戦姫絶唱シンフォギア-THE FIRST ULTRAMAN- (不死身の機動歩兵隊)
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本小説のオリ主、神永真と、ついでに原作キャラ達のプロフィールで書いてみました。また、物語が進めば最新します。

追記

‐楽屋‐

作者
「登録者50人に到達しました!ありがとうございます!!」


「私達からも、ありがとうございます!」


「まさかたった6話でここまでとはな。」


「最初の小説より早く到達するとはな・・・やはりイセスマは不人気なんだな。」


「それは言わないでやれ。」

未来
「兎も角これからも駄作者さんの本小説をよろしくお願いします。」

作者
「あの、未来さん?駄作者の自覚はあるけど、ハッキリ言わんくてもよくないですか?」

未来
「別に理由は有りませんよ?ただ出番を増やしてくれないか?としか思ってませんよ。」ハイライトoff

作者
「分かった!分かったから!ちゃんと次回にはいっぱい出番があるから!!だからハイライトを消した状態の笑顔で接近してこないでくれッ!!!」


神永 真/ウルトラマン

 

誕生日 7月10日

血液型 AB

年齢 20歳(初期)→22歳(現在)

身長 175cm

所属 EDF極東支部空軍→ふらわーの店員⇔特異災害対策機動部二課の外部協力者

外見 漫画「ウルトラマン THE FIRST」のハヤタ隊員 イメージCV.諏訪部順一さん

 

「戦姫絶唱シンフォギア-THE FIRST ULTRAMAN-」のオリ主。ウルトラマンの変身者。尚、本作のウルトラマンの外見は漫画「ULTRAMAN」のウルトラマンスーツ。現在はBタイプ。

 

過去にアグレッサーの侵略を受け、辛くも勝利した世界の住人。終戦から33年後、EDF訓練校を卒業してEDF極東支部空軍に所属。その後は未だ荒廃した世界の復興作業と、アグレッサーが残した生物兵器と侵略兵器の駆逐作戦に参加。様々な車両(主に戦闘機)を乗りこなし、戦場を駆け抜けた。その2年後、生物兵器・侵略兵器を多数撃破の功績でエースパイロットへ。そして空席の穴埋めで少佐となる。

 

その後、EDFの新型戦闘機スターゼロのテストパイロットに稔明される。15回目のテスト飛行中に時空の歪みに呑み込まれ、時空の狭間で漂っていた紅い光と激突。その身に初代ウルトラマンに関連した力を宿した状態で先史文明期のシンフォニックスペースに漂着。

 

ベムラー戦以降に出現した禍威獣や侵略意思を持った外星人の脅威から先史文明期の民間人を守る為に戦う。尚、ウルトラマンの力を宿した事で身体能力は超人と化す。そしてある外星人と戦友になるが、先史文明期の最後の戦いで戦友を失う。

 

その後、突然現れたブルドンによって何度か未来へ飛ばされる。その際にある女の子の衰弱した母親を助けられなかった。また他の出来事*1にも介入している。

 

現在はお好み焼き屋ふらわーにて働きながら禍威獣、外星人、ノイズの脅威から響達や民間人を守る為に戦う。

 

フィーネとの決戦時に一度命を落とすが、亡き戦友エンキの助けによって復活と同時にタイプBへと姿を変化する。黒い影法師によって復活した天体制圧用最終兵器ゼットンを響達とともに倒す。

 

‐装備(アイテム)‐

 

〔マルチコンバットスーツ〕

真の世界で製造されたEDFの戦闘服。パワーアシスト機能を搭載。優れた運動性と防御性を持つ全環境型戦闘アーマー。モデルは「ダイアクロン」のダイアテクター(Ver.1.0)。

本作のオリジナルでヘルメットにデジタルビデオカメラ、データリング、暗視機能が備わっている。

 

〔コスモブラスター〕

真の世界で製造されたEDF正式高性能レーザーガン。遠方への命中精度が高く、各種エネルギーカートリッジの変換が可能。また他のバリエーションも存在する。モデルは「ウルトラマンティガ」のGUTSハイパー。

 

〔ベーターカプセル〕

真がウルトラマンへ変身と巨大化をする為のアイテム。モデルは「シン・ウルトラマン」のベーターカプセル。

 

‐使用メカ‐

 

〔スターゼロ〕

真の世界で製造されたEDFの新型多目的主力戦闘機。モデルは「ウルトラマンダイナ」のガッツイーグルα号。本作では合体機能は無く、他は機首両端からカナード翼が展開可能。下部ハッチ内には誘導波発射装置や大型ビーム砲など様々なオプションパーツが装備可能。

テスト飛行中に発生した時空の歪みに真と共に吸い込まれ、紅い光と激突した後は無人で時空の狭間を彷徨い、偶々開いた出口から現代のシンフォニックスペースに墜落。特異災害対策機動部より先に駆け付けた真がプランクブレーンで回収。現在でも問題なく戦闘が可能。

 

‐技一覧‐

 

〔光線〕

 

〈スペシウム光線〉

本作では(ファイティングエボリューションリバースとシン・ウルトラマンの)光線発射モーションをする事で1.5倍の威力を発揮する。

 

〈ギガスペシウム光線〉

リミッター解除限定技。こちらも上記のモーションをする事で威力の増大が可能。

 

〈マリンスペシウム光線〉

グリッターバージョン限定技。以下略。

 

〈コスモミラクルスラッシュ〉

グリッターバージョン限定技。

 

〈ウルトラスラッシュ〉

 

〈スラッシュ光線〉

 

〈ウルトラアタック光線〉

 

〈リバウンド光線〉

 

〈カラーリウム光線〉

 

〈ウルトラソード〉

 

〔格闘〕

 

〈ウルトラ頭突き〉

 

〈ウルトラチョップ〉

 

〈ウルトラダブルチョップ〉

 

〈ウルトラ霞斬り〉

 

〈ウルトラパンチ〉

 

〈ウルトラキック〉

 

〈急降下キック〉

 

〈回転首締め〉

 

〈ウルトラスウィング〉

 

〈岩石落とし〉

 

〈背負い投げ〉

 

〈巴投げ〉

 

〈ネックハンギング〉

 

〈ヘッドロック〉

 

‐その他‐

 

〈スペシウムブレード〉

本作では長刀モードにもなる事が可能。フレイムトイズの人機巧「ウルトラマンスーツ」の武器イラストを参照。

 

〈リミッター解除〉

本作では限界突破(リミットブレイク)、トランザムと同じ扱いとする。

 

〈ウルトラ水流〉

本作では火災消化目的の他に、攻撃手段で殺傷能力ありのウォータージェットを発射する。

 

〈ウルトラエアキャッチ〉

 

〈ウルトラ念力〉

 

〈ウルトラサイコキネシス〉

 

〈キャッチリング〉

 

〈ウルトラアイスポット〉

本作では透視光線としても使用可能。

 

〈光線白刃取り〉

 

〈テレポーテーション〉

本作では精神力とエネルギーを消費する。

 

〈大胸筋バリヤー〉

 

〈ハイスピン〉

 

〈飛行能力〉

 

〈地中突進能力〉

 

〈ウルトラセパレーション〉

 

〈エネルギー付与〉

本作では治癒にも応用されている。

 


 

立花 響

 

誕生日 9月13日

血液型 O

年齢 15歳

身長 157cm

所属 私立リディアン音楽院高等科1回生⇔特異災害対策機動部二課

 

「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズの原作主人公。ガングニールのシンフォギア装者。

 

エイダシク星人が引き起こした迫害で未来を人質に取られ、集団リンチを受けていた時にエイダシク星人を捜索していた真に助けられる。それから未来を含め、事件解決まで真に守られる。

 

真の影響を受け、人助けに目覚める。二課に所属後、弦十郎とウルトラマン(真)に鍛えられ、原作(第2期)よりも1.5倍強い。

 

風鳴 翼

 

誕生日 5月25日

血液型 B

年齢 18歳

身長 167cm

所属 特異災害対策機動部二課

 

天羽々斬のシンフォギア装者。奏が生存している為、優しい防人となっている。

 

天羽 奏

 

誕生日 7月28日

血液型 O

年齢 19歳

身長 169cm

所属 特異災害対策機動部二課

 

原作死亡キャラの1人。初代ガングニールのシンフォギア装者。ライブ会場の事件で絶唱を歌うが、駆け付けたウルトラマン(真)によって中断されて生存する。

 

雪音 クリス

 

誕生日 12月28日

血液型 A

年齢 16歳

身長 153cm

所属 無し

 

真にもう一度会う為にネフシュタンを纏い、フィーネの下で響を狙う。しかしフィーネから用済みとされ、制裁を受けて遁走。送られた刺客のノイズとの約1週間の逃走生活の末で未来と真に助けられる。意識が回復した後、真との再会を果たす。

 

フィーネとの決戦後、特異災害対策機動部二課に所属する。本作では両親が生存している為、原作より食べ方は綺麗。

 

小日向 未来

 

誕生日 11月7日

血液型 A

年齢 15歳

身長 156cm

所属 私立リディアン音楽院高等科1回生⇔特異災害対策機動部二課の外部協力者

 

響の幼馴染で、怒らせたら多分誰にも止められないヤバイ子。迫害を受けていた響と一緒に助けた事で信頼されており、真に相談をしたりする。

 

 

*1
詳細は第2話と第3話の冒頭を参照。




一先ずこんな感じです。前書きにも書きましたが、物語が進めば最新します。他のキャラも書いて欲しいと言う要望があれば書きます。


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ウルトラ作戦第1号(無印編)
第1話「始まりの光‐スペシウム‐」


『シン・ウルトラマン』を見て、活動報告で元々考えたやつを変更してたりしてます。あしからず。


西暦2022年 5/13。火星の探査ロボが未知のエネルギーを秘めた物質を発見。人類はこの新たな物質を「スペシウム133」と呼称。同時にスペシウムを新たなエネルギー源とする研究を開始。

 

西暦2042年 9/16。スペシウムをカプセル状に加工した「スペシウムコア」の開発に成功。

 

同年 11/1。スペシウムコアを使用したエネルギー施設の稼働に成功。これによって人類の文明は飛躍的に発達と共に旧発電(主に化石燃料による)施設は解体。環境問題の改善にも大きく貢献した。

 

西暦2044年 3/10。老朽化に伴い、国際宇宙ステーションが退役。同時に将来を見越して建造された小型から大型宇宙船の入港を可能とした「国際宇宙ステーションV2」が後を務める。

 

同年 3/12。とあるトンネル工事の掘削中に未知の物体が発掘された。国連は調査団を派遣。分析の結果、数千年前に墜落した宇宙船の残骸だと判明した。そしてある国の神話に宇宙船の残骸と酷似した絵が描き残されていた。地球外文明の存在を知った国連はこれを危惧し、今の人類が持つ全ての英知を集結し、地球上の各地に前線基地の設置。及び超兵器の開発が行われ、それを配備した地球規模の軍事組織 Earth Defense Force 通称「EDF」を設立。

 

同年 5月。各国が保有する現行の艦艇に大規模な改修作業が行われる。

 

同年 12/12。アメリカの軍事メーカーが「プロトベガルタ」の開発に成功。EDFの戦力として検討され、試験的に6機が配備された。

 

西暦2046年 4/1。全艦艇の大規模改修が終了し、EDF海軍に組み込まれる。

 

同年 8/9。EDF陸軍の

主力戦闘車両「ブラッカーE1」

武装装甲車両「グレイプ」

軍用オートバイ「フリージャー」

自走高射機関砲「KG6ケプラー」

装甲救護車両「キャリバン」

歩行タンク「デプスクロウラー」

多砲塔戦車「B651タイタン」

装軌式自走ミサイル砲「ネグリング自走ミサイル」

高弾速レールガン搭載戦闘車両「イプシロン自走レールガン」

原子光線砲搭載大型戦闘車両「EMC」が就役。

 

同年 9/25。EDFでプロトベガルタのデータを元に最新した「BM03 ベガルタ」を正式配備。

 

西暦2049年 12/24。EDF空軍の

主力戦闘機「セイバーフィッシュ」

戦闘爆撃機「フライマンタ」

超大型爆撃機「An-71MD大型戦略重爆撃機」

攻撃ヘリコプター「EF24 バゼラート」

対地制圧ヘリコプター「EF31ネレイド」

小型輸送機「ノーブル」が就役。

 

西暦2052年 7/22。EDF宇宙軍の

航宙輸送戦艦「スペースペンドラゴン級輸送戦艦」

宇宙空母「ビーハイヴ級空母」

航宙巡洋艦「サラミス級巡洋艦」

護衛随伴艦「レパント級ミサイルフリゲート」が就航。

 

同年 11月。人類初の月面コロニーが建造された。

 

西暦2057年 9/13。EDF技術開発部がベガルタの発展型機、「コンバットフレーム ニクス」の開発に成功。

 

同年 10月。サラミス級をベースにした

航宙軽空母「ネルソン級軽空母」

及び航宙戦艦「マゼラン級戦艦」が就航。

 

西暦2060年 3/17。新型必殺砲「スペシウムオーバーキャノン」を搭載したEDF宇宙軍総旗艦「ヤマト」が就航。

 

同年 8月。火星開拓ステーションが完成。

 

西暦2070年 3/24。火星開拓ステーションが謎の巨大宇宙船団による攻撃を受ける。防衛戦力として配置された中規模の2個艦隊が応戦するもステーション諸共壊滅。最後に送られた巨大宇宙船団の映像で24年前に発見した宇宙船の残骸と神話に描かれた絵と一致。

国連は緊急事態を宣言。敵性巨大宇宙船団を「アグレッサー」と呼称。同時にEDF宇宙軍へ出動要請。EDF宇宙軍は地球と月面基地からヤマトを旗艦とした計120隻の迎撃艦隊が出撃。出撃から約15時間後にEDF宇宙艦隊はアグレッサーと会敵。戦闘に突入する。

だがこの巨大宇宙船団は囮であり、地球と月の間に別のアグレッサーがワープアウト。防衛の為に残っていた艦隊は緊急出撃。アグレッサーと交戦。そして緊急連絡を受けた迎撃艦隊は地球に戻ろうとするが、囮の巨大宇宙船団の攻撃が激しく、戻る事が困難となった。

 

同年 4月。防衛艦隊は半壊。残存艦隊はステーションと月面基地に撤退。対して僅かな損害を受けたアグレッサーの巨大宇宙船団は地球に降下。その際にEDFは「スペシウム弾頭弾」による攻撃で3割を撃破に成功。

降下に成功した残りのアグレッサーは世界各地に巨大生物*1と侵略兵器を次々と投下。これにEDF陸軍・海軍・空軍が対抗。だが巨大生物の脅威的な再生能力と、死を恐れない侵略兵器に苦戦を強いられる。

 

西暦2075年 2月。EDF宇宙軍総旗艦ヤマトが大破。及びスペシウムオーバーキャノンが損傷。秘密ドッグにて修復と改修が行われる。

 

西暦2087年 6月。アグレッサーによる超大規模な侵略攻撃で各地の重要前線基地の半分が壊滅。ステーションと月面基地は持ち堪えてはいるが、地球に援軍を送る事が困難な状況となった。これにより地球の半分と総人口の6割を損失。

 

西暦2092年 4/14。修復と改修を終え、ヤマトが戦線に復帰。同時にスペシウムオーバーキャノンの小型化に成功。及びコレを搭載したスペースペンドラゴン級輸送戦艦の改修型とニクスの強化型「エイレン」に対巨大生物用兵器「歩行要塞バラム」が開発され、各戦線に投入。それに加えて再編された宇宙艦隊がステーションと月面基地から出港。アグレッサーの進撃に歯止めを掛け、反攻に転じる。

 

西暦2115年 7/10。多くの兵士達の犠牲によって辛くも人類はアグレッサーを撃退し、勝利を手にした。それから35年後、アグレッサーが残した生物兵器と侵略兵器を駆逐していきながら文明は復興し、何とか元の生活を送れる状態に戻った。

 


 

‐西歴2150年 太平洋上・高度3万5000メートル‐

 

太平洋の上空にて、EDF極東支部で開発された新型戦闘機によるテスト飛行が行われていた。新型機に搭乗しているパイロットはコックピットから見える宇宙(そら)を見ていた。

 

パイロット

「今日もいい景色だ。星もよく見える。」

 

新型機のパイロットはそう呟いていると、無線機から通信が入る。

 

管制塔

『こちら管制塔。神永少佐、報告をお願いします。送れ。』

 

極東支部の管制塔から連絡が入り、パイロットもとい神永真は無線に出る。

 

「こちら神永、スターゼロの状態は良好だ。今日も宇宙(そら)が綺麗だ。送れ。」

 

管制塔

『神永少佐は宇宙(そら)が本当に好きですね。了解です、引き続き任務を続行してください。送れ。』

 

「ありがとう。また何かあったら連絡を入れ『ドオォンッ!』ッ!?」

 

通信を終えようとした瞬間、強い衝撃がスターゼロの機体に襲い掛かる。同時に機体の計器類から火花が飛び散り、警告音が鳴り響く。

 

ビービービービービービーッ!

 

管制塔

『神永少佐!?どうしましたか!応答願います!!』

 

「正体不明の衝撃波に襲われた!今、各計器の状態を確認―――ッ!?なんだ、あれは・・・」

 

管制塔

『何かありしましたか!?』

 

宇宙(そら)が・・・歪んで―――」

 

その言葉を最後にスターゼロの信号と交信は途絶えた。この数分後、駆け付けた捜索兼調査隊は、現空域と海域を徹底的に調べ上げる。しかし、スターゼロの残骸とパイロットの遺体や痕跡を発見する事はできずに捜索と調査は1月後に終了。そして、この事件は迷宮入りとなり、神永真少佐は生死不明と記載された。

 

‐??? 真side‐

 

「うぅっ・・・ここは?」

 

俺は目を覚ますと、何故か丘の様な場所に倒れていた。起き上がって周囲を見渡すと、まるでアトランティスやムーの様な超古代文明の都市があり、その中央にはバベルの塔に似た様な建造物を目にした。

 

「は?え?どういう事だ・・・俺は確か、スターゼロのテスト飛行中に宇宙(そら)が歪んで、それに吸い込まれてから辛うじて飛行していた時に”紅い光”に衝突して・・・そうだ!スターゼロ!俺の機体は!?」

 

俺は慌てて周囲を見渡すが、機体は何処にもなかった。あるのはコックピットに備え付けられた非常用の装備とついでに積み込んだ俺のジャケットだけであった。

ダメもとで装備の中から無線機を取り出して直ぐに本部へ連絡を取る。だが、ノイズしか聞こえず、何度呼び掛けても返事はなかった。

 

「ハァ~、これって流行りの異世界転移でもしたのか?兎に角何かしらの情報が欲しいな。あの都市に行ってみるか。」

 

俺は装備の確認を行ってから立ち上がり、丘から見えた都市に向かって移動する。

 

‐パイロット移動中‐

 

歩き始めて数時間が経過した頃、ようやく目的の都市に到着した。都市はそこに住む住民達で活気に満ち溢れてた。と言うか、検問所とかは何故かすんなりと入れたが、何かと勘違いされたのか?何か頭を下げられたし。

 

「それにしても、書いてある文字は分からないが、言語だけが分かるのは何故だ?」

 

そう不思議に思っても答えが出る訳もなく、当てもなくこの都市を歩いていると、いつの間にか裏路地に入ってしまった。それに大分日も傾いていた。

 

「あ~、これは野宿確定だな。それに通貨が違うからの今持ってる現金とクレジットカードは一切使えないから食料と水の補給もできない・・・どうしたもんか。」

 

一応サバイバル術は身に付けているから死にはしないが、ホントにどうしたもんか・・・これからの方針を考えているその時、”何か”を感じた俺は宇宙(そら)を見上げる。すると、望遠鏡を使って星を見ているのと変わらない位の光景が目に映る。

始めはこの事態に驚いたが、最初に感じた物が徐々に近づいているのを感じてそちらを見ると、”蒼い光”この都市に向かって落下していた。

 

「何だ、あの蒼い光は・・・ッ!おいおいアレは!?」

 

蒼い光の中にいる存在を確認して驚くと同時に蒼い光は地表に衝突。凄まじい轟音が響き渡る。そして土煙から”巨大な何か”が姿を現す。

全長50メートル程の巨体。爬虫類の様な姿で、縦に長いスタイルと焦点が定まってない目付き、非常に小さい腕、頭部から尻尾かけて生えている棘。

その特徴的な姿を俺は知っている。俺の好きなヒーローの始まりの敵、〔宇宙怪獣 ベムラー〕!

 

ベムラー

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

ベムラーは咆哮した後、口から吐く青色の熱光線〈ペイル熱線〉で周囲を焼き尽くす。都市に住む住民達はパニックになり、蜘蛛の子を散らす様に逃げていく。俺はベムラーがいる付近で逃げ遅れた住民がいないかを確認する為に向かう。向ってる途中で、俺の頭上を幾つもの影が通り過ぎて行く。見上げると、人が空を飛んでいた。目の錯覚でもなく飛んでいた。それぞれ服装が異なっていたり、一部肌の色や異星人ぽっい者もいた。

彼らはベムラーの頭上で空を飛行しながら攻撃をするが、彼らの攻撃は決定打にはならなかった。ベムラーは鬱陶しく思ったのか、上空に向けて口を開くと、そこからペイル熱線を発射して反撃を行う。彼らは回避しながら攻撃を継続する。が、持久戦になればいずれ彼らに被害が出るのは時間の問題だ。その間に俺は現場に到着して周囲に逃げ遅れた者がいないかを探す。すると微かに助けを求める声が聞こえた。

 

「こっちか!」

 

左にある瓦礫と化した建物に近付くと、その声はハッキリと聞こえた。俺は瓦礫を何とか退かそうとすると、軽々と持ち上げて退かしてしまった。正直視力の時といい、俺の身体は何かがおかしいが、今はどうでもいい。

俺は瓦礫に挟まれながらも何とか生きていた女性を背負い、出来る限り安全な場所へ運ぶ。ある程度現場から離れた場所にその女性を降ろす。幸い、女性は意識を失っているだけで特に目立った外傷は無かった。

 

「さて・・・次はどうするか。加勢しようにも、パイロットの俺にはスターゼロといった戦闘機も無い。持っている武器はハンドガン1つだけ、正直言って何もできないな。」

 

そう言いながら俺はベムラーと戦っている彼らを見る。まだ死者は出ていない様だが、既に負傷者が出始めていた。

 

「クソッ!ただ見ている事しかできないのか・・・」

 

その思った時、左胸が熱くなるのを感じた。触ってみると何かがあることが分かり、それを取り出した俺は目を見開いた。全体的に金属物質で構成され、先端は黒く。中には赤い球体が内蔵された”棒状の物”だった。

 

「これは、〔ベーターカプセル〕・・・何故これを俺が持ってるんだ?まさか、あの紅い光は・・・」

 

俺は紅い光が何なのかを思いつくと、ベーターカプセルは何か訴えかける様に点滅し始める。

 

「変身しろとでも言うのか、俺に・・・いや!迷ってどうする!例えここが異世界でも、民間人を守るのがEDFの、空軍パイロットである俺の使命だッ!!」

 

俺はベーターカプセルを掲げてボタンを押すと、閃光と共にプランクブレーンに隔離された光を召喚し、俺の周りを渦巻き状に包み込む。そして俺は、空想と浪漫、夢を与えてくれたあの”超人(ヒーロー)”に変身する。

 

「シュワッチ!!」

 

‐シンside END‐

 

ベムラーによって都市が破壊されていく。都市を守ろうと応戦するアヌンナキ達。すると後ろから紅い光が溢れ出す。都市に住んでいた者達やアヌンナキ達。そしてベムラーが、光が溢れ出した場所に注目する。

右手を宙空に突き上げ、左手は顔の隣に置くポーズを取り、赤と銀を基調としたパワードスーツ状のボディに胸の丸いランプ。今この宇宙に、新たな始まりの戦士〔ウルトラマン〕が爆誕した。

 

ウルトラマン

「シェアッ!」

 

構えをとったウルトラマンは走り出し、ベムラーに接近していく。

 

ベムラー

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

ウルトラマン

「シェアッ!?」

 

接近して来るウルトラマンに対して、ベムラーの口から放たれたペイル熱線の威力は先程までとは桁違いで、ウルトラマンは咄嵯に右腕で防ぐことでどうにか耐え抜く。しかし、その威力は凄まじく、ウルトラマンは吹き飛ばされてしまう。

 

ウルトラマン

「グッ、ハァッ!!」

 

地面に叩きつけられたウルトラマンは痛みに耐えながらも立ち上がると、ベムラーは追撃としてペイル熱線を連射してくる。ウルトラマンは両腕を前に突き出し、手の先から発するエネルギーで光の壁を空中に描き、攻撃を防ぎ跳ね返す〈リバウンド光線〉でペイル熱線を相殺させる。

 

ベムラー

「ギイヤァアア!!ギイィヤァ!!」

 

ウルトラマン

「デュワッ!!」

 

ベムラーは怒ったように雄叫びを上げると、ウルトラマンに向かって接近する。ウルトラマンは掌を合わせて連続発射する〈スラッシュ光線〉を連続で放つ。

 

ベムラー

「ギイヤァァアア!!」

 

連射で放たれたスラッシュ光線がベムラーに直撃。ベムラーの勢いが落ちる。ウルトラマンは走って勢いを付けると同時に跳躍。空中で反転をして〈ウルトラキック〉で蹴り倒す。

 

ベムラー

「ギイッ、ギャアァーッ!!」

 

ウルトラマン

「ジュワァッ!!」

 

倒れたベムラーに馬乗りになるとパンチやチョップを交互に連続で叩き込む。

 

ベムラー

「ギイヤァア!!」

 

すると、ベムラーは不意を突いてペイル熱線で攻撃する。

 

ウルトラマン

「デェアッ!!」

 

ウルトラマンはそれを両腕でガードしてベムラーから離れる。その隙にベムラーは起き上がり、再びペイル熱線を放つ。

 

ウルトラマン

「ディアッ!!」

 

するとウルトラマンは右手を挙げると、スペシウムエネルギーをノコギリ状の光輪に形成。それを振り下ろして投げる。相手を切断する〈ウルトラスラッシュ〉でペイル熱線を切断。そのままベムラーの腹部を斬り裂く。

 

ベムラー

「ギイヤァア!!」

 

ウルトラマン

「シェアッ!」

 

腹部を斬り裂かれたベムラーは怯み、ウルトラマンは接近する。

 

ベムラー

「ギイヤァア!!」

 

ウルトラマン

「ディアッ!!」

 

ベムラーは迎撃で、尻尾でウルトラマンを叩きつけ様とするが、ウルトラマンはそれを防ぎ、ベムラーの腹に肘打ちを食らわせる。

 

ベムラー

「ギイィヤァ・・・!」

 

ベムラーは膝をつき、グロッキーになった瞬間。

 

ウルトラマン

「シュワッ!!」

 

ウルトラマンが両手を十字に組むと、右手から放つ必殺技〈スペシウム光線〉がベムラーに直撃する。

 

ベムラー

「ギイヤァァアアーッ!?」

 

ベムラーは断末魔を上げながら倒れ、爆発四散した。同時にウルトラマンの胸にあるカラータイマーが点滅を始めた。

 

ピコンピコンピコンピコン

 

ウルトラマン

「・・・シュワッチ!」

 

戦いを終えたウルトラマンは空高く飛び上がり、光の粒子となって消えた。そしてこれが、神永真の・・・ウルトラマンの永い戦いの始まりであった。

 

第1話END

*1
一部の兵士達は怪獣と呼んでいた。




次回「巨大人型生物‐ウルトラマン‐」


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第2話「巨大人型生物‐ウルトラマン‐」

本小説の初投稿から久しぶりに情報を見たら登録者が11人になっていてビビりました。ありがとうございます!

追記

後書きにおまけがあります。

7/9 ある方に楽曲コードを指摘されて入れようとしたのですが、自分が下手なせいで出来ませんでした。なので後書きのおまけを削除する事にしました。


西暦2031年 1/2。日本で新東名高速道路谷ヶ山トンネル工事の影響で巨大不明生物が出現。日本政府は緊急事態を宣言。政府は巨大不明生物を「ゴメス」と命名。認定特異災害「ノイズ」よりも想定を遥かに超える甚大な被害を齎すが、自衛隊の総力戦でゴメスを駆除。

 

同年 1/23。世界各国に再び巨大不明生物第2号が出現。以後「マンモスフラワー」と命名。毒の花粉を撒き散らし、周辺に甚大な被害を与える。現地の官民学の総力を挙げ、マンモスフラワーの弱点を発見。炭酸ガスと火炎放射の二重攻撃により駆除。

 

同年 6/5。地中海で複数のタンカーが消息を途絶える事件が発生。その9時間後に生き残った船員を海上レスキュー隊が保護。船員から事情聴取を行って得た情報で巨大不明生物による仕業だと判明。EUは巨大不明生物第3号「スダール」と命名。EUは艦隊を出撃。艦隊に被害が及ぶも、駆除に成功。

 

同年 8月。NASAが帰投した火星探査機に付着していた宝石の様な物を発見。研究所で解析が行われ、熱を加えた途端に肥大化。巨大不明生物第4号が孵化。以後「ナメゴン」と命名。アメリカ陸軍と空軍による長距離砲撃と絨毯爆撃によって駆除。

 

西暦2032年 6/12。日本に巨大不明生物第5号が出現。以後「カイゲル」と命名。蒲田駅前を予想以上の移動速度で周辺に溶解液をまき散らし、被害を齎す。自衛隊に被害が出るも、駆除。

 

同年 9月。ロシアの地下核廃棄物貯蔵施設の付近に巨大不明生物第6号が出現。以後「パゴス」と命名。パゴスは放射性物質を捕食後、次の核廃棄物貯蔵施設へと進撃。これにロシア軍は対応するが、放射性物質を含んだ光線で1個師団が全滅。これを危惧したロシア政府は核兵器を使用。代償を払ってパゴスを駆除。

 

非公式記録:同年 X月。聖遺物「天羽々斬」に適合した最初のシンフォギア装者が誕生。

 

西暦2033年 2/13。日本の富士山の青木ヶ原から巨大不明生物第7号が出現。以後「ゴルゴス」と命名。自衛隊の総攻撃で一度は撃破されるが、驚異的な再生能力で復活。再度攻撃するも復活し、自衛隊に被害が出るが何度目かの攻撃で核らしき物を確認。そこへ集中砲火をする事で駆除。

 

同年 3月。日本政府は風鳴機関を改組し、「特異災害対策機動部」を発足。以後、ノイズと巨大不明生物への対策が行われる。

 

非公式記録:また、裏の顔であるシンフォギアを運用する特異災害対策機動部二課が輸送中であった聖遺物「イチイバル」を紛失。それに伴い、前司令は引責辞任。新しく配属された者が2代目司令となる。

 

同年 5/8。フランスの首都パリにて約5000人以上の怪奇的な大量誘拐事件が発生。警察・軍による大規模捜査が行われる。数日後、ある民間人の数名が怪奇的な大量誘拐事件の主犯が異星からやって来た怪人「ケムール人」の仕業だと突き止める。民間人と警官・軍隊の連携によって撃退。

 

西暦2035年 2/27。バルベルデ共和国で人間大の巨大不明生物第8号が首都で大量に出現。以後「タランチュラ」と命名。その殲滅戦の中、とある集落がゲリラの襲撃にあう。その時、集落の住民と何故か無力化されたゲリラが「巨人」を見たと証言する。この出来事から時が経った後、ノイズ災害時に現れる巨人の特徴と合致する「赤いラインと青いランプがある銀の人型生命体」の噂が流れる。これに国連は巨人と銀の人型生命体に関する調査を行う。

 

同年 3/20。日本に4体目の巨大不明生物第9号が出現。以後「ラルゲユウス」と命名。航空自衛隊が対応するも、取り逃がす。消息は現在も不明。ステルス機能があると予想される。

 

西暦2036年 4/17。世界各国に大量の隕石群が墜落。国連は隕石群が墜落した現場に調査団と護衛の軍を派遣。同時刻、各国の首都にて謎の怪電波が確認されると同時に隕石群から大量の巨大不明生物が出現。巨大不明生物第10号「ガラモン」と命名。マンモスフラワー以上の被害を受ける。国連はガラモンと怪電波の繋がりに、その対処に関する会議中に「チルソニア遊星人」が現れ、国連に地球侵略を宣言。

国連は軍によるガラモン掃討作戦を行うが、どれも失敗に終わる。何もかも終わりだと思ったその時、宇宙からUFOが墜落。同時に世界各国で猛威を振るっていたガラモンが次々と活動を停止。これに国連は墜落したUFOを調べた結果、チルソニア遊星人の遺体があった為、彼らの宇宙船である事が判明。だがチルソニア遊星人の宇宙船が何故墜落したかは依然として不明。

 

西暦2037年 9月。世界がある程度復興した後、国連は巨大不明生物を「禍威獣」。及び異星文明人を「外星人」に改名。同時に対策と警戒が行われる。

 

西暦2038年 1/30。日本に5体目の禍威獣第11号が出現。以後「ぺギラ」と命名。冷凍ガスを放出し、東京に大寒波が発生。都市機能は麻痺し、大パニックに陥る。特異災害対策機動部の天才研究者によって弱点発見が決め手となり、ぺギラを駆除。

 

非公式記録:同年 X月。アメリカのとある荒野にある聖遺物研究所F.I.S.で行われた完全聖遺物「ネフィリム」の起動実験が成功。だがアルビノ・ネフィリムと化して暴走。レセプターチルドレンのシンフォギア装者が絶唱で止め様とした時、例の銀の人型生命体の出現と同時にネフィリムを鎮圧。ネフィリムは蛹型の基底状態に封じられた。 

 

西暦2039年 5/1。日本にパゴスの同種が出現。周囲に放射性物質が撒き散らされ、広範囲に被害が及ぶも、自衛隊と特異災害対策機動部の連携作戦で駆除。後に「パゴス事案」と呼ばれる。

 

非公式記録:同年 X月。日本の皆神山で聖遺物発掘チームが聖遺物「神獣鏡」を発見と同時にノイズの襲撃を受ける。そこに現れた銀の人型生命体によって助かるが、発掘チームの半数が死亡。並びに神獣鏡は紛失。その数日後、LiNKERの補助にて聖遺物「ガングニール」に適合したシンフォギア装者が誕生。

 

同年 7/10。未だネットで話題となっている謎の銀の人型生命体の名前が明確になり、国連はその名を正式名称として採用と同時に世界中に発表する。

 


 

そして、2年後の現在。ツインボーカルユニット「ツヴァイウィング」の公演中にノイズが出現。会場はパニックになり、多数の死者が出ていた。その中で、双翼の戦姫がノイズと戦っていた。その様子を逃げ遅れた1人の少女は見ていた。そして足元が崩れ、落ちてしまう。それに気付いた撃槍を纏った戦姫、天羽奏は驚く。

 

「なッ!?まだ逃げ遅れた奴がいたのか!?」

 

奏が驚いている間にノイズは奏を無視し、その少女に向かう。

 

「ッ!させるかーーーッ!!」

 

奏はすぐに通り抜けたノイズよりも早く追い抜き、槍を構え、迫りくるノイズを倒していく。だが多勢に無勢、徐々に追い詰められていき、彼女の纏うシンフォギアの輝きが消えてしまう。

 

「くッ!時限式はここまでか・・・!グッ!!」

 

そこへ大型ノイズの攻撃が襲い掛かる。奏は手持ちの槍を回転させ、攻撃を防ぐ。それと同時に彼女の纏うシンフォギアに亀裂が徐々に入り始め、遂に砕け散る。そして砕け散った破片は逃げ遅れた少女の胸に深々と突き刺さる。振り返った奏は少女の胸から大量に飛び散る血その光景を目の当たりにする。少女はその勢いで後ろにある瓦礫にぶつかり、力なくその場に倒れる。

 

「おい、死ぬな!目を開けてくれ、生きるのを諦めるなッ!!」

 

奏は駆け寄り、少女にそう呼び掛ける。するとそれに反応したのか、少女はゆっくりと目を開く。それを見た奏は安堵と同時に覚悟を決めた顔をし、ノイズの大群へと顔を向ける。

 

「いつか、心と身体、全部からっぽにして、思いっきり歌いたかったんだよな。今日はこんなたくさんの連中が聞いてくれるんだ。だからアタシも、出し惜しみなしでいく。取って置きのをくれてやる。絶唱。」

 

そう言って奏は歌を歌う。それは聞いた絶刀を纏った戦姫、風鳴翼は奏が何をやろうとしている事に気付き、急いで駆け寄ろうとするが、その道を他のノイズが行く手を阻む。

 

「いけない奏!歌ってはダメーッ!!」

 

翼は涙を流し、奏に止める様に叫ぶ。だがそれでも奏は歌い続ける。そして翼は願った。

 

(誰か、誰か奏を・・・私の相棒(親友)を助けてッ!)

 

そう願い、奏が絶唱を歌い切ろうとした瞬間。

 

ヒュゥゥゥッ

 

ドオォォォンッ!

 

上空から光の飛翔体が墜落し、土煙を上げる。絶唱を中断した奏とそれを見ていた翼は腕で顔を庇い、目を瞑る。土煙が収まり、奏達は目を開けて墜落した何かの見た時、目を見開いた。2人が見たのは、国連や二課でも調査と捜索が行われている存在であった。世界中の様々な災害現場で目撃されたその存在の名は・・・

 

‐ノイズ出現から数十分前‐

 

???

「はい、豚玉とネギ増しお持ちー。」

 

とあるお好み焼き店で働く1人の男性がそう言って鉄板付きテーブルに注文の品を置く。

 

ふらわーのおばちゃん

「真ちゃん、向かいのテーブルに海鮮と豚増し、モダンを持って行って。」

 

「了解でーす。」

 

ピロロロン ピロロロン

 

お好み焼き店「ふらわー」に住み込みで働いている神永真はふらわーのおばちゃんから品を受け取り、向かいのテーブルの持って行く。すると店内の隅に設置された天井テレビから緊急速報のアラートが鳴る。

 

『緊急速報です。今日の夕方、ツヴァイウィングのライブ会場でノイズが出現しました。死傷者は多数出ており・・・』

 

それを店内にいる全ての人が見ている中、真の左胸に”ある物”が熱くなる。それをそっと手を添える真。

 

「・・・おばちゃん。」

 

ふらわーのおばちゃん

「・・・気を付けなよ、真ちゃん。」

 

「勿論です。」

 

真はそう言ってエプロンを脱ぎ、店の裏口から出ると同時に走り出す。常人を逸脱した速度を保ったままジャンプし、近場のビルの屋上に着地。そして真は左胸から全体的に金属物質で構成され、先端は黒く。中には赤い球体が内蔵された棒状の物、ベーターカプセルを取り出して大きく横に振り、スイッチを一度押して左胸の方に持っていってから空に向かって掲げると同時に再度スイッチを押す。閃光と共にプランクブレーンに隔離された真のもう1つの姿を召喚し、彼の周りを渦巻き状に包み込む。閃光が収まると同時にスペシウムで構成されたスーツとインナーを纏った真は光の速さで飛んで行く。この姿となった彼にはもう1つの名がある。その名は・・・

 

‐現在‐

 

奏・翼

「ウルトラマン!」

 

ウルトラマン

「シェアッ!」

 

ウルトラマンは構えを取ると同時にノイズの大群へ突っ込んでいく。ノイズは迎撃を行うが、その尽くを手刀やリバウンド光線で防がれ、接近された。パンチ・チョップ・キックなどの技を繰り出し、ノイズを蹴散らしていく。すると上空から飛行能力を持ったノイズが突っ込んでくる。

 

ウルトラマン

「シャアッ!」

 

ウルトラマンは突撃して来る飛行型ノイズをバク転で避けた後、ウルトラスラッシュを放つ。ある程度距離が縮まると、複数に分裂して残った飛行型ノイズを全て切断する。

そして地上にいるノイズにスラッシュ光線を横薙ぎに連射して葬る。最後に残った大型ノイズは首を大きく振って攻撃する。

 

ウルトラマン

「デュワ・・・!」

 

その攻撃でウルトラマンは吹き飛ばされたが、空中で体勢を整えて着地。大型ノイズは踏み潰そうと接近するが、ウルトラマンの腕から放たれた〈ウルトラエアキャッチ〉で動きを静止させられ、そのまま空中へ持ち上げてある程度ライブ会場から離れたら空中で静止させる。

 

ウルトラマン

「ハアァァァ・・・」

 

ウルトラマンは腰を低く落とした姿勢を取ると、両腕を広げる。すると両腕に青白い光が収束していく。

 

少女

「・・・綺麗。」

 

ぼんやりとこの光景を見た少女がそう呟くと同時に青白い光が限界まで達する。右手を垂直に立て、左手を真横に伸ばしてから十字に組み、スペシウム光線を放つ。あまりの威力にウルトラマンの足元に巨大なクレーターができる。放たれた青白い光線は空中で静止した大型ノイズに直撃。空中で大爆発を起こす。

 

奏・翼

「・・・・・・」

 

奏と翼はその威力に唖然とする。一度二課のモニターで目の前で起きた光景を映像で見た事はあった。しかし、実際に見るのとでは段違いであった。その光景に圧倒され、2人は時間が止まった様に固まる。

 

ウルトラマン

「・・・・・・」

 

全てのノイズを倒し終えたウルトラマンはクレーターから出た後、固まっている2人を通り越して少女の下へ向かう。そして少女の前でしゃがみ、右手をカラータイマーの方まで持っていき、青白い光が掌に集束。

それを終えると、その掌を少女に向けると同時に暖かな光が少女を包む。まだ胸から出ていた血はほぼ止まり、少女はその暖かな光によって眠りにつく。ウルトラマンは少女の頭を撫でた後、後ろを振り返る。

 

奏・翼

「・・・・・・」

 

ウルトラマン

「・・・・・・」

 

硬直していた奏と翼と目が合う。数秒程見つめ合った後、先に動いたのはウルトラマンだった。2人に近付いたウルトラマンはさっき程の様に暖かい青白い光を放つ。それが2人を包み込むと、傷や疲労が無くなっていた。

 

「傷が、無くなった!?」

 

「それに身体が軽い・・・私達の傷と疲労を癒してくれたのか?」

 

ウルトラマン

「・・・(コクリ)シュワッチ!」

 

翼の問いに頷いたウルトラマンは空高く飛び上がり、その姿は徐々に見えなくなり、夕焼けの夜空に輝く星となった。

 

「・・・行っちまったな。」

 

「えぇ・・・奏。」

 

「分かってる。あの子の傷はウルトラマンが治してくれたけど、一応病院に連れて行って診てもらわないとな。」

 

奏と翼はギアを解除した後、奏は少女を背負い、翼と一緒にライブ会場を後にする。こうして戦いは終わった。だがこれは大きな戦いの序章でしかなかった。

 

第2話END




次回「新たなる戦姫」


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第3話「新たなる戦姫」

修正したり書き足していたら金曜日を過ぎていました。遅れてすんません。


西暦2041年 6月。ツヴァイウィングのライブ会場の悲劇から2ヵ月後。日本の某県某町にて外星人第3号「エイダシク星人」による誘拐捕食事件が発生。これに特異災害対策機動部・自衛隊が対処に当たり、現場である廃倉庫に突入。現場には戦闘の痕跡と、身体を横に切断されたエイダシク星人の遺体。そして誘拐し、捕食したであろう大量の遺体。そして生存者と思われる男性1名と子供2名を発見と同時に保護。

調査と事情聴取を行った結果、エイダシク星人は子供の内1人がライブ会場の事件で生存した事で生じた死者の遺族達の妬みを煽り、社会現象に発展させ、居宅の物的被害に及ぶ程の迫害行為を利用して効率よく餌となる人間を確保していた事が判明。男性は偶然悲鳴を聞き付け、現場を目撃。

エイダシク星人に襲われるが、ウルトラマンの介入によって難を逃れた模様。事件後、特異災害対策機動部は迫害を受けた子供とその家族を保護(尚、蒸発した父親は行方不明)。同時に社会現象となった迫害に対応し、徐々に沈静化に成功する。

 

西暦2042年 7/17。日本の某県某市にてミステリーサークルの様な幾何学模様が小規模ながら確認。同時に住民の失踪が判明した。特異災害対策機動部が調査を行う。動員された調査員が何名か行方不明になるが、外星人第4号「ジラフ星人」による犯行だと判明。ジラフ星人の潜伏先の廃工場を特定し、特異災害対策機動部・自衛隊は突撃。そして現場には徹底的に破壊された宇宙船。ボコボコにされて簀巻きにされたジラフ星人。失踪と行方不明となった民間人と調査員。

その彼らの横にはパイロットスーツ型の戦闘服に身を包んだ謎の人物が彼らの拘束を解いていた。自衛隊は民間人と調査員を確保。特異災害対策機動部は謎の人物に事情聴取を行おうとした時、ジラフ星人が隠し持っていた禍威獣第13号「エックス」が出現。現場は騒然し、危機に陥る。しかし、謎の人物が懐から取り出した棒状の物を天に掲げる。そしてスイッチを押すと同時に閃光が放たれ、そこからウルトラマンが出現。ウルトラマンはエックスを遠退かせ、戦闘を開始。

その数分後、グロッキーになったエックスに腕を十字に組んだウルトラマンは青白い光波熱線を放ち、エックスを撃破。そしてウルトラマンは上空へ消え去った後、自衛隊はジラフ星人を連行。特異災害対策機動部は謎の人物がウルトラマンであると確定し、目下捜索を継続中。

 

非公式記録:同年 X月。日本の某県の某山脈にて空間の歪みを観測。更に空間の歪みから未知の戦闘機が出現と同時に墜落。特異災害対策機動部は調査の為、現場に急行するが、現場には例の戦闘機は見当たらず、墜落の跡だけが残っていた。

 


 

‐西暦2043年 某山村‐

 

その夜、自衛隊は都市部へ進撃するノイズに攻撃を行っていた。しかし、ノイズの固有能力の1つ〈位相差障壁〉によって通常兵器による攻撃は無効化される。

 

自衛官隊長

「ぬぁ・・・ッ!やはり通常兵器では無理なのか!?」

 

隊長の自衛官がそう言った時。

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl(人と死しても、戦士と生きる)

 

2つの歌が聞こえたと同時に特異災害対策機動部二課のヘリがノイズに対応している自衛隊の頭上を通過し、大型ノイズに接近した所で2人の少女がヘリから飛び降りると同時に2回光に包まれてインナーとアーマーを装着し、双翼の戦姫は進撃するノイズの前に着地して立ち塞がる。

 

『奏、翼。先ずは一課と連携して・・・』

 

「分かってるって旦那。そんじゃ行くか、翼!」

 

「えぇ!両翼揃ったツヴァイウィングは!」

 

「何所までも遠くへ飛んでいける!」

 

奏はそう言ってノイズの大群に突っ込み、その後を翼は追いかけていく。位相差障壁を無効化されたノイズは絶刀と撃槍を纏った戦姫達によって順調に倒されていき、このまま終わると誰もが思ったその時!突然地面が揺れ始め、戦闘を行っていた自衛隊に奏と翼の動きが止まる。そしてその原因が月夜の地上に姿を現す!

 

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

戦闘の衝撃で地底に眠っていた禍威獣の出現で現場は騒然とし、ノイズがまだ残っている状況ではどちらか対処は不可能であった。だがそんな事情は知ったこっちゃないと言わんばかりに残存のノイズは襲い掛かり、禍威獣第14号「テレスドン」は〈溶岩熱線〉で周囲を焼き尽くす。

翼達は残ったノイズを倒しつつ、自衛隊の退撤を支援中に1両の機動戦闘車がノイズの攻撃を受けて行動不能となる。そしてテレスドンはその車両に向けて溶岩熱線の発射態勢に入る。

 

「ッ!いけない!」

 

テレスドン

「テエェェェン?デエェェェンッ!!」

 

「グゥッ!?」

 

「翼ッ!?チッ!邪魔すんじゃね!!」

 

それを見た翼は手持ちの剣を大型化させた大剣に変形させて飛び上がり、テレスドン目掛けて大剣を振り被ると同時に巨大な青いエネルギー刃を放ち標的を両断する〈蒼ノ一閃〉がテレスドンに直撃。しかし頑丈な外皮によってビクともしない。対してテレスドンは自分を攻撃した翼を叩き落とし、踏み潰そうと接近する。

奏は助けに行こうとするが、それをノイズが阻む。その間にもテレスドンは翼の方へと接近する。翼はその場から動こうとするが、ダメージが残った状態で動けずにいた。そしてテレスドンが足を上げて翼を潰そうとしたその時、水色の光線がテレスドンに直撃する。

 

テレスドン

「テエェェェンッ!?」

 

「ッ!あれはッ!?」

 

周囲に響き渡るジェットエンジン音。月明かりに照らされて輝く銀と赤に配色された1機の戦闘機が現れた。それを見た翼は驚いた。その戦闘機は1年前に空間の歪みから現れて墜落し、現場から消えた未知の戦闘機であった。

テレスドンは標的を戦闘機に変えて溶岩熱線で撃ち落とそうとするが、有り得ない変態軌道で全て避けながら的確に光線をテレスドンに命中させる。

 

テレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!!」

 

やがてテレスドンは苛立ち、一旦攻撃を止めて火炎袋に蓄積された膨大な熱エネルギーを高め、通常威力以上の溶岩熱線を放とうと口を開いたその時。

 

???

「FOX2!」

 

絶妙なタイミングで戦闘機から発射されたミサイルがスッポリと口に入る。同時にテレスドンは吞み込んでしまう。次の瞬間、テレスドンの内部で大爆発が起こる。

 

テレスドン

「テエェェェン・・・」

 

体内に深刻なダメージを負ったテレスドンは口から流血し、白眼をむいてその場に倒れ、活動停止。例の戦闘機は上空をある程度旋回して宇宙に向かって飛んでいき、月夜の空に消えた。

 

‐翌日 真side‐

 

俺がこの世界に漂着し、色々あって数ヵ月と2年経過した。現在は自前で購入したバイクで朝ツーリング兼パトロールを行っていると、見知った茶髪の女子学生は木に登って降りれなくなった小猫を助け様としていた。本当に変わらんな彼女は。そう思いながら俺は近くに寄ってバイクを路肩に停車し、ヘルメットを取ってバイクから降りる。

 

「あれから何も変わってないな。響。」

 

「あっ!真さ~ん!おはようございま~す!ってわあぁっ!?」

 

「うおッ!?あっぶね!?」

 

慌てて子猫と一緒に落ちた女子学生、立花響を受け止める。彼女とは2年前に幼馴染と一緒に知り合った関係だ。あのライブ会場の悲劇から少し経過してまた会った時はホントに酷いもんだった。エイダシク星人に煽られた連中は夜分と白昼関係なく放火、石の投げ込みなどで迫害をする輩は後を絶たなかった。

勿論俺が迎撃して追っ払った後に連中を尾行して奴が現れるタイミングを見計らったりしたが、原作の個体よりも慎重な個体で時間が掛かり、その結果で犠牲者を多く出してしまった。

 

(特に響達を誘拐した連中が潜伏先の廃倉庫を特定した時に来たからマジで焦ったな~)

 

「あ、あの真さん!そろそろ下ろしてくれませんか?///

 

「あぁ、すまんすまん。それと学校遅れるぞ。」

 

「ハッ!?」

 

赤面の響を下ろしてそう言うと、響はすぐにスマホを見た瞬間に顔を青ざめた。そんで響は挨拶をして子猫を抱きかかえたまま彼女が通う私立リディアン音楽院へ全速力で走っていく。さて、俺もそろそろ戻るか。そして俺はヘルメットを被り、バイクのエンジンを掛けてふらわーに戻る。

 

‐数時間後‐

 

ふらわーが開店してから数時間。ねぎ焼きの主役、ネギの在庫が無くなり、俺はバイクで八百屋に向ってネギを一箱購入し、後は在庫が少ない材料を購入して帰投しようと思ったその時。

 

「ッ!奴らか!」

 

ノイズの存在を感知した俺はすぐに裏路地に入り、プランクブレーンに荷物を収納。変わりに青いパイロットスーツ型の戦闘服〔マルチコンバットスーツ〕を取り出して装着した俺はバイクに乗り、現場に急行する。

 

‐真side END‐

 

真が別の現場へ急行した頃、学校行事が終わった響はツヴァイウィングのCDを買う為にCDショップに向かう途中に息を切らし、一旦止まって呼吸を整えて顔を上げる。すると周囲には灰の塊がいくつもあり、その灰が風に吹かれて舞うと同時にノイズ出現の警報が周囲に響き渡る。

急いでシェルターへ避難しようとするが、女の子の悲鳴が聞こえた響はノイズに追われる女の子の手を取り、一緒に逃走する。しかしシェルターから離れてしまう。そして響は足を躓いて背負った女の子共々転んでしまう。その間にも迫りくるノイズに響は一瞬絶望したその時。

 

『生きるのを諦めるなッ!!』

 

2年前に投げられたその言葉が電流となって脳内を走り、絶望しかけた響を奮い立たせ、再び女の子と共にノイズから逃げる。やがて工場区画内にある建物の屋上に逃げるが、そこには先回りしたノイズの大群が待ち構えていた。そしてジリジリと彼女達との距離を詰める。

 

女の子

「お姉ちゃん、死んじゃうの?」

 

「大丈夫、大丈夫ッ!だから・・・生きるのを諦めないでッ!」

 

恐怖に震える女の子を抱きしめながら2年前、奏に投げられたその言葉を叫んだその時、胸の奥から歌が聞こえ、その歌を響は無意識に歌った。

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失へのカウントダウン)

 

胸にある音符のフォルテに似た形の傷跡から光が溢れ出すと同時に光は天へと昇っていく。そのエネルギーは状況把握を行っている特異災害対策機動部二課と、某所でノイズと戦っている真が感知する。

 

‐特異災害対策機動部二課side‐

 

女性オペレーター

「反応を絞り込みました!位置、特定!」

 

男性オペレーター

「ノイズとは異なる高質量エネルギーを検知!」

 

女性研究者

「波形の照合、急いで!・・・ッ!これって、アウフヴァッヘン波形!?」

 

女性研究者がそう言った時、モニターにそのエネルギー波形の正体が表示される。

 

『GUNGNIR』

 

赤髪の司令官

「ガングニールだとッ!?」

 

この表示を見た二課に所属する職員は眼を見開いて驚く。その中でガングニールの装者である奏は特に驚いていた。

 

「どうなってんだ・・・アタシのガングニールはここにあるに!?」

 

「一体何が・・・」

 

男性オペレーター

「ッ!司令!先程のガングニールの方へ飛翔体が急速に接近中!」

 

赤髪の司令官

「新たな飛翔型の禍威獣か!?」

 

女性オペレーター

「いえ、シルエットは人型です!それと過去に観測したエネルギー波形と一致しました!これは・・・」

 

『ULTRAMAN』

 

モニターにはそう表示された。ウルトラマン。特異災害対策機動部や国連(特にアメリカなどの大国)がありとあらゆる手段で接触(コンタクト)を試みるが、その前にマッハ9.6の超音速で飛行する為、どれも失敗に終わった。だが今回は本部から工場区画まで然程距離はない。そう判断した赤髪の司令官もとい風鳴弦十郎の判断は早かった。

 

弦十郎

「奏!翼!」

 

「分かってるぜ、旦那!行くよ、翼!」

 

「えぇ!」

 

そして2人は本部を出て地下格納庫に向かい、配備されているバイクに乗り、現場へ急行する。

 

‐二課side END‐

 

‐同時刻 真side‐

 

某所で最後のノイズを手持ちの〔コスモブラスター〕で撃ち抜き、ホルスターに収めると同時に工場区画から天へと昇っていくエネルギーの光を目撃する。

 

「あの光は一体・・・ッ!響!?逃げ遅れたのか!」

 

俺は視力を強化して工場区画を見る。そこには響と小さな女の子がいた。

 

「それにあの姿は、あの嬢ちゃん達と同じ装備か!?何故彼女がアレを身に着けているんだッ!」

 

そして俺が眼を見開いて驚く間にもノイズはジリジリと距離を詰めていく。

 

「って言ってる場合じゃないかッ!」

 

そう言って左胸からベーターカプセルを取り出し、天に掲げてスイッチを押す。閃光と同時に姿を変え、響達がいる工場区画へ高速で飛んで行く。

 

‐真side END‐

 

そして時系列は光が天に昇った後に戻る。光に包まれた響は心臓を中心に全ての細胞が激変し、激痛が全身を走る。そして四つん這いになり、絶叫すると同時に背中から機械パーツが飛び出し、翼の様に生えるが、すぐに引っ込む。

それを数回繰り返す度にインナーとアーマーを纏っていく。やがて装着が完了するとアーマーの各所から蒸気が放出される。今この瞬間、新たなる戦姫が誕生した。そして響は変化した自身の姿を確認する。

 

「え、えぇッ!?何で!?私、どうなっちゃてるの!?」

 

女の子

「お姉ちゃん、カッコいい!」

 

女の子はそう言って目を輝かせて響を見詰める。響は自身の身に何が起こったのかは分からない。だが1つだけハッキリと分かる事がある。

 

(この子は絶対・・・私が守る!)

 

響は女の子を抱き上げ、その場からジャンプする。すると予想以上に跳躍に響は驚く間にも女の子諸共地面に落下していく。響は女の子が助かる様に強く抱きしめ、衝撃に備える。あと少しで地面に激突する瞬間、光の飛翔体が落下中の2人をキャッチして地面との激突を免れる。何時までも来ない衝撃に不思議に感じた響は閉じた眼を開く。するとそこには・・・

 

「ッ!ウルトラマン!」

 

ウルトラマン

「・・・(コクリ)」

 

ウルトラマンは頷いた後、ゆっくりと地上に降りる。すると彼らの周囲はノイズに完全包囲されていた。その光景に響達は恐怖に震える。そんな彼女達をウルトラマンはそっと下ろす。

 

ウルトラマン

「君はその子を守れ。」

 

響にそう言ったウルトラマンは彼女達に背を向け、姿勢を低くして構えを取ってノイズに立ちはだかる。この時、響達は先程までの恐怖は消えていた。

ウルトラマンの力強い背中が彼女達の恐怖を打ち払ったのだ。そして響達に迫るノイズはウルトラマンに迎撃されて数を減らしていく。すると・・・

 

ブオォォォーーーン!

 

工場区画に2台のバイクの音が響き渡り、ウルトラマン達を包囲しているノイズはバイクで轢いていき、最後はバイクを大型ノイズに突っ込む直前に乗っていた者達は飛び降り、聖詠を歌う。そしてシンフォギアを纏った双翼の戦姫が降り立つ。

 

「えぇッ!?奏さんに翼さん!?」

 

響が驚く中、奏と翼は連携してノイズと倒していく。ウルトラマンも2人を援護して戦いやすい状況を作り、ノイズは半分程減った時、残存のノイズは1体の大型ノイズに集結。すると大型ノイズは小型ノイズを吸収し、禍威獣と同程度の巨体となった。

 

「おいおいウッソだろッ!?」

 

「くッ、新種のノイズか!」

 

超大型ノイズは腕を振り下ろして奏達とウルトラマンを攻撃するが、ウルトラマンの体当たりでよろけて失敗する。その隙に奏は〈STARDUST∞FOTON〉を、翼は〈千ノ落涙〉で攻撃。

だが通常の個体より頑丈で倒しきれなかった。そして超大型ノイズは反撃を行おう直前に高く飛び上がったウルトラマンから放たれたウルトラスラッシュによって撃破された。

 

‐数十分後‐

 

現場に駆け付けた特異災害対策機動部と自衛隊によって現場処理が行われる中、女の子は無事親御さんの下へ送られた。そして響は寮に帰ろうとするが・・・

 

「貴女をこのまま帰す訳にはいきません。よって特異災害対策機動部二課まで同行していただきます。」

 

翼がそう言うと同時に響は二課のエージェント、緒川慎次に手錠を掛けられる。

 

緒川

「すいませんね。貴方の身柄を拘束させていただきます。」

 

「え、えぇぇぇッ!?」

 

響がそう叫んだ後、車に乗せられる一方で、奏は別のエージェントと一緒に何故かその場に留まったウルトラマンを包囲していた。

 

「アンタには悪いけど、あの子と一緒に同行してもらうぜ・・・ウルトラマン。」

 

ウルトラマン

「・・・分かった同行しよう。」

 

変身を解いてマルチコンバットスーツを着たウルトラマンもとい真はそう答え、車に乗り込み、響と一緒に二課へ同行する。

 

第3話END




次回「大いなる力と責任」


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第4話「大いなる力と責任」

こちらの都合で本日から土曜日投稿にします。悪しからず。

追記

アンケートの結果、コスモブラスターの外見をGUTSハイパーに決定しました。ありがとうございます!


ノイズとの戦闘後、響は手錠を掛けられ、隣にいる戦闘服を着た男性(ウルトラマン)と一緒に対面にいる彼女の憧れであるツヴァイウィングの奏と翼、運転席いる緒川に拘束・連行されている。響はふと窓の外を見ると、そこには彼女にとって見慣れた建物があった。

 

「何で学院に・・・?」

 

そして車から降り、誰も答える事なく学院の中央棟へ入っていく。ただ1人、ウルトラマンもとい真はある考えに辿り着き、〈ウルトラアイスポット〉を使って地面の下を見る。すると幾何学模様がびっしりと描かれた巨大なエレベーターシャフトに、中規模の地下基地があった。

 

ウルトラマン

(やはり地下に基地があったか。)

 

そう思っていると、中央棟の一角にあるエレベーターに辿り着き、その中へ入っていく。緒川は手持ちの通信機を認証装置に翳すと同時に二重にドアが閉まり、手すりが展開される。それに手慣れた感じで二課の3人は手すりに摑まる。それを見て反対側の手すりに摑まるウルトラマン。

 

「あ、あの~これは「掴まれ。」わわッ!?そ、そんな抱きしめなーードアァァァァァァーーーッ!!?」

 

響は自身を左腕で抱き寄せたウルトラマンに言い掛けるが、エレベーターは急速に降下。その際に響は驚き、悲鳴が鳴り響く。やがて最終階層に到達し、エレベーターから全員が降りる。尚、響は千鳥足でフラフラとしていた。そんな響をウルトラマンは支えていた。

 

ウルトラマン

「大丈夫か?」

 

「アハハ・・・はい、何とか。」

 

空元気にそう答える響。それに翼はこう答える。

 

「愛想は不要よ。これから向かう所に微笑みなど必要ないから。」

 

そう言われ、響はションボリするが、ウルトラアイスポットで基地全容を見ていたウルトラマンはある一角を見てこう答える。

 

ウルトラマン

「その台詞はすぐに撤回した方がいい。」

 

「?」

 

「そいつはどうしてだ?」

 

翼は首を傾げ、気になった奏はそう聞き、ウルトラマンはこう返答した。

 

ウルトラマン

「この扉に先にその答えがある。」

 

彼らが話してる間に基地の食堂へ辿り着き、扉が開くと同時にクラッカーとパフパフラッパの音や拍手が鳴り響く。そして吊るされた横断幕には「熱烈歓迎!立花響様、ウルトラマン様!」と書かれていた。

 

弦十郎

「ようこそ!人類守護の砦!特異災害対策機動部二課へ!」

 

シルクハットを被り、両腕を広げてそう言う弦十郎に、透視光線で中の様子を見て知っていたウルトラマンを除いた4人は目を見開いて驚いていた。

 

「へ?」

 

「・・・」

 

「成程な、そういう事か。」

 

緒川

「アハハ・・・」

 

完全に歓迎パーティーの雰囲気に響は呆け、翼は額に指を当てて困った顔をし、奏はさっきウルトラマンが言った事に笑いながら納得し、緒川は苦笑いをする。対してウルトラマンはヘルメット越しである女性に視線を向けていた。

 

ウルトラマン

(あの眼鏡を掛けた白衣の女性・・・異星人では無いが、食堂(ここ)にいる職員達とは明らかに異質な気配だ。彼女は一体・・・)

 

ウルトラマンがそう思ってる間に件の女性、櫻井了子はスマホを持って響に近付く。

 

了子

「さあさあ、笑って笑って♪お近付きのしるしににツーショット写真♪」

 

「嫌ですよ!手錠したままの写真だなんて!きっと悲しい思い出として残っちゃいますよ!それにどうして初めて会う皆さんが私の名前を知ってるんですか?」

 

弦十郎

「我々二課の前身は、大戦時に設立された特務機関なのでね。調査はお手の物さ。」

 

何処から出したマジックステッキでマジックを披露してそう言う弦十郎。すると了子は響が所持していた鞄を持ってくる。

 

「アァァァーーーッ!私の鞄!なーにが調査はお手の物ですか!鞄の中身勝手に調べたりして!!」

 

それから響は手錠を緒川に外してもらい、弦十郎と了子が自己紹介し、テーブルにある料理や飲み物を響とウルトラマンは(ヘルメットのバイザーを半開きにして)堪能した後、弦十郎に協力を要請を2人に持ち掛ける。それに響は自身の身に起きた事を思い出し、それを弦十郎達に問う。弦十郎と了子は互いに顔を見合わせ、了子は頷く。

 

了子

「まず貴女の質問に答える為にも、2つばかりお願いがあるの。1つは今日の事を誰にも内緒。そしてもう1つは・・・」

 

そう言って了子は響の腰に手を回し、抱き寄せてぶっ飛んだ事を言う。

 

了子

「取り敢えず服を脱いでって、あら?」

 

そう言い掛けた時、抱き寄せた響は居らず、前を見ると、いつの間に響を助け出して背後に隠し、ヘルメット越しではあるが確実に了子を睨んでいるウルトラマンがいた。

 

ウルトラマン

「・・・同性でもセクハラ行為は止してもらおう。」

 

了子

「あ~言い方が悪かったわね。響ちゃんの検査を行いたいのよ。何故彼女がシンフォギアを纏えたのかをね。」

 

ウルトラマン

「・・・その原因は既に判明している。」

 

弦十郎

「何だとッ!?」

 

ウルトラマンの発言に弦十郎がこの場にいる二課の面々を代表してその言葉を発する。響は訳が分からず、ウルトラマンを見詰める。ウルトラマンは周囲を見回した後、ゆっくりと答えていく。

2年前、あのライブ会場の悲劇で響がいた事。そして彼女を守ろうとした奏のシンフォギアの破片が響の心臓付近にある事を説明する。

 

弦十郎

「しかし、何故それが分かったんだ?」

 

ウルトラマン

「私の持つ能力の1つで彼女の体内を確認した。そちらでも検査を行えば判明する。」

 

弦十郎

「分かった。ではこちらから質問をしても構わないか?」

 

ウルトラマン

「出来る限り答えよう。」

 

弦十郎

「では、貴方から観測されたエネルギーは何と言うんだ?」

 

ウルトラマン

「原子番号133の超重元素、スペシウム133だ。それが私のもう1つの姿を構成する。この物質の応用によって、技の使用や、重力を歪めての高速飛行を可能としている。」

 

ウルトラマンから観測されたエネルギーの正体が判明し、それに了子は研究者の性でブツブツと呟いていた。その時、一瞬だけ了子の瞳が金色に輝いたのをウルトラマンは見逃さなかった。

 

弦十郎

「では、今の姿は本来の姿では無いのか?」

 

ウルトラマン

「いや、どちらも本来の姿だ。」

 

弦十郎

「そうか。なら貴方の来訪目的を教えは貰えないだろうか?」

 

ウルトラマン

「来訪目的は無い。ただこの地球()に漂着しただけだ。」

 

そこからウルトラマンもとい真は一部を伏せて簡潔に話した。別宇宙(世界)の住人であり、先史文明期の地球に漂着し、禍威獣や侵略目的の外星人と戦った。そして最後の戦いの後、時空を操作する禍威獣によって現代に飛ばされた。簡潔ではあるが、遥か昔から禍威獣や外星人が存在していた事実と、異世界の漂流者。余りのスケールに驚く者や話に追い付けない者達がいた。

 

ウルトラマン

「先程目的が無いと言ったが、私はある人物を探している。」

 

弦十郎

「そのある人物とは?」

 

ウルトラマン

「あぁ。この宇宙(世界)で、今は亡き最初の戦友から伝言を頼まれてな。例え本人でなくとも、その子孫にでも伝えるべき大切な伝言だ。」

 

そう言って何か思い耽る様に天井を見上げるウルトラマン。それだけで余程大切なことだと食堂(ここ)にいる全員が納得する。その後、政府にウルトラマンとの接触、協力関係の締結を報告しない条件で協力関係を築けた二課は響の検査を終えて本日は解散となった。

 

ウルトラマン

「では、そろそろ行くとしよう。」

 

弦十郎

「では地上まで送ろう。」

 

ウルトラマン

「問題ない。」

 

そう言ってウルトラマンは隣にいる響に顔を向け、両手を握って欲しいっと言う。響は戸惑いながらもウルトラマンの両手を握る。

 

ウルトラマン

「飛ぶぞ。」

 

「え?飛ぶってー」

 

響が言い切る前にウルトラマンと一緒に食堂から一瞬で姿が消えた。

 

「一瞬で消えた!?」

 

「まだ他にも能力を持ってるかもしれないわね・・・」

 

そう話してる間に、響はウルトラマンの〈テレポーテーション〉で自身が住んでいる寮の近くに送り届けられ、突然景色が変わった事に驚いていた。尚、送り届けたウルトラマンはすぐに飛んでいった。

 

‐翌日‐

 

指令室で二課の面々と響が揃った時、遅れてウルトラマンがやって来た。その時にテレポーテーションで偶々響と奏、翼の背後に現れ、突然の事で3人は驚く。

 

「うわッ!?」

 

「うおッ!?びっくりした!!」

 

「いつの間に・・・ッ!?」

 

ウルトラマン

「あぁ、すまない。驚かせてしまったな。」

 

それからウルトラマンの言った通り、昨日行った響の検査でガングニールの破片が確認された。そこから聖遺物とシンフォギアの説明がされた。

 

了子

「さて、ここまでで分からない所はあるかしら?」

 

「全然分かりません!」

 

女性・男性オペレーター

「だろうね(おとも)・・・」

 

それにオペレーターの藤尭朔也と友里あおいはそう言って頷く。

 

ウルトラマン

「つまり、聖遺物はオーパーツ、ゲームで言うアーティファクト。その破片を加工し、対ノイズ用の鎧型武装にしたのがシンフォギアで、それを開発したのが櫻井博士だ。そう覚えればいい。」

 

「は、はい!覚えやすかったです!それと・・・この力の事、やっぱり誰かに話しちゃいけないのでしょうか?」

 

弦十郎

「君がシンフォギアの力を持っている事を何者かに知られた場合、君の家族や友人、周りの人間に危害が及び兼ねない。命に関わる危険すらある。」

 

「命に、関わる・・・」

 

そう言われた響の脳裏には幼馴染と真の姿が浮かび、そして少しだけ俯く。それをウルトラマンもとい真はジッと見守る。

 

弦十郎

「俺達が守りたいのは機密などではない。人の命だ。その為にも、この力を隠し通して貰えないだろうか。」

 

了子

「貴女に秘められた力は、それだけ大きなものだとゆう事を分かって欲しいの。」

 

弦十郎

「人類では、ノイズに打ち勝てない。人の身でノイズに触れる事は、即ち炭となって崩れる事を意味する。そしてまた、ダメージを与える事も不可能だ。たった1つの例外があるとすれば、シンフォギアを纏った戦姫だけ。日本政府、特異災害対策機動部二課として改めて協力を要請したい・・・立花響君。君が宿したシンフォギアの力を、対ノイズ戦の為に役立ててくれないだろうか?」

 

「・・・私の力で誰かを助けられるんですよね。」

 

それに弦十郎と了子は頷く。

 

「分かりました!私『ヴゥーーンッ!ヴゥーーンッ!ヴゥーーンッ!』ッ!?」

 

朔也

「ノイズの出現を確認!」

 

あおい

「出現位置特定!座標でます・・・ッ!リディアンより距離200!」

 

警報音と同時にオペレーターの2人は自身の席に着き、端末を操作。状況を確認し、報告する。

 

弦十郎

「近い・・・ッ!」

 

「行くぞ!翼!」

 

「えぇ!」

 

そう言って奏と翼はすぐに格納庫の方へ向かう。その後ろ姿を響は見詰めた後、自身も現場へ向かうと言う。それに弦十郎は反対するが・・・

 

「私の力が、誰かの助けになるんですよね!シンフォギアの力でないと、ノイズと戦う事は出来ないんですよね!だから行きます!」

 

そして響は指令室を出て行こうとするが、彼女の目の前には、扉を背にして立ち塞がるウルトラマンがいた。

 

ウルトラマン

「・・・君はここに残れ。」

 

ただ低く静かではあるが、圧を感じる言葉をウルトラマンは響に放つ。

 

「でも「君の心掛けは立派だ。だがこれは人命が関わっている。今の君では何も守れない。行っても足手纏いと自殺志願者になるだけだ。」ッ!?」

 

ウルトラマン

「確かにシンフォギアを纏う事でノイズとは戦える。だが、それは決して万能ではない。それは私も当て嵌まる。」

 

その言葉に響を含め、弦十郎達は目を見開く。人類(彼ら)から見ればウルトラマンは神に近しい存在であったからだ。

 

ウルトラマン

ウルトラマン()は決して万能の神ではない。君達(人類)と同じ生命(いのち)を持つ生命体だ。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある。」

 

そう言ってウルトラマンは自身の右手を見る。この世界で最初にできた戦友と、ある女の子の衰弱した母親を助けられなかった記憶が思い浮かぶと同時に右手を強く握る。

 

ウルトラマン

「だが大切なのは、最後まで諦めない事だ。君がこの道を進むのであれば止はしない。だがこれだけは覚えてほしい、君の死で悲しむ人達がいる事を。故にここに残り、戦いとはどういう世界かを見て考えてほしい。」

 

そしてウルトラマンは響の返事と反応を待たずにテレポーテーションで現場に向かう。

 

ーーーーーー

 

ウルトラマンが現場の上空にテレポーテーションで到着し、ノイズと交戦中の奏と翼を上空から援護する。

 

「ッ!ウルトラマンか!」

 

ウルトラマン

「遅れてすまない。ここから私も参戦させてもらう。」

 

飛行型ノイズとドックファイトしながらそう言い、飛行型を対処した後、地上のノイズにスラッシュ光線の機銃掃射で数を減らしていく。その姿はA-10を彷彿とさせる。

 

「やるね~、こっちも負けられないな!」

 

穂先を回転させた槍から放つ竜巻〈LAST∞METEOR〉がウルトラマンに気を取られたノイズを呑み込んでいく。それから順調に数を減らしていき、やがて最後の1体を翼が斬り伏せた。

 

「お疲れ、翼。」

 

「お疲れ様、奏。」

 

互いを握らった後、ウルトラマンはゆっくりと彼女達の近くに降りる。

 

「アンタもありがとうな、ウルトラマン。」

 

「お陰でいつもより速く対処する事が出来ました。」

 

ウルトラマン

「私は援護をしただけだ。だが礼は受け取っておこう。」

 

「それと、あの子を・・・響を止めてくれてありがとう。」

 

ウルトラマン

「聞いていたのか?」

 

「通信越しで聞いていました。私からも、ありがとうございます。」

 

ウルトラマン

「構わない。彼女はまともな自衛手段が無い状態だ。それに君がせっかく助けた命が無下にされてはいかん。」

 

「優しいんだな、アンタは。」

 

ウルトラマン

「・・・///

 

そう言われたウルトラマンは頭の後ろに手を当てて明後日の方向に顔を向ける。それを見た奏と翼はクスリと笑うのであった。その後、駆け付けた現場処理班に後を任せ、ウルトラマンは奏達と一緒にテレポーテーションで二課の指令室に帰投する。その際、奏と翼は初の瞬間移動で驚いていた。

 

第4話END




次回「青銅の蛇‐ネフシュタン‐」


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第5話「青銅の蛇‐ネフシュタン‐」

adachiさん、誤字報告ありがとうございます!

追記

作者
「前回はやる気がカツカツで後半(戦闘が)雑になったから今回で挽回、できたらいいな・・・」


「自信持ってくれよ・・・」


‐西暦2043年 1ヵ月と5日後‐

 

「ウリャアアアーーーッ!」

 

夜の市街地で響の回し蹴りが人型ノイズに炸裂。吹き飛ばして他のノイズを巻き込んで炭となる。彼女が正式に二課へ加入後、弦十郎とウルトラマンもとい真の下で鍛えられ、弦十郎からトンデモ武術。ウルトラマンから柔術とCQC。それをどんどん吸収し、2週間前の初戦で問題なく戦える状態へとなった。そこから鍛練と経験を積んでいき、現在では1人でも問題なく戦えるまでに成長を遂げた。

 

ウルトラマン

(短い期間とは言え、ここまで成長するのは予想以上だな。)

 

高台になる建物の上からコスモブラスターを構え、ウルトラマンもとい真は援護射撃を行いながら響の成長速度に驚いていた。それには二課の面々も同様であった。

 

ウルトラマン

「これからも何事もなくこの調子が続いて欲しいが、この数日前から感じる胸のざわつきと嵐の前の静けさは一体・・・」

 

そう思いながらウルトラマンは最後のノイズを撃ち抜き、戦闘は終了。響達と合流し、二課の本部へ送り届け様とした時。

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

何者かの視線を感じたウルトラマンは視力を強化し、周囲を見渡す。しかし発見する事は出来なかった。

 

「ウルトラマンさん?」

 

「どうしたんだ?急にキョロキョロして?」

 

「何かあるのか?」

 

ウルトラマン

「・・・いや、気のせいだ。本部へ送るぞ。」

 

そう言われた響達はウルトラマンの手を取り、テレポーテーションで帰還する。この時、遠く離れた建物の屋上の陰から変わった杖を持ち、ワインレッドの服を着た銀髪の少女はウルトラマン達が消えた後、その場から立ち去る。

 

‐翌日 真side‐

 

???

「それでいくら問い詰めても全然話してくれないんですよ。真さん、何か知ってませんか?」

 

「あ~特に何も聞いていないな。(すまん、未来。君の求める答えを話せば再び君を危険に巻き込んでしまう。)」

 

夕方前の時間帯。ふらわーのカウンター席でそう話す響の幼馴染、小日向未来に心の中でそう謝罪する。2年前、迅速に対処すれば彼女達は自分達を誘拐した連中がエイダシク星人に捕食される場面を見る事は無かった。出来る限り彼女達を危険から遠ざけたいが、響は現在進行形でもう止められないだろう。せめて彼女だけでも平穏に過ごしてもらいたいものだ・・・

 

未来

「ッ!?真さん!お好み焼き焦げてますよ!!」

 

「あッ!?ヤッベ!!」

 

未来に気付かされ、慌ててひっくり返す。しかし裏面は見事に焦げていた。

 

「・・・すまん、これは俺が食べるから新しいの作るな。」

 

未来

「いえ、これくらい大丈夫ですよ。そう言えば、この1ヵ月でノイズがよく出る様になってるみたいですけど、真さんもツーリングをする時は気を付けて下さいね・・・あの時みたいにウルトラマンがすぐ助けに来てくれるか分かりませんから。」

 

「・・・あぁ、そうだな。ツーリングは出来る限り控えるよ。」

 

思えばあの時、エイダシク星人()に飛び付かれて倉庫外に出た後、捕食され掛けた時にウルトラマンに助けられたって言う設定だったな。当時その設定で響達に泣きながら心配されたっけ。

 

未来

「そうだ、真さん昨日のニュース見ましたか?」

 

健司

「あぁ、確か明日に流星群が見れるんだったな。」

 

未来

「真さんが良ければ私達と一緒に公園で見に行きませんか?」

 

「そうだな、おばちゃんに確認を取ってから判断するよ。」

 

ふらわーのおばちゃん

「明日なら問題ないよ。折角可愛い嬢ちゃん達に誘われてんだ。行ってあげな。」

 

俺達の会話を聞いていたのか、厨房の奥にある暖簾が掛かった出入口から出てくる。

 

「聞いてたのか、おばちゃん。」

 

ふらわーのおばちゃん

「まぁね。さっきも言った通り、明日なら問題ないから行ってやんな。弁当作ってあげるからね。」

 

真・未来

「ありがとう(ございます)。おばちゃん!」

 

俺はおばちゃんのご厚意に感謝し、明日の流星群を響達と見に行き、平穏な時を送る・・・筈だった。

 

‐当日‐

 

夕方、おばちゃん特性の弁当を持ってバイクで集合場所の公園に向かう途中、ノイズ(連中)の気配を察知する。

 

「・・・ハハハッ、あの雑音共・・・折角響が息抜きと、未来との平穏な時間を過ごす予定をパーにしやがって、マジ許さん!!!

 

その後、未来に遅れると連絡を入れた俺はバイクと弁当をプランクブレーンに収納。周囲に見ている者がいないかを確認した俺はベーターカプセルを取り出し、天に掲げてスイッチを押す。閃光に包まれながら飛翔し、現場へと向かう瞬間。何もない空中から突然光線の攻撃を受ける。

 

‐真side END‐

 

‐響side‐

 

私は地下鉄に出現したノイズと戦いながら駅のコンコースに辿り着くと、他のノイズよりも目立つブドウみたいなノイズがいた。

 

弦十郎

『間も無く翼達も到着する。それまで持ち堪えるだ。くれぐれも無茶はするな。』

 

「分かってます!私は、私に出来る事をやるだけです!」

 

そう返事をした後、自動改札機を飛び越え、ノイズと戦う。すると、ブドウみたいなノイズが幾つか球を放つと同時に爆発していく。そして天井が崩れ、私は下敷きにされた。

 

「見たかった・・・流れ星、見たかった!」

 

そう叫びながら私は瓦礫を吹き飛ばして近くにいるノイズを蹴り飛ばす。そして他のノイズを殴って吹き飛ばしてブドウみたいなノイズを追い掛ける。

 

「未来と、真さんと一緒に流れ星見たかった!!」

 

今日は折角未来と真さんと一緒に流れ星を見る約束をしたのにッ!それを・・・それをッ!!

 

「あんた達が・・・誰かの約束を犯し、嘘の無い言葉を、争いの無い世界を、何でもない日常をッ!略奪すると言うのならッ!!」

 

ホームの壁を叩いた後、私はドス黒い感情に身を任せ、ホームにいるノイズを倒していく。そしてまたブドウみたいなノイズの攻撃を受ける。咄嗟に防御した後に前を見るとブドウみたいなノイズは天井を爆発させて穴を作り、そこから逃げて行く。

 

「ッ!待ちなさい!」

 

私はそれを追い掛け、縦に続く穴を登っていき、地上に出る。

 

‐響side END‐

 

響が地上に出る頃にはセルノイズ*1はヘリで駆け付けた奏と翼によって倒されていた。

 

「お疲れ、響。悪ぃな、遅れちまって。」

 

「は、はい!大丈夫です。」

 

「ッ!2人共避けて!!」

 

翼がそう叫ぶと同時に林の奥から結晶の様な薄紫の鞭が響達を襲うが、奏は槍を振るって攻撃を逸らす。そして翼と奏はアームドギアを構え、林の奥にいるであろう何者かを警戒する。

 

???

「へぇ~、今のを防ぐか。」

 

林の奥から声が聞こえ、そこから人影が出てくる。すると丁度雲に隠れていた月明かりが周辺を照らすと同時に奏と翼は目を見開いて驚いた。

 

「あれは・・・ッ!?」

 

「ネフシュタンの・・・鎧ッ!?」

 

奏と翼は白い鎧を纏った謎の少女の姿を見てそう言う。響は訳が分からず、ただ立ち尽くす。

 

謎の少女

「へぇ、って事はこの鎧の出自を知ってんだ。」

 

「忘れたくても忘れるもんかよ!」

 

「2年前、私達の不始末で失った完全聖遺物・・・まさかこうして巡り合うとは!」

 

そして2人はアームドギアの刀と槍を構え直す。それを見た響は間に立って止めに入る。

 

「待ってください!相手は人です!同じ人間です!」

 

鎧の少女・翼

「戦場で何をバカな事を・・・ッ!」

 

「寧ろ、貴女と気が合いそうね。」

 

鎧の少女

「だったら仲良くじゃれ合うかい!」

 

その発言と同時に鎧の少女は鞭を振るう。射線上にいる響を翼は弾き飛ばし、上空に避けると同時に蒼ノ一閃を、その間に奏はSTARDUST∞FOTONを放つ。

が、たった1本の鞭で防がれてしまう。ならばと2人は接近戦を仕掛けるが、それも全て防がれてしまう。そして2人は鎧の少女に蹴り飛ばされる。

 

「グゥ、こいつが完全聖遺物のポテンシャル・・・ッ!」

 

「しかも鎧に振り回されてる訳ではない、この強さは本物・・・ッ!」

 

鎧の少女

「ネフシュタンの力だなんて思わないでくれよな。それに、狙いはハナからお前らじゃねーんだよ。」

 

「そいつはどう言う「キャアァァァッ!」ッ!?響ッ!!」

 

「ッ!?あれは、外星人ッ!?」

 

???

「フォッフォッフォッフォッフォッ。」

 

響の叫び声が聞こえ、そちらに振り向いた2人の視界に飛び込んだのは、セミに似た顔、巨大なハサミ状の両手、宇宙忍者の異名を持つ外星人〔宇宙忍者 バルタン星人〕が右のハサミで響の首を絞め押さえていた。

 

鎧の少女

「あたしの目的はアイツを搔っ攫う事だ。だからお前らはコイツ等と遊んでな。」

 

鎧の少女は杖上の物を取り出し、杖から薄緑の光線が放たれ、それが地面に着弾すると同時にノイズの大群が出現した。

 

「嘘だろ!?」

 

「ノイズを、召喚しただと!?」

 

鎧の少女

「コイツらはあたしが相手をする。バルタン、お前はソイツを連れて行きな。」

 

バルタン星人

「フォッフォッフォッフォッフォッ(分かっている)。」

 

指示されたバルタン星人はゆっくりと飛翔し、公園の広場から離れていく。それを見た奏達は助けに向かうが、鎧の少女と召喚されたノイズの大群によって阻まれてしまう。

 

「クソ、どきやがれッ!!」

 

鎧の少女

「オラオラ!そんなもんかよ!!」

 

「クゥ・・・ッ!」

 

その間にバルタン星人に連れ去られる響は如何にか逃れ様とするが、抜け出せずにいた。そして意識が途切れ掛けていた。

 

(奏さん、翼さん・・・未来、真さん・・・)

 

響が意識を手放すその瞬間、バルタン星人の背後から1発の光線が直撃する。

 

バルタン星人

「フォッ!?」

 

「あっ・・・」

 

背後からの攻撃にバルタン星人は怯み、その反動で響を絞め押さえていたハサミが緩み、響はそのまま落下する。それを光の速さで駆け付けたウルトラマンが受け止め、スライディング着地する。

 

奏・翼

「ウルトラマン!」

 

鎧の少女

「チッ、もう来たか!」

 

ウルトラマンの登場に奏達は奮起し、鎧の少女は苦虫を噛み潰した様な顔をする。その間にウルトラマンは響を近くの木に背を持たせ掛ける。

 

「ウルトラマン、さん・・・」

 

ウルトラマン

「遅れてすまない。後は私が受け持つ。」

 

そう言ってウルトラマンは立ち上がり、振り返る。そこにはウルトラマンを睨むバルタン星人がいた。ウルトラマンはゆっくりと近付き、ある程度進んだ所で立ち止まる。

 

バルタン星人

「フォッフォッフォッフォッフォッ(まさか私が仕掛けた足止めのドローンを突破するとはな。)」

 

ウルトラマン

『あのドローンは貴様の仕業だったか・・・バルタン、即刻この地球から立ち去れ。』

 

バルタン星人

「フォッフォッフォッフォッフォッ(雇われた以上、依頼は達成させてもらう。そして我が同胞の無念を晴らす)!」

 

ウルトラマン

『引く気は無いか・・・!』

 

外星人しか分からない会話を終えた両者は巨大化し、構えを取る。先手はバルタン星人のハサミから連射して放つ〈白色破壊光弾〉がウルトラマンに直撃する。

ウルトラマンは両腕をV字に交差させた〈ウルトラVバリヤー〉で防ぐ。そしてバルタン星人の攻撃が途切れた瞬間にタックルでバルタン星人を押し倒す。

マウントポジションを取ろうとして飛び掛かるが、バルタン星人の分身移動によって失敗に終わり、逆にマウントポジションを取られたウルトラマンはバルタン星人に殴打される。

 

ウルトラマン

「グゥッ、ジュワッ!」

 

バルタン星人

「フォッ!?」

 

ウルトラマンの裏拳がバルタン星人の顔に当たり、怯んだ隙にウルトラマンは脱出する。そして再び両者は構え、様子を窺いながら円を描く様に移動する。

 

ウルトラマン

「ヘアッ!」

 

バルタン星人

「フォッフォッフォッフォッフォッ!」

 

ウルトラスラッシュを放つウルトラマンであったが、バルタン星人は全身に張り巡らせる〈光波バリヤー〉で防がれてしまう。そこへ間髪入れずにウルトラマンはスペシウム光線を放ち、光波バリヤーを突破するが、バルタン星人の胸部が観音開きになり、そこに填め込まれた特殊な鏡〔スペルゲン反射光〕によって反射されたスペシウム光線がウルトラマンに直撃。後ろに倒れてしまう。

 

ウルトラマン

(光波バリヤーにスペルゲン反射光!このバルタン星人、相当な強者(つわもの)だ!)

 

バルタン星人

「フォッフォッフォッフォッフォッ!」

 

バルタン星人は追撃で〈重力嵐〉を放つ。ウルトラマンはリバウンド光線を展開して防ぐが、段々と追い詰められる。

 

ウルトラマン

(不味い、このままでは・・・ッ!響!?)

 

「オリャァァァーーーッ!!」

 

バルタン星人

「フォッ!?」

 

意識が回復した響は全力の右ストレートでバルタン星人の脚を殴る。バルタン星人は脅威にならない存在と認識していた(地球人)の攻撃に驚き、バランスが崩れて攻撃が中断される。

 

ウルトラマン

(ありがとう、響。さぁ、反撃の時間だ!リミッター解除ッ!!)

 

ピコンピコンピコンピコン

 

胸部のカラータイマーが赤く発光すると同時にウルトラマンは紅く輝き、オーラを放つ。そして両腕に内蔵された引込み式の〈スペシウムブレード〉を通常よりも長刀身*2に展開する。悪寒を感じたバルタン星人は再び重力嵐を放とうとするが、その前に一瞬で距離を詰めたウルトラマンのスペシウムブレードで右腕と胸部を斬る。右腕は切断し、胸部のスペルゲン反射光を無力化する。

 

バルタン星人

「・・・ッ!?」

 

形勢不利と感じたバルタン星人は飛翔して逃走を図るが、それをウルトラマンは見過ごさない。腰を低く落として両腕を広げ、スペシウムエネルギーを収束。

限界まで達すると同時に右手を垂直に立て、左手を真横に伸ばしてから十字を組む。そこからスペシウム光線を凌駕する〈ギガスペシウム光線〉が放たれる。

 

バルタン星人

「フォッフォッフォッ(ば、バカなッ)!?」

 

極太の青白い光線に呑み込まれたバルタン星人は跡形もなく消え去った。

 

鎧の少女

「チッ、潮時か・・・ッ!」

 

それを見た鎧の少女は杖から足止めのノイズを召喚。同時に懐から取り出したスモークグレネードで煙幕を展開して逃走。新たに召喚されたノイズは響達によって倒され、戦いは終わった。響達は疲労困憊で座り込んでいる間、ウルトラマンは鎧の少女の事を考えていた。

 

ウルトラマン

(あの鎧の少女の声・・・信じたくはないが、君なのか・・・)

 

ウルトラマンもとい真の脳裏に、銀髪で歌が大好きな幼い女の子の姿が思い浮かぶのであった。

 

第5話END

*1
ぶどうノイズの正式名。

*2
フレイムトイズの新作。人機巧『ULTRAMAN SUIT』の武器イラストにあるスペシウムブレードを参考。




次回「デュランダル護送作戦」


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第6話「デュランダル護送作戦」

当初は広木防衛大臣生存ルートを書かいていたのですが、その先が全然思い浮かばず、没となって原作ルートへの書き直し&モチベーション低下+息抜きでよその小説を読んだりで投稿がめっちゃ遅れました。すんませんでした。

追記

‐楽屋‐

???
「おい作者!前回はタイトルも含めてどう見てもあたしの登場+活躍する場面だろ!!ほぼバルタンがメインになってるじゃねぇか!!!」

作者
「バルタン出したくて、つい。本当に申し訳ない(byブレイク博士ボイス)。」

???
「うるせぇ!問答無用だ!投稿遅れた分も含めて、これでも喰らっとけぇッ!」

〈BILLION MAIDEN〉

作者
ッ!?悪かった!ホントに俺が悪かった!!流石にそれはシャレに『ダダダダダダッ!』グバアァァァーーーッ!?」


‐西暦2043年 某廃屋敷‐

 

ネフシュタンを纏った謎の少女による襲撃から2日後。山奥に建てられ、忘れ去られた廃屋敷。そこで英語を使って通話をしている存在がいた。

 

???

『ソロモンの杖・・・我々が譲渡した聖遺物の起動実験はどうなっている?』

 

???

「報告通り、完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲインが必要となってくるの。簡単にはいかないわ。」

 

謎の金髪女性は鎧の少女が持っていた杖、ソロモンの杖を操作しながら電話越しの人物と話を続けていく。

 

???

『ブラックアート・・・失われた先史文明の技術を解明し、是非とも我々の占有物としたい。』

 

謎の金髪女性

「ギブ&テイクね。貴方の祖国からの支援には感謝してるわ。今日の鴨撃ちも首尾よく頼むわね。」

 

椅子に腰かけ、両足を組み、テーブルに乗せながら謎の金髪女性は電話越しの人物にそう言う。

 

???

『あくまでも便利に使うハラか。ならば、見合った働きを見せてもらいたいものだ。』

 

謎の金髪女性

「もちろん理解しているつもりよ。順々な犬程長生きすると言うしね。ではこれで『それと、”ウルトラマンに関する情報”も忘れるな。』・・・分かってるわ。」

 

謎の金髪女性はそう言って通話を切り、出掛ける支度を始める。

 

謎の金髪女性

「・・・野卑で下劣。生まれた国の品格そのままで辟易する。」

 

そして支度を終え、研究室となっている広場に備えられたモニター画面に映るウルトラマン(変身前後)の映像を見る。

 

謎の金髪女性

「ウルトラマン・・・先史文明期に突然と現れ、幾多の脅威からこの星を守ってきた貴様でも、私の野望は止められない。」

 

金色の瞳を怪しく光らせ、その場から出て行くのであった。

 

‐数時間後 真side‐

 

あの夜から2日が経過した。俺はパトロールの時間と範囲を広げ、バイクで夕方となった市街地を走っている。その間にも脳裏には幼い彼女の姿が離れない。

 

(2年前、彼女の行方不明をニュースで聞いて今年に至るまで足取りは掴めなかった。口調は変わっていたが、洗脳などで操られた感じはなかった。一体何者が何の目的で彼女を誘拐し、力を与えたかは不明だが、最悪な事態になる前に如何にかしないとな・・・)

 

そして市街地から人気のない復興工事現場を走っている時、少し離れた場所で幾つかの衝突音が聞こえると同時に銃撃音が周囲に響き渡る。俺は急いで現場に向かうと、トンネルを塞ぐ様に停車する運送トラックに、衝突した黒のベンツ。

そんで運送トラックのコンテナに乗り込む武装した集団。いや、特殊部隊がいた。その中に血痕が僅かに付着したアタッシュケースを持つ者がいた。すると俺の接近に気付いた1人の兵士が銃口を向けて発砲する。

 

「あっぶなッ!?」

 

俺は咄嗟にハンドルを切り、横倒しになって銃弾を躱して死んだふりをする。俺の死亡を確認した兵士はコンテナに入って扉を閉めると同時にトラックはその場から立ち去る。

 

「・・・行ったか。」

 

トラックは段々小さくなり、完全に見えなくなったのを確認した俺は起き上がる。そんで倒れたバイクを起こし、トンネル近くの路肩に止めた後、トンネル内部を見る。

衝突した3台のベンツに、射殺された数人の護衛と、2台目の車内に2つの遺体が確認できた。よく見れば1人は防衛大臣を表すピンバッチが付いていた。

 

「すまない・・・だが、必ず無念は晴らす!」

 

拳を強く握りながらそう言った後に黙祷を捧げ、俺はバイクに乗る。一先ず二課の本部に行けば今回の件で何らかの情報が入手できるだろう。そう思いながら俺はその場から走り去る。

 

‐真side END‐

 

‐数時間後 二課本部‐

 

この日、二課に衝撃が走る。広木防衛大臣が秘書と護衛を含めて殺害された情報が齎された。複数の革命グループに犯行声明が出されているが、判明出来ずにいた。そこへ政府から譲渡した秘密資料と共に了子が無事帰投した後、早急にブリーフィングが行われた。この準備の際、了子が持ち帰ったアタッシュケースの隅に血痕が付着している事は誰も知らない。

 

了子

「私立リディアン音楽院高等科、詰まり特異災害機動部二課本部を中心に頻発しているノイズ発生の事例から、その狙いは本部最奥区画「アビス」に厳重保管されているサクリストD。〔デュランダル〕の強奪目的と、政府は結論付けました。」

 

「デュランダル・・・」

 

了子

「EU連合の経済破綻に伴い、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理、保管する事になった数少ない完全聖遺物の1つ。」

 

朔也

「移送するたって、何処にですか?ここ以上の防衛システムなんて・・・」

 

朔也の言葉に他のスタッフは頷く。

 

弦十郎

「永田町最深部の特別電算室、通称「記憶の遺跡」。そこならばっという事さ。何の道、俺達が国家役人である以上、お上の移行には逆らえないさ。」

 

了子

「デュランダルの予定移送日時は明朝、0500。詳細はこのメモリーチップに記載されています。」

 

そう言いながら了子は端末でロボットを操作しながらアビスにあるデュランダルが入っているカプセルを回収する。

 

「あそこがアビスですか?」

 

了子

「東京スカイタワー3本分。地下1800mにあるのよ。はい、それじゃあ予定時間まで休んでいなさい。貴女達のお仕事はそれからよ♪」

 

「はいッ!」

 

「分かりました!」

 

「分かってるって!」

 

ウルトラマン

「了解した。」

 

シレっと混ざって返答するウルトラマンに響達や二課の面々は驚いたり慌てたりした。

 

「う、ウルトラマンさんいつの間に!?」

 

「またしても背後を取られた・・・」

 

「いたなら返事くらいしろよ!」

 

ウルトラマン

「すまない、話の腰を折るのは悪いと思ってな、隅で黙っていた。」

 

そんな事がありつつ、ブリーフィングは終了。各自は明日に備えて準備を進める。その間に他のスタッフ達から少し離れた所でウルトラマンと弦十郎は小声で話をしていた。

 

弦十郎

「何ッ!?防衛大臣は所属不明の特殊部隊に襲撃された!?」

 

ウルトラマン

「あぁ、衝突音と銃声が聞こえて現場に駆け付けた時には既に遅かった。それと、奴らは何かが入ったアタッシュケースを持って現場から立ち去った。」

 

弦十郎

「ッ!まさか・・・」

 

思い至る事があるが、信じたくはない顔をした弦十郎の視線は、端末を操作する了子に向けられていた。そして時間は過ぎていき、作戦決行日時となった。

 

‐翌朝‐

 

リディアンから出発し、高速道路を疾走する4台の護衛車両に囲まれながらデュランダルを載せた自車に乗る了子と響達。そして上空では弦十郎とウルトラマンが搭乗する二課のヘリは襲撃を警戒しつつ、永田町の記憶の遺跡を目指す。

やがて大橋に差し掛かり、道半ばを護衛車と了子の車が進んだその時、橋の左側から突如水柱が上がる。その中から巨大な手が現れ、左側に走行する護衛車の1台を橋の一部ごと破壊。爆炎と落ちた瓦礫で幾つかの水柱が上がる。

 

弦十郎

「無事か!お前達!?」

 

了子

『こっちは無事よ。それにしても、まさかあんな”モノ”が出るなんてね・・・』

 

弦十郎の呼び掛けに了子は水柱から現れた存在をバックミラーで確認しながらそう答える。かつてアナザースペースである強大な軍事国家によって大量建造され、今では宇宙の何処かで残党として、あるいは接収した勢力の戦力として活動するロボット兵。〔帝国機兵 レギオノイド〕はカメラアイを赤く光らせ、橋を渡り終え様とする了子達を追跡する。

 

ウルトラマン

「私が奴を迎撃する。このまま永田町を目指せ!」

 

弦十郎

「頼む!」

 

その言葉を聞いたと同時にウルトラマンはヘリから飛び降り、プランクブレーンから銀と赤に配色された戦闘機、スターゼロを召喚。コックピットに乗り込み、追跡するレギオノイドへ攻撃を開始する。

 

ウルトラマン

「さぁ、俺が相手だッ!」

 

一方、橋を渡り終えた響達は人気のない町を走り抜けていた時、後衛の護衛車が突然吹き飛ぶ。

 

「櫻井女史!」

 

了子

「しっかり捕まっててね、私のドラテクは凶暴よ!」

 

「ひゃぁぁーーーッ!?」

 

了子はそう言ってスピードを上げる。そして路肩に置いてあるゴミに突っ込みながらも走り続ける。

 

「ちくしょうッ!どこから攻撃してんだ!?」

 

弦十郎

『下水道だ!ノイズは下水道から攻撃してきているッ!』

 

その間にもう1台の護衛車も吹き飛ばされてしまう。そしてその先にある薬品工場へどんどん進んで行く。

 

了子

「弦十郎君、ちょっとヤバいんじゃない?このまま進んで薬品工場が爆発すればデュランダルは・・・」

 

弦十郎

『分かっている!さっきから護衛車を的確に狙い撃ちするのは、ノイズがデュランダルを損壊させない様、制御されてると見える!狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険な地域に滑り込み、攻め手を封じるって寸法だ!』

 

了子

「勝算は?」

 

弦十郎

『思い付きを数字で語れるものかよッ!』

 

そして了子達は薬品工場の敷地に逃げ込む。すると前方にいる最後の護衛車はマンホールからクロールノイズ(ナメクジ型)が飛び出して襲い掛かる。黒服のエージェント2名は護衛車を乗り捨て、無人の護衛車はクロールノイズを乗せたままタンクに突っ込んで爆発。同時に他のクロールノイズは動きを止める。

 

「師匠の狙い通りです!」

 

響がそう言った後、何かの弾みで了子の車は傾き、横転してしまう。

 

弦十郎

「南無三!?」

 

上空から見ていた弦十郎が叫んだ後、黒煙が視界を遮る。その間に横転した車から脱出した響達。だがその周囲はノイズの大群に包囲されていた。

 

「奏!ここは私達が!」

 

「あぁ!響、了子さんとデュランダルを頼むぞ!」

 

「は、はい!」

 

響はデュランダルが入った専用のアタッシュケースを持って了子と一緒にその場から離れる。同時にシンフォギアを纏った奏達は戦闘を開始する。

 

‐同時刻 真side‐

 

ウルトラマン

「固いな・・・やはり通常ミサイルじゃあ撃破は無理か。」

 

迎撃を初めて数分、一撃離脱でレギオノイドの足止めに成功したはいいが、決定打が決まらない。それに響達の方も心配だ。弾数は少ないが、スペシウム弾頭弾を脆い部分に直撃させて一気に倒してやる!俺は高度を上げ、太陽を背にしてレギオノイドの頭上から急降下する。

レギオノイドは両腕を変形させた大口径ガンポッドと、カメラアイから放つ〈レギオノイドガンビーム〉と〈レギオビーム〉で俺を撃ち落とそうと連射する。

 

ウルトラマン

「俺の操縦スキルを舐めんなよ!」

 

通常のパイロットや並のエースパイロットであれば撃ち落とされる弾幕を変態機動で掻い潜り、俺はカメラアイに向けてスペシウム弾頭弾を叩き込む。

 

レギオノイド

「・・・ッ!」

 

スペシウム弾頭弾がビーム発射態勢だったカメラアイに直撃と同時に爆発。爆煙が晴れ、頭部前面が破損したレギオノイドはそのまま後ろへ倒れ、巨大な水柱を上げる。

 

ウルトラマン

「よし!早く響達の方に・・・ッ!?」

 

俺は響達の方へ向かおうとした瞬間、超膨大なエネルギーの柱が天へと昇っていく。

 

ウルトラマン

「何だ、あれは・・・あの日、響から感じたエネルギーよりもデカい!」

 

俺はすぐに視力を強化して薬品工場の現状を確認する。そこにはエネルギーを纏った黄金の剣、恐らくあれがデュランダルだろう。だが所持している響の様子がおかしい!

 

ウルトラマン

「流石に不味いよな!」

 

俺はスターゼロをオートパイロットモードに切り替え、ベーターカプセルを取り出し、変身して現場に向かう。

 

‐真side END‐

 

響達がノイズや鎧の少女と交戦中、突然専用アタッシュケースからデュランダルが飛び出し、光のオーラを纏いながら空中に留まる。

それを鎧の少女が奪取しようとするが、響が先にデュランダルを確保する。それに奏達が安堵したその時。

 

「う、うぅ・・・ウオォォォォォォーーーッ!!!」

 

デュランダルの輝きが増し、錆び付いた状態から黄金に輝く剣となった。響は黒い衝動に呑み込まれ、獣の如き咆哮をする。

 

「どうしたんだ!響!?」

 

「一体立花に何が起こっているのだ!?」

 

鎧の少女

「くッ・・・そんな力を見せびらかすなッ!!」

 

奏達は突然の響の変貌に驚いてる間、鎧の少女は例の杖からノイズを召喚する。それに反応した響は掲げたデュランダルを振るう。

エネルギーの刀身が召喚された新たなノイズを消し去り、その刃が鎧の少女に直撃しようとした瞬間。誰かに突き飛ばされる。

 

鎧の少女

「ッ!?お前は!?」

 

自身を突き飛ばした先には、リバウンド光線でデュランダルの一撃を防ぐウルトラマンがいた。

 

ウルトラマン

「早く離脱しろ!長くは持たんッ!!」

 

そう言われた鎧の少女は一瞬迷ったが、撤退する事を選び、離脱する。それと同時にリバウンド光線に罅が全体に入り始め、程なくして砕け散る。

 

ウルトラマン

「グッ!!」

 

ウルトラマンは咄嗟にスペシウムブレードを展開して受け止める。するとデュランダルのエネルギーと、スペシウムが干渉した瞬間、ウルトラマンと響を中心に周囲の建物と薬品タンクを巻き込んで大爆発が起こる。

 

「ウルトラマンッ!ドワッ!?」

 

「立花ッ!グッ!?」

 

奏と翼はそう叫んだ時、爆風によって吹き飛ばされる。この大爆発で薬品工場の9割が廃墟と化した。暫くして瓦礫の中から爆風で吹き飛ばされた奏と翼が出てくる。

 

「ブッハッ!翼!大丈夫か!?」

 

「何とか、大丈夫。それにしても・・・」

 

「あぁ、とんでもない事になっちまったな・・・」

 

瓦礫を押し退けて出た奏と翼は互いの無事を確認した後、廃墟となった薬品工場を見渡す。そして離れた所に気絶した響と一緒にいる了子が2人に気付き、手を振って無事を知らせるが、ウルトラマンの姿は何処にもなかった。

 

「まさか、さっきの爆発で・・・」

 

「ッ!」

 

2人が最悪な事態を思い浮かべたその時、幾つもある瓦礫の山の1つからカラータイマーが点滅するウルトラマンが現れた。

 

ウルトラマン

「まさか・・・あんな爆発が起こるとはな。」

 

「ウルトラマン!」

 

「無事だったか!」

 

ウルトラマン

「あぁ・・・それと響は?」

 

「無事です。今は櫻井女史が見ています。」

 

ウルトラマン

「そうか、それなら良かった。」

 

響の安否を確認したウルトラマンは安堵する。するとオートパイロットモードに切り替えたスターゼロがホバリングでウルトラマン達の近くに着地する。

 

「気になったのですが、あの戦闘機は?」

 

ウルトラマン

「私の戦闘機だ。1年前にやっと見付かってな。大分前に出現したテレスドンや、今回の戦闘でも問題なく戦えたよ。」

 

「そうか、これで2回も貸しが出来ちまったな。アタシ達は。」

 

ウルトラマン

「ライブ会場の惨劇と、テレスドンの件か?」

 

「はい。あの時は本当にありがとうございます。この借りは必ずお返します。」

 

ウルトラマン

「ハハハ、別に気にしな・・・ッ!」

 

ウルトラマンがそう言い掛けた時、僅かに身体がふら付いた。

 

「おい!大丈夫か!?」

 

ウルトラマン

「あぁ、思った以上にダメージを貰った様だ。すまないが、一足先に帰投する。それと、響には気にするなっと言って欲しい。」

 

「分かりました。」

 

ウルトラマン

「では、また会おう。」

 

そう言った後、ウルトラマンはスターゼロをプランクブレーンへ収納して飛び去る。その後、護送作戦は中断。完全覚醒したデュランダルは二課の最深部アビスへ再保管された。

 

第6話END




次回「一時の平穏、崩れゆく絆」


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第7話「一時の平穏、崩れゆく絆」

次回も遅れるかもしれません。あしからず。


‐西暦2043年 廃屋敷‐

 

護送作戦から1週間が経過した明朝。廃屋敷の横にある池の船着き場で、ソロモンの杖を持ったワインレッドの服を着た銀髪の少女は池を眺めながら8年前の事を思い返す。

 

‐8年前 バルベルデ共和国・某集落‐

 

突然のゲリラの襲撃で集落の半数は炎に包まれていく中で、全焼する家の前で1人の女の子はまだ家の中にいる両親の下へ行こうとするが、それを姉と慕う女性が止める。

 

???

「離してソーニャッ!パパが、ママがッ!!」

 

ソーニャ

「ダメッ!危ないわ!!」

 

???

「XXXちゃん!ソーニャさん!」

 

???

「ッ!真兄ちゃん!」

 

ソーニャ

「真さん!」

 

「2人共無事だったか!雅律さんとソネットさんは!?」

 

そう言うと2人は燃え盛る家を見る。それが何を意味するかを察した真は転がっていたバケツを手に取り、近くの水道から水を入れ、真はその水を被る。

 

「ソーニャさん、XXXちゃんを頼みます!俺は雅律さんとソネットさんの救助に向かう!!」

 

そう言った真は燃え盛る家の中へ飛び込む。その数分後、炎の中から負傷した雅律の肩を担ぐ真と、雅律の妻であるソネットが出てくる。その姿を確認した女の子とソーニャは安堵するが、家の屋根が限界を迎え、崩れ始める。

 

「ッ!?雅律さん!ソネットさん!」

 

ソネット

「キャッ!?真さん!?」

 

雅律

「真君!?」

 

真は2人を突き飛ばした次の瞬間、完全に崩れた屋根が音を立てながら落下。そのまま真下にいる真を覆い隠す。

 

???

「真兄ちゃぁぁぁぁぁぁんッ!!!」

 

‐回想END‐

 

銀髪の少女

(あの時、パパとママ、ソーニャと一緒に避難してゲリラがウルトラマンに倒された後で焼け落ちた家に戻ったけど、真兄ちゃんはいなかった。一体何処にいるんだよ・・・ッ!)

 

その時、背後から気配を感じた銀髪の少女は振り向くと、黒のキャペリンハットと服を着た謎の金髪女性がいた。

 

銀髪の少女

「分かっている、自分に課せられた事ぐらいは。こんな物に頼らなくても、あんたの言う事ぐらいやってやる。」

 

そう言って銀髪の少女はソロモンの杖を謎の金髪女性に投げ渡す。

 

銀髪の少女

「もう一度、真兄ちゃんに会うのがあたしの目的だ。それを邪魔する奴らは全部ブチのめしてやる!」

 

拳を握りしめ、そう宣言する銀髪の少女に対し、謎の金髪女性はただ怪しく微笑むのであった。

 

‐数時間後 リディアン音楽院敷地内‐

 

太陽が高くなりつつある昼前。校内グランドで体育着を来た響と未来が走っていた。そしてある程度走ったところで未来は足を止めて息を吸う。その横を響は走り抜ける。

 

(暴走するデュランダルの力・・・怖いのは、制御できない事じゃない。あの日、躊躇いもなくあの子に向かって振りぬいた事。そしてあの子を守ろうとしたウルトラマンさんを傷付けてしまった事。私が今でも未熟だったばかりにッ!私は、ゴールで終わっちゃダメだ!もっと遠くを目指さないといけないんだ!もっと遠くへ、遠くへ・・・ッ!!)

 

未来

「響・・・」

 

響がそう思いながら走り続ける中、その後ろ姿を未来は親友が何処か遠くへ行ってしまう様な感覚を覚えるのであった。そして汗を流しに風呂へ入ってイチャ付いてから出て着替えをする。

 

未来

「ねぇ、今度ふらわーのお好み焼きを奢ってよ。日曜に付き合ったお返しっという事で。」

 

「へ?そりゃあ、おばちゃんの渾身の1枚と真さんのも頬っぺが急降下作戦と言われるくらいだけど・・・」

 

未来

「じゃあ契約成立ね。それに最近おばちゃんと真さんにも会ってないでしょ?」

 

「・・・うん!分かった!」

 

未来がそう言った後に響は笑顔で答える。そしてこの時の2人は知る由もなかった。この絆が崩れゆくカウントダウンが始まっている事に・・・

 

‐翌日 真side‐

 

あれから1週間と1日が過ぎ、デュランダルから受けたダメージは完全に完治した。そんでいつも通り夕方に差し掛かった時間帯で俺は夜の部に備えて準備を行っていると、店の扉が開く。

 

未来

「こんにちは・・・」

 

「いらしゃいってあれ?未来1人なのか?響はどうしたんだ?」

 

未来

「響は急用が出来て来られないそうです・・・」

 

「・・・取り敢えず、カウンターに座ってくれ。すぐにお好み焼きを焼いてやるよ。」

 

未来

「はい・・・」

 

未来は小さくそう答えてカウンター席に座る。こんなに元気がない原因は十中八九、響に関してだよな~どう返答すれば・・・

 

未来

「真さん・・・」

 

「ッ!な、何だ?」

 

未来

「私、どうすればいいんですかね?あれから響にどう問い詰めてもはぐらかされて心配すらさせてもらえなくて・・・本当にどうすれば・・・」

 

「そうか(これは相当精神が参ってるな)・・・」

 

俺は出来上がったお好み焼きを皿に乗せ、厨房から出て未来の前にお好み焼きを置いて未来の隣に座る。そして未来を抱き寄せて彼女の頭を撫でる。

 

未来

「わわッ!?し、真さん!?」

 

「辛かったら泣いていいぞ。この時間帯じゃあ、余り客足は無いし、おばちゃんは買出しにいってる。だから泣いていいんだぞ?」

 

頭を撫でながら未来にそう言うと、暫く上目で俺の顔を見ていた彼女は顔を胸に埋めて静かに啜り泣き始め、俺はそのまま頭を撫で続けた。

 

‐数分後‐

 

未来

「ありがとうございます。お陰で気持ちがスッキリしました。」

 

「構わないよ。俺はこの程度しか出来ないからな。それじゃあ冷めたお好み焼きを温めるから待っててくれ。」

 

未来

「はい。」

 

俺は冷えたお好み焼きを温めに厨房へ行くと、暖簾の奥からいつの間にか帰宅したおばちゃんに先程の場面を見られていた事が発覚。それを聞いて小っ恥ずかしくなった俺と未来は顔が赤くなった。その後は未来が寮の門限が近いとの事で、俺はバイクで近くまで送る事にした。そして俺は最悪な未来が間近に迫っている事を知る由もなかった。

 

‐真side END‐

 

‐数分後 リディアン音楽院近辺‐

 

「本当にここまででいいのか?」

 

未来

「はい、大丈夫です。ここまで送ってくれてありがとうございます。」

 

「分かった。それじゃあ気を・・・ん?あれは響か?」

 

未来

「ホントだ。響~!」

 

未来を送り届けた真は帰ろうとした時、こちらに走って来る響を見掛ける。響の姿を確認した未来は手を振って駆け寄ろうとしたその時。

 

「来ちゃダメだ!そこはーーー」

 

ドオォォォォンッ!

 

未来

「キャアァァァッ!」

 

鎧の少女

「しまった!?アイツの他にもいたのか!?」

 

「ッ!未来!!」

 

響が未来に警告をするが間に合わず、鎧の少女が放った鞭が近くに直撃。その衝撃で未来は吹き飛ばされる。それをバイクから飛び降りた真が地面に衝突する前に未来を受け止めるが、すぐ傍で駐車していた車も吹き飛ばされて真と未来の方へ落下していく。

 

未来

「ッ!?」

 

「く・・・(マズイ、このままでは直撃する!仕方ない。力の一部を使ってでも)ッ!」

 

真は右手を翳し、ウルトラ念力で落下する車を止めようとした時、歌が聞こえた。

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失へのカウントダウン)

 

未来

「響・・・?」

 

「ごめん、未来・・・」

 

シンフォギアを纏った響が落下する車を殴り飛ばす。その光景を見た未来は驚愕した顔で響を見詰める。響は未来にそう言った後、その場から離れる様に走り出す。

 

「(クソッたれ!最悪な状況だ!!)未来!俺は響を追い掛ける!君はここで待っていてくれ!」

 

未来

「真さん!?」

 

真はそう言った後、森の中へ入っていく。一方、鎧の少女を人気がいない場所まで誘導した響は鎧の少女からの一撃を防ぎ切る。

 

「グッ!」

 

鎧の少女

「鈍臭ぇのがやってくれる!」

 

「鈍臭いが名前じゃない!私は立花響、15歳!誕生日は9月13日、血液型O型!身長はこの間の測定では157㎝!体重は・・・もう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで、好きな物はご飯&ご飯!後は彼氏いない歴は年齢と同じ!!」

 

鎧の少女

「な、何を急にトチ狂ってんだ、お前!?」

 

突然の自己紹介に鎧の少女は戸惑い、攻撃の手が止まる。

 

「私達は、ノイズと違って言葉が通じるんだから、ちゃんと話し合いたい!!」

 

鎧の少女

「ふん!だったら大人しくあたしに付いて来な。そしたら話でも何でも聞いてやるよ。」

 

「何で私を狙うの!その理由を教えてよ!」

 

鎧の少女

「お前に答える義理はねぇッ!!」

 

鎧の少女はそう言うと同時に鞭の先端に黒い電撃を帯びた白いエネルギー球を生成して放つ〈NIRVANA GEDON〉を響に向けて投げ付ける。それを響は腕を交差して防ぐ。

 

「グゥッ!」

 

鎧の少女

「持ってけ!ダブルだ!」

 

動きを止められた響にもう片方の鞭から放たれた2発目が直撃する瞬間、高速回転する光輪がエネルギー球を両断と同時に爆発する。

 

鎧の少女

「な!?」

 

ウルトラマン

「間に合ったようだな。」

 

「ウルトラマンさん!」

 

鎧の少女が驚くと同時に響の近くにウルトラマンがヒーロー着地する。

 

「ウルトラマンさん!少しだけ時間を稼いでくれませんか!」

 

ウルトラマン

「・・・分かった!」

 

響の瞳を少し見詰めたウルトラマンは響を信じ、鎧の少女へ構えを取る。そして響は両手の間にエネルギーを収束させる。

 

鎧の少女

「まさか、アームドギアまで手にしようってか!?させるかよ!!

 

ウルトラマン

「シャアッ!」

 

響に迫る鞭をスペシウムブレードを展開したウルトラマンが防ぐ。その間にアームドギアの生成に失敗する響だが、諦めずに続ける。

 

(エネルギーはあるんだ。アームドギアに形成されないのなら・・・その分のエネルギーを、ぶつければいいだけ!)

 

生成したエネルギー球を響が拳を握ると同時にガントレットパーツが引き上がり、蒸気を放出する。それを見た鎧の少女はウルトラマンを怯ませ、その隙に鞭で攻撃するが、響に全て掴み取られる。

 

鎧の少女

「何だと!?」

 

(雷を!握りつぶすようにぃ!)

 

鞭を掴むと同時に鎧の少女を思いっ切り引き寄せ、腰のブースターを点火。引き寄せられた勢いで身動きが出来ない鎧の少女に突貫する。

 

「(最速で、最短で、まっすぐに、一直線に!胸の響を、この思いを、)伝えるためにぃ!

 

そして鎧の少女の腹部に正拳突きが炸裂。引き上げられたガントレットパーツがパイルバンカーの要領で戻ると同時に蓄積したエネルギーが衝撃波となって鎧に罅を入れた鎧の少女は吹き飛び、擁壁に激突して円状の窪みを作る。

 

鎧の少女

「(何て無理スジな力の使い方をしやがる・・・この力、あの女共よりも威力が強い!)グゥッ!?」

 

思考を巡らせる中でネフシュタンの自己再生で蝕まれ、不快な顔を浮かべる。

 

鎧の少女

(食い破られるまでに方を付けなければ・・・ッ!?)

 

鎧の少女は響とウルトラマンに視線を向けると、目を瞑った響と構えを解いたウルトラマンが映った。

 

鎧の少女

「お前ら、バカにしてんのか!このあたしを!”雪音クリス”をッ!!」

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

鎧の少女もといクリスの名を聞いたウルトラマンは一瞬だけピクリと反応する。

 

「そっか、クリスちゃんって言うんだ。」

 

クリス

「ッ!?」

 

「ねぇ、クリスちゃん。こんな戦いもうやめようよ?だって私達はノイズと違って言葉を交わす事ができる。ちゃんと話をすればきっと「くせえんだよ・・・」え?」

 

クリス

「嘘くせぇ・・・青くせぇ・・・!何でこうも上手くいかねぇんだよ・・・あたしは早く、”真兄ちゃん”と会いてぇのにッ!!」

 

ウルトラマン

「・・・・・・」

 

「真、兄ちゃん?」

 

クリスの言葉に反応して後退るウルトラマンと、クリスが言った言葉を復唱する響。思わず口に出してしまった事に気付いたクリスは響達を射抜かんばかりの目を向ける。

 

クリス

「ぶっ飛べよ・・・!アーマーパージだ!!」

 

クリスがそう叫んだ瞬間、ネフシュタンの鎧を弾き飛ばし、周囲に破片が飛び散る。響とウルトラマンは腕を交差して防いだその時。

 

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

「この歌って!?」

 

ウルトラマン

「ッ!?」

 

歌が、それも響達シンフォギア装者が歌う聖詠が聞こえると同時に土煙が晴れ、赤を基調としたシンフォギアを纏ったクリスの姿があった。

 

クリス

「見せてやる・・・イチイバルの力をなッ!!」

 

両腕の装甲を変形させたクロスボウ型アームドギアを装備したクリスはそう宣言し、第2戦へと突入する。

 

第7話END




次回「魔弓の戦姫」


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第8話「魔弓の戦姫」

大変お待たせしました。第8話です。


‐西暦2043年 リディアン音楽院近辺・森林‐

 

クリス

「見せてやる・・・イチイバルの力をなッ!!」

 

その宣言と同時に両腕の装甲を変形させたクロスボウ型アームドギアを装備したクリスはエネルギー状の矢を響とウルトラマンへ放つ。

 

「うわっ!?」

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

響は間一髪で避ける。ウルトラマンは回避に遅れ、初弾が数発命中する。そして一通りエネルギー状の矢を放ったクリスは両手のクロスボウ型アームドギアを再度変形させ、2連装ガトリングガンが姿を現す。敵を一斉掃射する〈BILLION MAIDEN〉が響とウルトラマンに向けて放たれる。

響とウルトラマンが回避に専念する間にクリスは左右の腰部アーマーを展開し、内蔵の多連装射出器から追尾式小型ミサイルを一斉発射する〈MEGA DETH PARTY〉が響とウルトラマンに迫る。

 

ウルトラマン

「後ろに隠れろ!」

 

「は、はい!!」

 

響が後ろに隠れたのを確認したウルトラマンは腕を交差して強力な念力を放つ〈ウルトラ念力〉で全ての小型ミサイルを粉砕。同時に爆発が起こり、爆煙によって互いに視線が切れた瞬間に再発射された小型ミサイルが爆煙から飛び出す。

 

ウルトラマン

(リバウンド光線でも間に合わない!せめて響だけでもッ!!)

 

小型ミサイルがすぐそこまで迫っている間にウルトラマンは響に蔽い被さり、更に光のシールドを響に張ると同時に小型ミサイルがウルトラマン達に直撃。爆炎に包まれる。

 

クリス

「ハァ、ハァ、ハァ・・・ッ?!」

 

歌い切ると同時に攻撃を止めたクリスは息を切らしながら爆炎を見詰めている。そして爆炎が晴れた時、そこには巨大な盾が存在していた。

 

クリス

「盾?「剣だ!」ッ!!」

 

クリスは声が聞こえた方に顔を向けると、巨剣の上に立つ翼の姿があった。そして彼女の上空から大量の槍が降り注ぐ。それに気付いたクリスはその場から回避する。その間に響とウルトラマンの近くに奏が着地する。

 

「待たせたな!響、ウルトラマン!」

 

「奏さん!」

 

ウルトラマン

「助かった。」

 

体勢を立て直したウルトラマン達。そして巨剣から降りた翼は響の隣に立ち、構えを取る。

 

「翼さん、奏でさん。あの子は・・・」

 

「分かってる。刃を交える敵じゃないと信じたい。それに」

 

「色々と聞きたい事が山ほどあるからな!」

 

最初に奏が仕掛け、クリスはガトリングガンで迎撃を行うが、奏は槍を通常よりも長く延長し、地面に突き刺して棒高跳の要領で、翼は最小限の動きとアクロバティックで回避。そこから流れる様な連携でクリスを徐々に追い詰めていく。

 

クリス

「(この女共、以前と動きが全く違う!けど!)こんな所で捕まってたまるかよッ!!」

 

翼と奏から距離を取り、ガトリングガンで弾幕を張ろうと構え、トリガーを引こうとした瞬間。

 

クリス

「何ッ!?」

 

突如上空から2体の飛行型ノイズが急降下攻撃で両手のガトリングガンを破壊。そしてもう1体のノイズがクリスへ特攻する。

 

「ッ!」

 

それを見た響は走り出し、急降下中のノイズに体当たりしてクリスを守る。そして体力と精神力が尽きた響はクリスの方へ倒れ、クリスは響を抱き止めてその場に腰を下ろす。

 

「立花!」

 

奏・ウルトラマン

「響!」

 

響とクリスの下へ駆け寄ったウルトラマン達は2人を守る様に陣形を組んで周囲を警戒する。

 

クリス

「お前、何やってんだよ!?」

 

「ごめん、クリスちゃんに当たりそうだったから。つい・・・」

 

クリス

「ッ・・・バカにして!余計な「命じた事も出来ないなんて、貴女はどこまで私を失望させるのかしら?」ッ!?」

 

クリスの言葉に割り込む様に第3者の声が現場に響く。ウルトラマン達は周囲を見渡して声の主を探すと、海岸沿いにある休憩所の手摺りに寄り掛かり、ソロモンの杖を持った黒のキャペリンハットとコート、サングラスをした謎の金髪女性がいた。

 

クリス

「フィーネ!?」

 

ウルトラマン

(フィーネだと!?じゃあ、彼女がアイツの・・・)

 

「フィーネ・・・終わりの名を持つ者・・・」

 

「それじゃあこれまでの出来事の黒幕って事か!」

 

それぞれが反応している間に謎の金髪女性、フィーネは右手を掲げると同時に光だす。すると青い光の粒子が集結していき、やがて粒子が消滅するとフィーネの右手には銀の欠片が握られてた。

 

フィーネ

「ネフシュタンの回収は完了。これで全てのピースが揃ったわ。もう貴女は用済みよ。」

 

クリス

「もう用済みって、どういう意味何だよフィーネ!アンタに協力すれば真兄ちゃんの手掛かりを教えてくれるんじゃないのかよッ!!」

 

フィーネ

「さようなら、クリス。」

 

フィーネはただそう言ってその場から離れていく。

 

クリス

「待ってよ!フィーネッ!!」

 

そう叫んだクリスは響はウルトラマンの方へ突き飛ばしてフィーネを追い掛けようとした時、フィーネは指を鳴らすと同時に地面が揺れ始める。

 

「な、何だ!?」

 

「地震・・・いや違う!これは!!」

 

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

咆哮と共に地底から姿を現したのはベムラーとテレスドンであった。しかしどちらも通常とは異なる姿をしていた。青くなった背びれと、頭に2本の角が生えた〔宇宙禍威獣 ベムラー(強化)〕と、突然変異で首周りにジラースの襟巻きが生えた〔強化地底禍威獣 エリマキテレスドン〕がクリス達の目の前に出現した。

 

クリス

「なッ!?」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

ベムラー(強化)は〈ハイパーペイル熱線〉を、エリマキテレスドンは襟巻で威力を増幅した超振動波〈デプス破壊熱線波〉をクリス達に向けて放つ。

 

「ヤバイッ!避けろ!!」

 

奏がそう叫ぶが回避は間に合わない。ハイパーペイル熱線とデプス破壊熱線波が直撃する瞬間、閃光が装者達を包み込む。ベムラー(強化)とエリマキテレスドンの攻撃で爆煙が立ち昇ると同時に爆煙から巨大化したウルトラマンが現れる。

 

ウルトラマン

「シュワッチ!」

 

‐真side‐

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!?」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!?」

 

突然の巨大化して現れた俺に2体の禍威獣が驚いている間に俺は左手に保護した響達を少し離れた場所へ下ろす。手から降りた響達を確認した俺はすぐに強化ベムラーとエリマキテレスドンへ接近戦を仕掛け、響達の逃げる時間を稼ぐ!

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

エリマキテレスドンは俺を近付けまいと襟巻の縁にある棘から光線状に収束させたデプス熱線波を放つ〈デプス拡散熱線波〉で迎撃する。

 

ウルトラマン

「(最初のデプス破壊熱線波に比べれば威力は低い。強化ベムラーに妨害される前に懐へ潜り込む!)シャアッ!」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!?」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァアア!」

 

ウルトラVバリヤーでデプス拡散熱線波を防ぎながら懐へ潜り込んだ俺はそのまま突撃して押し倒す。そしてこちらに向かって来る強化ベムラーにスラッシュ光線を撃つが、頭部の角で吸収されてしまう。

強化ベムラーはお返しとばかりにハイパーペイル熱線は放つ。それを回避した俺は腕を突き出して放つ緑色の渦巻き状の光線〈ウルトラアタック光線〉を放つが

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

起き上がったエリマキテレスドンは防御技の〈デプス反射砲〉で攻撃を反射されてしまう。そして運が悪い事に俺の背後にはリディアン音楽院(学校)がある為、回避はできず、カウンターを受けてしまう。

 

ウルトラマン

「グッ!」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!」

 

カウンターで怯んだ所に強化ベムラーが追撃で放ったハイパーペイル熱線で吹き飛ばされて倒れてしまう。急いで起き上がった時にはエリマキテレスドンの姿は無く。

嫌な予感を覚え、俺が行動を起こす前に地底から現れたエリマキテレスドンのスクリュードライバーを直撃してしまい、上空へ飛ばされる。

 

ウルトラマン

「このッ!」

 

俺はエリマキテレスドンの口吻を両手で掴み、無理やりスクリュードライバーを止める。これにエリマキテレスドンは止められた事に驚き、逃れようと藻掻く。

そのまま地上へ落下していく中で俺はエリマキテレスドンの身体を反転させて足首を掴み、腋に足をかけて地上へ叩き付けようとするが

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

ウルトラマン

「ヘア(何)ッ!?」

 

何と強化ベムラーは青い球状となり、体当たりでエリマキテレスドンから俺を引き剥がす。そして受け身が取れなかった俺は地面と激突し、全身にダメージが駆け巡っていく。

 

ウルトラマン

「グゥ・・・ッ!」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!」

 

ダマージが残る身体を起こして構えを取ろうとした時、既に接近していた強化ベムラーに右肩を噛まれると同時にエネルギーを急速に吸われていく。更に強化ベムラーによって助けられたエリマキテレスドンは左側からタコ殴りにされる。

 

ピコンピコンピコンピコン

 

ダメージが残った身体では満足に動く事もできずにダメージの蓄積とエネルギー吸収によってカラータイマーが点滅し始め、力が段々と入らなくなったその時。

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!?」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァアア!?」

 

突然エリマキテレスドンの動きが止まったと同時に強化ベムラーは降り注ぐ無数の槍と2基の大型ミサイルが直撃。更に頭部の角が1本破壊され、悶える。解放された俺はすぐさま離れて何が起きたのかを確認すると、槍を掲げて腕を振っている奏さんと、ミサイルを撃ったであろうクリスちゃんの姿があった。

そしてエリマキテレスドンの影には巨剣が刺さっていた。恐らく翼さんが何らかの技でエリマキテレスドンの動きを止めてくれたのだろう。するとブースター音が聞こえそちらを見ると、エリマキテレスドンに接近した響が襟巻に憑りつき、それを

 

「オリャアアアーーーッ!」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェンッ!?」

 

気合を入れて毟り取る。襟巻を取られたエリマキテレスドンは弱体化。響達の攻撃によって2体の動きが鈍くなっていく。このチャンスを無駄にはしない!俺は即座にスペシウム光線を放つ。

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァアア!?」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェンッ!?」

 

直撃を受けた2体は断末魔を上げて爆発。戦いが終わった後、俺は響達の方へ顔を向ける。響は疲労で上手く立てないのか翼さんが肩を組んで支えていた。奏はこちらに手を振っていたが、そこにクリスちゃんの姿はなかった。

 

‐真side END‐

 

その後、光の粒子となって消えて変身を解いた真は響達の下へ向かうと、丁度駆け付けたであろう二課のエージェント達に二課の本部まで連行され、合流した未来と一緒に機密に関しての説明を受ける。そして説明を終えて地上へ戻る途中に偶然響達に会う。

 

「み、未来・・・」

 

未来

「・・・・・・」

 

響が声を掛けるが、未来は何も答えずに顔を逸らして俯いたまま走り去っていく。そしてこの場に残った者達に何とも言えない空気が押しかかるのであった。

 

(これは、時間で解決は無理だろうな・・・参ったもんだ・・・)

 

頭を掻きながら遠くなっていく未来の背中を真や響達が見詰めている頃、山奥にある廃屋敷では・・・

 

‐廃屋敷‐

 

ウルトラマン達の前に姿を現したフィーネは電話で協力者と話を行っていた。

 

フィーネ

「確かにこちらからの依頼ではあるけれど、仕事が杜撰すぎると言ってるの。足が付けばこちらの身動きが取れなくなるわ。まさか、それも貴方達の思惑というのなら・・・」

 

協力者

『神ならざる者が全ての干渉するなど不可能。お前自身が一番分かっているのではないか?』

 

協力者との通話中に扉が開き、フィーネは視線を扉の方へ向けるとそこにはクリスの姿があった。

 

クリス

「フィーネ!あたしが用済みって何だよ!アンタはあたしに真兄ちゃんの手掛かりを探してくれるって言ったのは嘘なのかよ!」

 

クリスがそう言った後、フィーネは受話器に電話を置いて通話を切る。

 

フィーネ

「どうして誰も私の思い通りに動いてくれないのかしら・・・」

 

椅子から立ち上がり、よっくりとクリスの方へ向くと同時にフィーネはソロモンの杖でクリスの前方にノイズを召喚する。

 

クリス

「ッ!?」

 

フィーネ

「クリス、この際だから言うわ。戸籍、身分証、経歴。その他全てを調べても神永真という人物は存在しない。」

 

クリス

「それでもフィーネはッ!!」

 

フィーネ

「もう答える事はないわ。そろそろ幕を引きましょうか。」

 

フィーネがそう言った後、青い粒子が身を包む。そして光が弾けると同時に金色に輝くネフシュタンの鎧を纏ったフィーネの姿があった。

 

フィーネ

「カ・ディンギルはもう完成しているのも同然。私の野望が叶う刻は近い・・・」

 

クリス

「カ・ディンギル・・・そいつは・・・?」

 

フィーネ

「・・・喋り過ぎたわね。貴女には消えてもらうわ。」

 

フィーネはそう言うとソロモンの杖でノイズに攻撃命令を出す。それに従ってノイズはクリスに迫る。クリスは初撃を回避してテラスの方から外へ逃げるが、その際に躓いて転んでしまう。クリスは起き上がって後ろを振り向くと、不敵な笑みをしたフィーネはソロモンの杖をクリスへ向ける。

 

クリス

「ちきしょう・・・ちきしょーーーーーーッ!!!」

 

涙目となったクリスは廃屋敷から脱出する。そして彼女の叫び声は夕焼けの空に響き渡る。

 

第8話END




次回「陽だまりに翳りなく」


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第9話「陽だまりに翳りなく」

この頃、週1投稿する人達の精神力と文才が凄いと思っています。そんで投稿が遅れてすんません。

追記

現在新しい物語を製作してます。タイトルは

「転生したら刃王剣十聖刃でした」です。


‐西暦2043年 ふらわー‐

 

前回の戦いから1週間後。関東では連日に亘って雨が降り注ぐ中、ふらわーでは店主と真は店の準備を進めながら天井テレビに映るニュースを聞いていた。

 

『次のニュースです。〇月×日リディアン音楽院の付近にて禍威獣第15号「エリマキテレスドン」及び第16号「ベムラー」の出現から1週間が経過した現在。日本中で禍威獣の出現率が大幅に上昇しており、この事態に政府は・・・』

 

ふらわーのおばちゃん

「ほんと最近よく禍威獣が出てくるね。昨日も禍威獣が出てきたばかりじゃないか。」

 

「そうですね(あの戦いからチャンドラー、ガマクジラ、ツインテール、デッドン、ゴーストロン、ゲズラ、原種のタッコング、ゴメス(S)、地球禍威獣が立て続けに各地で現れては一直線に響達の学校・・・いや、正確には特異災害機動部二課の本部を目指していた。デュランダルを危険視しているのか?だがそれならとっくに行動しているはずだ。一体何が禍威獣達を刺激しているんだ)・・・」

 

真は禍威獣達の出現する原因を考えると同時に前回の戦闘から姿を消したクリスの姿が思い浮かぶ。

 

(二課から機密に関する説明を受けた後日に捜索を行おうとした途端に現れた禍威獣達(ゲズラ、ツインテール、デッドン、ゴメス(S)は自衛隊が駆除した。)の対処で捜索は全然できていない。それに響達の件もある。)

 

数日前。響から未来との現状を聞いた真。関係は複雑になっており、会話をする事が無い状態が続いている。

 

(ハァ、どっちもマジでどうしたもんか・・・)

 

ふらわーのおばちゃん

「フンッ!」

 

バチンッ!!

 

真が悩みながら考えてるその時、ふらわーのおばちゃんは活を入れる様に真の背中を叩く。

 

「~~~ッ!お、おばちゃん!?」

 

ふらわーのおばちゃん

「全く、ついまで悩んでんだい。シャキッとしな!シャキッとッ!!」

 

「は、はい!」

 

活を入れられた真は止まっていた手を動かす。そして材料の一部が不足している事が判明し、俺はおばちゃんの車を借りて買出しに向かう。

 

‐数十分後 路地裏‐

 

クリス

「ハァ、ハァ、ハァ・・・くッ!」

 

真が買出しに向かう頃、シンフォギアを纏ったクリスは路地裏を経由しながら追手のノイズを迎撃する。そして最後のノイズを吹き飛ばした後、この1週間で蓄積された疲労でクリスの意識は朦朧となる。

 

クリス

(まずい、意識が・・・)

 

クリスは自身の意識が段々と保てなくなり、壁に寄り掛かると同時にシンフォギアが解除された瞬間で意識を落とす。

 

‐未来side‐

 

あの出来事から1週間。私は響とどう接すればいいかの分からずに胸の蟠りを抱えながら学校へ向かっていた時。ふと、路地裏を見るとそこには壁に寄り掛かったまま気絶している人がいた。

 

未来

「だ、大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」

 

私はすぐにその人に近付いて肩を揺すると僅かに眼を開けるけどすぐに閉じてしまった。それに熱もある。私がスマホで病院に電話を掛けようとした時。

 

「おーい!未来!そんな所で何やってんだ?」

 

車が止まる音と真さんの声が聞こえ、後ろを向くと車の窓を開けてこちら見る真さんの姿があった。

 

未来

「真さん!手伝ってください!この人、熱があって・・・!!」

 

「(あれは・・・クリスちゃん)ッ!分かった!その子と一緒に車へ乗れ!取り敢えずふらわーで看病するぞ!」

 

未来

「はい!」

 

車から降りた真さんが彼女を抱きかかえ、後ろの座席に乗せる間に私は助手席に乗せてもらい、ふらわーへ向かった。

 

‐未来side END‐

 

‐ふらわー‐

 

クリスを保護した真と未来はふらわーのおばちゃんに事情を説明し、店の2階にある真の部屋で寝かせる事にした。尚、未来がクリスに着替えを行ってる間に真は買出しを再開して足りない材料とゼリー飲料やポ○リを購入しに向かって数十分後。未来はクリスを看病していると引き戸から声が掛けられた。

 

『未来、今入って大丈夫か?』

 

未来

「はい。大丈夫ですよ。」

 

確認を取った真は引き戸を開けて部屋へ入る。

 

「取り敢えず数種類のゼリー飲料と、○カリを2本買って来た。」

 

未来

「はい。ありがとうございます、真さん。」

 

ゼリー飲料と飲み物が入った袋を受け取った未来は布団で寝ているクリスの傍に置く。そして未来と真はクリスが目覚めるまで待とうとしたその時。

 

クリス

「んん・・・ここ、は・・・?」

 

「ッ!!」

 

未来

「良かった、目が覚めたのね。びしょ濡れだったから「真、兄ちゃん・・・?」へ?」

 

目覚めたばかりのクリスに未来が説明をしている時、クリスの言葉を聞き、目を見開いて真とクリスを交互に見る。その間にクリスは布団から起き上がって真を見詰める。

 

「あ~、元気だったか?クリ「真兄ちゃんッ!!!」スッ!!!???」

 

ドダッ!!

 

未来

「し、真さん!?大丈夫ですか!?」

 

真が言い切る前にクリスが抱き着く。その勢いのまま真は後ろに倒れる。それを意識が戻った未来は心配の声を上げる。

 

「ちょ、苦しい!「今まで一体何処に行ってたんだよ!!」クリス・・・」

 

クリス

「ずっと・・・ずっと真兄ちゃんを探してたんだよ!生きていたなら連絡とかよこせよ・・・」

 

「クリス・・・すまん。」

 

クリス

「謝るくらいなら、もういなくならないでくれよ・・・ッ!!」

 

「あぁ・・・分かった。」

 

涙を流しながらクリスは真と再会できた喜びを感じていると・・・

 

未来

「コホン!し、真さん!どういう事か説明してくれますか?///

 

「アッハイ。」

 

顔を赤くした未来に説明を求められ、真は(クリスが抱き着いた状態で)大人しく話す事にした。

 

「8年前だ。俺は旅行先のバルベルデ共和国でチンピラに絡まれて撃退はしたのはいいんだが、荷物に入ってた財布の資金を全て盗られてな。しかも都市部から離れた集落だったから立ち往生していた時に出会ったのがクリスの父親、雅律さんだ。

事情を説明した後に雅律さんのご厚意で俺は集落にある雅律さんの家で泊まる事になった。そして雅律さんの奥さん、ソネットさんとその2人の娘さんが今抱き着いてるクリスちゃんだ。」

 

クリス

「・・・雪音クリスだ。クリスでいい///

 

真に抱き着いていたクリスは今の自身(未来から借りた体操着1枚)の姿に恥ずかしいくなり、いそいそと布団へ潜った。

 

「それから1月間、俺は恩を返す為に雅律さんとソネットさんのNGO活動を手伝いながらクリスの世話をしていたんだ。その頃から兄ちゃん呼びだったな。久しぶりに会ってここまで成長してるとは思ってなかった。危うく下半身が元気になるところだったけど・・・

 

未来

「真さん?」

 

クリス

「真兄ちゃん?」

 

「あぁ、何でもない。脱線しちまったな。その1月後に集落がゲリラに襲撃された日に俺は買出しから急いで戻った時にはクリスの家は炎に包まれていた。俺はまだ家に残っていた雅律さんとソネットさんを助けたけど、崩れた天井から2人を守る為に突き飛ばした。そんで俺は瓦礫の下敷きになった。」

 

真がそう話すと未来は驚愕し、クリスは少し暗い顔をする。そこから真は死に掛けていた時にウルトラマンに助けられた。と、その場で考えた設定を話し終えた時。

 

グ~~~

 

腹の音が鳴った。真と未来は発信源の方へ顔を向けると、顔を赤くして布団に包まるクリスの姿があった。

 

「あー、下に行っておにぎりと味噌汁を作って来るよ。未来も手伝ってくれないか?」

 

未来

「あ、はい!」

 

クリス

「・・・ありがとう。」

 

2人はクリスを部屋に残し、1階の厨房に向かう。そして真がおにぎりを、未来は味噌汁を作る。その際に真は恐る恐る響との現状を未来に聞く。

 

「なぁ、未来。あれから響とはどうだ?」

 

未来

「・・・・・・」

 

真の問いに未来は答える事は無かった。短い様で長い様な時間が過ぎる。やがて沈黙を破ったのは未来の方であった。未来はゆっくりと答えた。一方的な響と(喧嘩と言う名)の疎遠。無力な自分に憤りを感じている事やこの現状でどう謝ればいいかを話す。それを聞いた真の解答は。

 

「真正面から謝罪する。この手に限るし、この手しかない。」

 

未来

「真正面から、ですか?」

 

「yesyes。シンプルイズベストが一番だ。俺が中学の頃にな、幼馴染とご飯はカレーかハヤシライスかで言い争っていた時があってな。」

 

未来に話しつつ、真は元居た地球での思い出を振り返る。

 

‐回想 とある秘密基地‐

 

「はぁ?カレー一択だろ?」

 

幼馴染

「いいや、ハヤシライスだ!」

 

カレーかハヤシライスかで言い争っている真と、彼の幼馴染であるダンはどちらも一歩も引かず、その光景を他の義弟妹達は見ていた。

 

義弟

「またやってるよ。義兄さん達。」

 

義妹A

「始まると長いんだよね~」

 

義妹B

「お腹空いたよ~」

 

義弟妹達がそう言っている時に秘密基地のドアが開き、銀髪をポニーテールにした女性が入って来た。

 

銀髪の女性

「お待たせ~!って、何やってんの?」

 

義弟

「あぁ、ソフィー姉さん。」

 

義妹A

「それが・・・」

 

義弟がソフィー姉さんと言った女性に義妹Aがこの状況の敬意を話す。

 

ソフィー

「成程、いつものね。それじゃあ北斗とジャックとタクミはご飯の準備をお願い。私はあの2人をシバいてくるから。」

 

ジャック・タクミ

「はーい。」

 

北斗

「それで何を作ればいい?」

 

ソフィー

「それじゃあ、シチューでお願い!」

 

北斗

「了解。」

 

北斗達が料理を始める為にキッチンへ向かった後、ソフィーは未だに言い争っている真とダンの下へ行く。

 

真・ダン

「ギャーギャー!!ワーワー!!」

 

ソフィー

「フンッ!!」

 

げんこつッ!!

 

真・ダン

「~~~ッ??!!」

 

ソフィーに拳骨を喰らった2人は声にならない声を上げ、その場で倒れ伏せる。その後、シバかれた2人は仲直りをして北斗達が作ったシチューを美味しく頂いた。

 

‐回想END‐

 

「って感じだったな。」

 

未来

「ア、アハハ・・・でも、ありがとうございます。お陰で決心がつきました!寮に帰ったらすぐに謝ってみます!」

 

未来は苦笑いしつつ、そう答えた。その後、出来上がったおにぎりと味噌汁をクリスに振る舞う。そして乾いたクリスの服を渡した後、真は部屋の外で着替え終わるの待っていたその時。

 

ウウウゥゥゥーーーッ!!

 

「ッ!?未来!クリス!下にいるおばちゃんと合流するぞ!!」

 

真達がふらわーのおばちゃんと合流して店の外へ出る。けたたましく鳴る警報と、シェルターへ避難する為に逃げ惑う人々。その中にはぬいぐるみを抱きかかえ、親に手を引かれて行く泣き叫ぶ女の子の姿があった。

 

クリス

「おい、一体何の騒ぎだ?」

 

未来

「何って、ノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの?」

 

クリスの問いに未来はそう答える。それにクリスは苦虫を噛み潰した様な顔をする。

 

「兎に角避難しよう!いずれここも「クリス!?」ッ!?」

 

真は未来達を避難させようとした時、クリスは逃げ惑う人達の反対方向へ走っていく。それを見た未来はクリスの名前を叫ぶが、すぐに人混みの中へ消えた。

 

「くッ!未来とおばちゃんは先に避難してくれ!俺はクリスを追い掛ける!」

 

真は未来とふらわーのおばちゃんにそう言い残し、クリスを追い掛ける。

 

ーーーーーー

 

クリスが真達と離れた後、商店街から川沿いの道路で立ち止まり、自身を探しているノイズを呼び寄せて被害を抑え様とする。目論見は上手くいくが、ノイズの攻撃を躱しながら聖詠を歌う最中に咳ばんでしまう。そして標的を捉えた飛行型ノイズがクリス目掛けて急降下する。

 

クリス

「(し、しまった)ッ!」

 

クリスが気付いた時にはすぐそこまで迫った飛行型ノイズがクリスを貫こうとしたその時、ノコギリ状の光輪が飛行型ノイズを斬り裂く。それと同時に光の飛翔体がクリスを包み込んで近くの建物の屋上へ移動する。

 

クリス

「お、お前は!?」

 

ウルトラマン

「間に合った様だな。」

 

窮地のクリスを助け出したウルトラマンは彼女を降ろすと、残った飛行型ノイズが迫る。それを確認したクリスは再び聖詠を歌う。

 

クリス

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

シンフォギアを纏ったクリスはクロスボウ型アームドギアを装備して数体の飛行型ノイズを撃ち落とす。

 

クリス

「あたしはこの通り大丈夫だ!アンタは他の奴らの救助に向かいな!」

 

ウルトラマン

「(クリス)・・・無理はするな。」

 

一瞬迷ったウルトラマンだったが、クリスを信じて他の地区へ向かう。それを見たクリスは戦闘を再開する。

 

‐廃ビル‐

 

ウルトラマンが他の地区に向かっている頃、響は現場に向かっている途中で叫び声を耳にする。そして廃ビルの中へ入り誰かがいないかを確認をする為に声を会えた時、タコの様なノイズの攻撃を受ける。間一髪で避けた響はシンフォギアを纏う為に聖詠を歌おうとした時、突然口を塞がれてしまう。驚いた響は左を向くとそこ見は未来がいた。

 

(未来ッ!)

 

未来

『静かに、あれは大きな音に反応するみたい。』

 

未来はスマホのメールで文字を打ち、それを響に見せる。そしてタコ型ノイズに追われて廃ビルにふらわーのおばちゃんと逃げ込んだ事を説明する。そして未来は自身が囮になる有無を伝える。それに響はスマホを取り出して反対の文を見せるが、未来の決意は変わらない。響は再び文を打つが、それを未来はそっと手をスマホを持つ響の手に乗せた後、響の耳元まで顔を近づけて何かを言い掛けたその時、気絶しているふらわーのおばちゃんのくぐもった声に反応してタコ型ノイズは触手を動かす。それを見た未来は自身の思っている事を響に話す。

 

未来

「私、響に酷い事した。今更許してもらおう何て思ってない。それでも、一緒にいたい!私だって戦いたいんだ!」

 

「ダメだよ、未来!」

 

未来

「どう思われようと関係ない。響1人に背負わせたくないんだ。だから私、もう迷わないッ!!」

 

そう言うと未来は立ち上がると同時に大きく宣言する。それにタコ型ノイズが強く反応し、触手が未来の方へ向く。未来はその場から走り出し、攻撃を躱しながら廃ビルの外へ出る。それをタコ型ノイズは追い掛ける。

その隙に響は気絶しているふらわーのおばちゃんの身柄を確保すると同時にシンフォギアを纏う。そして廃ビルからジャンプして外に出ると、丁度逃げ遅れた民間人を車で捜索していた緒川を合流する。響はふらわーのおばちゃんを緒川に預けた後、すぐに未来を探す為に行動する。

 

(戦っているのは私だけ1人じゃない。シンフォギアで誰かの助けになれると思っていたけど、それは思い上がりだ。助ける私だけが一生懸命じゃない。助けられる誰かも一生懸命に!)

 

未来を探しながらそう思っていると、響の方へ飛んで来る飛翔体が近づく。それは別の場所でノイズの対処を終えたウルトラマンの姿があった。響はブースターで高くジャンプし、ウルトラマンはそれをキャッチする。

 

「ウルトラマンさん!お願いします!未来を、私の親友を一緒に探してください!」

 

ウルトラマン

「(未来が!?)分かった!しっかり掴まるんだ!!」

 

音速を超えた状態で視力を強化したウルトラマンは周囲を見渡すと、山道で息を切らしながら走り続ける未来と、それを追い掛けるタコ型ノイズの姿があった。それを見た2人はすぐに向かった。

 

ーーーーーー

 

その頃、そし未来は体力の限界でとうとう転んでしまい、タコ型ノイズに追い付かれ、ジャンピングプレスを仕掛ける。

 

未来

「(ここで終わりなのかな・・・んん、終わりじゃない!だってまだ!)響と真さんと一緒に流れ星を見ていない!!」

 

未来は自身を奮い立たせ、再び走り出して攻撃を回避するが、ジャンピングプレスの影響で山道は崩れてしまう。そしてタコ型ノイズ共々落ちてしまう。それを向かっていたウルトラマンと響が目撃する。

 

「未来ッ!」

 

ウルトラマン

「投げるぞ!!」

 

「え?それってえぇぇぇーーーッ!?」

 

響の有無を待たず、ウルトラマンはハンマー投げの如く響を投げ飛ばす。投げ飛ばされた響はそのままタコ型ノイズに突っ込み、渾身の一撃を与える。タコ型ノイズを貫いて倒した響は未来を抱きしめて着地するが、バランスを取れずに2人は転んでしまう。

 

「いてて~・・・未来、大丈夫?」

 

未来

「全身痛いけど大丈夫。寧ろ生きてるって感じる。ありがとう、響なら絶対に助けに来てくれるって信じてた。」

 

「ありがとう。未来なら絶対に最後まで諦めないって信じてた。だって、私の友達だもん!」

 

その後、2人は涙ぐみ、抱き合ってお互いの体温を感じ合う。そしてお互いの髪が乱れている事に気付き、スマホで写真を撮って姿を確認する。

 

「うわぁ・・・すごい事になってる!これは呪われたレベルだ!」

 

未来

「私も想像以上だった・・・」

 

それを確認した2人は互いの顔を見て笑い合う。その様子を空中から見ているウルトラマンもとい真はその様子に微笑んでいた。

 

第9話END




次回「双翼の歌」


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第10話「双翼の歌」

遅れてすんません。それとタイトルを変更しました。


未来と響の仲が元に戻った後、ウルトラマンが2人を弦十郎の下に送り届け、ウルトラマンはその場から去る。そして響が報告をしている時。

 

???

「おーい!響、未来!!」

 

響・未来

「真さん!」

 

変身を解いた真が2人の下へ駆け寄り、互いの無事を喜び合う。

 

未来

「それで真さん、クリスちゃんは・・・」

 

「へッ!?未来と真さんはクリスちゃんを知ってるの!?」

 

「まぁ、な。それとすまん、見付けられなかった。けど、幸い被害者は0だってスマホのニュースで聞いたから大丈夫だろうさ。」

 

未来

「そうですか。良かった。」

 

それを聞いた未来と響はホッと胸を撫でおろす。その後、現場に出向いていた弦十郎の計らいで響達は寮へ帰る事になった。真は2人を見送ってからふらわーへと戻った。

 

‐翌日 二課本部‐

 

弦十郎の手回しで外部協力者となった未来と真は響に二課の地下基地内を案内されていた。

 

未来

「あの時はちゃんと見てなかったけど、本当に学校の真下にこんなシェルターや地下基地が・・・」

 

「一体どれだけの資金が注ぎ込まれたんだろうな。(ウルトラアイスポットで全容は既に確認したが、ホント広いな。)」

 

「あ!奏さん!翼さん!」

 

真と未来がそう思っていると、2人を案内をしていた響は基地内の通路の間に設置されている休憩スペースで話をしている奏と翼に付き添いの緒川。そして休憩中の朔也の所へ早足で向かう。それを見た真達は後を追う。

 

「お!響か!」

 

「そちらの2人は確か・・・」

 

未来

「こんにちは。小日向未来です。」

 

「どうも、神永真です。」

 

「私の1番の親友とお世話になった人です!」エッヘン

 

響はそう言って胸を張り、それを見た翼は小さく微笑む。

 

「立花はこういう性格故、色々と面倒を掛けると思うが、支えてやって欲しい。」

 

「そうだな。最初の頃は弦十郎旦那の反対を押し切って現場に向かおうとしてたもんな。」

 

奏の言葉を聞いた未来は目を細めて響の方を向く。対して響は痛い所を突かれ、顔を背ける。

 

未来

「響?」

 

「ア、アハハ・・・」

 

未来が響を問い詰めてる間、真は奏と翼の方に立ち、響達を見詰める。

 

「あんな残念な子ですけど、これからもよろしくしてやってください。」

 

「それは構いません。」

 

「あぁ、何せアタシ達の可愛い後輩だからな!」

 

「ありがとう。改めて、外部協力者になった神永真だ。よろしく頼む。」

 

そう言った真は奏に右手を差し出す。それに奏も右手を出して握手する。その時、奏は覚えのある感覚を感じて不思議そうな顔をする。

 

「奏?」

 

「どうかしたか?」

 

奏の様子に気になった翼と真は訪ねる。

 

「何か、いつも本部に戻る時にウルトラマンの手を握った時の感覚がしてな。何でそう感じたのか不思議でさ?」

 

「あ!それ分かります!私も真さんの手を握った時もそんな感じがしました!」

 

握手を解いた右手をグッパーしながら見詰める奏。それを問い詰められている響は逃げる様にその話に乗っかる。その間に翼は真の手を握って感触を確かめる。

 

「奏の言う通り、確かにこの感触はウルトラマンと一緒・・・これは一体?」

 

(ヤッベェ、バレそう!!)

 

真は内心そう思いながら冷や汗が止まらず、いつ正体がバレるか冷や冷やしていたその時。

 

了子

「あら~♪いいわね!ガールズトーク♪」

 

偶々通り掛かった了子の登場によって響達の意識はそちらに向いた事で真は心の中でホッと胸を撫で下ろす。

 

緒川

「何処から突っ込むべきか・・・取り敢えず僕を無視しないでください。」

 

(そもそもヤローが3人いる時点でガールズトークは成立しないだろ?)

 

緒川と真がそう思っているとは露知らず、女性陣は話を進めていく。

 

「了子さんもそうゆうの興味あるんですか?」

 

了子

「モチのロン♪私の恋バナ百物語を聞いたら、夜眠れなくなるわよ~?」

 

未来

「まるで階段みたいですね。」

 

それに苦笑いで答える未来。その逆に響は・・・

 

「了子さんの恋バナ!!きっとウットリメロメロオシャレで大人な物語が♪」

 

ウキウキとはしゃぎ、それに翼は額に指を当ててヤレヤレとした顔をする。

 

了子

「そうね、遠い昔の話になるわね。こう見えて呆れちゃうくらい一途なんだから。」

 

響・未来

「おぉ~~~ッ!!」

 

「以外でした。櫻井女史は、恋と言うより研究一筋かと。」

 

「アタシもそう思ってた。」

 

意外な了子の一面に響達は驚く。

 

了子

「命短し恋せよ乙女って言うじゃない?それに女の子の恋するパワーってすんごいんだから~!」

 

緒川

「女の子ですか・・・」

 

ドガッ!

 

緒川

「グァッ!?」

 

(速ッ!?)

 

余計な事を言った緒川は瞬間的に接近した了子の裏拳にノックアウトされ、真はその速さに驚く。

 

了子

「私が聖遺物の研究を始めたのも、そもそも・・・ッ!?」

 

響・未来

「うんうん!それで!?」

 

了子

「・・・ま、まぁ!私も忙しいから?ここ所で油を売ってはいられないわ!」

 

「・・・・・・」

 

了子が何かを言い掛けそうになり、話を逸らす。真は了子の言い掛けそうになった部分に何かを感じた。

 

緒川

「自分から割り込んできたくせに『ドガッ!』・・・」

 

朔也

「緒川さん!?」

 

「衛生兵ーッ!!」

 

そして背中を(登場から空気になっている)朔也に摩られている緒川がまた余計な事を言うと、今度は後ろ蹴りが直撃して再びノックアウトされる。朔也は倒れた緒川に呼び掛け、真は前職の癖で衛生兵を呼ぶ。

 

了子

「兎にも角にも!出来る女の条件は、どっれだけいい恋してるか尽きる訳なのよ。ガールズ達も~いつか何処かでいい恋、なさいね?んじゃ、バッアァ~イ。」

 

そう言うと了子は手を振りながらそそくさとその場を離脱する。

 

未来

「聞きそびれちゃったね。」

 

「ムムム、ガードは固いか・・・でもいつか!了子さんのロマンスを聞き出してみせる!」

 

響がいつか聞き出そうと意気込んでる時、真は誰にも気付かれない様に了子の後ろ姿を見えなくなるまで見詰めていた。その間、ある程度響達から距離が離れた了子は立ち止まり、先程の雰囲気とは全く違う冷たい雰囲気となる。

 

了子

「・・・らしくない事、言っちゃったかもね。変わったのか・・・それとも、変えられたのか・・・」

 

了子はそう言った後、再び歩き出し、自身の研究室へ向かうのであった。その頃、緒川が回復した後に朔也は仕事に戻り、休憩スペースに残った真達は雑談などで時間を潰していた。そして響は何かを思いつく。

 

「奏さん、翼さん!明日って開いてますか?」

 

「明日か?」

 

「一体何をするの?」

 

「デートしましょう!」

 

奏・翼

「デート?」

 

「まぁ、いきなりそう言われて分からんよな。響の言ったデートは買い物の隠語だ。」

 

響の発言に首を傾げる奏と翼。そこに真が説明する。そして2人は緒川にスケジュールの予定が無い事を確認し、明日は買い物をする事になった。それを真は微笑ましく見ていると。

 

「あ!真さんも参加ですよ。」

 

「ゑ!?」

 

響の一言で真も参加する事になった。

 

‐当日 公園‐

 

「遅いわね。あの子達は何をやってるのよ?」

 

集合場所の公園で響達を待つ奏と翼、そして真。翼は腕時計で時間を確認すると、既に集合時間の10時半を過ぎていた。

 

「いつも通り響の寝坊だろうな。俺の時もそうだったし。」

 

「お!やっと来たみたいだな。」

 

噂をすれば脱兎の如くこちらに向かっている響達の姿が見えた。そして2人は息を切らしながら合流する。

 

「ハァ、ハァ、すみません、奏さん!翼さん!真さん!」

 

未来

「ハァ、ハァ、す、すいません。お察しだと思いますが、響のいつもの寝坊が原因でして・・・」

 

「さて、全員合流できた事だし、行くか♪」

 

「えぇ、時間が勿体ないわ!急ぎましょう!」

 

そう言って先頭を進む翼。その姿には気合が入った感じであった。

 

未来

「ふぁ~」

 

すっごい楽しみにしていた人みたいだ。

 

「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!!」

 

響の小声が聞こえたのか、振り返ってクワッと叫ぶ。

 

「まぁ、落ち着けって翼。そんじゃ改めて行くか!」

 

奏の号令で真達はショッピングモールに向かう。最初に訪れたのは様々な種類のマグカップを売っている店。それからデパート内の映画館で映画を見る。見終わった一行はフードコーナーでソフトクリームを購入する。女子達は普通のソフト。

真は抹茶ミックスを選んだ。それを食べ終えた一行が次に向かったのは定番の服屋となった。そこで気に入った服を選び、購入する。その後、ツヴァイウィングのファン達に追われたりした。

 

‐ゲームセンター‐

 

ファン達の追跡から逃れた一行はゲームセンターに訪れ、リズム、アクション、シューティング、レース、シミュレーション、アーケードゲームなどをプレイした。そして今はクレーンゲームをしている。

 

「翼さんご所望のぬいぐるみは、この立花響が必ずや手に入れてみせます!」

 

「期待はしているが、たかが遊戯に少し次ぎ込み過ぎではないか?」

 

スマホで電子決済を行い、響は奇声を上げてボタンを操作してクレーンでぬいぐるみを確保して取り出し口に向かう途中でポロリと落ちてしまう。

 

「あーーーツ!?」

 

「まぁ、これがクレーンゲームの醍醐味だがらな。ドンマイ。」

 

その後、響が殴って取り出そうとするのを奏達が落ち着かせる間に真が先程のぬいぐるみと、響達の分を確保。それを女子達に渡す。

 

「ありがとうございます、神永さん。」

 

「これくらい構わないよ。」

 

因みに翼は青色の柴犬、奏は朱色の狼、響と未来は黄色と黒のヒヨコのぬいぐるをプレゼントした。それからモール店を出た一行はカラオケ店へ入る。

 

‐カラオケ店内‐

 

「うおぉぉぉーーーッ!!すごいよ私達!トップアーティストと一緒にカラオケに来るなんて♪」

 

未来

「ふふ、そうだね。」

 

(この世界に俺が知ってる曲ってあるかな?)

 

「さて、どの曲に『~♪』ん?」

 

演歌の曲が流れだし、4人は誰が入れたのかと思っていると、翼がマイクを持って前に立つ。

 

「一度こういうの、やってみたかったのよね。」

 

そして演歌を歌う翼。それから各々が選んだ曲を歌っていき、時間が過ぎてゆく。

 

‐数時間後 某高台・公園‐

 

夕方となっていく時間帯で一行は街全体が一望できる高台の公園から見える光景を見ていた。

 

「綺麗な光景だな。」

 

「えぇ、本当に今日は知らない世界を旅している様だわ。」

 

「そんな事ありませんよ!今日の集合場所になった公園やショッピングモール。今日行ってない場所も全部が私や奏さんと翼さん、そしてウルトラマンさんと一緒に守って来た世界です!だから知らないなんて言わないでください。」

 

「ッ!」

 

『戦いの裏側とか、その向こう側とかには、また違ったものがあるんじゃないかな?アタシはそう考えて来たし、そいつを見てきた。』

 

響にそう言われた翼はいつの日かに奏が言った言葉を思い出し、再び目の前の光景をもう一度見る。

 

「そうか・・・これが奏の見てきた世界なのね・・・」

 

「あぁ、これからもアタシ達で守っていこうぜ!」

 

「えぇッ!」

 

翼は強く答え、夕陽に照らされる街を眺める。その後の帰り道。10日後にツヴァイウィングの復帰ステージを行う事を奏達から聞き、そして真達はそのチケットを貰う。

 

「俺の分まで・・・いいのか?」

 

「構わないさ。最高のステージにするから来てくれよな!」

 

「あぁ、分かった。」

 

そして10日後のステージでまた会う事を約束した後、一行はそれぞれの帰路についた。

 

‐10日後 二課本部‐

 

真はライブ会場に向かう前にウルトラマンとして二課へ訪れ、弦十郎にフィーネに関しての新しい情報がないかを聞きに来た時、指令室にノイズ出現の警報が鳴り響く。そして響達に連絡を入れようとする弦十郎をウルトラマンは肩に手を置いて止める。

 

ウルトラマン

「弦十郎、現場には俺が行く。フィーネの情報を聞く前に話をしたな。奏と翼は大事なステージが、そして響達はそれを楽しみにしていると。私はそれを台無しにさせたくない、頼む。」

 

そう言って弦十郎に頭を下げるウルトラマン。

 

弦十郎

「ウルトラマン・・・やれるか?」

 

ウルトラマン

「任せてくれ。」

 

弦十郎がそう言うと、ウルトラマンは頷き、テレポーテーションでその場から現場へ向かった。

 

ーーーーーー

 

ウルトラマンがテレポーテーションで現場の上空に到着すると、ノイズと交戦中のクリスの姿があった。クリスはガトリングガンの掃射で数を減らすが、要塞型ノイズが新たなノイズを立て続けに召喚されて徐々に物量に押されていく。すると要塞型ノイズは大砲の様な触手をクリスに向ける。

 

ウルトラマン

「させるかッ!!」

 

ウルトラマンは〈急降下キック〉で要塞型ノイズを吹き飛ばして倒す。そして周囲にいるノイズはウルトラスラッシュや〈ウルトラソード〉で減らしていきながらクリスと合流する。

 

ウルトラマン

「無事か?」

 

クリス

「余計なお世話だ・・・」

 

クリスはそう言って他のノイズをガトリングガンの連射で蜂の巣にする。ウルトラマンもスラッシュ光線で撃ち漏らしたノイズを倒していたその時、突如ミサイルがウルトラマンとクリスを襲う。しかしいち早く気付いたウルトラマンはリバウンド光線を展開して防いだ事で2人は無事で済んだ。

ウルトラマン達はミサイルが飛んできた方を向くとそこにはバルタン星人の姿があった。だが普通のバルタン星人ではない。左の巨大な鋏と右には機械式の鍵爪〔アイアンクロー〕を装備し、全身をサイボーグ化した〔メカバルタン〕は機械音を鳴らしながら再び〈アンカーロケット〉を放つ。

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

クリス

「この野郎ッ!」

 

ウルトラマンはスラッシュ光線、クリスはBILLION MAIDENで迎撃する。そして爆炎が晴れると同時に巨大化したメカバルタンが襲い掛かる。ウルトラマンも巨大化し、そのまま取っ組み合いとなる。

 

ウルトラマン

「ヘアッ!」

 

メカバルタン

「ビョゥンビョゥン・・・」

 

先にウルトラマンが〈ウルトラパンチ〉で攻撃するが、アイアンクローで受け止められ、右腕を封じられる。メカバルタンは左のハサミ部分をドリルの様に回転させてウルトラマンを殴打する。

ウルトラマンは殴打されながらも逃れようと抵抗するが、痛覚が無いメカバルタンには効果は無く、逃れられない。その時、多数の小型ミサイルと銃撃がメカバルタンに直撃する。

 

メカバルタン

「ッ!?」

 

ウルトラマン

「(今だ!)ヘアッ!」

 

アイアンクローの締め付けが緩まリ、封じられた右腕を解放されたウルトラマンは〈ウルトラチョップ〉をメカバルタンの頭部に叩き込む。そして怯んだメカバルタンを〈背負い投げ〉で投げ飛ばす。

 

ウルトラマン

「シュワッ!!」

 

メカバルタン

「ビョゥンビョゥン・・・」

 

ウルトラマンが倒れたメカバルタンにスペシウム光線を放つが、素早く起き上がったメカバルタンは両腕から放つ赤い必殺光線〈ギガクラッシャー〉で抵抗し、撃ち合いとなる。

メカバルタンは威力を上げて優位を取ろうとする。それをさせまいとウルトラマンも威力を上げる。衝突した部分からは火花が激しく飛び散る。そして優位を勝ち取ったのは・・・

 

ウルトラマン

「デュワッ!!」

 

メカバルタン

「ッ!!??」

 

更に威力を上げたウルトラマンのスペシウム光線がギガクラッシャーを押し切り、メカバルタンに直撃。メカバルタンは全身から火花を散らして倒れ、爆発する。それを見た後、ウルトラマンは少し離れたビルの屋上にいるクリスの方を向く。

 

クリス

「・・・これで貸し借りは無しだ。」

 

そう言うとクリスは現場から立ち去る。それを見届けたウルトラマンは火災を消化してから飛び去る。その後、2曲目が始まる前に滑り込みでライブ会場に着いた真は響達と合流した後、奏と翼の2曲目の歌を聞くのであった。

 

第10話END




次回「戦姫が紡ぐ絆」


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第11話「戦姫が紡ぐ絆」

‐楽屋‐

作者
「大変お待たせ「し過ぎだ!ド阿呆ッ!!」グビラッ!?」

作者、真のジャーマンスープレックスで犬神家にされる。


「読者の皆さん。本当に遅れてすまない。今週は早く出せる様に作者に頑張らせるから楽しみにしてくれ。それじゃ本編に行ってくれ。」

作者
「モゴモゴ(また新しいシリーズ「騎士ガンダム様、只今異世界にお出掛け中」を書こうと思ってます。お楽しみ)!」


‐西暦2043年 数日後・廃屋敷‐

 

フィーネが拠点としてる廃屋敷の周囲をいつの日か広木防衛大臣を殺害した特殊部隊が静かに接近していた。一方、屋敷内では家主であるフィーネの姿は無く、代わりに了子の姿があった。了子は端末を操作しているところを扉と窓から突入した特殊部隊が現れ、了子はそれに気付いて逃走を図る。しかしそれよりも早く銃撃した特殊部隊によって右脇腹を撃ち抜かれ、その場に倒れる。

 

特殊部隊隊長

「手前勝手が過ぎたな。聖遺物に関するデータは我々が活用させてもらおう。」

 

了子

「掠める準備が出来たから、後は用無しって訳ね。徹底してるわ・・・」

 

右脇腹から大量流血する了子を見ながら接近して英語で話す特殊部隊隊長。その姿を了子は睨みながらそう言う。近づいた特殊部隊隊長は了子を蹴り上げ、未だに流血する姿を見て長くは持たないと判断し、ニヤリと笑う。

しかし了子は右手を撃たれた右脇腹に置くと同時に青い粒子が了子の身体へと流れていく。これに特殊部隊は銃を構え、何時でも射撃可能な態勢に入る。

 

了子

「グッ、グアァッーーーッ!」

 

苦痛で苦しみながらも、右脇腹の傷は完全に塞がる。そしてゆっくりと了子は立ち上がる。

 

了子

「それも、わざと痕跡を残して立ち回るあたりが、品性下劣な米国政府らしい。ブラックアートの深淵を、覗いてすらもいない青二才のアンクルサムが――」

 

特殊部隊隊長

「――撃てッ!」

 

特殊部隊隊長の号令と同時に発砲。その場で血しぶきが舞う。

 

‐数時間後‐

 

廃屋敷の近くに2台の黒いベンツと、1台の赤い4WDが停車。ベンツからは黒服のエージェント達と、4WDからは弦十郎とマルチコンバットスーツを装着した真もといウルトラマンが降りる。数時間前に場所を特定した弦十郎はエージェント数名と、丁度良く二課に訪れたウルトラマンを加えたメンバーでフィーネの屋敷に来たのであった。

 

ウルトラマン

「ここが彼女が拠点としていた屋敷か。」

 

弦十郎

「あぁ、何かしらの情報が入手できれば良いのだがな。」

 

そう言って弦十郎達は屋敷の内部へ突入する。その道中でウルトラマンはウルトラアイスポットで周囲を見渡すと、幾つかの爆弾がある事に気付き、弦十郎に知らせる。弦十郎は数名のエージェントに仕掛けられた爆弾の解体を頼んだ後、広場へ向かう。するとそこには特殊部隊の遺体と戦闘の跡が残った広場に佇むクリスの姿があった。

 

クリス

「違う!あたしじゃない!」

 

ウルトラマン

「落ち着け。我々は君を疑っていない。」

 

弦十郎

「その通りだ。全ては、君や俺達の傍にいた彼女の仕業だ。」

 

弦十郎がそう言った後、エージェント達は広場にあるもの全てを調べる。そして1人のエージェントが1つの遺体に置かれていた赤い文字で書かれた紙を弦十郎に渡す。それをウルトラマンと弦十郎が見る。

 

弦十郎

「I LOVE YOU SAYONARA・・・」

 

ウルトラマン

「愛してます。さよなら、か。」

 

2人が掛かれてある文字と意味を言ったその時、突然発生した強い揺れによって広場の一部が崩壊。幸い負傷者は誰も出ておらず、全員無傷であった。

 

エージェント

「か、禍威獣だ!」

 

崩れた窓側にいるエージェントの1人がそう叫び、弦十郎達がそちらを向く。屋敷の崖側から少し離れた位置に何処か無機質な白い外見の禍威獣がいた。その姿を見たウルトラマンは目を見開いて叫ぶ。

 

ウルトラマン

「弦十郎!今すぐ全員を連れてこの場から逃げろ!時間は俺が稼ぐッ!」

 

弦十郎

「ッ!全員この場から退避だ!急げッ!!」

 

ウルトラマンの尋常じゃない焦った様子を見た弦十郎はすぐに指示を出し、クリスを連れて屋敷から退避する。

 

???

「ピポポポポポポ・・・ゼットーン・・・」

 

電子音じみた声を発しながら活動を開始した禍威獣〔人工宇宙恐竜 クローンゼットン・ホワイト〕はゆっくりと屋敷に接近する。ウルトラマンはベーターカプセルを取り出し、変身する。

 

ウルトラマン

「シャアッ!」

 

クローンゼットン・ホワイト

「ゼットーン・・・!」

 

変身と同時に先制攻撃で急降下キックを受けたクローンゼットン・ホワイトは弾き飛ばされる。ウルトラマンは追撃でマウントポジションを取ろうとするが、テレポーテーションで逃げられて失敗する。回避したクローンゼットン・ホワイトはウルトラマンの背後を取り、〈赤色光線〉を連射。背後から攻撃を受けたウルトラマンは吹き飛ばされる。

 

ウルトラマン

「グアッ・・・!」

 

クローンゼットン・ホワイト

「ピポポポポポポ・・・ゼットーン・・・!」

 

立ち上がろうとするウルトラマンの前にテレポートして顔を蹴り上げる。そこから〈ゼットンキック〉で屋敷の方へ蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたウルトラマンは崖側にある屋敷の一部にぶつかった後、崖の方に滑り落ちる。ウルトラマンは態勢を立て直そうとするが、テレポートで間合いを詰めたクローンゼットン・ホワイトに首を掴まれ、そのまま崖に押し付けられてしまう。

 

ウルトラマン

「グ――ッ!」

 

クローンゼットン・ホワイト

「ゼットーン・・・ピポポポポポポ・・・」

 

ウルトラマンは抵抗しようとするが、首を強く締め付けられて段々と抵抗できなくなる。クローンゼットン・ホワイトは首を締め付つ、空いている腕で一方的に攻撃する。そしてウルトラマンの意識は遠くなっていく。

 

ウルトラマン

(不味い、このままでは意識が・・・)

 

ピコンピコンピコンピコン

 

視界が黒くなってゆくと同時にカラータイマーは点滅していく。最大の危機にウルトラマンは成す術もなく敗れ去ろうとしたその時、2発の大型ミサイルがクローンゼットン・ホワイトの両膝に直撃する。

 

クローンゼットン・ホワイト

「ゼットーンッ!?」

 

ウルトラマン

「ッ!ヘアッ!」

 

首の締め付けが緩くなり、身動きができる様になったウルトラマンはクローンゼットン・ホワイトを蹴り飛ばして脱出。そこからウルトラスラッシュを合わせたウルトラチョップで右腕を切断。そしてウルトラアタック光線を至近距離で直撃させる。クローンゼットン・ホワイトは全身に罅が広がっていき、木端微塵に爆発する。

 

ウルトラマン

「ハァ、ハァ、ハァ・・・グウッ!」

 

クローンゼットン・ホワイトを倒したウルトラマンは肩で息をしながら膝を付き、変身解除されると同時に気絶する。

 

‐数分後‐

 

ウルトラマン

「うぅ・・・クリス?」

 

クリス

「目が覚めたみたいだな。」

 

目を覚ましたウルトラマンの視界に映ったのは、心配しそうに見るクリスの顔であった。そして現在木陰でクリスに膝枕されている。起き上がったウルトラマンは周囲を確認する。一部が崩壊した屋敷と、本部と連絡する弦十郎の姿があった。

 

ウルトラマン

「でれくらい気絶していた?」

 

クリス

「3~4分程度だ・・・もう起きて平気なのか?」

 

ウルトラマン

「あぁ、問題ない。それと君の援護が無ければやられていた。ありがとう。」

 

クリス

「別に、ただの気まぐれだ・・・」

 

そう言ってそっぽを向くクリス。その様子を見たウルトラマンはヘルメット越しでクスリっと笑う。そして連絡を終えた弦十郎がやって来る。

 

弦十郎

「具合はどうだ?」

 

ウルトラマン

「問題ない。少し寝たお陰である程度は回復している。」

 

弦十郎

「そうか。俺達は本部に戻るが・・・」

 

ウルトラマン

「一旦拠点に戻る。何時でも出撃できる様にスターゼロを調整する。」

 

クリス

「悪いけど、あたしは・・・」

 

弦十郎

「一緒には来られないか?」

 

そう言われたクリスは頷く。

 

弦十郎

「そうか・・・ならこれを持っておくといい。」

 

弦十郎はそう言って予備の端末をクリスに投げ渡して自車に乗る。

 

クリス

「いいのか、あたしに渡して?」

 

弦十郎

「構わん。限度額内なら公共交通機関が利用できるし、自販機で買い物ができる代物だ。」

 

そしてエンジンを掛け、弦十郎達が出発する時。

 

クリス

「カ・ディンギル。」

 

弦十郎

「ん?」

 

クリス

「フィーネが言ってたんだ。カ・ディンギルって。それが何なのか分からないけど、そいつはもう完成しているみたいなことを。」

 

ウルトラマン

「カ・ディンギル(アイツの彼女がそれで何をするかは分からんが、場合によっては実力を持って阻止する!)・・・」

 

そう考えると同時にウルトラマンは両手を強く握る。

 

弦十郎

「そうか、情報提供感謝する。これで後手に回るのは終いだ、こちらから打って出てやる!」

 

そう言った後、弦十郎はエージェント達と共に本部へ帰投する。その場に残ったウルトラマンはプランクブレーンから(配色を変えてナンバープレートを取り外した)バイクを召喚して搭乗する。

 

ウルトラマン

「乗れ。街まで送ってやる。」

 

クリス

「良いのか・・・?」

 

ウルトラマン

「構わない。」

 

その後、クリスに予備のヘルメットを渡したウルトラマンは彼女を乗せて街へ向かう。

 

‐数十分後 二課本部・指令室‐

 

クリスの情報提供によって分かった事を響達に伝える為、通信する弦十郎。しかしその場には了子の姿は無い。

 

弦十郎

「了子君は?」

 

あおい

「まだ出勤していません。朝から連絡普通でして。」

 

弦十郎

「そうか・・・」

 

弦十郎がそう言った後、響は人間離れした特技があるから大丈夫っと言うが、翼は戦闘訓練を積んでいないと否定し、奏も同意する。それに響は首を傾げ、そうなのかと思っていた時、了子から通信が入る。

 

了子

『や~っと繋がった!ごめんねぇ寝坊しちゃったんだけど、通信機の調子が良くなくて。』

 

通信機越しでそう言う了子に目を細める弦十郎。一先ず無事かどうかを確認すると、了子は大丈夫だと言う。それに響は安堵する。

 

弦十郎

「それより、聞きたい事がある。カ・ディンギル。この言葉が意味するものは?」

 

弦十郎の問いに了子は答える。カ・ディンギル。古代シュメールの言葉で”高みの存在”、転じて天を仰ぐ程の塔を意味すると説明される。

 

弦十郎

「何者かがそんな塔を建造していたとして、何故俺達は見過ごしてきたんだ?」

 

その言葉に響達や指令室にいる誰もが気付くはずの巨塔を見過ごしてきた事に不思議に思う。

 

弦十郎

「だが、ようやく掴んだ敵の尻尾だ。このまま情報を集めれば勝利も同然。相手の隙にこちらの全力を『ヴゥーーンッ!ヴゥーーンッ!ヴゥーーンッ!』ッ!どうした!?」

 

朔也

「飛行型の超大型ノイズが一度に3体・・・いえ!もう1体出現ッ!!」

 

‐都市部‐

 

二課が超大型飛行ノイズを探知したころ、民間人達は突如として出現したノイズにパニック状態と化していた。そこに丁度街に到着したウルトラマン達がいた。

 

クリス

「こんな街中でッ!」

 

クリスは超大型飛行ノイズに向かって駆けだそうとするが、肩を掴んだウルトラマンが止める。

 

ウルトラマン

「待てクリス!今は民間人の避難が優先だ!それに民間人が残った状況では私達は満足に戦えない!」

 

クリス

「く・・・ッ!分かった!」

 

そしてウルトラマン達が民間人の避難誘導を始めた頃、先に現場へ急行した響達は超大型飛行ノイズから投下された多数のノイズと戦闘していた。

 

‐東京スカイタワー‐

 

ヘリから降下した際に響が超大型飛行ノイズの内1体を撃破してから数分後。合流した奏と翼も加わり、地上にいるノイズを蹴散らしつつ、超大型飛行ノイズへ再度攻撃する。しかし通常の飛行型ノイズと高度差に阻まれ、攻撃は全て命中せずにいた。

 

「空飛ぶノイズ、どうすれば・・・」

 

「臆するな立花。防人が後退れば、それだけ戦線が後退すると言う事だ!」

 

「とは言え、これじゃ埒が明かない!」

 

数を減らした矢先に補充される状況に追い詰められていく響達。そして空を埋め尽くす多数の飛行型ノイズが上空から迫り来るその時、数発のミサイルと弾幕に飛行型ノイズは撃破される。

 

「これって!」

 

「ウルトラマンか!」

 

全員が後ろを向くと、こちらに飛んで来るスターゼロの姿があった。そして響達の頭上を通り過ぎると、イチイバルを纏ったクリスが響達の前に降り立つ。

 

「クリスちゃん!」

 

クリス

「コイツがピーチクパーチク喧しいから、ちょっと出張ってみただけ。勘違い『この場に来た時点で助っ人の様なものだが?』ッ!///

 

上空で飛行型ノイズと戦闘しながら通信越しでウルトラマンに指摘されて顔を赤らめるクリス。

 

「クリスちゃーん!ありがとー!絶対に分かりあえるて信じてた!」

 

クリス

「このバカ!あたしの話を聞いてねぇのかよ!?」

 

嬉しさでクリスに抱き着く響。それをクリスは引っぺがそうとする。

 

「響、それくらいにしてやんな。」

 

「兎に角今は、連携してノイズを――」

 

クリス

「勝手にやらせてもらう!邪魔だけはすんなよな!」

 

そう言い放ったクリスは単独で迫り来る飛行型ノイズに弾幕の雨を浴びせる。そして響達は地上にいるノイズを相手にする。数を減らしていく中でクリスと翼はぶつかり、言い合いに発展する。その場面をスターゼロのコックピット越しからウルトラマンは見ていた。

 

ウルトラマン

「おいおい、今は言い争ってる場合――ッ!?この反応、別の場所にノイズと禍威獣が現れたのか!」

 

ウルトラマンはすぐにオートパイロットモードに切り替え、ベーターカプセルで変身する。

 

ウルトラマン

(響達にはすまないが、ここは任せたぞ!)

 

テレポーテーションを使用し、コックピットからウルトラマンの姿は消える。その間、クリスと翼の言い合いに奏が止めに入る。

 

「落ち着けって翼、それとアンタも。」

 

クリス

「この前までやりあってたんだぞ。そんな簡単に手を「取り合えるよ!」ッ!」

 

すると上げていたクリスの右手を響が両手で包み込む。

 

「出来るよ、誰とだって仲良くできる。」

 

そして響は右手を奏と翼に差し出す。

 

「どうして私にはアームドギアが無いんだろうってずっと考えてた。何時までも半人前は嫌だって思ってた。けど、今は思わない。何も握ってないこの手で皆と手を握り合えるし、仲良くなれるからね!」

 

「響・・・」

 

「立花・・・」

 

奏と翼を互いを見て頷いた後、2人はアームドギアの剣と槍を地面に突き刺して手を繋ぐ。そしてお互いに空いた左手と右手で響とクリスの手を握る。

 

クリス

「・・・このバカにあてられたのか///

 

「そうだと思う。そして。」

 

「きっとアンタもな。」

 

クリス

「冗談だろ・・・///

 

そう言ってそっぽを向くクリス。それに翼と奏、そして響は全員の心がつながった事に微笑む。すると爆発音が響く。響達は上空を見ると、自動操縦のスターゼロが1体の超大型飛行ノイズを撃破していた。

 

「おっと、今はノイズの相手をしないとな。」

 

「しかし親玉を如何にかしないと切りがない。」

 

クリス

「だったらあたしの出番だな。イチイバルの特性は長射程広域攻撃。派手にブッ放してやる!」

 

「まさか、絶唱を!」

 

クリス

「あたしの命は安物じゃねーよ。ギアの出力を高めて放出を抑えつつ、臨界まで貯め込んだエネルギーを一気に解き放ってやる!」

 

「しかしチャージ中は丸裸も当然、これだけの数を相手にする状況では危険すぎる。」

 

「そうですね。だけど私達でクリスちゃんを守ればいいだけの事!」

 

クリス

「ッ!」

 

「それじゃ、時間稼ぎと行くか!」

 

その場からクリスを残し、響達はそれぞれ別方向から向かって来る地上のノイズを対処する。

 

クリス

(頼まれてもいない事を・・・これじゃ引き下がれないじゃないか!)

 

そしてクリスは歌を歌い、エネルギーをチャージする。エネルギーチャージと同時にクリスのギアは変形していき、ガトリングガンと腰部ミサイル射出器の展開に加え、背部に大型ミサイルを左右に各2基、計4基を連装する射出器を形成。アウトトリガーで自身を固定して射撃体勢を取る。全火器の一斉掃射による〈MEGA DETH QUARTET〉の火力によって上空にいる全てのノイズを一掃する。一方、響達も地上のノイズを全て倒し終える。

 

「やったのか?」

 

クリス

「あたりめぇだ!」

 

「よしッ!」

 

「わぁ・・・!」

 

そしてギアを解除して合流した響達が勝利に喜んでいる時、スターゼロがホバリングで近くに着陸してコックピットが開く。しかし搭乗者であるウルトラマンの姿が無かった。すると不意に響が持っている通信機に連絡が入る。

 

未来

『響!学校が・・・リディアンがノイズと禍威獣に襲われてるのッ!今ウルトラマンが――』

 

「未来?未来ッ!?」

 

通信が途切れ、響は声が周囲に響く。そして決戦の時は刻々と近づいてゆく。

 

第11話END




次回「宇宙最凶の禍威獣」


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第12話「宇宙最凶の禍威獣」

遅れてすんませんでした。


‐西暦2043年 リディアン音楽院‐

 

響達が東京スカイタワーに集結したノイズの対処を行っている頃、リディアン音楽院は多数のノイズと禍威獣の襲撃によって戦場と化していた。

 

自衛官隊長

「撃て!撃ち続けろッ!何としても奴らを通すな!!」

 

隊長の号令で他の隊員や機動戦闘車がこれ以上進撃させまいと攻撃する。しかしノイズの位相差障壁、禍威獣の防御力の前には決定的なダメージを得られない。逆にノイズと禍威獣による攻撃で命を散らす。

 

「ゼットーン・・・ピポポポポポポ・・・」

 

多数のクローンゼットン・ホワイトや、それが脱皮した半甲殻体の〔人工宇宙恐竜 クローンゼットン・ハーフ〕や通常個体の〔宇宙恐竜 ゼットン〕、〔ゼットン(THE FAST版)〕、〔パワードゼットン〕、〔EXゼットン〕、〔宇宙超絶恐竜 ファイヤーゼットン〕、〔ゼットン・ファルクス〕、〔合体ゼットン〕、〔ゼットンバルタン星人〕、〔人工宇宙恐竜最終形態 クローンゼットン・ファイナル〕、〔ハイパーゼットン・ギガント、イマーゴ、デスサイス〕とノイズによる大軍団によってリディアン音楽院は崩壊していく。

するとゼットン軍団の上空と側面から多数のミサイルが降り注ぎ、爆発する。各基地から出撃した空自のF-15J改、F-35A、F-2A改。陸自のコブラ、アパッチは少しでも民間人の避難する時間を稼ぐ為に攻撃を続ける。例え、無意味な抵抗であったとしても。

 

‐リディアン音楽院内部‐

 

未来

「落ち着いて!シェルターに避難してください!」

 

???

「ヒナ!」

 

自衛官2名と協力して女子生徒をシェルターへ避難させる未来。するとクラスメイトの安藤創世、寺島詩織、板場弓美が駆け寄る。

 

弓美

「どうなってるわけ?学校が襲われるなんてアニメじゃないんだからさ。」

 

未来

「皆も早く避難を!」

 

詩織

「小日向さんも一緒に!」

 

未来

「先に行ってて、私は他に「か、禍威獣がッ!」ッ!?」

 

女子生徒の1人が声を上げ、窓側に指を指していた。未来や他の者達もそちらを向くと、光線発射態勢のゼットンの姿があった。未来達が気付いた瞬間に〈ゼットン光弾〉が発射される。その場にいる者達は反応できずにいた。

 

未来

(響、真さん・・・ッ!)

 

そのまま直撃する瞬間。光弾と未来達の間に光が現れ、光弾は光に直撃して爆発する。爆風で窓ガラスが割れ、衝撃が未来達を襲うがそれだけで何ともない。不思議に思った未来は瞑っていた目を開くとそこには銀の巨人、ウルトラマンがいた。

 

未来

「ウルトラマン!」

 

ウルトラマン

「奴らは私が相手をする。君達は避難を!」

 

ウルトラマンはそう言って構えを取り、ゼットンに向かって行く。その間に未来は女子生徒の誘導を自衛官達に任せ、校内で逃げ遅れた者を探しに行く。

 

ウルトラマン

「シャアッ!」

 

ゼットン

「ゼットーン・・・ピポポポポポポ・・・」

 

ウルトラマンは肉薄し、ウルトラスラッシュでゼットンは斬り裂こうとするが、〈ゼットンシャッター〉によって防がれ、ウルトラスラッシュは砕け散る。

 

ゼットン

「ピポポポポポポ・・・ゼットーン!」

 

ボキッ!メキッ!

 

ウルトラマン

「―――ッ!?」

 

バリヤーを解除したゼットンはカウンターで左ストレートを放ち、ウルトラマンの右脇腹に炸裂。肋骨の数本が折れる。膝を付きそうになるウルトラマンは気力で踏ん張り、ウルトラパンチでゼットンの顔面を貫いて引き抜く。貫かれたゼットンは少しだけ痙攣した後に倒れ、活動停止する。

 

ウルトラマン

「ハァ、ハァ、ハァ(最初の戦闘でダメージが抜けきっていないうえで肋骨が数本やられた!この状態でどこまで戦えられる)・・・ッ!」

 

肩で息をしながら右脇腹に手を添えて何とか立っているウルトラマンの周囲には多数のゼットン軍団が包囲する様に集結していた。

 

ウルトラマン

「(考える暇もないか・・・)デュワッ!」

 

ウルトラマンは包囲される前にゼットン軍団の一点に突撃する。そこにはクローンゼットン・ハーフが5体、EXゼットンとゼットン・ファルクスが1体づつの1部隊と対峙する。

 

クローンゼットン・ハーフ×5

「ゼットーン!」

 

クローンゼットン・ハーフは近付けまいと赤色光線、ゼットン光線、〈メテオ火球〉の弾幕を張る。ウルトラマンはリバウンド光線で攻撃を反射させ、地面に着弾させる。舞い上がった爆煙を煙幕にしたウルトラマンはウルトラソードを放ち、5体のクローンゼットン・ハーフを撃破する。

すると背後から気配を感じたウルトラマンはスペシウムブレードを展開して振りかざす。するとテレポーテーションで奇襲を仕掛けてきたゼットン・ファルクスが振りかざした鎌を防ぐ。

 

ウルトラマン

「グッ・・・ウオォォォーーーッ!!」

 

鎌を弾き飛ばし、ゼットン・ファルクスの両腕を斬り落として止めを刺す。その時、爆煙から飛び出たEXゼットンの鋭利な爪による攻撃を受けてしまい、ウルトラマンは膝を付く。それをEXゼットンは追撃で爪を深く突き刺す。

 

ウルトラマン

「グアァァァーーーッ!」

 

EXゼットン

「ピポポポポポポ・・・ゼットーン!」

 

EXゼットンは至近距離で〈100トリリオンメテオ〉発射準備を行う。それを見たウルトラマンはまだ試してもいない技で危機を脱しようとする。両腕を交差させ、全身のスペシウムエネルギーをスパークさせて拘束を逃れる〈ボディスパーク〉によってEXゼットンは怯む。その隙に抜け出したウルトラマンはウルトラアタック光線で撃破する。

 

ウルトラマン

「・・・時間を掛け過ぎたか。」

 

ゼットン軍団

「ゼットーン・・・ピポポポポポポ・・・」

 

EXゼットンを倒した頃には包囲網が完成しており、夥しい数のゼットン軍団がウルトラマンを見据えていた。その間に負傷した背中から赤い光が流れ出るウルトラマン。

 

ウルトラマン

「(これは流石にマジでヤバイな・・・だが、それでも!)負けるものかッ!!」

 

ウルトラマンが構えると同時にゼットン軍団は一斉に動き出す。先に接近したファイヤーゼットンは左腕の巨大な鎌を振り下ろす。それをウルトラVバリヤーで防ぐウルトラマン。しかしその一撃で大きく吹き飛ばされる。それを待ってましたとハイパーゼットン・デスサイスが両腕の鎌を振る。ウルトラマンは態勢を立て直して攻撃を防ぐが、〈ハイパーゼットンテレポート〉で懐に入ったハイパーゼットン・イマーゴの強力なシャベルフックを受けてしまう。

 

ウルトラマン

「―――ッ!?ブハッ!

 

合体ゼットン

「ゼットーン!」

 

ゼットンバルタン星人

「ゼットットット!」

 

動きが鈍った隙にウルトラマンを後ろから抑える合体ゼットン。動けないウルトラマンにゼットンバルタン星人はゼットンとバルタン星人の技を全て撃ちこむ。

 

ウルトラマン

「グ・・・ッ!リミッター解除ッ!!」

 

ピコンピコンピコンピコン

 

リミッター解除で押さえ付ける合体ゼットンを引き剥がし、ゼットンバルタン星人に向けて投げ込む。そしてギガスペシウム光線で一気に殲滅する為、周囲のゼットン軍団に撃ち込むが、多数のパワードゼットンが盾となる。何体かはギガスペシウム光線を吸収しきれずに爆散するが、残った数体は反射してウルトラマンにダメージを与える。

 

ウルトラマン

「ガハッ!」

 

ハイパーゼットン・ギガント

「ゼットーン・・・ピポポポポポポ・・・」

 

ダメージを受けて怯んだところをハイパーゼットン・ギガントの〈ギガンティスクロー〉が横薙ぎにウルトラマンを斬り付ける。吹き飛ばされた先にいるクローンゼットン・ファイナルは大顎を開き、ウルトラマンが入ると同時に締め上げる。更にスペシウムエネルギーを吸収していく。

 

ピコンピコンピコンピコン

 

ウルトラマン

(クッ、テレポーテーション!)

 

テレポーテーションで拘束から逃れると、先回りした多数のクローンゼットン・ホワイト、ハーフが群がってウルトラマンを押さえ込む。リミッター解除、ギガスペシウム光線、テレポーテーション。更にエネルギー吸収をされてスペシウムエネルギーが枯渇したウルトラマンの力では成す術も無く押さえ込まれる。

それをゼットン軍団は赤色光線、ゼットン光線、〈ゼットンファイナルビーム〉、〈ハイパーゼットンアブソーブ〉、メテオ火球、100トリリオンメテオ、〈暗黒火球〉で取り押さえているクローンゼットン・ホワイト、ハーフごとウルトラマンに集中砲火される。やがて攻撃が収まると、残骸となったホワイトとハーフ。そして原型を留めつつ、黒焦げとなったウルトラマンが辛うじて立っていた。

 

???

「これ程の攻撃を受けてもまだ立てるか。」

 

その声が響くと同時にゼットン軍団の1ヶ所が道を開ける。その道からゼットンよりも人型に近く、胸にはカラータイマーの様な発光体が付き、ウルトラ一族の抹殺用として誕生し、全てのゼットンの頂点に立つ禍威獣〔宇宙恐魔人ゼット〕が姿を現す。

 

ウルトラマン

(嘘、だろ!?あんな奴まで・・・いるのかよッ!?)

 

ゼット

「今、楽にしてやろう。」

 

手持ちの槍を構えてそう宣言するゼット。そしてカラータイマー目掛けて突き出す。しかしウルトラマンも黙ってやられる訳ではなく、突き刺さる瞬間に槍を掴む。

 

ゼット

「ほぉ、まだ動くだけの力はある様だな。」

 

ウルトラマン

「ただで命を献上されるものかッ!」

 

槍を跳ね除け、残っている力でウルトラパンチ、チョップ、キックを繰り出す。しかし全てを防がれ、逆に粒子状に分解する一撃を左胸に受けてしまう。

 

ウルトラマン

「―――~~~ッ!!?」

 

地に倒れ、左胸を押さえ込むウルトラマン。だがそれでも立ち上がり、ゼットに構えを取る。

 

ゼット

「まだ抗うか・・・何故諦めない?」

 

ウルトラマン

「お前達を・・・のさばらせるてなるものかッ!」

 

ゼット

「ならばこれで最後にするとしよう。」

 

ゼットが指を鳴らし、接近すると再びゼットン軍団が動き出し、ウルトラマンへと迫る。その光景を映像越しで見ている者達がいた。

 

‐二課本部・指令室‐

 

指令室のモニターに映るのは丁度響達が倒し終えた場面と、押し寄せるゼットン軍団と戦い続けるウルトラマンの映像が流れていた。それを二課職員達、端末を操作する緒川。フィーネ、もとい了子との戦闘で負傷し、辛うじて意識がある弦十郎。そして未来が見ていた。

 

緒川

「響さん達に回線を繋ぎました。」

 

未来

「響!学校が・・・リディアンがノイズと禍威獣に襲われてるのッ!今ウルトラマンが――」

 

未来が響達にリディアンで起きている事態を伝えている時、突然本部の電源がシャットダウン。端末が操作不能となり、通信や状況確認の手段が潰された。

 

‐数時間後‐

 

ウルトラマンとゼットン軍団の戦闘から時間が経過し、夜となった。夜空に輝く赤い月の光が戦場と瓦礫と化したリディアン音楽院を照らしていると、その上空に1機の戦闘機、スターゼロが飛んできた。そして校舎の近くへホバリングして着陸。無理やり乗り込んだ響達はコックピットが開くと同時に降り立つ。変わり果てたリディアン音楽院と、活動停止したゼットン軍団の光景が目に飛び込む。

 

「未来・・・未来ーッ!皆ーッ!」

 

「おいおい、マジかよ・・・」

 

クリス

「ッ!あの禍威獣は!?」

 

「知っているのか?」

 

クリス

「あぁ、今日ウルトラマンが戦った禍威獣と似てる。しかも一方的にウルトラマンを追い詰めた奴だ。コイツもフィーネの仕業だったのか。」

 

「えぇ、その通りよ。」

 

その時、瓦礫と化した校舎の屋上から発せられた声が周囲に響く。全員がそちらを向くと、そこには響達を見下ろす了子の姿があった。

 

クリス

「フィーネ、やっぱりお前の仕業かッ!!」

 

了子

「フフ・・・ハハハハハッ!」

 

クリスの言葉に驚く響達。クリスの問いに答えるかの様に了子は高く笑う。

 

「その笑いが答えなのか!櫻井女史ッ!!」

 

クリス

「アイツが、あたしが決着をつけなきゃいけない相手・・・フィーネだ!」

 

すると了子、フィーネが眼鏡を外し、髪の結び目を解くと同時に青い光に包まれる。

 

「嘘・・・」

 

「マジかよ・・・ッ!」

 

やがて光が収まるとそこには、黄金のネフシュタンを纏った姿へと変わったフィーネが立っていた。

 

「う、嘘ですよね?だって了子さん「あれはデュランダルを守っただけの事。希少な完全状態の聖遺物だからね。」なら、本当の了子さんは・・・」

 

フィーネ

「櫻井了子という肉体は・・・いや、精神は12年前に風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬が覚醒した日に死んだといってもいい。」

 

「12年前に!?」

 

フィーネ

「超先史文明期の巫女。フィーネは、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者がアウフヴァッヘン波形に接触した際、その身にフィーネとしての記憶と能力が再起動する仕組みを施していたのだ。これによって私は何度でも蘇る。」

 

「まるで過去から蘇る亡霊!」

 

フィーネ

「覚醒したのは私だけではない。歴史に記される偉人、英雄、世界中に散った私達はパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた。」

 

「まさか、シンフォギアかッ!」

 

フィーネ

「その様な玩具、為政者からコストを捻出する為の服需品にしか過ぎない。」

 

クリス

「アメリカの連中と連んでいたのも、そいつが理由かよ!」

 

フィーネ

「そう!すべてはカ・ディンギルの為!」

 

両腕を広げ、高らかにフィーネが答えると同時に地面が大きく揺れ出す。そして土煙が上がり、地中から巨塔が出現する。

 

フィーネ

「これこそが地より屹立し、天にも届く一撃を放つ荷電粒子砲、カ・ディンギル!その一撃で今宵の月を穿つッ!」

 

「月を?」

 

「穿つと言ったのか!?」

 

クリス

「何でさ!」

 

フィーネ

「・・・私はただ、あのお方と並びたかった。その為にあのお方へと届く塔を、シンアルの野に建てようとした・・・だがあのお方は、人の身が同じ高みに至る事を許しはしなかったのだ。あのお方の怒りを買い、雷帝に塔を砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる・・・果てしなき罰、バラルの呪詛を掛けられてしまったのだ。

月が何故古来より不和の象徴と伝えられてきたのか・・・それはッ!月こそがバラルの呪詛の源だからだ!!人類の相互理解を妨げる呪いを、月を破壊する事で解いてくれる。そして再び・・・世界を1つに束ねるッ!!」

 

理由を問われ、神妙な面持ちで語るフィーネ。そして憎い相手に向ける声を上げ、月に向けて伸ばした手を握り締めると同時にカ・ディンギルのエネルギーチャージが始まり、主砲発射シークエンスが行われる。

 

クリス

「呪いを解く?それは、お前が世界を支配するって事なのか?安い!安さが爆発し過ぎている!!」

 

フィーネ

「フッ、永遠を生きる私に余人に歩みを止まられる事など有り得ない。それに、後ろを見て見ろ。」

 

響達が後ろを振り向くと同時にフィーネが指を鳴らし、何らかの方法で隠されていたものが姿を現す。そこには全身がボロボロとなり、死に体となったウルトラマンがいた。瞳の光は失っており、カラータイマーは弱々しく点滅していた。その姿に響達は言葉を失う。

 

フィーネ

「私が放ったノイズや自分でも敵わないゼットンの大軍団を相手に此処にいた者達を守る為、孤軍奮闘していたわ。私の策略通りにな!ハハハハハッ!」

 

フィーネの笑い声が響く中、響達は何故コックピットにいるはずのウルトラマンがいなかった理由が判明すると同時にこの場にいた皆を守る為に孤軍奮闘したウルトラマンを嘲笑うフィーネに怒りを燃やす。

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失へのカウントダウン)

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl(人と死しても、戦士と生きる)

 

クリス

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

そして聖唱を歌い、シンフォギアを纏った響達はフィーネを見据える。

 

「絶対に、私達が止めてみせます!」

 

「ウルトラマンの為にも負ける訳にはいかない!」

 

「あぁ、絶対に食い止める!」

 

クリス

「今ここで決着をつけてやるぞ、フィーネ!」

 

それぞれのアームドギアを構え、フィーネに挑む響達。フィーネに攻撃をしつつ、カ・ディンギルの破壊を行うが、全て防がれてしまう。

 

「このッ!」

 

フィーネ

「甘いわッ!」

 

STARDUST∞FOTONを放つが、フィーネのバリヤーに防がれる。その背後から接近した翼は斬撃を繰り出すが、全ていなされる。

 

「クッ!」

 

フィーネ

「無駄だと言うのがまだ分からないか!」

 

鞭を横薙ぎに振り、翼を吹き飛ばす。次に接近した響は格闘戦でフィーネと対峙する。だが簡単に倒されてしまう。しかし足止めには成功しており、クリスの大型ミサイル2発がカ・ディンギルに向けて放たれる。

 

フィーネ

「させるか!」

 

鞭を振るい、1発を迎撃する。そして2発目を探すフィーネ。すると2発目の大型ミサイルに乗って大気圏外に向かうクリスの姿があった。刺し違えてでも月の破壊を阻止する為、絶唱の最大出力で決着をつけようとする。

 

クリス

「何ッ!?」

 

しかしフィーネの放った鞭がクリスの所まで届く。大型ミサイルを破壊され、爆発に巻き込まれたクリスは地上に落ちる。

 

「クリスちゃん!」

 

落下するクリスを響が受け止め、奏と翼も駆け寄る。

 

フィーネ

「言ったであろう?余人に歩みを止まられる事など有り得ないっと。さぁ、見るがいい。月が穿かれる瞬間をッ!!」

 

フィーネの宣言と連動して月に照準を捉え、エネルギーチャージを完了したカ・ディンギルは衛星を破壊する一撃を発射する。だがその直前に青白い光線がカ・ディンギルに直撃。そのまま装甲を貫通、チャージされたエネルギーと青白い光線が干渉した事で暴走を始め、許容以上のエネルギーがカ・ディンギルから溢れ出すと同時に大爆発を起こす。その寸前で放たれたビームは月に届かずに途中で消えてしまう。

 

フィーネ

「私の想いは、またも・・・月の破壊は、バラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす。惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、狼狽え、そして聖遺物の力を振るう私の元に帰順するはずであった!痛みだけが、人の心を繋ぐ絆!たった1つの真実なのにッ!それを、それを貴様はよくも、よくもやってくれたな!ウルトラマンッ!!

 

ウルトラマン

「・・・・・・」

 

ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・

 

フィーネは声を荒げ、カ・ディンギルを破壊したスペシウム光線の構えをしたウルトラマンを見据える。

 

フィーネ

「私の悲願を邪魔する禍根は、貴様は今ここで滅してくれるッ!!」

 

ウルトラマン

「あれは、マイナスエネルギー!?」

 

フィーネからドス黒い負の感情、マイナスエネルギーが溢れ出し、それは宇宙へと昇ってゆく。そして衛星軌道上に到達後、プランクブレーンのゲートから円盤を二重に重ねた様な形状のカプセルが出現する。そのカプセルは電子音と共にフレームが展開し、ディスク状のパーツを幾層も重なり、徐々にメカメカしいパーツが組み上がっていく。やがて1つの巨体が姿を現す。

 

「あれは、一体・・・」

 

クリス

「何だあのバカデカイ奴は・・・」

 

「あれも禍威獣なのか!?」

 

「何てデタラメな大きさだッ!?」

 

地上から見えるそれは、これまで確認されたどの禍威獣達を上回る巨体を誇り、かつて別宇宙である星が宇宙の秩序を乱す存在と判断した惑星を滅ぼす為、裁定者が持ち込んだカプセルから出現した超巨大禍威獣〔天体制圧用最終兵器ゼットン〕マイナスエネルギーに引き寄せられ、時空の狭間から今、舞い戻った。

 

第12話END




次回「ウルトラの星、墜ちて燃えて尽きて、そしてー」


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第13話「ウルトラの星、墜ちて燃えて尽きて、そしてー」

3日も投降が遅れましたが、今回で
戦姫絶唱シンフォギア-THE FIRST ULTRAMAN-
ウルトラ作戦第1号(無印編)最終回!
ここまで読んでくれてありがとうございますッ!!


‐西暦2043年 リディアン音楽院‐

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

地上から見える巨影はただ静かに、リディアンの遥か彼方に鎮座する。

 

ウルトラマン

「・・・(何故あれがこの世界に現れたんだ!?これがマイナスエネルギーがなせる力とでも言うのか!だがあれを放置する訳にはいかん!)シュワッチッ!!」

 

「ウルトラマンさん!?」

 

「まさか、あの禍威獣と戦うつもりか!?」

 

クリス

「あのボロボロの状態でかよ!?」

 

「おい行くな!戻ってこいッ!!」

 

奏はそう叫ぶが、既にウルトラマンは大気圏を突破し、衛星軌道上のゼットンへ接近する。

 

‐宇宙・衛星軌道上‐

 

ウルトラマンの接近を感知したゼットンは迎撃態勢に移行。弾幕を一斉掃射でウルトラマンを狙い撃つ。

 

ウルトラマン

「グ・・・ッ!」

 

何発か被弾するが、着実にゼットンとの距離は縮まる。

 

ウルトラマン

「ヘアッ!」

 

通常より5倍に巨大化したウルトラスラッシュをゼットンに放つ。しかし〈電磁光波防壁〉に防がれてしまう。ならばと更に接近したウルトラマンはウルトラパンチ、〈ウルトラ頭突き〉、〈ウルトラダブルチョップ〉、ウルトラキック、急降下キックで一点攻撃を行う。すると電磁光波防壁に小さな罅が入り始める。

 

ウルトラマン

「(よし!このまま――)ドワッ!?」

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

だがそれをゼットンは黙っている訳ではない。近接防御用のビームタレットを展開し、ウルトラマンを引き離す。ウルトラマンは〈ハイスピン〉で光弾のダメージを軽減する。すると今度は赤色光線が撃ちだされ、ハイスピンによる防御を突破される。

 

ウルトラマン

「グアァァァーーーッ!?」

 

酷使した身を焼かれていくウルトラマン。ゼットンは親の仇と言わんばかりに手を緩めるどころか、攻撃は激しくなっていく。

 

ウルトラマン

「う、ウルトラセパレーションッ!」

 

〈ウルトラセパレーション〉で5人に分身する。ヘイトを分散しつつ、スラッシュ光線、ウルトラブレード、スペシウムブレード、ウルトラアタック光線、スペシウム光線で多方向から攻撃を加える。しかしそれでも・・・

 

分身A

「デュワ!?」

 

分身B

「ダァ!?」

 

ゼットンの背後から攻撃していた分身A、Bは背部に展開されたビームタレットに蜂の巣にされて消滅。

 

分身C

「ヘアッ!?」

 

分身Cは赤色光線の直撃で上半身と下半身を真っ二つにされて消滅。

 

分身D

「――ッ!?」

 

分身Dは赤色光線で頭部を吹き飛ばされた後、数発の光弾に撃ち抜かれて消滅。そして残った本体であるウルトラマンのみとなった。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

ウルトラマン

「・・・(分身が数秒で全滅。マジでこんな兵器と戦ったあの人(リピアー)は凄いと思うよ。だが、紛い物でもウルトラマンの名を持つ者として、地球防衛軍の一兵士として、この地球(ほし)を何としてでも守り通す!)ジュワッ!!」

 

再度ゼットンに接近し、電磁光波防壁を破ろうとするウルトラマン。それでも濃密な弾幕の前に接近するどころか、遠ざけられていく。

 

ウルトラマン

「グッ・・・(こうなれば、俺の命を9割削ってでも!)リミッター解除ッ!!」

 

本当の意味でリミッターを外し、自身の生命力をスペシウムエネルギーに変換。発射モーションを行い、全エネルギーを込めた渾身の一撃であるギガスペシウム光線を放つウルトラマン。光弾と赤色光線を呑み込み、ゼットンの電磁光波防壁に直撃する。

 

ウルトラマン

「ウオォォォーーーーーーッ!!」

 

ピコンピコンピコンピコン

 

カラータイマーの点滅が速くなると同時にギガスペシウム光線で最初よりも大きな罅が段々と広がっていく。

 

ウルトラマン

「(よし!このまま――)ッ!?」

 

あと少しで電磁光波防壁を突破しようとしたその時、1発の光線がウルトラマンの背後から胸部を貫かれる。それによってリミッター解除の効果が切れ、放たれていたギガスペシウム光線は途切れてしまい、電磁光波防壁の突破は失敗に終わる。

 

ウルトラマン

「こ、これは・・・ッ!」

 

ウルトラマンは背後に視線を送ると、そこには黒いフード付きのマントをした人影、マイナスエネルギーの集合体が意思を持って実体化した存在〔邪心王 黒い影法師〕が指を向けていた。

 

黒い影法師

「・・・・・・」

 

ウルトラマンが黒い影法師を認識すると、黒い影法師はその場から姿を消す。その間、ゼットンは撃ち込まれたギガスペシウム光線のエネルギーを収束。同時に胸部から火炎弾の発射態勢に入る。

 

ウルトラマン

「クッ!」

 

ウルトラマンは苦し紛れでスペシウム光線を撃とうと構えるが、リミッター解除、ギガスペシウム光線の使用で既に大半以上のスペシウムエネルギーを失っており、他の光線技すらまともに使用不可能な状態であった。そして彼の眼に映ったのは・・・自身に迫り、命を刈り取る光線と火炎弾を放ったゼットン(死神)の一撃であった。

 

ドオォォォオォォォーーーーーーッ!!

 

‐数分前・リディアン音楽院 装者side‐

 

突如地球の衛星軌道上に出現し、宇宙空間に静かに佇む天体制圧用最終兵器ゼットンに向かってウルトラマンが飛び立ってから数時間。響達はただ遥か宙に起きている戦いを見守っていた。

星が輝く宇宙(そら)では、1つの流星(ウルトラマン)超大型禍威獣(ゼットン)の周囲を飛び回ると同時に光が一瞬で輝き、消えていく光景が続いていた。そして放たれた青白く輝く極太の光線がゼットンに直撃。

それを見た響達はウルトラマンの勝利を確信した。だがそれは脆く崩れる。

 

ドオォォォオォォォーーーーーーッ!!

 

耳を塞ぐ程のけたたましい爆発音が響く。響達は上を向くと、空は赤く燃えていた。

 

「おいあれって・・・ッ!?」

 

「ウルトラマンさんッ!?」

 

重力に引かれ、目覚めた時よりも更に負傷して力なく落ちてゆくウルトラマンは地上に激突する。大きな揺れと同時に巨大なクレーターの中心で倒れ伏すウルトラマン。

 

「おい、嘘だろ・・・」

 

「ウルトラマンが、敗れた・・・」

 

クリス

「おい!何寝てんだよ!起き上がれよッ!!」

 

ウルトラマン

「・・・・・・」

 

クリスの叫びに反応したのか、ウルトラマンはゆっくりと立ち上がる。

 

フィーネ

「ば、バカな!?あの状態でまだ立ち上がれると言うのかッ!?」

 

ウルトラマンが立ち上がった事に驚くフィーネ。逆に響達は安堵する。しかし、現実は・・・残酷である。

 

ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・ピコン――――――

 

破壊されたカラータイマーが鳴りやむと同時にそれを中心に色が抜け落ちる。ウルトラマンの眼の光は消え、ゆっくりと大地に倒れる。これまでの禍威獣と外星人との戦いが走馬灯として蘇る。絶望的な光景に、呆然と立ち尽くす響達。

 

「ウルトラマン死んじゃ駄目だ!立つだ!起き上がってくれウルトラマンッ!!アンタが死んじまったら地球はどうなるんだよ!?ウルトラマンッ!!!」

 

クリス

「頑張れよ!」

 

「立つんだ!」

 

「そんな・・・ウルトラマンさん・・・」

 

『ウルトラマンは決して万能の神ではない。人類と同じ生命を持つ生命体だ。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある。』

 

奏、クリス、翼は倒れているウルトラマンに向かって叫ぶ。だが、その声は届く事はなかった。響は自身にウルトラマンが言った言葉を思い出して膝から崩れ落ち、涙を流す。

 

フィーネ

「フ、フフフ・・・ハハハハハッ!カ・ディンギルは破壊されたが、これで私の最大の障害は無くなった!あのゼットンであれば、カ・ディンギルの代わりにもなる。奴の抵抗は結局、無駄死となったのだッ!!!」

 

「笑ったか?命を燃やし、この場にいた者達を守る為に戦い抜い者を、お前は無駄とせせら笑ったかッ!」

 

「了子さん・・・いや、フィーネ!覚悟はできてるよなッ!?」

 

クリス

「テェメをブッ飛ばしたら、次はあの禍威獣をブッ倒してやるッ!!」

 

怒りが爆発した翼、奏、クリスはアームドギアを構え、フィーネに立ち向かう。そしてこの状況を映像越しで見ている者達がいた。

 

‐地下シェルター‐

 

弦十郎達は地下シェルターから地上の状況を確認していた。更に衛星軌道上に突如出現したゼットンとウルトラマンの戦いを人口衛星からの中継で見ていた。そして現在。

 

朔也

「ウルトラマンの生体反応・・・ロスト・・・」

 

弦十郎

「・・・そうか・・・ッ!」

 

朔也の報告を聞き、弦十郎はそう言い、拳を強く握る。ウルトラマンが死んだ。それは計り知れない絶望を今の人類に与えるには十分過ぎるものであった。その間にも地上の状況を映すモニターでは、響を除いた装者達はフィーネとの激戦を繰り広げる。

 

弓美

「もう嫌だよ・・・学校はノイズと禍威獣に襲われるし、ウルトラマンは学校を襲った禍威獣達のボスに殺された!誰か助けてよ!死にたくないよ!助けてよぉぉぉ、響~~~ッ!!」

 

弓美の声が今いる地下シェルターに響く。それに誰も声を掛ける事は出来なかった。

 

‐???‐

 

暗闇の空間を肌が青白くなった真は1人で浮かんだまま彷徨っていた。彼の眼には生気の光は宿っておらず、身体は死に体と化して酷い有様になっていた。そのまま彼は流されていると、光球が彼に近付くと同時に人型となり、背中から真を受け止める。そして暗闇の空間は紅い空間へと変化する。

 

???

「真、君はまだこちらには来てはいけない。まだ地球には君の助力が必要だ。そして私の伝言を彼女、フィーネに必ず伝える約束があるだろう?」

 

「・・・・・・」

 

光が弾け、緑がかった青髪で精悍な整った顔の青年は横たわる真にそう語り掛ける。

 

緑がかった青髪の青年

「こうしている間にも君の仲間は私への想いで暴走した彼女によって傷付き、倒れていく。君はこのままでいいのか?」

 

「・・・確かに、このまま寝ている訳にはいかないな。戦友よ・・・ッ!」

 

すると真の眼に生気の光が宿る。

 

緑がかった青髪の青年

「フッ・・・やっと目覚めたか。我が戦友よ。今から私が持てるだけの力で君を蘇生する。」

 

「すまない、助かる。」

 

緑がかった青髪の青年

「だが、気を付けてくれ。君は蘇る事が可能だ。だが、それでも君の削れた命と、身体のダメージがそのまま状態になる。もし戦いが続くのであれば・・・」

 

「そうか・・・だが、それでも助かる。あとはこっちで何とかする。」

 

緑がかった青髪の青年

「・・・分かった。」

 

緑がかった青髪の青年は真に手を翳し、光を放って蘇生を行う。それが終えると真は起き上がり、緑がかった青髪の青年の方を向き、その姿を懐かしそうに見詰める。

 

「また会おう、エンキ。」

 

そう言った後に真はベーターカプセルを取り出して大きく横に振り、スイッチを一度押して左胸に持っていき、上に掲げて再度スイッチを押す。閃光に包まれながら右拳を突き上げたポーズを取りながら巨大化し、生と死の狭間から飛翔する。

 

‐数時間後 リディアン音楽院‐

 

フィーネに挑んだ奏、翼、クリス。その途中に暴走した響との戦闘があったが、フィーネには一切決定打を与える事なくシンフォギアが解除された響達は地に倒れ伏せる。

 

フィーネ

「これで私の障害は無くなったが、万が一の事もある。今ここで貴様らを葬って『~♪』ッ!耳障りな・・・何が聞こえている?」

 

フィーネが響達を葬ろうとした時、まだ辛うじて作動する半壊したスピーカーからリディアンの校歌が流れる。

 

‐地下シェルター‐

 

地下シェルターでは緒川が連れてきた生存者と生徒達、そして未来が歌っていた。

 

未来

(響。私達は無事だよ。響が帰ってくるのを待っている。だから、負けないでッ!)

 

‐地上‐

 

校歌が響き渡るにつれてフォニックゲインが光の粒子となって周囲を浮かぶ。

 

フィーネ

「何処から聞こえてくる?この不快な、歌・・・歌だとッ!?」

 

「聞こえいる・・・みんなの声が・・・」

 

響の眼に光が宿ると同時に太陽が昇り始める。

 

「良かった・・・私を支えてくれる皆は、いつだって私の傍に。皆が歌ってるんだ。だから、まだ歌える!頑張れるッ!戦えるッ!!

 

響がそう叫ぶと同時にシンフォギアを纏う際に発生するエネルギー波によってフィーネは吹き飛ばされる。

 

フィーネ

「まだ戦えるだとッ!?何を支えに立ちあがる?何を握って力と変える?鳴り渡る不快な歌声の仕業か?そうだ、お前が纏っているものは何だ?お前が手にするそれは何だ?

心は確かに折り砕いたはずなのに、何を纏っているッ!?それは私が作ったものか?お前が纏うそれは一体何だ!何なのだッ!?」

 

フィーネが問いかけた瞬間、黄、蒼、紅、朱色の光が天に昇る。戦姫達は立ち上がり、光を纏って空へ飛翔する。

 

シーンフォギアァァァーーーッ!!

 

それぞれのパーソナルカラーの翼を羽ばたかせ、純白のシンフォギアを纏った響達が空を舞う。

 

「皆の歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる。奏さん、翼さん、クリスちゃんに、もう一度立ち上がる力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない、命なんだッ!」

 

フィーネ

「高レベルのフォニックゲイン・・・2年前の意趣返しか。」

 

クリス

『んなことはどうでもいいんだよ!』

 

フィーネ

「念話までも・・・だが限定解除されたギアを纏ったところで、私の勝利は揺るぎないッ!!」

 

フィーネはそう言うと、ソロモンの杖からノイズの大軍団を召喚し、衛星軌道上にいるゼットンを合わせて勝ち誇った顔をする。しかし、響達は絶望しなかった。

 

『それはどうかな?』

 

フィーネ

『何?』

 

奏の言葉に怪訝な顔をするフィーネ。

 

『再び立ち上がる力を、私達だけに与えられたと思っているのか?』

 

フィーネ

「ッ!まさかッ!?」

 

翼の言った事に気付くと同時にクレーターから閃光が放たれる。

 

ウルトラマン

シュワッチ!!

 

再び立ち上がる力がウルトラの奇跡を呼び、閃光から右拳を突き上げたポーズで復活したウルトラマン。その姿は少し変わっており、赤の配色が多くなったBタイプとなっていた。

 

フィーネ

「バカな・・・あの状態で生き返ったのか!ならば貴様らをまとめて葬るまでだッ!!」

 

するとフィーネはソロモンの杖を自身に突き刺し、周囲のノイズを吸収していく。

 

フィーネ

「来たれ、デュランダルッ!!

 

突然地面が揺れ出し、残骸と化したカ・ディンギルから主砲のエネルギー源とされていたデュランダルが飛び出し、それすらも吸収されると同時にフィーネは聖遺物とノイズの力を束ねた黙示録の赤き竜へと変化。すると口先からレーザーが響達に向けて放たれる。だが響達には回避され、レーザーは空を切る。そして射線上にあった山に直撃した瞬間、山は大爆発と同時に消し飛ばされた。

 

「山がッ!?」

 

フィーネ

「さぁ、消え去るがいいッ!!」

 

黙示録の赤き竜の中央でデュランダルを装備したフィーネがそう言うと同時に翼を展開し、ホーミングレーザーを響達放つ。しかし無数の光輪が相殺する。

 

フィーネ

「ッ!ウルトラマンかッ!!」

 

妨害したウルトラマンを睨むフィーネ。その間にウルトラマンは響達の隣に立ち、ファイティングポーズをとる。

 

『ウルトラマンさん!ここは私達に任せてくださいッ!!』

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

その念話を聞いたウルトラマンは響達の方を向く。

 

『すまないが、ここは我々に譲ってほしい。』

 

『あぁ、フィーネとの決着はアタシ達で決めたいんだ。』

 

クリス

『アンタは上で踏ん反り返ってるバカデケェ禍威獣との決着をつけなッ!』

 

ウルトラマンは暫く響達を見詰めて頷く。

 

ウルトラマン

「『分かった。ここは頼んだぞ。』シュワッチ!!」

 

飛翔したウルトラマンは大気圏を突破し、衛星軌道上に佇むゼットンへ再び挑む。

 

‐宇宙・衛星軌道上‐

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

ウルトラマンを視認したゼットンはすぐさま弾幕を展開する。対するウルトラマンはリバウンド光線を展開し、そのまま接近する。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

ゼットンは火力の高い火炎弾を放ち、接近するウルトラマンに直撃する。爆炎が晴れると、そこにウルトラマンの姿は無かった。撃墜完了とゼットンが判断した瞬間、背後から突然衝撃を受ける。

 

ウルトラマン

「二度も同じ様にやられてたまるかッ!」

 

火炎弾が直撃する瞬間でゼットンの背後にテレポーテーションで回避したウルトラマンは急降下キックで攻撃する。すると初戦と違って電磁光波防壁に一撃で罅を入れる。ウルトラマンはゼットンの頭部へテレポーテーションし、スペシウムエネルギーを蓄積したウルトラパンチを一撃を放つ。これも電磁光波防壁に大きく罅が入る。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・ッ!」

 

ゼットンは攻撃の手数を増やし、ウルトラマンを引き剥がす。それを機にウルトラマンは〈カラーリウム光線〉、〈キャッチリング〉でゼットンの動きを止める。その隙にウルトラスラッシュの構えを取るが、ただのウルトラスラッシュではない。原作では他のウルトラ6兄弟が力を与えて放つ無敗の技。今、歌の力と命が起こしたウルトラの奇跡によって実現する!

 

ウルトラマン

「〈コスモミラクルスラッシュ〉ッ!!」

 

放たれた無数のコスモミラクルスラッシュが電磁光波防壁に直撃すると同時に突破し、ゼットンは大ダメージを受ける。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼッ・・・トン・・・ッ!!??」

 

ウルトラマン

「シュワッ!!」

 

ゼットンは再び電磁光波防壁を展開しようとするが、それよりも速く放たれたスペシウム光線の直撃を受ける。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼッ・・・トン―――」

 

中枢システムが破壊され、ゼットンは完全に沈黙。それを確認したウルトラマンはすぐに地球へ戻った。

 

‐リディアン音楽院・上空‐

 

宇宙から戻ったウルトラマンが見たのは、純白から漆黒に染まり、デュランダルを手にした響の姿であった。

 

ウルトラマン

「(あの時の暴走か!)意識を保て!響ッ!!」

 

ウルトラマンが叫んだ後、地下シェルターから出た未来達も響に叫ぶ。

 

弦十郎

「正念場だ!踏ん張りどころだろうがッ!!」

 

緒川

「強く自分を意識してください!」

 

朔也

「昨日までの自分を!」

 

あおい

「これから足りない自分を!」

 

(み、皆ッ!)

 

負の衝動に呑み込まれながらも、ウルトラマンと弦十郎達の激励が、

 

「屈するな立花。お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれッ!」

 

クリス

「お前を信じ、お前に全部かけてんだ!お前が自分を信じないでどうすんだよッ!」

 

「そんな力に負けんな!自分の想いを押し通せッ!」

 

響の傍に集結した翼、クリス、奏の激励が、

 

詩織

「貴女のお節介をッ!」

 

弓美

「あんたの人助けをッ!」

 

創世

「今は私達がッ!」

 

友の激励が響の心に響く。

 

フィーネ

「姦しいッ!黙らせてやるッ!!」

 

フィーネはデュランダルを手にした響と奏達を攻撃するが、ウルトラマンによって全て防がれる。

 

ウルトラマン

「邪魔はさせんッ!」

 

フィーネ

「己ぇぇぇーーーッ!!!」

 

その間に響の意識が完全に呑み込まれたその時、

 

未来

「響ぃぃぃーーーッ!!」

 

「(ッ!そうだ、今の私は、私だけの力じゃない!こんな衝動に、)塗りつぶされてなる者ものかッ!!!」

 

陽だまりの声が響の意識を覚醒させ、漆黒に染まった姿から純白の姿へと戻る。同時にデュランダルは光の刀身を展開。その輝きに4人の戦姫を包み込む。

 

フィーネ

「その力は・・・その光と輝きは何だ!?一体何を束ねたッ!?」

 

フィーネの問い掛けに応える様に、ウルトラマンは射線上から離脱。4人の戦姫はデュランダルを掲げる。

 

響き合う皆の歌声がくれた、シンフォギアでぇぇぇーーーッ!!

 

仲間達に支えられ暴走を乗り越えた響が放つ、ガングニールとデュランダルの共鳴により引き出されたエネルギーを込めた一撃を黙示録の赤き竜に放つッ!!

 

〈Synchrogazer〉

 

振り下ろされたその一撃に含まれる無尽のエネルギー生成能力を有するデュランダルの特性と、黙示録の赤き竜が内包する無限の再生能力を有するネフシュタンの鎧の特性が衝突。これによって完全聖遺物同士の対消滅によって崩れ去る。

 

‐数時間後‐

 

フィーネとの決戦から時が経ち、夕焼け空をバックにフィーネの肩を背負って未来達の下へ戻る響の姿があった。

 

フィーネ

「お前・・・何をバカな事を・・・」

 

クリス

「このスクリューボールが。」

 

響の行動に呆れる皆を代表してクリスはそう言う。

 

「皆に言われます、親友からも変わった子だ~って。」

 

フィーネを手頃な岩場に座らせる響。しかしその顔は晴れやかであった。

 

「もう終わりにしましょう、了子さん。」

 

フィーネ

「・・・私はフィーネだ。」

 

「でも、了子さんは了子さんですから。」

 

フィーネ

「・・・・・・」

 

「きっと私達、分かり合えます。」

 

フィーネ

「・・・ノイズを作り出したのは、先史文明期の人間・・・統一言語を失った我々は、手を繋ぐよりも相手を殺す事を求めた。そんな人間が分かり合えるものか・・・ッ!」

 

立ち上がったフィーネは西に沈んでいく夕陽に向かって少し歩いて立ち止まる。その間にウルトラマンは響の隣に立つ。

 

「・・・人が言葉よりも強く繋がれる事、分からない私達じゃありません。統一言語が無くても、人は手を繋ぐ事ができます。だって、別の世界から流れ着いたウルトラマンさんと手を取り合い、繋ぐ事ができたんです。」

 

フィーネ

「ッ!」

 

その言葉を聞き、目を見開いて振り返るフィーネ。そこには世界を超えて共に並び立つ響とウルトラマンの姿が映る。

 

ウルトラマン

「フィーネ。いや、櫻井了子。覚えているか?私が初めて響と一緒に二課へ来たあの日、私が今は亡き戦友に頼まれた大切な伝言があると。その伝えるべき相手が君だ。」

 

フィーネ

「私、だと?」

 

ウルトラマン

「私の亡き戦友、エンキからだ。」

 

フィーネ

「あのお方からッ!?」

 

エンキの名を聞いたフィーネは更に目を開き、驚く。

 

ウルトラマン

「『何の説明も、言葉も伝えられずに君の前から消える事を許して欲しい。そして、私を愛してくれてありがとう。私も君を、フィーネを愛している。』これが戦友からの君への伝言だ。」

 

フィーネ

「・・そうか・・・あのお方は、私を・・・私を愛してくれていたッ!!!」

 

伝言を聞いたフィーネは膝を付き、天を仰いで涙を流す。暫くして泣き止んだ後、響は了子(フィーネ)に近付き、手を差し出す。

 

「戻りましょう、了子さん。皆の所へ!」

 

フィーネ

「何故、手を差し伸べる?私はお前達を――「忘れたか?今まで一緒に過ごしてきた貴女なら彼らがどれ程のお人好しかを。」ッ!?」

 

ウルトラマンにそう言われ、弦十郎達の方へ顔を向ける。そこには了子の帰りを待つお人好しの二課の面々がいた。

 

了子

「フッ・・・そうだったわね。でも私は戻れないわ。ネフシュタンとノイズ。この2つと同化した以上、消滅する運命なのだから。」

 

ウルトラマン

「それは困る。君を死なせてしまったら、戦友に合わせる顔がない。」

 

ウルトラマンがそう言うと、ベーターカプセルを了子に向けてスイッチを押す。閃光が了子を包む。閃光が収まるとそこには白衣姿の了子と、その隣には灰の山。そしてウルトラマンの左手には消滅しかかってるネフシュタンを持っていた。

 

了子

「これはッ!?」

 

ウルトラマン

「成功の様だな。」

 

ウルトラマンが了子からネフシュタンとノイズの分離を確認すると、灰は風に飛ばされ、ネフシュタンは完全に消滅した。

 

ウルトラマン

「さぁ、君が戻るのを待っている者達がいる。早く行ってやれ。」

 

了子

「えぇ、そうするわ。ありがとう、ウルトラマン。」

 

消滅を免れた了子は響に支えられながら二課の面々へと向かう。こうして先史文明の巫女フィーネとの決戦は終わりを告げ、平和が訪れた。

 

 

 

 

 

だが、それを望まぬ存在がいた。

 

 

 

 

 

「その結末を我々は認めない。」

 

崩壊したリディアンに響いた声。全員がその声が聞こえた方を向くと、黒いフード付きのマントをし、紫の靄の様なオーラを纏った人影がいた。

 

ウルトラマン

「ッ!黒い影法師ッ!!」

 

その姿を見たウルトラマンは構えを取る。すると黒い影法師が両手を天に掲げ、マイナスエネルギーを放つ。その放った先には沈黙したゼットンに入り込む。

 

‐宇宙‐

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

マイナスエネルギーを取り込んだゼットンは復活すると同時に衛星軌道を離脱。地球へ向けて降下し始め、四肢を地球に向け、1兆度の高熱エネルギーが充填を開始。超高熱球の発射態勢に入る。

 

‐リディアン音楽院‐

 

黒い影法師

「ウルトラマン、この宇宙(せかい)と共に滅びよッ!!!」

 

黒い影法師がそう言い残すと、霧の様に消える。その間に手持ちのパソコンを操作する朔也は人工衛星からの情報を見て目を見開き、それを報告する。

 

朔也

「超大型禍威獣から計測されたエネルギー結果が出ました・・・1テラケルビンの高熱エネルギーを確認。地球に向けて発射態勢に入ってます。直撃コースです・・・ッ!」

 

その事実にその場にいる者達は言葉を失う。しかしウルトラマンと響は発射態勢のゼットンを見据える。そして2人は数歩前に出る。

 

未来

「響・・・」

 

「何とかする!ちょ~っと行ってくるから、生きるの、諦めないで!」

 

響と未来は暫く見詰め合った後、戦姫達はパーソナルカラーの翼を羽ばたかせ、宇宙(そら)へと飛翔する。未来は小さくなってゆく後ろ姿を涙を流して祈る様に見詰めていると、祈る手をウルトラマンの右手が包む。

 

未来

「ウルトラマンさん・・・」

 

ウルトラマン

「彼女達は必ず連れて戻る。」

 

そう言った後、ウルトラマンはベーターカプセルを天に掲げ、変身する。その際に周囲の光の粒子、デュランダルの残存エネルギーがウルトラマンに集結。すると全身が金色に輝き、赤の配色は金赤色となった姿。グリッターバージョンへと姿を変えた。

 

ウルトラマン

「シュワッチ!!」

 

グリッターバージョンとなったウルトラマンも宇宙(そら)へ飛翔し、響達の後を追う。

 

‐宇宙‐

 

ウルトラマンが宇宙に到達すると、ゼットンへ接近する戦姫()達の姿があった。そして彼女達の隣を飛ぶ。響達は後からやって来たウルトラマンの姿に驚いていたが、質問は後にした。彼と彼女達の目の前の存在(ゼットン)に集中する。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「ゼットン・・・ピポポポ・・・ゼットン・・・」

 

ウルトラマン

「ハアァァァッ・・・」

 

発射まで05秒。両腕を広げ、スペシウムエネルギーを収束するウルトラマン。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

発射まで04秒。響が絶唱を歌う。そして両腕両足のバンカーを大きく展開する。その後を続く様に翼達も歌う。

 

「Emustolronzen fine el baral zizzl」

 

発射まで03秒。翼は刀を巨大化させ、巨刀に。

 

クリス

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

発射まで02秒。クリスは2丁の拳銃を合体させ、超大型バスターライフルに。

 

「Emustolronzen fine el zizzl」

 

発射まで01秒。奏も翼と同じ様に槍を巨大化させ、巨槍に。

 

ウルトラマン

「ッ!!」

 

発射まで0:10秒。ウルトラマンの両腕にスペシウムエネルギーが限界まで収束し、右手を垂直に立て、左手を真横に伸ばす。

 

これが私達の、絶唱だぁぁぁぁーーーッ!!

 

ウルトラマン

「シュワッ!!!」

 

発射まで0:05秒。響の叫びと同時に放たれた戦姫達と、十字に組んで放たれたウルトラマンの最強技。七色の光線〈マリンスペシウム光線 〉が響達の一撃と交わり、ゼットンへ直撃する。

 

天体制圧用最終兵器ゼットン

「―――ッ!!??」

 

発射まで0:01秒。ウルトラマンと響達の一撃を受けたゼットンは太陽系から他の星系が存在しない空間に押し出され、その一撃は外装を突破してゼットンを貫く。そして―――

 

ドオォォォオォォォーーーーーーッ!!

 

星系外で大爆発する。

 

‐リディアン音楽院‐

 

未来

「響・・・」

 

崩壊した学校で、夜空を見詰めながら響達の無事を祈る未来。その場にいる全員が無事と勝利を祈っていた。すると夜空に輝く5つの流星がリディアンへと近づく。

 

未来

「ッ!」

 

未来はすぐに落下地点へ向かう。その後を追う様に弦十郎達も続く。そして5つの流星が静かに降り、光が散る。するとそこには響、翼、クリス、奏の戦姫達と、ウルトラマンの姿があった。それを見た全員が早足で駆け寄る。

 

未来

「お帰り、響ッ!」

 

「ただいま、未来ッ!」

 

未来が響に抱き付くのを皮切りに全員が無事と勝利を喜び合う。するといつの間にか、ウルトラマンが姿を消していた。響達は周囲を見渡すと、1つの流星が夜空輝く天に昇っていく。それがウルトラマンだと気付いた全員がお礼を叫んでいると、

 

「おーい!全員無事かーッ!?」

 

「真さん!おーいッ!」

 

変身を解き、響達の方へ駆け寄る真。こうして地球の、宇宙の危機を救った戦姫達と始まりの戦士の最初の戦いは終わり、平和が訪れた。

 

第13話‐ウルトラ作戦第1号(無印編)‐END




次回「エピローグ1」


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第14話「エピローグ1」

戦姫絶唱しないシンフォギア回です。短いですが、この半年間でこの作品を気に入ってくれて呼んでくれた皆さんには感謝してます!今後ともよろしくお願いいたしますッ!


‐西暦2043年 3週間後‐

 

フィーネとの決戦「アース・クライシス」から3週間が経過。世界は禍威獣やノイズによる災害は尽きることなく、人の闘争は終わる事なく続いている。未だ危機は満ち溢れ、悲しみの連鎖は留まる事なく、いつも通りの様々な日常が時間と共に流れてゆく。

そしてリディアン音楽院敷地は国連の管理下に置かれ、現在でも大量に残っている禍威獣第25号「ゼットン」の残骸回収作業が行われ、残骸は国連直轄の研究機関に送られた。

これを機に禍威獣や外星人への対策が世界各国で急ピッチに行われてる中、件の戦姫達は・・・

 

‐ふらわー‐

 

フィーネとの決戦と、機密漏洩防止で3週間に渡る軟禁生活の労いを兼ねた祝勝会がふらわーにて行われていた。

 

「う~ん♪久しぶりに食べたおばちゃんのお好み焼きと真さんのカレーお好み焼きがいつもより美味しく感じるよッ!!」

 

未来

「ほら、響。ほっぺにソースが付いてるよ。それにクリスも。」

 

クリス

「ん・・・悪りぃ///

 

2つのお好み焼きを堪能する響。未来は2人のほっぺに付いたソースを拭き取る。それに照れながらお礼を言うクリス。

 

「くぅ~ッ!このおつまみ、ビールに凄く合うな!」

 

「ありがとうございます、真さん。わざわざこの様な催し物を。」

 

「構わないさ。あの激戦で君達はこの地球を、俺達を守ってくれたんだ。だから労わせてくれ。」

 

奏はビールとおつまみを堪能し、翼は祝勝会を開いた真にお礼を言う。そんな光景を酒と料理を食べながら弦十郎達と了子の姿があった。

 

弦十郎

「微笑ましい光景だな。」

 

了子

「そうね。私には眩しい光景だわ・・・」

 

緒川

「でもこうして、誰1人も欠ける事なく全員で楽しめるのはいい事です。」

 

緒川がそう言って他の席を見ると、酔いでダウンした藤尭や酒と料理を楽しむ友里。その他二課に所属する面々が思い思いに楽しんでいた。

 

「そうだ!今度クリスちゃんと一緒に全員でデートしようよッ!」

 

クリス

「ブハッ!で、デートだッ!?///

 

「あー響が言うデートは(以下略)。」

 

クリス

「紛らわしい言い方すんなよ!このバカ!///

 

「まぁ、紛らわしいのは確かだな。」

 

「だな。」

 

未来

「もう、響は唐突なんだから。」

 

呆れつつ、そう言って微笑む未来。その日のふらわーには笑顔が満ち溢れていた。

 

「ッ!ゴホゴホ!」

 

「大丈夫ですか、真さん?」

 

未来

「風邪ですか?」

 

突然咳をし、右手で口を塞ぐ真を心配する響と未来。

 

「あぁ、そうかもな。ちょっと風邪薬を飲んでくるよ。」

 

真はそう言って厨房から暖簾の掛かった出入口へ入る。そして入った後、真は口を塞いだ右手を見る。すると掌には赤い血が付いていた。

 

『だが、気を付けてくれ。君は蘇る事が可能だ。だが、それでも君の削れた命と、身体のダメージがそのまま状態になる。もし戦いが続くのであれば・・・』

 

亡き戦友、エンキの言葉が真の頭の中で再生されると同時に右手を強く握る。

 

「何とかしてみるさ・・・」

 

そう言った後、真は洗面台で右手を洗い、厨房へと戻る。

 

-アメリカ・NASA-

 

ふらわーで祝勝会が行われている頃、NASAでは職員達が今まで以上に慌ただしく動いていた。

 

NASA職員A

「この映像と計算、何かの間違いじゃないのかッ!?」

 

NASA職員B

「間違いない!この超巨大彗星がこのままの軌道を辿れば、地球に激突するッ!!」

 

NASA職員達が見ている人口衛星から送られるライブ映像が映るモニターには、超巨大な赤い彗星が徐々に迫っている場面であった。そして映像は途切れ、モニターにはブロックノイズが走る。

 

-宇宙-

 

超巨大彗星の余波で人口衛星は粉々となり、宇宙の塵と化す。超巨大彗星は目の前にあるもの全てを破壊しながら地球へと接近して行く。

 

「―――ツイフォンッ!」

 

宇宙に不気味に輝きながら地球へと接近する超巨大彗星。戦姫達とウルトラマンの新たな戦いが刻々と近付く。

 

第14話END




次回「烈槍の戦姫」


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怪彗星ツイフォン(G編)
第15話「烈槍の戦姫」


G編に突入ですッ!!!

※ご報告

諸事情で仮面ライダー零‐遥かなる夢を目指して!‐を削除します。

理由:何かコレジャナイ感があったので陰実はまた別の形でいつか出します。悪しからず。<(_ _)>


‐西暦2043年 アメリカ・ロサンゼルス‐

 

北米屈指の世界都市、ロサンゼルス。数々の映画やハリウッドスターを生み出したこの都市は様々な人々によって活気が満ち溢れている。しかし今は夜空を照らす都市が輝いているだけで、そこには乗り捨てられた車や各施設の店舗、会社、工場、住宅、別荘の全てに人々は居らず、ロサンゼルスはゴーストタウンと化していた。

 

ドオォォォーーーッ!!

 

その時、都市の灯りで星が見えない夜空から爆発が起こり、ゴーストタウンと化した都市の静寂が破られる。

 

ウルトラマン

「グアァァァーーーッ!!」

 

爆発が起きた後、上空からウルトラマンが落下。そして真下のビルに激突して倒壊。激しく土埃が舞う。

 

ウルトラマン

「グゥ・・・ッ!」

 

ピコンピコンピコンピコン

 

倒れ伏したウルトラマンが立ち上がると同時にカラータイマーが点滅し始める。

 

「キエェェェッ!キエェェェッ!」

 

すると上空からウルトラマンと戦っていた〔彗星怪獣 ドラコ(STORY0版)〕が咆哮を上げながら飛来。ドラコ(STORY0版)は口から火炎弾は放ち、立ち上がったばかりのウルトラマンは回避するが間に合わず、直撃する。

 

ウルトラマン

「デアッ!」

 

ドラコ(STORY0版)

「キエェェェッ!キエェェェッ!」

 

直撃を受けたウルトラマンは再び倒れ、爆炎に包まれる。ドラコは勝利を確信し、勝利の咆哮を上げる。すると爆炎から放たれた2つの光輪、ウルトラスラッシュがドラコ(STORY0版)の両腕を切断。両腕が落ちると同時に飛膜は剥がれ落ちる。

 

ドラコ(STORY0版)

「キエェェェッ!?」

 

ウルトラマン

「シュワッ!!」

 

爆炎を払い、両腕を十字に組んだウルトラマンのスペシウム光線が放たれる。

 

ドラコ(STORY0版)

「キエェェェッ!?」

 

直撃を受けたドラコ(STORY0版)は断末魔を上げて爆発。それを確認したウルトラマンは立ち上がって飛び立とうとするが。

 

ウルトラマン

「―――ッ!?」

 

全身に激痛が走り、少し飛び上がったところで墜落する。

 

ウルトラマン

「グ・・・(テレポー・・・テーション)ッ!」

 

墜落したウルトラマンは仰向けになり、テレポーテーションを使用してその場から消える。

 

‐日本 ふらわー・屋上‐

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・ゴホゴホッ!」

 

ふらわーの屋上に転移し、変身を解除した真は膝を付き、肩で息をしていると突然咳ばむ。そして地面を自身の血で染まる。

 

「・・・(ダメージが残ってるとは言え、短時間の戦闘でもこの様か。)」

 

口元に着いた血を手で拭い、立ち上がった真は多少フラつきながら自身の部屋へと向かう。

 

‐数日後 山道の鉄道‐

 

「アース・クライシス」から3ヵ月後。豪雨の中を1つの装甲列車が走行していた。その上空を1体の超大型飛行ノイズと多数の飛行型ノイズが迫る。迎撃用タレットが起動し、弾幕を張る。

しかし位相差障壁の前には通常兵器は無力に等しく、後衛の車両は乗員を含めて飛行型ノイズの攻撃によって無力化された。そして次々と前方の車両へと攻撃を仕掛けていたその時!

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失へのカウントダウン)

 

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

聖詠が響くと同時に攻撃された車両の天井を突き破り、撃槍と魔弓のシンフォギアを纏った戦姫、響とクリスが装甲列車の上に立つ。

 

クリス

「群れ雀共がうじゃうじゃと。」

 

「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで訓練してきたあのコンビネーションがあればッ!」

 

クリス

「あれはまだ未完成だろ。実戦でいきなりブッ込もうなんて、おかしな事考えてんじゃねえぞ。」

 

「うん!取って置きたい取って置きだもんね!」

 

クリス

「分かってんなら言わせんな。」

 

クリスがそう言った後、アームドギアのクロスボウを両手に装備する。

 

クリス

「背中は預けたからな。」

 

「任せてッ!」

 

お互いに掛け声をかけた後、2人は迫り来る飛行型ノイズと交戦する。クリスのクロスボウが上空の飛行型ノイズを撃ち抜き、列車とクリスに接近する飛行型ノイズは響の格闘で倒されてゆく。クリスは両手のクロスボウを大型に変形させ、撃ち放たれた2発の赤紫色のクリスタル状の矢は射線上にいた飛行型ノイズを貫く。そして一定高度に到達した矢は空中で分裂。

無数の小片となって辺り一面に降り注ぎ、広範囲の敵を一気に殲滅する〈GIGA ZEPPELIN〉で超大型飛行ノイズを含めた飛行型ノイズの大半を倒すと、1体だけ超高速で接近する飛行型ノイズが出現した。

 

クリス

「アイツが取り巻きを率いてやがるのか!」

 

超高速飛行型ノイズが司令等だと判断したクリスはMEGA DETH PARTYで撃ち落とそうとするが、相手の方が速く、全弾回避されてしまう。ならばとクロスボウを2連装ガトリングガンに変形させ、BILLION MAIDENで弾幕を張る。

徐々に追い詰めていくと、超高速飛行型ノイズは外装を展開して突撃形態へなると弾幕は弾かれてしまう。突撃してくる超高速飛行型ノイズを響が拳を振りかざし、軌道を逸らす。

 

‐二課仮設本部‐

 

一方、この状況を把握している二課の面々。その中で腕を組んだ弦十郎はノイズの動きに違和感を感じていた。

 

弦十郎

「(ノイズとは、ただ人を殺す事に終始する単調な行動パターンが原則の筈。だが、あの動きは目的を遂行すべく精練されたものだ)・・・了子、ソロモンの杖以外にノイズを操作可能な聖遺物は存在するか?」

 

了子

「それはないわ。ソロモンの杖以外に操作する聖遺物は存在しないわ。」

 

弦十郎

「そうか(不自然なノイズの統率。そして多数のノイズに混じって高速で移動する未確認の存在。何も起きなければいいのだが)・・・」

 

端末を操作する了子はそう答える。それを弦十郎は聞いた後、一抹の不安を感じながら何も起きない事を願いながら現状を見守る。

 

‐山道の鉄道‐

 

クリス

「あん時みたいに空を飛べるエクスドライブモードなら、こんな奴らにもたつく事なんかねえのにッ!」

 

「このままだと押し切られる!」

 

徐々に2人は対応しきれないノイズの数に押され始め、窮地に陥ったその時!極太の青白い光線が大半の飛行型ノイズと超大型飛行ノイズを呑み込み、雨雲を切り裂く。突然の事態に驚く響達であったが、後少しでトンネルが迫っているのに気づき、屋根を破って車内に退避する。

 

???

「・・・」

 

その様子が見える山向こうから左腕を胸の前で構え、右腕を前に伸ばした黒いスーツを纏った謎の人物が見ていた。右腕には熱を帯びており、雨が触れると蒸発する。黒いスーツの謎の人物は構えを解く。するとその胸にはカラータイマーが光り輝いていた。

 

‐数十分後 米国海兵隊岩国航空基地‐

 

その後、残存するノイズをトンネル内で破壊された後衛の車両をぶつけ、遮蔽物の上から重い一撃を与えて殲滅。今回の任務であるサクリストS、ソロモンの杖が入った保護ケースとアメリカの聖遺物研究機関の研究者。ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。通称ウェル博士を岩国基地への引き渡しを完了する。

 

ウェル博士

「確かめさせていただきましたよ、皆さんがアース・クライシスの英雄だと呼ばれる事が、伊達ではないとね。」

 

「英雄!私達が!いやぁ~普段誰も褒めてくれないので、もっと遠慮なく褒めてくださ――あいたッ!?」

 

クリス

「このバカ。そういう所が褒められないんだよ!」

 

褒められた事でテンションが舞い上がった響に軽いチョップで落ち着かせるクリス。

 

ウェル博士

「世界はこんな状況だからこそ、僕達は英雄を求めている!そう、誰からも信奉される偉大なる英雄の姿をッ!!

 

やや興奮気味にそう言うウェル博士の姿に響とクリスはちょっと引く。

 

ウェル博士

「皆さんが守ってくれた物は、僕が必ず役立てて見せますよ。」

 

こうして護送任務を終えた響達は岩国基地の敷地を出る際。

 

クリス

「しっかしウルトラマンの奴、結局姿を見せなかったな。」

 

「でもあの青白い光線はウルトラマンさんのスペシウム光線より大きくなかった?」

 

クリス

「言われてみれば・・・」

 

先の戦闘での出来事と何故ウルトラマンは現れなかったかを話し合っていると、仮設本部との連絡を終えたあおいが2人に声を掛ける。

 

あおい

「2人が頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるみたいよ。」

 

「マジっすか!この時間なら翼さんと奏さんのステージにも間に合い―――」

 

ドオォォォーーーッ!!

 

響が今日開催されるライブステージの開始前に戻れると喜んだ時、岩国基地が爆発。同時に大型ノイズが出現する。

 

「マジっすかぁッ!?」

 

クリス

「マジだなッ!」

 

ノイズの出現に響達は現場に向かう。多数の戦死者とウェル博士を含めた行方不明者が出るも、ノイズの殲滅に成功。しかし保護ケースに入っていたソロモンの杖が紛失する結果となった。

 

‐同時刻 QUEENS of MUSIC・ステージ会場‐

 

日本とアメリカのトップアーティスト同士による夢の祭典が世界の主要都市に生中継される会場では各分野のスタッフ達が作業を行ってる中、その様子を見ながら観客席で鼻歌を歌う女性。このQUEENS of MUSICの主役の1人、マリア・カデンツァヴナ・イヴの姿があった。

 

『ピリピリピリッ!ピリピリピリッ!』

 

するとスマホの着信音が鳴り、電話に出る。

 

『こちらの準備は完了。サクリストSが到着次第、始められる手筈です。』

 

マリア

「グズグズしている時間は無いわね・・・OK、マム。世界最後のステージの幕を上げましょう。」

 

座っていた観客席から立ち、そう答えて電話を切るマリア。ふと人の気配を感じた彼女はそちらに顔を向ける。そこにはマリアの妹、セレナ・カデンツァヴナ・イヴの姿があった。

 

セレナ

「遂に始まるんですね、マリア姉さん。」

 

マリア

「えぇ。後はドクターの到着と、今日の主役が来るのを待つだけ。」

 

そう言ったマリアは懐から1枚のIDカードを取り出す。そのIDカードには、

 

『EDF極東支部空軍 神永真少佐』

 

っと記載された文字とその横に真の写真が載っていた。

 

‐数時間後 QUEENS of MUSIC・ステージ裏‐

 

ステージの裏側で緒川は弦十郎から護送任務の結果を伝えられていた。

 

緒川

「状況は分かりました。それでは翼さんと奏さんを――『無用だ。ノイズの襲撃と聞けば、今日のステージを放り出しかねん。』そうですね。では、そちらにお任せします。」

 

そう言って電話を切る緒川。

 

「旦那から何だって?」

 

緒川

「今日のステージを全うしてほしいと。」

 

「ハァ、眼鏡を外したという事は、マネージャーモードの緒川さんではないという事です。」

 

翼にそう指摘された緒川はギョッとして右胸ポケットを抑える。

 

「気付いてなかったみたいだな。」

 

「自分の癖くらい覚えておかないと「お時間そろそろです!お願いしますッ!」あっはい!今行きます!」

 

緒川

「傷付いた人の心を癒せの翼さんと奏さんの立派な務めです。頑張ってください。」

 

「何か上手く流された感じがするけど、そうだな。行こうぜ、翼。アタシ達の歌を楽しみにしてるファン達が待ってるぜ!」

 

「そうね・・・詳しい事は後で聞かせてもらいますよ。」

 

そして2人は自身の歌で最高のステージにする為に向かう。

 

‐同時刻 QUEENS of MUSIC・会場外‐

 

一方、QUEENS of MUSICの会場が見える人気が無い高架下では1台のトラックが停車していた。そのトラックのコンテナ内は端末が並べられており、そのスクリーンにはQUEENS of MUSICの会場内の映像が映されていた。その映像を見ている車椅子に乗った老婆の姿があった。すると着信音と同時に別のスクリーンから『汝、平和を欲せば、戦へ備えよ』っと表示される。

 

老婆

「ようやくのご到着。随分と待ちくたびれましたよ。」

 

それを見た老婆は送信相手の到着に喜ぶ。

 

‐数分後 QUEENS of MUSIC・会場内‐

 

夜の会場ではマリアのソロパートが終わり、観客達の歓声がステージに響く。そして特等席からステージを見る真と未来、弓美、創世、詩織の姿があった。

 

弓美

「おぉ!流石マリア・カデンツァヴナ・イヴッ!生の迫力は違うね~♪」

 

詩織

「全米チャートに登場してからまだ2ヶ月なのに、この貫禄はナイスです。」

 

弓美

「今度の学際の参考になればと思ったけど、流石に真似できないわー」

 

詩織

「それは始めから無理ですよ。板場さん。」

 

弓美の言った事に苦笑いで詩織がツッコむ間、未来は腕時計を見る。その様子に気付いた創世が声を掛ける。

 

創世

「まだビッキーから連絡こないの?メインイベント始まっちゃうよ。」

 

未来

「うん・・・」

 

詩織

「神永さんも立花さんから連絡はありませんか?」

 

「すまない、音沙汰なしだ(まだ負傷した状態では足手纏いになると思って駆け付けなかったが・・・無理をしてでも行くべきだったか)。」

 

弓美

「期待を裏切らないわね~あの子は。」

 

そう話してる内に今回のステージ衣装を纏った歌姫マリアとツヴァイウィングのトリオが始まった。

 

‐数分後‐

 

ステージに取り付けられた大型モニターに不死鳥が羽ばたく演出でQUEENS of MUSIのラストステージが終了すると同時に観客達の歓喜が大いに響く。

 

「ありがとう、皆!私達はいつも皆から勇気を貰ってる。」

 

「今日はアタシ達の歌で、少しでも勇気を分けてあげられたらと思ってるぜッ!」

 

翼と奏の言葉に観客達の熱狂は先程よりも高まる。そしてマリアも2人に続く。

 

マリア

「私の歌を全部、世界中にくれてあげるッ!振り返らない、全力疾走だ。付いて来られる奴だけ付いて来いッ!!」

 

会場の観客達や生中継で見ている世界中の人々に勇ましく堂々とマリアは答える。その言葉に観客達や世界中の人々は高まった熱狂を維持したまま歓喜で答える。

 

マリア

「今日のライブに参加できた事を感謝している。そしてこの大舞台に、日本のトップアーティストツヴァイウィングの風鳴翼、天羽奏とユニットを組み、歌えた事を。」

 

「私達も、素晴らしいアーティストに巡り合えた事を光栄に思う。」

 

「あぁ!何時になるか分かんねーけど、またアンタと一緒に歌いたいぜッ!」

 

翼が手を差し出し、それに答える様にマリアは握手する。その上に奏は手を重ねる。その行為だけで観客達のボルテージは宇宙(そら)に届く程の歓声が夜空に響く。

 

マリア

「私達が伝えなきゃね。歌には力があるって事を。」

 

「それは、世界を変えていける力だ。」

 

「そして歌は人を笑顔に出来る力を持っている。」

 

そして握手を解き、翼と奏に背を向けて4歩進んで立ち止まる。

 

マリア

「そして・・・もう1つ。」

 

翼・奏

「?」

 

マリアの呟きに首を傾げるツヴァイウィングの2人。そしてマリアがステージ衣装の腰布をはためかせた瞬間、最前列にいる観客達の前にノイズが出現する。当然現れたノイズに観客達はパニック状態と化し、騒然とする。

 

マリア

狼狽えるな・・・狼狽えるなッ!!!

 

マイクを使って放たれたマリアの声によってパニック状態だった観客達は一瞬で静まり返る。

 

‐二課仮設本部‐

 

朔也

「ノイズの出現反応多数!場所はQUEENS of MUSICの会場ッ!」

 

弦十郎

「何だとッ!?」

 

突然のノイズ出現と場所に驚く弦十郎達。

 

‐同時刻 高架下・トラック車内‐

 

老婆

「放送開始。これで漸く計画を始められます。」

 

そう言う老婆の後ろには2人の子供がいた。その子達の首に吊り下げたペンダントが怪しく輝く。

 

‐QUEENS of MUSI・会場内‐

 

突然のノイズが出現した場面は特別席で見ていた真達も驚いていた。

 

弓美

「へッ!?アニメじゃないんだよッ!!」

 

創世

「何でまたこんな事に!?」

 

詩織

「これは一体・・・」

 

「(ノイズが出現する際に見たあの薄緑の光線・・・まさかッ!)兎に角、皆はすぐに会場の外に避難するんだ!俺は他の観客を避難させるッ!」

 

未来

「真さんッ!?」

 

真はそう言って特別席から出ていく。未来達は一先ず会場から避難する事にした。

 

‐ライブステージ‐

 

一方、翼と奏は首元の衣装を取り外してペンダントを出し、何時でもシンフォギアを纏える状態にする。

 

マリア

「怖い子達ね。この状況にあっても私に飛び掛かる機を窺っているなんて。でもはやらないの。オーディエンス達が、ノイズの攻撃を防げると思って?」

 

翼・奏

「く・・・ッ!」

 

マリア

「それに、ライブの模様は世界中に中継されているのよ?日本政府はシンフォギアについて概要を公開しても、その装者については秘匿したままじゃなかったかしら。ねぇ、風鳴翼さん、天羽奏さん?」

 

会場の現状が映された大型モニターを見ながらマリアはそう言う。

 

「甘く見ないでもらいたい、そうとでも言えば私達が鞘走る事を躊躇うとでも思ったかッ!」

 

「あぁ、そうだ!ノイズ共が観客達に好き勝手する前に全部ブッ倒してやるッ!!」

 

マリア

「貴女達のそういう所嫌いじゃないわ。貴方達の様に誰もが誰かを守る為に戦えたら・・・世界は、もう少しまともだったかもしれないわね。」

 

そう切なそうに呟くマリアの姿に翼と奏はマリアの言った言葉に疑問に思う。

 

「何・・・だと・・・」

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ、アンタは一体?」

 

マリア

「そうね、そろそろ頃合いかしら。」

 

そう言ってマリアは剣を模倣したマイクを口に近付けると同時に宣言する。

 

マリア

「私達は、ノイズを操る力を持ってしてこの地球(ほし)の全ての国家に要求する!」

 

「世界を敵に回しての交渉!?これじゃまるで・・・」

 

「宣戦、布告!?」

 

マリアの宣言に聞いていた者達は驚く。するとマリアは剣型マイクを上空に投げ、翼と奏、この場にいない響とクリス。そしてマルチコンバットスーツを纏った真が特別席の屋上に出た時、聞き覚えのある聖詠をマリアは歌う。

 

マリア

Granzizel bilfen gungnir zizzl(溢れはじめる秘めた熱情)

 

聖詠を歌ったマリアは黒いマントをはためかせ、漆黒のインナーとアーマーを纏った姿となった。しかしその姿が問題であった。

 

ウルトラマン

「ッ!あの姿は・・・響と天羽さんのガングニールと同じッ!?」

 

配色は違えど、その姿は響と奏の纏うシンフォギア、ガングニールそのものであった。そして上空へ投げて落ちてきた剣型マイクを手に取り、再度宣言する。

 

マリア

「私は・・・私達はフィーネ!そう、終わりの名を持つ者だッ!!!」

 

漆黒のガングニールを纏った新たな戦姫、マリアの宣言と同時に響達とウルトラマンの新たな戦いの序章が始まる。

 

第15話END




次回「8人の戦姫」


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第16話「8人の戦姫」

お待たせしましたッ!それとタイトル変更しました。


‐QUEENS of MUSI・会場内‐

 

マリア

「我ら武装組織フィーネは、各国政府に対して要求する。そうだな・・・差し当たっては、国土の割譲を求めようか。」

 

漆黒のガングニールを纏ったマリアの宣言に翼と奏は驚き、世界各国の政府と人々も驚く。しかし一国の政府を除いて。

 

‐同時刻 某国・首相官邸‐

 

某国の首相官邸では、某国の軍事最高指揮官と大統領がライブ中継でこの事態を見ていた。

 

某国最高指揮官

「やはりF.I.S.の一部離脱者か・・・大統領。」

 

某国大統領

「うむ・・・では、貴方達に動いてもらおうか。超一流の殺し屋(エースキラー)の諸君。」

 

そう言う某国大統領の前には、地球のテクノロジーでは製造不可能な装備を持つ武装集団がいた。

 

???

「おう、任せな。報酬の分キッチリと働いてやるぜ。」

 

武装集団を率いるY字型アックスを持ったリーダーはそう言い、ヘルメット越しから眼を怪しく光らせる。

 

‐QUEENS of MUSI・会場内‐

 

マリア

「もしも24時間以内にこちらの要求が果たせれなかった場合は、各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう。」

 

ウルトラマン

(一体何処まで本気だ?いや、考えは後だ。優先するべきは民間人の救助と避難だッ!)

 

特別席の屋上にいるウルトラマンは一旦考えるのを止め、コスモブラスターの照準をノイズに合わせてトリガーを引こうとした時。

 

マリア

「さて、そろそろ今回の主役に登場してもらおうかしら。」

 

「今回の・・・主役?」

 

「一体誰の事を・・・」

 

マリア

「それは貴女達が共に戦ったよく知る人物よ。」

 

クスリと笑ったマリアは前を向き、先程の宣言よりも大きく告げる。

 

マリア

「さぁ、出てきて貰おうかッ!あのアース・クライシスからこの地球(ほし)を救った真の英雄、ウルトラマンッ!!それともこう言った方がいいかしら?神永真ッ!!!」

 

マリアが言ったその言葉に現状を見ていた響達装者や二課に衝撃が走った。中でも1番仰天したのはウルトラマンもとい、真であった。彼は何故マリアが自身の名前を知っているのかを考えている一方、ステージ上では。

 

‐ライブステージ‐

 

「真さんが・・・ウルトラマンッ!?」

 

「どういう事だ、マリアッ!」

 

マリア

「言葉通りよ。そして彼を頂点とした私達が住まう為の楽土。素晴らしいと思わないか?」

 

「何を意図しての語りか知らぬが・・・」

 

マリア

「私が語りだと?」

 

「あぁそうだ!真さんがウルトラマンだっていう証拠は何処にあるだッ!」

 

マリア

「では直接本人に聞いてみたらどう?」

 

マリアはそう言って顔を特別席の屋上へ向ける。まるで誰かがいるのを分かっているかの様に。それに釣られて奏と翼も顔を向ける。すると特別席の屋上から1つの影が飛び上がりる。そしてマルチコンバットスーツを装着した真がステージ上へ降り立つ。

 

マリア

「漸く現れたわね。」

 

ウルトラマン

「・・・速やかに人質を全員解放しろ。」

 

そう言ってマリアを鋭く見据えるウルトラマン。その視線に一瞬身体が震えるマリア。それでも冷静を装う。

 

マリア

「分かったわ。会場のオーディエンス諸君を開放する!ノイズに手出しはさせない、速やかにお引き取り願おうかッ!」

 

人質をあっさりと解放するマリアの姿にウルトラマンや翼達は眼を見開く。そして観客達はノイズに攻撃される事なく会場から脱出するその間、ウルトラマンはテロリストらしくない行動に疑問を持つ。

 

ウルトラマン

「(何故自分から不利になる事を・・・)ん?」

 

ウルトラマンはマリアの真の目的は何かと考えていた時、マリアが誰かと通信する姿が眼に映る。

 

マリア

このステージの主役は彼。変身前の彼を世界に知らしめた事は大きな成果。それに万が一で人質に被害がでれば、彼はこちらを許さないわ。えぇ後は手筈通りに。

 

別の場所にいる仲間との通信をマリアが終えると同時に観客達は全員退場した。そして会場は4人だけとなった。

 

ウルトラマン

「・・・お前達の目的は何だ?」

 

マリア

「それは言えないわ。今わね・・・貴方が私達に協力してくれるのなら、答えられるわ。」

 

ただ静かにそう告げるウルトラマンにマリアは右手を差し伸べてそう答える。

 

ウルトラマン

「・・・そちらに協力する意思はない。」

 

マリア

「そう言うと思ってたわ・・・出来れば穏便に済ませたかったけど、力尽くで貴方を連れて行くわッ!」

 

そう言った後、両腕の装甲を重ねて構成した槍型アームドギアを持ったマリアは戦闘態勢に入り、ウルトラマンへ突進する。それをコスモブラスターで迎撃するウルトラマン。だが背中のマントによって撃ちだされたエネルギー弾は防がれる。

それにウルトラマンは驚くが、突き出された一撃を回避。反撃で数発撃つが、それもマントで防がれる。マリアは身体を回転させて竜巻となって襲い掛かる。ウルトラマンは接近を阻止しようと連射したエネルギー弾は弾かれてしまう。

 

ウルトラマン

(何て汎用性の高いマントだッ!)

 

コスモブラスターで対処出来ないと判断したウルトラマンはホルスターに戻し、腰から近接兵装〔スペシウムダガー〕を取り出してマリアの回転攻撃を受け止める。その際に火花が舞い散る。

 

ウルトラマン

「ジュワッ!」

 

マリア

「グゥッ!?」

 

そしてウルトラマンは回転攻撃を押し切り、マリアは大きく後退。着地するまでの隙にウルトラマンは追撃を行おうとした時。

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

全身に激痛が走り、ウルトラマンは倒れかけて膝を付く。それを見たマリアは突然の事に戸惑うが、意識を切り替えてウルトラマンを捕縛しようとマントを操作した瞬間、ライブ中継が全て遮断された。

 

マリア

「なッ!?」

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl(人と死しても、戦士と生きる)

 

それにマリアが驚く中、翼と奏はシンフォギアを纏い、ウルトラマンに迫るマントをアームドギアの剣と槍で弾く。

 

「大丈夫か!ウルトラマンッ!」

 

ウルトラマン

「立ち眩みをしただけだ問題ない。でもありがとう。」

 

奏の問い掛けにウルトラマンは心配させまいとそう答える。

 

「ならば少し休ん下さい。ここから先は私達が受け持つッ!」

 

翼と奏はアームドギアを構え、マリアへ接近する。マリアも2人を迎撃するが、2人の連携に徐々に押されていく。

 

マリア

(強い!これがウルトラマンと共に戦い、アース・クライシスを乗り越えた装者の実力かッ!!)

 

「覚悟ッ!」

 

遂に押し切られたマリアに翼の〈風輪火斬〉が直撃する瞬間、翼の背後から無数の小型鋸に刃と短剣が迫る。

 

「翼ッ!」

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

それを見た奏は叫び、ウルトラマンはコスモブラスターで半分を撃ち落とす。翼は攻撃を中断して防御に周り、マリアから距離を取る。するとマリアの傍に着地する者達がいた。マリアと同じく黒いシンフォギアを纏った3人の新たな戦姫であった。

 

マリア

「助かったわ。セレナ、調、切歌。」

 

セレナ

「大丈夫?マリア姉さん。」

 

調

「危機一髪。」

 

切歌

「正に間一髪デスよ!」

 

「装者が・・・」

 

「4人ッ!?」

 

翼達が驚く中、ウルトラマンはセレナと呼ばれた女性の顔を見て驚いていた。

 

ウルトラマン

(間違いない・・・ブルドンに飛ばされていた時に助けたあの子か!?)

 

セレナ

「・・・(ウルトラマンさん・・・)ッ!」

 

ウルトラマンの視線に気付いたセレナは少し悲しげな顔をして俯くが、意識を切り替える。

 

マリア

「これで4対3。大人しくウルトラマンを渡してくれるかしら?」

 

「4対3?それは違うな。」

 

マリア

「何?」

 

「見下ろしてばかりだから勝機を見失うッ!」

 

翼の叫びと同時に二課のヘリが到着し、シンフォギアを纏った響とクリスが降下する。

 

クリス

「土砂降りな!10億連発ッ!」

 

両手の2連装ガトリングガンのアームドギアから弾丸を撃ちだすクリス。調と切歌は回避し、マリアとセレナは防御する。そこへ響の拳が振り下ろされるが、回避される。そして響達は翼達と合流する。月夜が輝く空の下に8人の戦姫が揃った。

 

「止めようよ、こんな戦い!今日であった私達が争う理由なんてないよッ!」

 

調

「ッ!そんな綺麗事をッ!」

 

「えッ?」

 

切歌

「綺麗事で戦う奴の言う事なんか、信じられるものかデスッ!!」

 

響は説得しようと言葉を掛けるが、調は響を睨み、切歌はアームドギアの鎌を向けてそう言う。

 

「そんな・・・話せば分かり合えるよッ!戦う必要なんて「偽善者。」ッ!?」

 

調

「この世界には、貴方の様な偽善者が多すぎる・・・!」

 

調は響の言葉を遮り、〈α式 百輪廻〉を放ち、戦闘が再開される。響に向かって来る小型鋸をウルトラマンと翼が防ぐ。クリスと奏はマリア達に攻撃するが回避される。その後、両陣営の装者達は個別になって戦いが続く。その中で調はツインテール部分の伸縮可能なアームに装備された巨大鋸で響に攻撃する。

 

「わ、私は、困っている皆を助けたいだけで、だから・・・」

 

調

「それこそが偽善!痛みを知らない貴方に、誰かの為に何て言ってほしくないッ!!」

 

響は再度説得しようとするが、彼女の言葉は届く事はなかった。〈γ式 卍火車〉で投擲された2枚の巨大鋸が響に迫る。

 

ウルトラマン

「響ッ!」

 

援護射撃を行っていたウルトラマンは気付き、駆け付けようと走る。その際に再び激痛を感じるが、気力で踏ん張って2枚の巨大鋸と響の間へ入り、その攻撃を受け止める。

 

ウルトラマン

「グアァァァッ!!」

 

「ウルトラマンさんッ!?」

 

2枚の巨大鋸から響を守る事に成功するが、ウルトラマンはダメージを受けて響の所まで吹き飛ぶ。響はウルトラマンを抱き起すとスーツの間からボタボタと血が流れ出る。それを見た奏達は響の方へ集まる。一方、マリア達も調の方に集まる。

 

マリア

「調!やり過ぎよッ!」

 

切歌

「血がめっちゃ出てるデスよッ!?」

 

調

「ち、違う。そんなつもりじゃ・・・ッ!」

 

セレナ

「では一体・・・ッ!」

 

その時、ステージの中心で薄緑の光が光り出すと同時に大型ノイズが出現。この事態に気絶したウルトラマンを除いて全員が驚く。

 

調

「増殖分裂タイプ・・・」

 

切歌

「こんなの使うなんて、聞いてないデスよッ!?」

 

マリア

「・・・分かったわマム。」

 

セレナ

「マムは何て言ってたの?」

 

マリア

「撤退よ。」

 

マリアは出現した増殖分裂型ノイズへ〈HORIZON†SPEAR〉を放つ。爆散を確認して撤退する。これに響達が驚くが、ノイズが増殖し始めた事で更に驚く。

数を減らそうとするが、攻撃をする程に数が増えていく。このままでは会場に溢れ出すと話していた時に緒川から連絡が入る。

 

緒川

『皆さん聞こえますかッ!会場のすぐ外には避難したばかりの観客達がいます!そのノイズをそこから出す訳にはッ!!』

 

そう聞かされ、どう対処するかと悩ませる翼達。すると響は絶唱を使うと言う。

 

クリス

「あのコンビネーションは未完成なんだぞッ!」

 

「増殖力を上回る破壊力にて一気に殲滅。立花らしいが・・・」

 

「ウルトラマンを守りながらじゃ「俺の事は・・・気にするなッ!」ッ!?」

 

「ウルトラマンさん!目が覚めたんですねッ!」

 

ウルトラマン

「あぁ。大体の内容は聞こえていた。自分の身は自分で守る。君達は君達でしか出来ない事をやるんだッ!」

 

そしてウルトラマンを瓦礫の影に移し、響を中心に左に翼と奏。右にクリスが両手を繋ぐ。

 

「行きます!S2CA・トライバーストッ!!」

 

響、翼、クリス、奏が絶唱を歌う。溢れ出した膨大なエネルギーが周囲のノイズを消滅させる。

 

「スパーブソングッ!」

 

クリス

「コンビネーションアーツッ!」

 

「セットッ!ハーモニクスッ!!」

 

そのエネルギーを響に集約させ、響でなければ使用不可能な最大の必殺技を放つ。

 

これが私達の、絶唱だぁぁぁぁーーーッ!!

 

大型化したアームドギアの一撃がノイズを虹色に輝く竜巻に呑み込まれて消滅。それを確認したウルトラマンもとい真は再び気絶する。

 

???

「・・・・・・」

 

すると真の傍に全身をローブで覆った謎の人物が現れ、彼を抱きかかえて響達に気付かれる事なくその場から一瞬で消える。

 

第16話END




次回「漆黒のウルトラマン」


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第17話「漆黒のウルトラマン」

投降が遅れてすんません。第17話です。


‐ふらわー 真side‐

 

アース・クライシスで3ヵ月経過したが、街は一部を除いて復興が遅れている地区もある。その一部にこの店(ふらわー)がある地区も含まれるが、それでもわざわざおばちゃんと俺のお好み焼きを食べに来る客はいる。

 

中年サラリーマン

「それじゃあ真ちゃん。またカレーお好み焼き食べに来るから体には気を付けてね。」

 

「はい。またのご来店をお待ちしてます。」

 

常連客のおっちゃんに俺は厨房から手を振って見送る。QUEENS of MUSICでの戦闘から1週間が経過した。俺は響達が絶唱を使ってノイズを倒すと同時に意識を失った。目覚めたら医療ベットの上で色々と聞かれるだろうと思っていたが、俺の予想は外れた。

 

‐1週間前 QUEENS of MUSIC・会場外‐

 

「うっ・・・ここは・・・」

 

未来

「真さんッ!?目が覚めたんですねッ!!」

 

目が覚めた俺に涙目になった未来が抱き着く。一先ず落ち着かせる為に頭を撫でながら上半身を起こして周囲を確認すると、コンサート会場の外にいた。何故この現状に至ったのか分からず、未来に聞くと。

 

未来

「グスッ・・・瓦礫が頭にぶつかって気絶した真さんを抱えた全身ローブの人が助けてくれたんです。」

 

未来はそう答えた。更に詳しく聞くと長身の女性だと分かった。

 

‐現在‐

 

こうして俺は響達や弦十郎さん達から事情聴取される事はなく普通に過ごせている。

 

「(気絶した経緯やマルチコンバットスーツが脱がされてる事といい、まるで俺の正体がバレない様に配慮されていた。俺を助けたローブの女性は一体・・・)ッ!?」

 

ガッシャンッ

 

ふらわーのおばちゃん

「大丈夫かい、真ちゃん!?」

 

そう考えながら食器を流し台に運ぶ時、急に右手の力が入らなくなって食器を落としてしまった。派手に割れた音を聞き付けておばちゃんがやって来た。

 

「すいません、食器を落としちゃいました。すぐに「私がやっておくから真ちゃんは休んで。」だが・・・」

 

ふらわーのおばちゃん

「いいから休みなさい。」

 

「はい・・・」

 

おばちゃんは静かに、されど強くそう言われた俺は自室へ戻る。多分おばちゃんは俺の身体の異常に気付いてるかもしれない。それで強く言ったのだろう・・・

 

‐真side END‐

 

‐夕方‐

 

学校が終わった響、未来、クリスの3人は真の様子を見に向かっていると、店を早仕舞いするふらわーのおばちゃんの姿が見えた。

 

「おばちゃん!もうお店閉めちゃうの?」

 

ふらわーのおばちゃん

「あぁ響ちゃん達かい。えぇ、真ちゃんの事を考えて早く店を閉める事にしたの。」

 

クリス

「そんなに真兄・・・真の体調が悪いのか?」

 

ふらわーのおばちゃん

「・・・そこまで悪くないわよ。余り無理をさせたくないからね。さあ上がって真ちゃんの顔を見に行きな。」

 

未来

「・・・分かりました。上がらせてもらいます。」

 

クリスの問いに間を開けて答えるおばちゃんの姿に未来は何かを感じつつ、響達と真の部屋に行く。

 

‐真の部屋‐

 

休みを取った真は一部破損したマルチコンバットスーツの修理を終え、コスモブラスターを分解してパーツの手入れを行っていた。

 

「・・・ッ!」

 

ゴトッ

 

すると再び右手に力が入らなくなってパーツを落としてしまう。真は力が入らない右手を見ていると気配を感じ取り、素早く組み立てたコスモブラスターを仕舞う。

 

「真さーん!こんにちわーッ!」

 

未来・翼

「お邪魔します。」

 

クリス

「お、お邪魔します・・・」

 

「お邪魔するぜ♪」

 

ドアを開けて入る響に続いて未来とクリス。そして奏と翼が部屋へ入る。真は事前にメールで響達3人が来る事は知っていたが、奏と翼の登場に真は驚く。

 

「あれ?響から奏や翼は来られないと聞いてたが。」

 

「あぁ、予定の仕事が向こうの都合で無くなってな。」

 

「時間が余ったのでこちらに着ました。」

 

「そうか。ならお茶を・・・」

 

未来

「それならおばちゃんに持たせてくれました。」

 

そう言って人数分のお茶とお菓子が載ったお盆を見せる未来。それに「分かった。」っと真が答える間、奏と響は真の部屋にある本棚を漁っていた。

 

「・・・敢えて言うが、何やってるだお前達。」

 

「ん?エ○本探し。」

 

「だろうな。残念だが本棚(そこ)には無いからな。」

 

「じゃあ何処にあるんですかッ!!」

 

「寧ろ教えるとでも思っているのか?」

 

真が響達と話している間、その光景に苦笑いする未来と翼の所へ色事に耐性が無いクリスが合流する。3人は本棚の反対側に飾られた戦闘機のプラモを見ていると、ある写真立てに眼が入る。

男女合わせた6人の集合写真で、真とその隣にいる銀髪の女性を中心に、右側では眼鏡をした男性とバイクウェアを着た金髪の女性。左側には中性的な男性と記者風の女性が写っていた。

 

未来

「真さん。この写真は?」

 

「あぁ、あの時に話した俺の義兄弟姉妹だよ。俺の隣にいるのが姉貴分のソフィー姉さん。俺の右にいるのが幼馴染のダンとジャック。姉さんの左にいるのが北斗とタクミだ。」

 

「とても仲がいいですね。」

 

「あぁ、本当の兄弟姉妹の様だと言われる程にな。」

 

クリス

「この人達は今どうしてるんだ?」

 

真が昔を振り返っているとクリスの一言にどう答えるべきかと考えていた時、響達の通信機が鳴る。内容は『武装組織フィーネの潜伏先が判明。装者は二課の本部へ集合せよ』であった。

真は本部へ向かう響達と学寮へ帰る未来を見送った後、急いで部屋に戻ろうとした時、突然左足に力が無くなって転び掛ける。

 

「今度は左足かッ!」

 

真はまだ動く右足だけで部屋に戻り、マルチコンバットスーツとコスモブラスターを装備して二課の本部へ向かう。

 

‐数時間後 街外れの廃病院‐

 

大分昔に閉鎖された筈の浜崎病院に2ヵ月前から少しづつ物資が運び込まれている事が緒川の調査で判明し、二課は今夜中に騒動を終わらせる為に響達とウルトラマンが突入する直前に廃病院から爆発が起きる。

 

「えぇぇーーーッ!?」

 

弦十郎

『何ッ!?』

 

朔也

『廃病院から爆発を確認ッ!まさかこちらの動きが読まれたのかッ!?』

 

ウルトラマン

「私が調べる!君達は外を頼むッ!」

 

突然の爆発で本部と現場が驚いている中、響達にそう言い残したウルトラマンはヘルメットの暗視機能を作動させ、一部が崩れた廃病院に突入する。

 

???

「・・・・・・」

 

そして廃病院の全体が見える木の天辺からその様子をローブを纏った謎の人物が見ていた。

 

‐廃病院内‐

 

崩れた瓦礫が散乱しており、溜まっていた誇りが舞う内部をウルトラマンはコスモブラスターを構えながらクリアリングして進む。すると離れた位置から発砲音が響く。

 

ウルトラマン

「東病棟からか!」

 

二課の本部で事前に廃病院の内部図を確認したウルトラマンは身を隠しながら向かう。現場に着くと多数のノイズと交戦する9人の外星人で構成された傭兵部隊がいた。

 

ウルトラマン

(外星人の傭兵部隊ッ!?何故連中が・・・)

 

???

「ええいッ!数が多いだけの雑魚の分際で生意気なんだよッ!!」

 

ウルトラマンは怒鳴り声の方を見ると〔暗殺宇宙人 ナックル星人(昭和版)〕がいた。他の外星人とは違ってヘルメットを着用しておらず、スーツの色も違っていた。

 

ウルトラマン

(あれはナックル星人ッ!アイツが部隊の隊長か。連中の目的は一体何だ?)

 

外星人・傭兵A

「グアァァァーーーッ!」

 

外星人・傭兵B

「何だコイ―――グハッ!

 

ウルトラマン・ナックル星人

「ッ!」

 

悲鳴が聞こえたウルトラマンとナックル星人はそちらを向くと、傭兵2名が生物の様な何かに捕食されていた。その生物の様な何かの姿を見たウルトラマンは眼を見開く。

 

ウルトラマン

(大きさは違うが、あれは間違いなく俺が倒した禍威獣擬きッ!)

 

ナックル星人

「テメェッ!よくも俺様の部下を食いやがってッ!!」

 

ナックル星人と残った傭兵は生物の様な何かに銃撃するが、相手の小回りと頑丈さで効果は無く、1人また1人と捕食される。そして不利だと判断したナックル星人は残った部下3名を連れて撤退。すると生物の様な何かの背後から白衣を着た人物が現れる。

 

???

「ふぅ~。まさかアメリカ政府が外星人の傭兵を使って来るとは・・・ネフィリムがいなければ危なかったですね~。」

 

ウルトラマン

(あれは確か、1週間前に行方不明になったウェル博士か。成程、元から武装組織フィーネの仲間だった訳か・・・だが有力な情報が聞けた。外星人の傭兵部隊を雇ったのはアメリカ政府。

恐らく連中を使って殺害と口封じってところか。なら闇に葬られる前に、あの博士や他のメンバーを捕えて情報を聞き出すッ!)

 

ウルトラマンはショックカートリッジを装填したコスモブラスターを構え、トリガーに指を掛ける。照準を定め、ウェル博士がネフィリムをケージに収容したタイミングでトリガーを引く瞬間、右眼が突然ブラックアウト。それによって視野と距離感が分からなくなり、撃ちだされた光弾は外れてしまう。

 

ウェル博士

「ヒッ!?ま、まだ他の奴がいたのかッ!?」

 

ウルトラマン

「待ってッ!」

 

ネフィリムを収容した小型ケージを持って逃走するウェル博士を右眼の視界が効かないウルトラマンは気配を感じ取りながら追跡する。

 

‐廃病院外‐

 

ウルトラマンが突入して数分。連絡が無い事で響達も廃病院へ突入する直前、何かが入ったケージを運ぶ飛行型ノイズと、行方不明だったウェル博士が逃走するの姿を確認する。

 

弦十郎

『響君とクリス君はウェル博士の身柄を確保ッ!翼と奏はケージを運ぶ飛行型ノイズを追撃してケージを確保するんだッ!!』

 

「はいッ!」

 

クリス

「任せなッ!」

 

「奏ッ!」

 

「あぁ、絶対に捕まえてやるぜッ!」

 

弦十郎の指示に従って響とクリスはウェル博士を。翼と奏はケージを運ぶ飛行型ノイズを追い掛ける。天羽々斬と奏のガングニールの速度であれば追い付くが、橋が途中で途切れていた。追撃が不可能かと思われた時、弦十郎達から通信が入る。

 

弦十郎

『翼!奏!そのまま飛べッ!!』

 

緒川

『海に向かって飛んでくださいッ!どんな時でも貴女達はッ!!』

 

2人は弦十郎達の言葉を信じ、橋から海へと飛ぶ。すると海中から二課の仮設本部である潜水艦が急速浮上し、艦首が2人の足場となって飛行型ノイズとの距離を大幅に縮める。2人の攻撃で飛行型ノイズは倒され、落下するケージを翼が近付いて回収する瞬間。

 

「ウワァッ!」

 

「翼ッ!?」

 

上空から投擲された黒い槍が翼を弾き飛ばし、奏は弾き飛ばされた翼を受け止めてそのまま海へ落下。その場面を途切れた橋の前でウェル博士を確保した響達と合流したウルトラマンは驚く中、

投擲された黒い槍は海上で留まり、黒いガングニールを纏ったマリアは柄に足を付けてケージを回収すると同時に朝日が昇る。

 

ウェル博士

「時間通りですよ、フィーネ。」

 

響・クリス

「えッ!?」

 

ウルトラマン

(フィーネの名を使ってまで・・・彼女達の目的は一体?)

 

ウェル博士の発言に響達は驚き、ウルトラマンは武装組織フィーネの目的は何かと思考する一方、海中から飛び出た翼と奏はアームドギアを構えてマリアに向けて突撃。それを見たマリアは迎撃を行おうとした時、刃が交わる瞬間で海中から巨大な何かが飛び出す。

 

マリア・翼・奏

「キャーーーッ!!」

 

???

「グオォォォッ!」

 

海上から飛び出たのは黒いボディと金色の角を持つ〔用心棒怪獣 ブラックキング〕を改造し、水中活動が可能な首長竜型の個体であった。突然の事で吹き飛ばされた3人は空中で身動きが出来ず、ブラックキング(首長竜型)が捕食しようと口を開き、飲み込もうとする。

 

ウルトラマン

「不味いッ!」

 

ウルトラマンはベーターカプセルを取り出して変身し、体当たりでブラックキング(首長竜型)を弾き飛ばす。そして落下するマリア、翼・奏をキャッチして二課の潜水艦の甲板へ降ろす。

 

ウルトラマン

「(良かった、目立った外傷は無さそうだな。)ッ!」

 

ピコンピコンピコンピコン

 

「ウルトラマンさん?」

 

クリス

「まだ変身したばかりだぞ。何で点滅してんだ?」

 

ウェル博士

(良く分かりませんが、ウルトラマン自身に異常がある。これだけが分かれば十分です。何故ならウルトラマン(貴方)に代わって僕が英雄になるのですから。)

 

3人の無事を確認した直後、ウルトラマンのカラータイマーが点滅する中、響達は突然鳴り出したカラータイマーに何故かと思う中、ウルトラマンに異常がある事を見抜いたウェル博士は怪しく微笑む。すると上空から巨影が通り過ぎ、ウルトラマンへ襲い掛かる。

 

ウルトラマン

「グアァッ!?」

 

ナックル星人

「折角の漁夫の利でシンフォギアを3つ回収出来た所を邪魔しやがってッ!!」

 

ブラックキング(飛竜(ワイバーン)型)

「グオォォォッ!」

 

襲い掛かったのは空を飛べる様に改造されたブラックキング(飛竜型)に乗ったナックル星人であった。更にステルス機能をOFFにして上空から現れた宇宙船から通常のブラックキングを投下。ウルトラマンと二課。そして武装組織フィーネは、ナックル星人が操る陸海空に特化したブラックキングに完全包囲された。

 

ナックル星人

「さぁ行け!ブラックキングッ!先ずは邪魔者のウルトラマンを排除しろッ!!」

 

ブラックキング×3

「グオォォォッ!」

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

ナックル星人はそう命令して宇宙船へ乗り移り、ブラックキング達は命令に従って行動を開始。ウルトラマンはスラッシュ光線で迎撃するが、対スペシウム光線の防御力を得ているブラックキングに効果は無い。接近を許してしまったウルトラマンは組合になる。

 

ウルトラマン

「グ・・・ッ!」

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!」

 

ウルトラマンは背後にいる二課の潜水艦を巻き込まない様に踏ん張るが、身体の不調とエネルギー不足で段々と押されていく。その間にマリアと翼達を乗せた二課の潜水艦は最大船速で離脱する。

 

ブラックキング(飛竜・首長竜型)

「グオォォォッ!」

 

ウルトラマン

「しま・・・ッ!」

 

更に飛竜型が背後から襲い、首長竜型は右脚に噛み付いてウルトラマンのバランスを奪う。倒れた所にブラックキング3体は口から放つマグマ光線〈ヘルマグマ〉の一斉攻撃がウルトラマンを襲う。

 

ウルトラマン

「―――ッ!」

 

クリス

「ウルトラマン!待ってろッ!今助けてやるッ!!」

 

クリスはアームドギアをスナイパーライフルに形成し、精密狙撃用に変形させたヘッドギアのスコープで捕捉したブラックキングの頭部に〈RED HOT BLAZE〉を撃つ。しかしスペシウム光線以下の攻撃では無意味であった。

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!!」

 

クリス

「ヤバぇ、逃げろッ!!」

 

「わ、ワワッ!」

 

邪魔をされたブラックキングはクリス達がいる橋に向けてヘルマグマを放つ。その一撃は途切れた橋の先端を破壊するが、クリス達は何とか回避する。だが爆風で吹き飛ばされた際に拘束したウェル博士と回収したソロモンの杖を手放してしまう。

 

ウェル博士

「ゲホゲホ、死に掛けましたが、チャンスですね。」

 

そう言ってソロモンの杖を持ってウェル博士は逃走する。それを見て起き上がった響達が追い掛けるが、上空から大量に射出された小型鋸、刃に阻まれる。

 

ウェル博士

「時間ピッタリの帰還です。お陰で助かりました。」

 

調

「助けたのは、貴方の為じゃない。」

 

切歌

「早くこんなヤベェ所から逃げるデスよッ!」

 

ナックル星人

『逃がすな!ブラックキングッ!』

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!!」

 

調と切歌はウェル博士を確保して逃走しようとするが、宇宙船の外部スピーカーから命令を受けたブラックキング(通常型)が襲い掛かる。すると突然現れたV-22型輸送ヘリからシンフォギアを纏ったセレナが飛び降りる。

 

セレナ

「させませんッ!」

 

セレナは短剣から光弾を撃ちだしてブラックキングの視界を奪い、時間を稼ぐ。そして調達と合流し、V-22型輸送ヘリから降ろされた2本のワイヤーにそれぞれ掴まってその場から離脱。

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!!」

 

マリア

「ッ!セレナ、皆ーーーッ!!」

 

ウルトラマン

「ッ!この、どけぇッ!!」

 

しかし逃がさまいとブラックキング(通常型)はヘルマグマを放つ。それを見たマリアは叫び、ウルトラマンは駆け付け様とするが、ブラックキング2体の攻撃に邪魔される。誰もが最悪な結末を思い浮かべたその時!

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!?」

 

ナックル星人

『な、何ッ!!?』

 

ローブを纏った謎の人物

「・・・・・・」

 

V-22型輸送ヘリに直撃する瞬間。その間に一瞬で現れたローブを纏った謎の人物は右手にエネルギーを纏い、ヘルマグマを払い除ける。有り得ない場面にブラックキング(通常型)と宇宙船にいるナックル星人は驚く。

突然現れた第4者に二課や武装組織フィーネは驚く一方、ウルトラマンは第4者の右腕に装着されたある鉱石が埋め込まれたブレスレットに注目する。それはある漫画の主人公が持つ変身アイテムであった。

 

ウルトラマン

「あ、あのブレスレットはッ!」

 

ローブを纏った謎の人物

「ッ!」

 

ローブを纏った謎の人物はブレスレットを胸の前に掲げる。すると閃光に包まれ、姿を変える。やがて閃光が収まると、右手を宙空に突き上げ、左手は顔の隣に置くポーズの巨人が姿を現す。その姿を見た全員が驚く。何故なら・・・

 

「黒い・・・ウルトラマン・・・」

 

漆黒のウルトラマン

「・・・シュワッ!」

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!?」

 

響の呟きと同時に漆黒のウルトラマンはブラックキング(通常型)を殴り飛ばす。そしてマウントポジションを取ってダメージを与える。

 

ブラックキング(首長竜型)

「グオォォォッ!!」

 

仲間を助けようとブラックキング(首長竜型)が噛み付こうと漆黒のウルトラマンを背後から襲うが、裏拳で頭部の骨が砕かれて絶命する。ブラックキング(通常型)は一瞬の隙で漆黒のウルトラマンを跳ね飛ばして脱出し、仕返しとばかりにヘルマグマを放つ。

 

漆黒のウルトラマン

「ジュワッ!」

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!?」

 

「あれはッ!」

 

「ウルトラマンのスペシウム光線ッ!」

 

漆黒のウルトラマンは即座にスペシウム光線を放ち、ヘルマグマと衝突。数秒拮抗するが、ヘルマグマを押し切り、スペシウム光線がブラックキング(通常型)の口内に直撃と同時に爆発。そのまま後ろへ倒れる。翼と奏はウルトラマンの必殺技を放った事に驚く。

 

ブラックキング(飛竜型)

「グ、グオォォォッ!?」

 

ウルトラマン

「デアッ!」

 

仲間があっさりとやられた事にブラックキング(飛竜型)は困惑。ウルトラマンはその隙を突いたウルトラスラッシュで両断して撃破した。

 

‐宇宙船内‐

 

一方、ナックル星人は自身の切り札であるブラックキングが全滅寸前となって大慌てとなっていた。

 

ナックル星人

「ま、不味い!撤退だッ!早く通常型のブラックキングを回収しだい離脱しろッ!!」

 

部下

「りょ、了解ッ!」

 

そして部下達は早急に生き残った個体の回収準備へ取り掛かる。

 

‐宇宙船外‐

 

ナックル星人達が準備を行っている頃、生き残ったブラックキング(通常型)は一矢報い様と漆黒のウルトラマンに突進するが。

 

漆黒のウルトラマン

「フンッ!」

 

ブラックキング(通常型)

「グオォォォッ!!?」

 

避けられた挙げ句に頭部の角をチョップで折られ、アッパーカットで吹き飛ばされる。漆黒のウルトラマンは追撃を行おうとするが宇宙船からの攻撃で妨害され、ブラックキング(通常型)は回収されると同時に現場から離脱する。

 

ナックル星人

『覚えてろーーーッ!!!』

 

ウルトラマン

「逃がさ―――ッ!?」

 

漆黒のウルトラマン

「ッ!」

 

捨て台詞を言ってそそくさと逃げるナックル星人の宇宙船をウルトラマンは撃ち落とそうとスペシウム光線の構えを取るが、激痛が走ると同時に意識を失って倒れる。漆黒のウルトラマンは傍に駆け寄り、エネルギー付与で治療する。

 

漆黒のウルトラマン

「シュワッ!」

 

治癒を終えた漆黒のウルトラマンはウルトラマンを抱き抱えて飛翔する。その後、マリアを回収した武装組織フィーネは逃走。二課は作戦失敗と同時に外星人介入という謎が残る結果となった。

 

第17話END




次回「月下の悲劇」


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第18話「月下の悲劇」

真の身バレとスペシャルゲスト達を登場させますッ!漆黒のウルトラマンの正体が判明するかも?


‐数時間後 ふらわー・真の部屋‐

 

「・・・ハッ!ここは、俺の部屋・・・?」

 

薄っすらと意識が回復し、布団から飛び起きた真は周囲を見ると、そこはふらわーにある自室であった。そして自身に何があったのかを思い出す。

 

「そうだ、ナックル星人の宇宙船を撃ち落とそうとした時に激痛が走って意識を失って・・・ッ!」

 

額に手を当てた時、真はもう1つある事を思い出した。

 

「あの時、俺を助けてくれた漆黒のウルトラマン・・・何で一瞬だけ姿がソフィー姉さんに見えたんだ?」

 

その真の問いに答える者はこの場に誰もいない。

 

‐2日後 新リディアン音楽院‐

 

2日前の出来事から現在。新リディアン音楽院は学園祭で賑わっており、招待された保護者と女生徒達で賑わっていた。そこに体調が少しだけ回復して響達に誘われた真の姿もあった。

 

「えーと、響達の出し物は・・・ん?」

 

響達の教室を真が探していると、眼鏡を掛けた金髪と黒髪のツインテールの女の子の姿を見掛ける。

 

「(あれはフィーネの装者か?一体何をしているんだ?)ドワッ!?」

 

クリス

「わ、悪り!って真兄ちゃんッ!?」

 

真が追い掛け様とした時、曲がり角でクリスとぶつかる。

 

「クリスか。そんなに慌ててどうした?」

 

クリス

「追われてるんだ!さっきから連中の包囲網が「見付けた!雪音さん!」しまったッ!?」

 

するとクリスを追い掛けてきたクリスのクラスメイト3人がやって来た。真はクリスのクラスメイトに事情を聴くと、クリスに勝ち抜きステージで歌ってほしいとの事であった。

 

「成程。クリス、歌ってきたらどうだ?」

 

クリス

「な、真兄・・・真までッ!」

 

「クリスは歌が好きだろ?それと俺的には久しぶりにクリスの歌を聞きたいんだ。覚えてるか?

8年前に自分が作った歌を聞かせるって。その約束を実現させてくれないか?」

 

真の言葉に眼を見開いたクリスは約束を覚えてくれた嬉しさと恥ずかしさに顔を赤くする。

 

クリス

「・・・分かった。けど、1つだけ条件がある。それを聞いてくれるなら歌う。」

 

「ん?」

 

‐3分後 勝ち抜きステージ・会場‐

 

ザワザワ ザワザワ

 

「結構人が多いな。空席残ってるかな?「真さーーーん!」ん?」

 

クリスの条件を了承した道中、クリスのクラスメイト達の質問攻めに1つ1つ答えながら会場へ到着した真は空席を探していると聞き覚えがある声が聞こえた方を見ると手を振る響と未来、翼、奏が座っている所へ向かう。そして丁度空席だった響の右側へ座る。

 

「響達も勝ち抜きステージを見に来たのか?」

 

「はい!」

 

未来

「真さんもですか?」

 

「いや、クリスとの約束とを果たしにな。」

 

「雪音との約束?」

 

「どんな約束だ?」

 

司会

「では、次なる挑戦者の登場ですッ!!」

 

そう真達が話していると、司会と観客達の声が響くと同時にステージ裏から登場してスポットライトに照らされたクリスの姿に響達は驚く。そして曲が流れるが、恥ずかしさと緊張で歌えずにいたクリスは真とクラスメイトの姿を見て徐々に歌い出す。

 

(戦場以外でクリスの歌を聞けて良かった・・・)

 

未来

(真さん?)

 

クリスが歌う中で、いつ死ぬか分からない状況で約束を果たせた事に真は安心と同時に二度と聞けないだろうと哀しい顔をする。そんな真の顔を偶然見た未来はどうしてそんな顔をしているのかと不思議に思うのであった。

 

‐数分後‐

 

クリスが歌い終わると同時に歓声と拍手が会場に響く。そしてクリスは勝ち抜きステージの新チャンピョンとなった。

 

司会

「さぁ、次なる挑戦者はッ!?飛び入りも大歓迎ですよッ!」

 

「出ます。」

 

真が手を上げてそう言うとスポットライトが照らされる。

 

「あ!約束ってもしかして。」

 

「俺もステージに出る。そう言う約束でな。んじゃ、行ってくる。」

 

そう言って真はステージへ向かう。

 

未来

「真さんの歌、カラオケ以来ですね。」

 

「そうだな。あの時はロボットアニメの曲を歌ってたっけ?」

 

「今日はどの様な曲で歌うのだろうか。」

 

未来達がそう話している間にステージに上がった真はクリスからマイクを受け取る。

 

司会

「それではお名前を伺ってから歌っていただきましょう!」

 

「神永真だ。歌う曲は私が知っているもので構わないか?それのカラオケもある。」

 

司会

「勿論構いませんよ!」

 

そして自身のスマホを操作した真は司会に渡し、司会はステージ裏の生徒に渡す。パソコンに真のスマホを接続してカラオケを流す。

 

「空想と浪漫。そして友情の歌、M八七。」

 

そう言って真は歌い出す。しかしこの学園祭が行なわれている時、ある場所で戦闘が行われていた。

 

‐同時刻 廃港‐

 

セレナ

「キャアアアッ!」

 

マリア

「ッ!セレナッ!!ガァッ!?

 

???

「ほう、こいつは驚きだ。ダガレット製の弾を防ぐなんてな。地球製のスーツにしちゃあ、大した防御力だな。」

 

武装組織フィーネが潜伏していた廃港で、アメリカ特殊作戦軍から派遣された特殊部隊の襲撃を待機していたマリアとセレナが撃退した直後、増援で現れた外星人の傭兵団と戦闘を再開。

その際にウェル博士が召喚したノイズを交えて迎撃するが、身体能力などの実力の差で追い詰められる。そして外星人のリーダー、〔エースキラー〕は倒れているマリア達に近付く。

 

エースキラー

「さて、お前達と同じ装者のおチビちゃん達は何処だ?そいつ等も殺す様に依頼されてんだけど。」

 

マリア

「誰が言うもの―――ガッ!?

 

セレナ

「マリア姉さんッ!この―――ぐはッ・・・!!」

 

その質問に答えるものかと言うマリアに蹴りを入れるエースキラー。それを見たセレナは起き上がって蛇腹剣の一撃を与え様とするが、エースキラーの部下の1人〔ウヴェルヴ星人〕に押さえ付けられる。

 

エースキラー

「まぁいいや。取り敢えずお前らとヘリにいる2人を餌にすれば向こうから来るだろ。ネペンテス、カメラ回せ。」

 

ネペンテス

「畏まりました。」

 

エースキラーのもう1人の部下〔ネペンテス星人〕がカメラを取り出して撮影をする。

 

エースキラー

「ヤッホ~!見ているか?フィーネのおチビちゃん。君達の大事なお仲間は俺達と一緒だよ。隠れてないで出ておいで、さもないと・・・」

 

カメラに向けてそう言い、部下2名に身体と左腕を抑えられたマリアに近付くエースキラー。そして右手に持つY字型アックスをゆっくりと見せ付ける様に上げる。

それを見てエースキラーの意図に気付いたマリアは逃れ様と、セレナはマリアを助け様と藻掻く。だが圧倒的な力に押さえ付けられて抜け出せない。

 

エースキラー

「良くない事が起っちゃうぜ。」

 

マリア

「・・・ッ!」

 

セレナ

「マリア姉さーーーんッ!」

 

そう言ってマリアの左腕を斬り落とそうとY字型アックスを振り落ろすエースキラー。マリアは眼を閉じ、セレナの叫び声が倉庫に響く。

 

エースキラー

「ッ!」

 

その時、何かを感じたエースキラーは後ろへ飛び退く。するとローブを纏った謎の人物の拳が地面に突き刺さり、地面を陥没させる。

 

ローブを纏った謎の人物

「・・・・・・」

 

エースキラー

「へぇー、お前がナックルの奴が言ってたもう1人のウルトラマンか。どういうつもりか知らないが、俺達の仕事を邪魔すんのなら・・・先にお前を殺すぞ。」

 

そう言って殺気を放つエースキラー。残りの部下もローブを纏った謎の人物へ銃口を向け、トリガーを引きかけた瞬間。

 

『ATTACK RIDE:BLAST』

 

その音声と同時に放たれた無数の光弾が傭兵団数名の銃火器を破壊する。

 

エースキラー

「何だッ!?」

 

光弾が放たれた方にエースキラーが向くと、そこにはマゼンタ色を主体とした仮面の戦士がいた。

 

エースキラー

「テメェは「出遅れたけど、アタシ達もいるよ。」ッ!」

 

すると赤、青、黄、緑、桃、銀を主体とする6人の海賊と、胸にBFのマークがあるロボットがエースキラー達を挟み込む様に立っていた。それを見たエースキラーは苦々しい顔をする。

 

エースキラー

世界の破壊者宇宙海賊スーパーロボット・・・ならローブの奴はゾフィーか。」

 

ゾフィー

「・・・・・・」

 

エースキラー

「ハァ~しゃあねぇ、撤退だ!流石に今の俺達でテメェらと殺り合うのは勘弁だ。」

 

無言で構えるゾフィーを見たエースキラーは溜息を吐いて部下達と共に廃港から撤退する。それを姿が見えなくなるまで見詰めたゾフィーは負傷したマリア達の治癒を始める。

 

赤いアーマーの装着者

「チェ、折角戦えるかと思ったのに相手が帰っちまったよ。」

 

赤い海賊

「それじゃあアタシ達は先に船に戻ってるわよ。」

 

ゾフィー

「うん。付き合ってくれてありがとうマーベラス、ロア。」

 

マーベラス

「あとでカレー食わせてくれよ。」

 

ロア

「俺は大盛でなッ!」

 

そう言ってマーベラス、ロアと呼ばれた人物は上空から現れたガレオン船を模した赤い宇宙船へ仲間共に乗り込む中、マゼンタ色の仮面の戦士はその場に残っていた。

 

ゾフィー

「セカイは戻らないの?」

 

セカイ

「そこの眼鏡の監視だ。」

 

セカイと呼ばれた人物が視線を向けている場所にゾフィーが顔を向ける。するとそこには最低限の荷物とネフィリムが入った籠を持つウェル博士の姿があった。それを見たゾフィーは冷たい眼をした後、マリア達の治癒を済ませる。

 

ゾフィー

「はい。これで動ける様になったと思うけど、余り無理はしないでね。」

 

セレナ

「は、はい。」

 

マリア

「貴女達は一体・・・」

 

ゾフィー

「通りすがりのヒーローかな?」

 

セカイ

「まぁそう言う事だ。」

 

そう言って2人はガレオン船型宇宙船に乗り、その場を離脱。起き上がったマリア達は小さく見えなくなるまでガレオン船型宇宙船を見詰めていた。

 

‐新リディアン音楽院‐

 

廃港の出来事が行なわれていた間、新リディアン音楽院の学園祭で行われた勝ち抜きステージで真が歌い終わった後、調と切歌の登場で響達に緊張が走る。その後、歌い終わった2人は逃走。それを追い掛ける響達と真(尚、本人は身を隠して)。

敷地内の一角まで調と切歌を追い詰める響達。その場で双方の対話の末、切歌が響達二課へ決闘を言い渡し、調は時と場所はこちらが伝えると言い残して撤退。そして弦十郎から連絡が入った響達は仮設本部へ向かう。

 

「・・・次の戦い。何としてでも彼女達の身柄を確保し、彼女達とアメリカ政府の目的を聞かないとな。」

 

柱の陰から姿を出し、校門から出ていく響達の姿を見た真はそう呟くのであった。

 

‐数時間後 東京番外地・国連直轄特別指定封鎖区域(カ・ディンギル跡地)‐

 

ノイズの反応を検知した二課は場所を特定。かつて激戦地だった場所を聞いた響達はすぐに現場へ急行した。

 

「決着を求めるのに、お誂え向きの舞台という訳か・・・」

 

ウルトラマン

「君達も来たか。」

 

響・クリス

「ウルトラマン(さん)ッ!」

 

「先に来てたのか。」

 

先に現場へ駆け付けたウルトラマンと合流した一同は未だゼットン軍団の残骸が残る大地を移動し、半壊したカ・ディンギルへ近付いた時、ソロモンの杖を持ったウェル博士が待ち受けていた。

そして響達の姿を確認すると同時にウェル博士はノイズを召喚。それを見たウルトラマンはコスモブラスターを構え、響達はシンフォギアを纏い、戦闘を開始する。

 

「調ちゃんと切歌ちゃんはッ?」

 

ウェル博士

「あの子達は謹慎中です。だからこうして私が出張って来てるのですよ。お友達感覚で計画遂行に支障をきたされては、困りますので。」

 

大量に迫るノイズを倒していくウルトラマン達。その際に響の問いかけにウェル博士はそう答えた。

 

ウルトラマン

「その計画が、貴様達の成すべき目的か。」

 

ウェル博士

「えぇ、その通りです。ウルトラマン。我々が望むのは、人類の救済ッ!

 

超巨大彗星ツイフォン

 

の衝突にて損なわれる、無辜の命を可能な限り救い出す事だッ!!」

 

響達

「超巨大彗星ッ!?」

 

ウルトラマン

(ツイフォンだとッ!!?)

 

宇宙を指してそう言ったウェル博士の言葉に響達は耳を疑い、彗星の名を聞いたウルトラマンは驚愕し、すぐさまウルトラアイスポットで宇宙を見る。すると不気味に輝きながら地球へ接近するツイフォンの姿を確認した。

 

ウルトラマン

「ウェル博士が言った事は事実だ。ツイフォンは一直線に地球へ向かっている・・・」

 

ウルトラマンの言葉に響達は更に驚愕する。

 

「その超巨大彗星が地球に衝突するのなら、各国機関と政府が黙って「黙っているに決まってるじゃないですかッ!」・・・ッ!」

 

ウェル博士

「対処方法の見付からない極大災厄など、更なる混乱を招くだけです。不都合な真実を隠蔽する理由など、幾らでもあるのですよ。」

 

クリス

「まさかッ!この事実を知る連中ってのは、自分達だけ助かる様な算段を始めている訳じゃッ!?」

 

ウェル博士

「だとしたらどうしますか、貴方達なら?対する私達の答えが・・・ネフィリムッ!!」

 

ノイズを撃ち倒したクリスの問い掛けにウェル博士がそう答えると同時にクリスの真下からネフィリムが出現。その際に吹き飛ばされたクリスは地面に頭を打って気絶。翼はすぐに駆け付ける。その時、何処かに隠れていたノイズが粘着糸で2人を拘束する。

 

「翼ッ!?」

 

ウルトラマン

「クリスッ!」

 

奏とウルトラマンは2人を助け出そうと近付くが、隠れていたもう1体のノイズが放った粘着糸をウルトラマンは寸前に躱すが、奏は拘束されてしまう。

 

「くッ、この様なものでッ!」

 

「クソ!全然千切れねぇッ!」

 

ウルトラマン

「待っていろ!すぐに解くッ!」

 

ウェル博士

「人を束ね、組織を編み、国を建てて命を守護する!ネフィリムはその為の力ッ!」

 

拘束を逃れ様と奏達は藻掻くが全く動けず、ウルトラマンはスペシウムダガーで拘束を解こうとするが、残存するノイズに阻まれる。そこへ更に巨大化したネフィリムが捕食しようと接近する。

 

「させないッ!」

 

拘束されない響はネフィリムにキックを入れ、標的を自身へ向ける。奏達から距離を取らせ、パンチとキックの連撃でネフィリムを追い詰める。両腕のバンカーを引き上げ、右ストレートでネフィリムを吹き飛ばす響。止めの一撃を与え様とした時。

 

ウェル博士

「アース・クライシスの英雄達よッ!その拳で何を守るッ!?そうやって君達は、誰かを守る為の力で、僕と多くの誰かをブッ殺しに来る訳だッ!!!」

 

「ッ!?」

 

ウルトラマン

(不味いッ!)

 

ウェル博士の言葉を耳にすると同時に調が自身に向けていった言葉を思い出した響は動きを止めてしまう。それを好機にネフィリムは襲い掛かる。

 

ウルトラマン

「ウオォォォーーーッ!!!」

 

全力疾走で響の下へ向かいながら変身したウルトラマンは丁度遅れて迎撃の左ストレートを叩き込もうとする響を突き飛ばす。そして・・・

 

ウルトラマン

「グアァァァーーーッ!!!」

 

ネフィリムに左上半身を噛み付かれ、そのまま何度も何度もウルトラマンを振り回して地面に叩き付ける。

 

ウルトラマン

「ぐぅッ!」

 

ネフィリム

「グオッ!!?」

 

ウルトラマンは右腕のスペシウムブレードでネフィリムの下顎から勢い良く突き刺さす。思わぬ反撃に堪らずネフィリムはウルトラマンを離す。そして響の近くに飛ばされて地面に落ちる。

 

「う、ウルトラマンさん・・・ッ!!?」

 

ウルトラマン

「・・・・・・」

 

ピコンピコンピコンピコン

 

響は倒れたウルトラマンを見て絶句する。瞳の光は消え、左上半身の深傷から止め処なく赤い光が溢れ出して血溜まりの様に広がる。

 

「あ、あぁぁぁ・・・」

 

ウェル博士

「いったーーーッ!!!パクついた・・・ウルトラマンをッ!これでぇぇぇーーーッ!!!」

 

響は自身が躊躇してしまった結果に頭を押さえ、ウェル博士は狂喜の笑みを浮かべて高らかに叫ぶ。

 

ウェル博士

「完全聖遺物ネフィリムは、言わば自立稼働する増殖炉。他のエネルギー体を暴食し、取り込む事で更なる出力を可能とするぅッ!さぁ、始まるぞッ!聞こえるか?覚醒の鼓動ッ!この力がフロンティアを浮上させるのだッ!!!」

 

ウルトラマンの血とスペシウム133を取り込んだネフィリムはその言葉通りに赤黒い光を放ちながら進化し、その巨体と悪魔の様な姿を月光が照らす。

 

「よくも・・・」

 

ウェル博士

「へ?」

 

「よくもウルトラマンさんをォォォォォォーーーッ!!!」

 

そう叫ぶと同時に響は黒い衝動に呑み込まれ、咆哮を上げる。

 

「そんな・・・まさかッ!?」

 

「暴走・・・ッ!」

 

ウェル博士

「(ゴクリ)・・・ッ!」

 

「ガアァァァアアァァァッ!!!」

 

暴走した響はネフィリムに狙いを定め、四つん這いとなる。

 

ウェル博士

「まっ、まさかッ!?」

 

「ガアァァァアアァァァッ!!!」

 

暴走した響は一瞬でネフィリムの懐に入り、右ストレート。頭部にハイキック。赤い通り魔の如く完膚なきまでの残虐ファイトが繰り広げられる。

 

ウェル博士

「や、やめろッ!やめるんだッ!!成長したネフィリムは、これからの新世界に必要不可欠な存在だ・・・それを、それをぉぉぉッ!!!」

 

ウェル博士は大型ノイズを召喚。しかし暴走した響に瞬殺。その僅かな隙に逃走するネフィリムに気付いて飛び掛かり、馬乗りの状態で右拳を突き刺す。そしてネフィリムの心臓を引っ張り出す。それを見たウェル博士は両手で頭を押さえ、発狂。

 

「ガアァァァアアァァァッ!!!」

 

響は心臓を放り投げ、死に体となったネフィリムから飛び上がる。右腕を槍上に形成し、そのまま死に体のネフィリムに突き刺すと同時に小規模のエネルギー爆発を起こす。その際に翼達を拘束していたノイズはその余波で消滅する。

 

「響・・・」

 

「立花・・・」

 

クリス

「うッ・・・何だってんだ・・・」

 

「ハァ、ハァ、ハァッ!!!」

 

ウェル博士

「ひッ、ひぃぃぃッ!!」

 

ネフィリムを倒された響が肩で息をしている間にウェル博士は悲鳴を上げながら逃走する。それに気付いた響は追い掛け様とするが、翼達が取り押さえる。

 

「よせ立花!もう良いんだッ!」

 

「眼を覚ませッ!」

 

クリス

「お前、黒いの似合わないんだよッ!」

 

翼達の懸命な呼び掛けも虚しく、振り解かれてしまう。そして凶拳がウェル博士に放たれる瞬間。

 

ウルトラマン

「ゴハッ!」

 

重傷のウルトラマンがその間に入って響の凶拳を受け止め、血を吐きながら響を押さえ込む。

 

「ガアァァァアアァァァッ!!!」

 

ウルトラマン

「全く・・・君のこの手は誰かと繋ぐ為だろ?こんな事、君が1番したくないだろ。」

 

「ガアァァァッ・・・」

 

ウルトラマン

「待ってろ、今戻してやる。」

 

その言葉と共にウルトラマンは響を強く抱きしめ、光を放つ。放たれた光が2人を呑み込んで宇宙へと昇る。やがて光が収まると、ギアが解除された響を抱きしめるウルトラマンの姿があった。

翼達が安堵した時、ウルトラマンは響を横に寝かせると後に変身が解け、後ろへ倒れる。その際にヘルメットとスーツの接続部が外れ、ヘルメットが脱げてウルトラマンの素顔が露わとなる。

 

「なッ!?」

 

クリス

「嘘だろッ!?」

 

「真が、ウルトラマンッ!?」

 

ウルトラマンの正体に驚愕する翼達。地球にツイフォンの脅威が迫る中、果たして真の命は・・・

 

第18話END




次回「撃槍の侵食」


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第19話「撃槍の侵食」

新作『コンパチヒーロー戦記』を作ろうと思います。登場するヒーロー達は以下の通りです。

ウルトラシリーズ/ゾフィー

仮面ライダーシリーズ/仮面ライダーディケイド

スーパー戦隊シリーズ/海賊戦隊ゴーカイジャー

スパロボシリーズ/ファイター・ロア

最初はそれぞれのストーリーを進めてから合流させます。


‐二課仮設本部・メディカルルーム‐

 

国連直轄特別指定封鎖区域(カ・ディンギル跡地)での戦闘から数十分後。二課は翼達と重傷の真を回収。帰投中に心肺停止した真を運び込み、医療班の大半が懸命な治療を行っていた。

 

医療班班員A

「AEDのチャージ、終わりましたッ!」

 

医療班班長

「全員離れろッ!!」

 

その声に他の医療班班員達は離れ、医療班班長が真の身体に電気ショックを与え、真の身体が跳ね上がるが、心電図には何の変化も無かった。

 

医療班班員B

「くそッ!もう6回目なのにどうしてッ!?」

 

医療班班員C

「最大出力でもダメなのかッ!?」

 

医療班班長

「・・・AEDのリミッター全部外せッ!」

 

医療班班員D

「班長ッ!?」

 

医療班班員A

「本気ですかッ!?」

 

最早これまでかと医療班班員達がそう思った時、医療班班長の言葉に全員が驚く。

 

医療班班長

「他に方法があるかッ!?早くリミッターを全部外せッ!!!

 

医療班班員B・C

「は、はいッ!」

 

医療班班長の指示に従い、医療班班員B・CはAEDのリミッターを全て解除する。リミッター解除されたAEDの電圧数値はレッドゾーンを超え、専用ジェネレータはオーバーロードして火花と煙が上がる。

 

医療班班長

「いくぞッ!!!」

 

キュイィィィーーーーーーバンッ!!!

 

「ブハッ!ガハッ、ガハッ!!」

 

真の身体に機器を当てた医療班班長はスイッチを押して電流を与える。そして真は息を吹き返すと同時専用ジェネレータは爆発し、黒煙が上がる。

 

医療班班員A

「せ、成功だッ!!!」

 

医療班班長

「よしッ!すぐ取り掛かるぞッ!2人はジェネレータを消火だッ!!」

 

その指示に医療班班員達は取り掛かる。その際、別のメヂカルポッドでメディカルチェックを受けていた響は薄っすらと意識が回復する。

 

(ここは・・・あれって・・・)

 

朦朧とする意識の中で響はふと右側を、懸命な治療を受けている真の姿を眼にする。

 

(真・・・さん・・・?)

 

響がそう思ったところで再び意識を失う。

 

‐数時間後 ブリッジ‐

 

真が集中治療を受けている間に二課が超巨大彗星ツイフォンの地球衝突に関する情報収集を終えた後、響のメディカルチェックの結果を弦十郎と了子から響の体内にあるガングニールの浸食によって遠からず死に至る事を知った翼達は苦い顔をする。そして真の容態を聞いた3人は更に驚愕する。

 

クリス

「いつ死ぬか・・・分からないッ!?」

 

「それは一体どういう事ですかッ!?」

 

「教えてくれッ!旦那、了子さんッ!!」

 

了子

「先ずはこれを見て。」

 

了子は奏達にそう言ってガングニールに浸食された響のレントゲンとは別のレントゲンを出す。それに映っていたのは、脳と心臓を除いて全身がボロボロとなった真の体内であった。

 

了子

「脳と心臓以外は全部ボロボロ・・・あの時に私が放ったゼットン軍団との戦闘で負った傷と、これまで受けた攻撃で段々と身体に異常が来していたはずよ。」

 

弦十郎

「3ヵ月前からこの状態でまだ生きているのが不思議だと、医療班から言われた。響君は戦わせなければ問題ないが、真君は・・・」

 

了子

「もうこれ程のダメージを抱えている状態でいつふとした事で死んでもおかしくないわ。」

 

「マジかよ・・・」

 

「今まで私達に悟られずにずっとあの様な状態で戦っていたのか・・・」

 

クリス

「何で、何でそんな大事な事を教えてくれなかったんだよ・・・真兄ちゃん・・・」

 

それを聞いた奏と翼は立ち尽くし、クリスは両手を強く握り締め、顔を俯せてそう呟く。それを見た弦十郎達は少し離れ、小声で話をする。

 

弦十郎

「出来れば、了子君と同じ様に融合したガングニールを真君に頼みたかったが、あの状態では・・・」

 

了子

「えぇ・・・私の考えが間違いじゃなければ、響ちゃんが助かっても・・・真君の命は確実に失われるわ。」

 

その会話をした後、響と真を抜いた状態で武装組織フィーネもといF.I.S.への対応を話して解散する。

 

‐3日間後 リディアン音楽院‐

 

無事回復した響は広間の1つで待ち合わせていた翼達と合流する。

 

「いや~面目ない。ご心配おかけしました。」

 

クリス

「意外と元気そうだな。まぁ、いい機会だから暫く休んでな。」

 

「一応ウルトラマンの力で暴走の影響はないと思うけど、弦十郎の旦那から休めって言われたしな。」

 

「はい・・・ホントにウルトラマンさんには助けてもらってばかりです・・・」

 

奏の言葉に響は少し暗い顔をしてそう言う。それを見た奏達も暗い顔をする。

 

「幸いF.I.S.の動きは無いが、もしもの時は私達が動く。立花は身体を休める事に専念してくれ。」

 

「はい、そうします。」

 

話が終わり、4人はそれぞれの場所へ戻る。その際に響は何となく何かを隠されている気がした。

 

‐数時間後 二課仮設本部・メディカルルーム‐

 

(・・・・・・ここは、二課の仮設本部か。如何やら助けられたみたいだな。)

 

メディカルカプセルの中で目覚めた真は自身がいる場所を確認し、助けられた事を知る。

 

(身体は・・・ある程度回復はしているが、果たして何処まで戦えるのか―――ッ!?)

 

そう思いながら少しでも身体を回復する為に再び眠ろうとした時、真はノイズと地球に接近する宇宙禍威獣の気配を感じ取る。

 

「くッ!」

 

メディカルカプセルのハッチを強引にこじ開け、カプセルから出た真は点滴のチューブや心電図のコードを引き取ると同時にアラートが鳴る。職員が駆け付ける前に真はベーターカプセルを自分の手元に引き寄せた後、変身してその場から消える。

 

‐同時刻 ‐

 

その日は何事もなく学校は終わり、下校の合間に響は未来や板場達とふらわーでお好み焼きを食べ終えて寮に戻る道中、響達の横を黒いベンツ3台が通り過ぎて道先に消えた瞬間に爆発。その場へ響達が向かう。

辿り着いた先には煙を上げて大破したベンツと数体のノイズがおり、その足元には炭素が散らばった光景が広がっていた。そして中央には布で包んだ何かを持ち、それを狂笑の顔で見詰めるウェル博士がいた。

 

ウェル博士

「ヒ、ヒヒッ、誰が来てもこいつは絶対に渡しませんよ・・・ッ!」

 

「ウェル、博士・・・ッ!」

 

ウェル博士

「なっ、何で、お前がここにッ!?」

 

響の姿を見たウェル博士はソロモンの杖を操作してノイズを嗾ける。それを見た響は前に出て走り出し、聖詠を歌う。しかしシンフォギアを纏う前にノイズを殴る。

 

未来

「響ッ!?」

 

ウェル博士

「人の身で、ノイズに触れて・・・」

 

それを見た未来は叫び、ノイズに触れて炭素化しない響にウェル博士は驚愕する。その間に響がシンフォギアを纏うと同時に殴ったノイズは倒される。

 

「この拳も!命もッ!シンフォギアだッ!!」

 

そう叫んで構える響。すると薄い光が響を覆い、胸の傷跡も光だす。

 

(力が・・・漲るッ!)

 

ウェル博士

「いつもいつも!都合のいいところで、こっち都合をしっちゃかめっちゃかにしてくれるッ!お前はァァァッ!!

 

そう感じている時に風で飛ばされた枯葉が響に触れた途端、燃え尽きる。それに未来達やウェル博士は驚くも、ソロモンの杖から更にノイズを召喚して抵抗する。しかし数だけのノイズ相手では足止めにもならずに倒されていく。

 

「ハァァァァァァーーーッ!」

 

ウェル博士

「ヒッアァァァァッ!」

 

右腕のバンカーを変形させ、ウェル博士に向かって突っ込む。ウェル博士はノイズを召喚して防壁にするが、突如上空から放たれた光線で倒される。

 

ウルトラマン

「行けッ!響ッ!!」

 

「ありがとうございますッ!」

 

駆け付けたウルトラマンのお陰で防壁代わりのノイズは倒され、無防備となったウェル博士に響の一撃が直撃する寸前で黒い壁に防がれる。

 

「壁?」

 

調

「何と鋸。」

 

すると壁、鋸の後ろから声が聞こえ、響はそちらを見ると、シンフォギアを纏った調と切歌の姿があった。

 

「調ちゃんと切歌ちゃん・・・」

 

調

「この身を纏うシュルシャガナはおっかない見た目よりもずっと、汎用性に富んでいる。防御性能だって不足無し。」

 

切歌

「それでも、全力の2人係で如何にかこうにか受け止めてるんデスけどね。」

 

調

「ごめんね切ちゃん、私のヒールだと踏ん張りが余り効かないから。」

 

切歌

「良いって事デスッ!でも、流石にウルトラマンも加わったら不味いデス。」

 

体を固定して調を支える切歌は距離を取った響の隣に降り立つウルトラマンを見てそう言う。対して響とウルトラマンは臨戦態勢を取った時、響の胸の傷跡が強く光り出して鼓動し、ウルトラマンのカラータイマーも点滅し始める。

 

「ぐッ!?」

 

ウルトラマン

「響―――ッ!?」

 

突然苦しくなった響は胸を押さえて膝を付く。ウルトラマンは近付こうとした途端に右足の力が無くなって倒れてしまう。突然の事に調と切歌が戸惑ったその瞬間。

 

ドラコ

「キエェェェッ!キエェェェッ!」

 

調

「禍威獣ッ!?」

 

切歌

「こんな時に現れるなんて最悪デスッ!!」

 

2人がそう言っている間に飛来した円盤形に巻き取られた鞭状の左手を持ったドラコは街を破壊する。調達は急いでウェル博士を連れて離脱しようとするが、破壊された建物の瓦礫が降り注ぐ。

 

ウェル博士

「ヒッイィィィッ!?」

 

調・切歌

「ッ!?」

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

それを見たウルトラマンはすぐさまベーターカプセルで巨大化し、降り注ぐ瓦礫から調と切歌+aを助ける。

 

ウルトラマン

「早く逃げろッ!!」

 

そう言われた2人はウェル博士を連れてその場から離脱する。それを確認したウルトラマンは踏ん張りを入れながら立ち上がりる。

 

ドラコ

「キエェェェッ!キエェェェッ!」

 

ウルトラマン

「ぐがッ!」

 

街を破壊していたドラコはウルトラマンの存在に気付き、鞭状の左手で首を絡めとり、ウルトラマンを引き寄せて右手の鎌で攻撃。それが丁度1週間前に負った傷に直撃。

尋常じゃない激痛がウルトラマンを襲い、踏ん張りが効かなくなって膝を付く。ドラコはお構いなく攻撃を続け、激痛で身動き出来ないウルトラマンは防戦一方となる。

 

ウルトラマン

「(不味い・・・意識が薄れ始めて来た!このままでは)

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

ッ!?」

 

「Emustolronzen fine el baral zizzl」

 

絶唱を歌い、右腕の大型バンカーを構えた響はブースターを全開にしてドラコに突っ込む。

 

「ハァァァーーーッ!!!」

 

ドラコ

「キエェェェッ!?」

 

ウルトラマン

「ジュワッ!」

 

眉間に強力な一撃を叩き込まれたドラコが怯んだ隙にウルトラマンは首に巻き付いた鞭を手刀で斬り、そのままウルトラスラッシュを放つ。

 

ドラコ

「キエェェェッ・・・」

 

ドラコは避け様とするが、脳震盪で回避が間に合わずに直撃して倒された。

 

ウルトラマン

「・・・ッ!響ッ!?」

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

未来

「響ッ!!」

 

ドラコの活動停止を確認し、先程よりも苦しく息を切らしている響の姿を見たウルトラマンは巨大化を解き、身体を引きずりながら近付く。その時、戦闘が始まってから避難していた筈の未来がやって来る。それと同時に響は膝を付く。

 

未来

「響ッ!―――ッ!?」

 

ウルトラマン

「離れろッ!今の響は高熱を帯びている。火傷ではすまないッ!」

 

未来

「でもッ!」

 

ウルトラマン

「響を冷却するッ!だから離れるんだ!未来ッ!!」

 

そう言って未来を下がらせたウルトラマンはウルトラ水流で響を冷却すると蒸気が発生する。暫くして響から高熱が無くなると同時にギアが強制解除され、気絶した響は倒れる。

 

未来

「響ッ!響ッ!!」

 

ウルトラマン

(ヤバイ、もう限・・・界・・・)

 

気絶した響に横で呼び掛ける未来の姿を見たウルトラマンも限界に達して倒れる。そして変身が解かれ、患者衣を着た真の姿が露わとなる。

 

未来

「真さんッ!?」

 

それを見た未来は驚きながらも響と真の名前を呼び続ける。そして現場に到着した奏達と少ししてやって来た二課の輸送ヘリに全員が乗って二課仮設本部へ帰投する。

 

第19話END




次回「繋ぐ手と手・・・戸惑う私の為・・・」


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第20話「繋ぐ手と手・・・戸惑う私の為・・・」

大変お待たせいたしました。それとシンフォギアの話を暫くストックして投稿しようと思います。目安は一先ず3話くらいにします。また他の小説などで書く暇を削るかもしれません。悪しからず。


ウェル博士の騒動と飛来したドラコとの戦闘から翌日。先に復帰した響は弦十郎と翼達に未来から体内のガングニールによる浸食とウルトラマン、真の状態を告げられた直後、世界中で多数のドラコが飛来。主要都市などの街を破壊していく。これに各国軍は総力を挙げて対処に当たる。

更に世界各地に眠っていた地球禍威獣と黒いウルトラマンにバーコードを模した仮面の巨人、2体の巨大ロボットが出現。同時に飛来した多数のドラコと戦闘を開始。これらの活躍によって文明滅亡の危機は一時的に回避された。

 

‐1ヵ月後 二課仮設本部・メディカルルーム‐

 

「・・・・・・」

 

メディカルカプセルでは未だ目覚めない真が眠っており、点滴と心電図の音が無人のメディカルルームに響いていた。すると扉が開くと、ローブを纏った1つの影が入り込む。

そして真が眠るメディカルカプセルの傍に立つ。影は他者やカメラの機能がOFFになっているのを確認してローブを取る。すると銀髪の女性の素顔が露わとなる。

 

銀髪の女性

「何て無茶を・・・もう死に体以上に酷い状態じゃない・・・」

 

「・・・やっぱりあの黒いウルトラマンは、ソフィー姉さんだったんだな。」

 

声に反応した真は自身の義姉、ソフィーにそう言う。

 

ソフィー

「そうね、私が元の宇宙(せかい)から旅立って大分時が過ぎたわね。」

 

「姉さんが数年前に旅に出てからエベレストに向かって以来、行方不明だったのはそう言う事だったのか。でも何でこの地球に?」

 

ソフィー

星の声が、この宇宙(せかい)の地球の危機と真の命が危うい事を教えてくれたの。だから私は旅で出会った仲間達と共にやって来たの。」

 

「そうか・・・俺、どれくらい寝てたんだ?それに響やツイフォンは?」

 

ソフィー

「約1ヵ月よ、響って子は貴方よりも早く回復して元気よ。その間に大量のドラコが地球に襲来したけど、私達と地球禍威獣達が倒したわ。」

 

その言葉を聞いて真は安堵するが、すぐに険しい顔をする。

 

「なら既にツイフォンはもう・・・」

 

ソフィー

「えぇ、太陽系内に入ってる。このままの速度で進めば、いずれ地球に衝突するわ。」

 

それを聞いた真は起き上がろうとするが、ソフィーに肩を抑えられる。

 

ソフィー

「ツイフォンと外星人達は私達が対処する。今は休みなさい。」

 

「でも「貴方が死んだら、悲しむ子達がいる事を忘れないで。」・・・」

 

ソフィーの言葉に思い至る真は黙り、顔を俯く。それをソフィーは見詰めた後、時計を見て時刻を確認する。

 

ソフィー

「そろそろ行くわね。それとまだ時間は掛かるけど、星の声に頼んで新しい命を生み出してくれてるわ。それまでは大人しくして。」

 

「分かった・・・姉さん、最後にこれだけは確認させてくれ。俺は後―――」

 

ソフィーがメディカルルームを出る際に真はある事を確認する為に聞く。

 

‐翌日 東京スカイタワー・第1展望台‐

 

真が目覚めて翌日。戦いとは無縁の休息を未来と送っていた響は第1展望台から見える景色を見詰めながら1ヵ月前に言われた事を思い出していた。

 

(死ぬ・・・戦えば死ぬ。考えてみれば当たり前の事・・・でも何時か麻痺してしまって、それはとても遠い事だと錯覚していた・・・)

 

『このままでは死ぬんだぞ!立花ッ!』

 

『真はいつふとした事で死んでもおかしくない。』

 

翼の言葉と、真の状態を告げられた事が頭の中を過る。そしてこれまでの戦いの記憶と同時に真が消えてしまう悪夢を思い出した響は顔を青ざめ、身震いをして両腕を抱きしめる。

 

未来

「響、大丈夫?」

 

「大丈夫・・・じゃないかも・・・」

 

未来

「・・・少しベンチに座ろうか。」

 

そして2人は人気が少ない場所へ向い、そこにあるベンチに座る。

 

未来

「ここなら誰もいないから落ち着けるよ。」

 

「ありがとう、未来。」

 

未来

「ねぇ響、もしかして真さんの事を考えてた?」

 

「ッ!何で分かったの?」

 

響はそう言うと未来は「顔に出ている」と答える。

 

未来

「それに私も、真さんの事を聞かされた時と同じ顔してたもん。」

 

「未来も?」

 

未来

「私だけじゃないよ。翼さんや奏さん、クリスも最初に聞かされた時、同じだったって了子さんが言ってた。」

 

「翼さん達も・・・」

 

未来

「響、真さんの事をどう思ってる?」

 

唐突にそう問われた響は顔を赤くしてどう答えるべきかとアタフタしていた時、爆発音と振動が東京スカイタワーに響く。それと同時に現れた大量の飛行型ノイズがその周囲を覆う。

 

‐数分前 とある一室‐

 

東京スカイタワー内で街の風景が見える一室ではF.I.S.のナスターシャ博士とマリア、セレナの3人と対面する様にアメリカ政府のエージェントが6人いた。F.I.S.は超巨大彗星ツイフォンによって齎される最悪の未来を回避する為にアメリカ政府と講和の場を設けた。

そして異端技術に関するデータを渡した途端、エージェント達に銃口を向けられると同時にマリアとセレナは見えない何かに強く首を締め上げられる。するとステルス機能を解いたエースキラーの傭兵団が姿を現す。

 

マリア・セレナ

「ぐうッ!」

 

エースキラー

「おっと、今回は傷付けたり殺したりすんなよ?こいつ等は地球人の美人の中でも別格だ。宇宙闇オークションで売ればかなりの値が付くからな。」

 

ウヴェルヴ星人

「・・・了解。」

 

ウヴェルヴ星人はエースキラーの指示に従い、死なない程度に抑え込む。

 

ナスターシャ博士

「初めから取引に応じるつもりは無かったのですかッ!」

 

エージェント

「必要な物は手に入った。後は不必要な者を排除するだけです。」

 

そしてエージェントの1人が拳銃の引き鉄を引く瞬間!

 

『悪いけどそれはさせないよッ!』

 

すると窓を突き破ってマーベラスを含む6人の女海賊が現れ、フリントロック式ピストル型の武器でエージェント達の拳銃を弾き、エースキラー達を牽制する。

そして天井裏から逆立つ青い髪に赤いアーマーを身に着けた戦士が現れ、マリアとセレナを締め上げているウヴェルヴ星人を殴り飛ばして助ける。

 

謎の戦士

「お嬢ちゃん達、大丈夫か?」

 

セレナ

「は、はい。」

 

マリア

「貴方は?」

 

ロア

「前回と姿は違うけど、俺はファイター・ロアだッ!」

 

そう言ってロアは後ろへ裏拳を放つと、Y字型アックスを振りかざしたエースキラーの攻撃を防ぐ。

 

エースキラー

「チッ!毎度毎度よく邪魔してくれるなッ!」

 

ロア

「当たり前だろ!彼女達は悪役になってでもこの地球を守ろうと戦ってんだッ!邪魔させるかッ!!」

 

マーベラス

「そう言う事、行くよ!皆ッ!」

 

女海賊×5

「承知(やりますか、りょうか~い、分かりましたわ、はい)ッ!」

 

マーベラス達は携帯電話型変身アイテム、モバイレーツゴーカイセルラーへ歴代スーパー戦隊に変身できる力を持つ鍵、レンジャーキーを鍵穴とディスプレイに差し込む。

 

マーベラス達

「ゴーカイチェンジッ!」

 

『ゴーーカイジャー!』

 

マーベラス達は掛け声と音声が流れると同時に6色の戦士へと変身する。

 

ゴーカイレッド

「ゴーカイレッドッ!」

 

ゴーカイブルー

「ゴーカイブルーッ!」

 

ゴーカイイエロー

「ゴーカイイエローッ!」

 

ゴーカイグリーン

「ゴーカイグリーンッ!」

 

ゴーカイピンク

「ゴーカイピンクッ!」

 

ゴーカイシルバー

「ゴォーーーカイ、シルバーッ!!」

 

ゴーカイレッド

「海賊戦隊・・・」

 

ゴーカイジャー

ゴーー!!

 

ゴーカイレッド

「派手に行くよッ!」

 

エースキラー

「ネペンテスッ!他の奴らと一緒に相手してやんなッ!!」

 

ネペンテス星人

「了解です、マスター。」

 

カッダー星人

「あの宇宙海賊を相手に出来るとはな、狩りがいがあるッ!」

 

ブリス星人

「俺のブラスターで吹き飛ばしてやるぜッ!」

 

海賊ゴーカイジャーに変身したマーベラス達はエースキラーの指示によってネペンテス星人が率いる外星人達と対決する。その際ブリス星人が放った光線の爆発と振動が東京スカイタワーに響く。

 

‐同時刻 東京スカイタワー付近のビル‐

 

ウェル博士

「いいぞ、いいぞいいぞッ!そのままどちらも潰し合えッ!!僕の邪魔をする奴らは消えてしまえッ!!!」

 

東京スカイタワー内で起こっている戦闘をカフェテラスから見ていたウェル博士はそう叫び、そして手に持っているソロモンの杖からノイズを召喚して攻撃させる。

 

ウェル博士

「ヒッ、ヒヒヒヒヒヒッ!この地球を救うのはお前達でも、ウルトラマンでもない。この私こそがッ!!地球と人類を救う英雄となるのだッ!!!」

 

‐現在 二課仮設本部・メディカルルーム‐

 

「頼むッ!行かせてくれッ!!!」

 

東京スカイタワーでの戦闘と、ノイズの気配を感じ取った真はメディカルカプセルから飛び起きて変身して現場に向かおうとするが。

 

医療班班員A

「ダメですってッ!」

 

医療班班長

「今のアンタの状態がどうなってるのか、分かってんのかッ!?」

 

「そんな事は分かってるッ!!それでも行かせてくれッ!!!」

 

医療班班員B

「ちょっ、この人ほぼ死に体なんですよねッ!?力強すぎませんかッ!!?」

 

交代で容態の確認と監視を行って医療班に真は取り押さえられていた。そして互いに説得をするが、互いに引く事は無かった。真は強引にでも医療班を引っぺがし、変身して現場へ向かう。

 

医療班班長

「司令にすぐ連絡しろッ!急げッ!!」

 

‐東京スカイタワー内部‐

 

一方、ロアとゴーカイジャー達のお陰でシンフォギアを纏ったマリア達はナスターシャ博士と共にその場を逃れるが、それを阻む様に現れたアメリカ兵達の銃撃で妨害される。

 

一般人A

「がッ!?」

 

一般人B

「―――ツ」

 

マリア

「ッ!」

 

セレナ

「このッ!」

 

銃撃からマリアとセレナはマントやバリヤーで身を守るが、その場で巻き込まれた一般人達は放たれた銃撃で倒れていく。それを見た2人は槍とマント、短剣でアメリカ兵達を一方的に倒す。

 

マリア

「私の所為だ、私がフィーネを背負いきれなかった私の・・・ッ!」

 

セレナ

「姉さん・・・」

 

ナスターシャ博士

「マリア・・・」

 

目の当たりにした惨劇にマリアは不甲斐ない自分にそう言い、そんなマリアにセレナとナスターシャ博士は何も言えなかった。そして待ち伏せを避ける為、マリア達は次々に現れるアメリカ兵達とノイズを倒しながら上階からの脱出を図る。

 

‐同時刻 第1展望台‐

 

響と未来は迷子になっていた子供を職員に託し、自分達も避難しようとした瞬間、数体の飛行型ノイズが特攻して天井や第1展望台の一部が崩れ始める。その際に響は巻き込まれ、未来は咄嗟に響の手を掴んだお陰で何を逃れるが、一緒に落ちるのは時間の問題であった。

 

「未来、ここは長く持たない!手を放してッ!」

 

未来

「ダメッ!私が響を守らなきゃッ!!」

 

「未来・・・・・・いつか、本当に私が困ったとき、未来に助けてもらうから。今日はもう少しだけ、私に頑張らせて。」

 

響はそう言って手の力を緩める。その言葉と握る手の弱さを感じた未来は涙を流す。

 

未来

「私だって、守りたいのに・・・ッ!」

 

(ごめんね・・・未来・・・)

 

響がそう思った時に互いに掴んでいた手が離れ、落下していく響に未来は叫ぶ。響は落下中にガングニールを纏って地上に着地して未来がいる第1展望台を向かおうとした瞬間、第1展望台が2回爆発する。

 

「そんな・・・未来ーーーーーーッ!」

 

‐真side‐

 

二課の医療班を引っぺがし、ウルトラマンに変身した俺は最大速度で東京スカイタワーに向かっている。

 

ウルトラマン

(今の状態でなければ、テレポーテーションが使えるのになッ!)

 

死に体にほぼ近い状態で能力や技の一部が使えない状態に歯痒さを感じながらも俺は現場に急ぐ。そして東京スカイタワーの上空に到着すると、第1展望台が2回爆発した。地上を見るとシンフォギアを纏った響の姿はあったが、未来の姿が無かった。

まさかと思った俺は気配を探る。そして未来の無事を確認した俺は救出に向かおうとした時、東京スカイタワーを包囲する様に縞模様のロボットが出現すると同時に東京スカイタワーへガンポッドを向ける。

 

ウルトラマン

「させるかッ!」

 

俺はすぐに巨大化と同時に3機の〔帝国機兵レギオノイド ダダ・カスタマイズ〕にスラッシュ光線を直撃させて妨害し、東京スカイタワーを背にして迎え撃つ。

 

‐真side END‐

 

レギオノイド DD-C2

『ウルトラマンッ!?』

 

レギオノイド DD-C3

『さっきの攻撃は奴のか!』

 

レギオノイド DD-C1

『2番、3番機は目標が脱出する前にタワーを破壊をしろ!情報通りならウルトラマンは死に体だ。あれは俺が相手をするッ!』

 

レギオノイド DD-C2・3

『了解ッ!』

 

隊長機の指示でレギオノイド DD-C2・3は再び東京スカイタワーへガンポッドを向ける。それをウルトラマンは阻止しようと接近するが、レギオノイド DD-C1に組み付かれて動きを封じられる。

 

ウルトラマン

「この!離せッ!」

 

レギオノイド DD-C1

『誰が離すかよッ!仕事の邪魔をされちゃ困るんでね。』

 

ウルトラマン

「くッ!」

 

ウルトラマンが藻掻いてる間にもレギオノイド DD-C2・3はガンポッドにエネルギーが集束されて撃たれそうになった時、複数の大型ミサイルと剣に槍の雨がレギオノイド DD-C2・3に直撃して攻撃が中断される。

 

レギオノイド DD-C1

『何ッ!?』

 

ウルトラマン

「クリス達かッ!」

 

突然僚機が攻撃を受けた事で隊長機は驚き、その隙に抜け出したウルトラマンは攻撃が放たれた場所を見ると現場に駆け付けたクリス達の姿を確認する。

 

ウルトラマン

「まだスカイタワーには未来や民間人が残っているッ!」

 

クリス

「ッ!?分かったッ!」

 

「こっちのロボット共はアタシ達が相手するッ!」

 

「こちらは任せてくれ!それと・・・余り無茶をしないでくれッ!」

 

ウルトラマン

「善処する・・・ッ!」

 

そう返答した後、ウルトラマン達はそれぞれのレギオノイド DD-Cと戦う。

 

レギオノイド DD-C3

『よくも邪魔しやがってッ!』

 

レギオノイド DD-C2

『落ち着けッ!二課のシンフォギア装者はこっちで対処する。お前は目的を果たせッ!』

 

レギオノイド DD-C3

『お、おう。分かったッ!』

 

クリス

「やらせるかッ!」

 

クリスは大型ミサイルを放つが、レギオノイド DD-C2は全身から多数のミサイルを撃ちだして迎撃。残りはクリス達に向かっていく。

 

「このッ!」

 

「くッ、これでは動けないッ!」

 

奏と翼はLAST∞METEORと千ノ落涙で迎撃するが動く事が出来ず、クリスも攻撃が不可能であった。

 

ウルトラマン

「グアッ!」

 

レギオノイド DD-C1

『そんな状態で俺に敵うかよッ!』

 

そして本調子ではないウルトラマンは両腕をアームドリルに換装したレギオノイド DD-C1の攻撃で倒されて踏み付けられていた。その間にレギオノイド DD-C3が東京スカイタワーへ照準を定めた。

 

レギオノイド DD-C3

『ターゲットはまだ脱出に手間取ってるな。へへへッ、これで依頼達成で大金がっぽりだぜ♪』

 

「やめろーーーッ!!!」

 

レギオノイド DD-C3

『なッ!?どわッ!!?』

 

ビームが撃たれる瞬間、メインカメラの目の前に響が現れて驚き、その筈かな隙で響の一撃が直撃して照準がずれて放たれたビームは逸れて外れる。

 

「やった!」

 

レギオノイド DD-C3

『地球人のガキがッ!邪魔しやがってッ!!』

 

「ッ!?」

 

ウルトラマン達

「響(立花)ッ!」

 

レギオノイド DD-C3が右腕のガンポッドを振って空中で身動きが出来ない響が吹き飛ばされそうになったその時!

 

「カイザーバルカンッ!」

 

レギオノイド DD-C3

『グアッ!?今度は何だッ!?』

 

レギオノイド DD-C3の上空から声が聞こえたと同時に無数の弾丸が着弾。その間に響は地上へ着地と同時にその場から離れる。そして入れ替わる様に1機の巨大ロボットが現れる。

 

コンパブルチカイザー

「コンパチブルカイザー惨状ッ!これ以上好きにはさせないぞ!」

 

レギオノイド DD-C3

『うるせー!邪魔する奴はぶっ潰してやるッ!』

 

レギオノイド DD-C3は両腕のガンポッドで攻撃する。しかしコンパチブルカイザーは〈リフレクトシールド〉で攻撃を反射。反射された攻撃はガンポッドの銃口に入ると同時に爆発し、レギオノイド DD-C3は両腕を失う。

 

レギオノイド DD-C3

『な、何ッ!?』

 

レギオノイド DD-C1

『不味いッ!』

 

ウルトラマン

「(今だッ!)シュワッ!」

 

レギオノイド DD-C1

『しまっダァァァアァァァーーーッ!?

 

レギオノイド DD-C1が3番機を助け様と気を取られた隙をウルトラマンはスペシウム光線を放ち、相手を半壊させる。

 

レギオノイド DD-C2

『あ、兄貴ッ!?』

 

「おっと、余所見は禁物だぜッ!」

 

奏は槍を投擲すると同時に槍は大型に変形して気を取られたレギオノイド DD-C2の脚部の間に入り、その槍に引っ掛かったレギオノイド DD-C2はバランスを崩す。そこへ翼は蒼ノ一閃を放ち、右脚部の関節部を両断する。

 

「今だ!雪音ッ!」

 

クリス

「任せろッ!」

 

バランス崩されたレギオノイド DD-C2は両腕を支えにして倒れるのを免れたが、そこへスナイパーライフルを構えたクリスのRED HOT BLAZEで動力源を撃ち抜かれて爆発する。

 

レギオノイド DD-C3

『スーエ兄さんッ!?ビー兄さんッ!?チキショーッ!テメェだけでも道連れだッ!!』

 

コンパチブルカイザー

「悪いが遠慮させてもらうぜ!オーバー・ビームッ!続けて、スパイラルナックルッ!!」

 

隊長機と2番機がやられたのを見たレギオノイド DD-C3は自棄になり、コンパチブルカイザーへ突っ込む。そこに額のクリスタルから撃ち出す〈オーバー・ビーム〉で胸部装甲が脆くなり、そこへ〈スパイラルナックル*1〉が直撃して貫かれて爆発。ウルトラマン達は勝利を収める。すると撃破した3機のレギオノイド DD-Cから3の影が飛び出る。

 

ダダ

「チキショー!覚えてろッ!!」

 

ダダ(B)

「この借りは必ず返してやるッ!」

 

ダダ(C)

「くそ~ッ!今回の報酬で新しいガンポッドを購入しようと思ってたのに・・・」

 

捨て台詞を残して現場から離脱する〔三面怪人 ダダ〕達を見届けて東京スカイタワーでの戦闘は終わった。

 

第20話END

*1
ロケットパンチと同じ。




次回「歪鏡の戦姫」


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第21話「歪鏡の戦姫」

お待たせしました。今回は2話同時投稿です。


‐とある山中‐

 

東京スカイタワーで戦闘がまだ行われている頃、F.I.S.が潜伏する山中で調と切歌は留守をしていた時、ナックル星人が率いた別動隊と〔ブラックキングドリルカスタム〕に攻撃を受けるが。

 

ゾフィー

「シュワッ!」

 

ブラックキングドリルカスタム

「グオォォォッ!?」

 

ナックル星人

「ブ、ブラックキングッ!?クソッたれッ!何処まで俺の邪魔すんだッ!テメェらはッ!!」

 

???

「さて、部下は倒した。後はお前だけだ。」

 

ナックル星人

「おのれディケイドォォォォォォッ!!!」

 

ナックル星人の別動隊が来るのを張り込んでいたゾフィーと仮面ライダーディケイドにブラックキングドリルカスタムと部下を倒されてイラ立ったナックル星人は叫びながらディケイドに銃口を向けて光線を乱射する。

 

ディケイド

「早々に当たりはしないが、後ろに流れ弾が当たると危険だな。」

 

『ATTACK RIDE:BLAST』

 

ディケイドは1枚のカードを取り出してディケイドライバーにセットすると音声が鳴る。するとガンモードのライドブッカーの銃身が分裂すると同時に光線を発射。乱射された光線を撃ち落とす。

 

ナックル星人

「なッ!?」

 

ディケイド

「これで止めだ。」

 

『FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE』

 

ナックル星人

「くッ、来るなッ!来るな来るな来るなッ!!!」

 

ディケイド

「ハァァァーーーッ!」

 

ナックル星人

「ガアァァァーーーッ!!?」

 

そう言って別のカードをドライバーにセットして音声が鳴るとナックル星人との間にカードがズラリと並ぶと同時にディケイドは真上に跳躍。するとカードもナックル星人目に掛けて斜め一直線に並び、飛び蹴りの体制に入ったディケイドは人差し指だけを立てて手を額の前でクロスさせてカードに引かれる様にナックル星人に目掛け一直線に降下。

ナックル星人は迎撃するがカードの中を通り過ぎながら蓄えたエネルギーによって防がれ、ディケイドの〈ディメンションキック〉が直撃と同時に円状のバーコードが刻印されたナックル星人は断末魔を上げて大爆発する。

 

ディケイド

「(周囲に他の敵はいないな。)帰るぞ、ソフィー。」

 

ゾフィー

「えぇ、そろそろ向こうも戦闘は終わってる頃ね。」

 

ディケイド

「あぁ、アイツらと合流したら二課と今後について協力しないとな。」

 

調・切歌

「あ、あの!」

 

ゾフィー・ディケイド

「(ん)?」

 

ゾフィーとディケイドがその場を離脱しようとした時、調と切歌に声を掛けられる。

 

調・切歌

「助けてくれてありがとう(デス)。」

 

ディケイド

「あぁ、別に大した事じゃない。」

 

ゾフィー

「いつもやってる事だから気にしないで。それじゃあね。」

 

そう言ってゾフィーはディケイドが開いた銀色の幕、オーロラカーテンに2人は入ってその場から消える。その後、未来を連れて無事脱出したマリア達と遅れて合流したウェル博士は日本近域の海中深くに、古代の超常術式によって封印されたフロンティアを浮上させる為に向かう。

 

‐数時間後 二課仮設本部・ブリッジ‐

 

東京スカイタワーでの戦闘後に変身解除した真は未来を捜索しようとするが、現場へ駆け付けた了子と医療班が作った特製の麻酔薬を撃ち込まれて眠りに落ち、そのまま仮設本部のメディカルルームへ運ばれた。そして響達も仮設本部へ帰投。

現場では弦十郎と緒川率いる二課のエージェント達が調査と未来の捜索が行われた結果でF.I.S.とアメリカ政府の交渉決裂。少し離れた場所で未来の端末を発見。弦十郎達は仮設本部に帰投後、響達に未来の生存(拉致された事)を伝えた。

 

「良かった・・・未来は、生きてた・・・ッ!」

 

「良かったな、響。」

 

「あぁ、本当に良かった。」

 

クリス

「んで、コイツ等は誰なんだ?おっさん。」

 

そう言ってクリスが視線を向けた先には旅人風の銀髪の女性にカメラマン風の男性、ロボット?と女海賊が仮設本部のブリッジにいた。

 

弦十郎

「あぁ、彼らは我々の協力者だ。」

 

ソフィー

「初めまして、私はソフィー・サコミズ。例の黒いウルトラマンって言えば分かるかな?」

 

ソフィーの発言に響達は驚く間にも自己紹介が続く。

 

セカイ

「門矢セカイだ。」

 

ロア

「俺はファイター・ロア!あの時に戦ってたロボットって言えば分かるかな?」

 

マーベラス

「私はキャプテン・マーベラス。宇宙海賊だ。」

 

一通り自己紹介は終わるとソフィーは弦十郎の近くに立ち、軽く頭を下げる。

 

ソフィー

「風鳴司令、まずは弟分の真がお世話になりました。本当にありがとうございます。」

 

弦十郎

「いえ、我々も彼には・・・真君にはお世話になっております。」

 

「あの、真さんの事を知っているんですか?」

 

お互い握手をして真の事を言う2人。そこで響は真の事を知っているソフィーにそう聞く。それには翼達も頷く。

 

ソフィー

「君は響ちゃんだね。真が危なっかしくて目を離せないって。」

 

「あ、アハハハ・・・あれ?名前言いましたっけ?」

 

ソフィー

「真の記憶を見て知ったの。ツバイウィングの翼さんに奏さん、クリスちゃん。そしてこの場にいない未来ちゃんとこの世界で楽しく過ごしている記憶をね。」

 

セカイ

「ソフィー、そろそろ話をするぞ。」

 

ソフィー

「あぁ、ごめんね。それじゃあ今回の戦いでお互いが把握している事を改めて確認しようか。」

 

それから二課とコンパチヒーローズは話し合う。事の発端はアメリカ政府が隠蔽した超巨大彗星ツイフォンの地球衝突。それにF.I.S.は人々を可能な限り救い出す為に行動を起こす。しかしアメリカ政府は外星人の傭兵部隊で始末しようとしている事。

二課はアメリカ政府が絡んでいる事は知っていたが、外星人の傭兵部隊を雇っていた事に関しては驚くと同時に機密を知ったF.I.S.の抹殺にアメリカ政府が本気である事を実感する。

 

「それじゃあ未来もッ!」

 

マーベラス

「移動拠点ごと始末されるか、宇宙の何処かに売り飛ばされるかだね。」

 

クリス

「んだとッ!?」

 

「ではこのままでは小日向はッ!」

 

「ならすぐに向かわねえとヤバイじゃないかッ!」

 

マーベラスの言葉に響達は慌てるが、それを弦十郎が手を上げて落ち着かせる。

 

弦十郎

「落ち着け。確かに今すぐにでも向かいたいがそうもいかない。」

 

ロア

「そうだぜ。相手には外星人の傭兵部隊がいる。」

 

セカイ

「それに相手は超一流の殺し屋でもある。今までの連中とは各が違う。下手すれば一瞬で殺れるぞ。」

 

セカイにそう言われた響達は思い当たるところを突かれて少し俯く。

 

弦十郎

「焦っていい事なんてない。だが何もしない俺達じゃない!そこでソフィー君達からの提案を飲む事にしたッ!」

 

セカイ

「俺達がお前達を鍛えるって事だ。」

 

こうして響達はコンパチヒーローズの指導の下で特訓する事になり、弦十郎達は決戦の準備を進めるで話が終わると同時に医療班から真が目覚めたとの連絡が入り、それを聞いたソフィーは(眼が笑っていない)笑顔で。

 

ソフィー

「少し真と話をしてくるね。」

 

っと言ってメディカルルームへ向かった。それを見た響達は少し心配になるが、セカイ達の特訓メニューの説明を受ける事になる。

 

‐メディカルルーム‐

 

響達がの説明を受ける中、ソフィーは真をメディカルカプセルの上で正座をさせて説教をしていた。

 

ソフィー

「真、私言ったよね?休みなさいって。」

 

「は、はい・・・」

 

ソフィー

「それにあの時私が言った事忘れたの?後3回以上変身したら命がない事分かってるのッ!」

 

「分かってる・・・でもノイズを放置するのも、響や未来の身を―――「それをやったら悲しむ子達や私達がいる事を忘れたの?」・・・」

 

そう言われた真は顔を俯く。それを見たソフィーは溜息をつく。

 

ソフィー

「兎に角本当に今は大人しく療養に専念しなさい。」

 

「・・・それでも時と場合によっては姉さんの言い付けを破ってでも俺は変身するよ。」

 

そう言って俯いた顔を上げた真の覚悟と決意の眼を見たソフィーは手を顔に当ててまた溜息をつく。

 

ソフィー

「・・・分かったわ。これ以上は止はしないけど、新しい命が完成するまでは絶対に死なない事。いいね?」

 

「ごめん、ソフィー姉さん。そしてありがとう。」

 

そう話した後、真の首筋に手刀を入れて強制的に寝かせたソフィーはセカイ達と一緒に響達を鍛えていく日々が始まると同時に決戦の時が迫る。

 

‐数日後 日本近域の海上‐

 

ソフィー達の特訓によって鍛えられた響達は外星人と戦える様になって数日。一同は未来の救出とF.I.S.の身柄を確保する為に作戦を練ろうとした時、在日アメリカ海軍から応援要請が入る。メインモニターで状況を確認すると、ノイズによる襲撃を受けていた。そして響と真を除いたシンフォギア装者とコンパチヒーローズは出撃準備に入る。

その時、1ヵ月前に各国が打ち上げた監視衛星が地球へ再襲来するドラコの大群を捉えたとの情報が二課にも通達された。これに対処する為にゴーカイジャー以外のコンパチヒーローズは宙へ向かう。

 

‐数十分後 アメリカ大型空母・甲板‐

 

翼達とゴーカイジャーが大型空母の甲板へ乗り移るとそこではシンフォギアを纏った調と切歌がエースキラーの傭兵部隊に襲われていた。それに翼達とゴーカイジャーは助けに入り、2人と協力して戦っていたその時。

 

Rei shen shou jing rei zizzl(鏡に映る、光も闇も何もかも)

 

上空から歌が響くと同時に無数の紫色の光線が両陣営に襲い掛かる。

 

外星人傭兵部隊

「グアァァァッ!!?」

 

ゴーカイレッド

「ッ!?全員避けろッ!」

 

この攻撃で外星人傭兵部隊は大半を失い、翼達は寸前で回避が間に合って事無きを得た。そして両陣営は上空を見上げるとそこには1つの人影がゆっくりと甲板へ降り立つ。

 

「嘘だろ・・・」

 

「小日向が・・・」

 

クリス

「何でそんな格好してんだよッ!?」

 

翼達の前に現れたのは神獣鏡(シェンショウジン)を纏い、歪鏡の戦姫と化した未来であった。その姿に翼達は驚愕し、彼女達の疑問に調が答える。

 

調

「あの装者は、LINKERに無理やり仕立てられた消耗品。私達以上に急ごしらえな分、壊れやすい・・・」

 

その事実に翼達が驚いている時、高速移動で接近したエースキラーに未来は蹴り飛ばされて倒れる。そこへ生き残った外星人傭兵部隊が集中攻撃を行う。それを見た翼達は未来を助ける為に駆け出す。ゴーカイジャーもその後に続こうとするが、その前にネペンテス星人が立ち塞がり、背中にある蕾状の器官から無数の触手を伸ばしてゴーカイジャーを襲う。

 

ネペンテス星人

「貴女方のお相手は私ですッ!」

 

ゴーカイレッド

「チッ!」

 

ゴーカイジャーがネペンテス星人と戦闘を行っている頃、翼達は外星人傭兵部隊と戦いながら未来を助け様とするがウェル博士の仕掛けでシンフォギアを外すことが出来ず、操られた未来は活動再開して三つ巴の戦いへ発展する。

 

クリス

「このッ!」

 

エースキラー

「当たらねぇよ。」

 

クリス

「ガッ!?」

 

「クリスッ!グウッ!!」

 

ウヴェルヴ星人

「・・・・・・」

 

クリスはガトリングでエースキラーを攻撃するも避けられて蹴り飛ばされ、奏はウヴェルヴ星人の拳を槍の腹で防ぐが吹き飛ばされる。

 

「目を覚ませッ!小日向ッ!!」

 

未来

「・・・・・・」

 

未来と対峙する翼は何とか無力化しようとするが神獣鏡の特性である凶祓いの攻撃で接近できずにいた。更に外星人傭兵部隊の銃撃が襲う。一方で調と切歌は自分の身を守るので手一杯であった。そして未来を除いた装者達は追い詰められていき、未来の光線と外星人傭兵部隊の銃撃が調と切歌に迫る。

 

調・切歌

「ッ!?」

 

2人はそれに気付くが防御も回避も間に合わず直撃と同時に爆発する。しかし痛みや身を焼かれる感覚が無い事に不思議に思った2人は眼を開けるとそこには防御姿勢のウルトラマンが立っていた。

 

ウルトラマン

「ぐうッ!」

 

多少よろけるもボロボロの身体に鞭を打つがバランスが保てずに膝を付きそうになったその時、ウルトラマンはシンフォギアを纏った響に支えられる。

 

「大丈夫ですか?真さん。」

 

ウルトラマン

「あぁ、まだ戦えるさ。」

 

エースキラー

「死に掛けが2人か。地球人のガキは良いとして、ウルトラマンに邪魔されたくわねぇな。」

 

そう言ってエースキラーはウルトラマン達の方へと近付く。

 

ウルトラマン

「響は未来を頼む。俺がアイツを倒して駆け付けるまで無茶はするなよ。」

 

「それは、お互い様ですよ。」

 

そう話した後、響はウェル博士から未来を助ける為に。ウルトラマンは自身を排除しようとするエースキラーに立ち向かう。エースキラーとウルトラマンの距離がある程度縮まった瞬間に両者は接近して近接戦を繰り広げる。

 

エースキラー

「マジか!死に掛けの癖にこんなに動けるのかよ。でも身体が悲鳴の絶叫を上げてるぜッ!!」

 

ウルトラマン

「ぐがッ!?」

 

エースキラー

「そらそらどうしたッ!段々と動きが鈍くなってるぞッ!!」

 

ウルトラマン

「~~~ッ!」

 

腹部に深く入った飛び膝蹴りにビームガンを至近距離で数十発撃たれる。互いに距離が離れた時、エースキラーは素早い動きで手持ちのY字アックスで切り刻む。ウルトラマンは防戦一方となる。

 

ウルトラマン

「グウ・・・」

 

エースキラー

「そんじゃ、永眠しな。」

 

最早立っているのがやっとウルトラマンにY字アックスが右胸部を貫く。貫かれたウルトラマンは前のめりにぐったりとする。勝利を確信したエースキラーはY字アックスを抜こうとした時、右腕を掴まれる。

 

エースキラー

「ッ!こいつまだ「漸く足を止めたなッ!」なッ!?」

 

ウルトラマンはエースキラーの右腕を掴んだ左腕に右腕を交差して零距離スペシウム光線を放つ。直撃したエースキラーは上半身を吹き飛ばされて絶命する。それを見たウルトラマンは肩で息をしながら響と未来の方を向く。

エースキラーとの決着がついた頃、響はガングニールの浸食に蝕まれながらも未来を助け出そうとするがウェル博士がギアに組み込んだ装置で意識を支配されており、中々助けられずにいた。

 

「く・・・ッ!未来ッ!!」

 

未来

「・・・・・・」

 

ウェル博士

『無駄無駄無駄無駄ァーーーッ!君やウルトラマンを想う気持ちと僕の装置で動く彼女には君の声は届かないッ!!』

 

通信越しのウェル博士の言葉と同時にアームドギアの扇を鏡のように展開し、〈閃光〉を放つ。複数のビームが響を襲う。響は回避しようとするが浸食の痛みで動きが鈍り直撃する瞬間を駆け付けたウルトラマンが助ける。

 

ウェル博士

『キィィィィィィッ!後一歩のところをッ!でも丁度いい、貴方諸共消して僕が真の英雄になれるのですからッ!!それに貴方は彼女を傷付けられませんからねッ!!!』

 

ウルトラマン

「・・・(あの外道博士、未来の想いを利用して血も涙もない存在にした事、絶対に許さんッ!!!)」

 

そして響を抱き抱えながら飛翔するウルトラマンに未来は大量のミラーデバイスを生成し、〈混沌〉のオールレンジ攻撃を行う。ウルトラマンは回避しながら接近するが何発かは被弾して力が徐々に抜けていく。

 

ウルトラマン

「くッ!」

 

「真さんッ!」

 

ウルトラマン

「大丈夫だ、このまま接近するぞッ!」

 

ウェル博士

『ハハハハハッ!真正面から来るなんて、当ててくださいって言ってる様なものですよッ!!』

 

その言葉と同時に未来は脚部装甲から円形のミラーパネルを形成し、腕から伸びるケーブルと接続して極太の破壊ビーム〈流星〉を放射する。それにウルトラマンはベーターカプセルを点火し、知覚不能なレベルの超高速移動でプランクブレーンのゲートを開き、高速で回転しながら流星を突破する。その際に頭部の変身が解ける。

 

ウェル博士

『な、何ィィィーーーーーーッ!!!?』

 

ウルトラマン

「行けッ!響ッ!!顔のバイザーと後ろの制御装置を破壊して未来を取り戻せッ!!!」

 

「はいッ!オリャアアアァァァーーーーーーッ!!!」

 

飛び掛かった響は未来に組み付き、バイザーと後頭部の制御装置を破壊しようとするが未来は抵抗して扇で響を弾き飛ばそうとするがウルトラマンのスラッシュ光線で弾かれる。その一瞬で響はバイザーと制御装置を破壊。

それと同時に未来は意識を失って響と一緒に落下。ウルトラマンはすぐに2人を回収しようと接近した時、戦闘中にエアキャリアが展開したシャトルマーカーが拡散した流星を収束し、極太ビームとなって響達を呑み込む。

 

ウルトラマン

「響ッ!!!未来ッ!!!?」

 

それを見たウルトラマンは近付こうとした時、響達を呑み込だ極太ビームが海面に着弾すると海底から白い光の柱が宇宙へと昇ると同時に先史文明期の地球に訪れたアヌンナキが残した巨大な星間航行船フロンティアが浮上する。

 

第21話END




次回「撃槍の少女」


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第22話「撃槍の少女」

先に謝っておきます。詰め込み過ぎて話が長くなってます。すんません。


巨大星間航行船フロンティアが浮上後、ウルトラマンは極太ビームに吞み込まれた響達の救助に向かい、大型空母の甲板上でも決着が付こうとしていた。

 

ゴーカイジャー

「レンジャーキー!セットッ!」

 

ゴーカイブルー達がゴーカイガレオンバスターへ4本のレンジャーキーを横から挿入し、ゴーカイレッドも後部のシリンダーに自身のレンジャーキーを挿入。ゴーカイシルバーも同様にゴーカイスピアの穂先、ゴーカイシリンダーに自身のレンジャーキーを挿入と同時に回し、必殺技を放つ。

 

『ファイナルウェーブッ!』

 

ゴーカイジャー達

「ライジングストライク(ゴーカイシューティングスター)ッ!」

 

ネペンテス星人

「グアァァァーーーッ!」

 

2つの必殺技にネペンテス星人が敗れるのと同時に奏達もウヴェルヴ星人を倒した。リーダーと幹部を失った生き残りの外星人傭兵部隊は武装解除して降伏。そして調と切歌もシンフォギアを解除して投降。両者達の身柄を確保する。

その間に響と未来を助けたウルトラマンは二課の医療班に運ばれる。変身解除した真も向かう時、海面に光る何かを見た真はウルトラ念力で回収するとそれはスラッシュ光線で弾き飛ばした神獣鏡の扇型アームドギアであった。

 

「・・・・・・」

 

神獣鏡のアームドギアを真は暫く見詰めた後、プランクブレーンの中に仕舞ってメディカルルームへ向かう。それから2時間後、先の戦いで負傷した響達シンフォギア装者と真は回復後、調と切歌からマリア達の救助要請を二課は受ける。余りの即決に2人は戸惑うものの、涙を流しながら感謝する。そして二課はマリア達の救助とウェル博士の身柄拘束の為にフロンティアへ向かう。

 

‐火星宙域‐

 

真達がフロンティアへ向かっている時、ゴーカイジャーを除いたコンパチヒーローズは火星沖でドラコにワインレッドに近い体色をし、昆虫の様な口の部分が特徴的なパワードドラコの大群と激戦を繰り広げていた。

 

コンパチブルカイザー

「カイザー・ブーメランッ!」

 

ディケイドフォーゼ

「ライダーロケットパンチッ!」

 

ゾフィー

「Z光線ッ!」

 

コンパチブルカイザーが両肩のウイング状のパーツを連結して放つカイザー・ブーメランがドラコやパワードドラコを複数斬り裂き、フォーゼにカメンライドしたディケイドのライダーロケットパンチが1匹を殴り飛ばして他の個体を巻き込む。そしてゾフィーの合わせた手の先から発射する、稲妻状のZ光線も複数を撃ち落とす。

 

コンパチブルカイザー

「くッ、倒しても倒しても全然減った気がしねぇッ!」

 

ディケイドフォーゼ

「ボヤく暇があるなら1匹でも多く倒せッ!!」

 

ゾフィー

「えぇ、これ程の数を地球に近付かせる訳にはいかないッ!」

 

攻撃を続けながらドラコやパワードドラコの大群を倒していく3人。既に5時間に渡る戦闘を行っており、物量が全く衰えないドラコの大群も合わせて精神が徐々に削られ、肉体にも疲労が蓄積していく。それでも奮闘していたその時、巨大な気配をゾフィー達は察知すると同時にその姿を現す。

 

コンパチブルカイザー

「このエネルギー量はまさかッ!?」

 

ディケイドフォーゼ

「成程、あれがッ!」

 

ゾフィー

「超巨大怪彗星ツイフォンッ!」

 

ゾフィー達がいる位置から離れた場所に現れた不気味に赤く輝く超巨大怪彗星ツイフォンが通過していく。それを見た3人はツイフォンへ向かおうとするが、ドラコの大群によって阻まれて進行を許してしまう。ゾフィーは即座にウルトラサインを飛ばす。

 

‐同時刻 地球・二課仮設本部‐

 

その頃、地球ではフロンティアへ向かう途中の二課は新たな在日アメリカ艦隊を確認して上陸を急ごうとした時、突然海底が隆起。二課仮設本部は浮上するフロンティアの大地が直下から迫り、乗り上げる。

 

「これは一体・・・」

 

了子

「ネフィリムね。ウェルはネフィリムにフロンティアの動力炉を取り込ませてフロンティアを完全制御して端末から月遺跡を遠隔操作。月遺跡から照射されたアンカーで浮上させたみたいね。」

 

マーベラス

「ならフロンティアの施設に乗り込んであの英雄狂を捕まえないとな。その後にもやらなきゃいけない事もある。」

 

弦十郎

「あぁ。ツイフォンもそうだが、今は目前の事態を終息させる!翼達はゴーカイジャーと先行してナスターシャ博士達を確保、その後に緒川と俺はウェル博士の拘束に向かうッ!」

 

あおい

「ッ!司令ッ!本艦に未知の通知が入りましたッ!」

 

朔也

「メインモニターに出しますッ!」

 

そして響を除いた翼達とゴーカイジャーは先行で出撃を行おうとした時、未知の通知が入る。朔也がメインモニターにその通知を表示すると何かのサインが映し出される。

 

「これはウルトラサインだ!しかもソフィー姉さんのッ!」

 

未来

「ウルトラサイン?」

 

マーベラス

「ウルトラマン同士の通信手段だ。アタシはある程度しか読めないけど、ウルトラマンの彼なら完全に読める。それでソフィーは何て連絡した?」

 

「ツイフォンが火星沖を通過。進行阻止を行うがドラコの大群に阻まれ失敗。注意されたし・・・」

 

それを聞いた指令室の全員が息を呑む。自分達に残された時間は無い事を突き付けられる。そして響は一緒に同行すると言う。更に戦力が必要との事で真は調と切歌にも手伝って欲しいと頼む。

 

弦十郎

「ギアの無い響君を戦わせる気は無いぞ。」

 

「戦いじゃありません。人助けですッ!」

 

弦十郎

「減らず口の上手い映画は見せた覚えはないぞ!」

 

未来

「行かせてください。人助けは一番響らしいですから。」

 

了子

「確かに響ちゃんらしいわね。行かせて上げたら?弦十郎君。」

 

未来と了子にそう言われた弦十郎はやれやれとして帰投したらお灸をすえる事で許可する。

 

調

「捕虜に出撃要請何て・・・」

 

切歌

「考えられないデス。」

 

「こっちは人手不足でな。猫の手も借りたいんだ。それに君達はあのクソ博士を除いた仲間を助けたいんだろ。なら目的は一緒だ。大人の俺を信用できないだろうけど。」

 

そう言った真に調と切歌は顔を横に振る。

 

調

「確かに大人は信用できない。でも・・・」

 

切歌

「セレナとアタシ達を救ってくれたウルトラマンとその仲間なら信用できるデス!」

 

「ありがとう・・・ッ!」

 

こうして調と切歌の協力を得た二課とコンパチヒーローズはマリア達の救出とウェル博士の拘束する為に出撃準備に取り掛かる。その最中に真は幾つかある休憩室の1つで未来にある物を渡す。

 

未来

「真さん、これって・・・」

 

「その力をどう使うかは未来次第だよ。よく考えてくれ。」

 

「真さーん!準備が出来ました!行きましょうッ!」

 

「分かった、すぐに行くッ!それじゃあ行って来るな。」

 

ヘルメットを被った真は艦首のハッチへと向かう。それを見送る未来は真から渡されたペンダントを強く握る。

 

‐フロンティア‐

 

二課仮設本部から出撃した真達はフロンティアの施設へと向かう途中でノイズが出現し、行く手を阻む。

 

ゴーカイレッド

「ここはアタシ達が相手をする。アンタ達は先に進みなッ!」

 

「了解ッ!」

 

ゴーカイジャーは道を阻むノイズを倒して道を開き、真達は突き進む。

 

‐ブリッジ‐

 

マリア

「調、切歌ッ!良かった・・・」

 

一方ブリッジからその様子をミニターで見ていたマリアは調と切歌の無事な姿を見てホッとする。逆にウェル博士は頭を掻きながら憎悪が籠った眼差しを向けていた。

 

ウェル博士

「ウルトラマンウルトラマンウルトラマンッ!!!死に体の癖にッ!英雄となる僕の邪魔をするかッ!!こうなったら・・・ッ!!!」

 

マリア

「ドクター!何をするのッ!?」

 

ネフィリムの細胞を打ち込んだ左腕でフロンティアの操作を始めたウェル博士にマリアは叫ぶ。それにウェル博士は悪い笑みを浮かべて言う。

 

ウェル博士

「なぁに、ちょっと防衛システムの起動と僕の可愛いネフィリムの力でおもてなしするだけですよッ!この地球のラストアクションヒーローはこの僕だァァァアアアッ!!!

 

‐真side‐

 

ゴーカイジャーの援護でノイズの大群を突破した俺達は特に増援のノイズに妨害される事なくフロンティア内部へ突入する瞬間、真下から嫌な気配を感じ取る。

 

「総員散開ッ!真下から何か来るぞッ!!」

 

響達

「ッ!」

 

全員が散開した次の瞬間に多数のドロイドが現れ、周囲にはセントリーガンが展開される。あのクソ博士がフロンティアの防衛システムを起動させたか!

 

調

「ここは私達が相手をする。」

 

切歌

「早く行くデスッ!」

 

「君達ッ!?」

 

「ならアタシも残るぜ。人数は多い方がいいだろッ!」

 

「なら私達も行くぞ、雪音ッ!」

 

クリス

「先輩の頼みじゃ仕方ねぇな。おいバカ、真兄ちゃんを頼んだぞ。」

 

「分かった!任せてクリスちゃんッ!」

 

「(人の事は言えないが、そこは響じゃないのか?)乗れ響!一気に突入するぞッ!」

 

バイクの後ろに響を乗せてアクセルを限界まで回して加速し、フロンティア内部に突入すると同時に背後から戦闘音が鳴り響くが振り返らずに突き進む。

 

‐真side END‐

 

‐フロンティア・制御室‐

 

ナスターシャ博士

「加速するドクターの欲望、手遅れになる前に私の信じる異端技術で!」

 

セレナ

「マム!調ちゃんと切歌ちゃんがッ!」

 

セレナの叫びにナスターシャ博士はモニターを見ると多数のドロイドとセントリーガンに戦う調と切歌や翼達が、別のモニターには激しい銃撃に身動きが取れない真と響の姿があった。

 

ナスターシャ博士

「いけないッ!セレナ、貴女はウルトラマンの元へ行きなさい。私はここで解析をして月遺跡にアクセスしてツイフォンの迎撃準備を行います。」

 

セレナ

「でもドクターが何か仕掛けてきたらマムは・・・」

 

ナスターシャ博士

「それでも彼を失う訳にはいきません。行きなさいセレナ。あの日、貴女の命を救った恩人の元に・・・」

 

その言葉を聞いたセレナは少し俯いてから意を決して制御室から走っていく。それを見送ったナスターシャ博士は解析を進めらながらブリッジの様子をモニターに映してウェル博士が止め様とするマリアを打って退室したタイミングで通信を繋ぐ。

 

ナスターシャ博士

「マリア、聞こえますか?」

 

マリア

『マム?』

 

ナスターシャ博士

「フロンティアの情報を解析してツイフォンの衝突を止められるかもしれない手立てを見付けました。最後に残された希望・・・それには貴女の歌が必要です!」

 

マリア

『私の、歌・・・』

 

‐通路‐

 

一方でブリッジへ目指す真達は途中の通路で防衛システムに阻まれ、2人は遮蔽に隠れて真はコスモブラスターで応戦していた。

 

「クソ、何が何でも通らせたくない様だなッ!グァッ!?

 

「真さんッ!?」

 

しかし手数が足りず、遂に光弾が直撃して負傷する。その間にドロイドは接近して2人を排除しようと接近。真は身体に鞭を打ち、響を後ろに隠して銃口を向けたその時!

 

セレナ

「させませんッ!」

 

シンフォギアを纏ったセレナが放った複数の短剣型ビットがドロイドとセントリーガンを斬り裂く。

 

「貴女は!」

 

セレナ

「ブリッジはこちらです。先導します付いて来て下さいッ!」

 

「分かったッ!」

 

真達と合流したセレナは2人を連れてブリッジへ向かう。

 

「さっきは助かった。ありがとう。」

 

セレナ

「いえ、ウルトラマン「名前で良い。」真さんには昔助けられましたから。今度は私が助ける番ですッ!」

 

そして通路を塞ごうとするドロイドとセントリーガンをセレナが倒しながら真達はブリッジへ急ぐ。

 

‐ゴーカイジャー&シンフォギア装者+オマケside‐

 

ドロイドとセントリーガンを相手をしていた翼達。そこへノイズを倒したゴーカイジャーが合流して残りを倒そうとした時、周囲が赤い景色に一変する。

 

「何だこりゃあッ!?」

 

クリス

「いきなり真っ赤になったぞッ!?」

 

「これは一体・・・まさかッ!」

 

ゴーカイレッド

「そのまさかさ。」

 

切歌

「調、あれって・・・」

 

調

「超巨大彗星ツイフォン・・・」

 

彼女達の上空に禍々しく巨大な怪彗星、ツイフォンが遂に姿を現した。そして遠くから戦いを見ていたウェル博士は・・・

 

ウェル博士

「遂に来たかツイフォン・・・この天災から地球を救うのはシンフォギアでもウルトラマンでもないッ!!真の英雄となる僕が救うのさッ!!!」

 

我が世の春の到来にウェル博士は狂笑の声を上げながらその場を去る。

 

‐フロンティア・ブリッジ‐

 

世界中がツイフォンの出現に混乱している中、マリアは世界各地に中継してここまでの経緯を話した。アメリカの国家安全保障局とパヴァリアの光明結社、外星人によって隠蔽された超巨大彗星ツイフォンの地球衝突。そして政界、財界の一角を占有する特権階級が外星人から購入した宇宙船(中古)で脱出を図る等を話した。

 

マリア

「全てを偽ってきた私の言葉が、どれほど届くか自信はない。だが、歌が力になるというこの事実だけは信じてほしいッ!」

 

そしてシンフォギアを纏ったマリアは地球を救う為に歌う。しかし月遺跡の起動には至らず、沈黙したままであった。

 

マリア

「私の歌は、誰の命も救えないの・・・ッ!」

 

膝を突き、四つん這いになったマリアは涙を流す。そしてナスターシャ博士の激励で何とか立ち上がってもう一度歌う時、丁度戻って来たウェル博士に妨害される。

 

マリア

「ぐぁッ!?」

 

ウェル博士

バカチンがッ!!すぐツイフォンを迎撃したら好き勝手出来ないだろうがッ!!!」

 

ナスターシャ博士

『マリア!?』

 

ウェル博士

「あぁ?やっぱりオバハンか。」

 

ナスターシャ博士

『お聞きなさいドクターウェル。フロンティアの機能を使って収束したフォニックゲインを月へと照射し、月遺跡を再起動できれば「あぁうるさいですね!フロンティアを手に入れた以上、もうアンタ達は用済みなんだよッ!そんなに遺跡を動かしたいのなら、月に行ってくればいいだろッ!!」ッ!?』

 

ウェル博士がそう叫ぶと同時に左手を端末に叩きつけ、ナスターシャ博士がいる制御室の打ち上げ装置を作動させる直前!

 

ドカアァァァーーーン

 

ウェル博士

「いぃぃぃッ!?」

 

マリア

「な、何ッ!?」

 

突如ブリッジの入口が爆発し、2人の意識がそちらへ向いた瞬間に煙の中から放たれた1発の光弾がウェル博士の左腕に直撃すると一瞬に凍結する。

 

ウェル博士

「グアァァァーーーッ!僕の、僕の左腕がァァァアァァァーーーッ!!?」

 

「安心しろ、フリーズカートリッジの威力は調整済みだ。下手に動かさない限り捥げはしない。」

 

そう言って姿を現した真を先頭に響達がブリッジへ入る。

 

ウェル博士

「う、ウルトラマンッ!?」

 

「ウェル博士、無駄な抵抗を辞めて投降しろ!」

 

ウェル博士

「誰が貴様にッ!?」

 

セレナ

「させませんッ!」

 

そう言ってウェル博士は傍に置いてあるソロモンの杖を取ろうとするがそれよりも早く飛んできた短剣に遠くへ弾き飛ばされた。

 

「もう一度言う。ウェル博士、無駄な抵抗を辞めて投降しろッ!」

 

ウェル博士

「まだだ、まだ終われないッ!貴様に敗れるくらいならァァァアァァァーーーッ!!!」

 

「何ッ!?」

 

ウェル博士が叫んだ時、凍結した筈の左腕が一瞬で解凍。真達が驚いている隙に端末を操作。すると天井から多数のセントリーガンが現れ、その銃口をマリアへと向ける。

 

マリア

「ッ!?」

 

「貴様ッ!!」

 

ウェル博士

「貴様が英雄なら、危機に瀕した者を助けねといけないよなッ!!!」

 

そして放たれた大量の光線がマリアに迫る。真はすぐに傍へ駆け寄り、自身を盾にして光線からマリアを守る。

 

「グアァァァーーーッ!」

 

マリア

「神永真ッ!!」

 

一斉射で放たれた光線を全て受けて倒れた真。その際にヘルメットの金具が破損して脱げ落ちる。マリアは駆け寄り、抱き起す。尚この瞬間にウルトラマンの正体が世界中に露呈する。

 

ウェル博士

「ハハハハハッ!やった!やったぞッ!あのウルトラマンを倒したッ!!!これで僕は英雄だーーーッ!!ハハハハハッ!!!」

 

「いいえ、貴方は英雄なんかじゃありませんッ!」

 

ウェル博士

「何ィッ!?」

 

セレナ

「彼女の言う通りです。襲って来たアメリカ兵は兎も角、貴方はマリア姉さんと私達のマムやここに来るまで無関係な者達を巻き込むんで害を与えるような貴方が英雄ではありませんッ!」

 

ウェル博士

うるさぁぁぁあぁぁいッ!有史以来、多くの犠牲の上で成り立った数多の英雄が人類支配を成し得なかったのは人の数が多過ぎてその手に余るからだ!だったら僕の邪魔をする者達を含めて支配と管理可能なまでに減らせばいいッ!これはコラテラルダメージダ、必要な犠牲だッ!!

英雄に憧れる僕だからこそ気づいた人類救済の必勝法ッ!!もはやフロンティアは僕の命令じゃないと動かせない!お前らが何をしようが、もうこの地球を救えるのは、英雄たるこの僕だけなんだぁッ!!!」

 

響とセレナの指摘にウェル博士は怒鳴り散らし、犠牲を厭わない内容は全て世界中に聞かれている時点で途絶えている。

 

「それでも諦めません!最後まで私は、私達は未来へ突き進んで行きますッ!!Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失へのカウントダウン)

 

そう響が言い切ると同時に聖詠を歌う。するとマリアが纏っていたガングニールが強制解除され、その光は響を包み込む。そして光が弾け飛ぶと同時にシンフォギアを纏った響の姿があった。これにはマリアとセレナ、ウェル博士は驚愕する。

 

ウェル博士

「バカな・・・融合者のお前は適合者じゃないはずッ!なのにどうしてシンフォギアを纏えるんだッ!?「驚いてる・・・みたいだな。」ッ!!?」

 

「その眼でよく見ておけ、彼女にしかない誰かと手を繋ぐ力が起こした奇跡だッ!」

 

マリアに支えられながら立ち上がった真とシンフォギアを纏った響とセレナに包囲される前にウェル博士は逃走。途中で階段から滑り落ちて地面に倒れる。それと同時にブリッジへ弦十郎達が駆け付けるが一足遅く、床に穴を開けたウェル博士の逃走を許してしまう。

 

「弦十郎さん、奴を追ってください。また変な事をされると厄介です。」

 

弦十郎

「勿論そのつもりだ。行くぞ、緒川ッ!」

 

緒川

「はいッ!」

 

そして弦十郎は床に拳を叩きつけ、轟音を生み下の階層へと続く大穴を開けて逃走したウェル博士を追跡する。

 

マリア

「・・・ウルトラ「名前で良い。」神永さん、そして「立花響です!」立花。私では世界を救えない・・・だからお願いッ!この地球を守ってッ!!」

 

「俺は、ウルトラマンは、決して神ではない。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある。だがそれは俺1人であればの話だ。」

 

「はい、皆で地球を守りましょうッ!」

 

マリア・セレナ

「あ・・・!」

 

そう言って響はマリアとセレナの手を繋ぎ、空いてる手を真が握る。

 

「マリア、今の君は1人じゃない。響達や俺がいる。どんな困難や窮地にも人は手を合わせてきた。例え異世界人の俺でもだ。最後まで諦めず力と知恵と勇気を振り絞って立ち向かう事だ。」

 

マリア

「立花、神永さん・・・」

 

セレナ

「歌いましょう、マリア姉さん。皆で一緒に地球を救いましょうッ!」

 

ナスターシャ博士

『こちらの準備は出来ています。歌いなさいマリア、今度は私も一緒です。』

 

マリア

「セレナ、マム・・・分かったわ。歌いましょう、皆でッ!」

 

マリアが再び決意を固めたその時、セレナのアガートラームと何かを感じた真が懐から出したベーターカプセルが共鳴する様に光り輝く。

 

セレナ

「アガートラームが、共鳴してる?」

 

「これは一体・・・ッ!?」

 

この現象に驚いてる時、真はセレナの後ろに立つ亡き戦友、エンキの姿を見て驚く。

 

「エンキ・・・そうか、アガートラームはお前の・・・」

 

エンキ

「(コクリ)・・・」

 

真の言葉にエンキは頷いて消えた後、アガートラームとベーターカプセルから白と紅の光が飛び出して1つになる。段々と形状を形成して光が弾けるとそこには1つの紅いペンダントが現れ、光を纏ったペンダントはマリアの元へ行く。マリアは無意識に手を伸ばして掴んだ時、自然と聖詠を歌う。

 

マリア

Seilien coffin airget-lamh tron(望み掴んだ力と誇り咲く笑顔)

 

そしてセレナのギアとは形状が異なるアガートラームを纏った2人目の戦姫が誕生したッ!

 

‐ウェル博士side‐

 

新たに誕生したアガートラームをマリアが纏った頃、逃走中のウェル博士は炉心部へと移動していた。

 

ウェル博士

「ソロモンの杖がなくとも、僕にはまだフロンティアがある・・・邪魔する奴らは、重力波にて足元から引っぺがしてやるッ!!さぁ全て喰らいつくせ・・・僕の邪魔をする何もかもを、暴食の二つ名で呼ばれた力を示すんだ!ネフィリィィィーーームッ!!!」

 

その言葉と同時にフロンティアは上昇。ウェル博士の最後の抵抗を行う。

 

‐ウェル博士sideEND‐

 

フロンティア上昇を確認した真達。響はネフィリムと同化した反応路を破壊する為に翼達と合流しに向かう。真も行こうとするが身体のダメージで余り動けずにその場に残り、マリアとセレナを見守る。

 

マリア

「さあ歌いましょう、セレナッ!」

 

セレナ

「はい、マリア姉さんッ!」

 

そして幼き頃から歌って来た大切な歌を紡ぐ。それは世界中に響き渡り、それを聞いた人々は自然と歌を口ずさむ。それは異世界人の真も例外ではなかった。今地球に住む人々の歌は1つとなり、フォニックゲインの光と化してフロンティアに収束。月遺跡に起動する為のエネルギーが確保された。そしてその余ったエネルギーは真の身体を一時的に回復させた。

 

(僅かだがダメージが回復した。これなら戦えるッ!)

 

そして立ち上がった真はベーターカプセルを掲げて変身する。紅い光からウルトラマンが姿を現す。その場面を中継で見ていた人々は目撃する。尚これを見たウェル博士は半ば発狂した。

 

ウルトラマン

「よし!響達の方へ『待ってください、ウルトラマン。いえ、神永さん。』ッ!」

 

ナスターシャ博士

『月遺跡は無事に起動して迎撃システムを作動させましたが、そのエネルギーを感知したのかドラコの群れが迫っています。』

 

ウルトラマン

「だがウェル博士が野放しの状態だ。ここを離れるのは・・・」

 

マリア

「その心配はないわ。」

 

セレナ

「ここは私達が。神永さんは月の遺跡を守ってくださいッ!」

 

マリアとセレナの眼を暫し見詰めたウルトラマンは頷き、ブリッジを出て再びベーターカプセルを点火させて巨大化。急ぎ月へと向かう。マリアとセレナはそれを見送り、響達の元へ向かう。

 

第22話END




次回「遥か彼方、ウルトラの星が音楽となった・・・かの日」


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第23話「遥か彼方、ウルトラの星が音楽となった・・・かの日」

お待たせしました。


‐月遺跡‐

 

起動した月遺跡の一画でツイフォンを迎撃する為の巨砲が地上に展開され、エネルギーが充填が開始される。

 

ドラコ

「キエェェェッ!キエェェェッ!」

 

パワードドラコ

「キエェェェッ!キエェェェッ!」

 

そこへツイフォンを守ろうとドラコの群れが月遺跡を破壊せんと迫る。後少しの所で迫ったその時、無数の光輪が先頭にいたドラコの群れを斬り裂く。これに他のドラコの群れは驚愕。その間に月遺跡上空にウルトラマンが到着する。

 

ウルトラマン

「さあ来いッ!遺跡には一歩たりとも近付かせないぞッ!!」

 

そしてウルトラマンは迫るドラコの群れに突貫する。

 

‐フロンティア‐

 

月遺跡上空で戦闘が行われている頃、響達と合流したマリアとセレナは世界中のフォニックゲインを供給して限定解除されたXDモードでウェル博士の命令で全てを喰らい尽くそうと暴れるネフィリムと対峙する。

 

「ウォォォォッ!」

 

「喰らいやがれッ!」

 

ネフィリム

「グオッ!!」

 

クリス

「これでも喰らいなッ!」

 

左右から迫る響と奏の攻撃をネフィリムは両腕で防いだ隙にガラ空きなった胴体へクリスの銃撃が直撃する。

 

ネフィリム

「グオッ!?」

 

セレナ

「行きますよ!調さん、切歌さんッ!」

 

調

「うんッ!」

 

切歌

「合点デスッ!」

 

よろけた瞬間に調、切歌が接近して両腕を切断。そしてセレナは2つの短剣を飛ばし、両足に突き刺して固定する。

 

セレナ

「マリア姉さん、今ですッ!」

 

マリア

「行くわよ、翼ッ!」

 

「あぁ!推して参るッ!」

 

身動きが出来ないネフィリムに突撃し、縦と横に斬り裂く。斬り裂かれたネフィリムはそのまま爆発して倒されるが、フロンティアのジェネレータに接続されたコアが健在な為、そこからエネルギー供給が続く限りネフィリムは何度でも蘇る。

 

ネフィリム

「グオオオーーーッ!」

 

クリス

「チクショウ!幾ら倒してもまた復活しやがるッ!」

 

切歌

「これじゃあ切りがないデスッ!」

 

調

「それでもやるしかない。」

 

「旦那達がウェル博士を抑えるまでの辛抱だ。それまではコイツを相手を続けなくちゃいけないが・・・」

 

「果たして何時までも保て「皆避けてッ!!!」ッ!?」

 

響の叫びに翼達は散開すると自分達がいた場所に見慣れた青白い光線が通過する。そして通過した光線はフロンティアの一部に直撃して爆発する。

 

マリア

「今の光線はまさかッ!?」

 

セレナ

「スペシウム光線・・・」

 

クリス

「おいおい、マジかよ・・・」

 

「まさかあの時にスペシウムを吸収したのか!」

 

「何でも食べるって言ってたからな・・・強ちそうかもな・・・」

 

スペシウム光線が放たれた場所を見ると十字に腕を組んだ構えを取るネフィリムの姿にマリア達は驚愕する。

 

切歌

「どどど、どうするデスか!いくらXDモードでも耐えられないですよッ!」

 

調

「それでも如何にかするしかない。」

 

マリア

「私達のアガートラームのエネルギーベクトル操作で如何にか威力を落とせればいいけれど・・・」

 

セレナ

「フロンティアのエネルギーにスペシウムを吸収したネフィリムにどれだけ通じるか・・・」

 

そう言ってる間にも再びスペシウム光線を放つネフィリム。響達は光線を避けながら攻撃するが、余り効果は無く、疲労が蓄積する。それが祟って回避が遅れた響にスペシウム光線が迫る。

 

「ッ!」

 

回避は間に合わずそれを見た響は仲間の叫びを耳にしながら眼を瞑る。しかし光線に呑まれて身を焼かれる事は無く、不思議に思った響は眼を開けるとそこには。

 

未来

「大丈夫ッ!?響ッ!」

 

「み、未来ッ!?それにそのギアはッ!」

 

未来

「真さんが拾った神獣鏡を渡してくれたの。この力で大切なものを守る為に私も響達と一緒に戦うッ!!」

 

ネフィリム

「グオオオッ!?」

 

放たれた光線を巨大なミラーパネルで受け止め、神獣鏡を纏った未来が響にそう答えると同時に吸収したスペシウム光線を撃ち返してネフィリムにダメージを与える。ここに9人の戦姫達が揃い、反撃に踏み込む時!

 

ドラコ

「キエェェェッ!」

 

「うわッ!?」

 

セレナ

「あれは、ドラコの群れッ!?」

 

マリア

「こんな時にッ!」

 

大量のドラコの群れがフロンティアへ襲来して攻撃を始める。更に響達やネフィリムにも襲い掛かる。それに響達は迎撃の構えを取った際、砲撃やビームと共に接近していたドラコの群れの一部が撃破される。砲撃が放たれた方向を見るとゴーカイジャーの戦隊ロボ、ゴーカイオーと豪獣神の姿があった。

 

ゴーカイオー

『コイツ等の相手はアタシ達がする。お前達はネフィリムを倒せ!』

 

ゴーカイレッドの掛け声に響達は頷き、ネフィリムとの戦闘を再開する。それを見たゴーカイオーと豪獣神は続々と迫り来るドラコの群れへと突撃する。

 

‐ゴーカイオー(豪獣神)・コックピット‐

 

ゴーカイブルー

「それでどうするマーベラス?この数だ、デカレンジャーの力を使うか?」

 

ゴーカイレッド

「いや、全部出せッ!!スーパー戦隊の力を見せてやれッ!!!」

 

ゴーカイイエロー

「そう来なくっちゃ♪」

 

ゴーカイグリーン

「大盤振る舞いだッ!!」

 

ゴーカイピンク

「では始めましょうッ!」

 

ゴーカイシルバー

「宇宙海賊を舐めるなよッ!」

 

ゴーカイジャー

『レンジャーキーセットッ!!』

 

そしてそれぞれのゴーカイダリンにレンジャーキーを挿入し、今まで手に入れた歴代戦隊の力を発動。ガレオン内に収納された大いなる力が飛び出す。

 

マジドラゴン

「ギャオーンッ!」

 

パトストライカー

『ウ~!』

 

ガオライオン

「ガオーッ!」

 

風雷丸

「いざ参るッ!」

 

マッハルコン

「バリバリ行くぜッ!!」

 

バリブルーン

『ブーン!』

 

召喚された大いなる力と共にゴーカイオーと豪獣神はドラコの群れと接敵し、それぞれの力で薙ぎ倒していく。

 

‐月遺跡‐

 

ウルトラマン

「くッ!ナスターシャ博士、エネルギーチャージは後どれくらいですか!?もう長くは持たないッ!」

 

ナスターシャ博士

『残りエネルギー115%・・・ツイフォンを完全破壊するには後3分耐えてくださいッ!』

 

ゴーカイジャーがドラコの群れと戦闘を開始した一方で防衛戦を行ってるウルトラマンは徐々に押され、巨大ビーム砲を展開した月遺跡の施設が破壊される。

 

ウルトラマン

「後3分か・・・何としても守り切るッ!」

 

ドラコ

「キエェェェッ!」

 

ウルトラマン

「行かせるかッ!」

 

エネルギーチャージ中の巨大ビーム砲を破壊しようとドラコの一部がウルトラマンを無視して突貫するが、ウルトラスラッシュやウルトラアタック光線で撃破する。しかしドラコは数の力でウルトラマンを押し切って巨大ビーム砲を攻撃する時、ナスターシャ博士から返事が入る。

 

ナスターシャ博士

『エネルギー充填完了ッ!射線上から離れてくださいッ!!』

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

それを聞いたウルトラマンはすぐに射線上から離脱すると同時に極太ビームが放たれ、接近していたドラコの群れを消し飛ばしてそのままツイフォンへと直撃して徐々に罅割れて大爆発する。それをネフィリムと戦っていた響達やライブ中継で見ている世界中の人々が眼にする。

 

‐地球‐

 

世界中の人々

「ウワァァァァーーーッ!!!」

 

‐フロンティア・二課仮設本部‐

 

朔也

「よしッ!」

 

あおい

「やったッ!」

 

了子

「ふー、これは流石に肝が冷えたわね。」

 

‐制御室‐

 

弦十郎

「よしッ!」

 

ナスターシャ博士

「何とか、間に合いましたね・・・」

 

緒川

「では本部へ戻りフロンティアから脱出しましょうッ!」

 

二課の面々や世界中の誰もが涙を流して歓喜の声を上げて人類の、地球の危機から脱した事への喜び安堵したその時ッ!

 

「ツイフォンッ!」

 

‐宇宙‐

 

その声と共に不気味な鼓動が宇宙に、地球に響き渡る。その声の出所には1つの岩石があり、それが姿と形を成していく。それを見たウルトラマンは顔を青褪める。

 

ウルトラマン

「嘘だろ・・・アレはッ!?」

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォーーーンッ!」

 

‐ゴーカイオー(豪獣神)・コックピット‐

 

ゴーカイシルバー

「マーベラスさん、アレってソフィーさんが言ってたッ!」

 

ゴーカイレッド

「あぁ、彗星戦神ツイフォン。ソフィーの予想が当たっちまったな・・・」

 

一通りドラコの群れを倒したゴーカイジャーは幾多の星々を破壊して進む生きた流れ星、彗星戦神ツイフォンの姿を眼にして冷や汗を流す。

 

「何・・・あれ・・・」

 

未来

「あれも、禍威獣なの・・・?」

 

「身体の震えが・・・全然止まらねえッ!」

 

「この言い表せない覇気は一体ッ!?」

 

クリス

「クソ!身体が全然動かねえッ!」

 

切歌

「調・・・」

 

調

「切ちゃん・・・」

 

セレナ

「ドラコに近い姿だけど、圧倒的に違うッ!」

 

マリア

「あれは果たして禍威獣と呼んでいい存在なのか・・・ッ!?」

 

そしてフロンティアの全エネルギーを吸収して巨大化したネフィリム・ノヴァと戦っていた響達は言い様のない震えと悪寒、畏怖を感じて膠着する中でネフィリム・ノヴァも動けない時にツイフォンが視線を向けた。

 

ネフィリム・ノヴァ

「――――――ッ!」

 

その瞬間に死を感じたネフィリム・ノヴァは背を向けて地球へ向かう。それに一瞬戸惑った響達であったが、地球までも喰らう気だと気付いて止めに向かう。その時にツイフォンは両腕の鎌を重ねて真空波をウルトラマン達に放つ。

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「~~~ッ!」

 

ゴーカイジャー

「ぐ・・・ッ!」

 

響達

「キャアアアーーーッ!」

 

ネフィリム・ノヴァ

「――――――ッ!」

 

ウルトラマンとゴーカイオーに豪獣神は何とか耐えるが、響達とネフィリム・ノヴァは巻き込まれて吹き飛ばされてしまう。そして選別を終えたツイフォンはウルトラマンに鎌を向けると同時に襲い掛かる。

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「くッ・・・スラッシュ光線ッ!」

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「グアァァァーーーッ!」

 

一撃を紙一重で避けたウルトラマン。牽制でスラッシュ光線を撃つが効果は無く、反撃を受けてそのまま月へと吹き飛ばされる。そして追撃するツイフォンをゴーカイジャーは追い掛けようとするが、僅かに生き残ったドラコの群れが道を阻む。

 

ゴーカイオー

「チッ!邪魔させない気かッ!」

 

豪獣神

「強行突破しますッ!」

 

豪獣ドリルに変形した豪獣神は機首部のドリルによる突進攻撃〈豪獣ドリルアタック〉で突破を図り、ゴーカイオーはそれに続く。響達も一緒に向かいたかったが、ネフィリム・ノヴァを放置する訳には出来ず、ゴーカイジャーに任せてネフィリム・ノヴァを追い掛ける。

 

‐月面‐

 

ウルトラマン

「グアッ!」

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「くッ・・・!」

 

月面に激突したウルトラマンはツイフォンの追撃をスペシウムブレードで防ぎ、喧嘩キックで距離を取ってスペシウム光線を放つ。

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「効かないかッ!」

 

しかし堅牢な防御力を持つツイフォンに効果は無く、再び距離を詰められて接近戦となる。

 

ウルトラマン

「ヘアッ!シャアッ!ダァッ!」

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「―――ッ!?」

 

パンチ、チョップ、キック、ハイキックの連撃で攻撃するウルトラマン。だがそれも効かず、再び月面に叩き付けられる。そこから追撃の刺突を躱してウルトラスラッシュを放つ。そして見事に直撃して肩ごと右腕を切断するが、すぐにくっついてしまう。

 

ウルトラマン

「この!カラーリウム光線ッ!キャッチリングッ!」

 

彗星戦神ツイフォン

「ツイフォンッ!?」

 

ウルトラマン

「ウルトラアタック光線ッ!!」

 

カラーリウム光線とキャッチリングで拘束し、ウルトラアタック光線を直撃して内部から爆破。ツイフォンは粉々と散った。月にある衛星からの中継で見ていた人々はウルトラマンの勝利を喜ぶが、それは糠喜びに変わる。砕け散ったツイフォンの破片が集結し、今までのエネルギーを全て吸収し更に強化して復活を遂げた姿、スーパーツイフォンへと変わる。

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!!」

 

ウルトラマン

「(やっぱりその姿になったか・・・エネルギーは5割を切った。絶望的状況だが負けるもんかッ!)リミッター解除ッ!!!」

 

そう叫ぶと同時にウルトラマンの全身が黄金に包まれる。ゼットン戦以降、自力で会得したグリッターバージョンへと変わる。

 

ウルトラマン

「(この姿は超闘士の様に3分を超えれば死に至る。だがそうでもしないと奴には勝てないッ!)行くぞッ!ツイフォンッ!!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

今度はウルトラマンが接近戦を仕掛け、強化されたスーパーツイフォンの身体に罅を入れる。

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「グアァァァッ!」

 

しかし調子に乗るなと真空波が放たれ傷を負うも気合で何とか耐え抜くウルトラマン。そこから光線と真空波の応酬で月面に幾つものクレーターが作られる。

 

ウルトラマン

(くッ・・・身体の限界が近いッ!このままだとやられるッ!!)

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

段々と動きが遅くなっていくウルトラマンにトドメをさそうと最大威力の真空波が放たれる。回避が間に合わないウルトラマンは残りのエネルギーを振り絞ってギガスペシウム光線を放つ。

 

ウルトラマン

「ウオォォォォッ!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

互いの技が衝突し、光が散り飛びながら押し合う。しかし既にエネルギーと身体が限界に近いウルトラマンの方が一気に押され始め、最大威力の真空波が直撃する。

 

ウルトラマン

「グアァァァッ!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

身動きが出来ないウルトラマンに近付いたスーパーツイフォンは頭を鷲掴み、握力を掛けて頭部の骨を破壊する。

 

ウルトラマン

「グアァァァーーーッ!」

 

遂に無事だった頭部にもダメージを受けて悲鳴を上げたウルトラマンは一切動かなくなる。そんなウルトラマンを真上に投げて念力で固定したスーパーツイフォンはカラータイマー目掛けて突撃。そして―――

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ウルトラマン

「――――――ッ!」

 

スーパーツイフォンの角でカラータイマーごと胴体を貫かれたウルトラマンの視界は黒く染まり、絶命。その瞬間を多くの者達が目撃する。

 

‐コンパチヒーローズside‐

 

ゴーカイレッド

「クソッ!」

 

ドラコの群れに手こずり、間に合わなかった事に対してゴーカイレッドはゴーカイダリンに拳を叩き付ける。

 

ゾフィー

「ッ!?」

 

コンパチブルカイザー

「あれはッ!?」

 

ディケイドフォーゼ

「遅かったかッ!」

 

それと同時に火星から急いで戻ったゾフィー達も眼にする。

 

‐二課side‐

 

弦十郎

「何と言う事だ・・・」

 

仮設本部の指令室で弦十郎はこの場にいる全員の心情を言葉に表す。

 

‐装者side‐

 

「真・・・さん・・・」

 

未来

「―――ッ!」

 

そしてネフィリム・ノヴァをソロモンの杖ごとバビロニアの宝物庫へ封じ込めて脱出した先に見えた光景に響達も強いショックを受ける。それは中継で見ている世界中の人々も同様であった。

そしてスーパーツイフォンは絶命したウルトラマンを地球に向けて無造作に投げ飛ばす。投げ飛ばされたウルトラマンは徐々に粒子と化して消えていき、胸に穴が開いた真の姿へ戻る。

 

「ッ!真さんッ!!」

 

投げ飛ばされた真を響が最初に受け止めて未来、翼、奏、クリス、マリア、セレナ、調、切歌の順で漸く止まる。受け止めた響達は真の顔を見るとその眼には光が宿っておらず、体温も感じない。

 

「そんな・・・真さんッ!!!」

 

未来

「起きて下さい真さんッ・・・お願い起きて下さいッ!」

 

クリス

「おい起きろッ!起きてくれよ真兄ちゃんッ!!」

 

「神永さん・・・ッ!」

 

「しっかりしろッ!目を覚ましてくれッ!!」

 

マリア

「目を覚まして神永さんッ!」

 

セレナ

「私達はまだ貴方に助けられた何のお礼もできていないんですッ!」

 

調・切歌

「お願い目を覚まして(デス)ッ!」

 

響達は呼び掛けるも真はピクリとも反応を示さない。そんな場面をスーパーツイフォンは興味なさげに見た後、地球を第二の水星にしようと動いたその時、極太光線が迫る。

それを本能的に避けた事で難を逃れる。そして光線が放たれた方を見るとM87光線の構えを取り、尋常じゃないオーラを纏ったゾフィーの姿があった。

 

ゾフィー

「弟分がお世話になったみたいね。ちょっと相手をしてもらおうかしら?」ゴゴゴゴゴゴゴ

 

ゾフィーがそう言う間にゴーカイオーと轟獣神、ディケイド、コンパチブルカイザーが包囲する。それを見たスーパーツイフォンは邪魔者として攻撃し、ゾフィー達はそれを避ける。

 

コンパチブルカイザー

「カイザー・バーストッ!」

 

ゴーカイジャー

「ゴーカイスターバーストッ!」

 

コンパチブルカイザーとゴーカイ―の必殺我を放つが、スーパーツイフォンそれを両手で受け止める。その隙に轟獣神とディケイドが懐に入って必殺技を叩き込む。

 

轟獣神

「ゴーカイ電撃ドリルスピンッ!」

 

『FINAL ATTACK RIDE FO FO FO FOURZE』

 

ディケイドフォーゼ

「ライダーロケットドリルキックッ!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

腹部の左右からドリル攻撃をまともに受けるが、スーパーツイフォンは4つの必殺技を真空波で跳ね除ける。その瞬間にゾフィーのかかと落としが頭部に直撃する。

 

ゾフィー

「チッ!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

しかしそれも効かず、反撃を避けて距離を取ったゾフィーはスペシウム光線を撃ち込むが防がれる。その時、スーパーツイフォンの背後から1機の戦闘機がやって来ると同時に多数のミサイルを発射して直撃させる。

 

Gサンダーゲート

『お待たせ兄さん、皆ッ!』

 

スーパーツイフォンを攻撃した戦闘機、Gサンダーゲートからエミィの通信が入る。

 

コンパチブルカイザー

「エミィ!そっちは終わったのか?」

 

Gサンダーゲート

『バッチリ!それよりもアレを如何にかしないとッ!』

 

コンパチブルカイザー

「それもそうだな!よしエミィ、合体だッ!」

 

Gサンダーゲート

『OKッ!』

 

コンパチブルカイザー

「バーナゥ・レッジー・バトーッ!!G!コンビネェェェェェションッ!!」

 

そしてGサンダーゲートはコンパチブルカイザーの背後に回って合体し、頭頂部をGサンダーゲートの先端部がマスクに覆われる。

 

ゴーカイオー

「こっちも合体するぞッ!」

 

轟獣神

「はいッ!」

 

ゴーカイジャー

「レンジャーキー、セットッ!」

 

マッハルコン

「よっしゃ行くぜッ!」

 

ゴーカイジャー

「カンゼンソウル、セットッ!!」

 

一方でゴーカイオーと轟獣神から出現したカンゼンソウルをマッハルコンの右側のスロットに装填して合体態勢に入る。

 

ゴーカイジャー・マッハルコン

「海賊合体ッ!!」

 

轟獣神の両腕が、脚部等のパーツに分離したマッハルコンがゴーカイオーと合体し、ゴーカイケンが頭部の飾りとなり、胸部のマッハルコンのフロントパーツが変形してゴーカイジャーのエンブレムが現れる。

 

Gコンパチブルカイザー

「Gコンパチブルカイザーッ!!」

 

カンゼンゴーカイオー

「完成ッ!カンゼンゴーカイオーッ!!」

 

そして合体を終えた2機はスーパーツイフォンに向かっていく。それを戦いながら見ていたゾフィーとディケイドは入れ替わる様に距離を取り、強化フォームへと変身する。

 

ゾフィー

「コスモテクター、装着ッ!」

 

ディケイド

「余り余裕は無いが、やるしかないかッ!」

 

K-TOUCH!21!

 

W OOO FOURZE

 

WIZARD GAIM DRIVE

 

GHOST EX-AID BUILD

 

ZI-O ZERO-ONE

 

FINAL KAMENRIDE DECADE COMPLETE 21!

 

ゾフィーは別宇宙での交流で得たコスモテクターを纏い、ディケイドはケータッチ21でコンプリートフォーム21に変身して戦線に復帰する。

 

ゾフィー

「ダブルランサーッ!!」

 

『KAMEN RIDE KIWAMI FOAM』

 

ディケイド

「セイヤァァァァァッ!!」

 

腰のアンドロポットから出現する宇宙ブーメラン、それを槍状に伸ばしたダブルサーベルを。無双セイバーと合体させて大剣モードにした火縄大橙DJ銃を装備し、召喚した鎧武 極アームズの分身と同時に必殺技の斬撃がスーパーツイフォンを斬り付ける。

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

ゾフィー・ディケイド

「ぐッ・・・!」

 

しかし斬り裂く事は出来ず、跳ね除けられて真空波の直撃を受ける。その直後にGコンパチブルカイザーとカンゼンゴーカイオーが必殺技を放つ。

 

カンゼンゴーカイオー

「ゴーカイカンゼンスーパーバーストッ!!」

 

Gコンパチブルカイザー

「オーバー・カイザー・ソードッ!!」

 

マジドラゴン・パトストライカー・ガオライオン・風雷丸と共に一斉攻撃を放ち、視界を塞いだ隙にカイザースキャナーでスーパーツイフォンを捕捉してGサンダーゲートから射出した柄からOGエンジンのエネルギーで刃を形成する剣を持ち、突撃して一刀両断にする。しかし―――

 

スーパーツイフォン

「ツイフォンッ!」

 

Gコンパチブルカイザー・カンゼンゴーカイオー

「グアァァァーーーッ!」

 

両断されると同時にスーパーツイフォンは身体をバラバラにした状態で弾丸の様に襲い掛かり、Gコンパチブルカイザーとカンゼンゴーカイオーを吹き飛ばす。

本来のコンパチヒーローズならスーパーツイフォンを倒せるが、ドラコの大群と連戦続きで体力とエネルギーを大幅に消耗しており、決定打に欠けていた。

 

‐装者side‐

 

「なんて戦いだ・・・ッ!」

 

「とても私達では入る余地も無い・・・」

 

クリス

「アイツ等の方が押されてるのに何も出来ないのかよ、アタシ達はッ!」

 

激戦となっている宙域から離れた場所でそれを見ていた奏、翼、クリスは何も出来ない事に悔やみ、アームドギアを持つ手に力が入る。

 

調

「いくら限定解除されたXDモードでも・・・」

 

切歌

「あの中に飛び込むのは無理デス・・・」

 

同じく激戦を見ていた調と切歌も暗い顔をする。

 

マリア

「私達は、なんて無力だッ・・・!」

 

セレナ

「ただ見ている事しか出来ない自分が憎いですッ!」

 

未来

「セレナさん・・・」

 

自分達の無力さをマリアは呪い、セレナは自身を憎む。それに同じ思いを持つ未来も共感する。そして響はもう二度と目覚める事が無い真の姿に涙を浮かべながら叶う事のない思いを願う。

 

(お願い真さん・・・目覚めてッ!!)

 

そう願うと同時に眼尻から涙が零れ、ゆっくりと空間を漂って風穴が空いた真の胸部に落ちたその時。

 

???

『彼はまだ完全に死んでいない・・・』

 

「え?」

 

「何だッ!?」

 

クリス

「声が突然・・・」

 

「頭の中にッ!」

 

切歌

「何デスか!?幽霊デスかッ!?」

 

調

「落ち着いて切ちゃん。」

 

セレナ

「これはもしかして。」

 

マリア

「テレパシーッ!」

 

未来

「皆見てッ!」

 

突然のテレパシーに驚く響達。すると何かを見た未来が指を指す方に顔を向けると地球から1つの光球が響達の元へやって来ると同時に龍の形へと変わる。

 

星の声

『私は星の声。光の戦士、ソフィーに頼まれ、彼の新しい命を届けにきました。』

 

その言葉に信じられない思いと真を生き返らせる事が出来ると喜ぶ響達。しかし星の声はこのまま使うのは無理だと言う。

 

星の声

『今の彼は肉体と同様に魂までもが崩れかけている状態です。そのまま蘇生しても長くはありません。そこで貴女方の彼に対する強い思いが必要なのです。』

 

「私達の・・・」

 

未来

「真さんへの思い・・・」

 

そして響達は顔を見合わせて頷き、真を囲う様に手を繋いで思いを1つにする。すると今まで聞こえなかった声が聞こえてくる。

 

『ウルトラマンッ!』

 

『立って!ウルトラマンッ!!』

 

『起きて!ウルトラマンッ!!!』

 

地球にいる子供達や人々の声援と希望が響達に伝わってくると同時に響達の意識は突然遠退く。

 

‐???‐

 

そして響達は眼を覚ますとそこは暗くおどろおどろしい景色が広がっていた。突然の事態に困惑していた時、1つの光を見付けた響達はその場所へ向かう。やがて光が見えた場所へ着くとそこには全身がボロボロで今にも消滅してしまいそうな真の姿があった。見付けた響達はすぐに真を助け出そうとした時、段々と真の身体を呑み込む様に沈んでいく。

それを見た響はすぐさま向かい、沈みかけていた真の右手を掴む。しかし中々引き上げる事ができず逆に引きずり込まれていく。そして響に遅れて駆け付けた未来達も加わり、何とか止まる。しかし引きずり込む力が強く響達もどんどん呑まれていく。

 

「諦めるもんかーーーッ!!!」

 

響の叫びと共に未来達は全ての力を振り絞ったその時、真の右手を掴む響の右手に強く握り締める感覚が伝わると同時に真を引き上げる。そして周囲の景色が光に包まれる。

 

‐宇宙‐

 

光に包まれた響達が現実世界に戻ると真の身体が光り出し、そこへ星の声が命の光を与えると真は光に包まれながら形が変わっていく。やがて光が弾けるとベーターカプセルが点滅しながら浮かんでいた。それを手に取った響は未来達へ顔を向けると未来達は決心した顔で頷く。

それを見た響も頷き、ベーターカプセルを大きく横に振り、スイッチを一度押して左胸の方に持っていってから空に向かって掲げると同時に再度スイッチを押す。そして閃光が響達を包み込む。

 

スーパーツイフォン

「ッ!」

 

コンパチヒーローズ

「ッ!」

 

そして膨大なエネルギーを感じ取ったスーパーツイフォンとソフィー達は戦闘を止めてそちらを向くとそこには1つの紅い光があり、そこからボロボロのウルトラマンが巨大化すると同時にボロボロのスーツが弾け飛ぶ!

 

ウルトラマン

「シュワッチッ!」

 

星の声が与えた命と、人々の声援と希望、響達の想いを受けた真は肉体を完全な超人と化し、シンフォギア世界の初代ウルトラマンとして蘇ったッ!そして更なるウルトラの奇跡が起こるッ!光がウルトラマンのカラータイマーに集まり、逆三角形のカラータイマーが現れると同時に黄金の輝きに包まれる。

 

ディケイド

「成程、あれが・・・」

 

カンゼンゴーカイオー

「宇宙伝説の永遠の命・・・」

 

Gコンパチブルカイザー

「デルタスター・・・何てエネルギーだッ!」

 

ゾフィー

「真・・・ッ!」

 

デルタスターウルトラマンの誕生にソフィー達や弦十郎達に地球上の人々がその光に魅せられる中、スーパーツイフォンはウルトラマンに接近してカラータイマー目掛けて拳を振るう。

 

スーパーツイフォン

「ッ!?」

 

しかし振るった拳に入った罅がそのまま肩まで走り、砕け散る。それに驚いたスーパーツイフォンは驚くと同時に距離を取って回転突撃を仕掛ける。

 

ウルトラマン

「無駄だ、ツイフォンッ!」

 

その言葉と同時に回転突撃でカラータイマーを貫こうとするスーパーツイフォンだが、稲妻が走りながら徐々に角が削れていく。

 

ドオォォォオォォォーーーーーーッ!!

 

そして爆発が起こり、閃光が収まるとボロボロのスーパーツイフォンと無傷のウルトラマンの姿があった。

 

スーパーツイフォン

「ツイフォン・・・」

 

ウルトラマン

「ツイフォン、この宇宙でお前の永い旅をここで終わらせるッ!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォン・・・ッ!!!」

 

ウルトラマンの宣言にスーパーツイフォンは最後の抵抗で全エネルギーを使った真空波を放つ。それにウルトラマンは慌てず、ゆっくりと両腕を広げて両腕にエネルギーを限界まで蓄積し、右手を垂直に立て、左手を真横に伸ばしてスペシウム光線の構えを取って叫ぶ。

 

ウルトラマン

「マリンスペシウム超光波ッ!!!」

 

スーパーツイフォン

「ツイフォーーーーーーンッ!!!???」

 

虹色の光線は真空波を撃ち破り、そのままスーパーツイフォンを呑み込む。呑み込まれたスーパーツイフォンは全身を爆発させながら消滅する。戦いが終わると同時にデルタスターは消え、ウルトラマンは元の姿に戻るとカラータイマーから9つの光が飛び出し、響達の姿へとなる。

 

ウルトラマン

「・・・(コクリ)」

 

響達

「・・・(コクリ)」

 

そして互いを見て頷いたウルトラマンと響達は皆で守り通した青く輝く地球を見詰める。

 

第23話END




次回「エピローグ2」


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第24話「エピローグ2」

新年あけましておめでとうございます(遅れてすいません)。これで怪彗星ツイフォン(G編)最終回ですッ!後書きにおまけがあります。



‐西暦2043年 3週間後‐

 

超巨大怪彗星ツイフォンの地球衝突の危機が回避された「セカンドアース・クライシス」から3週間後。落ち着きを取り戻した世界各国は国際会議を開き、アメリカにツイフォン衝突の隠蔽と外星人から入手した宇宙船で政府陣と特権階級の者達が秘密裏の脱出準備。

及び外星人傭兵部隊の雇用に重要機密を知ったマリア達F.I.S.の抹殺等を追求。アメリカは追及を逃れようとするが、日本は了子(フィーネ)とコンパチヒーローズが提供した証拠等を指摘。これに言い逃れ出来ないアメリカは事実を認めた。

 

そして次は武装蜂起したF.I.S.の処遇についての議題に入った時、地球を救った英雄の1人である真が参加。彼はスペシウムを使用した元居た世界の技術を提供する代わりにマリア達を自分の特別保護観察下に置く事を条件に出す。各国はその条件を呑み、異世界の技術を得る。

そして細かい条約を決めると同時にノイズの脅威は無くなった人類だが、禍威獣・外星人の脅威に対抗する為、特異災害対策機動部二課を前身に再編成された組織と特殊部隊を国連直轄で創設。

 

二課は「超常災害対策機動部タスクフォースS.O.N.G.」に。そしてS.O.N.G.直属特殊部隊としてSTAR WING(スターウィング)が誕生する。

 

尚、ウェル博士は国連側で永久監視下に置かれる事となった。そして国連は真に関するとある法律の制定準備を始める。

 

‐ふらわー‐

 

大まかなゴタゴタが収まり、真達はS.O.N.G.及びSTAR WINGの創設と労いを兼ねた戦勝祝いをマリア達と交えて開いていた。

 

「それじゃあソフィー姉さん達は別宇宙に行くのか・・・」

 

ソフィー

「えぇ、まだまだ私達の力が必要な宇宙もあるからね。それにマルチバースを脅かす存在から守らないといけない。」

 

真と話し合いながらそう言って日本酒を飲むソフィー。別の席ではエイミィやゴーカイジャー達と女子トークする響達。ロアは二課の職員達と飲みにケーションをし、その光景をセカイがカメラで写真を撮る。

 

ソフィー

「と言ってもゴーカイガレオンの修復にはまだ結構時間が掛かるから当分はこの地球で休息を取るよ。」

 

「なら久しぶり姉さんの旅の話が聞きたいな。」

 

ソフィー

「そうね、久しぶりに旅の話をしましょうか。」

 

それから真とソフィーは昔の様に飲食を楽しみながら話をする。

 

‐後日 雪音宅‐

 

創設と戦勝祝いを終えて翌日。真はクリスと一緒にクリスの実家へと来ていた。尚クリスはG編が始まる前に家族と再会している。

 

「き、緊張するな・・・」

 

クリス

「いつも通りでいいんだよ。それじゃあ入るぞ。」

 

そしてクリスはドアを開けて家に入り、それに真も続く。リビングに着くと雅律とソネットが出迎えた。

 

「えっと・・・雅律さんとソネットさん。お久しぶりです。」

 

雅律

「ああ久しぶりだね、真君。」

 

ソネット

「あの時、貴方が私達を助けてくれなかったらクリスの傍にいられなかったわ。」

 

「ちょッ!頭を上げてください!自分は当然の事をしたまでですからッ!」

 

頭を下げる2人に真が慌てる様子をクリスは面白おかしく笑う。それから真は雪音夫婦と8年前の様に雑談をした。

 

‐数日後 ふらわー‐

 

「おばちゃん、今までお世話になりました。」

 

ふらわーのおばちゃん

「いいよ、こっちも真にはお世話になったからね。でも本当に行っちゃうのか?」

 

「自分の正体はあの時の戦いで知られた以上、色々とお店に迷惑を掛けますので。」

 

雪音家から数日後、真はふらわーにある私物をまとめて二課もといS.O.N.G.が管理するマンションへ引っ越す事にした。切っ掛けはフロンティアの中継で素顔がバレてしまった事と、マリア達の身柄を国連からS.O.N.G.への引き取りが完了した連絡を受けたからである。

 

ふらわーのおばちゃん

「私は全然気にしないのに。」

 

「それでもです。おばちゃんに何かあったから気が知れませんよ。本音を言えば弦十郎さんに頼んで護衛を付けたいんですよ。」

 

ふらわーのおばちゃん

「流石にそれはいいよ。態々私1人の為に人を割かなくったって。そっちは忙しいんでしょ?」

 

その言葉に真は何も言えなかった。新しく創設されたS.O.N.G.やSTAR WINGは新たな人員確保と新編成に真が提供した技術で試作された武装やライドメカの試運転をしなければならないのだ。

 

ふらわーのおばちゃん

「アンタが住み込むまで私1人でやってきたから大丈夫だよ。」

 

「分かったよ。おばちゃん・・・今まで本当にありがとう。」

 

ふらわーのおばちゃん

「ああ、こちらこそありがとうね。何時でもお好み焼きを食べに来てね。」

 

「響達も一緒にね。」

 

そしてお互い抱きしめた後、真は引っ越し、ふらわーのおばちゃんは姿が見えなくなるまで手を振るう。

 

‐1ヵ月後‐

 

遂にゴーカイガレオンの修復が終わり、ソフィー達はまた別の宇宙へと旅立つ時が来た。真は忙しい弦十郎に変わり、響達やマリア達と別れの挨拶をしに来た。

 

「それじゃあ元気で、ソフィー姉さん。」

 

ソフィー

「真もね。新しい命と肉体で元通りになったからって無茶はダメだよ。」

 

握手をして抱き着つく真とソフィー。その様子を見ていた響達やセカイ達は微笑む。そして真から離れたソフィーは響達の方へ行く。

 

ソフィー

「真を、私の弟分をよろしくね。」

 

響・未来

「はいッ!」

 

「承知しました。」

 

「勿論だッ!」

 

クリス

「おうッ!」

 

ソフィー

「また無茶をする様だったら抱いて手綱を握っても良いからね。」

 

響達

ッ!!??

 

「ちょ、姉さんッ!?」

 

それぞれがそう返事をした後、ソフィーのトンデモ発言にビックリする真だが、装者達は満更でもなかった。

 

マリア

(こ、これはある意味ッ!)

 

セレナ

(親公認ッ!!)

 

調

「これは、私達にもッ!」

 

切歌

「チャンスがあるデスッ!」

 

「なんのッ!?ってかソフィー姉さんは何であんな事言ったんだよッ!?」

 

ソフィー

「あれ知らないの?国連が貴方の重婚を認める法を準備しているわよ。大方ウルトラマンの力を手元に置きたいって事ね。」

 

ソフィーの発言に真は驚くと同時に悶々となりながら手を頭に当てる。するとソフィーは真を手招きし、真は何だろうか?と近付くとソフィーは真にだけ聞こえる様に話す。

 

ソフィー

「真、風鳴訃堂って人は知ってる?」

 

「確か弦十郎さんとそのお兄さんの父親で翼の祖父で二課の元司令って事は知ってる・・・何かあるのか?」

 

ソフィー

「えぇ、あの男には気を付けて。それと、あの子達を泣かせたら許さないよ♪」

 

「アッハイ(姉さんがメッてする時はマジで許さない奴だ)ッ!」

 

こうしてソフィー達コンパチヒーローズは別宇宙へと旅立つ。それを真達は見えなくなるまで手を振った。

 

‐数時間後 真の部屋‐

 

見送りを終えた時、響達にソフィー達の旅の無事を兼ねた引っ越し祝いパーティーがしたいと言われた真はOKを出して準備を済まし、真の部屋があるマンションでパーティーを開く。この時に何故か精が付く料理を見た真はその後、9匹の獣に美味しく捕食された。

 

‐???‐

 

真達が平穏?を謳歌している頃、ある場所では王座に座る魔女の格好をした謎の幼女は空中に投映されたデルタスターウルトラマンがスーパーツイフォンを倒す映像と、それを称える世界中の人々の映像を憎悪が籠った瞳で見ていた。

 

謎の幼女

「ウルトラマン・・・この地球を二度救った英雄。そしてそれを称える人々・・・虫唾が走る。」

 

謎の幼女はそう言って右腕を振ると映像は消える。そして王座の前にある広間の四隅に立つ四大元素を宿した4体の終末の四騎士達。その背後に立つ禍威獣達に眼を向けて叫ぶ。

 

謎の幼女

「後少しだ、後少しで父の命題を果たす時が来るッ!今は束の間の平穏を楽しめ、シンフォギア。そしてウルトラマンッ!!何人たりとも私の復讐は止められないッ!!!」

 

謎の幼女は拳を強く握り、宣言する。そして1年後の未来、戦姫達と光の戦士は復讐の業火を宿す殲琴の魔女との戦いが始まる。

 

第24話END




次回「ウルトラの奇跡の殺戮者」

おまけ
【挿絵表示】


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