デザイアロンパ 希望のライダーと絶望のジャマト (ボルメテウスさん)
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初陣

ギーツのSSをどう書こうか迷っていた時にふと見たダンガンロンパ。
そのダンガンロンパの懐かしさと共に、あれ、ダンガンロンパって、仮面ライダーギーツ相性は良くないか?
そんな思いと共に試しに書かせて貰いました。


「これから、オマエラには命懸けの戦いをしてもらいます!!」

 

 そう、僕達に言ったのは、目の前にいるモノクマからの言葉だった。

 

「命懸けの戦いとは一体」

 

 モノクマからの言葉に対して、その場にいた皆は驚きを隠せずにいた。

 

 その中でも、メンバーの1人である石丸君は、そのままモノクマに対して問いかける。

 

 僕達が目が覚めてから、この体育館で目覚めた。

 

 困惑しながら、全員が素生を知る為に、ある程度の自己紹介を終えた時だった。

 

 体育館にある机の上で目の前に突然現れたモノクマと、突然言われた命懸けの戦いという言葉。

 

 寝ぼけた頭では理解が追いつかず、困惑する。

 

「それで、命懸けの戦いとは、まさかここにいる15人で戦うのか」

 

 そう、十神君はゆっくりと問いかける。

 

「うぷぷっ、それはそれで面白いかもしれないけど、少し違うんだ。

 

 君達は確かに競い合うライバルではあるけど、同時に共闘する仲間でもあるんだ」

 

「どういう事なんだ?」

 

 モノクマの言葉に疑問に思っていた。

 

「それはね、君達の足下を見たら分かるよ」

 

 そう、モノクマの一言に合わせるように、僕達は足下を見る。

 

 そこには先程まで何もなかったはずなのに、エクスクラメーションマークが描かれた濃い蛍光イエローの箱があった。

 

 それが、何なのか分からず、ゆっくりと手に持つ。

 

 ずっしりと来る重さと共に、確認するように、ゆっくりと開ける。

 

 そこにあったのはペットボトルのキャップ程度の大きさの丸い何かであり、そこには狸のマークが描かれていた。

 

 そして、そのキャップを納めるような機械がそこにはあった。

 

「それこそ、君達が持つ力。

 

 ドライバーとIDコアだよ。

 

 そのドライバーを腰に巻いて、IDコアを装填する事によって、君達は、仮面ライダーになる事ができるんだ!!」

 

「かめんらいだー?」

 

 聞いた事のない名前に、僕は思わず首を傾げる。

 

 それは、他の皆も同じだった。

 

「うぷぷっ、さて、そろそろ君達の敵であるジャマトがこっちに迫っているよぉ! 

 

 早く、変身して、バックルを見つけないと、命が危ないよぉ」

 

「ばっバックルって、なんだよ、それは」

 

「それは、見つけてからのお楽しみ! 

 

 それじゃあねぇ!」

 

 その言葉を最後に、モノクマは姿を消した。

 

「状況は理解できないが、冗談ではないようだな」

 

「えっ?」

 

 大神さんの言葉を皮切りに、体育館の入り口となっている扉が突然、開く。

 

 そこから現れたのは植物が人型になったような生々しい造形や頭部が特徴的な怪物だった。

 

 もしかして、あの怪物が。

 

「あれがっジャマトなのかよ!」

 

 僕達がそう、困惑しているのを余所に、ジャマト達はその手に持つ武器で僕達に襲い掛かる。

 

「ふんっ」

 

 同時にジャマトに対して、大神さんはすぐに殴る。

 

 その拳の威力は凄まじく、簡単にジャマトを吹き飛ばす事はできた。

 

 しかし。

 

「未だに数はこれ程とは」

 

 一体倒しても、すぐに別のジャマトが現れる。

 

 まるでゴキブリやゾンビを思わせる奴らは、そのまま体育館になだれ込む。

 

 同時にその手に持つ武器で、僕達の命を刈り取ろうとする。

 

「ちぃっ!」

 

 だが、それもまた、大神さんの拳の前に倒れていく。

 

 それでも、ジャマトの数は一向に減らない。

 

 このままではまずいと誰もが思った時だ。

 

「きゃぁっ」

 

「舞園さん!!」

 

 ジャマトから逃げている途中の舞園さんが、倒れてしまう。

 

 その刃は、真っ直ぐと、舞園さんに襲い掛かろうとした。

 

 それによって、舞園さんは簡単に命が奪われてしまう。

 

「駄目だっ!!」

 

「苗木君!」

 

 僕はその時、既に身体が自然と動いていた。

 

 ジャマトから舞園さんを守るように、決死の体当たりだった。

 

 しかし、僕は大神さんのような力はなく、軽く吹き飛ばす程度だった。

 

「ピピぜゼラロチャ!」

 

「がぁ!」

 

 そのまま、僕はジャマトによって、大きく吹き飛ばされてしまった。

 

 体育館にある椅子が詰まれている場所に背中を強く打ち付ける。

 

「ぐっ」

 

 身体に痛みが走る。

 

 すぐにでも立ち上がらないと。

 

 そう思った時だった。

 

 僕の足下には箱が落ちていた。

 

 それも、先程の箱とは違うピンク色のクエスチョンマークだ。

 

「もしかしてっ」

 

 僕はすぐにその箱を開ける。

 

 それと共に箱の中にあったのはクナイの取っ手部分を模したレバーと十字手裏剣が特徴的な物だった。

 

「これって」

 

 それと共に思い出したのは、モノクマの言っていたバックル。

 

 まさかとは思ったが。

 

「使うしかないのか」

 

『SET』

 

 僕は自然と、そのバックルを腰にあるドライバーにセットする。

 

 

 

 同時に、ベルトから鳴り響く音声と共に、まるで身体が覚えているように、そのクナイに手を伸ばす。

 

「変身」

 

『NINJA! READY FIGHT』

 

 鳴り響く音声。

 

 それと共に、僕の身体が変わるのを、確かに感じた。

 

 見れば、どこか機械的な甲冑であり、両手には機械的な短刀。

 

「あれが、仮面ライダー」

 

 そう、僕の姿を見て、驚きを隠せない。

 

 だが、今は驚いている場合じゃない。

 

 僕はすぐにでも真っ直ぐとジャマトへと向かって走る。

 

「はぁ!!」

 

 まるで風になったように。

 

 これまで一般人だったはず。

 

 しかし、その動きはまるで忍者だった。

 

 変わらず、襲い掛かるジャマトに対して、僕は両手にある短刀で斬り裂く。

 

 数での有利は未だに覆らない。

 

 それでも、先程まで戦えなかった相手であるジャマトに対して優勢だった。

 

 さらには。

 

「よっと」

 

 僕の身体を煙で包み込むと共に、別の場所へと移動する。

 

「あれって、まるで忍者じゃないか!」

 

 そう、その言葉通り、僕は本当に忍者になったと思えるような能力が発動できた。

 

「なるほど、それがバックルの力という訳か」

 

 そうしている間にも、ジャマト達をなんとか撃破していく。

 

 すると。

 

 ジャマトの1体が、僕に向かって攻撃を仕掛けてきた。

 

 それを避けると同時に、煙玉を投げて距離を取る。

 

 だが、それはフェイントであった。

 

 ジャマトはそのまま煙の中に突っ込んでくると、そのまま腕を振り下ろしてくる。

 

 僕はそれをバックステップで回避するのだが、そこで何かがおかしい事に気づく。

 

「っ!」

 

 同時に、ジャマトの中でもボスだと思われる存在が攻撃を仕掛けてくる。

 

 それに対して、なんとか両手に持つ短刀と共に防ぐ。

 

 だが、思った以上に威力が強く、僕は吹き飛ばされる。

 

 そして地面に倒れ込む僕の方へと、ジャマト達が向かってきた。

 

 まずい! そう思って立ち上がろうとするも、身体中を激痛が襲う。

 

 先ほどの一撃が響いているのだ。

 

 このままではやられる……そう思いながらもどうにか動こうとする僕だったが。

 

『MAGNUM TACTICAL BLAST』

 

 聞こえてきた音、それと共にボスジャマトはそのまま消滅する。

 

「えっ?」

 

 疑問に思っている間にも、見つめた先にいたのは狐だった。

 

 僕とは違うバックルなのか、白いアーマーに狙撃銃を思わせる物を持っていた。

 

「助かったわ、苗木君。

 

 あなたのおかげで、バックルの使い方は分かったわ」

 

「その声って」

 

 同時に変身が解除する。

 

 そこにいたのは、霧切さんだった。

 

「あなたがバックルとは何か。

 

 その謎を解いてくれたおかげで、私もすぐに見つける事ができたわ」

 

「それは、良かった」

 

 同時に命の危機が去った事への安堵なのか、力が抜ける。

 

 それと同時だった。

 

「お疲れ様、いやぁ、まさか初戦から盛り上がるとは、なかなかだねぇ」

 

 同時に現れたのは、モノクマだった。

 

 僕はすぐにでもモノクマに問いかけたかったが、そんな僕を余所に話し始める。

 

「今回のゲームにて、寄宿舎が解放されたよ! 

 

 これで、ゆっくりと身体を休めると良いよ。

 

 ジャマトとの戦いはまだまだ続くからね。

 

 そして、見事、最後にボスジャマトを倒した霧切ちゃんにはじゃん! 

 

 このバックルをあげよう」

 

 そう、モノクマが取り出したのは、あの時の箱。

 

「これは」

 

「ミッションボックス。

 

 この中には、ゲームで役に立つバックルがあるよ。

 

 外れもあるけど、中には大当たりもあるから、積極的に手に入れると良いよ。

 

 そうしないと、優勝はできないからねぇ」

 

「優勝だって」

 

 その言葉に僕は思わず聞いてしまう。

 

「最初にも言ったでしょ。

 

 君達の中で、最も優秀な人は、どんな願いも叶えられる。

 

 どんな願いが来るのか、楽しみだねぇ」

 

 そうモノクマは言うが、それはとても不気味だった。




生き残り人数 残り15人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ


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生存Ⅰ

 僕は部屋に戻ってすぐにベッドに入る。

 

 そして考えるのはやはりあの事についてだった。

 

『……本当にあれが現実なのか』

 

 僕には分からない。

 

 夢のような出来事だけど、でも僕の手には確かにドライバーがあったし、そして戦った時に感じる痛みもあった。

 

「夢じゃないんだよなぁ」

 

 僕は呟く。

 

 あのジャマトとの戦いを終えた後、僕達はモノクマの言う寄宿舎へと入る。

 

 道中、ジャマトによって学園の設備の多くは破壊されてしまっていた。

 

 そして、そのまま僕達は今後の方針を軽く決めた後、疲労が溜まっていた事もあり、それぞれに用意された部屋へと向かう。

 

 非現実的な戦いを行った事もあってか、ベットへと寝転んだ僕に襲い掛かったのは、疲労感だった。

 

 疲れた。

 

 そんな事を考えている間にも、僕の意識は段々と薄れていく。

 

 このまま眠ってしまおうと思った時だ。

 

 部屋に入る前に、霧切さんとの会話。

 

「警戒して、あなたのバックルを狙っている人がいるわ」

 

「えっ、なんで」

 

 僕はその言葉に我が耳を疑った。

 

「今、この中でまともな戦闘手段があるのは私と苗木君。

 

 それ以外は大神さんは生身でも戦えるけど、他の皆はバックルなしではおそらく戦えない。

 

 ならば、身を守る手段を手に入れるならば」

 

「僕達の持つバックルを狙う」

 

 まさか、生き残る為に協力する仲間から狙われるかもしれない。

 

 その事に戦慄している間にも霧切さんは話を続ける。

 

「バックルは、自分の身を守る為に必要な物。

 

 だからこそ、何時、ジャマトに襲われるか分からない恐怖は計り知れないわ」

 

 それは、まさしく獣が何時、襲ってくるか分からない中で無防備な状態でいる事。

 

 だからこそ、彼らにとっては、その獣を倒す事ができるバックルを奪いたいはず。

 

「殺しても」

 

「そうすれば、邪魔にならないなから」

 

 それだけ言うと、霧切さんはすぐに別れる。

 

「警戒しなさい。貴方が思っている以上にこの学園は危険よ」

 

「分かってるって」

 

 僕も急いでその場から離れる。

 

「……でも、本当に危険なのかな?」

 

 僕は走りながら呟く。

 

 確かに、この状況は異常だ。

 

 しかし、それで本当に。

 

「とにかく、今は、寝よう」

 

 僕はそう言いながら、今は体力を回復する事だけを考えて、ベットへと沈むように寝る。

 

 だけど、僕はこの時、まだ甘かったのかもしれない。

 

 次の日。

 

 朝になって僕は目を覚ます。

 

 昨日の疲れもあってかよく眠れたようだ。そして、僕は朝食を食べるために食堂へと向かう。

 

 そこには既に何人も集まっていた。

 

 まるで取り囲むように。

 

「あれ、皆、どうしたの」

 

「苗木っこれ」

 

 その言葉と共に、僕はゆっくりと、それを見る。

 

「はっ」

 

 頭で、すぐに理解する事はできなかった。

 

 人が、死んでいる。

 

 その事をにわかに認識できない程、現場は酷いありさまだった。

 

 例えるなら、肉屋の屋台が転んで、売り物が全部ひっくり返ったようなありさま。

 

 おびただしい血の海と肉の山の中に人体のパーツが沈んでいるのが確認できる。

 

 そして、腰だと思われる箇所には生前身に付けていただろうドライバーと壊れたIDコア。それと共に無残に置かれていたのは、ミッションボックス。

 

 中身は既に抜かれており、空っぽな状態だった。

 

 しかし、それだけで、この場で何が起きたのかすぐに分かった。

 

「バックルを拾った、誰かが殺された」

 

 昨晩、霧切さんが言った言葉が事実になった。

 

「うぷっ……」

 

 吐き気を催すような光景に、僕は思わず口元を押さえる。その拍子に足下に転がっていたモノを見てしまった。

 

 それは、首だった。

 

 白目を剥いた首が転がっている。

 

 それが意味するところを理解して、また吐き気がこみ上げてくる。

 

 それと共に本当に意味で理解してしまった。

 

 僕達は、確かに戦っている。

 

 無差別に襲い掛かる怪物ジャマトと。

 

 自分の為だったら、平気で人を殺す正体の分からない仲間と。

 

 そんな非日常の中で、それでも生きようと必死になっているのだ。

 

「……」

 

 そして、その戦いはきっとまだ始まったばかりだ。




生き残り人数 残り15人→14人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ

死亡
???


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大きな穴と小さな穴

「そんな、一体誰が、こんな事を」

 

 その死体を前にして、僕達は呆然としている中で、霧切さんはそのまま死体に近づく。

 

 近くにはバックルが入っていたと思われるボックスがあり、大きな穴が開いていた。

 

 それと共に、死体となっている人物の頭を見つめる。

 

「死んでいるのは、どうやら彼女で間違いないようね」

 

「彼女?」

 

 その言葉と共に僕は疑問に首を傾げる。

 

 確かに、その死体の特徴を見ると、女性の物だと連想するのは幾つもあった。

 

 しかし、その髪型は、この場にいる誰にも該当しない。

 

 その事に僕が疑問に思っていると、霧切さんが口を開く。

 

「……彼女は江ノ島盾子よ」

 

「えっ!?」

 

 その名前を聞いて、思わず声を上げる。

 

「江ノ島さんって、なんで? 

 

 だって、彼女とは髪型が全然違うし」

 

 そう、彼女は髪型はボリュームのある金髪が特徴的だ。

 

 しかし、目の前にいる彼女は黒髪に肩まで伸びたストレートヘアーだった。

 

「彼女が、なぜ江ノ島さんの名前を使ったのは、今は分からないわ。

 

 問題は、この場の誰かが、彼女を殺して、彼女からバックルを奪ったのか。

 

 それが問題でしょ」

 

 その言葉と共に、その場にいた全員が互いに見つめ合う。

 

 恐怖と不安が、ゆっくりと浸透していき、全身を支配していく。

 

 未だに、僕達を襲うだろうジャマトが外側から襲う事にも。

 

 そして、信じるべき仲間のはずの彼らの中に、江ノ島さんを殺した殺人犯がいるかもしれない。

 

 その事に僕達は……怯えているのだ。

 

「おやおや、これはこれは面白い事になってきましたねぇ」

 

 そう言いながら、僕達の前に現れたのは陽気な声と共にモノクマが現れた。

 

「せっかくゲームが始まる前に、もうメンバーが一人減っているなんて、僕は悲しいなぁ」

 

 そう、わざとらしく言うモノクマ。

 

 確かに、こんな状況で、現れるなんて。

 

「そんな君達の戦いがいよいよ始まるよ! 

 

 まずは、校舎一階を占拠しているジャマトを倒しましょう!」

 

「こんな時に何をっ」

 

「僕は別に良いんだよ。

 

 けどね、早くしないと、ジャマトがこの寄宿舎まで押し込んでくるよ。

 

 その時に、バックルがない人は一体どうなるんだろうねぇ」

 

 その言葉と共に、皆は怯えは凄まじかった。

 

 現状、バックルを持っているのは、僕と霧切さん。

 

 そして、江ノ島さんからバックルを奪った誰か。

 

 このまま戦わなければ、この3人しか生き残れない。

 

 そう、脅すように他の皆を脅す。

 

「何を言うかと言えば。

 

 俺は始めから、戦うつもりだったぞ」

 

 そう、十神君は、ドライバーを腰に回す。

 

「俺は貴様らと仲間になったつもりはない。

 

 始めから一人でも生き残るつもりだった。

 

 だが、このまま野垂れ死にたいならば、そのまま固まっていろ」

 

 そう、十神君は皆に冷たく言い放つ。

 

「……ふんっ、強がりだな。

 

 だが、このまま舐められっぱなしで、死んでたまるかよ」

 

 大和田君もまた、ドライバーを腰に回す。

 

 その言葉を合図に、皆、それぞれ覚悟を決めるようにドライバーを回す。

 

「苗木君。

 

 あなたは前に出て、なるべくジャマトの相手を頼めるかしら。

 

 私は後方で、援護に徹するわ」

 

「お願いするよ。

 

 僕も、皆がバックルを見つけるまで、なんとか頑張るから」

 

 そう、霧切さんの意見に賛同するように頷く。

 

 それと共に、僕達はすぐに校舎へと入っていく。

 

 相変わらず、その校舎の中はジャマト達によって占拠されていた。

 

 しかし、今は臆病になっている場合じゃない。

 

「変身!』

 

『ENTRY』

 

 その音声と共に、僕と霧切さんを除く12人が変身する。

 

 そのほとんどが真っ黒のボディスーツ程度だった。

 

『MAGNUM』

 

 それに合わせるように霧切さんもまた姿を変わる。

 

 その姿は、他の皆とは違い、白いアーマーを身に纏い、その手には銃を持っていた。

 

『NINJA』

 

 同時に僕は緑のアーマーを身に纏い、両手には短刀を持つ。

 

 そして、ジャマトの集団が襲い掛かる。

 

「ここは僕が!」

 

 それと共に、僕はそのままジャマトの集団に突っ込む。

 

 他の皆がバックルを見つけるまで、時間稼ぎを行うように。

 

 そうして、僕は戦い始めた。

 

 まず最初に、向かってきたジャマトに対して僕は短刀で切りつける。

 

「はっ!!」

 

 しかし、それはあっさり避けられてしまう。

 

 僕の攻撃を避けたジャマトはそのまま拳を振り上げる。

 

 だが、それを足払いをするように、蹴り飛ばすことで回避した。

 

 その瞬間、ジャマトの身体に短刀を叩きこむ。

 

 それにより、ジャマトは倒される。

 

 やっぱり、ジャマトを簡単に倒す事ができる。

 

 すると、ジャマトが何か落とした。

 

 見ると、それはバックルの入ったボックスだ。

 

「もしかして」

 

 僕はすぐにその箱を拾い、開ける。

 

 見ると、そこに入ってたのは、バックルだ。

 

 ただし、それはニンジャに比べたら、小さい。

 

「おぉ、苗木っち、それって、バックルか!!」

 

「うん、僕は持っているから、葉隠君が使ってみて!!」

 

 すぐ近くに葉隠君が変身したと思われる猿を思わせる仮面ライダーがいたので、すぐに投げる。

 

「おぉ、感謝するぜ、それじゃさっそく!!」

 

 その言葉と共に、葉隠君はすぐにドライバーにバックルを装着する。

 

『SET! ARMED WATER! READY FIGHT』

 

「おぉ、あれ?」

 

 そう、変身した葉隠君だが、首を傾げる。

 

 見れば、僕や霧切さんとは違い、水色の胸当てがある程度だった。

 

 そして、その手には消防車のハシゴのような形状をした水色の水鉄砲だった。

 

「これは?」

 

「どうやら、バックルには当たり外れがあるようだな」

 

 そう、十神君は呆れたように言う。

 

 確かに、僕のと比べたら、かなり外れ感は凄まじい。

 

 けど

 

「それでも、何もないよりはマシだっ」

 

 僕はその言葉と共に走り出す。

 

 ジャマトを倒せば、そこからバックルを手に入れる可能性がある。

 

 それで、皆の助けになれる。

 

 僕はすぐにジャマトの集団の中へと突っ込む。

 

 ジャマト達はすぐに襲い掛かってくるが、ニンジャの力で素早く動く事ができる為、次々とジャマトを倒していく。

 

 しかし……

 

(数が多いな)

 

 倒しても倒しても増え続けるジャマトの数に少しだけ焦りを感じる。

 

 その最中。

 

『BEAT』

 

 鳴り響く音声と共に、聞こえてきた音楽。

 

 その方向を見ると、なんと舞園さんが変身したライダーの姿が見えた。

 

「それって」

 

「なんとか、見つける事できました。

 

 苗木君が渡してくれたボックスの中にありました!」

 

 そう、彼女は言いながら、その手にあるギターを操作する。

 

 すると、先程までの疲労が嘘のように消える。

 

「仲間の支援するバックルという訳か」

 

「これだったら!」

 

 その言葉と共に僕達の反撃が始まる。

 

 未だに迫るジャマト。

 

 だが、舞園さんの音楽のおかげで、僕達は負ける気がしなかった。

 

 そうして、やがて校舎の一階にいるジャマトを全滅させることに成功する。

 

「勝てた」

 

 その一言は誰が呟いたのか、分からない。

 

 しかし、その意味は確かに分かった。

 

 この場にいるジャマトを倒し、誰も犠牲者を出す事はなかった。

 

 その事に、僕達は安堵したのだ。

 

 けれど……。

 

 ──ドクンッ! 心臓が高鳴った。

 

 それは、一体なぜか分からない。

 

「おめでとう! 

 

 今回のMVPは舞園ちゃんだよ。

 

 君には、この記念の大型バックルをあげよう」

 

「大型?」

 

「ここで出た小型バックルとは違い、ゲーム的に言えばスーパーレアもしくは切り札であり、アタリ装備とも言える強力な性能を持つ。

 

 身に纏う装備は独自形状で、サイズも半身を覆う大掛かりな物だよ」

 

「つまりは苗木君達が使っているような奴という事ですか」

 

 その説明を聞きながら、僕はある事に気が付く。

 

 周りの皆は、全員が共通の装備を身に纏っている。

 

 それが、おそらくは小型バックルだろう。

 

 そして、僕は、先程までバックルが入っていたボックスの中を見る。

 

 そこには小型バックルがすっぽりと入る程度の小さな穴しかなかった。




生き残り人数 残り15人→14人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ
舞園さやか‐ナーゴ
葉隠康比呂‐モンキキ

死亡
江ノ島


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無情

「つまり、あなたもそれが分かったのね」

 

そう、寄宿舎へと帰ってきた霧切さんが僕に問いかける。

 

「あぁ、だけど、まだ偶然かもしれない」

 

僕は、まるで蜘蛛の糸に縋るように、霧切さんに言う。

 

だが、彼女から出てきたのは無情な一言だった。

 

「あなたも分かっているはずよ。

 

ここまでの情報で」

 

それは、既に変えられない事実に、僕は。

 

「何やら面白い話をしているな、お前達」

 

そう、僕達に問いかけるように、十神君が現れる。

 

「えぇ、それはぜひとも私にも」

 

それはセレスさんも同じだった。

 

「……」

 

そして霧切さんは何も言わずただじっと見つめてくるだけだったが、その瞳には先程までの無感情さは無く、強い意志を感じた。

 

そんな三人に対し、僕はどうしようかと考える。

 

この2人を味方に引き入れれば心強いだろうし、協力してくれるかもしれない。

 

けど。

 

「苗木君、覚悟を決めなさい。

 

これは、私達が生き残る為に、確実にしなければならない真実なのよ」

 

そう、彼女の言葉に、僕は頷く。

 

同時に僕は二人に、ここまで気づいた事を話す。

 

「ふむ、なるほど。

 

確かに、それを言われたら納得できるな。

 

それで、どうするんだ?」

 

「おそらくは犯人は欲が出ると思うわ。

 

だからこそ、私が囮になるわ」

 

「そんな、危険だよ」

 

そう僕は言うが、霧切さんは首を横に振る。

 

「リスクを踏まないと、真実は掴めない。

 

分かっているはずよ」

 

その言葉に、僕は。

 

「分かった。

 

けど、無理だけはしないで」

 

「分かっているわ」

 

その言葉と共に、僕達は作戦を実行した。

 

僕達と別れた霧切さんは、誰もいない食堂にて、一人でいる。

 

周りには誰もいず、わざと警戒しない様子。

 

その中で、人影がゆっくりと近づく。

 

手には凶器を持っており、ゆっくりと、じりじりと。

 

そして、その凶器は振り下ろされる――。

 

しかし、その凶器は届かなかった。

 

「っ!」

 

「もう、これ以上は止めるんだっ、舞園さんっ!」

 

そこには、既に仮面ライダーへと変身していた舞園さんが、その手に持つビートアックスで霧切さんに向けていた。

 

僕は、そのギリギリの所で、変身し、両手に持つニンジャデュアラーで受け止める。

 

「苗木君っなんでっ!」

 

「私が囮になったのよ。

 

あなたの事だから、こうして大型バックルを狙ってくると思ったのよ」

 

そう、霧切さんは呟く。

 

「なんで、私が犯人だって」

 

そう、舞園さんはゆっくりと僕達に語りかける。

 

「まずは江ノ島さんの死体。

 

バラバラになっている死体だけど、あそこまでするには、寄宿舎にある物では殺せないわ。

 

それを行えるのは、あなたの持つギター、いや斧ぐらいじゃないとできないわ」

 

「そんなの、苗木君だって」

 

「そうね、だけど、あなたはミスをしたわ」

 

「ミス」

 

そう、聞いてくる。

 

「あの1階で行われた戦いにおいて、バックルのほとんどが小型バックルしかない。

それは、あの時のモノクマの言葉が証拠よ」

 

『ここで出た小型バックル』

 

「そんなの、たまたま」

 

「あの時、わざわざモノクマがそう言ったのは、大型バックルが出ていなかった事を言っているわ。

それは、他の皆に確認したから間違いないわ。

だからこそ、バックルは間違いないわ」

 

「だっだとしても、私が、江ノ島さんが殺したバックルとは限らないわっ」

 

「あなたは、少し動揺して気づかなかったのかしら。

大型バックルの穴は、小型バックルとは違い、そのバックルの形に合わせているわ。

そして、江ノ島さんの近くにあったボックスの中にあったバックルの形は」

 

その言葉と共に、見せたのは江ノ島さんの近くにあったボックスだ。

 

そこには、舞園さんのバックルに合った形だった。

 

「舞園さん、なんで、江ノ島さんをっ」

 

「仕方なかったんです。

私は、どうしても生き残らないといけない。

だからっ」

 

そして、顔を覆う。

 

涙を流している。

 

それに、僕は。

 

「苗木君、構えなさい」

 

「えっ」

 

その言葉の意味が分かるのは次の瞬間。

 

食堂のドアが開き、締まった。

 

そこにいたのは

 

「くっ桑田君っ」

 

「わっ悪く思うなよ、苗木。

俺達が、生き残るには、多くのバックルが必要なんだよ」

 

『SET』

 

「だから、苗木君、霧切さん。

私達の為に」

 

『SET』

 

それと共に、ドライバーにバックルが装着される。

 

「「死んでください(死んでくれよ)、変身」」

 

『Beat&Zombie!READY FIGHT!』

 

舞園さんのベルトから音声が鳴り響くと同時に、その姿は変わる。

 

あの戦いの時に見たアイドルのような輝かしい姿と共に、その下に追加された装甲はまるで舞園さん自身の罪を思わせるように痛々しくも、凶悪な物だった。

 

『ARMED CHAIN ARRAY!READY FIGHT!』

 

同時に、桑田君もまた変身していた。

 

シロクマを思わせる仮面にトゲ付きの超重量鉄を持つ。

 

超高校級の野球選手の彼が持てば、それは小型バックルでも厄介だろう。

 

「なるほどな、まさか既に手を組んでいたとは」

「どちらにしても、これに乗らない訳にはいきませんね」

 

「なっ」

 

それと共に、食堂の隅で隠れていた十神君とセレスさんも現れる。

 

「まさか」

 

「この状況を想定していないとでも?

一応は取引での協定だけど」

 

「あぁ、舞園の持つ大型バックルを奪えるという条件でな」

 

『SET』

 

「そういう事ですわ。

数の有利で、攻めさせて貰いますわ」

 

『SET』

 

「「変身」」

 

『ARMED CLAW!READY FIGHT』

 

同時に十神君は、まるでライオンを思わせる仮面ライダーへと変身し、小型バックルとして、その両手には巨大な爪型の武器を装備する。

 

『ARMED SHIELD!READY FIGHT』

 

そして、セレスさんもまた、変身する。

 

ピンク色の羊を思わせる仮面ライダーであり、その手には身を守る為の盾を装備している。

 

「苗木君、戦わなければ、生き残れないわ」

 

『SET』

 

「分かっている」

 

『SET』

 

同時に僕も、霧切さんの言葉に従うように頷き、構える。

 

確かに戦わないといけない。

 

けど、これは殺す為の戦いじゃない。

 

彼女達を説得する為の戦い。

 

だから。

 

「「変身!」」

 

『NINJA!READY FIGHT』

『MAGNUM!READY FIGHT』

 

僕も、霧切さんも同時に変身する。

 

それと共に、僕達の戦いが、始まる。




生き残り人数 残り14人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ
舞園さやか‐ナーゴ
葉隠康比呂‐モンキキ
桑田怜恩-シロー
十神白夜-ライオー
セレス-メリー

死亡
江ノ島


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乱闘

4人と2人による戦い。

 

それは、本来ならば、数においては有利なはずだった。

 

しかし、それはあくまでも数だけである。

 

「はああぁぁぁ!!」

 

まず、仕掛けたのは桑田だった。

 

その手に持つ、人の頭はあるだろう大きさの鉄の鉄球。

 

それを真っ直ぐと、僕達に向けて、投げる。

 

超高校級の野球選手である彼が放たれるその鉄球は、とても早く鋭い。

 

チェーンアレイという武器の性質上、投げられる範囲はある程度は分かる。

 

なので、すぐにそこから離れれば良い。

 

だが、それを狙うように、舞園さんの両肩にある左右に配置されたスピーカーから放たれた音圧で食堂にある机を吹き飛ばす。

 

それによって、僕達はそれを避けるしかできない。

 

「まったく、厄介なバックルが向こう側にあるな」

 

「えぇ、まったく」

 

そう言いながら、セレスさんはその手にある盾で、十神君は両腕にある爪で攻撃を防ぐ。

 

僕はニンジャバックルの力で、身軽な動きで、それらを避ける事はでき、霧切さんはその手にある銃で撃ち落とす。

 

「本来ならば弾切れを心配したい所だが、奴のあれはチェーンアレイだからな。

すぐにその手元に戻る」

 

「さて、どうしましょうか」

 

「ならば、少し無茶をするしかないわね。

苗木君が」

 

「僕が!」

 

霧切さんの言葉に、僕は思わず言う。

 

「えぇ、これはある意味、あなたしかできないわ。

まずは桑田君をどうにかするしかないわ」

 

「それって、そうかっ」

 

その言葉と共に霧切さんは頷く。

 

「それじゃ、少しやるわ」

 

その言葉と共に霧切さんが、その手にある銃を真っ直ぐと舞園さんに向けて、銃口を向ける。

 

それと共に引き金を引き、銃弾が向かう。

 

「そんなのでっ!」

 

そう、舞園さんは、その攻撃を防ぐ。

 

それと共に、僕は真っ直ぐと桑田君の元へと向かう。

 

「そんな迂闊に近づけさせるかよ!!」

 

そう、鉄球が僕に向かって、襲い掛かる。

 

だけど

 

「あら、させるとでも」

 

そう、襲い掛かってきた鉄球は、セレスさんが投げた盾で相殺した。

 

同時にポンッと煙りと共に僕は姿を消す。

 

「なっ、姿を」

 

「よっ」

 

僕はそのまま桑田君の近くに来ると同時に、そのベルトにあるバックルを取る。

 

「お前、何時の間に!?」

 

「悪いけど、このまま大人しく「苗木、後ろだ!!」えっ」

 

『リボルブオン』

 

聞こえた十神君の言葉と共に、思わず振り向く。

 

そこには、左右と上下半身の装甲の位置を反転させる。

 

そして、舞園さんの手には巨大なチェンソーを持っており、それを真っ直ぐと僕に向けて、振り下ろそうとする。

 

「っ!」

 

僕はすぐに両手にある武器を合わせて、弧を描く両刃刀へと変え、受け止める。

 

「ぐっ」

 

二つの大型バックルが合わさったのか、その力は僕のよりも遙かに上だ。

 

僕はすぐにその場から避ける。

 

だが、その刃先は。

 

「あぽっ」

 

後ろにいた桑田君のベルトが、そのチェンソーに当たった。

 

それに驚いている間にも、吹き飛ばされた桑田君はそのまま壁に激突し、変身が解除される。

 

同時に桑田君のバックルに装填されているIDコアにヒビが入り

 

『RETIRE』

 

「なっなんだよ、これは、俺の身体がなんでっ」

 

そうしている間にも、桑田君の身体は消えた。

 

まるで、そこには始めから何もなかったように。

 

「残念ですね。

せっかく苗木君からバックルを頂こうと思いましたのに」

 

そう笑みを浮かべた舞園さんは、既に正気ではない。

 

「ちっ、雑魚が1人減っても、変わらないか」

 

「どうしますの」

 

そう考えている間にも、舞園さんはそのまま僕に攻撃を仕掛けていく。

 

重量感のあるチェンソーによる攻撃、そして下のアーマーから放たれる攻撃に、どうする事もできない。

 

何よりも、スペックの差が大きすぎる。

 

「このままじゃっ」

 

「苗木君、あなたに任せると私は言ったわ」

 

「霧切さん」

 

「だから、私の命も預けるわ」

 

その言葉と共に、何かが宙を飛んでいた。

 

それを見た僕は、すぐに空を跳ぶ。

 

そう、手に取る。

 

「借りるよ、霧切さん!!」

 

そう、彼女の持っていた大型バックルをベルトに装填する。

 

そして、操作を行う。

 

『DUAL ON!NINJA&MAGNUM!READY FIGHT』

 

その音声と共に、僕は新たな姿へと変わる。

 

この姿で、僕は、舞園さんを止めてみせる!




生き残り人数 残り14人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ
舞園さやか‐ナーゴ
葉隠康比呂‐モンキキ
十神白夜-ライオー
セレス-メリー

死亡
江ノ島
桑田怜恩-シロー


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RETIRE

 二つの大型バックルを身に付けた僕と舞園さんの戦いは、どちらが勝つか分からなかった。

 

 舞園さんの持つ紫色の大型バックルは、どうやらその力は凄まじく手に持った凶器であるチェンソーは軽く振るだけでも食堂にある机を簡単に削り取る程の威力を持っている。

 

 そして、もう一つの音楽を演奏する大型バックルは、目に見えない音の弾丸をこちらに向けて放ってくる。

 

 遠近において、隙のない攻撃。

 

 それに対して、僕がなんとか対応できるのは、霧切さんから渡されたマグナムレイズバックルのおかげだ。

 

 射撃武器を最大限に生かす機能のおかげか、常に敵の位置を把握する事が出来る事もあり、舞園さんの動きを正確に見る事ができる。

 

 同時に僕が持つニンジャレイズバックルは、他の大型バックルに比べても、高い機動力での行動が可能になっている。

 

 その為、舞園さんから放たれる攻撃を紙一重で避ける事ができる。

 

 だからこそ、彼女を傷つけずに無力化させるのが難しい。

 

「苗木の奴は何を躊躇している?」

 

 そう十神君の言葉が聞こえてくる。

 

 確かに、この状況で舞園さんを傷つける事なく、無力化させるのは難しい。

 

 それでも。

 

「諦めてたまるかっ」

 

 そう、僕は必死に走って行く。

 

 僕は確かに超高校級の幸運で、ただ希望ヶ峰学園の抽選で選ばれただけかもしれない。

 

 だけど。

 

 目の前のピンチに対して真っ向から受け止めて、片っ端からチャンスを幸運に変える。

 

 それしか、今の僕には進む道はない。

 

「無駄ですよ」

 

 そう、舞園さんのチェンソーが真っ直ぐと僕に襲い掛かる。

 

 その時、僕は後ろへと避ける。

 

 それと同時だった。

 

『リボルブオン』

 

 その音声が鳴り響くと共に、僕の身に纏っている装甲が変わる。

 

 先程までのニンジャのアーマーは下半身へと変わり、マグナムのアーマーは上半身になる。

 

「これは」

 

 入れ替わった事によって、驚きを隠せなかった。

 

 先程まで以上に素早く動く事ができ、手には霧切さんの銃があった。

 

「もしかしたら、これだったら!」

 

 同時に僕は走り出す。

 

 それは、まるで舞園さんを囲い込むように。

 

 そうして僕は、銃口を舞園さんに向けながら、ベルトにあるニンジャバックルをそのまま銃に装填する。

 

『NINJATACTICAL BLAST』

 

 同時に銃口の狙いは真っ直ぐと向けながら、引き金を引く。

 

 それと共に放たれた銃弾は真っ直ぐと舞園さんに向かって放たれる。

 

「そんな銃弾なんて」

 

 そうチェンソーで切り落とそうとする。

 

 だけど、その銃弾は、まるで意思を持つように、チェンソーからの攻撃を避ける。

 

 そして、そのまま舞園さんのベルトに装填されているバックルに当てる。

 

 当てられたバックルは、そのままベルトから外される。

 

「そんなっ」

 

 それによって、縦横無尽に暴れていた力を失った。

 

 僕はすぐにその大型バックルを霧切さん達の元に向けて投げる。

 

 それによって、舞園さんは完全に無力化する事はできた。

 

「霧切さん、これ」

 

 僕はすぐにマグナムレイズバックルを外し、彼女に渡す。

 

「ありがとう。

 

 それよりも、苗木君。

 

 今は」

 

「うん」

 

 戦いが終わり、僕はそのまま舞園さんの元へ行く。

 

 その顔は酷く絶望しており、顔を俯いていた。

 

「私を、殺すんですか」

 

「そんな事しないよ。

 

 僕は君を止める為に戦ったんだから」

 

「もぅ、2人も殺したんですよ。

 

 そんな私に……生きろって言うんですか?」

 

「ああ。

 

 君は死んじゃいけない人間だ。

 

 僕達の為に、そしてこれからの未来のためにね」

 

「これからの、未来……ですか?」

 

「そうだよ。

 

 僕達がこの学園を出る為には、皆の力が必要なんだ。

 

 だから」

 

 そう、僕は手を伸ばそうとした。

 

 これから、きっと。

 

 そう思った時だった。

 

『RETIRE』

 

「えっ」

 

 一瞬、聞こえた声。

 

 同時に、目の前にいた舞園さんの姿が消える。

 

「……えっ」

 

 その事に、僕は勿論、その場にいた全員が隠せなかった。

 

「いやぁ、凄かったよ、苗木君。

 

 まさか、あそこまで暴れていた舞園さんをここまで無力するとは。

 

 これ、サービスのボックスね」

 

 そう、まるでここまでの出来事を楽しむように見ていたモノクマが突然現れ、その手にある箱を渡してくる。

 

「どういう事なんだよ」

 

「あれ、そう言えば、話していなかった? 

 

 ライダー同士の戦いは基本的に禁止。

 

 負けた方は強制的にRETIREするんだよ」

 

「RETIREって、なんだよ、ゲームだとでも言うのかっ!」

 

 僕は思わず叫んでしまう。

 

 それに対して

 

「そうだけど、何か」

 

 モノクマは何事もないように言う。

 

「今、君達に起きているのは、まさに人間とジャマトの生存を賭けた戦い。

 

 同時に生き残る為のゲームだよ。

 

 最後に生き残るのは誰か、僕は楽しみで仕方ないよぉ」

 

「こいつっ」

 

 モノクマの笑い声を聞いて、僕は思わず、その手を振り上げようとした。

 

 だが、それを霧切さんが止めた。

 

「今は止めておきなさい。

 

 本気で彼女の仇を討ちたいなら」

 

 その言葉に、僕は、何も言えなかった。

 

「それで、聞きたい事があるのだけど」

 

「何かな?」

 

「あなたはRETIRE。

 

 それはどういう意味なのかしら?」

 

「あれ、それ、気になっちゃう?」

 

「わざわざ、そう言い方をするからね」

 

「うぷぷっ、まぁそうだね。

 

 それは、RETIREになってからのお楽しみという事にしてよね。

 

 まぁ、その時に知る事ができればね」




生き残り人数 残り13→12人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ
葉隠康比呂‐モンキキ
十神白夜-ライオー
セレス-メリー

死亡
江ノ島
桑田怜恩-シロー
舞園さやか‐ナーゴ

KGPルール
⑴学園側とジャマト側による生き残りゲーム。
⑵戦いは主に試合形式。それ以外での互いの戦闘は禁止。
⑶ライダー同士での戦闘は基本的に禁止。
負ければ、そのライダーは『RETIRE』となる。
⑷ライダー同士の戦いの勝者にはバックルが授与される。
授与されるバックルの力の強さはランダムである。
⑸ライダー同士が交流すれば、そのライダーに関するバックルが手に入る可能性がある。
それが手に入るのは、運次第。


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霧切-交流

 舞園さんと桑田君の二人が死んだ。

 

 その事は、すぐに他の皆にも知らせた。

 

 二人が死んだ事に対して、様々な反応を示す。

 

 そんな中で、僕は自分の部屋にいた。

 

「舞園さん、桑田君」

 

 二人の事を思い罪悪感は、僕の身体を蝕むように襲う。

 

 そんな最中、インターホンが鳴る。

 

 一体誰がと疑問に思っていると、その人物はそのまま部屋に入る。

 

「お邪魔するわ、苗木君」

 

「霧切さん」

 

「元気そうではないわね」

 

「まぁ、色々あってさ」

 

「そう……でも無理もないわよね。あなたは、自分が二人を殺した。

 

 そう思っているんでしょ」

 

「うん……」

 

 霧切さんの言う通りだ。

 

 あの戦いの最中、僕は二人を止めようとした。

 

 だけど、それは結局無意味だった。

 

「ライダー同士での戦闘は基本的に禁止。

 

 負ければ、そのライダーは『RETIRE』となる。

 

 どちらにしても、あの戦いが始まった時点で、どちらかしか生き残れなかった。

 

 あなたが、責任を負う必要はないわ」

 

「それでもっ結果的に僕が」

 

 そう、自分を殴るように、自分の膝に

 

「苗木君!」

 

 強く拳を叩きつけようとすると、霧切さんがそれを止めた。

 

 冷静に、呼び止める様に。

 

「自暴自棄になってはいけない。

 

 ここで自滅すれば、舞園さんも桑田君も浮かばれないわよ」

 

「……そうだね。ごめん」

 

「いいえ、私こそごめんなさい。

 

 そもそも、私が提案した事。

 

 まさか、こんなルールがあったなんてね」

 

「それこそ、霧切さんのせいじゃないよ。

 

 あの時の提案に乗ったのは、僕なんだ。

 

 これ以上、誰にも死んで欲しくないから」

 

「そうね、あなたはそういう人だから」

 

「どういう意味?」

 

「そのままの意味よ。

 

 あなたは誰かの為に、自分の命を投げ出せる人間なのよ。

 

 だからこそ、あなたは決して死ぬのを諦めないで欲しい」

 

「そう、だね」

 

 霧切さんの言葉を噛み締める様にして、答える。

 

 これ以上、誰も犠牲にならない為にも、僕達は、戦わないといけない。

 

「ありがとう霧切さん。少し楽になったよ」

 

「どういたしまして。じゃあ私は行くけど、また何かあったら相談に乗るわ」

 

「うん、本当に助かるよ」

 

「……」

 

 すると、僕達の元に何かが降る。

 

 見てみると、そこにはボックスがあった。

 

 それが何を意味するのか。

 

 僕達は覚悟を決めるように、ゆっくりと開ける。

 

 そこにあったのは。

 

「これは、マグナムレイズバックル」

 

「こっちはニンジャレイズバックルね」

 

 それは、それぞれが僕達の持っているバックルと同じ物。

 

「なんで」

 

「そうね、たぶん、ここに書いてあるルールね。

 

 まさか、そういう意味だとは」

 

「ルール?」

 

 疑問に思った僕に霧切さんがそれを見せてくれた。

 

「ライダー同士が交流すれば、そのライダーに関するバックルが手に入る可能性がある。

 

 それが手に入るのは、運次第か」

 

 未だに分からない事がある。

 

 これで分かった事がある。

 

 もしも、ジャマト達との戦いに必要なのはライダー同士の戦いじゃない。

 

 ライダー同士の絆。

 

 それが僕達に必要な力だから。

 

 そう、僕は信じたい。



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覚悟

舞園さん達が死んだ。

 

だけど、僕達の戦いは未だに終わっていない。

 

残された僕達の戦いは、終わっていないから。

 

それと共に、僕達が案内されたのは、校舎2階。

 

未だに、脱出する手段はなく、そこにも大量のジャマトが存在した。

 

「このエリアには2体のボスジャマトがいるよ。

そのボスジャマトを倒せば、レアなバックルが手に入る可能性は高いから、張り切って、戦えば良いと思うよぉ」

 

その言葉から考えても、モノクマは互いに蹴落とし合うように仕向けているのは分かっていた。

 

「ならば、それは、俺が手に入れないとな」

 

そう言った十神君が取り出したのは、ゾンビレイズバックル。

 

舞園さんが使っていたバックルだ。

 

それに、思わず僕は苦い顔をしてしまうが、それでも戦いは始まる。

 

「さくらちゃん!

私達も頑張ろう!」

 

「あぁ、勿論だ」

 

それとは裏腹に、朝日奈さんと大神さんもまた構えていた。

 

その手には大型バックルがあるようだが。

 

「それは」

 

「この前、さくらちゃんと一緒にお茶をしていたら、出てきたんだ」

 

「ルールでも記載されていた交流があれば、バックルが手に入る。

まさか、こういう形だとは、思わなかったがな」

 

「そうだったんだ」

 

その事に、僕は思わず笑みを浮かべる。

 

僕と霧切さん以外にも、友情を育んでいる。

 

それを聞けただけでも、今は戦える気がした。

 

「苗木君、行くわよ」

 

「うん」

 

それと共に、僕達はベルトを腰に回す。

 

『SET』

 

それと共に、各々のバックルを装填し、構える。

 

「変身!」

 

『DUAL ON!NINJA&MAGNUM!READY FIGHT』

 

その音声と共に、僕は舞園さんとの戦いでなった新たな姿へと変わる。

 

そして、霧切さんは、それとは正反対の上半身は白、下半身は緑の姿になる。

 

そして、僕達以外も次々と変身する。

 

『SUBMARINE!READY FIGHT』

 

朝日奈さんが変身したのは、イルカの仮面が特徴的なライダーだった。

 

超高校級の水泳選手にはぴったりと言うべきか、まるで潜水艦を思わせるアーマーを身に纏い、潜水艦のスクリューに似たグローブで両手に装備している。

 

『DEPLOYED POWERED SYSTEM』

 

大神さんの姿はまるで猪を思わせる仮面に、上半身は僕達に比べてもかなり大型のアーマーだった。

 

僕達とは違い、巨大な体格の大神さんに合わせて、作られたようなそのアーマーを真っ直ぐと構える。

 

そして、それ以外にも、十神君はゾンビに、セレスさんはビートへと変わる。

 

「それじゃ、戦いの始まりだねぇ!!」

 

まるで、その状況を楽しむような、モノクマの合図と共にジャマト達が襲い掛かる。

 

「苗木君、まずは梅雨払いよ」

 

「分かった」

 

霧切さんの声に合わせるように走り出す。

 

忍者を思わせる動きと、銃による牽制。

 

それで、僕達は互いに動きながら、他の皆を守るように動く。

 

「ふんっ!」

 

それと共に大神さんは、地面を叩く。

 

それと共に次々と道が作られ、巨大な壁がジャマトの侵攻を阻む。

 

「よっと、とう!!」

 

そして、意図的に作られた隙間を、まるで泳ぐように朝日奈さんが攻撃を仕掛ける。

 

「大神さんも、朝日奈さんも凄い」

 

「この空間は我が戦うには少し不向きだからな。

ここはサポートに徹して貰う」

 

「ありがとう」

 

少しでも戦いやすい空間を作ってくれる大神さんには感謝しかない。

 

そう考えていると。

 

「なっなんじゃ、こいつはっ」

 

聞こえた声、見ると、そこにはこれまでに見た事のない巨大なジャマトがいた。

 

それが、大和田君が変身していると思われるライダーに襲い掛かる。

 

そのジャマトの特徴は一言で言えば、本だった。

 

巨大な無数の本を操りながら、襲い掛かる。

 

「ぐっ、大切な勉強道具を、そんな事を」

 

「そんな事を言っている場合か!!」

 

その事に、少し的外れな事を言う石丸君。

 

そう言いながら、襲い掛かってくる本の攻撃に対して、二人共、その手に持つ武器で防御していく。

 

「君は後ろに下がりたまえ!

ここは僕は!」

 

「優等生は黙っていろ!

ここでやらないと、男が廃るんだよ!!」

 

「二人共!」

 

この状況になって、まさに相性が悪い2人が言い争う。

 

このままじゃ。

 

そう考えていると。

 

「えっうわぁ!!」

 

「「なっ!!」」

 

聞こえた声、見ると、そこには不二咲が変身しているライダーが倒れる。

 

それに気づいた大和田君と石丸君が気がつく。

 

それは、ジャマトも一緒だった。

 

ジャマトは、まるでチャンスだと言わんばかりに、何百という本を真っ直ぐと不二咲さんに襲い掛かろうとする。

 

「「やらせるかぁ!!!」」

 

それに対して、2人はすぐに走り出す。

 

同時に、不二咲さんを守るように、2人はその身を盾にんる。

 

「二人共っ」

 

「おい、気合いを入れろよ!!こんな奴に、負けるつもりはないぞ!!」

 

「君こそ!こんな卑怯な攻撃に、負けるつもりはないだろ!!」

 

そう、不二咲さんを守るように、互いに叫びながら、迫る攻撃を防ぐ。

 

その怒濤の攻撃に対して、2人は互いに支えながら、防ぐ。

 

「舞園さんっ、力を貸してくれ」

 

それと共に、僕はあるバックルを取り出す。

 

それは舞園さんがRETIREした事で手に入れたバックル。

 

そのバックルはまるで赤いバイクのハンドルレバーのようなバックルだ。

 

『SET!DUAL ON!NINJA & BOOST!READY FIGHT』

 

鳴り響く音声と共に、僕の下のアーマーは赤いバイクに、銀色のマフラーを模したパーツが伸びている。

 

それと共に、湧き上がる力は信じられない程に上がっている。

 

「今度こそ、救ってみせる!!」

 

それと共に、僕は真っ直ぐと巨大ジャマトに向かって行く。




生き残り人数 残り13→12人

現在判明しているライダー
苗木誠-タイクーン
霧切響子-ギーツ
葉隠康比呂‐モンキキ
十神白夜-ライオー
セレス-メリー
朝日奈葵-オッタ
大神さくら-ボア
大和田 紋土-バッファ
石丸清多夏-アヌビ
不二咲千尋-ラット

死亡
江ノ島
桑田怜恩-シロー
舞園さやか‐ナーゴ


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BOOST

 ニンジャブースト。

 

 そうベルトから鳴り響いた音と共に確かに感じたのは、これまでにない力。

 

「これが、ブーストレイズバックルの力」

 

 これまでのどのバックルよりも強い力を感じる。

 

 だけど、ここまでの規格外の力には何かある。

 

 そう疑問を感じるが、今は目の前にいる巨大ジャマトを倒す方が先決だ。

 

「行くぞ!」

 

 僕はその言葉と共に、真っ直ぐと走り出す。

 

 すると、僕の足に装着されているバイクのマフラーを思わせるパーツから炎が吹く。

 

 それと共に、これまでにないスピードで動く事ができた。

 

「っ!」

 

 ジャマトはすぐに僕の存在を危険だと感じたのか、他の皆への攻撃を止め、すぐに本をこちらに向けて放ってくる。

 

 弾幕のような本の嵐に対して、僕は両手にあるニンジャデュアラーを振るう。

 

 そして、まるで居合のように本を全て斬り裂く。

 

 凄い! これまでとは段違いなほどに速く動ける。

 

 それに、何より斬った感触が違う。

 

 このニンジャデュアラーはこれまでも頑丈だったけど、今の一撃はその比じゃないくらいに硬い。

 

「ジャジャジャ!!」

 

 そんな声と共に巨大な本が浮かび上がり、こちらに向かってくる。

 

 だが、それらは元々のニンジャの力を応用し、煙と共にその攻撃を避ける。

 

「これは、いけるかも」

 

 忍者で変幻自在に場所を変えながら、ブーストによる加速。そして、強化されたニンジャデュアラー。

 

 これなら、あのジャマトにも対抗できるかもしれない。

 

 再び大量の本が飛んでくる。

 

 

 

 僕はそれを冷静に見極めると、その全てを斬り捨てる。

 

 同時に巨大ジャマトを間近まで接近する。

 

「ジャ?」

 

 さすがにこれだけ近ければ大丈夫だろうと油断しているのだろう。

 

 僕はその隙を逃さず、一気に距離を詰めて、ニンジャデュアラーを振り上げる。

 

「ジャッ!?」

 

 ジャマトは慌てて回避しようとするが、遅い。

 

 そのまま振り下ろした刃によって切り裂かれる。

 

「よしっ!」

 

 確かな手応えを感じた瞬間、ジャマトの身体をすぐに斬り刻むように振るう。

 

 それにより、ジャマトの身体には無数の傷ができる。

 

 そこからは植物特有の匂いが漂ってきた。

 

 間違いなく、血ではない。

 

 だけど、このまま攻撃を続けて行けば倒せるはずだ。

 

 そう思い、僕は更に攻撃を仕掛けようとした時だった。

 

 ジャマトの腕から蔦が伸びてくる。

 

 それは瞬く間に僕の腕や脚へと巻き付く。

 

 しまったと思った時にはもう遅かった。

 

 ジャマトはそのまま力任せに僕を投げ飛ばしてきたのだ。

 

 僕は為す術もなく飛ばされていく。

 

 だけど。

 

「諦めれないからっ!」

 

 僕は柱を足場にするようにして着地すると、即座に体勢を整える。

 

 それと同時にジャマトの方を見る。

 

 ジャマトは既に次の行動に移っていた。

 

 本のページを破り、周囲にばら撒くと、それが触手のように動き出したのだ。

 

 それらはまるで意思を持っているかのように襲い掛かってくる。

 

『BOOST TIME! NINJA BOOST! GRAND VICTORY』

 

 僕はベルトにあるニンジャバックルのクナイを引いてから押し込み直し、ブーストレイズバックルのハンドルを続けて2回捻る。

 

 それと共にブーストタイムという音声が鳴り響き、さらにもう1度捻ることで発動。

 

「はああぁぁ!!」

 

 そして、柱を足場にして、真っ直ぐとブーストのマフラーで加速しながら、右足に炎と風のエネルギーを纏って巨大ジャマトに向けて、飛び蹴りを放つ。

 

 それを喰らった巨大ジャマトは大きく吹き飛ぶ。

 

 植物の身体は、まるでその炎を浴びて燃やされるように溶けていた。

 

 それが決め手となったのか、巨大ジャマトは爆発を起こす。

 

 その衝撃により、僕は地面に落下する。

 

 しかし、地面に当たる前にブースターを発動させて減速し、両足から着地をする。

 

「ふぅ」

 

 そうして、ようやく戦いが終わった事に落ち着く。

 

「凄いじゃない、そのレイズバックル」

 

「うん、本当に」

 

 そう朝日奈さんが話しかけてきた。

 

 すると、何やらブーストレイズバックルの様子が変だった。

 

「あれ、うわぁ!?」

 

「えぇ!!」

 

 それと共にブーストレイズバックルはカウルから炎と煙を吹き出しながらドライバーから離脱し、どこかへ飛び去ってしまう。

 

 それはまるで不安定なミサイルのように猛スピードかつ不規則な軌道で飛んでいく。

 

「一体、あれは」

 

「スペックを見ても、どうやら一番の当たり枠だろうな。

 

 なるほど、今後はあれを狙うとするか」

 

 そう十神君は笑みを浮かべる。

 

「おめでとう! 

 

 これが、巨大ジャマトを倒した商品だよぉ!」

 

 それに合わせるように、モノクマが取り出したのはバックルだった。

 

 そのバックルの中にあったのは。

 

「これは?」

 

 そこにあったのは、黄金に輝くバックルだった。

 

 全体として光や星をあしらったスロットマシンの様な見た目をしている。

 

「これは?」

 

「ふふっ、何が出るか、お楽しみ! 

 

 フィーバーレイズバックルだよぉ」

 

「これはまた、これまでのバックルとは違うわね」

 

「とにかく、ここにはもう一体の巨大ジャマトがいるはず」

 

「だけど、このまま戦っても勝てるかどうか」

 

「そうね、一旦、寄宿舎に戻りましょう。

 

 それに、ジャマトの侵攻もこれ以上は来そうにないわね」

 

「そうだね」

 

 その言葉と共に僕達は、そのまますぐに離れた。

 

 次の戦いに備えて。



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決闘

校舎2階での戦いから、僕達は次の戦いに備えていた。

 

あの戦いでも、分かっている限りでも、大型ジャマトの強さは異常だ。

 

今回の戦いにおいて、なんとかブーストレイズバックルを使った事で、勝つ事はできたが、それも次にも活かせるかどうかも分からない。

 

何よりも、ブーストレイズバックルは、あの戦いの後、どこかへと消えていった。

 

だから、次の戦いでも使えるか、どうか分からない以上、僕達が勝つには、互いの強力が不可欠だ。

 

そう考えているのだが。

 

「ちょっと、2人共、こんな所で何をしているのっ」

 

そう、目の前で、まさに仮面ライダーに変身している大和田君と石丸君が向き合っている。

 

「止めるな、苗木君、これは、男同士の戦いだ」

「あぁ、悪いがこれだけは避けられないからな」

 

前回の戦いでも、分かっていた事だが、この二人の仲はかなり悪い。

 

不二咲さんを助けた時には、かなり息の合った戦いをすると思ったが、今はまさに一発触発の雰囲気で、睨み合っていた。

 

「心配するな。お前達が心配するような事はしない」

「その通りだ、あくまでも僕達が納得する形での決闘。

そして、互いに決して傷つけない方法、つまりは!」

 

それと共に取り出したのは小型バックル。

 

それをそのままデザイアドライバーに装填する。

 

「「変身!」」『ARMEDWATER!』

 

鳴り響く音声と共に、彼らが手に持っているのは水鉄砲だ。

 

それを一体、何を。

 

「我慢比べだ!

どっちが、先に吹き飛ばされるかな!」

「勝負、開始だぁ!」

 

その叫び声と同時に、その手に持った水鉄砲を、真っ直ぐと放つ。

 

凄まじい水流が、互いにぶつかり合う。

 

これだったら、確かに傷つける事はないけど。

 

「えぇっと、どうしたらって、あれぇ!?」

 

振り返ると、不二咲さん以外のほとんどのメンバーが、そこにはいなかった。

 

「ほっ他の皆は?」

「えっと、その、なんだか付き合いきれないと言って、出て行っちゃた」

「えぇ」

 

その言葉に対して、僕は思わずため息を吐いてしまう。

 

正直に言うと、僕もすぐにこの場から離れたかったが、そういう雰囲気ではなかった。

 

そうして、見てみると、互いに最初から最大出力で、水を放ち続ける。

 

「「ぐぬぬぬぬぅぅ!!!」」

 

互いに意地を張り合う様に、決して、その手から水鉄砲を離さない。

 

「俺はなぁ、負ける訳にはいかないんだよ!男の約束を守る為になぁ!」

「男の約束だと!」

「そうだ、俺は兄貴との約束を守る為になぁ!」

「お兄さんかっ」

 

その言葉に対して、石丸君も反応する。

 

「僕もまた、負けられない!努力が、天才に勝つ事を証明する為に!」

「互いに意地があるようだな。良いじゃないか!」

「君もなぁ、だけど」

「あぁ」

 

それと共に、デザイアドライバーにあるウォーターに手を伸ばす。

 

「「負けてられない!!」」『『WATER STRIKE』』

 

その音声が鳴り響くと同時に、先程以上の水圧が互いにぶつかり合う。

 

そして、それは同時に二人が大きく吹き飛ばされた。

 

「戦いの決着は」

 

そう、僕は思わず見つめる。

 

「へへっ、なかなかに根性があるじゃないかよぉ」

「君もな」

 

そう互いに認め合うように、立ち上がる。

 

「君は、お兄さんを大事にしているんだな」

「あぁ、俺と兄貴の二人で造り上げたチーム。

努力の結晶に恥じない為にな」

「努力の結晶か。

君の言葉も理解できる」

「俺もな、お前の努力に対する姿勢、嫌いじゃないぜ」

 

そう、あの戦いを通して、確かな友情を育んだ。

 

そう見える。

 

「石丸、俺と兄弟になってくれないか」

「兄弟?」

「そうだ、てめぇのその熱意、兄貴を思い出させる。

そんなてめぇと一緒に歩めば、何か見える気がしてな」

「兄弟か。僕には、兄も弟も以内から、どういうのか分からない。

だが、この心から感じる感情が、信頼で、兄弟だと言えるんだったら」

 

そう、石丸君もまた大和田君に近づく。

 

「よろしく頼む、兄弟!」

「あぁ、勿論だ!

 

そう言った二人には、確かな信頼があった気がする。




『もしも出来たらやってみたいV3編』

これは、全てが理想で出来た、嘘の世界。

その世界で、僕達は、まさに理想の自分になり、理想の仮面ライダーになれた。

そして、この戦いも、また理想の戦い。

「だけど、僕は、否定する」『ZIIN SET』

理想を否定する為に、僕は、戦う。

「変身」『LASER ON!ZIIN LOADING!READY FIGHT』

ニューダンガンロンパV3✕仮面ライダーギーツ


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