楽しくただ純粋に (瓦版)
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少年編
プロローグ 始まり



気軽に、読んで行って下さい。


この物語の主人公山城一平(やましろ いっぺい)。彼は、小さい頃は稲妻町の空き地で近所の友達とおいかけっこやかくれんぼして遊ぶことが多かった。

この街は、サッカーが盛んで、例外になくサッカーボールを蹴り始めた。小学校に上がると同時に、父さんに頼んで地元のチームに入れさせてもらった。そして、放課後はよく近所の空き地で個人練習するのだが、小さい子達も遊び場として使うためかたくさんいるため余りボールを使えない。だから、距離はあるが、自転車で鉄塔広場に行くことが多くなった。

 

「さて、やるか。」

 

今日もいつものドリブルシュートの練習を始めた。

まずは、イメージした架空の相手をドリブルで抜き、壁にシュートこれを繰り返す。

 

「あー、無理だぁー。キッツい。」

 

ドサッと倒れて、山城が空を見ると、もう日が落ち始めていた。

 

「帰るか。」

 

体を起こし、ボールを袋に入れ、帰る準備をする。

自転車に股がり自転車をしばらく漕ぐと、向こうから来るバンダナを巻いた少年とすれ違う。

「あいつ、ボールを持ってたけど、どこかのチームにいるのかな。」

 

特に気にせず、家に帰った。

その次の日も練習のあとに、バンダナの少年に出会った。今度は、向こうも気づいたのか話しかけてきた。

 

「ねぇ、きみもここでよくサッカーやるの?。」

「うん、やってる。きみもやるの。」

「もちろん。よかったら今からって今日は無理か、、

明日も来るから一緒にやらない。」

 

急に誘われてびっくりしたか、すぐにやろうと答えた山城。

 

「あ、自己紹介がまだだった。俺は、円堂 守

きみは?」

「俺は、山城 一平。」

「じゃあ、一平って呼ぶよ。」

「俺は、まもちゃんって呼ぶよ。」

「まもちゃんって、初めて呼ばれたけど、まあいいか。これからよろしく、一平。」

 

次の日から一緒に練習するようになった二人。サッカーが、好きなことですぐに意気投合した二人。休憩し、雑談を始めた。

 

「一平は、上手いけど、どこかのチームに入ってるの?」

「近所のチームに入ってるけど、余り強くないから。有名じゃないよ。まもちゃんも上手いけど、どこかのチームに入ってるの?。」

「いや、母ちゃんが、許してくれなくて。今ここで1人でやってた。」

「そっか、それは残念。けど、これからは、一緒に練習出来るね。」

「そうだな、一平のシュート完全に止められてないし、これからはそれが目標かな。」

「ふ、次も何もこの先も俺が、勝つよ。」

 

二人は、互いに笑いながらその日の練習を終えた。

それからは、二人の実力は上がっていき、円堂は何本かシュートを止めれるようになり、山城はシュートの威力と精度を上げることが出来た。

 

 

時は進み学年が上がるに連れ、練習の成果かチームの主力となり始め、活躍仕出し始めた山城。

四年になり、全国に近づいて次の試合を迎える。



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切符

山城は、朝早く目が覚める。今日は、県の決勝戦、勝てば全国の切符を手に入れる。そんな事もあり、気合いが入る。少し体をほぐした後、母親の作った、朝食を家族と食べる。父さんから。

 

「一平今日は、決勝か頑張れ。お母さんと見に行くからな。」

「頑張ってね。一平。」

「ありがとう。めちゃくちゃ頑張れそう。」

 

家族との朝の団欒をした後、一平は荷物を持ち、試合会場のグランド向かった。県の決勝とあって、観客も多い。アップが終わり、チームミーティングが始まる。今日の相手は、強豪で守備力の高いチーム。特にキーパーの源田が、凄いらしい。同い年らしく、俄然気合いが上がる。ミーティングが終わり、「さあ、入ってこい。」とコーチから押し出され、チームで輪を作り。

 

「「絶対優勝、オー。」」

 

そして、ついにキックオフ。

「よし、行くぞ。」

 

山城は、さっそくボールを持つと目の前敵抜く。が、さすがは強豪と言われるチーム。リカバリーが来る。

 

「さすが、早い。けど、負けない。」

 

山城は、次の奴も抜きドンドン上がる。そして、源田と一対一。

 

「こい、止めてやる。」

「いくぜ。はぁあ。」

 

高城は、右足を高く上げ振り下ろす。ボールは、勢いをまし、ゴールを割る。くそ、と悔しがる源田とガッツポーズでチームメイトに祝福される山城。その一点を気に勢いつけようするが、向こうは、強豪そう点をくれず、互いにがっちがっちゴールを守る。山城もシュートを打つが、源田に止められる。終盤味方がボールを取られ、一点を取られ同点になる。延長になるかと思ったその時、山城がボールを奪う。敵は、またダブルチームを敷く。だが、山城はパスを出し上手くかわす。そして、何度の源田との1対1。

 

「このまま、止めてやる。こい。」

「決めてやる。うおおお。」

 

山城は、今での力出しきった蹴りをボールにぶつける。

「いけえええ。」

 

山城が蹴ったボールは、今日一番の威力が込められた。そして、少しの風を巻きながら源田に向かっていき、ぶつかる。

「絶対に、止めて全国いくのは、俺達だぁ。」

 

源田の気迫も素晴らしくボールを押し返すが、ボールは勢いまし源田の手を弾き、ゴールに突き刺さった。そして、試合終了の笛がなる。その瞬間、観客のいる会場は沸いた。山城は、やったぁと言い、力尽きてうしろに倒れ仲間達に揉みくちゃにされた。整列し、互いに挨拶をして握手した山城と仲間達。すると、源田からおい、と呼ばれた。

 

「おまえ、名前は?。」

「山城一平」「山城か、覚えたぞ。次は、負けん。」

 

そういうと源田は、拳握り締めチーム元にいった。表彰が終わり、キャプテンが、カップを受け取り、山城は、見事MVPに選ばれ、インタビュー受けた。インタビューを終え、仲間と共に帰る準備をすると一人の男性が、近づいて来た。

 

 

 

 




基本、少年編は必殺技は出さないようにしようと思います。


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下準備と全国

「おじさん、だれ?。」と山城が質問すると、男は黒のグラサンを指で調整すると口を開いた。

 

「私は、サッカーの監督をやっていてね。今日の試合も、視察と観戦目的で来た。まぁ、そこら辺のサッカー好きのおじさんとでも思ってくれ。」

「視察?まぁ、分かった。」

 

少し警戒する山城、だが男の話は本当っぽいのでとりあえず信じることにした。すると、男は口を開いた。

 

「とりあえず優勝おめでとう山城 一平君。」

「おじさん何で、俺の名前知ってるの?。」

「先程、表彰されてたろ。そこで、知ったよ。いや、しかし実に勿体ない。」

「勿体ない?どういこと、俺は全力だったよ。」

「そうか、それは失礼。だが、今日の試合の君のプレイをみていたが、酷いものだ。見るに耐えれん。」

 

男は、少し笑みを浮かべ言ったその言葉で、少しカチンと来た山城、荷物を置いて、男に向き直った。

 

「どこが、言ってみろ。」

「なぜ、ダブルマークしかれたとき、ドリブルで行かない。君のポテンシャルなら十分抜けてた。」

「そんなの、予想だろ。実際勝ったから良いじゃん。もう用がないなら、行くよ。」

「確かに、勝てただが、全国では通用しなくなる。お節介かもしれないが、一つヒント上げよう、もっと逆足になれた方が、良いぞ。それでは、全国楽しみしてる。」

「忠告どうもありがとう。」

 

山城は、おこりながら会場を後にする。しかし、帰宅しても、男の言葉が引っ掛かったままだった。 男の言葉を否定しようにも、少しもおかしく感じず、その通りの気がしていたからである。次の日の放課後、いつも通り円堂の待っている鉄塔に向かう。会ってからは祝福された。そして、男の話を円堂に相談した。

 

「てなことがあってどう思う、まもちゃん。」

「まぁ、確かに怪しいだけど、指示は特に何もおかしくないから。逆足の練習も増やして良いんじゃないか?」

「まもちゃんが、そういうなら。そうするか。」

 

山城は、その日から逆の練習始めた。始めただけあって、少しずつ確実になれていき、最近は、左でもシュートを打てるようになった。

 

「一平、凄いじゃないか、もう左でも違和感ないじゃないか。」

「まだ、甘いところがあるが、試合では使えそうだ。」

「全国の試合、見に行くからな。頑張れよ。」

「おう、まかせとけ。」

 

全国前の最後の練習を終えた。そして、数日後山城は、全国のピッチに立った。そして、全国の始まりを告げる開会式の選手宣誓を聞いた。その次の日、山城の初戦を迎えるが、それが山城の悲劇の始まりだった。




影山さんをこの作品では、少し優しめ設定しようと思います。


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遂に始まった、準備はバッチリの初戦。相手は、優勝候補の一つのチーム。中でも警戒するのは、10番を背負ってる豪炎寺って奴らしい。ミーティングを終え、アップを始める山城達、だが初の全国であるためどこか硬い。監督やコーチが、緊張を緩めようとするが、効果なく始まる。キックオフ。

「へいパス」と山城が、ボールを要求するがそれをカットされ、先程ミーティングで警戒した。豪炎寺に取られる。

「止めろ。」

 

「パスコースも塞げ。」

皆あれこれするが、向こうは全国の緊張に慣れてるチームのエース。するすると抜かれる。そして、キーパーと1対1。

「絶対止める。」

 

「決める。」

豪炎寺の左足から振り抜かれたボール熱を帯びるようにボールが、加速しゴールに突き刺さった。先制された。

その後、こちらのボールでキックオフするが、向こうの勢いは止まらず、守るのに精一杯だった。そんな中、山城の動きのキレが増していることに誰も気づかず、前半を1点ビハインドで終えた。後半どうするか、話していると山城が、手を上げて1つの提案をした。その案に皆が、賛成。後半のプランが決まる。そして、後半キックオフ。

「豪炎寺。」とパスをもらった豪炎寺。しかし、前をダブルマークされた。ルートがないため、パスを出すが、山城に取られる。そう、山師の案は、予選でやられた作戦を使うことである。

「よし、反撃開始だ。」

 

山城の掛け声と共にチームメイトも上がる。そして、パスワークを利用して山城にボールが回る。

「いけえええ。」

 

山城の蹴ったボールは、キーパーの反応を置き去りにネットに突き刺さった。同点に追い付く。

「よし。同点。」

 

山城の作戦が決まり、またボールが山城に回る。山城にマークが付き、パスを出す。もらった味方がシュートする。このパターンが、決まりさらに追加点を取った。

「よっしゃ、勝ち越しだ。」

 

勢いづく山城達、だが敵も黙っておらず敵も豪炎寺もパスを利用して、シュートを決められる。同点になり、また同じパターンを取り、味方が、シュートを外す。

ドンマイドンマイと、励ますチームメイト達。そして、今度はまた敵にボールが渡り、豪炎寺に抜かれ、決められる。リードされ、焦るチームメイト。それを見た山城は、この前のおじさんの言葉が頭が、過り行動に出る。

味方が、山城にパスを出す。マークされる山城、味方がパスを要求するが、山城はドリブルを仕掛ける。そして、練習した左足使ったフェイントで抜き去る。キーパーと1対1になる。

「今度は、止める。」

 

相手のキーパーが、そう意気込むが、山城は、キーパーにドリブル突っ込む。キーパーも前進し、止めに掛かるが、山城のフェイントでコース明けてしまい決められる。同点になる。わく観客席、そしてチームメイト。

だが、山城の顔には、どこか影ができる。その後、敵にボールが渡り、豪炎寺にパスが出される。ダブルマークでルートを塞ぐ。豪炎寺は、他にパスを出すが、それを影通りすぎ、ボールを取る。山城だ。そして、またまたドリブルで上がっていく。今度は、三人がマークがつく、味方がボール呼ぶ。だが、山城はドリブルで突っ込み三人を相手にする。

「「「なめんなよ。」」」

 

三人は、一気に潰しに掛かるが、山城はそれを何とも感じずに抜き去る。そして、キーパーと1対1になる。

「今度は、止める。」とキーパーはさっき程寄り後に構えた。だれしもが、山城がシュートは、無理だと思った。そして、山城は、大きく右足を振り上げ、振り抜く。そのシュートは、今日1番の威力を誇り、キーパーを容易くぶっ飛ばしゴールに突き刺した。そして、主審の笛がなる。試合終了である。ワァーワァーとわく観客席、初出場のチームが、優勝候補を倒したからである。

悔しがる敵チーム、喜ぶチームメイト達、皆がそれぞれの顔する。ただ1部を除いて。整列し、互いに握手する。

「なぁ、おまえ名前何て言うんだ。」

 

「山城 一平。」

 

「そうか、山城か。次会うときは、うちが勝つ。」

 

「次も、負けねーよ。」

こうして、無事初戦突破。誰もが喜ぶ中、山城を含む全線のFW、MFの1部とコーチの面々は今日の山城のプレイに不安抱き、山城に注意する。山城が、頷いてこの話は終わったが、山城の心中にはスッキリとしている感覚が、残ったままだった。



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葛藤

初戦を終えた山城。次の日は、オフだったので、円堂の練習に付き合った。メキメキ上達して行く円堂、その姿に自分のことに喜ぶ山城。そして、休憩に円堂に相談した。初戦の自分のプレイが、良かったのかそうでないのか。すると、円堂は言った。

「一平の悩みは、良くわかんないけど、確かに無視されたら仲間としては、少し不快かな。」

 

「そっか、わかったありがとうまもちゃん。」

山城は、自分の気持ちに嘘を着いた。数日が進み、

二試合目、ミーティングでは、向こうのチームは豪炎寺のチームとは違い、守備固いそうだ。初戦の時のような硬さは、なかった。そして、キックオフ。

「行くぞ。」とキャプテンが言い、山城を含め皆がそれに答える。しかし、山城の表情は暗かった。試合は、なかなか点を取れずにいた。山城も初戦のようなプレイをせず、パスに徹する。そして、味方から貰い、シュートチャンスで決めた。皆が、祝福するが暗いままである。その後、同じように攻めたら、味方がシュートを外し、敵にボールが渡る。そして、崩され同点を決められる。前半終了互いに、良い雰囲気を出してるが、山城の中の何かが、弾けそうだった。そして、後半に悲劇が、起こった。

「山城、へい。」

 

味方がボールを要求する、山城はパス。それを受け取った。味方の選手は、シュート今度はキーパーに止められる。皆が、ドンマイドンマイ、おしいと声掛けているが、山城は何も掛けなくなった。そして、また味方が、隙をつかれ、決められる。勝ち越された。ここで、遂に山城の何かが、雫のように弾けとんだ。山城は、味方からパスを貰うと、ドリブルで、敵を抜き去る。敵が、複数で止めに来た。誰もが、パスだと思う場面、山城はドリブルを加速し、緩急、フェイントを混ぜキーパーと1対1。

「こい、止める。」

 

敵のキーパーは、集中する。実力は、全国に出れる程だ、高いに決まってる。だが、山城に敵は写っておらず、その勢いの着いた体勢からシュート。威力は、今までと同等かそれ以上。そして、キーパーを意図も簡単にぶっ飛ばしゴール。同点になり、観客わく、だがチームメイトからは祝福は少ない。そして、山城の中にはチームはなかった。その後、山城は敵からボールを奪取し、その位置からシュート体勢に入る、誰もが無謀だと思ったが、山城の右足から放たれたシュートは、今までの威力が本気ではなかったような威力。そして、誰もそのシュートに触れられずゴールを貫く。

「なんだ、こんなものか。意外と呆気なかったな。」

 

この試合、後半から山城の独壇場。スコアは10対2。観客も絶句する。これを気に、誰も山城をチームメイトと思えなくなった。そして、この試合を見ていたグラサンの男は、1人笑っていた。

試合後、コーチに次の試合からスタメン外を告げられるが、山城にはどうでも良かった。その後の試合も、山城1人で勝ってしまう。もう誰も声を掛けられず、山城は、決勝戦にまで上り詰めてしまう。

 



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決勝

全国決勝に来た山城達。だが、誰もが決勝戦の緊張は、ない。というよりは、それどころでないからである。

要因は、やはり山城である。今日もベンチスタートだと思ってた山城。だが、告げられたのは、スタメンのいつものFWの位置。

「今日は、ベンチじゃないのコーチ。つか、俺がスタメンでも良いの?」

 

「いつもなら、そうした。だが、他のメンバーの決めたことだ。嫌なら、良いんだぞ。」

 

「出るよ、そして勝つ。」

皆、山城とプレイのは嫌いであるが、そうは言ってられないのだ。今日は、決勝で相手は前年の優勝チーム、しかも相手の司令塔の鬼道は、あの帝国のスカウトが来てるほどの天才選手。山城の力が、必要不可欠。

いつものミーティングを終え、アップする面々。そして、整列のため、フィールドに向かう。スタジアムからは、割れんばかりの大歓声。そして、挨拶をし、ポジションにつく。そして、キックオフ。さすが、前年の優勝チーム、1人1人の動きが良い。そして、それを指揮する鬼道は、それらの頭二つ以上に実力が抜き出てる。

「ちっ、やりづれぇ。」

 

山城もなかなか良いリズムを作れずにいた。そして、味方のミスから失点する。そして、さらに失点する。そして、前半の終わる頃には、3点差つけられる。そして、前半終了。鬼道のチームは、全員良い雰囲気であり、山城達はムードが悪かった。リズムが作れず、山城も完全にボールを触れずにいた。暗い中、山城が口を開いた。

「皆、もうパスは出さなくて良い、俺抜きで決めてくれ。」

 

皆が、それに反論しなかった。そして、後半スタート。山城の言葉通りに動く選手達、観客の誰もが勝負を投げたと思った。だが、これが功を奏す。山城に割かれた、穴が隙となり、シュートチャンスが増えた。そして、遂にゴールネットを揺らす。皆、喜んだ。そして、今のプレイから山城のマーク外す鬼道。だが、これがさらに隙を生んだ。山城のキレが、戻ったからである。それからは、山城に振り回される。本来のリズムが戻った山城に怖いものはない、1点さらに追加点、気づけば、同点になる。そして、試合も終了間際、敵のミスからボール奪った山城。一人一人と抜き去る。そして、シュート体勢に入る。1つの影が、山城の前に来る。

「決めさせるか、俺たちが優勝する。」

山城のインパクト時と同時にぶつかる。

「「「うおおおお。」」」

二人の右足がぶつかり合い、押し合いになる。だが、徐々に鬼道の右足が、押される。

「何に、クソォォオ。」

 

「悪いな、俺たちの勝ちだ。」

鬼道の右足をぶっ飛ばした。そのシュートは、真っ直ぐ進みキーパーごとゴールに突き刺さった。そして、試合終了のホイッスル。観客は、湧き、山城達は、皆で優勝を噛み締めた。皆が、喜んだ。その日、山城達は、町でも祝福される。山城も両親や友達、円堂に祝福された。

そして、次の日山城は、コーチに退部届けを出し、チームを辞めた。

 



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再起

チームを辞め、1人の時間が増えた。山城の両親は、チームを辞めると伝えた日、少し悲しげだが、息子の決めたことに反対しなかった。理解がある両親で嬉しかった山城。チームは辞めたが、練習は続けていた。もちろん、円堂との練習とは別に。それから時間過ぎて、6年生になり、他のチームの誘いがあり、見学に行った。そこで見たのは、レベルが低くも楽しんでいるチーム。

「良いなぁ、入りたいけど、入ったら皆のこと置いていっちゃうしなぁ。あぁあ、まもちゃんが、チームに入れたらな。」

 

円堂は、相変わらず、親の許可が降りなかったそうだ。山城自身心残りが、まだ残っていたようだ。その場を去ろうとしたら、グラウンドが騒がしくなった。見てみると1人の選手が、怪我をしたようでうずくまっていた。

可哀想だと思うが、見てみぬふりをしようとするが、

「あぁあ、だから弱いチームとやるのは嫌なんだよね。」

 

「確かに、練習にもならない。」

 

まさかの敵チームの選手から発せられた言葉に驚く。相手のコーチも注意するが、内心同じ事を思ってるような顔していた。怪我させられたチームの選手とコーチは悔しそうにしてた。それを見た山城は、足を止め、グラウンドに歩み出す。

「コーチさん、怪我人出たみたいだから俺入って良い?」

 

「ありがたいが、君はまだうちのチームの選手になっとらん。」

 

「良いですよ、その子加えてもどうせうちの勝ちだろうし。」

 

敵チームの了承得て、チームに加えてもらった。山城は、笑顔だが、内面は燃えていた。すると、キャプテンの選手来た。

「良いのうちなんかに入って?君はもっとの上のチームに。」

 

「良いの良いの、このチーム楽しそうだし、何より勘違いしてる奴ら叩き潰したら何かスッキリしそうだし。」

山城の言葉に、戸惑う選手。試合再開のキックオフ。

敵のパスあっさり奪い、シュートを打つ。そして、あっさり点が入る。

「なんだ、今の何もできなかった。」

 

「まぐれまぐれ、気を取り直そう。」

そうは敵の選手達は、話すが、その後は、敵のパスを奪いそして、叩きこむ。そんなパターンがはまり、気がつけば、大量の点差が、縮まって行く。そして、遂に。

「あーらよっと。」

 

敵のキーパーに尻餅つかせるドリブルからのシュートで、同点になる。終了間際、山城が大きく右足振り抜く。敵のキーパーは、びびって顔隠すが、ボールは山城の後ろにいたキャプテンにバックパスをする。

「決めろ、チャンスだよ。」

 

「あぁ、わかった。」

キャプテンが、蹴ったボールは普通だと取れるはずの威力だが、キーパーは腰が抜けているため、あっさり入る。そして、試合終了のホイッスル。

「やった、勝ったぁ。」

チームの皆は、優勝したかのように喜んでいた。反対に暗い顔した敵チームのメンバーたち。そんな連中に、山城は、口を開いた。

「この程度かよ。粋がってた割には、大したことねーな。人を馬鹿にする暇が有るなら基礎からやり直した方が良いじゃない。」

そうして、敵チームは反論出来なかった。だが、ある1人が、山城に気づく。

「どこかで見た顔だな。あー、こいつ山城だ。二年前の優勝チームにいた、怪物 山城だ。」

 

山城自身、周囲のこと何も思っていなかったが、けっこう恥ずかしかった。すると、向こうのチームのコーチが、勧誘してきたが、バッサリ断った。それから、新しいチームのメンバーに質問攻めされたが、悪くなかった。

 



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再開

新しいチームに加入し、1ヶ月。山城の小学生としては、最後の大会が始まる。「行くぞ。」とキャプテンの一声で、皆とグラウンドに出る。一回戦の相手は、いきなり、源田のいるチームだ。あの時より、鍛えたらしい。そして、キックオフの笛がなる。ボールを味方が、奪う。パスが、山城に回る。その瞬間、敵チームに緊張が走る。二年前とは、自分達は、確実に強くなった。去年は、全国に出た。が、その自信を目の前の怪物は、自分たちの簡単に消し去ってくれる。

「やっぱり、スゲーな源田達は、だが、こちとらサッカー捨てたわけじゃねーからな。いくぜ。」

 

山城は、ドリブルで抜き去る。抜かれた相手は、風を感じる。そして、源田と1対1になる。

「こい、山城。俺たちの二年前のリベンジだ。」

 

「それじゃあ、いくぜ、はぁぁあ。」

山城は、大きく、左足を振り抜く。放たれたボールは、風を纏い、源田とぶつかる。

「負けるか、うおおおお。」

 

源田は、負けじと、シュートを押し返す。が、徐々に押される。歯を食い縛り、粘りを見せる。ボールの威力は、弱まって両手に収まる。

「くそ、」

山城は、少し悔しがる。源田は、喜びを顔には出さず味方にパスを出す。その後、ボロボロの両手を見て、ガッツポーズを取る。その後は、山城も守備に加わり失点を防ぐ。なんとか守り抜く。試合が動いたのは、前半終了間際、やはり怪物は黙ってなかった。山城のエンジンは、全開に温まった。ボール奪い、敵の固まりに突っ込む。獣のようなドリブルで、敵を散らす。そして、源田との勝負。

「いくぜ源田、うおおおお。」

 

「今度も止めて、チームに勝利をもたらす。」

山師は、今度は、右足で振り抜く。今までの威力は、本気ではなかったのような威力。源田も覚悟を決める。

「うおおおお。」

 

源田は、力ずくで押さえるが、会えなく吹っ飛ばされる。そして、無惨にも、ボールは、ゴールに突き刺さった。観客は、大歓声をあげる。そして、誰もが怪物の復活に盛り上がりを見せる。だが、源田のチームメイトは、そうはいかなかった。自分たちの頑張りが、あっさり蹴散らされたのだから。その後は、山城とそれに続いたチームメイトの攻撃になる。源田は、諦めることなく、奮闘するが、もはや抗う体力がなくなる。そして、試合終了のホイッスル。点差は、圧倒的になった。山城は、チームメイトと帰る支度をする。すると、源田が、近づいて来て来た。

「完敗だ。まさかここまでとはな。山城、次は、中学で貴様を倒す。それまで、もっとレベル上げてやる。」

 

「ふ、次も負けねーよ。俺が、またハットやってやる。楽しみしてろ。」

 

「ふん、相変わらずの減らず口が。じゃあな。」

 

「ああ。」

二人は、別れるそして、山城がチームメイトと別れ、家に着く。玄関を見ると1つ見慣れない靴が、あった。リビングに行くと、両親と以前会ったグラサンのおじさんだった。

「やぁ、元気にしてたかい。山城君。君にまた話があってね。」

 

「おじさん、この前はヒント教えてくれてありがとう。今度は、何を教えてくれるの。」

 

「いや、今日は、いい話があってね。君を我が帝国学園にスカウトしに来た。」

 

「?!」

これが、帝国学園 総帥としての影山と山城の出会いだった。



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晴れ晴れ

「俺が、帝国に。」

 

「ああ、君のポテンシャルを、評価した結果だ。もう少し話がしたいが、今日は疲れてるだろうから今日は失礼する。返事は、また後で聞かせてくれないか。」

そう言うと影山は帰った。両親は、自分のことに喜んでくれた。山城も嬉しかった。そして、次の日、円堂に報告すると、祝福してくれた。

「しかし、一緒に練習してる山城が、帝国かぁ。」

 

「どうした、まもちゃんも帝国来ないの?」

 

「確かに魅力だけど、俺は雷門中に行くよ。じいちゃんのいたサッカー部で、サッカーしたいんだ。」

 

「そっか、じゃあ中学行ったら敵か。まっいっか、まもちゃん対戦することになっても、勝たせないからな。」

 

「ああ、当たり前だ。こっちだって一平のシュート止めてフットボールフロンティア優勝するんだ。」

「「ふふふ、アハハははは。」」」

その後、二人はいつもの勝負をして、今日を終えた。

それから、山城はチームメイトと共に決勝まで勝ち上がる。そして、決勝を迎える。山城は、敵チームと顔合わす、決勝の相手は、かつて自分が、見捨て、見捨てられたチームメイト。こちらに気づく。

「山城そっちでも、1人サッカーか。良かったな自分のサッカーが、出来て。」

 

「そうだ、こっちは、おまえのせいで大変だったんだぞ。」

かつてのチームメイトからの嫌味と妬みを言われる。だが、山城にそれは届かない。そして、冷たい感情が、顔に現れる。

「それは、ごくろーなこった。俺が、抜けただけで、全国行けなかったチームさん。こっちのチームメイトは、誰として、俺のサッカーに着いてくことを諦めないよ。勝手に諦めた下手くそども一緒にすんな。」

 

「何?!てめえ。」「くそ、ふざけやがって、この試合おまえをぼこぼこにしてやる。」

 

「勝ったら良いな俺のチームに。」

こうして、歪みあいのある決勝が幕開け、キックオフ。

相当鍛えたのだろう、相手は、得意の弱点をつく攻めかたをしてくる。だが、だが、上手く行かなかった。そう、山城とチームメイトの連携プレイにより、点差みるみる開かれる。そして、最後は、山城が決め、圧倒的勝利を収める。過去の未練を晴らすことが出来ため、山城の気持ちは、晴れていた。

その後、表彰式のあと、色んな学校にスカウトされたが、自分のなかでは、もう決めていた。そして、ある人物に会いに行った。

「返事は、決まったかね。山城一平。」

 

「はい、おじじゃなくて、影山さん。俺を帝国学園に入れてください。」

 

「わかった。手続きは、また日程が決まったら、親御さんと来なさい。」

こうして、帝国学園 山城一平の誕生である。

 



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失望

全国を決めたことで、うちのチームの士気が高まる。そして、質の良い練習を終えた。チームメイトと全国に向けて、気合いを入れる。その後は、円堂とは練習することはなくなったが、連絡をよく取り合った。時間が、進み全国が開幕する。山城は、色んな視線を感じた。それもそうだ、二年前の大会を沸かした怪物がチームを代えて戻ってきたのだから。そして、開会式のあと、二人の選手が、近づいて来た。

「山城、随分と待たせてくれたな。」「全くだ、おまえのリベンジにこっちは二年待たされたからな。今年こそ、おまえを倒す。。」

 

「豪炎寺と鬼道か。ふ、二人して熱いね。良いぜ、お前ら二人ともぶっ倒してまた優勝貰うぜ。」

三人の異様な空間に誰も近づけずにいた。そして、二人と別れる。その後、チームメイトに騒がれたが、少し話をして、解散した。そして、数日後の開幕戦。楽しみにしてた試合、わくわくする山城。初の全国の緊張する仲間達に声を掛けて緊張少しほぐす。そして、キックオフなり、山城にボールが渡り、いつも通りドリブルで駆け上がり、ゴールに叩きこむ。その瞬間、山城は敵チームの表情が、どこか諦めていた。それから、山城にボールが渡ると誰も本気で守備をしなかった。結果、山城はハットトリック、味方も得点アシストを記録する圧勝。だが、その日から山城に本気で勝負するチームが、いなくなった。

「何だよ、本気でやっても、やらなくてもまともに相手してくれないのかよ。真面目にやるのが、バカらしいな。」

 

それから、山城は本気でプレイしなくなる。敵が来ても、緩いドリブル。シュートも敢えて左、しかも全部がまた抜きの緩い奴ばかり。それでも、勝ってしまう。そして、遂に準決勝に来た。まずは、鬼道のチームだ。

「この日を待ちわびた。今日こそ勝つ。」

 

「ああ、そっちこそがっかりさせんなよ。」

そして、キックオフ。鬼道のプレイは、磨きがかかりゲームメイクが光っていた。だが、いつも通りには行かなかった。怪物の息吹により、ゲームを上手く回せずにいた。そして、個人に走らなきゃ止められなくなった。

「何だよ、鬼道がっかりさせんなよ。お前なら、もう少し頑張れただろ。」

 

「化け物め、ここで貴様を止める。」

山城と鬼道の1対1、一件拮抗しているように見えた。だが、綻び生まれてしまった。山城が、仕掛ける。鬼道は、ついてくが、足が着いていかず膝をつく。

「くそ、まだ届かないのか。」と悔しがる鬼道。

 

「鬼道、お前ならもうちょっと頑張れると思ったんだかな。残念。」

そして、あっさり決め、チームに勢いをつけ、自分はアシストに回り、仲間に決めさせる。結果、圧勝する。最後、整列時に鬼道と握手する。

「次は、中学だ。そして、お前に土を着けてやる。」

 

「ああ、楽しみにしてる。」

だが、鬼道がこの願いが叶わなくなることを知るのは、すぐ先である。

そして、決勝戦を迎える。

 



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終幕

鬼道との対決が思ってたほど、少し物足りない感じがあった。だが、鬼道を責めることはなく、むしろあの状況でよくやった。そう自身の心に秘める。そして、遂に二年ぶりの決勝、仲間は緊張しているため、いつも通りほぐし、スタジアム入り。フィールドで、互いに向かい合って、あいさつをする。相手は、豪炎寺のいるチーム。

鬼道違って、豪炎寺が個人で勝負できる力がある。今日は、本気でやれる。その楽しみでいっぱいである。

「山城、鬼道を倒すことが出来ても、俺は簡単には行かないぞ。」

 

「そうか、期待してるぜ。お前は、本気でやっても、勝てるかわからねえからな。」

こうして、決勝の幕が上がる。キックオフ。まず、豪炎寺が、ボールを持って向かってくる。

「勝負だ、山城。」「こいよ。」

 

両者緊迫する、豪炎寺が仕掛け、山城も対応するが、逆をつかれて抜かれる。そのまま、豪炎寺はボールを蹴りこむが、後ろから伸びた影にシュートコースを外される。怪物が、追い付いたのだ。

「相変わらず、化け物染みてるな。山城。」

 

「当たり前だ、そう易々と決めさせるかよ。」

両者に笑みが、零れる。そして、コーナーからの攻めを止めると、次は山城のターン。ボール持ち、また先程の形になる。そして、山城が仕掛ける。豪炎寺が、反応するが、磨きのかかった緩急のドリブルで抜かれる。どんどん敵を抜き去り、山城が、左で打つと、こちらも後ろからの足に弾かれる。

「ち、やってくれるじゃねーか。」

 

「そうあっさり決められては、こちらもたまったもんじゃないからな。」

こうして、二人の攻防が続き、前半が終わる間際に山城は、不思議な感覚に漲って来た。そして、互いの攻防変わらないまま前半が終わる。フィールドに出ている全メンバーが、疲れていた。このゲームを見ていた観客は、大いに盛り上がっていた。豪炎寺か山城どちらが勝負を決めてくれるのか、そして、このまま終わらないでほしいとほとんどが思うなか、後半が始まって数分間後。勝負が、動く。豪炎寺が、ボールを持ち山城と1対1。そして、仕掛けるが、遂に山城に取られる。その瞬間、山城に以前もあった水滴が、弾ける感覚流れる。そして、どんどんドリブルで抜き、キーパーと1対1に持っていこうした時、豪炎寺が追い付く。

「行かせん、こい。」「、、、、、、。」

 

静かな山城、次の動作に豪炎寺は、反応出来ず、そのままゴールにシュート叩き込まれる。今までの動きとは違うためか、キーパーは、反応出来ずに終わる。そして、ボールはゴールに突き刺さる。その瞬間、会場が大歓声に沸いた。誰もが、先制のゴールだと思ってた。だが、抜かれた豪炎寺とメンバーは、違った。今の一瞬の動きで山城が、今までとは別人に思えた。そして、今のゴールは、先制のゴールだが、豪炎寺達には、試合終了のゴールに写ったのだ。

「なんだ、今の山城は、全く動けなかった。」

 

その瞬間、山城に差を開かれた。1部の人間は、山城が「ゾーン」に入ったと囁いていた。豪炎寺は、悔しくも、山城に負けを感じ、1選手として尊敬した。その後、豪炎寺は、山城に諦めず1対1を仕掛けるが、相手にならず、そのまま点差が五点以上になった途端、笛がなる。

試合が、終わったのだ。山城達は、山城を中心に優勝を喜んだ。中々勝てなかった弱小チームが、猛者どもを倒して、頂点に立てたのだから。そして、豪炎寺のチームメイトは、皆が涙を流す。だが、豪炎寺は違った。最後の整列の際に、

「山城また負かされたが、中学ではお前に追い付いて、追い抜いてやる。」

 

「ああ、俺もお前との対決、楽しみしてるぜ。」

こうして、山城の小学生の最後の大会を終える。

 



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少年編エンド 楽しみ

全国優勝で、終えた山城。チームには、沢山入部希望者が現れ、次の代も安泰に感じた。それから、山城は、また円堂と練習する日が、増えた。

「また一平には、差を開かれたな。くー、俺も負けてられない。」

 

「まもちゃんも大分強くなった。動きが、よくなってたよ。まぁ、俺には、結局勝ててなかったけどね。」

 

「それは、言わない約束だろう。」

円堂は、頬を膨らませた。それを見て、山城は、笑った。

「いやぁ、しかし良かったの?まもちゃん。」

 

「何が?」

 

「サッカーの強いところ行かなくて。まもちゃんなら、ベンチ入りぐらいするだろうに。」

 

「良いんだ。前も言ったけど、俺、じいちゃんの通ってた。サッカー部で、フットボールフロンティアに出るんだ。」

 

「それなら、もう何も言わねーよ。」

その後、少し練習して、話題は全国の話になった。

「なあ一平。全国ってやっぱり凄かった?」

それに対して、山城は答え辛かった。なにせ、自分と他の差を感じ、相手の戦意を損失し、手を抜いても勝ってしまったから。

「まぁ、良いところだった。少ないけども俺が、本気出してもギリギリの奴もいた。」

 

「そうか、やっぱり全国はすげーんだな。くー、俄然やる気出てきた。」

円堂の言葉に驚く山城。

「何だよ、急に。」

 

「だってさ、一平が本気出すほどだろ。絶対、サッカー好きな奴じゃんか。俺も戦ってみたい。」

その言葉に呆気をとられた山城。そして、笑みを浮かべる。

「そうか、じゃあまもちゃんは、無理だな。」

 

「何でだよ。」

 

「だってさ、俺と同じ県の中学で、俺のいる帝国だぜ。まもちゃんは、三年間予選落ちだな」

 

「無理なんかじゃない。勝利の女神は、あきらめない方に微笑むんだからな。」

円堂の言葉に、山城の冷えた闘志に火が着く。

「そっか、じゃあ楽しみにしてるぜ。まもちゃん。」

 

「おう、絶対その鼻折ってやる。」

二人は、拳合わして、その日は帰った。数日後、特待生の山城は、影山から見学の話が来て、帝国に訪れる。

要塞のようなその見た目通り、威圧感のある学校だ。伊達に、40年無敗のチームだ。そうして、中に入ると、サッカーグラウンドに着くと、選手達が、練習していた。そうして、少し眺めていると。

「良い、グラウンドだろ。」

振り向くと、影山が、立っていた。

「よく来たな。今日は、お前の他にもう1人の特待生を呼んだ。」

 

「もう1人?。」

すると、後ろから、声がした。振り向くと、なんと鬼道がいた。

「山城、お前も帝国だったんだな。」

 

「まさか、鬼道とチームメイトか。」

こうして、影山の監督史上最高傑作の逸材同士が、初顔合わせをしたのだった。

 

 

 




次は、原作に介入します。


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フットボールフロンティア編
原作介入 入学


4月になり、山城話晴れて帝国学園の門くぐり、生徒そして、選手になった。入学式、新入生代表は、やっぱり鬼道だった。その後、クラスに行くと、見知った顔と出会う。

 

「山城、貴様も帝国入部するとはな。」

「なんだ、源田か。お前も帝国か。なんだよ、勝負出来ねーじゃん。つまんな。」

「こっちのセリフだ。」

 

そう二人で話していると、鬼道が来た。

 

「お前も同じクラスかぁ。はぁ。」

「なんだそのため息は。俺からしたらリベンジが消えて、やり場無い怒りでいっぱいだ。」

 

そう鬼道と話していると、源田と鬼道の目が合う。

 

「鬼道、お前の話はよく聞いている。天才ゲームメイカーなんだってな。俺の名は、」

「いや、こっちもお前のことは、耳にしている。この化け物のシュートを止めたゴールキーパー 源田。」

「ふ、全国でも有名なお前に知ってもらえるとはな。どうだろう、ここはどちらがこの怪物を負かすか。勝負だ。」

「ふ、良いだろう。こんなチャンス滅多にないからな。」

 

そう二人で、山城ぶっ倒す同盟を結成すると。

 

「鬼道、俺もその話に乗らせてくれ。」

 

後ろから、女っぽい奴が来た。どうやら、鬼道の知り合いのようだ。

 

「佐久間か、お前も帝国に来たんだな。」

「ああ、鬼道それに源田。お前達だけじゃないぞ、この妖怪を倒すのは。」

 

山城若干、心に傷を負った。そして、鬼道に聞く。

 

「鬼道、知り合い?。」

「ああ、お前は、戦ったことがないんだな。こいつは、佐久間。全国でも、指折りの選手だ。」

「そうか、よろしくな、佐久間。俺は、山城。」

「よろしく、山城。お前の活躍は、全国誰でも知ってる。そして、同じFWとしてお前に勝つ。」

 

そう三人に、目の前で宣戦布告をされた。山城は、笑みをを浮かべて威圧を放ちながら。

「そうか、これからの練習が楽しみだぜ。なんせ、本気でやっくれる奴が、三人もいるからな。」

その威圧になんとか耐える三人。やはり、怪物は怪物だった。そして、今まで騒がしかった教室が、静まりかえる。

その後、サッカーに入部した三人は、怪物に毎日バチバチに挑んでいく。見事、1年からスタメンを勝ち取る。そして、鬼道はキャプテンに指名される。もちろん、その三人を、毎日相手にしては、負かし続けた山城も一軍のスタメンである。練習試合でも、圧勝の帝国。それを、監督室で見ていた影山は、誰もいない室内で、不気味の笑みをこぼしていた。

それから、時間が立ち、四人の初めてのフットボールフロンティアの予選が、始まる。

 



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予選

予選のトーナメントが、掲示される。山城も見たが、雷門の名はなく、不思議に思い円堂に聞いた。すると、円堂から「サッカー部が、無くて部員が居なくて出れなかった。」と聞かされた。呆れて、やる気半減の山城。しかし、いざ予選が始まると、スイッチが入り得点量産する山城。そして、帝国はあっさり全国に行く。

「意外とあっさりだったな。」

山城が、少しだらけていると、

「仕方ない、予選レベルでは違い過ぎるからな。だが、気を抜くなよ。得点源のお前がそれだとチームの士気に関わる。」

 

「へいへい、ゆうちゃんは、真面目だね。」

ゆうちゃんとは、鬼道のことである。本人は、最初は否定したが、親しんでいくうちに受け入れた。

「しかし、確かに。お前だけでなく、佐久間もどこか、身が入っていない。そこで、ノルマを出す、どうだ。」

 

「ノルマいいよ。そっちの方が、良いや。」

そして、それからの試合は、スタメンのFW陣は、1試合に1ゴール記録することになった。このノルマが、聞いたのか、山城佐久間の二人は、モチベーションを保っていた。そして、始まるフットボールフロンティア。全国の各校が、整列する。やはり、帝国は注目された。特に、山城への視線は、多い。予選得点王、1年から一軍選手で小学生の頃から有名だからである。山城は、もう視線には慣れ、周りを見渡すと見知った顔を見つける。

開会式後の木戸川の豪炎寺は、仲間と荷物当番していた。そこに、威圧が襲う。その方向に目をやると、怪物がいた。

「久しぶりだな、豪炎寺。楽しみしてたぜ。」

 

「ああ、俺もだ。山城。」

二人が、少し会話していると、周りがざわつき出した。

「おい、豪炎寺のとなりのやつ。怪物 山城だ。」

「あ、本当だ。何でこんなとこに。」

そう周りのざわめきに気づいた山城は。

「そろそろ、かえるわ。」

 

「山城。」

山城を引き留める豪炎寺。

「小学生の頃ように行くと思うなよ。」

そう話すと、後ろから豪炎寺のチームメイトの後押しが来る。そして、山城の前にちっちゃい女の子が出てきた。

「お兄ちゃんは、怪物さんなんか倒しちゃうんだから。」

 

「こら、ゆうか。勝手に出てくるな。」

どうやら、豪炎寺の妹らしい。そして、山城は笑みを浮かべ話す。

「よぉ、ちびっこ。なんか、勘違いしてるな。俺はお前の兄貴に負けーよ。」

 

「ベーだ。絶対勝つもん。」

なんとも、かわいい口喧嘩だ。その楽しいひとときも終わり、豪炎寺と別れて自分のチームメイトと合流した山城。次は、初戦の開幕である。

 



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役不足

帝国学園の屋上、鬼道は、ある人物を会いに来た。

「またこんなとこいたのか、山城。練習をサボるなんてお前らしくない。」

 

「ゆうちゃんか。だってなあ。」

鬼道は、知っていた。山城が、ここ最近の練習に身が入っていないこと。理由は、初戦の相手が全員後半戦意を損失し諦めていたからである。

「勝つことが、この学校の理念だ。それ以外に必要なものは無い。」

 

「いやぁ、勝つのは良いんだけど、不完全燃焼だからな。どうせ、木戸川以外どこも弱いのにすぐ諦めるからな。楽しくも何ともない。ハァー」

山城は、ため息をこぼす。鬼道は、主将として、ライバルとして山城の状況何とかして上げたい。が、現実そうも行かない。怪物を相手に出きるのは、同じ怪物しかない。

「とにかく、まだ試合は残ってる。それに木戸川が勝ち残ってる。ここでサボって豪炎寺に負けて良いのか。」

 

「わかったよ。少ししたら、行くよ。」

その言葉に山城は、動く。鬼道は、とりあえず山城のサッカーの情熱まで消えてないことを確信する。そして帝国は、その後の試合も圧勝する。山城は、ため息をつく数が多くなった。そして、時を同じくして木戸川では。

「おい、豪炎寺。見ろよこれ。今大会の結果。」

 

「うん?。これは、凄い。」

チームメイトと見た結果の記録。ここまで、4チーム残ってる。豪炎寺の目には、帝国以外入らなかった。なぜなら、スコア圧倒過ぎていたからである。

「やっぱり、今年も帝国か。中でも、この四人の1年は別格か。1年から主将の鬼道、同じく1年でスタメンになった佐久間、源田。そして、今大会のNo.1ストライカー 怪物 山城。」

 

「確かに。だけど、負けるわけには行かない。」

 

「そうだな。こっちも負けるつもりは、ねえからな。」

木戸川イレブンが、帝国の結果に気合い入れる。そして、2チームが決勝まで上り詰めた。決戦前日の帝国の練習グラウンド。

「山城、遂に木戸川とやるぞ。気合い入れてけ。」

 

「分かってる。だって、向こうはそうそう諦めそうなチームじゃなさそうだし。それに、豪炎寺もいる。気合いも上がるぜ。」

そして、最終調整を終えた山城は気分がてら久しぶりに鉄塔に向かった。そして、そこで、見知った顔に出会う。

「久しぶりだな、一平。凄い活躍してるじゃないか。」

 

「まもちゃんか。久しぶり。相変わらず、熱いね。」

 

「なんだよ。そっちは少し冷めてないか。」

 

「まぁ、そうかもね。相変わらず、圧勝だし。」

そして、円堂は山城に向かってボール渡す。それを受けとると、

「一平、久しぶり勝負だ。俺の成長を見てくれ。」

 

「良いよ、豪炎寺の前にまもちゃん片付けてやる。いくぞ。」

そして、円堂と山城の1対1の勝負が始まった。結果は、山城の完全勝利。だが、久しぶりに熱い円堂のプレイに、山城の心に火をつける。

「ありがとう、まもちゃん。おかげで、明日も勝てそうだわ。」

 

「くそー、一本も取れなかった。何て威力してるんだ。だけど、やっぱ熱くなるな。山城のシュートに触れると。

。」

 

「当たり前だ。伊達にこっちは名門のスタメンはってねーよ。もう少し、練習頑張れ。じゃあな。」

 

「おう、もっともっと。強くなってやる。」

こうして、山城にとっての最終調整を終えた。そして、迎えた決勝戦。ある出来事によって、山城を変えてしまう。

 

 

 

 

 



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鎮火

迎えた決勝、バスに乗り決勝へ。そして、スタジアム入りをする帝国。山城は、全国の決勝を楽しみにしてた。なぜなら、強くなった豪炎寺と戦えるからである。そうして、アップする。そして、木戸川のベンチを見る。しかし、いくら時間になっても豪炎寺が出てこず、気になって木戸川のベンチに行く。そして、木戸川の監督に質問する。

 

「あの豪炎寺君は?。」

「あいつは、来ないよ。」「え?。」

「今日は、あいつ抜きで君達に挑むよろしくな。」

 

その瞬間、山城の中の何か消えた。今までのモチベーションが、ここで一気に下がる。そして、ベンチに戻る。

そこで、影山と話をする。

 

「どうした、豪炎寺が居なくなっただけで、そんな腑抜けになるのか。相手は、強豪の木戸川だ。お前の望みを叶えてくれるかもしれん。」

「はい、期待しないで頑張ります。」

 

こうして、波乱のキックオフ。向こうは今までと編成を変え、三つ子の選手を入れてきた。そして、ボールを持った山城に話し掛けてくる。

 

「お前が、山城だな。」

「豪炎寺君の代わりにお前を倒すみたいな。」

「つーか、俺たちならお前ごとき、豪炎寺なしで勝てるみたいな。」

 

その言葉に、山城は何も感じず、ドリブルであっさり三人ともぶっ飛ばした。その後は、あっさり先制を決めた。そして、ポジションに戻る際、三つ子に話す。

 

「お前達が、豪炎寺の代わりしてくれるのか。なら、簡単には壊れてくれるなよ。」

 

三つ子は、後悔した。豪炎寺の代わりに出たこと、名門相手に慢心したこと。そして、目の前の怪物に無謀な勝負を挑み、地雷を踏み抜いたこと。それから、三人は山城に挑むが箸にも棒にもかからず、あっさり数分で三人仲良く交代する。その後も帝国の猛攻、感情の無い怪物の遊びのプレイになす術なしに蹂躙された。その場の観客は、誰1人として木戸川の優勝を期待するものは居なくなった。そして、帝国学園が連覇を達成する。帝国のメンバーは、誰1人として喜んでおらず、山城に関しては、試合終了後さっさと帰る始末。そこは、影山のおかげで、関係者や取材陣に追求されることは、なかった。

この状況を見ていたものが、2人いた。1人は、弱小のサッカー部の建て直しに勤しんでるキャプテン。そして、本来試合に出て怪物達の相手をするはずだった炎のストライカー。それぞれの思惑が、あるなか熱狂を帯びていた。フットボールフロンティアのスタジアムは、静かに終演を迎えていた。

こうして、帝国学園はまた1つ連続優勝を増やしていた。だが、その日から山城が練習にまともに参加することはなくなった。

 



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暇潰し

優勝決めた帝国学園。しかし、問題が解消しなかった。山城である。豪炎寺のその後の事情を聞き、決勝の出来事をきっかけにすっかり練習に来なくなった。影山には、一応許可を出されているみたいだ。そんな、山城抜きでも変わらない帝国。勝利ため、練習をこなす。そんな、帝国を無視して散歩してる山城。一応、体鈍らないように適当な場所で練習する。

 

「はぁ、ゆうちゃん達にはわりぃことしたな。けど、俺を相手にする奴がいないしな。これから、どうすっかなぁ。」

 

1人散歩をしてると、鉄塔に着く。そこで、ベンチの近くでゆったりしてると誰かに起こされる。見ると、円堂だった。

 

「おい、一平こんなとこで何してんだ。練習は、どうした。」

「なんだよ、まもちゃんか。サボった。」

「サボった?!何でだよ、怪我でもしたのか。」

「いや、怪我じゃない。面倒だから。」

「面倒だからって、練習サボって言い分けないだろ。」

「うるさいなぁ。しなくても、勝っちゃうから良いの。総帥と鬼道には、許可貰ってるし。」

「なんだよそれ、あんなに練習して、試合でも楽しそうにしてたお前はどこに行ったんだよ。」

「知らねーよ。サッカーがまともに出来ないまもちゃんに言われたかない。それに、俺に勝ってから言えよ。」

 

その言葉にキレた円堂。そして、ボールを山城に蹴り。

 

「勝負だ、一平。お前のその心に火を着けてやる。」

「はぁ、めんどくさ。三本だけ相手してやる。行くぜ。」

「こい!!」

 

そして、円堂と山城の最初で最後の喧嘩のサッカー勝負が始まった。最初は、いつ通り左振り上げる山城、円堂も構えるがボールはゴールの壁にぶつかる。

 

「はい、一本。」

「(まったく、見えなかった。)次こい。」

「たく、だるいな。行くぜ。」

 

同じ動作でボール蹴る山城、今度は反応した円堂。しかし、無惨にも触れられず決められる。

 

「(反応が、早くなった)二本。次で、ラストだ。行くぜ、まもちゃん。」

「次は、絶対止める。さぁこい、一平。」

 

また同じ動作蹴った山城。円堂は、ボール遂に触れる。

(よし、止め、)と思う円堂。しかし、勝負の神様は、残酷でボールごと叩き込まれる。円堂は、立ち上がれなかった。

 

(終わったな。しかし、三本で触れるとは、)

「まもちゃん、俺の勝ちだ。じゃあな。少しは、サッカーの練習できるようになるといいな。」

 

そして、その場を後にする山城。その後、円堂を心配しに来た秋に起こされ治療する円堂。

 

「大丈夫円堂君。痛いとこない?。」

「あぁ、問題ない。ありがとう秋。」

「何か、合ったの。」

「大事な幼なじみを止められなかった。くそ、。」

「円堂君。」

 

拳で地面を叩き、悔しがる円堂。それを見守ることしかできなかった秋であった。

 

 

 



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後日

この間の勝負以来気合いが入る円堂。部員は、自分を入れて三人まだまだ遠き道のりだが、サッカーが好きな連中で嬉しい。今日も小さいが、空きスペース使って練習した。その後、いつも通りのタイヤのある鉄塔に向かう。

 

「よし、やるか。」

円堂は、毎日空きもせずひたすらタイヤとぶつかる。受ける度に、山城のシュートを思い出す。

 

「一平のやつ本当にどうしちまったんだ。昔は、練習するほど、サッカーが好きであんなこと言わなかったのに。だからこそ今は、じーちゃんの技完成して少しでも近づくんだ。」

 

円堂は、再戦に燃える。「打倒 山城」その言葉を胸に今は、ひたすら力を蓄えている。一方、場所が変わって帝国のグラウンド。鬼道を中心に一軍のメンバーが、汗水垂らす。特に鬼道、佐久間、源田の三人の熱量が凄い。山城の活躍にまだ負けている自分達にイライラしている部分もある。

 

「あいつら、ここ最近気合いが入ってるな。」

「それはそうだよ。なんたって、ライバルの山城に勝つためだからな。」

「しかし、当の本人はどこか上の空で練習に滅多に来ないですよ。」

「ほんとだよ、少しは見習ってとは言えないな。」

「だなぁ。」

 

帝国のメンバーの山城に対する見方は、サボるが理不尽に強い。本人に練習への参加を強要しても、かえって自分の実力のなさに漬け込まれてあっさり断られる。実力が、全ての帝国。その頂点の男に何か訴えるには同等かそれ以上の力を持たなければならない。だから、基本誰も彼を指摘できないのだ。

 

「さあ、俺たちも行こう。」「「そうだな。」」ですね。」

五条達も練習に戻る。そんな様子のチームに影山は、ただ暗い監督室の中で選手達の練習の動きを見ていた。そんな、帝国の噂の怪物は今1人で河川敷を歩いていた。

今日は、練習するつもりはないのか、ボールを持たずにただ河川敷のサッカーグラウンドの少年少女達のサッカーを見ていた。

 

「やっぱ、楽しそうだなぁ。前は、上手くなることなんか度外視して、ただひたすらボール蹴ってただけなのにな。あ~あ、なんで誰もついてこれなくなったのかな。明日、練習に参加して適当にボールに蹴ってようかな。あの決勝以来、総帥にはアドバイス貰えてないしな。」

 

孤高の怪物の独り言は、誰にも届かずただひたすら風に流れて消えて行くのだった。みんなそれぞれが、自分達の理想に近づくために、日々を過ごしていた。そんな、思惑を胸に秘めて時間が流れて、彼らは1つ年を取り、学年が上がる。

 

 



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進展

円堂達が、新学年になり新入生を歓迎する時期なった。円堂、染岡、半田、木野の四人は、募集の呼び込みやチラシを配り新入生を待った。すると、部室の扉が、開き新入生が五人も入ってきた。九人なり活気が溢れる。そして、夢のフットボールフロンティアに近づく。かと思ったら、それ以上増えず1ヶ月過ぎ、部員はだらけ、やる気のあるのはしぶんのみ。

 

「くそ、やっとサッカーできると思ったのに。」

「しょうがないよ、頑張って部員探しましょ。」

「だな。」

 

こうして、イナイレが始まる。円堂は、マネージャーの秋と共に、河川敷の小学生チームの練習に混ざる。しかし、この後ある人物出会う。

いつも通り、ちびっこ達と練習してると、少年の1人の蹴ったボールが不良の前を通りすぎ、その後円堂が謝罪をするが暴力を振られうずくまる。その後、不良の蹴ったボールが、休憩中の少女へ。

 

「あぶない。」

 

誰もがそう思った時、少女の前を人影が現れる。そして、その人物はボールを不良の顔面にゴール。不良達は立ち去り、その人物も立ち去った。その衝撃が忘れられない円堂。後日、幼なじみの風丸そのことを話していると。担任が、転校生を読んだ。転校生は、自己紹介をした。名は、豪炎寺 修也と。昨日のこともあり、豪炎寺のことを思い出す円堂。早速、サッカー部に誘う、断られる。その後、理事長室に呼ばれる。

 

「サッカー部は、廃部よ。」

 

そう同級生の雷門夏未に告げられる。その後、部の存続を賭けて練習試合をすることに。相手は、同じ地区の前年の覇者 帝国。その事を皆に伝えるが士気が下がる。そして、試合をするためのメンバーを探していた。候補は、集まって何とかメンバーを揃え、タイヤで練習する。その様子を見ていた風丸に助っ人の話を了承して貰えた。それに続き、隠れてみていたメンバーが、出て来て。次の試合を待ちわびる。そして、その話はもちろん帝国のメンバーに入る。誰もが、モチベーションを下げる。そんな中で、影山と鬼道と山城は違った。

 

「明日の試合、相手チームには興味はない。目当ては、豪炎寺だ。」

「総帥、本当に豪炎寺がいるんですか。」

「あぁ、間違いない。」

「良かったな、山城。豪炎寺が出れば、少しはお前のテンション上がるじゃないか。」

「いや、別に。例えそうだとしても、あいつがサッカーやっててあの時と変わらないとは限らないからな。何も期待しねーよ。」

「安心しろ、山城。お前はベンチだから、わざわざ期待する必要はない。」

「分かりました。試合は適当にベンチで見てますよ。」

 

それぞれの思惑が、進むなか、試合の日を迎える。そして、それぞれの止まっていた時計の針が動き出す。

 

 

 



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再始動

試合当日、雷門中には生徒が集まっていた。そして、サッカー部のメンバーが、気合いをいれていると、不気味なバスのエンジン音が聞こえた。帝国の到着だ。扉が開くと赤い絨毯とともに複数の帝国の制服を着た部員が、サッカーボールを片足踏むポーズで敬礼して並ぶ。そして、一軍のメンバーが、鬼道を筆頭に次々降り、最後は山城が降りる。山城と目が合う円堂、しかし山城は、何事も無いようにベンチに座る。そして、互いにアップ中に鬼道が挨拶代わりに円堂にボールを蹴り込む。

 

(く、何て威力だ。)

 

雷門メンバー困惑するなか、雷門ボールで始まる。

 

「行くぜ、俺が決めてやる。」

 

染岡が1人ボールを持って上がる。それに連れて他のメンバーも上がり、染岡がシュートするが。源田には、あっさり止められる。

 

「ドンマイドンマイ、次は決められぞ。」

 

そう円堂が、チームを鼓舞する。それに、答える染岡達。それを見ていた山城は、あくびをする。

 

「鬼道、俺の仕事は終わりだ。」

「ご苦労、これからそこでゆっくりしてろ。」

 

その後、鬼道の合図共に帝国イレブンが上がる。そして、寺門のシュートが円堂に向かいそれを円堂は何とか止める。

 

「へぇ、向こうのキーパーは骨があるようだ。」

「次は、本気で良い。もう、お遊びはここまでだ。」

「了解。」

そこからは、帝国の一歩的な蹂躙が始まる。円堂は、何とか反応するが力負けし、ゴールの中へ。前半の終了の合図がなる点差は、10点もついていた。全員が、行き絶え絶えの雷門。対して、全然疲れてない。帝国これを見て帰る生徒が出始めた。誰もが諦める状況の中で円堂は諦めていなかった。そして、それはそうと熱伝導のようにチームに広がる。それを見ていた山城は、少し笑みをこぼす。後半が、始まる。

 

「良いか、総帥の指示により。ゴールではなく選手を潰せ。そして、豪炎寺をあぶり出すんだ。」

 

その指示のもと、雷門イレブンに帝国メンバーはボールをぶつけるなどのラフプレイを行う。そして、今度は円堂に向かう。

 

「こい、今度は止めてやる。」

「ふ、デスゾーン開始だ。」

 

その言葉ともに佐久間と寺門が上がり、デスゾーンを放つ。今までのシュートとは違い円堂はゴールに叩き込まれる。その後、残されたのはメガネのみ。そして、メガネ背番号捨て、逃亡。誰もが、雷門の試合続行不可能に感じ、その場、後にする者が増える。だが、そんなか1人の男がメガネが脱いだ背番号10を着て現れた。

 

「おーと、雷門メガネに代わり、メンバーが入るようです。彼は、昨年のフットボールフロンティアを沸かせた炎のストライカー 豪炎寺修也だぁ。」

 

「待たせたな。」

「豪炎寺来てくれたんだな。」

 

来れきっかけに雷門メンバーが、1人1人立ち上がり、豪炎寺の試合参加を鬼道が認めため、試合続行。そして、雷門のヘロヘロのメンバー奪う帝国イレブン。そして、またデスゾーンの体制に。だが、1人だけ違う行動していた。

 

「おーと、豪炎寺が前線を走る。メガネと同じ敵前逃亡か。」

(いや、あいつは俺がシュートを止めることを期待してるんだ。なら、答えるしかないだろ。)

 

そして、円堂の右手が光出す。

 

「ゴットハンド。」

遂に完成した技でシュートを止め、前線の豪炎寺へパスが渡る。そして、源田に向かいシュートを放つ。

 

「ファイアトルネード。」

 

あまりの威力に源田はゴールを許し、遂に雷門に得点が入る。そして、その後主審から帝国の試合放棄により雷門の勝利になる。喜ぶメンバーしかし、豪炎寺と円堂はある人物を見る。ずっとベンチで寛いでいた怪物である。そして、怪物はボールを一個取り円堂に向かってボールを蹴る。それを、何とか止める円堂。

 

「なんだ、なんだ、帝国からボールが飛んできた?おや、か、彼は、昨年のフットボールフロンティアMVPの山城一平。今のは、何かの挨拶かぁ。」

 

「なんだ、あのやろう。」

「大丈夫か、円堂。」

「あぁ、何とか。だが、次は覚悟しろって言われた気がする。」

こうして、波乱の練習試合が終わる。豪炎寺はユニフォームを脱ぎ円堂に返し、グラウンドを去った。その後、鬼道は山城が終始笑っていたのを見て、今回の試合で得られたものの多さに喜ぶ。

 

 



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現在地

帝国の雰囲気が、変わる。それは、山城が練習に出る割合が増えたからである。鬼道は、もちろん佐久間に源田は果敢に挑戦しにいった。影山は、それを見て笑みを浮かべる。

 

「どうした、ゆうちゃんこんなもんかよ。佐久間もっと本気出せ。源田、もう疲れたのか。」

「「「絶対、ぶっ潰す。」」」

 

そんな日々が、戻ってきた。

一方、雷門は廃部の危機にまた当たっていた。次のオカルト中との練習試合で、また負ければ廃部と言われたが

勝てばフットボールフロンティアの参加を認めてくれるらしい。新しく元気なマネージャー音無が加わる。気合いが入る面々そしてその中でも、染岡は燃えていた。そして、来るべき試合のため、河川敷で練習する。しかし、染岡が焦ってラフプレイに走っていたため、休憩中円堂は話を聞くことに。

 

「やっぱり、豪炎寺はスゲーよ。だけど、負けたくない。だから、あの試合豪炎寺じゃなくて俺だったらって思っちまう。」

「豪炎寺は豪炎寺だし。染岡は、染岡だろ。その気持ちをぶつければ良いんだよ。」

「ああ、そうだな。」

 

その後、自分の必殺技を見つけた染岡。そして、サッカー部に正式に入ることになった豪炎寺。雷門の二枚看板の完成である。そして、豪炎寺の入部に喜ぶ円堂達。そこに、風を帯びた強烈なシュートがきた。それを円堂は、止める。止めた手からは、煙が出る。蹴られた方向を見ると、1人の帝国のジャージを着た者が立っていた。

 

「あれは、帝国の?。」

「大丈夫か円堂。」

「ああ、にしても何て威力だ。まさか、。」

 

そうこうしてると、帝国ジャージの男が、こっちに歩きながら、顔を出す。

 

「よぉ、まもちゃん、豪炎寺。少しは、上手くなったか。」

「山城。」「一平。」

 

そこに現れたのは、山城だった。そして、染岡が突っかかる。

「何しに来やがった。てめえ、練習はどうした。」

「ああ、誰かと思ったら。この間の練習試合で粋がってた坊主君。オメーには、用はねーよ。」

「なんだとこのやろう。」

 

山城に手を出しそうになった染岡を止める円堂。

 

「一平何しに来たんだ。」

「いやぁ、練習試合の時に出てなかったから。まもちゃんと豪炎寺の実力知りたくて来たんだ。」

「へ、ただのベンチかよ。練習してた方が良いんじゃないか。」

「そうか、だったら相手してよ。うちの連中じゃあ練習になんないから。」

 

山城から強烈な言葉が飛び出し、驚く面々。豪炎寺は、ともかく他のメンバーは帝国の強さを肌に感じている。だからこそ、今の言葉に少し腹が立ち。

 

「おっしゃあ、じゃあ俺が相手してやる。」

染岡の言葉に対して、山城は威圧感を放ちながら。

「いや、面倒から纏めてこいよ。豪炎寺もまもちゃんも。」

 

こうして、変則の一対十一のゲームが始まる。そして、誰もが勝つと思った。しかし、怪物は怪物していた。

雷門イレブンのあっさり抜き、円堂と一対一になる。そして、左を振り上げる。

 

「こい、一平。」

「行くぜ。」

 

その放たれたシュートは風を帯び、円堂の動作を置き去りにした。皆が、絶句する。今度は、雷門ボールで始めるが、パスが上手く回らずあっさり取られる。今度は、向かって来たメンバーを全員ぶっ飛ばし。ドリブルしたまま円堂をも抜き去る。そして、無人のゴールにボールを転がす。

 

「なんだ、やっぱりこんなもんかよ。」

 

こうして、怪物を止められずにただ遊ばれて終わる。

そして、豪炎寺が1人だけ仕掛けるが、ボールを奪われる。そのまま、シュート決められる。

 

「豪炎寺、まさかこの程度かよ。昔のお前だったら、まだましだったな。はぁ、もう良いや。萎えたわ。練習邪魔して悪かったな帰るわ。」

 

山城は、そのまま帰ろうとする。だが、1人だけ山城を呼び止めた。円堂だ。

 

「待てよ、一平。まだ、お前の本気止めてない。こい、本気で打ってこい。」

「あー本当に面倒だなぁ。良いぜ、土産としてもらいな。」

 

そして、山城は右足で振り抜く。今までの威力とは桁違い。円堂もゴットハンドで応戦するがあっさり砕かれ、ゴールのネットを突き破る。

 

「いやぁ、久しぶり打った。しかし本当に弱いなお前ら。豪炎寺も円堂も。マジで練習どころか。アップにも成んなかった。はぁ、萎えたから帰るわ。」

 

この言葉に誰もが悔しい思いをするが、誰も言い返すことはできなかった。そして、同時に打倒帝国の壁が、より大きなものとなった。

 

 



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切符

山城1人に完膚なきまで叩きのめされた。その思いが、雷門イレブンに刻み込まれた。次の日の練習の雰囲気は、最悪だった。誰もが、本選に行けるか不安だった。それは、豪炎寺も同じだった。自分と怪物の差が、予想以上に開いてる現状に焦りを感じていた。だが、1人だけ違うものがいた。

 

「いやぁ、一平は強かったなぁ。あれで、練習あんまりしてないとか反則だろ。けど、今日あいつに会えて良かった。」

「「「??」」」

「だって、そうだろ。あいつの本気が見れた。つまり、目標が出来たってことだよ。」

「そうか、確かに本気ってことは少なくともあれがあいつの基準になる。」

「あれに近づくことができたら。」

「フットボールフロンティアに出れる。」

「よし、目標は決まった。とりあえず、次の試合に絶対勝つぞ。」

 

「「「「おー。」」」

 

こうして、雷門イレブンは、次のオカルト戦に気合いを入れた。一方山城は、帝国に向かって歩いていた。学校につくとチームメイトが、練習をしていた。鬼道が、気づいて近づいてきた。

 

「山城?今日は、休みじゃなかったのか。」

「いやぁ、来るつもりはなかったけど、ついさっき雷門の連中と遊んでた。」

「雷門?ああ、この前の弱小チームか。なんでまた。」

「いや、俺この間の試合出てないからな。どんなもんか体験してみたかった。」

「で、どうだったんだ。」

「どいつもこいつもまだまだだったな。豪炎寺も円堂も。だから、不完全燃焼だったから少し体動かしにきた。」

「そうか、ならちょうど良い。俺と相手しろ。ドリブルの技を磨きたい。」

「良いぜ、相手してやる。」

 

この後、山城は鬼道と一対一をして時間を潰して1日を終えた。そして、次の日。オカルト中との部存続の運命の試合が始まる。

「この試合勝って、予選に出る。いくぞ。」

「「「おーーー。」」」

 

キックオフ、最初は雷門ボール。パスをもらった染岡がシュート。竜のようなシュートで、ゴールが決まる。雷門が、先制。そこから、勢い乗ろうとするが、向こうの策に嵌まり逆点され前半を終える。ミーティングなり、向こうの必殺技の攻略が見つからず士気が下がる。だが、円堂は皆の士気を上げるため鼓舞する。

 

「お前ら、こんなことで沈んでる場合じゃないぞ。」

「しかし、円堂。動けないことにはどうにもならないぞ。」

「けど、ここで諦めたら、帝国に勝つなんて夢のまた夢。」

「そうだな、何とか打開策を見つけて逆点だ。」

「よーし、この試合絶対勝つぞ。」

「「「オーー。」」」」

 

こうして、士気を戻した雷門イレブン。後半の序盤は、上手くいかなかったが円堂が打開策を見つけて。遂に、機能し始める。

「ドラゴンクラッシュ。」「ファイアトルネード。」

「ゆがむ、うわぁ。」

二人の合体シュート「ドラゴントルネード。」が生まれ、遂に逆点に成功。そして、遂に試合終了笛がなる。

円堂を中心に喜ぶ雷門イレブンとマネージャー達。遂に、雷門サッカー部の復活。さらに、フットボールフロンティアに挑戦の権利を得た。

 

「次は、フットボールフロンティアに出るぞ。」

「「「おーーー。」」」

雷門中サッカー部の戦いが、始まった。一方、変わって帝国の屋上。そこに寝そべっている1人の怪物。そこへ、ゴーグルの生徒が近づいて話をする。

 

「雷門が、予選参加するようだ。」

「へえ、勝てたんだまもちゃん達。まぁ、オカルト中も催眠術だけの弱小だけどね。」

「ふ、確かにそうだな。だが、お前としては、朗報じゃないのか。」

「いや、別に。出れるからって、そんなすぐ強くなんないし、ましてやオカルトごときに苦戦してるようじゃね。」

「ま、お前からしたらそうか。今日は、参加するのか。」

「いや、ここでゆっくりして帰るわ。」

「わかった。風邪ひくなよ。」

 

山城は、手を軽くふって返事。それを見て、練習に行く鬼道。帝国の日常は、何にも変わらないものだった。



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前進

ちょっとダイジェスト風に早送りします。すいません。


雷門イレブンの予選が始まる。

「よーし、フットボールフロンティアに出るぞ。」

「おーーー。」」」

「それで、初戦の相手は?。」

「初戦は。」

「「「初戦は?。」

「知らん。」

崩れるメンバー。監督の冬月が、入ってきた。そして、初戦の相手は野生中に決まったそうだ。さらに、新しく転校生が入部してきた。

「ちーす、俺、土門。前の学校ではポジションはDFだった。よろしく。」

「ああ、よろしくな。」

 

そして、野生中の情報に入る。何でも身体能力が長けているそうだ。その高さに豪炎寺や土門も知っているほどだった。困った円堂は、何とか成らないか方法を考える。祖父のノートに打開策があると、ラーメン屋のおやじから知る。そして、ある場所に隠しあり、そこに皆で行き、ノートを無事入手。だが、中身は最悪。どこぞの芸術家が書いたのか。汚い。円堂以外読めず、しかも説明は擬音語のオンパレード。だが、確かに打開策の必殺技が書いてあるため、練習する。結果、二人組の高さを生かす必殺技イナズマ落としに豪炎寺、壁山に決まった。だが、上手くいかず、初戦へ。

「ウホウホ。」「コケコケ。」

ホントに動物園みたいな学校出会った。そして、その後、キックオフ。前半は、壁山が高さに怖がって連携が上手くいかず点が入らない。しかし円堂が、ゴールを守り同点で終わる。その後、後半早々点決められるが、壁山が高さを克服。イナズマ落としを完成させた雷門、同点に追い付き遂には逆点。そして、試合終了。見事、勝利した。その後、サッカーに雷門がマネージャーとして加わった。その後、雷門は御影専農対戦することになった。そして、データサッカーに対抗するため、地下修練場で練習。そして、迎えた御影専農戦。相手のデータサッカーに苦戦するも、見事打ち破る。その後、ヲタクの学校の秋葉明戸に決まったが、豪炎寺の怪我により出場不可。代わり、ベンチを暖めていたメガネが出場。最初は油断してかかるが、敵の謎のテンポで点が入らず前半終了。後半、一点決められるが、メガネが覚醒。点に絡む形で負傷退場。その後、追加点を決めた雷門は、遂に決勝の帝国戦に備える。だが、監督の冬月が帝国のスパイと判明し追い出すも土門もスパイだとばれる。だが、土門を受け入れた円堂達、その心に動かされ本当の雷門のイレブンとなった土門。いざ、決勝へ。が、問題が発生する。監督不在により出場が危ぶまれた。誰か、監督を探す。そして、ラーメン屋のおやじの響に白羽の矢があたる。最初は、断られたが円堂の意地の粘りの三本勝負に勝利し、響監督誕生である。此によって、遂に雷門は危機脱出した。決勝は、宿敵の山城のいる名門 帝国学園である。



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決戦前日

新しく響監督入り、豪炎寺も復活。決勝に向け、気合いが入る雷門イレブン。それは、勝てばフットボールフロンティアもあるが、何より帝国もとい山城へのリベンジだった。

「明日は、勝つぞ。」

「「「「おーーー。」」」

 

気合いが入った雷門イレブン。一方の帝国では、何やらミーティングが、開かれていた。内容は、影山への反抗。これまでの裏の悪事を知り、決勝は、純粋に戦うこと決めた帝国イレブン。その後、影山からの呼び出しで、山城は監督室の影山のところへ。

 

「総帥何か用ですか。」

「明日の試合だが、お前はベンチスタートだ。」

「?そうですか。大丈夫ですか、雷門も最近力を付けてきているみたいですけど。」

「問題ない。お前を出すほどでもないと思ったからだ。」

「分かりました。」

監督室を後にする山城。その後、鬼道達と出会う。

 

「どんな話をしたんだ。」

「いや、特に何も。ただ、ベンチスタートだって。」

「?そうなのか。怪我ではなく。」

「怪我はしてない。総帥曰く俺を出すほどでもないだからだそうだ。」

「そうか、悪かったな。引き留めて。」

「いや、別に。じゃあお疲れ。」

「あぁ、お疲れ。」

 

その後、山城は帰り道に明日のことを考えていた。影山が、明日何もしないはずないと。だが、それを考えたところで、自分には何も出来ない。だから、明日はおとなしくベンチに居座ってようと決めた。山城の足は、家に向かわず、鉄塔へ。すると、先客がいた。

 

「山城、何しに来たんだ。」

「円堂、相変わらず熱いね。散歩だよ。」

 

そこで、数分沈黙が続くが円堂が口を開く。

 

「明日、俺たちが、帝国とお前に勝つ。」

「そんなに意気込むのは、構わないけど。明日、俺を出るかわかんないよ。」

「な、どうしてだよ。怪我でもしたのか。」

「あー、違う違う。単なる指示。少なくとも、俺を引きずり出すほどの試合しないと、勝てないよ。」

「ああ、やってやる。今度こそ、お前に勝って。サッカーの楽しさ教えてやる。」

「ふ、期待しないでおくよ。じゃあな。」

 

こうして、決勝の前のリフレッシュが出来た山城。正直、明日の試合に大した思いもなく。その日を終える。次の朝、いつも通りに起きてご飯を食べる山城。リビングでは、父さんがいた。最近、サッカー絡みの話をしていない。だが、今日は違った。

 

「一平、今日は決勝だったな。」

「そうだよ。それがどうかした。」

「最近、サッカー楽しいか。何か毎回楽しくなさそうにサッカーするから。ちょっと、心配した。」

「うーん、どうかな。あんまりかな。チームメイト以外相手出来るやついないからなぁ。」

「そうか、それは残念だ。だが、いずれは現れるんじゃないのかな。お前を負かしてくれる選手が。」

「居ては欲しいけど、期待しないでおくよ。ごちそうさま。行ってきます。」

「いってらっしゃい。頑張ってこい。」

決勝に向かった山城。そして、雷門控室の方から鬼道が歩いてきた。昨日のこともあるから。影山の行為に注意配っているらしい。そして、それは試合開始に起きた。雷門側に鉄柱が降ってきた。幸い、誰も怪我をしなかった。その後、鬼道と円堂が監督室に行き、総帥を問いただした。刑事の人が入ってきて、証拠を出し影山は捕まっていった。それを見た山城、総帥は笑っていた。その後、キックオフが再開された。

 

 



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決戦

仕切り直しのキックオフ。雷門で始まる。最初は、拮抗する。それを見ていた山城。

「へぇー。あいつら少しは、出来るようになったんだな。」

その後、帝国の必殺技、皇帝ペンギン2号が放たれた。いつも通りゴットハンドで止めにかかるが、破られる。その時の円堂の動き温いことに気づく山城。何か、雑念を持っているように見えた。が、だからといって何かしてやるつもりはない。その後も追加点決められる。ついに、豪炎寺に何か感づかれたのかシュートをぶつけられたのか渇を入れられた。すると、そこから動きよくなった。そして、源田の必殺技のパワーシールドの弱点をついて得点した。それから、同点に追いつかれた。前半が終了し、ハーフタイムを終え後半キックオフ。帝国も点入れるが、円堂が両手で皇帝ペンギン2号を止めて。流れが向こうに行き、同点を決められる。その後、勝ち越される。終了間際、ついに怪物が出る。その瞬間、グラウンドはピりつく。

「うーん、同点行けるかなぁ。まぁ、いっか。」

「すまない山城、出場する予定なかったのに。」

「良いよ良いよ。この決勝戦事態、あまり俺らに関係ないし。」

 

そして、山城は雷門を見る。

「お前ら、気を抜くなよ。気ぃ少しでも抜いたら。痛い目見るぞ。」

「やってやる。」

「この前のようには行かないぞ。」

そして、試合再開。鬼道から山城にパスが渡る。すると、そこからドリブルを仕掛ける。まずは、豪炎寺と一対一になる。この間と同様のスピードで抜きにかかる。だが、豪炎寺もしっかり食らいつく。

「へぇ、少しはマシになったんだな。」

「当たり前だ。この間と同じだと思ったら大間違いだ。」

「そっか、ならもう少しだな。」

「な、。」

 

もう一段階スピードを上げた怪物に、豪炎寺は抜かれた。その後、次々に雷門の守備を抜き去る山城。遂に、壁山をアンクルブレイクで倒し、円堂と一対一。

「こい、山城。止めてやる。」

「行くぜ。」

山城は、左足で振り抜く。中々の威力に円堂もゴットハンドで応戦。そして、シュートに対抗するが、徐々に押されて行く。

 

「何て、重さだ。」

 

誰もが、点が入ることに確信した。このまま押されていくのだと。だが、円堂が粘りがきいて、DFの栗松と壁山がバックアップすることに成功する。そして、遂にシュートの威力が弱まり、円堂の手のなかに。そこで、主審の笛がグラウンドに響き渡る。試合終了。喜ぶ雷門イレブン、悔しがる帝国イレブン。遂に、帝国の不敗神話が、途切れた瞬間であった。その後、表彰式が終わる。帝国のグラウンドに残った鬼道。そこへ、円堂が来て少し話をする。

 

「鬼道。まだ残ってたのか。」

「お前こそ。優勝おめでとう。」

「ああ、帝国の分まで頑張るよ。」

「うん?円堂、お前知らないのか。前年優勝校は、自動的出場権を得ているんだぞ。。」

「えー、そうなのか。」

「だが、40年間無敗を誇った勝利を止めてしまったことには代わりない。だから、次は負けんぞ。」

「ああ、俺たちももっと強くなる。」

 

こうして、話を終えた二人。一方山城は、帰り道歩いていた。その途中に謎の集団絡まれる。



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神の誘惑

「山城君だね、我々は世宇子中だ。総帥の命により君を引き抜きをしに来た。」

「全宇子?総帥?お前ら何言ってんだ。こっちは、フットボールフロンティアが控えてんだ。暇じゃねーの。じゃあな。」

 

足を家の方向に向きを変えて歩き出す。

 

「ふ、あの数分でシュートを決められないなんてやっぱり君も君のチームメイトもそこら辺の石ころ変わらないな。」

「何?。」

 

足を止める。そして、全宇子の関係者に向く。

「どこの誰だか知らないが、俺のチームメイトを馬鹿にするやつは許せねぇ。近くにグラウンドがある。そこで、お前らのこと叩きのめしてやる。」

「良いだろう、神に逆らう愚かさを教えてやる。」

 

河川敷で神と怪物がぶつかる。まずは、怪物の先攻から始まる。そして、手始めに六割程度の速さで仕掛ける。神はそれになんなく着いてくる。あっさり、取られる。次は、神が攻める。怪物は、八割で動き対応する。神からボールを奪う。

 

「君は、面白いね。先程より早くなるなんて。本気を出さないのかな。」

「は、言ってくれるじゃねーか。お前も試してるくせに。」

「神相手に手を抜くなんて、愚かな行為。後悔させてやる。」

 

遂に神が動く。今までが、嘘のように早く強い。怪物も着いていくが、それをさらに上を行く。そして、羽を羽ばたかせる。そこから、力強いシュートが打ち込まれる。そのシュートを打ち返しにかかる。いつもの左足ではなく、本気の右足で。

 

「うおおおお。」

 

シュートは、すごい音と共にボール打ち返した。ボールは、ゴールを逸れて、果てしなく遠くに飛んでいく。

 

「ふー、やるじゃねーか。神名乗ってるからどんなものかと思った。」

「ふ、怪物と呼ばれる君の本気見れて良かった。さすが、総帥の最高傑作。尚更、君を迎えたい。」

「は、何回も言ってんだろ。てめぇらに着いてかねーよ。」

「ふ、今の打ち返した程度で神と並んだつもりかい。」

「何。」

 

神は予備のボール貰い、高く飛び上がり今までより大きな翼で蹴り込んできた。今までとは違い反応出来なかった。山城の顔に焦りの汗が流れる。

 

「今はまだ急ぐ必要はない。また、後日聞かせてくるかな。山城君。」

「おい、お前の名前聞いて言いか。そして、総帥って誰なんだ。」

 

神は振り向くと。口を開く。

 

「私は、アフロディ。君を神の仲間入りさせるために来た。影山総帥の命により。」

「影山、、、総帥?。」

「それじゃあ、フットボールフロンティアで会おう。」

 

そして、アフロディとその仲間は消えていった。グラウンドに残された山城。本人の心中は、二つの考えに挟まれている。現れた自分が望んでいた、最強の敵と戦うか。今の仲間を裏切って仲間入りして、強くなったライバルを増やすか。どちらに転んでも面白い。怪物の思いを知るのは、怪物のみ。それから、数日後、フットボールフロンティアが開催される。開会式、各校が整列し、雷門そして帝国も呼ばれる。最後にアフロディのいる世宇子が呼ばれるが、出てきたのはプラカードを持った女の子1人だけ。少しだけ問題が生じたが、開会式が無事に終える。一方、変わって世宇子のグラウンド。1人の神が、強烈なシュートをゴールに叩き込んだ。そして、それを見ていたグラサンの男は笑みを溢す。その後、波乱のフットボールフロンティアが始まる。

 



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波乱

雷門の初戦の相手は、戦国伊賀島に決まった。忍者を育成するだけあって、機動力が高い。風丸は、向こうの選手に目を付けられるが、チームの連携と新しい必殺技の炎の風見鳥で見事勝利を納める。その数日後、雷門イレブンはいつもの地下修練場で練習する。そんな中、音無慌てて入ってくる。帝国の結果が、出たようだ。

 

「キャプテン、帝国の試合が終わりました。大差でした。」

「そっか、さすが帝国だな。初戦突破だな。」

豪炎寺と拳をぶつけて喜ぶ円堂。だが、返ってきたのは、予想外のことだった。

 

「10対1で、帝国が大差で負けました。」

「嘘だろあの帝国だぞ。鬼道はどうしたんだよ。」

「お兄ちゃんは、大事を取ってベンチでした。そして、出場したときにはもう。」

「そんな、一平、山城だって出てたんじゃないのか。」

「山城さんは、出場してました。そして、先制点を取りましたが。その後は、チームメイトが一方的にやられて。山城さんは、一人を相手するだけで手一杯で仲間の倒れていくのを見ていくだけでした。」

「!。」

「円堂。」「キャプテン。」

修練場を抜け出して、帝国に来た円堂。グラウンドに行くと、一人選手が立っていた。

「鬼道!!。」

「、、、、円堂か。何だ、笑いに来たのか。」

「っ。残念だったな。」

「残念なものか。俺は何も出来なかったんだからな。お前らの優勝。心から応援するよ。じゃあな。」

「一平は、どうしたんだ。あいつは、どこいる。」

「わからん。初戦が終わってから、一回もグラウンドに来ていない。」

「そうか、悪かったな。引き止めて。」

鬼道はその場を後にする。そして、話題に上がった怪物は世宇子のグラウンドに立っていた。

 

「やあ、来てくれたんだね。歓迎するよ。」

「山城、待っていたぞ。今日からまた私のもとで励め。」

 

アフロディと影山に諭され、頷く。そして、来ていた帝国のジャージを脱ぎ捨て、世宇子のユニフォームを着る。

 

「ふ、新しい神の誕生だ。」

怪物は、神の衣を身に纏い口を開く。

 

「総帥、またサッカーを教えて下さい。よろしくお願いします。」

 

影山は、笑った。怪物は、無表情で冷酷で不気味な笑顔していた。

 

「よし、まずは1人で2人相手出来るようになれ、それからだ。」

「分かりました。早くこのチームのトップになれるように精進します。」

 

その瞬間、怪物から威圧感が生まれる。楽しむことなんて忘れた悲しい怪物の誕生である。そして、同時期に帝国のロッカーから山城の退部の申請が出てきた。



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司令塔

雷門中は、次の試合に備えていた。そこで新しい技を考えていた。そこに、人影があり音無は気づて近づく。

 

「お兄ちゃん。」「春奈。」

「そんなこそこそしないで、入ってきなよ。」

「いや、俺は、、、、、。」

「私からキャプテンに相談するよ。」

「余計なことは、しなくて良い。」

「お兄ちゃん。」

 

そんな兄弟の会話にシュートが蹴り込まれる。鬼道は、すぐに犯人が分かる。豪炎寺だ。その後、シュート合戦風の会話をする。

 

「鬼道、悔しくないのか。」

「悔しいに決まってるじゃないか。」

「じゃあ、やり返せ。」

「無理だ。帝国は、敗北したんだ。」「自分から諦めるのか。」

「?!」

 

豪炎寺のファイアトルネードが、鬼道の横を通りすぎる。そして、破裂する。豪炎寺は、口を開く。

 

「鬼道。お前は、円堂を正面からしか見てないが。あいつに背中を預けてみないか。」「?!」

 

こうして、この日は終わる。鬼道の心には、ある決心が宿る。次の日、試合開始前。中々、選手を出さない響に皆が不満を溢す。しかし、円堂は監督の意見を信じた。すると、入り口から雷門のユニフォームを着た鬼道が、現れた。そして、一同は驚愕する。ここで、遂に試合を始める雷門。前半は、敵の守備と強化した自分達の連携に苦戦するが、鬼道のおかげで連携は修正される。そして、後半遂に鉄壁の守備を破り勝利を収める。それと、雷門の新しい司令塔を歓迎する。それから数日は、次の試合に備えるために休日。円堂は、豪炎寺と鬼道を連れて近所の商店街の駄菓子屋にきた。そして、各々お菓子を買っていると。近所のちびっこと三人の中学生と喧嘩してた。円堂は、止めに入る。

 

「お前ら大人げない。」

「大人げなくない。てゆーか、隣に居るのは豪炎寺君じゃないか。」

「本当だ、決勝逃げた豪炎寺君じゃないですか。」

「こんなとこで会うなんて奇遇じゃんみたいな。」

 

その後、鬼道が三人に気づく。

「お前らは、次の対戦相手の木戸川のスリートップか。」

「さすが、元帝国の天才ゲームメイカー 鬼道君僕たちのことをご存じですね。」

「いや、三つ子というのが、珍しいことと去年、山城に無謀な勝負をふっかけて途中退場したこと位だ。」

それを言われ苦しくなる三つ子。去年の怪物にトラウマなっていた。

「けど、今年はあの怪物はもう居ない。」

「あとは、豪炎寺君だけみたいな。」

 

その後、三人が豪炎寺を馬鹿にしたことで勝負が始まるが。河川敷に行くと見知った人物と再開する。

「「「山城!!」」一平!!。」

「よお、豪炎寺に鬼道そしてまもちゃん。」

「こっちのセリフだ。今までどこにいたんだ。」

「俺が、グラウンドに顔出さないのは、いつものことだろう。」

「お前なぁ。」

 

ここまで音沙汰のなかった怪物が居たのだ。そして、三つ子はかつてのトラウマに目が入る。

「げ、山城。」

「うん?誰だテメーら。どこかで会ったっけ?」

「忘れるな、去年戦った俺たちを。」

「知らねーよ。お前らみたいな雑魚ども。」

「ざ、雑魚。」

 

三つ子は、すっかり消沈した。そして、円堂達に向き直って。

「つーか。お前ら試合近いんじゃねーの。こんなとこいて良いの。」

「いや、今日はオフだから豪炎寺と鬼道に町案内してた。一平は。」

「うん?俺?うーん。まぁいつもの感じかな。」

「あはは。さすが、一平だな。」

「いい加減治したらどーだ。そのくせ。」

「ゆうちゃん、それは言わない約束。にしても、雷門行ったんだね。意外と似合ってるよ。」

「ふ、気持ちだけもらう。」

「山城、俺は待ってるからな。」

「ああ、今度倒してやるよ。その間に少しは、ドリブル練習しろよ。」

 

そう、仲睦まじく話していると。

 

「俺たちを無視するな。」

三つ子が、声をかけてきた。それに対して少しキレる山城。

「ち、まだいたのかお前ら。はぁ、しょうがねえな。お前ら三人相手してやる。」

「な、今度こそ倒してやる。」

 

こうして、本来の思惑とは違う勝負が始まる。そして、あっさり終わりぼこぼこにされた三つ子。そこへ、木戸川の監督と共に雷門の選手がきた。

「お前らこれは一体。」

「ああ、久しぶりです。」

「君は、山城くん。これはどうことかな。」

 

ことの経緯を全部話す。すると、三つ子は説教されて連れてかれた。そして、木戸川の1人の選手が雷門の選手話しをしていた。昔からの旧知の仲らしい。山城も帰ろうとすると円堂に止められる。

 

「何、まもちゃん。何か用?。」

「一平、最後に俺と一本勝負してくれ。全国レベルシュートを体験したいだ。」

「はぁ?!豪炎寺とかゆうちゃんに頼めよ。」

「俺からも頼む山城。円堂の力になって欲しい。優勝レベルのシュート体験させてやれ。」

「頼む。」

「はぁ、じゃあ一本だけな。もし、それで自信失っても知らねーぞ。」

 

こうして、円堂と山城の一本勝負が始まる。山城は、期待に応えるシュートを放つ。それは、見事にゴットハンドの円堂ごとゴールにぶち込んだ。その威力に豪炎寺と鬼道も唖然とする。優勝レベルが、予想外に高くなったのだから。そして、山城は口を開く。

「もう良いか。俺は、帰るぞ。」

「大丈夫か、円堂。」

「ああ、ありがとう豪炎寺。それと、一平も。」

「俺からも感謝する山城。」

「ふ、完敗した相手に礼を言うなんて相変わらず変な奴らだな。またな。」

 

山城は、本当に帰っていった。残った円堂は、自分の今の力じゃ勝てないことを知る。それは、豪炎寺と鬼道も同じである。優勝レベルの選手としての力を見せつられ、少し考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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衝撃

準決勝が、始まる。相手は優勝候補の木戸川。この間の三人に一之瀬達の知り合いもいた。試合は、前半こそ押されて三点のリードを許すが、新必殺技のザ・ペガサスが、ザ・フェニックスになり、そのまま勝ち越し。決勝切符を手に入れる。その後、豪炎寺は木戸川のメンバーと和解することができた。そして、次の日対戦校は、噂の全宇子中に決まった。マネージャー達の情報を見ると、全ての試合で圧倒的大差をつけて、相手を棄権に追いやっている。謎にまみれたチームに気になるが、雷門イレブンは気にせず練習に入る。だが、1人だけ浮かない顔をしていた。円堂だ。ここまで失点を許して状態で、この間の木戸川ではほとんど止めることが、できていない。そんな時、祖父のノート中にキャッチ技を見つける。マジン・ザ・ハンドというらしい。それを頑張ってみるが、中々上手くいかない。焦りだけが、募る。そして、新たに問題が生まれる。

 

「やあ、今すぐ練習何か止めたまえ。」

「何、誰だお前。」

「そこにいる、鬼道君なら分かるんじゃないのかな。」

「世宇子中キャプテン アフロディ。」

「世宇子って今度の相手。」

「さっき、シュートを止めたろ、お前キーパーなのか。」

「いや、僕はキーパーじゃない。うちのキーパーなら片手取れる。そして、我々の最強はシュートを許さない。」

「無駄ってどういことだよ。神にでもなったつもりか。絶対なんて無いこと証明してやる。シュートを打ってこい。」

「良いだろう、その愚かさをその身に教えてあげる。」

 

アフロディは、シュートを放つ円堂は何とか弾くことに成功する。

 

「これは、驚いた。神のシュートに触れるなんて、君が2人目だ。」

「二人目?それは、誰だ。」

「それは、君たちがよく知ってる人物で我々全宇子中のトップだよ。誰も勝てない。」

「俺たちが知ってる奴。まさか、。」

「そのまさかだよ。じゃあ、僕は行くよ。精々無駄な足掻きをすることだね。」

 

こうして、アフロディは去っていった。雷門イレブンは、あまりの衝撃に唖然とする。円堂と豪炎寺と鬼道は、アフロディの言う最強の選手によく知ってる怪物を当て嵌める。否定したいが、思うしかなかった。士気が下がった。それを見ていた響は、校内合宿を設けた。そして、それぞれの不安を払拭させて決勝に万全の体勢に整える。結果、幸にそうして選手達の雰囲気が良くなる。しかし、円堂のマジン・ザ・ハンドは未完成のままだった。一方変わって、世宇子のグラウンド。1人の選手にアフロディを含めた神達が襲う。が、ものともせずに、ゴールにシュートを叩き込んだ。

 

「さすが、我々の最強。こうも短い期間に差を広げられるとはね。」

「なるほどな、やっと掴んだ。決勝が楽しみだ。」

 

神達が、地面にひれ伏した中心で怪物は静かに笑みを浮かべる。影山は、モニターからその様子を見て笑う。

「ふ、やはり呼び込んで正解だ。まさか、神の水を飲んでないで圧倒とはな。雷門、今回の怪物は、今までの雑魚どもとは違うぞ。」

 

そして、陰謀が渦巻く決勝を迎える。スタジアムにつく雷門イレブン。しかし誰もおらず、困惑すると空からスタジアムが降りてくる。そのスタジアムに歩いていくと、世宇子中と見慣れた怪物がいる。

 

「遅かったな、雷門。今日はわざわざ潰されに来たんだな。」

「山城、お前。帝国を裏切ったのか。」

「ああ、あそこは俺にとっちゃあ、枷でしかないから。それにここだと俺より強い奴らがいるから。レベルが、上がりやすい。」

「一平、一緒に頑張った仲間じゃないのか。」

「頑張った?誰が、俺以外結局病院行きじゃねーか。」

「山城、貴様。何故、影山についた。やつは、悪魔だぞ。」

「うるせーな、そんなん俺に勝ってから言えよ。」

「くっ。」

「今回は、スタメンだから予選時とは違うからな。覚悟しろよ。」

 

こうして、フットボールフロンティアの最後の戦いが始まった。

 

 

 

 



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神と人

試合開始前のアップ。雷門の誰もが険しい顔をする。なにしろ敵は、自分たちより明らかに実力を持っている選手が多い。そして、何よりもその実力者共のトップには、手も足も出なかった怪物がいる。雷門の選手は、相手の雰囲気に飲まれていた。1人を除いて。

 

「おい、お前ら。何暗くなってるんだ。試合はまだ始まってないだろ。」

「ですが、キャプテン。あいつら、あの帝国を大差勝ったチームですよ。」

「そうでやんす。それに、自分たちを相手に1人で勝った山城さんもいるでやんす。」

 

一年生を中心に、他のメンバーも少し萎縮してしまっている。だが、円堂は違う。

 

「確かに、一平は強い。だけど、勝てないわけじゃない。全力でぶつかって行けば、何か変わるかもしれないだろ。勝利の女神は、諦めない方に微笑むんだぜ。」

「そうだな、珍しく弱気なってしまったな。」

「ふ、山城に今日こそ勝つ。勝って、奴に負けの悔しさを教えてやる。」

「やってやろうぜ。神を名乗ってる奴らに一泡吹かせようぜ。」

「よし、みんなやる気になってきたな。今日勝って絶対に優勝するぞ。」

「「「おおおーーー。」」」

 

今一度気合いが入った雷門イレブン。それを見ていた山城。そこに、アフロディが近づく。

 

「なんだい、君も人の力が神に届くと思っているのかな。それは、愚かで惨めなことだと君も分かってることじゃないか。」

「は、勘違いするな。俺は、全力で向かって来ない奴らかどうか気になっただけだ。それに、人の力も案外馬鹿に出来ないことぐらい、お前も知ってるだろ。」

「ふ、それは君だけだ。他はそうは行くかな。」

 

神達は、揺るぎない自信を溢れさせていた。そして、時間を迎える。全員が、位置に着いて笛がなり、キックオフ。始めは、雷門ボールから鬼道を中心に攻め上がる。だが、世宇子のメンバーは、誰1人として動かず。山城も。それは、明らかな手抜き。山城も不機嫌気味に動かずに見送る。そして、すぐゴール前ボールが回る。豪炎寺と染岡は、ドラゴントルネードを放つが、相手キーパーに止められる。悔しがる二人、だがキーパーはまた豪炎寺に転がして、挑発してくる。今度は、鬼道と一之瀬と豪炎寺が皇帝ペンギン2号を放つも止められる。そこから今度は世宇子のターン移る。そこから全宇子の力を知る。アフロディが、ゆっくり歩き始める。雷門イレブンは止めに掛かる。

 

「ふざけやがって。」「ここで、止める。」

「ふ、ヘヴンズタイム。」パチ

 

アフロディの指鳴らしと共に、周りの時間が止まり、気づく頃にはもう一度指鳴らしが鳴る。すると、アフロディは雷門イレブンを抜き去った。皆、狐に摘ままれているような感覚に陥る。そして、止めに来た選手は風に襲われて吹っ飛ばされる。アフロディのドリブルは、続き気がつけば、円堂と一対一になる。

 

「こい、今度こそ。止めてやる。」

「ふ、まだ神にたてつくか。また分からせてあげるよ。」

「ゴットハンド。」「ゴットノウズ。」

互いの必殺技がぶつかるが、あっさり決まる。その後も追加点を決められる。雷門は、その間に負傷交代が出る。そして、急に世宇子側の足が止まり、山城を除く全員で水分補給に入る。試合再開され、今度は怪物が動く。雷門イレブンはさらに集中する。まずは、豪炎寺が相手する。

 

「こい、今までとは違うことをお前に教えてやる。」

「は、じゃあもう少し頑張った方が良いぞ。」「何?!。」

豪炎寺は、目を疑った。目の前の怪物の動きが見えなかったからだ。その後も怪物は、快進する。次は、鬼道合間見える。

 

「よぉ、ゆうちゃん。少しは、自分の動きを磨けたのか?。」

「山城、あの頃とは俺とは違う。今は、仲間と一緒に戦える。」

「そうか。なら、死んでも着いてきな。遅れるなよ。」

「くっ?!。」

さすがは、鬼道。他のメンバーとは違い怪物について行く。だが、少しずつ開かれる。

 

「っ。」

「残念、また俺の勝ちだな。」

 

その言葉と共に、緩急のあるドリブルで倒され抜かれた。その後、他のメンバーが止めに行くが。怪物に吹っ飛ばされるか、何もできずに抜かれる。そして、円堂と一対一。

 

「こい、止めてやる。一平、お前にサッカーの楽しさを教えてやる。」

「そうかよ。なら、歯くいしばってしっかり止めな。」

 

山城から放たれたシュートは、ゴットハンドを発動した円堂も一緒にゴールぶち込んだ。これにより、3点目が入る。すると、また世宇子のメンバーは水分補給に入る。それを不信思うマネージャー達は、潜入し神のアクアが、ドーピングであることを突き止めたが、敵の役員にばれ潜入終了。だが、神のアクアを止めることに成功するが。その後も圧倒的実力に押される雷門。何とか、失点を防ぐ。しかし、全員身体はボロボロである。前半終了間際、満身創痍な雷門に怪物が止めを刺しに動いた。怪物は自身の力(ゾーン)に入る。

 

 

「これ以上、行かせん。」「ここで、お前を止める。」

「豪炎寺に、鬼道。今度は二人で来たか。諦めないその意思は、尊敬する。だが、今のお前らは遅すぎる。」

 

そうして、怪物の動きは二人を置き去りする。そのあとは、誰も着いて来られず。DF陣と合間見える。

 

「怪物が、俺が止めてやる。」

「お前は、早いがそれだけだ。」

「山城、帝国のあんたに尊敬してたが、今のあんたは尊敬できねえ。」

「ふん。勝手にしろ。俺は、お前みたいな奴に何言われようと知ったこっちゃねえ。」

「「ここで、止めるッス。」ヤンス。」

「ご苦労なこった。だけど、お前らじゃまだまだ。もう少し、練習した方が良いんじゃね。」

 

こうして、1人1人相手しながら圧倒し再び円堂と合間見える。

 

「もう、点はやらない。絶対守る。」

「は、言い分はそれだけか。とどめた。」

 

ゾーンの状態で蹴り出されたシュートは、今までとは、比べられないほど威圧的で高出力。円堂は、ゴットハンドじゃ勝てないことを悟った。そこで、マジンザハンドのことが頭をよぎる。未完成だが、賭けるしかないと思い放つ。

 

「マジンザハンド。」

 

淡い光と共にそれっぽいものが出る。ぶつかるが、書き消さる。円堂も吹っ飛ばされるが、コースを替えることはできたのか。ポストに物凄い音が鳴り、ボールはラインを割る。そこで、笛が鳴る。首の皮一枚繋がった雷門だが、それでも地獄は続く。満身創痍の雷門と全力の状態の怪物率いる余力のある世宇子。絶望的な状況に円堂の技が、完成に近いことが光になった。ハーフタイム中、いつも神のアクアを持ってくる職員が、刑事達に取り押さえられている。それを見た山城は、少し笑みを溢しベンチに戻る。

次は、運命の後半戦。泣いても笑っても次で決まる。そして、クライマックスの笛が今鳴る。

 

 



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クライマックス

後半が始まった。雷門のメンバーは、ボロボロの状態。勝ちを確信している世宇子メンバー。だが、山城は、彼らの目が死んでないことに気づく。

 

「やっぱり、良い仲間を持ったなまもちゃん。こんな窮地に追い込まれても誰1人諦めてない。だからこそ、ここで息の根止める。」

 

怪物は、持てる力出す。その威圧感は、フィールド全てを覆った。そして、怪物が動く。また、二人で相手する豪炎寺と鬼道。だが、疲労困憊の二人に怪物は止められず、ドリブルを許す。その後、カバーで一之瀬や半田が来るが動きに着いてこれず。遂に、円堂と一対一になる。

 

「さっきは、まぐれで止められたが、今回は決める。」

「こい、一平。今度は、しっかり止めてやる。」

 

こうして、怪物の一撃と未完成の魔神がぶつかる。しかし、今度は怪物に軍配が上がる。円堂は、未完成のマジンごと決められる。

 

「終わりだな。まもちゃん。」

「まだ、、、、終わってねーぞ。」

 

何とか立ち上がる、円堂。手袋が、破れていることに気づき、ベンチに戻った。その後、祖父のキーパーグローブを着けて出てきた。次は、アフロディがボールを取り、ゴールに迫る。

 

「死に損ないが、これで決める。ゴットノウズ。」

「俺は、諦めない。マジンザハンド。」

 

キーパーグローブの跡で技のコツを見つけた円堂。見事、完成させることができた。そして、神の一撃を止めた。これにより、世宇子メンバーは驚愕し雷門は勢いに乗る。パス繋げて、豪炎寺に渡り鬼道との連携シュートで遂に得点を決める。その後、怪物にボールが渡る。そして、再び二人合間見える。

 

「相変わらず、しぶといなお前ら。」

「やられっぱなしは、もうお腹いっぱいだからな。」

「それに、お前を負かせるなら何回でも食らいついてやる。」

「なら、着いてきな。」

 

怪物は、今まで試合で楽しそうすることはなかった。出れば、負けなし。台頭の相手は、いない。だが、この瞬間、怪物の冷たくなった心に火がついた。そして、いつも通り抜こうとするが、ゾーンのタイムリミットが来た。二人を振り切れず、ボールを取られる。その後、鬼道と豪炎寺は、連携シュートにより追加点を重ねる。そして、同点に追い付く。

 

「よっしゃ、あと一点何としても勝ち取るぞ。」

「「「おおおーーー。」」」

 

完全に勢いに乗った雷門は、ボールを回し上がる。しかし、それを許さない神がそれを奪う。そして、ぐんぐん上がって行き、遂に円堂と一対一に。

 

「神が、負けるわけには行かないんだぁー。」

「こい、みんなが同点にしてくれたんだ。このシュート絶対止める。」

 

神の一撃と魔神の守りが、再びぶつかる。が、軍配は魔神に上がる。人間の力に絶望する神。そして、勢いを味方に着けた雷門イレブン。ぐんぐん上がって行く、そして最後の連携でザ・フェニックスからのファイアトルネードで巨大な火の鳥の完成である。その大きさに逃げるキーパー。誰しも、ゴールを確信するが怪物が立ちはだかる。そして、渾身の右足で蹴る。

 

「ハアアア。」

 

凄まじい衝突音と共にぶつかる。その重さに怪物の身体が、悲鳴を上げる。そして、何とか前に押し返す。その姿にアフロディは、怪物を美しく思った。そして、

 

「うぉりやー。」

 

怪物は、何とか相殺する。勢いの失ったボールは前に転がる。山城は、倒れる。誰も返されるとは、思っておらずボールを追うことに遅れた。だが、三人の影がボールに向かう。1人は、怪物の幼なじみ、もう1人は一度サッカーを離れたが戻って来た炎のストライカー、最後の1人は、同じ学校に通い毎日怪物とぶつかった天才ゲームメイカー。そして、三人は最後の力を発揮しシュートを放った。

 

「「「イナズマブレイク。」」」

 

三人のシュートは、まっすぐゴールに向かう。だが、怪物も最後の気力でその前に立ちふさがる。

 

「一平。」

「まだ、立つのか。あいつは。」

「化け物め。」

 

そして、山城はシュートを打ち返す体勢に入る。そして、右足を気合いで上げる。

 

「負けるか。勝つのは俺たちだあ。」

「「「?!。」」」

 

その言葉に、敵味方皆が驚く。あの怪物が、自分1人出なくチームの勝利ために動いたからである。そして、シュートを打ち返そうとするが、ゾーンの使用、通常の倍の運動量に加えて先ほどのシュートブロックにより山城の身体はすでに限界を越えていた。そして、打ち返すことが出来ずゴールを許す。そして、試合終了の笛がなった。観客が、沸いて紙吹雪が中に舞った。

 

「うーーーーん、やったぁーーーーー。優勝だぁ。」

「おっしぁ。」「よし。」「やったな。」「やりました。」「やったでやんす。」「やったッス。」

 

雷門が優勝で喜ぶ中、鬼道は山城の様子に異変を感じた。そして、円堂と豪炎寺その他のメンバーも視線を山城に移した。鬼道は、山城の姿に笑みを溢しなから。

 

「山城。お前は、気絶してもなお立ち塞がるんだな。」

 

怪物の立ち姿に誰もが、畏怖を感じた。今にもまだ、動き出しそうな。そんな、雰囲気を出しながら立っていた。その後、アフロディや世宇子のメンバーに運ばれて行った。その後、表彰式が始まった。円堂は、緊張しながらもインタビューを受けた。その他のメンバーも受けた。そして、長かったフットボールフロンティアの戦いが終わる。

 

 

 



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フットボールフロンティア篇終わり 試合後

試合後バスに乗って、帰る雷門イレブン。バスの中は、今までのことを振り返ってた。雷門サッカー部を再び創設するため、頑張ったこと。廃部の危機を乗り越えるために、名門 帝国に必死で戦ったこと。豪炎寺が、入ってくれたこと。オカルト中に勝って、部の存続とフットボールフロンティアの出場権利を勝ち取ったこと。予選を戦い抜いて、帝国に勝って予選を突破したこと。そして、夢のフットボールフロンティアに出て優勝したこと。思い返すと、色々と感慨深い物だった。

 

「いやぁ、色々あったな。」

「まったくだ。誰が、このチームが優勝すると思った。」

「確かに、部を潰そうとした奴とか敵だった奴も入部するとは思わないしな。」

みんなが、思い出ふけっていた。そしてもうひとつ、雷門中サッカー部に欠かせない人物の話題になる。そこで、音無の質問から始まった。

 

「そういえば、山城さんて、キャプテンの幼なじみなんですよね。あんな有名な選手とどこで知り合ったんですか。」

「たしかに、気になるわね。山城君は小学校から名の知れた選手ですもんね。」

「一平とは、学校は違ったけど鉄塔で初めてあったんだ。俺から声掛けて、一緒にサッカーの練習してたら仲良くなった。」

「そうなんだ。意外と、世間は狭いわね。」

「確か、豪炎寺さんと鬼道さんは、対戦経験あるんですよね。どんな感じだったんですか。」

「あいつとは、全国でよく戦ったな。一回も勝てなかったが、あいつは楽しくサッカーをする奴だった。」

「確かに、円堂に負けない位のサッカーバカだった。」

 

その鬼道の言葉に怒る円堂。それを笑う他のメンバー。その後も山城の話題が続いた。

 

「鬼道さんは、一年の時一緒だったんですよね。その時はどうだったんですか。」

「あいつは、入部当初は練習に毎日来てたが、勝つこと増えると段々来なくなった。屋上とかでよく寝てたな。」

「ひぇー、そんななのにあの強さですか。何か、ずるいですね。」

「ずるいか、だが、あいつにとっては苦痛だったかもな。練習すればするほど、敵味方を置き去りにし、1人で戦うからな。」

「なるほどな。しかし、あいつが影山に着いてく理由は分からないな。」

「それに、関しては奴しか知らないことだ。」

「それでも、良かったな。二人とも。」

「うん?。」「何がだ?。」

「だって、目標の山城に勝てたんだからな。」

 

それに関しては二人とも余り喜ばなかった。確かに、勝ったのは事実だが、それはチームで勝てたという意味で、個人ではかててない。むしろ、完敗と言っても過言ではない。

 

「次の目標は、奴を1人で相手することだな。」

「それは、俺も同じだ鬼道。ゾーンの奴には、手も足も出なかった。次こそは、追い抜いてやる。」

 

二人は、次の怪物との戦いに意欲を燃やす。それは、チームみんなが、思うことだった。

 

「しかし、優勝できて良かった。」

「それで、チームとしては、次は何処に向かう日本か。世界か。」

「世界かぁ、面白い奴たくさんいるんだろうな。」

 

そんな、こんなでフットボールフロンティアの戦いに振り返っていると。運転手の古株さんが慌てる。外を見ると黒いサッカーボールが、地上に降りて行くのだった。

 

「方角からして、学校がある方じゃないか。」

「古株急げ。」「分かってる。」

 

こうして、急いで学校に戻る雷門イレブン。これから、また新たなる戦いが控えてることは、この時誰も分からないのである。

 



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宇宙人襲来編
襲来


学校に着いた雷門イレブン。学校は、無惨な瓦礫化していた。

 

「誰が、こんなことを。」

「宇宙人が攻めて来た。」

「「!!」」

 

校長が、逃げらながらこっちに走って来た。そして、校長の後ろの方を見ると、謎の格好をしたこと奴らがいた。

 

「お前ら何者だ。」

「我々は、この星を侵略しに来た。」

「ふざけやがって、学校こんなにしやがって。俺たちと戦え。」

「フ笑」

 

そして、謎の格好の奴は、黒いサッカーボールを円堂に蹴ってきた。マジンザハンドで、対抗するもん発動前に吹っ飛ばされる。

 

「「「円堂。」円堂君。」キャプテン。」」

 

余りの威力に、呼吸を整えながら立ち上がる円堂。再び、奴らを見たら怪しい光に包まれ消えていった。その後、悔しさこみ上げてくる。すると、響監督の携帯に連絡が入る。

 

「奴らが、傘美野中に現れたそうだ。」

「傘美野、確かにうちから近いとこだったな。」

「よし、傘美野に乗り込むぞ。」

 

こうして、一同は傘美野に着く。すると、先ほどの奴らが傘美野サッカー部を脅していた。そして、傘美野サッカー部のキャプテンが何とか交渉するが、却下され学校を破壊されそうになる。だが、円堂達雷門イレブンが現れ、代わりにサッカーで試合をすることに。最初は、奴らの動きを伺おうとするが、奴らの動きが見えずにそのまま大差をつけられ、負傷者も出して試合を終える。その世宇子すら凌駕する実力に手も足も出ずに学校の破壊を許す。その光景を目に焼き付けた雷門イレブン。負傷したメンツを病院に運び。そして、一端解散となりそれぞれが時間を過ごす。豪炎寺は、妹の所に見舞いに行く。妹に優勝の報告とこれからの戦いに出発する。しかし、そんな豪炎寺の前に怪しい黒いコートの奴らが現れた。その、男どもに妹の安全と引き換えにこっち側へ来いという。さらに、もしその提案を断ると妹の命はないそうだ。その事を突きつけられた豪炎寺。妹とチームの二択に挟まれる。その心情は、混沌の渦に巻き込まれた。そんな、思いを持つなか数日が過ぎ雷門のイナビカリ修練場に呼ばれた。雷門イレブンそこに、理事長と鬼瓦刑事と響監督がいた。そこで、今回の襲撃犯は、各学校を襲っているそうだ。そして、つい先日、総理大臣が襲われ誘拐された。そして、奴らは自分のことを「エイリア学園」と名乗った。そんな話を聞き、打倒 エイリア学園を心掛ける。そして、理事長から移動手段としてイナズマキャラバンを支給された。さらに、響監督から驚愕のことを話される。

 

「今回、俺は同伴しない。代わりの監督に行ってもらうことにした。」

「え、響監督は、来ないんですか。」

「じゃあ、どうやって勝てばいいんでやんすか。」

 

選手が困惑するなか、

 

「今の雷門は、監督がいないと何も出来ないお子さまばかりのチームですか。」

「おぉ、来たか。」

 

1人の女性が、やって来た。

 

「初めまして、吉良 瞳子です。私は、地上最強イレブンを率いるつもりです。」

「あぁ、よろしく。今回は、こちらの瞳子監督に同伴してもらう。」

 

こうして、地上最強イレブンを探す。旅が、始まった。

一方、病院で療養中の怪物は、リハビリに力を入れていた。診断結果は、筋肉の筋を痛めたそうだ。だが、幸いにも軽症だった。そのため、すぐにリハビリに入ることができた怪物。そして、そんな彼に一本の連絡が入った。

「雷門中サッカー部監督の響だ。雷門は、地上最強のチームを作るため動いてる。だから、君の力を雷門に貸して欲しい。」

 

そう、伝えられた。それを聞いて、「了解です。」の一言で済ました。

 

「フー、まもちゃんと同じチームか。今までは、対等の相手を増やすために別々のチームに行ったのに。まさか、こんな形で一緒になるとはな。楽しくなりそうだな。」

 

1人笑う怪物は、未知なる敵と戦うため、その牙を研いでいる。

 

 



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再戦

襲撃があった奈良に着いた雷門。その道中の豪炎寺の暗い表情に誰も気づかず手掛かりを探す。すると、壁山が黒いボールを見つけた。全員が集合する。そのサッカーボールを持ってみると、とても重く固かった。それにより、宇宙人どもが軽く蹴っていたことに実力の差を感じた。そして、もう少し何かないか探索すると。

 

「お前ら、エイリア学園だな。」

 

黒いスーツ来た人達が、現れた。何でも、総理大臣のSP出そうだ。そして、自分がエイリア学園だと疑ってるようだ。円堂達は、必死に説得するが、受け取ってもらえず。仕方ないので、サッカーで決めるそうだ。それを承諾した雷門イレブン。そして、SP達との試合が始まる。前半は、相手の動きに翻弄される。ハーフタイムに入った際に、瞳子から指示が出た。

 

「染岡君、風丸君、壁山君。あなた達は、外れなさい。」

「「「?!」」」

 

三人を含め全員が、驚いた。人数ギリギリの11人で3人を抜く。普通ならあり得ない話だが、何か考えがあってのことだろう。そう皆が、思った。事実、今言った三人は、怪我していて無理すると大怪我に繋がるものだった。監督は、そこに気づいたのだろう。その後は、負担を抱えた選手が外れ少なくなったが還って、チームの動きが良くなった。それのおかげで見事勝利を収める。そして、疑い晴らしたかと思ったが、最初から雷門だと知ってたそうだ。宇宙人に拐われた父親を助けて欲しいらしい。そうして、財前塔子が仲間に加わった。その後、鹿公園のオーロラビジョンにエイリア学園の選手顔が映し出された。そして、この放送が奈良のTV局からだとわかり、急行する。すると、屋上に奴らはいた。そして、再戦することが決まった。試合開始、やはり敵の動きに着いていけず圧倒される。そして、豪炎寺の調子も最悪でシュートが、決まらない。結果、前半は大量失点で終える。そこで、監督に助言を求めた。返ってきた答えは、全員がFWの位置まで上がることだ。つまり、守備放棄。さすがに、染岡中心に何人かは反発する。だが、瞳子監督はあっさり切り捨てる。チームでは、瞳子監督に疑念を持つ形で後半が、始まる。もちろん、また大量に決められた。最後に敵の必殺シュートが決まりまた大量点差で負けた。その後、瞳子監督に詰める寄るが、円堂の成長のためと怪我人を増やさないためと分かり納得する面々。だが、瞳子監督の次の言葉で溝が深まる。

 

「豪炎寺君、あなたにはチームを抜けてもらいます。」

「「「!?」」」

 

その指示に誰もが、反論するが豪炎寺は頭を下げて、荷物をまとめてチームを抜けた。円堂は、後を追って豪炎寺を引き留めた。

 

「豪炎寺。良いのかよ。学校をあんなにされて、悔しくないのかよ!」

「すまない、円堂。今の俺ではチームの足を引っ張るだけだ。じゃあな。」

 

その豪炎寺の瞳に涙が、あったことを知った円堂は。

 

「待ってるからな!!いつか、戻って来いよ!!」

 

その言葉は、豪炎寺の心に刺さる。その後、円堂はチームに戻る。やはり、まだ染岡達の気が治まってなかった。円堂は、何とかなだめる。チームの状態が、落ち着くと瞳子監督は、北海道に吹雪士郎というストライカーをスカウトしに行くと言った。皆が、吹雪と北海道に夢中の中、染岡はただ1人豪炎寺のことで頭いっぱいだった。そして、東京の病院。1人の怪物が、復活する。電話で響から雷門の現在地知り、先回りして北海道の白恋中に向かう。こうして、それぞれの思惑があるが、皆が北の大地 北海道へ。



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邂逅

北海道の土地に着く雷門。道中、北海道の雪に目を奪われる。ただ1人、染岡は、豪炎寺の離脱をまだ引き摺っている。そして、一同が進む道中に雪を被った男を見つける。男は、遭難したらしく。一緒に同伴するようになった。その後、進むとタイヤが雪で嵌まる。さらに、熊が襲って来たが、さっきの男が外に出ると熊は何処かに消えた。男は、どうやって追い払ったのか皆が気になるが別れの時が来た。男と別れて、白恋中に着く。すると、さっきの男がいた。そして、その男こそが探している氷のストライカーの吹雪とわかった。噂と違って優男で驚く。その後、実力を見るため練習試合をすることに。試合開始前、吹雪のポジションがDFに驚く。そして、キックオフ。染岡を中心に攻めるが、吹雪1人に止められる。そして、吹雪にボールが渡ると雰囲気が変わる。

 

「おい、お前ら覚悟しろよ。これが、吹雪士郎の実力だ。」

 

すると、振り抜かれたシュートに円堂が、反応出来ずゴールを許す。それを見た吹雪は、少しがっかりする。

 

「ふん、ショボい奴らだな。」

「すげーシュートだ!」

 

そして、雷門が反撃に出ようとした瞬間、瞳子に止められる。本人曰く、あくまで吹雪の実力を見るためだったらしく、本当に試合をするためではないと言う。そのことに、さらにイラつく染岡。こうして、1日を終える。次の日、皆は吹雪のスピードの秘密を知るべく、本人に質問したところ。「風になること」だと言ってきた。?を頭出す雷門。そして、本人の特訓を教えてもらうため、特訓する場所に連れてかれる。そこは、単なるスノーボードをやるための場所だった。吹雪曰くボードのスピードに慣れて、ぶつかってくる雪玉をかわす練習をやってれば自然と早くなるそうだ。

 

「ふん、結局遊んでだけじゃねーか。」

「だが、そのスピードが今は必要だ。」

「風丸。」

 

それぞれの思いが、ぶつかる。だが、強くなるためという思いは一緒である。それからの数日間は、サッカー練習の合間にスピード練習を取り入れる。その間、吹雪の個人プレイの考えに対して染岡がぶつかる。そして、染岡は練習を抜ける。追って、話を聞く円堂。染岡は、吹雪の実力は認めていた。だが、それと同時に豪炎寺の居場所がなくなると思ったらしい。円堂は、染岡の気持ちを汲み取り、染岡を励ます。その後、染岡は吹雪とぶつかることはなくなった。そうして、数日過ごすした後、染岡は吹雪にエース勝負を仕掛ける。吹雪は、承諾する。そして、勝負が始まり、先制に吹雪ボールを持ち決められるかと思われたが、一瞬動きが止まりボールを染岡が奪いそのままゴールへシュート。この数週間の努力が、実ったシュートだった。

 

「染岡、すごいシュートだったな今の。」

「ああ、これで豪炎寺の代わりに俺が雷門の点を取るぜ。」

「あぁ、期待してるぞ。」

「いやぁ、負けちゃったな。約束通り君が、エースだよ。」

「ああ。だが、吹雪まだお前に完全に勝った訳じゃない。次も負けねぇ。」

「うん、僕も。」

 

雷門の新しい二枚看板が、完成した瞬間だった。そんな雰囲気が良くなった雷門と白恋中のメンバーに強烈な威圧感が襲う。皆が、威圧感のある方を向くとジャージを来た1人の怪物が立っていた。

 

「よお、まもちゃん、ゆうちゃん。何か楽しそうだな。俺も混ぜてくれないか。」

「一平、何でお前がいるんだ!」

「何でって、てっきり話が通ってると思ってた。」

「?どういことだ。山城。」

 

皆が、困惑するなか。「私が説明するわ。」と瞳子監督が、やって来た。

 

「どういうことなんですか。奴は、今回の件には関係ないはずじゃ。」

「彼を呼んだのは、私じゃなくて響さんよ。」

「響監督が?。」

「そう、必ずチームの力になるって。」

「そういうわけで、しばらくよろしくな。」

 

一難去ってまた一難。吹雪と染岡の問題が、解決したかと思えば、今度はかつて因縁の敵だった怪物が、加わるという事実。決戦は、刻一刻と近づいている。



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化学反応

怪物が加入した。その出来事に誰もが嫌悪感を抱いていたが、一部は違った。山城が、雷門のユニフォームを着て練習に参加する。すると、真っ先に円堂と鬼道が近づいてきた。

 

「一平、もう大丈夫なのか。決勝であんなになったのに。」

「ああ、もう大丈夫だ。数日間休めたから身体が軽い。」

「しかし、お前が雷門に来るとはな。どういう風の吹き回しだ。」

「ゆうちゃん。そりゃあ、強い奴を倒せるという機会を得られるからな。」

「相変わらずだな。お前は。」

「まぁ、後はお前とまもちゃんと同じチームでやりたかったからて言うのもあるけどな。」

「「!!」」

 

二人は、山城の言葉に驚愕した。それと同時に、昔の山城が戻って来た。そう感じた。そして、二人との会話を終えた山城は、アップを終えて練習に混ざる。ボールを貰い、ドリブルをする。初日なので、本人曰く軽めだそうだ。だが、そのスピードといい、キレといい、レベルアップした雷門のメンバーから見ても凄かった。そして、新加入した吹雪との対戦。山城の動きに着いてく吹雪、天才と怪物の対決は皆が注目する。しかし、吹雪が山城からボール奪うことに成功。誰もが、山城の動きを止めたと思った。だが、円堂と鬼道、そして、吹雪は違った。

 

「山城君、何でわざと取らせてくれたの?。」

「ん?こっちは、回復したとは言え病み上がりだし、わざわざ本気やる必要ないだろ。」

「ふーん、そうなんだ。いずれ見せてよ。君の力。」

「あぁ、近いうちな。」

 

そんな少しの会話で初顔合わせは、終わった。今度は、吹雪が攻める。それに対して山城も動く。

 

「おいおい、どかねーと。また、怪我するぞ。」

「は、何だ。一本止めたからってもう調子のってんのか。めでて~奴だな。」

「何!」

「良いぜ、相手してやる。来いよ。」

 

二人に中心に異様な雰囲気が、立ち込める。そこで、遂に全員が今の怪物の本気を知る。そして、吹雪がドリブル仕掛ける。勿論、山城も反応する。とても、復帰明けとは思えない動きである。そして、吹雪が攻めあぐねると。

 

「フ、足止まってるぞ。」

 

そういうと、吹雪からボールを取りそのままドリブルで上がる。そして、MFのライン抜いたところで、吹雪が追い付く。

 

「行かせないよ。」

「フ、あっそ。」

 

山城は、他のメンバーにパスを出した。そのプレイに皆の気が抜ける。

 

「何で、攻めてこないの?。」

「さっきも言ったろ。しばらく、調整だからわざわざ本気出す必要ねーんだよ。」

「っ。」

 

悔しがる吹雪。その後は、山城はほぼ流しに近い形で練習を終える。そして、その日の夜、1人散歩してると瞳子監督と出会う。

 

「ん?監督さん何してんのこんなとこで。」

「山城君。ちょっと考え事よ。あなたは?」

「うん、いつもの散歩です。それじゃあ、おやすみなさい。」

「おやすみなさい。、、、、ねぇ、1つ良いかしら。」

「ん?何ですか。」

「あなたから見て、今の雷門どう見えてるの?。」

「うーん、強くはなってる。けど、何処か脆さを感じますね。」

「脆さ、それは一体何かしら?。」

「さあ、自分の主観なんで。そこは、監督さん任せますよ。」

「わかったわ。ひき止めて、悪かったわ。戻って良いわよ。」

「そうですか、失礼します。」

 

瞳子監督と別れた山城。キャラバに戻る道中、先ほどのことを思い出す。

 

「ふ、脆さか。確かに、チームに対して言ったが、これは、あんたにも言ってるんだぜ瞳子さん。」

 

怪物の言葉は、風と共に消えていった。キャラバンに戻ると、円堂と風丸が話をしていた。だが、それは雷門の問題のため口を出すことなく、山城は眠りに着いた。そして、次の日練習してると、北海道にエイリア学園が現れたという情報が来て、次はここ白恋中だそうだ。リベンジに燃える雷門、少し余裕を見せる吹雪。特に、何も思わない山城。そして、遂に3度目の決戦を迎える。



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3度目の正直

グラウンドで、エイリア学園を待つ雷門。そして、時は来た。突如、黒いサッカーボールが落下し怪しい光を放つ。すると、中からエイリア学園が現れた。

 

「また、お前達か。地球には、こんなことわざがある。二度とあることは、三度ある。」

「三度の正直よ。」

 

こうして、3度目の決戦が始まる。ミーティングでは、様子見のため、吹雪はDF、山城はベンチで決まった。そして、キックオフの笛がなる。いつも通り、単調に攻めるエイリア学園の選手達。だが、今まで通りに行かなかった。自分たちの動きに雷門の選手が、着いてきているからである。そして、あっさり先制される。雷門の成長に驚きを隠せなかった。エイリア学園は、本気を出す。今まで、使って来なかった必殺技を使用することにした。それが、功を奏したのか、一点差で終える。だが、後半二人の選手を中心に翻弄される。吹雪が、FWとなり後半開始。やはり、吹雪の実力は、頭1つ分出ていた。

 

「く、こんなはずじゃ。」

「は、よえーなお前ら。くらえ、エターナルブリザード!!」

 

吹雪の必殺技が、エイリア学園のゴールに突き刺さる。そして、ゴールが決まると吹雪は、ベンチにいる怪物に目をやる。お前には、負けねーよ。そう、視線を送る。それに気づいた山城は、笑みを浮かべる。そして、試合終了近くになり、ベンチにいた怪物がフィールドに出る。エイリア学園のレーゼや他のメンバー、味方の雷門イレブンも注目する。

 

「ち、もう後少しで終わりか。なんなら、出さなくて良いのに。」

「文句言うなら、今すぐ交代させるわよ。」

「すいません、気をつけます。さーて、いっちょやるか。」

「ふん、お前の本気見せてくれんだろ。」

「まぁ、少しだけな。黙って、守備に着いてな。」

 

そう吹雪と会話終え、位置につく。そして、試合再開後、敵からボールを奪う。そして、距離の遠いその位置からシュート体勢に入る。そのプレイにキレるレーゼ達は、全速力で止めにかかるが。

 

「もう、おせーよ。」

 

怪物の一振から放たれたシュートは、今日1番の威力を誇り、エイリア学園の選手をぶっ飛ばしながら進み、そのまま必殺技を出すキーパーごとゴールにぶちこんだ。

 

「は、なんだ。てめえら、口の割にどいつもこいつもヘボばっかかよ。」

 

豪快なシュートが、決まると同時に笛が鳴り試合終了。絶望するレーゼ達と歓喜する雷門。誰しもが、長い戦いが終わると思った。だが、レーゼから自分達はまだ下のチームだと聞かされる。そして、突如怪しい光と共に別のチームが、現れる。

 

「ふん、雷門の諸君。勝利を祝福しよう。だが、セカンドランクごときで安心するな。今度は、私達、ファーストランクのイプシロンが相手しよう。」

「ファーストランク?まだ、エイリア学園にチームはいるのか。」

「さあな、それはお前達の目で確かめろ。そして、ジェミニストーム、お前らは追放だ。」

 

すると、喋ってた奴からボールが放たれ、ジェミニストームのところに行くと発光すると、レーゼ達全員を消した。その後、喋ってた奴の方を見ると、そいつも消えていた。その後、また声を発して、自らをデザームと名乗って話声を消した。エイリア学園との戦いを終えたと思ったら、また新たなる敵の出現に戸惑う一部のメンバー。だが、円堂は前向きに捕らえてイプシロンとの決戦に備えるように、チームの士気を上げた。

 



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そうだ、京都にいこう

イプシロンという新たな敵が現れた。エイリア学園との戦いは、長期戦になることを覚悟した雷門メンバー。そして、イプシロンの現れる予告の学校を知らされる。京都府にある漫遊寺中だそうだ。フットボールフロンティアには、欠場したチームだが実力は折り紙付きらしい。一同は、キャラバンで漫遊寺に向かため、英気を養う目的で一旦東京に戻る。到着すると、総理大臣が戻ったと知らされる。そこで総理大臣に会いに行った。総理は、拉致されたことはわかってたが。それ以外は、目隠しされて解らなかったという。その話を聞いて、更に気合いを入れるメンバー。そして、京都へ向かう。その道中、キャラバンではプチ親睦会に近いものをやっていた。話題の中心は、やっぱり山城だった。

 

「山城は、サッカー始めたきっかけはなんなんだ?」

「あー、そうだな。周りが、やってたからそのままかな。」

「影山って、お前にとってどんな人なんだ。」

「確かに、やってたことはヤバイけど。悪い人ではなかったかな。サッカーの色々。教えてくれたし。」

「へぇ、一平からはそう見えるんだ。。」「まあね。」

「帝国の時から散歩するのをよく見るが、あれは昔からやってるのか。」

「そうだな、気分転換もあるけどね。少し、考えを整理するのにちょっとね。」

「ふーん、お前が考えるか。帝国の時から考えるなんて無縁の奴かと思ってた。テストの順位低いし。」

「ゆうちゃん。喧嘩売ってんのか、テスト関係ねぇだろ。」

「そっか、俺と一緒だな、一平。」

「お前と一緒にすんなまもちゃん!それに、雷門と帝国だと、テストの難易度違うじゃねぇか。」

 

そんなこんなで、仲良く会話してると、京都の漫遊寺に着く。すると、漫遊寺のキャプテンが出迎えてくれた。

 

「ようこそ、雷門中の方々。わざわざ、遠いところから来ていただきありがとうございます。道場まで案内します。」

 

そう、キャプテンに連れられて、道場に着く。すると、一歩踏み入れたとたんに皆が転ける。床が、ワックスでツルツルだった。そして、1人のちびっこを見かける。

 

「引っ掛かった引っ掛かった。うししし。」

「小暮ーーー。」

 

小暮と呼ばれた生徒は、走り去った。その後、監督さんが、現れて小暮のことを許して欲しいという。理由を聞くと、小暮は幼少の頃に両親に捨てられたそうだ。だから、人間不信になってるそうだ。それを聞いて、同情する雷門メンバー。特に、鬼道と音無は共感しているらしい。その後、小暮はワックスのはがしをしていた。そして、次のイタズラを考えてた。

 

「くそ、和尚め。めちゃくちゃ強く殴りやがって。」

「ねぇ。」

「おわ、あんた雷門のマネージャー。」

「何で、いたずらなんかするの?」

「だって、あいつらが俺を除け者するから。」

「それは、君が下手くそだからじゃない。」

「?!下手くそじゃねぇし。」

「だったら、見返せば良いじゃない。」

「うるさいな。ほっとけよ。」

 

そのまま走り去って行った。変わって、寺を案内されている雷門。今回のイプシロンとの対戦どうするのかと聞く。聞くと話合いで解決するそうだ。それ以上に考えを変えるつもりはないそうだ。鬼道は、ここでメンバーの違和感を感じる。1人足らないことに気づいた。

 

「おい、誰か山城は知らないか。」

「ほんとだ。どこ行ったんだ?一平のやつ。」

「結局、雷門に来ても変わんないのかよ。」

「猫みたいな人っすね。」

「彼なら、別で散策してるそうよ。」

「「「?!」」」

「まぁ、彼ならすぐ戻ってくるでしょ。ですよね、鬼道君。」

「まぁ確かに、そうですね。帝国のときもなんだかんだ時間になったら、戻って来ますしね。」

 

いつの間に、そんな話なってたのか。雷門メンバーが、山城の1人行動に驚く。一方、その話題の山城は寺の色んなところを歩く。

 

「ふーん、色んなところに修行場があるな。生徒も真面目で勤勉な奴が多い。多分、俺とは相性の悪そうなところだな。」

 

そう、散策すると、さっきのちびっこの小暮に出会う。

 

「お、」

「あ、お前さっきの雷門中の。こんなとこで、何してだよ。」

「別に、どこ行こうが関係なくね。お前は、さっき和尚さんこっぴどく怒られてたけど。」

「関係ねぇよ。どうせ、和尚も俺が下手くそだから。補欠にしてるんだろ。」

「補欠なんだ。がんばれー。じゃあな。」

 

そう、山城が散策の続きに行こうとすると、小暮止められる。

 

「何?俺、忙しいんだけど。」

「うそつけ、チームから離れて自由にしてる癖に。まあ良いや、少し練習に付き合ってほしい。お前、あの怪物ストライカーの山城だろ。俺にサッカーを教えてくれ。」

「別に、俺じゃなくて良くね。チームメイトに教えて貰えよ。」

「いや、あいつらを見返したいんだ。頼むよ。」

 

山城は、少し考える。そして、口を開く。

 

「良いぜ、監督さんに頼んで。空き時間に空いてしてやる。」

「?!ほんとか、サンキュー。」

 

そういうと、小暮は消えていった。それを見て、少し笑う山城。その後、監督と和尚さんに了解を取る。瞳子監督は、少し疑問を感じていたが、和尚さんは、快くOKしてくれた。そして、可能性を秘めたちびっこと怪物の秘密の練習が始まる。



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小さな教え子

山城は、疲れていた。練習では、何かと吹雪と染岡、鬼道に円堂が勝負を持ちかけてくる。勿論、全部相手をして負かしている。終わった後は、広いスペースを借りて、小暮の相手をする。そのため、練習中にあえて手を抜くことを多くした。だが、鬼道にばれた。

 

「山城、お前最近サボりが多くなったな。また、俺たちの相手をすることに、飽きを感じたのか。」

「ちげーよ。ゆうちゃんとまもちゃんだけじゃなく、染岡に吹雪のやろうも相手しなきゃなんねーから。さすがに、疲れる。それどころか、最近他の奴らもやけに勝負仕掛けてくるから余計にな。」

「そっか、それはすまんな。何か手伝えることがあるなら、手伝うぞ。」

「なら、手ぇ貸してくれ。あと、妹ちゃんも連れてきて。」

「なぜだ?。」

「良いから、お前ら兄妹なら大丈夫だろ。」

「?。」

 

そうして、夜になる。小暮は、いつも通りに待ってると。扉が開く。

 

「遅い、待ちくたびれって。先生、何でそいつらもいんだよ。」

「先生って、お前がか。ぷっ。」

「ッッ山城さんが笑笑先生笑笑。」

「別に、呼んでくれって頼んでねーよ。」

「なぁ、何で。こいつら呼んだんだよ。」

「お前に必要だからだ。」

「必要?先生との練習じゃダメなのかよ。」

「まぁ、良いじゃん。練習後に、お前と一対一すると疲れる。ただでさえ、うちのチームも同じする奴が多いんだ。それに、相手するなら色々な相手とする方がいい。」

「先生、、、、。俺のために、」

「まあ、1番は俺が単にサボりたいと思っただけだ。いやぁ、これでやっと羽伸ばせる。」

「おい、俺のためじゃないのかよ。」

「それは、嘘じゃない。ま、それ以外も本当だけどな。じゃ、ゆうちゃん、マネージャーちゃんあとよろしく。」

 

山城は、そう言って本当に消えていった。そして、その日から鬼道も見ることになり、山城は本当に練習もサボって寺の日当たりの良いところで睡眠する。これには、他のメンバーは不満感じた。特に、円堂、吹雪の二人は、昼食などで山城に合って説得するが、本人には相手にされなかった。それには、瞳子も頭を抱える。一応響からどんな選手か話を聞いていたが、まさかこんなにも自由奔放だとは思わなかった。夜の練習は、たまに参加するようにして、小暮の機嫌を取る。そんなある日の夜、音無から小暮のことを聞かされる。

 

「山城さん、小暮君はどうですか。」

「まぁ、今すぐって理由じゃないけど、いずれは試合で出ても良いかもね。」

「そうですか。しかし、意外ですね。」

「何が?。」

「山城さんが、誰かにサッカー教えるなんて。」

「まぁ、確かに。普通だったら、無視してた。」

「はは、ですよね。」

「でも、面白くなりそうだから。」

「?!それってつまり、小暮が何れ山城さんの相手をするほどの選手になるってことですか。」

「さあな、それはわからん。まだまだ下手だしな。メガネ出した方がまだ良いくらいだ。」

 

少し、話してると小暮が怒って呼ばれた。少し、気だるげに成りながらも相手をする山城。それを見て、音無は少し笑うのだった。そんな、特訓が続き決戦を迎える雷門。漫遊寺上空から黒いサッカーが飛来し怪しい光を出す。そして、そこからイプシロンが現れる。

 



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ファーストランクの実力

イプシロンに話で説得に入る漫遊寺の選手達。だが、勿論相手にして貰えず、試合をすることに。デザームが、三分で片付けると宣言する。そして、試合が開始する。さすが、裏の王者と呼ばれるだけある。実力確かに高い。が、そんなで終わるはずとなく、イプシロンの実力により、再起不能にされる。学校を破壊しようと動くデザームに円堂は、試合を仕掛ける。そして、試合開始される。今回のフォーメーションは、吹雪をFWにおいて、早めに点取る作戦に出た。さらに、小暮は何と先発で出場。山城は、今回もベンチスタート。本人は、珍しくやる気だったが、さすがに今までのサボりにご立腹の瞳子の罰としての結果だった。そんなこんなでキックオフ。ボールをもらった吹雪が、いつも通り個人プレイで上がり、エターナルブリザードを放つ。凄い衝撃と共に煙が舞う。

 

「へ、どうだい。」

 

決まったかに見えたシュートは、止められていた。それに、驚愕する吹雪と雷門。だが、今のシュートでデザームの何が、変わった。その後、何かと吹雪に挑発するデザーム。吹雪は、ムキになって個人プレイに走る。そして、ファーストランクの実力により点差を付けられる。そして、ある程度勝負が決まりかけたところで怪物が、出陣する。山城の力が敵に知れ渡っているのか、フィールドに出たとたんに視線が集まる。

 

「よし、さすがに挽回するか。サボって、試合でへまする理由には行かないからな。」

「そのまま、ベンチで休んでも良かったんだせ。」

「は、あんな雑魚に苦戦してる奴に言われたくねぇよ。」

「何?!。」

 

その言葉に反応したのは、吹雪だけでなく、イプシロンのメンバー同じである。

 

「雑魚だと、。」「ムキーーー。人間の癖に。」

「面白い。怪物、我々にその力見せてみろ。」

 

こうして、試合を再開するボールもらった山城、敵がボールを奪い来た。

 

「人間め、イプシロンの力教えてやる。」

「良いぜ、来いよ。久しぶりに、本気出せるぜ。」

 

タックルでぶつかる両者。パワーは互角。そのまま、進んで行くと敵もマークを外して、山城の方へ集まる。それを見ていた山城。マークを外れた奴からパスを出す。そして、今まで通らなかったパスが怪物の力業により、繋がる。気がつけば、山城はエリアに近い位置まで来た。そして、鬼道からパスをもらい、シュートを放つ。

 

「く、ワームホ」

「おせぇよ。」

 

デザームが、必殺技を出す前にボールはゴールに入る。雷門初の得点である。これでさらに笑みを浮かべるデザーム。標的を吹雪から怪物に変更する。だが、これが大きな落とし穴になる。先ほど同じパワープレイに入る山城。また、エリア近くまで繋がった。そして、シュート体勢に入る。デザームは、いつもより早く発動する。

 

「さあ、打ってこい。今度は、貴様のシュートを止めてみせる。」

「ふ、意外とアホだな。お前。」

「何!。」

 

山城は、体勢を変えてパスを出す。パスを貰ったのは、吹雪である。絶好の位置で貰ったボールをエターナルブリザードでゴールぶちこんだ。これで追加点になる。一連のプレーを誰しもが、驚いた。パスを貰うことは、あるが、パスを出して連携に持ってくことは今までなかった。山城は、何かが変わったのかと誰しもがそう思った。山城は、戻る際にデザームに告げる。

 

「はぁ、今日はここまでだな。時間ないし、後は、テメーが、かかってこい。」

「面白い、行くぞ。」

 

イプシロンボールで再開すると、デザームが1人で上がって来た。そして、遠い位置からシュートする。山城は、止めに行こうとするがイプシロンの他のメンバーに足止めされて通してしまう。そして、コースは小暮の正面に。

 

「あぶねぇ、伏せろ。」「キャー。」

「っ?!。」

 

後ろに躓いて、そのシュートを何と上手く止めて見せた。そして、勢いのなくなったボールが転がり試合終了の笛がなる。点数は、大差で負けた。実力の差が、大きく出た試合だった。そして、イプシロンのメンバーは消え去る。それぞれの課題が見つかる価値のある試合だった。それから、次の日。とうとう出発の日になった。小暮との別れでもあるが、本人は顔を出さなかった。そして、キャラバンが発進すると中から小暮が出てくる。こうして、小暮もチーム加わった。音無は、小暮に握手する。が、小暮が手を開くと、蛙のおもちゃが出て来た。本人は驚き、チーム全員が笑った。

 



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休憩と影

道中で休憩することになった。近くに、体が動かせる場所があるため、そこで軽く練習する。山城は、面倒と感じサボろうとすると、真っ先に円堂、鬼道、吹雪、小暮、音無に道を塞がれる。

 

「どこへ行く。」「また、サボりか。」「今日は、本気見せくれるよね。」「先生、俺の相手してくれ。」「山城さんの行動、監督に報告しますよ。」

「うへぇ、まじか。ちょっとくらい良くね。この間、点取っ。」「「「「「なにか(怒)?」」」」」

「すいません、練習します。」

「「「「「よし。」」」」」

 

こうして、全員参加の練習をすることに。その後、瞳子監督の携帯に響から愛媛に行けと連絡が入ったらしい。有望のサッカー選手が、次々と消息を断っているらしい。愛媛に到着すると、1人男に会い、道案内される。そして、埠頭に着く。連絡が、嘘だとわかった。そして、海近くまで来ると、海から巨大な潜水艦が現れた。潜水艦の中が開かれる。そこに、いたのは見知った人物だった。

 

「ふふ、久しぶりだな。鬼道それに山城。」

「影山。」「、、、、。」

「我々は、エイリア皇帝から力を貰い新しい帝国を築いた。そうその名も真帝国学園だ。」

 

影山の背後から見知った選手が、出てくる。

 

「源田、佐久間。」

「へぇ、意外だな。お前らが、影山さんの所に戻るなんて。」

「ふ、何とでも言え。俺達は、もうお前らの知ってる俺達ではない。」

「鬼道そして、山城。俺達が、どれだけ苦しんだかお前らに教えてやる。」

「どういことだ、佐久間、源田。」

「うるさい、裏切り者の言うこと何か知るか。」

「やめろ、ゆうちゃん。こいつらは、かつての奴らじゃない。ここは、戦って勝つしかない。」

「く、仕方ない。」

 

こうして、かつての仲間に最悪の再開をする二人。そして、この試合が悲劇を生む結果に。今回のフォーメーションは、小暮が下がり山城がスタメンに出る。そして、キックオフ。まずは、真帝国から不動のパスから佐久間にボールが渡る。すると、佐久間のシュートフォームから鬼道、山城は驚く。

 

「見てろ、これが俺の新しいシュートだ。皇帝ペンギン1号。うわぁぁぁぁ!!」

 

 

物凄いシュートと佐久間の悲痛の叫びが円堂を襲う。円堂は、マジンザハンドを繰り出すが、あまりのパワーにゴールを許す。そして、手のしびれを感じた。

 

「佐久間!!」「俺に触るな!!」

「!!」

「ゆうちゃん、あれは。」

「間違い無い、皇帝ペンギン1号だ。」

「あれは確か封印したはずじゃ、まさかあいつら。」

「あぁ、多分盗み出したのだろう。」

「次は、佐久間渡る前に俺がボールを取る。」

「あぁ、それで行こう。」

 

そして、作戦通りボール奪った山城。そして、敵のディフェンスを抜いて、シュート。源田も今までとは違うフォームで構える。

 

「山城、これが俺の新たな力。ビーストファング。ぐおぉ!」

 

源田も禁止の技を使用し、止める。そして、悲痛の叫びを上げる。それに、対して山城はやりづらさを感じた。こうして、最悪の試合が幕を開けたのだ。



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終止符

前半の鬼道と山城の二人は、プレイ支障をきたす。シュートを打たせれば佐久間が、シュートを打てば源田。その狭間でプレイをしなければならなかった。前半終了間際、また佐久間の皇帝ペンギン1号が炸裂し得点を防いだが、佐久間の身体は悲鳴をあげていた。そして、ハーフタイムに瞳子が二人を外そうとするが、山城からの願いによりこのままで。後半開始、吹雪にパスを要求されて渡す鬼道。そして、吹雪は染岡と高速のシュートを決めた。速さで何もさせない。そう言われて、山城は旧友のため、本気の状態なる。ボールを奪い、1人で上がる。そして、シュートを放つ。

 

「何度だって、止めてやる。ビースト?!ぐわぁ。」

 

山城は、吹雪の速さで勝つ戦法に穴があることに気づいた。確かに、速ければ、相手の必殺技は出しづらい。だが、タイミングを計られてしまえば、それは意味をなさない。ならどうするか。答えは、敵を戦闘不能にする。馬鹿らしいが、今回はそれをやるしかない。

 

「すまねーな源田。お前を止める方法はこれしかない。壊れないでくれよ。」

 

そして、その後もボール奪って気絶寸前の威力を源田にぶつける。すると、物の数分で源田は倒れる。

 

「山城、貴様。」

「ゆうちゃん、もう、こうするしかねーよ。力に溺れた奴らを救えるのは、力しかねーんだよ。」

「だが、、、、しかし。」

「我慢してくれ、俺だってこんなことしたくねーよ。」

「く、。」「すまねぇ。」

 

だが、敵の参謀の不動は、染岡に殺人スライディングをして怪我させる。それに、吹雪が切れるが染岡が止める。そして、ベンチに下がる染岡。それを見ていた、怪物が愚かな道化師に制裁を下す。ボールを奪い、不動の前に立つ。

 

「なんだ、怪物君。仲間が、怪我させられて怒ったのか。は、案外甘いなおまえ。」「、、、、、、、、。」

「何か言えよ、すかしてんじゃねーよ。」

「うるせーよ。」

 

そのまま、シュート体勢に入った山城。一瞬、不動は山城の動きを理解できなかったが、次の瞬間理解した。怪物の力業のシュートが、道化師に突き刺さりそのままぶっ飛ばした。やられた不動は、立ち上がれずそのまま気絶する。そして、山城にイエローカードが、出された。しかし、山城は真帝国の他のメンバーに目をやると。

 

「次は、全力来い。じゃねーと、お前ら怪我じゃすまねーぞ。」

 

威圧感の纏った言葉に誰もが恐れた。そして、問題だった佐久間とマッチアップするが、怪物の本気の威圧感に恐れた佐久間は、無心タックルを仕掛けるが、山城は物ともせずぶっ飛ばし、負傷退場に。そして、今日二枚目のカードを貰ったため、ベンチに戻る。ベンチに戻った山城誰も声を掛けれなかった。そのほとばしる怒りが、ベンチの空気を重くした。試合は、そのまま終了。鬼瓦刑事と警察官達が来た。そして、影山を押さえて終わるかと思ったが、船に自爆装置が複数発動され、最後に鬼道共に影山の元へ。

 

「影山、満足か。」

「ふ、満足。するわけ無いだろう。」

「影山さん、あんた何でサッカーを恨む。なぁ、何でだ。答えろ、影山。」

「それは、今度会えたら話をしよう。さらばだ、私の最高傑作達。」

「「影山まままままままま。」」

 

こうして、後味の悪い形で別れた。佐久間と源田は、頑張れば、数ヶ月でまた動けるらしい。その後、皆キャラバンに乗り込む。その際、瞳子監督と響が話しているの見かけた山城だが、それよりも自分の今回のプレイに反省していた。相手の選手を何も思わず破壊する。その感情に、気持ちがどん底に落ちる。二度とやらないと心に誓った。

 

 



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転換

雷門イレブンは、今回の騒動からゆっくりするため東京戻る。その道中は、会話があったが、誰も山城に近寄れなかった。そして、東京についてゆっくりしたあとに少し練習するのだか、染岡の足が思った以上悪く。離脱を余儀なく宣告される。そして、エースを託され吹雪は少し表情が、暗かった。練習後、山城はある場所に来た。鉄塔である。そこで、山城は気持ちの整理をしていた。力に溺れた感情、破壊することの喜びそれらを消し去るために、壁にシュートを放つ。だが、あの力に否定できないため、余計に苛立つ。そして、放ったシュートが壁に刺さる。この感情をどうすれば良いのか分からず、1人悩む。すると、後ろから声がした。

「やっぱり、ここに来たか。」

「まもちゃん、何しに来た。」

「いや、一平が来るとこと言ったらここかなって。」

「はぁ。相変わらずだな。」

「へへ、それは一緒に練習した仲だし、少しはわかるよ。前の試合ことか。」

「まぁな。どうもあの試合以降、力が無駄に沸いて、敵味方関係なしに、破壊しそうで参ってるよ。」

「それは、困ったな。でも、また1人でやる必要無いだろ。今は、チームだ。そして、地上最強を作ってる最中だ。1人くらい最強が、居ても良いんじゃないか。」

「ふ、面白いこと言うねぇ。俺のシュート未だに止められないくせに。」

「それは、言わない約束だろ。心配してくれてるのは、俺だけじゃないぞ。なぁ、皆。」「?。」

 

円堂の呼び掛け共に、チームの皆が顔出す。そして、1人1人が、山城の力になること約束してくれた。その事に、山城の気持ちが軽くなる。

 

「よし、明日も練習頑張るぞ。」

「「「「おおおーー。」」」

 

そして、その日から山城は練習でも本気を出す。

 

「おいおい、この程度かよ。エースの癖に弱々しいな、いっそ俺が貰うぞ。」

「くそ、ふざけやがって。エースは、俺だ。そして、完璧になる。」

「ゆうちゃん、もうギブか。つまんねーな。そんなんなのに、練習参加しろってふざけてんの?飽きさせんなよ。」

「ち、化け物め。ふざけた能力しやがって。だが、負け続けはお腹いっぱいだ。今度こそ、貴様に土付けてやる。」

「小暮、死んでもついて来い。そうすれば、少しは強くなるぞ。」

「く、置いてかれてたまるかぁ。」

「おらよ、これでハットトリックだ。どうした、キーパーの癖にかかしと一緒だな。まもちゃん。」

「来い、こんどは止める。その発言、取り消して貰うぞ。」

 

こうして、怪物がその力を無駄なく発揮する。それには、チームが着いていく。やっと、歯車が回転し始めた瞬間であった。それを見ていた、マネージャーズ。

 

「皆、楽しそう。」

「ほんとね、まるで最初から同じチームだったかのように。」

「やっぱり、山城さんが変わったことですかね。」

「そうね、彼には私達の遥か上を行くわ。置いてかれないようにしないと。」

「私達も全力で支えないと。」

「そうね。」「ですね。」

 

それから数日は、充実した練習することが出来た雷門。イプシロンとの再戦に燃える。



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浪速の台風

雷門イレブンの次の行き先は、大阪に決まった。何でも、エイリア学園の基地があるそうだ。一同は、大阪に向かう。到着すると、さっそく探索する。しかし、なかなかそれっぽい物は、見つからず。ただ、明るく、賑やかな町ということしか分からなかった。この町には、何やらナニワランドという遊園地が、あるらしい。小暮などの一部の人間は、楽しみ目的でナニワランドの散策を提案する。最初は、否定するが一理あるため、皆でナニワランドを散策する。ナニワランドは、人でいっぱいである。そこで、それぞれ別れて散策する。だが、やはりこれらしい物は、見つからなかった。雷門イレブンが、苦戦してると、一之瀬と土門の班から緊急事態という知らせが回る。着くと、一之瀬が褐色の女の子にくっつかれてた。呆れる山城、秋、メガネ。

 

「はぁ、一之瀬、。ナンパしに来たんじゃねーぞ。自慢するために、呼んだんなら解散するぞ。」

「ナンパ、サイテー。」

「見損ないましたよ。一之瀬君。」

「違う、ナンパはしてない。この子が、勝手に。」

「ハイハイ、皆もう一回散策するぞ。」

「頼む、話を聞いてくれ。」

 

話を聞くと少女の名は、浦部 リカ。何でも、ここいらでは有名なお好み焼きの看板娘らしい。そして、一同はリカの家に連れてかれる。そこで、店主の女将とリカが話しているのただ見る一同。リカは、一之瀬に完全ベタぼれ。女将は、あまりよろしくないと怒る。そこで、浪速の女同士ぶつかる。二人が、激しい戦いをしていると。サッカーのユニホームを着た女の子達が、入ってきた。それで、さらにヒートアップし、一之瀬を掛けて試合をすることになった。そして、グラウンドに行く。相手は、大阪ギャルズCCCという地元では有名な女子チームらしい。一之瀬争奪試合が始まる。ただ、山城はこの試合に大した思い入れもなく、さらにお好み焼きでお腹いっぱいでやる気が出なかった。

 

「ダリー、一之瀬もう婿入りで良くね。」

「良くない。頼むよ、山城。まだ結婚したくないから。」

「大丈夫です、山城君。代わりにボクが出ますよ。」

「そうか。じゃあ、頼んだ。ちなみに、お前誰だっけ?。」

「ひどい、一緒に旅したチームメイトじゃないですか。眼鏡ですよ。」

「あっそ、じゃあ頑張れ。」「ひどい。」

 

こうして、一之瀬争奪戦が始まるのだった。そして、山城はベンチで寝ようとしたが、瞳子の視線が気になり、ただベンチで座ることにした。それぞれが、守備につく。向こうのベンチでは、女将が声援を送っていた。何やら、虎と猛牛の影を感じるほどの力強さを感じるほど、凄かった。それを見た、山城は雷門の皆さらにいえば一之瀬に声援送る。

 

「ガンバー、皆で一之瀬を幸せにしようぜ。」

「エエこと言うやん、怪物はんありがとう。」

「おい、山城。君は、どっちの味方だ。ちゃんと応援しろ。」

「そうだぞ、一平。一之瀬が、チームを離れるのを阻止するんだぞ。真面目にやれ。」

「大丈夫だろ、相手そんなに強くねーし。勝てんだろ。」

「「「なんやて、ちょっと待たんかい。」」」

「あーだから、負けたら一之瀬と同時に、「女の子に負けた雑魚」ってレッテル貼られるぞ。気合い入れてけ。」

「「?!。」」

 

負けられない理由が増えた雷門。それをゲラゲラ笑いながら見る山城。そして、キックオフの笛がなる。



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大阪の秘密

試合開始、攻め上がる雷門イレブン。だが、向こうの選手の実力に翻弄される。そして、向こう先制される。初めは、メガネと同じように少し油断する雷門。結果、予想以上苦戦し、2点のリードを許して前半を終える。ベンチに戻ってきたメンバーに山城は、さらに発破をかける。

 

「おいおい、どうしたお前ら。だらしないな。特に、風丸、メガネ、円堂。」

「く、ぐうの音もでない。だが、お前が出れば良いんじゃないか。」

「そうですよ、山城君。ベンチで遊んでる人に言われたくないですよ。」

「良いのか、俺が出て。確かに、逆転まで持っていける自信はある。」

「なら、。」「だけど、良いのか。」

「?。」

「俺が出て勝ったら、「山城が居なきゃ女の子に勝てないチーム」に成り下がるぞ。」

「「「?!。」」」

「まぁそれでも良いなら。」「「やってやる。」」

「よし、行ってこい。」

 

マネージャーや監督にジト目で見られる山城。だか、本人は気にせず、近くの自販機で買ったジュースを飲む。女将に注文で薄焼きの海老せんを作って貰った。もう完全に、観客状態である。そして、試合は雷門が息を引き返し、吹雪と一之瀬中心に得点を重ね勝利。見事、一之瀬脱退阻止に成功した。その後、リカは結婚を諦めたが付き合うことは諦めてないらしい。そして、浦部が加入することになった。それから、少し話が進み、彼女達の実力の根元教えて貰う。彼女達曰く秘密の場所らしい。そこへ案内されるとナニワランドのアトラクションの屋敷の中だった。

 

「あれ、ここは探したけど何も無かったぞ。」

「せやろ、けどなここに仕掛けがあんねん。」

浦部が、手すりの一部分を押すと、床が変動して下にさがる。すると、景色が変わり未知な風景に変わる。そして、そこが修練場とわかった。そのあと、浦部達に好きに使って良いと言われたのでそれぞれが、練習に入る。円堂は無数の穴からランダムで出るシュートを不安定な足場の上で止める。他のメンバーはランニングマシン。さらに、ロボットキーパーとの対戦。これらのメニューに取りかかる。最初は、苦戦しする面々だったが、何とか着いてきている。その中でも、やはり山城は群を抜く。

 

「へぇ、結構面白いな。」

「すごい、ほんまに初めてなんか。動きが、体験者そのものやで。」

「やはり、山城は凄いな。」

 

皆が、山城を称賛する中、吹雪は山城に嫉妬し焦る。それからは、修練場での練習がメインになる。皆が、それぞれのメニューで高いレベルの設定をクリアする。山城は、メニューをこなしながら吹雪を見る。いつもの余裕がなかった。エースとしての重圧と戦っているのだろう。本来なら、声を掛けてやるところだが、山城は敢えて掛けなかった。本人の力に掛けたのだ。一方、吹雪は、完璧になることに固執していた。

 

「完璧ならなきゃ、完璧にならねーと。負けたくねぇ、負けてたまるか。エイリア学園の野郎どもに勝つ。そのためには、山城を越える力を着けねーと。」

 

一匹の狼が、迷いの渦の中を歩く。先の見えない、暗闇を手探りに進む。目標の怪物は、遠く歩く。それに、追いつきたいのにどんどん離される。狼の戦いは、まだまだ続くのであった。



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思惑

数日が経った。フィールドを使って練習していると、イプシロンが、怪しい光と共に現れる。それに、視線を送る雷門。デザームが、口を開く。

 

「雷門の諸君、久しぶりだな。我々の施設でさぞかし強くなっただろう。さあ、その力我々に見せ見ろ。」

「今度は、勝つぞ。」

「ぶっ倒してやる。」

 

今回は、山城がスタメンで出る。その事で、向こうは警戒する。デザームも前回の山城の動きを見て、注目している。その光景に、吹雪はさらに怒る。キックオフ、最初は雷門から攻める。パスを回して、吹雪に渡る。

 

「俺が、決めてやる。はぁあ。」

「貴様か、山城の前に相手してやろ来い。」

 

吹雪は、必殺技を放つ。威力は十分だか、まだデザームの方が上なようで、シュートは止められた。吹雪は、悔しがるが、シュートの威力にデザームは吹雪の評価を改める。今度は、イプシロンの攻撃、連携を駆使して山城の守備を掻い潜り、エリア近くまで進む。そして、必殺技を放ってきた。円堂は、マジンザハンドで対抗するもゴールを許す。その後もイプシロンの猛攻に苦戦する雷門。攻撃でも、山城に三人着いている状態に吹雪のシュートが止められる。結果、前半で3点差つけられる。ハーフタイムに、吹雪はトイレで顔洗い集中する。山城は、さすがの状況で自分の力(ゾーン)に入る準備をする。後半、イプシロンボールで開始、ゾーンを解放する山城。誰もが、山城の雰囲気に圧倒された。そして、山城は、敵のボール奪いドリブル。敵を次々に抜き、ゴール前へ。

 

「来い、怪物。貴様の本気を私に、ぶつけてみろ。」

「いくぜ、うりゃ。」

 

怪物の本気の一撃。デザームも渾身の必殺技を繰り出すがあっさり砕かれる。

 

「よし、まず一点。」

「面白い。やはり貴様は最高だ。」

 

そのあとも、ゾーンの山城は、無双する。敵そして味方を置き去りにする。今度はドリブルでデザームを抜きにかかる。

 

「それは、私をなめてるのか。ふざけるなぁ。」

「うるせぇ、足元お留守だぞ。」

 

股抜きの2点目をだが、山城の疲労もすごい。鬼道は、様子を伺うが、本人にはボールを要求されることだけだった。瞳子も監督として選手を代えるべきだか。それすら、出来ないほど、山城の威圧感は増していた。そして、敵からボールを奪い、ドリブルで抜く。デザームも構える。山城は、渾身の右足から今日のシュートを放つ。

 

「はあああああ。なんだこの力は、ぐわぁ。」

 

遂に同点になる。そして、山城のゾーンの時間が迫る。

少し、ふらつくもポジションにつく。そして、試合再開。山城に警戒した相手から鬼道が奪い、山城へ。ボールを貰った山城は、先程同様に敵の守備を無力化しデザームと三度目の対決。シュート体勢に入る山城。今度はと意気込む。だが、次の瞬間、山城は吹雪にパスを出す。結果、吹雪は絶好のタイミングと位置でエターナルブリザードを放つ。そのシュートに反応できず、デザームは同点のゴールを許す。そして、遂に山城のタイムリミットが来てしまった。山城は、躓いた。そして、立ち上がることができず、メガネと小暮に肩を借りてベンチに戻る。音無からスポドリを貰い、チームの勝利を見守る。それを見ていた雷門メンバーは、最後まで走り切る。結果は、同点に終わる。雷門もイプシロンも互いに悔しい結果となった。そして、試合後それぞれが反省をしていた。特に、吹雪と円堂の二人は、凄かった。円堂は、失点しか出来ず、吹雪は、個人でのゴール無し。すべて、山城の力だった。当本人は、リラックスして寝っ転がっていた。本人は、仲間の力不足に何も感じて無さそうな顔で寝てた。そんな、チームが沈んでいると瞳子がやって来た。

 

「皆、お疲れ様。今回は、スコアは良かったけど、内容は散々ね。強くなったと思ったけど、上がいた。そんな、当たり前のことに時間は使えないわ。そこで、朗報があるわ、福岡に円堂君のお爺様のノートがあるそうよ。何かヒントになるかもしれないから、福岡に向かうわよ。」

「「「はい、。」」」「Zzz。Zzz。」

「確かに、勝てる力を持つのは素晴らしいけど、限度もあるわ 。音無さん、彼を起こして 。」

「分かりました。」水パシャァ

「うわ、なにんすんだ。」

「おはよう。ミーティングに寝るなんて、良い度胸してるわね山城君 。」「あ、すいません。」

「「「「ぷっあはははははは。」」」」

 

チームの沈んた士気を戻すそんな今の雷門であった。さあ、目指すは福岡。チーム力を上げるのに必要なヒントを求めいざ、出発する。

 

 

 



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未知なる可能性

福岡に着く。さすが、町並も落ち着いている。今回、円堂の祖父のノートがあるという学校に行く。陽花戸中、県予選を中々勝ち抜けない弱小校。学校に着くと、少し陽花戸中の生徒が寄ってくる。やはり、今回の一件と全国優勝したことで有名なったらしい。そして、生徒の中から校長先生が来る。

 

「ようこそ、陽花戸中へ。歓迎します。雷門の皆さん。」

「はい、こちらこそ。よろしくお願いします。」

 

こうして、軽い挨拶を終える。そして、本題のノートを聞くと校長室に連れられていく、円堂と瞳子そして、知り合いだった夏未の三人が。他のメンバーは、陽花戸の学校を案内して貰った。勿論、山城は監督の命により音無、鬼道の兄妹に挟まれる。

 

「なぁ、お二人さん。少し離れてくれない。」

「ダメだ、お前は目を離すとすぐどこか行く。」

「そうですよ。山城は、自由過ぎるので少し大人しくして貰います。」

「はぁ、どこも行かねーよ。ペットか、俺は。」

「ああ、正直、お前の放浪癖を直す良い機会だと思ってる。」

「それに、今は雷門に居るんですから、雷門のルールにしたがって貰います。」

「もう嫌、この兄妹。」

 

そんな、山城と兄妹が校内案内の間、ずっと会話していた。そして、円堂達が戻ってきた。手には、例のノートが握られていた。その後、親睦の意味もあり、陽花戸中のサッカー部と交流する。そこで、円堂に憧れているという一年生キーパーに出会う。名前は、立向居 勇気。彼もまた円堂大介のノートを見て、技を磨いた1人。そして、互いにゴットハンドのフォームから技を出す。すると、その威力は互角に終わる。そして、ここに円堂と立向居との間に師弟関係が気付かれる。それから、陽花戸と雷門で交流練習が始まる。互いに、良い刺激になっていた。一部を除いて。

 

「さーて、ここの学校の日陰は、良いな。よし。」

「何が、良しだ。山城(怒)。」「え?。」

「来い、お前の為の練習だ(怒)。」

「何で、この場所知ってるの?。ゆうちゃん。」

「お前と回る時に、春奈と一緒に確認してた。」

「マジかー、そこまでする。」

「安心しろ、お前には皆と違う練習する。」

「あ、そうなの。何やるの?。」

「それは、着いてからのお楽しみだ。」

 

山城は、連れられてくると。爽やか笑顔の立向居と鬼道と同じように頭に怒りマークを付けてる円堂と音無、それに更に静かキレてる瞳子の姿が。山城は、鬼道に懇願するが、笑顔で連れてかれる。そして、それからキーパー二人にシュートを放つ練習が数日続く。山城は、さすがにヤバいと思い陽花戸の生徒に紛れて隠れポジションに行こうとすると。背中、トントンされた。振り向くと、陽花戸中の校長先生だった。

 

「どこか、行くんかい。」

「えぇ、ちょっと気分転換に。校長先生は、なぜここに?。」

「いやぁ、この年になると。生徒がみんな孫みたいに見えてね。とても、可愛がりたくなるんだ。」

「そうなんですか。」

「そしてね、悪い子がいると、これまた叱りつけたくなるんだよ。」

「はぁ。」

「今回サボろうとする君を説教しようかなと思ったけど、必要ないみたいだ。それじゃ。」

「え?」ガシッ

 

そのまま、いつものコースへ。数日が過ぎると、陽花戸のグラウンドにエイリア学園の怪しい光が現れる。出て来たメンバーは、デザーム達ではなく別のチームだった。向こうのキャプテンと円堂は、会話していた。そして、試合をすることに。

 



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マスターランク

イプシロンの上のチーム、マスターランク ジェネシス。そう、ヒロトまたの名グランという、選手が話した。最初、開催校の維持として、陽花戸中が対戦する。雷門は、マスターランクの実力を見学する。そして、試合開始と同時に、その実力を見せつけられる。ジェネシスの選手の動きが、異次元過ぎて目で追えないのだった。

 

「貧弱すぎる。」

 

そのグランの一言に尽きた。いくら、立向居が将来の高い選手と言えど、実力はまだまだ。結果、ジェネシスは陽花戸中のメンバーを試合続行不可能になるほど、圧倒的実力差で叩きめした。そして、グランは雷門に試合をするよう持ちかける。勿論、円堂は承諾する。そして、ジェネシスとの試合が開幕する。今回は、山城もスタメンに連ねる現段階の雷門の最高メンバーで挑む。そして、試合開始。ボールを持った吹雪が上がる。鬼道は、パスを回すように言うが、個人で上がりシュートする。だが、マスターランクのレベルは、高かった。相手のキーパーは、必殺技無しで止める。そして、ジェネシスのカウンター。あり得ないスピードで、上がって来る。そして、グランにボールが渡る。

 

「行くよ、円堂君。」

「こい、ヒロト。」

 

グランの普通のシュートは、円堂のマジンザハンドを消し去る。そして、円堂ごとゴールに突き刺さる。実力差を感じた雷門イレブン。誰しもが、その差に絶望するが、山城だけ笑顔を見せる。試合再開のキックオフ。今度は、山城がボールを持つ。ドリブルを仕掛けようとするが、グランが詰めてくる。

 

「君の実力は、こちらでは測れなくてね。悪いが、行かせないよ。」

「へえ、お前なら相手に出来そうだな。行くぜ。」

「ふ、来なよ。」

 

山城は、全力に近いレベルのドリブルを仕掛ける。そして、グランも今までの遊びとは、違うレベルの高い守備をする。エイリア学園最強と怪物の勝負は、誰も介入出来なかった。そして、緩急に新たに変幻自在の動きを見せた怪物が、最強を抜く。

 

「な、グランが。」

「行け、一平。」

 

その後は、MF、DFのラインを抜き、シュート体勢に入る。

 

「マスターランクの高さ見せ貰うぜ。」

「ふ、愚かな。プロキオンネット」

 

お遊び無しの右足で振り抜く。ジェネシスのキーパーは、必殺技を使用する。

 

「っ。」

 

勝負は、キーパーの勝ちだが、ジェネシスのメンバーは今のシュートで怪物の警戒を高める。

 

「グラン、やつは野放ししない方が良いな。」

「そうだね。彼は、本来ならうちに来ても可笑しくない選手だからね。ウルビダ、彼のマーク着いて。」

「ああ、了解した。だが、その分の攻撃は、任せたぞ。」

「ふ、君がそこまで言うなんて。わかった、攻撃は任せて。」

 

それから、ジェネシスの猛攻が始まり、前半だけで大差をつけられる。山城が封じられ、得点力が半減になる。

後半も同じ展開になる。山城は、ウルビダに話しかけた。

 

「なぁ、あんた、いつまで付いてるの?もう良くね。」「ふん、別に貴様なんかどうでも良いんだがな。皇帝は、お前の実力を買っているからな。尚更、最後まで相手しろ。」

「へえ、親玉さんがね。なら、期待に答えるかね。」

「何を今さら。」

 

ウルビダが、山城に視線を送るとそこに怪物はいなかった。気づいた時には怪物がゾーンに入り敵からボールを奪った後だった。

 

「悪いが、本気でやらせて貰うぜ。」

 

怪物の動きは、エイリア選手を圧倒する。そして、エリアに入り、右足を振り抜く。

 

「プロキオンネット。う、うわあ。」

 

怪物の一撃が、最強のゴールを割る。皆が、喜んで山城へ抱きついたりした。だが、これ対して称賛しない者がいた。吹雪である。本人は、焦りと嫉妬に刈られていた。完璧にならなきゃ、行けないのに怪物との距離は永遠に縮まらない。

 

「点取らなきゃ、守らなきゃ、完璧ならなきゃ。」

 

吹雪の中は、ぐちゃぐちゃになっていた。そして、山城も異変をきたす。散々、ウルビダにマークされ、体力の減少が激しく、そこにゾーンの解放。そして、さらにグランもマークに来て、リミットが早まった。

 

「はぁ、、はぁ、、くそ、もうかよ。」

「ふー、やはり君は、侮れないね。だが、もうおしまいだ。最後の一撃とさせて貰う。じゃあね。」

「く、まちあが、、れ。」ドサ

 

遂に、怪物倒れる。そして、ジェネシスのメンバーは全員でパスを回して、エリア近くのグランに渡る。シュート体勢に入る。その瞬間、円堂とグランの間に吹雪が突っ込んだ。

 

「悪いが、これで最後だ。流星ブレード。」

「うわああああああああ。」「吹雪?!。」

「ぐぅ、うわああ。」

 

シュートは、枠を外れた。だが、吹雪は意識不明の重態になる。その後、試合は途中でジェネシスは切り上げる。だが、風丸はジェネシスのメンバーの言葉に絶望する。

 

「グランの奴が、雷門を気にしてたが。山城以外雑魚だったな。」

「全くだ、奴がいなかったら、アップにもなんねーな。」

「?!アップにもならない。そんな、、、、。」

 

マスターランクの力知った雷門。それぞれのレベルの現在地と壁の高さを知った。得たものは、大きかったが、同時に失うのも大きかった。

 



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挫折

ジェネシスとの一戦が、終わった。吹雪を近くの病院に運ぶ。そして、吹雪が、安静してる際に吹雪の過去が瞳子の口から語られた。吹雪には、アツヤという双子の弟がいた。いつも、点を弟が守備を兄の士郎がそれぞれの役割を持っていた。だが、そこへ悲劇が起こる。吹雪を乗せた車が、雪崩に飲み込まれた。結果、吹雪は自分以外の家族を全員失くした。そして、試合の時に形見のマフラーに触れるすると、弟の人格になるらしい。つまり、吹雪は二重人格の状態でプレーしていた。

 

「監督は、吹雪君の状態を知ってて、試合に出してたんですか。吹雪君が、どうなっても良いんですか。」

「っ。」

 

病室は、暗い雰囲気なる。その後、雷門に悲劇が起こる。風丸が、チームを抜けた。それを聞いて、円堂は飛び出し、風丸を見つけ説得をする。

 

「あんなに、頑張って来たじゃないか。また、練習すればきっと勝てる。だから、」

「すまない、円堂俺は、お前や山城みたいに強くないんだ。」「風丸!!」

 

風丸の説得に失敗した円堂は、過去一番に気持ちが落ち込む。そこへ、栗松も脱退。円堂の心は、キャプテンとして初めての挫折を迎えた。それを期に円堂は練習に出なくなった。

 

「今日も来ないか。まもちゃん。」

「ああ。だが、奴を待つ。そして、俺たちは、俺達のやるべきことをやる。」

「ふーん、そっか。なら、DF陣と立向居だっけ?。あいつらの守備強化に手を貸すか。」

「ふ、意外だな。お前が、自分から練習に取り組むなんて。」

「まぁ、さすがにね。こういう時は、手を貸すよ。」

「まさかお前からそんな言葉を聞けるなんてな。」

「はん、ほっとけ。」

 

今の雷門の救いは、この二人の屋台骨が離脱しなかったことだろう。それから、怪物との練習をするDF陣と立向居。ボロボロになりながらも、皆付いていく。

 

「どうした、お前ら。もう、ギブか。情けねーな。そんなんだから、守れねんだよ。」

「くそ。」「化け物か。」「怖いっす。」「きつい。」

「けど、負けたくないです。」

「だな。」

「なんだ、やる気か。少しは、マシになったな。次、行くぜ。」

 

その後も怪物に食らいつくメンバー。それを眺めるだけの円堂。その日の夜、いつもの散歩に出掛けると瞳子に出会う。

 

「監督、また1人で考え事ですか。」

「山城君、あなたはいつもの散歩ね。あなたも早く、キャラバンに戻りなさい。」

 

そう、瞳子が山城の横を通りすぎようとした時、

 

「なぁ、あんた。いつまで1人でやるんだ。」

「どういうことかしら?。」

「そのままの意味だ。何で、1人でやろうとする。」

「意味が、分からないわ。わたしは、行くわよ。」

「だから、このチームは脆いって言ってんだ。」

「え?。」

「前、言っただろ。このチームは、どこか脆いと。」

「えぇ、。」

「それは、選手だけじゃねえ。あんたにも言ってだぞ監督。」

「?!。私が、脆い?」

「ああ、そうだ。あんたは、脆い。だから、いつも1人で抱え込んで、チームを内面から強く出来ない。」

 

その一言で瞳子は遂に怒る。

 

「あなたに、何が分かるの?監督でもなく、1人でも勝てるあなたに何が?。」

「分かる。だって、俺も1人で戦ってチーム破滅させたからな。」

「?!。あなたみたいな天才が。」

「ふは、天才か。皆、俺を怪物なんだって言うけど、1人で勝つって想像以上に苦しんだぞ。勝つは、嬉しい。だが、あくまでそれは、チームで勝ち取るから意味がある。1人で勝っても嬉しくねーし、つまらねんだよ。」

「そうなの。知らなかったわ。」

「ああ、だから、1人は辛いんだ。1人は、限界があるんだ。」

「そう、。」

「ま、もうこれ以上何も言わね。あとは、自分で何とかしな。瞳子監督。じゃあな。」「、、、、。」

 

こうして、怪物から助言を貰った。1人の監督は、少しずつ変わり始めた。

 

「最近、監督がよく質問してくるんだが、お前監督に何か言ったか。山城。」

「さぁな、監督が変わろうとしてるんだろ。良かったな、1人で頭で考えなくて。ゆうちゃんも大変だろ。」

「まあ、確かに考えをまとめ易くて助かってる。」

「なら、良いじゃねぇか。これから、チームが変わるんだからな。」「?」

 

雷門の風向きが、変わる。そして、進む方角が吉なのか凶なのか。誰も分からない。ただ、1人の怪物だけが知っている。



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キャプテン

チームがまた動き出しているが、その中心の男はまだ失墜の底にいた。キャプテンとして、無力な自分に失望した。そんな、男に気にせず、山城は練習する。そこへ瞳子がやって来た。

 

「山城君、これ以上円堂君の復帰は待ってられないわ。あなたが、このチームを率いて行きなさい。」

「ふ、俺は別に構わない。だが、それはあくまで雷門じゃなければの話です。雷門は、円堂のチームです。俺がキャプテンやるわけには行かない。」

「そう、鬼道君にも同じ事を言われたわ。ですが、これ以上ここに留まるわけには、行きません。猶予は、後3日。それ以上は待てません。」

「大丈夫ですよ。あいつなら、もう少しで戻ってくる。だって、あいつは、何度倒されても這い上がった男ですよ。」

 

そして、山城は練習に戻る。マネージャーの秋と夏未の姿が見えないから、彼女らが何とかするだろうと山城は思った。さらに、山城は、円堂の心に火を付けさせる行動に出た。

 

「立向居、ちょっと良いか。」

「良いですよ。何でしょう。」

「お前のマジンザハンドの練習に時間を掛けれない。」

「それは、しょうがないですよ。」

「だから、これからお前には後3日で完成させるように俺と一対一の練習にしろ。」

「?!良いんですか、山城は忙しいはずじゃ。」

「いいよ、どうせ面倒だし。彼奴らの事は、ゆうちゃんに全任せするから。」

(あ、この人、本当にダメな人だ。)

「ほら、行くぞ。ちゃんと、やんねーと怪我するぞ。」

「お願いします。」

 

それから、怪物のシュートを受けた立向居1日目は何も出来ず、ボロボロになる。二日目何とか形なる、その成長速度に山城は感心している。そして、最終日。

 

「行くぞ、これがラストだ。ハアアア。」

「マジンザハンド。」

 

立向居の背中から円堂とは、違う色の魔神が出る。そして、見事に怪物のシュートを止めて見せた。

 

「はん、やるじゃねーか。」

「やった、完成した。やった、やった、やりましたよ円堂さん。」

 

立向居は、円堂に見えるように完成の喜びを表した。そして、それは円堂の心を動かした。そして、その円堂に向かって、怪物は左足で振り抜き、円堂のいる金網を直撃させた。円堂は、もちろん、驚いて尻餅を着く。

 

「なんだ、今のは。?!一平か。」

 

驚く、円堂を見た山城は、「早く来いよ。お前が居ねーと、つまんねーだろ。」そう呟いた。それが、決め手となったのか。円堂は、見事復活する。そして、チームに謝罪をした。それを見た、山城は、笑みを溢した。その後、瞳子から吹雪の退院ともう1つの朗報が聞かされた。

 

「沖縄に炎のストライカーが、居るそうよ。」

「炎、豪炎寺かな。」

「豪炎寺君か、分からないわよ。」

「でも、例え地球の裏側でも会いに行きます。」

「そう、勝手にしないさい。」

 

そして、雷門の次の行き先が決まる。太陽の暑さと夏の海を感じる町、沖縄。雷門の一行は、沖縄に向けて走る。一方変わって、エイリア学園マスターランクのチームのキャプテンが集まる場所。

 

「おい、グラン。お前、何勝手にジェネシス名を使ってる。」

「そうだ、チームガイアはまだ選ばれてないだろ。」

「ふ、いずれ選ばれる話だよ。」

「「何?!。」」

「人間のチームに失点したくせに、やけに偉そうだな。」

「そうだ、ジェネシスの名を使って、点を取られる何て。泥を塗りやがって。良く戻ってこれたな。」

「君らは、怪物の力を止められるんだね。彼は、下手したら僕らと渡りあえる逸材だよ。」

「ああ、お前みたいにならないさ。」

「へ、失点した奴の話なんか聞くかよ。」

「無様な、結果にならないと良いな。」

 

こうして、エイリア学園の中でも争いが、勃発している。そして、それを見ていた皇帝は。

 

「やはり、ガイアでも彼を完璧とまでには行かないか。まあ良いでしょう、いずれ彼もこちら側に来てくれるでしょう。」

 

そう、呟いた。場所が変わり、キャラバンの休憩時間。カレーを振る舞い、皆で食べる。小暮のイタズラで、壁山とメガネが餌食に。そして、立向居にも仕掛けるが、本人普通に食べる。それを不思議に思い、一口食べると自分で仕掛けた激辛を味わう小暮。そんな、にぎやかな一時を終えた雷門目指すは、炎のストライカーがいる沖縄へ。



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琉球の出会い

炎のストライカー探しに来た雷門。到着寸前に船で移動中、メガネが落下する。誰もが、メガネを心配する中、1人のサーファーがメガネを救ってくれた。その後、サーファーから注意を受けて、一同は沖縄につく。

 

「じゃあな、またどこかで会おう。」

「おう、ありがとう。」

 

サーファーは、どこかに消えた。その後、炎のストライカーを探しに出る。一同は、それぞれのチームに分かれ、地元の人に噂を訪ねるが誰1人その事を知らなかった。探索に、明け暮れるそれぞれの探索チーム。円堂、鬼道、山城は、ある民家に訪れた。そこで、ちびっこがサッカーをしているのを見て、円堂と鬼道が混ざったことで、ちびっこに実力差を見せつけてしまい、泣かしてしまう。

 

「あ~あ、泣かした。お前らひどいな。」

「いや、そんなつもりは。」

「お前ら、うちの弟達に何しやがる。」「「「!。」」

 

三人が話してると、割烹着姿の体格の良い男が立っていた。円堂達は、誤解だと弁明する。だが、足元のボールのせいで、勘違いを加速させる。そして、割烹着姿の男は、必殺技のスーパーしこふみを繰り出す。結果、鬼道はボールを手放す。その後、弟達が、弁明してくれて、円堂達は、無罪になった。

 

「いやぁ、すまなかったな。こいつらが、泣いてたから、ひどいことされたのかと思っちまった。自己紹介が、送れたな。土方だ。よろしく。」

「こっちこそ、ごめん。俺は、雷門中サッカー部の円堂だ。」「鬼道だ。」「山城。」

「そっか、お前らがあの雷門中か。」

 

その後、仲良くなる四人。円堂達は、炎のストライカーについて聞くが、土方も知らないようだった。そして、必殺技の威力を見てスカウトするが、残念ながら、家族のことがあるので断られた。それから、土方と別れた三人は、土門、吹雪チームから炎のストライカーを見つけたという知らせが入る。円堂は、豪炎寺だと思ったが、着いてみると、そこに居たのは別の人物だった。

 

「お前ら、俺を探してるんだろ。俺は、南雲晴矢。炎のストライカーって俺じゃないか。」

「そっか、豪炎寺じゃないのか。」

「けど、円堂。こいつのシュート、凄い威力だった。あのジェネシスの奴らに負けないくらい。南雲、こいつらにお前のシュートをもう一度見せてくれないか。」

「おう、任せとけ。」

 

こうして、南雲の実力を見ることになった。皆が、それぞれの守備につく。ただ、山城は出なかった。そのことに、普段ベンチの浦部が代わり出るときに聞いてきた。

 

「山城。あんた、今回はでぇへんの?。」

「ああ、今日は何かやる気出ねぇ。浦部、お前に譲る。」

「わかった。任しとき、そのまま今後もうちの控えでええで。」

「ばーか、さっさと行ってこい。」

 

全員が、ついた。

 

「なんだ、山城のやろう出ないのか。ち、舐められたな。まあ良い。」

 

こうして、南雲の実力テストが、始まった。始まると、南雲は加速する。その動きは、誰も付いていけず、エリア近くまで侵入を許した。

 

「行くぜ、アトミックフレア。」

「マジンザ、うわぁ。」

 

その熱く、太陽を彷彿させるシュートは円堂ごと、簡易的なゴールをぶっ飛ばした。皆が、驚く。そして、その後、チーム加入の雰囲気になり、瞳子からどこの学校か聞かれた際に、

 

「エイリア学園だよ。」

 

グランが、現れる。そして、黒いサッカーボールを南雲に蹴ると、受け取った南雲の姿が変わる。それは、散々見たエイリア学園のユニホーム。そして、南雲は、「エイリア学園 マスターランク プロミネンスキャプテン バーン」と名乗った。そして、グランと共に消えて行った。皆が、落ち込んだ。そこで、浦部などの豪炎寺に会ったことのないメンバーが、豪炎寺について聞く。

 

「なぁ、その豪炎寺って、そんなにすごいんか。」

「そうだな。豪炎寺は、雷門の絶対的エース。どんな時も、あいつのシュートに助けられた。」

「そっかぁ、自分、豪炎寺さんに、会って見たいです。」「あたいも。」「俺も。」

 

その後、練習を終えた雷門。円堂は、キャラバンに乗る際に自分に向かってくる。ボールを受け取る。そこには、イナズママークが書かれていた。豪炎寺は、やっぱりこの町に居る。そう、確信した円堂と雷門イレブンであった。次の日、練習していると、空からこの間のサーファーが、降ってきた。

 

「いやぁ、見たことある顔だと思ったら。お前らか。」

「お前は、この間の。俺、円堂。」

「俺は、綱海 条介。よろしくな。」

 

その後、綱海と仲良くなる。綱海は、年齢は円堂達の1つ上だが、本人はフレンドリーでため口で良いそうだ。話は、戻り何で空から降ってきたのか、聞いたところ、デカい波に挑戦したら、吹っ飛ばされたそうだ。その後、綱海からサッカーを教えてくれとのことで、皆が教えた。さすがに、運動神経で解決出来ず、ドリブルは取られ、ディフェンスは抜かれる。パスからシュートも空振り、さすがにいきなりはうまく行かなかった。だが、本人は諦めず、変な浮き玉から見事なジャンピングボレーを叩き込む。それには、円堂も反応出来なかった。サーフィンで鍛えた運動能力は伊達じゃないことが、わかった。その後、今居る位置から近い中学に通ってると分かり、次の日練習試合をすることになった。

 

 

 

 

 



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リズムとポジティブ

昨日、綱海に言われた中学に着く。大海原中、沖縄の特徴である。海と上手く共存している学校。綱海からグラウンドに案内される雷門。そこには、大海原中のイレブンと監督が居た。チームの特徴としては、皆が底抜けに明るかった。中でも、キャプテンの音村は一見他のメンバーとノリの度合いが違う。だが、綱海曰くチーム一番のノリノリらしい。それに、対して夏未は何度か帰ろうとした。山城も向こうのノリにやられていた。

 

「うへぇ、暑いな。何で、あいつら元気なんだ。」

「それも強みかも知れんな。ふざけてそうだが、逆に言えばなかなか渋といチームかも知れん。」

「よし、みんな、頑張って勝とうぜ。」

「「「オオー!!。」」

「今日もノリノリで行こうぜ。」

「「「オオー!!。」」

 

こうして、キックオフ。最初は、雷門ボールから始まる。パスとドリブルで、前線の吹雪へ。吹雪は、必殺技を放ち、見事先制するが、向こうはそれすら喜ぶ。変な感覚に襲われる雷門。そして、大海原中の攻撃になったとたんに、音村が動く。

 

「8ビート。」「2ビートアップ」「ダウン。」

 

音村の掛け声と共に、選手のリズムが変わった。そのリズムの変化に惑わされた雷門は、中々攻められなかった。そして、遂に同点になる。ハーフタイム。

 

「あいつらの動きなんだ。まるで、こっちの動きが分かるように動いてる。」

「ドリブルで、攻めるのはあまり得策ではないのかもな。」

 

中々、糸口が見つからなかった雷門。後半の最初も上手く行かなかった。が、鬼道が音村の掛け声と同時に選手が動いて居ることに気づく。そして、そこからテンポで動いていることがわかった。その仕組みが判明した今、鬼道のゲームメイクが始まる。音村は、雷門の動きの変化に気づく。

 

「相手のリズムが、変わった!なるほど、さすが天才ゲームメイカーだ。」

 

そこから、互いの司令塔のゲーム合戦が始まる。そして、終止符を打ったのは、パスを怪物からであった。

 

「彼を行かせるな。」「「オウ!!。」」

「ふ、お前らなかなか面白かった。だが、リズムを操るのは鬼道だけじゃねぇよ。」

「何?!。」

 

そこから、試合終了まで怪物のプレーが独占する。音村も何とか、リズムを計るがむちゃくちゃなテンポで乱された。

 

「スゲー、これが全国屈指のプレイヤーのサッカーか。」

 

素人の綱海は、そのレベルの高さに尊敬を抱いていた。そして、試合は圧倒した雷門だが、内容はなかなか反省のあるものだった。その後、交流を兼ねて向こうの監督のおごりでBBQをすることになった。鬼道は、音村の所に向かった。

 

「隣、良いか。」

「ああ、構わないよ。」

「今回の試合、プレーの幅を広げられた。良い試合だった。まさか、テンポを使うだけであそこまでやれるとはな。」

「うん、この世は一定のリズムで流れてる。そんな所に、変化を付ければ、今回の結果になる。」

「なるほどな。中々、興味深いな。。」

「だけど、まさかだった1人に崩されるとは思わなかったよ。」

「ふ、あいつは俺にもどうにもならん。ただ、あいつと居ると自分のレベルが確実に上がっていることは、確かだがな。」

「ふふ、なんだか羨ましいな。」

 

そんな、参謀同士の会話は中々盛り上がったらしい。一方で、綱海はある人物を探していた。

 

「綱海、どうした?誰か、探してるのか。」

「あぁ、円堂か。山城探してるんだが、知らないか。」

「一平?そこら辺で涼んでるんじゃないか。」

「わかった。ありがとうな。」

 

綱海は、円堂に言われた通りに探すと。そこに、座っている山城を見つけた。

 

「山城。」

「うん?なんだ、綱海か。何か用か。」

「ああ。今日のお前のプレー見てたら、何か熱いものが心の底から沸き上がってんだ。俺に、サッカー教えてくれ。」

「鬼道とかそれこそ、そっちのキャプテンに教われよ。何で、俺なんだ?」

「確かに、教わるならそれでも良いかも知れねぇ。だけど、お前に教われば、サーフィンとは違った楽しさを知れるかも知れねーだろ。だから、頼む。」

「、、、、、、はぁ。わかった。監督に頼んでOK貰ってみるわ。」

「!そうか、サンキューな。山城。」

 

それから、山城に惑いつく選手が増えた。

 

「グハ、くそ~。中々、追い付けね。」

「当たり前だ、そんなすぐ追い付かせるか。だが、動きは悪くない。」

「そうか。よし、もう一本。」

「OKだ、行くぜ。」

「次は、俺だ。」

「ち、ゆうちゃんか。だが、負けねぇぞ。」

「一平、打ってこい。」

「少しは、止められるようになると、良いな。」

「山城君、勝負。」

「ああ、頑張って付いてきな。」

「先生、早くしろよ。」

「待て、俺は1人だぞ。ゆっくりさせてくれ。」

「山城さん、俺と一対一の勝負お願いします。」

「ふ、少しは上達したところ見せてみろ。」

 

こうして、山城の多忙の日が続く。それを見ていた瞳子は、マネージャーや選手に気づかれないように静かに笑って見ていた。そんな中、円堂は新しい技に挑戦している。正義の鉄拳という技らしい。マジンザハンドを越える技ということもあり、中々上手く行かなかった。そこで、動きのヒントてして、綱海にサーフィンを教えて貰っていた。そして、数週間のトレーニングにより、何とか形まで持っていく。それから、雷門は沖縄の地で必死に汗をかいた。

 

 

 



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未完の究極

綱海との特訓の成果もあって、正義の鉄拳が完成させた円堂。

 

「何とか、間に合ったな。」

 

次の日、大海原中のグラウンドにイプシロンが現れた。だが、前より雰囲気が変わっている。デザームは、イプシロン改と名乗った。そして、今回のスタメンに綱海が出場する。瞳子は、ここ最近の綱海の吸収力の高さを買ったのかも知れない。そして、キックオフ。雷門ボールで始まった。吹雪にボールが渡り、1人で上がる。そして、エリア近くまで行く。そこから、必殺技を放った。だが、それをデザームにあっさり止められた。

 

「なん、、だと。」

「ふん、期待していたが。やはり、所詮この程度であったか。期待するだけ、無駄だったな。もう貴様は、眼中にないわ。」

「何!!。」

 

そして、デザームは、FWの選手にパスを出す。そして、必殺技を放ってきた。円堂は、今までとは違う構えをとる。

 

「正義の鉄拳。」

「何!。」

 

究極奥義が、炸裂。見事、シュートを弾いた。その後、パスで吹雪に渡るが、単独で突っ込む。

 

「止まれ、吹雪。」

「ち、完全に我を見失ってやがる。」

 

そして、焦燥に刈られた吹雪はエターナルブリザードを放った。それに対して、デザームは必殺技なしの片手キャッチ止める。その瞬間、吹雪の中の何かが壊れた。

 

(士郎でも必要ない、アツヤでも必要ない。じゃあ、、、、僕は、、、俺は一体、何なんだぁ!!!。)

 

そして、吹雪は魂が抜かれたように尻餅をつく。プレーが止まり、皆が吹雪に集まる。

 

「吹雪、おい、吹雪。」

「、、、、。」

(ち、完全に壊れたな。まもちゃんの声すら届いてねぇ。)

 

吹雪は、抱えられてベンチに戻る。それから、デザームが守備の変更を申し立てた。

 

「審判、私とFWポジションを変更する。」

「「「?!。」」」

その事に、雷門のメンバーは驚愕する。

 

「お前、FW出来んのか。」

「ふ、私は元々FWが、本職だ。」

「へぇ、舐められたもんだな。俺に決められた時も、心の中で笑ってたのか。」

「はて?どうかな。」

 

イプシロン改からボールで試合再開。デザームの動きは、中々ものだった。山城とは無理に勝負せず、パスを織り交ぜてかわす。

 

「ち、面倒なことしやがる。」

「おっと、お前は俺らと遊んで貰おうか。」

「そうそう、試合が終わるまでね。」

「またかよ。」

 

山城は、またダブルチームを仕掛けられていた。そうしてる間に、デザームはどんどん上がって、エリア近くでシュート体制に。

 

「これが、私のシュートだ。グングニル。」

 

シュートが、一本の矢が円堂を襲う。

 

「正義の鉄拳。ぐわぁ。」

 

究極奥義の拳は、一本の矢により貫かれた。先制された雷門、その後、何とか攻めるが敵の力が上回っているため、中々形にならず。敵にボールを奪われる。そして、デザームに渡る。

 

「追加点いただく。グングニル。」

「「させるか。」ッス。」

 

壁山と塔子のディフェンス技でシュートの威力を弱める。そして、円堂は正義の鉄拳を発動するが、コースを変えるだけで精一杯だった。ボールは、ポストに直撃しエンドラインを越える。そこで、ハーフタイムに入る。

 

「命拾いしたな。後半で止めを刺す。」

「じゃあね、また遊ぼ。」

「ち、やべーな。」

 

ハーフタイム中、少し雰囲気が暗かった。特に、円堂は究極奥義が破られたことで、祖父の技に不安を抱く。そこに、立向居が近づいて来た。

 

「円堂さん、ちょっと良いですか。」

「ああ。なんだ、立向居。」

「何か、正義の鉄拳が弱々しく見えて、ライオンでも子供を見ているような。すいません、生意気言って。」

「いや、ありがとう。少し、考えてみるよ。」

「はい、頑張って下さい。」

 

師弟の会話とは、別に怪物と天才と監督の会話に移る。

 

「このままじゃ、前半と同じだな。」

「どうする、円堂君をどこかのポジションにおいて、三人技で行くか。」

「いや、そのままでは、守備が大きくダウンしてしまうわ。」

「ここは、何とか防いで俺がゾーンを使う。」

「持つのか、この環境と相手のダブルチームで相当参ってるんじゃないか。」

「けど、それで行くしか無さそうね。」

 

こうして、苦しい後半が始まる。「究極奥義に完成なし」という祖父の言葉に疑問感じてる円堂。覚悟を決めた参謀と怪物。覚悟と作戦が、鍵を握る。そして、キックオフの笛がなった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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復活の炎

後半、イプシロン改ボール。やはり、山城の封じは、再び行われる。

 

「また、苦しんで貰うぜ。」

「このまま、最後まで相手して貰うよ。」

「たく、ただでさえあちーのに、お前らも飽きねーな。」

「は、なんとでも言え。」

 

そのうちに、デザームは、エリア近くまで来た。そして、シュート体制に入る。

 

「雷門よ、これで終わりだ。グングニル。」

 

先程同様に、デザームは、必殺技を放った。円堂は、立向居と綱海の言葉から祖父のノートの「究極奥義に完成なし」の意味に気づく。

 

「そうか、そう言うことかじいちゃん。究極奥義に完成なしってことは、一生完成しないってことじゃなくて、ライオンの子供が大人に成長するようにこの技も進化し続けるってことなんだよな。」

 

そして、円堂の正義の鉄拳は、見事進化を果たして、グングニルを弾く。そして、そのボールを貰った塔子は、鬼道に渡す。

 

「ふ、きみが動けない限り、点を取れないよ。」

「お前らは、どっちにしろ試合終了だ。」

「フー、今しかねーか。」

「何の話、?!。」

「奴は?。」

 

二人は、山城を見失った。怪物の本気が、発動された。マークを外し、フリーになる。

 

「山城。」

 

鬼道からのパスが、怪物に渡った。

 

「ナイスパス、ゆうちゃん。」

「行かせん。ここで、貴様を倒す。」

「悪いな、今の俺には、誰も眼中にねーよ。」

「な、」

 

その光の如く駆けるドリブルは、レベルの上がったイプシロンのメンバーでも追い付けない。MFを抜いた後、そのまま山城は左足を振り抜いた。そして、DF陣の横通り抜け、キーパーに加速する。

 

「くそ、ワームホール。ぐわぁ。」

 

怪物の一撃を許す。雷門に同点の点が入る。雷門ベンチは、歓喜が沸く。イプシロン改は、絶望する。そして、鬼道とハイタッチする山城。

 

「さすがだな。」

「ああ、次で決めよう。」

 

試合再開し、怪物がその光の速度で、デザームに迫る。デザームは、パスを出せず、一対一になる。

 

「く、山城おおお。」

「うるせーな、自力で抜いてみな。」

 

そこから、デザームは、色々とフェイントを重ねるが、目の前の怪物は、つられなかった。

 

「残念だったな。チームのレベルを上げても、この程度だ。」

「くそ、」

 

ボールを奪った怪物は、先程と同じくドリブルで上がる。イプシロン改のメンバーは、目が慣れたのか、詰めてきた。だが、それは怪物の前では無意味だった。そして、全てを抜き去った山城は、キーパーと一対一になる。キーパーは、早めに構える。山城は、右足に渾身の力溜めて、ボールに叩き込んだ。蹴られたボールは、キーパーごと、ゴールへ突き刺さった。これで、勝ち越しになる。

 

「よっしゃ、、、勝ち越し。」

「ああ、よくやった。」

「すまねぇ、、、後、、、、頼む。」

「ああ、任せろ。」

 

そして、山城のゾーンが切れる。勝ち越しに成功した雷門だが、デザームは黙ってなかった。

 

「ふ、怪物はもうまともにやれんな。ここで、止めを刺す。」

 

試合が、再開するとデザームは今までと攻めを変えて、ドリブルで上がる。誰も、相手に出来ず円堂と一対一。

 

「こい、正義の鉄拳。」

「ふ、私もさらに上に行こう。グングニル。」

 

今までと威力が、違う。円堂の正義の鉄拳が、破られた。同点に追い付かれる。

 

「山城は、先程の力は出せない。これで、貴様達に点をとる。手段がない、貴様らの最後だ。」

「は、同点になっただけで、偉そうだな。」

「ああ、貴様ももうまともに動けまい。なら、我々は最後まで、雷門を全力で叩きのめす。」

 

試合再開、山城がボールを持つ。そして、デザームを含め三人が詰めてくる。

 

「終わりだ、山城。」

「うるせー、最後は俺らが勝つ。」

 

山城の考えを察した、鬼道。

 

「待て、山城。それ以上は、お前の体が持たないぞ。」

「悪いな、やっぱり負けたくねーんだよ。」

 

山城から再び威圧感が、生まれた。デザーム達は、警戒する。

 

「お前ら、めでてーな。俺の本気、二回も見れるなんてな。」

「く、くたばれえええええ。」

「邪魔だ。」「「「ぐわぁ。。」」」

 

三人をまとめてぶっ飛ばした山城。そのまま、突っ込む。だが、MF陣を向かえてから、キレが悪くなる。

 

「はあ、、、はぁ、、、後少し。」

「「死に損ないが、。」」「ぐっ?!」

 

DFの二人が、山城にタックルでぶつかる。だが、怪物は、動く。

 

「ぐっ、どけえええ。」「「うわああ。」

 

DF陣の二人をぶっ飛ばした山城、キーパー一対一になる。シュート体勢に入り、全てを注ぎこんだ。

 

「行けえええええ。」

 

放たれたシュートをキーパーは、シュート技の必殺技を使い耐える。

 

「うぉおおお。ぐわぁ。」

 

キーパーの技を破っただが、シュートはバーに直撃してラインを越えた。

 

「うそだろ。」ガクッバタ

「山城おおお。」

 

限界の山城、遂に倒れる。鬼道が、山城に寄る。遂に、雷門の望みが消えた。だが、雷門は諦めなかった。

 

「絶対、勝つぞ。」「「「おおお。」」

「ふ、面白い。」

 

イプシロン改との絶望のクライマックス向かえる。雷門だが、先程外へ出たボールが中へ戻って来た。すると、入り口から1人のフードの男が歩いてきた。

 

「あいつは、。」「来たか。」

 

そして、フード取った。その男、雷門のエースにして、炎のストライカー 豪炎寺。

 

「待たせたな。」

「っ。いつもいつも遅いんだよ。」

「豪炎寺さんが、帰ってきたッス!!。」

 

雷門のメンバーは、全員が歓喜する。そして、豪炎寺と山城の交代が告げられる。

 

「豪炎寺、要注意人物。審判、ポジションチェンジだ。」

 

こうして、雷門の得点力が戻る。そして、やはり豪炎寺にマークを着けたイプシロン改。だが、ここで、天才が動く。

 

「豪炎寺。」

鬼道のパスは、マークの付いてる豪炎寺に。誰もが、取られると思ったパスは、カーブを描き、マークを振り払った豪炎寺の足元にドンピシャに収まる。キーパーと一対一になる。

 

「こい、貴様の力見せてみろ。ドリルスマッシャー。」

「爆熱ストーム。」

「ぐっ?!なんだ、この力は。ぐわぁ。」

 

新しい技と共に、強くなって戻って来た豪炎寺。そのシュートが、決まった途端、試合終了の笛がなる。雷門が、見事に勝ちを得た。その瞬間、皆が豪炎寺によって喜びを分かち合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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新たな敵

試合終了すると、イプシロン改は絶望する。そこへ、円堂はデザームに握手を求めた。最初は、拒んだデザームだが、その手を取ろうとする。だが、二人の間に青い色のボールが横切り、二人を離した。

 

「ファーストランク イプシロン、負けたな。」

「ガ、ガゼル様。」

「お前らは、追放だ。」

「な、なんだよそれ。」

「やめろ、円堂。」

 

何か受け入れたような表情をするデザーム。そして、ガゼルのボールと共にイプシロンは消えた。それを見て、ガゼルを見ると、ガゼルも居なくなっていた。そして、彼らは、近いうちに対戦しに来るらしい。新たなる敵の出現、しかもグランのチームと同じマスターランク。次の対戦に覚悟を決める雷門。その後、豪炎寺を向かえる。

 

「瞳子監督、ありがとうございます。」

「「「?」」

 

皆が、不思議に思った。一緒に来た鬼瓦刑事に聞くと、豪炎寺は、ジェミニストームとの時、妹を人質に取られいたことを話した。そして、今は、妹の安全も確保されたから自由になったらしい。豪炎寺は、遂に復活を果たした。

 

「お帰り、豪炎寺。どうだ、今の雷門は。」

「ああ、最高だ。」

 

皆が喜んだ。そして、豪炎寺は、ある男の前に行く。寝転んでいる山城である。

 

「結構、無茶したな山城。お前にしては、珍しいな。」

「ああ、負けたくなかったからな。このチーム勝たせたくてな。」

「ありがとう。俺がいない間、このチームを支えてくれて。」

「礼なら、染岡と吹雪に言え。俺は、あくまで手貸しただけだ。」

「そうか、吹雪。ありがとう。」

「うん、どういたしまして。」

「よーし、豪炎寺が戻って来たことだし。みんなで、カレーパーティーだ。」

「「「おおお。。」」

 

その後、豪炎寺の復帰のカレーパーティーは、小暮のいたずらが見事失敗する。

 

「良いなぁ、旨そう。」

「しょうがないでしょ。君は、無茶して体痛めたんだから。」

「はぁ、結局点入んなかったし、頑張り損かぁ。」

「でも、同点は、あなたのおかげよ。助かったわ。」

「そうですか。てか、何で監督ここに居るんですか?。みんなのところ行けば、良いじゃないですか。」

「良いのよ。私がいたら、気が休まらないじゃない。それに、誰かさんがどっか行って変なことするかもしれないしね。」

「そんなに、信用されてないですか。」

「まぁ、今までの行いからするとね。」

「そうですか。」

 

そんな二人の風景を、見ていたマネージャーズ。

 

「前から思ってましたけど、やっぱり監督と山城さん距離近くないですか。」

「確かに。まるで、恋人みたい。」

「そうね、いつも大抵二人のペアが、多いわね。」

「でも、中学生と大人の女性の恋って。」

「「「キャー。ロマンチック。」」

 

盛り上がるマネージャー達、誰も触れなかった。山城も何か、騒いでるなという印象だった。数日後、雷門は東京に戻る。取り敢えず、東京に戻る。そして、旅の報告と、それぞれの休息に入る。山城は、病院に行く。診断を受けて様子を見るそうだ。円堂、雷門中メンバーは、病院のメンバーに合いに行った。みんなで、元気にしてたそうだ。そして、豪炎寺の復活に喜んだ染岡と屋上に上がった。円堂、豪炎寺、鬼道、染岡は、吹雪のことで話し合った。彼が、雷門のエースとして戦って、潰れしまったこと。近くの怪物の存在に、焦っていたこと。そして、吹雪を見守って行こうという話になった。次の日、診断結果が出た山城。軽症だが、当分は動くことを禁止された。なので、練習は、見学なのだが。

 

「なあ、マネージャー達。何で、俺は、拘束されてんだ。」

「え、変ですか。」

「どこも、おかしくないわよ。」

「そうね、どこも変じゃないわよ。」

「お前ら、マジか。十人中十人が、変って言うぞ。」

「しょうがないじゃない。山城君は、監督命令でどこにも行かせないようにしなくちゃいけないんだから。」

「それに、キャプテンとお兄ちゃんにも確認取ったし大丈夫です。」

「はぁ、マジで自由ねーな。」

 

こうして、数日は大人しくする山城。散歩も、誰か付いて来ると思い、それも控えた。そして、運動を解禁される。だが、軽めのストレッチとランニングだけである。

 

「あー、暇。」

「文句言わない。もう少しで動けるだから、我慢しなさい。」

「何で、監督いるんですか?チームの練習は?。」

「それは、鬼道君と円堂が、中心決めてるわ。それに、あなたを野放しする方が不味いわ。ここいらで、躾ないと。」

「ペットじゃないんですから。勘弁してください。」

「嫌よ。」

「ええええ。」

 

それからの数日間は、監督が監視するようになった。しょげる山城に喜んでいる瞳子。それを見ていたマネージャー達は、とても和やか気持ちになった。そして、遂に完全OKが認められた。山城は、早速ボールを蹴っていた。すると、後ろから円堂達が現れて山城は、また地獄の対人がはじまる。

 

「なぁ、病み上がりだから勘弁して。」

「いや、お前に取っては良いリハビリなるだろう。」

「大丈夫ですよ。そんなに、厳しいことはしません。」

「そうだな。少し、相手してもらうだけだ。」

「先生、久しぶりに相手してくれよ。」

「また、サッカー教えてくれ。」

「よし、一平。サッカーやろうぜ。」

 

誰1人として手を抜くことは、なかった。そして、見事に雑巾なる山城。だが、彼のおかげか、チームのプレーがまた1つ上がった。それから数日後、フットボールフロンティアのスタジアムで待つと宣戦布告された。そして、到着すると、上から青いボールが降りてきて、ガゼルとそのチームが現れる。

 

「さあ、お前達に凍てつく氷の冷たさを教えてやる。このダイヤモンドダストがな。」

 

マスターランクの実力にどれだけ付いていけるか。自分たちの現在地を知るための試合が、始まる。

 

 

 

 

 

 

 



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氷の戦士達

雷門ボールからキックオフ。豪炎寺と共に上がる山城。

 

「おい、しっかり付いてこいよ。トロトロしてたら、置いてくぞ。」

「ふ、もう遅れはとらんさ。お前こそ、無理して怪我なんてするなよ。」

「は、言ってろ。」

 

二人のストライカーが、上がる。連携のコンビネーションは、意外に良かった。

 

「ふ、意外だな。エースストライカー同士だから、連携は壊滅的かと心配したが。これなら、何とかなるか。」「楽しそうだな、鬼道。」

「一之瀬、これ程楽しいものは、ないだろ。」

「そうだな。俺たちも置いてかれないようにしなきゃな。」

 

二人の中核は、笑みをこぼす。そうしてる間に、二人はエリア近くに入る。そして、ボールを貰った山城は、左足でシュートを放つ。

 

「まず、1点。」

「ふん、アイスブロック。」

 

 

シュートは、相手のキーパーの手に収まる。やはりマスターランクは、伊達ではないということだろう。雷門の誰もが、そう感じた。

 

「ふ、さすがに肝を冷やした。だが、ここまでだな。」

 

ダイヤモンドダストのカウンターが、始まる。ガゼルを中心に攻め上がる。そして、前線のガゼルに渡る。

 

「ふ、凍てつく闇を教えてやる。ノーザンインパクト。」

 

蹴り出されたシュートは、とてつもない冷気を纏い、円堂のいるゴールへ。雷門のDF陣が、その前に立ち、それぞれの技を出す。だが、それを意図も簡単破壊した。

 

「正義の鉄拳。ぐわぁ。」

 

正義の鉄拳は、破られ、ゴールに突き刺さった。先制された。だが、その事に驚きはなかった。雷門イレブンは、相手の分析に入れるほど、強くなった。

 

「大丈夫か、派手にやられたな。」

「ああ、だが、究極奥義に完成なしだな。次は、止める。一平、点は頼むぞ。」

「ああ、任せろ。」

 

試合が再開し、ツートップで攻める雷門。敵も警戒する。

 

「さすがだな。だが、隙だらけだぜ。豪炎寺。」

「お、ナイスパス。(意外パスも上手いんだな。)」

 

こうして、互いにドリブルとワンタッチパスで再び、前線に山城が、ボールを持つ。そのまま、シュート体勢に。

 

「さて、点はいただくぜ。」

「ふん、同じことアイスブロック。」

「そうだな。だから変える、豪炎寺。」

 

バックパスで豪炎寺に渡す。その行為に、ダイヤモンドダストは、驚く。データと聞かされてた話が、違った。そのまま、豪炎寺は、自身の最高の技を叩き込む。

 

 

「爆熱ストーム。」

「く、アイス、ぐわぁ。」

 

勿論、必殺技が間に合う分けもなく同点を許す。山城は、ガゼルと会話する。

 

「ふ、自分で打たないのか。やはり、警戒に値しないな。」

「はは、何言ってんだ。同点になってるのに、マスターランクが、笑わせんな。」

「何。」

「安心しろ。次は、お望み通り決めてやるよ。ま、その頃には終わってるだろ。」

「楽しみだな。」

 

試合が再開し、ガゼルがボールを持つ。そして、山城が相手する。

 

「腰抜け、用はない。」

「おもしれぇ、かかってきな。」

「ふ、良いだろう。行くぞ。」

 

一対一の勝負、ガゼルは持ち前のスピードで振り切ろうとする。だが、怪物の広域の守備範囲。加えて、ガゼルの性格からパスを出すことはない。だからこそ、怪物に勝つことはない。

 

「く、抜けられない。」

「なんだ、その程度かよ。」

「な。」

 

ボールを奪った山城。それから、ガゼルも追い付く。

 

「行かせん、貴様を止めて雷門に勝つ。」

「そうかい。だから、その程度なんだよ。」

 

山城は、ガゼルを抜く。そのまま、単独で攻める。そして、次々に抜いてキーパーと一対一に。

 

「今度は、俺が決める。ハアアア。」

「アイスブロック。ぐわぁ。」

 

そして、敵の必殺技を敵ごとぶっ飛ばした。そして、2点目が入る。

 

「今日は、こんなもんか。まあまあだな。」

「何言ってんだ。1人で点をもぎ取って。」

「そうだな。まったく、お前は無茶苦茶だな。」

 

三人でハイタッチする。打って変わって、ダイヤモンドダスト、勝ち越されて絶望する。

 

 

「我々が、勝ち越された。」

「このまま敗北か。」

「皆、戦術を変える。そして、認めよう奴らは強い。」

「「「は、。」」」

 

こうして、気合いの入ったダイヤモンドダスト。その後、戦術を変えて山城を封じる方針に。それが、功を奏し、優勢に進め、ガゼルのノーザンインパクトで、点が入る。同点になる。その後、豪炎寺にもマークをしかれ、打つ手なしに。三人技で仕掛けることにした。だが、これが悪手に走る。円堂が、ゴールを開けるという弱点が判明し、シュートを仕掛ける途中でボールを奪われる回数が多くなり、その度に綱海達、DF陣が体を張ることになった。そして、終了間際にボール弾いた。そこで、前半を終える。すると、突然ボールが帰ってきた。さらに、ボールを蹴った本人が、現れる。かつて、神と名乗り、怪物と共に雷門に立ち塞がった男。

 

「何しに来たアフロディ。」

「やあ、久しぶりだね。我が最強。」

 

この男が、参入することでこの試合は、大きく変わるのだった。

 



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神の懇願

「一体、どういうことだ。アフロディ。それに、俺はもう最強じゃねぇよ。」

「ふふ、君らしい。僕は、力に溺れて神と名乗っていた自分を正気に戻してくれた。君たちに、恩返しがしたいんだ。」

 

アフロディの口から出たお願い。だが、雷門のほとんどのメンバーは、アフロディのやってきたことに不満があり、メンバー入りを拒否する。

 

「影山の下で、悪事働いたお前を信用何かできるか。」

「そうだ、どうせ、また何か企んでるんだろ。」

「違う。本当に、君たちの力になりたいんだ。」

 

話は、平行線を辿るが、雷門のキャプテンである円堂が成長したキャプテンとしての腕を見せる。

 

「いい加減にしろお前達、過去がどうあれ、力を貸してくれる奴がいるんだ。嬉しいことじゃないか。」

「円堂。」「キャプテン。」

「ありがとう、円堂君。」

 

こうして、話が纏まる。そして、アフロディが入る。代わりに山城が下がることになった。ベンチに戻ると、吹雪が話しかけてきた。

 

「山城君、良かったの?。きみのことだからもっと出るつもりかと思ったけど。」

「あー、そうしたかったけど、今までと違ってそんなに気合い入れる試合じゃねえからな。」

「そうなの?。」

「ああ、それに怪我明けだったからな。あんまり、無理して戦う利点がない。」

「そうなんだ。」

 

そう、会話してるベンチから試合に戻る。アフロディの加入に少し、ズレが生まれたが、鬼道がパスを出したことで、修正することができた。そして、アフロディにボールが渡る。

 

「今の僕の力見せてあげる。ゴットノウズ。」

「アイスブロック。ぐわぁ。」

 

アフロディのシュートが決まる。雷門が、勝ち越しに成功。その後も何とか形を作る。だが、向こうの力業が多くなりボールを奪われる。そして、ガゼルに渡る。そのまま、必殺技を打たれる。防ぐことが、出来ずゴールに吸い込まれた。同点になる。そして、時間少ないため、再び三人技に挑戦するが、また奪われる。ガゼルが、ボールを貰い、シュートに移ろうとするが、アフロディのカバーにより時間稼ぐことができた。だが、すぐに抜かれ、シュートを放たれる。円堂も応戦に移るが。

 

「円堂、駄目だエリア外だ。ハンドになるぞ。」

「?!。うぉおおお。」

「!。」

 

円堂は、すぐ手を引っ込めて、頭で弾き返す。すると、円堂の額から拳が生まれ、シュートをフィールド外に弾き飛ばした。その後、笛が鳴り響き、試合を終える。ダイヤモンドダストのメンバーは、消えて行った。試合後、正式にアフロディの加入が、決定する。

 

「よろしく、これからは、君たちのためにこの力を使うよ。」

「ふ、そうか。お前ともまたサッカーするんだな。楽しみしてるぞ。」

「ああ、僕もきみとまたサッカーできるということに、喜びを感じてるよ。今度は、僕がきみを追いかけるからね。」

「追い付けるなら、追い付いてみろ。気ぃ抜くと、あっさり置いてくからな。」

「うん、頑張らせてもらうよ。」

 

そして、チームメイト同士で会話してると瞳子から驚愕の発言が来る。

 

「このチームは、さらに上に行く必要があります。なので、まず円堂くん。」

「はい。」

「貴方は、キーパーをやめなさい。」

「「「?!。」」」

「どういうことですか。」

「言葉通りの意味よ。」

「おい、それじゃあわかんねぇだろうが。ちゃんと、説明やれよ。」

「山城、お前は、何か知ってるのか。」

「代々、なにしたいのか。察しては、いる。けど、俺が説明したら意味がねぇ。監督のあんたが、説明しろ。」

「!ごめんなさい、言葉が足りなかったわね。円堂君、貴方には、DFになって貰います。」

「どうして、DFを?。」

「そうか、山城。そういうことか。」

「何が、分かったんだ。鬼道。」

「良いか、今日の試合、三人技を使用する時、お前は、ゴールを空けなきゃいけなかった。だが、本来のキーパーは、ゴールを空けてはいけない。」

「そうか、だからDFに。」

「そうだ。つまり、お前はリベロになるんだ。」

 

そうして、円堂はこれからの試合ため、DFに転向することを決める。そして、代わりにキーパーを勤める立向居に激励をした。立向居は、それを確かに受け取った。それから、フィールドプレーヤーの練習をする円堂。だが、なかなかキーパーの癖が抜けずに苦戦する。立向居の方は、究極奥義のムゲンザハンドに挑戦中。綱海にパワー系のシュートを放ってもらう。皆が、頑張って練習するなか、山城は1人別メニューをこなす。やはり、怪我明けということもあり、前回の試合の感覚を少しずつ試しながら。練習をする。その途中、アフロディと会話することに。

 

「相変わらず、無茶したそうだね。体の調子は、問題なかったのかい?。」

「ああ、問題ねぇ。今は、特に違和感はねぇな。」

「そうか、それは良かった。1つ気になるけど、彼は練習しないのかな。」

「ん?。」

 

アフロディは、吹雪を指差す。

 

「ああ、あいつはほっとけ。今、自分と戦ってる。」

「自分と、、何かアドバイスしようかな。」

「止めとけ。あいつもエースストライカーだ。もし、今アドバイスすると、余計に沼るぞ。」

「だけど、このままだと、彼は、ずっと嵌まるよ。」

「良いんだ。今を乗り越えるのは、あいつ自身の力だ。自分からアドバイスを求める位じゃないと、あいつはずっと変わらない。」

「厳しいね。君は、相変わらずだな。」

「当たり前だ。エースを名乗る。完璧を目指すなら、ここで躓いてる場合じゃない。俺は、トロトロしてる奴を待つほど、暇じゃねぇ。」

 

そして、山城はどこかに行く。アフロディは、その背中にかつての頼もしさを感じ、練習に戻る。それから、数日後、円堂は何とか形にした。そこで、鬼道からある提案をする。

 

 

 



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新しい技

「円堂、デスゾーンを打ってみないか。」

「デスゾーンって、あの帝国の?。」

「そうだ。技の種類を増やすには、丁度良い。幸い、このチームは、元帝国の選手がいるからな。」

「よし、やるか。あと1人は、どうするんだ?」

「もう1人は、土門だ。あいつはDFだが、連携を取ることに長けている。」

「そうか。ん?あれ、一平は?。」

「山城か。奴は、悪くないんだが、連携を取ることが余り上手くない。だから、今回は別件を頼んでいる。」

「そうなのか、豪炎寺と良い連携してると思ったんだけどな。」

「あれは、単純に空いたタイミングでパスを出してるだけだから、上手く嵌まったんだ。」

「なるほどな。よし、土門を読んで練習だ。」

 

その後、土門と鬼道と共に練習する円堂。まずは、タイミングを揃える練習をする。勿論、一発で決まるわけがなかった。鬼道は、流石の正面にボールがある。土門は、左に、円堂に関しては、真後ろ。当分は、長い戦いになりそうだ。一方変わって、立向居組。ムゲンザハンドの練習に勤しんでるが、何せ円堂の祖父が、書いたもの。まあ、擬音語のオンパレード。こちらも苦戦している。唯一の救いは、立向居も少し分かること位だ。綱海にシュートを打って貰っている。

 

「ムゲンザハンド、ぐわぁ。」

「中々、上手く行かないな。」

「けど、何かあと少しなんです。もう、一本お願いします。」

「おっしゃあ、いくぜ。」

 

そして、他のメンバーは、アフロディと共に連携の練習をしていた。こちらは、中々上手く形になっているそうだ。残った、山城は、1人別メニューだった。やることは、体力を上げるランメニューが主である。しかも、ボールに基本触れさせて貰えてない。

 

「ふー、流石にキチーな。ずっと、ランメニューでボールも触れない。中々、これは精神に来るな。」

「じゃあ、次行きます。」

「待て、音無。一旦、待って、お願い。」

「そうですか。はい、3,2,1スタート。」

「くそ、鬼、悪魔。」

 

山城は、音無の監視の下で練習させられてる。気づいたら、どこかに消えるため、ずっと、グラウンドの周りを走らされてる。こうして、それぞれが頑張る。数日後、それぞれで、変化が生まれる。デスゾーン組は、タイミングが、揃い始めた。立向居組は、あと一歩で、迷走していた。アフロディ組は、連携のズレが修正できている。そして、残りの山城は。

 

「あああああああ、ボール蹴らせろぉ。ランメニュー飽きたぁ。」

「そうも行かないわ。貴方は、このチームの柱なんだから。まぁ、頑張ってる。ご褒美を挙げようかしら。」

「何々、ボール蹴れんの。やったぁ。」

「勿論、条件あるわよ。」

「ボール蹴れるなら何でも良い。なにするの?。」

「もう、ため口なのね。良いでしょう、付いてきなさい。」

そうして、山城は、瞳子に連れてかれる。そして、その場所につく。

 

「さあ、目一杯ボールを蹴って良いわよ。」

「確かに、ボールを一杯蹴れる。けど、まさか、DFと立向居を相手にやるとはな。」

「山城さん、よろしくお願いします。」

「先生、俺の実力見てくれよ。」

「山城、今日こそ、お前を止めてやる。」

「うー、やっぱり、山城さん。おっかないっす。」

「なあ、山城。また、お前のプレー見せてくれよ。」

「さあ、どうぞ。」

「鬼、鬼畜、悪魔、貰い手無し。」

「そんなに元気なら、明日からメニュー増やそうかしら(怒)」

「分かりました。頑張ります。ち、お前ら、ただですむと思うなよ。」

 

そして、威圧感をゾーン近くまで引き出し、メンバーに加速していく。それから数時間、息つくメンバー、そして、地面に寝っ転がる山城。

 

「やった。初めて、山城を止めた。」

「ふー、やっぱり山城さんは化け物っす。」

「先生に、何とか付いてけた。」

「やっぱり、山城は、最高だな。」

「これでも、駄目か。だけど、何か見えてきた気がする。ありがとうございます。山城さん。」

「はぁ、、、、はぁ、、流石にランの後は、死ぬ。二度と、監督の誘いに乗らん。」

 

こうして、濃厚な1日を終えた。

 

 



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かつての学舎

数時間の特訓により、あと一歩まで来た円堂達。しかし、そこから上手くいかず、進展しない。そこで、鬼道は、ある提案をする。

 

「やはり、完成のヒントは、あそこにあるか。」

「あそこ?。」「どこだ?。」

「帝国だ。」「?!。」

 

そして、帝国に連絡を取って了承を得た。いざ、帝国へと思ったが、山城は、今回の帝国との合同練習に不参加を申し出た。

 

「一平行かないのか。」

「ああ、あそこに俺の居場所はない。鬼道と違って、自分の欲を優先にして、出てったからな。頑張った奴らの門をくぐる訳に行かない。」

「そうか。だが、流石にお前を1人を残させるわけには、。」

「そうね、山城君。貴方には、今回の合同練習には参加して貰います。」

「はぁ、だけど向こうに行ったら、別行動させてくれ。」

「おい、山城。流石にそれは。」

「、、、、。分かりました。今回は、特別に認めます。」

「ありがとうございます。」

 

少し不穏な雰囲気のまま雷門は、帝国に向かった。帝国に着くと、相変わらずの凄みに圧倒される。すると、帝国のサブの選手が迎えに来て、控室に案内される。久しぶりの帝国のフィールドに思いを馳せる鬼道。そこに、帝国の一軍メンバーがやって来た。

 

「鬼道久しぶりだな。」

「源田、それにお前らも。今日は、無理言ってすまない。」

「かまわない。もう一度、お前とサッカー出来るからな。」

「ふ、ありがたいな。」

 

そして、鬼道が本当に帝国と和解した。源田は、もう1人の人物を探した。

 

「鬼道、山城は?。」

「あいつも来る。だが、今回の練習とは、別行動らしい。」

「あいつ、どこまでも勝手な。」

「だが、あいつなりのけじめかもしれん。」

「そうか、伝えて置いてくれ。次は、俺ら帝国が敗けを教えてやると。」

「ああ、確かに受け取った。」

 

こうして、鬼道と帝国のわだかまりが無くなった。一方で1人、帝国の総帥部屋に来た山城。総帥の部屋は、部屋は変わっているが、かつての面影も残っている。

 

「影山さん。あんた、サッカーを恨んでたのに、何で俺なんか帝国に呼んだんだ。あんたとのサッカーは、悪くなかった。本当は、サッカーのこと。」

 

怪物の独り言を答えるものは、いなかった。その後、合同練習が始まる。鬼道は、休憩時に佐久間と会話した。そして、見事にデスゾーンは形になる。そして、もう一段階行くため、鬼道は敢えてそれぞれのタイミングを蹴る。それが功を奏し、完成に持っていく。

 

 

「やったな、鬼道。」

「ああ、雷門のデスゾーンだ。」

 

そして、立向居も完成にあと一歩。それからそれぞれの班が、順調に進める。だが、二人止まっているものがいる。吹雪と山城だ。吹雪は、自信が沸かず、サッカーボールに恐怖する。山城は、新しい力を求めていた。今の所ゾーンで圧倒しているが、それを無し敵と渡り合える武器を探していた。豪炎寺や鬼道などとほぼ毎日相手してるが、それでも何か足らなかった。そして、いつも通りの体力メニュー1人やっていると、後ろから声を掛けられる。

 

「山城、ここに居たのか。」

「?佐久間か。何か用か。」

「少し、話さないか。」

「別に、構わねーけど。」

 

山城は、佐久間と話をするため手を休める。

 

「お前が練習何て、いつ以来だ。」

「まぁ、普通にサボることもあるけど、あいつらに引っ張られて。なんとなくだな。」

「そうか。山城、お前は力を欲したことあるのか。」

「まあ、無いわけじゃねーよ。」

「!そうなのか。お前ほどの男がか?。」

「当たり前だ。俺は、楽しみたいってのはあるが。同時に負けることは、同じくらい嫌なんだよ。だから、力を欲することは、たまにある。」

「そうか。だが、よく神のアクアとかの誘惑に勝てたな。」

「ああ、あれは、そもそも薬の強さには、限界があるからだ。それを見たから、手を出さなかった。」

「そこが、俺とお前の差か。」

「もう良いか。まだ、メニュー残ってるんだ。」

「ああ、悪い。ありがとうためになった。」

「そうか、じゃあな。」

 

山城は、またトレーニングに戻る。その後、サブグラウンドで1人、イメージトレーニングをドリブルしながら、行っていた。静かなその場所に、風が吹き抜ける音が続いた。そして、時間が経ち、合同練習中の雷門イレブンの前に、黒いサッカーボールが現れる。怪しい光からガゼルとバーンに加え、それぞれのチームの選手が現れる。

 

「雷門、俺たちと勝負しろ。」

「そして、我々が、新しい力 カオスだ。」

「俺たちも変わったんだ。負けないぞ。」

 

こうして、チームカオスとの試合が始まる。

 

 

 

 

 

 



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氷と炎

時をさかのぼる。場所、エリア学園マスターランクキャプテン会議室。そこに、グラン、ガゼル、バーンの三人と皇帝が揃う。

 

「本日をもって、チームガイアにジェネシスを授けます。」

「な、。」「そんな、。」

 

最強の称号ジェネシスが、決まった。皇帝とグランは、その場をあとにした。残った二名は、怒りからある思いつきをする。それは、二つのチームを合わせて、最強チームを作り、雷門を倒してジェネシスの座を奪う作戦である。そして、時は戻り現在。

 

「カオスの力見せてやる。」

「我々が、最強なのだ。」

 

こうして、カオスと試合することになった雷門。今日のスタメンに山城の名前は、なかった。

 

「おい、何で俺を外すんだ。」

「今の貴方は、今回のゲームに組み込めません。」

「ふざけんな!俺が、点取ってやるって言ってんだ!それに、ここまで得点したのは、俺だぞ。なのに、何で外すんだ。」

「今回は、貴方の力を必要としない。それだけよ。」

「ち、わかったよ。」

 

少し、ひと悶着あった雷門。そして、試合が始まる。最初は、敵の勢いに押されるが、鬼道の観察により敵の内部分裂の隙をついた。結果、新技のデスゾーン2を発動できた。そして、先制をする。その後バーンが、シュートを放つ。それに、立向居は、円堂の祖父のノートのヒントからムゲンザハンドを完成させ、見事に止める。そして、連携で繋ぎ、2点目を決めた。勢いに乗った雷門。だが、その亀裂に気づかない二人では、なかった。すると、ガゼルとバーンは、二人で上がる。そして、二人技のシュートを放つ。

 

「「ファイアブリザード。」」

「く、ムゲンザハンド。うわあ。」

 

カオス反撃の一点が入った。あまりの威力に、驚愕する雷門。

 

「これからが、本番だ。」「我らの力存分に思い知れ。」

「く、。」

 

その後、防戦の一方の雷門、アフロディのヘヴンズタイムも破られた。そして、前線の二人渡った。

 

「「ファイアブリザード。」」

「ムゲンザハンド。うわあ。」

 

カオスが、同点に追いつく。そして、前半終了。対策なく、ハーフタイムを終える。山城は、後半もベンチだった。皆が疑問に思ったが、後半を始めるのだった。

 

「なあ、この試合に俺の出場がないなら。サブグラウンド行かせてもらうぞ。」

「そんな、勝手だぞ。」

「そうですよ、試合に出ないからって。」

「良いわよ。」

「「「?!。」」

「それじゃあ、あと頑張れ。」

 

山城がベンチをあとにする様子を見た試合メンバー。

 

「な、一平の奴どこに行くんだ。」

「山城、戻れ。」

「、、、、、、。」

 

足を止めず、そのままグラウンドを後にする。山城の行動に驚愕するも試合を開始する。後半、アフロディが自己犠牲のボールキープをやって、チャンスを作る。そして、試合は、突然終わりを迎えた。

 

「ガゼル、バーン。ずいぶん勝手な真似してくれたね。」

「うるせぇ、俺は認めてねぇ。お前がジェネシスに選ばれるなんて。」

「!ガイアがジェネシスに。」

「だから、私達の力を皇帝に示す。」

「皇帝の決定に意義を唱えるのかい。とりあえず、このざまじゃ無理だね。帰るよ。」

「ち、。」「、、、。」

「ヒロト。」

「じゃあね、円堂。」

 

こうして、カオスと共にヒロトは、消えて行った。同時に、サブグラウンドで汗を流してた山城も今までの出来事を肌で感じていた。

 

「ふー、終わったか。さて、あいつらは勝ったかな。ま、今回の試合は、学校破壊に関係無いないしな。どうでも、良いか。それより、あと少しか。何とか、ものに出来そうだな。」

 

そして、練習を続ける。その後、合流する。試合内容を聞いた。アフロディを病院に連れていった。次の日、アフロディのお見舞いに行った。円堂、鬼道、豪炎寺、山城は、アフロディと話す。

 

「ふ、やはり神になれなかったかな。」

「いや、今回の試合は、あれが最良だろう。助かった。」

「体は、大丈夫か。アフロディ」

「ああ、幸い重くはない。だが、ここでリタイアだね。」

「ゆっくり休め、お前が、チームに貢献した分だけ、俺が暴れてやる。」

「君は、やっぱり頼もしいね。」

 

そして、五人が会話をしていると扉が開いて吹雪が来た。

 

「具合は、どうだい。」

「大丈夫だよ。」

「君のプレイに勇気を貰った。僕も頑張ってみるよ。」

「ああ、頑張れ。」

 

そのまま、吹雪はその場を後にした。それを見ていたアフロディは、吹雪の不安定な状態を心配する。

 

「大丈夫かな彼。また、背負い込まなきゃ良いけど。」

「この間も言ったろ、吹雪の問題はあいつ自身が解決しなきゃいけない。」

「もし、何かあったら、神の力を越えた君の力を貸してくれないかな。」

「俺は、神でも何でもない。奴の問題を、簡単には出来ねぇ。あいつが、来ない限り手は出さない。」

「頼んだ。」

 

こうして、カオスとの一戦を終える。そして、いよいよ最終決戦が、近づいている。

 

 

 

 



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黒幕

カオスとの試合を終えた雷門。そして、エイリア学園の黒幕を知ることになる。黒幕は、吉良星二郎。吉良監督の父で吉良財閥のトップ。そのことが分かり、監督と選手間で亀裂が生まれた。そして、一度解散し3日後集合することになったが、チームはここに来てまた問題にぶつかる。それぞれが、時間を潰す。気持ちの整理をするもの、目の前の敵を倒すことに集中するもの。もちろん、円堂などの監督を信じることにしているメンバーは、後者である。場所は、河川敷のサッカーグラウンドに1人立つ吹雪。

 

「ふー、っ。エターナルブリザード。」

 

吹雪のエターナルブリザードは、途中で威力を失い、ゴールのバーに当たる。1人で練習する吹雪、そこへ1人近づくものが。

 

「やってるな吹雪。出発前の自主練習とは感心だな。」

「豪炎寺くん。僕は、皆に出遅れてるんだ。だから、少しでも追いつかないと。」

「そうか、練習付き合うぞ。」

「!ありがとう。」

 

そして、二人のストライカーは練習する。だが、天気が悪くなりそう長くは続かなかった。雨宿りする二人。

 

「降ってきたな。これは、荒れそうだな。」

「そうだね。」

 

そして、突然の雷に驚く二人。豪炎寺は、吹雪を心配して目をやると、本人は小さく疼くまっていた。

 

「!大丈夫か、吹雪。」

「、、、なる。みんな、僕を置いて居なくなる。怖い、、、1人にしないで。」

「大丈夫だ。誰もお前を1人にしない。しっかりしろ。」

 

弱気になる吹雪を励ます豪炎寺。だが、次の吹雪の一言で態度を変える。

 

「完璧にならなきゃ。そうすれば、誰も居なくならない。」

「!それは、違う!。」「?!。」

「この世に完璧な人間は、いない。」

「良いよね。君や山城くんは、完璧で。」

「っ。どうやら、俺は、お前を買いかぶり過ぎたみたいだな。」「え?。」

 

そして、雨が止むのを確認した豪炎寺は吹雪をその場に残し、歩き始めた。

 

「吹雪、俺は完璧じゃない。そして、あいつもだ。じゃあな。」

「待って、1人にしないでよおぉぉ。」

 

その場に残された吹雪は、また1人悩みの中に。場所が、変わりイナビカリ修練場。音無は、小暮が練習していることに感心する。

 

「小暮くんは、練習してるんだね。」

「当たり前だよ。だって、敵は強いんだから少しでも強くならなきゃ。」

「そっか、偉いね。」

「ふ、だけど先客が居たよ。奥見てきな。」

 

そして、音無は、言われた通り奥に進んで行くと、音がして見ると、山城が1人コンピューター相手に練習をしていた。

 

「山城さん!!あの人も来てたの。」

「そうだよ。先生俺より先に来てずっとああやってる。」

「凄い気迫。これ以上進めない。」

「凄いよね。俺も声を掛けようとしたけど、おんなじ。全然入れないよ。」

 

二人が、山城の練習を見ていると。

 

「おい、そこの二人見てないで入ってこいよ。」

「「?!。」」

 

本人に気づかれ、驚く二人。そして、部屋に入る。

 

「山城さん、お疲れ様です。凄い気迫ですね。」

「先生、俺ら全然近づけなかった。」

「ふーん。で、何か用か。」

「あっさりしてる。山城さんは、今回の監督のことはどう思ってるのかと。」

「監督?別に、特には。」

「敵に情報送ってるのかも知れないんですよ。不安は、ないんですか。」

「そうだよ。スパイしてたかも知れないんだよ。」

「ふー、別に気にするな。監督が、敵かどうかなんてどうでも良い。残りは、ジェネシスだけだ。なら、そいつら倒して終わらせれば良い。」「「!!。」」

「強いですね、山城さんは。私、監督のこと信じてみようと思います。」「俺も。」

「そっか、じゃあ俺は、練習に戻るぞ。」

「すいません、ありがとうございます。」

「ありがとう、先生。」

 

そして、二人は出ていった。山城は、再び練習に戻る。また、気配を感じた。

 

「何だ、忘れものか。早く、戻れよ。」

「ちょっと、良いかな山城一平くん。」「?!。」

 

山城が、振り向く。すると、三人の男達が立っていた。

 

「誰だテメーら。うちの関係者じゃねーな。」

「我々は、エイリア学園のスカウト。山城くん、きみを皇帝はスカウトしたいそうだ。」

「我々と来てくれるかな。」

 

山城は、少し笑みを浮かべて口を開く。

 

「失せろ。」

「何。」

「俺は、テメーらに手は貸さねぇ。とっととお家帰って、皇帝とやらにこう伝えとけ。勝つ気がねぇなら、今すぐ荷物まとめてどっか行きな。雑魚ども。」

「な、貴様。どうやら、調子に乗りすぎだ。やるぞお前ら。」「「おう。」」

 

山城の周り囲む男達。そして、手にはスタンガン。

 

「さあ、大人しくしてもらうぞ。」

「ふ、おもちゃ持った程度で勝ったつもりか、かかってこい。」

 

そして、一斉に襲いかかった三人。子供相手に負けないと油断する。すると、怪物から圧倒される威圧感がその場を包み込む。一瞬、足が止まる三人。それに、怪物は狂喜笑みを浮かべて加速する。

 

「うおりゃああああ。」「「「うわあ。」」」

 

そして、怪物は手元にあるサッカーボールを三人にぶつける。そして、三人は倒れる。

 

「く、なんて力だ。」

「本当に、子供か。」

「化け物だ。」

「オイ。」「「「!!。」」」

「何寝てんだ。まだまだ、終わらねーぞ。うおりゃああああ。」

「「「うわあ、助け。」」」「何をやっているの貴方達!!。」

 

その場に、偶然居合わせる瞳子。そして、足を止める山城。その隙に怪しい光で逃げる三人。

 

「ち、命拾いしたなあいつら。」

「大丈夫、山城君?どこか怪我は。」

「あ、ああ。問題ねーよ。」

「そう、良かったわ。エイリア学園ここまで来るなんて。お父さん何を考えているのかしら。」

「ふん。敵も案外切羽詰まってるのかもな。たく、練習する気失せたわ。じゃあな、監督。」

「待って。」

 

山城の手を止める瞳子。それに、驚く山城だが、少しして口を開く。

 

「なあ、手を離してくれ。」

「ごめんなさい。でも、待って。話があるの。」

「フー、で、話って何?」

 

少し、機嫌の悪い山城に、瞳子は話を始める。



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支度

「なぜ、あなたは、私を信じてくれるの。先程の奴らと同じくあなたをエイリア学園に連れていったかも知れないのに。」

「それは、あんたが目を反らずにずっとついて来たからだ。」「?どう言うことかしら?。」

「つまり、あんたは、俺が自由奔放な性格をしていて、チームに迷惑をかける存在なのに、決して俺を切り捨てず、ずっと見ていたから。1人にならずにすんだ。」

「でも、私はあなたを危険な目に晒した。いつもあなたに頼ってしまった。私は、教育者としても大人しても最低よ。」

 

瞳子の目には雫が溢れ、頬を流れた。それを見た山城は、ちゃんと向き直し、瞳子の手を握り口を開く。

 

「あんたは、最低なんかじゃない。選手1人1人の必要なことを考えて、それに合った指導をしている。例え、選手から反発されてもめげずにチームのため俺たちのために頑張ってる最高の監督だよ。だから、泣くなんて勿体なことするな。折角の美人が台無しなっちまうぞ。」「!ありがとう。気持ちが、軽くなったわ。」

「そうかい。それは、良かったな。」

「まさか、あなたから美人って褒め言葉が出るなんてね。」

「っ////。ほっとけ、俺は行くぞ。あんたも早く戻れよ。」

 

こうして、山城はトレーニングルームを後にした。残った瞳子は、笑みを溢し呟く。

 

「もし、貰い手がなかったら引き取って貰おうかしらね。」

 

そして、瞳子も笑顔のまま修練場を出る。空は、雨が上がり、夕日が出て綺麗な虹を作っていた。次の日、山城は、いつも通りに練習するが。昨日の自分に少し恥ずかしさを感じていた。

 

「(ああああああああ、馬鹿じゃねーの俺。なに監督を口説いてんだよ。相手は、確かに若いけど監督と選手。もっと言えば、大人と未成年の中坊だぞ。ああああ、昨日に巻き戻りてぇ)とりあえず、この戦いが、終わったら考えよう。」

 

そして、少し落ち着きを取り戻し、最高難易度のロボット選手相手に集中する。山城は、ある自分の気持ちの思い出していた。それは、小学生時代の好敵手達との試合の時、再結成当時の雷門のメンバーを倒した時、神のアクアを飲んだアフロディ達世宇子のメンバーとの特訓の時、佐久間達真帝国との試合の時のただ純粋に力で破壊する感覚。楽しいと清々しさの半々の気持ち。それを、呼び起こす。ゾーンの時とは、違う強い風が台風になり全てを吹き飛ばす感覚。そして、怪物は新たな力を引き出した。

 

「ゾーンの静けさとは違う破壊の衝動。フー、ぶっ倒してやる。」

 

円堂と豪炎寺は、久しぶりに来た。すると、突然中から物凄い爆発音がした。二人は、驚いて中に入る。すると、奥から山城が歩いてきた。

 

「一平、凄い音がしたが、大丈夫か。」

「外まで響いたぞ。」

「そっか、それは悪かった。ちょっと、気合いが入ってな。」

「そうか、練習してたのか?。」

「ああ、次の試合楽しみしておけ。じゃあ、ちょっと。古株さんに用事があるから行くな。」

「あ、ああ。引き留めて悪かった。じゃあ、明日な。」

「じゃあな。」

 

こうして、山城は、修練場を後にした。二人は、中に進むと驚きの光景が合った。

 

「な。」「これは、山城がやったのか。」

 

二人が見たのは、ロボット達が見事にスクラップになっていた。しかも、モニターを見るとレベルMAXと表示されていた。

 

「一平。あいつは、一体どんな練習をしてたんだ?。」

「ああ、しかも、これほどまでに行くなんて。山城の力は、また俺たちの想像を越えたのかも知れないな。」

「そっか、クー、燃えてきた。あいつに負けてられないな豪炎寺。」

「ああ、そうだな。」

 

こうして、山城の力がまた一段レベルが上がったことを確信した二人は、その後の練習に気合いを入れる。そして、次の日敵の基地に乗り込む日。中々、人が集まらなかった。

 

「一之瀬達、来ないのかな。」

「まあ、しょうがない、あれだけのことが合ったからな。最悪のことを考えよう。」

 

そうして、数分待つと、一之瀬達他のメンバーがみんな来た。そして、全員が集合することができた。

 

「みんな、揃ったわね。遂に、敵の本部に乗り込むわよ。引き締めて行きましょう。」「「「はい。」」」

 

こうして、雷門一同は、富士にあるエイリア学園を目指す。その道中、皆がリラックスしている。円堂は、ノートを見て、考えていた。円堂が見ていた技は、11人の力と気持ちを合わせる必要がある究極奥義。その名も「ジ・アース」。円堂は、これが完成出来たらと意気込む。そんな中、豪炎寺は、二人の選手を見る。1人は、窓を見ながら自分を見失って不安な顔している吹雪と1人で後ろに座り試合のための仮眠を取っている山城。

 

「(吹雪は、結局自分では抜け出せないか。何か、良い方法が有ればな。そして、山城の奴、鬼道以外は気づいてないが以前よりまた一段と雰囲気が違う。まるで、今にも何か壊すような危ない雰囲気を纏っている。)鬼道ちょっと、良いか。」

「なんだ、吹雪のことか。」

「それもあるが、山城だ。みんな気づいて内外、不気味な雰囲気を纏っている。気を付けないと、こちらも巻き込んで破壊するような。」

「ああ、奴は少し様子がおかしい。俺達二人で様子見だ。」「ああ、そうだな。」

 

こうして、一抹の不安があるが、雷門キャラバンは、遂に宇宙の中に入る。

 

 



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対峙

車を降りて中に入ると、研究施設みたいな空間が広がっていた。すると、警備ロボットっぽい機械が現れる。足元には、サッカーボールを出しており、こっちに向かって蹴って来た。だが、怪物が動く。

 

「「「山城。」」」

「うぜーな、消えろ。」ドッ

 

山城も一個のボールを出して、ロボットに向けて左足で蹴り込む。怪物のボールは、ロボットのボールを蹴散らして集団吹き飛ばす。ロボット達は、爆発し粉々になった。皆が、その威力に驚愕するが、本人は、眠気ざまし位に思っておらず気にすることなく歩く。そのまま、他のメンバーも釣られて歩き続ける。すると、今度は目の前に身を覚えのある男達が、現れる。

 

「この前の奴らか、何か用か。」

「皇帝が、お待ちかねだ。付いてこい。」

 

男達に付いて行くと、なにやら庭園に入る。すると、縁側に1人の人物がいた。今回の黒幕 吉良星二郎だ。

 

「雷門のみなさん良くここまでたどり着きましたね。」

「お父さん、もうやめて。こんなこと誰も望んでない。」

「瞳子、確かに私のやっていることは、悪かもしれない。だが、力なき者に誰も私は、止められない。止めたければ力ずくで止めてみなさい。」

「お父さん。」

「よお、皇帝さん。あんたには、こちとら散々迷惑掛けられたんだ。覚悟しとけよ。ジェネシスもろとも、潰す。」

 

山城は、瞳子の前に立って威圧する。その圧力は、その場を支配した。しかし、皇帝は、口を開く。

 

「やはり、エイリア石の強化選手を倒した君はうちのチームに欲しい位の輝きを持っている。なら、私が育て上げた最強にその力でこの国とサッカーを守ってみなさい。」

「ああ、やってやんよ。」

「強化選手といっても、人間だけどね。」

「人間?どうことだ。」

「ああ、今まで対戦した。ジェミニストーム、イプシロン、カオスのメンバーは、エイリア石を与えて強くなった人間だよ。」

「そうかい。」

「おや、驚かないのかね。」

「あんだけ、人間の言葉話してるし、見た目も人間だからな。そうだと、感じただけだ。それじゃあな。」

 

こうして、圧力を引っ込めた山城。その後、雷門の一同はジェネシスとの試合に向けて控室で準備する。すると、瞳子は監督として皆に声を掛ける。

 

「みんな、聞いて。貴方達は、今日までいくつもの苦難を乗り越えて地上最強なったチームよ。だから、1つお願いがあるわ。勝って無事に帰りましょう。」

「「「!はい。。」」」

 

こうして、グラウンドに出る雷門何やらカメラが多い。何でも、全国ネットで流すらしい。そして、グラウンドには、ジェネシスのメンバーが居た。

 

「やあ、待っていたよ。円堂くん、今日こそ決着を付けようか。」

「ヒロト、こんなことは、もうやめろ、間違ってる。」

「円堂くん、僕たちは、皇帝を信じている。そして、もう基山ヒロトじゃない、僕は、エイリア学園最強チームジェネシスキャプテン グランだ。」

「そうか、ならグラン勝負だ。」

 

こうして、試合が始まる。スタメンには、山城が選ばれる。吹雪は、ベンチである。そして、キックオフ。グラン率いるジェネシスのメンバーが、キックオフと同時に上がる。そこに、山城が立ち塞がる。

 

「きな、相手してやる。」

「そうだね。君とも白黒つけようか。」

「「ハアアアアア。」」

 

エイリア学園最強と怪物がぶつかる。その衝撃は、周りに伝わる。そして、わずかながら、勢いのついてるグランに軍配が上がる。そのまま、上がるジェネシスのスリートップ。今度は、円堂が相手するがまだ差があるのか、あっさり抜かれる。そのまま、グランは流星ブレードを放つ。

 

「ムゲンザハンド。く、うわあ。」

 

立向居は、シュートを止められず先制点が、ジェネシスに渡る。最強の力を目の当たりにした雷門。だが、怪物のスイッチが入る。次のキックオフ、ボールをもらった山城。グランが、目の前に来る。

 

「今度も貰うよ。」

「なら、止めてみな。」

「「ハアアアアア。」」

 

再びぶつかる両者今度は、山城に軍配が上がる。すると、何時もなら豪炎寺に渡すはずだが、ボールを持ったまま上がる。

 

「山城、止まれ。無茶だ。」

「パスを出せ、一平。」

 

仲間が、パスを要求させるが、そのままドリブルを続ける山城。ジェネシスのメンバーは、山城に一斉にかかる。

 

「山城、貴様我々をなめるな。」

「ぶっとばしてやる。」

「邪魔だ。」ドッ

「「うわあ。」」

 

そのまま、向かって来る敵をぶっ飛ばす山城。遂に、キーパーと一対一になる。相手のキーパーネロは、構える。そこに、山城はドリブルで突っ込んだ。ネロは、舐められると思い止めにかかる。

 

「なめるな。」

「うるせーな。おらよっと。」

「な、。」

 

キーパーとして、背の低いネロの頭を越すループシュート。見事にゴール入った。その舐めプに近いプレイを目の当たりしたネロに山城は、告げた。

 

「おいおい、最強が呆れるな。まだ、デザーム野郎の方がマシだったな。」

「なにぃ。」

 

そして、ポジションに戻る際に、グランとウルビダが話し掛けてきた。

 

「随分舐めたことしてくれるね。」

「お前は、絶対に叩き潰す。」

「は、面白いこと言うなぁ。舐めた態度で突っ立ってる方が悪いだろ。文句があるなら、掛かってきな前の時みたいなつまんねーことすんなよ。」

 

こうして、いきなりの点の取り合いで開幕した。エイリア学園との最終決戦が開幕した。



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怒り

同点で始まった最終戦。組織に動くジェネシスに雷門は、圧倒される。そして、再びグランに渡ると、今度はウルビダと他のFWを呼んで三人技を放つ。その威力に、立向居は、勢いに押されて止めることができずに勝ち越しを許す。だが、怪物が黙っていなかった。ボールを貰うと先程と同じく1人で駆け上がる。そして、ジェネシスのメンバーが止めに掛かるが、それを真っ向からぶつかりぶっ飛ばす。そのまま、キーパーネロと一騎打ちに。

 

「今度は、やらせないぞ。」

「じゃあ、本気で止めてみな。ハアア。」ドッ

「プロキオンネット。ぐ、うわあ。」

 

山城の右足で振り抜いたボールはネロの必殺技を突き破りゴールに突き刺さった。また、雷門が同点になる。最早、ノーガードの殴りあいである。だが、ここで吉良星二郎が、指示を出した。

 

「ジェネシスよ。いつまで、遊んでるんですか。怪物以外を潰しなさい。」

「わかりました。父さん。」

「何?!やらせるか。」

「おっと、お前は私とウィーズが、相手してやる。」

「そうだ、お前はここに残って貰う。」

「ち、。」

 

それから本当に雷門のメンバーはラフプレイに襲われた。そして、土門が接触により倒れる。そのまま、足を押さえていた。プレイが止まり土門と浦部が交代する。それに対し、やったジェネシスの選手は謝罪をせず。

 

「は、軟弱だな。ちょっとの接触でこれかよ。」

 

それに他のメンバーの一部も笑う。その言葉に雷門は怒りがわく。中でも、山城は格別だった。

 

「、、、、んなよ。」

「ああ、なんだ。」

「ふざんけんじゃねーーーーー。」

「な。」「く、なんて圧力だ。」

 

再開し二人のマークぶっ飛ばし敵からボールを奪う山城。そこに、グランを中心に先程の二人も潰しに掛かるが。怒りの怪物は、目の前の敵をぶっ飛ばす。

 

「どけぇ、邪魔だぁ。」

「「「うわあ。」」」「何ですか、この力は止めなさい。止めるのです。」

 

山城は、ドリブルで正面突破を続ける。ジェネシスのメンバーは、誰も止められない。

 

「がああああああ。」

 

遂に、ゴールの前に行く。ネロは、今までに感じたことのない恐怖を感じた。

 

「ぶっ飛べ。うおりゃあ。」ドッ

「時空の壁。ぐ、なんてパワーだ。うわあ。」

 

そして、遂に勝ち越した雷門。だが、誰も喜べなかった。怪物の本気の怒りに誰もついていけなかった。そして、その威圧感に圧倒される。それは、ベンチでも同じである。

 

「山城さん怖いです。」

「本当に、山城か。まるで別人だ。」

「彼は、危険ね。交代させましょ。」

 

瞳子が動こうとすると、圧力が掛かる。山城が、それを止めに歩いていた。鬼道と豪炎寺は止めにかかる。

 

「何する余計なことをするな。」

「何言ってんだ山城。今のお前は、危険だ。」

「少し、落ち着け。」

「うるせぇ!!邪魔するな。」

「ぐ、なんて力だ。」「本当に、どうしたんだ。」

 

あまりの出来事に、円堂も止めに入る。だが、怒りが治まらない山城。瞳子は、動けず。そして、そのまま試合続行する。また、同じようにボールに襲いかかる山城にジェネシスだけでなく、雷門のメンバーも恐怖する。そのまま、ボールを奪った山城はドリブルを始める。しかし、異変は現れた。DF陣を突破する山城。そのまま、シュート体勢に入リ、振り抜いた。ネロは、意地を見せて何とかボールを反らすことに成功する。そして、皆が山城に目を向けると山城は膝ついてしゃがんでいた。

 

「一平。」「山城。」

「ぐふぁ。」

 

山城が咳をすると、血が出た。遂に体が限界を迎えたのだ。だが、それでも、動こうする山城に遂に瞳子が止めに入る。

 

「まだ、、、、まだ、、点を取らなきゃ。あいつら、、、、潰さないと。」

「もうやめて、あなたが傷つくのは見たくない。」

「監督。だけど、仲間を馬鹿にされて止められるか。行かせろ。」

「あなたは、十分に仲間のために体を張った。あとは、仲間にまかせなさい。あなたの誇りのチームメイトを。」

 

山城は、頭に水滴が落ちるのを感じた。そして、遂に自信の怒りを沈めた。

 

「く、わかったよ。心配かけてすまなかった。」

「うん、それで良い。少し休みなさい。」

「う、さすがにやベーな。」

「一平、肩貸すぞ。」「わりーな。まもちゃん、後頼んだ。」

 

ベンチに戻ると吹雪が立ち上がり、近づいて来た。

 

「監督、僕を試合に出させてください。」

「吹雪、お前。」

「良いわ、頑張ってきなさい。」

 

こうして、吹雪が交代で入る。一方、ジェネシスは落胆していた。そこにまたもや、吉良星二郎が指令を出す。

 

「グラン、リミッターを外しなさい。」

「!?けど、父さんそんなことしたら。」

「私の命令に歯向かうのですね。なら、ウルビダ。」

「はい、お父様。」

「あなたが、変わりに指揮を取りなさい。」

「わかりました。」

 

すると、ジェネシスのメンバーは、全員ユニフォームのスイッチを押した。

 



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帰狼

リミッターを解除したジェネシスのメンバーその実力は、今までとは一味違った。その早さ、その力全てが圧倒される雷門。そして、グランとウルビダ、ウィーズの三人技のスーパーノヴァにより同点に追い付く。だが、代償として体に相当の負荷が掛かる。人間のリミッターを強制的に引き出すため、ジェネシスの選手は体の悲鳴の大きさに悶絶する。円堂は、ヒロトに声を掛けるが彼らには届かない。そのままの勢いで、勝ち越しを決められる。山城に代わりに出場した吹雪。FWにならんだが、ジェネシスの選手には通用しなかった。ボールを持って抜こうにも奪われ、反対に取り返そうとしても必殺技が通じなかった。そして、自信を失う吹雪。ハーフタイムに入り、1人失墜していた。

 

「やっぱり僕じゃダメだったのか、完璧じゃなきゃ行けなかったのか。」

 

そんな、吹雪に豪炎寺のファイアトルネードが、突き刺さった。それが、何を意味しているのかわからなかった吹雪。だが、豪炎寺の言葉で理解をする。

 

「いつまで、完璧にこだわっている。」

「完璧な君には、わからないよ。どうしたら、良いのか僕にはわからないんだ。」

「だったら、仲間を頼れ。1人で無理なら、チームで完璧を目指せば良い。」「?!。」

 

そして、後半が始まりボールを上手く回す雷門。遂に、吹雪にボールが渡る。ボールにすら怖がった時とは違い、受け取ったボールは暖かみを帯びていた。その暖かさから亡き父親からの言葉に理解した吹雪。そして、一匹の狼は長きトンネルから抜け出すことに成功する。それを見ていた、山城は静かに喜んでいた。

 

「は、遅かったじゃねぇか。やっと抜け出せたみたいだな。」

 

覚醒した吹雪は、ボールを回し駆け上がる。そして、ネロと一対一になる。

 

「これが、新しい力だ。ウルフレジェンド。ハアア。」

「時空の壁。く、うわあ。」

 

同点のゴールが突き刺さった。勢いに乗る雷門だが、敵はさらにリミッターを解放する。もはや自殺行為に等しい。だが、彼らの中には、「自分達の父親の吉良星二郎の言葉は絶対である。」という考え方が根付いていた。そして、さらに一段とスピードが上がるジェネシス。それには、誰も止められずまた勝ち越しのゴールを許す。

 

「「「ぐあああああ。」」」

 

今までと違いさらに苦しむジェネシスのメンバー。このままでは、ノーガードの殴りあいにより奴らが二度地面と歩くことが出来ない状態に陥ってしまう。だが、負けるわけにも行かず、雷門は豪炎寺と吹雪の必殺技のシュート「クロスファイア」を放つことでまた同点に追い付く。そして、ジェネシスのターンに周る。またもうスピード上げて来る。そして、グラン達の三人技をまた放ってきた。立向居は、何とか防ぐことができた。時間もそろそろ終盤に入った。ここで、ベンチで休んでいた怪物が動く。

 

「監督、頼む。もう一度、俺をあのフィールドに出してくれ。」

「!駄目よ。認められないわ。」

「そうだ、何を言ってんだ山城。お前の今の状態は、危険だ。おとなしくしてろ。」

「土門、だがこのままだとジェネシスは勿論、うちの選手にも危険が生じる。現に、立向居の手が限界を迎えている。これ以上野放ししたら、あいつは、キーパーとしての選手生命を閉じることになる。それでも良いのか。」

「だけど、今のあなたをこの試合に出すのはそれこそ山城一平というサッカー選手を殺すことになる。残念だけど。」

「けど、奴らも人間とわかった以上、奴らも死ぬことになる。」

「、、、、いや、やはり認められないわ。」

 

だが、次の山城の行動にベンチのメンバーみんなが、驚く。それは、普段の山城を知るメンバーだからこそその行動に驚く。なぜなら、あの山城が頭下げるだけでなく、その頭を地面につけた云わば土下座である。

 

「何をしてるの!。顔あげなさい!。」

「頼む、雷門とあんたの弟達を助けるためだ。」

「山城、お前。」

「、、、、ふぅ、全くあなたは。」

 

そして、瞳子はベンチから審判に交代を告げる。その行動に試合に出てるメンバーは、瞳子に注目する。

 

「7番 浦部代わり、23番山城。」「「「!」」」

「行ってきなさい。そして、みんなのこと頼むわ。」

「フー、任せろ。あんたのために、チームのためにこの試合を終わらせてくる。」

 

そして、フィールドに再び舞い戻った怪物に注目するジェネシスのメンバー達。雷門のメンバーも山城に質問する。

 

「大丈夫なのか、一平。」

「そうだよ、山城くん。体まずいんじゃないの?。」

「おとなしくしてなくて良いのか。」

「何言ってんだお前ら。こんくらい何でもねーよ。それに、そろそろ奴らとも決着だ。ささっと倒して、上手いもん食いに行こーぜ。」

「ふ、お前らしいな。なら、手を貸してくれ山城。」

「当たり前だ。」

 

こうして、山城、豪炎寺、吹雪の雷門最強スリートップの完成である。そして、ポジションに戻る円堂に山城が話す。

 

「まもちゃん。」

「なんだ、一平。」

「今のチームの状態なら、行けんじゃねーか。例の究極奥義。」

「!そうか、ならやってみる価値はあるな。」

「ああ、そしてそれがこの試合の締めだ。立向居からのカウンターがスタート合図になると思う。」

「よし、やってみよう。」

 

ジェネシスとの最終決戦のフィナーレが始まるのだった。



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友情の力

試合も終盤、ジェネシスとの試合も残り僅か。互いに、体力は限界を越えていた。途中出場の山城も先程の力によってあまり残っていない。そして、再開の笛がなる。ジェネシスのボールから始まる。先程と同様に、リミッターを外した。最高速で攻めてきた。だが、そんなジェネシスの前に怪物が立ちはだかる。しかも、ゾーンに入った状態で。

 

「やはり、君が僕らの最大の壁だね。ここで勝って、父さんに勝利をもたらすんだ。」

「どいつもこいつも父さん父さんって、少しは自分のために動こうとしねーのか。」

「うるさい、ここで倒す。」

 

グランと山城の一対一になる。互いに、上の次元で勝負する。だが、数の多さでグランに軍配が上がる。

 

「ち、不味いな。だが、あとは、あいつらに託すしかねぇ。頼むぞお前ら。」

 

山城は、後ろのメンバーに託した。だが、ジェネシスの勢いは衰えずそのまま立向居とDF陣と合間見える。

 

「これで、決める。ウルビダ、ウィーズ。」「「あぁ。」」

「「「スーパーノヴァ。」」」

 

放れたシュートは、今日一番の威力である。雷門の砦達は構える。そして、それぞれの必殺技で防ぎに掛かる。

 

「「「うおおおお。ぐ、ぐわぁ。」」」

 

威力は、削れた。だが、強力には間違いなかった。立向居は覚悟を決める。

 

「みんなが、俺に託してくれたんだ。なら、その気持ちに答えたい。ハアアアアア。ムゲンザハンド。」

 

立向居の気持ちの籠った必殺技。思いが通じたのか、シュートを止めることに成功する。それに、驚愕したジェネシスのメンバー。そして、立向居からカウンターが、始まる。そのボールは、チームのみんなの思い込められていく。ボールが、山城に回る。

 

「このボール、あったけぇな。久しぶりに感じたチームメイトと繋がる感覚。なら、届けてやんねーとな。決めてこい、お前ら。」

 

ボールは、前線を走っていた豪炎寺、吹雪そして、円堂の三人渡る。

 

「わかったよ、じいちゃん。これが、チームの思いが1つになるってことか。」

そして、三人はボールを中心に囲んで、力を集中させる。そのまま、力を解放する。

 

「「「ジ・アース。」」」

 

その名の通り、地球を彷彿させるその巨大なシュートはジェネシスのゴールへ。ジェネシスのメンバーは、全員で止めにいくが、散り散り吹っ飛ばされる。キーパーのネロも奮闘虚しく進行を許す。決まりかけたその時、グランとウルビダが間に合い、二人で止める。二人の吉良への勝利をもたらす思いをぶつけるが、その思いは届くことはなかった。

 

「これが、絆の力か。」

 

そして、ボールはゴールに突き刺さった。その瞬間、試合終了の笛がなる。歓喜する雷門、絶望に陥ったジェネシスの二つの空間が生まれる。すると、グラウンドに吉良星二郎が現れた。

 

「私のジェネシスが負けたのか。これがお前の答えだったのか。瞳子」

「そうです、お父さん。これが仲間を信じる子供達の力ですよ。」

「他人を信じるか。昔に忘れてしまった気持ちを復讐なんかに変えて、自分のことを信じてくれたこの子達も道具に変えてしまった。」「お父さん。」

「やはり、ジェネシス計画なんて間違っていたのか。」

 

その言葉にウルビダが反応する。

 

「ふざけるな。」「「「!。」」」

「あなたを信じて頑張ったのに、そのあなたが否定するなぁーー。」

 

ウルビダは、近くにあったボールを吉良星二郎に放った。そして、誰もが衝突音と共に星二郎にボールが叩き込まれたと思った。だが、星二郎の前に二つの影立っていた。1人は、グラン。そして、その前には。

 

「!ヒロト、それに、、、山城くん。」

「山城くん!!。」「一平。」

「「「山城。」さん。」」」

「ぐは、、、げほ、げほ。」

 

山城は、膝をついてしゃがむ。

 

「何故だ。貴様は、関係ないだろ。」

「ハー、フー、このおっさん。確かに、やってたことは許されねぇし、許すつもりもねぇ。お前らを道具にした挙げ句、裏切った。最低な人間だ。」

「なら、、「だが、。」!。」

「お前らのこと愛してくれたんだろ。なんだかんだ、お前らの勝利を信じてくれたんだろ。なら、良いじゃねぇか。」

「そうだよ、ウルビダ。こんな人でも、僕らのお父さんなんだ。家族のいない僕らを家族として、迎えてくれた人なんだよ。」

「っ!?。」

「ヒロト、山城くん。ありがとう。そして、ウルビダ。そこまで私を愛してくれたのに踏みにじってしまってすまなかった。さあ、あなたの気持ちが晴れるまでぶつけてきなさい。」

「!父さん、何もそこまでしなくても。」

「良いんだ、ヒロト。私には、お前達の怒り受け止める義務がある。さあ、ウルビダ。打ってきなさい。」

「、、、、。うわあああ。」

 

ウルビダは、右足を振り上げ下ろす。だが、ボールに当てる前に止め、しゃがみ込む。

 

「出来ない。だって、あなたは、私のお父さんなんだから。」

 

ウルビダに近づき、抱き締める星二郎。

 

「馬鹿だよ私は、こんなかわいい子供達の愛を忘れるなんて。」

 

その後、吉良星二郎から語られた。今回の騒動の要因、それは、実の息子のヒロトという少年が事故に見せかけた他殺でその事故を政治汚い力で揉み消されたことを。

そして、エイリア石の誘惑に囚われ、復讐のジェネシス計画を立ち上げたこと。全てが終わりに見えた。だが、その裏で動く影いた研崎である。エイリア石の欠片を持ち出すと同時に自爆装置を起動する。

 

「吉良、あんたには勿体ない。この石と共に、私がこの世界覇者になる。行くぞ、お前達。」

「「「はい。」」」

 

その場、後にする。一方、試合会場にいるメンバーは突然の警報と爆発に驚く。すると、出口から古株がキャラバン共にグラウンドに入ってきた。皆、それに乗り脱出する。そして、見事に外へ。大きい音と共に施設は崩れ去っていった。それを見送る一同に終幕が降りた瞬間でもある。

 

 




ヒロインは、瞳子にするつもりです。


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別れ

脱出後には、鬼瓦刑事達が護送車と共にやってきた。そして、手錠掛けられた吉良星二郎。

 

「署で話を聞かせてもらう。今回の騒動について。」

「わかりました。よろしく、お願いします。」

「ちょっと、待った。」

 

吉良星二郎が乗り込む際に、山城が止める。

 

「刑事さん、今回の件と一緒にもう1つのほうもお願いします。」「!山城くん。」

「わかってる。安心して、休みなさい。君は、もう体を張ることを控えた方がいい。」

「ありがとうございます。」

「山城くん、ありがとう。」

「!気にすんな。」

 

そうして、吉良星二郎は護送車に乗った。その後、ジェネシスのメンバーとも会話する。

 

「ヒロト、いや、グランって言った方が良いか。」

「いや、ヒロトでいいよ。」

「お前との対戦楽しかった。待ってるぞ。」

「うん、またやろ。」

「山城、すまなかった。」

「ウルビダか、別に気にしてねーよ。お前とのサッカーも楽しみしてる。」

「ふ、面白い奴だ。姉さん悲しませたら、許さんからな。」

「?おう。」

「じゃあね。山城。」

 

こうして、ジェネシスの選手が全員乗った後、雷門と瞳子の別れの挨拶になる。

 

「みんな、本当にありがとう。あなた達には、感謝しきれないわ。」

「良いんですよ。こちらこそ、お世話になりました監督。」

「ふ、こちらこそ楽しかったわ。また、どこかで会いましょう。」「「「はい。」」」

 

そして、瞳子は1人の選手の所へ。その前に立つ。

 

「あなたには、助けられたわ。ありがとう。」

「こっちこそ、わがまま聞いてもらって、ありがとう。あんたのサッカー楽しかった。」

「そう、それは良かったわ。」

「これからどうすんだ?。」

「とりあえず、弟たちと一緒にお父様の帰り待つわ。」

「そうか、じゃあしばらく会えないな。」

「そうね。今回の件で、しばらく保護観察になるわね。」

「そっか。頑張れよ。」

「ありがとう。あなたも頑張ってね。それじゃあ、さようなら。」

「ああ。」

 

時間が訪れた。瞳子は、護送車の方に歩き出す。それを見て、山城は何か伝えなきゃ行けないと感じ呼び止める。

 

「瞳子さん。ちょっと待ってくれ。」

「何。そろそろ時間なのだけど。」

「、、、、ふぅ。あんたが、俺を心配していろんなことを考えてくれたお陰で今の俺がいる。だからこそ、伝えたい。ありがとう、そして、1人の男として愛してる。

戻ってきたら、返事を聞かせてくれ。」

「!?。わかったわ、、、考えて置くわね。」

 

そして、乗り込む瞳子を最後まで見送った。その顔は、少し赤くもスッキリしていた。その後、山城はチームに合流してキャラバンに乗り込む。乗り込んだ後は、疲労の蓄積で倒れるように寝た。一方、護送車の中。

 

「良かったのか、あっちに付いていかなくて。」

「良いのよ。今は、家族を心配させて。」

「そうか、すまない。」

「ふふ。」

「どうかしたのか。」

「いや、問題児の優秀な教え子に告白されてね。」

「!そうかい、彼が。私は、止めはしないよ。お前の幸せだ、何も言わないよ。」

「ありがとう、お父さん。」

「何々、瞳子姉さん告白されたんだ。」

「そうなのか。相手は、誰?」

「多分、彼だろうな。」

「ヒロトは、わかったのか。」

「秘密だよ。でも、面白くなるかもね。」

「そうだな。」

 

そんな、家族の会話で溢れた護送車であった。戻って、雷門のキャラバンは、稲妻町に着く。そして、その日は、解散となる。山城、土門は、病院へ向かった。二人とも、問題なかった。だが、山城は少し運動を控えるように言われた。さすがに、体のダメージが桁違いだからである。円堂達も付き添いついでに、半田達の様子に見に行くと、病室は空となっており、看護士から全員退院したとの聞かされる。だが、それと同時に行方がわからなくなっているそうだ。次の日、半田達を捜索すると、川原で少年が話しかけて来た。

 

「ねぇねぇお兄ちゃん達、雷門の選手でしょ。」

「そうだが、どうかどうしたんだ。」

「これ落ちてた。」

「うん?これは!!。」

 

それは、半田達の雷門のユニフォームだった。そして、少年から近くにボールの破片が落ちてたそうだ。これを聞いて何か怪しく感じた円堂達。すると、そこへ響から電話が入り、雷門のOBの人達との連絡も途絶えたそうだ。嫌な雰囲気を感じて、雷門中に戻ったマネージャーに連絡するが、何と通じない。とりあえず、雷門に向かった円堂達。すると、そこには、見覚えのある。男達が居た。そして、マネージャー達を捕まえていた。

 

「春奈。」「助けて、お兄ちゃん。」

「おっと、下手動くとこの子達がどうなるかわかっているだろ。」

「条件は、なんだ。」

「我々と勝負だ。」「「「!?。」」」

 

すると、ローブを着た連中が現れた。

 

「我々は、エイリア学園だ。」

「エイリア学園は、解散したはずじゃ。」

「そいつらと試合してもらおう。断ればわかるな。」

「やってやる。勝負だ。」

 

こうして、エイリア学園の残党と試合することになった雷門中。響監督が、指揮を取る。山城と土門は、大事を取ってベンチスタート。浦部がスタメンになる。

 

 

 



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正体

ローブ集団との試合が始まる。笛が鳴りキックオフ、は、集団からローブ先攻のボールである。敵の動きを伺う雷門、相手の実力がジェネシスほどでないことが分かった。すると、たちまちボールを奪うと、そのまま豪炎寺がシュートを放つ。敵は、必殺技で止めに掛かるがあっさりとゴールを許す。先制点が入ったことにより、喜ぶ選手達。だが、響は敵の動きに疑問を感じていた。

 

「おかしい、こんな奴らがホントにエイリア学園の選手なのか。とてもエイリア学園の選手とは、思えない程に実力が遥かに劣っている。」

 

そして、試合はそのまま進み、審判の笛とともに、雷門の圧倒的な大差の勝利で終わる。試合終了後、無事に解放されたマネジャー達。

 

「お兄ちゃん、怖かった。」

「もう大丈夫だ。安心していい。」

 

ローブ集団達を囲んだ雷門。だが、ローブの選手達は身動き一つせず、立ち止まっている。そして、そのまま詰め寄る円堂達。

 

「さあ、半田達の居場所を吐いてもらうぞ。」

「、、、、、、。」

「黙ってないで、その怪しいローブを取りやがれ。」

 

そう塔子が、相手のマントを剥ぐ。すると、その正体は、雷門OBのおじさん達だった。それに、驚愕する一同。

 

「浮島!それに、おまえらも。これは、どういうことだ。」

「いや、俺たちもよくわからないんだ。突然、後ろから何者かに襲われたんだ。そして、気づいたらお前たちと試合していたんだ。」「「「!?」」」

「じゃあ、半田たちは、いったいどこに?。」

「!空を見て。」「「「!!」」」

 

吹雪の言葉に、一同は、空を見上げた。すると、上空に突如、複数のヘリが現れて、ヘリから複数の人影が下りてくる。そして、マントを着た集団が雷門の前に現れた。最後にマント着た男が下りてきた。その男は、ゆっくりと、顔を現した。

 

「久しぶりですね。雷門の皆さん。」

「おまえは、吉良星二郎の近くにいた奴だな。」

「はい、研崎と申します。今日は、あなたたち雷門中の皆さんこの間の借りを返させてもらうために来ました。」

「借りだと。」

「ええ、あなたたちに大事な計画を潰されましたからね。なので、私がそれを引き継いで、新しいジェネシス計画を執行するために、まずは、あなたたちと彼ら「ダークエンペラーズ」で試合をしていただきます。」

「彼ら?」

「さあ、お前たち。彼らに、その素顔を見せてやりなさい。」

「「「はい。」」」

 

マントを脱ぎ去るダークエンペラーズの選手達。その正体に、円堂を含めほかのメンバーも驚きを隠せなかった。なぜなら、彼らは。

 

「やあ、円堂。久しぶりだな。」

「か、風丸。それに、半田達まで。」

「染岡くん!。」

「栗松。それに、宍戸達まで。」

「西垣まで。」

「おまえら、なんだよその恰好は。」

「それじゃあまるで、。」

「エイリア学園だって言いたいのか。」「「「!?」」」

「円堂。俺たちは、お前たちの活躍を見て、自分たちの無力さを恨んでいた。だが、今は違う。このエイリア石のおかげで、前より力と自信が溢れるんだ。」

「そんな、、、、嘘だ。」

「円堂君、彼らは、君たちの才能に嫉妬していたのさ。だから、私が力を与えたのさ。」

 

その言葉が信じられなかった円堂は、再度風丸達を説得するが、今の彼らには届かない。

 

「試合をしろ、円堂。」

「嫌だ。お前たちと争いたくない。」

「戦え。」

「いやだ。」

「ふ、なるほど。あなたは、戦い拒否するのですね。なら、君たち。敵は、戦う意志が無いようですから、戦うように仕向けるために、学校を破壊しなさい。」

「「「わかりました。」」」「「「!?」」」

 

風丸達は、学校の方に体を向けて、ボールを蹴る姿勢に入る。その行動に、円堂は、遂に折れて試合をすることにした。試合の準備をするため、ベンチで準備をする雷門のメンバー。響は、スタメンを考えていると、山城が来た。

 

「響さん、俺を出してくれるか。」

「!いや、お前は、出せない。その体で無茶すれば、ホントに大変なことになるぞ。」

「無理は、承知の上だ。だが、この試合はジェネシス以上に厄介になる。だから、出してくれないか。」

「、、、、、、。こんなことを言いたくないが、チームにその力貸してくれないか。」

「分かった。」

「だが、ベンチスタートで行かせてもらう。始めからでは、負担が大きいからな。」

「それに関しては、俺もそうさせてもらうつもりだ。」

「頼んだ。」

 

一方そのころ、全国各地のテレビ中継がジャックされた。人々は、困惑した。もちろん、その話は、鬼瓦刑事にも伝わっていた。そして、その画面には研崎が映し出されていた。研崎は、全国ネットで試合を中継し、自身の計画とその全貌を日本全国に知らせたのだ。そのことは、雷門のメンバーにも知れ渡っていた。ベンチの山城は、アップをしながら一人考えていた。

 

「(ち、余計なことしやがる。にしても、あいつら、どこまで強くなったんだ。おれは、一緒に旅したメンバーしかその特徴を知らねえ。まもちゃんたちには、やりづらい相手だな。)音無ちゃん、なんかデータない。」

「あります。けど、エイリア石の力は、人の力を向上させるもの、役に立つかわかりませんよ。」

「構わねえ。無いよりかは、マシだ。」

「わかりました。どうぞ。」

「あんがと。」

「山城さん、みんな、元のチームメイトに戻れますよね。」

「わからん。あいつらの心情は、俺たちではどうにもならん。」

「そんな。」

「だが、「!」試合には勝たせてやる。最後まで雷門の選手として、手貸してやる。それぐらいしかできねーけど、それでいいか。」

「はい!お願いします。」

 

そして、雷門対雷門のこの日本全国を巻き込んだ事件の最終決戦の火ぶたが、切って落とされた。



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エイリア石の脅威

キックオフの笛がなる。ダークエンペラーズの選手が駆け上がる。そのスピードは、ジェネシスと同等かそれ以上。そして、風丸が円堂と対峙する。

 

「行かせないぞ。」

「ふ、キーパーじゃないお前なんか、何も怖くない。疾風ダッシュ。」「な、。」

 

風丸の十八番の疾風ダッシュ。そのスピードは、まるで瞬間移動したような感覚にさせるほど。そのまま、駆け上がり、染岡にボールが渡る。シュート体勢に入る。だが、吹雪が快速を飛ばして間に合う。そして、二人の力比べが始まる。

 

「君を止める。」

「吹雪。俺は、もうお前に遅れとるほど弱くねぇ。ハアアアアア。」「な、ぐわぁ。」

 

染岡の胸からエイリア石が光出し、パワー増幅させた。結果、吹雪は、力負けする。そして、そのシュートは、立向居を襲う。立向居は、自信の最高のムゲンザハンドを発動して何とか止める。だが、その手から煙が出ていた。

 

「く、なんて威力だ。手がまだ痺れている。」

 

そして、今度は雷門のカウンターに入るが、パワーアップした風丸達DF陣に止められる。そのまま、カウンターされ、風丸を含めた三人の選手が放つ。その体勢は、ザフェニックスだが、色と向き違った。

 

「「「ダークフェニックス。」」」

「ムゲンザハンド。く、うわあ。」

 

立向居の健闘虚しく、先制を決められた。その後も、エイリア石の力で圧倒するダークエンペラーズの力に押され、2点目を献上してしまう。そして、前半終了近くに染岡のワイバーンクラッシュが放たれた。立向居とDF陣は、体を張って何とか防ぐことに成功する。だが、ダークエンペラーズのシュートに立向居の手は、限界を迎えていた。前半終了間際に放たれたダークフェニックスに立向居の手は、限界を越えて試合続行不可能になる。その3点目が決まった所で、笛がなる。ハーフタイムで立向居の手は、腫れ上がって。そして、風丸が円堂にキーパーに戻るように、提案してきた。それには、雷門のメンバーも円堂もさすがに、同意せざるえなかった。

 

「すみません、円堂さん。俺、円堂に任されたこのゴールを守り切れませんでした。」

「いや、お前は、よくやったよ。ベンチに戻ってゆっくり休んでいてくれ。」

 

そして、立向居は、ベンチに下がった。そこで遂に、怪物が、フィールドに上がる。

 

「立向居、あとは俺に任せろ。」

「山城さん、お願いします。」

「よし、受け取った。」

 

ポジションに着く山城に敵は警戒をする。それは、過去の対戦した時の敗北のイメージから、または、共に同行して練習で切磋琢磨したからである。

 

「おい、てめえら。何か、研崎の野郎からおもちゃもらって、ウキウキかも知れねーけど、お前らのその程度で俺を越えたと思うなよ。」

「何!!。山城、テメーは、チームに加わった時からぶっ倒したくてしかたなかったんだ。」

「山城、あの頃俺らだと思って、舐めてたら痛い目を見るぞ。」

「は、なら失望させるなよ。俺は、強い奴と戦いたいからな。一度ドロップアウトした奴らが、勝てるほど甘くねーぞ。」

 

こうして、山城とダークエンペラーズの対決が始まった。再開し、ボールを貰った山城は駆け上がる。目の前に、染岡が来た。

 

「まずは、お前からだ。」

「こい、ここでてめえに勝つ。」

 

そして、染岡対山城の対決になる。エイリア石でパワーアップした染岡、山城の速さに付いていく。

 

「へぇ、やるな。」

「お前は、逆に変わってないな。トロすぎだぜ。」

「は、なんだ今の程度もう勝った気か。めでてぇな。」

「何を言って、!!」

 

山城は、加速し染岡を置き去りにした。そう、この男は、はなっから本気を出していなかった。今度は、風丸がもうスピードで攻めてきた。

 

「スピードでは、もう誰にも負けんぞ。」

「確かに、速くなったな。だが、パワーは相変わらずだな。」

「何、ぐわぁ。」

 

山城は、そのまま風丸をぶっ飛ばす。一連のプレイに警戒を強めたダークエンペラーズは山城を潰しに掛かる。だが、怪物には足りなかった。そのまま、杉森と一対一になる。

 

「こい、今のお前など、データの範囲内だ。」

「あっそ、なら吹っ飛びな。」

「何、ぐわぁ。」

 

山城のシュートで反撃の一点を取ることに成功した。山城は、ボールをとる際に、杉森に一言話す。

 

「悪いけど、帝国の頃からてめえのことなんざ。眼中にねぇよ。」

「何!。」

「少しは、データから離れて力付けているのかと思ったら、何も変わってないな。お前。そもそも、お前誰だっけ?。」

「な、。」

 

そして、そのままボールをセットする山城。笛がなり、敵が攻めてきたが、同等かそれ以上の力で奪った。その瞬間、山城の雰囲気がゾーンの時と似ているが、それ以上の威圧感を放っていた。

 

「ああ、悪いな。そんなに飛ぶとは、思わなかった。」

「く、山城ォォ。」

 

そして、そのまま先程同様に点を奪った山城。だが、誰もが山城に恐怖していた。まるで、別人のような雰囲気だからだ。

 

「一平、身体は、大丈夫なのか。」

「ああ、なんか調子良いわ。」

「なら良いんだが。」

「そうだ。まもちゃん話がある。」

「なんだ、話って。」

「俺、同点したら、引っ込むわ。」

「!?何で。」

「これは、お前らの問題だ。俺は、敵を倒すなら手を貸すが、内輪揉めには干渉しない。解決するのは、お前だ。」

「わかった。」

「なら、さっさと終わらせるぞ。」

「おう。」

 

エイリア石から始まった今回の騒動が、遂にクライマックスを迎えるのだった。



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修復

ダークエンペラーズが、1点リードの状況。しかし、雷門が優勢。1人の怪物の影響が大きく出ていた。後半出場で他のメンバーほど、体力の減少が少ない。その怪物に、敵は、警戒する。

 

「ち、相変わらず化け物してやがる。」

「どうする、奴の体力を削る作戦に切り替えるか。」

「いや、奴は、ゾーンをまだ隠し持ってる。下手な真似は、出来ない。」

 

警戒するダークエンペラーズ。一方、怪物からこの後のことを託され、考える円堂。地上最強イレブンのキャプテンの前に雷門のキャプテンとして、かつての仲間との絆を取り戻す方法を探す。そして。

 

「一平が、託してくれたんだ。俺に何ができる。何をすれば良い。あいつらを救うには、、、、。」

 

その様子を見ていた山城。少し、笑みを溢すと、隣に居た豪炎寺と吹雪に気づかれる。

 

「山城、どうしたんだ。また何か、企んでいるのか。」

「山城くん、そうなの?。」

「いや、気にするな。ただ、俺らのキャプテンが、自分の殻を破るみたいだからな。素直に、お前らが羨ましいねぇ。」

「「?」」

「そんなことより、試合ひっくり返すぞ。修也、士郎。」

「!おう。」「わかったよ。」

 

こうして、気合いを入れたFW陣。試合再開の笛がなる。ダークエンペラーズは、パスワークを駆使し、攻め上がるが。ボールを貰った風丸の前に、山城が立ち塞がる。

 

「貴様を越える。そして、俺達が最強になる。」

「フー、お前ら。つまらないな。」

「な、」

 

風丸が疾風ダッシュを使う前に、ボールを奪った。そのまま、上がる山城。そして、DF陣の前にまで来た。

 

「ここで止める。怪物。」

「あっそ、なら、お前らの敗けだ。」

「なんだと!。」

「ほら、空ががら空きだぜ。決めな、お前ら。」

 

山城は、DF陣の上を行くパスあげる。すると、背後から二人の影が飛び上がり、シュート体勢に。

 

「「クロスファイア。」」

「く、ロケット拳。おわぁ。」

 

奇襲成功。豪炎寺と吹雪のコンビ技が炸裂しゴールにつ突き刺さった。同点に追い付く、悔しがるダークエンペラーズのイレブンと研崎。そして、歓喜する雷門。その中、山城は、ベンチに歩き出す。みんなが疑問に思うなかで、山城は交代を告げた。響は、戸惑うが、円堂も擁護し、ベンチに下がる。土門が、交代で出ることに。それを見ていた。ダークエンペラーズは、これはチャンスと思い。エイリア石の力をふんだんに使い、攻め上がる。そして、円堂に向かって、何本もシュートする。対して、円堂は、全てを止めきった。そして、フィールドの全選手が体力限界になる。円堂は、ダークエンペラーズのかつての仲間に呼びかける。

 

「みんな!!思い出せ!!」

 

その一言に、皆の心ある思い出が蘇ると共に、砕け散るエイリア石。そして、風丸達は、涙を流した。

 

「お前は、やっぱり変わらないんだな。」

 

そのまま、倒れこむ選手達。そして、エイリア石が砕け散り、焦った研崎は、自身のアタッシュケースの本体を確認するが、石は、効力を失い、腐って砕けた。それに、絶望する研崎。そのまま、鬼瓦達警官に、一斉に逮捕された。円堂は、倒れたダークエンペラーズの選手を起こしに近く。そして、一人一人がかつての仲間に戻り喜ぶ。そのまま、試合を続けて同点に終わった。笛が、鳴り響き試合終了を告げた。円堂は、仲間に支えられ、胴上げされていた。その光景は、長き戦いの終演を迎えた。胴上げされた後、円堂は、ある人物が居ないことに気づく。

 

「あれ、一平は。」

「確かに、山城は、どこ行ったんだ。」

「俺に伝言残して帰ったぞ。」

「響監督。伝言とは、」

「「まもちゃん、仲間を取り戻すことが出来て良かったな。俺は、もう役目を終えたから帰るわ。次は、敵だ。容赦なく叩き潰しやる。」ってな。」

「あいつは、どこまでも勝手だな。だけど。」

 

円堂は、門の方向に向かって大きな声をあげる。

 

「ありがとう一平!!また、一緒にサッカーやろうぜ!!。」

 

その声は、雷門中をとっくに離れて、遠くを歩く怪物に届く。

 

「ふ、こっちこそ。お前らとのサッカー、楽しかったぜ。ありがとうな、みんな。」

 

こうして、エイリア学園の騒動は、終わりを迎えた。地上最強イレブンは、解体の時に入った。綱海は沖縄に、立向居は福岡に、小暮は京都に、浦部は大阪に、塔子は総理と一緒に総理邸に。そして、吹雪も北海道に。それぞれのチームや学校に戻る。円堂は、タイヤの特訓をしていた。すると、そこに吹雪がやって来た。そして、これまでの旅を振り返った。

 

「しかし、長い戦いだったな。優勝後にエイリア学園が、攻めてきた。最初は、手も足も出なかった。その後、瞳子監督に変わって、さあ、これからって時に豪炎寺の離脱。大変だった。そこで、吹雪の噂を聞いた。」

「そして、北海道に来たんだね。僕は、その頃は完璧になろうと、一杯一杯だったね。染岡君とも、最初は反りが合わなかった。そこに、彼が。」

「ああ、本当に驚いた。まさか、一平が来てくれるなんて。そして、ジェミニストームとの再戦に勝利。これで、終わったかと、思ったら、今度は、イプシロン。」

「強かった。けど、山城君は、違って常にチームの誰よりも強かった。」

「それに、旅をしていくうちに、塔子、小暮、浦部、立向居、綱海が仲間になってくれた。だけど、ヒロトが敵と知って、風丸と栗松の離脱で、俺は、キャプテンとして未熟だった。」

「そうだね、僕もあの時からエースに重圧を抱えてた。染岡の離脱、何よりも山城の怪物っぷりに焦ってた。」

「そして、炎のストライカーの噂を聞いて、沖縄へ。」

 

二人が話をしていると、二人の影が近づいて来た。豪炎寺と鬼道だ。そして、二人を交え、話の続きを始めた。

 

 

 

 

 

 

 



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脅威の侵略者編 終わり 事件後から

豪炎寺と鬼道が来て、旅の話を続ける四人。話は、豪炎寺が、沖縄にいるという情報を得て向かったところである。

 

「噂を聞いた俺達は、沖縄に着いた。そして、噂のことを聞きに回った。だけど、誰もその噂を知らなかったんだよな。」

「あの時は、本当に豪炎寺が居るのか疑心暗鬼になり始めていたな。」

「その事については、みんなに迷惑をかけた。その頃の俺は、妹の夕香を人質にとられて、何も出来ない状況だった。だから、鬼瓦さんや土方には、感謝しきれないな。」

 

そのまま話は、進み。今度は、カオスとジェネシスの話になる。

 

「やっぱり、強かったね。マスターランクの高さは、伊達じゃなかったね。」

「ああ、ヒロト達は、本当に強かった。けど、本当のサッカーの楽しさを知って貰えて良かった。」

「それもだが、人の潜在能力のリミッターを簡単に外しては、いけないということも知れたな。」

「ああ、人の限界は、決められているからこそ、日常生活やプレイで無茶をしても問題ないからな。それに、自分の力で強くならなきゃ意味がない。」

「そうだよね。僕もあの試合で、自分と向き合うことができた。本当に、みんなには、感謝しかないよ。」

「しかし、あの時の山城は、気迫が今までとは違ったな。まるで、敵の全てを破壊することをいとわないような。」

「ああ、一平の力の恐ろしさ。改めて知ったよ。」

「だが、これでは、終わらん。今度は、1選手として絶対倒す。」

「「「そうだな。」」だね。」

 

こうして、旅の話を終えた四人。夕日も沈みかけていた。

 

「吹雪、今回の旅は、楽しかった。ありがとう!!。」

「!こっちこそ、ありがとうキャプテン。みんなと一緒に戦ったこの旅は、絶対に忘れないよ!!。」

 

握手をする吹雪と円堂。それを見守る豪炎寺と鬼道。こうして、この日を最後に地上最強イレブンは、解散した。次の日からは、それぞれの日常を送っていた。円堂達雷門中のメンバーは、病院から戻ってきた風丸達をユニフォームを持って出迎えた。和解をした後、雷門中は、復活を果たして練習に励む。北に進み、北海道 白恋中。吹雪は、白恋中のメンバーと練習する。そして、旅の中での成長を見せた。その後は、山おやじとの勝負と家族の墓参りした。墓参りでは、感謝と今回の旅の報告してその場を後にする。東京に戻り、国会議事堂。塔子は、再びSPの仕事に就く。休憩の時間には、父親とSPの人達とボールを蹴っている。西に進み、大阪。リカは、チームのメンバーとガールズトークなどで盛り上がっていた。場所が変わり京都 漫遊寺。小暮は、相変わらずイタズラをしていた。メンバーには、怒られていたが、それでも以前のように壁を作ることは、なくなって皆笑顔になっていた。西に進み、福岡 陽花戸中。立向居は、今日もチームのみんなと切磋琢磨する。打倒、雷門と。南に進み、沖縄 大海原中。綱海は、相変わらずサーフィンに明け暮れている。だが、サッカーの練習も怠っていなかった。大海原中のメンバーとノリノリで、楽しくやっている。そして、怪物に近づくために頑張っている。場所は、本州に戻り、世宇子中。アフロディを中心に、練習に励んでいる。薬物に手を出した自分達に対する世間の目は、冷たくなっている。そのため、試合を組める学校が未だに見つからない。だが、彼らは、諦めない。かつての雷門中のように。地上最強イレブンとして、戦ったメンバーが、それぞれの場所で頑張っている状況で山城は、1人で練習をする。以前通っていた何時もの場所に行く。全ての始まりの場所へ。

 

「フー、今回は、何かとゾーンに頼ってた。それじゃあ、駄目だ。もっと、力をあげねぇと。磨かねぇと。いずれ、本当の敵に手も足も出なくなる。ハハ笑、何時ぶりだ。こんなにもボールを夢中に蹴れるのは。やっぱり、まもちゃん達と旅した甲斐があった。あいつらは、これからも強くなる。うかうかしてられねぇな!よし、頑張るぞ。」

 

怪物は、今日も1人ボールを蹴る。後ろから追い上げて来るライバル達。更には、これから戦うことになるであろう未知の選手達との試合に備えて。そして、数日が経ったある日。山城は、両親に頼んで山梨行かせて貰った。両親は、驚いたが快く了承し交通費などを出してくれた。山城は、つくづく両親に感謝し切れない気持ちでいっぱいだった。次の日、学校の休みの日に、交通機関を使って、山梨 孤児院施設 お日さま園に着いた。そして、インターホンを押すと、中から1人の女性が出てきた。

 

「久しぶり、元気。」

「!よく来たわね。いらっしゃい。入って。」

「お邪魔します。」

 

山城は、中に入る。中は、とても広く、孤児院とは思えないほどであった。エイリア学園の選手達は、居るようで、色んな所で話声が聞こえた。そして、ある一室に案内されて座る。すると、飲み物を持った瞳子が、入ってきた。

 

「つかれたでしょ、これどうぞ。」

「ありがとう。んっぷはー。」

「今日は、どうしたのいきなり訪ねて来るなんて。」

「いや、あんたを心配して見に来た。その感じだと、大丈夫そうだな。」

「えぇ、お父さんは、まだ帰って来れないけど、周りの人達も協力してくれて何とか出来ているわ。あなたから、他人頼る大切を学んだ結果よ。ありがとう。」

「なに、俺は何もしてないよ。あんたが、頑張って変わろうしたからできたことだ。」

「ふ、そうしておくわ。」

 

そうして、数時間話していると、部屋の扉が開く。入ってきたのは、ヒロトだった。

 

「失礼します。山城くん、今から試合をやるんだけど、一緒にやらないかな。きみの力見せてくれないかな。」

「ああ、良いぜ。ちょうど、話も纏まった所だ。」

「それは、良かった。姉さんも来てよ。審判してほしい。」

「まったく、あなたは。良いわよ、山城くんも大丈夫。」

「問題ない。ちなみに、俺は、誰とチームだ。お前か、ヒロト。」

「いや、僕とは、別チームだよ。きみとは、リベンジを兼ねてるしね。」

「わかった。行こう!!」

 

そうして、お日さま園サッカー試合が始まる。そして、夕日が沈み夜になる。試合は、なかなか拮抗した。その中でも、山城は、やはり別格に写った。そして、帰ろうするが、遅くなるため、一泊することにした。次の日の朝、山城は、お日さま園のみんなと瞳子に出迎えられる。

 

「昨日は、ありがとう。色々、助かった。ヒロト、また、やろうぜ。今度は、こっちのチームで待ってる。」

「うん、やろう。今度は、絶対勝つ!!」

「ハハ笑。それじゃあ、瞳子さん、お世話なりました。」

「!こちらこそ、また遊びに来てね。待ってるわ。」

「うん、楽しみしてる。それじゃあ。」

 

山城は、歩き始める。すると、

 

「待って!」

「!どうした。何か忘れものか?」

「えぇ、そうね。これを忘れてたわ。」

「!?。」

 

山城は、頬に柔らかい感触を感じた。そして、瞳子は、口を開く。

 

「今まだ、これだけ。あなたが、大人になったら、また、あの時の言葉を聞かせて。」

 

山城は、顔が赤くなり爆発する。瞳子は、大人の笑みを浮かべてお日さま園に戻る。それから、山城は、電車の中でも呆けていた。そんな、イベントを過ごした山城は、次の日からまた気合いを入れた。こうして、この章の物語は、終わりを迎える。そして、新たなるステージが、彼らを待ち受けていた。

 



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合間編
戻った日常


考えてみたらお気に入り登録してくれた人が、こんなに沢山いるとは、それだけイナズマイレブンが長きに渡って愛されてるだなと感じました。


エイリア学園の一件が、終わり日本では平和な日常が戻った。ここ、雷門中では今日もサッカー部のメンバーが、練習に張り切っている。

 

「さあ、みんな張り切っていくぞ!!」

「「「おう!!。」」」

 

円堂を中心に熱が広がっていく。その熱は、決して消えることのない炎そのものである。あの一件以来、メンバー同士の絆は、より強固なものになっていた。そして、旅などを通して、それぞれの実力も上がっている。休憩の時間になり、練習を一旦止めてマネージャーからドリンクを貰い休憩する。それぞれで、会話を広げている。練習の中でのプレイの確認、賞賛、反省など様々である。時間は、過ぎていき夕日が沈んで夜になる。それぞれが、各々の帰路につく。円堂は、帰る道を変え、タイヤのある鉄塔広場に向かう。すると、先客が1人いた。それは、見知った人物であった。

 

「珍しいな、お前がいるなんて。一平!」

「まもちゃんか。いやなに、今日の練習が物足りなかったからな。まもちゃんもか?」

「いや、日課なんだ。今日の分やろうかなって。そうだ!一平久しぶりに勝負してくれないか?」

「!良いぜ。まもちゃんは、どうする。キーパーでやるのか?それとも、フィールドプレイヤーでやるのか?」

「もちろん、キーパーだ!!まだ、一平のシュートを止めてない。止めなきゃ、話ならない!!」

 

部活終わりだというのに、気合い十分の円堂。そして、所定の位置に立つ山城は昔の光景を思い出す。

 

「ふっ。」

「どうかしたのか?」

「いや、昔のこと思い出してな。小学生の頃、よくまもちゃんと練習したなって。」

「!そうだな。あの頃に戻った気分だな。よし!!打ってこい!!。今日こそ、止めてやる。」

「相変わらず熱いな。だが、悪くねぇ!!行くぜ、ハアア!!。」

 

二人の対決は、夜遅くまで続き、終いには互いの両親に捜索願いを出されて見つかり、母親により雷を落とされ、たんこぶを作るまでに至った。帰り際、二人は顔を合わせ、笑みを浮かべて。

 

「「また、やろーな!!。」」

「「いい加減にしなさい怒!!」」

「「すみませんでした!!」」

 

そのまま、首根っ子捕まれて帰宅した。次の日、学校で噂される円堂。クラスメイトなどから質問されたり、呆れられていた。授業が終わり、部活の時間になる。そこでも、追及された円堂。そして、風丸と話をする。

 

「一体何をやってんだ。お前ら。」

「あはは、いやぁ盛り上がっちゃって。」

「まったく、お前ってやつは。それで、勝てたのか。」

「いやぁ、あと少し足りなかった。ギリギリで勝ち越された。」

「そっか、、だが、諦めないんだろう?」

「ああ!!ようやく、止められるようになったんだ。なら、次は完璧に止めてやる!!」

「ふっ。それでこそ、円堂だな。」

 

談笑を終えた二人は、練習に戻った。変わって、場所は世宇子中。山城は、練習後に校長に呼ばれて校長室に入る。

 

「失礼します。」

「来たね、山城君。」

「話って何ですか?まさか、退学ですか?」

「いや違う。話っていうのはね。君に、わが校を代表して海外交流に行ってきてくれないかな。」

「海外ですか。何で、また?」

「わが校には、海外交流してその国の方々と親交を深め、日本とその国の関係を作る教育システムがある。」

「何で俺なんですか。他にも、成績優秀な生徒とかいたんじゃないですか?」

「確かに、成績だけ見れば、なかなか難しいだろう。だが、それは学業の意味でだ。君には、サッカーがある。わが校を初の決勝に導いて、地上最強イレブンとして日本を救った。これ程の生徒は、他にいない。だから、山城 一平君、君に今回の海外交流の代表生徒として派遣したい。」

「わかりました。自分の出来るだけのことは、全力でやらせて貰います。」

「そうか、ありがとう。」

「それで、どういったことを?俺は、外国語はさっぱりですよ。」

「それは、大丈夫だ。今回の国は、以前も交流のしたことある国で日本語を問題ないそうだ。君は、サッカーで現地の子供たちや選手と友好関係を作ってきなさい。」

「わかりました。がんばります!!」

「うむ、期待している。」

 

こうして、山城は海外に足を運ぶのだった。家に帰り両親に説明をすると、とても喜ばれて嬉しい気持ちになった山城。この海外での経験が、彼にとって大きなものになる。

 

 

 



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異国の地

コトアールの国のイメージは、アニメやゲームからのイメージで考えました。


飛行機が、空港に到着する。山城は、荷物を持って飛行機を降りる。温かい風が、空港を出た山城に吹き付ける。

 

「着いたか、コトアール。」

 

山城は、背伸びをして長時間座って固まった体をほぐした。その後、今回の海外交流の相手と合流する。そこから、車で揺られて遂に目的の土地に着く。国にしては、大分車通りが少なく、人も大して多くはない。また、建物もあまり高くない。だが、

 

「校長先生の言うとおり、サッカーが盛んだな。色んな所でボールを蹴ってる。」

 

そして、目的の学校に着く。そこで、学校の責任者に挨拶をする。

 

「この度、国際交流の代表として来ました山城です。1ヶ月よろしくお願いします。」

「ようこそ、わが校に。話は、聞いてますよ。ぜひ、わが校の生徒達と仲を深めてください。」

「はい!」

 

こうして、海外交流が始まった。まずは、1ヶ月間共にするクラスの人達と挨拶を交わすため、担当の教員に指定されたクラスに案内される。移動の道中は、やはり視線が多かった。

 

「注目されることは、昔からよく合ったが、これはなかなかだな。」

「ハハハ笑、君みたいな人でも緊張するんだね。大丈夫、みんな日本という国から来た人を見るのが、久しぶりだからね。少し、気になるのサ。」

「そうなんですね。早く慣れるように頑張ります。」

「緊張しなくて、大丈夫。すぐに、慣れるさ君なら。」

「はは、そうだと良いんですけど。」

 

そして、山城は、クラスに着く。中は、とても賑やかであった。そこら辺は、どこの国も変わらない。そして、教員の先生が、先に入ってクラスを纏める。その後、名を呼ばれた山城は、中に入って自己紹介をする。その後、普通の教科を学んだり、日本のことについての授業にも出席する。授業が終わると、グラウンドに出る。そこで、サッカーをしてる子達に混ざってプレイをする。ゾーンを使わずともプレイで圧倒する。すると、一緒にサッカーをしていたメンバーと仲良くなる。最初は、外国語が来るのかと、警戒した山城だが、世宇子中の校長先生やこの学校の先生も言った通り、子供たちは、日本語も万能であった。会話していくうちに、1人の少年と特に仲良くなった。

 

「君は、凄いな!流石、ダイスケがいた国の選手だ。」

「お前もなかなかやるじゃないか。ダントツに上手いのが分かる。名前聞いて良いか?」

「ロココ、ロココ・ウルパだよ。イッペイ、そう呼んでも良いかな?」

「ロココよろしくな!」

「よろしく、イッペイ。」

 

これが、怪物ストライカーと怪物キーパーに出会いだった。学校が終わり、ロココに連れられてある場所に行く山城。そこは、学校とは違う。ちゃんとしたグラウンドだった。そこには、すでにアップをしている選手達と1人のおじいさんが居た。

 

「遅いぞ、ロココ!早くこんか。」

「今行くよダイスケ。イッペイも行こう!」

「ああ、わかった!」

 

こうして、後の最強チーム リトルギガントとの交流を果たすことになる。

 

 

 

 



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世界の実力

ロココに連れられて、チームの元に行く山城。ダイスケと呼ばれている監督に会う。

 

「ロココ、こやつは誰だ?この国の人間ではないな。」

「ダイスケ!イッペイは、凄いんだよ!日本から来たんだ!。」

「日本?また懐かしいな。何で、日本人がここに?」

「ボクの学校とイッペイの学校が友達みたいで、それでもっと仲良くなるためにイッペイが来たんだ!。」

「ほぉ、流石に時代は、進んでるのぉ。いやあ、これは感心感心。」

「あなたが、ダイスケさんか。日本から来た山城一平です。いや、イッペイ・ヤマシロの方が良いかな。」

「どっちでも良いぞ。ワシも日本人だからな。お主、体つきが良いな。何か、やっとるのか?」

「ダイスケ、イッペイはサッカーやってるんだよ。しかも、日本のNo.1ストライカーなんだよ!。」

「ほお、それは気になるな。」

「別に、No.1じゃねーよ。」

「でも、学園長が言ってたよ。日本からサッカーが一番上手い選手が来るって!」

「あの人、そんな事を言ってたのか。はぁ(困)」

 

その言葉を聞いたダイスケは、いたずらっ子みたいな笑みを浮かべる。そして、山城に向いた。

 

「そうか、お主サッカーしとるのか。なら、ちょうど良い!うちの紅白戦に混ざってくれ。今日は、メンバーがかけていてな。その実力を証明してみろ!」

「わかった!やってやる!」

 

こうして、紅白戦に混ざった山城。ロココとは、敵チームになる。そして、笛がなる。次の瞬間、山城の目には驚きの光景が写る。敵味方関係なく、1人1人の動きが速く強くそして、凄まじかった。山城は、油断していたつもりはなかったが、それでも選手の動きについていくことが精一杯だった。ハーフタイムに入り、山城にダイスケが近付いてくる。

 

「どうじゃ、これがリトルギガントの実力じゃ。日本でそこそこ活躍している程度では、まだまだじゃな。」

「ち、なんだダイスケさん。俺を馬鹿にしに来たのか。なら、後半見せてやるよ。その目に焼き付けとけ!。」

 

そう告げると、山城はピッチに戻る。ダイスケは、単なる見栄を張った子供の戯言だと思った。しかし、それはすぐに撤回することになる。

 

「わりぃ、もう一回パス回してくれないか?」

「良いけど、奪われないでよ。前半のほとんど君から崩されているんだから。」

「わかってる。だから、次はぶっ潰す!。」

「!?」

 

山城の突然の変異に驚く。ゾーンに入った山城。それまで、着いていくのに必死だった敵を圧倒する。それを見ていたロココは、笑みを浮かべる。

 

「やっぱり、イッペイは最高だ!」

 

山城は、どんどん上がって行く。そして、ロココと一対一になる。

 

「行くぜ!ロココ!」

「来い、イッペイ!!」

 

山城は、左でロココにシュートを放つ。すると、ロココは見馴れたモーションから必殺技を出す。それは、山城が散々見てきた幼なじみのフォームに少し似ていた。

 

「ゴットハンドX!!」

「!?」

 

そして、繰り出された技は、シュートと衝突し、見事にボールを収める。

 

「ゴットハンド!まさか、こんなとこで見れるとは!」

「くー、痺れた!!イッペイ凄いな!」

「止めといて、嫌味かよ。だが、次は決める。」

 

その後、ロココが味方にボールを回す。しかし、そのボールを奪った山城。そして、そのまま再びロココと対峙する。

 

「なんて速さ!けど、止める!」

「わりぃな、次は止められないぞ。」

 

そして、右でシュートを放つ。その威力は、先程より威力が高く速い。だが、ロココも負けじとゴットハンドXを繰り出す。

 

「く、なんて威力だ!うわぁ!」

 

その威力に負けてシュートを決められる。すると、笛が鳴り試合の終わりを告げる。そして、山城のゾーンも切れてその場に座る。すると、山城にロココを中心にリトルギガントのメンバーが集まる。

 

「凄いな!イッペイ!ロココから決めるなんて!」

「確かに、最後のシュートの威力。今まで、手を抜いてたの?」

「んなわけあるか!俺からしたら、お前らの方が凄いわ。結局、試合は負けたし。」

 

山城とロココ達が、会話しているとダイスケが来る。

 

 

 



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課題

「いやぁ良いもん見せて貰ったわい。まさか、ロココが決められるなんてな。こりゃ、また鍛えがいあるわい。」

「よく言うよ。あんたとこの選手誰1人息切れしてねーじゃん。はぁ、こっちは奥の手出さざるえなかったし。」

「はっはっは、当たり前じゃい!そこら辺の奴らと鍛え方が違うわい。」

「まったくだ。」

「じゃが、お主の実力は確かに本物じゃ。ワシが、見てきた教え子でも1、2を争う位に。」

「そりゃどーも。」

「そこで、どうじゃ?残りの期間ワシのところでその腕磨いてみんか?」

「!?ありがたい、もちろん受けさせて貰う!」

「よし、早速始まるぞ!」

「はぁ、いきなりかよ。まったく、この国にもサッカー馬鹿はいるんだな。」

「うん?なんか、言ったか?」

「いやぁ、別に。それじゃあ、よろしくお願いします!」

 

こうして、残りの数日間をリトルギガントと練習することになった山城。ダイスケの練習は、なかなかハードであり熱かった。だが、山城はその環境でやる練習が嫌いではなかった。そして、ロココを始めリトルギガントのメンバーとも仲良くなった。そんなある日、休憩に入って、ロココと話すことになった。

 

「さすが、イッペイだね!もう、僕たちの練習に着いてこれるようになったね。」

「何言ってんだ。それでも、お前らの技術にとかその他の面では、まだまだだ。こっちは、ゾーン禁止されてるし。」

「アハハ、そりゃそうだよ。だって、ゾーン使ったら君の練習にならないじゃないか。それに、ダイスケに言われたじゃないか。君の弱点。」

「そうだな。」

 

山城は、紅白戦の後にダイスケから課題を言い渡されていた。

 

「一平お前は、ゾーンに頼り過ぎてないか?そのせいで、どんな相手にも初手を食らっている。」

「確かに、どこかにゾーンがあるっていうアドバンテージが合ってそれに、どこか過信しすぎているかもな。」

「そうじゃ。お主は、高い実力を誇るが故に、どこか相手に遠慮して手を抜いてしまっておる。今まで、それで勝てたかもしれんが、今日の試合でわかったはずじゃ。上に立ったと思うてるが、それがまだまだ入り口に過ぎんことに。」

「はい、確かに少し考えが甘かったかもしれないです。」

「じゃから、今日からお主には、体力面を中心に練習して貰うぞ!」

 

それから山城は、今に至るまで体力メニュー中心に頑張っている。

 

「しかし、お前ら本当に化け物だな。こんな重り着けて練習どころか試合してるなんて。」

「アハハ、僕らもダイスケが来たときに、君と同じ反応をしたよ。だけど、やっぱりサッカーが好きだから僕たちは頑張れたんだ。」

「そうか、なら俺も頑張ってお前から点を取らなきゃな。それに、ドラコ達にも勝たねーとな!」

「そうだよ!そのいきだよ、イッペイ!」

 

二人は、談笑を終えると練習に戻る。それから、レベルの高い環境に揉まれる山城、ボロボロされる日が続いているが確かにその実力は、上がっているのだった。

 

 

 



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帰国

交流期間の最終日、山城は学校の生徒達に挨拶を済ませた。その後、リトルギガントの練習場に足を運んだ。それぞれに別れの挨拶を済ませる山城。すると、ロココがボールを持って近付いて来た。

 

「イッペイ!最後に、一勝負しよう!」

「ロココ。わかった、最後の仕上げだ。構えろ。」

 

ロココは、ポジションに着いた。そして、目の前の男との勝負に備える。山城も少しリフティングをしてボールの感触と調子を確かめた。両方とも問題なかった。あとは、目の前の1人のキーパーに体を向けてボールをセットした。二人の勝負にチームのメンバーとダイスケは、固唾をして見守る。

 

「行くぜ!ロココ!」

「来い、イッペイ!」

「うおおおおお!!」ドッ

 

怪物の放たれたボールは、チームに初めて合流した時とは、比べものにならないものになっていた。そのシュートは、真っ直ぐにゴールを守る男を襲う。そして、ロココはいつもの必殺技の体勢に入る。

 

「流石、イッペイ!これは、負けられない!!ゴットハンドX!!」

 

ズドンと衝突音が、響き渡る。互いに全力とはいかないものの相当の威力である。そして、勝負が動いた。ロココが段々と押され始めている。

 

「く、ハアアアア!!」

 

そのまま、力を更に加えたロココ。だが、その後に爆発しロココはゴールに弾き飛ばされる。誰もが、山城の勝ちに見えたが、ボールはゴール枠に入らずにバーに当たり、そのままゴールの外に落ちる。勝負は、ロココに軍配が上がった。

 

「チ、ダメか。やっぱり、ロココはすげーな!」

「うーんうん。確かに、勝負は勝ったけど、内容としてはボクの負けかな。やっぱり、イッペイは最高だ!」

「嫌味かよ。まあ、いっかな。次は、負けねーぞ。」

「うん!ボクも次は、完璧に止めるよ!」

 

二人が、会話していると、ダイスケが近付いて来た。

 

「イッペイ、よく頑張ったな。なかなか、鍛えがえのある数週間だったぞ。」

「ダイスケさん。こちらこそ、お世話になりました。」

「してイッペイ。お前さんは、これからどうする?」

「日本に帰って、また己と向き合います。」

「うむ、日々の練習は決して無駄に終わる事はない。そのまま、頑張りなさい。」

「はい!にしても、ロココのゴットハンドといい、ダイスケさんの熱血ぷりを見てると幼なじみを思い出すな。」

「へぇ、その幼なじみは相当なサッカー馬鹿じゃな。何て言う名前じゃ?」

「守、円堂守。俺は、まもちゃんって呼んでるけど。」

「円堂、、守。」

「うん?どうした、ダイスケさん。まもちゃんのこと知ってるのか?」

「、、、、いや、まったく。ただ、知り合いが円堂の親戚らしくてのゴットハンドもそこで教わったわ。」

「そうなのか、世間は狭いな。」

「あっはははは!まぁ、世の中そんなもんじゃい。」

「円堂守か、ボクも会ってみたいな。」

「まぁ、あいつのことだ。意外と、すぐに会えるかもな。」

「そっか、それは楽しみだな!」

 

そんな、会話していると、グラウンドに1台車が来た。山城がお世話になった学校の先生だった。

 

「イッペイ!そろそろ時間だ!空港まで送ってくよ。車に乗りなさい。」

「わかりました。今行きます!じゃあ、皆、ダイスケさんまたどこかで!」

「うむ、達者でな。」

「じゃあねイッペイ!!またいつか、サッカーやろう!」

「!ああ、約束だ!」

「ああ、そうじゃ。いかんいかんこれを忘れてた。」

 

車に乗り込む山城にダイスケが山城に近付いて手紙を渡してあることを言う。

 

「もし、お主が良かったら。日本に帰ってこれを読んでワシに返信してくれないか?」

「?わかりました。じゃあ、お世話になりました。」

「うむ。」「「「じゃあな!!イッペイ!!」

 

こうして、山城の長いようで短い海外合流が終わった。手紙の中身は、後に山城を驚かせるものだった。

 



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サプライズ

大変遅くなりました。


帰国後に、校長に呼ばれて今回の報告をして海外合流を終えた山城。後日、手紙のことを思い出して中身を見ると、そこには代表招集の文字が書かれていた。

 

「なんだこれ?代表!しかも、この間のコト・アールのか!」

 

すると、招集の手紙と一緒に小さい手紙が、挟まってあった。それを開くと、こう書かれていた。

 

イッペイへ

数週間、とても楽しかったぞ。あの時、伝えることの出来なかったことをこの手紙に残す。まず、今回のU-15サッカー世界大会 フットボールフロンティアインターナショナル 通称 FFI。そこに、ワシらはコト・アール代表として出場する。イッペイ、良かったらお主も選手として呼びたい。無理は、言わない。恐らく日本代表になるであろうお主を無理やり引き抜く事は絶対しない。そこは、お主に選択を委ねる。ただ、本音を言うと、お主とロココ達と共に世界を取ってみたい!!お主ともっと、サッカーをしたいと思うとる。もし、お主がワシらと同じユニホーム着てくれるなら。ワシらは、海の向こうで待っているぞ!!

ダイスケ・アラヤより

 

手紙を読み終えた山城は、胸が熱くなっていた。そこに、お母さんから自分に電話が来ていることを知らされて部屋を出て受話器を取る。

 

「もしもし?」

「もしもし、山城か?響だ。今回、FFIの日本代表の選考にお前を招集したい。」

「俺が、日本代表ですか。少し、考えさせてください。」

「うん?どうした?いつものお前なら、喜ぶ所じゃないのか?何か、合ったか?」

 

山城は、自分にコト・アールからも招集されていることを打ち明ける。

 

「そうか、それは凄いな!確かに、お前ほどの選手は、世界でも指折りだ。確かに、欲しくなる。うちも同じだしな。わかった、返事はまだしなくて良い。お前の選択だ。誰も文句は言わん!ゆっくり、考えろ。それで、答えを聞かせてくれ。」

「はい、ありがとうございます。」

「それじゃあ、また。」

「はい。」

 

そして、受話器を置く山城は、両親に今回のことを話した。両親は、大変喜んでくれた。そして、自分の選択の迷いに相談に乗ってくれた。

 

「一平、お前は幸せだな。」

「そうね。そんなに、色んな人に必要とされているのだから。」

「けど、どっちもお世話になった所だし、どうしよう。」

「向こうは、まだ返事を待ってくれているのだろう。なら、急ぐ事はないんじゃないか。」

「そうよ。あなたの選んだ道を誰も非難しないわ。あなたが、楽しいと思える選択しなさい。私もお父さん、あなたがどこの代表だろうと応援するわよ。」

「父さん、母さん。ありがとう!!」

 

こうして、山城は少し考える。そして、とりあえずサッカーをしながら考えることにした。そして、鉄塔行くと、いつものメンツがいた。

 

「まもちゃん!ゆうちゃん!修也!」

「うん?一平!帰ってたんだな!」

「山城、また一段凄みを増してるな。」

「どうやら、相当実りある海外交流みたいだったな。」

「ああ、世界を少し見てきた。」

「世界かぁ、どんな奴らがいるんだろ。」

「俺たちの想像を越えるだろうな。」

「確かにな。ところで、山城お前は何しに来たんだ?」

「いや、いつもの自主練習だ。ちょうど良いお前ら相手してくれ。」

「ああ!構わないぞ!」

「今日こそは、勝たせ貰おう!」

「貴様との差、ここで確かめておく必要が有りそうだな。」

「あ、ちょっと待て。ここじゃなくて、河川敷に行こう!」

「「「わかった。」」」

 

 

 

 



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合間終了 決断

河川敷に来た四人。そして、アップを始める。そして、今回の勝負の内容はいつも通りにやることになった。まず、鬼道から。

 

「来い山城!貴様を越える!」

「そうか、じゃあ行くぜ。」

「!(はやい、何て動きだ)」

 

この数ヶ月の間に、鬼道は自身の力に力をつけてきた。だが、始まった瞬間に気づかされた。自分と怪物との現在の差に。そして、山城がゴールを決めると。衝撃の事を発する。

 

「あっははは!ゆうちゃん、どうした?手を抜くなんて珍しいな。」

「な、(手を抜いた?俺は、全力だぞ!それを、こいつは手を抜いていると感じたのか!)」

「次は、ゆうちゃんの番だな。こい!」

「っ!行くぞ! ?!」

「なんだそれ?随分遅いな。」

 

ボールをカットされた鬼道は、ただ呆然とする。

 

「?どうした?ゆうちゃん、今日は調子悪いのか?休んでて良いぞ。次は、豪炎寺だな。」

 

円堂と豪炎寺は、気づく。鬼道は、調子悪いわけではなく、調子はむしろ良い方だいうことに。けど、それを目の前の怪物は、それを何段階も上を行っていることに。そのあと、豪炎寺も食らいつこうとするが、あっさり抜かれたり、ボールを取られたりされた。山城は、ここで気づいた。自分と周りのレベルに差ができて、それがとてつもなく大きく離れてしまったことに。すると、山城は足を止めてベンチ向かって歩き出した。

 

「一平、良いのか?まだ、始まったばっかりだろ。」

「いや、良いよ。なんか、悪かったな。やっぱり、1人でやるよ。まもちゃんも悪いね。それじゃ。」

「待て一平、まだ俺がまだだろ!せめて、俺に打ってからにしてくれ!」

「え?何言ってるの?ゆうちゃんや修也の見てなかったのか。お前らとじゃ、練習になんねーわ。」

「な、まだわからないだろ!どうして、すぐに諦める!」

「だって、本気だしていないのに圧倒しちゃったしマジで二人が練習してんのかってぐらい弱いし。だから、練習なんねーの。」

「それでも、打ってこい。俺は、まだお前と勝負してない!ちゃんと、勝負しろ!それとも逃げるのか!」

「チ、わかったよ!じゃあ、打ってやるよ!さっさと、ゴール前に立ちな!一本で終わらせてやる。」

「こい!」

 

山城は、左足を振り抜く。放たれたボールは円堂の想像を遥か上を行く。

 

「正義のてっうわぁあ!」

 

正義の鉄拳は、発動する前に砕かれ円堂ごとゴールに突き刺さった。円堂は、力なく倒れることになる。それを見た、山城は何も感じなかった。

 

「「円堂!!」」

 

豪炎寺と鬼道が、円堂を抱える。咳き込む円堂は、山城は冷たく恐ろしい目をしていた。そして、怪物は、三人に口を開く。

 

「やっぱり、この程度か。所詮、口だけだな。まもちゃん、ゆうちゃん、修也。お前らいや日本のサッカーに失望した。あの襲撃から何も変わってないな。少しは、基礎からやり直した方が良いんじゃないか?じゃあな。」

「待てよ!一平!まだ、一本じゃないかもう一本こい。うぐっゲホッゲホッ。」「「円堂!!」」

「無理すんな、まもちゃん。覚えとけ、これが世界の基準だ。お前らの知らないサッカーだ。」

 

三人は、何も言えなかった。そして、最後に一平は三人に向かって言い残す。

 

「近々、世界大会があるらしい。お前らなら代表になれるかもな。だけど、世界には届かないな。因みに、俺は日本代表を辞退することに今決めた。」

「!?何でだよ一平!」

「俺は、別の国からも招集されている。俺は、そこに行く。そこの奴らは、俺でも勝てるかどうかのレベルの奴らだ。正直、あそこの方が俺の身になる。お前らのぬるま湯のサッカーに失望したからだ。しゃあな」

 

三人は、何も言い返せなかった。山城は、手紙の返事書いて送った。そして、響に代表辞退を話す。そして、数日後、山城はコト・アールのユニホームに身を包んでいた。そして、リトルギガントは世界大会の切符を手に入れた。一方、日本では代表選考が行われて16人のメンバーが決まった。

 



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世界大会編
初陣の備え


日本の初戦は、オーストラリア ビッグウェーブスに決まった。イナズマジャパンのメンバーは、オーストラリア戦に備えていた。ビッグウェーブスは、通称 海の男達と呼ばれているらしい。そんな、敵の未知の必殺フォーメーション 「ボックスロックディフェンス」。誰もが、気になるなか、メガネの持ってきたビデオを全員で見るが、明らかに無駄とも言えるゴミビデオだった。結局、何も分からず挑むことになるイナズマジャパン。そんな、メンバーに監督に就任した久遠は、これまでに円堂達を驚かせてきた。そして、さらに驚きの指令を出す。

 

「お前達、今回の試合までの期間は宿舎から出るな。以上だ。」

「「「!?」」」

 

驚くのも無理はない。普通は、対策するなら外に出て練習するものだが、それを外おろかほぼ部屋にいろという指示に誰もが監督に疑念と不満を感じた。それは、円堂、鬼道を始め豪炎寺などもそうだ。そして、もう一度、久遠に外出の許可を申請するが、却下された。そんな中、綱海は監督の目を盗んで海に行った。今度の相手に感化されて。それに、皆も続こうとするが、あっさり見つかり戻される。そんな状況が続き、痺れを切らした円堂は、狭い部屋でボールを使用した練習をする。それを見た者は、どんどん続いて練習する。気づくと、メンバー全員が狭い宿舎でボールを使用する。そして、その裏でマネージャー達は、久遠について探るため中学サッカー協会の資料室に侵入し情報を得た。10年程前に久遠 道也は、桜木中の監督をしていた。桜木中は、強豪とも言えるほどの実力を持っていたにもかかわらず、フットボールフロンティアの決勝を辞退をした。それは、久遠の指示であり関係者おろか部員もその真意を知らされずに久遠は責任を取って、監督を辞任した。ほとんどのメンバーが、監督への不満を膨らませていた。しかし、円堂は久遠監督を信じることにした。それにより、皆の思いは世界一に向かう。そんな数日の中、円堂は、携帯で1人の男に電話をする。

 

「もしもし。」

「あ、一平!俺だ円堂だ。」

「!まもちゃんか。なんだ、お前らこれから試合があるんだろ。こんな時間に何の用だ。」

「いや、今回の相手が未知の相手だから一平にアドバイスみたいなもの貰えないかなと。」

「アドバイス?無いだろ。お前らの実力が紙切れレベルなのに助言が何てあるか?」

「う、確かにそうだけど。世界を見て、世界のステージに立ったお前の感想を聞きたい。どうすれば、俺たちは世界に行ける?そして、戦える?」

「、、、、。それは、難しいな。俺の足元に及ばなかったお前達が、すぐには強くはなれないだろう。だが、一つだけ、お前らが持っている世界と戦える武器がある。」

「ホントか!それは、何なんだ!」

「それは、お前が一番知ってるだろ、まもちゃん。じゃあ、もう切るぞ。こっちも忙しいんだよ。」ブツ

「お、おい!あ、切れた。俺が、知ってるもの。」

 

怪物からのアドバイスに悩む円堂。自分達の持っている世界で戦える力とは、一体何なのか。結局、答えを見つけることが出来ずにイナズマジャパンは初戦を迎える。

 



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開幕

スタジアムの花火が、上がる。遂に、フットボールフロンティアインターナショナルが開幕。気合いを入れるイナズマジャパン。そして、それぞれのポジションに着く。ボールは、ビッグウェーブスで始まる。すると、笛が鳴ると同時に、ビッグウェーブスのキャプテンのニースがいきなりロングシュートを放つ。これに、誰もが反応できずに先制を許す。敵からは、余裕の表情が見られる。これが、世界のレベルだと感じたメンバー。うってかわって、イナズマジャパンの攻撃。鬼道を中心にパスとドリブルで上がるが。

 

「ふ、ボックスロックディフェンス!」

 

遂に、お目にかかる敵の必殺タクティスにイナズマジャパンは攻められずボールを奪われ、更に失点重ねる。結果、前半は2点のリードを付けられる。ハーフタイム、ベンチは少し暗かった。円堂は、何て声を掛けようか迷う。すると、以前の山城の言葉を思い出す。

 

「そっか、何を迷ってんだよ!これが、世界じゃないか。それにまだ始まったばっかりじゃないか!お前達、まだ諦めるのは早いぞ!」

「「「!おう!!」」

 

それを見ていた久遠は、動く。綱海に積極的シュートを打たせることと壁山にもっと自分で上がることを指示する。そして、これを機にイナズマジャパンが吹き返す。必殺タクティスを発動されるが、部屋の特訓を思い出してキープして粘りパスルート作り出した。結果、攻撃に流れを生み出すことごとが出来た。そのまま、豪炎寺の新必殺技 爆熱スクリューで得点を決める。その後、敵からのシュートを円堂が止めると壁山に渡り体格を活かしたドリブルで駆け上がる。そして、綱海にもボールが渡りこちらも新必殺技 ザ・タイフーンで同点にする。そして、そのまま追加点を奪ったイナズマジャパン。見事に、初戦を突破する。そして、響から久遠の過去の原因を知って、全員の監督に対する不安はなくなった。しかし、問題は残っていた。このチームで初めて顔を合わせる謎の天才 宇都宮 虎丸。そして、今のところ素人同然の動きを見せていない飛鷹 征也。問題を抱えるイナズマジャパン。次は、カタール代表 デザートライオンに決まった。そんなイナズマジャパンが、初陣を決めた中、地球の裏側のコトアール リトルギガントの練習場。世界大会に一足先に出場を決めたのでチームは少し時間をもて余す。ダイスケのもと、また一段と励むメンバー。山城もその中で切磋琢磨する。休憩に入り、休む山城に近付いて来たロココ。

 

「何か、嬉しそうだねイッペイ。良いことでもあった?」

「ん?いやなに、まもちゃん達が頑張ってるみたいだからな。」

「へえ、例のマモルかぁ。楽しみだね!同じ技を使うしね。」

「はは、あんまり期待しない方がいい。まだ、1つ勝っただけだ。それに、あいつらの実力はお前がキーパーやらなくても勝てるレベルだぜ。」

「そうなの?けど、楽しみだなぁ。早く、会ってみたいな。」

「まあ、勝ち続ければ会えるかもな。さあ!練習練習。今日こそお前からハットトリック取らないとな。」

「フフ、ボクも負けないぞ。今日は、僕が勝つ!」

 

こうして、今日もリトルギガントの練習は、賑わっていた。そして、数日後に山城にある連絡が入る。



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依頼

それは、ある日のこと。山城が、いつも通り練習していると電話が入ったと呼ばれて練習を中断し電話をとる。

 

「はい、もしもし。どちら様ですか?」

「久しぶりね、山城君。瞳子です。」

 

電話の相手は、吉良 瞳子だった。かつての監督で、自分の恋愛相手。

 

「瞳子さん!?どうしたんですか?急に。」

「その声を聞く限り元気そうね。そんなあなたに頼みがあるのだけれど。良いかしら?」

「頼み?何ですか?」

 

そして、瞳子から驚きのことを聞かされる。

 

「日本に戻れるかしら?」

「!日本!?なんでまた。」

「わけは、来てから説明するわ。それで、こちらに戻れるかしら?無理なら、諦めるけど。」

 

山城は、ダイスケの元へ行ってことの顛末を伝える。ダイスケは、まだ、期間に余裕があるから大丈夫ということ。山城は、瞳子に行けると返信し帰国した。空港では、瞳子と1人の選手が迎える。

 

「よく来てくれたわね。」

「良いけど、何をやるんですか?」

「それについては、着いてからで良いかしら?」

「はぁ。てか、隣のやつは?何か見覚えあるんだけど。」

「ふん、相変わらず。減らず口の奴だな貴様は。俺は、砂木沼 治。いや、デサームと言った方が良いかな。」

「!なるほど、ようやく思い出した。」

「とりあえず、ある場所に向かうわよ。」

「分かりました。」

 

そして、山城は二人に連れられあるグラウンドに着く。そこには、見知った選手がたくさんいた。山城が、近くと皆がこちらを向く。その中でも、ある1人には、すぐ気づく。

 

「源田!久しぶりだな。何でお前がここに?」

「それは、こっちのセリフだ!山城、お前こそ今までどこにいたんだ!日本代表にも参加してないし。」

「俺は、別の国の代表なんだ。」

「そうか。しかし、元気良かった。」

「ああ、そっちこそ。」

 

二人は、握手する。そして、瞳子から今回の件について話される。

 

「山城君、貴方には、このチームのコーチをして貰います!」

「!?ちょっと待って!俺は、コーチなんか出来ないぞ!」

「貴方には、この子達の相手をして貰います。そして、イナズマジャパンに代表を賭けた勝負をして貰います。」

「!なるほど、だからこのメンバーなのか。わかった、やってやる。」

「助かるぞ、山城。我々は、悔しいのだ。選考にも選ばれずにただ力をもて余すのは。」

「山城、また相手してくれ!お前のレベルにまた追いかけたい。」

「ふ、良いぜ!お前らこそ、根を上げるなよ。」

「ふふ、望むところだ!」

 

こうして、山城はネオ・ジャパンとの練習に付き合うことにした。練習始めは、やはり世界のトップレベルに置いてきぼりを食らうメンバー。だが、それでも打倒イナズマジャパンへの思いに闘志を燃やし続ける。これには、瞳子も笑みを溢す。山城は、半ば期待はしていなかったが、メンバーの熱を受け取り。時間の許す限り、最後まで本気で付き合った。そして、ネオ・ジャパンは見違えるように逞しくなった。そして、来たる決戦向けて爪を研ぐ。



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問題

デザートライオンとの一戦に備えるイナズマジャパンのメンバー敵は、体力が売りであるため、体力アップのメニューをこなした。やはり、問題の虎丸、飛鷹の件は、解決しなかった。虎丸は、ドリブルにパスシュートどれにしても優秀どころかチームで1、2を争う程の才能がある。だが、実戦もっと言うと複数で行う練習の際にキーパーと1体1の場面で必ずと言っていい程、他の選手にパスを出す。しかも、一度だけでなく何回も。豪炎寺は、そのプレイに対して気になっていた。たびたび注意をするも本人は、聞く耳も持たなかった。飛鷹の方は、やはり素人に近いプレイをしており、蹴りの強さ以外今のところ良いとこ無し。円堂達は、気になって声かけたりするが、飛鷹には届いておらず沼に嵌まっていた。そんなチーム状況が続く中、久遠は次の試合ことに目を向けていた。練習終了後、マネージャー達が住宅街で虎丸の姿を発見する。あとつけると、定食屋に着く。その後、円堂や豪炎寺を呼んで合流する。そこは、虎丸の実家であった。中に入り、虎丸に事情を聞いて店の手伝いをする。とりあえず、虎丸の家庭の事情を知れた一同。だが、豪炎寺は、それでも虎丸のプレイの謎は分からなかった。そして、その後今度は飛鷹の知り合いの不良少年が訪れてきた。彼らは、飛鷹にチームに戻って欲しいとのことだった。だが、飛鷹は響への恩のためサッカーを選ぶ。そして、そのまま今日は引き下がった飛鷹の舎弟達。数日後、遂に準決勝開幕。日が登るなか両者ポジション付き、笛が鳴る。開始は、順調に攻めていくイナズマジャパン、敵のデザートライオンの実力がオーストラリア戦程高くなく、開始してパスがよく回り吹雪がシュートしキーパーに弾かれるが幸先のいいスタートを切る。そして、すぐに試合は動く。コーナーキックを風丸が蹴る。

 

「これが、世界で戦うための武器だ。」

 

風丸の蹴ったボールは、カーブを描きゴールに吸い込まれる。先制したイナズマジャパン。その後、敵からボールをまた奪取することに成功。そして、再び吹雪がシュートを放つ。それに、更にヒロトがシュートでだめ押しで必殺技を蹴りこんだ。

 

「く、ぐわぁ!」

 

相手のキーパーは、反応できずに追加点を許す。

 

「「よし!」」

「良いぞ!吹雪、ヒロト!」

 

勢いに乗るイナズマジャパン。だが、今日の試合は、気温が高く。少しずつだが、汗が目立つメンバー。そして、遂に牙を抜くデザートライオン。今まで以上にラフプレイを仕掛ける。

 

「おりゃ!」

「く、」

「どけ!」

「うわぁ!」

 

そして、遂に問題発生。ラフ中で、緑川が足を痛めて途中退場する。久遠は、次の選手を送る。

 

「虎丸、行ってこい!」

「は、はい!」

 

変わって入った虎丸。パスをもらい、グングン上がっていきキーパーの前へ。だが、そこでまたボールを後ろの豪炎寺に渡して豪炎寺がシュートを打つが、止められてそこで前半が終了する。

 

「「「はぁ、、、はぁ、、、」」」

 

疲労が目立つメンバー。特に、前線に近い選手程、体力の消耗が激しい。それを見ていた、デザートライオンの監督とキャプテン。

 

「そろそろだな。後半から仕掛ける。頼んだぞ」

「はい、分かりました。我々のサッカーで勝利。」

 

気温が上がり、日差しがまた一段と強くなる。

 

 

 

 



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砂漠の獅子

後半が開始しデザートライオンのメンバーが、攻め上がる。前半と同様に激しいプレイを仕掛けてきた。それに、対抗しようとするが、体力の差が出て来ておりあっさり抜かれる。そして、円堂は一対一を迎える。

 

「こい!」

「ハアアア!」

「!くっくそ。」

 

敵のコーナーをつくシュート、円堂も反応するが間に合わずゴールを許す。点差が縮まる。そして、アクシデントは続く。吹雪が膝をつく。彼は、北海道から出てきたばかりでこの気温でのディフェンスは地獄の近い。結果、いち早く体が消耗し限界を迎えたのだ。結果、代わりに立向居がフィールドプレイヤーとして呼ばれた。不動は、不満を抱くが久遠は一切気に止めない。攻め上がるイナズマジャパン。パスを回して、虎丸に回る。だが、虎丸は、またもやシュートを打たなかった。

 

「フン、いただき笑」

「な!」

「ち、くそ!」

 

そのバックパスが、仇となり敵の攻撃に移り代わる。相手をしようと、皆が敵の前に立とうとするが、敵の体力との差はここでも出てしまった。誰もが、敵に抜かれる。そして、敵のキャプテン カイルに渡る。

 

「これで、同点だ。ミラージュショット!!」

「く、正義の鉄拳!うわぁ!」

 

カイルのシュートは、ゴールを揺らす。

 

「くそ!」ガン

 

拳を地面に叩きつける円堂。それを見ていた、豪炎寺は、虎丸に先程のプレイを言及する。

 

「なぜ、打たない。チャンスだったんだぞ!」

「俺が、打つより豪炎寺さんが打った方が確実だと思いました。」

「お前、、、、。」

「なにやってる。さっさと戻れお前達。」

「はい!」「、、、、わかった。」

 

同点になり、すぐにプレイを再開する。そして、今度はも同じように攻められる日本代表。だが、虎丸がカットをして攻め上がる。皆が、これはチャンスと一気に攻め上がる。そして、再びチャンスが回る。豪炎寺から虎丸へパスを出す。

 

「虎丸!」

「はい!」

 

そして、ゴール前に行く虎丸。その瞬間、過去のトラウマが出てくる。それは、少年時代に圧倒的才能により味方から見放された経験である。これが、原因で虎丸は常にブレーキかけて味方にパスを出すようになったのだ。今回もまた同じことをする。

 

「く、豪炎寺さん!」

「!待て!駄目だ!」

「いただき笑ラッキー、敵からパスを貰えたぜ!みんな上がれ!」

「「おお!!」」

 

カウンターを仕掛けるデザートライオン。誰も止められず、またもやシュートを許すが立向居など動ける選手がカバーをして、シュートの威力を弱めた。結果、シュートを反らすことに成功した。そんな、結末を見て、虎丸はほっとするが、突然、炎のシュートが自身を襲った。それに反応できずにむせる虎丸打った本人を見る。

 

 

 

 



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虎の覚醒と会合

「う、げっほ、げっほ!なにするんですか!豪炎寺さん!」

「虎丸。お前、自分がしたことに気づいてないのか!ストライカーとしてあるまじきことをしたんだぞ!」

「でも、自分が決めるより豪炎寺が決めた方が!」

「まだ、そんなこと言うのか。お前は、日本代表のFWに選ばれたんだぞ!その人間が、ゴールから逃げるなんて一番やってはいけないことだぞ!」

「、、、、。」

「皆が、日本の勝利を期待している。皆が、日本のFWに期待している。皆が、お前を期待しているんだぞ!お前の過去に何が合ったかは知らない。だが、今回の行為はお前に期待した皆を裏切る行為だぞ!」

「!すみません。けど、自分が点を取ったら1人浮いちゃう!そんなの嫌なんですよ!」

「安心しろ。俺達も居る。お前を1人になんかするか。」

「!?ありがとうございます!」

 

何かが、吹っ切れた虎丸。それを見て何かを感じた豪炎寺。これをきっかけに虎丸の動かしたが変わる。そして、再びチャンスが巡って来た。

 

「今度は、決める!」

「ふん、こい腰抜け!」

「タイガードライブ!」

「ストームライダー!く、うわぁ!」

 

虎丸のシュートはゴールネットを揺らした。そして、笛が鳴り響き試合に勝利した。その後、皆が虎丸を祝福する。だが、一つ疑問になったのが

 

「これ程の選手がなぜフットボールフロンティアにいなかったんだ?」

「だって俺、小6ですもん!」

「「「えぇーー!!」」

 

これには、皆が驚いた。しかし、思い返すと確かに今回の大会は、U-15。つまり、十五歳以下でも出れる。しかし、フットボールフロンティアは中学生だけの大会。小学生や高校生は出れないのだ。

 

「へへ、このまま。エースの座も俺が貰いますよ!」

「!ふ、大きく出たな。俺も負けてられないな。」

 

こうして、虎の復活と共に前進したイナズマジャパン。それを見ていた者がいた。

 

「へぇ、少しは見ないうちに腕を上げたな。あいつら。」

「だが、俺達も負けない。敗者の底力見せてやる。」

「おお。その息だ、砂木沼。俺は、お前らの覚悟見させて貰うぞ。」

「ああ。貴様には、感謝している。勝利を持って恩返しをしよう!」

「ふ、期待してるぜ。じゃあ、俺は少しあいつらに会って来るから、お前は先にチームに合流してて。」

「ああ、わかった。」

 

そして、砂木沼と別れた山城はスタジアムの選手の入場口の上に行く。山城の行動に気づくものがいた。

 

「ん?あいつは!一平!来てたのか!」

「おう!ちょっと用事が会ってな。たまたまだ、まもちゃん。」

「山城なにしに来た!」

「ゆうちゃん怒るなよ。単純に、応援だ。」

「ふ、どうだった俺らは?」

「まあ、少しマシになったんじゃね。それにしても、見たことない奴らも居るな。」

 

山城は、他のメンバーも見る。皆が、その視線に警戒する。そして、山城は更に口を開く。

 

「まあ良いや。お前ら次は決勝だけど、足元掬われねぇようにな。じゃあな。」

 

その言葉を残して、山城は消えた。

 

「なんだったんだ?あいつは、本当に分からないな。」

「足元を掬われる?それだけのチームなのか?」

「豪炎寺さん、今の人は?」

「ん、ああ。やつは、山城一平。間違いなく、日本のトップストライカー。俺は、あいつに勝てたことがない。」

「山城一平、、、。もしかして!怪物 山城ですか!あの、三年前の全国を騒がせた最強ストライカーの。」

「ああ。あいつだ。あいつは、昔から俺達の先を行っている。そんなやつだ。今回も何か隠しているのかもな。」

 

決勝へ駒を進めたイナズマジャパン。この数日後、思いもしないことが彼らを待っていた。

 



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選ばれず者達からの挑戦状

イナズマジャパンが、練習していると。久遠のところに、ある人物が訪ねてきた。その人物は、円堂達のよく知る人物であった。

 

「瞳子監督!」

「久しぶりね円堂君。久遠監督、はじめまして吉良 瞳子です。」

「存じております。今日は、どういったご用件で?」

「今回は、ただ挨拶しに来た訳ではありません。」

 

そう瞳子が、話したあとに砂木沼達が現れる。

 

「久しぶりだな、円堂守!」

「お前は、デザーム!」

「ふ、以前はお世話になったな。今の私は、砂木沼 治という名前である。」

「鬼道、久しぶりだな!」

「源田!どうしてお前が?」

「治、なにしに来たんだ!」

「なに、我々はお前達に挑戦状を叩きつけに来た!」

「挑戦状だと。」

「ああ、我々は貴様らが羨ましかった。世界に挑戦する代表で活躍する貴様らが。我々には、その挑戦する機会すらなかった。ひたすら、悔しかった。だから、今回貴様らには我々と代表の座を賭けて勝負して貰うぞ!」

「な!」

「ふざけるな、そんな事許されるか!」

「良いだろう。その試合受けてたとう。」

「「「!?」」」

「監督!本気ですか!」

「こんな形で代表入れ替えなんて。」

「構わない、世界に挑戦する上で今のお前達の実力を確かめるにはちょうど良い。」

「ありがとうございます。それでは、我々ネオ・ジャパンと勝負です!!」

 

そして、互いに守備位置に着く。それを影で見ているものがいた。

 

「さぁて。砂木沼達どこまでやれるかな。まぁ、実力はまだまだだが、それでも特訓に食らいつくガッツは備わっていたからな案外行けるかもな。代わって、まもちゃん達は、どれくらいになったかな。」

 

そんな、山城の思惑の中で、試合開始。ボールは、ネオ・ジャパンから。

 

「行くぞ、イナズマジャパン!!」

 

その砂木沼の言葉共に攻め上がるネオ・ジャパン。この数週間鍛え上げた実力は、本物であり次々抜かれるイナズマジャパンのメンバー。そして、遂にFWの砂木沼に渡る。

 

「行くぞ、円堂!!グングニル!」

「正義の鉄拳!く、ぐわぁ!」

 

正義の鉄拳は、見事に砕かれてゴールに突き刺さる。先制点を許す。シュートの威力は前回とは比較にならないほどの物だった。

 

「これが、俺達の実力だ。」

「くそ!(なんて威力だ!まだ手がしびれてる)」

 

その後、イナズマジャパンが反撃に移る。だが、敵の必殺技に止められる。しかも、それはそれぞれの中学で使用していた技である。苦戦を強いられるメンバー。だが、2試合も世界の強豪と渡り歩いた力は、確かに備わっていた。パスを回し、豪炎寺が上手く突破しシュートを放つ。

 

「爆熱ストーム!!」

「ドリルスマッシャー!」

 

過去にも対決した技がぶつかる。勝負は、拮抗しているが、豪炎寺のシュートに軍配が上がる。そして、同点に追い付く。そして、笛が鳴り響き前半終了。互いに敵の能力の高さを感じた。そして、ハーフタイムが終わり後半の笛が鳴る。

 

 



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覚悟の証明

笛が鳴り響き後半スタート。ボールは、イナズマジャパンから始まる。前半と同様に攻め上がる。だが、敵も前半のようには行かせず、色んな技や連携を駆使して止める。先に動いたのは、ネオジャパン。砂木沼がボールを奪い駆け上がる。そして、円堂との一対一。

 

「再び、点を貰うぞ!ゴッドノウズ!」

「!正義の鉄拳!く、うおりゃ!」

 

今度は、円堂に軍配が上がる。その後、一進一退の攻防が続く。そして、豪炎寺にボールが渡る。

 

「点は、俺が取る爆熱ストーム!!」

「今度は、止める!こい!牧谷、郷院!」

「「おう!!」」

「「「無限の壁!!」」

 

ここで、雷門を苦しめた無限の壁が発動された。そこから、しばらく点が決まらず時間が過ぎる。そんな中で久遠が動く。選手の入れ換えを始めた。

 

「緑川、小暮交代だ。立向居それに飛鷹出ろ。」

「「はい!」」

「(!?飛鷹?何故だ!)」

 

不動は、今まで出場の無い自分が選ばれるだろうと思っていた。だが、結果は自分よりも実力が遥かに劣る飛鷹が選ばれた。戸惑う不動にそんな事は、露知らず守備位置が変更される。キーパーに立向居、DFに円堂と飛鷹が入る。イナズマジャパンは、残りの時間で一点を取るフォーメーションなった。そして、試合再開する。ネオジャパンは、砂木沼を中心に上がる。そのまま、シュートに入る。

 

「これで決めさせて貰うぞ!こい!厚石、伊豆野!」

「「おう!」」

「「「ハアアア!トライアングルZ!!」」」

 

三人の連携技が発動された。強烈なシュートがゴール襲う。飛鷹は、カットに入ろうとするが、足は届かず。だが、最後の意地としてそのまま蹴りを放つ。すると、蹴って生まれた風がシュートを包み込んで威力を殺す。結果、立向居は楽々キャッチ。それに、全員が驚く。そのまま、反撃の速攻に入る。円堂がボールを貰うと、砂木沼がボール奪いにタックルを仕掛けていく。そして、両者ぶつかり合う。だが、最後の最後に円堂が競り勝つ。そして、豪炎寺と鬼道が集まる。そして、三人の必殺技を放つ。

 

「「「ハアアア!イナズマブレイク!!」」

「「「無限の壁!!ぐ、ぐわぁ!!」」」

 

過去の対戦と同じようにゴールに突き刺さるシュート。そして、笛が鳴り響き試合終了。接戦を制したイナズマジャパンは歓喜する。それを見ていた砂木沼は、負けたことに落ち込んでいた。だが、他のメンバーが励ました。両者整列の挨拶をする。挨拶が終わり互いの握手をかわすが、砂木沼は円堂とはすぐ握手せず口を開く。

 

「イナズマジャパン、貴様らに我々は今日は完敗だ。お前達の世界への挑戦の意志確かに感じさせられた。だが、ここで諦めん。何度でも、お前らに挑戦させて貰うぞ。」

「!ああ、俺達もいつでも受けて立つぞ!」

 

こうして、握手両者。そこに、威圧感が襲う。イナズマジャパンは驚くが、ネオジャパンは納得していた。その人物は、メンバーに近づく。



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敗者の処遇

その人物は、見知った顔であった。

 

「一平!」「「山城!」」

「試合見させて貰った。」

「偵察とは、お前らしくないな。なにしに来たんだ。」

「なに、本当に試合を見に来ただけだ。」

 

そして、山城はネオジャパンに体を向ける。冷たい視線向けながら。

 

「負けたな、見事に。」

「すまない、山城!お前に練習付き合って貰った上に、勝利出来ず!面目ない!」

「ああ、情けないな。代表の選考に異議を唱え勝負し負けたのだから。どうする?代表に迷惑かけたことは、大きいぞ。」

「それは、代表して私が責任を取るわ。」

 

瞳子が割って入る。

 

「監督!」

「チームを勝たせられなかった責任は、私にあるわ。」

「違う!監督、悪くない。キャプテンとして指揮しFWとして点を取れなかった俺が悪い。責任は、私だ!」

「砂木沼君」

「いや、俺が悪い。俺がゴール守れなかったから。キーパーとして失格だ。」

「源田君」

「いや俺が」「私が」「僕が」

「みんな。」

 

皆が今回の敗北を受け止めていた。それを見て、山城は、口を開く。

 

「お前達の覚悟は、確かに見させて貰った。だが、負けたことに代わり無い。だから、久遠さん。貴方に決めてほしいです。お願いします。」

 

久遠は、少し考えて口を開く。

 

「確かに、今回の試合は、我々に取ってとても迷惑なものだった。だが、得るもの合った。だから、ネオジャパンには、定期的に練習の相手をして貰う。それで良いかな。」

「はい、ありがとうございます。」

「「「ありがとうございます!」」

「良かったな、お前ら。」

「ああ、本当に良かった。」

「じゃあ俺は、行くわ。瞳子さん、それにネオジャパンのみんな。結果は、残念だったが悪くなかったぞ。次も楽しみにしてる。じゃあな。」

「山城君!本当に、ありがとう。」

「「「山城!ありがとうございました!!」」」

 

ネオジャパンの処遇が決まり、それを見届けた山城は、帰ろうとする。すると、後ろから呼び止められる。

 

「山城一平。待ってくれ、君にも話がある。」

「!何か用ですか久遠監督。俺は、もう用はないんですが。」

「君は、何故招集を断った。そして、世界への挑戦を得ている君から見た日本代表は、どう見えた。」

「、、、、。ふー。」

 

皆が注目した。山城は、少し黙考し口を開く。

 

「断ったのは、日本への成長ためですよ。」

「成長だと?」

「そうです。今回確かに、招集貰っていたらジャパンのユニホームを着たでしょう。だが、学校の海外交流で変わりました。世界は、とんでもないスピードで成長していました。その後、帰国した時に円堂、豪炎寺、鬼道と練習しました。結果は、圧倒的でした。円堂達が、練習をサボって居るんじゃないかってくらいに。そこで気づいたんですよ。もし、代表に入ったら俺1人のワンマンチームになってしまうってね。だから、今のチームのユニホームを着ました。」

「そうか訳は、わかった。話してくれてありがとう。それで、今の日本代表はどうだった。」

「、、、、。」

 

また、黙考する山城。そして、口を開いた。



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強者からの課題

「はっきり言って、前よりマシになったですね。」

「そうか(喜)。俺達、強くなってるのか。」

 

皆が怪物の言葉に喜ぶが、久遠は違った。

 

「それだけなのか。」

「はい。それだけです。」

「「「?」」」

「つまり、(世界を知った)君から見た日本は全くと言って良いほどまだ弱いのか。」

「「「!?」」」

「はい、そうですね。はっきり言って、雑魚ですね。」

「雑魚だと!」

「ああ、まもちゃん。それに、イナズマジャパンにネオジャパンのメンバーも全員聞け。お前らの今回の試合、接戦だったし良い試合だった。だが、あくまでそれはお前らだけの話だ。どいつこいつもトロトロ、トロトロしやがって。温すぎだ!本気で世界に行く気あんのかと思ったわ!」

「何!山城、調子乗りすぎだぞ!」

「山城、それは本当に言ってるのか。」

「ああ、本気だ。マジで今の段階で世界と戦えてる思ったら、めでてぇ奴らだな。」

「何!」「ふざけんな!」

「そこまでだ!お前達。」

「貴方達も、止めなさい。」

「「「!?」」」

 

両者の監督が止めに入る。

 

「山城君、やはりそうなのね。」

「君もそう思っていたか。」

「「「!?」」」

「流石、日本の最強チームを指揮してる監督さん達だ。やはり、気づいてましたか。」

「当たり前だ。代表の監督として敵の情報を知るのは、当たり前だ。」

「私は、貴方が来てからよ。」

 

皆が驚いた。自分の監督達が思った以上に先を見ていたからである。だが、納得しない。いや出来ない。

 

「なんか、納得してなさそうだな。なんなら、相手してやろうか。」

「!なら、俺から行く。」「豪炎寺さん!」

「内容は、前と同じで良いか?」

「ああ、こい!お前の考え、叩き直す!」

「ふん笑お前からで良いぞ。来な。」

「ああ、行くぞ!」

 

豪炎寺は、勝負仕掛ける。試合後とは言え、キレは全然ある。そして、抜きにかかる。誰もが、豪炎寺の勝ちかと確信するが。

 

「なんだ、それで本気か。」

「!(早っ)」「もーらい。」

 

それを怪物は、あっさりボールをかっさらいそのままゴールへ。豪炎寺は、食らいつくが。

 

「あーダメダメ。もっと頑張れ笑」

「!な、くそ!」

「そっちじゃねーよ笑。しっかりしろよエース君笑」

 

その瞬間、豪炎寺は足から崩れる。遊ばれながらアンクルブレイクを掛けられ倒れる豪炎寺。そして、それを見て驚愕し絶望するメンバー。そのまま、周囲置き去りしてコロコロゴールを決めた怪物。

 

「はい俺の勝ち。次は?誰かやる?」

「次は、俺だ。山城!」「お兄ちゃん!」

「ゆうちゃんか。来なよ。」

 

ボールを持ち仕掛ける鬼道。だが、結果は同じだった。

 

「はぁ、弱。こんなんでよく勝てたな。ま、相手も雑魚だからか。」

「!取り消せ今の言葉!」「円堂君」

「は?まもちゃん、まだいちゃもんつけてくるの?今度は、お前か?まあ、いいや行くぞ。」

「こい!」

 

怪物は、左足を振り抜く。蹴られたボールは、加速してゴールを襲う。

 

「く、今度こそ!正義の鉄拳!」

 

ぶつかり衝撃音が響き渡る。だが、すぐに勝負は決まった。拳にひびが入り始める。

 

「くそ、クソォォォオオオ!」

 

そのまま砕かれ、ゴールに突き刺さる。そして、四つん這いになってる円堂に山城は、冷酷な視線浴びせる。

 

「はぁ、なんだよこの程度か。前と何も変わってないな。昔から思ってたが、俺に勝てんのは俺だけだったな。」

「っ!」ゴッ

 

地面に拳を叩きつける円堂。悔しさが、溢れてたまらなかった。前回と何も変わらなかったのだから。山城は、振り向きながら口を開く。

 

「世界で待ってる。それまでに、1から見直しこい!」

 

山城は、その後両チーム監督挨拶すると、グラウンドを出る。その場には、思い空気だけが残った。



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決勝への準備。

空港に居る山城。チームに戻るため、飛行機を待っていた。あれから、誰とも話をせず今日に至る。だが、今日は1人ではなかった。

 

「はぁ、別に来なくて良いのに。何で来たの?」

「お世話になった身として当たり前だ。」

「お前が、いたから俺達強くなれたんだ。」

「それは、良いとして。この間のことがあったのに良く来ようと思ったなお前ら。」

「ふん、あれくらいで折れる我々ではない。むしろ、ありがたい言葉だ。そして、また一段と励みなったからな。」

「はぁ、もう好きにして。」

「一平、お友達来てくれたのに、それは無いんじゃないか。」

「そうよ。あんたのためにこんなに大勢で来てくれたんだから。」

「勘弁してよ。父さん母さん。」

 

さらに、両親も加わって面倒になっている。

 

「フフ笑これは、良い顔が見られたわ。これは、癖になるわね(喜)」

「瞳子さんも勘弁してください。」

「「「アハハハ!!」」

 

そして、飛行機が来たので乗り込む準備をする山城。皆に振り返り一言。

 

「じゃあな、世界行ってくる。」

「「「行ってらっしゃい!」」」

 

そして、ゲートに進む山城。だが、足を止めてもう一度皆に言葉を送る。

 

「お前ら良いチームだった。ありがとう!」

「「「!おう!」」

 

そして、怪物は皆に見送られて旅立つ。一方、変わってイナズマジャパンのメンバー。皆が、少し暗かった。次の敵の韓国代表 ファイアドラゴンの凄さもあるが、怪物からの課題に悩まされていた。特に、円堂は嵌まっていた。

 

「今のレベルでは、世界勝てない。やはり、新しい必殺技を作らなきゃ、山城には勝てない。」

 

円堂は、知らなかった。チームの状況が最悪ことに。中でも、豪炎寺と飛鷹である。飛鷹は、今回の大会に意気込み過ぎて萎縮してしまっている。豪炎寺は、親父さんからサッカーを辞めるように言われ、意識して焦っていた。そのため、ピリピリしていた。そんな状況を見た久遠は、円堂を呼んだ。

 

「円堂、今のチームを見て勝てると思うか。」

「?勝てます!次も勝って世界に行きます。そのために、もっと強くならないと。」

「そうか、ならお前ら勝てないな。」

「!何故です!」

「この間のことを意識しすぎだ。肝心なものを見失っている。」

 

そう言うと久遠は、他のメンバーのところへ向かった。

結局、円堂には分からずじまいだった。その後、円堂は鉄塔で次の決勝に向けて気合いを上げていた。そこへ、マネージャーの秋が来た。

 

「やっぱり、ここにいた。」

「おお、秋か。」

「やっぱり、頑張ってるね円堂君。」

「ああ、次は遂に決勝だ。それに勝てば遂に世界だ。だから、新しい必殺技のヒントを探してて。」

「うん、応援してる。それにしても、山城また強くなってたね。びっくりした!」

「ああ、背中が見えたかと思ったらまた、遠くに行っちまった。けど、諦めない。次は、絶対に勝つ!」

「うん、そのいきだね。でも、そろそろ帰って明日に備えて休まなきゃ。」

「そうだな!じゃあ、これでラストぉおお!?」

 

バランスを崩した円堂。とっさに、出した手がその場に凄い光を放ち消えていった。

 

「なんだった?今のは。」

 

新しい技のヒントが、見えた瞬間であった。だが、一瞬のことで円堂も秋も分からなかった。そして、数日後決勝戦が始まる。イナズマジャパンに挨拶に来た韓国代表のメンバー。そのなかには、バーン、ガゼルにアフロディの姿が合った。泣いても笑ってもこれが最後。切符を手にするのはどちらか。その運命の決戦の前に久遠に呼ばれる円堂。

 

「円堂、このチームは勝てると思うか?」

「はい!みんなと力を出せば勝てます。」

「そうか、今のお前は試合に出せないな。」

「!何故です!監督!」

「お前は、何も見えていない。今のお前は必要ない。」

「そんな、」

「正気ですか久遠監督。円堂外すなんてこの試合勝てないかもしれませんよ。」

「なら、負ければ良い。今日勝ったとして、先はない。」

 

何と、まさかの円堂のベンチスタート。これに誰もが驚愕するが、チームの揺らぐ中試合のホイッスルが響き渡る。



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炎竜の実力

決勝戦、これに勝てば世界の猛者と対戦できる。だが、まさかの絶対的守護神の円堂がベンチスタート。

 

「(俺に見えてないもの?一体、なんなんだ?)」

 

円堂は、ひたすら考えるが全く思い付かなかった。笛が鳴り響きファイアドラゴンのボールからスタート。

 

「俺らの力見せてやる。」

「韓国に、優勝旗を持ち帰る。」

「イナズマジャパン、相手に取って不足なし。」

 

バーン、ガゼル、アフロディを中心に攻め上がる。ファイアドラゴンは、この三人を中心に得点を重ねており勝った試合は、ほとんど大差で圧勝。だが、本当に怖いのはこの三人を含む個性的なメンバーを纏めるキャプテン チェ・チャンスウ。彼の武器は、そのゲームメイクの上手さ。韓国の頭脳であり、心臓である。

 

「さぁ、貴方達。韓国の恐ろしさを教えて上げなさい!」

「「「おう!」」」

 

そして、どんどん抜かれていくイナズマイレブン。そのまま、前線のバーンとガゼルに渡る。

 

「行くぜ、凉野!」「了解、南雲!」

「「ハアアア!ファイアブリザード!!」」

 

二人の連携シュートが炸裂。立向居は、ムゲンザハンドで迎え撃つが歯が立たず先制を許す。だが、イナズマジャパンはここで終わらず、吹雪と土方の必殺技で同点に追い付く。そして、ここで韓国の司令塔が動く。

 

「皆さん、イナズマジャパンに絶望を与えましょう。パーフェクトゾーンプレス発動です!」

「「「おう!」」」

 

チェ・チャンスウの掛け声と共にボール持っていた綱海と吹雪分けさせた。そして、そのままボールを奪い。前線のバーンに渡す。バーンは、自身の必殺技 アトミックフレアを繰り出す。立向居は、何とか止めることが出来たがイナズマジャパンにはさっきの必殺タクティスに恐怖する。その後も同じように嵌まる。そこで、アクシデントが発生。吹雪と土方が、接触よって二人とも足を痛める結果に、土方は軽いが吹雪はかなりのもので足を押さえる。これには、交代送る久遠。飛鷹を出すが本人は騰がっておりまともに動けなかった。それは、FW陣にも同じことが発生する。特に、豪炎寺と虎丸の連携が合わない。そして、さらに接触は続く。今度は、綱海と緑川が接触する。ここで、タイムを取った久遠は、緑川と鬼道の両名をベンチに下げた。鬼道は、ただ下げただけだが、緑川は交代する。代わり出るのは、ここまで出場なしの不動であった。この交代が更なる波紋が生まれることになる。

 

「不動!パスだ!」

「おらよ!」

「!」

 

不動のパスが、通らない。もっと言えば味方に届かない。

 

「不動!ちゃんとパスしろよ!」

「パスする気あるのか!」

「何!」

 

こんな状態が続き、敵にパスを取られて今度はアフロディに渡る。

 

「見せてあげよう。これが、僕の新しい力さ!ハアアア!ゴッドブレイク!」

「く、ムゲンザハンド!うわぁ!」

 

追加点が決まる。そして、笛が鳴り響き前半が終わる。最悪の状態のまま、1点ビハインド。互いの溝が、深まる。そして、最後の後半が始まる。



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反撃の狼煙

ハーフタイム中鬼道は、不動の過去をに聞いており、今の不動のプレイに対する疑いが晴れる。そして、ついに天才ゲームメイカーが動く。久遠に答えを説明する鬼道。そして、ゲームに復帰する。

 

「不動、俺に力を貸してくれるか?」

「はん笑鬼道くんが言うなら、手貸してやるよ!」

 

こうして、鬼道と不動の二人の天才が手を組む。そして、不動のパスを見事に取る鬼道。そして、不動に同じように渡す。結果、風向きを変えることに成功する。鬼道のプレイが、チームのメンバーに不動への誤解が解ける。こうして、チームが機能する。その後、風丸、壁山の連携シュートにヒロトがシュートを重ね同点ゴール決める。それを見ていた久遠は、円堂に再びヒントを出す。

 

「今の段階だと鬼道の方が、キャプテンに向いているな。」

「(鬼道の方が向いてる?今の鬼道のプレイ、不動の誤解を解くと共にチームに発破を掛けていた!つまり、俺が本来することは!)監督!!」

「答えは、出たか?」

「はい!俺は、あいつらのキャプテンなんですね!!」

「ちょっと時間がかかったが、ここからひっくり返してこい!!」

「はい!」

 

こうして、イナズマジャパンの要がまた一段と逞しくなった。円堂は、早速豪炎寺と飛鷹に試合関係ない考えを捨てて、目の前に集中する事を伝える。息を吹き返す。イナズマジャパン。歯車が動き出す。パーフェクトゾーンプレスを破り、前線の豪炎寺、虎丸に渡る。

 

「(これが、俺の出来る最後の恩返しだ!)行くぞ、虎丸!」

「!はい!豪炎寺さん!」

「ハアアア!!タイガーストーム!!」」

「大爆発張り手!!ぐ、ぐわぁ!!」

 

遂に勝ち越す。イナズマジャパン。このまま、勢い乗りたいがここで韓国のスリートップが動く。

 

「これは、世界行くための僕達の信念だ!」

「ハアアア!!カオスブレイク!!」」」

「く、正義の鉄拳ぐ、ぐわぁ!」

 

同点が決まる。そして、ここに来ての同点に会場は、盛り上がりを見せている。そして、互いに攻め上がるが、ここでまた韓国が動く。

 

「これで仕舞いだ!」

「(く、どうすれば?正義の鉄拳は、シュートに対して真正面からぶつける技。これの上を行くには。そうか、こうすれば良いんだ!)ハアアア!怒りの鉄槌!!」

「何!」

 

見事、シュートを止めることが出来た円堂。遂に、見つけることが出来た新しい技。正義の拳を真正面からぶつけるのではなく、シュートの上から全ての力を叩きつければ威力が増してシュートを殺して止めることが出来る。この円堂のプレイから勢いに乗るイナズマジャパン。ファイアドラゴンも負けじと、食い下がる。時間は一刻一刻と進んでいる。



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世界へ

残り数分を争う両チーム。動いたのは、やはり鬼道と不動の二人。チェ・チャンスウの頭脳を越える采配をする。結果、敵の動きをある程度制限することが出来た。そして、バーンが1人加速して上がる正面に飛鷹が入り、ボール奪う。カウンターを発動する。再び、豪炎寺、虎丸の必殺技が炸裂。そこに、ヒロトも加わる。

 

「僕達が勝つんだ!流星ブレード!」

「大爆発張り手!うわぁ!!」

 

勝ち越しが 決まる。誰もが勝利確信するが、神が許さなかった。

 

「このまま、負けるか!僕達は、世界の頂きを取りに行くんだ!!!」

「「「おう!」」」

「「「カオスブレイク!!!」」」

 

今日一番の威力のシュートが放たれる。

 

「皆が、取った点。絶対に、守って見せる!怒りの鉄槌!!」

 

こちらも高威力。ものすごい衝撃音が響き渡り、皆がその勝負に掛ける。

 

「「「入れぇぇぇぇぇ!!」」」

「「「とまれぇぇぇぇぇ!!」」

「う、うわぁ!!」

 

そして、凄い爆発音と共にゴール付近に砂ぼこりが舞った。皆が、結末に注目する。ゴールゾーンに居る円堂。

だが、ボールはライン割らず手前で煙をたてながら沈んで止まっていた。その瞬間、笛鳴り響きスタジアムが歓喜に沸いた。

 

「「「やったぁぁぁぁ!!!」」

 

優勝は、日本代表の手に渡った。歓喜する日本代表と悔しがる韓国代表。だがアフロディは円堂達に勝利祝福をした。

 

「負けたよ。僕達の分まで暴れくれ。」

「ああ、絶対に世界一になる!」

 

両者握手を交わして、別れた。ベンチに戻ると久遠が待っており口を開く。

 

「お前達、まさかここで満足してないな。」

「はい!俺達、まだスタートに立っただけですよね。」

「わかれば良い。だが、良くやった」

「「ありがとうございます!!」」

 

監督の言葉を聞いた後、観客に挨拶をするメンバー。豪炎寺は、家族に。飛鷹は、後輩達に。円堂は、色んな人達に言葉を交わしてその日は終わる。そして、次の日、衝撃のことが起きる。緑川と吹雪のメンバー脱退だった。吹雪は、怪我。緑川は、自身の中の実力不足で選んだ。代わり入ったメンバーは、染岡そして佐久間が選ばれた。こうして、新イナズマジャパンが世界へ飛び立った。一方、世界の代表も出揃う。優勝候補、ファンタジスタ マック・ロニージョ率いるブラジル。同じく、優勝候補 イタリアの白い流星 フィディオ・アルテナ率いるイタリア。他にも、イギリス、アルゼンチン、アメリカなどの強豪国が募る。そして、怪物の居るあの国も。

 

「おーい!そろそろ出発だって!イッペイ!」

「おう!わかった!今向かう!」

 

世界の猛者が、終結する世界大会 フットボールフロンティアインターナショナル通称 IFF。そんな、大会の裏ではまた暗闇に蠢くものが動き出していた。

 

「ガルシルド様、準備が整いました。」

「ウム、では向かうか。」

 

波乱の世界大会が遂に開幕するのだった。



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世界の猛者達

ライオコット島に着くイナズマジャパン。ジャパンエリアに移動して、開会式に備える。今回の大会は、選手がコンディションを影響の無いように各国の特徴を模様したエリアが設けられている。そして、時間が過ぎ。遂に、開会式が始まる。

 

「全国のサッカーファンの皆様、お待たせしました。サッカーの世界大会フットボールフロンティアインターナショナルの開会式が始まります!実況は、私マクスター・ランド。解説には、元ヨーロッパリーグのMVPストライカーレビン・マードックさんです。よろしく、お願いします。」

「よろしく、お願いします。」

「さぁ!選手の入場です。まずは、イタリア代表 オルフェウス。先頭は、キャプテンのフィディオです。」

「彼のプレイは、世界が注目していますね。」

 

そして、色んな代表が紹介され遂にイナズマジャパンも入場する。円堂中心に、チームが成長し続けると世界も注目している。最後に、登場したのはイナズマジャパンメンバーの宿敵の怪物の居るコトアール代表 リトルギカント。キャプテンマークは、キーパーがつけている。そして、怪物が現れた瞬間、選手たちは自然と視線を向ける。解説のマクスターとレビンも注目する。

 

「レビンさん?彼は、何者でしょう。皆が自然と視線を釘付けにされます。」

「彼は、私もよく知りません。けど、彼からはとてつもなく強大な力を感じます。」

「リトルギカント。今大会の台風の目になるか!」

 

そして、開会式が終わると円堂達は、怪物に会いに行く。怪物は、すぐに見つかったがその回りには注目選手に囲まれていた。その周り、異様な空気で包まれていた。

 

「お前が何者か知らないが、優勝は俺達アルゼンチンが貰うぜ。」

「それは、ないなテレス。優勝は、我々イギリスにふさわしい。」

「何言ってんだ!ミー達が貰うよ!な、マーク!」

「ああ、その通りだディラン。」

「いや、俺達イタリアが貰うよ。」

「、、、、、、。」

「おい!黙ってないで何か言ったらどうだ!」

「ああ、俺に言ったのかデカブツ。」

「何!」

「は笑、どいつが来ようと一緒だ。俺達の前に立ち塞がるなら全力持って叩き潰す!」

「「「!?」」」

 

怪物の威圧感がその場を支配して、周りを黙らせる。そして、歩き出し各国のライバルに口を開く。

 

「お前らどうしょうと勝手だが、精々頑張んな。じゃあな。」

 

怪物が去ると、静けさがなくなり騒がしさが戻る。円堂達は、とりあえず宿に戻ることにした。そして、次の日抽選によりイナズマジャパンの初戦は、イギリスに決まった。イギリス代表 ナイツオブクイーンズ。その特徴は、キャプテンでエースのエドガーを中心に高い攻撃力を誇るチームである。それから、数日対策に動く日本代表。その夜、円堂はタイヤ探しに出ていた。すると、良いタイヤを見つけそれを積んだトラックを止めに入るが離される。だが、そこにフィディオが現れて車を止めることに成功した。そして、タイヤを手に入れる円堂。だが、そこでタイヤくれたじいさんに一言言われた。

 

「フム、君は自分の技を持とうとは思わないのか?」

 

それが気掛かりになり自分の技を探す円堂。一方、タイヤを渡し終えた老人は、チームに戻った。

 

「遅かったな、ダイスケさん、ロココ。何か、あったか?」

「いやなに、面白いやつがおってのタイヤでサッカーの練習するらしくての。アドバイスと共に置いてきた。」

「ふーん、タイヤねぇ。多分、そいつ俺達の前に現れるぜ!」

「今は、まだまだじゃがな。」

「確かに笑」

「ほれ、お前も今日はもう休め!エースが倒れたらどうする!」

「ハイハイ。けど、敵じゃねーだろ。今度の相手は。」

「ふん、油断するでないわ!そんな言うなら次の試合5点以上決めてこい!」

「了解!!」ドッ ズドン!!

 

怪物の牙は、鋭く強力になった。壊れたゴールを見ていたダイスケは、無邪気な子供のように微笑んだ。



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英国紳士の誘い

対戦相手が決まり練習するイナズマジャパン。皆が、初戦に向けて気合いを入れる。そんな日が続く朝早くに、円堂は、1人タイヤを相手に練習する。ひたすら、自分の数倍も大きいタイヤを前に大きく揺らし、返ってきたタイヤを受け止める。幼い頃からやっている練習。そんな円堂の近くに人影が現れる。

 

「頑張ってるな、マモル!」

「フィディオ!何でここに?」

「この間のことでマモルに興味が沸いたんだ。この後、時間が空いているならオレと練習しないか?」

「良いのか!じゃあ、グラウンドに行こう!」

 

こうして二人は、イナズマジャパンに移動して練習する。フィディオがシュート打ち円堂が止める。

 

「やっぱりフィディオは、凄いな!シュートからビシビシ衝撃が伝わって来る。」

「マモルも凄いよ!オレのシュートにしっかり反応してるからさ!」

 

 

二人が練習していると、大男が近づいてきた。

 

「フィディオがこんな所に居るとは、意外だな。」

「テレス!君も来ていたのか!」

「フィディオ知り合いか?」

「彼を知らないのか?彼は、テレス・トルーエ。アルゼンチンのキャプテンで世界でも屈指のDFだよ。」

 

そして、さらに2人の選手が近づいて来る。

 

「マーク見てみろよ!なかなか、エキサイティングなシチュエーションになってるぜ!」

「そうだな、ディラン。カズヤの言うとおりだったな。」

「君らも来たのか!」

「あいつらも有名なのか?」

「お前、あいつらのことも知らないのか!キャプテンマークを巻いてる方は、マーク・クルガー。やつのリーダーシップは世界が注目するほどで、ストライカーとしても優秀だ。そして、隣のサングラスを掛けてるやつがディラン・キース。アメリカ代表のエースストライカーだ。アメリカのリーグの得点王でもある。」

「そんな君たちが、何しに来たんだ?」

「俺達は、カズヤから円堂という選手を教えて貰ってから見に来たんだ。」

「何!あの一ノ瀬が!なにもんなんだ、こいつは?」

 

世界トップの選手達がここに集まった。特に、目的が同じという分けでもなくたまたま揃った奇跡。そして、その後円堂を含めた五人で誰がトップか決めるゲームが始まる。四人のストライカーの実力は、本物である。その光景に感動する円堂。だが、その勝負も終わり迎えた。

 

「ああ!そうだった!」

「ん?秋!どうしたんだ!」

「どうしたこうしたもないよ円堂君!イギリス代表からパーティーに招待されてるんだよ。早く行かないと!」

「そうか!忘れてた!ごめんお前ら!とても楽しかったぞ!じゃあな!」

 

残される四人。

 

「楽しかったって。お前何もしてないだろ。」

 

そして、無事に合流する円堂。みんなは、すでにタキシードを着て、楽しんでいる。そして、その後円堂もタキシード着て参加するが、イギリス代表達が明らかに日本代表を見下しており、それを切っ掛けにエドガーと円堂は、対決をすることになった。

 

「こい!」

「ふ、思い出に持っていくと良い。エクスカリバー!」

 

イギリス代表のエース エドガーの必殺シュートは、高い威力を誇り円堂に迫る。しかし、円堂も負けじと怒りの鉄槌で迎え撃つ。

 

「怒りの鉄槌!うおおお!!うわぁ!」

「なに!私のシュートを」

 

軍配は、円堂に上がる。ボールは、バーに直撃し遠くに弾かれる。あまりの衝撃に驚くイギリス代表のメンバー。円堂の実力は、予想以上に世界と戦える力を備えていると。こうして、パーティーは終わり互いに初戦に向けて気合いが高まることになった。



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初陣

遂に迎えた世界大会リーグ線。ABの二つのリーグに別れ、そのリーグの一位と二位が決勝トーナメントに行ける。勝ち点は、それぞれ勝利3点引き分け1点負け0というルールで行われる。イギリス代表との試合に備えるイナズマジャパン。そして、笛がなる。試合は、一進一退の攻防になる。エドガーを中心に攻め上がるイギリス代表。イナズマジャパンは、何とか防いで、攻撃に回そうとするが上手く行かない。そして、遂に均衡が崩れる。ボールがエドガーに回る。

 

「今までの無礼を謝罪しよう。これが、私の本気だ!パラディンストライク!!」

「く、怒りの鉄槌!うわぁ!」

 

エドガーの左足から繰り出されたシュートはゴールに突き刺さる。そして、笛がなり前半終了。先制を取られたイナズマジャパン。円堂は、気合いを入れ直すためにトイレへ向かう。すると、例のお爺さんに会う。

 

「あ、この間のお爺さん!タイヤありがとうございます!」

「ん?ああ、あのときのボウズか。」

「見に来てたんですか?」

「まあな。ワシもこう見えて監督じゃから偵察はする。」

「監督なんですか!どこの!」

「それは言えん。それよりお前さんなにやら苦戦しとるな。」

「やっぱり、気づいてましたか。俺、自分の必殺技を持ってなくて。それで今日もじいちゃんの技で挑んだんですが。」

「まあ、結果は最悪じゃな。フム、なら一つヒントをやるかの。」

「ヒント?」

「お前さん、キーパーの仕事を何か勘違いしてないか。キーパーは、シュートを受け止めるのが仕事じゃないシュートを入れさせないのが仕事じゃ。」

「わかっているんですが、それでも止められなくて。」

「なら、止める必要無いんじゃないか?」

「止める必要がない?それは、一体。」

「おっと、時間じゃないか。戻らなくて良いのか?」

「え?あ、ホントだ!ありがとうございます!」

「ウム、良い結果期待しとるぞ!」

「はい!」

 

走り去る円堂とそれを見送るお爺さん ダイスケ。

 

「頑張れよ守。」

 

後半開始。攻めかたを変えた日本代表。染岡にボールが渡り新必殺技を放つ。

 

「くらえ!これが、俺の特訓の成果だ!ドラコンスレイヤー!」

「く、うわぁ!」

 

染岡の必殺技が炸裂する。同点に追い付くイナズマジャパン。そして、その勢いのままさらに一点を追加するイナズマジャパン。遂に、勝ち越す。だが、エドガーがここで黙っていなかった。同点にするため、イナズマジャパンのシュートをなんとエクスカリバーで弾き返す。その勢いは、増していきゴールに迫る。みんな、円堂に託す。円堂は、先ほどのお爺さんの言葉を思い出し、その答えを気づいた。

 

「そうか、止めなきゃ良いは、諦めることじゃなくてシュートを反らして、入れさせなければ良いってことか!つまり、こう言うことだな!イジゲンザハンド!」

 

円堂は、怒りの鉄槌と同じフォームでボールではなく地面を叩く。すると、光の壁がシュートをゴールの外へコースを変えた。その瞬間、笛が鳴り試合終了を告げる。日本、初陣を勝利で飾る。皆が、歓喜する。そして、整列し挨拶する。

 

「負けた。だが、次は勝たせて貰う!」

「ああ!次も負けないぞ!」

 

握手を交わす両キャプテン。スタジアムは、熱気に包まれた。その中、お爺さんはスタジアムを後にしようとすると、

 

「お爺さん!」

「ん?お主か。初戦勝利おめでとう。」

「ありがとうございます!お爺さんのヒントで勝てました!ありがとうございます!」

「はっはっは!そうか、わかったか。シュートは、入らなければ良い。」

「はい!」

 

そうして、二人が離していると1人の選手とマネージャーが来た。

 

「こんなとこにいたんですか!帰りますよ!」

「おう!すまんな!」

「!夏未!」「円堂くん!」

「なんじゃ知り合いか?」

「夏未どうして」

「円堂くん、私は今このアラヤ ダイスケ監督のチーム リトルギカントのマネージャーをさせて貰ってるの。」

「なんでまたリトルギカントに?」

「それは、また会うことが話すわ。それじゃあね。」

 

こうして、遂に幕開けた世界大会。波乱の予感させるそんな開幕戦になった。



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他情報

初戦を勝利したイナズマジャパン。だが、円堂はなぜ夏未がリトルギカントにいるのか少し謎だった。さらに、アドバイスをくれたアラヤ ダイスケという老人の存在に。そして、その二人と最強を誇る幼なじみの山城がいるリトルキガントというチーム。そんな円堂の思惑とは、関係なしにチームは今回の試合速報を見ていた。やはり、この間の世界のトッププレーヤー達は活躍したそうだ。アメリカとイタリア線では、アメリカのツートップ ディランとマークのコンビがフィディオのいるイタリアに勝利をした。その結果、驚く円堂。だが、接戦だった自分達のリーグAとは違い、リーグBは、圧倒的だった。特に、ブラジルとコトアールは、両チームが対戦相手を圧倒的大差で勝利を納めていた。

 

「さすがに、ブラジルは強いな!」

「ああ、個人のレベルが高いな。特に、キャプテンのマック・ロニージョは桁違いだな。」

「だが、俺らの知ってる怪物も相変わらずみたいだな。」

「山城。やはり、侮れないな。」

 

皆が、注目しているリトルギカントの怪物は問題なくスタートを切っていた。その後、日本代表は次の対戦相手注目する。次は、アルゼンチンのジ・エンパイア。キャプテンのテレス・トルーエ率いる鉄壁の守備チーム。その威力は、予選を無失点で勝ち上がってるいることだ。久遠の言葉と共にまた気を引き締めることにしたイナズマジャパン。一方、場所が変わってコトアールエリアのリトルギカントの練習場。そこで、初戦を終えたメンバーが軽めの練習をしている。そして、練習が終わり宿舎に戻るメンバー。だが、山城はダイスケに呼ばれて残る。そして、口を開く山城。

 

「ダイスケさん、何か用か?」

「おう、一平よく来てくれたな。この間の試合よく頑張ってくれたな!5得点どころか10点も取るとはな。これに関しては、予想外じゃったわい。」

「は笑そんな事で呼んだのか。あんたとこのチームのみんなにあんだけ鍛えられてんだ。あれくらいやらなきゃこのチームでエースとは、名乗れないだろう。」

「ふっはっはっは!そんな事せんでも、お主の努力には、誰しもが認めておるわい。それは、ワシも同じじゃ。」

「で?なんで俺を呼んだんだ。世間話をするためか?」

「いやなに、この間のことについて、心配しておっての。お前さんが気にして力が入ってないか確認よ。」

「ああ!あの事か。驚きはしたが、別にきにするほどではないな。」

「ふん、青二才が。気を使いおって。」

 

二人が話していたのは、今からまだ世界大会の予選が始まる前まで戻る。ある日の夜、ダイスケは山城を部屋に呼んで、自身の秘密を打ち明けたのだ。

 

「何か用か、ダイスケさん。練習のことか?」

「よく来てくれたな一平。とりあえず、隣に座れ。」

 

ダイスケの隣の椅子に座る山城。そして、呼び出しの用件を聞くのだった。

 

「で?話ってなんですか?」

「お主には、話さないといけないことがある。話をの前に、まずワシの名は、アラヤ ダイスケではない。」

「!どういうことだ?」

「今、ワシは、命を狙われている身なんじゃ。」

「!?それは、どういうことだ。ダイスケさん。あんた、一体何者だ?」

「、、、、、、。ワシはな、、、、、、。」



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正体

「ワシは、日本で監督していた。お前さんも知っている雷門じゃ。当時のワシらを世間は、「イナズマイレブン」と呼んでいた。」

「それは、知っている。あなたの孫からよく聞かされてた。40年前のあの事故も。」

「そう、今回もあの事件に繋がる話じゃ。あの事件の犯人を知っておるな。」

「影山さんだろ。だけど、違う話を聞いたぜ。」

「そうじゃ、やつは教え子だった。確かに、あの事件は影山がやったことじゃが、黒幕がいたことをワシは知ったのじゃ。」

「黒幕は、わかったのか?」

「ある程度は、分かっている。だが、まだ尻尾出さない。そして、そいつは今回の世界大会にも顔出すそうじゃ。つまり、今回の大会はワシとそいつの最終決戦になるじゃろうな。」

「勝てそうなのか?」

「今まだわからん。じゃが、勝たないといかん。」

「そうか、どうしてそれを俺に。」

「お主は、どこか信頼できる。勘じゃがな。」

「勘かい!」

「じゃが、その勘に賭けてみたい!無理を承知で頼む!ワシに力を貸してくれないか!」

 

山城に帽子をとって、頭を下げる大介。それに、驚く山城だが、その覚悟にかつての幼なじみと自分の愛している女性の姿が重なった。

 

「わかった顔を上げてくれ、大介さん。俺もあんたに救われた。だから、あんたの戦いに付き合ってやる!ぶっ倒してやろうぜその黒幕を!」

「ああ!すまんな!こんな老いぼれの戦いに未来ある若者を巻き込んでしまうとはな。」

「気にすんな!こちとら、やれドーピング集団やテロリストもどきと戦った男だぜ!こういうのは、慣れてる。」

「!お主も変わってるのぉ。」

「ふ笑今に始まったことじゃないぜ。」

 

こうして、エースと監督に確かな絆と信頼が生まれたのだった。そして、時は戻り先ほどの二人の会話に戻る。

 

「それで、黒幕は尻尾出したか?」

「ああ!やつの名は、ガルシルド。今回の大会の幹部でブラジルの監督じゃ。」

「ブラジルか。サッカー王国に黒幕の影。何か、嫌な力が働いているな。」

「そうじゃな。だから、お主にお願いあってのブラジル戦を棄権したいんじゃが。良いか?」

「試合放棄!?大丈夫なのかそんな事して。」

「いや、これは危険を回避するためじゃ。ワシだけでなく、お主そして、ロココ達のためじゃ。」

「わかった。ロココ達には、それっぽく伝えておく。」

「すまんな!何から何まで。」

「気にすんな!俺とダイスケさんの仲だからな!じゃあ、俺は戻るぜ。ブラジル戦に負けても大丈夫なように次の相手も蹴散らすために。」

「ふ笑そうじゃな。ワシも少ししたら休むわい」

「じゃあ、お疲れ様。」

「ああ、お疲れ。」

 

こうして、リトルギカントの1日が終わる。次の日の朝、山城の元にある一本の電話が入る。

 

「もしもし、元気だったかな山城。」

「!?あんたは、生きてたのか!何か用か?」

「何、久しぶりに教え子の顔を見たくてな。地図を送るこの場所に来てくれ。それじゃ。」ブッ

「ちょっおい!あんた、また何かしでかすのか?まだ、サッカーに対する恨みを晴らすことは出来てないのか。、、、、、、、、、、、、影山さん。」

 

そして、山城が電話を貰ったの同時にアルゼンチン街で、鬼道は、自分と同じやつを見かける。さらに、佐久間と合流すると、影山を見かけて、その影山の乗った車に挨拶をしている不動を見た。二人は、不動に対する疑念がわくと共に影山が生きていることに、怪しい雰囲気を感じていた。その頃、イタリアグラウンドでは、更なる波乱の幕開けを告げる事件が起きていた。イタリアの監督が急に交代して謎の男 ミスターKと名乗る男が就任する。そして、悲劇は起こる。フィディオなどの一部を除く選手以外のメンバーが事故に遭う。さらに、そのミスターKからメンバー入れ替えの試合を受けさせられる。もし、負けたらメンバー交代。その事を聞いた円堂、鬼道、不動、佐久間の四人は、イタリアエリアのオルフェウスグラウンドに向かう。そして、その四人とは別に山城もオルフェウスグラウンドに着く。

 



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イタリア代表のグラウンドに着く円堂達。そこには、ミスターKこと影山零治が鬼道にそっくりな選手とそのチームと待っていた。

 

「影山。生きていたのか。」

「ふ、ある人のおかげでな。」

「ミスターK。あなたのチームに勝って見せます!そして、代表は俺達 オルフェウスですから!」

「ふ笑なら、かかった来るが良い。行ってこい!お前達!」

「はい。」

 

そして、試合を始めようとすると、

 

「ちょっと待ったぁ!」

「「「!?」」」

 

皆が声のする方を振り向くと、そこにはリトルギカントのジャージを着た山城がいた。

 

「一平!」「「山城!」」

「彼は、あのときの!」

「なんだ?あいつは。」

「来たか。待っていたぞ。山城。」

 

そして、皆のところに行く山城。影山に話すことがいっぱいだった彼は、今回のことを円堂達から聞いて尚更影山に聞こうとする。

 

「影山さん、来たぞ。」

「来たって。山城、お前も呼ばれたのか?」

「確かに、呼んだ。」

「それで、用件ってなんだ?来てみればまた変なことしてるし。なんで俺を呼んだんだ。」

「お前には、ちょっとした実験に付き合って貰うために呼んだ。とりあえず、オルフェウスのチームに入れ。チームKに勝てたらお前の質問にも答えよう。」

「わかった。あんたが言うなら今回はそうするよ。という訳で加わって良いか?まもちゃん、フィディオ。」

「ああ、俺は構わないけど。フィディオは?」

「俺は、ミスターKと親しい君を余り歓迎したくないが、今はそうは言ってられない。力を貸してくれ山城。」

「決まったようだな。それじゃあ始めようか!」

 

こうして、イタリア代表の座を賭けて怪しい監督のチームと日本、コトアール(1名)、オルフェウスの無事だったメンツで作った混合チームの試合が開幕する。山城は、様子を見るため今回はMFに回る。先にボールを持ったのはフィディオ。白い流星と呼ばれているそのスピードで駆け上がる。

 

「凄い!なんて速さだ。流石、イタリアのエースだ。」

「へぇ、早いな。」

「行け、フィディオ!」

「!」

 

だが、そこは影山の手腕が光る。フィディオが1人を相手にすると、直ぐに囲い混んでパスを限定させた。それには、流石のフィディオも手を出せずに終わる。攻守交代し敵のデモーニオを中心に駆け上がる。個人の身体能力は、桁違いに高くなす術に前線を走るデモーニオに渡る。そして、シュートに入るが、日本代表メンバーと山城はそのフォームに見覚えがある。

 

「見ろ!これが最強の力を得た俺達の力だ!皇帝ペンギンX!」

 

放たれたシュートは、円堂に迫る。円堂は、イジゲンザハンドの体勢に入ろうとするが、余りのシュート速さに間に合わずゴールを許す。それには、帝国組は驚く。それは、禁断のシュート 皇帝ペンギン1号に似ているからである。

 

「禁断のシュートを打って、無事なはずない。」

「何を考えているんだ影山は。」

「とりあえず、同点にしようぜ。」

「、、、、、、。」

「おい!聞いてんのか鬼道!」

「ああ、、、、。」

 

今回の一件ずっと鬼道の様子がおかしかった。それを気に掛けている日本代表のメンバー。そして、試合は混合チームのボールだが、鬼道が影山のことで頭いっぱいのせいで敵にボールを取られた。デモーニオは、先制した時と同じように攻めるが、怪物が許さなかった。

 

「こいよ最強さん。」

「お前も越えてやる!お前も越えて本当の世界一の選手になってやるんだ!」

 

そこから、怪物と改造された挑戦者の一対一が始まる。デモーニオの能力の高さを知ったメンバーは怪物の動きにも驚きを隠せなかった。

 

「すげぇ、これが一平の力。」

「山城のやつまた腕を上げたのか。」

「チ、鼻につくヤローだ。」

「、、、、。」

「世界の中でも、1,2を争うほどだ。それこそ、キャプテンと同等かそれ以上に。」

「ふ笑流石、最高傑作。お前を呼んで良かった。」

 

それぞれの思惑の中、遂に決着が訪れる。

 

「はぁ、、、、はぁ、、、くそ!」

「なんだ?もう終わりかよ。案外、呆気ないなお前。」

「な!」

 

ボールを奪った怪物。そのまま、駆け上がる。フィディオや他のメンバーも付いていこうとするが、どんどん離されて行く。そして、怪物は最後のDFを抜くとキーパー一対一に。

 

「こい!化け物!」

「は笑。笑わせんなよ。三流ども。」ドッ

「え?」

 

キーパーは、一歩も動くことがなかった。いや出来なかった。山城のシュートの速さは、強化されたキーパーでも認識できないほどに速く。気づいた時には、ゴールに突き刺さる音を聞いた時だった。試合に出てるメンバー皆が言葉を失った。今のプレイに絶望したデモーニオに山城は耳元で呟いた。

 

「影山さんの連れて来た選手って言うからちょっと期待したけど、話になんねーな。」

 

そして、自分の陣地に戻る怪物に話掛けてきたメンバーだが、山城の次の言葉は予想外の言葉だった。

 

「はぁ、お前ら遅くね?ちゃんと、付いてこいよ。」

「何!山城てめえ!調子乗りすぎだ!」

「ああ?何、お前居たの?不動だっけ?まあどうでも良いけど少し頑張れ。」

「な!こいつ!」

「待て不動!山城は、いつもこんな感じだろ。きにすることじゃない。山城、悪かったな。次は、頑張ってお前に付いていく。」

「そうか、わかった。佐久間、しっかり付いてこいよ。」

 

それを遠くで見ていたフィディオと影山。フィディオは、怪物のプレイに畏怖と尊敬の念を抱いていた。そして、影山は何も話しかけずにただ静かに笑う。自分の教え子の成長に喜んでいた。そして、前半は怪物のプレイに付いていく佐久間やフィディオ達が、躍動し何とか1点勝ち越して終えることができた。だが、鬼道は1人浮かない顔をして、ハーフタイムに入る。

 

 



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強化システムの限界

ハーフタイムに入る鬼道。そんな鬼道の顔にボールが襲う。突然の出来事に驚くメンバー。蹴った犯人は、不動だった。

 

「不動何やってんだ!」

「おい、少し目ぇ覚めたか?まだってんならもう一回やるぞ!」

「おい、もうよせ!やりすぎだぞ。」

「うるせぇ!試合中なのに、目の前のことに集中できてねぇ野郎の目を覚まさせるんだよ!」

「だからって。」

「いや佐久間大丈夫だ。すまん不動。おかげで目が覚めた。」

 

鬼道の目付きが変わる。先程までの迷いのある瞳ではなく、まっすぐ意志のある瞳に変わる。そして、後半に入る。ボールは、混合チームからである。だが、開始と同時に敵の選手達に異変が生じる。

 

「負けるのか?俺達は。あの頃の力がなかったから頃に。イヤだぁ!!」

「「「!?」」」

 

変な叫びと共に敵の動きが変わる。ボールを持った山城に付いてきているのだが、その目は黒く荒んでいた。

 

「!(なんだ、こいつら。動きが急に激しくなった?いや、何か変だな。かつてのアフロディ達を見てるみたいだ。)」

「ボールをよこせぇ!」

「ち、しゃあねぇ。ちょっと、本気出すか!」

「!」

 

山城は、緩急を大きくして、敵の守備を無力化し抜くき去り、敵のキーパーの前に行くと、後ろから影が現れ間に入ってきた。デモーニオだ。

 

「よこせぇ!」

「ち、」

 

そして、山城からボールを奪ったデモーニオは、そのまま駆け上がる。圧倒的スピード、パワーで混合チームの選手を抜き去り円堂と一対一に。

 

「皇帝ペンギンX!」

「今度は、間に合う!イジゲンザハンド!」

 

タイミングが合ってきた円堂に軍配が上がりシュートは大きく反れた。そして、カウンターに入り鬼道にボールが渡る。鬼道は、不動と共に上がり二人でシュートを放つが、未完成なのかコントロールを失いバーに当たる。

 

「くそ、まだ駄目か。」

「いや完成は、近いはずだ。何かあと少しなんだが。」

「二人とも、今のシュート。」

「ああ、俺と不動で密かに練習してたやつだ。」

「だが、あと少しで終わる。何が必要なんだ。」

「!次は、俺も参加しよう!お前らに足りないのは、残りの押し出す威力だ!たがら、次は俺も参加して高さを加えるんだ!」

「佐久間、高さか!」

「なるほどな。そしたら、次で決めるぞ!」

「「おう!」」

 

帝国きっての頭脳派のプレーヤーが集まった。それは、かつての帝国や真帝国にも無かったもの。ボールは、敵に渡る。しかし、ここでデモーニオが異変をきたす。

 

「!視界が。」

「貰うぞ!」

「!」

「おら!決めろお前ら!」

 

山城は、三人が飛び上がると同時に高いパスを出す。そして、三人のシュートは残ったピースを嵌めることができた。放たれたシュートのペンギンは、力強さを増してゴールに迫る。

 

「く、うわぁ!」

 

そして、シュートはゴールに突き刺さる。喜ぶ三人。混合チーム皆で祝福した。だが、敵の選手達の様子がおかしかった。

 

「デモーニオ!」

「大丈夫か!」

「ボールは、どこだ?何も見えない?」

「「「!?」」」

「(強化プログラムの限界か!)」

 

デモーニオはその後、ベンチに下がる。風向きはもう混合に向いていた。そのまま、フィディオのシュートが決まりだめ押しに。デモーニオは、ベンチからピッチで楽しくプレイする混合のチームを見て考えを改める。

 

「ミスター!俺達やはり今回の件に付いていくことができません。力に慣れずすみません!」

「、、、、。気にするな。元からお前達に期待はしてない。勝手にするがいい。」

「はい!ありがとうございました!審判!入ります!」

 

デモーニオは、身につけていたゴーグル、マント、ヘアゴムを外しかつての姿で仲間達と楽しくサッカーすることにした。試合は、かつてのチームプレーをするデモーニオ達。力は、及ばないがそれでも悔いは残っておらず清々しさが合った。試合は、混合チームの勝利で幕を閉じた。



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仕組まれた罠

無事に代表の座を守ったフィディオ達。そして、手を貸してくれた日本代表のメンバーと山城に感謝する。皆がオルフェウスの祝福をしていると、影山が近づいてきた。

 

「いやあ、おめでとう。オルフェウスの諸君。」

「約束は守ってくれますよね?ミスター!」

「ああ、守ろう。イタリア代表は君達だ!」

「良かったなフィディオ!」

「ああ!マモル達もありがとう!」

「ふ笑、喜んでいるところすまないが、日本代表の君達がここに居ていいのかな?」

「?それは、どういことだ。」

 

そうすると、影山は手に持っているラジオつける。すると、そこからは信じられないことが聴こえた。

 

「さあ!間もなく、日本代表イナズマジャパンとアルゼンチン代表ジ・エンパイアの試合が開始されます!」

「!?どういことだ。試合は、明日のはずじゃ。」

「ふふ笑」

「!まさか、お前の仕業か!影山!」

「さてな?」

「くそ、どこまでも汚いやつめ。」

「マモル!今知り合いから船を出して貰えるそうだ。それで向かおう!」

「ありがとう!フィディオ!」

 

そして、試合会場に向かうメンバー。残された山城は、影山に向き直る。

 

「これもあなたの仕業なのか?」

「それは、答えられんな。」

「!ミスター!あなたは、何が目的なんだ。」

「お前らが知る必要はない。」

「くっ!」

「オルフェウス、お前達はもう休め。ここからは、俺が聞く時間だ。」

「なっ!なんでお前が!」

「ブラージ。ここは、彼に任せよ。後は、頼んだ山城。」

 

そうして、グラウンドを後にするオルフェウスのメンバー。残された、二人は会話を続ける。

 

「影山さん。あんた、なんでそこまでサッカーを恨む。」

「それは、教えられんな。」

「あんたの裏にいるやつは、誰なんだ?」

「お前が知る必要はない。そろそろ私は行くぞ。」

「最後に聞きたい。なんで、俺を帝国に呼んだ。なんで、サッカーを教えてくれたんだよ。答えてくれ!先生!」

「、、、、。今は、教えられんな。事が終われば教えよう。」

「!本当か!約束だぞ!先生!」

 

そして、笑顔で去る山城。その姿を見た影山もいつもの冷徹な笑みとは違い暖かみのある笑みを浮かべて呟く。

 

「山城、お前は決して踏み外すな。私とは違い、お前は自分が思っている以上に、周囲を善き方向に導く才能がある。そのまま、走り切るといい。そうしたら、またお前と話そうじゃないか。」

 

こうして、1つの約束が交わされた。一方、場所が変わって日本代表とアルゼンチン代表の試合会場。日本代表側は、問題が多く発生していた。円堂を含む主力四人抜きで試合をしなければならなくなったこと。さらに、久遠監督と響が協会から呼び出しを急に受けたことにより指導者の不在。まさに、最悪の状況で始まることになった。そして、そんな最悪の状況下で試合開始の笛が鳴る。

 



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アンデスの壁

最悪の状態で始めるイナズマジャパン。それぞれが気合いを入れる。だが、1人だけ不安を抱えていた。キーパーの立向居である。ここまでの出場は、ネオジャパンとファイアドラゴンの数分のみ。しかも、必ず円堂が控えていた状況のみ。つまり、立向居の円堂の抜きの試合は、これが初になる。

 

「自分に円堂さんの代わりは、務まるのか?」

 

そんな中、試合は始まる。先攻は、イナズマジャパンから。豪炎寺やヒロトを中心に攻め上がる。だが、世界屈指の鉄壁を誇るジ・エンパイア。ちょっとやそっとじゃビクともしなかった。そして、彼らは攻撃も優秀。さっそく、二人のFWにボールが渡ると、1人のFWが必殺シュートを放ってきた。

 

「ムゲンザハンド!くっうわぁ!」

 

立向居の渾身の必殺技も通用しなかった。それもそのはず、立向居の技は、全部円堂のお爺さんの技であり自分の技でないのだ。本人もそれを気にして、この試合が始まるまで特訓していたが、上手くいかなかった。その後、一年生組と綱海の力を借りて何とか形になったが、それでも立向居にとっては成長の一歩だった。時は、試合に戻ってアルゼンチン戦。先制をされた日本代表。再び、前線のスリートップを中心にシュートを放つがテレスとキーパーの壁は、厚かった。さらに、厄介なのは必殺タクティスの「アンデスのありじごく」である。ドリブルする選手をありじごくのように身動きを取らせないようにする陣形技。これの相まってアルゼンチンは、鉄壁を誇る。だが、イナズマジャパンは誰1人諦めておらず立向居を中心に変わって行く。再び、シュートを放たれた。しかし、立向居の目には、憧れの円堂と同じ熱き闘志が宿っていた。

 

「(ここは、絶対止めてやる!)マオウザハンド!」

 

この土壇場で見事に完成した。そして、ここからはカウンターが始まる。どんどんボールを回していく日本代表。ボールが栗松に渡ったところでアンデスのありじごくが発動される。だが、栗松は粘りなんと突破することに成功。そして、ボールが最前線の三人に渡り、三人はここで新必殺技を放つ。

 

「行くぞ!ヒロト!虎丸!」

「うん!」「はい!」

「「「グランドファイア!!!」」」

「「ぐわぁ!」」

 

遂に鉄壁のゴールを破ったイナズマジャパン。ここで、波に乗りたかったが、スタメンと監督がちゃんと揃ってる敵の方が一枚上手であり、グランドファイアを打つ前に三人を揃えさせずにするなどの作戦を敷いてきた。結果、日本代表は、失点することもなかったが、得点が取れずに敗退することになった。その後、円堂達と久遠監督が合流する。

 

「すみません!円堂さんの代わりにゴールを守る事ができませんでした。」

「俺もだ。円堂の代わりにキャプテンマークを巻いて戦ったがお前のように勝利を導けなかった。不甲斐なくてすまん!!」

 

二人に続き皆が試合を反省して円堂に謝罪するが、円堂は受け止めて皆を励ます。

 

「何言ってんだみんな!よく頑張ってたじゃないか!立向居、マオウザハンド凄いじゃないか!ちゃんと、最後までゴール守ってみせたじゃないか。風丸!お前のおかげでこの結果まで行けたんじゃないか!自信持て!」

「「円堂」」「円堂さん」「「キャプテン」」

 

そして、円堂がチームを励ました後、久遠がチームの士気を高めた。日本代表は、気を引き締めることができた。すると、日本代表にテレスが近づいてきた。

 

「お前達、見直したぞ!始めは、力の差を考えてなくて舐めてきたのかと思ったが、なかなか熱いハート持ってんじゃねーか!次は、万全の状態でやろうぜ!」

「ああ!次は、絶対負けないぞ!」

 

熱い握手を交わした両キャプテン。こうして、イナズマジャパンは先がわからない状態になる。だが、次のアメリカ戦に向けて気合いを入れるのだった。一方、コトアールのリトルギカントの宿舎。山城が帰ると、メンバーと夏未が話掛けてきた。

 

「本当にブラジル戦棄権するの?何かの間違いじゃなくて?」

「いや本当だ。これは、ダイスケにも了承を取っている。すまないが、今回の試合は諦めてくれ。」

「その分けは、キャプテンのボクにも話せないの?」

「ああ、此ばっかしはな。」

「そうか。」

「だが、勘違いしないで欲しい!ダイスケさんは、お前達の実力を勝ってのことだ。決して、お前らの実力を信じて無いわけではないんだ!」

 

沈黙する一同。だが、山城の真剣な姿勢と普段の仲を信じた。

 

「わかったよ!今回は、ダイスケの作戦に乗るよ!」

「すまねぇな。助かる。」

「けど、いつかは話してくれよ!約束だよ!」

「ああ!それは守ろう!」

 

こうして、リトルギカントのブラジル戦は終わった。そのうらでは、ガルシルドが今回の棄権と影山からの強化プログラムの結果を聞く。

 

「ガルシルド様、今回の結果報告と情報です。」

「ウム。やはり強化プログラムにはまだ改良が必要だな。そして、やつはブラジル戦には顔を出さないみたいだな。わかった。強化プログラムの方はそのまま続けろ。ダイスケの方は、またいずれ仕掛けようじゃないか。」

「は、かしこまりました。」

 

闇は、まだまだ裏から動いている。果たして、この裏の戦いはまだまだ続きそうだ。



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それぞれの思い

次のアメリカ戦に備えるイナズマジャパン。そんな気合いを入れているメンバーの練習に一人の選手が遮る。

 

「お前は、吹雪!」

「久しぶりキャプテン!」

「もう大丈夫なのか!」

「うん!もうバッチリ!」

「そうか!良かったな!」

「おい!何喜んでんだ!吹雪が来たってことは誰か落とされるんだぞ!」

 

不動のその言葉により緊張の空気が流れる。久遠監督が近づいて、帰国する選手を告げた。選ばれたのは、栗松だった。原因は、アルゼンチン戦でみせた粘りのドリブルの際に痛めた足だった。落ち込むメンバー。だが、染岡の一言で復帰を目指しことを誓った栗松は、飛行機からメンバーの見送り励みにして帰国する。そして、残ったメンバー再び、アメリカ代表ユニコーンについて確認する。アメリカ代表 ユニコーンは、ディラン、マークを中心に多彩な攻めかたをできるチーム。中でも、アメリカ代表に選抜された一ノ瀬は郡を抜いていた。顔を知るメンバーが燃え上がる。一方、アメリカ代表の宿舎。暗い雰囲気になる。一ノ瀬の選手生命が危ういのだった。それを知るメンバーである土門は、隠しながら過ごしていたが、秋にばれてしまい打ち明ける。それを円堂にばれてしまう。結果、互いにモヤモヤが残る形でアメリカ戦が始まるのだった。試合が開始すると、アメリカの猛攻を受けるイナズマジャパン。円堂は、極度のお人好しのせいで一ノ瀬を勝たせてあげたいという気持ちが少なからず残ってしまい失点する。さらに追加点とあげてしまう。これに気づかない豪炎寺ではなかった。ファイアトルネードをぶつけて気合いを入れさせる。そして、吹っ切れた円堂は、チームの勢いあげる活躍しそれに答えるメンバーが躍動する。そして、見事同点に追い付く。だが、ここで一ノ瀬の状態が悪くなり監督に交代を告げられる一ノ瀬。そこから、互いに一進一退の攻防により同点のまま前半終了。そして、ハーフタイムが終わり後半開始すると、イナズマジャパンの勢いは凄く。勝ち越しをあげる。そして、さらに追加点。それを悔しく見ているしかなかった一ノ瀬は監督に直訴した。

 

「ボス!俺を出してください!」

「ダメだ!お前は、ここで潰れていい選手じゃない!」

「だが、チームが負けるくらいなら二度とサッカーを出来なくても構わない!」

「!それで良いのか?」

「はい!覚悟は出来てます!」

「わかった。だが、出すのは残り少ない時間のときだ。それ以外で出せん。」

「わかりました。ありがとうございます!」

 

そして、遂にその時がきた点差あと少しというところで、一ノ瀬舞い戻る。そして、ペガサスは最後の時間のまで力の限りフィールドを羽ばたいた。そして、笛が鳴り響き試合が終了。イナズマジャパンが逃げ切った。力が抜けて尻餅をついた一ノ瀬。その顔に清々しさを表す。そして、円堂達や仲間達から祝福された。その後、円堂と二人切りになり手術をしっかり受けて復活を果たすことを誓った。時は、経ってリトルギカントの3試合目。ブラジル戦の試合放棄を切っ掛けにリトルギカントの実力を疑問視するファンが増えたがそれは単なる勘違いに終わる。

 

「はぁ、、、、はぁ、、、、。クソ!まさか我々フランスがこんな無名のチームに此程の差をつけられるとは。」

 

スコアは、通常の試合ではあり得ない記録。そんなフランスのキャプテンに山城は、冷徹な視線送りながら口を開く。

 

「まさか、この程度か?優勝候補だと聞いたが、ここまでやわいとはな。まあ元から期待してないが。」

「くっ。」

「なら、もうトドメさすか。」

「来るぞ!お前ら必殺タクティスでボールを取るぞ!」

「「「おう!!!」」」

「はぁ。もうお前らのそれ飽きた。ふん!」

「「「うわぁ!!」」

「ほら、ラストだな決めなドラコ。」

「ナイスパス一平!いくぜ!」ドッ

 

適当に出した山城のパスを、チームのもう1人のストライカー ドラコは直接空中にあるパスのボールダイレクトゴールに叩き込んだ。そして、笛が鳴り試合終了。絶望するフランス代表と今回の勝利に歓喜するリトルギカント。試合会場は、静寂に包まれていた。

 

「ナイスパス一平!けど、もっとパスくれねぇか不完全燃焼だぜ!」

「馬鹿を言うなドラコ。俺は、お前が持ちすぎたせいで得点数を一平より下回ったんだぞ!」

「まあまあ勝てたから良いじゃん二人とも!ね、一平!」

「ドラコ、ゴーシュ、ロココ、無断口そこまでだ。帰って、今回の修正をするぞ。良いだろダイスケさん。」

「ああ、それは構わん。ワシも同じことを思っていたからな。」

「よし、決まりだな。それに、不完全燃焼はお前達だけじゃねぇよ俺もだ。さあ!帰るぞ!」

「「「おう!!!」」」

「たまに思うんだけどさ、一平ってボクよりキャプテンしてない?」

「気にするな。良いから行くぞ。帰って相手してくれ。」

「うん!わかった!」

 

グラウンドを後にするリトルギカント。ダークホースの力は、破壊知れないものだった。それは、近くでマネージャーとして試合を見ていた夏未もそう感じていた。

 



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監督の力

時は、戻って日本がアメリカと試合をする前。日本代表は、イタリアとイギリスの試合を見ていた。その試合は、イタリアにとっては、影山を監督に迎えた初の試合である。だが、チーム内はキーパーのヴラージを中心に不信感抱いており、今回の試合を指示受けないという選択しを取った。影山は、これに対して反対することなくただただ了承するだけであった。試合開始すると、イギリスの猛攻を受ける。

 

「私達は、必ず勝利せねばならない!」

「「「おう!!!」」」

 

エドガーを中心に駆け上がる。そして、日本戦でも発動した攻撃系必殺タクティクス無敵の槍によりイタリア陣営を散らしキーパーの前へ。

 

「我が祖国に勝利を。エクスかリバー!!」

「くっおわぁ!」」

 

エドガーの聖剣がオルフェウスのゴールに突き刺さる。先制を許すオルフェウス。キャプテンを任されてるフィディオは、どうにかチーム勝たせたいという思いが強く思った通りのプレーを出来なくなっていた。

 

「どうやら向こうは、上手く機能していないみたいだな。お前達!このまま勝利をもぎ取るぞ!」

「くっ。」

 

その後、追加点を取られたオルフェウス。そのまま攻められる一方で前半を終える。そして、ハーフタイムにフィディオは、影山の方へ足を向ける。

 

「フィディオ!」

「、、、、。どうした?フィディオ。お前達は、私の指示には従わないのでは。」

「そうだフィディオ、こいつの言うことを聞く必要なんて。」

「だが、現実は負けている。だから、貴方の力を貸してください。お願いします。」

「フィディオ。」

「ふん、何思ったが知らないが。まあいい。お前達が苦戦しているあの必殺技には発動終了後にドリブルしている選手の壁が剥がれる。そこを狙え。」

「発動後ですか?わかりました!」

 

そして、後半スタート。エドガーは、また無敵の槍を発動。前半同様にオルフェウスの守備を散らす。だが、発動終了後エドガーの周り選手が離れた途端にフィディオを中心にエドガーに集中する。

 

「何!」

「破れた!みんな!上がるぞ!」

「「おう!!」」

 

勢いづくイタリア。フィディオは、前線でパスを貰いキーパーと一対一に。

 

「これで勢いに乗る!オーディンソード!!」

「うわぁ!」

 

フィディオの起死回生の一点を決める。これを機に息を吹き返す。そして、

 

「行かせない!勝つのは、私達だ!」

「ボク達も負けるわけには行かない!」

「くっクソ。」

 

エドガーとの一対一に勝ったフィディオ。そのまま、だめ押しを決めた。笛がスタジアムに鳴り響き試合終了を告げる。歓喜するオルフェウス。喜ぶ仲間と歓喜を分かち合うフィディオの元へエドガーが来た。

 

「おめでとうフィディオ。完敗だ。」

「エドガー。いや、こっちもまだまだチームの課題が山積みさ。」

「みたいだな。俺達はここで終わりだが最後まで頑張らせて貰う。」

「俺達も予選はまだ終わってないから。」

「ああ、影ながら応援してる。」

「ありがとう。」

 

こうして、貴重な勝ち星を手に入れたオルフェウス。それをテレビで見ていた日本代表。メンバーの一部は、影山の監督としての力を改めて知った。圧倒的な劣性からの逆点勝利。しかも、前半の様子を見ていただけで敵の弱点を見つけた観察力。やはり監督としての能力は、本物。そして、それに気づいたのは怪物もまたその1人だった。

 

「なるほどね。やっぱりスゲーなあの人は。普通にサッカーの試合をやらせても一流だな。」

「何見てんのイッペイ!イタリアとイギリスの試合?なんでこの試合を?普段のナツミのミーティングでは、めんどくさそうに見てるのに。」

「ロココか。いやなに俺の恩師、まあお前達で言うところのダイスケさんみたいな人かな。」

「そうなんだ!じゃあ、対戦できるといいね!」

「ああそうだな。よし!練習するか!一緒にやるか?ロココ。」

「良いの!じゃあ行こう!」

 

怪物同士が練習する。周りを置き去りにするくらいに。そして、時は進む。



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条件

無事にアメリカに勝った日本代表。だが、油断は出来ない。現在の順位は同率1位。しかも日本代表は、これまでの勝った試合において全て辛勝。つまり簡単に順位がひっくり返るの位置である。そして、次の試合はリーグ戦最終戦。勝てば突破、負ければ敗退確実。気を引き締めるイナズマジャパンのメンバー。

 

「勝たなければ、終わり。」

「引くに引けない状況だな。」

「なかなか厳しいね。」

「よーし!次のイタリア戦絶対勝つぞ!」

「「「おう!!!」」

 

引き締まった士気。気合いの入った練習することができた。そして最終戦は、いよいよフィディオの対戦になる。彼の流れるような速く強いドリブル、鋭いシュートの威力。世界が注目する選手に遂に挑めるのだ。円堂は、嬉しくも熱が上がる。

 

「(待ってろフィディオ。俺達は負けないぞ!)」

 

そんな円堂とは、変わってフィディオのいるオルフェウス。影山の監督としての力を認め、次の日本戦に対する。新しい必殺タクティクスの練習をしていた。だが、内容は最悪で上手くいかなかった。これを切っ掛けにまた監督と選手に溝が深まる。オルフェウスの一部は必殺タクティクスを諦めて地力で戦う方向を目指していた。だが、フィディオは、諦められずにいた。結果、チーム内でフィディオが浮いてしまった。部屋に戻ったフィディオ。悩みは、尽きていない。

 

「(マモルのいる日本は、今じゃ世界屈指の攻撃力を持っている。そんなチームに俺達は勝てるのか?勝てたとして、この先には、ブラジルかコトアール。この大会の優勝候補であり両国ともチーム力が凄い。そこに、エースストライカーのあの二人だ。果たして、今のままで勝てるのか?。)やっぱり、必要だ。だけど、どうすれば?そういえば、キャプテンから手紙が来ていたんだ!それに、このDVDは?」

 

フィディオは、キャプテンと呼ばれる人物から手紙のには、激励と現在の様子が記されていた。そして、DVDのことも書かれていたため、試しに再生してみる。

 

「これは?日本代表の試合それにかなり古い。この選手は、ミスターK?いや少し違う。それは、いい。けど、このフォーメーション。今練習してるやつだ!この映像にヒントがあるんですね?キャプテン。」

 

それから互いに試合に備えて準備万端で望む。そして、試合が始まる。会場には、両チームが揃う。さらに、スタジアムの観客席には山城も来ていた。

 

「さてどちらが勝つか楽しみだな。下馬評だと、オルフェウスか。だが、勢いがあるのはイナズマジャパンの方だ。だが、そこに影山さんがどれだけ力を貸すのか興味深いな。」

 

こうして、互いに予選突破の切符を手に入れるチャンスをしにもの狂いで取りに行く。そして、試合開始の笛が響き渡る。ボールは、日本からスタート。パスを回して前線に上がる。そして、豪炎寺に渡る。

 

「先制を貰うぞ!爆熱スクリュー!!」

「コロッセオガード!!」

 

豪炎寺のシュートをヴラージの必殺技が勝った。そして、前線に渡るが、パスを要求したフィディオには渡されなかった。そして、同じFWのラファエロにボールが渡りシュートを放つ。だが、円堂に止められる。そして、今のプレーに気づいた鬼道と不動。

 

「今のプレーもしてかして。」

「わからん。だが、その線はあるな。」

「なら、そこを突くまでだな。」

「ああ。」

 

二人の司令塔が動くそして、フィディオと連携の取れてないところを突いて再びチャンスを作ることができた。今度は、豪炎寺と虎丸とヒロトの連携シュート。

 

「「「グラウンドファイア!!」」

「コロッセオ、ぐわぁ!」

 

先制のゴールが突き刺さる。そして、波に乗るイナズマジャパン。さらにもう一点追加した。この状況にフィディオは、動く。



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起死回生の策

前半も真っ只中チーム内は、最悪。フィディオは遂にチームをまとめる。

 

「みんな聞いてほしい。カテナチオ・カウンターを試したい。」

「何を言うかと思えば、無駄なことをさあ戻れ。」

「そうだ。まだ負けてない。点をとって勝てばあの監督をおさらばできるだぜ。」

「そういうことだ。フィディオ、お前は考えを変えない限りパスを回さない。」

 

そんな言葉を聞いてフィディオは、引き下がらずボールを持ってるヴラージの前に立続ける。

 

「なんだフィディオ?邪魔だ!」

「どかない!みんなも聞け!たしかに、ミスターを信じられないかもしれない。その人の考えに賛成する俺のことも信じられないかもしれない。だが、このままではこのチームの先はない!だから、少しでも変わりたいんだ!お願いだ!少しの時間だけ協力してくれ!」

 

皆の前で頭下げたフィディオ。その勇気ある行動は、チームのメンバーに届く。

 

「わかった。少しだけだぞ。」

「ヴラージありがとう!」

「良かったねフィディオ。」

「ああ!アンジェロもありがとう!よし!作戦を説明する。」

 

そして、説明を聞くメンバー。

 

「それで行けるのか?」

「ああ。頼むよ、みんな!」

「「「おう!!!」」

 

チームが変わった。そして、次のプレーで遂に完成する。それに気づいた影山。

 

「止めろ何のつもりだ!そのフォーメーションは!」

「そうです、監督!これは、かつてのあなたの父 影山 東吾のプレーです。そして、彼がこの作戦の鍵だったんだ!」

「な、なんだと!」

「行くぞみんな!カテナチオ・カウンター!」

「「「おう!!!」」

「な、」

 

遂に、勢いに乗るオルフェウス。チームが一つとなった瞬間である。それまでの動きと違うため、戸惑う日本代表。そして、フィディオにボールが渡る。

 

「行くぞ!マモル!」

「こい!」

「オーディンソード!」

「イジゲンザハンド!うわぁ!」

 

白い流星の剣が円堂の必殺技を貫く。一点を返すことに成功したオルフェウス。その後もカテナチオ・カウンターを使いボール奪い。ラファエロに渡りシュートを決められる。そして、同点になる。そして、笛が鳴り響き前半を終える。同点に追い付かれたイナズマジャパンと追い付いたオルフェウス。誰から見ても追い風は、オルフェウスに来ていた。そして、ハーフタイムの休憩に入った時に影山はフィディオに近づく。

 

「監督?」

「フィディオ、どこであの技のヒントを見つけてきた。」

「昨日、キャプテンからの手紙と一緒に入ってたDVDに入ってました。そこであなたの父のプレーを見てヒントを見つけたんです。」

「そうか、そういうことか。なら、あれはあまり使うな。連携のミスを突かれることになる。あれは、そんな多様するものではない。」

「そうなんですか。わかりました。」

「それよりお前ら1人1人の動きが勿体ない。」

 

それから、影山は人が変わったようにフィディオを始め選手1人1人に指示を出す。それがとても的確であった。みんなそれに驚き、すぐに修正することを心がける。それに対する日本は、少し困っていた。カテナチオ・カウンターが強力すぎてどうすれば破れるのか考えていたが時間になっても考えが出ず後半開始を迎えるのだった。



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教え子

後半が開始する。オルフェウスボールで進む。しかし、鬼道と不動のコンビでボールを奪い駆け上がる。そして、カテナチオカウンターを仕掛けられボールを取られる。だが、DFがクリアをして難を逃れる。鬼道はそこからヒントを得る。

 

「もしかしたら、行けるかもな。不動!」

「!なるほどな。任せときな。」

 

試合再開。不動がボールを貰い駆け上がる。そして、カテナチオカウンターが仕掛けられフィディオに取られる。

 

「もらっ!?」

 

だが、前回と違い鬼道が直ぐにリカバリーに入りボールを取られる。遂に策を破る。そのまま鬼道は、不動、佐久間と共に空へ舞う。

 

「「「皇帝ペンギン3号!!」」

「くっコロッセオガード!!うわぁ!」

 

日本に勝ち越しゴールが決まる。喜ぶ三人。策を破られたオルフェウスは士気は下がる。だが、その時、オルフェウスベンチに1人の選手が現れる。

 

「待たせたなみんな。」

「キャプテン!!」

 

イタリアのキャプテン ヒデ・ナカタここに帰還する。歓喜するイタリア代表。そして、ヒデの隣には1人の少女がいた。

 

「おじさん!」

「!来たのか!」

「ルシェ!目が見えるようになったのか!」

「うん、おじさんのお蔭で手術を受けられたんだ!ありがとうおじさん!」

「監督が?」

「ルシェとりあえずスタンドに居なさい。」

「うん、頑張ってね。」

 

そして、話はヒデ・ナカタに戻り何故チームを離れていたこととチーム合流を認めた。こうして、伝説の男 ヒデがフィールドに降り立つ。それには、皆が警戒する。試合再開。ボールを持ったヒデが強烈なロングシュートを放つ。

 

「ブレイブショット!!」

「イジゲンザハンド!うわぁ!」

 

そのシュートは、異次元に張られた壁を破壊してゴールに突き刺さる。あまりの威力に驚く日本代表。だが、円堂は燃えていた。

 

「すげえ!まだこんな選手がいたのか!くー次は、絶対止める!」

 

それを確認できた日本代表は、士気を落とさずに済んだ。だが、ヒデの実力はそれだけでなかった。先ほど破ったカテナチオカウンターの穴を埋めたのだ。そして、そのままフィディオに渡す。

 

「オーディンソード!!」

「イジゲンザハンド!くっうわぁ!」

 

ゴールが決まる。また勝ち越された日本代表。だが、司令塔は二人いる。今度は、不動が気づいた。ヒデと他のメンバーには連携のズレが有ることに。それを鬼道に伝えて動く。鬼道が、フィディオを抜くとヒデが現れるがヒデの空いたスペースに走りこんだ不動に渡す。

 

「な!」

「よし!決めろお前ら!」

 

ボールを貰った豪炎寺と虎丸。そのまま、タイガーストームを放つ。

 

「くっコロッセオガード!!うっうわぁ!」

 

同点になる。観客のボルテージは、MAXに。そして、残り時間は少ない。互いに、攻め上がりシュートを放つ。だが、両チームの守護神が躍動。さらに、DF陣にも熱が入る。得点が決まらない中、ヒデがボールを奪いフィディオに託す。

 

「決めてこいフィディオ!」

「はい!いくぞ!マモル!」

「こい!フィディオ!」

「ハアアア!オーディンソード!!」

「イジゲンザハンド!!」

「「うおおおおおお!!」」

 

最高の技と技のぶつかり合い。皆がその行方を見守る。そして、壁にヒビが入り始めた。そのまま決まるかと思ったがシュートはコースを外れてバーに直撃。その後、フィールドに。フィディオと鬼道取りに行くがそこで笛が鳴り響く。

 

「終わったのか、、、、。フゥ。」

「引き分けか。」

 

互いに全力を振り絞った結果立てる者は、ほとんどいなかった。そして、互いに相手の選手を起こし合い握手など健闘称え合う。引き分けによりイタリアは、予選突破決定する。歓喜するオルフェウスのメンバー。イナズマジャパンは、他のスタジアムでやってるアメリカとアルゼンチンの試合結果を待つ。そのアメリカ対アルゼンチン。アルゼンチンリードで終盤作、ディランとマークの必殺シュート ユニコーンブーストを放つが、それを世界の壁 テレスの守備が止める。そして、笛が鳴り響きアメリカの予選敗退と日本の突破が決まった。

 

「やった!予選突破だ!!」

 

歓喜するイナズマジャパン。そこに、オルフェウスのメンバーが祝福する。

 

「おめでとうマモル。決着は、決勝だな!」

「ありがとうフィディオ。次は、俺達が勝つぞ!」

「俺達も負けてられないな。」

 

互いに固い握手をする。そして、影山の下へフィディオと鬼道が集まる。

 

「サッカーを憎んでいたのに憎めば憎むほどサッカーが好きなっていった。フィディオ、どうして私を信じた?」

「それは、自分と監督が似た境遇を持っていたからです。俺の父もサッカー選手でした。そして、同じようにサッカーを憎んでいました。だから、貴方の気持ちもわかります。けど、俺はサッカーを好きになるため頑張っています。父にサッカーをまた好きになってほしくて。」

「、、、、。フゥ、私もお前達のようになりたかったかもしれんな。」

「貴方ならなれますよ。」

「ふ笑そうかもな。」

 

そして、鬼道はゴーグルを外し素顔を見せた。

 

「久しぶりに見たな。お前の素顔を。そのゴーグルは、まだ使っているのか?」

「はい。貴方から貰ったこのゴーグルは、今後も俺のトレードマークとして使っていきます。」

「そうか。」

 

そして、三人が話していると鬼瓦を含めた警察がスタジアムに入ってきて影山を逮捕した。そして、スタジアムを後にしようとする影山にルシェが話しかける。

 

「おじさん!」

「ルシェ。目が見えるようになって良かったな。」

「また会えるよね?」

「ああ」

 

そして、影山はルシェとの会話を終えるとスタジアムの通路を歩く。すると、目の前に1人の少年が立っていた。

 

「最後は、やはりお前か。山城。」

「今日の試合見させて貰いました。やっぱり、貴方は俺の最高の先生ですよ。」

「ふん笑お前からその言葉を聞けて、サッカーをやっていて良かった。」

「また俺にサッカー教えてくれますか!」

「ああ、今度また会えたらな。待たせてもらおうか。お前の名前が世界に轟くのを。」

 

そのまま、山城の横を通り過ぎる。山城は、影山の背中を見て頭を下げてお辞儀をする。影山は、静かに笑いながらスタジアムを後にする。その後、山城の元に来たのは、悲しい知らせであった。



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託されたもの

後日、驚愕のニュースが流れる。影山が、トラックの事故により死亡。これを聞いた、円堂と鬼道はフィディオとヒデ、ルカにルシェは、鬼瓦に呼ばれて集まった。そして、鬼瓦からルシェ宛ての影山の贈り物のオルゴールを皆で聞いていた。そのオルゴールの中には、手紙が入っていた。それは、ルシェへの影山からのメッセージ。

 

ルシェへ

 

目の手術の成功おめでとう。君が、この後サッカーへの道を行くことになったら、その目で見てきてほしい。私が、憎み愛したサッカーを

 

影山より

 

 

「なんか、やるせないな。」

「ああ、そして奴も同じだろう。」

「彼か。そうだろうね。」

 

場所が変わり、コトアールエリアの海。ロココは、チームのエースを探していた。そして、浜辺で夕日を見ていた所を見つける。

 

「イッペイ探したよ!」

「ああロココか。悪いなちょっと風に当たりたくてな。」

「みんな心配してるし、風邪ひくから帰ろ」

「そうだな。雨も降ってきたみたいだし。」

「雨?、、、、そうか、気が落ち着いたら戻ってきてね。」

「ああ、、、、ああ、、、、。」

 

ロココは、振り返らずその場を後にする。その日のライオコット島は、快晴であったが、怪物の目からは、雨粒がポツリポツリと落ちていた。次の日から怪物は、変わらずに練習をしていた。それに、安心するメンバー。

 

「もう大丈夫なのかイッペイ。」

「ああ!俺が、あの人に恩返しするには、このチームで世界一になることだ!」

「うん!ボクも頑張るよ!届くと良いね!」

「ああ!」

 

そして、それぞれのチームが決勝トーナメントに気合いを入れる。数日が経ったある日の日本代表の練習場。メンバーは、ふゆっぺこと久遠冬花の記憶が戻り、ふゆっぺのお父さんが残したノートをチームに披露する。それは、円堂の祖父のノートだった。だが、中身は円堂が持っていた奴とは違い、必殺技のことは、書いていなかった。中には、魂の十ヶ条が書かれていた。そして、それを聞いたメンバーの心に火をつけた。それを切っ掛けに、練習に熱が入るメンバー。マネージャー達が、買い物していた時に夏未と塔子と浦部に出会った。そして、一緒に日本代表の練習場に戻ってきた。そのまま練習を見学して夏未がその場を離れようとすると、練習場の入り口に1人の選手が立っていた。

 

「フィディオか!一緒に練習しないか!」

「ああ良いよ!だけど、来たのは俺だけじゃない!」

 

そして、フィディオは、貰ったボールを向かいに蹴るすると新たに影が続々と現れる。

 

「テレス!マーク!ディラン!エドガーも!」

 

それは、かつて大会が始まる前に集い、そしてAグループを共に戦ったライバル達である。聞くと、皆イナズマジャパンとの試合で実力を認めて激励を兼ねて練習を手伝いに来てくれたらしい。

 

「ありがとう!みんな!」

「ジャパンには、この先も勝って貰いたいからな。」

「私達が、協力しよう!」

「僕達が練習に加わればきっと良い練習になるはずだ。」

「だから、ミー達は、フィディオを通じて集まったのさ。」

「これもみんなマモル達と全力でぶつかった仲間だからだよ!」

「くー!ありがとう!よーし、フィディオ達も入れて紅白戦をやるぞ!」

「「おう!!!」」

 

こうして、世界一に向けての最高の練習が始まる。はずだっだが、そんなメンバーに更にイナズマジャパンに縁のある選手から強烈なシュートをぶつけられた豪炎寺は、蹴り返す。

 

「お前も来たのか!一平!」

「ああ、ちょっと散歩してたら面白いことしてんじゃねーか。俺も入って良いか?」

「良いぞ!一平!」

「「「!?」」」

「正気か円堂!あいつは、今度のトーナメントで当たるかもしれないんだぞ!」

「それなら尚更だ!ここで、あいつの実力にどれだけ近づけたか知りたいじゃないか!」

「!そうだな!何れは、越えなきゃならない壁だ。知っておく必要があるだろう。」

「よし!良いですよね監督。」

「ああ構わん。」

「許可出たぞ一平!」

「おっそうか。ありがとな!てか、夏未来てたんだ。」

「それは、こっちのセリフよ山城君。」

「まあいっか。それより。」

 

そして、一平はフィディオ達にも体を向ける。

 

「よぉ、開会式以来だな。」

「何でも、Bグループで相当暴れていたみたいですね。」

「今日こそユーの実力を見せて貰うよ。」

「久しぶり君とサッカーできるなんて。次のトーナメントのために全力でやらせて貰うぞ。」

「お前らが、どの程度知らねぇけど。本気やらないと、あっという間に終わるぞ。」

「「「!?」」」

 

世界最高峰のプレイヤー達のぶつかり合い驚く一同。だが、円堂が割って入って落ち着く。チームは、浦部の考案でくじ引きで決まった。山城は、円堂と同じチームに。

 

「まもちゃんと一緒か。まあいっか。後ろは、まかせたぜ!」

「おう!点は、任せたぞ一平!」

「んじゃあ、とりあえず一点取ろうかな。」

 

怪物の威圧は、フィールドを覆った。それに恐怖するマネージャー達。特に、面識の少ない冬花は怯える。

 

「やっぱりあの人こわい。」

「冬花さん大丈夫?」

「やっぱりいつ見ても山城さんは、迫力が凄いですね。ベンチにいるのに、手が震えます。」

「彼は、ホントに怪物の異名を持っても可笑しくない選手ね。」

「彼は、何者なんですか?皆さんの知り合いなんですか?」

「彼の名は、山城一平。日本一の怪物ストライカーよ。」

「でも今は、敵のチームなんですね。」

「えぇでも、時には一緒に戦ったメンバーでもあるわ。その時は、いつも怖い山城が頼もしく見えたわ。」

「そうなんですか!とても想像つかない。」

「今でも私達は、チームに加入したときの驚きは忘れないわ。」

「けど、怖そう見えてけっこう面倒見いい人でもあるんですよ!」

「今、守備に着いてるメンバーのほとんどは山城君が練習を見ていたり、付き合ったりしたのよ。」

「!知らなかった。そんなに、凄い人だなんて。」

「けど、猫みたいマイペースなんでふらっと何処かに消えるなんてよくあったわね。」

「そして、瞳子監督に良く罰を与えられていたわね。」

「そんな面白い人なんですか?」

「けど、一番驚いたのは、その瞳子監督と付き合う約束までしてるところですよ。」

「えぇ!そうなんですか!つまり、あの人は、何から何まで規格外てことですね。」

「「「間違いない。」」」

 

マネージャー達の会話をそっちのけ試合が始まる。

 

「よし!気合い入れて行こーぜみんな!!」

「「「おう!!!」」」

 

そして、審判係のメガネが、笛を吹くと同時に風邪がひき始めて雷がグラウンドの真ん中に落ちたと思ったら二人の選手が現れる。



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悪魔天使

皆が、二人の選手を見る。1人は、悪魔を名乗っていた。そして、もう1人は天使と。悪魔は、魔王の復活が近いためその生け贄を。天使は、魔王に対する花嫁を。それで、選ばれたのが不思議なブレスレットを持っていた音無と浦部であった。音無は、悪魔に連れてかれ浦部は天使に。

 

「お兄ちゃん!助けて!」

「貴様、春奈から手を離せ!」

「邪魔だ!」

「うっ!」

「お兄ちゃん!」

 

そして、二人は連れてかれてしまった。こうして、二人を救出をするため二つのチームに別れることに。だが、山城は、鬼道チームに移る。

 

「ゆうちゃんのチームに混ざって良いか?」

「構わんが、なぜこっちに?お前のことなら、円堂と同じチームでプレーすると思ったが。」

「いや音無ちゃんには色々とお世話になったし。ましてやゆうちゃんの妹だ。助け無いわけに行かないでしょ。」

「山城!すまない、力を貸してくれ!」

「おう!」

 

こうして、円堂チームは、天使を。鬼道チームは、悪魔討伐に向かう。鬼道チームは、悪魔達がいるマグニード火山の中へ。中は、とても暗く先が見えないが広い所に着く。すると、先ほどの悪魔 ゼスタが出てくる。

 

「待ってたぞ!人間ども!」

「春奈は、どこだ!」

「お兄ちゃん!!」

「!春奈!」

 

そこには、鎖で手を繋がれた音無がいる。鬼道が、助けに行こうとするが目の前に悪魔が数人現れる。

 

「人間ども!魔王様への儀式の邪魔をするなら容赦はしない!」

「妹を返せ!」

「はっ笑ならサッカーで取り返してみろ。」ドッ

 

デスタが、ボールを蹴り込んできた。鬼道は身構えるがその前に影が現れる。そして、悪魔達の方へ蹴り返す。悪魔達の何人かは吹っ飛ぶ。

 

「おお、面白いように弾けたな笑。悪魔って意外と軽いんだな。」

「山城!」

「よくも仲間を!人間、お前から潰してやる!そして、魔王様への生け贄してやるぜ!」

「面白い冗談だな。なあ、ゆうちゃん。」

「俺には、そうは聞こえんが。だが、春奈は絶対に生け贄になんかさせん!」

「燃えてきたな。久しぶりに指揮は、頼むぜ!」

「ああ、前線でおもいっきり暴れてこい!」

 

こうして、悪魔との音無を賭けての試合が始まる。ボールは、人間側から。笛が鳴り響き、今試合開始。ボールは、山城に渡る。すると、早速デスタが突っ込んできた。

 

「まず貴様からだ!悪魔の力思い知ると良い!」

「は笑かかって来な。」

「「うおおおおおお!!」」ドゴッ

 

いきなりぶつかる両者。魔界軍団のエースと世界屈指の怪物プレイヤー、互いに力は常人の域を越えている。ものすごい爆発音と共に譲らず力が拮抗する。

 

「凄い!デスタと張り合える奴がいるなんて!」

「やはり、悪魔の力は想像以上だ。」

 

そして、時にして数秒。遂に、勝負が動く。

 

「人間、やるな!」

「その気になってるとこ悪いな。本気を出させて貰う。」

「何を言ってる?くっなんだ急に力を強く。うわぁ!」

 

怪物が悪魔押しきる。そして、そのままぐんぐん駆け上がる。MFをDFを抜き去り、キーパーと一対一に。

 

「行くぜ、悪魔共。うおりゃ!」ドッ

「ふん、笑わせるな人間。ジエンド!くっなんだ!おわぁ!」

 

怪物の一撃が決まる。それにより、驚愕する悪魔達。そして、怪物はいきなりトップギアである。その迫力に悪魔達は恐怖する。変わって人間側は、祝福する。

 

「流石だな山城。」

「ああ、今回は流石に俺もフル行かせてもらう。」

「期待以上だ。」

「俺も負けてられないな。」

「修也。次は、お前にもボールを流して風通し更に良くしようかな。」

「ふ笑お前が言うと本当に出来そうだな。」

パン!!

 

三人は、ハイタッチする。そして、それを見たゼスタは燃え上がっていた。

 

「くそ、人間風情が舐めやがって。もう容赦しない。」

 

ボールをもらうと攻めるデスタ。その前に怪物が立ちはだかる。

 

「こいよ。」

「舐めるな人間がぁ!!」

「!?」

 

怪物の前で加速したデスタは、そのまま抜き去り仲間と共に駆け上がる。そして、キーパー立向居の前に。

 

「いくぞ!人間!ダークマター!」

「マオウザハンド!くっ(なんて力だ!ダメだ!)うわぁ!」

 

同点が決まる。そして、デスタは山城に体を向ける。

 

「山城と言ったな。覚悟しろ!この勝負に俺らが勝利したらそこのメガネの奴の妹と同様にお前らも生け贄にしてやる!」

 

それを聞いた山城は、一瞬黙るが口を開く。そして、今まで以上の威圧感を引き出す。

 

「監督には、あまり使うなって言われてるけどまあ良い。デスタとか言ったか?てめぇこそ仏に変わって俺が、消滅させてやるよ。人間の力を舐めんなよ!!」

 

スコアは、同点。試合開始からバチバチになる。悪魔対人間の戦いの火蓋が切って落とされる。



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悪魔退治

前半も残り僅かになる。スコア4対4先程から試合は、点取り合戦になる。主にデスタと山城の二人によるもので、二人の対決に周りは置き去りになる。ただデスタは、味方を使って山城は単独でという両極端。

 

「ダークマター!おら!!」

「うわぁ!!」

 

デスタが点を取れば。

 

「ぶっ飛べ!!」

「く、おわぁ!!」

 

山城も点を取る。もはやノーガードの殴り合いが続いている。だが、やはり体力の方は悪魔と人間では次元が違う。山城は、汗が流れ始めているが、デスタ達魔界軍団の選手は誰1人疲労感がない。そして、前半終了間際にボールを持つ山城にデスタ立ち塞がる。

 

「ふぅ・・ふぅ・・・。」

「どうした人間。少しバテるのが早くねーか。」

「ちっうぜーな。ネチネチとぶつかってきやがって。」

「人間にしては、良くやってるが、結局悪魔には勝てない。さぁ大人しく生け贄になってもらおうか!」

「てめぇらが消えんだよ!」

 

何度目かの衝突。だが、結果は火を見るより明らかになる。体力が上がっているとは言え人間の体力の山城と未知数で体力が有り余っているデスタ。山城の方がどんどん押されてとうとう弾かれる。

 

「やっぱり人間は、悪魔に勝てねーよ。」

「くそっ!」

「これでついか、!」

 

そんなデスタのボールを鬼道がカットしてボールを外へ出す。そこで笛が鳴り響き前半を終える。ベンチに戻る山城に鬼道が近づき声を掛ける。

 

「大丈夫か。いきなりゾーンを使うとは、お前らしいが無茶すぎないか?」

「確かに少し疲れた。けど、ゆうちゃん。前半終わったけど、どうだよ。敵の動きに慣れたか?後半は、いきなりが勝負どころになるけど。」

「ああ、お前が敵のエースの本気を引き出したおかげで、敵のスピードに慣れることができた。そして、敵のパスのパターン、癖、タイミングもなんとか計れた。あとは、いかに敵を初手を挫くかだが。」

「そこは、不動と連携してポジションを代えよう。とりあえず、俺もFWからMFに回ろう。」

「そうだな。ここからは、下手に攻めると敵の思うつぼだ。頼むぞ。」

「まかせとけ!」

 

二人は、拳をぶつける。そして、ハーフタイムが終わり後半が始まる。ボールは、魔界軍団から。やはり、デスタを中心に攻め上がりボールを持ったデスタは前線を抜けると中盤のラインに突入する。そんなデスタの前に山城が現れる。

 

「ふん、死に損ないが。ここで貴様を消し飛ばしてやるぜ!」

「ガタガタうるせぇ!死にてぇならかかってこい!」

 

悪魔と怪物のぶつかり合い。前半とは、違い技術を使い攻める山城。だが、やはり力づくで来るデスタに押されてドリブルを許す。

 

「ハハハハ!じゃあな人間!貴様とその仲間の敗北を目に焼き付けると良い!」

「ち、やっぱそうなるか。だが、頼むぞお前ら。」

「はん笑お前から頼みごととはな。明日は、雪でも降るんじゃねぇのか?」

「たがらこそ、これはしくじるわけに行かんな。」

「!?なに!」

 

デスタは、山城の後ろから現れた鬼道不動のコンビに気づくのに遅れボールをとられる。そして、ボールは前線のFW陣に回る。

 

「いくぞ!虎丸!」

「はい!豪炎寺さん!」

「「タイガーストーム!!」」

「く、ジエンド!うわぁ!」

 

炎を帯びた虎が、悪魔のゴールに突き刺さる。勝ち越しに成功する。それに、驚きを隠せない魔界軍団。そのあとは、流れが人間チームに傾く。デスタは、直ぐに取り返そうとするがまた同じパターンをくらう。そして、人間チームのベンチが動く。山城に代えて佐久間が入る。

 

「あとは頼んだ。今のお前なら力に勝てるだろう。」

「!?そうか、ありがとう。やはり、お前も帝国の選手だよ。」

 

そして、佐久間が入ったことで陣形が変わる。それを見た魔界軍団は、誰もがいけると思ったが、鬼道、不動、佐久間の頭脳派トリオに潰される。最後は、三人の皇帝ペンギン3号により試合終了。



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合流

負けたことに、驚きを隠せないデスタの前に鬼道達が向かい合う。

 

「さあ、約束を守ってもらおうか。妹を返してもらおう!」

「く、こんな人間どもにまけるなんて。」

 

そして、音無を解放することができた。

 

「お兄ちゃん!」「春奈!」

 

二人は、抱き合い互いの安否を確認する。

 

「怖かった、怖かったよぉ。」

「もう大丈夫だ。全て終わった。」

「良かったな。ゆうちゃん、音無ちゃん。」

「ああ、お前にはいつも助けられてばかりだな。」

「ありがとうございます!山城さん!」

 

こうして、勝利を分かち合っているチームの中、不動は敵が居なくなっていることに気づく。

 

「おい!奴らが居ねぇ!」

「ち、野郎共どこ行きやがった。」

「人間ども!良く聞け!」

「「「!?」」」

 

皆が周りを探していると、デスタの声がそこには魔界軍団がいた。

 

「今回は、負けたが。次は、そうは行かねぇぞ!楽しみにしているんだな。ハハハハ!」

「ち、待ちやがれ!」

 

山城が悪魔達にボールを蹴り込んだが、魔界軍団はすでに消えていた。歯がゆい思いをする一同。そこへ天空チームに挑んだ円堂が来る。

 

「鬼道!みんな!!」

「円堂!お前達も勝ったんだな。」

「それは、お前達もだろ。」

「ああ、これで魔王復活を阻止できた。」

「よぉし!みんな!!地上に戻るぞ!」

「「「「おう!!!」」」

 

みんなが地上に帰ろうとした瞬間、地震が起こる。みんな警戒し止まるの待った。そして、収まると互いに不思議に思った。

 

「なんだったんだ今のは?」

 

そんな人間チームに再び、聞こえ馴染んだ悪魔の声が響く。

 

「アハハハ!!人間ども!!魔王の復活だ!!」

「「「!?」」」

 

皆が声のする方向を見ると、デスタ達魔界軍団になんと敵対相手だったはずの天空の使徒がいた。驚きを隠せない円堂達天空の使徒に挑んだメンバー。なぜなら、セイン達天空の使徒とは仲を深めて別れたのだから。

 

「どうしてだ!セイン!なんで、お前達が悪魔に味方しているんだ!」

「それは、俺らが魔王だからだ。」

「何!」

 

そんなメンバーに更なる悲劇が襲う。魔王のメンバーに気を取られて、奴らの手下である坊主頭の老人が何かを音無に向けて発射する。それに気づいた山城が音無を押す。

 

「音無ちゃん!危ない!ぐっ」

「!山城さん!」

「一平!」「「山城!!」」

 

山城の首に音無や浦部が着けていたブレスレットの模様に似た輪っかが嵌められた。

 

「ち、なんだこれ。外れねぇ!」

「外したか。まあ良い。」

「おい!一平に何したんだ!」

「それは、魔王の魂を完全にするための生け贄だ。怪物!貴様の命、魔王に捧げる!」

「てめぇ!ふざけ!?」バタ

「山城!」「「山城さん!」」

「一平!大丈夫か!どうかしたのか!」

「はぁ・・・・はぁ・・・・。力が・・・・。」

「「「!?」」」

「これは、良い捧げものになる。」

「人間ども!怪物の命を賭けて、試合しろ!負けたら、怪物の命はないぞ!」

「わかった!やってやる!一平には、まだまだたくさんしたいことがあるから!!」

「俺もだ。友を助けてもらい妹を助けて貰った。今度は、俺が恩返しをする番だ!」

「決まりだな。だが、こちらで貴様ら人間代表を選抜させてもらう。」

 

そして、円堂を含めイナズマジャパンと世界のスター達との人間代表が決まる。ベンチで横になる山城、それを気にする関わりのあるメンバー。

 

「行ってくる。お前の命ここで散らしてたまるか。」

「はぁ・・・・はぁ・・・・頼む・・・・・。」

「よし!いくぞ!みんな!これが、最後だ!一平の命救ってみんなで地上に戻るぞ!」

「「「「おう!!!」」」

「さあ見せてみろ!人間の底力を!」

 

こうして、魔王と人間選抜による親友であり戦友でもある怪物の魂を賭けた試合が今キックオフ。



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魔王の力

山城の魂を賭けた試合。人間側は、魔王による選抜で選ばれし11人。ボールは、ダークエンジェルからスタート。敵の力は、今までとは違い更にレベルが上がっていた。その能力に戸惑うメンバー。そして、ボールは前線のデスタとセインに渡る。

 

「いくぞ!セイン!」

「ああ、デスタ。」

「「シャドウ・レイ」」

 

魔王のシュートが、放たれる。円堂は、自身の最高の技イジゲンザハンドで対抗する。しかし、円堂の心の中は動揺していた。一度は、敵として向かい合い和解を果たして魔王復活を阻止するために絆を深めたセインや天空の使徒のメンバーが、敵に回っているのだから。結果、作られた壁は薄くあっさりとゴールに突き刺さる。先制を許す結果になった。敵の実力に皆が驚愕する。だが、不動が皆を激を飛ばし鼓舞する。そして、ボールは人間チームに移る。不動は、鬼道と連携し敵の陣地へ駆け上がる。だが、敵のDFに止められる。何度も攻めるが敵に阻まれる。だが、それでも人間チームは諦めなかった。試合が動いたのは、敵からボールを奪い豪炎寺、ヒロト、虎丸の三人のところに渡る。そして、三人の連携シュートの体勢に入る。

 

「いくぞ!ヒロト、虎丸!」

「うん!」「はい!」

「「「グラウンドファイア!!」」」

「く、ジエンド!。うわぁ!」

 

三人の連携シュートが炸裂する。同点に追いつく人間代表。だが、魔王は黙っていなかった。ボールを力づくで奪いに来る。人間側もなんとか防いでいるがそれでも猛攻を止められなかった。再び、デスタ、セインの二人の連携シュートを放たれる。円堂は、今度は止めると意気込み。シャドウ・レイにぶつかり合う。やはり、シュートの威力は桁違いだった。しかし、円堂は何とか意地を見せる。仲間の思い、そして、親友の命を魔王に渡したくない強い意志でシュートを押さえにいく。その重いが通じたのか敵のシュートを止めることに成功する。それに苛立ちを見せるデスタとセイン。

 

「くそ、人間ごときが。」

「まあ良い。このまま攻め続けよう。」

「当たり前だ!人間に遅れを取ってたまるか!」

 

それからもデスタとセインを中心にダークエンジェルの猛攻が強まる。人間は、何とか敵の動きについていく。そして、時間が刻々と過ぎていく。余裕のダークエンジェルと疲労が見え始めている人間チーム。そんな状況の中で力を一刻一刻吸い取られている。山城は、体を何とか起こした。

 

「はぁ・・・はぁ・・。みんな。」

「山城!無理するな!」

「そうです!座っててください!」

「ふぅ、後半は俺が出る。」

「無茶よ!そんな体で戦えると思ってるの?」

「確かにな。だが、やられぱなしは、正に合わない。まずは、・・・てめぇらからだ!」

 

山城の蹴ったボールは、先程首輪を着けてきたダークエンジェルの関係者の二人の老人にぶちかます。二人は、いきなりのことに気づくのが遅れる。

 

「「うわぁ!」」

 

敵がボールをくらうと、首輪の力が弱まった。そして、力が戻り始めた怪物が後半の準備に動く。試合は、そのまま、両者が均衡状態が続き笛がなり前半終了。ダークエンジェルのメンバーなかなか攻められないことに苛立ち、人間チームは何とか防いだことに安堵する。そして、ハーフタイム中に山城が出ることに驚愕するが、円堂は認め疲労が目立った。DFのテレスに代わって出ることになった。



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魔王封印

後半、山城出場。力をある程度戻ってきたが、全快とは行かなかった。そんな山城に鬼道が近づく。

 

「本当に、大丈夫なのか?」

「まあ、確かに力は7割弱って感じだな。だが、魔王の奴らをボコるにはちょうど良いハンデだ。」

「ふ笑。その様子なら大丈夫だな。」

 

そして、ポジションに着く。笛が鳴り響き、ボールは、人間代表から。ボールをパスで回し前線の山城に。そして、目の前にデスタが立ちはだかる。

 

「よぉ、怪物。今のお前に俺らは止められない。また、地面に這いつくばってもらうぜ!」

「悪魔に怪物って言われたかねーよ。確かに、力はほとんど戻ってない。だが、てめぇを倒すことは簡単だぜ笑」

「なにぃ!なめるな!」

 

山城にタックルを仕掛けるデスタ。だが、頭に血が昇ってるいるせいで、罠に嵌まる。山城は、後ろにパスを出す。すると、後ろでは鬼道が待っていた。デスタは、嵌められたことに気づいたが遅かった。山城は、デスタを追い抜き、鬼道はそこへパスを出す。パスを貰った山城はそのままスピード上げ敵を抜くと、キーパーと一対一に。そして、シュート体勢に入る。敵のキーパーは、悪魔側のチームにいたため、山城の力に警戒し技を発動する。が、山城は真上にボールを蹴る。そこには、飛び上がった豪炎寺と吹雪である。

 

「頼んだぜ!修也!士郎!」

「「ハアアア!クロスファイア!!」」

「何!うわぁ!」

 

予想だにしない方向からのシュートに対応できずゴールを許すダークエンジェルのキーパー。二人は、山城に向く。

 

「まさかお前からパスを貰えるとはな。」

「うん。しかも、僕らにちょうど良いパスだったね。練習してたの?」

 

それを聞いて山城は、笑いながら答えた。

 

「アハハハ!何言ってんだ。お前らへのパスは、ゆうちゃんと話して決めてたことだ。むしろ、良く気づいたな。俺からパスが、出ることを。」

「それは、あれだけの旅をした仲だし。」

「俺は、散々対戦してきた勘だな。」

「ふ笑最高かよ。」

 

三人は、ハイタッチをかわす。一方、ダークエンジェル側。復帰したてのしかもコンディション最悪の1人の怪物にまたもや一杯食わされた。その事に、魔界軍団だったデスタ中心のメンバーは悔しがる。セインがなだめる。そして、ダークエンジェルは逆転を図ろうとする。しかしそこに、鬼道に不動、そして、山城が加わり準備の穴を埋める。何とか、無理やり通りシャドウレイを放つも円堂に止められる。さらに、セインの中の洗脳が溶け始めて遂にはチームが分散する。点差が、開きつつあり、最後にまた山城に回ってくる。山城は、どんどん抜いていく。そして、目の前に再びデスタが現れる。

 

「負けねぇ!貴様だけでも道連れだ!」

「悪いな。もう、お前には止められない。見せてやるよ。もう1つ上の力をな。」

「何を言って、!?うわぁ!!」

 

目の前の怪物が、急に雰囲気を変えた。先程までの細い感じではなく、1つの大きな破壊の塊である。気づいたときには、デスタは吹っ飛ばされる。そして、山城はそのままキーパーと対峙する。だが、キーパーは怪物の気に飲まれ恐怖して動けない。

 

「・・・・」ガタガタ

「懸命だな。」ドッ

 

怪物のシュートは、ゴールをぶっ飛ばす。その豪快さともに試合終了のホイッスルが響く。勝ちを喜ぶ人間代表。そして、力を解除した山城は膝をつくが豪炎寺と鬼道に支えられる。魔王は、また深い眠りにつく。セインは、円堂達に感謝し帰っていった。魔王封印。人間の勝利に終わった。その後、ジャパンのグラウンド。フィディオ達は、それぞれのエリアに帰る。残った山城は、自力では、歩けないため応援を待っていた。それまで、懐かしいのイナズマキャラバン時代のメンバーと話す。



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黒幕始動

イナズマジャパンと彼らに協力した世界大会の選手達により、無事に誰も知られることもなく魔王封印。それぞれが、チームに合流する。その裏では、ガルシルドが動き出す。今大会のブラジルの監督として指揮をとるという表の顔とは別に裏の顔がある。その裏では、戦争などの軍事兵器の提供、貧しい国の人間を利用しての人体実験などの黒い部分がある。だが、誰もその証拠にたどり着けない。強大な裏の力によって消されていくからである。そんな、ガルシルドの力は、ブラジルのメンバーにも広がっていった。彼らは、家族を人質に取られていた。試合でミスをすれば住んでいる場所の没収、ガルシルドの陰口を話せば没収と常に鎖で繋がれながらプレーをしている。そんな状況を見ていたキャプテンのロニージョは、円堂に1人で会いに行って負けて貰うことを頼むほどだった。そんな、状態のブラジル代表をイナズマジャパンのメンバーは、黙っていなかった。特に土方は、怒りに燃えていた。そして、ブラジル街に向かう円堂、鬼道、ヒロト、土方の四名。そこでは、人々の表情が暗いことが目立つ。ガルシルドは、円堂大介を探していた。

 

「なかなかしっぽを出さんな。」

「申し訳ございません。この間の試合では、不戦勝という形で逃げられました。次こそは」

「構わん。そのうち奴は、顔出さざる得ない。」

「承知しました。話は、変わりますが今度のイナズマジャパンの試合ではどのようにされますか?」

「そうだな。この間の試合で人体強化システムの改良の余地がわかった。改良した後、まずはロニージョからだ。問題なければ、次はメンバー全員に行う。」

「わかりました。」

 

そんな裏の計画が進められている。一方、リトルギガントの宿舎では、大介と山城が二人で会話をしていた。内容は、今後のことについてである。

 

「ダイスケさん、遂にここまで来たな。」

「ふむ、確かに順調じゃ。だが、そろそろ奴も動いてくる頃じゃろ。」

「そうか、ここからが正念場か。気合い入れないとな。」

「頼りにしてるぞ一平!お主、体は平気か。また、無茶しおって。」

「わかってるよ。言い付けを破ったのは、悪かった。」

「ウム、反省しているなら良し。次のイタリア戦じゃが、大事を取ってお主にはベンチに居て貰う。良いか?」

「ああ。此ればかしは、流石にな。大人しくベンチにいるよ。それに、ロココ達なら心配要らないだろうし。」

「そうじゃな。」

「それは、そうとダイスケさん。いつまもちゃんに正体を明かすんだ。流石に向こうも気づき始めている頃だぜ。」

「それは、この件が片付いてからじゃ。無事に終わることを祈るしかない。」

「わかった。これ以上は、聞かないよ。」

 

そして、山城は立ち上がり宿舎とは別の方向に歩き出す。大介は、いつもの散歩だとわかっていた。

 

「一平、遅くなるなよ。試合は、まだあるんじゃからな。」

「わかったよ。行ってくる。」

 

そう言って、散歩に出掛けた山城はボールを持ちながら。夜の町を歩いていった。



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恐怖からの解放

ガルシルドのブラジルへの悪行に見ていられず動くイナズマジャパンの一部のメンバー。そして、ガルシルドの軍事兵器に関する黒い情報を入手した。だが、警察に提出するもまたしても裏の力によりガルシルドは釈放。何も解決出来ないまま決勝トーナメントが始まる。試合開始前にロニージョに挨拶する面々だったが、当の本人は、返事は無くまるで感情のない。そして、試合開始すると、ロニージョのプレーに誰もが驚く。世界最高峰のプレーと同時に敵からだけでなく味方からもボールを奪う。

 

「どうしたんだロニージョ!!。」

「なにやってんだ!」

 

それにベンチのガルシルドは、笑みを浮かべる。そして、そのままロニージョはボールを保持しながらイナズマジャパンのゴール前に。

 

「こい!ロニージョ!」

「・・・・・・。」

 

ロニージョは、そのままシュート威力は十分だが、止められる範囲であったため、円堂に軍配が上がる。しかし、ロニージョの表情は変わらず。そして、イナズマジャパンがボールを持って駆け上がる。そのまま豪炎寺、虎丸、ヒロトのグランドファイアで先制。その後、試合は中々動かず進んでいく。それは、ロニージョのプレーからの影響で攻撃がまともに機能しないこととミスによる家族への危害から守備に力が入っているザ・キングダム。エースが上手く機能しないがそこは優勝候補だけあった。このまま前半が終わるという所にスタジアムに警官が入ってくる。結果、試合は一時中断することになる。警察に連れられていくガルシルド。だが、彼からは、何も反省の色が見えない。むしろ、今の逮捕されている状態すらなんの枷にも感じていない。

 

「ふん、今は大人しく捕まってやろうだが、これでワシが止められると思わないことだな。ふふ・・・・ふはははははは!!」

「早く行け!」

 

こうして、スタジアムを後にするガルシルド。そして、これを機にサッカー王国 ブラジルの力が解き放たれる。エース ロニージョは、本来のプレーを取り戻し、仲間と連携を取る。そのサンバのようなドリブルやパスのリズムにイナズマジャパンは翻弄される。そのまま前線のロニージョに回る。

 

「イクゾエンドウ!」

「こい!」

「ストライクサンバ!」

 

そのサンバの独特のフォームから繰り出された強烈なシュートを円堂は、止めることが出来なかった。そして、同点を許して前半を終える。互いにベンチで気合いを入れる。そして、後半が始まる。今度は、互いの攻撃が入ぶつかる。エース ロニージョを中心に攻めるキングダム、全員で攻めるイナズマジャパン。点を取ったり取られたりと激しさを増す。時間は、進んでいき遂に残りわずか。スコアは、同点。互いに1つのボールを取りにいく。ボールは、ロニージョの元へ。ロニージョは、ここに来てさらにキレを上げた。

 

「ブラジルを優勝させる!」

「こい!ロニージョ!」

「ストライクサンバ!!」「イジゲンザバンド!!」

 

終盤に互いの一番がぶつかり合う。円堂が、徐々に押されるが最後の力を出してシュートを止めた。そして、カウンターにより前線の豪炎寺に回る。

 

「爆熱スクリュー!!」

「ストームライダー!!」

 

ここでも力がぶつかり合う。だが、ブラジルのキーパーそしてメンバーの思いは届かずゴールネットに突き刺さる。笛が鳴り響き、会場は熱気に包まれる。優勝候補がダークホース破れる大金星。フィールドの選手達は、そこに座り込む。そして、ロニージョ達の元に土方が行き最後に挨拶をした。ブラジルのメンバーは、イナズマジャパンにエールを送った。そこには、かつて敗北を恐れて楽しむことさえ出来なかったチームはいなかった。皆が笑顔で敵を称賛したのだった。



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白き流星散る

決勝トーナメント準決勝1回戦見事勝利したイナズマジャパン。強豪ブラジルを倒した勢いが有るのか練習での雰囲気も良い。次の相手がオルフェウスになるかもしれないのだ。関わりがあったメンバーは、楽しみにする。そして、練習を早めに切り上げて皆でテレビから試合を観戦する。円堂達は、その試合に注目する。

 

「そろそろ始まるな。」

「ああ。普通に順当に行くならオルフェウスが勝つ。」

「だが、相手には奴がいる。」

「一平の一目置くチーム。一体どんな奴らなんだろ。」

 

そんなイナズマジャパンのメンバーの思惑の中、スタジアムではちょっとしたことが起こる。それは、メンバー表を見たオルフェウスのメンバーである。何と、山城の名前がスタメンに無いのだから。

 

「山城がスタメンじゃない!?」

「俺らナメられてるな。」

「どう思うフィディオ。」

「わからないけど、これは好機だ。みんな!この試合絶対勝つ!」

「「「おう!!!」」」

 

気合いの入ったオルフェウス。一方、リトルギガントベンチ。

 

「やっぱり、ヒデは出ないか。」

「なんじゃ、何か気がかりか?」

「いや、別に。」

「イッペイ見ててよ!僕達の活躍を!」

「そうだぜ!お前の得点記録に追い付いてやるぜ!」

「今日は、ベンチでリラックスしててくれ。」

 

そう言ってロココ達は、フィールドに出る。それを見て山城は、笑みを浮かべる。試合開始の笛が鳴る。先にボールを持ったドラコは、ドリブル駆け上がる。だが、フィディオ達のカテナチオ・カウンターにかかりボールはオルフェウスに。そして、前線のFWに渡り必殺シュートを放つ。だが、ロココにあっさり止められカウンターになる。ボールを貰ったドラコは、シュートを放つ。ヴラージは、ノーマルシュートだと思い止めにかかる。しかし、シュートの威力に負けゴールが決まる。それをきっかけリトルギガントの一方的な展開になる。止まないシュートの嵐、通じないシュート。後半になっても変わらない。そこで、ダイスケは動く。

 

「もうこの辺で良い頃合いか。一平、準備に出来とるか?」

「ああいつでも。」

 

そして、フィールドの1人の選手代わり遂に怪物が現れる。その姿に絶望するオルフェウス。ドラコとゴーシュが話し掛ける。

 

「なんだ、もう出てこなく良かったのに。」

「ドラコの言うとおりだ。イッペイがでなくてももう勝利は決まってるぞ。」

「確かに、サッカーに置いてこの時間で10点のリードは、ほぼ勝ちだな。だが、それでも最後まで手を抜かず叩きのめす。それに、あっちのキャプテンの目は、死んでないぞ。」

 

そう言って山城は、ポジションにつく。2人もつく。その後、フィディオがボールを持って駆け上がる。そして、必殺シュート オーディンソードを放つ。

 

「最後まで諦めるか!オーディンソード!!」

「!ゴットハンドX!」

 

フィディオの渾身のシュートは無惨にもロココに止められた。そして、ロココから山城に渡る。オルフェウスのメンバーは、山城に立ち向かうが歯が立たなかった。そのまま、駆け上がる山城の前にフィディオ立ち塞がる。

 

「行かせない!こい!ヤマシロ!」

「!やっぱり最高だな!フィディオ!」

 

二人のエースがぶつかる。だが、勝負は火を見るより明らかである。結果、フィディオは吹き飛ばされ山城がボールをオルフェウスゴールに叩き込んだ。そして、笛が鳴り響きオルフェウスの挑戦が終わりを告げた。フィディオは、そこにうなだれる。テレビで見ていたイナズマジャパンは、改めて山城とリトルギガントの力を確認した。場所が変わって、リトルギガント宿舎。テレビで試合の反省とイナズマジャパンの資料を見ていた。

 

「これが、日本代表です。」

「意外に大したこと無さそうだな。」

「だが、ここまで格上を倒してきている力は本物。油断しない方が良いな。」

「決まったな。次も勝って世界一になるぞ!」

「「「おお!!」」

 

決勝に気合いを入れたリトルギガント。その後、山城は大介と会話する。

 

「遂に、決勝じゃな。まさか、相手が守になるとはな。」

「なんだかんだ期待してたんじゃないのか。」

「当たり前じゃ。わしの孫だぞ。しかも、一回も会えなかった。」

「良かったじゃねぇか。けど、無事に行けばいいが。」

「ガルシルド、まさか行方眩ますとは。油断ならんな。もしものことがあったら、お前はロココ達と逃げとくれ。」

「!何言ってんだ!ここまで来たら最後まで手を貸す!」

「バカ言うな!子供が、こんな危ない所まで来るな!お前は、影山から託されたものあるんじゃろ。ならそれをちゃんと全うせい!」

「!けど、またあんたを失ったら今度はロココ達があんたの家族と同じようになるぞ。」

「安心せい。だから、もし奴が来たらそこで最後にする。」

「死ぬつもりか。」

「そのつもりだ。これ以上わしの回りを危険さらせない。」

「大介さん。わかったよ。だからこそ、次の決勝は優勝カップをコトアールの人々に届けられるように全力を尽くそう。」

「本当にすまないな一平。」

 

こうして、二人は握手をかわす。そして、来る黒幕との最後の戦いはすぐそこまで来ていることをこの時誰も知らなかった。



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襲撃

日本代表のメンバーに朗報。心臓の病気で手術をしていた響が目を覚ましたということだった。響に会いに行くことにした日本代表。そこには、夏未とアラヤがいた。メンバーは、夏未がコトアールのマネージャーをしていたことを知らされる。その時だった。コトアールの選手であるリュウが走ってきた。その姿は、ボロボロになっていた。

 

「夏未!ダイスケ!大変だ。僕達のエリアがガルシルドに!!」

「「!?」」

 

そして、コトアールのエリアに向かう一同。到着すると、ガルシルドの手下と思われる怪しい奴らが襲っておりリトルギガントの選手がエリアの人々を逃がしていた。そのまま、イナズマジャパンのメンバーも避難協力する。その後、無事避難を終えると、ガルシルドとその手下のメンバーと対峙する。

 

「やってくれたなガルシルド。関係ないものまで手を出すとはな。」

「ふん、知ったことか。それより見つけたぞ円堂大介。ここで、消えてもらうぞ。」

「ふん、相変わらずしつこい奴じゃ。」

「ちょうど良い。貴様のチームと私のチームで対戦だ。」

 

ロココは、乗ろうするが、負傷していることをダイスケに見破られる。そこで、円堂と日本代表が名乗り出る。

 

「その勝負俺達がやる。」

「守。」

「ふん、良いだろう。日本代表お前らが負ければ円堂大介共々消えてもらうぞ。」

「消させるかよ。俺も参加する。村の人達そして、先生の仇を俺が打つ!」

「山城か。先生?もしかして、影山のことか。あいつも所詮使えん男だったな。利用するだけして貰った。」

「だから、殺したのか!先生を!」

「当たり前だ。使えん駒は、用済みにずぎん。」

「こいつ。」

 

それは、誰が見ても分かる。怪物が完全にぶちギレていた。その目は、今までの優しさのある怒りではなく本当の復讐の業火に燃えていた。そして、試合開始の配置につく。円堂や鬼道は、山城に声を掛けたかったが出来なかった。笛が鳴る。ボールは、イナズマジャパンから。そして、山城にボールが渡るとものすごいスピードで上がる。

 

「とまれ!1人でいくな!」

「パスを回せ!」

 

そんな忠告で止まることはずがなく。敵のキャプテンの選手と対峙する。

 

「やはり、あなたは警戒対象でしたね。」

「・・・・。」

「けど、ここで消えて貰います。」

 

すると、もう1人の選手とタックルでぶつかって来た。そして、呟いた。

 

「お前もあの使えないゴミと一緒と同じ目に会って貰います。」

「ゴミだと・・・・。誰のことを言ってる。」

「お前の先生とやらにきまっ!?ぐはっ」

「貴様なしてっぐふっ」

 

突如、怪物の周り風圧が放たれた。敵の二人は、吹っ飛ばされた。そして、それを見て怪物は、言った。

 

「先生をゴミ呼ばわりか。お前らまともに帰れると思うなよ。全員破壊してやる。」

「よせ!イッペイ止まるんじゃ!」

「「「!?」」

 

大介の呼び掛けも届かず。普段のゾーンとは、違う力を纏い敵を蹴散らしながら敵のキーパーと一対一に。

 

「こい!化け物!」

「消えろ!」ドッ

「スパイダーキャッチ!ぐ、なんだ!ぐはっ」

 

敵のキーパーごと突き刺す怪物の破壊の一撃。それは、復讐の鬼となった瞬間である。

 



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止まらない破壊

「目の前の奴らは、敵。」その考えに支配された怪物を止められる者はいない。再開の笛が鳴り響き、チーム ガルシルドのボールから始まるが、関係なかった。怪物は、加速しボールを奪いに行く。

 

「く、化け物が!くらえ、ジャッジスルー。」

「ぐふっ。」

「これで少しは、!?」

「もう終わりか?なら、今度はこっちからだ。」

「これは、ぐはっ。」

 

山城は、先ほど自身に使われた技を完全コピー。敵は、自分に帰ってくるとは思っておらずまともにもらう。皆は、必殺技を持っていない山城が敵の技使ったことに驚くが、それよりも敵とは言え怪我をさせるに近いラフプレーを山城が行ったことに衝撃だった。だが、審判にはファウルを取られる。山城は、素直に従う振りをして敵の選手に近づき、耳元で呟く。

 

「良かったな、審判に止めてもらえて。次は、上手く破壊してやるよ。楽しみにしてな。」

「な、(こいつ!サッカーをするつもりない!?ヤバい、殺される!)」

 

笛が、再開すると敵はパスを回して怪物を避ける。それを見て舌打ちする怪物。そして、イナズマジャパンを圧倒する強化人間達。遂には、ゴール前へ。そのまま、シュートを放つ。

 

「止める!イジゲンザハンド!くっうわぁ!」

 

同点ゴールを決められる。敵の実力に驚くメンバー。だが、円堂は、大介から不思議な言葉を送られる。

 

「違う。もっとガン、シャン、ゴワンじゃ!」

「「「???」」」

 

流石に、誰もが頭に?を浮かべる。円堂は、何かのヒントだと思い。すぐに、頭に刻んだ。ボールは、イナズマジャパンになる。だが、やはり怪物の独断プレーは続いた。ボールを持つ山城は、過去の対戦経験のある選手達の技を使う。それは、対戦経験のある者には分かる技ばかりであった。そして、再びゴール前のキーパー向かい合う。

 

「今度こそは!」

「ははは笑」

「!?」

 

山城は、シュートを放つ。キーパーは、それを止めることは出来なかったが、前に弾くことはできた。

 

「よし、速攻「あめぇよ」!?」

 

怪物が、リバウンドを拾いそのまま再びゴールに向かう。キーパーは、先ほどのシュートをくらった影響でまだ立てない状態であった。誰もが、どフリーの空いてるスペースにシュートすると思ってい。一部を覗いて。そして、大介とロココの言葉で誰もが怪物の行動の真意に気づくことになる。

 

「よせ、一平!!止めるんじゃ!」

「イッペイだめだ!サッカーで敵を破壊しては行けない!」

「「「!!」」」

「な、嘘だ!止めてくれ!!」

 

だが、山城は止まらずシュート体勢に入り、そして、、、、

 

「良い音聞かせてくれよ笑」ドッ

ズドン・・・バタッ

 

怪物のシュートは、キーパーの顔面ごとゴールに突き刺さる。キーパーは、ボールが地面に落ちると同時に倒れる。

 

「あらら、壊れたか。」

 

ゴールの認定の笛が鳴り響く。誰もが、怪物の壊れた笑顔に恐怖する。そして、チーム ガルシルドは、予想外のことがおきて動揺が走る。キーパーが、破壊されて次は自分であると恐怖する。それを見ていたガルシルドは、チームに指令を出す。

 

「貴様ら、何を怖じ気づいとる!アレを使え!」

「「「はい!承知しました!」」」

 

すると、彼らは身に付けいた腕時計のスイッチを入れる。すると、ユニホームの繊維が変わるのがわかった。それにより恐怖を消し去ることができた。

 

「怪物、次は我々が貴方を破壊する番です。」

「へぇ笑面白いことするね。」

 

そして、再開の笛と共に一斉に駆け上がるチーム ガルシルド。その前に、怪物が立ちはだかる。そして、互いにぶつかる。だが、今度は怪物が吹っ飛ばされる。そのまま、今までとは違う更にパワーアップしたスピードで駆け上がり、ゴール前まで進む。

 

「くらえ、我々の力だ!」

「ガン!シャン!ゴワン!」

「「!?」」

「く、うわぁ!」

 

円堂は、先ほど大介から言われた通りの掛け声でキャッチに試みる。すると、背中から雷神が現れる。しかし、まだ未完成であり薄い光であるためすぐに吹き飛ばされる。だが、弾くことに成功する。それを拾いカウンターに転じる。そして、再び怪物の元へ。その前には、ガルシルドの秘書の男が立ち塞がる。

 

「行かせませんよ。貴方には、ここで沈んで貰います。」

「違うな。お前が、破壊されるんだよ!」

 

そして、何度かのぶつかり合い。そのまま拮抗して余りの力に爆発を起こして、互いに吹き飛ぶ。ボールが、外へ出るのと同時に前半終了笛が鳴る。ベンチに戻る一同。互いに空気が重い。チーム ガルシルドは、リードを許す失態をしたこと。イナズマジャパンは、怪物のプレーに対して。大介が動く。

 

「一平。お主を後半は、出さん。」

「!何でだよ大介さん。まだ、終わってないぞ。」

「違うじいちゃんは、お前を心配してるんだ。」

「まもちゃん何言ってんの?心配?俺の?何で?」

「お前は、復讐刈られてサッカーを汚そうしている。」

「は笑っ。面白い冗談だな。ゆうちゃん。あいつら、人の命を軽く見てやがる。だから、わからせやってんだよ。次は、お前らだってね。」

「けど、それは間違ってるよイッペイ!君は、サッカーを楽しんでない。あいつらと一緒だよ!」

「そうだ、一平。今のお前は、ただの復讐をしてるだけだぞ!」

「だから?」

「だから?って。何で、お前までサッカーを汚そうとしているんだよ。」

「・・・・うるせぇよ。」

「「え?」」

「心からの恩師が、まだ生きてるお前らに俺の気持ちがわかんのかよ!久しぶりに会えた喜び。事故に見せかけて殺されて約束を果たせない悲しみ。そしたら、目の前にその犯人現れて、その人馬鹿にされるこの怒りを!お前らは、一度でも味わったことあんのかよ!」

 

怪物の言葉に、誰もが黙る。だが、やはり大介さんは違った。

 

「お主の気持ちは、確かに誰もわからん。到底、理解できることはないだろ。」

「なら!「じゃが!」!?」

「その恩師が、残した者に復讐だけでサッカーと自分自身を傷つけるようなことは頼んでないはずじゃ!」

「・・・・。」

「確かに、親しい人を奪われた悲しみ消えん。ワシだって同じだ。だからこそ、サッカーを!しぶんを!守り、楽しみそして、愛さなきゃいけない。だから、山城一平という人間に自分のサッカーを影山は、たくしたのじゃろう。」

 

山城は、大きくゆっくり深呼吸をして口を開く。

 

「わかったよ。もう破壊は、止めたよ。後半は、ベンチでおとなしくするよ。」

「ウム、後はチーム任せておけ。」

「そうする。まもちゃん、ゆうちゃん、そして、イナズマジャパンのみんな。絶対勝ってくれよ!」

「「「まかせとけ」ッス」まかせてください。」」」

 

もう復讐の刈られて破壊の限りを尽くす怪物は、居なくなりただのサッカー小僧の笑顔に戻っていた。




ちょっと、オリジナル要素にしました。


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一件落着

怪物が、ベンチに下がる。そして、後半の笛が鳴る。逆転を目指すチーム ガルシルド。自慢の強化された身体能力で攻め上がる。だが、イナズマジャパンのメンバーは、食い下がる。互いに拮抗している状態は、そのまま時間を進めていく。負けを感じ始めたガルシルドは、チームの部下を恐怖で士気を保とうとするが、イナズマジャパンの進化に焦るメンバー。何とか、前線に回すことに成功する。そのまま、シュートを円堂に放つ。円堂は、先程の大介からの言葉をヒントに何かを掴む。

 

「ガン!シャン!ゴワン!」

「なっ!嘘だ!こんなこと!」

 

円堂の背後には、マジンザハンドの時とは違う雷神の姿が現れる。そして、淡い光と共にシュートとぶつかり見事にキャッチする。未完成ながら強力な未完成キャッチに大介とロココ、そして、怪物は笑みをこぼす。円堂が、シュートを止めた際に試合の終了の時間を迎えた。皆が、勝利に喜ぶが相手ベンチにガルシルドの姿はなくヘリで逃亡を図ろうとしていた。

 

「ふはは!イナズマジャパン!今回は、負けを認めよう。だが、これでワタシでない。さらばだ。」

 

誰もが、何も出来ない中で突然、ガルシルドのヘリにサッカーボールが直撃。怪物の怒りがこもったボールであった。飛ぶ力を失ったヘリは、不時着。そのまま、鬼瓦刑事とその仲間の国際警察の人間に取り押さえられる。そして、チームガルシルドのメンバーも一緒に。こうして、大介の長きに渡る戦いは幕を閉じた。その後、夕日が沈んで暗くなった浜辺。円堂は、1人歩いていた。ある人と出会う約束をするために。そして、出会う。

 

「じいちゃん!」

「おぉ!遅かったの。」

 

死んだ祖父が生きていて嬉しい感情がいっぱい合った。それから二人は、今までのことを語り合った。今回の経緯、ノートを見つけてからの数々のライバルとの壮絶な試合、様々な出会いと別れを。円堂は、気持ちの底に貯めていた思いをいっぱい大介に伝えた。そこには、祖父と孫の時間が流れていた。話題は、今回の試合になる。

 

「そういえば、あの時じいちゃんは必殺技のヒントをくれたんだよね?」

「あの時?ヒント?なんじゃそれは?」

「何ってじいちゃんが試合で教えてくれたんじゃないか。」

「ああ。あれは、試合の熱に押されて出た言葉じゃ。特に意味はない。」

「あはは。じいちゃんらしいや。」

「今回は、イッペイだけでない。守、それに日本代表には助けられた。本当にありがとう。」

「良いってじいちゃん。俺は、助けたくてやったことだから。」

「ふふ笑お前は、優しいの。」

 

そして、楽しい時間は終わりを迎えた。

 

「そろそろ行かなきゃ。次の決勝、絶対負けないぞ!」

「ふん笑。先に言われるとはな。じゃが!ワシらも本気のメンバーで挑む。日本代表には、悪いが優勝はコトアールが頂く!」

 

二人は、顔を見合わせて笑った。

 

「「それじゃあ!決勝で!!」

 

こうして二人は、それぞれの宿舎に向かう。



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平和

コトアールのエリアは、まだ半壊状態。だが、町の人にリトルギガントの選手達が手を貸したおかげで何とか修復することができた。その後、山城は日課の散歩をしていると1人立たずむロココを見つける。

 

「こんな所でなにしてんだロココ。」

「!イッペイか。ちょっと考え事。」

 

そんなロココは、どこか表情が重かった。しょうがないと思い横に行く山城。

 

「大介さんのことか?」

「!何でわかったの?」

「そりゃあ、お前が悩むなんてサッカーかそれぐらいだろう。そんなに気になるか大介の今後に。」

「うん。だって、もう何も心配せずに日本に帰れるからね。この大会が最後かもしれないし。」

「だから寂しいってか。そんなもん大介さんの人生だ。俺らが決めることじゃない。」

「わかってる!けど、弱虫だった僕を変えてくれるきっかけを作ってくれたのはダイスケだから。二度と会えなくなるじゃないかって思うとやっぱり寂しい。」

 

ロココの思いを全て聞いた山城は、少し深呼吸して答える。

 

「あほくさ。」

「!?」

「だってよ、例え今大会を最後に大介さんが日本に帰ったからってお前には関係ないだろ。」

「でも!」

「でもも何も無い。それに、いつまでも一緒になんか居られるか。いつかは、別れが来る。」

「・・・。」

「それに、別れて一生会えない分けでもない。俺らがボールを蹴ってればいつかまた会える。その時には成長した姿を見せてやれば良い。今のまもちゃんみたいにな。」

「・・・そうだよね。よし!そうとなれば優勝出来るように今からでも練習するぞ!」

「そのいきだ。じゃあな。俺も散歩の続きがあるから。」

「うん!終わったら一緒に練習しよう。約束だよ。」

「ああ、わかった。」

 

こうして、気持ちを切り替えることができたロココは元気に宿舎に戻る。山城は、いつも通りボールを蹴れるスペースを探しに行く。そして、何とか見つけてボール蹴り始める。少しして、休憩に入る。そこで先程のロココとの会話を思い出す。

 

「フー。別れか。そういえば、この大会が終われば俺もあいつらとしばらく会うことがないのか。たしかに、寂しいもんだな。なら、今はとことんあいつらとサッカーを楽しむか!」

 

そして、ボール蹴り始めようとすると後に気配を感じて振り替える。すると、見知った顔ぶれを見た。

 

「こんなとこで練習とはな。」

「練習に没頭するお前をみるのは久しぶりだな。」

「珍しいな。お前らから来るなんてな。修也、ゆうちゃん。」

 

豪炎寺と鬼道が、近づいてきた。

 

「何の用だ?決勝は、まだ先だぜ。」

「なに、今のお前と俺らの実力の差を知りたくてな。」

「それに、試合前にデータを得るのは、よくあることだろ。」

「確かにそうか。なら内容は、いつもと同じで良いか?」

 

この後、三人は互いの力を見せる。そして、勝負は決した。

 

「フー・・・俺の勝ちだな二人とも。」

「くっまだ足りなかったか。」

「だが、前回より大分縮まった。後は、帰って修正だな。」

「そうだな。」

「けど、二人とも凄いな!ここまで成長するとはな。」

「ふ笑嫌みにしか聞こえないが、まあ素直に受け取ろう。」

「決勝では、ぜったいに負けんぞ!一平!」

「ああ。俺らも負ける気がしないぜ!」

 

こうして、ライバル同士の試合が終える。それぞれが帰路につき、互いの状態が好調であることに笑みを浮かべる。

 

 



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決勝前

遂に明日に迫った決勝戦。試合前の最後の調整の前にこれまでのリトルギガントの成績とビデオを夏未からの解説を交えながら注目していた。そして、誰しもがオルフェウスを破ったその実力に固唾を飲む。

 

「以上がリトルギガントのデータです。」

「やはりオルフェウスをあそこまで圧勝する実力も本物だな。」

「1人1人のレベルが今大会のトップクラス。」

「ふむ決勝は、今まで以上に厳しい試合になるだろう。最後まで気を引き締めていけ!」

「「「はい!」」」

 

こうして、イナズマジャパンは来る決勝に向けて気合いを入れるのだった。そして、練習場で最後の調整をしていた。そこにオルフェウスのメンバーが現れ練習試合をすることになった。そこでフィディオ達は、日本代表に自分たちの思いと勝利を託したのだった。それは、無事に通じ円堂は、未完成だったキャッチ技を完成するのだった。試合が終わり互いに会話をする。

 

「フィディオそして、オルフェウスの皆!今回はありがとうな!」

「マモル!絶対優勝してこいよ!」

「ああ!もちろんだ!」

 

こうして、オルフェウスのからのエールと意志を受け継いだイナズマジャパン来るべき試合に気合いを入れることが出来た。一方変わってリトルギガントの練習場。こちらも決勝に向けて最後の調整をしていた。そんな中で、楽しそうな顔するものがいた。監督の大介だ。自分の教え子と孫との対戦にワクワクしていた。それを見ていた山城は、感化されて笑みを溢す。練習が終わりクールダウンをした後は各自の自由時間となった。そこで、山城は、大介の元へ向かい監督と選手として最後の会話を交わす。時間は、夕日が沈み掛けていた。そして、大介を見つけて近寄る山城。

 

「来たか一平。待っとったぞ。」

「何か用かい?大介さん。」

「いやなに、お前さんとも次の試合で最後になるからな。せめて今日だけでも会話しておこうかと思うてな。」

「(やっぱり大介さんも同じ事を…。)そうか。確かに、話せるとしたら今しかないな。それで何を?」

 

大介は、少し息を吸い込んでからフゥーと息を吐いてから口を開く。

 

「一平。ワシは、この大会は一生忘れることは無い。ガルシルドとの因縁、孫との会合、そしてロココやお前さんリトルギガントのメンバーにコトアールの村の人達との出会い。これ程最高な大会今後はないじゃろな。」

「まあ確かに。けど、まさか決勝をどうでも良いなんて言わないだろ。」

「ふん笑当たり前じゃい。ここまでワシに着いてきたチームと優勝を分かち合いたいに決まっとるじゃろ。」

「なら尚更負けられないな。俺も最後まであんたに着いていくよ。」

「相変わらず頼もしいの。」

 

こうして、決戦前の調整を終えた両チーム。この大会最後の試合が開幕する。



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最後の試合

長きに渡り激闘を繰り広げた世界大会も遂に決勝を迎えた。スタジアムには、満員の観客が盛り上がりのボルテージはマックスに。そして、二つのチームと共に歓声は更に上がる。それぞれのベンチに着き最後の確認をする。

 

「凄い歓声だな。」

「流石決勝とも言える。」

「よおし!皆!ここまで来たんだ最後まで気を抜かずに優勝するぞ!」

「「「おぉ!!」」」

 

円堂を中心に纏まった日本。緊張が高まる決勝でも士気は高い。

 

「向こうは、やっぱり気合いが違うな。」

「そう言うけど、君も同じだよ。イッペイ。」

「まあこんな最高の舞台で試合出来るのに上がらない方がおかしいだろ。」

「ふふ。そうだね。」

「おい!そろそろ円陣だぞ!ロココ!イッペイ!」

「「わかった。」」

「よし!絶対優勝して村に優勝カップ持ち帰るぞ!」

「「「おう!!」」

 

リトルギガントも気合いが入る。そして、互いに選手が守備に着く。ボールは、リトルギガントになる。そして、決勝の笛が鳴り響く。すると、開幕いきなり怪物が動く。

 

「挨拶代わりだ。ゴーシュ行け。」

「了解!」ドッ

「「「!?」」」

 

挨拶代わりと言わんばかりの強烈なロングシュートに誰もが動けずゴールを許す。怪物は、笑みを浮かべて口を開く。

 

「お前ら気を抜いてんじゃねぇぞ。勝ちたかったら死ぬ気かかっこい!」

「!そうだな。奴の言う通りだ。」

「これが世界だったな。」

「よし!みんな!気合い入れ直しだ!」

 

こうして、思わぬゴールから始まった決戦。リトルギガントのレベルの高さを実感する日本代表。だが、これまでのライバル達との死闘が彼らを強くしていた。ボールをセットして攻め始めるイナズマジャパン。しかし、数分はリトルギガントの実力に圧倒される。

 

「襲撃の時は、感謝してるけど悪いね。」

「くっ!」

 

ボールを奪ったウィンディが前線にボールを渡す。ボールを貰ったのは、ドラコ。

 

「ゴーシュだけじゃないぜ!俺も決める!ダブル・ジョー!!」

「ゴッド・キャッチ!!」

 

強烈なシュートを放たれるも円堂が、新必殺技で見事キャッチに成功する。それに歓喜する日本。そして、円堂から前線にボールが回る。裏を着くことができ、シュートチャンスが回る。そして、注目していた天才キーパーロココとの初対決。

 

「反撃だ!ドラゴンスレイヤー!!」

「ゴッドハンドX!」

「!?」

「よし!」

 

染岡の渾身シュートは、ロココに止められる。そこから今度は、リトルギガントの反撃。ボールは、怪物に渡る。その目の前には、DFに戻っていた吹雪と風丸。

 

「ここで君を止める。」

「絶対に行かせん。」

「まずは、士郎と風丸か。行くぞ!」

 

スピードのある二人は、自身の本気で止めに行く。流石は、足に自身のある二人、辛抱強く食らいつく。だが、怪物は甘くなかった。

 

「スピードは、流石だがパワー不足だ。」

「「うわぁ!!」」

 

パワーで押しきった山城は、そのまま円堂と対峙する。

 

「こい!一平!」

「行くぞまもちゃん!」

 

怪物から放れたシュートが円堂を襲う。円堂は、先程と同じようにゴッド・キャッチで止めにかかる。だが、

 

「くっ!先のシュートより重い。うわぁ!!」

 

ドラコより強烈なシュートを何とか弾くことが出来た円堂だが、それを狙っていたものがいた。

 

「貰い!流石イッペイの読み通りだぜ!」

「しまっ!」

「もう遅い。決めろドラコ!」

「ダブル・ジョー!!」

 

円堂が体勢を立て直す前に決まる。2点が入る。日本のサポーターは、絶望する。しかし、フィールドの選手達は諦めてなかった。

 

「大丈夫か円堂。」

「ありがとう風丸。」

「奴ら想像以上だな。」

「ああ。だけど、まだ始まったばかりだ。まさかもう諦めたなんて言わないだろ?」

「当たり前だ。俺だけじゃないみんな思ってる。」

「なら良かった。頼んだぞみんな!!」

「「「おう!!!」」」

 

日本の選手達の目に火が宿る。それを見ていた山城は、チームメイトに忠告する。

 

「お前ら気を付けろ。これから日本は、強くなるぞ。」

「大丈夫だろ。今の感じからしてまた点取れるだろ。」

「そうだよ。あいつらまともに突破できてないじゃないか。僕らには、ロココがいるし。」

 

一部のメンバーに慢心が生まれ、忠告をまともに受けなかった。



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綻び

2点ビハインドの日本代表。しかし、今の彼らには落胆の文字はなく、むしろ燃えに燃えていた。そして、再開のキックオフ。身体能力に物を言わせて襲いかかるリトルギガント。だが、上手く行かなかった。日本の頭脳の二人を中心に敵を自由にさせず得意のパスを交えての連携を駆使して攻め上がる。それに焦るが、慢心は抜けていなかった。

 

「くっこいつら動きがさっきよりキレがある。」

「大した変化じゃないのに何で?」

「大丈夫ロココがいる。」

 

前線にボールが渡り豪炎寺は、染岡とアイコンタクトを計りボールを一旦預け空高く舞う。染岡は、シュート体勢に入る。止めに入るDF陣。だが、迷わず染岡は打つ。

 

「ドラゴンスレイヤー!!」

「どこに蹴ってる。」

「馬鹿!上だ!豪炎寺を止めろ!」

「ふ笑。悪いが頂く。爆熱スクリュー。」

 

ドラゴンスレイヤーと爆熱スクリューのシュートチェイン。云わばドラゴントルネードの強化版のシュートがロココを襲う。

 

「ゴッドバンドX!くっうわぁ!!」

 

遂にシュートが決まる。沸き上がるスタジアム。頭を抱える山城は、再度忠告する。

 

「わかったか。奴らは、強い。油断なんて百年早い。」

「けどまだ一点だろ。」

「そうだよ。また点を取れば良いんだ。」

 

嫌な雰囲気は、大介もとっくに気づいていた。だが、そのまま見守った。これもサッカーなのだから。再開のキックオフ。ドラコ達は、力任せに上がる。まだ身体的差があるのかドラコ達は攻め上がることができた。そして、シュートを放つドラコ。だが、先程は山城のシュートで体勢を崩して決めたシュート今度は、万全の円堂に止められる。そのままカウンターに移る。ボールを受け取った鬼道の前に怪物が立ちはだかる。

 

「ゆうちゃん。行かせねぇ!」

「ふん。確かに、俺1人なら分が悪いが。」

「二人ならどうかな?怪物君?」

「チッなめんなよ!」

 

怪物は、不動に食らいつく。だが、フィールドの悪魔と天才の罠に嵌まる。

 

「悪いな山城。二人は嘘だ。本当はな」

「三人なんだよ。山城。」

 

 

三人目として佐久間も近くにおり、見事に山城を突破することに成功する。そして、今度は三人の最強技コウテイペンギン3号が放れる。

 

「う、うわぁ!!」

 

そして、遂に同点になる。それに、動揺したリトルギガントのメンバー。勢いは、完全に日本傾く。このままズルズル行くと誰もが思った。だが、怪物がそうはさせなかった。試合再開のボールを貰った山城は、円堂のいる日本ゴールではなく、自陣のゴールにシュート入れる。あまりの出来事にロココも動けなかった。注目選手の驚きのプレーに不気味な空気が流れる。

 

「お前ら、いつ俺らは優勝したんだ?いつ勝ちが決まったんだ?敵をなめるのも大概にしろ!サッカーをナメるな!」

「「「!」」」

「全く全てイッペイに言われてしまったな。お前達、忘れてしまったか。サッカーを始めた頃を。純粋にボールを蹴っていた頃を。大丈夫じゃ、お前さん達はまだサッカーを始めた頃と変わらん。思い切り楽しんでこい!」

「「「はい!!」」

 

こうして、挑戦することを思い出すリトルギガント。ここから更に激しさを増すことになる。

 



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過去から産物

山城の記録したオウンゴール。世間やテレビ、スタジアムのサポーターは、理解することはできなかった。だが、フィールドの選手達には意味のあるプレーだった。再び、リトルギガントからのボールで再開。今度は、強引に攻めずパスを多様した。結果、鬼道と不動の包囲網から穴を作ることに成功する。そして、ボールは山城に。

 

「さあて、オウンゴールした分を折り返しますかね。」

「させるか。」

「させないッス。」

「行かせねぇ。」

「風丸、壁山、綱海。今度は、お前らか。悪いが、三人で止められる程弱くないんでな。見せてやるよ新しい力。」

 

そう言うと三人に突っ込む山城。三人は、身構える。すると、山城のボールが複数に分裂する。その技は、日本代表のメンバーは、誰もが見た技。

 

「あれは!鬼道のイリュージョンボール!」

「そんな!ありえないッス。」

「くそっ。駄目だ止められない。」

「じゃあな。」

 

そう言って三人を出し抜き突破した山城。円堂と再び対決。

 

「今度は、絶対決めさせない。」

「じゃあ、まもちゃんにはこの技だな。行くぜ!」

 

今度は、燃えながら回転し飛び上がる。豪炎寺の十八番のファイアトルネード。

 

「ファイアトルネードまで!」

「気を付けろ円堂!」

「うおぉぉぉ!ファイアトルネード!!」

「っ!ゴッドキャッチ!」

 

円堂の現段階の最強技と豪炎寺の技とは言えコピー技。普通なら円堂に軍配が上がる。だが、相手は今までどんな敵をも粉砕してきた怪物。円堂は徐々に押され遂にはひびが入り始めた。

 

「うおぉぉぉ!うわぁ!!」

 

炎を纏いしシュートは、神の腹を突き破った。同点になる。日本サイドは、動揺隠せない。それは、チームを鼓舞していた円堂さえも。

 

「これが、俺の新しい技 メモリーだ。お前らとの思い出から出来た技だ。」

「俺達の思い出。」

 

これには、日本ベンチにも衝撃を残す。

 

「嘘。彼は、まだあんな奥の手を。」

「夏未さんにも見せなかった技があるなんて。」

「厄介だわ。思い出を武器に変えるなんて。」

「山城さんは、見ただけ覚えたんですか!」

「底なしだな。先生。」

「どうする久遠。」

「……大丈夫でしょう。鬼道達を中心に解決策を決めているらしいです。」

 

戻りフィールドの鬼道は、他のメンバーを募る。

 

「山城君、相変わらずむちゃくちゃだね。」

「敵は、こちらの技を完璧にマスターした上で威力が強大だ。」

「で、どうする鬼道くん。このままやられっぱなしとは行きたくないよね?」

「……一つ気になることがある。試して良いか。」

「「「おう!!」」」

 

こうして、コピー対策に出る鬼道。日本ボールで豪炎寺が保持するが、すぐに怪物が技を出す。

 

「貰うぜ。アイスグランド!」

「くっ。今度は、吹雪の技か。」

 

ボールを持った山城は、ゴーシュとドラコとパスを使って上がる。そして、円堂と再びに対決。

 

「こい!一平!」

「じゃあ今度も貰うぜ。ファイアっ!」

「悪いな山城それは悪手だ。」

 

山城が飛び上がる直前に前線の豪炎寺が浮き上がったボール奪取。それには、リトルギガントも驚く。そして、ボールを回していきゴール直前まで行く。そして、染岡と豪炎寺のシュートチェインを放つ。ロココは、再び止めにかかる。先程より威力を高める。それが功を奏したのか弾くことができた。ボールは、外に転がる。山城は、この間にメンバーと大介に相談する。

 

「やはり対策が早いな。」

「どうするの?」

「まあ、別に完璧に止められている訳じゃねぇからな。」

「そこでなんじゃが、時間も残り少ない。だから、あれを使おう。」

「あれを?まあでもそうか。わかった。それで行くか。審判さん!ポジションチェンジ!」

「「「!?」」」

 

新しい作戦としてリトルギガントベンチが動く。ポジションチェンジ。山城となんとロココ。二人の最強の矛と盾のチェンジである。日本代表どころか会場、テレビなどのサポーターも驚愕する。そして、フィールドプレイヤーのユニを着るロココとゴールキーパーのユニとグローブを着ける山城。コーナーキックから再開ボールを貰った豪炎寺は、吹雪に渡す。そこから吹雪と土方のコンビ技 サンダービーストを放つ。対する山城は、再びメモリーを発動する。そして、彼が想い出に選んだ技は、円堂と立向居、ロココには馴染みのある技。

 

「ハアア!ゴッドバンド!!」

「「「!?」」」

「馬鹿なゴッドバンド!」

「山城さんは、ゴッドバンドまで!?」

 

円堂の虹色、響の黄色、立向居の水色、ロココの赤色とは違う。それは禍々しい黒。そして、その黒は獣を消し電気を消滅させ止めた。

 

「まだあるぜ!行け!ロココ!」

 

前線のロココに渡り、円堂と一対一。そして、ロココはシュート体勢に入る。

 

「決めなきゃイッペイに怒られる。行くよ!マモル!」

「こい!」

「ハアア!Xブラスト!!」

「ゴッドキャッチ!!うわぁ!!」

 

赤い閃光が日本ゴールに突き刺さる。勝ち越しに成功する。そして、笛が鳴り響き前半終了を告げる。ハイタッチするロココと山城。それを見て今の技に悔しさをぶつける円堂。そこに鬼道、豪炎寺がよる。

 

「切り替えるぞ。」

「ああ。もう大丈夫だ。くぅー。まさか一平がゴッドハンド使うなんて。」

「それにロココが、FW出来るなんてな。」

「何より勝ち越された。これは、痛手だな。」

「まだ試合は、終わってない。後半巻き返せば良いさ。」

「だな。」

「ふっ。違いない。」

 

こうして、互いの強みを見せた両チーム。最後の後半に備える。



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一声

ハーフタイムの日本のロッカールーム。前半最後の山城の力に少し雰囲気が暗い。一度は、封じたと思ったが予想を更に越えられた。ましてやロココのシュートの威力の高さにも。だが、そんな中でも円堂は鼓舞する。

 

「お前らなに沈んでる!試合まだ後半が有るんだぞ!」

「しかし円堂。山城は、とんでもない速度で成長をしている。」

「そうッスよ。山城さんだけでなくて他のメンバーも実力が高いッス。」

「だからどうした。」

「どうしたって。何でお前は、そこまでポジティブなんだ?」

「確かに一平達は、正直過去の対戦したチームで強い。下手したらこのまま負けるかもしれない。けど、いつも言ってるだろ。勝利の女神は、諦めない方に微笑むって。それに、こんなに面白い試合を諦める勿体無いだろ!」

「「「!?」」」

 

円堂のサッカーに対する情熱は、やはり世界で一番である。証拠に先程まで暗かった日本選手達の顔色が明るくなる。そして、みんなの心が一つになる。それを見ていた久遠は世界でやっと戦えるチームになったと確信する。

 

「よぉーし!残りの後半を時間一杯まで走り切って優勝を勝ち取るぞ!」

「「「おぉー!!」」」

 

こうして、日本のイナズマイレブンとリトルギガントの怪物達との最後の後半が始まる。ボールは、日本から。日本は染岡から虎丸、佐久間からヒロトに代える。連携の手数の増やす作戦である。それは、填まりだす。鬼道と不動が頭をフル回転にしてゲームを作る。結果、前線にボールが集まるようになる。そして、代わったばかりのヒロトにボールが渡る。

 

「行くよ吹雪!」

「うん!」

「「ハァ!ザ・バース!!」」

「ゴッドバンド!!」

 

新たな必殺技に圧される山城は、とっさにコースを反らすことにした。

 

「(チッなんて威力だ。だが、コース変えたこれなら他のメンバー取れ)!?」

 

山城は、驚愕する。リバウンドを取ったのは豪炎寺であった。そして、豪炎寺、ヒロト、虎丸の三人はシュートを放つ。三人の最強技 グランドファイア。山城は、即座に再びゴッドハンドの体勢を取る。

 

「止めてやるよ!ゴッドハンド!!く、ぐわぁ!」

 

遂に同点に追い付く日本代表。スタジアムは、再び沸き上がる。ロココは、山城の心配をする。

 

「ロココすまねぇ。止められなかった。」

「いやあれは中々の威力だよ。手は大丈夫なの。」

「まあ後一回ぐらいだな。たく、なんつー威力だよ。」

「点は任せて。直ぐに勝ち越してくる。」

 

そう言ってFWに戻るロココは、ボールを貰うと前線を駆け上がる。その赤き閃光の如くドリブルで円堂と一対一に。

 

「イッペイのためにも僕が決める!」

「ここで止める!」

 

ロココのシュートと円堂のキャッチがぶつかり合う。威力が高いことがわかるように音は大きく広がる。軍配は、円堂に渡る。そして、カウンターでボール前線に。貰ったのは、豪炎寺。山城と向かい合う。

 

「こうして、お前と向かい合うとはな。勝ち越しは、頂くぞ!」

「今度は、止める!止めてやる!」

 

今度は、豪炎寺のシュートと山城のキャッチのぶつかり合い。少しずつ圧される山城は、ここで意地を見せる。

 

「負けるかぁー!」

「何!?」

 

山城は、自身の奥の手 ゾーンを解放。そして、見事止める。

 

「ふぅー。これで俺の手は、完璧に使いもんになんなくなったな。さて、点を取るか!」

「!行かせない!」

「悪いな相手にならんな。」

 

ボールをその場に落としドリブル加速。その速さは、ぐんぐん加速する。そして、円堂とのマッチアップ。

 

「こい一平!俺の練習成果見せてやる!」

「そうかい。しっかり構えな。行くぜ!」ドッ

「ゴッドキャッチ!(!?なんだこのシュート今日一番だ。駄目だ。)ぐわぁ!」

 

怪物は、シュートを日本のゴールに突き刺す。そして、怪物は雄叫びをあげる。それに再び恐怖する日本。その時、リトルギガント方からポジションチェンジが言い渡され、ロココと山城はベンチに戻る。そこで大介が少し怖い表情をしていた。

 

「イッペイ!お主は、大馬鹿もんじゃ。怪我をしてほしくてワシは、キーパーに任命したわけではないわ!」

「すみません。「じゃが!」!?」

「よくやった。今度は、フィールドで思いっきり暴れてこい!」

「はい!!」

「ロココ。お主は、もっと自由に楽しんでこい!」

「はい!!」

 

後半開始して互いに矛をぶつかり。怪物が本気になる。畏怖する日本、だが誰も諦めていない。



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解放

再開の笛がなる。山城の圧倒的力にフィールドは、支配される。怪物の行進を始める前に、日本のエースが立ち塞がる。

 

「ここでお前を越える!そのために努力を重ねたんだ!」

「……そうか。だが、足りないな。」

「!」

 

豪炎寺は、ドリブルを許す。気づいた時には、すでに距離を離されていた。ドリブルを続ける山城。今度は、長きに渡って対戦している天才を迎える。互いに何も語らず勝負に入る。

 

「(そこだ!)」

「残念ハズレだ。」「!?」

 

タイミングを読み確実に止めようとするが、最早人間のタイミングという概念を壊す山城の独自性のリズムは型に填めている鬼道には届かなかった。そして、山城はどんどん加速しDF陣を抜いて円堂と対峙する。

 

「こい!」

「行くぜまもちゃん!」

 

シュートを放つ山城。ゾーンに入ってる彼のシュートは、これまでのシュートとは比べ物にならなかった。円堂のゴッドキャッチの後ろの神すらも消し去りゴールに突き刺さる。凄まじいゴール音を響かせた。更にリードを許す日本代表。皆が悔しさを出すが、中でも豪炎寺と鬼道の二人は特にである。

 

「(まだ届かないのか。何が足りない。)」

「(タイミングは、合ってたはず。なのに触れることすらできなかった。またなのか。)」

 

その後も怪物の勢いは、止まらなかった。そして、先程と同じように円堂と対峙する。誰しもが日本の勝利を諦め始めている中やはり円堂は、さらに勝利を諦めなかった。

 

「こい一平!今度こそ止める!」

「なら止めてみな!」ドッ

 

先程同じように高い威力のボールを蹴った山城。円堂は、先程と同じようにゴッドキャッチを発動する。誰しもが点が入ると思ったが、先程よりさらに気合いの入った円堂の気持ちが乗ったのか予想以上の粘りを見せた。

 

「うおぉぉぉ!く、うわぁ!!」

「!」

 

やはりシュートを止めらずゴールに吹っ飛ばされた円堂。だが、シュートを枠から外すことができた。ボールは、バーに当たり遠くに外れた。その結果は、皆が驚き山城でさえも同じである。

 

「流石だな。やっぱりそうでなきゃな。」

「当たり前だろ。まだ終わってない。ゴールはもうやらせない。」

 

笑みを溢す山城。円堂に手を貸して起こす。今のガッツ溢れるプレーに皆の心に再び火を着けた。コーナーキックから始まる。点を入れさせまいと日本代表のメンバーは、気迫見せた。だが、ボールはまた怪物に渡る。皆が気を引き締めた。その怪物の前に二人の影が立ち塞がる。

 

「行かせない!」

「これ以上負けるか!」

「悪いが終わらせてもらう。」

 

閃光の如くドリブルに抜かれそうになる。

 

「「(また負けるのか……。いや、円堂が諦めてないんだ。それなら俺達が諦めて良いわけがない!)」

 

鬼道と豪炎寺の中で何か弾ける。そして、

 

「「負けるかぁー!!!」」

「!!」

 

何と山城のボールを弾いたのだ。山城は、今の出来事に驚き、その原因の方を見た。

 

「なるほどな。お前らも入ったのか。」

 

その気迫と雰囲気。まさに二人は、ゾーンに入ることができた。こうなると一気に形勢が変わる。ゾーン入ったもの同士のマッチアップは激しさを増して誰も近づくことができない。そして、2人対1人のミスマッチが日本流れを戻す。直ぐに二人で駆け上がりロココと対峙する。

 

「(来る!)」

「ツインブースト!」「爆熱スクリュー!!」

「く、うわぁ!!」

 

そして、点取ることに成功する。その後も同じように手を取る。同点になりきつくなるリトルギガント。山城もゾーンの二人の相手に苦戦して消耗が激しくなる。だが、窮地での諦めないその姿はやはりチームに勢いを着ける。それは、ロココにも。豪炎寺、鬼道の二人は、シュートを放つ。

 

「僕も負けられない。負けられないんだ!!」

「「!?」」

 

ロココは、ここで魂からの必殺技を発動する。

 

「タマシイザハンド!!」

 

その魂から生み出された強き思いの具現化した大きな手は、シュートを包み込んだ。そのままに手にシュートを納める。激しい攻防。その中で怪物は更に一歩踏み出すことにした。



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窮地

山城は、一呼吸入れ自身の中にある大きな力を引き出した。その時、山城を中心に強風吹き荒れた。全ての人間が目を閉じたが、大介だけは笑顔である。そして、風が止み、目を開ける一同。そこには、先程より雰囲気が一変した山城の姿があった。山城は、イナズマジャパンの方を向くと口を開く。

 

「さて、第2ラウンドと行くか。なぁお前ら、壊れてくれるなよ。」

「「「!!」」」

 

ここ一番の緊張が走る。山城は、ボールを貰うとそのままドリブルする。先程のゾーンほどの速度も出ていないが、威圧感とパワーは桁違いであった。そんな中、ゾーンの状態に入った豪炎寺と鬼道が対峙する。

 

「やはり、修也とゆうちゃんか。」

「ここでお前を止める。」

「もう貴様に負けない。」

 

そのままぶつかり合う三者。一件、ゾーン二人の方に分があったように見えた。だが、徐々に押されていく。二人は、全力で力を加えるが押し返せなかった。

 

「悪いな。この力は、ゾーンよりパワー系だ。この意味分かるな。」

「!まさか。」

「くっ押される!」

「今の俺の前じゃゾーン二人なんて……軽い!!」

「「うわぁ!!」」

 

そのまま吹っ飛ばされる二人。そして、怪物は行進を続ける。みんなが止めに行くが歯が立たなかった。そして、円堂の前に到達する。円堂は、自身を奮いただせる。

 

「こい!一平!」

「さっきよりこたえるぞ。気合い入れろよ!!」ドッ

「くっゴッドキャッ、うわぁ!!」

 

ゴールネットにズドンっとシュートが突き刺さる。とてつもない重く大きい音は、スタジアム中に響き渡った。一点が入るが、その一点は、イナズマジャパンにはあまりにも大きくのし掛かった。再開後、ボール回して行くが、最後のシュートで怪物に止められる。

 

「けっこう良いシュートだったな。だが、相手が悪かったな。」

 

ボールを奪った山城は、先程同じようにドリブルで攻める。やはり誰も止めることが出来ず、ドリブルを許す。また円堂との一騎打ちかと思われたが、1つの影が山城横からぶつかる。山城は、少し体勢崩すだけだったが、審判の笛が鳴る。故意のプレイとしてファウル判定になる。だが、怪物を止めることに成功する。山城は、ぶつかってきた正体の方を見る。

 

「まさか、こんな方法で来るとはな。やるじゃねぇかゆうちゃん。」

「この方法を思い付いたのは、たまたまだ。」

「ふ。お前らしいな。」

 

山城は、手を貸して鬼道を起こす。鬼道の体を張ったプレイによりエリア外に留めさせることに成功したイナズマジャパン。だが、油断は許されない状況は変わらず日本は気を引き締める。ボールは、ゴールから遠く離れているが、キッカーはゴーシュが着いたことにより直接ゴールもある。ゴールに選手を固める日本。特に山城の周りには土方と壁山、綱海の背も高くパワー系で固めた。

 

「やっぱりお前らで来たか。」

「そりゃ当たり前だ。パワー勝負なら負けるわけにはいかねぇ!」

「練習成果みせてやるぜ!山城!」

「俺も変わった所みせるッス!」

「おもしれぇ。お前らパワー系とはセットプレイは初めてだしな。全力かかってきな!」

 

笛が鳴ると、ボールが蹴り込まれる。三人は、全力で怪物を止めにかかる。だが、怪物の力に次第に押されていく。

 

「くっなんて力だ!」

「どこにそんなパワーが!」

「む、ムリッス!!」

「どきなぁ!!」

「「「ぐおぉ!!」」」

 

三人をどかした山城は、飛び上がる。そのままボールをヘディングする。円堂は、止めにかかる。

 

「(なんて重さだ!ヘディングシュートなのに普通のシュートと変わらないなんて!)」

「「キャプテン!!」」

「!」

 

シュートに押し込まれそうになる円堂を吹雪と木暮が後ろから支える。ヘディングシュートを三人で止めることもあり威力が弱まりシュート止めることに成功した。これには、日本ベンチも盛り上がる。そして、ボールはそのまま前線へ。ボール受け取った風丸がそのまま持ち込む。そのままボールは、ボールは豪炎寺に渡りヒロトと虎丸を呼び。三人の最強技 グランドファイアを発動する。ロココも自身の最強技 タマシイザハンドで対抗する。やはりロココの壁は、厚くギリギリで止められた。ボールは、再び山城の元へ。鬼道が対峙する。

 

「ここで止めて流れを変える!」

「なら、止めてみな!」

 

山城の動きに付いていく鬼道。だが、無情にも動きに遅れが出始める。

 

「くっ。足が。」

「そろそろだろうな。初めてその力を使うと必ず後半にガス欠なる。だから、フルでは使えない。お前も理解していたことだろ。」

「っ。」

「最後で精彩を欠いたな。鬼道。」

 

山城は、そのまま鬼道を抜いて他のメンバーも抜き去る。円堂の前に現れる。

 

「止める!」

「なら、死ぬ気でこい!」ドッ

 

怪物から放たれたシュートの迫力に円堂は、圧倒される。だが、窮地になればなるほど力を発揮する男。その時円堂の中で何かが溢れ出す。

 

「これは、絶対に止めるんだ!!ハアアア!!」

「!」

 

突如、円堂の背中から影が飛び出しシュートを止めた。それには、みんなが驚く。このプレイは確実に日本に風向きを変えた。熱き決勝は、終わりに近づく。



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世界大会編終幕 頂

時間も少なくなり、点数も一点差。円堂は、持っているボールを前線へ。鬼道がそれを貰うと、ドリブルで上がる。だが、ゾーンの消耗が来ていて背後から山城が追い付く。

 

「ハァ………ハァ…。」

「ガス欠だな。ボールは、頂くぞ。」

「いや、怪物くん。それは、ないな。」

「!?」

 

二人の横から不動が現れる。鬼道は、笑みを浮かべ、ボールを不動に託す。意表を突かれたが、直ぐに不動に向かう。

 

「何か変わったか?不動。」

「チッ(化け物め。建て直しが速ぇな。)」

「今度こそ、貰ってくぞ。」

「(まずい!)」「不動!」「!」

 

不動と山城の後ろから風が、吹き抜ける。風丸が全速力で追い付いてきた。

 

「こっちだ!」

「頼んだぜ!」

 

ボールを貰った風丸は、そのまま加速する。山城は、ゾーンに切り替えて後ろから追いかける。あと少しで追い付く所で異変が起きる。タイムリミットである。

 

「(!足が急に重く。)」

「!行ける!決めろ!豪炎寺!」

 

鬼道に来たタイムリミット。それは、ゾーンと新しい力を使った山城も迎えていたが、勿論豪炎寺にも来ていた。ボールを貰った豪炎寺は、ゾーンのタイムリミットもあり、動きが鈍くなる。さらに、味方は、敵のDFにマークにあって、豪炎寺も捕まりそうなる。

 

「いただき!」

「くっ。このままだとまずい。」「豪炎寺!」「!」

 

その声を聞いた豪炎寺は、笑みを浮かべると空高く舞い上がる。そして、声の人物と力を1つにする。

 

「鬼道!」「豪炎寺!行くぞ!」「おう!」

「「ウォオオオ!!プライムレジェンド!!」」

 

二人の渾身のシュートは、ここ一番で今日一番の威力を誇る。その圧倒的な威力の高さは、ロココのキーパーとしての本能にも伝わり奮起させる。

 

「止めないと!タマシイザハンド!!くっうわぁ!!」

 

ロココの気合いも空しくシュートは、ネットに突き刺さる。土壇場の同点に沸くスタジアム。勢いに乗る日本。だが、怪物が黙っておらずボールを貰うと、自身の力を全て賭ける思いからゾーンに破壊の力を上乗せする。その姿はまさに鬼神。そして、ボールを貰うとそのまま突進する。

 

「奴を止めるぞ!!」

「「「おう!!!」」」

 

イナズマジャパンのメンバーは、皆で止めにかかるが。

 

「邪魔だぁ!!どげぇ!!」

「うわぁ!!」

「グハっ!!」

 

怪物の前には、誰にも届かない。そして、円堂の前に立つ。

 

「後は、決めるだけだ。さっきのまぐれももう通じねぇぞ。」

「こい!一平!俺は、負けない!みんなの思いに応える!」

「それじゃあ。行くぞ円堂ぉおお!」

 

山城は、渾身の右足で振り抜く。振り抜かれたシュートは、全てを吹き飛ばすような威力を誇る嵐である。その勢いは、進むごとに威力増していく。だが、円堂も仲間の思いを力に変えた。

 

「ハァアアア!ゴッドキャッチ!!」

 

凄まじい衝突音が、スタジアムの全体に響き渡りそれと同時に風圧も吹き荒れる。徐々に押され始める円堂。誰もが、このままゴールになると思った。だが、円堂は諦めない。どんな絶望的であったとしても、どんなに強敵が現れても諦めない。仲間と優勝するという思いを強く抱き力を込める。そして、その円堂の思いに応えるべく、二人の仲間が後ろを支える。1人は、幼なじみで共に戦ってきた風丸。もう1人は、一年ながら壁としてどんなに過酷な試合も耐え抜いて来てここに立ち続ける壁山。その二人の力もありシュートの進行止めることができた。

 

「ハァ……ハァ…止まった。よし!頼むぞみんな!!」

「「「おう!!」」」

 

円堂からボールが送られパスを回して行く。1人1人繋がって行く。そして、円堂も一緒に上がっていく。ボールが、豪炎寺に渡ると虎丸、円堂と共にボールを中心に竜巻を起こしていく。

 

「「「ジェットストリーム!!!」」」

 

放たれた一撃は、竜巻の中で威力を増していき、ロココのいるリトルギガントのゴールに向かっていく。

 

「ロココ!」「止めてくれ!」

「絶対止める!タマシイザハンド!!」

 

先程同じかそれ以上の音が響き渡る。ロココは、押されずに持ちこたえる。誰もが、シュートを止めたと思ったがロココのキャッチ技に亀裂が入っていく。

 

「くっ。止める!勝つのはボクたちだぁ!」

 

だが、ロココの願いも空しくシュートは、ロココの技を砕いてゴールのネットに突き刺さる。山城は、その瞬間空を見上げる。そして、主審のホイッスルが吹かれる。試合終了を告げたその音色の後に一時静まっていたスタジアムは、一気に歓声が上がる。円堂を中心に喜びを分かち合う日本代表。久遠は、メンバーの元に迎い。口を開く。

 

「よく頑張ったな、お前達。今のお前達は、世界で一撃マシチームだ。」

「監督…。よぉし!!みんなで監督を胴上げだ!」

「「「おう!!」」」「お、おい。」

 

戸惑いのあった久遠。だが、その表情には出会った当初の冷静な顔ではなく笑顔になっていた。一方、リトルギガントは、負けの悔しさに溢れて涙を流すものもいた。ロココもその1人である。ただ、山城は1人動いた。

 

「立て、お前ら。最後の挨拶しに行くぞ。」

「……。」

「いつまで下を向いてる。俺は、負けたんだ。その事実は、ひっくりかえらない。」

「何で。」

「あん?」

「何で何も言わないんだよ!ボクが止められなかったから負けたんじゃないか!」

「ロココ。」

「……そうかもな。お前にもう少しキャッチの力があれば優勝出来てた。」

「!イッペイ!なんてことを!」

「やっぱりそうじゃないか!「だが、」!?」

「それを嘆いてどうする。もう試合は、終わった。なら俺達のすべきことは、最後まで応援してくれた人達に挨拶をして次に繋げることじゃないのか。」

「「「!!」」」

「よし!行くぞ!!」

「「「おぉ!!」」」

 

気持ちを切り替えて次に足を向けたリトルギガントのメンバー。それを見守っていた大介は、教え子の成長に感心し笑みを溢していた。表彰式が終わる。優勝カップとMVPを受け取った円堂は、大介の方に走り出した。

 

「じいちゃん。」

「なんじゃ?」

「この後、また会える?」

「時間を作っておく。」

「ありがとう!」

 

こうして、激闘の世界大会は、幕を閉じた。



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楽しくただ純粋に

その夜、いつもの砂浜で話す。円堂と大介。その中は、とても楽しそうに話していた。それから二日後、日本メンバーの帰国日。見送りにフィディオとロココ達が来てくれた。そして、再びの再戦を約束した。日本代表が旅立ってからロココは、大介を探す。そして、村の人達からも話を聞いて本人を見つけた。

 

「ダイスケ!」

「ん?なんじゃロココ。」

「やっぱり、話をしたくて。」

「うむ。そうか。ワシもじゃ。」

「!そうなんだ。じゃあ先に話してよ。」

「?まあ、ロココが良いなら。わしは、命を狙われていた相手を倒した。あの後に今大会を終えたら日本に帰ろうと思っていた。」

「(やっぱりか…。)」

「じゃが、今大会の守とその仲間達との試合をみたり戦ってみて、やっぱり、負けっぱなしで終われんと思ってな。じゃから、来年ももう一度リトルギガントのメンバーで挑みたいと思ってる。次は、負けん!そのためには、特訓あるのみ。ロココ、覚悟しておけよ!」

「うん!」

「それで、お前の話は、なんじゃ?」

「ごめん。忘れちゃった。」

「そうかい。」

 

ロココの心のわだかまりすっかり無くなって笑顔が戻る。そんな監督とキャプテンの話をしている後ろで山城は、1人笑みを浮かべてその場を去る。そして、数日後今度は山城の帰国の日。空港にリトルギガントのメンバーは、見送りにきた。少し話すと時間がくる。

 

「じゃあ元気でな大介さん、みんな。」

「うむ、しばしの別れじゃな。」

「この大会は、楽しかった。」

「またねイッペイ。」

「ああ、またなロココみんな。」

 

そして、リトルギガントのエースは、チームを離れ自分の故郷の日本へ。その機内でこれまでのことを思い出し涙が流れるが、直ぐに吹いて笑顔で島を眺めた。それから時間が過ぎて、日本に着く。ゲートを通ると、家族と最愛の人と見知ったメンバーが待っていた。皆から「おかえり。」と歓迎された。それに山城は、「ただいま。」と返した。そして、両親とメンバーと別れて、瞳子と二人きりになる。

 

「見ていたわよあなたの活躍。流石ね。」

「ありがとう。最高のチームメイトと最高の監督。最高のメンバーで挑んだんだけど、ごめん……勝てなかったわ。」

「!お疲れ様。あなたは、本当に良く頑張っていたわ。」

「っ!」

 

優しく包み込むと、怪物の目からは、誰にも見せなかった涙が自然と流れていた。瞳子は、そんな彼を優しく抱きしめていた。それからは、二人の時間を過ごしていた。翌日、元気になった山城は、学校に向かう。サッカー部の信用回復のための慈善活動と練習を行うために。そして、彼らは来る時来年のフットボールフロンティアに向けて精進する。前回大会で対戦した数々の学校、日本代表のメンバー、候補メンバーに選ばれた選手の在籍する学校そして、かつての挑戦者 雷門。そんな彼らを今度は、挑戦者の自分達が倒すために。部活が終わると、山城はある場所に向かう。そして、到着すると目の前には幼なじみでライバルの男がいた。

 

「悪い、少し遅れた。まもちゃん。」

「おう!待ってたぜ一平。早くやろう。」

 

そして、二人はいつもの所定の位置に着く。

 

「さあ、始めるか!」

「サッカーやろうぜ!」

 

そこには、勝負を全力になる二人の選手ではなく、ただ純粋にサッカーを楽しんでいる二人のサッカー馬鹿の姿がそこにあったのだった。




短くも長いこの作品を読んでいただきありがとうございました。皆さんからの意見を読ましていただきました。沢山の投稿ありがとうございます。この物語は、一端閉幕です。しばらくは、読者になってます。何かあればまた感想をください。それでは、皆様お元気で。


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新章
世間の風


世界大会を終えた山城。彼の活躍は、日本は勿論。海外でも話題になった。優勝を逃しているとはいえ、やはり得点王を獲得していることや大会でのインパクトは、絶大である。だが、そんな彼には悩みがある。

 

「今回も断られたか。」

「しょうがないよ。いくら僕らの活躍があったとしても、過ちで失った信用を取り戻すのは、難しいね。けど、諦めないよ。勝利の女神は、諦めの悪い方に微笑むってね。彼らのように。」

「ま、そうだな。」

「そういえば。君は、良いのかい。」

「何が。」

「だって、世界大会後から海外のチームからオファーが来ているんだろ。もうこの学校に居なくても良いんじゃないかな。」

「確かに話は、来ている。だが、このチームの選手だ。薬を使用していなかったとしてもそれを黙認して試合したんだ。同罪に等しい。なら、少なくとも卒業までの時間をこのチームに使う。」

「山城くん。ありがとう。よし!そうと決まればどんどん色んな学校に連絡を取って少しでも信頼を勝ち取れるようにしよう。」

「そのいきだキャプテン。」

「そろそろ練習に混ざらないと。みんなに怒られそうだね。君は、どうするんだい?」

「俺は、少ししたら行くから先に行っててくれ。」

「わかった。」

 

そう言うとアフロディは、部室を後にした。残された山城は、携帯を開き写真フォルダを見る。そこには、自分と仲間となった者たちの思い出が詰まっていた。尊敬する監督の元に集まった仲間達、日本の危機に立ち向かうために幼なじみのチームに加わった時の仲間達、そして、世界の強者達を相手に挑戦した仲間達。それぞれで、それぞれの思い出が溢れている。写真を見ている彼は、試合で見せない優しい顔していた。携帯の時間が見えて携帯をしまい練習に向かう。世宇子中の練習が終わりメンバーと別れる。部室に戻り新聞に目が入る。記事は、イナズマジャパンとそのメンバー達のことが多くかかれているが、その横に書かれているチームの評価。いくら中学の試合とはいえやはり世間まだ「ドーピングを使用した卑怯者」というレッテルとして見ている。それもあるのか練習できるが、試合を組めない。いくら練習すれどやはり試合での経験とは、比べ物にもならない。

 

「やはり強豪や古豪、中堅クラスは、受けて貰えないか。となれば、弱小か、新設か、はたまたうちと同じ出場停止明けのチームか。多分見つかりは、するんだろう。だが、それではうちの連中に試合の感覚を戻すことをできても上達はしないだろう。どうしたものか。雷門や帝国とかに頼めば受けてくれるかもしれないが、交通や予定等の面で数を重ねることはできないな。どうするかな。」

 

悩みのつきない問題に直面している山城。そんな時に携帯が鳴る。開くと、電話が来ていた。相手は、年の離れた彼女からであった。

 

「久しぶりね一平くん。」

「久しぶり瞳子さん。」

「ネットとかであなたの学校について触れられてるけど、やはり相当参っているみたいね。」

「流石に世間は、そう簡単に許してくれない。なかなか悪いイメージを払拭できない。」

「そう。それは、深刻ね。そこで、あなたに良い話があるの。」

「良い話?」

「試合の相手を探しているのよね。」

「そうだけど。どこかの学校とツテがあるの?」

「残念だけど無いわ。けど、確実にあなたのチームと実力が同じか同等のチームがあるわ。」

「どこの学校?」

「エイリア学園改めて永世学園よ。今年から新設された学校よ。」

「!永世学園。なるほど、ヒロト達なら。」

「どういたしまして。未来ある若者が悩んでるのに、大人が手を差し伸べないわけにいかないじゃない。」

「ありがとう瞳子さん。大好き!」

「!?もうこの子は。」

 

その後、予定を決める。ついに、試合相手が決まった。その事をメンバーに伝える。喜ぶ一同。来る試合に備える。



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力量

バスに揺られて、吉良財閥の施設に入る世宇子中のメンバー。到着しバスを降りると、山城にとって見知った顔が出迎えてくれた。

 

「やあ、待っていたよ。山城くん。」

「ヒロトか。今日は、よろしくな。」スッ

「うん!よろしく。」ガシッ

 

軽く挨拶するロッカールームに案内され、着替えを終えるとグラウンドに立つ。そこには、今回の対戦相手の永世のメンバーがアップをして待っていた。そして、世宇子のメンバーもアップを始めた。山城は、別行動で瞳子にチームを代表して挨拶に行った。久しぶりの試合に気合いを入るメンバー。それを観察する永世中。

 

「ドーピングがあったとはいえ流石の実力だ。伊達に準優勝しただけある。」

「特にキャプテンのアフロディの成長が凄いな。」

「ああ、世界大会よりも明らかにキレが違う。相当、鍛えたみたいだな。」

「それは、うちも同じだ。世界大会を越えて実力をつけてきた。絶対に負けん!」

「そうだね。それにしても、今回の目玉の彼は、出ないのかな。」

「山城の野郎。なめやがって。」

「落ち着け晴矢。奴は、敵に手を抜くことは滅多にしない。何か有るのだろう。」

「風介の言うとおり。彼は、何か仕掛けてくるだろうね。だけど今回は、僕たちの良い練習相手になって貰おう。」

「「「おう!!」」

 

そんな思惑の中、試合開始の時間を迎える。ボールは、世宇子から。笛が鳴り試合が始まる。デメテルが、アテナにボールを渡した瞬間に、永世のスリートップ 南雲、涼風そして、ヒロトが突っ込んできた。あまりの圧力にボールを取られる。そして、そのまま三人は、駆け上がりボールを持っているヒロトの前にDF陣が迎える。だが、ヒロトは、空にボールを上げる。そこに、南雲と涼風がシュート体勢に入る。

 

「「ファイアブリザード!!」」

「ギガントウォール!!ぐおぉ!!」

 

二人のストライカーの強力シュートが決まる。ハイタッチを交わす三人。監督の瞳子も少し喜ぶ。反対に、世宇子は、アフロディを中心に気持ちの切り替えを行う。ベンチの山城は、静かに見守る。その後も、何とか追い付こうとするも永世中の組織的な守備に阻まれカウンターを決められる。それの繰り返しにより点差が開かれる。アフロディもどうにかしようとするが、裏目に出ており前半だけで10点も決められた。少し余裕な永世中に対して世宇子中は、ボロボロである。普通なら試合を打ち切られる所だが、山城は、決して止めない。その行動に瞳子は、不思議に思う。これだけの点差をつけられながらも怪物は、交代しないのだから。一方の世宇子中ベンチでは、山城が感想を述べていた。

 

「どうよ。久しぶりの試合は。」

「「「……。」」」

「何も出ないわな。準優勝の自分たちなら多少できると思っただろう。だが、これが現実だ。例え、アフロディが世界レベルになろうと、所詮1人の選手。神のアクアがなければ所詮まともに勝負にならないのだからな。」

「僕らは、このまま負けるのか。」

「まあ、はっきり言ってそうだな。」

「「「っ!」」」

「俺が出れば変わるかもしれないが、それでは、意味がないのは、気づいてるだろ。」

「「「……。」」」

「後半も同じ展開になるだろう。残りの時間で何かを掴むかただただ無駄にするかお前らの頑張り次第だろう。けど、かつて圧倒的力に打ちのめされながらも立ち上がり優勝したアイツらならこの状況でも勝つことを諦めないだろうな。」

「「「!!」」」

「なら、やることは、決まったな。この後半がこのチームの分かれ道だ。死に物狂いで未来勝ち取ってこい。」

「「「おう!!」」」

 

気合いの入る世宇子中。前半の彼らには、無かった姿がそこにはあった。それは、永世中のメンバーにも伝わる。前半に10点の差がついたこのゲーム。後半は、違う形で終えることになるのだった。



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未来への光

大差をつけられている世宇子。前半と同じフォーメーションで挑む。だが、彼らの眼つきが変わったのは、永世のメンバーも気づいていた。

 

「ヒロト。」

「ああ。明らかに前半と表情が違う。彼は、どんな魔法を彼らにかけたのかな。」

「馬鹿言ってないで備えるぞ。下手したら怪物も黙ってなそうだしな。」

「そうだね。」

 

ボールは、永世中から。ヒロトが、南雲に渡すと一気に世宇子の全員一斉に向かって来る。先程のマンツーマンで仕掛けるのではなく、複数で動き一気にパスコースを塞いだ。結果ボールを奪うことが出来た。そして、アフロディの合図により全員が攻めあがる。ボールは、まるで生き物のように選手から選手へとスムーズにわたっていく。そして、前線に上がっていたアフロディにわたる。キーパーのネロと対峙する。

 

「こい。じくうのかべ。」

「行くよ。ゴット・ブレイク!!」

 

この試合初めてのアフロディのシュートは、凄まじい威力を誇りネロの技ものともせずにゴールに刺さる。それは、世宇子の再出発の号令であった。メンバーは、勿論。ベンチに座っている山城も笑みをこぼす。それからは、世宇子のペースで進んでいく。点差もどんどん縮まっていく。そして、三点差のところで瞳子が、八神を呼ぶ。そして、耳打ちで作戦を伝える。八神は、すぐにメンバーに伝える。

 

「それでいけるのか。」

「大丈夫。瞳子姉さんの考えだ。奴らの勢いを止められるだろう。」

「まあ今の状況じゃ、逆転も時間の問題だしね。ここいらで、やり方を変えようか。」

「よし。まずは、止めるぞ!!」

「「「おう!!」」」

 

永世は、さっそく罠を仕掛けるためにフォーメーションを代える。先程より後ろに人員を増やした。それを見ていた山城は、複雑な表情を浮かべていた。そして、永世ボールから再開。先程と同じように全員で点を取るスタイルで向かっていく世宇子イレブン。ボールを取ることが出来た。だが、瞳子の罠にかかる。パスのコースを塞がれた。結果、回りが悪くなり再び衛星のターンになる。せっかく縮めた点差も徐々に広がる。残り時間も少なくなる。

 

「(ここまでだな。)アフロディ!」

「!そうか、もう時間か。審判さん!」

 

フォワードの一人と代わり怪物が出る。その瞬間、フィールドに重圧がかかる。

 

「ついに来たわね。」

「姉さんどうする。フォーメーション戻した方が良いかな?」

「いえ、問題ないわ。今回は、彼の攻撃に耐えることも目的だから。守ってチャンスが来たらどんどんせて行きなさい。」

「わかったよ。」

 

再開の笛が鳴り、山城は、パスを貰いドリブルをする。世界の猛者との試合で鍛えたそのプレーに誰もが見とれた。そして、そのままシュートを決める。誰もが、点が入ったことで、初めて自覚をする。

 

「流石だね山城くん。また一段と磨きがかかってるね。」

「まあ事務作業しかやらないで、質を落としたらあいつらに申し訳ねぇからな。」

「ふふ。相変わらず優しいね。」

「さて残り時間少ないしもう一点取るか。」

「そう易々いかせないよ。」

 

永世ボールで再開する。今度は、涼野が攻める。だが、怪物が行く手を阻む。

 

「山城。ここで貴様を超える。」

「かかってきな。お前の実力を見せてみろ。」

 

自分の持ち味の速度を活かし抜きに掛かる涼野。緩急をうまく使うことが出来、抜くことが出来た。

 

「私の勝ちだな。」

「悪いがお前の行く先に光は、ない。」

 

山城の後ろからアフロディが出現し、ボールを奪取。そのまま先程同じように全員で攻める。永世は、カウンターを仕掛ける。さっきまでの世宇子ならカウンターがきまったが、怪物の介入によりその策を崩される。

 

「行かせないぞ山城。」

「悪いな八神。前なら抜きに掛かるが、今回は、こいつに決めてもらう。頼むぞキャプテン!!」

「な!」

 

山城は、空にボールを打ち上げる。すると、神が空に君臨してそのまま叩き込んだ。ネットに豪快な音が響き渡ると、審判の終了の笛が鳴った。



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来訪者

試合が互いに意見交換の場にした。山城は、瞳子と話す。

 

「今日は、ありがとう瞳子さん。」

「いいのよ。あなたが困ってそうだからね。助けてあげたかったから。」

「かなわないなぁ。今日の試合も流石の強さだった。ヒロトたちには、感謝だね。チームの反省が見えた。」

「よく言うわね。出てすぐ得点重ねたくせに。」

「いや、あれは、たまたまに近い。雷門レベルならもっとひどかったね。」

 

そして、意見交換は、終わり帰宅の時間を迎える。山城は、チームメイトとバスに乗り込む。席に座り窓を開ける。

 

「瞳子さん、ヒロトそして、永世のみんな。また、サッカーやろうぜ!!」

「はい。」「「「おう!!」」」

 

バスが走り出して姿が、見えなくなるまで見送った永世メンバー。

 

「よかったね姉さん。彼が元気で。」

「ええ。全く見ないうちにどんどん成長してくるんだから。」

「私たちも負けられないな。」

「そうだね玲奈。よし!今日の反省やろうか!」

「「「おう!!」」」

 

永世イレブンも宿舎に戻った。瞳子は、少し外の空気を吸って戻った。一方変わってバスの中の山城は、試合映像を確認していた。

 

(今回収穫は、あった。やはりこのスタイルは、貫いていこう。試合もできるだけ組んでこなしていこう。問題は、アフロディのポジションと役割だな。あいつのドリブルとシュートは、強力だ。だが、ミッドフィルダーとしては、平凡だな。世界大会でもそうだが基本は、ストライカーだ。ミッドフィルダーに必要なのは、パス能力と試合を動かすようなゲームメイク。今のチームに必要なのは、鬼道と不動のような選手か監督だ。前者は、無理でも監督は、必要だ。)

 

問題が解決したと思えばまた問題が出てくる。山城は、頭抱える。次の日、いつものように試合を組むかたわら監督を探す。試合は、永世との試合が良かったのか組んでもいいという学校が増えた。だが、監督の方は、解決しなかった。その日も人材が見つからず宿舎に戻る途中に後ろから気配を感じて振り向く。そこには、明らかに世宇子中の関係者ではない者が立っていた。

 

「山城一平だね。」

「誰だお前。世宇子の者じゃねぇな。なにもんだ。」

「それは、後で話す。とりあえず私と来てほしいんだ。」

「何言って!?」

 

すると、光に包まれる。光が晴れると、そこは、スタジアムだった。そして、再び謎の人物にお願いされる。

 

「これから試合に君の力を必要なんだ。」

「だから、お前は、何者だ。」

「それは、言えない。すまない。」

「!?おい!」

 

すると、怪しい人物が消えていった。山城は、舌打ちし会場の方に歩いていく。会場に着くと、試合の最中であった。見たことのない連中の中に見知った顔がいた。

 

「まもちゃん!なんで試合やってんだ?」

「ん?一平!どうしてここに!」

 

これが、山城に新しい戦いの幕開けだった。



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タイムジャンプ

「なんで山城選手が?」

「何かおかしい。彼は、この時代ではここにいないはずなのに。」

「情報イレギュラー発生。違う時間の山城一平の介入確認。」

 

試合は、一旦止められる。そして、山城は、円堂に事情を聴く。

 

「まもちゃんだよな?」

「そうだぞ。それがどうかしたのか。」

「なんか弱弱しい感じがして。」

「!失礼だな!これでもお前に近づこうと。」

「ちょっと待ってください!」

 

少年が二人の間に割って入る。

 

「落ち着いてください。円堂さん。」

「わかったよ。」

「ところで天パ。お前誰だ。」

「て、天パ!?コホン初めまして山城さん。十年後の未来からサッカーを守るために来ました松風天馬です。」

「十年後!?確かに、お前みたいな選手見たことないな。そっちのおまえたちもか?」

「いえ、私は、天馬より前の時代から来ました。剣です。」

「僕は、フェイ・ルーンです。あなたたちの時代から200年後の世界から来ました。」

「うーん。頭がおかしくなりそうだ。」

「ところで一平。お前は、何で帝国のジャージじゃないんだ?」

「?何言ってんだ。今は、世宇子の選手だぞ俺は。」

「世宇子?どこの学校だ?」

「?」

 

天馬は、理解して説明する。そこで双方の誤解が解けた。

 

「それで山城さんは、どうやって来たんですか?」

「知らん男に勝手に連れて来られて勝手に置いてかれた。」

「そうなんですね。」

「で、あいつらぶったおせばいいのか。」

「!手を貸しくれんですか!」

「まあ半信半疑ってところだが、まもちゃんが信じているなら俺も信じてやるよ。」

「ありがとうございます!!」

 

そして、ポジションに着く山城。その時の存在感は、フィールド上で群を抜く。天馬たちは、とてつもない安心感を得る。後半が始まる。敵のボールから始まる。

 

「多少のズレがあったが関係ない。ついでに、山城もここで修正させる。」

「何言ってんだこいつ。頭おかしいのか。」

「化身すら使えない者に用は、ない。」

 

敵のキャプテンがドリブルで切り込む。山城も構える。

 

「遅い。」

「!」

 

予想以上のスピードのドリブルに突破を許す。

 

「そんな。山城さんが。」

「天馬来るぞ!」

「「アームド!!」」

 

天馬と剣の二人が、背中から出現させた化身というものを身に着けてた。敵のキャプテンも同じような状態になった。だが、敵の方がどうやら力を扱うことに長けていたので天馬の方から抜かれる。そして、フェイも立ち向かうがどうやら力に差があるみたいで突破を許す。そして、円堂との一対一に。

 

「今度は、絶対に止める!!」」

「同じことっ!?」

「!」

 

シュートを放つ瞬間、ボールは、横のラインを出される。そのプレーに流石の敵のキャプテンも驚く。そして、その犯人を見る。

 

「貴様。」

「流石、未来の技術だ。面白れぇ。」

「!」ゾクッ

 

分かる者は、気づいた。

 

「入ったな。一平。」

「始めて見るが、凄い。天馬も見といたほうがいい。あれが、山城さんの象徴だ。」

「あれが伝説の。」

 

山城のスイッチが入る。

 

「もう後半だしな。全力で行くぜ!!」



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伝説

怪物がベールを脱いだ。化身のさらに上を行くアームドという新技術が多用されている世代に全時代の本気を見せる。サイドからのスローインのボールを早速奪う。終始圧倒される他のメンバー。山城のプレイに勢いづく。

 

「おっしゃあ!おまえら!死んでもついてきな!」

「すごい!これが中学最強。」

「やはり、山城さんは、伝説だ。」

「すげえ。あれが、一平の本気。」

 

ボールが再び回り始める。そして、山城がボールを貰うとアルファと対峙する。

 

「来い。世代遅れの遺産が。」

「そうかい。なら、止めてみな最新のおもちゃ共。」

 

そこから数秒間で高速の一対一が始まる。誰も介入することが出来ない。それは、天馬と剣城も同じである。だが、決着がつく。

 

「(パターンをインプット。次は、右!)」

「!へえ良い反応だな。だが、外れだ。」

「!?」

 

先程とは、違い片鱗を見せた山城が、アルファを抜くと他のメンバーもあっさりと抜き去りゴールキーパーと一対一になる。シュート体勢に入った山城。敵のゴールキーパーは、身構える。だが、気づいた時には、山城の足にはボールがなかった。そして、ゴールネットにボールが突き刺さる音を後方で聞こえた。振り向くと、後ろにボールが転がる。皆は、あまりの規格外に言葉が出なかった。

 

「ほれ、天馬。手えだしな。」

「は、はい。」パンッ

「ナイスパス!」

 

ベンチでワンダバは、驚いた。

 

「なんと!こんな選手がこの時代に存在するのか!」

「ぬいぐるみさん。」

「ワンダバだ!」

「ワンダバさん。彼、山城君は、円堂君の幼馴染みで小学校頃は、全国的に有名な選手なの。帝国を特待生で入学してすぐ一軍のレギュラーになったの。けど。」

「けど?何かあったのか?」

「どうやらサッカーの熱が消えて練習サボっているみたいなの。そして、円堂君は、彼を説得したけどダメだったらしいわ。」

「それが一年で。なんて才能。」

 

ベンチとは、裏腹に試合は、テンマーズの一方的試合で進み時間を残り僅かとした。ボールをもらった山城の前に手を膝についているアルファ。前半での冷静な彼は、見る影もない。

 

「もう終わりか。未来の奴らは、意外とあっけないな。」

「くそっ。なんでこの時代に。」

「何のことか分からないが、チャンスやるよ。」

「!?貴様!」

「俺は、何もしない好きなだけ打ってきな。」

「!山城さん!」

「なんで!」

「くっ。うおおおお!!」

 

アルファは、持てる力全て出し駆け上がる。その気迫は、この試合一番の迫力で全て抜き去り円堂と対峙する。

 

「うおおおお!!」

「凄い気迫。だけど、一平は、信じてるんだ。おれが、止めること。なら、今度こそ期待に応える。うおおおお!!」

 

アルファの本気のシュートに円堂は、気持ちを爆発させ、そこから湧き上がる力を解放する。すると、円堂は、化身を出す。シュートを見事にボールを収める。

 

「!なに!」

「円堂さんが化身!?」

「へえやればできるじゃねえか。まもちゃん。」

 

笛が鳴り試合が終了する。悔しさをだすアルファ。そこに円堂が近づいて握手を求めた。アルファは、一瞬手を握ろうとするが、撤退命令が出され移動用のボールを出して消える。そして、円堂最後の挨拶をする山城。

 

「一平。また本気でサッカーやってくれたんだな。」

「まあこっちのまもちゃんとその仲間が何度も立ち上がり真っすぐぶつかってきたから、今の俺がいる。だから、そっちの俺にもどんどんぶつかって火をつけてやれよ。」

「ああ。絶対に上手くなってやる。そっちの俺にもよろしくな。」

「当たり前だ。」ガシッ

 

固い握手をした後、キャラバンに乗り込んだ山城。そして、現代に戻り天馬と別れの挨拶をする。

 

「今回は、ありがとうございました!!」

「ああ。俺も久しぶりに燃えたよ。次は、ちゃんとメンバーが揃ってからだな。もし、行き詰まったらまた呼べ。手を貸してやる。」

「はい!頑張ります!それじゃ、お元気で。」

「お前もな天馬。」

 

そして、再び天馬を乗せたキャラバンは、時空の穴に消えていった。

 

「ふう。疲れた。あいつらとは、また会えそうだな。その時までにチームをもっと強くしないとな。」

 

こうして、未来人との試合を体験した山城。天馬との約束が、早くも来るとはこの時の山城は、思いもしなかった。



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監督

練習に励む世宇子中メンバー。前回の永世中との試合のこともあって、皆の練習にも気合が入る。山城もチームの雰囲気が良いことを実感する。だが、ある問題が解決していなかった。そのことをキャプテンのアフロディに相談する。

 

「やはり、サッカーを知っている人に監督をしてもらいたい。」

「だが、当ては、あるのかい。」

「そうだなぁ。一人心当たりがあるが……。」

「その人物とは?」

「一応今日、その人と打ち合わせをするんだが。」

コンコンッ

「お、来た。どうぞ!」

「失礼する。」

「あなたは!?」

「よく来てくれました、久遠さん。」

 

山城が当てにした人物。それは、イナズマジャパンの監督だった久遠であった。

 

「世宇子中で監督か。」

「すみません。けど、貴方くらいしか頼める人がいないんです。」

「……。」

「強豪の桜木中と日本代表を指揮した久遠さんに頼みたい。」

「わかった。とりあえず、数日見学させてもらっていいか。」

「ぜひ!!」

 

こうして、久遠に監督を頼めるのかどうかの期間が始まった。練習では、いつもと変りなく行う。練習試合でも、永世中との試合で得た戦術をしようし完成度を高める。それを久遠は、静かに見学していた。数日が過ぎて、久遠に部員全員を集めるように頼まれたアフロディは、全員集めた。

 

「この数日の君らのことを見させてもらった。」

「どうでしたか?」

「練習も試合も粗削りの部分が目立つが指揮する者がいない中、よくできている。あとは、指導者がいれば完成度がさらに上がるだろう。」

「じゃあ。」

「このチームの監督を受けよう。」

「「「やったー!!!」」」

 

皆が喜ぶ。これで再びフットボールフロンティアに参加できるのだから。山城もやっと肩の重荷が下りたのだった。そして、遂に新生 世宇子中の始動である。その放課後、練習が終わり部室に残っている山城。そこに、久遠が現れる。

 

「まだいたのか。」

「監督、お疲れ様です。」

「何をしているんだ。」

「この間の試合を復習しているんです。」

「なるほど、中々の心がけだな。」

「ありがとうございます。」

「……。」

「?なんですか。」

「山城、お前は、このチームで何かすることはあるのか。」

「……正直ないです。」

「やはり、分かっていたか。」

「流石にわかりますよ。今、チームの戦術に明らかに俺が当てはまらないのは。」

「そうか。だが、ただでは、終わらないのだろう。」

「はい。次の冬の大会で証明します。」

「うん、期待している。頑張れよ。」

 

こうして、始まる冬のフットボールフロンティアに向けて自身の新たなる準備を進めていくのだった。



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決断

新監督 久遠の指導の下、力をつける世宇子中。目指すは、冬のフットボールフロンティア。負担軽減できたのか、アフロディの動きもよくなる。それは、直近の練習試合の結果にも表れていた。全ての試合で二桁得点での圧勝。守備においても、得点を許すことのない硬さ。全てが盤石になりつつある。欠点があるとするならば……。

 

「一平、ナイスパス!」

「ナイスシュート、アキレス!」

「一平、俺にもパスくれよ!」

「マークが外れてたらな。」

 

山城の存在だ。世界大会を経ての成長が凄まじく、周りと大きな差が生まれていた。だが、山城は、実力を隠して周りに合わせていた。それに気づいているのは、久遠と山城そして、キャプテン アフロディである。だからこそ、アフロディは、悩んでいた。チームは、成長した。自分も窮屈さもなく自分のプレイスタイルを変えていない。だが、山城は、違う。チームのためと、自分のスタイルを殺して前線のパスの中継になっている。本来の山城ならアキレス、ヘラ、そして、自分のように前線でボールを貰い、自らドリブルで切り込み、得点する。だからこそ、アフロディは、思った。

 

「(彼は、こんな所で止まっていい選手じゃない。もっと上の世界でプレイするべきだ。)なら、僕が、僕たちが彼にしてあげることは、……。」

 

その日の放課後、練習が終わって片付けをしている山城にボールを歩むアフロディ。それには、山城もそうだが久遠や部員全員も気づく。

 

「どうした?アフロディ。回収し忘れたボールを見つけたのか?」

「違うよ。山城君、いや山城一平。僕と勝負しろ!」

「「「!?」」」

「勝負?それなら散々練習でやってるじゃねえか。」

「違う!君の退部を賭けてだ!」

「「「!?」」」

「ちょっとキャプテン!いきなりどうしたんですか?」

「そうだぞアフロディ。急に勝負を申し込むだけでなく、退部だなんて。」

 

突然のことに焦る部員たち。だが、アフロディは、本気であった。

 

「アフロディ。お前、自分が何言ってるのかわかってるのか?」

「わかってるよ!!けど、これは、彼のためなんだ。君たちも気づいているだろう。彼が僕たちに無理やり合わせていることに。」

「それは、……。」

「だからこそ、彼をここで立ち止まらせていいわけがない。」

「そんな……。」

「監督も何か言ってください。」

「それが、お前の決断なんだろ?アフロディ。」

「はい!」

「なら、許可する。」

「「「!?」」」

「監督!」

「良いんですか!大事なうちのエースを退部だなんて……。」

「遅かれ早かれわかっていたことだ。そうだな山城。」

「はい。」

「「「!?」」」

 

シューズの紐を結び直した山城は、立ち上がりアフロディと向き合う。

 

「確かにお前の気持ちもわかる。だが、それは、「俺に勝てたら」だろ。負けたらどうする?」

「負けたら……その時は、僕が辞める。」

「「「!?」」」

「そうか。お前の覚悟、確かに受け取った。で、勝負の内容は、どうすんだ?」

「一対一の三本先取だ。」

「わかった、それで行こう。」

 

こうして、怪物の進退を賭けた勝負が始まる。



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神にとっての怪物

亜風炉 照美ことアフロディは、小さい頃からサッカーを始めた。実力あるものの中々勝てず無名であった。そして、私立の中学にしても変わらず勝てずテレビに映る名門 帝国学園の怪物エース 山城に嫉妬していた。そんな一年が過ぎたある日、公式戦直前で監督が代わり影山 零士という男が就任した。最初は、なぜ帝国の監督が?とみなが思ったが影山からある提案をされた。

 

「お前たち、力を欲しくないか?」

「力をですか?」

「そうだ。神にもなれる力を。」

「「「!!」」」

「か、神に!?」

「だが、先程のドリンクの効果は、確かに神に等しい力。」

「さあ、どうする?」

「ほしいです。」

「!」

「おれも。」

「わたしも。」

「ぼくも。」

「……。」

「あとは、キャプテンお前だけだが。」

「…勝てますか?」

「ああ。」

「ぼくも怪物を越えられますか?」

「……もちろんだ。神となれば、怪物と言われている山城おろか、帝国にも勝てるだろう。さあ、どうする?力を欲するか?」

「…力をください。帝国、全ての人間そして、あの怪物すら圧倒する力を。」

「よく言った。それでは、お前らに神の力を与える。そして、世宇子中と名乗るがいい。」

「「「はい!!」」」

 

その後、確かに全てを圧倒した世宇子中。あの帝国も圧倒した。そして、念願の怪物にも勝利し仲間に引き入れた。努力する者たちを馬鹿らしく思うようになった。このまま順風満帆に行くと思ったそんなアフロディに考えが少しずつ崩れる瞬間でもあった。下に見ていた怪物が、いつの間にかチームメイトと肩を並べるようについには、。

 

「うおりゃ!!」

「くっうわぁ!!」

「大丈夫か?アフロディ。」

「……うん。」

 

怪物は、やはり怪物。自分たちとは、違う。実力でねじ伏せられたアフロディは、そんな考えを持つようになった。そして、決勝の雷門中との試合。ここで、アフロディは、改めて気づかされた。自分の力は、偽物であり、円堂達のような本物とは違うことを。そこで本当の挫折をした。試合も諦めた。だが、怪物の最後まで諦めないで勝利に貪欲な姿を美しいと感じた。ここがアフロディというサッカー選手の始まりである。そこからは、一から仲間と鍛えた。偽物ではなく本物の力を得るために。その努力を早速実践する機会が来た。かつての敵 雷門の助っ人として参加した。最初は、中々信じてもらえなかった。だが、山城の助言もあり溶け込めることが出来た。そこで、山城の凄さと器の大きさを知る。その後、世界大会に韓国代表として、参加した。結果は、惜しくも予選敗退だが、悔いは、なかった。なぜなら本物の力で日本と世界と互角に戦ったのだから。そして、世宇子中に戻り本戦の様子を見ていた。当然、日本代表を応援していたが、怪物も見ていた。そこで、自分と怪物の差を知った。更なる精進を誓った。それは、山城が帰国して一緒に部活の復興に向けて頑張っているときも再起がかなった時も同じであった。その時間の中で思った。

 

(彼は、罪を犯した我々と違う。こんな所でチームの事をしていないでもっと上の世界で腕を磨くべきだ!あの時と同じようにこのまま彼の足を引っ張って良いのか。いいわけない!僕は、彼をこんなことで越えたいわけじゃない!その為に、ぼくのすべきことを!)

 

一大決心をした神は、怪物の前に立ちはだかる。

 

「勝負だ!山城!」



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思い

神と怪物の勝負。本気の勝負は、二度目である。最初は、偽物の力を授かった神とまだ発展途上の怪物の対決。結果は、神が勝利し後の引き抜きに繋がる。そして、互いに世界で培った実力を始めて全力でぶつける。

 

「久しぶりだな。お前とこうしてやるのは。」

「あの時とは、違う。世界で磨いた力を君に見せてやる!」

 

ホイッスルが鳴る。先攻は、アフロディ。美しく繊細な動きを見せる。だが、。

 

「甘い!」バンッ

「!!」

「その程度で抜けると思うな。」

「くっ。」

「次は、俺だな。」

 

今度は、山城の番。ドリブル始める。そして、対峙する。

 

「こい!止めて見せる!」

「……。」スンッ

「(これは、左!)」バッ

「読みは、良い。だが、。」スッ

「!!(はやっ)」

「まず、一本。」ドッ

 

無人のゴールにボールが突き刺さる。その後も無残にシュートを決められるアフロディ。

 

「これでリーチだな。」

「くっ。」

「おまえの思いとやらも実力も薄いな。」

「……。」

「正直、期待外れだな。」

「!!」

「じゃあな、哀れな神よ。」

 

三本目のシュートを決めに行くため、ドリブルする山城。対峙するアフロディは、絶望に陥る。

 

「(負ける。僕は、また負けて誰かの活躍をただ見守るのか。)」

「じゃあな。」

「(…だ……やだいやだいやだいやだいやだいやだ。)」

「これでおしまいだ。」スッ

「いやだ!!」バシッ

「!!」

 

窮地に追い込まれたアフロディは、皆が驚愕するほどの動きを見せた。

 

「なんだ?」

「アフロディが一瞬消えた!?」

「いやこれは!?」

「……。」

 

その動きに山城も驚愕する。

 

「さあ山城!ここからが本番だ!」

「そうか。なら、こっちも本気出すか。」

 

アフロディが、自身の力に目覚め、山城もゾーンを解放する。そこからは、互いにドリブルで抜くこともシュートを打つこともできず、何回も外にボールをはじかれていた。皆も固唾を飲んで見守っていた。そんな拮抗した場面が続いていたが、遂に勝負が見え始めた。

 

「……。」

「……。」

「……。」バッ

「!(左!)」シュッ

「……。」グッバッ

「しまっ!」

「……。」ドッ

 

アフロディのシュートがゴールに刺さった。その動きに山城が出遅れたことに皆が気づく。だが、決して山城が、タイムリミットを迎えたわけではなかった。

 

「アフロディ、見えてるのか?」

「たまたまだよ。」

 

その後、山城のシュートが決まらずアフロディの同点を迎えた。そして、アフロディのターンになる。誰もが、これで終わるかと思われたが、勝利の女神は、残酷な運命をアフロディに与えるのだった。先程同様に山城の動きの先を読んで抜きにかかった。

 

「これで最後だよ。」シュッ

「チッ。」バッ

「じゃあね山城kガクッ!?」

「!」バシッ

 

急にアフロディの動きが止まる。勿論、それを見逃す山城ではない。ボールをすぐに弾く。皆は、何が起こったのか分からなかった。

 

「どうして?」

「当たり前だ。ゾーンを解放して、更に他の力も使ったんだ。体の限界もすぐに迎えるに決まってるだろ。力を過信したなアフロディ。」

「くっ。まだ僕は!!」

「残念だが、ゲームセットだ。」

「くっクソおおお!!」

 

次の山城のターンで勝負あり。体の限界もありその場で跪くアフロディにみんなが駆け寄った。そんな状態のアフロディに山城は、正面に立って口を開いた。

 

「決まったな、アフロディ。」

「……そうだね。約束通りに僕は、今日を持ってこのチームを去るよ。」

「「「キャプテン。」」」

「いや、その必要は、無い。アフロディ。」

「「「!!」」」

「ど、どういうこと?」

「……監督。このチームをよろしくお願いします。」

「わかった。お前も頑張るんだぞ。」

「「「!!」」」

「久遠監督、山城君。何の話をしているの?」

「山城一平は、今日を持ってチームを去る。退部届も貰った。」

「急で悪いな。」

「そんな……。」

「じゃあ今の勝負の意味は?」

「これは、山城からの提案で。もし、アフロディが勝負を仕掛ける日が来たらその日に退部するということだ。」

「そういうわけだ。アフロディ、みんなをよろしくな。」

「……んな。」

「キャプテン?」

「ふざけるな!」バキッ

「「「!!」」」

「……。」ペッ

「どこまで人を馬鹿にすれば気が済むんだ!」ガシッ

「……。」

「僕が、どんな思いで勝負をしたのか。」

「アフロディ。」

「君に勝ちたくて頑張って来たのに。」

「悪いな。」

「悪いだと、どの口が言ってるんだ!!」バキッ

「よせ!!」

「そこまでだ!アフロディ!!」

「やめてください!!」

 

更に山城を殴りそうなアフロディを部員全員で止めた。そんなアフロディを前に血を拭いながら山城は、アフロディに自分の思い語り始めた。

 

「確かにお前の思いを踏みにじったことは、謝ろう。だが、もう決まったことだ。それに勝負に負けたお前の言葉など何の重みもないな。」

「なに!!」

「おい、山城。言い過ぎだぞ。」

「そうだ!アフロディに謝れ!」

「お前ら今まで何見てたんだ。こいつは、退部を賭けて全力で勝負した。それで敗れた。」

「し、しかし。」

「良いか、お前らのそれは、そいつと俺に対する冒とくだ。」

「「「……。」」」

「何も行動を起こさず、ただ見てただけのお前らにとやかく言われる筋合いは、ねぇよ。それとも、今ここで勝負するか?中途半端のお前らと俺とで。」

「もう良い山城。」

「監督……。」

「山城。今まで世話になったな。今日は、上がれ。」

「はい。」

 

そして、グラウンドを後にした山城。その日を境にサッカー部の名から山城一平の文字が消えた。



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旅立ち

アフロディの勝負に勝利するも互いの思いが強すぎた。結果、怪物は、サッカー部を去り、またもや孤独の道を進む羽目になった。学校では、サッカー部のメンバーに会っても互いに通り過ぎ、言葉も交わさない。放課後も部室のある方向に向かわずそのまま帰宅する。そんなことが続いて学長に呼びだされる。

 

「失礼します。」

「来たね。そこに座って。」

「はい。」

「話と言うのはね。君がサッカー部を退部したことについてだが。今後は、どうすんだね?」

「この前の話を受けようと思います。」

「わかった。先方にも伝えておこう。」

「急に決めてすみません。」

「大丈夫、君は、わが校の誇りでもあるからね。」

「ありがとうございます。」

「それで、後悔しないかい?」

「はい!全て彼らと久遠監督に託しました。」

「わかった。だが、直ぐにとは行かない。来月から向こうに向かう飛行機に乗ってもらうよ。それまで準備をしておいてね。」

「はい。」

 

約束の日まで準備を始める山城。再び、家族に相談し自分を思いを告げた。両親は、子供の決意を受け止めて許可した。次に、年の離れている彼女にも連絡し激励の言葉を貰った。ある程度の準備を終えて、後は、出航の日を待つ。だが、じっとしているわけにも行かずボールを持っていつもの場所に向かう。到着し、その場所の一番の絶景スポットを眺める。

 

「この景色ともお別れか。……。」

 

これまでを思い起こした一平。サッカーを始め好きになり周囲と差を作り孤立する。小学生の時から変わらず必ず他のものと衝突をし和解することもあればそれっきりと言うこともあった。そこらへんの自分の成長してないところに少しあきれる。とりあえず、ボールを蹴ることにした一平。仮想の敵を生み出しドリブルで抜き去り壁にシュートを叩き込む。

 

「もう少しフェイントを混ぜるか……。」

「お、やってるな!」

「!やっぱりお前なら来ると思ったよ……まもちゃん。」

「聞いたぞ一平。また海外に行くらしいな。」

「そうだ。」

「じゃあ、もう一平と戦えないのか。」

「……。」

 

落ち込む円堂に一平は、かける言葉がなかった。

 

「でも、サッカー続けるならいつかまた勝負できるか!その時までもっと強くなるぞ!!」

「!フフッ」

「なんだよ!また馬鹿にするのかよ!!」

「いや、お前らしくて嬉しくてな。」

「そうか。」

「よし!今日は、思いっきりやるか!!勝負だ!!まもちゃん!!」

「おう!!サッカーやろうぜ!!」

 

その日の鉄塔の広場には、大きな音と光が響き渡るのだった。その数週間後、一平は、親しい仲間たちや家族に見送られて飛行機で日本を離れて目的の国へ。空港に到着すると、顔見知りのものが迎えに来てくれていた。

 

「やあ!待っていたよイッペイ。」

「これからもよろしくな。フィディオ。」



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フィディオのチームに合流した山城。練習開始前に軽い挨拶をしアップを始めると、たくさんの視線を感じた。それもそのはず。山城は、中学生の世界大会で準優勝し得点王になったのだ。つまり、世界が注目している選手達を押しのけて得点を積み重ねたのだ。世界からすれば注目株の1人に躍り出たのだ。そんな山城がチームに入って来たのだ。誰もが注目していた。そして、数時間後にコーチが選手達を集合させる。コーチは、今から試合を組むという。チーム分けとしては、レギュラーとサブで別れた。サブ組には、ビブスが配られていた。オルフェウスに選抜されていたメンバーは、勿論レギュラー組であり、新加入の山城は。

 

「まあ、勿論サブだな。」

「あまり気にしないんだな。」

「悔しくないって言ったら嘘になるけるけど、新参者がサブで様子見ってのは、良くある話だしな。」

「そうなのか?俺は、レギュラーだったけど。」

「お前は、この国の有名人だろ。俺とかとは、違う。だからこそこの試合でまずは、アピールだな。」

「そっか。悪いけど、練習とはいえ負けないぞ!イッペイ!」

「当たり前だ。全力でやらせてもらうぜ!フィディオ!」

 

二人は、それぞれのチームに分かれる。何やら作戦を話し合うが正直山城には、ほとんど理解できなかった。言語の壁に苦戦した山城は、とりあえずプレーの中で合わせようと試みる。レギュラーからのキックオフとなった。流石に強豪というだけ全員の実力が高い。そして、フィディオにボールが回ると一平が構える。

 

「行くぞ!イッペイ!」

「こいよ!フィディオ!」

 

世界大会でも注目されたフィディオのスピードの乗ったドリブルに付いてい行く山城。

 

「やるな!けど、俺の勝ちだ!」

「な!(さらに加速だと!?)」

 

突破を許した山城は、フィディオの成長に衝撃を受けた。フィディオは、そのまま他のチームメイト共に駆け上がり先制をきめた。その瞬間を見る山城は、笑みを零す。再開の笛が鳴りボールを貰った山城の前にフィディオが立ちふさがる。

 

「さて、第二ラウンドだ。」

「見せてみろ君の実力を。」

 

先程のフィディオの動きに対して山城は、緩急と不規則な動きを取り入れたドリブルで勝負する。

 

「(左か!)」

「外れだぜフィディオ。」

「!」

 

見事に逆を突くことが出来た山城は、そのままゴールに向かって突き進みゴールを奪う。

 

「同点だな。」

「ああ。けど、君は、ここから点を取れなくなる。」

「?どういうことだ?」

「すぐに分かるよ。ここは、代表チームじゃないからね。」

 

フィディオの言葉が心に引っかかる山城。それは、直ぐに訪れる。またフィディオを対峙する山城。今度は、動きの先を読んで止めに掛かるが、フィディオは、パスを出しワンツーパスで山城を抜く。そして、勝ち越しゴールを決められた。山城は、仕返しとばかりにドリブルで仕掛けてフィディオを抜いた。その瞬間、フィディオは、山城に聞こえるように呟く。

 

「味わうといい。これが、ホントの世界だよ。」

「何を言って。!?」

 

山城の目の前にヘルプの選手が来た。これによりコースが狭まった。だが、山城は、強引に抜きに掛かる。この戦法は、良くとられていたからである。

 

「(こんな事どうにでも。)「いただき!」!?」

 

後ろから走ってきた流星にボールを取られた。そこからカウンターで追加点を取られた。山城は、作戦を変えてフリーの味方にパスを出す。だが、カットされた。ここから試合は、一方的になる。そして、笛が鳴り試合が終わるころには、圧倒的スコア差を記録した。



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一歩

場所が代わり日本。雷門中では、今日も円堂を中心に熱のある練習をしていた。休憩に入り鬼道は、マネージャーたちに頼んでいたものを見ていた。円堂は、気になり話しかける。

 

「何を見てるんだ?鬼道。」

「ああ、今大会に出場しない例の自由人の様子をだな。」

「一平かあ。いきなりだもんな。まさか、海外のチームに行くなんて。」

「もう一度対戦できると、思ってのだがな。だが、あいつらしい。」

「それで、一平は、向こうでも活躍しているのか?」

「いや、そう言うわけでもなさそうだ。これを見てみろ。」

「どれどれ……!?」

 

そこには、ベンチからの出場している山城の姿があり、記事には、「期待外れ」「監督やチームメイトとの確執か?」などとあまり良い記事で書かれていなかった。

 

「こんな事って。なんで一平が?」

「わからない。記録を見る限りでは、何試合かは、得点を記録している。」

「つまり、ただ外されているわけでもないんだな。」

「俺は、そう考えている。あいつほどの選手を起用しないというのは、愚策だ。きっと山城への課題か何かを与えているのだろう。」

「課題?それは、一体。」

「さあな、こればっかりは、奴にしか分からないだろう。」

「そうか……よし!決めた!俺も海外に挑戦だ!」

「「!!」」

「本気か?円堂。」

「何もいきなり決めるなんて……。」

「今じゃないさ。未来の話になるけど、いつか海外のプロリーグで一平と勝負する。その為には、次の大会絶対優勝するぞ!!」

「ふ、お前らしいな。」

「俺もそうするか。豪炎寺、お前は、どうする?」

「当たり前なことを言うな鬼道。勿論、行くさ。奴への挑戦は、まだ終わっていないからな。」

「よおーし!!一平に負けないくらいに頑張るぞお!!」

 

海の向こうの好敵手に燃える三人。だが、燃えているのは、彼らだけでない。北海道の狼が、京都の小さな弟子が、福岡の守護神が、そして、かつての怪物と共に試合した者達が再戦を熱望する。場所が代わり、イタリア。グランドには、怪物が1人でボールを蹴っていた。課題のパスの精度である。

 

「こうして……ああで……そこに……!?。……やっぱり、上手くいかねーな。」

 

ここ数試合での試みから出てきたズレをひたすらに修正する。精神を研ぎ澄ましイメージを作る。そんな怪物の下に近づく者がいた。

 

「やってるねイッペイ!」

「!フィディオか。」

「この間の試合の反省かい?」

「ああ。あの試合も一人でぶち抜くこともできたが、監督から言われている課題の改善には、ならねぇ。」

「そうか……なら、俺とコンビにならないか?」

「コンビ?」

「そう!君のパワーと俺のスピードを合わせれば課題に少し近づくんじゃないか?」

「けど、それじゃあ他の奴らが生きないんじゃ……。」

「俺たちのこと気にしてんじゃねーよジャパニーズが。」

「!おまえら……来ていたのか?」

「フィディオから聞いてな。1人で寂しくやってんじゃないかってな。まさかと思ったが、ホントにやってるとはな。」

「ホント軽く引くよね。」

「フィディオ。」

「たしかに、僕らは、ライバルさ。けど、チームなんだ。だからこそ、1人1人の力が一つになる必要があるのさ。これだけの仲間がいても君は、まだ1人でやるのかい?」

「ふ、あははは!!そうだな!何センチメンタルなことしてんだ俺。よし!これからたくさん手を借りるけど、頼むぜ!みんな!!」

「「「おう!!」」

 

チームが一つになる。それを見ていた監督・コーチは、笑みを浮かべる。そして、それから数日後の試合。スターティングメンバーに山城の文字が記入される。



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答え

よく晴れた日。今日の試合に初スタメンの山城は、アップをすると、フィディオが近づいてきた。

 

「調子は、どうだい?課題は、解決しそうかい?」

「ああ!やってやる!今日は、頼むぜ相棒」スッ

「!もちろん、思いっきり暴れよう。」ゴツッ

 

試合の開始のホイッスルが鳴る。早速ボールを得る山城。敵のチームは、今までの記録から二人の選手が、立ちふさがる。

 

「イカセナイゼ!!」

「オマエノジャクテンハ、ワカッテル!」

「……。」

 

ドリブルで突っ込む山城に二人の敵選手は、詰め寄る。だが、山城のドリブルの技術により抜かれる。

 

「「ナ!?」」

「……。」

 

ドリブルで攻め上がり山城は、敵陣のキーパーと対峙する。敵キーパーも失点させまいと身構えるが、シュートを放つ山城の威圧感に圧倒され固くなり反応が遅れ先制のゴールを許す。会場は、大いに沸き山城もチームメイトに祝福される。

 

「やったな!イッペイ!先制だ!」

「まず一点!そして、次は、課題の結果が試されるな。頼むぜ!みんな!」

「「「おう!!」」

 

皆が気持ちを一つにする。再開の笛が鳴り、味方がパスをカットし早くもパスを貰う山城。そして、敵も想定通りのシフトを敷いてきた。ドリブルで抜きに掛かる。だが、直ぐにヘルプの選手が来る。

 

「……。」

「モラッタゼ!!」

「(来た!)頼んだぜ!相棒!」ドッ

「「「ナ!?」」」

「ナイスだ!」

 

山城は、有り得ない体勢からパスを放つ。無事にパスがフィディオに渡る。敵は、困惑する。他の選手が止めに向かうが、山城に割かれた少ない人数でイタリアの白い流星を止められるわけがない。フィディオは、その早いドリブルで敵陣を抜けてキーパーと対峙する。

 

「せっかくイッペイのパスが通ったんだ。なら決めないとな!いくぞ!オーディンソード!!」ドンッ

「う、うわあ!!」

 

その右足から放たれた神々しいシュートは、ゴールに突き刺さる。会場が沸いて大歓声になる。シュートを決めたフィディオに山城が近づく。

 

「流石だぜ。相変わらず良いシュートだな。」

「ああ。だが、もう少し良いパスが欲しいな。」

「は(笑)そこは、今後の目標だな。」スッ

「頼んだぞ。相棒。」スッ

ゴツッ

 

一歩前進することが出来た山城。敵は、マグレだろうと思い同じ作戦を仕掛ける。だが、プレーに幅のできた山城の最早敵では、なかった。

 

「モウ、スキニハ、サセン!!」

「悪いな。今のお前らもうただの練習台だぜ。」

「ナニ⁉」

 

山城は、監督・コーチから許可が出て封印されてきた(ゾーン)を解放する。光の如く加速するドリブルに絶望する敵選手。そして、その試合は、見ず得た魚のように生き生きとプレーする山城と白い流星のフィディオのコンビに他のメンバーの活躍により圧勝に終わる。その試合を見ていた記者たちは、次々に取材の準備に掛かる。次の日には、こう出回った「次世代の最強コンビ現る!」。その記事を見た者達は、祝福、嫉妬そして、自分たちのやる気に変えるのであった。その中で、影で身を潜めている男は、。

 

「……フン(笑)また一つ腕を上げたようだな山城。私の手を離れて益々良い選手に仕上がっているじゃないか。」

「ミスター、そろそろ出発です。」

「ああわかった。行くとしよう。(山城。お前の今後の活躍を1ファンとして見物させてもらうぞ。頑張れよわが最高の教え子よ。)」

 

そして、男は、次の仕事に向けて歩み始めた。

 

「……。」

「?どうしたイッペイ?」

「いや、何でもねぇ。なんか懐かしい感覚があっただけだ。それよりも練習だ。次も頼むぜ相棒!」

「こちらこそ、頼りにしているぞ!」



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朗報

いつも通り練習に励んでいる山城は、休憩に入りドリンクを貰って休んでいた。そこに、フィディオがやってきた。

 

「大分周りが見え始めてきたな。」

「ああ。お前やみんなのおかげだ。助かってるありがとな。」

「どういたしまして。これなら大丈夫そうだ。」

「?なんかあるのか?」

「さっきねアンジェロ達とも話してたけど、あるイベントが日本で開催されるかもしれないんだ。」

「あるイベント?」

「それは……。」

「!?それは、ホントか!?」

「ああ。多分間違いないよ。」

「そうか、燃えてくるな。」

「ああ!だから、次の試合も頑張ろう!!」

「おう!!」

 

二人が話した情報は、各国に伝わっていった。そして、各国の次世代のスターたちの心に火をつけるのだった。それは、勿論日本でも。

 

「大変です!皆さん!!」

「ん?どうした音無?」

「これを見てください!!」

「「「?」」」

 

雷門中の全員が、春奈パソコンの画面を覗く。そこには、中学サッカー界の会長と財前総理の姿が。

 

「あ、塔子さんもいる。」

「え!あ、ホントだ。」

「すげえ、流石総理のSPだな。」

「そんなことは、今良いんです!!これを聞いてください。」

 

音無が再生ボタンを押すとニュースの続きが始まる。

 

[総理!チェアマン!今回この大会を本当に日本でやるんですか?]

[勿論です。財前総理大臣とその他の大臣とも協議しました。]

[協議の結果、U-15世界選抜ドリームチームを日本に呼んで試合をすることがきまりました。すでに各国の首相と許可がいただきました。]パシャパシャパシャパシャ

「「「え、えええええ!?」」」

[質問良いですか?]

[どうぞ。]

[今回の日本代表は、FFIのイナズマジャパンのメンバーなんですか?]

[いいえ。今回は、日本代表を作るのでなく権利を勝ち取ってもらいます。]

[具体的には?]

[もうすぐ冬のFF大会が始まります。そこで優勝したチームとクラブの優勝チームとの勝者が今回の日本代表になってもらいます]パシャパシャパシャパシャ

「「「!?」」」

 

衝撃のあまり全員が言葉が出なかった。だが、。

 

「くうー!燃えてきたぁ!!」

「「「!?」」」

「だって、FFIで試合した奴らともう一度戦えるだろ?最高に楽しみなってきた!」

「だが、今回のFFの猛者とクラブチームとか前回よりも過酷だな戦いなるぞ。」

「なんだ鬼道。怖気づいたのか?」

「ふ、何を言ってる。むしろ、今までにないほどに気持ちの昂ぶりを抑えられん。」

「まるで、円堂くんみたいなことを言うのね。」

「サッカー馬鹿の熱が移ったかもな。」

「けど、悪くないだろ?」

「ああ。」

「なんだよ!また俺を馬鹿にして!!」

「「「ぷ、あっはっはっ!!」」」

「よーし!次のFFIに向けて頑張るぞ!!」

「「「「おう!!」」」

 

こうして次のFFIは、異常なまでの注目が集まるほどになった。それは、日本中のサッカー選手だけでなく各企業も動き出すほどであった。そんな盛り上がりを見せているなかで別の所では、違う戦い始まっていった。

 

「時空最強の十一人を集めるのじゃ!!」

「「「はい!!!」」」

「(まずは、やっぱりあの人に頼もう!)」



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時間旅行

「おつかれ!」

「おつかれ!」

 

練習が終わり、それぞれが解散する。帰路を歩く山城。今日の反省をしながら歩く。

 

「今日は、内容が改善できた。この調子ならリーグ優勝も揺るがないだろうな。さて、そろそろ出てこい。後ろからつけられるのは、趣味じゃねぇ。」

 

そう言うと後ろの影が、姿を現す。

 

「気づいていたのか。」

「お前は、この間のローブ野郎か。また過去に飛ばすのか?」

「いや、今回は、君にお願いがある。」

「その前にローブをとれ。」

「!?すまない!」バサッ

 

ローブのフードが取られて素顔を見せる。

 

「その髪の色、お願いってもしかして……。」

「ああ、大方あってる。頼む!息子に力を貸してくれないか!!」

 

フードの男は、フェイ・ルーンの父 アスレイ・ルーンと名乗った。アスレイは、影から息子のことを心配して見守ってると話してくれた。山城は、事情を聴いて頭を掻く。

 

「まさか、未来がそうなるなんてな……。」

「にわかに信じられないかもしれないが、本当のことなんだ。だから、お願いだ!」

「フウ……わかった。できる限りやってやる。」

「本当か!」

「ただし、一つ条件がある。」

「なにかな?」

「フェイだったか。息子がもし行き詰まっていたらすぐにでも顔を出してもらう。今までは、顔を隠してやり過ごせていたかもしれないが、ホントに救えるのは、親しい者の言葉だ。」

「……。」

「今の話からすると、最悪な状況なのは、わかる。だが、この条件で飲んでもらう。その覚悟がないならこの話は、無しだ。どうする?」

「……良いだろう。その条件を飲もう。」

「交渉成立。アンタの息子の力になってやる。」

「すまない、恩に着る。それでは、私は、行く。」

「ああ、またな。」

 

アスレイは、光とともに消えていった。見送った山城の後ろから見たことある自動車が現れて扉が開く。

 

「山城さん!お待たせしました!行きましょう!!」

「了解。」

 

キャラバンに乗りこんだ山城は、そこで未来の雷門のメンバーと対面した。皆、伝説の人物に会って緊張していたが、山城は、ほぐしてやった。そのあとで何人か会話を交わす。まずは、天馬。

 

「山城さん!また一緒にサッカーできてうれしいです!!」

「ああ、おれもだぜ。」

 

次は、フェイ・ルーン。

 

「一平さん、久しぶり!」

「フェイだったか、またよろしくな。」

「はい!」

 

そして、石になった大介。

 

「よお、大介さんいや、マスターDと言えばいいか?」

「フン。相変わらず無茶しているそうじゃの。元気そうで何よりじゃ。」

「ハハハ大介さんも相変わらず元気だね。未来(そっち)の俺は、元気にしているのか?」

「……。」

「?どうした?」

「いや、何でもない。一平、また頼むぞ。」

「任せな。」

 

交流が終わり大介から時空最強イレブンについて説明された。皆、戦いに身を引き締めた。その後、山城は、大介と話をする。

 

「大介さん、ちょっと良いか?」

「なんじゃ?戦いは近いんじゃゆっくり休め。」

「未来の俺は、サッカーしてないのか?」

「!?…やはり、気づいておったか。」

「そうか…サッカーを捨てたのか。俺は、」

「それは、違う!未来のお前さんは、まだ捨てておらん!!」

「じゃあなんなんだ。」

「……ケガじゃ。しかも、選手生命を脅かすほどのな。」

「!ケガ……だと!?噓だ!!ケアは、しっかりやってる。未来のおれが、怠るはずがない!!」

「確かに、おぬしは、しっかり体のについては、誰よりもストイックじゃった。」

「なら!「しかし、ダメなんじゃ!」!!」

「今までのダメージの蓄積は、消えなかったんじゃ!」

「そんな……。」

「だから、おぬしとの過去を振り返ると心苦しくなる。会うたびに、謝罪の言葉しか出なかった。今回もおぬしの参戦を何処かで否定したかった。けど、おぬしの成長をずっと見ていたいし、サッカーを一緒にやるのが楽しくて仕方がない。じゃから……。」

「もういいよ。事情は、分かった。スウ……そうか、よし!なら、とことん進んでやる。」

「良いのか?」

「ああ!ケガした俺も後悔してないんだろ。未来の俺が、諦めてないんだ。俺が、こんな所で縮こまるかよ。」

「!!」

「というわけで、今回も指揮を頼むぜ。大介さん!!」

「っ!」

 

その場を後にした山城。残った大介は、未来の山城と再会した事を思い出す。辛いリハビリこなして汗だくになりながらも復帰を諦めず心からの笑顔を絶やさなかった。

 

「大介さん!!俺諦めないから!!まもちゃん達に差をつけられたけど、見ててよ!!もう一度、返り咲いて活躍するから!!」

 

その時の大介は、大した声を掛けられなかったが、今では、心から言える。

 

「頑張れ……頑張れ……そして、強くなって戻ってこい。」



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魔王会合

円堂大介から時空最強イレブンのヒントを貰った一同は、戦国の時代に飛んだ。目的は、第六天魔王 織田信長に会うためである。一同は、無事に到着する。取り敢えず、拠点なる場所を探す。すると、神童が町娘と仲良くなり拠点を見つけられた。そこで城下町をであることにした一同。各自が各々で信長の情報を探す。山城も情報を探す。

 

「流石に簡単に会えるわけないねーか。」

prrr

「ん?」

 

急に携帯が鳴る。メールを受信したようで内容を確認する。

 

「何⁉試合!?」

 

急な知らせを貰った山城は、現場に急ぐ。現場の河原に着くと、天馬たちと村の子供たちが、山賊と試合をしていた。点数は、天馬たちが1点負けていた。

 

「どうなってやがる。」

「おお!来たか山城!!」

「「「山城さん!!」」」

「おい、クマ。説明しろ。」

「ワンダバだ!「早く話せ。」ぐっわかった。実は、、、、。」

 

そこから説明を受けた山城は、相手ベンチを見る。明らかにこの時代の人物では、ないことがわかる。

 

「(なるほど、エルドラドか)……。」

「すぐに出てくれるか?」

「いや待て。ここは、あいつらに任せる。」

「「「!?」」」

「どうしてだ!お前が出ればひっくり返せるだろ。」

「まあ安心しろあいつらなら大丈夫だ。」

「それなら良いが……。」

 

その後、山城の言葉通りに試合の風向きが変わる。天馬たち雷門メンバーを中心に村の子供たちも助力となり山賊に勝利した。それをベンチで見ていたプロトコルオメガ2.0 キャプテン ベータは、笛が鳴る前に退散した。山城は、試合を見届けると腰を上げる。それを見た後の豊臣秀吉こと木下藤吉郎は、声を掛けた。」

 

「ん?何処か行くのか?」

「ひで、いや藤吉郎さん。ちょっとね。試合の指揮ありがとうございました。」

「いや、どういたしまして。気を付けてな。」

「ハイハイ。」

 

山城は、ある場所に向かう。

 

「着いたか……安土城。」

 

山城は、服装を変えて身軽な恰好になる。そして、適当に見繕った荷車引いて門を通ろうとする。だが、門番に声を掛けられた

 

「おい待て。その荷車中身を見せろ。」

「どうぞ。」

「……通ってよし。」

「どうも。」

 

何とか城に入ると祭りの準備で多くの大工がいた。荷車を適当に置いて、城を徘徊しようとするが。

 

「待て。」

「!?(バレたか)」

 

大工の1人に止められた。山城は、バレたと思いゾーンの解放して逃げる準備をする。

 

「なんでしょう?」

「あそこの材木を運ぶ。手を貸せ。」

「わかりました。」

 

こうして、山城は、形として城に潜入できた。このまま手伝いをしながら、信長を拝見しようと思った。だが、不思議な感覚が襲っていた。先程の男が、着いてくるのだ。そして、その時が来る。休憩に入ると、山城は、人気のないところに移動する。

 

「ふう、さて目的を果たしますかな。えーと、信長がいるのは、天守閣だから「ふ、成程。」!?」バッ

 

山城が振り向くと、後ろに先程の大工がいた。

 

「(聞かれた!?)なにか?」

「大工の小僧にしては、猛獣の雰囲気を纏っているかと思えば。」

「あの……もう休息を終えたんですか?なら、戻りましょう!」

チャキッ

「!」

「まあ待て。もう少し話そうか。信長になんか用か?」ゴゴゴゴゴ

「(なんて威圧。大工のオーラじゃねえ。)あんた、ただの大工じゃないな。」

「ほう、気づくか小僧。この信長の茶番に。」

「な、あんたが、いや貴方様が、織田信長公か。」

 

山城は、驚愕する。1国の長が、しかもあの魔王が、こんな大工の恰好で働いているの居るのだから。

 

「して、小僧。何故この信長を探す。」

「(下手な嘘を言ったら殺されるな。目的を話す方が良いな。)私は、遠い国から来た一平と申すものです。今回伺ったのは、信長様にお願いが有り、その所存で参りました。」

「……。」カチャッ

 

信長は、懐刀をしまう。

 

「して分けとは。」

「は、現在、私の仲間が悩みを抱えており、解決をするのに信長様の力が必要です。どうか助力を願いたい。」ザッスッ

「!」

 

山城は、地に頭をつける。その勢いに信長も驚愕する。

 

「失礼は、承知の上。どうか!」

「……。」

 

その覚悟を受け取る信長。

 

「うぬ、良かろう。」

「ありがとうございます!!」

「して、何をする?」

「では、説明します。」

 

そこで、山城は、できるだけことをお願いした。信長も目の前の少年をただの小僧ではなく、1人の武士として相手した。そして、説明を終える。

 

「以上です。」

「面白い。これで今度の祭りが待ち遠しい。」

「ありがとうございます。」

「一平、大義を果たせ。」

「は、!!」

 

こうして、迎える祭りの日を迎える。それぞれの準備をしてきたことを胸にいざ開幕。



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祭り当日、天馬たちは、芸者として選考に応募をしていた。選考係に踊りを見せたが、いくら練習したとはいえ流石に素人の踊りがまかり通るわけがない。断られて諦めのムードの中で、藤吉郎の頭が冴え渡る。

 

「おやあ、これは、かの有名な踊り子の天馬座。朝廷が認めるほどの踊り子じゃないですか!」

「な、なにい!?」

 

藤吉郎の起点により、舞の出し物に参加することが出来た。出し物では、持ち前のサッカーのリフティングを活用した蹴鞠を披露。それには、観客や周りの武士たちも釘付けになる。勿論、魔王も。そこで、ミキシマックスに挑戦するが、失敗に終わる。あまりにも大胆な行動に、周りに居た役人が抑える。そして、御前に出される。

 

「貴様ら、何者だ。」

「私たちは、この時代ものでは、ありません。遠き先の時代から参りました。」

「先の時代だあ?貴様ら!信長様の前でなんて嘘をつくのだ!」

「ホントです!信じてください!」

「なら!この後のことを予言して見せよ!」

「そ、それは、」

 

天馬たちが困惑していると、観客の中から今川の旗を持ったプロトコルオメガ2.0のメンバーが現れる。彼らは、今川の使者と名乗り、戦サッカーを申し込んできた。そこで、藤吉郎は、織田軍として試合すると提案するが、明智光秀などの周りの武将に断られた。藤吉郎は、諦めずに説得する。その目に信長は、何か感じた。

 

「ふむ、良いだろう。」

「「「殿!?」」」

「だが、失敗すれば……わかっているな?」

「「「はい!」」」

 

こうして、今川・織田のサッカー試合が組まれることになる。それぞれが、試合に臨む調整を行う。皆、自分たちの命が賭けているので集中がすごい。だが、一部は、不安の色が隠せていない。太助たち村の子ども組そして、今回のメインの神童。やはり、両者とも自分の実力不足から来ていた。それを見ていた山城は、天馬と少し話す。そして、天馬は、太助たちの指導を行い、太助たちも練習に励む。山城は、神童を呼ぶ。

 

「神童、ちょっと良いか?」

「はい。」

 

二人は、グランドを出る。二人っきりになった状態を確認し、口を開く。

 

「神童。お前、信長との差に焦っているな。」

「はい、その通りです。最初は、波長が合わないのかと思っていましたが、それも思い違いでした。」

「だな、まあ向こうは、歴史に名を遺す武将だ。はっきり言って烏滸がましいにもほどがあるなww。」

「……。」

「それで、どうするんだ?今度の試合、下手したらミキシマックス間に合わないかもしれないが。」

「できることをやっていくつもりです。」

「勝てるのか?」

「それは……。」

 

押し黙ってしまった神童。山城は、一呼吸入れて話す。

 

「悪いが、今度の試合にお前の出場を許可できないな。他の奴らが何言っても外させる。」

「!?」

「ハッキリ言って、今のお前にチームの舵を託せない。」

「くっ。」

「自分の問題も解決できないようなゲームメイカーが、チームを勝利を導くなんてハッキリ言って無理だ。」

「なら!俺は、どうすれば良いんですか!俺が強くないことなんて、俺自身がわかってます!だから、悩んでいるんです!」

「ふw」

「何がおかしいんですか!」

「いやなに、ちょっと仲間のことを思い出してな。そいつにお前がそっくりでな。」

「?」

「そいつのポジションは、違うけど、同じことを言われたよ。『完璧なお前には、わからない』ってな。けど、その時も同じ事を言ってやった。」

「何を言ったんですか?」

「お前の悩みは、お前の悩み。俺の悩みは、俺の悩み。誰もわかるわけねーだろ。解決するカギを持っているのは、自分自身だってな。」

「!!」

「だから、見つめなおす時間を与えてやった。」

「そのあと、どうなったんですか?」

「ん?さあな。解決できたか知らん。」

「な!?」

「だから、言ったろ。お前の悩みを解決できるのは、お前自身しかないってな。」

「……。」

「だから、お前にも時間をやる。その中で、死んだ気になって探してみろ。」

「はい!」

 

こうして、来る試合に向けてそれぞれが準備を終える。そして、決戦の日を迎える。



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開幕

試合開始前、スタメン発表にて山城は、神童のスタメンを取り下げることを発表する。神童を除く皆が驚愕する。

 

「どうしてですか!」

「今の神童に試合を任せられねぇ。」

「神童さんを無しにどうやって組み立てるんですか」

 

やはり、反対意見が出る。だが、山城は、続けて話す。

 

「良いか、良く聞けお前ら。このチームで点を取れる奴は、複数いる。だがな、試合を回せるのは、神童ただ1人だ。」

「なら、」

「参謀役がダメな以上、試合には、参加させん。」

「そんな……。」

「ちょっと待て!神童さんがダメなら誰が回すの?」

「そうだぞ山城。それだと、矛盾がある。」

「やはり、神童を出すべきだ!」

「素人二人(ワンダバと藤吉郎)は、黙っとけ。」

「「な!?」」

「フェイ、なんの為に俺がスタメンで出場すると思ってんだ。」

「まさか、」

「そのまさかだ。そう言うことだ神童。お前は、ベンチで答えを探せ。ハーフまで待ってやる。」

「わかりました。」

 

こうして、神童なしでポジションにつく雷門イレブン。ベータ達は、既に待っていた。山城は、ミッドフィルダーの位置につく。天馬が隣で不安になっていた。それは、他のメンバーもそうだった。その様子にベータが、口を開く。

 

「ねぇ、そっちの参謀さんベンチだけど、試合を諦めたのかしら?舐めてんなら潰すぞ!!」

「あん?何言ってんだ。お前ら如きに神童なんかいらねぇよ。」

「あぁ゙ん?」

 

山城の煽りを受け取るベータ。試合開始いきなりボールを受け取ったベータが、攻める。そして、天馬と剣を抜くとすぐに山城と対峙する。

 

「もうかよ。」

「お前も抜かれな!!」

「ハァ……うるせえ。」

「!?(こいつ雰囲気が急に!?)」

 

ベータは、敗れた直後のアルファの話を思い出す。『山城には、注意しろ。奴は、危険分子だ。』と。そして、その忠告が本当であると感じた。

 

「だから、どうした!!」

 

ベータは、抜きにかかる。だが、

 

「…」スッ

「!?」サッ

「…」スッ

 

隙のないその守備にベータは、苦戦する。

 

「こんなもんか。」

「くっ!?」

「じゃあ、頂くぜ。」バシッ

「な!?」

 

ボール奪取に成功した山城は、剣と天馬と上がる。

 

「行かせるか!」サッ

「あめぇよ!」サッサッ

「な!?」

「ほら、先制してこいお前ら。」ドッ

「「はい!」」

 

ボールをもらった二人は、炎を纏い飛び上がる。

 

「「ハアア!!ファイアトルネードDD!!」」ズドッ

「くっうおお!!」

ズドッ

 

先制ゴールが入る。それを見て雷門の皆の表情が明るくなる。それは、信長も。

 

「ふむ、やはり欲しいな。クックック」

((殿が笑った!?))

「さあ、これを見てどう思う?神童。」

 

ベンチの神童は、答えを探す。試合に戻ると、ベータは、困惑する。

 

「この俺が?「よぉ。」!」

「どうだ?俺の言った意味わかるだろ?過去の人間舐めんなよ。クソガキ。」

「!ふ、ふざけんな!!」ゴォォォ

 

ベータの怒りのメーターがMAXになる。雷門イレブンは、気を引き締める。そして、ボールをもらったベータは、すぐに本気の状態に変身する。

 

「舐めやがって、全員ぶっ潰す!!ハアア!!虚空の女神アテナ!!アームド!!」

「(来る!)」

 

化身を身に纏ったベータは、先程の手加減などなく物凄い勢いで、雷門ゴールに迫る。

 

「吹っ飛べ!!シュートコマンド07!!『ダブルショット』」

「う、うわあ!」

 

同点に追いつかれる。雷門イレブンは、あまりの力に言葉が出なかった。ベータは、山城の前に立つ。

 

「あまりの凄さに言葉も出ないか?」

「……。」

「どうだ!力の差に絶望しろ!」

「クックック、カーカッカッ!!」

「「「!?」」」

「な!?何がおかしいんだよ!」

「いやあなに、嬉しくてよ。また上のステージが見れてよ。」

「ハァ?頭おかしいんじゃねえのか?」

「それに、まだ同点だぜ?絶望も何も無いだろ。バカじゃねーの。」

「な!?てめぇ!」

「お前らもしょげてる場合じゃねぇ!むしろ、攻め時だ!俺に遅れんじゃねぇぞ!」

「「「!?はい!!」」」

 

山城のチームを鼓舞する姿にチームは、士気を上げる。天馬は、そんな山城の姿を尊敬するのだった。そして、肝心の神童は、確実に山城からの問の答えに近づくのだった。



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軍師とは?

ベータのアームド状態により、そのパワーに押される。だが、スコアは、同点のまま。理由は、明確である。

 

「チ、いい加減にしろ!!」

「おっと、良い動きだな。だが、粗いな。」ドッ

「!クソ!またパスかよ!!」

 

山城が、上手くベータをあしらう。冷静さを欠いたベータは、振り回されている。その様子を見ていた神童は、怪物の力に改めて嫉妬と尊敬を感じていた。時間は、前半終了に差し迫る。ベータの足止めを山城が担っているが、他のメンバーも中々強く天馬達は、苦戦を強いられていた。特に、太助を含むメンバーのミスが目立った。時間も迫り、ボールを受け取った山城は、目の前のベータに向き直る。

 

「またパスか!その手には、乗らねぇーぞ!」

「いや、もう必要ない。」

「とう言う意味、!?」

 

山城は、ベータの目の前から消えるドリブルをする。敵の選手が次々とぶつかってくる。だが、世界で磨いたドリブルは、キレを増しそれをものともせずキーパーの前に。

 

「こい!ここで止める!」

「足りねえな。」

「なにを言って、!」

 

キーパーは、山城の足元にボールが無いことに気づく。そして、ネットの音が聞こえて初めて失点に気づく。あまりの力に絶望する。味方の天馬達も声が出なかった。そこで笛が鳴り、前半の終了を告げる。ベンチに戻る山城は、真っ先に神童のもとへ。

 

「どうだ?何かわかりそうか?」

「はい。」

「そうか、なら答えを後半で見せてもらおう。俺と交代だ。」

「!そんな勝手な!」

「そうですよ!せっかく勝越したばかりなのに。」

「お前らの気持ちは、わかる。だが、それじゃあ駄目だ。だよな?神童。」

「はい。良いか天馬、それに皆もよく聞いてくれ。この先、もっと強い敵が現れるだろう。その時に、山城さんばかり頼ってたら確実にいつか負ける。だからこそ、チーム力を上げるんだ。」

「「「!?」」」

「わかってるじゃねーか。そう言うことだ。けど、神童。お前も早くに見つけろよ。じゃないと、わかってるな?」

「はい!」

 

後半の笛が鳴る。ベータは、奥の手を使う。味方全員に強化のバフをかける。それにより、動きが前半より格段に上がった。神童は、その中でも冷静に対処する。それを見て、山城は、安心するのだった。太助達の動きも良くなり始め、チームが動く。後半の半ばになり信長が神童に力を貸す。結果、神童は、自身のプレイヤーとしての力を一つ上のステージ立つことができた。ベータは、敗北が近づいて来て焦りが生じ、ミスを連発する。山城は、そんな様子見て交代を告げてピッチに出る。キーパーとして。

 

「どういうつもりだ!」

「どうもこうもねぇよ。今のてめぇなんかに俺を倒せるかな?」

「クソぉぉぉ!!」

 

ベータは、味方の力を回収し、飛び上がる。

 

「俺様を舐めるなぁ!!シュートコマンド07!!『ダブルショット』」

「良い威力だ。俺も答えてやる!ハアア!!」

 

山城は、体を捻りパワーを溜めて解放する。

 

「あ、あれは!」

「まさか、」

「行くぜ!!マジン・ザ・バンド!!」

 

メモリーで呼び出したのは、マジン・ザ・バンドだった。強い衝撃音と爆風が吹き荒れた。砂煙が立ち込み、数分して晴れるとそこには、ボールを片手でボールを掴んでいる山城だった。

 

「良いシュートだ。」

「そ、そんなぁ。」

 

そして、試合終了のホイッスル。織田軍の勝利でいくさサッカーを終える。



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