もしも五十嵐栗夢がガチの『マリーシア』使いだったら (MAX)
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もしも五十嵐栗夢がガチの『マリーシア』使いだったら

イガグリの憧れの選手はグリーズマンなんだ〜初めて知ったわ。
一発ネタ!


『マリーシア』

それは、ポルトガル語で「ずる賢さ」を意味するブラジル発祥の言葉。

サッカーにおけるマリーシアは、機転が気く、知性という意味があって「駆け引きを行い、試合を優位に運ぶ」行為を指して言葉だ(wikiより引用)

 

相手の心理状態を考察して、奇襲を仕掛けたり、油断や混乱に乗じて、予想外のプレーをしたり。

 

俺の憧れのあの人、ブラジル代表の10番 ロイマールJr

 

きっと今、世界で一番『マリーシア』が上手いプロサッカー選手だと思う。

 

 

そして、俺、五十嵐栗夢も『マリーシア』を使った駆け引きで、相手を出し抜いく瞬間が好きだ。もちろん、ロイマールの影響だぜ。

 

具体的にどんな 『マリーシア』をしていたかといえば、例えば、そう。俺は、小学生の頃、大きなモーションのキックフェイントがお気に入りだった。

 

何故かって? 一対一の場面で、やれば、相手がびびって目をつぶったり、身を守ろうと背中を向けるのが滑稽で、楽しくて仕方なかったのさ。

 

なんなら一対二の場面でもやってた。相手2人がぴくっとなって、目をつぶったり、背を向けたりすんのはマジで面白いぜ。

 

相手がビビってる姿ってなんでこうも、そそるんだろうな。

 

そうして、相手が怯んだ一瞬で相手を抜き去ったり、味方にパスだしたり、シュートを撃ったりする。

 

そうして、相手のほおけた顔を拝んで、お前は俺に出し抜かれたんだぞ? と、内心愉悦に浸る。

 

……まぁ、学年が上がれば上がるほどボールにビビる選手は少なくなるし、相手が強くなるほど、ボールに慣れているから大きなキックフェイントは通用しくなって、あんまり活躍できなかったんだけどな。

 

 

中学の頃は、審判を利用することにハマってたな。

 

審判にボールを当てて、ボールの軌道を変えて、相手の予測できないパスを出したり*1

……審判は石と同じ扱いとするルールが変わって、やる意味ほぼないけど。

 

ドリブルしている時、相手のディフェンスを交わすため、審判の身体を壁代わりに利用して、ディフェンスの進行を妨げたりとか。

これもルール変わってから、やるメリットなくなったけどな。

 

 

そして、高校に入ってからは、ピッチ上の役者と言われるロイマールみたいな圧巻の転び方(マリーシア)を極め、相手からファールを量産することに熱意を燃やしていた。

もちろん『ズル賢さ』だけじゃなくて『意外性』も極めまいと研究した。

ロイマールの真骨頂は『意外性』(こっち)の方だと俺は思ってる。

 

相手が予想もしない華麗なプレーや遊び心のあるプレーで0から1のチャンスを【創造】する。

 

左サイドのゴールラインギリギリ近くで、ヒールリフトして、相手ディフェンスの背中をボールに追い越させて、抜き去ってからの、ニアの上隅にシュートぶち込んでゴールとか意味わかんねぇ。

どんな脳みそしてれば、あんな発想ができるんだ? ロイマールやべぇって! カッコよすぎんだろ!

 

最初は、実践でなんて到底真似できる気がしなかった。けど、幸い、俺が通う高校は弱小で部員もあんまりいなかったから、1年から俺でも沢山試合に出ることができた。

 

そして、ある日。

 

試合中、ガチりと歯車が噛み合うようなあの感覚(・・・・)がやってきた。

 

小学校高学年の時、試合中、自分の身体のフィーリング合った瞬間があった。それ以降、自分でも驚くほど、早く、風を切るように『走れるよう』になったのを覚えている。その時のアレだ。

 

中学の中盤でも経験した。ルックアップが苦手だった俺は毎日ルックアップしながらのドリブルを練習していたんだが、噛み合ったあの感覚が来ると、それ以降、俺は周りがよく『見える』ようになった。

 

そして、高校2年秋 全国高校サッカー選手権 地区予選 優勝候補相手に10ー0で負けている後半40分のロスタイム僅かのこの状況で、奇跡的に味方が相手から奪ったボールをCF(センターフォーアード)の俺にパスして、そのボールが足元に収め、前を向いた。

 

今俺がたっているのは、ハーフラインに近い自陣。

 

残っていた相手3CBのうち、俺のマークについていた中央の1枚がゆっくり寄せてくる。

 

左のCBもこっちへと押し寄せてくる。

 

相手キーパーも高い位置をとっていた。現代サッカーはキーパーがスイーパーの役割も果たす。

 

背後から、味方と相手が来る気配。

 

──瞬間、それが来たのだ。

 

『閃き』と『直感』こうすれば、出し抜けて得点(ゴール)が生まれる。

 

俺の脳みそが生み出した自分でも理解できねぇような最高の【創造】!

 

相手キーパーを入れいれば4対1のこの数的不利を、ぶち壊す【創造】それは──!

 

右足をコンパクトに振り上げる。シュートモーション。

 

「っ!!」

 

相手はシュートを撃つとしても、撃たないとしても、前に出でるしかない。

 

まったく億さず、怯んでいない。当たり前だ高校生にもなってボールにビビってるやつが、強豪のチームにいるはずがない。

 

けどその『前』への一歩が、俺の狙いだった。

 

相手の前足が上がったと同時。

 

俺は、コンパクトながら力強いモーションとは裏腹に、ボールを柔らかく蹴り出す。

 

ボールは相手の地にある後ろ足にあたり、軌道をかえる。

 

そう、まるで、ワンツーのお手本のような、ディフェンス背後のスペースにボールは転がっていく。

 

俺は蹴り出した足で、そのまま、地面を蹴り、前へと走った。

 

ボールを軸足に当てられ、体制を崩したディフェンスを抜き去る。

 

地面を転がっていたボールは、再び俺の足元にある。

 

相手DFを利用した一人ワンツー。実践で、思い描いて通りに、完璧にできた!

 

「──ナイスパス!」

 

一瞬の首振りで、他2枚のCBが慌てて、こっちに走ってくる来ているのが見える。

 

当たり前だ。この一瞬で、今は俺がキーパーと一対一になるチャンスが【創造】されたのだから。

 

そして、相手キーパーが下がる判断をした。が、

 

「──遅い!」

 

同時、俺は、高い弾道のシュートを放っていた。

 

右上から巻いてゆっくりと落ちていく、やや横に傾いた縦回転のミドルシュート。

 

その落ちながら曲がるミドルは、ゴールに戻ろうとするキーパーの頭を超え、ワンバンドで、まるで生き物のように跳ね、ゴールネットを下から、突き上げた。

 

──出し抜いた! CBもGK俺の前にいたヤツ全員! くうー! やっぱりサッカーで相手を出し抜いた瞬間が一番楽しいぜ!

 

ゴールの笛が鳴る。俺は叫んだ!

 

「おっしゃああああああ! 俺は南無三学園高校サッカー部2年! 五十嵐栗夢! プロサッカーチームのスカウトの方! このゴールを生み出したこの俺に可能性を感じたならぜひ、スカウトを!」

 

対戦チームの強豪校のチェックをしているスカウトの人はいるはずだ!多分!

1点! たった1点だったが、また、俺の中の何かが変わった!

だから、サッカーの神様がいるなら俺をプロに呼べえええ! 世代別の日本代表でもいい呼べやこらああああ!

じゃなきゃ、俺、親父に寺を継がされるんだ! 嫌だああああ!

 

結局うちのチームは、 10対1でこの試合で負けた。

 

だがそれから約3ヶ月半。

 

俺の元にフットボール連合から強化合宿選手の通知が届いた。

おいおい、まじかよ。ついに俺の時代来ちゃった感じ?

こりゃ行くっきゃねぇだろうが!

 

 

そして、俺は青い監獄《ブルーロック》なんてイカれたプロジェクトと、数多の才能あるフォアードたちと出会う。

 

W杯で日本代表を優勝に導く最高のフォーアードを一人生み出すってコンセプト!

 

いいぜ。俺は、寺をつぐなんてごめんだ。

 

俺が! 史上最強の日本代表のエースストライカー(エゴイスト)になるんだ! そのためならなんだってやる!

 

俺の武器 諦めない心と進化した『マリーシア』を見せてやらああああ!

 

To be continued.

*1
もちろん俺はちゃんと味方にパスが通るように計算してたぜ



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五十嵐栗夢が帝襟アンリに公開告白した結果wwwww

日本サッカーがW杯で優勝するために世界一のストライカーを誕生させる。

 

それが 青い監獄計画(ブルーロックプロジェクト)

 

寮に向かう。ということだけを伝えられ、バスに乗せられて、山を超えた先に青い監獄(それ)があった。

 

やべぇ、まだ何もやってないのに心臓がバクバクいってやがる!

 

俺、今、すげぇワクワクしてるんだ!

 

だって、そうだろ。自分の人生を文字通り変えられる ところなんだぜ?

 

それで高ぶらないほうが無理ってもんだぜ!

 

 

バスから降りると、スマホや財布を全部没収された。

 

まじかよ。財布はともかくスマホないのキツイって!

 

こちとら色々お盛んな年頃の男子だぞ! 色々発散しないと、爆発すんだろ!なにがとはいえないけどさあ!

 

一人ずつ、一人の女性職員からボディスーツが配られた。

 

「次、五十嵐栗夢くん」

「はーい!」

 

ボディスーツの右肩近くには番号とアルファベットが書かれていた。

 

【300 Z】

 

……番号はきっと識別番号的なあれだろ? けど、アルファベットはなんだろ。チーム分けとか?

 

いや、それより今重要なことが一つある!

 

ボディスーツを手渡してくれた目の前の女性職員めっちゃ美人じゃん!

 

俺の好きな女優、本間翼*1にだって負けてねぇぞ! つーかめっちゃ好みなんですけど!

だって、この女の人、胸でけぇ!!

あまたのムフフな動画で鍛えられた俺のスカウターによればF以上は確実にあんだろ!

 

目が吸い寄せられる! まさかこれが万有引力の法則ってやつのか!

 

俺の視線が女性職員の万有引力に引きずり込まれていると

 

「……? どうしたの?」

 

女性職員から注意を受けてしまった。

せめて名前だけでも聞き出したいところだ!

 

「あの! 俺! 五十嵐栗夢といいます!」

「は、はぁ? 名前は知ってるけど」

「で、ですよねぇ。ところで、あの、あなたのお名前を教えてくれませんでしょうか!?」

 

ざわざわとまだこの場に居る高校生男子たちがざわついた。

 

「おいおいマジかよ」

「ナンパか?」

「さっきの今で、やるか普通?」

「まぁ、でも確かに美人だし」

「気にはなるよな。うん」

 

じーと高校生男子たちの視線が女性職員に集まる。

ここで名乗らないという選択はできない空気ができあがっていた。

ナイスだ! 俺の競争相手(踏み台)たち!

 

女性職員ははぁとため息をつくと名前を教えてくれた。

 

「……フットボール連合の職員、帝襟アンリです。……これでいい? 」

「は、はい!」

「……早くあっちの列に並んでくれる?」

 

帝襟アンリ。アンリちゃんか〜。

 

若干ウザったそうにしていると見えるのは多分気の所為じゃないだろう。

 

ホントはもっと話したかったけどしゃーなし。名前も知れたし、先に進むか。

 

一歩、足を踏み出したところで思いとどまった。

 

……いや、待てよ。本当に名前を聞くだけで満足していいのか?

……ダメだろ(・・・・)! 俺は人生を変えにここに来たんだ! なら妥協はするな!

 

「あの! アンリちゃん!」

「……はぁ。ねぇ、キミ、いい加減に──!」

「──好きです!!!」

「……は?」

「一目惚っす!」

 

ざわざわ。

 

「俺が、この青い監獄(ブルーロック)を最後まで生き残って、世界一のストライカーになったら!結婚を前提にお付き合いしてくださーーーい!」

 

俺は自分の想いを天に吠えた。

……言った。言ってやったぞ! 人生初公開告白!

俺は今、自分の殻を破ったんだ!

これが青い監獄で自分を変えるための最初の1歩だああああ!*2

 

さ〜て、アンリちゃんの反応は……。

 

──ゴミを見る眼をしていた。

 

「……えっと、アンリ、ちゃん……?」

「……こっちが穏便な対応をしているのをいい事に、調子乗ってんじゃねぇぞこのハゲが」

「……ハゲっ!?」

「こっちは、本気(マジ)でW杯でてっぺん取るためにこの計画(プロジェクト)に人生全部賭けててんだぞ! 青い監獄《ブルーロック》を最後まで生き残ったら? はっ、笑わせんな色欲猿! 自分の人生全てを賭けてサッカーに真剣に向き合わず、色恋にうつつを抜かすカスみたいなお前にここを生き残れるわけがねぇだろうが! 学生の遊び場じゃねぇんだぞここは! サッカーに本気になれねぇなら今すぐここから失せやがれ! この脳みそ下半身坊主があああ!」

 

──この(ひと)怖ぇえええ。

 

そうこの場にいる高校生男子たちの心が一つになった瞬間であった。

 

おいおい、この女怖ぇって!

一見、温厚そうな美人だと思ったらとんだ苛烈な畜生女だった件!!

しかも、超ボロくそに言われたんだが? 鋼の精神の持ち主のオラでも流石に涙目になんぞ。

 

だが、俺は五十嵐栗夢! 諦めない心とマリーシアが武器な男!

諦めめの悪さと『駆け引き』このふたつは誰にも負けない!

「誰が失せるかああああ! つーか、よくも、俺がここで生き残れないとかいいやがってくれたな!」

「『事実』なので!」

「ははん。言ったな? そこまでいい切ったんだ。なら、俺が最後まで生き残って世界一のストライカーになった時は、アンリちゃんは絶対に俺と結婚前提に付き合えよ!!!」

「はー? なんで私が?」

「それもなにかな〜。まさか、あそこまで人にボロくそいっといて、アンリちゃん実の所は、色恋にうつつを抜かすカスな俺が世界一のストライカーになる可能性を危惧しちゃってるんですかねぇ? 計画(プロジェクト)に自分の人生全部賭けてるって言葉は嘘だったのかなぁ?」

 

自分の表情筋全てを活用し、ゲスな笑みを浮かべて、挑発する。

人間、自分が1度言った言葉はなかなか撤回しにくいものである。

特に『人生全部賭けてる』と銘打った言葉は尚更だろ?

 

「……この……!! ……いいでしょう。その挑発、買ったわ! 五十嵐栗夢。もしも、いや、絶対ありえないけど! もし、本当にあなたがこの青い監獄(ブルーロック)を最後まで生き残って、世界一のストライカーになった時は、結婚を前提に付き合ってあげようじゃない!」

 

「「「おー」」」とこの場の同年代の男子共の声が聞こえる。

 

「アンリちゃん。その言葉ゆめゆめ忘れるなよ! 約束だからな!」

 

そう言って、俺はやっとアンリちゃんから離れ、ボディスーツをもらった男子たちの列に歩いていった。

 

俺とアンリちゃんのやり取りを聞いていた男子たちがまたざわつきだす。

 

「あの坊主頭、見た目に似合わず勇者だ」

「あだ名は勇者で決まりだな」

「待て、勇者じゃあの坊主頭にはかっこよすぎる。そうだな。勇者改め、ブレイブマンはどうだ」

「「採用!」」

 

……こ、こいつら。ノリいいじゃんか!

 

「お前の正々堂々とした告白感動したぞブレイブマン。だが、俺もここに世界一のストライカーになりに来ている人間だ。正々堂々戦ってお前に勝つ!」

 

ボディスーツをもらった選手の列、俺の1個前のツンツン頭のガタイのいいやつに挨拶される。

 

「おたく、名前は?」

「國神だ。國神錬介。世界一のストライカーになって英雄(ヒーロー)になる男の名前だ。覚えとけ勇者(ブレイブマン)五十嵐栗夢」

 

 

そして、全員にボディスーツが支給された。

 

「それじゃあ、1人ずつ制服(ユニフォーム)のアルファベットの部屋に入り、着替えて待機してください」

 

アンリちゃんに言われた青い監獄《ブルーロック》の入口通り、迷路みたいなコンクリートの壁を進んだ。

因みに1番最後だった。

 

「300のZ……300のZ……あった。ここか」

 

ROOM Z と書かれた黒い自動扉。

 

ここから俺の青い監獄での生活が始まるんだ。

 

そして、ここで最後まで生き残ることができれば、アンリちゃんと、あのでっけぇ胸を、ムフフ、妄想がとまんねぇぜ!

 

「ムフフ! さーて、行きますかね!」

 

俺は意を決して、前に進んだ。

 

…。

……。

………。

 

【帝襟アンリ side】

 

最後の選手。五十嵐栗夢が青い監獄(ブルーロック)へ入ったのを確認し終え。

 

「行ったか。……はあ、疲れた〜 。……もうなんなのあの子!」

 

まさか絵心さんの演説を聞いて、青い監獄に来てまで、公開告白してくるような馬鹿が居るだなんて思ってもいなかった。

 

しかも、こっちの口撃をまんまと利用されてあんな『約束』を取り付けられてしまった。

 

「くっそー! まんまと乗せられた! ホント最悪!」

 

手玉に取られたことが悔しくて、地団駄を踏む。

 

五十嵐栗夢。彼が青い監獄で最後まで生き残って、世界一のストライカーになったら、結婚を前提にお付き合いすることに……。

 

「……大丈夫。あんな恋愛にうつつを抜かすようなハゲが青い監獄を最後まで生き残る絶対にありえない! 五十嵐栗夢の選手としての能力評価順位は最下位(300)。なんなら入寮試験で落ちる可能性大よ!」

 

でも、もし、万が一、彼が本当に世界一のストライカーになったら?

 

その時、私は彼のことを、どう思うのだろう?

 

かっこいと思うのだろうか?

 

想像して……

 

「……いや、ないわー。そもそもあのハゲは私の好みの顔じゃないし」

 

あのいやらしい目で見てくる顔つき、生理的嫌悪すら覚える。

 

「……まぁ、あのハゲが生き残る未来も想像できないし、悩むだけ時間の無駄か。仕事しよっと」

 

自分の中で、約束は実現しないから大丈夫と結論ずけて、絵心さんの居る監視室へと向かった。

*1
今話題若い売れっ子女優

*2
人生初告ってテンションがおかしくなってる




路線が決まったぜ!!!

アンリちゃんが下に見ていた全然好みじゃないむしろ嫌いなイガグリがどんどん勝ちまくって『約束』の実現が現実的になっていくにつれて、アンリちゃんが徐々に焦っていき、青い監獄11傑にイガグリが選ばれたところで発狂する!

そこで完結! これだ!


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鬼ごっこ×マリーシアの相性が良すぎる

タイトルクソ眠い深夜に適当につけたら明日以降変えるかも。(っ﹏-) .。


扉を抜けた先は、ロッカールームだった。

コンクリートの壁と地でできた直方体の空間。

正面には大きなモニターが上の方に設置されていた。

ちょっと分かりにくいが、天井のは1箇所、四角形の枠のようなものがある。天井点検口だろうか。

 

今、俺の居る方から見て、右の壁には、12人分のロッカーが設置されている。

12人か。サッカーのチームを組むと1人余るなあ。とか考える。

 

そして、当然というべきか、俺がこの部屋に来た最後の一人だ。

 

ロッカールームには、既に11人の高校生男子(競争相手)たちがボディスーツに着替えて、待機していた。

 

その中には、知った顔もあった。

 

「……五十嵐(ブレイブマン)? お前、同じグループだったのか」

「よ! 國神じゃん。さっきぶり」

 

俺は、右手を顔の横くらいの高さまであげ、声をかけてきたその人物、國神錬介に返事を返した。

 

つーか。こいつ。筋肉すげぇな。あと、タッパもあるし、190近くあるんじゃないか?

 

かー。175cmの俺に、10cmばかりでいいから、その身長を恵んでくれませんかねぇ。

 

 

「知ってるやつが居てよかったよ。で、ロッカーってどれを使えばいいんだ?」

「ボディスーツにアルファベットと数字が書かれてあるだろ?」

 

そう言って、自分のボディスーツの【Z291】を指さす國神。

 

「ロッカーの札にも同じのが書かれてあるから、自分と同じやつのところを使え」

「おう。教えてくれて、さんきゅー」

「あと、足元に気をつけろ」

「足元? あー。コイツね」

 

コンクリートの地面の上で、胎児のような格好で、指を加えて、仮眠をとっている髪先が黄色い少年。こいつの数字は【Z 292】か。

 

「……へい。ゼーコ*1パス……。ちゃんと出せ」

 

とか寝言を言っているが……ホントに眠ってんのかこいつ?

 

怪訝に思いながら、避けて通って、自分のロッカーを探しに行く。

 

國神が言っていたとおり、ロッカーの札にアルファベットと番号が書かれていた。

 

札に【Z 300】書かれたロッカーを使用して、ボディスーツに着替える。

 

 

着替えながら周囲を観察する。

この中で一番能力が高そうなのは……やっぱ──アイツか。

クリーム色の髪の自信に満ちているイケメンに目が行く。

 

吉良涼介。ボディスーツの数字は【Z 289】

 

メディアとかでも取り上げられている超有名人。

日本サッカーの宝と言われてるしな。

絵心甚八の意見に、真っ向から反発してたし、カリスマっていうの? そういうのがある気がする。

あと、間違いなく陽キャだ。しかも女子にモテてるタイプ。

まぁ、実力は確かだろうし、媚び売っとくか。

 

『駆け引き』ってやつは試合(ゲーム)をする前から始まっているんだ。

このメンバーでチームを組むのか、競うのは知らんが、強いやつに気に入られておいて損はないべ。

 

 

着替え終えて、すぐ、俺は参加者の一人*2と話している吉良の元に近づいていく。

 

「潔くん。お互いにベストをつくそう」

「うん!」

「あの〜」

「キミは、ブレイブマンくんじゃないか。僕になにか用かい? って、え……」

 

俺は、吉良の両手をがっしり掴んでいた。

 

「キミ吉良涼介だよね!? あの日本サッカーの宝の! すげぇー! 本物じゃん!」

 

テンション高めのオーバーリアクションで、両手をブンブン上下させる。

 

「あ……ありがとう」

 

ちょっと、戸惑ってる感じで言っているが、俺の『目』は誤魔化されないぜ。

満更でもないだろ! いや、喜んでいるよなあ?

 

「あーごめん。メディアに出ている人と会うのはじめてだったから、ついテンション上がっちゃってさあ……」

 

野郎の手なんてずっと握っているいられるか!

適当に取り繕った御託を述べて、手を離す。

 

「あはは。いいよ。普段からこういうことは結構あるし、慣れてるからね」

「俺、五十嵐栗夢といいます。潔って子も友達? よろしくね」

「あ……どうも……」

 

ペコッと小さく頭を下げる少年、潔。数字は【Z 299】か。

さて、わざわざ目立つようなことをしたかいあって、今、ここに居る奴らの視線のほとんどが俺たちに集まっている。

 

(ここ)しかないな

 

発声と滑舌を意識して、全員に聞こえるようよく通る声で

 

「俺さ! 寺の息子なんだよね! 生まれた時から、将来は寺を継ぐ運命なんだけどそんな決められた人生が嫌でさ。プロサッカー選手になれたら継がなくていいって親父と約束したんだ。だからさっき、絵心の話を聴いて震えたね。人生変えるチャンスがキターーって感じ? それに俺には──アンリちゃんとの『約束』もある! 俺は必ず世界一のストライカーになってアンリちゃんと結婚前提にお付き合いするんだ! だから、ハングリーさだけは負けないぜ? さ、あくしゅ! あくしゅ!」

 

右手を潔に差し出す。

 

自己開示をすることで、相手に自分の事情を知らせることができる。そうすることで、相手への牽制にもなるって寸法よ!

 

事情を知ってるやつと、知らない奴なら、良心を持ってるやつなら前者に入れ込んでしまうものさ!

 

「ども……こちらこそ……」

 

潔が俺と握手を交わしてすぐ──それは突然、点灯した。

 

モニターに映し出されたのは、絵心甚八その人だ。手をわきわきさせている。

 

『着替えは終わりましたか才能の原石共よ』

『今、同じ部屋にいるメンバーはルームメイトであり高め合うライバルだ。お前らの能力は俺の独断と偏見で数値化されランキングされている。ユニフォームに示されている数字がそれだ。300人中何位かが人目でわかるようになっている』

 

オッフゥ……俺最下位じゃん。

 

周囲の俺のことを見る目が明らかに変わったな。

特に金髪の目つき鋭い、ギザ歯野郎。ありゃ明らかにこっちを見下す目をしてやがる。

まぁ、約一名『何の変化もない』やつもいるけど。

 

『そのランキングは日々変動し、トレーニングや試合の結果でアップダウンする。そして、ランキング上位5名は無条件で6ヶ月後に行われる大会──U20代表FW(フォアード)登録選手とする!』

「「「……!」」」

 

すげぇ、それがマジなら5位以内に入れれば、世代別とはいえ代表入りか。

うおおおお! 青い監獄(ブルーロック)すげぇぞ!

 

『ちなみに、青い監獄(ブルーロック)で敗れ帰るやつはこの先一生日本代表に入る権利を失う』

 

うまい話にはなんとやらってやつかい。

けど、それがどうした? こちとら本来、元々代表入りなんて縁がなかった雑草だ。

代表になれる参加券(チャンス)がある。それなら俺は自分の手で『世界一のFWの座』(アンリちゃん)を掴み取ってやる!

 

『ここで勝ち上がるために必要なのはエゴだ。『今』からその素質を測るためのテストを行う。──さぁ、鬼ごっこの時間だ』

 

ぼとり。と天井の四角い枠が割れ、ボールが落ちてきた。

 

寝ているやつを覗いて、全員の視線が一度ボールへと集まる。

 

鬼ごっこ。その単語を耳にして『閃いた』俺はすぐにボールをとれるポジションへと少しずつ、できるだけ気配を消しながら、ゆっくりと近づいていく 。

 

少しずつ、少しずつ。虎視眈々と獲物を狙う虎のように。

 

来るであろう『その瞬間』を逃さないために。

 

『制限時間は136秒。ボールに当たったやつがオニとなり、タイムアップの瞬間、オニだった1人が帰る野郎(ファック・オフ・やろう)です。あと、ハンド禁止ねー。ルールは以上』

 

鬼ごっこ。というからには『鬼役』の存在は必須だ。

ボールは一つ、だから鬼も一人。そこまでは鬼ごっこってサッカー関係ねぇじゃんとか思考停止させしていなければ、誰だってわかる。

じゃあ、12人の中の誰が鬼になるか? それは『今』はまだ誰もわからない。

きっと、このあとモニターに表示されるであろう『鬼』の姿を見るまでは、鬼自身すらも……。

 

俺が狙っていたのは、鬼の姿を確認するために、この場にいる全員の視線がボールから、モニターに行くまさにその『瞬間』だった。

 

『これは俺がストライカーの【本質】を見極めるために俺が用意した「エゴイズムテスト」。覚悟して戦え。これはただの鬼ごっこではない』

 

モニターが切り替わり鬼役が表示され【ゲーム開始】共にカウントが動きだしたのとほぼ同時。

 

──俺は全速力でボールに肉薄し、左足でボール横のコンクリートの地面を踏みこみ、全身のバネのパワーが乗った右足で、ボールを『ソイツ』のある部位を目掛けて、撃ち込んでいた。

 

鬼役が俺だったのはただの偶然(・・)だった。

 

俺は、誰が鬼であろうと、自分が一番最初にボールをその人物へ目掛けて撃ち抜くと開幕同時の不意打ち(コレ)を『閃いた』時点で決めていた。

 

 

バチンッ!!! とボールが狙い通り『ソイツ』のある部位に当たり、快音を鳴らす。

続いて、ぽんっ、ぽんっ、とボールが何度か跳ねたあと、コロコロとゆっくり地面を転がっていき、勢いが死んでいって、ついに、止まる。

 

ひと時の静寂が訪れる。

 

呆然としている競争相手たち。

きっと、今の光景を見ていたコイツらはこう思っているだろう。

は? こいつなのやってんだ。……と。

 

ここで負けた人間はこの先一生、日本代表になれないと聞いて、相手の人生を躊躇無く終わらせに行くか普通?……と。

 

特に、俺にボールを【右手】にブチ当てられた──

 

「……五十嵐くん。なに……やっての?」

 

吉良涼介は。

 

『ピーーーーーーーー!!!』

 

モニターから長い笛の音が鳴る。

 

モニター画面に吉良涼介デフォルトキャラがLossという表記と共に映し出される。

 

おれは右手を横にして上げ、決め台詞を放った。

 

南無三!!!

「は? は? まだ、時間は残ってただろ! なのに、なんで!!」

 

吉良の問いに呼応するように、モニターが切り替わり、絵心甚八の姿が映し出される。パチパチと乾いた拍手をする。

 

『おつかれ。才能の原石共よ。ここでは結果が全てだ。敗れたものは出ていけ! 吉良涼介失格!!!』

「……おかしいだろ。まだ時間は残っていただろ! 説明しろよ!!! おい!!!」

『ハンドは禁止。そう最初に説明した筈だが?』

「は?」

 

額に血管を浮き上がらせるほど、ブチギレながら、自分の晴れている右手を見る吉良。

 

「……ふざけんなよ。禁止言ってたけど、失格とはいってなかっただろ絵心(あんた)は! それにあんたは、タイムアップ(・・・・・)の時点で鬼だった一人が帰れっていったじゃないか! 時間はまだあったはずだろ!」

『試合ではルール上の禁止行為(ファール)をすればレッドで一発退場になる場合がある。なぜタイムアップまで退場はないと思っていたのか。そっちの方が理解できないが?』

「……なっ!そんなのは屁理屈だ!! そもそも! こんな、おにごっこになんの意味がある! こんなもんサッカーじゃない! サッカーと関係ないだろうが!」

『……青い監獄(ブルーロック)にサッカーと関係ないことなんて一つもねぇよ。周りをよく見ろエリート凡人』

「あ?」

『その部屋の広さは16.5×40.32m。P・A《ペナルティエリア》と同じサイズだ』

 

へぇ、そうだったのか〜。まったく気づかんかったわ〜。

 

『全てのゴールの約75%はこの中から生まれる。謂わば、ストライカーの仕事場だ。つまり、そこでの身体捌きがストライカーの価値を決める。そんなストライカーの戦場で、吉良涼介、お前は何をした?』

「っ!!!」

 

顔を歪める吉良。

 

『ハンドだ。敵陣地のP・Aでハンドをしてゴールの可能性を0にするなんて唾棄すべき行為だ。戦場で自チームの勝機(ゴール)を潰す無能(おまえ)には、ストライカーの才能どころか、そもそもストライカーを目指す資格すら無い』

「……で、でもあれは! あんな不意打ちシュート、どうしようもないだろ!」

『お前は試合でも同じことを言うのか?』

「は?」

『思い出せ。ゲームが始まった瞬間お前は何をしていた? 答えはなにもしなかった(・・・・・・・)。お前は鬼が最下位の五十嵐栗夢だと知った時、まさか開幕そうそう自分のところにボールが飛んでくるなんて思ってもいなかったんだろう?』

「……!」

『言わば、試合終了間際のワンプレー。ひしめき合うP・A内で、普段シュートなんて撃たない味方が放ったシュートの射線上に、お前の『手が』あった。だが、お前はまさかその味方が撃つなんてまったく考えていなくて、ボールの行方もおわず、アホみたいに棒立ちしてハンドをしてゴールの可能性を0にした。もしお前が、状況の把握を怠っていなければ、そのシュートに、手以外で触れてさえいれば、勝利(ゴール)を掴めていたかもしれないのにだ』

 

吉良は反論できないようで、悔しそうに唇を噛むだけだった。

 

『ストライカーとは、その責任を全て背負い、最後の瞬間まで戦う人間のことですよ? 戦うことすらしなかった人間にストライカーたる資格は無い』

「……俺は日本サッカーの宝だぞ! 俺より、ブレイブマンとか潔くんの方が才能あるって言うのかよ!!!! あんなの俺以外でも避けられないだろ! おかしいだろ! こんなの間違ってるだろ!」

『五十嵐栗夢は、俺が、鬼ごっこというワードを口にした時からスグに動き出していた。潔 世一、いや、お前以外の他10人はゲームが始まった時点で、鬼とボールのどちらかを補足していた。お前だけだ吉良涼介。お前だけが五十嵐栗夢の動作(不意打ち)に【気づくこと】すらできていなかった』

 

吉良だけが俺が最下位だとわかっても態度を変えなかった。なぜならやつには絶対の自信(慢心)があったからだ。

分かりやすく見下してくるあの金髪ギザ歯よりも、そもそも敵とすら思ってないお前への方が不意打ちの成功は高いと思っていた。

 

「絵心の言うとおりだぜ吉良。お前だけが俺の不意打ちに気づいていなかった【自分はこの場にいる誰よりも優れている】その驕りこそがお前の敗因だ! お前は、下に見ていた相手にまんまと出し抜かれた(・・・・・・)んだよ!」

 

日本の至宝を破って、敗因を指摘する俺かっこよくね?

アンリちゃん。これがキミとの結婚前提にしたお付き合いへの道の一歩!*3

日本サッカー界の宝を出し抜いた! これは実質もう俺が日本サッカー界の宝でいいよな!*4

アンリちゃんにふさわしい男へと一気に近づいた気がするぜ!*5

 

「……」

 

意気消沈となる吉良。そこに絵心がトドメを刺しに行く。

 

『お前の負けだ。吉良涼介。帰れ(ファック・オフ)

「だって、あいつが、ブレイブマンが……いきなり……QBK(急にボールが来た)から!」

「……吉良くん」

 

潔が何かを言うおうと声をかけたがやめたみたいだ。

懸命な判断だべ。なにを言っても、勝者からの哀れみの言葉にしかならないしな。

あ、吉良めっちゃ歯ぎしりしてこっち睨んできてるやん。やだ、怖ーいぃ。いちおう釘刺しとくか。

 

「吉良、憎しみからはなにも生まれないぜ」

「……僕は普段、人に対して、怒りを覚えることはめったにないんだが……。五十嵐栗夢! お前だけは、絶対に許さない!」

 

吉良が拳を振り上げ、凄まじいスピードで肉薄して来る。

 

は、ちょ、まっ。

 

顔面に凄まじい衝撃。

 

バキッ!

 

あ、これやばいやつ。鼻折れたかも。

 

意識が遠のいていく。

 

意識を失う寸前、なぜだか女神(アンリちゃん)が「あなたは最初から顔面に一発食らう運命だったのよ」そう言ってる気がした。

*1
元ブラジル代表10番の選手。大人の事情で実名回避

*2
潔 世一

*3
キモイ

*4
そうはならんだろ

*5
誰かこの男の暴走を止めて!




天狗になってるやつの鼻はへし折らなければ(物理で)!


絵心なら吉良くんを無能扱いはしないかな? ……実名選手のことはカス扱いしてたけど……んーどうなんだろ。
ちょっと、今回吉良くんというキャラへのリスペクトが足りてない気もしてて、後ろめたかったりもするんですよね。結構、迷ってます。
ソレガシは、原作の吉良くんの秀才感すごく気に入っているので……。
みなさんはどう思います?
やっぱり今回の無能扱いはやりすぎでしょうか?
それとも、絵心ならそれくらい言うやろ!でいいんでしょうか?

次回 アンリちゃん視点のZチーム鬼ごっこ


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帝襟アンリの五十嵐栗夢への反応が酷すぎるwwwww

I˙꒳˙)おっひさーです。


【帝襟アンリside】

 

『ピーーーーーーーー!!!』

 

ゲーム終了を告げる(ホイッスル)が鳴った。

 

「……ウソ……」

 

青い監獄(ブルーロック)モニタールーム。

 

チームZの入寮テストは、ゲーム開始直後、禁止行為(ハンド)で終了するという予想外の結末を迎えた。

 

誰がこんな結末になると予想できただろう。

 

意図してハンドを誘発させ、このゲームを最速で終わらせたのは、青い監獄、評価ランキング最下(300)位の選手、五十嵐栗夢。

 

そして、青い監獄(ブルーロック)から敗れ帰る人物の名は──

 

モニター前に座っていた、絵心さんがマイクのスイッチを入れた。

 

「おつかれ。才能の原石共よ。ここでは結果が全てだ。敗れた者は出ていけ! 吉良涼介失格!!」

 

日本の宝と将来を有望視されてた吉良涼介、その人だった。

 

 

チームZのゲーム終了後、吉良涼介くんに殴られて意識を飛ばした五十嵐栗夢くんが担架で医務室へと運ばれていく様子がモニターで流れている。

 

五十嵐栗夢くんが顔面を思いっきり殴られたのを見た時は、申し訳ないけど、胸がすく思いだった。……なんか、ごめんね?

 

 

「……まさか、Zチームで一番順位の高い吉良涼介くんが入寮テストで脱落するなんて……」

 

しかもそれをやったのが寄りにもよってあの煩悩の塊みたいな色欲坊主(五十嵐栗夢)

 

「アンリちゃん、この結果がそんなに意外か?」

 

くるりとオフィスチェアを半回転させて、半身で此方を向いた絵心さんが私に問う。

 

「そりゃあ、まぁ、はい。……そうですね。だって、こんな結果、普通、予想できませんって」

「そうか? オレには、なにも驚く所など無いと思うが? この展開も想定し得る結果の一つだったはずだ」

 

モニターを見たままの絵心さんが全然驚いていないトーンで言う。

 

「たしかに全く有り得ない展開とは言いきれないですけど……」

「けど、なに? 青い監獄(ここ)では結果が全てですよ?」

「それはわかってます! でも、不可解じゃないですか? ゲーム開始と同時にハンド狙いでボールを蹴るなんて……」

 

自分が鬼になるとわかっていたとかなら、まだ納得はできる。けど、あの場に居た選手たちが鬼役が誰なのか知るためには、モニターに表示される鬼役の名前まで見るまでは知りえないはず……。

 

絵心さんは「ああ、アレね……」と頭の裏側をポリポリ掻きながら、五十嵐くんの行動を解説してくれた。

 

「五十嵐栗夢の奇襲成功のカラクリは至ってシンプルだ。五十嵐栗夢は、最初の鬼が誰になろうと、吉良涼介の手にボールを蹴りこむと決めていたんだよ。あの場に居た人間の中で、もっとも驕り、もっとも油断していたのが吉良涼介だと見抜いた上でな」

 

誰が鬼になろうと関係なく?

 

……なんなのあの子、頭おかしいんじゃないの。

 

「……絵心さん。彼は……五十嵐栗夢くんはいったい何者なんですか? どうしてあの場にいた全員を出し抜けるような、あんなイカれた人材が最下位なんです?」

 

私がそう訊ねると、絵心さんは、実態を伴ったホログラムのキーボードを数度、叩いた。すると、虚空に|五十嵐栗夢のデータが表示させれる。

 

絵心さんの独断と偏見で査定された五十嵐栗夢の能力値(ステータス)は──

 

スピードD+

スタミナC

テクニックD+

フィジカルD

シュートD+

サッカーIQC+

空間認識能力C

 

「……! これは!! ……いたって平均的な能力。というか、平凡? ゲームキャラで例えるなら、そう! タダのモブ!!」

「……アンリちゃん五十嵐栗夢(コイツ)になんか恨みでもあんの?」

「あはは。なんのことでしょう」

 

あります。超あります!

 

「……まーいいか。アンリちゃんの言う通り五十嵐栗夢は|能力値だけを見るなら至って平凡なFWだ」

「ですよね。見た感じ、突出している部分も無いですし」

「ああ、その通りだ。ただしそれは、能力値(・・・)だけを見れば、の話だ」

「え?」

 

絵心さんはまたホログラムのキーボードを数度叩く。

すると、虚空に新たなホログラムのウィンドが表示された。

 

「──このデータは五十嵐栗夢が高校に入ってからの全試合成績と総合スタッツだ。これを見て、気づくことはないか?」

「……っ! 試合数はたったの16なのに、被ファール数48ぃぃぃいいい!? これ、1試合で平均3回以上、相手からファールを獲得してるってことですよね?」

 

平均被ファール数が3回以上、数値だけみれば、世界屈指のドリブラーたちにも引けを取らない被ファール率だ。

 

「五十嵐くんは、ファールしなくては止められないようなドリブラーなんですか? 尚更、最下位なのが理解できなくなったんですけど……」

「注視すべき点は、そこじゃない。それに、奴のが獲得したファールのほとんどは、チャンスに直結しないカスファールだ。あとコイツは別にドリブラーでもねぇし」

 

え、ドリブラーじゃないのに、この被ファールって、やっぱりあの子変態?

 

「んー。けど、他にスタッツで突出したところなんて無いですよ?」

「五十嵐栗夢が出場した各試合のゴール成績を見てみろ」

 

絵心さんに言われた通り五十嵐栗夢くんの各試合での成績を確認する。

 

「毎試合一得点以上はあげてますね。合計22得点。平均は約1.2得点。……でも、これってぶっちゃけ高校サッカー界じゃ、普通じゃないですか?強豪や、名門と言われる高校で活躍しているエースストライカーたちはもっと高い数字残してますよ」

 

それは五十嵐栗夢くんが出場した試合のデータにも出ている。

 

「実際、この試合データでも、五十嵐栗夢くんの居た南無三学園高校は強豪校以上が対戦相手の時、全試合で大差をつけられて負けてますし……」

「そうだな。全て負けている。そして、その全ての試合で(・・・・・・・)、五十嵐栗夢は一点以上の得点をあげている」

「……え? あ!? 言われてみれば、確かに、そうですね!」

 

軽い衝撃を覚える程の事実。

弱小校が強豪相手に得点するというのは、稀だがありえない無い事じゃない。

けど、どんな強豪校相手でも全ての試合で得点してみせる弱小校のFW選手というのは稀、いや、異質なんじゃ……。

 

絵心さんは五十嵐栗夢くんの試合成績が記されているホログラムを見上げ、ニヤリと嗤う。

 

「五十嵐栗夢は、能力値だけを見れば平凡なFW(フォアード)だ。だが、(やつ)のゴールへの貪欲なまでの執着心、エゴは、現在、青い監獄(ブルーロック)の中でもトップクラスと言えるだろう。入寮テストで奴と同じ事をできる人間はそうはいまいよ」

 

絵心さんが一人の選手の事をここまで言うなんて……。

 

五十嵐栗夢くんとの例の約束が頭を過ぎり、不安が押し押せてくる。

 

「……あの〜、絵心さん……もしかして、五十嵐栗夢くんが世界一のFWになる可能性ってあったりしちゃいます?」

「愚問だなアンリちゃん」

「そうですよねー。聞くまでも無く、なれるわけないですよね!」

 

私が食い気味にそういうと、絵心さんは顔を顰め

 

「はぁ? 僅かであろうと可能性があると俺が判断したから青い監獄(ブルーロック)に呼んだんだぞ? そんなのあるに決まってるだろ」

 

そう現実を突きつけてきた。

 

いやあああああああアアッ!*1

*1
女子が生理的嫌悪感から絶叫するやつ








ブルーロックに詳しい方々に質問なんですが、五十嵐栗夢もアンリちゃんが発掘して来たんですかね?
凪とかはアンリちゃんが見つけたような描写が原作のアフターストーリー的なものにあったじゃないですか?
そこのところ、どうなんかなーと……。知ってる方がいらしたら是非、感想に添える感じで教えて頂けると幸いですm(*_ _)m


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蜂楽 廻とかいう変人と夜の一対一したら寝れなくなったんだが?

意識が醒めて最初に目にしたのは無機質なコンクリートの天井。

シーツの手触りと、背中越しに感じるマットレスの感触で自分が何処のベットの上で寝かされていた事を把握する。

あーそっか俺、吉良に殴られて意識を飛ばしたんだった。流石に実力行使に出てくるのが予想外だったぜ……。

とりあえず、こういう時のお約束をやっておくとしますかねぇ。

 

「知らない天井だ……」

「あ、起きた」

「んあ?」

 

すぐ横で声がした。

声の方へと顔を向ければ、そこには丸椅子の上で胡座をかいて、何故かボールを抱えている黒髪お河童金メッシュの少年とバッチリ目が合った。

見覚えがあるな。

ああコイツ、入寮テストの時に床に寝転がってた奴だ。

 

「おはようブレイブマンっ♪」

「おう、おはよう」

 

俺は起き上がり、ベットの上で胡座をかく。

 

「えっと……」

蜂楽 廻(ばちら めぐる)ね」

 

自身を指差しながら名乗る、蜂楽。

 

「蜂楽ね、俺は──」

「──知ってるよ。ブレイブマンでしょ?」

「それはノリで勝手につけられたあだ名な!! 本名は、五十嵐 栗夢!」

「ふーん、そんな名前だったんだ。ところでブレイブマン」

「結局、ブレイブマン呼びかよ……で、なんぞ?」

「今から俺とボール蹴ない? てかさ、蹴ろ!」

 

そう言って、俺に見せつけるようにボールを持ち上げ、楽しそうに口元を吊り上げ笑う蜂楽。

 

なんなん? このマイペース変人……。

 

これが俺と、これから先、青い監獄(ブルーロックで)競っていくことになる蜂楽 廻との最初のやり取りだった。

 

 

□□□

 

蜂楽に案内され、青い監獄(ブルーロック)チームZ トレーニングフィールドにやってきた。

 

「すげぇ。これ、各チーム事にフィールドが割り当てられてるってマジ?」

「らしいよ。他にもトレーニングルームとかミーティングルームとか、サッカーに必要なものは全部揃るんだって」

「青い監獄やべぇな……」

「それより早くストレッチして、ボール蹴ろうよブレイブマン」

 

蜂楽は既に準備運動を始めている。俺もちゃっちゃと済ますか。

 

 

準備運動をしながら、ここに来るまでの道中、話題提供と情報収集を兼ねて、蜂楽に聞いた俺が意識を失った後の話を思い返す。

 

どうやら俺は結構長い時間気を失っていたらしい。今はもう夜になっちまってるようだ。青い監獄での説明はもう終わっちまったらしい。

 

蜂楽から話を聞いて、一番驚いたのは、日本の宝、吉良涼介の話だ。

やつは、俺を殴って意識を刈り取った直後、ハッとした顔になると「……僕はどうしてこんなことを……ごめん五十嵐くん!!」とまるで人が変わったかのように、倒れた俺の事を心配して、担架で医務室へ運ぶのを手伝ったというものだ。

 

スポーツドクターによる応急処置を終え、俺がベットに寝かされたあとも、吉良くんは「残って、ちゃんと彼に謝罪したい」と頼んでいたんだとか。

 

まぁ、絵心が「帰れ(ファック・オフ)」と一蹴し、帰らせたみたいだけど。

帰らざるを得なかった吉良は、何故か医務室に一緒についてきていた蜂楽に言伝を託した。

 

──五十嵐くん。本当にごめん。あの時、僕はどうかしていた。自分でも何故あんなことをしてしまったのか分からない。ただあの時は何故か無性に君の顔面を殴らなければならないという黒い衝動に駆られて……。多分あれはそう、きっと名探偵コ〇ンであるような突如として衝動に駆られ殺ってしまった犯人みたいな世界の強制力に違いない! あの時の僕は僕であって僕じゃなかった。……でも、これは言い訳だな。君に暴力を振るってしまったことに変わりは無い。本当にすまなかった。後日、必ず君に会いに行き直接謝罪することを誓う──って言ってたよあのクリーム髪の人。

 

絶対に許さない! とか言ってたじゃん吉良くん……。

普通に考えれば、説得力なんて無い馬鹿げた弁明だ。でも俺には何故か凄く腑に落ちたし、それこそが事の真相なような気がしてならなかった。

 

「よし、準備運動おーわりっと。よっ」

 

準備運動を終えた蜂楽が足元に転がっていたサッカーボールを右の素足で救いあげ、両足でリフティングを始める。

インフロントキック、アウトサイドキック、インサイドキック、ヒール、頭、肩、胸、太もも……自由自在かよ。

ある程度の年月サッカーをやっていれば、相手が上手いか否か、その人物がボールを触った瞬間にわかる。

蜂楽は間違いなく今まで俺が生で見てきた選手の中で一番ボールの扱いが上手い。

 

「あのさー、聞きたいんだけどよ」

「ん? なに?」

「なんで俺とボール蹴ろうと思ったん?」

「そんなの決まってんじゃん……」

 

蜂楽は地面にボールを落とし、ボールの上に右足を置くと、俺の方を見据える。その目は完全に据わっていた。

 

「俺の中の『怪物』が言ったんだ。ブレイブマンの中にいる『怪物』とサッカーしたいって」

「『怪物』?」

 

なんかの比喩か?

 

「入寮テストの時、目が覚めてすぐ、俺、見たんだよね。ブレイブマンが誰よりも最初にボールに反応して、あの中でいっちばんっ強かったヤツに、ボールをぶち当てる瞬間をっ! ちょー痺れた! ああ、『怪物』はここに居たんだって!!」

 

うん、やっぱり『怪物』がなんなのかよくわかんねぇわ。とりあえず俺とサッカーやりた言ってことは理解したけどよ。

ここは適当の話を合わせるとするべ。

 

「それで俺が目覚ますの待ってたってことか」

「そうそう。……準備運動はもういい?」

「ああ、ばっちしだ」

「よし、じゃあ行くよブレイブマンっ!!」

 

蜂楽はボールを蹴りだし、右足でボールをドリブルしながら、俺の方へと向かってくる。

一対一ってことかい!

細かく素早いボールタッチ。明らかにボール運びがドリブラーのそれだ。

迂闊に間合いに飛び込めんで足を出せば、簡単にかわされ、抜かれる! そんな直観が働く。

定石は、リトリート*1しながら距離を保ちつつ、裏をぶち抜かれない守備。

……けど、そんなんで止められる程度の奴が青い監獄(ここ)に呼ばれるわけねぇよなぁ!!

ここは前に出て、勝負一択だろっ!!!

 

俺は前へ出て、蜂楽からボールを積極的に奪いに行く。

 

「っ!!」

「やっぱ、出てくるよねっ!」

 

蜂楽は楽しそうに口角をあげる。

右の足裏で一度ボールを止めると、アウトサイドでボールにタッチ。

左……いや、左へ行くと見せかけて、右。

エラシコ。アウトサイドで外へ持っていくと見せかけ、素早くインサイドで逆方向へ持っていく為のフェイント。

だが読んでいるぞっ!! 俺は、ドリブルする蜂楽の足元のボールへと右足を伸ばし……

 

「よっ!!」

 

次は、右軸のルーレットで反転!? やべっ、背中を取られたッ!? でもまだだっ!!

俺は重心を低くし、左手を地面につく、そして、左脚を後方へ真っ直ぐ伸ばすことで、背後のボールを狙うが……

 

「もういっちょ!」

 

そこから更に逆っ!? 俺の体勢は完全に崩され、足を出せる訳もなく……。

蜂楽は華麗なマルセーユルーレットを決め、完全に俺を抜き去った。

 

「くっそーうめぇ……」

 

蜂楽はそのままドリブルで10mくらい直進すると、足裏でボールを停止し、俺の方へ振り返り、楽しそうに笑う。

 

「イエーイ! まずは俺の1勝ね」

「ちくしょう、絶対とってやるっ! もう1戦だっ!!」

 

それからだいたい30戦くらいやったが、蜂楽からは最後のたった1回しかボールを奪えなかった。

これで292位とか青い監獄(ブルーロック)魔窟すぎんだろ……。

こんなんじゃアンリちゃんとの約束を果たすなんて……。

いや、弱気になっちゃダメだ俺! 諦めない心とマリーシアだけが俺の武器!

世界一のストライカーになるためにも、もっと精進せねばっ!!

 

とりあえず明日に備えて今日はもう寝よう。

……。

………。

…………寝れねぇえええ!!

気絶時間による睡眠と、蜂楽との対人戦によって分泌されたアドレナリンで、目がバッキバッキに冴え渡っていた。

 

翌日、コンディションが最悪の状態で受けた身体能力テストで、チームZの中で俺が全ての科目で最低値を叩き出したのは、まぁ当然の結果と言えるだろう。

 

 

 

【蜂楽 廻】〜回想。

 

夢を見ていた。

子供の頃の俺が、世界最高の選手たちとサッカーをしている。

ノエル・ノア。 ロナルド。メッチ。ゼーコ。

ずっと一緒にプレイしたいと思っていた怪物たち。

怪物と一緒にサッカーできるなんてめちゃくちゃテンションが上がった!

 

「へい、ゼーコ! パス!」

 

パスを要求する。

でも、ゼーコは俺の方を一瞥すると、他の怪物たちと共にドリブルしながら何処かへと行ってしまう。

 

「おい待てよ! ちゃんと出せ! 俺を見ろゼーコ!」

 

ボールが硬い地面を跳ねる音で、俺は目覚めた。

寝起きのぼーとした頭で考える、ああそう言えば、待ち時間が暇だったから仮眠とってたんだった。

大型のモニターに絵心が映っている。

やっと青い監獄(ブルーロック)で何をするのか教えてもらえるのかな?

『ボールに当たったやつが鬼となりタイムアップの瞬間に鬼だったやつが帰る野郎(ファック・オフ・やろう)です。あと、ハンド禁止ねー』

 

簡潔なルール説明。

なーんだ。サッカーじゃないんだ。試合じゃないならあまり気分乗らないなぁ。

青い監獄(ここ)に来ればもしかしたら怪物とあえるかもしれない。そう思って来たんだけどね。

怪物がいるかどうか知るなら、試合するのが手っ取り早いのに。

もうちょっと仮眠とろうかな……。

 

そう思って目を半分閉じかけた時、視界の隅で一人だけ気配を消すようにして動いている影を捉えた。

この場にいる誰もがサッカーとはあまり関係無さそうな『鬼ごっこ』というゲームに困惑して、動けないでいる中、たった一人、ソイツは他の参加者の死角を縫うようにボールのある方へと向かっていく。

 

鬼ごっこということはこの場にいる誰かが鬼になるということ。

それはきっと絵心が指名する。他の参加者たちは誰が鬼かを確認してから行動に移すに違いない。

そんな中、ひとりボールを目指して動いているってことは……開幕同時に、誰が鬼とか関係なしに他の参加者にボールを当てようとしてるってこと?

 

ドクンッと自分の胸の鼓動が高鳴る。ぼんやりしていた頭はすっかり目覚めて、半目気味だった目もちゃんと開いていた。

いったいどんなやつがそんなイカれた事をしようとしているのか興味が湧いた。

寝っ転がったまま、顔を少し上げて、足元から、視線を上げていって、ソイツの顔を拝んだ。

そこに居たのは、坊主頭の一見平凡そうな容姿の男だった。

公開告白した人だ。名前は確か、ブレイブマン!

笑ってる?

嘲笑? 違う。愉快? 違う。悪役が悪巧みを企んでる時に浮かべるような薄ら笑い。

 

『これは俺がストライカーの【本質】を見極めるために俺が用意した「エゴイズムテスト」。覚悟して戦え。これはただの鬼ごっこではない』

 

ピッという電子音が鳴り、ほぼ全員の視線がボールからモニターへと移る。

ブレイブマンはその瞬間、計ったかのようなタイミングで、ボールの元へ駆け出し、右脚を振り抜いた。

ブレイブマンに、世界最高の選手たち(怪物)の姿が重なる。

この場に居る参加者で、一番順位が高いクリーム色の髪の人の【右手】にボールが直撃した。

ボールが地面を何度か跳ね、コロコロと転がった。

「怪物……」

 

──いる。あいつの中にも、怪物が……。

 

俺の中の怪物が、そう囁いた。

*1
後退





イガグリが潔くんの立場に成り代わる? ……ないわぁ。
てことで、早いとこ潔くんにはチームプレイ洗脳を受ける前のエゴイストな自分を取り戻してもらいましょうよ!
嘘次回予告
次回、馬狼死す! レスバ最強 潔 世一爆誕!? イガグリのマリーシア炸裂!!


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