スキマ妖怪と犬山まな (島田愛里寿)
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プロローグ
ヒロアカ×知波単とかも構想してます!!
妖怪。
それは説明のできない怪しい生き物・怪現象の総称である。
しかし現代ではそのほとんどが科学で説明づけられて、妖怪の存在を信じない者がふえてきている。
しかし、そんな時代においてもいまだに解決できない事象はいくつも存在する。
代表的なのが『神隠し』だ。
この物語はそんな神隠しをつかさどる、とある大妖怪に転生したとある人間の物語である。
「ふんふ~ん♪」
彼女の名前は犬山まな。東京都・調布市に住んでいる中学一年生だ。
彼女は人一倍正義感が強く好奇心も旺盛で、妖怪に大変興味を持っている。
そんな彼女は今日も鬼太郎たちとすごして、異界・ゲゲゲの森から家路についていた。
「今日も楽しかったな~♪って、ん?」
そんな彼女の前にある女性がいた。
彼女は八卦の萃と太極図を描いた中華風の服を着てリボンの巻かれたZUN帽をかぶっていた。
「あ、あの~?どうしたんですか??」
まなは彼女が道に迷っていると思い話しかけた。
「あら?ええ。駅近くの商店街に行きたいのだけど…」
「あ、だったら案内しますよ!」
「あらあら。ありがとうね?」
そう言ってまなは女性を案内していった。
(あらあら…私の術を見破って大人の女性として接する人間なんて久々に見たわねぇ…。ということはこの子は妖怪と深くかかわっているということ…面白い子ねぇ…)
と、その女性が考えているとも知らずに…
商店街
「ここですよ!」
「ありがとうね?あ、そうだ。はい、お礼にこれを」
「え?お札??」
彼女がまなにお礼と言って渡したのは『八雲』と書かれた赤いお札だった。
「そのお札を持っていたら厄から守ってもらえますわ。それじゃあ」
「あ、はい…」
(不思議な人だったなぁ…)
彼女はそう思いつつ、そのお札をお守りとして持ち歩くようになったが…
彼女は知らなかった。彼女以外からはその女性は女子大生くらいに見えており、付近の本屋の常連であることを…。
そして彼女は人ならざる者であるということを…。
『神隠し』
それは突然人が消えることを差し、日本を含め似たような事案は世界各地で発生している。大半が山で消えたりしているので、遭難したのだろうと現代では一笑されるが、どうしても説明できない案件も多い。例えば1939年12月10日に3000人の中国兵が忽然と姿を消した事件もあり、兵士達の行方は今もって明らかではない。(ちなみにこの事件自体が事実か疑われてはいるが‥‥)
そんな神隠しの実行者であると言われ現代でも恐れられている妖怪こそ『八雲紫』。スキマ妖怪と言われ、境界を操る妖怪であり今なお全盛期の力を有する数少ない妖怪である。
それはそんな八雲紫として転生したある人物が鬼太郎の世界で生きていき、まなたちと交流していくお話である。
次回 転生
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転生
鬼太郎要素がない今回ですが次回に現代にいきなりとんで鬼太郎要素を出しますのでなにとぞ‥‥
ここはのちに日本と呼ばれることになる島国の山中。
この地ではある事象が多発していた。
山に入ったものが前触れもなく姿を消して、突然帰ってくることもあれば帰ってこないというモノだ。
これにはどんな説明もつかず、現地の人々は『神隠し』として恐れた。
(転生って、まさか私が経験するなんてねぇ‥‥)
その張本人が彼女だ。
彼女の意識が明確になったのは、この事態になる数か月前である。
元々彼女は男性であった。
何を言っているのかわからないだろうが、現代日本に生きるごく普通な男子大学生であったのだ。
そんな彼が何故妖怪に転生したかと言うと、簡単な理由でテロに巻き込まれ、その時に死んでしまい、その際に同じく死んでしまった者たちの恨み・怨念が奇跡的に作用して、彼の魂は妖怪として数百年前にスキマ妖怪として生まれ変わったのだ。
「ふぁぁぁ…」
「あら?相変わらず暇そうね、フフフ‥‥」
「あなたに言われたくないわよ…。こんなところにいたら穢れが移るわよ?」
そんな山にある紫の仮住まいに顔を出してきたのは八意永琳だった。
「あなたに言っておかなきゃいけないことがあってね。しばらくしたら私たちは月に移住することになったわ。穢れが予想以上に増えてきていてね」
彼女と紫の関係はこうである。
転生してしばらく混乱していた紫(といってもこのころの姿はマエリベリー・ハーンそのものだが)があまりの空腹と妖怪としての本能から神隠し(といっても隙間に落とすか引きずり込むかして捕食して恐れ・恐怖を得ていたのだが…)をしていた際にこのころはいまだ地上に住んでいた月の民を捕食しており、その捜索にきた八意永琳と鉢合わせして戦闘をして以降の腐れ縁なのである。
「あらそう。まぁ気を付けてね?‥‥そう言えばあのきわどい軍服の規定直してなかったの?」
「‥‥上の方針で変えられなくてね」
そう。実はこのころの月の民の兵士や高官に支給される制服はきわどい物が多く、紫も最初はドン引きしていた。これが基準であったが好き好んで着ているのは新兵だけのようで、八意も本意で着ているわけではなかったようだ。
(対魔忍を考えてください)
しかもまだ新米だったころの綿月姉妹もそれを着ているので紫としては戦い辛いことこの上なかった(対魔忍のアサギの服の色違い)。
ちなみにそれを「あなた達痴女なの?」と真顔で指摘したら姉妹は崩れ落ち、八意も苦笑いしていた(姉妹も内心恥ずかしいと考えていたようで初接触の後は私服で来るようになった)。
「そう?気を付けなさいよ」
「それをあなたに言いに来たのだけどね。あなたはこれからどうするの?」
「妖怪として過ごすだけよ」
そうしてこの数週間後、月の民は月にわたっていった。
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第一話
ちょっと短いかもしれません。
さてそんなこんなありつつ現代。
ここはとある空間に作られた八雲家の屋敷。
「紫様。どうかされましたか?」
「あら藍。ええ、少し昔のことを思い出していたのよ」
転生したばかりのころのことを思い出していた紫に声をかけてきたのは、紫の式神の一人にして式神衆の筆頭格である八雲藍である。
彼女は地獄に封印されている玉藻の前の実の妹にして異世界の日本を沈めかけた白面の者その者である。
なぜ玉藻の前の妹である彼女が白面の者であり、紫の式神になった経緯はこれから語られるだろう。
「そうでしたか。そう言えば先日街に出かけて行ってからやけにご機嫌のようですが、なにかあったのですか?」
「ええ。久々に私の妖術を見破った人の子がいたのよ」
「はぁ!?」
この紫のセリフを聞いて藍は驚愕した。紫の妖術はかつて藍が直々に鍛錬をし、さらに紫の独自理論によって大妖怪でも見破れるのはごくごく少数のみというほどのレベルである。
そんな紫の妖術をたかが人の子供が見破ったなどと冗談でも信じられなかった。
「そ、それはまことですか!?」
「ええ、それに彼女からはかすかだけど妖力も感じたわ。おそらく妖怪と知り合いか親しい関係なのでしょうね」
「このご時世に未だにそのような人材がいたとは…」
「面白いでしょう?」
紫の肯定する返答に唖然とする藍に紫は新しいおもちゃを見つけた子供のような屈託のない笑みを浮かべて言ってのけていた。
・調布市 ゲゲゲの森 鬼太郎の家
「これが?」
「ええ、まなが道案内したその謎の女性にもらったお札のうちの三枚だそうよ」
ゲゲゲの森の中にある鬼太郎の家では鬼太郎・目玉おやじ・猫娘・砂かけ婆・子泣き爺がつい先日まなが紫からもらった『八雲』と書かれていたお札のうちの三枚を見ていた。
あの後まなはそのお札がなんとなく気に入って、紫の忠告通り肌身離さず持っていたのだが、猫娘がまなと偶々街中で会った際にその膨大な妖力に驚いて、まなを問い詰めて事情を把握。
その後、ごねるまなを説得して三枚だけもらってきたというわけだ。
「ふ~む…。どこかで見たような気がするんじゃがなぁ‥‥」
目玉おやじはどこかで見た記憶があるようだが、誰が作成したお札か思い出せないようだ。
そんな感じでゲゲゲの森の面々が悩んでいたが、一方のまなはお札を持っていると野良妖怪に襲われることが減ったのでいい物もらえたと喜んでいたという。
実はこの『八雲』と書かれたお札、紫が信用を置いた人物か面白いと思った人物にしか渡さないお札で、妖怪らへの警告も意図されていたのだが、近年そのことを理解できている妖怪は少ないので、お守りのような機能を紫がつけていたのだ。
次回 原作開始
次回のあとがきで式神衆の説明を入れようかなと思ってます。
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設定
設定は追加で書くかもしれません
・八雲紫
人類が生まれる以前から現代まで存在する数少ない妖怪の中でも有数の実力者。その実力への尊敬から『妖怪の賢者』とまで言われている。
彼女自身は転生者であり、祖国日本が好きだったこともあって各地で妖怪に関する知識や事柄に介入したことがあっただけなのだがその行動すべてが尊敬されてしまったので半分あきらめている。
彼女は前世の価値観からか見捨てることができない性格で東方原作の八雲紫よりも多数の式神を抱えている。
実力としては鬼太郎なんかは一瞬で蹴散らせるが強すぎる実力は自覚しているのでめったに力を示さない。
普段は八雲の館と呼ばれるスキマの中に作った館で式神とともに過ごしており、日本が有事の際には日本政府…いや古来より政府の裏方を務めている勢力の長としての顔を出す。ちなみに天皇家ともかかわりがあって皇居に出入りしている姿がたまに目撃されている。
・八雲藍
九尾の狐にして八雲紫が最初に式神にした存在でもある。彼女自身は白面金毛九尾の狐(六期)の直系の妹であり、過去各地で姉に引けを取らないほど暴れまわっていたが別世界の日本で人と妖に打ち取られた強大な妖怪がたまたまこの世界にながれついたときにその妖を食らってしまおうと襲い掛かったが思念体であるにも関わらずその存在は強力過ぎて逆に返り討ちに遭い、体を取り込まれそうになっている時に紫が発見。
とはいえこれまでの悪行からただで助けるのもよろしくないと考えた紫がその妖の思念体と混合させる形で式神化。
そのため性格は両者ともに悪逆非道であったにもかかわらず礼儀正しく優秀な補佐役に。
姿と服は紫が前世の藍を参考に作ってあげた。
混合された妖…白面の者の実力と九尾の狐の妹の実力が合わさっているのでその力は姉をも優に超えていて北米大陸程度数分で壊滅させられるほどである。
さらに日本の妖怪狐の頂点に君臨しているような存在になっている。
・本居小鈴
式神の中では新米の元人間の少女。彼女は江戸と明治の間にあった鈴奈庵という古本屋の店主の一人娘であったが妖怪の本、『妖魔本』の収集が趣味であった関係で半妖化していたために紫に勧誘されて式神化。その後両親が妖怪に襲われて死亡したために他の妖魔本の保護もかねてスキマ内に店を移動。
その後、本当に必要としている人物の前にのみ現れる移動販売店のような存在となっていた。
実力はからっきしだが妖魔本『私家版百鬼夜行絵巻』を用いて百鬼夜行を召喚して戦わせているのでそれなりの実力者でもある。
・博麗霊夢
博麗神社の第六代目巫女。八雲紫の式神と言うわけではないが彼女が昔から懇意にしてきた博麗家の次期当主でもあるので巫女という妖怪退治の側であるが紫とは昔からの付き合いがある。
あくまで人と妖の間の中立の立場であるという意思を決して崩しておらず、そのせいか八雲とかかわりのない他の妖怪からは嫌われているが本人は気にしていない。
人としては最強とまで言われているがそれは博麗の術を用いているからであって先代である義理の母は肉弾戦で多くの妖怪を倒してきていたためにまだまだ義母には遠く及んでいないと思っているので格闘術等を義母から学んでいる。(義母曰く『筋肉だらけの私より、霊夢は女の子らしいからあんまり私にみたいに筋肉女になって後悔してほしくないんだが…』とのこと)
・摩多羅隠岐奈
紫とは旧知にして親友の間柄。秘神でもあり日ノ本を陰から支えている神々の総まとめ役。
日本政府等の裏方の組織にて紫の補佐役でもある。
・長尾景虎(Fateのお虎さん)
新潟にて越後の軍神とまで言われた戦国大名。史実では厠で死亡したとなっているが長年の戦いなどで妖力がたまりにたまって妖怪化、その時たまたま越後に来ていた紫に誘われて式神となった。
とはいえ他の式神とは術式が根本的に違っており、紫とは友人的な関係となっている。普段は新潟の守護をしつつ紫経由で戦いの場に赴くか酒を飲んでいるのだが、本気で戦わなければならない際には北の軍神となって戦う。
最近は彼女の戦いを見た者や助けられた人々から神社にまつられているので神格化しており、紫いわく『あと四~五十年祀られたら軍神になるんじゃないかしら?』と言われている。
次回こそ本編開始です!!
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第二話
だいたい三話あたりですかね?
さて、紫がまなにお札をあげてから数日後…
紫の姿はとある県の山中にある神社にあった。
「それで久々に来て一体何の用だ?」
「そんなに堅苦しくしないでよ。ふすまの向こうから霊夢が何事かとお札を構えているのが丸見えよ?」
「ギクッ!」
「はぁ…霊夢、何でもないから寝ていなさい」
「は~い」
そういってふすまの向こうの影は消えていった。
「で?」
「先日ね。私の姿を見破った面白い子がいたのよ」
「ほう…!」
これには紫と話している筋肉質な巫女も驚いていた。
「それで数日式神の鴉に見張らせたのだけどその子がいる街がね…妖怪だらけなのよね」
「?。今時珍しくないんじゃないか??」
「そうなんだけどそこの街は異常なレベルなのよ。一般的な街なら平均からそれ以下が一~三体いればいいけどその子の街は大妖怪レベルもたまに見かける魔境なのよね」
「なんだと!?封印は!」
「それが最近ユーチューバーとか言い伝えを信じない馬鹿が面白がってはがして封印が解かれる事態が多発してるのよね…。先日ものびあがりの封印が解かれて大騒ぎになったのよ」
「ああ、ニュースで見たぞ。霊夢が行こうとしていた時にお前が『もう終わった』って言ってきたときだったな」
「ええ。その事件の時のことを藍に詳しく調べさせたら私の姿を見破った少女と幽霊族最後の生き残りの子供とその子の父親?っぽい目玉と解決していたのよね…」
「なんとまぁ…」
その紫の話に巫女は唖然としていた。対魔・対妖怪の訓練も積んでいない一般人の少女が妖怪退治に進んで参加するなんて時代も変わったなぁと思っている様子だ。
「おまけに二~三日前にはある妖怪が見上げ入道の封印を立ち小便ではがして復活させて五万人ちかい人間の魂を食らってしまう事態が起きてね?またまたその子たちの活躍で倒されたのだけどあの子たち被害者への対処しなかったもんだから記憶操作なんかをわたしらがやんなくちゃいけなくなってね?後始末が大変だったわ…」
「ご苦労様だな。とはいえその子供と妖怪には少々警告を入れたほうがいいんじゃないか?子供の方は最悪の場合自己責任としても後処理をしないとは事件解決を行う者としては失格だぞ?」
「そうね。今度そいつらが住む森に使いを出させるわ」
そう言って紫は会談を終わらせて持ってきた酒でしばしの間酒盛りをやって館に帰っていった。
ここは博麗神社。対魔・対妖怪を生業とする裏家業の巫女たちの総本山であり、日ノ本の対妖怪戦力の切り札である。
翌日
「紫様!紫様はいずこ!!」
「う~ん…。何よ藍、こんな朝っぱらからそんなに騒いで」
八雲の館の自室にて紫は先日の博麗神社で行った酒盛りの酒が残っているので昼間まで寝るつもりだったが藍の叫びで目を覚ました。
「ああ!紫様!ここにおられましたか!緊急事態です!!」
「?」
その後、藍からの報告を受けた紫はすぐさま行動を開始した。先日から要注意人物としてマークしていた犬山まなの住む街の各地にて子供の失踪事件が相次いでいた。
この程度なら別によくあることだがあまりにも短期間かつ子供の最後の目撃現場にて微弱ながら妖気が充満していたのを藍が感じ取ったために独自に捜査したところ、三匹の妖怪が妖怪城復活をもくろんでいたことが発覚したのだ。
そのことに気づいたのは封印しておいた妖魔本が悪用されないようにとあわてて回収をしていた小鈴であった。
「それで?かかわっている妖怪は?」
「は!たんたん坊、二口女、かまいたちの三体です」
「なかなかな妖怪ね。藍、貴方が始末をつけてきてくれるかしら?」
「は!‥‥って、はい!?紫様が行かれるのではないのですか!?」
藍としては紫が始末をつけるものだとばかり思っていたので驚いていた。
「ごめんなさいね?でもちょっと面倒な相手の処理があるのよ」
「わ、分かりました。では私の式神の橙と妖狐をいくらか連れてまいります」
「よろしくね?一応まなちゃんにはお札を持ち歩くよう妖気をまとわせつつ言い聞かせておいたから識別はできると思うけどくれぐれも慎重に…」
「は!」
そう言って藍は一瞬で姿を消した。
「さてさて、あの哀れな『名無し』はどこにいるのやら…」
橙の設定は後々書きます!
次回 妖怪城での出会い
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