銀魂×ウマ娘 (サンデーサイレンス)
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始まり始まり

「くそっ!!彼処でジャスタウェイが出てこなかったら」

 

宇宙人…天人と称される存在がやって来た世界。現代社会以上の発展を遂げた江戸時代末期にその男は立っていた。男の名前は坂田銀時、人々からは銀さんとも呼ばれている万時屋の店主である。

そんな銀さんであったが、彼は競馬で所持金を全てすってしまったのだ。銀さんは天皇賞(秋)…ではなく将軍杯(秋)の馬券を購入した。購入した馬券は勿論、絶対女王 三冠牝馬であるジェンティルドンナ1択。世間も誰もがジェンティルドンナの勝ちを信じて疑わなかった。

 

「ジャスタウェイ!!俺の◯◯万返して!!マジで!!」

 

だが、現実は実に残酷であった。ジェンティルドンナは未だ1度もG1を勝っていない馬に負けたのである。

ジェンティルドンナを下し、将軍杯を優勝したのはジャスタウェイ。後にドバイのG1さえも勝利する日本最強マイラーの一角に登り詰める遅咲きの天才であった。

 

「やっべ…新八と神楽への給料ねえな…バックレるか」

 

しかも銀さんが使ったお金はなんと、従業員に手渡す予定の給料も含まれていたのだ。もし、バレてしまえば2人の従業員に半殺しにされてしまう。正に絶体絶命のピンチであった。

 

取り敢えず、どうやって誤魔化すか。そんな事を考えながら銀さんはそこら辺の路地裏に寝転がる。そんな時だった。ふと、目に着いた物が有った。それは自分が日頃から読んでいる少年週刊誌 少年ジャンプだった。

 

「おっ、誰かジャンプ捨ててんじゃん。まだ新しいのにな」

 

銀さんはそのジャンプを手に取り、裏面を見る。そこには最近リリースされた大人気アプリの広告が載っていた。そのアプリの名前はウマ娘プリティーダービー、アニメもされた…いやアニメ化の方が先にされた作品で物凄く大人気であり銀さんも名前だけは知っている。

 

「ウマ娘プリティーダービー?そういや、新八やヅラ、ゴリラもやってたな。でも、これアレだろ?オルフェーヴルやディープインパクト出てこないんだよな…馬主や様々な利権問題で」

 

「美少女を調教して走らせるなんて、なんて如何わしいアプリだ。それより銀魂アプリ化しねーの?」

 

と…銀さんがぼやき、そのジャンプを地面に置いた。そして銀さんはどうやって従業員2人を誤魔化そうかと考えながら路地裏から出る。だが、目に入った景色は…自分が良く知る江戸の景色では無かったのだ。

 

「なんだこりゃ!?銀さん、最近流行りの異世界転生しちゃったの!?」

 

天人の姿は見えず、町を歩くのは殆んどが地球人の日本人。そんな日本人に混ざって、馬の耳と尻尾が生えた女性達が普通に生活を送っていた。

 

「おいおい、こりゃ何なんだ?銀さん、ナツキスバルやサトウカズマじゃ無いんだから」

 

銀さんは驚き、ほっぺたをつねる。痛みはある、夢じゃない…現実だ。

 

「メジロ財閥が潰れてから10年か…時の流れは速いね」

 

「シンボリルドルフが無敗の三冠を成し遂げてから20年流れてるからね」

 

と…町の人々の会話が耳に入ってくる。

 

「ナリタブライアンの次は誰が三冠ウマ娘に成るのかな?」

「もう数年も現れてないよね。スペシャルウィークも注目されてたけど、皐月賞で負けちゃったから」

 

「いま…ウマ娘って言ってたよな?マジで」

 

銀さん…どうやらウマ娘の世界に流れ着く。

 

『おっ!!アイツ、霊感あんじゃん。よーし、俺様良いこと思い付いちまった!!

マックイーンに預けた息子、ティナに預けられた娘の為にもお父ちゃん…ハデにやるか!!』

 

そんな銀さんに1人の影が迫る。



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天パのトレーナーに悪い奴はいない

銀さん…強制的にトレーナーにされる。


起きろ…

 

起きろ…

 

おい、起きろ天パ

 

「ぎゃーぎゃーうるせぇな…銀さんだって好きで天パじゃないの」

 

なんだ…聞こえてるじゃねぇか。まあ、1つ謝らせてくれ。1週間だけとは言えお前の身体を借りて好き勝手にした。まあ、悪いことだけじゃない。この世界にお前の居場所を用意した。

 

だから眼を開けて俺を見ろ、そして俺の話を依頼を聞け。カフェ以外で俺の事が分かる奴が見付かったんだ…こんなチャンスは2度と無い。だから…

 

「あー、家賃、新八と神楽の給料やべーな…寝るか」

 

此方を見ろや、この腐れ天パがぁぁぁあ!!

 

その瞬間…銀さんの登頂部に隕石でも直撃したような衝撃が襲い掛かり、銀さんは慌てて眼を開けた。

 

「いっえぇえ!?誰だか知らんが、いきなり殴ることは無いだろ!!銀さんだって人間なんだよ!?」

 

そんな銀さんの目の前には丸い机を挟み、向かい側には灰色のコートに身を包んだ少し小柄な黒髪の男性が座っていた。だが、その男性は普通の男性ではない…と言うのもその男性には馬の耳と馬の尻尾が生えており、顔は女顔であったが鍛えられた肉体はスーツの上から分かる程であり…体格からした超絶絶壁でもない限り男性だろう。そして…その男性はウッスラと透けていたのだ。

 

「うぉぉぉお!?スタンド!?クレイジーダイヤモンド!?それとも無敵のスタープラチナ!?銀さん、遂にスタンドが使えるようになったの!?」

『俺様の何処を見て空条承太郎のスタンドなんだよ。俺はざっくり言えばお化けだよ、お化け。霊感ないと見えないんだよ。ジャンプで言えばお前さんにシャーマン能力有ったらから、1週間問答無用で憑依合体した訳だ。オーケー?銀魂の主人公の坂田銀時くん?』

 

そう、その男性はお化け…幽霊である。ずいぶん前に亡くなっているが訳有って成仏せずに現世をプラプラと徘徊していたのだ。

 

『クッククク…しかし誰が信じるよ?完結した銀魂の主人公 坂田銀時が異世界転生するって。まあ、俺様はその瞬間を見てしまったからしょうがないけどな』

 

男性は語る。何でも、男性は目に入れても痛くない程に可愛い愛娘の大事なレースを幽霊としての特権を用いて無断で観戦していた。しかし、レースの結果は2着…男性の愛娘はセイウンスカイという葦毛の少女を差しきれず…負けてしまったのだ。

しかも愛娘のトレーナーは愛娘の才能を活かしきれず、あろうことか専用の勝負服も用意させず学校から支給される汎用勝負服で疾走させるという有り様。1人の父親としてぶちギレ、そのトレーナーは金縛りの刑に処す予定だった。

 

「おい、怖いこと言うなおっさん」

『誰がおっさんだ。俺様はこう見えて享年はお前より若い』

 

だが、そんな時…ふと路地を見れば突如として銀魂の銀さんが現れたのだ。しかも、銀さんは霊感を持っており…シャーマン能力も持っていると見た。そこで男性は銀さんに憑依合体して1週間身体を借りたのである。

 

『しかし…面白いな。銀魂世界の俺様は動物なんだな?こりゃ奇妙だ』

 

幽霊とは言え男性は銀さんの登頂部に拳骨を落とせた。と言うことは物に触れることが出来るのだろう。男性は銀さんのスマホを勝手に操作して、1枚の画像を画面に映した。その画面には余りにも偉大すぎる種牡馬 サンデーサイレンスが映し出された。

 

「お前…まさか」

『オフコース。俺様の名前はサンデーサイレンス…世界で初めて男性として産まれたウマ娘だ』

「嫁さん沢山で種付け両がヤヴェー奴じゃん。てか、それならウマ娘じゃなくてウマ息子じゃないの?」

『男性のウマ娘は俺の知る限りでもほぼ居ないから…ウマ息子とは呼ばれないな』

 

そう、彼はサンデーサイレンス。銀さんの世界でも調べれば直ぐに名前が出てくる程に有名な種牡馬であり、最盛期は出場馬の殆んどの親がサンデーサイレンスと書いてあった事も有ったのだ。

子供達は有名処でフジキセキ、サイレンススズカ、マーベラスサンデー、アグネスタキオン、アドマイヤベガ、マンハッタンカフェ、スペシャルウィーク、そして英雄ディープインパクト。彼の子供達は時代を風靡したと言える伝説の名馬が沢山であった。

 

『お前…いや銀時。お前の身体を借りた時にそっちの俺を調べたよ。男として見れば羨ましいけど、セックス見られてるとか嫌だな…恋愛も出来ないんじゃよ。因みに俺は子供は3人しか居ないさ』

 

だが、この世界ではサンデーサイレンスは子供は3人しか居ないそうだ。

 

『その中でも俺を覚えてるのは長男だけ。長女は物心が着く前に俺は心臓の病で死んだ。そして次男が産まれる前に俺は死んだ…まあ、遺言通りの名前なら間違いなく世界を変える素質が有るんだろうな』

 

と寂しげにそう言ったサンデーサイレンス。と言うのも…

 

『次男を守るためにとは言え、子供達はバラバラに育ってるからな。娘は弟の事を知らない…長男だって人種を隠してる。次男は…俺処か皇帝さえも通過点として越える伝説に成るだろうな』

 

子供達は全員バラバラに成っているのだ。その真相を知っているのは既に物心が着いている長男だけであった。

 

『話が逸れたな。依頼の前にこの1週間、俺様が銀時の身体でやっていた事を言おうか。お前も気になるだろ』

「気になる処か、銀さんマジで1週間も身体乗っ取られちゃったの!?」

 

そしてサンデーサイレンスは銀さんの身体を乗っ取っていた1週間の出来事を教えてくれた。

 

先ず1つ。愛娘のトレーナーに覇王色の覇気をぶつけてトラウマを植え付ける。

 

「ちょっとまってぇぇぇ!!最初にやったのが犯罪スレスレの脅し!?俺、犯罪者に成っちゃうよ!!」

『スペに専用勝負服を与えず、弱点を気付かせたり克服させるようなアドバイスを言わない管理主義など滅んでしまぇぇ!!食べることが好きな可愛いスペの食事を管理することはパパがゆるしゃぁぁぁん!!』

 

次に銀さんの中央URAトレーナー資格を満点で取得させ、理事長に頼み万事屋メンバー全員の戸籍を発行。因みに銀さんとサンデーサイレンスが今居るのはウマ娘プリティーダービーの舞台となるトレセン学園の敷地内に存在している職員寮であり、トレーナーや教員なら家賃タダで住める。

 

『神楽ちゃんと眼鏡の分も一応作っておいた。流石にトレーナー免許は此方に来てるお前だけだがな』

「えっ?銀さんトレーナーになるの?」

 

あと銀さんの為にトレーナーマニュアルを作成。これが有ればサンデーサイレンスが近くに居なくても、銀さんがどう子供達を導けば良いのか分かる。

 

「俺…英語読めないんだけど」

『オーマイガ~』

 

だが英語であった。

 

そして愛娘スペシャルウィークを引き抜き、銀さんと専属契約を結ぶ。なお、その際にサンデーサイレンスは銀さんを演技し、父親が取りついているとは思われていない。

 

「おい、親バカ」

『最高の褒め言葉と受け取っておこう』

 

最後に一部の人物に事情を説明し、情報共有。有事の際は銀さんのサポートを頼んでいるのだ。そんな人物の紹介の為かサンデーサイレンスは5枚の写真を持っている。

 

「その人って?」

『先ずは俺様最期の教え子、駿川たづな。本名は別に有るが、困ったら頼れ。若いが色々と凄い』

 

先ず1人は緑色の女性スーツと緑色の帽子を被った若い美女 駿川たづな。左利きなのか、右手に腕時計を着けている。

 

『俺様の親友 メジロマックイーン。もうメジロは財閥一家じゃないから金銭面では頼るな…次男の養母でもあるしな』

 

次は白髪の若い美女メジロマックイーン。とは言え、銀さんがゲームやアニメの広告で知っているメジロマックイーンは子供だった為か…紹介されたメジロマックイーンは背丈もそこそこあり、胸もあった。あと、サンデーサイレンスの次男の養母らしい。

 

『続いて俺の長男 ステイゴールド。史上最年少でトレーナー免許を取得したやベー奴。ただ、勉強は出来るが問題児だ』

 

次は帽子を被った少年と青年の間に居る高校生程の男 ステイゴールド。まあ、帽子を被っている訳だが…恐らくはサンデーサイレンスと同じ人種なのだろう。

 

「まあ、俺の知るステイゴールドも色々とやばかったしな」

『気軽にステゴと呼んでやれ。そんでこの子はマンハッタンカフェ、銀時以外で俺の事が見える。トレセン学園の学生だしな』

 

次にサンデーサイレンスが紹介したのは黒いロングヘアーの少女。彼女はマンハッタンカフェ、正史ではサンデーサイレンスの息子の一人であるが此処では血の繋がりは無い上に性別は当然の如く女の子となっている。

 

『そして長女と次男が通うトレセン学園の理事長。しょうちゃんだ』

 

そして最後の人物は……

 

「将軍かよぉぉぉぉぉぉぉおよ!!」

 

銀さんも良く知る人物、将軍こと徳川茂茂だったのだ。




次回…銀さん。サンデーサイレンスの長女と出会う。

なお、ウマ娘万事屋は基本的にサンデー一族です。


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この世界での万事屋スタート その1

『依頼を説明する。報酬は前払いとして銀時達、万事屋メンバーの居場所と職を用意した。お前で言うならば、職員寮とトレーナーとしての職だな。こうでもしないと今のご時世は野垂れ死にするデンジャラスがある。

そして銀時達が元の世界に戻れるようにサポートする。財布の中に入っていた免許証を勝手に拝見させてもらったが、お前は未だ27歳の時だろ?だったらアニメか…はたまたif展開か知らんが元の場所に戻りたいのは確かだろう?安心しろ、全力で協力する』

 

サンデーサイレンスが銀さんに指示した報酬は前払いとして銀さん達万事屋の戸籍と居場所の提供。銀さんの居た江戸と異なり、この時代では戸籍がしっかりと登録されてるし医療保険を受けるためにも必要だ。それに職と住居も無ければ野垂れ死にしてしまう危険も高い。その為か、サンデーサイレンスは強引だが銀さんの身体を乗っ取った時にトレーナー免許を取得させて職と住居…そして収入が入るようにしてくれたのだ。

 

「おいおいスタンドさんよ、住めところと職はマジで有り難いが…依頼はなんだよ」

『URA…銀時の世界で言えばJRAとスポーツ庁が合体した組織の腐敗を完全に取り除き、子供達の未来を守りたい』

 

サンデーサイレンスは語りだした。競馬ではなくウマ娘の競技と成っており、この世界にはJRAの代わりにURAと呼ばれる組織が存在している。ウマ娘達が通うトレセン学園もURAが運営していると言っても過言ではないのだが、組織と言うのは長い年月で腐敗してしまう。

 

「腐敗だ?」

『トレセン学園はぶっちゃけ敷居が高い。貴族とも言えるような金持ちの家の子がどうしても優遇される傾向にあり、庶民や地方出身の子供達は入学のチャンスさえも与えられない場合がある。

だけど…そうじゃない。夢は誰だって思って良い筈だ…チャンスは誰にも有るんだ。だが、長い年月で金の亡者と化したURAの理事会どもはそんなの気にしない。俺は病気で死んでそれが出来なかった。

将ちゃんもマックイーンも手伝ってくれるが、それでも変わらないだろう。だから手を貸してくれ』

「しかたないな…でっ?もし断れば?」

『俺が銀時の身体に憑依して理事会どもを皆殺しにする。安心しろ、証拠は残さんさ!!』

 

こうして、自身の身体を人質に取られてしまい…銀さんのトレーナーライフは始まったのであった。

 

 

 

「改めて初めましてで良いんですよね?駿川たづなです。いやー、驚きましたよ…サンデー先生が坂田さんの肉体に憑依して目の前に現れたんですから」

 

トレセン学園。そこは中等部~高等部~大学部からなる国立の原則的にウマ娘の学校であり、基本的にウマ娘しか通わない中等部と高等部は必然的に女子校と成っているウマ娘の為の学舎である。

 

そんなトレセン学園に初出勤した銀さんだが、正門前でサンデーサイレンスから銀さんの事を事前に聞いている駿川たづなと出会っていた。

 

「気軽に銀ちゃん、銀さんって呼んでくれよ」

「では銀さんと呼びますね。銀さんにはこれからトレーナーとしての仕事は勿論ですが、万事屋としての活動はどうしますか?部活動という形に成りますが…」

 

トレセン学園は当たり前だが青少年が通う学園であり、当然ながら部活動も行われている。とは言え、通っている生徒の殆んどがウマ娘としての競技者という事も有ってか運動部はサークル活動に近いそうだ。

 

「俺は此処でも万事屋だ。依頼されたしたな」

「ですよね。それでは申請しておきます。では、銀さんがトレーナーを務めるチーム万事屋の部室に案内しますね」

 

案内されたのは冷暖房完備されたプレハブ小屋であった。

 

「トレーナーの皆様は各々のチームを率いています。ウマ娘の生徒さんもチームに所属しないと試合には出れないんです。チームの申請はサンデー先生がやってくれたので、銀さんは手続きを踏む必要は無いですよ」

「チーム万事屋ね…」

 

プレハブ小屋の扉には表札として「チーム万事屋」と書かれており、手続きは全てサンデーサイレンスがやってくれたようだ…銀さんの身体を使って。

 

「ただし銀さん。万事屋としての報酬で、生徒から金品を貰うのはNGですよ!!」

 

当然である。

 

そしてたづなさんは1枚の冊子を手渡してきた。

 

「此方はトレセン学園に所属している他のチームの資料に成ります。参考にでもどうぞ」

「おう、暇潰し程度に見ておくわ」

 

たづなさんは一礼してその場を去っていく。なんでも彼女は理事長である将軍の秘書であり、同時に教員らしい。銀さんと違って忙しいのだ。

 

 

 

 

「これなら新八みたいにウマ娘やっとくんだったな…」

 

万事屋の部室小屋の中に入り、ソファーでごろ寝しながらたづなさんから貰った資料を読む銀さん。

 

有力チームとしてはチームリギル、チームスピカ、チームファースト等の非常に優秀なチームが沢山有ったのだ。む?チーム万事屋?出来立てであり、選手が1人しか居ないのでランク外である。

 

「リギルにはテイエムオペラオー、グラスワンダー、エルコンドルパサー、タイキシャトル、トウカイテイオー?おいおいチートか」

 

「スピカはゴールドシップ、ジャスタウェイ、ウオッカ、オツウ、パンデモニウム。えっ?ジャスタウェイィィィィイ!!お前、もう此処に居るのかよぉぉぉお!!」

 

「んで、ファーストは来年度のクラシックの注目選手としてビターグラッセとリトルココンね。いや、誰だよ」

 

と有力選手やチームの情報や概要を見る銀さん。だが、1つだけ思ったことはある。

 

「最近の中学生…発育良すぎじゃね?いや、マジで神楽が可哀相に成ってくる程なんだが。このイナリワンやマーベラスサンデーって本当に中学生か!?でかすぎだろ、お妙の奴が発狂するわ」

 

今の中学生の発育は余りにも宜しかった。お前のような中等部が居るか、と言いたげに発育が良かった。

 

「あとネズコ、タンジロウ、ミズノコキュウ、ヒノカミカグラってなんだよ?鬼滅ブームに乗りすぎじゃね」

 

なお、ネズコ、タンジロウ、ミズノコキュウ、ヒノカミカグラという名前の競走馬は実在します。

 

そんな時だった。部室の扉が軽く叩かれて1人の少女が入ってきた。

 

「あっ!トレーナーさん!!今日からまた宜しくお願いしますね!!」

 

その少女はスペシャルウィーク。銀さんの世界と異なり少女として産まれたスペシャルウィークであり、御存知サンデーサイレンスの愛娘である。

因みにサンデーサイレンスが銀さんの肉体を乗っ取っている時に会ってるので、スペシャルウィークからすれば初めましてではない。

 

「おう。部活動としての万事屋にも強制入部だから宜しくな」

「はい!!私、授業が始まっちゃいますので失礼します!!」

 

とは言え、授業の時間が迫ってきている。その為なのか、スペシャルウィークは挨拶を行って直ぐに部室を出ていった。

 

「お前と全く似てなくて可愛い子じゃない」

『スペに性的な事をしてみろ…殺す』

「出さねぇーよ」

 

しかし、悲しい事にサンデーサイレンスの姿は可愛い愛娘には見えない…声も届かないのだ。

 

「そういや、次男って誰よ?ゼンノロブロイ?ダイワメジャー?」

『ディープインパクト。ディープは世界を変える力が有るんだよ』

 

サンデーサイレンスの次男の名前はディープインパクト。その名前を聞いた銀さんは…

 

「競馬知らない奴でも知ってる最強がアンタの次男なのぉぉぉお!!」

 

その知名度故か、叫んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「眼鏡!!ここ処アル!?」

「神楽ちゃん…うわ!?ウマ娘が居る!?」

「どうかしたんですか?あっ!!自己紹介が先でしたね。僕はディープインパクト。メジロマックイーンの息子です」

 

後の英雄、他の万事屋と遭遇。




次回は万事屋の合流。そして…新八は嬉しさのあまり発狂するとか


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この世界での万事屋スタート その2

新八と神楽…合流!!


ジャスタウェイ(馬)がジェンティルドンナ(馬)を差しきり、数多の馬券+銀さんの馬券が空を舞った将軍杯(秋)から1週間後。

 

銀さんは行方不明と成っているが、その従業員である少年と少女は相変わらずの日常を送っていた。

 

「うぉぉぉぉお!!カレンチャンンンンン!!行け行けイケェェェェーー!!」

 

しかし、1つだけ変わっていることが有った。それは今から数ヵ月前にリリースされたばかりの大人気アプリ ウマ娘プリティーダービーにツッコミ係の眼鏡がハマってしまった事だ。ウマ娘にハマってしまった眼鏡は月に一万は必ず課金しており、オシキャラが出来てしまえば…実装されてしまえば出るまで(天井200、課金額に表すと約6万)回してしまう程なのだ。ウマ娘プリティーダービーには天井が有るから良いが、アプリによっては天井が無いソシャゲアプリも存在しており…そんなアプリなら間違いなく破産しているだろう。

 

「ちょ!!眼鏡うるさいアル!!ゲームにハマりすぎネ!!」

 

そんなウマ娘プリティーダービーにハマってしまったのは万事屋のツッコミ係 志村新八…通称眼鏡。未だ16歳なので課金には限度額が存在しており、オシは未だ揃えきれていない。

 

そして眼鏡ことツッコミ柱こと新八に注意するのは赤髪にチャイナ服の美少女である神楽である。因みに神楽は地球人と全く同じ外見をしているが、夜兎と呼ばれる戦闘民族の生き残りである。

 

「神楽ちゃんもやればハマるよ。本当に面白いんだから」

「クリフジ出たらやるアル」

「戦前の馬は実装されるか!!マルゼンスキーが現時点で最古だよ!?時代考えて時代を!!」

 

因みにクリフジとは戦前に存在した伝説の名馬であり、牝馬でありながら菊花賞を勝利したレジェンドである。

 

「じゃセントライトね!!」

「それも戦前!!」

「だったらトキノミノルね!!」

「ディープインパクトとオルフェーヴル呼んでこい!!出走レースの殆んどで日本記録を連続更新して、その上3本足でしか踏ん張れなかったリアルチートなんか実装されたら、パワーバランス壊れるわぁ!!」

 

セントライトは初の三冠馬であり、此方も戦前。

トキノミノルは日本で唯一…10戦以上を疾走しその全てを無敗で勝利し、尚且つその殆んどで日本記録を更新した伝説である。因みにトキノミノルは生まれつき膝が悪く三本足でしか踏ん張れなくてこれである。アーモンドアイとディープインパクト、そしてオルフェーヴルでないと先ず勝てないだろう。

 

「てか、新八!!なんでそんなに馬に詳しいネ?銀ちゃんみたいに競馬でもやるアルか?」

「ウマ娘にハマってからね。でも僕は課金はしても競馬はしないよ、レースはYouTuberで見るけど」

 

そう、新八のようにウマ娘のアプリやアニメから競馬を知ってしまい競馬の知識や好きな競走馬が出来る人がここ最近増えてきているのだ。事実、新八のような若い青年達もネット競馬をアクセスする機会が物凄く増えてきている。

 

「よしよし!!カレンチャンのAランクがやっと出来た!!流石は僕の妹よ!!」

「眼鏡、遂にキモオタに成ったアルか?二次元の妹なんか居ないアルよ」

 

だが、そんな時だった。突如として…新八のスマホが輝きだし…スマホから眩い光が放出されて新八と神楽を包み込む。やがて光がやむと、新八と神楽の姿は何処にもなかった。

 

「くーん!?」

 

そしてそんな光景を見てしまった万事屋のマスコットキャラとも言える巨大なワンちゃんの定春。彼は新八と神楽が消えてしまった事に驚き、1匹取り残されてしまう。彼がウマ娘ワールドに向かうのはどうやら…少し先に成ってしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

そして新八と神楽はウマ娘の世界に飛ばされてしまったのであった。

 

『マックイーン。人生初の一生にお願いを使うわ…今度産まれる次男を頼む。俺には時間がない…もう心臓病を根性では抑えられない』

 

『ですが、宜しいの?ステイゴールドとスペシャルウィークはティナさんに預けるのでしょ?だったら…その子も』

 

『俺の感が囁くんだ。そして…もし、妻が俺の遺言通りに…産まれた次男にディープインパクトって名付けたら戸籍上は私生児にしてくれ。

俺との関係があると判断すれば間違いなく俺の故郷はちょっかいをかける。それに、糞理事会も黙っていない』

 

『ステゴにも言ったが、次男の事はティナにも言うな姉貴にも言うな。次男が世界に誇れる選手に育てば…かの国や糞理事会がちょっかいを出してもファンや多くの仲間に囲まれたなら次男に真実を伝えてくれ。

きっと次男は世界から魅了される選手になるさ。実力は有っても、産まれた国が国だった為かファン3人の俺と違って多くのファンに囲まれる……はは、アイツが世界の頂点に立つ所とスペの花嫁ドレス姿を見たかったな』

 

『ええ…任せてください』

 

『頼んだぜ、相棒。婆さんに成るまであの世に来るんじゃねぇよ』

 

サンデーサイレンスとその親友メジロマックイーンの最期の会話であった。

 

 

メジロマックイーン。新八もウマ娘プリティーダービーの育成で何度も育てた時代を風靡した伝説のステイヤー。かつてはメジロ家の最高傑作とも言われており、かつて存在していたチームシリウスに留学生だったサンデーサイレンスと共に所属していてサンデーサイレンスと共に異次元の活躍をしていた。

 

しかし、メジロマックイーンが現役を引退し…暫くたったあと悲劇が起きた。

メジロマックイーンの実家はメジロ家と呼ばれる優秀なウマ娘を代々送り出してきた財閥一家なのだが、その財閥が崩壊してしまったのだ。理由は大きく分けて2つ存在している。1つ、URAのレースが年々高速スピード化してきており、メジロ家のウマ娘達はその高速スピードに乗ることが出来ず勝ち星を上げることが難しくなった。そしてメジロ家の主要地点が2度に渡る噴火の影響を受けて事業撤退等を受けて…今から約10年前にメジロ家は財閥一家からそこそこのお金持ちの家に成ってしまったのだ。

 

ではそんなメジロマックイーンは現在、どうしているのか?彼女はトレセン学園高等部を卒業後、シリウスの若手トレーナーと結婚して一女の子宝に恵まれてサンデーサイレンス夫妻から託された次男を息子として育てながら幸せに暮らしている。

 

東京府中、トレセン学園まで徒歩30分圏内のある住宅街。そこの「メジロ」と書かれた表札がある一軒家が母親と成ったマックイーンが暮らしている家である。

 

「ゴールドシップ宝塚記念を2連覇出来るか?ジャスタウェイVSタイキシャトルどちらが安田記念を制するのか?

しかし、ゴールドシップとジャスタウェイって何者なんですの?私とサンデーがトレセン学園の生徒だった時にも居た筈ですのに」

 

学生時代の少し紫がかった葦毛から綺麗な白髪の葦毛へと成った美女と成ったマックイーンの朝は珈琲を飲みながら優雅に新聞を読むことから始まる。

マックイーンは料理を作ることが残念ながら出来ず、料理はもっぱら夫とサンデーサイレンスから託された息子の仕事である。因みに長女のポイントフラッグはトレセン学園に通っている為に、今は学生寮で暮らしている。まあ、息子もトレセン学園の生徒なのだが、訳あって自宅から通学している。

 

「お母さん。問題です、今日はオムレツ?スクランブルエッグ?」

 

ひょこっと台所から1人の少年が顔を出してきた。サンデーサイレンスと瓜二つと言える程の顔立ちをしているが、サンデーサイレンスと違って眼は鋭くなく男の娘と言える人物。彼こそがサンデーサイレンスとその妻が最期に此の世に遺した息子 ディープインパクトである。

血筋は勿論、実の父親の事も未だ財閥の権力があったメジロ家の力を用いて秘匿し…マックイーンが私生児として育てた男として産まれたウマ娘。マックイーンと夫は本当の両親が居たことはディープインパクトには伝えているが、それが誰なのかは未だ伝えていない。

 

「オムレツですわね?」

「ざーんねんでした!!スクランブルエッグでーす!!」

 

まだ母親に甘えたいこの少年を見つめ、マックイーンはサンデーサイレンスを思い出す。

 

(本当に…そっくりですね。性格や目付きは全く似てませんが、生き写しですわ)

 

と…先日に銀さんの肉体に乗り移ったサンデーサイレンスと再会した事も有ってか、メジロマックイーンは少し感情に浸ってしまう。

 

 

 

「行ってきます」

 

そして暫くしてディープインパクトは制服に着替えて登校していった。他のトレセン学園の生徒と異なり、唯一の男子故かスカートではなくズボンを履いているが…まあそれは仕方ない。誰だって男のスカートは見たくない、男の娘なら別だが…見ようとすればメジロマックイーンとサンデーサイレンスの手でマッスルドッキングの餌食と成るだろう。

 

 

「はぁ~そろそろ何処かのチームに入らないとな。でも、僕のような母親が偉大すぎて素質が無い選手でも入れるチームなんか、有るかな?」

 

史実でもそうだ。英雄ディープインパクトは殆んどの人物に期待されておらず、セレクトセールでも後の偉大すぎる功績から考えれば余りにも安すぎる値段で取引された程だ。これは子供の頃から期待されていたシンボリルドルフとは余りにも正反対と言えるだろう。

その為か、ウマ娘の世界でも未だディープインパクトは周囲の期待が向けられていない。彼が世間から注目されるのはデビューしてからなのだから。

 

「同じ学年のリトルココンやビターグラッセは既に注目されてるし、2つ歳上でライアン叔母さんの娘であるドーベルさんも人気が凄いし…それに比べて僕は」

 

未だその身に宿る全てを置き去りにする素質に気付かないディープインパクト。事実、風邪を引いて負けた有馬記念と凱旋門賞以外は圧勝で勝利した史実の英雄。彼に勝てるのはオルフェーヴルやアーモンドアイと言った英雄と同じく時代の頂点に降臨した存在だけだろう。

 

「む?」

 

そんな登校途中のディープインパクト。彼は有ることに気付いた。それは見知らぬ2人組…小栗旬主演の映画で見たことがある服装をした少年と少女が困惑しながらソワソワしていたのだ。まあ、新八と神楽なのだが。

 

「神楽ちゃん!!神楽ちゃん!!ウマ娘が…ウマ娘が本当に居るよ!!凄いよ!!」

「眼鏡うるさいアル」

 

「木刀提げてるな…銃刀法違反になりそう」

 

とディープインパクトが苦笑いを浮かべていると…新八と神楽がディープインパクトに近付いた。

 

「君!!トレセン学園の生徒だろ!?凄いよ!!感激だよ!!」

「えっ…あっはい。確かに僕はトレセン学園の生徒ですが」

「メジロマックイーンやトウカイテイオーはやっぱり可愛い!?あと、カレンチャンいる!?」

 

今ハマっている大人気ゲームの世界に飛び込んだ為か、新八はツッコミを忘れて大興奮。

 

「母のファンの方ですか?」

「母?」

「はい。メジロマックイーンは僕の養母です。僕はディープインパクト、中等部Bクラス(学年のこと)に在籍していて…メジロマックイーンの息子です」

 

だが、銀さんと違ってウマ娘プリティーダービーにのめり込んでいる新八はディープインパクトが出てこない事を知っている…本心から言えば実装されてほしいと願っている。そして、男のウマ娘は存在しない筈なのだから。

 

「ふぁぁぁあ!?ディープインパクトォォォオ!?実装されてないでしょ!?てか、マックイーンの息子ってどういうこと!?男のウマ娘は存在しない筈だろうがぁぁあ!!」

「えっ!?急にどうしたんですか!?実装!?なんのことですか!?」

「ディープインパクト!!私知ってるアル!!世界最強の馬ね!!誰でも知ってるアル!!」

「えっ!?僕って有名人!?世界最強ってどういうこと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私ですわ。()()()()()()、どうやら坂田銀時の他にもツッコミ眼鏡と神楽さんもやって来たみたいなので、トレセン学園に彼等が来たら通してさしあげて」

 

家の前から新八とディープインパクトの騒動をこっそりと見守っていたマックイーンお母さん。彼女はスマホを出して、駿川たづなに伝えたのだった。

 

 

 

「とっトレセン学園に僕も連れてってくれないかい!?カレンチャン、ライスが僕を待っている!!お兄ちゃんだぞぉぉ!!」

「眼鏡!!鼻血が出てるアル。ぶっちゃけ下心満載で気持ち悪いネ。あっ!私は連れていけアル」

「僕は別に良いですけど…そこの眼鏡は入れるか分かりませんよ?木刀持ってますし」

 

こうして新八と神楽はディープインパクトと共にトレセン学園に向かったのだった。

 

 

 

 

 

「そこの眼鏡。木刀持っているようなので此方に来てくれないかい?従わない場合は取り押さえるが」

「えっ!?ちょっと神楽ちゃん!!ディープインパクト!!助けて!!」

 

ツッコミ柱。トレセン学園のガードマンに確保される。




次回!!神楽ちゃん…転入!?そして万事屋が始まる。

神楽「私、ハリボテエレジーアル!!」
ディープ「ハリボテエレジーィィィィイ!?どっから見てもダンボール!!」

新八「お通ちゃん!?お通ちゃんが居る!!銀さん!!僕はスピカに入りますよぉぉぉ!!」
オツウ「えっ?はい…ウマドルのオツウです」

因みにオツウという競走馬は実在しており、ジャスタウェイの妹です。マジで。


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チーム万事屋

トレセン学園の正門付近の警備員室。そこで志村新八は不自然に木刀を持ち込んだ容疑者として取り調べを受けていた。

 

「マックイーンお嬢様のご子息様であるディープぼっちゃまから聞きましたが、貴方はライスシャワーとカレンチャンの兄だそうですが…ライスシャワーとカレンチャン2人とも本校の学生では有りません」

「未だ入学してなかったの!?」

 

ゲームとこの世界では学年が違う場合がある。そりゃそうだ。アニメではスペシャルウィークの後輩としてメジロマックイーンが出てくるが、アプリではメジロマックイーンはスペシャルウィークの先輩として登場する。ライスシャワーもアプリでは高等部であるがアニメではスペシャルウィークより3つも学年が下なのである。

 

そして警備員に捕まり、取り調べを受けている事を受けてウマ娘プリティーダービーの世界にトリップを受けてハイテンションに成っていた新八の脳ミソは徐々に冷静に戻っていく。そして本来のツッコミ柱としての脳回路に戻った所で現実を受け入れた。

 

「あの…すいません。ディープインパクト君と出会った時は自分でもどうかしていました」

「ふむ…困りましたね。所で君は何処の生徒かね?袴姿とは言え、年齢的に君は高校生だろう。学校に連絡するから教えてくれるかな?」

 

銀魂世界は兎も角してウマ娘世界は余程、家庭に問題がない限りは日本人の子供達は義務教育を終えると高校に進学を選ぶ。その為か警備員も新八が高校生だと判断したのである。

しかし新八は残念ながら高校に進学した経験はない。銀魂世界は宇宙人の来訪を受けてか文化や文明は恐ろしい程に発展している。しかし江戸時代末期という事を受けてか、高等教育はさほど広がっておらず新八のように大きくなったら働くというのが常識であり…新八も銀さんと出会う前からバイトを行っていた程だ。

 

「学生ではないんです」

 

事実である。

 

「ふむ…では職場は?」

 

だがこの世界に万事屋銀ちゃん改めてチーム万事屋が有ることを新八は知らない。その為か…答えることが出来ない。

 

「君…もしかしてニートかな?」

「ニートちゃうわ!!正社員ですよ!!こう見えて!!」

 

ニート認定されてしまったのだ。

 

「彼を通しなさい。余が許可しよう」

 

しかし、新八に救いの手が差し伸ばされる。しかもこの声は新八も良く聞いていた声である…それもウマ娘プリティーダービーではなくもと居た世界で良く聞いていたのだ。

 

「理事長!?」

「えっ?理事長!?」

 

警備員が理事長と呼んだ人物。その人物を確かめるためか、新八は顔を上げてその人物の顔を見る。その人物こそは…

 

「余は元征夷大将軍 徳川茂茂。今は婿養子に入り、海外で活躍する妻の代わりにトレセン学園の理事長をしておる」

「将軍かよぉぉぉお!!将軍様!?えっなんでなんで理事長!!理事長は秋川やよいちゃんじゃなかったの!?」

 

トレセン学園の理事長であり、銀魂世界では征夷大将軍として幕府の頂点に君臨していた将軍様であった。

だが新八の言う通り、アプリウマ娘プリティーダービーではトレセン学園の理事長は秋川やよいという小学生程の女の子であり将軍ではない。頭は相変わらず丁髷だが、服は時代に合わせてかスーツ姿である。

 

「新八。余の娘を知っているのか?」

「娘ですか?」

「余の娘は秋川やよい。今は府中第一小学校に通っている」

「娘ぇぇぇぇえ!!将軍様の娘!?」

 

なんという事でしょう。本来の理事長である秋川やよいちゃんは将軍が理事長に成った影響なのか、将軍の娘と成っていたのだ。

 

 

 

「そうか…元の世界ではこの世界を題材としたアプリが有るのだな」

「僕も将軍様がこの世界で生きていて、僕らの活躍がJUMPの漫画に成っていたなんて驚きましたよ」

 

将軍の権限で警備室から解放された新八。新八は将軍と情報を交換しながらトレセン学園の敷地内を歩く…但し木刀は没収である。

その道中に新八からはウマ娘プリティーダービーというアプリが銀魂世界の江戸で流行している事を、将軍からは銀魂がこの世界のJUMPでかつて連載されていた事を教えてもらったのだ。

 

「新八。余は確かにあの時死んだ」

 

将軍様はカミングアウトする。そう、将軍は確かに銀魂世界でのあの出来事で亡くなったのだ。だが、彼は…

 

「死んだと思った余は…どういう訳か10代の頃に若返り、今から十数年前にこの世界にやって来た。

そこで妻であるノーザンテーストと出会い、友と成ったマックイーン、サンデーと出会い青い春を過ごした」

 

何故かこの世界にたどり着き、どういう訳か10代の容姿で若返っては若きマックイーンやサンデーサイレンスと共に青春を過ごしたのだ。やがて再び成人した将軍はノーザンテーストと結婚し、アプリ原作での理事長である秋川やよいちゃんを愛娘として授かったのである。

 

「ただ…青春時代にマックイーンとサンデーが、ゴールドシップとジャスタウェイ相手にマッスルドッキングを与えていたな」

「なにやってんの!?てか、サンデーサイレンス…ウマ娘だったの!?」

「余の…大切な友だった。彼が生きていれば…トレセン学園はもっと大勢の子供達が夢を語れる学舎と成っていただろう」

 

将軍は悲しげにそう言った。

 

「そうだ!!将軍様…ハルウララは?」

「……サンデー亡き今。余やマックイーンだけの力ではURA理事会を止められん。故に地方から夢を持って子供達が入学出来ないのだ。

貴族の子供はどうしても優遇される。残念だが……」

 

原作ウマ娘でもそうだ。トレセン学園の敷居は非常に高く、入学できるだけでも超エリートや家柄が貴族のような大金持ちの子供達が沢山だ。その為か、地方からやって来る生徒は非常に極僅かな枠を取り合って入学するしかないのである。倍率も非常に高いことは確実だろう。

 

「それに海外籍や地方トレセンから移れたとしても、その子達はクラシックには出れない。事実、オグリキャップは理事会の定めた制度のお陰でクラシックにエントリーさえも出来なかったのだ。一生に一度のクラシック、それが出身や国籍の為に出ることが叶わぬ。こんなのは有っては成らぬのだ」

「将軍様…」

 

 

 

一方の後の英雄。

 

トレセン学園の中等部の学年はABCで表されている。1年生はAクラス、2年生はBクラス、3年生がCクラスでありBクラスからデビューする事が可能でCクラスからG1に挑戦できて生涯一度のクラシックに挑むことが叶うのだ。

 

Bクラス2組。それがディープインパクトが所属する組であり、ディープインパクトは静かに本を呼んでいた。2組で唯一、何処のチームに所属できていないディープはクラスの皆が話題にしている「所属したチームはどんな所なのか」等々の話を行っていた。

 

「コンゴウリキシオーさんは何処に入ったの?」

「私はチームアルタイルに入ったの!」

 

「ヴァーミリアンは?」

「私はねチームアンタレスね」

 

注目選手の1人コンゴウリキシオーはチームアルタイル、ダートでも芝でも結果を残すことが出来るヴァーミリアンはチームアンタレスと有力なチームに所属している。

 

「ディープ!!貴方、未だチームに所属してないの?」

 

ふと、声をかけられたディープインパクト。すると彼の前に魔女っ子帽子を頭に被ったディープインパクトより背が低い美少女が現れた。彼女の名前はスイープトウショウ、魔法少女を自称する女の子である。因みにディープインパクトとは小学校からの腐れ縁であり、名字は池添だとか。

 

「どうしたの池添ちゃん」

「もー!!その名前で呼ぶな!!私は魔法少女スイーピーなんだから!!」

 

魔法少女スイーピーことスイープトウショウは既にチームに所属しているが、ディープインパクトは未だチームに所属できていない。

 

「私はチームアルデバランに所属できたの!!まあ、ディープの為にも私はトレーナーに聞いてみるけど?ただし、私の使い魔になるって条件だけど」

「嬉しいけどいいや。そのチームのトレーナーにはきつく言われたから」

 

ディープインパクトは去年から色んなチームのトレーナーに声をかけては、自分を入れてほしいと言っていた。しかし、その殆んどのトレーナーから心ない言葉を言われてきたのだ。

 

「世にも珍しい男のウマ娘か…残念だが、そんな話題だけで入れると思うなよ。君には見た限り素質は皆無だ」

 

「細いな…背も低い。残念だが、我がチームに入れる資格はない」

 

と断られてきたのだ。史実のディープインパクトも最初の頃は素質がないと言われており、その素質を見破れたのは極僅かだったのだ。

 

「だから…僕は何処のチームにも入れなかったんだ」

「でっでも!!ディープも知ってるでしょ!!今年の9月が終わるまでに、1勝を上げないとクラシックに出れないのよ!!ダービーに出たいって貴方言ってたじゃない!!」

 

トレセン学園は敷居が高いと共に競争率も高い。無事に入学できたのは良いが、思い描いていた活躍が出来ずに地元に帰っては地方トレセンや地元の中学や高校に転校する生徒も沢山居るのだ。

 

と…そんな時だった。

 

「ギャーギャーうるさいな。発情期ですか?ガキども」

 

と担任である桐生院葵という若手教師と共に1人の男が入ってきた。その人物は白衣を纏い、タバコ……ではなくレロレロキャンディーを咥えた銀さんであった。

 

「皆さん。今日は新しい先生を紹介します。こちら、理事長からの推薦で現国の教師に成りました」

「えー、坂田銀時でーす。気軽に銀八先生、銀さんって呼んでくださーい」

「ツッコミ所が多々有るんですけど…タバコはダメだと思いますよ」

 

突如として現れた銀八先生こと銀さん。銀さんは口からふぁーと白い煙を吐き出した。

 

「あー、これレロレロキャンディーね」

「レロレロキャンディー!?キャンディーなのになんで煙が出るの!?」

「新八には及ばないが良いツッコミだ。君…名前は?」

「えっあっはい。ディープインパクトです」

 

ディープインパクト。皇帝シンボリルドルフに続き、無敗でのクラシック三冠を成し遂げた無敗の三冠馬。その上、風邪を引いた時しか負けず、負けたレースは僅か2つだけ。圧倒的で英雄と称される強さは競馬を知らない物でも知っている伝説であり、社会現象さえも起こした。

 

「えっ?ディープインパクト?えっ?お前が?えっ?マジで?」

「はい…」

「何処のチーム?」

「何処にも入れてません。全部断られました」

「……マジ?」

 

だが、銀さんは知っている。このディープインパクトの素質を…リアル競馬知識で知っている。

 

「だったら俺のチームに入る?メンバー2人しか居ないけど」

「良いんですか!?ありがとうございます!!」

 

(賞金1400000000オーバーのディープを味方に率いれたらウハウハよぉぉぉおおお!!)

 

だが、銀さん…ちゃっかり下心が有ったのだ。

因みに所属選手がレースで勝利すれば賞金が出るのだが、その一部はトレーナーに還元される。ディープが史実通りの活躍を行えば銀さんには最低でも4億程の臨時収入が発生するのだ。つまり、遊んで暮らせるのである。

僅か3年の活躍で14億オーバーである。高校卒業までも込めば、もっと越える事を考えれば20億オーバーも夢ではない。銀さんのウハウハ未来は決まったも同然だ。

 

 

 

 

 

放課後。

 

「此処がチーム万事屋だ。まあ、部活としての万事屋にも入ってもらうけどな」

 

放課後、ディープインパクトを万事屋の部室に連れてきた銀さん。但し、何故かスイープトウショウまでも着いてきたが。

 

「てか、スイープちゃん。行かなくて良いの?」

「練習に参加するしないは私の自由なのよ!!」

 

スイープトウショウ…史実通りの我が儘少女であった。

 

そんな万事屋の現メンバーであるが銀さん、ディープインパクトを除けば…

 

「私スペシャルウィークです!!宜しくね!!」

「スペシャルウィーク先輩ですね!!宜しくお願いします」

 

ディープインパクトの実姉 スペシャルウィークことスペちゃんである。

 

「私、ハリボテエレジーアル!!宜しくネ!!今年の三冠牝馬は貰ったネ!!」

 

そしてダンボールで作ったウマ耳と尻尾を装備し、伝説の迷馬ハリボテエレジーに扮した神楽であった。

 

「ハリボテエレジー!?僕とはぐれた後に何があったの!?」

「明日からBクラスに転入ネ!!」

「うそーん」

 

そして神楽ちゃん。明日から転入するのだった。

 

「あと、新八って眼鏡が居てな…」

「あっ!カレンチャンとライスシャワーって人のお兄さんですよね」

「それ、自称アル」

 

あと我らがツッコミ柱が志村新八が居るのだが…

 

「銀さん!!僕は万事屋銀ちゃんと部活の万事屋は辞めませんが、チーム万事屋を抜けてチームスピカに入ります!!

お通ちゃんのマネージャー兼トレーナーに僕は成るんだ!!」

 

と宣言して何処かに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ…やっとマトモなツッコミが来てくれたか…ありがとう」

 

「ひゃっほぉぉぉう!!行くぜ!!ゴルシちゃんワープ!!」

 

「葦毛、葦毛、葦毛、あしげぇぇぇぇえ!!」

 

「本当に助かったぜ。オレとトレーナーだけじゃ、ツッコミが追い付かないからな!!」

 

スピカのトレーナーである沖野Tと新人1年生のウオッカはやって来た新八の肩を優しく叩く。

 

「スピカがアニメより、キャラの濃さが200%増しになってるぅぅぅ!!」

 

ゴールドシップは勿論、その親友の葦毛大好きな最強マイラージャスタウェイ、ジャスタウェイの妹であるパンデモニウムとオツウ。キャラの濃さが尋常ではなかった。

 

頑張れ新八!!君がスピカと万事屋を繋ぐ掛橋へと成るのだ!!




ハルウララは後程出てきますので、安心してください。というか、万事屋の仕事で合格ミッションが出てきます。

あとパンデモニウムという競走馬も実在します。む?パンデモニウムさんの成績?…うん…まあ…


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チームスピカ

ゴルシちゃん!!登場!!


ディープインパクトが万事屋に加入し、神楽が謎のハリボテウマ娘 ハリボテエレジーとしてトレセン学園Bクラスに編入してから2日後。スペシャルウィークの次のレースである日本ダービーまで刻々と時は進んでいくのだが、トレセン学園は何時も通りの日常が進んでいた。

 

「ご依頼箱に依頼や相談事は入ってないな」

 

そんなある日のこと。ディープインパクトは職員室前にセットされた投票箱のような物の中身を確認していた。この箱はご依頼箱、部活である万事屋に依頼や相談事を頼みたい生徒が依頼を紙に書いて投函する仕組みと成っているのだ。勿論、直接万事屋のメンバーに言うのも有であるが、こっそりと…誰かに伝えたい場合はこのご依頼箱に投函するのだ。ご依頼箱のカギは万事屋メンバーしか持っていないのでご安心である。

 

「部室に行って練習しよ」

 

ご依頼箱のカギを閉めてディープインパクトは部室である小屋に向かっていった。

 

 

 

「遅かったな少年。残念だが、旦那とチャイナ娘は偵察に出て居ないぞ」

 

部室小屋の前に辿り着いたディープインパクト。しかし、そこにはトレーナーである銀さん、メンバーである神楽の姿はない。代わりに黒いジャージ姿で、頭に帽子を被った青年が立っていたのだ。その青年の手にはストップウォッチとトレーナーノートが握られており、髪型の都合なのか分からないがヒト耳が見えないし…何処か違和感を感じてしまう。

 

「えーと…貴方は?」

「初めましてだな(俺様からすれば知ってるけどな)。俺様はステイゴールド、そこのスペシャルウィークのお兄ちゃんで史上最年少でトレーナー資格をゲットした天才様だ」

 

彼こそはステイゴールド。この世界では訳有って素性を隠しているが、スペシャルウィークは勿論のこと目の前のディープインパクトの兄である。ステイゴールドは近くの高校に通っており、トレーナー資格を利用して職員寮で一人暮らししているのだ。

 

「ステイゴールドさんですね!僕はディープインパクトです!!」

「ああ、知ってる。とっとと荷物を置いてアップしてこい。もうスペはアップしててもうすぐ終わるぞ」

 

ステイゴールドが指示した方を見るとスペシャルウィークはアップの殆んどを終えており、今は股関節の動きを意識するためかハードルを用いて股関節を動かしながら動いていた。

 

「じゃあ、行ってきます!!」

 

と…アップを始めるディープインパクト。それを見てステイゴールドは本当に小さく、小さな声で…

 

「本当に大きくなったな…弟よ」

 

死んだ父との約束で弟とは呼べない弟に向けてそう言ったのだった。

 

 

 

一方の銀さんと神楽ちゃん。

 

「HQ、HQ!!こちらパトロールアル!!」

「こちらHQ!!パトロールどうぞ!!」

 

銀さんと神楽はダンボール箱を被り、トレセン学園の数ある運動場の1つにやって来ていた。伝説の傭兵 ソリッド・スネークのようにダンボール箱を被ってはステゴとスペシャルウィークに冷ややかに見られようが関係無しに進んでいた。事実、此処まで彼等は誰からも声をかけられずに此処まで進むことが出来たのだ。ダンボールは伊達ではない!!

 

彼等が此処までやって来た理由はただ1つ。新八がチーム万事屋を抜けてまで加入したチームスピカの情報を確かめるためだ。

 

「銀ちゃん。スペちゃん大丈夫アル?」

「スタンドに憑依されてトレーナーに成った俺は兎も角、兄貴であるステゴが付いてるんだろ?なら俺よりマシな筈だ。銀さん素人よ素人」

 

その時だった。

 

「うひょょぉぉおーーーい!!葦毛だぁぁあ!!」

 

突如として茶髪で可愛らしいウマ娘の手で銀さんのダンボールが剥ぎ取られてしまう。

 

「なっ!?俺のダンボール!!このダンボールを手に入れるために、いちご牛乳を箱買いしたんだよ!!江戸は兎も角、この東京ダンボールが手にはいらなさ過ぎるだろ!!」

「ウマ娘ちゃんではなく、おっさんの葦毛だ!!しかも天パだぜ!!」

 

そのウマ娘は高校生程だろうか?少なくともディープインパクトやスイープトウショウ、神楽よりも歳上である。そんなウマ娘は銀さんの頭をワシャワシャと揉みくちゃにしだしてしまう。

 

「やっぱり葦毛はさいこうだぜぇぇぇ!!ウポポポイ!!」

「なにやっとんじゃおんどれ!!」

 

そんなウマ娘を誰かがドロップキックで吹き飛ばした。それは葦毛で長身美女で何処かマックイーンに似た美女である。

 

「ふふふ、葦毛こそ此の世の至高。クロノジェネシス、オグリキャップ、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ…ああ、葦毛は素晴らしい。私には葦毛が必要だ!!

てか、ゴルシ。マイフレンドよ、お前がツッコミを入れるなんて珍しいじゃないか」

「アニメではゴルシちゃんもツッコミを入れるんだよ」

 

銀さんの頭をワシャワシャとしたのはジャスタウェイ。銀さんは知らないが世界最強のマイラーと登り詰める伝説の名馬の1人である。

 

「あっ!!私知ってるネ!!ゴールドシップアル!!」

「ふふふ!!私はやっぱり有名人だな!!」

「12000000000の馬券を紙屑に変えたけどな」

 

そしてジャスタウェイをぶっ飛ばしたウマ娘はゴールドシップ。学年不詳、年齢国家機密、家族も国家機密のウマ娘である。

 

「アンタ達!!ぱっつぁんの仲間だろ?案内するぜ?」

「眼鏡はこのジャスタウェイの妹のマネージャーをしているんだ!!」

「「マネージャー?」」

 

ゴルシとジャスタウェイ曰くだが、新八はジャスタウェイの妹のマネージャーをしているそうだ。まあ、彼としてはトレーナーをしたかったが、サンデーサイレンスというチートの力で合格した銀さんと違い、新八はトレーナー免許を取得できていない。まあ、国家資格なので当然と言えば当然だが。

 

「お通!?いや…そっくりの他人か」

「お通ちゃんそっくりアル!!」

 

案内された先には銀魂世界での大人気アイドル 寺門通ことお通ちゃんにそっくりなウマ娘。そして金髪で物凄い美女だが、芋虫のコスプレをしたウマ娘が居たのだ。そんな2人のウマ娘に対して、新八は嬉しそうに指導している。

 

「芋虫のコスプレをしてるのがパンデモニウム。そんで、もう1人の子がオツウ。どっちも私の妹だよ」

「てっことはお父さんはハーツクライか」

「「なんでだよ」」

 

お通ちゃんそっくりのウマ娘はオツウ。芋虫のコスプレをしている美女ウマ娘はパンデモニウム。どちらも実在しているジャスタウェイの妹である。

 

「オツウとパンデモニウムも近々デビューするんだぜ」

「へー、じゃあディープと同期か」

 

その瞬間…ゴルシとジャスタウェイは何処か寂しげな表情をした。

 

「ああ…アンタ、英雄のトレーナーだろ?頼んだぜ」

「む?ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ。歴史を変えちまったみたいだから言うが、私の叔父さん達の運命を救ってくれよ。万事屋、ゴルシちゃんから真面目な依頼だ。ディープインパクト叔父さんの退学と、スペシャルウィーク叔母さんの先輩の事故を防いでくれ」




次回!!ゴルシちゃんからの依頼


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ゴルシちゃんからの依頼

ゴルシちゃんだぜ!!


チームスピカの部室。そこはチーム万事屋と同じであり、空調整備が整ったプレハブ小屋であった。

 

そんなスピカの部室に案内された銀さん、神楽、新八の3人。3人の前にはゴールドシップ、ジャスタウェイが先程とはうって変わって大真面目な顔付きと成っており、その2人の後ろにはオツウとパンデモニウムが控えている。

 

「アンタ達も似たようなもんだと思うからぶっちゃけるが、私達は普通のウマ娘じゃない。自分達の目的の為に、未来からやって来た未来人だ」

 

だが、そこで語られたのは予想外の話だった。それはゴールドシップ、ジャスタウェイ、オツウ、パンデモニウムが未来からやって来たウマ娘であり自分達の目的の為にやって来たそうだ。そしてゴールドシップはスペシャルウィークとディープインパクトの兄であるステイゴールドの娘だそうで、母親はディープインパクトの義姉でマックイーンの娘であるポイントフラッグだそうだ。

 

「成るほどな。確かにゴールドシップとジャスタウェイがスペシャルウィークやディープインパクトより先輩なのは可笑しいと思ったけどな」

「銀さん?」

「ぱっつぁんと神楽の為に言うが、俺達の世界じゃディープインパクトやウオッカは既に引退してる。だが、ジャスタウェイとゴールドシップは未だ現役なんだよ」

「でも銀さん、ゴールドシップはアプリに出てましたよ」

「なんでだよ」

 

しかし考えてほしい。ゴールドシップとジャスタウェイは銀魂世界では未だに現役であり、チープインパクト(銀魂に実際に出てくた競走馬)やジェンティルドンナと共に未だ現役バリバリなのだ。

 

「で…さっき俺が未来を変えたって言ったよな?それは…」

「ディープ叔父さんは何処にもチームに入れず、私の母方の祖父がチームシリウスを復活させてそこに入る筈だった」

 

ゴールドシップはそう告げて1枚の写真を銀さん達に見せる。そこには銀さんが無意識に変えてしまった歴史とは別に銀さん達が加入しなかった場合の未来の姿が写っていた。

チームシリウス。メジロマックイーンの卒業と結婚を機に解散した伝説のチームであり、本来なら身体的特徴で何処にも入れなかったディープインパクトの為にマックイーンの夫であるシリウスのトレーナーが復活させたのだ。

 

「ディープの他にサイレンススズカ、スペ、ダイワスカーレット、キタサンブラック、おいおい普通にぶっ壊れじゃないかよ」

 

英雄ディープインパクトをリーダーとし、異次元の逃亡者サイレンススズカ、日本総大将スペシャルウィーク、緋色の女王ダイワスカーレット、そして賞金女王キタサンブラック。

 

「ああ…だが新生シリウスは2つの事件で崩壊した」

 

ジャスタウェイは悲しそうにそう告げて語り出す。

 

「その事件は現地の医師にディープインパクトさんがはめられた凱旋門賞でのドーピング違反事件。サイレンススズカさんの天皇賞(秋)でのクラッシュ事故だ」

「銀さんの世界でだが良く覚えてるぞ。あれだろ?ディープの件は風邪薬がたまたまフランスでアウトだっただけだろ。

サイレンススズカの事故は…まあ、俺も言いたくないが」

 

ディープインパクト、ドーピング事件。銀さんもこれは非常に良く覚えている。ディープインパクトはフランスの凱旋門賞に挑むためか長い空の旅を経てフランスに向かった。しかし大きな動物である競走馬を輸送するのは人間と比べて遥かに大変であり、過酷な旅でディープインパクトは風邪を引いてしまい…風邪薬を現地の医師から勧められて服用する。だが、その風邪薬は日本とフランスでは合法だが…医薬品のほぼ全部が禁止されている凱旋門賞ではドーピング扱いであり…ディープインパクトは失格に成ってしまったのだ。

 

「ああ、そうだよ。だけど…だけど!!ディープインパクト叔父さんが余りにも強すぎるのが面白くなかったのか、当時の理事長の反対を押しきってURA理事会はディープインパクトを今年度で除籍処分…選手権限の剥奪を決行したんだ!!」

 

だが、ディープインパクトは余りにも強すぎた。強くなりすぎた。因みに除籍とは退学より重い処分であり、在籍していた証しさえも全てが無くなり…所属していない事にされる処分である。

 

「URA理事会と理事会に煽てられたメディア、ディープインパクトさんがサンデーサイレンスさんの息子だと勘づいたアメリカ政府は英雄の名誉を陥れるために…ディープインパクトはドーピングで強くなったと嘘のニュースを流しまくる!!

するとディープさんへの世間の風当たりが強くなりすぎて…ディープインパクトはその年の有馬記念を圧勝して学園から姿を消したんだ」

 

URA理事会とアメリカはディープインパクトの風邪薬、ドーピング検査に引っ掛かった事件を利用してディープを精神的に追い詰める。やがてその風当たりはディープインパクトだけで収まらず、チームシリウス全体に及び…ディープインパクトは有馬記念を最後に世間から姿を消したのだ。

 

「ディープインパクト叔父さんが抜けたシリウスは…URA理事会とアメリカが流した印象操作も有ってか新規が入らず自然消滅した。

そして……沈黙の日曜日だ」

 

沈黙の日曜日。銀さんはそれを覚えている。銀さんが万事屋を改行したばかりの頃、何気なしにテレビを着ければ当時大人気だったサイレンススズカという逃げの競走馬の活躍が目立っていたが…サイレンススズカは天皇賞(秋)で故障を起こしてしまい此の世を去ってしまう。

 

「サイレンススズカさんはスペシャルウィーク叔母さんと親しく…学年は違えど親友と言える関係だった。

ディープインパクト叔父さんが弟だと分かり、その弟を守れなかったスペシャルウィーク叔母さんの心の拠り所でもあった。だけど、サイレンススズカさんは天皇賞(秋)でクラッシュを起こして……」

「亡くなったのか?」

「いや、生きてはいるが…2度と目覚めない。植物人間だな」

 

しかし、史実通り…時期は違えどサイレンススズカは天皇賞(秋)で事故を起こしてしまい…2度と目覚めなくなってしまった。競走馬から人間に近いウマ娘と成っているためか、安楽死はしなくて良いのだが…時速60キロ以上で転倒してしまった為か植物人間と成ってしまい再起不能と成ってしまったのだ。

 

「弟と慕っていた先輩…2人を失った…守れなかったスペシャルウィーク叔母さんは心が死んでしまった。

お願いだ!!未来を変えたいんだよ!!私達だって出来ることは全部手伝うから…お願いだ!!」

「良いぜ…(後ろのスタンドが物凄く恐いんですけどぉぉぉぉ!!)」

『アメリカか…姉貴と俺の故郷だったから潰さずにしていたが…URAくそ理事会と共に滅ぼしてやろうか』

 

頑張れ銀さん!!ディープとスペの未来!!そして理事会とアメリカの人命は貴方にかかっている!!




スピカと友好条約?を結んだチーム万事屋。そんな万事屋であったが、遂にスペの勝負服が出来たと連絡が?

???「ヅラではない…桂だ。そしてクリークは私の母親に成ってくれるかもしれない女性なのだ!!」
「なにがあったぁぁぁあ!!」




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