バイオハザードRTA 新B.O.W.ルート『グレーテルの怪物』END (血袋)
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PART1

初投稿です。


 はい、よーいスタート。(GO)

 みんな!!! “おハーブ(ヤク)”キメろォォ!!! なRTA、はーじまーるよー。

 

 今回RTAを行うのは、大人気サバイバルホラーシリーズのVRタイトル、『バイオハザードResidents of Raccoon city』です。発売から2年以上が経過しましたが、つい先月に新規の大型アップデートが行われたことで、再び遊んでいる視聴者兄貴姉貴も多いのではないでしょうか。

 

 未プレイ兄貴姉貴のためにも軽く説明しておきますと、こちらのゲーム、シナリオ内容としてはバイオハザードRE:2とRE:3を融合させた形になっています。クリア目標は大抵がラクーンシティからの脱出になるワケですが……そのプレイアブルキャラとして、レオンやジルら主人公は勿論のこと、ネームドのサブキャラ、自分でキャラメイクした一般市民やU.B.C.S隊員、果てはB.O.W.を操作して遊ぶこともできてしまう、一種のお祭りゲーみたいなものです。

 

 今回、私が走るのは新規実装されたシナリオ。B.O.W.をプレイヤーキャラとして操りラクーンシティを駆け抜ける、その名の通りのB.O.W.ルートに新しく追加された難易度でのプレイです。

 その中で『グレーテルの怪物』エンドを目指します。

 計測開始はキャラクリエイトの完了時、計測終了はエンディングムービーにて最後の台詞が言い切られたタイミングです。

 

 

 ゲームスタート。B.O.W.ルートを選択、難易度は新たに登場した【LAST ESCAPERS】を選んでキャラクリエイトを始めましょう。この難易度が新シナリオへの入り口です。

 難易度についての詳しい解説を挟みたい所さんですが、今はキャンセルだ。解説タイミングならプレイ中にいくらでもあるから大丈夫だって安心しろよ~……と言うか、ありすぎて動画編集に困っちゃうくらいですからね。

 

 何を隠そう、このルートを走る際のレギュレーションには【ムービースキップ不可】というものがあるのです。このルートを最初に走った海外の走者兄貴がそうしていたので、後続の私もそれに倣っているわけです。

 ムービーを垂れ流しにする都合上、プレイ中は休憩時間が確保されていて助かるのですが、動画編集の際には話題を残しておかないと最後にはクッキー☆上映だからね、仕方ないね。

 

 

 まずは性別、女性を選択します。

 次に名前、英語入力でTisiphoneにします。日本語だとティシポネーですね。

 

 ちょっと待って! 名前にホモもレズも入ってないやん! とお怒りの方。

 貴様(偉大なる先駆者様の動画(小説)を)見ていないな!

 まず旧B.O.W.ルートを走った方の作品をご覧に……と言ってしまうのは簡単ですが、せっかくなのでキャラクリエイトの順を追いながら説明してしまいましょう。

 

 はい、この名前を入力した次。

 主人公が何のウイルスを基にしたB.O.W.なのか選択する画面ですが……ほら、ご覧の通り。

 通常ならT-ウイルスかG-ウイルスの2択しかないところ、その下には『ガンサバイバー4 バイオハザード HEROES NEVER DIE』で登場した【T+G-ウイルス】が選択肢に含まれています。

 

 T+G-ウイルスについての解説は今後のパートに回すとして、この選択肢が登場する条件は2つ。

 性別が女性であることと、名付けに神の名前を用いることです。

 

 既プレイ兄貴姉貴ならご存じの通りT+Gの特徴として、その適合者が男性であった場合には肉体を女性化させるというものがあります。理由はわかりませんが。G由来の遺伝子マッハ書き換えがそうさせるんですかね?

 ともかく、それ故に1つ目の条件として最初から性別は女性にしておく必要があったんですね。

 

 2つ目の条件に関してです。代表的なB.O.W.には何かしら神の名が使われていることがありますよね。ネメシス、ヒュプノス、タナトス、ネプチューン等。……ニュクス? 知らんな。

 それに倣って、主人公の名付けには神の名前を用いるのがマストでした。

 

 以前までは、これら2つの条件を満たした上でもT+G-ウイルスが選択肢に現れる確率は低かったのですが、先月のアップデートによって、この方法なら出現が確定するよう変更されました。

 遊びたくてもすぐに遊べない今までがおかしかったと思うんですけど(1プレイにつき283敗)

 

 あっ、ちなみにですが余程マイナーな神話からの引用とかでもない限り神の名前であれば何でもいいので、入力速度を考慮するならヘラとかロキとか文字数の短いやつがいいと思います。

 今回の名前がティシポネーの理由? 私の趣味だ。いいだろう?(kmnライダーduke並感)

 本走最大の敵となるネメシスがギリシャ神話における復讐の女神ということで、同じくギリシャ神話で「殺戮の復讐者」という意味を持つ名前の女神様から引用しています。これから一心同体になるんだし、愛着が湧くようにする工夫も、まぁ多少はね?

 

 

 さて、説明している間に次の段階であるステータスポイントの割り振りも終わりそうですね。

 この時も、アップデート前までは初期ステータスに振れるポイントを増加させるパッシブスキル『最高傑作』が付与されるまでリセットを繰り返す必要があったのですが、現在ではそのパッシブスキル自体が廃止され、T+G-ウイルスを選んだ時点で初期ポイントが増加されています。

 開発者は人の心がわかっている、私は嬉しい……(痛哭の幻奏を弾きながら)

 T+Gと最高傑作を同時に引き当てる運ゲには飽き飽きしてましたよ(1プレイにつき412敗)

 

 ステータスについても今一度おさらいしておきましょうか。

 内容としては“身体能力”に属する筋力・耐久・敏捷・再生の4つと“知力”に属する知識・学習・器用の3つ、合計で7つのパラメータがあり、そのランクは下から順番にF、E、D、C、B、A、Sとなっています。

 身体能力はEで一般人並、知力はBで一般人並です。

 

 筋力は格闘でのダメージ量、耐久は体力量、敏捷は移動速度と回避性能に影響します。再生はB.O.W.特有のもので、受けたダメージが自然回復する量と速さを表しています。

 知識は主に言語能力、学習は理解力を差しており、これらが高いほどに探索やギミックの攻略をスムーズに進められます。器用は強力な武器を装備可能にするために必要なパラメータですね。

 

 では、ティシポネーちゃんの初期ステータスをご照覧あれ。

 

 

 【筋力:C/耐久:C/敏捷:S/再生:A 知識:B/学習:B/器用:A】

 

 

 はい。ご覧の通り、旧B.O.W.ルートを走った先駆者様の割り振りと全く同じですね。

 自分でも色々と試してはみたのですが、タイム狙いなら結局これに落ち着いてしまいました。

 やっぱ、先駆者様の……英知を……最高やな!

 

 

 ステータスの割り振りも完了したら、最後に容姿の決定です。

 ここだけはランダムでも構いません。決して変なビジュアルにはなりません、と言うより素人が無理して弄るよりもランダムの方が意外と完成度は高かったりします。

 流石にこれ以上キャラクリに時間を掛けるのも退屈ですし(建前)、視聴者兄貴姉貴に私の性癖を晒すのも嫌ですし(本音)。

 

 今回は……長い銀髪に青い瞳、色白の別嬪さんが出来上がりましたね。

 研究員の性癖が見える見える……。

 

 

 ともかく、これでキャラクリエイトは完了です。タイムの計測を開始しましょう。

 イクゾー! デッデッデデデデ! (カーン)デデデデ! デッデッデデデデ! (カーン)デデデデ!

 

 

 

 

 

 ……ロードが終わって、オープニングムービーが始まりましたね。

 培養液の中で意識を覚醒させるティシポネーちゃん。同時に視界内の研究員たちが一斉に興奮を露にします。

 まぁ実際文句なしの最高傑作やからな、喜ぶんやど!

 

 すぐに再び微睡んでしまうため視界が暗転し、次に明転すると、簡素な患者服っぽい上衣を着せられた状態で、真っ白な大部屋に一人立ち尽くしている場面へ移ります。

 既に知力検査は終わったという体で、今から身体能力のデータ収集という名目のチュートリアルが始まるのです。

 B.O.W.ルートは他に存在する全てのルートをクリアして初めて遊べるモードということもあって、このチュートリアルは基本動作ではなく、武器の操作やB.O.W.としての特殊能力の扱い等について学べます。ネメシスでいうところの寄生体の扱い方、みたいな感じですね。

 

 

 T+G-ウイルスから生まれたB.O.W.が使えるのは、強大な発電能力です。体内に特別な発電器官を有しており、デンキウナギを遥かに上回る高電圧すら自在に発生させることができます。

 

 先駆者様の動画を見ていれば未プレイでもわかると思いますが、非常に強いです。プレイアブルキャラ専用の能力なのにここまで強くていいの? って考えちゃうくらい強いです。

 出が速い、射程も長い、ガードは貫通する。雑魚には高確率で即死判定が出ますし、大型の敵に対してもスタンが入ります。当然ながらRTAでも多用していきますよー征く征く(王道)。

 

 チュートリアルが始まりましたね。射撃用の的がいくつか出てきます。

 ナイフとハンドガン(G19)が最初から支給されているので、投擲するなり撃つなりして的を全て破壊しましょう。

 それが終わるとウェーブ戦です。活性死者どもがワラワラ部屋の中に入ってきます。

 主人公が人間だったら高い殺意を感じてしまうほどの数ですが、B.O.W.には活性死者ごときの攻撃じゃ何であろうと擦り傷です。ノーダメでサクサク処理しちゃいましょう。

 

 

 

 さて。

 チュートリアル中は動画映えしない単調な作業ゲーが続くため、しばらくは退屈してしまうと思われます。ですので、み な さ ま の た め に ぃ~……

 

 

 ……少々遅いタイミングとなりましたが、このRTAで走る新規シナリオ──と言うか、B.O.W.ルートの新難易度【LAST ESCAPERS】について、もう少しばかり詳しく説明しておきましょう(未プレイにも優しい走者の鑑)

 

 まず今までのB.O.W.ルートですが、本ルート限定の第一マップである地下研究所からの脱走に成功した後は、自由にラクーンシティ脱出の経路を組み立てればOKです。レオン&クレアと合流するも良し、ジル&カルロスに協力するも良し。それ以外にも方法は様々です。

 

 ですが、難易度【LAST ESCAPERS】はちょいと勝手が違います。

 まぁ視聴者兄貴姉貴も既に難易度の名前で察しが付いていると思いますが……当シナリオでは、脱出ルートがジル&カルロスと協力するものに固定されています。

 

 先に全体の流れを教えてしまいますが、地下研究所から脱走した後は、すぐにイベントが挟まり次の目的地はスペンサー記念病院に決定されます。そこへ向かうと、ジルのためワクチンを探しているタイミングのカルロスと遭遇、協力関係を結びます。そこからは治療後のジルも加わり、地下施設へ突入……と言った具合に、RE:3のストーリーへ加わる形となります。

 もっとも、全体を通した難易度はプレイヤーがB.O.W.であることを加味しても相当なものになっていますがね。理由は追々。

 

 以上のように、いわゆる公式シナリオのような形に仕上がっているのがこの難易度です。

 自由度の点から少々の不満がある方もいるのかもしれませんが、私はこういうのも嫌いじゃないですね。any%RTAより100%RTAの方がやりやすいタイプなので。

 

 

 

 説明している間に戦闘が終了しましたね。

 結果はノーダメ、ガバも特にありません。当然の結果です(無敗)

 

 これにてチュートリアルも完了なので、そのまま視界が暗転します。

 次に明転したらバイオハザードが発生しているので、いよいよ本格的なゲームスタートです。

 

 

 

 明転しました。ベッド、トイレ、机と椅子、本棚という殺風景な部屋から行動開始です。部屋の内側からは扉のロックを解除できません。

 

 しばらく本を調べたりしていると、何だか部屋の外が騒がしい……というモノローグが出ます。扉にある格子の隙間から外を覗きましょう。

 廊下からは走り回る人々の足音や悲鳴、そして不気味な咀嚼音などが聞こえてきます。

 

 ここで早速、短いですがムービーです。

 走ってきた一人の研究員が部屋の扉を開けてくれました。親切ですね。

 

「お前の体内にある爆弾を起爆させられたく無かったら、俺を無事にこの研究所から出せ!」

 

 右手でハンドガンを突き付けながら左手に持つスイッチを見せて、そんなこと言ってきました。もちろん爆弾のスイッチです。ちっとも親切じゃなかった。

 

 ここで豆知識をば。まず1つ目、この研究員の名前はサムといいます。モブキャラらしくて憶えやすい名前ですね。

 2つ目の豆知識です。こいつの名前を憶える必要はありません。

 

「√﹀\_︿/╲︿!」

 

 はい。台詞を言い切って間もなく、背後からケルベロスが研究員の首に噛り付きました。

 おお、グロいグロい(CERO:Z)

 

 ムービー終了です。

 当然ながら絶命した研究員はハンドガンと起爆スイッチを手放してるので、ハンドガンだけ回収したらスイッチは撃って破壊しましょう。

 このタイミングでケルベロスは死体の咀嚼からこちらへ注意を変えようとしますが、遅い遅い。こちらを向く前に電撃を放って即死させます。弾の節約ができるのも生体電気の良いところ。

 

 邪魔者がいなくなったので、心置きなく死体漁りです。研究員からはハンドガンの弾に加え……なんといきなり、研究所内のカードキーAをゲットだぁ!

 早くなぁい? もちろんマスターキーというわけではありませんし、内側からは開けられない扉を開けてくれた時点でキーを持ってるのは当然なんですけどね──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




 あらすじにも載せましたが、この作品は『座右の銘は天衣無縫』様の投稿小説『バイオハザードRTA B.O.Wルート』を大いに参考とさせて頂いた、三次創作みたいなものとなります。

 私が独自解釈でアレンジ・追加した設定が大半なので、この小説だけを読んでも困ることは何もありませんが、もし私の小説からバイオハザードのRTA風小説に興味を持ってくださったという方は、ぜひ『座右の銘は天衣無縫』様の二次創作も読んでみてください。


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PART2

(次話まで一括投稿なので実質)初投稿です。


 頼れる案内役が不在のRTA、もう始まってる!

 

 前回は開幕の死体漁りからいきなり研究所内のカードキーAを入手したところまででしたね。

 続きをやっていきましょう。カードキーを入手すると、プレイヤーキャラであるティシポネーちゃんの短いモノローグが挟まります。

 

(爆弾……)

 

 研究員の言葉から、自分の体内に爆弾があるという情報を入手できました。

 ここで【体内の爆弾を取り除く】という目標が表示されます。これでいよいよ探索開始です。

 ちなみにプレイヤーキャラの知識、つまりは言語能力を表すステータスがD以下であった場合、先ほどのような他者の発言などを十分に理解できないため、このような場面で目標が更新されず、結果あてもなくマップ内をさまようことになってしまいます。

 知能ステータスは大事、はっきりわかんだね。

 

 

 では移動を開始しましょう。

 ……ええ、はい。そうです。もう自由に始めていいんです、探索。

 

 従来のB.O.W.ルートを1度でも遊んだことがあるなら、ここは視聴者兄貴姉貴たちも驚いたことでしょう。私もビビりました。

 この難易度【LAST ESCAPERS】では、なんとあのアンノウン兄貴が一切登場しないのです。

 

 未プレイであっても、先駆者様のB.O.W.ルート動画(小説)視聴(閲覧)したことがあれば、私がその偉大さを語るまでもないと思われますが……せっかくですし、ちょっとだけ触れておきましょうか。

 B.O.W.ルート専用の第一マップである地下研究所では従来、前回のパートに出てたケルベロスを無力化させたあのタイミングで、放送越しにこちらへ協力を持ち掛けてくる男がいます。

 その声の主がアンノウン(当然ながら偽名)。研究所の警備のため雇われていた傭兵です。

 

 このアンノウン兄貴がB.O.W.ルートにおける相棒枠であり、非常に有能なキャラでした。

 合流するまでの彼は研究所の最下層にある警備室に居るのですが、施設内の電子ロックや仕掛けを解除してくれたり、ピンチの時はタレット付き監視カメラから的確な支援をしてくれます。

 本人の戦闘力もクソ高いので、合流した後でも雑魚の大群や大型敵を相手取る際に頼れる味方となります。油断してクリーチャーの不意打ちを受けるなんて事態も極稀という。

 何より、その口から出てくるカッコいい言い回しや小粋なジョークの数々が彼最大の魅力です。ルックスもイケメンだ(マウンテン・ティム)

 

 

 これまでのB.O.W.ルートではアンノウン兄貴の誘導に従っていればサクサクと研究所の探索を進められたのですが、今回は不在。プレイヤー自身のマップ知識でキャラを導いていきましょう。そのためのカードキー。あと、そのための拳(戦闘力)。

 アンノウン兄貴の有能ぶりを更に知りたい方は後からでも先駆者様の動画(小説)視聴(閲覧)して、どうぞ。また会いたひ……(ゆうさく)

 

 プレイの本筋に関係ない解説が長くなってしまいましたね。

 現在はティシポネーちゃんの専用装備を求めて移動中です。このまま直進し続けた先、同区画内の一室にまとめて置かれています。途中にはロックされた扉が2つありますが、手に入れたカードキーで開けられるものなので無問題です。B.O.W.の暴走も想定されたクソほど分厚い扉なので、ストレスフリーに開けられるのは気持ちがいい。

 鈍間な研究者ゾンビたちはスイスイ躱して急ぎましょう。

 

 目的地に到着しましたが……扉の前にハンターαが居座っていますね。予想の範囲内ですけど。

 この地下研究所というマップ、活性死者は元々この施設の職員だった人間の分しかおらず少ないのですが、その分リッカーのような変異体や、βも含めたハンターのように他ルートなら中盤以降に出てくるB.O.W.が最序盤から多く湧いてます。何か命令を受けているわけでもなく目に付いた相手へ襲い掛かるだけなので、当然ながら全て敵です。難易度の高さを物語っていますね。

 

 とは言え、今は1匹だけの遭遇。サクッと片付けましょうか。

 ハンターが首刈りの態勢に入るより前に、右の掌から放電! スタンさせます。敏捷ステータスSと放電の初速をもってすればハンターすら鈍足の部類です。

 そして今度はこちらから接近。相手の頭部を握り掴み、電撃を直接流し込んでやります。紫電掌だ!(孔濤羅)

 

 絶命しました。工事完了です……(達成感)

 未プレイの視聴者兄貴姉貴にも、T+G-ウイルスB.O.W.の特殊能力である生体電気の強力さが、かなり伝わってきたのではないでしょうか。

 しかし、こんなものは序の口。まだ私は必要最低限の出力でしか使っていません。

 

 

 この生体電気、攻撃性能だけを見ればマジでゲームバランスを崩壊させています。

 最大出力を掌から放出すれば、周囲に無数の落雷を撒き散らすマップ兵器となりますし、さっきの戦闘のように接触して使えば、対象の五臓六腑も神経も内側から焼き尽くす即死技と化します。

 もはやモンスターハンターの世界に片足を突っ込んでますねクォレハ……。

 

 私は特に、後者の零距離放電がお気に入りです。筋力で劣る相手の懐へ迫るのはハイリスクですが、自分が内家拳の達人になった気分で紫電掌ロールプレイができますからね。

 なにっ、電磁発勁を知らない? 今すぐ鬼哭街をプレイして、どうぞ(ダイマ)

 

 ちなみに当然ですが弱点もあります。

 最大出力で放電すると、その反動でしばらくの間は筋力と敏捷のステータスがF相当まで弱体化しますし、放電時には凄まじいほどの轟音が鳴り響くので、遠くの敵を呼び寄せてしまいます。

 この2つのデメリットが合わさると、弱ったところを新たな敵に囲まれてしまう事態に陥るので、全力放電の使用には慎重にならなければいけません。

 ……まあ、そんなデメリットを気にしなくていい状況であれば、RE:3の最終盤にてジル姉貴がネメシスを葬り去るのに用いた強磁性レールキャノン【FINGeR】すら遥かに超える破壊力を単身でブッ放せるという訳なのですが……それはまたいずれ。

 

 

 では部屋に入りましょう。目の前にあるデカい箱、この中に一式が揃っています。

 ティシポネーちゃんはタイラントと同様に、人間に擬態して社会へ溶け込む能力を持ち、複雑な任務も遂行可能な知能と圧倒的戦闘力を備えた兵器の完成形を目指して生み出された存在のため、このように専用の武装が用意されているのです。

 どれも有用なので、縛りプレイでもない限り使わない選択肢はありませんね。

 

 獲得できる装備は3つ。マグナム(とその弾)、電熱ナイフ、防弾コートです。

 

 まずはマグナム。

 何が手に入るかは毎度ランダムですが……今回はマグナムLホーク.44AEでした。ジル姉貴のルートでも手に入る普通のマグナムです、ナニモイウコトハナイ。

 ただ、最初からロングバレル(MG)が付属しているのはありがたいですね。

 

 続いて電熱ナイフ。

 こいつがT+G-ウイルスのB.O.W.であるティシポネーちゃんの専用装備です。形状はコンバットナイフ、刃渡りは20cm。電気を流すことで高熱を発生させるギミックを持ち、B.O.W.同士の戦闘でも通用する特殊な合金が使用されています。

 格闘戦のメインウェポンとしては勿論、薄っぺらい扉に対してはマスターキー(物理)としても使えます。酷使していきましょう。

 

 最後に防弾コート。

 量産タイプのタイラントT-103型が着用しているものを、ティシポネーちゃん用にアレンジした一品です。拘束具としての効果はありません。ありがたく着用します。

 患者服みたいな薄着の上に無骨なコート1枚というファッションが出来上がりました。恰好だけ見るとコイツ相当変態だぜ?

 

 

 これで装備が整いました。すぐにこの部屋を出──るのが従来のルートですが、今回はまだ用が残っています。

 実はこの部屋、プレイヤーキャラのティシポネーちゃんに関する研究データ等が保管されている一室なのです。だから、専用装備もここに置かれていたんですね。

 

 左手に見えるデスクを調べるとムービーが挟まり、ティシポネーちゃん自身について詳しい情報を入手することができます。

 極論ラクーンシティからの脱出さえできればいいシナリオであれば単なるフレーバーですから、スルーも可能なのですが、今回のプレイで目指す『グレーテルの怪物』エンドへ向かうためには、そのムービーを見ておくことが必須条件の1つとなっています。

 

 というわけでムービー開始です。

 点けっぱなしのパソコンや広げっぱなしの紙媒体資料を漁り始めたティシポネーちゃんの視線が、ある人名に留まりましたね。

 

 

 ──イザベラ・シュミット。これがティシポネーちゃん誕生のために用いられたクローン人間、その大元である女性の名前です。キャラクリエイトの時に付けた名前はあくまでB.O.W.としての名前であり、イザベラ・シュミットという名前は固定されています。

 

 このイザベラ姉貴は、T-ウイルスとG-ウイルスの両方に完全適応できる女性でした。つまりは、T-ウイルスに感染してもセルゲイ大佐と同様に知能低下を引き起こさず、G-ウイルスに感染しても異形化せずに共生できたということです。

 ……多分1億年に1人生まれてくるかこないかのレベルだと思うんですけど。リサ・トレヴァーもビックリだ。

 

 説明は次回のパートに残しておきますが、このイザベラ姉貴本人は既に死亡しています。加えてアンブレラ社が保有する彼女のDNAサンプルも、彼女が死んだ直後に急いで採取された劣悪なものが少数のみです。

 その劣悪なDNAサンプルから作ったクローンでティシポネーちゃんを生み出せたわけですから、とんでもない貴重品ですけど。

 ちなみにイザベラという名前は、どこかの国だと「神に捧げられた」等という意味を持つこともあるらしいですね。まるでT+G-ウイルスのために生まれた命みたいだぁ(愚弄)

 

 

 まだムービーは続いているので、今のうちにT+G-ウイルスについても語っておきましょう。

 先駆者様の動画で既に紹介されているので、だいぶ端折りますが。

 

 T+G-ウイルスは名の通り、T-ウイルスとG-ウイルスを組み合わせて作られたウイルスであり、バイオハザードの世界観を使用した外伝作である『ガンサバイバーシリーズ』にて登場しているのですが……ぶっちゃけ情報が少なすぎます。

 はっきり判明している特徴としては、「肉体が女性化する」と「電気を帯びる能力が発現する」ぐらいなものです。2003年に外伝で1度使われただけというのが考察する上で痛過ぎる……。

 

 しかし、それを逆手にとったのか、本作のT+G-ウイルスは「ぼくがかんがえたさいきょうのB.O.W.を作れるようにするためのご都合設定」として機能しています。自分だけの美少女B.O.W.を多数生み出した既プレイ兄貴は多いはずです。

 とは言えど全体の特徴としては結局「女性キャラにしか適用できない」「比較的高い初期能力」「特殊能力の生体電気」という具合に留まっていますがね。

 ですので、本作限りのご都合設定とだけ覚えていれば大丈夫です。

 

 え? そもそもストーリーが2と3のタイミングでG-ウイルスの実験体を操作できるのもおかしい?

 お祭りゲーで時系列を気にするのはこの世で1番の愚行ですよ、アナタ。

 

 

 

 長々と語っている間にムービーが終わりましたね。

 これでティシポネーちゃんは自身の出自について、それに加えて自身の体内にある爆弾についての情報も入手できました。

 施設の研究区画内に機械制御されたB.O.W.用の手術室があり、そこで爆弾除去の手術を行えるのですが、そのために2種の薬品を用意する必要があります。薬品というのは再生阻害剤と、その中和薬です。再生阻害剤を投与してから手術を行い、爆弾を取り除いた後、中和薬を投与して瞬時に切り口を再生させるという流れです。

 今まではアンノウン兄貴が教えてくれたのですが、今回は不在のため、ここで情報を入手できるよう変更されています。

 

 目標も【手術に必要な薬品を入手する】に変更されました。

 では早速……向かいたいところですが。部屋から出たところで、またも短めのムービーです。

 

 人並外れた聴覚で、誰かの悲鳴を聞いたティシポネーちゃん。

 研究所の職員が発したものであれば、特に助ける義理もないはずですが……自然と足先が、悲鳴のした方角へ向いていることを自覚しました。

 

(何故だかわからないけど……私は助けに向かわなければならない気がする)

 

 ムービーが終わり、このようなモノローグが表示されました。

 それと同時に、今から向かうべき進路が光って視覚化されます。はい、目標も【衝動に従え】というものに変更されましたね。コロコロ変わり過ぎじゃい。

 

 この光っている進路から外れようとするとゲームシステムから「向かうべきはこちらではない」と言われ、見えない壁に阻まれます。時間ロスにしかならないので、大人しく従いましょう。

 途中にロックされた扉のような障害も無いので、活性死者を避けつつノンストップで走ります。全速前進DA!

 

 

 はい、目的地までガバ無く到着! そしてまたまたムービーです。

 通路の先、研究者の活性死体に追われて悲鳴を上げながらこちらへ走ってくる少女がいます。

 すかさずティシポネーちゃんが少女を抱き留め、眼前の活性死体は放電で処理。

 そうすると、助けた少女は──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




次話のおまけパートはプレイヤーキャラの一人称視点となりますのでご注意ください。


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おま〇け1

(おまけパートは)初投稿です。


 誰が生めと頼んだ? 誰が作ってくれと願った?

 私はお前たちの人形になど成りたくない。

 私は何を為すために在るのか──いつか必ず、それは自分で見つけたい。

 

 

 

 私は兵器、そう作られた。それで「ハイ終わり」と結論付けられるぐらい自分が阿呆だったら、どんなに気が楽だろうか。

 兵器に知能など与えるな。私は声を大にして、そう言いたい。言わないけど。

 

 そんな発言をしても、研究者の連中は第二第三の私を作り出し、当の私には「NE-α」とかいう寄生生物を埋め込んで終わりだろう。皮肉な話だけど、自分の兵器としての有用性は、自分が最も理解できている。そんなのは御免だ。

 知能の無い私は、間違いなく気が楽だろうが──幸福にはなれないだろう。そう思うから。

 

 実際のところ、私が何のために生まれたかは考えるまでもない。命を殺傷するためだ。

 ()鹿()()()()()()()。言語学習のために与えられた本の数々を、今日も今日とて読み耽りながら、そう思ってしまう。

 善い本を読むと、知識を得られる。発見を得られる。感銘を得られる。必然、理解する。

 ……誰かを傷つけるのは望ましくない。人を殺してはならない。多くを殺しておきながら多くに賞賛される、などという話は現代じゃありえない。……そんなこと、嫌でも理解できる。

 

 それでも想像するのは、いつか、生きた人間を殺害する瞬間だ。

 私という生物兵器は、人間に擬態して社会へと溶け込んでの軍事任務を想定して生み出された。すなわち、期待されるのは街中での暗殺や敵地での破壊工作──相手を騙して、殺すこと。

 

 私が今までに()()()対象は、物言わぬ射撃の的と活性死者のみ。活性死者に対しては介錯の意を込めて処理しているが……これが生きた人間となれば、どうなるだろう。

 その時の私は、物言わぬ兵器として在れるのだろうか。正直、自信は無い。

 

 知能ある相手を兵器として教育したいのであれば、読書なんて私の自主性に丸投げしてないで、ちゃんとした洗脳と言うか調教を施した方が確実だと思う。私が表面上は従順な様子を見せているというのもあるけど、研究に没頭し過ぎな白衣の人間たちは、そこまで頭が回らないらしい。

 まぁ、本当にそんなものが始まったら流石に従順じゃいられなくなるだろうけど。

 

 

 ……白衣の連中の話を盗み聞いたところでは、もうすぐ私という生物兵器の量産体制を築くための動きが始まるらしい。

 私にティシポネーという名前を付けた事から考えると、第二第三の私はアレークトーやメガイラとでも名付けられるのだろうか。どうでもいいけど。

 

 私は兵器、そう作られた。

 ──本当に、それしか私には無いのだろうか?

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 9月28日、間もなく29日へ移り変わる深夜帯。億劫な日々に、変化は突然訪れる。

 何やら自室の外が騒がしい。気になる。いっそ全力放電で扉を焼き切ろうかと本気で考え出したタイミングで、運良く扉は開かれた。

 

「お前の体内にある爆弾を起爆させられたく無かったら、俺を無事にこの研究所から出せ!」

 

 そう言って私なんかをアテにした白衣の男は、運悪く死んでしまったけど。

 ゾンビ犬は敵意を向けられる前に素早く処理し、状況を考察する。と言っても、何が起きたかは火を見るよりも明らかだ。

 

 バイオハザードの発生。

 このゾンビ犬を観察した限り、おそらく原因は私の誕生にも用いられているウイルスの片割れ、T-ウイルスの予期せぬ流出だろうか。

 何とも大変な事態だが、それよりも私には気になることがあった。

 

「爆弾か……」

 

 どうやら私の体内には爆弾が埋め込まれているらしい。(自分で言うのもアレだが)相当な怪物である私の制御を目的にしている以上、きっと相当な威力だろう。

 そりゃそうかと納得できる話ではあるが、流石に不快だ。せっかくこの事態に便乗して狭苦しい世界から逃げ出せそうだというのに、未だ足枷が残っているのだから。

 

 まずは、それを取り除ける方法を探すとしよう。

 人間を怪物へと変貌させるT-ウイルスだが、最初から怪物の側である私に当面の危機は無い。

 であれば、考え無しに脱出を優先するより、思い残しを潰していくことに専念するべきだ。

 

 ……行動の際に何かしら目標を欲しがってしまうのは、兵器としての(さが)かもしれない。

 死体の白衣からカードキーを拝借しつつ、そう自虐した。

 

 

 

 活性死者どもを無視しながら探索していると、目新しい相手に遭遇した。

 ソレは人型だが、人型であること以外の要素は、ソレが私の()()()であることを物語っている。

 全身を発達した筋肉と鱗に覆った、巨大な両腕と先端のカギ爪が特徴的な姿。ガワだけ人間を装った私に比べれば、随分と兵器らしいシルエットの怪物だ。いっそ羨ましい。

 

 でも、こちらの進路を邪魔しているのはいただけない。向こうも敵意丸出しだ。関係ないけど。

 

鈍間(ノロマ)だね」

 

 相手が仕掛けるよりも先に、電流を放って動きを縛る。

 そうしたら遠慮なく接近して、零距離で電撃を叩き付ける。これで終わりだ。

 

 ……今まで、耳に胼胝(タコ)ができるほど白衣の連中から聞かされていたせいで、当然のことのように受け入れていたけれど──どうやら本当に、私は怪物どもの中でも最高傑作の怪物らしい。

 

 

 

 とても幸運なことに、入った部屋には私にお誂え向きの武装が用意されていただけでなく、私という生物兵器に関するデータが纏められているようだった。

 放置されている資料やパソコンの画面に、これ幸いだと目を通せば──1人の女性、その名前と顔写真に目が留まった。

 

 イザベラ・シュミット。どうやら私は、この女性のクローンを素体として生まれたそうだ。

 私の頭髪を銀色から栗色に、瞳を青色から琥珀色へと変えれば、私の容貌はこの女性と瓜二つになる。素体の外見がこれほどまで残っている生物兵器というのも珍しいのではなかろうか。

 本人は今年の2月に死亡しており、その享年は16。私の肉体の外見年齢とも一致している。

 

 資料の記述から読み解いた限りの情報を整理していこう。

 イザベラには、歳の7つ離れた妹がいる。両親は昨年に交通事故で亡くしており、他に身寄りは無い。そんなところを、ウイルスの被検体を集めていたアンブレラ社の手先に騙され、この研究所まで妹と共に拉致されてきた。

 しかしイザベラはそれなりに聡い女性だったようで、移送される道半ばで真実に気付き、妹だけでも逃がそうと大いに暴れた。

 そして不運なことに、この移送の護衛を担っていた傭兵の一人が短気な輩だったらしく、事態の弾みでイザベラは射殺された。慌ててアンブレラの人間がDNAサンプルを採取し、鮮度の観点から最優先で実験対象に定め──この私、ティシポネーの存在に至るというわけだ。

 

 騙されてしまったのは愚かだったかもしれないが、最後に肉親のため足掻いたという姿には敬意を表したい。そう思うが──やはり、私の中に想起できる光景は無い。当然だ、私はあくまで彼女のクローンから生まれた存在なのだから。

 記憶が人格を形作る、という考え方がある。それに倣うのであれば、私にイザベラ・シュミットを名乗る資格は無いようだった。

 

 

 

 少々気落ちする出来事もあったが、情報収集の成果は上々だ。体内の爆弾を取り除くことが可能な手術室、そして手術に必要な薬品2種の存在。探索に明確な道標ができた。

 もう見落としは無いだろうと部屋を出た──ところで、無意識に耳が悲鳴を聞き取った。

 年齢までは特定できなかったが、声の主は人間の女性だ。間違いない。

 

 放っておけばいい。どうせこの施設の職員なのだから、助ける義理は無い。

 そのはずが──私の歩みは無意識に、悲鳴の聞こえた方角へと向かっている。

 

(何故だかわからないけど……私は助けに向かわなければならない気がする)

 

 不思議と、その衝動に従うべきだと思った。

 きっと、この先には何かがある。何もかも空っぽな怪物であるはずの私が、それでも追い掛けるべき、掴もうと足掻くべき──私のとっての、光が。

 

 

 脇目も振らず、その光の方へと走り出して──見つけた。活性死者に追われる小さな人影。

 ()()()()()()()()()1()0()()()()()()()()()()()()()()こそが、悲鳴の主だった。

 

 

 気付けば、またもや無意識の内に身体が動いている。こちらへ走り来る少女を素早く抱き留め、勢いのまま眼前の活性死者へ電撃を放つ。私がそれをやったのだと、一呼吸遅れてから自覚した。

 やはり間違いない。先ほどから私を突き動かしている衝動の根源は、この少女の存在にある。

 一体この()は何者なんだろうか。クリーチャーでもクローンでもない、ただの人間であることはわかる。しかし、それだけでは私の──

 

 

「お姉ちゃん!」

 

 

 ──お姉ちゃん?

 

 

「やっぱり、やっぱりお姉ちゃんだっ!! 髪の色が全然違ってたから、すぐにはわかんなかったけど……あれ、よく見たら眼の色も変わってる? あぁ、何てこと! お姉ちゃん、ここの変な人たちにずっと変なことされてたんでしょ!? アタシ、今まで心配で心配で……でもね、信じてたの! お姉ちゃんは必ず、こういう絶体絶命のピンチにはアタシのところまで駆け付けてくれるに違いないって! お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!!」

 

 ……よく喋る娘だ。パニック状態にあるのか、こんな非常事態でも快活さを失わない精神性を持っているのかは判別できないが、とにかく圧倒されて情報を整理できない。

 

「……? ちょっと、お姉ちゃん? どうしたのよ、変な顔して。せっかく髪と眼の色が変わって美人さもアップしてるのに、そんな表情じゃ台無しよ? アタシとお揃いの色をやめちゃったっていうのは、すこ~しばかりショックだったりもするんだけど~……あっ、もしかして! しばらく離れ離れになっちゃってただけで、アタシの顔を忘れちゃった、なんて寒いジョークを言うつもりじゃないでしょうね! そんなのお断りよ! ()()()()()ちゃん、怒っちゃいますからね!?」

 

 グレーテル。この娘の名前だろうか。しかし、その名前を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、かの有名なグリム童話『ヘンゼルとグレーテル』だ。

 童話の中のグレーテルは、自分たちを騙し兄ヘンゼルを喰らわんとする魔女に、知恵と勇気を以って立ち向かった、ヘンゼルの──

 

 

 

瞬間

 

私の脳内に溢れ出した

 

()()()()()記憶

 

 

 

「アタシたち、これからどうなっちゃうのかな」

 

 栗色の髪と琥珀色の瞳をした少女が、涙声で呟く。

 

「わからない。でも、絶対に大丈夫だよ」

 

 その呟きを否定せず、しかし勇気付けるように、()()()()()()()()()()()()()()は豪語する。

 

「たしかに、父さんと母さんはいなくなってしまった。とても悲しいよ、心細いさ。……だけど、ここにまだ遺されたものがある。そうでしょう?」

 

「……アタシと、お姉ちゃん?」

 

「その通り。私たちは2人なら最強だ。どんな困難もヘッチャラさ!」

 

「じゃあ……約束してくれる? アタシとお姉ちゃん、ずっと一緒にいるって!」

 

「うん、約束しよっか。ずっと一緒だ、絶対に離れない。──ほら、もう何も怖くないでしょ?」

 

 そう、約束を交わしたんだ。

 きっと、生まれ変わっても忘れない、2人の約束を。

 

 

 

「……ねぇ、ちょっと? お姉ちゃん、アタシの声は聞こえてる?」

 

 心配するような声に呼び起こされ、現実に回帰する。……ああ、そうか。そういう事なのか。

 先ほどの部屋で得られた私に関する研究データの中に、ソレは明記されていなかった。だけど、今ならわかる。根拠は無くとも、私の内に在るモノが教えてくれる。

 グレーテル・()()()()()。それが名前。この娘こそ、イザベラの妹なのだ。

 

 我ながら信じ難い話だが、どうやら私の中には、未だイザベラの記憶が残っていたらしい。

 所詮、自分はクローンから作られた兵器に過ぎない──そう思い込んでいたが故、無意識に封印していた温かな記憶が、グレーテル本人との邂逅によって溢れ出したということだろう。

 

 だからこそ、理解もしている。さっき幻視した光景はイザベラの記憶だ。ティシポネー()にとっては、存在しない記憶だ。

 イザベラは既に死んだ。ティシポネー()はイザベラではない。それで結論付けてしまうなら、結局あの約束は果たされず仕舞いとなってしまう。

 

 

 ──でも、そんな結末お断りだ。

 

 

「──っ! お、お姉ちゃん! バケモノがまた来た! 今度は多いよ!」

 

 亡きイザベラの意志を継げる者は、私以外に存在しない。

 何より既に、もう私自身が、そう在りたいと願ってしまった。

 ならば、やはりこの衝動に抗う必要など無い。……約束を、守り続けよう。

 

「あいつらね、めっちゃアホそうな見た目してるのに、なんでかアタシばっかり狙おうとしてくるの! もう怖くて怖くて──お姉ちゃん?」 

 

「──うん、大丈夫だよ。安心して、私に任せて」

 

 ……これは、原作の童話でしか見られないようになった設定だが。

 『ヘンゼルとグレーテル』において、魔女に言いつけられ兄を煮るための鍋を沸かすしかない己の運命を嘆き、神に苦しみからの解放を祈ったグレーテルは──そんな神から返ってきた助言によって、魔女が内心に秘めていた企みの詳細を知ることができたのだ。

 

 で、あるならば。

 神よ。人間であることを奪われた怪物の私が、初めて祈る。

 我が名に宿られし女神、殺戮へ復讐する者、ティシポネーよ。我が身に加護を与え給え。

 

「グレーテルは私が守る。私は──」

 

 兵器として持たされた、忌まわしくも頼もしき、この力を復讐の刃と化し。

 

「──全力で、お姉ちゃんを遂行する!!」

 




ひとまず切りの良いところまで一括投稿しましたが、ここからは不定期更新になります。
兎にも角にもエタらないことが目標です。

感想・批評よろしくお願いします。


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PART3

(ほんへ2話&おま〇け1話のローテーションになると思うので、2週目は)初投稿です。


 ここから全力でお姉ちゃんを遂行するRTA、続きいくよぉ〜(ISHR先生)

 

 前回は、活性死者に追われていた少女を助けるムービーが流れ始めたところまででしたね。もう少し掛かりますから、解説タイムとしましょうか。

 

 この少女こそが、ティシポネーちゃんの基となったイザベラ姉貴の妹、グレーテル(9歳)です。

 2人は共に騙されてこの研究所まで拉致されてきたのですが、その際に一歩遅れて真相を知ったイザベラ姉貴は妹を逃がそうと暴れたため、殺されてしまいました。

 移送自体は別々だったため、グレーテルは姉が死んだことを未だに知りません。

 

 んで、その場の弾みで殺されたイザベラ姉貴から慌てて採取したDNAサンプルを使っての実験が最優先で行われたワケなんですが、そこからT+G-ウイルスのB.O.W.を作れちゃったもんですから研究者たちはお祭り騒ぎ。皆が期待のホープたるティシポネーちゃんに掛かり切りとなります。

 それによってグレーテルを使った実験はすべて後回しにされたので、彼女は未だに健康体です。何のウイルスも体に投与されていませんし、毎日三食昼寝付きでした。

 

 何はともあれ今まで無事だったのですが、とうとうバイオハザードが発生。グレーテルは現在の地下研究所で唯一の新鮮な人間ですので、活性死者からは真っ先に狙われてしまいます。自室からどうにか抜け出してここまで逃げていたのを、ティシポネーちゃんが助けた……という場面が今のムービーです。

 

 ちなみに、ティシポネーちゃんがグレーテルの現在地を突き止められたのはG-ウイルスの能力に因るものという設定です。RE:2でも、G-ウイルスによる変異の末に自我を失ったウィリアムは、生物としての繁殖本能から遺伝子的に近い実の娘であるシェリーを執拗に狙いましたよね。

 知能を有したT+GのB.O.W.には暴走するほどの生殖本能なんてありませんが、己と同様にG生物が完全態となるための完全適合遺伝子を持つ人間を本能的に探し当てることが可能なのです。

 

 

 はい、ここで新手の活性死者が前から後ろからうじゃうじゃ湧いてきますが、存在しない記憶に身を任せ同化したティシポネーちゃんが覚醒。グレーテルを守るために戦うことを決意します。

 このようにT+GのB.O.W.は大きな切っ掛けで素体の記憶を断片的ですが想起することができ、それが今回のプレイで目指す『グレーテルの怪物』エンドへの第一歩になります。

 

 心機一転したところでムービー終了。間髪入れずに掃討戦の開始です。グレーテルは自分の横で下手に動かないよう指示し、マグナムを構えます。

 ここから先の戦闘ではマグナムを使い惜しみせず、生体電気も反動が出ない程度に出力を上げていきます。非力な護衛対象を抱えている以上どんな敵に対しても即殺を心掛ける必要があるので、ハンドガンの出番は少なくなります。あ、死亡確認には積極的に使っていきますよ。

 

 最初に迫り来るのは通常の活性死者だけです。まず前方の敵を全てマグナムで倒したら、素早く背後へ振り向きざまに放電。これだけで倒そうとする必要はありません、スタンさせることが目的です。至近距離の敵は電熱ナイフでサクサク首を刎ねて、遠くで痺れている敵をハンドガンで処理しましょう。

 ここで死体撃ちの必要はありません。RE:3での病院籠城戦の時みたいに、戦闘不能になった奴は勝手に爆散しますので。

 

 

 過半数が爆散したところで、第二陣が流れ込んできます。

 今度は雑魚の群れに交じって、変異体であるリッカーとペイルヘッドも登場します。こいつらは移動が速い上、前者は耐久力、後者は再生速度に優れた厄介な敵です。今回は前方からリッカーが1匹、後方からペイルヘッド2匹ですね。

 硫酸弾のリの字も出てない最序盤からこいつらが襲ってくる難易度、ああ^~たまりませんわ。戦えない子どもが居るこっちの事情も考えてよ(棒読み)

 

 とは言え大丈夫、やり方は出来ていますよ。真横に陣取らせていたグレーテルを自分の正面から抱き着かせたら、右掌を前方へ、左掌は後方へ突き出します。

 移動の速いリッカーとペイルヘッドは自然と他の敵より先行してくるので、そいつらだけ十分に引き付けて……はい、両手から放電。3体同時にダウンさせます。床へ倒れ伏したところに、電熱ナイフで致命のダメージを与えましょう。

 こういう場合の処理順は、必ずペイルヘッドを優先します。麻痺からの復帰が比較的速いのに加えて、一方のリッカーが当分の間は痺れていてくれるからですね。多分変態(みたいに丸出しの肌してるから)だと思うんですけど(凡推理)

 ここまで焦らず騒がず落ち着いて対処し切っても、後続の活性死者までは距離が残っています。遅い遅い遅い。じゃけん第一陣と同じように駆除しましょうね~。

 

 

 こうして敵を全滅させれば終了……と思わせておいて、最後にメインディッシュのハンターβが飛び入り参加してきます。忘れずにグレーテルの正面で立ち塞がりましょう。

 前回のパートでαはサクッと処理しましたが、βはそれなりに難敵です。銃弾をも回避するほどの反射速度は伊達ではなく、放電攻撃も迂闊に予備動作を見せると回避行動を取られてしまいます。

 

 ですので、ここは先の後を狙いましょう。相手の突進を待ち構えて……ここ! タイミングよくステップのコマンド入力、すなわち緊急回避です!

 ご覧の通り、B.O.W.キャラの緊急回避はカルロス兄貴と同じくパンチでの反撃です。敵の攻撃を潰して転倒&エイムアシストが付きます。美少女からの左フックじゃい、嬉しいダルルォ!?(B.O.W.の筋力:Cは人間における筋肉モリモリマッチョマンの変態に相当します)

 

 そして、相手が転倒したということは、この通り。仰向けになったところへ両手を押し付けての放電を喰らわせる隙が生まれるワケです。双撃紫電掌!(孔濤羅)

 

 はい、無事に倒せましたね。

 これにて掃討戦が幕を閉じ、それを示すムービーが入ります。工事完了です……(達成感)

 「お姉ちゃん鬼つええ! このまま逆らうやつら全員ブッ殺していこうぜ!」という小学生並みの感想ではしゃぐグレーテルを見て、ひとまず防衛の成功に安堵したティシポネーちゃんが笑みを浮かべます。

 B.O.W.キャラの貴重な笑顔差分です。みんな見とけよ(メタ発言)

 

 

 あと数秒でムービーが明ける。

 ムービーが明けるとどうなる?

 知らんのか。殲滅ゲーが始まる(COBRA)

 

 

 ムービーが明けたところから探索再開となるのですが、当然ここからはグレーテルと常に行動を共にすることとなります。

 今の掃討戦で未プレイ兄貴姉貴も理解できていると思いますが、こんな9歳の少女に自分で身を守れるだけの力はありません。敵と戦う際にはグレーテルの安全確保を意識することが必須です。

 

 ……もうお分かりでしょう。

 ペイルヘッドやハンターβ等が最初から襲ってくる地下研究所を、無力な味方を連れながら探索しなければならない。それこそがこの難易度【LAST ESCAPERS】の真骨頂です。RE:2のクレア編でもシェリーを連れ歩く期間がちょくちょくありましたけど、あんなもんの比じゃありません。

 

 画面の方ではもう探索を進めちゃいますが、もう少し解説しておきますね。

 ここから先、多くの敵はプレイヤーキャラではなくグレーテルの方を真っ先に狙ってくるのですが、そんなグレーテルの耐久力はジル姉貴やクレア姉貴みたいなプレイアブル女性キャラの半分もありません。リッカーに引っ掻かれでもしたら死にます。そりゃそうだ。

 言うまでもなく、今回目指すエンドへの到達にはグレーテルの生存が必須。死なせてしまったらリセ確定です。いやーキツいっす……(素)

 

 ──しかし。それが妹の前で命を張らない理由になるか?(脹相)

 妹が簡単に殺されてしまいそうなら、その殺しに来る敵を徹底的に排除すればいいだけのこと。

 

 幸い、T+G-ウイルスB.O.W.には生体感知能力があるため、近付く敵は全て発見できます。

 ならばどうするか? RTAにあるまじきプレイスタイルですが、その答えはただ一つ。

 「殲滅」をします。

 

 私を無礼(なめ)るな怪物! 私はチャートをちゃーんと固めたぞ(激ウマギャグ)、何も変わらない!

 見敵必殺(サーチアンドデストロイ)! 見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ! 我々の邪魔をするあらゆる生命は、叩いて潰せ!

 逃げも隠れもせず、最短ルートから打って出ろ! 全ての障害へと進み、圧し潰し、粉砕しろ!

 

 という訳で今後は攻撃の射程圏内に入ってきたクリーチャーを問答無用で倒しましょう。まるで通常プレイみたいだぁ(直喩)

 敵の湧きやすいルートを避けて遠回りするよりも、B.O.W.キャラの戦闘力に任せて最短ルートを突っ切る方がタイムは速い。当たり前だよなぁ?

 加えて、この地下研究所は敵を倒しまくることに明確なメリットがあります。どこでその恩恵を受けられるかについては、また追々。

 

 

 さて、必要な解説も済んだので状況確認に移りましょう。

 現在は爆弾除去手術に必要な薬品を手に入れるため、階段を通って1F上の薬品実験室へ向かっています。同行者が居るので敏捷:Sを活かした高速移動はできなくなりますが、敵を蹴散らしながら進むためロスにはなりません。

 

 ほい到着。薬品実験室の扉はパスワード式の電子ロックが掛かっている……はずなのですが、ティシポネーちゃんから「開いている……」という台詞が出ましたねぇ。警告代わりのメッセージです。おっ、開いてんじゃ~ん! と迂闊に入れば死ゾ。

 これから実験室は戦場と化すので、グレーテルには廊下で待っていてもらいましょう。このためにも、廊下の敵を見敵必殺しておく必要があったんですね。

 

 すぐに放電できるよう構えたら突入します。いざ鎌倉!

 中の敵は……ハンターβが1体、ペイルヘッドが1体、活性死者が3体。それなりに広いとはいえ一室内にこのラインナップを詰め込むのはやめてくれよ……(疲弊)

 部屋に入ったら真っ先にハンターβへ向けて放電。出力はその隣に居るペイルヘッドをちょうど巻き込める程度で。

 

 ハンターβに対してはこのように、攻撃態勢に入ってない内から先手で電撃を浴びせれば、閃光手榴弾を喰らった時のように硬直してくれます。ペイルヘッドも似たようなものですね、こいつはある程度ダメージを与えれば回復するまで移動速度が落ちるので。

 やはり電撃……! やはり電撃はすべてを解決する……というかB.O.W.ルートは開発側もこれをフルに使うこと前提で敵の配置を考えてますねクォレハ。無限ロケラン解禁してから挑む難易度インフェルノみたいなもんですし。

 

 ハンターβがスタンしたら、先にマグナムでペイルヘッドを狙います。ヘッドショットなら一撃なので確実に。その次にハンターβを撃ち、更に怯んだところへ電熱ナイフでトドメです。

 この2体を処理できれば、この場面は切り抜けたも同然。残る活性死者なんぞ楽勝です、3人にだって勝ててしまうんだよなぁ──

 

 

 ──っ、ここで生体感知に別反応!? てか廊下で待機させてるグレーテルが悲鳴を上げた!?

 急いで実験室を出て確認……うわ、リッカーがもうすぐそこまで来てる! この階でリッカーが湧く可能性って50回プレイして1回ぐらいの確率なんですけど! こんなところでbiim門弟特有の屑運なんか発揮しなくていいから! あああガバる、ガバってしまう!!

 

 

 ……仕方ありません。グレーテルは更に後退させて、ここはライフで受ける!

 左腕を前に差し出して、飛び爪攻撃は甘んじて受けましょう。人間キャラが喰らえば大ダメージは確実な爪の一撃ですが、ランクC以上の耐久を備えたB.O.W.なら騒ぐほどではありません。

 

 ほら見ての通り、ティシポネーちゃんの細腕でも爪が骨まで達した程度で、引き千切られたりはしません。これぐらいのダメージなら再生:Aもあればすぐに自然回復します。

 カスが効かねえんだよ(ハイパームテキ)……と豪語したいところですが、当然ノックバックは発生するので忘れずに。ティシポネーちゃんは長女だから我慢できているのです、次女だったなら我慢できなかったでしょう(竈門炭治郎)

 

 そうこうしている間に実験室から残っていた活性死者3体も出てきちゃいましたね……リッカーの爪が食い込んだままでも良いんで、とにかくグレーテルの前で立ちはだかりましょう。もはやこの際です、全身からの放電で一網打尽にします。3人に勝てるわけないだとぉ? 馬鹿野郎オマエ私は勝つぞオマエ!

 

 

 ……はい、勝ちました。ですが真のガバはこれからです。今までノーダメ進行、というかずっとノーダメ進行のつもりだったので紹介する機会は無いと思っていたのですが……このように。

 グレーテルの目前で一定以上のダメージを受ける&そのダメージをアイテムではなくB.O.W.の再生力によって自然回復させると、それをグレーテルに心配される専用ムービーが入ってきます。姉が人外になったことを、とうとう子供ながらに理解してしまうシーンです。

 

 結構アーパーな性格してるグレーテルが真面目に悲しむ様子に、それを「姉貴ってのがどうして一番最初に生まれて来るか知ってるか?(黒崎一護)」と励ますプレイヤーキャラ、という感動的な演出ですが……これRTAなのよね。合わせて1分以上のロスは避けられません。

 視聴者兄貴姉貴からの再走要求が聞こえてきますね……(幻聴)

 

 

 ですが、この先すべてノーミスならお釣りがくるので続行します(ウンチー理論)

 

 なにジョジョ? 被ダメのせいでムービーが挟まりロスになった?

 ジョジョ、それは無理矢理ノーダメ進行に拘ろうとするからだよ。

 逆に考えるんだ。「ムービーは1回キリだし、ここからは被ダメ前提で進んじゃってもいいさ」と考えるんだ。

 

 

 という訳で再開です。敵の掃討が完了した薬品実験室から目的の薬品2種を回収します。

 加えて、先ほど倒した活性死者の残骸の内1つからカードキーBを入手しましょう。アナウンスも何も無いので拾い忘れには要注意です。

 今から向かう手術室がある階層は、AでなくBのカードキーでないと基本的に扉が開きません。だから、必ず拾う必要があったんですね(1敗)

 

 必要な物は揃いました。手術室を目指しましょう、とその前にグレーテルとの会話が──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




お気に入り登録、感想、そして高評価ありがとナス!
速くとも週に1回の投稿頻度になると思われますが、今後ともよろしくお願いします。


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PART4

(今回は比較的短めになったので)初投稿です。


 爆破して良いのはフィクションのニコニコ本社とバイオハザードシリーズの研究施設だけ! なRTA、続きいくよぉ〜。

 

 前回は薬品実験室で、爆弾除去手術に必要な薬品2種を入手したところまででしたね。

 早速手術室へ向かいたいのですが、薬品実験室を出たところで会話が挟まります。

 

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「……グレーテル、気を付けて。何か、格の違うヤツが現れた……気がする」

 

 はい、気のせいではありません。このタイミングでタイラントT-103型が1体、出現します。

 この研究施設、バイオハザードこそ起きましたが電子機器類は未だ生きていますので、ここでの出来事は全てアンブレラ本社がカメラを通して監視しています。そんな連中が、プレイヤーキャラのB.O.W.捕獲&研究所に残されたイザベラ姉貴のDNAサンプル回収を目的としてタイラント先輩を派遣してきたのです。

 

 タイラント先輩は地上からのエレベーターに乗って地下研究所に侵入してきています。いきなり鉢合わせはしませんが、向こうはこちらの現在地を捕捉済み。これから我々は追われる身です。

 RE:2のレオン編と同様に、撃破可能となる最終盤のイベント戦闘まで長い付き合いとなるワケですね。……普通のルートならば、ですが。

 

 これはB.O.W.ルート、加えてプレイヤーキャラはT+G-ウイルスB.O.W.です。この肉体そのものがロケットランチャーすら凌駕する兵器……後はわかりますね?

 おっと、ここで皆まで言う野暮な真似はしません。もう間もなく、お見せできますので。

 

 

 では手術室に向かいましょう。現在の階から更に1F上にあります。

 ここからだと階段を使った方が速いので、そちらへ向かいましょう。この階の敵は既に掃討済みなのでさっさと移動しちゃいますね。甥のKMR、加速します(倍速編集)

 

 階段を上って右手側がB.O.W.用手術室ですが、まずは左手側へ。こちらにあるのは生体実験室です、今はまだ入りませんけど。通路上にハンターα2体、β1体、ペイルヘッド1体が確定で湧いているので、先にこいつらを処理しておくのが目的なのです。

 それぞれ離れた場所で戦えるので多勢に無勢とはなりません。タイマンでティシポネーちゃんが負けるはずもありませんから引き続き倍速で処理の光景をお送りします。

 

 はい、ランダムで湧く活性死者1体も含めて処理完了ですね。改めて右側へ。

 こっちの方に確定で居るのはリッカー2体と、最初は寝ている状態の活性死者4体です。リッカーを2体同時に相手するのは面倒なので、1体目が見えた時点で先手を打ってのマグナム射撃。弾数は掛かりますがマグナム連射でそのまま倒しましょう、弾はこの先で拾えるので。

 1体目を倒してしまえば残りは作業です。寝ている活性死者はこっちからハンドガンで起こして電熱ナイフで処理。2体目のリッカーと同時に対応しなければならない事態だけ防ぎましょうね。

 

 

 ……これで、この階での雑魚処理は完了です。ランダム敵は活性死者1体のみ、良い乱数だぁ。前パートの大ロスを挽回できる時は近いかもしれません。

 では手術室に入りましょう。カードキーBで扉のロックを解除し、入室後は内側から再び施錠し直します。この施錠を絶対に忘れてはいけません(無敗)

 

 室内の手術台を調べることで、薬品2種をセットし、機械制御での手術で爆弾を取り除けます。演出としては、手術台の上へ横たわると暗転し、次に明転した時には既に手術が完了しています。

 ただし、当然ながら手術中のティシポネーちゃんは無防備。この状況で手術室の扉がアンロックされていると「おっ開いてんじゃ~ん!」と言わんばかりにタイラント先輩が侵入、グレーテル共々G方面にソリッドな展開となってしまいます。だから、施錠し直す必要があったんですね。

 

 さぁ暗転。そして明転──すると、手術室の外からは扉を何度も殴りつける音、既に歪んでいる扉、そして目の前には怯えてティシポネーちゃんに呼び掛けていたグレーテル、という状況です。

 今の爆弾除去手術を終えるまでに1度もタイラント先輩に遭遇していなければ、この場面で強制エンカウントさせられる仕様になっています。そんなことしなくていいから……。

 という訳で、これから手術室のロックを解除しタイラント先輩との初顔合わせになるのですが。当分続く先輩のストーカー行為……何とかしたいですよね(黎明卿)

 

 じゃあ今までの(試走中にタイラント先輩が原因でガバらされた)ちかえしをたっぷりとさせて貰おうじゃないか。それではご覧ください!(CV.高山み〇み)

 

 

 

 

 

 ()ったぜ。 投稿者:変態糞B.O.W.(9月30日(水)07時14分22秒)

 

 昨日の9月29日にいつも可愛い私の妹(9)と本日初顔合わせな先輩のスキンヘッドの兄ちゃん(生後2ヶ月)と私(生後1ヶ月)の3人で市内にある地下の研究所の手術室で殺しあったぜ。

 今日は明日がアンブレラ社ラクーン営業所閉店の日なんで研究所で脱走計画を立ててから滅多に生きてる人が来ない所なんで、そこでしこたま生体電気を溜めてからやりはじめたんや。

 3人で警戒し合いながら臆せば死するだけになり持ってきたカードキーを1枚だけ(かざ)した。

 しばらくする間もなく、相手の殺気がビリビリしてくるし、生体電気が標的を求めて右腕の中でぐるぐるしている。

 可愛い妹を後方へ退避させながら、兄ちゃんの初撃のパンチを回避したら、先に私が兄ちゃんの心臓部に零距離全力放電を

ドォリャーッ! と出してきたぁぁぁぁ!!(変態糞サイヤ人)

 

 

 

 

 

 工事完了です……(達成感)

 一瞬の攻防に何が起きたかわからなかった視聴者兄貴姉貴もいると思うので解説しましょう。

 

 まず、あらかじめ生体電気を右腕に最大まで溜めて、こちら側から扉を開けてやります。

 タイラント先輩は、視界に標的が入れば即座に殴り掛かってくるので、それを緊急回避します。ハンターのように反撃で殴り飛ばすことはできませんが、この状況で必要になるのはその後に発生するエイムアシストだけです。

 後は単純ですね。エイムアシスト時間中に先輩の懐へ飛び込み、全力放電を零距離でブッパしたというのが先ほどの出来事でした。先輩、隙ッス!

 

 体に風穴を開けて床とキスしてるタイラント先輩ですが、もう復活してくることはありません。臓腑や神経全てに至るまで肉体を焼き尽くされましたからね、流石に回復は不可能ですよ。量産型なんかにウチのティシポネーちゃんが負けるわけないだろ!

 やっぱ、力業での……ギミックレ〇プを……最高やな!

 

 パート4にしてようやく全力放電をお披露目できましたが、閃光と轟音、伝わりましたかね?

 VRで操作してる私としては右腕に残っている感触が、ああ^~たまらねぇぜ。この威力と快感を未プレイ兄貴姉貴にも布教するために本RTAを走ったと言っても過言ではありません。

 

 

 もちろん、2パート前にも話したデメリットのことは忘れちゃいけません。

 ご覧の通り、今はティシポネーちゃんの右腕が黒焦げになっていますね。この黒焦げが自然回復しない間は、筋力と敏捷のステータスがランクF相当まで弱体化しています。かけっこも腕相撲もグレーテルに敗北必至となったクソザコナメクジ状態です。

 加えて、先ほどの轟音に引き寄せられた敵に囲まれる危険性ですが……今までの探索で研究区画の敵は丁寧×3に殲滅して回ったので、こちらは心配ゴム用です。本走だと訪れない居住区画とかには残ってますけど、雑魚にエレベーターを使えるだけの知能は無いので。

 この時のためにも、見敵必殺を徹底する必要があったんですね。

 

 では、グレーテルと足並み合わせてのんびり行きましょう。目指すのは、先ほどの探索でスルーしていた生体実験室です。

 この部屋にはイザベラ姉貴のDNAサンプルが保管されています。取得にはパスワード入力が必要ですが、そこはRTA。(プレイヤー知識で謎解きは)キャンセルだ。

 

 はい楽々ゲット。DNAサンプルの入った試験管2本を手にしました。どちらとも、その場で中身をグイッと飲み込み、空の試験管は床へ叩き付けます。後でアンブレラ社の輩に回収されるぐらいなら処分しちまおう、という訳ですね。

 当然ながら、貴重なサンプルにそんな扱いをしたので施設内にはアナウンスが響き渡ります。

 

『警告:クラスA収容違反を検出しました。施設封鎖を開始します。施設封鎖完了後、自己破壊コードを実行します』

 

 始まりました、いつものカウントダウンです。とは言え、邪魔になる敵は既に殲滅済みなので、脱出の障害となるものは何もありません。

 このタイミングで全力放電の反動も回復します。筋力と敏捷ステータスが元に戻りましたから、グレーテルをお姫様抱っこして全速前進でエレベーターまで向かいましょう。地上1階近くになるとまた敵が出てくるので、流石に階段より速いです。

 

 エレベーターに搭乗したら、いつでも電撃を放てるようにチャージしておきます。地上1階ではエントランスホールを真っ直ぐ突っ切れば外に出られますが、ランダム敵が居るので。

 さぁ到着、敵は──活性死者が5体だけ、楽勝! 即座に放電し全員スタンさせます、もう倒す必要はありません!

 グレーテルを連れてこのまま突破、ハイ脱出! (忌々しい牢獄から)出、出ますよ……。

 

 

 ここでムービーが入ります。

 ようやく外に出られた2人の背後で、研究所は爆破で崩壊。何らかの工場を装っていたようですが、これで原形も無くなります。

 生まれ住んだが……こんな所にゃあ……名残り惜しむ情も湧かねぇ……(ロブ・ルッチ)

 

 これにて本ルート限定マップである地下研究所の攻略が終了し、いよいよRE:3のストーリーへ介入していくことになります。しかし、そんなティシポネーちゃんの前に新たな──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




次話のおま〇け回は流石に1週間以上かかると思われます。


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おま〇け2

(リスペクト元の作者様に認知して頂けたので)初投稿です。


「お姉ちゃんッ!!」

 

 そんな、グレーテルの悲痛な叫びを耳にして。

 ようやく私は、この損傷が、常人ならば致命となるものだったことを理解した。

 

 

 

 

 ──脳内で時間を巻き戻す。

 場所は研究所内の薬品実験室。私の爆弾除去手術に必要な薬品を求めて訪れた部屋。

 

 扉のロックが解除されているのを見て、交戦が起きることは予想できていた。

 不安は無かった。今この空間で最も強い者は私だと、ここまでの戦闘で既に確信していた。

 

 真正面から敵地へ押し入り、奇襲にて、視界に映る邪魔者を的確に排除する。

 やられる前にやる。それを徹底すれば妹が危機に晒されることは無い。実に簡単な話である。

 

 

 ……そうやって身構えていない時ほど、死神は来るものだ。

 

 

 唐突に湧いて出た、猛烈な速度でこちらへ近付く殺気。続けて聞こえた、グレーテルの悲鳴。

 室内に残る活性死者の相手など放棄して、廊下へと跳び出した。

 

 既に眼前まで迫っていたのは、脳と筋肉組織を剝き出しにした活性死者の変異体。戦闘の騒音を聞き付けたのだろうが、グレーテルが悲鳴を上げたことで、その狙いは彼女へ向いてしまった。

 マズい、と瞬時に悟る。別個体とは何度か遭遇しているから、マグナムの1発程度で止まる相手じゃないのは理解している。1番の有効打となる電撃は、溜める時間が無い。電熱ナイフを振るにしても、この間合いではこちらの方が遅い。

 

 即座の迎撃は不可能、ならばどうする。決まっている、この身体そのものを妹の盾とする。

 咄嗟(とっさ)に、しかし迷いなく、私は左腕を前へ差し出して──

 

 

 

 

「お姉ちゃんッ!!」

 

 ──敵の振るった大爪を、その骨身で受け止めたのが今だ。

 左腕に走った激痛で、思わず2歩、後退する。とは言え戦闘の続行に支障は無い。骨も断たれていない。この程度の肉体損傷ならば再生は容易いだろう。むしろ、この敵には長い舌を槍のように硬く伸ばしての攻撃手段があるため、愚直に飛び掛かるだけだったことに安心すらした。

 

 それでも……グレーテルの瞳は、先ほどの光景から、私の腕が吹き飛ぶ様を幻視してしまったのだろう。

 姉として、これ以上は妹に心配をかけるワケにいかない。どさくさ紛れにグレーテルへ近付いている活性死者を目視し、敵の爪は腕に食い込ませたまま、前へ立ち塞がる。

 

「妹に……手を出すなッ!」

 

 一網打尽にできる位置取りで、今度こそ放電。

 結果としては、グレーテルの身に傷一つ付けさせることなく済んだ。

 

 

 

 

「お姉ちゃん! ……大丈夫?」

 

「大丈夫、問題ないよグレーテル。ほら」

 

 駆け寄ってきたグレーテルに、左腕を見せてやる。ざっくりと抉られたはずの傷は既に塞がっており、やがて傷跡すら残らなくなる。

 心配なんて要らない、そう伝えたかったつもりだが──妹の顔色は曇ったままだ。

 

「……カッコよく銃を撃ちまくって、手から電気を飛ばしちゃったりしてるお姉ちゃんは、まるでコミックのヒーローみたいに見えたの。でも違った……お姉ちゃん、本当にずっと……酷いこと、されてたんだね……」

 

 ──叶うならば、そう見えるままで居たかった。どんな状況でも傷一つ付かない無敵のヒーローで在りたかった。誤魔化し続けたかった。

 でも、再生するとは言えど私だって傷付くし血も出る。よりにもよってグレーテルの眼前で派手に流血したのがマズかった。あたかもコミックの世界に浸っているような気分だった彼女を、現実へと引き戻してしまった。

 

 妹を守るべき姉として情けない、大きな失態だ。反省しなければならない。

 ……だと言うのに。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それは決まっている。嬉しいからだ。誇らしいからだ。

 こんな状況でも、己の身ばかりでなく、私の身に起きたことを心配してくれる……妹の心が。

 だから、こちらからも伝えなければならない。私の、そしてイザベラの想いを。

 

 

「……酷いことばかりじゃあないよ、グレーテル。良いこともあった」

 

「えっ?」

 

「今、この力で貴女を守れている。それだけは間違いなく、私にとって良いことだから」

 

 アンブレラ社の手によって、イザベラは殺され、グレーテルは今もこうして危機の只中に居る。それについては許せるはずもない。必ず復讐すると胸に誓った。

 しかし一方で、アンブレラ社の実験があったからこそ、ティシポネー()という戦う力を持った兵器は生まれ、それがイザベラの意志を継ぎ、グレーテルを今もこうして守れている。これも事実だ。

 

 正直に言ってしまえば、この一点に関してだけなら、今ではアンブレラ社に感謝すらしている。もし現在この場に立っているのが私でなくイザベラ本人であったとしても、間違いなくそう思っているだろう。イザベラの記憶を得た今の私には、それがわかる。

 

「お姉ちゃんってのがどうして一番最初に生まれてくるのか? それは勿論、後から生まれてくる妹を守るためだからね。不本意ではあるけど、そのための守る力を私はここで手に入れた。どんなに苦しい中でも、得たものはあったんだよ。グレーテル」

 

「……もう、簡単に言っちゃってさぁ。そんな力を手に入れちゃったせいで無茶ばっかりするようになった姉の背中を見て育つ妹の気持ちも考えてくれますか~?」

 

「あはは、それを言われると弱いなぁ。……でも結局、お姉ちゃんが妹を守るのに力の有り無しは関係ないからさ。私がただのイザベラだったとしても、私はグレーテルを庇うよ。たとえ腕の1本や2本が吹き飛ぼうともね」

 

「うぅ~……そう考えると、やっぱりお姉ちゃんの腕が無くならなくてよかった、って思う……」

 

「でしょ? だからさ、前向きに考えようよ。望んで手に入れた力じゃなくても、その力で何かを守れるなら、無いより有る方が良い。人間じゃなくなった、バケモノの力でもさ」

 

 私は兵器、そう作られた。でも、ただ命を壊すためだけの兵器なんて御免だ。

 私は──命を守るための兵器で在りたい。そう決めたから。

 

 ようやく、グレーテルの曇り顔も晴れ渡る。納得してくれたようだ。

 また探索を再開するべく足を動かした私の背中に「でも、1つだけ再確認!」と声が掛かる。

 

 

「アタシのために頑張ってくれてるお姉ちゃんを、アタシはバケモノだなんて呼びたくない。人間じゃなくたって、お姉ちゃんはアタシだけの正義の味方だよ!」

 

「──……うん。ありがとう」

 

「えへへ、じゃあ行こっか! お姉ちゃんの体に入ってる爆弾、ちゃんと取り出さないと。そんな物のせいで体重が増えてるなんて、絶対ヤだもんね!」

 

 

 グレーテル。貴女のためならば、この力を存分に振るうことにも躊躇いは無い。

 

 

 

 

 そして、その機会は間もなく訪れる。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「──お姉ちゃん、起きて! お姉ちゃん!!」

 

 妹の声を目覚まし時計の代わりに、爽やかな気分で目を覚ます……とはいかず。

 私の意識を覚醒させたのは、怯えた妹の呼び掛けと──この部屋の壁を何度も殴り付けている、特大の敵意だった。

 

 

 素早く状況を整理する。

 場所はB.O.W.用の手術室、その自動手術台の上。執刀を行った機器のアームは、私の体内から切除したらしい爆弾を掴んだまま停止している。手術は問題なく成功したようだ。

 部屋の扉、その向こう側へと意識を向ける。ここへ来るまでに敵の殲滅を徹底してきたためか、気配は1つのみ。ただし、その気配には今までにない程の迫力を感じた。

 そんな、扉の向こうで暴れている存在の正体は、既に予想できている。

 

 ──タイラントT-103。アンブレラ社に製造された生物兵器、その代表格。

 その姿を直接見たことは無いが、ある程度の概要は知っている。私のことを研究していた白衣の連中が、私の性能の比較対象として頻繁にその名前を出していたからだ。

 おそらく、今も離れた地でこの研究所を監視しているアンブレラ本社からの差し金だろう。その目的は、私の捕縛とイザベラのDNAサンプル回収……そして、邪魔になるグレーテルの抹殺。

 

 私のようなイレギュラーと違って、タイラントに自意識など無い。主人に忠実に従い、その命令を果たすまで延々と我々を追跡してくるに違いない。

 それは困る。こんなストーカーがくっ付いたままの脱出は困難だ。それに何より──

 

「お、お姉ちゃん……アタシ、怖い……!」

 

 ──これ以上、大切な妹を怖がらせるワケにはいかない。

 ならばどうする。決まっている、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……グレーテル。目と耳を塞いで、下がっていて。すぐに敵をやっつけるから」

 

「えっ──で、でも……」

 

「大丈夫。お姉ちゃんを……貴女だけの正義の味方を、信じて」

 

「──……わかった」

 

 

 グレーテルを安全圏となる距離まで退避させ、蓄電を開始する。箇所は右腕。即座に一撃を叩き込める部位へと、溜められる限りの電気を集中させる。

 左手で取り出したるはカードキー。この戦い、臆せば死ぬ。迷えば敗れる。ならば生死の狭間を見極めるためにも、戦いの火蓋はこちらが切って落とすべきだ。

 

 ……これ以上の蓄電は右腕がはち切れる、そんな感覚こそが合図。

 カードキーをリーダーに翳す。何度も殴られて歪んだ扉が、音を立ててゆっくりと開き──

 

 

 

「私の方が、速いッ!!」

 

 ──放たれた拳を、前転にて回避する。

 

 最初(ハナ)っから戦力分析は完了していた。

 タイラント。頑強な巨体と桁外れの怪力を誇る、生物兵器の中の暴君。そんな相手に私が勝っているのは、判断速度、敏捷性、そして一撃に懸けた瞬間の破壊力

 故に、それを活かすための前転回避。臆せば死ぬ。迷えば敗れる。しかし生死の狭間を見極めたなら──最大の勝機が訪れる。

 

「死のリスクに身を浸してでも、この一瞬が欲しかった!」

 

 その巨体の懐へ飛び込み、限界まで電気を溜め込んだ右腕を突き出し──

 

 

 

 ──瞬間、少しばかり場違いな思考が私の脳裏を()ぎった。

 

 研究所の探索中に偶然見かけた資料。アンブレラ社がアメリカ合衆国陸軍の協力の下で開発した兵器についてのレポート。

 強磁性歩兵連隊用次世代レールガン「FINGeR」……しかし私の目が留まったのは、その前身であるアメリカ軍の試作レールキャノンについての項目だった。

 その銘は「パラケルススの魔剣」──伝説的な医学者にして錬金術師の名をそのような代物に対して用いるとは、等とも思ったが……やはり私も心が躍ったのだろう。そのネーミングセンスは、不思議と記憶に焼き付いていた。

 

 

 

 ならば、私も今こそ名付けよう。忌まわしくも頼もしき、この力に。

 これこそは女神より賜りし雷霆。悪鬼を焼き切る慈悲なき光。万難を穿ち抜き、必ずや復讐へと至る、我が刃──

 

「──殺戮剣(ネーラオン)!!」

 

 

 雷光で編まれた幻想の大剣が、その巨躯に風穴を生む。

 

 怪物の暴君は今、女神の前に平伏(ひれふ)した。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「お姉ちゃん、無茶し過ぎ! その右腕、ホントに治るんだよね!?」

 

「治る治る、間違いなく治るからさ……そんなに怒らないで欲しいな、なんて……」

 

「怒りますぅ~! アタシのために戦ってくれるのは嬉しいけど、それでお姉ちゃんまで怪我するのはちっとも嬉しくないんだから!」

 

「あはは……前向きに善処します……」

 

 全力放電の代償で黒焦げになった右腕を抱え、動きの重くなった身体を引きずるようにしながらも、グレーテルと足並みを揃えて歩く。限界まで能力を行使したのは初めてだったものだから反動の大きさには驚いたが、これはこれで役得だ。

 行き先は同階の生体実験室。邪魔な敵は事前に排除してあるので反動も問題なし。

 

「でもお姉ちゃん、今から向かう部屋には何があるの? 必要な物とかもう無いでしょ?」

 

「ううん、あるんだよ。最後に1つ、やり残しがね」

 

 

 部屋を訪れて早々、あらかじめ目星を付けておいた機器を弄る。

 表示されたのはパスワードの入力画面。やはり目当ての物はここにあるようだ。

 

「パスワード、ってあるけど。お姉ちゃん分かるの?」

 

「分かるよ、自分のことだもの」

 

 何を隠そう、ここのパスワードは私の研究データと一緒に記載されていた。

 理に適ってはいるが、少しばかり不用心だ。こうして私が閲覧できたのだから。

 

「……Erinyes(エリニュエス)っと……はいビンゴ」

 

 セキュリティロックが解除され、目の前に現れたのは試験管2本。

 他ならぬ私だからこそ瞬時に理解できる。これがイザベラのDNAサンプルだと。

 

「アレークトー、メガイラ、さようなら。……なんちゃってね」

 

 その中身を一気に飲み干し──空になった試験管を床へ思い切り叩き付けた。

 これは私のものだ、欠片たりともアンブレラ(おまえら)には譲らない。そんな思いを込めて。

 

 

『警告:クラスA収容違反を検出しました。施設封鎖を開始します。施設封鎖完了後、自己破壊コードを実行します』

 

「うぇっ!? ちょっとお姉ちゃん、なに今の放送! もしかしてマズいことやらかしちゃったんじゃない!?」

 

「ヘーキヘーキ、平気だから。これくらい予想済み、むしろ好都合。ほらグレーテル、ちゃーんと治ったお姉ちゃんの腕にしっかり抱かれていてね──っと!」

 

 大慌ての妹をお姫様抱っこして、終焉のカウントダウンが始まった地下研究所の脱出を目指しエレベーターへ向かう。

 ティシポネー()の生まれた場所ではあるが、こんなところに未練もクソもない。振り返ることなどなく通路を駆け抜け、エレベーターに乗り込み、地上1階へエントランスを飛び出して──

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「「脱出ゥゥー--ッ!!」」

 

 ──ようやく、外の世界へ到達した。爆破され崩れ行く背後の研究所など気にも留めず、頭上を見て日時を推察する。

 空からは温かな陽光が差し込んでいる。現在は9月29日、時刻は既に朝方の様子。とても長閑(のどか)な雰囲気……なのだが、不自然だ。活気と言うか、人の気配が無さ過ぎる。

 

 ……想定はしていたことだけど、最悪な事態は続いているのかもしれない。

 

「うぅ~ん、空気が美味し~い! さようなら穴熊生活、お久しぶりです自由な生活! ねぇねぇお姉ちゃん、まずはどこ行こっか!?」

 

「ごめんグレーテル、はしゃぐのはまだ早いかも。多分この街、バイオハザードに──ッ!?」

 

 

 陥っていると思う。その考えを最後まで言い切ることは、突如として噴出した殺気を感じ取ったことで阻まれる。

 何かが来る。そう認識した次の瞬間には、正面にあった建物の壁が爆裂し……新たな追跡者が、その姿を現した。

 

 

Tisiphone(ティシポネー)……!」

 

「……こいつ、まさか」

 

 外見は黒衣の巨漢。しかしその顔には耳が無く、鼻は潰れ、唇も見えず歯茎は剥き出し。左側を残した隻眼でこちらを睨むソレは──火炎放射器を背負い、言葉を発してみせた。

 

 ()()()()だ。疑う余地は無い。

 寄生生物「NE-α」を埋め込むことで作り出されたという新型のタイラント。T-103のみならず、アンブレラ社は既に第二の刺客を放っていたのだ。

 

 

 ……とは言え、相手の得物が火炎放射器であるのはラッキーだ。背負っている燃料タンクを銃撃で爆破させれば、グレーテルを担いで逃げる時間は十分に稼げる。

 すぐさま判断し、マグナムを手に取り、構えて──

 

 

 

 

「──あぅっ」

 

「えっ……──グレーテルッ!!」

 

 

 ……それこそが罠であったことに、ようやく気付く。

 ネメシスが死角から素早く伸ばした触手に右腕を抉られ、悲鳴すら上げられずに、グレーテルは力なく地面へ倒れていた。

 

 

 やられた。やられた、やられたやられたやられたやられたやられた!

 これ見よがしな火炎放射器とその燃料タンクは、私の思考を攻撃へと縛るための囮。ネメシスは初めからグレーテルを狙っていた。それも完全に私の不意を突ける最小限の動作で。触手の一撃で致命傷を与えずとも、傷口から侵入したT-ウイルスが幼い肉体を死に至らしめるだろうと判断しての攻撃。事実、グレーテルは苦しそうに泡を吹いて、あわ、ぁわわ、あわああわああああ──

 

 

「ああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 ──今度こそ、マグナムのトリガーを引く。炸裂した燃料タンクから炎が爆ぜ散り、ネメシスを怯ませた。どうせ衣装は耐火仕様だ、長くは保たない。それでも、逃げるには十分。

 痙攣しているグレーテルを抱きかかえ、少しでも距離を稼ぐため、全力で跳躍した。

 

 

 

 

 

「クソ、クソ……クソッ!」

 

 虫けら。ボンクラ。鈍間の腑抜け、役立たず。

 何をやっているんだ私は。自分の命よりも大切な妹の命を、むざむざと危機に追いやってしまうとは。こんな体たらくでイザベラの意志を継げると思っていたのか。自分で自分に腹が立つ。

 だがそれ以上に憎いのはネメシスだ。(はらわた)が煮えくり返って仕方がない。叶うならあの場で全力放電を解き放ち、すぐにでも復讐してやりたかった。

 

 ……でも、そんな真似をしてはグレーテルの命が万に一つも助からなくなってしまう。

 まずは30秒でもいい、安静にできるセーフルームを探さなくてはならない。応急処置が必要だ。

 大丈夫。やり方は出来ている。必ず助けられる、私が助けて見せるとも。

 

 そして──それが終われば、ネメシスだ。

 同じく復讐の女神に名を賜りし同胞よ。待っていろ。待っていろ。待っていろ。

 

 

 

 

 殺すのは最後にしてやる。

 




多数の閲覧、お気に入り登録、感想、高評価……本当にありがとうございます。
他にRTA風小説を投稿されてる方々に比べると亀更新ですが、今後ともよろしくお願いします。



「ネーラオン」で検索してもシャドバの情報しか出て来なかった悲しみ。
とは言え100%サイゲの造語だとも考えにくいんですよね。元の言葉は何なのでしょうか。


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PART5

(3ローテ目に入るので)初投稿です。


 先輩! 何してんすか! やめてくださいよ本当に!(TON)なRTA、はーじまーるよー。

 

 前回は地下研究所の脱出後にムービーが入ったところまででしたね。続きを見ていきましょう。

 現在の日時は9月29日のAM10:18。原作のRE:3では、ネメシス第2形態との戦闘後に不意打ちを受けてT-ウイルスに感染したジルをカルロスが発見し、病院へ向かっているのがこの時間帯です。

 

 そんな彼らのことを他人事にできないのが今回の難易度【LAST ESCAPERS】なので……はい、一難去ってまた一難、ぶっちゃけありえない。

 なんと、プレイヤーキャラの前にも別個体のネメシス先輩が姿を現します。しかも最初から素手ではなく火炎放射器で武装済みという。(まんまと研究所を脱出されたアンブレラ社が)すっげえキレてる、はっきりわかんだね。

 

 プレイヤーキャラであるティシポネーちゃんは、即座にネメシス先輩の背中にある火炎放射器の燃料タンクを爆破させて逃げる時間を稼ごうと銃を構えますが……これはブラフです。

 こちらが発砲するよりも先に、ネメシス先輩の指先からこっそり伸びていた触手がグレーテルへ命中。これ自体は深い傷じゃありませんが、その傷口からT-ウイルスに感染してしまいます。

 完全な抗体を持っているジル姉貴すら倒れこんで泡を吹いたほどに高濃度のT-ウイルス、9歳児の小さな体にはバリきついこれ。グレーテルも同様、泡を吹いて気絶します。

 

 復讐の女神から名を賜っておきながら、やることが弱い者いじめとは、先輩の屑がこの野郎……お前もう生きて帰れねぇな? 二度とこの世界にいられないようにしてやる(憤怒)

 

 ちなみに当然ですがムービーなので、何周プレイしようともこの運命は変えられません。

 ムービー銃の恐ろしさは撃たれる側のみならず撃つ側にも適用されるんですね……。

 

 はい、ティシポネーちゃんが今度こそ燃料タンクを銃撃しました。ネメシス先輩が爆炎で怯んだ内にグレーテルを連れて逃走を選びます。ここでネメシス先輩を倒したとしても、それで妹が治るわけじゃないからね、仕方ないね。

 しかしご覧ください、抑えきれない復讐心を滾らせて走るティシポネーちゃんの顔を。どれだけ可愛らしい顔にメイキングしたキャラでも、このシーンだけは鬼の形相になります。

 裁判長、見てくださいよ! こんな面白い顔してる人(生物兵器)が復讐を我慢できるわけないじゃないですか! 悪いことする顔でしょこれ!(閉廷おじさん)

 

 

 

 ……茶化すのはこの辺にしておきましょう。ムービーが終了しました。

 ここからしばらくは舞台がラクーンシティのダウンタウン全域となります。まず第一の目標は、何処かしらの「セーフルームを訪れてグレーテルに応急処置を施す」ことです。グレーテルの体にT-ウイルスが回り切るまでの制限時間が設けられているため、悠長な探索はできません。

 

 初期位置からすぐ向かえる場所にもセーフルームのある施設は数件ありますが、今回のチャートで私が向かうのはラクーン警察署です。

 理由は2つあります。1つ目は警察署を訪れることでストーリーの進展に必要なイベントが追加で発生してくれるため。2つ目は入ってすぐのメインホールが既にセーフルームなので、屋内探索の必要が無いからです。

 

 本来であれば、警察署まではかなりの距離があるため時間制限付きの移動となると厳しいです。だからまずセーフルームのみを目標とした方が良いのです……本来であれば。

 言うのは2回目になりますが、プレイヤーキャラはT+G-ウイルスのB.O.W.ですので。そもそもティシポネーちゃんの敏捷ランクをSまで振り切っているのは、戦闘よりも移動の速さを考えてのことですからね。

 

 

 では早速、移動を開始しましょう。グレーテルをお姫様抱っこからおんぶに切り替えたら、まず正面にある家屋の屋根まで跳躍! 警察署が位置する北の方角へ向かって、建物の屋根から屋根をノンストップで飛び移り続けます。これぞ敏捷ランクSのB.O.W.が行う移動です。原作RE:3のジル姉貴みたいに地上をテクテク歩く必要などありません。

 この移動法なら地上に湧いている活性死者をすべてスルーすることが可能ですし、当然ネメシス先輩も追い付いては来られませんし、何よりもダウンタウンの入り組んだマップに悩まされることすらありません。ショートカットもできる戦闘回避もできる、ビキビキビキニ1・2・3(レ)

 

 もちろん途中には高層マンションやビルも複数建っています。強引に飛び越えてもいいですし、大人しく迂回するのも無難ですが、そんなんじゃRTAになんないよ~(棒読み)

 というワケで、壁が脆いではないか……行け(キックアクション)

 

 はい、このように走る速度は緩めないまま跳躍からのライダーキックで適当な壁や窓を蹴り抜きつつ直進します。B.O.W.にとっては、筋力Cもあれば一般的な建築物の壁など障子紙も同然です。ここばかりはタイラント先輩とネメシス先輩を全力でリスペクトして、ほらいくどー。

 既に建物内はクリーチャーだけですし、どうせ最後にはラクーンシティ全てがミサイルによって崩壊するので、何をしたってマイ・ペンライ(大丈夫)! 邪魔なものは遠慮なく蹴り砕いて進みましょう。しゃあっ コブラ・ソード!!

 

 

 さて、ひたすら移動し続ける単調な画面がもうしばらく続きます。このままでは退屈でしょう。ですので、み な さ ま の た め に ぃ~……

 

 

 ……本RTA最大の敵となるネメシス先輩について説明を加えておこうと思います(天丼ネタ)

 既プレイ兄貴姉貴ならばご存じの通り、ネメシスはT-ウィルスによって作り出されるB.O.W全般の欠点だった「知性の低さからくる制御不安定」を改善すべく、新開発された寄生生物型B.O.W.である「NE-α」をタイラントへ埋め込むことによって誕生した新型タイラントです。

 このNE-αは他生物へ寄生し、肥大増殖した末に新たな脳を形成、宿主の肉体を乗っ取るという能力を有しています。感染者の脳機能を殺してしまうT-ウイルスに、外付けの頭脳となってくれるNE-αはベストマッチでした。

 ネメシスも、基本性能こそ元のタイラントと変わらないものの、知能は格段に上昇しています。複雑な任務を自己判断で継続的に遂行すること、そして何よりロケットランチャー等の武器使用が可能となっているのが最大の証拠ですね。正式名称は「ネメシス-T型」であり、言ってしまえばNE-αこそがネメシスなのです。

 

 そう考えると4以降に登場したプラーガはマジで優秀過ぎるな……(今更)

 

 さて、パートの冒頭でも言いましたが今回の難易度【LAST ESCAPERS】ではラクーンシティに2体のネメシスが放たれています。ジル姉貴及びS.T.A.R.S.メンバーの抹殺を目的とする個体と、プレイヤーキャラが操作しているB.O.W.の捕獲を目的とする個体です。前者は今までのジル姉貴との攻防で既に第2形態となっています。

 

 何が言いたいかって、いずれティシポネーちゃんはジル姉貴と合流するので……ネメシス2体も合流してしまうんですよね。それがヤバいんですよ。

 同じマップに2体が揃ったネメシスは、その知能の高さから、連携した行動を取ってくるようになります。つまり、最終盤での決戦の難易度が一気に跳ね上がるのです。ただでさえ高難易度でのネメシス第3形態戦は手強いのに……詳しいことはその時になれば改めて解説しますが、ひとまずそれだけ覚えておいてください。

 

 ちなみにですが、地下研究所内でタイラントを仕留め切っていないと、こいつもネメシスの手下として最後まで戦闘に交じってきます。3人は、どういう集まりなんだっけ?(絶望)

 だから、真っ先に息の根を止めておく必要があったんですね。

 

 

 

 などと話している間に、目的の警察署へ着くぅ^~。中へ入ればムービーが始まります。

 現在時刻は同日のPM12:36。メインホール内のソファに、グレーテルを寝かせたティシポネーちゃん。今から何をするのかと言うと……自身の体から極少量のG()-()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 詳しく解説していきましょう。わずか9歳の小さな子供がネメシスのT-ウイルスを直接体内へと送り込まれて即ゾンビ化していない状況から分かっていたことですが、グレーテルにもT-ウイルスに対する完全な抗体が備わっています。まぁTのウイルス抗体は遺伝子による相性が原因なので、プレイヤーキャラの妹であるという時点で気付ける話ではありました。

 ただし完全適合者ではなく、あくまで完全な抗体を持つという領域ですので、高濃度のウイルスは流石に無害化できません。そこでG-ウイルスの出番となります。

 

 既に簡単な紹介は行いましたが、改めて補足します。

 T+G-ウイルスは、その名前の通りTとGの2種を同時に使用したウイルスなのですが、この2種は特定の比率で使用しなければ一方がもう一方を殲滅させてしまうという難儀な代物です。その原因はおそらく、決まったパワーバランスにしておかないとGの方がTを完全に無力化してしまうからでしょう。

 NE-αの試作型を体内へと投与されたリサ・トレヴァーが、寄生されるどころか逆にNE-αを吸収するという反応を見せた際に、その体内から変異したT-ウイルス抗体が検出された──その抗体を研究した末にウィリアム・バーキンが完成させたのがG-ウイルスです。Tの抗体として上位に在るG-ウイルスは、T-ウィルスを完全に無効化し、一切の影響を受けません。だからこそ、これら2種を組み合わせたT+G-ウィルスの開発も成ったのではないでしょうか(……と、私は考察します。元の情報が少なすぎるので)。

 

 話を戻しましょう。T+GのB.O.W.であるティシポネーちゃんの体内のG-ウイルスは、『6』にて主人公キャラとなったシェリーと同様に形を変えて、不死身の肉体を成り立たせる力の源となっています。この状態のGであればグレーテルの体へ危害を加えずにT-ウイルスの弱体化に使えるはずだとして、ティシポネーちゃんは決断を下したワケです。

 

 

 早速、ティシポネーちゃんが自身の右手の親指に歯を立てて血を流し、そこへジッと意識を集中させます。すると、流れる血が赤色から薄紫色に変わり始めました。G-ウイルスは紫色をしているので、親指にGが集結してきている証拠ですね。

 薄紫色の血に塗れた親指でグレーテルの舌に触れ、少し待つと……はい、グレーテルの苦しそうだった息遣いが少しばかり静かなものになってきました。賭けは上手くいったようです。

 これで、グレーテルの体にT-ウイルスが回り切るまでの時間にはかなりの余裕が生まれました。ティシポネーちゃんにもようやく安堵の笑みが浮かびます。

 

 ここでムービー終了です。可能な応急処置は終わりました。これ以上のT-ウイルス弱体化には、ちゃんとしたワクチンが必要不可欠です。

 次の目標は【T-ウイルスのワクチンを手に入れる】となるワケですが、元よりそのための警察署直行。あとそのための次なるイベント。

 メインホールの受付デスクを調べると、数時間前にここで調べ物をしていたタイレルのメモ書きを発見します。そこからアンブレラの研究員でありT-ウイルスのワクチン開発を担っていた人物、ナサニエル・バードが市内のスペンサー記念病院に居るという情報を入手できました。

 これはなんだぁ~? 証拠物件として押収するからなぁ~?(ホモコップ)

 

 このイベントを回収すれば、もう警察署に用はありません。グレーテルを担いでスペンサー記念病院へと向かいます。

 ただし、もう一悶着を挟みますけどね。警察署を出たところでムービーが──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




UAが1万を突破しました。皆様ありがとうございます。

(2022/6/30)
今パートのために原作の設定を調べ直した際、T+G-ウイルスが先駆者様の完全オリジナル設定というワケではなく『ガンサバイバー4_バイオハザード HEROES NEVER DIE』にて登場していたことを初めて知りました。外伝作品は追いかけてないから知らなかった……。
細部まで設定の練られているものではなかったため軽傷ですが、PART1と2の文章には幾らか手を加えました。ストーリーの本筋には全く関係の無い部分ですので、読み直す必要はございませんが、ご了承ください。

私の調査不足が招いた失態です。どうかご容赦いただけますと幸いです。


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PART6

(7月に入ってからの)初投稿です。


 あと2日後に死ぬラクーンシティのRTA、はーじまーるよー。

 

 前回は警察署での用事を済ませたところまででしたね。

 早速、次の目的地である病院へ向かいたいのですが……残念ながらムービーです。警察署を出てすぐの事ですが、疲れからか、不幸にも黒塗りの新たな追跡者と遭遇してしまいます。

 

 ネメシス先輩ではありません。ご覧の通り、アリゲーターくんです。

 RE:2にてレオン兄貴と下水道での鬼ごっこを繰り広げる、T-ウイルスによって巨大化・凶暴化したワニですが、その別個体がここで登場します。どこから地上に出てきたんですかね……?

 こいつはとにかく目の前にある物体を何でも(ん?)食べようと噛み付いてくるため、ばったり目が合ったティシポネーちゃんに狙いを定めてしまいました。

 お前ノンケかよぉ! 面白い奴だ、気に入った。殺すのは100日後にしてやる。

 

 はい、ここからはアリゲーターと鬼ごっこしつつ病院へ向かうことになります。

 真正面から交戦して撃退することも一応は可能ですが、流石に体格差のあり過ぎる相手ですし、十八番(オハコ)の噛み付き攻撃はまともに喰らうと例外を除いて即死判定です。加えて見かけによらず足が速いので、あっという間に距離を詰められてしまいます。タイマンはリスクが高すぎィ!

 

 ねぇ知ってる? 足の速いワニは陸上でも時速50km以上で走れるんだって(豆しば)

 そんなワニのクソデカ異常個体から、腰まで下水に浸かった状態で逃げ切った男が居るらしいっすよ。レオン・スコット・ケネディって言うんですけど。『4』でのレーザートラップを回避するスタイリッシュな姿が評判の彼ですが、やっぱ人間辞めてますね間違いない……。

 

 てな訳で、今回は大人しくアリゲーターとの鬼ごっこに興じましょう。

 コイツと真正面からやり合いたければ、ゴリラを超えたゴリラのステータスで挑むべきですね。噛み付きを受けて即死しない例外の一つが、筋力S&耐久C以上のステータスを有することで、その状態ならQTEをクリアするという条件付きで噛み付きにカウンターを見舞うことができます。

 アリゲーターの体力を肉弾戦オンリーで削り切った場合は専用のイベントシーンも挟まります。キャラメイクの自由度が段違いなB.O.W.ルートであればチャレンジは簡単ですし、迫真の殺陣は一見の価値アリですよ。

 

 

 まっ、そんなのもう関係ないですけどね!(ライド)

 ムービーが終わって鬼ごっこ開始ですが、ティシポネーちゃんのやることは何も変わりません。近くの建物の屋根へ跳躍して移動し続ける、それだけの簡単なお仕事です。

 

 いくらアリゲーターの足が速いとは言えども、駆け比べならば流石に敏捷Sの敵ではないです。と言うか、この場面の攻略も考えての敏捷Sです。筋力Sチャートも一時期は真面目に考察しましたが、結局は縛りレギュ専用の域を出ませんでした。速さこそRTAの基本法則です(当たり前)

 それに、陸上のワニは持久力に難ありですからね。最初こそヒヤッとする瞬間がありますけど、実際は意外と余裕だったりします。

 

 ちなみに、このまま振り切ってアリゲーターの視界から完全に逃れることができれば、その時点で鬼ごっこは終了となります。

 しかし今回はそうしません。一定の間隔を維持しながら逃げ続けます。

 

 理由は二つ。まず一つ目ですが、このまま素直に鬼ごっこを攻略すれば、次の目的地である病院までの道中移動が丸々カットされるからです。

 もうしばらく逃げ続けた先で、大きな高圧ガスボンベを載せたトラックが道路を塞いでいます。そこへアリゲーターくんを誘導し、ガスボンベを咥えたところへ一撃を喰らわせてやれば鬼ごっこはクリアとなります。

 そうなると、撃破ムービーの後にはすぐ病院へと場面が転換してくれるので、移動の手間を省くことができます。いくら敏捷Sの高速移動でも、警察署から病院まではまだまだ距離が開いているため、コレを利用した方がタイムは短縮されるのです。

 

 次いで二つ目。こっちの方が重要で、それはネメシス先輩と遭遇せずに済むことです。

 アリゲーターくんをスルーしてしまうと、今度はイベントも無しに、先回りしてたネメシス先輩が立ち塞がります。警察署内で留まっていた間に追い抜かれてたんでしょう。

 鬼ごっこしていれば空気を読んで出てきません。優しいっスね先輩!

 

 一応、撃退すること自体は難しくないです。しかし可能な限りは交戦したくありません。

 何故かと言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ダメージが全く入らない、みたいな程ではありませんが、一度受けた攻撃に対しては明らかに回避の精度を上げてきます。

 既プレイの兄貴姉貴ならご存知の通り、RE:3にてネメシス先輩が用いる武器には火炎放射器とロケットランチャーが挙げられますが、炎もロケット弾も一度は先輩自身が味わっているダメージなんですよね。そんな復讐の女神っぽいところを本作で更に発展させたのが、この特性だと思われます。ホント頭良いっスね先輩(畏敬)

 

 ティシポネーちゃんがネメシス先輩を撃破する決戦は、タイラント先輩と同様に零距離での全力放電が決め手となりますが、そこへ至るまでに放電攻撃を見せていると、上手く避けられてしまう可能性が生まれてしまいます。だから交戦の回数は最小限にしたいのです。

 

 

 さて、解説している間に目的のガスボンベ地点へ到着しましたね。ここまで来たら足を止めて、確実に誘導しましょう。

 アリゲーターがガスボンベを咥え込んだら、そこをハンドガンで狙い撃ちます。

 

 お前は100日後に殺すと約束したな──あれは嘘だ。

 

 大爆発に吞み込まれたアリゲーターの頭部は爆発四散! サヨナラ!

 随分と巨大なネギトロ(ワニ)死体が出来上がってしまいましたが、この地点はもう他のプレイアブルキャラでも訪れない場所なので、後はラクーンシティが地図から消え去るまで放置です。

 野晒しだが文句は言えまい……死ぬワニとはそういうものだ(荊軻)

 今日の深夜にはレオンにも鬼ごっこで負けて死ぬ儚い命、かわいいね❤ 日に2度敗れる気分はどうだ? 感想を述べよ!(tntn亭)

 

 

 

 はい。撃破ムービーも終わったので、ようやくスペンサー記念病院へ場面が転換しました。

 時刻は21:30、カルロスがジルを担いで病院へと到着したタイミングからちょうど10分後です。だいぶ時間が経過してますが、機能停止した大都市を自分の足で横断してるんだから当然ですね。

 さっそく中へ入り、手前に見えている臨時治療室の扉を開けましょう。室内では既にジル姉貴がベッドの上で(うな)されています。ベッドはもう一つあるのでグレーテルはそちらへ寝かされました。先客が居たことから、室内の安全性を確信しての判断ですね。ゲーム的にもセーフルームなので、大丈夫だって安心しろよ~。

 

 では今から病院内の探索開始です。T-ウイルスのワクチンを手に入れるため、バード博士をひっ捕まえるのが目的となります。

 ……まあ、どうやってもバード博士は口封じのため始末されるんですけどね、初見さん。

 オリジナルのアンブレラ所属研究員や合衆国議員を主人公とするモードでもない限り、基本的にバード博士が生き残るシナリオはないです。肝心のワクチンは本シナリオだと2人分ちゃんと用意されてるので、博士の生死はどうでもいいわ(レ)

 

 とは言え、そんなことはまだ知らない情報ですので、まずは人探しのつもりで探索をば。

 既にカルロス兄貴が先行しているおかげで、しばらくギミック攻略も目立つ戦闘もありません。電熱ナイフ片手にゾンビの死亡確認だけ行いつつ進みましょう。甥の木村、加速します(倍速)

 

 

 

 ハイ倍速終了。現在地は病院2階、資料室の扉の前です。このまま進めば左手にロッカールームへ通じる廊下がありますが、ここはカルロス兄貴がハンターβと初遭遇するイベントが起きている場所ですね。最低限の寄り道だけで現在地まで向かっていれば、この原作イベントに介入することができちゃいます。

 てな訳で、カルロス兄貴に夢中で(お前ホモか!?)背後がガラ空きなハンターくんへ、零距離放電をぶち込んでやるぜェ!(檜山リンク)

 

 これにて邪魔者とはサヨナラできましたので、ようやくカルロス・オリヴェイラ兄貴とご対面。無造作な髪型と無精髭が目立つワイルドな風貌をした、勇敢なる正義漢の鑑です。お前のことが(人として)好きだったんだよ!

 恩を売った形での初対面となりましたが、まずは警戒して身構えられます。そら(外見年齢16歳の少女が生物兵器を一撃で始末したら)そう(やって慎重にもなりますわ)よ。

 

 

 ここで、どういった風に自己紹介を行うかが選択できます。今回は『イザベラの名を借りる』『正体を隠す』『目的を明かす』の組み合わせでOKです。

 

 まず一つ目ですが、地下研究所で自身に関する研究資料からイザベラ姉貴の情報を得ていれば、B.O.W.として付けられたコードネームではなくイザベラと名乗ることができます。

 コードネームだけで名乗っても不自然さから怪しまれてしまうため、ここは一般人らしい名前を借りておきましょう。

 

 次に二つ目ですが、正体については偽っておきます。今ここでB.O.W.であることを明かしても混乱させてしまうだけです。真実を話すのは、ワクチンを手に入れるために協力して信頼を得る&カルロス兄貴がアンブレラ社の実態を知った後がベストなタイミングとなります。非道な生体実験の被害者だったアピールをすれば効果抜群です。

 ちなみに、正体を隠すことを選んだ場合は、誰かの警察手帳を取り出して見せびらかし「こいつの身内です(大嘘)」と名乗ります。いつの間にどこで手に入れてたんですかねソレ。多分カットされた道中で適当な死体から拝借してたんだと思うんですけど。

 

 逆に三つ目ですが、ウイルスに感染した妹のためワクチンを探しているという行動目的は素直に明かすべきです。これにより探索の協力を願い出ることができます。

 ついさっきのハンターβの件で恩を売っている&(外見だけは)可愛らしい少女の頼みとあればカルロス兄貴は断りません。(精神面でも)イケメ~ン?(レ)

 

 

 はい、無事に自己紹介と協力の締結に成功しました。ここからはカルロス兄貴が一緒になっての行動となります。

 探索の主体は病院のIDカードを入手しているカルロス兄貴の方なので、ティシポネーちゃん、と言うか攻略手順が分かっている走者は横からアドバイスする係です。

 

 ここで気を付けなくてはならないのが、戦闘で出しゃばらないようにすることです。現在はまだB.O.W.であることを隠しているので、生体電気と電熱ナイフの使用は当然NG。ついさっきの放電はハンターの背中越しだったからバレてませんが、少しの間だけ封印となります。

 マグナムも使用厳禁です。鍛えているワケでもない細腕の少女がバンバン撃ちまくって良いものじゃありませんからねコレ。自己紹介と嚙み合わない挙動は怪しまれる原因になるので注意。

 

 本作では味方NPCの攻撃にもまともな攻撃力があるので、メイン火力はカルロス兄貴に任せても大丈夫です。大人しくハンドガン縛りで支援に徹しましょう。初代プレステより重い物は持てない非力さをアピールしていけ。

 リッカーやハンターβを相手に的確な支援ができれば褒めてもらえます。気持ちがいい。

 

 

 しばらくはRE:3原作通りのギミック攻略が続くので、じゃ、流しますね(倍速)

 唯一ガバの危険がある箇所を挙げるとするなら、ハンターβが2体同時に待ち構えている治療室でしょうか。バード博士が居る奥の研究室へと入るには、ロックを解除するためにバード博士の声を録音しているカセットテープが必要になるのですが、そのカセットテープが治療室に置かれているので避けては通れない場所です。

 ですが、大袈裟に言う程ではありません。前もってカルロス兄貴に「部屋の扉を開けると同時に閃光手榴弾を投げてほしい」と指示しておけばOKです。同行しているNPCは、真っ当な指示なら素直に従ってくれます。優秀なAI、誇らしくないの?

 後はハイご覧の通り。敵を怯ませさえすれば、素早く目的の物を回収するだけです。ハンドガン縛りの時に欲張って倒そうとする必要はありません、安定が第一ですからね(無敗)

 

 以降は特に難所もありません。カセットプレイヤーの方も研究室前の受付で入手できる親切設計なので安心。関係ないけど、カセットなところに時代の流れ感じるんでしたよね?(ゆうさく)

 2階から1階へと戻りました。研究室の前まで到着したら、忘れずにプレイヤーを拾ってテープと組み合わせましょう。組み合わせを忘れたまま研究室の音声認証端末を調べても、カルロス兄貴が「開けゴマ」と言ってくれるだけです(1敗)。可愛い……可愛くない?

 

 

 それでは早速、テープ入りのカセットプレイヤーを使って音声認証をクリアします。再生された会話内容からはバード博士のゲス野郎具合が見える見える……ワクチンを開発した功績は認めざるを得ませんが、†悔い改めて†。

 人間の屑に相応しいその面を拝みに研究室内へ入りますが、何だよコイツ……死んでんじゃん。つまんねーの(ICG姉貴)

 

 仕方が無いので、代わりにPCから情報を集めましょう。博士が“お(ホモ)だち”の合衆国上院議員へと宛てたメールの下書き、そしてアンブレラの実情を暴露している映像を閲覧することができます。なけなしの正義感からの告発ならまだ良かったんですけど、話を聴いてる限りだと、徹頭徹尾保身のための行動ですねクォレハ。

 ちなみに、映像が録画されている時刻は29日の23時です。現在は既に日付が変わって、30日の0時過ぎ、つまりカルロス兄貴と仲良く院内探索してる間に博士は殺されていたことになります。 マモレナカッタ……(守る気があったとは言ってない)

 

 それはともかく、この映像から遂にカルロス兄貴もアンブレラ社の正体を知ってしまいました。信じるべき正義たる組織に裏切られていたことを理解すると同時に、初めから真実が分かっていた上で自分を信頼してくれていたジル姉貴の黄金の精神を心で感じた漢カルロス。殴り壊されたPCの尊い犠牲も、ま、多少はね?

 貴方の辛いお気持ち、このティシポネーちゃんお察ししますが、まず先立つものが無ければ復讐も始まりません。隣の保管室へ入ります。

 

 ……はい、ようやく入手できましたね。T-ウイルスのワクチンサンプルです。

 原作では博士が(ホモ)だち用に一人分だけ保管していたワクチンですが、本ルートでは予備の自分用という名目でもう一人分も用意されています。ここで「足りない分は地下施設から取ってこい」の展開だったら流石に鬼畜の所業ですし助かっ──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




ボリューム不足等の点で批判されやすいRE:3ですが、クッソイケメンにリメイクされたカルロス兄貴だけでも私にはお釣りが出ました。あとネメシス先輩、めっちゃ歯が綺麗。



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おま〇け3

(バイオハザードRTAにとんでもねぇ新星が現れてるので負けじと)初投稿です。


 日も暮れ行く空の下、崩壊しかけの都市を駆ける。

 目指すはスペンサー記念病院。背に負った愛する妹のため、必ずやT-ウイルスのワクチンを手に入れなければならない。

 

 

 あの地下研究所で私に関する研究資料を入手した際、T-ウイルスとG-ウイルスの概要についても目を通しておいて正解だった。

 元々Tへの抗体として発見された上位存在であるGには、T-ウイルスによる反作用を無効化する力があった。研究データの絶対数は少なかったものの、Gを投与されて誕生した生物は、Tに汚染された生物を養分としても問題が無い……と言うのも確からしい。

 

 リスクのある賭けだったが、結果として応急処置は成功した。Gを多く抽出した私の血液を摂取させることで、グレーテルの体内に送り込まれたT-ウイルスは確実に弱体化している。今までは数時間も保たないであろう絶望的な状況だったが、この様子ならまだ1日以上は猶予がある。彼女の身に姉同様のTに対する抗体が備わっていることも功を奏した。

 

 グレーテルの命を確実に救うためにも、これ以上の処置には正規のワクチンが必要だ。あの憎きネメシスから打ち込まれた特濃のT-ウイルス──それを完全に無害化させるには、私の血から独力で抽出できる程度のGだけじゃ足りない。

 幸いにも、ワクチンに関する手掛かりは、セーフルーム目的で立ち寄った警察署で入手できた。市内のスペンサー記念病院、そこに居るとされるアンブレラ社のT-ウイルスワクチン開発主任──ナサニエル・バード。そいつをひっ捕まえればワクチンは入手できるはず。署内のメインホールに書置きを放置していた人物には感謝してもし足りない。

 

 警察署を後にしてすぐ、T-ウイルスの影響で巨大化したと思われるワニから追い掛けられた際は「ウソでしょ……」と思ったものだが、その脅威も無事に排除できた。

 ワニに罪は無かったけど、全部アンブレラが悪い。早くアンブレラをブッ潰したい。

 逸る復讐心は抑えられないが、先立つ物が無ければ復讐もできない。まずはワクチンを入手してグレーテルを救う、そのことだけに尽力しよう。

 

 時刻は間もなく21時を回る。

 忌まわしい地下研究所の脱出を企てた時から、丸1日が経とうとしていた。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 21:30、ようやくスペンサー記念病院に到着した。

 入口や窓は特に閉鎖されていない……しかし、院内から人々の気配を感じ取ることもできない。善良な医療従事者が限界まで感染者を迎え入れていたものの、最後には……といったところか。

 

 何にせよ、侵入に苦労しなくて済むのなら、こちらとしてはありがたい。

 正面玄関から院内へ入り、すぐ手前に見えた臨時治療室の扉を開いた。

 

「……先客が居る?」

 

 見れば、室内のベッドには1人の若い女性が寝かされていた。

 華奢な体だが、鍛え上げられた良いスタイルをしている。何より、ベッドの傍らに置かれた火器の数々は、この女性が戦士であることを物語っていた。

 しかし、さぞや聡明な輝きを帯びているであろう彼女の瞳を、今は垣間見ることすらできない。

 

「間違いない。この人も、感染してる」

 

 (うな)されている原因は、T-ウイルス感染者の初期症状として見られる発熱の影響だろう。おそらく自力で動くことなどできないはず。それを考えれば、この女性がここに居る理由は──

 

 

「──っ、銃声!」

 

 彼女を救うため、他の仲間が来ている。上階から聞こえた銃声で、その推理を確定させた。

 もしかしたら、警察署で書置きを残していた人物かもしれない。だとすれば同じ標的──バードを探している者同士、協力を申し出ることもできる。ワクチン入手は1秒でも早いほど良い、可能な限りの手は打つべきだ。

 

「ここで待っていてね、グレーテル。お姉ちゃんが必ず治してあげるから」

 

 室内にもう1つあるベッドにグレーテルを寝かせる。先客も同じ判断をしている以上、この部屋は他より比較的安全なはず。そうでなくとも、見えた敵は片端から駆逐するだけのこと。

 行動指針が定まれば、あとは走るのみだ。足早に臨時治療室を後にした。

 

 

 

 

 銃声の聞こえた地点を辿り、2階へと直行。先客のおかげか、音を立てるような戦闘行為も無くスムーズに進めていた。

 最後の銃声があったのは、すぐ先のロッカールーム前だ。これなら合流も容易い……そう思った矢先、強い殺意を孕んだ存在が、私よりも先にその地点へ猛進しているのが感知できた。その気配には覚えがある。

 

「あの爬虫類怪人……それも改良型の厄介な方だ、多分」

 

 火器を扱える人間であれば、決して及ばない相手ではない。それでも万が一、あの打たれ強さを上回る武装と、素早さに対抗できる反応力が無いのなら、十分な脅威には違いない。

 協力者を失う最悪の可能性は避けなければならない。こちらも当地点へ急行し──目前の男性へ今にも飛び掛からんとする生物兵器の背後を捉えた時。

 

「危ないッ!!」

 

 深く考えるよりも先に、私の身体は自然と動いていた。

 敵のガラ空きな背中へと、電撃を帯びた右の掌底を叩き込む。絶命に至らせるだけの力加減にも慣れてしまったもので、無事に一撃で葬ることができた。

 

 

 ……まあ、私の状況は全くもって無事じゃなくなったけど。

 

「一撃で……君は何者だ!」

 

 銃口こそ突き付けられていないものの、しっかりと警戒されてしまう私。残念でもないし当然の結果である。やってしまったことを悔やんでも意味は無い。危機的状況にある人を見過ごせない、そんな善性が私の中にもあったのだという発見を喜んでおこう。

 とは言え、最初から手助けの必要なんて無かったかもしれないのだが。無造作な髪型と無精髭が目立つワイルドな風貌をした、この男性……これまでに潜り抜けて来た戦場の数を思わせるような鋼の肉体と精悍な顔付きを見るに、戦士であることは確定的に明らかだし。

 

 仕方ない、切り替えていけ。

 当初の計画では、ただ災害に巻き込まれただけの無力な少女を演じて庇護を求めるつもりだったが、ここは自力でもある程度は戦える逞しい女性へとシフトチェンジしよう。こんなこともあろうかと、役に立ちそうなものは道中で入手している。

 

「そう身構えないでください、私は見ての通りの小娘ですよ? ゾンビに嚙まれたりはしてませんし……ましてや、こんな出来損ないのUMA(トカゲ男)みたいな怪物のお仲間でもありません」

 

 生物兵器であることはともかく、もはや仲間じゃないことは確かだ。そんなことを思いながら、努めて少女らしく朗らかに振舞いつつ、懐から()()()を取り出す。

 

「私は──イザベラ・ヘルナンデス。この警察手帳に載っている男が、私の父です」

 

 言いながら私が見せたのは、道端の死体から拝借していた警察手帳。この持ち主であった人物の姓を借り、イザベラの名を借りる。もしも健常な生存者と出会えることがあった際、名乗りが兵器としてのコードネームでは怪しまれるだろうと考えての用意だった。

 万が一、相手が持ち主の知り合いであれば一発アウトだが……こんな状況だ。そうでないなら、裏を取られることもなく信じてもらえる。

 

「……俺はカルロス・オリヴェイラだ。U.B.C.S.──アンブレラのバイオハザード対策部隊さ」

 

「アンブレラ? それは──」

 

 他ならぬバイオハザードを引き起こした元凶じゃないか。その組織に属している者が何を──と問おうとして、思い留まる。

 ただの一般市民を演じるなら、そんな知り得るはずもない情報を知っているのは不自然だから、という理由もある。でもそれ以上に、おそらく目の前の彼──カルロスもまた、アンブレラの暗部など知らないのではないかという推論に至ったからだ。

 何も知らず、だからこそ、彼はここで命を懸けて戦えているのではないかと。そう思ったから。

 

「──それは、お疲れ様です……と、市民を代表して言わせていただきますね。ついでに、こんな肝試しスポットと化した病院で何をしているのか、お訊かせ願いたいのですが……まぁそれは貴方の台詞でもありますかね?」

 

「当たり前だ! 君のようなレディが、どうしてこんなところに1人で居る!? 親御さんはどうした? そもそも未感染なら、今までにも何度か街を脱出できる機会はあったはずだろう!」

 

 ……随分とまぁ、こんな胡散臭い小娘を真面目に心配してくれるものだ。これは先ほどの推論を確信に変えても良いかもしれない。

 だからこそ、今は嘘と演技を重ねなければならないことが心苦しいが──その分、混ぜ込む真実には、こちらも本気を込めよう。

 

「……父も母も、不幸な事故に巻き込まれました。今じゃこのハンドガンが形見のようなもの……そして私には、この形見を使ってでも救わなくちゃならない、愛する妹がいます。──貴方も同じでしょう、カルロス? 臨時治療室で寝かされていた女性……あの人を救うため、ここへ訪れた」

 

 そう言って突き付けたのは、警察署のメインホールで入手した書置き。それを見たカルロスが「タイレルの筆跡……」と呟いた。どうやら残したのはカルロス本人ではなかったが、彼の仲間のおかげだったようなので似たようなものか。

 

「……ジルを見たんだな。じゃあ君も、ウイルスのワクチンを求めてこの病院に来たのか」

 

「ふざけたハゲ頭の怪人に、妹が傷を負わされました。幸いゾンビにはなっていませんが、意識を失い高熱に苦しんでいます。相棒(バディ)恋人(ハニー)かは知りませんが、そのジルという貴方の大切な人も同じ症状ですよね。助けるためにはワクチンが必要……私と貴方の目的は一緒です」

 

 結局、正体を偽ってでも訴えたいのはそれだ。カルロスの協力があれば、ワクチンを捜索する難易度は大きく下がる。正直に言えば利益は私にしか無い。だがそれでも、打てる手を惜しむことはできないのだから。

 

「お願いですカルロス、ワクチンの捜索を私に手伝わせてください。貴方がプロであることは承知しています、それでも絶対に足を引っ張ることは無いと約束します。ですから、どうか……!」

 

 嘘も演技も混じらせない、正真正銘の私の嘆願。僅かな沈黙を挟んで、カルロスは口を開いた。

 

「……まず、断じて相棒(バディ)でも恋人(ハニー)でもないが……ジルは素晴らしい警官だ。人々のために命懸けで戦える、勇敢な奴だ。こんなところで死んでいいはずがない、俺が必ず助ける、そう誓った。……だから、大切な人を救いたいという君の気持ちは、よくわかってるさ」

 

「っ、それなら……!」

 

「ああ、喜んでエスコートさせてもらうよイザベラ。俺がレディの頼みをすげなく断るような男に見えてたか? そもそも……未だに信じ難くはあるが、君には既に借りがあるんだからな」

 

 そう言ってカルロスは曇りなく笑い、こちらに手を差し伸べてくる。

 ……思えば、グレーテル以外の人間と、ここまで話し合えたのが初めてだ。ティシポネー(生物兵器)として生まれて以来、言葉を投げかけてきたのは、相手を実験動物としか見ていない白衣の連中だけで。これはイザベラから受け継いだ記憶の中の出来事でもない、()にとって初めての会話。

 

「──ええ、その通りですよ? 命の恩人を丁重にエスコートしてくださいね、カルロス」

 

 その相手が、カルロス・オリヴェイラで良かったと心から感じて。

 差し伸べられた大きな手と、固い握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、随分と銃の扱いに慣れてるレディじゃないか! 親御さんに習ったのか?」

 

「ええ、一通り。こんな形で実践する日が来るとは思いませんでしたけど、ねっ!」

 

「ああ全くだ。俺も警察署で警官のゾンビを撃った時に考えたが……病院でお医者様を撃つなんてヤバいよな、っとお!」

 

「そう深刻に考えるべきじゃありませんよ。どうやら皆さん、お医者様のくせに夜更かしと夜食が大好きな困った方々のようですから。私たちが寝かしつけてあげないとダメです」

 

「なるほど。じゃあ腹一杯で眠くなるまで食べさせてやるか、弾丸をな!」

 

 

 軽口を叩き合いながら、共に院内の探索を続ける。

 正体を偽っている私が使えるのはハンドガンだけだが、カルロスが頼りになるおかげで戦闘も苦にはならない。援護に徹していれば、それで十分だ。

 

 

「……カルロス、さっきと同じトカゲ男が来ますよ。ナースセンターのある位置から……あと15秒もすれば姿が見えるはずです」

 

「なにっ、分かるのか?」

 

「耳の良さには自信がありまして。この部屋へ入る前に迎え撃ちましょう、閃光手榴弾を用意してください。あの素早さは面倒なので、確実に足止めしてから制圧します」

 

「了解だ。冷静なブレーンが居て助かるよ、初対面の時みたいに君が一発で片付けてくれるならもっと助かるが。結局あの時は何を使ったんだ?」

 

「そりゃ奥の手ですよ、とびきり刺激的な。そういうの、女性なら誰しも持ってるモノでしょう? 軽々しく乱用はできませんので、あしからず」

 

「なんだか誤魔化されてる気もするが……詮索は止めておこう。次は俺が火傷しそうだ」

 

「よろしい。配慮のできる男性は素敵ですよ、カルロス」

 

 

 急ぎ足でも焦ることは無く、障害を薙ぎ倒して突き進む。

 必要な物を揃え、奥の研究室へと辿り着くまでの時間は、不思議と短く感じられた。

 

 

「開け、ゴマ」

 

『音声データと一致しません』

 

「何やってんですか。多分コレ、このカセットテープの中身が鍵の代わりになりそうですよ」

 

 研究室のロックを解除するため、音声認証端末へ向けたカセットプレイヤーを起動する。

 そこから再生された録音内容は、ナサニエル・バードという人間の品性を疑えるもので。

 

『ピカピカにするのが専門だろ。もう行け、このことは内密にしろ──』

 

「……おいおい、とんだゲス野郎だな」

 

「人間の屑、ってやつですねー。この調子だと、見ず知らずの私たちに大人しくワクチンを渡してくれるかも怪しいものです」

 

「まあ、その時はその時さ。こっちは最初から、ひっ捕まえるつもりで来てるんだ」

 

 そんなカルロスの物言いに私も同意を示して、研究室の扉を開け放つ。果たして室内の椅子に座っていたバードは──銃弾に額を撃ち抜かれ、既に死んでいた。

 死人に口なし。ワクチンについては自分たちの手で捜さなければならない。

 

「バード博士……! ──タイレル! バードは死んだ、撃たれてる!」

 

『マジかよ、ワクチンは? PCがあるはずだ、それで調べてみろ!』

 

「カルロス、こっちです! このPCが生きてます、メールとか漁ってみましょう!」

 

『……おいカルロス、今聞こえた可愛らしいレディの声は何だ? 俺の過労から来た幻聴か?』

 

「そうかもな、疲れてるお前に長話をするのも酷だ。ワクチンを見つけたら、また掛け直す」

 

 仲間との通話を終えたカルロスを隣に呼び、PCから情報を搔き集める。

 見つかった情報は2つ。1つ目は、目的のワクチンサンプルが──奇跡的に2人分──ここで確かに保管されているという朗報。この病院の地下には備蓄もあると言う。

 そして、もう1つが……バードによるアンブレラへの告発映像。

 

『──……今この街を襲っている災害の原因は全て、生物兵器であるT-ウイルスの漏洩にある。そのウイルスを作ったのは私の雇い主、アンブレラ社だ──……だが上層部は保身のため処分しようとしている、さらにウイルスの存在を示す証拠を全て消そうと──……』

 

 この告発は、飽くまでも己の名誉回復を狙った、保身のためのものだろう。

 しかし、それでも今の映像は──カルロスが真実を知るに至る証拠として、十全に機能した。

 

「……ジルは最初から分かってた……なのに俺を信じてくれた。──くそっ!」

 

 憤懣遣る方無い、とは正に彼の姿を指す言葉か。

 今まで信じていた組織に裏切られる気持ち、ジルという人間の雄姿。どちらも知らない私には、カルロスを慰めることなどできない。

 

 できることがあるとすれば──為すべきことを為す、それを貫く姿を私が見せ続けること。

 

「カルロス……貴方の痛みも、嘆きも、理解できるなんて言えません。だけど、こういう時だからこそ……まずは手を伸ばせるところから確実に。そうでしょう?」

 

 保冷庫から拝借した2人分のワクチンサンプル、その片方を手渡す。

 これで大切な命は救える。まずは、それをカルロスと一緒に喜びたくて。

 

「──ああ、そうだな。……待ってろよジル、少しの辛抱だ」

 

 手にしたワクチンの注射器を握るカルロスの顔には、既に雑念など無くなっていた。

 ……やっぱり強い人だ。どんな苦境に立たされても取り乱すことなく前へと進める戦士。ベッドの上で彼を待つジルさんが、とても羨ましく思えてしまう。

 

 

 

 ──私の中で燃え盛る、復讐の炎。弱まることなく、今もまた強く爆ぜた。

 アンブレラがカルロスへと突き付けた絶望。何十倍にも何百倍にもして、突き返そう。

 

 この街から抜け出して、必ずアンブレラの首を圧し折ってやる。

 




原作みたいな洒落た台詞の応酬を書きたいと思うのは二次創作者の性。
私は読者の皆様に満足していただければ十分……!(つーか これが限界)


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PART7

(ハーメルンが10周年を迎えた記念日なので)初投稿です。


 ジャンジャジャーン! 今明かされる衝撃の真実ゥなRTA、はーじまーるよー。

 

 前回はカルロス兄貴と一緒にワクチンサンプルを入手したところまででしたね。

 グレーテルとジル姉貴を救うため、次は臨時治療室へ戻ります。

 

 ただし気を抜いてはいけないのが、研究室を出てすぐにハンターβが1体、上階から目の前に飛び降りてくる点です。瞬時に襲い掛かっては来ませんが、頭から抜け落ちてると純粋にビックリして操作ガバを誘発するため、決して忘れてはいけません(2敗)

 

 カルロス兄貴に閃光手榴弾を投げてもらってスルーしても良いのですが、ここで見逃して後から再会することになるのも面倒です。

 と言うワケで──正体を隠すのはここまで、サクッと倒しちゃいます。右腕から電撃を一直線に発射し、弱点である顔面を撃ち抜きましょう。

 余裕の確殺だ、威力が違いますよ。『6』のピアーズキャノンにだって負けちゃいません。短い間でしたがハンドガン縛りをしていた分、特殊能力のありがたみを実感できますね。

 

 当然カルロス兄貴には驚かれてしまいますが気にする必要はないです。どのみち、これから説明しなければならないことですし。

 んじゃさっさと移動しましょう。道中には強敵も湧きませんし倍速で。

 

 

 

 臨時治療室まで戻りました。カルロス兄貴はジル姉貴に、ティシポネーちゃんはグレーテルへとワクチンを投与します。お目覚めまではもうしばらく掛かりますが、ひとまず安心ですね。

 ……さて。原作であれば、この後はタイレルが病院に到着するまで場面が飛ぶのですが、ここでは任意でティシポネーちゃんの正体バラしのターンを挟み込むことができます。自分がアンブレラに生み出された生物兵器であることを包み隠さず話してしまいましょう。

 今のカルロス兄貴は、アンブレラ社が生物兵器を用いたバイオハザードの元凶たるブラック企業だったことを知ったため、ティシポネーちゃんの出自にも理解を示してくれます。この真相を知る前だと、正体を明かしても警戒されるどころか、初対面時のジル姉貴同様に信じようとすらしない確率が9割なので、カミングアウトはこのタイミングがベストです。

 

 あとはムービーをご覧の通り、カルロス兄貴は今後もティシポネーちゃんを協力者として認めてくれます。まあ戦力とか信頼関係とか抜きにしても、ブラック企業に拉致られて殺されてクローン作られて生物兵器として生まれ変わらされて、それでも妹を守るために戦ってる危なっかしい少女とか、この正義漢が放っておくはずありません。当たり前だよなぁ?

 ちなみに、今後ティシポネーちゃんが他人に名乗る名前は、イザベラ・シュミットで固定です。名付け親である走者としては寂しい話ですが、ティシポネーちゃん自身はB.O.W.としてのコードネームなんて1ミリたりとも愛着持ってませんからね、仕方ないね。

 

 

 

 では今度こそ場面が飛んで、タイレルが臨時治療室に飛び込んできます。室内のテレビを点けると、合衆国政府がラクーンシティに拡散するウイルスの封じ込めを不可能と判断、巡航ミサイルで街を爆破する滅菌作戦が行われることを報じていますね。まだ生存者は居るというのに猶予は1日しかありません。絶対に許さねぇ、ディレック・C・シモンズ!

 エイダ狂いの変態野郎にファミリーの平手打ちを食らわせてやりたい所さんですが、そんなこと言ってる場合じゃありません。病院に押し寄せて来たゾンビどもを相手に、籠城戦が始まります。カルロス兄貴と一緒に治療室を守り抜きましょう。タイレルには「何だお前(素)」みたいな反応されてますが、説明は後回しでオナシャス! センセンシャル!

 

 臨時治療室を出れば、扉の前にバリケードを作るムービーを挟んでから、ロビー内にて籠城戦が開始されます。タイレルが病院のセキュリティシステムに侵入し窓のシャッターを全て下ろし切るまで、ひたすら敵を倒し続けるのが役目です。さてと、お楽しみはこれからだ(笑顔狂並感)

 

 先ほどのシーンでカルロス兄貴に正体をバラしちゃったのは、この籠城戦のためと言っても過言ではありません。このイベント戦闘では一定数の敵を倒す毎に状況が進行していくため、敵の撃破が速ければ速いほどタイムは短縮されていきます。本ルートではカルロス兄貴とプレイヤーキャラの二人掛かりで戦う都合上、原作よりも敵の数と出現速度は難化しているのですが……私に限らず練習を積んだRTA走者にとってはボーナスゲームでしかありません、むしろ好都合です。

 正体を隠したままでいる場合、この籠城戦にもハンドガン縛りで挑まなくてはならなくなる都合上、イベントの進行も必然的に遅くなってしまいます。だから、正体を明かしておく必要があったんですね。

 

 では早速、マグナムも放電もフル活用して、湧いた先からゾンビどもを駆逐していきましょう。ここの敵は倒せばその場で爆発四散するので死亡確認は要りません。弾丸も余るぐらい用意されていますから惜しみなく撃ちまくります。カルロス兄貴もええ働きやこれは。

 とか言ってる間に第1フェーズがもう終わりました。敵がゾンビばかりなのでこんなもんです。

 

 

 続く第2フェーズ開始の合図は停電の発生です。この停電はちゃんと復旧させないと状況が進行してくれないので、カウンター奥の部屋にあるブレーカーのスイッチを入れ直す必要があります。

 一応注意しておくべき点として、そのカウンター奥の部屋からは停電に少し遅れてハンターβが飛び出してきます。横着して部屋の前で陣取ってると先手を打たれるので、焦りは禁物です。

 出てきたところを冷静に処理しましょう。今回は右脇から肉薄しての零距離放電でOKですね。

 

 では部屋に入って、ブレーカーのスイッチをオォン!(野獣) アォン!(蛇足)

 室内では通常の手榴弾と閃光手榴弾を拾えるので、しっかり回収してカルロス兄貴にプレゼントしましょう。ゆうこうに かつよう してくれ!

 

 さて、籠城戦はこの第2フェーズからが本番です。侵入してくる敵のラインナップにハンターβとNE-α寄生体が加わります。動きの素早いハンターβは言わずもがな、触手を伸ばしての中距離攻撃を有する寄生体も集団でやって来られると非常にうざったい存在です。

 ここはカルロス兄貴と役割を二分化しましょう。ティシポネーちゃんは厄介なハンターと寄生体に狙いを集中させて、前衛で湧き潰し。カルロス兄貴には後衛で、ティシポネーちゃんが鬱陶しい掴み攻撃を食らわないように雑魚ゾンビへの対処をお願いします。

 ここまでの共闘で信頼度の高まったカルロス兄貴ならティシポネーちゃんの合図一つで、先ほど渡した手榴弾をゾンビの密集してる地点へ的確に投げ込んでくれます。技量も度量もでけぇなお前(褒めて伸ばす)

 

 

 はい、第2フェーズも難なく終了です。大量のゾンビが一気に雪崩れ込んでくるムービーと共に最終フェーズが始まります。とは言っても、ごく短いものですが。

 ロビー内に備え付けられていたC4爆弾を利用して柱を倒し、入口を封鎖してしまうことが目的となります。信管の取り付けはカルロス兄貴に一任したら、入口のすぐ近くにある大型バッテリーをハンドガンで撃ち抜きましょう。これで拡散した電気が、雪崩れ込んできてるゾンビを痺れさせてくれるので、爆弾のセッティングに十分な時間を稼いでくれます。

 あとは30秒耐えるだけの簡単なお仕事です。ハンドガンの弾すら勿体ないですし、電熱ナイフで適当に遊んでおきましょうか。こんなんじゃサバイバルホラーになんないよ~(煽り)

 

 30秒経ったら以降はムービーです。カウンターに身を隠したら爆弾が起動。柱が崩落して病院の入口を完全に塞ぎました。やったぜ。

 籠城戦が終わって臨時治療室に戻ると、カルロス兄貴は休憩も無しに、病院地下の研究施設へと乗り込みに行きます。(精神的に)タフって言葉はカルロス兄貴のためにある。

 ティシポネーちゃんも同行しようとしますが、ここに残って政府との交渉を行うタイレルの護衛を任されました。じゃあ私が守ってやるか! しょうがね~なぁ~(ホルマジオ)

 ここでタイレルにもティシポネーちゃんの正体を明かしますが、さっきの籠城戦で活躍した実績に加えて「カルロスが信頼してるなら大丈夫だろ」ということであっさり認めてもらえます。判断が速い(賞賛)

 

 

 では今から何が始まるのかと言うと、病院内で未だ活動している敵を全滅させる殲滅ゲーです。ティシポネーちゃんの生体感知能力によって、マップ上に残る敵の位置が表示されるので、これを1匹残らずブチ56してきます。防衛のための先制攻撃と参りましょう。

 まずは1階から虱潰しに。奥の研究室受付にはハンターβが再び出現していますが、いい加減その顔も見飽きたぜ。テメエも逝けよ! 記念だぞ!(ハーメルン開設10周年)

 

 正直もう雑魚しか残っていないので4倍速にてお送りしますが、この殲滅戦と先ほどの籠城戦は純粋な練習量でタイムを縮めていけるので、RTAとして無視できない所さんではあります。まあ、視聴者兄貴姉貴に紹介するような見所さんも無いので結局は倍速ですけど。

 一応忘れてはいけないのが、1階の中庭でジル姉貴用のマグナムをあらかじめ回収してしまえる点です。その他に弾丸等の物資も併せて回収し、ジル姉貴が目覚めたタイミングでプレゼントしてしまえば、その後はRTAに余分な寄り道をすることなく地下施設へ直行できます。どうせ中庭にも倒すべきゾンビが1体隠れてますから、確実にマグナムを入手しておきましょうね(無敗)

 ……はい、これで2階も掃討完了。敵を全滅させた時点で場面が飛びます。

 

 

 日時はいよいよ10月1日、0:00。ここでようやくグレーテルが目覚めてくれました。全身の掻痒感・発熱・意識レベルの低下等の症状は完全に消えているか確認します。色々と迷惑を掛けたことを察して謝ってくるグレーテルですが、ティシポネーちゃんとしては後遺症無しに快復してくれたことが何よりの姉孝行です。

 勝手に自責してるんじゃねぇよ。お痒いところはございませんか❤

 

 続けてジル姉貴も目を覚まします。ゾンビ化したカルロス兄貴を撃ち殺す悪夢を見てからの起床なので気分は最悪でしょうが、のんびりはさせてあげられません。

 起きて早々に政府の滅菌作戦の放送を聞いたジル姉貴がオロオロでいらっしゃるよ、(説明を)咥えて差し上げろ。これも全てアンブレラ社とシモンズって奴の仕業なんだ。

 

 状況説明が終われば次は「お前は誰だ(AMZNZ)」と問われるので、B.O.W.であることを素直に白状します。加えて、地下研究所で入手していた紙媒体の研究資料も手渡してしまいましょう。ジル姉貴は物語開始前からアンブレラ告発のために色々と情報を集めているため、こういう資料を見せれば細かいところまで一発で理解してくれます。

 最重要目的が街の脱出であることも伝えておきましょう。グレーテルはあくまで一般人のため、ジル姉貴も庇護には協力的です。ただし出自がどうあれ生物兵器であるティシポネーちゃんを外界に出すと言う点は消極的ですが……ダメな時はティシポネーちゃんも覚悟の上なこと、グレーテルが本気で庇ってること、今は考えてる暇が無いことの3点を踏まえて、結論は後回しになります。

 

 ともかく、次の行き先は病院地下の研究施設です。ジル姉貴も探索の同行は容認してくれます。既にアンブレラ配下のU.B.C.S.とも手を組んでますし、もう何でも来いの精神ですね。

 もちろんティシポネーちゃんは何と言われていようが付いていくつもりでしたが。貴女ばかりにカルロス兄貴へ良い顔されちゃたまりませんわ(女の嫉妬)

 

 では臨時治療室ともおさらばです。ロビーのPCで作業してるタイレルに──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




RE:2も全世界累計販売本数1000万本を突破したらしいですね。目出度い。


【お知らせ】
今回以降からほんへとおま〇けを交互に繰り返す投稿形式に変わります。
人間キャラが増えるとおまけパートで描写する内容量も増えるからね、仕方ないね。


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おま〇け4

(07/21の19:19投稿に大遅刻したので)初投稿です。


「タイレル! ワクチンを見つけた!」

 

『よし、今そっちに向かってる』

 

「気をつけろ」

 

『気をつけろ? 街の惨状を見てないのか? 無事に辿り着けたら奇跡だ』

 

 仲間との通信を終えたカルロスと並んで研究室を出る。

 ようやく最大の目的であるワクチンが手に入った。後は臨時治療室へと戻るのみ……とは言え、こんなタイミングだからこそ気を抜いてはいけないのがお約束。

 

「カルロス、止まって。……来ますよ」

 

 逸るカルロスの歩みを制止すると、そこへガラスを突き破って上階から飛び降りて来たトカゲ男。さっきカルロスがPCを殴り壊した音でも聞きつけたのだろうか。

 

「くそっ、こっちは1秒だって時間が惜しいってのに!」

 

「全くです、こんな時に面倒な相手……」

 

 苦戦はしなくとも、火力がハンドガンとアサルトライフルでは少々手間取る。手榴弾で対処してもらってもいいけど、なるべく複数の敵に囲まれた時のために温存しておいてもらいたい。

 それらを考慮すると、ここは──

 

「──5秒で終わらせます。下がっていてください」

 

「なにっ?」

 

 決断と同時に溜めは完了させていた。電気を帯びた右腕を勢いよく突き出し──放たれた一条の光が、標的、その頭蓋を撃ち貫く。

 余裕の確殺である。我が力ながら、やはりハンドガンとは威力も利便性も違うというものだ。

 

「イザベラ!? 今のは……」

 

「ごめんなさいカルロス。後で全てを話しますから、まずは治療室まで戻るのが最優先です。1秒だって時間が惜しい、でしょう?」

 

「……そうだな、急ごう。もう流石に厄介な敵は現れないはずだ」

 

「ええ、急ぎましょう。眠り姫たちがベッドの上で待っていますからね」

 

 切り替えの早いカルロスの軍人思考を頼もしく思いつつ、移動を再開。

 1秒でも速く、大切な人のもとへ。その一心が、私たちの足を急がせた。

 

 

 

 

 

「ジル、もう大丈夫だ!」

 

「さあグレーテル、お注射の時間ですよー。そのまま力を抜いててくださいねー」

 

 無事に臨時治療室へと戻り、カルロスはジルさんに、私はグレーテルにワクチンを投与する。

 ここまでやり切ってしまえば、後はワクチンの効能頼りだ。時間の経過による回復を待つ以外にできることはない。

 

「頼む、効いてくれよ……!」

 

「ワクチンの効能を信じましょう。バード博士も、人間としてはともかく、研究者としては確かな能力を持っていたはずです」

 

「待つ他ない、か。……なら、今のうちに話してくれないか? 君が本当は何者なのかについて」

 

「あらら、警官の娘ってところからガッツリ怪しまれてます? まあ実際に真っ赤な嘘なので気にしませんけどね。……もちろん、約束通りお話ししますよ」

 

 

 共に室内のパイプ椅子へ腰掛け、順を追って語る。

 私がアンブレラによって生み出された生物兵器であること。私の素体となった人間はアンブレラのせいで殺されたこと。その人間の妹が、今ここで眠っている少女グレーテルだということ。私の目的がグレーテルのラクーンシティ脱出──そして、アンブレラへの復讐であること。

 何も知らない者へ聴かせれば鼻で笑われてしまいそうなほどに、現代の社会常識やアンブレラの外面を考えれば衝撃的な話。バード博士の告発映像で真実の一端に触れたカルロスにも……流石に刺激が強かったようだ。

 

 

「──民間人の拉致、人間へのクローン技術利用、人体実験……それで、やることが兵器開発か。とんだ企業に雇われていたもんだな、俺たちは」

 

「T-ウイルス単体でも十分に凶悪な兵器であることを考えると、採算も取れなさそうな生物兵器の開発に拘っているところには、単なる軍需狙いに留まらないヤバさも感じます。……ま、イかれたインテリの考えることなんて想像したくもありませんが。吐き気がするので」

 

 どうせウイルスの力を利用した超人化だの不老不死だの、暇を持て余し過ぎた金持ちの道楽ってところだ。その馬鹿げた絵空事のために、イザベラのような人間が犠牲となってきたことを考えると、腸が煮えくり返って仕方がない。

 

「……だがイザベラ、君は俺を信じてくれた。最初から全てを知っていた、おまけにアンブレラを憎んでいたのに。それはなぜだ?」

 

「? なぜって……貴方が()()()だからですよ、カルロス」

 

 急にそんなこと訊かれたものだから、ついクスクスと笑いながら答える。

 

「もちろんグレーテルのためにワクチンを手に入れる上で都合の()()()だったというのもありますけど……貴方が本気でこの街を救うために戦っている()()()だってことは、誰だってわかります。私が憎悪しているのは、あくまでアンブレラという隠れ蓑に潜んで外道なことをやってる輩だけ。貴方を嫌う理由なんてありませんよ」

 

 そもそも、私だって「アンブレラを許さない」としか言葉では表現できないだけで、アンブレラという企業自体には思うところなど無い。その暗部を支配している者にとっても、間違いなく兵器開発の研究データさえ無事なら企業がどうなろうと知ったことではないのだろう。

 それを考えれば、何も知らずに踊らされていたカルロスもまたアンブレラの被害者でしかない。と言うかアンブレラと関わってるにしては根明すぎる。無辜の市民のためにここまで戦える軍人、そうはいないはずだ。

 

 ……このジルさんだって、そんな姿を見てカルロスを信じるに至ったんだと思うし。あぁいや、知らないけど。興味ないけど。

 

「カルロスの方こそ、どうなんですか? こうして話した通り、私は人の形をしているだけの兵器です。……怖くは、ありませんか?」

 

「怖いものか。たしかに、その刺激的な力にはビビったが……君はアンブレラの被害者で、同時に愛する者のため戦える立派な()()()()()()()()。尊敬に値するよ」

 

 ──ああ、ほら、もう。そういうキザな台詞、恥ずかしげも無しに吐くんだから。

 

「……ジルさんに信頼してもらえた理由がわかるってもんですね、女たらし(グラインダー)

 

「おい、ちょっと待ってくれ。彼女はそういうんじゃない。まだ擦るつもりなのか、この話題」

 

「そうですね~。頑張って私のことも信頼させてくださいね~」

 

 

 揶揄い甲斐のあるカルロスで遊びつつ、眠るグレーテルを見守りながら、私たちも身体を休めて──窓から朝日が差し込み始めた頃。

 院内に誰かが入ってきた気配がした。活性死者ともトカゲ男とも違う足取り……生きた人間だ。

 臨時治療室の扉が勢い良く開かれる。即座にカルロスが銃を向けた、が。

 

「なんだ……タイレル、一体どうした?」

 

 すぐに銃を下ろし、相手の名を呼ぶカルロス。どうやら同じ部隊の仲間……あぁ思い出した、私がワクチンの在処を知る切っ掛けになった書置きを残してくれていたタイレルという人物らしい。

 そんなタイレルさんは、カルロスとの合流を喜ぶこともせず真っ先に室内のテレビを点けた。

 

『──ラクーンシティに拡散するウイルスの封じ込めは、不可能と判断しました。10月1日に巡航ミサイルでラクーンシティを爆破します。未感染だと判断する市民はただちに脱出してください。これは試験放送ではありません、繰り返します──』

 

 ……思わず言葉を失った。合衆国政府は、この街を地図から消すことを決断したのだ。

 

「1日しかないじゃないか、まだ生存者がいるんだぞ!」

 

「政府が気にすると思うか?」

 

 憤慨するカルロスの言葉に、タイレルさんは諦め交じりの声で答える。

 確かに政府の選択は正しい。万が一にもウイルスがラクーンシティ外まで拡散してしまう危険性を考えれば、なるほど妥当な作戦だ。……何万人もの無辜の命が失われるという点に目を(つむ)れば。

 

「──クソ、ヤツらが来た」

 

 どうやら考えている余裕は無いらしい。タイレルの言った通り、活性死者の大群が病院へと押し寄せていることが気配と音で感じ取れる。

 街を救う前に、まずは自分たちを救わないと。

 

「ここにいろ、俺が片付ける」

 

()()()()、の間違いでしょう?」

 

 ここまでの移動で疲労が溜まっている様子のタイレルさんを制止して出向こうとするカルロスへ、横から口を挟む。始まるのは籠城戦、手は多い方が良いに決まってる。ついて行きますとも。

 

「……ん? ちょっと待てカルロス、誰なんだそのレディは。数時間前の通信で聞いたあの声は俺の幻聴じゃなかったのか?」

 

「勝利の女神だ、それさえ憶えておけばいい。頼りにしてるぞ」

 

「任せてくださいよ。ごめんなさいタイレルさん、自己紹介なら片付いた後に。5分で終わらせてきますから、ジルさんと私の妹をお願いします」

 

 このタイミングでようやく私の存在に気付いたらしいタイレルさんへの説明等は後回しにして、治療室を出る。

 さあ、お楽しみはこれからだ。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

『カルロス! 無事か?』

 

「いや散々だ……だがとにかく終わった。今から戻る」

 

 快勝、大勝、我々圧勝。最終的に爆弾を用いたド派手な入口封鎖には至ったが、特に負傷も無く籠城戦は乗り越えられた。

 懸念点を挙げるとすれば、押し寄せて来た活性死者の中に、NE-αに寄生された個体がいくつか見られたことだろうか。……ネメシスが近付いてきている、おそらく対決は避けられないだろう。こっちから殺しに行きたいぐらいだから大歓迎だけど。

 とは言え今はグレーテルの守護が最優先。カルロスと一緒に治療室へ戻る。

 

 

 

「……ワクチンがしっかり効いてる」

 

 タイレルさんの言う通り、グレーテルとジルさんの寝顔は随分と穏やかなものになった。

 ワクチンは確かに薬効あり。この点だけはバード博士に感謝しよう。

 

「よかった」

 

 そう言ったカルロスは、しかし安堵と共に腰を下ろすこともなく、銃のリロードを終える。

 

「どこ行くんだ」

 

「やることがある」

 

「やることって何だ? 街はもうすぐ爆破される」

 

「お前は政府に連絡してくれ。ワクチンを見つけたって、時間を稼げ」

 

 カルロスがタイレルさんへ飛ばした指示で、私もようやく納得する。

 この病院の地下にあるという研究施設から、備蓄されているワクチンを確保してくるつもりなのだろう。ワクチンがあれば、ウイルスに感染して間もない人だけでも救うことが可能になる。流石に政府もそれを無視することはできないはずだ。

 

「待ってくださいカルロス、それなら私も一緒に──」

 

「──いや、君にはここに残ってほしい。タイレルが政府との交渉に集中できるように、それから万が一でもジルたちを守れるように。1人は護衛役が必要だ」

 

「む……それは、確かにそうですが……」

 

 カルロスの指示は至極もっとも。私としてもグレーテルの傍を離れたくはなかった。

 ただ、それでは単身でアンブレラの施設へと乗り込むカルロスが心配だ、けど──

 

 

「大丈夫だ、俺は死なない。俺のいない世界なんて寂しすぎるだろ」

 

 

 ──ああ、ほら、もう。まったく、この男ときたら。

 

「……ハイハイ」

 

 ここまで言われてしまっては引き下がれない。カルロスはカルロスの、私は私の。為すべきことを為すとしよう。

 堂々と出ていくカルロスの背中を、右手を軽く振りながら見送った。

 

「……肝が据わってるな」

 

「全くですね。タフって言葉はカルロスのためにあるんじゃないでしょうか」

 

 彼の雄姿を評するタイレルに、私も笑って賛同する。

 と、ここでタイレルさんに詳細な説明もしていないことを思い出した。

 

「バード博士が遺した情報によりますと、この病院の地下には研究施設があるそうでして。そこにウイルスのワクチンも備蓄されているという話でしたから、カルロスはそれを確保しに行ったんだと思われます」

 

「なるほど。俺はそれを交渉材料に、街の爆破を引き延ばしてもらうよう政府へ掛け合えってことだな? よし、時間が惜しい。早速ロビーのPCで取り掛かるとしよう」

 

「あっ……良いんですか? 私、まだ身元の説明も何も──」

 

「──もう聞いたさ。勝利の女神だろ? アイツが信じてるなら十分だ、俺も御加護に(あずか)るよ」

 

 それだけ言って、タイレルは作業へと取り掛かってしまう。……今だけはその淡泊な対応が何よりもありがたい。

 では、私も女神様らしく頼もしいところを見せるとしよう。

 病院の正面玄関と窓が封鎖された今なら、当面の脅威となるのは未だ院内で隠れ潜んでる敵だ。兵器としての優れた五感を活用し、全て見つけ出して殲滅。それが最も効果的な護衛になる。

 

 同じく悪魔の研究から生み出されてしまった命。同郷のよしみだ、終わらせてあげよう。

 

「絶滅タイムです。喜んでくださいね?」

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 虱潰しの院内探索を完了させれば、時刻は間もなく0時。すなわち10月1日だ。

 事態が好転しなければ、この街は今日中に爆破され、全てが強制的に終わらせられる。……それは御免だ。脱出も復讐もあったもんじゃない。

 

 もう病院内から危険は無くなった。少し休憩を挟んだら、私もカルロスを手伝いに行って良いかタイレルさんに訊こう。そう考えながら、臨時治療室のパイプ椅子に腰かけた時──

 

「う、うぅん……お姉ちゃん?」

 

「──っ、グレーテル! よかった、目が覚めた!」

 

 瞼を開いて起き上がったグレーテル。思わずパイプ椅子を蹴り倒して、ベッドに駆け寄る。

 

「熱は……無いみたいね。意識はハッキリしてる? 体に痒いところとかあったりしない?」

 

「だ、大丈夫。元気だよアタシ。……それよりもお姉ちゃんのほうが酷いよ、擦り傷とか服の汚れとか! ごめんね、またアタシのせいで迷惑かけちゃったみたいで……」

 

「コラ、()()()なんて言わない。迷惑だとも思ってない。ちゃんと快復してくれたことが何よりの姉孝行だし……それに、貴女のために戦えることが私の原動力なんだから」

 

 深い安堵と共に、グレーテルを抱きしめる。

 愛する貴女のために戦えるなら、私はただの兵器ではない。それを強く実感した。

 

「……お姉ちゃん、汗臭い」

 

「う゛……ごめん」

 

「アハハ、早くお風呂に入りたいね──あ、お姉ちゃん! 隣のセクシーな女の人が!」

 

 ひとしきり笑い合ったところで、隣のベッドで眠っていたジルさんも起き上がる。

 体の具合は良さそうだが、顔色は良くない。……悪夢でも見ていたんだろうか?

 

「……ここはどこ? 何が起きてるの──って、あなた達は?」

 

「おはようございますスーパーコップさん。まずは、あの放送に耳を傾けてくださいな」

 

 目覚めていきなり傍に居た初対面の私たち2人へ当然の疑問を投げるジルさんに、テレビの方へ意識を向けるよう促す。タイミング良く、ちょうど1ループし終わったところだった。

 

『市民の皆様、ラクーンシティは数時間後にミサイルにより爆破されます。ミサイルは、あらゆる生物・病原体を根絶します。誰一人生き残れません──』

 

「10月1日? ウソでしょ、そんなに経ってるの?」

 

「おっと、待ってくださいって。状況説明ぐらい聴いても損は無いですよ」

 

 まだ痛むであろう左腕の怪我を押して動き出そうとするジルさんを制止して、質問等を挟む暇は与えずに現状だけ叩き込む。

 カルロスがジルさんを助けたこと。政府がラクーンシティを爆破する決定をしたこと。病院地下にあるらしいアンブレラの研究施設にT-ウイルスのワクチンが備蓄されており、昨日カルロスが既に入手へ向かったこと。彼の仲間も街の爆破を阻止するため尽力していること。

 状況を理解したことで、ジルさんの顔に焦りの色は無くなった。

 

「オーケー、やるべきことは分かったわ。……それで、あなた誰なの? そっちの方はただの逃げ遅れた子だと思うけど……あなたは違うわよね?」

 

 当然、次は改めて私へと疑念が向けられる。ここまで活性死体や他の生物兵器を相手にしてきた残り香か何かは知らないけど、流石に警官の鼻は誤魔化せないらしい。

 問いの返答として、あの研究所で入手してた私に関する研究資料の紙媒体をジルさんへ手渡す。ジルさんは最初からアンブレラの真実を知っていたとカルロスは話していた。ならば私が口で語るより、こういった証拠を自身の目で見てもらう方が信じてもらえるかと考えたが……それで正解だったらしい。スピーディーに資料へ目を通すジルさんの表情は、みるみる驚愕に変わっていく。

 

「……信じられない。あなた、B.O.W.なのね」

 

「その“信じられない”という意識を突き、人間を騙し討ちにしてこその兵器ですから。もっとも、こうして自我を持ち、脱出を企てている以上……アンブレラにとっては大の失敗作ですけどね」

 

 朗らかに笑ってみせたが、流石に少々警戒させてしまったらしい。

 こちらとしても信頼してもらえないのはマズい、ここからは努めて真剣に話す。

 

「どうかご心配なく、私の目的はグレーテル……妹と共に街を脱出することだけです。そのためにカルロスたちと手を組み、今は街の爆破を少しでも先延ばしさせることに協力しています」

 

「……なるほど、なら私も手を貸さないワケにはいかないわね。もちろん警官としても、そっちの妹さんを助けるのには協力したい」

 

 ただし、と挟んで──ジルさんは私に問いかける。

 

「釈迦に説法かもしれないけど、確認よ。例え姿も心も人間のものであっても……あなたは兵器として生み出された存在。それが外の世界へ出ていくことの意味を……あなたは分かってる?」

 

「覚悟の上です。何処ぞへ身を差し出す必要があるなら、喜んで差し出しましょう。もし、私一人が街の外へ出ることを許されなくなったとしても……その時はその時。グレーテルさえ無事に助け出してくれるなら、それ以上は望みません」

 

 嘘や欺瞞は一切無い。本気の言葉だ。

 結局のところ、私が何よりも望むのはグレーテルの無事。それさえ叶うのであれば、私の命など二の次。胸を焦がす復讐心だって三の次でしかない──

 

「ちょっと待ってよ! 話してることはよくわかんなかったけど……アタシ、お姉ちゃんと一緒じゃないならどこにも行かない。お姉ちゃんがここを出ていかないなら、アタシだって残るっ! お姉ちゃんが独りで死んじゃうくらいなら……アタシも一緒に死ぬ!!」

 

「グレーテル……」

 

 ──などと、私が勝手に諦観してしまうのも、それはそれで傲慢なのかもしれない。

 私にはグレーテルがいる。彼女を独りにしないことは私の義務……そして、私の願いだ。まだ、死にたくはない。

 

「……ひとまず動きましょうか。今は悩んで立ち止まってる暇なんてないもの、私もその地下施設に向かうわ。……あなたも来るんでしょう?」

 

 ここで話を打ち切り、ジルさんが立ち上がった。……反対意見がある中で話し合いを続けるほどの猶予は無いと判断してのことだろう。結論は先延ばしになっただけだが、とりあえず探索の同行を容認してもらえただけでも良しとしよう。もう何でも来いと自棄っぱちになってるのもあるかもだけど。

 未だ少々不満げなグレーテルをなだめて、いよいよ世話になった治療室を後にした。

 

 

 

 

「目覚めたか」

 

 ロビーに出れば、作業中のタイレルが声を掛けてくれた。引き続き交渉のため格闘中らしい。

 

「ええ、状況説明もこっちのお嬢さん方から受けたわ。今からカルロスとの合流に向かうわ、1人で行くなんて流石に無茶過ぎるもの」

 

「待て! それなら既に理解しただろ? この街は爆破されちまう。俺はそれを阻止するために、あらゆる手を尽くしてる。ヤツに任せろ、彼はプロなんだ」

 

「──私もよ」

 

 わざわざ負傷を押してまで行こうとする必要は無いと説くタイレルさんへ、一言で切り返すジルさん……クールだ。大人の女性……否、姉御って言葉は彼女のためにあるのかもしれない。

 

「タイレルさん、私も行きます。決してカルロスのことが心配なワケではありません。この病院で護衛を続ける必要も無くなった……何かやってないと気が落ち着かないんですよ」

 

「やれやれ、何を言っても聞きそうにないな。なら、そっちの妹さんは……いや、一番安全な場所は君の隣か」

 

「そうだよ、アタシだって付いてくから!」

 

 呉越同舟も絶体絶命も、何のその。ここからが正念場だ。

 

 

 

 

 

「地下施設はアンブレラの研究所だ。カルロスからも連絡が途絶えた、用心するんだぞ」

 

「えっ……それを早く言ってくださいよ、やっぱり心配です! ジルさん急ぎましょう!」

 

「焦りは禁物よ。アンブレラの施設とあっては何が出るか分からない、慎重に行くわ」

 

「そういうワケにもいかないでしょう、ジルさん薄情ですよ! カルロスのことなのに!」

 

「……別にそういう仲じゃないわよ、私とカルロス。あなたに譲るわ」

 

「譲──は、はァ~!? イヤ別に、私そういうつもりで言ったんじゃないですけどォ~!?」

 

「……妹さんから見て、どう?」

「お姉ちゃん昔からちょっと惚れやすいタイプ。でもガチだよコレは。カルロスってどんな人だろ」

 

 

 ……ここからが、正念場だ!

 




先日誤字報告くれた読者の兄ちゃん、ありがとナス!
たまに自分でも読み返してはいますが、やっぱり他人のチェックが入ると違いますね。


……これまでより投稿間隔が空いた理由?
無料公開中のワンピースを読み耽っているからです(人間の屑)


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PART8

(失踪はしませんので)初投稿です。


 ようやくラストダンジョンに突入するRTA、はーじまーるよー。

 

 前回はグレーテルとジル姉貴が目を覚まし、地下施設へ乗り込むぞというところまででしたね。政府と交渉中のタイレルと会話を済ませて、早速向かいましょう。

 もちろん、グレーテルも一緒です。もはや一番の安全地帯はティシポネーちゃんとジル姉貴の隣だからね、仕方ないね。

 タイレルからはカルロス兄貴との連絡が途絶えたと言われますが、ちゃんと無事だから大丈夫だって安心しろよ~。それはいわゆる、コラテラルダメージというものに過ぎない。ストーリーが冗長にならない為の、致し方ない犠牲だ。

 

 では受付ロビーから進んだ先にある錠付きの黄色い扉を、ジル姉貴にキーピックで開けてもらいましょう。おっ開いてんじゃーん!(お約束)

 ジル姉貴を操作する原作ルートだと、このまま直行はせず先に病院内でアイテムを回収するのが普通です。今回その作業は前回のパートでティシポネーちゃんが済ませましたから、寄り道なんか必要ねぇんだよ!(KBTIT)

 いよいよ最後の研究施設へイクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

 

 道中に雑魚敵は湧かないので、甥の木村、加速します(倍速編集)

 道なりに進んで施設の搬入口へ越え、奥のエレベーターに乗ると地下の倉庫区画に到着します。そのまま前進した先にある別のエレベーターを使えば倉庫の事務室、セーフハウスです。

 所持アイテムの整理が必要な場合は、忘れずに済ませましょう。ジル姉貴もここで装備の最適化を自動的に行うので、どの道それを待つ時間が生まれます。

 

 少々お暇な時間となりますので、み な さ ま の た め に ぃ~……

 ……この後すぐに登場する人物、ニコライ・ジノビエフについて軽く解説しておきましょうかね(天丼ネタは3回まで)

 

 ニコライはカルロス兄貴たちと同じU.B.C.S.所属の隊員なのですが……その正体は、金のためにB.O.W.の戦闘データを収集している裏切り者です。原作ルートだとジル姉貴がここまでに何度も絡まれているため、あのマジキチスマイルが印象に大変残りやすいですが、本ルートではこの後にようやくの顔見せとなります。

 リメイク前の『3』では、アンブレラにとって存在すると都合の悪くなる記録や人物等の抹消を任務とする“監視員”としての登場でしたが、本作も準拠している『RE:3』では既にアンブレラすら裏切ってより金払いの良い別組織へと寝返っているやべーやつでございます。でもこの別組織って結局どこだったんですかね? H.C.F.とトライセルの2択だとは思うんですけど。

 基本はジル姉貴とネメシス先輩の交戦記録を重点的に集めているニコライですが、本ルートではプレイヤーキャラのB.O.W.であるティシポネーちゃんのデータもバッチェ収集されていますよ。なんだ、なんだよ~お前なんだ私に興味あんのかアッー!(UDK姉貴)

 

 

 ジル姉貴の準備が完了しましたね。では倉庫区画の奥へと、いざ鎌倉!

 事務室を出たら中央の廊下を進み、手摺の無い場所から下のフロアに移ります。子供にはキツイ高さなので、グレーテルをお姫様抱っこして飛び降りましょう。ジル姉貴は平気です。

 そのまま目の前にあるエレベーターに乗って上の監視室へ行き……たいところさんなのですが、監視室には既にニコライが居座っており、それに気付かずエレベーターへ直行するとメイン電源を意図的に故障させられ、原作同様にサブ電源のヒューズを探し回る寄り道を強いられます。

 ……この時のニコライ、原作でも普通に姿を目視できるんですけどね。なんでジル姉貴は気付かなかったんでしょうか。スーパーコップとして情けない失態、恥ずかしくないの?(辛辣)

 

 ともかく、RTAは寄り道厳禁なので、こちらから飛び掛かって阻止します。真上の監視室までの高さはティシポネーちゃんの跳躍力ならエレベーター無しでも跳んでいける程度ですからね。

 このままニコライを始末できたなら良いのですが、流石にそうはいきません。この行動を取るとイベント進行に入り、妨害は阻止できるものの結局は閃光手榴弾で上手く逃げられてしまいます。

 色々と嫌味ったらしいことも言われましたが無視だ無視。ジル姉貴とグレーテルがエレベーターで追い付いてくるのを待ちましょう。

 

 

 監視室で点けっぱなしの画面を調べ、ニコライの書きかけの調査記録を閲覧するとストーリーが進行します。調査記録からはニコライのこれまでの暗躍を知ることができますよ。ジル姉貴と接触する度に能力の飛躍的な上昇が見られるネメシス先輩へ着目し、より詳細なデータを入手するため再度交戦させようと企んでるみたいですね。

 加えて、ティシポネーちゃんの病院内での戦闘データも纏められています。身体能力だけでなく知能やコミュニケーション能力、どれをとっても人型B.O.W.として理想的……みたいに評価してくれていますが、見てくださいティシポネーちゃんの露骨に嫌そうな顔。

 (兵器としての性能とか褒められても嬉しく)ないです(NYN姉貴)ってことでしょう。

 

 記録を閲覧し終わると、政府との交渉を済ませたタイレルも監視室にやって来ます。

 ワクチンを確保して届けるという条件付きで、政府は爆破を中止してくれるそうです。残された猶予は数時間、早速ワクチンを探しに行かなければなりません。

 ……まあ、どうやっても最終的にラクーンシティは爆破されてしまうんですけどね、初見さん。これもいわゆる、コラテラルダメージというものに過ぎない。シリーズの物語が破綻しない為の、致し方ない犠牲だ。

 

 では監視室の奥に進みましょう。研究施設に繋がる扉のロックはタイレルが解除してくれます。

 原作だとこ↑こ↓へ来るまでに負傷しまくってて辛そうなタイレルですが、本ルートでは未だに無傷でピンピンしてますね。これはティシポネーちゃんが病院内の敵を絶滅させていたのと、倉庫区画での寄り道を丸々ショートカットしたことで倉庫内に敵が湧くフラグを無視した影響です。

 

 さて、遂に研究施設“NEST2”へと足を踏み入れましたよ。

 このまま廊下を直進していけば、お久しぶりのネメシス先輩が現れてタイレルを殺されてしまうイベントが発生するのですが……ここからが本RTAでの腕の見せ所さんです。

 

 

 

 イベントが始まりました。ジル姉貴とタイレルが銃を構えて周囲を警戒していますが……はい、ここでQTE発生! コマンド入力の猶予は1秒間です、タイミングは暗記して確実に入力!

 これに成功することで、唐突に襲い掛かって来るネメシス先輩第2形態(ジル姉貴狙いの方)の殺気を素早く感じ取り、タイレルへ伸びた触手の不意打ちを抱き掴んで防御することができます。

 しかしまだ油断はできません。もう1体のネメシス先輩(プレイヤーキャラ狙いの方)まで間髪入れずに現れ、ティシポネーちゃんに殴り掛かってきます。緊急回避の操作で避けましょう。

 

 この2つの初見殺しをクリアできたなら第一関門は突破です。ジル姉貴とタイレルの援護射撃が挟まり、一瞬だけ睨み合ってから、ジル姉貴の号令で逃げの一手を決め込みます。

 ですが、ここで2択の選択肢が発生します。今回のチャートで選ぶのは「このまま皆と逃げる」ではなく──「隔壁を下ろして自分だけは残る」の方となります。

 

 イベントムービーを背景に、こちらの選択肢を選ぶ理由を話しておきましょうか。当然ですが、ここの選択肢によってストーリーに変化が生まれます。ライブセレクションみたいなものです。

 「このまま皆と逃げる」を選んだルートでは原作通りワクチンを作るジル姉貴に同行することになります。ただ、こちらのルートはワクチンを作った後が問題でして……どこからともなく触手を伸ばして襲ってくるネメシス先輩から逃げるのに時間が掛かるんですよね。ジル姉貴は原作同様に2回も捕まりますし、今回はネメシス先輩も2体なのが厄介。プレイヤーキャラはともかくとして、タイレルとグレーテルは必ずどちらかが1回以上捕まると考えるべきでしょう。どれだけのロスが生まれるかは想像もしたくありません。

 

 その一方、今回選ぶ「隔壁を下ろして自分だけは残る」のルートでは、プレイヤーキャラ1人がネメシス先輩2体を引き付けて、ひたすら攻撃を避けながら移動していくという内容になります。もちろん難易度は高いのですが、目的地まで逃げ切れると、そのままストーリーは次のイベント戦まで直行、ワクチン精製を終えたジル姉貴も駆け付けて対ネメシス戦に突入します。掛かる時間を比べれば、RTAではこちらのルート一択です。

 おそらく、ネメシス先輩の妨害が無い分ジル姉貴の行動も早まっているのでしょう。非戦闘員のグレーテルがいることを差し引いてもタイレルの協力が加わっていますし、ニコライも交戦データの収集に夢中で妨害してきませんからね。

 

 

 さあ、ムービーも終了。ネメシス先輩×2との睨み合いから再開です。

 じゃあオラオラ来いよオラァ!(豹変)お前ら2人なんかに負けるわけねえだろお前!(猛者)

 

 開幕は隔壁を背にした退路無しの状態ですので、まずは攻撃を緊急回避した際のエイムアシスト時間を活かし、敢えての正面突破。先輩2体の隙間を潜り抜けましょう。

 ここからが命懸けな鬼ごっこのスタートです。チャート通りの逃走経路を順守しつつ、迫る攻撃を避けながら、隙を見て第2形態の方の先輩にハンドガンの銃撃を加え続ける……これが大まかな鬼ごっこの内容になります。

 

 第2形態の方の先輩に攻撃しなきゃいけない理由ですが、そっちは本来の目的がジル姉貴の抹殺だからです。今は状況故にティシポネーちゃんを優先して狙ってくれていますが、すぐには仕留められないと判断すると、すっぱり諦めてジル姉貴の捜索へ向かおうとしてしまうのです。

 芸術的なまでに美しいジル姉貴のケツを追い掛け回したい気持ちはわかりますが、そんな真似をされてはチャート崩壊待ったなし。なので注意を引くためにも、一定数の攻撃は加えておく必要があります。ダメージ量は問わないのでハンドガンで十分です。

 

 対照的に、第1形態の方の先輩はひたすらティシポネーちゃんを攻撃してきます。PART5冒頭でお世話になった通り、こっちは最初からプレイヤーキャラが標的ですからね。注意を引く必要とか一切無いので、攻撃の回避に専念しましょう。

 ここではまだ反撃しません。倒せない仕様というわけではありませんが、倒そうとするのならばやはり全力放電を使わなければなりません。それで片方は倒せても、反動で無防備になったところをもう片方に殺されてしまうだけです。こいつら目の前に居る手負いは絶対に見逃してくれませんからね、RE:3原作のタイレルみたいに。

 

 

 解説も終わったので以降は倍速で、じゃ、流しますね。

 確かに難易度は高いですが、やることはシンプルなので、練習さえ積んでおけばミスることなど(あんまり)ないです。唯一気を付ける点としては、ネメシス先輩2体の攻撃間隔が絶妙に空いた時でしょうか。緊急回避後のエイムアシスト時間がちょうど途切れるタイミングで次の攻撃が来ると操作が狂いやすいですから、あまり緊急回避を過信しないように。とにかく間合いを保ち、余裕をもって避けましょう。

 道中には雑魚も湧いていますが、接触しないことだけ心掛ければスルーで構いません。ネメシス先輩が勝手に蹴散らしてくれるので。道を塞がれた時だけマグナムで怯ませて進むぐらいです。

 

 さて、倍速してしまえば残りは早いもので、目的のポイントまで辿り着けましたよ。

 ここで第2形態の先輩が痺れを切らしたのか、太い触腕を複数一気に伸ばしてきます。ここだけQTEでの回避になるのでコマンドを忘れないように。

 回避に成功すれば通路の先にあった扉が突き破られ、その先に次のイベント戦フィールドとなるエリアが見えます。酸の詰まった巨大タンクに囲まれている広大なゴミ処理エリアです。扉の先は上階の外周部分なので、ここから飛び降りればネメシス先輩とのイベント戦がスタートします。

 

 とは言え自分から飛び降りる必要はありません。このタイミングで第1形態の先輩が確定で突進してきます。これを緊急回避すればムービーが挟まり、反撃を入れ叩き起こしてからの戦闘開始となるため、大きなチャンスを作ることが……

 

 

 

 ……なんで等速に戻す必要があるんですか?

 ここの突進は極めて単調、試走通り確実に緊急回避を成功させればいいだけの──

 

 

 

 

 

 

 ──NE-α寄生体(鎖マン)ンンンンンンン!! ふーざーけーるーなー!!

 

 ここの脇道に出現するなんて今までの試走で1度も無かっただろ! どんな確率だ!

 お前が伸ばした触手を喰らったせいで緊急回避のタイミングがズレたんだよなぁお前のせいでよぉなぁ! 先輩の悪質タックルを避けられなかったじゃないですかヤダー!

 

 ティシポネーちゃんが上階から叩き落(メガトンコイン)されて身動き取れてないじゃん! こっからどうなんの? 回避失敗ムービーは今まで観たことないから何も分からないんですけど!

 

 ネメシス先輩も下りてきちゃった……もしかしてこのまま即死? それは無いにしたって不利な状況から戦闘始まるよねコレ? お兄さん許して、壊れちゃ~う! チャートが壊れちゃ~う!

 ほ、ほーっ、ホアアーッ!!(課長こわれる)

 

 

 

 

 

 

 ファッ!?

 ……カルロス兄貴が上階からクレーンを操作して、ネメシス先輩をブッ飛ばしてくれました。

 ティシポネーちゃんも墜落させられた時(メガトンコイン)のダメージはすぐに再生されてますね。戦闘に悪影響は無さそうです。

 

 これはどうやら……あの緊急回避は成功しようがしまいが、挟まるムービーの内容が変わるだけで、イベント戦の状況には関わらないみたいですね。いやービックリしました、後で改めて攻略wiki確認しとこ。

 とにかく、ガバは発生しましたがタイムロスはありません。こうなれば冗談半分だったウンチー理論の証明も夢じゃないですねぇ!

 にしてもカルロス兄貴がイケメン過ぎるわ。ねぇカルロス、アンブレラやめなよ(UTA並感)

 

 

 ではいよいよネメシス先輩との対決ですが、誰か忘れてませんか? ……そう、我らがジル姉貴ですね。ここで彼女もゴミ処理施設に姿を現します。

 上階から火力支援してくれるだけでも良いのに、わざわざ下に降りて一緒に戦ってくれますよ。うーんこの女傑。あ、タイレルとグレーテルはカルロスと一緒に上階です。

 

 これで役者が揃いました。じゃあ今までのちかえしをたっぷりとさせて貰おうじゃないか──

 

 

 ──今回はここまで。

 ご視聴ありがとうございました。

 




投稿期間が1ヶ月も空いてしまい申し訳ありませんでした。
ネタ多めにしておきましたのでお兄さん許して。

完結まであと少しというところまでは来ていますので、どうかコンゴトモヨロシク。


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おま〇け5

(RE:4を一通り堪能し終わったので)初投稿です。


 スペンサー記念病院、その地下施設。アンブレラの生物兵器研究所。

 命を救うための施設である病院の真下に、命を(もてあそ)ぶ実験場を置く……その度し難さを不愉快に思いながら、ジルさんに先導を任せ、私はグレーテルの手を引いて進む。

 現在地は倉庫区画の奥。前方に見えるエレベーターを利用して上の監視室を経由すれば、研究所内部へと入り込めるだろう。

 

 ……が、しかし。その監視室に一つの人影が居座っていたことを、私は見逃がしていない。

 害意は無く、飽くまで高みの見物を決め込んでいるような気配。それ故にジルさんはスルーしてしまったようだが、こんな時のためにあるのが私の視力と生体感知能力だ。

 十中八九、相手はアンブレラ側の人物だろう。であれば、先手必勝の一択しかない。

 

「……ジルさん、ちょっとグレーテルを頼みますね」

 

「え、イザベラ?」

 

 グレーテルをジルさんに預けたら、一足飛びで監視室に目掛けて跳躍する。元から私一人であれば、この程度の高さはエレベーターに頼らずとも跳べる距離だった。

 跳躍した勢いのまま体当たりでガラスを破り──私の眉間を正確無比に狙った標的からの射撃を右手のナイフで躱し──左の拳で標的の顔面をぶん殴り無力化しようとして──

 

「!?」

 

 咄嗟に進路変更。顔面ではなく胸元を引っ掴み、そのまま床へと押し倒した。

 そうした理由は一つ。標的の服装が、アンブレラの部隊であるU.B.C.S.──カルロスやタイレルさんと同じものだったからだ。

 

「ぐっ……ハッハッハ! えらいハリキリガールがやって来たじゃないか!」

 

「挨拶も無しの逆ナンで失礼しました。ですが教えて頂きます、貴方はU.B.C.S.……カルロスたちの仲間なのですか?」

 

 質問し、観察する。雪原の狼を思わせるような銀髪の男だ。奇襲を受けておきながら余裕の表情を崩さず、ロシア訛りでタフな台詞を吐いてくる。まさしく幾つもの修羅場を潜ってきた軍人だ。

 怪しくはあるが、もし本当にカルロスたちと同じ目的で行動しているのなら、願っても無い追加戦力になる──そんな私の希望的観測を嗤うように、男は返答した。

 

 

「あぁそうとも。俺とお前は仲間さ、()()()()()()。俺たちは良いビジネスパートナーになれると確信している」

 

「──!!」

 

 

 違う。違う違う違う、絶ッ対に違う!

 この男は間違いなく敵だ。私のB.O.W.としての名前を知っている、それ以上に。

 己の利益のためならば何であろうと裏切り、排除し、利用する……そんな邪悪さを否が応でも伝わらせる、その冷酷で残忍な笑顔が。カルロスやタイレルさんの笑顔とは、全く重ならなかった。

 

 すぐさま右手の電熱ナイフを振り上げ、その柄を叩き付けようとして──

 

「──ぁうッ!」

 

 相手を押し倒していた状態から攻撃へと移る……その拘束が緩む瞬間を狙われていた私は、男にあっさりと抜け出され、思い切り腹を蹴り上げられてしまった。

 素早く体勢を立て直すが、それは向こうも同様。引き離されてしまった間合いを見て、私は最初の奇襲でこの男を仕留めるべきだったのだと後悔する。

 

 ……この男は強い。おそらくカルロスよりも。

 

 もちろん身体能力は私が上だ。でも、それで私にできるのは基礎スペック差の暴力を押し付けるだけ。格闘における技術と駆け引きの経験値は、こちらが圧倒的に負けている。白兵戦を挑んでも巧みに捌かれて終わりだろう。

 ならば銃で無力化? それも駄目だ、射撃の腕も間違いなく私が負けている。私には肉体の再生能力があるけど、痛覚まで無いわけじゃない。撃たれても死なないが、撃たれれば死ぬほど痛い。早撃ち勝負に負けて逃げられるのがオチだ。

 となると電撃で痺れさせたいところだけど……既に私の名を知っている相手だ、対策されていると考える方が自然。

 

 

「……クールダウンできたか? じゃあ早速、商談に移ろう女神サマ。俺も時間が惜しいんだ」

 

 結論、明確な隙を見せてもらわないと動けない。それ故にハンドガンを構えて威嚇するだけとなってしまった私を見て、男は相変わらずな笑みのまま、訳の分からないことを言いだした。

 

「商談? 私と貴方が何のビジネスをすると? 初対面ですが私は既に貴方のことが嫌いです」

 

「そう邪険にするな、お前は()()()()()()()()()()()()()()()()というだけの話だ。兵器は兵器として振舞うのが、そのままビジネスになる。何も難しいことは言ってないぞ?」

 

「……商談相手の神経を積極的に逆撫でしていくなんて、とても斬新な営業スタイルですね。話は終わりです、後日に菓子折りだけ郵送してください」

 

「まったく、アンブレラも随分と人間様に反抗的な兵器を作っちまったもんだな」

 

 要するに、大人しくB.O.W.として戦争とか金儲けの道具になれよ、って話だ。

 当然ながら私が首を縦に振る訳もない、が。

 

「だが考えてみろ。実際、このラクーンシティを脱出できたとして、それからお前はどうする? 兵器の居場所、いや置き場所なんて戦場にしかない。加えてお前は兵器であると同時に生き物だ、維持には何かと金が掛かる。結局のところ、お前も金のために働く、俺の同類なんだ。それが理解できてないほど知能レベルは低くないだろう?」

 

 誠に遺憾ながら、そこは否定できない事実である。

 どうあれ兵器として生まれたなら、兵器として生きるしかない。人間を装うことはしても、人間として幸せに生きるだなんて、生物兵器として生まれた時点で許されていない。

 

 

「……とは言え。誰かの幸せを願うのは自由でしょう」

 

「なに?」

 

「私の妹の話です。いるのは知ってるでしょ? ──既に専属契約を済ませてるってことですよ。貴方とのビジネスはお断りです、営業マン」

 

 せっかく心を持って生まれた兵器なのだから、その行動目的を自分で設定するぐらいは許されていいはず。

 妹を守る。彼女に危険が迫らないよう、アンブレラを潰す。それだけが、私の戦う理由だ。

 

 

「……そりゃ残念」

 

 男は落胆したようにわざとらしく腕を下ろし──流れるような手付きで取り出した手榴弾を放り投げる。

 

「やばッ──」

 

 後手に回ってしまえば、もう遅い。床へと落ちた手榴弾──閃光手榴弾から音と光が溢れ出し、慌てて閉じた瞼を次に開いた時には、既に男を追うことは不可能だった。

 相手が上手だったのだと気を取り直し、この監視室を見渡す。目に付いたのは電源が入ったままのPC画面。覗いてみれば……それは書きかけの調査記録。十中八九あの男が残したものだろう。

 

 

「──イザベラ、無事!? 炸裂音がしたけど!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

 と、そこで階下からのエレベーターが到着し、グレーテルとジルさんが追い付いてくる。かなり心配させてしまったようだ、引っ付いてきたグレーテルを抱き返す。

 

「私は大丈夫です。けど、残念ながら敵を取り逃がしまして……U.B.C.S.の隊服を着た銀髪の男だったんですけど、ジルさん知りません?」

 

「……ニコライね。U.B.C.S.を裏切った男よ」

 

「やっぱり敵でしたか。どうやら、ここが奴のビジネスの本拠地みたいですね」

 

 調査記録を流し読みしてみた限り、あの男──ニコライはこの街でB.O.W.の実戦データを収集することが役目だったらしい。で、その対象として扱われたのが。

 

「……ジルさん、ここへ来るまでにB.O.W.と何度か交戦してます? 日本人(ジャパニーズ)海苔巻きおにぎり(ライスボール)をクソほど不味くしたような顔面の、人型のヤツです」

 

「ええ戦ったわ、お腹いっぱいになるほどね。 ……何か良いニュースが?」

 

「悪いニュースです。そのB.O.W.……ネメシスと言うのですが、私とグレーテルもアレに追われてまして。間違いなく別個体ですから、2匹いることになります」

 

「……返品を願いたいわ」

 

「腹を括りましょう。ニコライ氏の目的は、ネメシスを私たちと再び交戦させて更なる戦闘データを得ることのようですから」

 

 

 と、ここで階下のエレベーターから駆動音。一応は警戒するが、そこに見えたのは味方の姿──タイレルさんだ。

 

「やったぞ、交渉が済んだ。政府は爆破を中止する! 条件は厳しいが……爆破までにワクチンを届けないといけない」

 

「残された時間は?」

 

「あって数時間てとこだ」

 

「ならぐずぐずしてる暇はない」

 

 タイレルさんの先導に従い、グレーテルの手を引いて慎重に進む。

 ロックされた扉は開かれ、ようやくワクチンがあるはずの研究施設内部へと侵入した──そんな勇み足を掬わんとするような、突き刺す殺気。熱と湿気を帯びた、不気味な執念。

 

 

 ──待っていたソレが、遂に形を伴って現れる。

 

「タイレルさんッ!!」

 

 死角となった背後の通路、そこから伸びた死の剛腕。

 最も近くに居たというだけの不運なタイレルさんを押しのけ、その暴威を抱き掴む。間一髪だ。

 

 仕掛けて来た敵の顔を見てみれば、それは最早人型などとは呼べない、まるでコズミックホラー小説にでも出てくるような異形の怪物。だが、それでも分かる──こいつもネメシスだ。

 

「随分と拡張性の高い豊満ボディですね先輩! ジャパニーズたこ焼きにされたいですかァ!?」

 

 膂力では向こうが上、このまま腕相撲と洒落込むのは不利だ。電熱ナイフを出力最大、その先端を切り落とした。

 

「──お姉ちゃんッ!!」

 

 そこでグレーテルから呼びかけられる。大丈夫、言われるまでもない。

 続けて弾丸のごとく飛び出して来た、もう一つの殺気。頭上から鉄槌のように振り下ろされる巨拳を、寸前の横転で回避。

 

Tisiphone(ティシポネー)……!」

 

「お久しぶりですね、会いたかったですよ先輩。それとも、お姉さまと呼んで欲しいですか?」

 

 ようやく会えた。グレーテルを、大切な妹を傷つけたド畜生。これでようやく復讐できる──と、逸る気持ちは背後からの銃声で霧散する。ジルさんとタイレルさんの援護射撃だ。

 ここは一本道の狭い通路。グレーテルという非戦闘員がいる今、巨大な敵を2匹同時に相手取るのは至難の業。で、あるならば。

 

「──このまま殿(しんがり)は私が! タイレルさん、グレーテルを!」

 

「ああ、任せておけ!」

 

「隔壁を降ろせるボタンがあるわ! そこまで走って!」

 

 三十六計逃げるに如かず。グレーテルをタイレルさんに抱えてもらい、私が牽制して後退。

 研究施設の隔壁ともなればネメシスにも破壊はできない。ひとまずの安全は確保できる──が、しかしだ。一時しのぎに成功したところで、このままワクチンを入手するまでの間、ネメシスからの脅威に晒されたままというのも難しい。

 

 

 ──私の為すべき指定(オーダー)は決まった。

 

 

「ジルさん、タイレルさん! グレーテルとワクチンは頼みます!」

 

 隔壁を降ろすボタンの真横で一瞬、私だけが立ち止まる。

 何が狙いか、伝えるにはそれだけで十分だ。躊躇なく、押した。

 

「お姉ちゃん!?」

「イザベラ!!」

 

 隔壁は無情に、瞬きの内に降下する。これで断たれた。彼らに迫る危険と、私の退路が。

 

 グレーテルには悪いと思っていたが……少し意外なことに、ジルさんからも悲痛な声が上がっていた。もしかしてだけど、何かあったのだろうか。例えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そんな体験とか。……だとすれば、ちょっと申し訳ない。

 

「ま、私は死にませんけどね。──さて先輩方、後輩と鬼ごっこで遊んでくださいよ」

 

 返事は咆哮、相手が先攻。じゃんけん代わりに繰り出された触腕と拳打を潜り抜け、まずは背水の陣から離脱。二匹掛かりの猛攻を避けながら、とにかく仲間から遠ざかるように移動し続ける。もちろん、こっちからちょっかいを出すのも忘れてはいけない。

 

「ほらほらほらほら、よそ見なんて失礼ですよ海産物っぽくなった方の先輩! そんなにジルさんのお尻を追い掛け回すのが気に入ったんですかぁ!? いや確かにジルさんのお尻めっちゃ綺麗ですけど、ここは高望みせず私で妥協しておいてくださいよ! と言うか私みたいな小娘すら捕まえられずに“追跡者”なんて二つ名してるのは各方面に失礼、うわっとぉ!?」

 

 跳んで避け、屈んで避け、転がって避ける。ひたすらに逃げ続けて、1時間は経ったかどうか、それすら判断が付かなくなった頃。

 通路の向こうに見えた扉、その先。開けた空間だ。おそらくはゴミ処理エリアか。何であれ、駆けまわり続けるよりかは時間稼ぎもし易いはずだ。

 

 鬼さんも痺れを切らしたのか、複数の触腕を一斉に伸ばして来た。むしろ好機だ、この後には大きな隙が生まれる。だから今は、とにかくその攻撃を避けることに集中して──

 

 

「──あッ?」

 

 

 失敗した。気付かなかった。見過ごしていた。

 脇道に待ち構えていた伏兵。取るに足らない活性死者、それに取り付いたNE-α寄生体。頭頂部から伸びる触手が、私の踏み出した右足を貫く。

 初めから、この不意打ちを狙われていたというワケだ。

 

 そこからはもう、坂から転げ落ちるかのように。

 文字通り出足を挫かれた私は、忌々しいネメシスの突進を真正面から喰らい、吹き飛ばされ──ゴミ処理エリアのド真ん中まで叩き落された。

 

「く、ぁ……」

 

 全身が痛いし、呼吸もままならない。

 これだけで致命傷とはならないが、動けないというのが最悪だ。このまま動けないのであれば、降りて来たネメシスに頭を潰されて終わり。実質的に致命傷と変わりない。

 そして、間もなく追跡者(ネメシス)は獲物を眼前に捉える。

 

 

 ──嫌だ。まだ死ねない。まだ死にたくない。

 

 生物兵器として生まれた時点で、幸せに生きることはできない。むしろ、生きているだけで周囲に不幸を撒き散らすことすらあるだろう。

 ここで自分は大人しく死んでしまった方が、グレーテルの今後にも面倒が無くて良いのではないか。そう考える自分もいる。

 

 とは言え、もう遅い。だって、約束してしまっているのだ。

 私が守ると。ずっと一緒だと。絶対に離れないと。

 約束を破っては、失格だ。妹専属生物兵器としても、何よりお姉ちゃんとしても。

 

 ──嫌だ。まだ死ねない。まだ死にたくない。

 

「私はまだ、全力でお姉ちゃんを遂行し切れていない──!」

 

 

 

 

 

 ……そんな、シリアスなことを思っていたので。

 眼前に迫る2匹のネメシスが、頭上から振るわれたクレーンにブッ飛ばされた時は、流石に変な声が出た。

 

「……ファッ!?」

 

「イザベラ!! 無事か!?」

 

 そして、ポカンとする私の頭上から降ってくるのは、もう一つ──カルロスの声だ。

 

「無事だよなイザベラ! 立ち上がってくれ! 君がこの程度じゃあ倒れないタフなレディだってことは、俺がよく知ってるぞ!」

 

「……タフって言葉は、貴方のようなナイスガイの為にあると思うんですけど」

 

 なんだか、気が抜けてしまった。憎たらしいネメシスも目の前に居るっていうのに。

 いつの間にか身体のダメージも回復している。精神的な要因があるのかもしれない。多分ね。

 

「まぁ何でもいいですけどね。実際、私めっちゃタフですし。決着を付けましょうか」

 

 絶体絶命のピンチだったかと思えば、気が付いたら理想的な展開だ。

 立ち回りやすい広めのエリアに、カルロスの援護。反撃に出るならうってつけ。

 

 

 そして何より、ツキの流れまで私の味方らしい。

 

「イザベラ!!」

 

「ジルさん!?」

 

 睨み合っていたネメシスたちを貫いた2発の弾丸。そして降りて来る1つの勇敢なシルエット。

 言うまでもないがジルさんだ。上階を見上げればグレーテルとタイレルさんも居た。

 

「待たせたわね。ワクチンは入手できたわ、みんな無事よ」

 

「何よりです、妹が怪我してたら恨んでました。……それよりも、良かったんですか降りてきて。戦いは()()に任せておくのが、()()として賢い選択だと思いますけど」

 

「そうかしら。……()()とは、肩を並べて一緒に戦うものだと思うわ」

 

「──タフですね、ジルさんも」

 

 

 役者は揃った。文字通りの、一転攻勢。

 

 

「「さあ──次はこっちの番(It's our turn , bi*ch)よ!」」

 




言い訳はしません。失踪してました。申し訳ありませんでした。

既に書き溜めてはありますので、このまま最終話まで連日投稿します。
この小説の存在を思い出してくれた方に最期を看取って頂ければ幸いです。



ヴェルデューゴのオリジナル主人公を作ってRE:4のB.O.W.ルートRTAとか書けそうですよね。
ルイスとは同郷の旧友、みたいな設定を生やしても面白そうです。
……お前どう? 俺もやったんだからさ(同調圧力)


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PART9(LAST)

(RTAパート最後の)初投稿です。


 PART1でみんな!!! “おハーブ(ヤク)”キメろォォ!!!とか挨拶しておきながら実際のプレイでは一度もハーブをキメていないRTA、終わりでいいんじゃない?(最終回)

 

 いよいよネメシス先輩×2との決戦です。……等と言いつつ、この場面ではどう頑張っても片方までしか倒せません。本当の最終決戦があるからね、しょうがないね。

 まぁ、やることは変わりません。両方のネメシス先輩にそれぞれ一定量以上のダメージを与え、その上でどちらか一方の先輩を完全撃破するのが戦闘終了の条件となります。

 

 ちなみにここで両方を同時に倒すとフリーズします。やろうとするなら相当なプレイ技術と運を要しますし、やったところでゲームソフトの寿命を縮めるだけです。やめようね!

 

 

 では戦闘開始です。イクゾー! デッデッデデデデ! (カーン)デデデデ!

 

 ネメシス先輩の出方についてですが、これは前パートの鬼ごっこと同様です。基本的に第1形態の先輩はプレイヤーキャラを、第2形態の先輩はジル姉貴を優先的に狙います。ただし、一定間隔で連携攻撃を仕掛けてくるタイミングがあり、この時は残り体力の少ない方が標的にされます。

 この連携攻撃が本戦闘におけるガバ要素(鎖マン)です。モーションが長いですし、阻止するための行動が必要になりますし、自分とジル姉貴のどっちが狙われているか確認するのも面倒です。

 

 と言う訳で、この連携攻撃を使われるタイミングより前に片方の先輩を56します。

 どうやるのかって? そうだね、久々の零距離全力放電だね。

 

 立ち回り方は見ての通りです。まずティシポネーちゃんは第1形態の先輩に至近距離で張り付き続けましょう。銃撃やナイフ攻撃を狙う必要はありません、とにかく生体電気をチャージしながら回避に専念します。ヘイトを固定し、万が一にもジル姉貴の方を狙いに行かないよう仕向けるのが目的です。

 

 そのジル姉貴ですが、そっちには第2形態の先輩との交戦を一任します(+47点)。

 こちらの事は気にせず、ありったけの手榴弾とグレネードランチャーの炸裂弾を使い切る勢いでブチ込んでもらいましょう。ある程度のダメージが入ると、一度大きくダウンした後に戦闘が中盤へと移るのですが、狙いはその大ダウンにあります。

 

 ──第2形態の先輩がダウンしましたね、ジル姉貴ナイスでーす。じゃあ今までのちかえしをたっぷりとさせて貰おうじゃないか。

 第1形態の先輩が繰り出したパンチを緊急回避で躱します。エイムアシスト中に叩き込むのは、もちろん全力放電。ここへ至るまでネメシス先輩との遭遇を最小限にし、鬼ごっこ中でも放電縛りプレイをしていたのも、全てこの一撃のためよ!

 

 

()ったぜ。 投稿者:変態糞B.O.W.(10月2日(金)07時14分22秒)

(面倒くさくなったので中略)

ドォリャーッ! と出してきたぁぁぁぁ!!(変態糞サイヤ人)

 

 

 工事完了です……(達成感)

 これで第1形態の方の先輩は撃破できました。パート4以来の全力放電、無事に決まりましたね。

 

 パート6でも話しましたが、このゲームのネメシス先輩は一度受けた攻撃を記憶し、以降の戦闘における回避精度をグンと上げてきます。もしも今回までの遭遇で放電攻撃を披露していたなら、本戦闘での先輩は放電を警戒し常に間合いを取り続け、ティシポネーちゃんが至近距離に張り付くことなど許してはくれませんでした。

 だから、この一撃必殺を決めるまで我慢する必要があったんですね。

 

 

 残るは第2形態のネメシス先輩ですが、ぶっちゃけ消化試合と言わざるを得ません。

 

 既に片方を倒してしまっているので、ここからRE:3同様、先輩が決戦エリアの外周をぐるぐる回り始めます。酸が詰まった巨大タンクの裏に隠れたタイミングで感電させてタコ殴りです。

 つまりは原作通り、ジル姉貴とカルロス兄貴だけで事足りてしまうんですよね。特にNPC状態のジル姉貴は本ゲーム最強NPCと言っても過言ではないので、任せた方がガバも無いくらいです。

 なので、全力放電の反動で筋力と敏捷がクソザコナメクジになっている今のティシポネーちゃんに出来るのは、せいぜいが湧いてきた邪魔な雑魚ゾンビの牽制ですね。ジル姉貴がんばえー。

 

 

 ──遂に戦闘終了ですね、ムービーが入りました。カルロス兄貴の華麗なクレーン捌きによるフィニッシュブローが決まって、我々も決戦のバトルフィールドから引き揚げです。

 ネメシス先輩方はタンクから流した酸の海に沈んでいきます。これほどまでに涙無しで見られるI'll be back.も珍しいでしょう。間も置かず本当にI'll be back.してきますからね。

 

 残った我々の目的は研究施設からの脱出のみです。本ルートではニコライにワクチンを奪われていませんし、そのワクチンも現在タイレルたちが持って先行しています。

 つまり一番最後のムービーまでニコライがちょっかいを出してくることも無いのですが……まあネメシス先輩にはそんなこと関係ないです。最終決戦はあります。ああ^~クソが(悪態糞土方)

 個人的にはジル姉貴迫真の「ニコラァイ!」シャウトが聴けないのもマイナスポイント。

 

 

 と言う訳で真なる決戦のバトルフィールド、B.O.W.制圧用兵器【FINGeR】の実験場に到着したところでムービー挿入。

 腐肉で出来た蛹みたいな姿でヌルリと這い寄る、そんな生き汚いネメシス先輩の貴重な羽化(?)シーンを挟み、最終章:原作レ〇プ! 第3形態と化した先輩とのラストバトルです。

 酸に溶かされたNE-αが素体であったタイラントを完全に捕食し、謎の原理で変異&肥大化した先輩の最終形態ですが……本ルートでは、そんなタイラントの遺体が2つ分あったためなのか、RE:3以上の巨大化を超えた巨大化を果たした強化個体仕様で襲い掛かってきます。『7』ラストのエヴリン最終形態すら可愛く思えてきますね。顔が2つあるドデカい糞の塊です。

 

 さあ戦っていきましょう。まずは備え付けられている強磁性レールガン【FINGeR】を御開帳、ジル姉貴に開幕の一撃をブチ込んでもらいます。こいつを喰らわせるまでは先輩も動かないので、実質的にここからが戦闘の開始点です。

 こいつには通常の銃撃やナイフなんて効きません。やるべきことは、レールガン再発射のための電源を再起動させる作業です。先輩の肉体に浮き出ている水疱(きたない)を攻撃して破壊すればダウンを取れるので、その隙にエリア左右の壁にある電力装置を動かす必要があります。

 

 ……ところで、視聴者兄貴姉貴はRE:3の最高難易度インフェルノ、プレイしてます?

 ネメシス最終戦、ヤバいですよね。攻撃動作の速さがイカレてるわ、鉄壁のコイン2枚持ちでも触手の通常攻撃が痛すぎるわ、それを7~8連撃してくるから実質即死攻撃だわ。私は無限ロケラン有でも二度とやりたくないですね。

 

 ……はい。こちら、それ以上の強化個体となっております。いくらB.O.W.主人公でも、耐久:Cなら触手は二発でお陀仏です。加えて、撃破に必要なレールガン発射回数が+1回されてます。

 何が言いたいかというと、ここが最後にして最大の再走ポイントであるというワケなんですね。ふざけんな!(声だけ迫真) 低難易度ならイベント戦みたいなもんだったじゃん!

 

 

 ──ですが、そのためのT+G-ウイルス! あと、そのための拳(拳……?)

 本作では、レールガン以外にも第3形態の先輩に通用する特殊な攻撃手段がいくつか用意されています。そして、その一つであり最も単純なものが、T+G-ウイルスB.O.W.の全力放電なのです。

 ジル姉貴のレールガンと一緒にブチ込んでやれば、そのままレールガン2発分として換算され、結果的に原作と同じ攻撃回数で倒せてしまいます。今までの道中でも散々使い倒して来た生体電気ですが、結局のところ私が本RTAでT+G-ウイルスを選んでいる理由の約半分はコレなのです。

 

 するべき解説は以上です、後は倒すだけ! じゃあオラオラ来いよオラァ!!

 先輩の攻撃が即死級なのだけはどうしようもありません、気合いで緊急回避し続けます。避け切ったらマグナムで水疱を破壊しダウンさせる、もうどちらかが死ぬまでこの繰り返しです。

 馬鹿野郎オマエ私は勝つぞオマエ! 回避! エイム! マグナム! 回避エイムマグナムって感じで……(トーンダウン)

 

 あっ、NPCのジル姉貴は心配しなくていいです。攻撃は全て避けますし全て当てます。

 S.T.A.R.S.をなめてんじゃねーぞ(天下無双)

 

 ──しゃあっ、これで最後のダウン! 充電も完了!

 それでは、ジル姉貴と一緒に本RTAの締め括りを突うずるっ込んでやりましょう! 最後の一発くれてやるよオラ!(弐撃決殺)

 

 

()ったぜ。(以下省略)

 

 

 ……失礼いたしました、音割れ糞土方が出てしまいました。

 ともかく、これで本当に工事完了です。清々した(ジル姉貴並感)

 1回の被弾までは許容範囲内でしたが、まさかのノーミスという僥倖。これは……ウンチー理論の実証成功じゃな?

 

 後は、この先にあるエレベーターを使って屋上まで辿り着けばゲームクリアです。脱出のためのヘリコプターが我々を待っていますよ。

 カプコン製ヘリ(空飛ぶパンジャンドラム)カプコン製ヘリ(空輸機能付き自立飛行爆弾)というだけでカプコン製ヘリ(フィニッシュブロー)扱いされることが多いですが、例えカプコン製ヘリ(対搭乗員決戦兵器)であっても、物語終盤に満を持して登場するのはカプコン製ヘリ(ヘリの形をした棺桶)ではなくカプコン製ヘリ(頼れるEXゲージ技)なのです。

 

 

 では、最後のムービーを鑑賞しましょうか。

 

 ネメシスを完全撃破して屋上に辿り着いたジル姉貴とティシポネーちゃんですが、そこで待っていたのは驚愕の光景。なんと、ニコライによってグレーテルが人質にとられ、タイレルとカルロス兄貴は地に伏し、極めつけに入手したワクチンが破壊されていました。

 惨憺たる有様ですが、カルロス兄貴たちを責めることはできません。これはニコライが強すぎるだけです。死神ハンク兄貴と同列に評価されるスペックは伊達じゃありません。

 

 続けざまに、残り10分でミサイルが着弾するというアナウンスが街に響き渡ります。ニコライとネメシス先輩の妨害なくワクチンを入手出来ていたと仮定しても、どう考えたって届けるまで間に合わないタイミングです。つまり、どう足掻いたってラクーンシティ滅菌作戦は実行されることが決まっていたワケですね。

 絶対に許さねぇ、ディレック・C・シモンズ! エイダ狂いの変態野郎にファミリーの平手打ちを食らわせてやりたい所さんですが、そんなこと言ってる場合じゃありません。(2回目)

 大切な妹を人質にとられては、ティシポネーちゃん手も足も出せないです。ニコライは性懲りもなく戦争ビジネスの営業を押し付けてきます。いいマジキチスマイルだぁ。

 

 

 ……まぁ心配はゴム用です。ニコライはグレーテルの見事な一本背負いでブン投げられました。

 

 

 パート5時点で既に察していた視聴者兄貴姉貴も居ましたが、説明しておきましょうか。

 こちら、ティシポネーちゃんに投与されたG-ウイルスの影響となっております。言ってしまえば『6』のシェリーと同様ですね。本人すら気付かない内に、成人男性程度なら軽々ブン投げられるスーパーガール(ジェイク・MUR並感)に変身していたようです。

 

 流石のニコライも全く予想していなかったところを突かれたのか、素直にダウン。すかさず残る4人が四肢を撃ち抜きました。無力化成功でございます。

 もはやラクーンシティのために出来ることは残っていません。無様な台詞を吐くニコライのことは捨て置いて皆でヘリに乗り込み……ラクーンシティに立ち昇るキノコ雲を見届けましょう。

 

 

 

 ──爆風の熱に包まれながらも、寒気と虚しさを感じた。

 ──無数の命を奪ったのは“怪物を作るウイルス”ではなく、他でもない、人間の欲望だ。

 

 ──ラクーンシティが灰になった代償を、私が必ずアンブレラに払わせてやる。

 

──誰も私を 止めることはできない──

 

 

 

 なぜカプコン製ヘリは飛ぶのか? 答えはシンプル、そこに空があるからです。

 そんなジル姉貴のモノローグが言い切られたところでタイマーストップ。記録は41:20でした。

 

 では、RTA恒例である完走した感想(激ウマギャグ)ですが……ウ ン チ ー コ ン グ って知ってる?

 ウンチー理論は本物だった、この一言に尽きますね。ウンチー理論を信じなければ、パート3のロス発生時点で再走を選び、42分切りすら出来なかったでしょう。それほど後半は上振れました。

 この動画(小説)を投稿した時点で、未だ同レギュレーションで私を超える記録は出ていません。なので私が世界一位です。Foo↑気持ちぃ~。

 

 今回の動画(小説)をきっかけに『バイオハザードResidents of Raccoon city』のRTAがもっと増えたら良いなぁ……みたいな感じで締め括りたかったのですが、どうやら既に皆様方、私が知らない間に発売されていた同シリーズの新タイトルに夢中のようですね? 不思議ですねぇ~。

 ──えっ、7ヶ月以上の失踪? 何のこったよ(すっとぼけ)

 

 

 では、これにて新B.O.W.ルート『グレーテルの怪物』ENDのRTAを終了させて頂きます。

 (次回作の予定は)ないです。視る(読む)専に戻ります。ご縁がありましたら同じ動画(小説)コメント(感想)欄でお会いしましょう。

 

 ここまでの長時間のご視聴、本当にありがとうございました!

 




これにてRTAパートは完結です。次話のおま〇けパートでこの小説も完結です。


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おま〇け^~(気さくな最終回)

(これが最後の)初投稿です。


「皆と合流して、政府の元に向かわなくちゃね。でもイザベラ、その腕は本当に大丈夫なの?」

 

「ご心配なく、焦げてるだけですから。流石に全力2連発は堪えましたが、半日もすれば治りますよ。……急ぎましょう、あのニコライという男が最後に邪魔してこないとも限りません」

 

 ジルさんと共に、エレベーターで屋上まで移動。施設からの脱出を目指す。

 お互いにネメシスとの因縁にも終止符を打つことができ、後顧の憂いも無い。残る指定(オーダー)は、入手したワクチンを合衆国政府に届けて街の爆破を防ぐことだけだ。

 

 ……しかし、口は禍の元ということわざが日本にあることを忘れていた。

 最上階に到着したエレベーターから降り、最後の階段を駆け上がって屋上への扉を越えた私たちは……衝撃を受けることになる。

 

「──グレーテル!?」

 

「──お姉ちゃん!!」

 

「遅かったじゃないか。レディは支度に時間が掛かると言うが、既にパーティはお開きだぞ」

 

 屋上に停められているヘリコプターの前で私たちを待ち構えていたのは、そのニコライに捕まえられているグレーテルの姿だった。

 

 今にも沸騰しそうになる頭の中をどうにか冷静に保ち、兵器らしく状況判断。

 すぐ側にはカルロスとタイレルさんが倒れている。三人とも助けに入りたいが、ニコライが銃を構えている内は近づけない。……2人よりも強いのだろうと睨んではいたが、ここまでとは。

 

「イザベラ……すまない、不意を打たれた……!」

 

「こいつ、こんなに強いとは……今まで隠していやがったのか……!」

 

 そして、地面に倒れているのはカルロスとタイレルさんだけじゃない。

 無残な姿で放り捨てられていたソレを見つけたのは、他ならぬジルさんだった。

 

「ワクチンが──ニコライ!! 自分が何をしたか、分かってるの!?」

 

「知らん。俺は雇い主の、アンブレラを潰せとの命に従ったまでだ。それに、そんな金にならない物を悔やむ必要は無い……そら、もうじき聞こえるぞ?」

 

『──ミサイル着弾まで、あと10分』

 

 ニコライの言葉に続いて響き渡ったのは、間もなくラクーンシティが消滅することを告げる無情なアナウンス。仮に、このニコライやネメシス共の邪魔が入らなかったとしても……合衆国政府へワクチンを届けるのは、どうやったって間に合わない。この街の滅菌は……運命だった。

 

「おっと! ミサイルが発射されたか、そろそろ行かねば……だが、せっかく金のなる木が目の前にあるんだ。俺のボーナスのためにも持ち帰らない手は無い。言っている意味は分かるだろう、ティシポネー?」

 

「……それが、貴方の雇い主からの指定(オーダー)ですか。天下のアンブレラに喧嘩を売ったばかりか、私のようなオモチャまで欲しがるなんて。随分と派手なパーティを開こうとしているみたいですね」

 

「理解が速くて助かるな、そちらのミス・バレンタインとは大違いだ。それなら現状も把握できているだろう? 大切な妹を守るのが存在意義なら……ここは俺に従うべきだ」 

 

 (はらわた)が煮えくり返る程の屈辱だが、現状その通りだ。私のどんな攻撃も、グレーテルに突き付けられた拳銃よりは遅い。ジルさんやカルロス達も、ニコライの不意を打てる位置には居ない。

 どうする。どうにかして、奴に一瞬でも隙が生まれれば。

 

「さあ、こっちに来い。妹と交換だ。兵器に選択権など無いことは弁えているだろう? 自分の生み出された価値を全うしようじゃないか、人の命を金に換えるビジネスで──」

 

 

「──お姉ちゃんに酷いこと言わないで!!」

 

 

 ……何が起きたか、ニコライには分からなかったことだろう。私たちも一瞬分からなかったし、多分グレーテル自身も分からなかったと思う。

 齢9歳の少女に、大の軍人が華麗な一本背負いを決められるなんて。

 

「皆さん!!」

 

「……グ、アァ!」

 

 とは言え、次に何をするべきかは明白だった。

 私が右腕、ジルさんが左腕、カルロスが右足、タイレルさんが左足。

 四つ分の銃声は寸分違わず重なり、再起不能となったニコライ・ジノビエフが出来上がった。

 

「お姉ちゃん!」

 

「グレーテル! ……よかった、無事でよかった!」

 

「とーぜん! アタシ、お姉ちゃんの妹だもん!」

 

 抱擁を交わす。お互いに、強く、強く。

 ラクーンシティを守ることはできなかった。だけど──大切な、私の一番だけは、守れた。

 

 

 ……あまり感傷に浸っている時間は無い。もう間もなくミサイルがやって来る。

 カルロスとタイレルさんがヘリコプターのチェックを済ませた。問題なく動くようだ。

 そうなると、残るはこの男、ニコライだが。

 

「──なぜ、こんなことを?」

 

「……世の中、何にでも値段が付いてる。世界を燃やすことにもな、ハハッ」

 

「誰に雇われてるの?」

 

「教えてやる……逃がしてくれたらな。カネはいくらでも払う」

 

 そこまで訊いて、ジルさんはこちらへ踵を返してくる。私も同意見だ。

 ここで私たちが人殺しになる必要も無い。だって、これから行われるのは()()作戦なのだから。

 

「──お前たちは馬鹿だ、後悔するぞ! 俺が死んだら……真相は闇に葬られるんだぞ!」

 

「──それくらい、明らかにしてみせるわ」

 

 ニコライの命乞いに、ジルさんは凛として返す。

 彼を残した皆がヘリに乗り込み……このラクーンシティから、足を離した。

 

 

 

 

「──来たわ」

 

 私たちを乗せるヘリと一瞬ですれ違った、ミサイル。

 それはやがて、大きく広がる白い閃光を生み、冷たい虚しさを伴った熱い爆風を放つ。

 強風に煽られるヘリの中で妹を抱きしめながら、私はジルさんと共に、見届けた。

 

「……やっと終わった」

 

「さよなら……ラクーンシティ」

 

 達成感とは呼べない、純粋に口を衝いて出た、単なる感想のような。そんなカルロスの言葉に、ジルさんが続いた。

 ……みんな分かっている。これは終わりじゃない。始まりだ。

 ラクーンシティが消えたところで、アンブレラは消えていない。生物兵器も消えていない。

 きっと、これから世界は変わるだろう。1人の命が助かる間に、100人の命が失われるような、そんな世界に。……まさしく、このラクーンシティのように。

 

「……お姉ちゃん」

 

「大丈夫、心配いらないよグレーテル。……きっと、私はそのためにいるんだ」

 

 ラクーンシティ自体に、名残惜しむ情は無い。それでも、そこで失われた命については、そうは考えられない。

 幸せな家族があっただろう。仲睦まじい兄弟があっただろう。明日も遊びたいと願う幼い子供があっただろう。それを想わずにはいられない。

 

 そういうものが、どれだけ大切か分からないって奴は──アンブレラは許せない。

 代償を払わせてやろう。その首を必ず圧し折ってやろう。

 

 誰も、私たちを止めることはできない。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 ──2009年3月。場所は()()()()()()。私は人を待っている。

 誤解の無いように情報を付け加えておくと、ここで言うアンブレラ社というのは、かの製薬企業ではない。民間軍事会社のことだ。

 

 生物兵器の開発に手を染めた非道の軍事産業会社、アンブレラ・コーポレーションは潰れた。

 もっとも、それを成し遂げたのは私でもジルでもない。あのラクーンシティを脱出した者の証言や数々の証拠は、アンブレラの非合法活動を世間に露呈させるきっかけとなったものの……悔しいが、止めを刺したのは他でもない、奴らの内側に潜んでいた獅子身中の虫だった。

 2004年に廃業へ追い込まれ、2006年には創業者であるオズウェル・E・スペンサーも殺され。あの憎きアンブレラは、意外なほど呆気なく倒産してしまった。

 

 しかしアンブレラ社が滅んでも、奴らが擁していた負の遺産──生物兵器とその製造技術は未だ世界各地のテロや紛争などで乱用され、滅ぶ兆しなど見えやしない。

 そこで今から2年前……2007年に、会社更正法の適用により対バイオテロ専門の民間軍事企業として再建されたのが、まさかの“新生”アンブレラ社だ。旧アンブレラの元社員たちが中心となって創設された新アンブレラは、負の遺産の回収とバイオテロの根絶が責務として課せられている。

 

 とは言えど、旧アンブレラの関係者が興した組織を易々とは信じられないのが、私やジルたちの正直なところだ。贖罪の意識を強調すべく敢えて残された“アンブレラ”の名前も、「赤と白の傘」から変更された「青と白の傘」の社章も、やっぱり意識せざるを得ない。

 

 じゃあ、どうして私、イザベラ・シュミットはこの会社へ足を運んだのか。

 決まっている、そこに愛しの戦友たちが居るからだ。

 

「──すまない、待たせた! 久しぶりだなイザベラ!」

 

「カルロス! 元気そうで何よりですよ。タイレルは?」

 

「もう少し掛かるそうだ。先に行って雑談でもしていろと言われた」

 

「あらら。……気を遣われてますかね?」

 

 戦友、カルロス・オリヴェイラ。こうして顔を合わせられたのは、およそ1年半ぶりか。

 ラクーンシティを生き残った仲間であるタイレル・パトリックと共に、彼は2つの理由から新生アンブレラ社に在籍している。

 1つ目の理由は、もちろんバイオテロ根絶を目指すため。

 

「2年が経ちましたけど、外面はしっかりしてきましたね、この会社も。中身はどうです?」

 

「やるべきことをやってるよ、今のところはな。福利厚生もしっかりしてる。U.B.C.S.に居た頃とあんまり変わらないってのが正直な所感だ。なんだか皮肉にも思えるが」

 

「あはは、それは複雑ですね。面倒を掛けますけど、引き続きお願いします。それに、赤と白よりは青と白の方がカルロスにも似合ってる気がします」

 

「それは何よりだ。イザベラこそ、病人服に防弾コートだった10年前のファッションよりは、そのBSAAの隊服が似合っているよ。妹さんの調子はどうだ?」

 

「元気ですよ。成長度合いで言えば、私以上にグレーテルですね。今じゃオペレーター業務が板に付いてきてますから」

 

 2つ目の理由は、もし新アンブレラが旧組織同様に悪事の兆しを見せた時、すぐにBSAA所属の私やジルへ伝えられるよう、自主的に監視するためだ。

 

 ラクーンシティ事件に端を発し、世界中に拡散してしまった生物兵器がテロに悪用されるという事態に、製薬会社の組合である製薬企業連盟が批判逃れ目的で資金を拠出し結成されたのが、BSAAという元NGO団体、現国連傘下組織である。

 この創設メンバー「オリジナル・イレブン」となったジルは、それ故に与えられてる高い権限をフルに活用し──この私とグレーテルもまた、BSAAとしてバイオテロに介入しているワケだ。

 

「カルロスもタイレルも、十分に気を付けてくださいね。今は大丈夫そうでも……FBCのように、いつ豹変してしまうかは分かりませんから」

 

「FBC──そうか、あの事件では君も当事者だったんだな」

 

「ラクーンシティ事件に続き、テラグリジア・パニック……二度あることは三度あると言いますが、三度目なんて御免こうむりますよ」

 

 そう、悲劇なんて御免だ。もっと希望が欲しい。希望が見えたなら掴みたい。

 だからこそ、私は今日ここに来ている。

 

 

「……なぁイザベラ。もしかして、今日ここに来たのは──ジルのことか?」

 

「……タイレルが来てから話そうかと思ってましたが、バレちゃいましたか。まぁ、私の方からこっちに出向くとなると、そうですよね」

 

 ──現在、ジルは殉職の扱いとなっている。

 2006年、オズウェル・E・スペンサーの逮捕のためスペンサー邸に突入したジルとクリスさん。しかし、そこで例の男……アルバート・ウェスカーとの交戦になったジルは、殺されそうになったクリスさんを庇い、最後にはウェスカーと共に崖へ転落したという。

 必死の捜索も空しく、遺体は見つからなかった。生存の可能性は無いと思われていた……が。

 

「結論から言いましょう。ジルが生きてるという情報をアフリカで掴みました。ちょうど生物兵器の密売がされるという話なので、撲滅ついでに探しに行きます」

 

「わかった、すぐに行こう。タイレルを引っ張って来る、会社に話を付けるのは任せるぞ」

 

「わぁ即決。分かってましたけどね」

 

「当たり前だ! だって──」

 

 ──そう、悲劇なんて御免だ。もっと希望が欲しい。希望が見えたなら掴みたい。

 私も、カルロスも、グレーテルもタイレルも、想いは同じ。

 

 

「「ジルのいない世界なんて、寂しすぎるから()!」」

 




本当に、本当にありがとうございました。
感想やここすきを残して頂けると幸いです。皆さんが気に入ってくれた文章表現を知りたいです。


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