員の方とは互いにルインの友達登録までした上、1日1回はトークをしていると………。

 

 

「…………ダンジョンで数日間過ごせば、自然に気付くことができることだと思いますし、私は命子さんからは何も聞いていませんわ」

「羊谷命子は何も言ってない」

ニャウ(うん)。私達は全集中の呼吸のコツしか聞いてないデス」

「………それじゃあ話を戻すけど、これからどうする?御品書きの確認?それとも宿泊する部屋に行く?

あっ、選んだのは利用料が4,000ギニーの一党(パーティ)用の大部屋なんだけど、それで良かった?

もし個室が良ければ、追加金の1,500ギニーを払えば部屋の変更もして貰えるみたいだけど」

「私は別に問題ありませんわ」

「我も問題無し。林間学校や修学旅行みたいなもの」

「シューガク旅行!パパから聞いたことがあるデス!仲の良い友達と大きな部屋でお泊りする学校のイベントデス!!」

「お泊りが主目的のイベントではないけど、大部屋で複数人が寝泊まりする点では修学旅行みたいなものかな?ルルも問題ない?」

「問題無しデース!」

「よし!部屋に戻る場合は、先に晩御飯を済ませるか、お風呂を済ませるかの選択肢があるよ。

お風呂の場合、この店には温泉があるみたいだから、お客さんが私達しかいない今は貸切で利用できるね。

晩御飯はチェックインした時にお食事券を貰えたから、それを使って自分好みで定食を注文できるみたい」

 

 

温泉!?昨日利用した休憩所にはお手洗いは完備されていましたが、お風呂はなかったので凄く有難いですわ。

 

どのような温泉なんでしょう?岩風呂でしょうか?それとも檜風呂?屋内なのか、それともお店の敷地内にある露天なのかも気になりますわ。

 

 

「夜の瞑想鍛錬は食事と入浴を終えた後でもいいと思うし、よくよく考えると御品書きの確認は入浴を終えた後にカウンターに立ち寄ってすることもできるね」

 

 

うー……。命子さんが色々な選択肢を提示するので、どうするか迷ってしまいますわ。ルルさんと紫蓮さんも私と同じ様で、「うー、うー」と唸っています。

 

私達が悩み続けていると、カウンターにいる店主の猫妖精さんが声を掛けて来ましたわ。

 

 

「御品書きの冊子なら複数あるから、1冊なら部屋に持って行っても構わないニャ」

 

 

猫妖精さんの鶴の一声によって、私達は声を揃えて部屋へ向かう選択肢を口にしました。

 




アンケート内容
①【ささら達のボス攻略LVもとい無限鳥居の安全マージン】
(キャラクター設定~第14話のあとがき後で実施中)
・原作通りLV12
・原作より少し高いLV15
・原作より割と高めのLV20
・原作よりかなり高めのLV25
・原作8章超えのLV30



②【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
(第15話のあとがき後で実施中)
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法変成魔法で強制レベルアップ


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第16話(一部編集 2023/03/01)

はい、皆さん。こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー、大筒木朱菜です。

今回は何故かダンジョン貨幣のギニーを日本円に置き換えた時の価値について語られる回になってます。

作者である私もどうしてこんな話になったのか分かりません。本当、どうしてこうなった?

ギニーの日本円価値にご意見等ございましたら、感想のコメント欄に書いて頂けると幸いです。










※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

妖精の宿での宿泊初日。猫店長が案内してくれた一党(パーティ)用の大部屋は、4人で利用するにはかなり広めで、広縁もある12畳の畳部屋だった。

 

部屋の真ん中には折畳式の方形卓袱台が配置されていて、その中央には菓子鉢に入ったウェルカムお菓子、もといお着き菓子が用意されていた。

 

ちなみに和風旅館などで客室にお着きお菓子が用意されている理由は、利用客が観光後に宿へ辿り着いた場合、血糖値が下がっている可能性が高く、その状態で温泉に入ると立ち眩みや失神してしまう為、その可能性を回避する為とか、利用客の旅の疲れを甘味で癒す為だとか言われている。

 

広縁の窓からはこの無限鳥居ダンジョンの絶景―――朱色の鳥居や2つ目の山へと架かる赤い欄干の橋、雲海、満開の桜、山陰に隠れつつある太陽を一望することができた。

 

 

「素敵な客室ですわ!」

「洗面所と洋式のおトイレもあるデスよ!」

「こんな贅沢な部屋を時間調整次第で4泊もできるとか、地上ならあり得ないね」

「同意」

 

 

地上の旅館でこのクラスの客室に1人1泊する場合、宿泊費は大体15,000~30,000円くらいだったっけ?

 

間を取って22,500円とした場合、1人4泊で90,000円。それが1000ギニーだとするなら、ギニー/円為替は1ギニー=90円ってことになる。

 

けど、ちょっと待てよ。この店で一番安い小太刀が1500ギニーで、地上で取引されている本物の小太刀が安くても100,000円以上だと考えると、ギニー/円為替は1ギニー=66~67円になる。

 

四捨五入でキリのいい数字の1ギニー=70円で考えると、1人4泊70,000円(税込)で1泊17,500円(税込)が正しい金額になるのかな?4泊すれば1泊辺りの金額はかなり妥当な値段と言えなくもない。

 

けど、このカツオブシの間の利用費は先払いな上、極端な話だけど利用期間が1泊でも1人70,000円(税込)ということになる。

 

 

「………個室のマグロブシの間はこのカツオブシの間の倍額だよね?妖精の宿、マジで高級宿じゃん」

「命子さん、どうされましたの?」

「メーコ?」

「めーちゃん?」

 

 

妖精の宿を休憩所として利用費を日本円に換算した私が、考えていたことを思わず口に出してしまうと、広縁から景色を眺めていた3人が私の方に振り返った。

 

 

「いや、このカツオブシの間の利用費を日本円に換算したら、妖精の宿が冗談抜きの高級宿ってことが判明して、思わず声に出しちゃった」

「………どれくらいの金額になりましたの?」

「この店で販売されている武器と地上で販売されている本物の刀剣類の金額からギニー/円為替レートを計算してみたんだけど、大体1ギニー=70円になるんだ」

「………ドルよりギニーの方が円高」

「で、滞在時間を上手く遣り繰りして4泊した場合、1人1泊17,500円(税込)になる」

「……割と妥当な金額なのではないでしょうか?」

「けど、ここの利用費は一括先払い。つまり、極端な話だと1泊しか利用せずに先に進んだとしても、1人70,000円(税込)は支払うことになる。

私達の場合、4人だから280,000円(税込)を先払いしたことになるんだよね」

「「ッ!?」」

「にゃあーっ!!?」

 

 

………よくよく考えると、私達の着ている死覇装を始めとしたB級防具一式の地上での金額は2,800,000円ということになる。

 

で、さっき売り払った魔石やドロップアイテムの買取金額も含めた私達の所有平均ギニーは約103,000ギニー。日本円に換算すると――――

 

 

「7,210,000円?」

「め、命子さん?7,210,000円って、何の金額ですの?」

「………………………70で割ったら103,000ギニー?」

「ぶっちゃけると私達1人辺りの妖精カードに入金されている金額が大体それくらいね。あと、私達の防具一式の金額は1人辺り約40,000ギニー。日本円に換算すると――――」

「約2,800,000円ということですか?」

「そういうことになるね。ちなみに4人分の妖精カードの入金額を合計して、日本円に換算すると――――」

「……………………28,840,000円デスか?」

 

 

そういえば、魔鋼製滅竜刀なら買取価格が130,000ギニーって猫店長は言ってたし、店で販売する場合は買取価格の倍で表示するとも言ってたよね?

 

つまり、地上での真打シリーズの販売価値は18,200,000円相当。影打シリーズでも販売価値は7,280,000円相当。時雨シリーズは280,000円相当ということになる。

 

地上産の刀剣で保存刀に分類される刀剣の相場が100,000~1,000,000円であることを考えると、本物の刃物に可変する時雨シリーズが100,000円以上なのは妥当なのかもしれない。

 

地上産で特別重要刀剣に分類される刀剣の相場は、最低価格が5,000,000円以上で10,000,000円を超えるものが存在するから、真打シリーズと影打シリーズの査定も妥当に思える。

 

物質融合で強化済みの灰王の剣は、販売価格535ギニーで買取価格268ギニーだから、地上での販売価値は37,450円、買取価値が18,760円って所になるのか。

 

灰王の剣は妖精の宿で取り扱ってる既製武器より攻撃力が低く、素材によって値段がピンキリの木刀も安ければ2,000円前後で手に入るけど、変成魔法神代魔法を付与された上、魔物との戦闘にも耐えられる実用品だし、模造刀でも30,000~60,000円以上する物が存在するって考えると、かなり妥当な査定なのかもしれない。

 

ちなみに、生成魔法は鉱物に魔法や技能(スキル)を付与する魔法、変成魔法は既存生物を変質させ、強化することで魔物化する魔法だと思われがちだけど、正式な効果は全くの別物。

 

生成魔法は無機的物質に干渉する魔法で、変成魔法は有機的物質に干渉する魔法。

 

つまり、干渉できる物質に有機物と無機物の違いはあるけど、効果はほぼ同質と言えるもの。だから、有機物である木刀に干渉し、魔法を付与する場合は変成魔法で間違いない。

 

有機物と無機物が錬成魔法の物質融合で合成されている時雨シリーズの場合、生成魔法変成魔法のどちらでも魔法を付与できたりする。

 

ついでだから他の神代魔法も簡単に説明しておこうか。重力魔法は重力に干渉する魔法ではなく、星のエネルギーに干渉する魔法。

 

分かり易い例えは、「シャーマ●キング」の五大精霊を纏めた様な効果。つまり、その気になれば磁場を操ったり、氷河期を起こしたり、火山を噴火させたり、斥力や引力も操ることができる。

 

空間魔法は転移系魔法や収納系魔法の類ではなく、境界に干渉する魔法。

 

幻術と組み合わせれば、幻の実体化と実体の幻化といった「家庭教師ヒット●ン REBORN」に登場する六道骸の幻術を凌駕する能力になりえる。

 

再生魔法は有機・無機に関係なく損壊を修復する魔法ではなく、時に干渉する魔法。

 

壊れた物質の時間を巻き戻して元の状態にするだけでなく、修繕された物質の時間を巻き戻すことで損壊した状態にすることもできる。あと、過去視や未来視にも使える。

 

魂魄魔法は生物の魂魄や精神に作用する魔法ではなく、生物の持つ非物質に干渉する魔法。

 

生物の持つ非物質には魂魄以外に魔力や体温、思考、記憶、感情も存在するから、単体で使用する神代魔法の中では1、2を争うヤバい魔法だと私は思っている。

 

代表的な使用例として、重力魔法の使い手であるミレディ=ライセンが「鋼●錬金術」のアルフォンス=エルリックみたいに無機物へと魂を定着させていたけど、魔力量次第では「封神●義」の始まりの人みたいに魂魄体での活動も可能なのではないかと思う。

 

あと、「聖闘●星矢」に登場する蟹座の黄金聖闘士が得意とする積尸気冥界波とか積尸気鬼蒼焔積尸気魂葬波積尸気転霊波も使えると思う。

 

昇華魔法は使用対象の全能力を昇華(最低でも1ランク進化)させる魔法ではなく、情報に干渉する魔法。

 

魔力量に応じて閲覧済の情報に対して情報干渉ができるみたいなんだけど、多分使い様によっては遺伝子情報に干渉して遺伝子病を治したりすることもできるんだと思う。

 

あと、再生魔法の時間干渉と昇華魔法の情報干渉を組み合わせれば、魔力量次第で「BLE●CH」のブック・オブ・ジ・エンドや全知全能(ジ・オールマイティ)の再現も可能かも?

 

閑話休題。ささら達は自分達の所持品並びに所持金の地上での価値(仮)を知って、カタカタと震え出した。これはフォローしといた方が良さそうかな?

 

 

「………まぁ、ダンジョンは命を奪われる危険性が高いから、地球さんから危険手当的な恩恵があるのかもしれないね。

だから、探索と魔物のドロップアイテムで得られる収益が多いと割切ればいいんじゃない?」

「………メーコ。2,800,000円の防具一式については?」

「私も詳しくは無いけど、着物で高い物だと1,000,000円越えするのも普通にあるみたいだし、防具に関しては気にするほどのことでもないんじゃない?特にささらは普通に着たことありそうだし」

「確かに、本加賀友禅の留袖など作者次第では3,000,000円近い値が付けられている物もありますけど、10代の女性が着る紬や振袖で1,000,000円を越える物は殆どありませんわ。

それに私自身、この死覇装を着るまで3,000,000円近くの高価な着物を身に着けたことなど一度もありませんわ」

「それじゃあ、単純に防御力の高い防具=生存確率が高いと考えて、私達は2,800,000円でダンジョンでの生存確率を買ってるとでも思えばいいんじゃない?気休め程度にはなると思うよ?」

「…………ファンタジーは金銭感覚クラッシャー」

「言い得て妙だね。紫蓮ちゃん」

 

 

まさか、案内された客室でギニー/円為替の大凡の額だけでなく、私達が金銭感覚の狂った買い物をしていたことまで判明するなんて、思ってもみなかった。

 

というか、ダンジョンでの探索と魔物討伐で得られる収益も、よくよく考えると金銭感覚を崩壊させる事柄だよね。

 

昨日今日の戦闘で手に入った魔物のドロップアイテムと魔石を売買して得られた金銭と、宝箱で手に入れたギニー貨幣を合わせた収益は約57,000ギニー。日本円で3,990,000円。4人で割っても1人当たり997,500円。

 

無限鳥居ダンジョン初日の活動時間は大体10時から17時40分までの約7時間40分。2日目の活動時間は5時40分から18時30分までの約12時間50分。総合活動時間は約20時間30分。

 

ギニー貨幣の入った宝箱と遭遇できる可能性は運次第だけど、私達が無限鳥居ダンジョンで得られた金銭を時給で換算すると、四捨五入して1人辺り695ギニー。日本円で換算すると時給約48,650円。

 

時給50,000円近く稼げる仕事で思い浮かぶのって、闇●ウシジマくんの廃人になる可能性がある合法の仕事だよね。

 

やっぱり、ダンジョンで得られる収益には、地球さんによる恩恵で(精神的にではなく生命的な意味での)危険手当があるように思える。

 

何はともあれ、こんなことが地上で公になれば、ダンジョン産の武器防具を地上で転売しようと目論む金の亡者によって、現代のゴールドラッシュといえる現象が起こるかもしれない。

 

多分、金の亡者は目先の利益に目が眩んで、魔物の危険性を考えずにダンジョンに入る様な気がする。

 

そして、ダンジョン内で最弱のバネ風船のワンパンで殺されるだろうから、世界規模で行方不明者が続出する可能性がかなり高い。

 

…………地上に戻ったら翔子さんと礼子さんに、私が危険視しているダンジョンゴールドラッシュ現象の危険性を説いて、防衛省の上層部経由で政府から公表して貰うようにした方がいいかもしれない。

 

 

「…………言い出しっぺの私が言うのも何だけど、1ギニー=70円っていう為替レートも正しいとは限らないし、お金関連のことを考えるのは止めよう。

そんなことより私達が今すべきことは、お風呂に入って、ご飯を食べて、気分をリフレッシュした後に瞑想しながら全集中の呼吸の精度を上げる鍛錬を行い、明日に備えて体をしっかり休めることじゃない?」

「………ですわ!」

「デス」

「ん」

 

 

そんなこんなで私達は部屋に用意されていた浴衣を持って、妖精の宿ご自慢の大浴場へと向かうことになった。

 

ちなみに大浴場では特に変わったことは無かったよ。服を脱いでいる時、地獄のような沈黙が脱衣所を支配したり、予想外にもルルが皆とお風呂に入るのを少し恥ずかしがってたのが意外だったかな?

 

浴場でささらとルルが背中の流し合いをしてたけど、これも特に変わったことは無かったかな。

 

え?ささらとルルが背中だけでなく互いの前の流し合いをしなかったかって?そんなこと常識的にする訳ないでしょ。悪ノリで誰かが唆さない限り、地球さんを祝福するピュア娘2人組がそんなことをする訳ありません。

 

大浴場から上がった後、私達は浴衣に着替えて、部屋に戻る前にカウンターでチェックイン時に貰えたお食事券を使うことを猫店長に伝えるついでに、ダンジョンの地図が売ってないかの確認を行った。

 

 

「勿論取り扱ってるニャ」

「流石は万屋、いい仕事してるね」

「ダンジョン地図のランクは松竹梅となってるニャ」

「梅のダンジョン地図はどんな地図なの?」

「梅は白紙の地図を自分達で埋めていく地図ニャ。所有者の進んだ道が自動的に描き足されていく仕様になってるニャ」

「それじゃあ、竹のダンジョン地図は?」

「竹はダンジョン全体の道が記載されてるニャ。最短距離でボスの場所まで行くなら必須のアイテムだニャ」

「松は?」

「松はダンジョン全体の道だけでなく、魔物の出現場所や出現数、再出現時間、SR~Nの宝箱がある場所まで事細かに記載されてるニャ。魔物との戦闘を避けてボスの場所まで行くなら必須のアイテムだニャ」

「………お値段は?」

「梅が100ギニー、竹が2,000ギニー、松は60,000ギニーだニャ」

「……………松地図の値段、ヤバいね」

「運が良ければ記載されてる宝箱の中身で元が十分取れるから、かなり良心的な値段だニャ」

 

 

いや、言われてみればそうなのかもしれないけど、高いものは高いよ。約20時間30分で稼いだ約57,000ギニーでも届いてない金額じゃん。

 

 

「皆、どうする?松地図を買えば魔物の出現場所と出現数、再出現時間が分かるから、皆のレベリングが効率良くできる様にはなるけど?」

「松一択」

「ですわね」

ニャウ(うん)!」

「レベリングの為、態と魔物が出現している場所へと向かうのに松のダンジョン地図を利用するとは思ってもいなかったニャ」

「それじゃあ、猫店長。松地図を1つ頂戴。支払いは――――――」

「私達4人の妖精カードから15,000ギニーずつでお願いしますわ」

 

 

私が自分の妖精カードから一括で支払おうかと思っていたら、ささら達も妖精カードを出して、割勘で支払うことになった。

 

 

「毎度ありニャ。ところでお食事券で頼む料理は何にするニャ?」

「私は小鍋定食で」

「私は杵ウサギの南蛮風唐揚げ定食にしますわ」

「私は天ぷら定食デス!」

「我は杵ウサギのシャリアピンステーキ定食で」

「畏まりましたニャ。料理は出来上がり次第、部屋までお持ちしますニャ」

 

 

夕食の注文を終えた後、私達は部屋に戻ると方形卓袱台に松地図を広げ、料理が届くまでレベリングの為の作戦会議を行った。

 

 

「魔物の出現場所だけでなく、出現数と再出現時間まで分かるとレベリングも効率よくできる。妖精の宿からの移動時間も考慮して、候補の場所を探そう」

「………魔物の出現数はこの1つ目のは山より橋を渡った先にある2つ目の山の方が多いですわね」

「ここでは多くても5体しか出なかったデスが、2つ目の山は5体が最低数みたいデスね」

「……多ければ10体出る場所もある」

「地図で分かるのは道筋だけで道の状態までは分からないから、悪路で移動時間が掛かることも想定して予定を決めないといけないね」

「なら、2つ目の山を探索するなら橋から近い山の麓がベストですわね」

ニャウ(うん)!」

「ん」

 

 

この後、未遭遇の魔物が現れた場合の対処法なども話し合い、キリのいい所で夕食が届けられたのでその時点で作戦会議を打ち切った。

 

運ばれてきた夕食は、初日に食べた素人料理である杵ウサギの串焼きとは段違いで、正しくプロの料理人が作ったダンジョン料理という見た目だったので味にもかなり期待できた。

 

注文したのが全員定食だったこともあってご飯と漬物、汁物は付いていたので、主菜を方形卓袱台の中央に寄せて、皆で分け合って食べた。

 

夕食を食べ終えた後、小休止で御品書きに目を通し、小休止を終えた後、ささら達は瞑想しながら全集中の呼吸の鍛錬を行い、私は3人の武器のメンテナンスを念の為行っていた。

 

そして、地上時間での23時頃には畳の上に布団を敷き、4人仲良く眠りに就いた。

 

 




アンケート内容
①【ささら達のボス攻略LVもとい無限鳥居の安全マージン】
(キャラクター設定~第14話のあとがき後で実施中)
・原作通りLV12
・原作より少し高いLV15
・原作より割と高めのLV20
・原作よりかなり高めのLV25
・原作8章超えのLV30



②【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
(第15~16話のあとがき後で実施中)
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法変成魔法で強制レベルアップ


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第17話

はい、皆さん。こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー、大筒木朱菜です。

今回は命子ちゃんの秘密の夜の魔物狩りの話です。(笑)

あとがきには現時点で強さ表と、現在実施中のアンケートについて書いています。

あとがきまで良ければお付き合い下さい。










※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能スキルと統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=Nノーマル。銅色宝箱=Rレア。銀色宝箱=SRスーパーレア。金色宝箱=SSRスペシャルスーパーレア。緑、青、赤等の色付き宝箱=URウルトラレア。虹色宝箱=SEシークレットレアになっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

妖精の宿での宿泊初日深夜帯。ささら達が熟睡している中、私は気配遮断技能(スキル)を使いながら布団から抜け出すと、装備一式を身に着けて部屋から抜け出した。

 

 

「ニャニャ?こんな時間帯に何処かへお出かけかニャ?」

「武器と防具の強化素材が欲しいから、ちょっと夜の魔物狩りに行ってきます。他の3人には内緒にして置いて下さい」

「短時間で大量の魔物を狩るなら丁度いいアイテムがあるニャ」

「何?」

「普通ならお勧めできないアイテムだニャ」

 

 

猫店長はそう言うと、カウンターの上にトローチくらいの大きさの錠剤を1つ置いた。

 

 

「休憩所以外のダンジョン内で砕くと、1時間魔物を引き寄せ続ける撒き餌だニャ。お嬢ちゃん以外の3人には絶対に売らない代物だニャ」

「…………おいくら?」

「元々売り物になるとも思ってなかった代物ニャ。50ギニーでいいニャ。」

「支払いは妖精カードで宜しく」

 

 

私が撒き餌を買い終えると、店から出る私を猫店長は何も見てないと言わんばかりに、視線を外してくれた。

 

妖精の宿から出立した私は、全集中の呼吸を使いながら全速疾走し、1~2分で2つ目の山へと繋がる橋の手前に到着した。

 

橋の手前には未確認の魔物である火を纏った鼠―――多分、かぐや姫の話に登場する火鼠の皮衣の素材っぽい魔物や手が鎌になった鼬―――多分、鎌鼬の妖怪っぽい魔物が4体ほど確認できた。

 

 

「シィィィィ………。全集中、雷電型(イカヅチノカタ) 二式・改〝霹靂一閃・神速四連〟!」

 

 

4体の魔物が私に気付くより早く、私は最速でその首を斬り落とす。首を斬り落された魔物は即座にドロップアイテムと魔石に姿を変えた。

 

ドロップアイテムは火鼠の皮が2つと鎌鼬の皮が1つ、鎌鼬の鎌が1つだった。鎌鼬の鎌は強化素材として即座に錬成魔法で滅竜刀・雷光に物質融合した。

 

滅竜刀・雷光の強化を終えた所で撒き餌を砕くと、ものの数秒で山の斜面を下る様に魔物が集まって来た。

 

確認済みの魔物が大半だけど、ミノタウロスのような未確認の魔物―――多分、牛鬼やぬっぺふほふ、大百足も現れた。

 

撒き餌ということもあって、集まって来た魔物も結構な数だ。パッと見た感じ、20~30体といった所かな?

 

 

「シュゥゥゥゥ………。全集中、大蛇型(オロチノカタ) 五式〝蜿蜿長蛇〟!」

 

 

撒き餌の効果で魔物が集まってくる時間はたったの1時間。少しでも多くのドロップアイテムを手に入れる為、私は出し惜しみせずに適材適所の呼吸を全力で使い、まずは夜の魔物の中でも雑魚に相当する魔物と相対する。

 

〝蜿蜿長蛇〟独特の蛇行で雑魚をすれ違い様に斬り捨て、雑魚を駆逐し終えると次は大型の魔物と順番に相対する。まずは昨夜も現れた複数体の惡鬼(おに)だ。

 

 

「シィァァァ………。全集中、虚空型(オボロノカタ) 三式〝塵旋風・削ぎ〟!」

 

 

惡鬼(おに)はミートチョッパに入れられた塊肉みたいに容易くミンチとなってしまい、魔石とドロップアイテムだけを残して残骸を消失させた。次の標的は大百足と大蜘蛛。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ………。全集中、水龍型(ミズチノカタ) 二式・改〝水車一閃〟!」

 

 

〝霹靂一閃〟の踏込による加速から〝水車〟の斬撃へと繋げる混成接続剣技。

 

「進撃●巨人」のリヴァイ=アッカーマンが無垢の巨人の体を回転斬で斬り刻む様に、私は〝水車一閃〟で大百足の体を斬り裂いて行く。

 

大百足の体を斬り裂き終えると、その後方から迫って来ていた大蜘蛛に対して間髪入れずに攻撃を仕掛ける。

 

 

「炎槍、炎弾!一斉掃射!!」

 

 

今更だけど私は自分の周囲に六属性の魔導書を常時浮遊させていて、いつでも魔法を放てるように攻撃待機させていたので、蟲系魔物に対して効果的そうな炎攻撃を大蜘蛛に向かって連続発射する。

 

炎攻撃は私の予想通り大蜘蛛に対して効果的で、炎槍で地面に張り付けられた大蜘蛛は十数発の炎弾攻撃であっさりとくたばった。

 

大百足と大蜘蛛を処理し終えると、次はぬっぺふほふが標的だ。見た目は肉の塊。もしかしたら「北斗●拳」のハート様や「るろう●剣心」の夷腕坊みたいに衝撃を吸収する能力を持っているかもしれない。

 

取り敢えず、剣術で倒せるか試してから、無理そうなら攻撃手段を魔法に変更しよう。

 

〝塵旋風・削ぎ〟と似た様な性質でありながら、破壊力が段違いな首ごと体を抉り斬る焔燃型(カグツチノカタ)の技。

 

 

「コォォォォ………。全集中、焔燃型(カグツチノカタ) 十式〝煉獄〟!!」

 

 

〝煉獄〟が直撃したぬっぺふほふは、「BLE●CH」でバーナーフィンガーを喰らった吉良イヅルみたいになった。

 

予想では斬撃の威力が少しは減衰される筈だったんだけど、斬った感触は凄く柔らかくなるまで煮こまれたラフテーを斬ったような感じで拍子抜けした。

 

〝煉獄〟の破壊力が絶大だったのか、それともぬっぺふほふが見た目だけの張りぼてで、実はぬっぺふほふが夜の魔物で紙防御力の最弱雑魚魔物だったのか。

 

ぬっぺふほふの次は牛鬼が相手だ。全長2m50cm以上の牛鬼は身の丈ほどの大刀―――というよりかは斬馬刀?形状は「NAR●TO」に登場する霧の忍刀七振りに数えられる断刀・首斬り包丁に似た武器を持っている。

 

見た目の大きさに反して、力任せに振り降ろされる断刀もどきの速度は意外と速く、雷光で受け止めた一撃も私の足と接地している地面が砕ける威力を有していた。

 

この牛鬼は私が今まで出会った夜の魔物の中で最強と呼べる存在だ。まぁ、その現時点で最強の魔物の一撃でも私は無傷なんだけどね。

 

自分で言うのもなんだけど、イメージ的には「るろう●剣心」のvs破軍(乙)の不二戦での比古清十郎と同じくらいの強者感が今の私にはあると思う。

 

牛鬼は初撃を受け止められると思っていなかったのか、二撃目以降は崩山剣舞と言わんばかりに断刀もどきを闇雲に振り回してきた。

 

「鬼滅●刃」の竈門炭治郎が上弦の陸である堕姫の帯を捌く様に、私も闇雲に振り下される断刀もどきの攻撃を雷光で捌き続ける。

 

そして、捌かれた断刀もどきが勢い余ってその刀身を地面へと減り込ませた瞬間、私は攻勢に出る。

 

 

「ホォォォォ………。全集中、月詠型(ツクヨミノカタ) 六式〝常世孤月・無間〟!」

 

 

月輪を纏う縦方向に弧を描いた無数の斬撃を放つと、牛鬼はいとも容易く斬り刻まれ、ドロップアイテムと魔石を残してその体を消失させた。

 

撒き餌のお陰というべきか、私が牛鬼と戦っている間におかわりの魔物が集まっていたみたいで、中にはこれまた初見の全長150cmは有りそうな進化系市松人形が複数体含まれていた。

 

 

「………流石に人間大の市松人形はホラーでしかないね」

 

 

市松人形(大)が持っている武器は個体ごとに異なっていて、市松人形(小)と同じ脇差の個体もいれば、大刀の個体や薙刀の個体、槍の個体もいた。

 

市松人形(大)は市松人形(小)と同じ様に浮遊した状態で、一般的な成人男性が全力疾走する位の速度で一斉に襲い掛かって来た。

 

一対多数での戦闘を得意とする武術の知識が私には複数ある。その1つは飛天御剣流を源流とし、呼吸術と組み合わせた鬼滅流飛天型(ヒテンノカタ)。もう1つは――――

 

 

「シュフゥゥゥゥ………。全集中、千手型(センジュノカタ) 終式〝千刀巡り〟!」

 

 

千手型―――源流であり、「刀語」に登場する千刀流の基本戦術は奪刀術。そして、本来の〝千刀巡り〟は四季崎記紀が造り出した完成形変体刀・千刀〝(ツルギ)〟との共同合作奥義。

 

けど、先輩転生者であるリクオ先輩は〝千刀巡り〟を、一対多数での戦闘で相手が武器を持った状態であれば、最大限の効果を発揮する奪刀術の究極形であり、別に完成形変体刀・千刀〝鎩〟が無くても使えるという結論に至ったみたいで、私がリクオ先輩から得た戦闘知識では千手型(センジュノカタ)の奥義に当たる終式となっていた。

 

閑話休題。私は向かってくる市松人形(大)の武器を奪い取ると、そのままその武器を使ってカウンター攻撃を仕掛けて返り討ちにした。

 

カウンター攻撃は全部突き技になったんだけど、確実に相手を仕留める為に天神型(イザナギノカタ) 鉄ノ秘剣一式〝虎穿〟を併用して破壊力を上げておいた。

 

まぁ、槍や薙刀相手のカウンター攻撃は〝虎穿〟というより、どちらかというと〝ブラッディースクライド〟みたいな感じになったけどね。

 

言い忘れてたけど、市松人形(大)以外に一反木綿や提灯お化けなども現れていた。まぁ、一反木綿や提灯お化けは夜の魔物の中でも弱小に分類される魔物みたいで、瞬殺できたんだけどね。

 

あっ、一反木綿に関しては倒すのに少しだけコツがいるかも。例えるなら上弦の陸である堕姫の帯みたいな感じだからね。強靭だけどしなやかで斬り難いみたいな?

 

兎に角、撒き餌を撒いてからの1時間は、それなりに厄介なのから大したことないのまで、色々な魔物を斬り伏せ続けた。

 

ちなみに厄介な魔物は牛鬼や市松人形(大)のことじゃないよ。出現時はマネキンみたいな姿だったんだけど、対峙した瞬間に私やささら、ルル、紫蓮ちゃんの姿に変化して攻撃してくる魔物だった。

 

しかも、ささらやルル、紫蓮ちゃんの姿に変化した魔物は、現時点での3人を凌駕する戦闘技術を持っていたんだ。

 

全集中の呼吸は使ってこなかったけど、3人が使ったことのある繚乱型土公型鈿女型の型式剣技は使って来たから、少しだけ驚かされた。

 

私の姿に化けた魔物も私が無限鳥居に入ってから使った鬼滅流の型式剣技を使って来たからね。まぁ、私の偽者は戦闘能力も戦闘技術も、私の3割以下でしか再現できてなかったけど。

 

多分、この魔物はダンジョンに入って来た生物の能力を一定数値まで向上させた上で、戦闘技術も一定レベルまで再現できるのかもしれない。

 

例えば、装備品のバフ込みで呼吸術を使用しないささら達の戦闘能力値を280とした場合、偽物の最大戦闘能力値は750ってところかな?

 

私は呼吸術や魔法による身体強化抜きで2000くらいが妥当かも?基礎戦闘能力が魔王ハジメ+星脈世代(ジェネステラ)だし。

 

取り敢えず、見た目が仲間に変えて攻撃してくるから、精神的な意味で戦い辛くはあった。

 

あっ!あと、この魔物は完全に物理近接戦闘型。私がダンジョンに入ってから使った神代魔法を、私の偽物は一切使って来なかったからね。

 

まぁ、この偽物―――モシャス魔物がダンジョンの生み出した試作品の魔物という可能性もあるから、時間が経てば、私を完全再現できるモシャス魔物が現れる可能性もあるかも知れない。

 

………自分で言っといてなんだけど、完全再現モシャス魔物はかなりヤバいね。どこぞの戦闘狂なら再現された時点での自分を凌駕すれば問題ないっていうと思うし、私もその意見には同意するけど、私以外の人間が3割再現の偽私を相手にするのは結構キツい気がする。

 

………………まぁ、何はともあれ1時間の間にかなりの魔物が集まってくれたおかげで、かなりの素材が手に入った。妖精の宿に戻ったら、この素材を使って皆の武器や防具を強化しよう。

 

ちなみに魔物を斃した時に手に入るドロップアイテムをどうやって回収していたかというと、空間魔法を使って回収していました。

 

 

 




アンケート内容
①【ささら達のボス攻略LVもとい無限鳥居の安全マージン】
(キャラクター設定~第14話のあとがき後で実施中)
・原作通りLV12
・原作より少し高いLV15
・原作より割と高めのLV20
・原作よりかなり高めのLV25
・原作8章超えのLV30



②【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
(第15~16話のあとがき後で実施中)
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ



③無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
(第17話のあとがき後で実施中)
・八岐大蛇幻影体・劣(戦闘能力値:1500?)
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・強(戦闘能力値:3400?)←5つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首


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第18話(一部編集 2023/03/01)

はい、皆さん。こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー、大筒木朱菜です。

今回は命子ちゃんとささらちゃんの2人の視点でお話をお送りします。(笑)

あとがきには現時点で強さ表と、現在実施中のアンケートについて書いています。

あとがきまで良ければお付き合い下さい。










※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

夜の魔物狩りを終えた私は妖精の宿に戻ると、1時間で稼いだ魔石を全部買い取って貰った。

 

 

「買取金額は〆て87,000ギニーになるニャ」

 

 

1時間で狩り続けた魔物の数は100体以上。一晩で100人の傭兵を斬り伏せた某傭兵団の100人斬りの斬り込み隊長を上回る偉業だと思うね。

 

魔石の価値は魔物の強さによって異なるんだと思うけど、買い取って貰った魔石を個別査定して貰った訳でも無いから、詳しい価格差は分からない。

 

取り敢えず、夜の魔物の魔石の平均買取価格は1体辺り約870ギニー、日本円で60,900円。っていうか、時給6,090,000円とか、危険手当で割高給料だとしても凄い金額だね。

 

私は遣り難い相手と思うことはあっても、命の危機を感じる敵が居なかっただけに、こんな大金を貰えるとなると金銭感覚が崩壊しそうになるよ。

 

………まぁ、現時点でのささら達じゃ瞬殺されるとまでは言わなくても、95%以上の確率で殺されそうだから、夜の魔物狩りはお勧めできないかな。

 

魔石の買取終了後、武器と防具を強化する為の情報――――というか、基礎知識が記された指南書と、素材ごとに得られる強化値が確認できるモノクル型の魔道具を購入。

 

残金を妖精カードへと入金して貰った後、私は気配遮断技能(スキル)を使った状態で客室まで戻り、今まで手に入れたドロップアイテムを使って武器と防具の強化を始める。

 

指南書曰く、使用する素材元である魔物の強さで得られる強化値が異なる上、魔物の牙や爪などの素材も金属系武器の強化素材として使えるらしい。

 

布系防具に魔物の毛皮を組み合わせて強化するのは理解できるけど、金属―――鉱物を利用した武器に魔物の牙や爪を組み合わせて強化するとか、普通なら理解できないよね。完全にモンハンの武器みたいじゃん。

 

4人分の武器と防具を公平に強化したかった私は、モノクルを使いながら滅竜刀シリーズの強化値を+20まで上げ、死覇装を始めとする防具類一式は強化値+10まで上げた。

 

宝物庫内に保管していたドロップアイテムの比率が、武器強化素材より防具強化素材の方が多かった為、どうにか防具類一式全てを強化値+10まで上げることができたって感じだった。

 

ルルが今日中にでも全集中の呼吸技能(スキル)化すると想定して、滅竜刀・爆雷を優先強化した為、連鎖小太刀型の時雨の強化には中途半端に余った素材を使うことになって、強化値+3に留まっちゃったけどね

 

ちなみに、魔導書系装備には魔本の紙片や提灯お化けの残骸といった紙系素材で強化を行った。

 

………そういえば、ささらの技能(スキル)には防具性能上昇(小)っていうのがあったけど、死覇装を含む全防具の強化値を+100まで上げた上で、防具性能上昇(極)に至ったら、どのくらいの防御力になるんだろう?

 

少なくとも死覇装を含む全防具の強化値が0の状態で、紫蓮ちゃんとルルがささらの繰り出す杵柄ソード(当然、強化値0)による全力攻撃(剣技(ソードスキル)呼吸術なし)を喰らってもノーダメだった。

 

ささらに至っては防具性能上昇(小)が二重に働いてるとはいえ、紫蓮ちゃんやルルの灰王の剣による全力攻撃(当然、剣技(ソードスキル)呼吸術なし)を喰らってもノーダメ。

 

多分、原付と交通事故に遭っても原付側が一方的に損害を被るだけで、ささらは無傷だったりするのかもしれない。

 

死覇装の限界強化値は+200で、羽織や外套の限界強化値は+250だから、そこまで強化し終えた状態なら、ささらの場合は大型車と交通事故に遭っても無傷な可能性が十二分にあり得るかも?

 

閑話休題。明日は4時には目を覚まして、1時間で身支度や朝食を終え、5時には店を出てレベリングをする予定だから、現時点で睡眠時間も3時間を切ってるし、やることもやり終えたから早く寝てしまおう。

 

 

 

【視点:ささら】

 

 

 

地上時間AM4:00―――無限鳥居ダンジョンでの日の出まで残り1時間という時間帯にスマホの目覚ましアラームが鳴り出し、私達は目を覚まします。

 

 

「………皆さん、おはようございますわ」

「………おはようデス」

「……おはよう」

「おはよう。今日のレベリング、頑張っていこう」

 

 

朝の挨拶を交わし終えると、それぞれに身支度を始めます。命子さんの指示で、洗面所を利用する順番は紫蓮さん→私→ルルさん→命子さんに決まりました。

 

紫蓮さんが洗面所で洗顔と歯磨きなどをしている間、私はダンジョン活動前のストレッチを始め、ルルさんは私の補助。命子さんは全員分の布団を折り畳んで片付け始めます。

 

紫蓮さんが洗面所から出て来ると、入れ替わりで私が洗面所へと向かい、ルルさんがストレッチを始めて、命子さんがルルさんの補助。

 

紫蓮さんは命子さんの指示で全集中・常中へと至る為、軽く全集中の呼吸の継続鍛錬を始めます。

 

あとは洗面所を利用する人の順番で、朝の身支度の役割がスライドしていく形となる訳なんですが、全員が身支度を終えた後、朝食前に4人で話し合い、妖精の宿を含めた休憩所を利用した時の朝の定番行動にすることが決定いたしました。

 

朝食を取り終え、地上時間AM5:00―――無限鳥居ダンジョンでの日の出時間となって、妖精の宿の外に配置されている灯籠に灯った青白い炎が消えると、私達はレベリングの為に店を発ちます。

 

朝食を終えてから店を発つまでの間、妖精の宿で購入した迷宮地図(松)に目を通し続けていた命子さんが声を上げます。

 

 

「この無限鳥居ダンジョン、時間帯別で魔物の出現率と場所が変動するのかも」

「いきなりどうしたデス、メーコ?」

「昨夜、確認した場所は2つ目の山の麓だったでしょ?」

「ええ」

「今、確認したら…………」

「………2つ目の山であることは変わりないけど、レベリングに適した狩場が中腹寄りになってる」

「往復時間を考えると、レベリングに使える時間が減るから、移動時間を短縮する為にも急ぎで行こう」

「どうやって行くデスか?」

「ルルはライオネルで獣化した上で高速移動を使って走って、ささらと紫蓮ちゃんは全集中の呼吸を使いながら全力疾走ね。じゃあ、行くよ」

 

 

命子さんはそう言うや否や、一瞬の内に姿を消してしまいました。

 

 

「えっ?」

「め、メーコが消えたデス!?」

「あっ!もう胡麻粒みたいに見える距離まで移動していますわ!!」

「早ッ!!」

「…………これが羊谷命子という陰の実力者の力の一端」

「紫蓮さん、そんなことを言っている場合ではありませんわ。早く追いませんと」

 

 

この後、私達は全速力で命子さんを追いかけ、1時間も掛けずに2つ目の山の中腹近くまで辿り着きました。

 

 

「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ………」」」

 

 

ここまで全力疾走していた私達は息を切らしてしまって、呼吸を整えるのに小休止している状態です。

 

特にルルさんはライオネルの持続時間が10分だけな上、全集中の呼吸が不完全なせいで、朝食で食べた物を今にも戻してしまいそうな状態です。

 

私達とは真逆に命子さんは息も乱さず、平然としています。私達も全集中の呼吸の錬度を上げれば、命子さんみたいに平然としていられる様になるのでしょうか?

 

息を整えるのに10分程の時間を費やした後、私達は魔物のいる場所まで移動し始めます。

 

 

「……そういえば、この無限鳥居ダンジョンの魔物には縄張り意識でもあるのかな?」

「それは一体どういうことですの?」

「いや、私が最初に入った風見ダンジョンではバネ風船や魔本が徘徊してたけど、この無限鳥居ダンジョンでは私が移動しないと魔物と遭遇することが無かった気がするし、魔物の編成を確認するのに身を隠して様子を見たことがあるけど、徘徊する様子も無かったでしょ?」

「………言われてみれば―――」

「―――そんな気がするデスね」

「それにこの無限鳥居ダンジョンの松地図にも魔物の出現場所が円形の囲いで表示されてるし、無限鳥居ダンジョンでは基本的に魔物の出現、及び活動場所が固定されてるのかも知れないね」

「基本的に、ということは例外もあると命子さんは考えていますの」

 

 

命子さんの何気ない発言から私の気になる点を質問してみると、命子さんは苦笑しながら答えてくれました。

 

 

「戦闘中に私達が負傷して撤退したら、魔物はどんな行動をすると思う?」

「追撃して来る」

正解(エサクタ)!紫蓮ちゃんの言う通りだよ。私が魔物なら外敵の脅威を排除する為、縄張りの外に出たとしても追い続けて、確実に止めを刺すね」

「………何語?」

正解(エサクタ)はスパイン語で正解って意味デスよ、シレン」

 

 

命子さんの口から唐突に飛び出したスパイン語に目を白黒させる紫蓮さんと、何語であるか教えてあげるルルさん。

 

それはさて置き、確かに命子さんの言うことには一理ありますわ。ダンジョンは弱肉強食の世界なのですから、追い打ちを掛けるなんて卑怯卑劣でもなく常識なのかもしれませんわ。

 

 

「あと、深夜帯に目を覚ました時、猫店長とダンジョンでの世間話をしたんだけど、ダンジョンには撒き餌ってアイテムが存在するみたい」

「撒き餌、ですか?」

「うん。地上のトローチくらいの大きさの錠剤?みたいなんだけど、それを砕くと1時間も周辺の魔物が餌に群がる蟻みたいにワラワラと寄ってくるみたい」

「「「……………ヒエッ!!」」」

「ダンジョン内の宝箱で手に入る可能性もあるみたいだから、手に入れたとしても砕かない様に気を付けないといけないね」

 

 

……つまり、無限鳥居ダンジョンの魔物が縄張りの外で活動する条件は、敵を追撃する場合と撒き餌を使われた場合という訳ですわね。

 

 

「……命子さん。ちなみに今の私達が撒き餌を使用した場合、集まる魔物に対処し切れると思いますか?」

「…………松地図を見る限り、狩場予定地の近くに点在する魔物の総数は1km四方の範囲で40体前後。それが集まって来るのに時差があったとしても、今のささら達だったら自殺行為だと思うよ。

あと、撒き餌に魔物のリポップ短縮効果とかがあったら更に最悪だね。99%の確率で蹂躙されるだけだと思う」

「残りの1%は何ですの?」

「漫画やラノベ、アニメ的な展開で生命の危機に瀕した3人が自分の潜在能力を覚醒させて、無双展開に突入する可能性が1%」

「メーコだけなら生き残れるデスか?」

「1時間程度なら100体押し寄せて来ても返り討ちにできる自信はある」

 

 

100体の魔物を返り討ちにできると語った命子さんの目には強がりなどの色は一切見えず、自信に満ちたものでした。これが全集中の呼吸を極めている者の貫録というものなのでしょうか?

 

 

「そろそろ魔物と遭遇する頃合だから、お喋りも終わりにしようか。今回の狩場は魔物が6体出現して、20分置きにリポップする場所だから、1人2体で1体討伐するのに掛けられる時間は10分くらいだね」

「メーコは魔物狩りに参加しないデスか?」

「今回のレベリングは3人の為のものだからね。私は基本的には不参加。けど、私も試してみたいことがあるから、中・遠距離から援護することもあるし、初見の魔物相手なら普通に参加するかな」

「………少しでも羊谷命子に近付く為、魔物を狩りまくる」

「ですわね」

ニャウ(うん)!」

 

 

今日の魔物との戦闘に命子さんが基本的に不参加ということで、私達は気を引き締めて戦いの場へと向かうことにしました。

 

目的地には地図に書かれていた通り、6体の魔物―――杵ウサギが3体、市松人形が2体、魔本が1体待機していました。

 

 

「今回、私は戦闘指揮もしないから、3人で頑張ってみて」

「「「ッ!!?」」」

 

 

戦闘前に命子さんの急な発言にギョッっとする私達。今まで命子さんが陣形を考えたり、指示を出していたので、驚かずにはいられませんでした。

 

 

「…………羊谷命子が指揮をしないなら、指揮者にはささらさんが適任だと思う」

「紫蓮さん?」

ニャウ(うん)!私もシレンと同意見デス」

「ルルさん!?」

「ささらさんはこの一党(パーティ)で羊谷命子に次ぐリーダー資質を持ってる。自信を持って」

「……………分かりましたわ。では、魔物を斃す順番を決めます。まず、遠距離攻撃が厄介な魔本から倒しましょう。

ライオネルが使えないとはいえ、瞬間的な速度なら3人の中で最速のルルさんが魔本を斃して下さい」

ニャウ(うん)!」

「魔本の次に厄介なのは刃物持ちの市松人形です。滅竜武装に装備を切り替えた私と紫蓮さんなら昨日よりも早く倒せると思うので、杵ウサギより先に仕留めましょう。残った杵ウサギは最後に確固撃破」

「了解」

 

 

命子さんが不参加な状態で最適と思われる作戦を話すと、ルルさんと紫蓮さんは同意してくれた。

 

無限鳥居ダンジョンに入って命子さん抜きの初めて戦闘。私達は数回深呼吸をした後、魔物目掛けて一気に駆け出しました。

 

ルルさんは高速移動と猫の様なしなやかな動きで杵ウサギと市松人形をすり抜け、魔本の所まで向かいます。

 

私と紫蓮さんも杵ウサギをすり抜けて市松人形の所まで向かい、攻撃を仕掛けます。

 

 

「フゥゥゥゥ………。全集中、繚乱型(リョウランノカタ) 二式〝御影梅〟!」

「ゴウゴウゴウン………。全集中、土公型(ドコウノカタ) 三式〝磐裂根裂〟!」

 

 

私と紫蓮さんの放った技が市松人形に直撃すると、市松人形がノックバックすると思いきや、市松人形は呆気なく光になり、ドロップアイテムだけを残して消えてしまいました。

 

 

「「え?」」

 

 

市松人形の呆気なさに思わず呆けてしまう私と紫蓮さん。それがダンジョンでは致命的な隙と油断になり――――

 

 

「シャーラ、シレン!杵ウサギが迫ってるデス!!」

 

 

杵ウサギに最大の攻撃チャンスを与えてしまうことになってしまいました。背後から迫ってくる杵ウサギの方を振り向くと、杵を振り上げて攻撃準備万端な状態です。

 

迫ってくる杵に対して私達はそれぞれの鬼滅武装で受け止めようと構えますが、何かがぶつかる音と共に杵ウサギは主武装である杵を取り落としてしまいます。

 

私の視界に映った杵ウサギの後方には、戦闘に不参加であった命子さんが、アンダースロー投法をし終えた後のような恰好をしています。

 

命子さんが何かを投げて杵ウサギの杵にぶつけたことで、杵ウサギは杵を取り落とした?けれど、地球さんがレベルアップして以降、投擲物が人体に与える影響は皆無になっている筈。

 

地上の生物に対してのみ投擲物の影響が無くなっただけで、魔物に対しては投擲攻撃が有効?それとも装備品は身体の一部と認識されないから、投擲攻撃の影響を受ける?

 

いいえ。そんなことより今は命子さんが作ってくれたチャンスを無駄にしない様にしなければいけません。

 

 

〝スラッシュソード〟!」

〝強撃〟!」

 

 

私と紫蓮さんがジョブで得られた剣技(ソードスキル)を放つと、市松人形の時と同じ様に杵ウサギも一撃でドロップアイテムへと姿を変えてしまいました。

 

ルルさんと魔本、最後の杵ウサギがどうなっているか視線を向けると、魔本は既に討伐済みで最後の杵ウサギもルルさんに討伐されそうになっていました。

 

 

「これでトドメデス。スィィィィィ………。全集中、鈿女型(ウズメノカタ) 四式〝響斬無間〟!」

 

 

ルルさんが斬撃を放つ瞬間、ルルさんの持つ時雨の形状が変化し、杵ウサギは滅多斬りにされてドロップアイテムへと姿を変えました。

 

時雨を変化させられたということは、ルルさんが全集中の呼吸を会得し、技能(スキル)化に成功したということです。

 

手放しで喜べることなんですが、その前に私と紫蓮さんは決定的な隙を敵前で晒してしまい、下手をすれば殺されていたかもしれないので、手放しに喜ぶ様な行動もできません。

 

この様な場合、私は一体どうすればいいのでしょう?教えてください、命子さん!!

 

 




アンケート内容
①【ささら達のボス攻略LVもとい無限鳥居の安全マージン】
(キャラクター設定~第14話のあとがき後で実施中)
・原作通りLV12
・原作より少し高いLV15
・原作より割と高めのLV20
・原作よりかなり高めのLV25
・原作8章超えのLV30



②【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
(第15~16話のあとがき後で実施中)
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ



③無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
(第17~18話のあとがき後で実施中)
・八岐大蛇幻影体・劣(戦闘能力値:1500?)
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・強(戦闘能力値:3400?)←5つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首


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第19話※

はい、皆さん。お久しぶりです、こんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

リアルが忙し過ぎて、投稿がかなり遅れてしまいました。
(投稿を待っていた方々、大変申し訳ない)

人手不足で仕事にとられる時間が多過ぎて、執筆に回せる時間が少なくなっているので、次話更新も間が空くかも知れないですが、見限らずに今後も付き合って頂けると嬉しいです。

では、今回のお話ですが投擲技能(スキル)の考察回をお送りしたいと思います。(笑)












※注意事項
・同作者の作品「鬼滅の刃~総大将の軌跡~」の設定が多分に流用されております。
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)


 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

………やらかした。やらかしちゃったよ!3人にそれぞれの主武装と防具の強化しておいたことを伝え忘れていたから、ささらと紫蓮ちゃんが滅竜武装の攻撃力に驚いて、杵ウサギの接近に気付けずに棒立ちになっちゃったよ。

 

ルルが警告した上、私が駄目元で投擲技の〝雹〟を使って杵ウサギの杵を弾き飛ばしたから、2人も返り討ちにすることができたけど、これは強化の件を事前にしていなかった私のミスだ。

 

私はささらと紫蓮ちゃんに視線を向けることができず、前世で両親に説教されたことを思い出しながら2人に近付くと、勢いよく頭を下げた。

 

 

「2人とも、ごめん!!」

「命子さん、申し訳ありませんわ!!」

「めーちゃん、ごめんなさい!!」

「「「……………………え?」」」

 

 

私が謝罪の言葉を口にすると、何故かささらと紫蓮ちゃんも謝って来た。2人には謝罪する様な落ち度は無かった筈。

 

 

「………えっと。私は昨日の深夜帯にドロップアイテムを使って全員分の武器と防具を強化したんだけど、そのことを皆に伝え忘れてた。

事前に伝えてたら、2人とも滅竜武装の攻撃力に驚くことなく、魔物が近くにいる状態で棒立ちすることも無かったと思うんだ。

謝って許されることではないと思うけど、謝らせて欲しい。2人とも、ごめんなさい」

「め、命子さん!?頭を上げて下さい!滅竜武装の攻撃力が上がっていることに驚かされたのは確かですが、魔物を前にして隙を晒したのは私達の不手際。命子さんが責任を感じることなんて一切ありませんわ」

「ささらさんの言う通り。隙を見せた私達に非があって、めーちゃんは何も悪くない」

「でも、私が―――」

「いいえ、私達が―――」

 

 

私に問題があったと伝えると、自分達が悪いと言い募るささらと紫蓮ちゃん。そんな問答を続けていると―――

 

 

「3人とも、魔物がリポップするまで10分切ってるデス。反省なら妖精の宿でもできるデスから、貴重な待ち時間は別なことに使った方がいいと思うデスよ」

 

 

ルルから至極真っ当なことを言われ、私達は謝り合戦を休戦することにした。

 

 

「………ルルの言う通りだね。堂々巡りになりそうな謝罪合戦は一時休戦しよう」

「………はい」

「ん」

「で、レベリングを始めてまだ1回しか戦ってないけど、さっきの戦闘で得られた情報を皆で話し合って整理したいから、魔物の感知範囲外ギリギリの所まで後退しよう」

 

 

先程の戦闘で得られた情報の意見交換を提案すると、3人ともが了承してくれたので、私達は松地図で判明している魔物の出現しない現時点での安全地帯(セーフゾーン)まで後退した。

 

時間帯毎に魔物の出現場所が変化する可能性―――少なくとも昼間と夜で変化するので、急な変化にも対応できる様に、地面に広げた松地図から目を離さない状態で意見交換を始める。

 

 

「私の記憶が正しければ、投擲攻撃のダメージは魔物だけでなく、地上の生物にも通らない的なことが、ニュースで公表されていたと思うんだけど、もしかして記憶違いだったりする?」

「そのニュースなら私も見ましたので、命子さんの記憶違いではありませんわ。しかも、ただのニュース報道ではなく、防衛省が記者会見で公表していました。

恐らく、短期間で最低でも100回は検証を行った上での公表でしょうから、少なくとも報道された時点ではダンジョンや地上に関係なく、全生物が投擲攻撃を無効化できていたと考えるべきですわね」

ニャウ(うん)!私もそのニュースは見たデス。投擲だけでなく、銃火器による射撃も魔物と動物は無効化できるって報道されていたデスよ」

「多分、物理遠距離攻撃無効化能力は単発発動技能(アクティブスキル)じゃなくて、永続発動技能(パッシブスキル)の類だと思う」

 

 

紫蓮ちゃんが物理遠距離攻撃無効化能力の系統をゲーム用語で表現すると、ゲームに詳しく無いささらに対して、ルルがゲーム用語を簡潔に説明し、意見交換が脱線しない様にフォローしてくれた。

 

 

「………少なくとも魔物の射撃無効化は永続発動技能(パッシブスキル)と考えるべきだね。防衛省の公式発表である以上、銃撃の検証は正面からの面制圧射撃だけでなく、死角射撃や長距離狙撃も行ってる筈。

もし、死角射撃や長距離狙撃が魔物に有効だったら、初心者用の風見ダンジョンしかなかった風見町に自衛官や警察官用のダンジョン研修所を作る意味がない」

「……確かに、命子さんの言う通りですわ。限定的とはいえ、魔物に対して射撃が有効な場合、風見町に研修所を作るより、自衛隊や警察がそれぞれの訓練施設で死角射撃と狙撃訓練を行えばいいだけですもの」

「動物が射撃無効化できるっていう情報に関しても、自衛隊と猟友会が協力して、熊や猪を相手に検証した可能性があるから、ほぼ確定情報と考えていいね。

というか、風見ダンジョンみたいな屋内型ダンジョンと違って、動物への検証は木が乱立した山の中だったとしても、屋外だから死角射撃や超長距離射撃の情報収集がし易かっただろうし」

「…………けど、公表された情報が正しかった場合、さっきの戦闘では明らかにおかしな現象が発生している」

 

 

紫蓮ちゃんの言う通り、物理遠距離攻撃無効化能力が永続発動技能(パッシブスキル)なら起こる筈がない現象が起こった。

 

 

「……うん。物理遠距離攻撃を無効化できる筈の杵ウサギが、どういう訳か投石の衝撃で杵を弾き飛ばされていた」

「ですわね」

ニャウ(うん)

 

 

物理遠距離攻撃完全(・ ・)無効化能力じゃなくて、ただの物理遠距離攻撃無効化能力だから、考えようによってはあり得ない現象だと断じることもできない。

 

礼子さんから得られた情報でも、投擲物が人体に与える威力を激減させ、ダメージが無いというものだった。

 

この情報で最も重要な部分はダメージが0であっても、威力は激減されるだけであって0ではないという点だ。つまり、ダメージ=痛みで威力=衝撃と考えられなくもない。

 

そして、衝撃が0ではない以上、「家庭教師ヒット○ンREBORN」に登場した鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)の様に神経を一時的に麻痺させ、武器を手放させることができるかもしれない。

 

もしくは、ただ単純に――――

 

 

「……物理遠距離攻撃無効化能力による防御対象は生物の体に限定され、装備品――武器や防具は対象外っていうパターンかな?」

「命子さん、それは一体どういう……?」

「物理遠距離攻撃無効化能力を生物が新しく獲得した皮膚で例えると分かり易いかな?」

「新しい皮膚、デスか?」

「うん。地球さんがレベルアップする前の生物―――少なくとも人間の皮膚は、大まかに分けて皮下組織・真皮・表皮の3層で構成されていたけど、レベルアップして以降は表皮の外側に物理遠距離攻撃を無効化する防皮とでもいう4層目の皮膚層が形成された感じ?」

「………つまり、装備品は体と一体化している訳ではないから、その防皮に覆われていないということ?

だから、さっきの杵ウサギの杵には物理遠距離攻撃無効化能力の効果が現れず、投擲攻撃でも弾き飛ばすことができたと?」

「少なくとも、そう考えると杵ウサギの杵を弾き飛ばせたことにも納得できるんじゃない?

ただ、この予想が正しければ、物理遠距離攻撃無効化能力の恩恵を得られるのは、体だけということになる。

その場合、人間や市松人形みたいな衣服着用型の魔物は、装備している防具の性能を上回る物理遠距離攻撃を受けると、体は無傷でも防具が損傷してしまう可能性もあるということになる」

 

 

今の所、魔物が放って来る遠距離攻撃は魔法限定だけど、これからは物理遠距離攻撃で防具の耐久値を削って来る可能性も考慮する必要がある。

 

 

「………羊谷命子のセット系技能(スキル)に投擲攻撃を有効にできる類の技能(スキル)が含まれている可能性は?」

「私の保有するセット系技能(スキル)は近距離物理戦闘職が1つと職人系魔法職が1つ、特殊系魔法職が2つ、特化型魔法戦闘職が1つだから、遠距離物理戦闘職は含まれてないよ。

あと、昨日ウインドウステータスを見せた時、固有技能(スキル)にも投擲系は無かったでしょう?」

「……………規格外(チート)技能(スキル)に驚いて、細分までじっくり見て無かったから、詳しくは覚えてない」

「私も技能(スキル)の数に驚いて、詳しくは覚えてないデス」

 

 

紫蓮ちゃん、ルル。皆に嫌われることを覚悟して見せたステータスを覚えてないとか、2人とも酷くないですかね?

 

まぁ、私が2人と同じ立場だったら、1度しか見てないステータスを丸暗記できてる自信は無いかもしれないけど。

 

 

「命子さんの技能(スキル)は確か、固有技能(スキル)が【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【大魔導書師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】、職業技能(ジョブスキル)が【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】だった筈ですわ」

「「「……………」」」

 

 

………一度しか見せてないのに、ささらは丸暗記してた。もしかして、ささらって完全記憶能力者なの?

 

 

「さ、ささらって凄いね。1度しか見せてないのに完璧に記憶してるじゃん」

「私、昔から印象的なことを記憶に残し易い性質みたいですの」

 

 

完全記憶能力の下位互換みたいな記憶能力ってこと?どちらにしても凄いと思う。

 

 

「何はともあれ、ささらの覚えていた内容に間違いはないよ」

「……断言するということは、羊谷命子も技能(スキル)内容を暗記してる?」

「いや、自分の持ってる技能(スキル)内容くらい、ある程度は覚えていて当然じゃない?

ちなみに風見ダンジョンで魔導書を装備して操作したら、技能(スキル)項目に魔導書系技能(スキル)が追加されたんだよね。

その一件以降、1日の終わりには新しい技能(スキル)が増えてないか、ステータスを確認する様にしてるよ」

「毎日確認してるデスか?昨日も確認したんデスか?」

「3人が瞑想しながら呼吸術の鍛錬をしている間に確認したよ」

 

 

正確には3人が瞑想&鍛錬中だけでなく、夜遊びから帰って来た後にも確認してるけど、別に嘘を吐いた訳でも無いし、訂正する必要は無いよね。

 

 

「もし、命子さんの技能(スキル)項目に投擲系技能(スキル)が追加されていたら、さっきの戦闘で技能(スキル)が追加されたと考えるのが自然でしょうか?」

「魔導書系技能(スキル)が追加された時のことを考えると、少なくともそれが自然だと私は思ってる。

というか、よくよく考えると3人のステータスの技能(スキル)項目に似た様な現象が起きてるよね?」

「………?」

「私達のステータスにも、ですか?」

「そんな現象、起こってたデスか?」

 

 

……え?3人ともマジで身に覚えがないの?少なくともささらと紫蓮ちゃんは、時雨の変型&色変わりだけじゃ信じられなくて、ステータスで文字化けが解消されたのを目視確認してたよね?

 

もしかして、あの技能(スキル)が文字化け状態で最初から存在していたと勘違いしてる?

 

 

「………この無限鳥居を探索し始めた直後は固有技能(スキル)の項目に呼吸術が無かったでしょ?」

「「「……………あー」」」

「……言われてみたら、地球さんがレベルアップした時点で我が得た技能(スキル)生産魔法だけだった」

ニャウ(うん)。私も最初は見習い忍法だけだったデス。最初は文字化けしてたデスけど、一応呼吸術が加わったのはジョブ選択を終えた後デスね」

「確かに、命子さんが魔導書系技能(スキル)を獲得した経緯と同じで、私達も全集中の呼吸に近しい呼吸を意識してできるようになったからこそ、呼吸術技能(スキル)として獲得したと言えますわね」

 

 

まさか、3人ともが呼吸術技能(スキル)化した経緯を忘れているとは思わなかったよ。

 

 

「………何はともあれ、ステータスチェックをしておいても損は無さそうだね。投擲系技能(スキル)が新しく追加されていたら、ささら達も試してみることで技能(スキル)獲得の条件が分かるかもしれないし。

ところで、時雨を可変させられたルルはステータスチェックしなくていいの?念願の呼吸術技能(スキル)化できてると思うんだけど」

にゃーん(きゃー)!メーコの言う通りデス!!技能(スキル)の確認デス!!」

 

 

私がステータスチェックのことを口にすると、ルルは急にワタワタしながらステータスを開き始めた。これは呼吸術技能(スキル)化を普通に忘れてたな。

 

 

 

※ウインドウステータス

流ルル(15歳)

 

ジョブ

見習いNINJA

 

レベル

7

 

カルマ

+1916

 

魔力量

273/273(装備品補正+250)

 

スキル

【見習いNINPO】【全集中の呼吸(音/小)】

 

ジョブスキル

【斬撃速度上昇(小)】【刺突速度上昇(小)】【抜刀速度上昇(小)】【連撃時 物攻上昇(小)】【二刀小太刀(脇差、短剣可)装備時 物攻減少無効】【毒耐性(微)】【麻痺耐性(微)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

「……やったデス!私もシャーラやシレンと同じになったデス!!」

「おめでとうございます、ルルさん」

「おめでとう」

 

 

呼吸術技能(スキル)化に大喜びするルルと、そんなルルに対して軽く拍手をしながら祝福の言葉を贈るささらと紫蓮ちゃん。

 

 

「ささらと紫蓮ちゃん以外の青空鍛錬場参加者でも呼吸術技能(スキル)化に成功した人はまだ居ないから、暫定ではあるけどルルは世界で4番目に呼吸術技能(スキル)化に成功した人類ということになるね」

「………ということは、ささらさんは世界で2番目に呼吸術技能(スキル)化に成功した人類?」

「そういう紫蓮さんは3番目の人類ということになりますわ」

「まぁ、暫定的なものだけどね。もしかしたら、私みたいに最初から技能(スキル)として保有してる人がいるかもしれないし」

 

 

私はそう言いながら宝物庫から柄頭が鎖で繋がった納刀状態の連鎖型滅竜刀を取り出した。

 

 

「何はともあれ、ルル。全集中の呼吸技能(スキル)化、おめでとう。次の戦闘からは灰王の剣や時雨じゃなくて、こっちの滅竜刀を使って」

 

 

私は事前に強化しておいた爆雷・真打を手渡すと同時に、ルルが装備していた灰王の剣と時雨を宝物庫に収納する。

 

 

メルシシルー(ありがとう)、メーコ!」

 

 

ルルが鞘に納まった爆雷・真打を2本とも左腰に差し、2本同時に鞘から抜き放つとその刀身が橙色(だいだいいろ)へと変化した。

 

 

「………まぁ、予想通りの色に変化したね」

「予想通り?」

「滅竜刀は最初に鞘から抜いた全集中の呼吸を使い手によって、刀身の色が変化する色変わり刀。

一度色が変わった刀は、他の使い手が手にしても刀身の色は変化しない」

「……確かに、私がルルさんの滅竜刀を触っても、刀身の色は橙色のままですわ」

「そして、滅竜刀の刀身の色は所持者の適性呼吸を判別できる。例えば、ささらの桜色なら(はな)の呼吸、紫蓮ちゃんの灰色なら(いわ)の呼吸

で、ルルの橙色は(おと)の呼吸の適性を現していることになる。ちなみに複数の呼吸術の適性がある場合、刀身が複数色のマーブル模様やダマスカス模様みたいに変色する」

 

 

私が滅竜刀の色変わりの特性を説明すると、ささらが頬に人差指を添えながら思案顔になり始めた。

 

 

「………命子さんは複数の呼吸術を使いこなせるのに、刀身が赤だった気がするのですが?」

 

 

本当、ささらは色々とよく見てるなぁ。人間観察が趣味って訳じゃ無いと思うけど、観察力や洞察力が元から高いのかな?

 

 

「私の滅竜刀の刀身は17色のダマスカス模様だよ。戦闘中は嚇刀状態だから、刀身が赤に変わるけど」

「嚇刀?」

「滅竜刀は強い圧力と熱が加えられると、刀身が一時的に赤色へと変化するんだよ。ぶっちゃけると熱=体温で、圧力=握力だね。

全集中の呼吸で血流を早めると、体温が急激に上がって筋力が上昇するから、全集中の呼吸を極めれば最終的に至れる技術でもある」

全集中の呼吸を極めなければ修得できない技術ですの?」

「中途半端な全集中の呼吸で使おうとしてもできるものじゃないし、無理に使おうとしたら死ぬ可能性がある」

 

 

私が死ぬ可能性があると伝えると、3人とも息を呑み、額に冷や汗を浮かべ始めた。

 

 

「し、死ぬ可能性があるデスか?」

全集中の呼吸を極めて、完全に適合した人間じゃないと、滅竜刀を嚇刀にできたとしても、嚇刀にできた瞬間に死ぬか、運が良くても寿命が減っちゃう感じかな。

だって、心拍数を200以上にした上で体温は39℃以上、握力は最低でもリンゴを握り潰せる70kg以上を維持し続けないといけないからね」

「「「!!!?」」」

「ちなみに私は生まれた時から平熱が39℃以上で、握力に関しても200kgまで測定できる機械でエラーが発生するから、ゴリラ並と考えた方がいいかな」

「…………確かに、今の私達が心拍数200以上、体温39℃以上で、70kg以上の握力を維持し続けるとなると、体が耐えられるとは思えませんわね」

「まぁ、地球さんがレベルアップして呼吸術技能(スキル)化したことを考えると、【全集中の呼吸(○/極)】に至った人間は、心拍数と体温の急激な上昇に耐えられる体へと強制的に進化させられる可能性が高いだろうから、技能向上(スキルアップ)次第ではささら達も普通に使えるようになると思うよ」

「「「……………」」」

 

 

私が私的な考察を口にすると、ささら達は無言のまま少し間を置き、意識表明のような頷きをしていた。

 

さて。ルルのステータス確認もできたし、今度は私のステータスを確認しよう。

 

 

 

※ウインドウステータス

羊谷命子(15歳)

 

ジョブ

大魔導剣士

 

レベル

*#&%

 

カルマ

+3500

 

魔力量

22970/22970

 

スキル

【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット(+投擲術)】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【大魔導書師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【能力強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】

 

ジョブスキル

【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】

 

称号

【魔本スレイヤー】

【地球さんを大いに祝福した者】

 

 

 

技能(スキル)一覧の【鬼狩りセット】に赤文字で投擲術が追加されていますわ」

「………それ以外はささらさんの言ってた通りの技能(スキル)内容」

「シャーラの記憶力は凄いデスね」

 

 

私の後ろからステータスを覗き込む3人。私も3人のステータスを見てるから、個人情報とか言う気は元から無いけど、ステータスの覗き見とか下手したらカルマ値が下がるかもしれないのに、怖い物知らずだと思う。

 

 

「赤文字で新規追加されてるってことは、さっきの戦闘で投擲技能(スキル)の追加条件を達成したってことだね」

「………ということは、投擲で魔物の武器を弾き飛ばすことが投擲技能(スキル)の獲得条件?」

「それと同時に魔物の武器は物理遠距離攻撃無効化能力の対象外で、技能(スキル)無しでの投擲でも弾き飛ばせる、という証明にもなったのでは?」

「魔物と技能(スキル)の情報を得られたから、イッチョーニセキ?イッチョーイッセキ?デスね」

「……ルル。それを言うなら、一石二鳥ね」

 

 

何はともあれルルの言う通り、魔物と技能(スキル)の情報を同時に得られたのは、マジで一石二鳥だ。投擲技能(スキル)で物理遠距離攻撃による援護もできるようになった訳だからね。

 

ちなみに、【投擲術】での攻撃は物理遠距離攻撃無効化能力―――というか、対物理遠距離攻撃無効化障壁?を無効化――というか、障壁貫通ができるから、投擲で魔物にダメージを与えられる様になる。

 

 

 




アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
(鬼滅流術技設定―天神型(イザナギノカタ)―~18話のあとがき後で実施中)
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ



②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
(第19話のあとがき後で実施中)
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首


②アンケートは弱と狂が同票だったので、決選投票を行うことになりました。


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