魁!イェーガーズ高校 (聖獅)
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魁!イェーガーズ高校!

クロ「セリュー、聞いて聞いて!」

 

セリ「なに?」

 

クロ「また凄い悪い奴見付けたよ」

 

セリ「またぁ!?こないだはこの人、高校生ってありえなくない?な覆面レスラーいたけど、ただの恥ずかしがり屋の良い人だったし。ありえなくヤバい不良って、ただのリーゼントがちょっとあれな人だっただけだし、あんたの言う悪い人って絶対違うでしょう!」

 

クロ「今度は本当だから来てよ!」

 

セリ「はいはい」

 

3年S組を覗く二人

 

クロ「見て、あの青髪の女!」

 

セリ「スレンダー美人ね・・・あの人がどうしたの?」

 

クロ「とんでもないワルよ!」

 

セリ「どこが?」

 

クロ「・・・!?セリュー・・・あたしとあんたは仲間だと思ってたのに、裏切ったわね!」

 

セリ「はぁ!?」

 

クロ「あの巨乳を見てなんとも思わないの私達の敵よ!まさか・・・あんたの大きくなったの?」

 

セリ「・・・アホ!・・・そりゃちょっと悔しいけど、もう帰るわ」

 

クロ「何言ってんのよ、あんの女絶対裏で男を手玉に取ったり、酷い拷問してたりと悪い奴に決まっているわ」

 

セリ「はいはい、そろそろ授業始まるからあたし帰るわ」

 

クロ「あ!?」

 

セリ「なに?」

 

クロ「あの女帽子かぶっている」

 

セリ「そりゃうち制服自由だし、授業中とれば良いんじゃない?」

 

その時、謎の女は後ろ髪をかき上げる・・・長い髪がたなびき絵になっている。

 

セリ・クロ「「おお~~~~・・・・んん??」」

 

髪で隠れていたがその女の首の後ろに大きなネジが刺さっている。

 

 

セリ「・・・・・・ネジ?」

 

クロ「ネジね」

 

セリ「なんでついているの?」

 

クロ「本人に聞いたら?」

 

セリ「聞けるわけないでしょ、なにか変わったアクセサリかもしれないし」

 

クロ「そんな事より、授業始まるわ、行くよ」

 

セリ「え?ちょっとあんた」

 

昼休み

 

クロ「私達はあの謎の女を追う事にしたのであった」

 

セリ「面倒臭いなもう」

 

クロ「あの女の正体を暴いてやるわ」

 

セリ「あたしもう帰って良い?」

 

クロ「あたし達、一緒に死のうと誓い合った仲じゃない?」

 

セリ「一人で死んで」

 

クロ「酷い!」

 

セリ「ん?ネジに手をやったわ」

 

謎の女は首のネジを取り、他の生徒にそこに水筒の水を入れるように頼んでいる。

 

セリ「・・・・・・」

 

クロ「・・・・・」

 

謎の女「ふう、やはり大雪山系の水は旨いな」

 

その後、腹から出した電源コードを教室にコンセントに繋げている。

 

セリ「・・・公共の電気を勝手に私物化は駄目ね・・・」

 

クロ「言う所、そこ!?」

 

セリ「ええ、うんまあ・・・」

 

クロ「じゃ言って来なさいよ!」

 

セリ「嫌よ!あの人色んな意味でなんか怖そうだもん!」

 

クロ「意気地無し!」

 

セリ「ならばコロお願い!」

 

クロ「・・・あの犬、学校にリュックサックって言ってるけど、いずればれると思うわ」

 

コロ「きゅきゅきゅーい!」

 

セリ「判った、コロ、言ってくるのよ!」

 

コロ「きゅい!」

 

コロは充電中の謎の女の所に注意しに行く

 

謎の女「?」

 

コロ「きゅきゅーーきゅきゅい!」

 

謎の女「お前どこから紛れ込んだんだ、おーよしよし」

 

コロ「きゅいきゅい///」

 

戻って来るコロ。

 

コロ「きゅい!(ドヤ)」

 

セリ「違うわよ!なに撫でられてんのよ!」

 

クロ「くっ・・・恐ろしい女ね」

 

セリ「あのさ・・・」

 

クロ「なに?」

 

セリ「あたし恐ろしい事に気付いたんだけど、誰もあの人の事、不思議におもってなくない?」

 

クロ「言われてみれば・・・」

 

セリ「人間なのあれ?」

 

クロ「・・・たぶん違うんじゃない?」

 

セリ「だよね」

 

クロ「でもさ、世の中広いからああいう人、秋葉辺りに行けばいるんじゃない?」

 

セリ「そういえばああいう人見た事あるような・・・」

 

謎の女「ふぅ・・・充電完了、これぐらいにしとくか、ダイエットも必要だからな」

 

クロ「なに?あの女、ダイエット?あたしに喧嘩売ってるわ・・これでも低カロリーのお菓子で我慢してるのに」

 

セリ「いや、違うでしょそこ。今明らかに充電完了って言ったよね、あの人、人間

じゃないよね?」

 

クロ「ロボット?アンドロイド?・・・のび太のくせにダイエットなんて生意気なのよ」

 

セリ「いやそこロボットのくせにでしょ?」

 

クロ「いや判んないわ。22世紀の丸顔ロボットだって太るのよ?」

 

セリ「あんたどんだけ漫画好きなのよ?」

 

コロ「きゅいきゅききゅい」

 

セリ「え?自分の頭撫でてくれるロボットに悪いロボットはいない?」

 

クロ「お黙り!(ビシッ)」

 

コロ「・・・きゅーい・・・」

 

 

 

 

クラスメイトの一人が謎の女に話しかけている

 

 

レオーネ「ねえ、エスっち」

 

エス「なんだ?」

 

レオーネ「前からさ・・、こんな事言うとあんた傷付くと思ってたから言わなかったけど」

 

エス「お前らしくないな、言いたい事があるならはっきり言え。私とあんたの仲だろ」

 

セリ・クロ『!!そうだ・・そこだ言え・・・!』

 

レオーネ「あのさ・・・その胸元のタトゥー?不良っぽいよ」

 

エス「こ、これくらい冒険しても良いだろ!」

 

セリ・クロ「違うだろーーーーー!」

 



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女子高生達の割と暇な日常

コロ「きゅきゅいきゅういいいきゅきゅきゅい(訳・前回と今回の間の粗筋!エスデスが仲間になりたそうにこちらを見てたので、“はい”を選択した、以上)」

 

セリ「コロ、何言ってんの?」

 

クロ「ああー暇ねー」

 

その時、教室のドアが開き、

 

エス「お前達、学園の悪者を追っているそうだな?・・・そういう輩を見付けたぞ!」

 

セリ「・・・・・・」

 

クロ「・・・あたし達ねえ、もうそういう遊び飽きたから止めたの」

 

エス「良いのか?お前達そんな事で!一度立てた目標を途中で止めてどうする?」

 

クロ「・・・どうする?」

 

セリ「はぁ・・・どうせまたいつものパターンだと思うけど暇だし付き合おうか?」

 

 

体育館の休み時間中にバスケットをしている男子学生達。

その出入口でこっそり(?)覗く怪しい3人と1匹。

 

エス「・・・・・・」

 

セリ「・・・・・・」

 

クロ「・・・・・・」

 

コロ「・・・・・・」

 

 

セリ「ねえ?あの中の誰?」

 

エス「あ、あああそこに居るだろ?茶色髪の・・・///」

 

クロ「ああ、あの?今ロングシュート決めたね・・・へぇ凄い」

 

セリ「おお・・・でもそれでどの辺が悪い人なの?」

 

エス「私達より一年下なのだ」

 

クロ「それで?」

 

エス「え?ああいや、そのとにかく観察していれば化けの皮が剥がれるから見ていろ」

 

セリ「例えばどんな?」

 

エス「一見ああいう風に普通の生活を送っているが、実は闇の殺し屋かもしれないだろ?」

 

クロ「何言っているの?あんたガンガンジョーカーの見過ぎ」

 

セリ「テレビの見過ぎだよ」

 

コロ「きゅいきゅい!」

 

エス「うっ・・・・」

 

 

放課後

 

2年N組

 

部活の為、教室で着替えをして出ていく例の男子生徒

 

誰もいなくなった後、その教室に入る3人と1匹

 

エス「この服だ、間違いない。・・・ふふふ、タツミ君のだな・・・うふふ///」

 

セリ「・・・あんた何してるの?」

 

エス「あ、これはその、ああ・・・その敵を知ればなんとやらと言うではないか?」

 

クロ「へ~~そ~~~」

 

セリ「実際、彼の何が悪い訳?・・・なんか面倒臭くなって来たから帰って良い?」

 

エス「ま、待て!」

 

クロ「大体、其の人の何が悪い訳?好い加減言いなさい?」

 

エス「・・・こ・・・・・・・・・」

 

クロ「え?なに?」

 

エス「わ、私の心を盗んだ悪人だ・・・///」

 

セリ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

クロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

コロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

セリ「帰ってカリオストロの城っていう映画見よう」

 

クロ「暇だからあたしも観る」

 

コロ「きゅい」

 

エス「ま、待て、私を一人にするな、一人じゃ恥ずかしくてストーカ・・・じゃない彼をこっそり見守れないだろうが!」

 

セリ「・・・ところでさっきから握りしめてる彼のシャツどうするの?」

 

エス「こ、これはその、汗をかいていたからな、後で洗って返す。その為には替えとして新しいシャツも用意しておいたぞ、うむ!」

 

クロ「ふ~~~~ん、用意が良いんだね」

 

セリ「彼の許可は取ったの?」

 

クロ「取ってる訳無いよね?」

 

エス「う・・・いい、良いだろ?別に盗む訳じゃない。あ、後で必ず洗ってこっそり返すから」

 

クロ「・・・どうするこの人?」

 

セリ「犯罪といえば犯罪だけどね」

 

クロ「恋する人って多かれ少なかれ犯罪的な事するかもね」

 

セリ「まぁ、実際盗むけども替えも用意してるし・・・」

 

クロ「見逃すの?」

 

セリ「今回一回だけなら」

 

エス「う、うむ、一回だけだ」

 

セリ「んじゃめでたしめでたし、帰ろ帰ろ!」

 

クロ「同じく!」

 

コロ「きゅい!」

 

※良い大人も悪い大人の方もエスデスの真似をしてはいけない

 

部活後、

 

タツミ「あれ?俺のシャツなんか新しくなっているような・・・?」

 

ラバック「は?気のせいだろ?・・・もう遅いし帰ろうぜ」

 

 

翌日

 

クロ「暇だねー」

 

セリ「料理同好会はどうしたのよ?」

 

クロ「あれは毎日ある訳じゃないの」

 

セリ「ところであのエスデス、本当何者なんだろね」

 

クロ「・・・そうよ、うっかり忘れてたけどあの人何者よ?」

 

セリ「たぶんロボット的な何かだよね?」

 

クロ「そうよ・・・絶対それ的な何かよ・・・よし思い切って聞いてみるわよ!」

 

セリ「え!?本当に聞くの?」

 

クロ「そうよ、リベンジ!!」

 

 

 

エス「ああお前達か、昨日の事は内緒でな?・・・ところで私に何か用か?」

 

クロ「ええ、セリューがあんたに話があるって」

 

セリ「そうそう・・・って、えええ!!?」

 

クロ「ほら早く!」

 

セリ「えええ、ちょっとおおお!!!」

 

クロ「女は度胸!ポテチはコンソメが一番よ!」

 

エス「いや氷結味だ!」

 

セリ「そこはのり塩でしょ・・・ああいやいや・・・」

 

コロ「きゅいきゅい!」

 

セリ「う、うん・・・エスデス、あんたひょっとして・・・アンドロイド・・・?」

 

クロ『よし言った・・・』

 

エス「・・・!?」

 

セリ「う・・・やっぱり・・・」

 

エス「・・・ふ・・・いつかばれる日が来ると思っていた・・・かつて私は喧嘩早くてな。それに伴い仲間も出来たが高校に入り大人しくして生きようと決めた」

 

クロ「・・・・・・」

 

エス「当時の私に付けられた仇名が鋼鉄氷の女(アイスアイアン・レディ)だ」

 

セリ「え?アンドロイドは・・・?」

 

エス「ん?だから、鋼鉄のように堅く冷たい女だからアンドロイドと言ったのだろう?」

 

クロ「・・・ちょっとご本人なんで気付いてないの?」(小声)

 

セリ「・・・天然だとは薄々思ってたけどやっぱり・・・」(小声)

 

コロ「きゅききゅい!」(小声)

 

エス「ん?何をそこでこそこそ話している?」

 

セリ「・・・あのーエスデスさん?他の人とちょっと違うかなーって思った事ない?」

 

エス「他人とか・・・ふむ、過去のやんちゃな事をしていた時の事以外特には無いかな」

 

クロ『駄目だこりゃ!』

 

セリ「クロメ、あたしは頑張ったわ・・・」

 

クロ「あんたの努力は見届けたわ・・・もうゆっくりお休み」

 

セリ「コロ、あたしなんだか眠いよ・・・」

 

コロ「きゅい」

 

クロ「真っ白に燃え尽きて良いよ」

 

エス「?」

 

 

 

翌日

 

クロ「・・・いやあー参ったわあれは・・・」

 

セリ「もう手の施しようが無いね・・・」

 

クロ「あの変態ストーカーロボット、自分は人間だと思いこんでいるのね」

 

セリ「もう良いんじゃない・・・本人がそれで良いなら」

 

クロ「確かに・・・あの女が何処かの科学班が極秘裏に造った都市破壊型アンドロイドとかでも、あたし達JKにはどーにもなんないからほっとこう!」

 

セリ「そだね、・・・あー今日の小テストの準備した?」

 

クロ「まだ・・・昨日彼氏と遊んでたから・・・」

 

セリ「えええぇぇぇ!!!???」

 

クロ「わっ!うるさ!」

 

エス「話は聞かせて貰ったぞ!!」

 

コロ「ぎゅい!!?」

 

セリ「うわっ、こっちからも来た!」

 

エス「クロメ、お前には彼氏が居たのか、ほぅほぅ!」

 

クロ『うわぁ・・面倒臭いのが来た・・・』

 

セリ「・・・どっから聞いてたの?」

 

エス「うむ、丁度用事があって通り掛った時、クロメに彼氏が・・・と聞こえたんでな」

 

セリ「そうそう、それよりクロメ!彼氏が居たなんていつ出来たの?」

 

クロ「・・・近所の幼馴染で・・・高校は別々になっちゃったけど、そのぉ向こうはどう思っているかはっきり判らないけど、遊びに一緒に行ったりしてるの!」

 

セリ「へーはーふ~~ん、親友のあたしに今まで黙ってたなんて・・・ああ、ウェイブ君の事か・・・!」

 

クロ「ち、ち、ちち違うわよ・・・あいつとはただの腐れ縁で・・・」

 

セリ「そうだったんだ・・・にしししし、ふ~~~~~ん、今度彼にクロメの事どう思っているか聞いてみよう!それと、クロメに彼氏が出来たって、ふふふ」

 

クロ「・・・セリュー聞いたらただじゃ置かないから!」

 

セリ「良いじゃない!この際、はっきりさせて玉砕されちゃいなYO!」

 

クロ「あんた・・・、今とてもつなく殺意が湧いた」

 

エス「・・・そうか幼馴染か・・・それだけ長い間の付き合いならお互いの事もよく判っているのだろう?」

 

クロ「そ、そうよ!互いに何も言わなくてもあいつと私とは通じあっているんだから」

 

エス「なら頼む、教えてくれ!どうやったらタツミと仲良くなれるか!」

 

クロ「ええ、・・・『仲良くなる以前にあんたアンドロイドでしょ・・・セリューなんとか言いなさいよ』

 

セリ『無理無理、言える訳無いじゃない!』

 

エス「師匠よ!」

 

クロ「うっ・・・『悪い気はしない・・・』

 

エス「・・・・・お願いします!」

 

クロ「・・・ふっ・・・仕方ないわね、これからあたしの言う事を守りなさい!但し楽じゃないからね・・・」

 

エス「判った!」

 

クロ「駄目よ、返事は“サー、か“イエッサー”よ」

 

セリ『なんかまたややこしい事になったなぁ・・・』

 

担任・ナジェンダ「こら、お前達、いつまで話している!エスデスは自分のクラスに戻れ!」



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渡る世間は鬼ばかり(約1名)

 

 

 

放課後 家庭科室

 

 

クロ「良い?男は胃袋掴んでなんぼよ!」

 

エス「イエス、マム!」

 

セリ『この人(?)も変な所で真面目だなあ・・・』

 

クロ「包丁の使い方は・・・ああ、それじゃ駄目、手で切るんじゃなくて、腰で切るように・・・そうそう、その方が繊細に包丁捌きになるの」

 

エス「イエッサー!」

 

クロ「はい、これちょっと味見してみて!」

 

エス「・・・・・・」

 

セリ『あれ?普通に口から食べてる?どうやって消化してるんだろ?』

 

エス「ちょっと塩辛い・・・」

 

クロ「ここはもう少し砂糖を入れて・・・味覚ももっと尖らせて!・・・インスタントやスナック菓子ばかり食べてたら味覚が鈍感になるから、薄味の物や色んな物を食べて味覚を鍛えるのよ!」

 

セリ「それ、あんたが言う!」

 

クロ「外野は黙れ!それよりあんた部活どうしたのよ!」

 

セリ「今日休み」

 

セリ『意外・・・、クロメも結構ちゃんと教えれるんだ・・・』

 

コロ「もぐもぐぱくぱく」

失敗作を処理しているコロ

 

その後、エスデスは真面目にクロメから料理を教わっていたのだが・・・。

 

特訓して数日後

 

クロ「さて、今日は作ったお菓子にデコレーションするわよ!」

 

エス「イエス、マスター!」

 

セリ「うんうん、ここ数日で結構サマになってきたね・・・凄いね、のみ込み早いし」

 

エス「いやいや」

 

クロ「あたしの教え方が上手いのよ・・・っで、出来たお菓子の上に文字を書くのよ」

 

エス「ど、どう書けば良い?」

 

クロ「こう書けば彼もイチコロよ!」

 

“あなたのエスデスより”と書いてしまう・・・。

 

セリ「・・・・・・・・」

クロメを見るセリュー

 

クロ「・・・・・・」ギロッ

 

セリ「・・・!」

 

エス「・・・、こ、これで良いのか?マスター?」

 

クロ「そう・・・、これで良いのよ。さぁ、エスデス、あんたには自分がやりたい事はとりあえず出来るように教えたわ・・・後はその思いの丈を彼に思いっきりぶつけてきなさい!」

 

エス「ううう・・・、有難う。マスター・・・私は必ずタツミと・・・」

 

クロ「さぁ、早く行ってきなさい・・・良い報告を待ってるわ・・・」

 

エス「うむ、では行って来る・・・世話になった、マスター!」

 

そう言って、エスデスは出来たお菓子を持って家庭科室から出ていく。

 

コロ「もぐもぐぱくぱく」

 

セリ「・・・・・・・」

 

クロ「・・・・・・ぷぷぷ、あはははっははは!」

 

セリ「クロメ・・・、あんた・・・」

 

クロ「あーーおかしーー、お菓子なだけに・・、ってなんちゃって!」

 

セリ「くっ・・・、あんたあんなの貰ったら普通、面識の無い相手なら退くに決まっているでしょう!」

 

クロ「何言ってんのよ!当たり前でしょ、そんなの?ぷぷぷくくく」

 

セリ「あんたねぇ、少しは見直してたのに・・・」

 

クロ「あたしはねぇ、人生・・ああいやロボ生?アン生?まぁ良いやとにかく、人を言う事を正しいか間違っているかを養うきっかけを教えただけよ・・・だって、あのロボット、意外に世間に疎いんだもん・・・それが面白くっておかしくって、あはは」

 

セリ「あんた・・・、ウェイブ君に今の事全部言ってやる!」

 

クロ「!!??馬鹿言ってんじゃないわよ・・・そんな事されたらあいつ怒るに決まってるじゃないの!」

 

セリ「じゃあ、早く止めきなさいよ!」

 

クロ「ふぐくくく・・・、この借りはでかいわよ!」

 

セリ「はよ行け!」

 

コロ「もぐもぐ」

 

エスデスを追い掛ける二人と一匹

 

コロ「きゅいきゅい!」

 

セリ「え?こっちから匂いがするって?」

 

屋上

 

セリ「あ、居た!」

 

クロ「?しっ、ちょっと隠れて!」

 

セリ「え?」

 

その屋上にツインテールの桃色髪の女子生徒からタツミはお菓子を貰って何やら談笑している。

 

そこから少し離れた位置にエスデスは化石になっていた。

 

セリ「・・・・・・・」

 

クロ「・・・・・・・」

 

コロ「・・・・・・・」

 

セリ「帰ろう・・・」

 

クロ「エスデス、その、なんかゴメン・・・」

 

コロ「・・・・・」

 

二人と一匹は今はそっとしておこうとエスデスに何も告げずに帰った。

 

 

 

 

コノエ家居間

 

菓子を食べながら居間に寝そべって漫画を読んでいる。

クロ「ポリポリ」

 

アカ「クロメ・・・、だらしないぞ。食べるか読むかどっちかにしろ!」

 

クロ「うるさいなぁ、お姉ちゃんは・・・小言ばっかり言ってると小皺が増えるよ」

 

アカ「なんだと!」

 

ブドー「今、帰ったぞ!」

 

アカ「お父様お帰りなさい!」

 

クロ「お父さまお帰りさない!」

背筋を正している

 

アカ「・・・・・・・」

 

コノエ家仏壇前

 

ブドー「トキコよ・・・娘達は元気に育っている・・・草葉の陰で見守っていてくれ」

 

居間

 

アカ「何故お前は父様の前では良い子ぶるんだ!?」

 

クロ「良いじゃない別に!」

 

アカ「私はお前のそういう所が嫌いだ!」

 

クロ「お姉ちゃんは要領が悪いんだよ・・・そんなんだから彼氏の一人も出来ないんだよ!ああ・・・お姉ちゃんはお父さん大好きっ子だったね、くすくす」

 

アカ「くっ・・・今日と言う今日はクロメ、許さん!」

 

クロ「ふっ・・・返り討ちだよ」

 

ドッタンバッタン

 

仏壇前

ブドー「・・・はぁー少々元気になり過ぎているが・・・年頃の娘とはこんなものなのだろうか?」

 

 

アカ「少しは淑やかにしろ!」

 

クロ「お姉ちゃんには言われたくない!」

 

アカ「ぎゃっ!」

 

クロ「ふぎゃ!」

拳骨を食らう二人。

 

ブドー「静かにしろ!お前ら!」

 

 

 

 

 

翌日

 

クロ「なーんて事があってさ。お姉ちゃんはからかい甲斐があるなあ、ふふふ」

 

セリ「ああ・・・、アカメさん?家でそんな事になってんだー。生徒会の役員もしてんだっけ?真面目な人だよねー」

 

クロ「人から頼まれたり、責任押し付けられて要領が悪いだけだよ」

 

セリ「ふ~~ん。でもお姉さんファザコンって本当?」

 

クロ「うんそう、二人とも真面目だから気が合うんじゃない?お姉ちゃんったらお父さんの為なら死ねるみたいな感じなんだ・・・でもまあ、あのお父さんに匹敵する渋い人なんて周りにそうそう居ないからお姉ちゃんの気持ちも少しは判るかな」

 

セリ「・・・それで、あんたはどうなの?ウェイブ君と?」

 

クロ「え?ええ、あたしは・・・」

 

教室のドアが開き、

 

セリ「?」

 

エス「・・・・・・・・」

 

クロ「・・・・・・・・」

 

エスデスは何も言わず、教室のコンセントの所へ行き充電し始める。

 

エス「タツミ君タツミ君タツミ君(ry)・・・・・・・」

 

 

クロ「・・・なにあれ?」

 

セリ「なんか・・・とんでもない事になってるんだけど・・・」

 

コロ「・・・・・・」

 

クロ「なに?なんか構って欲しいオーラ全開なんだけど、・・・ここはやっぱ放置すべき?」

 

セリ「あんたは鬼か!?でも・・・確かに・・・あんまり関わりたくないな・・・昨日の事、可哀想だとは思うけど・・・」

 

クロ「どだい、ロボ子が恋愛なんて無理があったに決まってんのよ!」

 

セリ「クロメ!」

 

その時、エスデスの充電が過充電となった為か、体の周りに火花が散る!

 

クロ「・・・なにあれ?」

 

セリ「ちょっと、ええ?やばいってあれ?」

 

周りのクラスメイトが何事かと見始める。

 

クロ『ああなっても誰もエスデスがロボ子とか言わない・・・?』

 

セリ「なにぼーっとしてんのよ・・・とにかく、エスデス大丈夫?」

 

エスデスの頭からボッと黒い煙が出たかと思うと、直後に倒れる。

 

クロ「あちゃー、ナムー・・・」

 

セリ「って何言ってんのよ!早く助けないと!」

 

クロ「どこ連れてくのよ?車の整備工場とか?」

 

セリ「んな訳無いでしょ!保健室よ!」

 

クロ「ロボットが保健室へ?聞いた事無いわ」

 

セリ「とにかく、そっち持って!」

 

コロ「きゅきゅい!」

 

 

保健室

 

スタイリッシュ(以下スタ)「はい、そんなの後は唾つけとけば治るから・・、保健室は休憩室じゃないのよ、はい行った行った・・・あら?」

 

セリ「先生、ちょっと倒れちゃってお願いします」

 

スタ「・・・エスデス・・・、判ったわ。あんた達その娘、ちょっとそこに寝かせて」

 

クロ「先生はロボ子の診察も出来るんですか?」

 

セリ「クロメ!」

 

スタ「・・・・・・」

 

クロ『この人・・・、何か知ってる?・・・』

 



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ぶたれたのはクロメ

 

 

 

 

「あんた達には話しておいた方が良さそうね・・・」

 

二人と一匹は固唾を呑んでスタイリッシュの言葉を待った。

 

「クロメ、お菓子食べるんじゃないわよ」

 

「良いじゃん?盛り上がりそうだし」

 

「あれは・・・昔・・・え~と何年前・・・と、とにかく、あの頃アタシは学会に罠に嵌められて・・・つらかったわ、復讐しようと誓ったのよ・・・」

 

当時を回想するスタイリッシュ

 

『ジョニー!アタシを置いてかないでー!』

 

『モウ君トハヤッテナレナイYO!』

 

「・・・それからアタシは自棄になって必死に研究に打ち込みあの子を完成させたのよ」

 

 

「なるほど・・・先生もそんな事が・・・ってぇえ?学会は?ジョニーって誰ですか?」

 

「ほぐほぐ、あのエスデスが生まれるのにそんな壮絶な、もぐもぐ・・・」

 

セリューは真顔でクロメの顔を覗き込むが・・・。

 

「とにかく、そういう訳だからこの子と仲良くしてよね?」

 

「よ、・・・良く判りませんが判りました・・・」

 

「あ、一つ言い忘れてたわ?この子の馬力129.3あるから下手に喧嘩すると大変だから気をつけなさいね?」

 

「は!?」

 

「それと小型原子炉内蔵してるから、壊しちゃ駄目よ・・・場合によりけりだけんど~壊したらこの辺一帯・・・・ドカーンっで、皆死んじゃうわよ?」

 

「は・・・・はぁあああああ???なんてもの作るんですか!?」

 

「もぐもぐ・・・やっぱりウェイブの手作りは磯臭くて美味しい・・・」

 

「先生・・・ええ?だ、だいじょうぶなんですか?色々と?」

 

「大丈夫よ、廃棄物のプルトニウムは海に・・・じゃなくて、体内でぜ~んぶ浄化されているから」

 

「・・・ロストテクノロジー・・・」

 

「ろすとてくのろじー?へぇ~・・・って、え?今喋ったのコロ??」

 

「・・・・・・きゅい?」

 

「・・・まぁ良いや、でもそれ学会に発表すれば凄いんじゃ?」

 

「そうそう、あとメンタルが傷付いても駄目よ?過度なストレスが掛かった場合、自己同一回路安定の為、自爆するから・・・そうね、例えば失恋とか」

 

 

「え?は?自分を守る為に、自爆って全然意味判りませんよ!!」

 

「リアルな乙女を作ろうしたらこうなったのよ?仕方ないでしょ!」

 

「いやいやいや?全国の乙女に謝って下さい!そんな破壊兵器造らないで下さいよ!」

 

「セリュー、それはちょっと失礼よ!」

 

「お菓子食べてただけの人には言われたくないよ!ああ・・・もうどうしよう・・・」

 

「青春は悩む為にあるのよ?じゃあ、後はこの子の事宜しくね♪」

 

「え?投げっぱなしですか!?」

 

 

そこでエスデスが目を覚まし起き上がる。スタイリッシュとセリュー、クロメ、コロを確認し、

 

「む・・・ここは?マザー・・・そうか、お前達、私をここに・・・」

 

「あら、あんたやっと気が付いたのね。もう大丈夫?」

 

「う・・・ああ・・・まぁ大事無い・・・」

 

 

「マザー・・・?ファザーじゃないんだ?」

 

「む!?今何か言った?」

 

「いいえ、何も!」

 

セリュー達のやり取りを尻目にクロメはエスデスをフォローする。

 

「ま、大丈夫よね?失恋何て明日になれば忘れれるよ?ま、あたしだったら彼が浮気したら、彼殺してあたしも死ぬけどね?」

 

「クゥ―――ロォオオメェ???あんたは励ましたいの、焚きつけたいの?どっちぃいいい!!!」

 

「フッ・・・私とした事が、見苦しい所を見せてしまったな。なに、もう問題無い。いつまでもこのような事で気落ちするような女々しい女ではないぞ、私は」

 

 

エスデスが、おもむろに背中の何処からか取りだした物にクロメは注視する。

 

「・・・包丁研ぎだしたけど、どうするのそれ?」

 

「む?か、体が勝手に。これは夕飯の食事の為にだな」

 

「あんた基本、水しか飲まないでしょ?」

 

「さ、あんた達用が済んだらさっさと帰るのよ?アタシは彼への手編みのマフラー作るので忙しいんだから、ね!」

 

セリューは有り得ない光景を見る目で、

 

「・・・え?ええええええええ???居るんですか?か、彼氏さん?」

 

「何よ、いちゃ悪い?まぁ~あ、まだアタシの片思いだけど~必ずうふふふふ」

 

エスデスは色々おかしな駆動音を鳴らし始め、

 

「く・・・片思い・・・報われぬ思い・・・ふふふ・・・」

 

「あ~あああ、とにかく、今日は家に帰ってゆっくり休もう、ね?」

 

 

ギシギシ音を鳴らすエスデスを家まで無事送り届けたセリュー達、

 

「あぁ~もうJKには重すぎる悩みだよ・・・こういう時って何処に相談すれば良いんだろ?警察、人生相談室?うちのお父さん、いっつも仕事で疲れてるからなぁ・・・難しい事なんか言わずにゆっくりしてほしいし・・・」

 

「もう~しょうが無いな~セリューは、あたしがお姉ちゃんやお父さんに相談して上手い事どうにかしてあげるから、任せなさい!」

 

「え?本当?クロメが頼りになるなんて初めてじゃ無い?」

 

 

クロメの家、夕飯時。父・ブドーが食事の用意をし一家三人で食卓を囲んでいる。

 

「クロメ・・・年上は敬うものだぞ?私は姉だぞ!」

 

「お姉ちゃんこそ、後輩に譲るっていう、年上の貫録見せてよ?それあたしが取ろうと思ってたソーセージ!」

 

箸でチャカチャカやり始め、次第にチャンバラへとエスカレートしたその時!

 

「ぐ・・・!!」

 

「ふにゃん!!」

 

父の鉄拳が頭上に彗星の如く振りそそいだ。

 

「お前ら歯ぁ食いしばれ!」

 

「いやいや、お父さん、もう殴ってるから!!」

 

「屁理屈抜かすな!!」

 

「そうだぞ、クロメ!!」

 

「お姉ちゃんのファザコン!!!」

 

 

 

翌日、学校の教室で

 

「・・・って事が有ってね?姉貴は外面だけ良いんだよ、別に肉の一つや二つねぇ?父さんだって父さんだよ?普通男親は娘に甘いのに、なんで容赦なくゲンコツふるうんだろうね・・・は!?きっとあたし本当はあそこの家の子供じゃないんだ・・・ね、どうしようセリュー!?」

 

「・・・で、クロメ・・・さん?昨日の話は?」

 

「え?どうしたらお姉ちゃんを更生出来るかだっけ?」

 

セリューはコロを使ってクロメの横っ面をビンタした。

 

「ぐふ!?・・・ぶ、ぶったね?お父さんにだってぶたれた事ないのにぃ~~~~~~」

 

教室内にクロメの悲痛の叫びが木霊した。



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無敵は素敵

「ねぇ、あんたとアカメさんってどうして同じ学年なのにお姉さんなの?」

 

「それは姉貴が4月生まれで、あたしが3月の早生まれだから・・・小さい頃は年上

だと思ってたけど、同学年じゃん?ま、小さい頃の名残でお姉ちゃんって呼んでるけど」

 

「なるほどねぇ~~」

 

「きゅねぇ~」

 

クロメとセリュー、コロは話しながら家庭科教室へ向かう。

 

「セリュー今日部活は?」

 

「今日休み。」

 

「ねぇあんた?結構さぼってない?」

 

「違うよ!クロメの居ない所で毎日あたし頑張ってるから、何言ってんの?」

 

「ま、良いけど・・・・さぁて今日は何作ろう・・・、誰か居る?」

 

「?・・・他の部員さんかな?」

 

教室のドアから差し込む筈の光が無く、どうにもおかしい。

 

「カーテンでも閉めたの?全く暗くしてどうするつもり?」

 

クロメがドアを開けるとそこには

 

「くくく・・・ふふふふ・・・・」

 

室内のカーテンを全て閉め、蝋燭一本だけ灯し・・・包丁を丹念に研いでいるエスデスの姿がそこに遭った・・・。

 

クロメは巻き戻しのようにドアを締め、

 

「よし!今日は解散!」

 

「ちょ!!クロメ!エスデスさん何かやってたよね?何か摩訶不思議なことしてたよね?」

 

「エ?ワタシナニモミテナイ?」

 

「とにかく、何とかしないと!」

 

「セリュー!!あれきっと、包丁持って、恋敵的な人に何かするつもりだよ!」

 

「そ、そうだよね?ほらあれきっと、『この包丁良く切れるんです・・・良かったら使って下さい!』って」

 

「なるほどね~『あら~奥さん~こんな良い物頂けるなんて~いつもすみませんね~ああ、これ詰まらない物ですけど、皆さんでどうぞ~』って、話になる訳ね~・・・・・って、なるかああああ!!」

 

「じゃあ、最悪のパターンなら止めなきゃ!!」

 

「止めるってどうやって止めんの?人間離れしたロボットのパゥワァーよ?あの前世は拷問ラブな凶悪な顔した人(?)どうやってとめんの!!」

 

「こういう時こそ、無双してくれそうな凄い人連れて来てよ!そうだ、ウェイブ君は?」

 

「あいつは、別の高校よ?瞬間移動でもしない限り無理でしょ!!あたしまだ死にたくないよ!」

 

「あたしだって!!・・・ど、どどどどうしよう・・・刃物持った人相手に・・・くっ・・・、一かバチか説得してくる!」

 

「セリュー!?」

 

「だ、だだ大丈夫だよ、ほら?きっと危ない理由じゃ無くて、儀式的な何かとか?」

 

「きゅきゅきゅいい!!」

 

コロがセリューの足を掴み、後方を指差す。

 

「いやぁ~失敗失敗、うっかり忘れるなんて僕はドジだなぁ~」

 

白いマスクを被り、上半身の学生服が破れんばかりの巨漢がやってきた。

 

「ボ・・・ボルス君?」

 

「あれ?君達は確か・・・セリューさんにクロメさん?」

 

セリューは一旦気を取り直し、彼と対応する。

 

「え・・・ああ・・・、ボルス君はどうしてここに?」

 

「うん?ああ・・・家庭課室に教科書忘れちゃってねぇ~君達も忘れ物かい?」

 

「え?ええ~とその~」

 

「あ!噂で聞いたけど、君達校内の面白い人を探してるんだったっけ?ごめんね、僕はそんな面白くない人間だけど・・・でも、面白いと思ったのかい?いつだったっけ?ちょっと離れた所から長い間見られたけど・・・その、恥ずかしかったからもう勘弁してね?」

 

『あ~・・・この人あたし達尾けてたの、モロばれだったんだよね~』

 

クロメは悪い人探しで、尾行した事に感づかれた時の事を回想している。

 

「と、とにかくボルス君、今入っちゃ駄目!!」

 

「え?先生でも居て何か話しているのかい?困ったなぁ~明日テストだから早目に勉強したいのに・・・悪いけど、直ぐ終わるから謝って入るよ」

 

 

ボルスはドアを開け、室内の異様な雰囲気も気にせず・・・

 

「え~と、やっぱりあった・・・あれ?ああ、何かの取り込み中かな?ごめん、忘れ物取って直ぐ出るからね!」

 

そう言ってボルスはエスデスの後ろを通ると、

 

「おい・・・・・・貴様、私の間合いに無断で入るとは良い度胸だ・・・・くくく、肩鳴らしに丁度良いだろう・・・」

 

「え?」

 

 

次の瞬間、エスデスの強烈な針の如き蹴りがボルスを刺す。

 

彼は吹っ飛ばされ、入って来たドアを破りクロメ達を過ぎ去り、廊下の壁へと・・・。

 

「ボ、ボルス君!!」

 

「な、何が起きたの一体!?くっ・・・セリュー、コロ行くよ!」

 

「ま・・・待ってくれ・・・君達が中に入っちゃいけない・・・僕が行くよ・・・」

 

二人と一匹は何故?と振り返ると、そこにボルスは上着の学生服を破り、悠然と立っていた。

 

『え?は?・・・え?』

 

「今のは流石だったね・・・僕も油断してたよ・・・中々良い攻撃だったよ」

 

ボルスは教室内へと入り、その後ろ姿を後方の彼らはドアだった所から固唾を呑んで見守った。

 

「ほぉ・・・今のはほんの小手調べだったが・・・やるではないか?」

 

「君、名前は?・・・そう、エスデスさんか、何故こんな事を?」

 

エスデスは哄笑し、

 

「私にはやらねばならない事が有る、例え恋敵が居ようとも・・・例えこの身が朽ちんとも・・・彼の彼シャツをくんかくんかせねばならんのだ!!」

 

 

『『格好良く、最悪な事言ってるしぃーーー』』『きゅい!』

 

 

「なるほど・・・君には君の信念があるんだね・・・だが、僕には僕のやらねばならない事が有る・・・退いて貰うよ!」

 

 

『『そこ納得しないで、もっとツッコンでーーー!』』『きゅい!』

 

 

「ねぇセリュー、あたしとんでも無い事に気付いたんだけど、どうして他の皆この辺に居ないの?」

 

「そういえば?そうだね、先生達呼んで来よう!」

 

「待って!ひょっとしたら、このままいけばボルス君・・・エスデスの異常さにロボットだって気付いてくれるかも?」

 

「え?ひょっとしてそれって・・・」

 

「そう、それはつまりエスデスの事で頭痛い仲間・・・もとい、秘密を知ってる仲間が増えるってことよ!」

 

「じゃあ、ここで見守ってボルス君があたし達の仲間になる瞬間を見届けるんだね!」

「きゅい!」

 

 

 

ボルスは呼吸を整え、息を吐く。

 

「コオオオオオオオオオオオ・・・」

 

「ふ・・・」

 

エスデスの何度もの蹴り技をボルスは手刀でいなしている。

 

 

「強いね・・・エスデスさん・・・僕が圧されているなんて・・・」

 

「遺言が有るなら聞いてやるぞ・・・」

 

「・・・恐らく君はろ・・・」

 

 

『『そう、言ってロボッツ!!』』『きゅい!』

 

 

「・・・くに鍛錬していないだろうけども、その強さなんだね・・・天才だよ」

 

 

『『それはひょっとして、わざと言っていたりしませんか?』』『・・・』

 

 

「ふっ・・・、こう見えても私は今では只の女学生だぞ?」

 

 

『『居ないと思うよ、貴女みたいな女学生!!』』『きゅい!』

 

 

「だけど例え相手が天才でも、負ける訳にはいかないよ?はぁああああああ」

 

ボルスの肉体は隆起し、より強力になる。

 

「ふぅ~・・・、今の僕は80%って所かな?この姿を見て、病院送りになっていないのは、後ろのセリューさん、クロメさん、コロ君・・・そして、エスデスさん・・・君だ・・・けど、少しお灸を据えてあげるよ」

 

「ふっ・・・面白くなってきたぞ」

 

ボルスは拳圧を繰り出す。エスデス後方の窓ガラスを数か所粉々にし、教室内に明かりが差しこむ。

 

「・・・やるねぇ、今ので微動だにしないなんて・・・」

 

「面白い攻撃だ・・・だが、私には通じんぞ?」

 

 

『『ど、どういう展開なのこれーーーーー!?』』『・・・』

 

 

ボルスは指を弾き、見えない空気の弾を撃つ。

 

 

「ぐ・・・がは・・・なんだこ、これは・・・」

 

「・・・僕は自分から女性には手を上げない主義だけど・・・空気位なら掛けさせて貰うよ・・・」

 

「女性には手を上げんだと・・・ふっ・・・私を女だと思うな・・・!」

 

「・・・確かに君の強さは、人間離れしているよ」

 

「私は最早・・・人では無い・・・」

 

 

『『え!?それってひょっとして自覚してるの??』『っきゅい!』

 

 

「恋する乙女は、人の力をも凌駕するのだ!!」

 

 

『『やっぱり違ったかぁーーー、ってぇ色々ツッコミ追いつかないー!!』』『・・・』

 

 

「そうか・・・成程、そういう事だね・・・君の目を覚まさせる為に、ちょっときつ目をお見舞しよう・・・」

 

「来るが良い・・・私も死力を尽くそう・・・」

 

「じゃあ僕は明日のテストの為に・・・」

 

「私は自らの(くんかくんかする為の)信念の為に・・・」

 

 

「「いざ・・・尋常に・・・勝負!」」

 

 

「・・・ちょちょちょっと、どうすんのよセリュー、早く止めさないよ!!」

 

「無理無理無理無理無理!!あれはもう色んな意味で無理だよーー!!」

 

「あ、あたし達無力な民は・・・強者の戯れにただ我慢して見てるだけなのね・・・ウェイブ・・・もう一回だけ・・・」

 

「うん・・・あたし今まで楽しかったよ・・・」「きゅい・・・」

 

 

「あれ?先輩達、何してんすか、こんな所で?」

 

 

2人と1匹が振りかえると、そこには2年生のタツミが立っていた。

 

「な・・・この匂いは・・・」

 

エスデスは即座に場から離れ、教室外のタツミの元へ駆け寄った。

 

「タ~~ツミ~~~く~ンンン!!!」

 

「どうわぁあああああ!!」

 

エスデスに抱きつかれ、タツミは廊下へとへたり込んだ。

 

勝負を中断されたボルスは、それ以上何もする事は無かったが只、エスデスに対し『最後の動きは速かった・・・』と。

 

 

「ンもう!タツミきゅ~ん、もう離さないんだからな!恋敵が居ようと関係無いんだからな?何故なら私達は前前前世からの付き合いなのだからな!!」

 

「え?は?え?だだだだだれですか?貴女は?3年生ですか?だ、誰か説明して下さい!」

タツミは顔を真っ赤にしながら、狼狽するが振りほどこうとはしない。セリューとクロメとコロは顔を見合わせ、取りあえず一難去った事は自覚したが、

 

「え~とね・・・この人は」

 

「3年生の変態ストーカーお姉さんよ」

 

「クロメ!?」

 

「だって本当の事だし~」

 

タツミは、きっと仲の良い彼女達の冗談だろうと思って苦笑した。

 

「それはそうと・・・エスデス先輩ですか?どうやって俺の事知ったんですか?」

 

聞いた途端、エスデスはドアだった入口の側に立っていたボルスの後ろに隠れ、顔半分だけこっそり出して彼を見た。

 

「そ、それはそりょ・・・え~と、、ととと、、、、、、」

 

セリューが助け船を出し

 

「それはね、タツミ君が体育大会とか部活動の姿を偶然見かけて、格好良かったからだって」

 

「ここここここらぁ!!」

 

「え?あ?そ、そうなんですか・・・」

 

タツミはそれに照れ、エスデスはシャッターチャンスとばかりに、眼球に搭載のカメラ機能で連写する。エスデスのHDD記憶媒体にまた彼の画像が記録された。

 

「いやぁああああ、ふうううう!!!」

 

彼女は小躍りして去っていった。

 

残された4人と1匹。

 

「エ・・・エスデス先輩は面白い人ですね・・・」

 

タツミの一言に、クロメもこの時ばかりはもう何もツッコムまい、と思った。

 



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