黒鉄の戦士がダンジョンに潜っても問題ないだろう? (ワニの騎士)
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第1章:オラリオに来た騎士
第1話:死を越え洞窟に


この作品に登場する主人公の装備一覧

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:黒竜の大剣
:グレートソード

左手武器:黒鉄の大盾
:ゴーの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:ハベルの指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石


(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)




何度戦ったのだろう…

 

何度死を経験したのだろう……

 

自分が不死になって以降、呪いを解く為に旅をして様々な友と出会い、共闘し、失い、苦しむ。常に死と隣り合わせで何度気が狂いそうになったことか。

だが私には支えがあった。竜の武器だ。

 

【黒竜の大剣】

朽ちぬ古竜の最後の生き残り

単眼の黒竜、カラミットの尾から生まれた武器。

黒曜の刀身は強い神秘の力を帯びており両手使いでその力が解放される。

 

【竜王の大斧】

異形となった朽ちぬ古竜の子孫貪食ドラゴンの尾から生まれた武器。

強い神秘の力を帯びており両手使いでその力が解放される。

 

【古竜の大剣】

灰の湖に座するかつての朽ちぬ古竜の末裔、石の古竜の尾から生まれた武器。

強い神秘の力を帯びており両手づかいでその力が解放される。

 

 

私にとって三種の神器ともいえる武器達が私を支え共に戦ってくれた。だがそれもここで終わるかもしれない。不死人は死を繰り返すと自身の人間性を失い最後には亡者になる。私は何度も死を繰り返し記憶が頭から消えていくにつれてだんだん自分が亡者に近づいていくのが分かっていった。次死んでしまえば私は間違いなく亡者になるだろう。

 

目の前には暗月の神、グウィンドリンが立っている。私はアノールロンドで知ってしまったのだ…捨てられた王都の真実を……

私はすぐに他の友に伝えようとしたが暗月の誓約を交わした女騎士に追われ、逃げ隠れていた霊廟で神に出くわした。ここでやられまいと立ち向かったがあえなく返り討ちにあった。

 

『最期に言い残すことはあるか?』

 

グウィンドリンが杖を自分に向け魔力を込める。

 

「嘘つきは泥棒の始まりって親から習わなかったのか?………竜…の力を思い知れ…!!」

 

『小癪な!』

 

私は立ち上がって最後の力を振り絞り、両手で握り締めた黒い大剣を地面に突き刺して黒竜の力を放った……

 

「…竜体石、欲しかったなぁちくしょう……」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

ポタッ…ポタッ……ポタッ

 

上から水滴が垂れて兜に落ち、彼は目を覚ました。今の彼はどこかの地面に横たわっており無防備に仰向けになっていた。そして彼は重たい体を起こして辺りを見渡す。

 

「ここはどこだ?」

 

ひとまず彼は立ち上がり、ソウルから武器と大盾を取り出して装備する。

 

「俺は確かにグウィンドリンに殺されたはずだが……ここは洞窟か?いや迷宮みたいだな」

 

平面の天井と壁面、明らかに人工的に作られたような場所だった。

とりあえずずっと立っている訳には行かないので彼は道に沿って歩いていくことにした。

 

しばらく歩いていると大広間のような場所に出た。

そこには小さな緑の小鬼や二足歩行の犬、巨大な豚などのデーモン?が何百といた。

 

「…まじかよ…はぁ。ヤるか」

 

彼の目は鋭くなり盾をソウルにしまいシンプルな黒鉄の大剣を両手で握り締め、デーモン達に突っ込んだ。



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第2話:初戦を終えて新たな出会い

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:黒竜の大剣
:グレートソード

左手武器:黒鉄の大盾
:ゴーの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:ハベルの指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


ザシュ……バキ…ザシュ

 

大広間の所々に灰の山が積もり、壁には倒されたデーモン達の血が飛び散っていた。

 

「ふぅ、コイツらデーモンとかの類いじゃないな」

 

彼の経験してきた戦いでは、本来デーモンや亡者は倒されると光の粒子となり消えるのだが今倒されたデーモンもどきは倒されると灰となり大きさが異なる宝石、爪や牙などを残した。

 

「コイツらを倒せば何か分かると思ったんだがなぁ。ソウルも人間性も落とさないし……まぁこの石は役に立ちそうだな」

 

彼は地面に落ちている宝石を回収しその場を後にした。

大広間から離れ道に沿って歩き見つけた階段を登ると森林が灰色に染まった大樹林に出た。まるで火山灰が森に覆いかぶさった様なその場所は初めて来る場所のはずなのに暖かみと懐かしさを感じた。だが彼はすぐに気づいた。ここは地上ではないと。彼は感じた、幻の様な何か役割を果たすための力が蠢いているのを。

 

「はぁ……ここが地上じゃないなら上に行くための階段がある筈だ」

 

こうも木々が生い茂っていると思う様に大剣を振り回せないので彼はグレートソードより少し短い黒竜の大剣を装備する。森の中を歩いて階段を探すが中々見つからない。そこで彼は丁度いい高さの丘を探し出して登り上から周りを見渡す事にした。辺り一面は灰色一色に染まっており、まるで森が病んでいるように感じた。そして彼は盾と剣をソウルにしまって座り込み、遠眼鏡でゆっくり森を観察をする事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

丘の上で座りながら寝てしまった彼の元に2人の人影が近付く。2人とも褐色の肌を持ち、露出の多い衣装を身に付けている。だがそれよりも目がいくとすれば、それは背中に背負っている武器だろう。2本の大剣の柄を繋いだような武器は普通の人には扱う事は出来ない。2人は座り込んで眠っている彼を見つけると歩く速度を遅くし忍び足で近付く。

 

「 ンゴォォ…ングゥ………」

 

全身黒の鎧をまといバケツのような兜を被っている人物に2人は話しかける。

 

「ねぇねぇ。もしも〜し」

 

「ティオナ?あまり近づかない方がいいんじゃ…」

 

「だけどいくらここが安全階層だからって1人で寝てるのはマヌケ過ぎない?それに私たちのお気に入りの場所を独占してるなんてずるいよ!」

 

「そんなこと言ったって…」

 

ティオナと呼ばれた少女は彼の前に立ち兜を掴む。

 

「こんなバケツ脱がしてやる〜!!」

 

彼女は兜を脱がそうとするがその瞬間、彼が目を覚ました。

彼女の腕を掴みもう1人の少女の方へ思い切り投げつける。

 

「なんだお前らぁ……人の睡眠を邪魔しやがって…」

 

彼は立ち上がり2人の少女に視線を向け、左手に大盾を右手にグレートソードをソウルから出して構えた。

 

「そこの貧乳、いい武器を持ってるじゃないか。俺に寄越せ」

 

 

 

 

 

そういえば自己紹介がまだでしたね。私はナレーターのアナスタシア、そして彼の名は【黒鉄の末裔:トーリン】、黒鉄のタルカスの最後の血筋。



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第3話:戦略的撤退

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:黒竜の大剣
:グレートソード

左手武器:黒鉄の大盾
:呪術の火

指輪:籠愛と加護の指輪
:ハベルの指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)

ゴーの大弓から呪術の火に変わりました。


「そこの貧乳、いい武器を持ってるじゃないか。俺に寄越せ」

 

両者は武器を構えながらジリジリと近づく。先に動いたのは巨剣を構えたティオナと両手にククリナイフを構えたティオネという少女。ティオナは正面から巨剣を振るい、ティオネは後ろをとろうとトーリンの右横にまわり込む。巨剣と大盾がぶつかり弾け火花が散けティオナは少し下がるが、トーリンはピクリとも動かない。

 

「ティオナ!!合わせるわよ!」

 

「分かった!」

 

トーリンの後ろに回り込んだティオネとティオナがタイミングを合わせ前と後ろから一気に攻める。だがトーリンは待ってましたと言わんばかりに右腕に力を込め大剣を左右に振る。

 

「フンッ!」

 

ティオナは自分に迫る大剣を巨剣でガードする。その隙にティオネはククリナイフを振りかぶりトーリンの背中を切りつけようとした。このままいけば背中に致命的な傷を負わせられるが彼がそれを許さない。トーリンは大盾を引いて後ろを振り向いてシールドバッシュをした。見事に打撃が命中したトーリンはすかさず大剣で突き攻撃をしようとするが視界に巨剣が見えた途端、頭が揺さぶられ仰け反った。

 

「グゥ…?!」

 

「ティオネ大丈夫!?」

 

「えぇ、大丈夫よ…何とかね。ねぇ私がアイツの動きを止めるから時間稼ぎしてくれない?」

 

「あれをやるんだね。やってみるよ!」

 

2人は距離をとり、ティオナがトーリンの気を引いて。ティオネが詠唱を始める。

 

「痛ってぇなぁ、ちくしょう。2対1はキツいっての」

 

大盾を構え直し、ティオナに視線を向ける。が、ティオナの後ろにいるティオネを見て、大盾をしまって走り出す。

 

(アイツは絶対なんかする気だろ!何かが起きる前に殺さないと!!)

 

「お前の相手は私だ!」

 

ガキンッ

 

上空から巨剣を振りかぶったティオナが降ってきて咄嗟に大剣を横にしてガードするが思わず片膝を着いてしまう。だが気のせいだろうか、彼は兜を被っているのに何故か笑っているように見えた。

 

「やるなぁ…俺に片膝をつかせたのはお前で2人目だ。」

 

「えへへー♪嬉しいな。褒めても何も出ないけどね。」

 

「じゃあ礼にプレゼントをくれてやる!」

 

トーリンは大剣をソウルにしまい、体勢を崩したティオナの頭を掴み地面に叩きつけた。

 

「おい!そこの長髪!!今すぐ詠唱を止めるんだ!さもないとコイツの顔を燃やすぞ!!」

 

「わ、分かったからティオナには手を出さないで!」

 

ティオネはすぐに詠唱を止めて、トーリンの言うことを聞く。

 

「…おい貧乳。お前が握り締めている巨剣を離せ」

 

トーリンがティオナの頭を掴んでいる手を徐々に強める。そしてティオナは彼を睨みながら武器を手放した。それを見たトーリンは巨剣に触れ、ソウルにしまう。

 

「この武器は後で見るとして……悪いな」

 

トーリンがティオナの頭を掴んでいる『左手』、呪術の火を起こして彼女の顔を炙った。

 

【黒炎】

 

ウーラシールに迷い込んだある呪術師が

深淵の闇に見出した呪術。

手元に大きく黒い炎を発生させる。

 

 

 

 

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙?!」

 

「ティオナ!!その手を離せテメェ!!」

 

ティオネは投げナイフを投げつけ、トーリンはそれを避けてティオナから離れた。ティオネがティオナに駆け寄って叫ぶ。

 

「ティオナ!ティオナ!返事して!」

 

「ア……ぁ」

 

「…おい」

 

ティオネが声がする方をむくとあの男が立っており小さい何かを投げ渡してきた。

 

「その小瓶を掛けてやれ。そうすれば顔は元どうりだ」

 

そう言って男は去っていった。

 

 

 

【女神の祝福】

女神グウィネヴィアの祝福の聖水。

太陽の光の女神として知られるグウィネヴィアは偉大なる太陽の光の王グウィンの娘であり豊穣と恵みの象徴として、広く人々に愛されている。




【大双刀(ウルガ)】
あるアマゾネスのオーダーメイドで鍛え上げられた大剣型のダブルブレード。
重量に見合った破壊力と耐久力を誇る。
この武器の元の持ち主は気づいていなかったようだがこれには強い神秘の力を帯びており…… 使いでその力が開放される。


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第4話:ソウルを通じて

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:黒竜の大剣
:グレートソード

左手武器:黒鉄の大盾
:呪術の火

指輪:籠愛と加護の指輪
:ハベルの指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)



「……これは厄介な事になったな」

 

トーリンは悩んでいた。あの踊り子の様な服を着た2人と戦い、1人を拘束してソウルを覗き込もうとするまでは良かった。だが問題は覗き込んだ時に見えた様々な情報だ。

迷宮都市オラリオ、ダンジョン、神々に仕える人間や他の種族など、どれも彼の頭を悩ませるものばかりで何から手を付ければいいのか分からなかった。

 

「ここがロードランじゃないとなると多分篝火はないよなぁ。う〜ん……エスト瓶の補給もできないし迂闊に死ねないぞこれ」

 

彼は悩みながら例のダブルブレードを取り出して刀身を鏡のようにして被っている兜を見る。兜には斜めの大きな切り傷が着いており、彼を少し不安にさせる。

 

「修理の方法が見つかるまでは出来るだけ攻撃を受けないようにしないと。……それとひとまずはダンジョンから出る事を考えないとな」

 

そう言って彼は、灰色の森に消えていった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「そんな事があったのか……顔を炙るなんて。今のティオナの状態は?」

 

「命に別状はありませんが何も反応してくれないんです……今はレフィーヤとアイズが医療テントで看病してます」

 

ここはオラリオで屈指の実力を誇るロキ・ファミリアの野営地。

そこにいくつかあるテントのひとつ、作戦会議に使用するテントでファミリアの団長である小人族のフィンと、トーリンと戦闘を行ったティオネ、そして副団長のリヴェリアがいた。

 

「左手から黒い炎を出し、大盾と超大型の直剣を持った騎士か……。フィン、今回の遠征は中止した方がいい」

 

「奇遇だね。僕も同じ事を思ってたよ。ティオナとティオネに互角…いやそれ以上かは分からないけど戦って負傷をおわせたんだ。1回帰還してこの事をロキに報告しよう。リヴェリア、悪いけど他の団員達に帰る事を伝えてくれないかな」

 

「あぁ、分かった」

 

そう言ってリヴェリアはテントから出た。

 

「あの…団長、実はもうひとつ報告する事があって」

 

「なんだい?」

 

「野営地にティオナを運んでいる時、こんな事を言ってたんです」

 

 

【竜達に睨まれた】

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

『我らを恐れろ人の子よ』

 

『我らは全てを貪り喰らい』

 

『我らは全てを燃やし滅ぼし』

 

『我らは全ての知識を吸収し』

 

『我らは朽ちぬ』

 

『我らは死なぬ』

 

『我らの災いから逃げられぬ』

 

『我らはソウルは燃える』

 

『我らに慈悲の心は無い』

 

『我らは情けはかけぬ』

 

『我らの力は呪いなり』

 

『我らを邪魔するのなら全て……破壊しよう』

 

グウゥゥガァァァァァ!!

 

 

 




黒竜カラミットの指輪の効果何とかならないかなぁ
縛りプレイでしか使ったことないんだよなぁ 


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第5話:荒野と単眼の魔物を越えて

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:古竜の大剣
:グレートソード

左手武器:黒鉄の大盾
:ゴーの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:ハベルの指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)

黒竜の大剣が古竜の大剣に呪術の火がゴーの大弓に変わりました。


トーリンが灰の森林で上がり坂のような道を見つけてから数日、彼は一本の草木すらない荒れ果てた広大な大荒野で立ち往生していた。1面赤茶色に染まっているその空間は目印になるものがなく何度も同じ場所を歩いているような感覚になっていた。

 

「なんで不死になっても…ハァ…暑さを感じるんだよ」

 

彼が着ている鎧は重たく硬く隙間なく作られている為、中の熱が外に行かず籠り身体中から大量の汗が吹き出していた。

 

「……ハァ…ハァ…暑っつい」

 

歩く道中で石のモンスター達が彼の道を邪魔したがグレートソードで叩き切って行く。歩き疲れた彼は荒野で寝転がって休んだ。体を大の字にして体を伸ばし体中に込めた力を緩める。

しばらく空を見ていると辺りに黒い煙が現れ、どこかに向かっていった。

 

「あれについていけば何かあるかもしれないな」

 

トーリンは立ち上がって黒い煙を見失わないように追いかける。走っていると煙は移動しなくなり、辺り一面に漂う煙がひとつのかたまりになっていく。その煙はやがて、骨となり、肉となり、そして1匹の生物が彼の目の前で誕生した。生物と言っても可愛らしいものではなくそれは巨大な…とても巨大な魔物だった。

黒い鱗、赤い1つ目、強靭な爪、まるで竜を思わせるそれは誕生してすぐトーリンを見た途端、殺意を漂わせた。

 

「ついてないなぁ……大矢が足りればいいんだが」

 

そう言って彼は左手にゴーの大弓を取り出し矢をつがえる。

 

【ゴーの大弓】

グウィン王の四騎士の一人「鷹の目」ゴーの用いた竜狩りの大弓。

野にあったころからのゴーの得物であり

竜狩り隊の用いた大弓よりもさらに大きく

使用には人ならぬ膂力が必要となる。

 

「お前はあいつに似てるがお前の方が弱いだろう?」

 

 

ギチギチ……

 

「フン…!」

 

弓を引き絞って矢を放つ。放った矢はきれいな曲線を描き魔物の身体に深々と刺さるがたかが矢の1発で怯んだりはしない。魔物は息を荒らげながらトーリンに突進する。だが彼は避けず矢を番えて放つ。放たれた矢は魔物の顔にある1つ目に刺さり視覚を失った。

 

「この大矢は特別製でね!」

 

視覚を失った魔物は痛みに悶え苦しみがむしゃらに暴れ砂埃が舞い大地が揺れた。

巨大な腕を振り回して自分の目を潰した小さい生き物を叩き潰そうとする。

数秒魔物は怒り狂っていたが突然後方に鋭い傷みが何度も走り尻尾を振り回す。

体をねじって片腕を地面に叩きつける。

だが何かを潰した感触はない。するとまた後方に鋭い痛みが走る。そして体をねじって片腕を地面に叩きつける行動を繰り返す。そしてまた痛みが走り尻尾を横に振ろうとするが魔物は違和感に気づく。尻尾の付け根から先の感覚がないのだ。

 

「やっぱりお前も竜だったのか!」

 

魔物が大声がする方へ体を向ける。魔物は見えていないが正面には切り落とされた尻尾をソウルにしまうトーリンの姿があった。魔物は離れたところから自身の血の匂いを嗅ぎ付けてそこに片腕を振り下ろすがそれは彼には当たらず大盾で防がれてしまう。

 

「血の匂いで俺の場所を特定したのか...やっぱり竜は頭がいいな」

 

魔物の攻撃を防いだ大盾をしまいすぐに距離をとる。

 

「悪いがお遊びはこれでしまいだ!俺は急いでるんでね!」

 

そう言い残して右手に握っていた大剣をソウルにしまい走り去った。

 

 

 

 

 




【バロールの大弓】
深層第二の階層主「バロール」の大弓。
弓幹に埋め込まれている5つの赤い宝石は強い魔力を込めており、矢にその魔力を流し込んで撃つ事でその力が開放される。







ストーリーを書くと内容がザックリしてるんだよなぁ 
改善したいけどうぅむ……



3月22日
六話の内容を自分で読んでみてあまりにも酷く感じたので内容の所々を書き換えました。申し訳ございません。


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第6話:過信は己を滅ぼす

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:古竜の大剣
:神聖のグレートソード

左手武器:黒鉄の大盾
:ゴーの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:霧の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)
ハベルの指輪から霧の指輪に、グレートソードから神聖のグレートソードになりました。


トーリンが単眼の魔物から逃げてから数時間がたち、彼は壁、天井が白く、高く、通路や広間の規模も比べ物にならないほど広い空間にいた。この空間に出るまでの道中でスケルトンなどのモンスター達がいたのだが戦うのがめんどくさいので歩く途中で霧の指輪を着けていた。

 

【霧の指輪】

白猫アルヴィナが信頼する仲間に贈る不思議な指輪。

純白の濃い霧が、真珠のように見える。

装備者の存在感を薄れさせ敵に見つかりにくくする効果がある。

 

 

ついでにもし戦うことになった場合にはいつでも神聖のグレートソードをソウルから出せるようにしている。

 

(案外バレないもんだな)

 

モンスター達を避けて空間の奥に進んでいると円形の広い空間の観客席の様な場所に出た。真ん中には様々な種類のモンスターが殺しあっていて、次から次へとモンスター達がどこかから現れてはすぐに互いを攻撃しあっている。そんな中で彼の目を引く一体の山羊頭モンスターがいた。両手に大鉈を持ち暴れるその姿は城下不死街下層にいた山羊頭のデーモンを思い出させる。狭い空間で2匹の犬に邪魔されながら戦った事を彼は思い出し首を振って嫌な記憶を払い除けた。そろそろ移動しようと考えていると突然緑色の小鬼が飛んできてトーリンがいた観客席を破壊する。彼はすぐに小鬼が飛んできた方を見ると山羊頭が息を荒らげながらこちらを見上げていた。

 

「霧の指輪を信じすぎたな……よぅし、相手になってやる」

 

霧の指輪を外した彼は左腕に大盾を右手にグレートソードを構えて山羊頭を含めたモンスター達の戦場に飛び込んだ。

 

グレートソードを横に振りモンスター達を切り飛ばす。それと同時に山羊頭も他のモンスターを叩き切りながら払い除けながらトーリンに近づいて行く。

そして両者が5mぐらいまで近づくと互いに顔を見合わせた。

そして、山羊頭が先に動く。ジャンプしながら両手の大鉈を上に振りかぶりトーリンに飛びかかる。だが彼はそれを防ぎグレートソードで山羊頭の腹を突こうとするが山羊頭が2歩下がり腹に剣がかすり、薄い切り傷から血が垂れる。だが山羊頭の追撃は終わらない。大鉈を地面に刺しながら床ごとトーリンに向かってえぐる。瓦礫が飛び散って彼の大盾に当たり辺りに砂埃がまい、視界が遮られてしまう。

 

「くっ…一体どこにいっ カハッ!?」

 

いきなり後ろから衝撃が入り、壁に吹き飛ばされて埋もれる。

 

「痛っっった……」

 

埋もれた壁から出ようと腕を伸ばして出ようとするが目の前には2本の大鉈を横に振りかぶる山羊頭の姿があった。体を釘の様に壁に打ち付けられる。1回、2回、3回と。黒鉄の鎧は凹み骨はへし折れ血が口から吹き出る。

 

(……こんな痛みは、いつぶりだ?)

 

(悪い癖だ…また調子にのっちまった)

 

(これで死んだら亡者に…………)

 

(なりたくないなぁ……)

 

(そういえばアイツは太陽を見つけたんかね)

 

(あの子は今も廃教会で祈ってるのかな)

 

(たまねぎちゃんは今はどうしてるんだ?)

 

(……相棒は無事に火を継げたんだろうか)

 

(悔しいよなぁ、今まで死ぬ事を繰り返して強くなったってのにちょっとした過信で首を絞めるとは)

 

(タルカスじいちゃんに合わせる顔がねぇ)

 

そう考えていると手足が千切れた。

 

(もう体が持たねぇな)

 

(笑えるよな。こんなにやられてるのに考える暇があるなんて)

 

すると山羊頭の猛攻が止み、トーリンは潰れた兜の隙間から外を見る。山羊頭は確実に仕留める為に両腕に力を込めていた。

 

(…………マジでやばいな…何か一矢報いてぇ…あれ使うか)

 

いつの間にか彼のギリギリ体と繋がっている左手にある石が握られていた。その石には深い思入れがあり、そして彼が抱く夢のキッカケになった石。それを使おうとしたが左腕が千切れ落ちる。

 

(…クソッタレが)

 

そして山羊頭が両腕に溜めた力を大鉈に込めた一撃を彼に与えようとしたその時、鋭い光が山羊頭の頭を貫き、何かが山羊頭を蹴り、壁に弾き飛ばす。

 

「オラァ!!」

 

「ベート!あまり油断するな!」

 

「んな事分かってらァ」

 

(若い少年の声と、荒々しい青年の声か?……遂に幻聴が聴こえてきたか)

 

コツコツ……

 

「君がティオナを傷つけた男だね?一緒に来てもらうよ」

 

トーリンに近づいてきた金髪の少年が放った言葉には微かに怒り、そして哀れみが感じられた。だが彼はそんな事気にしない。

 

「ゴフッ…ハ…ハハハ…笑えるな……」

 

なぜ彼が笑ったのか自分でも分からないまま深い眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 




どんなに強くても気を抜けば相手が弱くてもこちらが有利でも死にます。それが周回プレイの恐ろしさです。ちなみに今、周回5回目なのですが敵が怖すぎてずっと毒矢でチクチクしてます。

後、トーリンの人物紹介はもう少しストーリーが進んでから出すつもりです。


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第7話:道化の女神は唾を吐く

兜:なし
鎧:なし
手甲:なし
足甲:なし

右手武器:なし
:なし

左手武器:なし
:なし

指輪:籠愛と加護の指輪
:なし

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


とても暗い、とても深い、とても熱いその場所には仰向けに倒れている男、そしてその男を見下ろす4体の竜がいた。貪竜、石の古竜、白竜、黒竜が並んでいた。そして竜らは倒れている男に囁きかける。

 

『お主は朽ちてはならぬ』

 

『お前の欲はまだ満たされていない』

 

『貴公は力はその程度か?』

 

『あなたのソウルはまだ燃えている』

 

すると竜達は自身の炎に包まれたソウルを取り出し、男に炎を吹き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うっ、ここは?」

 

彼は重たいまぶたを開けた。鋭い光が目に入り怯むがすぐに慣れ、意識をはっきりさせる為首を動かそうとした。だが首は何かに固定されていて動かせない。

 

「あんまり動かない方がいいぞ」

 

声がした途端、ある女が彼の顔を覗いた。緑の長い髪、印象的な尖った耳はウーラシールの宵闇を思わせる。実際彼の目からは、まるで王族の様な雰囲気が感じられた。

 

「ここはロキ・ファミリアのホーム、医療室だ。お前はコロシアムで異常に強いフォモールにやられたんだが記憶はあるか?」

 

「あんまり覚えてないな……なぁ俺の体はどうなってるんだ?」

 

「左脚と右腕と左腕はちぎれたがなんとか応急処置をして今はくっついてる。後、顔は包帯で巻いてある」

 

それを聞いたトーリンは心の中で安堵する。

 

「あんたと俺を助けてくれた奴には感謝しないとな。そういえば俺の鎧はどうしたんだ?」

 

「鎧は今修理に出しているが剣と盾は…すまない回収出来なかった」

 

「そうか…なぁあんた、名前は?」

 

「…リヴェリアだ。お前の名はなんだ?」

 

「トーリンだ」

 

「よろしくな。トーリン、じゃあ私は少し席を外すが体を動かそうとするなよ」

 

そう言い残してリヴェリアという女性は部屋から出て行ったがすれ違う様に2人の男女が部屋に入ってきた。

1人は幼そうな青い瞳を持つ金髪の少年。もう1人は朱色の髪を持つ狐の様な目をした少女だった。そして2人はトーリンが寝ているベットの両脇に座る。

 

「目が覚めてくれて良かった。」

 

「お陰様でね。お前だろ?俺を助けてくれたのは」

 

「あぁそうだ」

 

「……お前さんか、ウチの可愛いティオナをケガさせたのは!」

 

少女はそう言っていきなりトーリンに掴みかった。

 

「ロ、ロキ!いきなりはダメだってさっき言ったじゃないか」

 

「せやけど!」

 

「お、おい待ってくれ何がどうなってるんだ?」

 

朱色の髪を持つ少女を落ち着かせたフィンという少年は説明を始めた。

自分がロキ・ファミリアの団長である事、ダンジョンでの遠征でティオネとティオナがトーリンと遭遇した事、その際に彼がティオナの顔を焼いたこと、遠征の帰還の最中でモンスターの雄叫びが聞こえて、元を探したらトーリンがいた事。

 

「説明はこのぐらいでいいかい?」

 

「あぁ。満足だ」

 

「じゃあひとつ質問させてくれないか?」

 

「もちろんだとも」

 

「君はなぜティオナの顔を焼いたんだ」

 

その質問で場の空気は重くなった。表情が表に出なくても怒りの感情が吹き出ている。

 

「それは…あの女が俺の兜を取ろうとしたんだ。それで俺が彼女たちに威嚇をして戦闘になって逃げる為の時間稼ぎにアイツの顔を焼いたんだ」

 

それを聞いたフィンと少女は目を一瞬合わせる。

 

「だがちゃんと顔を治す為の物は渡したぞ」

 

「それって……これの事かい?」

 

フィンの手にはあの時ティオネに投げ渡した小瓶があった。

 

「そう、それだ。それを掛ければ治ることも話したぞ」

 

「確かにティオネがすぐに中の液体を掛けて焼けただれた顔を直したことは聞いたよ。それに関してはこちら側が謝罪しないといけないし感謝もしないといけない」

 

「いいんだよ。俺も悪かったからな」

 

重たかった場の空気は軽くなりフィンが抑えている怒りも収まった。

 

「そういえば君の主神の名前はなんというんだい?名前はさっきリヴェリアから軽く聞いたけど」

 

(主神の名前?)

 

トーリンは考え込んだ。まさかの質問の戸惑いを隠して頭を回転させる。ティオナから読み取った情報で神の事は知っていたが、もしここで情報から得た神の名前を言えばすぐにバレてしまう。そしてトーリンは咄嗟に思い浮かんだ名前を言った。竜には欠かせない炎の技をその危険性を授けてくれた先生の名前。

 

「…ク、クラーナだ」

 

「クラーナ?聞いたことないな」

 

それを聞いた少女は閉じていた口を開く。

 

「フィン、悪いんやけど部屋から出てくれへんか」

 

と、少女が言うとフィンはすぐに部屋から出た。……ちなみにだがトーリンがティオナから得た情報、それは文字だけであり映像の断片の様に人の顔や光景を見る事は出来ない。文字だけだ。

 

「まさか…お前がロキか」

 

「せや。まぁウチの可愛い子供の事は許す……単刀直入に言わせてもらうけど、ワレはどこから来よった?」

 

 




今ダクソリマスター7週目なんですけど公王倒せねぇ 
火力が足りなくてそろそろ黒鉄じゃきつくなってきた


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第8話:何も知らぬ方が皆のため

兜:なし
鎧:なし
手甲:なし
足甲:なし

右手武器:なし
:なし

左手武器:なし
:なし

指輪:籠愛と加護の指輪
:なし

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)



「俺が、どこから来たね……話してもいいが確かお前ら神は人の嘘が分かるんだろ?この話を聞いたら腰を抜かすぞ」

 

彼はロキに語りかけた。彼がどこから来て今に至るかを。

 

''俺は産まれた時から高い地位を持っていて、そしてある英雄の甥だった。鋼鉄の王国『バーニス』の英雄、黒鉄のタルカスの甥だ。まぁ俺が産まれた時点で、バーニスは滅んでいたんだがな。もうガキん時の記憶はほとんど覚えてないが……………………''

 

 

 

 

 

 

「とまぁこんな感じだ。何か質問はあるか?」

 

「質問ありまくりやで。今すぐにでも今知った事を全部忘れたいわ」

 

ロキは頭を抱えた。トーリンの生い立ちからいきなりダンジョンで目を覚ました所までがどれも度肝を抜かす内容ばかりで彼女にあった内なる好奇心はどこかに消え去った。神と古竜の戦い、1000年以上続いた不死の呪い、ソウルを欲して彷徨う亡者や人間性を奪う闇霊など、彼はうろ覚えな感じで話していたが嘘は言っていない。この時ロキは初めて嘘を見破りたくないと思った。

 

「聞きたいんやけどジブンが話した不死の呪いは死んだら死ぬほど記憶とか消えるんやろ?なんで自分の名前や国の事を覚えとんねん?」

 

「それは…母が黒鉄の鎧や兜の内側に俺の名前とかを彫ってくれたからだよ。だから俺は今でも覚えてられるんだ」

 

彼自身、いつからダークリングが体に現れて、いつから旅をしているかは覚えていないらしいが体感で『800年以上はたってるな』と言った。

神にとって100年や1000年はちょっと長いなぐらいしか思わないが人間はとても長くいつかは精神が壊れてしまう。そんな事があってもなぜ彼は気が楽そうに出来るのだろうか。

 

(ジブンはもう…壊れてるんやな)

 

 

「さぁ、望みどうりに神様の質問に答えたぞ。今度は俺の質問に答えてもらう」

 

「あぁ、わかった。ほんで質問はやねん?」

 

「俺はこれからどうなるんだ?出来れば今すぐにでもこの都市を出たいんだが」

 

「しばらくはしゃんと肉がくっつくまでウチらのホームで安静にしてもらう。傷が癒えたらどこへでも行ってくれてかまへん」

 

「それはありがたい。じゃあそろそろ俺は寝かしてもらうよ。早く怪我を治したいからな」

 

「あぁ、ゆっくり休め」

 

そしてトーリンは眠り、彼女はそっと部屋から出て行った。ロキは自分の寝室に向かう為に長い廊下を歩きながら考える。

 

(もしトーリンの事が知られれば他の神は必ず接触を試みようとするはず、特にあの女にバレたら1番アカン。やったらあいつの情報を漏らさんとってオラリオから出ていってもらわんと)

 




3月29日の僕「そろそろアンケート見てみようかな。うわ3桁行ってるじゃん!これは嬉しいな。さて内容はどうなってい…る……え?」

ロキ・ファミリアがトーリンを完全に敵対するかしないか。
(62) する
(17) しない
(37) 中立
(32) いっその事ロキ・ファミリアに入れよう
(73) そんなことより混沌の娘ちゃん可愛くない?







もう少し続けてみよ 


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第9話:水に流そう何もかも

兜:なし
鎧:なし
手甲:なし
足甲:なし

右手武器:なし
:なし

左手武器:なし
:なし

指輪:籠愛と加護の指輪
:なし

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


清々しい朝を迎えた。小鳥が囀り、外は都市に住む住人達の生活の音と、窓から入る日の光が顔を照らし、トーリンは医療室のベッドで目を覚ました。

 

「久しぶりに気持ちのいい朝を迎えられたな」

 

そう呟きながら体を起こすと、昨夜までの疲労感は完全に消えていた。気分も爽快だ。ベッドから下り……られなかった。

 

「そうだった…ギプスで体が動かせないんだった。だれか来てくれたらいいんだが……困ったもんだなぁ」

 

するとその時、ノックと共に医療室のドアが開き誰かが入ってきた。

 

「トーリンいる〜?」

 

褐色で踊り子のような服装、見覚えしかない……灰の丘で戦い、顔を炙って彼女の巨剣を奪ったあの少女、ティオナ・ヒリュテが部屋に入ってきて彼のベッドの右に立つ。

 

「なんの用だ?顔を炙った事を怒りに来たのか?」

 

「…違うよ。君に謝りに来たんだ。昨日、フィンから聞いたんだ。その……顔を炙った理由」

 

予想外の返答にトーリンは驚くが顔が包帯で隠れている為、表情が表に出ない。

 

「ごめんね、あの時君の兜を勝手に脱がせようとして。ありがとう、薬をくれて」

 

「まぁ、分かってくれたならいいんだが……」

 

彼女が謝り終わると、いきなり頬を膨らませながら顔をトーリンに近づける。

 

「だ・け・ど・!!君もなにか言う事あるんじゃないの?」

 

そして彼女は両手を広げてなにかをねだる仕草をする。

 

「あたしの大双刀(ウルガ)返してよ」

 

「ウルガ?あぁあのダブルブレードの事か、嫌だね」

 

「なんでよ!あれ高かったんだよ、早く返してよ、あの日ウルガを取られてダンジョンから帰る時大変だったんだからさぁ!」

 

「だったらこのギプスを外してくれ、身動きがとれなくて気分が悪い」

 

「じゃあギプスを外せば返してくれるんだね」

 

そう言って彼女は手足のギプスを見た目からは想像出来ない腕力でちぎって外していく。

 

「よし出来た!って怪我の容態がどんな感じか聞いてたけどもう大丈夫そうだね〜」

 

ギプスを外してもらったトーリンは手足を軽く動かして確認する。

 

「ここまで回復するなんて自分でも驚きだな。ありがとよ。じゃあ返すから両手を広げろよ」

 

そして彼はソウルからウルガを取り出して彼女に渡した。

 

「え?!今のどうやってやったの?スキル!?」

 

「まぁそんな所だ。なぁ俺の鎧はどこにあるか知らないか?」

 

「鎧?多分ヘファイストスの所じゃないかな?あっ!じゃあさ、これから気晴らしに買い物行くんだけど一緒に来ない?鍛冶屋の場所を案内するついでにさ!」

 

「そうだな……じゃあ迷惑じゃなければ案内させてもらうよ」

 

彼はベッドから立ち上がりティオナについて行きホームの玄関で待っているティオナの姉のティオネ、エルフの少女レフィーヤ、剣姫と呼ばれている少女アイズの買い物メンバーと合流した。

 

「ちょっとティオナ!なんでソイツを医療室から出したのよ」

 

「大丈夫だよぉ、仲直りしたしね。てかトーリン頭の包帯外さなきゃ」

 

指摘されたトーリンは顔に巻きついている包帯を急いで剥がしていく。

包帯に隠されていたその顔は、髪と髭がボサボサ深緑のヴァンダイクフレンチとハーフアップハーフダウンポニーテールで、額に焼けたような黒い入れ墨が入っている30代後半の様な顔付きだった。

 

 




この作品を読んでいただいている皆様、投稿が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。今回僕が投稿をしなかった理由は、最近購入したエルデンリングが楽しくてハーメルンの事を忘れていたからです。……いやぁ、バリ楽しい!探索のしごたえがあり過ぎて全然飽きないし、どのNPCも魅力的だし、何よりパッチがいるのが本当に嬉しい(#^.^#)


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第10話:鍛冶の炎の声

兜:なし
鎧:レザーアーマー
手甲:レザーグローブ
足甲:レザーブーツ

右手武器:なし
:なし

左手武器:なし
:なし

指輪:籠愛と加護の指輪
:なし

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)
前回、装備を書き忘れましたがすっぽんぽんじゃないですからね!


迷宮都市オラリオの中心に高くそびえ立つバベルの塔。モンスターをダンジョンから出さない為の蓋の役割を持ち、様々なファミリアの商店や鍛冶屋等、冒険者をサポートするものが沢山あり神々の住居もある。そしてそのバベルの塔に入る5人の影があった。

 

「いやぁいつ来てもヘファイストス・ファミリアの武器屋は興味をそそる武器が多いね!アイズ!」

 

「うん」

 

「ちょっと。私達はトーリンを武器屋に案内に来たのよ?終わったからそろそろ買い物に……て聞いてないし」

 

「まぁまぁいいじゃないですか。それに折角来たんですからついでに私達の武器とか見てもらいましょうよ」

 

彼女らがいるのはバベルの塔内にあるヘファイストス・ファミリアが経営している武器屋のひとつ。壁には直剣や斧、盾などが飾られておりショーウィンドウには様々な鎧を着たマネキンが置かれている。店に入った途端彼女ら4人は店内に散らばり飾られている剣や杖を見ていた。そして入口に取り残されたトーリンはやれやれと思いながら奥のカウンターへ歩いていきカウンターにポツンと置かれている卓上ベルを鳴らした。

 

チーン

 

「誰かいないか?」

 

チーン

 

するとカウンターの奥のドアから足音が近づいてきてドアがキィと開いた。そしてドアから出てきた女性にトーリンは目を奪われた。とても赤い髪は炎を思わせ、ルビーの様な目を見ると心が吸い込まれてしまう。

 

 

「そんなに急かさないで。今店番の子が怪我をして休んでるの。だから今日は武器の修理は…あら?もしかしてだけど、貴方がロキ・ファミリアに救助されたって人かしら?」

 

「あ、あぁ。俺の鎧が修理に出されたと聞いて取りに来たんだ」

 

「そう…じゃあ着いてきて。鎧は綺麗に直っているから」

 

2人は店内を見て回っている4人を置いて武器屋の奥へ進んだ。廊下を進んでいくと広い工房に出た。火の炉から溢れる熱気が部屋全体に充満してトーリンの汗が滝の様に流れた。

 

「あれが貴方の鎧よ」

 

彼女が指を指す方を見ると部屋の隅にマネキンに着せられた黒く輝いた鎧がそこにあった。

 

「すごいな!かなり状態が悪いはずだったのにこんな綺麗に、まるで新品だ!!」

 

「まぁね。最初は1番腕の立つ鍛冶師が担当していたんだけれど修理の途中で変なものを見つけて私も手を貸さなきゃいけなくなったの」

 

「変なもの?まさか鎧の内側に彫られた文字の事が?」

 

話を聞き流しながら鎧をマネキンから外して装着していくトーリンだったが彼女の言葉を聞いた瞬間固まった。

 

「いえ。それじゃないわ。実はその鎧……まるで魂を素材にしている様な痕跡があったの。鉄を打って貴方の鎧に繋ぎ合わせる時や凹みを叩いて直す時に聴こえるのよ……男や女…ほとんどは戦士達が士気をあげる叫び声ばかりだけど」

 

トーリンはその言葉を聞きある事を思い出す。彼がいた滅びた国バーニス、ロードランで武器や鎧を直す時、鍛冶師は武器に使われる素材を使い鍛冶を行うが、戦場、旅など鍛冶師がいない時は己が持つソウルを使い修繕をする。ソウルは硬貨と同じ様に金として使われるが中には死んだものから奪ったソウルを使い修繕や買い物をする輩もいた。人々を虐殺しソウルを荒稼ぎする罪人はあとを立たなかったとトーリンは母から聞いたこともあった。だがもし修繕に使用したソウルの意思を神が見たら……それはとても言葉では言い表せないほど酷く醜いものだろう。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私の名はヘファイストスよ。ねぇ…良ければこの後お茶でも飲んでお話をしない?」

 

トーリンが恐る恐る彼女の顔を見るとその赤い瞳には燃える怒りが写っていた。




やっとマレニア倒したぞ!次は火の巨人を倒すぜ!


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第11話:ソウルと魂の違い

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:
:

左手武器:
:

指輪:籠愛と加護の指輪
:

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


工房のへ続く廊下にあるひとつの来客用の部屋。その部屋は商談や会談等でよくある長机とその両脇に長い皮のソファが置かれており、トーリンとヘファイストスは向かい合って座っていた。

 

「まず貴方の鎧についていくつか言わせてもらうけど、それを鎧と呼ぶには値しない。人と人の肉塊が無秩序に混ざり合い、憎しみや怒りの声が体に巻き付く呪いの様なそれはすぐにでも溶かして処分したいわ」

 

「散々な言われようだな。だったらなんで俺の鎧を直した?」

 

この質問で鍛冶師としての怒りと神としての好奇心が混ざり合いこちらをまっすぐ睨み付けていた彼女の瞳が揺らいだのをトーリンは見逃さなかった。

彼女、ヘファイストスは『神匠』と呼ばれるほどの鍛冶の腕を持った鍛冶を司る神である。もちろん鍛治に対する情熱、思いはとても大きいに違いない。そんな彼女が彼の鎧を見れば嫌悪するのは目に見えるだろう。しかし彼女は神である。彼女を含めたどの神も好奇心が強い。もし神でなければすぐにでも鎧を炉に放り込んだだろう。しかし運命のイタズラか、彼女は好奇心を優先し鎧を直したのだ。

 

「それは……こんなものを使っている奴の顔を拝む為よ」

 

「それだけか?たったそれだけか?おいおいあんたは神様なんだろう?もっとちゃんとした理由はないのか?」

 

「……それはどうやって生まれたの」

 

「なに?」

 

「普通、鍛治で何かを鍛え直す為にそれにあった素材を使う事はあっても人の魂を素材の代わりのようにして使うだなんて見た事ないし聞いた事ない。一体誰が鍛治を、人を穢すような事をするの」

 

「……俺の故郷ではそれが普通だ。実際に俺の母は鍛冶師だったから鍛治の工程を見て今も覚えているが、別に鍛治を穢すなんて事はしていなかった。」

 

「じゃあ何故、人の魂を扱えるの?」

 

「魂…つまり故郷では、ソウルはここと同じ金やそれ以外の様々なの役割を持っていたんだ。」

 

「何を…言っているの?」

 

「お前ら神様は多分、輪廻転生を信じているんだろ。その考え方は同じだ。だがそっちと違いこっちはソウルを操る事が出来た。理由は忘れたがな。その業を使って様々な事に役立てたんだ。時には金として使い、時にはソウルが経験した事を己のものにし、時にはソイツのソウルを使い武器を再現する事があった。とにかくこちら側にとってはソウルは安いものなのさ。ざっくり言うとな」

 

するとヘファイストスは両手で机を叩いて立ち上がり怒鳴る。

 

「ふざけないでちょうだい!!今貴方が言ったこと分かっているの!?魂は物じゃない。とても重たく、暖かいものなの!」

 

「あのなぁ!いくらお前が神だからって考えを押し付けるな!」

 

そして彼は立ち上がり部屋を出ようとする。

 

「まって!貴方、これからどうするの」

 

「……この都市を出る。鎧を直してくれて感謝する。もう会うことは無いだろうな」

 

 

 

彼が部屋を出た後、残ったヘファイストスの心に流れていたのは今まで無視してきた謎の虚無感を補うなにかだった。




遂に、エルデンリング1周クリアしました!後はトロコンをするだけだ!ラニ様イベントを早くやってみたいなぁ(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
後、5話から10話までにやっていたアンケートを終了させました。なのでこれからトーリンとロキ・ファミリアを敵対させていきたいと思います。詳しく言うとロキ・ファミリアの一部メンバーを敵対させる感じですが。


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第12話:目的は意外なところで見つかるもの

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:竜骨の拳
:

左手武器:竜骨の拳
:

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


ヘファイストスと別れた後、トーリンは改めて自分を救助してくれたロキ・ファミリアの団長フィン、主神ロキに感謝の礼をして黄昏の館を去った。

そのまま都市を出ようと思ったがロキ・ファミリアから貰った金で豊穣の女主人という酒屋に立ち寄り、カウンターで食事をとっていた。しばらく食事を楽しんでいたが隣の席に座っている少数の男冒険者達の話し声が聞こえ自然と耳を傾けていた。

 

「なぁお前ら、三大クエストを知ってるか?」

 

「三大クエスト?なんだそれ?」

 

「お前、そんな事も知らないのか?冒険者なら誰もが知ってるぞ」

 

「三大クエストっていうのは昔地上を支配していた陸の王者ベヒーモス、海の覇王リヴァイアサン、隻眼の黒竜ジズの三大冒険者依頼の事を言うんだ。冒険者の悲願とも言われてるんだぜ」

 

「初めて聞いたな。そのモンスター達はもう討伐されたのか?」

 

「ベヒーモスとリヴァイアサン過去に最強と謳われいたすげぇふたつのファミリアが討伐したんだが最後の黒竜だけは未だに殺られてないんだ」

 

 

その後の会話を聞いていたトーリンは食事を終え、オラリオに滞在する為に宿を探すことにした。

 

(しばらく都市から離れられなくなるな。さっき聞いた竜の事を調べないと……どの世でも真の黒竜はアイツだけだ。黒竜は2体もいらない)

 

「あ、なぁそこのウェイトレスさんちょっといいか」

 

「はいは〜いなんでしょうかニャ?」

 

トーリンはたまたま奥の厨房から出てきた茶髪猫耳のウェイトレスに声をかける。

 

「実はしばらくオラリオに滞在しようと思っているんだがどこかいい宿を知らないか?」

 

「宿ですかニャ?明日は怪物祭があるからどの宿もいっぱいだけど…一応この酒場の2階の部屋を貸し出しが出来るニャ。もちろん家賃はもらうけど」

 

「う〜ん今は金をそんなに消費したくないんだよなぁ。他でなにか支払いできないか?」

 

「払えないんだったら『じゃあステージで歌でも歌ってもらおうかね!』お母さん?!」

 

そう言ってきたのは豊穣の女主人の女店主、ミア・グランドだった。そして彼女は店の角にある小さいステージを指さす。

 

「あのステージは作ったはいいが誰も使ったり誰も踊ったりしないからそろそろ撤去しようと思ってたんだ」

 

「ちょっと待って欲しいニャ!!ミャーだって歌って『アンタは歌ったらダメなんだよ!』む〜」

 

「とにかくお前さんがあのステージで毎日夜に歌ってくれたら部屋を貸してあげてもいいよ」

 

「……分かった歌うよ」

 

「じゃあこの後団体様が来るからその時に歌って貰おうかね。もしお客からの称賛が少なかったらすぐにでも店からたたき出してやるからね」

 

「おいおいいきなりかよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「団体様、ご来店ニャ~!」

 

掛け声と共に店の入口からぞろぞろと足音がトーリンの耳に入る。彼はステージを隠しているカーテンの裏に隠れて店内の景色を見渡していた。

 

「おいおいまさか団体様ってロキ・ファミリアかよ……ついてないなぁ。しゃあない…………腹を括るか。これだけは着たくなかったが怪しまれない為だ。見た目からしてすぐに怪しまれるが……」

 

そして彼は黒鉄の鎧から黒革のロングコートに着替えグローブをつけとズボンを履き、黒いロングハットを被る。しかもそれだけでなく彼は自身のソウルにあるソウルを取り込んだ。

 

「ぐっぅぅ……!?はぁ…はぁ………クックックッ」

 

「みんな聞いて欲しいニャ!今日はなんと今まで使われなかったステージのカーテンが遂に開かれるニャ!!」

 

その言葉に酒場にいるほとんどの冒険者達の目がステージに向く。

 

シャー

 

カーテンが開きステージに立っていたのは常に満面の異様な微笑みが張り付いた、顔の上半分がロングハットで隠れている男だった。

 

「…私の名前はチェスター。これから毎晩皆様には今までの旅で記憶した素晴らしい音楽や曲を捧げましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

【微笑みロングハット】

ウーラシールの過去で出会った謎の男

素晴らしいチェスターの黒いロングハット

 

あるいはチェスターの怨念によるものなのか

これをかぶった者の顔には

常に満面の異様な微笑みが張り付くという

 



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第13話:竜信者の咆哮


兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:竜骨の拳
:

左手武器:竜骨の拳
:呪術の火

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


「いや〜アンタやるじゃないか!お陰様でお客がたくさん飯を食べてくれたよ」

 

「悔しいけど確かにさっきの歌はとても良かったニャ…」

 

トーリンはステージに立って部屋を借りる為に歌を歌い置いてあった古びたピアノで曲を奏でた。しかし音楽に関する知識などを知らない彼がどうして本番を乗り切る事が出来たのか?それが出来た理由は彼が使うソウルの業に答えがある。本来はソウル、武器、消耗品等をソウルにしまう場合、ソウルに取り込むのではなく自身のソウルを箱の様に変化させインベントリとして使うが、自身のソウルに名を持つソウルを一時的に入れ身体の所有権を貸す事が出来る。出来るといってもそれが出来るのは極わずかだが。

 

次の日の朝、トーリンの目覚めはまぁまぁだった。何故なら昨夜チェスターのソウルを一時的に取り込んだ事で夢の中で散々チェスターに罵倒

されたが、黒鉄の硬い一撃を顔面にお見舞した為、少し気分が良くなった。

 

「そういや、今日は怪物祭だっけか?多分売店があるだろうから食べ歩きでもするか……なんの祭りなのか楽しみだ」

 

 

~トーリンのソウル内~

 

とても暗い暗いその空間、そこにあるのはただの闇……という訳では無かった。周りには漂うソウル達がおり皆、暇を潰す為に雑談をしていた。そこにチェスターのソウルが現れる。

 

「…おや、チェスターじゃないか。さて聞かせてもらおうか……外はどんな景色だった?」

 

「とても活気がありましたよ。人だけでなくそれ以外の種族との交流もあり平和でした。これから毎晩私が歌いながら外の情報をお伝えしますよ」

 

「それは助かる。ここは本当に何も無いからな。いるのは笑顔なお前と、黒ローブの魔女、トゲトゲの悪霊、ビックハットじいさん、女神大好き騎士、鷹の巨人、岩男、あと1番やばい4体の竜しかいないからなぁ……最初の3人はほとんど無言だし。あぁ〜あ、俺もアイツの体借りて美味いもの食いたいなぁ」

 

「まぁまぁ。もしかしたら機会があるかもしれませんよ。『東国のシバ』さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

「なるほどなぁ。モンスターの見世物か。」

 

人々が楽しそうに笑い、歌う。こんなに活気のある光景は彼にとって初めてだった。だが何かがおかしい。檻に入れられているモンスター達の殺気が段々強くなっていくのだ。敵である冒険者や市民がいる中で威嚇する為に吠えるモンスターもいるが怪物祭主催者のガネーシャ・ファミリアが対策を怠っていないと考えるしかない。だが最悪な展開が起きてしまう。

 

「モンスターが脱走したぞ!!みんな逃げろ!」

 

その発声で市民達が悲鳴をあげ逃げ惑いはじめ、トーリンは通りの奥で暴れているモンスター達を見つける。すると1人の女性がトーリンにしがみつく。

 

「貴方冒険者でしょ!お願い助けて!!」

 

「…………………………あぁ助けるとも。もう二度と…民を失わない」

 

その言葉に首を傾げる女性を逃がしモンスター達の方へ歩いていく。竜骨の拳を装備し左手の呪術の火でふたつの呪術を自身に付与させる。

 

【鉄の体】

炎の力を取り込み、内なる力を活性化させる

呪術師カルミナの業。

全身を鉄と化し、防御力と耐性を高める。

 

重量が極端に増し、動きが鈍くなってしまうので

使いどころは選ぶ必要がある。

 

 

【内なる大力】

炎の力を取り込み、内なる力を活性化させる

呪術師カルミナの業。

一時的に筋力と持久力を高めるが、HPが減り続ける。

 

過ぎた力は、母体の生命力を蝕む。

だからこそ、その力はずっと秘められているのだ。

 

 

付与をして左手にも拳を装備させ、誘い頭蓋を自身にぶつける

 

 

【黒鉄印の誘い頭蓋】

わずかな人の血肉が残った頭蓋骨

投げつけることでその血肉をばら撒き

一部の敵を誘い寄せる

 

その血肉は恐怖、狂気、絶望により最後を迎えた人々の肉が混ざりあっておりそれに飢えたモンスターなどを誘い寄せるが

すべての敵に有効なわけではない

本能で命あるものを殺し生きるモンスター、己の快楽、都合で命を殺す人。一体どちらが怪物なのだろうか……

 

 

 

 

 

そして自身に投げつけた頭蓋にから出る匂いをモンスター達が嗅ぎつけて、トーリンに迫る。

 

「すぅー……こい!!怪物共!俺がお前らを砕き殺してやる!!」



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第14話:呪術の火

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:竜骨の拳
:古竜の大剣

左手武器:竜骨の拳
:呪術の火

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


トーリンの戦いは戦いと呼べるものではなかった。竜骨の拳から繰り出される一撃はモンスターに当たる度に皮膚から骨の芯まで衝撃が届いて弾け飛ぶ。壁にも地面にも、あらゆる所にモンスターの血肉がこびりつき、その光景はまるで力による制圧、いやもっと悪く言えば大虐殺が起こっているようだった。彼は無心にモンスターの頭を確実に殴り飛ばして1匹1匹を片付けていく。すると後方から声が聞こえた。

 

「ト、トーリンさん?」

 

「うん?あぁお前は確か……レフィーヤだったか。ここで何をしてるんだ」

 

声をかけてきたのはレフィーヤだった。彼はモンスターがある程度いなくなったことを確認してからレフィーヤの方へ向き直る。すると既に彼女の両脇にはティオナ、ティオネがいた。

 

「うわぁ〜、ちょっとトーリン。流石にやり過ぎなんじゃない?周りの家の事も考えて戦わないと」

 

「それはティオナの方でしょ。毎回壁や地面にヒビを入れてるのはアンタなんだからね」

 

「ごめんごめーん」

 

「で、アンタこんな所で何してんの?団長から聞いたけど都市から出ていくんじゃなかったの?」

 

「ここでやる事が見つかってな。しばらく都市に滞在する事になった」

 

「だったらトーリンさんも一緒にモンスターを探しませんか?」

 

 

トーリンが彼女らと話をした後、共に逃げ出したモンスターを倒す事になり街道を走り回っていた。すると地面にヒビが入り緑色の蛇のようなモンスターが飛び出てきた。

 

「お前ら、コイツのこと知ってるか?」

 

「知らないよこんなモンスター?!」

 

「ほら、喋ってないで集中して!」

 

「はぁ…植物にはうんざりだ」

 

3人は地面から突如として現れたモンスターに切りかかりレフィーヤが詠唱を始める。ティオナとティオネが戦う中ふとトーリンの方を見ると彼の手には竜骨の拳ではなくまるで石のような大剣を握りしめモンスターのな長大な体躯を叩き切っていた。するとモンスターの頭部らしき所に亀裂が走り、咲いたのだ。花弁の奥には生々しい口が見えておりヨダレのような粘液を垂らしている。トーリンが花のモンスターを見ているとティオナ、ティオネの叫び声が響き渡る。

 

「「レフィーヤ?!」」

 

レフィーヤの方を見ると固い地面に叩き付けられ血を吐き出していた。

 

「っち……おい!今すぐレフィーヤをここから離せ!コイツの相手は俺がやる!」

 

「わ、分かった!ティオネ、手を貸して!」

 

ティオネとティオナが倒れているレフィーヤを抱き上げ離れていくのを確認するとトーリンは武器をしまいモンスターを見上げる。

 

「…………昔、お前よりもっとでかい植物と戦った事がある。そいつに火は効かなかったが…お前はよく燃えそうだな」

 

そして両手を地面に置き、力を込める。大きな隙を見逃さずモンスターが彼を食いちぎろうと迫った。

 

「混沌の炎に焼かれるがいい!!」

 

【混沌の嵐】

イザリスの魔女とその娘たちを飲み込んだ

混沌の炎の業。

周囲に幾つもの混沌の炎の柱を吹き上げる。

 

「最初の火」を作ろうとした魔女の野心は

異形の生命の苗床、混沌の炎を生み出した。

 

 

 

いきなり炎の柱が吹き上げモンスターを閉じ込め、吹き出る溶岩と炎がモンスターを焼き尽くす。悶え苦しながらモンスターは叫ぶが呪術の力を緩めない。

 

嵐が消えて無くなる頃には、モンスターは灰の山となっていた。

トーリンは己の手に宿る火を見て自身に言い聞かせる。

 

「…炎を畏れろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~トーリンのソウル内~

 

「馬鹿弟子が呪術を使ったのか…………ふふふっ」

 

 

 

 

 

 




エルデンリング2週目に入って関わりのなかったNPCイベントをやってたんですがまさかエルデンリングにもクラーナ師匠枠のNPCがいてめっちゃ嬉しかった。セレン師匠可愛い((o(。・ω・。)o))


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第15話:竜にとって戦争ほど心が踊るものはない……

兜:なし
鎧:チェスターのロングコート
手甲:チェスターのグローブ
足甲:チェスターのズボン

右手武器:グレートソード
:古竜の大剣

左手武器:黒鉄の大盾
:呪術の火

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)



怪物祭が終わり、数日がたった。あの花のモンスターを倒した後、トーリンはロキ・ファミリアのメンバーにもう会わないためにすぐさま現場を離れ酒場に戻った。モンスターを焼き殺す為に使用した呪術は規模が大きい為、高確率で誰かに見られている可能性があった。

 

彼は隻眼の黒竜の情報を集める為に、昼は図書館に籠り、夜には酒場で歌を歌う。そんな日々を繰り返していた。ダンジョン内の町で殺人が起きたり、ある少年がミノタウロスを倒して二つ名をもらった等の話を小耳に挟んだがそんな事は気にならない。

 

「お前は……トーリンか?」

 

「まさかこんな所で会うなんてなリヴェリア」

 

とても広い図書館でリヴェリアと出会った。

 

「お前にも本を読む趣味があるとはな」

 

「なんだ?そんなに意外だったか?」

 

「いいや」

 

そう言ってトーリンの周りを囲んでいる積み上げられた本を見るとその中にはオラリオの歴史に関する本や童話の本、図鑑もあったが竜に関する本が多くあった。

 

「お前はドラゴンが好きなのか?子供っぽい所もあるんだな」

 

「好きなんじゃない…俺は竜を崇拝しているんだ」

 

「……余りそれを言わない方がい「要件は?」ぞ」

 

「要件はなんだ?たまたまとは言わせないぞ。確かお前はファミリアの幹部の立ち位置だったよな。忙しそうなお前がなんで俺に会いに来た?」

 

そしてリヴェリアはトーリンの向かい側の席に座り、こう話す。

 

「怪物祭である街道に巨大な火柱が何本もたったんだ。あの火柱が何かは私や他のファミリアはの団員は知らないが神々の間ではそうとう問題になっているらしい。ロキも見ていたらしいがあの日以来消極的になったんだ」

 

リヴェリアはそう言いながらロキが言い放った言葉を思い出す。

 

''あれはこの世のものやあれへん…あんな地獄みたいな叫び声は……あぁぁぁ

あんなん…あんなんって''

 

(デーモン共の声を聞いたんだな。もしくはイザリスの魔女の叫びか……とにかく嵐を起こすのは間違いだったな)

 

「それで、レフィーヤとティオネ、ティオナに聞いたんだあの火を出したのがお前だと」

 

トーリンは読んでいた本を閉じ彼女と向き合う。

 

「なぁ、お前は一体なんなんだ?」

 

「知っても良いことは無いし、お前はまず信じない」

 

 

 

トーリンが図書館から離れ酒場に戻りステージの掃除をしているとカウンターに数人のウェイトレスと女主人、女神らしき少女と1人の白髪の少年がいた。

 

「ミアさん、なんの話をしてるんだ?」

 

「あぁトーリンかい。実は面倒な事が起きててね……」

 

 

 

 

【戦争遊戯】(ウォーゲーム)

 

ファミリアの間でルールを定めて行われるファミリア同士の決闘であり、神会で事前に手続きや勝負形式、勝利後の要求などの取り決めを行い、戦争遊戯に敗北した神は勝利した神の要求を絶対に応えなければならない。勝負形式は一騎討ち、攻城戦など様々ある。

 

「で、それに出るのがヘスティア・ファミリアの白髪とその他メンバーってわけか」

 

『喰らえ』

 

「はい。そうなんです。だからウォーゲームの前にヘスティア様とご飯を食べようと思って」

 

『力を示せ』

 

「そうなんだぁ〜今日はベルくんの奢りなんだ!」

 

『存在を知らしめろ』

 

「だったら沢山食べて力を付けないとニャ」

 

『叩き潰せ』

 

男女問わず混ざりあった声がトーリンの頭に響き渡る。何故だろうか。本人の意志関係なく口が動く。

 

「なぁ…出来たら俺もウォーゲームに参加したいんだがいいか?」

 

「っえ?!良いのかい?!やばいよベルくん、今日で私の運尽きるかも!」

 

「ヘスティア様、お、落ち着いてください!」

 

(あれ?なんで俺……こんな事を)

 

 

 

これから始まる戦争遊戯、様々な神々が観戦をする中、一部の神、人、種族の記憶に封じ込めていた恐怖が蘇ることになる。彼の体に宿るのは彼自身か、それとも貪食竜なのか……




貪食ドラゴンはねぇ竜王なんですよ……竜の王なんですよ。戦に惹かれない訳が無いでしょ…


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第16話:戦祭り

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:竜王の大斧
:黒竜の大剣

左手武器:黒鉄の大盾
:ゴーの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


''3つ数える 息を吸う 3つ数える 息を吐く''

 

「それは何かの呪文か?」

 

岩陰に隠れていたトーリンに豊穣の女主人のウェイトレスのリュー・リオンが話しかける。

 

「まじないみたいなもんだ。心を落ち着かせる為のな……しかしまさかお前もこの遊戯に参加するなんて意外だな」

 

「それはコチラのセリフだ」

 

トーリンが酒場で歌を歌う事になってからそこで働いているウェイトレス達とは『気軽に話せる友人』関係になっていた。だが彼の目は彼女達が只者ではないと見抜く事が出来なかったようだ。

 

「トーリン、お前はなぜヘスティア・ファミリアに協力を?」

 

「酒場の客が減ったら困るだろ……それにあの女神はなにか…いや、なんでもない」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

「それでは戦争遊戯、スタートッ!!!!」

 

実況者の声と共に戦いのゴングが鳴り響く。

 

「遅れをとるなよ」

 

「俺は見た目によらず速いぞ」

 

2人は岩陰から飛び出て城を囲んでいる高い壁まで走る。

 

「弓隊構え!!打て〜!」

 

壁の上に並んでいた弓隊が矢を発射する。リューは身軽なステップで避け、壁を飛び越えた。そしてトーリンはというと……

 

「あの黒鎧にとにかく矢を当てるんだ!」

 

彼は武器を持たずにただひたすら走り矢を受けていたがそのほとんどを硬く重い鎧が弾いていく。彼が城の門に近付くまであと数メートル。

すると油を塗って火を着けた矢をトーリンに放たれた。

 

「そのまま焼き殺せ!」

 

「ちょっ…殺すのは不味いんじゃ」

 

「知るか!殺せなくても動けなくでき…れば」

 

弓隊を率いる男がトーリンを見下ろすと巨大な大斧を両手で持ち振りかぶっていた。

 

「火矢か。大間違いだ!!」

 

大斧を城壁に叩きつけるとまるで投石器によって投げられた石が壁に衝突する様な音、そして竜の咆哮のような音が響き渡り城壁に大穴を空けたのだ。

 

「来い!!雑兵共!!俺が相手になってやる!」

 

大斧を振り回して敵を蹴散らしていく様は神々の目を引いた。

 

「ったく…俺達の出る幕ないんじゃないか命」

 

「ヴェルフ殿、彼がなんであれ私達は出来ることを成すまでです」

 

「そんじゃ行くとするかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

''ひとつ昔話をしましょう。滅びた国で産まれた子供がいました。彼は苦しい生活を送りながらも常に愛情を注いでくれた母を愛していました。そして月日が流れ、少年から青年に成長した彼は母と約束したのです。『必ずバーニスを蘇らせる』と。彼は母から離れ国を蘇らせる為に必要な人材を探しに行きました。彼は優しかった。どんな相手にも心を開き、助け、どんどん人を集めました。その中に賊が紛れていると知らずに……

 

彼は皆を導く人となり、人々は彼を信じました。ですがその信頼が彼に重くのしかかってしまうのです。国の再建が進んだ頃、それは起きました。紛れていた賊共が裏切り男女だけでなく子供にまで手を出し、命と金品を盗もうとしたのです。戦える者を率いて彼は賊の集団と戦いました。しかし結果は……

彼は勝利を手にしました。彼だけが生き残って。母との約束を守れず、彼は心の支えが脆くなってしまいました。家に帰る彼でしたが悲惨な光景を目にした事で支えが倒れてしまいます。母は抵抗するも1人の賊と相打ちになり床に倒れていたのです。彼は母を胸に抱き寄せて泣きました。

 

 

彼は母を土に埋め、故郷を離れました。まだ生きているかもしれない本当の最後の家族を探しに…1枚の血がこびりついた手紙を手に持って。''




【血濡れた手紙】
ある男が肌身離さず持っていた血濡れた手紙。こびりついた血は何時まで経っても乾かず生暖かい。そしてこの手紙には母の愛情が書かれていた。

''貴方は私の可愛い息子。その事実は決して変わらない。どんな不幸、困難が貴方に振りかかろうと貴方はきっと乗り越えられる。もし辛い事があったら深呼吸して。3つ数える 息を吸う 3つ数える 息を吐く 簡単でしょ。後は歌を歌えば気分が晴れるわ。私と作った歌を忘れないでね。誰よりも貴方を愛してる……

貴方の母、アイビーより''


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第17話:世界を渡った侵入者

兜:真鍮の兜
鎧:真鍮の鎧
手甲:真鍮の手甲
足甲:真鍮の足甲

右手武器:エストック
:

左手武器:パリングダガー
:暗月のタリスマン

指輪:暗月の司祭の指輪
: 暗月剣の誓約指輪

使用アイテム:エスト瓶
:
:

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)



太陽に照らされ黄金に輝いていたかつては栄華を極めた都、アノール・ロンド。しかし今では人々の活気はなく、そこにいたほとんどの神々がその地を去り、今では極小数の神しかいない。そしてアノール・ロンドに隠されている様な場所にある暗月の霊廟で、霧の前に跪き主神の言葉を待つ1人の女騎士がいた。

 

『よく来てくれた……我に仕える暗月の騎士よ』

 

「グウィンドリン様、お呼び頂きとても光栄です」

 

『頭を上げよ。今回お前を呼んだのはお前にある事を頼む為だ』

 

自分が仕える神から直々の頼みに女騎士は唾を飲む。

 

『灰の湖は知っているな?』

 

「はい。古竜の生き残りが鎮座している場所…この世界や別の世界の出入口である大樹が何本もそびえ立つ場所ですね」

 

『そうだ…今回お前には別の世界に行って、ある女神を殺す事を頼みたい』

 

「神を……殺す?なっ、なぜ別世界の神を殺さねばならぬのか理由をお聞きしても?」

 

『1人の神がこの世界に侵入したのだ。本来、己の世界から別世界に渡る為にはその世界の神に交信してあちら側に大樹に入るための出入口を作って貰わねばならない。だから大樹の事を知る神はとても少ないのだ』

 

「交信という事は…もしやその侵入した神が貴方に交信をしたのですか?」

 

『そうだ』

 

「一体何を話されたのですか?」

 

『……その神はこの世界を助けたいと、救いたいと言ってきた。しかしこの世を知らぬ余所の神を招く訳にはいかない。言わなくても我が騎士は分かるだろう』

 

女騎士は火防女であり、戦士でもある。彼女が守る篝火に近づく巡礼者と交流をし…時には敵対する事もしばしばあったが巡礼者からロードランの今の状態等の話を聞いていたので暗月の神が言う事は直ぐに理解出来た。この世のものは、他の世界では猛毒になり得る可能性が高い。もし誰かに何かを持ち出されて失敗をし被害が大きくなればこの世界の二の舞になってしまう。女騎士は改めて事の重大さを理解して主神から与えられた任務を必ず達成するために決意を固める。

 

『そういえば篝火になにか変化はなかったか?』

 

「変化……そういえば少し前、篝火の火が強くなり3時間程山吹色に燃えておりました」

 

『(もしかするとあちら側にいる火を司る神が無理やり道を作ったのかもしれないな)分かった。では今すぐに灰の湖に向かってくれ。着いたら私が浜辺に小船を置く』

 

「はい。直ちに湖に向かいます」

 

女騎士は立ち上がり霧から離れて行こうとすると神に呼び止められる。

 

『待て。ひとつ言い忘れていたが……もしかするとあいつがあちら側にいるかもしれぬ』

 

「あいつとは?」

 

『黒鉄といえば分かるだろう。あの時倒したかと思ったが………侵入してきた神と私があいつにトドメを刺すタイミングが重なりあいつのソウルが篝火に戻れずにあちら側に流れ着いた可能性がある。連れ戻せ』

 

「はいグウィンドリン様。あとお聞きしますが侵入をした神の名は分かりますか?」

 

『…名はフレイヤそれしか分からない』

 

女騎士が霊廟から離れた後、暗月の神はポツリとつぶやく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『彼女が元彼であるあいつを殺さずに連れ戻せるだろうか』




エルデンリングトロコン出来たから、久しぶりにダークソウルリマスターやろうかなぁ。


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第18話: 楔の悪魔

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:竜王の大斧
:黒竜の大剣

左手武器:黒鉄の大盾
:ゴーの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


城内の敵を蹴散らしながら徐々に中へと進むトーリンは戦いの中で少しだけ嫌な気配を感じていた。それは小さくあまり害がない様な感じだが、まるでコップ一杯に注がれた水が溢れそうな気配でどこか嫌悪感を感じる。

 

「おい黒鉄!!俺達はそろそろベルの所に先に行くから後は任せたぞ!」

 

「あぁ分かった!」

 

ヴェルフに続き命、リューが城内の奥に行くのを確認したトーリンは城門付近で倒れている冒険者達目を覚ましてが中に入らないように城の入口の壁を大斧で叩き砕いて崩して塞いだ。大斧を肩に担いで長い廊下を歩きながら不器用に口笛を吹いて体にまとわりつく嫌な気配から気を紛らわせようとする。

 

「〜〜♪〜〜〜♪……はぁ、なんなんだこの気配は。なんでこんなに体が嫌がっているんだ?この先に進むことを……」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

「「「ファイヤボルト!!!!」」」

 

その叫び声と共に敵大将がいる部屋の地面から巨大な雷が登り、辺りを吹き飛ばす。

 

「な、なんだとぉ?!」

 

アポロン・ファミリアの団長であるヒュアキントスがそういった途端、部屋が崩れ彼を守っていた団員達が瓦礫に埋もれてしまった。砂ぼこりが立ち上る中唖然としたヒュアキントスだったが煙の中から人影が見えた事で直ぐに剣を抜く。しかし、煙から出てきたベルのあまりにも素早い動きに対応出来ず胸を短剣で斬られてしまう。が、お構い無しにヒュアキントスは剣でベルを突く。その瞬間を見逃さなかった白兎剣を避けて短剣で彼の剣を折ったのだ。七日前に叩き潰したあの少年。負けるはずがないと過信していた彼は後退りしてしまう。

 

「……誰だお前は…」

 

ベルがすかさず追撃をしようとするが横からいつの間に瓦礫からはい出ていた女団員が彼の腰に抱き着いて動きを封じる。

 

「離して下さい!」

 

ベルの身動きが取れなくなっている間にヒュアキントスはすぐさま詠唱を始める。

 

「【我が名は愛、光の寵児。我が太陽にこの身を捧ぐ】!」

 

「【我が名は罪、風の悋気。一陣の突風をこの身に呼ぶ。放つ火輪の一投、来たれ西方の風】!」

 

彼が右腕を高く上げると手のひらに光が集まりやがて大きな円盤となる。

 

「【アロ・ゼフュロス】!!」

 

ヒュアキントスの右手から放たれる光輪からベルは避けようと女団員を引き剥がして避けるが避けられた光輪はブーメランのように旋回してベルに突っ込んでいく。

 

「ふははは!!逃げられると思うな!」

 

それでもベルは諦めない。彼はわざとヒュアキントスに近付いて追尾してくる光輪にファイヤボルトをぶつけて爆発させ、ヒュアキントスとベルを吹き飛ばした。

 

だがどちらも立ち上がる。体が振らつくが2人は決して視線を外さなかった。

 

「…なぜ…、諦めないんだ……!!」

 

「貴方程度に、負ける訳には…いかないんだ!」

 

「……ふざけるな…ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなぁ!!」

 

発狂するように叫び散らかすヒュアキントスはポケットから何かを取り出す。それはとても黒い平べったい石でなにかの文字が刻まれていた。

彼はその石を自分の胸に当てるとその石が体に入り込み体が変形していく。

 

「一体何を?!」

 

体はミノタウロス程に大きくなり長い尻尾が生える。肌は黒光りしており硬くなっている。だが右脚だけ大きくなる体に合わせて大きくなるが左足の大きさが変わらなかったので右脚を曲げて左手を地面に着いてバランスをとる。いきなり身体が巨大化してモンスターの様な姿に変わるヒュアキントスに驚くベルだったが驚く所は他にあった。なんと首から上がいつの間にか無くなっているのだ。頭がなく右手に剣が変形した刺又を持つ異形がベルに立ちはだかった。それを見てあたヘスティア、アポロン、他の神々も驚きを隠せずにいる。

 

「ヒュ、ヒュアキントス……?ふ、ふはは!いいぞ!なんだか知らぬがその力で白兎を倒してしまえ!!」

 

「おい自分の子があんなんになってもまだベルの事が欲しいのか!」

 

2人が言い争う中、別の場所でウォーゲームを見ていたヘファイストスと彼女と同じ鍛治神であるゴブニュの2人の鍛治神は目を見開き異形の怪物を見つめ言い放つ。

 

「「何故あれから古い鍛治の神の魂が感じられる(の?のだ?)」」

 




はいここで楔のデーモンさんのお出ましでございます。楔のデーモンと言えばセンの古城の地下にいる4体の楔のデーモンに会った時は心臓バクバクで逃げ回った記憶があります。最終的に死にましたがw
多分僕が1番嫌いなモブです。楔マラソン大変でしたし。


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第19話:火は人の魂を写す

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:呪術の火
:黒竜の大剣

左手武器:黒鉄の大盾
:バロールの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


アポロン・ファミリアの団長、ヒュアキントスがモンスターの様な怪物に変形した瞬間からヘスティア・ファミリアは窮地に追い込まれていた。城に攻め入り、敵を撹乱し、敵を足止めしてくれた仲間達の為に素早く決着をつけなければならないというのにベル・クラネルは目の前で怒っている予想外の事態に焦りを感じていた。

 

(この1回に全てを掛けてここまで来れたのに!ここで退いてしまえば敵は体制を立て直すから奇襲が出来なくなる……)

 

怪物はベルに向かってジャンプをしてベルを踏み潰そうとするがベルは後ろにローリングして躱す。長い尻尾と刺又の薙ぎ払い、それを避ける為に怪物から距離をとっても怪物は雷を発射してベルを攻撃する。怪物の強靭な岩の皮膚はベルの持つ短剣の刃を弾く為、ベルは怪物の猛攻を避ける事しか出来なかった。こうしている間にも仲間達の体力は減っていき、いつかは敵に捕まってしまう。だからこそ早く勝たないといけないのに……

怪物の攻撃をベルが避ける光景を観戦している人々が見守る中、1本の槍…いや矢が怪物の左腕の肩を貫いた。左肩が砕けるもすぐに再生を始める怪物とベルは巨大な矢が飛んできた方を見ると彼はいた。大弓に埋め込まれている紅い5つの宝石が妖しく光り、固定された矢に流し込まれている。

 

 

【バロールの大弓】

深層第二の階層主「バロール」の大弓。

弓幹に埋め込まれている5つの赤い宝石は強い魔力を込めており、矢にその魔力を流し込んで撃つ事でその力が開放される。

 

 

「……お前には二度と会いたくなかったよ。楔のデーモン」

 

矢がまた放たれ、楔のデーモンの胴体を突き抜けるがすぐに再生してしまう。

 

「イザリスの所にいる奴より柔らかいな。おいベル!一旦お前は周りに倒れている奴らと隠れている奴をここから避難させろ!!コイツは俺がやる」

 

「!わっ分かりました!」

 

「後で詳しい話を聞かせてもらうからな!!出来るだけ早く戻ってこいよ!」

 

ベルが倒れている団員達を抱えてこの場を離脱するのを確認したトーリンは大弓をソウルにしまい大盾と黒竜の大剣を装備する。

 

「さぁ……かかってこいよ」

 

『………!!!!』

 

どこから出しているか分からない叫び声を上げた楔のデーモンは手に持つ刺又をトーリンの頭上に振り下ろすが、そんな見え見えの攻撃をトーリンは左手に持った大盾で弾いてもう片方の手に持った大剣を横に振り楔のデーモンの胴体を叩き切る。しかし楔のデーモンは怯まない。これは持久戦だ。トーリンのスタミナが尽きるか楔のデーモンの体力が尽きるかの。

 

(早く決着をつけたいが生憎呪術が使えない。神々が見てるからな)

 

もしここで呪術を使用すればデーモンをすぐに倒せてもそれを見た無名の神々は……ほとんど発狂するだろう。

そう考えているとデーモンの尻尾薙ぎ払いに盾受け出来ず、近くの瓦礫の山まで吹き飛ばされてしまう。

 

「くっっそ…痛てぇな」

 

瓦礫から這い出でたトーリンはすぐさま楔のデーモンの追撃を大盾で受ける。

 

「攻撃パターンが全然違うのは困ったな…張り付きができない」

 

そしてトーリンは覚悟を決めた。

 

「仕方がない…そろそろオラリオから離れようと思っていたんだ。神々の目に焼き付けてやろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呪術の炎を」

 

 

 

 

''火は、操る者の魂から形作られる。どういう意味か分からない?全く馬鹿弟子は……

つまり私が言いたいのは火は鏡だという事だ。火は人の魂を写し自身が信じる物や人に形を変える。火は気まぐれでいつそれが起きるのか分からない……私か?私を写した火は『地獄花』だったよ''

 

 

 

彼の手から放たれた渦を巻く炎、その炎から苦しみ、悲しみの叫びが聞こえる。その炎は怪物に巻き付き炎から溢れる溶岩に焼かれていく。

あろうことか巻き付く炎は形を変え腕を2本生やして頭が作られる。その姿はまるでセンの古城を守る蛇人のようだった。

 

 

 

 

 

 

【なぎ払う混沌の炎】

イザリスの魔女とその娘たちを飲み込んだ

混沌の炎の業。

混沌の火炎の鞭でなぎ払う。

 

なぎ払う炎は、娘たちの中でも

年長の姉たちの業であったようだ。




アンケートを終了させました。この物語に登場するトーリンはどのファミリアにも属さない事になりました。追加でもうひとつアンケートをやらせてください。全てエルデンリングとダンまちのクロスオーバーです。


どうしても主人公の顔が書けなかったのでエルデンリングのキャラメイクで顔を作りました。これが主人公の顔です。

【挿絵表示】


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第20話:さらば楔よ…託される短剣

兜:黒鉄の兜
鎧:黒鉄の鎧
手甲:黒鉄の手甲
足甲:黒鉄の足甲

右手武器:呪術の火
:黒竜の大剣

左手武器:黒鉄の大盾
:バロールの大弓

指輪:籠愛と加護の指輪
:狼の指輪

使用アイテム:エスト瓶
:竜頭石
:遠眼鏡

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


蛇人の形に変化した炎が楔のデーモンを焼いた後、炎から溢れた溶岩は消え、焼け爛れたデーモンが残る。岩のような肌にヒビが入り体が崩れていく。

 

「さて、最大火力の呪術を使ったんだ。雲隠れを考えない……と…?!」

 

原型を保っていない崩れた体の山をちらっと見てみると下に垂れた腕が見えていた。恐る恐る積み重なった石を退かしていく。すると気絶したヒュアキントスが出てきた。

 

「な、なんで楔からコイツが……ありえない」

 

「トーリンさん〜!」

 

避難していたベルがトーリンの元に駆け寄り倒れているヒュアキントスを見て呟く。

 

「勝てたんですね僕達」

 

「……なぁ、ベル。1つ教えてくれ。こいつはどうやって怪物になった?」

 

「えっと、ポケットから平たい石を取り出して…その石を胸に押し付けたんです。」

 

「色は?なにか刻まれていたか?」

 

「黒い石で、遠くて読めませんでしたが確かに何かが刻まれてました。」

 

「そうか……済まなかったベル。本来はお前が倒すべき相手なのに」

 

「いえ、気にしないでください。僕はまだ弱かったそれだけです」

 

「そうか…あぁそうだベル。これをお前に」

 

そう言ってトーリンは自身のソウルから白い短剣を取り出した。

 

「これは礼だ。受け取ってくれ」

 

「え、えっと、ありがとうございます。あの、この短剣の名前はなんですか?」

 

「プリシラの短剣だ」

 

「プリシラの…短剣。あの、プリシラの意味は?」

 

「ただの少女の名前だ。気にしなくていい。だがお前に身の危険が起きた時、彼女はお前を守ってくれる」

 

ベルが手に持つ白い短剣にトーリンは手を添えたがすぐ離してベルと共にその場を後にした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ウォーゲームは幕を閉じた。ギルドの主神ウラノスが手を加えた戦場の戦いを見た神々と人々は満足した。ウラノスはヒュアキントスが怪物に変形した後の映像をすり替えベルがあの怪物を倒した偽物の映像を見せた。本当の結末を知るのはウラノスと右腕のフェルズだけだ。

 

「見たか。あの炎を」

 

「見ました。あの様な禍々しい物…生まれて初めてです」

 

「彼奴が使用した武器、彼奴の戦い方、相当な修羅場を切り抜けてきたのだろう。フェルズ、1つ頼めるか」

 

「嫌な予感がしますがあなたの為なら」

 

「彼を、トーリンを連れてこい。だが気をつけろ。あの偽り映像を既に見破っている神がいるかもしれん」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

バベルの塔の最上階で美を司る女神フレイヤは黒鉄の鎧を纏う男に怒りを向けていた。

 

「もう少しであの子の魂をもっと輝かせられたのになんで邪魔が入るの!」

 

テーブルに置かれ、果実が盛られた金と銀の皿やワイン瓶を地面に落とす。

 

「ふぅ……まぁいいわ。まだまだあの世界から持ってきたものがあるから、これらを使ってもっとあの子を強くして私のモノにするの」

 

トントン

 

「失礼します。フレイヤ様、なにか大きな音がしたのですがなにかございましたか」

 

「いえ大丈夫よオッタル。……1つ頼みたい事があるのだけれど良いかしら」

 

「フレイヤ様の為ならば」

 

「ウォーゲームに出ていたあの黒鉄の鎧を着た男を……殺しなさい」




ということで無事に第20話まで書く事が出来ました。ここまで読んでくれた皆様、本当にありがとうございます!(´▽`)
これからも書いていくつもりなので楽しみにしていてください。
後感想も書いて頂ければ励みになりますm(_ _)m


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第2章:暗月の剣と竜のウロコ
第21話:瞳に映るのは真鍮の騎士


兜:真鍮の兜
鎧:真鍮の鎧
手甲:真鍮の手甲
足甲:真鍮の足甲

右手武器:エストック
:

左手武器:パリングダガー
:暗月のタリスマン

指輪:暗月の司祭の指輪
: 暗月剣の誓約指輪

使用アイテム:エスト瓶
:
:

(主人公の装備や武器は毎パート変わったり変わらなかったりします。)


太陽が地上を照らす中、今日も迷宮都市オラリオは賑わっていた。人々が笑い合い、冒険者達がダンジョンへ赴くいつもと変わらない日常。そんな中、ある館の一部屋で机に置かれた2本の短剣を布で磨く白髪の少年がいた。

 

「ベルく〜ん、入るよーってまたその短剣を磨いてるの?」

 

「はい。トーリンさんがくれたこの短剣、磨けば磨く程綺麗になっていくので磨きがいがあるんです」

 

「全く…僕があげたナイフも大事にして欲しいんだけどなぁ!」

 

「す、すみません。ちゃんとヘスティア様から貰ったナイフも大事にしてますよ!」

 

ヘスティアはベルの顔を覗きながらため息をつく。

 

「はぁ〜、まぁいいけど……にしてもあのバケツ頭どこに行ったんだろうねぇ」

 

「バケツ頭って…」

 

戦争遊戯が終わりヘスティア・ファミリアは手に入れた館で宴を開いた際、そこにはトーリンの姿はなかった。その日から何日か経過し、ベルは酒場に顔を出したがそこにも彼の姿はなく、シルに聞いてみると戦争遊戯が終わってから行方が分からなくなったらしく今でも酒場のシフトのないウェイトレス達が時間がある時に都市を歩き回り探しているらしい。

 

「それで、ヘスティア様はなんの用で来たんですか?」

 

「あっ、そうそう。さっきね、うちのファミリアに入りたいっていう人が来たんだよ!他のみんなはいないし、玄関で待たせてるから早く対応して!」

 

ヘスティアに急かされて部屋を飛び出たベルは不安と期待の思いを胸に抱きながら玄関へと向かった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「お待たせしてしまい申し訳ございません!ヘスティア・ファミリアの団長、ベルクラネルです!」

 

「こちらこそいきなり押しかけて済まなかった。セレナだ。よろしく頼む」

 

ベルが彼女に握手をしながら彼女の容姿を改めて見た。全身に真鍮のような金に輝く鎧を着込んでおり、顔を隠している兜には何故か少女の面影があるように見えた。

 

「早速で悪いんですけどこれから入団試験を行いますので広場まで案内しますね」

 

「あぁよろしく頼む」

 

2人は広場に移動した後、ベルはセレナから距離をとり、試験の内容を説明した。

 

「これから行う試験は簡単です。僕に勝ってください、それだけです」

 

「随分と自信があるのだな」

 

「さぁ武器を構えてください!貴女の強さ、見させてもらいます!」

 

「女だからといってあまり舐めない方がいいぞ少年」

 

そして2人は互いに鞘から剣を抜いて構えた。

 

 

【エストック】

最も大型の刺剣

鎧ごと騎士を刺し貫くための武器

 

その硬い刀身には刃もあり

斬りつけて使用することもできる。

 




皆様お久しぶりです。6月の期末テストが終わり、そろそろ書こうと思っていたのですが中々やる気がでず、ダラダラしていたらAmazonで頼んだダークソウル3が届き、時間を捧げた結果ハーメルンの事を忘れていました。すみません。ですがこれを投稿したという事はまたこの小説の話が進むということです!!では皆様、投稿頻度は遅いですがまたよろしくお願いします!!


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