星狩りのヒーローアカデミア (魔女っ子アルト姫)
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雄英入学編
1スレ


1:スレ主

 え、えっと……スレ立てってこんな感じで良いんでしょうか

 

 

2:無銘の転生者

おっ新人さんがINしたお!!

 

3:無銘の転生者

かこめかこめ!!

 

4:無銘の転生者

かごめかごめ、か~ごめかごめ。

 

5:無銘の転生者

いきなり飛ばし過ぎだろ、というか古いわ。

 

6:無銘の転生者

えっウチの学校の最強ディフェンス技なんですけど。

 

7:無銘の転生者

超次元サッカーに帰れ。

 

8:無銘の転生者

そうだ、スカイラブハリケーン辺りにしとけ。

 

9:無銘の転生者

あれだって相当に可笑しいからな。というか竜巻落としで同じ事やってるし。

 

10:無銘の転生者

お前らいい加減にしとけ、イッチ大丈夫か。

 

11:スレ主

え、えっと……イッチって俺の事で良いんですかね

 

12:無銘の転生者

おう合ってるぞ。改めてようこそ新たな転生者の集う掲示板へ。

此処では様々な世界に転生した人間を繋ぐ掲示板で色んな相談や情報を交換する場だ。

察するに前世でもスレとかはやってなかったっぽいな。

 

13:スレ主

あっはい。やる夫スレの小説は結構好きでしたけどやった事はないです。

 

14:無銘の転生者

これはマジでの新人さんだな。置いてきぼりで悪かった。

 

15:無銘の転生者

イッチはどんな経緯でこの掲示板に辿り着いた?

 

16:無銘の転生者

神さんにお助けは此処で聞け的な?

 

17:スレ主

そうです、なんかお前死んだから次の世界では面白可笑しく生きて楽しませてくれみたいな事言われた後に

髪は基本干渉しないから困ったら先輩に聞けって。

 

18:無銘の転生者

あのくそハゲ共マジフザけんな、人の人生なんだと思ってんだ。

 

19:無銘の転生者

神なんてそんなもんだろ。

 

20:無銘の転生者

何時かチェーンソーでバラバラにしてやる。

 

21:無銘の転生者

俺は転生前に能力貰えたからその時に一発かましてやったぜwww

 

22:無銘の転生者

>>21

マジで!?何やったん?

 

23:無法地帯の料理人

好きな食材や料理を出せる能力貰ったから

 

「おいパイ食わねぇか!!」

 

って顔面に出来立てアツアツのパンプキンパイをシュゥゥゥゥッ!!!

 

24:無銘の転生者

超!!

 

25:無銘の転生者

エキサイティング!!!

 

26:無法地帯の料理人

ついでにデスソースも掛けといたから超悶絶しててウケタwwww

 

27:無銘の転生者

お前よく神にンな事したな……転生前にやったら下手したら魂消されてるぞ。

 

28:無銘の転生者

大丈夫、転生ゲート開いてるの確認してからやったからwww

 

29:円卓の鬼

鬼だ鬼がいるぞwww

 

30:無法地帯の料理人

良いんだよ、神様ニキには笑顔で感謝されたから。

というか鬼云々ってアンタに言われたくねえww

 

31:無銘の転生者

ああ、あの人公認ならOKだな。 

 

32:無銘の転生者

取り敢えずイッチの話題に移るぞ。相談事あるんだろ。

 

33:スレ主

えっと相談っていうか、これから頼るかもしれないのでご挨拶というか……

 

34:ヒスイの調査兵

>>33

真面目だ……

 

35:円卓の鬼

>>33

真面目だ……

 

36:無銘の転生者

>>33

結婚したい……

 

37:無銘の転生者

>>36

何でだよ!!色々可笑しいだろ!!

 

38:IS世界のメンタルセラピスト

うるせええええええ!!!!こちとら頭おかしい連中ばっかりなんだよ!!

初対面なのにこんなに礼儀正しいんだぞ!!結婚以外ないだろ!!

 

39:超次元中学生

寄りにもよってISかよ……そりゃ女どもは可笑しい連中多いな。

 

40:無銘の転生者

イッチが男だったらどうするんだよ。

 

41:IS世界のメンタルセラピスト

真摯に、真面目にお付き合いをお願いします。結婚なんざお互いが好きになった者同士ですりゃええねん。

 

42:無銘の転生者

其処には同意するが、イッチドン引きさせるな。

 

43:スレ主

あの、すいません出来れば今世のお父さんとお母さんには孫を見せてあげたいんですが……。

 

44:円卓の鬼

>>43

真面目だ……

 

45:無銘の転生者

>>43

真面目だ……。

 

46:IS世界のメンタルセラピスト

>>43

素敵だ……結婚しよ。

 

47:クトゥルフ系狩人。

>>46

よし取り敢えず自分に精神分析かけろ。

 

48:青春学園の熱血教師

鏡に向かって頑張れ頑張れ出来る出来る!!ですね解ります。

 

49:無銘の転生者

あ~……一先ずメンタルニキ、後で話聞いてやるから落ち着け。今はイッチだ。

取り敢えずコテハン変えようか、自分の特徴とか世界の事で良いから。

 

50:スレ主

実は全然分からなくて……記憶を取り戻したばっかりで

 

51:青春学園の熱血教師

そう言うタイプか。んじゃニュースとか見て適当に気になるワードない?

 

52:スレ主

えっと……なんか個性犯罪がどうのこうのってニュースでやってます。

 

53:無法地帯の料理人

個性犯罪って……ヒロアカだぁ……。

 

54:クトゥルフ系狩人

当たりとも外れとも言えん微妙な世界に……。

 

55:光の国の戦士。

私よりマシだと思いますよ

 

56:無銘の転生者

アンタに比べたらなwww

 

57:無銘の転生者

記憶が戻った時にゼットンと戦闘中とかやばすぎて笑えねぇもんなwww

 

58:光の国の戦士

なにわろてんねん。自己流のコズミューム光線叩き込みますよ。

 

59:纏め役の転生者

ウルトラニキ落ち着け。取り敢えずイッチその世界は僕のヒーローアカデミアって世界だ。

通称ヒロアカ。個性っていうのはその世界の人口の8割が持ってる特殊能力みたいなもんだ。

 

60:ヒロアカ世界のスレ主。

ヒロアカ……取り敢えず変えときました。

 

61:IS世界のメンタルセラピスト

ヒロアカなら、イッチにも能力いや個性か。それあるんじゃないか?

 

62:ヒロアカ世界のスレ主。

えっと、ちょっと待ってくださいね。確か特典は記憶に強く関係するって言われた気が……

 

63:無法地帯の料理人

あ~イッチもそう言うタイプか。俺もだわ。

 

64:クトゥルフ系狩人。

餓死しないって良いなそれ。俺ニャル子さんの世界で邪神ハンターだけど

食材自由自在ってサイコウじゃん。

 

65:光の国の戦士

私はウルトラマンになっちゃってて気づいたらご飯食べられなくなってました。

まあ光エネルギーの吸収が食事代わりですけど。吸収中は高揚感と幸福感が凄いですね。

 

66:円卓の鬼

ウルトラマンってそう言う感じなんだなやっぱり。

 

67:ヒロアカ世界のスレ主。

―――うわあああああああああああああああああああああ!!!!!!

 

68:IS世界のメンタルセラピスト

!?

 

69:クトゥルフ系狩人

ちょなんぞ!?

 

70:無法地帯の料理人

イッチどうした?!

 

71:ヒロアカ世界のスレ主。

ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

ちっくっしょおおおおおおおおおおおお!!!!!

 

72:円卓の鬼

まさか、特典なしとか……

 

73:纏め役の転生者

いや、あのクソ神共は自分達が楽しむ為にそう言うの与えるからないのは考えにくい。

如何したイッチ。何かあったのか?

 

74:ヒロアカ世界のスレ主。

ふざけるな、ふざけるな!!馬鹿野郎おおおおおおおおおおお!!!!

 

75:纏め役の転生者

取り敢えずセルと切嗣混ぜる辺り割と冷静なのは分かった。

 

76:無法地帯の料理人

よく分かったなおい……。

 

77:IS世界のメンタルセラピスト

イッチおい何があった?なんか特典がやばいのか!?

 

78:光の国の戦士

悪役系の特典とか……?

 

79:青春学園の熱血教師

あ~確かにありそうだな、俺のは正義よりだけど。

 

80:ヒスイの調査兵

修造っていう程正義か……?

 

81:ヒロアカ世界のスレ主。

個性、分かりました……。

 

82:無法地帯の料理人

そ、それでどんな個性?

 

83:ヒロアカ世界のスレ主。

……俺が一番嫌いと言っても過言じゃないキャラの力でした……。

 

84:光の国の戦士

それは……辛いですね。今はいないですけど嫌いなキャラ自身になったネキもいますもんね。

 

85:クトゥルフ系狩人

ああ、Fate世界のキアラになった人か。

 

86:IS世界のメンタルセラピスト

あの人ほど気の毒に……って思ったことねえわ。

 

87:円卓の鬼

>>86

アンタも人の事言えねえだろ。キアラはシリーズによってはカウンセラーだから似たようなもんだぞ。

 

88:ヒスイの調査兵

もういっその事、IS世界の女どもをゼパラせて来いよ。

 

89:IS世界のメンタルセラピスト

>>88

その手があったか!!?

 

90:纏め役の転生者

黙れそこまでにしとけ。

記憶依存の付与形式だったから、より強く残ってた嫌いな方に傾いたか。

 

91:クトゥルフ系狩人

楽しい記憶より嫌な記憶の方が根深いしある意味当然かもな……。

 

92:無法地帯の料理人

ンで結局どんな能力なん?物によっては強力な力になるから自衛には困らんぞ。

 

93:ヒロアカ世界のスレ主。

……確かに強力です、でも強力すぎる……。

 

94:光の国の戦士

えっエンペラ星人とかベリアル陛下とか?

 

95:円卓の鬼

それはそれでやべぇな。

 

96:ヒロアカ世界のスレ主。

……星狩りの一族

 

97:ヒスイの調査兵

えっ

 

98:IS世界のメンタルセラピスト

ちょっ!?まさか!?

 

99:纏めの転生者

おいおいおい……

 

100:ヒロアカ世界のスレ主。

……仮面ライダービルドに登場したエボルトの力です。

 



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2スレ

110:ヒスイの調査兵

―――大丈夫かイッチ。割とマジで。

 

111:ヒロアカ世界のスレ主。

……はい、お見苦しい所を……お見せしてすいませんでした……。

 

112:クトゥルフ系狩人

いやまあ大っ嫌いなキャラが特典ならしょうがあるまいよ。

 

113:無法地帯の料理人

過去に音速でライスシャワーを発射するって特典のニキも大暴れしてたからなぁ

 

114:青春学園の熱血教師

>>113

ああいたいた。あのニキ如何したんだろうね。

 

115:超次元中学生

死んだんじゃないの~?

 

116:円卓の鬼

>>115

おう、全力でブーメラン投げてんじゃねえぞ。

 

117:無法地帯の料理人

あの人なら某ウマ娘学園に毎日新鮮なお米を納品してるぞ。

 

118:IS世界のメンタルセラピスト

ついでにライスたんのトレーナーだしな。

 

119:無銘の転生者

>>118

もうこれ分かんねぇな。

 

120:無銘の転生者

というか、エボルトってなんぞ?

 

121:無銘の転生者

仮面ライダーエボルトってそんなの居るん?

 

122:纏め役の転生者

仮面ライダーエボルっていうのが正式な名称だな。平成ライダーの一角、仮面ライダービルドのラスボスだ。

一言で言えば悪質極まりない愉快犯だ。星を滅ぼすことを目的にしてて星を滅ぼす為ならどんな手段も問わないし徹頭徹尾自分の快楽のためにしか動かない。

数々の星を滅ぼしてるからライダーの中でも屈指の悪と言っても過言じゃない。

 

123:無法地帯の料理人

しかも星を滅ぼしてパワーアップするからなこいつ……

 

124:無銘の転生者

よくそれ主人公勝てたな……

 

125:IS世界のメンタルセラピスト

ライダーシリーズでも見ても屈指の外道でもあるからなぁ……

実力もエゲツないのにマジで手段選ばんし味方の声真似して煽ったり

最終決戦じゃ10分が経過するごとに日本の区画の何処かを消滅させるデスゲームまでやるしな……

 

126:無銘の転生者

ひぇ……

 

127:青春学園の熱血教師

ビジュアル自体は凄いカッコいいからファンもいんだけどな……

キャラクター的な意味だと超嫌われてる。

 

128:クトゥルフ系狩人

それが特典かぁ……

 

129:ヒスイの調査兵

きっつ……

 

130:円卓の鬼

ま、まあそれでもさ。あいつの能力ってかなり凄いじゃん。

だから出来る事が多いって前向きに考えよう!!

 

131:ヒロアカエボルト

はい、そうです、よね……仮面ライダーは元々悪だったんですから

それをエボルトでやればいいだけですもんね……

 

132:光の国の戦士

これは回復に少しかかかりそうですね。

 

133:纏め役の転生者

取り敢えず俺達でエボルトの力でできそうなことを纏めとくか。

 

134:IS世界のメンタルセラピスト

それがいいかもね。

 

135:円卓の鬼

ビルドの変身アイテム、フルボトルって結局の所エボルトが作ったみたいなもんだよな。

だからビルドのフォームも全部いけるのかな。

 

136:無法地帯の料理人

その場合はエボルマッチフォーム扱いかな。

クリエイションもあるから、ビルドの武器も行けると思われ。

 

137:超次元中学生

あとエボルト自身だって能力あるよね。

 

138:青春学園の熱血教師

他者の記憶や外見の操作能力に人間への憑依能力だな。

 

139:無銘の転生者

こうしてみるとやっべえな出来る事多すぎる。

 

140:ヒスイの調査兵

こんな万能なのに相手をおちょくりまくるしな。

良い声してるだろ、声の仕事やってんだよ。とか言うし。

 

141:クトゥルフ系狩人

あれってエボルト判定でええの?

ある種のメタ発言でしょ。

 

142:IS世界のメンタルセラピスト

まあいい声してんだろ、みたいな事言ってたから良いんじゃね?

 

143:纏め役の転生者

纏めとしては―――

・ビルドのフルボトルを製作可能かもしれない。それらによる万能性。

・記憶及び外見操作能力

・憑依能力

・仮面ライダーエボルとしての戦闘力

 

こんな所か?

 

144:ヒロアカエボルト

すいません、自分がやらないといけない事なのに……

 

145:纏め役の転生者

気にするな。ショックな時は素直に誰かに相談して頼れ。

キアラネキだって凄いショック受けてたし。

 

146:光の国の戦士

あの時は凄かったですよね荒れ方。

 

「なんでキアラなのよぉおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

ジョジョ的な事になってましたし

 

147:ヒスイの調査兵

立ち直るのに時間もかかってたし俺達もよく愚痴を聞いてたりして、ようやく立ち直ってたしな。

 

148:無法地帯の料理人

寧ろ、そう言う時に頼るのがこの掲示板だもんね。

 

149:IS世界のメンタルセラピスト

なんかあったら直ぐに呼んでくれ。メンタルセラピストとして力になるぜ

 

150:円卓の鬼

>>149

お前じゃねえ、座ってろ。

 

151:IS世界のメンタルセラピスト

何でや!!

 

152:青春学園の熱血教師

イッチの好感度上げようって魂胆が見え見えだぞ学園で人気ナンバーワンセラピスト。

 

153:超次元中学生

どこぞのワンサマーのバカっぷりのせいで胃を痛めてる生徒会長慰めて

惚れられてんだからそれで我慢しろ。

 

154:IS世界のメンタルセラピスト

勝手に部屋に侵入してきて裸エプロン待機する痴女とかごめんだわ!!

俺は普通の相手と恋愛したいんだ!!

 

155:クトゥルフ系狩人

イッチには悪いけどさ、エボルトの力持ってる人って普通の相手判定で良いのか?

 

156:ヒロアカエボルト

同じ事思いました。

 

157:IS世界のメンタルセラピスト

大切なのは、ハートだろ!!

 

158:ヒスイの調査兵

おう。だったら裸エプロン生徒会長のハートを尊重してやれや。

 

159:纏め役の転生者

ラドンもそうだそうだといっています。

 

 

 

掲示板でのやり取りは極めて救いになった。この力は本当に嫌だが……受け入れなければ何時まで経っても前に進めない。そうだ、元々仮面ライダーはショッカーのバッタ男だった。それをヒーローへと変えたのは正義の心だ。ならば自分も……それをやるしかない。

 

エボルドライバー!

 

意識するだけで出現するそれと手の中に現れる二本のボトル、苦虫を噛み潰しながらもそれを装填する。

 

COBRA(コブラ)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

 

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

 

覚悟は良いか、その言葉に思わず手が止まりそうなる。だがそれを必死に飲み込みながらも決死の覚悟で彼は叫んだ。

 

「―――変身!!」

 

COBRA! COBRA! EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

 

「エボル、フェーズ1……!!」

 

生誕した災厄の擬人化と言ってもいい星を滅ぼす化身。仮面ライダーエボル、それを正義の為に使うと誓うが……同時に頭の中に溢れて来たのは……今居る地球を如何すれば効率よく滅ぼす事が出来るのか、そのプランだった。

 

「……最悪の、仮面ライダーだ……!!」




エボルの頭部にはマスタープラニスフィアという測位装置が存在する。

降り立った天体の構造を把握し、効率よく滅ぼすためのプランを提案するという物騒極まりない機能が搭載されているのでイッチはそれを体感し、この力を正義の為に使う難しさを知った。


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3スレ

頭の中に溢れ出して行く星を滅ぼす為の手段と計画、如何すれば効率的に破滅を迎える事が出来るのかが常にはじき出され続けていく。同時に視界内にある物全てには様々な情報が映し出されていく。破壊活動を妨げる敵を排除するため、抵抗する生命体や戦闘マシンを速やかに索敵していく。

 

「つくづく……破壊活動に特化してる」

 

そんな風に毒づいてしまう程度にはエボルの力は途轍もない上にヒーローに向かない。人間を見れば個性を脅威として判別しつつも、その個性が発揮できるエネルギーを計測して脅威度を映し出す事さえ可能であり、危険であった場合はロックオンされて例え視界から離れたとしても何処にいるかを把握出来るようになっておりこれは変身している間、常に把握出来るようになっている。

 

―――星一つを相手取る事を可能とし、その為の機能がある。それがエボルの力。

 

「こんな力を、本当に俺は制御出来るのか……?」

 

 

31:ヒロアカエボルト

みたいな感じでした。

 

32:無法地帯の料理人

オッツねイッチ。というかやっぱりエボルトの力って半端ねぇな……

 

33:クトゥルフ系狩人

怪人相手とかじゃなくて、星一つが戦う相手っていうのかがまずやべぇ

 

34:光の国の戦士

そうですね……かなりやばいです。

って私が言っても説得力ないか……

 

35:青春学園の熱血教師

>>34

まあウルトラニキが戦っている相手は星滅ぼすの余裕な連中ばっかりだからね。

寧ろエボルトはウルトラシリーズクラスとも言える。

 

36:ヒスイの調査兵

んでどうよイッチ。これでマジでヒーロー目指すん?

 

37:ヒロアカエボルト

……自信、無くしそうです。

 

38:円卓の鬼

おいおい……そこは頑張りますっていう流れだぜ?

 

39:超次元中学生

そうだ、こっちはエイリアとかいって宇宙人名乗って黒歴史量産しまくった子も居るんですよ!?

今も弄られて悶絶しまくってるんですよ!!主に俺が弄ってます!

 

40:無銘の転生者

お前が原因じゃねえか!!

 

41:無銘の転生者

やめたげてよぉ!!

 

42:普通のカウンセラー

いけませんよぉ、余り弄り過ぎちゃ。

上手く立ち直るお手伝いをしてあげなきゃ。

 

43:無銘の転生者

>>42

おっ?

 

44:無銘の転生者

>>42

これは、もしやもしや?

 

45:光の国の戦士

お久しぶりですねぇ

 

46:無法地帯の料理人

随分久しぶりだなぁ!!

 

47:クトゥルフ系狩人

キアラネキ!!キアラネキじゃないか!!

 

48:円卓の鬼

マジのセラピストが来たな

 

49:IS世界のメンタルセラピスト

テラニーニストが何が普通をほざくか。

 

50:普通のカウンセラー

>>49

やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

それは私じゃないんだぁぁぁぁぁぁ!!!私はそんな趣味はないんだぁぁ!!!

 

51:無銘の転生者

ワロタww

 

52:纏め役の転生者

その辺りにしといてやれ。ネキだって苦労してるんだ。

 

53:ヒロアカエボルト

え、えっと……もしかして此方が前に聞いた?

 

54:纏め役の転生者

そうだぞイッチ。殺生院キアラに転生しちゃったネキだ。

原典と違って超常識人な上にマジのカウンセラーとして活躍中だ。

 

55:普通のカウンセラー

ううっ……初めまして。殺生院キアラになっちゃった系のネキです……。

 

56:ヒロアカエボルト

ど、どうも……え、えっとその……こ、声は良いですよね!!

艶と色気があって!!凄い色っぽくて大人のお姉さんとしては極上というか……!!

 

57:無法地帯の料理人

無難な所を褒め始めた……!!

 

58:青春学園の熱血教師

中の人の褒め始めた……!!

 

59:超次元中学生

まあ実際声は最高だしな。作中の行いがあれすぎるせいであれだけど。

 

60:普通のカウンセラー

>>56

―――いい子!!超いい子!!そう、この身体の良い所って声位しかないのよ!!

私ハッキングとか魔術とか全然分からないしどんな風に生きて行った良いのか分からないからこの声で生きていくしかなかったのよ!!

 

61:無銘の転生者

なんか、すげぇ切実だ……。

 

62:IS世界のメンタルセラピスト

いや、なら声優っていう道もあったろ。

 

63:普通のカウンセラー

緊張して噛みまくる私がなぁぁぁ!!声優なんて出来る訳ねえだろぉおおおおお!!

 

64:無法地帯の料理人

御大将はお帰り下さい。

 

65:普通のカウンセラー

それでこの声を活かして、人の話を聞いてあげて苦しみを共有して前に進める様なカウンセラーとして相談所開設して何とかやってるわ。

声にうまく着目出来なかったら転生直後に自殺する所だったわよ……。

 

66:円卓の鬼

おうふ……やっぱり、そう言う系なのね……

 

67:ヒスイの調査兵

俺も似たようなもんだよ。俺ヒスイ地方で調査兵やってたけど、村追い出されてからマジで絶望したもん

調査兵団に入れる位の身体能力と立体機動装置があったから何とか生きられたけど

 

68:光の国の戦士

そう言えばヒスイニキも絶望的な状況でしたね……

 

69:ヒスイの調査兵

まあな……でも、なんか気付いたらコギトさんと結ばれて幸せです!!

 

70:IS世界のメンタルセラピスト

>>69

いやなんでだよ!!?お前ショウとかテルのポジだろ!?

だったらショウちゃんは如何した!?何でコギトさん!?

 

71:ヒスイの調査兵

親分ポケに殺されかけた時に助けられて手当して貰った。

それで夜になると決まって怖くなって震えてたら抱きしめてくれてさ……それで時空の裂け目の一件解決したら独立してコギトさんの所に行った。

それでまあ……そのまま成り行きで

 

72:普通のカウンセラー

そりゃ結ばれるわよね……絶望的な状況下だと本当に何か救いがあるとそこにどっぷりになっちゃうし。

 

73:無法地帯の料理人

そりゃ落ちるわ。実際コギトさん美人だし。

 

74:クトゥルフ系狩人

結構な年の差カップル?

 

75:ヒスイの調査兵

>>74

いや言葉遣いが古めかしいからそう見えるけど若い

31だっていった。俺だって18だし

 

76:超次元中学生

えっ最高じゃんその年ごろとか女が最も美しい時じゃん。

 

77:ヒスイの調査兵

だろ。だから毎日幸せで一杯。

それで夜も……うへへへ

 

78:普通のカウンセラー

幸せならOKよね!!

 

79:纏め役の転生者

大分脱線したな。取り敢えずイッチ、

こんな感じに絶望的な状況でもなんとか出来る事はある。キアラネキやヒスイニキが証拠だ。

決してあきらめるな、お前がエボルトの力を正義に導け。

 

80:ヒロアカエボルト

……何とか頑張ってみます。取り敢えず出来るだけエボルに変身して力の練習をしようと思ってます。

 

81:IS世界のメンタルセラピスト

おうその意気だイッチ!!それに思い出せ、ファイズだって元々は王の守護が目的だったろ。

 

82:青春学園の熱血教師

あ~あったなそう言えばそんなの。んで王の守護が目的だから

反乱分子のオルフェルクを処刑する為に倒せる敵なあれだっけ

 

83:無銘の転生者

確かそんな感じの筈。

 

84:円卓の鬼

破壊出来るなら破壊から守る事も出来るって話だな。

 

85:光の国の戦士

オーズでもありましたね。破壊者を守護者に変えるって。

難しいとは思いますが、優しさを持って力を振るえば悪になって落ちません。

ウルトラマンが保証しますよ。

 

86:クトゥルフ系狩人

流石警察も軍もない位には聖人ばっかりのぐう聖種族。

説得力が違うぜ。

 

87:IS世界のメンタルセラピスト

あれ、ベリアル陛下とトレギアは……

 

88:普通のカウンセラー

>>87

その二人は突然変異だからノーカン。

長い歴史を考えれば私達人間よりずっと説得力あるわよ。

 

89:ヒロアカエボルト

皆さん……はい、俺頑張ります!!

これからも此処で色んな事をご相談させて貰ってご迷惑をお掛けすると思いますが、宜しくお願いします!!

 

90:ヒスイの調査兵

応!!絶望的な転生仲間は放っておけないからな!!!

 

91:無法地帯の料理人

イッチの人生ですからね、自分で決める為に頑張ってください。

 

92:クトゥルフ系狩人

発狂したら言えよ、治してやるから。

 

93:普通のカウンセラー

人生相談ならお任せよ~

 

94:IS世界のメンタルセラピスト

此処にもセラピストはいるぞ!!

 

95:円卓の鬼

そうだそうだ、戦闘なら任せろ!!俺なんか暴れすぎて

ギアス世界なのに円卓の鬼神って言われちゃってるぞ!!

 

96:纏め役の転生者

>>95

よう相棒、それはな自業自得って言うんだ。

んじゃヒロアカで頑張るなら雄英への入試対策だな。

 

97:無銘の転生者

イッチ、入試まで後何日ぐらい?

 

98:ヒロアカエボルト

えっと……あと3週間ぐらいですかね。

 

99:無銘の転生者

―――ハッ?

 

100:普通のカウンセラー

一か月切ってるぅぅぅぅぅ!!!?

 




スレにいる転生者紹介

・ヒスイの調査兵
Pokémon LEGENDS アルセウスに転生した。
特典は進撃の巨人の調査兵団に入れる身体能力(リヴァイには劣る)と立体起動装置。
主人公の立ち位置だったが、ストーリーと同じ流れで村を追放された後にコギトに助けられる。
その後、ウォロをぶっ飛ばして事件を解決して現在はコギトと結ばれて幸せに暮らしている。
コトブキ村?知るか!!との事。

・普通のカウンセラー
Fateシリーズの殺生院キアラに転生した。
イッチと違い、一番嫌いなキャラ自身になってしまった事に絶望するが何とか立ち直って現在は良い声を活かしたカウンセラーとして活躍中。
尚、転生先は蒼穹のファフナー。プロ島民兼カウンセラー。


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4スレ

18:無銘の転生者

なんかあっという間でしたね。

 

19:無法地帯の料理人

唐突に入試まで3週間とか言い出すからなぁイッチ

 

20:無銘の転生者

あれから毎日エボルに変身してたけど、なんとかなるもんなのかな。

俺ヒロアカ全然知らんけど。

 

21:クトゥルフ系狩人

ぶっちゃけ俺も知らん。

 

22:円卓の鬼

俺がおぼろげ……

 

23:普通のカウンセラー

こんな時には纏め役に聞きましょう!

 

24:纏め役の転生者

便利屋扱いするな全く……

イッチが受験するのは国立雄英高等学校、通称雄英。

No.1ヒーローになる為にはこの高校に入学し、卒業しなければならないと言われる登竜門。

入試倍率は300倍と超難関。原作主人公の緑谷出久が受験した時の偏差値も79だ。

 

25:無銘の転生者

ああ、俺には無理ですね。

 

26:無銘の転生者

俺もムリムリムリポー

 

27:IS世界のメンタルセラピスト

なんだ、ウチより簡単だな。

 

28:青春学園の熱血教師

世界中から生徒が集まる所と一緒にすんな。

 

29:光の国の戦士

すいません、私もマシだと思っちゃいました……。

 

30:普通のカウンセラー

まあ、光の国は人口とか考えたら……ねぇ。

 

31:ヒスイの調査兵

ギンガ団のとは比較しようないか……あ~あ、コトブキ村行きたくねぇな~

 

32:無法地帯の料理人

折り合い悪いんだっけ?

 

33:ヒスイの調査兵

デンボクのくそ爺が戻って来てくれってうるさいの。

俺はもうギンガ団とは関係なしにコギトさんとイチャコラしながら生活してるのに。

 

34:クトゥルフ系狩人

モげろ。

 

35:円卓の鬼

地獄に落ちろ。

 

36:IS世界のメンタルセラピスト

くたばれ。

 

37:無法地帯の料理人

>>36

お前は良いだろ、裸エプロン生徒会長いるだろ。

 

38:IS世界のメンタルセラピスト

あんなの嫌だぁぁぁぁぁ!!俺はイッチと一緒になるんだぁぁぁぁ!!

 

39:光の国の戦士

キアラネキ、発狂者でたので精神分析お願いします。

 

40:普通のカウンセラー

YAMA育ちの精神分析(物理)が唸るわよ?

 

41:IS世界のメンタルセラピスト

すいませんでした調子こきました。

 

42:円卓の鬼

YAMA育ち処か、竜宮島とかいう地獄育ちなんだよなぁ……

 

43:クトゥルフ系狩人

ホントよく生きてたよキアラネキ

 

44:普通のカウンセラー

いやぁ7回位死に目にはあったわよ。

でも、今は平和よ。

 

45:無法地帯の料理人

竜宮島が舞台だとその言葉がフラグにしか聞こえねぇ……。

 

46:無銘の転生者

同じく……。

 

47:ヒロアカエボルト

実技試験の説明嬉々終わりました、直ぐに始まるっぽいです。

 

48:無銘の転生者

おっ!!イッチがインしたお!!

 

49:無銘の転生者

キャ~イッチ~!!

 

50:IS世界のメンタルセラピスト

結婚しよう。いやマジで。

 

51:光の国の戦士

マジで最近何かありました?

 

52:IS世界のメンタルセラピスト

……俺は唯、真面目に相談に乗ったりメンタルケアをしてただけなんだ……。

 

53:普通のカウンセラー

ああ……これは誰か落としたわね?

 

54:円卓の鬼

それが問題児だったか。

 

55:無法地帯の料理人

因みに誰?

 

56:IS世界のメンタルセラピスト

ラウラ・ボーデヴィッヒ……朝起きたらベットの中に……ベットの中に……中に……!!

 

57:ヒロアカエボルト

なんか、クトゥルフニキよりよっぽど神話体験してません?

 

58:クトゥルフ系狩人

窓に窓に、じゃなくてベットに、ベットには新鮮だなwww

 

59:ヒスイの調査兵

もう諦めて誰か受け入れろよ。取り敢えずイッチは除外で

 

60:IS世界のメンタルセラピスト

>>59

嫌だぁよぉ!!職権乱用変態痴女と銀髪軍人眼帯変態幼女とか救いがねぇよ!!

 

61:無銘の転生者

言葉にすると属性盛り盛りだなおい。

 

62:青春学園の熱血教師

とりま、今はイッチの実技試験に注目だろ。

というか実技試験って何やんの?

 

63:纏め役の転生者

・制限時間内に市街地を模した演習場で仮想敵を倒していく。

 

・仮想敵は強さに応じてポイントが割り振られたのが多数。ドッスン的な0ポイントの妨害仮想敵もいる。

 

・他人への妨害などアンチヒーローな行為はご法度。

 

・アイテムの持ち込みは自由。

 

大体こんな感じだったかな。頭が良いだけじゃヒーローは務まらないって事だ。

 

64:青春学園の熱血教師

>>63

纏めニキ感謝!!感謝だけど……試験でこんなことするのか。

 

65:ヒスイの調査兵

ヒーローを目指すって大変なんだな。

 

66:超次元中学生

イッチ大丈夫?戦えるのか?

 

67:ヒロアカエボルト

大丈夫、だと思います。あれからエボルに変身しまくって一応慣れたつもりです。

 

68:光の国の戦士

では、その成果を見せて貰うとしましょうか。

 

69:ヒロアカエボルト

あっはい、ライブ配信モードですね!!

えっと、こうして―――こうか!!

 

70:『システム』

ヒロアカエボルトからライブ配信モードの要請を検知。

受諾、モード移行を実行します。

 

 

 

 

「見ててください皆さん、俺の―――変身を」

 

掲示板から意識を回復させたイッチ―――石動 星辰。周囲には同じようにこの雄英入学を目指している受験生たちが大勢いる。緊張してきた、此処で自分の運命が、決まっていく。そう思いながらも星辰は意識を集中させてドライバーを出現させる。

 

エボルドライバー!

 

「うおっ何だそれ!?」

「すいません、ちょっと個性発動させるので下がって貰っても良いですかね」

 

突然の言葉に何だ何だと言われながらも個性には変身系の物もあるのでその辺りも理解が深い為か皆下がっていく。こういう所は有難い、そう思いながらもその手に二本のエボルボトルを生成する。そしてそれをスロットへと装填する。

 

COBRA(コブラ)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

 

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

レバーを力強く握り勢いよく回して行く。それと同時に流れ出して行くのは交響曲第9番第4楽章・歓喜の歌のようなサウンド、それと同時に星辰の前後を取り囲むようにエボルボトルからEVライドビルダーが形成されていく。

 

「な、なんだこれ!?」

「どんな個性だよあいつ!?」

「個性なのかよこれ、どっちかと言ったらアイテムなんじゃ……」

 

と様々な事を言われているのが星辰は全く気にしない。着々と進んでいくシークエンス、前後のビルダーにハーフボディが完成し問われる。

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

 

それに対する問いなんて決まっている、お前を纏う覚悟は既に出来ているんだから。

 

「―――変身!!」

 

その言葉と共にビルダーは一気に中心にいる星辰へと向かって行く。そして天球儀のように回転しながら組み合わさる事でその肉体を完成させていく。

 

COBRA! COBRA! EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

 

フッハハハハハハ!!

 

「エボル・フェーズ1……!!」

『へ、変身したぁぁぁぁぁ!!!』

 

個性で変身系のものは知り尽くされている、それでも此処まで派手な変身をする個性は知られていない。故かエボルへの変身は凄まじく注目を集めた。が―――

 

『はいそれじゃあ実技試験スタート!!!』

 

司会進行の役目を担っているヒーロー、プレゼント・マイクが試験開始の合図を上げた。確りと反応出来た他の受験生と共に、星辰は地面を蹴って一気に飛び出していった。図らずもほかの受験生の邪魔をした事になるが、この位の事で意識を乱されるようでは甘いと誰かが一喝する。

 

『標的捕捉!ブッ殺ロス!!』

 

そこら中から飛び出してくる緑色の装甲の仮想敵、装甲にペイントされた数字がポイント。あれを倒して行けばいい仕組み、だが戦えるのか。変身して力の使い方の練習はしたが戦えるのか―――と不安に思った時だった、エボルが教えて来た、目の前の脅威への対処法を、如何倒せばいいのかを。

 

「(普通なら嫌がる、けど……嫌がるだけじゃきっと前に進めねぇ……キアラネキだって自分の良い所を見つけて進んだ。俺だって、俺だって……!!!)」

 

力を籠める、そして迫ってくる仮想敵に―――腕を一振、一撃で仮想敵を粉砕出来た。

 

「ぶっ殺す?使うならぶっ殺したにしとけポンコツ共!!」

 

 

75:無銘の転生者

おおっ!!イッチがロボブッコした!!

 

76:無銘の転生者

流石腐ってもビルドのラスボスだな!

 

77:無法地帯の料理人

いや、というか何あれ。ロボヴィランを引き寄せたりしてる!?

 

78:纏め役の転生者

エボルの腕部・脚部「メナスラッシュアーム・レッグ」には運動能力を引き上げる効果だけじゃなくて

物体を操るオーラを放って相手を離れた敵を拘束して引き寄せたり、高速移動まで出来るからな。

それを使ってるんだろ。

 

79:光の国の戦士

ライダー系にあるあるな劇中だと披露されない詳細能力って奴ですね。

 

80:普通のカウンセラー

あっ背後からの不意打ち喰らいそうな女子を助けたわよ!!

 

81:ヒロアカエボルト

「無事ですか?」

「あ、ありがと……」

「お互い様って奴だ、それじゃあな、Chao!!」

 

82:円卓の鬼

チャオ!!頂きました。

 

83:クトゥルフ系狩人

なんか、大っ嫌いとか言いつつもエボルトっぽいムーブはするんだな。

 

84:ヒスイの調査兵

折り合いをつけたんじゃない?ある程度そう言うことしないと持たないだろうし。

 

85:IS世界のメンタルセラピスト

キアラネキみたいなもんかね、声は良いからそれ生かそうみたいな。

 

86:普通のカウンセラー

なの、かしらね……人に言われると複雑だわ。

 

87:ヒロアカエボルト

『ブッ殺』

「ウゼェ!!」

 

88:青春学園の熱血教師

おおっ!?なんか剣でぶった切ったぞ!?今度は銃で撃ち抜いた!!

 

89:纏め役の転生者

トランスチームガンとスチームブレードか、というかそれも一応持ってたのか。

 

90:ヒスイの調査兵

というか纏め役ニキ凄い詳しいな。

 

91:纏め役の転生者

ライダーは男の嗜みだ、特撮は嫌いじゃないんでね。

 

92:円卓の鬼

それでも細かな機能まで網羅はあんま居ないと思うけど……。

 

 

 

市街地を模している試験場、適当なビルの上へと上がって獲物を探す星辰。エボルの力も活用しつつ仮想敵を探している時、突然背後から爆音と共に煙が上がった。勢い良く振り向いて視線を向けた先には……ビルを容易く上回る程の巨体を持つロボがいた。

 

「でかっ!?」

『YES!!そのデカいのが妨害仮想敵の0ポイントヴィランだ!!速く逃げないと潰させるぜ~!!?』

 

何処かにマイクでもあるのか星辰の言葉に反応して聞こえてくる声。0ポイントの名前の通り、これを倒してもメリットはない、時間を無駄に浪費するだけ。だが―――星辰には大きなメリットがあった。

 

「(ポイントは大体60は稼いでた筈……だったら、試したい。このエボルの必殺技の威力を……!!)」

 

仮面の下で何処か笑みを浮かべながらも星辰はレバーを回して行くと、それと同時に地面には空に浮かぶ星空のようなフィールドが展開されていく。その中心に立つ星辰は身体中に漲っていく力を感じつつも、それらを脚へと集中させていく。それを行っている時、0ポイントヴィランは此方を狙っているのか腕を伸ばして来るが、同時にエネルギーの収束が終了する。

 

READY GO!!

 

EVOLTECH FINISH!!

 

「そうらぁぁぁぁぁ!!」

 

ビルを力強く蹴る、余りの強さにビルの屋上が吹き飛ぶがそんな事は一切気にしない。ロボの腕を回避するように宙を疾走しながらもエネルギーが収束された右脚をロボへと向けて放つ。必殺の一撃はロボの装甲を一瞬で消し飛ばし、そのままロボを完全に貫通していく。そしてそのボディに巨大な風穴を空けて、向かい側のビルに星辰が着地した時―――

 

CHAO!!

 

まるで相手を嘲笑うかのように別れを意味する言葉が告げられると、エネルギーが一瞬でロボの全身へと回って各部を爆発させながらもビルを巻き込むようにしながら倒れこんで沈黙した。それと同時に試験終了のアナウンスが響き渡った。

 

「これがエボルの力……これで全力には程遠いんだよな……おっかねぇ……」

 

そんな言葉を呟いてしまったが、星辰は掲示板から聞こえて来たニキネキ達の大歓声と興奮の声に深呼吸をしてから応えるのであった。




スレにいる転生者紹介

・IS世界のメンタルセラピスト
インフィニット・ストラトスに転生した。
特典はお金に困らない金運。
元から聞き上手だったのでメンタルセラピストの道を歩んでいたら、何時の間にかIS学園勤務になっていた。容姿も悪くない上に相談に乗ってくれるので生徒達からは大人気。
更識 楯無とラウラ・ボーデヴィッヒから好意を寄せられるが本人的なノーセンキュー。
同性愛に対しての偏見はない、というかなんだったら無機物や二次元への愛も否定しないタイプ。


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5スレ

入試から1週間。石動 星辰は特に焦る事もなく結果が来るのを待ち続けていた。理由としては自己採点で実技では60点のヴィランを稼ぐ事が出来ていたと掲示板で報告した所、それならば合格は確実だろうという返答が帰ってきたから。それと果報は寝て待てとも言うのでのんびり待とうと思っている。

 

「お~い星辰ちょっと手伝ってくれ~!!」

「またかよ~……父さんも少しは覚えてくれよ」

 

聞こえて来た父の声にまたかぁと溜息を漏らしながらも部屋を出ると自分用のエプロンを装着して下へと降りていく。星辰の自宅の一階部分はカフェスペースとなっていて父である石動 惣一がマスターをやっているカフェ『nascita』がある。星辰はそこで看板息子的な存在になっている。

 

「だってお前が作った方がお客さんの受けが良いんだからしょうがないだろ~?」

「ったく……はいご注文は何でしょうか?」

「それじゃあnascita特製ケーキを3つ!!」

「畏まりました、クリームの量などは如何します?」

「お任せで!!」

 

父、惣一の淹れる珈琲は話題に上がる程度には絶品で中々に繁盛している。そして何処か中性的で長い髪が特徴的な星辰という看板息子の存在もあってカフェには多くのリピーターがいる。星辰は基本的にスイーツ系を担当していて其方の腕前も中々な物。

 

「nascita特製ケーキ、右からいちごにブルーベリーにマンゴークリーム乗せとなっております。マンゴーは新作ですので是非ご意見をお願いしますね?」

『勿論!!』

「ではごゆっくり」

 

そう言いながらキッチンに入って洗い物をし始める星辰に対して珈琲のお代わりの注文を貰ったので追加を淹れる惣一が何処か悪い顔をしながら言った。

 

「いやぁ~本当に星辰のお陰で本日もナシタは大繁盛だよ、これでコーヒーも確り淹れられたら安心して留守番も任せられるんだけどなぁ~」

「ウグッ……」

 

惣一には料理も仕込まれているので基本的に何でも出来る星辰だが……唯一出来ない事がある、それが珈琲を美味しく淹れる事が出来ないという事。何故かと言われると理由は全く分からないが、恐らくエボルトの力を持っている影響で無意識的にブラックホールに近づけようと黒さを追求するというのが出てしまって美味しく淹れられない。

 

「何で珈琲だけ美味く淹れられないんだろうな?」

「俺が知りたいよ……」

「そんなんじゃ俺の跡を継いでマスターなんて出来ないぞ?」

「いいよ別に……その時は紅茶メインの店に変えるから」

 

そんな事もあって星辰は基本的に自分で用意する時は紅茶派、誰かに淹れて貰う時は珈琲なので嫌いという訳ではない。兎も角仕事を続けていると―――何か郵便が来たのか惣一が其方へと行く。その間に接客などをしていると惣一が大慌てで戻って来た。

 

「せ、せせせせせっ!!!」

「何だよ騒がしい」

「来たぞ星辰!!雄英から!!!」

 

それを聞いて思わず間抜けな声を上げそうになった、息を乱したまま差し出してくる雄英のマークの封蝋が成されているそれを受け取る。この中に自分のこれからの運命が記されている、きっと大丈夫だと思っても不思議と緊張する。

 

「悪いけどちょっと上がる」

「あ、ああ……結果は、ちゃんと教えてくれよ……?」

 

何処か不安そうな表情をしている惣一を無視して二階へと上がって自室に入り鍵をかけて完全な個室に一人になる。結果を見る時は一人でと決めている、まあ正確に言えば一人ではないのだが……

 

 

 

 

21:ヒスイの調査兵

それで最近は畑も作ってるんですけど、ランドロスとシェイミのお陰で豊作過ぎてやばいです。

身体にも良いのか益々コギトさんが綺麗になっていく。

 

22:青春学園の熱血教師

豊穣神と土壌を浄化するポケモンタッグかよwww

 

23:無銘の転生者

どんな荒れ地でも豊かな土地に変えそうwww

 

24:無法地帯の料理人

いいな~俺も農業やりたいけど土地がなぁ~

 

25:超次元中学生

でも食材とか料理自在なんでしょ?

 

26:無法地帯の料理人

そうだけどやっぱり一から育てて収穫っていう感動には劣るんだよ。

 

27:クトゥルフ系狩人

シュブ=ニグラスから貰った種使う?

 

28:円卓の鬼

それはそれで怖くね?

 

29:ヒロアカエボルト

皆さ~ん今大丈夫ですか、雄英から結果が届きました。

 

30:IS世界のメンタルセラピスト

イッチが来たと聞いて!!

 

31:無銘の転生者

うわ出た

 

32:無銘の転生者

反応速すぎて芝も生えない。

 

33:無銘の転生者

寧ろキモい。

 

34:普通のカウンセラー

あらっ来たのね結果。結構緊張するわよねこういうの。

 

35:纏め役の転生者

取り敢えず見てみよう、イッチ頼む。

 

36:『システム』

ヒロアカエボルトからライブ配信モードの要請を検知。

受諾、モード移行を実行します。

 

 

「よし、開けるぞ……!!」

 

何処か緊張しているのか、そっと封蝋を剥がしつつ封筒を開けようとする手付きは震えていた。そして中を出してみるとそこには何枚かの書類と小さな機械のような何かが出て来た。

 

「何だろ……これ?」

 

『私がぁぁぁぁぁッ投影されたぁ!!!』

「オールマイトォ!!?」

 

機械から溢れた光は壁に映像を映し出し始めた。其処に映っているのは―――№1ヒーローとして名高いオールマイトの姿だった。

 

 

37:IS世界のメンタルセラピスト

驚いてるイッチ可愛い、尊い……ってなんだよこの筋肉モリモリマッチョマンの変態はぁ!!

 

38:普通のカウンセラー

>>37

シンプルにキモいわよ貴方……。

 

39:超次元中学生

>>37

早く会長かラウラに喰われてしまえ。

 

40:無銘の転生者

んでこの人なんぞ?俺ヒロアカ全然知らんの。

 

41:D×D風紀委員長

>>40

この人はヒロアカにおけるチートの一角、№1ヒーローのオールマイトですよ。

原作スタート時点で既に全盛期は遥かに下回っているのにも拘らず、作中最強と言える存在です。

 

あっどうも、掲示板初見な委員長です。

 

42:無法地帯の料理人

説明乙、&初見さんいらっしゃい。

 

43:ヒスイの調査兵

ゆっくりしていってね!!

 

44:クトゥルフ系狩人

何気にD×Dなのな。

 

『何故私の映像が受験生の通知に入っているかって驚いてるよね?実は、この度オールマイトは今年度から雄英高校に教師として赴任することになったからだよ。だからこうしてご挨拶をしてるって訳さ♪』

 

「な、成程……」

 

 

『それで石動 星辰少年、君の試験結果を発表しよう。筆記試験の正答率は8割以上、勿論合格ラインだ。そして実技試験だが―――君が獲得した敵ポイントは68ポイント!!MARVELOUS!!実に素晴らしい!!この時点で君の合格は決定づけられたような物だ!!だがしかし、実技で見ていたのはそれだけではない!!先ずは此方のVTRをどうぞ!!』

45:無銘の転生者

すっげえノリノリだなオールマイト

 

46:超次元中学生

まあエンターテイナー自称してるしな。

 

47:普通のカウンセラー

それでこの映像って……イッチが試験中に他の受験生を助ける場面、よね?

 

『実技には審査制の人命救助ポイントもあったのさ!!人助けを、正しい事した人間を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ!綺麗事?上等さ!!ヒーローってのは命懸けで綺麗事を実戦するお仕事だ!!』

 

「そうか、あれは正しかったんだ……」

 

『そう、正しく君の行動は素晴らしかった!!そして君は一切迷う事もなくOポイントヴィランへと向かって行った!!あの行動こそ、ヒーローとして最も評価出来る点だ!!目の前に迫る強大な脅威の速やかな排除、それは即ち人命を救う事にも該当する!!』

 

48:無法地帯の料理人

0ポイントヴィランは相手にするだけ邪魔って言っておきながらポイント入るのか。

意地が悪い事。

 

49:青春学園の熱血教師

それこそヒーローとしての心持が本当にあるのかの判断基準なのかもね。

 

50:普通のカウンセラー

受験という枠組みだけじゃなくて、普段から出来るのかを図ろうとしたのね。

 

『という事で石動少年にはレスキューポイントが60ポイント!!即ち、君の合計ポイントは128ポイント!!ブッチギリの首席合格だ!!さあ来いよ少年雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ!!』

51:ヒスイの調査兵

お~分かっちゃいたけど首席合格か~

 

52:IS世界のメンタルセラピスト

祝え!!!イッチの首席合格を!!!

 

53:無銘の転生者

祝え!!

 

54:D×D風紀委員長

祝え!

 

55:無法地帯の料理人

帰れウォズ共www

 

56:クトゥルフ系狩人

兎に角おめでとうイッチ。これからが本番だな。

 

57:ヒロアカエボルト

ええ、頑張って行きます。それじゃあすいません、父さんに結果見せてきます。

 

58:IS世界のメンタルセラピスト

行ってら~お義父さんに宜しく~

 

59:普通のカウンセラー

おいちょっと待ちなさいよ。

 

60:纏め役の転生者

字、字!!!

 




スレにいる転生者紹介

・D×D風紀委員長
ハイスクールD×Dに転生した。
特典はREBORNの雲雀 恭弥の外見&戦闘能力と死ぬ気の炎。
駒王学園で風紀委員長を務め、学校だけではなく街の風紀もよくするために奮闘中。
原作主人公のイッセーとは壊滅的に仲が悪く、本気で退学にしてやろうと画策中。



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6スレ

手の中に意識を集中させながら一本のボトルを生成しようとする、エボルトの力は正直気に喰わないがこの力でまもれる命があるのだと思えば自分の気持ちなんて捨て置ける。そんな思いを抱きつつも意識を出中しながらも力を集めて行く、次第に身体からエネルギーが気体へと変化して掌の中へと集まっていく。そして徐々に物質へと変化していくのを感じる。

 

「イメージだ、イメージを強く―――!!」

 

頭の中で強く念じる、このままなら確実に……そう思った途端に掌になったものは弾け飛んだ。その反動と衝撃は凄まじく自分自身も壁へと叩きつけられてベットへと落ちてしまった。

 

「ぐっ……駄目か……」

 

痛み身体を必死に引き起こしながら手の中にあったものを確認する、そこにあったのは確かに自分が作ろうとしたものではあったがこれではない。自分が変身に使っているエボルボトルと同じボトル状のアイテムだが……これはエボルボトルではなく通常のフルボトル、ドラゴンフルボトルがそこにあったのだ。

 

「これはこれで、良いのかもしれないけど……まだまだ未熟って事なのかな……」

 

フルボトルはフルボトルで活用方法はあるが、これを作りたかったわけじゃない。だがこれはこれで重要な情報を得られた事にもなる前向きに捉える事にした。

 

「星辰如何した~なんか凄い音したけど!!?」

「悪い何でもない、派手にベットから落ちただけ」

「いや派手過ぎない!?」

 

下の方から聞こえてくる父の悲鳴に近い声、まああれだけ壁に叩きつけられた音がしたんだから心配するのも当然だろう。取り敢えず下に降りよう、これ以上に父を心配させるのも悪い。

 

「忘れ物ないか?」

「ないよ」

「個性の調子は?」

「バッチリだよっつうか朝っぱらのあれは個性のテストしてああなった」

「やっぱりかよ~、まあいいか。男の子なんだからその位元気な方がいいよな!!」

 

何処か嬉しそうに笑ってくれている父の姿に星辰は嬉しさを感じつつも玄関の扉を開ける。今日から自分は高校生だ、前世でも一番楽しかったと思えた学生時代だ。此処ではどんな風に過ごせるのか正直楽しみでもある。

 

「んじゃ行ってこい!」

「ああ、行って来るよ」

 

 

21:D×D風紀委員長

あんのくそ変態がぁ……!!女子更衣室を覗きをやりやがったんですよ!!

 

22:無銘の転生者

流石イッセー、というか変態三人組か

 

23:無銘の転生者

その行動力を他に回せと言わざるを得ない。

 

24:無法地帯の料理人

風紀ニキにも本当に苦労してるなぁ……

 

25:超次元中学生

いや、アンタも人の事言えんでしょ。

 

26:青春学園の熱血教師

ロアナプラで料理人だもんな。悪魔関係入れたとしてもよっぽど危ないと思う。

 

27:無法地帯の料理人

案外大丈夫ですよ。俺はホテルモスクワと三合会と協定結んでますから。

 

28:円卓の鬼

……如何やって?

 

29:青春学園の熱血教師

バラライカと張維新に気に入られたって事かそれ!?

 

30:無法地帯の料理人

気に入られたというかなんというか……俺の特典使って料理店出してたんですけど

繁盛してるのに仕入れとかしてないから疑いを掛けられたんです。

 

31:円卓の鬼

あ~……成程な。

 

32:D×D風紀委員長

それ、何とかなるもんなんですか?

 

33:無法地帯の料理人

普通はならないだろうけど、俺は唯料理をしたいだけなんですって思いこめて

料理作ったら二人にとんだ大馬鹿だ!!って大笑いされて料理のお代わりと

部下全員分の料理を作れと言われて作ったら、これから贔屓にさせて貰うって言われました。

 

34:普通のカウンセラー

それって、奇跡に近いんじゃないかしら……?

 

35:無銘の転生者

今、初めて料理ニキを本気で尊敬したかもしれないわ。

 

36:クトゥルフ系狩人

でも良く乗り切ったな、それでも仕入れとかした方が良いと思うぞ?

顔も売れるし人脈も作れる。

 

37:ヒスイの調査兵

俺もそう思う。人間同士のつながりって大事だぞ。

俺はどうでもいいけど。

 

38:無法地帯の料理人

まあ、最初はお金がなくて劣悪な材料しか集められそうになかったもんで。

今はちゃんと仕入れてますよ。

 

39:ヒロアカエボルト

ロアナプラで飲食店って凄い大変そうですね。

お金の管理とか。

 

40:無法地帯の料理人

まあ大変かな……でもバラライカさん達のお陰で無銭飲食とかもなくなったし。

 

41:IS世界のメンタルセラピスト

来たなイッチ!!

 

42:無銘の転生者

反応はっや

 

43:纏め役の転生者

ようイッチ。そろそろ雄英に入学する頃合だったか?

 

44:普通のカウンセラー

早いわね~。竜宮島でももう直ぐに入学式なのよ。

 

45:ヒスイの調査兵

こっちは何時も通りですね。最近だとショウが交渉に来る。

元相棒が来られると面倒。

 

46:青春学園の熱血教師

こっちはリョーマが入って来た。これからが楽しみだ!!

 

47:クトゥルフ系狩人

俺は何時も通りに邪神ハントしてる。

 

48:D×D風紀委員長

此方は此方で大変ですよ……主に変態三人組のせいで。

問題行為で退学にしようと思ったら、教師共は逆に解き放たれることになるかもしれないからって

俺を制御装置扱いするんですよ!!?

 

49:無銘の転生者

まあヒバリさんなら抑制効くと思うわな……。

 

50:IS世界のメンタルセラピスト

こっちはなんとも無いな。ラウラマジ好い加減にしろってブチぎれたい。

お前がヒートアップしたせいであの痴女もレベルアップすんだよ!!

 

51:普通のカウンセラー

もう責任取っちゃいなよYOU

 

52:円卓の鬼

親が泣いてるぞ。こんだけの美少女が好いてくれてるのに当の本人は

イッチに釘付けなんだからな。

 

53:IS世界のメンタルセラピスト

うるせええええええええ!!!お前らだって人の事言えねぇだろうがぁぁぁぁ!!!

 

54:クトゥルフ系狩人

シュブ=ニグラス星人の彼女出来ました。

 

55:円卓の鬼

ヴィレッタさんと結婚を前提にお付き合いしてます。

 

56:ヒスイの調査兵

コギトさんと幸せいっぱいです。

 

57:無法地帯の料理人

ロアナプラだとそんな欲求沸かないな

 

58:光の国の戦士

任務が忙しくてそう言うのは別に……。

 

59:普通のカウンセラー

私はこの前告白されたし。

 

60:纏め役の転生者

割かし幸せなようで何よりだ。

 

61:IS世界のメンタルセラピスト

ちくしょおおおおおおおおおおお!!!!

 

62:纏め役の転生者

そうだイッチ。イッチってヒロアカの事知ってたっけ?

 

63:ヒロアカエボルト

いえ全然。前世でオールマイト見て顔が濃いなぁって思った位です。

 

64:纏め役の転生者

だったらこの先の事は知らんか……じゃあ一つアドバイスだ。

雄英は自由が校風だ。常識にとらわれず、目の前の事に一つずつ対処してけ。

 

 

 

「纏めニキ、流石にこれは自由過ぎると思いますぜ……」

 

思わずそんな言葉を口走るには確りと理由があった。家を出たのが少し遅かったせいか、遅刻ギリギリのタイミングで自分の教室になる1-Aに到着したのは良いのだが……その直後に自分達の担任だという相澤 消太が体操服に着替えてグラウンドに出ろと言ってきたのである。そしてグラウンドに出ると突然個性把握テストを行うと言ってきたのである。

 

曰く、ヒーロー目指すなら悠長な行事に参加する余裕なし。雄英は自由が校風、それは教師にも適応される。との事。

 

「お前達も中学の頃からやってるだろ、個性禁止の体力テストを。平均を成す人間の定義が個性の存在によって崩れて尚それを作り続けるのは非合理的、まあこれは文部科学省の怠慢だけどな。実技入試トップは石動だったな。お前の中学時代のソフトボール投げの最高記録は」

「えっと……58mですかね」

 

これでも十分過ぎる好記録。エボルトの力がある為か、身体能力も伸びているのかもしれない……。そう思っていると相澤から計測用のボールが投げ渡される。

 

「なら今度は個性使って投げてみろ。思いっきりな。円の中にいる限り何をしようが構わない」

「分かりました、個性発動の時間は貰えます?」

「早くな」

「ういっす」

 

円の中に入りながらも意識を集中して手の中にドライバーを出現させて装着する。

 

「なんだあれ、サポートアイテム……じゃないよな。突然出て来たし」

「ああいう物を作り出す個性なのでしょうか……だとしたら私とかなり近しい物になりますが」

 

COBRA(コブラ)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

 

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

「わっ何この音楽!?」

「これは……交響曲第9番第4楽章・歓喜の歌でしょうか」

「良く分かるな!?」

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

 

「―――変身!!」

 

EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

「変身したぁぁぁ!!?」

「何だあの個性、というか今の笑い声も何だよ!?」

「凄いカッコいいなあれなんだよこれ!?」

「あの姿……入試で助けてくれたのって……」

 

 

65:IS世界のメンタルセラピスト

やっぱり変身シーンは抜群にカッコいいんだよなぁエボルって

 

66:ヒスイの調査兵

変身してる奴が本当にラスボスに相応しい悪性の持ち主なだけありますよねぇ……

 

67:青春学園の熱血教師

というか地味に短縮版だったな

 

68:超次元中学生

アッホントだ。コブラ、コブラが無かった。

 

69:D×D風紀委員長

でもやっぱりカッコいいな~

 

 

「―――試すか」

 

ボールを軽く遊ばせながらも右手にエネルギーを集める、すると掌にあったボールは重力を無視するかのように浮かび上がった。そして浮かんだままその手の上から動こうとせず、どれだけ腕を動かそうが手の上に静止している。

 

「な、なんだあの個性!?変身したと思ったらボールが浮いたぞ!!?」

「ウチの個性に似てる、でもなんか違う……?」

 

「―――さあ、飛んで行けぇ!!!」

 

身体を捻りながら一気に地面を踏みしめながら腕を押し出す、それと同時にエネルギーを放出して保持されたボールを一気に押し出すようにして射出する。それは爆風を伴いながらも一気に空へと向かって飛翔していく。

 

 

70:ヒスイの調査兵

ウオオオオオオっっ!?何あれどうなってんだ!?

 

71:普通のカウンセラー

なんか、お茶子ちゃんの十八番を奪ってるみたいになっちゃってるわね。

 

72:IS世界のメンタルセラピスト

多分だけど、エボルの力で重力を一部無力化しつつ掌に保持してから反重力で一気に打ち出したじゃないかな。

ラウラの装備にレールガンあるからそう思っただけだけど……。

 

73:纏め役の転生者

>>72

フムッ……なくはないな。

メナスラッシュアームの機能応用でそれに近い事をやってるのかも。

そもそもエボルは波動放射攻撃とかワープ攻撃が出来る奴だからな。

ブラックホールフォームじゃなくてもある程度重力操作できても可笑しくない。

 

74:クトゥルフ系狩人

さながら重力レールガンか……

 

75:D×D風紀委員長

ウーレンベック・カタパルトかな?

 

76:超次元中学生

懐かしいなおいwww

 

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

そう言いながら相澤が見せつけた端末にはボールの飛距離が表示されていた、そこには5800mと記されている。

 

「5800―――ッてほぼほぼ6キロじゃねぇか!?」

「マジかよいきなりこんなのが出るのかよ!!?」

「でも凄い、雄英って思いっきり個性が使えるんだ!!凄い面白そう!!」

「面白そう、ねえ……」

 

聞こえて来たそんな不用意な一言に相澤の様子が変わった。呆れ半分、そしてもう半分浮かび上がっているそれは酷く意地の悪い物だった。それは表情にもよく表れている。

 

「ヒーローになる為の三年間、そんな腹積もりで過ごすのか。決めた、じゃあこのテストのトータル成績最下位はヒーローになる見込みなしと判断して、除籍処分にしよう」

『ええええええっっっ!!!?』

「良き受難を―――"Plus Ultra"って奴だ。いやだったら乗り越えてみせろ、ヒーロー志望諸君」

 

様々な反応が浮かび上がっている時、星辰はもうちょっと角度やタイミングを調整すればもっと行けるかもしれないと考えている一人の少女が迫って来た。

 

「あ、あのさ……アタシの事、分かるかな……?」

「んんっ?」

 

其方を見てみるとそこには短めのボブカットに耳たぶがプラグになっている少女がいた。だが星辰は彼女の事を知っている、入試の時に助けたからだ。

 

「ああっ入試の」

「うん、あの時はマジであんがと。お陰で入学出来たみたいなもんだから」

「いえいえ、俺は何もしてませんよ。入学出来たならあなたの力ですよ」

「あの時は一瞬だったからまともにお礼も言えなかったからさ、同じクラスで良かったよ」

 

そう言いながら少女は手を差し出しながら笑顔で言った。

 

「アタシ、耳郎 響香」

「石動 星辰です」

「石動ね、折角一緒のクラスになれたんだからさ頑張ろ!!」

「星辰で良いですよ」

 

77:IS世界のメンタルセラピスト

俺のイッチになんてベタベタとぉ……!!!!

 

78:普通のカウンセラー

何マジでキレてんのよ……

 

79:ヒスイの調査兵

どんだけIS世界の女に恨みあるんだよ……

 

80:纏め役の転生者

是非も無いな。

 




スレにいる転生者紹介

・無法地帯の料理人
BLACK LAGOONに転生した。
特典は好きな食材と料理を出す能力。
現在はロアナプラで飲食店を経営中、街が街なので色々と苦労しているが……バラライカと張維新に気に入られた事もあって現在は安定して店を出せている。
ラグーン商会は良く食事に来るのでロックとも顔なじみ。


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7スレ

突如として始まってしまった個性把握テスト。しかも最下位の者は除籍されるというとんでもない爆弾発言をしたうえでの開始だった、念願の雄英に入学してこれから本格的にヒーローを目指せると思っていたのに……と考えていた少年少女にとってこれほどまでの試練はないだろう。だが相澤は言った、

 

『良き受難を―――"Plus Ultra"って奴だ。いやだったら乗り越えてみせろ、ヒーロー志望諸君』

 

ヒーローは降り注ぐ受難へと自ら身を投じてそれを乗り越えていくもの、ならばこの試練も乗り越えなければならないと全員が気を引き締めて行った。

 

「あっウチと一緒みたいやね、麗日 お茶子っていうの宜しくね」

「石動 星辰です。ご丁寧に有難う御座います」

 

共に走る事になった麗日に丁寧な挨拶を返す。掲示板からはエボルが丁寧な挨拶してて違和感すげぇというのが大量に来る、自分でもやっててそう思うがこの辺りは自分なのだから致し方ないだろう。そんなやり取りをしていると麗日は自分の体操服や靴に手を触れる、その時に光が見えたのがあれが個性発動の条件なのだろうと察せられる。

 

『位置ニツイテ、ヨーイ……』

 

計測用のロボットの音声に合わせてスターティングを固める、それと同時に腕部と脚部にエネルギーを集めておく。そして開始の合図と同時にそれを解き放つ。

 

『スタート―――2秒00』

「「「「「速ッ!!?」」」」

「何てスピードだ……クッ俺ももっとギアを上げる事が出来ていれば……!!」

 

星辰の異常とも言えるスピードに様々な感想が出る中で当の本人は今はこの位が限界か……と何処か冷めた目で自分を俯瞰していた。本来のエボルのスペックならばもっと速い。コブラフォームの走力は100mを1.1秒、しかも星辰はメナスラッシュアーム・レッグの身体能力上昇機能を使って2秒という記録なので基礎スペックは本来のエボルと比べるにも値しない。

 

「いや次だ、今の自分を知るんだ」

 

106:ヒスイの調査兵

お~イッチ前向きだな。

 

107:普通のカウンセラー

経験談だけど、嫌いな存在になったらポジティブに行かないと直ぐに精神逝っちゃうわよ?

 

108:青春学園の熱血教師

キアラネキの説得力がえぐいです。

 

109:D×D風紀委員長

というかあれで全然遅いのか……

 

110:無法地帯の料理人

何ならスピードならもっと速いライダーなんていっぱいいるもんな。

 

111:光の国の戦士

私、人の事言えないかもしれませんけどライダーも大概やばいですよね。

 

112:クトゥルフ系狩人

確かにな、エボルはある種その最たるものみたいなもんだし。

 

113:ヒロアカエボルト

 

バキッ!!

 

「あっ」

「壊れた、つまり計測範囲外って事か……暫定的に無限ってことにしとく」

「それ最早計測する気ありませんよね!?」

 

 

114:超次元中学生

ええっ……握力計ぶっ潰したよイッチ。

 

115:纏め役の転生者

現状のコブラフォームのカタログスペックのパンチ力は58.0tもあるからな。

走力の事も考えるとイッチはまだ成長中な事を踏まえてもある種妥当だろう。

 

116:IS世界のメンタルセラピスト

つまり、イッチは成長期……!?

 

117:クトゥルフ系狩人

>>116

間違ってない、間違ってないけど……!!

 

118:普通のカウンセラー

犯罪臭が凄いわよ

 

119:青春学園の熱血教師

>>118

貴方が言うかキアラネキ。

 

120:普通のカウンセラー

私は良いんです~原典の歩く18禁とは違うんですぅ~!!

 

 

その後も順調にとんでもない記録を打ち立てて行く星辰、これでも元々のエボルには及ばない。だが今の自分の実力を知るには十分過ぎる材料となる、そんな中訪れた二回目のソフトボール投げになった。

 

「そうだ先生、ボールって足で投げるってアウトですか?」

「許可する」

 

了承を得ると直ぐに円に入り準備掛かった、勢いよくレバーを回していく。それによって地面には星空が描かれていく。

 

「な、なんだぁ!?」

「地面に星空が映っとる……!?」

「でも星の形が滅茶苦茶ですわ、これは一体……!?」

 

それはある意味当然だろう、地面に映し出されている星空は地球から見た景色などではない。エボルトが見た宇宙の景色だ、地球からの見え方と異なるのは必然……そしてそれらを右足に集中させてテストに挑む。

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

「そぉらぁぁッ!!」

 

CHAO!!

 

足に器用に乗せたボールを渾身の力を込めて全力で飛ばす、ボールは無数の光を纏って空を切り裂くように飛翔していく。その様は昼間に見える流星群、そんな風になって飛んでいったボールは暫く飛んで行った後に地面に落ちたのだが……その記録は腕で投げた時よりもずっと伸びた7810m。ほぼほぼ8キロという記録に絶叫が生み出された。最早カッコイイを通り越したホラー的なインパクトにこればっかりは致し方ないだろう。

 

「ちょ、石動アンタ凄すぎない!?」

「いやまだまだだよ」

「いや何処が!?」

「本当は蹴り飛ばしたかったんだよ、だけど蹴っちゃうとボールの方が壊れると思ったから」

「えっじゃあ壊れなかったらもっと伸びてたかもしれないってこと?」

 

恐らくだけどそうなんじゃないかなぁ、と答える星辰に耳郎は僅かにポカンとした後に何処か面白そうな笑みを浮かべた。

 

「良いじゃん超クールじゃん!!」

「そ、そうかなぁ」

 

正直エボルトの力をそんな風に言って貰えるのは少しばかり気分がいい。先入観が無ければこの姿も何処かヒロイックに見えるのか、案外ヒーロー適性はあるのかもしれないと思うと少しばかり心持が楽になった。

 

「SMASH!!!!」

 

その時、自分の時と同じような凄まじい爆風が巻き起こった。其方へと目を向けてみるとそこには指を腫らし苦しげな表情を作りながらも相澤にまだやれる!!と宣言しながらもボール投げで700メートル越えの記録を出した生徒、緑谷がいた。聞こえてくる話声によると彼は自分と同じく入試にて0ポイントを倒したらしい。如何やら自らの身体すら傷付けてしまう程の超パワーを秘めた個性の持ち主らしい。

 

「凄いな彼も……」

「でも、なんか個性で自分も傷ついてる。そう言う個性ってだから使い所を考えてたのかな」

 

耳郎の言葉に自分も同意、あれ程のパワーならば試験の最初の方で使ってしまったら後々のテストがグダグダになる。ならば終盤辺りで存分に活用出来る此処でぶっ放すのが正しいようにも思える。

 

「どういう事だおい……オイデクテメェ!!」

 

だがその時、一人の男子が飛び出して行った。緑谷の知り合いだと思われる爆豪だ、両手から爆破を繰り返して得た推力でとんでもなくスピードで緑谷へと迫っていく。彼は彼で指の痛みと凄い形相の爆豪に怯んでまともに動けそうにない。まるで緑谷を殺そうとするような勢いの爆豪に星辰は放置も出来ずに手を出した。右手をかざすと赤紫色のオーラが爆豪を取り囲んでその動きを完全に止めてしまった。

 

「ンだこりゃぁぁ……テメェの仕業か仮面野郎!!!」

「仮面か、言い得て妙だな。だけどその位にしておくといい、面倒を起こし過ぎると除籍されるよ?」

「その通りだな。爆豪、これ以上騒ぐならお前を除籍する」

「っ~!!!そがぁぁ!!」

 

その態度で暴れる気がない事を察したのでオーラを解くが、爆豪は鋭い視線を星辰へと投げた後に緑谷を睨みつけて引いていった。咄嗟にやってしまった事だが、如何にも大変な相手に目を付けられてしまった感が凄い。そして残ったテストは円滑に進められていく。上体起こしや長座体前屈などは流石にエボルで著しい結果を出す事は難しいので平凡な結果に終わった。そして全てのテストが終了し結果が発表される事となった。

 

「あっ因みに除籍は嘘だから、君たちの最大限を引き出す合理的虚偽」

『……はぁっ~!?』

 

最下位を取ったものは除籍されると脅しを掛けられていたのに、それを言った相澤は悪びれる事もなく、あっさりと自分達の力を引き出す為に付いた嘘だと白状した。何の為に死に物狂いでやったのかと一部生徒は抗議の声を上げるが、肝心の相澤はそれをガン無視してさっさと結果を公表した後に教室に戻って教科書やプリントに目を通せと言って去って行ってしまった。

 

「な、なんなんあの先生……これからあの先生の下でやってく訳なの……なんか、ウチ凄い不安……」

「同じく……」

 

取り敢えず星辰は総合成績では1位を取る事が出来ていたが……何とも喜びにくい幕引きとなってしまった。

 

 

130:光の国の戦士

因みにイッチ、あれ合理的な虚偽ではないですから気を付けた方が良いですよ。

 

131:ヒロアカエボルト

>>130

えっどういうことですか!?

 

132:纏め役の転生者

相澤 消太。これまでに行った生徒の除籍指導回数は通算154回、しかも昨年度は1クラス全員を除籍処分にしてる。

だから今回除籍されなかったのは皆見込みがあったからって事になる。

 

133:ヒロアカエボルト

―――マジですかそれ。

 

134:IS世界のメンタルセラピスト

これがマジだから質が悪いんだよな……

 

 

「―――雄英怖い」

 

思わずそんな事を呟いてしまったが、ある意味正しい反応なのだろう。




スレにいる転生者紹介

・青春学園の熱血教師
テニスの王子様に転生した。
特典は松岡修造の見た目とテニスの技術。
特典を活かしてプロテニスプレイヤーだった時期があったが、その後に教師になった。
見た目通りの太陽の化身扱いされる熱血教師として青春学園の名物教師となっており、テニス部の副顧問を務めている。意外な事に男女問わずに人気が高い。
元気を貰えるともっぱらの評判で人生or進路相談をする生徒が絶えない。


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8スレ

色んな意味で怒涛過ぎる入学初日、他のクラスは普通に入学式に出ていたと聞いて益々この学校の校風の意味を理解した。これは、適当に授業を受けていたら何かしらの理由を付けて除籍という事も十分に考えられると改めて気を引き締めて、授業に望もうとしたのだが……

 

「んじゃこの中で間違っている英文はどれだ?」

『普通だ……凄い普通の授業だ……』

「Everybody,heads up!!盛り上がれ~!!」

 

他の授業もきっと過酷なものに違いない……身構えていたのだが、やってきた授業は意外にも普通な物だった。ペース的には早いとは思うが、別段普通の授業であった事に皆安心感を覚えていた。もちろん星辰もそれには同じくだった。そんな授業も昼休みを挟んでいよいよ午後の授業、即ちヒーローになる為の重要授業、ヒーロー基礎学の時間がやって来た。

 

「わぁあたぁあしぃぃがっ……普通にドアから来たぁっっ!!!」

 

大声と共に超喧しく入って来たのは筋骨隆々の強靭で完璧と言っていい程に鍛え上げられた肉体、平和の象徴、皆が憧れる№1ヒーローのオールマイトだった。そんなヒーローが教師として教鞭をとり自分達を見てくれる……これに興奮せずにどうしろというのだろうか―――と言っても星辰は途中から記憶を取り戻した系転生者なので現状はオールマイトのファンではない。

 

「早速行こうか!!私が受け持つのはヒーロー基礎学!!少年少女たちが目指すヒーローとして土台、素地を作る為に様々な基礎訓練を行う科目だ!!正にヒーローになる為には必須とも言える!!単位数も多いから気を付けたまえ!!今日はこれ、コンバット!!戦闘訓練!!!」

 

益々目立つポーズを取りながらも「BATTLE」と書かれているプレートを掲げる。好戦的且つ野心家な生徒達はメラメラと炎を燃やす。それと同時にオールマイトが指を鳴らすと教室の壁が稼動をし始めていく。そこに納められているは各自が入学前に雄英へと向けて提出した書類を基に専属の会社が制作してくれた戦闘服(コスチューム)

 

「着替えたら各自、グラウンドβに集合するように。遅刻はなしで頼むぞ」

『ハイッ!!』

 

各自は勢いよく自分のコスチュームが入った収納ケースを手に取ると我先にと更衣室へと向かっていった。そこにあるのは自分が思い描いた自らがヒーローである姿を象徴すると言ってもいい戦闘服、それをプロが自分たちの為に制作してくれるなど興奮して致し方ない、なんて素敵なシステムだろうか。と言っても星辰はコスチュームの申請は行っていないので一早くグラウンドβへと向かった。

 

「そう言えば石動少年はコスチュームの申請を行っていなかったね、大丈夫なのかい?」

「ええ、というか……こいつになっちまえばコスチュームなんて無意味ですから」

 

EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

そんな言葉の直後にエボルへと変身する。変身してしまえばどうあがいてもこの姿になるのでコスチュームなんて意味をなさない、それを察したオールマイトもあ~……と納得した声を上げる。

 

「だが最近のコスチュームは個性と同調する者も多いんだ、一度申請してみたらどうだい?」

「ハハッ考えときます」

 

と言われても星辰は申請する気は皆無であった。

 

28:クトゥルフ系狩人

お~遂に戦闘訓練か~。地味に気になってたんだよね俺。

 

29:D×D風紀委員長

同じくです。参考にしたいなぁって思ってます。

 

30:青春学園の熱血教師

でもコスチュームなしなんだな。申請したらよかったのに。

 

31:纏め役の転生者

>>30

しても無駄になるだろうからな。

 

32:ヒスイの調査兵

それまたどうして?

 

33:纏め役の転生者

エボルの全身に纏うEVOオムニバーススーツには過酷な環境や敵の反撃からの保護機能がある。

遮断フィールドを展開して天体の環境でも活動可能にするレベルのな。

 

34:IS世界のメンタルセラピスト

マァジィかよ、ISの絶対防御以上だな。

 

35:無法地帯の料理人

でも纏めニキ、その機能って……。

 

36:纏め役の転生者

無論、いかなる天体においても安全に破壊活動を実行する為の物だ。

 

37:普通のカウンセラー

ああっやっぱりそっち系なのね……。

 

38:円卓の鬼

機能が全部破壊活動の為の機能ってのが最早清々しいな……。

 

 

「よっ星辰、アンタ見なかったけどコスチュームなしなんだね。まあその個性なら必要ないか」

「大体これ一つで全て済むからね、これ色々できるから」

「例えば?」

「そうだな……んんっ!!あらあら耳郎さん、そのコスチューム中々にお似合いですわ。ラフさが活発な耳郎さんとよくマッチしておいででしてよ!!」

「えっ私の声ですの!!?」

 

突然星辰から聞こえて来たのは八百万の声だった。当の本人は全く話していなかったのにそれが聞こえて困惑していると星辰は愉快そうに笑った。

 

「いい声してるでしょ。ハハッ声の仕事は得意なんですよ」

「えっじゃあ……そこの上鳴の声は?」

「―――全く昨日の個性把握テストはウルトラやばかったでございますよぉ!!」

「超似てる!!んじゃ……そこの爆豪は?」

「―――ア"ア"ァンッ!!?ふざけてんのか、テメェら全員ぶっ飛ばされてぇかぁ!!」

『超似てるぅ!!』

「何処がだぁぁ!!!」

 

39:ヒスイの調査兵

ちょwwwイッチ遊びすぎwwww

 

40:クトゥルフ系狩人

しかもwww上鳴に至ってはウルトラマンゼットじゃねえかwwww

 

41:光の国の戦士

マジで似てたから素でびっくりしました。

 

42:無法地帯の料理人

エボルトの有効活用だなこれもwwww

 

43:円卓の鬼

キアラネキと一緒だな。

 

44:普通のカウンセラー

こう言う事にのみ活用出来るならまだいいのにねぇ……。

 

 

今回の授業は正しく基礎を知る為の物。屋内でヒーローチームとヴィランチームで分かれて戦闘を行う。ヒーローはヴィランを確保するか、ヴィランが隠し持つ核兵器を確保すれば勝利。ヴィランは制限時間までに核兵器を守りぬく、ヒーローを全員確保が勝利。核兵器は張りぼてだが、これは本物として扱う事。そして、チームはくじ引きによって決定されるらしい。そしてくじの結果―――Iチームとなった。

 

「一緒のチームだね!!えっと、ごめんなさいまだ名前覚えられてないや」

「尾白だよ、尾白 猿夫。そっちは葉隠さんだよね、宜しく。それでえっと……石動君で良いんだよね」

「石動 星辰です。好きなように呼んでもらって構いませんから」

「分かったよ星辰君、宜しくね~!!」

 

明るい声が透明な場所から聞こえてくる、透明化の個性を持つ葉隠と中々に強靭そうな尻尾を持つ尾白とのチーム、21人なのでIチームだけが例外的に3人構成になってしまったがこれは致し方ない。

 

45:IS世界のメンタルセラピスト

あ~そっか、イッチ入れたら21人になるのか

 

46:D×D風紀委員長

これは、人数的には有利ですよね?

 

47:超次元中学生

戦いは数だよ兄貴!!

 

48:無法地帯の料理人

ホントね、一人多いだけでも全然違って来るからなぁ。

 

49:ヒスイの調査兵

でも、Iチームの相手って……ああやっぱり轟と障子のペアか。

 

50:円卓の鬼

A組でもワントップと言ってもいい最強個性持ちかぁ……

 

51:IS世界のメンタルセラピスト

あ~まあ純粋な個性だとそうか。特典別勘定だと

 

52:普通のカウンセラー

超冷却と超加熱だったかしら?

 

53:纏め役の転生者

>>52

違うぞキアラネキ。半冷半燃だ。

右で凍らせて左で燃やす、単純に冷やして温めるじゃなくて

氷を操るのと炎を生み出す個性のハイブリットって思えばいい。

身体が冷えて身体機能の低下、身体が熱くなりすぎて身体機能の低下

その両方を自力で何とか出来る超強個性だ。

 

54:光の国の戦士

う~んこの、凄い羨ましいなぁ。私も再現できないかなぁ……

 

55:クトゥルフ系狩人

ウルトラニキなら何とか出来るだろ。冷凍光線の応用とか

 

56:超次元中学生

次元連結システムの応用とか

 

57:IS世界のメンタルセラピスト

それだけは絶対にやめろ。

 

58:ヒスイの調査兵

でも障子君、だっけ。そっちも結構個性としては強いよね纏めニキ?

 

59:纏め役の転生者

まあな。個性:複製腕。

腕の先に身体の一部を複製できる個性だ。目に口に耳、それらを作って索敵能力強化も出来る。

手も複製できるからカイリキー以上の腕で殴り掛かって来る事も出来る。

 

60:普通のカウンセラー

そう考えると障子君も相当に強いのね、近距離戦じゃ勝つの難しくない?

 

61:クトゥルフ系狩人

つっても、イッチのチームメイトの尾白君と葉隠さんも割かし強い方じゃない?

 

62:IS世界のメンタルセラピスト

いや~……如何なんだ?

 

63:無法地帯の料理人

尾白君は確かに尻尾を腕のように扱えるはずだけど、それでも数で言ったら障子君の圧勝。

かといって葉隠ちゃんは透明人間なだけだから基本普通の女の子よ、雄英に入学できるだけの。

 

64:円卓の鬼

って事は……

 

65:光の国の戦士

鍵になるのは……

 

66:D×D風紀委員長

イッチさん、ですね。

 

67:纏め役の転生者

さぁて、もうそろそろ第一戦の緑谷チームと爆豪チームが終わる。備えよう。

 




スレにいる転生者紹介

・光の国の戦士
ウルトラシリーズ、M78星雲・光の国に転生した。
ウルトラマンとして転生したが、記憶戻ったのが宇宙恐竜ゼットンとの戦闘中という最悪すぎるタイミングだったので転生直後に死に掛けたような感覚だった。
救援に来てくれたマン兄さん事、初代ウルトラマンに助けられた。戦闘のダメージによる記憶喪失という事にして、一から鍛え直され、今では立派な宇宙警備隊の隊員。

因みに鍛え直される時の教官がウルトラセブンとウルトラマンレオのタッグだった。
思わず絶句して、ああ自分はまた死ぬのかっと悟っていた。


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9スレ

ヒーローチーム:緑谷 出久&麗日 お茶子 VS ヴィランチーム:爆豪 勝己&飯田 天哉。

 

初戦から極めて激しく派手な物になった。始まる前にオールマイトは怪我を恐れる事なく思いっきりぶつかるようにと確かに言った、言ったに言ったのだが……何やら緑谷と爆豪の勢いが余りにも良すぎた。対応した緑谷を殺さんとするような勢いで迫っていった。それに対して緑谷も引く事なく真正面からぶつかっていき、そして自らを犠牲にしつつも麗日をフォローするという事をやってのけ、麗日がそのフォローに乗じて核の確保に成功しヒーローチームの勝利となった。

 

そして第2戦が訪れる。

 

ヒーローチーム:轟 焦凍&障子 目蔵 VS ヴィランチーム:尾白 猿夫&葉隠 透&石動 星辰。

 

オールマイトからくれぐれもやり過ぎないで欲しいという忠告を貰いながらヴィランチームの星辰たちは舞台となるビルへと入っていく。今回は3対2というこちら側に有利なルールだが、その分制限時間が延長されており長い時間核兵器を防衛する事が強いられるので有利にはなり過ぎない。

 

「ううっ~緊張して来たぁ~!!」

「でもこっちの方が人数は有利だから基本有利、だから落ち着いて行こう」

 

少し掛かり気味な葉隠と少し楽観的な尾白を見て星辰は少しだけ落ち着きを取り戻す、掲示板のニキネキ達のやり取りや個性把握テストでの轟での手番を見て個性の事は把握している。ならば―――やり様は幾らでもある。

 

「葉隠さん。取り敢えずブーツは履いてた方が良いと思うよ」

「えっそうかな?」

「俺なら開幕ブッパでビルを凍結させる、それで自分に有利にしつつ相手を封じ込められ、最低でも弱体化させる事が出来るから」

「嫌でも、そんな事可能なのかな……?」

 

意見としては分かるのだが、そんな事が出来るのか?と懐疑的な尾白だが最悪を想定するのは悪くはないと思いながらもそれに賛成する事にした。

 

「んじゃ、俺が最後の壁で葉隠さんが伏兵って事でいいんだね?石動に全部任せちゃうことになっちゃうけど……」

「いや大丈夫だよ、轟の個性が読み通りなら―――俺は天敵だからね」

「うん分かった!!それじゃあ二人とも頑張ろうね!!」

「「「えいえいお~!!!」」」

 

三人で一致団結を決めたところで戦闘訓練がスタートする。直後―――

 

「うわっ!!?本当に来た!!?」

 

天井、床から凄まじい勢いで氷が迫って来た。ビル全体が一気に冷却されてきている、まるで氷河期が襲いかかってきたかのような光景に尾白と葉隠が悲鳴を上げる。だが星辰が手にした黄・緑・赤のパイプが走っている剣のような物から超高熱の蒸気が氷を食い止めた、エボルの武装の一つであるスチームブレード。電気に冷気、高熱を発生させる武器によって室内の氷が融かされた。

 

「すっご~い!!でも蒸し暑い~……!!」

「窓は開けても問題ないと思うよ」

「そうする~……」

 

透明という個性を活かす為に基本的に手袋とブーツだけというとんでもないコスチューム構成の葉隠、彼女からしたら直に蒸気が当たりまくるのでこの室内は酷く蒸し暑い模様。

 

「んじゃ行ってくる、これは置いとくからもしも氷が迫ってきたら使ってくれ」

「えっでもそれだと石動が対応出来ないんじゃないか?」

「ああ大丈夫だ―――氷なんぞで俺は動けなくならないから」

 

そう言いながら部屋から出て行った星辰を見送った尾白は置かれたスチームブレードを持ちながらも、自分の役目をしっかりこなそうと構えるのであった。

 

 

「よぉ」

「お前、石動っ……?」

 

凍結させたビルの中を進んでいく轟、もう防衛も糞もないような状況にしたので後は核を確保するだけと思っていたのに全く平気そうな顔をしながら現れた星辰に対して素直に驚いてしまった。

 

「さて、ヒーローが何の用―――」

「ならもっとだ」

 

轟の足元から分厚い氷の塊が波のように迫っていく。全身を凍らせすぎない程度に星辰の身体を拘束して無力化した、これで良いと思いながら核の下に急ごうと前を通ろうとした時―――

 

「っ!?」

「おいおいおいしようぜ言葉のキャッチボールってもんをよぉ~……!!」

 

胸倉を掴まれて一気に持ち上げられた、驚きと共に目を開くとそこには身体は氷に覆われて動けなくなっている筈なのに何の影響もないと言わんばかりに平気そうにしている星辰の姿があった。そして授業前に見せた変声を使って低く渋い男の声に変わっていた。

 

「なんで、動ける……!?」

「ヴィランと話す舌は持ち合わせてねぇってか?なら好きにすりゃいいけどな」

 

72:クトゥルフ系狩人

ちょっwwwイッチご丁寧に声エボルトに変えてるwww

 

73:ヒスイの調査兵

超言いそうなのが、すげぇwwww

 

74:円卓の鬼

そしてやっぱり全然氷は効かないか。

 

 

「くっ!!」

 

掴んでくる腕を掴んで一気に氷を走らせていく。全身をスーツで覆っている為にきっと氷に対して耐性があるんだと理解したのか、轟は出力を上げて更に分厚く冷たい氷で星辰を凍らせに掛かっていく。完全に凍結してしまって封殺した、取ったと轟も確信を持ったが―――直後に氷に亀裂が入っていき中から低い笑い声が聞こえて来た。

 

「ハハハハッ!!!中々良い個性だ、だが駄目駄目だ!!個性に頼り過ぎてる!!もっと頭を、使ぇ!!」

「がぁっ!!」

 

75:超次元中学生

オオッスマブラの下投げでありそう!!

 

76:青春学園の熱血教師

なんか、クウラがあんな感じの地面投げやってたよね。

 

77:無法地帯の料理人

というか、これあれだな。グリスとの代表戦前のおやっさんムーブスタークかww

 

「轟、お前の個性は氷だけじゃねえだろぉ?氷だけじゃあ俺には勝てねぇぞ」

「―――っ……お前には関係のない事だろうが……!!!」

「ああそうだな、お前が自分の個性を如何しようが正しく自分の勝手だ。だがそれを本当のヴィランとの戦いで貫き続けた場合、誰が犠牲になると思う?」

「っ……」

 

78:円卓の鬼

万丈だ。

 

79:ヒスイの調査兵

万丈だ。

 

80:光の国の戦士

万丈だ。

 

81:D×D風紀委員長

万丈だ。

 

82:普通のカウンセラー

万丈だ。

 

83:纏め役の転生者

万丈構文やめろお前ら。

 

 

「黙れ……俺は、右だけでヒーローになる……そうしなきゃいけねぇんだ……!!!」

「訳アリって事か……だったら自分のエゴを貫き通して見せな、少なくとも俺を倒せないでお前のなりたいもんなんざぁなれないんだよ」

「上等だぁ!!」

 

それは身体へと突き刺さる―――事もなく逆に星辰の姿が消える。

 

84:IS世界のメンタルセラピスト

イッチが消えた!?

 

85:円卓の鬼

というか氷も全然苦にしてねぇ。

 

86:D×D風紀委員長

相性最悪だもんなぁ。

 

 

突然すぎる消失に流石の轟も言葉を失う、姿が完全に掻き消えた。辺りを見回しても何処にもいない、上へと逃れたのかと視線を上げても姿が無く比喩表現ではなく煙のように消えてしまった。

 

「自分の力を見せ付けようとしたせいで大きなミスをしたなぁ、障子と行動しなかったのは大きなミスだ」

「―――っ!?」

 

背後からの声に咄嗟に振り向くと直後に首元へと伸ばされた手が首元を鷲掴みにする。そこには星辰がいた、声を出そうにも完全に声が出ない。気道を抑えられ呼吸も上手くできない。ギリギリと締めあげられて行くそれを外そうとするが、全く力では敵わない。

 

「あの時、俺を確保テープで終わらせようとすればよかったのになぁ……まあその前に脱出してたけどな」

「ぐっ……がぁぁっ……!!」

「轟君確保ぉ!!」

「何?」

 

87:IS世界のメンタルセラピスト

あっ足にテープ巻かれてる!!

 

88:無法地帯の料理人

何時の間に……という事は

 

89:普通のカウンセラー

葉隠ちゃんね?

 

 

「いえ~い!!伏兵作戦大成功~!!」

「やったね葉隠さん、俺も気合入れて演技した甲斐があったよ」

「凄い決まってたよ星辰君!!語りにも迫力あったし!」

「言ったでしょ、声の仕事は得意なんだよ」

 

90:クトゥルフ系狩人

成程。エボルトムーブは全部氷が効かない事を含めて目を引く為だったのか。

 

91:纏め役の転生者

轟からすれば氷も効かないし自分の事情に首を突っ込んでくるから

目につくのは当然だからな。これは熱くなる、いい作戦だ。

 

92:IS世界のメンタルセラピスト

流石イッチ!!

 

 

「さっきはごめんなさい轟君、俺君の事情とか全く知らないのに凄い煽っちゃって……」

「いや、大丈夫だ……大丈夫……」

「ほ、ホントに大丈夫?」

 

93:無法地帯の料理人

やっぱりイッチ凄い真面目だ……。

 

94:円卓の鬼

個性については俺達の会話である程度情報得てたけど

肝心の事情は全く知らないだろうからなぁ……。

 

95:普通のカウンセラー

ヒロアカ世界って結構闇深い事情も多いからねぇ……。

 

96:ヒスイの調査兵

寧ろ一番世紀末的な所もあるしね。

 

 

「それじゃあ障子君確保作戦と行こうよ星辰君!!」

「ああ、それじゃあね轟君」

 

そう言って去っていく二人を見送った轟は壁に寄り掛かるようにしながら座り込んで先程掛けられた言葉を深く考えた。

 

 

―――お前が自分の個性を如何しようが正しく自分の勝手だ。だがそれを本当のヴィランとの戦いで貫き続けた場合、誰が犠牲になると思う?

 

 

左は、使わない。そう強く決意していた、していたのだが……そうしていた先の事なんて全然考えられていなかった事を思い知らされたような気分だった。氷だけに固執して左を使えば助けられる命を見捨てる、自分の行いは正しくそんな物だった。自分のエゴの為にそんな事をするのか?と激しく自問自答する。

 

「左を使えば……いやそれでも……」

 

左を強く握り込みながら轟は思案し続ける。星辰が投げかけた言葉、それはあくまでヴィラン役に徹する為だけに発したエボルトの言葉だった、だがそれはヒーローとしての本質を見失いかけていた轟には重い問いかけとなった。そして……今とこれからを見つめ直すきっかけとなった。




スレにいる転生者紹介

・超次元中学生
イナズマイレブンに転生した。
特典はどんな必殺技でも修得できる才能。
無限の壁で有名な千羽山中に在学、超防御型なチームのポイントゲッターとして活躍中。
もう直ぐ、全国大会だが……円堂世代は卒業済みなので対策しなくていいと思ったが、魔王・ザ・ハンドを持つ立向居からどうやって点を取るべきか頭を悩ませている。


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10スレ

「轟、中はどうなっているんだ……?」

 

凍結したビルを外から見つめている障子。内部を探った後に外に出ていろと言われてそのまま待機している障子は中の状況が全く分からなかった、だが連絡用にと渡されていた通信機からオールマイトの声が聞こえて来た。

 

『轟少年確保!!戦闘不能(リタイア)!!』

「轟が、リタイア!?」

 

思わず聞き返してしまった、あの轟が確保されたというのか!?目の前でビルを丸々一つ氷付けにしてしまう程のあいつが……愕然としているとビルの入り口に此方を舐めているかのように足を組みながら寄り掛かっている星辰が姿を見せた。

 

「如何だい、相方がやられるのを聞いた気分は」

「その声……成程、確かに声の仕事が上手いらしいな」

「お褒めに預かり恐悦至極」

 

慇懃無礼に大袈裟なお辞儀をしてくる姿は真面目な星辰の姿とは酷く異なっていた、いやヴィランとしてなり切ろうとした飯田の事を考えると星辰なりにヴィランらしく振舞おうとしている結果なのかもしれないが……声も変わっているせいで人格が入れ替わっているように見えてしまう。

 

「さて如何する、お前さんにはもう勝ちの可能性なんざぁ残ってない。一緒に行動しなかったところを見るとお前は轟から戦力外扱いされていたみたいだな。そんなオマエが俺に勝てると思ってるのか、んんっ?」

 

何処か神経を逆なでさせるような言葉を選んでいるような話し方に本当に違和感を覚える。だが自分は待機するように言われた、それは戦力外と思われていたとしても可笑しくはない。正しいが故に自分に腹が立ってきた。

 

「ああ、確かに俺も勝ちの目はないかもな……轟にも俺は力不足だと思われてたかもな」

「そこまでに自分を卑下するこたぁねぇ、無謀な行動をとらないのも立派な行動だと俺は思うぜぇ?だからこそお前は投降すべきだ」

「―――ああ、俺はきっとお前に勝てない……そんな自分に腹が立つ!!」

 

そう言いながら―――触手の先に自らの拳を複製する事で合計6本の腕を作り出しながらファイティングポーズを取った。

 

「此処で俺が何もしないのは間違っているだろう。轟は戦って敗れた、ならそのチームメイトの俺が唯降参するのは違う。せめて精一杯に戦うのが俺が、パートナーとしての俺の役目だ!!」

 

 

100:無銘の転生者

障子ぃぃぃぃ!!!!

 

101:クトゥルフ系狩人

ふっつうにカッコいいなぁお前ぇ!!

 

102:青春学園の熱血教師

全く青春してるなぁ~お前らぁぁ!!

 

103:無法地帯の料理人

熱血教師違いだ教師ニキ

 

104:超次元中学生

嫌でも凄いカッコいい、仲間思いだなぁ障子君。

普通にグッときた。

 

 

「―――ククククッ……クハハハハハ!!!だからヒーローは面白い……良いだろう、そうしたいなら存分に付き合ってやろう!!」

「悪いな……俺の我儘に付き合って貰う!!」

 

105:IS世界のメンタルセラピスト

イッチも存分にエボルトムーブを決めていくぅ!!

 

106:普通のカウンセラー

これあれね、マッドローグの。

 

107:光の国の戦士

ホント仮面ライダーって定期的にネットミーム作りますよね。

 

108:ヒスイの調査兵

>>107

いやウルトラマンだって人の事言えねえだろ。

 

 

「ああ勿論だ……だが、当然俺の我儘にも付き合え」

「障子君確保ぉ!!」

「―――なっ!?」

 

 

109:円卓の鬼

葉隠さぁん!!?

 

110:D×D風紀委員長

男同士の一騎打ちに横やりをぶっこんだぁ!!?

 

111:纏め役の転生者

いや、今のタイミングからしてこりゃイッチもグルだな?

 

 

『障子少年確保、戦闘不能!!よってヴィランチーム WIN!!!』

 

「駄目だねぇヴィランの言う事を鵜呑みにしたらぁ……自棄を起こしたらそこで敗北決定だぜ?」

「……まさか、今の全て計算済みだったのか?」

「当然。軽く挑発して熱くさせるつもりだったが、思った以上に仲間思いでいてくれたから予想以上の型に嵌ってくれて有難うよ。お陰で俺に集中して索敵を怠ってくれた」

「葉隠を俺に接近させるのが目的だったのか……!?」

 

 

112:クトゥルフ系狩人

いや、これは普通にイッチが上手い。良い感じに障子を熱くさせて冷静さを失わせてたのか。

 

113:光の国の戦士

良い感じにヴィラン役に徹してましたねぇ……オールマイトが言ってた

 

「真に賢しいヴィラン」

 

を体現してたと思いますよ。

 

114:ヒスイの調査兵

まあイッチにはエボルトっつう最高の参考素材あるもんな。

 

115:IS世界のメンタルセラピスト

いやでもこれ、障子君不完全燃焼過ぎねぇかこれ?

 

116:纏め役の転生者

戦闘訓練の肝はヒーローなら如何するのか、ヴィランなら如何するかを学ぶだ。

これは良くも悪くもいい経験になるだろ。

 

 

 

「さぁ、講評の時間だ!!」

 

戦闘訓練も終了してモニタールームへと戻った一同、そこではオールマイト主導で講評が行われる事になった。焦点は誰が最もMVPに相応しいのか、そして何故相応しいのかを考察しながらどのような行動が素晴らしかったかを考える事。それらを総合した結果としてオールマイトは葉隠をMVPとして推した。

 

「えっええええええっ!!?私なのぉ!?」

「勿論だとも、君は指示通りに待機しながらもタイミングを自分で考え計りながら轟少年を確保した。今回のようなケースでは葉隠少女に対する負担は非常に重い、それを跳ね除けて君は石動少年が作った隙を見事に活かして確保テープを巻き付けた、素晴らしかったぞ!!加えて言うならば―――尾白少年!!」

「はっはい!!」

「君が最後の砦として構えていたからこそ安心して石動少年は派手に動く事が出来たんだ。故に基礎的な基点に君も踏まえて二人がMVPだ!」

 

オールマイトにそう言われて葉隠と尾白は酷く嬉しそうにしながらも照れている、特に尾白は核をずっと守っていただけで何もしていなかったのに星辰を抑えてMVPなんて貰っていいのかな……と気まずそうにしていると肩を力強く星辰に叩かれる。

 

「気にする事なんてないよ、俺が突破される可能性を考えても最後の砦は必要だし俺達を信じて守り続けてくれたんだからね」

「そ、そうかな……?あっでもさ、今度の戦闘訓練は俺はもっと前線に出るからさ、その時に俺の強さを見ててくれよ」

「うん。期待させて貰うよ」

「あっそうだこれ返すよ」

 

そう言いながらずっと握りしめていたスチームブレードを返却する尾白と星辰のやり取りを見てオールマイトは青春だなぁ~と思いながら咳払いをしつつ次に行く。

 

「此処まで二回バトルを行ったけどその中でヴィラン役の行動は如何だったと思うかな?」

 

突然の質問に困惑する皆の中で八百万だけが考えながら答えた。

 

「……飯田さんは何処か真面目ですが抜かりの無いヴィラン、石動さんは飄々としていますが何処か底知れなさがある不気味さと油断が出来ないヴィランという印象を受けましたわ」

「そう、正しくその通り!!飯田少年と石動少年は立派にヴィラン役を演じてくれた、その中で想うべきはヴィランの思考を読むという事なんだ。相手は次はどうするのか自分は如何するべきなのか、それを考えるべきだった」

 

オールマイトはリモコンを押しながらモニターに障子と星辰の最後のシーンを音声付きで流しつつ解説する。

 

「最後の障子少年の轟少年に報いようとする強い意志と行動は素晴らしい、だがヴィランがそれに乗ってくれるとは限らない。事実として石動少年は乗るような雰囲気を出していたけど実際は罠を張り続けていただろう?」

 

「確かに……男らしくねぇと思ったけどヴィランなら罠を張ったりするのは当たり前だもんな……」

「障子の考えを誘導して葉隠が近づくのをバレないようにもしてた」

「詰将棋が如き勝利」

「計算尽くめの勝利って訳か……」

 

意外と好評だったことに星辰は思わずホッとしていた。ヴィラン役として自分はエボルトをモデルにした、元々エボルトの力がある身としてはあれと同じような事をするなんて簡単な事だった。正直卑怯だとは思っていたのだが……ヒーローとして大成する為にはヴィランの行動を読まなければいけないとオールマイトが言ったようにそう言った相手を想定すると星辰のエボルトムーブはある種最適な行動だった。

 

「(だけどなんか途中から楽しくなってたっていうか……どんどん乗って行ってたような気がする……清濁併せ呑むって決めたけどこれは、ちょっと……)」

 

少しだけ、エボルトに傾いている自分が居て星辰は少しだけそれが嫌になった。




スレにいる転生者紹介

・クトゥルフ系狩人
這いよれ!ニャル子さんに転生した。
特典はモンスターハンターのハンターの身体能力。
邪神ハンターの最前線、ハンター内でも完全な人外扱いをされる開拓者として活躍中。メイン武器は大剣。
最近シュブ=ニグラス星人の恋人が出来た。


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USJ編
11スレ


戦闘訓練の翌日。登校していると雄英の校門前に妙な人だかりが出てきているのに気づいた。多くの人間がカメラやマイクなどを所持しているのを見ると雄英の取材に来たマスコミと言った所だろうが、それを見て思わず重いため息を吐いた。

 

「面倒臭いなぁ……」

「ホントだよね、よっ星辰」

「耳郎さん、おはよう」

 

其処へやってきたのは耳郎だった。彼女も如何やら校門前の手当たり次第に生徒へのインタビューを敢行しているマスコミには辟易している様子。

 

「このまま遅刻するのは嫌だけど、マスコミに巻き込まれるのはなぁ……」

「俺も……あっそうだ、良い物があるよ」

 

先日挑戦したエボルボトル生成の経験を基にして試してみた事があった、ポケットから取り出したのは白いカラーリングのデフォルメお化けが刻印されているボトルのような物だった。

 

「何それ?」

「これはフルボトル、俺が個性発動させるときにドライバーにボトル挿してるの分かる?」

「ああ、あれでしょコブラァって言ってる奴」

「そうそう。噛み砕いて言えばあれと同じ物なんだけどこれは単体で使っても効果があるんだ」

「それであれを越えられるってこと?」

「多分ね」

 

そう言いながら星辰はおばけフルボトルを振り始めた。そして十分に振った後にそれを握りしめると目の前の星辰の姿が掻き消える。

 

「えっ!!?ちょ、何が起こってるの!?」

「目の前にいるよ耳郎さん、ほら」

「うわぁ!?」

 

突然消えたと思ったら再び突然現れる星辰。これがおばけフルボトルの効果、一時的におばけと同じような事が出来るのである。つまりこれを使えば……透明化してマスコミを通り抜ける事が出来る。

 

「な、なんか透みたい……でもウチまで一緒に行ける訳なの?」

「多分……俺の手を握って貰う事になると思うけど……大丈夫かな?」

「あ~……うん、大丈夫だと、思う……よ?」

「良かった。それじゃあ行こうか」

 

然も当然のように差し出された手、きっと彼に他意はなく純粋な親切でやろうとしている事は伺えるのだが……流石に男の手を握った事はそれ程経験はないので躊躇しそうになる……が、これ以上遅れると遅刻の可能性も出て来るので意を決してその手を握ると優しく、だが力強く握り返されて思わず心臓が高鳴ってしまった。

 

「んじゃ行こうか」

 

改めて強めに振ったおばけフルボトルを握り込むと一気に身体が透明化していく、その事に思わず声を上げそうになったのだが少し強めに手を握ってくれた星辰の顔が何故か見えた。すると不思議と安心できてそのまま身体は透明化した、共に歩いて行くが唯の透明化ではなかった。途中生徒とすれ違うのだがなんとすり抜けてしまったのだ。

 

「(ただの透明化じゃなくておばけみたいになってる……!?)」

「あいたっ!?誰だよ今ぶつかったの!?」

「えっ俺じゃないっすよ」

 

その時に不意にマスコミの取材陣に軽く肩をぶつけてしまったが、星辰が更にボトルを握って力を強めて言うなれば霊体化を強化してそのまま突破する。そのまま少し歩いて校門を突破した辺りで霊体化を解除する。その時に前からやって来た相澤が酷くギョッとした表情をしていた。

 

「あっ先生おはようございます」

「石動、今のお前の個性か?」

「そんな感じです、マスコミであれなので個性使っちゃいました。耳郎さんは関係ないので勘弁してあげてください」

「ちょっと星辰!?」

 

自分だけ怒られようとする星辰に思わず声を上げるが、相澤は一つ息を落とすと直ぐに分かってると言った。

 

「本来なら敷地外での個性使用に対しペナルティを課す所だが今回は見逃してやる。如何見ても非があるのはあっちだしな」

「寛大な処置、感謝します。今後は気を付けます」

「ならよし。早く教室へ行け」

「分かりました、耳郎さん行こうか」

「えっああっうん分かった」

 

 

 

 

30:ヒロアカエボルト

―――ってな感じの事が朝にありました。

 

31:円卓の鬼

お疲れイッチ。どの世界でもマスコミはゴミってはっきり分かんだね。

 

32:青春学園の熱血教師

うちの学校に来る記者のあの二人は相当に良い部類だったのがよく分かるよ。

 

33:無法地帯の料理人

こっちはマスコミいないから楽だよ~

 

34:普通のカウンセラー

寧ろそこにマスコミいたら問題でしょ

 

35:超次元中学生

竜宮島にもいたらやべぇわ。

 

36:ヒスイの調査兵

こっちはそう言うのは無いな~

 

37:D×D風紀委員長

こっちも……ああいやあったわ。レーティングバトルに出る羽目になりました。

 

38:光の国の戦士

>>37

えっ悪魔になったんですか委員長ニキ。

 

39:D×D風紀委員長

バリバリ人間です。リアスに書類渡しに行ったら丁度焼き鳥ライザーがいて……

 

40:クトゥルフ系狩人

おうふ……

 

41:纏め役の転生者

でもいきなり喧嘩売られたのか?

あれはあれで一応貴族だろ。

 

42:D×D風紀委員長

リアスに部外者を入れるなら入校許可証を下げさせないとダメだろって注意したら……

貴様人間の分際で俺のリアスにどういう口の利き方をしているって炎投げつけられたから

反射的にトンファーで打ち払っちゃって……

 

43:ヒスイの調査兵

それでかぁ……まあ正当防衛だけど、それで喧嘩売るライザーもライザーだな……。

これだからCV子安は……

 

44:普通のカウンセラー

ちょっと声のディスはNGよ。それなら私なんて如何なるのよ?

 

45:IS世界のメンタルセラピスト

これだからラクシズ設立ボイスは……じゃね?

 

46:普通のカウンセラー

それ絶対私関係ありませんよねぇ!!?

 

47:ヒロアカエボルト

あっそうだ、お昼を耳郎さんと一緒に食べてたんですけど

 

48:IS世界のメンタルセラピスト

ンだとぉぉぉぉおお!!!?

 

49:青春学園の熱血教師

いや速い、反応速すぎるわ。

 

50:クトゥルフ系狩人

これだからセラピストニキは……

 

51:D×D風紀委員長

どうしてこうなるまで放っておいたんだ!!?

というか、耳郎さんって男っぽいところありますから

IS学園の女子連中とは随分違うのでは?

 

52:IS世界のメンタルセラピスト

女子が駄目なんだよ……幾ら男っぽくても女の子って一点でもうアウトなんだよぉ……

 

53:超次元中学生

これは、重症だな……

 

54:円卓の鬼

キアラネキ、カウンセリングしたれよ。

 

55:普通のカウンセラー

ええ~……まあやって欲しいならやるけど。

 

56:纏め役の転生者

んでイッチどうした?

 

57:ヒロアカエボルト

いや、その時にセキュリティが働いたんですよ。それもマスコミ関係だったんですけど……

雄英の防衛設備の通称雄英バリアーを乗り越えてきたんです。

 

58:D×D風紀委員長

ああ、成程そこなんですね。

 

59:ヒスイの調査兵

如何します、教えちゃいます?

 

60:無法地帯の料理人

まあ大丈夫でしょう。俺達だってそれぞれの世界のネタバレしまくってるし。

 

61:纏め役の転生者

だな。イッチ、そのセキュリティはマスコミが原因じゃない。

とあるヴィランがセキュリティを壊したせいだ。マスコミはそれに便乗しただけだ。

 

62:ヒロアカエボルト

えっ!?それじゃあ……もしかしてマスコミを隠れ蓑にしてヴィランが雄英の中に潜伏を!?

 

63:無法地帯の料理人

筋が良いなイッチ。だけど惜しい。

 

64:D×D風紀委員長

イッチの話からして、もうだいぶ時間が経ってるっぽいですね。

 

65:超次元中学生

ヴィランは職員室から雄英の情報を奪ったんだ。

 

66:光の国の戦士

近々、ヴィランが襲撃する、でしたっけ?

 

67:纏め役の転生者

だな。だからイッチがフルボトルを作れるようになったのはいいタイミングだったかもしれん。

今のうちにフルボトルを作って色んな状況に対応出来るようにしておくのが吉だぞ。

 

68:ヒロアカエボルト

分かりました!!取り敢えずガトリングとかロケットとか戦車とか潜水艦のを作りますね。

 

69:クトゥルフ系狩人

いやまあさ、フルボトル作るのは良いんだよ。良いんだけどさ。

 

70:ヒスイの調査兵

ことごとく出て来るボトルの名前が全部武器なのは草なんだわ。

 

71:ヒロアカエボルト

いやだって……ヴィランが来るかもしれないんですよね。

それだったら頼りになるボトルを作った方が良いかなぁって……。

 

72:普通のカウンセラー

まあうん、良いと思う、わよ?

 

73:光の国の戦士

まあそんなこと言ったら即死効果があるゴリラモンドの片割れよりはマシかと。

 

74:青春学園の熱血教師

どっちにしろこぇぇよ。

 

75:纏め役の転生者

さてさて、こっからどうなる事やら。




スレにいる転生者紹介

・円卓の鬼
コードギアスに転生した。
特典は鬼滅の刃の鬼の身体能力。
その身体能力を活かして傭兵として戦い続けて行った結果、鬼神と呼ばれるようになり、最終的に円卓の鬼神に落ち着いた。
ヴィレッタ・ヌゥと結婚を前提にした交際をしている。


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12スレ

雄英バリアを突破したマスコミの一件は、雄英が抗議をするだけでは済まずその後に正式にニュースに取り上げられ大々的に広まる事になっていた。想像以上に大きくなっていく風はマスコミに多大な向かい風となっていく、そんな中でもヒーローを目指す日常に変わりが訪れる事なんてない。そんな日、午後のヒーロー基礎学の時間になった時に相澤が今日の授業内容について話し始めた。

 

「今日のヒーロー基礎学は俺ともう一人も含めての三人体制で教える事になった。授業内容はレスキュー訓練。今回は様々な状況で訓練を行う事になる為にコスチュームを着る事で活動に制限が掛かる物も居るだろう。故に着用は個人の判断に任せる」

 

人を助けるための授業、ある種ヒーローの本懐ともいえる授業に皆のテンションも上がっていく。相澤はコスチュームを出すと訓練場は少し遠いからバスに乗るので早く来るようにと言うとさっさと教室から出て行ってしまった。今までの事を考えれば遅れたら即刻除籍すると言われかねないと皆思っている為かテキパキと動きながら集合場所へと向かっていくとバスが待機しており直ぐに乗るように促される。

 

「石動君確りと座りたまえ!!」

「これで座ったら隣に迷惑掛かるから適当に立ってるから気にしないで」

 

先日のマスコミ事変中に何やらリーダーシップを発揮したらしく、学級委員長となった飯田が席に着かずに立っている星辰に注意するが……コブラフォームでは肩のプラント部分が邪魔になるだろうと思ったので立っていると話すと、それならば致し方ないと納得される。やや賑やかすぎるバスはA組を授業の舞台へと連れて行った。

 

『USJかよ!!?』

「水難事故、土砂災害、火事、etc……此処はあらゆる災害の演習を可能にした僕が作ったこの場所――嘘の災害や事故ルーム――略して“USJ”!!」

『本当にUSJだった……!?』

 

色々と危ないネーミングだと冷や冷やする。そんな施設で待っていたのは宇宙服のようなコスチュームを纏っている宇宙ヒーロー・13号。

 

 

18:ヒロアカエボルト

スペースヒーロー……なんか親近感沸くなぁ

 

19:クトゥルフ系狩人

同じく。

 

20:光の国の戦士

私も。

 

21:円卓の鬼

ああそうか、このスレって宇宙関係者多かったな。

 

22:超次元中学生

俺も関係者かな?

 

23:青春学園の熱血教師

あ~……エイリア関連が宇宙関係……と言えなくもない、のか?

 

24:無法地帯の料理人

スペース……コ~ブラ~

 

25:IS世界のメンタルセラピスト

コブラじゃねえか!?

 

26:ヒロアカエボルト

呼びました?

 

27:普通のカウンセラー

エボルコブラだもんねwww

 

28:ヒスイの調査兵

そりゃ反応するわwww

 

29:D×D風紀委員長

wwwすいません、今回はちょっととびとびになるかも。

 

30:纏め役の転生者

なんだ、面倒事か?

 

31:D×D風紀委員長

オカ研が学校をサボって合宿に行きやがったのでその尻拭いです。

 

32:クトゥルフ系狩人

あ~……ライザー戦に向けての特訓か。

あれでも委員長ニキは良いの?

 

33:D×D風紀委員長

行く事も考えましたけど委員長としての仕事があるので。

というか、雲雀が群れるのはあかんでしょ。

 

34:ヒスイの調査兵

確かに。群れてると噛み殺しに来るしな。

 

 

「えー、では訓練を始める前に小言を1つ、2つ、いや3つ4つ……」

 

 

35:無法地帯の料理人

増えてる増えてるwww

 

36:無銘の転生者

ちゃんと数えてから話そうぜwww

 

 

「皆さんもご存じだと思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなモノでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

37:IS世界のメンタルセラピスト

イッチとすげぇキャラ被ってね?

 

38:普通のカウンセラー

エボルの最強フォームと被ってるわね

 

39:クトゥルフ系狩人

というか、おっそろしい個性だなおい……

 

40:光の国の戦士

人間サイズでブラックホール内包ですか……個性って文明監視員がつくべき案件なのでは?

 

 

「この個性は簡単に人を殺せます。皆さんの中にもそういう個性がいるでしょう」

 

そう言われて一番拳を強く握ったのは星辰だった。

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せてしまうような強すぎる個性を個々が持っていることを忘れないで下さい」

 

強すぎる個性……胸に突き刺さってくる。

 

「担任の相澤先生の体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したと思います。この授業では心機一転!!人命のためにどう個性を活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない、助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな」

「―――っ……ただ、唯何かを破滅させる事に特化してしまっているような個性でも、誰かを助けて救う事が出来ますか?」

 

41:IS世界のメンタルセラピスト

イッチ……。

 

42:普通のカウンセラー

人を殺すなんてレベルじゃないからねエボルの力は……。

 

43:纏め役の転生者

変身する度に地球の破滅方法が脳裏を過るんだ、意識しない訳ないだろうな。

 

44:クトゥルフ系狩人

精神的に来るだろうなぁ……。

 

 

13号はきっと個性で何かあったのだろう、誰かを傷付けてしまいその振るう先に迷っているのだろうと……だがそれは極めて正しい思考であり、寧ろヒーローとして極めて向いている物だと思っている。

 

「勿論です。僕のブラックホールもそうです、強すぎる個性を持って最初は凄く怖かったです。活動中に人を殺めてしまうんじゃないかって怖くなったことは一度や二度ではありません。だから恐怖出来る事は大切なんです、大切なのは恐怖するのではなく恐怖を飲み込んで支配する事です。それが出来ればその怖さを別の方向に向けて活かす事が出来る。その為に、この授業でいろいろ学んでくださいね石動君」

「―――はいっ!!」

 

 

45:青春学園の熱血教師

うおおおおおおおおっっっ!!!俺は今、モーレツに感動している!!

 

46:無銘の転生者

いやぁ良い事言うなぁ。

 

47:D×D風紀委員長

教師に相応しい人だなぁ。

 

48:ヒスイの調査兵

ギンガ団にもこういう人居たらなぁ……。

 

49:円卓の鬼

同僚にこんな人居たらなぁ……。

 

50:IS世界のメンタルセラピスト

学園にもこういう先生がいたらなぁ……。

 

51:普通のカウンセラー

なんか凄い方面に飛び火してて笑うんだけど。

 

52:纏め役の転生者

どの世界にも問題はあるって事か。

 

 

 

そしていよいよ本格的に授業が始まろうとしたのだが……その時である。世界に蔓延る悪意と敵意が、彼らへと迫る。

 

世界を滅ぼせる力を持つ星辰は、それと戦えるのか。



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13スレ

USJ全体の照明が一瞬消え、不気味な雰囲気が生み出されていく中で悪寒が身体を貫いた。噴水広場に反射的に顔を向けるとそこには黒い靄のような何かが空中で不気味に渦巻いていた。そこからは底知れぬ悪意と殺意が漏れ出ている。そして噴水前の空間が奇妙なほどに捻じ曲がり広がっていく光景に素早く指示を飛ばしながらゴーグルを装着し、13号も動き出す。

 

「皆さん避難します!!これは訓練ではありません!!」

 

現実として受け止めきれていなかった生徒達も緊急事態だという事を飲み込む事が出来たのか、その指示に従い始める。相澤は自らの得物である捕縛布を握り締めながらも飛び出すタイミングを見計らう。此処まで進入するヴィランだ、恐らく先日のマスコミの一件もあれらの手があったのだろう。ならば油断せずに行くしかない。

 

「13号、生徒を頼むぞ。俺は時間を稼ぐ」

「先生っ!!イレイザー・ヘッドの戦闘スタイルは個性を消してから捕縛!一対一ならまだしもあの数との正面戦闘は危険すぎます!!」

「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

緑谷は相澤のヒーローネームであるイレイザーヘッドの事も当然知っていてその戦闘スタイルを熟知している為に心配をする。一対多のこの状況では不意を突いての奇襲が精々な筈、だが相澤は一蹴しながら相澤は敵陣へと突っ込んで行く。自らの個性、抹消にて相手の個性を消す事でペースを乱しつつもかく乱、捕縛布を巧みに使って別のヴィランへとぶつけるなどして上手く集団を乱していく。その隙に13号に連れられてUSJからの脱出を試みるのだが―――

 

「逃しませんよ、13号と生徒の皆様方」

 

自分達の向かう先、出口を封鎖し立ち塞がる霧のような姿をしているヴィラン、他のヴィランをここに連れてくる役目も担っている黒い霧のヴィランは慇懃無礼な口調をしながらも明確な敵意と悪意を向けてくる。それらから守るように13号が一歩前に出る。

 

「はじめまして生徒の皆様方。我々はヴィラン連合。この度、ヒーローの巣窟であり未来のヒーロー候補生の方々が多くいる雄英高校へとお邪魔致しました。我々の目的、それは平和の象徴と謳われております№1ヒーローであるオールマイトに息絶えて頂く為でございます」

「オールマイトを……随分な事を言いますね」

「大胆不敵でしょう、不敵、正しく我々ヴィランの特権です」

 

オールマイトを目的として事件を起こすだけでも狂っているとさえ思えるのにオールマイトだけではなく多くのプロヒーローが教師として在中している雄英高校に乗り込んでくるなんて正気の沙汰ではない。しかも肝心の目的がオールマイトの殺害、出来っこないと皆の思考が鈍るがヴィランの瞳に嘘が滲んでいない、本気で殺すつもりで来ている。そして直後―――

 

「そして生徒の皆様が金の卵という事も承知しておりますので―――散らさせて頂き嬲り殺しにさせて頂きます」

 

今度は黒い霧が伸びて自分達を包み込んでいく。身体が何処かに飛ばされているかのような感覚を味わうが直ぐにそれは明らかになった。霧が晴れるとそこは周囲を岩壁で身動きが取りづらい場所―――大勢のヴィランが自分達を待ち受けていた。周囲には八百万、上鳴、耳郎が居り自分と同じく周囲を警戒している。

 

「石動さん、御無事ですね!?」

「ええ、其方は?」

「上鳴さん及び耳郎さん共に無事ですわ、無事ですが……」

「完全に囲まれてる……!!」

「畜生なんだってんだよぉ!!」

 

上鳴は顔を歪めながらまさかこんな事になるなんて……と言う後悔に染まっている。その気持ちはよく分かるが、出来ればしまって欲しい物だ。

 

 

60:クトゥルフ系狩人

イッチはヤオモモ達ととか!!

 

61:ヒスイの調査兵

だけどこりゃ不味いな完全に分断されてるし包囲も完璧だ。

 

62:円卓の鬼

戦力の計算は人数の差で求められる。色々省くけど同じ実力の人間が一対三だと

一人側は9倍の力の差がある事になる。

 

63:IS世界のメンタルセラピスト

正しく、戦いは数か……。

 

 

「ひゃはははっ!!!女、女がいるじゃねえか!!しかも片方は完全に誘ってるじゃねえか!!」

「んだテメェはそっち派か、ならボブは俺が貰うぜ」

「どっちにしろどっちも餓鬼だ、ヒヒヒヒッ……楽しめそうだなぁ……!!」

 

64:普通のカウンセラー

……ゲスな会話を……!!

 

65:青春学園の熱血教師

そうか、そう言う意味でもこの状況ってマジでやばいのか

 

66:D×D風紀委員長

噛み殺したい。

 

67:無法地帯の料理人

ちょっと暴力協会から仕入れたグレラン取ってきます。

 

68:光の国の戦士

御待ちなさい、貴方達世界の壁超えられないでしょ。だからここは私が……

 

69:纏め役の転生者

お前ら全員落ち着け。此処はイッチにやらせるべきだろ。

 

 

ヴィランの会話を聞いてしまい、思わず身体に怖気が走る耳郎と八百万。此処で敗北した場合、自分達はどうなるのか、このヴィラン達に好き放題にされて慰み者にされてしまうのか……という最悪の未来が想像してしまう。

 

「―――これだから、人間は……

「お、おい石動如何したんだよ……!?」

「クククッ……アハハハハハハハッ!!!」

 

突然大声を上げて笑い出した星辰に上鳴達は驚く、それはヴィラン達も同様である。精々子供しかないと思っていた中に一人混ざる異物、あれは本当に子供なのか、それとも背伸びをしているだけと思うべきなのか、低く渋い声も相まって迷うが出る中で聞こえてくる笑い声に困惑する。そんな時―――

 

「があっ!?」

「ギャァッ!?」

 

響く銃声と共に二人の頭部をエネルギー弾が捉えて一撃のもとに倒してしまう。それは笑いながらも無造作に握ったトランスチームガンのトリガーを引いた星辰だった。

 

「なってねぇな、獲物を前に舌なめずりかぁ?三流のチンピラヴィランどもぉ」

 

70:IS世界のメンタルセラピスト

キャ~イッチ~!!

 

71:ヒスイの調査兵

無慈悲にヴィランを撃ったぁ!!俺達に出来ない事を平然にやってのける!!

 

72:無法地帯の料理人

其処に痺れる!!

 

73:無銘の転生者

反吐が出るぅ!!

 

74:ヒロアカエボルト

何でや!!!

 

75:無銘の転生者

>>74

ギャグよぉ~ギャグだってば~

 

 

「ふ、不意打ちしやがった!!」

「なんて卑怯な奴だ、それでもヒーロー志望か!!」

「リアリストだ。そもそもヴィランに歩幅併せてよーいドンで争う必要なんざぁねぇんだよ」

 

76:円卓の鬼

お前は何処のデュエリストだ。というか地味にまたエボルトになってるな。

 

77:光の国の戦士

正論ではありますけどね、この状況なら舌なめずりしてる相手に先制攻撃は良い手です。

 

78:D×D風紀委員長

でもいい感じに出鼻を挫けましたね。

 

79:クトゥルフ系狩人

まあこっちはこっちでクラスメイトの純潔とかそう言うのを守らんと行けないしね。

 

80:普通のカウンセラー

やっちゃいなさいイッチ!!私が許すわ、女の子にこんな事をするような奴なんて

容赦無用よ!!

 

81:IS世界のメンタルセラピスト

>>80

良い事言ってんだけどキアラが言ってると思うとなんかシュールな……

 

82:纏め役の転生者

>>81

言ってやるな。だが加減はしろよイッチ。お前が本気出したら

普通の人間よりは頑丈なヒロアカ次元の人間でもミンチよりひどくなる。

 

 

「お前らみたいな下衆が相手だと楽で良いな……気兼ねなく、戦える」

「んだテメェ!!」

「先ずはこいつからやっちまえ!!」

 

挑発的な言葉を投げかけて来る星辰にキレたのか、一斉にヴィラン達が襲いかかり始める―――が伸ばされた腕は的確にヴィランの首を掴むとそのまま他のヴィランごと地面に叩きつける。その際に地面は砕けて小さなクレーターが出来ていた。

 

「チェラァ!!」

 

そのまま軽く跳躍しながらの回し蹴り、同時に脚の機能を使って運動機能を強化しつつもオーラを放つ事で飛び掛かってくるヴィランを薙ぎ払う。

 

RIFLE MODE!!

 

そのままトランスチームガンにスチームブレードを装着してライフルモードへとチェンジさせながらそこにフルボトルを装填する。

 

FULL BOTTLE!!

 

83:光の国の戦士

おっ?

 

84:IS世界のメンタルセラピスト

イッチが作ったっていうフルボトル!

 

85:クトゥルフ系狩人

ああ、あの妙に殺意が見えてるラインナップの……。

 

STEAM ATTACK!!

 

ボトルを装填してからトリガーが引かれると―――先程とは比べ物にならないレベルの速さでエネルギー弾が連射されていく。低い唸り声のような音を上げながら弾丸を吐き出すその様は正しくガトリングのよう。

 

「うわああああああ!!!?」

「なんでヒーローがガトリングなんて持ってんだぁ!?」

「やべぇ死ぬぅ!!」

「安心しろ、死ぬほど痛いだけで死にゃしねぇよ!!感謝しなぁ!!」

 

トランスチームガンに接続されたスチームブレード、それによってライフルモードに移行したトランスチームガンは先程の一撃とは段違いの威力となっている。そこにガトリングフルボトルが装填された事で一撃重視である筈のライフルがガトリングレベルの速射が可能となっている。

 

86:纏め役の転生者

成程、威力重視のライフルモードの泣き所の連射力をガトリングフルボトルでカバーしたのか。

良い考えだ。

 

87:無法地帯の料理人

ライフルサイズでミニガンみたいに弾ばら撒けるって凄いな……。

 

88:普通のカウンセラー

いいわよイッチ!!もっとやってやりなさい!!

 

89:IS世界のメンタルセラピスト

おいおいおい……。

 

 

「調子に―――乗ってんじゃねえ!!!!」

 

ライフルを撃ちまくっている星辰の背後から一人のヴィランがナイフを構えながらその首筋に突き立てようと飛び掛かる、が―――

 

「させるかぁ!!」

「ぎゃああああああああああ!!!?」

「今ですわ上鳴さん!!」

「応よ!!」

 

ヴィランに耳郎が飛び掛かるとそのまま頭にプラグを刺しこんだ。そのまま自分の心臓の鼓動を大音量で直接流し込む、突然の爆音に悲鳴を上げながらも地面に落ちたヴィランに上鳴が鉄パイプを叩きつけた。そして耳郎がプラグを引き抜くと同時に放電してヴィランに直接電流を流し込んだ。

 

「アバババババババ!!!?」

「とどめですわ!!」

 

そう言いながらグローブをした八百万が木の棒のような物でヴィランの顎にフルスイング。その一撃でヴィランは完全に意識を失った。

 

90:青春学園の熱血教師

おおっ!!即席のコンビネーションアタック!!青春してるなぁ~!!

 

91:円卓の鬼

まず音で動きを封じてから電撃、ラストにヤオモモが顎をフルスイングか。

 

92:クトゥルフ系狩人

音×電気×人体の急所のコラボレーションとか

 

93:無法地帯の料理人

エグイ、エグイぞwww

 

 

「大丈夫星辰!?」

「おかげさんでな、有難うな」

「気にすんなって!!後ろは任せろ!!」

「石動さんはそのまま撃ち続けてくださいませ!!」

「フフフッ任せときな!!こういう時の為に準備してきたんだからなぁ!!」

 

FULL BOTTLE!!

 

「そぉら、逃げて見ろ……ヴィラン共!!」

 

STEAM ATTACK!!

 

新しくフルボトルを装填して放たれた一撃は煙の尾を引きながらも空を舞いながらも的確にヴィラン達へと迫っていく。

 

「な、なんだこの弾丸追って来るぞ!?」

「ま、まさかホーミング!?」

「ざっけんな何処の世界に誘導弾撃てる銃があるんだよ!!」

 

「目の前にあるんだなこれが、そぉら追加だ!!」

 

STEAM ATTACK!!

 

「「「「「ざっけんぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」

 

94:纏め役の転生者

今度はロケットボトルか、ビルドでもやってたコンボだな。

 

95:D×D風紀委員長

追い打ち掛けるイッチ、なんかスゲェ楽しそうwww

 

96:普通のカウンセラー

良いわよイッチ!!そのままもっとやれやれ!!

 

97:円卓の鬼

鬼だwww鬼が此処に居るぞwww

 

98:無銘の転生者

>>97

鬼はお前だwww

 

 

STEAM ATTACK!!

 

「があああああ!!!?」

 

EVO-ツインコブラアイで一応索敵を掛けたら隠れていたので躊躇なく、タンクフルボトルを装填してから地面を撃つ星辰。すると地面の中に隠れていたヴィランが爆発に呑まれながら飛び出してきた。

 

「無駄だ、俺からは絶対に逃げられねぇ」

「バ、バケモノ……」

「俺が、バケモノ……フフフッ違うな、俺はお前達の敵だ」

 

そう言うとヴィランは完全に気を失ってしまった。そしてトランスチームライフルを肩に担ぎ三人にヴィランが潜んでいない事を合図すると三人から安堵と喜びの声が漏れて来た。それを聞くと安心する一方で―――何故か残念に思ってしまった。

 

「んっ……?」

「やったね星辰!!アンタ滅茶苦茶強いじゃん!!」

「ええ、本当に素晴らしかったですわ!!そちらの武器もボトルも、もしも作り出しているならば是非お話を聞きたいですわ!!」

「本当にお前がいて助かったよぉ~!!」

 

三人から様々な声を掛けて、思わず嬉しくなって頭を掻いてしまって先程の事なんて直ぐに忘れてしまった。



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14スレ

「……うん、確かに大丈夫っぽい。地面からも心音とか聞こえてこなかった」

「はぁ~……取り敢えず、何とかなって良かったぜぇ」

 

星辰が確認はしているが、念には念を入れるという事で耳郎が地面にプラグを指して確認したが隠れているヴィランは皆無という確証を得る事が出来た。その一方で星辰は一か所にヴィランを纏める作業を行っている、後で教師が回収する時に楽にする為である。

 

「これで全員ですわ。ワイヤーを御作り致します?」

 

八百万、彼女の個性は創造。生物以外ならば作り出す事が出来る、卓越した頭脳がある彼女は創造するための条件でもある分子構造まで頭に入るので様々な物を作り出せる。なのでカーボンファイバーのワイヤーで縛るか?と提案してくるが、星辰はやんわりと断っておく。

 

「それ、八百万さんが消耗するでしょ。それなら俺がやるから」

 

そう言いながらもトランスチームライフルに新しくフルボトルを装填すると気を失っているヴィランへと狙いを定める。

 

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

 

トリガーが引かれると銃口から再びエネルギーが放出されるが、それは瞬時に広がってネットのようになりながらヴィラン全体へと降り注いだ。そしてヴィラン達を完全に捕縛して身動きを取れ無くしてしまった。

 

「蜘蛛の糸による捕縛ネット、八百万さんなら分かるよね?」

「成程、天然の蜘蛛糸の強度は鋼鉄の340倍、炭素繊維の15倍と言われておりますものね。捕縛にはピッタリですわ」

 

某スーパーヒーローで大活躍の蜘蛛糸、重さあたりの強靭性で言うと地球上で最も強い素材とも言われている。どの位凄いかと言えば、太さ1センチの蜘蛛糸で巣を作ればジャンボジェット機を蝶などと同じように捕まえる事が出来ると言われている程。

 

「でも取り敢えずこれで完全に安全性確保だね」

「他の連中心配だけどなぁ……大丈夫かなぁ」

「きっと大丈夫ですわ、私が無事だったように切り抜けている筈ですわ」

 

そんな話をしている時に思ってしまう、本当にこれで終わりなのかと。

 

「―――ねえ、なんか可笑しくない?」

「可笑しいって、何が?」

「オールマイトを殺す為に此処に来たって言いながら俺達が戦った奴らって正直凄い弱くなかった?」

「……確かに。石動さんが強いという事を踏まえても幾らなんでも弱すぎますわね、私たちでも対応出来た位ですし……」

 

そう、余りにも弱すぎる……エボルトムーブとフルボトルの力で圧倒していたがそれでも弱すぎる。ロクな反撃をする事も出来ないまま倒されていった連中を見て本当にオールマイトを殺す気があるのか?という疑問が浮かぶ。

 

「だ、だったらよぉ中央広場に行かねえか!?俺達みたいに他の施設に飛ばされてる奴も目指してるかもしれないし……相澤先生がいるじゃねえか!プロが居るんだからそこに行って指示を仰ごうぜ!!」

「……そう、ですわね。取り敢えず他の方々と合流するのが先決だと思いますわ。此処に留まって奇襲を受けるのも問題ですわ」

「それじゃあ中央を目指そう」

 

一先ず、入り口まで無事に戻る事は出来た。そのまま中央広場へと向かって行く時の事……鈍く、生々しい音が響いてきた。

 

「ヒッ!?なんだよ今の……!?」

「男がそんな情けない声出すなっつの!少しは星辰を見習えっての」

「兎も角、此処からは慎重に……」

「そうしよう」

 

身を屈めて茂みに隠れるようにしながら進んでいった先、それを見てしまった。オールマイトと戦闘を行っている脳が剥き出しになっている二人のヴィラン……あろうことか、そのヴィラン達はオールマイトの一撃を受けても平気そうな顔をしながらもオールマイトに迫り続けている。

 

 

107:青春学園の熱血教師

脳無!!?ってちょっと待て何で2体も居んだよ!?

 

108:普通のカウンセラー

待って原作だと1体の筈でしょ!?

 

109:IS世界のメンタルセラピスト

何だぁあのバケモン!?

 

110:ヒロアカエボルト

あれ何なんです!?脳が剥き出しなんですけどぉ!!?

 

111:纏め役の転生者

>>110

落ち着けイッチ。あれはヴィラン連合が作り出した改造人間、通称脳無だ。

原作だと対オールマイトとして一体連れて来られたんだが……。

 

112:ヒスイの調査兵

まんまだな……。というか対策で1体!?

 

113:無銘の転生者

って事は原作よりも状況がマジヤバでチャケパネェって事じゃん!!

 

114:クトゥルフ系狩人

>>113

ハデス様はお帰り下さい。

 

115:超次元中学生

いや、これ……流石にオールマイトでもムリゲー臭くねぇか?

 

116:D×D風紀委員長

元々の脳無だけでもショック吸収と超再生の個性持ちですもんね……

 

117:無法地帯の料理人

これは、如何するべきなんだ……!?

 

118:普通のカウンセラー

イッチ、どうしたい?

 

119:IS世界のメンタルセラピスト

戦いたいならサポートするけど。

 

120:ヒロアカエボルト

俺は……ってやばい!!?

 

121:纏め役の転生者

イッチ!?

 

 

「頑張るなぁ~オールマイトォ……ならその頑張りを讃えて―――絶望をプレゼントしてやるよ」

 

身体に手を付けた男……恐らくヴィラン連合のリーダー格と思われる男が視線を向きを変えた。するとオールマイトと殴り合っていた脳無の一体が後退した、直後―――凄まじいスピードで外れの茂みへと走り出したのだ。それに思わず飛び出したのは星辰だった、飛び出してきたのをみてコースを変えて星辰へと向かってそのまま殴り掛かるが、それをギリギリで回避する。

 

「石動少年!?今―――くそ私を行かせないつもりか!!」

 

脳無が立ち塞がって星辰の元へと向かえない、このまま足止めして星辰が殺される姿を見せ付けるつもりだと悟る。何とか突破したいが、自分並のパワーとスピード、そしてショック吸収と超再生という個性を持つ相手では容易に突破出来ない。

 

122:ヒスイの調査兵

野郎、イッチに脳無を差し向けやがったのか!?

 

123:光の国の戦士

いえ違います、隠れていた茂み諸共吹き飛ばそうとしたんです。

でもイッチが派手に飛び出したから其方にターゲットを変えたんですよ。

 

124:D×D風紀委員長

良い判断……でも、このままだと不味いですよ。

 

125:ヒロアカエボルト

大丈夫です、このままこいつを引き付けます。

 

126:IS世界のメンタルセラピスト

おい正気かイッチ!?そいつもオールマイト対策なんだぞ!!?

 

127:ヒロアカエボルト

対策が半分になればオールマイトにも勝ち目がある、時間さえ稼げば先生たちも来る。

 

 

「なんだ遊んでほしいのか、良いぜ相手してやる。来やがれ!!」

「待つんだ少年!そいつは私対策のヴィランだ、生半可な相手では……!!」

「だったらさっさとそいつをぶっ飛ばせよオールマイト!!時間は稼いでやるからよぉ!!」

「ッ―――ああ、分かったぁ!!」

 

教え子は分かっている、自分対策が二人居たお陰でもあって抑え気味だったのを。だからこそ、自分を助ける為に一体を引き受けてくれたのだ。ならば―――速攻でこいつをぶっ潰す!!

 

「調子に乗るなよぉ、そいつは対オールマイトの脳無だ。個性は炭素変化とダイラタンシー、あいつには劣るがそいつだって十二分に強いからなぁ……!!」

「べらべらとよく回る舌だな、自慢げに玩具の解説か?」

「あ"っ?殺せ」

 

沸点が低いのか、軽いエボルトムーブで一瞬でキレたのか即座に指示を出した。それに従って脳無は拳を振り上げて叩き潰そうとする―――が、星辰はそれを回避しつつも懐に入り込むと拳を構えた。それを男、死柄木弔は笑った。聞いてなかったのか、防御系の個性二つがあるんだから効く訳がない。

 

「そぉらぁ!!」

「―――ハッ?」

 

繰り出されたアッパーカットの一撃は脳無の身体を揺らしながら僅かに空へと打ち上げた。

 

128:無銘の転生者

殴れたぁ!!

 

129:円卓の鬼

まあ、仮面ライダーのスペック持ちに炭素硬化程度は問題ないわな。

 

130:無銘の転生者

ダイラタンシー……って何だっけ

 

131:纏め役の転生者

>>130

衝撃の瞬間に硬化する事だ。炭素硬化との併せ技とんでもない硬さになる筈だ。

そりゃオールマイトも苦戦する筈だ。

だが、エボルにはEVOゼノベイダーグローブ・シューズがある。

触れた物体を自在に分解・再構築する事によって敵の装甲を無視して攻撃を叩き込むことが可能だ。

 

132:D×D風紀委員長

ああっ!!それで防御貫通してエボルの一撃が入ったんだ!!

 

 

「身体の硬さが自慢らしいが―――生憎俺には関係ないんでねぇ!!」

 

空中へと浮いた脳無へ何度も何度も拳を打ち付けて行く。脳無はそれを受けて地面へと落ちながらもダメージに苦しんでいるような姿を見せると、死柄木弔は激しく歯軋りさせながら星辰を睨みつけた。

 

「脳無の防御を貫く……!?チートがぁ……!!」

「残念チートじゃねえんだな、唯の―――防御貫通アビリティだ!!」

 

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

 

トランスチームライフルに再度、スパイダーボトルを装填してトリガーを引く。今度は極太の蜘蛛糸が発射されて脳無を絡み取っていく、身体中に絡まっていく糸を取ろうとするのだが取ろうとしたところで凄まじい粘着力で手が完全にくっ付いてしまう。

 

 

133:無法地帯の料理人

おおっ捕まえた!?

 

134:ヒスイの調査兵

なぁ~んか、既視感あるぞ俺。

 

135:普通のカウンセラー

奇遇ね、私もよ。

 

 

完全確保を終えると星辰はそのままレバーを回し始めた。そして漲っていく力に任せて思いっきりトランスチームライフルを引っ張った。それによって脳無は勢いよく引き寄せられてくる。

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

「だぁぁりゃああ!!!!」

 

凄まじい力で引き寄せられた脳無は抵抗も出来ないまま、星辰の元へと向かって行く。そんな脳無をフルパワーをチャージした星辰は飛んでくる脳無目掛けて渾身のオーバーヘッドキックを叩きこんだ。蜘蛛糸が一瞬で消滅する程の凄まじいエネルギーを纏った一撃は脳無が瞬間的に行った最大防御を貫通した、そしてそのまま中央広場にある噴水へと吹き飛ぶと激突と同時に大爆発を引き起こした。

 

CHAO!!

 

136:青春学園の熱血教師

やっぱりィィ!!!

 

137:普通のカウンセラー

エボルトじゃなくてキルバスだったぁ!!

 

138:無法地帯の料理人

しかもキルバスと違ってちゃんと着地成功させてやがるwww

 

139:IS世界のメンタルセラピスト

さっすが俺達のイッチ!!

 

140:円卓の鬼

というか、あれ脳無死んだんじゃね?

 

141:纏め役の転生者

安心しろ、脳無は既に生物学的には死んでる筈だ。

 

142:クトゥルフ系狩人

つまり……おばけ!?俺おばけ無理なんだけど!!?

 

143:無銘の転生者

おい、おばけよりも恐ろしいもん狩ってる奴が何言ってんだ。

 

 

「おい、嘘だろ……脳無が何で生徒なんかにやられるんだよ……!?」

「まさか、脳無が……!?」

 

流石にこれはヴィラン連合としても完全な想定外だったのか動揺が見て取れる、それを見てオールマイトは大きく笑うと迫って来た拳を跳ね除けた。

 

「やるなぁ石動少年!!ならば私が負けてる訳にはいかないなぁ。教師であるからこそ見せなければいけない精神、それをこの一撃で体現する!!PLUS ULTRA SMASH!!

 

オールマイト、渾身の一撃は脳無の肉体に深々と突き刺さった。それは如何に超再生とショック吸収があると言っても受け止めきれるような物ではなかった、脳無の身体は簡単に宙へと舞い上がるとそのままUSJの内壁をぶち破り空の彼方へと飛んで行って星となって消えて行ってしまった。

 

 

144:クトゥルフ系狩人

……対、オールマイトの改造人間じゃなかったっけ?

 

145:円卓の鬼

あれ、原作外れてる?

 

146:D×D風紀委員長

大丈夫です、原作でもオールマイトはごり押しで脳無ぶっ飛ばしてますから。

 

147:クトゥルフ系狩人

てっきり長年の経験で対処法知ってるからみたいなもんだとばかり……

 

148:超次元中学生

まあ、オールマイトやし。

 

149:ヒスイの調査兵

流石原作が進むたびに全盛期が再評価される男。

 

150:光の国の戦士

そんなオールマイトをボロボロにしたオール・フォー・ワンってなんなんでしょう?

 

151:IS世界のメンタルセラピスト

そんな奴を倒したオールマイトって……

 

152:普通のカウンセラー

やめておきましょう無限ループする話題よこれ。

 

153:纏め役の転生者

ヴィラン連合も撤退していったな。だがまさか脳無をぶっ飛ばすとは……

あれだけ時間稼ぎすればとか言ってたのに。

 

154:ヒスイの調査兵

まあいいんじゃね?仮面ライダーとしての意識が出て来たと思えば。

 

155:普通のカウンセラー

お疲れ様イッチ。

 

156:D×D風紀委員長

見ごたえありましたね~お陰でライザー対策思い付きました。

 

157:無銘の転生者

>>156

へぇっ何やんの?

 

158:D×D風紀委員長

簡単です―――雲の手錠で全身拘束してから締め上げて殺し続けます。

 

159:円卓の鬼

>>158

鬼だwwww

 

160:光の国の戦士

>>158

確かに不死性がある相手にはあきれるほど有効な手ですねwww

 

161:青春学園の熱血教師

>>158

というか匣兵器もあるのなww

 

162:D×D風紀委員長

なんか死ぬ気の炎あるのにそれだけあれでしょって事でもらえました。

ボンゴレ匣込みで。

 

163:無銘の転生者

というかあれか、真6弔花のデイジーにやってた奴だなww

 

164:無法地帯の料理人

ああ、確かにあったな。

 

165:纏め役の転生者

まあ兎も角色々終わって何より……あれ、イッチ?

 

 

「お、オールマイト大丈夫!!?」

「おおっ!!耳郎少女に上鳴少年、八百万少女もいたのか!」

 

オールマイトは草臥れているが教え子たちに安心させる為に気持ちに鞭を入れる、如何やら星辰は彼女たちを庇う為にも飛び出したらしい。

 

「だが全然気づかなかったなぁ、隠密も出来るなんて凄いぞ!!」

「ああいや違うの、星辰がこれを貸してくれたから」

 

そう言いながら耳郎はおばけフルボトルを取り出した、飛び出した際に彼はそれをそっと落としていたらしくそれに気付いた耳郎は大慌てでそれを拾って前に使っていた事を思い出し、二人と手を繋いで姿を消していたとの事。

 

「なんとそんな物まで……!!益々凄いぞ石動少年、あの一瞬でそんな判断まで……石動少年?」

 

なんて凄いんだと褒めようとするのだが……着地体勢から一切動こうとしない星辰に不安を抱きつつも肩を軽く叩くのだが……

 

「ガァッ……」

 

そんな声を漏らしながらも変身の強制解除が起こり、そのまま倒れてしまった。出力を最大にまで上げてしまった結果、ハザードレベルの変動が起きてしまっている。その影響で変身が強制解除されてしまった。

 

「い、石動少年!!?確り、確りするんだ!!?」

 

倒れこんだ星辰の瞳は赤く輝いていた。妖しい……赤みを帯びて。



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15スレ

「よし生徒は全員確認、ヴィランの方は……蜘蛛糸に捕縛されてるヴィランを確保出来ない?」

 

USJをヴィランが襲撃という一大事件、それが収束しやってきた警察によってUSJ内のヴィランの捕縛は進められて行く。残念ながら主格と思われる死柄木弔と黒霧と呼ばれているヴィランには逃げられてしまったが、それ以外のヴィランは確保が進んでいる……のだがそんな時に塚内という刑事が連絡中の相手と会話している時にヴィランを確保出来ないと言われて、思わず全員が身を固くするのだが……

 

「何だまさか逃げ……えっ違う?蜘蛛糸が強靭過ぎて外せない?」

「その蜘蛛糸は数時間すれば自然と溶けると石動さんが仰っておりましたわ」

「そうなのかい?それなら……よし、そこの岩ごと削って運び出そう」

 

軽く話した時に蜘蛛糸の事も聞いていた八百万が一言言う事で何とか移送の手筈も整う事が出来た。そしてそのまま気になっていた事を尋ねる事にした。

 

「あ、あの……相澤先生や13号先生たちは無事なのでしょうか……?」

「三茶、先生方の容体は?」

「ハッ……イレイザーヘッドですが両腕粉砕骨折と顔面の骨折ですが脳への損傷は見受けられず、後遺症の可能性はあるそうですが命に別状はないとの事です。13号も同様で命への別状はなし、背中から上腕にかけての裂傷が酷いですが意識もはっきりしており問題ないとの事です」

 

それらを聞いてほっと胸を撫で下ろすクラスメイト達、自分達の為に戦ってくれた先生たちが無事である事が分かって本当に良かった……そう思う中でまだ気になる事があった。

 

「あ、あの!!星辰、いや石動は如何なんですか!?あいつ、アタシ達を庇ってヴィランと戦って無茶していきなり倒れて……!!」

 

耳郎は思わず鬼気迫る表情で聞いてしまった、彼は自分達を庇って飛び出した上に自分達に隠れる為のアイテムまで貸してくれた。そこまでしてくれた彼が突然倒れた、心配しない訳がない。

 

「ああ、あの子か……一人でオールマイト対策のヴィランを倒したという」

「彼についてですか……どうにもよく分からないらしいんです」

「分からない?」

 

その言葉に思わず耳郎、八百万、上鳴は不安を募らせた。

 

「全身疲労な事は分かっているらしいんですが……如何にもリカバリーガールにも意識を取り戻さない理由が全く分からないそうなんです。個性の限界使用のリバウンドという線で経過観察をしているらしいですが……」

「何か不審な点でも?」

「いえ……どうにも彼の身体は活性化し続けてるそうで」

 

 

 

 

「ふぅん……訳が分からないねぇ……」

 

医務室のベットの一つに寝かせている石動 星辰を見ながら校医のリカバリーガールは思わずそんな言葉を吐き出した。

 

「脳に損傷がある訳でも無い、外傷もないとなると……個性の限界使用によるオーバーアクションしかないと思うけど……」

 

個性も人間が持つ機能の一つ。使い過ぎれば疲弊するし限界を越えて使えばその分跳ね返ってくる、星辰もその類の物だと思っていたが……疲弊しているどころか活性化し続けている。

 

「取り敢えず休ませるしか出来る事が無いなんて……情けないねぇ……取り敢えず、ゆっくり休むんだよ」

 

そう言いながらリカバリーガールはカーテンを閉めてあげてゆっくり寝られるようにする。そして―――やってきたお見舞い客を緑谷へと引き会わせるのであった。

 

 

175:クトゥルフ系狩人

イッチ、大丈夫かねぇ……。

 

176:無法地帯の料理人

突然倒れたもんなぁ……。

 

177:IS世界のメンタルセラピスト

……ちょっと一夏しばいて来る。

 

178:普通のカウンセラー

やめなさい、中の人が同じなだけでとばっちりよ。

 

179:円卓の鬼

でもどうして倒れたんだろうなぁ……ビルド的に考えたらどんな原因がある?

 

180:青春学園の熱血教師

う~ん……ダメージ超過?

 

181:D×D風紀委員長

ダメージ全然受けてなかったのにですか?

 

182:ヒスイの調査兵

ハザードレベルが上がったせいとかかな?

 

183:超次元中学生

ああっありそうだなそれ!!

 

184:無銘の転生者

ハザードレベルって……なんぞ?

 

185:纏め役の転生者

>>184

ビルドに出て来るネビュラガスと呼ばれる物に対する耐性の度合いの数値化したものだ。

ネビュラガスはレベルが低いもの、レベル1.0~に打つと死滅したりするが、

レベルが2.0~になるとスマッシュと呼ばれる怪人へと変身する。ビルドのライダーシステムも

このハザードレベルが高くないと使用できない。

 

186:無銘の転生者

>>185

ほえ~成程そんな感じなんですね。

 

187:???

因みにビルドを始めとするライダーになる為には最低でもレベルは3.0を越えないとダメだぞ。

他に色々条件があったりするけど、此処を越えると覚醒とも呼ばれるな。

 

188:円卓の鬼

へ~……って誰だお前!?

 

189:無銘の転生者

何々何方様ぁ!!?

 

190:???

おいおいおいつれないねぇ~これまで楽しくおしゃべりして来たってのに……

そう言う態度されると悲しくなっちまうじゃねぇ~か~仲良くやろうぜ。

 

191:D×D風紀委員長

初見さん……って感じじゃないですね。

 

192:普通のカウンセラー

これ迄って……イッチ?

 

193:IS世界のメンタルセラピスト

いやイッチじゃねえ!!俺には分かる、誰だお前!!

 

194:???

酷いねぇ~……クククッ流石セラピストニキか?

 

195:ヒスイの調査兵

オオッ普段はきもいけど今はカッコいいぞ!!

普段キモいけど!

 

196:光の国の戦士

こういうのを愛が成せる業と言うべきなんでしょうかねぇ……

 

197:クトゥルフ系狩人

ああうん、じゃないかな……?

 

198:纏め役の転生者

兎に角お前は誰だ。さっさと名前を明らかにしとけ。

 

199:???

ククククッ……俺の正体なんざぁ如何でも良いんだよ。

今回、あいつがエボルドライバーをフルパワーで使ってくれたおかげで

あいつのハザードレベルは上がってんだ。これからあいつはどんどん上がっていく……

 

200:D×D風紀委員長

>>199

やっぱりこいつ!!ウルトラニキちょっとこいつ始末してください!

 

201:光の国の戦士

いきなり出来る訳ないでしょうが!?

 

202:???

ハ~ハハハハハッ!!じゃあなっまた逢う時まで元気にしとけとイッチに伝えといてくれ!

んじゃな、CHAO!!

 

203:超次元中学生

ああっおい!!!!

 

204:システム

 

―――???が掲示板からログアウトしました―――

 

 

205:クトゥルフ系狩人

お、おいこれって……もしかして……

 

206:円卓の鬼

散々話に出て来た……

 

207:纏め役の転生者

ああ、力って聞いてから完全に油断してた……!!

 

208:IS世界のメンタルセラピスト

じゃあ、今のが……

 

209:普通のカウンセラー

間違いないわよ、最後のチャオだって決め台詞みたいなもにょ?

 

210:D×D風紀委員長

>>209

キアラネキ落ち着いて。

もう直ぐレーティングバトルなのに凄い事知っちゃったよぉ……。

 

211:光の国の戦士

……ちょっと臨戦態勢許可を取ってきますね。

いざとなったらマジで私が出張ってコズミューム光線ぶち込みますから。

 

212:無法地帯の料理人

本当にそれが一番かもなぁ……。

 

213:ヒスイの調査兵

でも実際問題、ウルトラニキってブラックホールに勝てる?

 

214:光の国の戦士

多分何とかなると思います。

光線ブッパして、脱出とか出来ますですから。

 

215:IS世界のメンタルセラピスト

前々から思ってたけどアンタ一体なにもんだよ。

ウルトラマンゼロとかでもそんなの簡単に出来ねぇだろ。

 

216:光の国の戦士

誰だってね……ウルトラセブンとレオに鍛えられたらこの位出来るんですよ……。

 

217:普通のカウンセラー

良しこの話題終わり!!

 

218:クトゥルフ系狩人

だけど、こりゃ不味いなぁ……。

 

219:ヒスイの調査兵

纏めニキ……

 

220:纏め役の転生者

エボルト……まさか、イッチに宿ってやがるなんて……!!

 



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体育祭編
16スレ


ヴィランによるUSJ襲撃、それによって雄英は臨時休校を実施した。USJ内の調査と雄英の敷地内にヴィランが潜んでいないかを警察とプロヒーローが合同で徹底的に調査するらしい。その為に生徒は全員休みになっている、星辰も何とか目を覚ました後、雄英が家まで送ってくれて休息を取っていたのだが……その顔色は優れなかった。

 

「……エボルト……」

 

その理由は単純、自分の中にエボルトがいる。それをスレの皆から告げられたから、正直な事を言えば想定していなかった訳ではなかった……エボルトの力、ではなくエボルト自身を宿しているのか、エボルトになっているのではと考えなくもなかった。だからある意味では想定通り……ではあるが当たって欲しくない予測もある。

 

「クソッふざけやがって……!!」

 

思わず自分に向けて拳を向けてしまった、鳩尾に拳が命中して思わず声を上げてしまうがエボルトは声を上げない。ある種当然かもしれない……。

 

「……このまま、俺はエボルになって戦っていいのか……?」

 

エボルトの目的がビルド通りに元の肉体を取り戻す、全盛期の力を取り戻すだった場合には自分はもう力を使わない方が良い。そうすればハザードレベルは上がっていき思うつぼだろう。幸いなのがパンドラパネルはない事だが……

 

『―――如何しようが正しく自分の勝手だ。だがそれを本当のヴィランとの戦いで貫き続けた場合、誰が犠牲になると思う?』

「……っ!!!くそ、ふざけた真似を……!!」

 

僅かでも考えた事、戦いの放棄。だがそれを止める、いや本当にそれでいいのかと問い質すかのように戦闘訓練の時に轟に言い放った言葉が突然フラッシュバックしてきた。今、自分が戦いを止めたら将来的に救えるかもしれない人を今、見捨てる事になる。だがそれは傲慢な考え方だ、全ての人間を救うなんて出来る訳が……

 

「だけど、だけど……ヒーローを目指してるのに無視なんて、出来ない……!!」

 

ヒーローになりたい、その思いは誠だった。幼い事からの憧れのヒーロー、仮面ライダーのようになりたかった。今その力がある、ならば自分のなりたいライダーのようになればいい。だがそれは同時にエボルトという災厄を蘇らせる事にも繋がりかねない。

 

「―――っ……クソッ……エボルト、テメェの好きなようにさせて堪るかよ……!!!」

 

 

『フフフッ……そうだお前はそれで良い。さあもっとハザードレベルを上げろ、それが互いの利益に繋がる』

 

 

 

「おはようございま~す」

『石動ぃぃぃぃっっっ!!!』

「わあああああっ!!?」

 

臨時休校も終わって初めての登校日、エボルトの事もあって少々テンションが低めな状態で教室に入ったのだが……その時にクラスメイト達が一気に押し寄せて来たので思わず後退ってしまった。

 

「心配したんだぞ石動君!!保健室に運ばれてずっと意識が無かったと聞いたぞ!!?本当に入院していなくていいのか!!?」

「え、えっと大丈夫だよ?一応起きたし……先生に家まで送って貰ったし……」

「兎に角本当に良かったぜ~!!俺マジでお前の事心配してたんだぜ~!!?」

 

委員長の飯田は自分の身体を心配しつつ、上鳴は本気で安心しているのか軽く涙ぐみながらも肩を組んできながらもバンバンと背中を叩いてくる。地味に痛い。

 

「本当に大丈夫ですの!!?刑事さんが意識不明の原因が分からないと仰っておりましたのよ!?」

「マジで心配してたんだよ!!?アタシ、ギリギリまで雄英いたけどアンタ全然起きないし……」

「えっそうなの?」

 

USJの事件後、1-Aのメンバーは軽い事情聴取の後に帰宅するように言われたのだが……耳郎はギリギリまで保健室に残って目を覚ますのを待っていた。しかし、流石に夜も近くなってくるとリカバリーガールに帰るように言われてしまった。星辰が起きたのは丁度その直ぐ後位なのである。

 

「あ~……ごめんなさい色々とご心配かけたみたいで」

「あ、謝らないでくださいませ!!石動さんのお陰で私たちは怪我一つしなかったのですよ!?」

「そうだぜ星辰!!お前のあの時のヴィランぶっ飛ばしたオーバーヘッドキックの必殺技超カッコよかったぞ!?」

 

ごく当たり前のように頭を下げる腰の低い星辰に対して八百万と上鳴は必死に頭を上げるように言う。助けられた身としては礼を言うのは当然だし、寧ろ此方が謝られる道理なんてないのだから。そんな二人を見つつ耳郎は顔を覗き込むように言った。

 

「顔上げなよ星辰、アタシ達はマジでアンタに感謝してんだからさ。マジであの時のアンタはヒーローだったよ」

 

 

20:ヒロアカエボルト

という事があって、泣きそうになりました。

 

21:ヒスイの調査兵

涙はこれで拭いとき!!

 

22:クトゥルフ系狩人

キンちゃんはデンライナーに帰って、どうぞ。

 

23:IS世界のメンタルセラピスト

にしてもヒーローか……エボルトがヒーローっていうのはなんか、皮肉っぽいな。

 

24:普通のカウンセラー

ちょっとアンタそう言う事をハッキリ言ったらだめでしょ!?

 

25:ヒロアカエボルト

……いえ俺も少し思いました。彼女らにとってのヒーローは俺じゃなくてエボルト。

じゃあ俺は俺自身のヒーローじゃ居られないって考えはしました。

 

26:D×D風紀委員長

ちょっと、それはひねた考え方すぎですよ。彼女らにエボルトという知識はない。

つまりあれはイッチ自身だと思ってた訳ですよ。だからヒーローは貴方です。

 

27:円卓の鬼

俺もそう思う。仮にエボルトムーブがヒーローっぽく見えたとしても

ヒーローの行動として昇華させたのはイッチだろ。じゃあイッチだよヒーローは。

 

28:青春学園の熱血教師

まあ自分の嫌いな奴がヒーローだ、って言われるのが腹立つのは分かるけどね。

 

29:超次元中学生

んじゃお前は如何するって事よね。

 

30:光の国の戦士

まあなんだったら私が出張るから安心してください。

コズミューム光線でエボルト分離行けると思うので。

 

31:ヒロアカエボルト

皆さん……有難う御座います。

すいませんなんか愚痴っぽくなっちゃって。

 

32:纏め役の転生者

気にするな、そもそもここはそういう場所だからな。

 

33:ヒロアカエボルト

後なんか体育祭があるって言われました。

 

34:D×D風紀委員長

体育祭……体育祭……変態、覗き対策、徹夜、当直……

うっ頭が……

 

35:IS世界のメンタルセラピスト

なんか思わぬ人が大ダメージ受けてんだけど。

 

36:円卓の鬼

あ~……もしかしてしなくても変態対策?

 

37:D×D風紀委員長

……はい。覗き対策を行いながら当日前に更衣室やら休憩所とかを見回って隠しカメラチェック

当日も当日で見回りは当然、しかも当日も当日で対処する必要があるかもしれないので……

 

38:青春学園の熱血教師

>>37

あれ可笑しいな、風紀委員ってこんなに大変な委員会だったっけ?

 

39:超次元中学生

多分、委員長ニキの所だけだ。

 

40:ヒスイの調査兵

変態が三人いるだけでこれなのか……やっぱり人間社会ってやばいわ。

今日もコギトさんとイチャイチャしよっと。

 

41:普通のカウンセラー

>>40

アンタそれ毎日やってるでしょ?

 

42:ヒスイの調査兵

>>41

やってますが、な に か ?

 

43:クトゥルフ系狩人

うっぜぇwww

 

44:光の国の戦士

お相手がいて良いですね~私は私で上司がお見合い進めて来て……

 

45:円卓の鬼

光の国にもお見合いっていう文化あるのか……。

 

46:ヒロアカエボルト

あっそうだ、皆さんの中でご存じの方いるかも。

ビルドの武器関連を作れるような技術力ある人知りません?

 

47:青春学園の熱血教師

それってドリルクラッシャーとかホークガトリンガーとかそう言うの?

 

48:ヒロアカエボルト

はい。ボトルが作れたのでライダーシステムボトルとの組み合わせのクリエイションで

作れると思ったんですけど、流石に物がないとダメみたいです。

 

49:クトゥルフ系狩人

あ~成程……。

 

50:普通のカウンセラー

いやぁ……居る事はいるんだけどぉ……

 

51:ヒスイの調査兵

あんまりお勧めできないというか……

 

52:光の国の戦士

関わり合いにならない方が身のためというか……。

 

53:IS世界のメンタルセラピスト

何、マッドサイエンティストでもいんの雄英。

 

54:纏め役の転生者

……文字通りの紹介しか出来んが、本当にお勧めはせんぞイッチ。

一応原作でも緑谷が世話になった相手だが……ISで言う所の束みたいな奴だ。

まああれと比べたら相当にマシだし会話も成立するが……。

 

55:IS世界のメンタルセラピスト

ああ、じゃあ楽だな。俺なんて最近、箒ちゃんの恋愛相談に乗ってたら……

フフフフッ……。

 

56:無法地帯の料理人

やったなこいつ!

 

57:クトゥルフ系狩人

おめぇだってワンサマー並に女の子落としてるじゃねえか!!

 

58:普通のカウンセラー

女の敵!!

 

59:ヒロアカエボルト

えっと……人の恋路に首は突っ込みませんけど、余り多方面に手を出し過ぎるのは……。

 

60:IS世界のメンタルセラピスト

>>59

違うんだぁぁぁぁぁあぁ誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

俺は真面目にセラピってただけなんだぁぁぁぁぁ!!!この場合悪いのは

唐変木で朴念仁のくそ鈍感ワンサマーなんだぁぁぁぁ!!!

俺はイッチ一筋なんだぁぁぁぁぁぁ!!!信じてくれよぉォぉォぉ!!!

 

61:D×D風紀委員長

ウチでも恋愛ごとは面倒なのであんまり大きくなりすぎないように気を付けた方が良いですよ?

 

62:無法地帯の料理人

そう言えばレーティングバトルどうなったの?

 

63:D×D風紀委員長

勝ちました。ライザーを手錠で締め上げ続けて完勝です。

それでもライザーはリアスには負けてないしこんな勝負認めない!!って駄々こねられましたけど。

 

64:纏め役の転生者

あいつに貴族の矜持って奴はないのか……。兎も角、イッチそう言うのを探してるなら

サポート科の開発工房に行く事を勧める。そこにいる発目という女を尋ねてみろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

86:ヒロアカエボルト

ただいま戻りました。

 

87:光の国の戦士

>>86

お帰りなさい。それで如何した?話はまとまりました?

 

88:ヒロアカエボルト

ええ、ボトルを数日預かるけど問題なく出来るって言ってくれました。

 

89:青春学園の熱血教師

それも気になってたけど、その……大丈夫だった?

 

90:ヒスイの調査兵

発目、強烈だったろ……?

 

91:普通のカウンセラー

辛かったら相談乗るわよ?

 

92:ヒロアカエボルト

いえ大丈夫ですよ、普通に良い人でしたよ?

 

93:IS世界のメンタルセラピスト

何、だと……!?

 

94:D×D風紀委員長

あの、発目を……!?

 

95:超次元中学生

良い人、だと……!?

 

96:無法地帯の料理人

おい、本当にイッチなのか!?エボルトと入れ替わったりしてないよな!!?

 

97:円卓の鬼

すげぇ言われようだ……

 

98:クトゥルフ系狩人

どんだけやべぇんだよその発目って子……。

 

99:ヒロアカエボルト

流石にこれは俺も困惑。

 

100:纏め役の転生者

……まあ何ともなくて結構だ。

 



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17スレ

50:クトゥルフ系狩人

いやぁ……凄い人だったな廊下。

 

51:無法地帯の料理人

原作でもあんな感じだったよ、それで普通科の心操君。

彼の宣戦布告までがワンセット。

 

52:普通のカウンセラー

でも私、あそこでちょっと感動しちゃったわぁ……。

 

53:円卓の鬼

激しく同意。まさかあそこでジロちゃんがあそこまで反論するとはねぇ……。

 

54:ヒロアカエボルト

ア、あのちょっと恥ずかしいのであまり蒸し返さないで……

 

55:IS世界のメンタルセラピスト

出来ぬぅ!!

 

56:ヒロアカエボルト

あっ~!!お客様困ります!!あっ~お客様ぁ~!!

 

57:青春学園の熱血教師

っという訳でど~ん!!!

 

「ヒーロー科に受かって、続けてヴィラン相手に無事に生き残って調子に乗ってますってか。どうだよその椅子の座り心地は」

「―――ざっけんなアンタ!!アタシ達がどんな思いをUSJでしたか分かってんの!?ウチとヤオモモはヴィランに犯されるかもしれないって所だった、そんな状況でアタシ達を無事に帰してくれたのは星辰なんだ!!!そんな星辰だって全力振り絞って何時起きるか分からない位に疲弊したんだ!!それなのに調子に乗ってる!?ふざけんなその程度でヒーローになりたいなんて笑わせるな!!!」

「……悪かったな、変に挑発して。そっちの気持ちを考えなかった俺が悪かった、だからこそ……全力でアンタらを越えに行く」

 

ハハッイッチ愛されてるなぁ!!

 

 

58:ヒロアカエボルト

うううっ……普通に恥ずかしいので止めてください~……。

 

59:IS世界のメンタルセラピスト

う"っ……尊い……。

 

60:普通のカウンセラー

はい、気持ち悪い転生者のゴミはスルーする事にして……

ジロちゃんがあそこまで熱い台詞を言ってくれるのは意外だった。

 

61:IS世界のメンタルセラピスト

>>60

ちょっキモいゴミ!?

 

62:超次元中学生

まあ気持ち悪いのは同意、ごみは言い過ぎだけど。

 

63:青春学園の熱血教師

教師が言うのもあれだけど、ぶっちゃけすっげぇキモい!!

略してスッキモ!!

 

64:IS世界のメンタルセラピスト

がぁ~ん!!!

 

65:光の国の戦士

まあまあ……一先ず、イッチはこれから体育祭に向けて特訓ですか?

 

66:ヒロアカエボルト

ええ、ハザードレベル云々が少し気になりますけど……

初代仮面ライダーの本郷猛が正義の味方になれたみたいに正しい事に力を使おうって

決めましたので。

 

67:D×D風紀委員長

良い心掛け……なんだったら俺が特訓相手になりましょうか?

 

68:円卓の鬼

いや軽く言うけどさ、俺達世界の壁的なあれで別たれてるんだよ?

 

69:D×D風紀委員長

あっそっか……。

 

70:クトゥルフ系狩人

俺は何とか出来そうな気がするけどな。

 

71:ヒスイの調査兵

えっ如何やって。

 

72:クトゥルフ系狩人

最近さ、ヨグ=ソトース星人と仲良くなってさ。あいつら並行世界に干渉出来るから。

 

73:無銘の転生者

えっ何。ヨーグルトソース?

 

74:大地の虎

あいやまったぁ!!ちょっと待ったぁ!!ケバブならヨーグルトソースに決まってるだろう!!

という訳でわっこっつ~!!初見で掲示板にお邪魔です!!

 

75:無銘の転生者

おっ?

 

76:無銘の転生者

初見だ!!

 

77:ヒスイの調査兵

初見さんいらっしゃい!!

 

78:無法地帯の料理人

ゆっくりしていってね!!

 

79:超次元中学生

というか、その台詞……どこぞの砂漠の虎じゃねえか。

 

80:大地の虎

うっす!!自分、アンドリュー・バルドフェルドの見た目と操縦技術

あとガイアガンダムを愛機にしてます。それで転生先はカスタムロボっす!!

 

81:クトゥルフ系狩人

カスタムロボかよ!!ロボはロボだけどサイズが段違いじゃねぇか!!

 

82:D×D風紀委員長

懐かしいな~V2とかやりまくりましたよ~

 

83:ヒスイの調査兵

俺はBRだったな、アールが強ぇのなんのって……

 

84:IS世界のメンタルセラピスト

俺はベイオネットに全然勝てなかったなぁ……。

 

85:普通のカウンセラー

えっ催眠トラジじゃない苦戦するのって?

 

86:青春学園の熱血教師

いやいやいやロウガだろ、あの違法ナックルガンマジ許さん。

 

87:超次元中学生

俺はジェイムスンだなぁ~……全然勝てなかったもん。

 

88:ヒロアカエボルト

あそこ、ロビンで走り抜けながら3ウェイガン連打で良くないですか?

寧ろナナセさんの方に苦戦した記憶が……

 

89:超次元中学生

>>88

その手があったかぁ!!?ずっとガトリング撃ってたわ!!

 

90:クトゥルフ系狩人

俺はスターダストガンだったかな。

 

91:纏め役の転生者

お前らカスロボ談義で熱くなるのは大概にしとけwww

 

92:大地の虎

あっすいませんっす!!取り敢えずよろっす!!

 

93:ヒロアカエボルト

此方こそ。取り敢えず、俺はこれから開発工房に行ってお願いしてた

武器を取りに行こうと思ってます。

 

94:大地の虎

おおっ!?なんすかなんすかいきなり燃える話っすか!?

俺、コマンダー兼ロボ開発者で今他のガンダムをロボ化しようと奮闘中っす!!

 

95:光の国の戦士

あ~……ガイアが愛機ってそういう事なのか……。

 

96:無法地帯の料理人

カスタムロボでの愛機がガイアなのね。というか種別は?

バーニングビースト?

 

97:大地の虎

ストライクバニッシャーっす!!

 

98:円卓の鬼

ああっジャベリンの連続アタックが懐かしい……。

 

99:纏め役の転生者

お前ら……。

 

 

掲示板で盛り上がりつつも開発工房へとやってきた星辰。あれから数日経過しているのでそろそろ……と思ってやってきたのだが、又もや扉が吹き飛んできた。前に来た事も同じ事があったので今回は確りと回避しておく。

 

「全くお前という奴は……!実験する時は一言言ってからやれと言っただろうが」

「いや言ったじゃないですか、やりますよって」

「開始スイッチを押す数秒前に言う奴があるか……」

 

如何やら何時もの事が起きているらしい、乾いた笑いを上げながらも扉を元の位置へと直して工房へと足を踏み入れる。

 

「あの~今大丈夫ですか、先日来た石動ですけど」

「おやおやおや、これは石動さんじゃあぁ~りませんか!!」

 

中に入るとゴーグルを付けているピンク髪のドレッドヘアーとスコープのようになっている瞳が特徴的な少女が此方に凄い勢いで向き直って来た。彼女こそが掲示板で紹介されるだけされたヒロアカの束とも称された発目 明。

 

「石動君か、いらっしゃい」

「どうもパワーローダー先生、あのこれ差し入れです」

 

そう言いながらも星辰は保冷機能付きのバックからある物を出した、それは喫茶店で出しているケーキセット。

 

「どうぞ食べてください、うちの喫茶店で出してる奴ですけど」

「おおっこれは有難い。頭を使ってると甘いものが欲しくなるからね」

「糖分は脳を動かす燃料ですもんね!!後で美味しく頂きましょう!!」

「まあお前も食べて良いけど……取り敢えずしまっておこうかな」

 

一先ず喜んでもらえた事に安心しつつ、発目に目を向けて本題へと入る事にした。

 

「それで頼んでいた物なんだけど……」

「はい私に抜かりはありませんよぉ~!!いやぁ~それにしてもこのフルボトルとは実に興味深いですね~!!」

 

貸し出していたフルボトルを返してくれながらも発目は何処か名残惜しそうにしていた。矢張り科学者としてはフルボトルは本当に興味深いものらしい。

 

「この小さなボトルの中に機関砲やらのデータが全部揃ってる訳なんですよ?本当に調べてて興味深かったです!!良ければ他のボトルも調べたいですね~」

「アハハッ機会があれば是非お願いするよ」

「おおっこれは頼もしいお言葉!!」

 

仲良さげに話す二人を見てパワーローダーは本当に不思議そうな瞳を向けてしまう、発目は確かに優秀な生徒ではあるが自分の欲求に非常に素直で休みの日だろうがこの工房にやって来ては作りたい物を作りまくるような少女だ。ハッキリ言って誰かと交友を取れるようなタイプではないのだが……星辰は意図も容易くコミュニケーションを取るどころか仲良くなっているのだから。

 

「(発目を引き寄せる何かがあるのかもしれないな……それがあのボトルなのかもしれないけど)」

 

「ではこれをどうぞ!!御所望のボトルを利用して開発したベイビーちゃん達です!!」

「おおっ凄い、俺の想ってた通りのデザインだ」

「なんかボトルを握ってたらこのデザインが頭に降ってきたんですよね~。私も一応考えてたんですけどこれ以外ありえないな!!って思いまして」

 

発目が持ってきたのはビルド本編でも戦兎がボトルを応用して開発したアイテムたちがそこにある。どれもこれも完璧な仕上がりに言葉が出ない程。

 

「凄い完璧だ……先生、これらって俺の武器としての申請って通りますか?」

「ああそれは問題ないよ。寧ろ石動君はコスチュームの申請をしてなかっただろう、その分の申請って事で直ぐに許可は下りる。しかしそれらは体育祭では使えないぞ?」

「大丈夫です、その辺りの事も考えてますから」

「ほほう?これはまた、当日が楽しみになるような事を仰いますねぇ!!!」




スレにいる転生者紹介

・大地の虎
カスタムロボに転生した。
特典はアンドリュー・バルドフェルドの見た目と操縦技術、そしてストライクバニッシャー型のカスタムロボとなったガイアガンダム。
ラムダ社所属で新しいロボの研究開発部の主任を務めており、他のガンダムやMSをカスタムロボ化しようと奮闘中。
技術交流でフランスに行った際はコマンダーとしてフランスの代表、イライザ・イザベラとバトルして勝利したが……そのせいで目を付けられたらしい。


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18スレ

遂に訪れた体育祭当日。開催までの時間を各自が使って今日まで備えてきた。その結果が今日明らかにされようとしている。

 

雄英の体育祭には通常の体育祭とは比べ物にならない規模の人間が集ってくる、現在ではオリンピックに代わるイベントと呼ばれる程。それを純粋に楽しむ為に、それを成立させる為の警備に、未来のヒーローへのスカウトと全てがバラバラ。全てを含めたならば数千では効かなくなるような人数が雄英へと集まってくる。事件を受けてヴィランへの警戒を強める為に、雄英が様々なヒーローに呼びかけを行った結果として多くのヒーローが警備として参加してくれている。その人数も多いので正しく過去最大の大規模、その中で行われるのだから生徒たちの緊張も一入だろう。

 

6:無法地帯の料理人

あっという間に体育祭になっちゃいましたね。

 

7:大地の虎

いやぁヒロアカなんてワクワクしますね!!

ああいう異能バトル物も大好物だなぁ。

 

8:クトゥルフ系狩人

まあリアルになる転生先としては結構きつい世界だけどな。

 

9:青春学園の熱血教師

邪神がマジでいる世界のアンタが言うか。

 

10:光の国の戦士

全くですよ。

 

11:円卓の鬼

おう、宇宙を滅ぼせるような怪獣が出て来る世界の住人がなんか言うとるわ。

 

12:ヒスイの調査兵

今日までで皆はなんかあった?

俺はダークライ捕獲したよ。

 

13:D×D風紀委員長

ライザーにいちゃもん付けられたので一対一の決闘やりました。

 

14:IS世界のメンタルセラピスト

いやサラッと言ってるけど何気にやべぇことやってねぇ?

 

15:普通のカウンセラー

大丈夫だったの?ライザーが。

 

16:D×D風紀委員長

生きてるからセーフですよね。

なんか魔王の立ち合いの物で決闘行うとか凄い大事になりました。

 

17:光の国の戦士

それ、確実に委員長ニキを陣営に入れようとしてません?

 

18:D×D風紀委員長

勧誘は来ましたけど全部突っぱねました。自分は校内の風紀を乱す馬鹿を噛み殺すだけだって。

んで流石に匣兵器使うのはまずいかなぁっと思って、トンファーと死ぬ気の炎だけでボコボコにしました。

なんか、言ってましたけど

 

「君、不死身なんだってね。なんならそれが本当なのか試してあげるよ―――噛み殺す」

 

って殴り続けました。

 

19:普通のカウンセラー

脳内再生余裕な辺りすごいわねヒバリさんって。

 

20:IS世界のメンタルセラピスト

男性キャラ部門で人気投票したらいまだに上位キープしてそう。

 

21:大地の虎

まあリボーン屈指の人気キャラっすもんね。

 

 

「石動」

「轟君、何?」

 

緑谷に向けて何やら宣戦布告をしたと思ったら次は自分に矛先を向けて来た轟に少しだけ驚いてしまった。

 

「お前に言われて、俺はずっと考えてた。右だけで、氷だけで良いのかって……目の前に炎で助けられる人がいたらどうするんだって」

「―――ああ、戦闘訓練の時のだね」

 

22:円卓の鬼

代表戦前の万丈構文のあれか。

 

23:光の国の戦士

凄いおやっさんムーブしてますけど、あれ全部あいつのマッチポンプというね。

 

 

「……正直、俺はまだこの炎を使えるとは思えない。それでも俺は全力で行く」

「うん分かった。待ってるよ、本当の君を、君だけの力を待ってるよ」

 

 

24:青春学園の熱血教師

全く青春してるなぁ~!!!

 

25:D×D風紀委員長

だからそれゲキマユ先生です。

 

26:クトゥルフ系狩人

まあ熱血教師なのは変わりねぇけど……。

 

27:ヒロアカエボルト

あっ入場なので俺はこれで。暫くは集中しますので

参加できないかもしれないのでご了承ください。

 

28:IS世界のメンタルセラピスト

>>27

大丈夫だぞイッチ!!健闘を祈る!!ついでに愛を捧げる!!

 

29:クトゥルフ系狩人

>>28

捧げるな捧げるな。

 

30:普通のカウンセラー

>>28

アンタねぇ……最近箒ちゃん落としたばっかりじゃないの。

原作と違って結構乙女な所あるんでしょ?

 

31:円卓の鬼

>>28

乙女モッピーとか何それ超見たい。

 

32:ヒスイの調査兵

>>28

ちゃんと決着付けないと屋根裏のゴミ扱いされるぞ。

 

33:IS世界のメンタルセラピスト

何言ってるんだ、俺はイッチ一筋だろ!!

 

34:纏め役の転生者

>>33

こいつに何言っても無駄だな。

 

 

『刮目しろオーディエンス!群がれマスメディア!今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春暴れ馬…雄英体育祭が始まるぜレディエビバディアァユウレディ!!?』

 

解説席から聞こえてくるプレゼント・マイクの声、それが知らしめるのは開始の合図。それによって出場生徒の間に一気に緊張が走って行く。マイクの言葉と共に入場が行われるが矢張りと言わんばかりに視線と歓声が集中しているのはA組。まだ未熟な身でありながらヴィランの襲撃に遭遇しながらも生き延びたクラスに注目が集まるのは必然。大観衆が声援を上げて出迎えてくる。それをプレゼント・マイクの気合の篭った実況が更に加速させていく。それらの勢いに飲まれそうになる生徒、物ともしない生徒に別れる中で全1年が集結した時、一人の教師が鞭の音と共に声を張り上げた。

 

「選手宣誓!!」

 

35:大地の虎

うおっなんすかあのSMプレイ全開な衣装の人はぁ!!?

 

36:纏め役の転生者

18禁ヒーローのミッドナイトだな。

一応確りとしたヒーローで実績もあるプロヒーローだ。

別の意味での伝説もあるけどな。

 

37:クトゥルフ系狩人

何やったんだよ……?

 

38:D×D風紀委員長

ミッドナイトの個性は眠り香。肌から放たれる香りを吸い込んだ周囲の者を眠らせるんです。

個性を使う為には衣類が邪魔になるわけです。それでデビュー当時は胸とかを隠しただけで

それ以外は肌が露出してたんですよ。

 

39:青春学園の熱血教師

そりゃ18禁ヒーローだよねって感じだわな。

 

40:纏め役の転生者

当人曰く、個性使用の為に必要を求めた結果セクシーという評価に繋がった。らしいがな。

それで国がコスチュームの露出における規定法を制定するきっかけにもなったヒーローだ。

 

41:無法地帯の料理人

色んな意味で伝説になってるのな……。

 

42:IS世界のメンタルセラピスト

成程、キアラネキの亜種か。

 

43:普通のカウンセラー

>>42

はい屋上。

 

44:光の国の戦士

……ウルトラマンは基本衣服着ないから人の事言えないかも……。

 

45:超次元中学生

其処はしょうがないでしょう!!

 

46:円卓の鬼

気にするなウルトラニキ!!

 

 

「選手代表、1-A 石動 星辰!!」

「はい!!」

 

47:IS世界のメンタルセラピスト

あれ、イッチが選手宣誓なん?

 

48:光の国の戦士

そう言えば今年の新入生の首席ですもんね。

 

 

「宣誓―――ッ!!我ら此処に集うのは誇りある雄英の生徒。それに恥じぬように積み重ねた努力を全力で発揮し、ヒーローシップに則って正々堂々と、正面からぶつかり、それらを全て超えて戦う事を、此処に誓います!!!」

 

 

49:IS世界のメンタルセラピスト

オオッ割かし普通だった。

 

50:D×D風紀委員長

スポーツマンシップじゃなくてヒーローシップなのは面白いですね。

 

51:大地の虎

それが世界が違うことの面白さっすよね~

ウチだとコマンダーシップっすね。

 

 

「―――ですが追加で述べさせていただきたい。今、この時を見る方々は私達、A組がヴィランと交戦し生き延びた将来有望なヒーロー候補生だと御思いでしょう、勘違いも甚だしい」

 

突然の言葉に会場は困惑の声に包まれた。それはヒーロー科も、サポート科も、普通科も、経営科も同様だった。

 

「私は襲撃時、友人達と共にいた。友人達は恐怖を抱いていた、当然です。あの場では本当の殺意と悪意を向けられた、一歩間違えば我々A組の何れかは欠けていた事でしょう。そしてそれを運よく生き残ったと言った方が居ました。正しくその通りだ、運がよかっただけだ」

 

巡り会わせがよかった、USJから脱出に成功した飯田が教師陣を連れて来てくれなかったら?それよりも先にオールマイトが来てくれなかったら?確実に誰かが死んでいた事だろう。そんな言葉を続けていく星辰に止めた方がいいのではと教師から言葉が出る中で星辰はエボルドライバーを装着した。

 

「俺達はあの時に知った。真の意味でヒーローになる事の難しさを!!だからこそ、俺達は此処に居る!!」

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

「―――変身!!」

EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

大きな不敵な笑いと共に変身した星辰に会場は大きな声を上げた。そしてそのまま星辰は叫んだ。

 

「そうだ、俺達は変身する。俺達が憧れたヒーローに、俺達がなりたいと思ったヒーローに!!それは俺達だけじゃねえ、B組に普通科、此処に居る全員が望んでるだろう!!!だったら全員で変身すりゃいいんだ!!見せ付けろ、俺達が此処に居る理由は何だ!!?俺達が、俺たち一人一人が信じる正義を形にする為だろうがぁ!!さあ祭りの開幕だ、お前ら―――気合入れてけやぁ!!」

 

『っ……オオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!』

 

一拍と置いた後、会場が震える程の雄叫びが空へと上げられて行く。静寂が支配していた会場は一気に熱狂して爆発的な勢いで膨れ上がっていく。その中心にいる星辰は酷く満足気にしながらも腕を大きく広げて笑っていた。

 

52:無法地帯の料理人

うおおおおおおおっっイッチィィィッ!!

 

53:光の国の戦士

これは燃えますねぇ……!!

 

54:大地の虎

マジ燃えてきたっす!!あ~今直ぐダイブしたいっす!!

 

55:青春学園の熱血教師

良いね良いね最高だね!最高に青春してるなぁ~!!

 

56:クトゥルフ系狩人

何だ良い煽りするじゃねえかイッチ!!

 

57:ヒスイの調査兵

良い宣誓だイッチ!!イッチ自身も熱くなってて良いな!!

 

58:円卓の鬼

凄いな本当に、良い煽りだな流石エボルト。

 

59:超次元中学生

あ~成程、ちょっとエボルト意識してるのか。

 

60:普通のカウンセラー

うんうんいいわねぇ!!

 

61:IS世界のメンタルセラピスト

……。

 

62:クトゥルフ系狩人

>>61

あれ、セラピストニキ如何した?

愛しのイッチの熱い宣誓だぜ?

 

63:普通のカウンセラー

如何したのよ黙り込んじゃって?まさか尊くて憤死とか?

 

64:IS世界のメンタルセラピスト

……。違うこいつイッチじゃない!!

おいエボルトテメェっザけんじゃねえぞ!!

 

65:エボルトヒロアカ

>>64

フッハハハハハハハハ!!!

バレちゃあしょうがねぇ!!ははっどうだゲームメーカーとして最高の仕事だろう?

お前らの望む通りに最高の盛り上がりにしてやったぜ!!んじゃ後は楽しみな!!Chao!!

 

66:システム

―――エボルトヒロアカが掲示板からログアウトしました―――

 

 

67:普通のカウンセラー

>>65

エボルトォォォォォッ!!!

 

68:無法地帯の料理

>>65

エボルトォォォォォッ!!!

 

69:超次元中学生

>>65

エボルトォォォォォッ!!!

 

70:クトゥルフ系狩人

>>65

エボルトォォォォォッ!!!

 

71:D×D風紀委員長

>>65

あの野郎何時の間に……!!

 

72:光の国の戦士

というかイッチは大丈夫なんですか!?

 

73:纏め役の転生者

イッチ、大丈夫か返事をしろ。

 

74:ヒロアカエボルト

な、何とか……ちょっと頭がくらくらしますけど……

最初は俺だったんですけど、その時に感情が高ぶったせいで

微妙にハザードレベルが変化したみたいでその時に……。

 

75:ヒスイの調査兵

マジで油断も隙もあったもんじゃねぇな!?

 

76:円卓の鬼

というか、セラピストニキよくわかったな……

 

77:IS世界のメンタルセラピスト

途中から口調が変わってたからあの時に違和感を覚えたんだ。

それで分かった。

 

78:大地の虎

いや普通分かんないっすよ……。

 

79:普通のカウンセラー

だから凄い通り越してキモいって言われるのよ。

 

80:ヒロアカエボルト

でも、俺じゃないって分かって貰えて少しうれしかったです俺。

 

81:IS世界のメンタルセラピスト

う"っ……!!!

 

『ど、どうしたんだ先生!?突然胸を抑えて、確りしてくれ、えっとえっとこんな時どうしたらいいんだ人工呼吸か!?』

 

 

82:クトゥルフ系狩人

あっ尊死した。

 

83:円卓の鬼

しかもなんか向こう側の声聞こえて来るしwww

 

84:ヒスイの調査兵

声的にモッピーだなwwwそのまま食っちまえば良いのにwww

 

 

兎も角、雄英体育祭開幕!!



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19スレ

「第一種目はいわゆる予選、毎年ここで多くの者が涙をのむ(ティアドリンク)!!さて運命の第一種目、今年は障害物競走!!一学年の全クラスによる総当たりレース、コースはこのスタジアムの外周で距離は約4㎞よ!!コースを守れば何でもあり!!」

 

選手宣誓後、息をつく暇もなくいきなり開始される第一競技、障害物競走。会場の周りをぐるりと一周すると言えば聞こえはいいがどんな障害物が待っているかは分からない上に4キロというのは聞こえる以上に長い。ペース配分も重要になってくる。そしてスタートのゲート前には凄まじい人数がすし詰めのようになっておりスタートしたとしても本当に走れるのかと思うほどである。

 

「さぁって……ちょっと張り切っちゃおうかな?」

 

エボルトに軽く乗っ取られていたからか、何処か鬱憤が溜まっている星辰。なのでちょっと位大人げない事をしてもいいよね?と内心で想ったりしていた。その中で、鳴り響く開始のゴング。

 

「スタァァアアアトォォオオッッッ!!!!」

 

一気に全員がゲートから走りだそうと前へと進む、誰よりも先にこのスタジアムから出る為に。スタートは宛ら満員電車状態―――と言いたい所なのだが、誰もスタジアムの出口であるゲートに辿り着けていないのである。

 

「な、なんだこれ氷ぃ!?」

「う、動けなっ……!!」

「A組、あいつかぁ……!!」

 

一早くゲートをくぐったのは轟、地面を凍らせて他人の足を取る事で足止めを行いつつ一早く抜け出す事に成功していた。だがそれは決して轟だけに言える事ではない。

 

「待ちやがれ半分野郎ぉぉぉぉ!!!」

「そう簡単には、行かせませんわっ!!」

「そう言う事ぉ!!」

 

クラスメイトであるメンバーからすれば轟の氷の事は熟知しているし開幕で使えば相手の足止めに有効な事は承知している。なので素早くそれに対応していく、轟もそれについては了解しているが―――

 

「この位で止まりはしないんだよなぁ!!」

「だろうな、お前は……!」

 

予想していた人物は凍り付いていた生徒達を飛び越えながらも圧倒的な存在感とオーラをまき散らして猛追を開始する、開会式にてその存在を見せ付けて、その力を今見せ付けている。

 

『さあA組が猛追を開始ぃ!!轟を追いかけるが此処で主席の石動も出撃だ!!というかお前なんか浮いてねぇかぁ!?おい解説のイレイザーヘッド説明プリーズ!!』

『俺も知らん。あいつの個性は謎が多い』

 

ほぼ無理矢理解説席に座らされた相澤がマイクに話を振られるが、何とも言い難い。星辰の個性は変身として登録されているが、変身というには謎が多すぎる。アイテムを生み出してそれを用いて変身を行う、何方かと言えば八百万の創造に近い物がある。

 

『さぁ、そんな事をしてたら先頭の轟が早くもお待ちかねの障害物走の第一関門に突入だ!!名付けて―――"ロボ・インフェルノ"!!仮想敵ロボがお出迎えだっぜ!!ご存知ッ雄英受験実技試験で出てきたヤツらだ!!』

「しかもこいつは、0ポイントか」

「あ~懐かしい」

 

とそこへ星辰もやって来るのだが、そこに広がっていた光景は30m級のロボットが無数に待ち構えている光景、よく見れば小さなものもあるがそれ以上に0ポイントヴィランのインパクトがとんでもない。

 

「なら―――あの時同様にスクラップにしてやるぜ!!」

 

真っ先に飛び出して行く星辰、地面を蹴って一気に跳躍する。それ目掛けてロボが拳を一気に振り抜いてくるが、それを空中で静止しながら意図も容易く受け止める。

 

『石動ぃぃっ!?お前飛べるのかよぉ!?』

 

流石に空まで飛べることには驚きなのかマイクからの絶叫が響いてくる、ワープも出来るエボルからしたら容易い事なのである。そして受け止めた拳をそのまま押し返して光弾を作り出して放とうとした瞬間、ロボは一気に凍結していった。下を見ると轟がスケートのように地面を凍らせてその上を滑り抜けながらもその最中にロボに触れて一気に凍結させていく姿が見える。

 

「なんならもっと凄ぇの用意して欲しいもんだ、クソ親父が見てんだからな」

「やれやれ、随分と張り切ってるねぇ~……んじゃ……そぉら轟パァァァスッ!!!」

「なっ!?」

 

凍り付いて動きが完全に停止しているロボ、それに思いっきり蹴り砕き残骸を轟の方へと飛ばす。それに気付いたのか轟は咄嗟に強く地面を踏みしめると地面から飛び出した巨大な氷柱がロボの残骸を貫いて行く、爆発を起こして行くロボの残骸に何処かホッとしたような息を漏らすと直ぐ近くから拍手が木霊してきた。

 

「お見事お見事、流石は轟君だ」

「石動、お前……」

「おいおいおい妨害がありって言ったのは教師陣だぜ?文句を言うならそっちが筋ってもんだ、俺はゲームに定められたルールに従ってるだけなんでね。それに―――こういった催しはライバルがいた方が盛り上がるもんだろ?」

「……お前、本当に石動か?」

 

意図的に声も変えているし口調も性格もまるで違う、戦闘訓練時のヴィラン役に徹していた時とそっくりだ。あの時も思ったが、これは本当に石動 星辰なのか?と疑問に思いたくなる。

 

「おいおい随分と失礼な事を聞くもんだな―――……っいや悪い、ちょっと悪ふざけが、過ぎた」

 

唐突に声が変わった、と同時に頭を押さえながら何処か苦し気な言葉を漏らしている。何処か体調でも悪いのか、本当なら保健室にでも連れて行ってやりたい所だが今は体育祭中だ、自分も自分でやりたい事があるのでそちらを優先したい。

 

「な、んでもない、先を急がせて貰うよ轟君。それと君が凄い相手を御所望なら俺が相手になるよ」

「―――良いなそれ、なら行くぞ。着いて来れるか」

「逆だな、お前が俺に着いてくるんだ」

 

また声が変わったと思ったら、直ぐに星辰は頭を振るってそのままスタートしていく。トップを二人で独走しつつも第二関門へと差し掛かる、第二関門は大きな警告のようにがっぽりと口を開けて待ち構えている切り立った崖のような足場、それらを繋ぐように張られているロープ。それを伝って越えて行けという事なのだろうが……。

 

『先頭の二人ががいよいよ第二の関門へと差し掛かったぞぉ!!!落ちれば即アウト、それが嫌なら這いずりなっ!!!ザ・フォォォオオオオオル!!!!って

轟はロープを凍らせてその上を滑るし石動は空飛んでいくしもう関門関係ねぇ!!?しかも石動は飛行個性向けの妨害も屁とも感じてねぇ!?』

 

飛行個性向けの妨害として強風を発生させる扇風機や模擬弾を放ってくるドローンなどがあるが、星辰にとっては妨害にもならない。寧ろ……

 

「グッ……引っ込めっ……テメェの出る幕なんてねぇんだよ……!!」

『つれないねぇ~仲よくしようぜぇ相棒♡』

「やめろ気色悪い!!」

 

ハザードレベルが上がった事によって姿を現し始めたエボルトが本格的に星辰への干渉を始めている、ロボを蹴り飛ばしたり勝手にしゃべり始めたりしたのも全てエボルトが身体の支配権を一時的に奪取したせい。

 

『ほれほれっ俺に構っていいのか、轟がだいぶ先まで行っちまったぞ?』

「誰のせいだゴラァ!!」

『ハハハハッ似た者同士、仲良くやろうぜ相棒。俺だってウルトラニキに殺されるのはごめんだからなぁ』

 

歯軋りをさせながらも轟の後を追う。エボルトは掲示板の事も知っているしそこに干渉も出来る、このエボルトがどんな存在なのかは分からないが今の所は自分の邪魔をする気はないと言っている……言ってはいるが自分も楽しみたいと勝手に身体の支配権奪取を狙って来る。

 

「お前は面倒臭いバイスか!!」

『おっいいねぇ俺もああいう感じに悪魔系としてデビューしちまうか?』

「すっこんでろ!!」

 

「(石動の奴、なんか一人で喋ってるけど、悩みでもあるのか?)」

 

この後、星辰は色々と奮闘するのだが……事あるごとに話しかけてくるエボルトのせいで集中力を欠いてしまった結果……障害物走は3着になってしまった。因みに1着はなんと緑谷で轟は2着だった。

 

「(くそっ……全部お前のせいだ!!)」

『ハハハッ嫌われたもんだな!!まあ長い付き合いになるんだ、気楽に行こうぜ?』

「(ウルトラニキィィィィ!!こいつにコズミューム光線撃ってくださいぃぃっ!!!)」




エボルト

イッチこと石動 星辰が特典として持ったエボルトの力……ではなくエボルト自身。現在はハザードレベルの関係で話しかけて来たり、勝手にしゃべったりする位だが……これからは謎。
ビルド本編のように何か目的を持っているのかも謎、現状は新しい相棒?である星辰とのヒーローライフを楽しんでいるように見える。流石にウルトラニキに対処されたくないからか大人しくはしている。


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20スレ

障害物競走も終了、トップを轟と争っていた星辰だが……残念ながらエボルトの乱入というアクシデントのせいで3位に落ち込んでしまった。

 

「全く……3位とはなぁ……」

「石動、なんか調子悪そうだけど大丈夫か?ちょくちょく声も変わってるし」

「ああ、なんていうかさ……あれだよ、軽くキャラ変えないとやりにくいって奴?」

 

エボルトがいるなんて事を上手く隠そうとして話す星辰に轟は素直に首を傾げて頭の上に?を浮かべている。

 

「ほら、なんていうかさ……俺、誰かと喧嘩とかした事ないからさ。だから普段とは違う自分を演じてないとやりにくいっていうか……」

「でもお前、ヴィランはぶっ飛ばしたって聞いたぞ」

「だってヴィランはぶっ飛ばさないと自分が危ないじゃん?」

「……分かるような分からない様なよく分からないけど分かった」

「まあ戦う時はキャラが変わりやすいって事は了承して欲しい」

 

『お~お~って事はこれから戦闘は俺に任せてくれるって事で良いのかね?』

「(ンな訳ないだろうが黙ってろ大災厄!!)」

『おっいいねぇそのフレーズ、星々に降り注ぐ大災厄!!俺にぴったりだな流石相棒』

「(ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァ!!!!)」

 

次の競技である騎馬戦の説明がされているのに、星辰は聞こえてくるエボルトのせいで全くそれを聞く事が出来なかった。

 

 

 

112:ヒロアカエボルト

エボルトのせいで説明聞き忘れましたぁぁぁ!!

纏めニキお願いです教えてください!!

 

113:ヒスイの調査兵

>>112

ちゃんと聞けよ、って言いたいけどなぁ……。

 

114:無法地帯の料理人

>>112

エボルトが話しかけてくる現状じゃちゃんと聞けませんよね……。

 

115:クトゥルフ系狩人

マジで何処のバイスだあの野郎。

 

116:エボルトヒロアカ

そんな褒めるなってwww

 

117:青春学園の熱血教師

>>116

うわぁっ!!急に入って来るなぁ!!

 

118:光の国の戦士

>>116

良いですかエボルト、忠告しておきます。

ゾフィー隊長にも許可を取りました、貴方が何か危険を及ぼすアクションを取れば

即座に私がイッチの居る次元に飛んでいってコズミューム光線で分離させて

ウルトラ兄弟の力を借りて永久に封印しますからね。

 

そうなりたくなければ大人しくしておく事ですね。

 

119:超次元中学生

>>118

想像の500倍ぐらいにやばい準備してて笑いも出ねぇ。

 

120:円卓の鬼

>>118

まあこの快楽破滅魔人にはこの位の備えがいるかもな。

 

121:エボルトヒロアカ

>>118

分かった分かったよったく……俺だってアンタらを相手にするなんて御免被る。

これからは悪魔系サポート相棒エボルトとして、イッチに協力していくから宜しく♪

 

122:IS世界のメンタルセラピスト

(信用)出来るかぁ!!

 

123:D×D風紀委員長

ちょっと本当にこれ大丈夫なんですか?

 

124:大地の虎

色々と不安がいっぱいっすよ。

 

125:普通のカウンセラー

……まあいざという時はウルトラニキに任せるしかないわね……。

 

126:纏め役の転生者

兎も角、イッチ要望の騎馬戦のルール説明だ。

 

・障害物競走の順位ごとにポイントが振り分けられる。42位に5ポイント、上位に行く毎に5ポイントずつポイントが与えられていく。

 

・チームで騎馬を組み、チームのポイントを合計した数字を表示した鉢巻を騎手が装着する。

 

・制限時間いっぱいまでそれを奪い合い、最終的にポイントが高い4チームが勝ち抜き。

 

・時間内なら騎馬が崩れても失格にはならないが、悪質な崩しは一発アウト。

 

・当然個性使用は有。

 

こんな所か。

127:ヒロアカエボルト

>>126

纏めニキ有難う~!!!すいませんくそバカ迷惑厄災のせいで全然聞いてなくて!

 

128:エボルトヒロアカ

我ながらぼろくそ過ぎて笑えて来るなww

 

129:IS世界のメンタルセラピスト

お前はすっこんでろ!!っつうか黙ってろ!!

 

130:エボルトヒロアカ

へいへい……。

 

131:D×D風紀委員長

えっと、つまり……今回の場合はイッチのポイントは200って事ですか?

 

132:纏め役の転生者

そうだ、そして1位のポイントは……1000万。

これを取ればだれでも逆転が可能って訳だ。

 

133:ヒスイの調査兵

>>132

イイイイイイッ1000万!!?何そのやけくそな数値!?

 

134:クトゥルフ系狩人

確かに逆転は可能だろうけどやり過ぎだろ……。

 

135:エボルトヒロアカ

おいおいおいなんだそれ、ルール崩壊も良い所だな。そこはせめて1000にして

バランスを取るべきだろ。こういう場合は取れば一気に突き放せるが他でもフォローできるのが

一番好ましいだろうにバランス調整くそだな。

 

136:青春学園の熱血教師

>>135

言ってる事は割かしまともなんだけどなぁ……。

 

137:円卓の鬼

>>135

言ってる本人がなぁ……。

 

138:纏め役の転生者

>>135

10分ごとに日本の区画を消滅させていくなんて言うデスゲームをやったお前が言うな。

 

139:エボルトヒロアカ

ハハッこりゃ一本取られたな!!

 

 

 

「成程、それで緑谷君が凄い顔してた訳ね……」

 

纏めニキから話を聞いたお陰で緑谷が凄い顔をしていたのかが解せた、そりゃ必死に障害物走で一着をとったのに次の瞬間にこうなればあんな顔にもなるだろう。上に行くものにはそれだけの受難を、という奴だろうか。さて、取り敢えず自分も誰と組むかを考えなければいけないのだが……

 

「星辰、ウチと組まない?」

「耳郎さん」

 

真っ先に声を掛けて来てくれたのは耳郎だった。近くにいたというのもあるだろうが、如何やら自分を選んだのはそれだけではないらしい。

 

「俺で良いの?」

「モチ。個性の組み合わせとかあるだろうけどさ、信頼出来る相手と組むのが一番じゃない?USJで助けられた事もあるから信頼って意味じゃ飛び抜けてるよ」

「それならぜひ私もご一緒させて頂きたいですわ」

「俺も頼むぜ!!」

 

そんな所に新たにやってきたのは八百万と上鳴、これでUSJでのメンバーが揃った事になった。二人も個性での組み合わせなどを考えたが、やっぱりそれ以上に何の心配もなく力を発揮出来る相手と組みたいと思ったらしく自分の元に来てくれたらしい。これはこれで照れくさい。

 

『モテモテだねぇ』

「(うるさい)兎も角これでチームが組めたね、騎手は誰にする?」

「俺はパスだな、だって個性使おうっと思ったら全員痺れさせちゃうもんな」

 

そう言いながら遠慮する上鳴。これはある意味で懸命、彼の個性は帯電。電気を纏うだけで操れる訳ではない、なのでただ放電するだけになってしまうので出力を上げると無差別の放電になってしまう。

 

「そうなると……やっぱ星辰じゃない?」

「私もそれが良いと思いますわ、石動さんの個性は極めて幅が広いと思いますので様々な状況にも対応出来ると思いますわ」

「だな、あの銃とかって使えないのか?」

「生憎あれは別枠でアウト……まあ別の手段はあるんだけどね」

 

そう言いながらもボトルを見せる。

 

「あっそうか、ボトル自体はアンタの個性で作ってるんだっけ?」

「そ。だからこれ自体の持ち込みはOKなの」

「では矢張り創造系の個性ですのね、後で詳しくお話をお聞きしたいですわ!!」

「んじゃ騎手は石動で騎馬の組み方は如何する?」

 

話し合いの結果、前方は耳郎で左が上鳴、右が八百万という形で騎馬を組む事に決定した。騎馬も決まって先生に申請を行ってポイントの合計分の鉢巻、520ポイントの鉢巻を星辰が装着した。

 

『この状態で鉢巻ねぇ……なんかシュールだな』

「(それには同意してやる)」

 

「お~い星辰乗れよ~」

「あっ今行くよ」

 

間もなく開始なので騎馬に乗る、のだが―――

 

「重っ!!?思ってた以上に重いぞお前!?」

「動けない訳じゃないし全然いけるけど……!!」

「い、石動さん申し訳ありませんが何キロ御座いますの!?」

「えっと普段は76キロ」

「今は!?」

「……この姿だと108キロ」

 

個性とか全く違う所で小さいが重い問題が起きたのだった。一応三人ならば問題なく動く事は出来るのだが……エボルの状態では108キロという重さは流石に堪えるらしい。

 

「(なあエボルト。この状態って減量できる……?)」

『ンな事気にされたのは初めてなんだが、そうだな……エボルラビットなら多少の減量は出来る筈だが……それでも105.5キロの筈だから雀の涙だぞ』

「(そうか……聞いて悪かった)」

『お、応……』




分かりやすく言えば、一般家庭に置いてあるような冷蔵庫が大体100キロ位なので、三人は冷蔵庫を持っているような状態。

三人で冷蔵庫……余裕だな!!(家電配送バイト経験者)


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21スレ

『さあもう直ぐチーム組みの15分が経過すんぞぉ!!』

 

チームを組む為の時間制限が終わり、遂に騎馬戦が始まる。改めて自分の頭に巻いている鉢巻に意識を向ける、ここに自分達の努力の全てが詰まっている。そして次の努力を見せつける為にこれを奪われる訳にはいかないのだ、それを強く意識しながら額を締め付けるレベルで鉢巻を装備して騎手として上がった。

 

「耳郎さん!!」

「うん!!」

「八百万さん!!」

「はいっ!!」

「上鳴君!!」

「応よ!!」

 

後数秒で始まる、そんな時に声を掛ける。騎馬たちから頼もしい声が聞こえてくる、それに笑みを作りながらも星辰は拳を握る。

 

「俺も死ぬ気でこの鉢巻を守る、そして奪う!!さあ見せ付けよう、俺達の力を!!」

「任せとけ!!」

「ええ、やりましょう!!」

「任しときな!!」

 

『なあ今更なんだが、軽く浮いとけば体重軽減出来るんじゃねえか?』

「(……あっ)」

 

『さあいよいよ始まっぞぉ!!血で血を洗う仁義も情けもねぇ雄英大合戦、大戦国時代!!残虐ファイトの幕が今上がるぜぇ!!さあ狼煙が今―――上がったぁぁぁぁ!!!』

 

エボルトに指摘されて初めて気づいた真実に声を上げた瞬間に第二種目、騎馬戦の開始のゴングが鳴った。

 

「早速、頂くぜ!!」

 

開始早々に爆豪チームの騎馬、瀬呂が肘からテープを伸ばしてくる。真っ直ぐと星辰の鉢巻へと向かって行くが、エボルトに言われた事で隙が出来ていたのは反応出来ない―――

 

「なぁんちゃってぇ!!」

「何ぃっ!?」

 

突如として動きがキレた星辰は飛んできたテープを掴み取った、テープなのでべたつくがグローブの機能を使ってテープの構成を変えることでそれをボロボロに崩して無へと帰す。

 

「俺のテープが崩れたぁ!?」

「甘い甘い!!そして―――俺からかすめ取ろうなんざぁ100年早い!!」

「なっ!?」

 

背後からこっそりと迫って来ていたB組がメインのチーム、物間の腕を掴んだ。

 

「随分と手癖が悪いみたいだな、そう言う奴には―――お仕置きが必要だなぁ!!」

「ぐっおわぁぁぁ!!?」

 

『おっとっ石動チームを狙って物間が捉えられたっというかなんか浮いてねぇかぁ!!?』

『自分を浮かせてた時の応用で相手を浮かせてるらしいな』

 

騎手を務めていた物間は星辰の手によって一気に宙へと浮かせられて行く、そして同時にオーラがまとわりつくと鉢巻を奪取して自分にそれを装着し直した。

 

「ぐっこんな事まで出来るのか……!?」

「残念だったな、おい騎馬共さっさと拾いに行かねぇと地面に叩き落とすがいいのかなぁ?」

「ま、待て今行く!!」

「も、物間ぁ!!」

 

チームは慌てて離れていく物間の下へと移動していく、それを見届けるとオーラを解除して物間を落としておく。

 

「やるじゃん星辰!!いきなりポイントゲット!!」

「この位ちょろいちょろい、さあどんどん行こうぜ!!」

「おっしゃあ!!」

「ではこのまままっすぐ前に!!」

「OKヤオモモ!!」

 

皆が歩き出して行く中で星辰はバレないように小さな溜息をついたのだった。何故ならば……今身体を動かしていたのはエボルトだったのだから。

 

『ったく世話が焼ける相棒だな。あの位で意識を反らしてどうするんだ?』

「(誰のせいだと……)」

『だから責任取って解決してやったろ、ハハハッ感謝しろよ?』

 

それを言われると何とも言えない……エボルトなりに相棒としての役目は遂行したと言いたいのだろうか……。

 

「ハハッやってくれたね……でもね!!君には触れる(・・・)事が出来た!!」

「触れる……?」

『―――如何やら奴は触った奴の個性をコピー出来る個性らしいな、纏めニキがそう言ってる』

「って何見てんだ!!?」

 

サラッと掲示板を覗いているエボルトに思わずツッコミを入れてしまう、だがこれは非常に不味い……自分のエボルトとしての特典は個性扱い……というよりも元々あった個性を上書きするような形でエボルトが入ってきたような物なので個性としては一応カウントされる。だが厳密には違うとエボルトは言っている何故ならば―――

 

エボルドライバー!

「ハハハッ!!これで君の力は僕の……ってあれっあのボトルは!?彼が変身に使ってたボトルが如何してないんだ!!?」

 

とエボルドライバーは作り出す事が出来ているはいるが、肝心要のエボルボトルは全く作り出せていない。フルボトルさえ作れていない所を見ると心配する必要はないらしい。

 

『俺の遺伝子がねぇんだ、ボトルを作り出せる訳がねえだろうが』

「(あ~……そうか)」

『仮にボトルを作り出せるとしてもあいつのハザードレベルじゃ変身なんて出来ねえ、気にするだけ無駄だ。さぁて他も俺達を狙って来るぜ』

「(望む所だ……!!)さてと、そろそろやりますか!」

 

そう言うと星辰はエボルドライバーからコブラを引き抜くと新しくボトルを装填した。

 

GATLING(機関砲)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

CREATION(クリエーション)!!

 

「そ、創造ですの!?」

 

思わずその個性を持つが故の反応をしてしまう。直後にレバーを回した星辰の手の中には手持ちサイズの小型のガトリング、ホークガトリンガーが握りしめられていた。

 

「な、なんだあれ!?あいつ銃持ってるぞ!!?」

「んだぁ!?サポート科以外はアイテムの持ち込みは基本禁止じゃないのか!!?」

『個性によるアイテムの創造は許可していますので問題なし!!!』

「そう言う事―――そぉら!!」

 

此方へと迫ってくる騎馬の足元へと警告射撃を行う、足元で炸裂する弾丸に驚いて足踏みをしてしまいそれ以上の接近が出来ない他チーム。騎馬という複数人での構成で動くこの競技では遠距離攻撃手段があるのは非常に有利。

 

「そこだぁっ!!」

 

だが其処に挑める者もいる、リロードの隙を狙ったと思われる瀬呂のサイドのアタックが迫る。上手く背後からの攻撃、しかしそれは―――

 

「上鳴さん!!」

「応よ!!」

 

脚から鉄パイプを作ってそれを蹴って上鳴にパスする八百万、それを上手く拾い上げながらも片手で振るってテープを受け止める。

 

「チーム戦だぜこれは!!石動だけが可能って訳じゃねえんだ!!そして―――電気はお前のテープに導いて貰うぜ!!」

 

鉄パイプを握り込んだ手に電気を纏うと鉄パイプからテープを伝って電気が瀬呂へと向かって行く、帯電しか出来ないなら別の方法で導いて貰うだけ他の皆を感電しない程度に抑えているのでそこまで強くないが、電気は弱くても威力はある。

 

「あぶねぇ!!」

「助かったぜ切島!!」

 

電気が到達するよりも先に切島がテープを硬化した手刀で切り落とす、それで感電を回避するが―――その騎馬の上に爆豪はいなかった。

 

「仮面野郎ぉぉっ!!!」

「爆豪!!」

 

自身の爆破を推進力にしながら空から強襲してきた爆豪、だが星辰はホークガトリンガーのリボルマガジンを回してリロード中だった。それを中断して放とうとした時―――

 

「させない!!」

「ぐぅっ!!」

 

爆豪の腕にプラグが刺さった。そこから耳郎の心音が大音響で響いてきた。咄嗟に後方に爆破で飛び退いて行く爆豪は瀬呂のテープによって回収されていく。

 

「有難う耳郎さん!」

「この位大丈夫だよって前から轟が来る!!」

 

顔を上げるとそこには前に飯田、左に尾白、右にB組の鉄哲を用いた編成の轟のチームが迫って来た。原作と違い、星辰が余りに他クラスを煽らなかったのが影響しているらしいと掲示板を見ていたエボルトがへぇ~と声を上げていた。

 

「ッ!!」

 

そして轟は右手から氷の棒を作り出すとそれを伸ばして地面に到達させるとそこから一気に地面を凍結させて此方へとそれを伸ばしてくる。

 

「やばっ!!?上鳴アンタ何とか出来る!?」

「いや前はきついぞ!?」

「では回避、いえ間に合いません!!」

「任せて!!丁度これで!!」

 

〈ONE HUNDRED!! FULL BULLET!!〉

 

ホークガトリンガーに限界装填である100発のセットが完了した。これでこのホークガトリンガーの必殺技を発動させる事が出来る。迫り来る氷壁に向けてホークガトリンガーを構えてトリガーを引く。銃口からオレンジ色の輝きを纏った弾丸が鷹のように羽ばたきながら次々と放たれていき氷壁へと激突していく。凄まじい勢いで迫ってくる氷を次々へと砕いていきながら遂には轟の元へと弾丸が到達していく。

 

「ぐっ!!」

「飯田ぁ身体をこっちに向けろ!!」

「分かった!!」

 

咄嗟に騎馬の向きを変更すると鉄哲を弾丸へと向けた、一応パワーは抑えているがそれでも自分から弾丸を浴びる事になる―――が、個性を発動させる事で自らを鉄へと変える事でそれを防御しきった。

 

「如何だぁ俺がいて正解だっただろ!!」

「ああ、助かったぜ鉄哲」

「応!もっと頼れ!!」

 

「凄いですわ石動さん!!ぜひ今度お話を聞きたいですわ!!」

「機会があればね、さてと―――もっと行こうか!!」

「応!!」

「分かった!!」

 

ホークガトリンガーを再度リロードさせながらも星辰はそのまま騎馬戦を有利に進めていく。1000万ポイントは流石に狙いはせずにそれを狙う者達を逆に狙う戦法でいった。そしてそれが功を奏した結果―――3位で騎馬戦を突破するのであった。

 

「イエ~イ!!やったぜ本選進出ぅ~!!」

「やりましたわね!」

「星辰もお疲れ様」

「耳郎さんこそ」

 

『いやぁ~中々に掲示板も白熱してたぞ。面白いもんだな』

「(途中から静かだと思ったら……)」




石動 星辰の個性。

元々ある個性を乗っ取るな形でエボルトが宿っている。故にエボルトの力の一部が個性扱いされる。が、結局それもエボルトの遺伝子が無ければ機能しないので物間のコピーでは遺伝子迄コピーできないので意味がない。


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22スレ

騎馬戦も無事に終了した後は一般的な体育祭の催し物、言うなればレクレーションの時間となった。これは基本的に参加は自由なので出て楽しむのも騎馬戦の後の疲れを癒すのも良しという時間になっている。星辰は……

 

「君が石動君か」

「ああはい(くそ熱い……)」

 

お腹も減っていたので財布片手に出店で焼きそばやらを買おうと思っていた所に全身を燃え上がらせている巨漢と遭遇して言葉を失っていた所だった。

 

『何だこいつ全身火事になってるじゃねえか、これで火災報知器とか反応した如何する気なんだよ』

「(……確かに)」

 

1:ヒロアカエボルト

新しくスレ立てしました、というかこの状況どうしたらいいんでしょうか。

 

2:『システム』

ヒロアカエボルトからライブ配信モードの要請を検知。

受諾、モード移行を実行します。

 

 

3:無法地帯の料理人

スレ立て乙……ってエンデヴァー!!?

 

4:D×D風紀委員長

スレ立て乙ですイッチってエンデヴァーだぁぁぁぁ!?

 

5:大地の虎

乙っす!!って永遠の№2ヒーローだぁぁぁぁ!!!??

 

6:クトゥルフ系狩人

>>5

サラッとメタルベア命のレイフォールバカなせいで全然優勝できない

永遠の№2であるジロウさんの悪口やめろや。

 

7:ヒスイの調査兵

おう、詳しく解説してるお前が一番バカにしてるぞ。

 

8:円卓の鬼

というか実際この暑苦しいおっさんなんぞ?

 

9:無銘の転生者

夏場とかぜってぇ近づきたくねぇ……。

 

10:纏め役の転生者

フレイムヒーロー・エンデヴァー。作中ではオールマイトに次ぐ実力者だ。

オールマイトのせいで長年№2ヒーローの地位にいるせいでオールマイトを越える事に

固執してしまっている哀れな男でその夢を息子の轟 焦凍に押し付けてるおっさんだ。

 

11:IS世界のメンタルセラピスト

じゃあ滅茶苦茶凄いヒーローなのか……。

 

12:普通のカウンセラー

一応事件解決数史上最多という輝かしい実績の持ち主何だけどね……。

オールマイトを常に超えようと努力をし続けてる人でもあるんだけど

 

13:光の国の戦士

熱くないんですかね?個性の関係でそんな事ないんですかね。

 

 

「初めましてだな、君の活躍は見せて貰った。様々な状況に対応出来るその個性は実に素晴らしい、ご両親も鼻が高いだろうな。君もご両親には感謝しなければならないだろうな」

「ハァッ……まあ両親は無個性なんでその辺りは分かりませんけどね」

「―――何?」

 

 

14:円卓の鬼

えっイッチのご両親って無個性なの?

 

15:エボルトヒロアカ

事実だぞ。石動 惣一は無個性だ、後母親は既に死んでる。事故死だ。

 

16:光の国の戦士

……貴方からの言葉は少し信憑性に欠けますが、事実でしょうね?

 

17:エボルトヒロアカ

こんな下らねぇ嘘なんかつくかよ。

 

 

「まあ兎も角、君の個性は評価に値する」

「それはどうも有難う御座います」

 

 

18:無法地帯の料理人

なんか、イッチの反応淡白だな。

 

19:円卓の鬼

そりゃイッチにとってエボルトの力は嫌な物だからな。

 

20:ヒスイの調査兵

そりゃいい顔する訳ねぇよな。

 

 

「それで俺に何の用でしょうか」

「簡単な事だ―――俺の見立てでは次のガチバトルトーナメントでは君がウチの焦凍ぶつかる可能性が一番高い、どんな結果になるにせよあれは必ず決勝に上がる。それまでに確実に君と当たる事だろう」

「……」

「あれはまだ全てを出し切っていない、今はくだらない拘りで左を使っていない。だが君との戦いならば確実に使う事になるだろう、とても有益な戦いを期待する。あれの為にも、君の為にもな」

 

 

21:大地の虎

……何すかこの違和感、この人何を見てるんですか?

 

22:クトゥルフ系狩人

イッチと話してるのにイッチを見てないぞ此奴。

 

23:普通のカウンセラー

そりゃそうでしょうね……エンデヴァーにとって重要なのは焦凍君が高みに行く事。

それはつまり、自分から受け継いだ炎を使わせて更に成長する事なんだもん。

 

24:IS世界のメンタルセラピスト

……つまりこのおっさん、イッチに踏み台に成れって言ってるのか!?

ふざけやがってやろうぶっ殺してやるぅ!!

 

25:D×D風紀委員長

>>24

やめた方が良いですよ。長年№2に座ってますけど、逆にいえばあの公式チートのオールマイトに

唯一迫れる位の逸材でもあるんですから。実際この人とんでもなく強いですから。

 

26:円卓の鬼

戦闘系の特典がないセラピストニキじゃ絶対に勝てないから止めとけ。

 

27:無法地帯の料理人

この中で戦える特典もちはヒスイニキと委員長ニキ、戦士ニキ位でしょうね。

 

28:ヒスイの調査兵

>>27

立体起動装置と調査兵団パワーで行けるかなぁ……。

 

29:D×D風紀委員長

>>27

まあ、死ぬ気の炎と匣兵器ならば何とか……。

 

30:光の国の戦士

>>27

あっ私は除外で。

 

31:超次元中学生

そりゃ戦士ニキはなwwww

 

32:大地の虎

流石に光の巨人は除外っすよねwww

 

 

「つまり俺に轟の引き立て役になれと、そうおっしゃりたいと」

「そうは言わん、両者にとって貴重な体験になると言いたいだけだ」

「腹芸、もうちょっと学んだ方が良いですよ。貴方は顔と炎に感情が乗り過ぎてる」

 

 

33:エボルトヒロアカ

確かにな、こいつは感情を諸に顔に出すし炎にも露骨に出てるな。

 

34:青春学園の熱血教師

……セラピストニキ、キアラネキ、分かる?

 

35:IS世界のメンタルセラピスト

顔の方は何とか……。

 

36:普通のカウンセラー

同じく……確かになんか炎の揺らめきが変わってるような気がするけど……

唯炎が揺れてるだけな気もするし……。

 

37:超次元中学生

寧ろ何でイッチは分かるんだ?

 

38:エボルトヒロアカ

俺っていうサンプルがあるからだろうな。

 

39:纏め役の転生者

自分で言うのか……。

 

 

「……まあいいでしょう。轟に手を抜くほど俺は腐ってません」

「助かるな、これであいつの幼稚な拘りが無くなれば俺にとっては喜ばしい事だ」

「喜ばしいか……確かにそうでしょうね、それで彼が炎で人を救う事に前向きになってくれれば」

「フンそんな事ではない、あいつが氷と炎を同時に使えば俺を越えるヒーローになれる。あいつはオールマイトを越えられる」

「いやそれは無理でしょ」

 

 

40:IS世界のメンタルセラピスト

サラッと否定したぁぁぁ!!!

 

41:クトゥルフ系狩人

ぜってぇ今のイッチ素だったって!!反応速度尋常じゃなかったもん!!

 

42:普通のカウンセラー

あ~エンデヴァーが凄い顔して睨んで来てるぅぅぅ!!!

 

43:青春学園の熱血教師

こえええええっ!!威圧感パネェぇぇぇ!!

 

44:纏め役の転生者

顔の炎も威圧感を出す為に付けてるぐらいだしな……。

というかイッチ、何を言う気だ……?

 

 

「それはどういう意味だ、あいつがオールマイトを越えられないだと?」

 

星辰の言葉にエンデヴァーは激怒に近い怒りを抱いていた。自分の炎と妻の氷を両方受け継いだ最高傑作と言うべき存在の焦凍がくだらない拘りを捨てれば直ぐに覇道を歩む事が出来ると思っている。だが星辰の言葉はそれを完全に否定する物だった。

 

「いやだって氷と炎を両立した位であのオールマイトを凌駕出来ると思います?唯のパンチで天候変える化物ですよ、フィジカル面をもっと鍛えて個性に頼りっきりなのを改善しないと無理に決まってますよ」

 

ああそう言う事か……とエンデヴァーは怒りを収めた。何故ならば正しい意見だからだ、唯の氷と炎の両立で互いの個性が抱えるデメリットを打ち消しあっただけでは天辺を取る事が出来ないというのは分かる。だがそのデメリットがない事の利点は凄まじく大きい、自分が抱えてるものが無ければどれだけ上を目指せるのかと思った事はない。

 

「それに……それって轟の夢じゃないでしょ、それは貴方の夢だ」

 

収めた筈の怒りが、また湧き上がってきた。

 

「親である自分の夢を子供に託す、美談ではあると思いますけどそんなの押し付けだ。じゃなきゃ彼は炎を使う事にあんな嫌悪感を抱く事はない」

「……何も知らない小僧がほざくな。あいつにはオールマイトを越える義務がある」

「義務、ね……じゃあ貴方は彼を兵器にでもしたいんですか?」

「―――何?」

 

45:円卓の鬼

兵器……。

 

46:大地の虎

たしか、ビルドの仮面ライダーって……。

 

47:無法地帯の料理人

ああ、兵器としても考えれるそんな設計にもなってる。

実際、それが劇中で戦争に使われた。仮面ライダーが戦争をやってたんだ。

 

 

「兵器、だと……?ふざけた事を言うな、俺はあいつをオールマイトを越えるヒーローにしたいだけだ」

「貴方の越えるは力を意味してると俺は思いますよ、想いの介在しない唯のヒーローという暴力装置になる事を望んでる」

「ふざけた事を言うな!!」

「ふざけてるんのはアンタだろうが!!!」

 

その時、星辰の瞳は赤く光りながら周囲にオーラのような物を放出していた。風圧とも違う、奇妙な威圧感にエンデヴァーは冷や汗を流してしまった。高々ヒーロー候補生の小僧に、汗をかいた。

 

「右だけで氷だけで良いのか、目の前に炎で助けられる人がいたらどうするだって悩んでたし考えてた。あいつはオールマイトを越える事なんて考えてない!!オールマイトのように誰かを救うヒーローになりたいと思ってるんだ、アンタが望んでいるような越えるなんて望んでない。アンタが望む先にいる轟は恐ろしい化物だ」

「……っそんな事を、俺が望む訳がないだろう!!」

「ならこの先確りと観ておけよ、アンタが望む轟の姿って奴を俺が見せてやる……」

 

そう言い残して星辰はその場を後にする、一歩離れていく度に薄らいでいく威圧感にエンデヴァーは漸く重圧を感じなくなっていく。だがその言葉は何処までも重く胸に突き刺さっていた。

 

「俺が……焦凍が兵器になる事を、望んでいる……?」

 

 

48:ヒロアカエボルト

すいません皆さん、ちょっと頭に来ちゃって……。

 

49:IS世界のメンタルセラピスト

気にするなってイッチ、俺だってあのおっさん嫌いだ。

 

50:大地の虎

俺も正直好きになれないです……。

 

51:D×D風紀委員長

この時期のエンデヴァーですからねぇ……後になれば結構よくなるんですけど。

 

52:光の国の戦士

う~ん……オールマイトへの劣等感が凄い募って息子さんに押し付けてるって感じですね。

 

53:普通のカウンセラー

>>52

正しくそれなのよねぇ……それで家庭環境は最悪。

奥さんは病んじゃって焦凍君に顔に熱湯掛けちゃって入院させられちゃうし

 

54:青春学園の熱血教師

>>53

それは、ヘビィだなぁ……。

 

55:ヒスイの調査兵

他人の家庭事情に首を突っ込みたくはないけど……イッチ、これから如何するんだ

エンデヴァーに最悪の未来を見せるとか言ってたけど。

 

56:ヒロアカエボルト

別に何もしませんよ、唯……ちょっと悪役(エボルト)になるだけです。

 

57:エボルトヒロアカ

>>56

おいwwwルビが可笑しいだろwwww

 

58:超次元中学生

いや、大正解だろ。

 

59:クトゥルフ系狩人

激しく同意。

 

60:円卓の鬼

禿同。

 

 

 

 

その後、星辰は第一試合第二回戦で轟とぶつかる事が明らかになった。

 

 

『んで相棒、何をする気なんだ』

「(俺を相棒呼びするなら多少なりとも協力する気があるんだろ)」

『まあな』

「だったら、力を貸せ。フェーズを進める」

『―――あいよ』



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23スレ

『さあ休憩を挟んだところで第一回戦第二戦を始めるぞぉ!!第一試合はA組の緑谷 出久と普通科の心操 人使が激突、緑谷が勝利をおさめたが次は一体どんな試合展開になる事やらの楽しみだなぁ!そして注目の第二戦は大注目の一戦だぁ!』

 

会場の空気を盛り上げるマイク、彼の面目躍如といった所だろうか。だが彼のそんな煽りなんてなくてもとっくに会場のボルテージはMAXフルゲージ。

 

『首席入学者でその個性は摩訶不思議!!空は飛ぶはアイテム作れるはで幅広過ぎだろぉぉぉ!!?この男には何が出来ない、ヒーロー科 石動 星辰!!!同じくヒーロー科、此処まで全てを氷付けにするスーパークールなイケメンガイ!!推薦入学者は伊達じゃねえってか!?轟 焦凍ぉ!!』

 

互いにこの体育祭で圧倒的な存在感と力を示し続けてきた二人、その激突となれば否が応でも注目を集めるし期待も集めるという物だ。互いにステージに上がるとミッドナイトが早速スタートの合図を出そうとするのだが……轟がそれを止める。

 

「待ってくれ、石動が変身してからにして欲しい。それが一番だ」

『おっと轟、石動の個性発動許可を求めたぞ』

『合理的、とは言えないが真正面からぶつかり合いたいらしいな』

「許可します!!それでは試合開始の合図は石動君の変身完了後とします!!」

 

主審のミッドナイトの許可も取れたので轟は視線で早く変身しろと促してくる。それを見ながらもエボルドライバーを装着する。

 

「俺からすれば有難いが……それは例え、変身してからでも勝てるっていう慢心か」

「違う、あの時と同じじゃなきゃ意味がない。戦闘訓練と同じ……それが一番平等だ」

 

轟の瞳に曇りはない、つまりあの時の戦いのやり直しをしたいという事。そしてそれをエンデヴァーに見せ付ける事で自分がどれだけ本気なのかを見せ付けようとしている、それを感じ取って思わず星辰は小さく舌打ちをした。何処までもこの親子は自分を見ないつもりなのか……。

 

「なぁ轟言ったよな、自分のエゴを貫き通すつもりがあるなら俺を倒せないとなりたいものになれないって」

 

COBRA(コブラ)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

「ああ、言ってた」

「だから、俺はこれからお前のヴィランになる。それを越えてみろ、貫き通してみろ、自分のエゴをな」

 

着々と進んでいくシークエンス、前後のビルダーにハーフボディが完成し星辰は至る。

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

「―――変身!!」

COBRA! COBRA! EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

首を鳴らしながらも変身を完了した星辰に轟は構えを取る、変身終了を見届けたミッドナイトは鞭を振り上げながら高らかに宣言した。

 

「試合開始!!」

 

直後に轟は右側から前回の氷結を繰り出す、戦闘訓練の時を踏まえた一切の加減をしない最高出力での開幕ブッパ。地面から次々と突き出て行く無数の氷の棘が星辰を貫くように激突しながらもその身体を覆い尽くして行く。が―――

 

「相変わらずの個性押しか……言った筈だ、もっと頭を使えとなぁ!!」

 

全身からオーラのようなエネルギーを放出して氷を粉々に砕きながら吹き飛ばす、何も変わって無い個性出力によるごり押しだが視界から轟が消えていた。が、EVOツインアイコブラは確かに轟を捉えている。彼は自分が生みだした氷が凍て付かせた地面を滑って一気に距離を詰めていた。

 

「ああ、だから頭を使う!!」

 

スケートのように滑って速度を得ながらも跳躍、そのまま右足での飛び蹴りを放つのだが右脚から冷気を放出して星辰の身体をピンポイントで凍らせていく。星辰の身体自身に霜が降り、それは一気に膨張するように分厚い氷となって星辰の動きを封じて行く。そしてそれを加速した飛蹴りを浴びせ掛けた。

 

「ぐぅっ……!!」

「ぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」

 

渾身の蹴りは氷を砕きながらも星辰の身体を確りと捉えてそのまま蹴り飛ばした。そのまま一直線に場外に飛んでいくと思ったが、空中で停止するとそのまま体勢を立て直すと地面に降り直した。

 

『轟渾身の飛び蹴りを受けても石動は未だ健在!!やっぱり飛べるって卑怯だろぉォ!!?』

『個性に卑怯も糞もないだろう。轟の技の組み合わせも悪くない、自分の最大パワーを隠れ蓑にしながらの追撃はいい。だが相手が空中制動な事を考慮しきれていなかったな』

「(お前はレンゲルかよ……いや、氷で勢い作ってるからある種グリスブリザードなのか?)」

 

ダメージはそれ程でもない、だがまさか轟がライダーキックをやって来るとは思わなかった。だが……

 

「左を使う気はないか」

「……っ」

 

轟は未だに炎を使う様子を見せない、今のキックだって炎を推進力にすれば威力は何倍にもなるし急速な冷却と急速な加熱で自分にも通じるダメージを与える事だって出来た。だがそれをしなかった……

 

「それがお前の全力だってのか、だったらガッカリさせてくれる。お前は素晴らしい力を持っている、それを何時まで無駄にするつもりだ!!」

「ッ―――俺だって、俺だって……!!」

 

轟は、炎を使うつもりで此処に来た。だが……試合前に父、エンデヴァーが声を掛けてきた。

 

『焦凍、次の試合では炎を使え、でなければ石動に勝つ事は出来ないぞ』

『……何だ急にアドバイスか、父親面すんじゃねえ』

『違う、俺は―――』

 

あの言葉が如何してもフラッシュバックしてしまう、何があっても父に対する憎悪を抑える事が出来ない。母を傷付けたあの男が、唯自分の目的を遂げる為に自分を望んだあの男が……!!

 

「そうか……ならお前はもう終わりだな、言った筈だ、俺はお前にとってのヴィランになるってな」

 

「(さあ力を貸せエボルト、それがお前の望みでもあるんだろ)」

『……良いだろう。クククッ相棒からの協力要請がこれとは嬉しいねぇ、さあやろうか』

 

「フン!!」

「なっ!?」

「ヌゥゥッゥゥゥ……ラァァァ!!!」

 

突如、星辰は自らの身体に手を突っ込んだ。手はみるみると身体の中へと入り込んでいく、その光景に悲鳴のような声が上がるがそんな事も気にせずに星辰は腕を引き抜くとその中にある物を見て満足気に笑いながらコブラエボルボトルを引き抜いた。

 

「こっからが本当の戦いだ……お前は何時までそのままで居られるか見物だな」

 

DRAGON(ドラゴン)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

ヘビの代わりとして入れられたのは龍、ドラゴンのボトル。先程とは全く違う威圧感が発散されていきながらも星辰はレバーを回して行く、そしてハーフボディが完成されるとまだ、あの言葉を言い放つ。

 

ARE YOU READY(覚悟は良いか)?

 

「―――変身!!」

 

DRAGON! DRAGON! EVOL DRAGON(エボル ドラゴン)!!

フッハハハハハハ!!

 

そこにあったのは全く別の姿の星辰、頭部の瞳は口を開き牙を剥くコブラのようだったが今度はドラゴンの横顔のようになっている。加えて胸部のパーツの一部と肩のパーツが無くなっているせいか何処かスッキリしているような印象を受ける。

 

「フェーズ2、完了……!」

「姿が、変わった……進化してるのか!?」

「どう思うがお前の勝手だ……さあ続きをやろうか」

 

『い、石動新たな姿への変身んんん!!!突然胸に腕突っ込んだ時は何やってんだと思ったけど、変身に必要な物を取り出してたのか!?心臓に悪いわ!!』

『取り出した、というよりも今作り出したという感じだったな……今作り出したのはある種の賭けだったのかもしれないな……』

 

ゆっくりと此方へと歩き出して来る星辰、よく分からないが今発散されている威圧感は先程よりもずっと強い、故に全力で行くしかないと先程と同じように氷棘を地面から突き出して攻撃する。その太さは人間の数倍もある物、これならばと思ったのだろうが……その目論見は甘すぎる。

 

「フン!!」

 

星辰は腕を振るった、その瞬間―――氷棘は一瞬で圧し折られた。いや溶断されていた。

 

『石動が轟の氷をあっさりと破壊しやがったぁぁぁ!!』

『いや、氷が溶けている……あの形態は強い炎を生み出す事が出来るのか』

 

「ッ!!!」

 

その言葉を聞いた時、星辰にエンデヴァーの姿が被った。瞬間に轟の中にあったどす黒い感情が爆発して最大出力で氷を放つ、津波のように迫り来る氷に星辰は全く慌てない。頭部のEVOドラゴンフェイスモジュールが輝くとその拳に青い炎が灯る、そしてそのまま腰と据えた正拳突きを放つと巨大な氷に巨大な穴が空いた。そこを通りながら星辰は絶句している轟へと接近すると首を掴んだまま地面へと叩きつけた。

 

「ぐっ……がぁ……!!!」

 

咄嗟に右手を地面に置いて周辺に氷を巡らせてから無数の氷柱を生み出し、それを星辰の顎を狙って伸ばしていく。それを見た星辰は手を放して後ろへと飛び退いた。脱出には成功したが、自分の氷を容易に溶かす事が出来る今の星辰は極めて相性が悪い。

 

「言った筈だ、俺を倒せないとなりたいものになれないってな。さあ俺を倒してみろ、なりたいものになりたいなら俺を越えてみろ……!!」

「―――っ!!!」

 

それを言われた時、激しい憎悪が燃え上がって来た。そして―――轟はそれを全開にしたまま氷を生み出して星辰を攻撃しようとする。



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24スレ

『雄英体育祭第一回戦第二戦、早くもとんでもねぇ試合になってきたぞぉ!!?』

 

「テェァ!!!」

「―――っ……!!」

 

氷が舞えば蒼炎が燃え上がりそれらを融かし尽くしていく。既に轟の身体は氷の使い過ぎで身体に霜が降りており、動きが鈍くなり始めている。それなのに氷を多用し続ける轟に星辰は急速に接近すると蒼炎が滾る右手をその腹部を殴り付けた。

 

『石動のブローが轟に炸裂ぅ!!そのまま吹き飛ぶか!!?いや、轟地面から氷を伸ばして上手くコースを作って場外を逃れるぅ!!』

 

何とか場外落ちを回避する事が出来たが、胸部を打ち据えた青い炎の一撃は身体の内部を焼くかのように痛みを放ち続けている。そしてじんわりと身体の中を温めているのを感じる、身体の霜が溶けているのを見つつ喰らった部分を冷やす。

 

「テメェ……!!」

「さあどうした、お前の力はこんなもんじゃない筈だが」

 

轟の目にはエンデヴァーの姿が見えている、敢えて炎で身体を殴ったのは冷えすぎた身体を温める為、炎を使えと促す為。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!」

 

星辰にそんな意図まではなかった……だが、轟にとってのヴィラン―――エンデヴァーはその位の事はすると解釈して更なる怒りを誘発した。何処までも根深い、そして複雑な感情が渦巻き続けている。地面を殴り付けながらも地面から突き出す鋭利な氷の塔(アイスタワー)、無数に突き出したそれは星辰に直撃する―――が、激突した氷は一気に溶けていく。

 

「何時までそうしてるつもりだ、優れた力を使わずに何処まで耐えられるかなぁ!!」

 

氷が近づけばすぐに溶けるような温度にまで装甲が加熱されていき、そのまま轟の腹部を殴り付けた。身体が浮き上がった時、轟は歯を食いしばりながらも右脚を凍らせながら星辰を蹴りつける。氷は直ぐに溶けていくがそれでも蹴る間は持った。

 

「くそぉっ……!!」

「俺はお前のヴィランだと言った筈だ、そんなヴィランがお前を圧倒してるんだ。お前は如何するべきだ、このまま氷に固執して負けるのか!!如何なんだヒーロー!!!」

「うるせぇくそ親父!!!」

「この頑固者がぁ!!」

 

 

「―――焦凍……!!!」

 

観客に紛れながらも闘いを見続けていたエンデヴァーは星辰の一方的な試合運びに言葉を失っていた、訳ではない……自分が望む焦凍の姿を見せると言っていた。それがあれなのか?

 

「うおおおおっっ!!」

「何度やろうが意味ねぇんだよぉ!!!」

 

氷を幾重にも纏った拳を星辰にぶつけるが、全くのダメージも無く逆に蒼炎の拳が轟を抉る様に決まって転がっていく。焦凍にとってのヴィランは自分、つまり今の戦いは自分が息子に行っていた光景なのか……そして、相手を一蹴する絶対的な炎を纏う姿。そうだ、あの姿を自分は焦凍に望んでいた、これを見せたかったのかと……声が震えそうになる、喉が渇いて行く。

 

「焦凍……俺はっ……!!」

 

自分が望んでいた焦凍は兵器である、その言葉の意味が理解出来て来る度に自分が望んでいた筈の事が今酷く悍ましく思えて来る。

 

「がぁぁぁっ……!!」

 

星辰の一撃が炸裂して再度、地面に叩きつけられる息子の姿を見て思わず観客席の最前列を越えそうになった。

 

 

「ぁっ……がぁっ……」

 

鳩尾に入った重い一撃、それに呼吸を忘れて苦しみもがく自分を見下ろすヴィラン(エンデヴァー)。どうやっても勝てない、身体能力、個性が完全に負けている。このままでは絶対に越えられない。なりたい自分にもなれずに、このまま自分は父親のいう通りに進むしかないのか……。

 

「どぉすりゃ……如何すれば、良いんだ……!!どうすれば勝てるんだ……!!?」

 

弱音が漏れた、圧倒的な力の差に遂に轟の心が折れそうになっていた。あれだけ憎悪してきた父に屈しないと決めて来たのに、もう駄目なのかと……。

 

「簡単だ、炎を使え。氷だけに拘るからお前は俺に勝てない、目には目を歯には歯をって言葉あるだろう。炎をぶつけてみろ、最低でもお前は冷え続ける身体を温めて動けるようになるだろう」

「フザけんな……それだけは、それだけは……!!」

 

それだけは嫌だ、母を……苦しめた父のような炎を……。

 

「何を躊躇ってる!!お前はなりたい物があるんじゃないのか、叶えたい夢があるんじゃないのか!!?」

 

そんな時に掛けられたのは酷く厳しい言葉、だけど……何処までも力強い言葉だった。

 

「全力で俺と戦うと言ったお前は何処に行った!!それともお前の中にある全てが嘘だったのか!!?」

 

『おっとぉ~石動此処で轟に激励の言葉を掛けてるぞどういう状況だこれ?』

『黙ってろ』

 

「ならなぜおまえはヒーローを目指した、なぜヒーローを否定しなかった。それはお前がヒーローになりたかったからじゃないのか!!お前自身が絶対に護りたい人がいるからじゃないのか!!」

「―――っ……!!」

 

『いいのよ、なりたい自分になっていいのよ。』

 

「母さん……俺は……」

 

「だったら越えてみせろ、俺をっ!!自分が守りたいものを全部守れるような、お前だけのヒーローに!!!」

 

「俺は、俺はっ―――!!!」

 

熱い物が込み上げて来る、身体の内側からあらゆるものを燃やし尽くす熱が生まれてくる。忌避していた熱が遂に噴火する。絶対に使わないと誓っていたそれは正に火山の噴火と見間違えるほどの炎が轟から巻き起こっていく、最早爆風と遜色ない熱風を巻き起こしながら轟は熱い瞳を燃やしながら左側から、膨大な炎を巻き起こしながら確りと大地を踏みしめながら立ちあがった。

 

「遂に、遂に―――遂に覚醒したか!!」

 

冷え切っていた身体に熱が戻っていく中で見たのはまるで自分の事のように純粋な喜びを浮かべている星辰の姿だった。仮面で表情こそ読み取れないが、きっと彼の表情は満面の笑顔になっている事だろう。

 

「石動、お前この状況で喜ぶなんて如何なってんだ……」

「嬉しいに決まってるだろ、抑圧していた自分を君は越えたんだ!!漸く変身出来たんだ、本当の自分に!!今、その姿こそ君の本当の姿だ!!それこそが君の全力だ!!」

「俺の、全力……俺の力……」

 

燃え滾る炎を見ながら轟は唯繰り返し続けた、これが自分の力。憎悪し続けたエンデヴァーの炎ではなく自分の炎……そう言われても絶対に納得しないし認めない筈なのに……何故だろう、星辰の言葉は驚くほどに受け入れられていた。そうか、この炎は自分の炎なのか……と気付けば嫌悪感が無くなっていた。

 

「そうか……石動、お前まさかこの為だけにヴィランになるなんて言ってたのか」

「正解♪時間と手間はかかったが悪くなかったろ」

「ああっ……ホントに、な……有難うな石動」

 

その時にエンデヴァーは震えた……息子が、焦凍が笑ったから。何故それで震えたのかは直ぐに分かった、自分は見た事が無かったのだ……あの子があんな風に無邪気に笑った姿を。

 

「んじゃぁっ……石動」

「おう、此処まで来たら徹底的に付き合ってやる。氷と炎、その二つをどこまで扱い切れるのか俺が試してやる!!」




エボルトムーブ全開である。


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25スレ

「ッ!!」

 

大地を走る火炎、凄まじい熱量と勢いで向かって行くそれは一気に星辰を焼き尽くそうとして行く―――が、一瞬、龍の瞳が輝くと更に強い炎の渦が赤い炎を完全にかき消して焼き尽くして行く。

 

「長年使ってなかったが故にパワーはとんでもないようだな、ならそれを制御してみせろ」

 

エボルドラゴンの拳を地面へと叩きつける。すると地面から蒼炎が噴火のように噴き出して巨大な火柱を作り出しながらも轟へと向かって行く。それを同じように巨大な氷柱を生み出して相殺すると凄まじい風がスタジアム全体を包み込んでいく。

 

「幾らでも相手になってやる、さあまだまだ行くぞ轟ぃ!!」

「ああっ来い石動!!」

 

 

 

 

200:青春学園の熱血教師

全くっ!!!超青春してるなぁ~!!!!

 

201:クトゥルフ系狩人

エボルトムーブしてたから完全にエボルトが乗っ取ってると思ったけど……

イッチがやってるとは。

 

202:IS世界のメンタルセラピスト

だから言ったでしょ、あれはイッチだって。ワザと焚きつけてるだけって。

 

203:超次元中学生

結果はそうだけど、本当に何で分かるのよセラピストニキ……

 

204:IS世界のメンタルセラピスト

フッ……これぞ、正しく愛の力!!

 

205:無法地帯の料理人

凄い通り越してキモい……

 

206:大地の虎

寧ろ怖いっす……。

 

207:円卓の鬼

スッキモ……。

 

208:普通のカウンセラー

よくもまあ……美少女に好意向けられてるのに此処まで

イッチに愛を向けられるわね……。

 

209:IS世界のメンタルセラピスト

>>208

女はな……魔物なんだよ、魔界の生き物なんだよ……この世の物じゃないんだ……。

 

210:D×D風紀委員長

これ触れない方が良いパティーンですね。

 

211:纏め役の転生者

まあ、人の趣味趣向はそれぞれだからな……。

 

212:クトゥルフ系狩人

取り敢えず、イッチの試合に目を向けようぜ。

 

 

「そぉらぁ!!」

「ッだぁぁ!!」

「良いぞ、少しはマシになってきたかぁ!!」

 

213:ヒスイの調査兵

おおっイッチの攻撃を氷で防御!!

そして溶けてきた氷壁を更に冷やした後に自分の炎で飛ばした!!

 

214:クトゥルフ系狩人

空気の熱膨張を利用した氷の射出か、考えたな。

 

215:光の国の戦士

氷の氷結じゃなくて物理的な質量として使ってますね。

 

216:円卓の鬼

流石のイッチも少しよろめいたか。

 

 

「面白い、ならこれは対応出来るか?」

PIRATES(パイレーツ)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

CREATION(クリエーション)!!

 

「それ、騎馬戦の時と同じ……」

「そうだ。さあこれは対応出来るか!!」

 

217:クトゥルフ系狩人

おおっなんか出た!!

 

218:ヒスイの調査兵

ホークガトリンガーの次はカイゾクハッシャーか

 

219:大地の虎

名前、まんまっすね。

 

220:普通のカウンセラー

ドライブのハンドル剣とかドア銃よりマシよ。

 

 

「オラオラァ!!」

「クッ近接武器って訳か!!」

 

素早く接近していった星辰は迫り来る氷をカイゾクハッシャーで斬り砕いて進んでいく、そして遂にその刃に轟が迫るが咄嗟に氷で剣を作り出してそれをガードする。其処まで得意ではないのか剣の扱いは何処か覚束ないが、それでも十分に対応してくる轟に笑い声を出す。

 

「中々やるなぁ!!」

「個性の訓練で、こう言う事もやってたからなぁ!!」

「成程ねぇ……なら、これは対応出来るか!?」

 

鍔迫り合いの最中、星辰はカイゾクハッシャーの電車型攻撃ユニット(ビルドアロー号)を矢のように引いた。

 

〈各駅電車~……出発!!〉

 

「がっ!?」

 

突如、カイゾクハッシャーから青緑色をした光弾が発射されて轟が吹き飛ばされる。

 

「流石のお前もこういうのは対応出来ないみたいだな」

「それ、弓なのか……!?」

「そう言う事だ、近接戦でも使えるな!!」

 

 

221:大地の虎

あれ凄い面白いっすね!!新しいガンのデザインあれにしようかな……。

 

222:円卓の鬼

にしても……

 

223:ヒスイの調査兵

言いたい事は分かるぞ。

 

 

〈急行電車~……出発!!〉

 

〈快速電車~……出発!!〉

 

「くっ!!」

 

『石動新しい武器で怒涛の攻撃を仕掛けていくぅ!!っつうか海賊と電車とか如何言う発想でそう言うのが出来るんだよぉ!!』

『それはどうでもいいが、弓の泣き所である接近戦の弱さに対応可能なのは合理的だな』

 

 

224:光の国の戦士

やっかましいですねぇ……カイゾクハッシャー……

 

225:無法地帯の料理人

割かしうるさいの認める

 

226:超次元中学生

でもウルトラマンの武器だってうるさいのあるじゃん。

 

227:ヒスイの調査兵

あ~……あったな。

 

228:普通のカウンセラー

あれね、ヒカリがビクトリーに渡したあれ。

 

229:円卓の鬼

奏でろ!!勝利のメロディー!!

 

230:クトゥルフ系狩人

奏でろ!!勝利のメロディー!!

 

231:IS世界のメンタルセラピスト

奏でろ!!勝利のメロディー!!

 

232:光の国の戦士

いや私あれ使った事ないし何とも言えない……。

 

233:纏め役の転生者

というか、うるさいのは確実にライダーだろ。

ジオウとかウィザードとか。

 

 

「これで如何だっ……!!」

 

最大出力で氷を放つが、同時に炎を起こす事で身体が冷える事を防ぎながら常に全開を出し続ける。自分の視界を一瞬で覆い尽くす程の巨大な氷塊が向かって行く。これなら―――と思った直後にあの音が聞こえて来た。

 

〈海賊電車~……発射!!〉

 

限界まで引き続かれた事でエネルギーをフルチャージしたカイゾクハッシャーから電車と海賊船を模したエネルギー弾が放たれていった。空中を自由自在に走り回っていくエネルギー弾は氷塊を次々と貫通しながらも抉っていき、遂には轟の元に到達して足元で炸裂で大爆発を引き起こす。咄嗟に後ろに飛んで衝撃を殺すが、此方に走って来た星辰を見て今が完全に囮だったと理解した。

 

「さあっ行くぞ轟ぃ!!」

「―――望む所だ!!」

 

READY GO!!

 

レバーを回し、全身にエネルギーを漲らせていく星辰。それは青い炎へと変化していきそれは装甲をどんどんと過熱していき凄まじい温度へとなっていく。対する轟は地面を凍らせながらもその上を滑っていく、が今度は身体から炎を噴き出す事で推進力にして一気に加速していく。そして二人は同時に跳躍した。

 

EVOLTECH FINISH!!

「てやぁぁぁぁぁ!!!」

「ぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

全身に蒼炎を纏った星辰の一撃、炎と氷を同時に纏いながらの轟の一撃が激突する。その瞬間に閃光と共に凄まじい爆風が周囲へと襲い掛かっていく、爆風はまるで大嵐が到来したかのような風圧をまき散らしていく。爆風と閃光、そして舞い上がった煙幕で誰もが決着を目の当たりに出来なくなった時に響いてきたのは―――

 

CHAO!!

 

星辰の不敵な笑い声だった。それと共に爆風によって舞い上がっていた煙幕が晴れて行った先には……バトルステージに立っている星辰と場外にまで蹴り飛ばされていた轟の姿がそこにはあった。

 

「―――轟君場外!!よって勝者、石動 星辰君!!!」

 

ミッドナイトのジャッジが響くと同時に歓声が爆発していく。

 

『決着ぅぅぅぅぅっっ!!大激戦の第二戦を制したのは石動 星辰!!!というかこれで第一回戦第二試合の盛り上がりかぁ!?俺的にはもう決勝戦見たような気分になってんだけどなぁ!!?だけどまだまだ続くぜガチバトルトーナメントォ!!一先ず、ナイスなバトルを見せてくれた石動と轟にお前ら全員拍手ぅぅぅ!!!』

 

マイクの言葉なんてなくても観客たちは二人への拍手を送り続けていた。これだけの大激戦になるなんて誰も想像していなかった事だろう、この勝負に関してはもう勝敗なんて如何でもいいような気分で見ていた観客も多かった事だろう。そんな拍手の中で星辰は変身を解除しながら轟の元へと向かって手を差し出した。

 

「轟君、立てる?」

「ああ……悪い、借りるぞ」

 

流石にダメージが大きかったのか、手を借りて漸く立ち上がった轟。今まで使ってこなかったが故に炎の反動もあって身体には大きな負荷が掛かっている。今も身体が震えてしまっている。だが、その表情は何処まで晴れやかだった。

 

「なあ石動……有難う、俺なんかの為にお前に嫌な役目をさせちまって……」

「気にしてないよ。それにこの位の事で役に立てたなら万々歳だよ」

 

自分にとってのヴィランになってくれたというのに星辰はまるで気にしていないような様子だった、本当に感謝しかない。この戦いがあったからこそ、自分はこの先も炎を使って行く覚悟が出来た。エンデヴァーではなく、自分の炎を。そんな事を分からせてくれた星辰に轟は少しだけ、緊張したような面持ちになりながらも勇気を出すように切り出した。

 

「炎も使ってこなかった分使ってなれないといけないしこれからも相手してくれないか、後……そのい、石動……俺と友達になってくれないか?」

「えっ何言ってるの、俺と轟君は友達でしょ?」

「えっ?」

 

勇気を出して言ったはずの言葉を首を傾げながら返されて呆気に取られてしまった。

 

「俺はそのつもりだよ、それじゃあこれからは友達の明確な証として名前で呼んでもいいかな」

「名前って……」

「焦凍君、これから宜しくね」

「っ……ああ、ああ分かった。後君付けはいらねぇ、これから宜しくな星辰」

 

そう言いながらも握手を交わした二人、大激戦を越えた先に待っていたのは暖かな友情という王道展開に主審のミッドナイトは悶絶するかのように身をくねらせていた。

 

「取り敢えず、医務室まで付き合うよ。ほら肩貸すよ」

「いや大丈夫だ、自分で歩ける。次の自分の試合に備えろよ……星辰」

「フフッそうさせて貰うよ焦凍」

 

 

「―――っぁぁぁぁん最高過ぎる!!!私、こう言うの堪らなく大好きぃ……!!」



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26スレ

「如何でした、貴方が望んだ先にいる息子さんの姿は―――エンデヴァー」

「……」

 

試合の後、星辰は身体を休める為に控室へと向かおうとしていた所……エンデヴァーへと出くわした。自分の求める焦凍の姿を見せると言ってあの試合を行った。その結果……エンデヴァーの顔は炎があるのにも拘らず血色が良くない、顔色がかなり悪い状態となっている。心なしか炎も弱弱しくなっているようにも見える。

 

「……」

「ダンマリですか、まあそれだけ思うことがあると思えたなら俺もヴィラン(貴方)になった甲斐がありましたよ」

「っ……俺にだと……!?」

「ええ。焦凍にとっての貴方はヒーローなんかじゃないって事です、貴方はヴィランだ」

 

その一言が何処までも深くと突き刺さっていくのが分かった、強く、強く否定したい。自分はヒーローなんだ、フレイムヒーロー エンデヴァーなんだと強く強く言い返したい……言い返したいのになぜかその言葉の続きが出なかった。

 

「炎は貴方の象徴、より強い炎であればあるほどに焦凍は貴方を意識する。それは最早夢なんかじゃない、呪いの類です」

「呪いだと、俺が呪いだと!!?」

 

思わず、炎を強めながら怒りに駆られて星辰の胸倉を掴み上げてしまった。何も知らない小僧が、表面上の事でしか判断ができない愚かさが、何もかも自分を荒げる材料になっていくのだ。

 

「貴様に、貴様に何が解る!!?何も知らんが小僧が抜かすな!!あいつには、焦凍にはオールマイトを越えなければならない義務がある!!!出なければいけないんだ……!!」

 

どこか縋るような、贖罪の為と言うようなエンデヴァーのそれに星辰は何かを感じた。何かがあるのかもしれない、きっと何かがあるのかもしれない。掲示板のみんなに聞けばな簡単に分かるかもしれないが、それはしない。それに……この人は自分は思ったよりかは嫌いじゃないことが分かった。

 

「(はっきり言って、お前より好感度高い気がする。方向性間違ってる感じだけど)」

『HAHAHA言ってくれるね~……まあ俺は嫌われてなんぼな事してきたけどな!!』

 

 

「何かあったことは察しますよ、その程度ですけど―――そんな風に考えられるなら如何して焦凍に呪いを与えようとしたんですか」

「黙れっ……呪いなどと口にするな!!」

「取り合えず―――いい加減に離せよ、熱いんだよぉ!!」

「ぐっ……!!」

 

常に燃えているような男に掴み掛れて炎に至近距離にいる星辰はぶっちゃけすごい熱くてきつかった。それはエボルトも同じなのか、それとも単純にいい加減にしつこいから苛立ったのかは分からないが……珍しく意見が一致して膝蹴りを繰り出した。掴み上げられていたからかエンデヴァーの胸を直撃し軽く咽てしまったので手が離れたので、漸く放れる事が出来た。

 

「親子揃って不器用なだなお前ら……何故答えは既に手の中にあるのにそれを見ようとしない、誰かに指摘されるのを待ってるってのか」

「答えは、既にあるだと……!?」

「まあ今のアンタに教えてやるほど俺もお人よしじゃないんでね、偶には頭の中空っぽにして考えてみな。それじゃあなエンデヴァー。Chao!」

 

そう言って自分の目の前から去っていく星辰を止める事は出来なかった、自分の中に答えがあるという言葉がどうしようもなく気になっていた。ただ一人残されたエンデヴァーの心中はひどく荒れ狂っていた。

 

 

「(おいエボルト、お前勝手に出てくんじゃねえ)」

『いいじゃねえか別にまずい事を言ったわけじゃねぇんだからよ』

「(お前が出てくること自体が問題なんだよ)」

 

控室に戻った星辰は椅子に腰かけながら眠るように瞳を閉じながらエボルトと会話をしていた。先程のエンデヴァーの膝蹴りからずっとエボルトが自分の体の支配権を握っていた。といっても自分がその気になれば取り返すことができる程度のものではあったが……。

 

「(やっぱり、フェーズを進めたのは問題だったかな……上がってんだろ、ハザードレベル)」

『当たり前だろう。あれだけの事をやったんだ』

 

焦凍の為にエボルト(ヴィラン)として徹した、彼の中にある黒い感情を引き出して中に残っている白い感情、夢などを思いださせる為にエボルトの力を借りてドラゴンエボルボトルを作り出しそれを用いてエボルドラゴンへと変身した。そしてその状態で必殺技まで使用している、その関係でハザードレベルは上昇しておりエボルトとしては非常に好ましい傾向になりつつある。

 

『寧ろ今回は感謝してほしいところだがねぇ……俺は相棒の頼み通りに力を貸してやったんだからな、責められる筋合いはないと思うが?』

「(それについては文句はない、だが問題はなのはお前の目的だ)」

 

ハッキリした事を言えばハザードレベルが上がる事は問題もあるが、星辰自身の戦闘力の上昇にも繋がるのでプラスもある。だがそれ以上にエボルトの力も増す事も意味するので問題もかなり大きい。

 

「(好い加減に答えろよ、ハザードレベルを上げるその目的はなんだ)」

『何故答えは既に手の中にあるのにそれを見ようとしない、誰かに指摘されるのを待ってるってのか』

 

思わず、歯軋りと共に強い苛立ちが湧き上がってくる。まさかここでその言葉を返されるとは思わなかった。そして、自分の考えが正しいのならば……矢張りそういう事なのだろう。

 

「(フェーズを進める……)」

『フフフッ……正解だ。さあ、相棒これからも戦い続けようじゃないか。そして目指してみるか、俺を抑え込むラブ&ピースを謳うヒーローって奴を』

 

そう言い残しながらエボルトは自分の奥深くへと引っ込んでいった、本当に勝手すぎる奴だと思いながらも益々エボルトが分からなくなってきた。フェーズを進めて何をするつもりなのか、真の力を取り戻したいのは真実だろうが……。

 

「絶対に、俺はヒーローになる……!!」

 

その言葉は、この世界のヒーローを目指すという言葉よりかずっと重い言葉になっていた。



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27スレ

ちょっと脱線回。

今まで謎だったニキの転生事情公開。


新たな決意と共に次へと進む事を決めた星辰は第二回戦第一試合に望む事になった。その相手は―――僕のヒーローアカデミアの主人公、緑谷 出久であった。色んな意味での不安が付き纏う、勝てるか勝てないかというよりも―――

 

「……この世界に主人公補正ってあるのかな」

『突然何言ってんだ相棒』

 

エボルトに普通にツッコミされた、星辰の心は想像以上のダメージを受けた。

 

 

 

150:ヒロアカエボルト

エボルトに真っ当なツッコミをされた、シンプルに死にそう。

 

151:エボルトヒロアカ

心配してやったらこの返答って酷くね?

 

152:無法地帯の料理人

まあうん……この場合はどっちの気持ちも分かる。

 

153:円卓の鬼

あれに同意するとか誠に遺憾だけどな。

 

154:青春学園の熱血教師

主人公補正……それは転生者ならば一度は心配する物だ。俺も心配した。

結果、サムライ南次郎に負けた。

 

155:大地の虎

いやあの親父さんはリョーマよりもずっと強いじゃないっすか

 

156:ヒスイの調査兵

俺は気にしなかった、だって主人公ポジだもん!!

その結果がコトブキ村からの追放だゴラァ!!

 

157:普通のカウンセラー

ドウドウ……私は分からないわね、だってファフナーって舞台上

私が敵対する事があり得ないプロ島民だもん。

 

158:D×D風紀委員長

感じた事ありますよ。あのくそ変態を何故か退学に出来ない辺りに。

 

159:光の国の戦士

>>158

ああ、抑止力扱いされてましたね……。

私も感じますね、まあそれは主人公張ってたウルトラ兄弟とかに感じるんですけど。

 

160:IS世界のメンタルセラピスト

ベテランになってからも基本的にずっと強くなり続ける長寿種族はノーカンで。

ある、あのワンサマーマジ好い加減にしろと言いたい。

 

161:クトゥルフ系狩人

俺は無いな。まあニャル子さんにあった事ないから分からないのが正しい。

 

162:ヒスイの調査兵

纏めニキは?つうか纏めニキって何処の世界に転生してんの?

 

163:纏め役の転生者

んっ言ってなかったか?

 

164:ヒロアカエボルト

聞いてないですね、纏めニキさんで固定されちゃってる感じしますもんね。

 

165:普通のカウンセラー

どんな世界に行ってるのかしら?

 

166:纏め役の転生者

マブラヴっていえば伝わるか?

 

167:大地の虎

えっあの地獄めいた世界っすか!?

 

168:D×D風紀委員長

マジかぁ……あの冗談抜きの地獄世界かよ。

 

169:普通のカウンセラー

私の事散々地獄の島でカウンセラーって言ってたのに、人の事言えないじゃない。

 

170:IS世界のメンタルセラピスト

マジでよく生きてるな……。

 

171:ヒロアカエボルト

???

 

172:ヒスイの調査兵

>>171

イッチは知らないのか。

 

173:クトゥルフ系狩人

まあ知らない人がいるのもしょうがないか。

 

174:IS世界のメンタルセラピスト

>>171

頭にハテナ浮かべるイッチ―――う"っ!!!

 

『せ、先生!?如何なされたんですかまさかまた発作!?確りしてください!!先生、先生ぃぃ!!!』

 

 

175:大地の虎

>>174

まだ尊死すか……。

 

176:超次元中学生

>>174

本当にスッキモだぜ……。

 

177:無法地帯の料理人

>>174

しかもまだ箒ちゃんの声聞こえるし……。

 

178:纏め役の転生者

イッチの為に簡単に説明しよう。

マブラヴの世界は二十年以上も人類に敵対的な地球外起源種(BETA)に侵略を受けている。

人類は戦術機というロボットを使って戦っているが戦局は致命的。

人類の滅亡はカウントダウンに近い状況で如何にかこうにか対抗策を見出そうとする。

 

そんな絶望的な状況な世界のエロゲーだな。まあエロゲーではあるが

燃えゲーとかグロゲーとも言われるが。

 

179:ヒロアカエボルト

―――えっ凄いやばい世界じゃないですか。

 

180:ヒスイの調査兵

控えめに言ってやばい、普通に言えば詰んでる。

竜宮島のキアラネキがマジで楽園って言えるレベルにはやばい世界。

 

181:円卓の鬼

ギアスの世界の問題とかマジで笑えるぐらいにな。

 

182:D×D風紀委員長

しかも敵であるBETAが滅茶苦茶やばいんですよ。

BETAはとんでもない物量で攻めてきます。人類が100だとすると

BETAは10万とか100万ではきかないようなとんでもない数で攻めて来る。

 

183:大地の虎

しかも、BETAのせいで制空権は完全に奪われているっていうね……。

 

184:ヒロアカエボルト

いや、マジで何で生きてるんですか?

 

185:エボルトヒロアカ

流石の俺もこれにはドン引き。その世界の人類ってどうなってんだよ。

 

186:ヒスイの調査兵

エボルトがドン引きとか言う貴重なシーン。

 

187:クトゥルフ系狩人

まあその世界でも結局人類は一致団結してねぇけどな。

 

188:普通のカウンセラー

寧ろ争ってる始末。

 

189:エボルトヒロアカ

何だやっぱり人間は人間か。

 

190:纏め役の転生者

まあ大体特典のお陰だな。そのお陰で原作よりも戦局はいい。

だがG弾推進派は滅べ。

 

191:D×D風紀委員長

うわぁ……こっちの変態に対する怒りよりもずっと根深い。

 

192:青春学園の熱血教師

だろうな。言うなれば核兵器みたいなもんだもんなG弾って。

 

193:大地の虎

正確に言えば違うっすけどやばい兵器って意味だと同じ位にやばいですよね。

日本人としては核兵器並にやばいで通じるっす。

 

194:超次元中学生

うん取り敢えずやべぇのは分かった。

 

195:光の国の戦士

えっと、それで特典は?

 

196:纏め役の転生者

簡単に言えば工場だな。様々な世界の機動兵器を生産できる。

それを使って世界中に兵器を送って戦局を押し上げてる。

 

鉄血のMSのナノラミネートアーマーが光線級にも通じる事が分かったから

改良してみたら制空権を奪い返した。

 

197:クトゥルフ系狩人

おうさらっとすげぇ事やってるぞ。

 

198:無法地帯の料理人

制空権奪い返しただけでも相当に楽なのでは……?

 

199:普通のカウンセラー

夕呼みたいに凄い人類に貢献してる……。

 

200:ヒスイの調査兵

すげぇな鉄血……。

 

201:纏め役の転生者

日本にあるハイヴも潰したからな。

それでもまだまだやる事はいっぱいだ……

 

202:青春学園の熱血教師

はぁ!?ハイヴ潰したの!?

 

203:円卓の鬼

マジで何やってんの纏めニキ!?

いや滅茶苦茶すげぇ事だけどさ!!?

 

204:普通のカウンセラー

なんか、私より絶望的な世界なのになんか希望見出してない?

 

205:纏め役の転生者

ンな訳あるか。未だに人類は絶望的な状況には変わりない。

楽観的になるのは人類を救ってからだ。

 

206:ヒロアカエボルト

―――カッコいい。

 

207:ヒスイの調査兵

俺もそう思った。マジでカッコいいな纏めニキ。

 

208:普通のカウンセラー

ちょっと惚れそう……。

 

209:纏め役の転生者

>>208

こんな絶望的な世界にいる男はやめておけ。

 

210:IS世界のメンタルセラピスト

イッチは渡さんぞ纏めニキぃ!!!

 

211:超次元中学生

>>210

キモい。

 

212クトゥルフ系狩人

>>210

地獄に落ちろ。

 

213:IS世界のメンタルセラピスト

>>211

>>212

ひでぇ。

 

214:大地の虎

でも男として憧れるっすね!!

 

215:D×D風紀委員長

全くだね。それと転生世界分かった事だし名前変えます?

纏めニキからマブラヴニキとかに。

 

216:光の国の戦士

というかそんな世界にいるのに掲示板やってて大丈夫なんですか?

 

217:無法地帯の料理人

確かに……。自分の世界に集中してても良いんだぜ?

 

218:IS世界のメンタルセラピスト

応そうだそうだ、イッチの事は俺に任せろ。

 

219:纏め役の転生者

このままで構わんよ。今だって纏め役なのは変わらないしな。

後、此処には気分転換に来てるんだ。絶望的な世界だとこういうのがないとキツいんでな……。

>>218

後セラピストニキ、俺がそっち系みたいに言うな。俺はノンケだ。

 

220:クトゥルフ系狩人

因みに、一応マブラヴってエロゲーだけどさ、推しとかいるの?

 

221:纏め役の転生者

あ~……考えた事、なかったな……生きる事に必死だったからな。

 

222:ヒスイの調査兵

だろうなぁ……。

 

223:クトゥルフ系狩人

すまん、変な事聞いた。

 

224:纏め役の転生者

気にするな、エロゲ-の世界と言われたら聞くだろうからな。

まあ一つだけ言える事があるとするならば……

 

225:光の国の戦士

するならば?

 

226:纏め役の転生者

―――まりもちゃんの悲劇は回避したから安心しろ!!

 

227:D×D風紀委員長

うおおおおおおおおおおお!!!!

 

228:円卓の鬼

よくやったぁぁぁぁぁ!!!!

 

229:超次元中学生

やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

230:普通のカウンセラー

皆のトラウマ回避ぃぃぃぃぃぃ!!!!

 

231:青春学園の熱血教師

凄い纏めニキぃぃ!!!!

 

232:ヒロアカエボルト

え、えっと凄いですよ~!!

 

233:IS世界のメンタルセラピスト

>>232

分からないけど周りに合わせるイッチ……。これだけで1週間徹夜出来る。

 

234:ヒスイの調査兵

>>233

スッキモ。

 

235:エボルトヒロアカ

……なあ話割って悪いが

 

236:円卓の鬼

ンだよ引っ込め~!!

 

237:大地の虎

そうだそうだ~!

 

238:普通のカウンセラー

貴方は喋らなくていいのよ~!!

 

239:エボルトヒロアカ

いやよ、もう直ぐ相棒が試合の時間なんだが……

主人公補正云々の話何処行った。

 

240:纏め役の転生者

―――あっ

 

 

この時、掲示板の全員が星辰と同じダメージを味わったのだった。




スレにいる転生者紹介

・纏め役の転生者
長らく転生先を明かしていなかったがマブラヴに転生している。
特典はスパロボに参戦した作品に登場したアイテム及び兵器の開発能力。
特典を最大限に生かして人類生存の為に全力を尽くして、マブラヴでスパロボマジックを起こしている。他作品の素材や動力を使って兵器のグレードアップがマイブーム。
例えると、突撃級などの硬い甲殻を貫けるようにする為にアルトアイゼンのステーク部分を高硬度レアアロイや超合金ニューZαにしてみたりなど。


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28スレ

『さあ初めて行くぜ第二回戦第一試合!!』

 

結局有用な話を一切する事もなく来てしまった時間。纏めニキの話を聞けたことはそれはそれで嬉しかったし面白かったが……主人公補正云々については全くと言っていいほどに手付かずだった。とりあえず油断せずに頑張ろうという妥当すぎる結論で纏まったのであった。

 

『第一回戦でその実力を見せつけ、既に最強とも呼ばれるヒーロー科、石動 星辰!!そして同じくヒーロー科で冴えた頭脳で障害物走、騎馬戦を超えてやってきた緑谷 出久!!またもやA組同士の激突だぁ!!こりゃ面白くなってきたぜぇ!!』

 

「宜しくね緑谷君」

「う、うん宜しく!!」

「今回の試合も石動君の変身完了後に開始とします!!緑谷君いいかしら?」

「はい大丈夫です!!」

「直ぐ済ませるからね」

 

温和な態度と言葉、そして笑顔に戦う相手なのに安心感を抱いてしまう緑谷。同じクラスメイトとして彼は不思議な存在だと思っていた、個性のこともあるが彼には何やら他人を引き付ける何かがあるようにも思える。時折人が変わったように声と語りが変わるのもその魅力の一つとしてA組は捉えている。

 

「(だけど……石動君は、強い……!!)」

「―――変身!!」

EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

「僕は負けない!!君に、勝ってみせる!!」

「良い啖呵だ。そこまで言われたら俺だって負けるわけにはいかないね」

 

変身終了を見届けたミッドナイトは鞭を振り上げながら高らかに宣言した。

 

「試合開始!!」

 

試合開始直後に緑谷は腰を落としながらいつでも走り出せるような準備を行いながらもじっと星辰を見つめた。此方を余裕があるようにしながら見つめているその動きの全てを見逃さぬように。

 

「(随分とこっちを睨みつけてくるな……カウンターのタイミングを伺ってるのか)」

『あの小僧の個性はパワーがあり過ぎるタイプだしな、リミッター解除系かもな』

「(それありそうだな)」

 

星辰はエボルトの話にも耳を傾けながらもこちらを警戒している緑谷がどう出るかを伺う。流石のエボルも緑谷の超パワーの一撃をまともに受けてしまえば吹き飛ばされて場外に出る可能性は十分にあり得る。それの為にもどうすればいいのかも考えておく。

 

「(轟君との戦いで石動君は武器を作成できる事も分かった、手持ちサイズのガトリングに近接も出来る弓……それに空も飛べるし相手の動きを拘束することができる……如何すればいい!!?)」

 

緑谷は星辰が思っている以上に警戒を強めている、それ程までに焦凍との戦いは警戒させるに値するようなものだった。今までは姿は一つだと思っていたのに更にその先までが存在している、これはとてつもない衝撃だった。という事は星辰はドライバーにどのボトルを差すかによってあらゆる状況にも対応できることが意味している事とになる。

 

『互いに中々動かねぇなぁ~警戒してるのか?』

『だろうな。緑谷の超パワー、石動の様々な力に姿に武器、互いに警戒するに相応しい物を持っている。下手に突っ込んだらカウンターを食らうだけだ』

 

 

『……おい相棒、暇だ』

「(黙ってろ、分かってる。いつまでこうしてるつもりはない、こういう時はな)藪を突く!!」

 

一気に地面を蹴って加速する星辰、遂に状況が動いた!!と歓声が上がる中で緑谷は想像以上のスピードで焦りながらも構えた。同時にイメージする、同時に右腕に光が集中していき輝きを増していく。

 

「(レンジの中で卵が爆発しないイメージ……!!)はぁぁぁぁぁSMASH!!!」

 

まるで掴みかかるとするような一撃、伸びてくる腕には相当なエネルギーが集まっているのがよく分かる。このままの速度ではまともに攻撃を受ける―――が、その攻撃が命中する寸前にその場で浮き上がるようにして緊急停止しつつ一回転して攻撃を完璧に受け流した。

 

「避けられ―――!」

「おいおいおい、随分と分かりやすい個性だな」

 

回避された事に驚愕し動きを止めてしまった緑谷に空中で静止している星辰は宙返りしながらの蹴りを叩き込みながら着地する。大したダメージにはならないし後退っただけ、軽い挨拶だけだ。

 

「くっ完全に捉えたと思ったのに……!!」

「あの程度の攻撃、例えフルパワーだとしてもそんな個性の回避は余裕だけどな」

 

両手を挙げてやれやれだぜ、と言わんばかりのポーズをとる星辰に僅かな苛立ちを覚えてしまった。緑谷にとっての個性は特別大切なもの、オールマイトから継承した個性で心からこの個性に敬意を抱いている。それを馬鹿にされたのだから苛立たない訳がない。

 

「何処にパワーが溜まってるのか一目で丸わかりな個性なんざぁ俺の敵じゃないな」

「そんなの―――溜まってる……?」

 

その時、緑谷の動きが止まった。そして一気に視界がクリアになっていくかのように霧が晴れたような気分になっていった、確かに星辰の言うことは正論だし自分の今までの使い方なんて正しくその通りじゃないか。腕にパワーをためて放つ一撃必殺、腕にパワーを溜めるなんて当たり前、だけどそれだと簡単に見切られる、それなら如何するべきなのか―――その答えは既に目の前にあった。個性を全身に発動させているといえる星辰が。

 

「そうか、そうすればいいんだ……簡単な事じゃないか!!」

「んっ~?」

「有難う石動君!君のお陰だよ、僕はもっと強くなれるんだ……!!!」

 

その言葉の直後、再び腕に光が集まっていくのだが直後にその光は全身に四散していく。腕にのみあった力が、血管を通る血液のように全身を巡って纏うイメージ。その結果、腕にのみあったエネルギーは全身へと分配されていって全身が腕ほどではないが輝きを放っている。

 

「ワン・フォー・オール―――フルトランス……!!!」

「クククッアハハハハハ!!!これだから人間は面白い……たったあれだけの言葉で新しい技のヒントを掴んだぁ!?ハハッなんだお前主人公かよ!!」

「そんな事、ないよ……君のおかげだよ……!!!」

 

刹那、緑谷は地面を蹴った。バトルフィールドに一陣の風が吹くと緑谷は星辰の背後を取っていた、ゆっくりと振り向いた星辰は何処か楽しげにしていた。

 

「そうか、一箇所だけではなく全身に纏う事で負担を軽減しつつ基礎的な能力も向上させたんだね。それが君の変身か……いいじゃないか、とてもカッコいいよ」

「でもまだまだ制御が難しい、けどね……!!身体が軋みそう……でも、僕はまだまだ行くよ石動君!!」

「ああ、とことん付き合ってやる。さあ来な!!」




ワン・フォー・オール・フルトランス

星辰の言葉とエボルという変身の状態がヒントとなって編み出した新技。フルカウルと異なり、全身のスイッチを入れるのではなく腕に100%の力を集めてからそれを全身に分配して巡らせる形になっている。

が、何処かしらに100%を発動させてから分配するので時間も掛かる上にフルカウル以上に負担がかかるのでまだまだ未完成且つ未熟な技という印象がぬぐえない。


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29スレ

酷く愉快そうに笑いながらもホークガトリンガーを連射して緑谷を狙っている星辰。銃撃の嵐を必死に回避しようと駆け抜けるが、フルトランスは身体に相応の負荷を掛け続けている。腕に溜まっている100%の力を全身に拡散させている為か、緑谷の身体許容上限を越えてしまっている。故か普段の彼の数倍のスピードはあるが直線的で柔軟性に欠けている。

 

「ハハハハッ!!!さあ如何した如何したぁもっと速く動けないと使い物になんざぁならねぇんだよぉ!!!」

「グッ!!駄目だ、今此処で解く訳にはいかないんだぁ!!」

 

身体にホークガトリンガーの銃弾が襲いかかってくる、鈍い痛みが走って集中力が途切れそうになるが今此処で切らしたら集中砲火に晒される事になってしまうと気を強く持って駆け抜けていく。

 

「(もうすぐ、リロードの筈!!)」

「何時まで耐えられるかなぁ!?」

 

ホークガトリンガーのリロードはマガジンを回転させる事で装填される、一般的な銃に比べればリロードに掛かる時間は極めて短いがそれでも隙はある。そして弾丸が打ち尽くされてリロードの為に左手が挙げられた瞬間に地面を強く蹴って突進する。

 

「そんな事が分からないと思うのか!」

「だと、思ってたよぉ!!」

「ぐっ!!」

 

迫って来た緑谷を星辰は回避した。スピードはあるが直線的なそれに当たるような事はない、と思っていたがそこで緑谷は星辰が回避した方向とは逆方向を殴り付ける事で強引に軌道を修正して土手っ腹に頭突きを当ててみせた。

 

『緑谷が行くぅ!!ナイスガッツだぜ!!』

『曲がれない事を計算して地面を殴って強引にか……』

 

「SMASH!!!」

「うぉっ……!!」

 

頭突かれた事で体勢が崩れている星辰に向けて渾身のスマッシュを放つ。今の身体許容上限は5%程度、だがそれを越える力でスマッシュをクリティカルヒットさせた。そのパワーで殴り飛ばされた星辰は地面に背中を叩きつけられながらもギリギリの所で場外にならない所でストップした。本来なら此処で追撃をしたい緑谷だが……

 

「ぐっ……!!ほ、骨が軋むみたいだ……!!」

 

これまで何度か個性のパワーに耐えきれずに腕や指を犠牲した経験はある為か痛みに耐えられているが、それでも余りの痛みに右腕を抑えながら足を止めてしまった。同時にフルトランスが解けてしまわぬように集中している姿に星辰は素直に称賛を送りたくなった。

 

「(本当に凄いな緑谷君……流石主人公だ。俺なんかとは比べ物にならない精神力だ)」

『クククッ自ら激痛の中に飛び込みなんてなぁ……本当に人間は面白い、本当に気に入ったぞあの小僧。ハザードレベルも高めだ、ドライバーでも渡してみるかぁ?』

「(ウルトラニキに通報すんぞ)」

『OK相棒俺が悪かった』

 

エボルトから見ても緑谷という少年は色んな意味で逸材だったらしい。人間的に見ても面白い、故か彼はエボルトのお気に入りに入ってしまったらしい。これからは彼も守る事になる、まあ気に入ったのは自分も同じなので人の事は言えないだろう。

 

「(これが若さか……)」

『相棒も若けぇだろ』

「(前世含めたら割かしいい歳になるからなぁ……)よっこいせっと」

『声出しながら動くのは老化らしいぞ』

「(やぁかましぃ!!)」

 

地味に気にしている事を指摘するな、と軽くキレつつも立ちあがった星辰。肝心のダメージは正直言って大した事はない、この位は掠り傷にも入らない。

 

「緑谷、お前の力に敬意を表して―――全力の一撃でお前を潰してやる。それが嫌だったら全力で抗ってみろ」

「ッ―――来る!」

 

悲鳴を上げる腕の事なんてもう気にならなくなった、それ程のインパクトがあのレバーを回す姿にはあるのだ。次の一撃で決めるしかない、身体中に走り続けている痛みも段々酷くなり始めている、如何やら本格的に限界が近い。次で決める―――と緑谷も覚悟を決める。

 

「行くよ―――石動君!!」

 

全力で地面を蹴った、爆発的な加速を得た緑谷はその勢いのまま拳を構えて一気に殴り掛かってくる。このスピードなら回避は出来ない、迎え撃つしかないと思ったのだろう。それは正しい、まあ避けるつもりは最初からないのだが……

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

「SMAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASH!!!!!」

「てぇやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

緑谷渾身のスマッシュが星辰の必殺の一撃と蹴りと激突する、その瞬間にまるで星空のようなフィールドが緑谷と星辰の間に展開されていた。その美しさに見惚れる者も居れば途轍もないエネルギーを感じ取って喉を鳴らす者も居た。そして決着を待ち望まれていた時にそれは現れる。

 

CHAO!!

 

笑い声と共に緑谷は場外へと大きく吹き飛ばされていき、壁へと激突した。余りの勢いと衝撃か壁にはクレーターのような跡が着き、その中心には意識を失った緑谷がいた。それを見届けたミッドナイトは審判を下す。

 

「―――緑谷君場外!!よって勝者、石動 星辰君!!!」

 

決着はついた。勝者は星辰、ある意味順当な物だったかもしれないが緑谷の頑張りは目を見張るものがあったのは事実、それをプロヒーローがどんな風に評価するのか知らないが星辰とエボルトからすれば高評価なのは間違いないだろう。

 

『クククッ……本当に人間って奴は面白い、なあ相棒』

「(フゥッ……本当にとんでもない奴だよ緑谷君)」

 

緑谷は試合の最中にも成長しているようにも思えた、此方の情報を引き出しながらもそれを分析して取れる手段で対抗していく。元から彼がヒーロー好きのマニア気質だった故に様々なヒーローの知識があった、フルトランスを使った事でそれを戦闘で活用出来るようになっていた。フルトランスの負荷がそこまででもなく長期戦が出来ていたとしたら?少々ゾッとする。

 

「次戦う時も勝てると良いけどな……」

 

担架に乗せられて医務室へと運ばれていく姿を見つつも思わずそんな言葉を呟いてしまう程に緑谷は末恐ろしかった。そしてそれは、ある意味でエボルトも同じだった。

 

 

『ククククッ……まさか、この世界にあんなハザードレベルの持ち主がいたとはな。ハザードレベル3.4……実に良い素材だ……悪くねぇよなぁ……クククッフハハハハッ!!』

 

不気味に、不吉な笑いを上げるエボルト。一体なにを思考しているのか、それは分からないが……エボルトは酷く愉快そうだった。



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30スレ

「ううっ……」

 

呻き声とともに目が覚めた、視線の先にあったのは青い空ではなく何処かの天井すなわち室内である事が直ぐに分かった。

 

「気が付いたかい?」

 

自分の声に反応したのか、顔を覗き込んできたのは校医のリカバリーガールだった。個性の関係でそれなりにお世話になった事があるので面識はそれなりにあった。

 

「リカバリーガール……ってことはここは医務室……」

「そうさね、アンタは担架で此処に運ばれてきたんだよ」

「Hey緑谷少年、無事で何よりだ」

 

声の聞こえたほうへと顔を向けてみると、そこには骸骨のような風貌の男がいた。だがその男こそ、平和の象徴して名が轟いている№1ヒーローのオールマイト、その真の姿ともいうべきトゥル-フォーム。ヒーローとしての姿は本人曰くマッスルフォームというらしく、プールで腹筋に力を入れているようなものとのこと。なお、掲示板ではその話になった時にお前のような見せ筋があるか、となっていた。

 

「オール、マイト……そうだ試合は!?」

「君の場外負けだ、最後の一撃の激突で君は石動少年に蹴り飛ばされてしまったんだ」

 

ここで寝ている場合じゃないと思って質問したが、それを聞いて既に自分が敗北してしまった事を察した。素直なことを言えば残念だと言わざるを得ないが……そう思っているとリカバリーガールの個性におり治療が行われて身体の傷が治癒していく。

 

「今回の傷は今までの物に比べたら軽いものだね、腕に集中させたらこれまでと同じぐらいのものにはなるかもしれないけど……今までの物に比べたら一気に減ってきてるねぇ」

「ああ、緑谷少年実に素晴らしかったぞ!!」

 

そういいながらオールマイトこと八木 俊典は今回の試合についての事を褒める。幸いな事にリカバリーガールは個性については知っているので遠慮なく話す事が出来る。

 

「全身でのワン・フォー・オールの発動、今までそんな事出来ずに腕や指などで100%使用が限界だったが今回は全身だ!」

「全部石動君のお陰ですよ」

 

星辰の煽るような言葉や本質を突いた言葉などが自分に新しい世界を見せる切っ掛けになった。

 

「成程、腕で100%を発動させつつそれらを全身に……私にはない発想、そして相澤君じゃないが実に合理的だな!!」

「でもまだまだです、ぶっつけ本番でしたし身体許容上限も超えてましたから身体が悲鳴上げてました……」

「だろうね、アンタの身体の傷は正しくそんな感じのものばかりだった」

 

緑谷の話を聞いてオールマイトは益々石動 星辰という少年への思いを強めていく。アイテムを作り出し、それを使うことで全く違う姿へと変身することで圧倒的な力を発揮する個性。しかもその個性の力にはまだまだ先が見えない。寧ろ無限に成長するような底知れなさをオールマイトは感じてしまっている。一先ずこれ以上医務室にお邪魔している訳にもいかないので、リカバリーガールに頭を下げて共に出ると尋ねた。

 

「緑谷少年、君は石動少年と戦って何を感じた?」

「えっと……なんて言ったらいいんですかね、なんかワザと敵役を演じてるみたいな感じがありますね。態々声まで変えてなんか演技をしてるみたいで」

 

星辰は戦いになると基本的に声を変える、時折そのままのままな事もあるが基本的に少々高めな声から低く渋さのある男の声へと変化する。その時には必ずと言って良いほどに普段は見せる事はない姿を見せる。相手を煽ったり馬鹿にしたりする言動などまさにそれだ。

 

「後なんていうか……轟君の時も思ったんですけど妙に僕たちを育てようとしている感じが」

「それは私も感じ取ったよ。しかもその時も妙に戦闘慣れしているし如何すれば相手の奥にある限界を引き出せるかも心得ているような節があった」

 

焦凍の時なんて正しくそれが顕著となっていたと言っても過言ではない。内に潜む黒い感情を全て吐き出させる為に進んで悪役を演じ、結果として次のステージへと上げるための手段を尽くしていた。そしてそれが叶った時などは自分の事のように喜びを露わにし、それこそが君の変身だ!!と大声さえも上げていた。あの時の声は彼の素の物、それを見てオールマイトは星辰は個性を使っている時は二重人格に近い状態にあるのではと推理している。

 

「緑谷少年、君はこれから如何するべきか解っているかい?」

「勿論ですオールマイト、僕は石動君のためにももっともっと鍛えなきゃいけない。フルトランスを完璧に使いこなせるようにならないと石動君に申し訳ないですもんね」

「―――GOODNESS!!!」

 

瞬時にオールマイトはマッスルフォームになってその筋骨隆々な姿で緑谷の肩を力強く叩いた。

 

「正しくそれだよ、君はもっともっと強くなれるんだ!!その為にももっともっとだ!!」

「はいっオールマイト!!」

 

師として、弟子の成長は酷く嬉しかった。自分がそこに導いて上げられなかったという残念さはあるがそんな事はどうでも良くなる位には大きな進歩だった。これからの平和の象徴―――彼の成長が益々楽しみになってきてしまった。そして、緑谷にその為の研究として他の試合を見てくるように促すと慌しく走り出していく姿に笑みを作る……が、姿が見えなくなってきた頃にオールマイトはトゥルーフォームに戻りながらも眉を顰めていた。

 

「確かに石動少年の為にもそれは必要だと思う、だが何だこの違和感は……何故私は緑谷少年とのあの試合に危機感を覚えたんだ……?」

 

結局言葉にする事が出来なかった、友人として慕っている顔をしているあの顔を曇らせたくはなかった。根拠も何もない、唯の自分の直感だけで言える訳も無い。彼に、石動 星辰に自分の宿敵と近い何かを感じたなどと。

 

「きっと、そうだ彼の演技力がいいからだ。相手にそう思わせてしまうほどのものがあるんだ、それはそれでヒーローとしては非常に素晴らしい才だ。ならば私はそれをもっと正しい方向に導けばいいんだ。よし、家に帰ったら子どもの才能の導き方の本を読もう」

 

―――だがオールマイトは知らなかった。その直感は極めて正確に的の中心を射抜いていた事を。彼は星々を滅ぼす災厄を封じ込めている禁忌の箱(パンドラボックス)である事を。



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31スレ

続くは準決勝第一試合、飯田 天哉との戦いとなった星辰。スピード自慢の飯田にどのように立ち回るか、色々考えていた。

 

「うおおおおおおおおっ!!!」

「まだ、まだまだまだ遅すぎる!!」

「うわぁぁぁぁ!!?」

 

バトルフィールドを限界まで使って加速しながらの蹴りなどをメインに据えて攻撃を繰り出してくる飯田。以前の個性把握テストで50m走で負けてしまった時の借りを返すためにとかなり張り切っており、十全に加速してからの一撃はかなりの威力がある。だが、一撃受ければ即座に対応出来る。

 

「如何したお前ならもっとギアを上げられる筈だが」

「クッ……矢張りカーブを意識するとギアを上げられない……!!」

 

ガチバトルトーナメントのバトルフィールドはそれなりの広さはあるが、高機動戦を得意とする飯田からすれば広くはなく寧ろ狭さを感じてしまう広さ。切りかえしやカーブの事を考えるとスピードの出し過ぎは厳禁―――故にこれを切るしかない。

 

「行くぞっ……」

 

そう言いながら飯田はクラウチングスタートのような態勢を取った。その時に、同時に彼の脚にあるマフラーから唸るような音が響いてきた。あれこそ飯田の切り札とも言える技、本人曰く間違った使用法のレシプロバースト。騎馬戦でもそれを使って見事な機動戦を見せ付けていた、このままでは勝てないと飯田は賭けに出る事にしたのだろう。それを見て星辰は何処か笑いながら首を鳴らした。

 

「レシプロバーストか、それで俺に勝てると良いなぁ」

「勝つさ、その為にこれを使うんだ!!」

「―――フフフッそう言う意気込みは嫌いじゃねえぞ、いいだろうそれに付き合ってやるよ……10秒間だけな」

 

飯田を真似るかのように半身を引きながら態勢を整えると全身に赤いオーラのような物を纏って行く、それがどんな結果になるのかと皆が思う中で飯田は遂にそれを発動させた。

 

「レシプロォ……バースト!!!」

 

マフラーから青い炎を噴出させながら一気に加速する。加速距離無ければ決して至れない速度まで加速した飯田はそのまま星辰へと蹴りを繰り出す―――がそれを意図も容易く身を屈めて回避される。

 

「(流石に楽にはいかないか、だがこの10秒で絶対に蹴りを―――)」

「着けられると良いなぁ!!」

「なっ!?」

 

回避されたのでバックステップで距離を少し取ったのだが、あっという間に星辰はその距離を詰めて来たのだ。時間制限はあるが距離を離さなければと走り出すが星辰はピッタリと追いかけて来る。

 

「クッ振り切れないなんて……!!」

「ハッハァ!!いいスピードだ、だが今のマフラーじゃあ限界が近いようだな!!」

「くっ!!ならば―――!!」

 

逃げても追いかけられる、ならばと一気に停止してからの飛び蹴りを繰り出すが十字受けで防御される。あと5秒、もう時間がないと焦りが出て来るが決死の連続攻撃を仕掛けていく。

 

「うおおおおおおおおお!!!!レシプロォォォォ!!!!」

 

屈んでからの飛び回し蹴りを回避されるが、それは織り込み済み。空ぶった脚のマフラーから限界まで力を出力する、それによって飯田は超高速回転しまるで竜巻のようになっていく。周囲の空気を飲み込むほどの巨大な渦を作り出しながらも回転で得た莫大な遠心力をそのまま蹴りのスピードと威力に転化して必殺の一撃とする!!

 

「エクステンドォ!!!」

「速い!!」

 

流石の星辰も回避が間に合わずにそれをまともに受けてしまう。肩へと直撃したその一撃の衝撃はステージ全体へと拡散していく程に強力だった。取った!!と確実に飯田は勝利を確信した―――が、何かが自分の足を掴んだ。

 

「良い攻撃だったが……詰めが甘かったな」

「なっ無傷!!?」

 

星辰だった。その手が自分の足を掴むとそのまま振り上げられて大地へと叩きつけられてしまった。

 

「何故……!!」

「如何やら相当焦ってたみたいだな、回転の途中でお前さんのレシプロバーストは終わりを告げていた。自分の中でリズムの管理が御留守になってたって事だ」

「それで、威力が下がってしまったのか……!!」

 

レシプロバーストにもついて来る星辰、それによって煽られた事で集中力が乱されて焦ってしまった。それによって攻め時を見失って制限時間の終わりを見誤ってしまった。

 

「さて、お前に付き合ってやるのはもう終わりだ」

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

「てやぁぁぁ!!!」

「ぐぁっ……!!!」

 

CHAO!!

 

正拳突きが飯田の腹部を捉えると凄まじい勢いで場外へと弾き飛ばされていってしまった。そのまま飯田は場外認定を受けて敗北する事になって勝者となった星辰はそのまま控室へと戻るのであった。変身を解除した時に身体が揺れて倒れそうになるが、テーブルに手を付いて身体を支える。

 

「……こりゃ時間切れになって無かったら少し危なかったかもな」

 

飯田のレシプロバーストの対策としてメナスラッシュアーム・レッグの機能で運動能力・速度を大幅に引き上げて対抗するという作戦は成功した。だが流石に引き上げ過ぎてしまったせいか身体に反動が来てしまっている。そこにレシプロエクステンド、思った以上のダメージが蓄積していたらしい。

 

『あの眼鏡も中々に悪くなかったな、ハザードレベルもあと少しって所か。覚醒の時は近いな』

「(お前、ンな事考えてたのかよ……)」

『良いじゃねえかこういう楽しみを見つけてもよ』

 

勝手にしろ、と言いたい所なのだが何せエボルトのする事だから無意識的に警戒が先に出てしまうのである。実際ハザードレベル云々もビルド本編では全て自分の為だったわけなのだから……。

 

『相棒のハザードレベルも順調に上がってるからなぁ、フェーズ4まであっという間かもな』

「(嬉しいような、嬉しくないような……)」

 

フェーズ4、仮面ライダーエボルの変身の第四形態にして完全体とも呼ばれる形態。この形態迄来るとエボルは正しく無双の一言にまでなる、そこに至るまでまだ必要な事はあるのだが……それでもそれが近いと言われると本当に複雑な気持ちになってくる。

 

『んじゃテンションが上がる話題でもしてやるよ―――今の相棒なら自分のボトルを作る事が出来るぜ』

「俺の、ボトル……?」

 

思わず声に出てしまった、控室には自分一人しかいないがそれでも驚きだった。一体何を言っているのかと思っているとエボルトはそのまま言葉を続けて来た。

 

『俺は言うなれば相棒の記憶の覚醒と共にこの身体、石動 星辰という肉体で覚醒した。だったら元々の身体の個性はどうなったんだろうなぁ?』

「―――俺には元々の個性がある?」

『クククッまあ俺が入ったせいでその個性は塗り潰されたに近いが……今の相棒のハザードレベルならそれをエボルボトルとして形にする事は出来るだろうなぁ』

 

ハザードレベル、かつて自分が挑戦したエボルボトル作成の失敗。その原因がハザードレベルだとすればフェーズを進めている今ならきっと出来ると断言された、信用性はいまいちだが、こう言った事で嘘を吐くタイプではない事を星辰は良く知っている。

 

『今度はお前自身でフェーズを進めてみろ、フェーズ3……その扉をな』

「フェーズ……っ!!!」

 

その言葉に導かれるように星辰は自分の中に腕を突っ込んだ。控室に生々しく痛々しい音が木霊していく中、激痛の中でもがきながらも星辰は必死に自分の元々の個性を探して行く。

 

「がぁぁぁぁっ……ぁぁっ、あああああああっ……!!!!」

『ほらもうちょい奥だ、さあ俺が塗り潰す前の個性を形にしてみろ』

「ッァァァァァァ!!!!!」

 

声を振り切るように思いっ切り腕を引き抜いた、その時に地面に自らの血が四散した。やり方が下手なせいだ、とエボルトが軽く鼻で笑うが同時に愉悦に満ちた声でも笑った。

 

『ハハハハハッ!!!流石だな相棒、それがお前のボトルだ』

「俺の、ボトル……」

『そうだ、オリジンエボルボトルとも言うべきかな!!兎も角祝福だ、さあフェーズ3の始まりだ!!』

 

手の中にあったボトル、それを見て星辰は何処か震えるような喜びが身体を突き抜けて行った。そして同時に思った、これは紛れもなく自分の力だと。オリジンエボルボトルとはよく言った物だ。

 

「良いだろう、エボルト……お前の企み、少し乗ってやる。だが覚えとけよ、俺は俺だ」

『分かってる分かってるさ相棒。俺だってウルトラニキに消されたくないからな、少しは信用しろって』

 

何処か、自分に寄り掛かって来るようなエボルトの姿が見えた気がした。だが、兎も角これを使う決心を自分はする。エボルトを抑える為にも、そして自分が目指すヒーローになる為にも……このボトルは必要なんだと直感出来た。

 

 

 

『……こりゃ変質してやがるな……個性と俺の遺伝子が反応でもしたか?思った以上のボトルが出て来たな』

 

煽ったエボルトは何処か驚きを持った星辰の作り出したエボルボトルを見ていた。元々あった個性とはまた何か違う物になっていた、いや本質的には同じだろうが……想像以上の力を感じる。

 

『さてどうなるのか、俺も楽しみだな』

 

そんな風に笑うエボルトの視線の先には深い碧色をしたボトルがあった。



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32スレ

「オリジンエボルボトル……俺だけのボトル……」

 

エボルトに言われた言葉が脳裏を過ぎり続けていく。フェーズ3、ビルド本編では完全体へと至る為にビルドの力を欲して戦兎へと憑依した。だが其処で完全体に至る事は出来ずに完全なイレギュラーとしてエボルラビットへと至っていた。それが自分のボトルを使う事で至る……確かにある意味道理かもしれない。

 

「……ワクワク、してるなぁ俺」

 

エボルトの思惑通りに進む事なんて一番嫌うような事なのに自分はそれにワクワクしてしまっている。エボルトを受け入れているようになっているのだろうか……そんな風に考えている時に控室の扉が凄い音を立てながら開け放たれた。乱暴に蹴り開けたのは爆豪だった、が何やら呆気に取られたような顔をしている。

 

「ハッ?何でテメェがいやがる!?」

「えっいや、自分の控室……だから?」

「何言って……って此処2の控室か、クソが!!」

 

爆豪は常闇との試合に臨んだが快勝。決勝に進んで自分と激突する事になっている。そして始まるまで控室に居ようと思ったのだろうが如何やら間違えたらしい。まあ此処でフォローした所で絶対に怒鳴られる……そう言う奴だからなので敢えて沈黙。

 

「―――確かに間違えたのは俺だ、だが決勝相手にその態度はねぇだろうが!!」

「(どないせいっちゅうじゃ)」

『ある意味俺以上に理不尽だろこいつ』

 

本当に、理不尽だ。

 

「仮面野郎、テメェあの半分野郎をぶっ潰したあれで最初っから来いや」

「あれって……エボルドラゴンの事か」

「そうだ!!俺が取るのは完全な頂点だ!舐めプのくそカスのゴミに勝った所で価値はねぇし意味がねえ!だからテメェを完全にぶっ潰す!いいか、ふざけた事しやがったら殺すぞ!!」

 

言いたい事を全て言い終わるとそのまま扉を乱暴に閉めて去っていく。本当にヒーローよりもずっとヴィランが似合っている奴だと思ってしまう、と思った直後に人の事言えない……と軽く自己嫌悪する星辰であった。

 

 

 

『さあ遂に来た来たやって来た!!盛り上がれテメェら!!いよいよトーナメントの決勝、FINAL LAST GRANDだぁあ!!』

 

いよいよ待ち侘びられていた時がやって来たのであった、雄英高校体育ラストトーナメント最終戦、即ち頂点を決める決勝戦。その熱気に飲まれあらゆるものが興奮している、既にステージの上に立っている二人はそれらに気を配れる事もなく、目の前に相手の身に集中し続けている。

 

『ヒーロー科、爆豪 勝己 VS ヒーロー科、石動 星辰!!奇しくも同じA組同士の対決だ!!』

 

此処まで圧倒的な力で勝ち上がってきた者同士の激突だ、爆豪は爆破で相手を一蹴しつつも相手の弱点などを見抜くセンスも優れており実力で相手を叩き潰してきた。一方の星辰は絶対的な力がありながらも何処か相手を導くようにして更なる力を引き出しつつもそれを真正面から打ち勝つ強さ。似通っているようで違う二人の激突には期待が寄せられている。

 

 

20:ヒスイの調査兵

遂に決勝だ~!!

 

21:D×D風紀委員長

ッシャア何とか仕事終わったから集中してみれる~!!!

 

22:大地の虎

お疲れっす!!自分も休憩に入ったのでのんびり見るっす!!

 

23:普通のカウンセラー

私も休憩時間~っと。

 

24:青春学園の熱血教師

良い感じに入ってますね皆さん。

 

25:円卓の鬼

対戦カードは順当にイッチと爆豪か。

 

26:超次元中学生

やっぱり口悪いけど強いな~カッちゃん。

 

27:無法地帯の料理人

伊達に№1目指してませんよね。

 

28:光の国の戦士

ホントに言葉遣いさえなぁ……。

 

29:クトゥルフ系狩人

マジでそれな。

 

「今回も石動君の変身完了後に開始とするわ」

 

ミッドナイトの言葉に二人は頷いた。

 

 

30:円卓の鬼

やっぱりこの方式か。

 

31:光の国の戦士

まあ爆豪君的にもイッチに真正面から勝ちたいでしょうかね。

 

32:超次元中学生

試合中に変身しろって言われてもそれはそれで舐めプか!!ってキレそうだもんね。

 

33:IS世界のメンタルセラピスト

マジで如何すればあいつ怒らないんだよ。

 

34:普通のカウンセラー

まあ、カッちゃんだし……。

 

 

星辰はエボルドライバーを生み出して装着する―――が、その時に星辰は爆豪に向けて言い放った。

 

「悪い爆豪、お望みのエボルドラゴンは使わない」

「あ"あ"っ!!?」

「その代わりに―――その先を見せてやる」

 

そう言うと取り出したのはライダーエボルボトルと―――全く新しい碧のボトルだった。

 

 

35:IS世界のメンタルセラピスト

はぁなんだあのボトル!?

 

36:D×D風紀委員長

えっ本編であんなボトルありましたっけ!?

 

37:無法地帯の料理人

いや無い筈!!というか先ってエボルラビットにでもなるの!?

 

38:大地の虎

でもあれウサギって感じしませんよ!?

 

 

DINOSAUR(ダイナソー)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

装填されたボトルにあったのは牙を剥き出しにした恐竜の顔、そしてそれはレバーの回転に呼応して牙を噛み合わせるかのように上下していく。そしてビルダーに成分が満ちた時、あの問いかけが成された。

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

「―――変身!!」

DINOSAUR! DINOSAUR! EVOL DINOSAUR(エボル ダイナソー)!!

フッハハハハハハ!!

 

新しい姿への変身。頭部にあるのは碧色の恐竜の頭部、牙を剥き出しにして凶暴性を発散させている。だが姿はエボルコブラに近く胸部のパーツの一部と肩のパーツは健在、寧ろ腰にはローブのようなマントが追加されている。ある意味、その姿はフェーズ4に最も近く、エボルトが望んだ姿に近づいている。これが星辰自身のボトルを使う事で至った姿―――エボルダイナソー。

 

 

39:ヒスイの調査兵

エ、エボルダイナソー!!?

 

40:IS世界のメンタルセラピスト

な、なんだって~!!?えっそんなボトルあるの!?

 

41:青春学園の熱血教師

纏めニキどうなってんのこれ!?

 

42:纏め役の転生者

>>41

俺に質問するな!!俺にだってわからない事だってある!!

いや、確かにダイナソーフルボトルというのは没になった物だがある。

一応エボルドライバーに対応音声があったのは知ってるが……。

 

43:クトゥルフ系狩人

没音声とかそんなのありかよぉ!!

 

 

「フェーズ3、完了……!!」

「半分野郎の時よりも上って言いてぇみたいだな……!!」

「ああ、実際上だ……更に、フェーズが進んでるからな……!!」

 

『石動此処で又もや新しい姿に変身だぁ~!!お前どんだけ姿持ってるんだよ!?どこぞの宇宙帝王かよ!?クールな野郎だぜ~!!』

『石動の口ぶりからすると、今の姿は更に上の段階らしいな。どんな力を持ってるのか』

 

 

44:エボルトヒロアカ

如何だ驚いたか?あれはオリジンエボルボトルだ。

相棒が自分で作ったエボルボトルだ。

 

45:普通のカウンセラー

>>44

エボルトォォッ!!やっぱりアンタの……ってイッチが自分で!?

 

46:光の国の戦士

>>44

そそのかしたんじゃないでしょうね!?

 

47:エボルトヒロアカ

さて如何かな。俺は相棒にハザードレベルが上がったら作れるって言っただけだ。

俺という存在が宿る前にあった個性をボトルに出来るかもってな。

 

48:纏め役の転生者

それが、ダイナソーエボルボトルって訳か。

 

49:エボルトヒロアカ

そう言う訳だ。

 

 

 

『んじゃま、行きますか!?遂に始まる最終決戦!泣いても笑ってこれで終わりジ・エンドって奴だ!!んじゃガチバトルトーナメント、最終決戦今―――』

「スタート!!」

 

マイクの実況から繋げるようにミッドナイトによる開始の合図がされる、開始とほぼ同時に爆豪は爆破を推進力にして一気に加速しながら向かって来る。

 

「死ねぇ!!」

 

向かって行く最中、細かく爆破を起こして態勢をワザと崩してルートを変更しながら何処から攻撃が来るか分からないようにしつつ爆破で攻撃する爆豪。確かに決まったと思ったがそこには無傷の星辰がいた。

 

「良いフェイントだ……だがその分威力が低い!!」

 

そのまま腕を振るおうとするが、それに爆豪は危機を直感した。何か分からないが不味いと思ったのか爆破でその射線上から逃れると先程までいた自分の場所を星辰の腕が通り過ぎて行った。

 

ドガァアンッ!!

 

「ッ―――!?」

 

その直後に鈍い爆発音のような響いた。思わず其方を向いた爆豪が見たのは……自分が使った入場口近くの壁が抉られてる光景だった。

 

 

50:円卓の鬼

何だあのバカげた威力!?

 

51:超次元中学生

唯のパンチだろ今の!?衝撃波だけであれか!?

 

52:エボルトヒロアカ

一応言っとくが俺なんもしてねぇぞ。

 

53:D×D風紀委員長

それなのにあの威力って……。

 

54:大地の虎

元々のイッチの個性って一体……。

 

55:纏め役の転生者

おいエボルト。元々のイッチの個性は何だ。

 

56:エボルトヒロアカ

>>55

身体能力強化だな、同時に闘争本能を刺激して

他の個性以上に身体を強化する。それが俺の遺伝子で変質して

ダイナソーになったらしいが……。

 

57:纏め役の転生者

……成程な。

 

58:IS世界のメンタルセラピスト

>>57

えっ纏めニキ何か解ったわけ!?教えておせーてよぉ!!

 

59:クトゥルフ系狩人

俺も知りたいから頼むぜ。

 

60:普通のカウンセラー

というかこのスレ住民からすれば全員知りたい事よね。

 

61:纏め役の転生者

エボルダイナソーの特徴は恐らくシンプルな性能だろう。

原始的だが単純かつ明快な暴力で全てを征するフォームだと思われる。

それに……エボルラビットと違って予定通りのフェーズ3らしい。

 

62:無法地帯の料理人

予定通り……?

 

63:青春学園の熱血教師

エボルラビットってイレギュラーだっけ?

 

64:纏め役の転生者

ああ、エボルラビットはイレギュラーだ。

だけどエボルダイナソーは腰にブラックホールフォームの腰マントがある。

予定通りに進行してあと少しで完全体になりますってのが見て取れる。

 

65:IS世界のメンタルセラピスト

つまり―――エボルトの策略って事だな!!

 

66:エボルトヒロアカ

>>65

俺悪くないんだが。

 

 

 

「さあ如何する爆豪、お前は此処から如何する!!」

「分かり切った事聞いてるんじゃねえクソが!!テメェをブチのめして俺がトップを取る!!」

「ハハハッ分かりやすい答えで俺は好きだぜ!!じゃあ乗り越え甲斐のある壁になってやらぁ!!」




エボルダイナソー。

星辰が自らの個性から生み出したオリジンエボルボトル、ダイナソーエボルボトルを使用して変身した仮面ライダーエボル・フェーズ3。
エボルトが宿る前、元々の石動 星辰の個性が闘争本能を刺激しつつ身体能力を強化する個性だったが、エボルトの遺伝子によって変質した結果ダイナソーの成分となった。

ダイナソーフォームとしての特徴は純粋に強い事。ドラゴンフォームのような炎を扱うなどの能力はないが、シンプルに自身のスペックを向上させる事に特化しているので基礎スペックはフェーズ4を上回る。


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33スレ

「死ねぇ死ねぇ死ねぇ!!!」

 

地上で行われる絨毯爆撃、それを行っているのはたった一人の少年なのだから末恐ろしい。爆破が連鎖するように威力を高め合うかのようにどんどん加速度的に爆破のペースと威力が上がっていく。

 

「おいおいおい爆炎と爆煙で俺を燻ろうってのか―――その程度の火力じゃ無理だがなぁ!!」

「ッ!!」

 

爆煙の中から聞こえてきた声に咄嗟に爆破を下に放ち身体を浮かせた。直後、自分の居た地点を薙ぐように衝撃が駆け巡っていった。それは爆豪側の入場口に深々と抉ったような跡を作り出した。

 

『おいおいおいなんつう威力だぁ石動!?前回の緑谷みてぇな破壊力だぞ!!?』

『いや緑谷とは規模が桁違いだ、あいつは蹴ったと同時に風圧が爆弾みたいに飛んで行って炸裂する。それが激突した結果があの威力だ』

 

「っそがぁ!!」

 

爆煙の中から姿を現すエボルダイナソーの星辰。あれだけの絨毯爆撃の中でもダメージを感じている様子は全くない、先程の蹴りも煙が煩わしかったからやったと言わんばかりの余裕な姿を見せ付けて来るので誰もがそれに驚愕する。

 

「(中途半端に距離を開けた爆破じゃ意味がねえ、かと言ってフェイントを混ぜた状態での爆破じゃダメージにもならねぇ……って事は……!!)」

 

再度、爆破で急接近していく爆豪。そして周囲を爆破で飛び回りつつ隙を伺う。

 

「(こいつの切り札は腰のレバーを回す必要がある、それを見逃がす訳にはいかねぇ……)」

「随分と慎重だな、だったらこっちから行くかぁ……!!」

「(来やがった!!)」

 

遂に自分から動き始めた星辰、咄嗟に後方へと飛び退くがそれすら一瞬で距離を詰めて来るという馬鹿げている程の身体能力と言わざるを得ない。そして襲ってくるのは一撃一撃が正しく一撃必殺の途轍もない攻撃の嵐。唯のストレートパンチは当然の事、フェイントのジャブですら壁が軽く凹むほどの威力なのだから当たる訳にはいかない。

 

「う、うおおおおおおっ!?」

『石動の怒涛の攻撃に副審のセメントス大忙しぃ!!!』

 

 

「ドォラ!!」

「っ此処だぁ!!」

 

一撃が軽く頬を掠めて血が流れる中、爆豪は勝機を見出したかのように一歩を踏み出して懐へと入り込むと零距離で一切の加減をする事もない爆破を当てる事に成功した。

 

「ぐぉっ……!!」

「見つけたぞ、仮面野郎ォォォ!!!」

 

一瞬の怯み、その隙を突いて星辰の顔を両手で掴むとそのまま連続で出せる限りの連続爆破を引き起こし続ける。

 

『爆豪が遂に石動を捉えたぁ!!』

『勝つにはあれしかないと思ったんだろう。爆破の衝撃に音、熱、光による攻撃、それを相手の急所にブツケル、合理的な判断だ』

『というか、おいおいおいおいそれ大丈夫なのか石動生きてるのかぁ!!?』

 

「このまま、死ねぇ!!!」

 

連続で行いほぼ最大限の爆破、好い加減に汗腺が痛みだしてきているのか鈍い痛みが酷くなってきている。だが今これをやめる訳にはいかない、まだまだこんな物でこれに勝てるなんて爆豪は1ミリも思っていない。だからこそ超える価値があるんだと認めてもいる。

 

「死ねぇ!!死ねぇ!!死ねぇぇぇぇ!!!」

 

「いい加減に―――しとけ!!」

 

爆炎の中を突き破るかのように伸びて来た腕が爆豪の頭部を掴んだ。それでも爆豪は攻撃をやめない、掴んできた手を外そうとするのではなく星辰への頭部攻撃に集中し続けている。

 

『クレイジー!!!顔面アイアンクローにも全く動じてねえぞ爆豪どういう神経してんだぁ!?』

『手を外すよりも相手の急所を攻撃すれば外れるとも思ってるんだろうな』

『いやそうかもしれねぇけど普通外そうとしねぇ!?俺だってそうするぞ多分!』

 

恐らく大多数の意見としてはマイクの言葉に同意するだろう、だが爆豪はそれを選ばらない。自分が決めた道を絶対的に貫く通すと言わんばかりの硬い意志で闘い続けていく。

 

「絶対に自分を曲げねぇってか、その意気込みは褒めてやる……だが強者、弁えた方が身の為だぜ」

「ガァッ……!!」

 

更に強められた力、万力のような力が頭を潰さんとする事の痛みが流石に限界を突破したのか言葉を失いながらも腕に向けて爆破を開始する。だが全く揺らぎない。

 

「意地だけで前に進める程、世界って奴は甘くねぇ」

「黙、れくそカス……!!テメェなんざの事なんざ、誰が聞くかぁ……!!」

「先達の意見って奴はちゃんと聞くもんだぜ、まあんな物に耳を貸すような奴じゃない事は分かってたけどな」

 

そう言いながらも片手でレバーを回して行く星辰、それを見た爆豪は自分の顔の事なんて完全に無視して最大爆破を星辰へと差し向ける。爆音と爆炎が舞い上がっていく中で喜びの歌は流れ続けていく、必死の抵抗もむなしくそれは聞こえて来た。

 

READY GO!!

 

覚悟は良いか?そんな言葉が問いかけられる、直後に爆豪は解放されるが今度は赤いオーラに拘束されてしまい指一本動かせなくなってしまった。

 

「―――ソがぁ……!!」

 

EVOLTECH FINISH!!

 

「ドラァァァァ!!!」

 

碧色の恐竜の頭部が出現しそれと同時に拘束された爆豪へと拳が突き立てられる、大口を開けた恐竜の咆哮と共に放たれた一撃は爆豪を一撃のもとに場外へと吹き飛ばしていった。壁に叩きつけられた爆豪はクレーターの中心で苦悶を声を上げるが、それでもなお、立ち向かおうと一歩歩みを進めようとした所で力尽きて倒れこんでしまった。

 

CHAO!!

 

「爆豪君戦闘不能&場外!!よってこの勝負、石動君の勝ち!!!」

 

直後にスタジアムからは大歓声が上がった。遂に決まった1年の頂点、その頂に立ったのは石動 星辰。圧倒的な強さを見せた彼に様々な物が目を向けていた、ヒーローも、そしてヴィランも……この勝利は大きな意味を持つ、それは……単純な物ではない事を星辰が知るのはまだ先の事だった。

 

 

『ククククッ俺の目論見通り、フェーズ3を完了。後一つだな……だがまさかこの世界にも此処までのハザードレベルを持つ奴がいるとはなぁ……楽しく過ごせそうだなぁこの世界は』



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34スレ

「いらっしゃいませ~」

「よう店長、今日は一段と混んでるなぁ」

「あ~分かる~?これでもさ、取材とかそう言うのは一切お断りしててこれなんだよ~」

「これでか!?そう言えばご町内で見る人全員此処に居る感じだな……」

 

体育祭の翌日、星辰は体育祭の振り替え休日で休みなので家でゆっくりしている……のつもりだったのが、nascitaには多くのお客さんが詰めかけていたのでその手伝いに追われているのであった。

 

「父さん珈琲の追加入ったからさっさと淹れる!!何時まで駄弁ってるつもり!?」

「あっゴメン!!というか星辰が覚えてくれればいい話だろそれ?」

「喧しい!!夕飯タコパスタにすんぞ!!」

「そ、それだけは~!!」

 

常連さんだから話したいという気持ちは分かるが唯でさえ忙しいのに無駄話をさせている余裕なんてない、星辰だってフル稼働してフライパンを複数振るって働いているのだから店長には確りと働いて貰わないと困るのだ。

 

「はい此方お勧めのランチセット、nascita特製パスタセットとホットサンドセットですね」

「有難う星辰君」

「珈琲は食後に貰うから他の注文を優先してやってくれよ」

「すいません珈琲のお代サービスしますので!!はいミートスパゲッティ御待ち!!」

 

一応惣一も料理は出来るのだが、自分の方が腕前は上なので手伝う時は自分が料理を担当して接客と珈琲を淹れるのは父という役割になっている。

 

「あの~すいませんTV局の者なんですけど!!」

 

これ程までに忙しくなってしまったのは矢張り、雄英の体育祭で優勝してしまったせいだろう。爆豪を下し、見事に優勝した星辰に取材の申し込みは殺到しており実家でもあるこのnascitaに報道陣が押し寄せてきているのだ。唯でさえ今回の活躍で新規のお客が増えて大変だというのに……全く以てふざけた話である。

 

「姉さん追い払って!!」

「任せといて、はいはいアンタらはこっちね~」

「ああちょっと君何を!!!」

「―――さっさと来ないと、刻むよ」

『はっはい……』

 

そんな報道陣の対処をしているのは星辰の実姉である石動 美空。美空を見た時、エボルトは聞いた事もないような声を上げて狼狽えていた。だが流石にこの世界の美空には火星の王妃であるベルナージュは憑いていない。普通の一般人である、但し個性は宿しているが。

 

『……全く心臓に悪いぜ』

「(俺からしたらお前が一々ビビってくれるからメシウマだけどな)」

『おいおいおい、相棒そんな言い方ねぇだろ?』

 

そんな姉が報道陣の対処をしてくれるお陰で実質的に増えた負担は新規のお客さんという事になっているので非常に助かっている。流石はこの世界でもネットアイドル、みーたんとして活躍している姉だ。

 

「(……あれ、って事はもしかして何れカシラとか来る訳?)」

 

「可愛いぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 

直後、聞こえて来た奇声染みた喜びに満ち溢れていた声に吃驚しながらも其方を見ると……そこには奥に設置してあった大人数用のソファ席にいた集団がいた。その内の一人、リーダー格と思われる男はお冷を出そうとした美空に対して鼻息を荒くしながらソファに倒れこんだ。

 

「えっちょっとお客さん大丈夫ですか!!?」

「あ~大丈夫大丈夫、ちょっと俺達の車に寝かせて来ますから」

「直ぐに戻りますから」

「その間に俺が席取りしつつなんか注文しとこうっと」

 

『おい相棒、どうなってんだ』

「(いや俺が知りたい)」

 

其処にいたのは北都三羽ガラス、そしてそんな彼らがカシラと慕われている猿渡 一海。エボルトの言う通り、本当にどうなってしまっているだろうかとツッコミを入れたくなるような光景だ。こうなってくると戦兎や万丈まで出て来るんじゃないかと疑いたくなってきた。

 

 

 

 

 

36:D×D風紀委員長

もう直ぐ授業参観なんですけどすっげぇ頭痛いです。

 

37:大地の虎

なんかあるんすか?俺D×Dって守備範囲外で。

 

38:無法地帯の料理人

あ~……なんだっけ、魔王が来るんだっけ。

 

39:円卓の鬼

また、ライザーみたいな奴が来るのか?

 

40:普通のカウンセラー

あ~……いや、ライザーとはベクトルが違うのが来るわね……。

来るのって確かレヴィアタンの魔王でしょ?

 

41:クトゥルフ系狩人

ああ、思い出した、あの魔法少女狂い魔王か。

 

42:IS世界のメンタルセラピスト

魔法少女狂い?なんだくそロリコンのド変態とか?

 

43:超次元中学生

いやそれだったら寧ろ超楽だった部類だよな。

 

44:青春学園の熱血教師

どゆこと?纏めニキ教えてくれ。

 

45:纏め役の転生者

>>44

なんだかんだと聞かれたら、答えないのが普通だが

まあ俺は普通に答えてやろう。

 

委員長ニキが頭を抱えてるのは生徒会長であるソーナ・シトリーの姉である魔王、

セラフォルー・レヴィアタンの襲来だろうな。一応悪魔の世界の王の一人

魔王ではあるが……いい歳こいて魔女っ子趣味でな、常に魔法少女の衣装を着ている。

妹の授業参観であってもそのままだ。

 

46:超次元中学生

>>45

うわキツ。

 

47:クトゥルフ系狩人

>>45

他人の趣味に口出しする気はないけど……せめて場を弁えろよ……。

 

48:無法地帯の料理人

>>45

家族がそんな恰好で授業参観来たら自殺する自信あるわ。

 

49:ヒスイの調査兵

>>45

その、ソーナ・シトリーさんが不憫でならねぇ……。

 

50:大地の虎

>>45

ないわ~……。

 

51:D×D風紀委員長

しかも、生徒会とは仲良いんですよ。主に互いに色々と苦労している身として。

生徒会で困った事は風紀委員でも対処しているし、こっちでの困りごとでも生徒会が

って感じで持ちつ持たれつで……相談されて無碍に出来なくて……

 

52:青春学園の熱血教師

あ~……そりゃ確かに困ったなぁ……。

 

53:ヒスイの調査兵

もう普通に噛み殺したら?

 

54:普通のカウンセラー

いきなりぶっそうだけど、ヒバリさん基準で考えたら真っ先に噛み殺しそうよね。

率先して風紀を乱してるような存在だし。

 

55:纏め役の転生者

それには俺も賛成だな。下手に私情を入れずに自分の立場優先にすべきだろう。

寧ろ、お灸を据える意味でも噛み殺せばいい。しかも、個人的にはあまり付き合いはないんだろ?

 

56:D×D風紀委員長

ええまあ。

 

57:纏め役の転生者

だったら立場優先で良い。下手にキャラがブレるのはまずいし精神的にもきついだろ。

 

58:ヒロアカエボルト

俺も同意見ですね。

 

59:IS世界のメンタルセラピスト

イッチがINしたお!!

 

60:ヒスイの調査兵

お~イッチどうした、今日は体育祭の振り替え休日じゃねえの?

 

61:普通のカウンセラー

こういう時こそ何も考えずに休まないとダメよ?

 

62:青春学園の熱血教師

そうだぞ、学校行事のあとって結構疲れが噴き出すからな!!

 

63:ヒロアカエボルト

出来ればそうしたかったんですけど、カフェに凄い人が来ちゃって

父さんと姉さんだけじゃ捌ききれないので労働中です。

 

64:クトゥルフ系狩人

えっそんなにお客さん来てるの?

 

65:大地の虎

そう言えば体育祭って全国放送されたんすよね?

その影響っすかね。

 

66:無法地帯の料理人

あ~成程!!そう言う事か。

 

67:ヒロアカエボルト

ええ、お祝いというか顔を見にご町内の人もいっぱい来てくれてますけど

それ以上に新規のお客とか報道陣とかも来てもうてんやわんやです。

 

68:ヒスイの調査兵

これだからマスゴミは……

 

69:IS世界のメンタルセラピスト

イッチの休息を邪魔するとは……ゆ"る"ざ"ん"!!

 

70:円卓の鬼

少しは弁えろってんだよな。

 

71:D×D風紀委員長

ある意味俺より大変ですね……こっちは取り敢えず噛み殺すコースが決定しました。

許可も取りましたから。寧ろ、やっちゃってくださいとまで言われた。

 

72:青春学園の熱血教師

ああ、生徒会長も色々溜まってたんだろうなぁ……。

 

73:超次元中学生

しょうがないにゃぁ……。

 

74:普通のカウンセラー

やめなさい。

 

75:ヒロアカエボルト

???しょうがないにゃぁって何かまずいですか?

 

76:IS世界のメンタルセラピスト

イッチは知らなくていいんだ!!寧ろ知ってはいけないんだ!!

 

77:ヒロアカエボルト

はぁ……?

 

78:エボルトヒロアカ

教えてやるよ相棒、しょうがないにゃぁってのはな……

 

79:IS世界のメンタルセラピスト

>>78

やあああああめええええろぉぉおおおおおお!!!

 

80:大地の虎

>>79

必死過ぎっす……。

 

81:ヒスイの調査兵

だからキモいってんだよ……。

 

82:普通のカウンセラー

それでイッチ、何かあったのかしら?

 

83:ヒロアカエボルト

ああいえ、この前俺の姉が美空って話をした時にカシラの話題出たじゃないですか。

 

84:青春学園の熱血教師

あ~あったあった、みーたんの話題だからって盛り上がったね。

 

85:無法地帯の料理人

そうそう、何時かビルドの最終回みたいに来るじゃないかって。

 

86:ヒロアカエボルト

ええ、来ました。今店にいます。

 

87:超次元中学生

>>86

―――マ?

 

88:円卓の鬼

>>86

えっマジでカシラ来てるの?

 

89:ヒロアカエボルト

マジで来てます、姉さんにあった瞬間に鼻から蒸気みたいなの

出しながら気絶しました。

 

90:クトゥルフ系狩人

何やってんだカシラぁぁぁぁぁ!!!

 

91:IS世界のメンタルセラピスト

アンタマジで何でヒロアカ世界に居るんだよぉぉ!!!

 

92:纏め役の転生者

何だイッチのヒロアカ次元……ビルドの新世界の並行世界かなんかか?

 

93:エボルトヒロアカ

その内万丈とか出て来ねぇだろうな……。

 

94:D×D風紀委員長

なんか、でてきても可笑しくなさそうな気がしてきましたよね。

 

95:円卓の鬼

もうこの場にカシラ来ても動揺しねぇぞ。

 

96:超次元中学生

全くだ、もう大概のことじゃ驚かねぇぞ!

 



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職場体験編
35スレ


折角の休日は結局全てが店の手伝いで潰れてしまった星辰。それでもいい気分転換になりつつも惣一はバイト代と称して多めにお小遣いをくれたので満足している。そんな思いをしながらも登校するのだが……

 

「(にしても……お前、どっからこんなの調達してきたんだよ)」

『感謝しろよ相棒、俺からの体育祭優勝のプレゼントって奴だ』

 

そう言われると何処か微妙な感じもしなくもないだが、心から感謝はしている。星辰は今、バイクに乗っている。体育祭の優勝記念と称して突然エボルトからバイクが送られたのである。いきなり過ぎて驚いたのだが……如何やら戦兎が使っていたマシンビルダーを基にバイクフルボトルとライダーエボルボトルのクリエイションで創造したとの事。その名のもマシンエボルダー。

 

「(ハードボイルダーのパクリかよ)」

『良いだろ別にシンプルで』

 

前世でもバイク乗りだった事もあって、16歳になると直ぐに免許を取りに行ったので免許は問題ない。教習所をすっ飛ばして合格を勝ち取って来た時の父の顔は爽快だった。なのでカフェの仕事という収入源もあったので何時かバイクを買おうと思っていたらこれ、なのでちょうどいいと言えば丁度良かった。

 

『如何だ中々に良いパワーしてんだろ』

「(……まあ、実際良いバイクなのは認めてやるよ)」

 

実際に前世で乗っていたカワサキのニンジャよりずっと性能が良いのは認める、故かバイク乗りの血が疼いて致し方ない。途中で思いっきり飛ばしてみたいという思いを抑えつつも事前に許可を取り付けたので問題なく雄英へと入って駐輪場に止めようとするのだが―――

 

『おっとその必要はねぇぜ相棒、そこのボタン押してみ』

「これ?」

 

EVOL CHANGE!!

 

そんな音声と共にマシンエボルダーと共に空中で変形しながらもバイクフルボトルを吐き出しながら見慣れた自分のスマホへと戻りながら自分の手の中へと戻った。

 

『俺は実物を見たし設計図もこっそり失敬してたからな、バイクフルボトルも使って作ったって訳だ』

「(……前言撤回、マシンビルダーのパクリじゃねえか……というか俺のスマホ勝手に改造してんじゃねえよ!!)」

『良いだろうその位。その代わりに容量とか通信速度はマジで速くしてやったから』

 

尚、本当にスマホの性能は比べ物にならない物になっていた。手持ちのスパコン並である。そんなこんなで学校へとやって来た星辰だが、クラスでは体育祭での事で盛り上がっており登校中に色んな人に注目されたり声を掛けられたという物ばかりだった。

 

「星辰はどうだったの?」

「ウチは父さんがカフェやってるからどっからかマスコミが嗅ぎ付けて来てもう大変だよ……お陰で振り替え休日なのに全然休めなかったし」

「そりゃ、キツいね……まあ元気だしなって、今日はうちが昼ご飯奢ったげるから」

 

そんなやり取りが耳郎とあったりした。そんな事をしていると何時の間にか相澤がやってくる時間がやってくるのであった。皆は相澤が来る前に席に着く、ある種恒例行事である。もう慣れたもんである。

 

「ヒーロー情報学はちょっと特別だ」

『特別?』

 

ヒーロー情報学、ヒーローに関連する法律や事務を学ぶ授業で個性使用許可の特例やペナルティ、サイドキックとしての活動に関する詳細事項などなど様々とを学んで行く。他のヒーロー学とは異なり苦手とする生徒も多いが、今回は何か異なる模様。

 

「コードネーム、いわゆるヒーローネームの考案だ」

『胸膨らむヤツきたあああああ!!!』

 

ヒーローネーム、即ちヒーローとしての自分を示す名前の決めるという事。自分の事に関する故にヒーロー足る者として絶対的に必要な物にクラス中からテンションが爆発して行った。オールマイトを始めとしたそれらはヒーローの象徴ともいえる物、テンションがMAXゲージになって行くが相澤が睨みを利かすと一瞬で静かになる辺り本当に慣れてきているというか、相澤の怖さが良く分かる。

 

「ヒーローネームの考案、先日話したプロからのドラフト指名に密接に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積んで即戦力と判断される2年や3年から……つまり今回来た指名は将来性を評価した興味に近い物だと思っておけ。卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてことはよくある。勝手だと思うがこれをハードルと思え、その興味を保たせて見せろ」

 

幾ら体育祭で素晴らしい力を見せたと言ってもまだまだ経験も足りない物を採用などはしない、これから力を付けていかなければ今の評価など簡単に引っくり返る。そして相澤は手に持ったリモコンを押してある結果を黒板に表示した。

 

「その指名結果がこれだ」

 

黒板に示されている指名数は矢張りと言うべきか体育祭のトーナメントの結果を反映したものだという事が良く分かる。星辰、爆豪、轟の三名が飛び抜けてプロヒーローからの目を引いたからか、2000を突破する指名をそれぞれが獲得している。この指名を出したヒーローの元へ出向きヒーローの活動を体験するという。プロの活動を自らの身体を持って体験し、より実りある訓練をするため。そしてその為にヒーローネームの考案をするという、仮にもプロヒーローの元に行く事になる、それはつまり将来的な自分の立場のテストケースにもなる。

 

「つまりはこれらを使って職場体験をさせてもらうって事だ。そこでヒーローネームを決めるって流れだ、適当なもんは―――」

「付けたら地獄を見ちゃうよ!!この時の名が世に認知されてそのままプロ名になってる人は多いからね!!!」

『ミッドナイトォ!!!』

 

教室に参上したのは18禁ヒーロー事ミッドナイト、相澤曰くそっちのセンスはかなりいいらしいのでその査定の為に来て貰ったとの事。相澤はそう言うのは全く分からないとの事。そしてまさかの発表形式、皆が戸惑う中で真っ先に手を上げたのは―――

 

「はい!!」

「おっ早速手を上げてくれたわね石動君!!体育祭優勝者がトップバッターなんて分かってるわね!!」

 

星辰だった。星辰の場合はなりたい物なんて決まっている、それを名前に現すだけ……そしてそこに思いを込めるのみ。

 

「俺のヒーローネームは……ラブ&ピース、仮面ライダーエボル」

 

そう、これに決まっている。自分が憧れたヒーロー、それは仮面ライダーなんだ。そして自分は紛いなりにもそれを背負った、例えそれがダークライダーであろうとも仮面ライダーである事には変わりない。だったらそれを正すだけだ。

 

「仮面ライダー……そう言えば石動君はバイクの免許は持ってたのよね?」

「ええ、今日からそれで登校してます」

「それでエボルっていうのは何なのかしら?」

 

ミッドナイトが尋ねたのはクラス全員が気になっていた物だろう、なので名前を書くボードにそれを書いてみた。EVOLと。

 

「エボル、LOVEを逆転させたんです。エボルはこの現実そのもの、俺はそれと戦います」

 

エボルトという災厄を抱えながらも抱いた夢、それは13号の言葉を聞いて正しく硬く固まったと言ってもいい。だから決めた、自分の名前は仮面ライダーエボルだと。

 

「今この世界でどれだけラブ&ピースがこの現実でどれだけ弱く脆い言葉かなんてわかってるつもりです、だからこそ謳わなきゃいけない何故ならばそれは俺が齎すんじゃなくて、そんな思いを皆が抱いて生きて行けるような世の中にしたい。俺の力で、それを成したい」

 

それは決意表明、そして宣戦布告でもあった。エボルト、絶対にお前に負けない。戦兎のように誰もが笑顔で居られるような世界をビルドして見せるという。

 

『フフフッ……そう出なきゃ面白くない。やってみろよ相棒、お前の夢をな』



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36スレ

無事にヒーローネームも付けられた所で改めて指名を受ける事が出来たメンバーは指名してきた事務所の名前が書かれた紙を手渡される、それ以外は予め受け入れ可能として名乗りを上げてくれている事務所の一覧が手渡される。この中から決める事になるのだが……如何せん、数が多い。何せ体育祭優勝者なだけあって指名数は2000を超えてしまっており、それらからどれか一つを導き出さなければならない事態になった。

 

「提出期限は今週末だ、早くしろよ」

「って二日後ですかぁ!?」

「合理的に判断しろ。以上だ」

 

そんな言葉とともに情報学の時間は終わりを告げたのであった。これもある種の試練の一つかと思いながらも自分へと送られてきた指名を入念に吟味しなければならない……のだが、星辰には問題があった。

 

『んで相棒、どれ選ぶんだ?』

「(う~ん……如何しようか、全然違いが判らねぇ)」

 

記憶を取り戻すタイプの転生をしているので、この世界特有の知識については遅れている。ある程度は調べてはいたのだが……エボルの習熟訓練に集中していたのもあって全然分からない。

 

「星辰~何処に行くか決めた?」

「全然、耳郎さんは?」

「ウチはほら、指名来てなかったから受け入れ可能な所に適当に行くって感じにする」

 

生憎彼女には指名は来ていなかった模様。故に受け入れ可能事務所から適当に選ぶとの事。

 

「それにしても凄いね……やっぱりカッちゃんとの決勝戦がそれだけ目に留まったって事だよね」

「有難うね緑谷君、でも君だって指名貰ってるんでしょ?」

「うん、石動君のお陰でね」

「俺は何もしてないよ」

 

そんな緑谷は緑谷で指名を受ける事が出来ている、その数は自分と比べると極めて少ないがそれでも24の事務所からの指名を受ける事が出来た事を酷く光栄に思えている。

 

「主にバトルヒーロー系の事務所から貰ったよ、この中からヒーローを得意な系統別に分けつつその後ランキング、実力、傾向、様々なデータを比較しながら今の僕に足りない部分を抽出させて何処に行くべきなのかを判断するべきだからまだまだ判断材料には乏しいか、だとしたら……」

「緑谷、怖いよそれ」

「へぇ~……俺も決めないとなぁ……」

 

癖になっていると思われるブツブツを展開している彼へとツッコミを入れていく耳郎、そんな時に思った。

 

「ねぇ緑谷君、お勧めのヒーローとか教えてくれないかな?候補が多すぎて如何したらいいのか」

「えっ見ていいの?」

「良いよ勿論」

「あっじゃあさウチにも見せてよ」

「モチ、ご自由に」

お言葉に甘えようと候補が書かれた紙を見る二人だが……それを見た瞬間に緑谷は直ぐに鼻息を荒くした。

 

「エンデヴァーにホークス!?それにミルコにエッジショット、ベストジーニストにクラストにヨロイムシャ!!?トップ10に入るヒーローから全員指名来てるよ!!?凄い凄すぎるよ石動君!!」

「いや、多分俺の個性が珍しいからじゃないかな。ほら謎な所多いから自分の目で確かめたい的な」

「それありだよね、あの時のおばけボトルとかもそうだし」

 

端的に見えば星辰の個性はアイテムを作り出す事が出来る創造系の個性、だがその幅が余りにも広すぎる上に一つ一つが持つ力が強すぎる部類で高い。だからこそ、様々なヒーローの目に留まっている。

 

「もうこのトップ10のいずれかで良いんじゃない!?」

「いや、でも俺どの事務所がどんな傾向とか全然分からないし」

「知名度だけで決めるっていうのもなんかあれな感じするのも分かる」

「ああそっか、えっと石動君の個性は変身系だからそれに近い個性のヒーローが良いのかな?」

 

となるといわゆる異形型の個性を持つヒーローが望ましい事になるのだが……今あげたヒーロー達は変身系かと言われたら違う、なので別のヒーローを探す事にするのだが……そこで緑谷がお勧めしてくれたのは一人の女性ヒーロー。

 

「この人なんて如何かな!?」

「ドラグーンヒーロー……リューキュウ?」

「あっウチ知ってる、凄い勢いでランキングあげてるヒーローじゃん」

 

星辰は全く知らない名前だが、耳郎も知っているらしい。話を聞いてみるとその個性はなんとドラゴン、そのカッコいい個性から若年層から絶大な支持を集めるクールビューティー。実力も確かで個性もドラゴンに変身する物なのである意味ではピッタリなのかもしれない。

 

「ふ~ん……リューキュウか」

「んで星辰それにすんの?」

「う~ん……取り敢えず候補、かな?帰ったら取り敢えず詳しく調べてみるさ」

「へぇ……」

「なんか、声低くなってない?」

「気のせいだよ」

 

心なしか、耳郎の声が幾分か低くなったような気がするがそっぽを向かれるように否定されてしまった。取り敢えずそれ以上は指摘するのは藪蛇だと思ったのでそれまでにしておいた。後は掲示板のニキネキ達にも相談してみようと思うのであった。

 

「……フン」

 

 

 

 

 

23:ヒスイの調査兵

最近ショウがすげぇ来るんだわ、コトブキ村と和解してくださいって。

相棒に言われると気まずいんだよな……なんかしてもない浮気してるみたいで

コギトさんへの罪悪感がマッハ。

 

24:クトゥルフ系狩人

コトブキ村への未練とかはもう完全にないのねwww

 

25:大地の虎

まあ、追放されて死に掛けた訳っすからね……。

 

26:ヒスイの調査兵

あの後、支援なしだったからな。俺が死に掛けた時にシマボシさんも

マジで死んじゃったと思ってたらしい。まあ地面に血だまりあればそう思うわな。

オヤブンリングマって怖いわ。

 

27:円卓の鬼

うわぁ……アニポケでもやべぇ野生ポケモン筆頭とも言えるリングマかよ……

纏めニキ程じゃないけど良く生きてたな。

 

28:青春学園の熱血教師

その原因を作ったコトブキ村にはもう行きたくないのも分かるなぁ……。

ゲームでも突然掌返させてやっぱり余所者……って感じだったし

 

29:超次元中学生

どの面下げて仲良くしてください、許してくださいってか?

ハハハハッ!!許さねぇ……!!って感じ?

 

30:ヒスイの調査兵

>>29

大体合ってる。

 

31:纏め役の転生者

大変だな……こっちは新型戦術機という名のMSを世界各国に提供してる。

ナノラミネートアーマーを追加した量産型MSをな。

 

32:D×D風紀委員長

貴方に比べたら大変さなんて差が酷いですけどね。

 

33:IS世界のメンタルセラピスト

どんなMS提供してるん?

 

34:纏め役の転生者

俺は世代的にSEEDが直撃世代でな。其処を中心だな。まあ趣味と言ってもいいが……。

流石にビームは各国でのメンテの問題もあるからザフト系が中心だな。ジンが日本で

凄い人気なのは驚いたがな。

 

35:普通のカウンセラー

えっジンって敵MSよね?いわゆるザク的な、あれが人気なの?

 

36:纏め役の転生者

そこら辺は俺がバリエーションでガーベラストレートを付けたせいだな。

日本刀みたいな武器を十全に振る事が出来る戦術機、そりゃ征夷大将軍がある日本には受けるわ。

って納得したな。

 

37:円卓の鬼

あ~そっか、征夷大将軍があったなマブラヴの日本。

 

38:クトゥルフ系狩人

それで名前もジンで日本的な解釈も出来るから受けると。

 

39:青春学園の熱血教師

陣、神、尽、靱、確かに好みに合いそう。

 

40:纏め役の転生者

それで早速国内向けに改修したって聞いたから名前聞いたら

迅雷って聞いてそう来たかって思った。

 

41:無法地帯の料理人

あ~良いなカッコいい!!

 

42:大地の虎

確か武御雷って戦術機あったっすよね!!

 

43:超次元中学生

あったあった!それと合わせたわけか、良いじゃん

 

44:光の国の戦士

迅雷か~……今度は疾風ですかね?

 

45:ヒロアカエボルト

疾風!!迅雷!!

 

46:IS世界のメンタルセラピスト

良い響きってイッチそれダブル!!

 

47:普通のカウンセラー

しかも、和風の時のあれねwww

 

48:ヒロアカエボルト

皆さん~俺、職場体験先の当てがつきましたのでその意見を聞きたいんですけどいいですか?

 

49:D×D風紀委員長

俺はOKです。

 

50:光の国の戦士

同じく。

 

51:無法地帯の料理人

文句のある面子なんていないだろうよ。

 

52:ヒロアカエボルト

有難う御座います!!優勝の影響か凄い指名を貰ったんですけど、

全然分からないので緑谷君に相談したら変身するタイプのプロヒーローを紹介してくれました。

その方はドラグーンヒーローのリューキュウさんっていうんですけど分かります?

 

53:普通のカウンセラー

リューキュウ!?リューキュウって確か原作にも出て来たわよね!?

 

54:纏め役の転生者

ああ。ドラグーンヒーロー・リューキュウ。

とある事件で原作に登場して活躍する女性ヒーロー、個性は変身系のドラゴン。

実力人気共に申し分ないヒーローだな。

 

55:D×D風紀委員長

ついでに言うと、その事務所にはいまヒーローインターンで3年の先輩がいる筈。

その先輩は雄英のBIG3の一人で実力はプロと同等以上って言われてる。

職場体験先としてはこれ以上ない位の物件だと思う。

 

56:大地の虎

お~じゃあ決まりじゃないっすか?

頼りになる先輩と確かな職場先ならそこで良くないっすか?

 

57:超次元中学生

俺も賛成。

 

58:IS世界のメンタルセラピスト

……賛成。

 

59:クトゥルフ系狩人

なんかすっげぇ渋々な感じしてる気がするの俺だけか?

 

60:光の国の戦士

奇遇ですね、私も感じます。

 

61:普通のカウンセラー

アンタ何の文句があるのよ。

 

62:IS世界のメンタルセラピスト

……だってリューキュウって凄い美人じゃん。だから反射的に……

抵抗というか、嫌悪感というか……。

 

63:無法地帯の料理人

セラピストニキ真面目にカウンセリング受けた方がよくないですか?

自分の事だって大事ですよ?

 

64:IS世界のメンタルセラピスト

分っちゃいるけど毎日相談に来る子がいんだよ……。

仕事やめたいけどワンサマーのせいで他を探すのだって大変だし難しいんだよ……

最近、普通に会いに来てお茶淹れてくれる箒がマジで有難くなってきてる。

 

65:青春学園の熱血教師

それ、モッピーに攻略されかけてね?

 

66:ヒスイの調査兵

ワイトもそう思います。

 

67:大地の虎

以下同文っす。

 

68:IS世界のメンタルセラピスト

―――ハッ!?

俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋俺はイッチ一筋……。

 

69:纏め役の転生者

こりゃ本格的に箒が癒しになり始めてるな。

 

70:D×D風紀委員長

まあいいんじゃないですか健全で。

兎も角イッチ、リューキュウで良いと思いますよ~。

 

71:ヒロアカエボルト

分かりました、それじゃあリューキュウさんって書いて提出してきますね。

 

72:普通のカウンセラー

いってらっしゃ~い。

 




何でリューキュウかって?

趣 味 で す が、何 か ?

まあ真面目に言うと初期プロットではこの職場体験を基にしてエボルドラゴンボトルを生成する予定だったから。


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37スレ

職場体験先をリューキュウ事務所に決めた星辰はその事を希望票に記入してすぐに職員室の相澤の所に持って行くために行動を起こした。忘れて慌てるよりも先に行動しよう思っての事だ。

 

「おっと」

「むっ」

 

職員室の扉を開けようとした時、同じように向こう側から開けようとした人物と鉢合わせた。それは飯田だった。

 

「ごめん飯田君」

「いいや此方こそ済まない」

 

そう言って直ぐに立ち去って行ってしまってしまった飯田に星辰は違和感を覚える、と言っても今の飯田からすれば余裕という物はあまり持ち合わせる事は難しいかもしれないが……。

 

「お兄さんの事、大丈夫って言ってたけど大分気にしてるな……」

 

飯田の兄、ヒーロー・インゲニウム。彼が尊敬するヒーローは東京の保須市にてヒーロー殺しという異名を取るヴィラン、ステインによって再起不能の重体となってしまったとニュースで流れていた。当人は心配いらないと言っていたが、本当は色んな感情が渦巻いて致し方ないのだろう。

 

「石動、何か用か」

「あっ相澤先生」

 

思わず立ち尽くしてしまっていたが、相澤に声を掛けられて再起動して職員室へと入って相澤へと希望票を提出した。

 

「リューキュウか……もっと上からも来ていたが、どんな理由だ?」

「同じく個性で変身するから、ですかね。それに同じドラゴンっていう共通点もありますし得るものが多いと判断しました」

「成程な、合理的だ。それとリューキュウだが、3年がインターン先として利用させて貰っている。当日はその生徒と一緒に案内を頼んでやる」

「ご迷惑じゃなければお願いしたいです」

「その点は問題ない」

 

そんな風に言われながらも希望票は問題なく受理された―――が、星辰は先程の飯田の事を絡めて聞いてしまった。

 

「あの相澤先生……飯田君の事なんですけど」

「……何だ」

「その、こんな事言うのは駄目かもしれませんけど……飯田君の体験先って……」

「……ああ、だがお前が心配する事じゃない。そっちは俺の方からも出来る限りの処置はしておく」

 

如何やら予感は当たっていたらしい。飯田は兄であるインゲニウム最後の舞台であった保須のヒーロー事務所を望んだ、そしてそれは問題なく受理されるだろう。どんな思惑があるのかは分からない、もしかしたら兄が守ろうとした保須を代わりに守ろうというヒーローらしい理由かもしれない……ならば認めないわけにはいかない。その本心が復讐を求めていたとしても。

 

「飯田君、さっきも上の空っていうか……なんていうか……すいません、上手く言葉に出来ませんけど良くない感じだったんで」

「分かった、気を遣わせた。お前はお前で自分の体験に集中しておけ、良いな」

「分かりました。それじゃあ失礼します」

 

そう言って星辰は職員室を出た、これ以上は何も出来ない。

 

 

そしてあっという間に職場体験当日となった、集合場所の駅に集まった一同は相澤から注意事項を伝えられると直ぐに解散してそれぞれの体験先に向かう事になる。

 

「んじゃ星辰、頑張りなよ。人気高いヒーローだからきついだろうけど」

「うん分かってるつもり、ありがとね耳郎さん」

「……んじゃ」

 

そう言うと耳郎は何処かそっぽを向くように去って行ってしまった、何か悪い事をしたかな……と思っていると声を掛けようと思っていた飯田がさっさと向かってしまったのか後姿が遠くなっていた。それを同じように見つめていた緑谷と麗日に声を掛ける。

 

「緑谷君、飯田君大丈夫かな」

「不安、だけど信じるしかないと思う。何時でも声かけていいとは言ったからきっと必要になれば声を掛けてくれるよ」

「うんそうだよ、だってあの飯田君だもん」

「そう、だよね……きっと」

 

言いつつも隠し切れない不安があった。きっとと言いつつも絶対はないと思えた、だが信じるしかない……そんな不安定な波を抱きつつも待ち合わせ場所に向かう為の電車に星辰は乗り込むのだった。

 

『あの小僧いい顔してやがんな、ありゃ復讐の事で頭一杯だな』

 

星辰の場合は不安を煽るエボルトの事もあって余計に心配になってくるのであった。だが、相澤にも言われたが自分のやる事に集中するしかないと思いながら兎も角思いを引き締めるのであった。

 

「(北口を出てすぐの場所で待ち合わせ……特徴は……直ぐに向こうが見つけるし色んな意味で目立つから分かるって……大丈夫かなぁ……)」

 

例え前以てこう言ったすり合わせをしていたとしても不安になるタイプなので色々と不安が付き纏う。そんなこんなで電車に揺られる事数十分、目的の駅へと到着するのであった。

 

「他の出口じゃなくて北口確認っと……それでどんな人が―――」

「あ~見っけ~!!!!」

 

メモを確認しつつ出てきたのだが、直後に大きな声が聞こえて来た。其方を向くとねじれた水色のロングヘアを持つ容姿端麗の女の人が此方へと向かって来た、それだけでは何事と思うかもしれないがその人は雄英の制服を着ていたのでもしかして……と星辰は近づいてきた彼女へと声を掛ける。

 

「あの、もしかしてリューキュウ事務所でインターンをしてるっていう」

「うんうんうんそうだよ!!私は波動 ねじれっていうの、だからねじれちゃんでいいよ!ヒーロー科の3年生で今はリューキュウの所でインターンをしててね今日は君の出迎えを頼まれたの!!不思議だよね他の人でも良いかもしれないのにね!」

 

矢張りこの人がリューキュウ事務所でインターンをしているという先輩らしい。先輩というには随分と好奇心旺盛で年下な雰囲気がする人だが……。

 

「あっえっと石動 星辰です」

「うんうんうん知ってるよ~体育祭で活躍してたもんね~。石動君の個性って変身する個性だよね、色々種類があったみたいだけど他にもあるの?不思議だよね~それなのにどれも凄い力があるのも凄いよね~でも変身する個性なのに何で銃とか出せちゃうの?教えて教えて~!!」

 

自己紹介直後に始まったのはマシンガンの如く連射されていく質問の数々。一つに応える間もなく次の質問が矢継ぎ早に飛んでくる。

 

「ねえねえどうして空も飛べたりしちゃうの?他にも相手の子を浮かせちゃったりしてたでしょ?どうやってるの教えて教えて~!!」

 

『なんだこの女……マジで高校生なのか?そこいらのガキじゃないのか?』

「(子供がこんな大きかったら堪らないな……遊びに付き合ったらもう全身疲労になりそうで)」

『確かにな……』

 

流石のエボルトも困惑を露わにしていた。ある意味、新しい発明品を作ったばかりの戦兎に似ているような気もするが、それ以上に勢いと無邪気さが強くて抑えるのも一苦労だ。しかし何処か微笑ましく見ていたい気もする、だがこのままでいる訳にも行かないので星辰は美空の真似をしてみる事にした。

 

「そんな風に言い寄られちゃうと困っちゃいますよ先輩」

「先輩?」

 

一瞬、キョトンとするねじれ。姉は相手と会話しながら相手の求めるものを引き出してそれを組み込んだ話術を展開して相手の心を掴む事に長けていた。ネットアイドルとして成功しているのも見ている人たちが求めている物を理解してそれを提供しているから。なのでそれを実践してみる、先輩という言葉に何処か困惑しながらも嬉しさが紛れている事に気付いた星辰は真っ先にそれを取った。

 

「全部お答えしますから歩きましょうよ先輩」

「先輩……うん先輩だもんね私!それじゃあ案内するから、こっちこっち!!」

「宜しくお願いしますね、ねじれセ~ンパイ♪」

「うんうん任せて任せて~♪」

 

機嫌よく自分の手を取りながらこっちこっちと先導していくねじれの様子を見て上手く行ったとホッと胸を撫で下ろした。少しワザとらしくてあざとかったかな……と思っていたが、如何やら彼女が望んでいたモノになれたようで安心する。自分と仲良くしてくれるが先輩として尊敬を向けてくれる、それが欲しいと思ったのでそれを演出してみたのだが大成功だったようだ。

 

『相棒、お前よくこの女に合わせられるな……』

 

とエボルトも何処か尊敬するような声色で星辰の事を見ていた。演技をするのには慣れている、この位なんて事ない。

 

「ねえねえねえお腹空いてない?事務所行く前にご飯に行ってもいいよ、私が大好きなお店がこの先にあるよ」

「へ~そうなんですね、それじゃあお昼はそこで一緒に食べましょうよ。色々とお話ししたいですし」

「うんうんお話しよ~♪」

 

そんな風に仲良くなりつつも星辰は内心でねじれに対して本気の尊敬を向け始めていた。何故ならばあのエボルトが相手にしたくなさそうな様子を見せるからである。それは図らずもねじれが求めている尊敬の要素となって更に彼女の好感度を上げる結果となっていた。




ちょっとFateの桜というかBBを意識した先輩呼びにしてみました。

結果、セラピストニキは鼻血を噴いて丁度来ていた箒に看病された。


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38スレ

「という訳で到着だよ~!!」

 

ハイテンションな先輩に連れられてやって来たのはオフィスビルを一つ丸ごと事務所にしているプロヒーロー、ドラグーンヒーロー・リューキュウの事務所。受付で簡単な手続きを終えるとそのままねじれにエレベーターへと連れ込まれると着いた上層階の事務所、そこではドラゴンの爪と翼をイメージしているようなマスクに何処かクールでありながら温かみと優しさを持った瞳で此方を見つめる女性が笑顔を作りながら自分たちを待っていた。

 

「ようこそリューキュウ事務所へ、待ってたわよ石動 星辰君」

 

笑みをたたえながら自分を待ってくれていた女性こそ、この事務所に主にしてヒーロービルボードチャートでは現在9位という紛れもないプロヒーローの一人として名を馳せているドラグーンヒーロー・リューキュウ。

 

「ねじれに出迎えをお願いしたけど直ぐに分かったかしら?」

「ええ。先輩が俺を見つけてくれて直ぐに合流できました」

「うんうんうん直ぐに合流したもんね~後輩君~♪」

「ねっ~セ~ンパイ♪」

 

とね~♪と上機嫌に笑いあう二人を見て少しあっけにとらえるが、すぐに仲良くできているようで何よりと笑顔を作るリューキュウ。

 

「それじゃあ私が事務所の案内をするからねじれ、あなたはコスチュームに着替えてきちゃいなさい」

「は~い♪」

 

元気よく返事をしてからスキップをしながら去っていく彼女を見送ると溜息を漏らしながらリューキュウはどこか申し訳なさそうな視線をこちらへと投げかけてきた。

 

「悪いわね石動君、ねじれってばああいう性格だから色々と大変なのよ。苦手だったら直ぐに言ってくれていいからね?」

「いえ全然気にしてませんよ、寧ろ俺は先輩の事好きですよ。いつもニコニコしてて周りに元気を振りまけるなんてヒーローとしてこれ以上ないぐらいに適任だと思います」

「まあそれは確かにそうだけど、初見でそこまであの子と合わせられるのは初めて見たからちょっと吃驚したわよ?」

「アハハッ……もっと大変なやつを知っているから、ですかね」

 

星辰からすればエボルトを相手にするのに比べたらねじれに合わせるのなんて簡単だし気が楽で本当に楽しい、だから別段一緒にいる事は嫌ではない。そう伝えるとリューキュウからそれじゃあ基本的にねじれのお守をお願いしちゃおうかしら、と冗談交じりに言われるのであった。

 

「いや、立場逆じゃないですそれ?」

「フフフッそうかもしれないわね」

 

そんな風に笑いあってからリューキュウ直々の事務所の案内を受ける事になった。事務所は基本どんな所でどんな職員がいるのか、ヒーローやそのサイドキックはどんな風に待機して出動時はどんな風に出るのか、これから教わる事を懇切丁寧に教えてくれる。

 

「という訳よ、貴方にはこれからこの事務所の一員として頑張ってもらう事になるから宜しくね」

「はい分かりました」

「いい返事ね。それと……ちょっと事務所の事情に巻き込むようで申し訳ないんだけど……貴方は基本的に私やねじれと一緒に現場に出てもらう事になるわ」

「現場、ですか……」

 

それはヴィラン退治へと出動してその手伝いをする事になる、まさか職場体験でそこまでのことを迄させて貰えるとは正直思ってもみなかったがこれは寧ろどんどん経験を積む良いチャンスだと思うが……職場体験でそこまでのことをさせてもらっていいのだろうかと思った直後に先ほどサイドキックの紹介を思い出してみた。

 

「もしかして、サイドキックが足りないんですか?」

「ちょっと情けないけどその通りなのよ」

 

少しばかり困ったような笑顔を見せながらリューキュウは肯定した。彼女は最近になって独立して事務所を立ち上げた、その関係で事務員などの事務所を運営するには十分な職員を雇う事は出来ているのだがサイドキックが不足している。

 

「人材募集に力を入れたいけど独立したばかりだといろいろと他にもやらないといけない事があってね……インターンのねじれにも結構頑張って貰っちゃってるの」

「成程……」

「勿論、職場体験だから危険なことまではさせるつもりはないわ。現場の空気を感じられると思って手伝ってくれないかしら?」

 

本来職場体験に来る生徒たちは守るべきお客さんとして扱われる、一線引いた位置から普段の仕事ぶりを見学したり体験したりしてプロの世界を味わう事になる。だがリューキュウのお願いはその一線を越えてプロに交じって活動してほしいという本当は推奨出来ない事、だがUSJで既にヴィランの襲撃を受けている身としてはその位は何とも思わない、寧ろ……自分の成長の糧に出来るとさえ考える。

 

「いえ、寧ろお願いしてでもやりたい事ですよ。少しの間ですけどリューキュウ事務所の一員として使ってください、掃除洗濯に食事の支度、ヴィラン退治まで何でも引き受けますよ」

「石動君……フフッ頼もしいわね、そんな風に言える男の子って好きよ」

 

微笑みながら改めてリューキュウと握手をする。

 

「改めてようこそリューキュウ事務所へ。事務所の主として、プロヒーロー・リューキュウとして貴方を歓迎します」

「此方こそ少しの間宜しくお願いします、ヒーローネームは仮面ライダーエボル。好きなように呼んでください」

「そう?それじゃあこれから宜しくねエボル」

「あ~リューキュウ後輩君と握手してる~!!なになになに如何して如何して如何して~?」

 

そこへコスチュームへと着替え終わったねじれがやってきてどうしていい笑顔で握手しているのかと質問が矢継ぎ早に飛んでくるのであった。何処か困ったように笑っているリューキュウの姿を見るとこれがこの事務所の日常的なあれらしい。

 

「いえいえ特に何とも~これから先輩の助手というか一緒に頑張ってねアドバイスを貰ったんですよ」

「おっ~!!それじゃあリューキュウ、私がパトロールに行くときとか一緒に連れて行ってもいいの?」

「ええ、それは勿論良いわよ。ちゃんと色々その時に教えるのも忘れないならね」

「やった~一緒に行けるよ~♪」

「やりましたねセ~ンパイ♪」

 

元気いっぱいに飛び跳ねているねじれに所員たちは何処か苦笑いを浮かべているが、そのテンションに付いていけている星辰に驚きの視線を送ってたりもしていた。振り回されるあのテンションに付いていけるどころか同調できるのだからある種当然かもしれない。



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39スレ

職場体験初日、リューキュウの事務所へとやってきた星辰は早速事務所の一員として仕事を始める事になった。不足しているのはサイドキックだけ、というのは事実らしく事務員は充実しているので書類や仕事のオファーやらの対応要員は足りている。なので本格的に必要とされるのはサイドキックとして。

 

「ねじれ、エボル任せるわ!!」

「了解!!」

「あいよっ!!」

 

 

 

現場にサイドキックとして出動中に遭遇したヴィランとの戦闘中、ヴィランは巨大化しながら工事現場へと手を伸ばすとそこにあった鉄骨を手に取ると投げつけて来る。リューキュウは個性を発動させてドラゴンへと変身しながらも回避して本体を仕留めにかかる、そして回避された鉄骨の処理はサイドキックへと回された。

 

「たぁぁぁ!!」

 

ねじれは両腕から波動を放出した。彼女の個性は波動、自身の活力をエネルギーにして衝撃波を放つ。ただし衝撃波はなぜかねじれるのでスピードはあまりないという何とも癖のある個性、だがそれでも鉄骨の速度を完全に殺して被害を食い止めるには十分な活躍が出来る。そしてエボルは―――

 

RIFLE MODE!!

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

ライフルモードのトランスチームガンで確りと狙いを定めつつもガトリングフルボトルで弾丸を連射して鉄骨を打ち落として行く、それらによって鉄骨による被害は皆無、そしてリューキュウは無事にヴィランを確保する事が出来た。

 

「不思議だね~その銃も何処から出したの?ライフルみたいなのに何でそんなに連射できたの?何で何で何で~?」

「フフフッ話は後にした方がいいみたいですね」

「だね」

 

トランスチームライフルに疑問こそ抱くが、如何やら別の事件が起きたようなので其方へと意識を向ける。ねじれも即座に意識を切り替えている辺り流石と言わざるを得ない。今度は巨大系の個性のヴィランがビルへと襲い掛かっている、このままでは大きな被害が出るので即座にボトルを切り替える。

 

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

 

「ンだこりゃ!?蜘蛛の糸ぉ!?」

 

両手を組んだ手をハンマーのようにして振り下ろそうとしていたのでそれを丸ごと蜘蛛糸で固めてしまいながらも、その周囲を飛び回りながらも全身へとその糸を巻き付けて行く。

 

「なぁ知ってるかぁ!!かの有名シリーズのエピソード5で、氷の惑星でこんな事をしたんだよなぁ!!」

「成程ね、行くわよねじれ!!」

「は~い!!」

 

周囲を飛び回りながらも全身に蜘蛛糸を巻き付けられた辺りでリューキュウとねじれが動く、ねじれは波動を溜めてから的確にヴィランの顎へと打ち抜く。大きく弾かれた頭、そんな所にリューキュウの体当たりが更に顎へと命中してヴィランは典型的な脳震盪を発生させた。だがそれによってぐらついた身体がそのまま避難している市民へと倒れそうになったのを見てエボルはレバーを回して全身に力を込めた。

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

「チェェェエエエエストォォォォッ!!!」

 

CHAO!!

 

全身を締めあげている蜘蛛糸を一気に引っ張ってヴィランを浮かせるとそのままその身体に必殺のエボルテックフィニッシュのライダーキックをぶち当てたのである。それによってヴィランは先程の工事現場へと吹き飛ばされていくが、その途中で個性が解除されたのが元の姿へと戻りながら工事によって出来た土の山へと突っ込んでいった。

 

「フゥッ」

「良い判断よエボル、あれなら被害も最小限に抑えられるわ」

「凄い凄い凄いよ~!!ねえねえねえ最後のチャオ!!って声って誰なの?何でドライバーから声が聞こえるの?不思議だね~エボルテックってどういう意味なの~?」

 

リューキュウからは咄嗟の判断の良さを褒める声とねじれからはエボルドライバーに関する質問が飛んでくる。それに笑顔で答えながらもヴィランの確保と警察へと引き渡しが行われると予定していたパトロールを終わらせて事務所へと戻るのであった。

 

「はふぅっ~……疲れたぁ~……」

「流石にちょっとハードだったわね」

 

疲れたような声を上げるねじれに素直にリューキュウも少しばかり草臥れたような声を上げるのであった。パトロールに出たと思ったら連続的に事件が発生するのでその対処に追われ続けてしまった。だが、同時に星辰の実力を見れたので結果的に良かったとさえ思っている。

 

「良くあそこまで動けたわね。自分の力を理解している証拠よ」

「いえ俺なんてまだまだですよ、先輩に結構助けられてましたし」

「エッヘン!!」

 

サイドキックとして動く関係上、星辰はリューキュウから個性使用許可を貰っており自由に個性の行使が可能となっている。それでも矢張りプロの現場は違う物がある、何度かねじれに助けられる場面もあったりした。

 

「リューキュウ……お腹空かない~……?不思議だね~……」

「あらいけないもうこんな時間だったのね、お昼の注文取らないといけないわね」

 

事務所には宿泊施設が完備されておりキッチンも設けられている、しかしキッチンというよりかは給湯室的な使い方しかされていない。一応食材のストックもしているが、大体は外に食べに行ったり出前を取ったりが大体。

 

「あっそれならキッチン借りていいなら俺作りますよ?」

「えっ後輩君料理出来るの?」

「家がカフェなんですよ、それで何時も手伝いとしてキッチンに入ってますから。何かリクエストあるなら作りますよ」

 

そう言いながらも早速変身を解除しながらも慣れた手つきで常備してあったエプロンを付けながらも長い髪を束ねる為に咥えゴムをする姿にはなんというか、人妻的な何かを感じてしまったリューキュウなのであった。

 

「私食べ応えあるのが良い~天ぷらが良い~」

「もう我儘言わないの、でもいいの?貴方も疲れてるだろうし出前でもいいのよ?」

「大丈夫ですよ。それに出前だと栄養が偏ります、体調管理もプロの仕事の内ですよ」

「フフフッ確かにね。それじゃあ私は結構ガッツリ系が良いわ、お願い出来る?」

「オーダー頂きました、しばしお待ちください」

 

そのままキッチンへと向かいながら冷蔵庫の中を見ながら食材を次々と出していきながら直ぐに調理に入る姿が酷く板についているのでこれは期待出来るわね、とリューキュウは思わず期待と共に鳴ったお腹の音に苦笑するのであった。

 

「わぁっ~!!ねえねえねえねえこれ本当に食べていいの!?」

「勿論ですよ、その為に作ったんですから」

「でも、15分足らずでこれはちょっと驚いたわね」

 

ねじれにはご希望通りに揚げたての天ぷら定食、味を変える為の天つゆも複数完備。リューキュウには鳥南蛮をメインに据えた定食、どれもランチメニューとして出した事がある物なのでさっさと作る事が出来た。

 

「それじゃあ頂きま~す!!」

「頂くわね」

「はい召し上がれ」

 

そんな風に作った昼食は二人に絶賛され、同じように昼食を食べに行こうとしていた所員たちも喉を鳴らしていたので希望者には食事を作る事にしたのであった。そして星辰は折角だから仲良くやってます、という所をクラスメイトに報告しようと思ってねじれとリューキュウと一緒に体験先でお昼ご飯を一緒に!!というメッセージを添えてチャットアプリに写真付きで投稿した。

 

尚、一部男子からは美女とのスリーショットに激しく嫉妬された。

 

「……へぇ……そうなんだ、ふぅん……ウチが忙しい時にねぇ……はぁん……」

「ど、どうしたイヤホン=ジャック……?」

 

内、一人は黒くなっていた。



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40スレ

星辰が厨房を任せられるのにはさほど時間は掛からず、というよりも昼食を作った段階から名誉シェフとしての地位が確立したと言ってもいいだろう。パトロール上がりなのもあり、報告書などの作成やCM出演に関する事もあったので暫くは事務所内でジッとしている事になったので今の内にと夕食の買い出しに出たりもした。

 

「でもいいのかな~こんなので、だって職場体験っていうか完全にお手伝いさんじゃない?」

「俺は良いと思いますよ、職場の体験はしてますし」

「そう言われればそうだね、不思議だね~」

 

ねじれと共に買い出しに行っている最中、ヴィランに遭遇したりもした。一応リューキュウにヴィラン遭遇時の個性使用許可は貰っているので変身して対応。結果、ヴィランは確保、民間人への被害はなし―――但し

 

「あ~あ、安かった卵が台無しだ……ついで大根がボッキリいっちゃってる……」

「今日の夕ご飯の卵の献立、中止……?」

 

タイムセールで安かった卵2パックと大根1本が犠牲となった。ねじれ的には夕食にも出るであろう美味しい献立の一部が駄目になったかもしれない事が深刻のか、少ししょんぼり気味だった。

 

「何処かで代わり、調達しないとダメですね。遂に他のも調達し直しに行きましょうか、セ~ンパイ」

「―――そだね♪」

 

既にねじれの扱い方を心得たのか、直ぐに機嫌を直した彼女と共に事務所へと戻りがてら運よくタイムセール中のスーパーで別の卵などを調達出来た。

 

「それにしても、本当に人の心を掴むのが上手いわね石動君」

「星辰で良いですよ、というか此処ではエボルなのでは?」

 

少しばかりからかうように笑みを湛えているリューキュウの言葉を受けながらも調理を続けていく星辰。テンポよく玉ねぎを刻んでは大きなフライパンで丁寧に炒めてボールに分けつつも残りは大きな鍋へと突っ込んで調味料を加えてかき混ぜて行く。

 

「ヒーロー事務所って如何しても疲れるから力が出るメニューが良いと思いまして。それは女性でも同じだと思って」

「フフッそうね、こういう仕事だからこそお肉を食べたいと思うわね」

 

夕食のメニューは如何やらハンバーグがメインらしい、リューキュウも好物だがハンバーグというのが嬉しい。ヒーロー活動をしているとどうしてもガッツリとしたものが食べたくなるし肉などはその筆頭。だが女性としてはステーキなどの物は目を引いてしまうし色々と問題がある、だがハンバーグなら問題はない。そう言った気遣いはリューキュウとしても有難い。

 

「付け合わせはナポリタンにポテトサラダ、玉ねぎのスープかコーンスープの選択でいいかな。後はほうれん草のソテーかな」

「そんなに大丈夫なの?」

「慣れたもんですよ、ハンバーグランチはカフェで人気メニューでしたから」

 

平然と言葉を返しながらも複数の調理を行っている姿は酷く頼もしい、このままこの事務所に就職して貰えない物だろうか……と素直に思ってしまった。そう思っているとねじれがキッチンに入って来て星辰の後ろから抱き着いた。

 

「ご飯まだ~……?」

「もう直ぐ出来ますよ、あっそうだ小腹が空いてるならこれの味見してくださいよ」

 

遠慮なしに後ろから抱き着いているのに星辰は全く気にしない、それ何処かしょうがないなぁっと言いたげな雰囲気まである。そう言いながらトースターからある物を取り出した。

 

「わ~ナニコレナニコレナニコレ!?」

「俺流カルツォーネです。夜勤の皆さんにお出ししようと思って久しぶりに作ったんですけど、味見して貰え―――「おいひぃぃぃ!!」ってもう食べてるし……」

 

何時の間にか手に取って食べているねじれに苦笑しつつも自分もそれを手に取る、そして口へと運んだ。

 

「んっ……これ美味しいわね、中にたっぷりのチーズもトロトロで味もしっかりってああ零れちゃう!!」

「あわわわっ勿体ない勿体ない~!」

「う~ん……エクレールピザって名前にしてカフェでも出すかな?」

 

職場体験後、nascitaのメニューに新しくエクレールピザが加わったとか。

 

「こほん!!本当に美味しいわ、是非とも二日後の保須出張にはお弁当を作って欲しいわね」

「ほしゅ?ほしゅっふぇあにょほしゅ?」

「セ~ンパイ、口の中に残ってますよ。はいお茶」

「ンクンク……プハ~アリガト♪保須ってあのヒーロー殺し云々のあの保須?」

「ええ、あの保須よ」

 

保須。あのヒーロー殺しによってインゲニウムが再起不能となった街、今その街には多くのヒーローが注目を向けていると言っても良いだろう。ヒーローとしての決意に燃えて街を守る為、インゲニウムを倒したヒーロー殺しを捕らえて名を上げようとするものと、ある種の群雄割拠状態。そこへ行くというのだろうか、担当エリアというかこの事務所からはそれなりに離れている。

 

「保須には既に事務所があるけど、前例が前例だけに有力なヒーローに来て欲しいのよ。抑止力としてって所かしらね」

「そう言えば……」

 

そう思ってスマホのチャットアプリを見てみると焦凍からのメッセージでこんなのがあった。

 

【これから保須市入りする】

 

それを見せるとリューキュウも頷いた。

 

「ええそうよ、あのエンデヴァーもサイドキックを連れて保須入りしてる。それだけヒーロー殺しを重く見ているという事ね、ねじれ何時も通りに頼りにさせて貰うわよ」

「任せて~!!」

 

フンスとやる気満々をアピールする彼女に頷きながらも真剣な顔つきで星辰をジッとリューキュウは見据えた。

 

「是非あなたの力も貸して頂戴、きっと貴方なら立派な抑止力の一翼を担えるわ」

「抑止力……」

 

それを聞いて連想したのは核抑止だ。強い力には強い力を誇示する事で警告し、結果的に共倒れを防ぐ。自分が行く事でそれを成す事が出来るのかという不安もあるが、もしもそれが不発になったとしても何かの役には立つ事が出来る事だろう。

 

「分かりました。仮面ライダーエボル、保須出張了解しました!!」

「助かるわ。宜しくね」

「ええ、それじゃあ―――当日のお弁当の前に夕食を確りと作りましょうか」

「あ~いい匂い過ぎてまたお腹空いてきた~……」

「もうねじれったら」

 

 

「フ~……ちょっと休憩っと」

 

夕食も所員やまだ数少ないサイドキックからも大絶賛だった、洗い物も済ませた星辰は早めに休んで良いと言われたので自分に割り当てられた部屋へと入ってベットに腰掛けた。ヴィラン退治もしたが、どちらかと言えば家政婦としての比重がずっと大きかったような気もするが……気にしないでおこう。

 

「みんな頑張ってるんだな~」

 

チャットアプリに目を向ければ皆からの近況報告がたくさん来る。こんな事をした~とか、そっちの活動いいなぁ~と羨む声もある。やっぱりトレーニングやパトロールが一番多いらしいが、峰田は完全に家政婦扱いだったのかこんなのは求めてない!と怒りの声を上げていた。

 

「そんな事でも、笑顔を作るのがヒーローの仕事だよっと」

 

そんな文章を送ってから夕食中に取った楽し気な写真を添付する。するとすぐに反応が返ってくる。

 

【てんめぇ石動ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!オイラが望んでもねぇことしてる時に何羨ましい事やってんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!】

 

「あ~……まあねじれちゃん先輩だからこればっかりはねぇ……」

 

写真は所員の人に取って貰ったのだが、後ろから抱き着いてくるねじれと隣で微笑みながらピースサインのリューキュウ。そして他の所員さんといった構図。峰田からすれば美女から抱き着かれているという羨まし過ぎるなのだが……星辰からすればそれ程でもない。致し方ないと捉えているねじれの相手、同じテンションでやらないとやってられないのである。

 

『ったく漸く一人か……よくもまああの女と一緒に居れるもんだな……』

「(随分とテンション低いな)」

『たりめぇだ、なんだあいつ幼稚園児か』

 

とエボルトの声は酷く疲れている、何処かげっそりとしているように聞こえる。ねじれの勢いには全くついていけないのか、今日一日ずっと一緒だったせいかエボルトは一度たりとも顔を出してこなかった。

 

「(苦手なのか?)」

『苦手っつうか慣れねぇっつうか……兎も角なんか疲れたから俺寝る』

 

そう言ってエボルトは引っ込んでいった。意外な天敵が発見できたようで星辰は嬉しかった、これからは雄英でもねじれとは絡むようにしよう、と心の中で決心するのであった。そんな時、アプリから通話申請が来た事に気付く。

 

「あれ、耳郎さんからだな。はいもしもし」

『……ウチだけど』

「うん聞こえてるよ、如何したの耳郎さん?」

 

疲れているのか声が酷く低いというかテンションが低い。何かあったのだろうか。

 

『楽しそうな体験先で良かったね、ウチはパトロール中も鍛えるとかで大変なのに……』

「あ~……正直言ってそこまで楽ではないよ。先輩のテンション合わせるの凄い大変だから」

『ふぅん……写真からそうは思えなかったけど?』

 

棘がある言い回しをする彼女に少し苦笑する、辛い体験先を選んでしまった耳郎的には自分のそれは酷く楽な物にしか映らないのだろう。配慮が足りなかったかもしれないと反省しつつも姉に教わった危機的状況の回避話術を発動する。

 

「いや、でも俺的には気心知れてる人と一緒に居たいと思うよ。耳郎さんとかとね」

『―――へっ?ウ、ウチと?』

「うん。これ本当だよ、折角だからさこれから毎晩近況報告がてらというかさ、色々話して吐き出さない?そうしたらお互いの為にもなるし」

『う、うんそうだね!!ウチも色々言いたい事とかあるし!!』

「おっそれじゃあ早速聞くよ」

『え、えっとね~……』

 

相手を特別視しているように感じさせながら主導権を握らせたように思わせつつも、本当は自分が流れを作る。それによって耳郎は先程まであって棘が完全に抜けて、笑みを作りながらも星辰との会話を楽しんでいた。

 

『あっまずいもうこんな時間!?ゴメン長々話しちゃって……』

「いいよ気にしないで、俺も耳郎さんの話聞けて楽しかったから」

『そ、そうなの?そうかな……』

「これからも色々話そうね、それじゃあお休み」

『う、うんお休み……』

 

 

 

「ウチと話すのが楽しい……えへへっ……♪」




エボルトはねじれに弱い。星辰は新しい情報にテンションが上がった。


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41スレ

12:D×D風紀委員長

ホント……常識ない人の対応ってキツいですよね。

 

13:青春学園の熱血教師

ああ、察するに……授業参観?

 

14:超次元中学生

例の魔法少女狂いか。

 

15:円卓の鬼

これが幼女ならまだ微笑ましいんだけどなぁ……。

 

16:ヒスイの調査兵

既に大人になってる女性がやっても痛いだけだよな……

場所弁えればいいのに。

 

17:D×D風紀委員長

もうね、見た瞬間にうわぁ……って思いました。

速攻で噛み殺そうと思いましたけど、改めて考えて実力差が……ね。

 

18:普通のカウンセラー

あ~……D×Dってインフレ激しいからねぇ……流石のヒバリさんでもそれはきついわね。

 

19:IS世界のメンタルセラピスト

原作で背景とか一切関係なしで最強格張ってたヒバリンでもきちぃか

 

20:大地の虎

でも放置も出来ないっすよね、立場的にも。

 

21:D×D風紀委員長

だから、言葉で噛み殺しました。力でねじ伏せるだけが噛み殺す訳じゃないからね。

 

22:無法地帯の料理人

理論攻めか?

 

23:クトゥルフ系狩人

仮にも地位と立場があるから余計に刺さりそうだなwww

 

24:D×D風紀委員長

「何やってるの、そんな姿で来るのはマナー違反だよ。此処はコミケでも無ければパーティ会場でもない。そんな事も分からないなんて、君の家族の顔が見たいね。その姿を見て羞恥に染まって歩けなくなるだろうに……分かるかい、その行いは自分ではなく家族に迷惑を掛けるって事が。分からないなら僕は直ぐに警察に連絡して君を引き取ってもらう」

 

みたいな感じで。

 

25:ヒスイの調査兵

ヒバリさんが警察持ち出すのなんか笑えるな。

 

26:普通のカウンセラー

原作だと寧ろ警察すら支配下に置いてたみたいな感じなのにねww

 

27:大地の虎

んで効果はあったんですか?

 

28:D×D風紀委員長

>>27

抜群さ。硬直して更衣室借りていいかって言われたから貸したら一応持って来てた

スーツに着替えてたよ。最初からそれで来いよと思った。尚

 

「本っっっ当に有難う御座います。このご恩は一生忘れません……!!」

 

って生徒会長に感謝された。まあソーナの名前出す前に着替えさせたからだと思う。

まあヒバリクォリティのいらない、で返したけど。

 

29:IS世界のメンタルセラピスト

>>28

そりゃ感謝するだろ……。

 

30:普通のカウンセラー

名前出さなかったのも有難いけど、それ以上に着替えさせたからでしょうね……。

 

31:CC立香

そりゃそうでしょうな~あっわっこっつ~久しぶりに顔出したら賑やかねマブいニキ

 

32:クトゥルフ系狩人

>>31

おっ?

 

33:大地の虎

>>31

初見さん……じゃないみたいっすね。

 

34:光の国の戦士

>>31

おや、随分とお久しぶりじゃないですか。

 

35:纏め役の転生者

>>31

なんだお前か。随分と顔を出さなかったな。というかその呼び方やめろ。

 

36:CC立香

いやぁ人理修復って結構大変なのよ。それでロムってた。

 

37:無法地帯の料理人

人理って……FGO!?

 

38:青春学園の熱血教師

うっわぁ……転生者の中でも外れの筆頭って言われてる世界だ……。

 

39:超次元中学生

サーヴァントには会ってみたいけどなぁ……転生したくねぇ世界だ。

 

40:ヒスイの調査兵

しかもFGOとか、あもりにも酷過ぎるでしょ。

 

41:CC立香

ニャハハハハッよく言われるよ。でもまあ前向きに頑張ってるよ。

 

42:普通のカウンセラー

相変わらず前向きよねぇ……。

 

43:ヒロアカエボルト

えっと、前からいらっしゃったお方ですか?

 

44:光の国の戦士

ああそうか、イッチさんは初見でしたね。

此処の掲示板に参加している中ではかなりの古株ですね。

同期なのは纏めニキとキアラネキと私ぐらいですかね。

 

45:纏め役の転生者

FGOに転生して人理修復に精を出している魔術師だ。

 

46:CC立香

おっ宜しくね~、ヒロアカか~私に負けず劣らずの世界だね。

いや大分マシか!!ニャハハハハッ!!まあどうぞよろしく、これでも魔術師やってるから。

何か困ったらご一報ね!!

 

47:ヒスイの調査兵

なんかテンションたけぇな。

 

48:纏め役の転生者

こう言う奴だからな。

 

49:無法地帯の料理人

FGOか……特典は何なんです?

 

50:CC立香

>>49

あっそれ聞いちゃう?まあネームで察してる人もいるかもしれないけど

カードキャプターさくらに出て来るクロウカードだよ。勿論杖も。

 

51:ヒロアカエボルト

>>49

あ~CCってそう言う事か!!懐かしいな~よく見てました。

大好きでしたさくら、寧ろ初恋まであったかもしれない。

 

52:CC立香

あっだよね~!!小さい頃にさくらちゃんみてると色々と歪むよね~!!

俺も幼少期に桜ちゃんにどっぷりだったからもう色々と大変でさ~!!

 

53:普通のカウンセラー

噛み合ってない!!なんか噛み合ってないわよ!?

 

54:IS世界のメンタルセラピスト

というかイッチの初恋ってさくらちゃんなん!?俺もなんだけど!?

桜吹雪とか見る度に思い出してるんだけど!!

 

55:クトゥルフ系狩人

お前もかよ。

 

56:円卓の鬼

というか桜吹雪見て思い出す初恋って何だよ、見事に散ってるじゃねえか!!

 

57:D×D風紀委員長

誰ウマwww

 

58:CC立香

いやぁ俺達だけスレと比べて賑やかになったよね~良きかな良きかな。

 

59:光の国の戦士

まあ確かに賑やかになりましたよねぇ……

 

60:纏め役の転生者

それだけくそ神の犠牲者が増してるとも言えるから複雑だがな。

 

61:普通のカウンセラー

その辺りはあの人に丸投げで良いじゃない、どうせ私達じゃ何もできないんだし。

というかイッチ、何か報告ごとかしら?

 

62:ヒロアカエボルト

実は保須市に出張に行く事になったんです。ヒーロー殺しの抑止力として

リューキュウさんに要請が来たらしいのでついて行く事になりました。

 

63:クトゥルフ系狩人

へ~リューキュウも保須入りか!!実は原作でもいたんかな。

 

64:D×D風紀委員長

そういうのはありそうですよね、というかはイッチも原作に関わるんですかね?

 

65:超次元中学生

保須か~……ヒロアカの原作としてはかなりのターニングポイントだな。

 

66:円卓の鬼

ヒーロー殺しステインか……敵味方に多大な影響与えてるしなぁ……というか

俺、あいつ嫌いになれないんだよねぇ。

 

67:無法地帯の料理人

気持ちは分かりますよ。あの主張はなんか原作のヒーロー見てると

理解出来ちゃうしそこに惹かれるのも分かりますし。

 

68:ヒスイの調査兵

イッチ、余り此処では語らないけど保須では自分の心に従え。

 

69:光の国の戦士

賛成です。此処は私達が何か言うよりも自分で感じて貰った方が良いです。

 

70:普通のカウンセラー

同じく。仮面ライダーとかウルトラマンを知ってるからこそ、自分で感じて

答えを出して欲しいわね。

 

71:CC立香

イッチは仮面ライダー系とかの特典なのかな?だとしたら猶更大切だね。

仮面ライダーのオリジンはショッカーの改造人間、怪人バッタ男だからね。

それを変えたのは本郷猛というレジェンドの意志と気持ちだからね。

 

72:ヒロアカエボルト

……はい、分かりました。よく分かりませんけど、分かりました。

頑張ってきます。

 

73:IS世界のメンタルセラピスト

そうだその意気だ、それでこそ俺のイッチだ!

 

74:大地の虎

>>73

さり気無く自分のモノにしちゃ駄目っす……

 

75:青春学園の熱血教師

お前には乙女回路搭載モッピーがいるだろ、それで我慢しろ。

 

76:IS世界のメンタルセラピスト

いやよ!!起きたら俺の部屋の中ですやすや寝息立ててたラウラみたいな子なんて!!

俺はイッチ一筋なの!!

 

77:クトゥルフ系狩人

それ絶対倒れたお前の看病してたろモッピー。

 

78:ヒスイの調査兵

ユー、モッピー受け入れちゃうなYO。

 

79:CC立香

責任取らないと、駄目だぞ♪

 

80:IS世界のメンタルセラピスト

FGOとかいう修羅場製造機的な世界の人間にだけは言われたくねぇ!!!

 

 

 

掲示板での会話はまだ続いているが、星辰は明日出発するのでその弁当の準備をしていた。話を聞く限り、如何やらヒーロー殺しというのは単純なヴィランという訳ではないようにも思える。主張があり、何か目的がある。察するに今のヒーローを認めたくない、のような感じだろうか……。

 

「だったら、俺はどうなるんだ……?」

 

ヒーロー殺しにとって、自分はどんな存在なのだ。エボルトという巨悪を宿し、その力を扱い正義を成そうとする自分は……どんな風に映るのだろうか……。




スレにいる転生者紹介

CC(カード キャスター)立香
FGOに転生した。
特典はCCさくらのクロウカードと封印の鍵。
主人公の立ち位置で人理修復のために奮闘中。尚、クロウカードはFate基準で見ても異常な部類に入るのか、ダ・ウィンチちゃんから是非調べさせてほしいと言われているらしい。

自他共に認める男の娘であり、自主的に魔法少女系の衣装を製作し着用している。曰く一人でさくらと知世ちゃんの二役。そんな感じなせいか、メディアととても仲が良い。


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42スレ

東京・保須市。事務所には必要最低限の人員のみを残して保須入りを行ったリューキュウ、そのサイドキックとして同伴するねじれと星辰。早速パトロールに入るのだが……その違和感にはすぐに気付けた。

 

「あっ見てみて其処にも、これで9人目かなサイドキック」

「やっぱり相当数の人数が来てるみたいね」

 

街を行き交う人の中に見えるプロヒーロー達、ねじれの言葉通りにサイドキックだけで9人、それらをまとめ上げる存在のヒーローも見えた。それだけ多くのヒーローに声が掛けられているという事、それだけ保須の人々は不安に駆られているという事になる。

 

「必要とされる……必要とされるのは悪がいるから、誰にも求められないのがヒーローの目指すべき物……」

 

何処か聞いた言葉を思わず呟いた星辰も勿論の事、既にエボルの姿を取っていた。何時ヒーロー殺しと遭遇したとしても対応出来るようにしておく方がいい、そんな中で誰かが言ったような言葉を呟いてしまった。

 

「何々如何したの~緊張してるの後輩君~?」

「いえ……少しだけ、悲しいなって……」

 

この現状を知って、改めて自分が目指そうと決めた物がいかに難しい物なのかを知った。戦兎は自分よりもずっとこの現実と向き合ってきた、そして戦ってきたんだと思った、それでも謡うと決めた。本当に……尊敬すべき人だ。

 

「っねじれにエボル、近くの銀行で襲撃事件発生よ!」

「こんなにプロヒーローがいるのに襲撃があるの~?不思議だね~!!」

「全くですね!!」

 

例え、プロヒーローが普段よりもいたとしても起こす奴は事件を起こす、それを実感させられた。そもそもが現代がヒーロー飽和社会とも言われている時代だ、一都市にプロヒーローが集中している位では考えなしのバカの抑止にもならないのかもしれない。

 

 

結局、保須市では事件は絶えなかった。寧ろヒーロー殺しという大きな影をカモフラージュに使って悪事を働く者もいる、それらの対処もしていたのだが……遅めの昼食になってしまった。保須市の市役所の一室を借りて、この後に備えて確りと食べている。

 

「おいひぃ~!!!」

「まだまだありますからどんどん食べてください」

 

広げられたお弁当、重箱が広げられて其処には彩り豊かなおかずが並べられて見ているだけでも楽しい。確かにお弁当もお願いしたが此処までの物だとは思っていなかったのか、リューキュウは少しびっくり気味だった。

 

「んっこの唐揚げ美味しいわね」

「そっちがカレー風味でそっちがさっぱり塩、こっちはこってりニンニクです」

「ねえねえねえねえっこの平べったいおにぎり何?」

「ああ、それはおにぎらずって奴です」

 

少々濃いめの味付けは食欲をそそりつつも疲れた身体に英気を吹き込んでいく、水筒にはお吸い物が入れられており此方は薄味に調整されていて濃い味付けになれた口の中をスッキリとさせてくれる。思わずホッとする味わい、そして口の中はさっぱりとした所にまた濃い物を入れるとより一層味が際立つ。

 

「参ったわ、これは女として負けた気分ね」

「ホントだね~下手に私達が作るよりもずっと美味しいもんね~」

「そんな事ないですよ、俺は誰かが喜ぶ料理を心得てるだけです。其処に男も女もありません」

「完璧な回答ね。あっお吸い物のお代わりあるかしら?」

「私も~!」

「勿論ありますよ」

 

遅めの昼食、早めの夕食のようになってしまったがこれで夜も確りと頑張れそうと二人は思った。そしてこれから夜になる、ヴィランが活性化する時間帯にもなる……此処からこそ気を引き締めなければ……そんな時だ、夕焼けの空が暗くなり星空が見え始めてきたころ―――それはやってきた。

 

 

『相棒後ろだ!!』

「何ッ―――がぁぁ!!?」

 

突然やって来た、空から強襲してきたそれはその怪力にものを言わせたまま星辰へと攻撃を開始した。エボルトの警告によって咄嗟に振り替える事が出来たがそれでも奇襲は抑えきれずに大地へと叩きつけられる。

 

「エボル!?」

「えっ何々あれ!?」

 

思わずねじれですらそんな言葉を口にしてしまった。そこにいたのはオールマイトを超える程の体躯、漆黒の肌―――だがそれ以上に顔の半分以上に侵食し、膨張しているかのように見える脳みそだった。そんなヴィランは電柱を武器代わりにするようにしながら星辰へと襲い掛かったのだ。

 

「エボル、今ッ!!」

「待ってねじれ!!」

 

助けに入ろうとするねじれを止めようにしつつ庇うリューキュウ、空中から何かが飛んできてそれを辛うじて回避する事が出来た。それは星辰へと襲い掛かったのと同じと思われる脳みそが剥き出しになっているヴィラン。そうUSJにて星辰も交戦した脳無。

 

「リューキュウ兎に角後輩君を!!」

「ええ直ぐに―――」

 

「ぬぅぅぅぅぅぅっっ!!!!」

 

地獄の底から響いてくるような低い声、それと共に叩きつけられた電柱が徐々に持ち上がっていく。脳無は奇妙に思いつつも更に押し込もうとするが、押し上げる力の方が強いのか抑えつけられずにどんどん電柱は持ち上がっていく。

 

「こんの野郎ォォ……!!」

「あっよかった潰されてなかった!!」

「調子に、乗んなぁぁぁ!!!」

 

立ち上がりながらも両腕に力を込めて電柱ごとを一気に持ち上げる、その凄まじい力に脳無は対応しきれずにそのまま電柱ごと持ち上げられる。そして電柱を振り回して脳無を近くの地面へと叩きつけた。だが即座にそこから跳びあがってくる脳無、それに対して星辰は

 

「元あった場所に、返して来やがれぇ!!」

 

電柱を槍投げのように投擲した。エボルの力で投げられた電柱は凄まじい勢いで脳無の腹部を捉えた、電柱は余りの速度と衝撃で砕け散ってしまったが脳無は瞬時に体勢を直すと着地、が今度は見当違いの方向へと走り出すとバスを持ち上げてひっくり返した。

 

「後輩君大丈夫?痛くない?」

「大丈夫、ですけどなんだあいつ……」

「エボルに攻撃したと思ったら今度は、バスに……?」

 

突然すぎる行動の転換、そして空を飛ぶ翼を持つ脳無を周囲を手当たり次第に攻撃している。それを見たプロヒーローが止めに入った場合には其方を攻撃するが、その行動は酷くランダムで予想がつかない。目につく物を片っ端から壊そうとしている、としか言いようがない。

 

「兎に角、此処には民間人が多すぎるわ!!避難誘導を行って、私はあの飛行する奴を何とかします!!ねじれ行くわよ!!」

「分かった~!!」

「了解!!」

 

リューキュウは直ぐに個性を発動させて空を飛ぶ脳無へと向かって行く、星辰は指示通りに避難誘導を行っていく。その最中でも空中ではリューキュウとねじれによる翼脳無との空中戦が繰り広げられている。

 

「不思議~如何して脳剥き出しなの~?不思議だね、行くよ~!!」

 

リューキュウの背中から飛び出したねじれは脳無の上を取るとそのまま翼に向けて波動を放射、一瞬だが翼が動かなくなった。その瞬間を見逃さずにリューキュウが巨腕で脳無を殴り付けながらもそのまま一気に降下して地面へと叩きつける。普通ならこれで戦闘不能になる―――だが

 

「何こいつ、まだ動けるっていうの!?」

 

脳無は未だ動き続けている、拘束から抜け出そうともがき続けている。得体の知れない物に恐怖を感じた瞬間、リューキュウはとんでもない力で殴り付けられた。もう一体の脳無だ、それによって翼脳無は自由になって飛び去って行く。

 

「逃がさない―――くっ!!」

 

追いかけようとするが、黒い脳無は異常な力で攻撃してくる。ドラゴンとなった自分と互角、いやそれ以上の力で攻撃してくる脳無に防戦一方。このままでは不味いと思った時―――

 

「こんのぉぉぉぉぉっ!!!」

 

脳無は突然後ろへと下がっていく、星辰がトランスチームライフルから蜘蛛糸を発射して引っ張っていたのだ。

 

「エボル、感謝するわぁ!!」

 

一瞬の隙を見逃がさず、渾身の力で脳無を殴り付ける。脳無は吹き飛ばされながらもビルの外壁へと突っ込んでいく、ついでに星辰はそこへと拘束を狙って蜘蛛糸を切り離すように発射しておいた。

 

「後輩君流石~!!」

「本当に助かったわ、なんなのあの怪物」

 

まだまだ状況は混沌を極めている、あの怪物を何とかしないといけない……そう思った時だ、星辰のスマホがなった。何かの緊急コールかと思って開いてみると……そこには緑谷からのメッセージだった、だがそこにあるのは位置情報のみがあった。しかもそれは保須市、此処から近い。状況故に星辰は思った。

 

「江向通り4-2-10の細道に行く許可をください!!友達が助けを求めてます!!」

「ええっそれって此処から近いよ?」

「……分かったわ。行ってきなさい仮面ライダーエボル、此処は私とねじれが何とかするわ。但し直ぐに応援も送るから無理はしちゃ駄目よ!!」

「分かりました!!」

 

リューキュウは直ぐに判断を下した。同じく職場体験をしている友達からの連絡が位置情報のみ、きっとそれだけの緊急事態という事、エボルならば恐らく自分達が到着するまでの時間稼ぎも容易な筈、自分達はこの場を抑えておくのが最善、故に彼に任せる事にした。

 

「4-2-10……此処だ!!」

 

星辰は空を飛びながら場所を探した、そして見つけた時にはまるで流星のような勢いで降下しながら緑谷の前に降り立った。

 

「定刻通りに只今参上!!まあ時刻表なんざぁ作ってないけどな、待ったか緑谷!!」

「石動君!?リューキュウが見えたような気がしてたけど、本当にいたんだ!?」

「まあな、ンでなんだこの状況は」

 

如何やら緑谷としても自分が来たのは予想外というか、心のどこかで期待はしていたらしい。ならばその期待に応えたいが……目の前の恐らくヴィランから発せられる殺意、敵意に思わず喉がなった。

 

「ハァ……また増えたか、なんだお前は」

「通りすがりのヒーロー志望の仮面ライダーって奴だ、覚えときな!!」

 

そんな軽口を叩きながらも、星辰は身体の震えに気付けなかった。



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43スレ

『お~お~良い殺気出しやがるな』

 

普段ならば苛立ちと怒りを抱きそうになるエボルトの軽口に今ばかりは感謝したくなった自分を殺したくなった。それは自分の不甲斐無さを呪っての事だ、フェーズを進めることが出来た事で成長出来たと勘違いをしていたんだ、何も成長していない。エボルとしては前に進んでいたかもしれないが、ヒーローとしては一歩も前に進めていなかった。

 

「動けるか!?」

「ごめん、動けないんだ……多分ヒーロー殺しの個性だ……!!」

 

背後には這いつくばるようになったまま動かない緑谷、いや本人曰く動けないとの事。そして他にも重症のプロヒーローに……飯田の姿があった、考えたくはなかったが自分の思っていたことが当たってしまって少しばかり嫌な気分になるがすぐに切り替える。

 

「通りすがりの仮面ライダー、だと……?だったらさっさと通り過ぎる事だな、今なら見逃してやる」

「フン、反応ありがとさん!!だけどなぁ―――テメェ人のダチに手出しといてハイサヨナラ出来ると思ってんのか!!?」

 

忠告に対して強い言葉で持って言い返す、そんな姿に動けなくなっている飯田はその背中を見つめながらも思わず言ってしまった。

 

「石動、君まで……如何して……!?駄目だ、そいつだけは僕が……!!」

「一つだけ言ってやるぜ飯田―――今のお前はインゲニウムでも無ければヒーローでもない」

「っ―――!!」

 

拳を強く握りこみながら星辰は言った、意図的に声をエボルトの物に変えながら恐怖を隠すようにしているとステインが鋭い瞳を投げかけてくる。

 

「ならば貴様はどうする、俺はそいつを殺さなければならない義務がある。向かってくるのならば―――消すのみ」

「消せるかねぇ~……やってみろヒーロー殺し」

 

絶対に引かない事を表す星辰、それに対してステインは―――ため息のような呼吸をすると刹那、ナイフを投げてきた。それを腕で砕く、だが直後にステインは一気に距離を詰めてきて日本刀で斬りかかってくるがそれをスチームブレードで受け止める。が―――

 

『下!!』

「うおっ!!?」

 

咄嗟に足を上げる、そこにはシューズの先端から鋭利な刃が突き出ながらも自分を貫こうとしてきた。それをギリギリの所で受け止める、まるでゲームのコンボを連想するような流れるような動作に星辰は思わず感嘆する。伊達にヒーロー殺しとは呼ばれていない、膨大な戦闘経験から相手の行動を読みながらも常に数手を張り巡らせている。

 

「ハァ……お前も悪くない、だが不可解だ」

「ッ……ラァ!!!」

 

受け止めた蹴りをそのまま跳ね除けるかのように蹴り上げるとその勢いを逆に使ってステインは距離を取りながらも刃を此方へとむけてくる。

 

「お前は明らかに俺の動きに着いて来れていなかった、いや着いて来れるだけの物は持っているがそれを操るだけの経験が圧倒的に不足しているな。だが先程の一撃は反応した、まるでお前の中にもう一人のお前がいるようだ」

「(―――なんて鋭い……)」

「故に問う、ヒーロー志望の仮面ライダーとやら」

 

そう言いながらもステインは一気に距離を詰めた、しかも唯のダッシュではない。瞬時に姿勢を低くしてから跳躍を織り交ぜてて一瞬だが、相手に自分が消えたように錯覚させるような動きをした。それに気を取られた星辰は目の前で刃を振りかぶったステインに反応しきれなかったが、エボルトが支配権をとって刀を白刃取りする。

 

「それは貴様の本当の力か、貴様のその力に踊らされているだけではないのか。そして貴様はその力で何を為す、何になる!?」

「俺は―――」

 

その問いかけはこれまで様々な言葉をかけられて来たが、どんなものよりも重く鋭い物だった。この力は本当に自分のものなのか、エボルトという存在がいるからこそ使えている力ではないのか、そして自分は……エボルトの操り人形になっているのではないか?そんな考えが頭の中を巡っていく。

 

「ダメだ、石動君……そんな話を、そんな奴の言葉を聞く必要なんて……!!」

「貴様の言葉程ではない」

「石動、君……!!」

「ヌゥゥゥゥラァ!!!」

 

白刃取りした日本刀をそのまま真横へと向けさせながらも手首を軽く捻ってそのまま刃を粉砕する、即座に日本刀を捨てながらも新たな剣を抜刀しながらもステインは鋭い視線を投げ続ける。

 

「俺は社会を正す。この世界に蔓延る紛い物の英雄を消す、ヒーローとは偉業を成した者へと送られる称号!!そうでなければならない、だが今の社会はなんだ―――多過ぎるんだよ、拝金主義者の贋作が……!!!」

 

力強く、訴えかけるようなステインの主張に思わず星辰は聞き入った。そうだ、ヒーローとはそうあるべき物だと自然とそう思ったのだ、超常が現実となったからなんて言い訳は通用しない。寧ろ現実になったからこそそうでなければならない……その言葉を聞いた緑谷はオールマイトから言われた言葉を同時に思い出した。

 

 

―――ヒーローってのは本来奉仕活動!!

 

 

目立ち、自らの名前を売ることが目的となっているヒーローが多いというのは事実だしその主張も分かる。それは飯田も同じだ、だがそれ以上に飯田にはその言葉は受け入れられない。彼は敬愛する兄をヒーロー殺しに再起不能されている、ヒーローとして憧れていた兄を。

 

「誰がやらなければならないのならば俺が執行する、俺が血に染める。痛みをもって解らせてやる、ヒーローを正しき姿に戻す為に」

 

例え、個性を使うこともなく彼は人を縛ることができた。言葉の鎖、意味の重さ、ヒーローを目指すものとして、ヒーローを目指すものにとってそれはまんべんなく全身を縛る鎖となっていく。理解出来る、解ってしまう、だからこそ心の何処かでそれに共感する……それは星辰も同じだった。

 

「……俺が好きなヒーローが言ってた。見返りを期待したら、それは"正義"とは言わない。だから今社会に溢れてるヒーローの多くの行いのそれが正義じゃないって思った」

「石動君……!?」

「君は、こいつを肯定するのか!!?」

「じゃあ飯田君、君は否定出来るのか」

 

何処か疲れている、いや達観したような星辰の言葉に飯田は反論出来なかった。星辰は知っている、仮面ライダー(本当のヒーロー)を。彼らは人々の平和と笑顔を守る為に戦っていた、時には守るべき人々から非難されようが、仲間たちから孤立してしまうような状況になっても、人々を守る為に戦い続けた英雄たちを知っている。

 

「ステイン、貴方から見れば俺はチグハグな存在なんだろうな……それは事実だ、俺の力は異質だ。破壊しか出来ない悪というに相応しい力だ……」

「……ならばなぜ貴様はヒーローを志す」

 

興味深かった、目の前の男が。何故ならば星辰は自分の主張を一番理解していると言ってもいいからだ、それに気を許した訳でもない。ただ興味を持った。それを向けると星辰は震えとともに恐怖を飲み込むと変身を解除して素顔を見せた。

 

「俺だってなりたかったんだ、あの人みたいに、仮面ライダー(あの人達)みたいになりたいって……」

「お前にとって完璧な英雄か」

 

言葉に中に秘められている感情はステインがオールマイトに抱いているものに非常に近しい、酷く似ている。成程だから興味を持ったのかと自分でも納得した。

 

「でもその人達だって完璧じゃなかった、苦しんで、迷って、時には仲間とだって戦ってきた。そうしながら足掻きながら前に進んでいった、それはどうしてか―――あの人達は覚悟してたからだ。その覚悟に準じて戦ったからだ」

「ならば、貴様はその覚悟があるのか」

「―――無いさ、覚悟もなければ俺は自分の事を悪とすら思ってる、正しく偽善者だ。でも……」

 

偽善者と自らを罵りながらも、自らの力を―――込めた。

 

DINOSAUR(ダイナソー)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

「今の俺はまだヒーローでもなければヴィランでもない、でもそんな俺でも……守りたい人がいる、一緒に居たい友達がいる、そんな細やかな願いを守る為になら……俺は戦える!!俺はその思いで……強い自分をビルドする!!!」

 

そう叫びながらレバーを回す、本来ならば隙だらけ、絶好の攻撃チャンスなのにも拘らずステインは攻撃しなかった。それどころか……口角を歪め、瞳を光を灯して笑っていた。

 

「未熟、余りにも未熟な言葉だ。だが……悪くない答えだ、お前が生きるに値するかこれから判断してやろう……」

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

「俺は―――仮面ライダーになる!!変身!!!」

DINOSAUR! DINOSAUR! EVOL DINOSAUR(エボル ダイナソー)!!

フッハハハハハハ!!

 

「俺は仮面ライダー、仮面ライダーエボル!!」




少し、前に進めた星辰。だが、ステインに勝つ事は出来るのか?


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44スレ

「ハァッ……仮面ライダーエボル……と言ったか」

「ああそうだ、仮面ライダー!!ずっと昔から、人々の笑顔と平和のために戦う戦士の名だ!!俺はその名を継承する、自分のモノにする、俺は―――仮面ライダーだ!!!」

 

叫ぶ、叫びながら目の前に手刀を振り下ろした。何の飛び道具も持っていないがステインは即座に回避を選択し飛び退きながらビルの外壁の配管を掴んで身を支えて―――視た。直後、自分が居た所を通り過ぎたのは爆風じみた真空刃、オールマイトを始めとして圧倒的な身体能力を持つヒーローはそれを武器にする者はいる。故にステインは即座にそれを見抜いた。

 

「素晴らしい威力だが、威力があり過ぎるな。矢張り未熟か」

「如何かなぁ!!」

 

笑いながら星辰は両手の人差し、中、薬指を親指で抑えた。そして小指を立てた、まるで照準器の代わりにするように。それを視た瞬間にステインはその場から飛び退く、直後に先程までの外壁の合計6つの穴が出現した。今度は片手で狙いを定め、中指を弾いた。

 

「指に絞って威力を抑える、良い判断だ!!」

「くそ速い!!」

 

咄嗟の行動だが、あの体育祭の爆豪との戦いで考えた。エボルダイナソーは強すぎる、ヴィランの討伐にはいいが確保にはパワーがあり過ぎる。唯のパンチで外壁を深々と抉るのだ。ならば如何する、腕から手、手から指とシンプルに考えて加える力を抑える手段を考えたのが所謂デコピンによる指でっぽう。これによってホークガトリンガーを態々作り出す事なく中遠距離に対応出来る。

 

「ッ!!!」

「ハァッ!!」

 

その場で高速回転、投げつけられたナイフを全て弾く―――が、ステインは素早く外壁を登ると回転の中心部の真上を取って一気に日本刀を構えて突き刺そうとする。

 

「お前も、悪くない!!」

「石動君!!」

「させるかぁぁぁ!!!」

 

それを防いだのはステインのように外壁を駆け抜けるように疾駆した緑谷だった。先程まで身動きが取れなかった筈の彼が今までと同じように駆け抜けて行っている。

 

「緑谷君動けるの!?」

「なんか、急に動けるようになったぁ!!」

「時間制限か!!」

「緑谷―――そいつ離せ!!」

 

聞こえてきた声に従うようにステインを投げ捨てようにしながら自分は空高く跳躍するとそこへ赤い炎が放射されて来た、それはステインの身体を焼いて行くが即座に壁を連続で蹴って炎から逃れて行く。

 

「……新手か」

「炎って事は……と、轟君!!?」

「緑谷、こう言うのはもっと詳しく書け。数秒考えちまった、まあそんな暇なかったんだろうけどな……星辰、お前は大丈夫か?」

「こっちは問題ない」

 

緑谷の位置情報を見て駆けつけて来てくれた焦凍、焦凍は倒れている飯田やプロヒーローのネイティブを見ると即座に氷を器用に作り出すと自分の側へと滑らせて避難させる。氷の扱いはお手の物な彼ならではの避難方法だ。

 

「ヒーロー殺しの個性、多分だけど血を経口摂取で取り込んで動きを奪うんだ。血液の量、人数、血液型かによって時間が異なるんだ」

「血液型……ハァ、当たりだ」

 

自分の個性を言い当てた緑谷に対してステインは笑った。それは将来有望だと判断した子供の素質を見て自分の考えは間違ってなかった事への喜びか、それともこういう子供こそ自分が望むヒーローになる存在だという笑いか。

 

「個性、分かった所でどうにもならないけどね……あいつ、とんでもなく強い……!!!」

「だろうな……俺は少ししか見てねぇけどあの身のこなしは異常だ。常に戦いの中に置いてなきゃ絶対に身に付かない類の物……磨き上げ続けた殺人戦闘術だな。俺とお前で二人を担いで逃げた方が良いかもしれねぇな……」

「如何して……そこまでして、僕を、僕の為に……」

 

ゆっくり、ゆっくりと飯田が立ち上がった。ステインの個性、凝血による呪縛が解除された。思わず疑問と疑念を口にしながらフラフラしながら立ち上がった。だがその瞳には確りと芯が通った信念が宿っていた。そうだ、目の前で変身して見せた星辰のように―――

 

 

―――俺はその思いで……強い自分をビルドする!!!

 

今此処で、強い自分になる……!!

 

「自分が情けない、僕は……俺は……もう目の前で誰かの血を流させる事を許さない……!!」

「飯田君……!!」

「フンッ星辰、お前また誰かを導いたな」

 

それを見たステインはそれを吐き捨てた。

 

「感化され、取り繕おうと無駄だ。人間の本質は変わらない、貴様は復讐という私怨に囚われ優先させた贋物だ。英雄(ヒーロー)を歪める社会のガンだ、誰かが正さねばならないんだ」

 

飯田が自分をヒーローとしてではなく、兄の敵として来た復讐者である事を身を持って体験している。目の前で傷ついているネイティブを無視して自らを狙った、故に飯田の言葉は何も響かない、粛清の対象としてしかみない、ヒーローを汚すガンとして排除するだけだと刀を構える。

 

「時代錯誤の原理主義者が……飯田、人殺しの理屈に耳貸すな」

「いや、俺はヒーローを名乗る資格はない―――ああない、だから俺は此処で折れたくない……此処で折れたらインゲニウムが死んでしまう……!!」

「論外……!!」

「そうでも、ないだろう!!!」

 

飯田の言葉など、既に贋物として認定し聞く価値の無い物として処理しているステインに星辰が向かう。拳を躱しながら刃が身体へと当たるが―――

 

「(この手応え、なんだ!?)」

 

エボルダイナソーのスーツを切り裂く事が出来ない、インパクトの瞬間に遮断フィールドを起動して攻撃を弾いた。そしてその一瞬の隙を星辰は見逃さずにステインの脚を掴んだ。

 

「誰かの為に戦える、誰かの遺志を継ぐ、それだって立派な―――変身っだぁぁぁぁぁ!!!」

「ぐぁぁぁぁぁっっ!!」

 

星辰はそのまま、力任せにステインをぶん回す。ビルの外壁にステインは激突し外壁を抉るようにしながらもステインはそのまま空中へと放り投げられた、ビルの外壁に腕も脚も届かない中空へと舞い上がった。

 

「決めろぉ!!!」

「飯田君、轟君!!」

「ああ!!」

「行くぞ!!」

 

「ワン・フォー・オール……フルトランスカウル!!!」

「レシプロ……エクステンドォ!!!」

「今度こそ、決める!!」

 

全身に光を纏いながら跳びあがる緑谷、両脚のマフラーから炎を噴き出しながら急加速する飯田、氷の発射台を作り出しながらもそこを炎を推進力にしながら飛び立つ焦凍。そして向かって行く三人はステインの上を取った、そして―――

 

「「「いっけぇぇぇぇ!!!!」」」

 

三人揃って、向かって行く姿は―――星辰が憧れた英雄と瓜二つだった。手を取り合い、共に平和の為に戦う戦士達が放つ最強の合体必殺技。それが炸裂する様を見た星辰は心を震わせながら改めて、それに憧れた。

 

「仮面ライダー……俺の、俺の永遠のヒーロー……」

 

 

 

 

 

 

『成れたらいいな、その憧れにな……そう、仮面ライダーにな……』

 

ヒーロー殺しとの戦いにおいて、途中からエボルトは一切の手を貸さなくなっていた。全て、星辰だけの事だった。それは掲示板で彼の成長に繋がると判断したからか、それとも単純に面倒だったのか……それとも……星辰の夢を聞いて興が覚めたのか。

 

『ハザードレベルも順調に上がってる、そろそろ準備をしておくか……』

 

エボルトは星辰の身体の中で何かを弄っていた、それは……無への誘い、終末を呼ぶ、破滅への引き金。

 

『俺も仮面ライダーだが違うからな。そしてお前も違う、お前は―――兵器としてのライダーシステムの仮面ライダーだ』



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45スレ

10:ヒロアカエボルト

……なんというか、やっぱり、ヒロアカ次元のヒーロー観って全然違うって思い知りました。

 

11:無法地帯の料理人

だろうね。俺達からすれば完全にファンタジーな世界だし違って当然。

 

12:CC立香

ヒロアカ次元だとヒーローっていうのは抽象的な概念じゃなくて社会に根差してるからね。

普通の一般人出身からすると価値観も異なる。

 

13:大地の虎

そ~言うもん何すか?

 

14:纏め役の転生者

>>13

違うな。俺達が抱くヒーローっていうのは正しく自己犠牲と自己献身の塊みたいなもんだ。

だがヒロアカだとそれが職業として固定化できるまでにハッキリとした形になってる。

俺達が思い描くヒーローは絶対になれない、だから憧れる。

 

だがヒロアカは頑張ればなれる、その位の差がある。

 

15:普通のカウンセラー

無個性とか個性によって無理かもしれないけど、その世界に関わる事は可能。

アタシ達は絶対に無理だから大きな差よ。

 

16:クトゥルフ系狩人

だよなぁ……原理主義で時代錯誤……そんな風に言われるだけの変化があの世界にあった。

 

17:D×D風紀委員長

個性を持った少年の成長物語で憧れのヒーローを目指す!!って感じだけど

ヒロアカって結構深い所まで黒い所があるからな

 

18:超次元中学生

ンで、結局ヒーロー殺しはどうなったん?

イッチ必死だったみたいだったからLIVEモードにならんかったから分からなかった。

 

19:ヒロアカエボルト

ラストは緑谷君と飯田君、焦凍のトリプルフィニッシュです。

まあ緑谷君はパンチだったのでトリプルライダーキックじゃないのが残念でしたけど。

 

20:青春学園の熱血教師

>>19

ああ、そうかこの時はまだオールマイトに倣ってる時期だもんね緑谷。

 

21:光の国の戦士

>>19

ダブルキックにライダーパンチって所ですかね。

 

22:円卓の鬼

ダブルキックにパンチ混ざるってなんかイメージしづらいな。

 

23:ヒスイの調査兵

んで結局、イッチは大丈夫なのか?

 

24:IS世界のメンタルセラピスト

そうだぁ!!そう言う事はどうでもいいんだよ、身体は大丈夫なのかぁ!?

 

25:ヒロアカエボルト

俺は大丈夫です、仮にもフェーズ3のエボルダイナソーだったので。

 

26:普通のカウンセラー

癪だけど、その辺りは大丈夫でしょうね……特に刃物なんてより強く硬い物とかに

弱いから遮断フィールドまで張れるエボルには敵わないでしょ。

 

27:ヒロアカエボルト

……でも、仮面ライダーを目指すって本当に大変だと思いました。

ヒーロー殺しの最後を見て、特にそう思いました。

 

28:円卓の鬼

ヒーロー殺しの最後って……逮捕されたんだろ?

 

29:纏め役の転生者

そう言う事じゃない。ステインは最後、確保されるときに凄まじいプレッシャーを放った。

オールマイトを育て上げたグラントリノ、№2ヒーローのエンデヴァーすら圧倒された。

 

30:大地の虎

あのヒーローをっすか……。

 

31:D×D風紀委員長

贋物であるヒーローを許さない、俺を殺せるのは本物の英雄、オールマイトだけだ。

要約するとこういう事を言いました。

 

だけど問題はこっから……ステインはある種の起爆剤にしか過ぎない。

 

32:光の国の戦士

―――まさか、ヴィラン連合ですか?

 

33:普通のカウンセラー

>>32

ええそうよウルトラニキ。保須市では雄英を襲った脳無も同時に出現した。

これによってステインとヴィラン連合との関連性が生まれて所属していたという予測が立つ。

同時にステインは注目される、どうして英雄回帰を望んだのかがあらゆるメディアで流れる。

 

34:ヒスイの調査兵

ステインの思想が広まる……

 

35:無法地帯の料理人

あれ、それってやばくね?だってヴィラン連合もそういう所だって見られる訳じゃ……

 

36:纏め役の転生者

>>35

正しくそう言う事だ。小さな悪意がステインという強大な熱に煽られて一つに向かって行く。

その受け皿が……ヴィラン連合。こっからヴィラン連合はさらに勢いを増して行く。

 

37:無法地帯の料理人

マァジですか……脳無に加えて各地のヴィランが集結か……こりゃきついな。

 

38:円卓の鬼

だがまあイッチ、取り敢えずあんまヒーロー殺しの事は考えすぎない方がいいぜ。

どんな理由があろうとあいつは人を殺めた殺人者だ。割り切らないと……死ぬぜ。

 

39:IS世界のメンタルセラピスト

>>38

ハイネエエエエエエエエエエエエ!!!!

 

40:ヒスイの調査兵

>>38

そうだけど、そうだけどさぁ!!

 

41:普通のカウンセラー

>>38

流石にそれは卑怯でしょwww

 

42:大地の虎

>>38

おっ?ガイアならいるっすよ!!

 

43:超次元中学生

あかんwwwww昔動画であったハイネがハイメガキャノンぶっ放すの思い出したwwww

 

44:D×D風紀委員長

>>43

あったあったwwwコアスプレンダーに配達員の人とか猫射出するあれなwwww

 

45:超次元中学生

俺はキラがトリィの着ぐるみで脱出する奴が好きだったwww

 

46:青春学園の熱血教師

俺はバルドフェルドに艦長やって貰おうとシートに珈琲豆撒いた奴www

 

47:光の国の戦士

私はカガリにカンペ→ユウナが僕は夫なんだぞ!!→いやだぁ!!→操作ミスバルカン発射wwww

 

48:CC立香

ルナマリアがセイバーのコクピットに頭ガンガンやってアスランが誰かぁ!!って焦る所www

 

49:纏め役の転生者

お前らそこらへんにしとけ。因みに俺は巨費を……投じすぎた……だwwww

 

50:ヒロアカエボルト

纏めニキ貴方もかwwww

 

 

「あれれ~?如何したの後輩君、凄いニコニコしちゃって不思議だね~」

「い、いえちょっと思い出し笑いっていうか何でもないです」

 

掲示板でのやり取りに思わず笑いながらも星辰はフライパンを振るっていた。緑谷達へのお見舞いも済み、事故処理も済んだので事務所へと帰って来てまた事務所での職場体験に戻ったのだが、また変わらずに厨房担当として腕を振るっている。

 

「(暗い話になったから気を利かせてくれたんですよね……有難う御座います、ニキにネキ)」

 

ヒーロー殺しの一件では様々な意味で重苦しくなっていた、それを彼らは知っていた。故にワザと掲示板らしく脱線して笑える話にしてくれたのだろう。その気遣いは有難いが、自分の中では整理はついている。仮面ライダーを目指すと。

 

「よし、特製スパイス入り炒飯出来ましたよ~」

「わ~い待ってた~!!」

 

食器に盛った料理を運びながらも星辰は固く決意した。この世界で仮面ライダーになってみせると、それがどんなに辛く厳しい物だとしても……エボルを必ず仮面ライダーにすると。

 

『いいねぇ相棒……その覚悟、それに呼応してハザードレベルも上がってやがる。クククッどんどん強くなっているようで俺は嬉しい限りだ』

「(ああ、有難うよ……エボルト一つだけ聞くぞ)」

 

その決意が関係しているのか、エボルトにも何処かこれ迄よりも積極的に話しかけられている星辰はある事を尋ねた。

 

「(お前は、フェーズ4に入った時……如何する気だ)」

『さて如何するかねぇ……』

 

フェーズ4。仮面ライダーエボルの本来の姿、この姿になった時……エボルトは自ら持つ力を最大限に使えるようになる。

 

『そもそもフェーズ4への移行が大変なんでね、まあ気長に考えてるさ。んじゃ俺は寝る』

 

そう言って引っ込んでいった締まったエボルトに星辰は一抹の不安を覚える。フェーズ4の移行、即ちエボルトリガーの復活が一歩一歩近くなってきている。そしてそれは……星辰自身もエボルトに極めて近い存在になり始めているという事でもある。

 

「どうなろうと俺は……目指すだけだ」




脱線は配慮ではなく完全に偶然。


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46スレ

「今日まで本当にお世話になりましたリューキュウ」

「いいえ此方こそ、すっかり厨房を任せちゃって本当にごめんなさいね。皆貴方の料理に釘付けになっちゃってね」

 

遂に終わりを告げた職場体験。今日を持ってそれを終了されて星辰は雄英へと戻る事になる。そんな日には事務所の所員総出で見送りが行われる事になった。

 

「うぅぅ……さらば美味な夜食……!!」

「あんな健康的な三食食べた事無かったわぁ……」

「あと一週間、いや三日だけでもいいからウチにいてくれよエボルぅ!!」

 

と完全にリューキュウ事務所の面々は完全に餌付けされてしまったのか、去ってしまう星辰の事を酷く残念がっていた。例えそれが食事目的だとしても自分の事を此処まで思ってくれるのは嬉しい限りである。

 

「そうだよ~もっと一緒に居ようよ~……ねっねっ!?」

「貴方もですかセンパイ……」

「ねじれ……」

 

思わずリューキュウが頭を抱えた。餌付けされたのは勿論ねじれも同じであった、特に後輩先輩と呼び合って仲が良かっただけに一緒に居られなくなるというのもあって一番ダメージが大きいと思われる。

 

「ちょっと迷惑かけちゃ駄目よねじれ、ホラッ」

「ムッ~……!!」

「雄英でならまた会えるじゃないですか、インターン以外の日の日程くれればその日にはお弁当作ってきますから」

「えっ本当!?やった~また後輩君のご飯食べれる~!!」

 

笑顔になって跳ねまわる姿を見て本当に現金なんだから……とリューキュウが苦笑するが星辰はこんな姿こそねじれだなと何処か満足気に頷くのであった。

 

「貴方さえ良ければインターンも是非ウチに来て欲しいわね。指名は絶対に送らせて貰うわね」

「ええ、来て良いのなら絶対きますよ」

「やった~後輩君と一緒にインターンだ~!!」

 

もう気が早いんだからと思いながらも、星辰はこの事務所で何処か自宅のような居心地の良さを感じていた。所員とはまるで家族のように接する事が出来るし食事の支度も楽しかった。そんな所から離れるのは少しばかり心苦しい気もする。

 

「それじゃあ、また来ますね」

「貴方のこれからの健闘を祈るわ―――仮面ライダーエボル」

「ええ―――それじゃあ……CHAO!!」

 

そう言われて笑顔を見せながら決め台詞のように言葉を告げながら去っていく彼を見送る、リューキュウとしても名残惜しいがそれは今度のインターンまで我慢しようと思うのである。そしてリューキュウ事務所は普段の業務に戻るのだが……

 

「あれ、リューキュウこのお弁当箱ってな~に?」

「えっ?変ね、まだ頼んでない筈だけど」

 

普段出前で取る弁当置き場に既に置かれている弁当の山。何時もは頼んでから受付でそれを受け取ってから置く事になっているのだが……そして一番上の弁当には封筒が置かれていた。ねじれから受け取って開けてみると……

 

『今日の分のお弁当です、皆さん頑張ってくださいね。それと俺のレシピも同封してきます、今度は一緒に料理しましょうね。仮面ライダーエボルこと、石動 星辰より』

「粋な事しちゃって……」

 

そう言いながらもリューキュウは星辰レシピを見つめながらもこのレシピをマスターして一緒に料理するのも悪くないかと頬を緩めながらも今日のお昼が今から待ち遠しくなってきてしまった気を引き締めるのであった。

 

 

―――翌日―――

 

「「ダハハハハハハハッッッマジかよ爆豪!!!!」」

「笑ってんじゃねえぞ殺すぞ……!!癖付いちまって洗っても戻らねぇんだよ……!!何時までも笑ってんじゃねぇ!!マジで殺すぞ!!」

「「やってみろや8:2坊や!!アハハハハハッッ!!!!」」

 

トップヒーローが一人、ベストジーニストの所に職場体験に行った爆豪は如何も満足の行ける体験が出来なかったらしい。寧ろ髪形を変えられたり色々と散々だったらしく、その上で瀬呂と切島に大爆笑されてキレ気味である。

 

「ヴィラン退治までやったの!?良いな~」

「基本後方支援とか避難誘導がメインだったから交戦まではしなかったけど」

「それでも凄いよ~」

「私もトレーニングとパトロールばっかりだったわ、一度隣国からの密入国者を捕まえた位かしら」

「「それ凄くない!?」」

 

矢張り教室で話される話題と言えばそれぞれの職場体験先の事ばかり、それも当然だろう。ヒーロー候補生である自分達が実際に活躍しているプロの現場に行ったのだから。

 

「星辰、リューキュウの事務所はどうだったの?」

「そうそう!!何せトップヒーローの一人だもんね、是非聞かせて~!!」

「ケロ、私も是非聞きたいわ」

 

そんな時に星辰は耳郎から話を振られた。何処か瞳が鋭いような気がするが……気のせいだと信じよう。

 

「基本は事務所での事務処理とかがメインだったかな、後はパトロールにトレーニングもそうだったし」

「やっぱり基本は同じな感じ?」

「そうだね、後は厨房を任せられたかな」

「ケロ?キッチンを任せられたって事かしら」

 

職場体験に行ってヒーロー事務所のキッチンを任せられるというのも妙な話なので食いつきがあった。

 

「リューキュウ事務所って忙しいから基本出前らしいんだ、それだと栄養バランスも取れないし折角立派なキッチンがあるのに全然利用されてなかったんだ。だから職場体験中は基本俺がご飯作ってたよ」

「へ~石動って料理出来るんだね」

「まあね、家はカフェやってるから」

「カフェ!!?」

 

それを聞いて芦戸が目を輝かせた。

 

「ねえねえ美味しいスイーツとかあったりする!?」

「勿論。ケーキにアイスにドーナッツ、色々あるよ。最近も新作のエクレア出したし」

「良いな~!!ねえねえねえ石動~お金出すから今度持って来てよ~!!」

 

そう言って軽く後ろから抱き着くようにしながらもスイーツを強請る芦戸、それに峰田は目を限界まで見開いて血の涙を流しているが、それよりも耳郎の視線が更に鋭く黒くなっていった。

 

「ケロ、耳郎ちゃん如何したの?」

「えっ!?い、いやなんでもない、ほら甘い物って言われたらちょっと気になって……」

「そうね、私も弟妹がいるからその辺りは気に掛けちゃうわね」

 

そんな風に誤魔化しつつも耳郎は良いでしょ~と強請る芦戸を強く見てしまった、やっぱり自分よりもスタイルが良い彼女の方がいいのだろうかとか色々な事を考えてしまっている。が、星辰は照れる所か一切顔色を変えなかった。

 

「お金なんて出して貰わなくても今度作って来るよ、カフェ nascitaのシェフとして腕を振るわせて貰うよ」

「えっマジでいいの!?」

「スイーツ系も俺の担当だからね、そんな風に望まれたら作らないわけにはいかないからね」

「やった~!!流石体育祭優勝者話が早くて助かる~!!」

「それ関係あるのかしら?」

 

恐らく関係ない。

 

「それにしても、石動ちゃんってお料理の他にお菓子作りも出来るのね。女子力が高いのね」

「単純に料理を作るのが好きなだけだよ、それに……料理ってヒーローと似てるしね」

「えっ似てんの?」

「似てるよ、ヒーローは困ってる人を笑顔にする。料理は食べに来た人を笑顔にする、ほら一緒」

 

そんな風に語る星辰の表情は酷く澄んで嬉しそうにしていた。それを聞いてきっと星辰はヒーローとしての適性が無かったとしても料理人として大成した事を伺わせた。

 

「折角だから今度ウチに来る?期末試験も近いしさ、勉強会って名目でウチに遊びおいでよ。父さんの珈琲と一緒に俺特製のスイーツでお出迎えさせて貰うよ」

「スイーツ!!行く行く絶対行く~!!梅雨ちゃん達も行こうよ~!!」

「楽しそうね、それなら私もお邪魔しちゃおうかしら?」

「ウ、ウチも行く。スイーツって言われたら気になっちゃうし」

「それじゃあ決まり~!!」

 

そんな風に友達が家に遊びに来ることが決まって星辰は思わず、花が咲いたような笑みを浮かべるのであった。何故ならば……前世では友達が殆どいないボッチ状態だったからである。居る事にはいたが、家に友達が遊びに来たと言った事はなかったので思わずワクワクしてしまっている。

 

「(せ、星辰の家……ど、どんな感じかな。カフェって言ってるしやっぱりお洒落な感じでジャズとかそう言うのが掛かってる系の家とか……あっまずい今お洒落な服とかなかった……!?洋服とか見に行かないと……!?)」

「それじゃあ何時行く~?アタシは何時でもいいよ~」

「私も大丈夫よ、石動ちゃんはカフェの事情とかあるからそれ次第かしら?」

「いやカフェは基本父さんと姉さんだから問題ないよ、今度の日曜日とかどう?」

「それじゃあ日曜日に決まり~!!」

「(今度の日曜日!!?服見に行く時間が……こうなったら土曜日の帰りに見に行くしかない……!!)」

 

と、耳郎は人知れずに百面相をしながらも何かを決意したような顔をするのであった。



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林間合宿編
47スレ


雄英は通常の高校と比べるとハードである。雄英は平日だけではなく土曜日にも授業がある。これだけでも他の高校と比べるときついと感じる生徒は多い事だろう平日は7時限まで存在している上に土曜日も6時限だが授業もある。相澤の言葉を借りるのならば、絶えず試練が与えられていく、これもその一つに含まれているのかもしれない。そしてやってきた日曜日。

 

「あ~もう直ぐかな~まだかな~」

「何ウキウキしてんだよ父さん、なんか新しい調理器具でも注文したのか?」

 

カフェ nascitaのシェフでもある星辰は何やらそわそわとしている父を見て首を傾げた。

 

「だって……今日は星辰のお友達が来るんだろ!?変な風に見られないようにキッチリ決めたからな!!」

「ああ、珍しく自分で早起きして顔洗ってると思ったら……」

「まあまあそう言わないの、アンタ今まで一回も友達を連れて来た事無かったじゃん?お父さんってば虐められてるじゃないかって凄い心配してたんだから」

「友達連れて来ない=虐めっていうのも随分な話だと思うけどなぁ……」

 

記憶が戻る前の自分は物静かで大人しい、休み時間には一人机で本を読んでいたり図書室に行ったりするタイプだったので友達を連れて来た事が無かった。故か父は父なりに心配していたらしい。

 

「んでどんな子が来るの?教えなさいよこのこの~」

「ウッザ……」

 

美空も美空で姉として弟が友達を連れて来る事に強い喜びを抱いている。体育祭の一件で目立っていたが、それはそれで心配になっていた。雄英でも上手くやれているのか、そう思っていたら数日前に友達を連れてきて勉強会をすると言われたのだから驚いたものだ。そんな事をしている開店前のnascitaの扉をノックする音が聞こえて来た。それに来た!?と反応する父と姉だが、それを押しのけて星辰が対応する。

 

「いらっしゃい皆」

「やっほ~石動~!!」

「お邪魔するわね石動ちゃん」

「お、お邪魔しま~す」

「失礼する」

 

本日やって来たのは芦戸、蛙吹、耳郎、そして常闇。常闇は後からの入りだが、不安な所もあるので是非と言ってきたので受け入れる事にした。精神的には女子だらけの中で一人にならずにすんで良かったと……心から胸を撫で下ろした。

 

「ねっ石動あそこで|ω・`)チラって感じでじっと見てるのって……」

「ああ、父さんと姉さん。何か俺が友達連れて来た事に感動してるんだって」

 

やめてくれと言ったのになんでああいう事をするのか……兎も角4人を伴って自分の部屋へと通す。

 

「悪いな、父さんと姉さんが」

「良いのよ別に。それよりも石動ちゃんってお友達を連れて来た事が無かったの?」

「まあね。雄英に入る前までは典型的なボッチだったから」

「え~なんか想像出来ないんだけど!?」

「うむ、同じく」

 

戦闘中は基本的にエボルトの声にしていたり社交的な一面がよく出ているのでイメージが全く合わない、まあそれは記憶を取り戻したから精神的なゆとりが出来たからなのだが……。

 

「それにしても此処が石動の部屋なんだ~」

「別に面白いもんはないと思うよ」

「(ってそうじゃんここ星辰の部屋じゃん!?)」

 

何の躊躇もなく通されてしまったが、此処は星辰の部屋。一階部分はカフェであり二階と三階部分が自宅となっている、休憩室も一応一階にあるのだがそこまで広くないので5人が揃って勉強できる程のスペースはない。なので部屋として広い自分の部屋に通したのである。が、それに耳郎は緊張しまくりであった。そもそも同い年の異性の部屋に入った事もないので余計に緊張しっぱなし。

 

「あっでもこの音楽スタンド凄くない!?凄いスピーカー大きい!!」

「音楽は身体で聞きたいタイプでね」

「これは……バイクのライダー系雑誌か、そう言えば石動はバイク通学だったか」

「それ読んでいろいろ勉強中」

「ケロケロ、良いお部屋だと思うわよ石動ちゃん。ねっ耳郎ちゃん」

「えっ!?ああうん、そうだと思うよ」

 

咄嗟に振られたのでそう返すのが精一杯だった、ホントはもっと気の利いた返事をするべきだったのでは……と軽く落ち込む耳郎なのであった。

 

「皆~アイスコーヒーで良かったかな、持ってきたよ~お代わり自由だから好きに言ってね~」

「あっ有難う御座いま~す!!一回で良いからカフェで本格的な珈琲って飲んでみたかったんだよね~!!」

「父さん……さっさと置いて出てけ、居座ろうとすんな」

「あっバレた?いってぇ蹴らないであいたぁ!!」

 

茶目っ気たっぷりにテヘペロしてくる惣一、それにもしもエボルトがやってると思ったら想像以上にイラっと来たのでケツに強烈な一撃を加えて部屋から追い出しておく。

 

「い、いいのお父さんにあんな事……」

「良いんだよ、そもそも俺がやるって言っておいたのにやってんだから色々とアウト」

「まあいいじゃない、面白いお父さんで」

「そう言って貰えて何よりです……まあ取り敢えず、皆今日は勉強会頑張ろっか?」

 

そう声を掛けると皆はアイスコーヒーを手に取りながらお~!!と意気込む、仮にも期末が近いのだからそろそろ気合を入れて勉強をしなければ……赤点なんて取りたくないというのが学生の気持ちである。

 

「あっ折角だからなんか音楽掛けながらやろうよ~石動なんかノリがいい音楽ある?」

「あ~……ならこれとか?」

 

そんなこんなで勉強会が始まったのであった。尚、掛かったのはライダーの主題歌であった。

 

「あっこの曲凄い良い……これ何処の奴なの?」

「フフッ内緒♪」

 

そう言って内緒にするのであった。

 

「えっとこの数式どうやるんだっけ……」

「三奈ちゃん、そこは計算式は合ってるけど答えが違うわよ?」

「えっマジで!?」

 

「ムゥッ……この文法は……」

「そこはこうだよ、ホラッこうすると分かりやすい」

「成程、こうすれば……」

 

「あ、あの星辰ウチも良いかな」

「勿論どこどこ?」

 

互いが互いの苦手分野を補い、得意分野を教え合ったりしていくので勉強会としては非常に中身の充実したものとなっていった。

 

「は~い、nascita特製のランチメニューになりま~す。本日は特製煮込みハンバーグセットだよ」

「やった~凄い美味しそ~!!」

「本当に凄いわ……これも石動ちゃんが作ったの?」

「モチ、腕を振るわせて頂きましたん」

「これは……絶品を越えた超越品……!!」

「マジだ、マジでその位美味しい……!?」

 

昼食には星辰特製のランチメニューを提供し、美味しくお腹を満たしてから再び勉強。3時のおやつの時間には休憩として芦戸がお目当てだったスイーツ系を御馳走。常闇を含めて全員が笑顔であったことに星辰は最高の笑顔を作ったのであった。そして夕方……

 

「あ~もう凄い勉強した~……でも凄い集中出来た~!!」

「本当ね、凄い実りがあった一日だと思うわ」

 

すっかり日も暮れて来てオレンジ色の空が見えてきた時間帯。今回の勉強会はこの辺りで切り上げる事になった、勉強はあまり得意じゃないと言っていた芦戸もなんだかんだで中々の集中力を見せて、仕上げを見る為のラストの小テストではなかなかの点数を叩きだしていた。

 

「俺も随分と苦手な部分がマシになった。感謝するぞ石動」

「いいってそんなの、そうだ皆これ」

 

そう言いながら星辰はnascitaのネームが入った紙箱を差し出してくれる。

 

「中には俺特製のエクレアとシュークリームが入ってるから、家に帰って食べて糖分補給してね」

「えっ良いの!?」

「その代わり、是非今度はお客様として当店にお越しください♪」

 

友達へのお土産兼宣伝と言った所である、だがそれでもまさかお菓子を持たせてくれるなんて思いもしなかったのか、皆驚いているが直ぐに笑顔をになった。

 

「うん絶対に来る、マジで来るから」

「カフェもいい雰囲気だったもんね~今度A組の皆誘ってこよ~よ」

「名案だな」

「そうね、そうしましょう」

 

そんなやり取りをしつつも皆は笑顔で帰っていった、初めての友達を家に呼んでしかも自分の部屋での勉強会。色々と緊張したがとても楽しかった……と思いに浸っていると鍵を閉める前だったのか、扉が開いて耳郎が顔を出した。

 

「あ、あのさ……アタシさ、まだまだ不安な所あるから……また、教えて貰ってもいい、かな……?」

 

途中で戻って来たと思われる耳郎は何処か恥ずかし気にそう言ってきた。そんな彼女への返答は―――決まってる。

 

「勿論いいよ、好きな時にアプリで声かけてね」

 

そんな風に言ってくれる星辰の表情は本当に輝いているようだったと耳郎は感じた。そして耳と顔を赤くしながらも顔を伏せて有難うというのが精一杯だった。そしてそのまま駆け足で去って行ってしまった。

 

「約束、しちゃった……♪」

 

一人、帰り道を行く耳郎は思わずスキップをしてしまっていた。誰にも内緒で二人だけの勉強会が出来るかもしれない、と思うと本当にニヤケそうになる自分を抑えきれなくなる。

 

「これ、大事に食べよ……♪」

 

星辰から貰った紙箱を大事そうに抱える耳郎の姿は正しく恋する乙女なのであった。

 

 

 

『おうおう青春してるねぇ~……相棒、お前さんは期末試験に向けてなんかやらなくていいのかよ。実技もあんだろ?』

「あっそうだった……まあ、大丈夫だろ」

『そんなんで大丈夫なのかねぇ~……まあどうでもいいけどよ、久しぶりにボトルでも作ってみろ、鈍ってていざって時に適切なボトル作れませんでした、じゃ話になんねぇぞ』

「ったくうるさいな……お前に言われなくたってやってやるよ」

 

そう呟きつつも星辰は自室へと戻っていくのであった。だがその言葉も正論なので作るだけボトルを作るかと凝っていた肩を回すのであった。

 

 

 

 

 

『これで揃うな』

 

誰もいない星辰の中、精神世界とも言うべき所にエボルトはいた。そして自らの思惑通りに事が進んでいる事に低い笑いを浮かべていた。

 

『相棒、お前は心のどこかで油断してるだろうがそれじゃ無駄だぜ。エボルトリガーはこの世界でも作り出せる』

 

その表情は……星々を狩る一族、ブラッド族に相応しい邪悪で恐ろしい物だった。そしてエボルトは形になり始めているそれを手の中で遊ばせながら言った。

 

『パンドラボックスはこの世界にない、確かにないかもな……だが違うんだな、お前がパンドラボックスなんだよ。お前さえいれば俺は、いや俺とお前は完全になれる。ああ、今からその時が楽しみでしょうがないなぁ……クククッハハハハハハハ!!!!』



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48スレ

エボルト、エボル、EVOL。

 

自分の中にある力、転生によって得た力。余りにも大きすぎる力は常に自分のある種の最悪の未来を見せ続けている。星の終末と終焉を導く、それがあるべき姿。つまり……最悪のヴィラン、星その物を消し去る宇宙の災厄。それがフェーズ4、エボルとしての完成形だ。

 

しかし同時に思うのだ、どうやってエボルトリガーを作り出すのか……こうしてボトルを作り出しながらも思いは止まらない、この世界にはパンドラボックスは存在しない。ならどうやってそれを作り出す、そう思った時に考えれる可能性は一つしかなかった。

 

「(パンドラボックスは……俺、なんじゃないのか……?)」

 

 

「ねえ星辰、如何したのなんかボンヤリしてるけど」

「えっしてた?ごめん全然気づかなかったよ」

 

日曜日、他の皆とは予定が合わなかったので唯一予定があった……実際は無理矢理合わせた耳郎が星辰の家にやって来て勉強会を行っていた。その最中に星辰はどことなくボンヤリとしてしまっていた、そのつもりはなかった。というよりも完全な無意識だったのか自分が何を考えていたのかすら分かっていなかった。

 

「やっぱり情報学の歴史って一番苦手ぇ……なんていうかさ、若干説教臭くない?」

「まあ何となく分かるかなぁ……俺達としてはもう当たり前の事を繰り返し言われてるみたいな感じだもんね」

 

今やっているのはヒーロー情報学、所謂個性社会の歴史の勉強である。今の社会に至るまで、ヒーローの成り立ちや個性の扱いなどについての事。当たり前の事ではあるが時代が変われば常識なんて変化していく、昔から見れば今の超常社会なんてあり得ない社会であり、今から見れば昔の社会なんてあり得ない。

 

「……ステインが目指したのはきっと、この時代のヒーローなんだろうな」

「えっ?」

「まだヒーローが資格制の職業として確立される前、本当の意味での人々の為だけに戦った真の英雄たち。それに憧れたんだ」

 

ヒーローとは見返りを求めてはならない。自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない。というのがステインの主張、それは正しくこの時代に活躍したヒーローを指す。超常も物語の中にしか存在しなかった前世を生きた身としては理解出来る。

 

「星辰はさ、ステインの主張を肯定する?」

「……いや理解と共感はするけど肯定はしない、そんな事が出来る程俺は偉くないし俺にあるのはせいぜい偽善だからね」

 

自分の中にあるのはエボルトのような巨悪になりたくない、だからこそヒーローを目指す事で(エボルト)を封じ込める事。正直言って誰かを助けたいと思ってヒーローを目指す人からすれば余りにも自己的過ぎて正しく贋物の正義、偽善だ。だがそれでも良いと思っている。絶対的な正義なんてないんだから。

 

「でもさ、偽善でも誰かの為になれるって良くない?ウチだってヒーローになりたいって思ってるけどそれが純粋なのかって言われたら微妙だと思うし、誰だってオールマイトになれる訳じゃない。だったら出来る範囲でヒーローやるのもいいんじゃない、全ての人を救うなんて傲慢だし合理的じゃないって相澤先生だっていうと思う」

「―――確かに。絶対に無理だ、合理的そして物理的に考えろって言いそう」

「でしょ」

 

そんな事を言い合っていると自然と笑いが込み上げて来る、そうだ自己的で結構。自意識過剰な正義の味方なんて結構じゃないか、自分のエゴを拡大して人々を守る、それで良いじゃないか。それで救われる人がいる、そもそも人なんて自己中心的な生き物だそれでいいんだよと何時の間にか納得していた。

 

「―――アリガト耳郎さん」

「な、何急に」

「いや、何となく有難う御座います」

「や、やめてよ急に……」

 

突然の感謝に顔を赤くしながらも口元を自分のプラグで隠すようにする、そしてすぐに何か思いつくと悪い顔をしながら言った。

 

「んじゃ感謝を物品で表してよ」

「そう来ましたか、ケーキなら2つ出すよ」

「もう一声、3つとアンタの持ってる音楽の焼き増し(コピー)で手打つよ」

「結構強欲だなぁ……まあいいか、分かったよ耳郎さん」

「好い加減名前で呼べっつの星辰」

 

そんなこんなで勉強会も継続していく中で遂に期末試験の日がやってきた、日曜日だけではなく学校でも昼休みや放課後も使って図書室を利用して勉強したりなどもしたので手応えは抜群だった。

 

『あっ其処の答え間違ってんぞ』

「(あっマジ?って入ってくんなよ!?)」

『別にいいじゃねぇか相棒。ほれ早く直せ』

「(ズルしてるみてぇで嫌なんだよ!!)」

『ズルじゃねえだろ、相澤的に言わせれば個性の有効活用だ』

 

といった風にエボルトの介入もちょくちょくあったりした。そのせいか、時折星辰の机から何かが割れるような音が聞こえて来たという。テストの回収も済んだところで実技試験前の少しの休憩時間に耳郎がすっ飛んできた。

 

「アンタのお陰で情報学完璧だった……マジで感謝」

「良いって良いって」

「あっやっぱり完璧だった!?こっちパーペキだったよ~!」

「ケロ、私も中々の手応えだったわ」

「同じく」

 

と勉強会に参加していたメンバー全員がなかなかの手応えを感じる事が出来ていた。中間では不安の残る点数ではあったが、今回は自信を持って点数を待つ事が出来る。そして―――次は実技試験。場所は実技試験会場中央広場、そこでコスチュームを纏ったA組メンバーを待っていたのは……相澤やミッドナイトを始めとしたプロヒーローでもある教員の面々であった。

 

「それでは演習試験に入る。当然これにも赤点はある、補修地獄に遭いたくなきゃ死ぬ気で乗り越えてみろ」

「あれ、先生多い……?」

 

全員がコスチュームを纏っている中で集合、間もなく行われる演習試験に向けて気合を入れるのだが……明らかに先生の数が多い。相澤にエクトプラズム、セメントスにミッドナイト、13号にパワーローダーと雄英が誇る教師陣が集結している。ヴィランが前にしたら絶望必死だろう。

 

「尚、君達なら事前に情報を仕入れてこの試験の事を聞いてるかもしれんが生憎その情報は無駄になった」

「「……えっ」」

 

その言葉に絶望し真っ白になったのは上鳴と芦戸であった。情報ではロボ相手の演習という話だった、この二人に共通しているのは対人相手では全力で個性を使いづらいという事。だがロボ相手ならば一切の加減をする事なくぶつかっていけると踏んでいたのだが……どうやら変わっているらしい。

 

「残念!!今回から内容を変更しちゃうのさ!!」

『校長先生!!?』

 

相澤の捕縛布の中から顔を出す根津、その口から語れるのは変更するのは試験をロボから対人戦、つまり教師との対決へと変更。ヴィランの活性化を警戒してより実戦的な物に変更し、より高みを目指した教育の為との事。そして、これから行われるのは二人一組か、三人一組での教師と戦う試験となる。

 

「ペアの組と対戦する教師は既に決まっている。動きの傾向や成績、親密度…その他諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ」

 

発表されていく組み合わせ、星辰は一体どうなるのかとドキドキしながら待っていると遂に自分の名前が呼ばれた。

「石動、そして麗日」

「あっ一緒みたいやね」

「みたいだね」 

 

この二人の組み合わせ、そしてその相手とは……

 

「僕が相手ですよ」

「えっ13号先生が!?」

 

 

それを語るにはまず数日前の事、学校の一室では教師らが集まりA組の演習試験によるペアの検討が行われていた。試験の変更理由はヴィランの活性化、生徒達を危険に晒さない為に教師は何をするのか、そう言われたら生徒達を更に強くすること。その為に壁になる、それが変更理由だった。

 

「んで石動ですが……正直言って、こいつが一番の難題です」

 

そう言われて校長を含む全員が首を縦に振る。

 

「戦闘力は言わずもがな、それだけに飽き足らずアイテムの創造能力すらある。そのアイテムの性能は圧倒的、しかも発展が見て取れる。何処まで伸びるが末恐ろしい存在」

「全くだ。体育祭でも二段階の進化を見せた、しかも爆豪との戦いは途轍もなかった」

「本当にとんでもねぇHOT BOYだぜ!!」

 

軽く驚けてみせるがマイクも星辰の異常性は分かっている。幾らなんでも個性の幅が広すぎる、無理矢理A組の生徒で表現するならば緑谷と八百万のハイブリットとも言うべきとんでもない個性。その相手を誰にするか……個性を無効化出来るイレイザーヘッドか、それとも相手を眠らせるミッドナイトか、それとも相手の何手先を容易く読み取る根津か……悩む中、一人が手を上げる。

 

「僕がしましょう」

 

それは13号だった。

 

「良いのか13号、生徒とはいえかなりきついぞ?」

「それは承知です、ですが誰かは相手をして導かなければいけません。それとも貴方がしますかブラドキング?」

「ムッ」

 

まさかそう返されるとは思ったなかったのか口籠ってしまうブラドキング。だが相手として壁に成りえるのか?という疑問もある。

 

「僕の個性はブラックホール、USJでは不覚を取りましたが……今度は油断せずに努めます」

 

13号の個性はブラックホール。いかなるものをも吸い込み、分子レベルで崩壊させる虚実の穴。その重力に囚われたら光すら脱出出来ない。確かにどんなアイテムを作ろうが、どんな身体能力だろうが無意味と化す重力の井戸。一番的確かもしれない。

 

「それに……私は彼を導きたいのです、USJで自らの不安を吐露した石動君を」

「そう言えばあいつ……」

 

その言葉で相澤はUSJでの事を思い出した。

 

『―――っ……ただ、唯何かを破滅させる事に特化してしまっているような個性でも、誰かを助けて救う事が出来ますか?』

 

13号の言葉に強く反応していた星辰。しかも破壊ではない、破滅に特化したと言っていた。つまり、星辰の個性の本質は破滅、その存在価値を失わせて滅ぼす個性。だからこそ13号は手を上げた、ブラックホールも本質的には破滅を齎す物でしかないから。

 

「先達として、壁になりましょう。そして僕の重力を超えられた時、彼は一つ壁を越える事でしょう」

「……分かりました、では石動は13号先生に任せます。そしてそのペアですが……ブラックホール繋がりで重力、麗日にするつもりですが如何ですか」

『異議なし』

 

 

「という訳ですので、お二人とも全力で来てくださいね。僕はそう簡単に超えられる壁ではありませんよ」

「望む所……!!」

「うん、頑張ろうね石動君!!」

 

待ち兼ねるは最強の姿と同じ力を持つ13号、それに如何立ち向かう……仮面ライダーエボル。



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49スレ

「改めて宜しくね石動君」

「此方こそ」

 

実技試験にはそれぞれ試験場が設定され、そこにはバスで向かう事になっている。そして試験は一斉にスタートされるので早速バスに乗車して試験場へと向かう、当然試験相手である13号先生も一緒なのは少しばかり違和感もあるが……。

 

「作戦会議しても大丈夫です。僕はその間耳を塞いでおきますので」

 

そんな配慮をしながら一番前の席に座り直す先生に頭を下げながらも一応一番後ろの席に移動して話し合う。

 

「でもどうしてこのペアになったんだろうね、あっ別にいやって訳じゃないよ!?寧ろ凄い心強いし!!」

「大丈夫分かってるよ。試験なんだから色々と意味があるとは思うけど……あり得ると思ったら課題かな」

 

このペアというのも必ず意味があるだろう、試験なので自分達にとって相性の悪い個性をぶつけてそれをいかに乗り越えるかを見ようとしているのが一番ベター。そう考えるとこの組み合わせはある種妥当……自分の行き着く先はブラックホールなのだから。様々な話し合いをしている間に試験場に到着、そこで改めて試験についての詳しい説明が行われた。

 

「それではルールを説明しますね。制限時間は30分、君達はハンドカフスを教師()にかけるかチームの一人が試験場から脱出する事が出来れば条件を達成です。勿論、個性の相性が悪い場合には逃げる事も許可されています。これも立派な戦術です。そして僕達試験官はこの体重の半分の重りを付けて試験を行います」

「重り……えっと50キロだとしたら25キロの重り!?す、凄い重さや……」

「それだけ、俺達と先生たちの実力の差は大きいって事か……」

 

そう言いながら重りを装着する13号、仮に自分がコブラフォームの状態でそれを付ける場合には54キロの追加重量を感じる訳だ。これは機動力系ヒーローであればあるだけキツいハンデになる相当な物、そして自分達とはそれだけのハンデがなければ埋められないさがあるという事でもある。

 

「先生皆それ着けるって凄い大変そう」

「心配して頂けて嬉しいですけど大丈夫ですよ、プロヒーローならば人一人を担いで長距離を移動する事もざらですから」

「成程そう思えば問題は……あっ」

 

此処である事に気付いたのか、星辰は思わず声を上げた。

 

「如何したの?」

「いやさ、オールマイト先生も同じ重り着けるんですよね?」

「ええ。オールマイト先生の場合は……100キロオーバーですかね」

「うわすごっ!?でもそれがどうかしたん?」

「いやさ……オールマイトにそんな重りって意味あるのかな、寧ろ重みの影響で打撃の威力とか上がりそうな気がするんだけど……」

「「……確かに」」

 

そんな素朴な疑問に思わず二人からも同じ意見が出てしまった。オールマイトの相手は緑谷と爆豪のペア、まともに連携が出来るのかと不安が生まれるペアだがそれ以上別な不安が募って来た。

 

「えっそれってデク君たち大丈夫なんかな……?」

「い、いやまあ……大丈夫、じゃないかな……あの二人だし」

「……一応僕の方でリカバリーガールに注意してくださいと言っておきますね」

 

結果。オールマイトの試験は全然大丈夫ではなかったのだがそれはまた何れ語るとしよう。兎も角まずは自分達の試験に集中する事にしよう、13号と別れて指示されたスタート地点に立つ。

 

【石動、麗日チーム。演習試験……READY GO!!】

 

開始の合図がされる、これから30分以内にクリアしなければならない。試験場はドーム状の建物の中、十二分に広く機動力も確保出来るし麗日の無重力による三次元移動も活きる状況が整えられている。

 

「よしそれじゃあどんな作戦で行く、先生を捕まえるか逃げるか」

「まあ、俺との相性は分からないけど……麗日さんとの相性は最悪だよね……ブラックホールって」

「ウチもそう思う」

 

取り敢えず出口を目指しつつも会話を続ける。超重力の井戸であるブラックホールに無重力で浮かせたものなんて無意味、瞬時に吸い込まれて塵にされてしまう。だから何かを無重力にして相手に投げつけても効果はない、故に使える手段はかなり限られてくる。

 

「と言っても俺の攻撃とかも多分ブラックホールで無意味にされる……」

「後は……職場体験でガンヘッドさんの所で習ったマーシャルアーツぐらい……」

「ガンヘッドマーシャルアーツ……ブラックホールを越えられれば何とか、なるかな……?」

 

様々な事を思案しつつ、進んでいくと脱出ゲートとその前に立つ13号の姿が見えて来た。

 

「やっぱりあそこで待機か……取り敢えず―――やりますか」

「うん、やろう!!」

 

そんな言葉を送り合いながらハイタッチと拳を合わせてから覚悟を決めて出る事にした。相手に位置を探られないように物陰に隠れつつもトランスチームガンにスチームブレードを連結してライフルモードへとしながらフルボトルを装填する。

 

『さぁてブラックホールなんて親近感が湧くねぇ……相棒、どう攻略するよ』

「(さぁて……色々とぶつけてみるだけ!!)」

 

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

 

明後日の方向へと向けて引き金を引くがトランスチームライフルから放たれたロケット型の弾丸は正確に13号へと向かって飛んでいく。

 

「来ましたね、でも」

 

誘導弾が向かって来るのに13号は一切動揺せずに指先を向けるとそこへ周囲の空気が一気に吸い込まれていく、誘導弾は次々と吸い込まれていく。空気と共に吸い込まれていく、いや吸い込まれていく過程で既に分解が始まりかけている。そして指先に近づくと一気に分解されていく。

 

「こりゃマジのブラックホールですわ……アハハハッマジで如何しよう」

「石動君~!?」

 

弾頭の途中爆破を試みても無駄だった、これは想像以上に強い個性と言わざるを得ない。

 

「―――ってな感じ、大丈夫?」

「うん多分!!」

「―――いっちょ試してみるか!!」

 

勢い物陰から飛びだすとそのまま高速移動を開始する。飯田のレシプロバーストにすら追い付くほどの超高速移動を開始する。

 

「これは、流石に速い!!」

 

赤い残像を残すようにしながらも駆け抜けていく星辰に13号も称賛の声を出す。指を向けるが向けた時には既にそこにいない、ブラックホール自体は恐ろしいがその照準を合わせるのは人間である13号自身。しかも重りで動きが鈍い所を突こうとした。

 

「成程、確かにいい作戦ですね―――でもそれならこれで如何ですか!!」

 

右手を開きながら全ての指先で個性を発動、超広範囲での吸い込みが行われる。5本での吸い込みなので単純計算で5倍のパワーで吸い寄せられる事になり、流石のエボルもその重力に捕まりそうになり動きが一気に鈍くなる。その最中、ライフルに新しくボトルを装填しながらも後方の壁へとトリガーを引いた。

 

STEAM ATTACK!!

 

青いエネルギー弾は壁へと命中するが、なんの破壊も齎さない。一瞬13号も首をかしげるが、即座に今度は自分目掛けてトリガーを引いた。一体何をと思ったが、先程までまともに動けなかった筈の星辰が確りと立って此方を見据えて来た。

 

「へへっ……磁力の力ってのも強力な物なんですよ先生!!」

「壁と自分に磁力を付与したのですか……!!」

 

そう、使ったのはマグネットフルボトル。壁にS極、自分にN極を付与する事で星辰は自らを壁に吸い寄せるようにした。それでブラックホールの重力に対抗しているのである。

 

「成程、良い手段です。でも―――相方さんは如何します?」

「石動君ゴメンんんん!!」

 

視線の先ではもう片方の手で麗日を吸い込もうとして完全に動きを封じていていた、しかも少しずつ麗日の方へと歩いて行っている。自分の向ける個性の出力を強めながら。

 

「(まったく油断もしない、隠れながら麗日さんに隙を見ておばけフルボトルの一撃を加えて姿を消させるつもりだったのに……!!)」

『そう簡単には行かねぇってこった、さあ如何する?』

「だったら―――こうだ!!」

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

 

再度、ボトルを装填し直してトリガーを引いた。13号は今度は何をしてくるのかと思いながらも警戒を解かなかった……つもりだが突如として星辰の姿が完全に掻き消えた。

 

「えっ!?いや何処に……温度センサーにも反応なし!?完全に消えたというのですか!?」

「えっ石動君何処行ったん!?」

 

あり得ない、5本の指のブラックホールから逃れるなんて……しかもただ逃れるだけではない、コスチュームのセンサー類からも引っかかる事もなく完全に掻き消えたのだ。どうやって……と思ったその時、唐突に麗日が宙を舞った。

 

「う、うわぁっ飛んどる!?」

「何ですって!?」

 

一瞬の動揺、星辰の事に気が取られて引力が弱まったその瞬間に麗日は宙を待ったのだ。だが無重力ならば簡単に……違う、それをやっているのは―――

 

「こういう手があったんだよなぁ!!」

「どっから出て来たん!?ってあっそっか自分にやってんやね!!」

「そ言う事♪さあ決めるよ!!」

 

星辰だった。お姫様抱っこのように麗日を抱き上げながらも即座に作戦決行の合図を送るとそのまま麗日を投げ飛ばす。即座に麗日は自身を無重力にして浮かび上がる、それを逃がすまいと13号は指を向けようとするが―――

 

「そう来ると思ってましたよ!!」

 

それはフェイント。空中を跳ねるようにして勢いよく迫って来る星辰へと先程と同じ5本指での重力で引き寄せながらも拳を構えていた。ブラックホールを利用したカウンター、バレてもいい、バレたとしても重力に囚われた時点で回避は不可能。そのまま星辰は引き寄せられて行くが―――

 

「俺はこの時を待ってたんだよぉ!!まさか此処でお目に掛かれるなんてなぁ―――さあ貰うぞそのエネルギーを!!」

 

突如として星辰の声がエボルトの物に変わる、右腕に光を収束させていくとブラックホールを閉じられるよりも前にそれを空間へと叩きつけた。余りにも奇怪な行動に流石の13号も驚愕した。しかも空間を確りと殴れているのか、大気に罅まで入っている。

 

「空間を、殴った!!?」

「さあ、新たなフェーズへの引き金だぁ!!」

「そこっだぁぁぁぁぁ!!!」

 

完全に意識が星辰へと向いたところへ真上から無重力を解除した麗日がバトルヒーロー・ガンヘッドの元で習ったG・H・M、ガンヘッドマーシャルアーツを落下の勢いを利用しながら一瞬で13号の腕を極めた。

 

「ウグッ!?し、しまった!?」

「13号先生―――確保ぉぉぉぉ!!!」

 

そしてそのまま13号の腕にハンドカフスを掛ける事に成功した。極めて難関ではあったが二人は何とか試験をクリアする事に成功した。

 

「―――お見事、最初から想定していた石動君が囮になって麗日さんが僕を捕まえるという形になったという訳ですね」

「いや最初とは随分と違って完全にアドリブだったんですけどね」

 

照れながらも嬉しそうにしている麗日を見ながらも13号は感心していた。アドリブならば特に良い。プロヒーローは突発的に他のヒーローと協力する場面に遭遇する事もある、そこで求められるはアドリブ、つまる所対応力。それを咄嗟に出来てそれで当初の予定通りに出来たのならば言う事がない。

 

「しかし石動君にも驚かされました、まさか空間を殴り付けるなんて―――石動君?」

 

立ち上がりながらも星辰にも声を掛けようとするのだが……そこには静かに立ったまま、手の中にある何かをジッと見つめている彼の姿があった。それは何やら銃にあるトリガーにも見えるが石のようにも見える。

 

「石動君、如何したの……?」

 

おずおずと麗日が声を掛けた時、ゆっくりと星辰は麗日の方を向いた。そしてそのままゆっくりを歩きだした。その時に13号が感じたのは……異常なまでの怒りだった。ほんの一瞬、マイクロレベル時間に漏れ出たそれに13号は寒気を覚えた。

 

「―――下がって下さい!」

「えっ?」

 

その言葉が間に合う訳もなく、星辰は麗日の目の前に到達した。そして手を上げて―――

 

「流石麗日さん!!あんないきなり投げちゃったのによく対応で来たよね!」

「えっそりゃまあ、ほら浮かぶのなんて何時もやってるような物だし!!」

「ハハハッそりゃそうか!!」

 

麗日の前へと手を出しながら嬉しそうに言葉を弾ませた、そしてそのままハイタッチをして無事に切り抜けた事を喜び合った。それを見て呆然としてしまうが、先程の事で少し疲れてしまったのかな?と13号はそこまで自分が追い込まれたという事か、と納得しながらも生徒達の成長を喜んだ。

 

 

 

 

「(エボルトお前、麗日さんに何をしようとした!!)」

『……フン、折角フェーズが進むと思ったのに肩透かしを食らったんでな。デコピンでもしてやろうと思ったんだよ』

「(まさかとは思ってたけど、13号先生のブラックホールを利用してトリガーを作り出そうとしてたのか)」

『必要だろう俺達にとっては……しかも相棒、お前まで途中で邪魔しやがって……』

 

そう呟きながらも極めて残念がるエボルトの手の中にはそれがあった……。未完成ではあるが、破滅の引き金が確りと作り出されていた。



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50スレ

1:ヒロアカエボルト

エボルトがエボルトリガーを手にしました。ああいや、俺もなのか?

不完全で今は使えませんが。

 

2:無法地帯の料理人

>>1

スレ立て乙……っていきなり何言ってんのぉ!!!!??

 

3:D×D風紀委員長

乙ですイッチってぇエボルトリガーだぁ!!?

 

4:普通のカウンセラー

ちょ、冗談抜きでやばいんじゃないの!?

 

5:青春学園の熱血教師

地球がやばい。

 

6:IS世界のメンタルセラピスト

誇張表現抜きでなぁ!!!

 

7:円卓の鬼

俺、ライダーって詳しくないけどそのトリガーってやばいのか?

 

8:クトゥルフ系狩人

俺も同じ事聞こうと思ってた。

 

9:大地の虎

同じくっす。

 

10:纏め役の転生者

エボルトリガーはエボルト、ひいては仮面ライダーエボルが使うアイテムだ。

これを使う事で仮面ライダーエボルは最強形態のブラックホールフォームになる。

 

本当はパンドラボックスで作りだすんだが……それをなしでやったのか。

 

11:ヒロアカエボルト

期末試験の実技で俺は試験官が13号先生だったんです。

 

12:CC立香

ああそうか!13号の個性ってそのままブラックホールだっけ!?

それを利用したんだね!?

 

13:超次元中学生

マァジかよ……エボルトもそうだけどヒロアカもやべぇな。

人一人がブラックホール作り出せるって……。

 

14:ヒスイの調査兵

ンな事行ってたらライダーの生みの親である石ノ森先生の作品だと

もっとやばいのもいるけどな……兎も角、ウルトラニキ~!!

 

15:D×D風紀委員長

ああそうだ!!私達にはウルトラニキという切り札がいました!!

 

16:光の国の戦士

何か呼びました?

 

17:普通のカウンセラー

何か呼びました?じゃないわよ!!出番よ、エボルトが本格的に動き出したの!!

 

18:エボルトヒロアカ

おいおいおい随分な言い草だな、フェーズを進めた事がそんなに気に入らないか。

 

19:円卓の鬼

こいついけしゃあしゃあと出て来たぞ!?

 

20:エボルトヒロアカ

一つ聞いとくが、今のままで俺達は良いと思ってんのか?

言っておくが相棒はヴィラン連合に目を付けられてる身だ、その為に戦力増強は

当たり前だと思うがねぇ~。

 

21:IS世界のメンタルセラピスト

そんな言い訳で許されると思ってんのかテメェ!!

 

22:D×D風紀委員長

ウルトラニキやっちゃってください!!

必殺のコズミューム光線で何とかしてくださいよぉ~!!!

 

23:光の国の戦士

……続けなさい。

 

24:ヒスイの調査兵

ウルトラニキ!?

 

25:纏め役の転生者

いや俺も賛成だ、続けろエボルト。

 

26:青春学園の熱血教師

ちょっ二人とも!?

 

27:大地の虎

どういう事っすか!?

 

28:エボルトヒロアカ

相棒はUSJとヒーロー殺しと関わって来た。さて問題だ、この二つの共通点は?

 

29:CC立香

>>28

ヴィラン連合の脳無、だね?

 

30:エボルトヒロアカ

>>29

正解!!特にUSJじゃ脳無を一人で倒してる。あの、オールマイト対策の一角をな。

つまりだ、相棒は何時連合に狙いにされたも可笑しくねぇって訳だ。連合の雑魚程度目じゃねぇが

その奥の奥、リーダーを育てる悪意には切り札が居るだろう。

 

31:無法地帯の料理人

オール・フォー・ワン……。

 

32:普通のカウンセラー

……確かにエボルダイナソーでも勝てるとは思えないのが素直な感想だけど……。

 

33:CC立香

あれはなぁ~……単純な身体能力だけではキツいってのはオールマイトが実証済みだしね。

 

34:クトゥルフ系狩人

そんなにやばいのか、オール・フォー・ワンって……。

 

35:円卓の鬼

皆は、一人の為だったっけ……?

 

36:纏め役の転生者

>>35

そうだ。僕のヒーローアカデミアにおける悪の帝王だ。

オールマイト、いや彼が引き継いだ個性、ワン・フォー・オールが倒そうとする宿敵。

オールマイトが腹に穴を開けられるという重傷を負いつつも倒した。

だが生命維持装置がないと生きてられないがそれでも生き延びた。

そして再び、ヴィラン連合の背後に潜む巨悪として活動してるヴィランだ。

個性は名が表している、オール・フォー・ワンだ。

 

37:CC立香

これが厄介でね……他者の"個性"を奪い自身の"個性"にする。そしてそれを使う事も出来れば

それを他者に与える事も出来る。脳無もそれを利用して作られたんだよ。

 

38:超次元中学生

文字通りの化物って事か……

 

39:ヒスイの調査兵

皆は一人の為に、一人は皆の為に……対照的だな。

 

40:普通のカウンセラー

実際そうよ。ワン・フォー・オールはオール・フォー・ワンの弟さんに無理矢理個性を与えた事で

誕生したのよ。唯個性を与えるだけの個性に力をストックする個性が加わって変質。

そしてワン・フォー・オールが生まれたのよ。

 

41:ヒロアカエボルト

……仮面ライダーに似てるってそういう事なんだ。

 

42:光の国の戦士

悪より正義は生まれいずる、正しくその通りだったわけですね。

 

43:エボルトヒロアカ

ンでそんな巨悪に……エボルダイナソーだけで勝てると思ってるのか?

はっ無理だな、それはオールマイトが実証済み、そして相棒はオールマイトよりずっと弱い。

だからこそ切り札がいるのさ、俺だって死ぬのはごめんだからな。

 

44:IS世界のメンタルセラピスト

対オール・フォー・ワンの切り札として、エボルトリガーか……。

分からなくはないけど、それって結局勝った方が最大の敵になるだけです、にならねぇ?

 

45:D×D風紀委員長

そうだ、フェーズ4になった途端にイッチを乗っ取る可能性だって否定できません。

 

46:エボルトヒロアカ

疑り深いねぇ……なら好きにすりゃいい、相棒だけの力じゃフェーズは3が限界だ。

それを試すと良い、林間合宿でな。

 

47:システム

 

―――エボルトヒロアカが掲示板からログアウトしました―――

 

 

48:大地の虎

いうだけ言って、ログアウトしやがった……。

 

49:普通のカウンセラー

んで、結局の所どうなのよお二人さん。エボルトに続けさせた感想は。

 

50:光の国の戦士

……何とも言えませんね。本音が7割、3割嘘と言った所でしょうか。

 

51:纏め役の転生者

同じく。死ぬのを避けたいのは本当だろう、だがまだ真実を隠してる。

 

52:D×D風紀委員長

ビルド本編でも立場とかコロコロでしたからねぇ……。

 

53:ヒスイの調査兵

結局、イッチが何とかするしかねぇじゃねえかな。

エボルトの思惑通りにさせないにしろ、それを利用するにしろ。

 

54:無法地帯の料理人

それは言えてる。結局俺達は別の世界にいるからねぇ……。

 

55:CC立香

イッチはどう思う?エボルトの事。

 

56:ヒロアカエボルト

さあ?ただ、一つ言えるとすれば……

 

57:IS世界のメンタルセラピスト

すれば?

 

58:ヒロアカエボルト

―――俺もエボルトって事です。

 

59:ヒスイの調査兵

―――は?

 

60:クトゥルフ系狩人

どういう事?

 

61:ヒロアカエボルト

そう言う、事です。

 

 

 

 

『よう相棒、話は終わったかい』

「まあな」

 

態々試験後の語らいすら遠慮して一人になった星辰は語り掛けて来たエボルトに対して声を出した。

 

「エボルト、俺にはお前の思考が段々だが理解出来て来た」

『そりゃ上出来だ、ンで何が分かった』

「―――お前、謀ったろ」

 

それを聞いてエボルトは益々笑いを濃くした。

 

『フフフッ……ハザードレベルも良い具合だな』

「誤魔化すな。試しただろ、俺を」

『さて如何かな。まあ精々よく考える事だな、仮面ライダーエボルさんよ』

 

星辰は拳を握り込んだ、13号のブラックホールをその身で感じて凄い武者震いを覚えていた。何れ自分もあの力を手にするのか、と不思議な高揚感すらあった。だがそれを抑えつけながらも深く深く息を吸った。そして笑った。

 

「……上等だエボルト、俺は仮面ライダーになる。そう決めたんだ」

『楽しみにしてるぜ、その日が来る事をな』



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51スレ

いよいよ始まる林間合宿、A組の全員はバスへと乗り込んで林間合宿の舞台へと道路を突き進んでいた。バスの中は非常に騒がしく賑やかなままで相澤が注意もしないのでそのままの喧騒のままバスは突き進んでいく。それに何処か言葉に出来ないような不安を抱えている物も居たが、そんな者なんて無視するようにバスはどんどんと進んでいく。

 

「ねえ星辰、アンタ13号先生との授業でなんか色々とボトル使ってたじゃん。他にどんなのがあんの?」

 

のんびりと窓を眺めるのが基本好きな星辰はそのまま窓からの景色を眺めていようとしたのだが、隣の席に座っていた耳郎から矢継ぎ早に質問が飛んできた。麗日と共に13号先生相手に合格をもぎ取ったのは矢張り凄いと思われているらしい。

 

「そう、だね……色々かな、まあ有機物と無機物で色々別れるけどなんか曖昧な物あるし」

「例えば?」

「おばけフルボトルって一応有機物ボトルって扱いだけど、おばけって有機物?みたいな」

 

そんな感じの話を適当にしつつもバスの中で楽しい時間を過ごす事が出来ていた。しかし暫くすると突然相澤からバスから降りろという指示が飛んできた。

 

「ってあれB組は?何処にもいねぇな」

「つうか、なんだ此処。パーキングじゃねぇな……」

 

 

バスはとある場所で止まった。外に出つつも座りっぱなしだったので身体を伸ばしほぐしながら辺りを見渡すとそこは崖の上の何の変哲もない空き地。公衆トイレも何も無い。ただ、車が一台止まっているだけで特に何もない。特に峰田はジュースを飲み過ぎたからかトイレに行きたいと訴えるが無視される。

 

「やっほ~イレイザー!!」

「ご無沙汰してます」

 

相澤が丁寧に頭を下げた相手は小さな少年を一人連れている猫のようなコスチュームを纏った女性が二人、その二人は直ぐに視線が集まっている事に反応してノリノリでポーズを取り始めた。

 

煌めく眼でロックオン!!

キュートにキャットにスティンガー!!

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!

「という訳で、今回お世話になるプロヒーローのプッシーキャッツの皆さんだ」

 

見事なポーズを決めながらもヒーローらしい口上を述べる二人の綺麗な女性がそこに居た、クラス一のヒーローマニアが食いつきつつも解説が始まった。

 

「連名事務所を構える4名一チームのヒーロー集団!!山岳救助を得意とするベテランチームだよ!!今いるのはマンダレイとピクシーボブだぁ!!キャリアは12年にもなるあのベテランチームのプロヒーローに遭えるなんt」

「心は18ぃ!!!心はぁ……?」

「じゅっ、18ぃ!!」

『必死かよ……』

 

緑谷にピクシーボブのアイアンクローめいたものが炸裂する。こうかはばつぐんだ。矢張りどんな世界であろうとも女性にそう言った話題はNGなんだな……と星辰が遠い目で見ていると耳郎から何処かジト目で見られた。

 

「ああいうのが好きなんだ……」

「いや別に」

 

なんだかカオスになりつつある空間でマンダレイが咳払いをしつつ説明を始めた。

 

「ここら一帯は私らの私有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」

『遠っ!!?』

 

そんな彼女が指さしたA組の宿泊施設の行方、それは鬱蒼としている森の先にあった。勘のいい者ならばここで思うだろう、何故そんなに遠い此処でバスから降りさせられたのかを。因みに星辰はもう察しがついていた、というかどうせフリーダムな雄英なんだからまともに宿泊施設にも行かせてくれないんだろうなと考えていたのでエボルドライバーを装着した。

 

「今は午前9時30分。そうね、早ければ12時前後かしらん。12時半までにこれなかったキティはお昼抜きね♪」

 

全員がまさかと……思い始めた辺りで相澤がニヤリと悪い笑みを浮かべて、意地の悪そうな声で言った。

 

「―――悪いね諸君、既に、合宿は―――始まってる」

 

直後、ピクシーボブが地面に手を当てる。そこからまるで土石流のごとく地面が盛り上がってA組を飲み込みながらそのまま崖の下へと叩き落としていく―――が、唯一星辰だけは咄嗟に跳躍したおかげか逃れていた。

 

「あ~あ……皆怪我してなきゃいいけど」

「あの程度で怪我する程軟な奴らじゃないのはお前が分かってるだろ石動、さっさとお前も行け」

「分かってますよ―――変身!!」

 

EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

コブラフォームとなった星辰はそのまま崖から身を投げ出すかのように落下していく、その様子は投身自殺を連想させるには十分過ぎたのかピクシーボブとマンダレイの傍にいた少年の顔を青くさせて思わず崖の下を覗き込んでしまった。

 

「心配いらない、あれでも体育祭優勝者だからな」

 

相澤の言葉通りにゆっくりと降下していく姿に思わず少年は胸を撫で下ろしたが、直ぐに鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。

 

「ごめんねイレイザー、ちょっと気難しいっていうかさ」

「気にしてませんのでご心配なく」

「そう、んじゃ……この辺りは私有地だから個性の使用は自由だよ!!今から3時間、自分の足で施設においでませ!!この魔獣の森を越えてね!!」

 

改めてA組の皆にそう勧告するマンダレイ、それに思わず魔獣の森ぃ!?皆が聞き返すのも当然だろう。施設まで自力で来いというのはなんとなく察する事が出来たが森が物騒極まりない名前なのは完全に予想外であった。

 

「なんだよそのドラクエみてぇな名称は!?」

「おいおい冗談じゃねぇぞ……というか何で魔獣の森何だ?」

「皆無事~?」

 

そんな所に星辰がゆっくりと降下して着地する。如何やら全員怪我はしていない模様、落とされた先の地面は石などが全て排除されている上に柔らかく耕されているようなふわふわ感。一応怪我の防止などは考えられていたらしい。

 

「星辰、アンタ避けられたんならウチらも助けてくれたらいいのに」

「ごめん咄嗟だったから……お詫びと言っちゃなんだけど……」

FULL BOTTLE!!

STEAM ATTACK!!

 

保持されたトランスチームライフルから誘導弾が発射されて森の奥へと突っ込んでいく、すると森の木々から異様な物が飛び出してきた。それは―――巨大な怪物であった。

 

「な、なんだぁあれ!!?」

「あれが魔獣って事ぉ!?」

 

突然の魔獣に軽くパニックになるが、森へと突っ込んだ誘導弾はそのまま魔獣を背後から襲撃し大爆発した。其処らに魔獣だった物の破片が散らばっていく、そして星辰はまだ落下してきた原型が残っている魔獣を何の躊躇もなく、蹴り砕いた。

 

「ちょっ!?石動お前何やってんだよ!!?」

「魔獣だとしてもそれは生き物だぞ!?」

「―――何言ってるんだよ皆?」

 

そう言いながらも転がっていた頭を持ち上げながらもそれを一息に握り砕いてしまった、それに思わず全員が息を呑むが……直ぐに緑谷が違和感に気付いた。

 

「これって……もしかして土塊?あっそうか、これってピクシーボブの個性で作られた土魔獣だ!!」

 

ヒーローマニアであった緑谷の頭脳は当然のようにその情報はあった、ピクシーボブの土魔獣。つまりこれは生きていない、個性によって制御された生きているように見える唯の土の塊でしかないと分かると全員が何処かホッとしたような溜息を洩らした。

 

「あ~なんだよ吃驚したぁ!!」

「突然石動がヴィランムーブするから何かと思ったよ!!」

「……狼狽えてたみたいだから安全確保のためにやったのに、全然気づいてなかったのね……」

 

と落ち込んでしまった星辰。彼自身はエボルのスーツ機能で生体反応が無かったので直ぐに分かったが、皆にはそれが分からなかった。なのでそれを示そうと思ったのに……と凹んでしまうが直ぐに気を取り直す。

 

「如何やらこの森にはこういう奴がうじゃうじゃいるみたいだよ」

「マジか……これを3時間で突破しなきゃ昼飯抜きってきつくねえか!?」

「でもやるしかねえだろ!!飯抜きなんて絶対に断る!!」

「ならば、手段は一つ!!最短距離で正面突破です!!」

 

直ぐに意識を切り替えると皆が思う事は直ぐに一致した。即座に突破して昼ご飯を食べる、その為に魔獣を蹴散らして進む事。そして飯田が大声を張り上げて宣言する。

 

「A組、行くぞ!!魔獣の森を、強行突破する!!」

『応ッ!!』

 

 

 

「ハハハハッ!!如何した魔獣共、この程度の力しかねぇのかぁ!?一昨日きやがれってんだぁ!!」

「(何なんだろう、この違和感……なんか、星辰っぽくないっていうか……)」

「耳郎さん後ろ!!」

「っ!!大丈夫、この位!!」

 

起き始める小さな波紋、その波紋は―――何れあらゆる物を飲み込まんとする大渦と化す。



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52スレ

「おおっ~随分と早かったじゃん、予想よりもずっと早い」

 

そんな風に呟きながら笑っているピクシーボブの視線の先には森の木々の間から、姿を現してくる1組の生徒達の姿があった―――が、全員もれなく疲労困憊でフラフラとなっている。タフネスな爆豪ですら爆破の使い過ぎで腕を庇うようにしながら歩き、焦凍も疲労を隠しきれていない。

 

「……流石に、俺も疲れた……」

 

エボルに変身している星辰も例外ではないのか、到着と同時に変身が解除される。だがそれでも他よりも疲労の度合いが楽なのか、肩を貸している耳郎や芦戸などを落とす事はなく、彼女らを気遣う余裕があった。

 

「お~一番タフなのはそこの変身君かな?」

「これでも疲れてるんですよ……俺だけ異様に狙われてたし……」

 

というのも土魔獣は尋常ではない数が絶え間なく襲い続けて来た。中には翼を持った魔獣までいたので空中対応が可能な星辰は色んな意味で八面六臂の活躍だったが……中でも他の物に比べて大きかったり頑丈だったり素早かったような土魔獣は集中して星辰を狙いに来ていたような感じだった。その対応にボトルを使いまくったり、戦闘力が高くないメンバーに武器を渡したりもしたのでフル稼働状態だった。

 

「石動、さん……此方のバイク、お返しいたしますわ……有難う御座いました……」

「ああ……そうだった……」

 

とプッシーキャッツと相澤が目を引いていたのは八百万が乗っていたバイク、後ろには個性の使い過ぎで吐きそうになっていた麗日が休んでいた。そこからのそのそと二人が降りたのを確認すると星辰はマシンエボルダーのボタンを押した。

 

EVOL CHANGE!!

 

バイクフルボトルを吐きだしながらも元のスマホへと戻って星辰の手元へと戻るのを見てプロヒーロー達は目を丸くしたのであった。

 

「おい石動、なんだそれ」

「えっ……?ああ、俺の個性で作ったボトルを活用したアイテムです……こいつにはバイクの成分が入ってます……連絡手段と移動手段の合体?みたいな……」

「……成程、合理的だな」

 

素直にそんな感想を述べた。プロヒーローとしても移動系の個性でも無ければ移動手段の確保は急務であるし連絡手段も確りしておきたい、プロヒーローならば緊急事態の交通違反は容認されるのでそう言った手段を持つ者は多い。だが、一々それを取りに行くのではなく常に持ち歩くであろう携帯がそれになる。色んな意味で合理的、合理的だが……

 

「(改めて、石動の個性は何なんだ?あれも変身の範疇内なのか……?)」

 

そもそもが変身という個性自体も謎だ。変身する為にそのバイクのボトルとやらも必要だから作れるのか、だとしたらその受け皿となってバイクとなるスマホは何なんだと色々と言いたい事はあるがこんな風に悩むのは合理的ではないと自分を律しながらもバスから荷物を降ろすように指示をした後は、食事を取って入浴しさっさと寝ろと指示を出した。

 

 

 

そんな事があった翌日の午前5時半、前日の疲れもたっぷりの睡眠などによって疲れも十分に取れたA組は早朝に全員集合していた。尚、星辰は酷く何処か眠そうにしており、舟を漕いでいる。

 

「星辰アンタ大丈夫?すっごいフラフラしてるじゃん」

「ヴァァァァッ……ごめん夢見が悪くて……」

「どんな夢見たらそうなるの?」

「ヴァァァァッ……それは―――」

「おいそこ、うるさい静かにしろ。これから本格的な合宿を始める」

 

そんな騒ぎを抑えながらも相澤が合宿の開始を宣言した。手始めとして身体能力把握テストにて行われたハンドボール投げを爆豪が行う事になった。入学から3か月、USJやら体育祭やら職場体験などで自分達も成長している、さぞかしとんでもない記録が出るんだろうと皆が期待する中で爆豪が叩き出したのは709.6m、テストの時からほんの少し伸びている程度でハッキリ言って期待外れに近い結果。

 

「確かに君達は成長したことだろう、3ヶ月間様々な事を経験して成長しているのは確かな事だろう。だがそれは主に精神面や技術面、後は体力面が少々と言った所で個性そのものは今通りで成長の幅は狭い。今日から君達の個性を伸ばす、死ぬほどキツいが……くれぐれも死なないように―――……」

 

何処か不気味な言い方をする相澤に全員に鳥肌が立ち、思わず喉を鳴らした。死なないように気を付けなければいけない訓練がこれから待っている……そう思うと色んな意味で怖い。

 

「それじゃあ早速始めるぞ」

 

と相澤が言葉を切った途端にその隣に4つの影が降り立ってきた、一糸乱れぬ動きで降り立った影に思わず全員が身構えた。現れたのは……。

 

煌めく眼でロックオン!!

猫の手、手助けやって来る!!

何処からともなくやってくる……!!!

キュートにキャットにスティンガー!!

ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!!

 

と先日マンダレイとピクシーボブが行ったポーズに二人を加えた本来のフルバージョン、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの本来の状態とも言える。一人だけ、女性たちの中に屈強な男性である虎が混ざっている事についてはセンシティブなことに繋がりかねないし恐らく突っ込んではいけないのだろう、多分きっと恐らく……。

 

「筋肉は負荷をかけて壊し、超再生させる事で大きくなるように個性も同じように負荷をかけ強くなる。つまり、使い続ければ強くなり、使わなければ衰える。故に林間合宿ではそれぞれが個性の限界を突破する事で更なる個性の強化を図る。限界を超えて鍛えるんだ。それでは皆さん、宜しくお願いします」

 

いよいよ始まろうとする林間合宿、それぞれが個性に合わせられたメニューが準備される中で星辰は如何するのだろうかと思った時に相澤に肩を叩かれた。

 

「石動、お前は既にメニューの一端を味わってるだろう」

「―――もしかして、土魔獣が凄い群がって来たのって……」

「良い勘だ、説明が省けて結構」

 

つまりそう言う事だ。これから行われる星辰の訓練は……休憩時間以外は基本的に変身し続ける事で変身に起きるであろう負担の軽減と持久力や戦闘力の向上を図る特訓。

 

「1時間おきに形態も変えろ」

「えっとコブラ、ドラゴン、ダイナソーって感じにですか?」

「そうだ。お前はコブラを基本としているな、逆に言えばそれは基本が使いやすく安定している事に甘えている事にも繋がる。其処も直せ、そしてアイテムもだ。その扱いと戦い方を構築しろ、以上だ」

「分かりました……ってわぁっ!?」

 

頷いた直後、背後に100を超える様な土魔獣が今か今かと襲いかかろうとスタンバっていた。なんという物量作戦……これをたった一人で相手にしなければいけないのか……普通ならば嫌がるというか絶望するだろうが……星辰は違っていた。直ぐに好戦的な笑みを作った。

 

「この位の数だと?甘いな、もっと用意してくれないとこのエボルには生ぬるいな……変身!!」

EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

「さあ来い魔獣共、テメェら程度じゃ俺は倒せないって事教え込んでやる!!」

「ネコネコネコネコ!!良い威勢だね,それじゃあ試して上げるよぉ~!!」

 

 

星辰が特訓に入った時、他のメンバーも当然のように入るのだが……耳郎はピンジャックを鍛える特訓を始めようとしていたのだが……星辰の言葉が如何にも気になっていた。

 

『どんな夢見たらそうなるの?』

『ヴァァァァッ……それは―――なんか、違う星で戦う夢を見た……』

 

「(何で、胸騒ぎがしてんの……よくある事じゃん、夢ってよくわかんないのばっかりなんだし……)」

 

そう、夢とはそういう物だ。規則性なんてない、極めてランダムで常識では測れない事ばかりが起こる夢の世界……例えSFチックな夢を見ても可笑しくない……可笑しくないのに、耳郎は何故かそれを忘れられなかった。



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53スレ

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

CHAO!!

 

その一撃で周囲に群がる土魔獣を一掃する、だが倒したそばから、崩れた身体を再構成して新たな魔獣が生まれて来る。だったらやる事は一つ、生まれてくるそれらすら潰すのみ。

 

GATLING(機関砲)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

CREATION(クリエーション)!!

 

「ギュアアアア!!」

 

ピクシーボブという一人で制御されているとは思えないほどに生物的且つ完全に制御された機械のように統率されたこれは途轍もない脅威。それが全方位から飛び掛かってくる魔獣たち、目の前を埋め尽くしたかと思えば地面から手が伸びて星辰を地面へと引きずり込もうとしてくる。

 

「クッハハハハ!!!中々やってくれるな、だが甘いなぁピクシーボブぅ!!」

〈ONE HUNDRED!! FULL BULLET!!〉

READY GO!!

「エボルテック・ホーク・バレットォ!!!チャオッ!!」

 

ホークガトリンガーの弾丸を全て装填すると同時にエボルドライバーの力も同時に開放した。ホークガトリンガーにそのエネルギーが流れ込んでいくとそのまま弾丸が放たれていく。オレンジ色の弾丸は的確に周囲の土魔獣へと襲い掛かっていく、土の中にいた魔獣にも弾丸に意志がある様に軌道を自在に変えながら地面へと突入して星辰を拘束していた土魔獣を撃破する。

 

「うっわっこれマジかニャ……」

 

思わず、そんな言葉を呟いてしまったピクシーボブ。土流という個性を持つ彼女からすれば土魔獣は自身が土に干渉して作り出す傀儡の魔獣。例え倒されても即座に新たに作り出せる、だが……やられた全てが頭部や胸部を撃ち抜かれているのを分かると鳥肌が立つ。

 

「土魔獣だから、命もない相手だからこれをやってるの、それとも……いや考えすぎよね。寧ろこの位に遠慮なしにやってくれないと合宿の意味ないし―――よ~し石動君姿変えちゃって~!!」

「了解~んじゃ、行くか!」

DRAGON! DRAGON! EVOL DRAGON(エボル ドラゴン)!!

フッハハハハハハ!!

 

 

「如何ですかピクシーボブ、石動は」

「い~やぁ~……なんなのあの個性?」

 

と様子を見に来た相澤に対して素面で聞いてしまう程度にはピクシーボブは驚き続けていた。

 

「ラグドールのサーチでも全く分からないなんてこれまでなかった、だから私がこうして色んな魔獣をぶつけて情報を引き出そうとしている。それでも分からない、そこが知れなさすぎる」

「そうですか」

 

相澤も何処か困ったように頭を掻いた。この超人社会においてどんな個性があったとしても驚くには値しない、雷を起こす、地震を起こす、津波を起こすといった災害のような個性もあれば新しい概念を作るような個性もある。ならば星辰の変身のような個性でも……と言いたいが、それを当てはめるには余りにも規格外すぎる。

 

「だからこういう役回りをさせてしまって申し訳ない限りです」

「良いのよ別に、私自身の鍛錬にもなるから気にしないで」

 

そう返してくれるのは素直に有難い。プッシーキャッツの一人、ラグドールの個性:サーチ。100人まで見た人間の情報を丸わかりにするという情報系個性の最上位に位置していると言ってもいい個性、弱点も丸わかりなので合宿では大活躍間違いなしなのだが……それが通用しないのがたった一人だけいた、そう石動 星辰だ。

 

『―――視えない、全く分からにゃい……』

『なんと、ラグドールのサーチで分からないだと……?』

『辛うじて、変身って個性は分かるけどそれ以上が全然踏め込めない。いや踏み込んでも帰ってこない』

 

返ってこないと表現したらグドール。ソナーで言えば反射音が全く確認できない状態、個性は確かに星辰の情報を捉えている、がそれを確認できないという異常事態。故に鍛錬と情報収集を踏まえてピクシーボブの土魔獣を絶え間なくぶつけるという最早力業としか言いようがないようなメニューしか組めなかったというのが本音である。

 

「それと、さ……イレイザー」

「なんでしょう」

「あの子、なんか大丈夫かな」

 

何処か不安げな瞳を作るピクシーボブに誘われるように改めて星辰へと目をやる、蒼炎を纏った拳を土魔獣にぶつけて粉砕している姿が見える。

 

「ゾンビアタックてか、良いだろう好きなだけ来い!!全てを、滅ぼし尽くしてやらぁ!!!」

 

「ああ、あれなら何時も通りです。あいつは個性を用いた戦いになると意図的に声を変える、それは自分のスイッチみたいなものなんでしょう」

「だと良いんだけどさ……あれってスイッチって領域を超えてると思うよ」

 

そう言い残すとピクシーボブは土魔獣の操作に集中し始めた。確かに言いたい事は分かる、普段の彼は品行方正な優等生で他人を思いやる事が出来るヒーローには相応しいと相澤も思う。だが……いざ戦いになるとそれが一気に変貌する。曰く、喧嘩などをした事がないので意識を切り替える事で戦えるようにすると言っていたが……

 

「さあ、今度はこれで如何かな!?マジもマジ、無限の土魔獣がお相手よ!!さっきまでの魔獣と思ったら一味も二味も違うから覚悟しときなさい!!」

「ハハハハッ!!!無限と来たか、良いだろうだったら無限に潰し尽くしてやる!!」

 

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

「―――変身!!」

DINOSAUR! DINOSAUR! EVOL DINOSAUR(エボル ダイナソー)!!

フッハハハハハハ!!

 

「さあ来い!!雑魚が無限になろうが無意味、今日がお前達の死に日和だぁ!!」

 

 

 

 

 

 

「さあさあ昨日言ったよね!!世話を焼くのは今日だけだって!!」

「己で食う飯は己で作るのだ!!」

「こんな時のド定番カレー!!」

 

日も大きく傾き始めた夕暮れ、夏なのでまだまだ日の光はあるがそれでも暗くなってきたのは事実。夕暮れ時にその日の特訓は終わりとなってそれぞれが食事の準備をする時間となったのだが……皆、特訓の厳しさ故か元気がなく疲れ切っている。

 

「さてと―――やるか」

「星辰、アンタなんでそんなに元気な訳……?」

 

勿論星辰も草臥れている、草臥れてこそいるのだが―――

 

「これでも料理人だよ俺、喫茶店のシェフとしてお腹が空かせてる人がいるのに何もしないなんてあり得ないでしょ。おっこのお肉良い奴だな~……この野菜も良いな、プッシーキャッツの皆さんこっちの野菜とかも使っていいですか?素揚げとかにしたいんですけど」

 

何やらプライドのような物があるのか、星辰は迷う事もなく手を洗うと食材の選定に掛かった。

 

「キャハハハッ!!!あれだけ特訓してたのに一番元気なのってウケる~!!」

「大丈夫なの、あれだけの土魔獣ぶつけておいていうのもなんだけど」

「疲れてはいます。でも疲れているからこそうまい食事はいる」

 

何ともタフな子だとプッシーキャッツは思った。ある種一番厳しかった筈のメニューをこなしていた生徒が一番元気なのだから、こういう子こそ将来トップヒーローと言われるようになるのだろうなぁと思うのであった。

 

「おっこれも良いなぁ……B組の皆も食べるでしょ、素揚げとポテトサラダとスープかな」

「えっウチらにも作ってくれるの!?」

「勿論」

「お前……良い奴だなぁ!!!」

 

とB組の拳藤を始めとして驚く者も多かったが、即座に了承してくれた事に感動する鉄哲など好意的な感情を抱くものが大半だった。が……

 

「ハッ!!随分と余裕だねぇそれだけ施しのつもりかなぁ!?」

 

唯一、それに不満を漏らして真っ向から立ち向かった者がいた。物間である、体育祭でもやられているだけに星辰からのそれはプライドが許さないのだろうが……今回ばかりはB組の大半からやめろ!!という気持ちが一斉に向けられたのであった。

 

「んでいるの?」

「聞いているのかな君は、施しをするつもりなのかなぁ!!?」

「君にとって俺って上の立場なの?まあどうでもいいけど、君はいらないのかな」

「いやだから」

「どっち」

「だから僕は―――(グゥゥゥゥッ……)……」

「はい畏まり」

「クッ……屈辱!!」

 

身体は正直という奴だろう、なのでB組の全員と共に食事をする事が決定するのであった。

 

「あいつが女だったら女騎士みたいだったのに……!!」

 

と一部から如何でもいい意見も出たが、一緒に合宿をするのだから仲良くしようという方向で合致した。

 

「ウチも手伝うよ星辰、アンタだけにやらせるのは大変だしカレー組は手が足りてる」

「ああ、ありがとう耳郎さん」

 

流石に一人では時間もかかるので耳郎が手伝ってくれるのは素直に有難かった。そして一緒に作った素揚げなどはA組とB組、そして相澤とブラドキングにも振る舞われたが好評のうちに終わったのであった。

 

 

 

『さてと、相棒も良い感じに仕上がって来た。後は本格的にこいつだけか……まあいい、焦る必要はない。そう焦る意味なんてない……もう直ぐ、なんだからなぁ』



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54スレ

「なぁ星辰、お前なんかあったのか?」

「んっ何よ突然藪からスティックに」

 

3日目。相変わらずの無限土魔獣という特訓を前にしても全く怯む事もなく戦い続けた星辰、寧ろ数日続けているという事もあってエボルの長時間変身にかなり適応しているのか以前よりも疲れが見えなくなってきている。そしてその日の夕食も星辰が追加メニューを作ると調理中の時、焦凍が声を掛けて来た。

 

「なんつうかさ、お前変わった気がする」

「そうかな、俺には全くそう言うつもりはないよ」

「普段のお前はそうだと思う、でも戦ってる時はすげぇ変わってるだろ」

 

焦凍も焦凍で特訓を行っているが、今日は偶然星辰が戦う所を見る機会があった。氷結と炎を交互に出して風呂の温度を一定にするという時に空を見上げた時に見えた。

 

『ハハハハッ!!如何したこの程度でしかないのかぁ!?』

 

「まあ、今の俺と比べたら随分と違うだろうな」

「別人の域で違うからな」

 

意識的に切り替えて戦う、そう言うのは珍しくないしプロにもそう言うのはいるが星辰の場合は特にそれが顕著。豹変というには変わり過ぎている。

 

「何だ、この声がそんなに気になるかぁ?」

「声っつうか立ち振る舞いだな、気になるのは普通のお前とは違い過ぎる」

「ハハハッ!!言ってくれるねぇまあそう言う事にしてるから俺の狙い通りなんだけどなぁ」

 

高らかに声を上げる星辰、その声の事をあまり知らないB組から驚きの声が漏れるがA組としては慣れているのでそこまで気にしない。精々声を変えている程度にしか……だが、焦凍はその中に違和感を感じ取った。

 

「お前の個性ってなんか不思議だよな」

「んっ~そう見えるか」

「ああ、見える」

「―――本音でもいいよ、お前の個性は可笑しいってさ」

「別にそう思ったことはねえぞ?」

 

B組の物間がその通りだよねぇ!!と言おうとした瞬間に拳藤の手刀が飛んできて強制的に黙らせた。流石にこういう話は煽ってはいけない事ぐらいは分かれと思う。

 

「受け入れようとしてるんだよ、俺の個性」

「もう受け入れてるじゃないのか」

「いや……俺の個性ってさ、使う度に頭にある事が浮かぶんだよ。それが嫌で俺はヒーローになりたいんだよ、つまり―――自分の為なんだよね」

「―――星辰?」

 

処理が終わった食材を持って竈へと移動していく姿はどことなく、何かを決意をしながらも何かを抱えているように映った。嘗ての自分とは違う何かを漂わせているとしか分からないが……

 

「だったらお前も変身しろよ、そう言う自分に」

「……ああ、するつもりだよ」

 

焦凍はそんな言葉を送る事しか出来なかったが、その時の彼の微笑みは嘘ではないと信じたい。

 

「(……顔、出すなってつったよな)」

『この位可愛いジョークだろう?変な事も言ってねぇんだしよ』

「(……まあいい、それと一つ聞かせろ)」

『なんだ』

 

薪に火を付けながら星辰はエボルトに言った。

 

「(―――今のハザードレベルは)」

『フフッやっぱりその話か、お前も大分―――近づいてきたな』

 

 

時計の針は、確実に動き出している。そしてその針は夜を指し示した時に―――変化は訪れる。

 

 

夕食も終わった頃の事、プッシーキャッツの面々は飴と鞭の飴の部分を用意してくれていた。それは

 

「という訳で肝試しの時間だよ!!」

 

クラス対抗で先にB組が脅かす側、A組が脅かされる側。二人一組で3分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いた御札があるから、各自それを持って帰ることがルール。脅かす側は直接接触する事は原則禁止だが、個性を使用してでの脅かしはあり。なので普通のお化け屋敷よりもずっとバラエティ豊かで意外な恐怖が味わえるのかもしれない。

 

「それならさぁ……星辰、アンタのボトルをさ活用しない手、ないよねぇ?」

「……っ!!成程分かってますねぇ耳郎さん……フフフッ各種準備出来ますよぉ?」

 

と合宿の疲れもあるからか、耳郎の言葉に完全に悪乗りしてフルボトルをフル活用してでの事を決意するのであった。

 

「結構ノリノリなんだね石動君」

「イベントごとは好きだからね」

「アタシも大好き~!!」

 

と、星辰に軽く抱き着くようにしながらもテンションが爆上がりしていく芦戸。期末試験で赤点を取ってしまったが故にこの飴を只管に楽しみにしていたのだろう。

 

「肝を試す時間だ~!!」

「「「「おう、試すぜぇ!!!」」」

 

それは切島、瀬呂、上鳴、砂藤と言った赤点を取ってしまった全員に共通しているらしく非常にやる気満々で楽しみにしていた模様。辛い事が多い林間合宿だがこの肝試しは所謂飴なのだからある意味当然なのかもしれないが―――そこに相澤の捕縛布が彼らを拘束する。

 

「その前に、大変心苦しいのだが……補修連中はこれから俺と授業だ」

『嘘でしょ先生!!?』

「生憎マジだ。日中が疎かになってたのでこちらを削る」

『勘弁してぇぇぇぇッッ!!!!』

『試させてくれぇぇ!!!』

 

悲鳴混じりの声が徐々に遠くなっていく、自分も赤点を取っていたらああなっていたのかと思うと少しばかり恐ろしくなってくる。彼らを見送った後、今度は自分達が順番を決める事になった。

 

「あっウチとだね星辰」

「みたいだね耳郎さん、宜しく」

 

肝試しのトップバッター、そしてそのペアは耳郎だった。恐らく女子では一番気心が知れている相手で思わずホッと胸を撫で下ろしてしまった。そしてそのまま森の中へと入っていく。どんなものが待っているのか正直ワクワクしている自分もいた……が

 

「……」

「あ、あの大丈夫耳郎さん」

「ゴ、ゴメンウチ怖いの……ホントにやなの……」

 

普段のボーイッシュでクールな印象はどこへやら、身体中を震わせながらも必死に歩みを進めている彼女の姿があった。如何やらホラー系は本当に苦手らしく、肝試しなんて彼女にとって飴ではなく罰ゲームの域。

 

「ヒィッ!?なんか音したぁ……!?」

「あっウサギだ」

「何だウサギ……ヒィ今度は何ぃ!?」

「か、風だって……」

 

これは、最早見ている此方が気の毒な気持ちになるレベルの苦手加減だ。普通にしていれば何の気にも留めないような小さな音にも反応してしまっている、いや彼女の個性の関係上、聴力は他よりも優れているのだろう。それが余計に……という事なのかもしれない。

 

「あ~……それじゃあさ、こうしようか」

 

流石に目の前で怖がるを通り越して怯えている彼女を無視する事は絶対に出来ない、なので星辰はそっと耳郎の手を取るとそのまま指を絡めるようにして強く握った。それに一瞬、呆気に取られるが顔を上げて星辰を見ると青空のような澄んだ笑みを浮かべていた。

 

「俺がいるから大丈夫、いざって時はフルボトル使って驚かし返せばいいしさ」

「―――手ぇ……」

「あっゴメンいやだった?姉さんがこうしてあげたらいいって言ってたんだけど」

「い、いやじゃない、あったかくて凄いホッとして……」

 

寧ろ放したくない、そう思える程に暖かくて大きくて優しい手に深い安堵を覚えている。少しでも不安を感じて震えると握り込んでくれたおかげで恐怖心は和らいでいく。

 

 

いやああああああああああああああああああ!?!?お化けぇぇぇぇぇぇ!!?

「良い悲鳴出すなってあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っっっ!!?」

「ちょっ!?耳郎さん落ち着いて骨抜くんだからそれ心音流すのやめたげてよぉ!!」

 

いやだぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!?

「あっちょっと待って耳郎さんそのフルボトルはまずい!!?」

「えっ何、声が増幅されて―――みゃあああああああああああああああああああああああああ!!??」

 

「よ~うやく来たね~って……あららら……」

 

中間ポイントで待機していたラグドールはやっと来たペアに首を長くしていたが、それを見ると遅いよ~という言葉も完全に引っ込んだ。

 

「ヒックひぐっ……もうやだぁ……帰るぅ絶対に帰るぅぅっっ……」

「大丈夫だって、ほらラグドールさんもいるから中間点についたからさ、ネッ?」

「まだ半分もあるじゃん……やらぁ……」

 

完全に泣きじゃくってしまっている耳郎を背負って励ましている星辰がやってきた。本当に見ている方が痛々しく思える程の泣き具合だ。

 

「あらら~……ホラー系苦手な感じだったんだね、こりゃ悪い事しちゃったなぁ……」

「すいませんラグドールさん、ちょっと休憩させてあげて貰っても良いですかね?」

「こんな所やらぁ……」

 

と星辰の背中に張り付くようにして泣いている耳郎。完全に退行してしまっている……それだけ怖かったという事だろう、肝試し的にはB組大勝利案件かもしれないが流石にここまで来られると肝試しを企画した側として申し訳なく思える。

 

「あ~……それじゃあちょっと待ってね、これはペアが中間地点に来たら連絡して次のペアを進める感じだからさ。今連絡するから一緒に出ちゃおうか」

「その方がいいかもですね」

 

一先ず肝試しは一旦ストップして、彼女を安全に此処から出す事を考えようとしてラグドールがマンダレイに連絡を取ろうとするのだが……通信機からノイズが溢れ続ける。

 

「アニャ?可笑しいな、昨日メンテしたばっかりなのに……」

「あの、ラグドールなんか煙が―――って危ない後ろ!!?」

「ニャニィ!?」

 

背後から迫ってきたそれを星辰の言葉を受けてギリギリの所で回避する、だがそれを見て思考が凍り付いた。何故ならば……

 

「こいつは……!!?」

「アハッ♪みぃ~つけました、ステ様と戦ってた人ですね、結構好みのタイプです♪でも、血塗れになったらもっと素敵です♪」

 

そこにいたのは脳無を従えていた一人の少女がいた、それは明確な敵意を差し向けながら此方へと意識を向けていた。

 

「ヴィラン……!?」

「マジかよ、この状況で!?」




耳郎ちゃん、怖いのマジでいやらしいので、うんなんか、ごめんね……?


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55スレ

「うわっ何これ、状況も相まって凄い怖い!?」

「そう言いつつも余裕ですねラグドール!?」

 

状況は最悪にもほどがある、薄暗い森の中でヴィランと遭遇。此処にヴィランが居る事自体が可笑しいのに加えて奇妙なガスが森の奥から流れてきている、しかも目の前にはヴィランと思われる装備を付けた少女、そして脳無。

 

「何、あれっUSJの……!?」

「アハッ♪」

 

不気味に微笑んだその笑みには凶器が滲み出ている、いやそれ以上だ。隠すつもりのない狂気、それが平常だと言わんばかりの日常だったのが伺える。

 

「初めましてっステ様と戦ったヒーローさん♪私はトガ、渡我 被身子です。トガちゃんって呼んでください」

 

その少女は酷く愉しげに言った、愉快にも取れるような陽気さで挨拶をしながらも自分を見て来た。

 

『おいおいおい随分とやべぇのが出て来たな……ハハッこりゃ不味い状況だな』

「(同感だ……こういう時だけ意見が合うな)」

 

あの時と同じ、目の前にいるのはそれを想起させる。対オールマイトに準備されていた黒い脳無、それと酷く似ているそれが此方を見つめている。

 

「私達はヴィラン連合、開闢行動隊ですっ♪」

「ヴィラン連合……って!?」

「う、嘘っ……!?うっ……!!」

「ラグドールさん!?」

 

突然、ラグドールは口元を抑えて崩れ落ちるように膝をついた。猛烈な吐き気を覚えてしまったらしく、顔色が優れない。だが直に気持ちを立て直すと険しい顔を作りながら言った。

 

「あ、あの脳無……個性が、複数ある……!!しかも、あれはもう死んでいる人間……だけじゃない、色んな人の情報が一気に……!!」

「そこまで分かっちゃうんですね、凄いです!!」

「耳郎さん、ラグドールさんを!!」

「う、うん!!」

 

耳郎について貰うが、ラグドールは未だに顔色が優れない。当然だ、彼女は自らの個性(サーチ)で脳無の全てを見てしまった。脳無がどのように作られ、その為にどんな工程を経て来たか、今に至るまでの全てを。その情報量は多い、そして惨たらしい。それを目の当たりにしたら顔を顰める所か吐きそうになるのも当然の事だ。

 

「知らない人もいますね、エボルさんのお友達ですか?」

「……だと言ったら?」

「その人―――刻んだら構ってくれますか?」

「したら殺す」

「―――アハッその顔好きですね♪」

 

思わず反射的に言葉が出て来た、即座に殺意で答えられる当たり自分も随分とあれなことを思い知って若干げんなりしている自分に呆れた。

 

『相棒、案外お前余裕?』

「(否定出来ん)」

「アタシの後ろに隠れて二人とも……!!絶対に、手を出させないから!!」

 

口元を拭いながらも立ち上がったラグドール、プロの誇りに賭けて絶対に手を出させない。傷一つ付けさせない、自分が戦闘に向いていない事も自覚しているし相手が保須やUSJに現れたヴィランである事も知っている、だけどやらなけばならない。何故ならば……ヒーローなのだから。その時に頭に中にある声が響いてくる。

 

『A組B組総員、プロヒーローイレイザー・ヘッドの名において戦闘を許可する!!』

「これってマンダレイの……!!」

「如何やら……俺達だけがやばいって訳じゃなさそうだ……!」

「みたいだね」

 

マンダレイのテレパスで聞こえてくる情報、戦闘許可は寧ろ不安を煽ってくる。他にもヴィランが居て手が足りないから自分の身は自分で守れという事を示すからだ。だけどこれで最低限度の守りを展開出来る、そう思った時にナイフが飛んできた。それは腕を掠めて鋭い痛みと共に血が流れだす。

 

「それじゃあ、始めましょうか♪」

「こいつ―――ッ!?」

「星辰!?」

 

その時、急に体が動かなくなった。全身が痺れるような痛みが襲いかかってくる。直後―――

 

「がっ!?まだ居やがったのか……!!」

 

真横から飛び出してきた脳無、それが首元を抑えるようにしながら星辰を木へと叩きつけた。脳無が2体、そして渡我 被身子というヴィランの計3人。絶望的な状況下に置かれていると思った時にトガが此方へと歩いてきた。

 

「頂きますね♪」

 

そう言いながら、渡我は肩に付けていた注射器のような物を無造作に星辰の脇腹へと突き刺した。

 

「がっ!?」

「チウチウ、チウチウ♪」

「アンタ星辰に何を―――っ!!?」

「行かせない気!?」

 

耳郎が伸ばしたプラグ、だがそれを黒い脳無が阻止する。異常な程に筋肉質でまるでオールマイトのようなそれが肉の壁となった。目的は間違いなくトガの護衛、このままでは不味いとラグドールも攻撃を仕掛ける。情報担当とも言える彼女だが虎と同じ戦闘術、キャット・コンバットを習得している身。故に近接戦闘ならばなんとか戦力にはなれる―――と思っていたが

 

「速いっ!?(やっぱりアタシ位じゃ戦力にもならない……!!)」

 

脳無の反応速度は異常の一言。同時に振るわれるの一撃もすさまじい破壊力、咄嗟に体をねじって身体を掠らせる程度に回避しても身体の奥にまでジンジンと衝撃が響いてくる。だけど何とかして星辰を助け出さなければ……!!

 

「ぐぅぅぅうわぁぁぁぁっ……!!好い加減に―――」

 

脳無に首元を抑えられ、木に押し付けられる星辰。その瞳はまだ折れず、赤く染まり出した。

 

「どけぇ!!」

 

繰り出した一撃は赤いオーラを纏いながら脳無の頭部を捉えた。痛覚もない筈の脳無はそれで力を緩めたりはしないが、エボルトが込めたオーラによってダメージが入り力が緩まった。その瞬間に木を蹴りながら脳無の拘束を抜け出しながらその顎に膝蹴りを喰らわせて吹き飛ばしながらもトガの注射針からも抜け出す。

 

「っ~……!!!ってぇなもう、こちとら注射は得意じゃねえ何時まで刺してんだ献血されてんじゃねぇんだよ俺は!!」

「大丈夫星辰!?」

「大丈夫だけど、ちょっと血を結構持ってかれたなこれ……」

 

前世で献血の経験があるが、その時の以上に血を持って行かれてる感じがする。あの時は200~300位だった気がするが……。

 

「500ミリって所ですかね、十分です♪」

「血を取って、何をする気……!?」

 

ラグドールが庇う中、恍惚し切った表情でトガは星辰の血が入った容器を眺めていた。そしてそれを月に翳しながら言った。

 

「私の個性は血液が居るんです、それで血を飲むとその人に変身出来るんです♪」

「変身って……それって星辰とおんなじ?」

「そうです、トガとエボルさんは同じなのです♪ですから、一緒になりたいなぁって思ったんです。だから―――飲みます♪」

 

そのまま、トガは迷う事もなく血を飲んだ。500ml入っていた容器の半分程度を一気飲み干した。そして直ぐに顔を紅潮させながらも歪んだ口角を更に歪ませていった。

 

「―――良い、良いのです……これ最高……ですぅ……!!」

 

突如、その身体に変化が起き始めて行った。まるで身体の制御が出来ていないかのように踊り狂った、同時に身体から赤と青の煙が抜け出すかのようにしながらも再度トガの身体へと潜り込んでいった。そして同時にその腰にある物が浮き出て来た。

 

エボルドライバー!

 

「っ!?おいおいおいマジか!?」

『マジかあの女……俺の遺伝子を取り込んで個性を強化しやがったのか』

「っつう事は……!?」

「やっぱり、素敵です……♪」

 

そう言った時、トガの手には二つのボトルが握られていた。嘗て、物間がコピーした時とは異なる。個性をコピーするのではなく、エボルトの遺伝子を取り込んだ事で個性が強化されている。しかも……トガはこの世界の人間としてはハザードレベルがかなり高い部類。そして個性と遺伝子の相性、それらが合わさった結果―――

 

BAT(蝙蝠)!!〉 ENGINE(発動機)!!〉

EVOLMATCH(エボルマッチ)!!

 

「冗談だろ……!?」

『あ~あ……こりゃ、流石の俺も予想外だ』

 

その音声を聞くまで完全に忘れていた。それを聞いた途端、トガは更に笑みを深くしながらレバーを回して行った。天狗巣状に広がるペインライドビルダー、それらがトガを包み込み、目元と口元しか見えないように覆い尽くした時に聞こえたのは……恍惚とした悦びの声。正しくエボルドライバーの変身に相応しい顔だった。

 

「こうでいいんですよね―――変身♪」

 

BAT ENGINE(バットエンジン)!!

ヌゥハハハハハハ……!!

 

其処にいたのは凶器に染まった悪党の名を冠した仮面ライダーの姿、星辰も姿を見るまで完全に忘れてしまっていたモノ。だがまさかこんな事態になるなんて想像もしないだろう、したくもなかった。目の前でもう一人の仮面ライダーが姿を現した、文字通りの悪のライダー……ダークライダーとして。その名は―――

 

「マッド、ローグ……!!」

「マッドローグ……良い名前です、有難う御座います♪さあ戦いましょエボルさん、私もこの力を試したいのです♪」

 

ウキウキと手を叩きながら此方を見つめて来るマッドローグ、最悪すぎる状況に悪態をつきそうになるが戦うしかない。生き延びるために、耳郎を守る為にも―――!!!

 

「クソッ……!!ラグドール、さん……奴の相手は俺がします。だから逃げて下さい……!!」

「何言ってるの!?君一人置いて逃げろっていうの!?」

「貴方じゃあれに勝てない……貴方なら分かるでしょ!!?」

 

その言葉に唇を強くかむ、個性故に戦力差が余りにも絶望的過ぎるのが分かるのが辛い。そしてそれに唯一対抗出来るのが恐らく星辰だけというのも分かる。あの渡我 被身子が変身したあの姿も全く個性が分からない、唯一分かるのが彼女の個性が変身という血を摂取して相手と同じ姿になり……同じ力を発揮出来るようになるという物に変化している事だけ。そう、星辰と同じ力を使えるようになっている。

 

「でも星辰、アンタ一人で戦う気なの!?無茶だよ!?」

「無茶、かもね……脳無だけならともかく、マッドローグが相手となると……」

 

耳郎の言葉に苦々しい表情を作る星辰、先程の麻痺は未だに身体を蝕んでいる。エボルト曰く、個性由来の毒らしく時間経過による自然治癒しかないとの事。その状態でこの3人を倒せるかと言われたら……ぶっちゃけ微妙過ぎる。でもやるしかない。

 

「でも、俺一人の方が良い。ラグドールさんは彼女を連れて撤退、出来れば応援を呼んできてください」

「―――……分かった、直ぐ戻るから、無茶しちゃダメ!!」

「ラグドールさっ……!?」

 

何を言うのかと叫ぼうとした耳郎の首に手刀が落とされる、それによって意識を失った彼女を抱えてラグドールは駆け出して行く。自分達がいない方が彼は戦える、だからいない方がいい。プロとして歯痒い行為だが、これしか道がない事も分かっている。苦渋の決断をした彼女を脳無が追いかけようとするがその前に星辰が躍り出た。

 

「させるかよ!!変身!!」

COBRA! COBRA! EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

変身しながらもビルダーを盾にしながら妨害する。そして変身が完了してエボルコブラの状態で脳無に蹴りを入れる。

 

「さあ望み通りになってやったぜ、存分に相手をしてやる……さあ掛かってきな!!!」

「アハッ!!それじゃあ行きますね、エボルさん♪」

 

状況と世界は、最悪の方向に突き進み始めた。その果てに何が待つのか……その未来は、闇に閉ざされていく。




トガちゃんマッドローグ、見参。ほら、蝙蝠って血を吸うじゃん。トガちゃんも血を吸うじゃん。ベストマッチじゃね?


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56スレ

「邪魔だっ退け!!」

 

迫り来る脳無を殴り飛ばしながらもその奥から猛スピードで迫り来る敵へと目を向ける。いや向けるしかない、この状況で最も注意すべき相手なのは渡我 被身子ただ一人で十分。

 

「エボルさん、と一緒です、さあ戦いましょう血塗れになって下さい……♪」

「してみやがれってんだ!!」

 

元々持っていたナイフを振り下ろすが、自らの力の誤りとエボルの防御力の誤りから一瞬でそれが折れるが即座に蹴りを入れながらも超至近距離での殴り合いに移行する。その一撃一撃も半端な威力ではない。

 

「初めての変身のくせになかなかやるじゃねぇか!!久々に本気を出すとするかぁ!!?」

「嬉しいです、私の初めての相手がエボルさんで♪」

「その言い方は、やめとけぇ!!」

 

マッドローグを殴り飛ばしながらも背後から迫って来た脳無を踏み台にしながらも高々と跳躍する、逃がさんと言わんばかりに黒い脳無が飛び掛かって来るが頭部を蹴り飛ばしながら地面へと叩き落とす。が直後にマッドローグが飛行ユニット(マッドナイトフライヤー)を展開一気に上昇してきた。

 

「待ってくださいエボルさぁぁんっ♪」

「チッ見込みがあるのも考えもんだな!!」

 

 

35:普通のカウンセラー

はぁぁぁぁぁぁ!!?なんでトガちゃんがマッドローグになってんの!?

 

36:IS世界のメンタルセラピスト

イッチが突然LIVEカメラにするわけだ!!こりゃ緊急事態過ぎるだろ!?

 

37:D×D風紀委員長

これ、バタフライエフェクトって奴ですかね。USJに脳無が2体来たみたいに。

 

38:纏め役の転生者

>>37

その可能性はあるが、こればっかりはエボルトの遺伝子のせいだろ。

トガヒミコの個性は相手の血液を摂取してその血液の持ち主の相手に変身する。

 

血液に遺伝子なんて多量に含まれてて当然だ。それにうまく適合して

原作ではずっと後の覚醒が今起きちまったんだろう。

 

39:ヒスイの調査兵

おいおい……つまり、エボルトのせいか!!

 

40:エボルトヒロアカ

今回ばっかりは俺様なにもしてねぇよ。

 

 

「アハッ!!」

「ぐっ!!」

 

41:無法地帯の料理人

ああっ!?エボルってビルドのラスボスでしょ!?

マッドローグって名前から察するに何かの強化形態でしょ。

なんでイッチが押されてるんですか!?

 

42:青春学園の熱血教師

無茶言うな、イッチには個性の毒がまだ残ってる。

上手く動けないんだよ。

 

43:超次元中学生

うっわっまだ深いのが……。

 

44:円卓の鬼

鳩尾に入ったぞ今……。

 

45:纏め役の転生者

……マッドローグには攻撃の威力が上昇する特性がある。

攻撃対象への敵意や憎しみなんかの感情が高まるほど攻撃力が上がっていく。

 

トガヒミコの場合は敵意だけじゃなくて他にも色んな感情がごちゃ混ぜになってる筈だ。

それが常に高いトガヒミコとマッドローグの相性は最高過ぎるんだろう……。

 

しかも状況も悪い。戦闘エリアが暗い程に腕のナイトレイドエッジの切断力は上昇する。

 

 

「ぐぁっ!?」

 

殴り飛ばされて地面を転がっていくエボル、エボルの防御機能を貫通してくる痛みにこれまで感じた事もないような危機を味わう。

 

「おい、この毒は何とかならないのか……!?」

『おいおい治療は専門外だぞ俺は、個性由来の概念系に近い毒だ。軽減は出来ても完治は自然治癒か個性主を倒すしかない』

「厄介な毒を……!!」

 

全身が痺れ続けている、脚が痺れたなんてレベルではない程に。軽減されてこれなんてどんな毒なんだと言いたくなる、だが今はエボルトに感謝しておこう。するのも癪だが―――しなきゃ動けてもいないんだ……。

 

「あれれっ?まだ動けるんですね、流石ですねエボルさん。ステ様と同じ位尊敬してます私」

「そりゃ、結構な事で……!!」

 

陽気にスキップするかのように迫ってくるその姿に寒気を覚える、これが仮面ライダー同士の戦い、いや本来のライダーが経験する筈の戦場なのか……身体が震えている、毒ではなく恐怖している。本当に感じられた命の危機に身体が震え始めていた。

 

「(何を怖がってる……俺は決めたんだろ!?覚悟した筈だ、分かってた筈だ、仮面ライダーとして戦う事の意味を……!!)」

 

身体を縛り続けている鎖、その痛みを感じつつも立ち上がる。そして迫り来るマッドローグを睨みつける、倒すべきを見ろ、目を反らすな、一時でも目を反らしてみろお前は死ぬぞ!!自らに刻みつけるかのように自らに叫び続ける。

 

「(人々の自由と平和を守るために、ラブ&ピースを……!!)」

DINOSAUR(ダイナソー)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

コブラエボルボトルから何とかダイナソーエボルボトルへと入れ替える、それを見てマッドローグは何やら興味津々と言いたげな様子で此方を見据えて来る。向こうからすれば此方が何をするかを見れば自分の今の力を更に引き出す事になる。だが、それが命取りだと教えてやると星辰はレバーを回す。

 

EVOL DINOSAUR(エボル ダイナソー)!!

フッハハハハハハ!!

 

「そうだ、俺は仮面ライダーエボルだ……その称号を俺が穢して堪るかぁ!!」

 

自らの気合を入れながらも地面を蹴って突貫する、飛び掛かって来た星辰を細かな動きで回避しつつも攻撃を捌いてくるトガ。

 

「中々に場数踏んでるって事か!!」

「そうですっ私はいっぱいいっぱい、戦ってきたのです♪時にはプロだって、仕留めて来たのです♪」

 

その言葉は真実だ、と言わんばかりに貫き手を放ってきた。それは正確に首筋を狙っていた、今のが生身の状態だったら確実に首の血管を貫いていたのだろう。それに僅かにゾッとしつつも腕を弾きながらもマッドローグの腹部に蹴りを入れる。

 

「ゲフッ!!お、女の子にも容赦ないのですね……」

「容赦して欲しかったか!?」

「いいえ、寧ろ益々好きになってきました♡ステ様と同じ位、もしかしたらそれ以上かも♪」

 

『なんだこいつ……』

 

腹部へのクリティカルヒットを受けて尚こんな事を言えるとは正気ではない、それともこれが彼女なりの愛情表現という奴なのだろうか……出来れば全力で御断りをしたい所である。だがその時にマッドローグに閃光が走った、同時にトガは膝をついてしまった。

 

「くぅくぐぅっ……結構、この変身ってキツいんですね……身体が軋み始めて、来ました……」

「限界、か……?」

『当たり前だ。俺の遺伝子で個性が突然進化したんだ、身体が慣れきってねぇしハザードレベルも高いと言えば高いがエボルドライバーを扱える程じゃない。個性で無理矢理再現してるだけだな、相棒仕留めるなら今だぞ』

「―――分かった……!!」

 

幾ら個性と言えばエボルトの遺伝子を突然取り込んだのだ、流石に無理が来ているらしい。寧ろエボルドライバーを再現できるだけとんでもない話だ……そう思いつつも身体に力を込めつつもマッドローグに狙いを定めようとした時だった。

 

「っ今ですね!!」

READY GO!!

「なっ!?」

 

突如、蹲っていたマッドローグは俊敏な動きへと戻った。そしてレバーを回しながらも高速移動しながらラッシュを繰り出して行く、腕の刃でも切り裂いて来ながらも飛び膝蹴りを決めてから一気に距離を取ると飛行ユニットを展開し、体当たりしながらも大空へと舞い上がっていった。

 

『あの嬢ちゃん猫被ってやがったのか、器用だな!?』

「言ってる、場合かぁ!!」

READY GO!!

 

このままだと必殺技が来る、それだけは喰らったら不味い……!!それに対抗する為には此方もそれしかないと星辰もレバーを回す、エネルギーを開放しながらも向かって来るマッドローグを迎え撃とうとする。

 

「エボル様ぁ受け取って下さいぃィィぃねぇ♡」

「誰が喰らうかぁ!!!」

 

EVOLTECH ATTACK!!

 

 

EVOLTECH FINISH!!

 

 

勢いを十分に付けたマッドローグは空中で反転するとそのままエネルギーを纏ったドロップキックを繰り出した。それを迎え撃つ星辰は同じように勢いを付けたライダーキックを繰り出した。それは空中で激突

 

「……がっ!?」

 

―――すると思われた瞬間だった、今まで味わった事もない激痛が全身を蝕んだ。毒が一気に強くなったのだ、そしてその痛みで攻撃の軌道は外れてしまった。マッドローグの一撃を迎え撃つ事も出来ず、星辰はその一撃をまともに受ける事になった。深々と胸部を抉るように決まった。

 

CHAO!!

「ガハァッ!!ぁぁっがぁぁぁ……!!!」

 

その言葉と共に吹き飛ばされた星辰は地面に叩き付けられると同時に変身が強制的に解除されてしまった。苦しみもがくがエボルドライバーも消えてしまい、ダメージでまともに呼吸も出来ず思考も定まらない。そこへ現れるまっど、いや変身を解除するトガは三日月のように口角を歪ませて笑っていた。

 

「やっぱり、素敵です……ボロボロのエボルさん素敵……もっと血塗れになったら素敵になると思いますよ」

 

そう言った直後に彼女のエボルドライバーが四散した、同時にトガも全身に凄まじい痛みを感じたのか自身を抱きしめた。

 

「凄い、ですねエボルさんの個性……私もボロボロです……でも大丈夫です、一緒に弔君の所に、行きましょ♪そうすればもっともっと幸せです」

 

そんな言葉を聞いたのが、星辰の最後の記憶となった。意識を保てずに眠りにつくとトガはまだ動ける脳無に自分と星辰をお姫様抱っこさせるとそのまま何処かへと歩き出させ始めた。そして懐から通信機を取り出して連絡を始めた。

 

「あっ弔君ですか?トガですっエボルさんを捕まえましたよ♪」

『一番意外な奴からの報告が来やがった……分かった、おい黒霧』

 

直後、トガの目の前に黒い靄の扉が現れ脳無はそこへと迷う事なく入っていく。トガはボロボロの星辰に抱き着いて悦に入りながらも幸せの時を感じていた。

 

 

 

『悪いな相棒、こうでもしないと必要なエネルギーはまともに回収出来ねぇからな』

 

意識を失った星辰の中で、厄災は一人嗤っていた。その手に握られた引き金は―――力を取り戻し始めていた。

 

『マッドローグの登場は予想外だったが復活には好都合だ。それを知ればお前も納得するはずだぜ相棒。お前も望んでいた筈だ、いや俺達が望んでいた事だ―――なら文句はないな、なんせ俺とお前はベストマッチの相棒何だからな』



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57スレ

80:ヒスイの調査兵

……まさか、イッチが倒されるなんて……。

 

81:無法地帯の料理人

幾らエボルと言えど、無敵ではないって事ですね……。

 

82:IS世界のメンタルセラピスト

イッチが負けたのは、毒のせいだ……本当なら勝てる筈……。

 

83:青春学園の熱血教師

それは十二分にあるだろう、それに合宿での疲れもある。

故にパーフェクトなコンディションとはいいがたい。

 

84:超次元中学生

パワポケであった痺れ薬入りの弁当食って試合したみたいな。

 

85:大地の虎

いや、確かにパワポケ1でそんなイベントあったっすけど……

イナイレじゃないんですね……。

 

86:D×D風紀委員長

イッチが誘拐されたって事ですよね……多分ですけど、爆豪君も一緒に。

 

87:クトゥルフ系狩人

んっ彼も誘拐されるのか?

 

88:普通のカウンセラー

原作だとヴィラン連合はカッちゃんの誘拐を狙ってたのよ。

ほら、彼って常日頃からあれだから社会に対して不満を抱いてるとか

凄いヴィラン寄りに映るじゃない?だから勧誘してヒーロー社会を揺るがす為の材料に

しようとしてた……とかじゃなかったかしら?違うかもだけど。

 

89:光の国の戦士

しっかし、これからどうなっちゃうんでしょうか……。

 

90:円卓の鬼

端的に言えば……世界がやばい。

 

91:ヒロアカエボルト

いやぁ本当にやばいですよね。

 

92:ヒスイの調査兵

全くだ、これからどうするんだ?つっても俺達に出来る事なんて……

 

93:円卓の鬼

う~ん……一応俺も捕まった状態での脱出想定とか心得あるけど

相手が個性持ちだし……。

 

94:IS世界のメンタルセラピスト

>>91

イッチィィィィィィィィッッッ!!?

 

95:D×D風紀委員長

>>91

ふっつうに自然に良すぎてスルーしちゃってましたよ!?

ちょっと大丈夫なんですかイッチ!?

 

96:ヒロアカエボルト

ご心配おかけしました、一応大丈夫です。意識もはっきりしてます。

つっても、今はなんか椅子に縛り付けられてますけど。

 

97:普通のカウンセラー

原作のカッちゃん状態って所ね。彼もいるの?

 

98:ヒロアカエボルト

いえ俺だけっぽいです。

なんか、トガ ヒミコがすっげぇべたついて来ますけど……。

 

99:IS世界のメンタルセラピスト

ん、んんっ~?な、なんだそれ、如何言う事だ!?

イッチはワンサマーだった!?

 

100:纏め役の転生者

あんな唐変木の朴念神と一緒にしてやるな。血液の事もあったりして

好意的みてるだけだろう。イッチ、そのまま何とか情報を引き出せるか?

後LIVEにして俺達にも情報提供を頼む。

 

101:ヒロアカエボルト

分かりました。やってみます、取り敢えずこれから目を覚ましますね。

 

102:クトゥルフ系狩人

油断はするなよ、相手は犯罪者だ。

 

103:ヒスイの調査兵

だが焦るな、あくまで変に慌てずにリラックスだ。

 

104:『システム』

 

ヒロアカエボルトからライブ配信モードの要請を検知。

 

受諾、モード移行を実行します。

 

 

「ぅぅっ……」

「あら、意識が戻るわよ。ほらっトガちゃん退いてあげなさい、彼ってば貴方の一撃で倒れたんだから」

「え~もう少し、それに私だって結構ボロボロです」

「それでもトガちゃんはマシだろ、退いてやりな」

「ブッ~」

 

意識を取り戻した、と見せかけた時に飛び込んできた景色は薄暗い灯りに照らされている隠れ家という言葉が似合うようなバーがそこにあった。そこにいるのは自分が戦ったトガ ヒミコだけではなかった。が特に一番目を引くのはUSJに殴り込みをかけて来た時に見えた黒い霧のようなヴィランと身体中に手を付けているヴィランがいた。それは流れていた雄英を批判するニュース、それの音声をワザと大きくしながら此方を見た。

 

「起きたか」

「……成程、ヴィラン連合の隠しアジト的なあれって感じか……いっ……」

「痛いですか?それはごめんなさい、でも私も痛かったのでおんなじです」

 

エボルテックアタックのダメージは明確に身体を蝕んでいる。相当に効いている……そしてそのままニュースではコメンテーターが何も知らない癖に好き勝手な持論を並べて雄英を、ヒーローを責め続けている。それをたっぷりと聞かせると……それを消した。

 

「随分な社会だと思わないか、石動 星辰君。奴らは少し対応がズレていただけで全力でやるべき事を遂行した、褒められるべきなのに責められる。妙な社会だと思わないか、役目だから?ミスもせずにヒーローやれってか、全く無茶な意見だよな」

「……お前らが言う事かそれ」

「まあな、だが人の命を金や自己顕示に変換する異様な社会、俺達の戦う理由はそこだ。問いだ、ヒーローとは何かを国民一人一人に考えさせる」

 

 

105:無法地帯の料理人

ヴィランが理屈をベラベラと並べるなよ……

 

106:超次元中学生

この辺りは原作と同じ?

 

107:普通のカウンセラー

同じね。

 

108:D×D風紀委員長

同じですね。

 

109:纏め役の転生者

イッチ、上手く情報を聞き出せ。

 

 

様々な言葉を投げかけて来る、ヒーロー社会への不信、不安、懐疑、あらゆるものを誘うような言葉の数々。目指そうとしているモノを揺らがせようとしている。

 

「……まあ一気に言っても混乱するだろうな、おい荼毘、拘束外せ」

「あっ?良いのかよ、暴れるんじゃないのか」

「いいんだよ、これから行う事の為に立場は対等である必要があるのさ」

「……マグネ」

「アタシがやるの?まあいいわ」

 

その言葉からもなんとも目的は透けている、間違いなく自分をヴィラン連合に引き入れようとしている。そのまま拘束が解かれた、普通ならば解かないだろうが対等な立場、それを優先する為に拘束は解除される。それに個性を発動させる為にも時間がかかるタイプであるので抵抗しようとしても直ぐに押さえられるという判断からだろう。

 

「……如何して俺を狙った。爆豪辺りを狙うのが妥当じゃないのか」

「あの爆発坊やか、考えなくもなかったがありゃ駄目だな。絶対に話が通じないタイプだ、毛根までガチガチで俺達の話なんざ聞き耳もたない」

 

 

110:円卓の鬼

合ってる……。

 

111:光の国の戦士

合ってる……。

 

112:IS世界のメンタルセラピスト

確かに……。

 

 

「正直な話、君以外に二人連れてこようとしたけど失敗しちゃってね。まあ君を連れて来る為のフェイクだったから別にいいんだけどね」

 

仮面をつけた男の言葉で確信が持てた。ヴィラン連合の目的は自分一人だけだった、連れて来られたのは自分一人……敵地に一人で完全な孤立無援、しかもこれらの背後にはオールマイトと戦ったあの巨悪が控えている。迂闊な行動はとれない……。

 

『如何する相棒、俺が変わってやろうか?』

「(黙ってろ、お前が出てもややこしくなるだけだろ)」

『そこら辺は二重人格だとかで収めりゃいいだろ』

「(お前が二重人格とか超いや)」

 

極限状態を強いられる星辰、掲示板の仲間という支えこそあるが絶え間なくやってくるであろう悪の誘惑を振り払えるのか……と不安を抱いてしまっていた。

 

『ヴィランねぇ……好き勝手するのも悪くはない、か……こいつの完成にもそっちの方が早いかもしれねぇしな』



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58スレ

「君なら理解していると思うんだがな」

 

YESともNOとも取れる対応をし続ける、ヴィラン連合にとって自分は利用価値があるというよりも得難い収穫。ヴィランがヒーロー、いや社会そのものに勝利したケースとして自分は絶対に必要。その為に粘り強い交渉をし続けて来る、その為に様々な手段を講じて来るのも当然……一番効いたのは雄英を猛烈にバッシングするマスコミの放送。

 

『マスコミってのは本当に下らねぇな、頭ン中空っぽな連中しかいねぇのか』

 

エボルトの言葉にも同意する、というよりも自分も心からそう思っている。そしてそれを利用して懐柔して来ようとするのも理解出来る。既に拉致されてから数日が経過している、雄英へのバッシングの激しさは更に増して行っておりTVには相澤先生とブラドキングが根津校長と共に謝罪会見を行っている。

 

「エボルさん、如何して貴方はヒーローを目指すんですか?こんな生きにくい社会で如何してそんな事が出来るんですか?」

 

トガが質問してきた、あの変身が忘れられないのか逐一血液を求めて来る彼女が別の意味で一番辛い。

 

「……答えるつもりはない」

「知りたいですね~聞きたいですね~♪」

「―――なら応えてやろうか?」

 

その時、星辰の声が変化した。同時に口角を大きく持ち上げながら歪みきったような笑みを作り出していく、その雰囲気はヒーローなんて物じゃない。紛れもない……ヴィランのそれ。

 

「あれっその声って……?」

「体育祭で聞いたなその声」

「二重人格って奴かしら、アンタみたいね」

「えっ何これ一緒にされてんの? ハァッ!?ちげぇし!!

 

突然の変貌にヴィラン連合からも戸惑いの声が溢れ出してくるが、その内の一人であるトゥワイスに極めて近い何かを感じられる。そして死柄木弔はそれを見て何かを掴んだように口元を上げる。

 

「よぉっそれがお前の本性か」

「本性とはひでぇ言い草だな。俺は俺だ、俺は俺のやりたいように生きたいだけだ、ヒーローを目指すなんてその一部分にすぎない」

 

肩を竦めながらもそう語る星辰、いやエボルトの言葉に死柄木は何かを感じる。内に潜めた膨大で強靭で猛烈な悪意。

 

「俺はいわば石動 星辰という箱に押し込められている禁忌、相棒との生活も悪くはないが……いい加減俺も自由に動きたいんでね」

「成程な……禁忌か、差し詰め石動 星辰はパンドラの箱か」

「俺はパンドラボックスと呼んでるがな」

 

声高に笑うエボルト、だがその出現は余りにも突然すぎた。エボルトは身体を震わせながらも顔に手をやり何かを抑えつけようとするような苦悶の表情を浮かべる。

 

「テメェ……出て来るな、やめろ……!!」

『相棒、俺とお前の目的は一致してるが……余りにもお前のそれは遅いんだよ」

「何を―――』

「少し寝てな相棒、次起きる時には……俺達は完全になってる」

『やめろお前……』

 

そう言うと星辰は完全に封じ込められる、そしてエボルトは空を仰ぐようにしながらも何やら心からこの時を待ちわびていたと言わんばかりの声を出した。

 

「ハァァァァァッ……相棒にも困ったもんだ」

「個性そのものに意志がある、そう言う認識で良いのか」

「それでも構わねぇが、俺にはエボルトっつう立派な名前があるんでね。そっちで呼んでくれると助かるぜ連合大将閣下」

 

軽くおどけながらもエボルトは声を弾ませながらも、何処か相手を見透かすかのような口調で死柄木に問いかける。

 

「―――成程、変身って個性らしいがお前に変身してるって訳か」

「間違ってはないな。相棒は俺の力で正義を成そうとしている、頑張ってはいるが俺の真の力を引き出せてねぇ。相棒の目的も俺の目的も一致はしてる、完全体になる事だ」

 

そう言いながらもエボルトはその手の中にある物を出現させ、それを手の中で遊ばせ始めた。

 

「なぁ大将さんよ、俺を仲間にさせたいなら相応のメリットって奴を提示してくれねぇとな。俺は別にこのままヒーローを目指してもいい、時間こそかかるが完全体にはなれる―――だがな、お前達が俺を完全体にさせてくれるってんなら俺は連合加入も吝かでもねぇんだ」

「フフフッ……初めて好意的な返事をしてくれて嬉しいよ、星辰いやエボルト。ならお前に紹介してやるよ、俺の先生をな」

「大将の先生とは呼び方に困るねぇ……フフフフッ」

 

 

 

 

 

140:普通のカウンセラー

ちょっとウルトラニキこれ絶対にやばいわよ!?

エボルトの奴、イッチの身体を奪い取ってるわ!!

 

141:光の国の戦士

これは、まずいですね……絶対に不味い……!!

 

142:IS世界のメンタルセラピスト

イッチィィィィィィィィッッッ!!!!ウオオオオイッチぃぃぃぃぃぃ!!!

 

143:ヒスイの調査兵

取り敢えず落ち着けセラピストニキ!!

言うなればビルド本編の万丈みたいな状態だろ!!

だったら望みはある!!

 

144:D×D風紀委員長

だったら早く!最悪の場合、ヒロアカ次元の地球が消えますよ!?

 

145:纏め役の転生者

待て、イッチはこれ応答してるか!?

 

146:超次元中学生

えっ!?分かんないけど全く応答ないよ!?

 

147:青春学園の熱血教師

エボルトによって眠らされているのか、封じ込められてるのか……

 

148:円卓の鬼

それが何か問題なのか?いや心配なのはわかるけど

 

149:IS世界のメンタルセラピスト

心配って言ってくれてよかった、言わなかったら殺してた。

 

150:無法地帯の料理人

取り敢えず今は自重してくれセラピストニキ。

 

151:大地の虎

んでイッチに反応ないのは問題あるっすか?

 

152:纏め役の転生者

掲示板で繋がってはいるが基本的に俺達の世界は自由に行き来が出来ないようになってる。

だが、何かしらのSOSがあった場合には掲示板を利用してその世界に行く事は出来る。

 

153:IS世界のメンタルセラピスト

>>152

マジでぇぇぇ!!?じゃあリアルイッチに会えるのか!?

何で先に言わないのよアンタ!!

 

154:普通のカウンセラー

絶対にそういう反応するからでしょ……。

 

155:ヒスイの調査兵

んじゃ、助けに行こうと思えば行けるのか?

 

156:纏め役の転生者

可能ではある。ウルトラニキの次元移動もこれを応用してる。

幾らウルトラマンと言っても何か指標がないと難しいからな。

 

157:光の国の戦士

ええ、宇宙を超えるって普通にやばい事ですから

学校のグラウンドに落とした砂金を探すようなもんです。

ビーコン的何かがあれば別ですけど……。

 

158:無法地帯の料理人

ビーコンあればそんなレベルの事でも実行可能な辺りやべぇよウルトラマン。

 

159:纏め役の転生者

だが、掲示板の移動の場合は対象世界の転生者のシステムへのその場での申請が居る。

LIVEモードへの切り替えみたいにな。

 

160:大地の虎

えっ、それって……イッチの承諾が居るって事です、よね……?

 

161:円卓の鬼

でもイッチは今、意識がないのか応答がない。

 

162:クトゥルフ系狩人

という事はシステム様への申請が出来ないからビーコンが打てない。

 

163:D×D風紀委員長

という事は……

 

164:ヒスイの調査兵

イッチを助けに行けない!?

 

165:纏め役の転生者

エボルトの奴、此処まで分かった上で計算してたのか!?

 

166:エボルトヒロアカ

おいおいおい他の世界の奴がこの世界の事に首突っ込もうなんて野暮な事するなよ。

 

167:普通のカウンセラー

!?

エボルトアンタ……!!!

 

168:エボルトヒロアカ

―――一言言っとくが……俺の意志は相棒の意志だ。

全て、相棒が望んだ事だ。さあ引き続きLIVEモードにはしといてやる。

 

さあ……存分に楽しみな、俺達のショーをな!!

 

 

 

「やぁっこんな姿で済まないね、だが君とこうして言葉を交わしてみたいと常々思っていたよ石動 星辰君」

「今の俺はエボルトだ。さて、アンタは俺達の望みを叶えてくれるのかな?」

 

何処までも深い闇の中で厄災は遂に悪の帝王とも言うべき悪意と接触した。

 

「力の限り手助けをしよう、何が必要かな?」

「先ずはそうだな……連合大将閣下の先生様の呼び名を聞かせてくれ、でなきゃ勝手に元帥閣下とでも呼ぶぜ」

「そうか。まずは挨拶が必要だったね、僕の事はそうだね―――オール・フォー・ワン、そう呼んでくれたまえ」



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59スレ

「オール・フォー・ワン、皆は一人の為にってか。如何やらアンタは随分と貪欲らしいな」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

何処かも分からぬほどに暗い場所、僅かにモニターの光だけがその場所を頼り無さげに照らしているが……それに照らされて見える者は身体のあちこちからチューブを伸ばしている為か病人に身間違えそうになる、だがこの全身に伝わってくる感覚を味わえばそれを病人とはとても思えないだろう。オールマイトにも匹敵しそうなほどの屈強さすら感じそうなそれを纏った男……オール・フォー・ワン、ワン・フォー・オール継承者たちが倒そうと目指す男。

 

「さて、君は完全体になりたいと言っていたね。その為の手段を提供すれば連合に入ると」

「まあな」

「それで、如何すれば完全体に至れる?」

「こいつだ」

 

そう言いながらエボルトは自らの身体の中に手を突っ込んだ、そしてその奥の奥、心臓から何かを分離させるとそれを手の中で改めて形にしてオール・フォー・ワンへと見せた。

 

「相棒の成長で此処までは形にする事が出来た。側だけだけどな」

「フム……完成の方法は分かるのかい、弔には時間さえ掛かるが出来ると言っていたが」

「単純だ、エネルギーを吸わせればいいだけの話だ」

 

それを聞いてオール・フォー・ワンは酷く興味深そうにそれを、いやエボルトを見つめていた。そのエボルトが完全体へと至らせるアイテムにも多分に興味を惹かれるがそれ以上にエボルト自身に興味を惹かれるという物だ。

 

「成程エネルギーか……君の口ぶりからして相当に大きなエネルギーらしいね」

「だから回収に苦労してんだ、そもそも相棒が簡単にあのお嬢ちゃんにやられると思ってるのか?」

「フフフフッ!!君も随分と悪い事を考えるものだ、トガ ヒミコの一撃をワザと受けたんだね」

「大正解。あれだけのエネルギーを逃がす手はないんでね」

 

はっきりした事を言ってしまえば、あの時に受けた毒を消す事は出来た。だが、目の前に現れたマッドローグというこの世界では得る事が出来ないと思っていたほどに自分に近しい高エネルギーを生み出す事が出来る存在。その必殺技が目の前にあったのだ、攻撃を受けるという選択肢しかないだろう。

 

「さて、エネルギーか……僕もエネルギーを生み出す個性は多く持っているからそれでまずは実験を始めよう」

「名前から察したが、多数の個性持ちか……そりゃ脳無なんて複数個性持ちのバケモンを作り出せる訳だ」

「頭の回転も速いようで何よりだよ」

 

互いが互いの事を一つずつ知っていく事に納得し次の段階へと進んでいこうとしている時―――モニターが落ちて辺りが暗くなった時、凄まじい衝撃が襲いかかってきた、それは建物が倒壊するかのようなとんでもない衝撃音だった。

 

「矢張り来たね……此方にいて正解だった」

「正解ぃ?」

「ああ、悪いけどそれを取って貰ってもいいかな」

「これか?」

 

エボルトは頼まれたとおりに傍にあったマスクを取って投げ渡した。身体からチューブなどを抜くと投げられたマスク……生命維持装置が組み込まれているそれを装着すると立ち上がって身体を伸ばした。

 

「済まないねエボルト、少し待って貰ってもいいかな。野暮な連中の対処をしてくる」

「俺がやってもいいんだぜ?」

「フフフッそう言って僕に対する貸しを作っておくつもりだろう?借金はあまり好きでなくてね」

「チッ鋭いこって」

 

手を適当に降って送り出した後にエボルトはコブラエボルボトルを使い視野を強化した、暗い闇の中に何があるのかを確認する為に。だが大したものはない、生命維持装置にコンピューターなどの機械類。大したものは……と思った時に視界の先、オール・フォー・ワンが歩いていった先に見えたものがあった。それは脳無だ、脳無の格納庫というべきものがあった。そしてそこにいるヒーロー。

 

「ヒーローも随分と動いてるらしいな……俺がいるって事を想定してか、いやワープで移動してんだ、本命は死柄木の方の筈……つう事はこっちは後詰か」

 

瞬時に様々な事が脳裏を巡っていく、同時に周囲が凄まじい爆風で消し飛んでいく。それもエネルギーとしては優れている、故にエボルトリガーを翳す。そのエネルギーを吸収しても尚、完成には至らないが近づいた。それを見つつももう一度聞こえて来た激しい音、それを確かめる為に脚を進めると襲撃に来たであろうヒーロー達を一蹴に伏したオール・フォー・ワンの姿がそこにはあった。

 

「お~お~派手にやったもんだな。ベストジーニストが見事に倒れてら、一応№4だろ」

「ああ。彼の判断力と精神力は素晴らしかった、だからこそ今倒しておいた。さてと、実験を始める前に先ずは弔達を此方に呼ぼう」

 

そう言うと空中に何やら酷く濁った灰色の液体が出現するとそこから死柄木達が現れて来た、口々に嗚咽や鼻をつまんでいる所から察すると匂いが酷いらしい。

 

「うぇぇぇ……先生……この個性、あんま使われたくねぇ……」

「僕も同感だね、黒霧の事を考えても微妙ではあるがこれで助かったんだ、文句は無しで頼むよ」

「だな……んで先生、エボルトとは話は纏まったのか」

「ああ、如何やらエネルギーが必要らしいからね―――手っ取り早い方がいいだろうね、僕と彼で用意しようと思うよ」

「彼……?」

 

思わず首を傾げた、この場合の誰を指しているのか分からない。だがオール・フォー・ワンは即座に空を見上げた、来ているんだ善意の協力者が。自らの正義と繊維を振りかざす悪意を駆逐する災害が、そんな力を利用しないなんて手はないだろう。それにオール・フォー・ワンとワン・フォー・オールは表裏一体、協力するべきだ、なあそうだろう―――

 

「全てを返して貰うぞ、オール・フォー・ワン!!!」

「また僕を殺すか、オールマイト!!」

 

 

「そうだ、この時を待ってた……この世界に置いての最大のエネルギーと言えばお前達の激突を置いてないからなぁ……!!」



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60スレ

「無事でよかった、石動少年!!」

「御覧の通り、オール・フォー・ワンには何もされてねぇよ」

「相変わらずの大体不敵な物言いで安心したよ!!」

 

満月を背にしながら空からやってきた平和の象徴、どうやって飛んできたんだとも思うが同時にオールマイトだから出来ても可笑しくないか、という印象を抱かせる辺りは死柄木弔の言う通りのチート性能と言わざるを得ない。これで身体能力だけでやっているのだから余計の質が悪い。

 

「待っていろ石動少年!!今こいつを片付けてともに帰ろう、雄英に!!」

「そうはさせないよオールマイト、彼に対する用は終わってないのだからね」

「貴様……石動少年に何をさせるか知らんが、私がそれをさせるかぁ!!」

 

片足でジャンプするように準備運動を済ませると一気に跳躍してオール・フォー・ワンへと殴り掛かる。一瞬で距離を詰めて殴り掛かったオールマイト、その一撃はビルを一撃で崩落させるに十分過ぎる威力―――である筈なのだが

 

「何っ!?」

「忘れたのかいオールマイト、僕が君の事をどれだけ憎いのか」

 

片手でオールマイトの一撃を楽々と受け止めた、しかもまるで子供同士が御遊びで拳をぶつけ合ったかのように衝撃波も全く生まれていない。それに驚愕するが直後にオール・フォー・ワンの腕は異様に肥大化し始めた、そしてそれは一気に伸びながらその勢いで空気を途轍もない勢いで押し出した。押し出された空気はオールマイトを一瞬で吹き飛ばしてビルを幾つも貫かせていった。

 

「衝撃吸収、反転があるからこの個性は使い道がないと思っていたけど君には適切だね」

「今のも個性か」

「ああ、僕のお気に入りさ。空気を押し出す+筋骨発条化+瞬発力×4+膂力増強×3、人間空気砲と言った所かな。だけど増強系をもう少し足してみてもいいね」

 

本来はあり得ない事をやってのける。複数の個性を組み合わせて一つの技として昇華させる、普通ならば数世代の年月が重ね合わせる事でこれは再現出来る事だろう、だがオール・フォー・ワンはたった一人でそれをやってのけるから空恐ろしい。

 

「さてと―――弔、今の内に行くと良い」

「先生……エボルトは」

「彼の事は僕に任せると良い、まだ約束も果たしていないしね―――さあ黒霧ゲートを開くんだ、個性強制発動」

 

そう言うとオール・フォー・ワンは指を稲妻の如く赤い線の入った黒い触手のような物に変化させて黒霧へと突き刺した、プロヒーローの襲撃の際に意識を失った黒霧は本来個性を発動できない、だがオール・フォー・ワンは個性を自在に操る化物だ、他人の個性に干渉して強制的に発動させるなんて朝飯前だ。

 

「これでいい、さあ行け弔」

「―――分かった、行くぞお前ら」

 

何かを察する死柄木は一瞬何かを躊躇するが、直ぐにそれを切り替えて開かれたワープゲートの中へと入っていた。次々と入っていく中、最後にトガは振り向いて笑顔を見せながら言った。その手に星辰の血が入った容器を抱えながら。

 

「エボル様また逢いましょうね♪この血大切にします♪」

 

そう言ってゲートに消えていくと最後に黒霧も中へと入っていった。これで此処に居るのはオール・フォー・ワン、そしてオールマイトのみだ。そこへオールマイトが再び飛んでくる。

 

「逃がしたか!!だが、貴様だけは絶対に逃がさん!!!」

 

そう言いながら渾身の一撃がオール・フォー・ワンの頭部を捉える、確かな手ごたえがあるのにも拘らずダメージがまるで入っている感じがしない。これも奴の個性かと毒づきながらも連続で拳を叩き付ける。

 

「私の攻撃を無効にする個性、ならばそれが追い付けないほどに攻撃するまでだ!!」

「相変わらずの思考だね、まあ正解ではあるが」

 

そう言うと再びオール・フォー・ワンは腕を肥大化させるが、それと同時に指先が変化してまるで銃口のようになった。

 

「さて、指鉄砲を足してみよう」

 

指先から放たれていた一撃はオールマイトの肩を撃ち抜いた。身体を大きく揺らす程度のもので威力は大した事はない、だが―――指から連続的に放たれてくる無数の空気弾がオールマイトの全身へと浴びせ掛けられてくる。

 

「この程度の、銃弾で私を倒せると思っているのかぁ!!」

「思ってないさ、だからこれは繋ぎさ」

 

右腕を上げると全く同じように腕が肥大化し始めた、が今度は腕が増えて砲門のように大きな口を開けていた。

 

「さあ今度は如何かな?」

 

指鉄砲をやめると右腕にそれを集中させて一気に空気を放つ、今までは拡散気味だったそれが収束されて放たれる為に威力は数倍に増していた。これを受ければオールマイトと言えど無事では済まない、だが唯でやれるオールマイトではない。

 

「DETROIT SMASH!!!」

 

空気のミサイルとも言えるそれに真正面から攻撃するオールマイト、渾身の一撃を放った。常識外れの剛腕によって放たれた一撃は単純なパワーとそれによって押し出された空気が共にミサイルへと襲い掛かった。それは一瞬拮抗したが、オールマイトはなんと腕の勢いを利用しながら回転し、もう一度SMASHを放った。

 

「DETROIT SMASH SECOND!!!」

 

二重の衝撃となって襲いかかってくる一撃にミサイルは破られてオール・フォー・ワンへと攻撃が命中する。寧ろミサイルさえ飲み込んで威力が激増した一撃にオール・フォー・ワンは吹き飛ばされる。が、即座に個性を発動させてそれらを全て吸収する。

 

「全く相変わらずでたらめだね、僕の空気弾をこんな風に破るなんて……」

「この程度、造作もない事だ!!」

「どんだけだよオールマイト……流石に引くわぁ」

「ちょっ石動少年それ酷くない!?」

 

流石のエボルトも若干引いていた。この人間が単純な身体能力だけで空を飛んだり空気のミサイルを拳でかき消すどころか飲み込んで威力を倍増させるなんて普通は出来ない事だ。

 

「だけど―――衝撃吸収はもう限界か……」

「やはり限界があったか、USJの脳無と同じか!!」

「ああ、だからあまり使う気はなかったから……だから、この衝撃は君に上げるよ―――エボルト」

 

そう言うとオール・フォー・ワンはエボルトへと向けて腕を差し向けると先程まで溜め込んでいたすべての衝撃を放出した。

 

「なっ!?石動少年!!!?」

 

オールマイトは駆け出して庇おうとするが間に合わない、自身のスマッシュの衝撃と爆風、オール・フォー・ワンの攻撃などが収束されたそれはエボルトへと向かって行く。間違いなくそれを受けたら死ぬ、それなのに―――エボルトは笑っていた。そしてエボルトリガーを取り出しそれへと翳した。

 

「フフフ……ハハハハハハ!!!マッドローグ以上のエネルギーだぁ!?お前らどうなってんだぁ、だが素晴らしいエネルギーだ全く以て―――だから人間って奴は面白い!!」

 

笑い声を上げ続けていたエボルト、竜巻のようなエネルギーを浴び続けていたが―――それらは一瞬にして消えた。そしてそこにあったのは―――石のような姿から色を取り戻した完璧なエボルトリガーの姿だった。

 

「クククッ……これだ、これを待っていたんだ……!!遂に、遂に戻って来たぁぁぁぁ!!!」

 

大声で歓喜の雄叫びを上げるエボルトにオールマイトは何のことか全く理解は追い付かなかった、そしてオール・フォー・ワンはどれ程の力を見せて来るのかとても楽しみだった。

 

「さあ君の完璧な力を見せてくれ、最初から―――そのつもりだったんだろう?」

「なんだやっぱり解ってて協力してたのか」

「伊達に悪の帝王をやって無かったからね、君には弔が成長するに相応しい糧になって貰う。弔はいずれそれだけの成長をするからね」

 

それは侮りなのか、それとも……だがエボルトはその言葉に真実を感じる、それだけの素質を死柄木弔という男は持っているのか。ならばそれはそれで楽しみになるという物だ。

 

『―――おい、エボルト好い加減にしとけ』

「……何だよ相棒もう少し位良いだろう?」

『もうバレてるんだ、やる意味がない』

「そりゃそうか」

 

そう言いながら肩を竦めるとエボルトは唐突にがくんと頭を下げた、電池が切れたように……そして直ぐに頭を上げつつも声を上げて身体を伸ばした時には―――

 

「オールマイト、ご心配おかけしました」

「い、石動少年……で良いんだよね?」

「ええ俺です、ちょっと嘘ついてました―――こいつを完成させる為に」

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

 

エボルト、いや星辰はエボルトリガーの起動させた。彼の意志でエボルトリガーを起動させた、そしてエボルドライバーを装着しながらそこに装填した。そして―――ボトルを装填する。

 

〈COBRA!!〉 〈RIDER SYSTEM!!〉

REVOLUTION!!

 

レバーを回して行く、だがそれすらも違う。周囲には異常なまでのエネルギーが放射されると同時に星辰を中心に渦が発生している。EV-BHライドビルダーが形成されていくが、星辰を囲むようにしつつも縦に三つが並んだ。そしてその周囲を渦に乗って何処からともなくやって来た黒い立方体が取り囲んでいく。そして―――あの言葉が問いかけられる。

 

ARE YOU READY?

「変身……!」

 

その言葉と共に立方体が一気に集結しライドビルダーと連結して星辰を完全に取り囲んだキューブを形成すると同時に世界から掻き消えた。だが直にそこに何かが世界の壁を突き破るかのように出現した、まるで異次元からワープして来たかのような……そこにいたのは―――白いエボルだった。だが違う、その名は―――

 

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

仮面ライダーエボル ブラックホールフォーム。宇宙の厄災、ブラックホールの力をその身に宿した仮面ライダーエボルの完成形とも言うべき形態。

 

「フェーズ4……完了……!!」



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61スレ

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

不敵な笑みと共にこの世界に改めて顕現した厄災、色鮮やかでカラフルだった姿は一変して白と黒が中心にあった。

 

「フェーズ4……完了……!!この時を待ち続けた……フフフッハハハハッ……ハァッハハハハハハハッッッ!!!」

 

見事な三段笑いを上げながらも心底愉快そうな声を夜空へと打ち上げて行く、声は花火となりながらも周囲に衝撃を齎し続けていく。

 

「石動、少年―――それが、君の求めていた姿なのか……!?」

「ああそうだ、如何ですオールマイト……良いでしょ、凄いでしょ最っ高でしょ!?」

 

声自体は星辰の物だが、何処かエボルトのものも混ざっているのかダブって聞こえてくる。だが精神面は随分と違うがみえる、酷く高揚しているというか……酷くハイテンションになっている。極めて愉快そうに笑っているとそこへオール・フォー・ワンは拍手を送った。

 

「成程、先程とは段違いのパワーを感じるね……」

「味わってみるか、オール・フォー・ワン」

「ああ是非とも味わいたいねぇ」

 

そう呟くとオール・フォー・ワンは指先からレーザーを発射した。レーザーは星辰へと向かって行くが、遅いと言わんばかりにそれを回避するとお返しと言わんばかりに指先に黒い重力場の塊を生み出すと指をさすような仕草でそれを射出する。それに対してオール・フォー・ワンはレーザーを放つが、重力場はそれらを一切受け付けない所か攻撃を受けると急激に膨張して向かってきた。

 

「重力操作+ベクトル操作+演算処理×4+並行思考処理×2」

 

だがオール・フォー・ワンは一切慌てる事もなく、瞬時に複数個性を発動させつつも向かってきた重力球を空へと受け流す事に成功する。そして空でそれは炸裂するのだが、周囲の空間を飲み込んで一気に収束した直後に大膨張して大爆発を巻き起こした。それは快晴だった空を一瞬で暗雲で包み込むほど、そうオールマイトと同じように天候さえも変える一撃を放つ事が出来ている。

 

「素晴らしい力だね、故に実に悲しい。何故君はヒーローを志すんだい?その力さえあれば君は自らを王として君臨させる事も簡単だろうに、何故その道を選ばない?」

 

余りにも単純な疑問だ、これだけの力ならばヒーローになんてならずとも自分の好きなように生きる事も可能なはず、それなのに態々自分の自由を制限する生き方をする事が理解出来ない。

 

「単純だ―――俺は憧れた、あの人達の背中に」

 

どんなに苦しい状況でも決して諦めない不屈の魂、優しい心、その強さに全てに憧れた。心からなりたいと思った、あんな人みたいになりたいと……。

 

「それに王様なんてろくでもねぇモノになる気はねぇよ、統治やらなんやらで面倒臭い事になるだけだ。それだったら誰かを支えてやった方が楽ってもんだ」

「成程ねぇ……如何やら君とは相いれないようだ、残念だよ」

「石動少年……私は素直に嬉しいよ、君は矢張りヒーローになれる強い子だ!!」

 

オールマイトは星辰の言葉に思わず強い笑みを作りながらサムズアップをした。君はヒーローになるに相応しいと№1からのお墨付きに頬が緩むが、星辰は少し違うと訂正を求めた。

 

「俺はヒーローじゃない、俺は―――仮面ライダーだ。人々の平和と笑顔を守り、愛と平和を胸に生きて行けるような世界を目指す仮面ライダーエボル……覚えておけ!!」

『READY GO!』

『BLACK HOLE ATTACK!!』

 

誓いの言葉を叫びながらもレバーを一回回す星辰、それに呼応して胸部の特殊変換炉であるカタストロフィリアクターが唸りを上げていく。リアクターが生み出したエネルギーは両手へと集められて行き、胸の前でそれを合わせるとバスケットボールサイズのブラックホールが形成された。そしてそれを一気に空へと打ち上げた。打ち上げられたブラックホールは大空で一気に膨張してオール・フォー・ワンによって生み出された瓦礫を次々と吸い込んでいく。

 

「ブラックホール……まさか地球上で宇宙の災害を目にするとは思わなかったよ」

「13号君の個性とは比べ物にならないなこれは……だがこれは瓦礫を……!?」

「仮面ライダーって奴は困ってる奴を見逃がさない面倒な生き物でな―――救助しやすくしてやったのよ」

 

エボルのEVO-ブラックホールヘッドにはそこら辺の瓦礫に取り残されている救助者たちの生命反応が手に取るようにわかる、そしてそれらを助けるために集まってきているプロヒーロー達の姿も……ならば自分がやるべきは単純、ブラックホールで瓦礫を吸い込んで救助しやすくする為。エボルには変身者の思考を読み取ってブラックホールを利用した特殊攻撃の範囲や威力をコントロールするユニットが追加されているのでこの位も容易い。

 

「参ったねぇ……オールマイトには存分に戦わせるつもりはなかったんだけど……しょうがない、こうしよう」

 

指を鳴らすと死柄木を転送した時と同じ液体が宙に現れた、そこからは合計4体の黒い脳無が出現した。

 

「脳無、お前達は彼を倒せ。僕の邪魔をさせるな」

「オール・フォー・ワン、貴様石動少年を!?」

 

その命令を受けて脳無達は一斉に行動を開始して星辰へと飛び掛かっていく。そうはさせるかとオールマイトはそれを妨害しようとするが、それをオール・フォー・ワンがさせない。せめて、星辰に此方の戦いに介入されたくはないという意図だろう。次々と襲い掛かってくる脳無に星辰は跳びあがって攻撃を回避しながらオールマイトに問いかけた。

 

「オールマイト―――戦っていいですよね」

「―――ああ、存分に戦いたまえ!!責任は私が取ってあげるよ!!」

「そりゃ―――朗報だなぁ!!」

 

翼を展開した脳無が一気に飛び上がりながらも両腕を合わせて巨大な口を形成して鋭い牙を光らせて食い千切ろうとした来たのを見つつも星辰は笑った、そして右腕にブラックホールのエネルギーを集めると自分を喰らおうとしてきた脳無の喉奥へと拳を突き立てた。

 

「仮面ライダーの誼だ、せめて楽に逝かせてやるよ!!」

 

改造人間である脳無、奇しくも仮面ライダーとしてのオリジンも同じく改造人間。故の誼としてせめて人として終わらせてやることを決めつつも脳無をそのまま殴り付けて地面へと叩き付けた、クレーターを生み出す程の勢いで落下した脳無へと急降下しながら腹部を踏みつける。

 

「ギュアアアア!!」

「ギャアア!!」

 

その瞬間に全く同時に脳無が自分を挟むように飛び出してきた。一方の脳無は腕をマグマのように滾らせ、一方は極寒の冷気を纏いながら迫って来る。そして踏みつけた脳無はまだ動けるのか、自分の脚を万力のような力で拘束してきた。

 

『中々やるな、だが脳無の解析は終わった』

「―――ネビュラテックガス!!」

 

迫って来る脳無らに腕を向ける、すると肩部のEVOアナイアレイショルダーが唸りを上げて腕から青み掛かった黒いガスが噴射されていった。脳無はそれを見て方向転換を試みるが既に遅くガスに突っ込んでしまった。そしてそのガスに浴びた途端に―――脳無は完全に機能を停止してその場に崩れ落ちるように倒れこむとそのまま瞳を閉じた。

 

「お前も眠れ」

 

脚を掴んでくる脳無の頭を鷲掴みにしながらもそのガスを浴びせる、ガスを受けると脳無は力を失ったように眠りについて行く。もう決して目覚める事もない本当の眠りについた。

 

「脳無を一瞬に……」

「オール・フォー・ワン!!貴様に余所見をする暇などは、ない筈だぁぁぁ!!!」」

 

オールマイトは更に激昂したかのように殴り掛かってくるが、オール・フォー・ワンは驚きを隠せなかった。最上位(ハイエンド)とは行かない準最上位(ニア・ハイエンド)個体の脳無をあそこまで容易く倒せるとは思いもしなかった。そして最後の一体―――それは一気に身体を膨張させて巨大化するとその体格とパワーを活かして殴り掛かってくる。

 

「おっと、ほっ!!」

 

流石に当たる訳にはいかないと回避を優先する、その一撃が地面に炸裂した時に容易く地面を割り地割れのような亀裂を走らせた。単純なパワーだけならばオールマイトを超えるかもしれない超パワー……しかし、余りにもパワー特化過ぎている為か動き鈍さを感じる。

 

「―――ハァッ!!」

 

殴り掛かってくる脳無の勢いを利用しつつその胸部に掌底を放つ、同時に重力操作を行った一撃は脳無の内部を瞬時に破壊する重力の拳。直ぐに倒れても可笑しくないのだが、脳無は身体を震わせながらもギョロリと瞳を向けながらまだ動いてくる。

 

『しぶとい奴だな、パワー系に加えて回復個性も入ってるらしいな』

「なら、もっと深く身体の内部を抉れるように決まれ!!」

『READY GO!』

『BLACK HOLE BREAK!!』

 

再び動き出して殴り掛かってくる脳無に対して星辰はそれを回避しつつも、まるでホバーするように浮き上がると更に深く懐に入り込みつつも腕に肘打ちを入れて弾きつつも貫き手で脳無を抉り、同じ所を殴り付ける。そのまま流れるように肩の付け根に掌底を放ち片腕を動けなくしてから鳩尾に肘打ち、顎にアッパーカット、とどめに心臓が殴り付けられた。

 

「―――っ……」

 

全身にブラックホールの重力が叩きこまれた事で身体の機能が破壊された脳無は膝をついた、再生の個性が治癒を試みようとするが個性因子すらもズタズタにされている為に再生が機能しない。それでもまだ動ける辺り、脳無とこれを生み出したオール・フォー・ワンの恐ろしさを感じる。

 

「これで終わりだ」

『READY GO!』

 

レバーを勢いよく回して行く、同時に最大稼働を行っていくリアクターからエネルギーが溢れ出して行く。地球上では見る事が出来ない程の膨大なエネルギーが巻き起こっていく。それらを纏った星辰は跳躍するとそのまま全てを収束させるが如く回転しながら脳無へと向かって行く。そしてそのエネルギー全てを脳無へとぶつけた。

 

『BLACK HOLE FINISH!!』

 

その一撃を受けた脳無は吹き飛ばされながらもブラックホールへと飲み込まれていった、そしてその内部でエネルギーは臨界を超えると大爆発を引き起こした。

 

CHAO!!

 

そして爆発は時間が逆行するかのように収束していき、ボロボロの脳無が地面へと落ちた。内部破壊とブラックホールの力を受けた事で脳無は機能を停止、此方も瞳を閉じて眠りについてしまった。それと同時に星辰の背後で途轍もなく巨大な竜巻が巻き起こった、オールマイトとオール・フォー・ワンが戦っていた方向……きっと決着がついたのだろうと思いながらも星辰は空を見上げてエネルギーは放ち曇っていた空を一瞬で晴らす。

 

「―――オールマイトにはこういう空が似合う」

 

そう言いながらも思わず腰を下ろしながらも変身を解除した。

 

「フェーズ4、ブラックホールフォームか……悪くない、ああ悪くないな……」

『だろう。俺の作戦は大成功って訳だ、感謝しろよ』

「今回ばっかりは感謝してやるが、俺も途中で謀ったからこれでトントンだ」

『やれやれ、相棒は厳しいねぇ』

 

そんな風に軽口を叩く星辰とエボルト、その二人の空気は何処か和やかだった。




ブラックホールフォームには様々な追加装備がある。

変身者の思考を読み取りブラックホールを利用した攻撃を可能にする制御ユニット、特定の生物だけに効く有害物質を生成し散布できる環境改変プラントなども該当する。

が、最も恐ろしいのは変換炉。この変換炉には自身の戦闘力を最大50倍にまで引き上げるブーストを可能にするという機能がある。エボルトがビルド作中でコブラフォームの時に2%の力しか発揮できなかった、というのはマジという事になる。
尚、他にも範囲内にいる生命体を即死させる機能も存在する。


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62スレ

5:ヒロアカエボルト

皆さんご心配おかけしました~

 

6:IS世界のメンタルセラピスト

>>5

イッチィィィィィィィィッッ!!!

 

7:無法地帯の料理人

>>5

ちょっと色々と大丈夫なんですか!?

 

8:円卓の鬼

おおっイッチが帰ってきた!!そしてド安定のセラピストニキ。

 

9:大地の虎

大丈夫なんすか!?エボルトの事とか色んな意味で!!

 

10:ヒロアカエボルト

全然大丈夫、今の所は病院で精密検査を受ける為に入院中です。

 

11:普通のカウンセラー

それなら良かったけど……ねえイッチ、ウルトラニキに

コズミューム光線を打って貰うべきなんじゃない?

 

12:青春学園の熱血教師

賛成です、あいつ途中でイッチを乗っ取っててましたし。

 

13:光の国の戦士

私としては助けに行くと豪語してたのにビーコン出して貰えないと

次元を超えられない我が身の情けなさが……。

 

14:クトゥルフ系狩人

そもそも次元を超えられる時点で可笑しいからな。

寧ろ世界を越えた先なんて無数にあるんだから目印位ないとキツいのは当然だっつの。

 

15:超次元中学生

ンで結局コズミューム光線言っとく訳?

 

16:ヒロアカエボルト

ああ大丈夫です―――あれ全部演技です。

 

17:D×D風紀委員長

え、演技……?

 

18:ヒロアカエボルト

だって言ってたじゃないですか、情報引き出せって。

だからその為にエボルトに変わって貰った訳です。

 

19:円卓の鬼

いやいやいやイッチ途中で完全に……

 

20:纏め役の転生者

あれも全部か、それならなんで俺たちまで

 

21:エボルトヒロアカ

簡単な話だ。掲示板っつう絶対的な味方に頼り過ぎねぇためだ。

絶対的な利を生み出すが、それに依存し続けるのもまずいから俺が禁じた。

 

つうか、ピンチになったら一々お前らこの世界に出張ってくる気かよ。

自分の世界の事ぐらい自分でケツ拭くのが当然だろ。

 

22:クトゥルフ系狩人

>>21

なんだろう、すっげぇ腹立つけど正論だから何も言えねぇ……!!

 

23:普通のカウンセラー

>>21

問題起こすトラブルメーカーのくせにぃ……!!

 

24:IS世界のメンタルセラピスト

俺は絶対に許さないからな!!イッチにひでぇことしたドクズが!!

 

25:エボルトヒロアカ

多数の女落としておいて何の責任も取らねぇくそよりマシだ

 

26:ヒロアカエボルト

すいませんセラピストニキ。それについては俺としてもなんとも……

 

27:IS世界のメンタルセラピスト

あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!?

 

28:ヒスイの調査兵

過去最大級にダメージ負ってて草。

 

29:無法地帯の料理人

もうそのままくたばれ。

 

30:円卓の鬼

にしても……イッチ、エボルトは本当に大丈夫なのか

 

31:ヒロアカエボルト

それについては問題ないです。俺自身のハザードレベルも上がってるのもありますけど

エボルトの力が増す事=俺自身の力が強まる事でもあるんです。ブラックホールフォームに

なったのも無策だったわけじゃないです。

 

32:纏め役の転生者

……理屈としては分からなくはないが……それはイッチ自身の力でエボルトを制御

抑えつける事が出来るという認識で良いのか?

 

33:ヒロアカエボルト

ええ―――というか、エボルトは俺ですから。

 

34:光の国の戦士

???えっそれってどういうことですか?

 

35:超次元中学生

Wの翔太郎とフィリップ、的な?

 

36:ヒロアカエボルト

どっちかと言えばエグゼイドの永夢とパラドに近いですかね。

特典としてエボルトとしての力を得た、という訳じゃなくてエボルト自身になった。

それに近いです、それと転生後の身体が混ざって今の自分になってますから。

 

37:纏め役の転生者

あ~……つまりこんな感じか?

 

転生前イッチーー→イッチに特典付与→イッチエボルト→転生後ヒロアカイッチ

       ↑      ↑

   記憶依存特典(エボルトの力)  実際の特典はエボルト化

 

 

38:エボルトヒロアカ

大体合ってるな。個性として俺が、じゃなくて相棒自体が俺になったって訳だ。

 

39:普通のカウンセラー

うっわぁ……ある意味私とおんなじなのね。

 

40:CC立夏

いや実際はもっと悪いよ?だってさ、キアラネキに合わせたら

貴方の中に殺生院キアラの人格があるって事なんだよ?

 

41:普通のカウンセラー

―――うええええええええええええっっ!!!

 

42:青春学園の熱血教師

吐いたぁぁぁぁあ!!?自分の中にあれがいるという想像に耐えられなかったぁ!?

 

43:大地の虎

ちょっと大丈夫っすか!?リアルで吐いてないっすよね!?

 

44:普通のカウンセラー

―――乙女の、尊厳に賭けて……吐くなんてしない……!!!

 

45:纏め役の転生者

>>40

というか貴様は久しぶりに顔出したのに唐突に参加するな。

 

46:CC立香

いや~ごめんごめん。ちょうどチェイテピラミッド姫路城の攻略してたからさ。

 

47:D×D風紀委員長

出たよ屈指のカオス特異点。

 

48:ヒスイの調査兵

あんなのがあるから人類史消そうぜ!!って輩が出て来るんだ!!

 

49:クトゥルフ系狩人

大丈夫だ、利点もある!始皇帝が汎人類史ってどんな世界だよ!!っていった時に

人類史にはチェイテ城の上にピラミッドと姫路城乗ってるんだぜ?

理解出来ねぇだろう?!ってマウント取れるから!

 

50:IS世界のメンタルセラピスト

ぜ、絶対要らねぇだろそのマウント……。

 

51:円卓の鬼

あっスッキモが復活した。

 

52:超次元中学生

よしイッチ、もういっちょかまして凹ましたれ。

こいつ、乙女回路搭載のモッピーという超優良物件にアタックされまくってるからな。

 

53:光の国の戦士

完全に嫉妬ですね解ります。

 

54:IS世界のメンタルセラピスト

おいバカやめろ、俺を殺す気か。

 

55:ヒロアカエボルト

―――少しは女の子の気持ちを汲み取ってあげるのが男の甲斐性ですよ。

俺はそう言う人の方が好きですね。

 

56:IS世界のメンタルセラピスト

よし今からモッピーに告ってくる。

 

57:クトゥルフ系狩人

そうじゃねえだろ!?

 

58:普通のカウンセラー

人の好みに合わせる為に女の子の純情もてあそぼうとしてんじゃないわよ!?

 

59:CC立香

というか、そこで箒が出る辺り普通に惹かれてるね?

 

60:IS世界のメンタルセラピスト

……別に、変態生徒会長と眼帯ロリっ子より好感度高いだけだもん……。

マッサージとかお弁当作って貰ってるかじゃないもん……。

 

61:大地の虎

あっこれ普通に箒ちゃんに惚れてるっすね。

 

62:D×D風紀委員長

それだけど今までが今までだから素直に受け入れられないと。

 

63:纏め役の転生者

問題は篠ノ之束位か。まあ頑張れ。

 

64:無法地帯の料理人

というか、イッチもよくもまあそんなのがサラッと出て来るな……。

 

65:ヒロアカエボルト

何というか……自分がエボルトって事を受け入れたらサラッとね。

流石に嫌い続けるのも疲れるというか……エボル自体は好きですから。

 

66:超次元中学生

実際エボルト嫌いだけどエボル好きって意見多いよね。

 

67:青春学園の熱血教師

見た目は中々にヒロイックな所あるしね。

 

 

そんな風なレスを繰り返しつつもイッチ、星辰はベットに横になりつつも空を見上げていた。この世界はこれから様々な意味で激動の時代を迎える事になる、オールマイトの事、オール・フォー・ワンの事、死柄木弔の事……そして自分の事。特に自分の事のウエイトが大きいだろう、何せ星を滅ぼす力の神髄が解放されたんだ。だけど自分はそれを滅亡には向けない、仮面ライダーとしてそれを使う。

 

「おいエボルト」

『なんだ相棒』

「こっからが俺達のスタートだ、文字通りゼロからな」

『フェーズ4がゼロねぇ……全く面白い事を言う相棒だ』



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63スレ

病院での日々は検査の為の入院というよりも警察からの取り調べという印象の方が余りにも強かった。それもその筈だ、自分はヴィラン連合が標的と定めた上に数日を共に過ごし最終的にあのオール・フォー・ワンと共に神野の決戦の場にいたのだから引き出せる情報があるはずだと考えるのも当然の推論だ。だからと言ってもこちとら一応入院患者なのだから養生をさせて欲しいとも思う。

 

「オールマイトを終わりに導いた者として責任取れ、とでも言いたいのかねぇ……」

 

オールマイトは終わった、既に限界であったにも拘らずこの社会の為に犠牲になりつづけた。そしてその最後を石動 星辰という少年を救い出す為に全てを振り絞った。故か一部では自分は平和の象徴を終わらせる原因ともなった評する者もいる位、全く好き勝手言ってくれる物だと言わざるを得ない。

 

「どうせ誰が拉致られても同じ事言われてたんだろうな、気にする事ないか……但し―――そう言う事言った編集社と新聞社の取材は今後一切受けねぇ」

『完璧に根に持ってるぜ相棒』

「この位許せ」

 

そんな事を言いつつも纏めてあった荷物を担ぎあげるとそのまま病室を後にすることにした、漸く今日で退院なのだ。病院のロビーでは父と姉が待っていてくれた。

 

「よっ、んじゃ帰るか」

「そ~そ~早く帰ろ、お父さんの料理じゃなくてアンタのご飯食べたいしさ」

「やれやれしょうがないな、んじゃタコヤキな」

「何でそこで俺の嫌いなタコ!?」

 

何も特別な態度を露わにしない父と姉に心で感謝しつつも適当なやり取りを楽しみながらも帰路へと着いた。久しぶりに帰ってきたような感覚になる自宅とキッチンに何処か感傷的になりつつも、うどんが大量にあったのを見つけたので天ぷらを充実させる方向に決定しつつも自宅で腕を振える事に感謝した。

 

 

 

「俺は反対だな」

 

そんな言葉から始まった家庭訪問、帰宅してから数日後にやって来た雄英の家庭訪問は雄英が生徒の安全を考慮して全寮制を検討し導入する事を決定しましたという事を伝える為の物だった。そして同時に雄英からの保護者への謝罪も含まれている、家にやって来た相澤先生と腕をギプスで吊っているオールマイト。姉は何処かマイペースにオールマイトにサインを求めていた。

 

そして家庭訪問は父、惣一だけで対応する事になった。曰く、星辰には家でゆっくりでして欲しいと言っていたが本当の所は別にあった。

 

「それが俺の素直な感想です」

 

姉は自分のやりたいようにやればいい、子供じゃないから自分で決めろと言っていたが……惣一は真逆の意見だった。

 

「お父さん……お気持ちは御理解出来ます、恥ずかしながら我々の中に」

「ああいや違うんですよ、俺は雄英の皆さんやオールマイトには感謝しきれないほどに感謝してるんですよこれでも。凄い感謝してます」

 

惣一の意見は当然だと相澤が頭を下げようとした時、惣一はそれを止めた。それは本当に優しさに溢れた笑顔だったことにオールマイトは驚いていた。

 

「星辰はこれまでなんて言うか……ちょっと物静か過ぎた所があった、事故で母親失って俺が男手一つ育てたからか分からないですけど……だけどあいつは雄英に入学する少し前から凄い感情豊かになっていった、それまでは無口なクールガイって感じだったのに……それはきっと雄英が良い影響を与えてくれたからって思ってます」

 

それは、記憶を取り戻す前の星辰の話。母を事故で失ってまるで自分の殻に閉じ籠ってしまっていたように映っていたのだろう、だが雄英を目指すと明確に決めた辺りから少しずつ変化していき、今のような明るく性格になった。

 

「でも……俺はあいつがヒーローになる事を応援、出来そうにないんです……」

「お父さん……」

「本当は応援したいんです、体育祭だって優勝して職場体験だとプロヒーローから即戦力として来て欲しいって言われて凄い嬉しかったって俺に笑顔で報告して……あいつは笑顔になるんだって」

 

友達が出来た、友達を連れて来た、友達とこんな話をしたなんて事も沢山あった。本当に嬉しかった、父として我が子が成長してくれる事に……だからそんな風に成長させてくれた雄英には感謝している、しているが……

 

「あいつは……このまま、ヒーローを目指したらオールマイト、貴方みたいになるまで戦い続ける事になっちゃうんでしょうか……」

「「っ……!!」」

 

オールマイトの神野区の決戦。全国中継されていたそれは決してヴィランに挫けない平和の象徴という姿を見せ付けた、自分達ヒーローがお前達を好き勝手にはさせないというメッセージがあった……だが不安を抱いてしまったのが惣一だった。優秀な生徒として名を馳せた星辰もオールマイトのように戦い続けてしまうのか……と考えると怖くてしょうがない。

 

「親が子供の夢を邪魔するなんてモンペも良い所かもしれないけど……俺にとってあいつは……」

 

相澤は言葉に困っていた。正直な事を言えば星辰がオールマイトのように戦うヒーローになるのは目に見えている、故に否定出来ない。どんな言葉を掛けるべきか……

 

「石動少年は私のようにはなりませんよ、これを見て頂けますか?」

 

そう思っているとオールマイトは鞄の中から紙を取り出した、そこには氏名がビッシリと書かれていた。他にも軽症者や重傷者の人数も、死者の欄もあったがそこには0人と書かれていた。それを見て惣一は首を傾げた。

 

「それは神野区で彼が救った人の数なんです。私が戦ったヴィランによって広範囲で救助者が出てしまいましたが、石動少年はそれをたった一人で救って見せました。自らの個性で瓦礫を退け、救援に駆け付けたプロヒーローが救出が出来るように」

「星辰が……助けた、人の数……」

 

膨大だった。たった一人で此処までの人間を救助したのかと驚くほどに星辰はブラックホールフォームの力を持って人々を救っていた。

 

「彼は私のようにはならないでしょう、何故なら……既に私を超えていますよ、誰かを救うヒーローとして」

「救うヒーロー……ああそっか、ヒーローって戦うだけが使命じゃなかったんだっけなぁ……」

 

その言葉を聞いて惣一は何処か安心したように胸につっかえていたモノを吐き出すような大きな息を吐いた。そうだ、ヒーローとはそういう物だったのだと。ヒーローは戦う者じゃない、救う者の事を言うんだと。

 

「それに石動少年はこうも言っていました、自分は仮面ライダーだ。人々の平和と笑顔を守り、愛と平和を胸に生きて行けるような世界を目指す仮面ライダーエボルだと」

 

そう、ヒーローではなく仮面ライダーだと。

 

「私には仮面ライダーという言葉の重みは推し量れません、ですが彼にとっての仮面ライダーという物はきっとヒーローを越える程のものなのでしょう。だから私は微力でも彼の為に力を貸してあげたいと思っております。愛と平和を胸に生きて行けるような世界を目指すなんて……私が目指した平和の象徴以上の物かもしれませんからね」

 

そんな風に笑うオールマイトに惣一は瞳を閉じながらも書類を返却しながらも脱帽し、掛け続けていた色眼鏡(サングラス)を外しながら頭を下げた。

 

「ウチの子を……宜しくお願いします」




エボルトのせいで散々言われ続けて来たから、良い父親感を出したかった……。


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仮免試験編
64スレ


「んじゃ父さん、行って来るわ」

「ああ、気をつけてな。休日にはちゃんと帰って来いよ?」

「当たり前だ、俺が居なかったらこの店潰れるしな」

「なんだと~!?これでもお菓子作りの腕は大分上がったんだぞ!?」

「俺が猛特訓させたからだろそれ」

 

朝、何時も通りの時間に玄関に立った星辰はそれを見送る惣一に言葉を送る。今日から自分はこの家を出る、雄英は寮制に移行するので自分は雄英の敷地内に建てられる寮に入る。その事で色々と不安はある、寮生活云々というよりもカフェの事が心配でならないのである。

 

「大丈夫だよアタシがちゃんとリードするから」

「頼むよ父さんだけじゃどうしても不安残るから」

「あのさ、君達父親に対してどうしてそんな辛辣なの?俺なんかした?」

 

何処か不憫な扱いをされていることに不満を漏らす惣一だが、そんな姿を見て美空()星辰()は思わず笑いながら惣一()を見た。

 

「んじゃ行って来る、なって来るわ―――仮面ライダーに」

「ああ。最高のになってくると良いよ」

「どうせだからオールマイトを超える勢いでな」

 

そんな応援を受けながらも星辰は一歩を踏みだして行った、これからは新しい未来への一歩、フェーズ4は自分にとっては終わりなどではない、此処からが本当の始まりだ。次の一歩をどんどん踏み出して走り出して行く勢いで行かなければいけない。その足跡が軌跡となるまで。

 

 

林間合宿のゴタゴタもあってから初めて1-A組が全員集合する事になった、新築の寮を前に皆が思ったのは星辰の身の安全だった。エボルの姿はオールマイトの戦いを中継していたヘリによって放送はされていたが、こうして姿を見るまで安心しきる事は出来なかったので生で姿を見れて初めて胸を撫で下ろす事が出来たのが素直な本音であった。

 

「当面は林間合宿で行う予定だった仮免取得の為の強化を目的に行っていく。その為の寮制、そして今回の寮制の導入は一方的だが皆を守る為に必要な物だった。皆、ご家族を説得するのは苦労したと思うが此処にいる事を感謝しておこう」

 

相澤先生の言葉に納得を浮かべつつも、そう言えばそう言う話で合宿してたっけと激しすぎていた状況の変化に戸惑っていたせいで目的を見失っていたり、寮生の説得に苦労したりとそれぞれに大変な事があった事が伺えた。

 

「合宿では俺達大人がお前たちを守るべきはずだった。そのせいで皆には迷惑を掛けた、だが今度は大人が君たちを守る、それを信じて欲しい。そして君たちは俺達の保護下の元で仮免習得の為に精を出して欲しい。さて……長々と話したがこの位にして中に入ろう、元気に行こう」

『はい先生!!』

 

皆が相澤に続いて中へと入っていく中で、星辰を相澤を引き留めて一言を伝えた。

 

「石動、お前には色々と苦労を掛けた……そしてよく頑張った、あの状況で多くの人を救ったお前を誇りに思える」

「俺はやりたいようにやっただけです」

「そうか……ならこれからもやりたいようにやればいい、合理的に周囲の状況を踏まえてな」

 

そう言いながら肩を軽く叩きながら寮へと入っていく相澤に星辰は少しだけ胸が熱くなった気がした。

 

肝心の寮は地上5階地下1階建、2階から左右に分かれており向かって右が女子用、左が男子用となっている。1階は共同エリアになっていて食堂も完備されていて此処で調理して食事を用意する事も出来る。朝と夜はランチラッシュが食事を届けてくれる事になっているので、使うとしたら昼食時だろう。そんなこんなで各自の部屋も割り当てられ、それぞれの荷物が運び込まれているのでこの日は部屋づくりになる事になった。

 

「皆お疲れ~」

「お~う、石動は終わったのか?」

「俺は直ぐに終わったよ」

 

日も沈んで暗くなって来た頃、皆共同スペースに集まって雑談に勤しんでいる。折角なので星辰が皆にアイスティーを振る舞っているそんな時に芦戸と葉隠がある提案をした、これから寮生活を行う上で大切な事、皆の部屋の場所を知っておく事と行く事に慣れる事。

 

「という訳で……お部屋披露大会をしませんか!?」

『えっ』

 

まさかの唐突に始まった部屋披露大会に一部は大慌て、何せ趣味全ぶりな部屋になっていたりするからである。一部の部屋は全員が驚愕するような仕上がりになっていたり、洋室だったのに和室にリフォームされていたりと色んな意味でフリーダムな事になっていた。そして最後は5階、残るは星辰を残すのみとなっていた。皆がどんな部屋なのかドキドキしている中で最も緊張しているのは耳郎だった。

 

「でもあたし達は期末試験の時に石動の家行ってるんだよね~」

「そうね、だからあの時と同じような感じなのかしら?」

「だがそれでも楽しみなのは変わらん」

「そ、そうだね」

 

と勉強を教えて貰った時に行った面子はある程度のイメージは固まっているのだが……矢張り耳郎は星辰の部屋というだけで緊張しっぱなしであった。

 

「まあどうぞ」

 

扉を開けて中を見せる、ワクワクとした装いで皆が中へと視線を伸ばしてみるとそこにあったのは……目を引く巨大なデスクトップパソコンに巨大なスピーカーの音楽プレイヤー、此処までは普通だが他にはドリッパーやサイフォン、サーバーに細口ドリップポットなどなど珈琲を淹れる為の道具が並べられていた。

 

「お~!!流石カフェの息子さん!!」

「珈琲淹れる道具がいっぱいある~!!」

「というか何で既に珈琲の匂いしてるな、飲んでたのか?」

「ちょっと休憩にね」

 

尚、自分で淹れたのでブラックホールが如く黒くなって酷く不味かった。

 

「飲みたいなら何時でも声を掛けてね、一応冷蔵庫には俺の作ったケーキもあるから―――というか今から食べる?」

『食べる~!!!』

 

砂藤の部屋を紹介した時に彼が作っていたシフォンケーキを食べたというのに女子達はケーキに飛びついた、まあ男子も飛びついたのだが……その後は共通スペースで簡単なお茶会を催す事になった。

 

「やっぱり美味しい~!!」

「はふぅっこの抹茶ケーキ絶品……」

「この珈琲も素晴らしいですわ……苦味と酸味のバランスが絶妙でなんてコクがあるのかしら……」

 

「マジかよこのケーキすげぇうめぇ……!!石動今度俺と一緒にケーキコラボしようぜ!」

「勿論」

 

この時、同時に珈琲も振る舞ったのだが……この時ばかりは自分が飲むのと違うのでnascitaでも販売している珈琲ドリップパックを使用した。惣一が前以て用意してくれていたらしく、自分の珈琲セットを淹れていた段ボールの中に入っていたので有難く其方を使わせて貰う事にした。

 

因みに部屋王はケーキと珈琲が美味しかったという理由で星辰に決まった。贈賄なのでは?という疑惑もあったが気にしない事にした。

 

 

「ふぅっ~……」

 

部屋のお披露目大会も終わった星辰は外で空を見上げながら溜息を吐いていた。寮の陰に隠れるようにしつつも空を見上げていると、影の中にあった自分の影が姿を変え始めてエボルコブラの姿になった。

 

『なに疲れたような顔してんだ相棒』

「……何お前、そんな事まで出来んの?」

『俺はお前なんだぜ、お前の視覚情報の一部を改竄して俺の姿にするなんて楽なもんだ』

「……俺に影響ないだろうな」

 

なんて無駄な事をするんだこいつは……と思いつつも星辰は特にそれ以上何も言わなかった。

 

「エボルト、お前は如何するつもりだ」

『さあな。ウルトラニキが居るから下手な事はしたくねぇし真面目にお前の相棒を続けるさ』

「いまいち信頼性がねぇな」

『じゃあこういってやろうか、相棒―――黒いパンドラパネルを作って更に進化しようぜ!?ってか』

「俺が許すとでも?あれ完全に仮面ライダーじゃねぇだろ」

『ですよね~』

 

エボルトも分かってましたと言わんばかりの声色だ、それを喜んでいる節もある。

 

『俺が今一番警戒してること、分かるか?』

「……なんだよ」

『この世界に戦兎と万丈が居ないかって事だ。居たら確実に俺たちを狙って来る、それはそれで勘弁して貰いてぇんだよなぁ』

「あ~……確かに、巻き添えはごめんだ」

 

美空や惣一、一海と言った存在からこの世界にも戦兎と万丈、即ち仮面ライダービルドとクローズがいるのではないかとエボルトは警戒し続けている。居たら確実に自分を倒そうとする筈……出来ればいない事を祈りたい。

 

「何独り言言ってんの?」

「っ!?じ、耳郎さんか」

 

突然声を掛けられた事に吃驚してしまう、少し取り乱すが呼吸を落ち着けながら顔を覗き込んできた耳郎に応対する。チラリと影を見たが、エボルトは見えなくなっていた。そんな星辰を他所に耳郎は隣に立ちながら空を見た。彼女は何処か覚悟を決めたような表情をしながら此方を見た。

 

「せ、星辰!!」

「はっはい!!」

「―――っえっと、その……ま、また会えて嬉しい……また一緒に、その頑張ろうね!」

 

顔を赤くしながらも耳郎はそれを笑顔で伝えた、それを星辰は驚きながらも受け取って頷いた。

 

「うん、頑張ろうね耳郎さん」

「好い加減名前で呼べっての、響香で良いっての」

「ええっと……きょ、響香……さん?」

「さん付け禁止っ♪」



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65スレ

入寮も無事に終了し、雄英での新しい日々が始まろうとしていた。夏休みと言えどヒーローを目指す日々に休みというのは無いらしく、翌日は登校日として相澤から集合するようにと言われているからである、これから仮免の向けての事が始まるのかと皆様々な思いを胸にしながらも相澤を到着を待ちわびていると普段と同じ時間通りに相澤がやってくる。

 

「先日言った様に諸君には仮免の取得を目標として貰う。ヒーロー免許は人命に直接関わる責任重大な資格、その取得の為の試験は厳しい。仮の免許だとしても取得率は例年5割を切っている」

「仮免で……5割」

 

半分は取得すらできないという事実に一部生徒が戦々恐々する。簡単に考えればこのクラスの半分が落ちると言ってもいい程の合格率、それだけヒーローとなる為の資格は厳格に決められているという事の証明でもある。それと同時に教室に雄英が誇るヒーローでもあるエクトプラズム、セメントス、ミッドナイトが入室してくる。そして相澤が矢継ぎ早に述べる。

 

「其処で君達には今日から、最低でも二つ……必殺技を作って貰う!!」

『凄い学校っぽくてヒーローらしいの来たぁぁぁぁっ!!!!』

 

必殺技を作る、これを聞いてテンションが上がらない者なんていない。全員のテンションが一気にMAXゲージを記録していく。そんな生徒達を見ながら教師たちがそれに対する持論をそれぞれが述べる。

 

「必殺、コレ即チ必勝ノ技デアリ型、技ノ事ナリ!!」

「その身体へと染みつかせた技・型は他の追随を許さず、己のオンリーワンとなる。戦闘とはいかに自分の得意を押し付けるかとなる!」

「技は己を象徴し、己の象徴は技となる。今時、必殺技を持たないプロヒーローなんて絶滅危惧種よ!!」

「詳しい話は実演を交えながら合理的に行う。全員コスチュームに着替えて体育館γに集合、早くしろよ」

『はいっ!!』

 

その言葉を引き金となったように皆がコスチュームを手にとって素早くそれを纏いながら、体育館γへと向かっていく。尚、星辰は必要ないのでドライバーをつけた状態で変身はせずに向かう。

 

「ここは複数ある体育館の中の一つであるγ、トレーニングの台所ランド。通称TDL」

『その通称は絶対に拙い気がする……!!』

 

事件・事故・天災・人災といった様々なトラブルから人を救い出していくのが使命を全うする者こそがヒーロー、即ち危険な場へと飛び込んでいくのでそれが出いるだけの力を持つ者ではないとヒーローとして認める訳に行かない。仮免試験では当人の力の適正を試されて行く事となって行く。情報力、判断力、機動力、戦闘力、他にもコミュニケーション能力、魅力、統率力など、多くの適正を毎年様々な試験内容で確かめられて行く事になっていく。その中でも戦闘力はヴィランが活性化している現在において重要な物とされる。

 

「この中でも既に必殺技が存在する者は複数存在する、それを全員に適応させる」

 

必殺技は単純に攻撃である必要はない、必殺技と言っても千差万別、移動系や防御系、妨害や攻撃など幅広いのでそれぞれに合った必殺技が完成する事だろう。

 

「林間合宿の特訓もこの必殺技を作り出す為の個性伸ばし訓練だった、残りの夏休みの10日余りは個性を伸ばしつつ必殺技を開発合宿訓練とする!!個人によってはコスチュームの改良も並行して考えていくように、Plus Ultraの精神で乗り越えろ、準備は良いか」

『はい!!』

 

必殺技。一度は憧れる自分だけの技、それを形に出来るのだから皆のモチベーションも高い。それは星辰も同じ、どんなオリジナルを生み出すか非常に楽しみにしている自分が居る。

 

「サテ、石動君ハドノヨウナ技ヲ作リ出ス」

「先ずは変身ですかねぇ……ちょっとこれを見せる為にも素のままで来たってのもあるんで」

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

〈COBRA!!〉 〈RIDER SYSTEM!!〉

REVOLUTION!!

 

見慣れた変身シークエンス……と言いたい所だが既に様々な点が異なっており教師陣の目を引いていた。そしてレバーが回されていくとそれはさらに顕著になっていく。

 

ARE YOU READY?

「変身……!」

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

首の骨を鳴らしながら現れたエボルの姿、同時に放出される途方もないエネルギーに思わず喉を鳴らした。この姿が神野の決戦に置いて多くの人々を救った姿なのかと。

 

「コレハ……カナリノ威圧感ダナ。君ノスタイルハ姿ニヨッテ変化スル筈。ドノヨウナ事ガ出来ルノカナ?」

「簡単に言えば―――」

 

その言葉に応えるように指を立てる、そしてそれで軽く空間を回すような仕草をするとその指先に黒い球体が生み出された。それをセメントスが作り上げた巨大なセメントの台地へと向けて放った。それはゆっくりと大地へ向かい、そして接触すると―――急激に膨張して大地を丸く抉っていくと許容上限を超えたのか爆発した。しかも爆発の威力はかなりの物なのか、抉れていた所が吹き飛んでいる。

 

「こういう事が出来ます」

「今ノハ……変身時ノ宣言デモシヤト思ッタガ、ソノ姿ハ……」

「ご明察。仮面ライダーエボル ブラックホールフォーム、名が体を現すってね」

 

ブラックホールフォーム、それだけで一体何が出来るのかは察する事が出来るが自分達が知っている物とは大きくかけ離れている故に驚きを覚える。13号のブラックホールとは全く違う、ブラックホールを使うのではなくブラックホールを操る事が出来るというのは全く違う。

 

「ある程度想定はしていたが、そこまでとはな……石動、ブラックホールはどの程度制御できる」

「巨大な物から小さな物まで選り取り見取り、なんならこの場でデカいのを作って皆が出す破片とか吸い込みます?」

 

そう言いながら掌に野球ボールサイズの重力球を作り出しながら問いかけてくる姿はかなりのインパクトがある、だがそうなると……星辰の戦闘能力は途轍もない領域に突入している事になってしまう。そしてそれは同時に多くの人を救っている証明にも繋がる。

 

「石動、少し待て」

 

そう言って相澤やセメントス、ミッドナイトにエクトプラズムは何やら話始めてしまった。流石にブラックホールフォームは色んな意味で逸脱しすぎてしまっただろうか。

 

『相棒、それなら面白い事でもするか?』

「(何をするって?)」

『単純な話で問題だ、ビルドの最大の特徴と利点はなぁ~んだ』

「(簡単だな。ボトルチェンジによる特製の変化による状況対応能力)」

『正解だ。それは俺たちでも出来るだろ?』

「……あっ成程」

 

確かにそう言う方向性に持って行くのは正しいかもしれない。そう思ってエボルトリガーを引き抜きながらもボトルをチェンジする。

 

LOCK(ロック)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

 

話し合いをしている際に何やら新しい事を始めた星辰に相澤は何をやっていると声を上げそうになったが……星辰はそれを無視して変身を敢行する。

 

「―――変身!!」

 

LOCK! LOCK! EVOL LOCK(エボル ロック)!!

フッハハハハハハ!!

 

「フム……やっぱり、行けたな」

 

そこにあったのはフェーズ2をベースにしつつも両肩に鍵のような形状をしたアーマーが追加されている、そしてボトルの特性を現す瞳は錠前の形へと変化していた。ある意味本当の番外的なフォーム、エボルロック。ダイナソーの時点でもしやとも思っていたが……これは素直に面白いと星辰は笑みを零した。



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66スレ

「また新しい姿になりましたね……」

「……考えてみれば、あいつのバリエーションはドライバーに指すボトルによって変化してる。それを考えれば種類さえ変えれば新しい姿になるのはある種の道理だな」

「ダガ先程ノ姿程ノ物ハ感ジナイ」

「あの姿何だか特徴的ね~」

 

エボルロックの姿となった星辰を見つめる相澤とセメントス、エクトプラズムにミッドナイトの教師陣。恐らく起点となるだろうエボルトリガーを使っていないのでブラックホールフォームとやらの程ではないだろう……とは思うが、それでもあの姿も不明瞭。故にエクトプラズムの分身が攻撃を仕掛けてどんな事が出来るのかを確かめる事になった。

 

「ハァッ!」

 

地面を蹴って急速に接近しつつも連続的な蹴りを浴びせ掛けて行く、これまでの星辰ならばこの位軽々と避けてカウンターなどを入れて来る―――筈なのだがそれらを全てガードしている。そして軽やかなステップも全く踏まない重心の重い立ち回りをしている。

 

「あらっ石動君ったら今までと全く逆ね」

「そうですね、これまでは機動力を生かした動きだったのが相手の攻撃を受け止める防御型になってます」

「……動きも随分と鈍い。防御力があの姿の特徴か?」

 

「さてと―――そろそろ行くか!!」

 

その言葉の直後に肩のEVOセキュリティショルダーから鍵を模した巨大なバインドマスターキーが左腕に装着される、そしてそこから鎖が伸びて来てそれを地面に叩き付けながらも迫って来るエクトプラズムの分身へと鞭のようにして攻撃を開始する。

 

「クッオオッ……!?」

 

鎖が振るわれる速度は尋常ではなく鎖の先が全く視認できない程の速度で振るわれていく。回避した鎖が崖のように切り立っているセメントへと激突するのだが、抉る様にセメントを打ち砕いてしまった事から凄まじい威力が伺えた。

 

「あれほどのスピードで振るわれたら遠心力も加わってエゲツない威力になるって訳か……」

「私の鞭といい勝負ね」

 

が、その時だった。一瞬の隙を突いたが如く分身へと鎖が伸びて一瞬のうちにぐるぐる巻きにされて拘束されてしまった。

 

「―――LOCK!!」

「―――っ……」

 

鎖で繋がれた分身、それへと鎖を通じてエネルギーが送られていく。そしてそれが到達すると錠前のような形へと変化しつつも大きな音と共に錠前が閉められてしまった。直後にバインドマスターキーから鎖が切り離されて分身を完全に拘束する、拘束された分身は完全に観念したかのように座り込んで動かなくなった。

 

「完全にお縄にしちゃったって感じね」

「相手を捕縛する事に特化した姿という事ですかね、となるとある意味ヴィランを確保するという意味では適役だな」

「確かに……如何したエクトプラズム?」

「妙ダ……ドウナッテイル……!?」

 

エボルロックの分析を行っていた相澤だが、隣でエクトプラズムが何やらブツブツと呟き続けている事に気付いた。しかもかなり狼狽えているのが分かる程。

 

「おい如何した?」

「新タナ分身ヲ作リ出セナイ……!!」

「えっちょ、イレイザー貴方個性消してる?」

「ンな事してませんよ」

「それじゃあ如何して……」

 

クラスメイトの相手をしていた分身が消えてしまったので新しいのを生み出そうとしたのだが、それが全く出来ない。それも丁度、星辰によって分身が鎖で拘束された瞬間から身体の中の個性因子が封印されてしまったかのような感覚。状況から判断した相澤は星辰へと声を掛ける。

 

「石動、その姿は俺の抹消と似た事が出来るのか」

「みたいです。鎖で縛りあげた上で錠前でロックすると相手の個性を封じられるみたいです、でもまさか分身じゃなくて本体のエクトプラズム先生にもそれが通用するなんて……すいません今鎖解きます!!」

 

流石にこれは想定外だったと言わんばかりに星辰は驚きながらも大急ぎで分身の鎖をマスターキーの力で開錠する。それによってエクトプラズムの個性も復活して元通りに分身を生み出せるようになった。

 

「すいません先生!!まさかこんな事になるなんて……!!」

「イヤ驚キコソシタガ、ソノ力ハヴィランヲ確保スル上デコノ上ナク頼リニナルモノダ」

 

とエクトプラズムは何処か嬉しそうにしていた、驚きこそしたが生徒がそんな事が出来るようになったという事は教師としては喜ばしい事だ。その一方で相澤はやや険しい顔を浮かべていた。

 

「(今度は個性の封印だと……?ブラックホールといい、本当に如何言う個性なんだ……ヴィラン連合が石動を狙う理由も何となくだが理解出来てしまうな)」

 

此処までの広い範囲で力を切り替えつつも高い能力を発揮する個性、正しくこれまで類を見ないタイプだ。ヴィラン連合が欲しがるのも納得だが、新しい姿を現したのならばその能力を徹底的に洗い出す必要がある。相澤はエクトプラズムに頼み5体の分身を生み出して貰いそれらを同時に星辰へとぶつけてエボルロックの性能評価を開始する。

 

「そぉらぁ!!」

 

迫り来る分身の攻撃を的確に防御しつつも細かな隙を見つけてはその防御力を利用した打撃で返り討ちにしていく、がそれだけではない。

 

「イダダダダダダッ!!?」

「これ以上、いけないってねぇ!!」

 

分身にレッグロックを決めつつも脚の力だけでぶん投げて他の分身に当てつつも他の分身にも関節技を次々と決めていく、ロックだけあってそう言った技が得意なのだろうか……と相澤は思いながらもこれまでの事を纏めて行く。

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

レバーを回した後、分身の一人に高速で鎖を巻き付けるとそのまま片腕だけで分身を凄まじい勢いでぶん回して行く。そして地面や壁へと激突させ続けながらも勢い自分へと引き寄せる。そしてそのまま身動きが取れない分身目掛けて飛び掛かりながらキーロック*1を仕掛けた。

 

「相手の動きを拘束しつつも周囲に敵がいる場合はそれらにぶつける事で蹴散らしつつも対象にダメージを与え、止めに得意技か……合理的だな」

「嫌でもあれ相当にやばいですね……」

「かなり、エゲツないわね……」

「……分身デ良カッタ……」

 

かなりエゲツない極まり方をしたキーロックを受けた分身はそのまま消滅していった、辺りにぶつけたり振りまわすだけでも十二分な必殺技になるだろうに……そこに最後のあれは色んな意味で酷い。

 

「こういう方向性でもいいな、投げ技も多分行けるだろうし」

『まあ関節技程じゃないが行けるぞ』

*1
プロレスにおけるもっとも古典的な関節技、格闘技のバイセップスライサーの一種。別名鍵穴固め、ショートアームシザースとも呼ばれる。




エボルロック

機動面ではワースト。最も動きが鈍いが、その分防御力に優れている。
鍵の開け閉めは勿論相手のコスチュームの安全機構を強制的に発動、及び機能のロックを掛けるなども可能。

が、一番の目玉は鎖で拘束した後に錠前を掛けると個性を使えなくしてしまう能力。相澤の抹消と異なり、星辰が開錠しない限り使えないまま。故に捕縛という点において優れている。

そして関節技が大得意で関節技を使うと相手に与えるダメージが増える。


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67スレ

必殺技を編み出す、とは別に新しい姿になった星辰はその力の完全に把握し使い方も理解した。引き続きエボルロックの習熟訓練をし続ける、そもそも必殺技ならばエボルテックフィニッシュがあるので作る必要がないと言えばないのでやるべき事と言えばそれぞれのフォームで異なる特徴を理解してその使い方を考える事ぐらいなのである。

 

「チェストォ!!」

 

複数の鎖を同時に飛ばしつつもそれぞれを独立した動きで操りながらも目の前の壁を抉り続けていく、そして最後に鎖を回してから一気に突き出して壁を一撃の下で粉砕する。

 

『なんだなんだ、随分と型が決まってるじゃねぇか』

「(鎖を武器にするって結構ロマンだからな)」

『そ~言うもんか?』

 

鎖を制御しているのは星辰の思念、自分の想った通りに動いて行くので強固なイメージがあればあるほどに鎖の動きは鋭敏かつ強力になっていく。とある時期に患う病の影響で鎖に憧れていた時があったのがまさかこんな所で役に立つとは……と内心では顔を赤くしていたのであった。

 

「HEY!石動少年、精が出るね」

「あっオールマイト」

 

内心で赤っ恥を欠いている時にやってきたのはオールマイトだった、だが以前のような筋骨隆々の姿ではなく骸骨のように痩せ細ってしまっている。当人曰く、これこそが真の姿(トゥルーフォーム)らしく以前の姿はマッスルフォーム、言うなればプールでお腹を引っ込ませているような物らしい……それもそれで良く分からないが、兎に角今のその姿は片腕を吊っているのもあって酷く痛々しい。

 

「今皆を回ったアドバイスをして回っているのだが……どうかしたのかい?」

「……いえ」

「―――ああっその事か。君の責任なんてないさ、君は被害者なんだから」

 

オールマイトは顔を伏せてしまっていた星辰の内面を即座に読み取った。世間では星辰の事をオールマイトを終わらせた原因の少年、ヴィラン連合が狙う程の存在、ヴィランの素質があるから、などと好き勝手に言う者も居る。勿論そんな者は大批判を浴びるのは当然の事、それでも間接的にもオールマイトを終わらせてしまった事への責任は感じてしまっている。

 

「元々私は既に限界に近かった、だけどその前にオール・フォー・ワンを刑務所に送る事が出来たのは素直に僥倖だった。君が気にする事ない」

「……有難う御座います」

 

頭を下げながらも星辰は同時にこの世界の歪みを感じた。何故このオールマイトだけにこれだけの重荷を押し付けていたのか、オールマイトが大怪我をした時に彼を十二分にサポートする体制などを整えるべきだっただろと思わざるを得ない。

 

「しかし改めて君の個性の幅広さには驚きを禁じ得ないね、そんな姿もあるなんて」

「俺の場合は必殺技というか姿の発掘的な事になってますね」

「ふ~む……そう言えば仮免試験なんですけど、それって如何したらいいですかね?」

 

基本的に必殺技の開発というよりも新しい姿の慣れを主軸としているので仮免ついてのアドバイスを求める事にする。そう、星辰が気になっているのは自分達は体育祭などで個性などを明らかにしている点。試験なので他の受験者と合格を奪い合うのは必然なのでそれゆえの情報戦の有利を気にしている。

 

「エボルロックで行くべきか、それとも最初からブラックホールで……ああいや、でも流石にバレるかな?」

「いや何方でもいいと思うし後者でも問題ないと思うよ私は」

 

星辰的にはブラックホールは中継で見られているので控えた方がいいのかな?と思ったのだがオールマイトの答えは全く違っていた。

 

「ハッキリな事を言えば、君はあの場でブラックホールを出現させて瓦礫を吸い込んでいただろう?加えてブラックホールの重力の影響で報道ヘリは近寄れない状況になっていたんだ。私も報道映像を確認させて貰ったけど、私とオール・フォー・ワンの戦いばかり撮っていたからね。それに君があんなものを作り出したなんて誰も思いもしないよ」

「あ~……確かに」

 

言われてみたら腑に落ちた。個性としてブラックホールを宿している13号ですらあくまでの指先などから吸い込む程度でブラックホールその物を生み出すなんて事が出来るなんて誰も思いもしないだろう。しかもそれが攫われた人質がやっていたなんて……誰も思わない。そして遠方から撮影するしかなかった報道ヘリはオールマイトのばかりに注目したのも幸運で星辰と脳無の戦闘は見られる事は無かった。

 

「だったら初っ端からブラックホールで暴れた方がいいかも?」

「それは正直あるね。ぶっちゃけ、脳無に全然力出してなかっただろう?」

「あっバレました?」

「教師としては新米だけど、人生経験じゃ負けないからね」

 

お茶目にウィンクするオールマイトにクスッと笑ってしまう。

 

「ああそうだ、オールマイト実はもう一つ新しい姿があるんですけど見て貰っていいですか?」

「おおっまだあるのかい?是非見たいよ」

 

その言葉を貰ってから星辰はボトルを変えた。

 

TANK(タンク)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

「―――変身!!」

TANK! TANK! EVOL TANK(エボル タンク)!!

フッハハハハハハ!!

 

瞳は戦車を模した物へと変化すると同時にその両肩には戦車の形をしているEVOタンクショルダーが追加されており、エボルロックよりもより攻撃的な印象を強く受けるフォームとなっている。

 

「WOW!!戦車とは、これはまた攻撃的な姿だね」

「でもこう見えて攻防一体みたいですよこれ、後足の裏にキャタピラがあるみたいで」

 

足の裏裏はキャタピラ状になっているのか星辰はそれを高速回転させる事で高速で走り始めた。しかもキャタピラの名に恥じないのか相当に走破性も高い、それにそもそも両脚で立つ人間のそれが加わって走らない場所などないと言わんばかりの走りを見せ付けている。

 

「ハハッ中々楽しそうだね石動少年」

「ええこれ結構楽しいですよ!!」

 

内心ではまるでローラーダッシュみたいだ!!とテンションが上がっている星辰に漸く笑顔になってくれたかとオールマイトは微笑みながらもエボルタンクの力強さを褒めるように肩をポンポンと叩く。

 

「これは仮免では他の受験生は驚く事間違いなしだね!!」

「ハハハッそうですかね」

「そうともHAHAHA!!」

 

そう言って肩を叩き続けたのだが、最後に少しだけ力を込めてバンッ、と叩いてしまった。その時―――左肩のEVOタンクショルダーから轟音と共に砲弾が発射されてしまった。それに連動するように右肩からも砲弾が発射されて目の前へと命中して大爆発を引き起こした。

 

「「あっ」」

 

思わず間抜けな声が出てしまった二人、しかもその砲撃の威力は相当な物なのか砲撃を受けた台地はボロボロと崩れ始めて行った。それを見た二人は顔を青くしながらも冷や汗をかいた、そしてその瓦礫の上からエクトプラズムの分身に抱えられていた耳郎はいい笑顔をしながら此方へと迫って来た。

 

「へぇ~星辰それがアンタの新しい姿なんだねぇ~へぇ~……随分と良い威力してるじゃない、ウチがいた所を吹き飛ばすぐらいにはさぁ~?」

 

ニコニコとしているがその額には青筋が浮かんでおり明らかにブチ切れているのが伺える。

 

「あ、あのその……じ、耳郎さん落ち着―――」

「んっ耳郎さん~?ウチの聞き間違いかなぁ~ねぇ星辰?」

「きょっ響香さん……」

 

傍から見たらエボルトがたった一人の少女ににじり寄られて狼狽えているという事になっている、これを掲示板の皆が見たらどんな反応をするだろうか。

 

「じ、耳郎少女今のは私が不用意に彼の肩を叩いたせいで……だから責任は全面的に私に―――」

「そんなわけないですよね~?元を正せば星辰がちゃんと気を付けて、砲門のロックとか掛けてればいい話だもんね~」

「お、おっしゃる通りです……」

 

何処か妖艶に、ミッドナイトのように顎をそっと撫でる耳郎。それは不思議と威圧感に溢れておりそれを見ていた周囲のクラスメイトも硬直していた。

 

「それで、ウチになんか言う事あるよね?」

「申し訳ございませんでしたぁぁぁぁ!!!」

 

恥も何もなしに速攻で土下座をする星辰に対して耳郎は笑顔を変える事もなく優しく彼の頭を撫でる。

 

「うんっウチは優しいから許してあげるよ、勿論♪で・も・さ―――分かってるよね?」

「はっはい勿論でございます!!」

「なら宜しい♪」

 

この時、A組の全員が思った。耳郎を決して怒らせてはならないと。



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68スレ

「本当にすいませんでした……」

「いやホントにもう良いって、あの時は本当に凄い怒ってたけどもう気にしてないから、ねっ?寧ろウチも怒りすぎたぐらいだし……」

 

耳郎に向けて捧げるガチ土下座、今回ばかりは本当に星辰も心から反省しており耳郎に危険な目に合わせてしまった事を心から後悔している。そんな土下座を行っている場は星辰の自室、本来ならば他の皆も放っておかないような状況なのだが、TDLでの一件もあって誰も羨ましさを込めた視線を一ミリも送りはしなかった。

 

「でもマジでビックリしたしエクトプラズム先生の分身に助けられてなかったら怪我してたかもしれないんだから、反省してね?」

「はい……猛省しております……」

 

正座したまま小さくなっている星辰、このままでは星辰もスッキリしないだろう。こういう時は思い切って罰を与えてみるのも良いと何かで読んだ気がする、悪い事をしたのに説教やら罰がないと治まりが悪い……だっただろうか。

 

「んじゃさ、星辰がウチに珈琲淹れてよ。アンタのオリジナルブレンドで」

え"っ

 

今まで聞いた事がないような濁り方をした声を発する星辰。冷や汗を掻きながらも明らかに狼狽えているのか視線を泳がせている。

 

「い、いやあのそれだけは……冷蔵庫にあるケーキを全部献上とかなら喜んでさせていただきますから……」

「それはそれでいいけどさ、それとセットで飲みたいから珈琲淹れてよ」

「それならドリップパックが」

「ウチは、アンタの、淹れた、珈琲が、飲みたい」

「―――……はい」

 

何度も何度も念押しされた事で渋々星辰は持っていた豆の焙煎から珈琲を淹れ始めた。耳郎はそれを近くで見ながらもあれだけ嫌がっていたので実は淹れるのが苦手なのかもと思っていたが手付きに淀みも躊躇もなくスピーディに行われていくので何が嫌なのか分からなかった。次第に部屋の中に広がっていく珈琲の香りに少しばかり心が躍った。

 

「……一応できたけど……」

「おっ出来た?それじゃあ注いでよ、ケーキと一緒に飲むからさ」

 

一応完成した珈琲だが星辰の顔色は極めて悪い、酷く渋いというか暗かった。しかし負い目もある為逆らう事も出来ずにカップに半分程度注いでそれをケーキと一緒に出す事にした。

 

「言っとくけど……俺が要れる珈琲はマジで不味いよ」

「またまた、アンタのお父さんのドリップパック凄い美味しかったじゃん」

「いや父さんのその才能を全く引き継げなかったんだよ俺」

 

きっと謙遜しているだ、そう思って手を合わせてから珈琲を啜る―――

 

「にっっっっっがぁぁぁぁ!!?何これ、すっごい苦いしすっぱぁ!?」

「だから言ったのに……はい、口直しの果実水」

 

そう言ってタンブラーに注がれた柑橘系の果実水を耳郎はがぶ飲みする勢いで飲み干して思わずゼエゼエと肩で息をする程だった、そしてそれを見てやっぱり自分の淹れる珈琲はそんなにまずいんだなぁ……と若干凹むのであった。

 

「ハァハァハァ……な、なんなのこれ!?」

「……俺製の珈琲です……」

「いやこれ珈琲なの!?尋常ない位苦いんだけど!?」

「言っていいよ不味いって、俺もずっと不味いって思ってるから」

「ああいや、唯苦すぎるっていうかその……」

 

あれだけ大声で苦いだの酸っぱいだの言ってしまっているが流石に不味いとは言いづらい、だが事実として星辰の珈琲は飲めたもんじゃないレベルに超不味いのである。

 

「昔からずっとなんだ……珈琲だけは全然上手く淹れられないんだ……如何してもエグい位に苦くなって不味くなるんだ……」

「だからあんなに濁ってたんだね……」

「……うん、せめてケーキを食べて口の中を中和してください……」

 

と新しくモンブランを出して耳郎に差し出す。一先ず口の中にまだ残っているそれをケーキの甘さで中和しつつもこれは確かに他人に出したがらない訳だと納得する。

 

「あ~……これさ牛乳とかで割ったらいい感じにならないかな?」

「さあ……」

「試しだよ、やってみよ」

 

冷蔵庫から牛乳を出してカップに注いでいく、ブラックホールが如く真っ黒だったそれは白が加わって茶色へと変わっていく。それを見届けて耳郎は珈琲を啜る……先程のように口にしたとたんに声を上げるような物ではない、物ではないのだが……

 

「う、う~ん……まあ飲めなくはない、かなって感じには……」

「やっぱりその位だよねぇ……」

 

そう言いながらもポットに残った珈琲を自分のカップに注いでいく星辰、そしてそれを一気に喉奥へと流し込んでいく。

 

「あっちょっと星辰!?」

「マッズ……」

 

矢張り相当に不味いのか星辰は顔を顰めているが、自分程ではなかった。当人からすれば一応飲める程度の物として感じているのだろうか。

 

「いや、子供の時からずっと後始末で自分で飲み続けてたから耐性が付いてるだけ」

「耐性って毒じゃないんだから……」

「毒みたいなもんだよ、こんなの」

 

兎も角肩を落としながらもシンクでポットを洗って行く星辰、その後姿は何処か煤けているように映った。耳郎もnacsitaで飲んだ惣一の珈琲は本当に美味しかった、苦味も酸味も確り感じられつつも旨味とコクがそれらも美味しさに昇華する素晴らしい物だった。それに比べたら……と思い続けているのかもしれない。

 

「星辰さ、これからもウチに珈琲淹れてよ。それがアンタへの罰」

「えっでも……こんなクソ不味い珈琲をこれからも飲むの?」

「そっ。でもどうせならとっても美味しいのを飲みたい、だからさ―――これからもっと頑張ってみようよ、ウチと一緒に美味しく淹れられるようにさ」

 

そう言いながらも隣に立ちながらも洗い物を手伝い始めた、思わず呆気に取られてしまった星辰はジッと耳郎の方を見つめてしまうが彼女は微笑んだ。

 

「必殺技を作るのと同じだよ、何度も何度も繰り返して作っていく。だけどアンタは一人でやってたから上手く行かなかったんだよ、だからこれからはウチが一緒に手伝うよ。味見役として」

「いやでも……」

「味見役、誰かに飲んでもらうって思えばさ、妥協せずに本気でやれるんじゃない?」

 

そう言われて少しばかりハッとなった。確かに自分はエボルトとなった影響で珈琲は絶対に不味くしか淹れられないと半ば諦めていて何処か適当になっていたのかもしれない。でも誰かに飲んでもらうと思えばもしかしたら……美味しく淹れられるようになるかもしれない。

 

「何時、美味しい珈琲になるか分からないよ?」

「良いよ別に、その分アンタの作るケーキで口直しするから」

「飽きるよ?」

「アンタのケーキなら大丈夫」

「耳郎さん―――」

 

言おうとした時、彼女のプラグが口を抑えて来てその先を言わせてくれなかった。

 

「響香、アンタにはそう呼んでほしい。だから響香でお願い」

「……分かった、響香さん」

「出来ればさん付けなしで」

「それは流石に……」

「そりゃ残念」



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69スレ

強化合宿と題された必殺技を作る為の訓練が続けられて行く。訓練も始まって早4日、それぞれがスタイルや必殺技を定め始めてきた中でサポート科などにも顔を出してコスチュームの改良など行い始めて行く頃の事。星辰も訓練に励み続けていた―――が

 

「おい石動、耳郎、客だ」

「へっ?」

「客、ですか?」

 

二人は共に訓練をし続けていた。星辰はエボルロックとエボルタンクの習熟を目的に、耳郎はある種の泣き所とも言える近接戦闘能力を向上として組み手を行っていた時に相澤から呼び出しを受けた。客が来たらしいのだが一体誰が……と思ったらそこにいたのはサポート科の発目であった。

 

「あれ、発目さんどうしたの?」

「フッフッフッ……勿論、お願いされていたサポートアイテムが完成&認可が下りましたのでお届けに上がったんですよ!!!」

「えっもう!?」

 

先日、耳郎はコスチュームの改良を踏まえて新しいサポートアイテムをサポート科にお願いしに行った。そこで星辰のホークガトリンガーやカイゾクハッシャーを作った発目を紹介して貰ってアイテムを作って貰える事になったのだが……まさかこんなにも早く完成するとは思っても見なかったので驚きだった。

 

「フフンッ優れた開発者というのはクライアントを待たせない物なのです、それに仮免の事もあるんですから出来るだけ早いのが好ましいと思いましてパワーローダー先生にも協力いただいて仕上げました」

「新しいアイテムであれば習熟訓練も必要になる、合理的だな」

「という訳で―――はいどうぞ!!」」

 

そう言いながらも発目は背負っていたバックからそれぞれが注文したアイテムを出した。

 

「おおっ……前のも思ったけどまさかここまで完璧に作ってくれるなんて……流石天っ才メカニックだね」

「いやぁ照れますね~私としては石動さんのフルボトルを解析させて頂けましたから得るものも大量でしたから~」

 

再びフルボトルを貸し出し解析、それから得られたデータを基にしながら仕上げて貰ったアイテムだがそれは星辰が思い描いていたモノそのものだった。新しいサポートアイテム、ビートクローザー。フルボトルの装填も可能、これなら自分が思い描いていた事が出来そうだ。

 

「んでこれがウチの?」

「はい、耳郎さんのは基本的に私のオリジナルが基です。と言っても此方はビートクローザーを原型にしてますけどね」

 

そう言いつつも手渡されたものを手にする耳郎、思ったよりもしっくり重さと形状に軽く振って見てもかなりの手応えを感じる。そしてバッチリ自分のプラグの差込口もある。

 

「凄い、凄いしっくりくる」

「フフンッ!!使い手の手の形や握り方、それを考慮するのもデザイナーですからね!!」

 

とドヤ顔しつつも胸を張っている発目だが、星辰は仮面の内側で引き攣った笑顔を浮かべずにはいられなかった。何故ならば……ライダーで見た事がある物だからだ。

 

「それでは銘の発表です、それは―――音銃剣錫音です!名前の通りに剣と銃の二つの姿を併せ持つ自信作です!!」

「錫音……」

「はい、それでは軽く説明しちゃいますので錫音にプラグを指していただけます?」

「あっうん」

 

早速錫音にプラグを差し込んでみると錫音は光を放ち始めた。

 

銃剣撃弾!!銃でGO!GO!否!剣で行くぞ!音銃剣錫音!!

 

「今みたいにプラグを指す事で錫音は起動しますので耳郎さんの完全専用アイテムです、そしてそれは貴方の心音を利用する事で真価を発揮します。剣の状態では常に刀身は振動していてその状態では様々な物をスパッと!!斬る事が出来ます、平たく言えば超振動カッターですね」

 

様々な物を斬れると言われたので試しにセメントの壁に向かって錫音を振るってみるとまるでバターでも斬るかのように簡単に切断してしまいその切れ味に思わず驚いてしまう。

 

「す、すごっ……!?」

「それは流し込む音を調整すれば切れ味を変える事は出来ますからその辺りは色々とお試しくださいね、それと銃モードでは音の銃弾を発射します。あっ正確に言いますと対象の固有振動数を無効化する特殊弾丸を耳郎さんの心音などを利用して生みだ―――」

「あっそこら辺は良いから、取り敢えず音の弾って事でしょ」

「そう言う事です!!」

「(やっぱり音の聖剣じゃないか……)」

 

「後これもどうぞ、フルボトルを解析して作った拡張アイテムです」

 

追加で渡されたのは錫音のマガジンのようなところにセットするらしいアイテムだった。どうやら必殺技を発動させる為のキーアイテムらしく、大切にしようと決めると追加で発目は勝手に耳郎の腕に何かをセッティングし始めた。

 

「そしてこれも私の自慢のベイビーで錫音の強化アイテム、ドレミファターンテーブルです!!」

「(今度はドレミファビートか……)」

 

これも自分がフルボトルを渡してしまった影響なのかと軽く遠い目をする星辰。そんな彼を他所に発目はそれの説明を行う。

 

「これは起動させると錫音と共鳴して音楽を発し始めます、その音楽のリズムに合わせて錫音を使うと最大で4倍のパワーアップをさせるんです!!」

「4倍!?」

「ええ、ですけどこればっかりは扱う人のリズム感覚とかセンスにかなり依存しちゃいます。音楽経験あるとの事ですのでこんな風にしちゃいましたけどどうします?今の段階なら変更可能ですけど」

 

それを聞いて耳郎はジッとターンテーブルを見つめながらも小さく、リズム……と呟いた。そして徐にテーブルに手を伸ばしてそれらを撫でた。同時に聞こえてくる音楽、それを全身で聞いてリズムを確認すると即座に錫音を振るい始めた。

 

「フッたぁよっはぁ!!」

 

リズムに合わせてステップを踏んで、それに合わせて踊るように動きながらも錫音をスナップを利かせるようにしながらも振り回しながらも演武を刻んでいく。

 

「おおっ突然のスタートに驚きましたけど中々に見事に使いこなしてるじゃないですか!!」

「それじゃあ俺も―――!!」

 

それを見つつも星辰はエボルドラゴンにチェンジしながらも耳郎の前に立つとビートクローザーを構えた。それを見ると耳郎は笑いながらもステップを刻み続けながらも迫っていきながらも剣を振るって行く。

 

「よっほっ!!」

「ふったぁ!!」

 

リズムに乗りながらも時々耳郎のアレンジも加えているのかリズムとは少し異なったリズムも加えるで相手にも聞こえてくるリズムと呼吸をズラすというフェイントも織り交ぜていく。

 

「これは、結構厄介だなこれ!!」

「フフフッさて如何するよ!?」

「んじゃ俺も!!」

 

錫音と何合か斬り合い続けたが、バックステップを踏みながらもビートクローザーのグリップ部分を掴んで引っ張る。

 

HIT PARADE(ヒッパレー)!! SMASH HIT!!

 

まるで対抗すると言わんばかりにビートクローザーからも音楽が流れだし始めた、それと同時に刀身のイコライザーのようなメーターが一気に上昇していきエネルギーを纏って行く。それを勢い良く振るうのだが、それを耳郎はドレミファターンテーブルと共鳴している事で威力が倍増している錫音の一撃で相殺するのだが―――直後にモードチェンジを試してみる。

 

銃剣撃弾!!剣でいくぜ!NO! NO! 銃でGO! GO! BANG! BANG!音銃剣!!

「これでリズムだから……こうかな?」

 

今度はリズムに乗りながらも発射のタイミングや連射数を変えてみたりして見る耳郎、その直感は見事に命中しており乗っている弾丸は不規則な加速や軌道を変えながらも星辰へと襲い掛かっていく。

 

「ちょっこれマジか!?」

 

リズムに乗っている、と言いながらも極めて不規則でランダムな加速によって防御タイミングが掴めないので蒼炎を展開して防御壁を展開する星辰。何とも癖の強いサポートアイテムだと言わざるを得ない音銃剣錫音、だがそれを耳郎はターンテーブル共々酷く気に入ったような瞳で見つめていた。

 

「ウチこれ凄い気に行った!!絶対に使いこなすから!!」

「お気に召したようで何よりです~っておおっあちらでは緑谷さんがアイアンソールを実戦使用してるじゃあぁ~りませんか!!んじゃ私は其方に行きますので~!!」

 

と直ぐに走り出して行ってしまった発目を見送りながらも耳郎は何処か満足気に錫音を握りしめている。

 

「星辰、これの相手も頼むよ」

「分かってるよ、俺だってビートクローザーを使いこなさないといけないしね。とことん付き合うよ響香さん」




という訳で耳郎ちゃんに強化入ります。ライダーシリーズから音関連の物を引っ張ってきました。

まあうん、発目さんだからしょうがないよね。


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70スレ

合宿訓練を経ていよいよ雄英1-Aは仮免習得試験へと挑む事になった。林間合宿と雄英での合宿訓練は全てこの日の為に蓄えてきた経験と力、それら全てを持って挑むのが仮免習得試験。1年の時点で仮免の習得に動き出すのは全国でも少数派、必然的に自分達よりも長い期間訓練を重ねてきた者達と鎬を削る事になるのだが彼らは何も恐れていない。訓練期間が長い、それなら自分とて同じだ。一度試験場に立てば全員が対等に扱われる、自分の力でそれを証明すればいいだけの話。

 

 

そんな思いを胸に抱きながら試験会場の国立多古場競技場へとやって来た。

 

「いよいよ試験か、緊張してきたぁ……」

「仮免取れるかなぁ……」

「不安は飲みこんでおけ、それに取れるか否かじゃない。取ってこい」

 

緊張に露わにするメンバーに対して何処か脅しに聞こえるようだが力強いエールを送ってくる相澤に覚悟を決めたように表情を作る。そんな光景を見つめながらも星辰は何も考えていないかのような自然体のままの表情で試験会場を見つめているので耳郎が話しかけた。

 

「随分と余裕そうだね星辰」

「いや、正直言えばさ―――ヴィラン連合に捕まってた時の緊張感に比べたらゴミみたいなもんだし」

『ああっ……』

 

それを言ってしまったらおしまいだ、とも思うが確かに星辰の場合はそう言えてしまう。正真正銘のヴィランに拉致された上にあのオール・フォー・ワンとも向き合っていたのだからそれらから感じるプレッシャーに比べてしまったらもう……何処か重くなりかけた空気を相澤が咳払いをして強制的に散らせる。

 

「兎に角、ここでお前らが合格し仮免を取得すれば晴れてセミプロのひよっ子に孵化出来るという訳だ。頑張ってこい」

 

その言葉を聞いて改めてやる気を出す、今まではヒヨッコ以下、詰まる所目指していた者でしかなかった自分達が正式にそれに属する者として認められる訳。ならばここで一発気合を入れる為に円陣を組んで一つ例のあれを……

 

「みんな頑張ろうぜ!!」

「んじゃいっちょ何時もの行きますか!!」

『Plus……』

「ULTRA!!!」

 

皆が雄英のお決まり文句の言葉で元気よく行こうとしたところをぶった斬るかの如く、一人の男が肝心なところを全て持って行った。

 

「一度言って見たかったんッスPlus Ultra!!自分雄英大好きなもんで!!勝手に混ざって申し訳ありませんでしたッス!!!」

 

取り敢えず謝罪する意思はあるのか、というかありすぎるのか頭を地面に叩き付ける勢い―――というか思いっ切り頭を叩き付けながら謝罪する大声を出す男にA組の女子勢はドン引き、特に耳郎は星辰の後ろに隠れた。

 

「イナサ、行くぞ」

「はいっす!!それでは皆さん、これにて!!」

 

再び頭を叩き付けてから、ダラダラと血が流れている頭に帽子を被り直して先輩と思われる人達と共に去っていく後姿を見つつも相澤がぼそりと呟いた。

 

「夜嵐 イナサ……奴は強いぞ」

「相澤先生、お知り合いですか……拡声器さんと」

「拡声器……まあ拡声器か」

 

随分と辛辣な呼び名だと思いつつも相澤は彼、夜嵐 イナサは推薦入試でトップの成績を叩きだして合格したにも関わらず、何故か入学を辞退した男であると教えてくれる。詰まる所、焦凍と互角の実力を持つというべき男……色々と謎な部分もあるのだが……。

 

 

30:D×D風紀委員長

……マジで最悪だ

 

31:クトゥルフ系狩人

おうどうした委員長ニキ、不景気そうな顔して、まあ顔見えないけど。

 

32:D×D風紀委員長

学校で勝手に会議とか馬鹿な事しやがるしその上で校舎はぶっ壊れるし

何でおれが冥界にまで行かないといけないんだ……フザけんなマジであいつら死ね。

 

33:ヒスイの調査兵

あ~……そうか授業参観の後だから会議だったな第三勢力の

 

34:青春学園の熱血教師

それで見事に巻き込まれたと。

 

35:D×D風紀委員長

あのシスコン魔王マジでフザけんな、何が君の力を是非リアスたちにも教えてあげてくれないか

じゃねえよ!なんで俺がンな事しねぇといけねぇんだよ!!

 

36:大地の虎

あ~……分かるっす、突然押し付けられる仕事とか最悪っすよね……。

 

37:超次元中学生

断ればよくね?

 

38:D×D風紀委員長

最初はそうしようとしたんですよ、でもフェニックスを倒した君を放置できない。

断ってくれてもいいけど、その場合君を強制的に僕にしようとする悪魔が出ると思うよ。

とかほざきやがるんですよ。

 

39:円卓の鬼

うっわ最悪だ……那珂ちゃんのファンやめます。

 

40:無法地帯の料理人

何でや!!那珂ちゃん関係ないやろ!!

 

41:光の国の戦士

マジで関係ないですからね。

 

42:IS世界のメンタルセラピスト

っつうか教えられなくね?波動云々はあるにしてもリングないし。

 

43:普通のカウンセラー

無茶言うわねサーゼクスも。

 

44:D×D風紀委員長

そもそも俺はあのド変態に関わりたくないです。

 

45:纏め役の転生者

それが本音か。まあ気持ちは分からなくもないが。

 

46:ヒロアカエボルト

大変ですね委員長ニキさん。

 

47:IS世界のメンタルセラピスト

ンな事言ったらイッチだって今日は仮免試験だろ?

人の事なんて言えないだろ。

 

48:CC立香

そっか、もうそんな時期なんだね。

 

49:ヒロアカエボルト

さっき、なんか相澤先生が凄い笑ってる女教師さんに口説かれて……口説かれた……?

まあうん、プロポーズ紛いの事をされてました。

 

50:普通のカウンセラー

Ms.ジョークね。個性は爆笑で相手を強制的に笑わせるって個性。

 

51:円卓の鬼

笑わせるって……なんかよく分からない個性だな。確かに力は入らなそうだけど。

 

52:クトゥルフ系狩人

笑うって結構体力使ってるするんだぞ?拷問の一つに笑わせ続けるっていうのがある位だし。

MGS:PWでもスネークがストレンジラブにやられてたろ。

 

53:超次元中学生

>>52

あ~あったあった!連打苦手で死にそうになったわ、というかそう思うと地獄だな……。

 

54:無法地帯の料理人

>>52

そう言えば以前バラライカさんがご飯食べに来た時に、そんな感じな事をやって情報引き出した後に

処理したって言ってたような……。

 

55:青春学園の熱血教師

>>54

ホテルモスクワのお墨付き!?

 

56:光の国の戦士

>>54

ひぇ……。

 

57:CC立香

こっちでも聞いた事あるな~サーヴァントの皆から

 

58:ヒスイの調査兵

もうやめようぜそう言う話題。んでイッチ、仮免試験は如何するんだ?

最初からブラックホールで行くの?

 

59:ヒロアカエボルト

それでも良いとは言われましたねオールマイトから。

でも折角練習したんだからロックやタンクも試したいですね。

 

60:エボルトヒロアカ

おいおいおい試験だぞ、こう言う時は全力で行ってこそだろ。

変に試して失敗してオチましてなんてダサい事になるなんて御免だろ。

 

61:普通のカウンセラー

>>60

またこいつは……まあ言ってる事は自体は結構正論よね。

 

62:IS世界のメンタルセラピスト

そもそも、ブラックホールフォームに対応出来るなんて

本当の仮面ライダークラスだもんなぁ……。

 

63:円卓の鬼

っつうか仮免試験って何やんの?筆記とか?

 

64:クトゥルフ系狩人

そう言う時こそ聞きましょう纏めニキ。

 

65:大地の虎

お願いするっす!!

 

66:纏め役の転生者

俺も暇じゃないんだがな……

 

67:CC立香

掲示板に顔出してる時点で説得力皆無だよね~

 

68:纏め役の転生者

正論だな。仮免は基本実技だな。

ヒーロー飽和社会とも言われているが、実際はオールマイトの引退もあって不安の種ばかりだ。

故に即戦力が望まれる、そして確か応募者1540人だったかなイッチの試験では。

第一試験ではそこから100人まで絞る。

 

69:光の国の戦士

100人ですか?!一気に減らしますね!?

 

70:CC立香

まあ飽和社会だからね、ぶっちゃけ数は足りてる、質が追い付いてない感じだけど。

 

71:普通のカウンセラー

故に仮免でもそこまでの実力者を望むって事ね……。

 

72:円卓の鬼

一気に100人か……んで如何やって決めんだ?

 

73:纏め役の転生者

身体にターゲットマーカーを三つ設置、但し常に晒されている場所にのみ。

 

各自はそれぞれ6つボールを所持する。

 

ボールを使って3つのターゲットが発光した時点でその受験者は失格。

 

三つ目を点灯させた者が倒した判定になり、二人点灯させた者が勝ち抜け。

 

こんな感じだ。

 

74:IS世界のメンタルセラピスト

は~……ハイエナ推奨ゲーか。

 

75:ヒスイの調査兵

ふ~む……あれ、二人点灯もミソだな。言うなれば一人までなら許容範囲って事で

協力する奴も大量にいるだろこれ。

 

76:無法地帯の料理人

あるでしょうね、というか寧ろ雄英は積極的に狙われるまでありますね。

 

77:超次元中学生

なして?

 

78:普通のカウンセラー

個性がバレてるからよ、体育祭で。

 

 

 

「だけど俺は問題ない。何故ならば―――バレた所で問題ないから」

『当然だ、さっさと終わらせるぜ相棒』



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71スレ

ヒーロー資格仮免試験の第一次試験、ターゲットを奪い合うような試験となっていた。開始の前に説明会場の壁と天井が展開して直接試験会場へと出られるようになった。会場はまるで雄英のUSJと似ていて、各所に環境の違うフィールドが準備されていて各々戦い易い場でやってくれという物らしい―――が、その前に星辰は手を上げた。

 

「あのすいません、ターゲット着ける前に変身の許可貰えます?」

「え~っと……雄英の石動 星辰君ですね。ハイ確認しましたので個性発動してください」

「有難う御座います、んじゃ―――行こうか」

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

 

確認を取った時、自分の方を見つめて来る他の受験者にそれを見せ付けるかのように星辰は迷う事もなくエボルトリガーを手に取ってドライバーにセットした。そして思い知らせるのだ、お前達の策謀なんて自分にとっては児戯に過ぎないんだと。

 

〈COBRA!!〉 〈RIDER SYSTEM!!〉

REVOLUTION!!

「(……やっぱりお前に思考回路近づいてるよな俺)」

『何言ってんだ元々だろ』

「(それはそれでショックなんですがそれは……)」

 

遂に始まり始めた変身シークエンス、その異様さには誰もが直ぐに気付いた事だろう。当然だ、雄英体育祭で見せていたそれは全く異なっているのだから当然だ。

 

ARE YOU READY?

「変身……!」

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

「相変わらずド派手だなそれ!!」

「でも超熱いよな!!」

「ありがと、それじゃ……まあ無難に胸に一つでこんな感じで良いかな」

 

一つは胸に、残りの二つはドライバー近くの腰の横側に付ける事にした。その作業を行っている他の受験者達の視線が色んな意味で騒めいていたが、特に気にする事もなかった。そして漸く準備も終わったのでいよいよ試験開始のカウントダウンが開始される。それぞれが得意なフィールドなどに向かって行く中で、雄英は基本的に一纏わりで行こうとするが―――

 

「ザけんな、遠足じゃねぇんだよ」

「あっおい爆豪!?んじゃ俺爆豪と一緒に行くわ!!皆頑張ろうぜ!」

「わりぃけど俺も単独で行く、俺がいると巻き込むかもしれねぇし一人の方が動きやすい」

 

などと言った理由で爆豪と切島、焦凍が離脱していくがそれ以外は基本的に共に行く事になっていく。そして遂に時間が―――やって来た。

 

『第1次試験、開始』

 

そのアナウンスと共に周囲から他の受験者が飛び出してきた、その全員が此方を見ている。そう、彼らは知っている、雄英生徒の個性を。体育祭によって自分達の個性を公表してしまっている上に仮免試験では雄英狩りと言われる一斉攻撃はある種の恒例行事のようになっている……が、彼らはある想い違いをしていた事だろう。

 

「杭が出てればそりゃあ打つよねぇ!!」

 

そう言いながらもMs.ジョークの教え子の傑物学園の真堂の言葉を皮切りに一斉にボールを投げて来る、全員がそれに対応しようとする中で真っ先に前に出たのがいた。星辰だ。

 

「なら打ってみろ、だが気を付けろ―――お前らが手を出したのは……二度と抜け出すの事の出来ねぇブラックホールだ!!」

『READY GO!』

『BLACK HOLE ATTACK!!』

 

そんな笑いを上げながらもブラックホールアタックを発動させ、試験会場上空に巨大なブラックホールを出現させた。それはその重力を使って投擲されたボールを吸い上げていく、その光景に思わず全員が絶句した。

 

「な、なんだぁありゃああああ!!?」

「く、黒い渦!?」

「あれって神野区でも出たバカデカい渦じゃねぇか!?まさかあいつの力だったのかよ!?」

「そんなわけあるかよ!?唯姿を変えるだけの個性なのに何でそんな事が―――」

 

一人の受験生が姿がブレて姿が掻き消えたと思った直後、轟音と共に岩壁にめり込むように叩き付けられている姿があった。それは何故か、一瞬にしてその受験生のマーカーにボールが投げつけられて全て点灯させられていた。そう、失格だ。

 

「な、なんだ今の!?」

「一瞬で一人終わったぞ誰がやった!?」

「俺以外にいると思うのか……?」

 

その言葉に導かれるとエボルが居る、彼の手の上には同じような渦が発生しておりそこから吸い込まれた筈のボールが出て来ている。そしてそれらをクラスメイトに配りつつもそれを使って一人を仕留めたのであった。

 

「他人のボールを使ったらルール違反、なんてルールはないよなぁ?」

『問題ありません。地面に落ちたボールはアウトですが、キャッチしたらセーフです。ドッジボール的なあれだと思ってください』

 

とお許しも出ているので星辰の行いは全く問題ない、そして同時に雄英狩りを行おうとした受験生らは分かってしまったのだ。自分達は決して手を出してはいけないモノへと手を出してしまったのだと。

 

「す、凄いね石動君そんな事まで出来るなんて……」

「この位ちょろいもんだ、さて皆の衆―――成ろうぜヒーローに、今こそ変身の時だ」

『応!!』

 

その言葉を皮切りに雄英勢の大抗戦が始まったと言っても良いだろう、それぞれが今日までに積んできた鍛錬を今日此処で発揮していく。そして其処に加わったのが―――

 

「そんなのプロになれば当たり前の事じゃねぇか、そんな事を気にする必要なんてねぇよ。寧ろ光栄に思えるね―――お前らは雄英をプロだと思って警戒している、俺達が怖くて怖くてしょうがない臆病者の敗北者連中って訳だ」

『敗北者……!?』

「あの野郎、今俺達の事をなんていった……!?」

 

宇宙の大災厄、星狩りの一族、エボルトの煽りである。

 

「臆病者の敗北者っつったんだ、同じ土俵に立つ気概も力量もねぇから身を寄せ合って乳繰り合ってるド底辺共、プロになってからもそうやっていくつもりか。俺ならそんな連中雇ったりしねぇなぁ……悲しいねぇ折角合格しても受け入れて貰えないで夢も叶わずハイさよならバイバイだ」

『もう我慢出来ねぇあいつぶっ潰す!!!』

 

とエボルトの相手の怒りを誘い自尊心を著しく傷つける物言いは受験生たちに極めて有効だった、自分達の行いは雄英をプロだと認めている証拠であると同時に自分達はプロになる資格なんてない、と言っているに等しい故にヒーロー志望として許せない言葉なのである。そして―――

 

「こんな安っぽい挑発に乗る時点でプロになる資格もねぇな、ヴィランにもそうやって突っ込む気かお前ら」

『くっそぉ……!!』

 

エボルはそれを一蹴しつつも合格をもぎ取って勝ち抜いたのであった。一足先に合格者が待機する先程まで説明を受けていた場所まで戻るのだが―――そこでは一人の女子が待ち構えていた。それは士傑高校の生徒―――の筈だが気配でエボルは直ぐに誰かを見破った。

 

「久しぶりだな、態々俺に顔でも見せに来たのか―――マッドローグ」

「はいっ♪お久しぶりですエボルさん♪」




やっぱり言葉攻めがエボルトの真骨頂だと思うんだ。


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72スレ

まだ、他の合格者がこの場に足を踏み入れていないことを考慮したとしても肝が座っているとは言えない。敵対勢力の候補生たちが正式に勢力に入る為の試験場に単身で乗り込んで来ている、愚かしい事をしている女が目の前にいる、渡我 被身子。雄英が行った林間合宿にて襲撃の実行部隊として参加し、自らを拉致する為に倒した女。

 

「正気かお前、俺がお前を確保しない理由はねぇぞ」

「あります。今此処で確保するよりもずっと価値がある私の使い方があるからです♪」

「俺がそれに乗ると?」

「勿論」

 

紅潮している表情のまま、トガは此方を見つめて来る。その瞳は狂気に染まっている、染まってこそいるがその狂気は混じりっけ無しな純粋さをも感じさせている。

 

「(ど~思うよ……)」

『相棒に向けてる感情に偽りはねぇって感じだな、ありゃ本気で言ってるぞ』

「(マ~ジか……)」

『マ~ジジルママジジンガ』

「(魔法の呪文(マジカル・フォース)唱えてんじゃねえよ。マジキングになる気かてめぇ)」

 

それが即座に分かる辺り星辰も大分あれである、エボルトと此処まで話せる辺りも変わってきている。そしてそれを参考にしつつも答えを導きだす事にする。

 

「んで、お前は俺にどんな貢献してくれるって言うんだ?」

「聞いてくれるんですね、やっぱりエボルさんは良い人ですね♪」

「状況から判断しただけだ」

 

いざとなったら抑え込むだって十二分に出来るから、という判断もある。そして好意的な返事が返ってきたのに笑みを浮かべながらもトガは近づいて来ながらも満面の笑みで告げた。

 

「エボル様っ貴方の下に就いても良いですか?」

「―――はっ?」

『鞍替えしようってか?』

 

突然すぎるトガの発言に思わず目を丸くしてしまった、それはつまりヴィラン連合を裏切ってヒーローに就くという事になるのだが……何故そんな事を伝えに来たのかを問い質さなければならない。

 

「理由は」

「んっ~……エボル様みたいになりたいからです」

「いや理由になってねぇ」

「なってますよ?私の個性を考えたら」

 

首を傾げながら何か変な事言いましたか?と言いたげな顔をする彼女にツッコミを入れたくなってきた。だが、トガの個性を考えれば可笑しくないレベルにはなる。彼女の個性は血液を摂取して対象へと変身する個性、つまり星辰になりたい=星辰の血液が必要なのでもっとそばで血を取らせてほしいという事に繋がる。

 

「それを承諾するとでも?」

「はい、だって私がヴィラン連合に居るよりかは近くで監視できるのは明確なメリットですよね?それにこのエボルドライバーを使える人が増えるのもメリットですよね?」

『割かし正論言いやがるな』

 

エボルトからしてもこの提案は悪いモノではない、相手側にあったエボルドライバーを手中に収めるに等しいし相手の戦力を削ぐ事にも繋がる。

 

「あっでも私ヒーローのお手伝いはしませんが、エボル様のお手伝いはしますけど」

「俺の手伝いはしてヒーローの手伝いはしない?」

『つまりだ、相棒はこいつはお前自身に就くって言ってんだ。仮にお前がヒーローを裏切ったら一緒に着いてくるってこった』

 

それを聞いて納得したような出来ないようなかなり複雑な気分になって来た。それ程までに自分に就きたいというのだろうか、拉致されている時にヴィラン連合から如何に今の社会が間違っている云々や不満がある、というのは聞いている。勿論その中にはトガの言葉もあった、酷く生きにくい世界だから変えたいと。

 

「……じゃあ聞くが、仮にお前にこのままヴィラン連合に戻って情報提供しろって言ったらどうする?」

「エボル様がそうしろって言うなら従いますよ?私、結構弔君にも信頼されてますから」

 

ドヤ顔で答えるトガ、自らの血を摂取した事で強化された個性の事もあってトガは重宝される立場になっている。特にエボルドライバーという途轍もないオーバーテクノロジーを扱えるのもあるだろう。正直困っていると遠くから合格者たちの足音が聞こえて来た、如何するにしろ対応を決めないと自分まで疑いを掛けられない……と思っているとトガは唐突に膝付いて頭を下げて来た。

 

「エボル様、貴方がどう思おうが私は貴方に忠誠を誓います。これ置いておきますので好きな時に声を掛けてください―――それでは」

「あっおい待て!!」

 

最後に真剣な表情を一気に破顔させながらもトガは一瞬で煙幕を張るとそれに乗じて姿を眩ませてしまった、一瞬だけだったがその手にはトランスチームガンが握られているのが見えた。あれはビルド本編でよく見た煙幕撤退……まさかそれまで出来るとは思わなかった。

 

「ふ~……星辰アンタやっぱり早いね、でもウチも確り合格したよ」

 

其処へやってきたのは雄英以外の受験生、そしてその先頭に立つのは耳郎だった。彼女は星辰の姿を見ると直ぐに笑顔を見せながらもウィンク混じりに報告をして来たのでそれに対応しつつも内心でエボルトに言葉を投げかける。

 

「(おい、あれマジでどう思う。忠誠誓うとか言われちゃったんだけど)」

『内海みたいだったな、ある種あいつ以上だからやりづらいったらねぇな。あいつは装った狂気だがあれはマジモンの純粋培養の狂気だ』

「(これからどうなっちまうんだろうなぁ……)」

 

そう言いながらも先程トガが置いて行ったモノを拾ってからチラリと視線をやった、そこにあったのは連絡と思われる番号とアドレスがあった。これは如何するべきなのだろうか……と思っていると耳郎は傍まで来た時に瞳を鋭くした。

 

「……なんか変な匂いがする、何これ血と香水が混じったみたいな……星辰、アンタ女に迫られたりしたの」

「(えっ!?俺匂いするの!?)」

『いや全然分からねぇ、女の勘って奴だろ』

「(勘怖いなぁ!!?)」

「ねぇ星辰アンタ何黙ってんの。ウチに隠してるんじゃないの、ねぇなんなの言いなよ、何言えない事でもあったの、言いなよ、ウチとアンタの仲じゃん何震えてんの、何も怖い事なんてしないのになんで震えてんの、ねぇ何でよ言いなよ言いなよ何で言わないの言いなよ」

 

瞳からハイライトが消え、無表情であるのに口元だが歪んだ三日月のようになりながらの笑みを浮かべての耳郎は途轍もない凄味と威圧感があった。それは星辰が言葉を詰まり思わず震えてしまう程の物。その光景に他の受験生も硬直してしまっていた。

 

「いやその、きょっ響香さん俺は本当に変な事とかになってないよ!?確かに女性の受験生を組み伏せたりはしたけどそれだけだからさ!!」

「―――なぁ~んだそれを早く言ってくれればいいのにさ♪」

 

『……女ってこえぇな』



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73スレ

「にしても、血の匂いを香水に混ぜるってどんだけ悪趣味な女と戦ってた訳?」

「そう言われても……匂いとか全然分からなかったから……」

 

一先ず何とか誤解が解けたようで深い息を吐きつつも安心する星辰、先程の耳郎は冗談抜きで怖かった。兎も角無事に合格出来たようなので祝いの言葉を送り合っていると次々と合格者が入ってくる、その中には当然のようにクラスメイトの姿もあったので思わずホッと胸を撫で下ろしているとヒーロー公安委員会の目良の声がスピーカーから聞こえてきた。

 

『え~一次試験突破をした皆さまおめでとうございます。それでは手早く次の試験への御話しへと移ろうと思います。ではモニターを見てください』 

 

目良の言葉に従うように皆の視線がモニターへと向いていく。そこには先程まで合格者が駆けまわっていたフィールドが映し出されている。中には忌々し気、絶対にご免だと言わんばかりに見つめている者もいるが自分達が合格を勝ち取ったフィールドを見つつ、各自が少々浸る中でフィールドの各所が一斉に爆破されていき、火を噴きながら瓦礫と化していく。突然の爆発に驚きが生まれるが即座に次の言葉が生まれる。

 

『皆さんの中にはもう察した方もいると思いますので次の試験を説明します。次の試験、二次試験にて仮免試験はラストになります、皆さんにはこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行って貰います。一時選考を突破した皆さんは仮免許を取得した物と仮定して、どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』

 

「「バ、バイスライダー!?」」

 

bystander(バイスタンダー)だよ二人とも、授業で習ったじゃない」

 

救急現場に居合わせた発見者や同伴者を意味する言葉であり一般人にもこの言葉は適応されるがこの場合においては近くの事務所などで待機していたヒーローとして自分達を適応させる事になり、そこで救助を行うという事になる。が、そんな時に崩壊しきっているフィールドに子供や老人などの姿が見えた。

 

「あっおい何であんなところに子供いるんだ!?」

「ホントだ危ないぞ!?」

『ご心配なく、あの方々が今回の仮免試験における心強い協力者の方々です』

 

疑問などが多かったが、直ぐに説明が行われた。そこにいる人々はヒーローが人気職業になる現代だからこその職業、あらゆる状況の訓練で要救助者のプロ、HELP US COMPANY、通称HUC。救助対象を演じる者としてのプロ、ヒーローだけではなく救急隊員や消防隊員の訓練にも多く参加している。

 

「世の中にはいろんな職業があるのね……」

 

HUCの面々はそれぞれがヴィランによる事件現場、事故現場などで見られる救助者となり自分達はそれらを救い出す、それらの過程で点数を割り出し、基準を超えていれば合格する事が可能になる、という事である。

 

「救助か……」

 

思わず手を見つめてしまった、何故ならば星その物への破壊活動を大きな目的としたエボルとしてはこれ以上に合わない事もないから―――だが怖じ気着く理由にはならないし臆する意実もない、自分は仮面ライダーなのだから。

 

「響香さん、受かろうね」

「勿論」

 

ウィンクしながらもさり気無く身体を預けるようにする耳郎に微笑みで返しながらも星辰は静かに開始の時を待った。そして―――

 

『ヴィランによる大規模破壊のテロが発生!!規模は〇〇市全域、建物倒壊により傷病者多数。道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ。到着するまでの救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行う、一人でも多くの命を救い出す事!!START!!!』

 

それと共に再び壁が横倒しになってフィールドへと直結した。此処も既にフィールドの一つ、目の前に広がっている無数の瓦礫の山々。この辺り一帯に助けを求める人達がいるのかと思いながらも皆が直ぐに動き出していく。

 

「おい此処を救護所にするぞ!!比較的に瓦礫が少ないし、少し片づけるだけでスペースを取れる!!」

「分かった!!おい怪力系の奴力貸してくれ!!」

 

と声が掛けられて行く中でそれらを押しのけるように星辰が先頭に立った。

 

「それじゃあ余りに時間が掛かりすぎる、合理的に考えて俺に任せろ」

「おいお前何を言って―――!!」

 

『READY GO!』

『BLACK HOLE ATTACK!!』

 

ブラックホールアタックを発動させる、今度は星辰の目の前にブラックホールが生成されるとそれは凄まじい勢いで瓦礫を吸い込み始めて行く。人力で退かして行くよりも遥かに早く、効率的に瓦礫が退かされていく光景に思わず救護所チームは大口を開けて驚愕してしまっていた。

 

「おい何間抜け面してボ~っとしてるつもりだ馬鹿ども、テメェらさっさと手と足を動かせってんだ。テメェらの行いで命を守れるか守れねぇかが掛かってんだ、下らねぇ事で動きを止めてねぇで手を動かせ、テメェらは何しに来てんだ」

 

そんな風に発破をかけると直ぐにハッとして動き出した。自分の力に見惚れるのか勝手だが、本番でもそんな事をするつもりなのだろうか、そんな風に言っておけば恐らく大丈夫だろうと踏んで自分も救助作業へと参加する。

 

「星辰!!このビルの下に4人閉じ込められてる!!」

「ビルは固定してるから倒壊の心配はねぇけど、ビル自体が相当に崩れやすくなってるんだ!!」

 

丁度声を掛けられたので下りた先では耳郎が瀬呂と共に救出作業を行っていた、耳郎が音を感知して生存者を見つけ当てて瀬呂がテープでビルを固定したまでが此処からが難しい。瓦礫を浮かせられる麗日は他の現場にいて手が離せないのである。

 

「任せて」

 

そう言うと指先5つに重力球を生み出すとそれをビル上部へと投げつけた、それはビルへと接触すると接触した部分からどんどん瓦礫を吸い込んでいった。そして僅かな時間で救助の障害となっていたビル一つを完全に消し去ってしまった。

 

「よし運ぶぞ」

「瀬呂テープお願い!!こっちの人、脚を固定しないと動かせない!!」

「よし任せてくれ!!」

 

宇宙の災害とも言うべきブラックホールを操る事が出来るブラックホールフォーム、それでも人を助ける事は十二分に出来ていた。それに加えてエボルの力さえあれば多くの人を一度に運ぶ事もできるので基礎的なスペックでも誰かを助ける事が出来るという事が分かって素直に嬉しさが滲み出ていた。

 

「星辰君あの巨大なビル如何にかなるか!?あそこに人はいないが、あのビルのせいでその隣のビルに入れないんだ!!」」

「あいよ、任せろって!!」

 

自らに出来る事を全力で執行する星辰、いや仮面ライダーエボル。その姿のHUCのプロたちも厳しい目で見つめていたが……

 

「(多数に重力球を展開して瓦礫を吸い込みつつも我々を浮かす程度の引力も展開可能……)」

「(しかも、瓦礫を此方に近づけないようにする細心の注意もしている……)」

「(ブラックホール、と聞いて少しばかり不安だったが杞憂だったようだな)」

 

誠心誠意に懸命に役目を果たす星辰に対して彼らの瞳は何処か優しかった。そしてそんな時だった―――

 

 

その時、大爆発と共にフィールドの一部が吹き飛んだ。 

 

『ヴィランが現れ追撃を開始、現場のヒーロー候補生達はヴィランを制圧しつつ救助を続行してください』

 

「さあ如何する、全てを平行して出来るか……戦うか守るか、助けるか逃げるか、どうするヒーロー……!!」

 

姿を現したのは……唯のヒーローではない、ヒーローランキング10位に名を連ねるギャングオルカ。神野区での作戦にも召集された超実力者、そしてそんな彼の隣にもう一人の影があった……。

 

「さて、今年のひよっこはどんなもんか……見てやろうじゃないか!!」

 

もう一人、それも同じくトップヒーローとして名高い人物だった。褐色の肌に鍛えられた引き締まった肉体を大胆に露出させているスタイル抜群の美女……だがそれ以上に不敵で男勝りな表情を浮かべている。その名も―――ラビットヒーロー・ミルコ。肉弾戦においてオールマイトに次ぐとさえ言われているプロヒーローである。

 

『おいおいおい……またウサギかよ……俺への当てつけか、それともなんだ戦兎の嫁かなんかか』

「(いや、それはないと思うけど……)」



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74スレ

「プロでも高難易度の案件……仮免でそれをやるか」

 

思わず相澤も声を上げて驚きを露わにしてしまった、昨今の社会情勢を鑑みても今年のハードルは高くなるだろうと踏んでいた。それは的中して一次から受験者を100人にまで絞った、それだけでも例年の5割を大きく下回るのにその上でまだこれをやるのか……そしてのその状況のヴィラン役に抜擢されたヒーローもとんでもない選出だ。

 

「さて、如何するひよっこ共……守るか戦うか。守るか戦うか、逃げるかどれを選択する……!?」

「まあどれを取ったとしても止まる気はねぇけどな!!」

 

男らしい笑みを浮かべながらも首や足を鳴らしているミルコは今にも飛び出していきそうな雰囲気だった。ギャングオルカは自身の事務所のサイドキック達にもヴィラン役をさせており、それらを統率磯長も救護所へと向かおうとする―――が

 

「あ~もうまどろっこしいの嫌いだな!!よし蹴る!!」

「おい待てミルコ!!」

「待たねぇ!!」

 

まさかのもう我慢切れという忍耐力がないのかそれとも強襲する事で試そうとしているのか分からないが、兎に角飛び出して行こうとするミルコ。鍛えられた脚に力を籠めると地面はそれだけで罅割れて行く、彼女の脚力が伺える光景。そして飛び出して行こうとした時―――

 

「おっ!?おおっ!!?」

「何!?」

 

何処からともなく鎖が飛来してきたミルコの身体を捉えた、そして鎖は勢い良く撓ってミルコを地面へと叩き付けようとするのだが―――空中で高速回転しながらも見事な着地をしてみせた。

 

「アタシのジャンプのスピードに対応するか、良いぞ面白れぇ!!誰がやったか……面ぁ見せろぉ!!」

 

そう言いながらも鎖を握りしめるとそのまま勢いよく引っ張った、凄まじい勢いで鎖が巻き上げられて行く中で姿を見せたのは星辰。しかもエボルロックに姿を変えている、それを見てミルコは笑みを強めた。

 

「そうかお前だな神野区の奴は!!こんな事も出来るのか、良いぞ面白いぞ!!だけどなぁこのミルコ様をこんな鎖で縛りつけられると、思ってんじゃねぇぞ!!!」

「うっそぉ!!?」

 

思わず星辰も大きな声を上げて驚愕してしまった、エボルロックの作り出す鎖は凄まじい強度がある、しかも個性封じのエネルギーを発生させていたのに全くの無意味だった。これからエボルロックの個性封印の能力は相澤に近く、異形型には上手く作用しない事を理解した。

 

「さあヴィラン連合に狙われるだけの力を見せてみろ!!!」

 

 

一瞬だった、星辰が引き寄せられている事を差し引いてもまだ10メートル以上は離れていた筈なのにその距離をミルコは一瞬で詰めた。彼女の移動は跳ぶと表現される、尋常ではない脚力から成される跳躍力で移動能力も尋常ではない、そして―――そこから繰り出される蹴りの一撃も常軌を逸する。

 

月堕蹴(ルナフォール)!!」

「ぐっ―――!!!」

 

笑顔を浮かべたまま、振り上げた脚がブレたかと思った直後に全身をとんでもない衝撃が襲いかかって来た。咄嗟にバインドマスターキーで防御したがそれでも塞ぎ切れない程の衝撃が全身を伝わっていく、肉体を捉えたままミルコはそのまま渾身の力で蹴り飛ばそうとするのだが―――

 

「逃がすかぁ!!」

「ヌッおおおおっ!!?」

 

飛ばされる刹那、右手でミルコの片腕を掴む。そして同時に鎖を腕に巻きつけながらも手を離さないように手に施錠(ロック)を掛けた。直後に凄まじい勢いで蹴り飛ばされるのだがミルコも道連れにするように連れて行く、そしてそのまま既に救助者もいない完全な無人エリアのビルへと突っ込んだ。

 

「がぁぁぁ……なんて威力だ……」

『確保するつもりでロックにしてなきゃ大ダメージだったな……』

 

エボルトも認めざるを得ないほどの超威力、捕縛目的でエボルロックに変えていたのは間違いなく英断だった事だろう。ブラックホールフォームでも耐えられない事はないだろうが、今以上のダメージを受けていた事は確実。

 

「いいぞお前!!」

「うっそだろ……?」

 

同じようにビルに突っ込んでいる筈なのに瓦礫を吹き飛ばすようにしながらも姿を見せたミルコはピンピンしていた。仮にも自分の攻撃で生じる衝撃を受けている筈なのに……

 

「アタシのルナフォールをアタシにも食らわせるなんて生意気だな!気に入ったぞ!!」

「そりゃ、どうも……想像の5倍ぐらいお元気そうで何よりで……」

「当然だろ、自分の攻撃で死ぬみてぇな軟な鍛え方はしてねぇからな!!あれだ、フグが自分の毒で死なねぇのとは別みたいなもんだ」

「いや絶対にそれは違う」

 

これがトップヒーロー、トップ10の一角に立つラビットヒーロー・ミルコの実力なのか。単純な蹴りだけならば恐らく平成初期の仮面ライダーにも引けは取らない事だろう……それを生身で発揮出来るとは本当に恐ろしい。

 

「さあ続きやるぞ!!」

「楽しそうに言うなぁ……」

「楽しいから、なぁ!!!」

「っ!!!」

 

直後に迫り来るミルコ、そして今度は顔面をミルコの剛脚が捉えて蹴りが炸裂した。それはビルの外壁を一瞬で打ち砕きながらも星辰を地面へと叩き伏せた。

 

「がぁぁぁっ……!!!」

『おいおいおいマジか、安全機構が作動しかけたぞ今の!?』

 

致命的な損傷を2度まで防いで変身者を守るという機能が存在するが……それが作動しかけたという事実に流石のエボルトも驚愕に声を荒げた。顔という急所を狙ったのもあるがミルコの一撃はエボルロックの安全機構を発動させる一歩手前まで行った、異形型の個性故に身体能力が高いというのもあるが……それ以上を鍛えまくった結果、仮面ライダーに迫る、その事実に星辰は驚きを隠せなかった。

 

「おおっまだ動けるのか!!いいぞ本当に気に入ったぞ!!」

 

それはどういった意味なのだろうか、サンドバック的なあれなのだろうか……と思いつつも身体を起こす、がこのままでは本格的にまずい。エボルロックは攻撃に耐える事は出来るのだがミルコのスピードに全く対応出来なかった。あれに防御で対応してはいけない、という事だろう。

 

『ありゃエボルタンクでも苦労するぞ、どこぞの白い悪魔みてぇに銃口向けた瞬間に回避行動取るぞ』

「(マジかよ……)」

 

スピードも然る事ならながら察知能力も凄まじい、しかもウサギという事は危機察知能力も高い筈。それにあの身体能力が加わると……射撃武器なんて絶対に当たらない。つまり近接戦しかない、しかもスピード特化型の。

 

「(……おいエボルト、あのボトル行けるか)」

『おいおいおいマジか?確かにあのウサギの一撃からボトルは作れるが……使った事もねぇフォームで相手の土俵で戦うってか?』

「(それしかねぇだろ……エボルダイナソーでも捉えきれないだろあれ)」

『だな。対応は出来るが捉えきれねぇ』

「(じゃあ……やるぞ)」

『俺、これ好きじゃねぇんだがねぇ……ったく、しょうがねぇな!!』

 

「オラァァァ!!」

「ぐっ!!」

 

考え事をしている間に迫って来たミルコの飛び蹴りを渾身の力で防御する、それでも衝撃に後退ってしまう程の破壊力。本当に防御するのが愚策だと分かる―――だが、これでいい。

 

「さあ如何する、お前はまだやれるのか?」

「ああ、やれるさ……アンタのスピードにこれからついて行く!!」

「―――面白いじゃねえか、やってみろ」

 

星辰の言葉に不敵な笑みを浮かべて構えを取るミルコに対して星辰はロックボトルを引き抜きながらも身体の中から新しいボトルを生成、それを見ると少しだけ笑いながらもドライバーに装填した。

 

RABBIT(ラビット)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

「―――変身!!」

RABBIT! RABBIT! EVOL RABBIT(エボル ラビット)!!

フッハハハハハハ!!

 

そこにあったのはフェーズ2のエボルドラゴンから更に身軽になったような姿だった、そしてボトルの特性を現す瞳はウサギの横顔の形へと変化していた。エボルラビット。これならば、ミルコに対抗出来る。

 

「行けた……これならいける筈だ」

「ほう?アタシに対抗する為に同じウサギになんて生意気だな、だけどアタシと同じフィールドに立つ度胸は褒めてやるよ、さあ採点もしてやる!!」




エボルラビット。

元々はエボルトが戦兎を取り込む事で一気にフェーズ4へと至ろうとしたエボルトとしては想定外の姿。

攻撃力はドラゴンフォームよりも下がっている所か、パンチ力に至ってはコブラフォームにも劣る。が、その分索敵や機動力に優れており、その高いジャンプ力を生かして立ち回るフォーム。

基礎スペック的にエボルダイナソーの方が上ではあるが、小回りと瞬間的な速度では劣るので急遽ラビットエボルボトルを作り出した。


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75スレ

「よし、避難は順調……!!」

「緑谷、こっち手足りてる!?」

「耳郎さん、うん何とか!!」

 

避難場所の移動の手伝いをしていた緑谷の所にやってきた耳郎、彼女は彼女で捜索活動は終了してあとは救助がメインとなったので避難作業の手伝いとしてやってきた。近くではあのギャングオルカが焦凍とイナサと戦闘を繰り広げている、何処か険悪な雰囲気に包まれていた二人だったが……

 

「俺が合わせる!!炎で風の威力を上げろ!!」

「―――っ了解っす!!」

 

焦凍のその一言が切っ掛けとなったのか、イサナは焦凍へと向けていた瞳を改めるようにしつつも二人掛かりでギャングオルカを食い止めている。そのサイドキック達が扮していると思われるヴィラン達にも上手く対応しているので避難作業にも集中出来る。

 

「だけど問題は―――」

 

言葉を上げようとした時、ギャングオルカの戦闘場所とは違う位置で凄まじい爆音と共に巨大なビルに無数のクレーターのような物が刻まれていきながらも倒壊していく光景が広がっていた。二つの残像が走っていく度にぶつかり合いとクレーターが生み出されていく、そしてビルが倒壊と同時にそれらは空へと跳び上がった。その時に漸くそれを視認する事が出来た。

 

「あれって!!」

「星辰!?」

 

跳び上がった一方は星辰であった、そして其処へ猛追するように跳び上がったもう一方が凄まじい蹴りを繰り出した。それを紙一重で回避しつつも腹部へと掌底を放って吹き飛ばすのだがそんなのダメージにもならないと言わんばかりに着地すると再度跳躍、一瞬で星辰の真上を取るとそのまま落下しながらの踵落としを炸裂させて共に大地へと激突して一際巨大な爆音を響かせた。

 

「星辰君、たった一人でミルコを抑えてくれてるんだ……でもそのお陰でミルコは全く自由に動けてないから凄い助かってるけどあれじゃあ負担が余りにも大きすぎる……!!」

「―――っ!!」

 

緑谷が怪我人たちへの激励の言葉を掛けている時、耳郎は走り出していた。感情とか理性とかそんなものじゃなくてそうしなければなれないという使命感に駆られるかのように走り出していた。

 

「そぉらぁ!!」

 

 

一度の跳躍で距離を詰めて来るミルコ、それに驚きを覚えるがその恐怖が一瞬で別の物に上書きされていく。空中で高速回転しながらもその遠心力を加えた蹴りを放ってくる、だが此方だって負けてはいられないのだ。頭部のEVOイヤーフェイスユニットは敵の気配や僅かな動きを捉えて行動を先読みを可能とし、肩に内蔵した加速ユニットで攻撃と移動の高速化が出来る。故にそれで反応しカウンターを叩きこむ!!

 

「―――はぁ!!」

「っとぉ!!」

 

ほぼ同時、一撃と一撃が同時に互いの身体を掠らせた。攻撃に合わせた完璧なカウンターキック、廻し蹴りをミルコは咄嗟に手刀で星辰の蹴りの軌道を僅かに変えて身体を掠らせる程度に済ませた。互いの一撃は完全に命中はしなかった、着地し互いに背中合わせになった両者はほぼ同時に振り向いて同時にハイキックを繰り出した。

 

「「―――っ!!」」

 

それも互いの頬を掠らせた、互いが互いの先読みを行ってそれに対応できる動きをし続けている。互いに互いの予想を上回っている動きをし続けているという状況、そして互いに走り出した。

 

「クククッ……カッハハハハハ!!!こんなに楽しいのは何時振りだぁおい、おいお前本気で気に入ったぜ!!認めてやるぜこのミルコ様がな!!そして―――もっと楽しもうじゃねぇかぁ!!!」

「くっ!!!」

 

ドロップキックを回避、嬉々として戦い続けるミルコ。其処にあるのは混じりけなしの歓喜、戦いで此処までの喜びを表現出来る人間とはあった事がない。こういうのをバトルジャンキーというのだろうか……が、モニターに背後からの接近警報が映り込んだ。それを身体を捻じって強引に回転して一撃を回避する。

 

「フフフッ愉しいじゃねぇか!!!」

 

頭部のシステムのEVOツインアイラビットも、戦闘時の反応速度・索敵精度が高められ特殊な視覚センサーと併用する事で高い能力を発揮出来る。だがそれでもミルコの動きは速すぎる。本当に生身なのかと言いたくなる程、跳び蹴りに此方もそれを放ち、ワザと吹き飛ばされるようにしつつ距離を取る。

 

『なんつう女だ……エボルラビットのシステムに匹敵してやがる』

「(いや、それ以上だ……これが経験の差って奴か……)」

『経験だけで此処までやるって、どんな戦いをして来たんだ……』

 

思わずエボルトが呆れてしまう程にミルコには膨大な戦闘の経験値が蓄積されている、それらによって彼女は殆ど戦いにおいては思考をしない。単純に相手の次の一手や最適解を感じ取る事が出来る、プロは考えない、感じるを地で行く、それがラビットヒーロー・ミルコ。

 

「(好い加減に、やべぇな……)」

『掠らせる程度に済ませられてるが、それでもダメージは蓄積するからな。エボルラビットでまともに受けたら確実にやべぇぞ』

「(わかってる……!!)」

 

着地した時、目の前にミルコもほぼ同時に着地した。地面は陥没しクレーターとなっている、唯の着地でこれだ、それをまともに受けた時なんて……想像したくはない。

 

「さてと……次は如何するんだぁ?」

 

自分の攻撃だって幾らかは当てているだろうに全く聞いていない様にピンピンしている姿にホラー的なインパクトを感じてしまう。本当にこの人は生身の人間なのだろうか、本当は何かしらの変身アイテムで変身している姿ではないだろうかと本気で疑いたくなる。

 

「(くっそぉっ……如何する、如何するのが最適なんだ……!?)」

「来ねぇならこっちから―――ぐっうぅぅぅぁぁぁっ……!!?」

 

その時だった、自分達を包み込むかのような途轍もない爆音が放たれて来た。それを受けてミルコは思わず耳を抑えて音を遮断しようとする、一方の星辰はエボルの基本機能でそれによる被害はないが……いったい何が起きているのかと驚いた。

 

「星辰無事!?」

「耳郎……響香さん!?」

「応援に来た!!」

 

其処へやってきたのは耳郎だった、脚のスピーカーから心音を爆音にして放出してミルコに向けて放っていた。優れた聴力という物が仇となっていた、必要以上に爆音が響いてきて身体どころか脳をも揺るがしてくる。

 

「グゥゥゥゥゥッっ!!!やるじゃ、ねぇか……だけどこんなの何度も経験、してんだよぉ!!!」

 

が、ミルコは持ち前の鋼の精神力でそれに持ちこたえる所か適応したと言わんばかりにゆっくりとだが此方へと向かおうとして来ていた。

 

「なら、これなら如何!?」

 

それを見て耳郎は冷静に錫音にある物を装填した、そしてそのまま引き金を引いた。それはミルコの周囲に着弾して、自分を狙っていないとミルコは着弾地点を見ると弾丸は展開して何かを起動させたようだった。見た事がある形状だ、よく見る物―――

 

「まさかっ!?」

「そう、経験してるならこれは如何!?アタシのライブ、スタート!!」

 

そう言いながらもドレミファターンテーブルを起動させると同時に弾丸も完全に起動してそこから音楽が爆音で流れだして行く。放たれた弾丸には指向性スピーカーが仕込まれている発目の自信作。それによって全本位からミルコへと向けて一点集中の爆音が注がれていく。

 

「グゥゥゥゥゥ……!!!頭が、割れるぅぅぅぅっ……!!!!」

 

流石のミルコでもこれは苦しいのか、顔を歪ませて耳を全力で抑えている。星辰ですらこの爆音はキツい、それを集中的に受けているミルコの苦痛は途轍もないのだろう。

 

「これでミルコは動けない、星辰!!」

「ああっ今なら決められ―――ッ!!?」

 

レバーを回そうとした星辰は思わず固まった、耳郎もそれに驚いたが視線の先を見て同じように固まった。何故ならば……そこには先程まで苦しんでいた筈のミルコが酷く嬉しそうな笑みを浮かべながら、全く大丈夫そうに歩いてきている。

 

「な、何で!?音量は最大の筈なのに!!?」

「きょ、響香さんあれミルコの耳!!」

 

指を指された先にあったのは耳、そこからは赤い血が流れていたのだ。耳から流れた血は顔を伝わっていくが、それを舌で舐めながらも首を鳴らしている。

 

「まさか、鼓膜を……」

「破った……!?」

「正解だ」

 

ミルコは聞こえない筈の声に応えた、口の動きだけで何を言っているかを把握した。そして彼女は答えた、この状況を打破する為に彼女は自分で鼓膜を破った。音は聞こえなくなるがこれで最大の弱点である超爆音にも怯む事はない。だがそれを仮免試験で実行するなんて誰も思わなかった事だろう。

 

「これはアタシの敬意だ、お前らの力に敬服してるからこそここまでやった。さあアタシを止められるか、本気になったヴィランをよぉ……!!」

 

その時、静かに鋭く、重々しい殺気が一体を包み込んだ。全身を突き刺すような威圧感、プレッシャーが全身を押し潰さんとしてくる。これが本気のプロなのかと感じる中で星辰は構えを取り続けた、誰がやめる物かと示していると隣で錫音を構えた耳郎がいた。彼女も止める気なんてない、全力で止める。それだけだ。それを見てミルコは大声で笑った。

 

「いいぞ、なら行くぞ。見せてやるこれがプロの―――!!!」

 

その時、けたたましいサイレンと共にアナウンスが流れた。

 

『只今を持ちまして、最後の要救助者のHUCが救助されました。これにて試験を終了させて頂きます』

 

それは終了の合図だった。仮免試験が終わりを告げた、その時に二人は……

 

「ンだとこれからが良い所じゃねぇか!!っザけんなぁ!!」

 

様子で終了した事を悟ったのか、酷く荒れた様子で地団駄を踏むミルコを見ながらも本気で命拾いをした気分だった。そしてミルコは溜息をつきながらも引っ込もうとするのだが……その前に何やらカチューシャのような物を付けると此方に話しかけて来た。

 

「おい、お前とそっちの。アタシ相手に良く戦ったな、褒めてやるぞ」

「あ、有難う御座います……」

「き、緊張したぁ……でも耳大丈夫なんですか?」

「ああ気にすんな、よくある事だから」

 

そう言いながらも彼女が今付けたのは骨伝導式の補聴器らしい、如何やら彼女は鼓膜を昔からよく破っていたらしくその影響か直ぐに治癒するようになっているらしい。1時間もすれば直ぐに元に戻るらしいのでその間は読唇術や補聴器でコミュニケーションを取るとの事。そしてミルコは変身解除して力を抜いている星辰に首に腕を回しながらも胸へと抱き寄せた。

 

「特にお前は良かったぞ!マジでよかったぞ!!おい、お前インターンはアタシの所に来いよ。扱いてやるぞ!!」

「え、えっとその俺インターンはリューキュウさんの所に……」

「あぁ~ん?何か生意気な事が聞こえたような気がしたけど、何も聞こえねぇなぁ~」

「あっズルいこんな時だけ聞こえないふりしてやがる!?」

 

生意気な奴め~!!と更に腕の力を強めながら抱き寄せて来るミルコに必死の抵抗も意味をなさずにいる星辰。傍から見れば仲の良い姉弟にも見える光景だが……

 

「……」

 

それを見つめる耳郎は暗黒に染まりながらも鋭く暗い瞳を作り続けていた。




ミルコも良いですよね……鍛えられた肉体と褐色、そしてあの男勝りな所……


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76スレ

ヒーロー仮免許取得試験、その全工程が終了しいよいよ合格発表が成されようとしていた。やれる事だけはやった、星辰もやれる事は全てやったとそんな思いで発表を待ち続ける。後は天に運を任せるのみと思っているが皆緊張した面持ちで発表のときを待っていた。

 

「……ぁぁぁっ~……マジで首いってぇ……」

「大丈夫か星辰、お前ずっとミルコと戦ってたもんな」

「それに関してはもう全身痛い、もうマジであの人何なん、というか本当に生き物なのって疑問を持つレベルでやばかった……」

「マジでそうだよね……」

 

それに関して耳郎も何の異論もなかった。跳躍力、攻撃力、危機察知能力、耐久力、あらゆる分野が全て飛び抜けている。どれか一つに特化している訳ではない、全てに優れている上で精神力と肉体のレベルが常軌を逸している。エボルラビットでも対応は出来たがあくまで対応が出来ただけで善戦が出来た訳ではなかった、寧ろ相手を本気させることがギリギリで出来たのがやっと。

 

「首蹴られたのか?」

「いや顔面蹴られた」

『顔面!?』

「ビルぶち抜いてそのまま地面に叩き付けられた」

『なんで生きてるの!?』

 

周囲からそんな言葉を掛けられて確かに……と思うがそれだけエボルの安全機構は精度が高いという事なのだろう。

 

「いやなんか気に入られたっつうか……それでネックロック喰らったっというか……」

「気に入られてそれか……良い整体紹介するか?俺も世話になってるとこ」

「教えてくれると助かるわ……」

 

素直に焦凍の厚意に甘える事にする星辰。その最中、耳郎はずっと薄暗い瞳を作っていたが、それは気付かれる事は無かった。

 

「ケロ、響香ちゃんも怪我がないみたいで安心したわ。緑谷ちゃんから姿が見えないって聞いて心配してたのよ?」

「ありがとね梅雨ちゃん、あいつ一人だけで抑えられるとは思わなかった応援に行ってたの。ウサギだから音が弱点だと思って」

「成程、見事な状況判断ね」

 

話しかけられた瞬間にそれをしまいこみながらも普段の自分で返答する。誰にもバレる事なく自らの闇を封じ込める事が出来る辺り彼女も相当に出来るようになっているのだろう……だが、こっそりと自分の胸を撫でながらも八百万のような抜群にスタイルに憧れる。

 

「(やっぱり星辰もあんな感じみたいなのが良いのかな……)」

『え~それではこれより、合格発表者を発表したいと思います。モニターに50音順にて名前が表示されますのでどうぞご確認ください』

 

そんな何処か悩ましい事を考えていると遂に表示されたモニターに映り込む合格者の名前、それらに皆が食い入るように自らの名前を探していく。星辰も同じく、こんな時は探しやすい自分の苗字に感謝する。

 

「い……いす……イァイァ……シュブ=ニグラス……」

『おい。クトルゥフニキの影響受けてんぞ』

「あっあった!!」

 

そんな事を言いながらも石動 星辰という文字を見つける事が出来た。間違いなく自分の名前だ、数度確認を繰り返した後漸く確信を持てたのか体中から力が抜け、倒れこみそうになりながらも安心感に満ちた言葉を口にする。

 

「あったぁぁ~!!!!」

「ッシャアアアアアア!!!」

 

と次々と声が上がっていく、如何やらA組の全員が受かる事が出来ているらしい。これで相澤先生の肩の荷も下りた事だろう。

 

『えー、全員ご確認頂けたでしょうか、それでは続きましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記載されていますのでしっかり目を通しておいて下さい。全員100点からの減点方式で採点しております』

 

職員から次々とプリントが配られていく。自分の持ち点と評価内容が詳しく記載され、どんな行動で減点されているのかも詳しく書かれている。

 

「星辰、如何だった?ウチは87点だった」

「えっ結構高い点数じゃない?」

「うん。でもアンタの救援に行った時に誰にも言わずに行っちゃったのがまずかったみたい」

「あ~報連相」

「うん、失念してた」

 

耳郎の点数は87点。基本的に減点は行われていない、目立ったものは救助作業での少々の粗さと星辰の救援に行かなければと焦ってしまった事で報連相を怠ってしまった点のみ。それ以外は概ね高評価であった。

 

「ア"ア"ッ!!?51点だぁ!?」

「うっわギリギリじゃねぇかお前!?」

「何々……要救助者に対する暴言による著しい減点……但し力強い言葉により励ましは評価に値する……」

『爆豪らしい』

「ンだとゴラァ!!!」

 

一応爆豪も合格こそしているが、余りにもギリギリすぎる点数に怒りを露わにするが減点が余りにも彼らしいので周囲は寧ろ良く合格出来たな……とある意味での尊敬のまなざしを送るのが当人は全く嬉しくない事だろう。他人を気にするのは良いが好い加減に見なければ……と自分のを見てみる。

 

「97点!?」

「えっ高!?」

 

『個性を利用した様々な応用、要救助者に対する配慮を忘れる事も無く細心の注意を払い続けていた。ヴィラン確認直後に最も危険と思われる相手を判断して一対一に持ち込む素早い判断も素晴らしい。が、救援を求めるタイミングを見誤ってはいけない、この点を注意されたし』

 

と書かれた。基本的に問題はなく、ミルコを抑え続けていた事は評価に値するが応援を何とかして呼ぶべきであったという評価が下される。抑え込んでいたが故に被害はなかったがあのままでは確実に自分はやられていた、なので応援を呼んで対応するという判断も重要なのだという事だ。

 

「あ~……でもミルコ相手にそんな事考えてる余裕ねぇんだよなぁ……一瞬でも気を抜いたら一気に叩き潰されちゃうし……」

「うんあれはマジでやばい……」

 

単純に強い、何処までもシンプルに強いのである。其処に鋼の精神力がプラスされる事でその強さは何倍にも増幅されていく、仮免試験で自身の鼓膜を破るなんて判断もどれだけのヒーローが出来るのだろうか……それにあの人はラビットヒーロー……どうしてもビルドと重ね合わせてしまう。

 

「目指すべきヒーローはあんな感じのヒーローなのかもしれないな……」

『俺はごめんだぞ』



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77スレ

12:ヒロアカエボルト

仮免取得できました。

 

13:IS世界のメンタルセラピスト

おおっ!!こりゃめでてぇ!!

 

14:普通のカウンセラー

おめでとう、例年5割を切るって言うのに凄いじゃない。

 

15:D×D風紀委員長

一次で1540人が100人に絞られるんだから合格率5割じゃすまないだろうけどね。

 

16:光の国の戦士

試験は如何でした、大変でした?

 

17:ヒロアカエボルト

>>16

ええ、特に二次試験の救助訓練が。

誰かを助ける仕事って本当に大変って事を思い知りました。

 

18:青春学園の熱血教師

実際、救急隊の人達も凄いからねぇ……何時かお世話になるかもしれないし

感謝の念は忘れないようにしないとね。

 

19:ヒスイの調査兵

まあ俺はコトブキ村の世話には絶対ならねぇけどな!

ポケモンの調査が滞ってる?知るかンなもん勝手にやってろ!!

 

20:超次元中学生

相変わらずだなぁヒスイニキ。そう言えば図鑑でどんな状況だったの?

 

21:ヒスイの調査兵

全然。俺はアルセウスに会う気ゼロだから全てのポケモンに会う気ないから

プレートはまな板として活躍中よ。

 

22:円卓の鬼

>>21

プレートじゃねえか!!

 

23:無法地帯の料理人

あれ実際どの位美味しくなるんだろ、興味あるなぁ。

 

24:クトゥルフ系狩人

切ったら食材の旨味増すとかなんかトリコみてぇだな。

 

25:大地の虎

そういえば試験ってヴィラン役とかいませんでしたっけ?

 

26:纏め役の転生者

ああいるぞ。二次試験の途中からヴィランの追撃としてトップヒーローの

ギャングオルカがヴィラン役として出て来るはずだ。ヴィランの対応をしつつ救助をする

プロヒーローでも高難易度案件だな。

 

27:CC立香

試験でこれって凄いね~どうだったイッチ?

 

28:ヒロアカエボルト

マジで大変でした。ミルコが出て来てずっと相手してましたから……

 

29:D×D風紀委員長

はぁ!!?ミルコが出て来たんですか!!?

 

30:普通のカウンセラー

嘘でしょ……オルカだけでも難易度爆上がりなのに……。

 

31:円卓の鬼

オルカって……シャチか?

 

32:大地の虎

っすよね。冥界の魔物とも呼ばれてるシャチの事っす。ミルコってなんでしょ。

 

33:纏め役の転生者

ミルコ、ギャングオルカは何方ともヒーローのランキングでもトップ10に入る猛者だ。

 

ギャングオルカは個性シャチ、陸上でもシャチっぽい事が出来る。シャチの超音波を使った

超音波アタックは轟の炎や氷を粉々にするレベルの破壊力を秘めている。

 

34:IS世界のメンタルセラピスト

マジかよ……そう言えば聞いた事あるな。シャチって海生態系の頂点だって。

 

35:CC立香

ホホジロザメやクジラとかも捕食するって話だもんね

 

36:青春学園の熱血教師

それが陸上でか……怖いな。

 

37:ヒスイの調査兵

んでミルコってどんなのヒーローよ。なんか可愛い響きだな。

 

38:ヒロアカエボルト

いや確かに女性ですけどあの人を可愛いと思うのは無理がありますね……

 

39:纏め役の転生者

同感だな……ミルコ、個性はウサギでウサギっぽい事が出来る。

 

40:大地の虎

って事は……耳がよくてジャンプが高いとか?

 

41:ヒロアカエボルト

大体合ってます。でもマジで化物でした……。

 

 

 

「参ったな……」

 

試験も無事に終わったので自室に戻った星辰は仮免の写真を撮って父と姉に送信を終えると珈琲を淹れながらも思わずため息を吐いた。仮免を取れたことは当然嬉しいのだが……ミルコに気に入られてしまったのは思った以上に不味い。

 

『おいこれアタシの連絡先だ、掛けたら絶対に取れよ。取らなかったら蹴る!!』

『うえええ~……』

 

ほぼ一方的に押し付けられた連絡先、取り敢えず登録こそしたのだが絶対にこれはインターン関連の話でインターンは自分の所に来いという話が来る事だろう。リューキュウの所に行くつもりだったのに如何すればいいのだろうか、断ろうとしたのに聞き入れて貰えなかったし……如何するべきだろうか。そんなとき、ノックがされた。

 

「今開けるよ」

 

扉がノックされたので鍵を開ける、そこには耳郎が居て中へと招き入れる。

 

「あっ珈琲淹れる所?んじゃウチにも入れてよ、美味しいの一つね」

「まだ淹れられる自信無いんだけどなぁ……」

 

そう言いつつも真剣な面持ちで焙煎を済ませてあった粉の分量を真剣かつ慎重に計って行く、無意識的にそうなってってしまうのであれば絶対的な集中でそれを打ち消そうとする。そしてブレンドを作り上げたのかそれで珈琲を淹れて行く。

 

「―――よし、どうぞ」

「んっアリガト」

 

淹れて貰った珈琲を受け取りつつもそれを口へと運ぶ耳郎、迷いなく口へと運ばれた珈琲は確かに苦味が強いが以前飲んだ物よりはずっと飲みやすいし味わえるものになっていた。苦味が強いが酸味も抑えめで豊かなコクが癖になる。

 

「うん、ちょっと苦すぎるけど美味しいよ」

「ホ、ホント!?……あっ飲める出来になってる……!?」

「そんなに驚く事なの?」

「そんなになんだよ!!!長い事珈琲淹れて来たけど美味しく飲める出来なんて初めてだ……!!」

 

心からの歓喜の声と喜びを露わにする星辰に思わず笑みを零す、今日まで珈琲を淹れる協力をして来たがこんなに飲めるのは初めてだ。

 

「でもさ、まだまだ苦味が相当に強いからまた明日も淹れてよね。これよりも美味しいのをさ」

「よぉし頑張るよ俺!!」

 

そう言いながらも冷蔵庫からケーキを出してくれる星辰に感謝を浮かべつつもフォークを受け取る。互いにケーキを突き合いながらも話題は仮免についての事になった。

 

「にしても仮免を取れたはいいけど、これからどうするんだろうねウチら」

「あ~ヒーローインターンじゃないかな」

「インターン?何そんなのあるの?」

「うん。職場体験の時に体験先に先輩が居てその時に聞いたんだよ」

 

兎も角、ねじれとリューキュウから聞いたインターンについての事を耳郎にも話す。彼女もかなり興味深そうにしつつ話を聞いてくる。

 

「へ~……って事はうちの場合はデステゴロさんかなぁ……受け入れてくれるかなぁ……?」

「別に他の人を仲介して貰うのもありなんだって、先輩にお願いするとかも全然OKなんだって」

「へぇ~そうなんだ、んじゃその辺りも考えて置こうかな―――んで星辰、アンタさっき何溜息ついてたの」

 

思わず、心臓が跳ねるように驚いてしまった。この寮は基本的に防音が確りしている、外から声を掛ける事は出来るが内部からの声は外へは漏れにくい。珈琲を淹れようとしていた時の独り言が聞こえていたという事なのだろうか。

 

「ねぇ、何黙ってんの?ウチに何か隠してんでしょ」

 

別に隠している訳ではない、単純に何でそれを知っているんだ!?と驚いているだけなのである、兎も角誤解を解こうと声を出そうとするのだが……その時、耳郎は立ち上がって自分の隣に座りながらも胸を軽く撫でるように触りながらも上目遣いに自分を見つめて来た。

 

「隠し事なんて寂しい事しないでよ、ウチとアンタの仲じゃん、そう言う事されるとウチ凄い悲しくなっちゃうよ……?」

「ああいや、その……」

 

言葉に詰まってしまっていると耳郎は自分の胸に、心臓の位置にプラグを指して自分の心音を送り込んだ。

 

「聞こえる……?ウチの鼓動、悲しくてこんな感じになってるんだよ。遠慮とかそんなの一切要らないからさ言ってお願いだから、ねえなんで言わないのねえ何でなんか後ろめたい事でもあんのねえ、言ってよねえ何で言わないの」

「ああいやその……ミルコさんからインターン誘われたんだけど職場体験先のリューキュウさんからもインターンの時は是非って言われてるんだよ!!それでリューキュウさんに悪いから断りたいけどミルコさん聞いてくれるかなぁって思ってただけだよ!!」

「―――なぁ~んだそう言う事だったんだぁ♪あの人強引だもんね」

 

事情を飲み込むと直ぐに笑顔になった、ホッと胸を撫で下ろすのだが星辰は如何してこんな事になっているだろうかと本当に考え始める。自分の何が彼女をこうしてしまったのだろうか。

 

「ンで如何するの?あの人、多分知らねぇな!!とか言ってアンタを掻っ攫おうとするんじゃない?」

「……否定できない」

 

ミルコの事に加えて頭を悩ます事が増えたと星辰は少しだけ肩を落とすのであった。



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インターン編
78スレ


遂に新学期が始まった。またヒーローになる為の勉学の日々が始まったと思ったそんな矢先の事、緑谷と爆豪が大喧嘩をして謹慎処分になったと新学期の初日に聞かされたのであった。一体何をやっているんだとも思ったが、もしかしたら緑谷の個性関係ではないかと思うとこれはこれで致し方ない物なのだろうと勝手に納得していた。

 

「にっがぁ!!?あの時は何で美味しく出来たんだよ!?」

「いやウチはこれはこれで好きだよ?」

 

そんな最中でも星辰はマイペースに珈琲を淹れる特訓をし続けていた。以前よりは断然飲めるようにはなっているのだが……美味しくなったことでより苦さが強調されてきたのか以前よりも飲みづらくなってきている気がするのであった。そんなこんなで三日が過ぎて緑谷が爆豪より一足先に謹慎から戻ってきた日のHR。

 

「それじゃあ緑谷も戻ってきた事だし、インターンについての詳しい話をしようと思う。まあ俺が説明するよりも実際にインターンを行っている方から言われた方が説得力とかあるだろう」

 

その言葉の直後に教室の扉が開け放たれる、そこから三つの影が見えると直ぐに入室してきた。酷く大柄で筋肉質な金髪の男にロングヘアに笑顔が絶えない表情が非常に映えている美人、猫背だが何処か瞳に鋭さと凄みを感じさせる男の三人。

 

「多忙の中を態々時間を合わせてくれたんだ、感謝しておけ。現雄英生の中でもトップに君臨する3年の3人、通称ビッグ3だ」

 

ビッグ3。雄英生徒の中で断トツの実力を誇る三強の生徒達、そんな人たちが時間を作って自分達に会いに来てくれたという事に少しだけ緊張が皆に走った―――が、一人の姿を見た時に星辰はあっ声を出すのだが、一方も同じように声を出しながらも笑顔のまま向かってきた。

 

「やっぱり~居た~!!お久しぶり~!!」

「なんだビッグ3って貴方の事だったんですね」

「また一緒だね後輩君~♪」

「そうですねセ~ンパイ♪」

 

や~♪と仲良しさをアピールするが如く笑顔のまま手を合わせる二人にクラスは呆気に取られていたが、先輩の一人が笑いながら声を掛けた。

 

「ハハハッ如何やら彼が波動さんが何時も言ってた後輩君みたいだね、このクラスで良かったね」

「うん♪」

「取り敢えずこっちに戻っておいでよ、挨拶しなきゃいけないし」

「あっそうだね」

 

言われて戻っていくねじれに相変わらずだなぁと苦笑する星辰に対して周囲からの視線が集中していく、何故雄英トップに訓練する先輩とあそこまで仲良しなのか、あんな美人とあそこ迄親密になっているとはけしからん!!と怒りを思う者―――

 

……

「ヒィッ!?如何したんだ耳郎!!?」

……なんでも

 

余りにも親密そうな様子に嫉妬の念を燃やし尽くす耳郎と様々な反応があった。そんな異常な空気を相澤も感じ取ったか進行して空気を変えようとして自己紹介を促そうとするのだが……

 

「―――ミリオ、波動さん……駄目だ、緊張以上にこのクラス何処からか発生している邪悪な思念を受信してしまって身体の震えと動悸が収まらない……本気でこのクラス怖いマジで帰りたい……!!!」

 

壁に額を押し当てながら帰りたい……と切実な願いを漏らしている先輩、唯の緊張というだけではなく何かしらの邪念に怯えているらしいが本当にこの人は雄英トップの三人のうちの一人なのだろうか……と感じずにはいられない。それともこのクラスにはそんな先輩すら震わせる何かがあるのだろうか……。

 

「う~ん大丈夫天喰君?でも確かになんか感じる物はあるよね、不思議だね~あっでも皆心配しないでね、彼はノミの心臓って言われるぐらいに凄い上がり屋さんなの」

 

それは心配しなくてもいい事なのだろうか……と思っている中で今度はねじれが自己紹介をし始めた。

 

「私が波動 ねじれ。今日はインターンについて皆にお話ししてほしいと頼まれて来ました。それでここには後輩君が居るって分かって私は凄い嬉しいよ、あっ何で星辰君を後輩君って呼んでるのかって言うとね、職場体験先が私がインターンで行ってるリューキュウの所で一緒で凄い仲良くなったからなんだよね!ねえねえ知ってる?後輩君ってば凄い料理も上手でリューキュウや事務所の皆も感謝してたんだよ」

 

それを言われて皆は漸く思い出した事があった、職場体験に連絡を取り合っていたグループチャットで星辰がよく体験先の雰囲気を映した写真を送っていたがその時によく抱き着くようにしながらも笑顔でいた人そのものだった。

 

「ねぇねぇ後輩君、インターンはまたリューキュウ事務所だよね?」

「一応そのつもりですから、今は取り敢えず、ねっセ~ンパイ」

「は~い♪先輩は待ちま~す♪」

「収まりましたよ相澤先生」

「ご苦労石動」

 

このままねじれのペースで色々と合理的には進みそうになさそうな雰囲気が収まった事に対して相澤は感謝を述べる、述べるのだが……何か余計に教室の中にある空気が重くなっているような気がしてならない……いったい何が原因なのだろうかと探るよりも先にさっさと紹介を済ませてしまおう。

 

「え~っと色々とやりたい事を考えたけど、流石にやめておいた方が賢明かな!!さてと、取り敢えずインターンについてだけど必修ではない、それなのに態々どうして先輩が来てくれたのか分からないって子もいると思うから―――俺と戦ってみようか!!」

『ええっ~!!?』

 

突然の提案だが、相澤は全くそれを否定しなかった。寧ろインターンで得た経験を表現するには戦闘してみるというのは効果的にも思えた。なので早速戦闘の為に空いているTDLへと移動する事になったのだが―――

 

「ねぇ星辰アンタあの先輩とはどういう関係な訳」

「唯の先輩と後輩の関係です……」

 

その途中で物陰へと引き込まれた星辰は耳郎からの尋問にあっていた。

 

「あの距離感は絶対に可笑しい、何隠してんでしょねぇ嘘言わないでよ」

「嘘なんて微塵もついてません……ねじれちゃん先輩にはあのテンションに合わせないとこっちが疲れるからそうしてるだけなんだ、そうした方がコミュニケーションも楽だから」

「ちゃん、先輩……?」

「いやそういうヒーローネームなの!!ねじれちゃんっていうのが波動先輩のヒーローネームなのマジで!!」

 

ジッと目の奥を覗き込んでくるような耳郎に対して一切目を反らす事もなく言葉を紡ぎ出す、そして見つめ合い続ける。どの位の時間が経ったのかも分からないが漸く耳郎は笑顔になった。

 

「そうなんだったんだね、ごめんね変な風に勘ぐっちゃってさ」

「ああいやお気になさらず……」

「んじゃ早くいこっ先生に怒られる!!」

 

耳郎に手を引かれるように歩き出すのだが、星辰は本格的にこれから大丈夫なのかと不安になって来たのであった。



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79スレ

インターンの意義、それを教えるという名目で行われる事になった雄英のBIG3の通形 ミリオとの勝負、普通に考えればA組のほぼ全員である20人で戦うので圧倒的に数に分がある此方側。例え爆豪が居ない状況でもそれは同じ、だが不思議と全員は簡単に勝てる気はしなかった。体育館γ(TDL)へといざ足を踏み入れて、平然としながらストレッチを行うミリオを前にして本当にBIG3なのかという疑問は尽きない。だがそれ以上に重い言葉が圧し掛かってくるのである。

 

『現雄英生の中でもトップに君臨する3年の3人、通称ビッグ3だ』

 

それは相澤のあの言葉、それが重く圧し掛かっているのだ。ハッキリ言ってどんな人の言葉よりも信用と信頼がおけるとA組の皆が思う。

 

「ミリオ、やめた方がいいと思う。俺達は形式的にこういう具合でとても有意義です、と語るだけでも一年生としては充分で有意義なんだ。全員が皆上昇志向に満ち満ちている訳じゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない」

「天喰ったらちょっとそれは失礼じゃないかな~?少なくとも、後輩君は絶対に折れたりしないし寧ろ納得しやすいって」

「波動さんの彼に対するその信頼、寧ろ重くて僕からしたらプレッシャーにしかならない……!」

 

如何にも好き勝手に言ってくれているようにA組としては聞こえてくる、自分達は職場体験や林間合宿でマジのヴィランとの空気を感じ取っているし何なら一戦も交えている。それなのにそこまで自分達は弱く見られるのは不服でしかない。

 

「通形先輩、貴方がどんだけ強いのか俺達は知りません。ですけど―――あんまり下に見られすぎるっていうのは正直気に入らねぇ」

DINOSAUR(ダイナソー)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

 

「なんか雰囲気が一気に変わった……なんか凄い邪悪な物を感じてしまった……申し訳なくて帰りたい……」

「ああ後輩君は戦う時にスイッチが入るとああなるから気にしなくても大丈夫だと思うよ?」

「だからよ……俺も割と勝ちに行くぜ」

「それは寧ろ光栄だね、全力で来なよ!!」

「―――変身!!」

DINOSAUR! DINOSAUR! EVOL DINOSAUR(エボル ダイナソー)!!

フッハハハハハハ!!

 

本気で行くとの言葉通り、フェーズ4一歩手前のエボルダイナソーをいきなり切る星辰。スペックだけで言えばブラックホールフォームを超えるので単純な真っ向勝負を考えば最強の形態とも言えるそれになった。それだけ本気という事を実感しながらもミリオは笑顔で来いと答える。

 

「それじゃあ通形先輩!!胸を借りるつもりで行かせて貰いますんで、ご指導お願いしまぁす!!!」

「おいでよ、一年坊達!!」

 

が直後に目を疑う光景が広がった。なんと……ミリオの服がずり落ちていったのである。思わず女子から叫び声にも悲鳴が木霊する、耳郎も例外ではないのか叫びながら星辰の後ろに隠れた。

 

「キャアアアアアアアアアアッッッッ!!!!???変態、変態、変態ィィィィィッッッ!!!!なんで人前で裸になろうとしてるのあの先輩ぃぃぃぃぃぃぃっっ!!?」 

「ああっごめんワザとじゃないんだ!!?調整が難しくてね……!!」

「それでもいやああああああああああああああ!!!!?」

 

大慌てでジャージのズボンを履き直しているミリオ、その一方で弁解をしようとするのだが耳郎というか女子の中ではミリオの株はどんどん暴落していくのであった。

 

「隙、ありっ!!!」

 

そこを突くように緑谷が飛び出して行く。職場体験、林間合宿を経て彼はフルトランスを完全な物へと仕上げた。トランス・フルカウル、そして其処に自らのスタイルとして蹴り主体のシュートスタイル、目まぐるしい速度で進化していく彼の一撃がミリオの顔面へ炸裂―――しなかった。足がミリオの顔をすり抜けるかのようにしながらヒットする事が無かった。

 

「やっぱり、すり抜けた!?」

「いきなり顔面とは思い切りいいよね!!」

 

その隙を突いた遠距離攻撃持ちが一斉に攻撃するが、それすらもすり抜けていく。そして直後ミリオの姿は掻き消えた。

 

「いねぇ!?」

「すり抜けるだけじゃないのかよ!?」

「まずは―――遠距離持ち!!」

 

姿を消したミリオ、今度は背後を取ったように姿を現した……但し、耳郎の背後に。

 

「―――ギャアアアアアアアアアアアッッッ雄英の変質者BIGBIGワンンンンンン!!!?」

「ちょっ流石にそれは不服だよねぇ!!?」

 

最早、トラウマになっているじゃないかというレベルで叫びまくっている耳郎。その悲鳴に流石のミリオも不服そうな顔をしつつもこれは模擬戦なので加減はしないと攻撃を加えようとするのだが耳郎は素早く屈んで回避した。それをミリオは感心しつつも通り抜けるようにしつつも他の皆の腹部をその剛腕で殴り付けて行った。

 

「そして、君は主に重点的に!!」

「なっぐっがぁ!!」

 

氷を出そうとした焦凍、それに対してはミリオは特に念入りに攻撃を仕掛けていた、首に手刀を入れてから腹パンを加えて地に伏させる。そして僅かな隙に耳郎を除いた遠距離攻撃持ちが全滅したと言ってもいい。

 

POWERRRRRRRR!!!

 

ズボンを履きつつもポージングを取りながら叫ぶミリオ、その実力に皆が驚愕する中―――耳郎は蹲ったまま動かなくなっていた。それに反応して咄嗟に星辰が駆け寄って抱き寄せながらも距離を取る。

 

「大丈夫響香さん!?何かあったの!?」

「ジロちゃん大丈夫!?何かされた!?」

「顔真っ赤!?本当に大丈夫……!?」

「―――見、見ちゃった……

 

真っ赤にしながらも身体を震わせる耳郎、何か恐ろしい物でも見たかのような震え方にこれ以上は戦えないと星辰は相澤に許可を取ってから彼女を壁際へと抱き上げて運ぶ。

 

「大丈夫、俺が仇を討つからさ」

「―――見ちゃった……見ちゃった見ちゃった見ちゃった……

 

壊れたプレーヤーが如く同じ言葉を呟き続ける彼女の仇を討つべく、星辰は改めて構えを取る。その間に相澤は耳郎の傍まで行き精神状態を確認する。

 

「おい耳郎、保健室まで行くか」

「―――見ちゃった……あんなにハッキリ……ドアップで……

「……そうか」

 

その言葉で全てを察したのか、相澤は唯……静かに、出来るだけ優しく彼女の肩を叩いたのであった。

 

 

「回避した耳郎さんでも戦闘不能になるなんて……」

「油断出来ねぇけど、マジでどんな個性だ!?分かるか緑谷!?」

「理解は追い付かないけど、それなら理解できる範囲で考えよう。その範囲で仮説を立ててとにかく勝ち筋を探って行こう!!」

「それしかないだろうな……」

 

そんな言葉を掛けた皆の動揺を抑えて纏め上げる緑谷、そしてミリオはそれを見つつも良い後輩だと思いつつも再び姿を消した。そして緑谷の背後から現れようとした時、それよりも早く緑谷は背後を向き直った。

 

「(速い!!反応、じゃなくて予測か!!)」

「SMASH!!」

「だけど、必殺!!ブラインドタッチ目潰し!!」

 

予測によってミリオの行動を先読みした緑谷に対して、再びその一撃を通り抜けながらもそのまま緑谷の頭部に手を突っ込んだ。思わず反射で瞳を閉じてしまった

緑谷を狙って一撃を加えようとする―――その時!!

 

「そこぉ!!!」

「っ!!」

 

瞳を閉じた緑谷、腕を引き抜いて改めて攻撃をした時にミリオの腹部に蹴りが炸裂した。

 

「すり抜け、ない!!チェストォォォ!!!」

「こりゃ、参るなぁ!!」

 

腹部に決めた脚を振り抜くのだが、緑谷の攻撃は阻止しきれなかった。ミリオは吹き飛ばされながらもその途中にいた切島に腹パンを決めつつも再び姿を消す。そして―――今度は出現と同時に攻撃を仕掛けていく、再び星辰が攻撃を仕掛けるがそれには即座に反応してすり抜けていく。そして星辰以外のメンバーは全員倒されてしまった。

 

POWERRRRRRRR!!!……そしてやっぱり君が残るよね、波動さんのお気に入り君!!」

「チッ……厄介な技だ」

 

正直此処迄一方的な展開とは思わなかった、それだけ彼も友達の実力に疑いを持っていないという事だった。此処までなのかと驚愕する。

 

「さあ―――続けるかい後輩君!!」

「当然……!!!」




響香ちゃん……なんか……ご愁傷様です。


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80スレ

「さあ後は君だけだよ、後輩君!!」

「もう勝ったつもりでいるとは、随分とおめでたいもんだなBIG3って奴も」

 

残された星辰、状況はハッキリ言ってよくはないかもしれない。ミリオの個性の正体は掴めない、攻撃を自在に通り抜ける上にワープのような移動まで可能にする。それがどんな個性なのか……だが星辰としてはその正体を探るつもりはない、緑谷が言っていたように自分が理解できる範囲で答えを探すだけだから。そしてその手に握ったトランスチームガンで周囲にスチームを散布する。

 

「目くらましかな?」

「違う―――整理だ」

 

その言葉の直後に倒れこんでいたクラスメイト達の姿は壁際に移動していた、此処からの戦闘は何処までの規模になるか流石に分からないので被害が行かないようにの配慮―――エボルト的には邪魔だっただけ。

 

「さあこれで思いっきり行ける、来いよ」

「それじゃあ―――行かせて貰うよね!!!」

 

その言葉に甘えるようにミリオは駆け出しながらも再び姿を消した。完全に姿も見えない、何処からの攻撃が来るかも分からない、また背後か、はたまた横か、真下か、神出鬼没の戦法は相手の精神にも負担をかけて行くのも有効な戦術。だが星辰は極めて冷静だった。

 

「―――っそこだ!!」

「(見切られてた!?)」

 

真正面に向けて拳を振るう、敢えての正面から姿を現したミリオは驚いた。背後からの奇襲をするだろうと予測している筈の虚を突いたつもりが全く通用しなかった。だが同時に酷く嬉しくも思う、先輩として有望な後輩が目の前にいるのだからと思いながら拳をすり抜けていく。

 

「いけない石動君……!!」

 

あれは自分が一度受けた技、それに注意を飛ばそうと苦し気に呻く緑谷。

 

「必殺!!ブラインドタッチ目潰し!!」

 

例え一度知られているとしても人間の本能はそう簡単に押さえられる物などではないの。例え目の前に野球の試合で、ネットがあったとしてもファールボールを反射的に避けようとするように。確かに星辰の顔面に自らの腕が埋まった、そして今度は拳を―――

 

「わぁお♪」

「―――嘘だろ……?」

 

ねじれは思わず嬉し気な声を、天喰は驚愕に目を見開いた。何故ならば―――

 

「っ―――!!?」

「確かに、捉えたぞ……!!」

 

深々とミリオの腹部に星辰の拳が突き刺さった、通り抜ける事もなく確りとミリオの実体を捉えていた。ギリギリと肉にめり込む拳に思わず肺の中の酸素を吐き出した、そして今度は首筋へと回し蹴りが炸裂した。あれ程までに攻撃を通り抜け続けていたミリオに確かに命中している、そして蹴り飛ばされて数度バウンドしながらも彼のズボンの傍まで転がった。

 

「ゴホガハッ……久し、ぶりだよね……こんな重い打撃を受けたのは……!!」

 

ズボンを履き直しながらも酸素を求めて呼吸し続けているミリオを見続ける星辰、エボルダイナソーの攻撃をまともに受けてまだ立てる辺りBIG3は伊達ではないという事らしい。恐らくあの肉体は鍛錬で獲得した物、そう考えると矢張り凄まじい。

 

「緑谷との攻防であれはもう見た、だから対策した」

「へぇっ……参考までにどうやったのか聞いてもいいかな」

「誰でも出来る事ですよ、喰らう前に自分から目を閉じて勘で打ち込んだ」

 

余りにも単純な理屈だ、目潰しで動きを封じるなら最初から目を閉じておけばそれに動じる事もない。そしてミリオはブラインドタッチ目潰しの関係上至近距離にいる、後は攻撃をするであろうタイミングで攻撃を仕掛ければ良いだけの事。

 

「まずは―――響香さんの仇の分」

「ハハハッ……確かに単純明快な解決法だ、参っちゃうよね」

 

至極シンプルな対策だ、シンプルな攻撃故に対策も難しく考えずに単純にすればいい。当然の理屈だ。

 

「ねぇねぇ天喰!!ミリオがあんな風に倒れるなんて本当に久しぶりだよね!!」

「―――信じられない、あのミリオを1年生の子が叩き伏せるなんて……」

「言ったでしょ後輩君は凄いって♪」

 

まるで我が事のように嬉しそうにするねじれ、実際彼女にとっては本当に嬉しい事なのだろう。自分の大好きな後輩が自分と同格とされているミリオとあそこまで戦う姿が。

 

「それにアンタの個性も大分読めた……すげぇのは個性じゃなくてアンタ自身だな、そんな個性で良くやるぜ」

「ハハハッこりゃ参っちゃったよね、波動さんの言う通りに凄い後輩君だ!!」

「まあ、一々全裸になるのはマジで何とかしとけよ。ヒーローやる前に公然猥褻で終わるぞ」

「ハハハッこりゃ手厳しい!!まあ一回体育祭でやらかして大変な事になってる前科持ちだからね俺ってば!!」

 

大笑いするが、それを聞いて星辰は素でドン引きしたのか後退った。今の話が本当なら全国放送で今のをやらかした事になる、それなのによくもまあヒーローを目指し続けられる物だ……自分だったら引き籠る自信がある。そんな中、ミリオは自ら構えを解いた。

 

「さてと、俺の強さが分かったかな?これが俺がインターンで身に付けた強さだよ、そろそろ説明に移ってもいいかな。相澤先生にも合理的にって言われてるしね……というか、ぶっちゃけ流石に立ってるの結構辛いんだよね……」

 

確かに勝敗を付ける意味はない、あくまでインターンで身に着けた力の紹介という事なのだからこれ以上やる意味はないかもしれない。そしてエボルダイナソーの攻撃は相当に響いているらしい。

 

「んじゃ勝負放棄で俺の勝ちでいいな」

「あっ結構確りしてるね、ハハッうん良いよ!!君の勝ちだ後輩君!!そしてギリギリ見えないように努めたから大丈夫だとは思うけど、女性陣には本当に申し訳ない事をしちゃったよね!とまあこんな感じだったけど分かってくれたかな」

「通形」

 

ニコやかに笑いながらもこんな感じだよ!!と良い感じに締めに入ろうとしているミリオだが、それを相澤が止めた。しかも個性を発動させて捕縛布でミリオを捕縛しながら。

 

「お前、それ直せって言われてんだろ……調整が難しいじゃすまないんだよ、先輩が後輩に恥部晒してんじゃねぇ」

「えっと相澤先生……?」

「(クイッ)」

 

そっと顎で視線を誘導するのだが、その先では未だに顔を真っ赤にして伏せ続けている耳郎の姿があった。それを見て少ししてからあ"っ……と酷く濁った声が出た。

 

「一先ずお前はこのまま生徒指導室送りだ、担任に確りと絞って貰え。波動、天喰、上手い事締めとけ」

「は~い♪」

「無茶言わないでください……」

「やれ」

「……パワハラだ……」

 

そう言いながらも相澤はそのままミリオを引っ張っていった。その最中、本当にごめんだよね~!!!!と謝罪の言葉が木霊し続けたが完全にフリーズしていた耳郎に聞こえていたかは謎であった。

 

「響香さんマジで大丈夫?」

「―――あんなにハッキリ……BIGIBIGBIGだった……モノを―――ドアップで焼き付けちゃった……

「……俺の秘蔵のケーキ、食べる?」

「―――食べりゅぅ……

 

事情を察してしまった星辰は同じように優しく肩を叩いてあげる事しか出来なかった。

 

『これは流石の俺も同情するぜ……』

「(全くだ……)」



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81スレ

3年からのインターン、その意義など極めて有意義な時間を体験させて貰えた。それは確かだった……それは間違いないのだが、別の意味で大変な事になっていた耳郎としてはもう記憶から消去した、というか触れていなけない事象となったのか

 

「昨日、何か―――あった?

『いえ何でもございません』

 

という事になりそうなので誰もその事を口にする事はやめた。結局、あの後は波動が中心、というか殆ど一人で進行を行って問題のミリオの個性についても教えてくれた。

 

個性は透過、発動させればあらゆるものを通り抜ける物でそれを利用する事で攻撃を回避したりしていたとの事。ワープは全身を発動させて地面の中へ潜っていたとの事。そして個性を解除すると物質は重なり合う事が出来ないのか弾かれるらしく、それを利用して体勢やポーズを取って飛び出す方向を調節しているとの事。それらの技術も全てインターンで身に付けたもの、プロと全く同じ目線で現場に立てる事は間違いなく財産になる事を語ってくれた。

 

この事でインターンの意義を十分を理解し、それに向けての意欲がどんどん増して行った―――

 

「インターンについて職員会議を行った結果だが……校長を始め多くの先生がやめとけという意見だった」

『えっ~!!?』

 

翌日のHRにて相澤がインターンについての事を話すが、その内容は教師陣的にはインターンには好意的ではないという事だった。これに対して当然生徒からは不満の声が出る。前日に先輩からの話をさせておいてのコレだ、ある種当然の反応だ。しかし寮制を導入した経緯を考えると理解も出来る。

 

「だがまあ、現状の慎重な姿勢では強いヒーローは育たないという意見もあった。それも確かな意見、なのでインターン受け入れの実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可するという事になった」

 

条件の付きのOKサイン、確かにそれならばOKが出るのも納得だ。さてそうなると自分は如何するべきだろうか……矢張り職場体験でお世話になっているリューキュウが大本命、この後一応先生にリューキュウはOKなのかと聞いてみるとOKではあると言われた。なのでは大本命、大本命なのだが……

 

「かと言っても他の事務所も捨てがたい……」

 

リューキュウ事務所が駄目な訳ではないが、別の事務所が駄目という理由もない。なので一応第一候補に置くだけ置いておいて一応考えを―――

 

〈ドンテンカンドンテンカーン!!〉

 

「んっはいもしもし」

『何その着信音……』

 

巡らせている時の放課後、携帯に連絡が入った。それを取りつつも外へと向かって行く星辰、寮でくつろいでいた時なので皆に着メロが聞かれた時に変な反応をされる、まあ自力再現のハザードトリガーのあれである。というか、オールマイトの電話が~来た!!やメールが来たぁ!!などに比べたら相当にマシな自負はある。

 

『よっ!!』

「あっミルコさん、ですか?」

『応、如何だ今日辺りじゃねえかインターン云々の話が出るのはよ』

 

途中何かの断末魔というか悲鳴のような物が聞こえて来てしまった、もしかして戦闘中だったのではないだろうか……

 

『っせえな邪魔すんじゃねえ!』!<<<ギャアアアアア!!!

「……あの、掛け直します?」

『ああ気にすんな、もう済んだ』

「そ、そうですか……」

 

確かに気にしない方が色んな意味で建設的なのかもしれない……とこの際無視する事にした。

 

『んで―――来るよな、アタシの所に』

「え~っと……俺、リューキュウさんと職場体験の時に約束をしてて……」

『んっ~悪いな、爆弾使いまくるヴィランと戦ってたせいなのかちょっと耳が遠くなっててな~』

「ぜってぇ嘘だ!!」

 

ミルコは都合が悪くなると耳が遠くなるという能力でもあるんだろうか、まるで子供のような反応に少しばかりの笑い声を漏らしてしまった。これ如何したものか、と思っているとある事を思い出した。

 

「あ~……そもそもミルコさんの所に行けるのかな俺」

『あん?如何言う事だよ』

「ミルコさんってインターンの受け入れとかやった事あります?」

『ねぇよんなもん、つうか事務所すらねえぞ』

「あ~……」

 

もしやとも思ったが、やっぱりだった……仮免取得の後にミルコの事を調べてみた事があったが、ミルコは事務所を持たずに活動する極めて特殊なヒーローである事が分かった。曰く、面倒だとか性に合わないから、という理由で事務所を持たない。それなのにヒーローとしてやっていけるのか極めて謎だが……やっていけているから何かしらのフォローとかがあるのだろう……多分。

 

「実は学校はインターンに消極的で、それでインターンは受け入れ実績が多い事務所にのみ許可を出すって事になってまして」

『あ"あ"っ!!?ンだそのふざけた方針!!んな弱腰で如何すんだ!!?』

 

ミルコの言いたい事も分かる、分かるには分かるが……この場合は自分は除外って事かフザけんな!!という怒りの方が絶対に強いんだろうなぁ……と星辰は空を仰ぐのであった。

 

『まあンな事如何でも言い、お前なら着いて来れるだろ―――だから攫ってく』

「ちょっとプロヒーローが何言ってんすか!?」

『いいやお前はアタシの所でインターンだ、よし雄英に殴り込むか』

「ああちょっと待って、待ってください!!」

 

このままだと確実にミルコは雄英に殴り込みをかける、不味い非常に不味い。何とかミルコを納得させなければミルコが雄英に襲来する事になる。いや殴り込むは冗談で本当は電話かもしれないが……何故かミルコは絶対に殴り込むという謎の説得力があった。

 

「えっとえ~っと……あっそうだ!!あ、あのミルコさんこういうのはどうですか!!?」

『あん?』

 

 

『成程ね、それで私に連絡をしてきてくれたわけね?』

「はい、突然お電話しちゃってすいません……」

『良いわよこの位、何時でもして来て』

 

思わず電話に向かって頭を下げてしまう、その相手はリューキュウだった。ミルコとも電話は繋げたままでリューキュウにも連絡してある事をお願いしてみたのである。

 

『私は良い案だと思うわ、こう言い方は失礼だけど私はまだまだな所があるから素直に良い提案だわ』

『こっちも異論はねぇ、寧ろ願ったり叶ったりだ』

 

とミルコも上機嫌そうに頷いた。ミルコに行った提案はリューキュウとミルコのチームアップ、星辰はリューキュウの元へインターンとして出向くがそこにミルコもチームアップとして参加する事で雄英の定めたルールの穴を突いた。そしてミルコはリューキュウに協力しつつも時折星辰と共に行動をする事で彼を伴ったインターンを実施出来る。

 

『まあずっとって行かないのが不服だけどな』

『そこはしょうがないですよ、まあそう言う訳ですから宜しくお願いしますねミルコ』

『ハッ足引っ張るなよ?』

『全力を尽くします』

 

という事があり、雄英はミルコの襲来を回避する事が出来たのであった。

 

「ハァァァァッ―――なんか、疲れた……珈琲飲も……」

「あっウチのも淹れてね」

「ああ勿論―――ってぇ響香さん何時の間にぃ!?」




基本リューキュウ、時折ミルコという変則的なインターンになった星辰。

流的には原作メインのオリジナルルート込みって感じですかね。


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82スレ

街中を飛び続ける翼、それは雄々しくも邪悪に広げられた悪の翼。そしてそれは忌々し気に大地を見つめながらも火球を放って目標となる物を破壊しようとしている。

 

「好い加減に死ねぇ!!死ねぇ!!!」

「だったら俺を殺してみろよ、ああ出来ねぇからこんな躍起になってんのか。ハッご苦労なこったぁ出来ねぇ事をしようとするからこういう苦労をするんだぜ覚えときな!!」

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!」

 

飛ばされてくる煽り、それに完全に怒り狂ってしまって相手を倒す事のみに執着してしまっているヴィラン。その為に火球を次々と放つのだがそれは回避される所ではない、全ては正確に迎撃されていく。そんなヴィランが追っている相手は―――

 

EVOL TANK!!

 

そう、仮面ライダーエボル タンクフォームであった。足裏にある無限軌道を使っての高速移動をしつつも両肩にあるEVOタンクショルダーの砲塔は背後からの攻撃だろうが何の淀みも躊躇もなく確実に相殺する。

 

「これなら、如何だぁ!!」

 

これならばと前方の道路に爆撃を仕掛けて道路を吹き飛ばそうとするのだが、それを星辰は跳躍して自ら楯になって火球を受ける。が、それも拳で。タンクフォームの拳と肩には反応装甲が仕込まれており接触した物体に強烈な衝撃波を放つ機能が備わっている、故にそれを利用して火球を打ちのめす。そして再度着地しながらもフルスピードで走る。

 

「クソッあの野郎、戦車みてぇななりのくせになんて速さだ!!」

 

空から追いかけるヴィランは思わず毒づくが、そもそも戦車が遅いという認識自体が間違っている。日本などにもある10式戦車も最高時速は70キロで戦車はそれなりの速度は出る。遅いという認識は恐らく戦車の代名詞的な存在になったドイツのティーガーなどの重戦車の影響だろう。

 

「さあ到着だぁ!!」

「到着って―――ゲッ!!?」

 

飛び出した先、そこで待ち受けていたのは空中には無数の瓦礫などが重力を無視して浮遊しておりそこにはリューキュウなども待機していた。其処で漸く気付いたのだ、自分は此処まで誘い込まれていたのだという事を。元来た方向から逃げようとするが、そこも無数の瓦礫が浮いていた。

 

「幾らスピード自慢のお前でもこんな障害物だらけの所は跳べねぇだろ、MAXは大したもんだけどそれ故にそれ以外は鈍い」

「テ、テメェ……俺を怒らせたのも」

「当然。それだけのスピードを持ってるならそれに対して絶対の自信と自負がある、そして攻撃能力も高ければ捕まえられない相手はいないという慢心が生まれる。其処を刺激して此処まで誘導したって訳だ」

「テ、テメェ……!!!」

 

怒りを露わにした時、周囲から自分向けて一点に照射される爆音が放たれた。思わず耳を塞ぎながら周囲を見ると瓦礫には指向性のスピーカーが突き刺さっていた。あれが原因なのか、と思っている時に全身に無数の石礫が突き刺さって来た。

 

「必殺―――メテオ!!」

「ファフロッキーズ!!」

 

視界の端、瓦礫に隠れるようにしていた二人の少女からの奇襲、翼にも食い込んでいる石礫、激痛が走るがまだ翼が動く。逃げ出そうとした時―――

 

「まだ逃げれるんだ~不思議だね~!!」

 

正確に翼を撃ち抜くように波動が直撃した、しかもそれは何故かねじれているのか翼が可笑しな方向に曲がってしまって飛行が出来なくなっていた。もう終わりか、と悟った時―――あいつだけも仕留める!!と星辰に向けて最後の力を振り絞った特大火球を放った。

 

「最後まで足搔こうとするのは立派だが―――相手が悪すぎたな三下」

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

放たれた火球に向けて星辰は必殺技を発動させた、それはエネルギーを両脚の履帯へと集中させそれを一気に蹴りに載せて放出すると言う物。放出されたエネルギーは凄まじい勢いで飛び出していきながらも火球をあっさりと貫通するとヴィランの全身を拘束した、そして其処に向けてエボルは両肩の砲塔から高エネルギーを発射、それを受けたヴィランは大爆発を起こして地面へと落ちた。

 

「全国指名手配の第一級ヴィラン、ドラゴンフライ確保」

「よくやってくれたわエボル、悪いけど完全な拘束をお願い出来る?」

「今直ぐ」

 

そう言いながらも星辰はエボルロックに変身をし直すとすぐさまドラゴンフライに鎖を巻き付けると個性封じを行った。これで星辰が許可しない限り、彼は個性を発動する事は出来ない。それを見届けてからリューキュウは改めてインターンで来てくれた事に感謝しつつも他の3人にも笑顔を送った。

 

「本当に有難うね、インターンに来てくれたばっかりなのにこんな事に付き合わせちゃって悪かったわ。でもいい経験になってくれたと思ってくれると有難いわ」

「いえ本当にいい経験でした!!それに、開発したばっかりの合体必殺技も披露出来ちゃったし」

「そうね、あれなら結構なレベルのヴィランにも通用するって事だ物ね。いい経験しちゃったわね」

 

そんな風に語り合っているのはウラビティとフロッピー、麗日と蛙吹であった。二人はねじれがインターンに誘いをかけてこのリューキュウ事務所へとやって来ていた。二人とも元々希望していたヒーローの元へインターンに行けずにいたのでねじれの提案は渡りに船だった。

 

「それにしてもイヤホン=ジャックだったわね、貴方の索敵能力も中々の物よ。家の事務所に足りなかった能力を見事に解決してくれたわ」

「い、いえウチは全然……」

「謙遜なんてしなくていいのよ、貴方が逐一スピーカーから聞こえてくる情報を提供してくれるからチーム全体に情報の共有が出来てスムーズに行けたわ」

「あっその、有難う御座います……何か、ハズい……」

 

そしてもう一人、それはイヤホン=ジャックこと、耳郎であった。彼女もインターン先が決まっていなかったのだが、ミルコからどうせなら一緒に向かってきた奴も連れて来い、と言われたのでリューキュウに確認を取ってみたら快諾されたので一緒の事務所でインターンを行う事になったのであった。

 

「にしても星辰君、じゃなくてエボル君って凄いやね……リューキュウさんに誘導を任せられるなんて……」

「職場体験の時にも一緒にやってるからある程度は分かってるしあの時よりも成長している、と考えたら一層の事を信頼して任せられるからね。このメンバーの中だと相手を誘導する相手としては適切だからね」

 

言われてみると確かにと納得する、ねじれもリューキュウも飛行は出来るが一方は速度は出せず、一方は巨体ゆえに小回りが利き辛い。そこで抜擢されたのが高スピードを出せるエボルだった。

 

「それじゃあ一旦事務所に戻りましょうか、エボル昼食お願いしてもいいかしら?」

「大丈夫ですよ~というか、朝のうちに仕込みは済ませてありますから」

「えっあの出発前の時に!?」

「手早いのね、流石だわ」

 

そしてこれからは事務所に戻って昼食タイム、お楽しみの星辰特製ランチの時間。前々から彼の料理の腕は利いているので是非とも味わってみたいと思っていた麗日にとっては初体験、リューキュウもねじれも太鼓判を押すので益々楽しみになって来た。

 

「ねえねえ後輩君、今日の献立な~に?」

「ちょっ先輩!?」

 

目の前で星辰に背後から思いっ切り抱き着くねじれに麗日は思わず顔を赤くする、なんて大胆だと思うが星辰は一切動じる事もなく対応をする。

 

「今日はうどんですね、付け合わせに揚げ物も準備しますから楽しみにしてくださいね」

「わ~い!!ねえねえ私はかしわ天とレンコン揚げが好きなの!!」

「ちゃんと用意するから安心してください」

「やった~!!」

 

「なんか、お姉ちゃんと弟って感じやね」

「そんな感じするわね」

 

何処か恋愛的な雰囲気はなく、単純にねじれが一方的にだが相当に懐いているように見える。姉に手を焼く弟、という構図に見える。

 

「……まあそれなら……」

「あら、エボルとねじれの事が気になる?」

 

二人の事を見ていて黒くなりかけたが、姉と弟に見えると言われて確かにそれならまあ……と抑える耳郎にリューキュウが声を掛ける。

 

「あの二人は職場体験の時からああよ、彼の方がねじれに合わせてくれてるのよ。そうした方が色々と何ですって」

「そうなんだ……もしかしてウチって重いのかな……?」

「フフフッ相談乗ってあげましょうか」

「……迷惑でなければ」




エボルタンク

両足のキャタピラで高速移動しつつも両肩の砲塔での中遠距離での砲撃戦や近距離での格闘もこなす事が出来る、攻撃力、防御力、機動力の配分がバランスよく星辰的にも使いやすいフォーム。

射撃攻撃を行う際の弾道計算などを瞬時に行って命中を底上げする、射撃武器の威力を上げるなどの力もあるので射撃主体のフォームとも言える。


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83スレ

「―――美味し!!?」

 

思わずそんな声を響かせてしまった麗日、目の前にある丼に入っているのは星辰特製手打ちうどん。確りと歯応えがあるのに噛み切ろうとしたらぷっつりと切れる、柔らかさと硬さを併せ持った麺に出汁の味が絡まって声を出してしまった。

 

「かしわ天とレンコン、ごぼ天にイカとジャガイモも揚がりましたよ~」

「入れる入れる~!!!」

「私も是非ほしいわ」

 

其処へ揚げたての天ぷらを追加で持ってくる星辰。真っ先にねじれとリューキュウが手を伸ばすが、他の事務職員たちも手を伸ばして行く光景も思わず麗日、蛙吹、耳郎は困惑したような様子だった。

 

「ホラホラ貴方達も早く取っちゃいなさい、でないと取られちゃうわよ?」

「そうそう、エボルの料理の上手さは俺達リューキュウ事務所の間じゃ語り草……寧ろインターンをどれだけ待ちわびた事か……!!」

「健康的な三食、栄養バランス、満足感!!」

 

如何やら相当星辰の料理は信頼されていることが分かった、なので自分達も慌てて天ぷらを取りに行く。途中参加だったので取れたのは僅かだったが直ぐに星辰は追加で揚げに向かうのであった。

 

「あっウチも手伝おうか?」

「いや大丈夫だよ、美味しく食べてて♪」

 

そう言いながらもノリノリでキッチンに向かって行く星辰、元々家のカフェでシェフを続けていた身としては美味しく食べて貰える事はこの上ない喜びなので準備する事は苦にもならない様子。それを見つつも耳郎は取る事が出来たかしわ天に齧りつくのであった。

 

「―――うまっ」

 

と今度は出汁に付けて味に変化を付けてみるのを試すのであった。

 

 

「大、大、大、大満足……♪」

「本当に美味しかったわぁ……♪」

「最後の締めも最高だったぁ……」

 

とインターン組の3人はお茶を啜りながらも極めて充実した幸福感を味わっていた。最後の星辰特製の揚げおむすびを出汁に入れて食べるのも最高だった、中に入ったキノコやニンジン、牛肉と具沢山で本当の満足に行く品だった。

 

「もうお腹一杯~ご馳走さま~!!」

「とっても美味しかったわね、此処までうどんをガッツリ食べたのも久しぶりだわ」

 

同じように満足気に笑うねじれと食べ過ぎてしまったかもしれないと笑うリューキュウ、久しぶりの星辰の料理に箸が止まらなくなっていた。気を付けない不味いと思いつつもまた味わえた事に感謝する。

 

「あれ、星辰は食べなかった訳?」

「ちょっとね~食べてる、時間がないから……大急ぎで別の仕込み中!!」

 

慌ただしくキッチンで動き続けている星辰、洗い物を終わらせると直ぐに別の作業に入り始めていた。一体何を急いでいるのだろうか……そう思っていると事務所の扉が勢い良く蹴り開けられた。

 

「よっ!!リューキュウ、あいつ居るか?」

「あらっミルコ、ええっいるわよ」

 

蹴り開けたのはミルコ、トップ10に入る超実力派ヒーローの登場に麗日たちは思わず驚いてしまう。

 

「改めて会うと凄い貫禄……」

「チームアップしてるとは聞いてたけど……」

「ケロォ、驚いたわあのミルコさんだなんて……」

「おっお前らだなインターン生は」

 

ミルコは耳郎たちを見つけると何やら見定めるかのように眺め始めた。鋭くも力強いその視線に僅かに気圧されるが直ぐに胸を張るようにして迎えると歯を見せながら笑って声を上げた。

 

「いいぞ、悪くないなお前ら。その内、アタシと一緒に来て貰うかもしれないからその時は覚悟しとけよ?全力で振りまわすからな」

「は、はい……出来ればお手柔らかにお願いしたい、かなぁ……」

「んじゃ―――おい準備出来てっかそろそろ行くぞ~」

「もうちょっと待ってください!!後、少しですから!!」

 

とキッチンを覗き込みながら声を掛けるミルコとそれに反応する星辰、それを見て耳郎は思わず声を出す。

 

「あの星辰連れてどっかに行くんですか?」

「ああ野暮用でな、丁度いいからエボルも連れてくわ」

「荒事って事よね?」

「ああ、最近なんかヴィラン共がつるんで何かしでかそうとしてみてぇだ。そっちも気を付けとけよ、個性のブースト薬も持ってるケースが多いらしい。おいまだかよ!?」

「今出来ました!!」

 

とキッチンから荷物を持って出て来た星辰、如何やら弁当を作っていたのか弁当箱を仕舞いこむとそれを背負って準備万端と言いたげな状態になった。

 

「夕食の仕込みはしておきました、後はとろ火でじっくり煮込めば良いだけですから」

「ごめんなさいね急かせちゃったみたいで」

「いえ、うどん作ってる時に並行作業でやってましたから」

「流石ね……」

 

カフェの混む時間帯ではこの位出来ないと捌けない事も多かったの出来るようになったスキル、それを遺憾なく発揮してリューキュウ事務所は美味しい夕食も確定した事にガッツポーズする所員が多かった。

 

「んでアタシの飯は?」

「問題なく」

「うし、んじゃ行くぞ―――ちゃんとついて来いよ」

「分かってますよ、んじゃリューキュウ行ってきます!!」

「はい気を付けてね」

「行ってらっしゃ~い!!!」

 

そう言いながらも飛び出して行くミルコと星辰、そんな後姿を追うように見つめていた耳郎は少しだけしょんぼりとしてしまいながらもお茶を啜るのであった。

 

 

「それで、何処にっと、向かうんですか!!」

 

一度の跳躍でビルよりも高く跳んで街を越えて行くミルコに追従するように追いかけるのはエボルラビットのエボル。別に他のフォームでもいいのだが、ミルコについて行く場合は跳躍で一気に離される可能性があるのでついて行く為にもラビットになっている。

 

「さあな」

「さあなって……」

「耳済ませとけ、事件が聞こえたら蹴りに行く!!それがアタシの基本活動だ」

「うわ~……そりゃ事務所なんて持てないわ~……」

 

ミルコのヒーロー活動方法。それは跳躍しながらもその最中に聞こえてきた事件の音や直感を頼りにしてそこへ蹴り込むという物、つまり―――基本的に通報など受けて出動するヒーローとは逆で常に動き回って事件を探し続けるのがデフォルト。そしてその特性上、基本的に全国を文字通り跳び回っているのである。

 

「―――おっ早速聞こえて来たな!!行くぜエボル!!」

 

そう言うと一気にその方向へと跳んでいく、しかも今までとは比較にならない程の圧倒的な速度で。それにおいて行かれないようにと星辰も空中で制動を掛けつつも空気を蹴って一気に加速する。そしてその先には―――現金輸送車を襲っていたヴィラン達が居たのだが―――現金輸送車を踏み潰さん勢いでその上へと着地したミルコとエボル。

 

「よぉっ白昼堂々、精が出る事じゃねぇか……?」

「よぉっ景気が良いじゃねえか、俺達も混ぜてくれよ」

 

その後、僅か3分でその現場は鎮圧し犯人グループは残らず確保。その時に偶然居合わせた記者に向けてミルコはエボルの肩を組んで

 

「こいつはアタシのサイドキックのエボルだ、覚えとけよ」

 

とアピールしてくれたお陰で星辰はこれから色んな意味で大変な事になるだろうなぁ……という未来が想像できてしまった。



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84スレ

45:D×D風紀委員長

あ"~……やっと冥界から解放された……。

 

46:ヒスイの調査兵

おっお疲れ様委員長ニキ。

 

47:大地の虎

お疲れっす!!こっちも徹夜で頑張ってるっす!!

因みに3日目っす!!

 

48:クトゥルフ系狩人

>>47

即刻寝ろ。尚こっちはハンティング中。

目的の邪神が通るまで息をひそめる事1週間、

殆どねてねぇぜ。

 

49:青春学園の熱血教師

>>48

人の事言えねぇ~!!!!

 

50:超次元中学生

皆大変そうですねぇ……あ~学生で良かった。

 

51:円卓の鬼

委員長ニキ、悪魔は結局死ぬ気の炎とか使える訳?

 

52:D×D風紀委員長

波動と思わしきものはあるみたいですけどそれを引き出す要素が

欠けてるので絶対に無理です。指輪の貸し出し希望されましたけど

断固拒否しました。

 

後模擬戦で兵藤ボコりました、ザマァwww

 

53:無法地帯の料理人

流石の神滅具でもヒバリさんには勝てなかったかwww

そもそも神じゃねえしなwww

 

54:CC立香

こっちはまた一つ特異点解決~聖杯の上手い使い方ないかなぁ~

 

55:光の国の戦士

アッこっちは転生者仲間見つけました。

 

56:普通のカウンセラー

えっマジで?掲示板に何で来ないのかしら?

 

57:纏め役の転生者

偶然転生したタイプかもな。神とかそう言うの一切抜きで

 

58:大地の虎

そう言うのってあるっすか!?

 

59:纏め役の転生者

極めて稀だと聞いた事があるけどな、それが気付けなかったほどに

苛烈な状況下だったとか。

 

60:ヒロアカエボルト

あ~……光ニキって転生直後にゼットンと戦闘でしたっけ。

そんな感じだったら確実に抜けるでしょうね。

 

61:IS世界のメンタルセラピスト

>>60

イッチが、抜ける!?

 

62:無法地帯の料理人

>>61

応好い加減にせいよ、バラライカさんと張さん経由で

作って貰った専用拳銃で撃ち抜くぞ。

 

63:円卓の鬼

>>62

専用ナイトメアフレームもあるぞ!!

 

64:ヒスイの調査兵

>>62

立体起動装置もあるぞ!!

 

65:D×D風紀委員長

>>62

匣兵器もあるぞ!!

 

66:エボルトヒロアカ

完全な包囲網で草ww

 

67:IS世界のメンタルセラピスト

うっせえテメェに言われたくはねぇエボルトぉ!!

 

68:普通のカウンセラー

アンタもいい加減にしときなさいよ、箒ちゃん泣くわよ?

 

69:青春学園の熱血教師

泣いたらウサギが来るぞ!!

 

70:エボルトヒロアカ

ミルコ「呼んだか?」

 

71:大地の虎

カエレ!!

 

72:CC立香

ほっぽちゃんかな?

 

73:超次元中学生

そういえば、イッチってミルコの所でもインターンやってるんだよな。

どんな感じ?

 

74:クトゥルフ系狩人

やっぱり大変?

 

75:ヒロアカエボルト

まあ大変ですかね~……何せミルコって基本的にあちこち跳び回りますから

決まったエリアがないんですよ。跳び回って事件の音か直感を頼りにして

蹴り込んでいくので。

 

76:普通のカウンセラー

おうふぅ……シンプルにやばいわねそれ。

 

77:D×D風紀委員長

偶に思いますけど、あの人って本当に個性:兎なんですよね。

あの闘争心とか絶対違うと思うんですけど。

 

78:纏め役の転生者

それには同意する。

 

79:光の国の戦士

どんだけやばいんですかミルコさんって……。

 

80:ヒロアカエボルト

まあ跳躍力もやばいですけどスタミナというか、全般やばいです。

今夕食中ですけど今岩手にいますから。

 

81:IS世界のメンタルセラピスト

―――はぁ!!?

 

 

そう、今星辰は岩手にいた。ミルコの後に続いて跳び回っていたのだが……途中で高速移動系の個性のヴィランを見つけて追いかけていた何時の間にか東北地方にいてそのまま活動していたら岩手県にまで来ていたから驚きである。

 

「いやぁこれうめぇな!!今度は揚げたて喰いてぇな」

「なら今度お昼時にリューキュウ事務所に来てくださいよ、その時は作りたてを用意しますから」

「分かってるなぁ、お前良い嫁さんになるな」

「俺男っす」

「わぁってるつの」

 

そう言いながらも重箱にしてあった弁当の中身を次々と平らげて行くミルコ、ミルコの運動能力やら戦闘能力を考えてボリュームを重視したのだが如何やら正解だったようで安心した。

 

「寒くないんですかミルコさん」

「さっきまで動き回ってたんだ全然だ、寧ろ涼しい位だ」

 

先程まで戦闘をしていたのもあってミルコは日も落ちて冷えてきている中でも平気そうな顔をしている、寧ろ体温はかなり高いのか身体から湯気が立っているようにも見える。代謝もかなりいいと見える。

 

「にしてもまさか此処まで手古摺るとは予想外だったな」

「ええ、相手が個性をブーストさせていた事も考慮しても……ですね」

「ったく腹立つなこれ」

 

そう言いながらもミルコは足元に転がっている何かを忌々し気に睨みつけていた。それは赤い円筒形の物に針が着いたような物だった、今回……これが問題にもなった。何せ、これを受けてミルコは個性が使えなくなっていたのだから。

 

「まあ偶には聞こえ過ぎないのも悪くねぇな」

「前向きだなぁ……」

 

戦闘中、ヴィランはカウンターとしてミルコにそれを銃弾として放ったのだ。当てた事にも驚いたが、命中した瞬間からミルコは個性が使えなくなっていた。よく聞こえていた耳は常人のそれと同じになり、圧倒的な跳躍力も失っていた。流石に驚いてこそいたが……ミルコは一方的に嬲ろうとしてきたヴィランを逆に見事なフットワークとパンチで倒してしまった、個性に頼り切りという訳でもなくそれ以外の部分もキッチリと鍛える事が分かった瞬間だったが……

 

「個性を使えなくする弾丸……聞いた事あります?」

「ブーストはありふれてるけど逆はねえな」

 

幸いなのは検査をして貰った所、一日もすれば自然治癒で個性は使えるようになるという事だが……

 

「……こりゃ何かあるな、この事はヒーローネットワークで調べとく。とりあえず今日は適当なホテルに泊まって明日リューキュウ事務所にお前は帰れ」

「ミルコさんは?」

「アタシは暴れる」

 

それを聞いて既に順応している自分が不思議な感覚がするのだが、これがミルコだなと思う自分もいる星辰であった。

 

「(エボルト、これってもしかしてヴィラン連合が関わってるとかあるかな)」

『オール・フォー・ワンが居なくなって個性を自由に出来なくなったから今度は個性を消しに掛かったってか?無くはねぇと思うが、にしても早過ぎるだろ』

「(だよな……前以て準備をしてるとかじゃないとあり得ないか、それに個性を自由に出来るオール・フォー・ワン的にも個性を使えなくするのはデメリットか……)」

 

何かを感じる星辰、ヴィラン連合いや全く別の何かが動き出そうとしているのでは……そう思うと少しだけ胸がざわついた。



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85スレ

「チェエエエストォ!!!」

「ガァァァァッッ……!!!」

 

一撃を受けて吹き飛ばされたヴィラン、それは他の物質と同化する事で力を高める個性、その拠り所となっていた金属で構成された巨人から弾き出された姿だった。弾き出されると同時に巨人は沈黙と同時にその周囲を飛び回っていたそのヴィランの部下と思われる者達は一斉に仇を撃つぞ!!と言わんばかりに迫って来るのだが―――

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

「テェヤァ!!」

 

迫り来るヴィラン達を文字通りに一蹴するように空間に向けて放たれた回し蹴り、それは例え肉体を捉えなくてもその身体を抉る程の威力を秘めており総勢7名のヴィランを一撃で大地へと叩き付けた。地元のプロヒーローですら歯が叩かなかったヴィラングループをあっという間に制圧してしまったその者は一蹴したヴィラン達へと向けて銃を構えるとトリガーを引いた、そこからは糸が伸びてヴィラン達を絡めとりながらも先程の金属個性ヴィランと纏めておく。

 

「これで良しっと」

 

いい仕事を言わんばかりに額を汗を拭うような仕草は妙に似合っていて、周囲の人たちはそれに向けて拍手を送るのであった。

 

 

「それではお疲れ様でした」

「いえいえ此方こそ。急ぐ場合でしたらその糸は火で炙ると溶けますので」

「承知しました!!」

 

ヴィランを地元の警察に渡しつつも状況の説明やらも全て終わったエボルこと星辰は変身を解除した状態で警察署を後にするのであった。警察署付近には自分を待ち受けていたと思われる報道陣が待機していたのだが……

 

「まだ掛かるのかなぁ……」

「のんびり待とうぜ、なにせあのミルコのサイドキックの取材なんだからな!!」

「そうそう、俺達超ラッキー!!」

 

「すいませんちょっと失礼しますね~」

『ああっこれは失礼』

 

マシンエボルダーを押しながら横を抜けて行く星辰、流石にメットを被っている上に変身も解除されていたら分からないらしく何の問題も無く警察署を後にする事が出来た。

 

『にしても最近はああいうのが流行してんのか?』

「(あれってブースト薬の事か?)」

『ああ、あいつらも使ってたろ』

 

今回戦っていたヴィラン全員は漏れなくブースト薬を使用して個性の増強を図っていた。警察の話では特にブーストを使用するヴィランは増加傾向にあるらしく、それらを狙った依存性の高い粗悪品のブースト薬を売り捌く売人も増え続けてしまっているとの事。

 

「(これもオールマイトの引退の影響による物だろうなぁ)」

『だろうな、あんだけのバケモンが引退したんだ。誰だって自分にチャンスがあるって思うもんだ』

 

オールマイトの引退は様々な場所で影響が出ている、特にヴィラン犯罪の発生率という意味では分かりやすく出ている。それだけオールマイトが抑制になっていたという事にもなるが、同時にオールマイト一人に頼りきりだった今の社会のボロが出たという事にもなる。

 

『そもそも社会を人間一人で支えるなんて事がまず可笑しいんだ、それに甘んじて何もしなかったヒーロー委員会ってのも愚かなもんだ』

「(それには同意)」

 

エボルトの言う通りこの世界は色んな意味で歪んでいる。オールマイトに任せていたなんて特にそうだと思う、誰もついて行けなかった、代わりがいないからしょうがないなんて言い訳にならない、それの結果が今なのだから。

 

『ヒーローヒーロー言ってるくせに随分と文句が多いな』

「(だからこそ文句が出るんだよ……)」

 

同じ世界にいるからこそ思う事だってあるのだから……そう思いながらもリューキュウ事務所に向けてメールを発信する、直ぐに了解、ゆっくり帰って来て良いと返答が来たのでこのままマシンエボルダーで帰ろうと思いながら高速へとハンドルを切ろうとするのだが……

 

『相棒!!』

「っ!!?」

 

突如、光弾が飛来してきた。光はそのままマシンエボルダーを捉えようとするのだが、星辰は咄嗟に後輪を持ち上げるようにしながらもそのまま後輪で光弾を殴り付けた。突然すぎる事だがこのバイクはフルボトルの成分を使って生み出しているモノ、故にタイヤにエネルギーを纏わせる事も可能なので光弾は相殺する事は出来た。

 

「なんだいきなり!!」

『あそこだ』

 

そう言って視線を向けた先、そこには人影のような物があった。それは逃走を始めるが星辰は素早くマシンをスマホに戻しつつもエボルに変身するとそのまま一気に跳躍しつつ空高く浮遊しつつもセンサーを使ってその人影を補足すると一気に加速する。

 

「逃がすかぁ!!」

「―――っ!!」

 

漸く視界に捉えた犯人、全身を黒いローブで身を覆い尽くしているので姿を確認する事が出来ない。だがそれならばそのローブをはぎ取って、その正体と目的を白日の下に晒してやると星辰は思っていた。だが―――それは突然すぎる事に脚を止めてしまった。

 

「おいおいおい、これってマジか……!?」

『なんだこりゃ……言っとくが俺なんもしてねぇぞ』

 

エボルトも驚いているのか、星辰にそんな言葉を掛けつつも無罪を主張している。別に疑ってはいなかったがこれに驚くなというのには無理がある……黒ローブを守るように現れたのは機械と生物の融合したような不気味な姿をした怪人たちだった。

 

「キクカカアカ……」

「グルギュパルビシャ……」

「バリモワ……」

 

何故エボルトが無罪を主張したのか、それは機械部分にある。肩にはミサイルポッド、左手にはクロー、頭部には黄色い三角のようなセンサーが取り付けられている。それは……ビルドにも登場したハードガーディアンに酷く酷似していた。それらにこの場を任すように黒ローブは何処かへと消えていくが……

 

「是か非でも、あいつとっ捕まえるぞ!!」

『同感だ、俺も聞きたい事が出来た』



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86スレ

ユキノビジンがなんかゼファーさんの代わりに来たので初投稿です。


「こいつら……脳無に近い何かか!!」

 

そんな言葉を漏らしながらもエボルダイナソーへと変身した星辰は迫って来た怪人を殴り付けた、猛烈な一撃を加える。それを受けて吹き飛ぶのだが直ぐに立ち上がって再び迫って来る。痛みを感じていないかのような振る舞いに思わず脳無を連想する。そんな中でも怪人たちは攻撃を止めない。それらは口を開けるとそこにあったレーザーの発射口のような物を露出させるとそれらを強振させながらレーザーを発射してきた。

 

「うぉっ!!」

 

咄嗟に遮断フィールドを展開して防御するのだが、怪人は利かないとみると更に出力を増してくる。次第にレーザーは太くなっていき遂にはエボルを飲み込むような巨大な物へと変貌していた。完全に飲み込んだ後に照射が終了するとそこには何もなかった、怪人たちは仕留めたか、と言わんばかりに気味の悪い声を上げた。勝利に酔いしれている―――その時

 

「仕留めたと思っているのかぁ?」

 

そんな声が聞こえて来た、一体が真下を見るとそこにはビルの屋上をまるでおばけのようにすり抜けるように姿を現してくるエボルの姿があった。慌ててクローで攻撃しようとするがそれよりも先に、まるでミリオのように飛び出しながら叫んだ。

 

昇・竜・拳!!!

「グガァァ……!!!」

 

おばけフルボトルを活用しながらの完全な不意を突いた一撃は怪人の顎を捉えた、そしてそのまま空高く上ったエボルは舞い上がった怪人の前を取りながらも腕を思いっきり引いた。そしてそのまま今度は怪人の頭を真上から殴り付けた。

 

READY GO!!

EVOLTECH FINISH!!

 

真下からの昇竜拳、真上からのエボルテックフィニッシュを受けた怪人は回転しながらもビルの屋上へと叩き付けられた。痛みが無効だろうと関係ない、その肉体の内部にたっぷりとエネルギーを波動として送り込んでおいたので暫くは動けないだろう。

 

『因みに昇竜拳は初代、Ⅱ以降は昇龍拳って風に変わってるぞ』

「誰に言ってんだお前は!!」

 

そう言いながらも放たれたミサイルの処理を行う。別にやらなくてもいいのだが、下手に反れて街中に落ちるのは避けたいので圧し折って爆発させておく。そうしてトランスチームライフルにスパイダーフルボトルを装填して蜘蛛の糸を怪人の一体へと放ち、確りと掴まってそれに引き寄せるとそこへエネルギーを集めながらのラリアット、ぶっ飛ばすと同時にエネルギーを爆破して二重のダメージを与えながらも戦闘不能へとする。

 

「ビシャアアアアアアンッ!!!」

「パルルルラァアアハアア!!!」

「ウゼェ!!これでっ―――終わりだ!!」

 

再度エボルテックフィニッシュを発動させる自分を挟むようにして迫って来た怪人同時に蹴りを入れた。首元を捉えた一撃は怪人の許容範囲を容易に超えたのかゆっくりと崩れ落ちるようにして倒れこむ。それを見て怪人は全て倒した事を確認してフィッ~……と息を吐くのであった。

 

「チッ思った以上に時間食ったな、流石に追えないか……」

『こいつらは捨て駒って事か、哀れだねぇ……』

「というかこいつら一体何なんだよ」

 

そう言いながらも倒れこんだ怪人を蹴っ飛ばすようにしながらも仰向けにする。肉体に機械が接続されている、というよりも一部を機械化したと言った所だろうか。義手やらの延長線上にあるような物だと思うが、それでも色々と納得がいかないというよりも疑問が尽きない点が多すぎる。

 

「如何見てもこいつらの装備はハードガーディアン……」

『ああそうだな、あいつらの命日の時に俺が瞬殺した奴らだな』

「やな言い方すんな」

 

エボルトもそうだと認める、紛れもないハードガーディアンの装備。何故それがこの世界にあるのだろうか……もしかしたら似ているだけなのかもしれないが、それはない。余りにも似すぎている、本当にこのヒロアカ世界はビルドで生まれた新世界の未来なのだろうか。何とも言えない気分になって来るが、今はこれを如何するべきか考えなければならない。と思っている時には以後に何かが着地した音がした。

 

「よぉっエボル!!何か面白いことしてるみてぇだから来たんだが……何だ終わっちまったのかよつまらねぇ」

「なんだミルコさんか……びっくりさせないで下さいよ」

 

やって来たのはなんとミルコだった。暴れる宣言をしていた通りに暴れながらもヴィランを捕縛したり、プロヒーローが戦闘中の所に殴り込みをかけたりしている内に戦闘を見たのか此方にやって来たらしい。

 

「ンでなんだこいつら、何やった」

「何かやったというよりか、俺に攻撃してきた奴が逃げるために放ってきた奴らですかね。ヴィラン連合の持ってた脳無に近い感じがする連中でした」

「ほぉ~……んじゃ調べてみたら何か解るかもしれねぇって事か」

「恐らく」

 

其処からとんとん拍子だった。ミルコが自分の名前を使って警察を呼び、怪人達を収容、調査を行った後に然るべき研究機関に送って調べる事になった。それで何かが分かればいいのだが……その後、ミルコのヴィラン退治に付き合った後にそう言えばお前帰っていいって言ったの忘れたな、と思い出したかのようにミルコから言われてリューキュウ事務所に戻る事になった。

 

「何とも謎が多い結果になったなぁ……」

 

マシンエボルダーを駆りながらもその事を考えずにはいられない、此処からどうするべきなのか……ハードガーディアンの事は放置できない。黒いローブを追う事は決定なのだが余りにも情報が無さすぎる……。

 

『まあ分かる事から一つずつ明らかにしていくのが定石だろうな』

「(分かる事ねぇ……何を明らかにするんだよ)」

『簡単だ―――この世界の真実を確かめに行くぞ』

「はぁ?」

 

思わずそんな声が出てしまった、こいつは何を言っているんだ、何を確かめに行くと言ったのだろうか。世界の真実?そもそもその世界の真実とやらは一体何なのだろうか……と思っているとエボルトからは酷く呆れたような声を出されてしまった。

 

『おいおい忘れたのか、この世界の事だ。この世界が新世界の未来の事なのかを確かめに行くとな』

「(忘れてはないが……世界の事をどうやって明らかにするんだ、ニキネキ達の力を借りるとか?)」

 

思い当たる事と言えば光ニキだろうか、その力を借りてなんやかんやするのだろうか。とも思ったが如何やら違うらしい。

 

『もっと簡単な方法がある』

「それって―――」

『火星に行くぞ』

「……はぁ!!!?」



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87スレ

1:ヒロアカエボルト

なんかウチのエボルト(天災バカ)からコンビニ行こうぜみたいなノリで

火星行くぞって言われました。

 

2:IS世界のメンタルセラピスト

>>1

イッチがきっ……はあああああ!!?

 

3:無法地帯の料理人

相変わらずキモいよセラピストニキ……えっ?

 

4:CC立香

そうだよ最近箒ちゃんと仲良くなっててリア充街道に入り始めてるんでしょ、えっ?

 

5:大地の虎

そうっすよそっちを大事にしないとダメじゃないですか、えっ?

 

6:クトゥルフ系狩人

ちゃんとしないとウチの恋人の眷属派遣するぞ、えっ?

 

7:青春学園の熱血教師

この流れ、乗らずにはいられない!!

 

8:超次元中学生

何をしてるだァー!!!

 

9:普通のカウンセラー

マジで何なのこの流れ

 

10:光の国の戦士

あ~……今回はお開きですか?

 

11:円卓の鬼

待て待て、イッチの火星に行くってのが気になるからストップ。

 

12:D×D風紀委員長

あの厄災何提案してんだ……

 

13:纏め役の転生者

イッチ、事情説明を頼む。あのバカがそう提案した理由は何だ?

幾ら屑だと言ってもいきなりは言わない筈だ。

 

14:エボルトヒロアカ

なんだこの嬉しくねぇ信用のされ方。

 

15:ヒロアカエボルト

妥当だよ。実は先程攻撃を受けたんですが、その犯人が足止めの為に

手下、なのか開発したのか分かりませんが手下を放ってきました。

そいつら、ビルドのハードガーディアンと同じ装備をしてたんです。

それでエボルトがこの世界はもしかしたらビルドの新世界の未来なのではないか

だからそれを確かめる為に火星行こうぜって言いだしました。

 

16:普通のカウンセラー

成程そういう事だったのね……だからって普通火星行こうぜにはならないと思うけど

 

17:D×D風紀委員長

なんつう発想のぶっ飛び方……まあ世界線的な事を確かめる術なんてそうないだろうけど。

 

18:光の国の戦士

それこそ私が見つけた転生者位ですね、それが分かるのは。

 

19:円卓の鬼

だよな、後はシュタインズ・ゲートの世界線変動率(ダイバージェンス)みたいな……ってんっ?

 

20:ヒスイの調査兵

>>18

光ニキ、それどういう事?

 

21:光の国の戦士

いえね、その見つけた方って以前ゾフィー隊長からの命令で別次元の地球に行ったんですよ。

その地球がヒロアカだったんですよ。それで緑谷君と一体化してたんです。

 

22:CC立香

え~何それ超気になるんだけど!!?

 

23:大地の虎

まさかヒロアカ行ってたんですか!?

 

24:クトゥルフ系狩人

しかも出久君憑依かよ!!?

 

25:纏め役の転生者

光ニキ、加わって貰う事は可能か?

 

26:光の国の戦士

大丈夫です、どうぞお入りください。

 

27:光の国の勇士

お初にお目にかかります。この度は光ニキ事、ウルトラマンゼファーから紹介されてきました

元文明監視員、現勇士司令部所属の転生者ウルトラマンです。お見知りおきを。

 

28:青春学園の熱血教師

ファー!!スゲェのキター!!!

 

29:無法地帯の料理人

サラッと光ニキの名前ポロってるけどどうでもええ~!!!

 

30:光の国の戦士

ちょっひど!?

 

31:CC立香

普通に超絶エリートウルトラマンだぁ~!!!

 

32:クトゥルフ系狩人

あ~……ごめん、凄さ分からねぇ……。

 

33:円卓の鬼

同じく……

 

34:超次元中学生

俺も……。

 

35:D×D風紀委員長

分かりやすく言うと、光の国のウルトラマンの中でも超エリートしか入れない

部署に配属されるぐらいに凄い人です。しかも文明監視員の経歴付きって……どんだけだよ。

 

36:纏め役の転生者

マックスと元同僚、ネオスとは現同僚か?

 

37:光の国の勇士

ええ、そうなりますね。それで話を戻した方がいいと思うので戻しますが

その確認の仕方は結構理にかなってると思います。取り敢えず私が行った世界ではないですね。

 

38:普通のカウンセラー

>>37

それは確定させちゃっていいの?

 

39:光の国の勇士

大丈夫です。私の知る世界は半分以上ウルトラシリーズの世界と混ざったみたいな感じなので

怪獣とかも出てきましたし、鏑矢諸島に怪獣保護区域も作ったし

ウルトラマンのパワードスーツも作ったし、作ったのは出久君を実験台にした子なんですが……

まあそれは何れ。兎も角世界の改変を起こしたならば、規模が限定的というのはあり得ますね。

 

40:ヒスイの調査兵

>>39

おいサラッととんでもねぇ事になってねぇか勇士ニキが行ったヒロアカ。

 

41:CC立香

鏑矢諸島にウルトラマンパワードスーツって……

 

42:青春学園の熱血教師

なんか、複数作品混ざってね?分かるだけでもコスモスと漫画ULTRAMAN。

 

43:光の国の戦士

あの、貴方の行ったヒロアカ何なんだったんですか

 

44:ヒロアカエボルト

取り敢えず、行っていいんですかね?

 

45:光の国の勇士

平行世界同士の融合と言っても規模が限定されている可能性はありますから

混ざったが故に火星にその名残があったり、というのはあり得ます。

 

46:纏め役の転生者

ふぅん……確かに幾らパンドラボックスと言えど限界はあるって事か。

 

47:普通のカウンセラー

でも何があったら確定なのかしら。

 

48:CC立香

う~ん……エボルトが滅ぼした火星の文明とか?

 

49:ヒスイの調査兵

なんか、ありそうでヤダな……。

 

50:クトゥルフ系狩人

仮にこれで分かったとして、何がどうなるんだ?

 

51:エボルトヒロアカ

簡単だ―――面倒な世界ってこった。

 

 

 

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

ブラックホールフォームへと変身した星辰、そして重力の鎖を引きちぎる様にどんどん上昇していく。そして身体が雲に隠れると一気に加速して成層圏を越えてあっという間に宇宙空間へ到達する。そしてどんどん地球を離れて行くとドライバーへと指を掛けてレバーを回す。

 

『READY GO!』

 

「ぬぅぅぅぅううっ……!!!」

 

両手を合わせ、広げるとその間に凄まじい重力場を生み出して行く。重力は空間を歪めて時間さえも犯して行く、凝縮されていくブラックホールのエネルギーを球状へと変化させるとそのまま目の前へとぶん投げた。それは一瞬、色を失うと爆発的に膨張して漆黒の丸いゲートを生み出した。エボルは遮断フィールドの出力を上げつつもそのゲートへと無造作に、まるで居酒屋の暖簾をくぐるかのように入っていった。

 

「うおおおっ……!!」

『ちったぁ我慢しろよ相棒、久しぶりにやるんだからな、安全性重視って奴だ』

 

ゲートへと突入した星辰が味わったのは全身が震える程の振動、それが僅かに続くと出口が見えて来た。周囲の景色が流れていく通路を超えると……そこにあったのは赤い土の大地の星、火星が広がっていた。分かっていた事だが本来人類があと何年掛けて到達する筈の道のりを一瞬で超越してしまった事実に、改めてエボルトという力の凄まじさを感じるのであった。

 

『いやぁ懐かしいねぇ……あの時もこんな風に見回してたなぁ』

「そして滅ぼしてんだよな……」

『まあな』

 

本当に性質が悪い厄災だ……と思いながらも好い加減に火星へと来る事へと思い至った事を問い詰める事にした。

 

『単純な話だ、幾らパンドラボックスと言えど世界を融合させるなんて無茶にも程がある。実際出来ちゃいるが……完全に出来るとは思えねぇ、物理法則を越えた救済、結構な事だが―――それだけ、物理法則を越えたイレギュラーだって存在しうる』

 

そう言いながらも、エボルは火星の大気圏へと突入していった。平然と火星へと入り、大地へと脚を降ろした。その時に星辰が見たのは……荒廃した大地、赤い星と言われるのに相応しい大地だが……不思議と見覚えがある。何かの建物らしきものが半壊状態であった。

 

『キルバス、俺の兄貴が来るぐれぇだ。恐らくだが世界は間違いなく統合させた、だが如何やって此方側を感知した―――残滓があったとしか考えられねぇ』

 

脚を進めていくごとに見えて来るのは……火星の文明の名残、いや残骸だった。それに覚えがある、存在しない記憶であるのに実感があった。思わず喉を鳴らしながらも進んでいく、そして―――山のようにも見える塔へと足を踏み入れた時……其処にあったものを見てしまった。それは……黒い、パンドラパネルだった。

 

『ああ、これで確定だな』

 

ボロボロになっているが紛れもないパンドラパネル、そこにあったのは何かで蹴られたかのような跡も残っていた。それを忌々し気に見たエボルトは溜息を吐いた。

 

『成程……新世界の未来だな、間違いなく白いパンドラパネルもある』

 

その言葉に、思わず星辰は眩暈を覚えてしまい崩れ落ちてしまった。




はい、光ニキが見つけた転生はあの方です。うん、マグナさん。
マルチバースの事考えたらそりゃ別のヒロアカ次元もあるよね。


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88スレ

「……パンドラ、パネル……」

『あ~あ、こんな深くに跡残しやがって……戦兎あの野郎』

 

身体の支配権を一時的に取ったエボルトは立ち上がりながらも改めてパネルを見ていた。深々と残されたビルドの物と思われる蹴りの跡、それによって歪んでいるパンドラパネルは既に本来あるべき働きをする力を失っているかのように見える。改めて目を凝らしてみると粉々に近いレベルに散らばっているボトルの破片のような物が周囲に転がっていた。恐らく……ブラックロストボトルの残骸。それを見てエボルトは忌々し気に溜息をついた。

 

『ったく……取り敢えずこいつは持ち帰るとするか……放置しとくのも勿体ねぇし』

「―――待てよ、おいエボルト……この世界がもしも新世界の未来なら個性は何なんだ!!?」

 

思わず星辰が言葉を発した。エボルトの推論は的を射ている、この世界がビルド本編によって統合されて生まれた新世界というのは理解出来たが個性は一体何なのだろうか。ある時、中国で光り輝く赤ん坊が生まれたというのが個性の始まりである筈……もしかしたらそれは……

 

『お前も薄々察してるんじゃねえか?なあ相棒』

「個性を持つ人々は―――スマッシュ……!?」

『当たらずとも遠からずだな』

 

ネビュラガスを注入された人間、それがスマッシュ。だがこの世界の人間は統合される際にネビュラガスの影響を受けたのだろう、それが世代を重ねて行く事に身体に定着していった……それが個性へとなったのかもしれない。

 

『そもそも、如何して俺が緑谷にハザードレベル云々って言ったと思う?』

「あっ……!!」

 

被験者のネビュラガスに対する耐久力を段階的に分けた基準がハザードレベル、そうこの世界の人間がネビュラガスに対する耐性がある事自体が可笑しな事だったのである。

 

『仮免試験でのミルコもそうだ、何であいつの攻撃からラビットのボトルを作れた?俺はずっとこの世界が新世界なんじゃねえかとは疑ってた、それが漸く確信を持てた……時間こそかかったがな』

「じゃあやっぱり―――いや、それじゃあ前に店に来たカズミンとかは如何なんだ!?」

『単純に記憶がねぇ状態なだけなのか……純粋な子孫なのか……恐らく前者だがな、子孫にしても見た目だけならまだしも性格まであそこまで似ねぇだろ』

「まあうん……カズミンが何人もいたら溜まったもんじゃないな」

『だろ』

 

という事は父である惣一も、姉の美空も本当にビルドに出てきた二人という事になる……そうなると自分はどういう立ち位置になるのだろうか。息子で弟でありながらも彼らにとって最大の怨敵であるラスボスというとんでもなくややこしくも複雑な関係になってくる……。

 

「そうなると……戦兎たちもこの超人社会に、いる……?」

『そう、考えるのが妥当だろうなぁ……だけどそうなると厄介だな、仮に戦兎たちが本気で倒しに来た時、俺達は成す術もなくやられるだろうな』

「スペック差か……」

 

星辰が変身するエボルは本家に比べてもどうしてもスペック的に劣る、が新世界にいる戦兎や万丈は確実にビルドドライバーなどを使って来る。それもビルド本編と同じ物を、となると幾らスペック最強のエボルダイナソーでも太刀打ち出来ない事は明白。

 

「考えたくないなぁ……戦兎と万丈と戦うなんて……」

『全くだ……相棒のハザードレベルも順調に上がってるが、それでも及ばないからな……だけど疑問もある、如何して戦兎たちは接触を図ってこないのかって事だ』

 

そう言われると確かにそうだ、雄英体育祭でエボルとして十分過ぎるに顔を出しているのに向こうは全く接触を図ってこようとしないの妙な話だ。自分、石動 星辰という人間の事を考えてどうやって引き剥がすべきかという事を考えているという事もあり得るが……あの二人にしては余りにも行動をしなさすぎる。

 

「あ~……何か考えすぎて頭痛くなって来た……もう新世界の事だけでもいっぱいいっぱいなのに……」

『そりゃ俺もだ……取り敢えず、このパネルだけでも持って帰るか……』

「それ、何に使うんだよ」

『さあな、取り敢えず取り込みはしとく』

 

そう言いながらもエボルトはパネルを身体へと押し込んでいく、パネルはそのまま同化するかのように溶け込んでいく。そして完全にそれが飲み込まれた時に星辰は思わず顔を顰めた。

 

「お前、まさか怪人態になろうとしてんのかよ……?」

『なれるもんならなってみたいねぇ……戦兎と万丈がいるかもしれないと思うと余計にな』

「その時は、俺がお前を道連れにして二人からのライダーキック受けてやる」

『勘弁してくれ相棒、死なば諸共なんて流行らねぇよ』

 

おどけてこそいるが、エボルトの声は僅かに震えているようにも感じられた。彼にとってあの二人は本格的に天敵なのだという事が察する事が出来た。そのまま恐らくパンドラタワーであった場所から出てから火星を一瞥する。エボルトが滅ぼした大地……それを目に焼き付けておく。

 

「おいエボルト、地球をこんな風にする気なら俺はお前を許さねぇからな」

『変な事を言うなよ相棒、俺がそんな事をすると思ってるのか?』

「そう言う奴だから言ってんだよくそ野郎」

『ですよね~』

 

そう言いながらもエボルはそのまま浮き上がって再び宇宙に向けて飛び上がる。そして再び重力ゲートを使用して地球圏にまでワープ、そのまま日本へと目指して行く最中、星辰はある事を思ってしまった。

 

「(新世界か……って事はこの世界に、ファントムリキッドが存在してる可能性もあるって事なのか?)」

 

本当にそれがあるとすると、この先の未来でビルドNEW_WORLDのクローズやグリスの事件が起きるのでは……と思わず考えてしまった。

 

「ハァッ……何でこんな世界になったんだろうな」

『戦兎と万丈を恨むんだな』

「その原因お前じゃねえか!!」

 

 

 

「―――重力場の異常を確認、地点は衛星軌道上か……そしてその直線状には火星がある……」

「好い加減動くのか?基盤固めって奴にも好い加減疲れたぞ」

「しょうがないでしょうが、俺達この世界の戸籍ないんだから俺が頑張ってサポートアイテム作ってるんだから」

「俺だって資材運びとか色々頑張ったじゃねえか」

「はいはい、バカにしては仕事を頑張ったのは認めるよ」

「筋肉付けろっつの!!」

「それで認めるお前一体何なんだよマジで」

 

ある二人がいよいよ動き出そうとしていた。

 

「にしても何でエボルトがいんだよ、あいつは」

「それについては散々話したろ分からないって……でも、この星辰って子は明らかにあいつを抑え込んでる。好い加減、俺達も会ってみてもいいかもな」

「よし!!それじゃあ早速行こうぜ!!」

「―――の、前に……仕事が先だ。生活費だって稼がねぇと」

「ハァッ……もうヒーローの資格取った方が良かねぇか?」

「俺はあんなヒーローと一緒になりたくねぇな」

「まあ、気持ちは分かるけどよ」

 

その二人が居る小さな工場には、こんな看板が掲げられていた……桐龍開発工房、と。




スレにいる転生者紹介

・光の国の勇士
ウルトラシリーズ、M78星雲・光の国に転生した。
ウルトラマンとして転生したが、神などの手によって転生した訳ではなく偶然記憶を保持したまま転生してしまった。困惑こそすれど、直ぐに適応してウルトラマンとして活躍中。
元文明監視員、現勇士司令部のエリート戦士……なのだが、最近は同僚などに光の国の王族とのお見合いの斡旋を行っており、同僚からは別の意味で恐れられている。

その正体は別のヒロアカ次元で出久の相棒として過ごした―――ウルトラマンマグナ。
光ニキこと、ウルトラマンゼファーから話を聞いて転生者掲示板に顔を出した。

という訳で緑谷出久はウルトラマンと出会う。からマグナさんが友情出演です。


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89スレ

58:ヒロアカエボルト

結論から言いますと、火星に黒パンドラパネルがありました。

このヒロアカ次元はビルドの新世界―――その未来の時間軸です。

 

59:纏め役の転生者

マジか……だが前にカズミンとかの話があったな、Vシネの話はまだで

時間軸がそのまま未来に受け継がれてる感じか。

 

60:普通のカウンセラー

何とまぁ……まさかビルドの新世界がこんな風になるなんて

戦兎も思いもしなかった事でしょうね。

 

61:IS世界のメンタルセラピスト

これが父さんが作ろうとした新世界……?って困惑してそうだな。

 

62:DD風紀委員長

まあ、漸くの想いで新世界作って物理法則を越えた救済したら

今度は超常が日常の世界だったんだからな、そりゃ困惑するでしょうな。

 

63:無法地帯の料理人

しかも自分の思い描いてたラブ&ピースのヒーローとは程遠いヒーローばっか。

 

64:CC立香

戦兎的に理想なヒーローはそれこそオールマイトとかかな。

あとは出久君辺り。

 

65:光の国の勇士

私の世界とはまた随分と違いますねぇ……

 

66:大地の虎

>>65

いや、怪獣が横行してる世界もちょっと……

 

67:青春学園の熱血教師

兎も角、如何するんだこれから。戦兎たちがいるなら余計に

変な動き取れなくないか?目の敵にされても可笑しくない。

 

68:円卓の鬼

と言っても目立つなってのは無理だろ、もう目立ちまくってるし。

 

69:超次元中学生

今更目立つなは無理があるよなぁ…………

 

70:ヒスイの調査兵

現時点でもリューキュウとミルコから主戦力扱いだし……

妙な事をせずに真面目にやるしかなくないか?

 

71:ヒロアカエボルト

戦兎と万丈、二人が居る事も警戒しないといけないなんて……

もうただでさえこの世界の事で頭一杯なのに……

 

72:クトゥルフ系狩人

気持ちはわかる。

 

73:光の国の戦士

だよなぁ……

 

74:無法地帯の料理人

同情します。私は今日も元気にお料理です。

 

75:エボルトヒロアカ

好い加減に頭切り替えとけよ相棒、最悪の場合

此処に俺のくそ兄貴が乱入してくんだからよ

 

76:ヒロアカエボルト

ぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!???

忘れてたぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

77:纏め役の転生者

そうか、キルバスの事も考えないと不味いのか……

 

78:普通のカウンセラー

勇士ニキ、貴方何とか出来ないの?

 

79:光の国の勇士

う~ん……平行世界への移動はノアのメダルがありますからできますけど

その対象が今どこにいるか分からないとなると何とも……

虱潰しに探し回る羽目になりますから。難しいかと。

 

80:CC立香

なんかさ、サラッとウルトラマンの神の力持ってるって聞こえたんだけど。

 

81:青春学園の熱血教師

ああ、俺にもそう聞こえた。

 

82:纏め役の転生者

勇士ニキ、アンタ何もんだ

 

83:光の国の勇士

この場合、私が行った世界のワン・フォー・オールに言ってくださいそれ。

ワン・フォー・オールにあの力が宿ってて、貰い受けただけですので。

 

84:DD風紀委員長

そうか、ノアって諦めない人とか大好きなんだっけ……

鬼畜カウンセラー扱いされてたのは笑ったけど。

 

85:IS世界のメンタルセラピスト

ノア「ワン・フォー・オール、私の性癖にあっていますね」

こんな感じか?

 

86:ヒスイの調査兵

>>85

おいばかやめろ

 

87:大地の虎

マジで罰が当たりそうなので止めてくださいっす。

 

88:ノアの神

<●> <●>

 

89:エボルトヒロアカ

!?なんだ今の!?

 

90:纏め役の転生者

気にするな、掲示板の妖精だ。

 

91:ヒロアカエボルト

えっこの掲示板妖精居るんですか?

なんか御挨拶とか……

 

92:普通のカウンセラー

大丈夫大丈夫、行儀よくしてれば御利益くれるから。

 

93:エボルトヒロアカ

えっそう言う感じの奴なのか?

 

94:CC立香

あんまり固く考えずにのんびり、してればいいから。

 

95:ヒロアカエボルト

分かりました、妖精さん宜しくお願いします。

 

96::ノアの神

(´◡`)

 

97:『システム』

―――より、要請を受諾。検討中……検討中……承認。

―――ヒロアカエボルトに向けてギフトが配布されます。

 

98:IS世界のメンタルセラピスト

えっ何今の!!?

 

99:纏め役の転生者

おっ早速気に入られたな。

以前、此処の掲示板にいた奴で今は神様みたいな事をやってる。

言うなれば此処の管理人だ。

 

100:IS世界のメンタルセラピスト

えっそんな人おんの!?というかそれなら俺どうなるの!?

 

101:普通のカウンセラー

まあ、覚悟しといた方がいいんじゃないかしら。

 

102:CC立香

是非もないよね!!

あっごめん僕ジャックたちと魔法少女ごっこする約束あるから。

 

103:大地の虎

俺もそろそろ研究再開しないと。

 

104:青春学園の熱血教師

俺もそろそろテニス部に顔出さないと。

 

105:IS世界のメンタルセラピスト

えっちょ

 

106:クトゥルフ系狩人

フレに呼ばれたので移動しますね。

 

107:光の国の勇士

私もそろそろ失礼しますね、カトレア様のお相手しないと……

はぁっアサリナの事もあったっけ……そっちは無視で良いかなもう。

 

108:光の国の戦士

そう言わんと頑張ってください、私も仕事ですので。

 

109:超次元中学生

俺も練習行ってきます~

 

110:ヒスイの調査兵

またデンボク来やがった!!

俺も失礼するわ、最近力強くなったから相撲で蹴散らしてやる!!

 

111:DD風紀委員長

あっ俺も、あのくそ野郎がまた覗きしやがったみたいなので。

 

112:エボルトヒロアカ

相棒、そろそろ俺達も抜けるぞ。

 

113:ヒロアカエボルト

へいへい、それじゃあ失礼します。

妖精さんもギフト有難う御座いました~

 

114:IS世界のメンタルセラピスト

……えっ俺一人?んじゃ俺も……

 

115:ノアの神

(・_・ )―――――C<―_-))))))

 

116:システム

―――の管理者権限によりIS世界のメンタルセラピストの退席が却下されました。

 

117:IS世界のメンタルセラピスト

なんでじゃぁ!?

 

118:

ノアの神

(*^ω^*)

 

119:IS世界のメンタルセラピスト

お、お許しを……!!

 

 

 

 

掲示板での一幕を終えたイッチこと、星辰。火星から帰って来てから数日、ギフトが一体何なのかという期待に胸を躍らせながらも再びリューキュウ事務所でのインターンに勤しむのであった。そして食材の買い出しの為に外出するのだが……

 

「よぉっ石動 星辰君、ちょっと顔貸してくれないかな?」

「え、ええっと……」

「お前に危害を加える気はねぇよ、お前の中の奴が変な気を起こさねぇならな」

『……おいおいおい冗談だろ』

 

そこでまさかの人物と遭遇してしまった、ギフトとはこういう事なのか……と思わずにはいられなかった。取り敢えず引き攣りそうなか顔を抑えて出来る限りの笑顔を作って返答するのであった。

 

「わ、分かりました……桐生 戦兎博士、万丈 龍我さん……」

「うん話が早い子は好感が持てるぞ」

「んじゃ俺達の工房にご案内だな」

 

そう……遭遇したのは天才物理学者、桐生 戦兎とその相棒の万丈 龍我だった。いきなり過ぎるエンカウントに流石のエボルトも絶句し、星辰は色んな意味でパンクしそうだった。




スレにいる転生者紹介

・管理人。

転生掲示板の管理を行っている転生者?
纏めニキ曰く、元々は掲示板の利用者だったが神になったのか現在は管理を任されている。
基本的に管理に徹するが、時折掲示板に出没しては顔文字で威圧したりご褒美を上げたりしているなど割とフリーダム。


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90スレ

転生前を含めて、此処まで緊張した事は無かった。別に力を込められたり、威圧されたわけじゃない。左右を固められたうえで万丈には肩を組まれている、そんな状況になっているだけなのだが……

 

「(おいエボルト、話合わせろよ。転生云々とか絶対言うなよややこしくなるから!!)」

『分かってるっつの、相棒こそ余計なこというなよ。下手したらここで俺達GAME OVERだぞ!!どこぞの社長みたいにコンテニュー出来ねぇんだからな!!』

 

内心で互いに話し合いつつもどんどん脚は進んでいく、スピードを速めたり遅くしたらその時点で殺されるのでは……とビルドの本編を視聴している身としてはあり得ないことまで考えてしまっている。それ程までに二人がエボルトに向けるヘイトというのは凄まじいのである、エボルトがやらかした事はエゲツないのである。

 

「此処だ此処」

 

案内されるがまま、連れて行かれたのは町はずれにある寂れた小さな工場。神野区にあったという脳無の格納庫があった場所もこんな場所にあったと聞く。そこには木の看板に手書きと思われる字で桐龍開発工房、と書かれていた。戦兎と万丈の住まいは此処、という事になるのだろうか……万丈がシャッターを開けて中へと通されるとそこにはVシネで二人が拠点にしてた場所にそっくりだった。

 

「ようこそ、桐龍開発工房へ」

「え、えっと……お邪魔します……あっそうだ、すいませんちょっとインターン先に連絡していいですか?今、買い出しに出てまして……」

「ああそうだったのか、そりゃ悪かったな」

「いえ、少し失礼します」

 

そう言いながら少し離れながらも連絡をする星辰を見る戦兎、それを怪訝そうな目で見つめる万丈。

 

「おい、連絡取らせていいのかよ?」

「大丈夫だろ、エボルトと一緒に居るとは思えないほどに善良な精神の持ち主だぞ彼」

「そりゃ体育祭の中継やらの音声解析で分かってるけどよぉ……」

 

自分達は自分達で出来る限りの手を尽くして石動 星辰という人間についての調査を行った。その結果、判明したのはエボルトとは正反対と言っていい程に善良で優しい性格、友人が立ち直る為ならば悪役も喜んで引き受けて演じる程のお人好し。ある意味でエボルトが善性をもって行動をしていたら?というアンサーになっていると良い程の人格者、だからと言って油断を緩めていい理由にはならないのだ。

 

「バレねぇようにドライバーは付けたぞ」

「ああ、いざって時は……そうするしかない」

 

二人も命懸けなのである、下手を打ったらエボルトに殺される可能性だって高い。奴に取ったら自分達は目の仇なのだから今度こそ倒す、と息込んでいても可笑しくはない。だから最大限の警戒は怠らない……この世界の仲間たちを守る為にも自分達が命を張るのだ。電話を終えて戻って来た星辰に対して二人は笑顔を装いつつも内心で緊張し切っていた。

 

「さて、何が飲みたい?つっても大したもんはないけどな」

「緑茶にウーロン茶に……プロテインジュース!?何これこんなの買ったっけ俺?」

「ああ俺が買った、中々に美味い上に普通のプロテインよりもよく効くんだぜそれ」

「ったくいつの間に……」

「あっじゃあそのプロテインジュース貰えます?」

「おっ、お前プロテインの良さが分かるか!?」

 

一応お客として持て成してくれるのか、お茶などを準備してくれる二人。此処で星辰は一応トレーニングなどでも飲んだ事のあるプロテインジュースを選択する、味としても好きなのもあるが万丈の好印象値を稼いでおこうという魂胆である。

 

「さてと……俺達の事は知ってる、よな?」

「は、はい……仮面ライダービルドの天才物理学者の桐生 戦兎博士に仮面ライダークローズの格闘家の万丈 龍我さん」

「それはお前の中にいる奴からの情報か」

 

対面に座る戦兎とトレーニング器具に腰掛ける龍我、その視線は極めて鋭く本当に此方を射抜くようだった。そしてその問いには勿論YESとしか頷く事が出来ない。何か一つ間違えたらこの命の危険になると思うと嘘一つ付けない。

 

「そ、それで……お二人は俺を……殺しに来たんですか」

「……何でそう思う?」

「エボルトがやった事を踏まえて考えた結果です」

 

エボルトの悪行は数えきれない。人生を狂わされた、という言葉だけで済ませる事なんて出来ない程の被害を二人は受けている。それを考えたら二人が感じる危機感は大きいだろう、故にこの世界で同じ事をさせない為にエボルトの抹殺を計るのが普通だと思っている。

 

「考えなかった訳じゃない、体育祭を見た時はまさかと思った。だから万丈なんて直ぐに行くべきだって言ってたよ」

「当然だと思います」

「お前は何とも思わないのか、今この場で俺がクローズになってお前を倒すって言っても可笑しくはねぇだろ」

 

そう言いながらも万丈は腰に巻いていた上着を脱いで見せた、そこには既にクローズドラゴンがセットされているビルドドライバーがあった。何時でも変身して攻撃する事が出来るんだぞと言いたげなそれに星辰は息を呑むが、それも致し方ないという気持ちもある。

 

「勿論俺も死にたくはないですけど……そうされるならしょうがないって気持ちもあります」

『おいおいおい相棒、此処で死ぬ気か?』

 

その言葉を聞いた時、思わず二人は立ち上がってしまった。星辰の影が地面から引き剥がされるが如く、立ち上がるとそのまま姿を変え始めてエボルコブラの姿を取りながら星辰に寄り掛かったのだ。二人からしたら警戒しない訳がないのだ。

 

『よぉっ戦兎に万丈、久しぶりだな』

「エボルト……!!お前、如何して……!!」

「お前は戦兎に倒された筈だろ!!それで新世界創造の為のエネルギーにされたはず!!」

『物理法則を越えた救済、葛城 忍もよく考えたもんだ……だがな、俺自身をエネルギーにしたならば―――俺の因子もこの世界にあるとは考えなかったのか』

 

その言い方に戦兎は思わず歯軋りをした、可能性としては無くは無い、その程度の確立だが完全に消滅はせずに何かしらの影響はあるのではという予測はあった。だがそれ以上にパンドラボックスによって狂った影響を無くす方が圧倒的に大きいな物だった。エボルトは戦兎ならば、という事を言って自分が特典云々というのを上手く誤魔化しているのを星辰は感じた。

 

『だがまあ安心しろ、俺には前みたいな力はない。何せ相棒に抑え込まれる程度の力しか持ってないからな』

「相棒って……そいつにか?」

『俺とこいつは一心同体みたいなもんだ、石動 星辰という人間は俺であり、俺は石動 星辰という人間だ』

「つまり、その子が力を付けるという事はお前も力を付けるが同時に彼自身の力も上がっているからお前は抑え込まれるって事か」

『そういう事だ、相変わらず頭の回転が速くて助かるぜ戦兎。其処のバカにも見習ってほしいもんだぜ』

「あ"あ"っ!!?」

 

怒りを露わにする万丈にエボルトはおおっ怖い怖いと言いながらも星辰の背後に隠れる。その様子に確かに今までのエボルトとは何かが違うという事を察知する戦兎。確かにブラックホールフォームまで力を取り戻しているのならば、星辰は既に用済みに近い筈。それなのに行動を共にし続けるのはどうにも解せない。

 

「君自身は如何するんだ、ハッキリ言っておくがこいつは良い奴なんかじゃない。宇宙を旅しながら惑星を狩るブラッド族、極悪人なんて言葉じゃ片付けらない程。だが君は仮面ライダーエボルという名前で活動もしている、それは何故なんだ?」

「それは……」

 

自分の瞳を真っ直ぐ見据えて来る戦兎、まるで心の奥底まで見られているような感覚になって来る。此処は嘘なんて言えない、だから……素直に言おう。

 

「俺は……貴方に、いや仮面ライダーという物に憧れました。誰かの為に、誰かの笑顔の為に力を振う姿に憧れました。俺もそれになりたい、そんな力がエボルトから齎された。勿論この力が本当は破壊の為だけにあるのは知ってます、最初は凄い悩みました、どれだけ自分が思ってもエボルになればどうすれば星を効率的に破滅させられるのかっていうのが流れ込んできますから」

 

その言葉をただ黙って聞き続ける戦兎、一方で万丈はエボルトとは全く違う考えを持っている星辰に感心しつつも何やってんだテメェ!!と殴り掛かりそうになるのを止められている。

 

「でも、仮面ライダーは軍事兵器でもあるって聞きました」

「……ああ、そうだ」

「でもそれは使う者次第だからですよね、貴方みたいにラブ&ピースの為に使おうとする人だっている。だから俺だって……この力で何かをしたいって思ったんです。エボル、EVOLは反対から読むとLOVE。それを齎せるヒーローになれればいいなって……思ったんです」

 

それを聞いてエボルトは臭いねぇ……と言わんばかりに肩を竦めるが、戦兎は徐々に口角を持ち上げながらも顔をくしゃとさせたような笑顔を浮かべながらも髪の一部が跳ねた。

 

「ハハハッ聞いたか万丈!?つまりこいつは……俺のファンって事だ!!俺のファンがエボルトに憑りつかれた少年の心を正しく導いた……凄いでしょ最高でしょ天っ才でしょ!?」

「何言ってんだ戦兎、こいつは仮面ライダーに憧れたんだお前じゃねえ。そう俺に憧れたんだよ!!」

「ハァッ!?万年筋肉バカのお前に憧れる訳ねぇだろ、少しは脳みそ使えよ」

「ンだとテメェ!!?」

 

と何故か言い合いが始めてしまう二人に思わずエボルトは呆れたような声を出した。

 

『なんで喧嘩始めてんだよこいつら……』

「さ、さあ……」

「兎も角!!星辰君、俺達は君を信じることにする!!」

「但しエボルト、テメェは信じねぇからな!!何か変な事したらぶっ潰してやるから覚悟しとけ!!」

『やれるもんならやってみろってんだ』

 

 

 

『あ~助かった……こんなに緊張したのはいつ以来だ?』

「(あんだけ言っといて煽るのマジでやめろよ……心臓に悪すぎるぞお前……)」



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91スレ

星辰「この世界がビルドの新世界である事を知った仮面ライダーエボルの石動 星辰は突然、桐生 戦兎と万丈 龍我と遭遇した。だが何とか信用して貰う事に成功するのだった……ハァ、本気で緊張したぁ……」

万丈「なあ、そんなに俺らって怖いか?」

戦兎「いやだって俺達の出会い方考えてみろって。完全にヤの付く自営業だったぞ、特にお前は肩を組むから余計に警戒されたんだよ」

万丈「ンな事ねぇって!!なあ星辰!!」

星辰「え、えっとその……」

戦兎「清い青少年を困らせるんじゃないよ!!いよいよ協力関係を築いた91スレをどうぞ!!」


今居る世界がビルドの新世界の未来の時間軸、そしてそこには戦兎と万丈が存在するという割かしとんでもない状況へと陥った星辰。そして、戦兎と万丈とエンカウントするというこれまでの人生で最も緊張する瞬間を何とか乗り越え、二人との協力関係を結ぶ事に何とか成功したのであった。一先ず胸を撫で下ろしつつも星辰はインターンもあるのでその場は解散。後日、改めて顔を会わせた。

 

「戦兎さん、お弁当持ってきましたけど食べます?」

「おっマジか!?戦兎飯だぞ飯!!」

「そんながっつくんじゃないよ恥ずかしいでしょうが、悪いな星辰態々」

「いえお気になさらず」

 

互いの情報を交換、これからの事をどうするかを検討する為である。

 

「この唐揚げうめぇな!」

「ってだから話し合う為なんですけどねぇ……まあいいか、取り敢えず俺達としては自由には一応動ける立場ではある。まあ仕事とかはあるけどそっちは何とかなるだろ」

 

仕事というのは此処、桐龍開発工房での仕事の事。此処では主に家電製品の修理やヒーロー向けのサポートアイテムの開発などを行っている、戦兎の技術力の高さはお墨付きなのでサポート会社からの仕事の依頼などは舞い込んでくる。それが主な収入源、最近になって漸く戸籍関係は何とかなってまともに働けるようになったとの事。

 

「苦労、なさってますね」

「ホントだよ……んでそっちは如何なんだ?」

「ああちょっと相談したい事があるんです」

 

相談したいというのは勿論以前遭遇したハードガーディアンの装備を纏っていた怪人について、エボルドライバーに機材をセットするとエボルの視点で見ていた景色を共有する。それを見て真剣な面持ちで見る戦兎と戦闘面を見る万丈、此処でも互いに方向性が異なっていて中々に個性的だ。

 

「どう思います?」

「……間違いなく難波重工のハードガーディアンだな」

「難波重工って言われると出て来るのは内海だけど、如何なんだ?」

「俺も調べてみたけどこの世界に難波重工はない、難波機械製作所ってのはあったな」

「(あるんだ……難波スティック作ってんのかな)」

 

もう本格的にこの世界でVシネの事件が起きる気がしてならなくなってきてしまった……この世界にキルバスが来てしまう事なんて正直考えたくもないが、色々と対策しなければならないだろう……。

 

「戦兎さん達の世界の技術がこの世界にある、それってあり得ます?」

「……エボルトが居るって事を考えるとあり得なくはない、父さんの理論だって完璧じゃない。無くは無い」

「だけどこいつら、ハードガーディアンにしては大分お粗末な感じだぞ」

「それは思う。見た目や武装は似てるけど性能自体はガーディアンと同等かそれ以下だ」

 

性能はそこまでの物ではないと一蹴こそされるが、問題は一体誰がどうやってこれを作ったかという事になる。思い当たるのは矢張り内海辺りなのだが……憶測に過ぎないしその辺りはミルコに頼んだ調査の進捗を待つしかないだろう。

 

「んで他になんかある?」

「あ~……あります、ヴィラン連合って分かります?」

「ああ、神野区でオールマイトと戦ったり臨海学校を襲撃って奴らだろ」

「林間だろ、海行ってどうするんだよ」

「その内の一人と俺は通じてます」

 

それを聞いて二人は思わず顔を見合わせた、それはそうだろう。目の前でヒーロー候補生が諸悪の根源ともいえるヴィラン組織にいるヴィランと通じているなんて言われたら硬直するのは当然。

 

「如何言う事だそりゃ、もしかして……エボルトがそいつに憑りついてるとかか?」

「ああいや、率先して俺に着くって言ってるので余計に性質悪いです。何から話せばいいんだろ……」

「最初からに決まってるでしょうが」

「ですよね」

 

という事なので最初から大人しく白状する事にした。林間合宿にて渡我 被身子に血を奪われて接種された結果、相手の個性が強化された上にエボルドライバーまで複製された上でマッドローグにまで変身される事態になった事。その後、ヴィラン連合ではなく自分に従う旨を言い渡された。それらを聞いて行くと二人の表情は呆れたような同情したような物へと変化していくのであった。

 

「苦労してんだな……」

「ええまあ、それなりに……」

「エボルトに憑りつかれてる時点でそれなりってレベルは超えてるから、な?」

『ひでぇ言われようだな』

 

渡我 被身子については現状様子を見るしかない、一応エボルトにはエボルドライバーを出している時は感じ取れるらしくその時に連絡を取る事は可能。と言っても現状頼りたいと思う場面は無いし、出来る事ならばヴィランに貸しを作らない事に越した事はない。そして、これは絶対に伝えなければいけないと思っていた事を伝える。

 

「戦兎さん、万丈さん。俺の名前から俺の父が石動 惣一だって事は察してますよね?」

「……まあな。一回だけ飲み行ったからな、エボルトと違って珈琲くそ美味かったよ」

「えっマジか戦兎」

「ええ、父の淹れる珈琲は美味しいですよ。珈琲パックの物ですけど水筒に入れて来てますけど飲みます?」

「ああ頼む」

 

万丈も珈琲を飲んでみるとウマッ!?と驚いた。本編で飲んだのは惣一(エボルト)の淹れた珈琲で酷く不味かった事だけにそのおいしさに驚愕している。後名前もダサかった。

 

「それで、ウチに一海さんが来てるんですよ。三羽烏さん達を連れて」

「あいつが!?」

「マジか!?あいつら元気なのか!!?」

「ええ、うちの姉に鼻息荒くしてぶっ倒れてましたよ」

「「ああカズミンだわ」」

 

それを聞いて本物だな、と確信する辺り色んな意味で理解が深い。だが同時に戦兎と万丈の表情は酷く明るい物へと変わっていった、ずっと心配していた仲間がこの世界にもちゃんといて平和に暮らしてくれている……それだけでも嬉しいのだ。それを聞けて心底良かったと言いたげな表情を作っている。

 

「っつう事は、お前の姉貴美空かよ……」

「ええ。相変わらずネットアイドルやってます」

「この世界でもやってるのかよ……まあいいけどさ」

 

兎も角、それらを聞いた戦兎の表情は明るくなっていた。今日まで、この世界で生きて来て自分は正しかったのか、新世界を作り出した創造主として考え続けてきたが今平和に生きている仲間たちの事を聞いて確信が持てた。自分は間違っていなかったと、平和と笑顔をビルド出来た……という確信を漸く感じられた。

 

「あっすいません、インターン先から呼び出し掛かりました。俺はこれで」

「応、飯ありがとな」

「ああ―――何時でも来いよ、ドライバーの修理だって受け付けてやるよ」

『ハン、お前に修復出来りゃいいけどな』

「黙ってろエボルトこの野郎」



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92スレ

星辰「この世界がビルドの新世界である事を知った仮面ライダーエボルの石動 星辰は戦兎さんと万丈さんとなんとか仲良くなるのだった。これからの先の戦いに備える為に」

戦兎「にしてもこの世界って珍妙にもほどがあるよな」

万丈「この前なんて頭の先から手みたいな角持ってる奴にあったよな」

星辰「そう言えばお二人は個性あるんですか?」

戦兎「いやねえよ、まあなくても俺は天っ才だから問題ないけど」

万丈「俺もねえけど俺にはこの筋肉があるからな!!何せ―――俺はプロテインの貴公子、万丈 龍我だからな!!」

戦兎「何、マジでそれ気に入ってんの?こんな馬鹿は放っておいて第92スレをどうぞ!!」

万丈「筋肉付けろ!!」

星辰「いや付ければいいってもんでもない気が……」


「おう、ちゃんと弁当持ってきたか?」

「持ってきましたけど……この状況で食べるつもりですか、まあ貴方らしいと言えばらしいと思いますけど」

 

思わずあきれ果てた言葉を浮かべながらも、持ってきた荷物から重箱を取り出す。それを会議室の扉を蹴破るかのように入ってきたミルコへと手渡す、そのまま隣の席に着きながらも持ってきた水筒から汁物などを注いだりして食べる準備を進めていくが、会議室から一気に視線を集める。まあ当然だろうが……。

 

「遅刻だぞミルコ、出来るならば遅刻は勘弁してほしい物だな」

「悪かったな。だけど進捗あったぞ―――ほれっ」

 

そう言いながらもミルコは腰に下げていた袋を星辰へと渡した。それは一体何なのか……と視線が注がれているのだが、それに手を合わせながらもミルコは答えた。

 

「アタシに刺さった弾丸のサンプルだ、とっちめたヴィランが持ってやがったから持って来てやったぜ。んじゃいっただきま~す!!」

 

そう言いながらも弁当に喰らい付き始めるミルコ、極めて破天荒だが仕事はキッチリとこなしてくるのだから困ったものだ。何故こんな会議をしているのか―――それは緑谷がインターンを行っている事務所、以前オールマイトのサイドキックを務めていたヒーローのナイトアイからのチームアップ要請があったから。それを受けてリューキュウ事務所は要請を受諾。その話し合いの為に集まった。他にも切島とそのインターン先であるBMIヒーローのファットガム、雄英ビッグ3も到着しいよいよ本格的な話し合いに移行する事になってきた。

 

ナイトアイ事務所は今現在、極道組織・死穢八斎會を追跡中、その過程で敵連合の一人、トゥワイスと接触している事も明らかになってきている。既にかなりの大人数がいるこの場にはグラントリノまでいる。かなり大掛かりなチームアップになっている。そしてその議題としてあげられているのが……死穢八斎會が大基になって流していると思われる特殊な弾丸だった。

 

「そして先日の烈怒頼雄斗デビュー戦……うちの環が今まで見た事もないような薬物が入った弾丸を食らってしもうた、それの出所が八斎會っちゅう訳や。そして―――その打ち込まれた弾丸は個性を壊す薬……しかも、その中には人間の血やら細胞が入っとった……!!」

 

周囲の空気が死んだ。現環境、世界を壊しかねない薬だ。しかも恐らくだが、死穢八斎會の若頭である治埼が個性を用いて壊理という娘がいる。緑谷とミリオが遭遇した時、彼女の腕や足には夥しい量の包帯が巻かれていたという……つまり、治埼は娘の身体を弾丸へと変えている可能性があるという事。何とも悍ましい話。

 

「ミルコ、君のその弾丸を受けたと聞いたが問題は無いのだな」

「ああ、肩に喰らっちまったが問題ねえよ。そいつもぶちのめした個性もお元気だ、星辰吸い物お代わり」

「ああはい」

 

給仕のようにミルコの要望に応える星辰。個性に戦闘力を依存しきれないのはヒーローとしては正しいが、混乱も何もせず相手を倒せたミルコには呆れる他ない。

 

「今回、皆さんを集めたのは他でもありません。死穢八齋會と接点のある組織・グループ及び死穢八齋會の所有する土地。それらを可能な限り、ピックアップしました。各自その個所を探っていただき、それらの弾丸の貯蔵場所や壊理という少女の捜索を頼みたい」

「成程、それで俺達みたいなマイナーヒーローが……」

 

此処に集められているのは有名処だけではない、それぞれの地域に根差した活動を行っているヒーロー達も多い。つまり土地勘を持ったヒーローが集められている。

 

「ミルコ、貴方がその弾丸を得た場所は?」

「あん?あ~……藤沢だな」

「成程、その辺りでも情報を集めておく。後何時まで食べるつもりだ」

「良いだろ腹減ってんだよ」

 

本当に我が道を行くというか、マイペースなヒーローだ……そんなナイトアイは星辰を見た。何処かその瞳は得体の分からない未知の生命体を見つめるかのように、冷たく警戒心を抱いているかのような物だった。その視線に気づいて星辰が顔を上げる。

 

「あの、何か」

「……いや、君の変身した姿、エボルと言ったか。それは随分と汎用性が高いと聞いたのでね、後でそれを聞いておきたいと思っただけだ」

「分かりました。幾らでもお話します」

 

眼鏡を上げながら視線を隠すようにしたナイトアイに星辰は何か、妙な物を感じた。そのまま話し合いは進んでいく、ナイトアイの個性である予知でこの先の未来を調べて情報を得るという意見も出たが……ナイトアイの強固な反対にダメ押しに使うという事に限定された。様々な話し合いが行われた後、行動の指針の決定が終了して行動に移ろうとした時……ナイトアイに促されて星辰は会議室に残り続けた。

 

「まずは突然の事を謝罪しよう、君の事はデクから聞いている。素晴らしい力を持っているヒーローだとね」

「まだヒーローじゃないのに、緑谷君は全く……それで聞きたいというのは」

「単刀直入に、言わせて貰おう―――私は、間接的にだが君の未来を見てしまった」

 

その言葉に驚きを隠せなかった。ナイトアイは自分の未来を見たという事に、だが話し方からすると見るつもりは全くなかったらしい。如何やら事件の捜査で必要に迫られた見た際の予知にエボルの姿を見たらしい。

 

「何を見たので」

「妙なんだ、私の個性では今までなかった事が起きた。突如として光景がぼやけて雑音塗れになったかと思えば数時間後の未来になっていた。一定の時間の余地がごっそりと抜けていた」

「時間が、抜ける……?」

「兎も角見たものを伝える」

 

不明瞭ではあるがナイトアイは見たものを懸命に説明してくれた。仮面ライダーエボルの姿となっていた星辰、それと並ぶ数人の影、その前に立つ何か。そしてそれが何かをしようとした時に時間が抜けた。しかももう一度見ようとしてもその時間だけではなく、他の時間さえも虫食い状態になっており、遂には予知その物が通じなくなったという。

 

「済まない、私は君の未来を決定づけてしまったかもしれないのだ……」

 

何も分からない未知が迫っている、ただそれだけが伝わってくる。だが星辰はそれに心当たりがあった、つまり―――そういう事なのだ、これは確定だと分かる。

 

「有難う御座いますナイトアイ、俺はその予知を知れてよかったと思ってます」

「何を……」

「対策が取れる……ああ、やってやるとも」

 

その時、ナイトアイは金縛りにあったかのように硬直していたという。後にミリオがナイトアイの様子を見に来た時に、彼はこう語った。

 

「彼の表情は……まるで覚悟を決めた特攻隊のような表情だった、死を覚悟し死を受け入れ、それでも尚、それを変えようとする男の顔だった……」

 

「エボルト、戦兎さん達の元に向かう」

『ああ、間違いない……来やがるぜ』

「『キルバスが』」



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93スレ

星辰「新世界の仮面ライダーエボルである石動 星辰はナイトアイから、近い未来、キルバスの襲来を聞かされる。宇宙の存在を賭けた戦いが迫ってきている」

エボルト「あ~あ、まともな兄貴が欲しかったぜ」

星辰「まともだったらお前絶対おちょくってただろ」

エボルト「ああそれは確実だな、それでグレてキルバスみたいになった所を狩る。あっそれ最高だな」

星辰「……お前、マジで一回死ぬか」

エボルト「もう何度も倒れてはいるけどな」

星辰「こんなのが相棒なのは嫌だけど、93スレをどうぞ!!」

エボルト「今更過ぎんだろそれ言うの」


「戦兎さん、お話があります」

 

ナイトアイからの話を受けた星辰はすぐさま桐龍開発工房へと訪れた、そこではパソコンに向かっている戦兎とトレーニングを行っている万丈の姿があった。万丈はまた弁当でも持って来てくれたのか?と思ったが、直ぐに彼の表情から違う物だと悟った。その表情は余りにも覚悟に満ち溢れすぎている。

 

「話を聞こう」

 

星辰は隠す事も無く全てを打ち明ける、これからこの世界にエボルトを超えるような厄災がやって来る事、そしてそれがパンドラボックスを復活を目的として宇宙と共に心中を図ろうとしているイカれた存在である事、対抗する為には仮面ライダーの力を結集させるしかない事を。

 

「キルバス……そんな存在が……」

「マジかよ、だけどマジなのか」

「間違いないと思います、ナイトアイに言われた時に俺にもそのビジョンに似た何かが見えた。そこには戦兎さんや万丈さんだけじゃない、グリスやローグもいました。カズミンさんや幻徳さんの力も必要になります」

 

それを聞いて益々キルバスという敵の強大さが明らかになっていく。旧世界で戦ったエボルト以上の怪物というのも理解出来る……だが如何やって皆の記憶を取り戻すかが課題になって来る。そもそも、平和の新世界で生きてる彼らを戦いに巻き込むという判断に二人は戸惑いを隠しきれていなかった。

 

「お気持ちは分かります、ですが」

『んな事言ってる場合じゃねぇって事は桐生 戦兎大先生なら分かってんだろ』

 

影がエボルトとなり、星辰に寄り掛かりながら語り掛ける。

 

『このままだと新世界どころか、宇宙その物の危機だ。そうなったら平和なんて無に帰る。良いか、あいつは支配するんじゃねえ、消しちまうんだ。其処に何の躊躇もなくな』

「……だけど如何やんだよ」

『それについては俺と相棒がやる、ちょっとパンドラパネル借りるぞ』

 

そう言いながら星辰と共に歩みを進めながら共に、白いパンドラパネルへと手を触れる。万丈はそれに触れることを警戒するが、戦兎が止める。意識を集中させながら身体の中にある力を最大限にまで高める。星辰に青い光、エボルトに赤い光が宿り始め、それを一気にパンドラパネルへと注ぎ込む。

 

「『エボルテックフィニッシュ!!!』」

 

力が注ぎ込まれた時、パネルは金色に輝きだしながらも一気に波動を放出していく。それは倉庫を越えて日本へと波及していく、その放射が終わるとエボルトは倒れこみそうになる星辰の中へと引っ込んでいく。

 

「おい大丈夫かお前!?」

「大丈夫、です……ちょっとエネルギー使い過ぎたみたいで……」

「何をしたんだ、今」

「エボルトの力で起こしたエネルギーを注ぎ込みました、パンドラボックスは元々、ブラッド族の物……それを使ってこの新世界が出来ている。だったら、その創造の根源の力を使えば、改変された世界の記憶を呼び覚ます事が出来る筈です……」

 

キルバスがやった事をやった、という事だ。但し、パンドラボックスを復元せずに行った為に必要なエネルギーは大きく負担も大きい。だがそれ以上のリターンがある。やる価値はあった。

 

『おい相棒、身体の制御俺に変われ。お前は休んでろ」

「……煽るなよ』

「それとこれは別ってね」

 

そう言いながら星辰の肉体の主導権がエボルトへと変化する。力としては互角、だが力の扱いという点ではエボルトの方が優れているので星辰が疲弊すれば主導権はエボルトが優勢になる。身体を明け渡すと身体を回しながら腰のポーチからある物を取り出した。

 

「おい万丈、ちょいと手出せ」

「あ"っ?何でテメェの言う事聞かなきゃならねぇんだ」

「良いからさっさとしろ―――俺の相棒の頑張りを無駄にする気か」

 

その言葉には圧があった、今までエボルトから感じた事の無いような怒りの感情……これは同胞を侮辱されたような怒りだ。単純な怒りならば持っている筈だが、まさかエボルトからそんなものを感じるなんて思いもしなかった。それに押されるように手を伸ばすと手首を掴まれる。

 

「―――やっぱりな、お前程度じゃ俺には逆らえねぇよ……!!」

「グゥゥゥゥッテメェ、何をっ……!?」

 

手首を掴む力が強いのもあるが、それ以上に身体の中から何かを引きずる出されるような感覚を味わう。全身が赤く輝きながらもその光がどんどん星辰いや、エボルトへと飲み込まれていく。それが数秒続くと万丈から手が離された。

 

「お前、何をしやがった!!?」

「お前の中に居た俺の細胞を回収したんだよ、最後の決戦の時に万が一に備えて忍ばせた俺の細胞をな。それで今の俺をパワーアップさせて貰った」

「お前、んなことしてやがったのか!!?」

「俺の周到さは知ってんだろ、キルバスが来た時にその影響で覚醒するかもしれねぇ。最悪の場合俺が二人存在する事になったらいやだろ」

「「最悪すぎる……!!」」

「予想通りのリアクションだが、此処まで予想が当たって嬉しくねぇ事も珍しいだろうな」

 

二人のエボルトが同時にチャオ♪と言う光景でも想像したのか、顔を青くして身体を震わせる二人。まあそうなるだろうなぁ……と星辰は思っていた。

 

「後、ついでに俺の遺伝子をお前の遺伝子として定着させておいた。これで、お前の遺伝子から俺が復活する事は無い」

「ンな事までしたのかよ」

「どうしてそこまでする、お前からすれば復活のカードを一つ失ったようなもんだぞ」

「それだけをする価値があるって事だ、キルバスに勝つってのはそんだけ大変な事を理解しろ。後戦兎、こいつを解析しろ」

 

そう言いながら戦兎に向けてボトルを投げる、それはダイナソーエボルボトルだった。

 

「それには俺を含めた相棒のデータが入ってる。そいつを使えば恐らくだが対キルバスのアイテムが出来る筈だ、悪いがそいつを相棒に作ってくれ」

「如何して星辰なんだ、万丈でもいい筈だ」

「無理だな。定着させる過程で俺の遺伝子は完全に変質してる、変身能力もそのまま、ハザードレベルも上がる事は上がるが完全に俺とは別の生命体になった。つまり、未知の生命体万丈 龍我の誕生って訳だ」

「テメッ何勝手に俺を訳分かんねえ生き物にしてんだ!!?」

「ンだよだった今からまた弄るか?俺の復活の宿にして欲しいっていうのは妙なリクエストだな」

「ざっけんな!!」

 

話をしていて思うのはやはりこのエボルとは何かが違うという事だ、自分達が戦ったエボルトと同じではあるが間違いなく決定的に異なっている。

 

「エボルト、お前は星辰に妙な肩入れをしてるな。理由があるのか」

「んっ~?相棒に肩入れするのが変とは、お前にしては妙な事を聞くな」

 

肩を竦めながらも誤魔化そうとするエボルトだが、戦兎は一切目を反らさない。それに観念したように溜息混じりに答えてやる。

 

「相棒は面白れぇんだよ、今まで出会った生命体の中でとびっきりな!!此奴は俺という絶対的な悪を抱えている、それなのにそれを否定しねぇ、嫌いこそするが受け入れてる。自らがその力を正しく使うと言いながら、俺の力を使って悪を演じたりもする、こんな面白い人間が他にいるか?端的に言えば、相棒をキルバスに奪われる事が気に喰わねぇ、それだけの話だ」

「……人間臭いな」

「俺に感情を与えてそういう風にしてくれたのは何処の自意識過剰な科学者なんだろうな」

 

求める答えは得た、と言わんばかりに戦兎はボトルの解析を開始する。何時、キルバスがこの世界にやって来るかは分からない。だから出来るだけ急ぐしかない、その風景を見ながらエボルトは倉庫の外に出ながらも空を見上げた。

 

「ハァッ……覚悟、もう一度決めとけよ相棒」

『言われるまでもなく、出来てんだよこっちは』

「頼むから道連れだけはやめてくれよ」

『お前の心掛け次第だな』

「なんで俺、相棒に脅されてんだろうな」



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94スレ

星辰「新世界の仮面ライダーエボルである石動 星辰は迫り来るキルバスとの戦いに備え、パンドラパネルの力で仮面ライダーたちの記憶を戻す為に力を使う。そして、万丈さんの中にあったエボルトの細胞をも取り込み、力を付けるのだった」

万丈「おい戦兎、俺一体どういう感じになったんだ!?」

戦兎「さあ、エボルトが増えるよりかはいいだろ」

万丈「俺は如何でもいいのかよ!?」

戦兎「お前なんかよりエボルトが増える事の方が最悪だわ。それじゃあ事態が進む94スレ、どうぞ!!」

万丈「星辰!!お前は如何思う!!?」

星辰「えっと、深刻ですよね」

万丈「それだけか!?」


「なんて事だ、なんてことだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

桐龍開発工房に木霊する叫び声、その中心にいるのは一人の男。その周囲を様々な人が見つめるがその視線は深刻且つ呆れているものだった。

 

「悲劇だ、惨劇だ、あんまりだぁぁぁぁ!!!」

『やっかましい奴だな……おい戦兎、このドルオタこんな奴だったか?』

「お前のせいだエボルト」

「ああああああああああああ!!!!」

「んもううるさいカズミン!!好い加減に黙るし!!」

「はい黙ります!!」

『もう奴隷だなあの様』

 

呆れた声と共にその先にある人、姉に向かって正座して頭を下げる仮面ライダーグリスこと、猿渡 一海の姿に星辰は引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。

 

「まあ気持ちは分かる、ポテトにとって神に等しい対象の弟にエボルトが宿っている。そう思えば嘆きたくもなる」

『俺は悪霊かなんかか』

「寧ろそっちの方がましだな」

『おいおいおいそりゃねぇだろ相棒』

「お前も苦労してるようだな」

「それなりには」

 

そう言いながら珈琲を口にするスーツ姿の男……仮面ライダーローグ、氷室 幻徳、この工房に仮面ライダービルドにおける主要人物が集結していると言ってもいい。

 

「それにしても……まさか美空ちゃんの弟があの星辰君だなんて……ねえ、今度取材受けて貰ってもいいかしら」

「ええ。キルバスから地球を守ったら幾らでも」

「ありがと♪」

 

そこにはジャーナリストの滝川 紗羽もいた。彼女としては雄英体育祭で優秀な成績を上げた上にリューキュウやミルコという超有名ヒーローの元でインターンをしているので是非とも取材を行いたいと思っていたらしい。なので今回の事は正しく幸運としか言いようがない、と言いたげだ。ジャーナリストというのは強いと思い知らされる。

 

「キルバス、エボルトの兄貴か……しかもエボルト以上の化物とは、成程俺達の記憶を戻す訳だな」

「ごめん皆……」

「謝ってんじゃねえよ戦兎、何も知らずに消されるなんて御免だからな。抗えるだけめっけもんって奴だ、それに―――そいつはみーたんの弟君が何とかしてくれんだろ?」

「うん、こうして戦兎君と万丈とまた会えたし悪い事ばっかりじゃないよね」

 

頭を下げる戦兎は皆は余り気にしていなさそうな様子だった。此処まで死線を潜り続けて来た者達、星辰が思っている以上の強い強い絆が紡がれているのだろう。

 

「んで戦兎、星辰から預かったボトル、解析出来てんのか?」

「順調ではあるが、余りにも情報量が膨大でまだ時間がかかる。だけどキルバスが来るまでには絶対に間に合わせる、そして―――俺達仮面ライダー全員でキルバスを叩く」

 

それに全員が頷いた。其処に迷いはなく、それを否定する者はいない。

 

「問題は何時、キルバスが来るかだな……おいエボルト、テメェなんかわからねぇのか」

『分かったら苦労しねぇ、と言いたい所だが……相棒とパンドラボックスの波動を起こした時にこっちに来ようとしてる何かを感じた。近いのは確実だ、もうちょい時間が経てば正確な時間も割り出せるんだがな……』

 

宣告するエボルトに一同は凍り付いた、まさか本当に再び地球を賭けた戦いが行われるという事になるなんて誰も思わなかっただろう……。

 

「俺は何時でもいい、キルバスは俺が止めます」

 

その中で真っ先に声を上げたのは星辰だった。エボルトと共に居る彼が真っ先に覚悟を決めている、その表情はこれまで家族として過ごしてきた美空も見た事も無いような物だ。

 

「おい弟君、分かってると思うがこの戦いはお前さんがやってきたヒーローとは全く別だ。生きるか死ぬかの戦だ、キルバスを消滅させない限り、俺達の地球に未来はねぇぞ」

「分かってる。ヒーローだからこそ逃げる訳には行かない」

「でも、星辰……」

 

其処には不安そうな瞳を作る美空()がいる。旧世界にはいなかった弟、賑やかで楽しい毎日を過ごせていた弟に地球を滅ぼすほどの力があって、今度はその弟を狙ってまた厄災がやって来る。あまりにも急激すぎる変化に美空は不安でたまらない。雄英に通うのを続けると決めた時、父も相当に不安を抱えたが今度はその比ではない。負けたら確実な死が待っている、絶対に避けられない死が。

 

「俺は戦う、俺は仮面ライダーエボル。俺は―――仮面ライダーだから、戦う」

 

そう言いながら星辰は工房を出た。既に日も暮れて夜の帳に包まれている、夜の下に出る彼の背中には覚悟が宿っている。それを見た仮面ライダー達はそれを見て―――覚悟を決める。

 

「俺も戦う……何とかジーニアスボトルも復旧出来た、エボルトの協力っていうのが腹立たしいけどな」

「あいつが覚悟極めてんだ、俺達が戦わねぇなんて事をしない訳に行かねぇもんな」

「みーたんの弟が覚悟してんだ、俺だって命を懸けて守ってやる」

「素晴らしい奴だ、ああいう奴こそ、国の未来を背負うに相応しい。そんな奴を殺させる訳には行かない」

 

大人として、仮面ライダーとして、彼を守って地球も守る。キルバスを倒して。

 

 

「はい」

『あっ星辰?今、大丈夫?』

 

星空を眺めていると、響香からの電話が掛かって来た。

 

『アンタ、大丈夫なの?なんかナイトアイに特別な任務をお願いされたから単独行動をとってるって聞いたけど』

「(ナイトアイ……お気遣い、感謝します)大丈夫、俺の個性なら危険区域にも入れるし毒とかも効かないから頼まれたんだ」

『ああ、成程……確かにあのスーツなら毒とか効きそうにないよね』

 

ナイトアイは気を回してくれた、自分は暫くキルバスの事に集中しなければならない。だがインターンである自分は身勝手な行動はとれない、だからナイトアイの事務所に一時預かりとなった、という事になっている。リューキュウもミルコも怪訝な顔をしつつも了承してくれた。

 

『こっちは一旦雄英に戻っていつもの日々だけど、なんか……妙に気合入るんだよね……壊理ちゃんって子、助けたいからね』

「―――そうだね、俺も力を尽くすよ」

『星辰?』

 

僅かに声が震えた、いつも通りの日々……それに戻りたいと思った。キルバスなんて戦いたくはない、仮面ライダーと肩を並べて戦う事は光栄だが、余りにも逸脱した時間だ。それでもやらなければならない……やらなければ……世界が消える、それだけはさせない。

 

「……」

『星辰、アンタ如何したの?』

「なんでもないよ、そろそろやる事に戻るよ―――響香さん、声が聞けて良かった」

『あっちょっと星辰―――』

 

通話を切る。ヒーローを目指す日常、それは雄英に通うもの取ってはかけがいの無い物。自分にとっても、響香にとっても、他の友達にとっても……それを守る為の戦いがキルバスとの戦い。そう思うと迷いは消える。世界の運命なんて如何でもいい、自分はあの日々に戻る為に戦う事にする。

 

「エボルト、万丈さんの中の細胞を取り込んでどのぐらい力は上がった」

『さぁてねぇ……究極の姿の細胞の一部だ、相当に上がってる筈だが……それでもキルバスに勝てるかは微妙だな。戦兎のアイテム次第だな』

「十分だ。勝ちの目はある」



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95スレ

星辰「新世界の仮面ライダーエボルである石動 星辰は迫り来るキルバスとの戦いに備え、仮面ライダーローグの幻徳、グリスの一海や姉の美空や紗羽さんとの交流を経てから、響香との電話を終えて覚悟を決めるのであった」

カズミン「はぁ~それにしてもみ~たん、こうして記憶を戻ってから見ると一段と愛おしい~!!」

万丈「ホント平常運航だなこいつ」

幻徳「お前が言うなエビフライ」

万丈「ンだとひげぇ!!!」

美空「あ~もうまたうるさくなったぁ!!」

紗羽「でもなんか戻って来たって感じするね」

戦兎「確かに、だが遂に戦いが来るかも。さあ95スレをどうぞ!!」

星辰「ホント楽しそうだなぁ……」


時が流れた時、白いパンドラパネルに変化が起きていた。青い光が溢れ出し、何かがボトリと汚らしく落ちた。だがそれに即座に攻撃が加えられた、それを行ったのはトランスチームライフルを構えた星辰だった。

 

「キルバス……」

『おやおやおや、こいつは驚いたぁ!!まさかお前が居るとはなぁ……エボルトぉ!!』

 

声を上げながらもそれは形を変えていった、輝きを放ちながらもそれはエボルにそっくりな姿になった。いや、言うなればエボルの素体とも言うべきなのだろうか。肩や胸部の装備などが無く簡素な印象を受けるそれは高らかに笑い続けながらも此方を見つめていた。それを戦兎たちも同じように強くに見つけている。

 

「お前がキルバス、エボルトの兄」

『ああそうだ、如何したんだよぉエボルトぉお前がこんな奴らを一緒に居るなんてどうかしちゃったのかぁ~?それとも、この星でも支配下に置いたのかなぁ!?』

「残念だが違うな、俺は今日、お前がこの世界に来る事を知っていたんだよ」

 

それを聞いたキルバスはへぇ……と言いたげに気味の悪い笑みを浮かべた。

 

「俺はお前を殺す、この世界を消させはしない」

『ハハハハハハッ!!!面白い事を言うじゃないかエボルト、ブラッド星から、俺から逃げたお前が俺を殺すだって!?ハハハッ知らなかったなお前にはジョークのセンスがあるようだな!!』

「ジョークに聞こえるなら、お前は此処までの命だ」

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

〈COBRA!!〉 〈RIDER SYSTEM!!〉

REVOLUTION!!

ARE YOU READY?

 

ブラックホールフォームへの変身準備を済ませた星辰の姿を見て、キルバスは漸く笑いを収めた。

 

『本気で俺に勝つ気か?』

「俺だけじゃきっと勝てない、でも俺は一人じゃない。戦兎さん、万丈さん、幻さん、一海さんが居る。それに俺はエボルトじゃない―――石動 星辰、エボルトっつう最悪の相棒を持ちながらも、愛と平和の為に戦う仮面ライダーエボルだ!!変身!!」

 

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

ブラックホールフォームへと変身した星辰にキルバスは漸くその言葉の本気具合を読み取る事が出来た、そしてそのエボルに並び立つように前へと出た仮面ライダーたち。

 

『お前達も俺に戦いを挑むっつうんだな?身の程知らずってのは不幸なもんだ』

「この新世界は、俺達がビルドした世界だ。お前みたいな奴に終わらせて堪るか」

「エボルトに協力するのは嫌だが、星辰に協力するなら大歓迎だ。俺達のファンの頼みだ、聞いてやるのがヒーローってもんだろ」

「この国、いや世界の為なら幾らでも命をかける覚悟は出来てる」

「みーたんの弟一人戦わせるなんざ、ドルオタの風上にも置けねぇからな……!!!」

 

〈GREAT!!〉〈ALL YEAH!!〉

〈GENIUS!!!!〉

 

〈BOTLLE BURN!!〉

〈CROSS-Z MAGMA!!〉

 

〈DENGER!! CROCODILE!!〉

 

〈ROBOT JELLY!!〉

 

「「「「変身!!!!」」」」

 

言葉は一つになって力へと変わっていく。仮面ライダーのその言葉は唯の言葉じゃない、スイッチであり誓いである。自らは仮面ライダーである、そしてその為に戦う事を誓う言葉なのだ。戦兎は全てのフルボトルの力を結集させたビルドジーニアスへ、万丈は灼熱の力を纏うクローズマグマへ、幻徳は自らの罪と向かい続けるローグへ、一海は心の火、心火を燃やすグリスへと変身した。

 

『こいつは良い!!この世界はなんて素晴らしいんだ!!パンドラボックスはない事は分かっていたが、お前達の力で最高のパンドラボックスが出来そうじゃないかぁ!!』

 

無い筈の瞳が爛々と輝くように声を弾ませるキルバス、目の前に居るのはエボルトだけではない。パンドラパネルの一部を力に変えているビルドジーニアスにその身体にエボルトの遺伝子が刻まれていた万丈、そして幻徳も一海も人体実験によってかなりのハザードレベルになっている。それらを使えば最高のパンドラボックスが出来るという確信が得られた。これならば最高の心中が出来そうだとキルバスは喜び勇む。

 

『だけどなぁ俺だってブラッド族だぁ……こんなぁ事だって出来るんだぜぇ!?』

 

そう言いながらその手の中にエネルギーを収束させていく。それは次第に形を作り上げていくが、それはまるでドライバーのようだった。全体が真っ黒に塗装され、エクスパンドライザー部分が深紅に染まっている……それに笑みを漏らしながらも装着した。

 

「名付けるなら破滅って意味を込めたルインドライバーって所か、さあ俺もお前達に倣うとしようかなぁ……?」

 

〈SCORPION!!〉 〈RIDER SYSTEM!!〉

RUINMATCH(ルインマッチ)!!

ARE YOU READY?

 

「こうすればいいんだっけかなぁ……変身!!」

 

まるで、此方をバカにするような態度のまま、その言葉を口にした。そのまま銀河のような渦の中に包まれているキルバスの姿は一変していた。オレンジ色の装甲を身に纏いながらもその身に鋏や毒針を宿しながらもその半身は真っ赤に染まっている。これから奴がやろうとしている事を象徴しているかのような姿をしたそれを……ライダーたちは見つめていた。

 

SCORPION! SCORPION! KAMEN RIDER KILLBUS SCORPION!!!

「キルバススコーピオン!!いい名前だろぉ~?お前らの冠している名前も全て消し去ってやる、さあ始めようじゃねえか―――この世界の命運をかけた戦いをなぁ!!!」



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96スレ

星辰「新世界の仮面ライダーエボルである石動 星辰は遂にキルバスとの戦いとの戦いに挑む」

万丈「おいなんか向こうも変身しやがったぞ!?」

幻「キルバスとスコーピオンでキルバスコーピオンか」

一海「一緒くたにすんな、キルバス、スコーピオンだろ」

戦兎「そこら辺は如何でもいいでしょ、もっと気にするところあるでしょ!?俺のビルドドライバーと反対な名前つけてるところとか!!」

星辰「いや、そこも別に……兎に角、96スレどうぞ」


仮面ライダー キルバススコーピオン。その名前を聞いて吐き気を思わず感じてしまったのは自分だけなのかと星辰は思った、何故こいつが仮面ライダーの名を語る。お前なんぞが語って良い称号ではないんだ、仮面ライダーという偉大な英雄の名前をお前が使うなと思わず否定したくなったのか怒りが込み上げて来た。

 

『まあ落ち着け相棒、怒りでハザードレベルを上げるのは良いがキレてあいつに勝てれば苦労はしねぇよ』

「……分かってる」

『ならいい、さてとまずは場所を変えるか―――ハァッ!!』

 

エボルが腕を振るう、それに連動するようにパンドラパネルが輝きだすと周囲の空間を侵食するかのように風景が回転するパネルのように入れ替わっていく。此処で自分達が本気で戦えば間違いなく周辺は更地になる、故にパンドラパネルの力を引き出して異空間を生み出して其処へと引きずり込む。此処ならば幾ら暴れたとしても現実世界への影響は出ない。

 

「流石はエボルト、パンドラボックスの力を引き出せるって訳だなぁ!?だったら―――俺はこういう手品を披露してやるよ……はぁ!!!」

 

キルバスの身体から青い光が抜け出て行く、それらは8つに分裂するとそれぞれが人の形を取り始めた。それらは……旧世界においてネビュラガスを人体に注入して生み出される怪人、スマッシュだった。

 

「星辰、こいつらは俺達に任せろ。お前は戦兎と一緒にあいつをぶっ倒せ」

「万丈さん、でも……」

「子供が大人に遠慮するな」

「そういう事だ、カッコいい所を見させてやるよ」

 

クローズ、ローグ、グリスは率先して前に出た。真面目な話をするならばこの中での最高戦力は間違いなくビルドジーニアスとブラックホールフォームのエボルである事は間違いない、ならばキルバスには最初からそれをぶつけるしかないという事だ。

 

「星辰、いいな」

「―――分かりました。諸先輩方、お願いします!!」

「よし行くぞ!!」

 

そう言いながらエボルとビルドの二人は仲間達の肩を踏み越えて大跳躍しながらキルバスの前へと出た。

 

「ッシャア!!力が漲る、魂が燃える……俺のマグマが迸る!!!」

「心火を燃やして……ぶっ潰す!!!」

「大義の為の犠牲となれ……!!」

 

クローズ達が戦闘に入る中、ビルドとエボルはキルバスに向き直りながらも覚悟を決めたかのように向かって行く。それをキルバスは腕を広げて迎えるかのように体勢だった。

 

「うおおおおおっっ!!!」

 

真っ先に飛び出したビルドは懐に飛び込みながらも連続した攻撃を繰り出す、が、キルバスもそれらを的確に捌いて行く。が、急加速したビルドの拳がキルバスの顔面を捉えた。

 

「ぐぉっ!?」

「ォォォラァァァァ!!!」

 

そこへ重力波を纏った拳を叩き付け、顎に強烈なアッパーカットを繰り出す。それを諸に受けて吹き飛ぶキルバスだが、直ぐに起き上がると右肩の鋏を巨大化させるとそのまま此方を挟み潰そうと差し向けて来た。

 

「させるか!!」

 

今度はビルドがその手から巨大なダイヤを作り出すとそれを鋏へとぶん投げた、それは鋏の根元にすっぽりとジャストフィット。幾ら巨大且つ力があろうとも根本を抑えられては対応は難しい事だろう。そこに超高速のビルドの拳が炸裂する。

 

「グガァッ……!?なぁぁんてな、そう簡単に死んでやるもんかよぉ!!」

「心中してぇなら自分で勝手に首でも括ってろ!!!今なら俺が首を吊る縄になってやる!!」

「光栄だなぁ、だがそれだけじゃ足りねぇ!!もっと居るんだよぉ!!」

 

ビルドの拳を払いのけると廻し蹴りを決めると強引にダイヤを砕き割りながら、鋏を叩き付けて来る。後退するビルドの代わりに飛び込んでくるエボル、両手にブラックホールを纏わせたまま連続のラッシュを繰り出して行く。

 

「随分、器用な、真似が出来るようになった、じゃねえかエボルトぉ!!」

『相棒の力のセンスは俺よりいいんでね!!』

「チェエエエストォオオオオ!!!」

 

勢い良く踏み込んだハイキックがキルバスの首へと炸裂する、その時に大きく吹き飛んでいく。諸に入れる事が出来たという確信があるが、同時にこの程度では絶対に倒せないという確信もある。当然だと言わんばかりに吹き飛んだ先から舞い戻ってくるとレバーを勢い回し始めた。

 

READY GO!! KILLBUS SCORPION FINISH!!

 

「なっ!!?」

「シェエアアアア!!」

 

突如、キルバスの腕が4本に増えた。その腕全てには鋏がありそれらを使って首、腕を掴み上げるとそのまま残った蠍の尾でエボルを突き刺した。

 

「ぐあああああああああああ!!!??」

「星辰!!ぐっううううおおおおおっっ!!?」

 

万丈たちも必死にスマッシュを抑え込もうとしているが、それらは唯のスマッシュではない。それはキルバスの細胞を分裂させ、スマッシュに擬態させたもの。言うなれば一海がパンドラタワーで戦ったエボルトの擬態三羽烏に近い存在。故に唯のスマッシュでは済ませられない程の力を持っており、其方に加勢する余裕が全くない。

 

「キルバス!!」

 

〈ONE SIDE!! GENIUS ATTACK!!〉

 

エボルの危機を救うべき、飛び込みながらもライダーパンチを放った。それを回避する為にエボルを開放しながら後退する、そのまま倒れこんだエボルに駆け寄るが、変身解除が行われながらも苦し気な声を漏らし続けている。

 

「ぐぅぅぅ、ぁぁぁぁっ……!!」

「大丈夫か星辰!!星辰おい確りしろ!!」

『こいつはまずいな……野郎毒を打ち込みやがった』

「何だと!?」

 

蠍の毒、それが今の必殺技を通して注入された事になる。エボルトも毒の中和と抑制を行っているが、何しろキルバスの猛毒。抑え込む事が出来ても根本的な治療を行えない。

 

「俺様の毒は如何だぁ?最高だろぉ~!!?」

「お前っ……!!!」

『……戦兎、あれを寄こせ』

「お前、まさかその状態で使わせる気か!!?」

『もうそれしか手がねぇ、ハザードレベルを上げて毒を無力化するしかねぇ』

 

エボルトの提案は決して飲み込めない、二人のエボルトのボトルというべきダイナソーエボルボトルを解析し、復活したジーニアスボトルをベースにして開発、誕生したアイテムさえあればキルバスは倒せるかもしれないが、確実にハザードレベルが足りないので戦闘中に何とかしてレベルを上げて使うしかないという結論に至った訳だが……こんな状態で使ったら絶対に星辰は持たない。

 

「戦兎、さん……お願いです、ボトルを……!!」

「駄目だ、お前の身体が持たないぞ!?」

「フフフッ……パンドラパネルを使ってエボルトと心中しようとした戦兎さん、みたいにですか……?大丈夫です、だって天才物理学者の戦兎さんの発明だもん……」

 

そこには一点の迷いも曇りもない自分への信頼があった。如何してこの子はそこまで自分を信頼してくれるのだろうか、そう思う中でスマッシュと戦っている皆が苦戦しているのが見えた。其方にも加勢に行かないと不味い……そう思っていると赤い触手のような物が伸びて腰に付けていたそれを強引に奪い取る様に星辰の手にボトルを収めた。

 

「エボルトお前!!」

『さっさとあいつらの援護に行け、此処は俺と相棒に任せとけ。それとも戦兎大先生は自分の作品に自信がねぇのかな?』

「っ……分かった!!」

 

ビルドはそのままスマッシュ達へと向かって行く。体感的にはエボルトを相手にしてるような強さのスマッシュ、それに真っ向から対抗出来るのは恐らくジーニアスだけなのだろう。そして―――キルバスは自分が倒すという強い意志を持ちながら激痛が走る身体を持ち上げる。

 

「もう観念しろ、俺の毒はお前じゃ解毒できないんだぜエボルト」

『だろうな―――だから解毒はしねぇ』

「ほう、諦めたと!!」

「違うね……毒は、消し去る!!」

 

そう言い切りながらも星辰はエボルトリガーのボタンを押した。

 

〈OVER THE ―――HAZARD FEVER!!〉

 

「ギィィッ……グゥゥゥゥゥッ……」

 

エボルトリガーから溢れ出してくる活性強化剤(パンドライザヴェイパー)が直接星辰の身体へと打ち込まれていく、黒々とした光が次々と身体の中へと入っていく様は正しく異様。その力はパンドラボックス由来の物、ハザードトリガーのそれとは比較にならない筈だが、星辰はそれに耐え続けて行く。それによってハザードレベルは急速に上昇していく。エボルト、それ自身であるからこそ耐えられる荒業……そして遂にハザードレベルが到達したのか、握り込んでいたボトルに光が灯る。

 

「星辰、今だドライバーに!!」

 

戦兎の声が飛ぶ、だが言われずとも理解しているのか星辰は高らかに振り上げながらも勢いよくエボルドライバーへとセットした。

 

〈BIG BANG!!〉〈FEVER!!〉

〈GENESIS UNIVERSE!!〉

〈YEAH!!〉〈CHAO!!〉

 

レバーを回して行く毎に更に注入されていく活性強化剤、だがその苦しみも無い。ハザードレベルが上昇した事でその痛みが無くなった、そして自信の周囲を飛び回って光、それらは銀河いや宇宙を形作るようだった。その宇宙はこの新世界の象徴―――そして、真の意味での新世界誕生の祝い。

 

〈ARE YOU READY!?〉

 

覚悟の問いが行われる、それへの答えなんてとっくに出来ている……そう、答えは何時だって一つ。

 

「変身!!!」

 

その言葉と共に宇宙の輝きが星辰へと集って行く。その全身を包み込んでいく星々の力を一つに纏め上げながらも形作られていく、そして世界の色が数度変わりながら新たな宇宙が創造される。そうビッグバン、キルバスが齎す物が全ての物を無へと誘う破滅的なビッグバンであるならば―――自分はそれを越えて新しい世界を作る為のビッグバンだと言わんばかりの輝きを放つ。その身に宇宙を宿したその仮面ライダーは……

 

UNIVERSE'S STRONGEST CREATOR(宇宙最強の創造主)!!!!〉

EVOL BUILD(エボルビルド)!!〉

GREAT(スゲーイ)!! REALLY AMAZING(マジパネーイ)!!〉

 

そこに居たのはブラックホールフォームのエボルを基本としつつも、頭部にあるのは恐竜を思わせる瞳。だが肩や腕にはビルドのラビットフォームのホップスプリンガーを思わせる装備があった。装甲の色も赤めのピンク、エボルトの力を纏ったビルド……とも取れるその姿に万丈たちは驚き、戦兎は笑みを浮かべていた。

 

「あれが、戦兎が作った星辰の……」

「新しいアイテム……」

「それを使った姿……」

「そう、その名も―――!!」

 

「仮面ライダーエボルビルド―――見参!!!」



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97スレ

星辰「新世界の仮面ライダーエボルである石動 星辰は戦兎さん達と共にキルバスと対峙する。キルバスの毒に蝕まれるが、その時、戦兎さんが作り上げたアイテムが力を発揮し、エボルは新たな姿へと進化するのだった!!」

戦兎「その名も、エボルビルド!!凄いでしょ、最高でしょ、天っ才でしょ!!」

万丈「っていうかなんでビルドの名前入れてんだよ。何で星辰のボトル解析してビルドが混ざんだよ」

戦兎「あれだけ強力だとジーニアスボトル位の器じゃないと収まられねぇんだよ、それにいいじゃん破壊を齎すキルバスに対抗して創造の名を冠するビルドの姿で戦うってエモいじゃん!!」

万丈「何処がだよ唯目立ちてぇだけだろ自意識過剰なおっさんが」

戦兎「じゃあお前はどんな名前つけんだよ!!」

万丈「星辰とエボルトだろ、スターエボル」

戦兎「まんま過ぎるわ!!!」

星辰「えっと、長くなりそうなので皆さんは97スレをどうぞご覧ください」


そこは死穢八斎會の地下、迷宮のように入り組んでいる通路を進むのはエボルドライバーを装着しているマッドローグこと、渡我 被身子。彼女の忠誠は既にエボルト、いや星辰へと向けられておりヴィラン連合に入り込んだスパイとして活動しながら様々な情報を集めながら、ヴィラン連合の背後の科学者ですら解析不能のエボルドライバー、それを扱える唯一の存在としてその地位を高めていた。

 

「んっ?」

「どったのトガちゃん」

 

不意に声を上げた渡我に同じくヴィラン連合のヴィランのトゥワイスが声を掛けた。二人は同盟に近い約束を交わした死穢八斎會に出向していた。勿論目的は別にあるのだが……当人たちは気儘に過ごしている。そんな中、空を見上げるように通路の天井を見上げた。

 

「―――……成程、成程成程……トガ、分かっちゃいました……♪」

「何々、何が分かったの、気になる」

「私にとって―――大切な事ですぅ♪」

 

恍惚し切った表情を浮かべている渡我にトゥワイスは唯々首を傾げる他なかった。連合の中では一番仲が良いと言っても過言ではない二人、まあ取り敢えず問題事ではなさそうという事に安心する。

 

「取り敢えず、もうここは終わりですね。早く撤退しましょうか、隙を見て弔くん御所望のあれを取れば任務成功ですし」

「んじゃトガちゃん頼むよ」

「お任せです」

 

そう言いながらもその手にトランスチームガンを握ると壁を蹴破る轟音が聞こえたと共に煙を発生させ、それに乗じてトゥワイスと共に姿を消すのであった。そして、彼女が感じたそれは……波動、凄まじいエネルギーを生み出し新世界誕生を祝う創造主の誕生。それを彼女は感じ取った、そして自分の力が必要とされることが近いと思いながらも笑みを抑えきれずにいた。

 

 

 

 

「仮面ライダーエボルビルド―――見参!!!」

 

エボルとビルドが一つになったかのような姿の仮面ライダー、エボルビルド。エネルギーを常に生産し続けているのか、それはその全身から迸り続けており、空気とぶつかり合ってスパークしているのか周囲には稲妻のような光が走り続けている。だがキルバスはそれを見て大きな笑いを上げた。

 

「こいつは良い!!何て凄まじいエネルギーだ、こいつなら最高の、いやパンドラボックスを越えたパンドラボックスが生まれそうだなぁ!!」

 

いざ、エボルビルドをエネルギーへとする為に襲いかかっていくキルバス。最初から全力全力と言わんばかりに左腕を巨大な鋏へと変えながら攻撃する、空気を押し潰すかのような音が響くが、エボルビルドはそれを冷静に捌きつつも鳩尾へと肘打ちを入れる。よろめきながらも鋏で挟み潰そうとするが、今度は鋏を両手で受け止めると、そのままホッチキスを破壊するかのように思いっきり開いて分解してしまう。

 

「ぐああっ……!?ならば、本気を出すまでぇ!!」

 

そう言いながらも残っていた3体のスマッシュ、そして周辺に散らばっていた自らの細胞を再度取り込む。自らの力の分割を再統合する事で本気を出すキルバスは空へと舞い上がりながらも滑空するように飛び掛かって来るが、それを受け取めながら背負い投げを繰り出しながらも地面を蹴って自らも飛び上がった。

 

「おおっ!!!」

「っ!!」

 

瞬間的に投げ飛ばしたキルバスに追い付きながらも身体へと腕部に仕込まれた次元伸縮バネ、EVO-ディメンションスプリンガーが発動して瞬間的に腕部が次元を突き破りながら伸縮、傍からは伸びていない筈なのに数キロは伸縮したような凄まじい勢いを得ながらキルバスの身体へと一撃が炸裂する。

 

「キルバス、テメェが仮面ライダーなんかを名乗るじゃねぇ!!」

 

キルバスの身体を捉えたまま、伸びて行く腕。そして即座にそれを戻した刹那、エボルビルドの姿が消えた。次の瞬間にはキルバスの背後を取っており、今度は超高重力を纏った蹴りがキルバスの首を捉えた。鈍く重い音がキルバスの肉体から響き渡って来る―――が

 

READY GO!! KILLBUS SCORPION FINISH!!

 

「ぜええええらぁぁぁぁ!!!」

 

一瞬の隙、重々しい蹴りが決まった瞬間、エボルビルドの動きが止まった所をキルバスは見逃さなかった。その瞬間にエネルギーを開放すると肩から蠍の尾が脚へと向けて伸びると同時に再度出現させた鋏で掴むと鋏をロケットパンチのように射出、そして再びそれを自らの方向へと戻すとその勢いで迫って来るエボルビルドへと向けて強靭な毒針を持った右足で全力で蹴りつけた。

 

「これで、終わりだぁぁぁぁ!!!」

「ぐっ……ぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

蹴り抜かれたエボルビルドはそのまま吹き飛ばされ、クレーターを作り出しながら地面にめり込んだ。しかも蹴られた腹部は毒々しい色に変色しており、それは全身へと拡散し始めていた。

 

「あれって、まさかまた毒か!?」

「その通り!!だがもう手遅れだ、この毒を受けて無事だった生命体は存在しねぇ!!ハハハハッ!!これで最高のパンドラボックスが完成するぅぅぅぅ!!!」

 

喜びの雄叫びを上げているキルバスが視界に映る、もう勝った気でいる。だが実際この毒は凄まじい、呼吸どころか思考すら殺しにかかるほどの超猛毒。こんなものを体内に打ち込まれたらその時点で詰み―――普通の相手だったならば、星辰は冷静なままレバーを回した。

 

〈BULID SIDE!!〉

〈READY GO!! GENESIS FINISH!!〉

 

唸りを上げる胸部のジェネシスリアクター、全身から溢れ出すエネルギーを基にしながらも瞬間的に創造が行われていく。無数の数列の羅列が空中に浮かび上がるとそれらは胸部のリアクターに吸収されていくと、全身に拡散していく。そして、エボルビルドは何事も無かったかのように立ち上がった。

 

「な、なんだと!!?」

「これだけじゃねえぞ―――ラァァァ!!!」

 

更にエネルギーを放出するとキルバスの周囲に虹色に輝く無数のエボルビルドが出現した。

 

「うおお!?何だ分身の術か!?」

「いや、そんなちゃちなもんじゃない、あれもエボルビルドだ」

「おい如何言う事だ戦兎」

「まさか、自ら自身を創造したのか?」

 

取り囲んだエボルビルドはそのまま閃光になりながらも次々とキルバスへと襲い掛かっていく。通り過ぎ様にパンチやキックや斬撃といった様々な攻撃を続けて行く光は再び周囲を取り囲むと眩い閃光を放って消えるのだが、その光にキルバスが包み込まれている瞬間に再びレバーを回す。

 

〈EVOL SIDE!!〉

〈READY GO!! UNIVERSE FINISH!!〉

 

「ハァァァァッ……―――でぇぇえいやっ!!!」

 

 

ジェネシスリアクターが今度は真逆に回転し始めて行く、それによって今度は創造ではなく破壊的なまでの力を生み出して行く。そしてその力によってブラックホールを生み出しながらもその力で瞬間移動を行う。そしてキルバスの頭上を取りながらもその身をブラックホールで拘束しながらも瞬間移動を連続して行う、がそれによって疑似的な分身を行い左右から肘打ちと裏拳を頭部に炸裂、そして今度は真正面から三人目のエボルビルドが出現したそこへ重力波のビームを叩き込んだ。

 

「馬鹿な、こんな事が……何故この俺が、この俺が……人間如きに……!?」

 

キルバスには信じられなかった、この自分がエボルトに圧倒されている事実、そして……何よりも相手は人間だ。エボルトと共に生きる人間、それなのに自分が此処まで押されている事が受け入れきれなかった。

 

「エボルトもそうだがその侮りが、お前を追い込んだ」

『言ってくれるねぇ~……まあいいか、そういう事にしといてやるよ。決めるぜ相棒』

「ああ、決める!!」

 

〈BULID SIDE!!〉〈EVOL SIDE!!〉

〈WORLD SIDE!!〉

〈READY GO!!〉

 

最大限まで稼働するリアクター、それはエボルの性能を最大まで発揮する。エボル・ブラックホールフォームは最大で50倍の性能を発揮する事が出来る、同時にその倍率によって身体に掛かる負担も爆発的に増幅してしまうという弱点をビルドの力でその負担を無力化していく。爆発的に、際限なく溢れ出して天へと昇っていくエネルギー、それは空に宇宙を生み出し、エボルビルドはその空目掛けて飛んだ。そしてその宇宙の星の輝きをその身に受けるとそのまま彗星のような勢いでキルバスへと突撃していく。その身に一撃が炸裂した瞬間、星辰、ビルド、そしてエボルトの三人の姿が現れた。

 

「エボルトォォォォォ!!!!」

『何も分かってねぇなキルバス、相棒がいるからこそお前は負けたんだよ。あばよ兄貴、CHAO!!』

「これで、終わりだぁぁぁぁ!!!」

「ふざけるな、この俺が……この俺が……馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!???」

 

〈GENESIS UNIVERSE FINISH!!〉

 

三人の姿が再び一つとなり、エボルビルドへとなる。その勢いはキルバスにに向けて更に加速していく、膨大なエネルギーを受け続けるキルバスはその負荷に耐えきる事が出来ず、肉体が悲鳴を上げながら崩壊して貫かれた。身体にでかでかと開けられた巨大な穴、それを必死に塞ごうと手を当てるが……そこにはブラックホールが発生してキルバスの肉体を吸い込み始めた。全身が吸い込まれるとブラックホールは一瞬、大きく収束し、大爆発をエボルビルドの背後で引き起こした。

 

「俺は、愛と平和の為に戦う仮面ライダー……エボルだ!!」

 

その言葉を聞いた戦兎たちは思わず、変身解除をしながらも笑った。ああ、信頼できる言葉だ。あの子ならば絶対に……エボルの力をその為に役立てる事が出来る……そう思わせる程にその姿はカッコよかった。




エボルビルド

戦兎がダイナソーエボルボトルを解析して作り上げたジェネシスユニバースボトルを使用して変身したエボルの新しい姿(フェーズ)、言うなれば仮面ライダーエボル・フェーズ5。
星辰とエボルトの情報を受け止める為にジーニアスのデータも組み込まれた結果、リアクターが莫大なエネルギーを常に生産し続けており、それのエネルギーを用いて様々な物を創造、破壊する力を得た。


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98スレ

45:ヒロアカエボルト

も"っ~駄目、死ぬ、世界が回る……胃液が高まる、溢れる……

 

46:無法地帯の料理人

お、おおっ!?駄目だ、やめろイッチ!!

 

47:CC立香

それ以上(吐)気を高めるなぁ!!

 

48:大地の虎

落ち着けぇ!!

 

49:ヒロアカエボルト

出来ぬぅ!!!

 

50:『システム』

―――ヒロアカエボルトが一時離席しました。

 

51:DD風紀委員長

えっ何今の

 

52:ヒスイの調査兵

エボルビルドの変身する時に無理矢理ハザードレベルを上げまくった

反動だな。エボルトリガー使ってあげたらそうもなるわ。

 

53:ノアの神

( ̄▽ ̄;)

 

54:青春学園の熱血教師

おっ?また妖精がやってきたな

 

55:クトゥルフ系狩人

まあそんな顔にもなるわな。

 

56:ノアの神

( ー̀ωー́ )...(`・ω・´)

 

57:光の国の戦士

顔文字だけで何も喋ってない筈なのにやたらお喋りに思える……。

 

58:普通のカウンセラー

目は口程に物を言うとも言うし、顔だけでも案外わかるもんね。

 

59:『システム』

―――より、要請を受諾。検討中……検討中……承認。

―――ヒロアカエボルトに向けてギフトが配布されます。

 

60:円卓の鬼

おいまたなんかギフトが送られたぞ。

 

61:超次元中学生

でも、ギフトって言われた直後にいきなり戦兎と万丈に遭遇したんだよな。

しかも絡み方が完全にヤーさんとかいう。

 

62:IS世界のメンタルセラピスト

それ、本当にギフトになってる?

 

63:ノアの神

!?{( ̄□ ̄;

 

64:『システム』

―――ヒロアカエボルトが復帰しました。

 

65:ヒロアカエボルト

失礼しました、戻りました。

 

66:纏め役の転生者

戻って来たか、大丈夫か体調は。

 

67:ヒロアカエボルト

身体はまだ怠かったり疲労感が凄いですけど、精神面が急に楽になりました。

あっ妖精さんの御利益だったんですね、有難う御座います。

 

68:ノアの神

(❁´◡`❁)

 

69:普通のカウンセラー

ご満悦ね……。

 

70:CC立香

というか、イッチが珍しく礼儀正しくて敬ってくれるから嬉しいからって

ギフト簡単に与え過ぎだよ?

 

71:纏め役の転生者

まあ強く干渉しすぎないように留めてるからか、吐き気を取るだけにしたのは

英断だったな。やり過ぎると面倒なのが湧くからな。

 

72:IS世界のメンタルセラピスト

何で御二人はそんなに強気出られてるの、俺この前離脱許されなくて

白い空間に拉致られて3時間ぐらい身動きできない状態で凝視され続けたんだけど。

 

73:纏め役の転生者

自業自得だ。俺とCC立香長い付き合いだからな。

この掲示板にもよく顔を出していた転生者だ。

 

74:ヒロアカエボルト

えっ妖精さんって転生者何ですか!?

 

75:普通のカウンセラー

マジかぁ……でもなんか薄らコテハンが見えそうで見えないのよね……

 

76:クトゥルフ系狩人

シャイか?

 

77:超次元中学生

シャイ☆

 

78:無法地帯の料理人

ファル子はフラッシュに恋愛指導されて、どうぞ。

 

79:CC立香

まあそれは何れ話して上げるよ、というか好い加減に話せばいいのに。

此処には君と同じ立場の子多いし。

 

80:纏め役の転生者

それでイッチ、キルバスは倒せたんだよな。

 

81:ヒロアカエボルト

ええ、確実に倒しました。戦った異空間は戦兎さん達だけを連れてワープで

元の世界に帰還してから消滅させましたから。それと全部終わった時には

死穢八斎會へのカチコミは終わってました。

 

82:DD風紀委員長

あら、終わっちゃったのか……残念だな。大活躍できそうなのに。

 

83:普通のカウンセラー

寧ろ、行っちゃったらオーバースペック過ぎてやばいわよ。

 

84:ヒスイの調査兵

んで、如何だったんだ?主にナイトアイは。

 

85:ヒロアカエボルト

ミルコさんが参加してくれたおかげで、相手の目論見の大半が狂った

ってリューキュウが言ってました。

 

86:青春学園の熱血教師

おうふ……流石だなミルコ。

 

87:クトゥルフ系狩人

んでその後は?

 

88:ヒロアカエボルト

八斎會のボスは緑谷君が倒したそうです。重症者もいるそうですが

死者は0。無事に壊理ちゃんも保護できたそうです。

 

89:CC立香

おおっヒーロー大勝利~!!

 

90:DD風紀委員長

そ、それでナイトアイは生きてるのか!?ミリオの個性は!?

 

91:超次元中学生

えっどういうこと?

 

92:普通のカウンセラー

原作だと、此処でナイトアイは死亡でミリオも個性破壊弾の完成品を受けて

個性が無くなっちゃうのよ。

 

93:無法地帯の料理人

結構ヘヴィだぜ、こいつぁ……

 

94:ヒロアカエボルト

お二人ともご無事です。ああでもナイトアイは入院してます。

何でも、危ない所をミルコさんが助けたけど、その助け方が蹴ったから骨折したそうです。

 

95:ヒスイの調査兵

嬉しい、嬉しいけどさぁ!!

 

96:普通のカウンセラー

ミルコェ……

 

97:大地の虎

なんか凄い事になってるすねぇ……

 

98:ヒロアカエボルト

まあ、俺がエボルビルドになったり、本当にね……。

 

99:IS世界のメンタルセラピスト

まあうん、大変だったなイッチ。

 

100:エボルトヒロアカ

まあこれでキルバスの心配はいらなくなった、後はダウンフォール位か

 

101:DD風紀委員長

そうだ、グリスパーフェクトのもあったか。

 

102:普通のカウンセラー

でも、ヒーローが浸透してる世界なのにテロなんてやるのかしら。

 

103:CC立香

分からないよ~何せガーディアン装備の怪人の事もあるんだから。

 

104:ヒロアカエボルト

そう言えば、そっちはまだ全然分かって無かったなぁ……

 

 

「まだまだ先は長い、か……」

 

ベットの上に寝っ転がりながらもその手にしたジェネシスユニバースボトルを見つめながら星辰は溜息を漏らす。

 

『そのボトルはお前の物だ、お前ならそれを正しい事に使える。頑張れよ、仮面ライダーエボル』

「戦兎さん……恥じないように、頑張ります」



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99スレ

「ヴァアアア……」

『まだ体調悪いのかよ相棒、まあ俺としてもあんな使い方は完全な想定外だからな。こうなってもしょうがないだろう』

 

無事に壊理ちゃんも保護された事で死穢八斎會の事件が解決、星辰はナイトアイから受けた特別任務を無事に終わらせる事が出来たという事になっている。が、現在はエボルビルドに変身する為に急激に上昇させすぎたハザードレベルの反動に苦しんでおり、授業を休んで部屋で養生をしていた。

 

「気分はだいぶ良くなったけど、まだまだ体調は優れねぇな……疲れが全然とれねぇ……」

『今回は随分と無茶をしたからな、まあ明日になればマシにはなるだろ』

「ったく軽く言ってくれるなぁ……」

 

そう言いながらもベットの近くに置いてあったボトルを手に取る。ジェネシスユニバースボトル、この新世界の力を守る為の力、自分だけのエボルを生み出すビルドの力が一つになったボトル。

 

「だけど、こいつは普通のヴィランには使えないな……強すぎる」

『ミンチよりひどい事になる事は保証してやるよ』

「ンな事保証すんな」

 

そもそも今回、怪人態の細胞を吸収した事もあってエボルのスペックはかなり上昇してしまっている。これからは一層気を付けて運用を心掛けなければいけなくなってくる。そう思いながらもベットから起き上がるとノートを取り出して、ページを開いてそこにペンを走らせていく。それを影から実体化するように見つめるエボルトは感心するような声を上げる。

 

『上手いもんだなぁ』

「昔から絵が上手い奴に憧れがあってな、だからコツコツ練習してたって訳」

『こんだけかければ上等だろ』

 

そう言われながらもノートに書かれたのは仮面ライダーエボル。フェーズ1、コブラフォームの姿、胸を張り、肩幅程度に広げた両足、拳を握り締めている、肘を軽く曲げているなど設定画的な感じに仕上がったイラスト。

 

「コブラフォーム、エボルの基本フォーム。毒やらも使えるが基本的にオールマイティ、空も飛べればエネルギー攻撃も可能」

『俺からしたら馴染み深い姿だな、まあ2%程度しか出せねぇ姿でもあるけどな』

 

今出来る事は極めて少ない、だが自分のレベルが上がった事でエボルの力は大幅に上がっているので改めてそれを書き出し、強く意識しようとしている。戦兎が認めてくれた仮面ライダーとして恥ずかしくないようになるために。

 

「トランスチームガンにライフルも忘れないようにっと……他のボトルとかないだろうな?」

『他のってなると別世界のライダーのボトルになるぞ、それこそ俺だけじゃ無理だ』

「だよな……となると、此処の辺りで」

 

次はドラゴンフォーム。能力は超高温の炎の生成、そしてそれらを用いた近接戦闘が本領。

 

「戦闘力の分析や格闘能力の強化、純粋な戦闘に特化した仕様だな改めて見ると……様子見でドラゴンフォームは十二分にありか」

『つってもこれはこれで十分過ぎる位に強力だけどな、轟の奴がこれの打倒を目標にしてるらしいじゃねえか』

「打倒というかリベンジだな、これを超えられれば問題ないレベルに炎を使いこなせたっていういい指標になってるから」

 

時折、焦凍との戦いにも付き合ってる星辰。その時にはドラゴンフォームの炎をどうやって対処するか、そして自分の炎と氷でそれらをどうやって突破するかを考えながらも戦っている。その影響もあるのか、炎と氷を同時に扱いながらも戦えるようになり始めている。

 

「んで、俺のフェーズ3のダイナソーフォーム」

『ったく戦兎に乗り移った時もこんな風に進化してくれりゃあよかったのによぉ』

 

ぼやくエボルトを他所にダイナソーフォームの絵を描く。こうして見るとフェーズ4の前段階というのが本当に分かりやすい、EVOベクターローブの有無が重要なのだろう。

 

「そしてこいつはシンプルな強さが特徴、コブラみたいな毒は扱えないしドラゴンの炎は出せない、言うなればオールマイトみたいなもんだな」

『合ってるのかそれ?』

 

だが分かりやすく言えばそうなる。肉体的なスペックの高さを誇るのがダイナソーフォームの特徴、単純なスペックで言えばブラックホールフォームを超えている、これより上を出すならばエボルビルドしか存在しない。逆に言えばこれこそが自分の本当の持ち味という事になる。

 

「んでラビットフォーム、か……」

『俺はこいつ嫌いだな』

 

そんな事を言うエボルト、やはり進化しようと思ってこれになった事が相当に苛立っているらしい。索敵能力や機動面では他の追随を許す事は無いが、単純な攻撃能力は全フォーム中でもワーストであり、パンチ力に至ってはコブラフォームを下回っている。それでもミルコに対応可能な唯一のフォームである。

 

「あんま毛嫌いしすぎて、使い時になって拒否とかマジすんなよ」

『ヘイヘイ』

「んで次はタンクとロックか」

 

そう言いながらも手早くタンクフォームとロックフォームを描いて行く。星辰からすればこれは設定的には存在はしていたが、本当に変身する事になるとは思わなかったもの。だが、その使い心地はかなり良好でどちらもかなり気に入っている姿。

 

「射撃に長けた防御型の万能フォーム、無限軌道を活かした高速移動も可能。流石戦兎さんの初期フォームの片割れ、万能だ」

『まあ戦車だからな、この位出来ねぇと寧ろ詐欺だろ』

「んでロックは超防御型で機動面も最底辺、だが自在に伸びる鎖で相手を拘束、個性を封じたりも出来るから一番テクニカルなフォームかもな」

『俺は好きじゃねぇな』

 

射撃の命中や威力に補正が掛かるタンクフォーム、かと言ってスピードや防御面にも隙は無い。そして圧倒的な防御力で攻撃を防ぎ、カウンターで相手を拘束して無力化するロックフォーム。こうしてみると本当にエボルは出来る事の幅が余りにも広いのだと思い知る、そしてこれよりも更に出来る事が多いビルド。

 

「んでブラックホール……そしてエボルビルドか」

 

並び立つ二つのフォーム、仮面ライダーエボルの完全体とも言うべきブラックホールフォームとその発展型とも言うべきエボルビルド。その特徴はやはりブラックホールを自在に操り、ワープさえも自由に行って宇宙空間でも活動が出来るという圧倒的な点。そしてそこにビルドの創造の力が加わった事で、あらゆるものを創造する力を得たエボルビルド。やろうと思えばライダーの複製を作り出す事も出来る。

 

「……こんな所か」

『これだけあれば何がこようが問題はないだろうな』

「そう思いたいが……」

『あのガーディアン装備が気になるか』

 

これだけの力を得たとしてもやはり不安は付き纏い続けている、結局戦兎に話を伺っても答えに辿り着く事なんて出来なかった。考えられるのは……ダウンフォールが一番有力なのかもしれない。

 

「……まあ、どんな奴だろうと、相手にはなるつもりだがな」

『その意気だぜ相棒、それでこそ仮面ライダーエボルだ』

「よく言いやがるよ全く」

 

そう言いながらもノートを閉じる星辰の表情には笑みが零れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「成程……確かにこのデータは興味深い、だが余りにも次元が違い過ぎて解析が出来ないか……ならレベルを下げるとしよう、適応出来る装備ならば問題は無い」

 

そんな言葉を呟きながらキーボードを叩く影があった。その影は不敵な笑みを浮かべつつもコードが繋げられているデバイスへとデータを打ち込み続けて行く。そのデバイスは……何やら引き金のような形をし、何かに既に接続されていた。そしてデータの入力が終わると、影はそれを手に取った。

 

「フゥム……この段階でもデータは取っておきたいな、さてと狙うべきはヒーローか、それとも……ヴィラン連合か。此方に利がある方を選ぶとするか」

 

そう言いながらも影は椅子に背中を預けながらも画面に映し出されている映像へと目を向けた。そこには―――エボルが映し出されていた。

 

「お前がどれほどの高みにいるかは知らないが、俺はお前を引きずり落とす。俺が頂点だ」

 

そんな言葉を口にする男の右顔面には―――悍ましい火傷の跡が残っていた。



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100スレ

「……んっ今日のは中々悪くないんじゃない?」

「……まあ46点って所かな」

「ちょっと自分に厳しすぎない?」

「父さんの珈琲を基準にしたらこうもなるよ」

 

珈琲の香りが充満している空気を喚起する為に窓を開ける、そよいでくる風が心地よく肌を撫でる。自分の淹れる珈琲はまだ嫌いだが、この瞬間は好きだ。そう思いながらも自分の珈琲の採点をする。大分飲めるようになっているが、まだまだ不味い。響香曰く美味しくなっているらしいが、惣一の珈琲で舌が肥えている自分からすればまだまだ不味い。個人的にはインスタントの方が美味いのではないか、とすら思える。それは言い過ぎだと響香には怒られている。

 

「にしてもこの前の死穢八斎會の時は、星辰居たらもっと楽だったのかな。いや星辰が他の事やっててくれたからあれだったのかな」

「さあ、俺からしたら八斎會の方が分からないから何とも言えないからよ」

 

苦笑いを浮かべつつも誤魔化す。病院にナイトアイのお見舞いに訪れた時、ナイトアイは心から胸を撫で下ろしたと言わんばかりに息を吐いていた、それだけ自分の事を心配してくれていたという事だろう。

 

『兎も角君が無事だった事を喜ぼう、そしてそちらの方は何とかなったのかな』

『決着は着きました』

『そうか、それを聞いてほっとしたよ……君の事は私からも手を回してあるから安心しておきたまえ―――どうやら君が憧れるヒーローに会えたようだな』

『ええ、俺にとって最高のヒーローです。オールマイトだって敵わない位のね』

『それはいい。そうだ、個人にとっての最高のヒーローとは何者にも勝てないものだ、例えるならば夫が妻に勝てぬようにね』

 

それを聞いて思わず笑ってしまった、自分の笑みを見てナイトアイも笑っていた。ユーモアを大切にするナイトアイにとって、自分のトークで相手の笑顔を引き出した事は最高の報酬とも言える。

 

「んで星辰はどんな事やってたの?」

「あ~……ヴィラン退治、かな。最低最悪の」

「あ~成程、そっちがこっちに来ないように抑えててくれたって事なんだね。星辰がそういうって事は相当にやばい相手だったんだろうね……」

「うん、やばかったよ」

 

即答で返事をしてしまう。実際間違っていない事は言っていないので問題は無いのだが……取り敢えずボロが出ないように気を付けようと決意するのであった。

 

「にしても緑谷がマジで凄かったんだよ」

「緑谷君が?」

「そっ、ウチらは外でリューキュウと一緒に待機してたんだけど地面突き破って馬鹿でかいヴィランと一緒に飛び出してきたと思ったらそのままとんでもない殴り合いだよ。しかも背中には壊理ちゃんを乗せたままだったんだけど、なんか個性が暴走状態だったとかで相澤先生が個性を消してなかったらマジでやばかった状況でマジでカオスだよ」

 

話を聞くだけでも相当にとんでもない話のように聞こえる。曰く、壊理ちゃんの個性は巻き戻し。触れた生物を中心に、対象を過去の構造へと修復する個性。これだけを聞けばリカバリーガールの治癒の上位互換のような回復系の個性にも聞こえるのだが……この個性こそがミルコも受けた個性破壊弾の大本、つまり、この個性は対象の時間を戻す事も出来る。個性が発現する前の人類に戻すというのが個性破壊弾の本質であったとの事。

 

「それで緑谷の奴、その個性を発動させて貰いながらも常に身体を壊しまくってたんだって」

「なんつう滅茶苦茶な……」

 

緑谷の個性は全開で使えば確実に身体を壊す、だが壊れていく身体を修復して貰う事で戦っていたとの事。恐らく緑谷でないと絶対に出来ないような戦闘に流石の星辰も絶句した。

 

『あの小僧馬鹿だな……ストッパーいねぇとマジで自滅するタイプだな』

「(お前はそういう奴を破滅させるタイプだな)」

『ご名答!!』

 

「身体の方は大丈夫な訳?」

「リカバリーガールからは今日一日安静にしてれば問題ないってさ、明日は日曜日で休みだからもっとのんびりさせて貰うよ」

「そっか、んじゃウチはこのままこの部屋に居座っても問題はない訳だ」

「居座るって……いるのはいいけど流石に夜は戻らないと先生に怒られるよ?」

「上手くやるよ」

 

悪戯っ子のような笑みを浮かべる響香に肩を竦める事しか出来ない。あの時から自分の中にある彼女への反抗心というか、抵抗心という物は完全に折られている。故に彼女がそうしたいならば自分は頷く他の選択肢を持ち合わせていないのだ。

 

「んじゃ今日は俺の部屋でご飯食べる?父さんが自家製餃子を送ってくれたんだよ」

「自家製の餃子か、ウチ食べた事ないからちょっと楽しみ。そもそも餃子って作れるんだって所からだし」

「いやいやいや餃子の皮位は見た事あるでしょ?」

「あるけど、なんかピザモドキにばっかりしてた記憶がある」

 

そんな話をしつつも午後のティータイムは進んでいくのであった。そして宣言通りに夕食を部屋で一緒に取った後、研究の為に珈琲を一杯入れた後にそろそろと寝る準備をするかと着替えを行った頃の事……窓がノックされた。何事かと思ってカーテンを開けてみると―――そこには響香の姿があった。思わず椅子から転げ落ちてしまった、それを笑われるが、直ぐに窓を開ける。

 

「いや何やってんの!?」

「何って決まってんじゃん、泊りに来たの」

「だからってなんちゅう方法で……」

「女って男が思うより強いんだよ」

「よく知っております」

 

だが此処までするのか……と思いつつも彼女を部屋の中へと招き入れるのであった。が、此処である事に気付いた。ベットは一つしかない、一応布団はまだあるので自分が床で寝ればいいのかと思いつつもしまってあった布団を出そうとするのだが―――

 

「何やってんの」

「えっ床で寝る為の準備ですけど」

「ウチと寝るのそんなにやなの?」

「え"っ!?」

 

思わず声が濁った。この子は何を言っているのだろうか、本当に何を言っているのだ。嫁入り前の身で何を堂々と同衾すると言っているのだろうか。

 

「いやいやいや一緒になって寝られないよ!?俺が床で寝るからベット使って!!」

「それならウチも床で寝る」

「なんでさ!?」

「寧ろそっちが何で、何ウチと寝てそんなに困る訳?それともそんなに嫌なの、ねぇ、そんなにウチと寝たくないのねぇ答えてよ」

 

と一瞬で瞳が暗くなって詰め寄って来そうになる響香にこれはまずいと思いながらも弁解する。

 

「そ、そうじゃないよ!?だって、男女がそう簡単に一緒に寝ちゃまずいでしょって言ってるんだよ!?」

「大丈夫でしょ星辰となら。それとも、ウチを襲う気でもあるの?」

「め、滅相もございません!!」

「そこは多少なりとも含めろ、即答でそう言われるのもなんか傷つく」

「(えっ~何でぇっ~!?これが乙女心なのかぁ!?)」

 

と、結局一緒のベットで寝る事になってしまった星辰。流石に背中を向けておくのだが……同じ布団の中に女子が居る事が気になって全く眠る事が出来ない。既に彼女は寝たのだろうか、起きているのだろうか……もう気になって眠気なんて感じもしない。

 

「ねぇっ星辰、起きてる?」

「い、一応起きてます」

 

そんな時に声を掛けられてしまった。

 

「ごめん、いきなりこんな事しちゃって……迷惑だったよね」

「ああいやその……まあ少しは……」

「……でもさ、ウチはこうしたいの」

「っ!?」

 

そう言いながらも響香は星辰へと近寄るとその背中に抱き着いた。背中に感じるささやかな膨らみの柔らかさに頭の中がバグりそうになりながらも必死に理性を繕う。そんな星辰に向けて語り続ける。

 

「あの時、電話した時にもしかしたらもう会えないんじゃないかな……ってバカみたいな事思っちゃった、だから凄い不安だったんだ……だから、こうして少しでもアンタを感じたい……この世界に一緒に居るんだって思いたいんだ、我儘みたいだけど、うちは本当にそう思ってる……だから……居なくならないでね」

「―――っ……」

 

その言葉を聞いて思わず、星辰はキルバスとの戦いで考えていた事を見抜かれていたのかと驚いた。自分は必要であるならばエボルトリガーを臨界突破させてキルバス諸共消滅する覚悟だった。結局、それは不発に終わったが……やはり、女性というのは怖い存在だと感じた。そしてそんな思いをさせてしまった事に罪悪感を覚えつつも、返答する。

 

「大丈夫だよ、俺は何処にも行かないから。いざって時は……一緒に何処かに行っちゃおうか」

「なにそれ駆落ち宣言?でもそれもいいかもね……そんな事があればいいとは思わないけど、一緒に居れたら……良いね」

 

そんな言葉を掛け合いながらも夜は更けていった。気付けば二人はそのまま眠りに落ちていた……そして早朝に、相澤にばれないように響香は部屋へと星辰は送るのであった。

 

「今度はウチの部屋に泊まってね」

「いや流石にそれはまずいでしょ……」



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文化祭編
101スレ


「それで、お前が新しい姿になれると聞いた」

「はい。まあなんというか新しいフェーズというか、発展と言ったらいいのか分かりませんが……ぶっちゃけ、この力は軽々しくは使えないレベルに」

「言うなれば緑谷の全力クラスか」

「ンな所です」

 

再び、訪れた日常を謳歌している星辰に相澤がそんな事を訪ねて来た。エボルビルドには戦兎からリミッターを施して貰い、任意での解除が出来るようにして貰ったとはいえおいそれとは使わない方がいいと言われている。概要については相澤は資料を貰っているがそれには驚きを隠せなかった。そしてそれだけの力を持っているならば頼む事が出来るかもしれないとある話題を切り出した。

 

「……お前に頼みがある」

「俺に、ですか?」

「ああ」

 

 

 

 

「やっこんにちわ壊理ちゃん」

「え、えとえと……こんにちわ」

「はいこんにちわ」

 

相澤からの頼み、それは死穢八斎會から救助した少女、壊理ちゃんの相手という物だった。彼女の個性は巻き戻し、現状では使う事は出来ないらしいが同時に暴走のリスクも否定できない。故に訓練も軽々しく行う事が出来ない―――そこで白羽の矢が立ったのが星辰であった。

 

「この人は俺の後輩の星辰君っていうんだよ、これから壊理ちゃんに良い物を見せてくれるっていうんだ!!」

「良い物?」

「そう、良い物」

 

壊理ちゃんとのそれなりに仲が良いらしいミリオが中継役となって雄英の一角を借りて顔合わせを行う事になった。そして良い物を見せると言いながらもエボルドライバーにエボルトリガーを接続すると直ぐにジェネシスユニバースボトルを装填する。

 

〈OVER THE ―――HAZARD FEVER!!〉

〈BIG BANG!!〉〈FEVER!!〉

〈GENESIS UNIVERSE!!〉

〈YEAH!!〉〈CHAO!!〉

〈ARE YOU READY!?〉

 

「変身!!!」

 

UNIVERSE'S STRONGEST CREATOR(宇宙最強の創造主)!!!!〉

EVOL BUILD(エボルビルド)!!〉

GREAT(スゲーイ)!! REALLY AMAZING(マジパネーイ)!!〉

 

「うわぁっ……」

 

目の前で行われた変身、それは天井の星々が人の形を成して行くかのような奇跡を体現したような物。新しい宇宙その物となったかのような輝きを纏ったそれは、エボルビルドの姿となってノリノリでポーズを取りながら壊理ちゃんにアピールを行う。

 

「これは本当に凄いね!!」

「フフン、さてとこれより私がお見せ致しますのは君の吃驚と喜びに御座います」

 

そう言いながらもビルドの決めポーズを取って楽しげな雰囲気を作り出しながらもレバーを回すのであった。

 

〈BULID SIDE!!〉

〈READY GO!! GENESIS FINISH!!〉

 

創造の力を起動させながらも全身からエネルギーを脈動させていく、そしてそれらを両手に集めて行く。煌びやかな光がエボルビルドの両手に纏われていく、そしてそのままエボルビルドは壊理ちゃんの前に腰掛けながらも頭部の装甲を解除し、笑顔を見せながら指で輪を作る。

 

「壊理ちゃん、此処にフ~って息を吹き込んでみてくれないかな?」

「ふ~?」

「そう、フ~フ~って」

「やってみようよ壊理ちゃん」

「……フ~」

 

思わずどうしたらいいのか分からず、ミリオに視線を向けると優し気な笑みを浮かべたまま頷いた。それに促されるように指の輪っかへと向けて息を吹きかけてみた。すると指から光が膨らんでそのまま空へと浮かび始めた。まるでシャボン玉のようにフワフワと浮遊するそれは太陽の光を受けると更に煌びやかな光を放ち始めた。

 

「おおっこりゃまた……」

「先輩もどうぞ、時間が経つ程に性質が変化していきますから同じ物できませんよ」

「そりゃ不味い!!壊理ちゃんとお揃いの物を―――ブッフウゥゥゥウ!!!!」

「あああちょっと強すぎぃ!?」

 

全力で息を吹きかけた結果、勢い良く膨らんでいった光は超巨大なモノになって空へと登っていく。中央には光の渦の流れが生まれ、まるで銀河のような光景を空へと生み出した。壊理ちゃんのが小さな流れ星の輝きのようなもの、お世辞にも同じ物とは言えない。

 

「あ~あ……」

「アハハハッいやぁごめんね、でもこれはこれで良くない!?プラネタリウムみたいだ!!」

「まあ否定しませんけど……如何かな壊理ちゃん」

 

これ如何かなと思ったのだが、そこには瞳を輝かせて青空の下に生まれた星空という幻想的な光景に言葉を失いながらも魅入っている壊理ちゃんの姿があった。

 

「すっごい綺麗……ピカピカのキラキラでグルグルしてる……」

「もっとやる?」

「うん、やりたい……!!」

 

初めて年相応の少女らしさを見せてくれた、此処までの反応はミリオでも初めてだった。子供らしい好奇心、それをエボルビルドの創造の力が猛烈に刺激して一歩前へと連れ出した。これまで見せなかった一面へと踏み出す扉をビルドしてくれた。

 

「どんどん、昇っていく……」

「いやぁもう凄いねこの光景!!プラネタリウムも商売あがったりだね!!」

「さてさて、これから―――だよ!!」

 

そんな風に言いながらもワザとらしく後退りながらもエネルギーを星空へと投げた。エネルギーは閃光となって星空へと向かい、惑星のように漂っていたシャボン玉を通り抜けて銀河へと溶けて行った。

 

「みててご覧、これからお空にお花を咲かせるからね」

「お花?」

 

その言葉の直後、浮き上がっていたシャボン玉が一気に収束し始めた。それ自体はエボルビルドが生み出したエネルギー体、それは新しい刺激を受けて急速変化し始めて行く。そして限界まで収束すると―――それは光の帯を無数に生み出しながらも星空に花を咲かせる。視線を釘付けにする程の光の奔流。次々と生み出されて光の花、そして最後には……ミリオの作った巨大な銀河が大きな花束へと変貌しながらも青空を美しく彩っていく。

 

「凄い、凄いよ石動君!!サーにも見せてあげたいぐらいだよ!!」

「お褒めに預かり恐悦至極、さて、壊理ちゃんは如何だった?」

「―――キラキラのピカピカで、凄くキレイでビックリ……」

 

目を丸くしながらも思わず座り込んでしまった壊理ちゃん、如何やら彼女には別の意味で刺激が強くあり過ぎたらしい。残念ながら笑顔を作り出す事は出来なかったが……大きな感動を与えてあげる事は出来た。

 

『おい相棒、これ如何考えてもジェネシスユニバースボトルの無駄使いだろ。戦兎だって呆れるぞこの使い方』

「(それはねぇよ、だってこういう事をするのが戦兎さんの目指す仮面ライダーでもあるんだからな)」




文化祭編への向けて、その1


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102スレ

「悪いわねエボル、丸三日も付き合わせちゃって」

「気にしないでください、すべきことを成しただけっでしょ?」

 

逢魔が時、雄英の校門前に車が止まった。運転席に座っているのはリューキュウ、そして助手席には星辰の姿があった。再度インターンの為に雄英を出発したのだが……追っていたヴィランが振動を増幅させるサポートアイテムとなる巨大な機械と一つになって襲いかかって来た。それ自体は何とかなったのだが……それによって引き起こされた山一つを崩すような大震動、それによって麓の集落が山一つを崩した土砂崩れに呑まれそうになった、のだが―――

 

〈EVOL SIDE!!〉

〈READY GO!! UNIVERSE FINISH!!〉

 

『させるかぁぁぁぁ!!!』

 

即座にエボルビルドへと変身して、ユニバースフィニッシュを発動。土砂崩れの先に無数のブラックホールを創造するという荒業を発動、それによって麓の集落の崩壊は免れたが、山その物がかなり不安定な状況になってしまった為に集落全体の避難をせざるを得ない事態となった。その為に作業や度々発生する土砂崩れへの対処の為に星辰はフル稼働し続けていた。ブラックホールフォームでは此処まで細やかなコントロールは出来なかったので、改めてこのボトルを貰ってよかったと心から思うのであった。

 

「あの山、如何するんですかね……」

「元々酷く寂れた山だから問題は無かったそうよ、土を操作できる個性持ちのヒーロー達が上手い事やってくれるわよ」

「そうですか……それじゃあ、態々送っていただいてありがとうございました」

「寧ろこの位しか出来なくてごめんなさいね、お詫びという訳じゃないけど貴方の分の報告書はこっちで上げておくから暫くはじっくり休むのよ。そろそろ文化祭でしょ、そっちに集中しちゃっていいから」

 

そう言いながらもウィンクと投げキッスで労いを向けながらも車を出して行くリューキュウを見送りながらも星辰は今までひた隠しにしていた疲労を表に出しながらも、寮へと向かって歩き出して行く。

 

「ハァァァァァッ……疲れたなぁ……ブラックホールフォームじゃ出来ないとは言え神経使う現場だったぁ……」

『いっその事、山全部飲み込めば良かったんだ。あんな器用な真似する位ならよ』

「そうは言うけど、あの山には採掘現場があったんだぞ。それを無くしたら集落の収入源の一つが無くなる」

『それで命が助かるなら安いもんじゃねぇか、このご時世に他の仕事がねぇなんてふざけた事はねぇだろ』

 

そんな意見をぶつけ合いつつも、漸く寮の扉へと手を掛けて開けると―――大広間で何やらA組の皆が話し合っている姿があった。

 

「何だ皆、如何したんだ集まっちゃって」

「あっ石動が帰って来たよ~!!」

「よかった間に合って、このままでは君の意見を聞かぬまま出し物を完全決定させてしまう所だったよ!!兎も角、お疲れさま!!」

「ああうん、とりまなんの話か聞かせてくれない?」

 

如何やら自分がインターン活動に出ている間に文化祭の出し物が『生演奏とダンスでパリピ空間を提供する』という事に決定したらしい。これまで、良くも悪くもヒーロー科は他の学科への干渉が強く出ていた、今回の文化祭はそれに影響して規模を縮小して行われることになっている。そんな自分達が出来る事、他の学科のストレス解消の一助になる企画という事でそれになったらしいのだが……普通科などは一方的に自分達を振り回している癖に何を勝手な事を……というスタンスを取っているらしい。その事も踏まえて、自分に意見を聞きたいのだという。

 

「成程ね……俺個人としては皆がそれをやりたいならやるべきだとは思う、まあその一方で一言―――なんで戯言に振り回されてる訳?」

『なんかすっごい辛辣な意見来たぁ!!?』

 

まさかの発言に皆が驚いた。何故ならば、それは爆豪と全く同じ意見だからである。そして普通科の事を聞いて怒りを感じる。

 

「だってそうでしょ。何がヴィランに襲われた癖にだよ、その癖に林間合宿行って怪我してだよ、こちとら好きでそうなった訳じゃない。俺は殺されそうにもなったし悪の帝王にも面談する羽目になった、随分とふざけた事を抜かすね普通科の連中。そもそも林間合宿行くって決めたのは先生たちだからそっちにも文句言え」

 

そう、普通科らは振り回されていると主張するが最も事態に翻弄されたのはヒーロー科なのである。そして星辰に至ってはヴィラン連合によって拉致された一番の被害者。そんな彼からすれば普通科の主張は筋違いとしか思えない。

 

「い、いやしかし」

「だったらいいよ、俺がこれから普通科の寮に行って来て頭下げて来るよ。俺が林間合宿で死に掛けて拉致られたせいで文化祭が縮小されてすいませんでしたってね―――つまりこういう事だよ、そいつらが望んでるのは……なぁ爆豪」

「だろうなァ、んでそれで許すかよクソがっつう風にほざくに決まってる」

 

それを言われてしまうと何も言えなくなる、だがこれをやると普通科の立場はより一層悪くなって、関係が悪化する事間違いなしとエボルトは語る。納得の説得力だと星辰が思う中で一つの答えを出す。

 

「爆豪も分かってると思うけどさ、やるべき事はそんな普通科に頭下げる必要なんて一切なし!!」

「つまり―――」

「雄英全員、音でヤるぞ!!」「全力で楽しんで、圧倒する!!」

 

同じ意見に二人は僅かに口角を持ち上げた。爆豪は文句の出ないクォリティで反対派の意見を完全に捻じ伏せて屈服させるという意、星辰は自分達が全力で楽しんでそれに巻き込んで圧倒すればいいという意。細かな違いこそあるが、概ね二人の意見は合致している。その言葉にA組からは歓声が上がる。

 

「うおおおおっまさかの二人の意見が合致したぁ!!」

「まさかすぎる!!まさかの二人だ!!」

「うるせぇぞなんか文句あっか!!」

 

一先ず、何とか方向性自体は纏まる事が出来たので『生演奏とダンスでパリピ空間を提供する』に向けての話の煮詰め合いが行われることになった。其処へ補修を終えた緑谷達も合流していよいよ素晴らしい内容になろうとした時―――肝心の曲の配分、メインのボーカルなどは如何するかとなった時の事だった。

 

「それじゃあボーカルは如何するかな……」

 

音楽を趣味としている響香が中心になって話を進行しようとした時―――とあることが麗日から放たれた。

 

「えっ耳郎ちゃんと石動君じゃないの?」

「ええっ!?」「えっ俺?」

 

放課後などに楽器やらを教わっている時に歌声が良かったという理由での響香の氏名は何処か納得出来る、と男子からも声は出来るが星辰に関して完全に謎だと言われるのだが

 

「だって前に声の仕事得意って言ってなかった?」

「いやそれって入学直後とかの奴でしょ、ヤオモモとか上鳴とかの声真似した時の」

「でもあの時のヤオモモの声完璧だったよね!!もしかして、そのまま歌えたりするんじゃないの!?」

 

如何やら随分昔にやった声帯模写の事を覚えられていたらしい。歌は声の仕事と言っていいのだろうか……まあ確かに姉と一緒に歌ってみたを投稿した事などはあるが……尚、配信でそれを流したらかなりの反響が貰えたりもした。

 

「まあまあそれじゃあまずは星辰君歌ってみてよ!!」

「んじゃ星辰がやるならウチも歌うよ」

「ホント!?それじゃあ益々やって貰わないとね!!」

「なんだよそれ……」

 

思わず肩を落とすのだが……何やら視線を集めてしまい、逃げられる状況ではなくなってしまった。しかも何故か響香からも圧力を感じる、アンタが歌うならウチも歌うからと乗り気。デュエットならばやるという事だろうか……兎も角、もう逃げられる状況ではなくなってしまった。

 

「(エボルト、声を変えるってこの状態でも行ける?)」

『そりゃ出来るぞ、別にブラッドスタークだけの機能じゃなくてあれは俺の能力だからな。歌唱力のは相棒が何とかするしかねぇけどな』

「(くそ、もう逃げられないか……よしもうなったら――――)」

 

と何処からか持ってこられたマイクの前に立った星辰は半分やけくそになりながらも咳払いをする。そしてスマホを操作してある曲を途中から一時停止しておく。

 

「んじゃまあ―――」

 

一体どんな歌声が飛び出すのかとドキドキワクワクする皆の前に放たれたのは……

 

―――Be The One, Be The One

All right!

明日の地球を投げ出せないから

Be The Light, Be The Light

All right!

強くなれるよ 愛は負けない

何かを助け救って抱きしめ

心に触れて 届くよ 伝われ

Be The One, Be The Light

メッセージ送るよ 響くよ―――

 

まさかの女声な上に透明感のある美しい声色に全員が思わず聞き入っていた、声だけではなくその歌唱力は紛れもない本物であったが故に。

 

『相棒、お前ノリノリじゃねえか。いや、つうかなんてこんな歌えてんだよ』

「(―――……一時期、本気で歌い手に憧れていた時期がありまして……カラオケボックスに入り浸ってました……)」

『お、応……』

 

と歌い切りながらも顔を真っ赤にして顔を伏せてしまう星辰だが―――

 

『超良いぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!』

『負けたぁ!!!』

 

とA組の皆からは拍手喝采の嵐。そして続けて響香も歌うのだが、其方はセクシーなハスキーボイスで聞いていて耳が幸せになる程。この二人の組み合わせならばボーカルは問題なく任せられるという事でボーカルは文句なしで決定。

 

「というか今の曲何~!?今のを演奏するのもいいじゃない!?」

「そうだな、一曲だけというのも寂しいし複数曲を演奏するのも良いかもしれないな!!」

「それじゃあデュエットを含めて複数って事かな?」

「その分、難しくなるかもしれないが皆行けるか!?」

『やるしかないでしょ~!!!』

 

難易度が必然的に上がっていく事にあるのだが……逆に皆の中にこの歌声に合わせて踊りたい、演奏したいという欲求が溢れ出して行く。ダンスは同じにしたり共通部分を多くしたりなどすれば対応可能という事でどんどん話は進んでいく。

 

「それじゃあ、星辰頑張ろうね!!」

「……もうこうなったら自棄だ、やったりますよ!!」




星辰の秘密。実は形から入るタイプ、歌い手に憧れていた時期は歌唱練習やボイトレなどをマジでやっていた。

という訳で、今回は文化祭描写にも力を入れようと思います!


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103スレ

結局、星辰もバンド隊のボーカルへと編入。補修などもあったが、それの免除の為にテストを願い出た結果―――一発合格で補修の免除を勝ち取って練習に参加する事にした。そしてテストの後は楽譜などを準備するなどして皆に合流した。

 

「これが楽譜だ」

「おおっこれだな!!お前が女声で歌ってた奴!!」

「ウチはボーカルの練習もしないと……デュエット曲もあるから、全然時間無駄に出来ないし星辰後でデュエット付き合ってね」

「OK、爆豪も頼むぜ。これらの盛り上げ役兼一番の難所はお前のドラムだぜ多分」

「ハッ上等だ、一瞬でマスターしてやる」

 

と爆豪も星辰の煽りを受けてやる気満々。難しいのは確かだが、それを即座に物にしてやるというプライド故かかなり真剣に取り組みつつも檄を飛ばしている。粗暴な面が目立つが、何だかんだでこういう時の引っ張り役としてはかなり適している人材とも言える。

 

「こっちの曲はかなり盛り上がりに適しておりますのね、これはいっその事皆さんで踊るのも宜しいのではないでしょうか?」

「オホッそりゃいいな!!音楽の勢いに合わせてダンシングタイムとかそれも最高かも!!」

「……昂りの至り」

 

とまずは曲を聞いて流れやテンポを身体に叩きこむ作業、その過程で純粋に曲を欲するなどもある。尚、爆豪は一度聞いただけで大体を掴んだのか、後は流しながらそのまま叩けるようになっている。本当に才能マンなのである。

 

「俺も俺で歌は確りやらないとなぁ……マジで歌うのとか雄英を目指してから全然やって無かったからなぁ……」

 

雄英への受験を決める前までは、ちょくちょく美空の配信に付き合って歌ったりもしていたが決めてからそれらはしていなかった。なので鍛え直さないといけないとすら思っている。なので爆豪の流しているそれに合わせながらBE THE ONEを歌い始める、それに合わせて爆豪もドラムを叩き始める。途中でいきなりアレンジを入れ始める爆豪だが、それに一切釣れられないように歌う星辰。

 

「あっ星辰、ウチちょっとここ歌ってみたいんだけど」

「分かったよ」

 

そう言いながらも一旦切り上げながらも響香の見ていた楽譜を見る、それはA組満場一致でテンション爆上がりソングを勝ち取ったとある歌だった。なので星辰もノリノリでそれに応える事にした。爆豪らもそれにはまだ手を付けていなかったので聞いて覚える事にした。

 

―――(You count the medals 1,2 and 3

Life goes on Anything goes Coming up OOO!!!)

 

要らない持たない夢も見ない

フリーな状態... それもいいけど

 

(こっから始まるThe show we're waiting for

Count the medals 1,2 and 3!!!)

 

運命は君 放っとかない

結局は 進むしかない

 

(未知なる展開 Give me energy

Count the medals 1,2 and 3)

 

大丈夫。明日はいつだって白紙(Blank)。自分の価値は 自分で決めるものさ

 

此処まで歌ってみたが、互いに息はあっているし交代も問題なく出来ている。問題はこれを演奏するのか、それとも単純なダンスの身にするかという問題があるのだが……その辺りは演出隊やダンス隊とも相談になってしまうだろう。

 

「なんだよお前、普通に歌っても上手いじゃねえかこんちくしょう!!!駄目だったら俺が歌おうとか思ってたのが恥ずかしいぜ!!」

「本当に素晴らしい歌唱力ですわ!」

「然り、正しく歌姫に並び立つに相応しい」

「ハッ俺よりは下だな」

 

そんな意見が飛び出してくるが、星辰と響香的にはまだまだ詰められる部分も見受けられる。

 

「此処の交代の所さ、少し抑えた方がいいかな。星辰の声が少し隠れちゃってるっぽいんだよね」

「それなら俺が上げる?」

「バランスもあるしウチの方で上げるよ。ちょっと高めのウチの声って出来る?」

「ん"ん"っ―――こんな感じ?でもこれはこれで喉に負担掛かるかもしんないしちょっとグレーっぽいっしょ、それだったら俺の方が下げる選択肢もあるでしょ」

「成程。こんな感じだね、大丈夫だよ文化祭まで時間あるから毎日少しずつ慣らしていくから」

『有効に活用してる……』

 

声を変える事が出来るというエボルトの能力をフル活用して、歌う場面の音域の調整などにも付き合える。流石にこんな使い方は思いつかなかったが、やってみると結構便利な物だと内心で星辰は新たな活用方法にグッとくるのであった。

 

「おい星辰!表に壊理ちゃん来てるぜ、お前に会いたいってさ!」

「壊理ちゃんが―――っと悪い、今行く」

「おっ何だ今の耳郎の声だったぞ!?」

 

と切島からの言葉を聞いて一度抜けながらも表に出ると、そこにはミリオに連れられている壊理ちゃんの姿がそこにあった。文化祭に来る前に、一度雄英に慣れて貰おうという事で見学に連れて来て貰ったとの事。

 

「やっほっ壊理ちゃん」

「えと、えぼるさん……?」

「おっ覚えててくれたんだね、嬉しいな。何を隠そうこの私は、青空さえも星空へと変えるスーパーヒーロー……仮面ライダーエボォル!!」

「確かにこの前は凄かったよね!!」

 

某マッドサイエンティスト風な名乗りを上げる星辰に壊理ちゃんはおっ~……と小さく拍手を送るのであった。

 

「よかったね壊理ちゃん。キラピカお兄ちゃんに会えて」

「星辰君だったんだね、僕全然分からなかったよ」

「まあその時は緑谷居なかったからしょうがない、ああそうそう壊理ちゃん、俺文化祭で歌を歌う事になったんだ」

「えぼるさん、お歌うたうの?」

「そう、歌のお兄さんになるのさ」

 

先日のあれが、やはり強烈に焼き付いているのか壊理ちゃんは星辰の事を確りと覚えていた上に歌を歌う事に興味を持った。それに応えるようにワザとらしく咳払いをする。

 

「そうだよ壊理ちゃん、歌のお兄さんがやるのは皆がワクワクドキドキする歌とダンスの素敵空間なんだよね!!」

「あれ、ルミリオンさんにデクさん……?」

「WOW!!こりゃ驚いた、星辰君そんな特技あったのかい!?」

 

ミリオの声になりながらも今度は緑谷の声になったりしながらもアピールを掛ける、そしてその場でステップを踏みながらもスピンをしながら笑顔で壊理ちゃんを見つめる。

 

「こんな風にお兄さんお姉さんが踊るから是非見に来てよね、喜んで舞い上がっちゃうかもしれないけどね」

「アハハハッ本当に浮けるから浮いちゃえばいいよ!!」

「ハハッそりゃいいですな!!」

 

楽しげに笑っている星辰の姿に壊理ちゃんは素直にドキドキし始めた、こんな風に楽し気でありながらも懸命にやっている人がやる歌やダンスというのはどんな物なのだろうか、それを見てみたいとワクワクが生まれ始めていた。そんなワクワクを胸にしながらも雄英の中を見学する事になった彼女は、ミリオと緑谷に連れられて歩き出して行く。

 

「待ってるからね~!!帰り際はこっちによってね、アップルパイ作ってあるから~!!」

 

そんな言葉を送った後に相澤が声を掛けて来る。

 

「済まんな石動、だが壊理ちゃんはこの前のお前との触れ合いもあって暗い面が減って来てると通形から話があった。その調子でこれからも暇があれば頼む」

「言われるまでも無いですよ、俺は皆が笑顔で愛と平和を胸に抱ける世界にする事ですからな。子供の笑顔を守るなんて特にやるべき事ですから」

「ならいい、それと文化祭中の変身許可は取って置いた。出し物で使うなり、壊理ちゃんと一緒に居る時に使うなり好きにしていいと校長からのお墨付きだ」

「よっしゃ!!」

 

と思わずガッツポーズを取る、何せ星辰はバンド隊に入りながらも演出隊にも入っているのである。演出隊には星空を演出出来る事を伝えているので可能ならばそれを活かして体育館を満天の星空で輝かせながらも、その中を縦横無尽に踊り狂う青山という一等星という演出をやりたいという話があったのだ。これならば自分達がやりたい事をほぼ100%出来ると言ってもいい。

 

「さてと、俺もテンション上げて取り組みますか!!」

『既にテンションたけぇ癖にこれ以上上げて如何すんだよ、ハザードレベルあがるぞ』




赤が星辰で黄色がジロちゃんです。


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104スレ

「ヤオモモ、ケーキの準備終わったよ」

「此方もお紅茶のご用意がもう少しで終わりますわ」

 

文化祭に向けての練習が始まって1週間ほどが経過し始めた頃、最初は素人芸と言わざるを得なかったレベルだった物は確実にレベルアップを積み重ね続けている。だが休息は必要だと、星辰はケーキを準備してそれに合わせる紅茶を八百万が準備している。

 

「それにしても耳郎さん、僅か1週間で上鳴さんがあそこまで叩けるようになるなんて本職さながらのご指導ですわ」

「いや、ウチは大した事ないってなんか今日の紅茶いい香り」

「確かに」

 

その香りに思わず瞳を閉じてしまった。nascitaでは惣一が要れる珈琲が有名且つ人気メニューではあったが、紅茶の方が好みという人の為に様々な茶葉を仕入れていた。そして紅茶担当は星辰だったので思わず利き紅茶をやってしまう。

 

「この芳醇な香り……気品高くも心を癒すような優しさ、ゴールドティップスインペリアルだね」

「分かりますの石動さん!!流石ですわ、お母様から仕送りで頂いた幻の紅茶なんですの!!皆様も是非味わってくださいませ!!」

「なんかよく分かんないけどいつもありがと~!!」

「分かんないけどありがと~!!」

 

と、八百万なりに皆に向けた心遣いは皆が有難く貰っている。お嬢様な彼女らしいかなりお高めの品ばかりだが、それらが気にならない位に皆の為に張り切る彼女の姿が可愛いと話題。そんな中、こっそりと響香が星辰に紅茶について尋ねる。

 

「えっと、そんなに凄いの?」

「幻の紅茶という名に恥じない位にね。ティップスは茶葉になる前の芽の部分で収穫時期は短い上に困難、そしてゴールドは茶葉の色、んでインペリアルは皇帝って意味。つまり皇帝が飲むような貴重な紅茶って事、ゴールドティップスでも100グラムで2000円以上で普通の紅茶の2倍はするね」

「え"っめっちゃ高い紅茶じゃん」

nascita(ウチのカフェ)でも簡単に仕入れられなかった紅茶だね……それが仕送りでポンと出てくる辺り、マジでブルジョワだわ」

 

そんな紅茶と自分のケーキを合わせていいのだろうか……という気持ちも沸かなくはないが、もう引っ込める事は出来ない訳だしこのまま出すしかない。そんな中、自分のスマホに接続されたスピーカーから曲が流れている。

 

「うっは~この曲もマジでよくね!?踊れ!!って所の力強さ!!」

「確かにいいけど、ちょっと雰囲気には合わなくね?」

「じゃあさじゃあさこれは!?ノリノリだし曲調も明るいまんまじゃん!!」

「いやでもこれ、ラスト近くの此処のギターエグくね……?」

「……すまん、流石にこれは我には無理だ」

 

自分のスマホに入っているライダーコレクションの数々、それらは全てが最高と言っても過言ではない。まさかこんな所で布教する機会が来てしまうとは……思いもしなかった。

 

「にしてもこんなにいい音楽持ってるなんて期末の試験勉強中には気付かなかったよ!!」

 

自室で披露した時は一部且つ勉強に集中していたのもあった、こうして真面目に鑑賞してそれをやるのかどうかを試行錯誤すると感じる物も大きく変わってくるという物。

 

「っつうかさ、星辰お前これオリジナルなのか?俺全然知らねぇ奴ばっかだぜ」

「その辺りは禁則事項だ、俺にも―――秘密のコネクションという物は存在しているのでね」

「もしかして、お忍びで来るアーティストとか!!?」

「フフフッだから―――禁則事項です♪」

 

片足で回転しつつもポーズを取りながらのウィンクに茶目っ気のある可愛らしさ溢れるお姉さん系に態々声を変えての言葉、思わず一部男子は撃ち抜かれそうになった。そもそも星辰自体が中性的且つ髪も伸ばしているので見ようと思えば女にも見える。

 

「―――何でお前は女じゃねえだよぉぉぉ!!!」

「(´・ω・`)知らんがな」

 

そして、峰田から怨念に塗れた声が溢れた。

 

「(やばい、マジ撃ち抜かれた……)」

 

こっそり、今の星辰から大ダメージを受ける響香であった。

 

「でも二人の負担って結構尋常じゃねぇよな、大丈夫なのか?」

 

上鳴の言葉に周囲からは同意が漏れる。響香は今回の中心的な人物且つバンド隊の指導も担当している上に演奏しながらのボーカルもするので、演奏のみに集中する他メンバーとは違う。星辰は同じくボーカルではあるが、演出隊の一人として個性を発動させて体育館内を宇宙にするという事も行う。二人のかかる負担は明らかに他と比べても大きい。

 

「結構大変ではあるけど、楽しいよ。なんていうかさ、此処まで全力傾けて音楽に取り組むのも久しぶりだけどその分凄い楽しいが勝ってる」

「俺自身は大した事じゃないしね。個性についてはそっちは万全」

『ったく……なんで俺がこんな事をやらされてんだろうなぁ……』

「(グダグダいうな相棒、税金だと思ってちゃんと働け)」

『こんな時だけ相棒扱いすんな相棒』

 

演出に至ってはいざという時の為にエボルトも力を貸す事になっているので問題はない、借りないのが一番だがもしもという時は遠慮なく借りるつもりでいる。

 

「デュエットの曲の練習は良いのか?」

「っつうか全部だよね?」

「ああ、全部だな」

『全部!?』

 

予定では響香のみのボーカル曲も入れた構成だったでその時は星辰も演出に集中したり休憩を挟む算段だったのだが……予定を勝手に変更したと言わんばかりに全てに星辰が絡む事にした。

 

「それと常闇、そこの部分はウチがやるから大丈夫。もうマスターしたから」

「なんと……此処をか?」

「そ」

 

そう言いながらもスマホの再生時間を弄ってその部分に合わせてから、響香はギターを手にして弾き始める。世話しなく、絶えず動き続ける手とそれに合わせてステップを刻み続ける響香。しかもその間に笑顔を欠かす事も無く見事にやり切った。

 

「この曲、ウチも好きなんだよ。期末試験の勉強の時に星辰にコピらせてもらって家でも聞いたから」

「成程……」

「んじゃ景気良く石動なんか歌って~!!」

「それじゃあそうだな、折角だから話題に出たそれで行こう―――いいか、よく覚えときな。こいつに前振りはねぇ、最初から最後までクライマックスだぜ!!」

「おおっその声超カッコよくない!?」

 

そのままノリノリで歌い始めると隣に響香も入って踊りながらの披露となる、既に夜も更けて来始めたというのにA組達は楽し気なダンスタイムが始まったのであった。

 

「緑谷~ダンス隊なんだから混ざってみたらぁ~!?」

「えっああうん、今行く!!」

 

スマホで何やら動画を見ていた緑谷は、促されるようにスマホを置くとそこへと混ざり始めた。先程まで間違えてみていた動画、それが終わると続けて動画が再生されていく―――が、それは何かの監視カメラの映像のようだった。そこにあったのは―――黒い影が何かを倒した後に、そのまま歩き去っていく物だった。それを星辰が見たならば間違いなく、こう言っただろう……。

 

―――ダウン、フォール……!!



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105スレ

5:ヒロアカエボルト

ぅぅぅぅっ~遂に明日は文化祭だ~!!

あ~愉しみ過ぎて眠れない……

 

6:IS世界のメンタルセラピスト

おいおいイッチそれ不味くない?

 

7:普通のカウンセラー

気持ちは分かるけどちゃんと寝ないとダメよ。

 

8:青春学園の熱血教師

文化祭か~こっちとは規模も違うだろうから興味深いな

 

9:DD風紀委員長

文化祭……見回り、監視、実地調査、指導……うっ頭が……

 

10:クトゥルフ系狩人

まさかのこれも地雷なのよ委員長ニキ

 

11:無法地帯の料理人

こっちも祭りと言えば血祭だなぁ……

 

12:CC立香

文化祭、イベント、周回、素材……

 

13:円卓の鬼

仲間のストッパー、技術部の暴走……

 

14:ヒスイの調査兵

地雷多すぎぃ!!

 

15:纏め役の転生者

取り敢えず、そこまでにしておけ。

 

16:大地の虎

いいっすねぇ~……俺らも行けたりしないっすかね

 

17:光の国の戦士

真面目な話をするとイッチの世界に行く事は可能でしょうね。

でも雄英文化祭は生徒達のみって限定されてるから難しいでしょう。

 

18:光の国の勇士

そうか、イッチの世界だと文化祭は縮小されてるのか……

私の時はそれはそれは盛大にやりましたよ、防衛他のPRも含めた出し物もやりましたから。

 

19:クトゥルフ系狩人

へっ~楽しそうだなそっちの文化祭。

 

20:ヒスイの調査兵

どんな事やったん?

 

21:光の国の勇士

そうですね……例えるなら仮想防衛軍体験、EDFですかね。

うちの発目さんはホントね、ブレイクスルー連発するから

元文明監視員としては本当に頭を悩ませる事ばっかりで……怪獣迄出るし大変だったな……。

 

22:普通のカウンセラー

カオスすぎない?

 

23:大地の虎

何で此処のスレ民は祭りに地雷が埋まりまくってるんですかね……?

 

24:纏め役の転生者

知らん

 

25:CC立香

でもイッチは早く寝た方がよくなぁい?明日早いんでしょ

 

26:ヒロアカエボルト

ああ~そっか、カフェインエナジー注入して徹夜も面白いけど

折角だから寝た方がいいかな……5日位なら徹夜上等なんですけど

 

27:IS世界のメンタルセラピスト

いや死ぬ、死ぬそれは。

 

28:普通のカウンセラー

大丈夫なのそれ、いや今は違うだろうけど。

 

29:ヒロアカエボルト

偶に妖精さんを目で追いかけたりしてましたね。

 

30:ノアの神

ω・)チラ

(id:r30e)

31:エボルトヒロアカ

いや妖精繋がりで呼んでねぇよ。

 

32:ノアの神

(´・ω・`)

 

33:ヒロアカエボルト

取り敢えず、これで寝ますね。明日は中継をONにしておきますので。

 

34:『システム』

―――ヒロアカエボルトが離席しました。

 

 

そんなこんなで掲示板を切り上げて眠りに入る星辰、明日への興奮もあったが自分が思っているよりもあっさりと眠る事が出来た。そして翌朝―――最高の目覚めと共に起床、そしてみなと共に最終チェックを行うのだが―――

 

「緑谷君如何したんだろう」

「ああ、緑谷ならロープが解れたからってロープ買いに行ったぜ」

 

既に時刻は8時40分を回ろうとしている、もう緑谷だって準備を行わなければいけない時間だ。8時に開くというホームセンターに行ったらしいがあまりにも遅すぎる……何かあったのか?という思考が出て来てしまい、星辰は我ながらこういう所は合理的じゃないって相澤に言われそうだなと思いながらもスマホにバイクフルボトルを挿してバイクへとマシンエボルダーへと姿を変えさせる。

 

「俺が見て来る、直ぐに戻るよ」

「あっそっかお前バイクあったんだったな!!んじゃ頼んで良いか、そっちは準備無くて楽だもんな!!」

「そういう事、行ってくる!!」

 

皆がお揃いのユニフォームTシャツを着こんだりする中、星辰は個性を使う関係でそれらは着用しない。加えて他の準備も必要ないので一番身軽、なのでバイクを走らせて緑谷を迎えに行く事にする。

 

「さてと、近くのホムセンだっけな……こっからな5分足らずで―――」

『おい相棒、んな事を気にしている暇はねぇみてぇだぞ!!』

「あっ?」

 

エボルトから告げられた言葉に思わず聞き返しながらも、言葉の先の空を見ると―――そこでは戦闘状態になっている緑谷の姿があった。しかも、誰かを庇いながら戦っている。それを見た瞬間に、星辰はエボルドライバーを出現させてボトルを挿した。

 

COBRA(コブラ)!!〉 RIDER SYSTEM(ライダーシステム)!!〉

EVOLUTION(エヴォリューション)!!

ARE YOU READY?(覚悟は良いか)

 

普段の自分ならばバイクに乗りながらの変身という事でテンションが上がっていた事だろう、だが今はそんな事は考えられなかった。バイクのアクセルを全開にしながらの大ジャンプを行いながらも叫んだ。

 

「―――変身!!」

 

COBRA! COBRA! EVOL COBRA(エボル コブラ)!!

フッハハハハハハ!!

 

「トゥァ!!!」

 

そのままマシンエボルダーをスマホに戻しながらも大空を翔る、そして誰かを庇っている緑谷へと向けた援護射撃を行った。それを敏感に感じ取ったのか、緑谷は空中で風圧を巻き起こす事で、庇っている人ごと回避を行いながらも建設中のビルへと降りた。攻撃は簡単に回避されてしまうが、それは即座に拡散して全方位から敵に襲いかかる。

 

「緑谷、無事か!?」

「せ、星辰君……ゴメン助かった!!急に襲われて……!!」

「其方も大丈夫か!?」

「わ、私は、問題ない……ラブラバ、君は……」

「私なんかよりジェントル、あ、あし、脚が……」

 

緑谷によって庇われていたのは紳士服を纏っている髭が特徴的な男性と小柄な女性だった。ジェントルにラブラバと呼ばれている女性は顔を青褪めさせながらも、赤い血が流れてしまっている脚に自分の上着を破って応急処置を施そうとしている。

 

「こ、この程度で私は……ぐぅっ……!!」

「無理をするな、こりゃちょっと深いぞ……直ぐに病院に」

「だ、駄目!!病院に行ったらジェントルが捕まっちゃう……でも、そんな事言ってる場合なんかじゃ!!」

「無用だよラブラバ、この程度大した事は……」

 

虚勢を張っているが血を流している脚の怪我はそれなりに深い、恐らく手を借りなければ立つ事も儘ならないだろう。その言葉の意味に何をと思ったが、直ぐに緑谷が応えた。

 

「この二人はヴィランなんだ、ジェントル・クリミナル……動画サイトに色々投稿してるヴィランで文化祭に侵入しようとしてたんだ」

「おいおいおいマジか」

 

それを聞いて星辰は顔を顰めてしまった、彼だって楽しみにしていた文化祭の邪魔をしようとしていたと言われれば嫌な顔を一つでもしたくはなる。だけど、と直ぐに緑谷は訂正を入れた。

 

「でも、この人僕を助けてくれたんだ。いきなり襲われたのに、この人は」

「当然の……事をしただけ、だ紳士としてね……」

 

ジェントル・クリミナルはヴィラン、ヴィランではあるが義賊を自称する紳士。今回の雄英進入も警鐘を鳴らす為であり、直接的な被害を齎す魂胆は無い。そしてそれを阻止する為に戦闘に入った緑谷へと向けられた明らかに殺害を目的にしたであろう攻撃を―――ジェントルは見逃がす事が出来なかった。

 

『ラブラバ―――済まないが計画を変更する』

『ジェ、ジェントル?』

『彼を―――助ける』

 

「私の事よりも、気を付けるんだ、来るぞ!!」

 

そう言った直後に空から無数の銃弾が降り注いでくる、星辰が遮断フィールドの規模を広げて全員を守ろうとするが―――それよりも先にミサイルは空気に阻まれた。まるでゴムのような弾性を得た空気によってそれは弾かれていく。

 

「これって、貴方の個性の……!!」

「そう―――弾性(エラスティシティ)……銃弾程度では貫通出来んよ……だが、逆に言えば私ではあいつは倒せん……」

 

そう言いながらも顔を上げた先にあったのは……まるで戦闘機を人間の形に落とし込んだような姿をしていたモノだった、頭部にはコクピットの計器類が複眼の如く装備されている。ミリタリー色がこれでもかと押し出されているそれに、星辰は思わず喉を鳴らした。

 

「ファントムクラッシャー……!!!」

 

現在時刻―――8時45分、文化祭開始まで後……15分。



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106スレ

ゆっくりと現れたそれは電子音を鳴らしながらもまるで此方を観察するかのように見つめていた。しかし、それを見て星辰は思わず舌打ちを打ちつつも自分の想定が当たっていたという事実に溜息をつきたくなって来た。自分にとっての最高の予想は外れる癖に嫌な予想だけは当たるのは本当に何なのだろうか。

 

「星辰君気を付けて、あいつ相当に強い……!!」

「分かってる、だから容赦せずに―――行く」

 

重力を無視するかのようにゆっくりと浮遊を開始するエボル、同じ目線にまで浮き上がったエボルに対してファントムクラッシャーは標的を変更したかのように見つめながら―――全身から無数のミサイルを打ち出した。それに対して身体の力を抜くかのように一瞬、重力に身を委ねながら降下しつつも一気に加速。

 

「下手な騒ぎにしたら、文化祭が中止になるかもしれねぇからな。一気に決めさせてもらうぞ!」

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

ARE YOU READY?

「変身……!」

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

ファントムクラッシャーの性能の事をも考えて即座にブラックホールフォームへと変身する、そしてその際にブラックホールにミサイルを吸い込ませて無へと返しておく。その光景にファントムクラッシャーは驚いたように動きを硬直させた、その瞬間を逃すことなくワープで背後を取りながらもハンマーを打ち下ろすかのような一撃をファントムクラッシャーへと炸裂させる。

 

「なんという……」

 

そこからは完全なる一方的な光景だった、緑谷が新しく編み出した攻撃技であるエアフォースで貫けない所か、傷一つ付けられない程に強固な装甲をガンガン殴り付けていくと装甲は大きく凹み始めて行く。それに反抗するように反撃を試みるが、ロックオンを行う寸前にワープで全く別の方向に出現されて振り切られて弄ばれている。そして全身の装甲がボコボコになった状態で先程までいた建設現場へと叩き付けられるのだが―――その時には全身から激しく火花を散らしており、動きも錆び付いた歯車のように遅くなっていた。

 

「後10分―――間に合うな」

「こ、これなら確保出来そうだね!」

「いや、あいつからは気配がない。多分……遠隔操作系のロボットだな」

「ロボット!?」

 

そう言われて緑谷は酷く驚いてしまった、あそこまで人間の動きをしながらも自分を追い詰めて来た相手がロボットだというのか。だからこそある程度本気で攻撃しても問題はなかった……無かったのだが

 

「(どう思う)」

『ブラックホールフォームの攻撃にある程度耐えるとはねぇ……こいつは戦兎に引き渡すべきだな)』

「んじゃさっさと―――」

 

レバーに手を伸ばした時、ファントムクラッシャーは最後の抵抗だと言わんばかりに翼を広げながら最大出力で跳び立とうとしていたその時だった―――突如として電源が落ちた玩具のようにその場に崩れ落ちてしまった。

 

「あ、あれ?」

「ロボットだって言うなら話は早いわ、何故ならば私はハッキングのプロなのだから!!」

 

気付けば持っていたノートパソコンを広げていたラブラバが胸を張りながら言った。彼女はジェントルの相棒、その役目はサポート、それもハッキングを駆使した。

 

「えっハッキングって……あいつに!?」

「遠隔操作型なら間違いなく、それに送られている命令がある。その通路に侵入してシャットダウンしてあげたわ!!ジェントルを苦しめたんだからざまあみなさい!!」

 

そう言いながらもファントムクラッシャーの頭をゲシゲシと蹴る。蹴りを受け続けている様子から、本当に停止した事が確認出来た。だが即座に緑谷は声を上げた。

 

「あっでも、それなら操っていた人物がいるんじゃ!?」

「そうみたいだけど、侵入した段階でネットワークを遮断しちゃったみたい。侵入した私を排除する、じゃなくて遮断して撤退を選んだのよ」

「つまり―――」

「この機械は操り主にとってはそれほど重要ではないという事……寧ろ、試作品とすら呼べる存在なのかもしれない」

 

ジェントルの言葉は恐らく的を射ていると星辰は思った。ファントムクラッシャーはダウンフォールにとっては確かに戦力ではあるが、あくまで戦力でしかない。確立された理論や技術さえあれば量産は可能だろう。そして……これは恐らく性能評価試作品。となるとラブラバの力でシャッドダウンされたのは助かったかもしれない、ブラックホールフォームの片鱗を見せる事になったが全てを見られる事にはならなかったのだから。

 

「兎も角、これ……如何しよう、それとジェントル……さん達も」

 

戸惑うように敬称を付ける緑谷に鉄骨に寄り掛かっているジェントルは僅かに驚いたような顔をしたが、直ぐに落ち着いた表情へと変えた。

 

「私と相棒のラブラバを助けて貰った、それなのに私事を優先する程に私は恩知らずではないさ。君達の言葉に従うとしよう、だが警察は勘弁してくれると嬉しいけどね」

「ジェントル……」

 

そこはカッコよく受け入れるというんじゃないのか……と星辰は内心で思うのだが、これが彼らしさという物なのかもしれないと思うと笑えて来るから困る。

 

「なら、これから俺が二人をある人達の所に連れて行こう。その人達に傷の手当とこいつについての話をしてくれ」

「警察、でもなければヒーローでもなさそうだが……何方なのかな?」

「俺にとってのヒーロー」

 

その言葉にジェントルは素直に従う事にした。一先ず傷の手当ても確りとしなければならないのだから……要求は受け入れるしかない。

 

「あっ緑谷やばい後7分切ってる!!」

「えっ嘘!!?ああっやばい!!急がないと!?」

「俺も急ぐから!!っつうかワープで送る!!」

「うん分かった!!」

 

先程の勇ましさが消し飛ぶほどにワタワタし始める二人にラブラバと顔を見合わせてしまった。そして―――

 

「ジェントルさん、助けて有難う御座いました!!」

 

そう言いながら姿を消した緑谷を見送ったジェントルは目を大きくしながらもその言葉を、何度も何度も咀嚼していた。余韻が残っていたゴールドティップスインペリアルよりもずっと深く、芳醇な味わいのそれを飲み干した時……ジェントルは何処か晴れ晴れとした表情を作りながらも空を見上げた。

 

「ラブラバ、身勝手かと思うが……これからも私と共に歩んでくれるかな」

「何を言ってるのジェントル、私は絶対に離れないわよ!!」

「ハハハッ無粋な言葉だったね」

 

傷を心配する相棒の抱擁を受けつつもジェントルはそのまま、星辰の手によってファントムクラッシャーと共に戦兎の工房へと連れていかれるのであった。そして其処で手当てを受けつつも……これからの事を考えるのであった。

 

 

 

「性能評価の試作実験機、それでも戦闘力はプロヒーローを凌駕していた筈だが……まさかあそこまで圧倒されるとは……やはり遠隔操作では限界があるな、此方のボトルに切り替えるべきか……だが、良いデータが取れた。デモンストレーション前の良いテストが出来た事に感謝しなければ……そしてこのデータは……貴重だ、これさえあれば……フフフッ態々奪う必要もないか」



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107スレ

「遅いよ星辰!!緑谷もそうだったけどアンタ何してた訳!?」

「ごめん、色々あったからさ」

 

ファントムクラッシャーとジェントルたちを送り届けた後、大急ぎで戻って来た星辰を皆は慌てて迎え入れた。ライブの開始は10時、だがそれまでにしておかなければいけない事は数多くある。幸いな事に早急に蹴りを付けた事で準備を時間は十分に取れている、既にステージの上には楽器がセッティングされている。もう直ぐ始めるを告げると共に上げられる幕を見つめながら……星辰はジェネシスユニバースボトルに握る手に力を込めてしまった。

 

「柄にもなく緊張してるの?」

「俺は緊張しないタイプって思われてる訳なのな」

 

背中を軽く叩いてくる響香に対して少しばかりの笑みを浮かべて振り帰る、他の皆は統一されたTシャツやダンス衣装に身を包んでいる中で自分はそこにエボルドライバーを装着している。アウェーな感じに震えているのかもしれない。

 

「楽しもうよ、この時間、この瞬間をさ」

「そりゃいい、愉しんでやろうじゃないの―――全てを使ってなぁ!!」

 

ブザーと共に開けられて行く幕、それに合わせてジェネシスユニバースボトルを起動させながらドライバーへと装填―――そして宣言する。

 

「変身!!」

 

UNIVERSE'S STRONGEST CREATOR(宇宙最強の創造主)!!!!〉

EVOL BUILD(エボルビルド)!!〉

GREAT(スゲーイ)!! REALLY AMAZING(マジパネーイ)!!〉

 

幕が開かれると同時に体育館中に宇宙が溢れ出す。その宇宙を背負いながらのA組の登場に皆は言葉を失う、この場にはこの状況を気に入らないと思っている生徒達もいる、楽しむなんて気は一切なく品定めの為だけに来るというエボルトに言わせれば暇を持て余している暇人共がいる。星辰もそれは否定しないしそっちがその気ならば此方も取る手は幾らでもある。最早敵視と言ってもいいそれらを向けて来るそいつらに、容赦する必要などは無い。

 

「最初から最後までクライマックスだぜ!!」

 

マイクを蹴って回転させるようにしながら持った星辰はノリノリで頭部の装甲を開放しながらもそう叫ぶ。そして同時に体育館の灯りが全て消される―――のに体育館は満天の星空の真下にいるように明るくなっていた。そしてその隣に並び立つように響香が質ながら笑って言った。

 

「最初に言っておく―――!!」

「アタシ達のライブは―――」

「「か~な~り凄い!!さあ始めよう、開幕だぁ!!」」

 

―――(You count the medals 1,2 and 3

Life goes on Anything goes Coming up OOO!!!)

 

その言葉と共に体育館中の世界が侵食される、満天の星空が足元にも広がってまるで本当に宇宙空間にいるかのような浮遊感が全員を包み込む中、爆豪の爆破を開幕の号砲としながらも遂にライブが始まった。響香と星辰の歌声に乗せて最高の演奏とダンスの空間が始まる。

 

要らない持たない夢も見ない

フリーな状態... それもいいけど

(こっから始まるThe show we're waiting for

Count the medals 1,2 and 3!!!)

運命は君 放っとかない

結局は 進むしかない

(未知なる展開 Give me energy

Count the medals 1,2 and 3)

 

ダンスが一糸乱れぬ踊りを行う背後から響き渡る二人の歌声、軽快なメロディを奏でながらも自身もステップを踏みながら星辰とペアダンスを踊るようにする響香。交互に入れ替わる様な歌声と共に全員が笑顔を浮かべながら勢いと心を掴むようなリズムに圧倒されていた観客たちは次々ととりこになっていく。

 

大丈夫。明日はいつだって白紙(Blank)。自分の価値は 自分で決めるものさ

OOO! OOO! OOO! OOO! Come on!!!

 

全員が行うオーズコール、それはこの世界には馴染みがない。だが星辰はそれをオーバーインフィニティという意味が込められていると伝えた、無限を越えて行くという意味に皆がノリノリでそれを言おうと乗ってくれた。その中には爆豪もいた、そして最後と共に爆豪は両手から爆破を起こし、音楽の勢いに風圧を乗せる事で更に全体を圧倒する。

 

Anything Goes! その心が熱くなるもの

満たされるものを探して

Life goes on! 本気出して戦うのなら

負ける気しないはず!!

 

そして、又もや世界が変わる。そこはまるで青空の下の煌く世界。其処に降り立つとダンス隊の中央を割る様に響香と星辰が飛び出してポーズを取る。それに合わせて天井から焦凍と切島によって砕かれた氷の粒が舞い落ちて来る、それは光を受けると虹色の光を放ち始める。

 

外側にステイタス求めないで

内に秘める 自信が大事

 

(欲望増殖 Like no limit

Count the medals 1,2 and 3)

 

その言葉と共に、星辰は浮き上がった。そして光のサーフボードのような物に飛び乗りながらもそのまま空中を滑るように移動しながら歌い続ける、響香は麗日の手を借りて浮き上がりつつも歌い続けて行く。その背後にダンス隊がジャンプして追い付くと、今度はエボルビルドの力でそれを維持する。空中に居続けたままでダンスを行うという荒業をやってのける。

 

その背を比べ 並んだって

意味なくない? 一抜けしよう

(You can be free from average

Count the medals 1,2 and 3)

 

 

「壊理ちゃん!!」

「ふぇっ?」

 

その時、壊理ちゃんへと手を伸ばす。ミリオは分かったと言わんばかりに軽くトスしながらも壊理ちゃんを上げる。それを受け止めながらも自身の周囲に光のエボルビルドを作り出して追従させながらも舞台をチェンジする。青空を切り裂く無数の閃光を従えながらも空を飛ぶサーファー、それに観客たちは大興奮で自分達も連れて行けと言わんばかりだ。それを分かっていたと麗日が梅雨ちゃんの力を駆りながらも飛び出して、楽しみたい人とハイタッチを決めて無重力をプレゼントしていく。

 

大丈夫。みんなと違ってもいい 別々それぞれだからそう、奇跡的!

「さあ皆も一緒に!」

OOO! OOO! OOO! OOO! Come on!!!

 

お姫様抱っこされている壊理ちゃんもその勢いに流れるように、だが周囲の閃光が特大の花火に変化すると笑いながら一緒にオーズコールを行う。そしてそれが終わると同時に壊理ちゃんをミリオの所に降ろすとバク転でステージに戻りながら叫ぶ。

 

Anything Goes! その心が求めるものに

正直になればなるほど

Life goes on! 加速ついて

止められなくて負ける気しないはず!!

True spirit of heart never give up

Tell your mind and soul never to give up!!

 

全員がステージに降りたってポーズを取りながらも全員を誘うかのように手を叩き始める。それに全員が即座に乗って体育館は拍手の喝采が巻き起こる。次はどうなる、どんな風になるんだと皆の心を擽りながらも演奏が続けれていく。

 

1からのスタート そこから

足し算を飛ばして かけ算で駆け上がっていって

Anything goes! Goes on...

OOO! OOO! OOO! OOO! Come on!!!

Count the medals 1,2 and 3

 

最後の仕上げだと言わんばかりに爆豪が再び爆発を引き起こす。

 

Anything Goes! その心が熱くなるもの

満たされるものを探して

Life goes on! 本気出して戦うのなら

負ける気はない

Anything Goes! 加速ついて

止められなくて負ける気しないはず。OH OOO!!

 

一拍の静寂の後、大歓声が体育館中を制圧している。最早そこには敵意も何もない、唯の熱狂だけがそこにある。それを見て満足気に笑いながら星辰はマイクを取った。

 

「なんだこの程度で満足しちまったのか、言ったよなぁ最初から最後までクライマックスだってなぁ!!まだまだ、行けるなぁお前らぁ!!」

『おおおおおっ!!!』

「声がちいせぇぞもっと腹から声出してみろぉ!!』

『おおおおおおおおおおおっ!!!!!』

 

その言葉の通りになっているか、星辰のテンションは極めて高かった。そしてそれに乗る観客たちも絶好調であった。だったら答えは一つしかないだろう。

 

「だったら次行くかぁ!!今度は俺のソロだ、俺の美声に酔っぱらうんじゃねぇぞ!!」

 

文化祭は、まだまだ始まったばかりなのだ。




次回もライブから、続く!!


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108スレ

「いけないいけない、もう始まっちゃってるわよね!?もう私のバカ~!!」

 

体育館へと急ぐように走るミッドナイト、彼女も彼女で体育館で行っていたA組のライブは楽しみにしていた。監督役として練習を見ていた身としては皆の努力の結晶がどんな物なのか気になる、急ぎ足で体育館へと到着すると急いで中へと入った。其処に広がっていたのは―――

 

「何これ……!?」

 

そこは……言うなれば、異世界、異空間、別世界、そのような言葉でなければ形容できないもので溢れていた。満天の星空に浮かび上がる幻想的な星々の煌きに流星、彗星、その中を駆け巡る様に走る線路とその上を疾走する列車。そしてそれらを従えながらダンスを踊りながらも歌い続けている星辰。

 

「YEAH!!!本当に最高だなこりゃ!!」

「……中々だな」

 

監視、という名目で待機しているプレゼント・マイクと相澤。普通科などの生徒達がバカな真似をしない為に此処に居るのだが……今は監視という事はあまり考えずに純粋にライブを楽しんでいるように見える。

 

心を強くする 大事な言葉とか

かけがえない想い出を集めて

もう少しあと少し…届かない星空

諦めたらそこが終点さ

 

響香と背中合わせになりながら満点の笑顔を浮かべながら踊り、その背中では響香が彼女以外には全く出来なかった難所を軽々と演奏していく。やはりあの二人の仲の良さは色々と邪推したくなってしまう。男女であそこまで笑顔を浮かべ合いが出来るなんてそれはもうそういう事だと言っているような物だ、青春が大好きなミッドナイトとしてはそういうのも大好物なので最高過ぎるライブである。

 

始まりはいつも突然 運命を連れて行くTime trip drive

不可能超えて 掴み取るさClimax

変わることを恐れないで 明日の自分見失うだけ

誰より高く 昨日より高くClimax Jump!

いーじゃん!いーじゃん!スゲーじゃん?!

 

歌い切りながらも空に向けて指を向けた、その先に開いたワームホールのような渦に列車が飛び込んだ途端にそれは大きな花火となって世界を彩っていく。それによって更なる歓声が沸き上がって体育館は更なる歓声で包まれていく。汗だくになりつつも星辰はやり切ったと言わんばかりにいい顔をしていた。

 

「いい顔して、青春、してるわねぇ……!!」

 

 

 

345:IS世界のメンタルセラピスト

キャーイッチ~!!

 

346:青春学園の熱血教師

青春してるなぁ~!!!俺もしたいぜ~!!

 

347:クトゥルフ系狩人

電王は俺でも知ってるからスゲェ楽しめたぜ!!

 

348:砂漠の虎

流石は平成ライダー屈指の人気者っすね!!

 

349:超次元中学生

一体何時になったら平成終わるんだろう。

 

350:CC立香

まあFGOでも平成なんて時代は残り続けてるし。

 

351:普通のカウンセラー

にしてもスレの伸びがえぐいわね。

 

352:光の国の戦士

まあ前世の音楽となれば血が騒ぎますよね。

私でも騒ぎますもん。

 

353:無法地帯の料理人

そう言えばさ、ライダーと共闘した作品あるけどあれってどういう扱いなん?

 

354:光の国の戦士

>>353

それ今聞きますか。あれは違う世界、マルチバースでの出来事ですよ。

少なくともこの光の国ではない事柄です。

 

355:ヒスイの調査兵

何でもいいから騒げ~!!

 

356:円卓の鬼

にしても……仮面ライダーの力をこんな風に使う奴が過去いただろうか

 

357:纏め役の転生者

別にいいんじゃないのか?平和的で。

 

358:DD風紀委員長

激しく同意。

 

359:普通のカウンセラー

著しく古いわよ

 

 

「んじゃ今度はウチの参加だよ!!皆まだまだ行けるよねぇ!!?」

『オオオオオッ!!!』

「よっしゃ!!んじゃ行くよ~!!Giant Step!!!」

 

360:纏め役の転生者

おっ今度はフォーゼか。

 

361:DD風紀委員長

てっきりOPのSWITCH ONかと思ったのに。

 

362:ヒスイの調査兵

ちょっと変化球だな

 

363:IS世界のメンタルセラピスト

俺にとってはドストレートだけどな!!!

 

364:CC立香

好い加減にしとかないとまた妖精さん呼ぶよ?

 

 

 

一歩 GIANT STEP!! 君にとってLittle だとしても

世界には
(For the new world)

未来には
(For the new days)

 

目の前で行われ続けて行く非日常的な幻想的な光景を支配するようにしながらも、歌い続けてるエボルビルドと響香。その二人とA組が生み出すのは一人の少女に向けたメッセージ、それは確かに届いて来た。これまでの閉鎖的でしかなかった世界が、たった一人の出会いから一気に開け放たれて、大きな世界へと―――駆け巡っていく。

 

「わぁぁぁぁぁっ!!!凄い、凄い凄い!!」

 

始めてみせた、年相応の少女の笑顔に、肩に乗せていたミリオは思わず涙を流してしまった。ああ、この時、漸く壊理は本当の意味でヒーローに救われたんだとミリオは確信しながらも笑った。

 

影響は 大き過ぎるほど!きっと GIANT STEP!! 1センチだって構わない

ほらなんか
(今風が)

変わったの
(気付いてた?)

 

だから君 そうこの感じ!

大切な
(ヒストリカル)

待っている
(エボリューション)

だから今 ここから...One more step

 

こっそりと緑谷の方を見ると心から嬉しそうな顔をしていた、当然それは壊理ちゃんが心からの笑顔を見せてくれたからだ。曰く、まだ治埼に囚われていると語っていたが、今回のこれで何とか振り払う事が出来たらしい。それならば自分も此処までの事をした甲斐があった、何故ならばここまでの演出は壊理ちゃんの為だけにやっているのだから。

 

他の生徒なんて如何でもいい、星辰はあの時に見せた不思議な星を作り出して花火を作るという不思議な力を持っている事を証明した。そしてそれを今度は違う方向性でアピールして子供の心を刺激した。そう、子供は成長した自分達よりもずっと感受性が高いし自分の心に素直、だから子供を感動させられるという事は大人をもとりこにするも同然なのだ。

 

「いいぞ~ヒーロー科~!!!」

「A組最高~!!」

「もっと歌ってくれ~!!」

「響香ちゃ~ん!!」

「星辰君~!!!」

『アンコール!!アンコール!!アンコール!!』

 

もう既に自分達の虜になっている観客、捻じ伏せられる所か最早感涙して聞き入ってる者さえもいる。これはもう取ったな、と星辰は勝ちを確信しながらも時間をこっそりと確認するともう直ぐ終了時間、即ち―――次がラストだ。此処までライダーメドレーを行ってきたが、所々でアンコールに応えてしまっている。流石に皆の疲労もキツくなって来た事だろう、故に大取は自分がやらせて貰う事にする。

 

「さあそろそろラストだ、最後は俺のソロだ―――雄英に相応しい歌捧げるから気合入れて行けぇぇぇぇ!!!」

『YEAHHHHHHH!!!!』

「行くぞBE THE ONE!!!」

 

奏でられて行く何処か切なげでありながらも美しく思わずリズムを取ってしまうような曲調、ダンス隊の全員も思わず手拍子を取ってしまったがそれはあっという間に波及していき相澤達も思わず手を叩いてしまっていた。それを見て星辰は笑いながらも歌い始める。

 

―――このまま あるきつづけてる

今夜もまっすぐ一人の足跡たどって

果てしないだけどきみだけは

どこかで待ってる笑顔絶やさずに

There You will

 

女性顔負けの透明な声と抜群の歌唱力、それに驚きつつも皆は更に聞き入る。此処まで熱くなる曲から一転して染みわたるようなそれは自然と身体へと馴染んでいく。そしてあっという間に虜になる、それに釣られるようにダンス隊、演出隊も完全なアドリブを始めて行く。だが全員に淀みは無く、それぞれのやりたい事が分かっているかのように進行されていく。

 

―――Be The One, Be The One

All right!

明日の地球を投げ出せないから

Be The Light, Be The Light

All right!

強くなれるよ 愛は負けない

何かを助け救って抱きしめ

心に触れて 届くよ 伝われ

Be The One, Be The Light

メッセージ送るよ 響くよ

 

宇宙の星々が爆ぜた、それによって生まれた無数の閃光は彗星へ、流れ星へと変わる中で人の形へと取っていく。そしてそれらは頭上で激しい戦いを繰り広げ始めた。

 

「うおおおおなんだありゃあああ!!?」

「星の光が、ヒーローになって戦ってるぅ!!?」

「ハハハッなんだこりゃどうやってんだ!?」

「最高過ぎるだろぉ!!」

 

何より大事な出来事生きてる

今夜を必ず前に進めなきゃいけない

昨日より強さとやさしさ

大人になってるみんな感じてる

There you will

 

Be The One, Be The One

We Will

必ず夜明けは巡ってくるから

Be The Lights, Be The Lights

We Will

未来へつなごう 過去をいたわろう

現代(いま)を生きよう そして忘れない

奇跡と偶然 太陽と月

Be The One, Be The Lights

メッセージ 届くよ 刻むよ

 

「響香さんおいで!!」

「えっ!?」

 

突然のパスに驚いてしまった、何故ならばこれはソロだった筈だ。最後の最後は一番の立役者に……と言う話だったのに、それを星辰は自分を誘っている。本当にいいのかと迷っていると全員が頷いた、それは爆豪も同じでさっさと行けと言わんばかりに顎で示した。

 

「響香―――来い!!」

「うん!!」

 

それを見て、笑いながら飛び出した。そして星辰は彼女を抱き上げるとそのまま浮き上がり―――響香は満面の笑みを歌い始めた。

 

Be The One, Be The One

We will may all your sight

You'll be the one

Be The Lights, Be The Lights

Will take darkness into brightness yeah

Leading you into the light

Be the Lights

Oh You will be alive

Be The One, Be The One,

You will Be the one

We'll make a way

 

そして最後は―――二人のデュエットだ。

 

Be The One, Be The One All right!

明日の地球を投げ出せないから

Be The Light, Be The Light All right!

強くなれるよ 愛は負けない

何かを助け救って抱きしめ

心に触れて 届くよ 伝われ

Be The One, Be The Light

メッセージ送るよ 響くよ

 

全てを歌い切った時、体育館を包み込んだのは圧倒的な歓声と拍手。それは体育館を突き抜けて外にまで漏れる程の凄まじさだった。やり切った、全員がそう思える程に最高の出来だった……。

 

「―――如何だったお前ら、最高のクライマックスだっただろう!!?」

「楽しんでもらえた~!!?」

『最高だった~!!!』

「ッシャア!!じゃあテメェら、今度は文化祭全体を楽しんで全員で文化祭のクライマックスを盛り上げんぞぉ!!!」

『おおおおおおおおおおお!!!!』




なんか、星辰がシンジさんみたいになってもうた。


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109スレ

〈EVOL SIDE!!〉

〈READY GO!! UNIVERSE FINISH!!〉

 

体育館中に蜘蛛の巣のように張り巡らされている焦凍の氷、演出の為に伸ばしたそれをブラックホールを有効に活用して一気に片付けて行く。それでも細かな破片は出るので他のメンバーは其方の対処を行っている中で星辰は汗だくになった汗を拭う。

 

「お疲れ様星辰君、差し入れだよ」

「先輩、どうも」

 

そう言いながらもスポーツドリンクを受け取ると一気に飲み干す。大体の氷の排除が終わったのでボトルを引き抜いて変身を解除するのであった。

 

「エボルさん、本当に本当に凄かった!!最初は風がぶわ~って来たら一気に音が来てね、それからそれからお星さまがいっぱいになっててそれから!」

 

壊理ちゃんも興奮が未だ冷め非ず、と言った様子なのか少々たどたどしいながらも自分なりに言葉を作って表現をつづげる。その表情はとても明るくて嬉しそうなものだった。それを聞いて漸く満足できたと言わんばかりに縛っていた髪ゴムを外した。

 

「やり切ったって実感出てきた……」

 

風になびく長髪と光る汗、中性的な見た目の星辰が行う髪を振るう仕草に思わずA組の面々は見つめてしまった。妙に似合っているというか……女よりも女らしい仕草に一部は顔を赤くするのであった。兎も角作業を終わらせて体育館を出ると―――

 

『A組お疲れさま~!!』

『最高だったよ~!!!』

『文化祭アンケートには絶対入れるから!!』

 

普通科やサポート科、経営科の皆から暖かな言葉は送られてくる。これは嬉しいのだが……明らかに人数が多い、此処までの人が如何して……と思っているとその疑問には何故かマイクを縛っている相澤が応えてくれた。

 

「済まん。此奴が独断でお前らのライブをスピーカーを通して雄英中に流したせいだ」

「だが俺は反省も後悔もしちゃいねぇぜ!!」

「そうか、それならしょうがないな」

「イデデデデデデデデッ!!!?締まってる締まってるぜマイフレエエエエエエンド!!!」

 

との事。まさかそんな事になっているとは予想外だった、だが出し物の関係でライブに行きたくても行けない人もいただろうからそう言った方向への配慮と考えればありなのではないだろうか……?と思い始める、これはこれでナイスプレーだったのでは。

 

「兎も角、今度は俺達が文化祭を楽しむ番だ―――さあお前ら、クライマックスはまだまだ続くんだ。ノリノリで行こうじゃねえか!!」

『おっ~!!!』

 

すっかりモモタロスの演技に慣れてしまったのか、それともモモタロスの人格が生まれているのかそんな言葉を口にしながらも楽しむ為にその場の全員を鼓舞する。

 

『相棒、お前そんなキャラだったか?』

「(……我ながら、テンション上がり過ぎて可笑しくなってるかも)」

 

「星辰、壊理ちゃんがアタシ達と一緒に回りたいってさ。ミリオ先輩と緑谷と一緒にほら早く!!」

「あっうん、今行くよ響香さん」

「あれ、あの時みたいに呼び捨てしてくれないんだ?」

「んぐっ!?」

 

言葉に詰まる、あの時はつい、空気に流されてやってしまった星辰。それを引っ張り出されて言葉に詰まる、のだが―――笑いながら自分の手を取って壊理ちゃんの下に歩く響香にそっと耳打ちをされる。

 

「―――二人っきりの時にそう呼んでくれるなら、ウチは良いよ」

「ハードル高ぃ……」

 

星辰は今すぐにでもベットに横になりたい気分になりながらも、それを必死に押さえながら壊理ちゃんと共に文化祭を回ることにするのであった。希望もあってB組の劇を見にも行ったのだが……

 

「私がお前の父だぁぁぁぁぁ!!!」

「嘘だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「いや怒られろ、流石にやり過ぎだ」

『ねぇわ流石に」

 

オリジナルシナリオ、題名『ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人~王の帰還~』はハッキリ言って見た事あるぞこれ展開のオンパレードであった。王道的な展開が多く取り入れられているのだが……なんというか、タイトルから漂う出オチ感に恥じない内容だった。

 

「えっと……如何だった壊理ちゃん?」

「えと……よく分からない?」

「フォローしてあげたいけど何とも言えないよね!!」

 

とこれ以上にない程にミリオの言葉がよく現わしている。休憩がてらジュースを買って飲みながら感想を言い合っているのだが……壊理ちゃんどころか緑谷と響香からの評価も悪い。

 

「僕さ、基本的に映画とかアニメのこういう所があんまりよくなかったな、って言わないタイプなんだよね。何だかんだ楽しめるって感じ、でも何ていうかその……」

「うん、言いたい事は分かるよ緑谷。ウチも似たようなもんだから」

 

ハッキリ言ってしまうとコメントに困る。言いたい事はあるのだけど言語が出来ないというべきなのだろうか……。

 

「おやおやおやぁ!!?そこにいるのはA組じゃないかぁ!!」

 

と片付けも終わったのか、自分達も文化祭を回るモードに入ったB組の物間が此方を見つけたのか近寄って来た。明らかに此方を煽る目的なのは間違いないのだろうが……今はそんな気分ではない、というかなんと反応したらいいのか困る。

 

「僕達の演劇『ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人~王の帰還~』は如何だったかなぁ!?君達のライブはある程度盛り上がったらしいけどさぁ、僕たち程じゃないよねぇ!?僕達のオリジナルには君達のオリジナルじゃ勝てないってよく分かったと思うけどさぁ!!」

「パロディ塗れが良く言うわ」

 

と此処で星辰が思わず口を開いてしまった。本当は言うつもりは無かったのだが、なんといかエボルトも言いたい事があるらしいのでそれを代弁する為に口を開く事にした。

 

「題名からしてオリジナリティゼロだろ、模倣して自分達なりの解釈と表現をするならばいいと思うけどさ……あんまそういうのなかったじゃん」

「な、何を言うかと思えば……」

「だってさ、お前らのそれって元ネタが存在しない所無いだろ?」

 

常に付き纏って来るどっかで見たぞこれ、という感覚は観客に直ぐ様に次を連想させる。基礎にしている要素が誰もが知っているものである為に予想を裏切られる展開が全くない。安定していると言えば安定はするのだろうが……圧倒されるような物が無かった。

 

「まあ演劇はその辺りは難しいのは察するさ、だけどある程度絞ってオリジナル入れた方が見ててワクワクすると思うぞ」

「ハ、ハハハッ随分と上からな意見だね!!もう勝った気でいるとは慢心かな!?」

 

「あっ居た居た!!お~いA組さ~ん!!」

 

そんな時だった、他の科の先輩やらから声を掛けられた。

 

「なあなあ、校内放送で流れてたあれってA組のライブだったんだよな!?あれマジ最高だったわ!!あの曲って配布とかやらないのか!?」

「は、配布ですか?」

「うんうん!!私はGiant Stepを配布して欲しいんだけど!!」

「いやいやいやあの開幕だろ!?」

「あ、あの耳郎さん貴方のファンになりましたサインください!!」

「ウチのサイン!?」

 

校内に流れた事でライブで歌ったライダーソングは瞬く間に波及していった、今まで聞いた事も無いような熱を帯びたヒーローソングの数々に雄英の生徒達は心を奪われたようだった。そして口々にサインや配布の予定などを尋ねる人が大勢いた。その光景に思わず愕然とする物間、B組は劇の事もあったのでライブを聞けていないのでこの辺りは致し方ないかもしれない。

 

「ま、まだだ……アンケートを取ればB組の勝ちに決まってるさ、そうさそうに決まってる……」

「お前も性懲りねぇな」

「まあ懲りたら物間じゃねえしな、もうほっとく……訳にも行かないか、お~い物間専用のハリセン持って来い!!」

 

これ以上文化祭の空気を悪くする前に、物間の意識はB組学級委員、拳藤の代理を務める泡瀬がハリセンのフルスイングで物間の意識を刈り取るのであった。




「なあなあ、あのクライマックスだぜって奴やって貰えないかな?!ライブ見た奴がそれが最高にカッコよかったって言ってたんだ!!」

「そ、それでは……へっ何だ何だどいつもこいつも、俺のカッコよさに気付いたってか。なら目ん玉ひん剥いてよく見やがれ。俺、参上!!俺に前置きはねぇ、最初から最後までクライマックスだからな!!」

「星辰君、ノリノリだ……」

「彼も結構エンターテイナーだよね!!」


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110スレ

「あ~……あかん、自暴自棄になってた……もうぃゃ壊理ちゃん慰めて……」

「カッコよかったよ?」

「ぅぉ……純粋無垢ゆえの反応が余計に刺さる……」

「ま、まあまあ星辰君……」

 

校内放送によって別の側面のファンが出来てしまった星辰と響香、しかもそれが中々に熱狂的だったのでヤケクソ気味にリアクションしてしまった星辰は特にダメージが酷いらしい。

 

「さてと、ミスコン会場に到着だよね!!」

「ミスコン?」

「ミスコンっていうのは女の人達がどれだけ自分をキラキラしてて綺麗に見せられるかを競う物なんだよ」

 

支えられながらも到着したミスコン会場、中々に説明に困るそうなミスコンの概要をかなり分かりやすく簡潔に教えるミリオにおおっ、と声が漏れるのだが―――直後に巨大な人の顔をした戦車のようなメカに乗った色んな意味で絢爛豪華な姿をした女性が色んな意味で大暴れしている光景だった。

 

「……あれ、これ本当にミスコンテストなの?」

「奇遇だね星辰、アタシもミスコンって何だっけって思ってたところ」

「あれは前年覇者の絢爛崎さんだね」

 

ミスコンテストというのは女性が自分の美しさや可憐さなどといった魅力を武器にした上で誰が一番なのかを競う物だと思っていた。それなのに目の前では巨大な絢爛崎先輩の顔をしたメカが色んな意味で大暴れをしている、もはや美しさとかけ離れているような気がしてならないというのが素直な感想であった。というかそんな事よりも……

 

「確かにキラキラピカピカしてる、これがミスコン……?」

「いやうん、なんかあってるようで間違ってるよね多分……」 

 

流石のミリオも誤解を解きたい所なのだが、どうやって説明したらいいのかに困る。

 

『悪くはねぇだろ、綺麗だのなんだので競うって言っても結局のところはインパクト勝負なのがミスコンの肝だろ。だったらあれはあれで正解だろ』

「(そう、なのかな……)」

『あんだけ自分に自信あるんだ、印象に残るだろ』

 

確かにそう言われればそうだ……自分だって一番印象に残った、色んな意味で。恐らく暫くは絶対脳裏からあの光景が離れる事はないのだろう……一種の呪いの類なのだろうか。そんな中、続けて登場のしたのはねじれだった。

 

「おおっ先輩だ」

「さて、波動さん今年は如何かな?」

 

話を聞いてみると前年は絢爛崎に敗れてしまったとの事、だが今年は違う。去年と違って、今年は自分らしさを活かして戦うと決めているのかねじれは笑みを浮かべ続けながらも浮かび上がった、そしてそのまま波動を発しながらも空中を舞うかのように飛び回っていく。 

 

「きれぇ……」

 

思わず出た壊理ちゃんの言葉には同意しか浮かべられない、屈託のない笑みと裏表が一切ない純粋さが合わさりながらも優雅且つ美麗に空を舞う姿は正しく妖精……それに星辰も見惚れてしまう程だった。

 

「先輩、可憐だ……」

「―――うんそうだね、認めるしかない……しかないけど……」

 

それ自体は認めざるを得ない、認めるしかないのだが……なんかこう、モヤモヤして来たので星辰の心臓にプラグを挿して自分の心音を流し込んでおく。

 

「(ぐあああああっ身体の内部に別の心臓音がぁぁぁぁぁ!!!!)」

『相棒、好い加減にこの女何とかしようぜ。ぜってぇお前に惚れてるって』

「(だとしてもこの表現は何なん!!?)」

『お前は私の物だという事忘れんなアピールだろ、愛が重い女に愛されたな』

 

コンテスト中なので何とか悲鳴を上げないように下唇を血が出そうになる程に噛んで耐える、が、直ぐ傍からは絶対零度の視線を投げかけて来る響香に寒気が走る。星辰は女性との交際経験はないがセラピストニキの世界にいるイッチーことワンサマーほど鈍くはない、明白な好意を持ってくれているという事は分かる、分かるのだが……いわゆるヤンデレ系は程遠い存在だったので戸惑いを隠しきれないのである。

 

「い、一緒に巡りましょうか響香さん」

「んっ許す♪」

 

タイトロープを歩く様な気持ちになりながらも、緊張したまま響香と共に文化祭を巡る事になった。と言っても、前述の通りのような気分なのでハッキリ言って楽しめるような心境ではなかったのだが、エボルトになっているという関係もあって外面を整えるのは得意なので表向きは本当に楽しそうに過ごせていた―――という体裁を整える事に見事に成功した。この時程この特典に感謝した事は無かっただろう。

 

「文化祭の締めに星辰の珈琲……うん、悪くない、寧ろ最高だね」

「それはどうも……今回のは47点かな」

 

文化祭は大盛況のうちに閉幕としたと言っていいだろう。ジェントルたちの事で色々あったが、結局文化祭に影響する事はなかったしライブも完璧だった。問題と言えば……校内アンケートの結果をミッドナイトが軽く教えてくれたのだが、教師を含めて是非ライブの曲を配信して欲しいという感想コメントが多数あったと言われた事位だろうか。

 

「にしても星辰のあの曲マジでよかったよ、ウチはClimax Jumpがやっぱ好きかな。ノリノリな星辰含めて」

「いやホント勘弁してください」

 

此処が自室だからというのもあるが、本当に忘れて欲しいのかその場で即座に土下座を行う星辰。本人的にはもう恥ずかしくなってしまって致し方ないのだろう。

 

「Climax Jumpはやってて一番楽しいけどでもBE THE ONEかな一番は」

「最後のデュエットはアドリブだったけど、良く合わせられたよね」

「星辰の事だからすぐにこうするって分かったからね」

 

ウィンクしつつも胸を張る彼女に星辰は苦笑しか出来なくなる、何だかんだありつつもそう言って貰えるのは本当に嬉しい限りだ。改めて思うと本当に彼女には感謝しかない、こうして楽しい時間を送れたのも全て……だからこそ言おうと星辰は決意を固めるのだが―――

 

「ねぇ星辰、ウチさ―――アンタの事すっごい好き」

「俺―――ヘァッ!?」

 

意を決して言葉を作ろうとした矢先にそれよりもずっと鋭い言葉が飛んできて驚いてしまった。硬直していると自分が座っているベットの上に彼女も座る、いや自分の膝の上に乗りながらも瞳を見つめて来る。

 

「今日の事で確信した、アンタといると凄い楽しいし嬉しいしドキドキする。んでねじれ先輩と仲良しな所見るとすっごいモヤモヤしちゃう……何度も心音流してゴメン、でもそれだけウチの事をアンタに知って欲しい、意識して欲しかったの」

 

踏み込むように顔を近づける。

 

「馬鹿みたいな事してたけど……だから今ハッキリさせる、アンタの珈琲をこれからも毎日飲ませて、それでウチの心音を隣でずっと聞いててくれない、かな……?」

 

様々な思いが込められた言葉に星辰は放心状態の一歩手前まで来ていた、何故ならば此処までの人生で女性と付き合った事なんてなかったから。告白をした事も無ければされた事も無い。そんな人間が此処までの事を言われてしまったら処理する事なんて難しいに決まっている、だがそれでも彼は誠実なのだ、だから必死に茹りそうな頭を働かせながら紡いだ言葉は―――

 

「……え、っと……その、告白、先取りされちゃった、ね……?俺が言おうとした事も言われちゃった」

「それってもしかして……!!」

「ふ、不束者ですか末永く宜しくお願い致します……」

 

紅潮しきった星辰の言葉に響香は感情が限界突破してしまい、そのまま星辰を押し倒すように抱き着きながら彼の耳にささやくように言った。

 

「それはこっちの台詞―――毎日、ウチの音楽でコーヒーブレイクしようね……マイダーリン♪」




なんか、ワンサマーって文字を出したらどうしても酢豚が思い浮かんじゃって……


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111スレ

47:システム

―――ヒロアカエボルトが入室しました。

48:普通のカウンセラー

祝え!!

 

49:青春学園の熱血教師

祝え!!

 

50:DD風紀委員長

祝え!!

 

51:ヒスイの調査兵

祝え!!

 

52:クトゥルフ系狩人

祝え!!

 

53:ヒロアカエボルト

えっえっ、何これ。

 

54:光の国の勇士

祝え!!いやはやおめでたいですね、私の居た頃はそういうのは無かったのに

出久君と発目さん位だったかな?

 

55:CC立香

出久君と発目ちゃんがくっつくって凄い世界だよね~

あっ祝え!!イッチおめでとう~

 

56:無法地帯の料理人

祝え!!何よりです、生憎ロアナプラじゃケーキも作れません。

ってそうか自分の能力で出せばいいんじゃん。

 

57:円卓の鬼

転生の特典を普通忘れるか?

おっと、祝え!!

 

58:纏め役の転生者

祝え!!

何、それだけ世界に馴染んで自力だけで生活できてる証明だ。良い事だ。

 

59:ヒロアカエボルト

あ、あの~……なんでウォズが大量発生してるですか?

 

60:大地の虎

あれ、もしかして気付いてなかったんすか?

配信、切り忘れたっすよ

 

61:ヒロアカエボルト

あっそう言えば切った覚えが……ってえ"っ!?あ、あの何処まで……

 

62:普通のカウンセラー

包み隠さず言えば……貴方が耳郎さんに告白されて、受け入れて抱き着かれて

そのまま暫く抱き合い続けて、互いにうっとりしたままキスして

互いに吃驚して謝って噴き出しちゃった所までかしら?運営さんが流石に此処までってしたから。

ああ、歯をぶつけ合っちゃったのは初々しくて可愛かったわね。

 

63:ヒロアカエボルト

全部じゃねえええええかああああああああああああああ!!!!!!!??????

ああああああああああああああああああなんつう所を見られたんだ俺はああああああ!!!?

 

64:CC立香

いやぁ久しぶりに初々しい純愛を見たよ。

 

65:クトゥルフ系狩人

いや、純愛……ではないと思うぞ、ヤンデレ入ってたし。

 

66:CC立香

きよひーやクリームヒルトに比べたら楽なもんよ。

僕、最初に召喚したのクリームヒルトでもう大変だったわwwまあ対象僕じゃなかったけど

その後すぐにジークフリート召喚しちゃってさwww

 

67:青春学園の熱血教師

>>66わ、笑えねぇ……

 

68:大地の虎

想像するだけで怖いんすけど……。

 

69:ヒスイの調査兵

まあ落ち着けイッチ、そんなに取り乱すな。

詫びに俺とコギトさんとの逢瀬を公開しても良いから

 

70:ヒロアカエボルト

ンなもんいるかぁぁぁぁ寧ろただののろけじゃねえかあああああ!!!!

 

71:ヒスイの調査兵

いやぁすいませ~んwww

 

72:無法地帯の料理人

此処までイッチが暴走してるのも初めて見たな……

 

73:超次元中学生

そりゃ自分のミスでそんなところ見られたなぁ……

 

74:円卓の鬼

つうかさ、今まで忘れてたけどさセラピストニキは?全然書き込みねえじゃん。

 

75:普通のカウンセラー

ああいたわねそんなの

 

76:無法地帯の料理人

普通にひでぇこと言いやがる……

 

77:光の国の戦士

でも確かにみませんね、運営様、ログインはしてますよね?

 

78:ノアの神

(゚д゚)(。 _。)

 

79:クトゥルフ系狩人

という事はイッチのあれも見てる筈、イッチの配信から目を離す訳ないし

 

80:大地の虎

ホントキモいですもんね、イッチさんに対しては

 

81:纏め役の転生者

辛辣だが真実だな。おい、確認してくれ。

その位はしてもくれてもいだろう。

 

82:ノアの神

(-_-;*) ……(・◇・)ゞ

 

83:CC立香

う~ん……分かったやってみる、かな。

 

84:超次元中学生

というか、そんな事していいんですか?

 

85:纏め役の転生者

転生者掲示板の管理人だ。管理者権限で他世界への

強制介入配信は出来る。

 

86:『システム』

―――より、要請を受諾。検討中……検討中……承認。

―――IS世界のメンタルセラピストへの利用者権限を強制徴収、完了。

―――これより、IS世界のメンタルセラピスト、の強制配信を開始します。

 

87:ヒスイの調査兵

なんか転スラ思い出した。

 

88:光の国の戦士

分かります、大賢者さんっぽいよね。

 

89:無法地帯の料理人

大賢者ってレヴィと同じ中の人なんだよなぁ……

 

90:円卓の鬼

マジで!!?

 

91:普通のカウンセラー

ンな事言ったらウマ娘のおハナさんとかポケモンのヒカリとも同じだしな。

 

92:CC立香

ホント声優って凄いよね。

 

93:ノアの神

(■_■⌐)……€=(´Д`)

 

94:纏め役の転生者

何だ、何に呆れてるんだ?

 

95:ノアの神

(・_・ )―――――C

 

96:IS世界のメンタルセラピスト

『……嘘だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あああああああ!!うわあああああああああ!!!!』

 

隣には幸せそうな顔で寝ている箒と束

 

97:光の国の戦士

……おおぅ、これは……。

 

98:普通のカウンセラー

遂に、喰われたのね……

 

99:ヒスイの調査兵

というか何で束さん迄混じってんだよ何時の間に落とした。

 

100:DD風紀委員長

つまり……イッチのショックで気絶からの捕食……ですかね。

 

101:ノアの神

(゚д゚)(。 _。)

 

102:纏め役の転生者

……成程、まあ別に構わんだろう。

そもそもイッチはちゃんと恋愛して孫を見せてあげたいって言ってたんだ。

それなのに食い下がってのは向こうだ、言いがかりをつける権利もない。

 

103:無法地帯の料理人

まあ隙を見せた方が悪いという事で、というかこれで多少なりともマシになるんじゃね?

荒療治という事で。

 

104:青春学園の熱血教師

好きな相手に恋人ができて、そっから喰われたって劇薬過ぎて悪化しそうな気もするが

 

105:クトゥルフ系狩人

まあその辺りは知らんという事で。

 

106:超次元中学生

これまでそれなりの数の女の子を落としたままだったからな、いいタイミングだろ。

 

107:エボルトヒロアカ

誰もセラピストニキの味方してなくて嗤うわこんなのwww

 

108:ヒロアカエボルト

……なんか、ごめんねセラピストニキ。

 

109:大地の虎

あっイッチが復活したっす。

 

110:ヒロアカエボルト

そりゃこういうのを見せられたら我にも帰りますよ。

 

111:纏め役の転生者

取り敢えず気にする必要はないからな、自業自得だ。

兎も角、お前の事はこっちは忘れておく

 

112:ヒロアカエボルト

……いえ、いい教訓になりました。これからは気を付けます。

 

113:IS世界のメンタルセラピスト

『ぁぁぁぁぁぁぁっ……』

『……昨日は凄い激しくしてくれたね……♡』

『せ、先生私は……嬉しかったです、よ?』

『―――容易い事ではない……(バタン!!)』

 

114:普通のカウンセラー

アービターの名台詞を穢すんじゃないわよ。

 

115:ヒスイの調査兵

というか、これまた食われるんじゃね?

 

116:ノアの神

(゚д゚)(。 _。)

 

117:無法地帯の料理人

ああ、現状進行形で食われ始めてると。

 

118:光の国の戦士

ウサギですからお盛んですね、ねえ其方は如何ですか王族になった先輩。

 

119:光の国の勇士

……後でコロシアムまで来なさい。レオとセブンを呼んで本気で鍛えてあげます。

 

120:光の国の戦士

えっちょまっ!!?

 

121:クトゥルフ系狩人

戦士ニキ終了のお知らせwww

 

122:ヒスイの調査兵

これこそ自業自得

 



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112スレ

「如何ですか戦兎さん」

「実に興味深い、いや本当に興味深いよこいつ」

 

文化祭の終わった後、戦兎の工房を訪れた星辰。そこではファントムクラッシャーが分解されながらもケーブルなどが無数に繋げられて、データの吸出しや改正が行われている様子がそこにあった。差し入れである弁当を置きつつもパソコンに向かい続ける戦兎に進捗を尋ねる。

 

「こいつの基本的なシステムはライダーシステムを基礎設計に起きつつもそこに独自的な解釈と調整を行っている、いや寧ろライダーシステムのオリジンとも言うべき方向性に先祖返りさせたような感じだな」

「つまり……軍事兵器」

「ああ、プロジェクト・ビルドを本格的に軍事目的に特化させた感じだ」

 

プロジェクト・ビルド、悪魔の科学者と呼ばれた葛城 巧により考案されたプロジェクト。防衛システムとして仮面ライダーを作るという趣旨の物、防衛を行う為の力は相手と戦う為の物。それによって旧世界の敵勢力などは軍事兵器などの転用を考えていた程に優れていた。そしてファントムクラッシャーはそれを誰かを救う為の力という仮面ライダーを、誰かを殺す為の物に特化させるプロジェクトによって生み出された産物だと戦兎は言う。

 

「しかも、こいつには対仮面ライダーと思われるシステムが搭載されてる」

「対仮面ライダーって……」

「だけど、システムが完全に破壊されてて修復できない。断片的な情報しか取り出せなかったけど……そういうシステムだと思う」

 

恐らくだが戦闘不能になった段階でシステムが壊されるシステムが仕込まれていたのだろう、それによって完全な解析は不可能だったらしい。だがそれを聞いて星辰はある事を思い至った―――ファントムクラッシャーはライダーシステムを無効化する為の機能があった。相手のネビュラガスを吸い上げる事でハザードレベルを間接的に下げて、変身が出来ないようにする物だった筈。

 

「戦兎さん、それってネビュラガスを如何にかするシステムなんじゃ……」

「ネビュラガスを……そうか、俺達の身体にあるネビュラガスを抜き取ってハザードレベルを下げようっていうのか……!!凄いぞ星辰よくそんな発想が出来たな!!」

「いやまあ、ガスを浴びてハザードレベルを上げられるならガス抜きが出来るんじゃないかなって……」

「ハハッ当然の意見だな!!」

 

と、言ってもこの予想もあくまで劇中の描写からの予測でしかない。だが恐らく正解だとは思う……そうなると確実に必要になってくるのはファントムリキッド。

 

「(エボルト、ファントムリキッドって俺達でも作り出せるのか?)」

『やろうと思えばな、使おうと思わなかったのは液体だから使い勝手が悪いんだよ。多分だが強力だからハザードレベルが高い奴じゃねぇとスマッシュ化もせずに消滅する、ネビュラガスの方が色々と使い勝手いいからな。態々濃度を高めようと思わんかった』

「(成程な……)」

 

そんな事を考えると腰が突かれた。其方を見ると紅茶が入ったカップを差し出してくるラブラバの姿があった。

 

「はい紅茶よ、考えるのもいいけどお休みも入れないとダメよ」

「どうも有難うございます、戦兎さん二人を受け入れてくださって有難うございました」

「お前さんの頼みだから断る理由がないからな、それに結構頑張ってくれてるしな」

 

そう言いながらも自分の席に座り直したラブラバは複数のキーボードを同時に叩き始める、ハッキングのプロを自称していたがその腕前は超一流。戦兎としても有難いメンバーを紹介してくれたと思っている、そして一方のジェントルは―――

 

「ただいま帰還しましたよ桐生博士」

「あっお帰り、今回の如何だったってなんかボロボロだな……」

「ハハハッ少々いざこざがありましてね」

 

工房に入ってきたのは若干汚れているジェントルだった。その手には戦兎お手製のサポートアイテムと思われるものが多数抱えられていた。それを置くと直ぐにデータをラブラバへと手渡した。

 

「如何だったジェントル?」

「フム、実にエキサイティングだったよ。だが3番は聊か出力が高すぎると感じたね、逆に6と11番は弱いし調節が難しい」

「助かってるよジェントル、ゴールドティップスを仕事先から貰ったから飲んでくれ」

「おおっ!!なんと、仕事後の一杯がゴールドティップスとは……」

「よかったわねジェントル、星辰君のケーキもあるわよ!!」

 

現在、ジェントルとラブラバは監視付きの奉仕活動という名目で戦兎の下では働いている。幻徳が手を回し、個性の使用許可も取得してジェントルは戦兎作成のサポートアイテムのテスターとして、ラブラバはテストで得られたデータを解析するプログラマーとして。最初こそラブラバは少々悩んでいたが、決め手となったのはジェントルの言葉だった。

 

『……やはり、私は忘れられなかったんだ。歴史に名を刻みたいなど唯の名目だ、不貞腐れて素直になれなかった愚かさゆえだ。私はヒーローになりたかった』

『なれるよ、お前は星辰のダチを助けただろ、そりゃもう立派なヒーローだ』

 

それに対する戦兎の言葉でジェントルも決意を固め、ラブラバもその道に付き合う事を決めた。こうして工房初の研究員二人を確保する事が出来たと戦兎は何処か胸を張っていた。

 

「万丈さんは別扱いなんですか?」

「あいつはほら……居候?」

『おい、最高のコンビ何処行った』

 

尚、万丈は万丈で身体を鍛えるがてらにサポートアイテムの運営役や資材運びを行うなどの仕事をきっちりとこなしている。だから一応工房のちゃんとしたメンバーではあるが、研究員としては数えたくはなかったとの事。

 

「んで、アンチ・ライダーシステムに対する対抗策って……思い付きます?」

「正直どの程度までやれば良いのかが微妙だなぁ……こいつにあるのだって明らかに試作品な上にあからさまな空白がある、つまり鹵獲されるのを想定された上で内部破壊を組み込んでる。そんな奴らのシステムが半端な訳がないからな……兎も角、色々試してみる、そっちも気を付けろよ。一番目立ってる訳だしな」

 

そう言われれば確かにそうだが、自分に対ライダーシステムの物を向けられたとしても恐らく無力化は出来る。何せこの身体自体がエボルトなのだ、ネビュラガスによってレベルを上げている訳ではないから問題はない。だが問題は戦兎たち、この辺りは戦兎が対抗策を見出すか、それとも自分がファントムリキッドを作り出すかに変わって来る。

 

「それじゃあ戦兎さん、俺そろそろ」

「ああ、飯ありがとな」

 

そう言いながらマシンエボルダーに乗り込みながら、アクセルを回して走り出して行く。

 

「(ファントムリキッドか……)」

『この世界にもある、ならまずそっちを抑えた方が楽だな』

「(と、言ってもなぁ……場所がわからん、かずみんが偶然入った事云々って事位しか覚えてないんだよなぁ……)」

 

そのような思いをさせながらも戻った雄英、スマホに戻しながらも部屋へと入るとそこには―――さも当然のように居座っている響香が居て、自分を見ると直ぐに笑顔になって抱き着いて来た。

 

「お帰り星辰♪ねぇ何処行ってたの、一緒に居てくれるって言ったのに」

「ごめん野暮用でね、これからはのんびりしようよ。珈琲淹れて」

「ウチのハートビート聞いてね♪」

 

ニコニコしながらも強く抱き着いてくる響香に星辰は何も言えなかった。だが、こうして自分を好いてくれる事に対しては嬉しさが溢れ出しそうになっている自分が居て、満更でもないんだなと自分でも思った。

 

「ねっうちの家族にはいつ紹介しようか!?」

「は、早すぎない……?」

「早くないって、それに―――アンタ以外にウチは初めてを渡す気ないからね♪」

「わぁお……とってもヘヴィ……」



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113スレ

11月下旬、残暑も完璧に消え去り寒さばかりが目立ち始めてくる時期、乾燥する空気を感じる事も無く寮の中で快適に過ごしつつも星辰は戦兎から譲って貰った中身の入っていないフルボトル、即ちエンプティボトルを握り込みながら瞳を閉じて只管に集中し続けていた。

 

「なあ、さっきから星辰何やってんだ?」

「実験だってさ、なんか新しい事へのチャレンジ的な」

 

壊理ちゃんがこの雄英預かりになった、と相澤先生から聞かされた時も彼だけに寮に籠っていた。という訳にも行かないのでそこを無理矢理に連れ出して挨拶だけはさせて来たが……戻って来たすぐさまにソファに座ってまた続きをし始めていた。

 

「あのボトルってあいつが個性使う時に使う奴だよな」

「様々な物があると聞いている、俺達がわかる範囲で言えば毒蛇に龍、太古の王者と言った所か」

 

常闇の発言通りに星辰は既に多くのボトルを持っている上にボトルを作り出そうと思えば問題なく作り出す事が出来る、だがそれを敢えてせずに戦兎からエンプティボトルという受け皿を貰って行っているそれは一体何なのかと皆興味が尽きないのか、響香の隣で集中し続ける彼へと視線を向ける。

 

『要はイメージだ、俺がどうやってフルボトルを作り出したか覚えてんだろ』

「(……父さんの記憶)」

 

フルボトルは石動 惣一の記憶から作り出されている、好きな物を30個挙げろと言われて惣一は娘である美空との思い出から、娘が好きな生き物を挙げて行った。そして、次にそれらの命を破壊する物を30挙げろと言われた。だが、最初は戦車やガトリングと言った物から全く関係のない物が生まれて行った、それは惣一が娘の好きなモノを守りたいという一心で行ってエボルトに対する抵抗だった。それがフルボトルとベストマッチの真相。

 

そしてそれを聞いたからこそやりたい事があった―――それはレジェンドライダーのベストマッチを行えるフルボトルの創造。

 

「(モモタロス、ライダーカード、探偵、USBメモリ、メダル、友情、魔法使い、オレンジ、パーカーフルボトル辺り……かな無いのが。どうやって生み出せぁ良いんだってのもあるんだよなぁ……)」

『ほれ、妄想爆発させろライダーオタク』

「(やぁかましぃ!!)」

 

記憶から生み出せるという事は、自分の中にあるライダー作品の記憶からそれが生み出せる可能性は極めて高い。だがそれを行うのにも余りにも抽象的な成分もあるので想像を固めるのは容易ではない。

 

「(友情とか魔法使い、探偵って如何すりゃいいんだよ……)」

『そう言いながらもほれ、一つ出来るぞ』

「えっ嘘」

 

思わず手元を見てみるとエンプティボトルが変化して、エボルボトルへと変貌を遂げていた。そして生まれたのは……二つに分裂しているボトルがそこにあった。

 

「……えっ何これ」

「いやそれウチが今聞こうとしてたんだけど……」

 

思わずそんな言葉が口から出た、いや本当に何か解らない。最初は一つだった筈なのに、それがいつの間にか分裂していたとしか言いようがない。しかもこのボトルは……ゲームとドクターのボトル、という事は……エグゼイドのレジェンドマッチの組み合わせという事になる。

 

「予想もしてなかったのが生まれた……だと!?」

「いやその為にやってたんじゃないの?」

 

それはそうなのだが、まさかこれが生まれるとは思わなかった。それ程までに自分の中でエグゼイドの記憶が濃かったという事だろうか……確かに最初はその外見で大丈夫かと思ったりもしたから色んな意味で濃いと言えば濃いのだが……

 

『俺のせいだな、最上の野郎の一件で俺もエグゼイドは見てる』

「(ああ、バイカイザーの!!)」

 

謎が解けた。最上 魁星が企んだ全並行世界の支配、並行世界移動装置エニグマによって起こった事件、そしてビルドとエグゼイドの世界の衝突の危機、そこで起きた6大仮面ライダーの集結。それにエボルトは関与して戦兎にフェニックスロボのボトルを渡したりもしているので、その記憶が強いのも納得だ。

 

「……まあいいか、これはこれで良い結果になった」

「なら、良いんじゃない?」

「うん良かった」

 

兎も角、エグゼイドの力というのは喜ばしい事だ。何せ、医療に携わるライダーだ。専門はゲーム病ではあるが、ドクターボトルでカバー出来る範囲はそれなりにあるので現場での応急処置などで使う事が出来る。となるとエボルトの事も踏まえるとこれから出来やすいのは鎧武、オーズ、ゴースト、フォーゼ辺りになるのだろうか……そんなこんなのやり取りをしている間に如何やら来賓の方々が扉が開け放たれた。

 

煌めく眼でロックオン!!

猫の手、手助けやって来る!!

何処からともなくやってくる……!!!

キュートにキャットにスティンガー!!

ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!!

 

やって来たのは林間合宿でお世話になったプッシーキャッツであった、相澤が言っていた来賓とは彼女らの事。お土産持参でやって来た彼女性質組の皆は温かく迎える中、一人だけ虎は神妙な顔で星辰へと頭を下げた。

 

「済まん。守ってやれんかった」

「あの状況なら寧ろ俺一人の被害で抑えてる段階で称賛されるべきだと思います」

「アチキもその意見には賛成、悔しいけどあいつらは無理」

 

林間合宿でヴィラン連合の襲撃を受けてしまった折、プッシーキャッツの面々が尽力してくれたおかげで被害は最小限に抑えられた。だがその代償に星辰は攫われた、と言ってもあれに限っては如何にも出来なかっただろう。何せ、マッドローグとなった渡我にエボルトの策謀もあったのだから。

 

「だけど今度は負けないよ!!あれからずっと、アチキは虎の特別メニューをこなし続けてるから、並の格闘ヒーローよりは強い自信あるよ!!ファイティングキャッツ!!」

 

ムン!!とポーズを取るラグドール、脳無に敵わなかった事をかなり気にしているのかあれからずっと戦闘力強化訓練をし続けているとの事。それによって本来は後方支援が主だった彼女も前線に立てるようになったらしく、以前よりも活躍の幅が増えたとの事。

 

「そのお陰もあって、今度発表されるヒーロービルボードチャートJPでの私達の順位が26位だったの」

「確か前回は32位でしたよね」

「一気に6位も上がってんすか!?スゲェ!!!」

「いやいやいや、多分そんな事ないと思うわよ―――何せ今度からは面白いのが追加されるからね」

『面白いもの……?』

 

一体なにが追加されるのか、と首を傾げる中でピクシーボブが笑いながら笑顔で答えた。

 

「ズバリ!!次世代を担うヒーロー達のランキング、ニュージェネレーションヒーローズビルボードチャート!!つまり―――君達を対象にしたランキングよ!!」

 

その言葉に一瞬、全員が言葉を失った、だが直に爆発的な声が膨らんだ。現役ヒーローのみを対象にしていたのと異なり、今度の物は次世代のヒーロー達に向けたもの。

 

「アチキ達が出てるのは事件解決数に社会貢献度、支持率なんかを集計したものだけどそっちのは実力や個性にその使い方、戦術、期待度や将来性、インターンでの活躍なんかを調査と集計、審査した上で決められるの」

「これは現役ヒーローからすれば次世代がどのぐらい育っているかとか、サイドキックを決めようとしているヒーローにはいい指針になるのよ。まあそれだけじゃないけどね」

 

様々な目論見はあるだろうが、オールマイトの引退の影響と言わざるを得ないだろう。仮免でも言っていたが今社会は即戦力を求めている、それをより明白にしつつ意識の向上とそれに乗る事を目指しての切磋琢磨をもくろんでいるのは間違いないだろう。

 

「でもすげぇな!!俺達、もしかしたらそれに乗るかもしれないって事だろ!!?」

「十分あるわね、体育祭での活躍なんかも審査の範囲内の筈よ」

「うおおおおおっ今から楽しみになって来たぁ!!!」

「オイラがトップになる事も、あり得るって事だなぁ!!」

「あ~もう楽しみ~!!」

 

と既に効果は出ている。そのランキングに乗るという事は文字通り、次世代を担うヒーローとして期待されているという事。これに気合が入らないものはいない。それを聞いて笑みを浮かべた響香は隣の星辰を見る。

 

「じゃあ、星辰は確実に乗るだろうね」

「さてどうだろうね……そうある事を願うよ」



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114スレ

その日、多くの人々がそれに意識を注いでいた。この日に行われる物は現代社会において大きな意味を持っている。それはヒーロービルボードチャートJP。オールマイトの引退を決定づけた事件である神野以来初めてのチャートの発表は大きな意味になる。今までこの発表の場にヒーローらが登壇する事などはなかった、だが今回は特別。そんな場に登壇した居るヒーローらに注目が集まっていた。

 

「№10、前回よりもダウン!だがしかしその実、衰えを知らずいまだに高みへと昇る!!具足ヒーロー・ヨロイムシャ!!」

「このような番付、全て時運により誤差。上位3名を除けばな」

「№9、キレイにツルツルのCMでお馴染み、洗濯ヒーロー・ウオッシュ!!」

「ワシャシャシャシャシャシャシャ!!」

 

トップ10の一番下から発表されていくヒーロー、そのトップバッターは大ベテランのヨロイムシャにTVを付ければ一度は目にするCMでお馴染みなウオッシュ。皆に顔が知られているヒーローばかりが矢張り名前が上がって行く。当然と言えば当然だろう、知名度だけではなく実力も高ければそれだけ注目を集めるのがヒーロー社会だ。そして次に名前を上がったヒーローは少しだけ照れくさそうにしている。

 

「№8、前回よりもワンランクアップ!!猛々しくも美しく!!ドラグーンヒーロー・リューキュウ!!」

「アハハッ……ちょっと、頑張り過ぎたかしらね……?」

 

星辰や麗日、蛙吹に響香のインターン先であったリューキュウ、彼女は前回は№9だったが今回はワンランクアップしていた。サイドキック不足というヒーロー事務所にとっては割かし深刻な状態にあるにも関わらず、リューキュウ事務所は好調その物だった。優れた新人のサポートだけではなく、自身も気合を入れなければと仕事に望む為かリューキュウ自身の能力も向上傾向にある。その結果、順位を上げる結果にも繋がっている。

 

「№7、大躍進そして成長し続ける期待の男!!シンリンカムイ!!」

「光栄」

「№6、THE・正統派な男は堅実に順位をキープ、シールドヒーロー・クラスト!」

「オールマイト……!!」

 

№7にはMt.レディとエッジショットとチームを組んだシンリンカムイ、№6には王道を征く正統派ヒーローのクラストがランクイン。シンリンカムイの実力の高さが大きく評価されている。ヴィランの捕縛率などはトップクラス、同時にMt.レディとの熱愛報道などもあったりもする彼。彼女はノーコメントで何も言わないが、実際は如何なのだろうか。勝手に騒ぐのはマスコミの本能だがその辺りはプライベートなので追及しないのが正解なのだろう。

 

一方のクラストはオールマイトいう大きな存在がもういない事に涙を流しつつも、それを飲みこんで前に進んでいかなければならないと声を大きくして叫びをあげている。だからこそ、今此処が気合を入れなければという強い意志を感じさせる。

 

「№5、ミステリアスな忍は解決率も支持率も鰻登り!!忍者ヒーロー・エッジショット!!そして№4、勝気なバニーはランクアップ!!ラビットヒーロー・ミルコ!!」

「チーム組んだんだってな弱虫め!」

「黙らっしゃい公の場だぞ」

 

そのように語っているミルコだが、彼女も彼女でリューキュウとチームアップを行っている……まあその実態は星辰を連れて行く為の口実としてチームアップ要請ではある。最近ではエボルラビットと共に跳ね回りながら同時に飛び蹴りを繰り出して、超巨大ヴィランを撃破した功績が耳に新しい。 

 

№5。エッジショットは支持率、解決貢献度などで大きく伸びているが、それでも活動休止中なのに支持率が随一。だがこの二人でもファイバーヒーロー・ベストジーニストには及ばない、№3はベストジーニストであった。それだけベストジーニストが多くの人たちに復帰を望まれているという事である。

 

「№2、マイペースに!しかし猛々しく!破竹の勢いで今2番手へ!!ウィングヒーロー・ホークス!!」

「んな大ゲサな、言いすぎ」

 

№2には常闇が職場体験、そしてインターンで出向いたウィングヒーロー・ホークス。22歳である彼だが18で事務所を立ち上げその年の下半期には既にトップ10に入っていた。そして今№2へ、彼を人はこう形容する。速過ぎる男と。そんな男よりも上に位置する炎を纏う男が今日―――頂点へと昇りつめた。

 

「そして暫定1位から今日改めて正真正銘の№1へ、長かった!!!フレイムヒーロー・エンデヴァー!!」

 

追い求めた場所に今立つ、どんな気分なのだろうか。後塵を拝し続けてきた男が、望んだ形ではないにしろ、その場所に立ったのだ。フレイムヒーロー・エンデヴァー。今日から、彼が№1だ。

 

「そして今年はこれだけではありません!!ニュージェネレーションヒーローズビルボードチャート!!今、プロヒーローやヒーロー公安委員会によって次世代を担うヒーロー達のランキングです!!」

 

そう、今年はこれだけではないのだ。背後の巨大なモニターが切り替わり、そこには次世代の文字が刻まれる。次の世代、今は学生達であるヒーロー候補生たちにもその目が向けられるようになっている。

 

「事件解決数、社会貢献度、支持率などがプロヒーローを評価する基準となっておりますが、彼らを評価するのは将来性。個性の強さのみに関わらず、その戦略性やインターンに分かりやすい所を上げれば雄英体育祭などのイベントにおける活躍度なども大いに含まれております、今年からの試みという事もあり難航したという話を聞きますが、さあどんなランキングになったのか―――どうぞ!!」

 

一斉に映し出されていくのは上位に名を連ねる事となるヒーロー候補生達。その中には当然と言わんばかりにミリオや天喰、ねじれと言った雄英のBIG3も参列しており、他にも3年生などが名を連ねている。この辺りはインターンを長く行っているメンバーの方が評価する側として材料が多いので致し方ないとも言える。

 

「トップに君臨するのは雄英のBIG3の一角、ルミリオンです!!サー・ナイトアイの下でインターンに励みつつも多くの経験を積んだ事による戦闘技術やその精神が高く評価されているとの事です!!ですが、この中に本当の意味の新星が居る事を忘れてはいけません!!」

 

そう、雄英や士傑といった名門校の3年生たちが名を連ねる中に本当の意味でのルーキー……即ち、1年生が名を連ねているのである。

 

「一人はヒーローネーム・ショート!!あのエンデヴァーの息子さんであり、炎と氷を操るという途轍もない個性を有しているスーパールーキーです!!現在はエンデヴァー事務所で経験を積んでいる彼の活躍が期待されます!!」

 

焦凍は焦凍でエンデヴァーの事務所でインターンを行っている、これまでの事を踏まえても自分がまだ不慣れな炎をより十全に扱う為にはより上位の使い手から学ぶのが一番の近道だと当人も思ったのだろう。それはエンデヴァーも認めており、インターンの日々は毎日焦凍を伴って活動に出ている。

 

『如何だ焦凍、此処が俺の行きつけの蕎麦屋だ』

『……うめぇ』

『そうか、ならもっと食え』

 

最近は少しは関係が軟化し始めているのか、一緒に食事を行う程度の仲にはなってきているらしい。そしてもう一人―――

 

「そしてもう一人はホークスの大きな推薦もありましたが、圧倒的な活躍を見せ付けているこのルーキー!!リューキュウとミルコというトップテンに名を連ねるヒーローの下でインターンを行いつつもその力を発揮し続ける候補生、それでは折角なのでご登場いただきましょう!!」

 

そう言いながら背後のモニターが割れていく、何とも派手な演出の奥からその影が見える―――筈だったのが、その姿は無かった。司会進行役は思わずどうして何で!?と言いたげに慌てるふためく中―――不敵な声が会場に木霊した。

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

〈COBRA!!〉 〈RIDER SYSTEM!!〉

REVOLUTION!!

 

同時に会場中に巻き起こる黒い風のような嵐、決して強くない筈なのに誰もがそれに逆らう事が出来ずにいる。奇妙な程に目を離せない、重力でも放っているかのようなその渦の中心に何かが生まれようとしていた。

 

ARE YOU READY?

 

覚悟は良いか、そのように聞こえて来る言葉に全員が喉を鳴らした。お前達の選択だ、お前達が選んだが故の結末だ、故に目を反らすなと言わんばかりの声の直後に黒い渦は弾けてその中心に宇宙の災厄が誕生する。

 

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

手を広げながら出現したブラックホールフォームのエボルはゆっくりと降下しながらもステージの上へと脚を降ろした。とんでもなく派手な登場に言葉を失うものが大半な中、ミルコは笑いながらもエボルの肩に手を回す。

 

「何だ何だ、来るなら来るってハッキリ言っとけよ」

「無茶言わんでください、前日にいきなり言われたんですよ。そういう文句は委員会にどうぞ」

「そうだな、後で蹴り込みに行くか」

「勘弁してあげてくださいよぉミルコさん、初めての試み過ぎてギリギリまで手間取ってたんですから」

 

ミルコを諫めるようにホークスが何処か薄っぺらい笑いを浮かべながらも声を掛けて来る、そう言えばと口遊みながらホークスの方を軽く睨みつける。

 

「お前が推薦したって言ってたな。」

「ええ、丁度仕事が被ってたのでアンケートみたいに取られたので」

「何でアタシにはねぇんだよ」

「そりゃだって、ミルコさんってばあっちこっち跳び回り過ぎてるから声かけるタイミングがないんですよ」

「成程な」

 

この場に星辰が呼ばれた理由の大きな一つがホークスからの推薦があったから、元々ニュージェネレーションズランキング上位には入っていたがその推薦があったからこそこの場に呼ばれた。その理由については様々思い付くが―――一番なのは恐らく

 

「初めましてだけどいやぁ本当にド派手だね、これから宜しく後輩君♪」

「此方こそ頼んでないのに推薦どーも、これから良しなに先輩さん」

 

そう言いながらもホークスと握手をする星辰、表面上こそ№2になったヒーローとそのヒーローに推薦され期待されているヒーロー候補生だが……実際は異なっている。ホークスのしたい事……それは、様々な意味でこの会場を荒らす事にある。



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115スレ

次々と行われていくランキング上位ヒーローへとインタビュー、それを絡んできたホークスの傍で立ちながらも静観する星辰。まあその内、自分に対する何かも行われるだろうと待っているとホークスに指で突っつかれた。

 

「エボル君、どう思うこのインタビュー」

「いきなりですね」

「いやさ、推薦した俺としては退屈してないかなぁ~って。こんなんだった俺も推薦しなかったんだけど、代り映えしなくて悪いね」

「良いんじゃないですかね、安定させるって難しい事ですし」

「大人な意見だね」

 

軽く笑っているが瞳は全く笑っていない、本音を聞きたいと言わんばかりの瞳に星辰は喰えない人だという印象を強めた。

 

「(お前みたいだな)」

『おいおいおい、俺は此処まで分かりやすくはねぇぞ?』

 

それは確かに。エボルトは自分の中身を相手に見せるなんて事はしない、だがホークスはそれを敢えて行って相手の行動を誘発させようとしている節がある。言うなればカウンター、エボルトは自分の内面を見せずに相手に不安を受け付けながらも翻弄し、最終的に突撃しかない所まで誘導すアンノウンという差がある。そしていう通りにヒーロー達の言葉はハッキリ言って安牌を切っているだけでしかないのも感じている。

 

「率直に聞くよ、このままでいいと思う?」

「んな訳ないでしょ、良くも悪くも世の中は変わっていくのにこれから同じ事をやっていくのは取り残されていくだけです。それは安定とは対極、停滞です」

「うん有望な新人君が俺と同じ意見で嬉しいよ」

 

ミルコはミルコで悪い奴、聞いてるか、アタシがぶっ飛ばしに行くからな。と言っているがこれはこれで良い、ミルコの場合はその圧倒的なフィジカルによる物はオールマイトに迫るものがあるしそれによる物はヴィランにとっては非常に恐ろしい、それがまだまだ続いて行くという事の宣言は寧ろすべき事なのだから。安定はこういう者に望む物なのである。

 

「んじゃ後輩君、君にそれを頼みたいんだけどさ良いかな?」

「新人にそれ任せます普通、ヘイターを買って出るのは先輩って決まってるようなもんでしょ」

「いやいやいや、ほら君が行った方がインパクトデカいじゃん?」

「全く……」

 

まあその意見は御尤もだ、記念すべきこの舞台に上がっている唯一の新人ヒーロー以下の候補生、それが指摘するのだからインパクトは十分だ。インタビューに応えているエッジショットには申し訳ないが……この辺りで指摘して新しい時代への変革を促す事は必要だろう。

 

「だが、我々は名声の為にヒーローを行うのではなく、人々に安寧を齎す為にヒーローを―――」

「あんだけステイン否定しといて結局ヒーローが目指すところがそこって笑えますね、新手のギャグかよってなりますね先輩」

「いやはや全くだよね、しかもステイン否定派だったエッジショットさんがそれを言っちゃうんだから余計に腹筋に来るよね」

 

先程まで小声での談笑だったのに一気に声量を上げて普通にマイクが声を拾ってしまう程の声で会話する。それによって会場全体が静まり返った。リューキュウは溜息混じりにホークスに影響されちゃってる……と頭を抱え、ミルコは愉快そうに笑っている。

 

「結局ん所、やる所かえなくていいんですかだよね。なんせ―――これまで俺達が依存してたオールマイトはもういない」

「たった一人に依存してきて四苦八苦しているのが今ですからね、たった一人に社会の全てを任せてた事自体が間違いでしかなかった、それに気付けずに全員で担うって意識が無かった……先輩含めてね」

「ハハハッ耳が痛いけどほら、俺ってばそういうタイプじゃない?」

 

気にする事も無く話し続ける二人に誰も注意しない、何故ならば彼らが話している事は正しくこれまでの時代の遺恨でしかない。平和の象徴(オールマイト)を持ち上げ、持て囃し続けた結果がいまだ。

 

「それでも、またオールマイトみたいな奴が現れるのを待つ気ですかね。それで俺が此処に呼ばれたとか?」

「あ~それはあるね、俺はぶっちゃけそんな事考えもしてなかったけど委員会はそういう事検討してても可笑しくないね。次の象徴を探そうってね」

「だったらお門違いだな、俺はオールマイトじゃないんで」

 

公安委員会は絶句していた事だろう、なぜホークスがそれを語るのかと。今回のニュージェネレーションも、新たなオールマイトを探すという狙いもあったのだ。社会を安定させる為の偉大な象徴(イコン)、ブレる事のないそれを立てる事で社会全体の安定化を図ろうと……その場にホークスもいた、反対の意見を出していなかった筈の彼が何故。

 

「んじゃさ、エボル君はどんなヒーローを目指すんだい。オールマイトじゃない、自分って奴を見つけられるのかな」

「俺は俺ですよ、俺はラブ&ピース、愛と平和を齎すヒーローを目指していますよ―――ずっとね」

 

愛と平和と来た、何ともヒーローが言いそうな言葉だと誰もが思う中で今まで無言を貫き通していたエンデヴァーが口を開いた。

 

「随分と大きな口を叩くな、それがどれだけの苦難に溢れている道なのか理解しているのか。あの馬鹿、オールマイトでも成し得ないような事をするつもりか」

「ええ、だからこそやる価値があるんだと思いますよ。それに俺一人でそれを成す訳じゃない、たった一人がいくら努力した所で限界がある、伸ばした所で届かない人は幾らでもいる」

 

オールマイトが良い例だった。確かに規格外な人だった、だが一人であるが故に限界があった。それなのにその規格外さのみに人々は目を向けてしまい、共に頑張ろうとしなかった。したのは恐らくナイトアイだけだっただろう……。

 

「だからこそ手を繋ぐんですよ、俺一人の手は届かないけど色んな人と手を繋いで伸ばせばその手はきっと届く。たった一人で変えられないなら、皆で変えればいい、簡単な事」

「それが出来るというのか、それで愛と平和を齎せるというのか?そんな理想で、現実を変えられると思っているのか」

 

エンデヴァーが口にするからこそ、その言葉はい重く圧し掛かった。長年、オールマイトを超えるという理想を掲げて来たからこそ理想は儚く、叶える事が難しい事を誰よりも理解している。でもそれは星辰だってわかっている、だからこそ憧れているヒーローと同じ事を言う。

 

「理想を掲げなきゃ、未来を作り出せない。ラブ&ピースがこの現実でどれだけ弱く脆い言葉かなんて分かっている。だからこそ、それを謳うんだ。愛と平和は俺が齎す物じゃない。一人一人が、今を生きる人々がそれを胸に生きていける世界をビルドする、その為に俺は戦う」

 

何処までも夢想を描いた、だがそれを描かなければ世界は未来に進まなかった。空を飛ぼうとする者が居なければ飛行機は生まれなかった、宇宙にも人はいけなかった、個性を正しく使おうとしなければヒーローなんて生まれなかった。

 

「夢は見ていい、夢は未来の現実だ。だから俺は夢を見る、夢を描く―――それを現実にする為に」

「フフッ……ハハハハハッ!!!ハハハハ、こいつは傑作だ、馬鹿だ馬鹿だ思っていたが此処までの大馬鹿だったとはな!!」

 

その宣言を聞いてエンデヴァーは心からの笑いを浮かべてしまった、本当に傑作だ、笑うに値する。だが―――本当に夢のある話だ。

 

「馬鹿の妄言―――だが天才的な馬鹿の妄言だ、そうだ、そうでなくては目指す意味もない。オールマイトを超える、俺達でオールマイトを超えようというのか、オールマイトでも成し得なかった事を目指すか、フフフッ……存外あいつを超えるなど誰にでも出来るらしいな……良いだろう、このエンデヴァーもそれを目指してやろうじゃないか……ラブ&ピースか、柄ではないが嫌いではないからな」

「ホントキャラにあってませんよね~、でも今の時代が目指すべきはマジでそこでしょうね、いや~呼んで正解だったなエボル君」

 

そう言いながら馴れ馴れしく肩を組んでくるホークス、ニコニコとした笑みを浮かべつつも司会進行役の女性からマイクを取ると声高に叫ぶ。

 

「俺達はこれから変革が求められる、だったら安定なんて安牌切らずにそれ以上を目指しましょうや―――ラブ&ピース、皆がそれを胸に出来る社会をね!!」

「貴様が締めるのか」

「良いじゃないですかエボル君を推薦した特権って事で」

「それなら俺に締めさせてくれてもいいのに……」

「いやぁ悪いね♪」



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116スレ

「ったく……」

「いやぁ悪かったっていやホント」

 

ビルボードチャートの発表後の控室で思わず溜息混じりにそんな事を口遊んでしまった。それにホークスが謝罪するがそんな物をする位だったら最初からするなと言いたかった。ハッキリ言って今回の事で自分は酷く悪目立ちした感じがする、分かり切っていた事だがそれならせめて最後の最後は自分で決めたかったという気持ちがあった。

 

「エンデヴァーさん、これっていつもこんな感じなんですか」

「遺憾ながらその通りだ」

「おいおいおいもうこれ扱いかい?」

 

同室にいたエンデヴァーも溜息混じりにそうだと答えた、既にこれ扱いを受けている当人は不服そうな顔をしているがそれだけの事をしたのだと理解してほしい物である。

 

「でも実際さ、俺は君の言葉が本当に欲しかった。オールマイト主導のヒーロー社会になんて絶対に未来はない。あるのは衰退しかないんだ」

 

その言葉にはエンデヴァーも同意見だった。そうしなければいけなかった時代は既に過ぎ去ったのにたった一人に依存して社会の安定を求め続けるなんて愚の骨頂、なのに誰もオールマイトを目標にしなかった事に対してある種の失望を感じていた。何故あれを目指さない、せめて肩を並べることを目指さないのだ。そんな社会への反骨心もエンデヴァーの№1への気持ちには入っていた。

 

「理想を掲げなきゃ、未来を作り出せない。正しくそれだよ俺が求めてたのは、そういう事を言える人を求めてたんだよね。俺絶対言えないから」

「……」

「撃って構わんぞ」

「イエッサー」

「タンマタンマ冗談だってば!!」

 

良い事を言ったと思ったら本音はそれかと思った、それはエンデヴァーに届いたのは射撃許可が出たのでトランスチームライフルにガトリングフルボトルを装填しようとする星辰であった。

 

「(何と言うか、お前とは別ベクトルで口が回る人だな……)」

『一緒にすんなよ、俺はこんな胡散臭くないぞ?』

「(お前は胡散臭い前に悪意が見えてるからな)」

『褒めるなよ、照れるじゃねえか』

 

まあ悪意がない分、エボルトに比べたら遥かにマシかもしれないが実態が如何にも掴めない。そう言う意味ではホークスの方が厄介ではある。

 

「でも実際さ、簡単に言えるもんじゃないよ。ヒーローが集結してる場所で堂々とラブ&ピース、愛と平和を齎すヒーローを目指してますなんて」

「事実を否定して何もなりませんからね、それを笑うのは目指した事もその有難みを感じた事も無い奴って事です」

 

随分と辛辣な物言いにホークスは言うねぇ~と笑う一方でエンデヴァーは的を射ている返答だと思う。エンデヴァーはそのような事を言うタイプではないが、自分が守った平和を享受している人々を見て胸を撫で下ろしたり誇りに思ったりはする。ヒーローとは正しく愛と平和を人々に齎す職種なのだ。

 

「それで何故俺を呼んだ、下らんようなら焼き殺すぞ」

「ヒーローが軽々しく殺すとか言わないでくださいよエンデヴァーさん」

「それ、ウチの同級生にも是非言ってあげて下さい」

 

何処かで爆豪がくしゃみをする音が響いた。

 

「チームアップの要請をしたいんですよ」

「……何?俺だけではなく、エボルにもか」

「ええそうです」

「えっ俺も?」

 

純粋にエンデヴァーに向けての物だと思っていたので自分もそれに含まれている事に驚く星辰、と言うか何で自分がそれに含まれているのかまるで分らなかった。驚いている星辰にも分かるようにホークスは一つ一つ筋道を立てて説明を始めた。

 

「まず、脳無って分かるよね」

「ヴィラン連合が使ってた改造人間でしょ、神野区にも居ましたよ」

「うんそう、それの目撃情報が俺の地元であるんだよ」

 

それを聞いて二人は瞳を鋭くした。脳無との交戦経験がある二人としては聞き逃す事が出来なかった、脳無にもレベルがあると思われるが、低い物でも一般的なヒーローでも太刀打ちできない程の強さの物もだ。そして、もしもそれがUSJなどに出て来た物と同レベルの物ならばトップヒーローでなければ対応出来ない。

 

「……貴様、それを俺に打ち取らせて恩でも売るつもりか?」

「いやいやいやそんなつもりはないですって、まあ確かにエンデヴァーさんが倒せば№1として肯定的に思う人が増えるだろうなぁとは思ったりはしましたけど」

 

薄ら笑いを浮かべているホークスに星辰は僅かに底知れなさを感じた、見た目こそ軽薄そうだが実際はかなり思考を巡らせて策も敷く事が出来るタイプ。既にエンデヴァーを№1として立てる為の準備も行っている。そう思っていると今度は自分を見て来た。

 

「んで君はこれを見て欲しいんだ」

 

そう言いながら差し出してきたのは数枚の写真だった。其処に映っていたのは―――以前、自分を襲ってきたハードガーディアンの装備を付けていた怪人に極めて似ている。いやあの時よりも装備が強化されている上に更に機械化されている。

 

「以前、君が倒した奴と似てるだろ。結局専門機関が調査しても大した事は分からなかった、内部データは既に削除されていたし装備についてもサッパリ。だからこいつの脅威を知っている君にも協力を仰ぎたいんだ」

 

それを聞いて僅かに黙る。そしてその間にエボルトと対話をする。

 

「(どう思う)」

『文化祭の時に襲ってきた奴と同じ、かもな。武装が如何にも似てやがる、脳無が目撃されてる場所で実地テストってのも考えにくい。となると―――』

「(ヴィラン連合と通じてる)」

『正解』

 

「分かりました、リューキュウさんに許可を貰ってくれれば」

「あっそれはもう貰ってる、後は君待ち」

「手回し早っ」



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117スレ

8:ヒスイの調査兵

か~っ!!見んねイッチ!!卑しか邪神ばい!!

 

9:ヒロアカエボルト

>>8

えっ……えっ?

 

10:CC立香

>>8

如何した急に

 

11:纏め役の転生者

>>8

如何した急に

 

12:普通のカウンセラー

>>8

如何した急に

 

13:砂漠の虎

なんか、一瞬で全く同じレスが三つ並んだっすね

 

14:DD風紀委員長

まあ有名なネタですからね、ウマ娘では。

 

15:クトゥルフ系狩人

その様子だとイッチはウマ娘知らんのか?

 

16:ヒロアカエボルト

いや、やってましたけど全然それは知りませんでした。

 

17:青春学園の熱血教師

まあうん、知らないならそのままで居てくれ

 

18:IS世界のメンタルセラピスト

そのままの君でいて

 

19:無法地帯の料理人

>>18

お前が言うと犯罪臭が凄いな、ウサギに抱かれた気分は如何よ

 

20:IS世界のメンタルセラピスト

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

 

21:超次元中学生

草。

 

22:円卓の鬼

ワロタwww

 

23:光の国の戦士

んで、ヒスイニキ如何した。急にそんなネタブッコミやがって。

 

24:光の国の勇士

しかも邪神……ガタノゾーアとかハイパーゼットンとか現れました?

 

25:ヒスイの調査兵

いや、ウルトラシリーズ基準の邪神がポケモンシリーズに出る訳ないでしょ……。

 

26:光の国の勇士

それは失礼しました。

 

27:普通のカウンセラー

んじゃ何が起こったのよ?

 

28:ヒスイの調査兵

最近さ、邪神が夢の中に現れるんだよ……全てのポケモンと出会いなさいって……。

 

29:DD風紀委員長

あ~……そう言えば、ヒスイニキって主人公ポジで転生したんでしたっけ。

 

30:エボルトヒロアカ

立体機動装置有りであの世界に行ったらそりゃ異端として見られるわ。

 

31:ヒスイの調査兵

>>30

テメェに言われる筋合いはねぇ!!んでまあウォロ自体はぶっ飛ばしたから良いんだが

あの後ってポケモンと出会ったらその後はアルセウスとバトルして分身貰って終わりだろ

俺からしたらメリットが0な訳なんだよ、会いに行くにしても調査団と鉢合わせになって

村に戻って来てくれって言われるだけだから。

 

32:クトゥルフ系狩人

そんな状態なのに邪神(アルセウス)が脳内こんばんわ状態でウゼェと。

 

33:CC立香

どうせ一番キレてるのはコギトさんと宜しくした後のに幸せな状態が台無しになるからでしょ。

 

34:ヒスイの調査兵

>>33

それ以外に何があると?

 

35:大地の虎

もう潔いのか悪いのか分からねぇっすねこれ。

 

36:円卓の鬼

もういっそ事、文句言う為に乗り込んで邪神全力でぶっ飛ばせよ。

つうか、ディアパルの力で住んでるところの周辺隔絶してコトブキ村を遠ざけろよ。

ダークライの映画のアラモスタウンがなってたみたいに。

 

37:ヒスイの調査兵

その手があった……!!

 

38:クトゥルフ系狩人

邪神終了のお知らせ。

 

39:纏め役の転生者

邪神ハンターが言うと洒落にならねぇよ。

 

40:ヒスイの調査兵

んじゃ作戦練るわ、他に語りたい奴いる?

 

41:ヒロアカエボルト

ああそれじゃ、ホークスからチームアップ要請が来て九州に行く事になりました。

 

42:CC立香

ホークス?って事はハイエンド脳無編?

 

43:ヒスイの調査兵

あっそうか、文化祭終わったらそこか。

 

44:クトゥルフ系狩人

脳無って……イッチの同類とか言ってたあの連合の改造人間か?

 

45:超次元中学生

ハイエンドって何だっけ?

 

46:青春学園の熱血教師

分かりやすく言えば高級品とか最高性能品とかって意味だな。

スマホとかでハイエンドモデルって聞いた事ないか?

 

47:円卓の鬼

あ~あるある、なんかウチでも勝手に量産機を魔改造して題してハイエンドモデル!!

とか言ってる奴いたな。

 

48:大地の虎

ギアスにそんなの居たっすかね?

 

49:普通のカウンセラー

割かしいる。

 

50:光の国の勇士

ハイエンド……ああ、あれか。私の世界だとそこにプラスαで怪獣の力が入ってましたね。

確かボガールとギマイラとガルベロスだったかな。

 

51:ヒスイの調査兵

だから勇士ニキのヒロアカ次元どうなってんだよ!!

 

52:光の国の勇士

ウルトラスーツ纏ったオールマイト、エンデヴァー、ホークスに任せてたので

対して話せる事ありませんから参考になりませんか

 

53:CC立香

>>52

いや、そもそもウルトラスーツ纏ったオールマイトって何……?

 

54:光の国の戦士

もう切り離しましょう。それでイッチは何で行くんだ?

 

55:ヒロアカエボルト

実はホークスからファントムクラッシャーの装備が搭載された謎怪人の情報を貰いまして。

そこで実戦経験があるからって呼ばれました。

 

56:纏め役の転生者

ふぅむ……ビルド的に考えればVシネのダウンフォール辺りが関わってるとかか?

 

57:普通のカウンセラー

それがヴィラン連合に合流しようとしてるとか、かしら?

 

58:DD風紀委員長

あり得ますね。となると……ハイエンドにビルドの技術が入る?

 

59:IS世界のメンタルセラピスト

……そ、それでダウンフォールって強いん?

 

60:CC立香

あっ復活した。

 

61:無法地帯の料理人

よぉっ逆レイプ被害者、ハッピーか?

 

62:IS世界のメンタルセラピスト

グボハァァァァァ!!!!

……ウウウッ……そ、それで如何なん、ぐはぁ……

 

63:普通のカウンセラー

どんだけダメージ喰らってるのよ……荒療治が過ぎて悪化してる感じね。

 

64:纏め役の転生者

まあ強いと言えば強いだろうな、ネビュラガス云々に対する初見殺しもあるが

そいつらの装備だって半端じゃない。メタルビルドが出てきたらどうするべきだろうな……。

 

65:DD風紀委員長

でも、あれって戦兎からハザードトリガー奪わないといけませんよね?

イッチは既に警告はしてあるんでしょ?

 

66:ヒロアカエボルト

とっくに。

 

67:普通のカウンセラー

でも出てきたら厄介よね、あれだってグリスブリザードで劣勢だったけど

三羽烏は圧倒出来てたのよね。

 

68:ヒロアカエボルト

その辺りはまあ、油断せずに行く事にします。

何だったら速攻でエボルビルド切ります。

 

69:纏め役の転生者

それがいい。問題はどんな戦闘になるかだな……。

 

 

 

「おいおいおいなんだよこれ……冗談だろこれ!?」

『……お生憎様、こりゃマジだぜ』

 

その日、思わずイッチがそう言いたくなるのも分かるような光景が九州に生み出された。



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