なぜお前はいつもそうなのだ!!バーヴァンシー!!(パチモン) (ジンジャエール)
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本編前
なぜお前はいつも…


欲望が抑えられなかったZ…


寝室で寝ていたらそこは知らない天井もとい空だった──

なんともありきたりすぎる冒頭。それをまさか自分が言う羽目になるとは夢にも思わなかったことだろう。

「知らねぇ空だ…つか天井でもねぇな」

周りを見渡すと周りは森の中森のプーさんでも出てきそうな感じの

あ、これバズビーとユーゴの過去編で出てきた森じゃね?。

スゥゥゥ…転生物でよくある展開デスネ!!!ヤダッ!!!!

落ち着こう…この作風…この感じ。間違いないBLEACHだ。

説明しよう。BLEACHとは某子供も大人も読んでる超大人気なジャンプに掲載されていた国民的にほぼ知らない奴は居ない読んだことなくても名前だけなら聞いた事があるぞ!!ってくらい人気作品だ。

ひょんなことから死神である朽木ルキアと出会いなんやかんやありながら死神代行となり、すごい強敵、最終局面ではやーい!お前の父親ユーハバッハ!!な一護くんの心温まる絶望顔は曇らせマニアの方達からするとご褒美と言えるほど主人公の一護くんのお顔が大変素晴らしいのだ…え、ここは喜ぶところではと思ったそこのきみぃ?君だよ推奨画面で寝ながら片手間で指をスライドさせてる。今時の漫画は簡単には最強にさせてくれないし。あ、俺何かやっちゃいました?笑なんてする前にクソほど厳しい状況に置かれるんですよ!!!

あ、そうそうそれからなんで私が君たちに話しかけられているのか疑問に思ったことだろう。

なぜかというと私は画面の前のお友達に語りかけることができる系オリ主だからだよ!!今うわ、こいつデッドプールのぱくりじゃんきっしょって思ったね?その通りだからあえて何も言わないよ!!!あーあー!これ起きたらベッドの中とかに何ねぇかなー!!

 

つかなんだよこのぼろっちい服。しかも体も縮んで…。

お、俺の剣ガァァァァァッッッッふざけるなッッふざけるなッッふざけるなッッ馬鹿野郎ッッッッッッな、なんでこんな、惨いことができるんだよ…俺の相棒をよくも…ゆるさねぇ…。

TS転生なんてクソだ!!!!はい、俺の王道主人公ルート閉店でぇす!!!味方ポジですら死亡確率高いのに敵側とか死んだなァァァァwwwあーあこれが死神サイドなら女でも満帆の笑みでるんるんしながらヒャッホゥ!!!って言っていられたのに…俺っちかわいそす…

 

 

…いや、まてしかしこれはチャンスなのでは?

〝俺には夢がある〟

それはバーヴァン・シー風少女にユーハバッハパイセンがなぜお前はいつもそうなのだバーヴァンシー!!と言わせるだけの夢小説を書くことである。

生前ではこんなに文字数かけねぇぇ!!(涙)としているだけで成し遂げられなかった夢を!!今!!叶えられるの気がするのだ!!。

まぁ気がするだけだが。

容姿は違うがそこは別にいい。

中身は俺だが別に構うものか。

重要なのはいかに陛下が俺をバーヴァンシーとして見るか否かである。

陛下はガチモンの本誌のメスガキ()を知らない。

つまり俺は陛下にとってのバーヴァンシーになるわけである。

意味がわからないって?それはそのはずわからなくて結構。

お前は精々指で画面をスライドさせるがいい!!!!

ユーハバッハ夢の楽園がそこにあるのだ!!!

 

ふぅ…まずは私は夢小説でよくある水辺で自分の顔を確認クエストを終わらせて…うわァァァァァァァァ女ぁぁァァァァァァァァ

やだよぉ…もう無理現実逃避しよ。

 

 

 

 

 

 

 

──数時間と一日経過

 

 

「ははははははッ」

ついに、やったぞ!!!!ついに!!ついに!!顔を確認できた!!!!。

なんだそれだけかよっておもったそこのお前?よく考えろ性別が変わってるんだぞ。

普通怖いだろお前やったー!!美少女だ!!!とか言ってる奴は人間性と倫理観母体に置いてきた可哀想な人だ。いいな?慣れればいいけど数時間じゃ人は慣れねぇんだよわかりたまえよ。

…それはそうと!!これやばくない?!!!!びっくりするくらいバーヴァンシーじゃなかった!!!!ちょっと前にさ…容姿は気にしないって言ったけどちょっとね?ちょぉとだけ期待はしてたんだよ…そしたらこれよ長い銀髪に青い瞳…うわァァァァァァァァ!!!!!これだ、大丈夫だよな?!!。本当に大丈夫なんだよな???お、オルタ化したバーヴァンシーってことでここは…カラーリング地味に違う?ウルセェ!!あ、ちなみにうちはよくある原作始まる前に修行とか霊圧だのなんだののアレやりません!!!俺の目的は何故お前はいつもそうなのだ!バーヴァンシーと陛下に言わせる事なので!!!本物のバーヴァンシー的に後継ポジは獲得したいけど…本物のバーヴァンシーさんも妖精スペックとモルガン陛下のギフトで妖精騎士に着任してたじゃないですか。任命されてからは流石に少しは手ほどきされていたと思いますが

俺はなんであんな小娘が…みたいなのしたいから!!実力つけたらできないじゃないですか。そしてポテトくんとの差で焦って突撃して泣いて帰ってきて部屋に閉じ込められるまでやりたいんですよね。

流石に失意の庭はここにはないしガバで申し訳ないんですけど。

 

そしてモルガン陛下よろしく陛下を曇らせ曇らせ愉悦部もにっこりのお前心像風景の具現化でダーリントン殺戮劇場でも具現化させたのかと聞きかえされる並のストーリーを作り上げること!!!!!ベリルポジと妖精共は最悪なしでも俺の演技力でどうにかするとして…。

取り敢えず可哀想な目に遭うためにどうすればいい…か…そんな妖精みたいな倫理観のやつ簡単に生まれないし。

まぁ最後は取り敢えずユーハバッハを庇って一護に刺されますか!!!

よぉし!!俺っち頑張るゾォ!!!。

おっといけね女体になったら一人称を変えるイベントも忘れてたぜ★

お父さん!お母さん!!息子は娘になってしまいましたが私は元気です!!!最後に愉悦部をして死ねるようにそこから見守っていてくださいね?ふふふふ…待っていろユーハバッハッ!!お前を曇らせて失意の底に落とす女が現れるまで!!そこでまっているがいい!!

 

取り敢えず適当な村でいい子にみんなに愛されるバーヴァンシーを目指そう!!!愉悦マスターに!私は!なる!!!

 

 

やっぱりあの冷徹陛下を曇らせるには幼少期から教育したほうがいいよな…

 

 

 

 

 

 

過去編のユーハバッハどのあたりでユーハバッハ名乗り出したのかわかんねぇけどたしか少年あたりだったよな?

 

 

 

 




ガバガバになる予感…
自称バーヴァンシー「うわァァァァァァァァ…力が湧き上がる!!いつのまにか血飲ませたんですか!!陛下!!」

You is Bach「なにそれ知らん…怖」



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なぜお前はいつも…2

バイトやだァァァァ


やぁやぁ皆んなげんきぃ?

私だよ私皆んな大好きバーヴァンシー(偽)ちゃんだよ!!!!

いやぁあの後色々あってね適当に村を見繕って取り敢えず村人が発見しやすいところで気絶するふりして寝てたら保護されたよ!!

計画通りッ!!いく宛ないって行ったら納屋に住まわせてくれることに!嬉しいなぁ!!!。お前らを私が立派な妖精にしてやるからよ…覚悟してな… 。しかし私もそこまで妖精のような働きを彼らに期待しているわけではない。精々私を使い潰してくれさえすればいいんだぜ…。

重要なのは使い潰されボロボロになった過去があればいいんだよ!!

それはそうとここいいところだよね…最近雨も降らないし家畜がどんどん死んでやばいんだってさ…これはあたりっすね…いやぁ幸先がいいなぁ!!私は取り敢えずユーハバッハパイセンが生まれるまでいい子にしてるぜ

よくよく考えたら赤子の時から魂分け与えたりしてたから三重苦を克服したわけだしそれっぽい赤子の情報来たら世話係としてそっちに行って〝再教育〟でもしようかと考えてる。

本物バーヴァンシーさんも旧ダートリンの端女ってストーリーで言われてたしね!!少年時代から会おうとしても既に色々手遅れになる可能性もあるので赤子から教育していきましょう。聖別で生き返らせてもらえる可能性もありますがこの頃の陛下はまだそれらしい能力はあっても聖文字は確かこれよりもっと後だった気がするので!。

ただそこで死んでる女と赤子の時から世話をしてくれていた女が死ぬではだいぶ違いますからね!!これが英才教育かぁ…。

不思議な力を持った大事にされている赤子にいきなりやってきた女を世話係になんてさせてもらえるわけねぇだろ!と思う方もいるでしょう

よく考えてくださいユーハバッハさんは触れたものに自分の魂の一部を分け与える代わりに対象者が短命になるというデメリットがあります

本人にその気がなくてももし触ってしまったら…そう考えるてしまうのではないでしょうか。そうそこで私の出番!!望んでいる人なら別に短命のリスクも背負えるでしょうが触れるだけなら別に望んでいなくても魂を分け与えられて寿命が短くなったなんてこともあり得るかもしれません。しかし世話係として行くにしても身元の確認はされられるでしょうしその他のことは村の方にしてもらいましょう。

助けてもらった恩を返したいから出稼ぎに行きたいといえば多分行かせてくれるでしょう。それになんて言ったてユーハバッハさんは赤子の時から意識があったことが明言されてますし!!。

いい感じのことを呟いていきながら頑張りたいっすね!。

 

「バーヴァンシー!…病み上がりで悪いけどちょっと手伝ってくれない?井戸から水を汲むだけでいいだけど」

 

 

「はい、わかりました!針仕事が終わったらすぐにそちらに行きますね?」

 

こんな感じでどんどん仕事をもらっていきましょう。この後同じようなことが立て続けにおきて徹夜で全部終わらせました!くまもできていい感じになってきましたね!!いやぁ楽しいなぁ!!!そりゃあこんな時期に行き倒れた少女なんて邪魔でしかないですからね!せめて働いてもらわないとって思いますよね?食糧難で食い口も少ないのに少なからず私のことを疎ましく思っているはずです。まぁ貰ってる食料も雀の涙ほどですが。ですがこれだとまだぬるい…皆さんもそう思っていることでしょう!。私は陛下を曇らせたい…そのためにはよりもっと劣悪な環境に置かれなければなりません。貴方達はせめて妖精級は無理でも準妖精級のクソ野郎に育ってほしい…。立派なクソ野郎の第一歩を少しずつ私と頑張りましょうね?まずは手始めに村長の食糧庫に忍び込んでそれを私の住んでる納屋の前に置いておきましょう。こんな簡単な罠に引っ掛かるわけないだろww…そう思ってますね?人間空腹時には思考する能力は失われるもんなんですわ。そんな空腹でイライラしてる時にちょうど良さげなサンドバッグが目の前に現れてみなさい。しかも免罪符付きですよ?。例え間違いだと分かっていても人間目先の欲には逆らえないのですよ…これでみんなに愛されるバーヴァンーちゃんに一歩近づきましたね!!やったね!!もちろんちゃんと次の日に別の人を犯人に仕立て上げましたよ。私の目的は嫌われることではないので!

謝りに来てくれた人にいい感じのザ・人が良い感じであ、こいつなら何しても良いんだと思わせましょう!!

その後よく知らんやつから告られたりしたんですけどか振ってやりましたよっ!!それでも優しくしようとしてきたんで彼の親友にしれっと漏らさせて脅させました♡ 村中にばらされたくなかったらボコっボコにしてこいって言わせて、殴る蹴る影でいじめるの暴行三昧…いい感じの痣をプレゼントありがとうございました♡ちょっとときめきましたぜ…やっぱり女になってから思考がそっちになったのかは知りませんけど予定してなかったプレゼントは男でも嬉しいですね!!!

たまに鬱憤晴らしで校舎裏にこいやオラッみたいな不良少年みたいな方もいらっしゃって…。更に余計に頼まれごとをするように!!イェーイ!!たのちぃ〜!!

それにしても皆さん…こんなに立派になって…(涙)。勘違いさんじゃねえ!!な、泣いてねぇやい!!これは目から汗が出ただけじゃあ!!

 

…あ、村長さんなんですか??今脳内妄想しながら仕事してて忙し…なになに近辺で不思議な力の子供が生まれたけど怖くて皆んなすぐに辞めるから恩を返すと思って出稼ぎに行ってこい?そ、村長〜!?!!!!!初めてこのハゲ好きになりましたよ…鴨がネギどころかだし汁を鍋に入れて食べてくれって言ってるようなものですよ!!!?。

…うわァァァァついにきちゃいましたね…この時が…待っててくださいね?陛下貴方の娘ポジが今会いにいきますよ…。

 

 

 

    ────────────────────────

 

朝いつものように母に叩き起こされて一年前から俺の仕事になっている井戸から水を汲み上げようとしていたらそこに〝汚らしい格好の少女〟がいた。銀髪の髪は葉や蜘蛛の巣などで汚れて服はボロを纏っているが顔はなんともいえないほど美しい。スラリとした鼻、均等の取れた瞳は閉じているこの少女なら白痴になったとしてもその美しさが損なわれないだろうぼーと見惚れていれば後ろでいつもすぐに帰ってくる自分を心配して母が後ろに立っていた。母が悲鳴をあげて隣の家に住んでいるおばさんを連れてくる。その後小さな村だったこともあるがこんな時期に行き倒れの少女ということもあり注目されていた。その後使っていない納屋を娘に貸し与えた。綺麗な顔立ちに文字の読み書きもできるとのことでどこからの没落した貴族の娘ではと皆んな内心少女をよく思ってはいなかった。少女は自分の出生について何も言わなかったのでやはりそうなのだろうと納得した。

少女は自分をバーヴァンシーと名乗った。

自分の子供にそんな名前をつける親がいるのか訝しんだが正室ならまだしも側室の子供ならそんなものなのだろうと特にその後そのことについて追及はしなかった。僕はバーヴァンシーのことについて親友によく相談した。吸血鬼、男を惑わせて血を啜り最後には無惨に殺してしまう魔性の妖精。なんて不幸な少女なんだろうか!!

皆んなは冬場にやりたがらない仕事をよくバーヴァンシーに押し付ける

すぐに終わるようなものだがみんなが皆んな一般にバーヴァンシーに頼むので窓から彼女の部屋を見たことがあるがおそらく夜は寝ずにみんなのためにがんばっているんだろう。

みんなに愛されるバーヴァンシー

人が良いバーヴァンシー

いつも笑顔のバーヴァンシー

よくそんなことを影で言われるようになった。なんて皮肉だろうと僕が顔を顰めてもバーヴァンシーはいつもみたいに笑顔だった。

 

そんなことが続いたある日村長の食糧庫から食べ物が盗まれた。

こんな時期にいったいどんなやつなんだとくまなく村人全員で探す 

犯人はすぐに見つかった。バーヴァンシーの家の前に食料が落ちていた。彼女がそんなことをするわけない。

みんなわかっているはずなのに怒りが収まらずにバーヴァンシーは朝にはボロ雑巾のようになっていた。僕は怖くて見ているだけだった

その次の日すぐに真犯人が見つかった。よく村に来て織物を売りに来ていた若者だ。みんな少なからず罪悪感があったはずだ無実の少女を無抵抗のまま甚振ったのだから、誰が言うわけでもなく彼女の家に謝りに行く人がバーヴァンシーの家に来た。そんなことをされて流石にあのバーヴァンシーでも怒るに決まってると思いながら見つめた先の彼女は泣きわめくわけでも物を投げつけて村人を返すわけでもなくいつものように笑顔を浮かべている

 

「いいえ、私こそ皆さんに誤解されるような女であったと言うだけのこと、皆さんが心を痛めることはありません」

 

ここまでされて善性を保っていられる目の前の少女が怖くなった瞬間だった。人は理解できないものを淘汰する生き物だ。バーヴァンシーはその日からよく裏で暴力を振るわれるようになった憂さ晴らしにはちょうどいいから、みんなそれは知っているけど何も言わない。いつもみたいに笑顔の彼女に頼み事をするだけ。彼女の味方はもう僕しかいないのだ。その日の夜に彼女の家に行った。バーヴァンシーは快く家に入れてくれた、僕は君を見つけた日からずっと愛している。将来は結婚してほしいと伝えた。バーヴァンシーは少し考えてから口をゆっくりと開く。

 

 

 

 

 

 

気づいたら外にいた雨が降っていたが気にしない。そのまま家に帰って布団にくるまって寝てしまったなんで、バーヴァンシー、こんなに愛してるのに、そんなことを悶々と考えていたそんな中子供の頃から一緒の親友から呼び出される。

 

 

 

殴った何度も、何度も何度も顔や体を殴った。嗚咽が漏れバーヴァンシーの瞳がかすかに揺れる。その顔を見て僕はバーヴァンシーが好きなんじゃなくて笑顔以外の苦痛に声を漏らすバーヴァンシーを愛しているんだと実感した。それから何度も影で彼女を甚振った。こんな事をしている最中は楽しいのに終わると涙が止まらない。自分はこんな人間だったのか?いや、いいや、違う僕は悪くない。あの魔女が悪いんだ!

あの魔女が僕を唆した!

 

そう言って自分を正当化する頃にある噂を聞いた。どうやらバーヴァンシーがどこかの子供の世話係で出稼ぎでるそうだ。僕は彼女を崖に突き落とそうと村外れの崖にバーヴァンシーを呼び出した。

彼女は必ず来るだろう。人の良いバーヴァンシーなのだから。

 

「あ、な、んで」

 

落ちて地面に潰れたのは僕の方で彼女は冷めた瞳でこちらを見ている。

「流石に陛下に会う前に死んじゃうとアレだしなぁ

二回目以降からなら別によかったんだけど」

なんだ、これはなにを言っているんだ。意味がわからない。ただ、今感じている感情は恐怖でも怒りでもなく。本当の彼女は僕だけが知っていると優越感に浸りながら僕は死ねるのだと思ったことだ。

 




偽バーヴァンシー「別に妖精みたいなことは期待してないですよ〜ただ私を使い潰してくれるなら」

偽バーヴァンシー「あ、やっぱり妖精検定一級落ちちゃいました?すみませんやっぱりぬるすぎたんで準妖精検定来月なんですけど追加で♡
え、なにできない?できないじゃなくてなぁやるんですよ」

偽バーヴァンシー「は?なに優しくしてるんですか、あなたがすることは振られた腹いせに殴る蹴るの暴行ですよ、え?なにチキンすぎてできない?仕方ないですねあなたの親友使って脅してあげますよ、ほら、これでやりやすいですよね?ほら、はやく!!」

モブ男「ふ、ぅぅ〝」

偽バーヴァンシー「わ、泣いちゃった」


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なぜお前はいつも…3

バーヴァンシー感が出るのはまだ大分先ですね…


近辺といっても歩きだと結構遠いいですね…。、

 

もう草を踏む音が段々不快になってきましたよ…

軽く鬱ですけど陛下に会えるとむしろ上がりますがね!!!

〝丁度いいフラグ〟も頂いちゃって…運が良すぎてちょっと怖いけど

一応村の人についてきてもらいながら陛下のいる所に向かってるんですが。

いやぁ嫌々ついてきる感がいいですよぉ〜貴方才能ありますよ名前のよくわかんない人!!。、

もうすぐ昼ですしそろそろ休憩してから向かいましょ、…あ、なんだ?お前にやる飯はない?。

ナイスゥ!!!!貴方には妖精検定4級を認定して差し上げますよー!

その後は手足が寒すぎてガクブルしながら足を動かしていると遠くで村が見えてきましたね!! 

村の中に入ると村長Bさんが出てきました第一村人ならぬ第一村長発見ですね!。

 

わたしは村長と村の人が話してる時暇なんで雲数えてました。

あ、乙ですもう話し合い終わったんですか?。

あ、はいはいちゃんといい子に育てしますし絶対逆らいませんよ誓いますよ〜。

あ?なんですかその焼きゴテ

バーベキューでもするんで…お、おま、まて心の準備が、〝あ〝ッ〝ッ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぅぅぅ…(賢者タイム)ちょぉぉ…楽しかったぁぁぁ!!!!

いやぁまさか奴隷契約だったとは思いませんでしたねぇ…

これが詐欺られたってことかぁ。

全くこれがエロ同人誌の世界だったら今頃とんだリョナ本になっていたことでしょう…。

あ、そうか、リョナだからBLEACHか(真意)

それにしてもこいつら大分非生産的なことやってますね。

こんなこといきなりした後に大事にしてる赤子育てろとか言われてみろよ。

知能指数低すぎんだろ…。

あ?なにこれを着ろ?着替えが終わったら早速連れて行くから粗相のないように?。

もし触ったら寿命縮むかもしれないけどちゃんとやれよ?じゃなきゃコロコロするだとぉ?。

これは脅し&反応を楽しんでるんかな…なんかニヤついてるし…

ニヤついた顔に気にせずにワクワクしていると

入れと指示をされたので命令通り扉を開ける

ギィと音を立てながら奥にいるゆりかごに目を合わせる。

 

 

 

 

──そこにあるモノは小さな命だった

だがここの誰よりも、何よりも強く美しいもの

 

正直この先本当に私が彼女のようになれるのか自信がない

でも精一杯努力はしていくつもりだし

それは怠るつもりは毛頭ない

 

だから、だから どうか精々絶望してくださいね?陛下

 

…初めましてこんにちは

貴方の人生を最後の最後まで張り付いて鑑賞するために来た吸血妖精バーヴァンシーと申します

 

 

どうぞいつまでも末長く、最後の最後までよろしくお願いします

 

 

 

 

それじゃあ今日から一生懸命子育て頑張るぞぉ!!

 

風当たりは冷たいが今日も今日とてやるきいっぱい!!

頑張れバーヴァンシー!

やれるぞバーヴァンシー!!

負けるなバーヴァンシー!!

まずは適当に先輩の使用人にいびられることからはじめるか…

だがその前にオムツでも変えて陛下の反応を楽しみましょう(愉悦)

 

 

 

 

 

 

───────────────────────────────

 

 

 

 

ここで問題です!!わたしは今なにをしてるでしょう!!

あ、もう時間切れでーす、なに?短すぎる?

文句は受け付けませーん!!

はい、それでは正解はぁっ…

 

 

 

 

 

 

 

「…そうしてアーサー王は岩から選定の剣を抜き上げました」

 

陛下に読み聞かせをしてる!!でした!!!。

正解した方にはもれなく愉悦キーホルダーと激辛死人も生き返る麻婆豆腐を先着10名様にプレゼン!。

え、なに?もっと欲しい?仕方ないなぁじゃあ陛下のオ…ゲッフッッ?!!!!だ、誰ですか!!この華麗なコンマ0秒頬叩きの持ち主は??!!!。

 

 

「いつまでも部屋に戻らないから来てみれば…なにをしているのですか?バーヴァンシー消灯時間はとうに過ぎていますよ」

あ、B B Aさんこんにちは〜いやあ陛下がまだお眠むじゃないってグズるんで中2の時に謎の病気に苛まれながら買ったアーサー王伝説を読み聞かせてたんですよ〜。

え、なにそもそも陛下は声が出ない?…君のように感のいい B B Aは嫌いだよ…。

 

「まだお眠りになっていなかったので読み聞かせで円卓のお話を…その」

 

 

「読み聞かせ?神の子に?最初から不変の尊い方に何を読み聞かせるというのですか?奴隷の分際で」

 

ほら、みなさん聞きました?この方こそ最近の功労者です!!皆さん陰で色々してくる中いつも陛下の前で曇らせ経験値を稼がせてくれる素晴らしい方です…もう最近この人に表彰状を贈りたいほど心の中でもっとだ!!次はラリアット!!とかすげぇ叫んでます…いやぁ最近の日課ですね楽しいなぁ。

 

あれ?なんか心の中で話してたらどっか行きましたね最後なんか言ってた気がするけどまぁ聞かなくていいでしょう()

むしろそれでキレられて更に曇らせてくれ!!さぁ!!もっとだ!!

私の曇らせ道はこれからだぜ!!!

期待しててからよな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ばぶばぶ陛下「絶望してくれるなよ」

偽バーヴァンシー「絶望してください()」


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なぜお前はいつも…4

地獄への道を自分で作ってる陛下()
奴隷設定作ってたの忘れてて普通に魔女様オマージュの神様でいこうとしたらあ、駄目やんってなった

追伸•陛下の目について触れていないことに気づき修正しました


さて三回目以降はどう曇らせ…ぐっふ!!!…やや、この曇らせがいのある気配は…もしや

 

「バーヴァンシー!」

あ、ショタ陛下だぁぁ!!!皆様どうぞご覧ください!!この美少年ぶりを!!!この姿の回なんて一コマ一回しか出てないのに恐らくショタの中で作中トップクラスに美しいご尊顔!!!!

黒い唸った髪、白い肌、整った鼻筋、かろうじて少女ではなく男だと分かる喉仏。そしてあの血を滴らせたような紅い瞳。歩く姿はどこか儚げなラスボス系美少年!!!!素晴らしい!!!え?この美少年誰が育てたかって??私ですよッ!!!!ドヤァ!!!!もう口に出していっちゃいます!!!ドヤァって!!!

 

 

「わ、はご、ご主人様洗濯物を干している時に抱きつくのはおやめください…危ないですからね?」

ちなみに皆さんなぜ私がご主人様と言っているのかと言うと

普通に様付けで呼んでたらB B Aから不敬うんぬん言われたからです

ひゅぅぅ〜!!惚れ惚れしますね!!流石ぁぁ

 

「…私の体は丈夫だから問題ない」

 

少し拗ねてますね

もぉ〜可愛い子ぶったって曇らせは手加減しませんよぉ〜?

むしろ上がりますから!!

 

「もしもがありますから、ね?」

 

あ、全然どうぞ!!!できればもっと人が多いい所でお願いします!!

具体的にいうとあのB B Aのところで!!!

陛下が去ったあと見えないところで足をギュッと踏まれるんですよ…

この陰湿さ…さすがです…

 

「…いつもより反応が遅かったが何か考え事か?」

 

私が妄想しながら仕事をしていた事にわかるとはさすがっすね…

陛下の曇らせについて考えていました!!!

なんて事は言えないのでここは無難に行きましょう

いやぁもちろん陛下のことですよ〜…(遠い目)

これでいいでしょう!!

母ポジに構われるのはやはりラスボスといえど争いがたいのでしょうね…

これから先はその立場が逆転するですよ…陛下

今のうちにこうやって日常挟んでからの曇らせ、良いですよね…

それにしても陛下身長伸びましたね、これからもっと身長が2メートルくらいまで伸びるように頑張りましょうね!!!

 

 

 

「それよりバーヴァンシー、もう時間だ。早くおまえの話を聞かせてくれ」

 

あれ? もうそんな時間でした?

了解しやした!!!それじゃあ私の趣味全開の円卓会議でいいですよね!!陛下もお気に入りでしたし…いや、何も反応はなかったんですけどね?   

 

 

 

 

 

 

 

──陛下が眠りについた後自室に向かう。いやぁ今日も大変でしたねぇ

「ハァ…」

初めて来た時から長らく使ってる椅子に腰掛けながらため息がでてしまう

あまりにも平和すぎる…いや嫌がらせとかはまだあるんですけどね?それにしても…ねぇ?

最近じゃあ陛下のお世話ぐらいしかさせてもらえなくなって…

せいぜい他は洗濯物とか井戸から水汲みくらいで

それに前にくらべるとこう…死ぬほどぬるいんですよ…

 

…そろそろですね

陛下の好感度も稼いだことですし──

 

そろそろ本格的に始めちゃいますかー!!

 

えぇと確か…紙とペンどこいったかな…

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

「バーヴァンシー、お前の話を聞かせてくれ」 

 

手作業をしていたバーヴァンシーにそろそろ日課の時間だと声をかける。

 

「え、あ…もうそんな時間だったのですね…そうですね…それでは今夜は円卓の騎士達の話をいたしましょう」

 

〝確かこのお話がお気に入りでしたよね〟

そう言って笑う女を見つめながら寝床に入る。

 

女がいた。

自分の不幸を知らぬとばかりに私に尽くしている女が私がまだなにもなかった頃からずっと一緒にいる。少女のようなに微笑む女だった。

近くの村で行き倒れた少女が次第に邪魔になり出稼ぎと嘘をつき売り渡されてこの村にやってきたのが少女だった。逃げ出してもすぐにわかるようにと後ろには鉄印で刻印がされており

たまたまそれを見てしまった時彼女は何を言うまでもなくいつものように微笑むだけだった。私が目を開く時。何故かいつも彼女がそこにいない未来が広がるのみだった。理由はわからなかったがそれを調べる手立てもないので放っておいた。

唯一彼女は私を害そうとしてもそれが私にはわからない。しかしそれでも彼女を側に置いた。単純に気に入っていたというのもあったが彼女はそのようなことをしないだろうという信頼からくる自信であった。

少女はよく働いたが他所の村の人間ということもあり風当たりはけっして良くなかった。それでもいつもと変わらず笑っていた。私が名を名乗り出してからも変わらずに仕え続け、夜はよく寝るまで読み聞かせを聞かせている。

 

 

〝バーヴァンシー〟

なにもないその手で、私によく色んなものを与え続けた者。他の者が恐れ多いと言いながら心の内で恐怖している中彼女は私の手をよく握って離さなかった。

 

「いつもありがとうございます。

でもそれはご主人様が頂いてください、だっていつもみんなの為に頑張っているんですから」

 

その少女のあり方を見続けて人と人との関係が打算や欲からではなく純心な本当に美しい者を知った。人から向けられる愛が素晴らしいものであると理解した。美しい善性を持った彼女が私が他者の全てを奪わなければ生きてはいけないと知ったら、彼女はどう思うだろう。だが私は、人から何かを奪わねばまたあの暗闇と虚無に戻ってしまう。人が物を食べなければいけないように私も人から奪わねば生きていけない。それは私にとって必要不可欠な行為であり奪うことに関して特に何かを思ったわけではない。唯一何かを感じたのは最初に生まれて初めて私をその腕に抱いた母親くらいだろう。

周りの信者は神だなんだのと五月蝿いが少しくらいなら許容しよう。

この生活を続けるためならばとそう思っていたのに、思っていたはずなのだ

 

 

──何故この少女は私の前で血を流している?

 

 

「なぜだ、何故なのだ!!バーヴァンシー!!」

 

…死なせない、この少女は死なせてはいけない。バーヴァンシー、

待っていろ必ず私が、不完全な形だが今はこれで

 

「…バーヴァンシー?」

彼女の姿が、見えない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ…」

陛下最高ッ…

可愛すぎる…やべぇ…口が…

もう!!ちょっと!お顔が大変…その…下品なんですけどね?

勃…やめときましょう

 

いや、あのさ生き返らせてもらえることは知ってんですよ???でもさ、まさかまだ聖別が未完成&急に私が死んじゃったから慌ててやっちゃったのもわかるんですけどね?

奪ってから他の人に与えることはできても奪った相手を生き返らせるまでの能力この時はまだ陛下はなかったんですよ…

完全な聖別だったらよかったけど他にクインシーもいないかでやっちゃったから生き返る場所もランダム編成になっちゃって

自然発生で陛下も私がどこにいるのかわからないとかいう

そもそも基盤になった聖文字だって最初に刻まれた…えぇとリジェ・バロさん?いつ頃陛下に聖文字刻まれたのかは知りませんけど多分星十字騎士団設立の後かその前辺りだと思うんですけどそれすらないわけじゃないですか?

加減もわからずいつも他の人に分け与えていたものより数倍濃い陛下の魂入れられちゃって…

それだけなら私もよぉし!自然発生とか妖精ルートまっしぐらやんけ!!!っておもったんですけどね…

その…結論を言っちゃいますとね

死にそうになるその刹那に私の体を作り替えたはいいが肝心の私の霊圧がカス過ぎてヘボで不完全なクインシーへと変化して

定期的に霊圧の強い者の血を摂取しないと中の中途半端に作り替えられたクインシーの体と他のやつより割合が激高すぎた陛下の魂に適応できずに体が崩れていくとかいうおまけ付き…

これはもう…

 

 

 

ひゅぅぅぅぅ!!!!!、

グッドォォォ!!!!!!

これもう完全に神に愛されてますよね?????

陛下の魂高燃費過ぎて一日に何人も吸わないとやばいし私も私でいろんな村に住み込みで働いては愉悦ぅ!!してるからもう休みないですけど…

でもそこがいい…

陛下本当にいい仕事しますよ…

 

 

やっぱりフロムロストベルトでもバーヴァンシーちゃんモルガン陛下に保護されてからも殺されたりしてたみたいだしポテト君が陛下にお前が必要だとか言って星十字騎士団結成の所で陛下不在の後でkillされてその後悪辣ルートに入りたい…

ここまでやればいい子のままじゃこいつ死にまくるわ…ってなるし

それまでしにまくろう!!

 

そこで一つ課題になる事がある

そう、殺されるたびに陛下に見つけてもらう必要があるんです…

死んでからも能力的に生き返らせてもらえると思うんですけどいつもいつも間に合わずに手の中で死んでいく感じでやりたいので…両立は難しい…そう思ったことでしょう!!

でも陛下はぶっちゃけいるだけで噂になるのでこちらから陛下の情報は入りやすい…つまり村のいく先々で聞き込んでれば大体わかっちまうんですよ…

でも陛下が私を見つけられなかった時はどうしましょう…

あーあこんな事ならあの時一回死んで検証すればよかったな…

 

そういえば私の魂って異世界産だけど死んだらどうなるんでしょうね?

 

この世界では肉体が死ねば幽霊になったり虚として魂魄を喰らう化け物として人々を襲うという設定があり

そして死神の斬魄刀に斬られることにより罪を洗い流されソウルソサイティへと送られ悪人ならば地獄へと流される

 

ここで一つ疑問が出てきた

ならばこの世界の魂ではないわたしはどうなるのだろう

悪人か否かを選別している時点で斬魄刀には魂の色を見てどちらに流すかわかる機能が存在していることになる

魂のみをこちらの世界に送られて転生という形で立証されている時点で私自体をどうこうする権利自体は彼らにはない。

一回斬魄刀でも手に入れば検証できるのになぁ…

 

 

   

─────────────────────────

 

おまけ

拝啓、いきなりこんな手紙を送ってしまって申し訳ありません。 

なぜ私が今頃になって貴方にこのような手紙を書いたことに疑問を持っていることでしょう

しかしどうしても私は貴方に告白せねばならないことがあるのです

彼の母親である貴方には知っていただきたく今回手紙にして書かせていただきました。

 

これはあの夜、村はずれの崖で起こった出来事です──

 

 

 

 

 

 




Fateって悪い運命のことらしいですね

偽バーヴァンシー「陛下も昔はチョコラテだったんですね…」

ショタ陛下「チョコラ…?なんだそれは」


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何故お前はいつも…5

許されよ…許されよ…


いぇーい!!みんなぁ元気ぃ?なに?私は今何をしてるのかって?

私はね…そろそろ死に方レパートリーがそこをつきそうでピンチだよ!!!あの日…陛下の前で死んでからというもの私はべらぼうにがんばった!!極力陛下の近場で死ぬ事を気を配り見栄えがいい酷い死に方をする事を心がけた!!

だが…そろそろ度重なる転生に魂魄が悲鳴をあげている…

吸血衝動もやばかったんだけど何回目かの時に陛下に何かを体に入れられてからは結構燃費が良くなったんだよなぁ… いやぁアレなんなんですかね…()流石に崩玉とかじゃないだろうし、でもまぁ吸血衝動無しにしても限度量超えちゃっんだろうなぁ…そろそろやばいので近いうちにまぁまぁ生きられる程度の重傷をおって陛下に拾ってもらう事にしよう!!!もうさ…わたしの生き返り方って多分聖別ではないだろうなと薄々わかってきたんだよね…こう何度も死んでるとサ…一回目じゃわかんなかったけど

陛下の魂と異世界産の魂がたまたまマリアージュして魂の置き場がどこにもない。罪を洗い流すこともできないからたらい回しに転生させてる感じ。自然発生ではなく行き場がないから次に回されてるだけまぁそれがわかったところでなんだって話なんですけどね… 

 

 

…暗い話は置いといて!!

思ったんですけど陛下の私に対しての霊圧感知ってバグってて私が瀕死になった時にようやく感じられる感じなのかな…今まではそれがいい方向に進んで良かったけどなぁやっぱり元が違うからかな。

しかし!!流石にこちらから行くのは私の美学に反する…さてどうしたものか正直たまたまを装って行きたい…あれ?偶然!!こんなところで会うなんて!!みたいな感じで…あれ、そう言えば次の月って最初の私の命日だった気が…

 

はっ!!!すっごくいい事考えたー! 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女の内側で黒い影の中からギョロリと目が蠢いてた。

 

 

  ───────────────────────────

 

 

 

 

それはまだ私が青年の頃。あの日からいなくなったバーヴァンシーを初めて見つけた日。バーヴァンシーが殺されてもどこかに行ってしまった後。彼女が帰ってくる家を整える為にまず害虫駆除をする事にした。まずは犯人探しから。しかしそれは意外にもあっさりと見たかった。バーヴァンシーを殺した犯人は彼女がここに来る前に暮らしていた隣村の者だった。息子をバーヴァンシーに殺されたなどと喚いていた。ごちゃごちゃ煩くて仕方がなかったので一先ず舌を切った。その後何をしたかはあまりよく覚えていないが老婆を殺した後に今まで居た住処とバーヴァンシーの住んでいた村を焼いた事は覚えている。皆私が思っている以上に打算だらけだ。口を開けは己の行いを垣間みずに嘘を吐く。粗方殺し終えた後、奪った者の見たくもない記憶を見れば端からバーヴァンシーを人間としてみていない事実が粗々と出てきた。崇めている存在から命令すればそれを厳守すると思っていた。所詮は子供の浅知恵だった。最後に助命を請うた男はこんなことを言っていた。

 

「あんなモノの為に」

 

五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い。小蠅の様に不愉快に耳に劈く民衆の声。物ではない。ガラクタじゃない。奴隷じゃない。

私の考えが間違っていた。彼女のお陰で信じていた善性は等に破綻した。いや、最初から信じていなかったのかもしれない。何故なら彼女だけが自分の中で色褪せず。唯、ずっと綺麗なままだった。私が信じていた彼女の感性は人々にとっては異形に映るらしい。周りが段々気持ち悪くなってきたのはこの頃だった。

その後何年も散々探し周りようやく見つけた頃には手足を捥がれ森林に放置されていた彼女を見た時私は子供のように叫ぶことしかできなかった。なぜならもう、彼女の体は手の施しようのないほどに今生きていることが不思議な程に痛々しかったからだ。

そうして何もできない私に最初の彼女は言った。

 

「私のために泣いてくれてありがとう。見知らぬ方、でも大丈夫

私は貴方が心を痛めるほどの人間ではないのですからだからもう私は死んでしまうけれど、どうか優しい貴方の心が晴れますように…」

 

息が詰まる感覚に襲われる。わすれられた。

その事だけが私の胸にどっしりとのしかかり重しになった。

いつも彼女に分け与えた魂が彼女の死ぬ間際のみどこにいるか知らせてくる。これはきっと罰だ。お前を救えなかった事に対しての私の罪なのだろう。

私が中途半端に与えた力のせいでバーヴァンシーは霊圧の高いものの血を摂取しなければ吸血衝動に耐えきれず周りの人間を襲う。この世で最も純粋で人を傷つける事が出来ない彼女にそれを強いらさなければ生きていけない体にしてしまった罪は消えない。一度それのせいで体が崩れていくのを見た時には目の前が真っ暗になりながら〝あるモノに縋った〟私はせめてこれで少しは抑えられるだろうと次にバーヴァンシーを見つけるまでに悍ましいそれを見つけ出してそれを彼女の体に入れ込んだ。

 

 

そしてまた次こそはとバーヴァンシーの元へと駆ける。

 

 

 

─また救えなかった

男の心を表すからの如くザーザーと止むことがなく。男の体に冷たい雫が振り付ける。騙されても利用されても殺されても彼女のあり方は変わらない。少年だったユーハバッハは青年へ、そして老年へと成長し今ではこの光の帝国の絶対支配者にまでなった。それまでは極力関わりを避けていた人との交流も恐怖と支配という形で成した。そうして作り上げた国では腹心の部下も出来た。

〝来る日に向けて〟

領地を広げる目的で幾つもの村を焼いた。部下にそう伝え進撃を命令する時、彼の心には別の思惑があった。なにも光の帝国の全域を制圧するという目的が嘘ではない。

今度こそ、今度こそ彼女を救うために。彼女が最初の死を経験した後。

私が幼かったが故に犯した過ち。自分の感情を優先しもっとも私を愛してくれた者を終わらない地獄へと背中を押してしまった咎を。

 

 

何度も何度も私の前で死んでいく。

いつもいつも他人に使い潰されて。

 

「なぜお前はいつもそうなのだ!私はいつも手遅れだ!お前がそうなってから見つけ出す!」

 

その心に比例してか知らずか彼女を見つけた後はいつも雨が降っている

血が水に濡れて真っ赤に染まっていく。

 

「いつも、いつも私のためにありがとう神様、前のことは、少ししか思い出せないけど、死にかけの私の手をいつも握ってくれてありがとう…

だから大丈夫、私は幸せです」

 

死ぬ度に彼女はうっすらとだが前回の記憶が残っていた。それに希望を見出したのはいつからだったか。それに絶望したのはいつからだったか。彼女の死を看取るうちバーヴァンシーは私を神と言うようになった。

幸せなわけがあるものか

こんな終わりがあるものか

待っていろ

必ず次こそはお前を幸福にしてみせる。

 

 

ある日ふと鏡を見つめる。昔と比べ随分と老いたなと自分の顔を見て、私は彼女が私をもし思い出した時。

あの日の、少年だったユーハバッハだと気づいてくれるだろうかと

 

それでも、例え分からなかったとしても構わない。待っていろバーヴァンシー私は必ず死のない世界を作って見せる。そうでもしなければお前にこの世界は辛すぎる。そうすれば、お前はやっと幸福に生きられるのだ。

 

もし、世界を作り変えた暁にはあの時のお前に言えなかった。

言ってはならなかった。ただのユーハバッハとして名を呼んでくれ。

そう彼女と過ごした村の残骸に目を向けた瞬間。、ふと物陰から音がする。

 

この、霊圧は、間違えるはずのない。

 

 

 

「…バー、ヴァンシー?」

 

ユーハバッハは血まみれの彼女を抱え込む。なぜここに居たのかはどうでもいい事だった。今ならば、まだ助かる。

今度こそ、

その想いを胸に自分の城へと帰っていく。

 

  ───────────────────────

 

一回目村人に襲われて手足を捥がれ森林に放置されている所を陛下に発見。

二回目土着信仰が根付いている村にわざと侵入して生贄に、心臓をもがれて死ぬ間際陛下が到着

三回目子供を崖の近くに誘導して落とす

周りに冤罪だと思わせてから火炙りにされ死亡

四回目貴族に拾われて玩具にされる内臓を生きたまま取られ死亡

五回目魔女裁判にかけられ絞首刑に

六回目村人に水銀を流し込まれて伽藍堂にそのまま崖から落とされ少しのまま延命陛下到着の後死亡

七回目血を吸っているところを見られてそのまま滅多刺し最後に十字架の杭を刺される

八回目舌を切り落とされて目をくり抜かれ生き埋めに

九回目吸血衝動に襲われて血が足りずに陛下の前で崩れて死ぬ

 

 

 

死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ

 






偽バーヴァンシー「え、あるものってそれ霊お「気のせいだ」
いやでもそれ以外な「気のせいだ」」

偽バーヴァンシー「えぇ…」


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何故お前はいつも…6

誤字ってたらすんません…
もう、指が、やばい


男は森で死にかけていた少女を拾い上げて自分の城で治療を施しました

血に塗れた少女を抱き抱え自分の服が血に汚れても構わないというかのようにベッドの上に横たわる少女を男の胸に抱き寄せました。

 

「だれ、ですか?」

 

頭から流れる血のせいで目が霞む少女は問いかけます。

 

「私だ、バーヴァンシー」

 

男は声をかけながら少女の手を握ります。

「あ、ごめんなさい、記憶が朦朧としてて…お久しぶりですね、神様

でも今日はいつもより早いですね、私まだ生きてるのに」

少女は声を振り絞って男に言いました。

 

「…バーヴァンシーよく聞きなさい。私の名はユーハバッハ。

今日からお前の父になる者だ」

私のことは次から父と呼ぶようにと男は言いました。男は少し迷ってから少女に答えました。

「お父様…?」

 

「あぁ、その通りだバーヴァンシー。よく言えたな、いい子だ」

そう言って頭を撫でてから。

「今日は疲れただろう…もう寝なさい

眠れるまでお前の好きな円卓の話を聞かせよう」  

 

 

それを聞いた少女は内心荒れに荒れた。

 

 

  ──────────────────────────

 

ぐへへへ…陛下が一匹陛下が二匹…バー、…シー

こんなに陛下がいるなら私が見たい全ルート攻略できるのでは??イェーイ!!!私ちゃんったらてんさ…「いい子にしていたかバーヴァンシー」

やばい思考飛んでた…やっぱり妄想なんて長時間するもんじゃねぇぜ…

「は、はい!お父様!今日も外に一歩も出なかったし人も部屋には入れませんでした!」

はい嘘でーす。陛下が来る十分前まで物凄く部屋から出て日向ぼっこしてましたよ!!いつもはもっと早く帰るんだけどカマキリが雌の取り合いしてたの見てたらなんか白熱しちゃって陛下が来るギリギリまで見てました!!まぁその後自体が急変してカマキリBが転けて水にはいちゃってあーあー…なのことになったので交尾して雌に食べられるまでは見れましたよ!流石にいつもより遅く帰ったけど陛下が私の気配遮断に気づくわけな「それは本当か?ここに来る前に庭でお前を見かけたとアキュトロンが言っていたが」なん、だと?

やべ、バレた…まずい

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「いや、私もお前が室内で寂しい思いをしていると知らず、すまなかったな。、流石にずっと1人で部屋の中にいるのは辛いだろう」

 

お?お?も、もしや外に出してもらえる?

「今度所要で遠征に行く予定なのでその時にでもお前の友を見繕っておくことにしよう」

ち、父上ぇえ…色々違うよぉ…それ違うやつ…友情が生まれない系だよ…まぁ小さい頃陛下友達1人もいなかったからわからないのも無理はない…あ、でも陛下が私に他人を当てがおうとするの珍しいな。もしや何か視えたりしたのかな?

 

「お前を連れて行く訳にはいかないが…くれぐれも外には出ずに部屋にいてくれ」

鍵をしっかりと掛けて誰が来てもけして通すなよですってよ!!!

おっと出ました!ここで陛下の心配性!!

大丈夫ですよぉ〜〝まだ〟なにもしませんよぉ流石に早すぎますし。

「これから遠征の件について話すためにザイドリッツの所へ行くからお前はここでいい子にしていなさい」

遠回しに出たらダメだからないただきました!!

 

「は、はい!わかりました!」

もちろん勝手にでたりなんてしませんよぉ〜

その返事を聞いてすぐ、陛下はドアを開けて部屋を出ていった。いやお斬月のおっさんフェイスが素晴らしい…顎髭がない以外はまんまそうですからね、思わずおっさんって言いたくなります!!

 

「いや、そんなことよりも…この時期に遠征?もしかして…いやいやいや流石にまだ私きてそんなに一週間くらいやで?

そんな…」

でもありえなくわないんだよなあ…もしかしてもうポテトきちゃう?

あー…もし、もしくるなら最後の方でハッシュくんを使って陛下を更に曇らせるために仕込んでた方がいい?かな…

ポテトくん良いキャラしてるし使わないの勿体無いよなぁ

他の原作キャラなんて私お父様とザイドリッツさんとアキュトロンさんくらいしか見てなかったからモブたちを使って私を殺させてを繰り返して陛下を曇らせてましたけど…

もう一段階難易度をあげて楽しむのもありですよね!

最後の石田くんあたりまでは生き残ること確定してますし…あの初回のソウルソサイティ襲撃したところでも原作では描写されてなかったですけど多分いたと思いますし…その後どうやって陛下と合流したとかは知りませんけど。

ポテトが来た3年後にバズビーが入隊してくるから…可哀想だし多くて2回くらいにしておいてやるか…流石に今死にまくると魂魄弱ってるしやばいから。

山爺&初代隊長たちの所で流石に山爺の炎は消し炭になるので…雀部さんから庇って刺されましょうか

陛下弱ってるけど一応瀞霊廷の影の中に霊子による空間を作るとか言うなにそれ…と言わざるを得ない荒技で生きてましたしぃ?

その後少ししてから見えざる帝国の誰かに拾ってもらいましょう!!

せっかくなら陛下に拾っていただきたいですが山爺&初代隊長全員で囲んでドナドナしながら焼かれましたし流石に高望みはやめておきましょう!!

取り敢えず今回のクエストはポテトの好感度を上げて一回は死ぬに決定!2回行けるかどうかわかんないし…

 

それにしても…ドレスなんか違和感しかねぇな色合いは第三臨のバーヴァンシーぽくて良きなんだが…着慣れればいける、のか?

 

 

 

 

 

───────────────────────────────

 

 

 

 

 

「新たな戦闘部隊…ですか?」

ザイドリッツは疑問符を浮かべながら目の前の主君の存在を見つめる。

「失礼ながら陛下この光の帝国の中にはもはや制圧するべき場所など存在しません

そのようなものが必要とは思えませんが…」

ユーハバッハはその疑問は当然だと思いながら部下の問いに答える。

「〝この国〟ではないザイドリッツ」

 

「次に制圧するのは〝尸魂界〟(ソウルソサイティ)だ」

 

 

「…何と───…」

ザイドリッツの目が見開き感嘆の声をだす。

 

「奴らを倒すのに新たな力を以ってせねば叶わないだろう」

 

「部隊の名は星十字騎士団(シュテルンリッター)

何度も目の前で死んでいったバーヴァンシーは今ここにいる。

この何千回目かの奇跡を以って私は、お前の前で必ず

霊王を殺し生と死のない世界を作り上げてみせよう。

 

 

 

 

 

俺の一族が住んでいた小さな城は焼け落ちた。焼いたのはユーハバッハだった。〝ユーハバッハ〟弓矢とは違う不思議な力を使って北の領地を牛耳ってるバケモノ。

 200年前から生きてるだとかクインシーの始祖だとか俺にはそんなことはどうでも良かった。

「ユーハバッハを殺すぜ、ユーゴー」

 

「…ぼくもいくの?」

ユーゴーが後ろを向いているバズビーに言った。

 

「おめーの森も焼かれただろ焼け跡で叔父さんと途方に暮れたきゃそうしろよ」

泣き腫らしたであろう目は腫れていて赤くなっている。

「叔父さんは焼け死んだよ」

 

「…そうか」

焼け落ちた城の金貨を掘り出してそれを生計に俺たちは森の中で休む暇もなく体を鍛え上げながら。

どちらが言い出すまでもなく、ユーハバッハの側近となってやつを殺すと決めていた。

 

 

そして5年がたった今ようやくチャンスが巡ってくる。ユーハバッハが新たな戦闘部隊を作り上げるそうだ。そのまま興奮冷めやらぬ状態のままバズビーがユーハバッハの部下であるヒューベルトに攻撃を仕掛ける

ユーゴーは止めようとするがバズビーはそのまま斬りかかろうとした瞬間その後すぐに霊圧の重みで体が動かなくなった。

ヤツだ。あのバケモノ、ユーハバッハだ。

 

「も、申し訳ありません!ユーハバッハ様!!斯様な猿に私闘など!!」

 

「良い、私は探し物を拾いに来たのだ。私の─右腕となれるものを拾いに」

俺だ、直感でそう思ったこい、俺はここだ!俺がお前の右腕だ!!そしてお前は俺に殺されるんだ!霊圧で押しつぶされそうな体を必死に上げるそうして表を上げた瞬間。

 

「お前だ」

 

「私はお前の名を知っている我が半身ユーグラム・ハッシュヴァルトよ」

ユーハバッハに選ばれたのはユーゴーだった。おれはもし、2人で側近になれなくとも俺だけならなれるはずだと思っていた。

それなのに、なんで、なんでなんで俺じゃなくてユーゴーなんだよッ

 

ユーゴーはバズビーの目を見て疑心に駆られる

なんで、何故ユーハバッハに近づいたのに喜んでくれないのか。

(なんで、そんな目で見るのバズ)

 

「な、何かの間違いだと思います」

 

自分の体を抱いて震えながら下を見つめる。

 

「何だと?陛下に選んでいただいた貴様が陛下の何を間違いだとほざくのだ」

 

ヒューベルトはユーハバッハ忠誠心故に声を荒げる。

 

「ぼ、僕はクインシーの才能なんてないんです

弓矢や矢も作れないし…そこにいるバズビーの方が、陛下の側近にずっとふさわしいと思います!」

 

バズビーはギリィと歯を鳴らす

 

「己貴様まだ言うか!!」

ズッンと地面を踏みつける音がして響く。

「?!ッ」

いきなりの大きな音に驚き音の正体を見る。ユーハバッハだ。

「やはり我が眼の視た通りだ。お前はまだ自らの力が何であるか知らぬ。神聖弓が作れぬのも当然のこと

──お前は私と同じ分け与える力を持つクインシーだ〟」

 

「長らく探した。何しろ私と同じ力を持つクインシーは私が生まれて後二百年1人として生まれなかったのだ」

 

バズビーは驚愕しながら、今まで友といいながらも自分より下だと思っていたあのユーゴーがバケモノと同じ力を持っていたのだと、知り今まで積み上げてきた自尊心が一気に崩れ去る。

 

「お前は他のクインシーの様に周りから霊子を吸収して自らの力とすることしかできぬ。

〝周りに与えることしか〟私は与えた力を育てさせそれを奪い去ることで力を得たがお前はそれすらできぬ」

 

「─赤毛の子供よ」

 

今だに地べたに這いつくばっているバズビーに問いかける。

 

「お前はこの者といる間日々自分の力が増していくのを感じた筈だ」

 

「それが〝自分の力〟だと思っていたのか?」

バズビーは自分の全てをまるで否定されたかの様な虚無感に陥る。

 

「この者に感謝せよ

無力なお前を天才に仕立て上げてくれた男にな」

 

ユーハバッハはハッシュヴァルトの頭を撫でながら声をかける。

 

「行くぞハッシュヴァルト。私にはお前が必要だ」

 

「ォォォォォォォォッッ!!??!」

バズビーはもはや自暴自棄になりながらユーハバッハに霊子を集めて作った矢を向ける。

 

「くたばれッユーハバッハッ!!!」

 

バズビーは何も今の自分の実力でユーハバッハを殺せるとは思っていなかった。避けられる。又は別の力で相殺されるだろうと心の中では思っていた。しかしその予想は大きく外れた。

──誰よりもバズビーのソレを見てきたハッシュヴァルトがそれを受け流すのは容易だった。バズビーの弓を素手で受け止めユーハバッハを〝守った〟。

それが二人の心が完全に決別した瞬間だった。

 





偽バーヴァンシー「ヒロインはポテト」

ポテト「何言ってるんですか」


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何故お前はいつも…7

もうわかんねぇよ…
バーヴァンシー感が出るのはまだまだ先です…


バズビーと別れそのまま陛下について行ったが何か取りに行くものはないかと聞かれる。あの森に置いてあった荷物は殆ど生活の為に必要最低限の物しかなく、そして流石にこの状況で何かを取りに戻れるほど肝は据わっていないので丁重に断った。

「ハッシュヴァルトよ、お前に頼みたいことがある」

城に着き早々にユーハバッハに言われハッシュヴァルトは少し体を強張らせた。

 

「え、えとそれは一体…その、どのような」

 

「何、そう緊張する必要はない

お前には私の娘の話し相手を頼みたいのだ」

ハッシュヴァルトの目が見開く。

何故ならユーハバッハは皇妃を迎えずに王政を敷いていたからだ。

他の国であれば他所の姫や地位の高い令嬢を貰い外交を行なっていくのだが、ユーハバッハはそのような事をする必要がなかった。

何故なら誰もユーハバッハには逆らわないから。

彼の王政は完璧であるが故に子を残す必要もないと家臣も何も言わなかった。

 

「陛下のご息女様と言うことでしょうか?しかし、陛下には…」

 

「お前の疑問は当然だハッシュヴァルト。私に妃はおらぬ。

まだ城の者にしか伝えずに口外も禁じている故城の外で暮らしていたお前が知らないのも無理はない」

城内の廊下を歩きながら陛下はある部屋に辿り着き

そのまま鍵で扉を開けて中の人物に声を掛ける。

「バーヴァンシー、私がいない間いい子にしていたか?」

今の今まで椅子に座り本を読んでいたであろう少女がこちらに駆け寄ってくる。

〝白〟頭の中で彼女を始めて見た感想はそれだった

青い瞳をこちらに向けながら

目の前で銀髪の髪が揺れながら近づいてくる様を見つめる。 

しかしすぐに思考が戻り慌てて膝をつく。

「よい、ハッシュヴァルト楽にしろバーヴァンシーも硬くなる必要はない」

陛下から命じられ立ち上がれば目の前の少女がこちらを見ている

「お父様?この方はどなたですか?」

少女は陛下の方をチラリと見て様子を伺っている

 

「今日からお前の話し相手になる者だ

明日から騎士団と兼用でお前との時間を設けさせる」

 

そう言った陛下に少女は目をキラキラと輝かせる。

 

「この間お父様が言っていたお友達ですね!

初めまして私はバーヴァンシー!貴方のお名前は?」

 

「ユーグラム…ユーグラム・ハッシュヴァルトと申します殿下」

 

 

「…ハッシュヴァルトお前は私の半身だ

敬語も敬称も要らぬ。素のままでバーヴァンシーと話をして構わない…バーヴァンシーもそれでよいな?」

 

「はい!勿論ですお父様!」

 

「それから、次からはハッシュヴァルトと共に居るならば庭くらいなら外に出ても構わない」

ただ決して一人ではなくハッシュヴァルトと共にだ

そう言ったユーハバッハを横目にバーヴァンシーはユーハバッハに声を掛ける

「本当ですか!…それなら早速ハッシュヴァルトと共に庭に行っても?」

 

「あぁ行ってくるといい…だがお前は少しばかりお転婆が過ぎる処があるハッシュヴァルト、バーヴァンシーをよく見ていてくれ」

 

「しょ、承知いたしました陛下」

 

「お、お父様!…ハッシュヴァルト!行きましょう!」 

 

「え、あ、う、うん」

バーヴァンシーはハッシュヴァルトの手を握りそのまま扉から外に出る

手を引かれながら彼女の後ろ姿を見ながら彼はこれからの生活に思いを馳せる

その思考の隅に親友の顔が散らついたが直ぐに目の前の少女を見て思い直した。

 

 

 

「ハッシュヴァルトは山育ちなのね!私と一緒だわ」

ハッシュヴァルトはギョッとした顔でバーヴァンシーを見つめる。

「え、バーヴァンシー、君山育ちなの?」 

 

「さ、最近まで碌に外に出れてないから虚弱に見えるだけよ?それにここに来てまだ一ヶ月しか経っていないわ」

「まあたまに抜け出したりしていたけれど…」

そう言ってバーヴァンシーは目を逸らす。

 

「そういう事してるから陛下にお転婆だって言われるんだよ」

そんな軽口を言える程度にはバーヴァンシーと打ち解けたなと最近ようやくこの環境に順応してきたハッシュヴァルトは実感した。

 

「…あ、そういえば、決まった時間によく陛下が君の部屋に入っていくのが見えたけどいつもなにをしてるの?」

 

「あ、それはね…えーと…私が話すとまどろっこしくなるから今度お父様に聞いてみて!

ハッシュヴァルトならきっとお父様も話してくれるから」

 

「うーん…じゃあ今度聞いてみるよ」

 

 

 

 

「─吸血衝動、ですか?」

 

この生活にも慣れバーヴァンシーと緊張せずに話せるようになった頃、バーヴァンシーの言葉を思い出し陛下に疑問をぶつけるてみる。

訓練で出た汗を拭きながら陛下の言葉を繰り返す。

 

「お前のその分け与える力は近辺の霊子を集め他者に分け与える物近くに居る者に作用する、それを用いて少しでもそれが抑えられればと思ったのだ」

 

「〝前のバーヴァンシー〟に私が施した物の影響により以前よりはそれは軽減しているが…霊圧の高い者の血を一日に何度か摂取しなければ理性を失いながら周りの者を襲い、そして最後には体の霊子が不足し体が崩れながら死んでゆくのだ」

 

 

「そして一番の問題点は魂魄にある。度重なる負荷により弱り果て不完全な形で取り込まれている私の力と無理に作り替えた体のせいで体と魂魄が合わずにお前が来るまでは日が跨ぐ度に酷くなっていた」

 

そこでふとハッシュヴァルトは何か違和感に気づくが

 

「ならば、どうしてバーヴァンシーに分け与えている力を陛下の元に戻さないのですか?」

 

ユーハバッハは自らの力を自分のもとに還元させる能力があるそれを用いればいいのではないのだろうか。

 

「私の分け与えた力も今のバーヴァンシーにとっては毒でもありまた命綱でもあるからだ」

 

「それは一体…」

 

「もう時間だハッシュヴァルトお前はバーヴァンシーの部屋に向え」

 

「え、あ、承知いしました」

 

頭の中で疑問を抱えながら一礼をしてからバーヴァンシーの部屋に向かう。

この何年後にハッシュヴァルトはその意味を知ることになるとは誰も思わなかっただろう。

 

 

一人を除いては

 

 

 

 

 

 

 

あ〜可愛い

あの性癖壊される美少年ぶり…この美少年も何年後には…やめておきましょうなんか色々思考が壊される気がします。

今はいい感じに私を意識させて好感度を稼いでいますが。

ポテト君…いいですよね。接するたびにたじろいでる感じが… 。

最近では慣れてきて軽口も言ってくるようになって。

これから私とバズビーと陛下とで揺れ動いてすげぇ勢いで天秤が傾きますし今のうちに可愛がっておきましょう。

まぁそれでも手加減せずに今後のためにも幸薄系可哀想な女の子でしか興奮できない体にするんですがね。

初恋は一生を左右するとよく言われますから!

私、顔は一応良い方ですしぃ?

万が一そっちに走っても軌道修正させましょう。おつまみ感覚では中々いいですよね彼。あ、勿論本命は陛下ですが??

まぁそれにしても…これから初代隊長と陛下が戦うまでは暇ですね…

こうガッチガチに過保護に育てられると…出す手も中々ねぇ?

せめてその前に一回くらいは死んでポテト君に私の印象をぐっちゃぐちゃにしてプレゼントフォーユーしたい…

陛下も曇らせて役者も育てられるとか言う二段構え

イェーイ!!我ながら惚れ惚れしちまうぜ★

 

…まぁどうやって死ぬかは今度考えるとして

本当は魂魄が弱りきって今回で終わりになりそうだから山爺との対決あたりで陛下がどうにかしてもらって悪辣ルートに入りたいと思ってたんですけど…なに?他力本願?

仕方がないじゃないですか。でも一回はポテト君に私の死に姿を見せたくて…初回だからそんなに酷くないやつにしてあげますから♡

よぉし!頑張ってポテト君惚れさせて余計に陛下の心情をぐちゃぐちゃにしちゃうぞぉ♡

 

 

なんだこいつ陛下曇らせるとか言いながらイケメンキャラ落として最後にどうせ恋愛物にシフト変更して救済でもやって終わるんだだろ?って今思いましたね?わかるんですよぉ…みなさん忘れてません?ここは所詮本の中、妄想でそう言う事を思うことはあっても結局の所彼らは人ではなく創作物。つまりそう言う事です。アーユーオーケー?

はあ、それにしても陛下のヒモになってから中々体に疲れが溜まりませんでしたが外に出てポテト君が来るようになってからなんかどっと疲れますね…もう年かな…

前も内緒でよく外には出てはいましたがそれの比にならないくらい

 

 

 

今日は余計に疲れましたしもう寝ますね…

それでは皆さん!良い悪夢を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ベッドに入ったはずの彼女は起き上がり

窓辺の付近まで歩いていく

 

 

「…やっと寝たか全く困った孫よ」

 

それにしても我が息子ながら節穴にも程がある

このような者に弄ばれるとは彼奴もまだまだ若造だと息子への評価を改め窓越しに自分の顔を見つめる

〝それは紛れもないバーヴァンシーの肉体〟

 

「余がある程度補助してやっているから良いものの…いや?この娘ならば余がおらずとも彼奴の目も欺けていたやもしれぬな」

 

それも今となってはわからぬが…

 

「今は精々眠れ、何余は寛大だ対価は要らぬ

ただ少し…我が末の男孫のために協力してはもらうが…まぁお前にはそれすらわからぬ故」

少女がその真実を知ることになるのは少女が言うところの原作主人公と相対したその後になる

 

痛みはない

 

苦痛もない

 

そこにあるのは緩やかな海

 

揺蕩い溺れ自分がいなければ世界そのものが崩れる

それを知りながら罪悪感に駆られ足掻く子供達を見つめながら

 

全てを包み込む原初の王は

裏切られし我らが罪の形は

愛の形を知り何を成すのか

 

許されよ許されよ我らが罪を許されよ

 

罪を知らずに生まれながら

咎を背負った全ての子らよ

我が愛すべき民よ

 

「私はお前達人間を愛している

その果てに幾ら人類が地に伏せようが

どれほどの子らが血を流そうが

それはこれからの未来の対価である

──その対価の果てにお前達は死を克服する」

生と死が存在しなかった原初の世界

我が息子が救国の勇者に敗れし時

再び我らが王は降臨する

それは人の言葉で依存

または悲哀

 

 

慄くがいい

──我こそは霊王の意志そのものである

 

 




魔性のポテト

ユーゴ「ごめんバズ…バーヴァンシーは僕がいないと駄目だから…それにバズだって僕のこと裏切ったし別にいいよね?」

バズ「ちょ、まてよ!!ユーゴー!!」

偽バーヴァンシー「これがN T R」

霊王の意志「え、余スルー?」


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なぜお前はいつも…8

卵の皮の白いところ全部綺麗に剥げた!


「…なんだろこれ」

机の上に置いていた紙には消え掛かっているが何か文字らしき物が書いてある。

何度も何度も同じ言葉が溢れかえっており狂気すら感じる。

 

「████?名前かな、これ…なんか地味にわかんないけど」

 

でもこれ見るたびになんか体が反応してゾワゾワする。

…なんか気持ち悪いし捨てちゃおう。

そう言ってくず入れの中にぐしゃぐしゃにしてポイっと捨てる。

 

「よぉし!!今日も頑張るゾォ!!」

いざ!曇らせ目指して一本釣りダァぁぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

庭で花を摘んでいる女を見つめる。

よく見慣れた白い髪、長時間横顔を見つめていたので自分の存在に気付いたのだろう。

自分を見つけて満遍の笑みで駆けてくる。

バーヴァンシーだ。

「ハッシュヴァルト!!」

 

「バーヴァンシー…誰かが見ているかとしれないのだから外では少し節度を持っふぇ…ふぁーゔぁんひー!??」

彼女の指が私の頬に触れ口角を無理やり上げさせる。

「まあいけないわ!ハッシュヴァルト!綺麗なお顔が硬くなって眉間に皺もできてるわ─それに人前ではなくてここは二人だけよ?」

「えーい!」

避けることも出来たが避けずに受け止める。

そうしてバーヴァンシーが世話をしている花畑に押し倒される。

「全く…大きくなったのは体だけでお転婆は相変わらず変わらないな」

 

「あ!お父様にも言われて気にしてたのに!!」

そう言って少し唸りながら自分の頭を胸に押し付け頭を撫でる

 

「な、?!!ば、バーヴァンシー!!」

 

「貴方は少し真面目すぎるわね…貴方と出会ってもう5年は経ったけれど、最近では一人称も変えて無理矢理大人になろうとしているみたい」

 

「…それは仕方がない星十字騎士団の団長に陛下直々に着任を命じて頂いた。少しでも陛下のご期待に応えようと努力するのは当然なんだ」

目を瞑りバーヴァンシーに体を預ける。

 

「えぇ、そうよね貴方のそう言う所私は好きよ」

 

 

「は、?!!だから!そう言う言動は控えてくれ…君は陛下の愛娘なんだ」

 

「わかっているわ!けれど私と居る時まで気張っていては駄目よ

私は貴方のお友達なんだから」

向きをかけて膝枕のような姿勢をとる。、

もう私も背が伸びて決して昔と比べて華奢というわけではないのに。

 

「…バーヴァンシー」

 

「今日はもうこの後予定はないでしょう?久しぶりに寝かしつけてあげましょう

よく貴方に聞かせてた円卓のお話よ?いつも話し始めてすぐに寝てしまってたわね」

〝懐かしいわ〟

そう言って過去を惜しむ女の横顔。それを見た自分が思ったことは果たして何だっただろうか?自分がいなければ何も出来ない。

自分がいなければ生きることさえ難しかった。そして自分がいなければ外にすら出ることも許されない。そして自分を決して裏切らない。

いや、裏切れないと言うべきなのか。

そのような感情を胸に、優越感に浸りながら底知れぬ執着を胸に今日もバーヴァンシーの隣に立つ。

 

 

 

 

「…あら寝てしまったのね可愛い方」

そう言ってハッシュヴァルトの顔を撫でる

まるで母が子にするかのような手つきで微笑んでいる。

「バーヴァンシー…ハッシュヴァルトか」

もうそんな時間だったのかと慌てたがどうやら〝食事の時間〟ではなくたまたま執務が早く終わったのだろう。

 

「えぇ、お話を聞かせていたら寝てしまったみたい」

「お前に私がよく聞かせていた物か…」

 

手を顎に当てながらこちらを見ている

「えぇ!お父様ったらそれしかお話ししてくださらないんだもの!」

「おかげで全て覚えてしまったの!!あ、そうだわ!お父様も良ければご一緒にどう?」

 

〝ほら、ここに座って!〟

そう言って自分の体の横を叩く

 

「あぁ、お前の口からその話を聞くのは酷く懐かしいな…青かった春を呼び起こすようだ」

脳裏に浮かぶのは200年経っても色褪せない彼女の記憶。

『ご主人様、さぁこちらへ、ご安心くださいませ…この私めが貴方様が眠くなるまで側についております。

ご主人様のお好きな円卓のお話をいたしましょう』

 

しかしもう永遠の記憶に絶望する必要はない。

 

「?私お父様に聞かせてもらったことはあるけどお父様の前でお話なんてしたことあったかしら?」

 

「そんなに声を張り上げるとハッシュヴァルトが起きてしまうぞバーヴァンシー」

 

 

「まぁ!いけないわ、ではどこからお話しいたしましょう」

何故ならもう彼女はここにいるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の奥の女に会うために足を急ぐ。

今の私の顔はとてもひどいものだろう。

その姿はとてと騎士団長の姿ではなく決して部下には見せられない

部屋の扉を開けるといつもは一度ノックをしてから入る自分のいきなりの訪問に驚いているのだろう。

私の顔を見てギョッとしている

「あら、ハッシュヴァルトどうしたの?とても疲れた顔をしているわ」

彼女は近寄り私の頬に手を当てる

「バーヴァンシー…」

 

「ほら、こちらに来て可愛い方」

木偶の坊のように突っ立ていた私の手を引いてベッドまで連れて行き。

そのままシーツの上に傾れ込む。

「大丈夫…ここには何も怖いものはないわ、それにしても貴方がこんなに草臥れているだなんて、お友達と喧嘩でもしたの?」

そう言って私の髪を手でほぐしながら抱きしめている

「バーヴァンシーッ、私は、私、は陛下と君を」

ハッシュヴァルトの口に指を当てて「シー…」と私の言葉を遮る。

 

「だから言ったでしょう貴方は真面目すぎるって

無理に選び取ろうとするからいけないのよ

天秤が少しの歪で揺れ動くことだってあるわ」

 

「〝ねぇハッシュヴァルト〟」

 

「私は別に私を切り捨てて貴方はお友達の所に行ってもいいと思うの」

 

「なッ、何を言っているんだッ、君もわかっているのだろうッ!!私がいなければ君は、「えぇ、そうねその通りよ」

 

「なら、何故そんなことを言うんだ!!?

何もしなければ死んで、何かをしようとしても死ぬッ」

 

「陛下から全て聞いてるッ何千回と死にゆく君を助けたいと、そう私に仰ったッ」

 

そうしてやっと安永を得た彼女がなぜそれを手放そうとするのか

私にはわからない。

「えぇ、そうね死ぬのは辛いことよ。何よりお父様が悲しむもの

─でもねそれはすぐにではないの、

死ぬのはすぐではないのよハッシュヴァルト」

わからない何もそこにあるのはこちらを見つめる青い瞳がハッシュヴァルトを映し出す。

 

「ではなん…ッ」

いきなり自分の唇とは違う柔らかい感触を感じ目を見開く。

「ばー、ゔぁんしー」

思考が停止して頭を働かせようとしてもバーヴァンシーの口から少し吐息を漏れる。

 

「ハァ…ねぇハッシュヴァルト貴方はどうしたい?

親友の元へ戻る?それともお父様の元で私と一緒に今までのように暮らすか」

 

「貴方が選んで」

 

私はどうしたいのだろう。叔父を殺された、暮らしていた森を焼かれた時、私は何を思った?

 

 

バズビーは、私を必要としていない。だって、彼は何でも一人で出来る男だから。私がいても、いなくても。彼にとってかわらない。

それに、今更、陛下を選んだ私があそこに戻れるとも思っていない。

ならば、私は何を選ぶべきなのか、瞼に浮かぶのは、

自分の行動一つで笑ったり怒ったり、はにかむ彼女の笑顔。

それが、私のせいでなくなってしまうところだった。

「わたし、は、わたしは、きみにいきていてほしい。あいしているんだバーヴァンシー…」

そう言って情けない声を出す私を彼女は優しく包み込む。

 

「大丈夫よ、私は貴方を絶対に裏切ったりしないから、

ハッシュヴァルト。貴方の事が大好きよ愛しているわ」 

 

その言葉を聞いて、心の底から安堵してしまっている自分がいる事に何故か納得する。

 

「…ユーゴー、そう呼んでくれ」

嫌いだった渾名。叔父に呼ばれるたびに心が凍てつき恐怖した。だが、それを好きにさせてくれた親友から貰った大事な名前でもある。

「でも、いいの?貴方の大切な」

あぁ、大切だ、今でも、だが、だからこそ

「いい、いいんだ、君に呼ばれたいんだ。バーヴァンシー」

過去の幻想に取り憑かれ大事なものを取りこぼすところだった。

そして二度と取りこぼさないように彼は彼女を抱きしめる。

 

 

「えぇ、そうね貴方がそれを望むなら…」

 

 

 

 

 ──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

「…ふー、そろそろ始めちゃおうかな」

 

「もう十分いい子に待ったし!そろそろいいよね♡」

あと1回くらいは大丈夫なように最近はずっとハッシュヴァルトの側で回復したし!吸血衝動も抑えられて一日一回にまでなった駒は揃った。

そのために今の今までに我慢してきたのだ。もうこれで大丈夫!これからは何も変わらない日々がずっと続くぅ?

そんなわけないじゃん!!私そこまでいい子じゃないし 

これは本番までの、陛下がソウルソサイティに攻め込むまでの下準備。

私が死ねばユーハバッハは余計に焦りソウルソサイティへの侵攻を早める。

 

 

「?なんか手、地味に動かしづらいな筋肉痛?」

ま、死ぬんだし関係ないか♡

 

「そろそろ寝るか〜明日も頑張るゾォ!!」

 

「それにしても…精々吸血衝動程度のことは言っているとは思ったけど…そこまで陛下が話してるとは……意外に陛下ハッシュヴァルトの事信用してる?」

そう言って笑う女を影から見つめる者がいるとは、今はまだ彼女は知らなかった

 





キスシーンでの内心

偽バーヴァンシー「(どうする!??これ懐柔のチャンスだけどえ、しなきゃダメ?でもさ…えぇい!!ままよ!!
あ〝ッ〜?!!!!!)」

絶対ハッシュヴァルトバズビーが入隊する時内心ウワァァァァってなってたよね…


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なぜお前はいつも…9

リヨ時空

「なぜお前はいつもそうなのだバーヴァンシー(笑顔)」

「ひっごめなさい!もう逃げない!にげないからぁ!」


気に入らねぇ目の前にいるユーゴーもそうだが

 

「いい加減にしろ星十字騎士団(シュテルンリッター)での私闘は禁じられている」

 

「破れば死罪だが…陛下の愛娘である殿下の前で血を流させる気か?」

──ユーゴーの後ろにいる女が何よりも不愉快だった。

 

「チッ…」

 

 

いやぁいいですよね彼私は基本ハッシュヴァルト君と行動しなさいと陛下に言われているので星十字騎士団(シュテルンリッター)の皆さんには一応陛下の娘だと言って常に側にいるんですがバズビー君…私がハッシュヴァルトの事をユーゴと言うたびにいい顔してくれるんで

す…。

 

「ユーゴ大丈夫?」

 

「!あぁ問題ない…それよりバーヴァンシーそろそろ食事の時間だ」

おや?もうそんな時間だったんですね

「まぁ!もうそんな時間?今日は…確かお父様から貴方に貰うよう言われていたわよね?

はぁ…最近お忙しいのか全然構ってくださらないの」

 

「陛下もきっと君と会えない事を心苦しく思っておられる

それに私と共に居るのは嫌か?」

 

「別に嫌だとは言っていないわ!」

 

「ッッ」

ほら、見てください!このバズビーの顔!!もうお前ハッシュヴァルトのこと大好きじゃねぇか…()しかも私の好きな男に言い寄ろうとしたところでいきなり後ろからくるあれ?〇〇じゃん!!何?お友達?(笑)にもよく反応してくれて…ツッコミスキルA +じゃぁねぇですか。

 

ハッシュヴァルトもハッシュヴァルトで口では殿下殿下言ってますけどよくバーヴァンシーって言っちゃってるので全然隠せてないんですよ…。俺陛下の娘と懇意アピールして余計に自分にヘイト溜めてるとか流石グランドポテト…じゃなかったグランドマスター!!

 

 

 

「バーヴァンシー…すまないが少し先に部屋に戻っていてくれ」

 

 

「えぇ、わかった先に待っているわね」

 

可愛いバーヴァンシーちゃんは勿論帰り際にちょこちょこ後ろを振り返りつつ手を振ることも忘れませんぜ!オェェェッ…失礼ちょっと持病の癪が…やっぱりなんかこう…精神的にきますねかわい子ぶるのもさておき、とっとと行くとしますか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

バーヴァンシーが自分から遠のいていくのを後ろから見ながら先ほどから見知った気配がするのを感じ後ろを振り向く。

「入団したての新入りに絡まれるとは災難だったな。団長としての威厳が足りないんじゃないのか?」

 

「ヒューベルト副団長」

 

口では認めているもののよく陛下に優遇されている私に対して城に来てからと弱みを少しでも見せると嫌味をずけずけと言ってくる。

 

「…そうかもしれませんね貴方を見習うようにしますよ」

 

「…あの新入りあの時の猿だな

治らぬ無礼は私が叩き直してやろうとしよう」

 

聖十字騎士団(シュテルンリッター)での死闘は死罪ですよ

あんな者のために死ぬつもりですか」

 

「なに、見ている者がいなければ陛下といえど知る由も無し」

 

 

「〝私が見ていますよ〟」

 

「殿下がお待ちなので私はこれで失礼します」

 

ヒューベルトは顔を顰める。まるで陛下の目になったような言い方に、さも自分が陛下の一番の忠臣であるかのような毅然とした態度がしかしこの男の着任は陛下がお決めになったことだと思考を逸らす。

 

「ふん、それにしても随分とあの小娘に御執心だな…もしや陛下のご息女であられるバーヴァンシー様と懇意に?」

ご息女などと宣っているが口だけなのが見て取れる態度にハッシュヴァルトは顔を顰める。

 

「…ヒューベルト副団長」

案にもうそれ以上言うなと警告しているのだろう。だがヒューベルトの口は止まらずに言葉を紡ぐ。

「図星か?何別に責めてはいない。顔と体だけはいい女だからな、流石はバーヴァン・シー!男を破滅させる妖精から名を取るとはさぞや両親に愛されて育てられたのだろう」

 

 

「知っているぞ?お前が夜中にどこに行っているのか、何をしているのかは知らないが次からは気づかれないようにしろ。最中に陛下に見つかっては半身のお前でも死罪も考えられるからな」

 

「あの様子を見てよく皆娘などと口先で言っているものだ!あの女と共にいる陛下の目を見たか?まるで」

〝年若い恋人を見ているようだ〟

それまで言おうとしてハッシュヴァルトの顔を見て口を閉ざす。

 

「〝ヒューベルト副団長〟」

重苦しい空気に思わずゾッとする

「ッ?!!」

これは、まるで、まるで陛下の

「それ以上は陛下への侮辱ですよ。…それに殿下は陛下の愛娘であらせられる方です。この意味がわからない貴方ではないでしょう」

 

「話は以上ですか?では私はこれで」

ハッシュヴァルトがあの部屋に行く最中ヒューベルトがボソッと呟いた。

「…流石は次期皇帝様だ反吐が出る」

しかし陛下がお選びになった者。自分にはそれについてとやかく言う権利はないとその場所を去っていく。

 

 

 

「…ユーゴなんか遅いわね」

窓から景色を眺めながら独り言を言うと後ろから扉を開ける音がする。

やっと来たのかと思い名前を言いそうになって途中でやめた。

「バーヴァンシー」

 

「お父様!!?今日はお忙しいかったのでは」

 

「何、予定より早く終わってな」

 

「では今日は私と一緒に居てくれるんですね!」

目をキラキラとさせて喜んでいるとユーハバッハが声を出す。

「あぁ、今日はずっと一緒だ」

その顔を見てユーハバッハは重苦しげに声を出す。

 

「…バーヴァンシーまだ先のことなのだが、私はハッシュヴァルトと共に尸魂界(ソウルソサイティ)に侵攻する前の下準備をしなくてはならならい」

やっと手に入れた安永を、もし自分が死神に敗れ死すればバーヴァンシーは失ってしまう。

いつもそうだった私の庇護の下にいなければ人が良い彼女はすぐに消費されて殺された。

「お前をここに置いて行くことになるだろう、だがこれは必要なことなのだ私とお前の未来にとって、そしてお前がこれ以上何も奪われない為に」

 

「だからどうか「お父様」」

バーヴァンシーが父からの言葉を遮る。

 

「バーヴァンシーはわかっております、お父様が私のためにやってくださっていることは…だから大丈夫です!いつものようにいい子に待っております!」

 

「それに!お父様は少し過保護すぎると思うのです5年前にも私を置いて外に出ることはありましたが何もなかったでしょう?」

だから、大丈夫だと彼女は言う。

いつもいつも私の判断で彼女は地獄のような道を歩んできた。

何度も何度も繰り返し死んでいく姿を見る中…いっそのこと私自ら、殺してやるのも手ではないかと思った事もある。

しかし、いつもそれができなかった、しなかった。

「あのね、だから私を信用して?お父様」

少女だった彼女が大人になってもいると実感した瞬間。

いつも少女の姿のまま死んでいった彼女が、その少女が。

「それに!まだ彼処に侵攻する前の下準備なのでしょう?ではそう言った心配は本番にしてください!」

 

「大丈夫!その時が来てもバーヴァンシーはいい子にお父様の帰りを待っています!」

 

あぁ、私の選択は間違っていなかったと、実感した瞬間だった。

 

「…勿論だバーヴァンシー、愛する娘の言葉を信じない父親などいるものか」

 

 

この5年は素晴らしく穏やかで、私の愛する平和そのものだった

やけに静かになった城内で二人で語らい合う。

そしてそれは嵐の前の静けさだったと知ったのはユーハバッハとハッシュヴァルトが城から帰ってきてからだったが。

今の彼にそれを知るすべは無し。

 

「…」

ハッシュヴァルトは扉へ手を掛けようとして、途中でその手を止めそのまま己の部屋へ戻って行く

 

 

 

 

 

いつものように扉をノックしてから鍵を開けて扉を開けると少し不機嫌そうな顔のバーヴァンシーが抱きしめてくる。

「バーヴァンシー誰かが見ているかもしれない鍵を掛けるから少し待っててくれ」

 

「…ユーゴったら昼間は来てくれなかったくせに夜になったら来るのね」

 

「陛下がいらっしゃただろう親子水入らずを邪魔するほど無粋ではない」

陛下は私が扉の前に居たことは気づいていただろうが、あの場所に入ろうと思うほど私は鈍感ではない

「もう!屁理屈はいいわ!」

そう言ってむくれるバーヴァンシーを腕に抱いてそのままベッドに降ろす。

 

あの日からよくバーヴァンシーの部屋で共に眠り日が昇る前に個人寮へと帰って行く事が日課になりつつあるなと感じ

流石にヒューベルト副団長の言葉を肝に銘じる

「あら、目がもうお眠になってるわ…そろそろ寝ないとまだ隈ができるわよ」

この間は酷かったわね

そう言ってクスクスと笑う彼女を尻目にしながら

殺されはしないだろうがこのようなの所を見られては何かしら罰はあるだろうと次から部屋に向かう際は細心の注意をはらって行くことを脳に刻み込む。

そうして眠そうに目を擦るとふと昼間。

扉の前で聴いたことを思い出し自分の髪を櫛で解いていたバーヴァンシーに声を掛ける。

「バーヴァンシー…本当に大丈夫なのか?」

脈絡のない質問だっただろうがある程度付き合いが長いバーヴァンシーはすぐに少し間を置いてあぁ、あのことかと思い溜め息を漏らす

「はぁ…もう!ユーゴもお父様の心配性が移ってしまったのね私はもう小さい子供ではないのに…」

 

「しかし」

 

「シー…」

あの夜と同じようにハッシュヴァルトの口に指を当て顔を近づける

「大丈夫だから、ね?」

それ以上は何も言えずにいると

何かとんでもないものを見落としているような、そんな気分に陥りながら。

 

「それでは…おやすみなさい愛おしい方」

そう言ってバーヴァンシーは顔にキスを落として目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「…バーヴァンシー」

もう何度目かに名前を呼ばれ流石にそろそろいい加減にしてほしいとバーヴァンシーは声を上げる

「もう!外には出ないし血も保存してる物を時間通りに飲むし人にも会わないわ!」

 

「ね?お父様の心配するようなことはないでしょう?」

 

「…早ければ3日遅ければ精々4日もすれば戻ってくる

其れまでは」

 

「えぇ、勿論いい子に待っているわ…お父様」

 

 

 

 

   ─────────────────────────

 

 

 

 

もう2日たったか…一日遅れで娘をこんなことに!!がしたいし

そろそろ取り敢えず暴走するとするかな!!

 

はぁいバーヴァンシーちゃんの3分クッキング!はっじまるよ〜!!

まずぅカスみてぇな自分の霊子のガス栓のゴムの部分を切り裂きまぁす

それをお外に出してぇ

爆発!!!!

「ガッッひゅッ…」

はい、終了ぉ〜♡

え、なに4分かかってる??しらねぇなぁぁ??

「はぁいそれじゃぁバーヴァンシーの虐殺パーリナイのはっじまりぃ今夜はぁ…寝かさないぜ?」

まぁ寝るには寝ちゃうんだけどね永遠に

 

「暴走で起こした霊子不足によるものってことにしてぇ…そう言う意味ではえぇと聖十字騎士団(シュテルンリッター)?って霊圧強いやつしかいないし!ちょうどいいじゃーん!!!」

あ、でも丁度陛下と一緒に出てちゃったんだっけ

あーあ

しかしやっぱりドイツ語って読みにくいなぁ

いつまで経ってもなれないし…

あれ?でも私言えてなかったっけ?あ、だめだハイになっちゃってるからよく思い出せないや

「…だれかいるのですか?」

あ、ちょうどいいところに獲物はっけーん

「おや物音を立てちゃったから早速きちゃったみたいですね?」

じゃあ哀れ第一の被害者さんの所へ行っちゃいましよぉ〜

 

 

 

 

「ばー…バーヴァンシー様?」

あ、そう言えば私よくよく考えたらいい子のバーヴァンシーを真似るばかりでいきなり陛下からやれと言われてできるのかな?

 

「だ、ダメ、逃げてッ!!早く、じゃないと、じゃないと」

手を隠しながら壁にぶつかって発狂する

 

「テメェらのカスみてぇな血吸い取って殺しちゃうから♡」

ばぁ♡と言いながら怯える顔を覗きこみ手足を切り裂く

あ、演出結構いいかも?

「ほら、無様に逃げてみろよ!!

あ、ちなみにゴミ虫みてぇに這いつくばってやれよ?」

えぇと確かこう言う感じだったよね

 

「よぉし!決めた!今から頑張ってお父様が帰ってくるまでバーヴァンシーになるためにいっぱい練習しよっと!!」

女中の血を吸いながらバーヴァンシーは決意した

 

「あ、ダメだわこれ、想像以上に私の魂魄雑魚すぎて体の崩壊が早いなクソっ…こう言うのってちょうどいいタイミングで来るもんじゃないの?、はァァァァ仕方ねぇ耐えろよ〜私の体ぁ〜」

取り敢えず城の中にいる非戦闘員全員殺すか

この事件結構取り上げられそうだなぁ

ここに来る前外で散々血吸ってきたし…勘のいい奴は気づくかも?

名前はどんなのがつくかな…

できれば横文字なしがいい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なん、だこれは

「お、おとうさ、ま」

口元から血をだらりと垂らし服を汚している。

もう最近では見ることのなかった血のついたバーヴァンシー。

「…ひっ」 

後ろで控えていた部下がその禍々しさに悲鳴を漏らす。

あれは、一体なんだ、

「バーヴァンシーッ!」

 

己の半身がバーヴァンシーに近寄ろうとし急いで静止する。

「よせッハッシュヴァルト…お前は部隊を下がらせよ」

「しかしっ」

 

「…早くせよ」

部隊を下がらせながら。

ごめんなさいごめんなさいと何度も謝罪をしているバーヴァンシーの側に近寄る。

部下の前ということもありギリギリ平静を保っていあ理性が飛びそうになる。

微かに残る霊王の遺骸だと思っていたもの

それは間違えるはずもなく自分が彼女の吸血衝動を抑えるために入れたもの。

それが、なぜ、

「お、とうさまごめんなさい、ごめんなさい」

また、私のせいで死ぬのか、

また私のせいで消えるのか。

「なぜ、なぜだ!!!?我が父よ!!なぜ私の邪魔をするッ」

天に怒号を浴びせるが空から何かが帰ってくることはない。

 

「お、おとうさ…?!!!あ、や…は?から、だ、わたしの、」

 

 

 

「なッ」

 

 

急激にバーヴァンシーからの霊圧が強くなるのを、感じる

おかしい、彼女の霊圧はもっと

 

辺りが静かになるのを感じる

そこから声が響く。

 

 

 

 

 

「どうか、どうか、お願いです、」

それは悲痛な叫び

〝やっと私の意識が浮上するがそれもすぐに終わってしまう〟

「あ、あッ」

身体が押し戻される感覚に合う。

それでも、これから起こることを視せられた後ではと必死に声を紡ぐ。

 

 

「どうか、わたし、を、あいさないで、こ、ころしてそうしないと」 

それを言いかけて

自分の中の何かが私を暗い沼に引き摺り込む

手がこちらに伸びてきて私の魂を別の遠い場所へと

放り投げられる。

 

「?!!!〝ア〝ァ〝ァ〝ァ〝ッッッッ?!!!!!」

魂を鷲掴みにされる

凄惨な悲鳴が喉から木魂する。

「まてッバーヴァンシーッッ」

ひとしきり叫んだ後パッタリと音が止んだ手を伸ばそうとして。

それと同時に彼女の体はガラス細工のように崩れ去る。

その姿を見て、

「ハ、ハハハッ」

口から端が吊り上がり笑いが止まらない。

「何が救うだと?!!何が助けて見せるだッふざけるなッふざけるなッ」

使い潰され何をされても人を恨まなかった少女を汚したッ

城中が血塗れになっているがお構いなしに膝をつく。

硬い床を握り締め爪が禿げようが血が出ようが更にずっと握りしめる

「ぜ、んぶ私のせいではないか…」

その弱々しい姿はまるであの日の少年のように、その日クインシーの王は吠えた。

「おま、えに会いたい…」

最後の女の忠告は脳内から消えてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

「全く、困った小娘よ己が願っておきながらその願いを放棄するとは」

手には混ざり合ってドロドロになった魂魄が二つ

「原作なるものに近しいできる限り霊圧が高い者を選んだはずだが…」

幸い我が息子が気づいていないから良いものの

「しかし…この娘がいなければ男孫が死ぬ」

そうなれば今までの〝己の努力〟も無駄になると考え直す

「安心するがいい、全てが終わった後お前の魂をお前の愛する兄と同じ場所へ送ってやるとしよう」

 

「何これもまた巡礼の一つそのまま道を辿るがいい」

あぁ、しかし

あれが邪魔なこともまた事実

慈悲である程彼奴に気づかれないようにと外を歩かせていたが

 

「男孫は仮とは言え妖精を名乗っている…ならば余もそれに準え未来の勇者のために一つ贈り物を贈ろう!なに王とは気前が良いものだ」

 

尸魂界にいる何百年後かの金髪の女へと霊王の爪を誘導させる

〝いつかの未来〟のように魂の一つを遙か未来へと霊王の体の一部と共にお前へ贈ろう

 

 

「確かに本来元の異教徒の魂ならば子らは彼奴を地獄は愚か尸魂界に送ることさえ叶わぬ…例え半分だったとしても、だがあの小娘な浮上したことにより今彼奴はこちら側に近くなってしまった」

それも一度死ねば元に治るが…だがもう魂をすり減らし次への旅のチケットは一回分も残っていない

だが知っている

あの娘が最終決戦まで生き残ることを

「ふむ…先を知っているというのも考えものだが

この退屈も後1000年で終わる」

それでいい

このままでいい

そうすれば我が王道は揺るがないものとなるだろう

影のなる内で世界の王はうっそりと笑った

「…それにしても暇な事には変わりなし、暫し寝るか…」

 

 

 

 

 

散々泣き喚いた後鏡張りになっている城の上を見上げて言った

 

「…奴等の、彼処にお前はいるのだな」

今まで感じなかったバーヴァンシーの霊圧が憎き死神共のいる地に感じ取る

まだ希望はある、彼処からお前を見つけ出せばいいだけだ

しかしいきなり彼処に行ったとしても比較的にただ尸魂界の具体的にどこにいるのかは分からない

それに死神共が邪魔をしてくるに違いない

「…まずは邪魔な死神共を殺してからお前を探そう」

 

しかし…例え見つけたとしても助からない瀕死の状態では無理だ

ならば─ならば手段作ればいいだけの話

バーヴァンシーの体を気にして行わなかったが

     

「バーヴァンシーに行った不完全な物ではなく魂をより深くに刻み込む事による応用として…」

自分の魂を分け与えた者を用いて死んだものを蘇生させる能力はあるが…短命になるリスクがありまたバーヴァンシーに行おうとしても既に別の地点で生き返りそれは不可能だった

 

「ではそれとは別の能力を作れば問題ない…せめて死活問題である吸血衝動と…私が与えた霊王の遺骸を抑えきれさえすれば」

 

「待っていろバーヴァンシー…少し時間はかかるだろうが必ず見つけに行く

それまではどうか無事でいてくれ」

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

「あ、れ?」

急に意識なくなったと思ったらそこは尸魂界だった

また森かよ…

またブリーチ王道の転生物にありそうな…

え、まって?まじ?

ということは私の自分の体の考察予想外れてたって事?

うわ、はず

あいつら死神に私の魂どうこうする権利ねぇよなぁぁ????してたのに…

こう言うのって普通外れないもんやろ…

 

「失礼お嬢さん大丈夫ですか」

おや、早速第一村人発見だな?

「あわ、すみませ、」

陛下が来るまでまた曇りに曇らせて…

あ?

まてこの顔

この隊服

そして脇に刺してる刀

「いいえ、ですがこのような森の中に一人でいては危ない流魂街の何処の家なのか教えていただければ送っていきます!」

 

 

 

「さ、さ、」

 

「?一体どうなされました」

 

雀部長次郎ォォォォォォォォ?!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ───────────────────────────

 

お兄ちゃん

 

嫌いだった白い髪を好きにさせてくれてありがとう

 

いつも、いつも私のためにありがとう

 

頭を撫でてくれて、愛してくれて

 

私のためにごめんなさい、私なんかの為にごめんなさい

 

 

私が地上で体を殺されてから

兄は外道に堕ちました

 

それでも近くで見守っていましたが、

等々それも終わりを告げました

 

 

私はなんの因果か再び前と同じ顔、同じ体を得ましたが

 

兄だけがいません

 

日ノ本ではなく、何故か外来の国に降りました

 

〝これはきっと罰なのです〟まだ十にも満たない年齢の子供が言いました

 

兄のいる地獄にすら行けず

天の国にすら行けず

 

そんな中夢の中で神様がいいました

今から言う地を巡り巡礼を行い

人の道から外れろ

そうすれば

兄の元へ連れて行ってやろうと

 

私はそれを受け入れました

 

子供ながらに辛い旅でした

しかし諦めません

わたしは必ず巡礼を終え兄の元へゆくのです

そのためならどんなことをしてもいいと、おもいました

 

 

 

 

結局私は外道にすらなれません

 

そんな中絶望しているとわたしの深い所に何かをぐちゃぐちゃにして入れられました

 

 

私の体は私のものでは無くなったのです

 

 

わたしの体を使っている彼女はわざと虐められ貶され笑われて

しかしその裏では悪い事をいっぱいして周りを苦しめていました

わたしは胸を高ならせました

いつしか私に信託を下さった神様も彼女の中にいました

 

これで私も兄の元へ行けると思ったからです

 

しかし、わたしはいつからか彼女のために涙を流す人がいることに気づきました

何度も何度も助けようとしているけれどいつも手をくれのボロ雑巾になったわたしの体を彼は優しく包み込むと手を握ってポロポロと涙を流してくれます

 

しかしそんな事は彼女には届きません

 

私は彼の姿を見て私がいなくなり壊れていった兄を思い出します

 

いつもいつも彼女は最後までいないので気付きませんでしたが

 

彼はいつも彼女が死んでいった外因になった村を焼き尽くすのです、

 

そんな、彼を見ていたある日

 

気まぐれで神様から〝視せられた景色〟に私は泣きました

 

彼女と彼を共に居させては駄目だ

そう思い彼女の魂魄が弱りきった時ようやく私は声を出せました

 

 

「わたしをあいさないで」

 

どうかどうか覚えていて

 




名探偵ヒューベルト副団長、尚実際距離感が迷子な親子愛な模様

意思さん「霊王の力の残り香強くして我が息子を勘違いさせたぞ♡」

偽バーヴァンシー「流石は今回のMVP!よ!日本一!曇らせ界の大統領!」

転勤を余儀なくされた挙句NPCになったバーヴァンシー「うわぁぁぁッ」



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なぜお前はいつも…10

トッモがハッシュヴァルト の事スーパー攻め様みたいな見た目してるなと言ってて吹いた




みんなぁ?げんきぃ??ちょっと飲み過ぎちゃって少し記憶がないバーヴァンシーちゃんだよぉ!!

中々に治安がいい所に来ちゃって少しがっかりだけど…流石に某更木なんかに送られちゃったら秒で首取られて死んでますからね()

流魂街で最強災厄に治安がクソな地域ですからね。

曇らせ以前の問題です彼処は、まぁここに来たのもほとんど不法滞在の密入国みたいなものですがねははっでも流石にあんなに飲むんじゃなかった…。後悔しても2日も経つと忘れてやっちゃうんですよ…これが、依存ってコト?!…んっっ

それにしても労働って気持ちいいよね!!あの後雀部さんに適当な村に案内していただいて…久々のこの感覚…さいっこう!!!

ちょくちょく雀部さんが来てくれるんですけど顔にアザ作るといい反応してくれるんですよ〜苦手ですけど!!

「失礼椿殿はおられますか?」

雀部長次郎ォォォォォォォォ?!!!!

 

失礼♡取り乱しました♡

 

「は、はい!ここです!こちらにおります!長次郎様!」

あ、さ、雀部さん…そのちぃーす。今日はどういったご用件で、

何?馴染めているか心配で様子を見に?アザース!!え、なんですか、

もしよければ一緒に街にいかないか?

…えぇ、私この後こき使われるので忙し…あ、いきまーすハイ行かせてもらいまーす。で、でもぉ、こんな女といたら護廷十三隊としての…ほら、なんかに、そう!評判に傷とかつきません?ね?

え、どうでもいいし貴方も誰に言われたか知らないがそんな事は気にしなくていい?あ、了解でーす!チッこの方しょっちゅう来てはノ字斎殿が…うんたらかんたら卍解が…とか一生懸命喋ってますけど、ほんと山爺の事大好きじゃねぇか…それにしてもこいつとんだ陽キャすぎません?こいつしばらくした頃に名前聞かれた時に記憶がないっていったらなんと名付けてきやがりましたからね。

『名がない?…では椿などいかがでしょう

貴方の白い髪を見ていると昼間に見た白椿を思い出しました』

 

とんだプレイボーイですよ!!ぺっ

こいつの好感度上げたところでポテト君と違って過程を陛下は見ていないから特に曇りませんし!!

でも私はいい子で笑顔のバーヴァンシー。恩人を無碍にしたら駄目なんやな(使命感)そうこう考えてる間に街に着きましたよ…もうここはボーとして…え、なんですか?人酔いしたならすこし休まないか?

はぁぁぁ??この村人全員にタコ殴りのリンチにされた経験を持ったバーヴァンシーちゃんに向かって人酔いだとぉぉ??

 

あ、大丈夫です、まじほんと、え、なにこれから知り合いの家に?おい!まて!!知り合いの後になんか今何か見知った名前が聞こえたぞ!!馬鹿やめろ!!ちょ、山爺は駄目だってェェ?!!!!!

 

 

 

 

 

  ───────────────────────────

 

 

 

 

 

陛下からお呼び出しを受けたリジェ・バロは扉を叩くと入れるという主君の声に従い扉を開ける。

陛下の隣にいる金髪の男に少し顔を顰めたがすぐに表情を元に戻す。

「失礼致します、陛下リジェ・バロ只今参りました」

それでどう言ったご用件でしょうかと

そう言いかけた時陛下の口が急ぎ早にこう言った。

「リジェ・バロよ私はお前達に死神共の殲滅に向け新たな力を分け与えようと考えた」

 

「それに伴い最初に分け与えるに足る存在を考えお前を選び取った」

今まさに完璧な存在である己が主が更に素晴らしい能力を作りそれを一番に分け与える存在が自分だという事にリジェ・バロを歓喜した

「なんという慈悲深き御心…」

ユーハバッハは自分の手を切り裂き器に血を並々と注いでいく。

「この器に入った我が血を飲み干すがいいそれを持ってお前の魂に私の血を刻み込む」

地に足をつかせ陛下からいただいた器を一滴も溢さずに飲み干す。

血など飲むのは少し抵抗があり他の者の血などごめんだが敬愛する陛下から賜ったモノとなれば話は別だ。

「お前の聖文字は〝X〟我が最初の息子よ」

これからはそれの能力の強化に励むがよいと陛下から言葉を頂く。

そして

「次にこれより着名の儀式を行う」

少し間をおいて陛下に問いかける。

 

「着名…と申しますと」

 

「私が作り上げた聖十字騎士団よりさらに上位の私直属の親衛隊を作ろうと考えている」

 

「もしや、そのお役目を、?」

 

「その通りだ我が息子よ」

 

ユーハバッハはこちらに目を向けながら言う。

「これより与える力は先ほどのものとは違い本来の名を他者に呼ばれるだけで我が祝福は簡単に剥がれ落ちる」

故に一度己が名を封印することになるがそれでも良いなと陛下は口を開けてこちらを見ながら声を出す。

「勿論で御座います…我らの中に神である陛下の御命令に背く異教徒などいるはずもありません」

そう言った自分に陛下はこちらに近づき声を出す。

 

「お前の名は妖精騎士ベディヴィエール、忠節の騎士そう名乗るが良い」

妖精、その言葉を聞くたびにバーヴァンシーの事を思い出す。

そもそもこの祝福(ギフト)は彼女がいなければ創りさえしなかった

それを考えれば妥協な名前だ。

 

面を上げ自分に力を授けた王の目の前に重々しくそして更なる忠誠を捧げるべく声を上げる。

 

「着名、承知いたしました」

「用は済んだ既に他の者には言ってある下がり次の決戦に備えよ」

 

「恐れながら陛下、少々お聞きしたいことが御座います」

 

「…なんだ」

もう帰られる気になっていたユーハバッハは部下に引き止められて少し顔を歪める。

 

「親衛隊のお名前は如何なさるのでしょうか。やはり陛下直々ともならば名前の一つ程あれば部下に示しがつかないかと…も、申し訳ありません差し出がましい口を、」

 

「いや、いい。お前の言葉にも一理ある」

 

ユーハバッハは少し考えるようにして口を開いた。

 

「─ アルフェ・メンシェ(ノアの方舟)

 

「お前達はこれより霊王を解放した先で新たな新人類となる。これほど似合いの名もなかろう」

 

 

ハッシュヴァルトはその様子をただ眺めていた。男が扉から出た後ユーハバッハは己の半身に声をかける。

「不服か?我が半身よ」

するといつものようにハッシュヴァルトはいった。

 

「陛下のご決断に異議を唱える愚か者はこの聖十字騎士団(シュテルンリッター)に存在致しません」

 

しかしその脳内には何か雲のような物が立ち込める。

「そのようにせずともお前にはバーヴァンシーを見つけ出した後にでも着名させる」

 

「…承知いたしました」

 

 

 

 

 

部屋に帰るよう命じられ足を急ぐ。与えられた部屋で上着を脱ごうと手をかけようとした瞬間。

「おかえりなさいませハッシュヴァルト様」 

 

自分に仕えている部下から声がかかる。このような暗い部屋に自分が帰ってくるまで居たのなら灯りくらいつければ良いものをと思ったが謙虚なのがこの者の良いところだと思い直す。

 

「…どうした何か問題か?」

 

「妖精騎士の着名について陛下に進言しなくて宜しいのですか?」

 

ああ、その件かと部下の忠誠心が高いことはいい事だがそれも考えものだと思いながら返答を言う。

 

「陛下の御決めになった事だ」

 

「しかし次期皇帝であるハッシュヴァルト様よりも他の者が襲名されるなど」

 

「…何を言うかと思えば陛下には殿下が居られるのだ滅多な事を言うものではない」

 

「ですが、バーヴァンシー様は既に」

 

「生きておられる─陛下が私にそう仰られた話は終わりか?」

 

部下は何か言いたげだったがそのまま部屋から下がらせる。

ふぅと息をついたままベッドに倒れ込むが何かが足りない。

いつとバーヴァンシーが使っていた毛布を枕に敷いて少しでも違和感を払拭しようと試みる。

「きみに、あいたい…」

いつも自分を愛していると言った顔を思い出しながらハッシュヴァルトは目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに居た者を見つけたの時、森の中の太陽の木洩れみに照らされながら虚な瞳で辺りを見渡すその生傷だらけの顔を見て何か自分の中で胸が熱くなるのを感じた。有り体に言えばそれは恋。

剣の道とノ字斉殿のお役に立つ事ばかりを考えていた男が一目惚れなどと、しかし何かが燃え上がるような感覚、それはまるで燃え尽き灰すら残さないと聞くノ字斉殿の卍解のような。

白い髪に青空を思い出させる瞳。

私が何度も一方的に押しかけて間もない頃。そういえば名前はなんと言うのかと聞いた事があったが残念ながら死ぬ前の記憶がなくそれすら思い出せないと言う。哀れに思いそれならば椿などどうかと女に言えば嬉しそうに笑ってくれた。

昼間に見た白椿などと嘯いた事は彼女には分からないだろう。

彼女の挙動一つ一つで己が動かされている様を見て腑抜けだと言われるかもしれないだがまたそれでも良いと思える。しかし自分にも任務があり中々時間は取れなかったが、勿論鍛錬を怠ったりはせずにしかし時間が空けば彼女に会いに行った。

一度町に誘い断られた事があったが何故かと問えば

「私は…残念ながら貴方のような方に優しくしていただけるほどの人ではありません。

それに、名のある隊士様とあればこのような女と共に居る姿など評判にも関わってくるでしょう」

 

そのような事は気にしなくていいのに。貴方は純粋であればいい。

ただ、笑っていてくれさえくれれば。

 

 

 

 

「ノ字斉殿!女性に贈るもので相談があるのですが!」

 

「貴様!儂の事をなんだと思っておるッ!そのような事は四楓院にでも相談すればよかろうが!!!…待て!貴様このような時期に女だと?!!」

何か言われたような気がしたが気にせずにこのような相談にも乗ってくださるとは流石はノ字斉殿と心の内で思う。

 

「なるほど!では早速行って参ります!」





完全に予測不可能な男
雀部「惚れました!!一目惚れです!」

偽バーヴァンシー「何もしてないのに…怖」


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なぜお前はいつも…11

夢小説なんて恋愛描写&色んな男に惚れられてなんぼですよね!!
メインヒロイン?陛下に決まってるじゃないですか()
展開早すぎるって自分でも思ってるんですけど一万字も書けないのも事実なんですよねぇ…


 

な、なんとか山爺ルートを阻止しました…

お、おまえなぁぁぁ?!!!!!

流石にクインシー擬きだと気づかれないとは言え今ころころされたら私危なかったんだからな?!!

それにしても行動力がありすぎるぞささきべぇ…

よく尊敬してる上司の所にいきなりこんな女連れていけるな!!!

まぁ!何かしようとしても直ぐに私のこと殺せるぐらいわけないけどさ!!!

何?自分では私が怖がっていたのに気づかなかった?

ごめん?怖いに決まってんだろ…知らぬものはいない剣の鬼才であり目的のためならばどんな手段も使う一切の甘さがない事で有名な初代様達の長だぞ????

千年後ならまだしもおま、ラスボスの娘なんて絶対残火の太刀案件じゃねぇか…その後?ブルブル震えながら帰宅しましたよ…。

あ?なんですか?あーハイハイ縫い物終わりましたーえ?次これ?はいー喜んで!!!

 

…はぁぁぁぁぁ千年後にロイドロイド君が演じる陛下に山爺が見せる屍の中の一人なんて…そんな、そんな、

 

いや、全然アリでは??

 

おっと失敬本音が出ました♡

チッぃ!!!!

この野郎!!全然気持ちよくないからな!!!!私はお前に屈しないぞ!!

そう!目先の欲に駆られてはいけない…

深呼吸を…すぅーはー…

あわ、だめだ、も、妄想が溢れていくぅ!!お労しい陛下の妄想が脳内からあ、溢れ出して、え?なんです?井戸で水を?はいー喜んで〜!!

エイサ〜コラさん〜ん?今何か…まぁ!気のせいか!!

…ふぅ取り敢えず気を取り直して落ち着くんだ!!私!!そう、黒髭さんも言っていたではないか!!人の夢はおわらねぇ〜!と!

あ、う、ひっお、駄目だ…この間の陛下曇らせの記憶途切れて摂取が少量だったから少し性欲が暴走してやがる…

ちきしょう!?!私は雌犬じゃない!!どけ!!俺は心に立派な魔羅を持ったTS転生者だぞ!!!

し、鎮まれ!!鎮まりたまえ!!!

 

うぉぉぉ…あ、己貴様か

なんだよこんな夜中にお前…今性欲抑えててイライラしてるんだ…

今何してるだと?みりゃわかんだろ洗濯物しながらムラムラしてるんだよ。今人に会いたくないからさ…そう言う時期あるだろ?

え、詫び?困るんですよそう言うのは事務所通してもらわないとサァ…

あーうんうん。いやいや、私が悪いんで()

噂でも立ったらあれでしょ?ほら、こんな女となんかこう、

って、ウワァァァァッ〝?!!!!ちょ、おま、う、後ろにGが、

なんでソウルソサイティにアイツがいるんだよ!!

なんでこんな至近距離でこの殺気にきずかねぇんだよ!!

 

やべぇ話が入ってこねぇ…

あ、あいつ飛ぶきか?!!どっちっ?!!どっちに飛ぶきだ?!

あ、後ろ向け?なんだよ急に今それどころじゃ…お、落ち着けゆっくりだ、いいか?ゆっくりだぞ?馬鹿!!!おっきい声出すんじゃねぇ!!!

あ、今の声で驚いてでてった…よかった…それにしても急にどうした脈略がねぇぞ…いや、いつもないけどほら、向いたぞ…あ、こいつ絶対髪につける系の類のものを差したな…さては簪か?はぁぁぁ青いねぇェェ?!!!青春だねぇェェ?!!!

お前ぇ私が意味知らないと思って送ってるだろ???知ってるからなぁぁぁ?!!!前世で夢小説見まくってた男ぞ????え?貴方を思いながら探してこの簪を見つけた?ふ、ふーん…イケメンじゃねぇか

こいつ行動はたまに天然なんですけど体も節々から出るイケメン臭が…こう見てるとさ…悲しくなってくる…。

俺の息子が恋しい…一回ハッシュヴァルトの部屋に行こうとしてバッタリ風呂上がり&着替え中に遭遇してさ…。

ガッツリ見ちゃったんだけど少し懐かしくなってこれがホームショックってヤツ?。

思わず彼処を凝視しちゃったら顔真っ赤にしてよ…。

でもアイツその前に黒目ダイナマイトボディのボス女中様に間違えて見られた時があったけど真顔で受け答えしてましたよ。やっぱりあれですかね?見せすぎて慣れた的な…え、つまり非◯貞?…マジィ?

私より先にあんなダイナマイトボディで童◯卒業とかゆるさねぇぞ!!コラァぁ!!!!?え、なんかショック…知り合いが大人の階段登るとなんか置いて行かれた気になりますよね…。まぁ初体験はともかく初恋はどうせ私でしょうけどね。つか今も多分拗らせてますよ彼。初恋引きずる系の男ですから、絶対。今もドロドロの四角関係を五にする勇気はアイツにはねぇですよ…。でも流石に大の男が女によしよしされた程度で照れるのは演技だったと名探偵バーヴァンシーは思います。

でも、まぁアイツ絶対今も私の事すきだしな、鈍感主人公を期待してた?残念でした!!二次創作で腐男子活動をしてたバーヴァンシーちゃんに抜かりはないぞ★。ん?あ、すみません照れてただけですよ〜やだなぁ。いや本当ですよ??なんか話してたぽいですね…やべぇ聞いてなかった。手でも握ってそれっぽいこと言うか…あ、うんうん取り敢えず後からで良い?先送りって大事だよね。あ、はいはいいってらっしゃい〜。気分は宿屋の女将ですね、知らんけど。

ちょ、おい苦しいわ!やめろ!!抱きつくな!!

 

 

   ─────────────────────────

 

 

よく自分は空気が読めないとは言われることが多々あったが

「今日は申し訳ありませんでした!私にとっては敬愛すべきノ文斉殿といえど一般の方からすれば緊張してしまう存在だとわからず!」

まさかこんな所で発揮されてしまうとは夢にも思わなかった。

空気が読めない男だと思われた…

しかも勢いで来てしまったせいでこんな夜分遅くに女子の家に行くなど常識知らずにも程があった。

今回渡せなかった髪留めを持ってきたが…もしや物で謝る男に思われるかもしれない、間をみて渡そうと思いながら。

入れてくれた事が奇跡だと思いながら今回の事について反省する。

ノ字斉殿にお会いする事をあれだけ嫌がっていたのだ、もしや日頃クインシーや虚の血に塗れて街を歩き回る一部の隊長達のせいで護廷隊に何かしら恐怖を抱いているのかもしれない。

この間も六番隊の斉藤が頭から血を被った状態で団子を食べに行きノ字斉殿に半殺しにされたと聞く。

よく考えれば初対面の彼女は何も知らなかったから私に物怖じせずにいてくれただけで護廷が何かを知った今私に対しても何かしら緊張しているのではと少し焦りがでる。

「いいえ、その様に謝らないでください

私が悪いのです…」

 

「何を仰る!今回貴方を怯えさせたのは私の責任です!」

次からはもっと気をつけなければ、日頃血生臭い戦闘狂の女子達しか見ていなかったせいか感覚が麻痺していた。

「い、いえそうではなくあ、あの、ふしだらな女と思われると思いますが…その、」

 

「いつもお話して頂いている方にお会いすると聞いて…もしその方が長次郎様と私を恋仲と勘違いされては困られると」

少し思考が停止する。

前に瀕死の状態になってもそんな事は無かった私が。

「と、特に深い意味はなくそれで噂でも立てば長次郎様がお困りになられると思いまして…その、えっと」

顔に熱が溜まり頭が沸騰していく

なんと

「わ、私は別にそれでも構わなッ…あ、いやこれは、そういう意味ではなく、いや、違うのですが」

何を言っていいかわからず取り敢えず渡すなら今だと謎の確信を持ち今日渡す予定だった簪を後ろに持つ。

「そ、そういえば今日貴方に送ろうとした物があったのです

少し後ろを向いて頂けませんか?」

彼女は少し驚くと声を上げる

「ですが、そんな私なんかに悪いです…し」

 

「どうか!そこを何とか!」

興奮して身を乗り出す

「長次郎様…その、声が、少し」

 

「な、申し訳ありませんッ」

大きな声を出してしまいしまったと思いながら小声で何度も言うと

彼女は少し困った顔をしてから後ろを向いた。

「これは…簪ですか?」

それは白椿に青い葉を装飾した物

色合いを見た時に彼女の目と髪も想像して即決した簪だ

「貴方を思いながら探しやっと自分の中で良いと思う物を選んだのです!

気に入って頂ければ良いのですが」

彼女は嬉しそうにはにかんだ笑顔で笑いながら言った。

「とても、…その私には勿体ないほどの物を頂いて、でも宜しいのですか?」

こちらを見つめながら言う彼女に私は

「貴方だから、貴方だから、良いのです」

それを言ってしまった途端に何か、言うまいとしていた自分の中で弾け飛んだ気がした。

 

「…椿殿、今回謝罪という名目で貴方にお会い致しましたが、勿論それに嘘偽りは御座いません

ただ貴方にお伝えしたい事がもう一つあるのです」

彼女は疑問符を浮かべながら私の言葉を繰り返す

「─近い内に私たち護廷十三番隊と滅却師(クインシー)の全面戦争が始まるでしょう」

言わなければならない、例えば短い間の関係であっても私にとって彼女との日々は何百年にも勝る物なのだから

 

「もしそうなれば私もいつ死ぬかも分かりません

勿論尊敬しているノ字斉殿の為に死ぬつもりはございませんが…それとこれとはまた別の話」

せめて言っておきたかった。

「貴方にも、もうお分かりだとは思います、私は一目見た時から貴方のことを特別に想っていました」

 

「だから、どうか滅却師(クインシー)との戦いに勝利し平和な世になったその時、私の元へ来て貰いたい」

せめて返事を聞きたい、例え拒絶されようとも軽蔑されようとも

「戦地へと行くいつ死ぬかもわからぬ私にどうか、今すぐに返事を」

いきなり言葉が言い終わる前に彼女が私の手をにぎる。

「長次郎様、そのお返事は如何か貴方様が戻られてからに致します」

 

「な、椿殿!」

 

「私はここで貴方様が返事を聞きに来る日を

椿は待っております!

ですからどうぞお気をつけていってらっしゃいませ」

そう言って頭を下げる彼女を見る

白椿、私が愛した大輪の花

何者にも染められない白

私が生きて帰ることを、何より信じている

そうでなければ戦地に行く男にここで待っているから早く勤めを果たしてこいなどと言えようか。

「…勿論、必ずや、私は貴方の元へ帰って参ります」

そう言って男は女を強く抱きしめた。




反射と勢いで話してるから何言ったのかわかんないグランドオブクソ主人公
安心しろ雀部さんお前らの圧勝で終わるから

偽バーヴァンシー「その、下品なんですけどね?曇ってる陛下を見ると…勃起しちゃいまして」

弓親「濡れたの間違いだろ」

偽バーヴァンシー「は?」


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何故お前はいつも…12

誤字ってたらすみません…



「おい…なんであんな齋藤隊長怒ってんだよ…」

 

「そんなのしらねぇよ…お前聞いてこいよ」

 

「嫌だよ…」

瀞霊廷内にて六番隊隊長齋藤不老不死はドタドタと足を走らせていた。

 

「チッあの堅物野郎どこ行きやがった」

 

他の隊員はそんな不老不死の怒りを買うまいと別の道へいそいそと逃げてゆく。

「…おや?珍しい事もあるねぇあの齋藤ちゃんが自主的に書類出そうとしてるなんて」

 

いつもいくら元柳斎隊長に怒鳴られても頑なに出そうとしない姿を見かける事が多々ある。

不機嫌な顔が更に不愉快に歪み声がする方を見ると其処にはいつも薄笑いを浮かべる男が一人。

尾花弾次郎だ。

 

「ウルセェ俺は机にずっと張り付いて文字書くなんてゴメンなんだよ!テメェと違ってな」

 

へらへらした態度が気に入らず毎度毎度キレ散らかして最終的に真剣で切りかかる度に俺だけあのクソジジイに半殺しにされる。

まったくもって納得がいかない。

 

「僕も別に好きなわけじゃないよ?でも嫌いって言う割に字は綺麗なんだよね齋藤ちゃん」

 

「喧嘩なら買うぞゴラ」

 

次は斬魄刀ではなく素手でやればあのクソジジイも文句は言わないだろうと拳に力を入れた。、

 

 

 

 

 

 

 

 

白い軍服を見に纏った者たちが我らが王の声を待ち重々しく傅いている様子。

その姿は圧巻と言っても過言ではない。

「全星十字騎士団(シュテルンリッター)にお前達の父が告げる」

手を上へと掲げ目的地を示す。

 

 

「──これより光の帝国(リヒトライヒ) 尸魂界(ソウルソサイティ)へと侵攻を開始する」

 

そんな中ユーハバッハの隣で待機していたハッシュヴァルトは無表情に立っていた。

  

 

 

 

 

 

ゴーゴーと炎や人の怒号が飛び交う様はまさにこの世の地獄。

「おいっ!誰か!俺の子供を見なかったか?!!」

 

「死神は何処だ?!!こんな時に何やってんだッ?!」 

 

「おか、あさん?、どこ?」

ある者は血を流し、ある者は2度目の生を諦め、そしてまたある者はこの理不尽に怒った。

戦火の最中、滅却師の侵攻により町が燃え人々がこの世の終わりと絶望する中。

女が一人、人混みの中を掻き分け逆の方向に進んでいく。この間やけに隊服を着た男と親しげに歩いていた女、印象に強く残っており顔を見るとその女だと直ぐにわかった男は親切心で声を掛ける。

「おいっお嬢ちゃんその先は行っちゃダメだ!

死神と滅却師の交戦に巻き込まれるぞッ」

 

「いいえ、問題ありません。私はこの先に用があるのです」

 

「こんな時にやめとけッ!彼処で働いてる家族か知り合いが居るのかも知れんがあの中じゃもう死んでるッ!!行けば死ぬぞ!」

 

此方を向いた女がふわりと笑うこの状況に似つかわしくない。周りの有様に狂ってしまったと捉えることもできるだろう。

「ご忠告ありがとうございます─でもごめんなさいこの先で大切な方が待っているので」

先を急ぐと言って前を向いた彼女の顔は此方からは見えなかった。

彼女が歩いた後に人混みに揉まれた所為で髪につけていた髪留めが取れたのだろう。

誰かに踏まれる前にと手に取るとそこに咲いているのは見事なまでの〝白椿〟

 

女はこの奥に居る己の父に会う為に足を進める。この日のためにある程度瀞霊廷内の内情は聞いている。向かうのは一番炎が激しい場所

空高く舞う炎の元へ─

 

 

 

 

 

「もう終わりか、ユーハバッハよ」

 

戦況は絶望的だ。部下は殆ど焼け死に殺されるもう戦える滅却師など数えるほどいない。

「随分と目が虚じゃな…もしや現実逃避か」

苛烈な男だ。まさか自分自身の部下さえ焼き殺す事に何の躊躇もないとは、〝異常者〟その言葉に限る。

 

「侵攻してきたお前達が逆に蹂躙されているこの状況に」

 

「抜かせッ大聖弓(ザンクト・ボーゲン)ッ!」

巨大な光の弓を形成、多大した神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)を多数発射し対象を撃ち抜かんとする神の聖弓が放たれる。

 

「それは効かぬと言ったッ!!」

 

 

炎が至る所に燃え広がる死体の山の上に男が二人。辺りには別の隊長格達が待機している。逃げる事は不可能だ。見渡す限りの死体、その殆どが滅却師の者でありユーハバッハは部下の亡骸を踏み付ける目の前の男を見ていた。

 

「哀れな者よユーハバッハ、滅却師共の統領ともあろう者がよもやこの程度とは」

己の体を焼き尽くそうと剣を振るう男山本元柳斎重國。

 

「…この程度、だと?」

 

部下の遺骸の山に立ち尽くして己を逃さんとする男は鼻で笑う様に言う男上にすら行けずこの様なところで終わる己を嘲笑う。

 

「なんじゃ、何か言いたい事でも」

 

囲う様に光の柱が複数発現し滅却聖矢を山本元柳斎に放つ。

 

苦悶の環(クヴァール・クライス)ッ!」

 

が、直ぐに卍解で捩じ伏せられ光の柱は消えて行く。静血装(ブルート・ヴェーネ)で己に剣先が及ばない様にギリギリで耐えているがそれもいつまで持つかは分からない。

「潔く死するが良い。お前の死んでいった部下の様に」

ふざけるな、私はこの様なところで終わる訳には。傍で周りの滅却師を山本の卍解が及ばない域の範囲で狩を続ける。

しかしユーハバッハを逃さない様にいつでも飛び出せる様待機しながら

「俺達は足止めかよ…チッ」

骨のありそうな滅却師は皆殺し尽くしてしまい狙っていたユーハバッハも手は出すなと今まさに敵将と濃厚な戦いに興じている男を不満気に見つめながらを斬り殺していく。

 

「齋藤ちゃん血気盛んやね、楽だから良い…じゃんッ!」

滅却師の顔に目掛けて飛び蹴りを咬ましながら楽し気にこちらに話しかける。

「〝か〝ッ?!!!」

ゴキッと嫌な音が響く頭蓋骨でも割れたのだろう。顔の原型はもうほとんど止まってない。

「四楓院!!テメェ死神なら刀で殺せよッ!!」

ただでさえイライラとするのにこんな男と一緒など耐えられないと頭を掻きむしる。

 

「あー、落ち着いてください不老不死ちゃん

こんな時にそんな事してたら、じじ…山本元柳斎隊長に怒られますよ?」

鹿取抜雲斎は声を荒げる不老不死を宥めようと声をかける。

 

「毎回言ってるけどお前それ隠せてねぇからな!

…それに一番血に飢えてんのはソコの戦闘狂(バーサーカー)!!!私はマトモなんだよ!!」

 

「…」

無言のまま敵を切り伏せる殺人鬼、なんでこんな女を引き入れたのかと何度あのクソジジイに声を出した事か。

「無視かよッ!!ヤリすぎてトリップしてんか?!〝アッ?!!」

 

「…五月蝿いですね、切って大人しくさせてあげましょうか永遠に」

卯ノ花はそういうと無表情に斬魄刀を此方に向ける。

刀を向けられれば買い言葉に売り言葉すぐ様斬り殺してやろうとこちらも抜刀し体制を整える。

「ヤレるもんならやってみやがれッ!!」

いざ斬りかかろうとすれば隣にいた男からいきなり頭をこづかれる。

「落ち着かんか馬鹿者!!!お前は毎度毎度…この間山本隊長に半殺しにされた件を忘れたか!!」

執行

いつも何かと顔に似合わず皆の面倒を見ようとする変わった男だ

まぁ理性があったとしても戦闘狂な事に変わり無いが。

「言うんじゃねぇよ!!せっかく忘れてたのに!!!」

 

 

そうして叫んでいればいつもはずっとあのジジイに着いて居る男がいない事に気づく。

「はぁ…つか雀部は?アイツこんな時にサボりか?

いつもはノ文斉殿ォ!ノ文斉殿ォ!って犬みてぇにきゃんきゃんウルセェのに」

 

「女にでも会ってきてるんじゃないか?」

 

「ハッあの堅物がか?それこそねぇだろ」

いつもいつも仕事をしろ責務を果たせと五月蝿い奴が居ないのはいい事だがこの場面に至っては別だ

「いや?案外分からんぞこの間街で女と歩いてるのを見た」

 

「は??マジかよアイツが?」

 

「あれ?不老不死ちゃん知らないんですか?」

 

 

 

 

 

手負のネズミの様に追い込まれているこの私が、

 

「貴様はここで終わりじゃユーハバッハ」

 

「待て」

斬魄刀をこちらに向け今にもトドメを刺そうと炎を纏わせながら向かってくる男を制しする。

 

「なんじゃ、よもやここまで来て命乞いとは言うまいて」

 

 

「…違う、お前は白髪の青い目の女を知っているか?」

生きていることだけは分かる、だが詳しい位置までは定かではなかった

死神に尋ねるのは癪だが背に腹はかえられぬとこの戦争での一番の不安を取り除こうとする。

 

「たとえ知っていたとしても今から死するお主には関係のない事」

そう言って攻撃しようと刀を振り下ろそうとして少し止める。

 

 

「ふむ…一つ貴様に聞くが…それはお前の命より大事な事か」

少し考える様にして私に問いかける。

「そうだと言ったらどうする?」

 

 

「…ではお主はその答えを知る事なく死ぬが良いッ」

 

「なッ」

いきなり斬魄刀の刀身を掴まれる、あり得ないことだ、自殺行為にも程がある。

「否定しないと言うことは知っているのだな」

人の身では耐えられない熱を纏った刀を素手で受け止める。肉の焼けた嫌な音が聞こえ凄まじい速度で腕が溶けていく。体を霊子で強化しているからまだ形を保ってはいるが骨まで焼けるのも時間の問題だろう。

 

「?!!貴様ァッ」

咄嗟のことに判断が追いつかなかった。

「では尚のこと私はお前たちを殺し、上へ行くとしよう…ッ?!!」

 

前の男ばかりに気を取られていた。

後ろに気配を感じる、その瞬間死体の山から白髪の男が出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、ぜ、」

己を殺そうと背後に居た死神が何かを言っている顔に血が付着する

だが一向に痛みが来ない。これは、私の血ではないこれは、この温かさは

 

「バー、ヴァンシー?」

胸に突き刺さる剣から血が滴る娘の体。それを見た瞬間自分を追ってこのような場所まで私に会いに来たと事実にただただ歓喜が走ったのは事実だ。しかしその後に取った行動と云えば目の前の少女の瀕死の体に声を漏らすだけだった。

 

「がッ…ひ、あ、」

 

「雀部!!戻れ!」

このままでは巻き込まれると部下に声をかけるが、思考が停止した様に刺した相手の刀を抜けず立ち尽くしている。

 

「なぜだ!なぜここに来たッ!なぜ庇った!!?お前は何故いつもそうなのだッバーヴァンシー!」

隠れていればよかったものを

逃げていればよかったものを

「ご、めんな、さいごめんな、さい、いつも、いつもごめ、んなさい」

見捨てれば、良いのだ。この200年。一度たりとも、私に恨みを吐いてはくれなかった。一度たりとも憎んではくれなかった。生きたいと、共に居たいと私に願ってすらくれない。

 

「己が悪くもないのに謝るなッなぜ怨まないッ!なぜ自分のために怒れないッ

─いつもそうだ、お前はいつも、いつも、私のせいで」

 

焼けた腕ではなく片方の腕のみで抱き上げながら声を荒げる男に女は何度も何度も血を吐きながら微笑む。

「ごめ、ごめんなさい、でも、でもね、」

 

「、わたし、おとうさまがきずつくすがたはみたくないの、だって、いたいのは、くるしいのは、つらいのは、だれだっていやで、しょう?だから、わたしはいいの、」

 

「からだが、しぬのはさびしいもの」

 

 

「雀部!!下がれ!!死にたいのか!!」

 

 

「わた、しは、なに、を」

頭を抱えながら何かを呟いている男に声をかけるがまるで返事が返ってこない。

 

「チッオイ!何腑抜けてやがる!…仕方ねぇなッ」

急いで男を抱え上げるとそのまま炎の届かない距離まで男を移動させる

 

「でも、ごめんなさ、い、またなにもできなく、て、」

炎が迫っていく。

だめだ、このままでは。

いや、終わって良いものか!このまま、消えていいものか!

「バーヴァンシー、必ず、私が」

 

 

 

 

 

 

 

「何一般人巻き込んでんだよ」

志島が声を上げて近くに居た者を非難する。

「でもここに居たってことはあの子滅却師じゃないんですか?なんか敵さんと親しげでしてたし…別に良いじゃないですか」

楽観的だが言葉の節々に一切の容赦がない。そう言って眼鏡の位置を掛け直しながら答えている。

 

「いや、あの霊圧は一般人以下だった。

どう考えても滅却師ではねぇだろ…つかなんであそこに居るのに誰も気づかなかったんだよ」

 

「戦ってる真っ最中だったんですよ?興奮状態であんなに霊圧低いのに私達の霊圧探知に引っかかるなんて無理ですよ」

 

「お前らには目ついてねぇのか?なんのためにここで囲んでたんだよ締めるぞ」

 

「別に良いですけど切りますよ?」

 

「ヤレるならヤッてみろよ」

挑発的に声を出すとバンッと近くの壁が崩れる。

 

「貴様ら!黙っとれ!!…雀部!どうした!」

 

蹲ったままの雀部に声をかけるが返事はない

「さっきからずっと蹲ってますね、もしや月物?」

 

「シツ!お前!いい加減にしないとしばかれるぞ!」

 

 

「な、…、……こ、」

 

耳を近づけて何を言っているのか聞こうとするがまだ声が小さく聞こえない。

「なんじゃ!聞こえん!もっと大きく喋らんかッ!」

 

 

「つ、ばきどの」

 

 

 

 

 

 

「あ、…あ、」

 

「〝あ〝ッ〝ッ〝ッ?!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尸魂界の影に霊子にて異空間を作り上げる離れ業を行うことで難を逃れたが致命傷を受け二人共々死ぬ間際だ。

 

「バーヴァンシーッ!」

 

「あ、う、」

髪は焼かれ皮膚も黒くもう生きている事が奇跡という他ない状態だ。

しかしそれももう長くはない。

「待っていろ!必ず私が、」

 

「か、ひゅ…」

呼吸器官が焼かれ息もできず苦しそうに踠く姿を見て、今回はもう無理だ、そう思ってしまった。だが、彼女にはもう次は残されていない。

もう彼女に未来はない。明日を望む事は出来ない。ならばと、用意していた新たな力をバーヴァンシーへと入れ込む。彼女の耳に口を近づけ優しく言った。

 

「お前にはもう次はない、ならばこのまま終わらせてやった方がお前の為だとわかっている…わかっているのだッ」

だがそんな事はできない、今まで何度いっその事このまま眠らせてやった方がと思わなかった訳ではない。だが次こそはうまくいくと信じ続けたかったのもまた事実。これはエゴだ。本人の意思はない。ただの自分本位に護る救うと宣う男の茶番に他ならない。

 

「頼む私が迎えに行くまで死なないでくれ、何があっても生きてくれ

例えお前が何処へ行こうと必ず見つけ出そう…

お前が、お前が、例えどんな姿になっていたとしても、必ず抱きしめよう」

今回の事でよくわかった、いや、今まで気づかなかった方がおかしかったのだ。人の良いままではダメだ。すぐに使い潰され、消費され捨てられる。この世界は弱者から退廃され消費されていく。誰であっても例外なく。この娘の美徳はこの世界には毒だった。

 

「…悪辣に生きるがいい、残忍に生きるがいい

そうでなければお前は生きては行けぬ」

 

「たった一度、たった一度でいいのだ。

お前が幸福に生きられる生き方ができるのなら私は」

 

「私の夢を、魂を、捧げても、良い」

 

そう言って首元へと剣を突き立てた。

「お前が何処へ行こうと次は必ず奴等より先に見つけ出す。

回復するまでに何百年かかるだろう。それで、どうか…

待っていてくれとしか言えない私を許さないでくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ───────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「お、……き」

ハイ、なぜバーいただきましたァダァ!!!!陛下ぁぁぁ〜♡♡そ、そんなダメですって!!!ちょ、いまぁぁぁ??????ま、まぁ?結構私今回頑張りましたしぃ???最近ご無沙汰だったのでそこは?全然いいんですけど??それにしてもあの顔を…うへへへへ最高ですねー!あ、生ビール一つおなしゃす〜!!あれ本当映像化できないかな???何度も見返したい!!!久々でこの摂取量はもういけません!お客様!!幸せすぎて死んでしまいます!!はァァァァ思い出したらまた吸いたくなってきました…陛下にはやはり中毒性ありますよね!!

謎のキノコ的な!!今なら抱かれても許せ…やめとこう

いやぁ、これで10年は若返りましたよ〜陛下ぁぁ!!!俺だダァァ!!!結婚してクレェェェ!!!!それにしたって今回は雀部さん様様っすわ〜よ!今回のMVP!!!色男!素敵!!抱いて!!…はやめときましょう。それにしても山爺やっぱり容赦なかったですね…少しビクッとしました。作中屈指のチートキャラな陛下をぶっ殺した時点で大分あの方人外ですよ…甘さうんぬんもあるでしょうけど…それにしても凄いですよね。ひゅぅぅ!!!サスガァー!!こっちむいてー!!!

…まぁそれはそれとして悪辣娘バーヴァンシーちゃんの物語まで後少し!!!また少し頑張るゾォ!!!!えい!えい!お、

 

 

「起きよ我が末孫よ」

なんですか私今トリップ中で、…ん?待てよおかしい、これはおかしいだって私は声に出してない、口に出してない。なら他人の声が届くのはおかしい。…興奮しすぎて頭おかしくなった?それともただ耳がおかしいだけ?

 

 

「他人とは随分な言い草だ。

いや、全く持ってその通りではあるのだが」

 

え、マジで私の空想じゃない?じゃあ貴方is誰?まさか俺っちのイマジナリーフレンドなんていいませんよね?

 

「不本意ながら余はお前の中に居た霊王の欠片そのものだ」

 

はぁ?????????マジの????霊王???はぁぁ???いや、欠片を陛下に入れられたのはしってましたけどぉ…なんかアレすか?ペルニダさん的な感じ?ほら、覚醒?みたいな

「…あれとはまた違う。あれは体に染みついた記憶、その残り香の様なものだからな。しかしふむ、意外だな。もっと取り乱すかと思っていたが随分と冷静だ」

 

いや、これでもかなり驚いてるんですよ?ただほら、今賢者タイムの最中だから…せめてこの前に来てたらそれなりのリアクションは用意してましたよタイミングが悪かったですね!!でもなんで私の中に霊王人格が?もしや息子が可哀想すぎて浮上してきたとか?

 

「安心しろ余はお前の味方だ。極力はお前の〝ソレ〟にも協力しよう。

我が倅は好きにするといい」

 

えぇと…つまり貴方の息子さんもぐっちゃぐちゃのでっろでっろにしていいって事?保護者公認で????やっちゃっていいんですか?!!死ぬまで性癖に汚染された元男が弄びますけど??!!!!あんなことやこんなことをしても!!!??

 

「まぁある程度は、だが」

 

「しかしお前は少し慎みを持つがいい

…はあ、それにしても息子も見る目が無いな趣味が悪いにも程があるというものだ」

 

普通に暴言で草ハイ、ハイすみませーんわたしぃ女の子じゃないのでぇそう言うことわからなくてぇ。…あの、もういいっすか?そろそろ旅に出たいんですけど、曇らせ道を極める為のこれから更に準備して陛下を曇らせるんです!!もちろん協力してくれるんですよね??

 

「…それは別に構わんが900年お前がアレのために生きていけるのならな」

ふぁ??

 

「気づかないのか?その体は長くない。精々持って1週間、虫の方がまだ生きられる」

 

ま?え、え???

 

「息子に感謝しておけ、最後にお前の体にギフトを入れなければ今頃消えていた」

うわぁ…

まぁ確かによく200年も持ったなと自分でも思ってたけどさぁ。他力本願バーヴァシーの本領ここで出てきましたヨォ。

 

「それが嫌ならばお前は今からある場所へと向かうがいい」

と、いいますと?もしや何か策でも…

 

「お前が今から行く先は虚圏。かつて誰にも気づかれない様とその亡骸を隠し結界を施した、この世で最も悍ましい沼。それは余が生まれた意味を作り出した者」

 

「全ての虚の祖、その名は白き龍アルビオンだ」

 

……はぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦火の後。ようやく炎を鎮静化した焼け跡でふらふらと歩いている男が居る。死神の隊服に身を包んだ男。

「おい!アンタ!」

咄嗟に声を掛けるとゆっくりと此方に振り向く。

 

「…アンタこの間白髪のお嬢ちゃんと一緒に歩いてただろ?」

 

「…そうですが、一体何の」

 

「これ、あの子に渡しておいてくれ」

布に包んでいた中の物を広げるとそこに見えたのは少し欠けてしまった見事な白椿。

「ッそれは、」

自分が送った簪を何故持っているのか尋ねる前に男が問いかける。

 

「逃げてる最中に落としてたんだ、直ぐに拾ったからそこまで壊れてはないと思うぜ」

 

「あの子止めてもこの先に大事な人が待っているからって聞かずに瀞霊廷の方に…」

 

 

 

 

「……ッ、つば、…き…どの…ッ」

 

雀部は男から簪を受け取ると、それを大事に抱えた。男の顔から水が溢れ出す。

 

─その涙を受けながらその大輪は。美しくただそこに佇んでいるのみだった。

 





偽バーヴァンシー「愛、愛ですよアスキン」

最高にオサレな男「致命的に度し難いぜ…」


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なぜお前はいつも…13

陛下っていつから影の帝国で王政してたんだろ…

藍染様のシーン矛盾してたので少し変更しました


─境界のアルビオン

それは存在するだけで脅威の人類の天敵

常に高濃度の霊子を放ち続け人々の正気を失わせる上位存在である為人類の敵として殺し合い

三日三晩の戦いの末勝利した。

人間が生まれる以前の星の誕生にも立ち会った原初の者達

人々が生活を始めてから他の竜種が星の生み出した支配者の誕生を予見して同時に世界の裏側へと去っていく中

表側の地球に留まった変わり者

世界の裏側に移動した者たちの残した因子が付着し、それぞれの生態を維持したまま魂を再構築した今の虚とは違う大本の存在にして現存する最後の純血種。

竜の死後、その亡骸はある場所へと安置した。其処は見た者全てに対して悍ましい不快感と恐怖を与え続ける沼。

一度入れば霊圧の高い者に対して不快感と恐怖を植え付け廃人と化す存在する物質の中で最も醜い罪の庭。

 

「それがこちらでのアルビオンの正体とその概ねの内容だ

理解したか?」

 

…一応は…うん

と言うかこっちでもあのドジっ子竜居たんだ…どこの世界でも厄ネタなのは変わらんな。アイツ本当どの世界線なら帰れるんだろうか、多分宇宙一帰宅部が向いてないよあのドラゴンそもそも規模が桁違いなんだが…

あ、でも今の虚って全然ドラゴンっぽさないよねなんで?ご都合?

 

 

「確かに姿のみで言えば異国の方がまだそれらしいな

まぁ力は此方と対して変わらんが…しかし彼方には先祖返りの様な力の素養を持つ竜もまた複数存在するらしい、名前は忘れたが…」

 

あぁ、あのバーンザウィッチの…名前なんだけっけ…

くそ、思い出せねぇ…ここで200年の誤差に気づくとか…もうお爺ちゃんじゃん…え、でもなんか可愛い感じの名前だった気がする…くそ、パラ読みなんてしなきゃよかった!!えぇとたしか…メルヘン竜?だったけ?あ、アンデル竜?なんか違う気がするが…

 

「随分と風変わりな名だな、まぁどのような名だろうともアイツに比べれば月とスッポン、…蟻の方が適切か?いや、微生物だな、うむ、アメーバとかの」

 

おいそれ風評被害だぞそうゆうの良くない。あと絶対名前違うから、それで覚えるな。

 

「しかしアイツの強さ、気高さ、美しさには遠く及ばないとは言え先祖返りと言うならばアルビオンの子の様な存在…彼方に行くことがあれば余自ら名付けてやるのもやぶさかではない」

 

なんかやけにアルビオンの事も持ち上げますね…もしやお爺様アルビオン大好きなのでは??さてはオタクですな?

 

「それとはまた違うが…まぁアレとは深い仲だからな、子の為に已む無く殺しはしたが今のその気持ち自体は変わらん」

 

うわぁ…激重感情じゃないですか、ラブですか?それともアイラブユー♡ですか?アッツアッツのスープぶっかけてやりましょうか?

今度陛下に会った時にでもやーい!お前の父ちゃんヤンデレ!って言ってやりましょうか??えぇ???

 

 

「馬鹿者め、そのような不埒なものと一緒にするでない」

すいませーん

ごめんなさーい反省してまーす

 

「はぁ…もう良いな?そろそろ本題に移るぞ」

 

あー、

でも疑問というか…ある程度理解したけどさっき言ってたほら、遺伝子的に裏側に去った竜の因子?が虚の原型を作ったならそれアルビオンは別に原初ではないのでは?

 

 

「原初の虚の原型になったと言うのは表に現在する純血の竜の最後であるアイツを便宜上そう呼ぶだけだ。

わかりやすく例えるのなら…ふむ、お前達で言うならば人類皆兄弟のようなものだ。

要は物凄く曖昧なのだ」

 

成程凄くわかりやすい進研ゼミくらいわかりやすい。行ったことねぇけど。

 

「それで、だ、お前には今から虚圏に行ってもらう事になるが」

 

あ、うん話の流れ的にわかってましたよー?わかってましたけどぉ…

…本当に行かなきゃだめ、ですかね?

陛下が来るの遅かったりしたらギリギリあの方彼処に来てますよね?確か100年前くらいって言ってましたし、間に合うかな…陛下

そもそもその前に陛下が病み上がりで直ぐに来てくれる可能性もわからないのに。結界を剥がせないにしてもまぁ存在には絶対気づきますよね?

…ほ、他にいい案ないのかなぁ…な、なんて

 

「わかっているのか?拒否権など今のお前には存在しない、なんせ行かなければ死は確定している」

 

あ、うんそうなんですけどぉ…あ、でも!ほら!虚圏に行くためのほら、黒腔?私多分できませんよ??

それに例えまぐれで開けれたとしても霊子の通路なんて練れるほどの力ないですしぃほら、他の方法考えましょう?もっとこうセミ並みの命を生き返らせる方法とか。

 

「あぁそれなら心配ない〝事前に未来から引き寄せておいた」

 

ふぉぁぉ???えぇ、さ、さすが霊王様!!!いやぁ準備がいいなぁ…まさかそんな能力があるとは!!すごいなぁ!いやぁこれはもう行くっきゃないヨネ!!!でも、さ、…ヨシ様が将来絶対行く場所なんだよなぁぁぁ!!!きちゃうんだよなぁぁ!!!

 

「なんだ、そんなにあの男が恐ろしいのか?」

 

怖いに決まってるじゃないですか!!主人公に対してお前の命も人生も全部私が作ったようなもんだからな(笑)したりその他諸々とか!!

可愛い女の子に彼女は僕が居なければ生きていけないようにした…とか素面で行っちゃうハンペンですよ??何より風格が…もう、正直リアルではお付き合いしたくない性格の方ですしぃ…とにかく存在を確認されるのも正直極力は避けたいですね…本編軸は仕方ないにしてもさぁ…

こわいんだよなぁぁ

 

「自分より高度な生命体を弄んでいるお前がか?笑えない冗談だ。

あの男もお前に比べればまだ可愛いものだぞ」

 

言い過ぎでは???それ貶してます?もしかして貶してます?

お?お?訴訟起こしますよ??勝ちますよ???

 

「愚か者め、褒めているのだ。賞賛は素直に受け取るが良い」

 

絶対違うじゃん!!馬鹿にしてるじゃんー!!賞賛と書いて罵倒と読む方か何かでいらっしゃる???ヤダァなぁ怖いなぁ…本性バレたりしたら殆ど負け確定だしさぁ…勝てる気しない……でもまぁそれしか方法ないならするしかないんだよなぁ…

 

「安心するがいい、例えお前の中身があの男に露見したとして、劇の最中に水を差すほど空気が読めない男ではないだろう」

 

た、確かに!!あのオサレの化身様がそんな馬鹿正直に言うわけないよね!!!

まぁ流石に何かヒントは主人公とか陛下に言いそうではあるけどお前の娘ゲロ以下の性格だよ!なんて陛下の前でなんて率直に言うわけないかぁ!!

 

「さぁこれで不安材料は無くなったな。

─さぁどうする?人であれば誰しも狂気に陥る沼地にてお前達にとって永遠と呼べる年月暗い沼で一人眠りにつく勇気がお前にはあるか?」

 

…ここまで来たならもうとことんやるしかないかぁ正直まだ不安だが…

よぉし!!もう決心したぜ!!男は度胸!!!お爺様!!私を虚圏まで連れっててくれ!!

 

「もう着いているぞ」

ふぁ??

 

「…なんだ、まさか気が付かなかったのか?今お前の体を動かしているのは誰か」

 

え、あ、は?

 

お、お前ぇ!!!??!せめてなんか一言ないのか?!!!!確かにさっきからなんか感覚ないな…とは思ってたけどさぁ!!

気づかなかった私にも私だけどヨォ!!!!つかせめて私の意見聞いてから行けよ!!!

 

「既にお前が行く事は決定していた、それに先程お前が言ったのだろう?連れてってくれと」

 

言ったけどさぁァァァァ!?????スパンが短すぎんだろうが?!!!あれ、でもここ砂地じゃなくね?虚園の何処?

 

「だから言っただろう先程着いたと…それにしてもふむ、やはりこの霊子の中息が出来るとは魂魄が違うとここまで違うのだな。其の様子だと精々体が重い程度だろう」

 

「これを見ても発狂すらしないのは…やはり精神構造が此方とは違うのか?」

 

真面目に考察してんじゃねぇ!!!テメェ!!!え、ここ、ほんとにさっき言ってた沼地?確かにえぇと、黒い水の中に漂ってる肉塊?かな

気持ち悪いとは思うが狂うほどではないし、というかこれ結界?周りに膜みたいなのがあるけど、いつどうやって入ったんだよ…

 

「むしろ何故そこまで見えて気がつかなかった、…まぁいい今からお前にアイツの心臓を入れ込む。

それ以上説明はしない、拒絶も聞かない。

馴染むまで大分掛かりまするが…まぁこれほど膨大な時間があれば十分だろうお前は運がいい」

 

ちょ、まてせめて自分で入りたいから!!!ねぇ!!なんで助走つけてるの?!!!待って!!まだ心の準備がァァァァ?!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

    ─────────────────────────

 

 

 

 

 

 

「?」

おかしい、自分は今藍染様の命令を受け現世へと向かおうとしたはず、開きかけようとしていた道が閉じて何かに引き込まれるように閉じていく。

いざ渡ろうと霊子で編んだ道も何かに吸い込まれていく。

事が終わった後そこには最初から何も存在していなかったと言うようにただのいつも通りの変わり映えのない砂地が広がっていた。

何か猛烈な違和感を感じる、が、しかし

「あ?何してんだよウルキオラ」

その違和感も何かに吸い込まれたかのように消えていった。

「五月蝿いぞヤミー少し待て」

その異常さに気づくものは存在しないはずだった。

ただ一人を除いては。

 

 

 

「ふふっ」

命令を下したウルキオラ達の方から見知った霊圧を感じた藍染は玉座に腰掛けながら笑いを漏らした。

 

側近が主君に何か知らぬ間に粗相でもしたのではないかと少し焦りながら声をかける。

「あ、藍染様如何なさいましたか?」

此方に近づく部下を手で制止して端に吊り上がる口角を抑えようと口元に手を押さえる。

「いや何でもないよ唯」

 

 

〝彼は随分と子供らしいことをすると思ってね〟

 

原初の王が聞いて呆れる。これでは気にしてくれと言っているようなものじゃないかと世界の王に苦笑いをする。

共をしようとする部下を置いて階段を降りていく。

コツコツとした音が反響して響いていくと同時にどんどんと下へと下がっていくと同時に周りの霊子が重く、そして禍々しいものへと変わっていく。ラスノーチェスの最下層誰にも近づけさせていない絶対領域。

「虚圏は他と比べて霊子濃度が非常に高いが、それに対して特に意味を知ろうとは思わなかった、いや、思えなかった、と言うべきか、…これもまた貴方の力なのかな?」

もしそうだとすれば随分と荒んだ独占欲だと笑いながら重々しい壁へと到着する。何もそれを発見してからそのままにしていたわけではない。

しかし幾ら攻撃しようと何をしようとその壁を壊す事は物理的に不可能だった。ここは彼に招かれたモノしか入れない罪の箱。

危険な場所へと入れないよう鍵をかける大人達を見た子供が興味を持たないとでも思っているのか。

 

結界の小さな穴から広範囲に外へ漏れ出た霊子、その霧散する前の霊子が鼻や口皮膚から入って体に入り込む感覚を感じる。

それは呼吸するだけで栄養となる肥沃な土地であり命の木其のモノ、

欲に駆られて近づこうとすればするほど狂気に陥るファム・ファタール

それは強大さにより世界に弾劾された白き竜

〝霊墓アルビオン〟

 

そして藍染は知っていた、そこに誰も知りはしない存在が居ることに、

「道化を演じているのは誰か…」

彼が何をしようとも私のする事は変わらない。

待っているがいい霊王よ─

その楔から貴方を解放するのはこの私だ

 





偽バーヴァンシー「えぇ?!!今からでも入れる保険ってあるんですか??(残火の太刀を浴びながら)」

陛下「な、溶けているぞ!バーヴァンシー!早く水を…ない、だと?」


山爺「貴様らふざけているのか?」



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中篇
何故お前はいつも…14


矛盾してたらすいません!!
藍染様語ってどうやったら上達するんだろう…


友達を護れなかった。

目の前で額から血を流す仲間の姿が脳裏から離れない。

俺が弱いせいで皆んな傷ついた、罪悪感と不甲斐なさで一杯になりながら

「あの大丈夫?」

 

ぼんやりとした意識の中何が浮上した様な感覚があり誰かの声を聞いた瞬間ガバっと起き上がる

 

 

「?!!!ッ」

 

そこはいつも俺が危機に瀕した時に現れる俺の精神世界。

だがおかしい俺は唯ベッドに入り寝ていただけだ。

 

「寝惚けて入ってきちゃいました?」

「アンタ一体…それになんでここに」

 

周りの異様さそして何より斬月とあの白い奴が居らずそこに居るのは全体的に白い少女。

その胸の中心には何か赤黒く錆びた禍々しい鎖、

そしてやけに親しげだ。

座り込んでいる一護を気遣い目線を合わせようと屈んでいる。

 

何かを思い出して少しガッカリした様に顔に出す

 

「えー、と…あ、そっか会うのは初めてですよね」

 

少し間を置いてから手に胸を当て自信満々に名乗りを上げる

 

「改めてこんにちは!私は…そうですね貴方の旅を円滑に進める…ナビゲーター?って言うでしたっけ?多分それです!」

 

意味が分からないが恐らく敵ではないのだろう事は分かった

 

「でも斬月さん達がいるから私あんまり出番ないのです…正直貴方に関わる機会自体かなり少ないし」

 

少し不満げに呟く少女から敵意は感じない

少し疑わしいがここに居ることが何よりの証拠だろう。

何よりここは自分の心の中だ、知らない者がいるわけがない

 

「はぁ…アンタがアイツらと同じ存在って事は分かった」

「あ、ようやくわかってもらえましたか!嬉しいです!」

 

一護は先程から気になっていた疑問を出すもう見慣れた因果の鎖に似たソレである。 

 

「けどよ、その鎖」

 

少し訝しげにして胸を見つめると何かを思い出したかの様にして鎖を持ち上げる

 

「あ、これですか?これは材質が違いますので貴方の知っている物とは違いますよ?」

「もしかして…俺の心に棲みついてる幽霊なんじゃ?とか思ってました?一護もまだお子様ですね!」

 

物理的にそんな事はあり得ないと言う事は分かっていたが、そん訳ないと言う顔でバカにした様に笑い出す少女を見て途端に自分の思っていた事を言い当てられ顔が赤くなる。

 

「バッ!!そ、そんなわけねぇだろ!!」

「それにしてもこんな所に迷い込むだなんて…余程精神が安定していないと見えます!何か外であったのですか?」

 

少し道を移動しながら並んで歩く。

特に言葉はなかったがついてこいという事なのだろう。

 

「?そういうのって中から見えるもんじゃねぇのか?」

 

少し驚いて間をあける

中の住人達は自分の思っていることや何をしたか、何を思ったか共有しているものだと思っていたからだ。

 

「いえ、見えるには見えますがそれはただの情報、貴方の機微な感情、何を思って何を成したのか…私達にはわかりません。

あ、勿論今嬉しいんだなーとか、悲しいんだなー、とか大まかな事はわかりますけどね?景色に反映されますし」

 

ほら、と言いながら上を指さす、雨はかろうじて降ってはいないが何やら雲行きが怪しく今にも降り出しそうだ。

 

「だから、どうかもっと私達に貴方の事を教えてください!」

「でも」  

 

例え自分の一部だったとしても他の人に悩みを言うなど気恥ずかしい、それに自分の矜持がそれを邪魔する

 

「大丈夫、どれだけ情けなくても、どんな事をしても貴方の世界は一護を許容します!だから、どうか貴方自身の痛みを否定しないでください」

「斬月さん達やもちろん私だって貴方の幸せを応援しています

貴方のことが私達は大好きなのです!」

 

笑顔で子供を励ます女は内心自分の行動を白々しいと感じ吐き気がする。

─私には分からなかった、あの人たちが何故、あんな非道な事しているのか、理解できなかった。

でも、兄に会いたかった会って謝りたかった。その為に声に導かれ体を開け渡した。

私は外道な事していると理解してその上で自分に出来なかった事を他人にやらせて他の人たちが不幸になって行く様を見て何度も何度も謝った、怖くなったのはここからだ。

でも途中で私の体を使って苛めてそのせいでいつもいつも泣いている人

その姿に兄を思い出したけれど彼らを止める勇気なんて私にはない、だって怖いから。

そして我が身可愛さのあまり何百年もの月日、何もせずにただ殺され続けた私の頭は次第に可笑しくなっていった。

 

でも、アレは別だ。気が狂った自分が正気に戻る程に分かるのだ。アレはダメだ狂気しかない絶望しか生まない!!唯、唯悍ましい!

そして何より兄が救われない。彼の救いは地獄は対象外例え蓋が無くなったとしても繋がれている事には変わりないのだから。

それを見せられた瞬間こんなモノを生み出した事に初めて後悔した。

だから、だからせめて彼には伝えたかったのだ。

〝どうかアレを愛さないでくれと〟その結果がコレだ

 

だがそれが今はどうだろうか!自分の中に何か仄暗い感情が渦巻くこの感覚。私が彼方へ行ったとしても、地獄への兄への刑罰は続く。

最初はただ会いたい。その想いでここまで来た。

唯、それだけであぁ!お兄ちゃん!大好きな、私の

顔を歪ませて護れなかったと中で雨を降らすのに人前では泣かない…いや泣けない強情な子供。

 

「…一護は私の兄にどこか似てますね」

 

オレンジ髪の頭を撫でながら薄く微笑みを浮かべる。

何百年の摩耗の代償は自分に重く、また甘美なまでに己の心身にのしかかる。

 

「?虚のアイツのことか?そりゃあ顔が同じなら似てるだろ…?!!待て兄?!!」

「違いますよ、ふふ」

 

愛おしい人を甚振るあの趣味は完全には理解できないけれど、大好きな人のために全てを犠牲にして他の人間を舞台装置にするあの嗜好だけは、今なら理解できる。

アレを見た今、私にできる事と言えば、必ず私は、この勇者の旅をより長く、より確かに続けされるだけ。

 

「あ、そういや名前聞いてなかったな」

「そう言われれば…んー、でもなぁ」

「なんだよ、まさか、無理矢理にでも聞き出せとかいうんじゃねぇだろうな」

 

精神世界の住人であっても自分より下に見える女と戦う事はあまり気持ちのいいことではない、少し顔を歪ませると慌てた様にして早口で声を出す

 

「失礼な!ちゃんと教えますよ!」

 

少し渋った後何かを思いついた様に声が弾んで何かを思いついた様に笑う。

 

「ではこうしましょう!貴方が本当にこう勝ちたいと思い描いた姿のまま無謀な挑戦を受ける時、理想を胸に私の名前を呼ぶのなら私は貴方の力になるでしょう」

「私の名は██、天の国を目指さず下を目指した者」

「忘れちゃダメ、ですからね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいのかよ、斬月さん確かに俺たちじゃ王のメンタル面はどうにもなんねぇけどよ。あんだけ拒否ってたじゃねぇか一護に会わせるの」

 

白い姿をした男が黒い衣装を纏った男に問いかける

話をしている男女をビルの頂上から眺めながら

ポツリと呟く。

 

「…仕方ない事だ、それに一護とあの子ならば必ず良い関係を結べるだろう」

 

男共に詰め寄られながら無理矢理聞き出されるよりはいいのではと思い今回王が此方に来た気配を感じこれ幸いと少女を送り出したはいいのだが

 

「じゃあなんで今まで会わせたがらなかったんだよ」

 

はぁとため息を漏らしながら、白い男は上を見上げる。

本当は白い男と同じ時期に会わせる予定がこの男がゴねたので致し方なしに会わせていなかったが

何故か今回あっさりと承諾されこの男を少し訝しんでいた。

 

「二人にそういう事はまだ早いと思っただけだ」

「いや、何が早いんだよ…」

 

少し発想が飛躍し過ぎているこの男は日頃冷静な癖に一護やあの少女の事になるとよく思考が霧散する。

 

「それに」

 

なんなんだ、と黒い男の方を向けば目に掛けている黒いガラスを少し直しながら言葉を続ける

 

「それに?」

「今わかったが何故か一護達が会合する姿を見ると胸が弾んで心臓が止まりそうになる」

「ま、まぁ斬月さん姉貴と一護に過保護だもんな…そういうことにしといてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ─────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 影の国

滅却師の王ユーハバッハが治める影の帝国

かつて死神の長山本元隆祭重国との一騎打ちにて敗れた神の仔。

その我らが王は死神共から受けた傷を癒やし900年の時を経て、再び降臨なされた。あの戦闘からハッシュヴァルトは瀕死の重傷を負ったユーハバッハを生命装置に繋げ回復を待ち続けた。

ハッシュヴァルトはユーハバッハから他の者とは別にある指示を受け、行動していたが故あの惨劇に巻き込まれずに済んでおり生き残った滅却師達を率い急ぎユーハバッハの元へ向い、回復の時を待ちながら死神への復讐心を募らせ文明を築き上げた。

それこそが陛下の作り上げた誰にも穢される事のない理想郷。

─見えざる帝国

 

 

主人の回復を待つ間、死神に対しての対抗策を練り上げ、陰から奴等の動向を随時探るなど休む暇などなく奮起していた。しかしもう陛下がこの国に即位なされた。目覚めになられてから陛下がどれほど残忍であってもそれは陛下にとっての最善。今ハッシュヴァルトはただ陛下の命令に従うのみである。

 

 

白皙の美貌を歪め、眉間に皺を寄せながら考え込んでいれば何か物足りない。

まだ騎士団の団長と言う立ち位置だった頃はハッシュヴァルトが無理をすれば無理矢理寝かせつけ、嫌な出来事があれば顔の筋肉をほぐそうと手を伸ばす懐かしい思い出。

 

『〝まぁいけないわ!またそんなに顔を顰めて…此方にいらっしゃい、今日は何があったの?またあの黒髪の方?それとも…〟』

 

背が伸びてからは外でその様な事をされる機会も減ったが寝室では同じ目線になったのを良い事に日頃はもう出来ないからとよく顔を撫で回された。

幼少期のまだ陛下に連れて来て頂いて日がまだ浅い日や陛下に稽古をつけて頂いて下さっているのに中々伸び悩んだ時、何も言わずに側に居てくれた。

そしてバズビーとの関係に悩んだ時も、いつも私の手を引いてくれる。

気が付けば彼女との思い出ばかりが脳に焼き付いて何百年経とうが変わらない。私を掴んで離さない揺るがない天秤。その彼女を見たのはもうあの血染めの城以降だ。陛下は生きていると仰られた。ならば、私もそれを信じる他ない。

 

ドアをノックされ返事をする。

 

「失礼致しますハッシュヴァルト様」

「陛下より至急玉座に向かへ、との事です」

 

そのまま扉を開けてこちらに向かい一礼をされる。

この様な時間に陛下が私を呼び出すことなどまずない。

何か特質すべき緊急事態でも起こったのかとリラックスしていた頭を冷やして冷静になろうと頭を働かせる。

 

 

「あぁ、直ぐに向かう」

 

脱いだ上着を翻し、

我らが王の元へと歩みを進める。

 

 

 

 

「失礼致します、陛下」

 

重々しい空気、周りに待機している聖兵も何かを感じ取りより一層背筋を伸ばし姿勢を保とうとしていた。

日頃から少しのミスでも処断される事もあるのだ。

こんな時に何か不祥事でも起こせばたまったものではないと聖兵は目で『お前ら、わかってんだろうな…』とここは一致団結をしようと心に誓った。

 

「─バーヴァンシーが見つかった」

 

 

 

「?!!なんと、それは」

 

「場所は虚圏 、あの男の居る場所だ」

 

「特記戦力の居る場所にバーヴァンシーが─?」

 

「私が力の9年へと日付を重ねる度に突如高濃度の霊圧の反応が出ている、分かるか?ハッシュヴァルト 我が半身よ」

 

あの血濡れた城にて陛下より聞いた霊王の存在、ソレが関係しているのだろう事は明らかだ

「今彼方に出向くのは得策ではない、それは分かっている」

 

「では」

 

「私自ら迎えに行く、その間城の管理はお前に任せた」

自分の主君であり敬愛している陛下へこの様なことを言うなど言語道断であるが、それでも言わざるをえなかった。

「?!、お待ちください陛下、ならば私が」

 

「ならぬ」

言葉で半身を制しさせると、外套を翻して座っていた玉座から降り何処かへ向かう。

 

「あの忌々しい場所に入るには血が必要なのだ、霊王の因子を持つ者が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん、だこれは、」

 

ラスノーチェスに広がるこの霊子濃度にエスパーダ以外の破面が次々と地に伏せる

 

「うぇ、気持ち悪ぃ、なんだよこれ」

本来いつも空気中に霧散した霊子を吸っている彼らにとってこれはもはや毒に等しかった。

エスパーダでさえ顔を顰め、吐き気を催す中

「つかなんでお前だけ平気なんだよ!!」

ずりぃぞ!とヤミーが抗議すればウルキオラはいつもの様に無表情に立っていた。

「…知らん」

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い水蠢く肉塊その中を迷わず突き進む男が一人。

白い衣服が黒くなるのも厭わずに不浄の水の中を、ただそのある人物の元へと歩いていく。 

──居た。白い髪は黒い水に汚染されて汚れて体にはソレが纏わり付いている。

「私を待って、この様な場所に身を浸したのか」

 

「ァ…、」

久々に浴びた光に眩しいと顔を覆うとするが手に力が入らない様で

黒い水に浸かっていたバーヴァンシーを拾い上げると、身につけていた黒い外套を体に纏わせた。 

 

「いい、喋るな。今まで一人で…お前はよく耐えた。」

バーヴァンシーがこの様な場所に来れるはずがない、誰かからの入れ知恵か。忌々しい気配を中に感じる。

そして何より何か、この肉塊と同じ気配をバーヴァンシーの胸の中に感じ取り一層眉を顰める。

 

 

 

 

 

「ほう、君自ら来たのかまさかそこまで入れ込んでいるとは思わなかったよ」

既に破られ、自分では何も出来なかった壁を破り、

腕には黒い布に巻かれた人の形をした者が抱えられている。

 

「─藍染惣右介」

 

「驚いたかい?君を知る方法なら幾らでもある」

いつか来る事は知っていたがまさか今とは、

そう思い藍染は目の前の強者を見る。 

 

「後の遺骸は好きにするがいい。私には必要のないモノだ」

藍染は嬉しそうに。目の前の人物に目を輝かせた。

案にもしあの中に触れられるモノならばやってみろと言われているのだ。馬鹿にしているとも、他の意味にでも取れる言葉、藍染はその余裕に満ちた態度に心底満足したのだ。

 

 

「いいのかい?私が何を成そうとするのか知らないわけではないだろう」

「もし、仮に我が父を解放するというのであればそれで構わん」

 

暗い沼地から先程開けた場所とは違う。封印が解かれたことにより開けられた場所。藍染が先程通ったであろう光が木漏れている扉の方へと歩いていく。そしてそのまま段々と周りが影で覆われ姿が消えていった。

 

 

「──道は同じだ、私は視えているぞ」

 

 

 




水に薄めずに原液でジンやウォッカを飲む様な所業

霊王の意志「あ、息子迎えに来る感じ?じゃあ藍染以外にバレないようにしなきゃね!!大丈夫!こっちに来た瞬間結界解くわ…よっし!」

破面「オェェェェェッ!気持ち悪!!」

ウルキオラ「?」


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何故お前はいつも…15

大分間隔あけちゃってすみません…
書く時間大分遅くて…



暗い沼、全てを包み込む闇の中、ゆっくりと眠い瞼を開くと何か眩い白い光を見た。暗闇に慣れた目にはそれはとても毒でしかなかっなけれどどこか懐かしい感覚、その人は私を見つけると私を掬い上げ優しく宝物の様に抱きしめてくれた。

そして

 

「バーヴァンシー、聞いているのかバーヴァンシー」

 

ハッシュヴァルトはバーヴァンシーが読んでいた本を取り上げると不満げに本をベッドに投げる。

そんな中本の表紙が隠れていた顔が露わになる。

そこには整った顔を歪ませながらハッシュヴァルトを見ている。

少女なのか、はたまた女なのか正確な年齢は分からない。

しかし一つ言えるのはこれが他の聖兵や団員であれば即座に気分を損ね殺されていたと言うことだろう。

「何回言ったらわかるわけ?二人の時でも部屋以外で私の事〝ソレ〟で呼ぶの辞めてくれる?

お父様からも言われたでしょ」

はぁとため息をつき出来の悪い弟を見る様な顔をこちらに向ける。

「それに今の私はトリスタン、でテメェは妖精騎士ランスロットこの間お父様から着名して頂いたの忘れたの?」

陛下からの再教育が効いたのかあの日、虚圏から帰ってきたバーヴァンシーをどうにか悪辣にしようと必死で教育し、やっとこの間陛下からハッシュヴァルトと一緒ならば部屋から出ていいと言われ着名を行われたばかりである。

その時丁度良いからという事でハッシュヴァルト もまた着名の儀を行われた。

 

「…あぁ分かっている」

 

最初は語彙が拙く、何故自分はこんなことをしているのかわからなかったのか取り敢えずハッシュヴァルトとユーハバッハが言うので取り組んで自主性に欠けたが、この様にハッシュヴァルトに対しても強気に出られる様になり其処は良かったと思う。

 

「ま、それにしても最初にコレについてお父様に聞かされた時は驚いたわね」

「最初に与えられたのがあのベディビエールの野郎なんて言うからさぁ

自他共に認めるお父様の最高傑作?ハッ甘すぎて鼓膜を掻きむしる所だったぜ」

 

改めてやはり彼女にこの様な事をさせる必要があるのかはハッシュヴァルトでさえわからない。

できる事ならあの花が似合う愛らしい少女全とした装いの方が彼女らしい。この様な軍服ではなく、ドレスなどふわふわとした服装の方が似合っている。今の服装が合わないわけではなく唯昔の姿の方が彼女に合っていると思う。別に自分の趣味云々の話ではなくだ。

それに私は何も今の周りを傷つけ弄ぶ性格が嫌なわけではない。

いや、正直彼女がその様なことをしている様を見れば何かが込み上げてくる。過去の彼女とはかけ離れた姿に顔を顰めて執務中と言えどそれが続いてしまうので陛下に進言しようとした程だ。

二人の時は昔の様に頭を撫でてハッシュヴァルトを甘やかして悩みを言えば慰めてくれる。

しかしそれも基本彼女は夜は陛下の部屋に呼ばれるので偶に本当に偶にだ。しかし陛下はバーヴァンシーの居ない間随分と酷く悲しみ嘆かれた。自分よりも長い間彼女を見てきたのだから目の前で愛娘が焼ける様はさぞや御心を痛めた事だろう。

距離をとりソファに足を伸ばしていた体をこちらに向かせると形の良い口をハッシュヴァルトの耳元まで近づき囁く様に言った。

 

「…そういえば着名の後あんただけ部屋に残されてたけどお父様と何してたわけ?」

 

まるで秘密を共有する子供の如く、バーヴァンシーの息が耳に掛かり鼓膜を刺激する。

 

「大した事じゃない」

 

接吻をする前の恋人たちの様に体を絡ませて頭の後ろに手を伸ばして髪を弄っていた手を悪戯に失敗した子供の様な顔で止める。

 

「ふーん、まぁ別に私はいいけど。大して興味もなかったしな」

 

そん事を言いながら後ろから手を振って部屋から出ていく女を見ながらどこに行くのか問おうとすれば

急ぎ早に足を急かす。

どうやらもうそんな時間だったらしい。

 

そのまま陛下の部屋へと向かっていく女の後ろについていく。

その後ろ姿を見る事しかハッシュヴァルトは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

─重々しい玉座の間にて集った聖兵、星十字騎士団の聖文字を陛下から賜った者達。

 

「よく集まった、我が騎士達よ」

「今回集まってもらったのは他でもなく我が愛娘をお前達に見せる為だ。」

 

はて、愛娘…その様に陛下に言われる程に寵愛された僕は存在しただろうか。

まさか実子などと言うわけではあるまい。

流石にあの怪物じみた我らが王が女と寝る姿など到底想像できない。

 

「…トリスタン入ってきなさい」

 

周りが騒めくのを感じ取る。

入ってきなさい…?

陛下は例え半身であるハッシュヴァルト、今はランスロットである側近にすらその様な態度は取らない。

そもそも自分達滅却師は陛下の子供と称されるが別に陛下は本当に我々を子供の様に思っているかと言われればそれは違うと断言する。

 

困惑の疑念を頭に浮かべる者達を他所に其処にはある少女がカツカツと靴を鳴らしながら陛下の近くまで歩いてくる。

髪も肌も身に纏っている物すら純白。蕾の様な可憐な少女。不躾な視線に女は顔を顰めることなくただ微笑んでいる。

自分達と同じ軍服を身に纏っているが何処か腰の周りに施されている黒い布生地のせいか何処か軍服と言うにはドレスの様な印象が強くなる。

しかしまぁ他にも支給された軍服を改造している奴も大量に存在するのがそれは精々戦闘に支障のない程度だ。

 

「皆に紹介しよう。我が妖精騎士にして

─そしてこの帝国の後継者となる者だ」

 

〝後継者〟その用語を指す存在といえば星十字騎士団のグランドマスターである男の事だが、このポッと出の女がこの帝国の未来だと我らが王は言った。

日頃個性を個性で潰しあいをしている様な聖文字持ちの者達でさえ響めく。

 

「既にランスロットと共に我が祝福をその身に宿している。よって次からは親衛隊並びに我が半身ランスロット共に行動する事になるだろう」

 

困惑してる我々を他所に女は白い髪を靡かせながらそのまま自分達に向かい言葉を紡ぐ。

 

「改めまして妖精騎士トリスタン陛下の命を受けここに参りました。

後継者として、次期女王として…そして騎士としてその名に恥じない活躍を約束します。」

 

礼儀正しいく服の端を持ち上げながらまるで清廉な騎士の如くその動作は理に適ったものだ。

少なくとも頭が可笑しい奴ではないと安堵した。

 

 

「…なーんてな?」

 

そのままキャハハと日頃静かな玉座の間に少女の心底可笑しいと言った笑い声が木魂する。辺りが途端にざわつきだす。これはまずい。

 

「テメェらにはカスほどの興味なかったけどさぁ、お父様にどうしてもって言われたから仕方なく顔見せしに来ただけだから勘違いしないでよね」

 

陛下の前でその様な不快な事を言うとは思いもしなかった。

プライドの高い聖文字持ちは眉間に皺を寄せ顔を歪めている。

まず間違いなく殺される。

自分を特別だと信じる愚か者だと皆そう思った。

あの空気が読めないバンビエッタでさえ陛下の前ではその様な言動はとらない。

近くに居るハッシュヴァルトは何故か何もしないのが気になるが。

日頃こういった不快には敏感な男が黙っており陛下もそれについて何も言わない。おかしな状況だ

案の定陛下に忠誠を誓っている比較的に新参者が声を荒らげながら女に向かって怒号を上げる。

 

「貴様ッッ?!!陛下の御前でなんと言う事をッッ」

「あ?何か文句でもあるわけ?ウゼェんだけどお前」

 

その物言いにすら苦言を漏らし男はそのまま弓でも構えそうになるのを必死で耐える様にする様はまるで狂犬病の野良犬のような顔だ。

 

「陛下を前にしてその様な不敬が許される訳なかろうッッ!!!??」

 

陛下が手で二人を制すした。

 

「黙れ」

 

あの女正気か?そう思いできるだけ血飛沫がかからない様に前列の者が少し後ろに下がる。確かに血飛沫は出た。

前からではなく先程から不敬にも陛下の前で大声で怒鳴るなどと言う愚行をおこなった男の隣に立っていた者の顔がべっとりと血が張り付く。

 

「…は?、な、ん」

 

皆この二人はもう終わりだと思っていた。陛下は平和を好む。

目の前で言い争いなどもってのほかだ。

その様な事ことがあれば大抵その者達は肉塊に変わり果てる。

近くでソレを見ていた者は思わず吐き気を催すがギリギリで耐える。

男は殺された。次は少女かの様におもえたがしかし少女の方向からは一向に血すら上がらない。そして陛下が思いもよらない行動へ出た。ユーハバッハはそのままトリスタンへと労りの言葉を掛けこちらにくる様に促す。トリスタンはそのまま陛下の側まで行く。

 

「その調子だトリスタンそのまま励むといい」

 

ユーハバッハが頭を撫で上げるとトリスタンは上機嫌に言った。

 

「えぇ、勿論よお父様!!私頑張るわね!!えぇと後継者…?として!お父様の娘として!」

 

それを聞いて顔を和らげるユーハバッハ、陛下の狡猾に笑う姿以外は見たことがない我々はただ忌憚のないその笑みに呆然としていた。

 

「あぁ、皆もう下がって良いぞ」

 

 

 

 

  ───────────────────────────

 

 

 

 

 

ひゅぅぅッ!!!アモォォォォル!???!!!!!

もう陛下たっらそんな再教育早々に皆んなにいきなり愛娘のことを見せつけたいだなんて…

興奮するじゃぁないですかぁ!!!

 

あ、そうですよね!!こんな小娘がいきなりこんな高い地位になんてはぁ?ですよね!!

目線だけで気持ちよくなっちゃうぜ…へへ

ポテト君は陛下の再教育のおかげでこうなった程でやっているんですが…

いやぁルックス最高?性格災厄?照れちゃいますねぇ…

それにまさか陛下が某親衛隊にピンポイントでそんな役職作ってたとか…ちゅき

 

あ、ちなみに冒頭のアレは雰囲気です。

だってぇ、いきなり陛下が連絡もなしに来ちゃうからシリアスな感じになっちゃって…

事前に連絡して欲しいのは女心ですかね!!ハハっ

ほら、好きな人()の前では綺麗な姿でいたいじゃないですかぁ。

え?綺麗の意味が違う?

そっかぁ…

『五月蝿いぞ、少し黙るがいい』

あ、お爺様ちーす

なんですか?ご飯はまだですよ?

 

『違うそうではない…はぁ』

もう、溜め息なんてついてたら幸せが逃げちゃいますよぉ〜

 

『お前のせいなのだがな』

それ褒め言葉ですか?

 

『断じて違う』

 

 

『…あの余の心臓はともかくペルニダを名乗っている者には少し警戒しておけ』

??あぁあの霊王の貴重パーツ持ちの方たちですね

いや、まぁ言われたら気をつけますけど…なんか理由でもあるんですか?

確かに本編で霊王人格らしき者を発現されてましたけど…

『お前が気にすることではない、取り敢えず精々そこらの小石程度に注意しておけと言うことだ』

 

?まぁ、別にそれくらいなら良いですけど

 




罪深い鳥「陛下がアルフェメンシェっていって下さらない…」

偽バー「お父様横文字苦手だし仕方ないんじゃない?」

罪深い鳥「なにを言っているんだ。陛下に限ってそんなことあるわけないだろう」


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何故お前はいつも…16

ペルニダ可愛いっすよね…


「何故陛下はあの女を野放しにしているんだ?

2日前に不敬を理由に処断された男よりよっぽど目障りだろうに」

 

掃除が行き届き塵一つ残っていない通路にて一人の男が言った。それは純粋な疑問から来るものだったのだろう。何故なら陛下は例え自分の部下であろうと容赦しない。冷血であり絶対的な強者、それこそが影の国の皇帝であり夢の千年王国の頂点に立つ者。

 

「陛下はトリスタンがお気に入りだからなぁ

娘なんて言っちゃいるがほぼ毎晩部屋に入れさせる姿なんかみりゃ皆んな分かるだろうに…」

 

そう言って腕を組み替えながらはぁと口から息が漏れ出す。

この間処断された者の近くに居た男だ。

自分の部屋に戻って早々に全部ぶちまけてあの後大変だったと顔を青くしていた。

「古参の奴らが言ってた話じゃ尸魂界侵攻前に囲ってた女との子供なんだろ?性格以外は瓜二つだって言ってたぜ」

生理的嫌悪感を隠す事なく口を手で押さえる。

 

「俺はたとえ美人でも死んだ愛人との子供となんてごめんだね!」

「まぁ陛下は人外じみてるからなぁ俺らとなんて価値観が違うんだよ」

「シッお前らいい加減にしろ!…陛下の忠臣共に少しでも聞かれてみろ不敬で殺されてもしらねぇぞ」

 

そろそろまずいと口を閉じさせようとすれば何か背後で気配がする。

瞬間心臓を掴まれた様に動けなくなる。恐怖で足が固まると言っていたがそんなことがあるとすれば恐らく命の危機に瀕した時か陛下に対して謁見を許された時ぐらいだ。

それは恐らく死の恐怖。

 

「五月蝿いわよアンタ達」

 

聖兵の後ろに立っていたのは白いミニスカートから覗く太もも、艶のある黒髪に豊満な胸。

見た目だけならば喉から手が出そうになるであろう最上級の美少女。

 

「ば、バン」

 

その瞬間一瞬で聖兵が消し炭になる。バンビエッタは別に陛下の不敬について怒っている訳ではない。唯、そこに丁度いいサンドバッグが居たからに他ならないのだ。いつもは手頃な男を別室に連れ込み事に及んでからなんて面倒な事をしているのはそこら辺の聖兵をその場で殺そうものなら例の口うるさい男から長時間に及ぶお叱りを受けるからだ。

他の者がそんな事をしようものならすぐ様戦闘でも仕掛けてやれるのに不愉快なことにこの男にはどう足掻いても自分は勝てないと知っているから逆らえない。だからこうして大義名分さえ出来てしまえば嬉々として他者を殺害する。

 

「あぁぁ!!!イラつく!!なんなのよ!!」

 

ドタドタと足を歩かせながら不満を隠そうともしない様子を影から見ていた四人はまた始まったか…とため息を漏らす。

 

「バンビちゃんどうしたんですかぁ?」

「あぁ…アレだろ例の」

 

リルトットはあの白髪の女を思い出しながら手に持っている菓子を口に運んでいく。

 

「あー!あれね!」

 

ジジが食いつき恐らくこの間の陛下の前で行った不敬を思い出したのだろう。

自分達は別にそこまで忠誠を誓っているわけではないのでへぇ勇気あるなぁ程度だったが古参は気が気ではなかったのだろう。

その後の空気が異様にピリピリとしていた。

 

「はぁ?そんなの怒ってもどうにもなんないでしょうが」

「え、もしかしてバンビちゃん自分が指名されるとか思ってたんじゃ…」

「流石に頭がイッててもそりゃねぇだろ…ランスロット相手に勝てりゃぁ話は別だが」

「でもわかりませんよぉ?」

 

恐らくトリスタンの例を見て案に陛下に取り入れば後継者という立ち位置になれると言っているのだろうが、ジジはすぐ様冗談でも命知らずな事を言ったミーニャに対して否定に入る。

 

「いや、無理でしょ普通に不敬で殺されて終わりだって」

「それにバンビエッタじゃトリスタンの野郎と趣味違うし色仕掛けも気かねぇだろ」

 

「まぁでも結局次期皇帝はランスロットでしょ?陛下も流石にアレはないってわかってるだろうしさぁ、どうせ即位するにしても形だけの共同統治みたいになるに決まってるしぃ」

 

「ん、他の奴等もどうせそう思ってんだろ。誰も別に本格的に継がせるとは思ってねぇよ。要は俺達がここで何話しても無駄ってこった」

 

菓子を頬張りながらそう言ったリルトットに不審そうにキャンディスが問う。

「…リルトットアンタその菓子の山もしかしてまたグレミィのとこに行った?」

 

「さぁな」

 

「バッッカじゃないの?!!!あんな陛下が態々閉じ込めてるような怪物の所にアンタねぇッ!??」

 

目を背けていった言葉にキャンディスが少し言葉を溜めながら言葉を荒げる。

リルトットは冷静に咀嚼した菓子を飲み込みながら血飛沫が軍服に飛んでまたイラついた様子のバンビエッタと先程まで白い髪を靡かせていた女と比較する。彼女達は自分達は美しいかどうか聞かれればまず間違いなく当然だと答える気質の持ち主だ。それほどまでに自分の容姿に自信があり、また周りもそれが事実なので否定はできない。

バンビエッタが出るところが出ている正統派ヒロインの美少女だとすれば向こうは幻想的な雰囲気の妖精と戯れてそうな美少女。まぁどちらも見た目だけならだが。

顔の次に男が見るであろう胸は大きさでいえばバンビエッタの圧勝だ。思わず男ならばこちらに目が入ってしまう程にデカい。

しかしアチラは貧乳と言うには大きく豊満と言うのには小さ過ぎる言うなれば美乳。この中には陛下の趣味と違う女しか居らず、精々似ているところと言えばバンビエッタの残虐さぐらいだろう。つまりジャンルがそもそも違うのだ。それはつまり精々好みの差なのだから比べるだけ無駄と言うことを示している。

 

「そこ五月蝿いわよ!!」

「やばっ、ばれちゃった」

 

後ろでこそこそとしていたのがバレたのか大声を上げて此方を振り向く自称リーダー。これはまずいと全員で別々の方向に散っていく。

 

「ちょっと待ちなさいよ!!」

 

 

 

 ─────────────────────

トリスタンが〝また〟聖兵を3名ほど使い物にならなくしたと聞きため息を漏らした。

 

「ウハハハハッ!なんだ随分と顰めっ面ではないか!」

 

表から現れてたのは〝ガヴェイン〟同じ妖精騎士にして陛下より名付けて頂いたアルフェ・メンシェのメンバーの一人だ。

大柄な体のせいか何故か彼が来るたびに部屋が狭く感じてしまう。

 

眉間の皺を手でほぐしながら息を漏らす。

 

「彼女の悪辣ぶりを見れば顰めたくもなるよ」

「その割には随分と気にかけていると見える!神の戦士にはお見通しだ!」

 

リジェ・バロ…ベディビエールは別にトリスタンの事を嫌っているわけではない。

ある程度後継者と言う立ち位置に着いたものの責務は一応果たそうとはする。

陛下の為ならば努力を惜しま無いところにもまた好感が持てる。

だが下っ端といえど貴重な兵をこう何人も殺されてはたまらない。

そんな現状も相まってか大半のものはぽっ出の女が優遇されている現状に不満を持っているむしろない方がおかしいだろう。

勿論自分もないと言えば嘘になるだろうし仮にその立ち位置になる者は彼だと考えていた。

しかしそれはそれとしてとやはり多少なりとも陛下のご息女を名乗るならばある程度淑女の様に振る舞うべきではないかと考える。

が、その件についてはいくら本人に注意しても一向に直す気配はない。

 

〝ガヘリス〟その名を賜った男はいつも飲んでいるカフェオレを口に運びながら言った。 

 

「嫌いな相手にほど依存している。よくある事だがまぁオシャレじゃねぇなぁ」 

 

少し不快感を催すが別にこの程度なら会話の範疇、相手の男も別に自分に対して何か貶める目的で言っていないことはわかっているのでそこまで何も思わない。

ふと頭に思った事を問いかける。

 

「君はどうなの?今回の指名何か思う所はないのかい?」

「おいおい…俺が何か言うタイプじゃ無いの知ってるだろ?陛下の命令は絶対…アンタがいつも言ってる事じゃねぇか」

 

やはりこの男ならばそう答えるかと予想通りの言葉を言われる。

談笑をしていれば何やら扉に気配を感じて見ると少し目を見開く。

 

「タダイマ」 

「あぁガレスか」

 

日頃陛下の命令以外で外から出る事は少ないのですこし驚く。

 

「おぉ!我が兄弟!姿が見えずよもやまた野良猫にでも遊ばれているのではないかと心配したぞ!」

 

〝妖精騎士ガレス〟

霊王の腕の一つでは無いかと城の中で噂されている者だが、そのことについて本人が言及する事は特に無いので周りも本人の前でその事について言うのは御法度となっている。

 

「アンタが外出なんて珍しいな、日頃不摂生だから寧ろいい事なんだが…割と気にしてたんだぜ?」

「ベツニイクトコロガナイカラドコニモイカナイダケ」

 

それを聞いてまぁそうだろうなと納得する。

 

「まぁ、アンタは飲み食いしたりするタイプじゃないしなぁ」

 

ベディビエールは何かいつもと違った匂いが立ち込めてくる事に気づきどこに行っていたのかガレスに問いかける。

 

「何か菓子の匂いがする…ガレスどこに行ってたんだい?」

 

するとガレスは何かゴソゴソと体をくねらせると何かが下に落ちる。

これは包装されたクッキーだろうか。  

 

「トリスタンノヘヤニイッテオチャシタコレオミヤゲ」

「「?!!!!ッ」」  

 

少し唖然とする面々は徐ろに下に落ちた菓子に目を合わせる。

トリスタンが?〝あの〟トリスタンが少女らしくお菓子作りをしてお茶?しかもガレスと?

 

「なんとついに我が兄弟にも春が…」

「いや、そうじゃないと思うぜ多分」

「そもそも物食べれたのか…」

 




毎晩呼ばれている理由
「それでね!お父様!えっとね!あのね!ユーゴとね!」

「そうか…それでどうなったんだ?…ふむお前達は仲がいいな」


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何故お前はいつも…17

最近花粉が凄いですね…


妖精騎士トリスタンの朝は早い──

まだ日が登らない時間帯に目を覚ますと立派な筋肉質な体がお見えになる。

そう、今隣で寝てらっしゃるのはお髭がチャームポイントの少年期に比べるとでっかくなったなぁ…と思わず物思いに耽る程に巨体に成長したスーパーハイパープリティーキュートな原作開始時の例の陛下である。

思わず時間を忘れて見ていたくなる衝動を抑えつつ父の部屋から素早く起床し自分の部屋へ戻るのだ。

その時は必ず細心の注意を払わなければならない。

陛下の過保護も困った物だと思いながらしかし元のバーヴァン・シーはモルガンに呼ばれれば必ず何がなんでもそれを優先させるだろうと思いながら考え直す。

足早に部屋に戻ると同時に彼女は浴槽に向かう。

─〝バーヴァン・シー〟を名乗る者として美に関しては一番気にしなくてはならないのだ。

そんな事を考えながら軽くシャワーを浴びて賢者タイムへと突入する。

 

勿論産毛すら残らずムダ毛処理も完璧である。少しのニキビや傷も付いていない。いやつく事は許されないのだ。

ここがBLEACHの世界と言えど油断は許されない。鏡の前で顔に最低限のスキンケアをする。

これは最低限の、とつける事で陛下の娘として一応身なりを整えるためにやっているだけで別に肌年齢だのなんだのは気にしてないしそのままでも美しいのだと言う設定を付けるためである。

日々のそう言う努力が時には輝く時があるのだ。

多分。

しかし既にキャラ崩壊が進み決してあの本物に合わせる顔もなし。

妖精国とは状況が違うとは言えばそれまでだがこれは由々しき事態だと賢きバーヴァンシー()は考える。

聖文字(シュリフト)持ちは原作の件があり迂闊には殺せない…

ならば聖兵を、と思い毎日3killを心掛けている。

いや、聖文字(シュリフト)持ちでも原作には居なかった奴等はバンバン殺してるけど。

 

「なんでもかんでも取り敢えずモブを殺せば臨場感が出るからやってるんだろ?そんな事を言う輩も居ますがね。

けどそんな時にだからこそ出せる味ってやつがあるんですよ──」

 

そうこの世辞辛い世の中、原作キャラを原作外の方法で例えば原作開始時にご都合とオリ主活躍の為に既に死亡して描写が2行ちょいなど…または直ぐに殺され大した描写もなく死亡エンドなんてした日には批判殺到だ。

流石に此方のBLEACH信者を怒らせるような事はしたくわない。

人気キャラを殺そうものなら己〇〇!とこれみよがしに某青い鳥やPの名が付くアプリにて分からせモ〇レなどが蔓延するに違いない。

それは嫌だ。これは流石のバーヴァンシーでも怖気付く。

いや、多分最初は過去編来るまでは分からせ系のメスガキなのでどのみちあるんだろうなぁと感じる…(遠い目)。

もはや日本文化ですらあると思えてくるが仕方ない。それがジャパニーズ二次創作と言うやつだ。

自分の地雷は誰かの好物…そんな事は当然であり要は棲み分けが大切だと元腐男子系TS女子バーヴァンシーは考える。

 

それにバーヴァンシーは日々お客様のニーズにお応えるする吸血妖精系アイドルだ。この程度の事で諦める事は許されない。

なに…安いもんだぜ。陛下の曇らせに比べたらこんな事…。

しかしヘイトを溜める、という悪辣的な行動で言えば原作キャラ死亡は全然アリなのだが自分は別にキャラに対してアンチ・ヘイトをしたい訳ではない。

たまに辛辣になる事もあるだろう。罵倒もするだろう。そしてほんのちょっと…先っちょだけでも曇らせたりもしちゃったりもする。主に陛下。しかしそれもまた愛の形…言わばDV系ヤンデレだと思ってくれて構わない。だがせめてかっこいいオサレな戦闘描写を挟み原作をリスペクトした上で行うなどと言う救済処置もあるがなにぶん祝福(ギフト)があると言え私があの曲者集団&護廷とは名ばかりの殺伐とした殺し屋集団(甘さを加え)に当然勝てると思えない。

しかも陛下は私に聖文字が付与できないので普通に無理ゲーですね。

はい!この話終わり!!

それにしても…本物のバーヴァン・シーは例え上級兵だろうと司会進行役だろうとぶっ殺すであろう事は分かっている。

しかし立場と言うものがあるのもまた事実。

ならば彼方の妖精騎士達と同じ同僚的な立ち位置として接すれば良いのでは?そう思う方もいるだろう。しかし既に陛下が妖精騎士とか言うナイスすぎる役職を付けた物を設立している為難しい。親衛隊が妖精騎士なら他は違うもんね、うんうん。流石陛下。私の望みがわかってらっしゃる。長年伊達に一緒にいた訳じゃないね!!。

陛下にあの沼地から助けられ他の騎士団員からの認知コメで業界(陛下ファンクラブ)を騒がせ早数日…吸血衝動も起きないし血も必要としなくなったんだけどもなんかたまに無性に飲みたくなる。まぁそう言う時はポテトに貰ったりしてるから別にいいんだけサ。

文句言える立場じゃないんだけどその…量が、ねぇ?

 

 

しかし最終的には陛下の曇らせ指数を増やすのにも最適だしやっぱりポテト以外で一人くらいは仲のいいやつ必要だよなぁ。

となるとやっぱり親衛隊の中で…ってことになるのかな。

 

 

別に他の星十字騎士団の人達と基本関わらない親衛隊もいる。

妖精騎士ベディビエールもといゆるるんバードさんガレス…某お爺様の左腕さんなどは基本同じ妖精騎士としか連まない。

しかし例外としてみんな大好きアスキ…じゃなかった妖精騎士ガヘリス等は進んで下の兵にも普通に絡みに行っているんだが…陽キャァッ!!!!いやぁ私には到底真似できないぜ!

そうなれば結論ガヴェインは論外そもそもテンションについて行けない。ガヘリスも同じ理由。まぁたまに話す程度なら理解できるけど多分裏設定とかで実はすげぇ仲良し!とはならないだろう。

そしてベディビィエール…は言わずもがな。

別に仲が悪い訳じゃないよ?唯事あるごとにお説教と陛下の娘を名乗るならばうんぬんを聞かされるこっちの身にもなってほしいってゆーか。

いや私が悪いんだよ?悪いんだねどぉ…。

 

 

まぁ?そうなれば一応消去法で選択肢は決まってるけど。

わぁッ!!なんか中のお爺様がうるさい気がするけど気にしなーい!!

 

───────────────────────

 

 

昼下がりの頃。ガレスはいつもの様に陛下から与えられた部屋で何もせずに待機していた。

周りの目が鬱陶しいと言うのもあるだろう。

何故か自分は周りから霊王の左腕なのではないかと勘繰られよく目を集めてしまうからだ。

自分は陛下から妖精騎士〝ガレス〟という名を着名した。

それは自分を陛下が自分の名であるペルニダを真名として認識しているという証そのものだ。

彼は自分は一つの個であると彼は考えておりその証拠たる祝福(ギフト)もまた彼を個たらしめる。

そんな事もあり基本ガレスは親衛隊以外とは会話をしないし陛下に命令される事以外では外に出ない。しかし今回は違った。なんの気まぐれかふと外に出ようと扉を開けたのだ。自分でもよく分からない。唯何かに呼ばれている様なそんな感覚が彼を襲う。

ふと先程まで話し声が聞こえていた場所から音がなくなる。

その付近を見てみると周りに聖兵はいない。

いや、〝先程まではそこに居た〟のだ。

ただ、目の前にいる少女の足元に転がる肉塊になっただけ。

白かった通路は壁にも血が滴りぐずぐずになっている腹の中身が出て凄まじい光景だ。他の者達が見れば恐怖を感じるだろう。

しかしガレスは特に何も感じない。

「カタズケル?ソレ」

そう言ってガレスはそこに置いてあったスクラップを畳んでいく。

目の前の少女はメキメキと言って死体がなくなっていく姿を見ても特に何も言わなかった。

後に残っている血は聖兵にでも片付けさせようと思考を巡らせる。

 

「─ねえアンタ」

 

ガレスが先程まで死体を片付けていた時は何も言わなかった少女が口を開く。

 

「ペル…ガレスノコト?」

「そうテメェに言ってんだよ。つうか周りに人影なんてねぇのにわかるだろ」

 

この様に棘のある言い方をされても不思議と怒りは湧いてこなかった。

やはり陛下の娘と言う立場を自分が無意識に意識しているからなのか。

そんな事を思いながら要件を尋ねる。

 

「ナニカヨウ」

 

トリスタンは此方を不躾にくまなく見渡す。

なにがしたいのかはわからない。

 

「ふーん…」

 

体内時間で数十秒程経った頃だろうか。

そうして無言で見つめ合っていればアチラから声が掛かる。

 

「ま、いいわ取り敢えず着いてきて」

 

そう言って指を刺す方向を見つめる。

少しキョトンとしなながら目的地を聞く。

 

「ドコニイクノ」

 

これは当然の疑問であり答えてもらわなければならない問いだった。

行き先も聞かずに人に着いていくものなどいないだろう。

 

「私の部屋」

 

トリスタンの部屋?、何故、そう思いながら意味が分からず再び問いかける。

 

「ナニスルノ?」

 

「して言うなら…お茶会?って言うの?コレ、やった事ないからまぁわかんないけど」

それを聞いたガレスは余計に困惑する。

 

「オチャカイ…?」

 

「そ、まぁテメェじゃ役不足だろうけど今回は我慢してあげるわ。私に選ばれた事を光栄に思いながらエスコートしろよな?」

 

 

 

    ────────────────────────

 

トリスタンの部屋の中は割と小綺麗に整理されていた。

 

「へぇ、その外見で食べれるんだ?案外器用じゃない」

 

部屋に入り衣服を外し歪な人型から異形の姿へ移り変わる時も彼女は唯興味深そうにしているだけで特に何も言わなかった。トリスタンはカップに入った紅茶を物足りなさそうに飲み干すと近くにある菓子を不服そうに一つ口に運ぶ。それ以上は気持ちが悪いと言う様に一口食べた食べかけのクッキーを自分の取り皿に入れて紅茶を飲み干す。どうやらお茶へ呼んだ以上は自分の何かを食べなければと言う意識からくるものなのだろう。本来は口に何か食べ物を運ぶ事を憚っているのがよく分かった。そう言えば何処かの聖兵が何を用意しても要らないと言うのでそれを知った陛下が密かになんとか物を食べさせようとしているという噂を聞いた。好き嫌いは兎も角陛下が食べろと一言言えば例え泥でも食べるだろうに何故それをしないのか不思議に思う。

 

「ガレスキヨウ」

 

サクサクとした食感と甘すぎない味が何処か食が進む。少しすると一杯目の紅茶がすこし苦かったのだろう。入れ直した紅茶に角砂糖を2つ入れて小さなスプーンでかき混ぜる。

 

「オイシイ」

 

感想を言うとトリスタンは上機嫌に答える。

 

「はッお父様の娘なんだからこれくらい出来て当然だろ」

 

どうやこれは彼女が作った物らしい。意外に庶民的と言うか家庭的と言うか。

 

「ヘイカニモアゲルノ?」

 

「は?お父様にこんな物差し上げられる訳ないでしょ。妥協点までいったとしてもそれから更に完璧に仕上げてからじゃないと不敬にも程があるだろ」

 

それを聞いたガレスは少ししてからクッキーを指差す。

 

「ジャアコレガレスノ」

「ふーん、まぁ別に良いけど。好きにしたら?その代わり腹がはち切れてでも残さず全部食えよな。私が態々作ってあげたんだからそこら辺身の程弁えろよ」

 

棘のある言い方だと感じながらふと彼女と雑談をしていれば何か違和感に気づく。そう最近では常に側に居るはずのグランドマスターが今日は彼女の周りに居らず不思議に思う。

 

「ランスロットハ?」

 

そう陛下の側近の男と彼女は常に一緒にいたはずだ。こんな長い間一人なのも珍しい。

 

「お父様の部屋、今日は私行かなくていい日だから何か言われてるんじゃない?」

 

騎士団内では周知の事実故に隠さずに言う姿に恥じらいはない。

やはりあの噂は虚偽らしい。

男女のそれについてガレスはよくわからないが別に信じていなかったにしてもこう言う形で知れて良かったと感じた。

壁にかけられている時計を見ながら何か言いたげな目で扉を見つめている。

 

「まぁそれだけじゃないだろうけど」

 

そう言ってトリスタンは椅子から立ち上がる。どうやらもうこのお茶会はお開きらしい。

 

「モウオワリ?」 

 

「また私が暇な時にでも呼んであげるわよ」

 

そう言って嘲る様に笑うトリスタンを大きな目で見つめる。

 

「その時は精々泣きながら感謝しろよな?」

「ウン」

 

ガレスが素直にそう答えるとトリスタンは少し顔を歪める。

 

「…なんか調子狂うわね」

「じゃ、私もう行くから

その余ったやつ適当に処理しといて」

 

トリスタンに指を刺された方を見る。それは綺麗にラッピングされた物だった。バスケットの中に入れられた物とは別に包装されたクッキーを体に忍ばせて残った菓子は全て平らげる。

そうしてそのままガレスは誰もいなくなった部屋の扉を開けて外へ出た。

 






偽バー&ペルニダ「「キャッキャッ!」」

お爺様「計画通り…!」


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何故お前はいつも…18

他人のガチャ結果を喜べる奴は例えどんな人でもいい奴ですよね!!
ね!



陛下の自室から退室し、肩に掛けている外套を翻す。

 

「…」

 

『お前がその様な不埒な男ではない事は分かってはいるが…流石に年頃の男女が同衾とはどうなのだ』

 

先程の陛下からのお言葉を思い返す。むしろ1000年前に言われなかった事が奇跡だろう事は分かっている。あの時は頻度が凄まじかった。

基本ほぼ毎日通っていたのでむしろ何故今?と思った程だ。

最近は長い間会えなかった事がストレスだったのか、気づかないうちに自分の中で溜まっていたのかは知らないが彼女が帰ってきてからは大分爆発した気がする。

バーヴァンシー自体陛下の部屋に呼ばれる事が常である為偶にしか共に就寝できずに居ることが原因なのか仕事外では勿論部屋の中ですら常に一緒に居るのでそれは仕方がない。

いやもしやあの時はまだ自分達は子供だった事もあり気を遣って仰らなかっただけかもしれない。見た目はバーヴァンシーと比べて子供と言うにはいささか上背だったが年齢だけを言えば子供と言っても差し支えなかった故に中々自分達に言えず陛下に気を使わせてしまったのでは。

陛下は未来を視通す事が出来る。知らないはずがないのだからそうに違いない。そう考えているとコツコツと足音が広がる。背後から見知った気配を感じ時間を掛けすぎた事を少し後悔する。

 

「おい!ユー、」

バズビーが言葉を紡ぐ前に目で制しする。

 

「…やめろ、バザード・ブラック。陛下からのギフトが解ける。陛下からの命を守らぬつもりか?」

 

これでハッシュヴァルトのギフトが解けようものならば彼に何かしら陛下より厳罰が降るだろう事を予見しての親切心からの忠告だった。

 

「チッわかってるよ」

 

バズビーもハッシュヴァルトの本意が分かっているのかあっさりと引き下がる。

 

「なんの用件だ」

「何の用だぁ?そんなの決まってんだろッ」

 

名前自体は出ていなかったが自ずと予測がついたのは周りから散々ランスロット経由で陛下に進言してくれと散々頼まれたからだろうか。

 

「今なのか」

 

しかしそれも少し時間が経てば落ち着きを取り戻した。彼のことだから陛下に直接直談判でもやりかねないと思っていたので少し疑問を感じていた。

 

「お前が!いっつもあの女に引っ付いてるからだろうが!!」

「?あぁ、そうだな」                

「あぁそうだな……じゃねぇよ!!お前はあの女があの席でいいのかって話してんだよッ」

「何故私が陛下のご判断に不満を持つ必要がある」

 

それを聞いたバズビーは酷く顔を顰めた。日頃は幼少期の決別が原因で会っても目も合わさずギスギスとした空気が流れるだけだった。

今回久しぶりに

 

「ッそれに陛下の命令かはしらねぇが犬みてぇにずっと女の後ろに侍って…お前には男としてのプライドはねぇのか!」

「…陛下の御命令で共に居るわけではない。」

「ッ」

 

ランスロットは基本陛下の意思以外では生真面目に規律を守る事を軸に生活をする。そのせいで他の団員からは少し避けられている節がある。

しかしそれと同時に皆この男には逆らわない。それは男の能力もあるだろう、しかし最もの理由はあの血も涙もない憎たらしい男に認められ、半身として側に置かれている姿を見れば歴然であり、あの癖の強い星十字騎士団がこの男ならば次期皇帝と呼ばれても文句は愚か何も言えなくなった程だ。それ故に周りとしてはいきなり現れたポッと出のあの女は目の上のたんこぶであり千年前の〝陛下の娘〟の存在を知っている古参の者でさえ苦言を漏らす。そもそも本人として認識されている事すら怪しいが。自分との昔の思い出でもこの男はあまり感情的になる事は無く受動的であり基本言いたい事が言えない気質なのだ。これは単なるバザード・ブラックからの心配から来るものだった。 

「!だからお前の意思は…ッ!?」そう言いかけた時だった。

集中していた為に背後からの気配に気づかず背中を思いっきり殴り蹴られる。

すぐ様距離を取り顔を確認すると気に入らない白色がくっきりと見えてた。

 

「─あ、何か踏んじゃった?」

 

その女は隠す事もなく自分を蹴った体制のまま嘲笑う様に此方を見つめる。

 

「ちっ、トリスタン…」

 

少し不満気に、そして身内の贔屓目なのかもしれないが少し気まずそうに一度此方を振り向き目の前の女に向きを変えながら答える。

 

「そんなに顔歪めてたらまた眉間に皺できるぜ?」

「はしたないから足を上げすぎるな。」

「はいはい、わかってるわよ。でも仕方なくない?存在感薄すぎて踏むまで居るのかよく分かんなくてさぁ」

 

バズビーはそれを聞いた瞬間頭に血が昇る感覚を感じる。

 

「目ついてねぇのかよアァッ?」

 

女に近づき胸ぐらを掴みそうになるのを堪える。

流石にこんなくだらない事でコイツと争おうものなら陛下からの厳罰どころではない。しかし次の言葉で全ての思考が止まる。

 

「は、アンタこそ見えてないんじゃない?美的センスが終わってる雑魚ニワトリ頭の癖に」

「テメェ…俺のこの最高にイカしてる髪に」

「何よ、やる気?私相手に?」

 

小馬鹿にした笑いに再び神経を削がれる。

 

「上等だッ、表出ろッ」

 

「はい、私に喧嘩売った時点でスクラップ確定♡〜」

 

一触即発そう思えた2人の間に一瞬、間が開きながらトリスタンは退屈そうに目を細める。

 

「まぁ、だけど今回は特別に見逃してあげるわ」

「おい、逃げるのかッ」

 

バズビーはそのまま前へと叫ぶ。

 

「空気も読めない訳?私は喉が渇いたからとっとと帰りたいの分かる?そのダセェ髪と同じで頭もトリ公かよ」

「あッ?!!」 

 

うざい白髪を揺らしながら女はコチラに興味が失せた様にランスロットに声かける。

 

「面倒だから早く行くわよ」

 

バズビーそう言って連れられて行く男をただ見ているだけだった。

バザード・ブラックはあの日、女が後継者に指名された日のことを思い出す。何故あの癖の強い星十字騎士団があの場で異議を唱えなかったのか。

〝皆んな心の内では分かっていたのだ〟

今回何か進言しようものならその場で床の汚れになると自分の中に流れている滅却師の血が、体が、そう知っていたからだ。

 

「君も懲りないよね」

 

次から次へとぞろぞろと忙しい事だと思いながら同じ星十字騎士団の1人である 蒼都が疲れ切ったバズビーに声をかける。

 

「その短絡的な所を治すべきだと思うよ僕は」

「お前…近くで見てやがったな」

「お?なんだバズビー!またランスロットと遊んでいたのか!」

「今はマジで黙ってろ…」

 

また五月蝿いのが来たと思いつつ。不愉快そうに先程のハッシュヴァルトと同じ様に顔を歪め、女の後ろについている金髪の髪を眺めながらそう答えた。

 

 

 

 

一部始終を陰から見ていた者が1人。

星十字騎士団にて愛を司る男、ぺぺ・ワキャブラーダは彼らが争う様を心底面白いと言う様にまざまざその様子を鑑賞していた。

 

「ゲッゲッゲッ、そのまま戦ってたら陛下に怒られてたろうに…残念ダネッ!」

 

ぺぺ・ワキャブラーダの信念とは愛なき所に戦いはなしである。

よって自称愛の伝道師を名乗る自分こそが戦いにおける戦士の完成形であると言うのが彼の自己評価であるが、まぁそれを本当にそう思っているのは当人のみなのは仕方がない。

 

「若い男達と女が一つの愛を取り合う様……愛だよネ!!!」

 

愛は何も綺麗で純粋無垢なものばかりではない。

しかしどれだけ泥臭かろうと側から見れば醜い争いだろうとも彼から見ればそれはどんなものであれ美しいものであり、そして何より変え難い娯楽でもある。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「どないしはったんです?僕らだけ居残やなんて」

 

その特異な能力故に我らが魔王に見初められた哀れな人間、井上織姫を拉致する為に態々現世に十刃を揺動として送り込み、たった今最近の藍染のお気に入りであるウルキオラを向かわせた後にコレである。

 

「五月蝿いぞ市丸、藍染様には藍染様のお考えがあるのだ。」

「はぁ、そないで」

 

市丸ギンは内心冷や汗を流すがけっして表には見せない様に取り繕う。

 

「そんなに固くなることはないよ。ギン、要」

 

何かやましい事があるから、と言うことも勿論あるだろう。

まさかこんな、まだ早い時期にあの化け物が自分の裏切りに勘付いたのではそんな思考に陥る。

これが彼らの計画の内であれば話は分かる。

自分は技術面では全く持って役に立っておらず基本そう言った小難しい事は東仙要が受けたまっている。

 

しかしあの東仙要ですら何故藍染惣右介が自分達をここに引き止めたのかは分かっていない様だ。藍染は心底嬉しそうにその日頃の薄笑いを浮かべている顔の相好を崩す。

 

「先日、実に素晴らしいものを見てしまってね。

失敗を恐れるものに成功は訪れない。それをまざまざと見せつけられたよ」

 

本当に何ってんだ。ここまで何も説明がないとこれは流石にあの藍染に盲信している男も苦言を漏らすに決まっている。

 

 

「?!、もしや例の実験の成功例がッ?」

まさか東仙は認知済みだった様だ。

これはもういじめでは、そう思ってしまうのも仕方がない程になんの説明もないし普通に酷い。いや、僕も結構付き合い長いやないですか、もしかして嫌われてる?あかん、頭が混乱してもうてる。

 

「あぁ!!あぁ!その通りだよ要!」

 

藍染は心底歓喜しており目が恐ろしく怖い。これは例のホワイトの実験以来の喜び様である。日頃よく分かっていない者の興奮した様は大変恐怖を覚えると思い知った。

 

「己自身が不可能だとたかを括り、諦め、別の道を模索する中で自分が成し得なかった偉業を目にした事はあるかい?」

 

いや、しりませんよそないな事言われても。

藍染は冷めた紅茶を側に控えていた破面に下げさせる。

ほら、近くにいる子も混乱してはるや無いですか。

 

 

「〝彼ら〟が完全降臨すれば霊王以上の力によってこの世界を揺るがしかねない存在だ。

故にその危険性から私も一度は手を引いた、

しかし、しかし!それをこうも簡単に…」

 

 

 

 

「─流石は霊王の息子を名乗るだけの事はある…そう思うだろう?」

一瞬息が止まるのを感じる。

この男は今何と言った?

「は、今なん」

 

「あぁ、それに超えるべき壁は高い程良い、私はいつか必ずや霊王すら超越した存在となるのだからね」

 

「なんと…」 

 

東仙は感激のあまり手で顔を覆ってふるふると震えている。その様子を見て思わずギョッとする。え、これ僕空気?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんやあれ…怖」 

 

よくわからないがとても重要な事を言われた気もする。それにしても本当に自分達が呼ばれた理由が不明すぎるのでそれどころではないのはどうやら市丸だけの様だ。結局何が言いたかったのかわからず2人の熱量に置いてけぼりを喰らわされた市丸ギンはそのままこっそり扉を開けて自室に戻る。

 

「結局何をしたかったんや…」

 

もしやこの非人間的かつ自己中心的な感性を持つ男がただただ感想を語りたかっただけなのでは、いやいや、そんな訳ない。というかそうであってほしい。あの子供の様にはしゃぐ男共を見た市丸は酷く疲れた様子で溜め息を吐く。一先ずは自分の胸の内が明かされなかった事を喜ぶべきなのだろう…が、

 

「霊王…言うてはったけど、」

 

此方に引き入れられる際に一応説明はされた世界の王。

人身御供を体現した存在であり世界の楔そのもの。

「その息子?いやいやいや、絶対やばいに決まってますやん」

しかも、その頂上の人々の頂に立つ存在を超える?全くもって正気じゃない。さらっと超重要な機密情報を流してくるあたり本当に人の心がない。え、これ僕悪くないですよね?

 

「やっぱり天才って言うのは頭が可笑しくてなんぼなんやろうな…」

天才というのはやはり一癖も二癖もある者が多い。

 

しみじみとそう思いはしたが市丸には関係のないことだった。全ては彼女の、乱菊の為の復讐劇なのだから。

しかしそれはそれとして2人のあの熱の入り様に少し引いた市丸だった。




半身と愛娘が一緒に共寝してるのに最近気付いたのにハッシュからの勘違いが止まらない──

藍染「超えるべき壁!!すごい!すごい!(そもそも検体すら確保できてないし確率的に無理だろうなと思ってた成功例を発見した尚且つ自分がしかったことを目の前で見せつけられ意欲増し増し)」

陛下「?(藍染からの好感度がすごい事になってるが気づかない)」

偽バー「はわわ…(確率的に色違いみつふし証持ちのノココッチと同じパチモン)」


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何故お前はいつも…19

「…ふむ…」

 

満点の晴天の中、白い羽織を着た白髪が目立つ者が一人。お茶を飲みながら浮竹十四郎は修練場から少し遠い崖に面した場所に腰掛けながらある方向へと目を離さないでいた。そうしていると背後から檜佐木が声を掛ける。

 

「いたいた、何してんですか。こんなとこで?」

 

 

「あぁ、檜佐木君かイヤなにちょっと休憩がてら見物をね」

 

九番隊副隊長である檜佐木修兵は浮竹が指を指す方向を見る。

2人の少女が切磋琢磨している。

 

「朽木と旅禍の子じゃないスか、えーっと…」

 

「織姫ちゃんだよ、冬の決戦に向けて修行中だ。一ヶ月前からね」

 

檜佐木が言葉を紡ぐより先に浮竹が口を開く。

顔をじっくりと見つめれば2人の顔つきはとても充実しており修行というには似つかわしくない様子だ。

 

「なんか…修行にしちゃ楽しそうにやってますね」

 

 

「あ、やっぱりそう見えるかい?」

 

 

「…あれは昔から友達を作るのが下手な子でね。

まぁ、なかなか心を開かない所為なんだが…」

 

浮竹はお茶を啜りながら朽木ルキアの横顔を見る。そうして過去の出来事を思い返して少し感傷に浸っていた。

 

「血相を変えて『隊舎裏の修行場を開けてくれ』と言った時は何事かと思ったが…良い友達ができて良かった」

 

まるで自分の娘に友達ができたことを心の底から喜ぶ親の様な、そんな親心を感じた檜佐木はしかし人間と此方の住人の違いを死神として知っているが故につい口に出してしまう。

 

「…それが人間でも、…ですか」

 

 

「それを言うなよ」

 

少し困った様に笑う浮竹を横目に失言だったと思い直しながら目を逸らす。

 

「…すいません」

 

 

「いや、いいんだ。歩む時は違っても友達ってのは良いもんさ、それにほら何だ。あの子達は普通じゃないから尸魂界に来たらみんなそのうち死神になるかも知れんぞ」

 

そう言って笑った浮竹の顔はとても希望に満ちている。

かくいう自分も浮竹の話を聞いてそうなればいいなと修練場で己の力を高め合う少女2人を見ながら檜佐木はそう思った。

 

「そういえば君こそどうした。こんなとこまで?何か用があったんじゃないか?」

 

「あぁ、そうだ」

 

何を目的に態々浮竹を探しに来たのかを思い出した様で何やらゴソゴソと手を動かしたそれを浮竹に差し出した。

 

「今月分の瀞霊廷通信です。あと中に通販目録も」

 

 

「あれ?なんで君が?」

 

渡された雑誌を見ながら浮竹を疑問符を浮かべる。

 

「マイりましたよ、十番隊は今現世でしょ。十一番隊は隊長は寝てるし副隊長はどこ行ったかわかんねーし、十二番隊なんか2人そろって研究室から出てきゃしねーし」

 

尊敬していた。信用していた東仙要の離叛を思い出して少し苦笑いを浮かべる。藍染惣右介についていった己の隊長を思い浮かべて過去を惜しむ様に懐かしむ様にしながら檜佐木は言った。

 

「正直、隊長業務がこんな忙しいなんて知らなかたっス。東仙隊長は部下にものを頼まない人だったから…」

 

 

「…さてと、そろそろ行きます」

 

隊舎に戻ろうとする檜佐木を浮竹は引き止める。

 

「もうちょっとゆっくりしていきなよ」

 

「言ったでしょ、忙しいんスよ俺、女の子の修行眺めてんのは悪くないけどもうちょいヒマな時にまた誘って下さい」

 

浮竹は去っていく檜佐木の後ろ姿を見つめた後空を見上げて独り言を呟く。

 

「…四月か…」

 

「心を癒すには短く…力を蓄えるには更に短い時間だ…」

 

「願わくばこの仮初の平穏が…少しでも長く───…」

 

 

この時浮竹はまだ知らなかった。現世で不穏な出来事が起ころうとしている事に、尚これを古来より人はフラグと呼ぶ──

 

 

 

 

バキィッ

 

異様な感覚に現世に居た死神達は一斉に上を向く。

更にそして空の穴から出てきた者達に目を見開きその光景を見た。

 

 

「破面…?!」

 

 





次回!破面襲来?!!ドキドキ♡グリムジョー再び!!(by陛下?陛下なら俺の隣で寝てるぜ★なトリスタンより)


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何故お前はいつも…20

文字数少ない時は「」の所とか間隔開けたりして水増ししたり、ある程度文字数があるときは逆に狭めたりをしょっちゅうして基本落ち着きがないから読みにくかったごめんね…


上を見上げる綾瀬川弓親は驚愕を隠せないでいた。

その顔の頬には冷汗がどっと滲んでいる。

 

 

「破面…?!そんな…早過ぎないか、いくら何でも…?!」

 

 

「確かに早過ぎるが…理由を考えてる暇は無さそうだぜ…」

 

 

第10十刃(ディエスエスパーダ)であるヤミー・リヤルゴは闘争的な笑みを浮かべながら下で此方を見上げている獲物を下から見下ろす。

 

「オウ?い〜い場所に出られたじゃねぇか、中々霊圧の高そうなのがチョロついてやがる。手始めにあの辺からいっとくか」  

 

「何言ってんの、アレ死神だよ。アレが6番さんの言ってた『尸魂界からの援軍』じゃないの?ね?」

 

「…ア・ごめーん〝元6番〟さんだっけ?」

 

ルピは小馬鹿にした笑いを口元に滲ませながら美醜感で言えば愛らしい部類に入る顔を自分の方向を見ずにある人物を執着に探すグリムジョーを小馬鹿に嘲笑う。

前までは自分を見下ろす側であった強者が今では己が見下す立場へと変わった快感にどろどろした優越感に浸る。

 

「この中には居ねえよ。俺が殺してぇヤローはな」

 

「あ!!おい待てグリムジョー!!!」

 

それだけ言うとヤミーの静止も聞かずにもうここには用ないとさっさと本命を探しに行った。

 

「あんの野郎!!」

 

 

「ほっときなよ、所詮十刃落ちさ。何もできやしないよ。」

 

 

「それにさぁ、アイツが殺したい奴って黒崎一護でしょ?流石に今回独断でそんな事したらお叱りどころじゃ済まないしね」

 

ヤミーの反応はどうでもいいと言うように「流石にアイツも命は惜しいだろうし?ま、内心分かってるんじゃない?」もうこの場所から姿を消したグリムジョーがこの間まで座っていた第6十刃(セスタ・エスパーダ)の証明である脇腹に空いた服から見える刻印をニヤリと撫で上げる。

 

「あッ!??」

 

ヤミーはルピの失言に声を荒らげながら目はゆらゆらと瞳孔を疎に動かしている。

 

「嫌なこと思い出させんじゃねぇーよ!!あー…今だに思い出しただけで身震いするぜ…」

 

余裕綽々とした笑みを貼り付けている藍染惣右介の表情筋が機能しなくなった様は思わず息が止まるほど恐ろしかった。

おそらくあの中に居た誰もが顔には出さずとも多少心の中に恐怖を浮かべていた事だろう。

あの日ばかりは日頃何に対しても興味がないと言う奴や忠誠心が高い者、凹凸が噛み合わない奴らでさえ皆全面的に勝手に出撃したグリムジョーが悪いとは言え同情していた。

あれ程皆の気持ちが一致団結した事などもう二度とないだろう。

 

「ちっ…俺が殺してぇ奴もあの中にはいねぇんだがよ…」

 

 

「キミが殺したいのってウデ斬られた奴?ボコボコにされた奴?それとも、虚閃弾き返した奴?」

 

下りに下がった気分を少しでも上げるために敵陣を見るがお目当ての者がいなかったようだ。

横目で少しイラついた様に不機嫌にするヤミーの顔を屈み込みながら覗き込む。

 

「全部だよ。おい!いくぜ!新入り!!いつまでボヤッとしてんだ!!」

 

当然だと言う様にしてルピに答えたヤミーは後ろで虚空を見つめている金髪の少年に声をかける。

 

マー…

 

背中には自分の頭より柄が出るほどの大剣を背負っている。しかしその表情の異質さからか戦場に似つかわしくない雰囲気を纏っており知性は感じられないまるで生まれたての赤子の様な出立だ。

 

アウー…

 

 

「ちっ…また変なのが入りやがったぜ…」

 

何処を見ているのか分からない少年を見てヤミーは気味が悪そうに答えた。

 

 

 

 

 

「放せっ!!!」

 

「まだ、ムリだっつッてんだろ!!」

 

「こういう時の為に尸魂界から仲間が来て張ってるんだろ!!そっちに任せとけって!!」

 

六車拳西。愛川羅武に取り押さえられながらそれでも懸命に踠く。

どんな理由があれ自分が戦わずに唯ここに留まるこの状況に我慢ができなかった。

 

「こっちだってこういう時の為に修行してんだ!!今行かねぇでどうすんだよ!!」

 

問答が続く中いきなり必死の形相で顔に汗を流す一護を押さえつけていた六車のシャツを思いっきり掴まられる。後ろを振り返った三人の背後に居たのは平子真子だった。平子の思いがけない行動に目を丸くしていると更に信じられない言葉が彼の口から溢れる。

 

「…行かしたれ」

 

その言葉を聞いた瞬間一護はそのまま出口目掛けて走り去っていく。

 

「おい!何考えてんだよ!!」

 

 

「真子ッ!!」

 

六車から非難の声が上がっていく。

黒崎一護の後ろ姿がただ黒い点になる程に離れる姿を平子真子は無表情に見ていた。

 

 

「…よぉ探したぜ死神」

 

極端にある位置に偏った霊圧に向かってい行くとその視線の先に居た者を見た瞬間驚く。

何も一護はそこにグリムジョーが居たことに驚いているのではない。グリムジョーは以前の姿とは明らかに異なり片手のみでそこの場に立っていたのだ。

そんな一護の心情とは裏腹に黒崎一護を目視したグリムジョーは好戦的に笑う。

 

「…こっちのセリフだぜ。見せてやるよこの一ヶ月で俺がどれだけ変わったのかをな!」

 

 

 

 

 

「!!!」

 

 

「反応です!!反応ありました!!」

 

 

「限定解除は!?」

 

 

「許可済みです!!」

 

 

「反応は?!何色だ!!」 

 

 

 

 

「──紅色反応…!!『十刃』です!!」

 

 

 

 

 

 

「…ハッ」

 

 

「卍解かよ、それがどうした?忘れたのか?てめぇはその卍解で俺に手も足も出なかったんだぜ」

 

 

「忘れたのか?てめぇはその卍解で俺に技で…」

 

 

「その傷をつけられたんだぜ」

 

 

グリムジョーの体の露出した上半身の傷は痛々しく体の中心にしっかりと鎮座していた。

 

 

「…一つ訊きてぇグリムジョー」

 

「お前…腕はどうした」

 

それを聞いたグリムジョーは口角を上げながら挑発的に返す。

 

「捨ててきたんだよ。てめぇを殺すのに腕2本じゃ余計なんでな」

 

 

「…そうかよ」

 

 

「それじゃ手加減は必要無ぇな」

 

 

「そうしろ、死にたくなきゃなァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 




メゾンドチャンー

平子「...行かしたれ」

斬月ズ「「行かすなよッ」」

現地バーヴァンシー「まあまあ(よし!)」



チョコラテ「お前・・腕はどうした?」

何ムジョー「捨ててきたんだよ」


破面一同「「嘘をつくな」」



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何故お前はいつも…21

予告の陛下えっちでしたね〜


現世へ向かうべく穿界門へと向かう朽木ルキアを見送った織姫はそのまま界壁固定が完了するまでの間ただじっと待つ。 

 

 

(黒崎くん…大丈夫かな。破面の人達が来たって言ってたけど、また怪我してないかな)

 

織姫は大怪我をした一護を想像して目をぎゅっと瞑る。

 

 

(ううん!弱気になっちゃ駄目!それにもし大怪我してもあたしが絶対‥)

 

 

 

「井上様!井上織姫様!断界界壁固定、終了致しました!!お通り下さい!!」

 

 

その声を聞いた織姫は慌てて後ろに居た死神達にお礼を言って急ぎ早に走り出す。それと同時に両脇から2人の死神が織姫の横に就く。

 

「!」

「お供致します!」

 

織姫は驚いたが直ぐに困った顔をしながら声を出す。

 

「えぇっ!?いいですそんな…」

「貴方はもう旅禍ではない!客人です!客人の往来きは地獄蝶を外した死神2名が同行するのが習わし!煩わしいでしょうがご容赦を!」

 

それを聞いた織姫は笑顔で両隣の死神に遠慮がちに声を出した。  

 

「はい…じゃあ…お願いします…」

 

 

(急がなきゃ…大丈夫…あたしもこの一ヶ月で少しは強くなった…きっと今なら役に立てる…!だから待ってて黒崎くん…みんな───…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─何だ、護衛は2人か」

織姫は目を見開いた。背後からする声に覚えがあったからだ。しかしそれは決して安心感を及ぼす者ではないからだ。この声は──

 

「存外尸魂界も無能だな。最も危険が高いのは移動の時だということを知らんらしい」

 

何もない場所から忽然と黒い破裂が現れる。そこから現れた人物、それはついこの間ヤミーと共に現世を蹂躙した破面──ウルキオラ・シファーだった。

 

「…護衛が2人というのは拍子抜けだが…煩わしい拘流の動きが固定されていたのは都合が良かった」

 

「話をするのに時間を急ぐのは性に合わんからな」

 

(あの時の───)

 

 

「な…何者だ貴様っ!!破面か!?」

 

「まって!話があるんでしょ!?」

 

ウルキオラが手を動かす仕草をした瞬間血飛沫が広がり1人の死神の左うでから腹部までが根こそぎ無くなった。

 

「双天帰盾!」

 

そして慌てて体を動かす。ウルキオラは邪魔するでもなくただその何も映し出さない瞳でそれを見ていた。

 

「う…うあ…」

 

「逃げて!逃げてください!!」

 

「し…しかし…」

 

もう1人の死神は冷汗を流しながら顔を引き攣らせて今まさに迫っている死の恐怖から顔を歪める。

 

「いいから逃げて!!お願いッ!」

 

このままじゃ殺される。その前になんとか逃げてくれればという織姫のそんは願いは虚しくもその場で崩れ去る。

 

「あやめっ!!」

 

先程の死神より深く上半身を持っていかれた死神に織姫は急いで膜で覆い治療を施す。

 

 

「ほう、そこまで損傷していても回復できるのか、大した能力だ」

 

「─俺と来い、女」

 

「!?な…「喋るな」

 

空中に映し出されたそこにはよく知った仲間の姿が映し

 

「言葉は〝はい〟だ。それ以外を喋れば殺す。〝お前を〟じゃない。〝お前の仲間を〟だ」

 

「!!」

 

空中に映し出されたそこにはよく知った仲間の姿が映し出され織姫の心を揺さぶる。

 

「何も問うな。何も語るな。あらゆる権利はお前に無い。お前がその手に握っているのは仲間の首が据えられたギロチンの紐、それだけだ」

 

 

「理解しろ、女これは交渉じゃない。〝命令〟だ」

 

青い顔を通り越して血色の悪くなった織姫を無視してウルキオラは続ける。

 

 

「藍染様はお前のその能力をお望みだ。俺にはお前を無傷で連れ帰る使命がある」

 

 

「もう一度だけ言う。」

  

 

 

 

 

 

 

 

 

「──俺と来い、女」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影の中から覗いていた聖兵達は目前の機械を慌ただしくりながら詳細について事細かに記述していく。室内だというのに皆一様に軍帽で表情は見えないが無機質にただ耳に付けてある機器で音声を聞き取りながら目前の映像情報を見ていた1人の聖兵が隣に居た先輩らしき人物に声をかける。

 

「一十二番隊隊舎技術開発局より特記戦力である黒崎一護の現世における戦闘の可能性を確認。かなり高い確率で交戦は免れないものとなりますがこのまま報告として陛下へ繋げますか?」

 

その問いの人物より幾分か先輩の聖兵は指示を飛ばす。

 

「陛下は今寝室で休息を取られている。黒崎一護に関して緊急性はそこまで高くはないものとして急ぎダーテンを作成後ランスロット様への入電を推奨する」

 

「了解、このまま技術開発局の観測を継続します。」

 

向かいから手前に居た聖兵は弄っていた機器を動かしていた手を止めると少し戸惑いながら報告する。

 

「一般隊士2名と井上織姫が通っている断界に高エネルギーを確認、高い確率で過去に黒崎一護と交戦した碳面と思われます。恐らくは殺害か或いは拉致を目的としたものだと予想」

 

「井上織姫の能力を考慮した上で藍染惣右介らによる拉致と断定、黒崎一護に近しい者の近況は彼の戦闘に繋がる事がある。ランスロット様に報告に向かうが一度状況を確認を推奨する」

 

 

画面を配き込みながら複数の聖兵が声を出す。

 

「一番隊隊舎クリア」

 

「二番隊隊舎クリア」

 

「三番隊隊舎クリア」

 

「四番隊隊舎クリア」

 

「五番隊隊舎クリア」

 

「四番隊隊舎クリア」

 

「五番隊隊舎クリア」

 

「六番隊隊舎クリア」 

 

「七番隊隊舎クリア」

 

「八番隊隊舎クリア」

 

「九番隊隊舎クリア」

 

「十番隊隊舎クリア」

 

「十一番隊隊舎クリア」

 

「十二番隊隊舎クリア」  

 

「十三番隊隊舎クリア」

 

「異常なし。引き続き業務を継続します」

 

 

 

 

 




石田雨竜くんへのクインシークロスによる生搾りを目撃したパチモンバーヴァンシー

パチバー「いいなあ…」

陛下「あれは衛生上良くないから駄目だぞ。お前にはちゃんと消毒したナイフで切ったものをやるから我慢しなさい」

パチバー「じゃあ直接…」

陛下「…バーヴァンシー、年頃の娘が男の肌に噛み付くのは良くない…後でグラスに入れて飲ませるからそれで我慢しなさい。他の男にも頼んでは駄目だぞ。特にハッシュヴァルト、あれはお前には甘いからな」

パチバー「はーい」

光の使者キュア♡ウリュウ「(衛生上良くないのをわかってるならやめてくれ…)」


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何故お前はいつも…22

ごめんよアスキン…お前後から親衛隊入ったんだな…まだなのに入れちゃって…でもすげぇ馴染んでたからつい最初から居ると錯覚してたんだよ…マジでごめんねぇ…


「はっ、はっ、」

 

一護の体は遠くへと投げ飛ばされる。素早く受け身を取ろうとしたがそれでも先程の攻撃のダメージが残っているようで硬い地面が顔を容赦なく擦り上げた。ヒビの入ったアスファルトに一護の顔から垂れた血が滴っている。

一護は苦悶の感情を浮かべながらグリムジョーが此方に攻撃してくる前に素早く手を翳して先ほど破壊された仮面を形成しようとする。が、その目論見は外れ形成しようとした仮面は音を立てながら白い光となって霧散した。

 

「…く……そ…ッ、」

 

それを少し距離を取った場所から見上げていたグリムジョーは一笑した。瞬間一護の腹に足がめり込み先ほど投げ飛ばされた時よりも更に激しく体は凄まじい勢いで放り出さる。

 

 

「ハッ、どうやらさっきの仮面は一度壊れたらもう出せねぇらしいなァ!」

 

大きく口を開けて歯を見せながらグリムジョーは口角を上げながら笑った。

 

「…いや、出す構えを取るってことはそういう訳でもねぇのか」

 

「だがダメージを受け過ぎたせいか、霊力を削られちまってるせいかそれとも回数制限かのか」

 

「──何が理由かは知らねぇが、とにかくあの仮面は──」

 

「〝今はもう出せねぇ〟」

 

鈍い音が響いた。肉が裂ける音がした後グリムジョーの少々刃こぼれが目立つ斬魄刀が一護の腕に突き刺さっている。

 

「─そうだろ?心配すんな、この距離での虚閃(セロ)だ。仮面を被る頭ごと消してやるよ!」

 

グリムジョーの手の平から霊子を収束させた光が溢れる。一護は汗を掻きながら目を開く。刀で身動きが取れず抜こうにも恐らくグリムジョーの放つ虚閃の方が一手速い。ここからどう出るか、そう考えているうちに死の宣告が刻々と迫っている。

一先ず放たれると同時に横に自分の体を逸らして軌道から外れて最小限にしようと足に力を込める。

 

「!!…な…!?」

 

腕は最悪どうにかなると迫ってくる痛みに耐えようとした瞬間。グリムジョーの動揺した声が響いたと同時に。

──やけに瞬間見知った声が耳の奥に張り付いた。この声は──

 

〝次(つぎ)(まい)〟」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『〝白漣〟(はくれん)』」

 

 

 

目で目視した時には既に遅くグリムジョーは反応出来ずに強大な凍気を一斉に放出され身体一体が全て一瞬にして凍らされ、白い水蒸気を放っている。

 

 

「はっ…はっ……すげぇ威力だな…いつの間にこんな……ぐ…」

 

「喋るな、ただえさえ抜きづらいのだ。余計手間取るではないか。…貴様こそ随分と無茶な力を遣ったようだな…ガタガタだぞ…」

 

「…うるせーよ」

 

一護は目を別の方向に向けながら先ほどまでの疲労からか顔中に汗が滴っている。

そんな一護にルキアは声を掛けようとした。が、

 

「──……一護…」

 

その言葉が紡がれる前にルキアの頭をガッと鷲掴み伸びてくる手が現れる。

ルキアの目にはつい先程凍結させた筈のグリムジョーが氷の牢獄を抜け出した姿が映っていた。

 

 

「…ナメんじゃねぇぞ死神…薄皮一枚凍らせて…それで俺を殺したつもりか…!?甘えんだよッ!!!」

 

「ルキア!!!」

 

一護はルキアの頭を鷲掴み虚閃を放とうとするグリムジョーの元へ足を走らせようとするが突き刺さった斬魄刀がそれを許しはくれない。ギシギシと鈍い音が響くのも構わず一護は必死にルキアの元へ行こうとする。

 

「ぐ…く…そォ…!!」

 

グリムジョーの虚閃から放たれる光が更に大きくなりもうすぐ目の前で何も出来ずに仲間の命が奪われようしていた──が、

それはルキアを掴んでいたグリムジョーの腕のみを攻撃した何者かによりそれは阻止された。

 

「はっ…はっ…、」

掴まれていた頭を離され九死に一生を得たルキアは必死に自分の心臓を落ち着かせようと浅く息を吐く。

 

「…やれやれ」

 

そう聞こえた声の方向に目をぎょろっと向ける。それは先ほど自分を攻撃した人物だと言うことを理解していたからだ。

一護は目を見開いてどこかの家の天井に佇み仁王立ちで斬魄刀を携えた目を引く金髪の色を見た。

 

 

 

「ホンマは死神の戦いに手ェ出すんいややねんけどなァ…」

 

 

 

 

「──しゃアない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かを堪える様に自室のシーツを握り締める過去の1000年前の斬月のおっさんフェイスをより熟成させたイケおじすぎる麗しいお顔。イライラしてるガチギレ陛下…良い…。希望を抱いて歩く姿は美しいっすねぇェェ?!!!!!

スゥぅぅぅぅぅッ今のうちに目一杯吸っときましょう。流石は帝国千年の歴史を背負っている程よく分厚い胸板…良いですね大好きです。陛下は吸うと体に良いんですよ?これ帝国の一般常識ですからね。

知らなかった人は皆非国民、そして即座に死刑です。とっととギロチン行きですよ!ほら!きびきび歩く!!ははっ早くこれが世界中に浸透するといいですね!!。あ?乾燥させた陛下のマントの炙り焼きを吸う?馬鹿野郎ッ!!そんな変に通ぶってやるより気取らずに王道の生吸いが一番体と心にいいに決まってんだろうがヨォッ!!

後継者の権力で見えざる帝国に本当に作っちゃおうかな…ヴァンデンライヒ支部居酒屋店。つまみ?勿論陛下のマントの切れ端ですよ。実質おかずですね!!あ、すいませーん!残りはお持ち帰りで、家族に持って帰りたくて、へへ、これがないと酒が進まな…あ?お持ち帰りできない?今回限りで食べ放題のみ…だと?。

流石に食べ放題でお持ち帰りが出来ないことでクレームを入れるなんてそんなキチガイのすることをこのバーヴァンシー様がやるわけない…のだが…だが、これは、あまりに惨いッこれが人間のやることかよォォォォッッ?!!!!

…おっと、失礼〜気振り出すと最近すぐこうなってしまって〜汗汗すっね!いやぁ実の所今はちょっと陛下が1000年前のダーテンを見返すとかで山爺のダーテンの映像情報とか死神さんの賑やかな和気藹々なシーン見てたらなんかイライラしだしたんで陛下のよちよちで忙しいんだよね!!これが帝国の後継者の仕事の大半です!!ドヤァ。

よ!給料泥棒!!石田が来た時にこの業務内容を伝えて散々いびり散らかしてやらぁ!!

姑枠をポテトとツートップで2人体制のまま散々いびってやらぁ、ほらぁ、どうした?膝枕から添い寝までが後継者の仕事だゼェ?早くやってみろや(笑)なんてやっちゃっいま

 

「バーヴァンシー…」

 

あ、陛下が切なげにお名前呼んでるぅ…でも2人っきりかもしれないけど良い子だからトリスタンって呼ぼうね!ね!。一応見られてるかもしれないからね!!もーだからこういうのが積み重なって千年前のヒューベルトパイセンに愛人だって間違えられたんだよ!!!正直私今も周りから自分が陛下の愛娘として見られている自信がない…だって毎日一緒に添い寝してるんだよ??絶対えっちな事したんやろうなって思われてんだろ!!

そのせいなのか最近の野望はふた◯りです。これでショタ攻めのおねショタ構図が完成しますね!!…え、なに、おねショタじゃなくておにショタもしくはおじショタ…?ちょっと何言ってるか分かんないですね。

 

「お父様大丈夫?ランスロットから入電来てるけど繋ぐ?直接来させた方がいいんじゃ」

「…問題ない。そのまま媒体にのみ繋いでくれ」

「でも」

「私は大丈夫だ。問題ない」

 

気を落ち着かせる為に近くにあった水を飲み干す。

勢いをつけて飲んでしまったので口から少し溢れた様だったので乙女の必需品ハンカチで陛下の口を拭く。いやはや流れる様な女子力ですね〜。

これがあるのとないのとじゃヒロイン力が違ってくるから皆んなも気をつけようね!!ちなみに柄は白いレースのやつだよ!!

…それにしても陛下ったら地雷なのに無理しちゃって…こう言うのは棲み分けが大事なんだよ!ほらぁおてての血管浮き出ちゃってるじゃん〜。はい山爺のダーテンナイナイしようね〜。

 

「わかったけど…でも無理はしないでね?」

 

ふふふ、オタクは地雷見ると軽率に爆発するのを既にバーヴァンシー様は経験済みなのだ!!陛下も一応気をつけようね…海外系の好きなキャラの二次創作で逆カプなのに推しのCP表記で見事に釣られて地雷を見て叫ぶなんてことになってほしくないんだよ…あ、こら!耐え切れないからって私のお腹に顔を埋めるんじゃありません!お父様の愛娘は猫ちゃんじゃないからね!!動物セラピーならぬ娘セラピーをするんじゃない!!さっき私は大丈夫だって言ったばかりでしょ!!確かに動物飼ってる奴らは地雷原踏むと動物で自己回復し出すとかよく言うけど!!そう言うことするから他の人達にあれ娘に対する態度じゃない!とか言われるんですよ!!めっ!!…もう!!

ま、まぁ陛下はそもそも親のお手本知らないしそこら辺は仕方ないとは思ってるんですよ?。

精々知ってることなんて私の母親紛いの行為くらいですしね?でもこれは流石にやりすぎだから、めってしないと。

 

…はっ、私の日課の脳内トラップ中に映像流してたの?!!一声かけてよぉぉ〜…この即決力はまさしく親子っすねぇ。

あははは〜…俺チャンはアルビオン⭐︎チャレンジバンジージャンプ事件今でも忘れてねぇからな??そこらへんいつか落とし前つけさせますからね…オイコラお前に言ってんだぞお爺様や。

 

『…できもしないことをそうおいそれと言うものではないぞ』

 

やかましい!!!本当にやってやるからな!!圧倒的に戦力差をものともせず!!!!そして0秒バンジーの復讐…あ、ちょっとぉ???いきなり戦闘シーンまで飛ばすのやめてよ!!陛下!

 

『おぉ、あれが我が末孫か。お前も見るといい。うむ、中々の顔立ちではないか。後で息子にダビングを要求せねばならぬな』

 

いやだよっ?!!だって実質陛下にお願いするの私じゃん!!それだともし仮に見られた場合周りからすげぇチャン一の事大好きに思われるじゃんッ!!バー・ヴァンシー的にそれは…

え、ちょっと私初めてリアタイで主人公見るんだが?!!!ふざけんじゃないよ、え、これぶっちゃけこの世界is初見で我らが主人公黒崎一護きゅん見ちゃうの?ダーテンぐらいでしかみてないんだけど!!いきなりの過剰摂取はお肌に悪…い?

 

 

 

 

 

 

 

 

──画面越しのその目立つ髪色を見た瞬間、思わず言葉を失ってしまったのは言わずもがなだろう。

正直に言おう。とても美しかった。均等にとれた肉体。整った顔立ち。目つきが悪いが澄んだ琥珀色の瞳に眩しいほどに明るい髪色。その形容すべき全てが美しい。

 

「…あれが特記戦力の黒崎一護?」

 

オレンジ髪が特徴的な我らが主人公…あーなんか陛下を見た時にも感じたけど自分という存在がBLEACH世界に来た感が…この変なもぞもぞとした感覚がさぁ…改めて思うと本当なんで俺来ちゃったんだろうね、不思議だよね〜。

…あらやだ!チャン一ったら白米のお供な絶望フェイスがよく似合うプリティーなお顔は大変お宜しいでございましてよッ!!

 

「あれこそが帝国の救世主と言うべきか…今後重要になってくる三世界の全ての性質を合わせ持つ者だ。それにしてもよく覚えていたな」

 

「偉いぞ」頭をわしゃわしゃと大きなお手手で撫で回される。まぁバーヴァン・シーちゃんはカルデアでパワポ作れるぐらいには勤勉な妖精さんなのでね。などと思いつつ撫でられ過ぎて頭が少しごわごわになってしまったぞこれ。 

髪を手櫛で直しながら水晶端末越しにチャン一を凝視する。

 

「なんか、変な子」

 

彼の生き様は偽善と言っても差し支えないほどに純粋で、希望に満ちていて、それでいて歪な程に未熟な子供だ。水晶画面越しの映像。その中の髪の色と同じ瞳、眩しいほどに太陽を彷彿とさせるオレンジ色の髪を揺らしながら戦うチョコラテくん、すげぇこれが黒崎一護か〜。…うんなんかこう、キラキラして見えるぅ。…すげぇエフェクトかかってるように見えるぞこれ、え?なに?アニメ見た時こんな描写あった?いやいやいやなかったに決まってんじゃねぇか。

なにこの現象…怖ぁ。でも何かはわからない…なんなんだ。それに何故かものすごく気になる、気になって仕方がないぞぉッ。なんで…私の心の中の(自主規制)は陛下にしか反応しないと思ってたのに…え、ポテトさんの裸見てもなにも思わなかった我が愚息が…そんな…。

はッもしやこれが主人公補正的なやつでは?!!!私の中の女の体がおそらく主人公特有のフェロモンに引っかかったのか…はは、この名探偵バーヴァンシー様にかかればざっとこんなもんやで工藤ッ!!やれやれ正妻(織姫)は大変だな…こんなすけべな旦那を持ってよ…。などと言いつつ陛下の写真集(監修・帝国の後継者)を常備してニヤニヤしているバーヴァンシーなのでした!!!。え、なに流石に見つかったらキャラ崩壊まったなしぃ????大丈夫!!!二重底の机の中に入れてるから!!!これでお掃除の人が来ても大丈夫だろ〜!!!

 

 

 

 

 

「お前がその様に他者を判断するのは珍しいな。そんなに気に入ったのか?」

 

「え、あ、別にそんなんじゃないけど…ん、どうだろう。最近私結構変わったからかな…」

 

「そうであるならばその変化はお前にとって良いことだ。私の言いつけをしっかりと守っている証拠なのだからな」

 

それを聞くとバーヴァンシーは顔を明るくさせて髪を揺らす。

 

「ほ、本当?私いい子?」

「あぁ、勿論だともバーヴァンシー。お前以上のいい子がどこにいると言うのだ」

 

そういうとバーヴァンシーは嬉しそうに擦り寄りながら胸板に体を預ける。そうすると何かを思い出したかのように子供が親に褒めてもらうのを待つようにしている。

 

「あ、そういえばあのね!今日もね!頑張って沢山?とは言えないけど、お父様の言った通りに悪辣にしたの!」

 

少しすると何かを思い出したかのように子供が親に褒めてもらうのを待つようにしている。

 

「適当な聖兵捕まえてね!手脚をもいで…芋虫みたいにして遊んでたらね!ぴーぴー泣いちゃって、最後には命乞いしてしきてさぁ。面白いったらないっての!」

 

嬉しそうに体を揺らしながら自分に語り掛ける。やはり悪辣に他人へ今までされてきた事のほんの少しでも発散できているようで何よりだ。

 

「その後ガレスが来て勝手に片付けてったんだけど、あんな雑用そこら辺の聖兵にやらせとけばいいのに」

 

私が側にいてやれない間は自分の半身にバーヴァンシーを任せていたがなにぶん少々繊細な子なのでうまくやれているか心配だったが元気そうで何よりだと思わず己の妖精の成長に笑みを溢す。

が、油断は出来ない。部屋で1人で泣き叫んで居るのをよくランスロットからの報告で聞いている。

恐らく善良な精神がついていけていないのだろう。

が、この様なことでもしなければバーヴァンシーが生きられないのもまた事実。やはりこの世界は根本から変えるべきだな。

過去では同情的に見ていたの霊王の存在。世界の楔にされた不幸な生贄。

 

「お父様?」

 

しかしあの男バーヴァンシーに関して悉く余計なことしかしない。何を感じどのような意思でその様なことをやったのかは知らないがもはやユーハバッハが己の父に対して持っていた同情や憐憫などは遠い彼方に消え去っていた。

 

「…そう、なのか。偉いな」

 

それにしても友ができたのは良いことだ、親としては祝福すべき事柄なのだろう…が、しかしアレと仲が良いのは少し親として些か複雑極まる。やはり親衛隊との交流などさせない方が良かったか、いや、私の我儘でせっかくあのバーヴァンシーが自分から交流して作った友との可能性を潰してはいけない…子供の成長を見守るのもまた親の務めだと聞く。無理矢理に離してしまうのは教育上良くないだろう。ここは我慢して子供の成長を見守るのが正解だと考えを改めよう。

 

「あ、でもね」

 

堪えるように言葉を吐く。しかしその顔の複雑そうな面持ちは全くもって隠せていない。

そんなユーハバッハの内情を梅雨知らずにバーヴァンシーは少し顔を曇らせる。

 

「ユーゴ私が遊んでたら変な目で見てくるの、不思議。なんというか、よくわからないけど」

「ねえお父様、やっぱり私何か間違えて…わっ、お父様?」

 

そう言おうとしたバーヴァンシーだったが、だがその瞬間バーヴァンシーを掴んでいた手に力が入る。ギシギシと骨が軋む程に強く、そしてその手の熱が経由伝わってくる程に近い。しかしバーヴァンシーの腕がまだ曲がっていないということはある程度力加減をしているのだろう。いつもバーヴァンシーに慈しみを向ける目とは思えない程に背筋が凍る血の玉座に鎮座する皇帝の目線を一心に受けるバーヴァンシーは何か粗相をしたのかとあわあわと声を震わせる。他の聖文字持ちですら気絶する者すら出てくるその視線を真っ直ぐと見つめるながら言った言葉と云えば。

 

「ご、ごめんなさい、私何かしちゃった?自分ではよくわからなくて。お父様が言ってくれたら全部直すから、もっといっぱい殺すから、だから」

 

いきなりの事に驚いて目を白黒させながら自分の態度に何か怒らせるような事があったのかと尋ねてくる何か勘違いをしているバーヴァンシーに極めて優しく言い聞かせる。

 

「お前は良い方向に成長している。周りの目など気にするな、そのまま残忍であれ」

 

許せるものか、例え受けた当人が許しを与えたとしても私だけは、私だけはこの少女のために憤怒せねば。己を無碍に扱うならばその何倍もの愛情を。お前が自分を偽らなければ生きてはいけぬ乱暴に扱われたならば私が護らねば。一体だれがこの娘を護り慈しんでやれるというのだ。

首元に手を持っていきユーハバッハの体重により倒れかかっていた体を支える。

 

「ハッシュヴァルトには私から言っておこう。お前が今まで他者にされてきた事に比べれば天秤にかけるまでもないのだから」

「?、よくわからないけれど。そうよね、お父様が間違えてた事なんてないものね!」

 

ユーハバッハに対して疑いもせずにただあるがままを受け止める。

その姿に少々危機感を覚えたが今はまだこれでいい。これからゆっくりと教えていけばいいだけなのだから。

 

「その通りだ。お前は父の言う事を聞いていればいい」

 

 

わかってくれた様で何よりだとほっと息を飲み込んで昔はお前の方が高かったであろう頭を今は私が撫でている。

私の母代わりの様に接して。目の前の自分の不幸の原因である私に憎悪を抱いても仕方なかっただろうにそれでも普通の子供とは少し違うだろうが精一杯愛情を持って育てたバーヴァンシー。

今は他の部下の前では名前を呼ぶことはできない。

妖精騎士、あの沼地のおかげと言うのは少しイラつくのだがもはや態々血を与えずとも一般的な生活ができる様になったのを機にバーヴァンシーに聖文字を与えようとした。しかし何故か魂への付与ができなかった。理由はおそらくあの忌々しい父のせいだろうと当たりをつけた。いつか殺す。

過去に刻んだ様にバーヴァンシーの為に魂にではなく名に対して己の魂を刻印私が着名と言う形で真名を封じたのはその聖文字と比べれば名を呼ばれただけで剥げるその脆い欠点もあるが最もな目的はあの城での惨劇を他の者たちが覚えている可能性を危惧してだ。子が少しでも傷つかぬ様に配慮するのは親として当然のこと。昔と比べて逆の立場になってしまった愛娘。願わくば少しでも健やかに過ごしてくれる事を祈るばかりだ。

 

「あ、でもユーゴにあんまり何か言うのはやめてね。この間もお父様に注意されてしゅんってしてたから」

 

ハッシュヴァルト、己の半身であり側近。最初に会わせた頃はここまで酷くは無かったが。あの赤毛の子供が入隊してからは距離が近くなった様に思える。あの何を思っているのかよくわからない子供も最近では千年間所在不明、生死不明のバーヴァンシーが帰ってきたのが酷く嬉しかったのか生きていたことにホッとしたのか業務以外では常に一緒に居る。まぁ流石に親衛隊の部屋にまでは行かないにしても頻度が凄まじい。

 

「…姉弟で仲が良いのは良い事だがあれは流石に年頃の男女としては宜しくないぞお前達」

 

「私は気にしないけど…」

 

「駄目だ。絶対」 

 

そう言って頭を抱える男の影は先程の苛烈さを感じさせない程にとても穏やかだった。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

「くそッ…!クソッ…!」

 

顔から夥しい血が吹き出しながらポタポタと血が滴る。平子真子から放たれた虚閃で瀕死の重傷を負ったかと思っていたがグリムジョーは本来受ける筈のダメージを自分の虚閃で削った。

 

「…とっさに自分の虚閃をぶつけてダメージを削ったか…やるやないか」

 

「クソが……ッ!」

 

グリムジョーは自身の斬魄刀を構える。

虚化した影響により虚の異形の仮面越しに平子は何かを感じ取り動こうと──した。

しかしそれより早くグリムジョーが言葉を紡ぐ。

 

 

「〝軋れ〟」

 

平子は目を見開く。それは今から来る筈のグリムジョーの変化ではなく。今この場に居なかった筈のウルキオラ・シファーがグリムジョーの斬魄刀の柄を握り制止した。

 

「…ウル…キオラ…!」

 

歯を噛み締めて滑らかに汗が滑り落ちる。

グリムジョーの感情とは裏腹にウルキオラは黒腔(ガルガンタ)を開こうと帰る算段を付けた。

 

「─任務完了だ。戻るぞ」

 

それを言い終わると同時にウルキオラとグリムジョーの周りに光が出現する。一護は見た事があるそれに思わず声を上げる。

 

反膜(ネガシオン)…!!」

 

その声にウルキオラは微かに反応を見せながら膝をついて此方を睨みつけている黒崎一護の敵意を傍観しながらただいつものように冷たい瞳で見ているだけだった。

 

「…霊圧の名残がある…。…どうやら新たな力を手に入れたらしいな…」

 

「─だが、その程度か」

 

「終わりだ。最早貴様らに術は無い。太陽は既に」

 

───俺達の手に沈んだ

 




即席漫画

罪深い鳥「君はここに来て日が浅いだろう。これは僕たちからのプレゼントだ。」

偽バー「何これ」

罪深い鳥「ここ千年分の古いダーテンから最近のものまで取り揃えて皆んなで纏めてみたんだ。良かったら読んでくれ」

偽バー「いらな「遠慮しなくていい」

偽バー「必要な「見てくれこの本の373ページなんて僕の力作なんだ。あ、これは最近のダーテンは省略してわかりやすく簡潔にしているのに対してこの五百年代物のダーテンはまるで小説を読んでいるかのように思えてくる。一言で済むものの名前を言わずにいかに言葉で伝えられるか、そんな気迫を感じだよ。例えばこの三ページごとに陛下の素晴らしさを歌にした賛歌僕はこの作者のような讃歌をカイザーゲザンツとは別の国歌のように陛下の前で自分の気持ちをありありと語った歌を披露することを提案したんだが審査が通る前にランスロットが見つけてそのまま選考通知すらなく計画書も消えてしまってね。酷いだろう?僕はただアルファ・メンシェのリーダーとして(以下略」


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何故お前はいつも…23

次話もし書けたら斬月と現地バーの会話書きたいけど何も思いつかない…


 

 

「ん、あ、…」

一護が目をパチパチとさせながら先程の戦闘の熱のせいか何かの音に敏感に反応してしまいパッと目を覚ます。しかしそこは自分の部屋ではない。

見知った空間。どこか悲しげにビルが立ち並んでいる無機質な世界。そこはあれから何度も一護が眠りに着く時になればこうして夢の狭間である少女と会話をしていた場所。しかし今回は少々勝手が違う。一護は今瀕死の重傷を負っている上でこの場所に来ている。死ぬ様なことはないだろうが一体何故此方に呼ばれたのか。目をパチパチとさせながら上を見る。そこに居たのはやはり見知った白い髪の少女。

心配そうに一護の顔を見て頬を撫でた。

 

「あら、起こしちゃいましたか?」

 

一瞬。此方に向いた目が何かを懐かしむような目をしていてそれがいつもの彼女と少し掛け離れているように思えて疑問が顔に出たのだろう。彼女は何故か顔をとても悲しそうにしていた。

 

「…まだそこで寝ていて大丈夫ですよ、あっこら!起き上がらない!」

「俺どうなって、いッ」

 

一護は静止を聞かず手をビルの床に着きそのまま起きあがろうとするが身体中のなんとも言えない痛みで足をつく。慌てた様子で彼女はゆっくりと先程と同じ位置に一護を寝かせる。

「今表の貴方は重傷です。それは貴方の精神世界であるここでもその影響は少なからず反映されている。だからその、むやみに動いたりは…」

 

「あ、そうか…、」

 

そう言って一護は自分の手を見つめる。頭を掴まれて

 

「ルキアが助けてくれたのに、俺」

 

 

「腕に刃が刺さっていたのです。例え反応が遅れてもそこまでのラグは仕方ないでしょう」

 

 

「でも、さ、でもさ平子がいなかったら、また護れない所だったんだ。護る護るって言って言いながら結局さ、何も出来てないんだよ」

 

「一護、」

 

「貴方は今まで友達の為に、皆んなの為に…精一杯頑張っていた。そこになんの嘘偽りもない」

 

 

 

「それに今の貴方の発言は自分を痛めつけているだけです。言ったはずですよ。この世界は貴方を許容すると」

 

「…一護、今の貴方のそれはただの自虐です。

この世界に雨を降らす者は誰であっても…例え貴方であっても許されることではない」

 

「貴方は順調に正しい道を進んでいる。私が保証します」

 

 

 

「…あぁ」

 

 

「わかればいいんです!」

 

「つうか、俺今…うぉぉおッ?!!!何やってんだよ!!」

 

「え、あわ、嘘…私の膝枕がお気に召さなかったのですか?!!そ、そんな…お、お兄ちゃ…兄さんだって絶賛した私の膝枕を?!!」

 

「しらねぇよ!!後付き合ってもない男に簡単に膝枕なんてすんじゃねぇ!!」

 

「この間は頭撫でて抱きしめても何も言わなかったじゃないですかぁ!!」

 

「そ、それはそれだろ!!」

 

「あぅ…そんな…兄さんは嬉しそうにしてたのに……あ、」

 

そうこうしていると表で一護の傷が回復した感覚を感じる。ウィザードを名乗る者達の話から察するに一護に対してこれ以上の治療は行えなかった筈だ。

気配は感じなかった。

殺意が無く斬月達が特に警戒をしない回復系の能力者といえば自ずと答えは出てくる。 

──恐らく井上織姫だろう。

何故姿を取らえられないのかは分からないがこれでまた黒崎一護は舞台に上がれる。

 

「もうお時間みたいですね、少々名残惜しいですが…」

 

一護との会話に気取られて気が使ったが恐らく随分前に既に治療を終えた様だった。

一護の体内時計に合わせて段々と光が差し込み顔を照らしていく。

 

 

「もう、朝になるのか?」

 

「えぇ、それに…もう時期破面の霊圧を完全に彼が吸収している頃でしょうし、

貴方が表で負傷した傷は〝彼女〟が癒してくれた様なので」

 

「井上が…」

 

虚化の修行時に一度此方に来てくれたことを思い出した。

あれ以降は会っていなかったが元気にしていた様で表情を和らげる。

 

「次に彼女に会った時はきちんとお礼を言いましょうね」

 

一護は緩めた顔を引き締めながら顔を上げる。

 

 

「…あぁ、そうするよ」

 

 

「まぁ此方の方達は途中で私に終わったかどうかを事後報告もせずに雑談してた様なのでどうやら少し行き違いがあった様ですが」

 

大方少しでも長く一護を留めておきたかったなどと言う事だろう。

彼ら口には出さないが一護に対して大分過保護すぎる。

度を越せば流石に苦言を呈すが彼等は別に一護を駄目にしようとしているわけではない。

ただ死神や戦いから遠ざけさせ、普通の一般的な幸せを掴んで欲しいだけなのだ。

ならば何故斬月達が一護に対して力を全面的に貸しているかと云えば自分たちが協力を拒んでも一護は弱いままでその他大勢のために前線へ赴くからである。

そもそも彼の気質からして戦いに向かないから行かせたくない、というのもあるだろうが。

 

「お、おいなんか怒ってねぇか」

 

勿論一護の意思を尊重しているから、という理由もあるが要は根本的に斬月達はこの子供に甘いのだ。

 

「…失礼なんでもありません」

 

しかしそれでは私が困る。一護にはより強くなって貰わなければ。

 

「さぁもうすぐ朝の帷が上がる頃です、もう〝今日の所は〟私から貴方に何かを言う事はありません」

「お、おぅ」

 

その含みのある言い方に少し違和感を覚えたが一護は返事を返し、お礼を言った。

 

 

「色々ありがとな、助かったよ」

 

「え?あ、で、でも私今回何もしてないと言うか、いやむしろ今回も何もしてないというか…」

 

「…正直今回の事で思う所が無かったかと言われたら嘘になる、俺はまだ弱い」

 

「一護…」

 

 

「それに今回アンタのお陰で気持ちが楽になったのは本当だ、だから俺はもっと…」

 

 

「貴方の気持ちはよく分かりました…一護、それが貴方の、貴方自身が選んだ選択であるのならば私からはもう何かを言う事はありません…なーんて、まぁ厳しい事を言っちゃいましたがここにはもう来るな、とは言ってませんので!」

 

「次は是非…白い方の貴方と、斬月様にもお会いになってくださいね?お二人共とても喜ぶと思います!」

 

虚の自分、自分の中に存在する闘争本能らしい白い自分はあの屈服させて以降からは会っていなかったが、一応自分を主人と認めたと言ってはいたので特に自分から何をするでも無かった。

しかしなにぶん気まずいと言うか、そもそも彼奴が俺と会って喜ぶのか…これはもしや純粋すぎて少々天然な井上織姫に通じるものがあるのだろう。

 

 

「その時は…アンタも一緒なんだよな?」

 

すると少女は驚いた様な、困った様な顔をしながら自分の子供を相手にする様に優しく微笑む。

どこか懐かしい自分を見つめる優しい目。

 

「、えぇ、勿論です。今まで出番が無かった分ここぞとばかりにばんばん出張っちゃいますから!覚悟しておいてください!」

 

 

 

「…貴方が大きくなって、もっと、もっと誰よりも強くなるまでは、きっと貴方の傍に居ますから……だから」

 

 

途中掠れて聞こえなかった声を聞き取ろうとしたがその頃には一護は現実世界に意識が浮上していた。

 

 

「ぐぅ…〜ッ?!!!、は、」

 

 

 

「夢…じゃないよな、」

 

 

 

 

 

「───黒崎一護、緊急招集だ」

 

 




現地バー「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん)

偽バー「こわ…近寄らんどこ…」

霊王様「貴様も大概あんな感じだぞ」


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