エロゲなんてくそくらえだ!!〜モブですらないのに本編に巻き込まれる奴って居る?笑笑〜 (デルタイオン)
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エロゲの花よりメカの団子

「よぉ」

 

格納庫で座っていると上官が声を掛けてきた。

 

まったく……今は休憩時間なんだが……スクランブルでもないならほっといて欲しいんだが……

 

「なぁ、聞いてるか?」

 

「……いえ、聞いてませんでした」

 

「……そうか」

 

ヤベェ……怒ってるよこれ……

 

やっちまったな〜……で、なんだ?

 

「――って事でな。お前の能力からして第57遊撃小隊特課に配属が決まった」

 

「……………え?」

 

困惑しているとお優しい上官殿はもう一度説明してくれた。

 

「ん?だからな、『貴官にはアウトデッドスペースプールの存在を確認した為、世界の為に名誉ある実験計画へと参加させる』って事だからお前は移転するぞって事を言いに来たんだ。わかったか?」

 

冗談にしては書類も持ってきて書く所もある。

 

しかし受け入れられない現実に目の前の悪マ上官に口が開いた。

 

「……冗談でもなさそうですね?」

 

「アウトデッドスペースプールがまさか貴様にあるとは驚きだよ。いや、そんな予感はしていた……」

 

そう上官は言いペンを渡してきた。

 

「……嫌な世の中になったものですね」

 

「なにを今更……奴等が居る世界ならどんな世界も最初から嫌な世界さ」

 

そう言い上官は手紙を渡してきた。

 

これは……受け取りたくねぇ……

 

「……ありがたく受け取ります…」

 

「嫌そうに言うな。恒例行事だ」

 

ソウデスカサイデスカ

 

しっかし、俺はどうなるのかね……

 

「……本編に関わる準備なんて散々した癖に、今更になって日和ったか」

 

記名欄に名前の代わりに愛機の名前を付けた。

 

名前(コードネーム)『相剋』

 

単純明快な目的を果たす為に人生を共にする最期の愛機の為に付けた名前。

 

その名前は俺の名前(役目)でもある。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

―人類統合主戦(HI)暦 4年―

 

そのゲームの開始日となる日である。

 

人類は突如として現れた地球外知的生命体組織である『シェイプ』からの攻撃を受け、混乱の最中シェイプとの戦争を始めなければいけなくなった。

 

シェイプ……奴等は粘性で弾力性のある皮膚を持ち、染色体を持たず。窒素を主燃料として飛翔する謎の戦闘機『ガンナー』を使い、人類より優れた感覚器官により人類を地下へと追いやる事に成功した化け物。

 

しかし、人類も負けては居なかった。

 

国家は崩壊し、国境は人種と差別を廃止し、人類は種として成長を始めた。

 

その一番最初の成長として主人公は頭角を表していく……

 

ってのが設定本にあったやつで。

 

パッケージには『突然襲い掛かってきた謎の地球外知的生命体シェイプ!!壮大なストーリーで彼等を倒し、そして数多のエンディングを踏破せよ!!数百種類にも及ぶエッチは貴方の性癖に刺さる物もあるかもしれません!!』と書いてある。誰が買うのだろうか……

 

で、イラストが好みだったので買ったらエロではなくメカが好きになり、設定本も買い、フルスクラッチで量産機から主人公機まで作る程にハマり、世界中に拡散して一躍有名になってもこのエロゲ一筋の狂信者だと自負している。

 

そしてプラ版と樹脂を久し振りに外で買った帰り道。刺されて死んだ。

 

で、俺が産まれたってわけ。

 

最初は鬱になったが、原作とほぼ同じ時間帯に産まれたと知り大興奮。

 

興奮冷めないうちにメカ操縦資格やらPMCに入り辞め、軍隊で残りの余生をこの愛機と共に過ごそうとしたらこれだ。

 

さて、アウトデッドスペースプールを持っているらしい俺は今電車に揺られて軍の施設へと移動している。

 

海中トンネルは暗く寒い。

 

なので客は防寒着を着なければならないらしい。

 

俺かい?俺はそんぐらい大丈夫なように体鍛えてるから大丈夫だ。

 

「へブチュ!!」

 

………俺ではないぞ?

 

隣の席の女性が体を冷やしてくしゃみしたらしい。

 

マントがはだけてる……可愛そうなので肩に掛けてやる。

 

「ムニャムニャ……ぐーすか…………じゃあパァで……」

 

じゃんけんやってる?しかも後出しだし……

 

まあ、そんなこんなでこの女の隣で過ごしていると駅に着いた。

 

第17隔離措置アウトデッドスペースプール人体実験場。

 

世界最大最高峰の技術研究所で、主人公達のストーリーの中心となる施設。

 

俺はその聖地へ深く礼をして足を踏み入れた……



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初め

この駅に着くとすぐに格納庫へと向かった。

 

普通なら上官に挨拶しに行かなければならないが、まあちょっとぐらいなら許してくれる人だから大丈夫だろう。

 

愛機はデータネットワークを経由するとゴミクズに変わってしまうのでチップに移し替えて機体を入れ替える。

 

到着したばかりなのでまだ機体は無いが、データの復元を始めないと多分間に合わない。

 

「……ふぅ。よし、そろそろ行くか」

 

立ち上がり廊下を渡る。

 

渡っていると研究員、清掃員、被験者、護衛と様々な人と出会う。

 

しかし、ヒロインとはまったく出会わない。

 

「……おかしいな。確かここら辺で主人公がヒロインとぶつかった記憶があるんだが…」

 

ヒロインは総勢15名(内8名隠しキャラ、2名特殊ルートのみ出現)で、どれも特殊なアウトデッドスペースプールを持っている。

 

ちなみに8歳から(自称)20歳まで居る。

 

流石は3桁にも及ぶエロを創り出した(会社)だな!!

 

しっかし……ここまで会わないとなると出撃中だったりするのか?

 

とりあえず上官に会いに行くか。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「で、遅れた理由はなんだ?」

 

「ハッ!データチップを解凍していました!即座に任務に付く為に元々配属されていた上官からそうしろと言われまして!!」

 

嘘やん……優しくないやん……

 

「ふむ……まあ、その心掛けは良かろう」

 

「ありがとうごさいma「だが!」……」

 

「それとこれは話が別だ」

 

お……鬼の目をしてらっしゃる……

 

「早速貴様には洗礼を受けてもらおうか……?」

 

「い、イ……」

 

 

そして、施設に悲鳴が響き渡った……

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ヒイィィィ!!

 

「ん?なんだ?この悲鳴は」

 

施設の中を歩き回っている男がそう言った。

 

施設全体に響き渡るこの悲鳴はただ単に怒られて悲鳴を上げているのだとわかる。

 

その理由は怒声が混じっているからとも言え、悲鳴に含まれる感情からして事件性が無いと直感的に理解できる。

 

と、科学的に説明したが。まあ、ようは面白い事が起きているのである。

 

まあ、残念だが。今から寮に行かなければならないので見に行けない。

 

残念そうに歩いていると、突然曲がり角で誰かと勢い良くぶつかった。

 

「ウグっ!?」

 

みぞおちへとクリティカルヒットした男は腹を抑えて地面へと崩れ落ちた。

 

「痛ッ……だ、大丈夫ですか!?」

 

ぶつかったのは女性のようだ。幸いにも怪我は無いらしく、手を差し伸べてくれている。

 

「あ、あぁ……」

 

一瞬、あまりの美しさに目を見張った。

 

黒髪ロングの少女から差し伸ばされる手を無意識に掴むと女性にしてはありえない力強さで引っ張られ、起こされた。

 

「おっと……君は、被験者?」

 

「えぇ、そうですよ。あ!すみません!!少し急いでいるので!!では!」

 

そう言い女性は走っていった。

 

それが、この物語の始まりの合図だとわかるのは……それは彼しか居ないだろう。

 

 

 

 

絶賛腕立て伏せ800回を行っている彼しか……

 

「もっと胸を地面に着けろ!!」

 

「ヒイィィィ!?」

 

 



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いいか!?価値観はな!!爆発なんだよ!!つまり爆発は金になるんだよ!!(???)

さて。

 

あの地獄から生き残った俺なんですが……まだ終わらんかった。

 

「レモネードと掛けまして。思春期と掛けます。」

 

『その心は?』

 

「どちらも、甘酸っぱい」

 

『う〜ん。無いな』

 

「無いか」

 

いや〜、まさかもう機体が用意されてるとは。

 

驚いたよ。まさか早速実戦で適性検査するなんてな。

 

『ペーパー22からポリゴン02。そろそろだ。ビート板から自立する準備は出来たか?』

 

「向こうはどうなんだ?」

 

『こっちはもう出来ている。観察させてもらおうか』

 

「まったく。手心を知ったほうが良いとは思いますがね?」

 

『さっさと準備しろ。ポリゴン02』

 

「了解」

 

早速手のひら返したなこの上官。

 

現在、我々は敵小規模基地へ単騎で奇襲を仕掛ける作戦をしている。

 

輸送機で作戦空域で投下され、基地の護衛を排除。難しければ撤退し、可能な限り殲滅せよとの事。

 

輸送機はペーパー22。その名の通り薄っぺらい輸送機だ。

 

ポリゴン02は俺。02があるからには01がある。01はペーパー11に繋がられていて、今さっき大喜利した奴だ。登場者は上官殿。

 

「気圧チェック。武装チェック。カメラ起動。ジェネレーター回転数待機状態。各種センサーチェック。チェックリスト再チェック……オールグリーン。タガーネイル、投下準備完了」

 

『最近の若者はいちいち口に出すのか?』

 

「そのほうが雰囲気あるんで。データリンク層はイエロー」

 

『了解。データリンクイエロー。投下コースに入るぞ』

 

機体が回頭し、投下コースへと入る。

 

するとサーチライトが空中を照らしてきた。レーダーで発見されたのだ。

 

『よし……投下ヨーイ……投下!!』

 

「チェインパージ!!」

 

機体肩部に付いていたチェインが千切れ、パラシュートと化す。

 

タガーネイルは降下姿勢のまま雲へと一瞬入り、パラシュートが開いたその瞬間。森からサーチライトで照らされた。

 

そしてすぐに対空砲火により空間が爆発する。

 

モニターにはタガーネイルが予測する対空砲の飛翔コースが表示されては爆発を示すように広がる。

 

「クソッ!無駄が多い……」

 

しかし、その無駄の多さにキレた俺は飛翔コース演算設定を切り。運試しをする事にした。

 

しかし、このようにしたのには理由がある。

 

まずバッテリーの消耗だ。

 

予測する物が多ければ多い程電力を使うのは当たり前だ。

 

そして、処理速度の向上。

 

確かに危険回避の為に弾道予測は必要不可欠だ。しかし、そのせいで機体操作にラグが発生するとなるとオフにしたほうが良い時もある。

 

そして、最後に熱探知だ。

 

電力消耗や処理量により電子機器が熱くなり、機体温度が上がると弾に当たりやすくなる。

 

といった感じの理由により切ったと言えればカッコいいのだが、この場合感情に任せて切った。

 

だって警告音がめっちゃうるさいんだもん。仕方無いね!!

 

さて、そうこうしている内に高度が下がってきた。

 

対空砲を確認できる高度まで下がったので反撃する。

 

「対空砲は……14基か。7基だけやれれば良いな!!Fire!!」

 

手持ちの3点バースト式のアサルトライフルが火を吹く。

 

毎秒1200発の連射速度。12口径の高貫徹弾は対空砲の装甲を貫通して弾薬庫に引火し、爆発させる。

 

森のあちこちで爆発し、火の手が上がる。

 

「ヒャッハー!!汚物は消毒ダァー!!」

 

撃ちまくり、宣言通り7基潰した所で地面へと降り立った。

 

「着地に成功。これより、敵基地へ攻撃を開始する。オーバー」

 

了解。健闘を祈る

 

そう言われ通信が途切れる。

 

「さ、本番といこうか」

 

お相手さんもようやく出てきたようだ。

 

地響きと共に敵の4脚戦車が出てきた。

 

目視できるだけでも50機はある。

 

しかし、このHBMの前にはただの棺桶でしかない。

 

「このメカの前に!!ひれ伏せ愚民共!!」

 

戦闘開始だ

 

 



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メカ至上主義

ごかつびょうこわい


一騎当千。

 

それに相応しい物とは何か?

 

装備、技術、知力、力。

 

そうではない。

 

そうじゃない。

 

その言葉にあるのは地獄絵図だ。

 

美しく舞い、その道に死体を築き上げ、その世界には一騎のみが生き残る事を許されたかのように存在する。

 

「その存在なのだよ。このHBMは、貴様のような愚民ではなく。騎士のように高らかに勝利を謳う。謳歌する」

 

恐怖で機銃を乱射する獣に銃床で躾ける。

 

「俺はな?主人公のように綺麗ではないんだ。残念だな。今度生まれ変わった時は、彼に当たるように祈れ。愚民」

 

最後の一発を容赦無くコックピットへと撃ち込んだ。

 

残念ながら、彼は綺麗じゃない。人が変わったかのようにこの芸術を魅せつけるように戦場で踊り、例え悪と見られようと芸術が存在していれば良い。

 

彼は狂信的なメカ好きで、ストーリーなど関係無い。あるのは芸術と、それを魅せる技術。そして、その芸術のストーリーを語る時間だ。

 

相克。利益のみを狙う事を指すこの言葉だが、彼の利益とはそれ即ち『芸術』であり『自己満足』なのだ。

 

「さて、もう用済みだな。内部を観光していくか」

 

その足取りは軽く。満足した者のように鼻歌交じりに光り輝く基地へと向かっていった……

 

 

 

 

***

 

 

 

 

上空で旋回しつつ情報を収集していたペーパー11だが、あの機体のパイロットから出るアウトデッドスペースプールの波長が乱れている事に気が付いた。

 

アウトデッドスペースプール……超能力と言った方が世間的にはわかりやすく、異常破綻者と言えば医学的にわかりやすい。

 

人間として何かを失い、何かを得た。その得た何かを呼称として『アウトデッドスペースプール』としており、それには法則的な脳内から放出される特殊な熱放射による原子の生成がある。

 

その熱放射から能力を推測するのが今回の試験内容だ。

 

しかし、今。ペーパー11から計算された数値には法則性に基づかない謎の数値が出ていた。つまり、彼の能力は特殊。

 

「……思っていたよりも彼は凡人じゃないみたいだな」

 

「あのフツメンでこの不可解な数値。どう思う?」

 

「どうもなにも。新たな被験者として受け入れるしか無いだろう?」

 

映像ではただ単に戦闘をしているだけだ。

 

ただ、芸術的。非効率な戦い方で通常効率戦闘機動よりも素晴らしい戦果を上げている。無駄ながら無駄ではない。

 

「……なにか普通のよりも別の意味での能力なのかもな」

 

そう考えなければ、この数値はなんなのだろうか?

 

モニターで爆発する敵基地を見て何かがスッと腑に落ちた。



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