俺は怪獣王になる (ヤマタノオロチ)
しおりを挟む

第0話 プロローグ

『―――!!』

 

「(何だよ~~~?人がせっかく気持ちよく寝ている時によ)・・・ン?」

 

 

重い瞼を開けながら辺りを見渡すとそこは、何もない真っ暗な世界だった。

 

 

「アレ!?こういう感じは普通白い空間じゃないの!?」

 

『何を勝手に決めつけている』

 

 

俺が驚いていた時に後ろから突然声が聞こえた。振り向くと白い髭を生やして・・・いない、黒いフードに被って怪しげな仮面をつけている男がいた。見るからに危ない気がする!

 

 

『ようやく起きたか・・・随分と眠り込んでいた奴だ』

 

「えっと・・・・・どちら様でしょうか?」

 

『俺は冥王。さっきお前を呼んでいた者だ』

 

 

冥王・・・ってことは俺は地獄の底に落とされたと言うこと!!?何と言う事だ!?

死んだと言うショックが余りに大きく呆然とする俺に冥王様が話しかける。

 

 

『安心しろ。此処は生と死の間で地獄の底ではない。その顔を見るにこれからの流れを知っているようで話が早い。ある神のせいでお前は死に、他の世界に転生する事となった』

 

 

やはりそうか・・・しかし残念だったな。まだ買っていない怪獣ソフビやアイテム、見ていない特撮があったというのに。特に今ウルトラマンギンガの新しい映画が始まったから必死にお小遣いを溜めて見に行く気満々だったのにな。まぁ、あまり諦めたくないけど仕方なく別の世界に転送して・・・うん?

 

 

「何故その神様が俺を転生させようとはせず、変わりに冥王様がいるのですか?」

 

『それがあの駄目神・・・ここに来る前にぎっくり腰になりやがったんだよ』

 

「えっ!?ぎっくり腰!!?」

 

 

神様がぎっくり腰になるなんて初めて聞いたぞ!余りの事に俺が激しく驚いていると冥王様が落ち着くように言って話を続ける。

 

 

『その為仕方なく俺が変わりに来たのさ。本来なら断るはずだが、お前の生前の資料を見て気が変わった。お前かなりの特撮ファンだったようだな』

 

 

そりゃあ、あんなカッコイイものを見たら男性なら絶対に虜になりますよ。これは確実なことだ!っと気合を込めながら言う俺に冥王様は静かに笑う。

 

 

『・・・けどお前が好きだったのは正義の味方ではなくて、むしろ悪の味方だったではないか。例にウルトラマンを応援せずに怪獣の方ばかり応援していたみたいだしな。ふふ、俺はそう言う奴は好きでな。それでお前を望む世界に転生させてやる』

 

「俺が望む世界ね・・・だったら『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』の世界に転生させてくれ。無論レイオニクスになれて身体能力と知識力に、戦闘能力も最高にして記憶もそのまま残しておいてください」

 

『よかろう。ならお前が持つバトルナイザーはこれだ』

 

 

そう言って冥王様が渡して物を見て俺は驚く。

 

 

「ギガバトルナイザー・・・」

 

 

ウルトラマンベリアルが使っていた究極のバトルナイザー。だが渡されたギガバトルナイザーは色が黒ではなく紫色で、さらに前後の五角形の棍の角部分がのこぎり刃のような鋭い刃が付いて、先端が三又の槍みたいな形をしていた。

 

 

『そいつはベリアルが使っていた物をさらに強力にし、さらにライブして怪獣と一体化して戦うこともできる。差し詰め【ギガライブナイザー】と名付けるか。それで怪獣共を思う存分に操るがよい』

 

「操る・・・それは違うな」

 

『何?』

 

「これは俺と怪獣達の絆を表すもの!操るものじゃない!!それにどうせなら俺は・・・こいつらの上に立つ最強の存在で、そしてこいつらを守る存在・・・怪獣の王(モンスター・キング)を目指す!!」

 

 

いつもテレビを観ていた時に心の中で思っていた事を言う。それを聞いた冥王様は唖然とするが暫くして笑い出す。

 

 

『ククク、やはりお前は面白い奴だ。ますます気に入った。ではお前の最初の仲間怪獣はこの3体だ』

 

 

冥王様がギガライブナイザーを指差すと前部分のスロットが3つ光る。覗いてみると中にはとんでもない怪獣がいた。

 

 

「キングオブモンスとグランドキング・・・それにキングギドラ!?どいつも王の名を持つ奴らばかりじゃないか!!って言うかその前に何でゴジラ怪獣までいるの!!?」

 

『怪獣の王になると言っただろ?ならばそれに相応しい怪獣が必要ではないか。それにその3体はお前が望んでいた怪獣だ。さっさとどれかを召喚してみろ』

 

 

そう言われて興奮と驚きを何とか抑えながらギガライブナイザーを構える。

 

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

 

あぁ、懐かしい音が響いて先端から赤色の光の塊が出てくる。そして光は大きくなって最強合体獣キングオブモンスになる。そしてキングオブモンスは大きく咆哮を上げる。

 

 

「グオオオオオオ―――!!!」

 

「うおおおおおぉぉぉ!!カッコイイ―――!!」

 

 

思わず叫んでしまったが仕方ない。だって本物の怪獣が目の前にいるんだぜ!?声を聞いて俺に気が付いたキングオブモンスはゆっくりと体を動かして俺に顔を近づける。

俺は恐る恐る手を差しのばして顔を撫でる。岩みたいな感触だがとても温かい感じもする。キングオブモンスも嬉しそうな感じだ

 

 

『ではそろそろ転生させる。怪獣を元に戻しな!』

 

「えっ!?あ、あぁ・・・分かった」

 

 

キングオブモンスをギガライブナイザーに戻した瞬間、俺の足元から黒い光が現れて包み込んだ。そして俺の第2の人生が始まった。




ついに書いてしまったーーー!!
特撮ファンの人、それ以外の人でも楽しんで読んでくれたら嬉しいです。
感想と評価をぜひお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1章 惑星ボリス編
第1話 惑星ボリス


お待たせいたしました!
やっぱり怪獣同士の戦いを書くのは難しい。けど、自分の特撮魂をフル活用して書きました。リクエストされた怪獣は必ず参加させます。
感想と評価をお待ちしています。



最強合体獣キングオブモンス、超古代怪獣ゴルザ、超古代竜メルバ
宇宙超怪獣キングギドラ  登場


黒い光が消え、ゆっくり目を開けて周りを見渡す。そこはテレビで見た通りに荒れ果てた大地と所々に岩がある景色だった。

 

 

「本当に来たんだな・・・大怪獣バトルの世界に」

 

 

夢みたいで夢じゃない事を思いながら次に今の自分の状態を確認する。

レイオニクスにしてもらったけど、今のところ変わった感じはしないな。服装も銀色の模様が入った紫色のTシャツに、フード付きの黒色の上着、青色のジーパンと死ぬ前に着ていたものだし・・・持ち物は手に持っていたギガライブナイザーだけだ。

 

 

「まずは何処に向かえば・・・ん?」

 

 

ポケットに違和感を感じて漁ってみると1枚の紙切れが入っていた。紙には文字が書かれていて読んでみる。

 

 

『今いる場所から少し離れた岩場に渡し忘れた必要品を大きなバックに入れて置いてある。それを持って東にある基地に向かえ。それまでに怪獣を多く集めておくがいい』

 

 

どうやら冥王様からの手紙のようだ。

先程の内容とギガライブナイザーの使い方も書かれていた。じっくり使い方を覚えた後に指定された所に向かうとそこに大きなバックが落ちていた。中には大量の食糧、水、他に寝袋等が入っていた。それを持って東にある基地に向かうとした時、大地が揺れる。

 

 

「ム、この感じはもしや・・・」

 

 

流れ的に怪獣出現の合図と思ってギガライブナイザーを構えて待つ。やっぱり最初だから出てくるのはテレスドンかツインテールのどちらかな。

 

 

「ゴバアァァァァァ!!」

 

 

現れたのはゴツゴツした岩のような手足と額の一本角が特徴で、また『大地を揺るがす怪獣』と言われてティガとダイナを苦しめた強豪の超古代怪獣ゴルザだった。

体に付いた土を払い落したゴルザは俺を見るや鳴き声を上げて襲い掛かって来た。

 

 

「ゴルザか・・・やっぱり何度見てもカッコイイ怪獣だよな~」

 

 

迫りくるゴルザを見て恐怖どころか逆に喜びが湧いてくる。夢中になっていた俺だったが、ギガライブナイザーから聞こえる複数の怪獣の鳴き声で正気に戻る。そしてすぐにギガライブナイザーをゴルザに向けて構える。

 

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

 

「グオオオオォォォ―――!!」

 

 

召喚されたキングオブモンスは、顎状の腹部にある牙を動かしながら威嚇する。突然現れたことにゴルザは驚いたが、負けずに威嚇してキングオブモンスに体当たりを仕掛ける。

 

 

「暴れろ、キングオブモンス!」

 

「グオオオオォォォ―――!!」

 

「ギャア!?」

 

 

命令を受けたキングオブモンスはゴルザの体当たりを片手で受け止め、もう片方の手で顔を殴る。強烈なパンチに怯んだ隙をついて何度もパンチやキックをし、さらに尻尾を掴んでゴルザを投げ飛ばす。

 

 

「ゴバアァァァ!!」

 

 

しかしゴルザも負けずに立ち上がって額から『超音波光線』を放つ。

だがキングオブモンスは翼を展開させ『ボーンシールド』で光線を防ぐ。そしてお返しとばかりに『クレメイトビーム』を放つ。それを受けたゴルザは大きく吹き飛ばされて地面に倒れた。

 

 

「やったかな・・・」

 

 

一旦キングオブモンスに攻撃するのを止めさせて土煙が晴れるのを待つ。すると激しいダメージを受けていながらもゴルザは立ち上がろうとしていた。

 

 

「ゴ、ゴバアアァァァ!!」

 

「まだまだ元気ある様子だな。やっぱりゴルザは強い怪獣で好きだぜ」

 

「グルルルルル」

 

「おおっと、ごめんごめん。俺の中ではお前の方が上だよ。それじゃ、そろそろ・・・!?」

 

 

唸り声を上げるキングオブモンスを宥めながら命令しようとした時、突然後ろから鳴き声が聞こえる。しかも気配がどんどん近づいて来る感じだ。後ろを振り向くと遠くの空に1体の怪獣がこちらに向かって来ていた。いつでも攻撃態勢できるようにしながら正体を探る。

 

 

「ピュアアアアアア!!」

 

 

そいつは大きな翼に、両腕の鋏、鋭い嘴が特徴の超古代竜メルバだった。

ゴルザの危機を感じて駆けつけたのかな?ティガと戦った時もメルバはゴルザと一緒にタッグを組んでティガを追い詰めた奴だし。そう思っている間にもメルバはキングオブモンスに目から出す光線『メルバニックレイ』を放つ。

 

 

「飛べ!キングオブモンス」

 

「グオオオオォォォォォ!!」

 

 

翼を広げて飛翔し攻撃をかわした後、空中でメルバに向かって行き、激しくぶつかり合う。そして2、3度ぶつかり合って互いに直前まで来た瞬間、キングオブモンスはその場で一回転し勢い付けた尻尾でメルバを叩き落とした。

 

 

「ピュイイィィィッ!」

 

 

強烈な一撃を受けたメルバ。ゴルザとは違い、こいつはあまり防御力が高くない為に立ち上がりはしたが既にフラフラしている。

チャンスとばかりにキングオブモンスはメルバに近づき、尻尾を掴んで背後にいるゴルザ目掛けて力一杯投げつけた。

 

 

「ゴギャアァァ!」

 

「ピュアア!!」

 

 

お互いに重なり合いながら倒れる。そのダメージによってどちらもグロッキー状態になり、立ち上がる力もなかった。倒れた2体に止めを刺そうとキングオブモンスは近づく。しかし俺は止めさせてゴルザとメルバをギガライブナイザーに回収した。

 

 

「グオオオオッ!?」

 

「まぁまぁ、たっぷり暴れられたからいいじゃねぇか。それに気配を感じる限り・・・お前の相手はたくさんいる。これからも頼りにしてるぜ」

 

 

2体に止めを刺せなかった事に不満だったキングオブモンスもそれを聞いて大人しくなり、ギガライブナイザーの中に戻った。

 

 

「さて、東にある基地と言っても絶対歩いて行くと何日もかかる距離だろうな・・・」

 

 

見た感じ的にそう思わざるを得なくなるぜ。やっぱりここは怪獣達の力を借りるとするか!

 

 

「そうと決まれば誰にしようかな・・・」

 

 

キングオブモンスはさっきの戦いで疲れているだろうし、それに順番からとしたらやっぱりこいつだな。それにどうせならライブしてみよう。

 

 

「えっと・・・スパークドールズの出し方はこうか?」

 

 

出したい怪獣を思い浮かべて先端に手をかざす。するとテレビでギンガスパークからギンガが出てきた通りにキングギドラの人形が出た。それを掴んで左足裏のライブサインにリードする。

 

 

『ギガライブ!キングギドラ!!』

 

 

声とキングギドラの鳴き声が響いた瞬間、俺はキングギドラと一体化していた。

 

 

「すっげえぇぇぇ!!これはもう最高だ―――――!!!」

 

 

大声で喜びの声を上げながら俺は空を飛んでみる。風がとても気持ち良く、時間を気にせずに無我夢中に空を飛び続ける。他の特撮ファンが見たら羨ましく思うかもしれないな。そんなことを気にせずに俺は頭の中でキングギドラに話しかける。

 

 

「勝手にライブして悪いなキングギドラ。だけどお前とライブしていてとても最高なんだ!このままもうしばらく一緒になっていいか?」

 

「ピッギシャアァァァォォォ!!」

 

 

そう言うとキングギドラの鳴き声が頭の中で聞こえる。何だか優しい感じで、いいよと言っているみたいだった。そしてキングギドラとなった俺は空高く飛びながら基地を目指した。

 




【大怪獣バトルファイル】
最強合体獣キングオブモンス

世界を滅ぼすために生み出された怪獣。転生者(クロウ)の主力で第1パートナー怪獣であり、彼との絆は他の怪獣達の中で1番高い。
またギガライブナイザーの中にいる怪獣達のボス的存在である。
強力な破壊光線『クレメイトビーム』や背中の翼を広げて出すバリヤー『ボーンシールド』等の様々な能力を持っている。
王としてプライドを持っているため、自分を馬鹿にした相手には激しく怒る。またウルトラマンを強く憎んでいて、名前を聞いただけで不愉快に成程。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 伝説の怪獣王!?

皆様大変な額お待たせいたしました。
今回はリクエストしてくれた方の希望通りにあの怪獣が出てきます。これからも感想、評価、リクエスト怪獣をお待ちしております!どうぞ楽しく読んでください。
あとゴジラの名前を日本のゴジラと区別しやすいようにハリウッドゴジラは英語にしました。



宇宙超怪獣キングギドラ、怪獣王Godzilla、両刀怪獣カマキラス  登場



とある荒れ地にて、4体の怪獣達が争っていた。

4体のうち3体は左腕の鎌と右腕の槍を持ち、カマキリがそのまま大きくなった両刀怪獣カマキラス。残る1体はアメリカにて太古からの天敵と戦いを繰り広げた怪獣王Godzillaだ。

 

 

「グルルル」

 

「キイィィィ!!」

 

 

戦いは体格的にもGodzillaの方が有利かと思われたが、以外にもカマキラス達が押していた。2体が交互に鎌と槍で接近戦を仕掛け、攻撃しようとしたGodzillaを少し離れた所にいる1体が鎌で岩を投げつけて注意を引くという巧みな連係プレーでGodzillaを攻めていた。

またGodzillaは天敵との戦いでエネルギーをかなり消耗して住処で傷を癒そうとした途端、深海の底で変な穴に飲み込まれて気が付いたらこの場所にいて、さらに突然カマキラス達に襲われたので体力がほとんどない状態で戦っているせいで苦戦を強いられていた。

 

 

「ゴッガアアアアアオン」

 

「キィィ!?」

 

 

今までやられ続けられていたGodzillaだったが、怒りの咆哮をカマキラス達にぶつける。それを受けて怯んだ1体にGodzillaは素早く接近して尻尾で叩き潰した。強烈な一撃を喰らいながら立ち上がろうとするカマキラスだが、Godzillaは何度も尻尾で叩き潰す。

 

 

 

バキッ!!ベリッ!!グシュッ!!

 

 

 

体の骨は砕かれ、羽は折られ、ついに頭も潰されてそのカマキラスは絶命した。

それを見て2体のうち近くにいた1体が左右の武器を突き出しながら飛びかかって頭突きを喰らわす。それを受けたGodzillaは倒れ、さらに追い打ちをかけるようにカマキラスは再び飛びかかる。

 

 

 

ガブッ!!

 

 

 

「キィィ!!?」

 

 

Godzillaの腹に槍が突き刺さる寸前にGodzillaは両手で掴んで防ぎ、口を大きく開けてカマキラスの首元部分に噛みついた。慌てたカマキラスは必死に左腕の鎌でGodzillaを攻撃するが、そんな事はお構いなしにGodzillaはさらに顎に力を込める。やがて鈍い音がするとカマキラスの眼の光は消え、ピクリとも動かなくなった。絶命した事を確認したGodzillaは銜えたカマキラスを吐き捨てる。

最後の1体は形勢不利と見て、その場を飛び去って逃げ出した。

 

 

「フゥ・・・フゥ・・・」

 

 

本来なら勝利の咆哮を上げるはずだが、もはや体力の限界によってGodzillaは咆哮を上げることすらできなかった。何処か休める場所はないか周囲を見渡すとあまり離れてない場所に建造物が見えたので、そこを目指してゆっくりと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

基地内―――

 

 

「これとそれと・・・あとこれも頂いていくか」

 

 

キングギドラにライブしたおかげで東にある基地には2日で辿り着いた。テレビで見た基地と同じようにここも怪獣達によって破壊されていた。それでも破壊された所から基地の中に入り、寝れる場所を探してそこで一夜過ごした。翌朝になって朝食を終えた後、基地内にて使えそうな物があるか探し出しているところだ。

 

 

「ふぅ~~~結構集まったな。もう全ての部屋を調べたし、そろそろ引き揚げて他の場所に行くとするか」

 

 

次は何処で寝ようかなと思いながらバックを持って外に出ようとした時、突然ギガライブナイザーが反応して音を出した。

 

 

『怪獣王接近中!怪獣王接近中!注意せよ!!』

 

 

今なんて言った?怪獣王の異名を持つアイツが近くにいるのか!?急いで外に出ると基地から少し離れた場所で1体の黒い怪獣がこちらに向かって歩いていた。

 

 

「やっぱりGodzillaだ!!ハリウッドの奴とは驚きだ」

 

 

徐々に近づいてくるGodzillaを見て俺はある事に気が付く。アイツ怪我しているな・・・しかもかなりの深手なのか足元がふらついていやがる。あれじゃここまで来れるかさえ分からない。

 

 

 

ドッスン!!!

 

 

 

そう思った間にGodzillaは地面に眠るように倒れた。すぐに走って近づき、Godzillaの顔に手を当てながら状態を見る。レイオニクスになったおかげで怪獣の状態などがすぐに分かる。それに放射能なんかも平気だ。

 

 

「体力がかなり消耗しているな。それに体中が傷だらけ・・・しかも最近できた傷だ」

 

 

このまま放っておいたら確実に息絶えるな。じっくり観察していた時に頭の上から唸り声が聞こえた。上を向いてみると目を覚ましたGodzillaが俺を睨んでいた。

 

 

「グルルルルル・・・」

 

「オイオイ、あんまり睨むなって。俺はただお前を助けたいだけだよ」

 

 

俺の言葉を理解して信じてくれたのか、Godzillaは唸り声を止めて再び静かに眠る。それを確認した後ギガライブナイザーにGodzillaを回収する。これで暫くしたら傷も体力も元通りになるだろう。けど元気になったらGodzillaを手放さないといけないんだよな・・・。

 

 

「このまま仲間になってくれたら嬉しいんだが・・・そう言う訳にもいかないか。けどな・・・」

 

 

中々諦めることができずに俺は苦悩するがこんなに悩むのは初めてじゃない。怪獣ソフビ等を買う時にいつも懐の中と相談してたので、決められずに長くその場に立ち尽くしているときが何度もあった。

 

 

『両刀怪獣多数接近中!両刀怪獣多数接近中!注意せよ!!』

 

「・・・ってハァ?両刀怪獣?しかも多数って・・・」

 

 

その場をグルグル回っていた時にギガライブナイザーがまた何かに反応した。周りを見渡してある方向を見た瞬間に俺は唖然とした。こちらに向かって大量のカマキラスの群れが迫っていた。すっげぇ・・・虫嫌いの人じゃなくてもこれはキツイ光景だ。見た感じ30体以上はいるからな。しかもFINAL WARS(次からはFWと略します)に出たカマキラスも何体かいるし!!

ちなみに何故こんなにもカマキラスの群れが迫っているかと言うとGodzillaとの戦いで逃走した1体が近くにいた仲間を掻き集めて仕返しにやって来たのだ。

 

 

「相手がゴジラ怪獣ならこちらも同じ怪獣で行かないと悪いよな」

 

 

ギガライブナイザーの中にいる1体の怪獣に言うとそいつは「そうだ!」と言わんばかりに鳴き声を上げる。

 

 

「行け!キングギドラ!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「ピギャアアアオオオオオン―――!!」

 

 

空中にて黄金の光りを輝かせながらキングギドラが出現する。そしてカマキラスの群れに向かって飛行する。先頭にいた1体が姿を見つけると鳴き声を上げて仲間に知らせようとするが、その前にキングギドラは『引力光線』を放ち、先頭の1体を含めた多数のカマキラスを爆散させる。攻撃を避けようとカマキラス達は左右に散らばるが中央のリーダー首が左右の首に命じて手当たり次第に辺りを攻撃させる。

するとカマキラス(FW)が2体同時にキングギドラ目掛けて高速飛行しながら『ハーケン・クラッシュ』で襲いかかる。それを見てキングギドラは彼らの頭に狙い定めて光線を放つ。光線は当たり、2体は燃えながら地上に落ちる。

だが突然背中に痛みを感じた。

 

 

「ピギャアアア!?」

 

「キィィィ!!」

 

 

振り向くとそこにはもう1体のカマキラス(FW)がいた。先程の2体は囮でこの1体が保護色で姿を消しながら近づいたのだ。また地上からは他のカマキラス達がGodzillaとの戦い同様に岩を投げつけて攻撃する。キングギドラも口から『引力光線』や翼から放つ『反重力光線』で反撃するが、数が多いために苦戦する。

 

 

「う~ん、やっぱり数が多すぎるな。ここはもう1体追加させるか・・・」

 

 

召喚するなら順番通りグランドキn「ゴガアアアオオオン!!」なに?

もしかして今の声は・・・

 

 

「もう回復したのかGodzilla!?」

 

 

ギガライブナイザーを見るとGodzillaが俺のことを見つめてスロットを激しく光らせている。元気になって良かったけど、いくらなんでも早すぎだろ!?確かに虫の息だったリトラもバトルナイザーに回収されたすぐに元気になったけど・・・やっぱりGodzillaは凄いな。

 

 

「その眼を見る感じだと止められなさそうだな。よしGodzilla!頼むぜ」

 

「ゴッガアアアアアアアアオオオオオン!!」

 

 

疲労してた時よりも高い咆哮を上げながらGodzillaは出現する。そして砂煙を上げながらカマキラスの群れへと走り出す。

 

 

「ゴガアアア!!」

 

「キィィ!?」

 

 

キングギドラばかりに気を取られていたカマキラスの群れにGodzillaは凄まじい力で殴りつけたり、尻尾で叩き付けたりする。これを機に形勢は一気に変わった。空からはキングギドラが光線で、地上からはGodzillaが格闘技でカマキラス達に攻撃する。ただでさえ1体でもかなり強豪なのにそれが2体同時に相手するのだからもはやカマキラス達に勝ち目はなかった。あれ程いた群れの数も指の数くらいしかいなくなった。

 

 

「キ、キィィ!!」

 

 

ついに1体のカマキラスが恐れをなして逃走する。それに続いて残ったカマキラス達も我先へと逃走し出した。彼らがいなくなると2体は勝利の咆哮を上げる。

 

 

「よくやったなお前ら。戻れキングギドラ」

 

 

暴れて満足しているキングギドラを回収し終えて一息つく俺をGodzillaは不思議そうに見つめる。

 

 

「お前はもう自由だよ。好きな所に行きな」

 

 

「グルル・・・ゴッガアアアアアアアオオオオン!!!」

 

 

俺に怒りの咆哮をぶつけるGodzilla。思わず尻餅をついてしまったが、流石にこれは耐えきれるものではない。本物のGodzillaが近くで咆哮をするのだから。しかしなんでだ!?俺はただ縛るようなことをさせたくないと思ったからしたのに。

 

 

「グルルルルル」

 

「えっ!?」

 

 

頭の中で突然声が響く。たぶんGodzillaの声だと思う。よく聞いてみると「何故孤立させる」って言う。そう言えばゴジラはどのシリーズでも悲しい思いをしてきたんだった。

 

 

「悪かったGodzilla。もうお前の事を孤立させない。これからはずっと俺や皆と一緒に家族でいような」

 

 

そう言いながら立ち上がってGodzillaをギガライブナイザーに回収する。回収する際にGodzillaが笑ったような感じがした。これからはもっと怪獣達の気持ちを考えないといけないと決意して再び旅に出た。

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙超怪獣キングギドラ

ゴジラの最大ライバル怪獣で、クロウの第2パートナー怪獣。
口や翼から様々な破壊光線を放ち、空や宇宙を自由に飛べると言うことでクロウが1番最初にライブした怪獣だ。
キングオブモンス同様に王のプライドを持っていて、彼とは気が合って仲がいい。
また空を飛べる怪獣達のリーダーでもある。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 出会いのレイオニクス

だいぶ時間がかかってしまいました(汗)
怪獣の鳴き声を書くのは本当に難しい!またヒロインをどんな者にしようか、怪獣はどれにしようかを決めるのに時間がかかりました。
あとまだまだリクエスト怪獣を募集していますので、よろしくお願いします!!



超合体怪獣グランドキング、古代怪獣ゴモラ、昆虫怪獣ノコギリン
変異昆虫シルドロン、寄生怪獣バッカク―ン、超古代狛犬怪獣ガーディー  登場



カマキラスの群れと戦い、ゴジラを仲間にして旅に出てから一週間が経った。

その間にもたくさんの怪獣と戦って仲間にし、今では20体の怪獣がギガライブナイザーの中にいる。

 

 

「結構集まったな。まぁ、1日に最低2体以上怪獣に遭遇しているから当たり前か・・・」

 

 

ギガライブナイザーの中で鳴き声を上げている怪獣達を見ながら呟く。

こいつらとの仲も最初に比べてかなり良くなったと思う。

 

 

「しかし・・・いつになったらレイモンやZAPの連中に会うんだ?」

 

 

一週間経ったのに全然会わない。もしかして過去の時代か未来の時代に来てしまったのか俺は!?けどZAPの基地はテレビ通りだったし・・・

 

 

「と、止まりなさい」

 

「うん!?」

 

 

考え込んでいたら突然俺の目の前に銃を向けながら変身怪人ピット星人が立ち塞がった。

 

 

「い、命を失いたくなければ大人しk「悪いが先を急いでいるから!」あぁ、ちょっと待ってください!!」

 

 

面倒な事になる前にさっさと立ち去ろうとするが、後からピット星人が何かを言いながら追いかけてくる。無視して前に進んだ時に悲鳴が聞こえて、こっそり振り向いてみるとピット星人が盛大に転んでいた。何をしているんだか?と呆れながら戻って手を伸ばす。

 

 

「大丈夫か?」

 

「こ、このくらい平気です!それよりも動かないでください!!」

 

 

手を払い除けて警戒しながらピット星人は再び銃を俺に突きつける。その時何処からか“クゥ~”と大きな音が鳴った。驚きながら音の鳴ったところを見るとそこはピット星人のお腹だった。本人は顔を真っ赤(?)にしながらお腹を手で押さえている。

 

 

「何だ、腹減ったのか?」

 

「あの・・・その・・・うぅ・・・(汗)」

 

 

図星だった事でピット星人はさらに縮こまり、正座状態になって顔を下に向ける。俺はリュックから昨日作った特製おにぎりを差し出す。最初は躊躇っていたピット星人だったが、我慢できなくなってもの凄い速さで手に取って食らいついた。地球の食べ物だから食べて大丈夫なのかと心配したが・・・

 

 

「ガツガツ!!モグモグ!!」

 

「心配ないか・・・」

 

 

余程腹が減っていたのか次々手に取って食べる。途中で水も与え、20個目を食べた時にようやく満足したようだ。

 

 

「フゥ~ありがとうございます。もう5日程まともな食べ物を口にしていなかったので・・・けどどうして助けてくれたのです?さっき銃で脅していたのに」

 

「別に、困っている奴を放っておくのができないものだからな・・・ところでお前は誰で、どうして此処にいるんだ?」

 

「相手の名を知りたいならまず自分から名乗るものでは?」

 

「ハイハイ分かりましたよ。俺の名は・・・」

 

 

あれ?何で名前が出てこない!?まさか記憶喪失!?いや、それならこの世界についての知識なども失っているはずだ。それじゃ原因は転生した時のショックか?

 

 

「あの・・・まだですか?」

 

 

なかなか名乗らない俺を見てピット星人が尋ねる。不味いぞ。早く言わないとますます警戒されてしまう。けどどんなに頭の中を回転させても名前が出てこない。

 

 

「(こうなったら仕方ない)・・・クロウ。俺の名はクロウと言う」

 

 

とっさに浮かび上がった文字を言ってしまったけど大丈夫だよな!?けどこの名前は自分にとってはカッコイイと思っているし・・・。内心冷や汗を掻いている俺をしばらく見つめていたピット星人はゆっくりと頷く。

 

 

「クロウか・・・変わった名前ですね。私はピット星人リーシャと言います。此処にいる理由は単純に・・・捨てられたのです」

 

「捨てられた?」

 

「私には双子の姉がいました。とても優しく、いつも仲良かったのです。けどこれを手に入れてから性格が変わってしまったのです」

 

 

リーシャが懐から出したのはバトルナイザーだった。中を見てみると1体の怪獣が入っていた。流石にどんな怪獣かは分からなかったが、彼女が言うにこの星で仲間になった怪獣だそうだ。

 

 

「これを手にして以来、姉さんはキツイ性格になって何もかも力で解決しようとするようになってしまいました。私はそれを止めようとしたのですが、邪魔と感じた姉さんにこの星に置き去りにされたのです」

 

 

随分と酷い話だ。レイやグランデの姉は弟の事を必死に考えていたのにこっちは逆か。そしてこのバトルナイザーと光線銃だけで今日まで何とか生きてきたらしい。

 

 

「・・・そう言う事か。なら俺と一緒に旅しないか」

 

「えっ!?」

 

「話を聞いていたらほっとけなくなった。このままお前を1人にしたら・・・俺は自分自身が許せなくなりそうだ。だが決めるのはお前で、俺じゃない。どうする?」

 

 

静かに見つめながら返事を待っているとリーシャはゆっくり頷く。

 

 

「分かりました。これからよろしくお願いします!」

 

「あぁ、こちらこそな」

 

 

握手しようと手を伸ばした時に空高くから何かがこちらに向かって来た。あれはスペースペンドラゴン!!ついに物語の主人公であるレイモンに会えるのか!!

彼らが向かう先には破壊された基地があった。丁度あそこから怪獣の気配も感じる。

ふむ・・・これはいい感じに使えるかもしれない。

 

 

「リーシャ!アレの行く場所に向かうぞ!!」

 

「えっ!?何故ですか?もし悪い奴でしたらどうするのですか!」

 

「その時はそいつを倒してあの宇宙船を奪えばいいだけだ。早くしないと置いてくぞ!」

 

 

興奮が抑えきれずリーシャの話も受け付けずに駆け足でレイモン達の所へ向かう。後からリーシャも必死に追いかけて途中で転んでしまい、気付くのに時間がかかって怒られてしまったのは余談である。

 

 

 

レイside

 

 

俺がペンドラゴンの隊員になって、ボス達と一緒に行動を共にするようになってからは様々な場所に飛んで生存者を探す日が続いた。時々怪獣と戦うことはあるが、いつも戦っていた俺にとっては少しつまらなかった。今日もドラゴンスピーダーに乗って生存者がいないか基地周辺を探索する。しかしいくら探しても誰もおらず、諦めて本船に戻ろうとした時、突然地中から2体の怪獣が出現した。

 

 

「あれは、ノコギリンとシルドロンだ!!」

 

 

オキが興奮しながら言う。1体はクワガタとか言う虫によく似た怪獣でもう1体は鋏状の両腕が特徴の怪獣。どちらも昆虫怪獣だとオキが説明するが、俺にとっては何の怪獣かなど関係ない事だ。ただ怪獣を倒すだけだ!

 

 

「行け!ゴモラ!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

 

召喚したゴモラに2体を倒すよう命令するとゴモラはすぐに2体を攻撃した。反撃を許さないように攻撃を続け、止めの必殺技『超振動波』を放つ。これで怪獣共は倒れたはずだ。

 

 

「ピィュゥゥゥェェェ!!」

 

「何!?」

 

 

だがシルドロンが両腕を盾でゴモラの技を防いでしまった。ゴモラの技が破れたことに驚いている隙をついてノコギリンが角から破壊光線を放ち、ゴモラはダメージを受ける。俺は反撃するように命令するが、2体の連係プレーのためにゴモラの動きが封じられて焦る。ノコギリンが大顎で挟もうと突撃した時、突然奴目掛けて光線が放たれた。振り向いて見ると黒い怪獣がこちらに向かって来て、2体の怪獣に攻撃する。そして奴の後から少し離れた所に人間と宇宙人がいた。

 

 

「やれ!グランドキング!!」

 

 

俺の持っているメカとは違うやつを構えながらあの人間が黒い怪獣に命令する。

一体奴は何者なんだ?

 

 

Side end

 

 

 

ようやくペンドラゴンの近くまで辿り着いてみると既にゴモラが怪獣と戦っていた。

あれはシルドロンにノコギリン!!どちらも昆虫怪獣か・・・うん?なんか元気ないだと?・・・だって前に戦ったカマキラスの光景を思い出したせいだよ!!そう言っている間にもゴモラが必殺技を繰り出して2体を倒す。けど2体はすぐに立ち上がって再び攻撃してくる。その理由を俺はある部分を見て気が付いた。

 

 

「・・・どちらとも操られている」

 

 

よく見ると怪獣達の眼は光りを失っているし、腰の部分には触手みたいなのが繋がっていてそれが地中へとつづいている。

 

 

「リーシャ、頼みがあるけどいいかな?」

 

「何でしょうか?」

 

「気配を察するにあの2体はもう既に死んでいて、地中にいる何かに操られている。俺が2体に付いている触手を破壊している隙にお前は地中にいる奴を追い出して欲しいんだ」

 

「成程・・・分かりました。やってみます!」

 

 

説明を聞いてリーシャはバトルナイザーから怪獣を召喚する。それはウルトラマンティガに出た超古代狛犬怪獣ガーディーだった。成程、ガーディーは正義の怪獣だ。1人ぼっちのリーシャをほっとく事はしないだろう。

そう思っている間にガーディーは地中へと潜って行く。俺もやるとしますか!!

 

 

「行け!グランドキング!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「グゥエエエエエゥゥゥ―――!!」

 

 

召喚されたグランドキングは真っ先に戦場に向かって行き、ノコギリンに『グランレーザー』を撃ち、シルドロンに尻尾攻撃を喰らわせる。どちらも地面に倒れた後に両方の鋏で触手を切り離した。その直後、2体は活動を止めて元の死骸に戻った。

さて、リーシャの方はどうかな?

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォォ!!!

 

 

 

「グガアアアゥゥゥ!!」

 

「ガウウウゥゥゥ!!」

 

 

お~出てきた出てきた。地中から現れたのはキノコのような外見をした寄生怪獣バッカク―ンだった。尻尾をガーディーに噛みつかれて、悲鳴を上げながら引き離そうと尻尾を思いっきり振り回す。しかしガーディーは逆にさらに力を加えて喰らいつきながら両手で尻尾を掴み、グランドキングの方へと引っ張る。それと同時にグランドキングも近づく。

 

 

「そのまま投げ飛ばしなさい。ガーディー!」

 

「グランドキング!グランレーザー発射!!」

 

 

俺達の命令を聞いてガーディーはバッカク―ンをグランドキングの方に投げ飛ばし、グランドキングは頭部から必殺技『グランレーザー』を撃ち込む。養分をとって操っていた2大昆虫怪獣を失い、弱体化したバッカク―ンにこの光線を耐えられるはずがなく、大爆破を起こしながら絶命した。勝利の咆哮を上げるグランドキングとガーディーだったが、ゴモラだけは唸り声を上げてこちらを睨み付ける。

 

 

「おい!!」

 

 

突然声をかけられて振り向いて見るとそこにレイがいた。走って来たのか息が切れている状態だ。

 

 

「貴様達も怪獣を操ることができるなら、俺が誰か知っているか!?」

 

「いえ、私はあなたの事は知りませんが・・・」

 

「ならお前は!?」

 

 

警戒しながら自分のことについてレイは尋ねる。今ここで話すべきだろうか・・・?

いや、流石に全て言うのは不味い気がする。しかし今言わないとレイが納得しないだろう。それなら少しだけ・・・

 

 

「お前は俺達と同じレイオニクスだ」

 

「レイオニクス?」

 

「そうだ。まぁ、詳しくはあの連中と一緒の時に教えてやるよ」

 

 

こうしていろいろと問題は残ったが、何とか俺はこの世界の主人公と出会った。

俺の野望を達成するためにも協力してもらうぜ。

 




【大怪獣バトルファイル】
超合体怪獣グランドキング

宇宙に漂う怪獣の悪霊が集まって誕生したロボット怪獣で、クロウの第3のパートナー怪獣。金属質の装甲に覆われて防御力がとても高く、頭部から凄まじい威力の光線『グランレーザー』と両手の鋏と鉤爪が武器。
ロボットである故にクロウの命令には忠実で、どんな時でもクロウの身を守る事から他の怪獣達から『絶対鉄壁の盾』と言われている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 大地を守護する怪獣

お待たせしました。今回はウルトラマンガイアに出てきた怪獣オンパレードです!


感想と評価、リクエスト怪獣を待っています。よろしくお願いします!!



最強合体獣キングオブモンス、骨翼超獣バジリス、地殻怪地底獣ティグリス
自然コントロールマシーンテンカイ・エンザン・シンリョク   登場


バッカク―ンを倒した後、俺とリーシャはペンドラゴン内の1つ部屋に連れて込まれて椅子に座らされた。そしてクルー達が周りを囲んで逃がさないように立ち、ボスこと船長のヒュウガが尋ねた。ちなみに今のリーシャは地球人に変身した状態になっている。

これがまた超絶な美女である!!黒く長い髪、少し大きめな胸に緋色のドレスなどと俺にとっては憧れの女性だ。おっと、話が逸れてしまうところだった・・・

 

 

「早速だが、君達は何者だ?」

 

「俺の名はクロウ。そこにいる奴と同じレイオニクスだ」

 

「私はピット星人リーシャ。同じくレイオニクスです」

 

「レイオニクス?」

 

「かつて全宇宙を支配し、ヤープル共を恐れさせた究極生命体レイブラッド星人の遺伝子を受け継いだ者の事だ。そしてバトルナイザーで怪獣を操ることができるのさ」

 

「それじゃ、君達はどんな怪獣を持っているの!?」

 

 

突如怪獣マニアのオキが興奮しながら聞いてくる。そう言えば最初の頃、オキは空気を読まないことがあったな・・・あっ、そう思っている間にクマノことクマさんに頬を掴まれ引っ張られていった。

 

 

「以上で質問は終わりか?」

 

「終わったのでしたら私達は出て行かせてもらいます。私にはやるべき事がありますので・・・」

 

 

立ち上がろうとしたリーシャにハルナが銃を突き付ける。それを見てリーシャの体から少しばかり殺気が放たれる。

 

 

「随分と野蛮な真似ですね。私を逃がさないつもりで、それとも殺すつもりですか」

 

「いや、そういうつもりじゃない。ただ君達が良ければ我々と取引をしたいんだ」

 

「取引?」

 

 

そう言ってヒュウガはハルナに銃を降ろすように命じた後、取引について説明する。

内容は俺達にレイと同じようにこの星を脱出するまでの間、怪獣から身を守るために一緒に同行してもらいたいとのこと。それに応じてくれたら俺達の目的に協力するね・・・

 

 

「どうだろうか?」

 

「・・・分かった。その条件にのってやる」

 

「ちょっ、どういうつもりですかクロウさん!?」

 

 

すぐ返事をした俺にリーシャは慌てながら激しく詰め寄る。必死に彼女を落ち着かせ、他の奴らに聞こえないように小声で話す。

 

 

「いいか、今俺達には移動する手段が限られている。お前もこいつらがかなり大きな組織の連中であることに気付いているだろ?こいつらに付いて行けばきっと宇宙船の変わりになる乗り物を手に入れられるはずだ。それにこれからの事を考えても付いていく方が効率がいい」

 

 

俺の言葉に納得したリーシャは静かに頷く。取引を承諾し、ボスを始めたペンドラゴンのクルー全員が自己紹介をした後ペンドラゴンは発進した。

それからオキにそれぞれの部屋に案内され、今はオキとレイと一緒に怪獣について話し合っている。

 

 

「へ~~僕の知らない怪獣がいたなんて!」

 

「こいつらもカッコイイ怪獣だろ?俺にとって怪獣は大切な家族さ」

 

 

珈琲を飲みながら怪獣についてオキと長く語り合う。話が合う奴で、特撮ファンの者だったらすぐ仲良くなれる。だがその話を途中でレイが遮った。

 

 

「怪獣の事よりお前は俺のことを他になにか知っていないか!?」

 

「そうは言っても俺とお前は初対面だからな・・・まぁ、1つだけ教えてやる」

 

「何だ!?」

 

 

余程自分について知りたいみたいだな。まぁ、記憶を失うことに対する気持ちは俺もよく分かるけどな。

 

 

「お前からかなり強力な力を感じる。おそらくレイブラッドの血が濃いためだろう。これからも戦って手持ちの怪獣と信頼を深めていけば強いレイオニクスになれるぞ」

 

「・・・・・俺にとって怪獣は道具だ」

 

「ふ~ん。そんなことじゃいずれお前は名もない奴なんかに負けるぞ。負けたくなければ俺の言った通りにするんだな」

 

 

少し強めに言った後、レイは静かに自分のバトルナイザーを見る。

そして時間を気にせずに話していた時、オキの持つ携帯からボスの通信が入る。

 

 

「オキ!クロウとリーシャ、レイを連れてコックピットに集まってくれ。もうすぐ基地に辿り着く」

 

 

そう言われて俺達はコックピットに集まる。そしてモニター画面を見るとZAPの基地が映った。そこも破壊されていたが、今までと少し違っていた。

ある所は鉄材がロウソクのように溶けて、またある所は大量の植物に覆われ、ある所は全てが消し飛んでいた。

 

 

「しっかし暑いですね」

 

「あぁ、まるでサウナの中にいるみたいだぜ」

 

 

オキとクマノが額の汗を拭きながら言う。ここは来てから突然気温が上がったのだ。さらに強烈な風によって熱風が吹いている。俺も上着を脱いでいるけどそれでも暑い。手をパタパタ振っているが焼け石に水だ。隣にいるリーシャも同じように手を動かしながらモニターを見ている。

 

 

「よしハルナ!着陸準備!」

 

「了解!!」

 

 

生存者を探すためにペンドラゴンが安全な場所に降りようとした時、激しい突風と炎が襲い掛かった。気が付いたハルナが緊急回避をしたが完全には避けきれず、右翼部分に当たってダメージを受けたペンドラゴンは落下していく。だが流石ハルナと言うべきか、巧みな操縦でペンドラゴンを着陸させる。

着陸時の衝撃に耐えながら攻撃した奴を確認する。見つめる先には3体の石像があった。1体目は銅鐸のような形をし、2体目は前に現れたノコギリンと同じクワガタの形をし、3体目は巨大な塔に手足がある形をしていた。この3体は共通に腹部分の表面にそれぞれ篆書体で文字が刻まれている。その正体は1体目から順に自然コントロールマシーン・テンカイ、エンザン、シンリョクである。

 

 

「うわ~~自然マシーン全員集合ってか。これはめったに見られない光景だ」

 

「本当ですよ!これは貴重なものです!!」

 

 

どこから出したのかオキはビデオカメラで3体を撮影する。そうしていると俺達の存在に気付いた3体が機械音を鳴らしながら迫る。それを見てハルナがペンドラゴンを飛ばそうとするが、先程のダメージによってかすぐに飛ばない。

 

 

「レイ、クロウ、リーシャ!頼む!!」

 

「分かった」

 

「了解」

 

「分かりました」

 

 

ヒュウガの命で迎え撃とうとペンドラゴンから出て行こうとした時、突然地震が起こって地面から1体の怪獣が咆哮を上げながら出てきた。

 

 

「あれは・・・地殻怪地怪獣ティグリスです!」

 

 

体に付いた土を払いながらティグリスは右側にいたシンリョクに2本の角を構えながら体当たりした。突然のことで回避できなかったシンリョクは隣にいたエンザンを巻き込みながら倒れる。ぶつかる寸前に空に飛び上がったテンカイはお返しとばかりに体当たりする。だがティグリスは足を踏ん張って受け止め、そのまま2体の戦いが始まる。それを俺達は遠くでペンドラゴン内で見守る。

 

 

「どうやらティグリスの奴・・・この辺りを荒らすアイツらに怒っているみたいだ」

 

「何故だ?」

 

「ティグリスは地球を守るために戦ってくれて、ガーディーと同じ正義の怪獣なんだ。それに大地からエネルギーを得ているからきっとこの惑星でも同じように護ろうとしているんだよ」

 

 

ティグリスについて説明し終えた時、悲鳴が聞こえた。態勢を立て直したエンザンが腹部から高熱火炎を放ってティグリスを攻撃したのだ。続けてシンリョクが植物を操って動きを押さえ、テンカイが暴風を発生させる。あのままじゃ体がバラバラになっちまう。

 

 

「久しぶりにやるか」

 

 

ギガライブナイザーからキングオブモンスのスパークドールズを出してライブする。

 

 

『ギガライブ!キングオブモンス!!』

 

 

輝かしい光がペンドラゴンから出て徐々に大きくなってから形が変わる。突然クロウが光ったと思っていたらペンドラゴンの前にキングオブモンスが現れた。

 

 

「クロウさんが・・・怪獣に!?」

 

「本当にアイツは一体・・・」

 

 

全員が驚いているが気にせずに俺は一体化したキングオブモンスと一緒に戦いの元に走って向かう。まずテンカイ目掛けて『クレメイトビーム』を放ち、ティグリスを庇いながらエンザンとシンリョクをパンチやキックでダメージを与える。2体も反撃してくるが単純な動きなので簡単に見切って逆に攻撃する。

それからパンチやキック以外に尻尾や噛み付き等さらに激しい攻撃を加えて2体の体はボロボロにする。2体は完全にグロッキー状態となり、動きがぎこちなくなる。

 

 

『止めだ!ファイナルクレメイトビーム!!』

 

「グオオオオオォォォーーー!!」

 

 

キングオブモンスの第2の必殺技で、強力な破壊光線で地面を爆発させながらそのまま2体に放つ。2体は火花を散らせながら倒れて大爆発した。さて残るはテンカイだけだが奴は体を再び浮かび上がらせ、こちらを見て形勢不利と感じて空高くへと飛び上がっていた。逃走したか・・・だけど逃がさないぜ。

 

 

『追いかけろバジリス!!』

 

「グルルル・・・グオオオオォォォッ!!」

 

 

体中に力を込めて背中からキングオブモンスの分身・骨翼超獣バジリスを出す。出てきたバジリスはすぐに翅を広げて追いかける。別に俺が追いかけてもよかったけどティグリスを見ないといけないからな。それにしてもこの出し方は以外に力がいるぜ。劇場でキングオブモンスもやっていたが大変だっただろうよ。

 

 

「キェェェ!!」

 

「プオォーーー」

 

 

その頃上空ではテンカイが自分を追いかけてくるバジリスに竜巻を繰り出すが、バジリスは猛スピードで避けながら迫って行き、『バジリス・ボディアタック』でテンカイを怯ませて鎌状の両手を使った『シザーアーム』で体を真っ二つに切り裂いた。

テンカイが絶命したのを見てバジリスは勝利の咆哮を上げた後、俺の元に戻って再び一体化する。そしてライブを解除して元の姿に戻る。

 

 

「怪我はないかティグリス?」

 

「ギギャアァァゥゥゥ!!」

 

 

今まで鳴いていた怒りの声ではなく、優しい鳴き声でティグリスは答える。

ほっと安心しながら俺は尋ねる。

 

 

「俺の仲間にならないかティグリス?俺は怪獣を護る王になるために戦っている。その為に大地を護るお前の力が欲しいんだ。どうだ?」

 

「ギギャアアアォォォ―――!!」

 

 

承知してくれたみたいだな。嬉しく思いながら俺はギガライブナイザーを向けてティグリスを回収し、ペンドラゴンに戻る。

 

 

「お帰りなさいクロウさん」

 

「あぁ、出迎えありがとうなリーシャ」

 

「いいえ」

 

 

船内に入るとすぐにリーシャが迎えていて、後ろでは腕を組んで立っているレイもいた。まさかこいつも出迎えるとは予想していなかったので内心驚いた。

 

 

「お前も来るとはな・・・」

 

「ふん。お前にはまだいろいろと聞きたいことがあるからな。それに先程のこともな」

 

 

どうやらレイは何故あんな方法でティグリスを仲間にしたのかが気になるようだな。俺はその話をまたの機会にさせて部屋に戻ってそのままベッドに倒れる。やはり怪獣とライブするのは疲れる。けど怪獣なれるのは嬉しいけどな。そう思いながら意識を消して深い眠りについた。

 




【大怪獣バトルファイル】
地殻怪地底獣ティグリス

とあるZAP基地近くの地底に住んでいた怪獣。大地からエネルギーを得ていて「大地を護るもの」と言われている。
主な武器は長い尻尾と噛み付き、そして体を赤熱化して体当たりする攻撃である。
大地を破壊する自然マシーンを止めるために出現するが、数に押されてピンチになる。そこをクロウに助けられて彼の力になるのと恩を返すために仲間になった。
とても正義感が高い性格である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 暴食!貪欲!凶悪怪獣参上

随分と長くお待たせして申し訳ありません。大学の課題が多いのともうすぐ期末試験があるので、そっちの方に専念しなければいけなくなってしまったので、時間が取れなくって(汗)今回はテレビの話で第4話と第5話の間で起きた話です。登場する怪獣はたくさんいて、次回からは原作に沿って話を進めていきます。
感想と評価もお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー、超古代怪獣ゴルザ、超古代竜メルバ
怪獣王Godzilla、宇宙戦闘獣超コッヴ、雪女怪獣スノーゴン
円盤生物ロベルガー、凶険怪獣カネドラス、宇宙大怪獣ベムスター
古代昆虫メガニューラ、超翔竜メガギラス   登場



ふぁ~~よく寝たよく寝た。頭を掻きながら俺はベッドからゆっくり起き上がって体を動かす。そう言えば船内はやけに静かだな。今どこら辺なのかな?と思いながらギガライブナイザーを持って部屋から出てコックピットに向かうと途中でリーシャに会った。

 

 

「おはようございますクロウさん。随分長い時間寝ていましたよ」

 

「おはようリーシャ。随分ってどれくらい?」

 

「そうですね・・・約半日くらいでしょうか」

 

「は、半日!?」

 

 

半日と言う言葉を聞いて少し驚く。我ながらよく寝たもんだ。前にライブした後は普段と同じ時間くらいしか寝なかったのに。これは体を少し鍛える必要があるな。

そして俺が寝ている間にも怪獣に襲われたが、レイとリーシャが協力して撃退したそうだ。

 

 

「ところで今何処に向かっているんだ?」

 

「この惑星の首都ベラルゴシティに向かっているのです」

 

 

成程ベラルゴシティと言うことはそろそろあの女が出てくるな。俺やリーシャがいるからテレビ通りに話が進む展開になるとは思わないが・・・

真剣な顔になって考え込んでいるクロウを見たリーシャは心配になって尋ねようとしたが、その前にいつもと変わらない笑顔でクロウが言う。

 

 

「それよりも腹減ったぜ~~リーシャ何かない?」

 

「・・・何を考えていると思ったらそれですか!?まったく子供じゃあるまいし・・・すぐに何か用意しますからコックピットで待っていてください」

 

 

そう言ってリーシャは自分の部屋に行く。何故自分の部屋に向かうのかと言うと前に俺が集めておいた食料はリーシャが管理しているのだ。ZAPの連中と行動を共にすると決めた後、リーシャが責任もって預かると言うので渡したのだ。まさかと思うけどつまみ食いしていないだろうな。そう思いながらコックピットに向かうとボス達がいた。

 

 

「お、起きたかクロウ」

 

「随分とお寝坊さんなのね」

 

「ちゃんと早寝早起きしないといけないぜ」

 

 

いろんな事を言われる中、レイだけは何も言わずに静かにイスに座っていた。確か記憶が正しければウルトラマンの事について考えているんだっけ?時々ウルトラマンのイメージが頭の中に浮かんで悩み苦しんでいたのは覚えている。

 

 

「クロウ」

 

「ん?どうした?」

 

「お前は・・・ウルトラマンについて知っているか?」

 

 

 

グオオオオッ!!

 

ギャオオオッ!!

 

ゴバアアァァァ!!

 

 

 

突然ギガライブナイザーの中にいる怪獣達が騒ぎ出した。激しく光を放って怒りさえ感じる鳴き声を上げる。騒ぐ怪獣達にこの場にいる者は勿論、食事を持ってやってきたリーシャも突然の事に驚く。

 

 

「ど、どうしたの急に!?」

 

「悪ぃ、ウルトラマンという言葉を聞いて怪獣達が騒ぎ出した。こいつらの大半は恨みを持っているから・・・ああ、もう!少しは落ち着け!!」

 

 

必死に思念を送り続けてようやく静かになり、溜息をつこうとした時に今度はギガライブナイザーが音を出す。

 

 

『後方より宇宙大怪獣接近!宇宙大怪獣接近!』

 

 

後ろにある監視カメラで調べてみるとペンドラゴン目掛けて飛んでいる宇宙大怪獣ベムスターがいた。このベムスターは、前日レイとリーシャが協力して倒した奴と同じようにペンドラゴンのエネルギーを狙ってやって来たのだ。そしてペンドラゴンを撃ち落とそうと頭部の角から強力な光弾『ベムスタービーム』を何発も放つ。それを回避しようとハルナはペンドラゴンを左右に動かしたり回転したりする。

それ故に・・・・・

 

 

「き、気持ち悪ぃ・・・」

 

「い、いくら・・・なんでも・・・」

 

「ハァハァ・・・うっぷ!」

 

 

上から順にレイ、リーシャ、クロウの3人は酔ってしまう。乗り物に弱くない彼らでもこの激しい動きには耐えられなかった。ボス達は慣れているためか平気である。しかしベムスターは諦めずに攻撃してくるので今だこの状態が続く。

 

 

「ふ、副長・・・頼むから着陸し、してくれ。このままじゃ俺達が・・・死ぬ・・・」

 

 

そろそろ我慢の限界で、口を押えながらハルナに頼む。後ろにいる2人も必死に頷いている。それを見たハルナは若干唖然しながら不時着させようと高度を下げていく。それにつられてベムスターも降下していく。あと少ししたら不時着できると思った時、突然前方に巨大な角が飛んできた。それを見たハルナは操縦桿を思いっきり回し、ペンドラゴンは大きく回転した。

おおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!これマジで死ぬ!!頼むから早く止まってくれーーー!!

思わずに口から胃の物が出てしまいそうだったが、みっともないところを見せたくないという思いで必死に我慢する。

 

 

「あれはカネドラス!さっきの角はカネドラスのだったんだ」

 

 

オキが目の前にいる怪獣の名を言う。両手がフックに似た鋏の形をして先程投げ飛ばしたとても大きな一本角が特徴の凶険怪獣カネドラスである。

くっそ~~カネドラスの奴・・・よりによってこんな時に襲ってきやがって!!

この時ばかり俺はカネドラスに心の中で恨みの声を上げる。しかしカネドラスはそんなことはお構いなしに再び一本角を投げ飛ばした。しかし2度も同じ手に引っかからないと言わんばかりにハルナは角が当たる寸前に回避した。標的を外した角はそのままベムスターに命中し、それによりベムスターは地上に落下する。その隙にペンドラゴンは不時着して、俺達はフラフラしながらも急いで外に出て空気を吸う。

 

 

「た、助かった・・・」

 

「まだ・・・世界が回って・・・います」

 

「ハァハァ・・・」

 

 

ようやく気持ち悪さが収まってきて状況を確認する。ペンドラゴンから少し離れた所でベムスターとカネドラスが戦っていた。ベムスターはさっき自分に攻撃された事で怒り、カネドラスは自分の邪魔をした事に怒り、互いに争う。まぁ、そんなことは置いといて・・・

 

 

「さっきの事で怒っているのはお前達だけじゃないんだよ・・・!!」

 

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

怒りを込めながら俺はキングオブモンスを召喚する。それに続いてレイとリーシャもゴモラとガーディーを召喚する。そして3人同時に目の前の敵を倒せと命じた。

主の命を受けて咆哮を上げながら彼らは向かって行く。先にそれに気が付いたのはカネドラスで組み合っていたベムスターを押し倒した後、口から3万度の火炎を吐き出す。

しかしその炎はキングオブモンスの『ボーンシールド』によって防がれた。だがカネドラスはシールドを破ろうと火炎を吐き続ける。だがその隙をついてキングオブモンスの背後からゴモラが素早く出てきてカネドラスの腹に尻尾を叩き付ける。

 

 

「ギャア!」

 

 

強烈な尻尾の一撃を喰らってカネドラスの火炎放射が止まる。さらにゴモラはカネドラスに掴みかかって何度もパンチを放つ。カネドラスも両手や角を振り回して応戦する。

一方キングオブモンスとガーディーはベムスターの方に向かい戦いを繰り広げていた。前に同じ相手と戦った事のあることでガーディーがメイン、キングオブモンスがサポートという形で戦況は一方的にベムスターが苦戦している状態だ。

このまま押し切ろうとした時、不意にキングオブモンスは空を見た。こちらに向かって何かが近づいている気配を感じたのだ。

 

 

「キシャアアアア!!」

 

「グルルルッ」

 

 

それを見たゴモラがキングオブモンスに真面目に戦えと言うように鳴く。だがそんな事を気にせずにキングオブモンスはずっと気配を感じる方を見つめる。無論その光景はクロウ達にも見えていた。

 

 

「どうしたのでしょう?」

 

「何か・・・こっちに向かっている」

 

 

俺は眼を鋭くさせて遠くの方を観察する。暫くするとその方向から黒い物体が現れた。しかもかなりの数だ。そいつらとの距離が半分を超えてようやく正体が分かったが、その正体を見て思わずゾッとした。

 

 

「ヤバッ!メガニューラの大群だ!!」

 

「メガニューラ?」

 

「古代に生息していた昆虫だ。気を付けろよアイツらは尻尾の針を突き刺して獲物のエネルギーを吸い取ることができる」

 

 

そう説明し終えたのと同時に、メガニューラの大群は一斉に怪獣達に襲い掛かった。

周りを旋回しながら隙をついて身体にまとわりつき、先程言った通りに尻尾の針を突き刺してエネルギーを吸い取り出した。

先程までしのぎを削る戦いを行っていた怪獣達はこの小さな怪獣の大群によってそれどころではなくなった。必死に腕や身体を振るったり、光線を吐くなどをしてメガニューラを倒す。だが、次から次へとメガニューラは襲い掛かってきてキリがない。

 

 

「キュキュイ―――ン・・・」

 

 

エネルギーを全て取られてベムスターが断末魔の悲鳴を上げながら倒れる。その背中には大量のメガニューラが取り付いていた。ベムスターは正面からの攻撃には強いが、背中ががら空きという弱点があったのだ。無残なベムスターの死体を見て俺は青ざめる。1匹1匹は弱くても数が多ければ暴力になりうる事を今目の前で見せられているのだから。

 

 

「だったらこちらも数を増やすとするか!」

 

 

ギガライブナイザーを構えて新たに怪獣を召喚する。出てきたのはキングギドラ、グランドキング、ゴルザ、メルバ、Godzilla、超コッヴ、スノーゴン、ロベルガーの8体である。

 

 

「さぁ、お前ら!仲間を助けて思う存分に暴れまくれーーー!!」

 

 

命令を受けた8体が一斉に動く。メルバとロベルガーは空高く飛んで素早い動きでメガニューラを地上に追い詰め、合流したキングオブモンスらも含めた10体が各々の得意とする光線を放つ。それによってどんどん撃退されていくメガニューラだが、それでも懲りずに尻尾の針で新しく出てきた獲物のエネルギーを吸い取ろうと襲い掛かる。だが完全に息を吹き返した怪獣軍団相手にもはや全滅は時間の問題である。

 

 

「キシュウウウウウ」

 

 

数が半数くらいになった時に1匹のメガニューラが高く鳴き声を上げて逃亡する。それにつられて他の生き残り達も後に続く。

逃がしてたまるか!そう思って怪獣達は光線を放って撃ち落としていくが、メガニューラの大群は遠くの彼方へと消えていった。

 

 

「逃げられたな・・・」

 

「あぁ、すぐ船に戻ってボス達にここから引き揚げる様に伝えに行くぞ」

 

「またメガニューラがやってくるからですか?」

 

「いや、メガニューラよりももっと恐ろしい奴が来るからさ」

 

 

アイツらの究極の戦闘体であるあの怪獣に。映画で観ていたけどとても素早い動きに凶暴な奴だったからな。どうやって戦うかと考えながら怪獣達を回収する。すると同時にカネドラスも一緒にギガライブナイザーの中に入ってきた。何故入ったのか理由を聞くと先程の恩返しをしたいからと答える。随分と律儀な奴だと思うと今まであった怒りもどこかへ消え失せて俺達は船に戻って目的地に向けて出発した。

 

 

 

 

 

一方、生き残ったメガニューラ達は巣がある湖の中に入って今日収穫したエネルギーを湖の底にいる巨大生物に与える。本来なら自分達の命も与えるはずだが、その生物が活動するためのエネルギーがまだ足りないと知ってすぐに獲物を探しに湖から出て行く。

彼らが去った後、その生物いや、超翔竜メガギラスは僅かばかり動く。こいつがクロウ達と対峙するのも・・・そう長くはない。

 




【大怪獣バトルファイル】
凶険怪獣カネドラス

頭の大きな一本角と両手のフックのような鋏が特徴の宇宙怪獣。
主な武器は口から吐く3万度の火炎放射と角を相手に飛ばす技ドラスカッターである。ベムスターに追われていたペンドラゴンに襲い掛かってきて、そのままベムスターやクロウ達のパートナー怪獣と死闘を繰り広げた。
だが途中でメガニューラの大群に襲われて身を守るために共同戦線をする。彼らが引き揚げた後は助け合ったクロウに恩を感じて仲間となった。キングオブモンスの配下になる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 ベラルゴシティの恐怖の罠

一昨日まで車の免許を取るのに時間がかかって、書く暇がありませんでした。今回からいよいよ原作に入って行くのですが、いや~中々難しいものです。
感想と評価、リクエスト怪獣をお待ちしております。



最強合体獣キングオブモンス、超合体怪獣グランドキング、古代怪獣ゴモラ
超古代怪獣ファイヤーゴルザ、地殻怪地底獣ティグリス、岩石怪獣サドラ
奇獣ガンQ、フィンディッシュタイプビースト・ノスフェル   登場


惑星ボリスの首都・ベラルゴシティ。ここも今までの基地と同じように壊滅状態であった。さらに周りには多数のサドラがいて、エサとなる獲物を探しているのかそこらを歩き回っていた。

その時、空から青色の火の玉が落ちてきた。そして火の中から人影が現れて超古代怪獣ファイヤーゴルザを召喚する。

 

 

「グルルッ・・・グゴォアアァァァ!!」

 

「キェエエエーーー!!」

 

 

唸り声を上げながら現れたファイヤーゴルザを見てサドラ達は両手の鋏を構えて攻撃を加える。だがファイヤーゴルザはパンチやキック、ヘッドロックなどで最初に攻撃してきた3体を倒し、残りもゴルザの時より強力な『強化超音波光線』で全滅させた。サドラを倒した後、人影は近くに落ちていたIDカードを拾ってその持ち主の姿形をコピーしたのであった。

 

 

 

 

 

一方、クロウ達は夜が明けた時刻にベラルゴシティに辿り着き、生存者を探すために三手に別れて捜索を開始した。この時に少し揉め合いが起こったけどな。何故だって?原因はドラゴンスピーダーが2機しかないことさ。ハルナ達3人は乗ることは確定していることであと1人を誰にするかと俺とレイとリーシャの3人が激しく話し合った。俺だって1度くらい乗りたいもん!そしてクジ引きの結果でレイが乗ることになった。

乗れなかった事に残念と思いながら外に出てティグリスを召喚してリーシャと共に頭に乗って辺りを探索する。

 

 

「やっぱり誰もいませんねクロウさん」

 

「そうだな・・・・・ところでリーシャ、前から思っていたが何で俺のことを“さん”付けするんだ?」

 

「何でって・・・いろいろありますけど一番思う事は、クロウさんは私の命の恩人ということからです。・・・・・あと、優しくカッコイイですし・・・」

 

「はい?」

 

 

顔が少し赤くなりながら言うリーシャを見て不思議に思う。最後のところは小声だったので聞き取れなかったし・・・む?どこからか視線を感じるな。おそらくケイトだろう。リーシャも気配を感じ取ったのか話を止め、ティグリスに止まるよう指示して警戒する。

 

 

「クロウさん・・・近くに誰かいますね」

 

「あぁ、そのようだな」

 

 

気配が感じる方向を捉えようとした時、突然目の前に怪獣が出現した。ネズミに似た姿で、5本の鋭い爪と長い前歯を持つ怪獣・・・いや、スペースビースト・ノスフェルであった。

 

 

「ピギャアアアォォォーーー!!」

 

 

唸り声を上げた後ノスフェルは俺達に向かって来る。アイツはスペースビーストの中でも上級クラスで、口の中に再生器官があるから何度でも復活してしまう面倒な奴だ。それに見た目がグロテスクだから女のリーシャにとっては最悪で、ノスフェルを見て青ざめながら口を押えている。

 

 

「ここはお前に任せた。行け!グランドキング!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

 

召喚したグランドキングにノスフェルを倒すよう命令する。ノスフェルも爪を構えながら攻撃を仕掛ける。グランドキングが右腕の鉤爪を突き出すが、ノスフェルは大きくジャンプして避けて背後に回る。そして背中を切り裂こうと爪を大きく振り下ろした。

 

 

 

ガキッ!!

 

 

 

「グウウゥゥ!?」

 

 

大きな音がしただけで、振り下ろした自慢の爪が背中を切り裂けず止まっている事にノスフェルは驚愕する。どんなに力を込めても爪は止まったままだった。その隙にグランドキングは気づかないように尻尾を立てて先端からグランレーザーを放つ。突然の攻撃に驚いたノスフェルは悲鳴を上げながら後ろに下がる。

 

 

「グランドキング!ノスフェルの口を攻撃しろ。そこが奴の弱点だ」

 

「グゥエエ!!」

 

 

弱点を知って、グランドキングは鉤爪の先端をノスフェルの口に押し込めてそこからガスを放出する。そのガスは爆発性を持っており、口の中で激しく火花を散らした。再生器官のある部分を破壊されたノスフェルは口元を押えていたが、それでも怯まずにグランドキングを爪で切り裂こうと向かって来る。中々意地のある奴だ。

 

 

「グランドキング!止めをさせ」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

 

ただ無謀に突っ込んでくるノスフェルの腹目掛けて『グランレーザー』を撃つ。それを受けたノスフェルは爆発しながら倒れる。終わったと思ってグランドキングを戻そうとした時、倒れたノスフェルの体が少し動いたことに気が付いた。どうやらまだくたばっていないようだ。

 

 

「どうせだ。お前も俺の仲間になろうぜ」

 

「えっ!?仲間にするのですか!!」

 

 

リーシャが慌てふためいているのを無視してノスフェルをギガライブナイザーの中に回収する。それと同時にボスから戻るよう通信が入る。生存者を救出したとのことだ。ティグリスに来た道を戻るよう命じながら少し溜息をつく。

 

 

「厄介なことにならなければいいな・・・」

 

「何がですか?」

 

「恩を仇で返されることになるかもしれないと言う事さ」

 

 

俺の言葉の意味が分からず、リーシャは難しい顔になる。ペンドラゴンに辿り着いて船内に入った瞬間、また視線を感じた。これをずっと感じていたら苛立つはずさ。視線を送る奴の元に行こうとリーシャと共に歩いていたら途中でクマノにあった。

 

 

「お、二人とも。何処へ行くんだ?」

 

「救出した奴がどんな者なのかを確かめに・・・って何だそれ?」

 

 

クマノが持っていた大量の紙に目を向ける。そして1枚を奪い取って(?)見るとペンドラゴンの機首部分に大きな砲台の図面があった。

 

 

「こいつは『ハイパーオメガ砲』と言ってこの船の主砲だ。昔ペンドラゴンは戦艦だったんだが、地球から怪獣がいなくなったことでこの武器は封印され、ペンドラゴンは輸送船となったのさ」

 

 

ふーん、テレビの時は少ししか見られなかったから分かりにくかったけど、かなり複雑な図面だな。リーシャも興味があるのかじっくり見ている。

 

 

「地球の技術も中々やりますね。見直しましたよ」

 

「そいつは嬉しいな。俺もいつかピット星の科学技術を見てみたいもんだぜ」

 

 

こういう事だとクマノはオキと変わらない感じだなと少し呆れつつ思う。そして資料を全て見終った後、目的だった所に行く。中に入ると綺麗な女性が怯えた表情でオキに抱きついていた。

その光景を見て俺は呆然とし、リーシャは赤くなった顔を手で隠しながら興味深く観察している。

 

 

「・・・・・何やってんだお前・・・」

 

「えっ!?ク、クロウ!リーシャ!いつの間に!!?」

 

「お前がその女の人に抱きつかれて嬉しそうにしているところからな」

 

「顔がとてもにやけていましたよ」

 

「!!?」

 

 

俺達の言葉でオキは驚きと恥ずかしさが混ざったような顔になる。そして焦りながら鎮静剤の薬を取りに行くと言って部屋から逃げて行った。遠くに行ったのを確認した後、改めて目の前の女性・ケイトに話しかけた。先程とは打って変わってケイトの表情は冷たい眼になっていた。

 

 

「さて、先程感じた視線の主はお前だな?」

 

「・・・・・お前は何者だ?そこの女はピット星人であることは分かる。だがお前は地球人でありながら地球人ではない。どこの宇宙人だ」

 

「先に質問したのは俺だけどな・・・まぁ、いい。俺の名はクロウ。怪獣の王を目指している者だ」

 

「私はリーシャと言います。クロウさんの仲間です」

 

「怪獣の王、だと・・・!?」

 

「そう、全ての怪獣達の上に立ち、そして護り抜く王に!」

 

 

俺の最終目標を聞き終わった途端、ケイトは俯きながら薄く笑う。どう見ても馬鹿にしている感じだ。けど笑われても構わない。俺は本気だからな。

 

 

「ふん。お前が誰であろうと私の邪魔をしなければどうでもいい」

 

「邪魔と言うと・・・お前の目的はレイについてかな?」

 

「!?」

 

 

知っている事とはいえ、やっぱり他人の動揺する顔は面白いな。すると先に話をかけてきたのはケイトではなく、リーシャの方であった。

 

 

「レイが目的とは・・・どういう事ですかクロウさん?」

 

「詳しい事は知らんが、俺達がここまで来る間こいつはずっとレイを見つめていたようなんだ。だが安心しろ。俺はお前の邪魔をする気はない」

 

「何・・・!?」

 

 

むしろ協力してもいい。なにしろレイが強くなるのだからな!そう思いながら言うけど、ケイトの眼は相変わらず冷たいものだった。それを見たリーシャがつい銃を抜きそうになったけど、必死に押さえる。

 

 

「信用できないと言うなら、今ここで目的を果たしてみるがいい。さっき言った通り邪魔はしない」

 

 

そう言って俺はリーシャと一緒に部屋から出る。すると部屋から紫色の光が現れて外へと出て行く。

 

 

「クロウさん!今のはもしかして・・・」

 

「あぁ、アイツも俺達と同じレイオニクスだったようだ」

 

 

そして大きく船が揺れて外に出てみるとファイヤーゴルザが出現して船を攻撃し始めた。このままここにいたら巻き添えを喰らっちまう。

 

 

「リーシャ、ちょっと失礼!」

 

「えっ?キャア!!」

 

 

俺はリーシャを抱えながら高くジャンプをして船から離れる。そして戦場からそんなに遠くなく、見通しの良い場所に着地する。

 

 

「ク、クロウさん!!」

 

「ん?あぁ、スマンスマン。迷惑だったか?」

 

「い、いいえ・・・寧ろずっとやってほしかったです・・・・・」

 

 

うん?また最後のところが聞こえなかったな。おっとこうしている内にレイがゴモラを召喚して戦いが始まったようだ。けれどゴモラ1体だけでペンドラゴンを庇いながら戦うのは大変だろうに。

尻尾を掴まれて投げ飛ばされたゴモラをファイヤーゴルザは何度も蹴って体力を削る。転がり続けてようやく態勢を立て直したゴモラは『超振動波』を放つ。しかしファイヤーゴルザの硬い皮膚によって弾かれる。それなら直接角を突き立てようと突進するが、ファイヤーゴルザの『強化超音波光線』で吹き飛ばされる。

 

 

「ゴモラはもう限界みたいですね。この勝負はレイの負けということで」

 

「いや、まだ勝負は分からないぞ」

 

 

そう言ってある方向を指差す。そこからドラゴンスピーダーが2機やって来た。乗っているのは勿論ヒュウガとハルナである。2人はファイヤーゴルザの眼を攻撃して注意を逸らす。その隙にゴモラは地面に潜って行った。そしてそのまま地中の中を移動してゴルザを担ぎ上げて、投げ飛ばした。

 

 

「ゴギャアアアアーーー!!」

 

 

追い討ちをかけるようにドラゴンスピーダーが攻撃した後、ゴモラが突進して角をファイヤーゴルザの腹に突き立てた。

 

 

「ゴモラ!超振動波だ!!」

 

 

レイが大声で言う。これで必殺技が決まると俺を除いた全員が思っただろう。だがファイヤーゴルザはゴモラの角を掴んで、強引に引き剥がしてキックで投げ飛ばした。

互いに肩で息をつきながら間合いを取って睨み合う。やがて先に倒れたのはファイヤーゴルザの方であった。それを見てリーシャはゆっくり言う。

 

 

「戦いは・・・最後の瞬間まで何が起こるか分からないと言うことですね」

 

「そう言う事だ。さてそろそろ準備をするかな」

 

 

ケイトもレイに自分の正体を教えている頃だろうし。そう思ってギガライブナイザーをファイヤーゴルザの方に構える。するとゴモラの後ろに奇獣ガンQが出現する。相変わらず不気味で不思議な動きをする奴だ。

 

 

「キョ~キョキョキョ~イィ~」

 

 

ガンQはゴモラに向けて巨大な目玉から怪光線を放つ。ゴモラは辛うじて避けるが、光線はそのままファイヤーゴルザへと向かい直撃しようとした瞬間、真上から現れたキングオブモンスの『ボーンシールド』によって防がれた。

それを見て驚いているケイトの所まで俺はジャンプして行き、レイに軽く挨拶した後テレパシーで話す。

 

 

「(悪いけど、ファイヤーゴルザは死なせないぜ。これ程強い怪獣は仲間に欲しいし、それに俺は怪獣が死ぬところをあまり見たくないんでね)」

 

「(貴様!!)」

 

 

殺気を込めながら俺を睨み付けるケイト。その時リーシャとクルー達が駆け付けて来た。するとケイトの様子が急に変わって「街を破壊したのはあの男だ」と俺を指差しながら言う。レイじゃなくて俺かよ!?やっぱり話が変わってしまったと思うのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
フィンディッシュタイプビースト・ノスフェル

ネズミに似たスペースビースト。見た目のグロさからリーシャは嫌っている。
主な武器は両手の長い爪で、凄まじい切れ味を持っている。またジャンプ力と再生能力も優れている。グランドキングとの戦いの後、仲間にして何度かライブしようと思ったが見た目の事でリーシャに止められている。多分永久にライブする事はないかも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 四人の怪獣使い

時間がかかって申し訳ありません。話の展開をどのようにするのかで悩んでいた事とレポートを仕上げるのに手間取ってしまいました。
しかし、今回も熱い怪獣同士の戦いが行われます!そして次回あの怪獣のために大変な事が起きるかも!!(多くのリクエスト怪獣が出てしまう・・・ボソッ)
感想と評価、リクエスト怪獣をお待ちしております。



最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、地底怪獣バラゴン
超古代怪獣ファイヤーゴルザ、古代怪獣ツインテール、原始怪鳥リトラ(S)
超古代狛犬怪獣ガーディー、奇獣ガンQ   登場


この時において俺の存在が原作を狂わせている者である事が実感する。テレビではレイに罪を被せていたのが俺になっているのだから。そう思っている間にもケイトは泣きながら俺が怪獣を使って街を破壊したとクルー達に訴える。

それを聞いて怒ったリーシャが、腰にある銃を抜いてケイトに向ける。

 

 

「あなた!クロウさんによくもそんな事を!!」

 

「やめろリーシャ!!」

 

 

片手で銃を掴んで下ろさせた時、後ろからファイヤーゴルザがフラフラしながらこちらに近づいてきた。それを見て俺はギガライブナイザーを向ける。他のレイオニクスの手持ち怪獣だったから回収できるかなと心配したが、ケイトに捨てられた事を悟ったのかファイヤーゴルザは抵抗せずにキングオブモンスと一緒に中に入っていった。

仲間が増えたことに内心喜んでいた時にケイトがテレパシーで話しかけてきた。

 

 

「(何も言わずにここから立ち去れ。そうすれば人間共には手出しをしないと約束しよう)」

 

「(約束ね・・・)」

 

 

はっきり言って信用できない。テレビを見ていて、ケイトは約束を破ってレイを攻撃している。さらに俺とは他人関係だから容赦しないだろう。けどここで逆らっても何の得にもならないから従うしかないと諦めながらこの場を立ち去る。

 

 

「クロウさん!?」

 

「おい!」

 

 

黙って立ち去る俺を見たリーシャはすぐに追いかけた。レイは最初戸惑っていたが同じように後をついてきた。ペンドラゴンから少し離れた所で俺は2人に尋ねた。

 

 

「何でお前らは俺の後をついてきたんだ?」

 

「何を今更・・・命の恩人を見捨てるわけにはいきませんから!(・・・・・それに好きな人と離れたくありませんし!)」

 

「俺の事について知っているのはお前だけだ。だからついてきた。それだけだ」

 

 

うん?俺だけ?ケイトからもいろいろと教えられたはずではないのか!?そのことを聞いてみるとケイトからはあまり聞かされていないみたいだった。

まったく、もっと自分の弟に関心持てよな!まぁ、そんなことは今は置いといて・・・。

 

 

「そうか・・・ありがとう」

 

 

すぐ傍に信じ合える仲間がいると心から安心できるんだな。この世界に来る前はとてもそんな事できる奴なんていなかったからな。2人に感謝を込めてお礼を言う。

 

 

「別にいいのですよ。それよりこれからどうしますか?あの女のせいで荷物は置いてきてしまったし・・・」

 

 

少し怒りを込めながら言うリーシャの言葉に俺は額に手を付けながら考える。確かにあの場の流れに乗って何も持たずに立ち去ったからな。どうするかと迷っていたら突然地面が震えだした。そして咆哮と鳴き声を上げながら目の前に2体の怪獣が出てきた。

1体は頭が下半身にあり、ブーツのように直角に曲がった体と2本の尻尾がある古代怪獣ツインテール。もう1体は茶色い体に前後肢の巨大な爪、黄色く明滅している額の一本角が特徴の地底怪獣バラゴンだった。

 

 

「ガアアアォォォーーー!!」

 

「ギシャアァァァ!!」

 

 

地中で何かあったのか、どちらも興奮状態でツインテールは2本の尻尾を前に突き出しながら、バラゴンは鰭の様な耳を立てて後ろ肢で立ちながら互いに相手を威嚇する。・・・と言ってもツインテールの体半分くらいしか身長がないバラゴンにあまり威圧感は感じないけどな。先に仕掛けたのはバラゴンで、大きくジャンプをしてツインテールに飛び掛かる。

だがツインテールは体を曲げてそれを避ける。

 

 

「クワァァー!!」

 

「グガァッ!!」

 

 

お返しとばかりにツインテールは尻尾の鞭を何度も振り下ろしてバラゴンを叩く。それを受けてバラゴンは悲鳴を上げつつも口から『マグマ熱線』をツインテールの顔目掛けて放つ。それにより鞭の攻撃が一瞬止まり、その隙をついてバラゴンは再び飛び掛かって尻尾の付け根にある発光部分に噛みついた。

 

 

「ギゲェエエ!!」

 

 

強烈な噛み付きの攻撃に今度はツインテールが悲鳴を上げ、何とかバラゴンを引き離そうと鞭で締め上げる。しかしバラゴンは離れず、逆に噛む力を強めた。あまりの痛さにツインテールは周りを動き回り、そのまま俺達に近づいてきた。

 

 

「このまま何もせずにやり過ごそうと思っていたんだけどな・・・仕方ないか」

 

 

溜息をつきながらギガライブナイザーを構えようとしたらリーシャが止めてきた。

 

 

「待ってくださいクロウさん。ここは私に任せてください」

 

「いや、怪獣は俺の獲物だ。俺が倒す!」

 

 

そう言ってレイとリーシャはバトルナイザーからそれぞれリトラ(S)とガーディーを召喚する。そしてガーディーは暴れるツインテールを背後から掴んで動きを止め、リトラが空から火球を吐いて攻撃する。だが何発も放った火球の1つがバラゴンにも当たってしまい、それによって噛み付きが解け、痛みがなくなったツインテールはバラゴンを掴んだまま背後にいるガーディー目掛けて叩き付ける。

 

 

 

ガンッ!!

 

 

 

「ガウゥ!!」

 

「グギャッ!!」

 

 

頭から振り落とされたことで2体は共に動けなくなった。そしてツインテールは上空にいるリトラを叩き落とそうと鞭を振るった。リトラは素早く避けるが次第に動きが鈍くなって当たってしまい、地上に落ちた。レイがすぐに飛ぶよう指示するがダメージによってリトラは飛べない。

 

 

「ガーディー!リトラを助けなさい!!」

 

「ガウウゥゥゥッ!」

 

 

頭の痛みを押えながらガーディーは立ち上がり、リトラに迫るツインテールを再び背後から掴み、力一杯持ち上げて思いっきり地面に叩き付けた。それを受けて怯んだ隙にリトラは空へ飛んでツインテールの顔目掛けて火球を何発も放つ。

火球を受けて抵抗力が小さくなったツインテールをガーディーが止めとばかりに尻尾を掴んでジャイアントスイングをして、投げ飛ばした。

 

 

「ギシャァァァ~~~・・・」

 

 

何とか起き上がろうとするツインテールだが起き上がれず、断末魔を上げて力尽き倒れた。ガーディーとリトラはツインテールが倒れたのを確認した後残ったバラゴンの相手をしようと振り向く。しかしバラゴンは対立していた相手が倒されたのを見て興奮が収まり、既に地中へと潜っていた。

 

 

「逃げられたか」

 

「でも勝ったからいいではありませんか。放っておきなさい」

 

 

バラゴンに逃げられて悔しがるレイをリーシャが抑える。それを俺が後ろで観察していた時に近づいて来る気配に気が付く。そして2人にも聞こえるくらいの声でその者に話しかける。

 

 

「どうだ、中々いいコンビネーションと戦いだっただろう」

 

「確かに・・・だが、あの程度の怪獣に時間がかかり過ぎだ」

 

 

厳しい評価だなケイトは。もう少し褒めてやってもいいのな~と思っている間にケイトの存在に気付いたレイとリーシャが警戒しながらも話しかける。

 

 

「何の用だ?」

 

「用だと・・・?」

 

「私達をペンドラゴンから引き離すのがあなたの目的ではないのでは!?」

 

「ふん、あんな連中に用はない。用があるのはお前だ!」

 

 

レイを指差しながら言った後、ケイトはバトルナイザーを構えてガンQを召喚する。召喚されたガンQは体中の眼から怪光線を放って攻撃してきた。俺達が必死に光線を避けていると主の危機を見たガーディーとリトラがガンQに向かって攻撃する。それを見たガンQは体から分離させた誘導眼球体を使ってリトラを撃墜させ、自身は格闘術でガーディーを攻撃した。ガーディーも噛み付きや尻尾攻撃などで反撃するが、ツインテール戦とのダメージが溜まっていた事で動きが鈍く、尻尾を掴まれて投げ飛ばされてしまった。

 

 

「何をしている貴様!もっと本気で戦え!!」

 

 

ガーディーとリトラのやられ姿を見てケイトは怒鳴り声を上げる。今のレイとリーシャのレベルじゃ2連戦はキツイことを分かっているくせに。そろそろ俺も戦うかとギガライブナイザーを構えるとケイトが睨み付けながらテレパシーで話す。

 

 

「(邪魔はしないと言ったはずだ。余計なことはするな!!)」

 

「(けどこのままの状態じゃ2人・・・いや、レイが本気を出すことはできないぞ。さっさと捕まえた人質を出しな)」

 

「(!?貴様何故それを・・・・・まぁ、いい)」

 

 

ケイトの眼が光った瞬間、目の前に岩の手錠に付けられたオキが現れた。そしてガンQにオキを踏み潰せと命じた。悲鳴を上げるオキを見てレイはゴモラを召喚する。

 

 

「ゴモラ!オキを助けるんだ!!」

 

「キシャアアアアァァァ!!」

 

「キュイイィ~~キャハハハ~」

 

 

ゴモラはガンQに蹴りと突進で攻撃するが、ファイヤーゴルザ戦の傷がまだ癒えていないせいか威力がなく、動きも鈍いためにガンQに反撃されて尻尾を掴まれて投げ飛ばされてしまう。それを見ていたオキが俺達に謝り始める。疑った自分達に失望したからペンドラゴンから出て行ったと言う。

 

 

「何勝手な事を言ってんだお前」

 

「えっ!?」

 

「私達は別にあなた方に失望したつもりはありません」

 

「そして信じている。逆転の時がきっと訪れることを」

 

「逆転の時だと・・・!?」

 

 

すると突然どこからビーム攻撃が放たれてガンQを攻撃した。予想通りにペンドラゴンが援護に駆け付けて来た。その隙をついてゴモラが『超振動波』を放つ。ガンQは誘導眼球体を盾にするが、全てが破壊されてそのままガンQ本体に命中する。そしてゴモラはこれを機に猛攻撃を加える。だがガンQも瞬間移動してゴモラの後ろに回り、不意打ちを仕掛けようとするが・・・

 

 

「ガウウウゥゥッ!!」

 

「キュワアアアァァァーーー!?」

 

 

態勢を立て直したガーディーが噛み付きでガンQを押さえ、ハルナが乗ったドラゴンスピーダーとリトラが攻撃する。これは流石に誰が見てもガンQに分が悪すぎる。そしてタイミングを計ってガーディーがゴモラ目掛けてガンQを投げ飛ばすとゴモラが尻尾攻撃でガンQの動きを止める。その隙を狙ってペンドラゴンの主砲『ハイパーオメガ砲』が炸裂してガンQを一撃で倒した。怪獣達が勝利の咆哮を上げている中で激しく大爆発をするガンQに俺は静かに手を合わせる。

 

 

「他人の怪獣にそんな事までするとは・・・甘い奴だ」

 

「怪獣の王を目指している者として当然のことだ。それよりもアイツらと一緒にいればレイが強くなることが分かっただろう?」

 

「・・・そうだな。人間との接触と貴様の影響で予想以上に成長している。今回はそれで十分だ」

 

 

あれ?何で俺も入っているの?別に俺はレイに何もしていないんだけどな。だがケイトは気にせず、オキを解放して立ち去ろうとする。それを見てレイが話しかける。

 

 

「もう一度だけ聞く。貴様は何者で目的は何だ!?」

 

「私はお前をもっと強くするために来た。だがお前が私より弱ければ容赦はしない」

 

 

そう言ってケイトが腕を振るうと衝撃波が襲ってきたが、レイに当たる前に俺が前に出てギガライブナイザーでガードする。防ぎ終えて再び前を見ると既にケイトの姿はどこにもなかった。だが最後にテレパシーで語ってきた。

 

 

「(レイを・・・弟をもっと強くさせてくれ・・・頼む)」

 

「・・・・・言われなくともそのつもりだ」

 

「?何を言っている」

 

「いや、何でもない」

 

 

独り言だと伝えてリーシャと合流した後、改めてペンドラゴンのクルー達と絆を深めて俺達は再び共に行動することとなった。

 




【大怪獣バトルファイル】
地底怪獣バラゴン

地底深くに潜み、額の光る角が特徴の怪獣で、その中でツインテールと喧嘩を起こして地上に出てきた。体は小さいがその分動きが速く、ジャンプ力も高い。
主な武器は口から吐く『マグマ光線』と噛み付きである。けれど光線の威力はそれほど高くない。ツインテールが倒れた後はレイ達と戦わず、地底に戻って行った。
ちなみに彼の出番はここで終わらない。まだ出番があるかも!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 大怪獣軍団!大決戦!!(前編)

今回はタイトル通りに登場する怪獣はたくさんいます。まさに怪獣祭りです!!
読んでくださる皆様のご期待に応えられるようにこれからも頑張ります。
リクエスト怪獣、感想、評価もお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー
原子怪鳥リトラ(S)、四次元怪獣ブルトン、どくろ怪獣レッドキング
アンフィビアタイプビースト・フログロス(B)、透明怪獣ネロンガ
地底怪獣テレスドン、剛力怪獣シルバゴン、超古代尖兵怪獣ゾイガー
宇宙海獣レイキュバス、昆虫怪獣メガロ、未来怪獣ガイガン
宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ、完全生命体デストロイア   登場



ケイトの件から翌日、俺達は今ペンドラゴンに乗ってレイとハルナが乗ったドラゴンスピーダーを探している。どうしてだと?レイがハルナに指導してもらいながらドラゴンスピーダーの操縦練習をしていた時、突然時空エネルギーが発生して2人を捕らえてその直後消えてしまったのだ。

その後助け出すために着陸したと思われる場所に向かい、必死に探すが影も形も見えない。

 

 

「クロウ、レイ達の気配は感じることはできないか?」

 

「・・・少し待ってろ。今極限まで集中して探している」

 

 

通常よりも強く集中して気配を探るが時空エネルギーが壁のように邪魔してうまくいかない。その事に少し苛立ちながらも更に集中してようやく気配を感じた。それと同時に船内に警報が響く。

 

 

「ボス、この先は時空エネルギーが発生していて危険です」

 

「そうか。クロウどうだ?」

 

「この先にレイ達の気配を感じた。今いる場所からそんなに離れていないから着陸して救助に行けるぞ」

 

「よし!オキは船に待機、あとの者は医療セットを持って俺と共に2人の救助に向かう」

 

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

それぞれの役割を決め、着陸して俺を先頭にレイ達がいる所を目指して歩き出す。周りを見渡せばそこは他の所と同じ廃墟の場所で、誰も此処には生き物なんていないと瞬時に思うだろう。

だが俺には分かる。此処に降りた時から別の気配を感じている。

 

 

「(まったく最近は誰かに遠くから見られている事が続くな)ハァ~」

 

「どうかしましたかクロウさん?溜息なんかついて」

 

「うん?いや、別に何ともn・・・!?」

 

 

心配するリーシャを安心させようと後ろを振り向くと遠くで地面から触手みたいなのがウヨウヨと動いているのを見つけた。それを見て俺は直線上にいるリーシャとクマノを退かしてギガライブナイザーの先端から破壊光弾を撃った。それはかつてベリアルがギガバトルナイザーから繰り出した必殺技『ベリアルショット』よりも強力なもの・・・その名も『モンスターショット』である。

何故モンスターかと言うとこの光弾には怪獣達の攻撃技の属性を含める事ができるからだ。今回は俺の相棒・キングオブモンスの高熱属性を含ませた。

 

 

 

ドッガアアアアアァァァァァン!!!

 

 

 

「「「!!?」」」

 

 

光弾は触手に当たって激しい爆発を起こした。暫くして煙は消えて、当たった場所は凄まじい高熱を含ませたせいか周辺の瓦礫を蒸発させ、ちょっとしたクレーターができていた。

突然俺が攻撃したことに3人は驚いたが、すぐに我に戻ってヒュウガが代表して聞く。

 

 

「どうしたクロウ!?」

 

「今あの場所に触手みたいなのがあってな。嫌な感じがしたので攻撃しただけだ」

 

「触手ですか・・・?」

 

「そうだ。それよりも時間をかけてしまったな。早くレイ達の元へ向かうぞ」

 

「あ、あぁ」

 

 

そう言って俺が再び歩き出すとリーシャ達もすぐに後をついて行った。だがこの時もっと注意深く見て確認すれば良かったと後悔した。あのクレーターの中心から先程よりも短く、動きも弱々しかったがあの触手がまだあったのだ。

 

 

それから少し歩いた後、ドラゴンスピーダーを見つけて駆け付ける中を確認する。

乗っているのはハルナだけであった。

 

 

「ハルナ!レイは何処に行った?」

 

「分かりません。今気が付いたばかりで・・・」

 

「俺とリーシャが探して来る。ボスとクマさんはハルナの怪我を見てやりな」

 

「分かった。2人とも頼んだぞ!」

 

 

俺とリーシャはドラゴンスピーダーから離れてレイを探しに行く。テレビで見た感じ的にこっちの方かな。直感だから不安だけど気配を感じにくいから仕方ない。通り道にある瓦礫を避けながら進んで行くと周りをキョロキョロと見渡しているレイを見つけた。

 

 

「見つけましたよレイさん」

 

「どうかしたか?」

 

「見覚えがある。此処の景色を・・・俺は前にも見たことがある」

 

 

そう呟いてレイはまた周りを見渡す。そういえばこいつはあの娘と一緒に此処にいたんだった。

それを思い出した時、突然時空が歪んで大きな穴が開くとそこからスペースビースト・フログロス(B)が現れた。

 

 

「ピギャアアァァァグウゥゥゥ!!」

 

 

フログロスは俺達を見た途端に襲い掛かってきた。このフログロスは通常よりもかなりデカイ個体である。それによって体の中で気化させて放つ火球の威力も勿論上がっている。

よって俺達は口から放たれた火球から必死に逃げる。

 

 

「何で襲ってくるのですか!?」

 

「それは分からんが、このままではマズイ。レイ!リトラで奴を倒すんだ」

 

「分かった!!」

 

 

次に放たれる火球までの時間の隙をついてレイはバトルナイザーからリトラ(S)を召喚する。空を飛ぶリトラを見てフログロスは火球で撃ち落とそうとするがそれより早くリトラが火球を放ち、それを受けてフログロスは爆発して倒れた。テレビでも見ていて思ったが、フログロスって弱すぎだろう!?たった一発の火球で倒されるなんて!

 

 

「やれやれ、あいつを仲間にした時はしっかり強くさせないといけないな」

 

「そんなことよりもクロウさん・・・あの怪獣少し変な感じだと思いませんか?」

 

「まるで何処からか転送されてきた事にか?」

 

「はい。そうとしか思いません」

 

「・・・正解だよ。あのフログロスは何かの力によって転送されたのさ」

 

 

リーシャにそう説明した後、俺はここまで来る途中で発見したあの触手がやっぱりあいつのアレなんだろうなと考える。さっき攻撃したけど、フログロスを召喚した事から多分効いていないと思うべきか。その時、遠くからヒュウガ達が俺達を呼びながらこっちに向かっている事に気が付いた。合流しようとしたら突然レイがある廃墟の建物に向かって走り出した。全員が後を付いてその建物に入っていくとそこはZAPの研究施設であった。

そこを探索してペンダントとノートパソコンを発見した。ペンダントにはある親子の写真が入っていて、レイはその娘を知っていると言う。俺もこっそり覗いて見て、この娘がいずれ地球の子供レイオニクスの祖母になることに内心苦笑した。

ノートパソコンの方には一カ月前の映像データが収録されていた。そこにはボリスが怪獣惑星になった理由が四次元怪獣ブルトンのせいである事が示されていた。時空間に穴を開けて過去の地球や宇宙から何百という怪獣達を呼び寄せたのだ。そしてブルトンの中から人間の赤ん坊が現れたことも。クルー達がいろいろと話し合っている中で、突然レイが俺の肩を乱暴に掴む。結構痛いよレイさん。

 

 

「クロウ・・・」

 

「何だ?」

 

「お前は・・・この赤ん坊が誰なのか・・・知っているんだろう?」

 

「!?」

 

 

突然レイにそのことを言われて俺はつい動揺してしまう。それが災いして赤ん坊の事を知っていると思ったレイが今度は胸倉を強く掴んで尋ねる。ちなみにいつもならクロウに危害を加えようとする者に怒るリーシャだが、今回はレイと言うことで迷って立ち往生していた。

 

 

「教えてくれ!あの赤ん坊は誰なんだ!?」

 

「・・・・・本当に知りたいのか?」

 

 

そう言うとレイは何度も頷く。リーシャや皆も真剣な眼で俺を見ている。これはもう逃げられないと観念して言う。

 

 

「なら教えてやる。あの赤ん坊は・・・お前だ。レイ」

 

「!!?」

 

 

真実を聞いてレイが驚きの顔になった時、船が大きく揺れた。外を覗いて見ると地面からブルトンが出現した。それを見てヒュウガが攻撃を命令するが、ブルトンが時空エネルギーを発生させているためにペンドラゴンが動かせない。

それを知っているのか、ブルトンは転がりながらどんどん迫ってきた。

 

 

「レイ、もっといろんな事を知りたいと言うならまずブルトンを倒してからだ。いいな?」

 

「分かった」

 

「私も行きますよクロウさん」

 

 

物分かりがいい奴になった者だ。そしてリーシャも言わずに付いて来てくれるとは嬉しくって涙が出そうだよ。そう思いながら俺達は船から出てブルトンの前まで行き、バトルナイザーから各々の怪獣を召喚する。

 

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

「キシャアアアアアァァァ!!」

 

「ガウウウゥゥゥ!!」

 

 

右から順にキングオブモンス、ゴモラ、ガーディーと並んでブルトンと対峙する。最初に向かったのはゴモラで、得意の突進攻撃を仕掛けるがブルトンは転がって避ける。大きく後退すると体の穴からアンテナの様な四次元繊毛を出す。するとあっちこっちで時空に穴が開く。ここまでテレビで見た通りだが、いや少し違う。穴の数が多すぎる!?

 

 

「何この数!?倍以上はあるぞ!!」

 

 

あまりの数に俺は声を上げてしまう。そして時空の穴から大量の怪獣が出現した。

その数は全部で10体。

レッドキング、ネロンガ、テレスドン、シルバゴン、ゾイガー、

レイキュバス、スペースゴジラ、デストロイア、ガイガン、メガロである。

今までにない強敵たちを目にしてキングオブモンス達も気を引き締めて対峙する。

今この時、怪獣同士による大決戦が行われようとしていた。

 




【大怪獣バトルファイル】
超古代狛犬怪獣ガーディー

ウルトラマンと同じカラータイマーを持つ正義の怪獣。
リーシャの第1のパートナー怪獣で、彼女とは前の主人の時よりも絆が高い。
主な武器は角を使った突進と噛み付きだが、ある切り札的隠し技を持っている。
クロウやレイの怪獣達とは仲がよく、時より彼らを押えるブレーキでもある。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 大怪獣軍団!大決戦!!(後編)

いよいよ後編でございます。多くの怪獣による激しいバトルをご覧ください。
今年もあと少し!何とか最後まで頑張っていきます。
あと前々から思っていたのですが、【大怪獣バトルファイル】を作ることにしました。前の話にも付け加えておきます。



最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー
原子怪鳥リトラ(S)、宇宙超怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
四次元怪獣ブルトン、どくろ怪獣レッドキング、透明怪獣ネロンガ
地底怪獣テレスドン、剛力怪獣シルバゴン、超古代尖兵怪獣ゾイガー
宇宙海獣レイキュバス、昆虫怪獣メガロ、未来怪獣ガイガン
宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ、完全生命体デストロイア   登場



ブルトンの力によって召喚された10体の怪獣軍団。特撮ファンならこの怪獣達を見たらすぐに名前が出て、どんな怪獣か分かるはずだ。

 

怪獣界で一番の暴れん坊・レッドキング。

透明能力を持って電気を食べる・ネロンガ。

地底人のボディガード・テレスドン。

凄まじい怪力と硬い銀色の強者・シルバゴン。

『地を焼き払う悪しき翼』と呼ばれる・ゾイガー。

両腕の大小の鋏を持つ・レイキュバス。

シートピア海底王国の守護神・メガロ。

全身が凶器のサイボーグ・ガイガン。

ゴジラと酷似した姿の戦闘生物・スペースゴジラ。

オキシジェン・デストロイヤ-の化身・デストロイア。

 

いずれも人間達から恐れられて名の知れた怪獣達である。それが今、敵として俺達の目の前にいるのだが・・・駄目だ!気持ちが抑え切れん。どの怪獣もカッコイイし、強い奴らだらけだ。ブルトン!!お前はなんて最高な怪獣を呼んでくれたんだ!!

喜んでいるクロウはさて置き、この軍団を見たキングオブモンス、ゴモラ、ガーディーの3体は怯むどころか逆に咆哮を上げて睨みつける。

 

 

「グガギャアアアアアァァァン!!」

 

「ギュアアアイイィィィィン!!」

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

それを見てネロンガ、メガロ、シルバゴンの3体が先陣を切って襲い掛かった。

嬉しい気持ちを抑えながら俺は素早く2人に伝える。

 

 

「レイとリーシャは左右の怪獣を相手にしろ。俺は真ん中の奴を倒す」

 

「ああ!(はい!)」

 

 

そしてゴモラはネロンガへ、キングオブモンスはメガロへ、ガーディーはシルバゴンへとそれぞれ戦いを繰り広げる。

向かって来たネロンガにゴモラは真正面から攻撃を受け止め、背中にパンチを放って怯ませる。だがネロンガも体当たりで反撃して押し潰そうと大きく飛び掛かる。

押し潰されそうになった時、ゴモラがタイミングよくネロンガの首元に当て、痛みに苦しむネロンガに再び殴りまくる。このまま行けばゴモラが勝つと思ったが、そううまくはいかない。

 

 

「ギィガアアアオオォォォン」

 

「ギシャアアアァァァッ!!」

 

 

苦戦するネロンガを見てスペースゴジラがテレスドンに助けるよう命令した。テレスドンは言われた通りにゴモラに体当たりをしてブッ飛ばし、口から『溶岩熱線』を吐いてゴモラを苦しめた。態勢を立て直したネロンガも攻撃を加える。

2対1という不利な状況になってもゴモラは尻尾を使って善戦する。

 

 

 

一方同じように真っ先に襲い掛かったメガロは、逆にキングオブモンスに打ちのめされていた。口から出す『地熱ナパーム弾』も角の先端から放つ『レーザー殺獣光線』も『ボーンシールド』によって防がれ、両腕のドリルも怪力によって止められて打つ手がない状態だった。キングオブモンスはドリルを掴んだまま、背負い投げしてメガロを叩き付けた。

 

 

「キュイイィィ~・・・」

 

「グオオッ?」

 

 

叩き付けられたメガロは最初体をピクピクと動かしていたが、息絶えたかのそのまま動かなくなった。死んだのを確認しようとキングオブモンスが近づこうとした時、背中を何かに斬り付けられた。

 

 

「グルルッ!?」

 

「キイイイィィァァァ!!」

 

 

振り向くとそこにはガイガンがいた。己の鉤爪状の腕・ハンマーハンドに付いた血を見ながら奇襲が成功した事を喜んでいた。怒ったキングオブモンスがガイガンに攻撃しようとした時、またもや背中に痛みが起こった。今度は切り裂かれたのではなく、爆発したのだ。背後にいたのは死んだはずのメガロであった。

これこそ、ずる賢いメガロの得意とする『死んだふり』戦法である。そしてガイガンと同じように奇襲が成功した事に喜び、更に尻を叩いて挑発する。

王としてのプライドを傷つけられたキングオブモンスは激しく怒り、その場で地団駄して『クレメイトビーム』を放つ。それを見てメガロは両腕のドリルを使って地中に潜り回避する。その隙をついてガイガンが再びハンマーハンドで切り裂こうとする。しかし二度も同じ手に引っかかるかと言わんばかりにキングオブモンスは尻尾をガイガンの首に巻き付ける。そしてメガロが潜んでいる所目掛けてガイガンを叩き付ける。

 

 

 

ガンッ!!!

 

 

 

「キィィィ~~~」

 

「キュイイィィ~~~」

 

 

勢いよく頭をぶつけられたせいで2体はフラフラしたが、何とか痛みを我慢して怒りの咆哮を上げながらキングオブモンスと対峙する。

 

 

 

その頃、シルバゴンに戦いを挑んだガーディーは苦戦していた。近距離攻撃しかないシルバゴンには遠距離攻撃で対応するのが一番だが、ガーディーも主な攻撃が近距離攻撃しかない。角を使って体当たりすれば超強力な怪力で止められ、噛み付けば殴り倒されてしまう。その光景を見ていたリーシャの頭の中である技が浮かび上がる。

 

 

「(見たところあの怪獣は遠距離攻撃ができない。対してガーディーはない訳ではないけどあれは使うとエネルギーが一気に消費して戦う時間が減ってしまうし・・・)」

 

 

切り札とも言える技なので使うか悩んでいたが、ガーディーがシルバゴンに角を掴まれて吹き飛ばされるのを見て命じる。

 

 

「ガーディー!ゼペリオン光線よ!!」

 

 

なんとガーディーが口からティガの技である『ゼペリオン光線』が放ったのだ。これを見た俺はつい唖然としてしまった。

確かにガーディーにはウルトラ戦士と同じカラータイマーを持っているけど、まさかティガと同じ技を使えるとは!?

放った光線はシルバゴンの顔に当たり、受けたシルバゴンは倒れる。しかしガーディーも光線を使ったせいで胸のカラータイマーが赤くなって音が鳴り出した。

これで倒れてくれれば、と願うリーシャとガーディーに突然背後から何かに襲われて倒れてしまう。必死になって立ち上がったガーディーが目にしたのは、空を速く飛ぶゾイガーだった。鳴き声を上げて低空飛行で近づいて口から光弾を撃つ。

必死に耐えるガーディーだったが、そのため動けなくなったところにゾイガーが体当たりをしてぶっ飛ばす。

 

 

「ガウゥゥゥ・・・」

 

「ガーディー頑張って!!」

 

 

応援する主人の声を聞いてガーディーは少しフラつきながらも立ち上がる。

その時、背後で聞いたことのある鳴き声がした。振り向くと倒したはずのシルバゴンが平然と起きていた。それを見たリーシャが急いで命令しようとするのを俺は制する。

 

 

「待ってリーシャ!シルバゴンは動いている者しか襲ってこない。それを利用しろ」

 

「眼が悪いということですね。ガーディー!そのまま待て」

 

 

そう言われてガーディーはまるで起立するかのように背筋をピンとして動かない。

それによりシルバゴンは周りをキョロキョロ見渡して誰もいないと思い、後ろを向いてしまう。その隙をつこうとした時、ゾイガーがまた低空飛行で体当たりしようと迫ってきた。だがリーシャは慌てずにタイミングを測って素早く言う。

 

 

「今よガーディー!お座り!!」

 

「ガウッ!!」

 

「ピイェェェ!?」

 

「シュィィィ!?」

 

 

しゃがんで避けられた事でゾイガーはそのままシルバゴンにぶつかってしまう。

それに怒ったシルバゴンがゾイガーに襲い掛かる。激しく殴りまくり、怯んだゾイガーの両翼を引き千切ってしまう。あまりの痛みに悲鳴を上げるゾイガーだが、必死に格闘術で反撃する。しかしシルバゴンの体の硬さの前では効果は薄く、逆に殴り倒されてしまう。一旦距離を取ろうと考えたゾイガーは起き上がって走り出すが・・・。

 

 

「ガウウウゥゥゥ!!」

 

「ピイェェェッ!?」

 

 

その先にはガーディーが待ち構えていて、今までのお返しとばかりに強烈な体当たりしてぶっ飛ばし、口から『ゼペリオン光線』を放ってゾイガーを倒した。ゾイガーが爆発したのを見てガーディーは咆哮を上げ、何故かシルバゴンも喜んでドラミングをする。

その時、2体目掛けて火球弾が大量に撃ち込まれる。その攻撃に耐えて撃たれてきた方向を見るとレイキュバスが両腕の鋏を振り回して迫っていた。

 

 

「ギシュウウウウウッ」

 

「ウウゥ・・・ガウゥッ」

 

「シュィィ?ゴシュイイイィィィィィ!!」

 

 

鳴き声を上げながら迫るレイキュバスを見たガーディーはシルバゴンに近づいてあれは敵だと教える。頭の悪いシルバゴンはすぐに信じて腕を振り回して走り出す。

その行動にガーディーは少し呆れながらも迎え撃ちに行った。

その頃、それらの戦いを見ていたブルトンがゆっくり後退し出す。自分達の分が悪くなったと思って逃げるつもりか。

 

 

「逃がすつもりはないぜ。行け!キングギドラ!!グランドキング!!」

 

「俺もだ!リトラ!!」

 

 

俺とレイは新たにキングギドラ、グランドキング、リトラの3体を召喚する。

まずリトラがテレスドンの頭目掛けて火球を放つ。それによりテレスドンは気絶して倒れ、リトラはそのままブルトンを火球で攻撃して足止めする。再び1対1の対決になってゴモラはネロンガに集中攻撃した。

そしてキングギドラはガイガンを『引力光線』で攻撃し、グランドキングはキングオブモンスと共にメガロを攻撃する。

2体の連係攻撃にメガロが敵う訳がなく、遂にグロッキー状態となって倒れた。

 

 

「ピギャアアアオオオン!!」

 

「キ、キィィ~~・・・」

 

 

メガロが倒される頃、キングギドラは3つ首のうち、左右の首でガイガンの腕を噛んで動かせないようにして中央の首が首を強く絞めつけた。

しかしガイガンもお腹の回転鋸を回してキングギドラを傷つけて反撃する。

だがキングギドラは怯まずに長時間強く絞めつけた事でガイガンは口から血を出しながら倒れる。

またガーディーとシルバゴンに襲い掛かったレイキュバスも鋏を折られたり、尻尾を噛みつかれたりされて体中血を流しながら倒されてしまった。

どいつも容赦ないなと思いながら俺はギガライブナイザーを向けて3体を回収する。

同時にレイの方で爆発が起きた。意識が戻ったテレスドンが自分に背中を向けているゴモラ目掛けて吐いた『溶岩熱線』が誤ってネロンガに当たって倒してしまったのだ。

しまったー!!っと言うように頭を抱えるテレスドンを見てつい笑ってしまった。

 

 

「いや~面白い奴だなテレスドンは~~」

 

「そんな事を言ってる場合か!!このままだとブルトンに逃げられるぞ」

 

 

笑う俺を見てレイが怒鳴る。確かにリトラの攻撃がブルトンには効いてなく、時間が経てば異次元の中に逃げ込まれる可能性がある。

 

 

「それならレイ。奴の炎を利用してやればいい」

 

「炎を?・・・・・そうか!リトラ!!」

 

 

俺の言葉の意味を理解したレイがリトラに指示する。するとリトラはテレスドンの頭の上を飛んで注意を引く。

鬱陶しいと思ったテレスドンが何度も炎を吐いて落とそうとする。だがリトラは巧みに避けた後ブルトンの前に止まる。そしてテレスドンの火炎でブルトンのアンテナを破壊した。それにより時空エネルギーが消えて、機能が元に戻ったペンドラゴンがワイバーンミサイルを発射してブルトンを撃破した。

自分がまた利用された事にテレスドンは地団駄して怒りを表す。そして今度こそゴモラを倒そうと攻撃しようとしたが先にゴモラが『超振動波』を放ち、テレスドンは大爆発を起こして倒れた。

これで残った怪獣はスペースゴジラ、デストロイア、レッドキングの3体か。先程とは数が変わってこっちが有利になったけど油断できない相手だ。

特にスペースゴジラは高い知能を持っているしな。

 

 

「ギィガアアアオオ!!」

 

「ギィギャアアアァァァ!!」

 

「ギィガアアアゴォォン!!」

 

 

凄まじい咆哮を上げて3体は襲い掛かってきた。

レイチームはレッドキングに、クロウチームはスペースゴジラに、リーシャチームはデストロイアに戦いを挑んだ。

どの怪獣達も肉弾戦や光線技の撃ち合い等で激闘を繰り広げた。

だが時間が経つにつれてある異変が起きた。突然スペースゴジラが飛行形態となって飛び去ったのだ。この異変に俺はすぐに気が付いた。アイツエネルギーが少なくなってしまったようだな。

劇場でも最初のゴジラとの戦いでもあと一歩と言う時にエネルギー不足によって引き揚げたもんな。

そしてレッドキングは最初ゴモラを力で圧倒したが、ファイヤーリトラの『ファイヤーストライク』を飲み込んで苦しんでいるところをゴモラの『超振動波』で倒された。

デストロイアも最初は互角に戦っていたが、シルバゴンに角を折られて怯んだ時にガーディーの『ゼペリオン光線』を受けて大爆発を起こした。だが煙の中でこっそり飛行体となってスペースゴジラ同様に飛び去ってしまった。

逃がした奴もいるが、全ての敵がいなくなったことで全員勝利の咆哮を上げる。

俺達は怪獣達を褒めてやりながらバトルナイザーの中に戻す。

そして最後に残ったシルバゴンをどうするか話し合う。

 

 

「あの、クロウさん。レイ。あの怪獣を私にくれませんか?」

 

「ほぉ、気に入ったのかリーシャ?」

 

「えぇ、最終的にガーディーの味方をしてくれたし。それに・・・ちょっと可愛いと思ったので」

 

 

可愛いか・・・まぁ、確かにお茶目なところがあるからなシルバゴンは。ちょっと残念と思いつつも俺は反論しなかった。レイも別に必要ないと言ったことでシルバゴンはリーシャの仲間となった。シルバゴンもリーシャの事が気に入ったのか、抵抗せずにバトルナイザーの中に回収された。

全ての事をやり終えてペンドラゴンに戻り、一息をつこうとしたが・・・。

 

 

「さぁ、クロウ!!教えてくれ。あの赤ん坊が俺ならばどうしてここに連れて来られた!?何故俺が選ばれたんだ!?誰が何の目的で!?」

 

「ちょっと待て待て!そんなにもたくさん一度に答えられんわ!!」

 

 

今レイの凄まじい質問攻めにあっています。さっきまで戦いをしてはずだろう!?

疲れっていうのを知らないのかこいつは?最初から全てを教えず、後からコツコツと教えてやるつもりだったのに。今教えると後先本当に面倒な事になりそうだからな。

 

 

「とにかく!お前がここに連れて来られたのはお前が俺達と同じレイブラッド星人の遺伝子を受け継いでいて、それをこの星で強く育てるためだからだ。今はここまでしか言えん」

 

 

後ろでギャアギャア喋るレイを置いといて俺は自分の部屋に戻る。そして今回の戦いで回収した怪獣達の様子を見る。今は皆、眠っているみたいだな。

 

 

「早く傷を治して元気になれよ」

 

 

優しくそう言いながら俺はこの後の事を考える。ブルトンがいなくなったことでもう怪獣は増えない。ならば今この星にいる怪獣はできるだけ多く手に入れるようにしないと。まだまだ俺の野望は一歩進んだくらいだ。怪獣の王になるためにはもっと仲間と力を付けないといけないからな!!誰もいない部屋の中で俺は決意した。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
剛力怪獣シルバゴン

全身が鱗のような銀色の皮膚で防御力が高く、超パワーを持っている。
頭の角を使った体当たりや尻尾で何度も叩き付ける戦法が得意である。敵を倒した際には必ずドラミングをする。
リーシャの第2のパートナー怪獣で、ガーディーとは仲がいい。
最初は頭と眼が悪かったが、リーシャの教育とバトルナイザーによって良くなった。
只今『ゼペリオン光線』を撃てるようにバトルナイザーの中で練習している。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 湖と雷雲の王者

遅れながら皆様、新年明けましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願いいたします!!
今年初の話は知っている人も多いあの人気怪獣とゴジラ怪獣の中でレアな存在でもある怪獣が登場します。是非読んでください。


古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー、昆虫怪獣メガロ、木枯らし怪獣グロン
宇宙凶険怪獣ケルビム、凶暴怪獣アーストロン、バリヤー怪獣ガギ
宇宙怪獣エレキング、雷怪獣バルグザーダン   登場



とある湖―――

 

 

「グッギャアアアオォォ――ン!!」

 

「ギャアアアァァォォォン!!」

 

 

生き物にとって水は生活に欠かせない物である。水分を補給するために必要な綺麗な湖の水を狙って2体の怪獣が争っていた。

一方は頭の長い角とヒレ状の耳、長い4本の指、棘がついた瘤のある尻尾が特徴の宇宙凶険怪獣ケルビム。

もう一方は鋭い刃物のような一本角とスマートな青色の体をした凶暴怪獣アーストロン。

2体は組み合ったり、角や尻尾で攻撃し合ったりして激闘を繰り広げる。その時、突然ケルビムの耳がピンと立った。それを見て驚くアーストロンの隙をついてケルビムが口から3千度の火球『弾道エクスクルーシブスピット』を何発も放つ。辺りを巻き込みながら火球はアーストロンに命中する。それにより悲鳴を上げながらアーストロンは倒れる。

死んだかどうか、確かめようとケルビムが近づいた時・・・。

 

 

 

シュルルルッ!!

バシィッ!!

 

 

 

「グッギャアアァァ!?」

 

「ピシャアアアァァァァァ!!」

 

 

突然2本の触手がケルビムの首に巻き付いたのだ。そして後ろへ引っ張られるのを必死に踏ん張りながら振り向くとそこに1体の怪獣がいた。

そいつも同じように一本角があって、鋏状の両手にある触手が特徴のバリヤー怪獣ガギである。この怪獣も湖の水を狙って襲い掛かってきたようだ。何とか触手を振り払おうとケルビムは腕に力を込めるが、なかなか解けない。逆にガギによって左右に振り回され転んでしまう。しかもその先にはアーストロンがいた。

 

 

「ギャアアアァァォォォン!!」

 

「グッギャアアァァ!?」

 

 

上に倒れ込む瞬間、アーストロンが立ち上がってケルビムを押し飛ばした。実はまだ倒されていなく、死んだふりをして機を窺っていたのだ。地面に倒れ込んだケルビムだったが、その反動で触手が解けて自由になった。すぐに立ち上がって耳を立たせながら2体を睨みつける。アーストロンもガギも同じようになりながら相手の様子を見る。

暫く睨み合いが続いて3体が同時に走り出そうとした時・・・。

 

 

 

ゴロゴロッ!!

 

 

 

突然激しい雷の音がして3体が上空を見つめると先程まで青かった空がいつの間にか黒い雲に覆われていたのだ。

 

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「「「!!?」」」

 

 

巨大な雷雲の中から獣の咆哮が響き、それと同時に雷が一層激しく発生する。まるで早くこの場から立ち去れと言っているかのようだ。だがこれを素直に聞く3体ではない。

雷雲の中にいる何かに目掛けてケルビムが火球を撃ちまくる。しかし火球が雲に当たる寸前に雷によって全て打ち消されてしまった。更に雷雲から今まで以上に強烈な雷が塊となって出て、ケルビム目掛けて突っ込んできた。慌てて避けようとするが間に合わず、ケルビムは爆発して木端微塵になった。

爆発が収まるとそこには1体の怪獣がいた。

黒と白の棘がある鎧に似たものに包まれた体で、両肩の大きな棘と前に伸びた2本の大きな牙が特徴の四足型の怪獣、雷怪獣バルグザーダンである。

 

 

「グルルルッ」

 

「ピ、ピシャアアアァァァ」

 

 

雷を纏わせながら緑色の眼でバルグザーダンは2体を睨みつける。先程の破壊力と今も放たれている凄まじい威圧感によりガギは戦意損失して慌てて地中に潜って逃走する。

しかしアーストロンは違った。怯みはしたが逃げようとはせず、立ち向かうと角を前に突き出す。

だがその時、突然湖から謎の尻尾が出てきてアーストロンの体に巻き付いて動きを封じる。そのまま湖の中へと引きずり込んでしまった。その光景を静かに見つめていたバルグザーダンは静かに雷雲の中に戻って行った。

 

 

 

 

 

その頃、クロウはペンドラゴンの自分の部屋にてレイブラッドの闘争本能の制御と怪獣にライブした際にその力最大限にまで出すための修行を行っていた。

特に怪獣とライブすると自分の体にある変化が起きてしまうため、そちらを重点的に行っている。

 

 

「ふぅ~~かなり長い時間制御する事が可能になってきたな」

 

 

もっとやれば1日中ライブすることも可能だな。続きをやろうとした時、ヒュウガから通信が入った。至急集まってくれとのことだ。コックピットに向かうと既に全員が集まっていた。

 

 

「何か起きたのかボス?」

 

「ああ、アレを見てくれ」

 

 

言われた方角を見ると遠くで地上から空に向かって強烈な電気エネルギーが放たれているのが見えた。成程ね・・・今回はエレキングとの対決か。あの電気はこの先にある湖の中でエレキングが戦っている証拠だ。しかし1つ気になる事がある。

あの巨大な雷雲は何だ?あれほど大きなものは見たことがない。しかもいろんな方向に散らばる電気を一か所に吸い込んでいるし。あの雲の中には絶対に何かいる。アレを調べるよう俺が伝える前にリーシャが言う。

 

 

「ボス!あの場所に向かってください!!」

 

「何!?」

 

「私には分かるんです。あの現象を起こしている者が誰なのかが!」

 

「よーし!スペースペンドラゴン発進!!」

 

 

リーシャの頼みもあってあの現象を調べるためにペンドラゴンは出発した。少しかかって現象が起きている場所の湖に辿り着き、水中ドローンを使って中を調べるとエレキングとアーストロンが戦っていた。

先程の体に巻き付いた尻尾はエレキングのものだったのだ。

 

 

「やはりエレキングの放電で起きた現象でしたか」

 

「分かっていたのリーシャ!?」

 

「当然です。エレキングは私達にとって大切な家族の様な怪獣ですからすぐに察しました。それにしてもあのエレキング・・・かなり強い個体ですね。よく育っています」

 

「へぇ~~」

 

 

流石ピット星人だ。エレキングの事に関しての知識は完全に俺やオキより上だ。今度よく教えてもらうかな。けど今はアイツらの戦いについてだな。

必死に応戦するアーストロンだが、どう見ても水中戦を得意とするエレキングの方が俄然有利で太刀打ちできていない。近くの岩場にアーストロンを何度も叩き付けた後、尻尾を巻き付けて放電攻撃をする技『エレクトリックテール』を喰らわせる。

すると近くにある岩に含まれている結晶が青く光り出した。知っているけど知らないふりをしないと。

 

 

「あの光っている物は何だ?クマさん」

 

「ちょっと待てくれ。・・・分かった。あれはソリッド鉱石だ」

 

「ソリッド鉱石?」

 

「ソリッド鉱石は、惑星ボリスを周回する人工太陽のエネルギー源であって電気エネルギーと結びつく事で太陽の様な強力な熱線を放射するんだ」

 

 

オキが説明し終えたのと同時にエレキングの咆哮が聞こえた。見るとアーストロンが倒されていた。そしてドローに気が付いて追い掛け、湖から出るとペンドラゴンに攻撃してきた。

 

 

「レイ頼む!」

 

「分かった!!」

 

「ちょっと待てください!私も行きます!!」

 

 

ヒュウガの命令でレイが出撃し、何故かリーシャも一緒に付いて行く。理由は大方分かる。エレキングを自分の仲間にしたいのだろう。だってピット星人だもん。

レイとリーシャはドラゴンスピーダーに乗ってゴモラとガーディーを召喚する。突然現れた2体にエレキングは驚くが、すぐに敵だと判断して構える。

先に動いたのはゴモラで勢いよく突進する。それを見てエレキングは長い尻尾や三日月状の『放電光線』で攻撃するが避けられ、突進をくらってダメージを受ける。さらにゴモラの強烈な尻尾攻撃も受けて倒れてしまう。そして倒れたところをガーディーが馬乗りになって何度もパンチを繰り出す。2体ともいい連係だな。特に相手(エレキング)に詳しいリーシャがいるのが何よりプラスだな。

頃合いと思ったのか、ガーディーが後ろに飛び下がってゴモラが止めの『超振動波』を放つ。だがそれはあの雷雲から発生した雷によって相殺されてしまった。そしてその中からバルグザーダンが出てきた。

 

 

「マジか!?バルグザーダン来たーーーーー!!」

 

「ク、クロウどうした!?」

 

「そんなにも珍しい怪獣なの!?」

 

 

伝説と言われた怪獣を見て今までにない興奮で万歳する俺を見たクマノとオキは呆然とする。けど仕方ない事だ。バルグザーダンはゴジラ怪獣の中でもレア中のレア怪獣だ。

やっば~~超欲しい!!

 

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「キィイイ!!」

 

「ガウウゥゥッ」

 

「グルル・・・ギシャアアアァァァ!!」

 

 

体に電気を纏わせながらバルグザーダンは互いの間にゆっくり降り立つ。すると背後にいるエレキングは慌てて膝をつけて頭を下げる。見た感じ的にエレキングは部下みたいだと俺は推測する。

3体怪獣と対峙した時と同じように圧倒的威圧感を放ってゴモラとガーディーを威嚇するバルグザーダン。ガーディーは慎重に観察しながら構えたが、ゴモラは逆に今まで以上の強敵に出会えた喜びで闘争心が高くなって咆哮を上げる。

 

 

「おいおい・・・何の策もなしにこれは流石に相手が悪すぎるぞ」

 

 

バルグザーダンの力は並みの怪獣とは比べものにならないほど高い。いくらゴモラでも危険すぎる。しかしゴモラはバルグザーダンに突進を仕掛ける。対してバルグザーダンも雷雲から雷を発生させて、背中の巨大な棘に受けた状態で体当たりする技『スパークダッシュ』を繰り出す。互いにぶつかり合った瞬間、激しい衝撃と爆発がした。

そして勝ったのは・・・・・バルグザーダンだった。

空高くブッ飛ばされたゴモラはそのままガーディーの上に落ちた。それを見たレイとリーシャは不安に思いながら2体に安否を問う。

 

 

「ゴモラ!!」

 

「ガーディー大丈夫!?」

 

「ガウゥゥゥ・・・」

 

「ゴアァァ・・・」

 

 

小さいが2体は鳴き声を上げる。下敷きになって上に乗っかているゴモラを退かそうと力を入れるガーディーだが、先程のダメージとグロッキー状態のゴモラが予想よりも重い事で難儀していた。

その隙をエレキングが見逃すはずがなく、長い尻尾で2体をまとめて巻き付けて『エレクトリックテール』を繰り出す。これを受けて2体は悲鳴を上げる。

このままだとアーストロンの二の舞だ。俺はオキから通信機を奪い取って言う。

 

 

「お前ら、ゴモラとガーディーを戻せ。このままだと死ぬぞ!」

 

「了解」

 

「はい」

 

 

俺の言葉を聞いて2人は渋々言われた通りにバトルナイザーに戻した。

突然敵がいなくなった事にエレキングとバルグザーダンは首を傾げるが、暫くして自分の住処に戻って行った。それを確認してドラゴンスピーダーが戻ったのを見計らって出入り口で待っていると不機嫌な状態で2人が戻って来た。そしてレイは壁に拳を叩き付け、リーシャは顔を下に俯きながら静かに手を強く握りしめた。

どちらも負けた事で悔しく、イラついているな。

 

 

「全く・・・いつまでそんな状態を続けているつもりだ?」

 

「「・・・・・」」

 

「確かに負けたけど2体は怪我しただけで済んだではないか。今日負けた分も含めて次の戦いで必ず勝てばいい。諦めたら・・・そこで終わりだからな」

 

 

このセリフは俺が好きだったキャラの言っていた言葉だ。自分で言ったのも何だが、やっぱりちょっと恥ずかしい。けどそのおかげでレイとリーシャは元通りに元気になってくれた。その後一緒にコックピットに戻るとクマノからソリッド鉱石の鉱脈が惑星の中心に向かって伸びていて、電気エネルギーに反応して限界値を超えたら惑星の半分が吹っ飛ぶ事を聞かされた。

そのためエレキングを湖から引きずり出す作戦をするとの事だ。

 

 

「作戦の内容は分かった。だがそれにもう一手加えさせてもらいたい」

 

「もう一手?」

 

「バルグザーダンに対してだ。奴を野放しておくと絶対邪魔してくる。奴の相手は俺がやる。レイとリーシャはエレキングに先程の借りを返してやれ。いいな?」

 

 

先程の勝負を強調して言うと2人はすぐに承諾した。全員がそれぞれの役割を決め終えて作戦が開始された。

まずハルナが水中ドローンを操ってエレキングを目標地点まで誘導してその上からペンドラゴンがレーザーネットを出して釣り上げる。陸の上まで行くとエレキングを切り離して待機してレイとリーシャが傷の癒えたゴモラとガーディーを召喚して戦わせる。その間俺は2体の怪獣を召喚する。

 

 

「出てこい!メガロ、グロン!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「ギュイイイィィィィィ!!」

 

「ギィガアアアァァァ!!」

 

 

よしよし。メガロの傷はちゃんと治ったようだな。うん?グロンはいつ手に入れただと?まだ俺がレイと会う前に旅していた時に手に入れたんだ。2体は咆哮を上げた後しゃがんで俺に近づいて見つめる。間近で見るとさらに可愛いくカッコ良く見えるな。

 

 

「いいかお前達、これから聞く事をしっかりやるんだぞ」

 

「キュィィ?」

 

「ギィィ?」

 

 

考えた策を分かりやすく伝え終わるとメガロは口から『地熱ナパーム弾』を爆発させないようにしながら何発も出し、グロンは限界まで息を吸い込む。弾が10個以上出た時にメガロに出すのを止めさせた後、雷雲目掛けて『殺獣レーザー光線』を撃たせる。

光線は雷雲に当たる前にバルグザーダンの雷で相殺される。だが俺は続けて放つように指示する。その間にギガライブナイザーを使って弾を慎重に持ち上げる。

そしてグロンが溜めていた激しい暴風が口から出た時に一緒に弾を載せて一直線に雷雲へ向かわせる。

風だからと言って侮れないものだ。ロケット以上の速さで載せた弾を運んでしまった。弾が雷雲に入った瞬間、雷と爆発の音が混ざり合って響いた。それと同時に雷雲が晴れて、少しボロボロになったバルグザーダンが地面に落ちた。本来なら雷で近づく物を全て破壊できたけどメガロの光線が邪魔をしてできなかったのさ。

 

 

「グ、グヴゥオ・・ォォォ・・・」

 

 

弱々しく鳴きながらバルグザーダンは立ち上がる。しかし体の棘の殆どが折れ、また焦げた後も所々ある。それでもバルグザーダンはこちらに向かって走り出す。

それを見てメガロは翅を広げて飛行しながら体当たりを仕掛ける。激しく激突する両者だが、先程のダメージによってバルグザーダンがブッ飛ばされる。

倒れるバルグザーダンにグロンは近くにあった木を何本か抜いて吹き矢のように狙い定めて攻撃する。

飛び出した矢の殆どはバルグザーダンの硬い体によって撥ね返ったが、一部の矢が傷口部分に当たる。激しい激痛にバルグザーダンは悲鳴を上げて動きが鈍くなった。

あれくらい弱らせればもう十分だなと俺はバルグザーダンをギガライブナイザーに回収した。最強クラスの怪獣を手に入れられた事に喜びを隠し切れず、歓喜の声を上げた後メガロ達も回収してレイ達の元に向かうとした時・・・。

 

 

「・・・うん?」

 

 

近くに怪獣の気配を感じて辺りを見渡すと森の方で俺をじっと見つめている奴を発見した。アレはもしかしてガギか!?俺に見つけられてなおガギはじっと見つめてくる。

 

 

「もしかして・・・お前も仲間になりたいのか?」

 

「!!ピシャアアアァァァッ」

 

「そうか。だったら一緒に行こうぜ!!」

 

 

すぐにギガライブナイザーを向けてガギを回収する。中を覗いて見ると嬉しそうに鳴く。こちらも嬉しいよ。なんだってガギはお気に入り怪獣だったからね。さらに嬉しい気持ちになりながら戻ってみると既にエレキングを倒した後だった。

レイ達だけでなく他のクルーもエレキングの側にいたのを見つけたので近寄る。

 

 

「何だもう終わっていたか」

 

「あっ!クロウさん!バルグザーダンはどうなりましたか?」

 

「奴なら俺の仲間にしたよ。今はギガライブナイザーの中で傷を癒している」

 

「ねぇねぇクロウ!後でその怪獣の事について詳しく教えてよ」

 

「はいはい。後でな」

 

 

近づく俺に一番早くリーシャが気が付き、少し雑談をする。さてそろそろエレキングが起き上がるころだな。誰の仲間になるかな・・・やっぱりレイか?それともリーシャ?まさかだけど俺か!?そう思っていた時、エレキングがゆっくり立ち上がる。

それを見て銃を構えるクルー達の前をレイが飛び出して止める。そしてエレキングは光となってレイのバトルナイザーの中に回収された。それを見てリーシャは驚きの声を上げる。

 

 

「ど、どうしてレイなんですか!?私ではなくて!?」

 

「俺は何もしていない。バトルナイザーが求めたからそれに従っただけだ」

 

「そんな~~~」

 

「いいじゃないかリーシャ。今回がダメでも次の機会でもっといい怪獣を仲間にできるかもしれないぞ」

 

「・・・・・けど今回私だけ仲間にする事ができなかったんですよ~~」

 

「やれやれ・・・」

 

 

落ち込むリーシャを励ましながら俺達はペンドラゴンに戻る。すると突然レイが苦しみだした。またウルトラマンがテレパシーで呼んでいるらしい。それと同時に謎の音が鳴りだした。調べるとZAP SPACYの救難信号だった。

場所を調べようにも信号の電波が微弱で正確な位置が分からないようだ。

 

 

「レイ!お前が調べろ。ウルトラマンのテレパシーとシンクロさせればできるはずだ」

 

「分かった」

 

「でもその前に!」

 

「?」

 

 

俺はレイの額に手を当てて感覚を上げる。

それによりレイは原作より早く発信位置を突き止めた。場所はヴィンセント島。

いよいよクライマックスに近づいてきたなと思いつつ底を目指して出発した。




【大怪獣バトルファイル】
雷怪獣バルグザーダン

巨大な雷雲の中に潜む怪獣で雷を自由に操れる。
主な武器は雷を使った技で、遠距離でも近距離でも対応する事ができる。かなり高い戦闘能力を持っているけど、性格は優しく相手が誰であろうと自分から攻撃する事はしない。クロウの仲間になってからはキングギドラの配下になった。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 海底の戦い!!

皆様、大変長くお待たせ致しました。
就職活動の為に時間が本当になくて泣きそうです。そんな中でも頑張りました。
今回は海に棲む怪獣達が活躍する話です!

宇宙怪獣エレキング(リムエレキング)、巨大顎海獣スキューラ
宇宙有翼怪獣アリゲラ、巨大魚怪獣ゾアムルチ、群体怪獣シーゴリアン
宇宙ロボット・キングジョ―ブラック   登場



救難信号が発信されていて、石化したウルトラマンもいると思われるヴィンセント島に俺達は向かっていた。

暫くの間ずっと飛行していた時、途中で複数の飛行体の反応をキャッチした。オキが調べてみるとそれは怪獣ではなく、人工的な熱源反応を出しているとの事だ。しかもこちらに向かって来ている。画面を見ると一定の間隔で形のバラバラな4機の黒い円盤だった。

 

 

「げっ!?アレは・・・」

 

「ペダン星人の円盤!?」

 

 

俺とリーシャは円盤を見た瞬間に呟いた。アレがこちらに向かって来ると言う事はアングロスとグロマイトがやられたか。いや、これまでにもっと多くの怪獣が倒されたかもしれないな。そう思っている間にも円盤は真っ直ぐ速いスピードで向かっている。

 

 

「こちら、『ZAP SPACY』所属のスペースペンドラゴンだ。そちらの所属と目的を応答せよ。繰り返す。そちらの所属と目的を・・・」

 

「無駄です!ペダン星人に会話なんて意味がありません」

 

「急いで円盤から距離を取れ!このままだと奴の攻撃範囲に入るぞ」

 

 

通信で自分達の事を名乗るヒュウガだが、それは意味がないとリーシャは言う。そして円盤から離れるように俺は言うが遅く、円盤は破壊光線を何発も放って攻撃してきた。

最初の攻撃はハルナの巧みな操縦で避け、退避しようとした時に4機の円盤が同時に撃った光弾が当たってしまい、ペンドラゴンは故障して海底に沈んでいく。しかも落ちていく先には深い谷底があった。

 

 

「副長!このままだと落ちてしまいます!!」

 

「冗談じゃないわ!?」

 

 

悲鳴に似た声でオキが言い、ハルナは必死にレバーを下げて止めようとする。しかしなかなかペンドラゴンは止まらない。手助けに行きたくても船体が激しく揺れて動く事が難しくできない。必死に前に進もうとした時、横からレイが飛び出してハルナの手を掴んで一緒にレバーを引いた。それによってペンドラゴンは反動で大きくバウンドしながら谷の手前ギリギリで止まった。

 

 

「ありがとう。レイ」

 

「・・・・・あぁ」

 

 

ハルナにお礼を言われて、掴んでいた手を慌てて離し、レイは照れ臭そうに顔を背けて答える。危機を脱出して一息つこうとした時、突然照明の明かりが消えた。

 

 

「どうしたのです!?」

 

「電源が落ちたようだ。だがすぐ予備電源が作動する」

 

 

驚くリーシャにヒュウガが説明する。そして暫くして明かりが再びつく。同時にクマノが部屋から出て行く。その後をヒュウガが何処へ行ったのか分かっているように追いかけた。それを見ていたレイが俺の方を向く。顔を見るに「自分も行きたい」と言っているようだ。レイの心中に気が付いた俺は優しい表情で付いて行くよう指示を出す。するとレイはすぐに後を追いかけた。見届けた後、やる事もないので怪獣達の様子でも観察していたらハルナが何かに気が付く。

 

 

「アレは何?」

 

「えっ?」

 

「うん?」

 

 

外を見てみるとペンドラゴンの頭上周辺を怪獣の群れが囲んでいた。驚異的な飛行能力を持つ宇宙有翼怪獣アリゲラの群れである。しかしテレビで見るより迫力があるな!数もいっぱいいるし。

 

 

「良い光景だ。これも滅多に見られるものではないな」

 

「そんな事を言っている場合じゃないですよクロウさん!?」

 

「まぁ、落ち着けリーシャ。オキ、分かるな?」

 

「うん!任せてクロウ」

 

 

そう言ってオキがパソコンを操作してボタンを押す。するとアリゲラ達は次々とペンドラゴンから離れていく。

どうしてか?実は、アリゲラには眼がないのだ。その代わりに肩にある青いパルス孔から超音波を出して周囲を認識している。蝙蝠に似た怪獣なのさ。そして今、ペンドラゴンから出ている特殊な超音波に誘導されて、全てのアリゲラが何処かへ飛び去って行った。手に入れたかったんだがな~~。これはどんな事になろうとこの星を俺の物にしないと!っと心の中で決意していた時、クマノから通信が入る。

 

 

『クロウ、リーシャ。聞こえるか?』

 

「何だいクマさん?」

 

『ちょっと手を貸してくれ。こいつを直すのに結構人手が必要なんだ』

 

「了解した!リーシャ行くぞ」

 

「はい!」

 

 

2人でクマノがいる所に行って、どこを直すのかを聞いてその場所に向かう。そこには沢山のパイプがあり、その中の2つが壊れているらしい。探してみると左右それぞれに穴の開いたパイプを見つけた。俺が右側、リーシャが左側を直す事を決めて作業にかかる。かなり狭い所であった事もあり、暫く無言になって集中しながら作業していたが・・・。

 

 

「リーシャ、悪いけどそこにある工具セットを取ってくれないか」

 

「あれですか?少し待ってください」

 

 

リーシャの足元の少し離れた所に工具セットがある。

だが、取るには一度その場から出て行かないといけないから時間がかかると思った時、リーシャの姿が元のピット星人の姿になった。そして手から念力を出して工具セットを浮かばせて俺の元に置いた。

 

 

「これでいいでしょうか?」

 

「あぁ、ありがとうリーシャ。それにしても・・・」

 

「何ですか?」

 

「いや・・・久しぶりにリーシャの本来の姿を見たけど、綺麗だなと思ってな」

 

「えっ!?///」

 

 

何気なく言ったクロウの言葉がリーシャの心に熱いものを感じさせた。

 

 

「(ク、クロウさんが・・・私の事を・・・き、綺麗なんて!いや・・・でも、そんな・・・この胸がドキドキになる感じ・・・やっぱり私はクロウさんの事を・・・)」

 

「・・・どうしたリーシャ?突然黙って・・・」

 

「・・・・・クロウさん。わ、私・・・クロウさんの事が・・・////」

 

 

 

ピー!ピー!

 

 

 

「「!?」」

 

『クロウ。リーシャ。故障が直った。もう戻って来ていいぞ』

 

「分かった。今行く。・・・・・どうしたリーシャ?」

 

「い、いえ・・・なんともありません・・・!!(プルプル)」

 

 

顔を俯かせ、体を震わせて人間体に変身してリーシャは部屋を出て行った。その後ろ姿を見て俺はどこか寂しいものを感じた。

 

 

「う~~ん、やっぱりリーシャの奴・・・」

 

 

今までの行動からリーシャは俺の事を・・・いや、そんな事はあり得ないか。けどもし俺の推測が当たっていたら、恥ずかしいけど伝えないといけないな。そう思いながら俺もリーシャの後を追いかける。コックピットに着いて入ると皆が慌てていた。

 

 

「今度はどうした?」

 

「あっ!大変だよクロウ!また別の怪獣達が現れたんだ!!」

 

 

うん?達と言う事は1体ではないのか?アリゲラの次に出てくる怪獣と言えばゾアムルチ・・・ってシーゴリアンもいるし!?予想外の怪獣が出てきた事に俺が驚く中、2体の怪獣は咆哮を上げて真っ直ぐ向かってくる。それを見たレイがすぐにバトルナイザーを取り出す。

 

 

「無茶だ!あの2体は別名“巨大魚怪獣”と“群体怪獣”だ。ゴモラじゃ不利だよ!!」

 

「おいおい、忘れたのかオキ。レイの手持ちの仲間には水中戦が得意な怪獣がいる。そうだろレイ?」

 

「あぁ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「キィイイィィィ!」

 

「キュアオオオン!!」

 

「ガアァァオォォン!!」

 

レイのバトルナイザーから召喚されたのは、前に仲間にしたエレキングだった。

召喚されたエレキングは傷が癒え、体から電気を発生させて、咆哮を上げながら2体を威嚇する。だが2体ともそれで怯むような怪獣ではない。

最初にゾアムルチがジャンプしてエレキングに飛び込んで体当たりをする。攻撃を受けたエレキングだが、負けずにゾアムルチと組み合う。互いに押したり引いたりするが、力は互角でなかなか勝負がつかない。エレキングは自分が有利に立つためにパンチを放とうと腕を振り上げた時・・・。

 

 

「ピギャアァァウゥゥッ」

 

「キィィ!?」

 

 

背後からシーゴリアンが腕に噛みついた。その痛みで力が弱まり、ゾアムルチはエレキングを振り解いて同じように逆側の腕に噛みついた。どちらも噛みつく力は強く、エレキングは悲鳴を上げる。ペンドラゴンからエレキングが苦戦しているのを俺達は見つめる。

 

 

「やはり強いなあの2体」

 

「私にも水中で戦える怪獣がいれば・・・!」

 

 

自分の手持ち怪獣の中に水中戦が得意な怪獣がいない事にリーシャは力がないと思い悔しがる。

 

 

「そう自分を責めるなリーシャ。ここは俺の相棒のもう1体の片割れに任せろ」

 

『グオオオオォォォォォォッ!!』

 

「フッ、自分が暴れたいのかキングオブモンス?そう言わずにやらせてやれ。行け!スキューラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「シュウゥゥゥグオォン!」

 

 

召喚されて出て来たのは、バジリスと同じキングオブモンスの分身・巨大顎海獣スキューラである。スキューラは目標の2体に狙いを定めて、マッハ3のスピードで『スキューラッシュ』を繰り出す。エレキングばかりに目を向けていた2体は避ける事なんかできず、スキューラの技をもろに食らってブッ飛ばされ倒れる。

そして態勢を立て直したエレキングはゾアムルチに、スキューラはシーゴリアンに戦いを挑んだ。

向かって来るスキューラにシーゴリアンは頭部から泡状の赤いエネルギー弾を放つ。しかしスキューラに当たった弾は、その硬くしなやかで丈夫な体によって弾き返されてしまった。自分の攻撃が効かない事に驚くシーゴリアンにスキューラは再び『スキューラッシュ』を繰り出して押し倒す。

 

 

「ギャシュウウウゥゥゥン!!」

 

「ピュウウィィィ!!?」

 

 

倒れたシーゴリアンにスキューラは顎を体半分くらいまで開いて挟み込む技『シークレットジョー』を使う。無数の牙に上下から挟まれる痛みは激しく、シーゴリアンが悲鳴を上げる。必死に暴れてもスキューラの巨大顎の噛む力が強いために抜け出せなかった。

 

 

一方エレキングとゾアムルチの戦いも最初はゾアムルチの光線に苦戦していたが、レイの応援で奮起したエレキングが尻尾を巻き付けて『エレクトリックテール』を繰り出した。強力な放電にゾアムルチは悲鳴を上げて、それを見ていたスキューラがついでにまとめて倒してしまおうと思ったのか、銜えていたシーゴリアンをゾアムルチ目掛けて投げつけた。

投げ飛ばされたシーゴリアンはダメージが大きすぎるせいか、身動きできずにそのままゾアムルチにぶつかる。そして放電を受けてしまって、2体は重なるように倒れた。それを見てエレキングとスキューラは同時に勝利の咆哮を上げる。

 

 

「よくやったぞスキューラ、エレキング。さぁ、お前達も俺の仲間になろうぜ!!」

 

 

勝利の咆哮を上げる2体を褒めて、ギガライブナイザーで倒れた2体に向けて構えて回収した。中を見ればどちらも眠って傷を癒していた。優しく元気になれよと言った後、スキューラも戻す。レイもエレキングを戻し、一息つこうとするとオキが俺達に話しかける。

 

 

「流石キングオブモンスの分身と水中の王者だね。シーゴリアンとゾアムルチを軽く倒しちゃうなんてね」

 

「いやいや、シーゴリアン達も中々の強さだったよ。けどこれからは俺と一緒に強くなっていけばいい。・・・・・ところで、まだ飛べないのか?」

 

「出力のパワーが上がらないの!・・・さっきの戦いの衝撃のせいだと思う」

 

 

ハルナが何度もボタンを押したりするが反応がない。酸素供給器も残り僅かだとオキが言った時、クマノがレイにエレキングをもう一度出すように頼む。

 

 

「エレキングの放電を利用すれば、エネルギーが確保できて必ず飛び立てる」

 

「ちょっと待ってください。確かにその可能性はあり得ますが今のエレキングでは僅か一瞬でエネルギーが溜まってしまい、機械が壊れてしまいます!」

 

 

クマノの案にリーシャが反対する。成長したエレキングでは危険であるそうだ。

 

 

「なら小さくすればいい」

 

「小さくって・・・どういう事なのクロウ?」

 

「そのまんまの意味さ。レイ、エレキングを小さくしたいという意思を持って召喚してみろ」

 

「小さく・・・?分かった」

 

 

言われた通りレイがバトルナイザーを構えるとテレビで見た通りに小型化したリムエレキングが出てきた。けれど現れた先はオキではなく、リーシャの方であった。リムエレキングを見たリーシャが嬉しそうに抱き締めて欲しいと駄々をこねて引き離すのに苦労したがな。

そしてリムエレキングのおかげでエネルギーを確保できて、ペンドラゴンは途中海溝に落ちそうになりながらも無事飛び立てた。

こうして俺達は再び目的地であるヴィンセント島目指して出発した。

 




【大怪獣バトルファイル】
巨大顎海獣スキューラ

魚に似た四足歩行型怪獣で、キングオブモンスの分身。
主な武器はその名の通りに体半分まである巨大な顎を使った攻撃である。また水中だけでなく、地上でも凄い速さで動き回る事ができる。
しかしその分動くほど食べる量がかなり増える。実は彼、口が大きいために怪獣2体分の食事をするのである。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 怪獣保育士

皆様、本当に長くお待たせ致しました。
就職活動の為に時間が本当になくて(汗)。やっと時間が少し取れたのでできました。
今回は小型・子供怪獣がたくさん出ます!

怪獣王Godzilla、未来怪獣ガイガン、宇宙鶴ローラン、牡牛座怪獣ドギュー
迷子珍獣ハネジロー、友好珍獣ピグモン、伝説魔獣シャザック(子)
ゴジラザウルスの子供ベビーゴジラ、ゴジラの息子ミニラ、凶悪怪獣ガバラ  登場



ヴィンセント島目指して飛行していた途中、ふと俺が窓から外の景色を眺めてある島を見るとその中心に建造物があるのに気が付いた。

 

 

「おい。アレは何の建物だ?」

 

「アレは・・・ZAPの燃料施設!ボス、一旦あそこに降りましょう。あそこに行けば必要な食糧や資材が手に入るかもしれません」

 

「よし!ハルナ着陸するんだ」

 

「了解!」

 

 

ヒュウガに言われ、ハルナは施設の近くにペンドラゴンを着陸させた。

全員が降りて周りを探索して誰もいない事を確認した後、二手に別れて中を探索する。だがこの時、深い森の中から何かがこっちを見つめているのに誰も気が付かなかった。

 

 

「これとそれと・・・よし!」

 

 

中には思いのほか必要な物が揃っていて、壊れていない箱にたくさん詰め込んで運んでいく。

 

 

「これくらいでいいだろう。レイ、リーシャ。そろそろ戻るぞ」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

 

2人を呼び、箱を持ち上げて出て行こうとしたその時!!

 

 

「パムーーー!!」

 

「うわ!?」

 

 

目の前にあった物の陰から何かが出てきて、それに驚いた俺はつい持っていた荷物から手を離してしまった。それを知った皆さんならこの先何が起こるか予想できたでしょう。

 

 

 

ガンッ!!

 

 

 

「痛ってええええぇぇぇぇぇーーー!!?」

 

「ク、クロウさん!?」

 

「お、おい!?」

 

 

必要な物を多く入れていた箱が足に落ちたため、俺は今までにない叫び声を上げる。そして傷んだ足を抱えながら周りをピョンピョンと飛び回る。後ろの方でレイとリーシャが声をかけるが痛みが激しいので何も聞こえない状態だ。

少し経つとようやく痛みが引いてきて手頃な高さの機械の上に座った時、俺の叫び声を聞いてヒュウガ達が駆け付けて来た。

 

 

「どうしたクロウ!?・・・・・何だあの小さいのは?」

 

「アレはハネジロー!迷子珍獣と言ってとても可愛い怪獣なんです!!」

 

「パムパム!」

 

 

オキが名前を言って全員が見つめる中、ハネジローは気にせずに背中の羽根で飛んでゆっくり俺の肩に乗っかる。

 

 

「ダイジョウブ?」

 

「あ、あぁ・・・大丈夫だ。それよりも足を冷やすために水が欲しいぜ・・・」

 

 

心配するハネジローを安心させて、水が欲しいと言うとハネジローが突然大きく鳴き声を上げる。すると出入り口から2体の小さな怪獣が入ってきた。その怪獣達を見て俺は痛みを一瞬忘れるくらい驚いた。

 

 

「マジか・・・ピグモンとベビーゴジラ!」

 

「ピギッ。チョイ~」

 

「クオォ~~」

 

 

入ってきた怪獣の1体は友好珍獣ピグモン。もう1体はゴジラの同族・ベビーゴジラである。ピグモンは軽くお辞儀をしながら何処かで手に入れた水の入った筒を俺に渡してきた。お礼を言いながら受け取りって水を足にかけて冷やす。うむ。痛みが感じなくなってきた。そして水をかけ終えた時にベビーゴジラが口に銜えていたタオルを俺に渡してきた。

それを受け取って足を拭きながら笑顔でお礼を言う。

 

 

「ふ~~助かったぜ。おかげで大分楽になった。ありがとう!」

 

「パ~ム」

 

「ピギ~」

 

「クオォ~~」

 

 

3体の頭を優しく撫でると彼らは気持ち良さそうに目を細めつつ、ハネジローが代表して話しかけてきた。どうやらこの基地は彼らの住処となっていて、俺達が持ち運ぼうとした物は自分達の生活に必要な物だから運ぶのやめてほしいとお願いする為に姿を現したそうだ。それを全員に説明してボスが我々も必要としていると事情を話す。彼らは少し話し合い(と言っても真剣に話し合っているのはハネジローとピグモンの2体だが)頷く。それを見て全員がホッとした時、何処からか怪獣の鳴き声がした。しかも1体ではない。3体も気が付いたのか慌てて外に出て行った。俺達も後を追って外に出てみると基地から少し離れた場所で4体の怪獣が争っていた。

いや、正確には3体の怪獣が共闘して1体の怪獣と戦っていた。

1体は『宇宙一美しい』と言われ、鶴に似た心優しい怪獣・宇宙鶴ローラン。もう1体は怪獣王ゴジラの正当な子供ミニラ。最後が伝説と言われた魔獣シャザック・・・子供だからリトルシャザックと言っておく。そして3体を襲っているのが、ガマガエルが核爆発の影響で巨大化して誕生した凶悪怪獣ガバラである。

 

 

「ガァワワワアアァァァォォォ」

 

「ギッイイイィィゥゥゥッ」

 

 

咆哮を上げて襲ってくるガバラにローランはミニラとリトルシャザックを庇いながら必死に両翼をバサバサと動かしたりして近づけさせないようにする。しかしガバラは怯まず、ローランの翼を掴んで頭の角を光らせて電流を流す。強力な電流攻撃にローランは悲鳴を上げ、次第に動きが鈍くなっていく。

それを見ていた2体はオロオロと震えながら森に隠れて見ていたが、戦うと決意したミニラが口から放射熱線を放つがそれは丸い輪の形をした煙であり、何の意味もなかった。

それならばと今度は腕を回しながら体当たりを仕掛けるが・・・。

 

 

 

ビリビリッ!!

 

 

 

「ピェ~~・・・!?」

 

 

突進してくるミニラを見たガバラはもう片方の腕を伸ばしてミニラの頭に置く。背が低く、腕も短いミニラは何の攻撃できずにガバラの電流攻撃を食らってしまう。そして助けを求めるように悲鳴を上げる。リトルシャザックはそれを見て涙目になっていく。

 

 

「はぁ~~まったく仕方がないな。ここは久しぶりにお前に頼むとするか。行け!Godzilla!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「ゴッガアアアアアオオオオオン!!」

 

 

ミニラの無様なやられ方に溜息つきながら俺はギガライブナイザーからGodzillaを召喚する。召喚されたGodzillaはゆっくりとガバラの背後から近づいて殴り倒した。

同時にローランとミニラもそれぞれ左右に倒れた。

 

 

「ガァワワァァ・・・・・!?」

 

「グルルルルッ!」

 

 

殴り倒されたガバラはすぐに起き上がって、自分に攻撃した背後にいる敵に向かって怒りの声を上げるが途中で止めてしまった。背後にいる敵が自分よりも遥かに大きく、さらにかつて怪獣島で自分をボコボコにした怪獣王と同じ姿だったので・・・。

 

 

「ガァワワワアアァァァ~~!!」

 

 

恐怖に掛かれたガバラは頭を抱えながら慌ててこの場を去って行った。去って行くのを見つめた後、Godzillaはすぐにミニラの元へ駆け寄り、優しい鳴き声を上げて背を低くして顔を近づける。それに対してミニラは電流から解放された体を起こして目の前にいるGodzillaを怯えもせずに不思議そうに見つめ、本能で仲間だと分かったのか鳴き声を上げて足元に抱きついた。

Godzillaも嬉しそうに両手で頬を撫でて、優しく抱きしめる。

まるで遠く離れていた親子がようやく再会できた、そんな感じであった。

 

 

「良かったな・・・Godzilla」

 

 

その光景を見ていた俺は、聞こえるか聞こえないくらいの声で口からこぼす。その後ローランに警戒させないようにしながら近き、彼女の傷を見てみるとたいしたものではなかった。

うん?何故彼女だと?簡単な事だ。どこから見てもローランは女怪獣だからだ。するとローランは隠れていたリトルシャザックを安心させるように抱きながら俺達に向かって何度も頭を下げた。

 

 

「きっとクロウとGodzillaにお礼を言っているんだよ」

 

「ふ~ん・・・別に気にするな。俺はただ弱い者いじめをしている奴を止めただけさ」

 

「ギャウウウゥゥゥ~」

 

「余程気に入れられちゃったみたいね」

 

「そうらしいな・・・」

 

 

俺の言葉にローランは甘えるような鳴き声を出す。それを見たハルナが側に来て少し笑顔で言う。ちなみに後ろでリーシャが怖い顔をして隣にいたレイを震え上がらせた事は余談である。

その後俺達は作業を再開して、必要な資源をペンドラゴンに運び入れる。それを終えた後、出発するためにGodzillaを回収しようとするが・・・。

 

 

「グウゥゥゥ~~~」

 

「マーマーーー!」

 

「これは・・・戻しにくいな・・・(汗)」

 

 

先程からGodzillaはミニラと遊んだり、頭を撫でたりと世話をしている。ミニラも自分にかまってくれるGodzillaに好意を寄せて甘えている状態だ。ここで無理矢理引き離すのは可哀そうだ。

そして問題はもう1つある。

 

 

「パ~ム~」

 

「ピギ~」

 

「ギュウウゥゥゥ~」

 

「お前ら・・・いい加減離してくれないか?」

 

 

小型怪獣の3体が先程から俺にまとわり付いて離れようとしないのだ。特にベビーゴジラは俺の服の端に甘噛みして絶対に離れないようにしている。バトルナイザーに入れたらいいのではないかだと?さっき入れたけどすぐに出てきてしまったんだよ!

何処かの世界の黄色いネズミじゃあるまいし。ちなみにローランとリトルシャザックも先程回収して、ガバラとの戦いで傷付いた体を癒すために今は眠っている。リトルシャザックもこれに加わりたい様子だったけど、こいつらに比べて大きいから無理だ!

 

 

「クロウは本当に怪獣に懐かれやすいね」

 

「けどそれでこそ怪獣王に相応しいんじゃないか」

 

 

オキとクマノが笑いながらそう言うが、今の俺にとっては嫌味でしか聞こえないのは何故だろうか!?

 

 

「クロウ、そろそろ出発したいのだが・・・」

 

「分かってるよボス!あぁ~~もう、そのままでいいから先に船に乗っていろ!」

 

 

なんとか彼らを振りほどいてGodzillaとミニラを回収しようとギガライブナイザーを構えた時、別の方向から怪獣の鳴き声がした。またガバラかと思いながら振り向くとそこには別の怪獣がいた。そいつは牛の様な角と鋭い爪を持つ牡牛座怪獣ドギューだった。いつもなら新しい怪獣に会ったら喜ぶ俺だけどアイツだけは違う。何しろアイツは弱い者いじめが大好きな奴だ。

俺にとって最も嫌いな事が好きなんて最悪だ

 

 

「チッ!ドギューかよ。あんまり好きじゃないな」

 

「クロウ(クロウさん)!!」

 

「レイ!リーシャ!お前達はハネジロー達とペンドラゴンを守ってくれ。アイツは俺とGodzillaで十分だ」

 

「分かった!」

 

「お任せ下さい!」

 

 

騒ぎを聞いて駆け付けてくる2人そう言って承諾したのを確認した後、俺はGodzilla達の元へ向かう。一方ドギューはGodzillaとミニラに向かって角を前に突き出して走り出した。それを見てGodzillaはミニラを自分の後ろに隠れさせて迎え撃って角を押えながら組み合う。身長では圧倒的にGodzillaの方が上だが、ドギューは自慢の怪力でGodzillaの足を手で掴んで少し持ち上げると横に投げ飛ばした。

 

 

「グルルル・・・ゴッガアアアァァァッ!!」

 

「ギギャアアアァァァーー!!」

 

 

投げ飛ばされたGodzillaだったが、これによって闘志に火が付いてすぐに立ち上がって反撃とばかりにドギューにパンチやキック、噛み付きなど連続攻撃をする。

ドギューも反撃するが、受け止められたり避けられたりとダメージを与えることができなかった。そして最後にGodzillaは尻尾を大きく振ってドギューを押し倒した。強烈な一撃を何発もくらってドギューは倒れた。しかし彼もやられっぱなしは悔しいのかフラフラしながらも立ち上がってGodzillaの尻尾を掴んで鋭い爪を食い込ませながら引っ張る。しかしGodzillaの硬い皮膚には何の効果もなく、逆にそのまま振り回して投げ飛ばしてしまう。

 

 

「グゴォ~~・・・ギャアァ?」

 

「キュウゥ!?」

 

 

しかし投げ飛ばされた先の林の中にはミニラが隠れていた。怯えるミニラを見てドギューはすぐに起き上がって捕まえ、Godzillaに見せる。それを見て動きを止めるGodzillaにドギューは笑いながら動けば此奴を攻撃すると爪をミニラの首元に向ける。ミニラは怖さのあまり涙目になって悲鳴を上げる。

 

 

「グルルルーーー!!」

 

「ギギャアアァァァッ!」

 

 

泣き出すミニラを見てGodzillaは怒りの唸り声を上げるがドギューは気にせず、足元に落ちていた岩を拾ってそれをGodzillaにぶつけようと大きく振り上げるが・・・。

 

 

「させるか!!」

 

 

その光景をばれないように見ていた俺はギガライブナイザーからガイガンのスパークドールズを出してライブする。

 

 

『ギガライブ!ガイガン!』

 

 

光と共にガイガンになった俺はすぐにドギューの側まで走ってミニラを捕まえている腕に目掛けて鉤爪のハンマーハンドを振り下ろした。切り裂かれて火花が飛んで血が流れるとドギューは痛みのあまりミニラを離し、岩を落としてしまう。だが俺は攻撃を緩めず、もう片方のハンマーハンドで両角も切り落とした。

悲鳴を上げるドギューにGodzillaが一直線に走り出して腹部目掛けて頭突きをくらわせ、力一杯放り投げた。怒りを籠めた攻撃だったため、ドギューはもの凄い勢いで空高く飛ぶ。そして止めの『放射熱線』を放ってドギューを木端微塵にした。

 

 

「ゴッガアアアアアァァァァァーーー!!!」

 

「(お前もやりたいか・・・いいぜ!)キィィッシャアアアァァァッ!!」

 

 

Godzillaの咆哮を聞いてガイガンも咆哮を上げたいとライブしている俺に伝えてきたので、共に勝利の咆哮を上げた。その後、Godzillaとミニラを回収して元の姿に戻ってペンドラゴンに乗って目的地であるヴィンセント島目指して出発した。

だがこの時、怪獣王の子供と同族を仲間にした事が、俺の予想を遥かに超えた面倒で大変な事を知るよしがなかった。

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙鶴ローラン

その名の通り鶴に似た怪獣で、『宇宙一美しい』と言われている。
主な武器は翼による突風と猛毒を含んだ針攻撃である。ガバラに襲われているところをクロウに助けられた事から彼に少なからず好意を持つ。
それ以前はZAPの基地で子供怪獣や小さな怪獣の世話していた。まさに怪獣保育士である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 怪獣VS超獣VS円盤生物VSスペースビーストVS宇宙ロボットVS守護神

皆様、大変長くお待たせ致しました。
今回もまたタイトル通りにたくさん怪獣が登場します。第2回怪獣祭りです!!
様々な方々がリクエストした怪獣もようやく出せました。その代表がゴジラ怪獣の中で有名なあの怪獣です!最後にまだまだリクエスト怪獣は募集しておりますので、活動報告にある方にて応募してください。


最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー
巨蛾モスラ(成虫&幼虫)、ブロブタイプビースト・ペドレオン(グロース)
再生怪獣サラマンドラ、満月超獣ルナチクス、円盤生物ノーバ
大怪鳥大コンドル   登場



十分な資源を手に入れてから2日経って俺達はようやくヴィンセント島に到着した。此処に辿り着くまでの間は本当に大変だった。小型怪獣達の面倒を見たり、ウルトラマンに会えると思って緊張するレイを落ち着かせたりした。そして島の海岸近くにペンドラゴンと同じ型の船・ゴースタードラゴンを発見した事で生存者を探すために警戒しながら島に着陸して銃やバトルナイザーを構えながら降り立った。

その前にハネジロー達を必死に説得して何とかギガライブナイザーに回収したけどな。

 

 

「レイ、クロウ、近くに怪獣の気配は感じるか?」

 

「ちょっと待って・・・近くに2匹感じる」

 

「だがどちらとも悪意がまったく感じられない。それよりもっと小さな気配をいくつも感じる。これは人間と・・・何か別のものだな」

 

「間違いないか!?」

 

「あぁ!」

 

 

それに微かに感じる小さな気・・・これはウルトラマンのものだな。そう思っていた時にオキの持っていた機械のバイオセンサーが鳴り出して、どこからか人の声がした。全員が警戒して声がした方を見るとそこには5人の人間がこちらにやって来た。

そして真ん中にいる男性が代表して話しかける。

 

 

「お久しぶりですヒュウガ船長。いや・・・今はボスでしたね!」

 

「ヒロキ兄さん!!」

 

 

大声で言いながらハルナは走り出してその男性に抱きついた。その男性はヒロキと言ってハルナのお兄さんだった。死んだと思っていた兄に会えて涙を流しながら抱きつくハルナを見てヒロキも優しく抱く。その光景を見て誰もが良かったと思い、涙を流している中でリーシャだけは胸に両手を合わせながら寂しいそうに俯く。おそらく姉さんに会いたくなっただろう。

俺はすぐにその理由に気が付いてリーシャの肩に優しく手をのせる。

 

 

「信じていれば必ず姉さんと会える。俺も手伝うからよ」

 

「クロウさん・・・ありがとうございます!!」

 

 

寂しい顔から一変して明るい顔になったリーシャを見て俺もホッとした時、突然上の方から誰かに話しかけられた。

 

 

「「お待ちしておりました。怪獣王様!!」」

 

「うん?」

 

「だ、誰!?」

 

 

話し声はレイ達にも聞こえて声の主を探して周りを見渡した時、突然俺の目の前に小さな蛾に似た可愛い生き物とそれに乗っている小さく綺麗な2人組の女性が現れた。

 

 

「初めまして。私達は『エリアス』と言う一族で、私は姉のユニと申します」

 

「私は妹のリンです。そしてこの子がフェアリーです」

 

「キュゥゥ~~」

 

「な、エリアス族だと!?・・・あっ、失礼しました。俺はクロウと申します」

 

「私はリーシャです」

 

 

優しい声で丁寧に自己紹介してきた彼女達に俺はつい慌てながら自己紹介する。またリーシャやレイ達もつられて自己紹介した。この時リーシャに宇宙人である事は言わないように伝えておいた。今バレてしまうと後に面倒な事になるからだ。

そして改めて彼女達を見つめる。まさかエリアス一族に出会うとは思っていなかった。だがそんな事よりも俺が気になった事は・・・。

 

 

「何故俺の事を“王”と呼ぶんだ・・・?」

 

「はい。貴方の事は祭壇にある『エリアスの盾』を通じてこの星について調べていた時に偶然見つけました。そして私達は一目見た時から貴方から放たれる凄まじい力を感じました」

 

「それから貴方の事を観察している内に貴方が仲間達の中心になり、多くの怪獣達と絆を深めて導いていると分かり、貴方が王であると確信したからです!」

 

 

姉妹は交互に話すように俺に説明する。なるほど・・・エリアスの盾にはそんな使い方もあるのか。それは初めて知ったぜ。しかし俺からそんな凄い力が放たれているのかな?

そう不思議に思っている時、彼女達は再び話しかけてきた。

 

 

「それと王y「クロウと呼んでくれ」・・・分かりました。クロウ様!これから私達に付いて来てくれませんか?」

 

「うん?何故だ?」

 

「実は貴方に会わせたい子がいるのです。私達がその子のいる所まで案内しますのでどうか」

 

 

2人はそう言って俺の顔を見つめる。俺は彼女達を少し見た後、ボスの方を振り向いて言う。

 

 

「ボス、悪いが俺は一旦離れる。この島には怪獣はいないみたいだが、何かあったらすぐに連絡してくれ」

 

「分かった!それならこれを持っていけ」

 

 

そう言ってヒュウガは予備用の小型携帯を渡す。それを受け取って歩き出そうとした時、レイとリーシャは互いに顔を見た後頷いて俺の傍に走って近づく。

 

 

「待ってくださいクロウさん!私も一緒について行きます!」

 

「俺も同じだ」

 

「何?・・・いいのか。お前ら」

 

「「ああ!╱はい!」」

 

「そうか。ありがとうな」

 

 

2人に感謝しながら俺達はユニとリンを乗せたフェアリーの後を追い掛けて歩き出す。そして長い時間をかけて船から結構離れた所まで行くと沢山の大きな岩に囲まれた祭壇を見つけた。

その祭壇の上にいる1体の姿の美しい色の翅を持った蛾に似た怪獣を発見した。それはゴジラシリーズを知っている者なら絶対に知っている怪獣である。

 

 

「あの怪獣は!?」

 

「なんて綺麗な怪獣・・・!」

 

「あの子の名はモスラ・・・正確にはモスラ・レオと言います」

 

「クロウ様に会わせたいという子はあの子なんです。どうぞ、近寄ってください」

 

「あ、あぁ・・・」

 

そう、インファント島の守護神モスラである。リーシャが言った通りにその綺麗な姿につい見惚れていた俺は彼女達の声で我に返り、祭壇を登ってモスラに近づく。するとモスラは優しく鳴き声を上げて俺を見つめる。

 

 

「カクィオオオオウン・・・」

 

「こういう場合は『こんにちは!』と言うべきかな?俺の名はクロウ。宜しくモスラ!」

 

「カキュウウオオウン!ピュアアアァァァ!」

 

「ハハ、そんなに俺に会いたかったのか!それでモスラ、俺に一体何の用があるんだ?」

 

 

俺がそう尋ねるとモスラは鳴き声とともにテレパシーで伝えた後、伏せていた片方の翅を少し上げる。すると翅の下には大きな卵があったのだ。そしてそれを見せながらテレパシーで用件を話す。それを聞いた俺は驚きを隠せず、モスラに何回か愚痴を含めて話すが、それでも説得するモスラの言葉を聞いて渋々受けて、祭壇から降りて行く。降りてくるとその光景を見ていたリーシャがすぐに尋ねる。

 

 

「なんでしたかクロウさん!モスラは一体何を・・・?」

 

「はぁ・・・あの卵から産まれてくる子を俺の仲間にして欲しいのと石の巨人・・・つまりウルトラマンと協力して人間達を守ってくれだとさ」

 

「ウルトラマンと!?クロウ!彼は何処にいるんだ!?」

 

「落ち着けレイ。奴の所まで案内するから!こっちn『ピピピッ!』ちょっと待って!ボスからだ・・・はい!・・・うん。分かった」

 

 

先程受け取った携帯に出してヒュウガと話し合う。内容は明日ここにあった船・ゴースタードラゴンを修理するために必要な部品を手に入れるための作戦を話し合いたいからすぐに戻ってきてほしいとの事だった。それを聞いた後すぐに2人に伝える。

 

 

「以上だ。悪いがレイ、ウルトラマンの所に行くのはまたにしておいてくれないか」

 

「・・・・・あぁ」

 

 

会えないと分かってレイは少し暗い顔になって落ち込む。それを見て俺はレイの頭に手を置いて優しく撫でながら言う。

 

 

「心配するな。作戦が終わったら必ずウルトラマンの所へ連れてってやるからよ!」

 

「なっ!?くっ・・・や、やめろ!」

 

 

撫でられて恥ずかしいと思ったレイが慌てて顔を赤くさせながら振り払う。ちなみにその光景を見ていたリーシャは羨ましいそうに見つめて、それを見ていたユニとリン、フェアリー達は苦笑しながら俺に話しかけて尋ねる。

 

 

「「それでクロウ様!モスラの願いは受けてくれますでしょうか?」」

 

「あの様子じゃ何言っても無駄だからな・・・やれやれ。受けてやるよ」

 

「「ありがとうございます!」」

 

 

受けると言った瞬間に2人は笑顔になってお礼を言う。それを見ていたモスラも嬉しそうに鳴き声を上げた。まったく・・・疲れるよ本当に。

それから彼女達とは一旦別れ、レイとリーシャを連れて戻ってボス達と合流して作戦を聞き、一夜明けてからペンドラゴンに乗って近くの島にあるグランケープ補給基地に向かう。その途中、船内で生存者達の副リーダーであるアトウと出会うが、話しかけるつもりはない。だって・・・コイツ本当に嫌な奴なんだもん!!オキとの話し合いで嫌な性格を思いっきり出したしよ。そう思っている内に島に辿り着いて基地が見えてきた。

だがその基地の近くにはとんでもない物がたくさんあった。

 

 

「あの機械の山は何?」

 

「アレは・・・ロボットや円盤の残骸だ!」

 

 

メカや機械が好きなクマノがすぐに分かって大声で言う。今まで地球侵略にやって来た宇宙人達の乗っていた円盤や作られたロボット怪獣達が山ほど積み重なり合っていた。どれも壊れているが・・・修理すれば動かせる感じかな。いざとなればクマさんに手伝ってもらえばいいし。

 

 

「ハルナ!着陸準備をしろ」

 

「了解!」

 

 

この時俺は円盤やロボットの事ばかり気にしていたので肝心の事を忘れていた。この基地の近くを縄張りにして獲物を待っている連中に・・・。

 

 

「待て!怪獣だ!!何体もこの船を狙っている!!」

 

「えっ!?」

 

 

レイの言葉で俺はハッと思い出す。そうだ・・・この島にはアイツらがいるという事をすっかり忘れていた。誰もセンサーに反応がないと言う中で、俺は急いで高度を上げる為にコックピットにあるレバーを引こうと走り出した時、突然ペンドラゴンが大きく揺れた。原因を探るとペンドラゴンの後ろに触手が2本巻き付いていた。

そしてその先には4体の怪獣がいた。再生怪獣サラマンドラ、満月超獣ルナチクス、円盤生物ノーバ、ブロブタイプビースト・ペドレオンである。触手は後者2体のもので、彼らはペンドラゴンをグイグイと引っ張って引き寄せる。

 

 

「ボス!機体がどんどん引き寄せられていきます!」

 

「フルパワーで振り切れ!!」

 

 

エンジンのパワーを最大まで上げた事でなんとか触手を振り払うことができた。だが4体はその場でこちらの様子を眺めている。

 

 

「奴ら、動きませんね」

 

「当たり前だ。此処はアイツらにとって縄張りなんだ。自分から離れて行く事はあり得ない」

 

「それでは諦めるしかないのか!?」

 

 

ヒロキが落胆しながら言うが、それをレイとリーシャが否定する。

 

 

「いや、諦めたらそこで全てが終わりだ。絶対に最後まで諦めるな!違うか!?」

 

「せっかく見つけた貴重な資材をこのまま見逃すなんて事はできません。・・・それに、あそこにある円盤を直せば宇宙に行ける・・・」

 

 

2人の言葉(リーシャの最後ら辺は聞こえなかったが)を聞いて全員が奮起して作戦を続行する事になった。だがその時またペンドラゴンが揺れた。しかも何かを叩く音もする。

 

 

「どうした!?」

 

「ペンドラゴンの上に何かいて、そいつが攻撃してきています!」

 

「監視カメラを切り替えて正体を探るんだ!」

 

「了解!!」

 

 

クマノがボタンを押してカメラを何度も切り替えるとようやく攻撃の主が分かった。そいつはまさにコンドルが巨大化した怪鳥・大コンドルであった。

 

 

「大コンドルか!こいつもいるとは驚きだ」

 

「感心している場合じゃないよ~~!何とかならないのクロウ!」

 

 

感心している俺にオキが言う。けどこれでは手出しができない。攻撃しようにも近すぎてミサイルは撃てないし、ドラゴンスピーダーを発進したくても大コンドルのせいでできない。

さてどうするか?今ライブするとアトウのせいで今後面倒なことになる・・・っと考えていた時、突然大コンドルの悲鳴が聞こえた。

 

 

「何が起きた!?」

 

「ボス、モスラです!」

 

「ピュアアアアアァァーー!!」

 

 

全員が外を見るとモスラが大コンドルを上から掴み押さえていた。大コンドルも必死に翼を動かしたり、モスラの脚を嘴や脚で攻撃して離れようと暴れるがモスラの押さえる力がかなり強いせいか、なかなか抜け出せなかった。

そしてモスラが俺に「今のうちに早く!」とテレパシーで伝えた。

 

 

「ボス!俺達はドラゴンスピーダーで降りて怪獣達を引きつける。その隙に必要な部品などを運び出せ」

 

「分かった!気を付けるんだぞ!」

 

 

そう言った後、レイとリーシャを連れて一緒にスピーダーに乗って地上に着陸して、迫ってくる怪獣達の前に立ってそれぞれのバトルナイザーから相棒怪獣を出した。

 

 

「行け!キングオブモンス!!」

 

「行け!ゴモラ!!」

 

「行きなさい!ガーディー!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グオオオオォォォッーーー!!」

 

「キシャアアアアアァァァーー!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

召喚された3体は咆哮を上げる。それを見たサラマンドラ達は一瞬驚いて怯むがすぐ咆哮を上げて威嚇する。そしてノーバが先制攻撃と言わんばかりに触手をゴモラ目掛けて振るった。

 

 

「キシャアアアアアァァァーー!!」

 

「ギュイイィィィーーッ!?」

 

 

しかしゴモラは素早く迫る触手をあっさりかわしてしまう。そして超振動波を放ち、それを受けたノーバは倒れて消滅した。ノーバがやられたのを見てサラマンドラ達は怒りの咆哮を上げながら襲い掛かり、キングオブモンス達も同じようにそれぞれ相手を決めて迎え撃つ。また空の上でもやっと抜け出せた大コンドルが怒りを込めながらモスラに体当たりや嘴と爪などの攻撃をしかけ、モスラも光線や鱗粉で反撃する。

だがこの時、地上と上空で激しいバトルが繰り広げられているこの島に向かって恐ろしい戦闘機体が迫っている事に今は誰も知る由がなかった。

 

 

 

ところ変わってヴィンセント島でーーー

 

 

「流石クロウ様ですねユニ姉さん!やっぱりあの方なら心配いらなかったのに・・・モスラは心配しすぎですわ」

 

「いえ、違いますよリン。モスラは万が一の事も考えて駆け付けたのですよ。そんな事を言ってはいけませんよ」

 

「それはそうですけども・・・うん?・・・!?ね、ユニ姉さん大変です!?」

 

「どうかしたのリン?そんなに慌て・・・!?」

 

 

島から出て行ったモスラを心配して、エリアスの盾を使って戦いやクロウ達の様子を見ていたユニとリンの姉妹。話し合っていた時に背後から気配を感じた振り向いたリンが慌てた表情でユニを呼び、それを聞いたユニが振り向いてみると祭壇の上に置いてあった卵が割れて中から2体の幼虫が鳴き声を上げながら出てきた。

 

 

「生まれた・・・生まれたよユニ姉さん!!しかも双子だよ!!」

 

「本当!良かったわ!!・・・けど何故こんな時に?」

 

 

生まれてきた幼虫達を見て喜ぶリンとは対照的に突然卵から生まれた事にユニは不思議に思い、首を傾ける。そんな中2体の幼虫は祭壇から降りてどこかに向かって移動して行った。正確には最初に出てきた幼虫の後をもう1体の幼虫が慌てて追いかける感じである。

 

 

「えっ!?何処に行くの!?」

 

「もしかして・・・リン!すぐにフェアリーに乗って追いかけますよ!」

 

「はい!!」

 

幼虫達の行動を見てある事に気がついたユニはリンと一緒にフェアリーに乗って後を追いかけた。

果たして幼虫達は何処に向かっているであろうか?そして何をしようとしているのか?その答えは間もなく分かるであろう。

 




【大怪獣バトルファイル】
巨蛾モスラ(成虫)

ゴジラ怪獣の中においてキングギドラと並ぶ程の有名な怪獣である。この大怪獣バトルに出ているのはレインボーモスラである。呼び名はモスラ・レオか親モスラである。
主な武器は超音波ビームや鱗粉攻撃などの多くの攻撃技を持っている。また様々な環境に合わせて形態を変える事が可能である。
エリアス族のユニとリン姉妹、ウルトラマンと共にヴィンセント島に避難したボリスの生存者達を守っていて、クロウにこれから生まれてくる子供を仲間にしてくれるように頼んだ。そして彼女自身があるレイオニクスのパートナー怪獣になるのは次回分かります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 親子の絆とレイオニクスの力

皆様、大変長らくお待たせいたしました。まさかこんなに時間がかかるとは自分でも思っていませんでした。けれど今回はいつもよりも一層激しい怪獣バトルが繰り広げられます。また、今回活躍する怪獣はちょっと前の事ですが、新しく始まった「ウルトラマンオーブ」で彼を苦しめた怪獣と人気ウルトラ怪獣で第1位に輝いた怪獣の2体です。また再びあの凶悪破壊神が登場します!感想と評価、リクエスト怪獣をお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー
原子怪鳥リトラ(S)、宇宙超怪獣キングギドラ、剛力怪獣シルバゴン
超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
宇宙怪獣エレキング、巨蛾モスラ(成虫&幼虫)、
ブロブタイプビースト・ペドレオン(グロース)再生怪獣サラマンドラ
満月超獣ルナチクス、宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ、大怪鳥大コンドル
宇宙ロボット・キングジョーブラック   登場



船を修理するために必要な部品を手に入れようとグランケープ補給基地に向かったクロウ達に5体の怪獣達が襲い掛かってきた。

だがその内1体は倒して、ゴモラはサラマンドラ、キングオブモンスはルナチクス、ガーディーはペドレオン、モスラは大コンドルと相手を決めてそれぞれ激しいバトルを繰り広げた。

 

 

「ギシャアアアァァァァァーー!!」

 

「バッゴオオオォォォーー!!」

 

 

突進してくるゴモラをサラマンドラは真正面から受け止めて、鋭い爪で何度もゴモラの頭を攻撃する。するとゴモラは角を左右に大きく振り、それによって角を掴んでいたサラマンドラは体勢を崩してしまう。その隙を狙ってゴモラは尻尾を勢いよく振ってサラマンドラのお腹に命中させる。悲鳴を上げながら後ろに倒れるサラマンドラにゴモラはさらに激しい攻撃を仕掛けるのだった。

 

 

「グオオオオォォォォォーー!!」

 

「ゴオオォォォゥゥーー!!」

 

 

目玉をミサイルのように発射するルナチクスの攻撃をキングオブモンスは『ボーンシールド』で防ぐ。それを見たルナチクスはウサギ跳びで勢いよくジャンプをして高い位置から攻撃しようとするが、キングオブモンスは尻尾で弾き飛ばしてしまった。そして倒れて転がるルナチクスを何度も蹴ったり、踏み付けたりする。必死にルナチクスが起き上がろうとしてもキングオブモンスの力の差は歴然で、起き上がれずにいた。

キングオブモンスは踏み付けたまま、愉快そうな鳴き声を上げるのであった。

 

 

「ガウウウゥゥゥ~~!!」

 

「ピュイイィィギュウウゥゥゥ~~!」

 

 

角や尻尾で果敢にペドレオンを攻めるガーディー。対してペドレオンも必死に攻撃に耐えた後、ガーディーの頭目掛けて手にある複数の触手を叩き付ける。だがガーディーは素早くかわし、逆に触手に噛み付いてそのまま引き千切ってしまった。悲鳴を上げて後ろに下がるペドレオンだが、今度は頭部の触角から火球を放つ。それを見たガーディーは口から『ゼペリオン光線』を放って相殺させ、そのままペドレオン本体も攻撃した。光線を受けて怯んでグロッキー状態になるペドレオンにガーディーはさらに攻撃をするのであった。

 

 

各場所で行われる激しいバトルで1番早く決着が付いたのはモスラ対大コンドルであった。素早い動きで対抗する大コンドルだったが、モスラの額から放つレーザー『クロスヒート・レーザー』を受けて撃墜した。地上に落ちてもなお飛ぼうと必死に翼を動かそうとする大コンドルだが、直撃だったためダメージが大きく動けなかった。それを空から見ていたモスラは攻撃せず、まだ戦っているキングオブモンス達の援護に向かうのであった。上空で戦いを見ていたヒュウガは基地から怪獣達が離れた瞬間、クマノに命令を出す。

 

 

「よし!クマノ、レイ達が怪獣を引きつけている間に必要な物資を積み込むぞ!」

 

「了解!!」

 

 

命令を受けてペンドラゴンを基地の上に向かわせ、部品が入っているコンテナをレーザーネットで回収する。誰もが作戦が成功したと思った時、突然ペンドラゴン内で警報が響く。そしてこちらに向かって何かが接近しているとクロウ達にも伝えながらオキが言う。連絡を聞いた俺達が空を見上げるとやって来たのはあの4機の黒い円盤だった。

 

 

「クロウさん!アレは!?」

 

「くそ!またペダン星人の円盤か!!」

 

 

本当にこっちの都合が悪い時に出てきやがる!慌ててキングオブモンスに皆を守るよう命令しようとするが、それよりも先に破壊光線が何発も放たれてペドレオン、サラマンドラ、ルナチクスの3体は倒されてしまった。しかし大コンドルだけは急いで飛んで来て庇ってくれたモスラのおかげで無事だった。しかしモスラは重傷で、そのまま悲鳴を上げながら地面に着陸した。

それを見て俺はすぐにモスラの元に駆け寄ろうとしたが、4機の円盤が合体して人型の宇宙ロボット・キングジョーブラックになり、右腕の『ペダニウムランチャー』から弾丸を撃ちながら再び襲い掛かって来た。

 

 

「チッ!リーシャ、悪いが俺の変わりにモスラを守ってくれ!俺はあの暴走ロボットを倒す」

 

「分かりました」

 

「頼むぞ!レイ、行くぞ!!」

 

「あぁ!!」

 

 

モスラをリーシャに頼んだ後、俺はレイと一緒にバトルナイザーを構えてキングオブモンス達に命じる。キングオブモンスとゴモラは共に体当たりをした後それぞれ左右に別れて連係プレー攻撃をした。

 

 

グワアッシ・・・!グワアッシ・・・!

 

 

対するキングジョーブラックは従来のより強化された強固な装甲と驚異的なパワーで応戦する。だが相手が様々な能力と力のあるキングオブモンスとこれまでの戦いで鍛え抜かれたゴモラの2体である故に苦戦して押されていた。弾丸を放ってもキングオブモンスが防ぎ、その隙をゴモラにつかれて攻撃をくらってしまう。そして2体が一気に倒そうとしたが、世の中そう簡単に事は進まないのだ。

 

 

 

ギュジイイイイイィィィィィーーー!!

 

 

 

「キシャアアアアァァァッ!?」

 

「グオオオオォォォッ!?」

 

 

突然2体の周りに謎の結晶体が多数出現し、そして真上からオレンジ色の光線が放たれた。余りに突然の事に2体はかわせず、直撃して倒れ込む。痛みに耐えながら攻撃してきた方向を見るとそこには背中の結晶を大きくして空を飛ぶスペースゴジラがいた。

 

 

「ギィガアアアオオオォォォォン!」

 

「グルルルッ・・・!」

 

「グオオ~~!」

 

 

凶悪な笑いを浮かべるスペースゴジラを見て2体はすぐにでも攻撃したいと思ったが、後ろでキングジョーブラックがペダニウムランチャーを自分達に向けて近づいているため、下手に動くとすぐに撃たれてしまうから身動きができなかった。

それを見たヒロキがヒュウガに撤退するように言う。

 

 

「あのロボットは恐ろしく強く、周囲の怪獣を皆殺しにするまで攻撃を止めません。それにあの結晶の怪獣も強い・・・あの3人が危険です!」

 

「オイオイ、そんな事を言うな。あんな暴走ロボットと宇宙怪獣如きに撤退とはよ!」

 

 

通信機で内容を聞いた俺はつい反論してしまう。いや俺だけでなく、レイやリーシャも同じ思いだった。俺達が此処で負ける・・・冗談じゃないぜ。そろそろ本気を出すか!そう思ってレイとリーシャに指示を送った。

 

 

ガッシャン!!・・・グワアッシ!グワアッシ!

 

 

このままでは拉致が明かないとスペースゴジラの方から素早く振り向いてかわそうとするキングオブモンスとゴモラにキングジョーブラックは真正面からペダニウムランチャーを構える。またスペースゴジラも後ろから攻撃しようとする。やられると思った時、上空から2体の怪獣の鳴き声が響いた。

 

 

「キィエエエンッ!!」

 

「ピギャアアアオオオン!!」

 

 

先程召喚されたリトラ(S)とキングギドラに気が付いたキングジョーブラックがそちらにランチャーを構え直す。その隙にキングオブモンスとゴモラは素早く下がる。そして狙いを定めるキングジョーブラックの背後からエレキングが尻尾で巻き付けて電流を流した。また、スペースゴジラの方でも攻撃する前にグランドキングとシルバゴンが乱入してきたためできなかった。

しかしそれでも2体は怯まずに反撃してくる。特にスペースゴジラは設置しておいた結晶体から両肩にある『クリスタル・ジェネレーター』に宇宙エネルギーを取り込んでいるから強力な技を連発しまくった。

 

 

「カクィオオオオウン・・・」

 

「駄目よモスラ!貴方は傷が深いのよ!?」

 

 

バトルを見て自分も戦うと空に飛ぼうとするモスラをリーシャとガーディーが押さえる。

 

 

「!!カキュウウオオウン!ピュアアアァァァ!」

 

「え、えっと・・・何言っているの・・・?」

 

「「子供達が来ると言っております!!」」

 

「えっ!?」

 

 

必死に何かを伝えようと鳴くモスラに戸惑うリーシャにフェアリーに乗ったユニとリン姉妹が説明する。どうして2人が此処にいるのかと聞こうとした前にまたモスラが鳴き出す。

 

 

「ピアァッ!!ピュイィッ!!」

 

 

すると遠くの方から何かの鳴き声が聞こえる。これにはリーシャだけでなく、俺達にも聞こえてその方向に振り向くと2体の幼虫モスラがこちらに近づいて来ていた。

あの卵から生まれた子達か・・・親の危機を感じ取ったのかな?

そう思っている間にも幼虫モスラ達は『プチ・レールガン』を放ってキングジョーブラックを攻撃した。それをくらうとキングジョーブラックはロボット形態から円盤形態になって距離を取って再び合体して、幼虫モスラ達にランチャーを構えて狙いを定める。

 

 

「やばっ!グランドキング!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

 

命令を受けたグランドキングは急いで幼虫モスラの元に向かう。それと同時にキングジョーブラックが弾丸を撃ち、辺りは激しく爆発して凄まじい炎で燃え上がった。

 

 

「ピュアアアアアアアァァァァァーーー!!」

 

「「モスラーーー!!」」

 

 

モスラ・・・否、親モスラとユニとリン姉妹の悲鳴が響く。激しい爆発の光景を見てユニとリンは泣き崩れ、親モスラは鳴き声と共に綺麗な青色の眼が赤色へと変わった。その眼は悲しみに溢れていた。あの爆発では生きていない・・・と誰もが思った。ただ1人を覗いて。

 

 

グワアッシ!グワアッシ!

 

 

目標の敵が倒れたのを確認したキングジョーブラックは次の敵を倒そうと向きを変えようとした時・・・。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥッーー!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

爆発が治まって煙が晴れかけてくると中から恐ろしく高い鳴き声がした。そして現れたのは右腕が巨大な剣、左腕が巨大な鉤爪になって、体がさらに大きくなったグランドキングだった。その後ろには幼虫モスラ達が安心させるかのように元気よく鳴いていた。先程の攻撃は全てグランドキングが受けたので2体とも無傷である。この事に驚いている全員に俺は言う。

 

 

「これがグランドキングが秘められた力を解放し、覚醒した姿だ!行け!スーパーグランドキング・スペクター!!」

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

 

咆哮を上げながらスーパーグランドキング・スペクターは歩き出す。それを見てキングジョーブラックは再びペダニウムランチャーを撃つが、スーパーグランドキング・スペクターは弾丸が当たっても止まらずに進み続ける。そして右腕の剣でペダニウムランチャーを切り落としてしまった。

それによりキングジョーブラックは右腕から激しく火花を散らしながらよろめく。

 

 

グワアッシ!グワア・・・!!?

 

「ピアッ!ピュイィッ!!」

 

「ピアァッ!ピシュゥゥ~~~~!!」

 

 

自慢の武器を破壊されて、圧倒的な力の差の前に形勢不利と判断したキングジョーブラックは円盤形態になって逃げようとするが、幼虫モスラ達の口から吐きだす糸によって体が絡みついて分離ができなくなってしまった。

 

 

「止めだ!スーパーグランレーザー!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥッーーー!!」

 

 

身動き取れなくなったキングジョーブラックにパワーアップした破壊光線『スーパーグランレーザー』を放つ。それはキングジョーブラックの胸に命中し、胸には大きな穴が開いた。

キングジョーブラックは直立した姿勢となって倒れて大爆発を起こしながらバラバラとなって吹き飛んだ。

 

 

「ギィガアアアオオオォォォッ!?」

 

 

別の場所で、キングジョーブラックが倒れたのを見ていたスペースゴジラは動揺した。と言うのも今回は宇宙エネルギーを完全にチャージし、前回の屈辱を晴らそうとクロウ達を探して、キングジョーブラックと戦っていたのを発見した。

ようやく見つけた事に心を奮わせて、戦闘中でも回復できるように有利な場所を作ってキングジョーブラックをうまく使って戦いを挑んだが、そのキングジョーブラックがやられて、エリアにある結晶体が次々とリトラ(S)とキングギドラ、エレキングに破壊されていく。何とか防ごうとするが、キングオブモンス、ゴモラ、シルバゴンの3体が攻撃してくるために近づく事ができなかった。

 

 

「ギィガアアアオオオオオォォォン!!」

 

 

最後の結晶体が破壊された瞬間、スペースゴジラは重力を操って浮かび上がって飛行形態になって戦場から離脱しようとするが・・・。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

結晶体を大きくさせようとする前にガーディーが尻尾に噛み付く。そして引きずり降ろそうとする。それを見てスペースゴジラは口から『コロナビーム』を吐いてガーディーを引き離そうとするが、ガーディーはまるでスッポンのように噛み付いたまま離さない。そうしている内にシルバゴンが加勢に入って尻尾を両手で掴む。また別の方向からエレキングが尻尾を結晶体に巻き付ける。

 

 

「キィイイイィィィッ!!」

 

「ズゥイイイィィィィィン!!」

 

「ギィガアアアオオォォォッ!?」

 

 

そして2体は力一杯結晶体と尻尾を引っ張ってスペースゴジラを地面に叩き付けながら引きずり降ろした。その瞬間、リトラ(S)とキングギドラが両肩の『クリスタル・ジェネレーター』を同時に攻撃して破壊した。

 

 

「ギィガアアアオオオォォォッ~~・・・」

 

「グオオオオォォォッ!!」

 

「キシャアアアアァァァッ!!」

 

 

エネルギーが切れて力が半減したスペースゴジラに今度はキングオブモンスとゴモラが攻撃した。先程の不意打ちに2体は余程根に持っていたらしい。何度もパンチやキックを受けてスペースゴジラはフラフラになりながらも悪足掻きに『テールスマッシャー』を繰り出す。

 

 

ガシッ!!

 

 

「グオオオオォォォッーー!!」

 

 

だが尻尾が突き刺さる前にキングオブモンスに受け止められ掴まれてしまい、身動きが取れなくなった。その隙をついてゴモラが突進して腹に角を突き刺した。そして『超振動波』を放って勢いよくかち上げて投げ飛ばした。スペースゴジラは地面に落ちて、爆発はしなかったがもはや虫の息であった。戦いが終わった後キングオブモンス達は勝利の咆哮を上げた。

 

 

「よ~し、皆よく頑張ったな!戻って休みな。そして・・・お前達も俺の元に来い!」

 

 

戦ってくれた怪獣達を3人のレイオニクスはそれぞれのバトルナイザーに回収した。また、クロウは戦闘不能状態になったスペースゴジラと大コンドルも一緒にギガライブナイザーに回収した。そして中で怪獣達が傷を癒している事を確認した後、急いでモスラ親子の元に向かう。

 

 

「ピアッ!ピュイィッ!」

 

「ピュアッ!!」

 

「カクィオオオオウン・・・」

 

 

弱々しい姿の親モスラを見て幼虫モスラ達は互いに寄り添って励ますように鳴く。親モスラは子供達を優しい表情で安心させるかのように鳴く。

そしてそのままリーシャを見つめてしきりに鳴き出す。

 

 

「こ、今度は・・・一体何を・・・?」

 

「・・・・・なるほど。リーシャさん、モスラは貴方のバトルナイザーを出してくれませんか?」

 

「えっ?えぇ・・・」

 

 

ユニの言葉に従ってリーシャがバトルナイザーを出した瞬間、親モスラの体が光り出して光の粒子となり、そのままリーシャのバトルナイザーに入っていった。つまりこれは親モスラがリーシャの第3のパートナー怪獣になったと言う意味である。

 

 

「モスラが・・・私のパートナーに・・・!?」

 

「はい!モスラは貴方の優しい心に惹かれ・・・貴方と一緒に戦う事を決意したのです」

 

「リーシャさん、モスラの事を宜しくお願い致します!」

 

「・・・分かりました!」

 

 

彼女達の思いを込めた頼みを聞いたリーシャは優しく答えた。そしてバトルナイザーの中にいる親モスラを優しい表情で見つめた。そんな彼女を見てホッとしたユニとリン姉妹は今度はクロウに話しかけた。

 

 

「「クロウさん、モスラの子供達ですが・・・」」

 

「言わなくていいよ。・・・もう懐かれているから(汗)」

 

 

彼女達がリーシャと話している間、幼虫モスラ達は俺に甘えたいような表情(?)で見つめて近づいて来て鳴いていた。その行動に苦笑しながら俺は2体ともギガライブナイザーに回収した。

回収されても2体はなお元気よく鳴いていた。

 

 

「やれやれ・・・疲れるぜまったく・・・」

 

「クロウ、ちょっといいか?」

 

「うん?何だレイ?」

 

「さっきのパワーアップの方法、俺に教えてくれないか?」

 

 

そうレイが言うとリーシャも俺に頼み出す。もっと強くなりたいと言う気持ちが2人の顔に現れていた。まぁ、断る理由もない事だし。

 

 

「いいけど・・・俺の教えは甘くないぞ」

 

 

そう言うと2人はやる気に満ちながら喜ぶ。その後ヒュウガ達と合流して、他にも必要な物資を積み終えて新たな仲間とともにヴィンセント島に帰ったのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ

ゴジラに似た姿を持つ怪獣。だが性格は凶暴で、高い知能を持ち、両肩に大きなクリスタルがあるという特徴がある。ゴジラ怪獣の中で最強クラスである。
主な武器は口から放つコロナビームや尻尾を使ったテールスマッシャーなどの多くの技を持っている。また重力を自由に操れ、結晶体を大きくする事で空を飛ぶ事も可能。
ブルトンに呼び出されて以来、クロウ達を倒す事を目的にエネルギーを得て島で戦っていたところを強襲したが、8大怪獣に破れてクロウの仲間になった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 怪獣王降臨

皆様、大変長らくお待たせいたしました。今回はテレビの第11話の話で、怪獣軍団VS超獣軍団のバトルが繰り広げられます。たくさんの超獣が登場しますよ。そしてお待たせ致しました。
遂にあの本家怪獣王が登場します!感想と評価、リクエスト怪獣をお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー
宇宙怪獣エレキング、剛力怪獣シルバゴン、巨蛾モスラ(成虫&幼虫)
ミサイル超獣べロクロン、蛾超獣ドラゴリー、変身超獣ブロッケン
大蟹超獣キングクラブ、サボテン超獣サボテンダー、液汁超獣ハンザギラン
怪獣王ゴジラ・Godzilla、ゴジラの息子ミニラ、大怪鳥大コンドル、宇宙有翼怪獣アリゲラ
ゴジラザウルスの子供ベビーゴジラ、高次元捕食体ボガール   登場


とある海域にて、何十体の怪獣の群れが海の中を泳いでいた。

それはかつてクロウ達が遭遇したアリゲラの群れだった。前の時はのんびりと泳いでいたアリゲラ達だったが、今回は違っていた。まるで何かから逃げるかのようにジェット噴射を使いながらもの凄い速さで泳いでいたのだ。そんな彼らの去った後から1体の怪獣がゆっくりと泳いでいた。

 

 

「グルルル・・・」

 

 

その怪獣は黒い体にたくさんある背びれが特徴だった。そして何処かを目指してただひたすらまっすぐ泳ぎ続けた。

 

 

 

一方その頃、クロウ達は手に入れた物資をそれぞれの宇宙船に運び入れる作業を終えて、夕陽を眺めながら休んでいた。と言うのも原作より必要な部品がたくさん手に入り、クマノや専門の技師達が修理を始めたので、彼らの邪魔をしない為にここにいたのだ。

いくら知識があるとはいえ、まだそんなに経験があるわけではないしな。

 

 

「たまにはこうしてのんびりするのも悪くないな」

 

「あぁ・・・」

 

「はい、クロウさん」

 

 

3人で夕陽を眺めていた時に後ろから誰かが近づいて来た。振り向くとそこには幼い少女がいた。その子を見て俺はつい声を出しそうになったが、すぐに口を閉じる。

危ない危ない・・・知っているあまり名前を言いそうになった。怪しまれないように初対面の振りをしておかないと(汗)。俺が内心慌てているのに気がつかないまま、リーシャが代表してその子に尋ねる。

 

 

「あなたは?」

 

「カレン・・・御蔵カレンです!」

 

「カレン?」

 

 

そうカレンちゃんである。この島にいるウルトラマンと関わりのある重要な女の子だ。しかしテレビで見たよりも大人しい感じだ。そう思っている間、レイがカレンちゃんにベラルゴシティで見つけたペンダントを渡して、自己紹介をしていた。

 

 

「君に・・・聞きたい事があるんだ」

 

「えっ?」

 

「君は俺のこt「待てレイ、ここでは少々マズイ。ボス達のいるテントで聞こう」・・・分かった」

 

 

そろそろ夜になるから修理も一旦休んでいると思い、カレンちゃんを連れて俺達はヒュウガ達の元に向かった。行ってみると予想通り修理を止めて、全員が食事などをして休んでいた。

事情を話して食事を済ませて全員が椅子に座った後、カレンちゃんに尋ねた。

彼女のお父さんがブルトンを解析していた事など、いろんな事を聞いてからようやく本題に入った。

 

 

「俺は・・・君とどこかで会ったような気がするんだ」

 

「・・・うんん、お兄さんと会うのは今日が初めてだと思うんだけど・・・」

 

「そんな筈はない!もう一度よく思い出してくれ!」

 

「ごめんなさい。本当に会った事がないんです」

 

 

 

カレンちゃんの言葉を聞いて、レイは俯いて悲しい顔になる。そろそろ助け舟を出すか。

 

 

「それならカレンちゃん。君はここに来るまでに赤ちゃんに会った事はないかい?」

 

「赤ちゃん?」

 

「!!」

 

 

そう質問するとレイは驚き、カレンちゃんは少し俯いた後、何かを思い出したように顔を上げる。

 

 

「はい、私がまだベラルゴシティの研究所にいた時に会いました。けど・・・私が救助された時に光となって消えてしまったのです」

 

「消えた!?」

 

「うん」

 

 

それを聞いて、レイとリーシャがすぐに俺に話しかけて尋ねる。

 

 

「クロウ!お前は前にあの赤ん坊が俺だと言ったな!?」

 

「あぁ、そうだが?」

 

「それでは何故レイはこんな僅かな時間で成長できたんでしょうか?」

 

「・・・おそらくケイト、あの女レイオニクスの力だと思う」

 

 

2人にケイトの名を出すとリーシャは驚き、レイは何も言わなくなって静かに考え出した。

暫くの間はこの状態が続くだろうな。「明日の為に早く寝な」と言い、そっと出てペンドラゴンの自分の部屋に寝た。寝る前にハネジロー達がギガライブナイザーから出てじゃれついてきて、寝るのが遅くなった事は余談である。

 

 

 

翌日、俺はリーシャとレイを連れてグランケープ補給基地にいた。

理由は2つあって、1つはレイとリーシャに強くなる方法を教えるためだ。前回の戦いの後、グランドキングのパワーアップした姿を見た2人が、自分達も強くなりたいと頼んできたのだ。ヴィセント島では、他の人間共のせいで面倒な事になると考えて、この島で特訓する事にしたのだ。

なに?それでは誰がヴィンセント島の守りに付いているのかだと?それはモスラ親子とユニとリンに頼み、また緊急事態の時にすぐ連絡するようにボス達に言い聞かせて万全の態勢だ。

そして2人の体の中に秘めているレイオニクスの力を俺の超能力で溢れ出させる。

 

 

「いいか?今お前達のレイオニクスの闘争心と力を強くさせている。それを拒まずに自分の力にしろ。そしてその力を制御できるようにしろ」

 

「うぅ・・・があぁ・・・!!」

 

「はぁはぁ・・・くぅ・・・!!」

 

 

特訓の説明をしながら強い力を受けて苦しむ2人を見守る。万が一に2人が暴走しても被害が出ないように特殊な結界を張ってある。これは力が制御できて、力が一定以上強くなるまで出る事は出来ないものだ。

それから俺は後ろで激しく音がする方を振り向く。掘り向くとそこには大量のロボット達が働いていた。ユートム、チブロイド、アンドロイド、ジェットジャガーなどたくさんだ。

この島にやって来たもう1つの理由・・・それは前回見つけた大量にある宇宙船とロボットの残骸の中からまともな物を見つけて修理する事だ。意外にも正常に動くロボットや内部の損傷がそれほどひどくない宇宙船が何機かあった。

その中から性能の良く、多彩な武器を備えた戦闘円盤・ロボフォーを修理する事に決めた。また、同じ所で見つけた2体のロボット・サイボーグ怪獣も修理している。ギガライブナイザーを使ってロボット達の頭部にあるコンピューターのプログラム内容を書き換え、指示に従うようにした。彼らの手助けと豊富な材料のおかげで作業はスムーズに進んだ。

 

 

「よ~し、これならあと5日くらいで修理が完了しそうだな」

 

 

完成したら2体を仲間にして、ロボフォーに乗って宇宙を楽しく旅する事ができると思っていた時に突然持っていた小型携帯が鳴り出す。すぐ携帯に出るとヒュウガが慌てながら話してきた。

 

 

「俺だ。どうかしたか?」

 

「クロウ!島に怪獣・・・いや、超獣が上陸したんだ。モスラ親子が戦っているんだが、苦戦している。レイ達を連れてすぐに戻って来てくれ!!」

 

「何だと!?だが島にはエリアスの盾による結界が張ってあったはずだろう?」

 

「いや、盾は何者かに破壊されてしまって、結界が壊れてしまったんだ」

 

「そうか・・・よし、分かった。すぐに行く!だが今レイ達は重要な事をやっていて動け「待てクロウ!!」ん!?」

 

 

俺だけ行くと伝えようとする前にレイが声を上げる。振り向くと荒い息をしながら立っているレイとリーシャがいた。まさか・・・もう力を制御したのか!?確かにさっきの特訓は初級くらいだったから簡単なものだ。だからと言ってこんなにも早くできるとは思わなかった。そう思っている間にも2人は付いて行くと言う。

 

 

「ボス達が危ないのを・・・黙って見ている訳にはいかない!」

 

「私達も・・・行きますよ!」

 

「やれやれ・・・本当なら休んでいろと言うんだが仕方がないな。お前達も付いて来い!出てこい大コンドル!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「ピイィィィ!キュアアァァッ!」

 

 

2人を説得しても無駄かと諦めてロボット達に作業を続けるように指示した後、大コンドルを出してその背中に乗ってすぐにヴィンセント島に向かった。島が見えてくるとそこでモスラ親子が超獣と戦っている光景が映った。しかし、またもやその数が凄かった。

ミサイル超獣べロクロン、蛾超獣ドラゴリー、変身超獣ブロッケン、液汁超獣ハンザギラン、サボテン超獣サボテンダー、大蟹超獣キングクラブの合計6体だ。超獣達の攻撃をモスラ親子は必死に防いでいるが、数の多さと様々な能力を持っている事から苦戦していた。

また、親モスラは子供モスラを守りながら戦っていたため、どうしてもキツイ戦いをしなければならなかったのだ。

 

 

「・・・これは随分と凄い奴らがやって来たものだ」

 

「そんな事を言っている場合ではありませんよクロウさん!モスラ達を助けないと!」

 

「分かっている。レイ、リーシャ・・・行くぞ!!」

 

 

3人同時にバトルナイザーを構えて各々の怪獣を召喚する。

 

 

「グオオオオォォォーー!!」

 

「ギシャアアァァァァッ!!」

 

「キィイイイィィィ!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「ゴシュィィィィィン!!」

 

 

現れたキングオブモンス達5体は超獣達に駆け寄り、体当たりや掴んで投げ飛ばしたりとモスラ親子から引き離して、ゴモラはべロクロン、キングオブモンスはサボテンダー、シルバゴンはドラゴリー、ガーディーはキングクラブ、エレキングはハンザギラン、モスラ親子はブロッケンに戦いを挑んだ。

 

ゴモラVSべロクロンの戦いでは、角を構えて体当たりするゴモラをべロクロンは怯みもせずに受け止めて腕を大きく振って弾き飛ばす。

そして態勢を崩したゴモラを上から両腕で叩き付け、蹴り飛ばした。

 

 

「キシャアアアアァァァーー!!」

 

「ヴオオオォォォーー!?」

 

 

だがレイが先程の特訓で強くなったためか、ゴモラ自身も強化していてすぐに立ち上がってべロクロンに突進攻撃をして、怯んだ隙にジャンプキックをした。

まるでダメージを受けていないような強さにべロクロンは驚きつつ倒れる。少しフラフラしながら立ち上がり、再び突進攻撃をするゴモラの角を必死に受け止めて防御しつつ、口や両手から放つミサイル攻撃『べロクロミサイル』を仕掛ける。大量のミサイルが命中してもゴモラは怯まずに走り出して攻撃を続けた。

 

キングオブモンス&シルバゴンVSサボテンダー&ドラゴリーの戦いは、球体形態となったサボテンダーの攻撃をキングオブモンスはかわし、『クレメイトビーム』を放つ。

だがサボテンダーがピョンピョンと飛び跳ねる為に中々命中しない。一方シルバゴンはドラゴリーと激しく殴り合い、そのまま互いに両手を強く握り合って押し合う。暫く押し合いが続いた後、シルバゴンがドラゴリーの手を掴んだまま勢いよく放り投げた。

また、キングオブモンスの方も飛び跳ねるサボテンダーをタイミング良く尻尾で叩き付けた。それを受けたサボテンダーは元の形態になり、立ち上がった瞬間体の棘を何発も放つ。

だがキングオブモンスは『ボーンシールド』で防ぎ、素早く近づいてサボテンダーの頭を掴むと思いっきり投げ飛ばした。投げ飛ばされたサボテンダーは同じく投げ飛ばされたドラゴリーに頭からぶつかり、2体は重なるように倒れた。

 

 

「ギョロロッ!ギョロロロロロッ!!」

 

「ギュイイ?ギュイイイィィヴヴヴーー!!」

 

 

頭を左右に振りながら立ち上がったドラゴリーがサボテンダーに話しかけるように鳴く。

するとサボテンダーは再び球体形態ドラゴリーの前にやって来るとドラゴリーは自慢の怪力で球体形態のサボテンダーをバレー選手のように思いっきり叩いた。サボテンダーボールはキングオブモンスに目掛けて物凄いスピードで向かって行った。

 

 

「グオオオオォォォッ!!」

 

 

だが、キングオブモンスは向かって来るサボテンダーを見ると尻尾を下から上に勢い良く振ってサボテンダーを打ち上げ、落ちてきたところをシルバゴンが強力なパンチで打ち返した。

サボテンダーは再びドラゴリーに命中して、2体は共に激しい痛みにその場で悲鳴を上げながら転げ回った。それを愉快そうに見つめながらキングオブモンスはシルバゴンに命令(?)しながら目の前の敵に向かって行った。

 

ガーディーVSキングクラブの戦いは、左右非対称のハサミに似た大顎を動かしながら攻めてくるキングクラブをガーディーが両腕で掴みながら押さえていた。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「カキュウゥゥピイイイィィッ」

 

 

キングクラブがもっと顎に力を入れようと体勢を変えた時、ガーディーがそれを利用して背負い投げのようにキングクラブを地面に投げ飛ばした。苦悶の鳴き声を出しつつ立ち上がったキングクラブは、尻尾を振り回してガーディーを締め付けようとする。しかしガーディーは素早い動きでかわして、そのまま尻尾を掴んで噛み付いた。

キングクラブは悲鳴を上げてガーディーを引き離そうとするが、強く噛み付かれて離さない。

もはや『噛み付き怪獣』と名乗った方が良いかもしれない。

 

そしてエレキング&モスラ親子VSブロッケン&ハンザギランの戦いでは、エレキングが素早い動きで2体に格闘戦を仕掛けて攻撃する。その隙をついて親モスラは空から攻め、幼虫モスラ達は岩陰に隠れつつ攻撃した。さらにペンドラゴンも同じように空からビームやミサイルを放って援護射撃する。だがこの超獣2体もただやられる訳にはいかない。

ブロッケンが後ろの蛇状の触角から『スネーク光線』を放って親モスラとペンドラゴンを撃ち落とそうとし、ハンザギランは後ろ足で立ち上がって口から溶解液を吐いて岩もろとも幼虫モスラ達を溶かそうとし、近づいてきたエレキングには背中の棘を振るわせながら体当たりする。

無論エレキング達は受ける気はまったくなく、攻撃を必死にかわしたり防いだりしながら隙をついて再び攻撃する。

どちらも一進一退の攻防が続き、戦いが長引きそうだと思った時、海の方から凄まじい雄叫びが響いた。

 

 

「ディガアアアオオオォォォォォンーーー!!」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 

この鳴き声を聞いて俺は一瞬身震いした。この鳴き声は・・・間違いない。アイツだ!俺だけでなく、怪獣達も含めた全員がその鳴き声を聞いて戦いを止めて海の方を見つめる。すると海から1体の怪獣が上陸した。

それはある世界で人々に恐れられ、何度も日本を襲った水爆大怪獣・・・もとい怪獣王ゴジラであった。しかもあの姿はVSシリーズの奴だった。

 

(BGM:ゴジラのテーマ)

 

上陸したゴジラは怪獣や超獣達を睨め付けながらまっすぐこちらに向かって来た。その視線の先は・・・えっ!俺!?ちょ、ちょっと待て!何で俺の方にくるんだ!?よ~く考えた結果、手に持っていたギガライブナイザーを見つめた。

 

 

「はっ!・・・・・まさかこれからベビー達の気配を感じたのか!?」

 

 

いくらゴジラでもこんな小さなものに気付くはずが・・・・・いや、ゴジラだからこそ気づいたんだなきっと。そう思っている間にもゴジラはどんどん近づいてくる。

それを見たキングオブモンスは急いでゴジラの前に来て、威嚇しながら立ちはだかる。左右にいたレイとリーシャも俺が狙われている事に気が付いてゴモラとガーディーにゴジラを止めるように指示した。

 

 

「グオオオオォォォッ」

 

「キシャアアアアァァァッ!」

 

「ガウウウゥゥゥッ」

 

「ディガアアアオオオォォォン!!」

 

 

唸り声と咆哮を上げて牽制し4体は睨み合う。慎重に差があるがお互いに一歩も引かず、必殺技を放つ構えまでする。その時、突然ゴジラの背中が爆発する。痛みに耐えながら振り向くと後ろには両手を前に突き出しているブロッケンがいた。命知らずな事をしたもんだ。

 

 

「ディガアアアオオオォォォーー!!」

 

「パアアアァァーー!!」

 

 

当然の如く、ゴジラは攻撃したブロッケンに咆哮を上げて向かって行く。対してブロッケンも人馬形態の体を震わせて4本足で猛突進する。2体がぶつかり合うと凄まじい衝撃が周りを襲う。

超獣の中で一、二を争う巨体を持つブロッケンは無論体重も重く、その猛突進を受けたら並みの怪獣やウルトラマンは一溜りもないはずなのだが、ゴジラはブロッケンを押し止めて、角を掴むと勢いよく地面に叩き付けた。

 

 

「ギイイィィパアアァァーー!?」

 

「ガアアァァッ!」

 

 

倒れたブロッケンは『スネーク光線』を放とうと触角を動かすが、ゴジラが2本の触角のうち1本は噛みついて、もう1本は手で掴んで光線を撃てなくした。さらに片足で頭を踏み付け、そして力を込めて2本の触角を引き千切った。

悲鳴を上げるブロッケンだが、ゴジラに頭を踏まれていて身動きできない。それどころかゴジラは踏み付けていた足を上げて、何度も踏み付けた。

 

 

「ギイイイイィィィパアアァァーーー!!?」

 

 

踏み付けられる事に両角にヒビが入り、遂に折れてしまう。途中何回か痛みを抑えて手から光線を出そうとするができず、ようやくゴジラが攻撃を止めた時にはもはや虫の息であった。

そしてゴジラは止めを刺そうと背びれを発光させて『放射熱線』を放とうとするが・・・。

 

 

「悪いな。俺の目の前で怪獣を殺させはしないよ」

 

 

ゴジラが光線を撃つ前にギガライブナイザーを前に出してブロッケンを回収する。突然相手が消えた事にゴジラは驚き、周りをキョロキョロと見渡す。くくくっ、あんなゴジラ初めて見たかもな。まぁ、その事は一先ず置いて・・・。

 

 

「お前達!早く超獣共を倒してしまえ」

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

 

俺の声が戦場に響き、いち早くキングオブモンスが動いて近くにいたサボテンダーに攻撃を仕掛けた。それに続いて他の怪獣達も先程の続きとばかりに超獣に再び攻撃し出した。

体当たりや蹴り技、尻尾などで戦いを有利に進めていき、最後に幼虫モスラ達が口から糸を吐いて身動き取れなくした後、それぞれが止めの必殺技を繰り出した。

 

 

「キングオブモンス!クレメイトビーム!!」

 

「ゴモラ!超振動波!!エレキング!放電光線だ!!」

 

「ガーディー!ゼペリオン光線!!シルバゴンはジャイアントスイング!!モスラ!レインボーバスターよ!」

 

 

必殺技が超獣達に当たると全てが背中から倒れて爆発した。無論全員に手加減するように伝えておいたから超獣達は全て回収した。

 

 

「さて、あと残る問題は・・・」

 

「グルルルル・・・」

 

「グオオオォォ・・・」

 

 

邪魔者がいなくなった事から再びキングオブモンスとゴジラが睨み合う。またさっきと同じになると思ったが、今度は違う。超獣達を倒す間に俺は頭の中でゴジラを説得する方法を思い付いた。

ゴジラは同族を捜して来たのならそれを上手く使えばいい。そして俺はその場から大きくジャンプしてキングオブモンスの頭の上に乗る。

 

 

「待てキングオブモンス。攻撃しなくていい」

 

「グオオォッ!?」

 

「心配するな。俺なら大丈夫だ・・・・・では改めてゴジラ!俺の声が聞こえるか?」

 

「ディガアアアオオオォォォーー!!」

 

 

おぉ~~怖い怖い。普通の者なら絶対に落ち着いていられないな。そう思いつつ、深呼吸して心を平常にしながらまっすぐゴジラを見つめて話を続ける。

 

 

「お前がここに来た理由はこの子達を捜していたからだろう!」

 

 

ギガライブナイザーからミニラ、ベビーゴジラ、そして同じく怪獣王Godzillaを召喚する。それを見たゴジラは目を大きく開き、こちらに向かってゆっくり歩き出す。それを見てキングオブモンスが前に立ち塞がろうとするが、俺が止めて様子を見る。

ミニラ達は最初オロオロしていたが、状況を理解したGodzillaが優しく鳴き声を出して前に押した事から2体もゴジラに向かって行き、目の前で止まって力一杯大きく鳴き声を出した。

 

 

「ディガアアアオオォォォ~~~」

 

 

対するゴジラも鳴き声を上げる。だがそれは先程とは違って恐ろしい声ではなく、優しい感じの声だった。そしてミニラはゴジラの足元に抱きつき、ベビーゴジラも寄り添う。さらにGodzillaも近づいてゴジラの頭を優しく撫でる。その光景を見ていた時、ゴジラの様子が変わったことに気が付いた。

 

 

「泣いている・・・」

 

 

息子と同族に会えた嬉しさからか、ゴジラは目から涙を流していた。暫く彼らの自由にさせた後、俺はGodzillaの頭の中に直接テレパシーを送る。ケイトの一件以来練習していたから普通にできるが、まだ完全とは言えないのでギガライブナイザーを使って送っている。

 

 

『Godzilla、お前の口から同族(ゴジラ)に仲間になるように説得してくれ』

 

「ゴッガアアアァァァッ」

 

 

他人である俺よりも同族から話をして説得する方が成功する確率が上がるはずだ。主人に頼まれたGodzillaはゴジラに優しく、小さな鳴き声で話しかける。暫く続いた後、ゴジラはミニラ達を足元から退かして俺の方に近づき、これまでにない高い鳴き声を出した。

 

 

「ディガアアアオオオオオォォォォォーー!!」

 

 

普通の人には怒っているのではないかと思うかもしれないが、この鳴き声を聞いて俺はすぐに意味を知った。こいつらの為に仲間になってやるか・・・最後まで気難しい王だな!

 

 

「まぁいい・・・さぁ、一緒に来いゴジラ!!」

 

 

ギガライブナイザーを高く上げて、ゴジラ達を回収する。回収した後、俺はすぐにギガライブナイザーを見てゴジラの姿を確認する。

 

 

「本当に仲間にできたんだな。最高の戦力を持つゴジラを・・・」

 

「グルルルルッ!!」

 

「ととっと・・・!あぁ、分かっているよキングオブモンス。お前も最高の戦力で、俺の1番の相棒だよ」

 

 

ゴジラを仲間にできた事に喜んでいたらキングオブモンスが唸り声を上げ、頭を揺らして俺に怒る。落とされないようにしながらキングオブモンスの頭を撫でて謝罪する。最初の戦いの時もそうだが、こいつは自分以外の怪獣を褒めるとすぐに嫉妬する。しょうがない奴だな。

その後、戦いが終わってレイとリーシャを連れてボス達のいるテントの中に入った瞬間に疑惑の目をしたアトウが俺達を訴える。

 

 

「今までこの島に怪獣がやって来なかったのに・・・あなた方がやって来た途端にこのありさまだ」

 

 

コイツは本当に嫌いだ。いくら怪獣に家族を殺されたとはいえ、こんなにも非難されると俺も怒りが抑えきれなくなる。レイとリーシャはすでに不機嫌で今にも奴に殴りかかりそうな感じだ。

 

 

「ちょっと待ってくれ!我々が怪獣を連れてきたと言うのか!!」

 

「クマさん!」

 

 

怒鳴って反論するクマノをオキが必死に止める。だがアトウはさらに続けて非難する。

 

 

「それに・・・怪獣を操り、仲間にする者なんてどう考えてもおかしいですよ!彼らはバケモノだ!!」

 

 

その瞬間、俺の中で何かが切れてしまった。そして殴り飛ばそうとするレイよりも、腰にある銃を抜いて撃とうとするリーシャよりも早くアトウの首を掴んでいた。

 

 

「がっ!あっ・・・あぁ・・・!!」

 

「クロウ!?」

 

「クロウさん!?」

 

 

いつもの彼とは違う雰囲気とある部分を見て2人だけでなく、その場にいる全員が驚いた。なんとクロウの首を掴んで絞めている左手が人間の手ではなく、レイキュバスのハサミ・・・つまり怪獣の手になっていたのだ。そんな中でクロウは冷たく低い声で言う。

 

 

「・・・・・調子に乗るなよ。俺はどんな相手にも優しく接する。だが俺は人間の味方じゃない。怪獣の味方だ!そこまでしてまでお前を助けようなどとは思っていない!!」

 

「クロウ止めるんだ!!」

 

 

激しい大声で言いながらさらに首を絞める。このままだと窒息する前にハサミで首が切り落とされる。そうなる前にヒュウガ達が止めようとした時、ユニとリンが俺に近づいて説得する。

 

 

「「クロウ様!何卒お怒りを静めてください。貴方様の気持ちは分かりますが・・・どうかお願い致します!!」」

 

「・・・・・ふん!運のいい奴め。だが2度目はないと思え」

 

 

彼女達は祈りを捧げるかのように必死に手を合わせて俺を見つめる。

こいつは始末しておかないとレイに災いが起きるのだが・・・こうなっては仕方ないと観念して乱暴にアトウの首から手を離す。

 

 

「そう言えばユニ、リン。エリアスの盾が壊されたと聞いたが、どう言う事だ?」

 

「はい。クロウ様たちがこの島を離れて少しした後、突然恐ろしい邪気を含んだ光の弾が現れたのです。それがエリアスの盾を破壊してしまったのです」

 

 

邪気を含んだ光の弾ね・・・。ケイトはそんな能力を持っていなかったはずだし。一体誰が?そう考えていた時にどこからか怪獣の咆哮が響いた。

それを聞いた瞬間、俺は背筋が凍る感じに襲われた。まるで心の底から恐怖が湧いてくる感じだ。そして急いでテントから出て咆哮がした方向を睨む。

 

 

「今の咆哮はまさか・・・!?」

 

「クロウさん、知っているのですか!?」

 

「あぁ、最悪だ・・・アイツがこの星にいるなんて!!」

 

 

心配したリーシャが出てきて尋ねられて俺は殺気を含ませながら答える。

そしてクロウが睨んでいた方向の少し離れた場所には、黒服の上に白衣を羽織った黒髪の1人の不気味な女性が立って見つめていた。

 

 

「エサガ・・・タクサン・・・ウマソウダ。トクニアイツ・・・クククッ!!」

 

 

女は薄く笑って口元を長い舌でペロリと舐めるのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
怪獣王ゴジラ

世界で最も有名で知られていて、数多くの怪獣達と戦いを繰り広げてきた怪獣王。また核実験によって生まれた悲劇の存在でもある。
主な武器は口から放つ放射熱線と体内放射である。さらに格闘能力も極めて高く、特に尻尾で叩きつける攻撃は強力な破壊力を持つ。
惑星ボリスに現れてから長い間ずっと同族の気配を追い、ギガライブナイザーの中であろうと感じて追い続けてきた。そしてヴィンセント島でクロウ達と超獣軍団の戦闘に乱入して、遂にベビーゴジラ達と再会する。その後クロウの仲間になる。
基本同族以外の相手には厳しく、そのためキングオブモンスとは犬猿の仲である。その為よくケンカしてしまうが、同族やモスラ達によっていつも静められている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 怪獣酋長現る

皆様、お待たせいたしました。今回は第11話の後半と第12話前半くらいで起きた話です。今回からあの怪獣の天敵と呼べる奴が登場します。そして惑星ボリス編が終わりに近づいてきました。
これからも楽しく読んで下さい!感想と評価をお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、超古代狛犬怪獣ガーディー、原子怪鳥リトラ(S)
巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、暴竜アンギラス、怪獣酋長ジェロニモン
宇宙超獣トロンガー、凶暴竜ロックイーター、宇宙恐竜ゼットン
高次元捕食体ボガール、高次元捕食獣レッサーボガール   登場



テント内での騒動と謎の咆哮がした時から少し経ってモスラ親子をバトルナイザーに戻した後、クロウ、レイ、リーシャ、ヒュウガ、カレン、ユニ、リンの合計7人はある場所を目指して島内を歩いていた。他の者達は船の修理をするために残っている。

 

 

「こっち!この先の岩の裂け目を抜けた所にいるの」

 

「そうか・・・いよいよご対面だな」

 

「会えるのですね。あのウルトラマンに」

 

「あぁ・・・」

 

 

彼らが目指している場所・・・それは岩の中で石化しているウルトラマンがいる場所だ。超獣達がヴィンセント島にやって来た理由とレイの事について知るためだ。もうすぐで会えると思った時、突然レイが岩の入り口で足を止める。それに気が付いたヒュウガが尋ねた。

 

 

「どうしたレイ?」

 

「いや、その・・・」

 

「怖いのか?ウルトラマンに会えるのが・・・」

 

 

表情から見てなんとなく緊張していて、その気持ちを察して言うとレイは頷く。それを見て優しくレイの頭を撫でながら言う。

 

 

「安心しろ。お前の側には俺達がいる。そして・・・お前の相棒達もな」

 

 

キシャアアアアァァァッ!!

 

キエエエエェェェッ!!

 

キイイイイィィィッ!!

 

 

俺の言葉に応えるようにレイのバトルナイザーにいる3体の怪獣達が鳴き声を上げる。また、ヒュウガとリーシャも優しい表情でレイを見つめながら頷く。だがこの時リーシャはクロウに撫でられた事を羨ましがる気持ちを抑えていた事は内緒だ。

彼らや怪獣達を見てレイは安心して、笑顔になって頷いた。そして岩の裂け目を通って抜けると目の前に身体の所々に結晶があり、石となっているウルトラマンがいた。

 

 

「これだ!俺は何度もこの光景を見てきた」

 

「・・・間違いなくウルトラマンですね」

 

 

レイは少し興奮した状態で言い、リーシャは少し嫌そうな表情で言う。やはり同族がウルトラ戦士に倒されている事を気にしているかもな。まぁ、俺も怪獣の方が好きだからウルトラマンについては正直言ってどうでもいいと思っている。寧ろウルトラマンを封印したレイブラッド星人の力に興味がある。あれくらい俺も力を付けたいもんだと思っていた時にカレンが話し出す。

 

 

「巨人は・・・いつも私の心に語り掛けてくれた・・・『もうすぐ助けが来る』って励ましてくれた。けど・・・もうその優しい声が聞こえない。巨人は死んじゃったの?」

 

「いや、微かだけど気配を感じる。とても小さな気配が・・・」

 

「分かるのかレイ!?」

 

「あぁ・・・」

 

 

そしてレイは目を瞑り集中しながら手をウルトラマンに向け、自分の命のエネルギーで島に結界を張っていた事、それがもうすぐ尽きる事、怪獣から人間達を守り惑星から脱出してほしいと願っている事を言う。それを聞いて俺は、相変わらずの人間に対する慈愛の心に感心しつつ呆れたと内心思った。その後レイはウルトラマンを少し見つめた後、俺に話しかける。

 

 

「クロウ・・・ウルトラマンを助ける方法はないのか?」

 

「ウルトラマンを助ける方法?そうだな・・・」

 

 

腕を組んで頭に手を置き、考える素振りをしてその場を歩く。別に助ける方法を教えてもいいけど・・・何故か抵抗感があるんだよな。レイオニクスになったためか、それとも俺が怪獣になりつつあるせいか・・・けどこの場でレイを誤魔化したら流石に不審に思われるだろう。

 

 

「(はぁ~~仕方ない・・・)今ウルトラマンを石の中に封印している力は感じているな?あれは俺達レイオニクスの中にもあるレイブラッド星人の力だ。あの力を打ち破れば封印は解ける」

 

「レイブラッド星人の力を・・・」

 

「それならクロウの力でやったら解けるんじゃないか?」

 

 

前にレイオニクスの事を話して、今までの3人の力の差を比べてヒュウガはクロウの力なら封印を解けるのではないかと思って言った。それを聞いてレイとリーシャも頷いて見つめる。

だが俺は首を横に振る。

 

 

「悪いが俺の力でもまだ半分しか効果はない。完全に封印を解く事はできない」

 

「えっ!?あれほどの力でもですか!?」

 

 

ずっと側にいて俺の力を目の当たりにしてきたリーシャは信じられないと言いたげな表情になる。先程の怪獣の手の件も含んでいるからだろう。だがまだまだ足りない!今のままではダメだ。

 

 

「俺だってまだ弱いさ。もっと力を付けないと守りたいものを守れない・・・」

 

「そう言えばクロウ、さっきの手についてだがあれは一体何なんだ?」

 

「アレか?ふむ・・・カレンちゃん。今から話す事は誰にも離さないと約束してくれるかい?」

 

 

今俺の能力について知られるとまたアトウや他の人間が俺達を嫌がり恐れて、面倒な事をしでかすかもしれないと思ってカレンちゃんに内緒にしてくれるように指を立ててお願いする。聞き分けの良い娘だったのですぐに約束してくれた。

 

 

「俺が今まで何回か怪獣になった所を見た事があるだろう?その影響もあって俺は、人間の姿の時でも怪獣の様々な部分や能力を使えるようになったのさ。これの事をそうだな・・・『ギガモンスランス』とでも言っておくか」

 

 

全員に分かりやすく理解できるように説明する。また、地底のウルトラマンが使っていた名前を借りて名付ける。だがその力は本家よりもかなり上で使役できる怪獣は多く、さらに右腕だけでなく体のいろんな部分に組み合わせて使える。例に飛べる怪獣の翼を背中に出せたり、角や尻尾を出せたりもできるのだ。無論両腕もできる!

そして俺の説明が終わったのと同時にヒュウガの通信機にハルナとオキから連絡が入った。

 

 

「どうした?」

 

「大変ですボス!また怪獣が現れました」

 

「それも一か所だけではありません。それぞれ別の場所に現れたんです!」

 

 

慌てつつも怪獣について冷静に説明するオキに俺は内心よくできるなと思った。そしてやって来た怪獣達で一方はテントの近くに現れてあのウルトラマンを倒した事のある宇宙恐竜ゼットン、もう一方は海岸から現れてまるでアンキロサウルスに似た怪獣だと言う。

それを聞いて俺は驚いて訊き直した。

 

 

「オキ、今アンキロザウルスに似た怪獣だと言ったな!?本当か!?」

 

「う、うん。そうだよ。けど・・・監視カメラで見る限りじゃまるで何かに怯えているように見えるんだ。それにレーダを見るとその怪獣の傍には他の怪獣の反応もあるみたいだよ」

 

「分かった。それだけ聞けば十分だ!」

 

 

話を聞いて現れた怪獣の正体が分かり、何故怯えているのかも分かった。きっとアイツに呼び出されてしまったのだろう。だとしたらすぐに行かないといけない!そう思ってレイとリーシャに指示を出そうとしたが、その前にレイが志願してきた。

 

 

「クロウ、俺は副長達を助けに行きたい!俺をゼットンの方に向かわせてくれ!!」

 

「・・・あぁ、分かった。だがその前にレイ、お前にアドバイスをしておく。もしゼットンと戦っている最中・・・体に突然もの凄い力が湧き上がるような事が起きたら拒否せずに受け入れて、無理やり押さえ付けずにそのまま制御しろ!いいな?」

 

「力が?・・・あぁ、分かった!」

 

 

アドバイスをしっかり聞いた後、レイはリトラ(S)を召喚してゼットンの元に向かった。ヒュウガもカレンを連れてレイの援護をするためにペンドラゴンの元に向かうと言って走り出した。

 

 

「さてリーシャ、ユニ、リン。俺達は別の怪獣の所に向かうぞ」

 

「はい!クロウさんと一緒なら私はどこにでも行きます!」

 

「「私達も同じです。クロウ様!」」

 

 

彼女達のあまりに輝いている目を見て俺はつい苦笑いしてしまう。ここまで女の子に懐かれ(?)た事はなかったから(汗)

そしてリーシャはモスラ・・・いや、ちゃんとした名前のモスラ・レオを召喚し、俺達が背中に乗った後モスラ・レオは空を高く飛んで進んだ。そして少しすると所々に岩が散らばっている海岸に着いた。そこで1体の怪獣が2体の怪獣に追いかけられていた。

1体は先程オキが言った通り、アンキロサウルスに似た暴竜アンギラスだ。そして追い掛けている2体は同じように見えて所々体のパーツが違っていた。1体は片腕が大きく発達してとても大きな爪が特徴で、もう1体は鋭い牙が何本も生えて巨大化した口が特徴だった。だがどちらとも同じ種族で、高次元捕食獣レッサーボガールであった。

レッサーボガール達はアンギラスを執拗に追い掛けていた。だが俺はその行動に少し不審に思った。まるでどこかに誘導しているような感じに見えた。アイツの差し金か?それにアンギラスの方からは別の生命体の気配も感じた。だがまずはこの状況を何とかするのが先だ!リーシャはモスラ・レオに近くの海岸に降りるように伝えて俺達はアンギラスの前に立つ。

 

 

「行くぞリーシャ、今追い掛けている方のレッサーボガール2体を倒して追われている暴竜アンギラスを一緒に守るぞ!」

 

「はい!クロウさん!一緒に・・・一緒に戦いましょう♪」

 

 

うん?なんでリーシャは2度も同じ事を言ったんだ?しかも嬉しそうだったな。それに俺達の後ろでフェアリーに乗っているユニとリンは冷たく睨んでいるし・・・俺彼女達になにかしたか?まぁ今は置いといて別に構わないかと思いギガライブナイザーを構える。

 

 

「行け!キングオブモンス!!」

 

「行きなさい!ガーディー!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「グオオオオォォォッーー!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

召喚されたキングオブモンスとガーディーはやる気を見せるように大きく咆哮する。頼もしい2体を見てリーシャにレッサーボガールの能力などを教えてからすぐ指示を送る。

最初に攻撃したのはキングオブモンスで、翼を展開させて空高く飛んでレッサーボガールの正面に来て体当たりした。

 

 

「ギシャアアアァァグウウゥゥッ!?」

 

 

突然空からやって来たキングオブモンスにレッサーボガール達は驚きのあまり足を止めてしまう。そして防御もしないで真正面から体当たりをくらって倒れてしまう。その間にアンギラスは離れた所にあった大岩の陰に身を隠した。

だがレッサーボガール達もあの捕食者の同族なのですぐに起き上がり、未だ空を飛んでいるキングオブモンスを捕まえようと口から真っ赤な舌を出す。

 

 

「キングオブモンス、避けろ!」

 

「グオオオオォォォッーー!!」

 

 

しかしキングオブモンスは空中で素早い動きをしたり、舌が届かない高さまで上昇したりしてうまくかわす。それを見たレッサーボガール達は目と腕から怪光線と波動弾を放とうとする。

 

 

「そうはさせない!ガーディー、ゼペリオン光線発射!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

光線を放つ前にガーディーが口から『ゼペリオン光線』を放ち阻止する。ガーディーはさらに怯んだ片腕が大きい方のレッサーボガールに近づいて腕に噛み付きながら組み付き、そのまま転がっていく。そしてキングオブモンスは地上に降りて残った巨大な口があるレッサーボガールに戦いを挑んだ。

それぞれ一対一の戦いになったが、どちらともこちらが優勢だ。殴ったり尻尾で吹き飛ばしたりと攻め続けてレッサーボガール達を痛めつけた。

確かにレッサーボガールはそれ程弱い怪獣ではなく、以前メビウスを苦戦させた事もある力の持ち主だ。だが今回は自分達の能力や戦い方等が知られていて、相手にしている2体がかなり強い猛者でレベルの差が違っていた。普通の怪獣ならこんなにも攻撃を受けたら怯むか逃げ出すのどちらかだが・・・。

 

 

「ギャヴヴヴッ!」

 

「ギシャアアアアァァァヴヴゥゥ~~!!」

 

 

食欲と闘争本能ばかりで知能が低いレッサーボガールは何度も攻撃を受けて傷つけられようともただ相手を食べて食欲を満たす事しか考えていなかった。

巨大な口がある方のレッサーボガールは再び口を大きく開けて、その口から舌を出してキングオブモンスの体に巻き付かせて引っ張り出した。しかも引っ張る力はとても強い。このまま一気に喰ってしまうつもりだ。

 

 

「そうはさせるか!キングオブモンス、舌を引き千切って至近距離から口の中にクレメイトビーム発射!」

 

「グルルッ!グオオオオォォォッ!!」

 

 

あと一息で喰える位置まで引っ張ってレッサーボガールが大きな口を開けた瞬間、キングオブモンスは身体に巻き付いた舌を両手で掴んで力一杯引き千切った。その痛みは強烈でレッサーボガールは口を開けたまま悲鳴を上げる。その時に2体の間に赤く強い光が輝いた。それと同時に爆発が起きてレッサーボガールの頭が吹き飛んだ。キングオブモンスの『クレメイトビーム』が口の中に放たれたのだ。そして頭を失ったレッサーボガールの体は力が無くなってそのまま前に倒れた。

 

 

「やっぱりあの程度の相手では苦戦しないな。よくやったキングオブモンス!」

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

 

勝利の咆哮を上げつつ俺は褒め称えられてキングオブモンスは喜ぶ。その頃、リーシャ達の方も決着がつきようとしていた。

転がったまま腕に噛み付いていたガーディーを必死に引き離そうとレッサーボガールは目から怪光線を放ったり、手で叩いたりするがガーディーはそれを受けても喰らいついたままだ。そして腕に牙を喰い込ませ続けた結果、レッサーボガールの腕から血が流れ落ちた。

 

 

「ギジャアアアァァァッ!?」

 

 

あまりの痛みにレッサーボガールは悲鳴を上げる。そしてようやくガーディーが腕から口を離すが、最大の武器であった腕はボロボロでまともに使う事ができない状態だ。痛みを抑えようと腕を押さえるレッサーボガールの隙を狙って、ガーディーは頭の角を構えて体当たりをして吹き飛ばした。さらに倒れたところで口から再び『ゼペリオン光線』を放つ。倒れた直後だったのでレッサーボガールはかわせず、直撃を喰らって火花を散らしてから大爆発を起こして木端微塵になった。

 

 

「お疲れ様!頑張ったねガーディー!」

 

「ガウウウゥゥゥッーー!!」

 

 

リーシャに褒められてガーディーも嬉しそうに鳴く。そしてお互いにそれぞれの相棒をバトルナイザーに戻した後、俺達はアンギラスが隠れている岩陰に向かおうとした時、後ろから恐ろしく冷たい視線と殺気を感じた。

 

 

「クロウさん・・・」

 

「「クロウ様・・・」」

 

「あぁ、分かっている。おい!いい加減に出てきたらどうだ?」

 

 

リーシャ、ユニ、リン、フェアリー達も気が付いて警戒心を込めて気配を感じる場所を睨み付ける。そして俺の声が周りに響くと何もなかった場所に突然空間が歪んで次元の穴が開き、そこから1人の黒服に白衣を羽織った女が現れた。あぁ、間違いない。俺がもっとも嫌いで怖い生命体だ。

 

 

「仲間を殺された事か、それとも食事の邪魔した事に怒っているのか・・・ボガール!」

 

「グゥ・・・」

 

 

“ボガール”という名を言うと女は手を強く握りしめて怒りと殺気を含ませた目で睨む。こいつの正体は高次元捕食体ボガールと言って怪獣の天敵だ。今は女の姿に擬態しているから“ボガールヒューマン”と言う。俺が絶対に倒したいと思っている指の数のベストリストの奴ら・・・怪獣に仇なす存在の1人だ。

 

 

「その表情から見るに仲間の事よりも食事を邪魔した事の方が大きいみたいだな。でもな・・・お前なんかに怪獣を食べさせるつもりはない!」

 

「アイツチガウ。クウノハオマエダ。ケェッ!!」

 

 

そう言った瞬間、ボガールは舌を出して口をペロッと舐めて俺の首元目掛けて両腕を伸ばして掴みにかかる。だがリーシャが咄嗟に銃を抜いて撃つ。それを見てボガールは高速移動でかわし、再び掴みにかかる。怒りで我を忘れて襲ってくる・・・いつも逃げ回る面倒な奴だから今がちょうどいいかもな。

 

 

「退いてなリーシャ、アイツは・・・俺が今此処で倒す!」

 

 

銃を構えたまま警戒しているリーシャを後ろに下がらせてギガライブナイザーを強く握りしめながら俺も高速移動でボガールと正面から立ち向かう。

 

 

ガン!ギィン!ギリギリ・・・ドゴッ!

 

 

お互いに腕をぶつけ合ったり、脚で蹴り合ったり、ギガライブナイザーと爪が押し合ったりと目にも止まらぬ素早いスピードの世界で激しい攻防が続いた。

 

 

ドシュン!ドシュン!ボワッ!ボワッ!ドガアアアァァァン!!

 

 

さらに今度は肉弾戦から光弾の撃ち合いに変わり、俺はギガライブナイザーの先端から雷属性を纏ったモンスターショットを連発で撃ちまくり、ボガールは手から紫色の光弾を撃って相殺する。そして次は手から念動力を放って俺の動きを止めようとする。だが俺も負けていはいない。

同じように手から念動力を放って逆に相殺する。すると互いの力の影響によって周囲に砂煙が舞い上がった。その中でボガールは疲れを見せながら俺を睨み続ける。

 

 

「ハァハァ・・・オマエキライ。カナラズクッテヤル!」

 

 

怒りと憎しみを込めた声で言ってボガールの背後で再び空間が歪んで次元の穴が開く。

 

 

「逃がすか!!」

 

 

テレポートを阻止しようとギガライブナイザーを思いっきりボガール目掛けて投げ飛ばす。だが寸での所で逃げられて次元の穴は閉じてしまい、ギガライブナイザーは後ろにあった岩を壊しながら地面に突き刺さった。

 

 

「チッ!逃がしてしまったか・・・次こそ必ず仕留めてやる!!」

 

「クロウさん!!」

 

「うん?どうしたリーシャ?」

 

 

ボガールを逃がしてしまった事に悔しく思いながらギガライブナイザーを持ち上げた時に後ろからリーシャの慌てながら呼ぶ声を聞いて振り向くと隠れていたはずのアンギラスとその足元にいる複数の小型怪獣達がこっちにやって来た。小型怪獣は全部で5体いて、1体は宇宙超獣トロンガー、3体は同じ奴で凶暴竜ロックイーター、そして最後の奴は黒い布で全身を隠しているから分からないがこの場にいる怪獣達のリーダーである事は間違いない。最初に感じていた気配はこいつ等か。

 

 

「我ラヲ助ケテイタダキ感謝シマス。我ラノ王ヨ・・・」

 

 

リーダーと思う怪獣は他の怪獣達よりも少し前に出てお礼を言う。だがこの時に顔の部分から口先が少し出て、さらに頭の部分から色鮮やかな羽根がいくつか出ているのを見て瞬時に目の前にいる怪獣の正体が分かった。

 

 

「気にするな。しかしお前話す事ができたんだな・・・ジェロニモン」

 

 

リーダーの正体は怪獣酋長ジェロニモン。かつてウルトラマンや科学特捜隊に倒された怪獣達を超能力で甦らせて復讐しようとした怪獣だ。

 

 

「我ハ怪獣酋長デアル。コレクライデキテ当然デゴザイマス。王ヨ・・・何卒我ヲ貴方ノ側ニ・・・」

 

「俺の側に?いいのかジェロニモン?」

 

「ハイ。ゴ覧ノ通リ・・・今ノ我ハ力ノ無イ状態デス。コノママデハ、ボガールカラ我ガ身ヲ守ル事ハ難シイノデス。シカシ王ノ傍ニイレバ、必ズ力ヲ取リ戻シテ貴方様ノ御役ニタテマス。ドウカ・・・」

 

 

そう言ってジェロニモンは頭を下げて姿勢を低くする。それに合わせて他の怪獣達も頭を下げる。良くできているなと少し不審に思いながら了解する。

 

 

「いいぜ。今日からお前達も俺の仲間だ!宜しく頼むぜ。それから俺の事はクロウと言いな」

 

「アリガトウゴザイマス!我ガ王・・・クロウ様!!」

 

 

ギガライブナイザーを前に出して怪獣達を回収する。回収する前にジェロニモンはお礼を告げてから入った。それが済んだ後リーシャが尋ねてくる。

 

 

「いいのですかクロウさん?あの怪獣なんだか変に感じたのですが・・・」

 

「やっぱりそう感じたか?けど気にするな。そのうちジェロニモンが頼りになる事がわかるさ。リーシャやユニとリンみたいにさ!」

 

「「「クロウさん╱様・・・はい!!」」」

 

 

そう言うと3人は嬉しい表情になって返事をする。それから俺達はレイを手助けするために再び空の高く飛んで向かって行った。

 




【大怪獣バトルファイル】
高次元捕食体ボガール

高い知能と凶悪な心を持ち、怪獣の天敵である生命体。手から紫色の破壊弾と念動力を放ち、翼状の大口で捕食する。またテレポート能力もあって次元に穴を開けて素早く逃げてしまう。普段はボガールヒューマンと言う女に擬態していて、食事をする時や戦う時だけ元の姿に戻る。だがこの姿でも技を使えたり格闘戦ができる。クロウが滅ぼした存在の1人である。同族のレッサーボガールを手下にしている。
惑星ボリスで怪獣を捕食しようとした時に一番美味しそうな獲物(クロウ)を見つけて捕食しようとして戦闘になる。惑星ボリス編における重要な敵である。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 決着!愛している者と捕食者

皆様、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします!
いろいろあって少し遅れちゃいました。今回は第12話とオリジナルの展開が加わった話です。
最終決戦に相応しい怪獣達が出現し、天敵と決着がつきます!またクロウとリーシャの間に大きな変化が起きます。2人が遂に・・・(ワクワク)!
そしていよいよあと2話で惑星ボリス編が終結します。感想と評価をお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、怪鳥大コンドル、戦闘円盤ギガ・ロボフォー
巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、幼虫モスラ、原子怪鳥リトラ(S)、怪獣酋長ジェロニモン
宇宙恐竜ゼットン、高次元捕食体ボガール、超翔竜メガギラス
邪神ガタノゾーア、閻魔獣ザイゴーグ、完全生命体デストロイア   登場



レッサーボガールを倒し、ボガールと攻防を繰り広げてジェロニモン達を仲間にした後リーシャ達と一緒にモスラ・レオに乗って空を飛んで行ってレイが戦っている元に向かう。そして戦いの場に辿り着くとちょうど決着がつくところであった。

 

 

「キシャアアアアァァ~~!」

 

「キエエエエンッ!」

 

「ピポポポポ!ゼエットォーン!」

 

 

ゴモラとリトラ(S)のダブル攻撃をゼットンは強力な防御技の『ゼットンシャッター』で防ぐ。だが途中からバリヤーが壊れて攻撃を受けてしまう。全力で放った光線技をくらい続けて流石のゼットンもダメージを受けてゆっくりと前に倒れてしまう。力を使い果たしたゴモラは膝をついてしまうが倒れたりせず、頭の上に乗っかって来たリトラ(S)を落とさないようにしつつゼットンを睨み付ける。

 

 

「クロウさん、この勝負は・・・」

 

「引き分けだ」

 

 

そう言った時に暫くするとゼットンがゆっくり立ち上がった。だがゼットンはこちらを向いたまま何も仕掛けて来ない。理由は2つあって、1つは主であるケイトからの指示がない事ともう1つは疲労困憊のゴモラの側にモスラ・レオがやって来て庇いながらこちらを睨み付けているからだ。

その隙に俺とリーシャはレイの元に走り寄る。

 

 

「レイ、大丈夫か?」

 

「あぁ、何とか・・・」

 

「ゼットンの相手は私とモスラがしますから早くゴモラ達を元に戻しなさい!もう戦える状態ではないわ」

 

「分かった・・・戻れ」

 

 

リーシャの言葉を聞いてレイはすぐにゴモラとリトラ(S)をバトルナイザーに戻した。その後ゼットンとモスラ・レオの戦いが行われると思ったが何も起こらなかった。その場にいる者や観戦している者達が不思議に思っていたが俺だけは分かっていた。ケイトの目的はレイを倒す事ではないからだ。そんな状況でケイトが拍手しながらやって来てレイを褒める。

 

 

「最後の一撃はなかなかだった。予想以上に成長していたな」

 

 

やって来たケイトをリーシャは銃を抜いて撃つ構えをして警戒して、俺は今にも倒れそうなレイの体を腕で支える。そんな状況でもケイトは余裕な表情で言う。

 

 

「もう覚醒するまであと一押しのようね」

 

「覚醒・・・何の事なの?」

 

「一体何を言っている!?ハァハァ・・・」

 

 

覚醒と言う言葉にレイとリーシャは意味を教えろと言うが、ケイトは薄く笑うだけで答えない。

そして俺の方を向いてテレパシーで頭の中に話し掛けてお礼を言ってきた。

 

 

「(感謝するぞ。お前のおかげでレイは・・・弟はここまで強くなれた)」

 

「(いや、レイ自身が力を求めたんだ。俺は少し手を貸してやっただけだ)」

 

「(嘘を言うな。お前が弟に特訓以外にも影響を与え続けていた事を私が知らないとでも思ったか?)」

 

「(何!?やれやれ・・・何処で知ったか知らないが抜け目のない奴だなお前も)」

 

 

内心ため息をついた時、ケイトはマントを掴みながらその場で腕を振るって姿を消した。後を追いかけようとするリーシャにあのように消えてしまったのでは仕方ないと言って諦めさせた。

その後レイを休めさせるために2人で体を抱え、ペンドラゴンに戻ってレイの部屋まで運んでベッドに寝かせた。

 

 

「暫く寝てなレイ、後の事はこっちで片付けておく」

 

「分かった・・・」

 

 

余程疲れていたようで、レイは瞼を閉じるとすぐに寝息を立てて眠る。それを見届けた後リーシャと共に部屋から出て一休みしようとそれぞれ自分の部屋に向かって歩いていた途中、コックピットからヒュウガの声が聞こえた。レイオニクスになったためか耳がとても良くなっていて、自動ドアが開かない位置の壁に耳を重ねて外からこっそり話の内容が聞き出す。その後ろでリーシャも同じ格好をした。他から見れば何とも面白い光景である。

 

 

「こちら宇宙船ペンドラゴンの船長ヒュウガ!誰か聞こえるか?」

 

 

通信機で必死に呼び掛けるが雑音ばかりで通信できないと思った時、機械から声がした。

 

 

『・・・了解!よく聞こえるよ。こちらZAP SPACY派遣の救援部隊で、私は宇宙船トリスタンの船長カトリだ。貴船の救難信号を受け取って救援に来た。惑星ボリスへの到着だが・・・少し予定が変わって24時間後だ』

 

 

それを聞いて全員が喜びの声を上げる。そのあまりの大声に俺とリーシャは驚いて壁から少し離れる。24時間後か・・・今からちょうどお昼頃だな。

 

 

「地球人達の救援部隊・・・クロウさん」

 

「うん・・・面倒な事になったな」

 

 

原作通りの展開では到着するのは6時間だったのにそれが1日になるとは・・・予定が変わったと言う言葉が気になる。何か嫌な予感がするんだよな。こっちも予定と備えを変更する必要があるな。

 

 

「リーシャ、レイの所に戻るぞ。今後の事で言っておかなければならない事ができた」

 

「分かりました。私も一緒に行きます」

 

 

そして俺達は再びレイがいる部屋に向かい、中に入るとレイは起きていてベッドに座っていた。

 

 

「起きていたかレイ・・・」

 

「クロウ・・・リーシャ・・・」

 

「どうしたんです?そんな深刻な表情になって・・・」

 

 

リーシャの言う通り今のレイの顔はとても暗かった。確かこの時は自分の事について考えていたんだった。

 

 

「俺は本当に、何者なんだ?クロウ・・・教えてくれ!お願いだ!」

 

「・・・俺より彼女に教えてもらった方がいいぞ」

 

 

そう言った瞬間、目の前に強烈な光が現れて周りが白い空間に包まれた。突然の事に戸惑うレイとリーシャを落ち着かせて、ある方向に顔を向けるとそこにケイトが現れた。再び銃を抜いて撃つ構えをするリーシャを見てもケイトは不敵に笑いつつ無視をして俺に話しかけた。

 

 

「よく気付いたな。さすが怪獣王様と言ったところか?」

 

「それは褒め言葉として受け取っておくよ。それより・・・いい加減にレイの質問に答えてやったらどうだ?」

 

「そうだな・・・レイ、こいつからいろいろと教えられ、自分でも薄々気づいていると思うが・・・お前は隕石と一緒に飛来した赤ん坊で地球の人間ではない。私や此処にいる者達と同じレイブラッド星人だ」

 

「レイブラッド星人・・・!」

 

「いや・・・レイブラッド星人の遺伝子を受け継ぐ地球人と言った方が正解だな」

 

 

そしてケイトは黒幕であるレイブラッド星人の正体と目的の事とウルトラマンが石になった事などいろいろ話した。ちなみにウルトラマンに呆れたように言った時は、俺も初めてあった時のように内心とても呆れていた事は内緒だ。

 

 

「レイ、お前はもうすぐ覚醒する。怪獣と戦って倒して強くなり、完全なレイブラッド星人に生まれ変わるのだ!」

 

「嘘だ!!俺は・・・人間だ。レイブラッド星人じゃない!!」

 

「その姿のどこが人間だ!?」

 

「なに!?」

 

 

するとレイの姿が別の姿へと変わっていき、人間の姿ではなく宇宙人・・・レイブラッド星人の姿になってしまった。自分の変わった姿を見てレイは驚く。だがすぐに元の人間の姿に戻った。

それを見た後ケイトはゆっくりレイに近寄って背後から言う。

 

 

「私と戦え。戦って・・・私を倒すのだ!それがお前に残された最後の試練だ!」

 

「黙れ!!」

 

 

レイの声が響いた瞬間、白い空間から元の場所へと戻っていた。レイは自分の正体と真実のあまりの事に近くの壁に怒りを込めて拳を叩きつけた。それを見て俺はそっと近寄って落ち着かせる。

 

 

「いきなり自分の事を知って混乱するのは仕方ない事さ。だがなレイ・・・前にも言ったようにお前には俺達と怪獣達が付いている。心配するな」

 

「・・・・・そうだな」

 

 

言葉を聞いて少し落ち着いたレイに今度はリーシャが話しかける。

 

 

「それに・・・此処にいる者は全員人間ではないのですから」

 

 

そう言うとリーシャは両手を前に出してゆっくり下ろす。そうすると本来の姿であるピット星人へと変わった。俺も手を怪獣化させたり、首筋をキングギドラのように鱗皮膚へとさせた。

それを見てレイは若干呆然としながら頷いた。

 

 

「それはそうとレイ、お前に言っておかなければならない事がある」

 

「何だ?」

 

「明日、ZAP SPACY派遣の救援部隊がやって来る。だが俺はさっき見せた通り人間ではないから一緒に行けないし、別の目的があるから行く気さえもない。しかしレイ、お前は違う。お前にはボス達地球人の仲間がいる!」

 

 

ここまで言うとレイは俺の言いたい内容を察して理解するが、俺は最後まで話を続ける。

 

 

「つまり・・・ボス達の元に付いて一緒に惑星を脱出するか、俺達の元に付いて行動を共にするか決めろ」

 

「俺は・・・」

 

 

とてつもない選択にレイは顔を下に向けて何も言わなくなる。俺個人の願いでは、レイにはずっと頼れる仲間として側にいてもらい、俺の手助けをしてもらいたい。だが他の支配者達のように強制的な事はしない。

 

 

「明日までまだ時間がある。全ての事に決着をつけた後でもいい、答えを出しておけ・・・っと言ってもお前の答えは案外もう出ていて、俺がそれに納得できないからこう言っているのかもな」

 

 

そう言って俺は部屋を出て行き、リーシャも後を追って出て行く。そして隣に立った時にリーシャは俺に尋ねた。

 

 

「クロウさん、レイは一緒に来るでしょうか?」

 

「さぁな・・・それを決めるのはあいつ自身だ。まぁ、どんな結果になろうと俺はそれを受け止めて、アイツの行く道を支えてやるつもりだ。だからリーシャ、お前も俺の元に無理に「ずっと一緒です!」!?」

 

 

無理に側にいる必要はないと言う前にリーシャが大声を出したので驚く。そして真剣な表情で俺を見つめたあと・・・。

 

 

 

 

 

 

「ん・・・」

 

「んむっ!?」

 

 

俺の体に強く抱きつき、そして頬に手を触れて顔を近づけてキスをした。

暫くその状態が続いた後リーシャは唇を離した。今の彼女の顔はとても艶やかな表情で恥ずかしそうに手を後ろに回してもじもじしている。ヤバイ・・・マジで可愛い!

 

 

「クロウさん、私はクロウさんの事が好きなのです!今まで怖くて黙っていましたけど・・・私はこの宇宙で一番貴方の事を愛しています。だからずっと貴方の側に一緒にいさせてください!!」

 

「リーシャ・・・」

 

 

頬を赤く染めてリーシャは告白する。前々からリーシャの行動を見て感じていたが、直接告白されて俺は内心とても混乱している。けど仕方ない事だ。転生する前から一度も女の子から告白されたり好きだと言われた事がなかった。だがここで言わないと俺は絶対に後悔する。

 

 

「リーシャ・・・俺も・・・リーシャが今までずっと側にいてくれて嬉しかったんだ。お前の事が好きだった。本当にお前にはどこかに行ってほしくない」

 

「!・・・嬉しいですクロウさん」

 

「これからは・・・ずっと俺と一緒にいてくれ。よろしく頼む」

 

「はい・・・こちらこそ♪」

 

 

こうして俺に生涯初めての恋人ができた。その後2人で一緒の部屋で互いにいろんな話し合いして休んだ後、ペンドラゴンから出てグランケープ補給基地に向かってその日の夕方まで宇宙船と2体のサイボーグ怪獣の修理をした。ロボット達の助けもあって宇宙船とサイボーグ怪獣は明日完成する状態にまでなった。そして再び部屋に戻って一緒に眠ったのであった。

 

 

 

一方ヴィンセント島の端の岩石が多く転がり並んでいるエリアの一番大きな岩の上で、ボガールが大きく広がる海のある方角をじっと見つめて両腕を広げて何かを引き寄せるようにゆっくり動かしていた。

 

 

「ハヤクオイデ・・・フフフ・・・」

 

 

とても待ちきれなく欲望に満ちた表情で薄く笑い、その動きを続けた。

そしてボガールが見つめる遠く離れた先では、海面には恐ろしい闇が少しずつ広がりながら、海底ではまるで血の池のように赤く光って染まりながら、空からは赤い色の禍々しく恐ろしい悪魔の様なものが徐々にヴィンセント島に迫っていた。

 

 

 

その翌日の朝、俺はリーシャと一緒に再びグランケープ補給基地に向かって修理に励んだ。レイも連れて行こうとしたが、まだ悩んでいる様子だったのでそっとしておく事にした。

またユニとリン、モスラ親子に島の守る他にレイの護衛もお願いした。結構俺は念には念を入れておく主義なんでね(笑)そしてお昼前の時間にとうとう宇宙船が完成した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「遂に出来上がったな!」

 

「はいクロウさん!これで宇宙に行く事ができます!」

 

「あぁ、この円盤は俺達の物だから名前は・・・う~ん・・・ギガ・ロボフォーとしよう!」

 

 

俺達が見つめる先にある戦闘円盤ロボフォーは元の状態よりも砲門の数が多く、メカハンドのハサミ部分をさらに強化して真ん中からエレキソードが出るようにしている。戦闘以外にも移動速度を上げているなど様々な能力をアップしてある。だが1番変わった所は上部分だ。これは上からの攻撃と防御に備えて強力な光線を出せたりドリルにもなる角を4本装備した。本当はもっと良い感じにしたかったけど・・・ここにある資源ではこれで限界だ。贅沢を言ってはいけないと思いながら俺は背後にいるロボット達にお礼を言った。

 

 

「皆もご苦労だったな。ありがとう!」

 

 

俺のお礼を聞いてロボット達は腕を上げて左右に振ったり、お辞儀をしたりなど喜びを表していた。以外に感情豊かだなこいつら。

そして2体のサイボーグ怪獣もあともう少ししたら修理が終わる。そっちの方も終わらせようと思っていた時にリーシャが時間を確認して言った。

 

 

「クロウさん、そろそろレイの元に戻った方が・・・」

 

「むっ、そうだな。時間的にも救援部隊がそろそろ来そうだし、後はロボット達にお願いしてそうするか。出てこい!大コンドル!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「キュイィッ!!キュアァ!!」

 

 

今ではレイのリトラ(S)と同じ移動専用の怪獣となっている大コンドルの背中にリーシャと一緒に乗り、ロボット達に残る2体のサイボーグ怪獣の修理を頼み、完成したらすぐに伝えて起動するように言った後ヴィンセント島に戻った。

島に戻ってペンドラゴンのすぐ近くにゆっくり着陸して、大コンドルを回収した後にタイミング良く惑星ボリスに到着したZAP SPACY派遣の救援部隊の宇宙船5機が上空に表れてゆっくり着陸し始めた。あれが宇宙船トリスタンか、原作ではキングジョーブラックに全滅されていたからよく分からなかったが結構良い船だ。

 

 

「しかし・・・あの船に乗っている連中から少し殺気を感じるな。アイツらが俺達にとって吉となるか凶となるか」

 

「吉・・・凶?どういう意味ですかクロウさん?」

 

「今に分かるよ。それじゃリーシャ、気付かれないようにレイの元に向かうぞ」

 

「えっ?・・・あ、ちょ、ちょっと!待ってくださいクロウさん!」

 

 

腰を低くして近くにあった岩陰に隠れる。幸いヒュウガを始めとした多くの生存者達が救助船の側に向かって騒いでいるから気づかれていないと思う。ちなみにレイは最後に出てきて皆の後ろに立っている。救援部隊に見つからないように慎重にレイに接近しようとした時、救助船から大勢の武装集団が出てきた。突然の事に全員が驚いている中、武装集団の中から一目見ただけで偉そうな奴だと思う人が声を上げた。

 

 

「宇宙船ペンドラゴンのヒュウガ船長!おりますか?私は宇宙船トリスタンのカトリ船長だ」

 

「私がヒュウガだが・・・?」

 

 

どうやら先程の奴が救援部隊のリーダーであるカトリと言う者であった。名を呼ばれたヒュウガは他の人立ちより一歩前に出て立つ。

 

 

「さっそくですがヒュウガ船長!貴方の元にいるレイ、クロウ、リーシャと言う3名を引き渡してもらいたい」

 

「!?何故私のクルーを?」

 

「貴方は・・・いや、此処にいる者達全員が知っているはずです。彼らは怪獣を操る者達だと!」

 

「!?」

 

 

あぁ、やっぱり知られていたか。ヒュウガは何故救援部隊に俺達の事が知られているか分からないようだが俺には分かる。俺達の事を教えたのはアトウだ!

周りを見渡して探すとアイツは俺達のいる場所からすぐ近くにいて、その顔はまるで自分は正しい事をしたのだと言っているような表情をしていた。やっぱりあの時始末しておくべきだった。

 

 

「クロウさん、どうします?」

 

「決まっている。レイを助けた上で恩を仇で返したあの人間を始末する!」

 

『オ待チ下サイ、我ガ王クロウ様』

 

 

リーシャの問いに怒りを込めつつ答えて、ギガライブナイザーをギュッと強く握ってレイを助けに行こうとした時にギガライブナイザーの中からジェロニモンが止めた。

 

 

「何だジェロニモン?」

 

『アノ人間ノ始末ハ私ニオ任セ下サイ』

 

「・・・良いだろう。お前に任せる」

 

 

そう言ってこっそりジェロニモンを召喚し、リーシャにも指示を出したあと俺はゆっくり武装集団の元に近づく。幸いその間もヒュウガを始めたペンドラゴンのクルー全員がレイを庇いつつカトリの激しい口論は続いていたおかげで全員そちらに気を取られていて誰1人気づいていない。

その隙をついて俺は救援部隊の連中に向かって片方の手を広げて伸ばす。

 

 

「う、うわっ!?」

 

「なんだ!?」

 

「じゅ、銃が!武器が全部空に・・・!?」

 

 

突然彼らが持っていたり装備してあった武器などが次々と空中に浮かんでいった。原因は簡単で、俺の手から出ている念力で操っているからだ。だが彼らはまったく気付かず、必死に高くジャンプしたりして取り返そうと躍起になっている。多くの人がやっているから見ていて笑いが出そうだ。口を押えて笑い声が出ないようにしながら武器をさらに上に上げて手が届かない位置で止めた。

そして銃口を奴らに向けて身動きを取れないようにした。

 

 

 

バシュン!バシュン!

 

 

 

「ぐああぁぁっ!!」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 

自分達の装備していた武器がこちらに向けて撃とうとしている事に驚いていた時に後ろの方で銃声と誰かの悲鳴が聞こえた。全員が振り向くとそこには両脚を銃で撃たれて倒れているアトウと冷たい眼で彼を見下ろす女がいた。

 

 

「クロウさんを裏切る人なんてこの宇宙に必要ありません・・・今すぐ消えなさい」

 

「リーシャ!?」

 

 

撃った者がリーシャである事にペンドラゴンの皆が驚いている中、アトウは荒い息を出しながら必死に両腕と体を動かして逃げようとする。だが逃げる先にジェロニモンが立ち塞がって挟み撃ちになる。

 

 

「貴様ノ生命エネルギー・・・貰ウゾ」

 

「ア、アアアアアァァァーー・・・・・」

 

 

アトウの両肩に掴んで自分の方に引き寄せてジェロニモンは口を大きく開ける。するとアトウから光や霧が混じった生命エネルギーが吸われていった。暫くすると悲鳴を上げていたアトウから声が聞こえなくなり、骨と皮だけになって崩れ倒れた。

 

 

「グェグェグェ、ナカナカイイ味デアッタ」

 

「ちゃんと最後まで食べなさいよジェロニモン。その残り物どうするつもり?」

 

「ナニ、他ノ怪獣ドモニ喰ワセテテ処分シテオクワ」

 

「ふーん・・・あっそ」

 

 

恐ろしい内容で会話をしているリーシャとジェロニモンを見てため息をつきながら俺はゆっくり近付いて静かにさせて、全員が見える位置に立って話しかけた。

 

 

「はじめまして皆さん。俺の名はクロウ。怪獣の王だ!今から言う事をよーく聞け。・・・あとそれから今俺達に手を向けようとした瞬間、お前達が持ってきた武器が火を噴くから気を付けな」

 

 

自己紹介しながらそう言うと全員動揺してざわざわと騒ぎ始める。だが俺は気にせずに話を続けて告げる。

 

 

「今日よりこの惑星は俺の物で、怪獣達の楽園になる。今すぐ残りの生存者達を宇宙船に乗せて立ち去れ。別に俺はお前達の敵と言う訳じゃない。お前達もこいつのようになりたくないだろ?」

 

 

足元にあったアトウの亡骸を何の感情もなく踏み潰した。こんな仕打ちを見て酷い事だと昔は俺自身も思っただろう。けど今は何も感じない。恩を仇で返された怒りか、または別のためであった。

そんな俺をペンドラゴンのクルー達は悲しい目で見つめている。その中を掻い潜ってレイが先頭に出て驚きながら話しかけた。

 

 

「クロウ・・・」

 

「レイ・・・言いたい事があるようだがちょっと待っていてくれ。・・・ボス、これまでずっと一緒に行動をしてきて楽しかったぜ。けど・・・契約はここまでだ。早くお前も部下4人と一緒にこの惑星から立ち去りな」

 

「なに!?」

 

 

ヒュウガに契約解除の事を言ってレイにこっちに来るように言うとした時、突然目の前に青い炎が現れてレイを連れ去ってしまった。今の炎は確か・・・ケイトか!?

 

 

「クロウさん!レイが!?」

 

「どうやらケイトに連れ去らわれたようだ。リーシャ、ジェロニモン・・・そしてユニとリン、モスラ達と一緒にレイの元に向かってくれ」

 

「えっ?」

 

「グゥ?」

 

 

2人が驚く中、俺は背後の右側にある少し大きな岩を見つめて出てくるように言う。すると岩の後ろからユニとリンが現れた。さらに少し離れた所にはモスラ親子がいた。彼女達は俺にお辞儀した後ペンドラゴンのクルーと同じ悲しい目で見つめた。

 

 

「「クロウ様・・・」」

 

「ハァ~~・・・お前達もか。悪いけど話は後にして、さっき言った通りにレイを探しに行け。安心しろ。さっき言った通り人間達に手は出さないよ。第一俺は今から相手をしないといけない奴が来たからよ・・・」

 

 

そう言って今度は横をギロッと睨み付ける。そこには恐ろしい程の殺気を出しているボガールが立っていた。皆が驚く中で俺はリーシャ達とモスラ親子を庇うように前に出て立ち塞がりボガールと対峙する。

 

 

「コンドコソ・・・オマエヲクッテヤル!デザートガクルマエニ」

 

「ふん!お断りだ。俺はこれから先・・・沢山の怪獣達や愛する者、家族を守っていなければならないんだ。その為にも今此処でお前を消してやる!!」

 

 

デザートが来ると言う事はこの島に別の怪獣を呼んだと言う事か。ならば一層早くコイツを倒さないといけない!そして俺はギガライブナイザーからキングオブモンスのスパークドールズを出してライブした。俺の最高の相棒・・・俺に力を貸して、一緒に戦うぜ!

 

 

『ギガライブ!!キングオブモンス!!』

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

 

キングオブモンスと一体化して咆哮を上げた後幼虫モスラ達を回収した。もしボガールに喰われたり、人質にされたんでは冗談ではないからだ。

その後ボガール目掛けて足を勢いよく振り下ろした。だがボガールは高速移動でかわし、さらに本来である牙の生えた翼の様な被膜を持つ怪獣の姿に戻って鋭い爪の生えた両腕を振るってパンチを繰り出す。しかし俺は手の平で弾いてかわし、逆に首元を叩いたり、腹にパンチを打ち込んだ。

そして強烈な一撃を腹に叩き込むとボガールは腹を押さえながら後退した。

 

 

「ギシャアアァァッ!ホァァァギャアアァァッ!!」

 

『まだまだ!行くぞキングオブモンス!』

 

「グルルル・・・グオオオオォォォッ!!」

 

 

後退したボガールに駆け寄り組み付く。ボガールも同じように組み付き、お互いに組み付いたまま押し合ったり、左右に振ったりする。その影響で周りに激しい地鳴りが起こり、戦いを見守っていたリーシャ達は先程クロウに言われた事をするためにモスラ・レオに3人を乗せてレイの元に向かった。同じくヒュウガ達もクロウが戦いに集中したために空から落ちてきた武器を慌てて拾いながら激しい怪獣同士のバトルに驚愕しながら宇宙船に避難し空高く飛んだ。救援部隊の宇宙船トリスタンはすぐに本来の目的を達成する為に惑星から去って行ったが、ヒュウガ達ペンドラゴンだけは未だ空の上を飛んでいた。

 

 

「ボス!どうしますか?」

 

「俺達はレイの元に行き、救出するんだ!ペンドラゴンはモスラの後を追って発進する」

 

「けどクロウは・・・?」

 

「・・・・・アイツはさっき俺に部下4人を連れて行けと言った。つまり・・・レイも連れて行けと言う意味なんだ。分かったか?」

 

「「「了解!!」」」

 

 

先程の話からヒュウガはクロウの言った言葉の意味を知ってレイの元に向かうため、モスラの後を追いかけて行った。

それを見て俺は組み合って戦いながら頷く。これで集中して戦う事ができる!その途端ボガールの両肩を強く掴んで勢いよく地面に倒す。さらに倒れた体を跨って腹や腕を何度も踏み付けた。

 

 

「ギシャアアァァッ!?ギシャアアアッ!!」

 

 

苦しそうに悲鳴を上げるボガール。反撃しようと両腕に力を込めるが踏み付けられたままで動かせられない。それでも抵抗を諦めず、尻尾を長く伸ばして首に巻き付けた。外そうとする前に後ろに引っ張られて投げ飛ばされ、地面に叩き付けられる。ボガールは立ち上がってそのまま再び地面に叩き付けようとするが、俺は翼を広げて空に浮かんで尻尾を噛み千切った。解放されてボガールが怯んでいる隙をついて突進攻撃をして吹き飛ばした。土煙を出し上げながら地面に倒れたボガールにパンチや爪、尻尾を浴びせて再び地面に叩きつけた。

悲鳴を上げるボガールをこのまま一気に倒そうと迫ろうとした時、背後から何かにぶつかって倒れた。

 

 

『何だ・・・!?』

 

 

振り返るが背後には誰もいない。しかし耳をよーく澄ませるとどこからか虫の翅が擦れる音が聞こえた。音がする方を見るとそこには凶悪面のトンボに似た1体の昆虫怪獣がいた。紫色の体をして大きな翅と両腕のハサミに針が付いた尻尾が特徴の超翔竜メガギラスだ。

 

 

『あの時の奴か!余計な時にやって来やがって』

 

「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!」

 

 

かつてクロウ達と戦って生き残ったメガニューラ達から完全にエネルギーを得て目覚めたメガギラスは、テリトリーを広げながら自分の餌を探していた。

そこらにいる怪獣達よりも強大なエネルギーを持つ餌を!

 

 

「ピイイイィィィヴヴゥゥッ!!」

 

「グオオォッ!?」

 

 

周囲を超高速で飛んでいたメガギラスはそのスピードのままキングオブモンスに向かう。

迎え撃とうとするキングオブモンスだが、相手の急発進や急上昇、急降下などのもの凄い飛行速度に俺も眼が追い付けずにキョロキョロするだけだ。その間にメガギラスはハサミや翅で切り裂いたり、体当たり等で攻撃する。流石トンボの怪獣だな・・・本当に鬱陶しい(怒)

さらに吹き飛ばされていたボガールも立ち上がって手から光弾を放って攻撃する。翼を広げて『ボーンシールド』で防ぐがまたメガギラスが攻撃しようと迫ってくる。

 

 

『こうなったらあの手でいくとするか・・・喰らえ。クレメイトビーム!!』

 

 

両目の間にある結晶体にエネルギーを溜めて背後からある程度の距離に近づいたメガギラス目掛けて『クレメイトビーム』を振り向き放つ。

慌てつつもメガギラスはそれをかわすが、俺は威力を落とさないまま素早く放ち続ける。

メガギラスは自慢のスピードでかわし、一瞬後ろを向いてニヤリと笑う。だけど皆さん、車などでスピードを出したまま余所見するのは危ないですよね。

 

 

 

ドゴオオッ!!

 

 

 

「ピイイィィッ!?」

 

「ギシャアアァァッ!?」

 

 

余所見をしていたメガギラスは前にいたボガールにぶつかってしまい、2体は重なるように倒れた。しかしボガールは倒れつつも餌が自分からやってきた事に歓喜した。一気に捕食してしまおうと翼状の大口を開けて包み込もうとする。だが間一髪メガギラスは空に逃走する事ができた。

そして逆にエネルギーを多く持っているボガールから奪い取ろうとハサミでボガールをうつ伏せにして押さえ、背中に針を突き刺した。これを受けたボガールは痛みとともに激しい怒声を上げた。喰う側である自分が喰われるなんてあり得ないからだ。つまり捕食者としてのプライドを傷つけられたから怒っているのだ。体を滅茶苦茶に動かしたり、自分の尻尾をメガギラスの尻尾に巻き付けて強く締め付けて針を抜こうとする。無論メガギラスも黙っていなく、ハサミで攻撃して抜かせないように踏ん張る。

 

 

『良い感じに争っているな。それじゃ・・・そろそろ止めを刺すか!行くぜキングオブモンス!』

 

「グオオオオォォォッーーー!!」

 

 

2体の争う様子を離れた所から見ていた俺はその隙をついて光線を放つ準備をしていた。ボガールはメガギラスに動きを押さえられている。もうチャンスを逃す訳にはいかない。

 

 

『これで終わりだ。ファイナルクレメイトビーム!!』

 

 

2体目掛けて・・・と言ってもボガールを主に必殺光線を地面に走らせながら一直線に放つ。

エネルギーを抜かれて、動きを押さえられていたボガールは光線に当たって大爆発を起こした。

次にメガギラスだが、咄嗟に光線に気が付いて回避しようと上昇して尻尾を半分ほど失ったが避ける事ができた。しかし尻尾から血が垂れ落ちて深手を負っていた。あともう少しで倒せると思い、接近しようとした時、遠くの方から恐ろしい鳴き声と咆哮が響いた。その方向を見て俺は絶句した。

 

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「グギャアアァァーー!ガハハハッ・・・!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

『・・・マジかよ・・・』

 

 

鳴き声と咆哮がした所の空・陸・地から3体の怪獣が出現した。

空からは前に一度戦い飛び去って傷を癒し、さらに力を得た完全生命体デストロイア。

激しい地鳴りが起きている陸からは横に重なっている巨大なアンモナイト状の殻と体からたくさんの触手が生えて顔の目と口が上下逆についていて、両手の鋭いハサミを振りかざし口から闇を吐き出している邪神ガタノゾーア。

血の池みたいに溶けて光っている地中からは背中が無数の剣山の様な棘に覆われて棍棒の様な右腕とノコギリ状の尻尾を持ち、赤と青が混ざった体に鬼の様な真っ赤な3本の角があり、黄色い複眼が一列に並んでいる閻魔獣ザイゴーグ。

 

恐ろしい怪獣達・・・けど何故か俺はあまり恐怖を感じなかった。いや、恐怖は確かにある。だがその他に実際に会えて嬉しく思い、仲間にしたいと願う気持ちもある。あとメガギラスも!

 

 

『絶対にお前達を倒し、手に入れてやる!行くぞキングオブモンス!!』

 

「グウウゥゥ・・・グオオオオォォォッーーー!!」

 

 

決意を固めて内心激しく興奮しながら俺は3体の怪獣達に戦いを挑むのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
怪獣酋長ジェロニモン

強い超能力を持っていて、怪獣を蘇らせる事ができる。頭と尻尾に生えている赤、白、青の大量の羽根を手裏剣みたいに相手に飛ばして攻撃する。また口からガス状の無重力光線を吐く。
知能もあって言葉を理解し、会話をする事ができる。
惑星ボリスにやって来た時に力とエネルギーを失って人間サイズの大きさになってしまう。
だがそれでも他の怪獣達を従える事は可能。クロウの仲間になってからは、彼の側近のようになってリーシャと同じ彼の重要な仲間になる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 究極超合体王怪獣!

皆様、お久しぶりです。
長い間いろいろありました。卒論や発表会、引っ越しなど・・・あまりに時間がなくて書く暇がありませんでした。さらに今回は今までの中で最も激しい大怪獣バトル&怪獣祭りで、長くなったので2つに分ける事にしました。もう1つも近いうちに投稿します!
また、タイトルで分かるように和風金槌丸さんにお願いして描いてもらった最強のオリジナル怪獣が登場します。感想と評価をお待ちしております。


最強合体獣キングオブモンス、超宇宙怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
怪獣王ゴジラ・Godzilla、巨蛾モスラ(幼虫)、空の大怪獣ラドン、暴龍アンギラス
雷怪獣バルグザーダン、宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ、サイボーグ怪獣ガイガン(FW)
究極対G兵器・3式機龍〈改〉、電子ロボット・ジェットジャガー、超翔竜メガギラス
ミサイル超獣ベロクロン、蛾超獣ドラゴリー、えんま怪獣エンマーゴ
邪神ガタノゾーア、閻魔獣ザイゴーグ、完全生命体デストロイア
超古代怪獣ゴルザ・ガルラ、超古代竜メルバ、超古代尖兵怪獣ゾイガー
閻魔分身獣ゴーグファイヤーゴルザ・ゴーグアントラー・ゴーグドラコ
ゴーグシルバゴン・ゴーグツルギデマーガ、究極超合体王怪獣ドライレクス   登場



一難去ってまた一難と言うのはまさにこの事だ。怪獣の天敵であるボガールを倒した後、奴の手によってこの島に導かれた3体の強豪怪獣が現れた!

邪神ガタノゾーア、閻魔獣ザイゴーグ、完全生命体デストロイア。どれもが各々の誕生した世界で光の巨人や怪獣王を苦しめたラスボス怪獣だ。

 

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「グギャアアァァーー!ガハハハッ・・・!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

 

こいつらを相手にするのは流石にキツイな。それに右側辺りの少し離れた所でメガギラスが動かずに俺の隙を狙っている。

さてどうやって戦うか・・・うん?アイツらが怖くないのかだと?残念な事に恐怖よりもこれ程凄い怪獣に出会えた喜びと興奮の方が勝っている。それに初めて見るザイゴーグに俺は興味津々だ。冥王様のおかげで、相手を見ただけでどんな能力と力を持った怪獣なのか分かるようにしてもらったのだ。まぁ、この事については一時置いといて・・・このまま戦うのは無理だからこちらも戦力を増やすか!

 

 

『それじゃ、さっそく・・・うん?』

 

 

ギガライブナイザーを構えた時、遠くから何かが小さいモノが飛んでやって来た。よーく見つめてみるとそれはジェットジャガーだった。3体の怪獣達に気付かれないように飛んで、俺のすぐ傍に降り立ったジェットジャガーは手旗信号のように両腕を動かしてコンタクトを取る。

 

 

『そうか、直ったんだな。ご苦労だった!』

 

「ビイイイイッ!ビイイィ!」

 

 

褒められて嬉しいのか、ジェットジャガーは丁寧にお辞儀をする。その行動を見てやっぱり感情豊かな奴だと思いつつ、この場にいると危険だからギガライブナイザーに回収して、俺は深呼吸して大きく叫ぶ。

 

 

『ガイガァァァァァン!!キリュゥゥゥゥゥウ!!起動―――!!!』

 

 

今の叫び声はおそらく島の外まで聞こえるくらいで、激しい音に周りが振動する程であった。

 

 

・・・・・ォォォォォオオオオッ!!ドゴオオオオオオオオ!!

 

 

暫く木霊が響いた後、遠くの海の方から2体の怪獣がもの凄いスピードでこちらに向かって来た。そして3体の怪獣達を飛び越えてゆっくりと俺の近くに降り立った。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ギィアアアオオオォォォォォン!!」

 

 

降り立った怪獣はどちらもロボット怪獣だ。

1体は従来の時よりもパワーアップして、両腕の鎌(ブラッディ・トリガー)と腹の回転鋸(ブラデッド・カッター)を持ち、全身が青色でトゲトゲが付いた機械武装になっているサイボーグ怪獣ガイガン(FW)だ。

もう1体は、初代ゴジラの骨を使って作り上げた究極対G兵器・3式機龍・・・いや3式機龍〈改〉だ。正式名称は『3式多目的戦闘システム (Multi-purpose Fighting System-3:通称MFS-3)改修型』と言う。だが今の機龍はバックユニットを装備していない状態で、右手がドリル状の武器(スパイラル・クロウ)である高機動型タイプだ。

背中の装備はどうしたと・・・?これでもよく修復できたと言いたいくらいだ。最初に出会った時はゴジラとの戦いの後だったから右目など結構ひどい状態だった。それでもなんとかちゃんと戦いができるようにしたのだ。

 

 

『さて・・・こっちも戦力が増えたけど、どうする・・・!?』

 

 

この2体が加わったからそう簡単には負けないと思いつつ正面を向く。するとガタノゾーアとザイゴーグの2体がそれぞれ体に力を込める。すると2体の体と周りの環境に変化が起きた。

ガタノゾーアは、自身の周りに大量の闇を発生してその中から次々と手下である超古代軍団を出現させた。

 

 

「ゴッバアアアアァァァ!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

「フグヴオオオォォォ!!」

 

「ピイギュェェェッ!!」

 

 

俺がこの惑星に来て最初に戦って仲間にした超古代怪獣ゴルザとメルバ。

邪神に忠実な尖兵であるゾイガーに彼らと同じ一族で鎧の様な頑強な皮膚を持つ超古代怪獣ガルラの4体である。怪獣達は闇から抜け出て咆哮を上げてガタノゾーアの前に並び立つ。

 

ザイゴーグは、背鰭のトゲを5本ミサイルのように発射して目の前に着弾させた。

大きな爆音と激しい炎が出た所から自身の分身でもあり、どれも共通の白目である5体の閻魔分身獣による地獄軍団が現れた。

 

 

「グゥゴォアアァァァ!!」

 

「キィッキャオオオォォン!!」

 

「キャアァカァァーーー!!」

 

「グゴジュイイイイィィィ!!」

 

「グバアアアァァァ!ギャギャギャ!」

 

 

鎧のような皮膚と体に青色の血管が浮き出ているゴーグファイヤーゴルザ。

体の様々な部分が赤色でクワガタムシに似たゴーグアントラー。

透き通った羽に両手に鋭い鎌を持ち白色の体をしたゴーグドラコ。

シルバゴンと同じ姿で黒色の体をしたゴーグシルバゴン。

両肩と両腕に巨大な鋭い刃を持つゴーグツルギデマーガである。

さらにザイゴーグは右腕の棍棒を地面に何度も強く叩き付ける。すると叩かれた地面が割れてその場所から別の怪獣が出てきた。それはまさしく閻魔大王と同じ姿をして頭と全身に金色の“王”と書かれた冠と鎧を武装し、両手に刀と盾を持っている・・・えんま怪獣エンマーゴが高笑いしながら出てきた。

 

 

「ガッハハハハ!よくぞ儂を呼んでくれましたザイゴーグ様!このエンマーゴの手で、貴方様の邪魔をする輩を始末してご覧に入れますぞ!」

 

『・・・・・良く喋る奴だ』

 

 

エンマーゴってこんな性格だったかな?しかもジェロニモンとは違ってカタコトではないし。

まぁ、そんな事よりもまた随分と増えたもんだな。それにメガギラスもあっち側に付いているようだから相手の数は全部で14体だ。一度にこんなにもいろんな怪獣を実際に見られたのは初めてだ。けど相手が数で攻めるならこちらも同じ方法だ。

 

 

『お前達の相手を紹介してやるよ!出てこいお前達!!』

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

ギガライブナイザーを強く握りしめて構え、今この場にいる敵に対して最も相応しく強豪で精鋭の怪獣達を召喚する。キングギドラ、グランドキング、ゴジラ、アンギラス、幼虫モスラ姉弟、ラドン、スペースゴジラ、Godzilla、バルグザーダン、ベロクロン、ドラゴリーで俺も含めて全部で14体だ。召喚した怪獣達の中には、目の前にいる相手を見て怒りを表す奴もいたが、全ての怪獣が俺を中心に勇ましく並ぶ。これで戦力はそろった。

 

 

『お前ら、行くぞ!』

 

 

「「「「「グオオオオオォォォーーー!!」」」」」

 

 

俺の言葉を合図に一斉に動き出して目の前にいる相手に攻撃し始めた。

まず最初に激突したのはスペースゴジラVSゴルザ&メルバで、真っ直ぐスペースゴジラに突進するゴルザの背後でメルバは空高く飛行する。そして2体は激しく体をぶつけ合い、お互いに押し合って力比べをする。しかしゴルザよりも身長の高いスペースゴジラの方が有利で、徐々にゴルザを押していく。

 

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

それを見てメルバが空中から体当たりを仕掛ける『急降下体当たり』を仕掛けてゴルザを援護しようとするが・・・。

 

 

「ギィガアアアオオオォォォォン!!」

 

「ピィエエェェッ!?」

 

 

ゴルザと対峙している時でもスペースゴジラはメルバから目を離していなかった。急降下してくるメルバがある程度の距離まで近づいた瞬間、口から『コロナビーム』をそれぞれ別の角度から放ってメルバの顔と首に命中させた。光線を受けたメルバは顔の痛みが激しく目を瞑ってしまい、対象のスペースゴジラではなくゴルザに体当たりしてしまった。

 

 

「ゴバァァッ!?」

 

 

上から突然攻撃を受けてゴルザはよろめき、その隙をついてスペースゴジラは勢いよく突き飛ばした。そしてゴルザは後ろで倒れているメルバの上に倒れ込んだ。その2体をスペースゴジラは両肩から発する念力の『グラビ・トルネード』で2体を軽々と持ち上げて何度もぶつけ合ってから投げ飛ばした。

 

 

「グゴォアァッ・・・」

 

「ピィエェェッ・・・」

 

「ギィガアアアオオオォォォォン!!」

 

 

投げ飛ばされて地面に落ちた2体は体中がボロボロでグロッキー状態だったがスペースゴジラは反撃の隙を与えず、先程よりも強力な『コロナビーム』を放つ。それを受けた2体は激しい火花を散らしながら倒れて爆発した。2体を倒し、戦いに勝利したスペースゴジラは誇らしげに勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

次に別の場所で戦いを繰り広げているのは、キングギドラ&グランドキングVSガルラ&ゾイガーのタッグバトルである。

 

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「フグヴオオオォォォ!!」

 

「ピイギュェェェッ!!」

 

 

空中でキングギドラとゾイガーが激しい空中バトルをして、地上でグランドキングとガルラが戦っている。キングギドラと対峙しているゾイガーは、自慢の超高速飛行でキングギドラの周りを飛んで翻弄し、口から『暗黒光弾』を何発も放つが・・・。

 

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「ピイギエェッ!?・・・ピイギュェェェッ!!」

 

 

キングギドラは両翼を大きく広げてバリアで光弾を全て防ぐ。それを見てゾイガーは怒って口からさらに光弾を放つ。だが光弾を放っている内にゾイガーは撃つ事に集中して周りを飛行する事を止めてその場に止まってしまう。それを見たキングギドラはゾイガーが次の光弾を放つ隙を狙って口から『引力光線』を放って反撃した。光線はゾイガーの体だけでなく翼にも命中し、飛べなくなったゾイガーは地上に落ちていった。

 

 

ドゴオオオオオオォォォォン!!!

 

 

「ピイギエェェェェ~~~!!」

 

 

上空から落ちたゾイガーだが、翼がボロボロになりつつも死なずに立ち上がる。

しかし・・・ギドラ一族に慈悲と言う感情はない。

 

 

「ピギャアアアオオオオォォォッ!!」

 

「ピイギュエエェ・・・ェェ・・・・」

 

 

立ち上がったばかりのゾイガーに空の上からキングギドラは容赦なく『引力光線』と『反重力光線』を撃ち続ける。全身の至る所に光線を受けたゾイガーは断末魔を上げながら爆発して散った。その様子を空の上から見下ろしていたキングギドラは3つ首を振るわせながら勝利の咆哮を上げた。そしてキングギドラが勝利する同じ時刻に地上でも決着が着こうとしていた。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「フグヴゥゥ・・・オオオォォォ・・・!!」

 

 

地上で激しい戦いを繰り広げていたグランドキングとガルラだったが、戦いは最初からグランドキングが有利だった。ガルラは『カウンターアタックアーマー』と言う鎧の様な頑強な皮膚で全身を守っていて、その防御力を活かしつつ角から出す強力な熱線と怪力で挑んだが、相手がウルトラ兄弟と互角に戦って必殺光線を一斉に受けても跳ね返す程の非常に強固な装甲と凄まじい破壊力の武器を持つグランドキングだ。光線を放っても跳ね返され、力の勝負も差が大きく歯が立たない。

さらに先程自慢した防御力もグランドキングの巨大な鉤爪で傷つけられて全く意味がなかった。

 

 

「フグゥ・・・フグヴオオオォォォーー!!」

 

 

それでもガルラは諦めずに立ち上がり、腰を少し低くして角を前に突き出してグランドキング目掛けて突進攻撃をする。それを見たグランドキングは右腕を大きく上に振って一気に振り下ろした。

 

 

バキイイィィィン!!

 

 

「ギャヴヴヴゥゥッ!?」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

 

振り下ろされた鉤爪によって角は真っ二つに折れた上、強烈な一撃を頭に受けつつ地面に叩きつけられたガルラはそのまま気を失ってしまった。それを見てグランドキングは止めを刺さず、勝利の咆哮を上げて空から降りてきたキングギドラと合流して主の元に向かうのであった。

 

 

超古代軍団との戦いに決着が付いていた頃、別の場所ではまだ怪獣同士の激しい戦いが繰り広げられていた。

ザイゴーグに生み出されたゴーグファイヤーゴルザとゴーグシルバゴンの2体の閻魔分身獣と戦っているのはアンギラスとドラゴリーである。

まずゴーグシルバゴンVSドラゴリーの戦いで、同じ怪力の持ち主である両者は真っ向から猛然と走り出して激突するとパンチや張り手などを喰らわせる。そして力が互角であると分かるとドラゴリーは一旦距離を取り、両腕からロケット弾を放つ。

 

 

「グゴジュイイイイィィィ!!」

 

 

それを見たゴーグシルバゴンはクルっと後ろを向いて背中を見せ、背中に生えている無数の棘をミサイルのように飛ばして撃ち込んだ。これは、遠距離攻撃を持たないシルバゴンに主であるザイゴーグが与えた能力である。ロケット弾と棘のミサイル弾は両者の間でぶつかり合い、激しい爆発を起こして散った。どちらも同じ力を持って勝負は互角・・・かに見えたが、超獣であるドラゴリーはさらに別の能力も持っていた。

 

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

「グゴォッ!?グゴジュイイイイィィィ~~!!」

 

 

再び走り出したゴーグシルバゴンにドラゴリーは口から紫色の『火炎弾』と両眼からの『破壊光線』を顔と体目掛けて放ってダメージを与える。思わぬ攻撃をもろに受けて倒れ、激しい痛みに悶えるゴーグシルバゴンにドラゴリーはさらに口から『高熱火炎』を吐いて全身を焼き付こうとする。必死に体を左右に動かして炎から逃れようとするゴーグシルバゴンだが、ドラゴリーは容赦なく浴びせ続ける。

 

 

「グゴジュイイイイ~~・・・ィィィ・・・・・」

 

 

必死に抵抗していたゴーグシルバゴンは火炎によってとうとう黒焦げになって溶けてしまった。

敵の最期を見届けた後ドラゴリーは両腕を広げて勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

次にゴーグファイヤーゴルザVSアンギラスの戦いは、ゴーグファイヤーゴルザの鋭い爪による切り裂き攻撃をかわしたアンギラスは後ろ足で立ち上がりながらその腕に噛み付く。

 

 

「グゥゴォアアァァァッ!?」

 

 

驚きと悲鳴が混ざった鳴き声を上げて腕に力強く噛み付いたアンギラスを必死に振り解こうとするゴーグファイヤーゴルザだが、アンギラスの噛み付きはガーディーに負けないくらい顎の力が強いためになかなか外せなかった。それでもアンギラスの頭にパンチを浴びせたり、腹にキックを喰らわせてなんとか外す事ができた。

だが、噛み付かれた腕からは血が流れ出ていてそのダメージは大きかった。しかしそれで怯むゴーグファイヤーゴルザではない。

 

 

「グゥゴォアアァァァ!!」

 

 

頭部から『超音波光線』を放ってアンギラスの動きを止めると一瞬で体を丸めて球状になり、高速回転しながらアンギラスに突撃した。流石のアンギラスも全体重が乗った一撃を喰らって大きく吹っ飛ばされた。倒れたアンギラスにゴーグファイヤーゴルザはさらに攻撃を加えようとそのまま体当たりを繰り出す。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

それを見てアンギラスは正面を向いて自分も同じように体を丸めて球状になり、高速で跳ね飛び転がり体当たりする必殺技『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を出して突進した。

 

 

ドオンッ!!

 

 

大きな音と振動を響かせながら互いにぶつかって押し合い、その衝撃によりゴーグファイヤーゴルザは地面に落ち、アンギラスは空高く上がった。地面に落ちたゴーグファイヤーゴルザは体を元に戻して空から落ちてくるアンギラスを狙い撃ちしようと落下地点に向かうとしたが・・・。

 

 

「ギョロロロロッ!!」

 

「グゥゴッ!?」

 

 

突如目の前に現れたドラゴリーが大きくジャンプして飛び上がり、前にサボテンダーでしたのと同様にバレーアタックをしてアンギラスボールをゴーグファイヤーゴルザ目掛けて打ち付けた。

アンギラスボールは見事にゴーグファイヤーゴルザに命中し、ゴーグファイヤーゴルザは勢いよく地面に叩きつけられるように倒れた。

・・・日本のある島の守護神とは違い、命中率が高いものだ。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

2度体当たりをした後、アンギラスは体を元に戻して大ダメージで未だ倒れたままのゴーグファイヤーゴルザの首元に噛み付く。何とかまた引き離そうとするゴーグファイヤーゴルザだが、ダメージが大きすぎるせいで動きが鈍く力も入らず、遂に鈍い音を立てつつアンギラスはゴーグファイヤーゴルザの首の骨を砕いて食い千切ってしまった。さらに再び噛み付くとそのまま体を持ち上げて勢いよく投げ飛ばした。投げ飛ばされたゴーグファイヤーゴルザは地面に落ちた瞬間、肉体がドロドロに溶けて消滅していった。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

相手が倒れていったのを見てアンギラスは勝利の咆哮を上げる。さらに加勢してくれたドラゴリーとも意気投合して咆哮し合った。この戦いで2体は良き友となったみたいだ。

 

 

そして残る閻魔分身獣3体と戦っているモスラ姉弟、バルグザーダン、Godzilla、ベロクロンの5体も激しいバトルを行っていた。

空を自由に飛び回るゴーグアントラーとゴーグドラコにベロクロンが全身からミサイルを放って攻撃する『スコールミサイル』で撃ち落とそうとする。多数迫って来るミサイルを2体は上空を高速で飛び回ってかわす。

簡単に攻撃を避けて余裕の表情をする2体は、そのままベロクロンに攻撃しようとゴーグアントラーは大顎を広げて両断または『磁力光線』を放とうと突っ込み、ゴーグドラコは両腕の鎌を振り上げて空から急降下しようとした時、突如自分達の上に巨大な雷雲が発生した。

 

 

ゴロゴロ!・・・ドッガアアアアン!!

 

 

「キャオオォウ!?」

 

「キャアァッ!?」

 

 

この雷雲は無論バルグザーダンによって発生したものである。ベロクロンが放ったミサイルで誘導された2体の行く先に一足早く罠を仕掛けていたのだ。そして雷雲から雷が2体目掛けて落ちた。突然の事に防御する暇もなかったゴーグアントラーとゴーグドラコはダメージを受け、さらに外骨格を砕いて背中の皮膚に火傷を負わせつつ羽根が灰になって消し散ってしまった。飛べなくなった2体はそのまま地面へ墜落して激しい振動と響きを起こした。そして凄まじいダメージでまだ立ち上がれずにいる2体にモスラ姉弟が近づき、姉の方は口から虹色に輝く強粘性の糸『エクセル・ストリングス』で動きを止めて、弟の方は『プチ・レールガン』を何発も放って攻撃する。

 

 

「「ピュイイイィィィッ!!」」

 

「キャオオオォォォン・・・!!」

 

「キャアァカァァ・・・!!」

 

 

モスラ姉弟の連係攻撃にゴーグアントラーとゴーグドラコは徐々に糸と光線で動きが鈍くなっていく。またベロクロンも両手から『金縛り光線』を出してモスラと一緒に動きを止めに掛かる。

そうしてダメージが蓄積し、糸によってがんじがらめにされたゴーグアントラーとゴーグドラコは完全に動けない状態になった。

そんな2体にゆっくり近寄っていくのは・・・バルグザーダンだ。

 

 

「グヴゥオオオオォォォーーー!!」

 

 

モスラ姉弟とベロクロンが敵の動きを止めている隙に電気を溜めて止めの必殺技を出す準備を終えたのだ。そして2体目掛けて顎の大きな角から発射する技『トルネードボルト』を全エネルギーを込めて放った。この凄まじい電撃に2体が耐えられるわけもなく、断末魔さえ上げられずに黒炭になって消滅した。

敵を倒したのを見て4体は嬉しそうに鳴き声を上げたり、体を動かしたりした。

 

 

軍団が次々と倒されていく中、最後の閻魔分身獣として生き残っているゴーグツルギデマーガは、倒された仲間達の分まで頑張るかのように全力で目の前の敵と戦っていた。その相手はGodzillaである。相手との大きな差と言えばやはり身長差で、自身よりも約2倍くらい大きいGodzillaにゴーグツルギデマーガは怯む事もなく両腕の巨大な鋭い刃で切り裂こうと何度も攻撃した。

 

 

「ゴッガアアアアアァァァオオオン!!」

 

「グバアァッ!?グバアアアァァァ!ギャギャギャ!」

 

 

しかしその攻撃が届く事はなかった。何故ならその刃をGodzillaは躊躇もなく素手で掴んで受け止めてしまった。しかも掴んだ部分にヒビが入り始めると言うあり得ない光景にゴーグツルギデマーガは驚きの声を上げるが、すぐに我に戻って今度は口から『溶鉄光線』を吐いてお腹を何度も攻撃して離させようとした。

 

 

「ゴッガアアアアアオオオン!!」

 

 

バキイイィィィッ!!

 

 

「グバッ!?グギャアアアァァァッ!?」

 

 

だがGodzillaはそれでも刃を離す事はせず、さらに両手に力を込めてそのまま捻って刃を折ってしまった。自慢の武器を折られてゴーグツルギデマーガは悲鳴を上げて一旦距離を取ろうと後退し始める。しかしGodzillaは巨体に似合わない素早さでゴーグツルギデマーガの背中の刃に噛み付いて動きを止め、そのまま勢いよく後ろに投げ飛ばした。そしてうつ伏せに倒れたゴーグツルギデマーガの尻尾を掴んで持ち上げ、ゴジラ一族伝統とも言える何度も地面に叩きつける攻撃をした。

 

 

「グウゥ・・・グバアアアァァァ~~・・・ギャギャギャ・・・!」

 

「グルルル・・・ゴッガアアアァァァッーーー!!」

 

 

何度も地面に叩きつけられたゴーグツルギデマーガは何十回目でようやく解放されたが、完全にグロッキー状態となる。それでもプライドと意地でフラフラしながらも立ち上がり、再び『溶鉄光線』を放とうとする。それを見てGodzillaは背びれを青く光らせながら口から『放射熱線』を放つ。それを受けたゴーグツルギデマーガは体が溶けていって跡形もなく消滅した。敵が消え去ったのを見てGodzillaは少し息を荒くしながら勝利の咆哮を上げるのであった。

こうして、地獄軍団は全て倒されて地獄に還って行ったのであった。

 

 

 

『おっ!どうやら皆勝った様だな。あとでたっぷり褒めてあげないとな』

 

 

激しい戦いを行いつつも俺は怪獣達の咆哮を聞いていた。次々と聞こえる鳴き声から察するにそれぞれの相手を全て倒したようだ。こっちも絶対に負けていられないと内心思いながら相手を見つめる。俺が相手をしているのは邪神ガタノゾーアだ。その近くでザイゴーグ&エンマーゴVSガイガン(FW)&3式機龍〈改〉、デストロイアVSゴジラ、メガギラスVSラドンとそれぞれ戦っている。戦い始めてからずっと互角の攻防を繰り広げており、今まで戦って来た怪獣とはやはり格が違っていた。

 

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「グオオオオオオォォォォォーーー!!」

 

 

接近戦だと触手や巨大なハサミにガタノゾーアの口から出てくる闇のせいで上手く攻撃できず、空高く飛んで遠距離攻撃をしようとすれば『石化光線』で狙って来るので、なかなか決定打を決める事ができずにいた。他の連中も同じような感じであった。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ギィアアアオオオォォォォォン!!」

 

「グギャアアァァーー!ガハハハッ・・・!!」

 

 

タッグバトルをしているガイガン(FW)のブラッディ・トリガーと3式機龍〈改〉のスパイラル・クロウが勢いよく突き出されるが、ザイゴーグは右腕の棍棒で両方とも防ぐ。身長の差なんて関係ないと言わんばかりに力を込めて相手の武器を押し返し、棍棒をハンマーのように振るって攻撃する。それを見て2体は後ろに下がってかわすが、そこを狙って配下のエンマーゴが背後から刀を掲げて斬ろうと迫って来る。

 

 

「ギャアアアアアッ!!」

 

 

ガッキィィィン!!

 

 

奇襲攻撃をしたエンマーゴの刀が2体を切り裂い・・・ていなかった。

咄嗟に後ろから聞こえる鳴き声と鎧が重なり合う音を気がついた機龍が寸前スパイラル・クロウで刀を防いだのだ。そのまま機龍とエンマーゴは激しく己の武器で斬り合いを始め、ザイゴーグとガイガン(FW)もまた戦いを繰り広げ続けるのであった。

 

 

「ディガアアアオオオォォォォンーーー!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

 

そして今この場所で行われている大怪獣バトルで最も激しい戦いを繰り広げているのは、ゴジラVSデストロイアである。

因縁の相手であり、天敵であると言う事だけではない。かつてゴジラはデストロイアに同族を・・・いや、自分の子とも言える大切な存在を殺された事があった。

この忌々しい記憶を今でも覚えているゴジラの怒りは激しく、パンチや尻尾、噛み付き等の攻撃1つ1つが強烈な一撃であった。・・・けどその子は自分から放出されたエネルギーで復活した事をゴジラは知る由がなかった。

しかしデストロイアはそんな凄まじい攻撃を受けても怯まず、角を使った『ヴァリアブル・スライサー』でゴジラの体を切り裂いたり、鋭い爪と先端がハサミ状の尻尾で反撃した。さらに口から『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』を放ってゴジラに大きなダメージを与えた。

 

「グルル・・・ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

 

だがゴジラはそれを受けても倒れず、傷付きながらもデストロイア目掛けて『放射熱線』を放った。光線を受けたデストロイアの体からは緑色の血が噴き出し、デストロイアは悲鳴を上げる。

しかし怯む事はなく、逆に恐ろしい程の怒りを表してゴジラに立ち向かって行った。2体はまさに血反吐の戦いを続けるのであった。

 

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「ピイイィィヴヴヴゥゥッ~~!!」

 

 

長い時間戦い合っている怪獣達の中で早く決着がついたのはラドンVSメガギラスであった。

天敵であるラドンを相手にメガギラスは必死に応戦していた。翼とハサミがぶつかり合って火花を散らす程であったが、先の戦いで尻尾を半分失って深手を負っているメガギラスの方がどう見ても不利である。自身もこれ以上戦えないと思っているメガギラスは、ラドンとすれ違うように激突し合って離れた瞬間、後ろを向いて全速力で逃走した。

無論黙って見逃すラドンではない。

 

 

「ピエエェェッ!ピエエエエェェェゥゥゥッ!!」

 

 

翼を大きく広げてラドンはメガギラスを追跡する。本来ならメガギラスの方が速い飛行速度だが、深手を負っている事もあって距離はどんどん縮まっていく。そして少し経つとラドンに追いつかれてそのままメガギラスは頭を嘴で何度も突っ突かれ、さらに背中を両足の爪を突き刺されて撃墜されてしまった。

 

 

「ピイイィ・・・ピイイィィヴヴヴゥゥッ・・・!」

 

 

頭と背中を攻撃されて地面に落とされたメガギラスは体を震わせるだけで、もう飛ぶ事ができない状態だった。まさに虫の息である。

それを見てラドンはメガギラスの体の上に降り立ち、再び翼を大きく広げて勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

長い戦いの中、再び仲間の勝利の咆哮を聞いて俺は少し焦り出す。アイツらが勝ったと言う事は怪獣が倒された・・・あるいは気絶&戦えない状態にさせたかのどちらかだ。もし後者であるなら早く回収しないと危ない。けどガタノゾーアは本当に強いからどうしようか・・・。

 

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

 

その時、キングギドラとグランドキングがこっちにやって来るのが見えた。良い時にやって来てくれた。俺はギガライブナイザーを2体の方に向けて彼らをスパークドールズにして掴む。

 

 

『キングギドラ!グランドキング!そして・・・キングオブモンス!お前達の力と俺の力、今こそ1つになるぞ!!』

 

『ギガライブ!キングオブモンス!キングギドラ!グランドキング!超合体!ドライレクス!!』

 

 

そう言って3体を連続ライブして合体する。するとガタノゾーアの目の前に黒い光が出現してその中から1体の怪獣が出現した。

その怪獣はキングオブモンスと同じ姿をしつつもガタノゾーアより身長が大きく、左腕がグランドキングと同じ巨大なハサミを持ち、キングギドラと同様の2本の尻尾と大きな翼・・・さらに両肩に首があり、体の所々が機械化になって強化している。これぞ究極超合体王怪獣ドライレクスだ。この怪獣を見て未だ戦い続けていた怪獣全員が見つめ、その圧倒的雰囲気を受けて怯んでしまう者もいた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『これが俺達の真の力だ!行くぞ!!』

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

 

凄まじい咆哮を上げ、翼を広げて両腕を構えながらドライレクスは戦いに決着を付けようと戦場に向かって行くのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
究極超合体王怪獣ドライレクス

本小説のオリジナル怪獣で、キングオブモンス・キングギドラ・グランドキングの3体がクロウと合体して誕生した。身長261m、体重32万t、飛行速度はマッハ10だ。
合体した怪獣の能力と技が全て使える他にその能力はかなり強化されている。生命力・破壊力・防御力のどれもが並の怪獣達よりもかなり上で、どんな環境でも活動できる。
最強の必殺技は3つの口から一斉発射する『トリプルカイザービーム』である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 惑星ボリス制覇

皆様、本日で遂に惑星ボリス編終了でございます。ここまで来るまで結構長かった。
今回は前に登場したオリジナル怪獣ドライレクスの無双と3体の強豪怪獣との決着、そしてレイ達との別れの話です。しかしクロウが怪獣王になるまでまだまだ物語は続きますよ!
感想と評価をお待ちしております。


究極超合体王怪獣ドライレクス、最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣EXゴモラ
究極対G兵器・3式機龍〈改〉、サイボーグ怪獣ガイガン(FW)、怪獣酋長ジェロニモン
怪獣王ゴジラ・Godzilla、巨蛾モスラ(成虫&幼虫)、空の大怪獣ラドン、暴龍アンギラス
雷怪獣バルグザーダン、宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ、ミサイル超獣ベロクロン
蛾超獣ドラゴリー、超古代怪獣ガルラ、えんま怪獣エンマーゴ、超翔竜メガギラス
宇宙恐竜ゼットン、初代ウルトラマン
邪神ガタノゾーア、閻魔獣ザイゴーグ、完全生命体デストロイア   登場



超古代軍団と地獄軍団との戦いに決着が付いた後、ラスボス強豪怪獣達の戦いにも徐々に決着の時が近づいていた。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

 

走り出したドライレクスは正面からガタノゾーアに激突しようとする。それを見てガタノゾーアは動きを止めようと大量の闇を放った。だがドライレクスは翼を大きく広げて羽ばたかせ、闇を全て吹き飛ばしてしまった。

 

 

「グヴヴオオオオォォォ!?」

 

 

闇が全て吹き飛ばされた事にガタノゾーアは動揺する。あの闇の力が恐ろしいほど強い力である事を自分が一番分かっている。今目の前にいる相手がどんなに巨大であろうと痛みを与え、黒く染め上げられるはずの闇が一瞬で消えてしまった事が信じられなかった。だが今起こった事は現実で、動揺して動けないガタノゾーアにドライレクスはお返しとばかりに両肩にあるギドラの首から通常よりも強力な『超引力光線』を放つ。

それ喰らってダメージを受けるガタノゾーアだが、今度は体に生えている触手を伸ばして体に巻き付けて締め付け攻撃をしつつエネルギーを吸い取った後、両腕のハサミでバラバラに切り裂こうとするが・・・。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッ!!」

 

 

ザシュッ!!ガッキィィン!!ビキビキ!!

 

 

「グヴヴオオォォ!?グゥゥヴヴヴオオオオオオォォッ!!」

 

 

迫って来る無数の触手と巨大なハサミにドライレクスは同等の大きさである右腕のハサミで触手を全て一気に斬り落とし、左腕のロボットハンドでハサミを掴んで止めたばかりかそのまま力を込めて握り不吉な音と共にハサミにヒビを入れてしまった。あまりの痛みにガタノゾーアは悲鳴を上げる。

だが邪神として恐れられてきた自分がこのままやられる訳にはいかないと自分に言い聞かせたガタノゾーアは至近距離から紫色の光線『貫通レーザー』を頭部から放って攻撃する。この光線は一般レベル並みの威力で頭部の広さと同じ範囲で何発も撃てる。そして文字通り敵の体を貫通できる技なのだが、ドライレクスの腹は機械で強化されていて貫通する事は出来なかったが、何発も撃たれた事でダメージを受けて掴んでいたハサミを離す。その隙にガタノゾーアは距離を取って態勢を立て直した。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

 

攻撃を受けた事にドライレクスは怒りの声を上げて、クルッと回転して背中を向けると2本の尻尾を長く伸ばしてガタノゾーアの体に巻き付ける。そして力強く持ち上げてそのまま空高く投げ飛ばした。スカイドンと同じ重量があって、普通の怪獣より体格がとても大きいガタノゾーアを空高く持ち上げるとは・・・恐るべし!

再び正面を向いたドライレクスは落ちてくるガタノゾーア目掛けて両肩にある首も合わせた3つの口から一斉発射する最強の必殺技『トリプルカイザービーム』を放つ。

 

 

「グゥゥヴヴヴヴヴオオオオオオオオオオォォォォォッーー!!」

 

 

空中では身動きが取れず対応する事ができないガタノゾーアは光線を防げず、全身に受けてしまった。そして体の様々な部分で激しい火花を散らせながら地面目掛けて落ちて行く。

 

 

ズッドオオオオオォォォォォォン!!!

 

 

激しく地響きと土煙を起こして地面に倒れているガタノゾーアだがまだ息をして生きていた。

流石邪神と言われた怪獣だと思いながら俺はギガライブナイザーを構えて回収した。

 

 

『フ・・・フッハハハ!遂に手に入れたぞ。邪神ガタノゾーアだぁ!!』

 

「グゥゥヴヴヴヴヴオオオオオオオオォォッーー!!」

 

 

俺の笑い声とドライレクスの勝利の咆哮が混ざって響く。ガタノゾーアは俺が知る怪獣の中で最強クラスの奴だ。こいつを見て大半の奴は恐怖を感じて拒否するだろうが俺は違う!

 

 

「お前も今日から俺の仲間で、家族だぞ・・・」

 

 

そう言って愛しくギガライブナイザーの中にいるガタノゾーアを見つめる。

さぁて、喜ぶのは一旦止めてもうひと働きするか。まだ回収しないといけない奴がいる事だし。

ドライレクスとガタノゾーアの激戦をずっと見ていた怪獣達の中で敵側であるザイゴーグ、デストロイア、エンマーゴの3体は仲間の敗北を見て戦意が低下し、本能で勝てないと察知して完全に弱腰になっていた。今彼らの頭の中に浮かんでいる事は一刻も早くこの場から逃走する事である。

そうしないとあの巨大な怪獣だけでなく、他の連中もやって来てしまうからだ。

 

 

「グギャアアアアァァァーー!ガハハハッ・・・!!」

 

「ヴウゥ!?ギャアアアアアッ!!」

 

 

そう結論して先に動いたのはザイゴーグである。地獄軍団で本当に最後の配下であるエンマーゴに指示を出す。主からの命令を聞いたエンマーゴは一瞬驚きの顔をするがすぐに刀を振り上げ、機龍だけでなくガイガン(FW)にも襲い掛かってきた。

 

 

「キイイイィィィガァァァ!!」

 

「ギィアアアオオオォォォン!!」

 

 

エンマーゴの刀をガイガン(FW)と機龍はそれぞれ鎌とドリルで防ぐ。だがエンマーゴは口から黒煙を吐いたり、刀を無茶苦茶に振り回したりと2体に攻撃を続ける。それは先程までとはどこか違う戦い方だった。すると突然エンマーゴの後ろから地震が起きた。

 

 

「グギャアアァァーー!ガハハハッ・・・!!」

 

 

地震の原因はザイゴーグがまた棍棒で地面を叩いていて、再び地面が割れると赤く血の池みたいに溶けて光り出した。そこへザイゴーグがゆっくりと入り始める。実はエンマーゴは主を逃がすために時間稼ぎをしていたのだ。

 

 

「キイイイィィィガァァァ!!」

 

「グギャアアァァーー!?」

 

 

いち早くその事に気が付いたガイガン(FW)は両腕の鎌からチェーンを出してザイゴーグの首にかけて引っ張り動きを止める。だがザイゴーグも逃げるのに必死でチェーンを取り外そうと棍棒で叩きまくる。さらにエンマーゴが刀でチェーンを斬ろうと迫るが、2体は目の前の事ばかり気にしてある事を忘れていた。それは・・・自分達の敵がもう1体いる事だ。

 

 

「ギィアアアアアアオオオオオオォォォン!!」

 

「「!?」」

 

 

ガイガン(FW)がザイゴーグ達の相手をしている間に機龍は胸部のハッチを開き、装備されているメーサー砲にエネルギーを溜めていた。咆哮を聞いてはっと思い出し、2体は急いで振り向いて攻撃に備えようとするが後の祭りであった。チャージを完了した機龍が口と胸から同時発射する『3連装ハイパーメーサー砲』を繰り出した。

それを見たエンマーゴが慌てて盾で防ごうと前に突き出すが光線の威力に盾が持ちこたえず壊れしまい、弾き飛ばされて倒れる。だがそのおかげでダメージを受けつつも倒されずに済んだ。そして光線はザイゴーグ目掛けて一直線に向かう。

 

 

「グギャアアアアァァァーー!ガハハハッ・・・!!」

 

 

迫る光線にザイゴーグは口から破壊光線、胸の発光器官から火炎弾の両方を放って相殺した。両者の間で爆炎が発生し煙が漂う中、ザイゴーグは防ぎ切ったと思って一息ついて再び地中に入ろうとした時、突如近くでドスンッと何かが落ちる音がした。不思議に思って音の方をした方を向くとそこには・・・自分の右腕の棍棒が落ちていた。

 

 

「!!?グギャアアアアァァァ・・・!?ガ、ハハハッ!!」

 

「キイイイィィィガァァァーー!!」

 

 

気づいた瞬間に激しい痛みが襲い掛かり悲鳴を上げる。また悲鳴とともにガイガン(FW)の鳴き声も響いた。実はガイガン(FW)が胸から小型の丸ノコのブラデッド・スライサーを発射して切り落としたのだ。

自慢の武器は切られ、チェーンで動きは封じられ、部下は満身創痍で、逃げる術がない状況にザイゴーグは怒りと焦りが混ざった表情をする。

もうこうなったら自棄だと背中の棘を辺り一面に滅茶苦茶に飛ばしたり、胸に力を込めてガバッと口のように開いて触手を出して2体からエネルギーを奪うとする。だが棘は光線によって破壊され、触手はブラッディ・トリガーとスパイラル・クロウで切り刻まれて2体に届かなかった。そしてガイガン(FW)は両腕からチェーンを外し、機龍と挟み撃ちにする位置に立つ。今まで戦いを静観していた俺はここで指示を出す。

 

 

『お前達、同時攻撃で一気に決めろ!』

 

「キイイイイイィィィィガァァァ!!」

 

「ギィアアアアアオオオオォォン!!」

 

 

指示に従い互いに声を上げた後、機龍は『3連装ハイパーメーサー砲』を、ガイガン(FW)は眼から『ギガリューム・クラスター』を放つ。光線は同時にザイゴーグに命中した。

 

 

「グギャアアアアァァァーーー!!ガハ・・・ハハハッ・・・」

 

 

2体の必殺光線を受けたザイゴーグは体から激しい火花を散らして悲鳴を上げながら倒れた。

しかし死んではいなかった。手加減しろと言ってないから本気で放った攻撃なのに・・・こいつもかなり強い奴だ。感心しつつギガライブナイザーを構えてザイゴーグ&エンマーゴの地獄タッグとお礼を言いながら機龍とガイガン(FW)を回収する。早く傷を癒して暫く休んでおきな。

 

 

『これでこの場に残っているのはアイツだけだ。さてどうなっ・・・!?』

 

 

まだ戦っているゴジラとデストロイアの戦いがどうなったかを確認しようと2体の戦場を見た瞬間、俺は絶句して暫し呆然としてしまった。

 

 

「ディガアアアオオオォォォォンーーー!!」

 

「ギ、ギィガア、アアアゴオオオォォ・・・」

 

 

ゴジラとデストロイアが戦っていた場所にはいくつものクレーターがあり、それぞれ近くにバラバラで黒焦げの分裂体になったデストロイアの死骸があった。

そして一番大きなクレーターの中にゴジラはいた。咆哮を上げるゴジラの両手には、体中から血が流れ落ちて虫の息状態であるデストロイアが握られていた。

最初デストロイアもドライレクスの強さに恐れて逃走しようとしたが、因縁の相手をゴジラが逃がす訳がなかった。空に飛び上がろうとするデストロイアの翼を『放射熱線』で破壊して飛べなくし、落ちてきたところでパンチやキックを連続で浴びせた。その後尻尾を掴んで思いっきり地面に叩きつけた。その衝撃は激しくデストロイアの体は粉々になって散ってしまったが、デストロイアは分裂体となって反撃を開始して口から『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』を放射しながら数で攻めた。しかし・・・結果は先程の通り、太い尻尾や脚で踏み潰されたり、全身から放つ『体内放射』で焼かれたり吹き飛ばされたりして痛めつけられ、とうとう全滅寸前まで追い詰められてしまった。

 

 

『本当に容赦ないな・・・』

 

 

ゴジラの怒りが籠った戦いに俺は少し恐れを感じた。本当に仲間にして良かった。もし敵のままであったらタダでは済まなかっただろう。

そう思っている間にゴジラは掴んでいるデストロイアを思いっきり遠くへ投げ飛ばした。

 

 

「ディガアアアオオオォォォォンーーー!!」

 

 

投げ飛ばされたデストロイアは地面に落ちてピクリとも動かなかったが、まだ生命反応を感じた。ゴジラも相手が生きている事に気づいていて、止めを刺そうと背びれを青く光らせて熱線を放とうとする。だが前と同じゴジラが光線を撃つ前に俺はギガライブナイザーを前に出して回収する。

デストロイアが消えて一瞬驚くが一度見た事があったのでゴジラはすぐ俺(ドライレクス)を睨み付ける。

 

 

『言ったろ?俺の目の前で怪獣は殺させないと。それにあれ程痛めつけたんだからもう十分だ』

 

「グルルル・・・!!」

 

 

そう言って宥めるけどゴジラは怒りの表情のままだ。やっぱりそう簡単には収まらないか・・・まぁ、仕方ない。ここはあの手で行くか。

 

 

『このまま戦い続けているとお前を待っている大切な同族が悲しむぞ』

 

「!?」

 

 

同族が悲しむと言う言葉を聞いてゴジラはだんだんと表情を和らげて唸り声も小さくなっていく。やはりゴジラを説得するにはミニラ達同族を使うしかない。少し汚い手だと思いつつも大人しくなったゴジラをギガライブナイザーに戻す。それから俺は休む暇もなく翼を大きく広げて空を飛び、戦いが行われた場所へ向かう。

そして各地で戦っていたラドン、メガギラス、スペースゴジラ、ガルラ、アンギラス、ドラゴリー、モスラ姉弟、バルグザーダン、Godzilla、ベロクロンの全ての怪獣を回収した。回収した怪獣達の中には危ない状態だった奴もいたが何とか間に合った。戦いが終わって俺もドライレクスからライブを解除して元の姿に戻る。

 

 

「ふぅ~~やっぱりライブすると疲れる。まぁ、終わり良ければ総て良しだ!さて次は人口太陽をこっちのものにしないとな・・・」

 

 

原作ではキングジョーブラックのせいで機械にトラブルが起きて惑星ボリスに激突して大爆発が起きてしまい、ボリスが巨大な炎に包まれてしまった。奴を倒したからと言ってそんな事が起きないと言う保証はない。念には念を入れてテントの中に置いてあったパソコンを起動してパスワードを変更して人口太陽のプログラムに手を加え、ZAPの連中が操作できないようにした。他にもまだ破壊されずに残っている基地や機械なども俺の物にした。

 

 

「これで全部完了っと。それじゃ・・・レイ達の元に向かうとするか」

 

 

再びギガライブナイザーを構えてキングオブモンスを再召喚した。何故大コンドルではないのかって?考えても見てくれ。もしレイとリーシャがまだケイトとバトルしていたら絶対太刀打ちできないからだ。現れたキングオブモンスの頭部に向かって大きくジャンプして乗っかる。

 

 

「疲れているところ悪いなキングオブモンス。レイ達の元まで飛んでいってくれ!」

 

「グオオオオォォォッーー!!」

 

 

俺の声を聞いてキングオブモンスは翼を大きく広げ飛び立ち、石となったウルトラマンがいる場所に向かう。

空高く飛んで少し経つと目的地が見えて来た。援護が必要かなと思いつつ俺は空の上から戦場を見るとレイとケイトの姉弟対決はもう終わろうとしていた。レイは既にレイモンへ覚醒してゴモラもEXゴモラになっている。あと2人が戦っている所から少し離れた場所にモスラから降りて回収したと思われるリーシャ達とペンドラゴンから降りたヒュウガ達が戦いを見守っていた。

 

 

「グォアアアアシャアアアァァッ!!」

 

「ゼットオオォン!!」

 

 

凄まじい咆哮を上げながらEXゴモラは『大回転尻尾落とし』を繰り出してゼットンに大ダメージを与えて、そのまま全身にエネルギーを集めて『EX超振動波』で止めを刺した。

 

 

「ゼットォン・・・・」

 

 

弱々しく鳴き声を出した後ゼットンは倒れて大爆発した。それを見た後レイモンはウルトラマンの方へと体を向けて封印を解こうとレイオニクスパワーを送り出す。だがそれより俺はケイトの事が気になった。

この戦いは“真のレイオニクスバトル”の筈だ。自分の怪獣が倒されたと言う事はケイトも大ダメージを負っている。そう思って辺りを見渡してみるとボロボロになりながらレイの元に歩いているケイトを発見した。俺はキングオブモンスに降りるようにした後、ギガライブナイザーに戻す。そして力を使いすぎて元の姿に戻ったレイの所まで歩いて膝をついている彼に肩を貸して立たせた。

 

 

「いくら覚醒したからと言って無茶な事をするぜまったく・・・(苦笑)」

 

「ハァハァ、クロウ・・・」

 

「「「「「クロウ/さん/様!!」」」」」

 

 

俺の事に気が付いた全員が走りながら傍に寄って来る。それから少し遅れてフラフラしながらケイトもやって来た。そして彼女は戦いの中でレイを鍛えて覚醒させると言う自分の役目は終わった事とレイブラッド星人の後継者になる為に最強のレイオニクスを決める戦いに勝たなければいけない事をレイに告げた。

 

 

「必ず勝つのよ、レイモン・・・私の・・・・・弟よ・・・」

 

 

涙を流しながらそう言って原作通り光となって消えると思ったがまだ消えず、今度は俺の方を向いて話す。

 

 

「あなたが・・・弟を導いて、守ってあげて・・・モンスターキング・クロウ・・・」

 

「・・・お前の願い、引き受けた」

 

 

ケイトの頼みにクロウは真剣な表情かつどこか優しい感じで引き受ける。それを聞いてケイトは再び涙を流す。だがそれは嬉しい気持ちから出る涙であった。

そしてケイトは光となって消えていった。本当に弟想いの優しいお姉さんだったな。それに俺の事をモンスターキングと認めてくれたし。

 

 

「ケイト・・・」

 

「姉の事を忘れず、想いと願いを無駄にするなよレイ」

 

「・・・ああ、そうだな」

 

 

戦いは全て終わった。だが未だ残っている問題がある。

1つはレイの今後について、もう1つはまだ少し石となっているウルトラマンについてだ。

 

 

「レイ、こんな状況だからこそ言う。お前は・・・どっちに付きたい?」

 

 

まず先にレイに今どちらと一緒に行くかを訊ねた。俺達レイオニクスの者同士この惑星で共に残るか、ヒュウガ達ペンドラゴンのクルーとして付いて行くか。難しい選択にレイは顔を俯かせて考える。だが答えはすぐに出た。

 

 

「クロウ、俺は・・・ボス達と一緒に地球に帰る!」

 

「・・・良いんだなそれで?」

 

「あぁ、昨日ボス達に俺の正体を話したんだ。人間じゃない俺を皆は・・・仲間と言ってくれたんだ」

 

「そうか・・・ならもう俺が言う事はない。だが忘れるなレイ、俺はお前の味方だ。何かあったらすぐに俺の元にやって来るがいい」

 

「私も待っていますよレイさん」

 

「我モ偉大ナル主ト同ジ、オ主ノ味方ダ」

 

「「私達も貴方に幸せと安らぎが続く事を祈っています」」

 

 

俺だけでなくリーシャ、ジェロニモン、ユニ、リンもレイに優しい言葉を送る。自分が1人ではないと感じたレイは静かに涙を流した。その後ヒュウガ達とも別れの挨拶を済ませ、全員がスペースペンドラゴンに乗って惑星から旅立って行った。

 

 

「アイツらがちゃんと無事な所まで行けるようにあんたに護衛を頼むぜ・・・ウルトラマン」

 

「ヘヤッ!」

 

 

俺の頼みにウルトラマンは承諾する。ちょうどレイ達がペンドラゴンに乗って空高く飛び上がった時にウルトラマンは石から脱出したのだ。リーシャ達はいつの間にか後ろで立っているウルトラマンを見て驚く。特にジェロニモンは今にも攻撃しそうな感じだが、身長差と俺が手で制しているのを見て我慢している。

 

 

「俺は別にお前達光の戦士と今やり合うつもりはない。攻撃もしないから安心してこの惑星から立ち去れ。あとついでに光の国に帰ったら伝えておけ。惑星ボリスは怪獣達の楽園で、この俺・・・モンスターキング・クロウの物だとな!」

 

 

「・・・シュワ!!」

 

 

無言のままウルトラマンは空高く飛び上がってペンドラゴンを追い掛けて行った。これで厄介な問題は全て解決した。軽く背伸びしながらリーシャ達に笑顔で言う。

 

 

「さぁ~て!今日はもう疲れた。この後ゆっくり休んで明日からこの星の楽園作りを始めるぞ!!」

 

「「「はい!クロウ様!!」」」

 

「グェグェグェ、ウオオオオォォォ~~!!」

 

 

俺の怪獣王への道は今1歩進んだばかりだ。今後も大切な怪獣達やリーシャ達・・・仲間や家族と一緒に進ませてもらうぜ!!

 

 

それから少しして宇宙にある1つの噂が流れるようになった。

いくつもある惑星の中に様々な怪獣が多く存在して、互いに仲良く暮らしている。そしてその怪獣達を守り、従えている強大な力を持った者が存在しているとのことだった。

 




宇宙 夢とロマンが積もった物語


次回、第2章惑星ハマー編、始動!


新たな出会い、過酷な試練、運命の決断、新たな王が誕生する!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 怪獣王VS赤い通り魔

お待たせしました。新生活の忙しさにだいぶ遅れてしまいました(汗)今日ようやく完成しました。今回は惑星ハマーの前に起きた番外編です。ボガールと同じで、怪獣に仇なす存在のあの鬼畜ヒーローとの対決です。さらに!今回は自分なりに考えたクロウの怪人形態も登場します。かなり激しい戦いになって、恐ろしい決着になる!?是非楽しんで読んでください!
感想と評価をお待ちしております。

怪獣王クロウ(怪人形態)最強合体獣キングオブモンス、磁力怪獣アントラー
砂地獄怪獣サイゴ、透明怪獣ゴルバゴス、噴煙怪獣ボルケラー
甲殻怪地底獣ゾンネル、岩石怪獣サドラ、地底怪獣バラゴン、レッド星人レッドマン   登場



惑星ボリスからレイ達が去り、怪獣達の楽園となってから約1ヶ月が経った。

その間に俺はリーシャやジェロニモン達と協力して惑星の開拓や調査、住んでいる怪獣達の住処を分け合ったり仲間にしたりした。おかげで怪獣達は互いに理解して共存し、中には同居し合う者がいたりと仲良く平和に暮らせるようになった。

しかし怪獣達の中には戦いが好きな奴も数十体くらいおり、そんな連中はギガライブナイザーの手持ちとしていつでも戦う事ができるようにしてストレスなどを与えないようにしてあげた。昼間はそうやって怪獣達の世話をして、夜はリーシャを始めとした女怪獣達の相手をしてあげている。意外にリーシャの相手もハードなものだ。まぁ、俺自身もやりたいからしているけどな(笑)

そう言った日々を過ごしながら今日も昼間から怪獣達の暮らしを観察しつつ見守っていた。

 

 

「今日のこのエリアも異常はないな・・・」

 

 

今俺がいる場所は一面が岩と砂で埋め尽くされて、所々に巨大な岩石や少々生えている植物などがある砂原エリアである。此処に住んでいるのはアントラー、サイゴ、ゴルバゴス、ボルケラー、ゾンネルなど他も含めて数十体ほどいる。

アントラーとサイゴは同じ砂の中で一緒に暮らして、ゴルバゴスとボルケラーは岩をボールみたいにして遊び、ゾンネルは岩の間に挟まって眠っているなどそれぞれが幸せそうだった。そして時々子供の姿も見れた。そんな彼らの様子を俺は大きな岩場の上で観察している。

 

 

「やっぱり可愛いな怪獣は・・・っ!!?」

 

 

この光景に心が癒されていた時、突如この惑星に何かがやって来た事に気が付いた。宇宙怪獣かなと不審に思わず、また観察をしていた時に遠くの方から悲鳴が聞こえた。通常の人では聞き取れないはずの声だったが、俺の耳にははっきり聞こえた。今のは間違いなく怪獣の断末魔の悲鳴だ。

 

 

「あっちか!出てこいキングオブモンス!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「グオオオオォォォーー!!」

 

 

断末魔がすると言う事はやって来た相手は結構強い奴だ。その事を考えてギガライブナイザーからキングオブモンスを召喚して頭部に向かって大きくジャンプして乗っかり、急いで悲鳴がした方向に行くように指示する。キングオブモンスは翼を大きく広げ飛び立ち、空高く飛行する。その道中で俺は信じられない光景を目にした。

 

 

「ば、馬鹿な・・・こんな事が・・・」

 

 

様々な所に怪獣達の死骸が転がっていた。どの怪獣も何度も刺された痕や顔や体を激しく殴られた痕、首が別方向に折られている痕など惨すぎる光景に吐き気を起こしそうだ。同時に後悔と悲しい気持ちが湧き上がった。もしもあの時、すぐに様子を見に行っていればこんな事にはならなかった。此処にいる怪獣達を殺したのは俺だ、とクロウは自分を責めた。そんな様子をキングオブモンスは飛びながら悲しそうな眼で見つめていた。

けどクロウはそれに気がつかず、逆にある怪獣達の死骸に突き刺さっていた槍の様な武器をじっと見つめていた。

 

 

「あの武器・・・まさかアイツがいるのか!?」

 

 

あれの使い手が誰なのか分かると心の底から今までにないくらいの怒りが湧き上がった。

するとまた怪獣の悲鳴が聞こえた。下を見てみるとそこにはサドラとバラゴンが赤い巨人に追われていていた。2体とも体中傷だらけで、口や体から血も流れ出ていた。そしてその2体を追い掛けている巨人・・・真っ赤な体に銀色の手袋、ブーツ、ベルトを付けて、中国の辮髪帽をかぶったような頭が特徴の戦士『レッドマン』だ。アイツは銀河連邦の一員でレッド星出身の戦士だ。平和のためと言う理由で怪獣と戦い続けているが、そのやり方が余りに許せないものだった。今目の前で起きているように戦意がなく必死で逃げる怪獣を追いかけて捕まえたり、先程見た光景通りに怪獣を虐待して倒したりなど、ウルトラ戦士達とはまるで違うから“赤い通り魔”とも言われている。

 

 

「キングオブモンス、お前はあの2体を助けて離れていろ・・・」

 

「グオオオオォォォッ!?」

 

「奴は・・・俺の手で倒す!!」

 

 

そう言ってキングオブモンスから飛び降りる。それを見たキングオブモンスが慌てて空を飛行する事ができない主(クロウ)を助けようとしたが、途中で動きを止めてしまう。なんとクロウの体が少しずつ変化して巨大化していったのだ。

頭と額から黒い角が出て、両腕に鋭い刃のような物が生えて、胸部に鋭い爪がある腕に似た物が重なりあって、体全体も人の姿から怪人の姿へと変わっていく。この姿こそレイがレイモンへ覚醒したようにクロウがレイブラッド星人に覚醒してなった形態なのだ。さらに身長も50メートルくらい巨大になり、持っていたギガライブナイザーも大きくなった。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「ウオオオオオォォォーーー!!」

 

 

大きく咆哮を上げながらレッドマンと怪獣達の間に砂煙を巻き上げながら着地する。

 

 

「よくも可愛い怪獣達を殺したな!俺は貴様を絶対に許さない!!」

 

「・・・!レッドファイト!!」

 

 

殺意を放ちながら現れた新たな敵を見てレッドマンは標的を変えてファイティングポーズをとる。

 

 

「大丈夫かお前ら?早く此処から逃げて安全な所で待っていろ。コイツを倒したらすぐに傷を治してやるからな」

 

 

痛みと恐怖で体を震わせていた2体にクロウは後ろを向いて優しく声を掛けて逃げるように指示を出す。最初目の前に現れた相手も敵かと思っていたサドラとバラゴンだが、その声を聞いて彼がいつも自分達を守ってくれる王だと分かると嬉しい表情になる。そして空からやって来たキングオブモンスにも指示を受けて、2体はクロウに深く頭を下げて走り出した。

その途中、キングオブモンスがこちらを向いて鳴き声を出した後2体を連れて走って行った。

 

 

「(絶対に負けるな!っか、やっぱり良い相棒だな)・・・行くぞ!!」

 

 

鳴き声の意味が分かるとクロウは内心感謝する。そして視線を前に戻して勢いよく突撃してレッドマンの胸部目掛けてギガライブナイザーを突き出す。対するレッドマンも石突が十字架の形をした手槍『レッドアロー』を両手に強く握ってそれを防ぐ。

 

 

ガッキィィン!!

 

 

「レッドアロー!!」

 

 

激しい金属音を響かせながらレッドマンは腕に力を込めてギガライブナイザーを押し返し、さらにクロウの腹にキックを食らわす。それを受けて後ずさりしたクロウにお返しとばかりに『レッドアロー』を投げつける。

 

 

「そんなもの!」

 

 

キィン!!

 

 

「レッドナイフ!!」

 

 

クロウはレッドアローを力強くギガライブナイザーで叩き落とす。だがその後2本の短剣に似た大型のナイフ『レッドナイフ』が同じように交互に投げ飛んできた。レッドアローを投げた後の隙を取らせない戦法だ。

 

 

「舐めるな!!」

 

 

しかし2本ともクロウがギガライブナイザーを車輪のように素早く回した事で弾かれた。連続攻撃が防がれたのを見て流石のレッドマンも驚いたのか動きを止める。その隙にクロウは回すのを止めて、再びギガライブナイザーを構えて突っ込むが、ある程度距離が近くなったところでレッドマンは大きくジャンプして飛び蹴りを放つ。

 

 

「レッドキック!!」

 

「ぐおぉ!?」

 

 

放たれたレッドキックはギガライブナイザーに当たり、その衝撃で両手から弾き飛んで少し離れた地面に突き刺さってしまった。着地した瞬間、レッドマンは武器を失ったクロウに駆け寄ってパンチやチョップを何度も繰り出して打ち込む。

そして強烈な一撃を受けてフラつくクロウの首を掴んで背負い投げのように投げ飛ばした。

 

 

「タァッ!」

 

 

地面に叩きつけられて転がるクロウにさらに追撃しようと近づいて首を掴もうとした時、突如腹に痛みが起きた。見てみるといつの間にかレッドマンの腹に斜め横に切れた痕があって、そこから血が流れていた。

 

 

「どうだ?お前のナイフより切れるだろう」

 

 

そう言うクロウの右腕にある刃には血が付いていた。どうやら攻撃し続けて油断していたレッドマンに鋭い一撃を与えたようだ。またクロウもあれだけ殴られた筈なのにそれほどダメージを受けていない感じだった。実はこの1ヶ月間クロウは覚醒できるようになる以前にずっと自分を鍛えていたので、これほどの攻撃にも耐える事ができるくらい強くなったのだ。

 

 

「今度はこっちの番だ!ギガモンスランス!!」

 

 

レッドマンの腹の切られた部分を強く蹴って後退させ、その隙に立ち上がって右手をグドンの鞭に、左手を3式機龍のドリルに変化させて戦闘態勢を構える。一方レッドマンは切られた上に蹴られた痛みが激しいのか、膝をついてうずくまっている。それを見てチャンスと思ったクロウは素早く近寄って、右手の鞭を首に巻き付けて締め付けながらレッドマンの心臓目掛けて左手のドリルを突き出す。

 

 

「トォッ!」

 

 

間一髪のところでレッドマンは右手でドリルを掴んで押さえる。そして左手で鞭を掴んで引き離そうと力を込める。しかしそれを見たクロウが再びレッドマンの腹にキックを繰り出す。蹴る度にクロウの足先に赤い血が飛びついていく。相手に攻撃され続けられて悔しい思いが湧き上がったのか、レッドマンの両手にさらに力が入る。けれどそれとはもう1つ別の思いもあった。今まで多くの怪獣や宇宙人を倒して葬ってきたが、こんなに自分と渡り合う敵は初めてだ。表情にこそ出さないものの、赤い通り魔のレッドマンは内心ほくそ笑んだ。

 

 

「イヤッ!」

 

「うおっ!?」

 

 

攻撃を受け続けた事でとうとう怒りが爆発したのか、勢いよく立ち上がったレッドマンはそのままクロウを強く地面に叩きつけた。余程凄まじい力だったのか、周りに衝撃が走って砂煙がまきあがり、大きな地震が起きた。

叩きつけられた時に頭を強く打ったのか、クロウは意識がボーッとして起き上がれる事ができなかった。だがこれだけでは終わらず、倒れたクロウをレッドマンは無理矢理立たせて再び叩きつけた。それからレッドマンは倒れたままのクロウの両足を掴んでそのまま引き摺りながら一直線に走り出す。ようやく頭がはっきりしてきたクロウは引き摺られながら頭を起こして目の前を見るとこの先は崖であった。

 

 

「(まさかアノ技を使う気か!?)この野郎・・・離せ!」

 

 

レッドマンの次の行動を悟ってクロウは拘束を抜けようと何度も鞭で相手の体を叩く。だがそれも空しくとうとう崖の所まで来てしまう。

 

 

「レッドフォール!」

 

 

技の名前を叫びながらレッドマンは掴んでいたクロウを崖下に投げ落とした。先程のダメージによって背中から翼を出す事や超能力を使う事ができない。しかし、クロウは最後まで諦めていなかった。

 

 

「貴様も道連れだ!」

 

「!?」

 

 

落下していく中、クロウは右手の鞭をレッドマンの足に巻き付けた。今までこのような事態が起きていなかった為にレッドマンも反応するのが遅れてクロウと一緒に落下していった。2人は地面と近くにあった岩に体を打ちつけられ、転がり落ちた地点から動かなかった。

そして暫く経った後、先に立ち上がったのはレッドマンの方だった。体中砂で汚れ、腹から血を流してフラフラしつつも未だ倒れたままのクロウの元に向かう。この行動は、相手が死んだかどうか念入りに確認する『レッドチェック』と呼ばれるものである。この残虐な事をするため、レッドマンは『赤い通り魔』と言われるのだ。

そして倒れているクロウの元に辿り着いて見つめようとした時、突如閉じていたクロウの眼が開き、さらに体も起き上がったのと同時に左手のドリルを突き刺した。

 

 

ドシュッ!!

 

 

左手のドリルはレッドマンの腹に当たってそのまま突き破った。完全な不意打ちと自信が相当なダメージを受けていたため、レッドマンは避ける事ができなかった。

 

 

「ク、クハハハッ・・・悪いな。俺は結構生命力が高くってな。何とか生き延びたんだよ」

 

 

生きている理由を説明するクロウだが、彼も体中から血が流れ出て傷だらけだ。しかしクロウは攻撃の手を緩めず、ドリルをレッドマンの腹から引き抜く。するとレッドマンはゆっくりと前に倒れる。そして倒れた地面に真っ赤な血の水溜りが広がっていった。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・これで、ハァハァ・・・くたばったか?」

 

 

荒い息を出して全身の痛みを我慢しながら立ち上がり、油断しないように警戒しつつレッドマンの生死を確かめる。

暫く見るけど奴はピクリとも動かない。勝ったと思った時、なんとレッドマンはよろめきながら起き上がろうとする。まだレッドマンは生きていた。それならばとクロウはレッドマンの背中に跨って馬乗りになり、両足で押さえ込んで動けなくする。

 

 

「貴様が今まで殺してきた怪獣達の痛みと苦しみを・・・全て思い知らせてやる!!」

 

 

恐ろしいくらいに低い声で言うと両手を再び自分の手に戻し、手を強く握って怒りを込めたパンチをレッドマンの背中や頭に何発も打ち込む。自分の手が壊れようとかまわない程強烈なパンチを浴びせる。レッドマンは両手足を動かしたりして抵抗するが、楽園に住む怪獣達を護ろうとする気持ちと殺された怪獣達の仇を討つと言う気持ちが籠った力は強く、どうしても起き上がれる事ができなかった。

無我夢中で殴り続けた後、クロウはそのままうつ伏せに倒れているレッドマンの頭部を乱暴に掴んで、地面に何度も叩きつけた。頭が割れると思うくらい叩きつけると今度は首と顎を掴む。そして全てのパワーを両手と両腕に込めて後ろから引っ張り曲げ始める。

 

 

ギリギリッ・・・メキメキ・・・ボキッ!!ブチッ!!

 

 

するとレッドマンの首から痛々しい嫌な音が響き出た後、首は180度反対方向に折れ、さらに骨が砕けて肉が千切れて体から抜けてしまった。首が抜けたと同時にレッドマンの眼から光は消えて絶命した。

今まで多くの怪獣達を残虐な方法で倒してきた赤い通り魔は、自分の首を引っこ抜かれると言う因果応報なやり方で倒されてしまったのだ。

 

 

「か・・・勝った。フ、フハハ・・・やったぞおおおぉぉぉーーー!!」

 

 

自分の両手に抱えられているレッドマンの首を見てクロウは勝利の咆哮を上げた。怪獣の楽園を守りきり、仇を討てた事にクロウは・・・否、怪獣王は喜びを表す。

しかし、ここまでのダメージと緊張が解けたためにクロウはゆっくりと後ろ向きに倒れてしまった。ゆっくりと閉ざされて真っ黒になっていく視界の端で、キングオブモンスと知らせを聞いたのであろうリーシャ達が走り寄ってくる姿があった。

その後、クロウが目を覚ますとリーシャやキングオブモンス、この星に住む怪獣達からも泣かれたり、怒られたりして必死に謝りつつ自分の事を心配してくれるこの者達を守れて良かったと改めて思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

それから数日経つとこの戦いの事が宇宙に流れた。

『銀河連邦最強の戦士で、怪獣退治の専門家のレッドマンが怪獣王クロウに倒された!』この衝撃のニュースを聞いて銀河連邦はクロウを危険人物と警戒するが、怪獣と宇宙人達は英雄と称えて、彼の強さと器の大きさに惚れて自ら仲間や傘下になる者が現れるようになったとの事だった。

 




やりました!ようやく念願の仇討ちができた!!

あの赤い通り魔にキツイ制裁を与える事ができました。今まで多くの怪獣達がアイツの為に泣かされてきたことか。まぁ、怒りの為にいろいろとやり過ぎた事もありましたけどね(笑)
次回から惑星ハマー編に入ります。皆様、また時間がかかってしまいますが楽しみに待っていて下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2章 惑星ハマー編
第20話 新たな冒険の旅へ


皆様。お久しぶりです。
今回から遂に第2章 惑星ハマー編が始まります。惑星ボリスの時とは違って怪獣だけでなく、レイオニクスである懐かしい宇宙人達も登場します!彼らと手持ち怪獣達の組み合わせが何なのかを是非楽しみつつ読んでください!感想と評価をお待ちしております。


有効珍獣ハネジロー、ゴジラザウルスの子供ベビーゴジラ、戦闘円盤ギガ・ロボフォー
変身怪人ピット星人(RB)、ペダン星人ダイル   登場



とある宇宙空間―――

 

 

数々の星々がキラキラと輝いている此処にて、ある1機の宇宙船が飛んでいた。その宇宙船の中には1人の宇宙人がいた。

その名はピット星人。リーシャと同じ種族であって、さらに彼女はリーシャが探しているお姉さんだ。そして彼女の手首には赤色の模様が刻まれている金色のブレスレットが付けてあり、また手にはバトルナイザーが握られていた。つまり彼女もレイオニクスバトラー(RB)であるのだ。

 

 

「フフフ、これで私は宇宙の支配者・・・アッハハハハハ!!」

 

 

野望の火を激しく燃やしながら高笑いするピット星人(RB)だが、彼女の背後に突然何者かが瞬間に現れた。見た感じにその者は兵士で、その手には銃が握られていた。

 

 

「ハッ!何者だ!?」

 

 

気配を感じたピット星人が振り向いた瞬間、現れた兵士は銃を2発撃つ。1発目はピット星人が手に持っていたバトルナイザーに命中し、2発目は彼女の体に命中する。撃たれたピット星人は断末魔を上げながら消滅した。

その後、兵士は腕に装着していたリングのスイッチを押して宇宙船の内部を銃で破壊するとテレポートで姿を消した。それから少し経つと宇宙船は爆発して木端微塵になった。

残骸が広がる宇宙空間の中にはピット星人が持っていたバトルナイザーもあった。所々壊れていたが奇跡的に1番目のスロットは無事であった。すると突然近くにワームホールが現れて残骸と共にバトルナイザーを吸い込んだ。そして吸い終えるとそのまま消えるのであった。

 

 

 

そして場所は宇宙空間からクロウ達がいる惑星ボリスへと変わる。

赤い通り魔=レッドマンとの死闘から数日が経ち、クロウの傷も再生能力が高いおかげで一週間ほどで癒えて怪獣達を見守る元の平和な日々を送っていた。そして今も怪獣達を見渡せる岩場に座って、ハネジローやベビーゴジラ達と戯れながら観察している。

 

 

「う~~ん、こうして体を動かせると言うのは良い事だ!」

 

「パム~~♪(スリスリ)」

 

「ギャウゥ~~♪(スリスリ)」

 

 

2体は自身の頭を体を擦りつけて懐く。俺は愛情を込めて2体の頭を優しく撫でる。けどいつもこの2体と言う訳ではなく、毎日別々に子供怪獣達の遊び相手をしてあげている。これは昨日までの俺にとっては唯一の運動である。

傷が癒えるまでの間ずっと寝た状態が続いたため、体が鈍ってどうしようもなかった。少しでも動かそうと思えばリーシャ達が「世話は私達が全部やります!」と言って食事や着替え、さらにトイレと言った事までやろうとしたから本当に焦った。

だって皆さん、愛する女にそんな事までさせて良いと思いますか?いくらなんでもカッコ悪いと思うだろう。まぁ、その時は必死に説得したおかげで何とか危機を脱せる事ができた。

 

 

「こんな日がずっと続いてくれたら嬉しいんだけどな~~そうも言っていられないか」

 

 

俺の予想が当たっていればもうすぐレイオニクスの宿命とも言えるあのバトルが始まる。

レイオニクス同士が戦い合ってレイブラッド星人の後継者を決める“レイオニクスバトル”が!今いる手持ち怪獣達は猛者ばかり、またリーシャやジェロニモン達に特訓と指導をずっとしてきたからレベルも上がっていて戦力は十分。宇宙船などの準備も整っているし、あとやるべき事はレイと合流するだけ・・・善は急げと言うから動くか。

 

 

「クロウさん・・・ちょっといいでしょうか?」

 

「うん?どうしたリーシャ?」

 

 

2人を呼ぼうと岩場から降りようとした時にタイミング良くリーシャとジェロニモンがやって来た。しかし今の彼女は少し不安そうな顔をして、また両手に何かを持っていた。

 

 

「これを見てください」

 

 

両手を前に出して掌をゆっくり開けて持っていた物を見せる。そこには青色の模様が刻まれている銀色のブレスレットがあった。それは前にリーシャが姉も持っている色違いの物で、姉妹にとってとても大切な物だと俺に教えてくれた物だ。だが今このブレスレットは・・・。

 

 

「少しヒビが入っていないか?」

 

「そうなんです。これに何かあったと言う事は姉さんの身に危険があったかもしれません!だから私・・・探しに行きたいのです!!」

 

「ケド前ニクロウ様ガ話シタ内容デハ、オ前ハ姉ニヨッテコノ惑星ニ捨テラレタノデハナイカ?ソレデモ探シニ行クノカ?」

 

 

ジェロニモンの言葉を聞いてリーシャは俯くが、すぐに顔を上げて真剣な眼で答える。

 

 

「たとえ酷い事をされても姉さんはかけがえのない家族なのよ!」

 

「・・・・・了解したよリーシャ」

 

 

ここまで家族思いの者はそう多くはいない。リーシャは本当に良い女だ。これほど素敵な女性を恋人に持てるとは俺も運がいい。そう思いつつ立ち上がって岩場から降りてリーシャの頭に手を置いて優しく撫でる。

 

 

「愛する彼女の頼みを俺が聞かないと思ったか?安心しろ。これからすぐにギガ・ロボフォーに乗って探しに行こう」

 

「クロウさん////」

 

 

クロウの言葉を聞いてリーシャは顔を真っ赤にしながら幸せな感じになる。その後、ユートム達ロボットに食料や工具などをギガ・ロボフォーに積ませる。

あとユニとリン姉妹と怪獣達の中で一番しっかり者のローランに他の怪獣達の世話を頼む。

また彼女達や力の弱い怪獣達を守る為に数多くいる護衛怪獣の中から数体配置し、惑星ボリスと住んでいる怪獣達を守るように指示を出す。そして子供怪獣達にもちゃんと留守番するように伝えた。やるべき事を全て終わらせた後、リーシャとジェロニモンと共にギガ・ロボフォーに乗り込む。ちなみに座っている席は左右前や周りにはリーシャ&ロボット軍団、後ろの方にクロウがいてその少し右手前にジェロニモンがいる状況である。

 

 

「それでは最初にレイと合流して、その後リーシャの姉を探す旅に出発する。ギガ・ロボフォー発進!」

 

 

全機能を起動させて動力を動かすと宇宙船ギガ・ロボフォーは空高く飛び立って惑星ボリスから出発した。それから暫くの間レイがいるZAPの宇宙基地を目指してずっと宇宙空間を飛び続けて、ようやく基地が見える距離まで辿り着いた。よく道に迷わなかっただと?簡単な事だ、惑星ボリスに残っている連中のデータから進路を設定したからだ。

 

 

「クロウさん、宇宙基地が見えて来ました。此処からはギガ・ロボフォーをステルスモードに切り替えますね」

 

「あぁ、頼む」

 

 

リーシャが操縦桿の側にあるボタンを押すとギガ・ロボフォーは一瞬で消えた。正確には光学迷彩で透明になった感じだ。また特殊な電波を出してこちらの位置が分からないようにして基地に接近する。そしてある程度まで近づくと誰にもばれない様にテレポート装置で侵入した。

中にやって来たのはクロウ、リーシャ、ジェロニモンの3人で、あまり大勢で行くと見つかりやすくなってしまうから残り者達は宇宙船の中に待機させた。

 

 

「ふ~ん、ZAPの宇宙基地と言うのは惑星ボリスにある基地と比べてもあまり大差ないな」

 

「ソレデクロウ様、レイガ何処ニイルノカ知ッテオルノデスカ?」

 

「当然だジェロニモン、アイツの気配はこの基地に入った瞬間から感じた。2人とも付いて来い」

 

 

そう言った後3人は慎重に歩きながら進んで行き、暫くして宇宙船ペンドラゴンとゴースタードラゴンがある所に辿り着いた。まだ1ヶ月しか経っていないのに懐かしいと思いながらさらに奥に進んで行くと、途中で3人の軍人がレイを拘束しながら歩いているのを見つけた。それを見て俺達は咄嗟に壁際に隠れる。

 

 

「クロウさん、レイが!」

 

「あぁ、悲しい事だ。ボス達以外のZAPの連中は俺の忠告を忘れてしまったらしい」

 

 

約束を破る奴にはお仕置きしないといけないな。少し悪い顔をしながら俺達は軍人達があるドアの前で止まって何かの操作を始めた時、堂々と奴らに近寄る。いち早くクロウ達に気が付いたリーダーらしき軍人が銃を構えて問い出す。

 

 

「な、何者だ!?」

 

「お前達は聞いていないのか?モンスターキング・クロウの名を・・・」

 

「なっ!?お前があの!!」

 

 

目の前にいる者が、前に自分の上司から教えられた怪獣王クロウである事を思い出したリーダーは慌てて部下に攻撃命令を出そうとした。

だがそれよりも早くリーシャが銃を抜いて部下2人を撃つ。撃った弾は事前に用意してあった麻酔弾で、これにより2人は倒れて眠ってしまった。一気に劣勢になってしまった事にリーダーは狼狽え、自分の背後から危険が迫っている事に気付いていなかった。

 

 

「グェグェグェ!我等ノ王ヲ裏切ル愚カ者メ・・・消エロ!!」

 

「んん、ウゥ・・・ァァァーー・・・」

 

 

背後から近寄ってジェロニモンは、リーダーの口を両手で押さえつけながら自分の方に無理矢理振り向かせると彼から生命エネルギーを吸い始めた。エネルギーを全て吸い取られた彼は骨と皮だけになり、そのまま放り捨てられた。

邪魔者を片付けた後、クロウはレイの両腕に付けられている手錠を外す。

 

 

「大丈夫かレイ?」

 

「あぁ、ありがとう。けどクロウ、どうして此処に?」

 

「俺達は今リーシャの姉を探しに宇宙の旅に出ているんだ。それだけならお前の元に行く必要がないんだが、もうすぐアレが始まる」

 

「アレ?」

 

「全てのレイオニクスが戦い合ってレイブラッド星人の後継者を決める“レイオニクスバトル”だ!」

 

 

レイオニクスバトルと言う言葉を聞いてレイは驚きの表情をして、そのまま黙り込んでしまう。

かつて自分の姉が言っていた戦いがまもなく始まる事を考えているのだろう。けど此処にはあまり長くいる事ができない。早く宇宙船に連れて行こうとした時、突然基地内で爆発が起きて激しく揺れる。それと同時に警報ランプが点滅して緊急警報が響く。

 

 

「クロウさん!この爆発は!?」

 

「チッ!面倒な事になった。全員急いでこの基地から出るぞ!」

 

 

この爆発は記憶が正しければアイツの仕業だ。見つかる前に引き上げようと全員を連れてきた道を戻ろうとしたが、目の前に誰かが立っていた。その者は冒頭でリーシャの姉を撃ち倒したあの兵士だ。そいつを見て俺とリーシャは同時に声を上げる。

 

 

「「ペダン星人!!」」

 

「・・・消えろ。レイオニクス共め!」

 

 

殺意の籠った声で言うとペダン星人はゆっくり銃を構える。だが発砲される前に左側からハルナが現れて飛び掛かった。突然の事にペダン星人は持っていた銃を落としてしまう。その隙をついてクロウとレイもペダン星人に飛び掛かる。レイは格闘術で攻め、クロウはギガライブナイザーを使って攻める。しかし2対1の状況でもペダン星人は格闘術で反撃する。そしてお互いに攻めたり防御したりした後一旦距離を取る。その瞬間リーシャがペダン星人に向けて銃を構えて撃つ。

 

 

バシュン!!

 

 

「くっ!?はっ・・・!」

 

 

辛うじてペダン星人は避けたが、弾は右腕に装着してあったリングに当たって外れてしまう。

慌ててペダン星人はリングを取ろうと腕を伸ばすが、リングは光ったと思った瞬間消えてしまった。その隙をついてクロウとレイは同時にキックを放つ。

 

 

「「はぁ!!」」

 

「ぐぉ!うぅ・・・・・」

 

 

蹴り飛ばされて壁に激突したペダン星人はゆっくり前に倒れて動かなくなった。2人の一撃で気を失ったのだ。奴を倒したのと同時に後ろからリーシャ達とヒュウガ達がやって来た。

 

 

「怪我はありませんかクロウさん?」

 

「あぁ、どこも怪我なんかしていない」

 

「この者は何者なんだ!?」

 

「分からない。クロウ、こいつは一体・・・?」

 

「さっきも言ったが、こいつはペダン星人。惑星ボリスで倒したキングジョーブラックの持ち主だ」

 

 

ペダン星人とキングジョーブラックと聞いてレイ達は驚きの表情をしてさらに情報を聞こうとするが、再び爆発が起きて警報が激しく響く。

 

 

『緊急退避!緊急退避!!約10分後に当基地は大爆発する。全員速やかに基地から退避せよ』

 

「ク、クロウ様!此処ハモウ危険デス」

 

「早くギガ・ロボフォーに乗って脱出しましょう!」

 

「あぁ、そうしよう。レイ、お前は・・・何している?」

 

 

一緒に来るようにレイに言うとするが、何故かレイはペダン星人を担いでいた。自分がレイオニクスである事を知っているのに何故助ける?不思議に思って理由を訊ねてみると。

 

 

「俺は誰かを見捨てる事なんてできない。クロウの仲間であるなら尚更だ!」

 

「おいおい・・・」

 

 

なんて良い奴に育ったんだろうねレイ君。少し感動して嬉し涙が出るかと思ったよ。

 

 

「分かった。ならそいつも含めた全員、この基地から無事に脱出するぞ!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

クロウの指示を聞いて全員走り出す。走っている最中、爆発による衝撃で何度か転びそうになるが走り続けて、ペンドラゴンに辿り着くとペダン星人の事をレイ達に任せて一旦別れる。さらに走ってようやくギガ・ロボフォーがある所に辿り着いた。だが爆発のより発生した炎が近くで燃えていて、ギガ・ロボフォーにも燃え移ろうとしていた。これには流石にクロウも慌てて、3人は急いで乗ってロボット達にも指示を出して発進させた。

 

 

 

ドオオオオオオン!!ズガアアアアアアン!!

 

 

発進して必死に基地から離れた時、ZAP基地は大爆発して吹き飛んだ。破片が少しぶつかったりしたが損傷はなく、またペンドラゴンとゴースタードラゴンも間一髪脱出できたのを確認した。

 

 

「やれやれ・・・ギリギリセーフだったぜ。折角の宇宙船が燃えてしまうところであった」

 

「本当ですね。それとクロウさん、基地が爆発したのはやっぱりあのペダン星人の仕業でしょうか?」

 

「おそらく・・・いや、絶対そうだろうな」

 

「デハクロウ様、アイツヲ痛メツケテ話ヲサセマショウ!」

 

「お前の言う通りだよジェロニモン。だがそれは後になりそうだ。ホレ、前を見ろ」

 

「「えっ?/グエ?」」

 

 

クロウが指差す所に巨大なワームホールが出現していた。それを見て2人は驚いて悲鳴を上げる。リーシャが急いで避けようと舵を切るが間に合わず、ギガ・ロボフォーは吸い込まれてしまった。

同時刻にレイとヒュウガが乗ったゴースタードラゴンも吸い込まれてしまったのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
怪獣王(モンスターキング)クロウ

本小説の主人公で、全ての怪獣達の頂点に立ち、全ての怪獣達を守りし者である。元はただの人間だったが、ある神のミスで死んでしまって冥王に強力なレイオニクスとして転生さする。彼の持つギガライブナイザーは怪獣を召喚する他に怪獣にライブして一体化することもできる。主力怪獣はキングオブモンス、キングギドラ、グランドキングの3体で他にも多くの怪獣達を仲間にしている。戦いをしていく内に彼の姿は人間から怪獣と同じ姿になって、身体能力が上がって様々な能力を使えるようになった。また旅の途中で出会ったピット星人リーシャとは恋人関係にある。そして怪獣酋長ジェロニモンを側近として常に自分の傍に置いている。惑星ボリスを本拠地に怪獣や宇宙人達を傘下に収めていき、惑星ハマーでレイオニクスバトルに勝ち残る決心である。
ちなみに今後クロウには側近や恋人が増えていく予定である!?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 激闘の地・惑星ハマー

今回はアイディアが豊富でどんどん思い付いたため早く出来上がりました。
また今回からレイオニクス同士の対決です。いろいろな方からのリクエストの中から結構出番のあるあの宇宙人を選びました。怪獣との激闘も是非楽しんで読んでください!感想と評価をお待ちしております。

最強合体怪獣キングオブモンス、超古代狛犬怪獣ガーディー、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)
大エビ怪獣エビラ、双頭怪獣パンドン&キングパンドン、戦闘円盤ギガ・ロボフォー
宇宙海人バルキー星人(RB)、幽霊怪人ゴース星人(RB)   登場



突然現れたワームホールに吸い込まれたクロウ達は、乗っているギガ・ロボフォーを無理に動かさず、時空の流れに沿って移動している。

吸い込まれてから少し経ってようやく抜け出る事ができた。そして前方に大きな惑星が見えた。

 

 

「リーシャ、あの惑星に着陸しろ」

 

「分かりました!」

 

 

指示に従ってリーシャは操縦桿を動かし、大気圏に突入して惑星に侵入する。そしてモニターから辺りを見渡すとそこは岩と砂の荒地しかなかった。リーシャが急いでスイッチとボタンを操作してこの惑星を調べる。

 

 

「データリストに照合無し。クロウさん、この惑星は一体・・・?」

 

「此処は惑星ハマー。バトルナイザーを持つ全宇宙のレイオニクス達が導かれて、宿命の戦いを繰り広げる。此処こそ、レイオニクスバトルの舞台で決戦の地だ!」

 

 

リーシャ達に惑星ハマーについて教えて上げつつ再びこの辺りを見渡す。本当に何もない惑星だな。だからこそ戦いの場に相応しい場所と言う訳か。しかしここまで何もないと寂し過ぎるぜ。そう思っていた時、突然血が滾るような感覚が起きた。同時にレイオニクスの気配も感じた。それはリーシャも同じで彼女はソワソワと落ち着かない様子で、胸を手で押さえながらクロウに話しかける。

 

 

「クロウさん、何だか気持ちが少し落ち着かないのです」

 

「レイオニクスの闘争本能に火がついてしまったか。もっと自分の意識を強く持つんだリーシャ。修業で覚えた事を思い出せ」

 

 

アドバイスを聞いたリーシャは、すぐに深呼吸して意識を高める。するとだんだん落ち着いていった。これまでの修業のおかげでリーシャはレイブラッドの闘争本能に飲み込まれて暴走する心配はない。だが問題はレイの方だな。アイツも同じ修行したとは言え、おそらくテレビの時のように暴走してしまうかもしれない。

早く合流しようとした時、突然地響きがして外を見てみると2体の怪獣が争っていた。

1体は右腕が巨大鋏で、左腕が槍の様な細長い鋏と左右の形状が異なる両腕が特徴の大エビ怪獣エビラ。

もう1体は頭部の左右それぞれに鳥に似た顔があって、全身が赤色の双頭怪獣パンドンである。

 

 

「キィイイィィーーーッ!!」

 

「ガカァッ!カカアァッ!」

 

 

お互いに鳴き声を上げた後、エビラは両腕の鋏を前に突き出しながら8本ある脚を器用に動かして突撃する。対するパンドンは両腕を振り回して鋏をはたき落とし、そのままエビラに組み付いて背中に何度もパンチを放つ。

だがエビラは硬い甲羅のおかげであまりダメージを受けている様子は無かった。

 

 

「キィーーーッ!」

 

「ガカァッ!?」

 

 

何度もパンチを放って疲労したパンドンの隙をついて、エビラは巨大な鋏を使った攻撃『クライシス・シザース』をパンドンの腹に繰り出す。痛みと火花を散らしてダメージを受けたパンドンは後退する。エビラはさらに攻撃しようと近くにあった岩を鋏で持ち上げてそのまま勢いよく投げ飛ばした。けどパンドンはすぐに体制を整えて、自分に向かって投げられた岩を両手で受け止め、逆に投げ返した。投げ返された岩を見てエビラは慌てる・・・事はなかった。

 

 

「キィィーーーッ!」

 

 

ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!

 

 

迫って来る岩をエビラは自慢の巨大鋏で打ち返す。パンドンも腕だけじゃなく、頭や尻尾なども使って打ち返す。2体による岩の打ち返しが何度も続くが、エビラが鋏を横に振った事で岩はギガ・ロボフォーに向かって飛んできた。

 

 

「やばっ!?主砲発射!」

 

 

宇宙船の中でのんびり観戦していたクロウ達だったが、こちらに向かって飛んでくる岩を見てクロウは慌てて操縦桿にあるスイッチを押す。するとギガ・ロボフォーの前方にある主砲から弾を放たれて岩を破壊した。何とか間に合ってホッとするが危機は去っていない。

爆発した音に気が付いた2体がこちらに向かって接近して来たのだ。

 

 

「どうやら観戦するのはここまでの様だ。リーシャは俺と一緒に来い。ジェロニモンはギガ・ロボフォーに残って守っているんだ!」

 

「はい!クロウさん」

 

「オ任セクダサイ!」

 

 

ジェロニモンにギガ・ロボフォーを任せ、俺はリーシャと一緒に外に出る。そして迫り来る2体の前に立ち塞がる。

 

 

「惑星ハマーでの初めての戦い。全力で行くぜ!行け!キングオブモンス!!」

 

「私達も全力で行くわよ。行きなさい!ガーディー!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「グオオオオォォォッーーー!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

召喚されたキングオブモンスとガーディーは勇ましく仁王立ちする。2体の体からは並みの怪獣では感じられない強烈なオーラが溢れていた。惑星ボリスで戦い続けた事で戦力と能力がパワーアップしたのだ。そして主であるクロウとリーシャも同様で、特にリーシャの持つバトルナイザーは成長・覚醒してネオバトルナイザーになっている。

突然現れた2体を目の前にしてもエビラとパンドンは怯まず、咆哮を上げる。すると2体の背後から声がした。

 

 

「ヒャッハハハハッ!なかなか強そうな怪獣を連れているようだな~~てめぇら!」

 

「我々の戦いに手を出すとは無粋な連中だ」

 

「・・・バルキー星人とゴース星人か」

 

 

エビラの背後から現れたのは黒色の体に金色の金属を付けて、右手にバトルナイザー、左手にリング状の装飾がついた宇宙槍『バルキーリング』を持っている宇宙海人バルキー星人(RB)。

パンドンの背後から現れたのは幽霊に似た姿をして赤と銀色の模様がある服を着て、同じく右手にバトルナイザーを持っている幽霊怪人ゴース星人(RB)である。

 

 

「フッハハ!俺様の事を知っていたか。そうだ!俺はバルキー星のレイオニクスだ。そこの地球人の女、大人しく俺様にバトルナイザーを渡せば命を取らずに見逃してやるぞ?」

 

「あら?見逃してもらえるのは貴方の方じゃないの?それに私は地球人じゃないわ。フフフ・・・」

 

 

余裕な感じでリーシャに降伏するように言うバルキー星人だったが、自分の正体を現して馬鹿にするように笑うリーシャを見てバルキーリングを振るって怒り出す。

 

 

「てめぇ・・・優しくしてやれば調子に乗りやがって!だったらやってやるぜ。おい、ゴース星人!てめぇとの勝負はあの女を倒してからだ。やっちまえ、エビラ!」

 

「キィィーーーッ!!」

 

「ガーディー、あんな乱暴者に負けないで!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

バルキー星人の命令を聞いてエビラは両腕の鋏を振り上げて突撃する。それを見てリーシャもガーディーに迎え撃つように指示を出す。2体は激突し合い、エビラが右腕の巨大鋏で挟もうとするとガーディーは鋏に噛み付いて防ぎつつ、パンチやキックを放って攻撃した。だがやはりエビラの甲羅が硬いためにあまりダメージを与える事ができず苦戦する。それでも懸命に攻撃し続けるのであった。しかしエビラもやられ続ける訳がなく、今度は左腕の槍の様な鋏をガーディーの太ももに突き刺す。これにはガーディーも痛さのあまり銜えていた鋏を離してしまった。

その隙をついてエビラはガーディーから少し離れると再び鋏を構えて突進攻撃を繰り出した。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!?」

 

 

痛みを我慢しながらガーディーがエビラに目を向けた時には遅く、突進攻撃を受けたガーディーはエビラと一緒に地面に倒れ込んだ。だがガーディーは怯まずにエビラにまた噛み付くのであった。

 

 

「やれやれ・・・これだからああいう野蛮な相手は面倒なんだよ」

 

 

先程まで自分と戦っていたバルキー星人が自分の事を忘れて、リーシャと戦い始めた事にゴース星人は呆れながら溜息をつく。

 

 

「まぁいい、俺の相手はまだいる。焼き尽せ、パンドン!」

 

「ガカァッ!ボオオオォォォーー!!」

 

 

そう言ってゴース星人はパンドンに命令を出す。パンドンはキングオブモンス目掛けて右側の口から高熱火炎を放つ。しかしキングオブモンスは『ボーンシールド』で防ぐ。

 

 

「そっちがやる気ならこっちも遠慮しないぜ。キングオブモンス!」

 

「グオオオオオォォォォッ!!」

 

 

攻撃を防いだキングオブモンスはパンドンに向かって走り出し、腹や首に激しいパンチを放つ。

パンドンも超怪力パンチで応戦するが、戦力がパワーアップしているキングオブモンスの通常より長く強化されている『シャークファング』に腕を掴まれて動きを封じられてしまう。悲鳴を上げながら腕から外そうと左右の口から高熱火炎を放とうとするが、キングオブモンスに両手で口を掴まれて出せなくなる。さらに掴まれたまま体を持ち上げられて、キングオブモンスはパンドンをジャイアントスイングで数回振り回した後勢いよく投げ飛ばした。

投げ飛ばされたパンドンは近くの岩にぶつかって倒れた。

 

 

「ガカァ・・・カカァッ」

 

「なっ!?パンドンを投げ飛ばしただと!」

 

 

自慢の怪獣であるパンドンが敵にやられっぱなしである光景を見てゴース星人は驚きの声を上げる。しかし、彼はすぐに余裕な感じで言う。

 

 

「どうやらお前は結構レベルが高い奴のようだな。ならば俺の最強の怪獣で相手してやる。行け、キングパンドン!!」

 

『バトルナイザー!!モンスロード!!』

 

「ガカアァッ!ガッギャアァァッ!」

 

 

ゴース星人が新たに召喚した怪獣はパンドンが改造強化したキングパンドンであった。先程まで戦っていたパンドンとは姿が違っていて、頭と首が根元から2つに分かれて、手の爪がやや長く鋭い形状になっており、体の棘は炎を思わせるような生え方をしているのだ。現れたキングパンドンは未だ倒れたままのパンドンに近寄って優しく抱き起こした。そして「大丈夫か?」と訊ねるかのように鳴き声を出す。心配するキングパンドンにパンドンは元気良く鳴き声を上げる。

そして2体は横に並び立ってキングオブモンスを睨み付ける。

 

 

「いかにお前の怪獣が強くても俺のパンドンブラザーズに勝てるものか」

 

「なるほど・・・それがお前の切り札か。だが俺のキングオブモンスは誰にも負けない!」

 

「グルルル・・・グオオオオオォォォーーー!!」

 

 

そう強く言うとキングオブモンスは再び咆哮を上げて2体に向かって走り出す。それを見てキングパンドンは口から連続で『双頭撃炎弾』放つ。火球はキングオブモンスに何発も命中するが、キングオブモンスは走り続ける。攻撃受けても怯まない相手にキングパンドンは動揺しつつも今度は青色とオレンジ色に光る2色の破壊光線『ダブルレイ・インパクト』を食らわせる。パンドンも援護しようと体を横にして口から高熱火炎を吐く。パンドンブラザーズの合体攻撃だ。

 

 

「飛べ!キングオブモンス!」

 

 

合体攻撃が命中する前にキングオブモンスは翼を広げて空を飛び避けた。そしてそのまま低空飛行でパンドン達に体当たりをして押し倒した。

倒れたパンドン達にゴース星人が急いで体勢を整えろと指示を出す前にキングオブモンスは2体の腹目掛けて急降下して踏み付けた。

 

 

「ガカアアァァッーー!?」

 

「ギャアアアァァッ!?」

 

 

腹を勢いよく踏み付けられたパンドン達は悲鳴を上げる。キングオブモンスの完全有利と思うけど、甘く見て油断してはいけない。この2体はセブンとメビウスを苦しめた程の強豪怪獣の一角である。自分達の腹を踏み付けているキングオブモンスの脚を同時に掴むと力を込めて横に投げ倒した。そして素早く立ち上がるとパンドンはキングオブモンスの尻尾を掴んで動きを押さえ、キングパンドンがそこを狙って口から再び『双頭撃炎弾』を至近距離から浴びせる。

 

 

「グオオオオオォォォッ!!」

 

 

いかにパワーアップしているキングオブモンスでも至近距離から攻撃を何発も食らってダメージを受けて怯んだ。

 

 

「どうだ!俺のパンドンブラザーズの力は!お前の怪獣はもう終わりだ。フハハハッ!」

 

 

火球弾により爆発が起きて全身煙に包まれたキングオブモンスを見て、ゴース星人は勝ったと思って笑い出す。

 

 

「・・・何を言っているんだ?俺のキングオブモンスがその程度で倒れると思っているのか?」

 

「なに・・・?」

 

 

ゴース星人が疑問の声を上げた瞬間、突如パンドン達の悲鳴が響いた。慌てて振り向いて見ると倒した筈のキングオブモンスが起き上がっていた。そして両手でキングパンドンの2つの首を掴み、尻尾を掴んでいたパンドンを逆に尻尾で叩き潰し、先端の鋭い棘部分を腹に突き刺していた。その光景にゴース星人は両手で髪の毛を掻きつつ信じられないと頭を左右に振る。

 

 

「ば、馬鹿な・・・キングパンドンの攻撃を受けて生きているなんて!?」

 

「お前の怪獣は確かに強い。けど俺の怪獣は・・・それよりも強いんだよ!やれ、キングオブモンス!!」

 

「グオオオオオォォォーーー!!」

 

 

クロウの言葉を聞いたキングオブモンスは、両手に掴んでいたキングパンドンを思いっきり地面に叩きつけ、2つの頭の間を蹴ってブッ飛ばした。それと同時に尻尾で突き刺していたパンドンも叩きつける。そしてそのまま空高く放り投げて、パンドンが落下する瞬間に『クレメイトビーム』を放つ。グロッキー状態の上に空中では身動きが取れないパンドンは避けられず、光線が命中して大爆発を起こした。爆発が収まると地面にパンドンの首だけが落ちた。

 

 

「ガカァッ!?ガガアアァァァッ!!」

 

 

粉々になって倒されたパンドンを見てキングパンドンは「弟の仇だ!」と言わんばかりの怒りの咆哮を上げて立ち上がり、キングオブモンスに向かって一直線に突進する。しかしキングオブモンスは既にエネルギーを額に集中させて止めの体勢に入っていた。

 

 

「キングオブモンス、ファイナルクレメイトビーム!発射!!」

 

 

強力な必殺光線が地面に走らせて爆発を起こしながら一直線に放たれてキングパンドンに命中する。しかしキングパンドンは光線を受けながらも耐えて前に進む。だがやはりキングオブモンスの最強光線を耐え抜く事はできず、そのまま爆散した。

 

 

「ああぁ!?俺の・・・パンドンブラザーズがーーー!?」

 

 

手持ち怪獣が2体共々倒されたのを見てゴース星人は喚き出す。すると突然彼の足元の地面が揺れたと思ったら大きく割れた。先程のキングオブモンスの光線による影響のせいであったのだ。

 

 

「うおぉ!?あ、あああぁぁ・・・こ、こんな所でーーーーー!!?」

 

 

突然の事で逃げられず、ゴース星人は悲鳴を上げながら地割れに飲み込まれてしまった。

 

 

「なんて哀れな最期だ。けど悪いな。この勝負・・・俺達の勝ちだ」

 

「グオオオオオオオォォォォォーーー!!」

 

 

俺が勝ったと言うとキングオブモンスは勝利の咆哮を上げる。

強敵2体を相手に大暴れできて満足したキングオブモンスは嬉しそうな感じでギガライブナイザーに回収された。戦いが終わって一息ついてからクロウはリーシャの元へ歩き出す。

 

 

「さて、リーシャはもうバルキーの奴に勝ったかな?」

 

 

いろいろと予想しながら歩いて目的地を目指す。

一方リーシャVSバルキー星人の戦いはまだ続いていた。ずっと戦い続けるガーディーだが、エビラの硬い甲羅の為に攻撃が決まらず、逆に鋏で体を傷つけられた事で胸のカラータイマーがゆっくりと鳴り始めた。それを見て焦ったリーシャは、新たにモスラを召喚した。

 

 

「モスラ、敵の動きを封じて!」

 

「ピュアアアァァァ!」

 

 

空高く飛んでいるモスラはガーディーとエビラの上までゆっくり近付き、周りをグルグルと回りながら翅を大きく羽搏かせる。それを見計らって組み合っていたガーディーはエビラから離れる。するとエビラを中心とした一帯に鱗粉が撒かれて特殊なエネルギーフィールドが発生する。そしてその中から稲妻光線が放たれてエビラを攻撃した。これは『エクセル・シャイニング・フィールド』と言い、キングオブモンスやガーディー同様モスラもパワーアップして通常より強力な技だ。

 

 

「ギィィッーー!?」

 

 

如何に防御力の高いエビラでもこの攻撃には耐えられず悲鳴を上げる。それを見てバルキー星人は怒鳴りつつ命令を出す。

 

 

「何やってやがるエビラ!さっさとそこから抜け出せ!」

 

 

バルキー星人の命令を聞いてエビラは必死に体を動かしてフィールドの外に出ようとするが、稲妻によって体が痺れてしまって上手く動かせなかった。それでも脚や腕を動かして光線を何発も食らいながらようやく外に出られた。しかし、出るまでの間に受けたダメージはかなり大きく、エビラはグロッキー状態であった。その隙をリーシャは逃さなかった。

 

 

「今よガーディー!一気に倒しちゃいなさい!」

 

「ガウウゥゥッ!」

 

 

ガーディーは素早い動きでエビラに接近して左腕の細長い鋏を両手で掴み、右腕の巨大鋏に強く噛み付く。引き離そうとするエビラだが、先程のダメージで力が入らない。その間にもガーディーは噛み続け、頭を左右上下に振る。そして右に思いっきり振った瞬間、エビラの巨大鋏は喰い千切れた。さらに両手に力を込めて細長い鋏をもぎ取った。

 

 

「ギピイイィィィィーーー!!?」

 

 

自分の武器である鋏を失ったエビラは戦意損失し、悲鳴を上げながら主人であるバルキー星人の元に逃げようとするが・・・。

 

 

「逃がさない!ガーディー、ゼペリオン光線!モスラ、レインボーバスター!」

 

 

エビラを挟み撃ちにしてガーディーとモスラは同時に必殺光線を放つ。2体の同時攻撃を受けて流石のエビラも耐えきれずに爆発した。

 

 

「エ、エビラ!?俺様のエビラがやられるなんて~~!?」

 

「ふぅ・・・さて、後は貴方だけね。ここで終わらせてあげようかしら?」

 

「うっ!?・・・へへ、そうはいかねーよ!」

 

 

リーシャに恐れを抱きつつ、バルキー星人はバルキーリングを地面に突き刺して砂煙を起こして姿を消した。相手が逃げたのを見てリーシャはガーディーとモスラを回収する。それと同時にクロウがやって来て合流した。

 

 

「リーシャ、終わったか?」

 

「はいクロウさん!レイオニクスは逃がしてしまったけど、戦いには勝ちました」

 

「そうか。よく頑張ったな」

 

 

勝利した褒美に俺はリーシャの頭を撫でる。リーシャは撫でられる事に不快感を思わず、逆にもっと撫でてと言わんばかりに自分から頭を出す。それから暫く撫でた後充分だと思って頭から手を離す。だがリーシャは物足りない様な表情であったのは余談だ。

 

 

「それじゃ、リーシャ。ギガ・ロボフォーに戻るぞ。早くレイ達と合流しないといけないからな」

 

「分かりました」

 

 

初めてのレイオニクスバトルを制したクロウ達。だがまだまだ強豪なレイオニクス達は多くいる。戦い合ってレイブラッド星人の後を継ぐ者は、クロウかリーシャのどちらかであろうか?それとも別の者であろうか?

それはまだ誰も知らない事であった。

 




【大怪獣バトルファイル】
双頭怪獣キングパンドン

かつてウルトラセブンと戦った怪獣パンドンの同族が強化改造された怪獣で、その名の通り頭が2つある。
主な武器は口から放つ双頭撃炎弾や2色の破壊光線のダブルレイ・インパクトである。
今回はスーパーヒッポリト星人ではなく、本来の主人であるゴース星人の主力怪獣としてキングオブモンスに弟のパンドン(初代)と共に戦いを挑んだ。非常に好戦的な性格だが、仲間意識がとても強い。そのためパンドンを仇を討とうとした。ちなみにパンドンは倒されたが頭の部分だけは残っていて、原作のように復活するかもしれない!?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話 別世界より彷徨う者

お待たせしました。
今回は久しぶりにクロウに新しい仲間ができます。登場するのは前作のウルトラマンオーブと対決した怪獣達です。あとちゃんとレイオニクスも出ますよ。
是非楽しんで読んでください!感想と評価をお待ちしております。

最強合体怪獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ
超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
奇機械怪獣デアボリック、宇宙恐竜ハイパーゼットンデスサイス
侵略怪獣ザタンシルバー、変身宇宙人ザタン星人(RB)   登場



最初のレイオニクスバトルから数時間が経ち、クロウ達は未だレイ達の行方を探していた。いつもならすぐに気配を感じたり、ギガ・ロボフォーのセンサーで見つけられるのだが、他のレイオニクスや怪獣達、さらにこの惑星がとても広いうえに全体に包まれている謎の力によって未だ見つけられないでいるのだ。

 

 

「まったく・・・こうもいろいろな物に邪魔されるとストレスが溜まっていくぜ」

 

「そう言わないでくださいクロウさん。レイは必ず見つかりますよ」

 

「ソノ通リデゴザイマスクロウ様。サァ、コレデモオ飲ミクダサイ」

 

 

リーシャに落ち着かされ、ジェロニモンに飲み物を渡されてじっくりと飲みながら俺はレイを探し続ける。すると突然1体のユートムがやって来てセンサーが何かに反応している事を伝える。確認してみると此処から結構離れた場所で複数感じていると言う事はレイが他のレイオニクスと戦っているかもしれない。そう思って俺達は操縦桿を握ってレバーやボタンを操作して全速力で飛ばして急いで向かった。

 

 

 

その頃、遠く離れた場所の様々な場所でレイオニクスバトルが行われて、この地でも2体の怪獣が戦っていた。だが不思議な事に怪獣が2体に対して近くにいる宇宙人は1体だけなのだ。

宇宙人は青色の体に赤い手袋が特徴であって、右手にはバトルナイザーが握られている。その正体はかつて数々の星を侵略して悪魔の星出身のザタン星人(RB)である。そして彼の操る怪獣は全身銀色の生物型ロボットである侵略怪獣ザタンシルバーである。かつてウルトラマン80やUGMを相手に猛威を振るって苦戦させた強豪怪獣だ。

 

 

「な、何なんだ!あの怪獣は!?我の・・・ザタンシルバーが!?」

 

 

だがそのザタンシルバーは今体中傷だらけで、所々の装甲が破損していた。己の怪獣に絶対の自信を持っていたザタン星人(RB)は目の前の現実が信じられず、驚きの声を上げるのは無理なかった。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

そんな中でザタンシルバーに大ダメージを与えた怪獣はフラフラになりつつも戦闘態勢をとるザタンシルバーを見て、両腕を前に突き出して威嚇する。その怪獣は全身の様々な部分が武装されていて、両腕の強力な銃が特徴の奇機械怪獣デアボリックと言われるサイボーグ怪獣だ。

かつてこの世界とは別の世界で大暴れしてその世界のウルトラ戦士と激闘を繰り広げた怪獣だが、だいぶ前に惑星ボリスに潜んでいたブルトンの起こした『ギャラクシークライシス』によってこの世界に巻き込まれてしまった。宛もなく偶然辿り着いた惑星ハマーで彷徨っていた時、デアボリックを他のレイオニクスが操る怪獣と間違えたザタン星人(RB)に勝負を挑まれ、数分経たぬ内に返り討ちにしたのだ。

 

 

「おのれ~~ザタンシルバー!もう一度奴の動きを止めるのだ!」

 

「ギャアアアアーーーッ!!」

 

 

指示を聞いたザタンシルバーは口から糸状の粘液『リアーズレーザー』を発射する。この粘液を受けた相手は体が動けなくなる。その隙をついて攻撃すれば勝てるとザタン星人は思うが、それは余りにも甘すぎる考えだった。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

ガジャッ!!ババババババババッ!!ガシャッ!!ピュオオオオオーーーン!!

 

 

デアボリックは左腕のアサルトアームから連続でビームを放って粘液を防ぎ、さらにそのまま右腕のジェムアームを構えて『ジュエリックブレーズ』を発射する。光線に対する防御力が高いザタンシルバーだが、装甲が破損されている今の状態では無に等しかった。

 

 

「ギャアアアア・・・ア、ァァァ・・・」

 

「ザ、ザタンシルバー!?」

 

 

光線を受けた途端、ザタンシルバーは体全体が宝石になってそのまま動かなくなり、さらに追い打ちとばかりに受けたミサイル攻撃で粉々になってしまった。相棒の怪獣の哀れな最期の姿を見てザタン星人(RB)は悲鳴に似た声を出す。その声に気が付いたデアボリックはゆっくりと両腕を構える。

 

 

「ひぃ!よ、よせ。撃つな・・・撃つなーーー!!」

 

 

死の恐怖に包まれたザタン星人(RB)は慌ててその場から逃げ出す。そんな彼をデアボリックは狙い撃ちしようとするが、空から何かが近づいて来るのを感じて止める。空をじっと見つめていると遠くから黒い怪獣がやって来て、ゆっくり目の前に降り立った。

 

 

「ピポポポポポ!ゼェットォォーーーン!!」

 

 

その正体は宇宙恐竜ゼットンだった。だが唯のゼットンではない。通常のゼットンよりもスマートな人型でより昆虫的な姿であり、両腕が鎌になっているのだ。その名もハイパーゼットンデスサイス(次からはDと略します)と言う!ある世界で究極のゼットンとも呼ばれた個体が強化成長したものだ。

 

 

「あ、あぁ・・・・・」

 

 

逃げようとした矢先に別の怪獣が現れたのを見て、ザタン星人(RB)はその場で腰が抜けてしまうが、それでも必死に逃げようとする。一方ハイパーゼットン(D)は、自分の足元でウロチョロしているザタン星人(RB)を目障りと思って、右腕の鎌を勢いよく振り下ろした。

 

 

「ハァハァ・・・うん?ヒィッ!?ぎゃああぁぁ・・・」

 

 

逃げていた最中突然辺りが暗くなったのを見て嫌な予感がしたザタン星人(RB)が後ろを振り向いた瞬間、巨大な鎌によって切り裂かれつつ押し潰されてしまった。邪魔者を倒した後、ハイパーゼットン(D)は目の前で自分を睨み付けているデアボリックを静かに睨み付ける。お互いに生物としての本能から敵と判断したのだ。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

先に攻撃を仕掛けたのはデアボリックで、アサルトアームから連続でビームを撃つ。

 

 

「ピポポポポポ!ゼェットォォーーーン!!」

 

 

ビームが命中すると思った瞬間、ハイパーゼットン(D)の姿が一瞬で消えた。そしていつの間にか背後に回っていた。これは『ハイパーゼットンテレポート』と言って残像が残るくらいの超速移動する技である。一瞬の隙をついたハイパーゼットン(D)はデアボリックの背中目掛けて鎌を振り下ろす。しかしデアボリックも負けてはいなかった。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「!?ゼェットォォーーン」

 

 

攻撃を受ける前にセンサーで敵の位置を知ったデアボリックが上半身の多砲塔からミサイルを放つ。これに驚いたハイパーゼットン(D)は空高く飛び上がり、追尾してくるミサイルに胸の発光器官から『暗黒火球』を連続で放ち全て破壊する。

その後も2体は互いの武器や必殺技を繰り出し、一歩の引かない互角の攻防戦を続けた。

そんな激戦地に1機の宇宙船がやって来た。クロウ達が乗っているギガ・ロボフォーである。

 

 

「クロウさん、あそこに怪獣がいます!」

 

「見つけたか!相手はどんな奴らだ?」

 

 

戦っているのはレイだろうか?それを確認しようと外を覗いて見るとそこには初めて見る怪獣達が戦っていた。あの怪獣達は・・・なるほど、ハイパーゼットン(D)にデアボリックと言うのか。大好きな怪獣の情報が早く分かる事はとても嬉しいぜ。

 

 

「見た感じ的にあれは野良怪獣。近くにレイオニクスも感じないから間違えないな」

 

「それじゃクロウさん、今からあの2体を手に入れるんですね」

 

「あぁ、そうだ。よく分かっているじゃないかリーシャ」

 

「当然ですよ!なにしろ私は貴方の妻になるのですから♪」

 

 

そう言って微笑むリーシャを見て俺は呆れつつも嬉しく思う。俺の気持ちを第1に考えてくれて良い奴だ。彼女と同じ感じの女性はいないだろうと思いながら俺はギガ・ロボフォーから外へ出て行く。この時俺はまだ想像もしていなかった。遠くない未来でリーシャ同様にクロウの事を愛する女性が現れる事を!

 

 

「さぁ~て!久しぶりにお前ら全員でやるとするか!出てこいお前達!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

ギガライブナイザーを構えて俺の主力怪獣3体を召喚する。

現れたキングオブモンス、キングギドラ、グランドキングは咆哮を上げて2体に向かって走り出した。ずっと戦い合っていたハイパーゼットン(D)とデアボリックは3体の存在に気付くのが遅れて、先制攻撃を受けてブッ飛ばされてしまった。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「ゼェットォォーーン!!」

 

 

しかし、これくらいで倒れる2体ではない。自分達に攻撃してきた新たな敵に怒りの咆哮を上げ、ハイパーゼットン(D)は両鎌を振り上げて空高く飛び、デアボリックはアサルトアームからビームとミサイルを連射しながら迫った。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

 

大量のビームやミサイルを見てグランドキングがキングオブモンス達の前に出て、全ての弾を受け止めた。体中から火花が飛び散るが、グランドキングは『絶対鉄壁の盾』と言う異名通りまったくダメージを食らっていなかった。そしてそのまま歩き始めてデアボリックと激突した。お互いに武器である銃と鉤爪をぶつけ合い、光線技を放ち合ったりした。

 

 

「今のところ互角だな。ちょっと早い気がするが、一気に倒すとするか!グランドキング、行くぞ!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥッーー!!」

 

 

クロウが全身に力を込めるとギガライブナイザーにも反応が起こる。そしてグランドキングの体が金色に輝き出して、両腕の武器が変化したスーパーグランドキング・スペクターになった。

 

 

「行け!スーパーグランドキング・スペクター!!」

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

咆哮を上げながらスーパーグランドキング・スペクターは歩き出す。先程よりも殻が大きくなって形の変わった敵を前にしてもデアボリックは怯まず、全身からミサイル等を放ち、さらに右腕のジェムアームを構えて『ジュエリックブレーズ』を発射しようとする。しかしスーパーグランドキング・スペクターはミサイル攻撃を全く気にせずに進み続け、右腕の剣でジェムアーム&アサルトアームの両方を斬り壊した。

 

 

「ピッギリリリリリィィィギャアアアアアアァァァッ!?」

 

 

如何にサイボーグ化されても武器であり大切な腕を斬られたら悲鳴を上げずにはいられない。デアボリックは高い悲鳴を上げてその場に倒れる。自慢の武器を失った両腕を動かして早く立ち上がろうとするが、それよりも早くスーパーグランドキング・スペクターが強く踏み付けた。

 

 

バッギィィ!!ベコッ!!

 

 

とてつもない重さであるスーパーグランドキング・スペクターの踏み付けを食らってデアボリックの上半身にある多砲塔は折れたり曲がったりして攻撃する事ができなくなった。さらに踏み付けられたのは頭の近くだったので、ショックのあまりデアボリックは気絶してしまった。敵が倒れたのを見てスーパーグランドキング・スペクターは勝利の咆哮を上げた。

 

 

 

一方キングオブモンス達は、空高く飛び上がったハイパーゼットン(D)を追い掛けようと翼を広げて同様に空高く飛び上がった。

空の上では、ハイパーゼットン(D)が自分の敵を全て焼き尽そうと特大の『暗黒火球』を放とうとエネルギーを集中させる。だが放たれる寸前にキングオブモンスの『クレメイトビーム』とキングギドラの『引力光線』によって相殺させられた上に爆発に巻き込まれてダメージを受けてしまった。

 

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

「ゼェットォォーーン!!」

 

 

攻撃を破った後キングオブモンスはハイパーゼットン(D)目掛けて体当たりする。しかしハイパーゼットン(D)はダメージでフラつきつつも『ハイパーゼットンテレポート』で避けて、周りを見渡して自分を探すキングオブモンスの右側に姿を現して鎌で切り裂く。

 

 

「グオオォォッ!?グオオオオォォォーーー!!」

 

 

鋭い鎌の攻撃を受けてキングオブモンスは一瞬怯み、それを見たキングギドラは援護しようとハイパーゼットン(D)に再び『引力光線』を放つ。

 

 

「ピポポポポ!ゼェットォォーーン!!」

 

「ピギャアアアッ!?」

 

 

攻撃が命中する前にハイパーゼットン(D)は『ハイパーゼットンバリアー』で防御し、さらに『ハイパーゼットンテレポート』で背後に回ってキングギドラの背中を鎌で切り裂いた。火花を散らし、苦痛の鳴き声を上げるキングギドラを見てハイパーゼットン(D)は愉快そうな表情(?)と鳴き声をしてもう一度攻撃しようと両鎌を振り下ろす。

 

 

「キングギドラ!受け止めろーーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオオンーーー!!」

 

 

 

ガブッ!ガブッ!

 

 

両鎌にまた切り裂かれると思った時、クロウの指示を聞いたキングギドラはなんと3つ首の内左右の2つの首が鎌に噛み付いて受け止めたのだ。真剣白刃取りならぬ、真剣白歯取りである。

同じ攻撃を二度も食らわない!と言うかのように睨み付けるキングギドラを見てハイパーゼットン(D)は驚きのあまり動きを止めてしまう。その隙をついてキングギドラは2本の長い尾をハイパーゼットン(D)の足に巻き付けて勢いよく引っ張る。

 

 

「ゼェットォォーーン!?」

 

 

突然足を引っ張られてバランスを崩して逆さまの状態になったハイパーゼットン(D)は混乱のあまり火球で攻撃する事も鎌で攻撃する事も考えられぬ事態に陥った。

そしてようやく気が付いた時には、キングオブモンスが自分の目の前にいた。

 

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

「ゼ、ゼェット・・・ォォーーン・・・!」

 

 

さっきのお返しだと言わんばかりにキングオブモンスはハイパーゼットン(D)の顔に何度もパンチや超怪力による引っ掻き攻撃を放つ。テレポートで避ける余裕もない程のラッシュである。それによりハイパーゼットン(D)の顔はボロボロになり、角は両方とも折れて完全にグロッキー状態になる。

 

 

「グオオオオォォォッ!ガアアァァッ!」

 

「ピリリリッ!」

 

 

スッキリした表情を取ったキングオブモンスは止めを刺そうとキングギドラに合図を送る。キングギドラはすぐに返事をして巻き付けていた尻尾を解放し、ハイパーゼットン(D)を地上に落とす。何の抵抗もないまま落下していくハイパーゼットン(D)にキングオブモンスは容赦なく『クレメイトビーム』を放つ。

 

 

 

ドゴオオオオオオオンンン!!

 

 

必殺光線を受けて勢いよく地面に激突したハイパーゼットン(D)は、全身ボロボロの状態でクロウの目の前に現れた。けれどまだ生きており、まさに虫の息状態だ。キングオブモンス達は勝利の咆哮を上げる。

 

 

「本当・・・ゼットンの種族の強さには驚きが止まらないぜ。まぁ、そんな事より俺の元に来な。ハイパーゼットン(D)!デアボリック!」

 

 

ギガライブナイザーを前に突き出してハイパーゼットン(D)とデアボリックを回収する。

 

 

「お前達もご苦労だった。戻って休め!」

 

 

また、活躍したキングオブモンス達にもお礼を言ってからギガライブナイザーに戻す。苦労を掛けた怪獣達にお礼を言うのは当たり前の事だからな。

全てが終わった後、俺はあるギガ・ロボフォーを呼びつつある物に目を向ける。それは全身宝石となったザタンシルバーの破片だ。お土産にもらっていくかと手のひらサイズの物を持ち帰り、ギガ・ロボフォーに乗って再びレイを捜しに向かった。

 




【大怪獣バトルファイル】
奇機械怪獣デアボリック


かつてウルトラマンオーブやエックス達ニュージェネレーションヒーローズと戦ったサイボーグ怪獣である。
名前通り全身が武器の塊で、主な武器は両腕のアサルトアーム&ジェムアームで特にジェムアームから発射される『ジュエリックブレーズ』はあらゆる物体を宝石に変えてしまう。
だいぶ前にブルトンの起こした『ギャラクシークライシス』によってこの世界に巻き込まれて、宛もなく偶然辿り着いた惑星ハマーでザタン星人(RB)&ザタンシルバーと戦い、同じく彷徨っていたハイパーゼットンデスサイスと生物の本能から激闘を繰り広げていた時、クロウ達に発見されて仲間となった。仲間になってからは同じサイボーグ怪獣のガイガン(FW)と気が合って仲の良い関係となった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話 各地のレイオニクス情報

お待たせしました。
今回はクロウ達以外のレイオニクス達についての話です。登場するのはウルトラシリーズだけでなく、ゴジラシリーズのあの懐かしい怪獣&宇宙人も登場します!またオリジナルキャラも登場します。是非楽しんで読んでください!感想と評価をお待ちしております。

M宇宙ハンター星雲人(RB)、魔海獣ダガーラ、公害怪獣ヘドラ
自然コントロールマシンテンカイ・エンザン・シンリョク、洗脳宇宙人ヴァリエル星人(RB)
脳魂宇宙人ザム星人(RB)、宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン、復讐ロボット・ザムリベンジャー
半魚人ボーズ星人(RB)、地底怪獣グドン、怪奇宇宙人ツルク星人   登場



レイオニクス達の決闘の地である惑星ハマー。

今此処ではクロウとリーシャ以外にも宇宙各地から様々なレイオニクス達が集まって激しい戦いを繰り広げている。今回は様々な場所で行われているレイオニクスバトルを紹介しよう。

 

 

「プオォーーー!!」

 

「キョオオオオオ!!」

 

 

岩と砂しかないこの場所で戦っている怪獣は、一方はかつて惑星ボリスでクロウと戦いを繰り広げた自然コントロールマシンの1体・シンリョクである。

もう一方はグロデスクで不気味な姿な上に体がドロドロのヘドロであり、縦に開いている赤い眼が特徴の公害怪獣ヘドラである。そして対峙している2体の後ろにはバトルナイザーを握って指示を出しているレイオニクスがいた。

 

 

「行きなさいシンリョク!自然を破壊する愚かで汚く醜い者をこの宇宙から消し去るのよ!」

 

「ゴキゴキ、ヘドラよ!そんなロボットなどお前の力でドロドロに溶かしてしまえ!」

 

 

物騒な事を大声で言っている2人の性別の違うレイオニクス。

シンリョクに指示を出している方は女性で、動物と植物の特徴を合わせ持ち、自然と環境に対して非常に過激な考えを持っている事で有名なヴァリエル星人(RB)で、ヘドラに指示を出しているのは男性で、外見は地球人と同じであるが腕の部分だけ違っていた。彼の腕は人間が恐れて最も嫌っている昆虫の“ゴキブリ”の腕(正確には足が腕の形になった)なのだ。その正体はなんと人間大の大きさを持ち知能があるゴキブリに似た生命体・M宇宙ハンター星雲人(RB)だ。

 

 

「プオォーーー!!」

 

「キョオオオ!ジュロロロロロォォォォォ!!」

 

 

最初に動いたのはシンリョクで、大きく足音を響かせて頭上の飾りから『緑色破壊光弾』を放ちながらヘドラに向かって前進する。光弾を頭部や体に受けるヘドラだが、全くダメージを食らっていなく平気な表情をして今度は自分の番だと言わんばかりの不気味な鳴き声を上げて、ゾンビのように両手を前に出してゆっくり歩き出す。

シンリョクとは対照的にヘドラは歩く度にベチャベチャッと嫌な水音が響かせる。そしてある程度距離が縮まったところで体から得意技『ヘドロ弾』を噴射した。

 

 

「プオォーー!?プオオオォォーーー!!」

 

 

噴射した『ヘドロ弾』はシンリョクの左腕に命中する。するとシンリョクの左腕が煙を上げて溶け出した。体が猛毒の公害物質で構成されているヘドラの一部を受けたら当然の結果だ。ロボットであるシンリョクだが、これには流石に驚いてその場に立ち止まって慌て出す行動をする。その隙をついてヘドラは両手を振るってシンリョクを何度も叩いた後、強酸により溶けてボロボロの左腕を掴んで見た目とは裏腹に力強いパワーでもぎ取ってしまった。

 

 

「何をしているシンリョク!使えない奴め・・・仕方がない。テンカイ!エンザン!行け!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

やられているシンリョクを見てヴァリエル星人(RB)は苛立ちながら新たに怪獣2体を召喚する。シンリョクと同じ自然コントロールマシン・テンカイとエンザンである。

2体は左右に別れてテンカイは空へ飛び上がって迫り、エンザンはクワガタに似た2本の角を突き出して突撃し、それぞれヘドラに攻撃した。左側からテンカイの体当たりを受けてよろめくヘドラの腹にエンザンの角が突き刺さり、さらに角から赤い電撃が放たれる。

 

 

「ギョオオオオオオオオオ!?」

 

「ガサッ!?で、電撃だと!?こ、これはマズイ!」

 

 

電撃を受けてヘドラは悲鳴を上げ、それを見ていたM宇宙ハンター星雲人(RB)も先程までの余裕が消えて動揺する。最初に言ったがヘドラはヘドロの塊だ。打撃や切断技に滅法強いけど乾燥にはとても弱く、エンザンの電撃によって体が乾き始めたのだ。

ヘドラの様子を見てヴァリエル星人(RB)もヘドラの弱点に気付く。

 

 

「なるほど・・・あの醜い怪獣は乾燥に弱いのか、それならエンザン!高熱火炎も浴びせてやれ!」

 

「プオォーーー!!」

 

 

指示を聞いたエンザンは腹から高熱火炎を浴びせる。電撃に加えて炎も受けてヘドラはさらに大きく悲鳴を上げると同時に体が小さくなり始めた。体内にあるヘドロが乾燥したせいである。

 

 

「ガサーー!このままでは本当にヘドラがやられてしまう!早く助けねば!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

自分の相棒怪獣の危機を見て、助け出そうとM宇宙ハンター星雲人(RB)も新たに怪獣を召喚する。

バトルナイザーから出て来たのは全身が緑色で体中に大きな鰭があって、両肩に嘴に似た口の様な器官が特徴の怪獣・・・いや、海獣。その名も魔海獣ダガーラである。

 

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

召喚されたダガーラは背中の鰭を大きく広げて勢いをつけて空を飛んだ。名前通り水棲に適した怪獣であるダガーラだが、実は空をマッハ10で飛ぶ事ができるのだ。

猛スピードで空を飛ぶダガーラはそのまま上空にいたテンカイに突進してブッ飛ばし、さらにエンザン目掛けて口から『噴灼毒撃波』をヘドラを巻き添えに放つ。

 

 

「エンザン!早く避けろ!」

 

「プオォーーー!?」

 

 

ヴァリエル星人(RB)が指示を出すが攻撃に集中していたエンザンは反応が遅れ、光線をもろに受けてしまう。ダメージを負ったエンザンが体勢を崩すとヘドラの腹から角が抜けながら倒れる。そして仲間から攻撃されたヘドラも倒れ・・・なかった。実は先程ダガーラが放った光線にはダガーラが体内で生み出したオニヒトデに似た生物・極毒結晶体ベーレムが含まれていたのだ。彼らは猛毒を吐く生物であって、彼らの毒を全て吸収したヘドラは力が回復して縮んでいた体が元の大きさに戻った。

 

 

「キョロロロ!キョオオオオオ!フォオオオ!」

 

「グガゥゥゥゥッ!」

 

 

力を取り戻してくれた事に対するお礼なのか、意外にもヘドラは礼儀正しくダガーラにゆっくりとした動作で頭を下げてお礼を言った。ダガーラも優しく鳴き声を上げるところを見ると同じ毒系同士仲が良いのかもしれない。

 

 

「ゴーキゴキ!ヘドラも回復した事だし、そろそろ反撃するか。かかれ、ヘドラ!ダガーラ!」

 

 

M宇宙ハンター星雲人(RB)も命令を聞いて2体は同時に迫る。まずダガーラが再び上空へ飛び上がって、同じく飛び上がったテンカイの周りを飛行しながら両肩から放つ破壊光線『超重龍爆炎』を何度も放つ続ける。テンカイは激しい攻撃を受けつつ、必死に竜巻で反撃するがダガーラとの戦力の差は歴然だった。

テンカイの装甲を打ち破ったダガーラはそのまま内部にあったコアを光線で破壊する。コアを破壊されたテンカイは大爆発を起こしてバラバラになった。

 

 

「グワゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

相手の爆発を見届けた後、ダガーラは勝利の咆哮を上げた。

その頃ヘドラの方もエンザンとシンリョクの2体を相手に優位に戦いを繰り広げていた。先程の攻撃に対して怒っていたヘドラは、頭部のヒビが割って内部を赤く光らせると両目から赤い稲妻状の光線『ヘドリューム光線』を放つ。しかも2体それぞれの急所部分を同時に攻撃した。

 

 

「「プオォーーー!?」」

 

 

ヘドラの放った光線を受けて2体は大きく後退する。特にシンリョクは中心部にあった光球を破壊されたため、動きが鈍くなった。その隙をヘドラは見逃さない。

 

 

「ジュロロロロロォォォ!!」

 

 

素早い動きができなくなって格好の的になったシンリョクにヘドラは口(?)部分を大きく膨らませる。すると口部分からチューブ状の器官が出てきて、そこから勢いよく『硫酸ミスト』が発射された。これもヘドラの必殺技の1つで恐ろしいほど濃度が高く、これを受けたシンリョクの体はみるみる腐食していき、遂にはボロボロになって倒れてしまった。

 

 

「プオォーー!?」

 

 

仲間がアッサリ倒された光景を見たエンザンは、ロボットとはいえ恐怖を感じたのかゆっくりと後退する。それを見てヴァリエル星人(RB)が怒鳴った。

 

 

「何をしている!ロボットのくせに情けない奴め。お前達は私の道具だ。ただ私の命令に従えばいい」

 

 

この言葉を聞いて誰もが「自分の手持ち怪獣に対してなんて酷い奴だ」と思うだろう。だが大抵のレイオニクスは怪獣に対してこのような考えなのだ。レイやクロウのように思いやる気持ちがある者はほんの一握りしかいない。特にヴァリエル星人は、環境や自然を守る事しか頭にないので他のレイオニクスよりも酷かった。怪獣王(クロウ)が聞いたら激しく怒るだろう。

しかし主人の命令では仕方ないとエンザンは超ブラック命令に従って、角を構えてヘドラ目掛けて再び突進した。だが先程のやり取りを見たと言って情けを掛けるヘドラとM宇宙ハンター星雲人(RB)ではない。

 

 

「ダガーラ!ヘドラ!お前達の真の力を食らわせてやれ!」

 

「ジュロロロロロォォォォォ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

M宇宙ハンター星雲人(RB)の言葉を聞くとダガーラとヘドラはほぼ同時に必殺技を放った。その技は、ダガーラの体内で再び生み出したベーレムを含んだ巨大竜巻の『轟渦赤猛毒弾』にヘドラの『硫酸ミスト』も含ませた猛毒技、名付けて『轟渦硫酸猛毒弾』だ。

 

 

「プオオーーー!?」

 

 

猛烈な毒を真正面から浴びたエンザンは忽ち溶けてしまった。特殊金属でできていた体もこの猛毒の前では無意味だったようだ。

 

 

「なっ!?き、貴様・・・なんて事を!」

 

 

手持ちの怪獣を全て倒された事にいくらあのヴァリエル星人(RB)も悲しい気持ちに・・・なっていなかった。

 

 

「よくも・・・よくも星を汚したな!許さない!許さないぞ!!」

 

 

どうやら彼女は怪獣が倒された事ではなく、毒で大地が汚染された事に対して怒っているようだ。まぁ、先程エンザン達の事を道具と宣言した奴だからある程度予想はしていた。

しかし自然が何1つ無い惑星ハマーの大地が汚れた事にこんなにも怒るとは・・・環境の事しか頭にないヴァリエル星人らしい。だがM宇宙ハンター星雲人(RB)にとっては目障りな事であった。

 

 

「ゴキゴキ、五月蠅い奴だ。ヘドラ!アイツを黙らせろ」

 

「キョロロロロロ!!」

 

 

指示を聞いたヘドラはすぐさまヴァリエル星人(RB)に向けて『ヘドロ弾』を放った。

 

 

「ぎゃあ!グゥア、アアアアアアアーーー!!?」

 

 

怒りのあまり周りの状況が見えていなかったヴァリエル星人(RB)は避けられず、弾を受けて悲鳴を上げながら溶けてしまった。

 

 

「ゴキゴキ!愚かな奴め!だがこの勝負は俺達の勝ちだ。ゴーキゴキゴキ!」

 

「ジュロロロロロォォォォォ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

自分の怪獣達と共にM宇宙ハンター星雲人(RB)は愉快に笑い声を上げるのであった。

こうして、ヴァリエル星人VSM宇宙ハンター星雲人とのバトルは、Mハンター星雲人の勝利で幕を閉じたのであった。

 

 

 

次はゴツゴツとした岩山が多く存在する場所で、そこでもレイオニクスバトルが行われようとしていた。

 

 

「ゴアアアアアァァァーーー!!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

 

威嚇して対峙する2体の怪獣。右側にいるのは両腕の鞭と頭の黒い2本の角が特徴の地底怪獣グドン、左側にいるのは全身が鉱石でできていて頭と胸にある赤い鉱石が特徴の宇宙鉱石怪獣ドレンゲランである。

そして両腕の鞭を振り回して地面に叩きつけながら咆哮を上げるグドンの後ろには、これまた右腕の鞭が特徴で水色の体をして“半魚人”と言う異名を持つボーズ星人(RB)がいた。

 

 

「我らの宇宙征服を邪魔する奴は全て粉々に叩き潰す!行けグドン!」

 

 

鞭を振るって叫ぶボーズ星人(RB)の指示を聞いたグドンは、両腕の鞭を振り上げて真っ直ぐ走り出した。しかしドレンゲランはグドンを睨むだけでその場から一歩も動かない。

そしてグドンの鞭が振り下ろさせようとした瞬間!

 

 

「今だドレンゲラン!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

 

何処からか聞こえた声に反応してドレンゲランが首を振るうとなんと驚く事に首が長く伸びたのだ。そしてグドンの無防備なお腹に強烈な頭突きを食らわせた。

 

 

「グッボオォォッ!?」

 

 

かつて防衛組織MATの強力爆弾にも耐えた皮膚を持つグドンでもお腹に攻撃を受けた事で大きく後退し、そのまま膝をついて体を震わせる。

 

 

「よくやったぞ。ドレンゲラン!」

 

「ギュイイィィィ~~!」

 

 

再びドレンゲランの近くから声がした。よく探して見てみるとドレンゲランから少し離れた右側の岩場に黒い体と頭部の目に似た丸い脳魂、鋏状の両腕が特徴の宇宙人がいた。

彼の名はザム星人タクトと言ってとある事情で故郷を失い、新たな星を探す旅に出たザム星のレイオニクスだ。

カウンター攻撃を成功させたドレンゲランをすぐに褒めるところを見ると彼は優しい性格で、他のレイオニクス達とは違い怪獣を道具ではなく、仲間として大事にしている。そしてドレンゲランも嬉しそうに首を振りながら鳴き声を出す。互いに強い絆で結ばれているようだ。

 

 

「ドレンゲラン!火炎弾連続発射だ!」

 

「ギュイイィィィッ!ギュイイィッ!!」

 

 

タクトの指示を聞いて、ドレンゲランはゆっくり体を動かして首を左右様々な方向から口から何発も『火炎弾』を放つ。

 

 

「ゴアアアァァッ!?」

 

 

いくら強力な鞭を持っているグドンでもドレンゲランの『火炎弾』を受けて悲鳴を上げる。しかも様々な方向から攻撃が放たれる為、体中が激しく爆発を起こし、所々が黒焦げになってしまった。

 

 

「おのれ~~生意気な奴め。グドン!早く奴を粉々に叩き壊してしまえ!!」

 

「グオォ、グオオオオォォォーーー!!」

 

 

ボーズ星人(RB)の命令で、グドンは放たれる『火炎弾』を鞭で必死に叩き潰しながら前進する。そしてある程度距離を詰めると両腕を大きく振り上げ、渾身の鞭攻撃を食らわせる。これではボーズ星人(RB)の言う通り鉱石の体にヒビが入ってしまうぞ。

 

 

バッチイイイィィィィィン!!

 

 

「グオオォッ!?」

 

 

大きな音が響いて、ドレンゲランが悲鳴を上げる・・・ことはなかった。

なんとドレンゲランの体には全くヒビが入っていなかったのだ。逆にグドンの鞭の方がダメージを受けてしまったようで、叩きつけた部分の黒い鞭がはっきり見えるくらい赤くなっていた。グドンは自分の両腕を押さえて苦痛の表情を浮かべる。その隙をついてドレンゲランは再び首を長く伸ばして、グドンの体に強く巻き付けた。

 

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ガァッ、グッゴオォ・・・オオオオォォォッ・・・!」

 

 

ギリギリと音を立てながらドレンゲランはグドンの体を締め付け続ける。また長い尻尾も使ってグドンの体を痛めつける。グドンも必死に抜け出そうと抵抗するが、痛んだ鞭にこれまでのダメージで力が入らず、抜け出せる事ができなかった。ボーズ星人(RB)が「何とかしろ!」と必死に命令しても今のグドンは実行できず、遂に口から泡が出始めた。

 

 

「よし!このまま一気に勝利を掴むぞ。ドレンゲラン、空高く投げ飛ばせ!」

 

「ギュイイィィッ!ギュイイィィィッ!!」

 

 

巻き付けていた首を戻しつつ、ドレンゲランはグドンを空高く投げ飛ばした。そして抵抗する力を失って落下してくるグドンに『火炎弾』を浴びせる。

 

 

 

ドッガアアアアアアアァァァァァン!!!

 

 

 

止めの攻撃を受けたグドンは火の玉状態になり、そのまま大爆発を起こして粉々になってしまった。それを見たボーズ星人(RB)は悲鳴と混乱が混ざった声を出す。

 

 

「あ、あぁ・・・我のグドンが!?あんな鈍間な奴に負けるとは・・・!」

 

「見た目で判断した、お前の油断が敗北に繋がったんだ」

 

「!!?」

 

 

自分が負けた事にショックを受けていたボーズ星人(RB)にタクトはこっそり背後に回って近づいたのだ。驚きつつも逃げようと言う思いがボーズ星人(RB)の頭の中で過ったが、前の方からドレンゲランが近づいて挟み撃ちにし、退路を完全に断たれてしまう。そして悔しい表情を浮かべるボーズ星人(RB)にタクトは手を差し伸べる。

 

 

「悪いんだけど、お前のバトルナイザーを僕に渡してほしい」

 

「な、何だと!?」

 

「僕の・・・いや、一族の目的を果たす為にはお前のバトルナイザーがどうしても必要なんだ。さぁ、命が欲しいなら早く渡して!」

 

「おのれ~~調子にのりおって!お前なんかにやすやすと渡してたまるものか!」

 

 

そう言ってボーズ星人(RB)は右腕の鞭を振るって攻撃するがタクトは避けようとせず、右手の鋏で受け止める。そしてそのまま目から怪光線『ザムビーム』を放って攻撃した。

 

 

「グウゥッ・・・ぐ、あああああぁぁぁーーー・・・」

 

 

光線を受けたボーズ星人(RB)は苦しみながらも必死に抵抗を続けるが、タクトが再び放った光線によりゆっくりとその場に倒れて、体から煙を出して白骨化してしまった。

相手が完全に倒れたのを確認した後、タクトは持っていたバトルナイザーを取った。

 

 

「やった!これぞまさしく完全勝利だ。ありがとうドレンゲラン、よく頑張ったな」

 

「ギュイイイイィィィッ!!」

 

 

バトルに勝利し、バトルナイザーを奪い取れた事にタクトとドレンゲランは一緒になって喜び合った。その後タクトはドレンゲランをさらに褒めてからバトルナイザーに戻し、新たに1体の怪獣を召喚した。それは全身が真っ白で所々に黒い線があって、見た目がザム星人に似ており、両腕の武器が特徴の復讐ロボット・ザムリベンジャーである。

 

 

「ザムリベンジャー!円盤形態だ」

 

 

タクトの声に反応してザムリベンジャーはすぐさま変形して円盤へと姿を変えた。そしてタクトを自身の内部へ転送させる。ザムリベンジャーの中に入ったタクトはすぐさまコックピットに向かい、ボタンやレバーなどを操作する。

 

 

「ザムリベンジャー、さっきの戦いのデータはちゃんと残してある?」

 

『大丈夫です。今までと同じ、マスターの指示通リ戦いのデータ及び手に入れたバトルナイザーは全て残してあります』

 

「ありがとう!これで僕が倒したレイオニクスは4人か・・・」

 

 

先程手に入れたバトルナイザーを近くの台の上に乗せるとすぐ傍から3つのバトルナイザーが出てきた。

 

 

「まだ足りない。あのお方に認められるのは・・・もっと強くなって、これをたくさん献上できるようにならないと。そうしないと・・・僕の故郷を復興させることができない!」

 

 

自分の目的を必ず果たす!そう胸に誓ってタクトはザムリベンジャーにレイオニクスがいる場所を探させ、すぐさま向かうのであった。

 

 

 

そして今回最後のレイオニクスバトル・・・ではなかった。

最初に激闘を繰り広げられた戦場と似たような所で、等身大&巨大化合わせて数十体の宇宙人の亡骸があった。どちらも同じ武器をしている事から全て同一種族である事が分かった。その正体は宇宙の通り魔と言う異名を持ち、両手の鋭利な刃物と赤い瞳が特徴の怪奇宇宙人ツルク星人だ。

数多くいる事から察すると思うが、彼らはレイオニクスではない。レイオニクスではない者達が何故惑星ハマーにいるのか?実は彼らは宇宙中から集まってくるレイオニクス達を全て倒して、自分達が最強である事を証明するために此処にやって来たのだ。しかし・・・世の中は甘くなかった。

 

 

「どうした?これほどの数がいても貴様らはこの程度の強さか・・・?」

 

「キュ、ギュルゥゥ~~~」

 

 

今生き残っているツルク星人は僅か2体だけだ。そんな2体の前に両手に双剣を手に持ち、長い黒髪をポニーテールのように束ねている鎧武者がいた。しかもその者は声からにして女性であった。

彼女の挑発を受けて2体は恐れを捨てて同時に攻撃を仕掛けた。だが女性は素早い動きで4本の刃物を避けて、目にも止まらぬスピードで双剣を振るって2体を切り裂いた。剣に付いた相手の体液を拭き取ってゆっくり鞘に収めた。

 

 

「他愛もない奴らだ。数に頼ってばかりで各々が鍛えられていない未熟者め」

 

 

ツルク星人達に厳しい評価を与えるが、彼女は礼儀正しく1人1人にお辞儀をして手を合わせてからその場から立ち去り出す。

 

 

「どこかに・・・必ずいる筈だ。私より強く、器があり、守るべき者が。そうすれば私も兄者のように・・・」

 

 

そう呟きながら彼女は別の強豪者を探しに行った。

そして遠くない未来で彼女は、自身の願いを叶えてくれる者が現れるのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン


全身が宇宙鉱石でできている怪獣で、ザム星のレイオニクス・タクトの第1パートナー怪獣。高い防御力を誇り、口から吐く『火炎弾』と長く伸ばせる首による強力な頭突きが武器である。それにより唯一の弱点である動きが遅いと言うのをカバーしている。タクトとは強い絆で結ばれていて、彼の目的に全力で励んでいる。性格は見た目とは違って柔らかい性格で、並の怪獣とならすぐに仲良くなってしまう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 暴走の再会

お待たせしました。
今回は前半オリジナルで、後半から原作に入っていきます。そしてタイトル通りあの人が暴走してます。果たしてクロウ達は彼を止められるのでしょうか?
結末が気になる方は是非読んでください!感想と評価をお待ちしております。

暴竜アンギラス、蛾超獣ドラゴリー、超古代狛犬怪獣ガーディー、剛力怪獣シルバゴン
巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、古代怪獣ゴモラ(レイオニックバースト)
怪獣酋長ジェロニモン、宇宙超獣トロンガー、地底ロボット・ユートム
大宇宙ブラックホール第三惑星人(RB)、ロボット怪獣メカゴジラ、恐竜怪獣チタノザウルス
反重力宇宙人ゴドラ星人兄弟(RB)、兄怪獣ガロン、弟怪獣リットル
岩石怪獣サドラ、戦闘円盤ギガ・ロボフォー   登場



皆さん、こんにちは。モンスターキング・クロウです!

今俺はギガ・ロボフォーの外で家族である怪獣達と一緒に青い空の下でのんびり・・・。

 

 

「クロウさん!こんな大変な時に言っているのですか!?」

 

「冗談だよリーシャ」

 

 

・・・していません。俺達は今まさにレイオニクスバトルを行うとしているところです。

レイを探している途中また他のレイオニクスに遭遇した。いや、今回は少し違う。そのレイオニクス達は明らかに俺達の事を待ち伏せしていたのだ。乗っていたギガ・ロボフォーが奴らの宇宙船によって全機能を停止させられ、俺とリーシャを外に誘い出すとすぐさまバトルを仕掛けて来た。

俺が戦う相手はそいつらのリーダー的な者で、操る怪獣は最強の怪獣王ゴジラをモデルに作られ、全身が宇宙特殊鋼スペースチタニウムでできて、左腕に“MGⅠ・Ⅱ”の文字が入っているロボット怪獣メカゴジラ(見た目は昭和版の2号機)と毒々しい色に頭から背中に深海魚の様なトサカとヒレがあって、長い首が特徴の恐竜怪獣チタノザウルスだ。

そしてレイオニクスの正体だが、見た目は地球人と同じ姿をして銀一色のコスチュームとヘルメットを装着している。確か・・・どこかで見た事がある。

 

 

「そうだ思い出した・・・お前、大宇宙ブラックホール第三惑星人のレイオニクスだな?」

 

「ほぉ、私の事を知っていたか。その通りだ。お前にこのムゲーロ様が操る怪獣達を倒せるか?」

 

 

どうやらアイツには個体名があるようだな。珍しいと思いつつ懐から煙草を出して吸いながら挑発してくる事に苛立ちを覚える。俺も舐められたものだ。

 

 

「その余裕の顔、すぐに変えてやるよ。行け!アンギラス!ドラゴリー!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

今回召喚したのはアンギラスとドラゴリーだ。なぜ自分を出さないのかとギガライブナイザーの中で騒ぐ怪獣達を抑えつつ2体を見る。

久しぶりに戦える事にドラゴリーは喜びの声を上げるが、アンギラスは違った。メカゴジラを射殺さんくらいに睨み付けている。もしかして・・・かつて富士山で戦った時の記憶が残っているのか!?

 

 

「もしそうならばリベンジマッチだ。アンギラスはメカゴジラを!ドラゴリーはチタノザウルスを倒せ!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

クロウが指示を出した瞬間、アンギラスはメカゴジラ目掛けて突進した。

それにつられてドラゴリーも両腕を振るって走り出す。

 

 

「愚か者め、メカゴジラ!チタノザウルス!奴らを片付けてしまえ!」

 

「キシャアアアアアァァァッ!!」

 

「パオッ!パオォーーッ!!」

 

 

(BGM:メカゴジラのテーマ)

 

 

対するムゲーロもメカゴジラとチタノザウルスに迎え撃つように指示を出す。メカゴジラは指を前に出して機械音を出しながら歩き、チタノザウルスは首を振りながら咆哮を上げて走り出す。

今此処にアンギラス&ドラゴリーVSメカゴジラ&チタノザウルスの戦いが始まった。

 

 

それと同時に近くの戦場にいるリーシャの方もレイオニクスバトルが始まろうとしていた。彼女の相手は黒い鋏状の手が特徴の反重力宇宙人ゴドラ星人(RB)達だ。何故複数形なのだって?実はこのゴドラ星人(RB)は2人いて、しかも仲の良い兄弟であった。

 

 

「フハハ、我々ゴドラ兄弟に女である貴様が勝てると思っているのか?」

 

「レイブラッドの後を継ぐのは僕らなんだから!」

 

「はぁ・・・どうして私の相手はいつもあんな奴らばかりなんだろう」

 

 

自信満々のゴドラ兄弟を見てリーシャはため息をつく。前に戦ったバルキー星人と同じで彼らもかなりの自信家のようだ。そんな性格のレイオニクスを相手にするのは本当に疲れる。

だけど降伏する気も負ける気も全くない。さっさと終わらせて愛するクロウに褒めてもらい、甘えさせてもらうと少し邪な思いを浮かべながらリーシャはネオバトルナイザーから全ての相棒怪獣を召喚する。

 

 

「行きなさい。ガーディー!シルバゴン!モスラ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「ゴシュイイイィィィィィ!!」

 

「ピュアアアアァァァ!!」

 

 

召喚された3体はやる気十分に咆哮を上げる。しかしゴドラ兄弟は目の前に現れた強豪怪獣達を見ても余裕の表情を変えない。

 

 

「なかなかの強さを感じるな。では俺達も怪獣を出すとしよう。行くぞ弟!」

 

「うん!」

 

 

兄弟は同時にバトルナイザーを取り出してそれぞれ怪獣を召喚する。

兄が操る怪獣は自分達と同じで兄弟怪獣のガロン&リットルで、弟が操る怪獣は岩石怪獣サドラである。3体の怪獣達は自慢の武器である鋏を鳴らせてガーディー達と対峙する。

そして一瞬強く風が吹いたのを合図にお互いに動いてぶつかり合った。

 

 

「ギャイイイィィィーーッ!」

 

 

ぶつかり合ってから距離を取ったサドラが、ガーディーとモスラに向けて両手の鋏『重層ベローズピンチ』を放つ。そしてガロンとリットルも同じように離れて、それぞれ口から『火炎放射』と『ロケット弾』を放ってシルバゴンを攻撃した。

 

 

「ピュアアアァァ!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!ガブッ!!」

 

 

しかしサドラの攻撃をモスラは素早く避け、ガーディーは受け止めた後腕に思いっきり噛み付いた。噛み付かれたサドラは悲鳴を上げて残った鋏を使って引き離そうとするが、それを見たモスラが『超音波ビーム』で攻撃してガーディーを援護した。

モスラの攻撃で怯んだサドラの腕を噛み続けていたガーディーはようやく口を離して、今度は両手でサドラの腕をがっしり掴んでその場でジャイアントスイングをして投げ飛ばし、さらにサドラの腹目掛けて何度も尻尾で叩いてダメージを与えた。

次に兄弟怪獣の攻撃を受けたシルバゴンだが、あれ程の火力を受けても全く傷を負っていなかった。

 

 

「ゴシュイイイィィィィィ!!」

 

 

逆に攻撃を受けて闘志を燃やしたシルバゴンはガロンとリットルに接近して、顔や体に何度もパンチを浴びせた。剛腕を用いたパンチを受けてガロンとリットルは悲鳴を上げる。

しかし好戦的な性格である兄弟怪獣に逃げると言う選択肢はなく、また主である兄のゴドラ星人(RB)からも「怯むな!戦え!」と指示を受けて2体は反撃に出た。

 

 

「「ギシャアアアアァァァッ!!」」

 

「グオオォ?ゴシュイイイィィィ!」

 

 

痛む体を動かしてシルバゴンから再び距離を取ったガロンとリットルは、左右に別れてシルバゴンを挟み撃ちにした。そしてガロンが頭部の1本角で突き刺そうと走り出した。それを見てシルバゴンは不思議に思って首を傾けながらも両手で簡単に角を掴んで押さえ込んだ。

だがそれこそガロンの狙いであった。

 

 

「はっ!シルバゴン後ろよ!」

 

「ギシャアアァァァッ!!」

 

「ゴシュイイイィィィッ!?」

 

 

リーシャの慌てた指示が響いた瞬間、シルバゴンは何かに尻尾を引っ張られて倒れてしまった。

そして掴んでいた角を離してしまった為、自由の身になったガロンに頭を何度も踏まれたり、蹴られてしまった。攻撃を受けつつもシルバゴンが後ろを振り向くとリットルが鋏で尻尾を強く挟みながら力強く後ろに引っ張って動きを封じていた。それを知ってリットルを攻撃しようとすればガロンが攻撃して気を散らす。ガロンを攻撃しようとすればリットルが尻尾を引っ張って攻撃を防ぐ。

兄弟だけになかなかのコンビネーションだ。

 

 

「あの2体・・・姿が似ていると思っていたけどやっぱり兄弟だったのね!」

 

「フハハ、その通りだ。ガロンとリットルのコンビネーションの前に多くの怪獣達が破れて行ったのだ!」

 

 

冷静に怪獣達の正体を見破るリーシャに兄のゴドラ星人(RB)が笑いながら説明する。並の怪獣よりも絆が深いだけでなく厄介なコンビネーション攻撃。彼の自信はここからあるようだ。

 

 

「確かに良いコンビネーションだけど、私を甘く見ない事ね。シルバゴン!貴方の本気を見せて上げなさい!」

 

「ゴシュイイイィィィーー!!」

 

 

リーシャの言葉を聞いてシルバゴンはガロンの踏み付けを我慢して先程よりも強く尻尾を振り回す。必死に踏ん張っていたリットルだったが、とうとう投げ飛ばされてしまった。

 

 

「ゴシュイイイィィィッ!!」

 

「ギシャアァッ!?ギシャアアアァァァッ!」

 

 

そして素早く立ち上がると目の前にいるガロンに怒りを込めたパンチと頭突きを食らわせ、さらにガロンの頭を掴むとそのまま持ち上げて勢いよく地面に突き刺した。それによりガロンは上半身が地面に埋まって身動きが取れなくなってしまった。

 

 

「ガ、ガロンが!?リットル、早く助け・・・ああぁ!!?」

 

 

ガロンの危機を見て兄のゴドラ星人(RB)は慌ててリットルに助け出すように指示を出すが、リットルの方も危機に陥っていた。空からモスラが『超音波ビーム』と『クロスヒートレーザー』を交互に放って攻撃していたのだ。リットルも『ロケット弾』で応戦するが、空を自由に飛んでいるモスラの方が機動力が高く、そのために1発も当たらず遂にリットルはグロッキー状態になってしまった。

 

 

「ギィ、ギシャアアァ~~・・・」

 

「リットルまでが・・・!?お、弟よ!こちらにサドラw「兄者~~!」うん?」

 

 

自分の怪獣達がこれ以上戦える事ができない状態になった事に信じられず、動揺してしまうが何とか状況を覆そうと弟のゴドラ星人(RB)に加勢を頼もうとする。だがそれよりも早く弟のゴドラ星人(RB)が泣き付いて来た。どうしたのか聞こうとした時、サドラの悲鳴が響いた。

 

 

「ギャイイイィィ~~~!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

振り向いて見るとそこにはガーディーにボコボコにされて地面に倒れていて、もはや虫の息状態のサドラがいた。その光景に兄のゴドラ星人(RB)はさらに慌てふためく。

 

 

「サ、サドラもだと・・・!?」

 

「今度は貴方達が破られる番よ!ガーディー、ゼペリオン光線よ!」

 

「ガウゥッ!ガウウウゥゥーーー・・・ウゥッ!?」

 

 

止めを刺すべくガーディーが相手に『ゼペリオン光線』を放とうとした時、突如横から大量の光線とミサイルが放たれた。それも1発だけではなく、連続で放たれてきたのだ。しかもその攻撃はガーディーだけでなく、シルバゴンやモスラ、さらにサドラ達にさえ攻撃してきた。

 

 

「なっ!?こ、これはまさか!ぐぅぅ・・・ぎゃあああああ!!?」

 

「「ギシャアアアアァァァーー!!」」

 

「ギャイイイイィィィーー!!」

 

 

全員が必死に岩場に隠れたり、防御に徹したりする。だが光線とミサイル攻撃と同時に突風も襲い掛かってきた為にバランスを崩してしまう。

そして激しい攻撃に兄のゴドラ星人(RB)とガロン、リットル、サドラが命中してしまって倒されてしまった。

 

 

「あ、兄者ーーー!?」

 

 

目の前で兄が殺された事に弟のゴドラ星人(RB)は唖然とするが、攻撃が止んだ後すぐに攻撃してきた方向にいるメカゴジラ・・・そして近くにいるムゲーロに怒りを表す。

先程までクロウと戦っていたムゲーロ達は、アンギラスとドラゴリーのタッグによる猛攻に押されてしまった。

勝負に焦ったムゲーロはメカゴジラに切り札を使うように指示を出した。

それは目から放つ『スペースビーム』、鼻先から放射する『デストファイヤー』、両手を回転させて先端の鋭い指を放つ『回転式フィンガーミサイル』、胸部分を開いて発射する『クロスアタックビーム』、両足と膝からミサイルを発射する『ホーミューショット』と『ハイプレッシャーホーミング』と言った全武装による一斉射撃である。

またそれに加えて、チタノザウルスが自信の尻尾を団扇のように開いて突風を発生させ、命中率を上げる為に援護したのだ。

流石のクロウもこの攻撃には手を焼いて、アンギラスとドラゴリーと一緒に防御するしかなかった。

 

 

「フッハハハ!よくやったぞメカゴジラ!チタノザウルス!」

 

 

クロウだけでなく、その仲間達にもダメージを与えられた事にムゲーロは嬉しそうに高笑いする。そんな彼に弟のゴドラ星人(RB)が背後から迫った。

 

 

「一体どういうつもりだムゲーロ!宇宙を分け合って支配すると約束した俺達まで!?」

 

「ハハハ・・・うん?あぁ、お前達・・・そんな所にいたのか?さっさと逃げれば良かったものを・・・愚かな奴め」

 

「き、貴様!!」

 

 

ムゲーロのあまりにそっけない態度に弟のゴドラ星人(RB)はさらに怒り、両手の鋏を尽き出しながらムゲーロに向かって走り出した。しかしムゲーロは慌てず、腰に付けてあった銃を取り出して発砲した。弾はゴドラ星人(RB)の胸に命中し、彼は火花を散らしながら倒れた。

 

 

「あ、兄者・・・無念・・・」

 

 

地面に倒れつつも最後の最後まで抵抗する弟のゴドラ星人(RB)だったが、遂に力尽きてそのまま消滅してしまった。そんな彼の死を見てクロウ達は言葉を失うが、ムゲーロだけは嘲笑った。

 

 

「本当に愚かな奴等め。この宇宙を支配する者は私だけで十分だ!フハハハハッ!」

 

「・・・おい」

 

「ん?何だ?」

 

 

高笑いしていたムゲーロにクロウが話しかける。しかし、今の彼の声から普段の優しい雰囲気ではなく、地の底から聞こえると思うほどの怒りの声だった。いつもならすぐに傍に寄り添うリーシャや怪獣達も恐怖を感じて近寄る事ができないくらいだ。

そんな事は気にせずにクロウは話し続ける。

 

 

「自分の手で殺した仲間の死がそんなに面白いか?」

 

「・・・ふん!そんなつまらない事で怒っているのか?怪獣王と呼ばれている貴様も案外器の小さいものだな」

 

「つまらない事か・・・」

 

 

そう言われた瞬間、クロウの姿が怪人形態へと変わった。初めて見るこの姿にその場にいる全員が驚きの表情になった。

 

 

「王とは下の者達を導き、守るために存在する者!それとは逆に仲間を自分の手で消した貴様の方が器の小さい者だ!!」

 

 

言葉と共にクロウの体から溢れる凄まじく強力な力に真正面に立っているムゲーロは完全に戦意を失いかけた。それでも必死に自分を奮い立たせるよう言い聞かせ、精神と心を保ってメカゴジラとチタノザウルスに攻撃するように命じた。

 

 

「メカゴジラ!チタノザウルス!早く・・・ア、アイツを倒せ!!」

 

「キシャアアアアアァァァッ!!」

 

「パ、パオォーーーッ!!」

 

 

ロボットであるメカゴジラはともかく、チタノザウルスの方は本能でクロウの力に怯えていたが、主の命令を聞いて決意を固めると真っ直ぐ突進攻撃を仕掛けた。

 

 

「アンギラスは暴龍怪九裂弾でブッ飛ばせ!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

突進攻撃してくるチタノザウルスにアンギラスは、体を丸めて球状になって必殺技の『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』で体当たりしてブッ飛ばし、そのままメカゴジラにも激突した。如何に頑丈なボディを持つメカゴジラでもクロウの力でパワーアップしているこの攻撃には耐えきれず、激しい火花を散らしながら倒れた。

 

 

「今だドラゴリー!チタノザウルスに止めだ!」

 

「ギョロロロロッ!!」

 

 

真正面から勢いよく『暴龍怪球裂弾(アンギラスボール)』を受けて体に激痛が走り、その痛みに悶えているチタノザウルスにドラゴリーは容赦なく攻撃をする。口から『高熱火炎』を吐き、両眼の『破壊光線』と両腕のロケット弾を放つなどメカゴジラに負けない能力で攻めた。

 

 

「ギャギャアアアァァーーー!!?」

 

 

大ダメージを受けているところに強力な攻撃を食らい、チタノザウルスは悲鳴を上げながら大爆発を起こした。そしてドラゴリーはそのままメカゴジラの方に向かった。

一方メカゴジラは、先程の攻撃で倒れたところに右腕をアンギラスに噛み付かれて動けない上に首部分が故障して内部の機械が正常に機能しないために起き上がれる事もできずにいた。

そんな状態の時にドラゴリーまでもやって来たから大変だ。メカゴジラの体の上に馬乗りになったドラゴリーは体中を何度も両腕で叩きつけてボロボロにした後、左腕を掴んでもぎ取ってしまった。また右腕に噛み付いたままであったアンギラスは、顎に力を込めてそのまま噛み千切ってしまった。

 

 

「メ、メカゴジラが!このままではメカゴジラさえもやられてしまう。こうなれば・・・メカゴジラ!ロケットをフルパワーで噴射!直ちに脱出しろ!」

 

「キシャアアアアァァァッ!!」

 

 

両腕を失った今のメカゴジラでは2体に勝つのは無理だ。そう判断したムゲーロはメカゴジラに戦線離脱を命じた後、急いで宇宙船に乗り込んでこの場から逃げようとする。普通バトルナイザーに戻せばいいのではないかと思うが、恐怖で思考が鈍くなっているムゲーロは一刻も早く此処から逃げたいと言う気持ちしか考えていなかった。

 

 

「逃がすか。アンギラス!もう一度暴龍怪球裂弾だ!ドラゴリー!お前も力を貸してやれ!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「ギョロロッ!ギョロロロロ!!」

 

 

再び体を丸めて球状になったアンギラスをドラゴリーが持ち上げてバレーボールのように勢いよくアタックした。アンギラスボールは空高く飛び上がって行くメカゴジラの首分部に命中した。首が破壊されたメカゴジラはコントロールを失い、そのままムゲーロが乗る宇宙船に突っ込んでいった。

 

 

「ぎゃああああああ・・・ああぁぁぁぁ・・・・・」

 

 

突然の事にムゲーロの乗った宇宙船を避ける事ができず、メカゴジラとぶつかって大爆発を起こした。当然乗っていたムゲーロは爆死した。

 

 

「クオオオオオォォォォーーーン!!」

 

「ギョロロロロロ!!」

 

 

戦いに勝利したアンギラとドラゴリーは一緒に勝利の咆哮を上げた。特にメカゴジラにリベンジを果たせたアンギラスはとても嬉しそうだ。

 

 

「よくやったぞアンギラス。ドラゴリー。ゆっくり休んでいろ」

 

 

優しく褒めた後2体をギガライブナイザーに回収し、俺はいつもと変わらぬ人の姿に戻った。それと同時に怪獣達を回収したリーシャが駆け寄って来た。

 

 

「クロウさん、お疲れ様です!」

 

「あぁ、リーシャもご苦労だったな。怪我はないか?」

 

「大丈夫ですよ。それにしてもさっきの姿・・・とてもカッコ良かったです♪」

 

 

頬を赤く染めながらリーシャが俺に抱きついてきた。いきなり抱きつかれて驚いたが、すぐに俺もリーシャを優しく抱きしめた。

抱きしめている相手の感触の良さと一緒に互いの匂いが鼻の中に吸い込まれた。その匂いの良さもあってもう胸のドキドキが止まらない。幸せを感じながら俺達はこの場で快感(読者の皆様に見せられない事)を得ようとするが、流石にダメだと言わんばかりにギガ・ロボフォーに乗っているジェロニモンの声が響いた。

 

 

「クロウ様!レイモンヲ見ツケマシタ。リーシャト一緒ニ戻ッテ来テ下サイ!」

 

 

その声を聞いて2人は正気に戻る。惜しいところであったが仕方ないと思いつつ俺はリーシャに手を差し出す。

 

 

「今はこれで我慢してくれ」

 

「は、はい!クロウさん///」

 

 

嬉しい気持ちでリーシャは俺の手をギュッと握って歩き出す。歩いている途中でリーシャは先程のクロウの姿を思い返した。今は人の姿だが、あの怪人の姿が彼のもう1つの姿・・・けれど私にとってどんな姿であろうと関係ない。自分が心の底から大好きで愛している恋人であるから!

そう思いつつリーシャはこの戦いが終わって姉を捜し出したら結婚式を上げようと密かに考えるのであった。

 

 

 

 

 

その後俺達はギガ・ロボフォーに乗ってレイがいる場所に向かう。

そして少し経つと目の前で咆哮を上げているゴモラを見つけた。見た瞬間にそのゴモラがレイのパートナーであるゴモラだと分かった。だが今のゴモラは全身が炎を纏っているかのように真っ赤で、周りを破壊しながら唸り声を上げるなどとても凶暴であった。あれは完全にレイが暴走している証拠だ。

 

 

「もう少し修行させればよかったな。まぁ、今さら言ってもしょうがない」

 

 

愚痴を零しながら見つめていると暴れていたゴモラがドス赤黒い光の塊となって近くの場所で消えた。カメラを移動してモニターでその場所を確認してみるとそこにはバーストモードになっているレイモンとヒュウガがいた。俺は操縦桿を操作して近くに着地し、リーシャとジェロニモン達複数の仲間を連れて急いでレイモンの元に向かった。辿り着くとヒュウガがレイモンを止めているところであった。

 

 

「ようやく見つけたぞレイモン」

 

「クロウ!それにリーシャ達も!!」

 

「ヴオオォーーーー!!!」

 

 

クロウ達が現れた事にヒュウガが驚いた隙をついてレイモンがクロウに襲い掛かった。

 

 

「クロウ様ヲオ守リシロ!」

 

「「「「プロロロロ!!」」」」

 

 

それを見てジェロニモンが連れて来ていた4体のユートムに命令する。ユートム達はクロウを守ろうと前に並び立つ。だがレイモンは乱暴に腕を振るってユートム達を突き飛ばし、どこからか見覚えのある武器を取り出して再び襲い掛かって来た。

 

 

「トロンガー!行ケ!」

 

「ギュヴヴィィィッ!!」

 

 

次に飛び出したのはジェロニモンの用心棒とも言えるトロンガーで、レイモンの持つ武器を素早い動きで避けながら後ろに回ってレイモンを羽交い締めにする。その瞬間、リーシャが銃を抜いて武器を撃ち落とした。

 

 

「うおぉーーー!!ヴアァーーー!!」

 

「まるで駄々っ子だな・・・(汗)。トロンガー、そのまま押さえていろ」

 

 

羽交い締めにされてもなお抵抗続けるレイモンを見てそう呟きながらギガモンスランスして、左手をガギの手『クローウィップ』に変化させた。そしてバタバタと動かすレイモンの両足に鞭を巻き付け、動けなくさせた後で目の前まで近づく。

 

 

「ちょっと痛いぞ」

 

 

ドスッ!

 

 

「ガアッ!?」

 

 

そう言ってギガバトルナイザーを地面に置いて、空いた右手をレイモンの腹に突き刺した。突き刺した後レイモンの体内で溢れているレイブラッドの闘争本能を俺の力で押さえる。

 

 

「う、あ・・・あぁ・・・」

 

 

ほんの数秒くらい経つとレイモンは暴れるのを止めて、意識を失ってゆっくりと前に倒れるのと同時にレイの姿に戻った。それを見計らってトロンガーに解放するように伝え、周りにリーシャ達が集まった。

 

 

「ようやく静かになりましたね」

 

「あぁ、全く。世話のかかる奴だ。だけどまぁ、今は眠りなレイ・・・」

 

 

俺の胸の中で静かに眠っているレイの頭を優しく撫でる。その時のレイの表情はまるで親に抱かれて安心している子供の寝顔みたいであった。

その後ハルナ達スペースペンドラゴンが惑星ハマーに到着して、全員無事に合流する事ができた。だがこの合流がきっかけで、ある悲劇の復讐劇が始まるのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
ロボット怪獣メカゴジラ


地球最強の怪獣・ゴジラをモチーフにし、鋼鉄の何倍の強度を持つ宇宙特殊鋼スペースチタニウムでできているロボット兵器。
大宇宙ブラックホール第三惑星人のレイオニクス・ムゲーロの第1パートナー怪獣。
全身に様々な武器を装備しており、目から放つ『スペースビーム』、鼻先から放射する『デストファイヤー』、両手を回転させて先端の鋭い指を放つ『回転式フィンガーミサイル』、胸部分を開いて発射する『クロスアタックビーム』、両足と膝からミサイルを発射する『ホーミューショット』と『ハイプレッシャーホーミング』と言った全武装による一斉射撃と言う切り札を持つ。
同じ仲間のチタノザウルスと一緒にクロウ達と戦った。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第25話 激突!怪獣王・暴龍・空の大怪獣VSベリアル融合獣!!

皆様、お久しぶりです。
随分と待たせてしまってすみません。仕事が余りに忙しく時間が取れなかったので(汗)。
今回から再び原作に突入します。クロウ達と合流したレイとヒュウガ達。そんな彼らに異次元から迷い込んだ怪獣と因縁を持つ宇宙人達が襲撃する。
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、怪獣王ゴジラ、暴竜アンギラス、空の大怪獣ラドン
古代怪獣ゴモラ(レイオニックバースト)
怪獣酋長ジェロニモン、宇宙超獣トロンガー、地底ロボット・ユートム
幻惑宇宙人メトロン星人(RB)、一角超獣バキシム、暴君怪獣タイラント
ベリアル融合獣スカルゴモラ、戦闘円盤ギガ・ロボフォー   登場



此処は、クロウ達が存在しない別世界の地球。

惑星ハマーでレイオニクスバトルを行っていた時代から長い年月が経ったこの星にて、今激しい戦いが繰り広げられていた。

周りが森と山に囲まれた場所・光瀬山麓とそこから遠く離れて近くに天文台がある市街地の2か所で、2体の怪獣と2体の巨人がそれぞれ争い合っていた。

 

 

「フッ!ゼアッ!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

 

天文台がある市街地の方で戦っているのは、様々な怪獣の特徴をあり体中武器の塊である暴君怪獣タイラント。もう一方は銀色の体に紫色のラインが入っている巨人・ウルトラマン。

 

 

「ハァーッ!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

光瀬山麓の方で戦っているのは、頭部・背中・肘・膝に生えている赤い角と胸の紫色のカラータイマーが特徴の怪獣。もう一方は全身が赤色のアーマー状になっているのが特徴の同じ巨人・ウルトラマン。それぞれ違う姿の2人のウルトラマンだが、どちらも眼が鋭いという共通点があった。

そんなウルトラマンに2体の怪獣は、自慢の武器や怪力、必殺技で攻めるが、2人のウルトラマンも同じくそれぞれの鋭い武器を手に攻撃する。

 

 

「ゼアーーッ!!」

 

「ハァーーッ!!」

 

 

そして怪獣達に止めを刺そうと必殺技を出そうとした時、突如怪獣達の背後に巨大な黒い異次元空間が発生した。それを見てウルトラマン達は動きを止める。

 

 

「ギィガアアアァァッ!?」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァッ!?」

 

 

怪獣達が自分の背後に現れた異次元空間に気が付いたのと同時に異次元空間の中心が渦巻きのように回り始め、強烈な旋風を出しながら怪獣達を吸い込み始めた。

当然の如く怪獣達は抵抗するが、吸い込む力はさらに増していく。そして吸い込まれそうになった時、カラータイマーがある怪獣の体内から1つの黒い光の球が現れて、近くにあった吊り橋の真ん中の位置で止まった。光が収まり出していくと中から1人のスーツを着た男が現れた。

この者の名は伏井出ケイと言い、ある宇宙人に仕えている者だ。

 

 

「ハァハァ・・・何だ・・・あの空間は・・・?」

 

 

ケイは荒い息を吐きながら振り向くと自分が内部で操っていた怪獣が瞬く間に異次元空間の中へ吸い込まれていって、完全に姿が見えなくなった。

怪獣達を吸い込んだ異次元空間はすぐに閉じて消えてしまった。

 

 

「スカルゴモラが!?・・・まぁいい、私にはまだコレが残っている」

 

 

突然の予想外の事態に驚いていたケイだったが、すぐに冷静な表情になって懐からレッドキングとゴモラの姿が描かれている怪獣カプセルとナックルに似たアイテムを取り出した。

兎に角戦う相手がいなくなった事でウルトラマン達は空へ飛び去り、ケイも先程の異次元空間について調べようとその場から立ち去ろうとするが、こちらに向かってやって来る女性の方に専念して、異次元空間の事をつい忘れてしまうのであった。

結局この場にいる者全てがあの異次元空間について何も知る事ができなかった。知っているのは先程の異次元空間に潜む者だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって此処はクロウ達が存在して時を遡った惑星ハマー。

一悶着ありながらもレイ達と合流できたクロウ達は、気を失っているレイをペンドラゴンにある彼の部屋に寝かせ、今は全員コックピットに集まっている。

そこでお互いに知っている情報を交換した。

 

 

「ペダニウムランチャー?」

 

「えぇ、ペダン星人の科学力は途方もないもので、その威力はとんでもなかったです」

 

「それはそうだろう。キングジョーを見た通り、アイツらは機械については宇宙一とも言えるほどだからな」

 

 

ペダン星人によって無理矢理改造されて備え付けられたオメガ砲=ペダニウムランチャー。実際にこの目で見てみたいと思いつつ、俺はクマノに訊ねる。

 

 

「ところでクマさん、例のペダン星人は今何処にいる?」

 

「えっ?あぁ、アイツならペンドラゴンの格納庫の1つに閉じ込めているよ」

 

「そうか・・・」

 

 

あのペダン星人ダイルが此処にいる。俺の記憶が正しければ確かこの後レイに・・・いや、俺達レイオニクスに襲い掛かってくるんだよな。情報もある程度得たならもう用がない。

先手を打っておいた方がいいと思い、護衛に連れて来ていたユートム達に命じた。

 

 

「お前ら、奴を始末してこい」

 

「「「「プロロロロ!!」」」」

 

 

クロウの命令を受けた4体のユートム達は右手の銃を上げ、礼儀正しくお辞儀をした後ドアを開けてダイルがいる部屋に向かって行った。

だが暫くすると再びドアを開き、目を覚ましたレイが飛び込んできた。ボス達が体の心配をして「大丈夫か?」と訊ねるが、レイは答えず椅子に座っていた俺の元に駆け寄って来た。

 

 

「クロウ!頼みがある!」

 

「お前の言いたい事は大体分かるが、一応聞いておこう。どんな頼みだ?」

 

「俺の中の・・・レイオニクスの力を抜きとってくれ!!」

 

「・・・なんだと!?」

 

 

予想していた内容ではなかったのでつい大声を出してしまった。これは予想以上にレイの心の痛みは重大みたいだ。まぁ、暴走していたとはいえ仲間に手を出してしまったから無理はない。

そう思っている間にレイの決断を聞いたリーシャが声を上げる。

 

 

「本気なのレイ!?レイオニクスの力を抜けと言う事は、もう二度とバトルナイザーを使う事ができなくなるのよ!」

 

「リーシャの言う通りだ。お前から力を抜く事は簡単だ。だがレイ、本当にそれでいいのか?」

 

「あぁ・・・そうすればもう「言い忘れたがボス達が傷付かぬ変わりにゴモラ達、怪獣の絆も消える事になるぞ!」ッ!?」

 

 

クロウの言葉を聞いてレイは気が付いた。ヒュウガ達の事を思って考えた行動は、今まで一緒に戦ってきてくれたゴモラ達を見捨ててしまう結果になる。そんな事を自分はできるだろうか?否、できる筈がない!だがこのままではまた暴走して誰かを傷つけてしまう。大きな問題の前にどうしていいのか分からず苦しむレイを見てヒュウガ達もどう言って良いのか分からず黙ってしまう。

皆が暗い空気に飲まれかけた時、最も頼れる仲間(クロウ)が手を差し伸べた。

 

 

「レイ、お前の暴走を止められる方法ならあるぞ」

 

「何!?」

 

 

暴走を止められる手段があると言った瞬間、レイは驚きつつ明るい表情になった。

 

 

「お前の体の中に俺のレイオニクスの力を注ぎ込むんだ。そうすれば元々お前の中にあるレイオニクスの力と組み合ってレイブラッドの闘争本能を抑え込む事ができる。だがこれは応急措置と同じだ。本来なら前にやった修行を続けていけばいいのだが、生憎お客様がお待ちの様だ」

 

 

そう言ってクロウが指差す方向にいたのは体を赤く光らせているメトロン星人(RB)だ。

いつの間にかコックピットの前部分にいたメトロン星人(RB)を見て全員驚きの声を上げる中、元のピット星人の姿に戻ったリーシャが銃を抜いて訊ねる。

 

 

「貴方・・・レイオニクスね。私達に何の用?」

 

「貴様はピット星人か。フフフ、悪いが用があるのはお前ではない。用があるのはそいつだ!」

 

 

メトロン星人(RB)は、怒りを込めながら先端が青い手でレイを指差す。そして自分がレイに酷い暴行を受けた事を説明した。

 

 

「なるほど・・・そんなことをされたら根を持つのは仕方ないな」

 

「分かってくれるか!あの時の屈辱を・・・私は絶対に忘れない!今すぐ私と戦え!表で待っているぞ」

 

 

レイに挑戦状を出した後、メトロン星人(RB)は瞬間移動で姿を消した。そして挑戦状を受けたレイを見てみると・・・彼は笑っていた。戦える事に喜んでいるのだ。

 

 

「(テレビで見た時も思ったが、こいつは本格的に危ない感じだ。急いでやるとするか)ギガモンスランス!」

 

 

このままでは確実にレイは暴走するだろう。レイブラッドの闘争本能を抑える為、ギガモンスランスで右手をノスフェルの手『クローハンド』に変化させる。そして前と同じようにレイの腹に突き刺そうとした時、突如ペンドラゴンが激しく揺れ、バランスが崩れる。

それと同時に俺の背中に強い電撃と痛みが走った。

 

 

「グヴヴヴッ!?な、あ・・・何だ・・・」

 

「「「クロウさん/様!?」」」

 

 

クロウに襲い掛かったのはダイルだった。彼は自分を抹殺しに来たユートム達を全て倒し、先程の揺れに乗じてこの場にいるレイオニクスの中で最も強いクロウを抹殺しようとしたのだ。

ダメージを受けるクロウを見てリーシャとジェロニモン、トロンガーは慌てて助けようとするが、クロウが手で制する。

 

 

「心配するな・・・この程度で、俺がやられるかーーー!!」

 

「何!?がっ!」

 

 

両手から電撃を放ち続けるダイルにクロウはギガライブナイザーを使って頭を強く叩いて振り払う。頭を攻撃された事でダイルは手で押さえながらその場に膝をつく。

そのまま一気に止めを刺そうとするが・・・。

 

 

「ヴオオオオオォォォーーー!!」

 

「クロウさん!レイが・・・」

 

「っ!しまった・・・」

 

 

戦いを見て刺激を受けたのか、レイが暴走状態であるレイモン(バーストモード)に変身してしまった。ダイルの事よりこっちを優先するべきだったと心の中で後悔しつつ、ヒュウガ達が必死に押さえている間に俺の力を注ぎ込もうとする。だが再びペンドラゴンが揺れてバランスを崩してしまい、さらにリーシャが怪我をしてしまった。そしてその隙をついてヒュウガ達を振り払ったレイモンが外へ出てしまった。さらにダイルもレイモンを追って外に出て行った。

 

 

「うぅ・・・待つんだ。レイ!」

 

「ボス!俺が行く。リーシャ達は後から来い!」

 

 

そう言ってリーシャの怪我を治してからトロンガーにリーシャ達の護衛を命じた後、2人の後を追い掛ける。外に出てみるとそこには4体の怪獣がいた。

1体目はレイモンのゴモラ(レイオニックバースト)、2体目は超獣使いメトロン星人(RB)の一角超獣バキシム、3体目はややグロッキー状態の暴君怪獣タイラント、そして4体目がまだ俺の見た事のない怪獣だった。あの怪獣は・・・スカルゴモラと言うのか。

 

 

「別名ベリアル融合獣ね。本当に怪獣にはいろんな奴がいるんだな。しかしアイツらは何処からやって来たんだ?さっきの揺れと関係あるのか?」

 

 

2体を見つめながらクロウはそう考える。彼の推測は正しく、先程ペンドラゴンが揺れた原因は近くに異次元空間が発生し、スカルゴモラとタイラントが現れたからだ。突然訳も分からない所にやって来た事に2体は混乱と怪獣の本能から暴れ出した。そして2体を邪魔と思ったメトロン星人(RB)が自分の主力怪獣ならぬ主力超獣のバキシムを召喚し、続けて外に出たレイモンがすぐさまゴモラを召喚したのだ。

4体の怪獣達は互いに睨み合って威嚇する。だがその睨み合いは長く続かなかった。

 

 

「やっと出てきたか!他に余計な奴らがいるが構わん。バキシムよ、お前の超獣の力をあのゴモラに見せてやれ!」

 

「ギガァァァァン!!」

 

「ヴオオオォォォーーー!!」

 

「ギシャアアアァァヴヴヴヴッ!!」

 

 

メトロン星人(RB)の指示を受けたバキシムは棘の付いた両腕を振るわせながら歩き出す。

対してレイモンもゴモラに迎え撃つように指示(?)を出した。そして争い出す2体を見て戦いに加わろうとするスカルゴモラとタイラントの前にクロウが立ち塞がった。

 

 

「お前達の相手は俺達だ。久しぶりに頼むぜ!行けゴジラ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

 

召喚されたゴジラは咆哮を上げて真っ直ぐスカルゴモラへ向かい、強烈なパンチを放って攻撃を始めた。しかしスカルゴモラはゴジラの攻撃を受けても怯まず、並の怪獣よりも凄まじい怪力パンチで反撃した。予想以上に重い一撃を食らってゴジラは思わずよろめくが、すぐに体勢を整えて今度は連続でパンチやキックを放つのであった。

 

 

「久しぶりの出番で結構張り切っているゴジラと互角に戦うスカルゴモラは凄いな~~」

 

『グオオオオォォォッ!!』

 

「おっとすまない。そろそろ俺達も行くとするか相棒!」

 

 

ゴジラ達の戦いに魅入られていた俺だったがすぐに我に返り、ギガライブナイザーからキングオブモンスのスパークドールズを出してライブする。

 

 

『ギガライブ!キングオブモンス!!』

 

 

輝かしい光を放ちながら俺はキングオブモンスに変身する。そしてそのままタイラントに向かって戦いを挑んだ。

突然目の前に現れたキングオブモンスにタイラントは驚き、強豪怪獣でありながら慌てふためいていた。だがそれは仕方ない事だ。今のタイラントは、前の戦いのダメージが残っている上に体力があまり残っていない状態だ。

 

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

 

それでも自分を奮い立たせたタイラントは一気に勝負を決めようと両腕の武器を構えてキングオブモンス目掛けて突進する。

 

 

 

ドッゴオオオオォォォン!!!

 

 

 

両者が激突した瞬間、大気が揺れて地面に大きなクレーターができあがった。それが収まると今度は互いに力を込めて相手を押し合う。

そしてこの力の勝負は・・・キングオブモンスに分が上がった。

 

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

 

タイラントを押し倒した後、キングオブモンスは自分の尻尾を鞭のようにタイラントの頭に叩きつけた。それが決め手となってタイラントは悲鳴を上げ、口から泡を吹いて気絶した。

 

 

『やっぱりこのタイラントは弱っていたか。こう言う相手をあんまり痛めつける事はしたくなかったが、相手が相手だけにそうも言ってられなかったけど・・・』

 

 

ライブを解いて元の姿に戻った後「傷つけてごめんな」とタイラントに謝って早く元気なるように言いながらギガライブナイザーに回収した。

さてお次はゴジラの方だが、どうなったかな?

 

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

「グルルル・・・ディガアアアァァォォン!!」

 

「こいつは驚いた。あのゴジラが苦戦しているとは!」

 

 

ゴジラVSスカルゴモラの戦いは、2体の強豪怪獣が合体して誕生したスカルゴモラの方が強さが上で、その力の前にゴジラは押されていた。再びスカルゴモラに組み付くゴジラだが、スカルゴモラは怪力でゴジラを地面に押し倒し、そのまま踏み付け攻撃をした。

 

 

「このままではマズイ。アンギラス!ラドン!助けに行け!」

 

 

ゴジラのピンチを見て俺はギガライブナイザーからラドンとアンギラスを召喚して、助太刀に行くよう指示を出す。

 

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

指示を聞いたラドンとアンギラスは走り出して、空と陸の両方から攻めてスカルゴモラをブッ飛ばした。その隙にゴジラは起き上がり、ラドンとアンギラスの間に立って一緒にスカルゴモラに向かって走り出した。

対してスカルゴモラは先程まで戦っていた相手に加えて敵が2体増えたのにも怯まず、咆哮を上げながら迎え撃った。

 

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「ギシャアアァァァッ!!」

 

 

最初に最も動きが素早いラドンが再び空からスカルゴモラの頭目掛けて嘴攻撃を仕掛けて注意を引く。スカルゴモラは頭の赤い角を使って対抗し、辺りに嘴と角がぶつけ合う音が響く。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「ギャアァァッ!?ギィガアアアオオォォッ!!」

 

 

次にアンギラスがスカルゴモラの足に噛み付き動きを押さえる。噛み付かれて悲鳴を上げるスカルゴモラだが、すぐに空いている片足でアンギラスの頭を踏み付けたり蹴ったりする。だがアンギラスは全く離れなかった。

 

 

「ディガアアアァァォォォォン!!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

そして最後にゴジラが動きの止まっているスカルゴモラの顔と胸にパンチやキックで攻撃した。さらに顔を掴んで力づくで前に倒し、勢いよく振った尻尾で背中の角を全て折ってしまった。ゴジラ達の連携攻撃の前に流石のスカルゴモラもダメージを受ける。それでも戦意損失にはならず、必死に立ち上がって頭部の角から必殺技『スカル振動波』を放とうとする。

 

 

「そうはさせないぜ。ラドンはソニックブーム!アンギラスは暴龍怪九裂弾だ!」

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

スカルゴモラの必殺技が放たれる前にラドンが空を旋回して勢いをつけた飛行で『ソニックブーム』を起こしてスカルゴモラを攻撃しながら技を止め、その隙をついてアンギラスが体を丸めて球状になって必殺技の『暴龍怪球裂弾(アンギラスボール)』で激突してダメージを与えた。

2体の攻撃にスカルゴモラは大ダメージを受けて怯んでしまう。

 

 

「今だゴジラ!止めの放射熱線発射!!」

 

「ディガアアアァァォォォォン!!」

 

 

ゴジラは背びれを発光させて口から『放射熱線』を勢いよく発射した。光線は大ダメージを食らってボロボロ状態のスカルゴモラの胸に命中し、スカルゴモラは火花を散らし大きくぶっ飛びながら倒れた。そして爆発による煙が晴れて視界が回復し、状況を確認してみるとスカルゴモラは爆発した所に倒れたままだった。それを見てゴジラ達は勝利の咆哮を上げた。

 

 

「よくやった。皆ご苦労様!ゆっくり休んで・・・!?」

 

 

労いの言葉を掛けながらゴジラ達を回収しようとした時、死んだと思っていたスカルゴモラの体がゆっくり動き出したのだ。だがダメージが大きいためか、立ち上がれずにその場でも左右に体を揺らす程度しかできなかった。

 

 

「ゴジラ達3体と互角に渡り合い、必殺技を受けてもまだ生きている強さ・・・気に入った。スカルゴモラよ、お前も俺の仲間に、家族になろうぜ!」

 

「ッ!!・・・・・ギィガアアオォォギシャアァァッ・・・」

 

 

クロウの言葉を聞いてスカルゴモラは、動くのを止めて彼の姿をじっと見つめてからゆっくり頷いた。それを見てクロウはゴジラ達と一緒にスカルゴモラをギガライブナイザーに回収した。

 

 

「これでよし。皆早く傷を治して元気になるんだぞ」

 

 

優しく語り掛けた時、レイモンが戦っている所で大きな爆発音とゴモラの咆哮が聞こえた。どうやらバキシムが倒されたようだ。それと同時にメトロン星人(RB)も消滅してしまっただろうな。急いで暴走を止めに行こうとした時、岩陰に潜んでいたダイルが再び襲い掛かってきた。しかしとっくに気配を感じていたクロウは簡単に避けた。

 

 

「しつこい奴だな。俺は今から大切な用を済まさないといけないんだぞ?そんなに俺にやられたいのか?」

 

「黙れ!レイオニクスは全て抹殺する。特に貴様の様な強い奴なら尚更だ!」

 

 

本当に面倒くさい奴だ。この時のダイルの頭の中はレイオニクスの抹殺しか考えていないからあんまり好きではない。もうこの際このまま俺の手で始末しようと思ってギガライブナイザーを構えようとした時、横からリーシャ達が駆け寄って来た。

 

 

「クロウさん!大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、なんともないよ。リーシャの方こそ大丈夫か?」

 

「はい。クロウさんに治してもらいましたから!」

 

「そうか・・・良かった」

 

「クロウ様、コノ者ノ相手ハ我々ニオ任セクダサイ」

 

「ギュヴヴィィィッ!!」

 

 

3人は俺の前に出てそれぞれ武器を構えてダイルと対峙する。するとダイルはリーシャを見て少し驚いた表情になった。

 

 

「ピット星人か。フッ、2度も同じレイオニクスを抹殺するとはな!」

 

「2度も・・・どういう意味なの?」

 

「前に宇宙で同じピット星人を倒した事があるんだ。貴様の手首に付けてある色違いのブレスレットが特徴だったな」

 

「!?」

 

 

それを聞いた瞬間リーシャは・・・いや、クロウ達全員が悟った。リーシャの姉はもういない。

何故なら目の前にいるダイルが殺したからだ。

 

 

「き、貴様ーーーー!!」

 

 

大切な姉を奪われた事にリーシャは怒り、憎しみの籠った眼でダイルを睨み付けながら手に持っていた銃を発砲した。ダイルは素早い動きで避けて近くの岩の陰に隠れる。しかしリーシャは撃つのを止めなかった。

 

 

「アアアアアアアッ!!」

 

「リーシャ!もう止せ!」

 

 

クロウがリーシャを抱きしめて必死に止めている隙にダイルは地形を利用して逃げて行った。奴がいなくなった後もリーシャは暴れ続けたが、クロウが何度も落ち着かせるようしてようやく静かになった。そしてクロウの胸に顔を埋めて泣いた。

 

 

「グズッ!姉さん・・・姉さん・・・姉さん・・・」

 

「リーシャ・・・」

 

 

彼女の頭を撫でてあやしながら俺はダイルの事を考える。

最早一刻の猶予もない。リーシャの為にもアイツは俺の手で始末してやる。そう心の中に誓いながらリーシャをあやし続け、暫くして泣き止んだ後レイモンの所へ向かった。

その時には時刻は夕暮れで、気配を探ってようやくレイモンを見つけるとちょうどヒュウガがアイスラッガーを投げたところであった。アイスラッガーがレイモンの胸に当たると彼からレイブラッドの闘争本能と邪気の様なものが抜けて消滅した。

 

 

「一足遅かったか。ウルトラマン達に借りを作ってしまった」

 

 

まぁ、今回はしょうがないと自分を納得させて、元の姿に戻って胸に受けた傷を『宇宙の男の勲章』と言ったレイを見て笑うヒュウガ達の元に俺達も合流するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがその光景を異次元空間で見ていた者がいた。その者は異次元の影響で姿が分からなかったが、黒い影だけ映っていて、その影を見てみると形が人間のものではなかった。

 

 

「おのれ~~レイオニクス共め!次こそは必ず貴様らを1人残らず倒してやる!」

 

 

恨みが籠った声で呟いた後、その者は片手を上げて別の異次元空間を発生させ、別世界の強豪怪獣を呼び出すのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
ベリアル融合獣スカルゴモラ


レッドキングとゴモラが融合して誕生した怪獣。融合の元となった2体の外見・能力を持ち、頭部・背中・肘・膝に生えている赤い角と胸の紫色のカラータイマーが特徴である。
主な武器は頭部の赤い大角から放つ『スカル振動波』と足元から発生させる火炎弾『ショッキングヘルボール』である。
長い年月が経った未来の別世界の地球にて、突如発生した異次元空間に飲み込まれて惑星ハマーにやって来た。突然周囲が変わった事と自分を操っていた者・伏井出ケイが消えた事で怪獣の本能から暴れ出し、クロウとの戦いの後仲間となった。自分と互角に戦ったゴジラ達の実力を認めている為、とても仲が良い。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 最強のレイオニクスコンビ

皆様、お久しぶりです。
大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
随分と待たせてしまってすみません。仕事が余りに忙しく時間が取れなかったので(汗)
今回は遂にクロウ達のライバルとなるキャラが登場します。そして新年早々怪獣祭りも行われます。懐かしく、そして強豪の怪獣達がたくさん出ますから楽しんでください!
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
古代怪獣ゴモラ、原始怪鳥リトラ(S)、宇宙怪獣エレキング、怪獣酋長ジェロニモン
超古代狛犬怪獣ガーディー、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、ねこ舌星人グロラス(RB)
キール星人グランデ、X星人カイザー、暴君怪獣タイラント、宇宙隕石怪獣モンスターX
虚空怪獣グリーザ、円盤生物ブラックエンド、吸血怪獣ギマイラ、タコ怪獣ダロン
魔王ヤマタノオロチ、大悪獣ギロン、フィンディッシュタイプビースト・イズマエル
超遺伝子獣ギャオス・ハイパー、シビルジャッジメンター・ギャラクトロン
一角大魔獣ジャルム、最強超獣ジャンボキング、戦闘円盤ギガ・ロボフォー   登場



皆さんは“一難去ってまた一難”と言う言葉を知っているかい?

1つの災難が去ってもまた次の災難が起きると意味で前にも言った事がある言葉だが、今俺の周りで再びその言葉通りの事が起きていた。

レイがセブンのアイスラッガーによってレイブラッドの闘争本能を抜かれて暴走する心配がなくなった。だが代わりにペダン星人ダイルが姉の仇であるとリーシャが知ってしまった。

その日から1日の殆どを射撃の特訓やレイオニクスの力を高める修行などに専念するようになってしまった。俺が体を休めるように言うと素直に休むが、その分自分の手首に付けてあるブレスレットを寂しそうに眺める時間が多くなった。

 

 

「リーシャ・・・お前の心を今すぐ癒す事ができなくてすまない」

 

 

彼女の痛ましい姿を見る度に俺はそう呟いてしまう。俺は体の傷を癒したり治したりする事はできても心の傷まで癒す事はできない。

けどこのまま何もしないでいると言う情けない事は絶対にしない!今俺ができる事・・・それはリーシャの傍にいて慰めつつ一刻も早くダイルを見つけ出し、俺の手で始末する事だ。アイツは上層部の奴らにレイオニクスを始末する事が母星復興の為と思わされているとは言え、俺が愛する恋人の手を汚す真似はできない。そう思いながら俺は操縦席でダイルを探し続けた。本来ならロボット達にやらせるのだが、この時ばかりはクロウ自身がやるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、遠く離れた場所で激しい大爆発が起きた。そしてその近くに1人の宇宙人が立っていた。その者は見た目的に人間と同じヒューマノイドであり男性で、黒と赤が混ざったスーツに赤色の模様が入っている甲冑を着て、顔を独特な形をしたヘルメットで隠していた。

その者は無言で爆発を見た後、自分の足元から近い所と少し離れた所に落ちていたバトルナイザーに気が付いた。彼は軽い足取りで2つの内自分から最も近い所に落ちていたバトルナイザーに近づき、足を上げて思いっきり強く踏み付けた。それによりバトルナイザーはパリッと割れる音を響かせながら壊れてしまった。

これらの事を察するにこの者はレイオニクスであり、先程の爆発はレイオニクスバトルで起きたものだろう。その後彼は踏み付けていたバトルナイザーを蹴っ飛ばし、もう1つのバトルナイザーも壊そうとするが・・・。

 

 

「おーい!何やってるんだグランデ?」

 

 

今まさにバトルナイザーを踏み潰そうとした時に誰かが彼の名を呼んだ。彼が声のした方を振り向くとそこには自分と同じヒューマノイドで、全身黒一色の服とコートを着て細いサングラスをした男がこちらに向かって駆け付けて来た。

 

 

「あぁ、何だカイザーか・・・」

 

「おいおい愛想がないな。まぁ、ここ最近弱いレイオニクス共とバトルしてきたからな。俺もお前と同じ飽き飽きとストレスが溜まっているから分かるぜ」

 

 

話の内容からこの者もレイオニクスのようだ。

彼らの正体だが、最初に現れた者はキール星人グランデと言い、かつて破壊活動の為に宇宙エイ・ボスタングを地球に送り込ませた宇宙人の同族である。

次に現れた者は様々な怪獣を操って地球を侵略しようとしたX星人である。その星に住む者達は皆全て名前の変わりに番号で呼び名が決まっているのだが、彼だけは特別であった。彼は他の同族達にはないサイキック能力を持っている為“カイザー”と呼ばれていて、本人もその名で呼ばれるのが好きだった。

彼らはそれぞれ別世界の宇宙出身で全く違う者同士であったが、ひょんな事から2人は出会って性格や考え等から意気投合し、惑星ハマーにやって来た日から今日まで数多くのレイオニクス達を倒してきたのだ。

 

 

「はぁ~~。もっと骨のある強い奴はいないのかね?」

 

「いないんじゃないの?俺とお前が倒してきた連中は全てザコ怪獣を操るつまらない奴らばかりだったしよ」

 

 

グランデの問いにカイザーは隣まで移動すると腰を下ろして胡坐をかいた。そして自分の持つネオバトルナイザーを見つめる。

彼の持つバトルナイザーは普通の物とは違っていた。レイオニクスとしての実力が高い事以外にサイキック能力もあって通常金色の部分のカラーがつやのある黒で他の部分が青色であるのだ。

 

 

「けど・・・もう少し探してみようぜ。ちょうど此処からあまり遠くない所にレイオニクスの気配を感じるしな」

 

「あぁ、それじゃ仲良く行きますか!」

 

 

2人はそれぞれボスタング型の宇宙船と爪のような形状の宇宙船に乗って、気配が感じる場所を目指し移動して行った。

だがこの時、彼らは破壊しなかったバトルナイザーから1体の怪獣が現れ、最初は周りの状況に戸惑っていたが突然何かの気配を感じて後を追い掛けるように同じ方向に歩き出した事に気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

一方クロウ達はそれぞれ自分の役割を果たしていた。レイはレイオニクスの特訓をした後ヒュウガ達と一緒にペンドラゴンの修理を行い、リーシャは自分の部屋で修行を行い、ジェロニモンはトロンガー及びロボット達と一緒に厳重警戒をし、クロウはダイルの行方を探していた。

その時、1体のアンドロイドが飲み物を持ってやって来た。

 

 

「ピピッ!」

 

「お!ご苦労さん。いつも悪いな少し休んでいいぞ」

 

「ピピピッ!」

 

 

俺が休めと命じるが、アンドロイドはその場に立ったまま静かに見つめた。主人が働いているのに自分だけ休める事はできない、そう言っているかのようだった。

機械とは言えこうも忠義を示してくれると本当に嬉しいな。感謝してもしきれないぜと思いながら飲み物を飲んでいた時、センサーが激しく反応した。調べてみるとペダニウム反応がある飛行物体が数十機こちらに向かって接近していた。

 

 

「こいつはペダンの宇宙船。向こうからやって来るとは都合がいい。今度こそ決着を付けてやるぞダイル!全員に命じる!直ちに攻撃準備!!」

 

 

クロウがそう言った瞬間船内に警報が響き、その場にいたロボット達はすぐ配置について準備をする。そして少ししてリーシャとジェロニモン達が慌てて部屋に入って来た。

 

 

「クロウさん!どうしましたか!?」

 

「何カアリマシタカ?」

 

「リーシャ、ジェロニモン・・・こちらにペダン星の宇宙船が接近している」

 

「!?」

 

 

訊ねてきたリーシャに言うか迷ったが、こんな状況では嘘はつけられないと思って真実を言う。

するとリーシャは怒りの表情になった後元の姿に戻り、コックピットで操縦していたアンドロイドを無理矢理席から退かして攻撃しようとする。それを見て俺はすぐに止める。

 

 

「待てリーシャ!どれにダイルがいるか分からないんだぞ?」

 

「けどアイツは姉さんの!」

 

 

 

ドッゴオオオォォォン!!

 

 

 

「「!!?」」

 

 

 

突然宇宙船が激しく揺れながら爆発した。どうやら奴らが攻めてきたようだ。しかも最初の攻撃の影響で防御シールドとバリアーを使用する事ができなくなってしまった。いくら元から高い防御力を持つギガ・ロボフォーでもこのままではやられてしまう。こうなったら仕方がない!

 

 

「攻撃開始!ペダンの宇宙船を1機残らず打ち落とせ!!」

 

 

クロウの命令を聞いた瞬間、リーシャとロボット達はペダン星の宇宙船を攻撃し始めた。全ての砲門から弾が発射されて宇宙船を次々と撃ち落としていく。

だがペダン星人側もやられるままではなく、残った機体が光線を撃って反撃した。激しい銃撃戦が行われるが、時間が経つにつれてペダン星の宇宙船は2、3機を残してほとんどが撃ち落とされた。逆にクロウ側の被害は軽いものだった。

残りもさっさと片付けようと照準を合わせさせようとした時、突然横からリトラ(S)が飛んで行き、その後を残った機体が追い掛けて行った。そう言えばギガ・ロボフォーの後ろはペンドラゴンがいたな。すっかり忘れていたぜ。

 

 

「リーシャ、レイの後を追い掛けろ。絶対に見逃すな」

 

「はい!」

 

 

操縦桿を操作するとギガ・ロボフォーは上昇し、猛スピードでリトラ(S)が飛んで行った方向へ移動した。途中ヒュウガ達から通信が入ったが面倒なので無視した(えっ!?)

その後暫く飛んでようやく追い付いた。

 

 

「さて、今どんな状況だ?」

 

 

モニターで下の状況を確認してみるとレイとダイルが戦い合っていた。レイはアイスラッガーで、ダイルは電撃棒で応戦し激しい戦いを繰り広げた。周りには原作よりも多くのペダン星人が倒れていた。

 

 

「ダイル・・・!姉さんの仇!!」

 

 

ダイルの姿を見たリーシャがギガ・ロボフォーから出て行く。俺も慌てて後を追って外に出るとちょうどレイがアイスラッガーでダイルが持つ電撃棒を破壊したところだった。それを見たリーシャが絶好のチャンスとばかりに銃を抜いてダイルに狙いを定める。

 

 

「レイ、今すぐそいつから離れて!」

 

「リーシャ!?」

 

 

驚くレイに構わずリーシャは引き金を引こうとするが、その前にクロウに銃を掴まれて発砲できなかった。

 

 

「離してくださいクロウさん!姉さんの仇をこの手で!!」

 

「気持ちは分かるが少し落ち着け!」

 

 

暴れるリーシャを必死に押さえていた時、ふと嫌な気配を感じた。この場にいたらマズイと察し、リーシャを抱き締めてレイに「飛べ!」と言った後その場で大きくジャンプした。

すると俺達がいた場所目掛けて何処からか光線が放たれ、大爆発を起こした。さらに上空で停止していたペダン星の宇宙船も同じ方角から放たれた光線によって破壊された。

 

 

「ふぅ~危ないところだった。大丈夫かレイ?リーシャ?」

 

「あ、あぁ・・・」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

 

爆発が収まった後抱き締めていたリーシャを離して2人が怪我をしていないか確かめる。幸いレイもリーシャも怪我がない様だ。ほっと一息つこうとしたところで俺達の近くに2つの宇宙船がやって来た。それを見て俺は乗っている奴が誰かを察した。そして俺の予想通りそれぞれの船からあの宇宙人達が降りて来て軽く挨拶してきた。

 

 

「ハロー!皆さーん!」

 

「よぉ、お前ら全員強そうだな」

 

「お前達もレイオニクスか?」

 

「そうです。私がキール星人グランデです」

 

「That’s right!I'm X星人カイザーです!」

 

 

グランデは耳に付いたピアスを鳴らし、カイザーはその場でくるりと回ってマントを舞わせた。

やっぱりグランデ達だったか。だがまさかあのX星人の統制官まで一緒とは驚きだ。それにテレビで見た時ではそれほど思わなかったが、対峙してみて2人がそこらの連中よりもかなり実力の高いレイオニクスであると分かった。

 

 

「キール星人とX星人?」

 

「そうだ。ちなみにお前らはどこのレイオニクスだ?」

 

「俺の名はレイ。地球のレイオニクスだ!」

 

「私はリーシャ。ピット星のレイオニクスよ!」

 

「俺はクロウ。モンスターキングだ!」

 

「何?モンスターキング!?」

 

「最近宇宙で話題になっているあの怪獣王様かい?」

 

 

クロウ達の自己紹介を聞いた2人は地球とピット星については大した事のない星と思ったが、クロウの事なら別だ。あの怪獣王ならかなり強い怪獣を持っているに違いない。楽しいバトルができると感じたからだ。内心喜んでいる2人にレイが先程の件について訊ねた。

 

 

「お前らがダイルを!?」

 

「ダイル?あぁ、あの男か。邪魔だったからご退場してもらった」

 

「・・・余計な事をしてくれたわね」

 

グランデが興味なさげに言うとリーシャが静かに怒り出す。だが2人がやってくれた事は俺にとって嬉しい事だった。もしあのままだったら本当にリーシャがダイルを殺していたかもしれないからだ。そして2人は関係ないと言わんばかりの表情をしながら所持していたネオバトルナイザーを取り出す。それを見て俺達も各々のバトルナイザーを取り出した。

 

 

「へぇ~、それが怪獣王様のバトルナイザーか。こいつはかなり面白いバトルができそうだ!」

 

「あぁ、それにリーシャちゃんも強いレイオニクスだってビンビン感じるぜ。だが地球のレイオニクス、お前は期待外れだけどな!」

 

「何!?」

 

 

グランデとカイザーはクロウとリーシャの持つバトルナイザーを見て、彼らの実力が自分達と同等もしくはそれ以上の者だと分かって狂喜した。だがレイのバトルナイザーは今まで倒してきた者と同じだったので、レイの事をザコと思い“期待外れ”と評した。それを聞いて怒り出したレイだったが、俺が手で制止して2人に言った。

 

 

「レイは期待外れではないぞ。お前達が今まで倒してきた連中と同じだと侮っていたら痛い目に遭うぞ?」

 

「ほぉ、だったらその力見せてもらうぜ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

 

グランデが召喚したのは強豪怪獣である暴君怪獣タイラント。そしてカイザーが召喚したのは、胸部分に黄色のコアがあり、黄色く発光している頭部と無機質な顔、様々な棘状の装飾が加わっている体が特徴の虚空怪獣グリーザだった。

 

 

「タイラントにグリーザ。なるほど・・・こいつは強い怪獣達だ。俺達も全力で行くぞ!」

 

「「ああ!/はい!」」

 

 

どんな奴だろうと負けはしないと決意を固めながらそれぞれのバトルナイザーから相棒怪獣を出した。

 

 

「キングオブモンス!!」

 

「ゴモラ!!」

 

「ガーディー!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グオオオオォォォッーーー!!」

 

「キシャアアアアアァァァーー!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

召喚された3体は咆哮を上げる。それを見てタイラントも両手の武器を掲げながら咆哮を上げ、グリーザは両腕を前に突き出して構える。お互いに威嚇している間グランデとカイザーはジャンケンをし始めた。どうやらどちらが俺と戦うか決めているようだ。その隙に俺はレイとリーシャに指示を出した。2人はすぐに承諾して怪獣達に命令した。それと同時に勝負が決まったグランデ達も自分の手持ち怪獣に命令した。

ちなみにジャンケンの結果だが勝負は2回行われた為、カイザーがクロウとリーシャの2人の相手をし、グランデがレイの相手をする事になった。

 

 

「行けぇ!タイラント!!」

 

「やれ!グリーザ!!」

 

「暴れろ!キングオブモンス!!」

 

「行け!ゴモラ!!」

 

「行きなさい!ガーディ!!」

 

 

主人の命令と共に5体の怪獣達は一斉に走り出した。キングオブモンスとガーディーはグリーザと激突し、ゴモラはタイラントと激突した。

 

 

「グオオオオォォォーーー!!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

 

キングオブモンスとガーディーは連係プレーでグリーザを攻めた。

最初にキングオブモンスがグリーザの頭を尻尾で叩いて体勢を崩し、その隙にガーディーが腹にキックを食らわせ、さらに背中の剣状の突起を掴み力強く噛み付いて動きを封じた。グリーザが引き剥がそうと暴れるがガーディーは噛み付いたまま離れない。

連係プレーに翻弄されて自分への注意が逸れたグリーザの胸のコア目掛けてキングオブモンスは渾身のパンチを放つ。

 

 

「そうはさせないぜ。行け!モンスターX!」

 

「グガアアアアァァァッ!!」

 

 

カイザーが次に出したのは2足歩行で全身が白い骨の姿で頭部に2本の角と両肩の骸骨を縦に2等分したものが特徴の宇宙隕石怪獣モンスターXだ。

咆哮を上げたモンスターXはすぐさま走り出し、グリーザに攻撃が当たる前にキングオブモンスの攻撃を片手で受け止め、そのままキングオブモンスを取り押さえた。その隙にグリーザが右腕の爪をキングオブモンスの腹に突き刺した。そして背中の剣状の突起から腕へ『超振動波』を流し込んだ。その衝撃は噛み付いていたガーディーにも影響を与え、ガーディーは後ろへ吹き飛ばされてしまった。

 

 

「グオオオオオォォォォッ!?」

 

「負けるなキングオブモンス!シャークファングだ!」

 

 

クロウに励まされたキングオブモンスは自分の腹に突き刺さっている腕を『シャークファング』で左右から突き刺した。

 

 

「アッハッハッハッハッ!?」

 

 

攻撃を続けていたグリーザは予想外の攻撃に驚いて突き刺していた腕を引っこ抜いてしまう。その隙をついてキングオブモンスは尻尾を上手く使ってモンスターXの背中を叩いて振り払い、グリーザの頭を掴んで何度もパンチを食らわせ、そのまま地面に強く叩きつけた。頭から叩きつけられたせいかグリーザは痛みの為に起き上がれずにいた。

目の前の敵が倒れたのを確認した後、キングオブモンスは振り返って背後にいるモンスターXと組み合った。しかしモンスターXもかなり強いパワーを持っていたので、両者はその場で力比べをする。だがこの時倒れていたグリーザがようやく起き上がって頭部から渦巻状の光線『グリーザボルテックス』を発射する。

 

 

「ガーディー!ゼペリオン光線よ!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

キングオブモンスに命中する寸前、ガーディーが『ゼペリオン光線』を放って『グリーザボルテックス』を相殺した。

 

 

「フフン、流石は怪獣王様だ。俺の自慢のモンスターXとグリーザ相手に互角とは・・・このバトル、とても楽しいぜ。それにリーシャちゃんもな」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

「お前こそ、結構やるじゃないか」

 

「でも私達は負けませんから」

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「ガウウウゥゥゥーーー!!」

 

 

久しぶりの強敵にカイザーは喜びを表す。俺も内心手応えのある奴と戦えて嬉しかった。それに見た感じ的にカイザーはモンスターXとグリーザの事を大切にしているようだしな。

お互いに相手を認め合いながらクロウ達はカイザーと一進一退の攻防を続けた。

 

 

 

「ギシャアアアァァァーーーッ!!」

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

 

一方ゴモラとタイラントの戦いは、ゴモラの方が押されていた。

タイラントの鎌で体を切り裂かれたり、鉄球で頭を激しく叩かれたりして傷を負う。さらに傷を負って動きが鈍くなったゴモラにタイラントはベムスターの腹の口から冷気を、口から強力な火炎『爆炎放射』を同時に放つ必殺技『ハイブリッドヘルサイクロン』を食らわせる。それを受けてゴモラは膝をついてしまう。その様子を見てグランデは溜め息をつく。

 

 

「ぬるい。怪獣王の言葉はあてにならないな」

 

「くそ!ゴモラ!超振動波だ!」

 

「ギシャアアアァァァッ!」

 

 

立ち上がったゴモラはタイラントに『超振動波』を放つが、タイラントはベムスターの腹で吸収してしまった。

 

 

「ゴモラの超振動波を吸収しているだと!?」

 

「はい。ご馳走様でした。タイラント!食後の運動だ」

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

 

ゴモラの技を喰らった事でエネルギーを得たタイラントは先程よりも激しくゴモラを攻撃した。

両手の武器で何度も痛めつけた後、キングクラブの尻尾でゴモラをブッ飛ばした。そして倒れたゴモラを何度もキックし、最後は力強く蹴り飛ばした。

 

 

「ギシャアアアァァァ~~・・・」

 

「ゴモラ!しっかりしろ!」

 

 

凄まじい連続攻撃にゴモラは耐え抜いたが、これまでのダメージが大きい為かなかなか起き上がれずにいた。それを見たレイがバトルナイザーに戻そうと構える。

 

 

「くっ、ゴモラ・・・もど「ギシャアアアアァァァーーー!!」ゴモラ!?」

 

 

ゴモラはバトルナイザーに戻らず、痛みを我慢して立ち上がりレイをじっと見つめた。その目からは「まだ戦える!」と言っているかのようであった。その目を見てレイはゴモラの気持ちを察した。

 

 

「・・・分かったよゴモラ。お前と俺はいつも一緒だった。なのにあの時お前を捨てるような事をしてすまなかった。もうお前を・・・いや、お前とリトラとエレキング、全員ずっと一緒だ。そしてどんな戦いにも負けたりしない!」

 

 

レイがそう言うとゴモラやバトルナイザーにいるリトラ(S)とエレキングの鳴き声が響いた。それと同時にバトルナイザーが輝き出し、輝きが収まっていくにつれて形が変わっていった。それはリーシャと同じネオバトルナイザーであった。

 

 

「これは・・・リーシャと同じ物!?」

 

「なっ!?ネオバトルナイザーに覚醒しただと!?クッ・・・ハッハハハハ!!こいつは俄然面白くなってきたぜーーー!!」

 

 

レイのバトルナイザーが進化したのを見てグランデは狂喜して両耳のピアスを激しく鳴らす。

そして笑いながらタイラントに攻撃命令を出す。レイもパワーアップしたゴモラに迎え撃つように命令するのであった。

 

 

 

激しさを増す5人のレイオニクスによる大怪獣バトル。その戦いを見つめている者が2人いた。

1人はクロウとリーシャがいる場所の近くにある大岩の陰に隠れている者で、その者は氷で覆われて怪獣のような姿をしているが、ねこ舌星人と言う立派な宇宙人であった。名前はグロラスと言い、彼の手にはバトルナイザーが握られていた。つまり彼もレイオニクスなのだ。

 

 

「キール星人共に復讐しようと思い追って来たけど、何てレベルの高いバトルなんだ・・・」

 

 

どうやら彼はグランデ達に負けたレイオニクスの1人で、彼らと戦って命からがら逃げ延びた後、執念深いあのメトロン星人(RB)と同様に彼らにリベンジしようと考えて追い掛けてきたようだが、今目の前で行われているレイオニクスバトルを見て自分の持つ怪獣では勝てる勝算がない事を悟ったようだ。

 

 

「それにしても・・・あの人がモンスターキングか。何て強い人だ!」

 

 

そして今のグロラスの目にはリーシャと一緒にグリーザと戦いを繰り広げているクロウの姿しか映っていなかった。やはり怪獣に似ているせいかクロウの強さと王のカリスマに心酔してしまったようだ。

 

 

 

だが彼とは逆にクロウ達の事を恨みの籠った目で見つめている者もいた。それはあの異次元空間に潜む黒い影が特徴の者だ。

 

 

「この場に6人のレイオニクスがいるとは!ちょうどいい、今この場において1人残らず倒してやる!さぁ、行け!!」

 

 

その者が片手を上げるとクロウ達が戦っている戦場の中心に黒い異次元空間を発生した。それに気が付いた全員が戦いを止めて異次元空間を見つめた。そんな中で俺はあの異次元空間を発生した者が誰かを悟った。

 

 

「この邪悪な気配に異次元空間・・・間違いない。アイツの仕業だな」

 

 

まさかあの悪魔が復活していたとは思わなかった。確かアイツらは大昔にレイブラッドの奴に全滅寸前まで追い込まれた恨みがあった筈だ。だからきっと後継者である俺達を抹殺する為に超獣を送り込んでくるだろうな。まぁ、出て来たところで仲間にすれば良い事だし!そう思ったクロウだが、彼の考えは半分正解で半分外れだった。異次元空間から出て来たのは超獣だけではなく、別世界の怪獣達も含めた10体だった。

1体目は、赤と黒色の丸い体の前後に2本の角が生え、長く先端が鋏になっている尻尾とドラゴンに似た顔が特徴の円盤生物ブラックエンド。

2体目は、全身が黒く鋭い棘に覆われて鼻部に生えている鋭い1本角が特徴の吸血怪獣ギマイラ。

3体目は、体中にある長い触手が特徴で一緒に現れたギマイラの用心棒であるタコ怪獣ダロン。

4体目は、8つの紅い竜の頭と紅蓮の紅色に染まった体と長く巨大な尻尾が特徴の魔王ヤマタノオロチ。

5体目は、両腕の翼に全身の赤い模様と頭部の巨大な1本角が特徴の一角大魔獣ジャルム。

6体目は出刃包丁に似た頭が特徴で、刃の部分に目と口があって手足が生えて四足歩行の大悪獣ギロン。

7体目はオーソドックスな翼竜に似た姿で、蝙蝠のような羽を持ち全身が群青色で輝く黄色の目が特徴の超遺伝子獣ギャオス・ハイパー。

8体目は、体中の様々な部分がスペースビーストの頭部で構成されているフィンディッシュタイプビースト・イズマエル。

9体目は長い髪を束ねた人型の白いドラゴンのような姿のロボットで、両腕の大きな鉤爪と回転式の大剣が特徴のシビルジャッジメンター・ギャラクトロン。

そして最後が超獣達の中でも最強クラスの実力を持つケンタウロスに似た姿の最強超獣ジャンボキング。

 

まさかウルトラ怪獣やゴジラ怪獣以外の怪獣がこの世界で見る事ができるとは思わなかった。しかしどれも懐かしい怪獣ばかりだ。

 

 

「あの異次元人には感謝しないといけないな。こんなにもいろんな奴を呼び集めてくれて!」

 

 

俺達を倒す為に送り込まれた連中だろうが関係ない。この怪獣達はこの場で全て俺の仲間にしてやる。

 

 

「行け!キングギドラ!グランドキング!」

 

「俺も!行け!エレキング!」

 

「貴方もお願い!モスラ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「キィイイィィィ!」

 

「ピュアアアアアァァーー!!」

 

 

相手の数に対抗する為俺はキングギドラとグランドキング、レイはエレキング、リーシャはモスラ・レオを召喚し、キングオブモンス達と合流させた。するとタイラントとグリーザの2体も一緒に合流した。不思議に思ってグランデ達を見ると彼らは先程の喜びの表情から打って変わって怒りの表情になっていた。

 

 

「俺達の戦いを邪魔しやがって・・・絶対ブッ倒してやる!」

 

「その通り!怪獣王様、今だけあんたに協力しますぜ!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

 

2人は戦いの邪魔をされた事に腹を立てたからこちらに協力すると言い出した。別に俺の手持ち怪獣を増やせば良かったのだが・・・まぁ、的確な指示がキングオブモンス達に早く伝わるから構わないか。その後俺の左右にリーシャ達が並び立ってから全員に指示を出した。

 

 

「全員!目の前にいる敵の怪獣達を倒せーーー!!」

 

 

大声でそう言った瞬間、キングオブモンス達は目の前の敵に向かって走り出した。

此処に異次元の悪魔に呼び出せた怪獣軍団とクロウ達レイオニクスが操る怪獣軍団との間で激しい大怪獣バトルが行われるのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙隕石怪獣モンスターX


隕石の中に潜んでいる宇宙怪獣でX星人の切り札とも言える怪獣。
X星人カイザーの主力怪獣で、人間と同じ2足歩行で全身が白い骨の姿で頭部に2本の角と両肩の骸骨を縦に2等分したものが特徴である。
主な武器は両目と肩の目から放たれる電撃光線『引力光線デストロイド・サンダー』である。
優れた運動能力を持っていて、キングオブモンスのパンチを受け止めたり、互角のパワーを持つなど高い実力者だ。その為キングオブモンスのライバル怪獣として認められている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話 レイオニクス軍団VS異次元軍団 前編

またまた始まりました怪獣祭り!
レイブラッドを恐れ、憎む異次元人が呼び出した異次元軍団にクロウ達レイオニクス軍団が挑みます。
今回は話が結構長くなってしまったので、2つに分けました。後編も近日中に投稿します。
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
古代怪獣ゴモラ、宇宙怪獣エレキング(EXエレキング)
超古代狛犬怪獣ガーディー、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)
キール星人グランデ、X星人カイザー、暴君怪獣タイラント、宇宙隕石怪獣モンスターX
虚空怪獣グリーザ、円盤生物ブラックエンド、吸血怪獣ギマイラ
魔王ヤマタノオロチ、大悪獣ギロン、フィンディッシュタイプビースト・イズマエル
超遺伝子獣ギャオス・ハイパー、シビルジャッジメンター・ギャラクトロン
最強超獣ジャンボキング、一角大魔獣ジャルム   登場



ペダン星人の襲撃を切り抜け、最強のレイオニクスのグランデとカイザーと戦っていた時に異次元空間から現れた10体の怪獣軍団。

円盤生物ブラックエンド、吸血怪獣ギマイラ、タコ怪獣ダロン、魔王ヤマタノオロチ、一角大魔獣ジャルム、大悪獣ギロン、超遺伝子獣ギャオス・ハイパー、フィンディッシュタイプビースト・イズマエル、シビルジャッジメンター・ギャラクトロン、最強超獣ジャンボキングと全員が数多くいる怪獣達の中で上位クラスの力を持つ猛者である。

 

そんな怪獣達に向かって走り出し、激しく行われると思う戦いに挑むのは6人のレイオニクス達が操る怪獣軍団。

キングオブモンス、キングギドラ、グランドキング、ゴモラ、エレキング、ガーディー、モスラ・レオ、タイラント、モンスターX、グリーザの数々の戦いを制して来た強豪怪獣達だ。

そんな彼らにクロウが的確な指示を出そうとした時、隣にいたリーシャとレイが訊ねてきた。

 

 

「ところでクロウさん、後ろにいる奴の事ですが・・・」

 

「いつまであのままにしておくつもりだ?」

 

「流石に2人とも気付いていたか」

 

 

戦いの場であるからと言う事もあるが、2人とも良く周りの状況に注意している。まぁ、グランデ達も気づいているみたいだから気配を察知する事くらい簡単か。それに同じレイオニクスとは言え、仲間である訳ないから警戒するのは当たり前だし。

 

 

「おーい!いい加減出て来たらどうだ?」

 

 

俺が大声で少し離れた大岩の陰に隠れている者に出て来るように言う。レイやリーシャ達が警戒する中、大岩の後ろから怪獣に似た宇宙人がすぐに出て来た。素直に出てくるとは思っていなかったからこれにはちょっと驚いた。

その宇宙人は出てきた途端に走り出して俺の前で跪いた。

 

 

「はじめましてモンスターキング・クロウ様!俺はねこ舌星のレイオニクスで、名前はグロラスと言います!!」

 

「グロラス?グロストではないのか?」

 

「!!父の・・・父の名を知っているのですか!?」

 

 

どうやら彼はかつて地球にやって来た星人の子供の様だ。

俺がグロストの事について話すとグロラスは感動のあまりその場で泣き始めた。けど涙が体から放たれる冷気によって石ころのように凍って落ちていたけどな。

 

 

「うぅ・・・まさかクロウ様が父の事を知っているとは!」

 

「嬉しい気持ちは分かるが、今は戦いの時だ。お前とお前の相棒の力、此処で見せてみろ!」

 

「はっ!お任せよ!」

 

涙を拭いて元気よく返事をしたグロラスは、腰に付けてあったバトルナイザーを取り出して怪獣を召喚した。

 

 

「出てこい!ラゴラス!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

出てきた怪獣は青白い体にどことなくゴモラに似ている感じの冷凍怪獣ラゴラスである。なかなか良い面構えをしている怪獣だとクロウが思っている中、グロラスは高く咆哮を上げるラゴラスに目の前で行われている戦いに行って、キングオブモンス達に加勢するよう指示を出す。

 

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

命令を聞いたラゴラスはすぐさま走り出し、既に戦っているキングオブモンス達の手助けに向かうのであった。そしてクロウ達は、それぞれ自分の怪獣達に指令を出すのであった。

此処で、様々な怪獣達が激突し合っている戦場の状況を詳しく解説しよう。

 

 

まず最初はゴモラ&エレキングVSギマイラ&ダロンで、ゴモラとギマイラは己の自慢の武器である角を突き出しながら正面からぶつかった。

 

 

 

ドッゴオオオォォォン!!!

 

 

 

「ギシャアアァァ~~~!!」

 

「ギィエエエェェェ~~~!!」

 

 

両者の角と角がぶつかり合った瞬間、辺りに大きな音と衝撃波が起きた。だがどちらの角も折れず、そのまま押し合いになる。それを見たダロンは主であるギマイラに加勢しようと両腕の長い触手をゴモラ目掛けて振って不意打ちを仕掛ける。

 

 

「キイイイィィィ!!」

 

「ピギュウゥゥッ!?」

 

 

しかしそうはさせじとエレキングが間に入り、長い尻尾を触手に巻き付けた。

不意打ちが失敗した事に苛立ちつつ、自分の両腕の触手に巻き付いているエレキングの尻尾を振り払おうとダロンは高圧電流を流し込んだ。だがそれはエレキングにとって最高のご馳走だった。

 

 

「キイイイイィィィ~~♪」

 

「ピギュウゥゥ~~!?」

 

 

自分の高圧電流を食らったのに喜んでいるエレキングを見てダロンは驚き、如何して攻撃が効かないのか理解できずオロオロしてしまう。元が蛸だけにそれ程知能はない様だ。

 

 

「よし!お返ししてやれエレキング!」

 

「キイイイィィィッ!!」

 

 

混乱しているダロンにエレキングは尻尾を引っ張って体勢を崩した後、口から先程得た電流も加えた『放電光線』を放つ。慌てて立ち上がったダロンだが、通常よりも威力の上がった『放電光線』を受けて全身黒焦げになる。そして茹蛸の様に触手を丸めながら倒れた。

 

 

「ギ、ギィエエエェェェッ!?」

 

 

ダロンが倒される様はゴモラとギマイラも見ており、自分の手下があっさり倒れた事に動揺したギマイラは一瞬力を抜いてしまう。その一瞬の隙をゴモラは見逃さなかった。

 

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

 

踏ん張っていた足腰に力を込めて勢いよくギマイラの角を押し上げた後、ゴモラはそのままギマイラの腹に角を突き刺して『超振動波』を食らわせる。

そのまま倒せると思ったが、途中ギマイラがゴモラの角を掴んで無理矢理引き剥がし、口から攻撃用の白い霧を浴びせて怯ませる。そして再び角を掴んでこちらに向かっていたエレキング目掛けて投げ飛ばした。エレキングは投げ飛ばされたゴモラを受け止めようとするが耐えられず、一緒に倒れてしまった。それを見てギマイラは愉快そうに鳴き声を上げる。

やはりギマイラはそこらにいる怪獣とは力の差が違った。かつてウルトラマン80をエネルギーが完全ではない状態で追い詰めた程で、この個体もそれに相応しい力を持っているようだ。

 

 

「負けるなゴモラ!エレキング!」

 

 

しかしゴモラとエレキングもやられたままではない。レイに励まされるとすぐに立ち上がる。

するとエレキングが急に雄叫びを上げると自身の体に電気を纏わせながら強く光り始めた。

 

 

「どうしたエレキング!?」

 

 

突然の事にレイが驚く間もエレキングは光り続け、その眩しさにレイやゴモラ達は目を閉じてしまう。そして光が止んで目を開くとそこには姿が大きく変わったエレキングがいた。

頭部はそのままだが手足が無くなり、体が蛇のようになっていた。これぞレイの覚醒でゴモラが強化変身したようにエレキングがパワーアップした形態・EXエレキングである。

 

 

「エレキングがゴモラみたいに強化されたのか・・・よし!ギマイラを倒せ。ゴモラ!EXエレキング!」

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

「ギイイイイィィィーーー!!」

 

 

エレキングがパワーアップした事に喜びつつ、レイは2体に攻撃するよう命じた。

2体は同時にギマイラに向かって行き、EXエレキングが長い体でギマイラに巻き付いて電撃を浴びせて攻撃しながら動きを止める。その隙をついたゴモラが渾身のパンチや角で攻撃すると言った連係プレーで攻める。

 

 

「ギィエエエェェェーーッ!!」

 

 

2体の連係プレー攻撃にギマイラは徐々に押され始めた。相手の一方がパワーアップした上に身軽な攻撃の前ではいくらギマイラでも手も足も出ないようだ。

それでもギマイラは怯まず、ゴモラ達を一気に倒そうと角から破壊光線を放ち、さらに口から白い霧を吐いた。しかし2体は素早い動きで避け、そのまま同時に尻尾を振ってギマイラを大きくブッ飛ばした。

 

 

「止めだ!ゴモラは超振動波!EXエレキングはライトニングテールラッシュだ!」

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

「キイイイィィィッ!!」

 

 

大きくブッ飛ばされてグロッキー状態のギマイラにレイは止めの命令を出した。

指示を聞いたEXエレキングが電気を帯びた尻尾を連続で叩き付ける技『ライトニングテールラッシュ』でギマイラの体を攻撃して空高く打ち上げた後、ゴモラが落ちて来るギマイラの頭部目掛けて『超振動波』を放った。

何の抵抗もできずに2体の必殺技を食らって地面に落ちたギマイラは角が折れ、口から黒霧を弱々しく吐きながらその場に倒れた。

戦いに勝利したゴモラとEXエレキングは互いに向き合いながら勝利の咆哮を上げた。

 

 

次の戦いはキングギドラVSヤマタノオロチである。

 

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

空高く飛んで素早く動きながら口と翼から『引力光線』と『反重力光線』を放つキングギドラに対し、ヤマタノオロチは8つの首の両目全てから赤い稲妻状の破壊光線『覇帝紅雷撃』を一斉に放つ必殺技『覇帝紅嵐舞』と口から超高熱の『高熱火炎』を吐いて応戦する。

技と技がぶつかって空中で激しい爆発がいろんな所で起きる。どちらも能力的に負けておらず勝負は互角・・・かに見えたが、そんな事はなかった。

 

 

「ピリリリ!カラカラ!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!?」

 

 

技同士がぶつかった事で周りの視界が見えなくなるほど発生した黒煙の中をキングギドラは飛び続けた後、ヤマタノオロチの背後に回ってそのまま急降下キックを食らわせた。

黒煙で周りの状況が分からなかった上に相手のスピードが自分より遥かに上回っていた事でヤマタノオロチは避けられず、8つの顔と体を地面に叩きつけられてしまった。

 

 

「グッ・・・グギャオオオオオォォォォ・・・」

 

 

起き上がろうとするヤマタノオロチだが先程の急降下キックが効いたのか、なかなか起き上がれずにいた。そしてその隙をキングギドラは見逃さなかった。

 

 

「ピギャアアアオオオオ!!」

 

 

地上に降りた後キングギドラはヤマタノオロチの2つの首を踏み付けた。かつて自分が怪獣王にやられたように何度も強く激しく踏み付けるから堪ったもんではない。

ヤマタノオロチは悲鳴を上げながら残っていた6つの首を伸ばし、キングギドラの体に噛み付いて必死に抵抗する。だがそれは逆効果であった。

 

 

「ピギャアアアオオオオ!!」

 

 

 

ドッガアアアアン!!ドサッ!ドサッ!ドサッ!

 

 

 

「グギャッ!?グギャオオオォォォーー!!」

 

 

体に噛み付いて来たヤマタノオロチの首にキングギドラは容赦なく『引力光線』を食らわせる。それを食らったヤマタノオロチの6つの首の内、3つの首が爆発してそのまま首がはじけ飛んで地面に落ちてしまった。当然ヤマタノオロチは先程よりも痛々しい悲鳴を上げ、首を激しく動かして悶えた。

しかし、前にも言ったようにキングギドラに慈悲と言う言葉はない。

 

 

「カラカラ~!ピギャアアアオオオオ!!」

 

 

悲鳴を上げるヤマタノオロチを冷たく睨み付け、愉快に笑うような鳴き声を上げた後キングギドラは再び『引力光線』と『反重力光線』を同時に放った。

光線はヤマタノオロチの首と体に命中し、それによりヤマタノオロチは全身から血を噴き出し、残っていた首が踏み付けられている2つを残して全てはじけ飛んでしまった。

 

 

「グッ・・・グギャ・・・オオオォォ・・・」

 

 

凄まじい光線を受けたヤマタノオロチは全身ボロボロになり、2つの口から血を吐き出しながらその場に倒れた。それを見たキングギドラは満足そうに勝利の咆哮を上げた。

 

 

それでは次なる戦いは、モンスターX&グリーザ&タイラントVSジャルム&ギロン&イズマエルのグループバトルだ。

 

 

「行けタイラント!あのごちゃ混ぜ野郎をブッ飛ばしてしまえ!」

 

「モンスターXはあの一本角ちゃんを!グリーザは隣の包丁怪獣を倒せ!」

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

「グガアアアアァァァッ!!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

「グオォーー!!」

 

「ギャアアァァグオオオォォォーー!!」

 

 

グランデとカイザーの指示に従ってモンスターX達はそれぞれ自分の相手に向かって突撃した。

 

 

「グガアアアアァァァッ!!」

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

 

ギロンとイズマエルが一直線にグリーザとタイラントに向かって激突する中、ジャルムだけはじっくりと自分の相手を観察した。

自分に向かって来るモンスターXは、自分より体の大きいだけでなく3体の中で一番強い雰囲気を漂わせている。好戦的な性格のジャルムにとって、歯ごたえがある奴を潰せることに喜び感じ、薄く笑い出した。

そして咆哮を上げながら自分も走り出し、モンスターXと真正面から組み合う。そして両腕の筋肉を全開にし、物凄い力で持ち上げて投げ飛ばした。しかし、モンスターXは空中で回転し華麗に着地する。

 

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

 

それならばとジャルムは両下椀部に付いている皮膜翼を広げて空高く飛び上がり、滑空しながら体を高速回転させ、一本角の頭突き攻撃をして来た。これぞジャルムの必殺技『スピンダイブ』である。

 

 

「グガアアアアァァァーーッ!!」

 

 

強烈な技が迫る中、モンスターXは慌てずにその場で回転しながら大きくジャンプする。そしてジャルムの角が当たる寸前に彼の顔にキックをした。顔を攻撃された事でバランスを崩したジャルムはそのまま地面に思いっきり激突してしまった。

 

 

「グヴヴッ・・・!ガアアアアァァァッ!!」

 

 

すぐに起き上がったジャルムだが無様に地面に激突された事に激しく怒り、全身に赤い模様を浮かび上がらせながら咆哮を上げる。するとその咆哮にギロンが気がつく。

グリーザと互角に戦い合っていたギロンは、ジャルムが苦戦しているのを見て加勢しようとする。怖い顔の割には仲間思いの強い怪獣のようだ。

 

 

「グオォーー!!」

 

 

ギロンは頭部に付いている手裏剣を飛ばしてグリーザの胸のコアに命中させる。そしてグリーザがコアに深く突き刺さった手裏剣を外している隙に、頭部の刃物を構えてモンスターX目掛けて飛び掛かった。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

「グオォッ!?」

 

 

あわや刃物が突き刺さると思った時、グリーザが両腕から電撃の鞭を伸ばしてギロンの体に巻き付けて引っ張った。それにより間一髪ギロンをモンスターXの一歩手前の地面に落とせた。電気に耐えながら必死に鞭を振り払おうとするギロンだが、痺れで体が上手く動かせない為なかなか外す事ができなかった。

 

 

「グガアアアアァァァーーッ!!」

 

「アッハッハッ?フェッフェッフェッフェッフ・・・!!」

 

 

すると2体のやりとりを見ていたモンスターXがある作戦を思い付き、グリーザに話し掛ける。作戦を理解したグリーザは頷き、ギロンの体に巻き付いたままの電撃の鞭を大きく引っ張って振り回し始めた。

 

 

「グオォ~~~」

 

 

身動き取れない上に電撃のダメージを食らい続ける状態で何度も振り回されたギロンは、意識が朦朧して遂に動けなくなってしまった。グリーザがギロンを振り回している間、モンスターXはジャルムに素早く接近してパンチやキックなど格闘技でダメージを与えて怯ませた後羽交い締めにする。

それと同時にグリーザがギロンをジャルム目掛けて振り落とした。

 

 

 

ガッキイイイィィィン!!!

 

 

「ガアアアアァァァッ!?」

 

 

振り落とされたギロンの刃物がジャルムの一本角に激突する。それによって一本角は激しい音と共に切り落とされた。ジャルムは自慢の角を失い、後から来る痛みによって悲鳴を上げる。しかし、モンスターXは攻撃を止めるつもりはなく、羽交い締めしたままジャルムを離そうとしなかった。また、グリーザも同様で倒れたまま動かないギロンを地面に突き刺して動けなくしてから解放し、今度は両腕の爪でジャルムの両下椀部に付いている皮膜翼を『超振動波』で破壊した。自慢の武器を次々と破壊され、激しいダメージから悲鳴を上げるジャルムに2体はさらなる攻撃を仕掛けるのであった。

 

 

モンスターXとグリーザが優勢に戦いを繰り広げていた頃、タイラントはイズマエルと互角の攻防を繰り広げていた。

 

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

「ギャアアァァグオオオォォォーー!!」

 

 

タイラントが左手の鉄球から鎖を伸ばして攻撃すれば、イズマエルは左腕のゴルゴレムの管状の口吻『ゴルゴレムプロボセス』で受け止める。次に右手の鎌で切り裂こうとすれば、右腕のノスフェルの鋭い爪で受け止める。

次にイズマエルが反撃とばかりに右腕から赤い花粉を噴射すれば、タイラントはお腹の口で吸収し、逆に口から『冷凍ガス』を噴射して攻撃した。

強力な冷気に耐えたイズマエルは、タイラントを押し退かせて距離を取り、グランテラの長い尻尾を振り回して攻撃する。だがタイラントも同じく尻尾を振り回して攻撃を打ち消し合う。

お互いに様々な怪獣が合体・融合して誕生した者同士だ。ここまで互角の戦いを繰り広げている以上、勝負は長く続きそうだと誰もが思った。

だが両者には1つだけ違う点があった。それはタイラントに優れた主人(グランデ)がいる事だ。

 

 

「タイラント!もっとお前の本気見せてやれ!」

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

 

グランデは励ましながらネオバトルナイザーを掲げてレイオニクスの力を込める。それによりタイラントはブレイブバースト状態になってパワーアップし、再び両手の鎌と鉄球で攻撃した。それを見てイズマエルは防ごうと両手を前に出すが・・・。

 

 

「グギャアアゥゥピュエエェェグガアアァァーー!?」

 

 

パワーアップしたタイラントの攻撃は絶大で、鉄球でノスフェルの鉤爪を叩き折り、鎌でゴルゴレムの剣状部分を切り落とした。両手を破壊されたイズマエルは後退しながら悲鳴を上げる。

この時イズマエルは今までとは別の鳴き声を上げている。これについては最初に言ったようにイズマエルはタイラントと同様に様々なスペースビーストが合体して誕生した最強のスペースビーストだ。だがタイラントとは違ってイズマエルの体には合体したスペースビースト達の顔面が分かりやすいくらい存在している。その為それぞれの顔部分にダメージが入るとその部分の顔から鳴き声が出るのだ。

 

 

「ギャアアァァグオオオォォォーー!!」

 

 

暫く悲鳴を上げていたイズマエルだったが、痛みに耐えて今度は怒りの咆哮を上げた。そして口と体中の顔から必殺光線を放とうするが・・・。

 

 

「タイラント!アロー光線とハイブリッドヘルサイクロンを同時発射だ!」

 

「ギィガアアアアアァァァッ!!」

 

 

イズマエルの攻撃よりも早くグランデが指示を出し、タイラントは『ハイブリッドヘルサイクロン』とイカルス星人の耳から『アロー光線』を同時に放つ。2つの強力な必殺光線が同時に命中し、イズマエルは光線を受けたまま吹き飛ばされていった。

その光景をカイザーは口笛を吹きながら見ていた。

 

 

「グランデもやるね~~!ならこっちも終わらせるぜ!」

 

「グガアアアアァァァーーッ!!」

 

「フェッフェッフェッフェッフ・・・!!」

 

 

あれからずっと攻撃し続けていたジャルムに止めを刺すべく、カイザーはモンスターXとグリーザに必殺技を出すよう命じた。

モンスターXは3本の頭部の赤眼からゴジラの熱線と同じくらい威力を持つ引力光線『デストロイド・サンダー』を発射し、グリーザは胸部のコアから暗黒落雷『グリーザダークライトニング』を発射した。

 

 

「ガアアアアァァァッ!?」

 

 

散々攻撃され続けてボロボロな上にグロッキー状態のジャルムに2体の必殺光線を耐えられる訳がなく、光線が命中すると火花を散らしながら大きく吹っ飛んで行く。そしてそのまま同じように吹っ飛んできたイズマエルと激突した。2体は重なり合いながらその場に倒れて力尽きるのであった。

ギロンが戦闘不能状態もあって、戦いに勝利した3体は一斉に勝利の咆哮や雄叫びを上げるのであった。

 

 

だがまだ戦いは終わっていない。さらなる激闘の大怪獣バトルが続くのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
EXエレキング


レイの手持ち怪獣であるエレキングが、ゴモラと同じようにレイの覚醒の影響で変身した強化形態。
頭部はそのままだが手足が無くなり、蛇のような姿が特徴である。
主な武器は電気を帯びた長い尻尾を連続で叩き付ける『ライトニングテールラッシュ』と電気を帯びて体当たりする『ライトニングタックル』である。
見た目から分かるように動きが素早くなっていて、地中や水中でも同じ速さで動ける。そして敵の動きを封じる事を得意としているからゴモラのサポートに回る事が多い。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話 レイオニクス軍団VS異次元軍団 後編

お待たせしました。怪獣祭りの続きでございます!今回もレイオニクス軍団VS異次元軍団の激しいバトルが行われます。また、感動の場面や仲間との素晴らしい場面などもあります。
そして遂にあの者の正体が分かります。
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)
怪獣酋長ジェロニモン、ねこ舌星人グロラス(RB)、キール星人グランデ、X星人カイザー
放電竜エレキング、異次元人 巨大ヤプール、円盤生物ブラックエンド
超遺伝子獣ギャオス・ハイパー、シビルジャッジメンター・ギャラクトロン
最強超獣ジャンボキング、冷凍怪獣ラゴラス、ミサイル超獣ベロクロン   登場




激闘が続く大怪獣バトル。

次なる戦いは、ガーディー&モスラ・レオVSブラックエンド&ギャオス・ハイパーである。

 

 

「ピュアアアアァァァーー!!」

 

「ギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

空高く飛行して激しくぶつかり合っているモスラ・レオとギャオス・ハイパー。何度かぶつかった後モスラ・レオはさらに空高く飛翔し、それを見てギャオス・ハイパーも続くように飛翔して追い掛け始める。

 

 

「クワァ!ギャオオオオォォォ!!」

 

 

スピードではモスラ・レオに遥かに劣っているギャオス・ハイパーだが、自身の体を槍のように折り畳んで空気抵抗を減らすなど必死に追い掛ける。さらに口から凄まじい斬れ味を持つ必殺技の『超音波メス』を発射してモスラ・レオを撃ち落とそうとする。

 

 

「カキュウウオオウン!」

 

 

しかしモスラ・レオはギャオス・ハイパーの『超音波メス』を何の苦も無く猛スピードで躱した。そしてある程度距離が離れたところで反転し、猛スピードのまま体当たりする技『エクセル・ダッシュ』で攻撃した。

 

 

「クワァーーー!?」

 

 

追い掛ける事に専念していたギャオス・ハイパーはモスラ・レオの強力な体当たりを躱せず、真正面からぶつかってダメージを受け、そのまま落下していった。

 

 

 

ドオオオオオオオォォォォン!!!

 

 

 

「ギャオオオオオォォォォ~~・・・」

 

 

高い位置から地面に墜落したギャオス・ハイパーの体は思わず目を背けてしまう程ボロボロの状態だった。元々ギャオス・ハイパーはそれ程防御力が高くなく、モスラ・レオの攻撃に加えて先程の衝撃で戦闘不能状態になってしまった。それでもギャオス・ハイパーはボロボロの翼を動かして飛ぼうとする。

 

 

「あんな状態になってまで戦うつもりなんて・・・」

 

「カキュウウオオウン・・・」

 

 

負傷しながらも戦うとするギャオス・ハイパーの姿にリーシャとモスラ・レオは悲しそうに見つめる。そしてリーシャはモスラ・レオにギャオス・ハイパーを止めさせるように伝える。

彼女のお願いを聞いたモスラ・レオは頷き、ギャオス・ハイパーの真上までゆっくり飛んで翅から鱗粉を出して彼に浴びせた。

 

 

「ギャオオォッ!?ク、クワァ・・・」

 

 

鱗粉を浴びた途端、ギャオス・ハイパーは少しずつ翼の動きが鈍くなっていった。これはモスラ・レオが浴びせた鱗粉を使って敵のエネルギーを吸収する技『クリスタル・コーティング』である。残っていたエネルギーを奪われたギャオス・ハイパーは遂に動けなくなった。

 

「これで少なくとも傷付くことはないね。モスラ、ご苦労様!」

 

「ピュアアアアァァァーー!!」

 

 

 

動けなくなったギャオス・ハイパーを見てリーシャはこれ以上相手が傷付かずに済む事にホッとしながらモスラ・レオを褒めた。モスラ・レオも主人に褒められて嬉しそうに羽搏きしながら鳴き声を上げた。

それを見てリーシャは微笑んだ後、視線をガーディーの方に移す。そこではブラックエンドの巨大な2本角を掴み踏ん張っているガーディーの姿があった。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「ギシュエエエエエエェェェェッ!!」

 

 

円盤生物最強の名は伊達ではなく、ブラックエンドの力は予想よりも強かった為ガーディーは押さえつけるのが精一杯だった。

 

 

「ギシュエエエエエエェェェェッ!!」

 

 

自分の角を掴んだまま動けないガーディーを見てブラックエンドは口元をニヤリと歪めた。そして無防備なお腹目掛けて口から高熱火炎の『デスマグマ』を発射した。

 

 

「ギャアアヴヴヴゥゥゥーーー!?」

 

「あぁ!ガーディー!!?」

 

 

高熱火炎がガーディーを包んでしまったのを見てリーシャは悲鳴を上げる。ガーディーも超高温の火炎放射がお腹だけでなく、カラータイマーにも命中してダメージを受けた事で角から手を離して後ろに下がった。そして何とか体に燃え移った火を消すが、カラータイマーに攻撃を受けた事でその場に膝をついてしまう。

 

 

「待っててガーディー。今すぐシルバゴンとモスラを援護に向かわ「キイイイィィィッ~~!!」えっ!?」

 

 

大ダメージで動けなくなったガーディーを見てリーシャが他の手持ち怪獣を援護に向かわせようとした時、突如聞き覚えのある鳴き声が響いた。鳴き声がした方向を見るとなんとそこにはエレキングがいた。

だがそのエレキングはレイの手持ちではなかった。体の色が白く、両手には2本ずつ爪が生えていた。そのエレキングを見てリーシャは口と体を震わせながら声を掛けた。

 

 

「まさか貴方・・・エレちゃん。エレちゃんなの!?」

 

「キイィ!キイイイィィィ~~~♪」

 

「やっぱりエレちゃんなのね!生きて・・・」

 

 

リーシャが自分に気が付いてくれた事にエレキングは嬉しそうに両手と尻尾を振る。

このエレキングは別名『放電竜』と言い、かつて最強・最速のウルトラ戦士と2度に渡って激闘を繰り広げた事がある個体の同族であり、リーシャのペットでもあるのだ。

少し話が長くなるが、惑星ボリスでリーシャと無理矢理引き離されたエレキングは姉のピット星人が持っていたバトルナイザーの中で寂しい気持ちのまま過ごしていた。

しかし、惑星ハマーに向かっていた途中姉のピット星人がダイルに殺され、自身は奇跡的に無事であって偶然発生したワームホールで惑星ハマーに辿り着けた。

それから長い時間バトルナイザーの中で閉じ込められていた時にグランデ達のレイオニクスパワーの影響でバトルナイザーから外に出られる事ができ、遠くから感じるリーシャの気配を追って此処までやって来たのだ。

そんなエレキングを見てリーシャは涙を流しつつ声を掛けようとするが・・・。

 

 

「ギシュエエエエエエェェェェッ!!」

 

 

そこへブラックエンドが咆哮を上げ、角を振り回しながら2人に・・・正確にはリーシャの方へ迫ってきた。

まだダメージで動けないガーディーを倒すよりも新しくやって来たエレキングを倒すよりもその希望とも言えるリーシャを倒した方が自分の有利になれるとブラックエンドは考えたのだ。

 

 

「キイイイィィィッ!!」

 

 

しかし、そう簡単に事を成せる訳がなかった。ようやく再会できたリーシャに指一本触れさせて堪るかとエレキング=エレちゃんが彼女の前に立ち塞がって守ろうとする。

それを見たブラックエンドは再び口から『デスマグマ』を放ってエレちゃんを攻撃する。

 

 

「エレちゃん、電子ビームで防いで!」

 

「キイイイィィィッ!!」

 

 

エレちゃんは口から円弧状のプラズマ光弾『電子ビーム』を何発も放って『デスマグマ』を防いだ後走り出し、勢いよくブラックエンドにぶつかってそのまま顔部分に両手の爪で引っ掻き攻撃をした。この攻撃には流石のブラックエンドも悲鳴を上げ、何とか反撃しようと角を激しく振り回してエレちゃんを後退させる。そして尻尾の先端にある鋏で攻撃しようと振り回そうとするが・・・。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「ギシュエエエェェッ!?」

 

 

いつの間にか背後に回っていたガーディーがブラックエンドの尻尾を掴んでいた動きを封じていた。痛みに耐えつつ自分の主人を守っているエレちゃんを見てガーディーは仲間と認識し、助けにやって来たのだ。

 

 

「ガオォッ!ガウウウゥゥッ!!」

 

「キイィ?キイイイィィィッ!!」

 

 

ブラックエンドの尻尾を離さないように力強く掴んで動きを封じた後、ガーディーはエレちゃんに向かって頷き合図を送る。それを見てエレちゃんは口から再び『電子ビーム』を放つ。光弾はブラックエンドの口元に命中し、それによりブラックエンドは高熱火炎が吐けなくなってしまった。

 

 

「ギイイェェッ!!ギシュエエエエエエェェェェッ!!」

 

 

2体の攻撃で徐々に追い詰められていくブラックエンド。だが彼は攻撃を止めず、体の黒い丸がある部分全てから角を出して咆哮を上げながら2体を串刺しにしようとその場で激しく動き回る。

 

 

「諦めの悪い怪獣ね。エレちゃん!ガーディーと一緒にやっちゃいなさい!!」

 

「キイィ!キイイイィィィッ!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

リーシャの指示を聞いたエレちゃんは、今度は自分がガーディーに合図を送る。そしてガーディーが頷いたのを確認してからブラックエンドの巨大な2本角を掴んだ。

そして2体は同時にブラックエンドを持ち上げて勢いよく地面に叩き付けた。それも1回2回ではなく、何回も連続で叩き付けた。

 

 

「ギシュエエエエエエェェェェ~~・・・」

 

 

叩き付けられる度にブラックエンドは悲鳴を上げ、それと同時に角が折れていった。そして最後の角が折れるとガーディーとエレちゃんはブラックエンドを空高く放り投げた。

 

 

「これで終わりにしてあげる。ガーディー、さっきの借りを返しなさい!ゼペリオン光線発射!!」

 

「ガウウウゥゥゥッーー!!」

 

 

落下してくるブラックエンドにガーディーは口から『ゼペリオン光線』を放つ。必殺光線を食らったブラックエンドは大ダメージを受け、地面に激突した後体を2、3回揺らして気を失った。

 

 

「気を失ったわね・・・フフ、貴方はクロウさんに献上する大切な怪獣なんだから倒す気なんて私にはないわ。だから安心して眠ってなさい。それに私は今とても機嫌が良いのよ」

 

「ガウウウゥゥゥーー!!」

 

「キイイイィィィッ~~!」

 

 

微笑んだ表情のリーシャが見つめる先にはガーディーとエレちゃんが仲良く勝利の咆哮を上げている光景が映っていたのだった。

 

 

 

 

 

終盤を迎え始めた大怪獣バトル。

次なる戦いはグランドキングVSギャラクトロンである。

 

 

「やれ!グランドキング!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

ウオオオォン!ウオオオォン!

 

 

クロウの命令を聞いて鉤爪を振り回して攻撃してくるグランドキングに対して、ギャラクトロンは右腕のビーム砲が備え付けてあるクローで防ぎつつ、体の中央部分にある赤い球体から光を出してグランドキングを包んでいく。まるでスキャンして分析しているようだ。

そして光を出すのを止めた瞬間、グランドキングを押し返して左腕を半回転させてギャラクトロンブレードで体を切り刻み、さらに両目から赤い閃光光線『ギャラクトロンスパーク』を放った。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!?」

 

 

ギャラクトロンブレードによって切られたところへ光線が命中して、グランドキングは光線が当たった部分より魔法陣が出てから爆発して激しく火花が飛び散らせながらダメージを受けた。

俺の怪獣達の中で1番の防御力を持ち『絶対鉄壁の盾』と言われているグランドキングにダメージを与えるとは・・・ギャラクトロンの両腕の武器は恐ろしい力を持っているぜ。そう思っていた時にギャラクトロンが俺達に語り掛けてきた。

 

 

『超合体怪獣グランドキング、及びその操り人であるレイオニクス・クロウと多数の怪獣達をリセットして争いを止める。それが我が使命、我が正義・・・』

 

「・・・正義か、そんな嫌いな言葉をあまり俺の前で言わないでくれるか?」

 

『・・・何故?』

 

「かつて正義の為だと言って戦い続けて怪獣を殺しまくる奴らがいたんだ。確かに怪獣の中には存在自体が悪とも言える奴がいる。だがそれは他の生命体も同じ事だ。そしてそいつらはお前のように良い存在の者達でさえ滅ぼしてしまった。俺はそれを見て確信したよ。正義なんてこの世に存在しない。今生きる怪獣達全てを護り抜き、平和へ導くのに正義も悪もないとな!」

 

『正義も悪もない・・・理解不能』

 

「フフ、安心しろ。俺がじっくり教えてやるよ。なにしろお前は・・・これから俺の大切な仲間で、家族になるんだからな!グランドキング!久しぶりに本気で行くぞ!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

 

そう言って俺はグランドキングに力を与える。その力によりグランドキングはスーパーグランドキング・スペクターになった。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

ウオオオォン!ウオオオォ・・・!?

 

 

そしてスーパーグランドキング・スペクターはギャラクトロンに向かって胸から『スーパーグランレーザー』を放ちながら歩き出し、そのまま両腕の巨大な剣と鉤爪で攻撃した。

ギャラクトロンは魔法陣で光線を吸収しようとするが、あまりの威力に魔法陣は吸収できずに破壊されてしまう。さらにスーパーグランドキング・スペクターの剣でクローは切り落とされ、鉤爪でギャラクトロンブレードは叩き折られてしまった。それでもギャラクトロンは使命を果たそうと後頭部の大きな鉤爪が付いているギャラクトロンシャフトを伸ばしてスーパーグランドキング・スペクターの首元を掴んで押さえ込もうとする。だがそれもすぐに剣で切り壊されてしまった。

 

 

「止めだ!スーパーグランレーザー発射!!」

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

 

スーパーグランドキング・スペクターの放った『スーパーグランレーザー』は満身創痍のギャラクトロンの胸の赤い球体に命中し、胸には大きな穴が開いた。

そしてギャラクトロンはゆっくりと火花を散らしながら前に倒れた。

 

 

「よくやった。流石スーパーグランドキング・スペクターだ。カッコ良かったぞ」

 

「グゥアアゥッ♪グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

 

褒められて嬉しそうに両手を大きく振るスーパーグランドキング・スペクターを見た後、倒れたギャラクトロン、レイやリーシャ達に倒された怪獣達も一緒に回収する。幸い距離がそれ程離れていなかったおかげですぐにできた。

 

 

「よしよし、皆すぐに元気になるからな。今はゆっくり休んでいるんだぞ。さて、残るはキングオブモンスだな」

 

 

回収した怪獣達の様子を確認してからまだ戦い続けているキングオブモンス達の方を見る。そこでは異次元軍団最後の生き残りである最強超獣ジャンボキング相手にキングオブモンスとラゴラスが有利に戦いを繰り広げていた。

 

 

「グオオオオォォォーー!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

キングオブモンスが真正面からジャンボキングに組みかかってそのまま顔と腹に何度も強烈なパンチを浴びせ、背後からラゴラスが羽交い締めをして動きを押さえつつキックを食らわせた。

 

 

「ギィゲエエエエエェェェーー!!」

 

 

対してジャンボキングは両手の鋏を振ってキングオブモンスを押し返して口からミサイルを、目から破壊光線を放つ。また、背後にいるラゴラスには後ろ側の体の上半身部分にある尾の様な触手で首を絞めつける。しかし、キングオブモンスは『ボーンシールド』で攻撃を防ぎ、そのまま『クレメイトビーム』を撃って反撃した。

ラゴラスもかつて同族が宿敵の怪獣のコアを食べた時のように巻き付いている触手を食い千切ってしまった。

 

 

「ギィゲエエエエエェェェーー!?」

 

 

自分の武器が効かず、次々と破壊されていく事にジャンボキングは悲鳴と驚きの鳴き声を上げながら考える。

なぜこうも自分がやられたままなのだ?今目の前にいる相手は、怪獣達の中で最強の力を持つとも言われるキングオブモンスだ。だが自分も超獣達の中で最強の力を持っている。2対1と言う戦況ではあるが互角に渡り合える程の強さを持っている筈なのに!とジャンボキングが疑問に思うのも無理はなかった。

そしてその答えはキングオブモンスがこれまでの戦いで数多く様々な経験を積んでいる事、援護しているラゴラスが予想以上に強かった事、2体に優れた主人が付いている事からだ。

無論ジャンボキングにも主人がいるのだが、当の本人はレイオニクスへの憎悪のせいでまともに指示を出していなかった。

 

 

「ぬぅ!おのれ~忌々しいレイオニクス共め!私の軍団を倒すばかりか仲間にしてしまうとは・・・こうなったらあの一番強い奴だけでも確実に命を奪ってやる。出てこいベロクロンよ!!」

 

 

異次元空間から戦いを見つめていた黒い影の者は、呼び出した怪獣軍団が次々と倒されていく事に怒りと焦りを表し、殺意を振り撒きながら異次元空間より新たな超獣を出した。

それはかつてクロウ達と戦った事のあるミサイル超獣ベロクロンだった。

 

 

「行けベロクロン!必ずあのレイオニクスを始末するのだーー!!」

 

「ヴオオオォォォーー!!」

 

 

命令を受けたベロクロンはすぐに戦場に向かい、キングオブモンス達目掛けて口や両手から『ベロクロミサイル』を発射して攻撃した。

 

 

「グオオオオォォォーー!?」

 

「ピュアアアアアアッ!?」

 

 

ミサイルはキングオブモンス達の体にいくつも命中した。突然の攻撃を受けた2体は怯んで攻撃を止める。その隙をついてジャンボキングは2体から距離を取って、前後両方にある両目から追い撃ちとばかりに破壊光線を放って攻撃した。

 

 

「フハハハッ!いいぞ超獣共よ!さぁ、奴らに止めを刺せ。ベロクロン!!ジャンボキング!!」

 

「ヴオオオォォォーー!!」

 

「ギィゲエエエエエェェェーー!!」

 

 

ベロクロンとジャンボキングは左右に並び立ち、主より命じられた使命を果たそうとキングオブモンス達に向かって行く。

 

 

「そうはいくか!グロラス、ジャンボキングの相手は俺がする。お前はベロクロンを倒せ。やれるか?」

 

「はい!任せて下さいクロウ様!必ず・・・必ず貴方の役に立ってみせます!行けー!ラゴラス!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

俺の頼みを聞いたグロラスは目を爛々と輝かせ狂喜しながら頷く。こいつも随分と俺に心酔しているものだ。俺が人間だった頃に歴史上のとある武将に憧れていたのと同じ感じだ。そう思っている間、グロラスはラゴラスにベロクロンを倒せと命じる。

 

 

「ピュイイィッ!ピュアアアアアアッ!!」

 

「ヴオオオォォッ!?」

 

 

命令を聞いたラゴラスは咆哮を上げて両手を大きく広げながらベロクロン目掛けて突進し、そのままパンチやキックなど激しく攻撃した。ベロクロンも反撃しようと口からミサイルを放とうしたが・・・。

 

 

「そうはさせない。ラゴラス、奴の口に冷凍光線だ!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

ミサイルが放たれる前にラゴラスは『冷凍光線』を放ってベロクロンの口を凍らせて塞いでしまう。発射口が閉じられた事にベロクロンは慌ててミサイルを止めようとするが間に合わず、ミサイルは口の中で爆発してしまった。

 

 

「ヴオ・・・ォォォ・・・」

 

 

口の中で爆発したミサイルの爆炎は体の中にも影響を与え、体内にある火薬庫も同じように爆発が起きてしまった。そのダメージは大きくベロクロンはグロッキー状態になってしまった。

 

 

「いいぞラゴラス。そのまま反撃の隙を与えずに一気に攻めるんだ!」

 

「ピュアアアアアアーーッ!!」

 

 

相手がグロッキー状態であろうとグロラスは慢心せず、ラゴラスに攻撃をし続けるように指示を出した。ラゴラスはグロラスに言われた通りベロクロンに猛攻撃を加え、その後再び口から『冷凍光線』を放ってベロクロンを完全に凍らせてしまった。相手が戦闘不能になったのを見てラゴラスは勝利の咆哮を上げた。

最後まで優勢に戦いを繰り広げたグロラス達の様子を見て俺は内心感心した。

 

 

「フム、もっと手こずるかと思ったが意外とラゴラスもやるな。なら俺達も負けずに本気でやるとするか。行くぞキングオブモンス!!」

 

「グオオオオオオォォォォーー!!」

 

 

そう言って俺はギガライブナイザーに力を込める。その瞬間キングオブモンスが赤いオーラを放ちながら体を赤く染め、牙や爪、背中の翼などを大きく伸ばしていった。

これぞキングオブモンス・レイオニックバーストである。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

 

キングオブモンスは背中の翼を広げて空高く飛び上がり、猛スピードでジャンボキングに激突した。

 

 

「ギィゲエエエエエェェェーー!?」

 

 

それを受けたジャンボキングは大きくブッ飛ばされて地面に倒れた。流石のジャンボキングもこれまでのダメージに加え、この強烈な攻撃を食らって口から泡を出し、苦痛の鳴き声を出した。

 

「何をやっているジャンボキング!?さっさと起き上がって奴を攻撃しろ!」

 

「ギッ、ギィ・・・ギィゲエエエエェェェ・・・!」

 

「やれやれ・・・誰がどう見ても戦える状態じゃないぜ?」

 

「黙れ!!こいつは私の道具だ。レイオニクス共を全て倒すまで倒れる事は許さん!さぁ、戦うのだジャンボキング!!」

 

「・・・・・ハァ~、本当に呆れた奴だ。あんな姿を見せられた戦う気が失せた。それにこれ以上傷つける訳にはいかない。一気に決めるぞキングオブモンス!」

 

「グオオォォッ!グオオオオオォォォォーー!!」

 

 

目の前で行われている奴隷扱いのような酷い仕打ちに俺は呆れつつキングオブモンスに止めを刺すように指示する。キングオブモンスは頷き、ジャンボキング目掛けて『クレメイトビーム』を発射する。

 

 

「ギィゲエエエエェェェ~~・・・」

 

 

必殺光線を受けたジャンボキングはゆっくり倒れつつ爆発した。但し威力を加減したから死んでなく、すぐギガライブナイザーに回収した。

 

 

「痛い事して悪かったなジャンボキング。けど安心しろ・・・もう辛い目に遭わせる事はさせない。だって今日からお前も俺の大切な家族の一員だからな」

 

 

回収してギガライブナイザーの中で眠るジャンボキングにそう言った後、俺は頭上の空にある異次元空間の中でこちら見つめている奴を睨み付けながら言う。

 

 

「お前が必死に集めた軍団は全て俺の仲間になったぜ。思惑が外れて残念だったな・・・ヤプール!」

 

 

異次元空間に潜む者の正体、それはかつて地球侵略を企み、様々なウルトラマン達と戦いを繰り広げた異次元超人巨大ヤプールであった。

何故彼がクロウ達を襲うのか?実は彼の種族は数万年前にレイブラッドによって全滅しかけた事があった。その復讐を果たす為クロウ達レイオニクスを抹殺しようしたのだ。

 

 

「ぬぅーーっ!おのれ、おのれ、オノレェェ!!忌々しいレイオニクス共め!!」

 

 

ヤプールは全身からマイナスエレルギーを放ちながら怒りと殺気が籠った眼で俺を睨み付け、怨念が込められた邪声が周りに響いた。

その声は目の前にいるクロウだけでなく、戦いを終えてそれぞれ相棒怪獣を回収してから駆けつけに来たレイやリーシャ達、ペンドラゴンにいるZAPのメンバーにも聞こえて背筋を震わせた。

 

 

「何だアイツは!?」

 

「アイツは異次元人ヤプールと言って超獣を生み出した存在で宇宙の悪魔とも言われている奴よ!」

 

「へぇ~、宇宙の悪魔ね。随分と御大層なネームを持っているな」

 

「あぁ、その上執念深い性格だからしつこいんだよ。面倒くさい奴が現れたものだ」

 

「クロウ様大丈夫かな(汗)」

 

 

初めてヤプールの名を聞くレイとカイザーにリーシャとグランデが教え、グロラスがクロウの身を心配している間、俺は後ろにいる5人を守るように前に出てヤプールと真正面から対峙した。

 

 

「よく聞けヤプール!お前がどんなに強い超獣や怪獣を出してきても俺と怪獣と仲間達の前では無意味だ!!」

 

「黙れ!!我が怨念の力を甘く見るな!それならばこの場で最も強いレイオニクス・・・貴様を最優先で抹殺してやる!今に見ておれ!ヌハハハハハッ!!」

 

 

そう言ってヤプールは異次元空間の中に消えて行った。

 

 

「ヤプールに最優先で抹殺対象にされるとは・・・本当に面倒くさい・・・」

 

 

俺が疲れる様にため息をついた後、後ろにいたレイとリーシャとグロラスが心配そうな表情をしながらやって来た。

 

「クロウさん!大丈夫ですか!?」

 

「ああ、大丈夫だよリーシャ」

 

「だがヤプールは宇宙の悪魔と言われている相手だろ?本当に大丈夫なのか?」

 

「このままだと確実に何か仕掛けてくるんじゃ・・・?」

 

「フフ、レイ。グロラス。お前達も心配してありがとうな。けど心配無用だ。俺には怪獣達やお前達頼れる仲間もいる」

 

 

そう言うとレイ、リーシャ、グロラス、そしてギガライブナイザーの中にいる怪獣達が嬉しい表情になったり、鳴き声を上げたりした。

その様子を見ていたグランデ達が呆れた表情で話し掛けてきた。

 

 

「おいおい怪獣王様よ。随分と余裕じゃねぇか?」

 

「あのヤプールとか言う悪魔に狙われているのによ~~」

 

「フッ、お前達も心配してくれるのか?だがさっき言った通り俺の事なら心配無用だ。ところで俺達の戦いの続きだがどうする?今からやるか?」

 

「・・・・・いや、止めておくわ。今日は流石に疲れたし、邪魔者をブッ飛ばしてスカッとしたしよ」

 

「それにお楽しみは最後まで取っておくものだ。お前らとの熱いバトルをな!じゃあな、レイ、怪獣王、それから・・・可愛いお嬢ちゃん!」

 

「あれ?俺は!?」

 

 

そう言ってグランデ達はそれぞれの宇宙船に乗って立ち去って行った。途中グロラスが騒いでいたけどな。

その後俺達もそれぞれの宇宙船・・・ではなく、ペンドラゴンに集まった。何やらレイが話したい事があると言うのだ。

 

 

「クロウ、ボス、皆・・・俺はこの星に残りたいと思う」

 

「レイ!?」

 

「何故残りたいんだ?」

 

 

レイの言葉にヒュウガ達は驚き、俺が皆の代表で訊ねる。まぁ、俺は理由を知っているけど・・・。

 

 

「この星でレイオニクスバトルが続く限り、いずれ宇宙を支配するレイブラッドが復活してしまう。俺はそれを阻止するつもりだ」

 

「平和の為に戦うという訳か」

 

「だったら・・・俺も戦うぞレイ!」

 

「私もこの星に残って貴方と一緒に戦うわ!」

 

「僕も同じだよ。此処ならまた怪獣の研究もできるしね!」

 

 

ペンドラゴンのメンバーが次々と残ると言った後、レイは視線をゆっくりと俺達の方に向ける。

 

 

「安心しろレイ、俺もこの星に残るつもりだ。仲間を見捨てるような真似、そんな事は絶対にしない!(それにレイブラッドを倒し、奴の力を手に入れたいしね)」

 

 

内心恐ろしい悪巧みを考えつつ、俺もこの星に残ると宣言する。

 

 

「クロウさんが残るなら私も残ります!」

 

「我等モクロウ様ト同ジ道ヲ進ンデ行キマス!」

 

「俺も同じです。クロウ様に一生付いて行きます!」

 

「皆・・・」

 

 

最愛の怪獣・エレちゃんを回収できて嬉しい気持ちを隠せないリーシャや新しく仲間になったグロラス、側近のジェロニモン達も賛同してくれた事にレイはとても嬉しそうだった。

こうして俺達はさらに強い力と結束を手に入れて戦い続けるのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
異次元超人 巨大ヤプール


異次元世界の支配者で超獣達の生みの親。ウルトラシリーズ最凶の悪魔と言われる程の最も有名な悪役で、バルタン星人と並ぶウルトラマン達の宿敵だ。
今の巨大ヤプールの姿は、全ヤプール人が合体・巨大化した姿で、全身が赤く肩に鋭い無数の棘が生えており、右手先端の鎌が特徴である。
主な武器は右手の鎌から発射する様々な光線や火炎放射、異次元空間移動である。
過去にレイブラッドによって全滅寸前までやられた事があって、その為にレイブラッドを恐れている。そして彼が復活しないように全てのレイオニクスを抹殺しようとしている。
現在最もレイブラッドに近い力を持っているクロウを最優先に抹殺しようと考え、異次元空間の中で究極超獣を復活させたり、異世界の怪獣を多く集めている!?
クロウと直接対決の日も近い!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話 潜入者を撃て!

お待たせしました。今回は大怪獣バトルの中で唯一と言っても良いギャグ回です。また、前に登場したキャラ達も出てきます。
感想と評価をお待ちしております。

古代怪獣ゴモラ、剛力怪獣シルバゴン、冷凍怪獣ラゴラス、宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン
脳魂宇宙人ザム星人タクト(RB)、宇宙剣豪 ソウケンザムシャー(ルーネ)
凶悪宇宙人ザラブ星人、にせウルトラマン   登場




ヤプール率いる異次元軍団を倒し、グランデ達と別れた後クロウ達はレイオニクスバトルを止め、レイブラッドの復活を阻止するために惑星ハマーに残り戦い続ける事を決意した。そして今、俺達は損傷が激しくて航行不可能になったゴースタードラゴンの物質をペンドラゴンに運んでいた。

 

 

「すまないなボス、ゴースタードラゴンを壊すような事をしてしまって・・・」

 

「いや、気にしないでくれクロウ。このまま飛べず置き去りにされる事より、クロウの宇宙船となってまた宇宙を飛べられる方がこいつも喜ぶさ!」

 

 

謝るクロウにヒュウガはゴースタードラゴンを見て笑いながら言う。

実は今ゴースタードラゴンに備え付けてあった装備や機材などをペダン星人の攻撃で傷付いたギガ・ロボフォーの修理の為に分解しているのだ。

ゴースタードラゴンの傍に着陸させたギガ・ロボフォーのマジックハンドを新しく仲間になったグロラスがジェロニモン達に操縦方法を教わりながら部品を取り外し、そのまま傷付いた所に持って行き、待機していたロボット達が修理を行っている。

 

 

「それにこれからますます戦いが激しくなっていく。万全な状態にしておかないと危機的状況を乗り越える事ができない。まさにゴースタードラゴンのこの物資は、貴重な宝だ」

 

「そうだぞクロウ。こういう時こそ“備えあれば・・・”ん?」

 

「クク、“備えあれば患いなし”だよレイ」

 

 

まだまだ勉強不足だなと思って苦笑した時、通信機が起動してモニターにハルナが映った。

 

 

「ハルナです。物資の積み込み完了。これよりペンドラゴンに運びます」

 

「途中何が起こるか分からん。十分注意して行くんだ」

 

「了解ですボス」

 

 

そしてハルナは物資を積み込んだドラゴンスピーダーを発進させて、ペンドラゴンに向かって出発した。その後クロウ達は作業を続け、物資をまとめているとレイが机の上にキラキラ輝く物を見つけた。

 

 

「これは?」

 

「ああ、ハルナのコンパクトだ。ペンドラゴンに着いたら教えてやろう」

 

「それまでレイ、お前が持っていろ。けど絶対に傷付けるなよ。それは女の子にとってとっても大切な物なんだからな」

 

「あ、あぁ・・・(とっても大切な物?)」

 

 

 

その頃、ペンドラゴンに向かって出発したハルナは、物資を積み込み過ぎた事でいつもより重いドラゴンスピーダーを飛行させる事に苦労していた。

その時突然コックピットにツリ眼と星形の口が特徴で、頭部と胴体が一体化している銀色頭のザラブ星人がしがみ付いた。

 

 

「きゃあああああああ!!?」

 

「キャアアアアアアア!!」

 

 

それから暫くしてハルナが目を覚ますと銀色の特殊なロープで拘束されていた。

 

 

「ハッハハハ!気が付いたかねお嬢さん。いや、ハルナと呼べばいいのかな?更新記録を調べさせてもらったよ」

 

「くぅ!うっ!」

 

 

ハルナは何とかロープを外そうとするが、逆に先程よりも強い力で締め付けられてしまう。

 

 

「おっと!あまり動かない方がいい。そいつは動けば動くほどきつく体に食い込む仕掛けなんだよ」

 

「私をどうする気!?」

 

「君はどうやらレイオニクスではないようだ。だが仲間がいるのだろう?誰がレイオニクスかこっそり教えてくれないか?」

 

「誰がお前なんかに!うぅ!」

 

「やれやれ。動いてはいけないと言ったのに・・・まあいい。1人ずつ探り当てていけばいいだけの話だ」

 

「探り当てる?」

 

「そう、君の美しい姿を借りてね」

 

 

そう言ってザラブ星人は呪文のようなものを唱えるとハルナそのものの姿になった。そして本物のハルナを誰にも見つからないように岩場に隠した。

 

 

「それでは行ってくる。土産話を楽しみにしていたまえ」

 

 

 

そしてハルナに化けたザラブ星人は堂々とペンドラゴンに潜入した。その後誰がレイオニクスであるかを探るため人がいると思われるコックピットに入る。

 

 

「お帰りなさい副長!」

 

「どうしました副長?顔色が悪いですよ?」

 

「何でもないわ」

 

「ボス、只今副長が戻りました。これより搬入作業に入ります」

 

「(誰だレイオニクスは?この中にいるのか?こいつか?)」

 

 

想像―――

 

 

バトルナイザーを構えたクマノが怪獣を召喚する。

 

 

「行ってください!ガルベロス!!」

 

 

想像終了―――

 

 

あるシリーズに登場した事からクマノの相棒怪獣がガルベロスなのはとてもしっくりくる。

これは確実だ。

 

 

「(可能性はあるが・・・それともこいつか?)」

 

 

想像―――

 

 

バトルナイザーを構えたオキが怪獣を召喚する。

 

 

「じゃーん!行っちゃえ。モットクレロン!!」

 

 

想像終了―――

 

 

「(いやいや、こいつはあり得なさそうだ。確実に弱そうだ。間違えない)」

 

 

即座に否定するザラブ星人の言う通り、モットクレロンが相棒怪獣では例え野菜が沢山あったとしても戦いに勝つ見込みは到底ないだろう。これも確実だ。

 

 

「あっ、副長。ボスから連絡が入っています」

 

 

そう言ってクマノが席を譲り、ハルナ(ザラブ星人)が変わりにやって来るとヒュウガは大切な物を積み忘れていると言う。

 

 

「た、大切な物・・・(何だそれは?)」

 

 

この時ハルナ(ザラブ星人)は、考える事に夢中になって普段自分がやっている奇妙なポーズをしてしまう。それを見てクマノとオキは不思議に思いながら同じポーズをとる。

 

 

「副長、何忘れたんですか?」

 

「大事な物って?」

 

「(マ、マズイ。このままでは正体がばれる!)あっ・・・」

 

 

何とか誤魔化そうとハルナ(ザラブ星人)は、変な動きをして倒れた。

 

 

「「ふ、副長!?」」

 

「ん?どうしたハルナ?」

 

 

突然倒れた事にクマノとオキは慌てて駆け寄り、ヒュウガはモニターから消えたハルナを心配して何度も名前を呼ぶ。それを聞いてレイはクロウと一緒に運んでいた荷物から手を離して、すぐにヒュウガの所に行って一緒に見る。

その後ろでは突然レイが手を離してしまった事で荷物を支えきれなくなり、足元に落としてしまったクロウがピョンピョンと飛び回っていた。

 

 

「すいません。コホッコホッ!ちょっと・・・気分が悪くて・・・」

 

「よし分かった。ハルナは医療室で休め。オキ、少し前にリーシャが次の物資を持ってペンドラゴンに向かった。その中に薬が入っているからすぐに飲ませてやるんだ。彼女が来るまでハルナを頼んだぞ」

 

「りょ、了解!」

 

「大丈夫なのか?」

 

「いろいろ大変な事が続いたからな。後は俺達で片付けてゆっくり休ませてやろう」

 

「そうだな。だがもし病気だったら危ない。クロウ、お前もそう思うd・・・何やってるんだ?」

 

 

ここでようやくレイはクロウが足を押さえて飛び回っている事に気が付く。

その後クロウに荷物から手を離した事で怒られ、恐ろしいお仕置きを受けた事は言うまでもない。

 

 

 

一方オキに医療室に連れて行かれて休んでいるフリをしていたハルナ(ザラブ星人)は、再びレイオニクスを探そうと起き上がろうとした時、ちょうどタイミング良く(?)応急用の薬と水を持って来たオキがやって来た。

 

 

「副長~ダメですよ寝てなきゃ」

 

「あっ、え、えぇ・・・」

 

「それと副長!ザラブ星人を見ませんでしたか?」

 

「ドキッ!!(まさかもうバレたのか!?)」

 

「あっ!副長はザラブ星人が誰か知らないんでしたよね。もし何処かで茶色い人形を見つけたら教えて下さいね。あと此処に応急用の薬を置いておきますね。本当はリーシャが持って来る薬の方が良いけど、それでも効果はありますので飲んでいてくださいね」

 

 

そう言ってオキは医療室から立ち去る。

 

 

「・・・・・ハァ、ビックリした。ああ?」

 

 

バレずに済んだ事にハルナ(ザラブ星人)がホッとした時、床下にオキが作り探していたザラブ星人の人形を見つけた。手に取った瞬間、ザラブ星人の人形の首がポロっと落ちた。

 

 

「ありゃ!?(ガーーーン!!)」

 

 

 

その頃、拘束されて岩場に隠されたハルナは必死にテープを外そうとしていた。

 

 

「くっ!やっぱり外せない・・・」

 

 

痛みに耐えて岩場にぶつかったり、擦り付けたりするがテープは外れるどころかさらに強く締め付いた。

 

 

「一体どうすれば・・・ハッ!」

 

 

すると近くで誰かの足音が聞こえた。さらに遠くの方から飛行音も聞こえる。どちらもこちらに向かって来ている事に気が付いたハルナは息を潜め、見つからないように痛みを我慢しながら岩場に隠れる。

 

 

カチャ!カチャ!カチャ!

 

 

「・・・・・」

 

 

相手は鎧でも着ているのか?歩く度に金属音がする事に不思議に思いながらハルナは目を瞑り、立ち去るまでじっと我慢する。すると急に音がしなくなり、いなくなったのかと目を開けると目の前に長い黒髪をポニーテールのように束ねて、腰に2本の刀を備えている鎧武者がこちらを見つめて立っていた。

 

 

「!?」

 

「お前、此処で何を?・・・いや、そう言う訳か」

 

 

ハルナの様子を見て鎧武者は状況を把握し、刀を1本抜いて真っ直ぐ振り下ろす。そして刀を鞘に戻したのと同時に拘束していたテープがバラバラに切れて地面に落ちた。

 

 

「!?テープが・・・」

 

「これで話しやすくなった。助けた代償に私の質問に答えてもらう」

 

「質問?」

 

「そうだ。まず最初に地球人であるお前が何故この惑星ハマーにいる?次に何故此処で捕まっていた?最後にお前はレイオニクスか?この3つ全て正確に答えてもらおうか。もし1つでも嘘をついた場合は・・・分かるな?」

 

 

鎧武者は穏やかな口調で問い出す。だがハルナが不審な行動をとらないように刀を向け、隙が全くない態勢で構える。それを見てハルナは少し怯えながら質問に答えた。

 

 

「まず私が此処にいるのは仲間と一緒にレイオニクスバトルを終わらせる為!次に此処に捕まっていたのは私に化けたザラブ星人のせい!最後に私はレイオニクスではないわ!」

 

「・・・その目に偽りの影は映っていない。分かった。怖い真似をしてすまなかった」

 

 

ハルナの言葉が嘘でないと確信した鎧武者は刀を収め、礼儀正しく頭を下げて謝った。

 

 

「い、いいえ!そんな風に謝らなくても(汗)それよりも貴方は一体・・・っていけない。早く皆と会わないと!失礼します!」

 

 

鎧武者の正体を気にしていたハルナだったが、ザラブ星人の事を思い出して急いでペンドラゴンへと向かった。

 

 

「(先程彼女は仲間と一緒にレイオニクスバトルを終わらせると言っていた。ならその仲間がレイオニクスか)・・・私も後に付いて行くとしよう」

 

 

冷静に考えて答えを出した鎧武者は、ハルナが走っていた方に歩き出すのであった。

それから少し経つとハルナがいた場所に1機の円盤が降り立った。そして円盤から1人の宇宙人が出てきた。

 

 

「えぇ~と・・・反応からしてこの辺りに・・・あっ、あったぞ!」

 

 

出てきたのはザム星人タクトだ。彼はタブレットのような物を取り出して辺りを見渡し、少し大きな岩の陰に隠されていたケースを見つけた。開けてみると中には沢山のバトルナイザーが収納されていた。

実はこれ全部ザラブ星人が変身能力で騙し討ちしてレイオニクスから奪った物なのだ。

 

 

「こんなにも沢山のバトルナイザーを見つかるとは・・・ザムリベンジャー、この辺りにレイオニクスの反応はあるか?」

 

『此処から少し離れた所に反応があります』

 

「そいつだ!そいつがこのバトルナイザーを集めた者に違いない。急いで追い掛けてそいつを倒し、僕がさらに上である事を証明してやる!」

 

 

闘志を燃やしながらタクトはケースをザムリベンジャーまで運び入れ、レイオニクス反応がある方に向かうのであった。

 

 

 

一方ペンドラゴンの方では、ハルナ(ザラブ星人)がオキの部屋にこっそり入り込む。そしてそこに置いてあった怪獣の人形やパソコンの中の怪獣のデータを見て驚いていた。

 

 

「こんなにも怪獣や宇宙人の情報を持っているとは!?まさかあの男・・・」

 

 

そしてパソコンにザラブ星人のデータが映し出され、少しすると解剖図なども表示された。

 

 

「うわあーー!?何これ!!」

 

 

それを見たハルナ(ザラブ星人)は驚きのあまり大声を出してしまいそうになり、慌てて部屋から逃げ出した。自分の星で見た事ないのかい!?

 

 

 

その頃、ペンドラゴンとギガ・ロボフォーの方では積み込み作業と船の修理がようやく完了した。

 

 

「ボス、クロウ!作業は全て完了した。いつでも出発できるぞ」

 

「ダメだ。今外では猛烈な砂嵐が吹いている。暫く飛べそうにない」

 

 

窓の外で激しく巻き起こっている砂嵐を見て、ヒュウガが溜め息をつきながら飛べないと言う。

 

 

「ギガ・ロボフォーならペンドラゴンを運びながら飛べるが、修理したばかりなのに何かあってまた壊れてはかなわん。砂嵐が収まるまでレイ、お前のレイブラッドの力を制御する特訓をするぞ。ちなみにグロラスはもう既に始めている」

 

「分かった・・・ところでクロウ、これはそんなに大事な物なのか?」

 

 

レイは先程見つけたハルナのコンパクトを見せながら訊ねた。

 

 

「あぁ、それはハルナだけでなく、女だったら絶対に大事な物だ」

 

「女か・・・リーシャも同じなのか?」

 

「当たり前だ。お前も心の底から好きな女の子ができたら女心が分かるようになるさ」

 

 

この時俺は知らなかった。まもなくリーシャと同じように命をかけて守りたい程愛する女の子に出会うなんて・・・。

 

 

 

再び所変わってペンドラゴンでは、オキとクマノは暇を持て余していた。

 

 

「ふあ~~暇ですね。搬入作業が終わっちゃって、ボス達がやって来るまでやる事ないですね」

 

「ああ」

 

「・・・あっ、そうだ!クマさん、アレやりましょうよアレ!」

 

「あれか?よし!久しぶりにやるか!」

 

 

その頃ハルナ(ザラブ星人)は、レイオニクスの情報をさらに探ろうとコックピットの操縦室の前にやって来ていた。すると部屋から2人の話し声が聞こえてくる。

 

 

「流石だなオキ、ガッツ星人を一発で仕留めるなんて驚きだぜ」

 

「(えっ!?ガッツ星人を?)」

 

「当然ですよ。インコ頭なんかに負けませんよ!」

 

「(ええ!?)」

 

「ゼットン星人もお前には敵わなかったし。こりゃあクロウも潔く負けを認めるだろうな」

 

「ガーーーン!!(ゼットン星人まで倒し・・・あの噂の怪獣王、モンスターキング・クロウに負けを認めさせる程の実力者とは!?あんなあの間抜け面をしているくせに・・・何と言う事だ!)」

 

 

あまりの事にハルナ(ザラブ星人)は腰が抜けそうになるのを必死に耐え、一刻も早く此処から逃げ出そうと来た道を戻ろうとするが、そこへタイミング良く(?)リーシャが薬を持ってやって来た。

 

 

「あっ、ハルナ!此処にいましたか」

 

「ギクッ!?」

 

「せっかく急いで薬を持って来たのに医療室にいなかったから心配しましたよ。まったくもう・・・オキ達は何をしていたんでしょうか?まぁ、丁度良いわ。早くこの薬を飲みなさいハルナ」

 

 

そう言ってリーシャは用意していた薬と水を差し出す。それを見たハルナ(ザラブ星人)は自分の正体を見破り毒殺しようとしているのだと考える。何とか逃げ出そうと後ろに下がった時、またもやタイミング良く(?)今度はオキ達が出てきた。

 

 

「アレ?副長、何で此処に・・・ってリーシャ!?」

 

「何ですか人の顔を見た途端驚いて?」

 

「あ、いや、何でもない。それよりさっきボス達から連絡が入って、まもなくこっちにやって来るそうだ」

 

「えっ!?(まさか他にも仲間がいるとは!しかもこのタイミングでやって来るなんて・・・早く逃げなければ俺様の命がない!!)ど、退きなさい!」

 

 

クロウ達がこちらに向かっているという知らせを聞いたハルナ(ザラブ星人)は、自分の命が危ないと思って逃走を始める。

 

 

「えっ?ちょ、ちょっとハルナ、薬を忘れているわよ!」

 

「「副長!!」」

 

 

突然逃げ出した事に3人は驚きながら急いでハルナを追い掛ける。必死に外へ出ようと船内を走り回るハルナ(ザラブ星人)は、途中戻って来たクロウ達と遭遇してぶつかる。大丈夫かとレイが訊ねるが、ハルナ(ザラブ星人)は何も言わずにそのまま走り抜ける。

 

 

「どうしたんだハルナは?」

 

「さぁ・・・」

 

 

いつもとは違う様子にレイ達は首をかしげる。だがクロウはハルナから異様な気配を感じていた。

 

 

「(今の確かに宇宙人の気配!だがどんな宇宙人か分からんな)」

 

 

ハルナに関係している宇宙人・・・アレはどの宇宙人だったかな?最近いろいろな事があったからすぐに思い出せない。クロウが頭の中を回転させて記憶を弾き出そうとしていたリーシャ達がこちらに駆け寄って来た。

 

 

「クロウさん、こちらにハルナが来ませんでしたか?」

 

「あぁ、今外へ出て行ったけど・・・何かあったのか?」

 

「私達もよく分からないのですが、さっき薬を飲ませようとしたら突然逃げ出して・・・」

 

「何だと?」

 

 

薬を飲むのが嫌い?子供じゃあるまいし、やはりいくらなんでも変だ。兎に角ハルナの後を追うと全員がペンドラゴンから外に出た。そして少し走った後ハルナを発見する事ができたが、何とハルナが2人もいたのだ。

 

 

「ふ、副長が!」

 

「2人いる?」

 

「どういう事だ!?」

 

 

ヒュウガ達が2人のハルナを見て戸惑っている間、彼女達は互いにもう一方の自分を差して偽者だと言い合う。まぁ、今目の前にいる方が偽者だけどね。けどこの後何となく面白くなりそうだから黙っていよう。

 

 

「クロウさん、一体どちらが本物でしょうか?」

 

「うん?お前には分からないのかリーシャ?」

 

「え~と、同族が変身した姿だったらすぐに分かるのですが、あの2人からはどちらも似た感じの気配しかしなくて(汗)」

 

「そうか・・・」

 

 

リーシャも他の者に変身できる能力を持っているからてっきり見破られると思っていたけど意外な事だった。どうやらあの宇宙人の変身能力は意外にも高いようだ。

その時、遠くにいるハルナの後ろから謎の鎧武者がやって来た。さらに空の彼方から1機の円盤まで来て、中から1人の宇宙人・・・いや、脳魂宇宙人ザム星人が現れた。全員が警戒する中、鎧武者は気にせずハルナに訊ねる。

 

 

「この者達か?お前の言っていた仲間とは?」

 

「貴方・・・どうして此処に?」

 

「あの時お前が言った言葉を考えた結果、その仲間には必ずレイオニクスがいると悟った。私はある目的の為にレイオニクスと戦っている。さぁ、誰がレイオニクスだ?」

 

「(何とこいつも私と同じ考えをしていたのか!ならば此処で味方にさせるとしよう。俺様が宇宙最強になる為にもな)彼よ!このオキがモンスターキング・クロウも超える最強のレイオニクスなのよ!」

 

 

「・・・・・はい?」

 

「ぼ、僕が!?」

 

「何だって!?」

 

 

ハルカの言葉に全員が呆然としてしまう。今何て言った?俺を超える最強のレイオニクスだと?余りの衝撃な事にオキとザム星人タクトは仰天する。

 

 

「ザムリベンジャー!今目の前にいる奴は本当にあのクロウ様を越えるレイオニクスなの

?」

 

『いいえマスター、彼は唯の地球人です。この場にいるレイオニクスはマスター以外に3人おり、特に1番強い反応があるのが黒い服を着た者です』

 

「えっ・・・?」

 

 

ザムリベンジャーの言葉を聞いて今度はハルナ(ザラブ星人)が呆然とする。そんなハルナ(ザラブ星人)から全員が離れ、武器を構えながら本物のハルナの元へ行く。

 

 

「お前が偽者だな。撃て!」

 

 

ヒュウガの合図で全員が攻撃する。激しい弾丸と爆発の中でハルナ(ザラブ星人)の体が光に包まれ、懐かしいBGMと共にウルトラマンが姿を現した。

 

 

「シュワ!あ、あれ?え、ええ、ああおお・・・こっちか」

 

「あれは・・・ウルトラマンなのか?」

 

「違います。あれはザラブ星人が変身した姿のにせウルトラマンです!」

 

「シュワ!・・・あっ、手が違う、シュワ!」

 

 

そうだった。ザラブ星人がハルナに化けていたんだ。いや~~すっかり忘れていたぜ。それにしても・・・偽者だって分かりやすい姿をしているよな。まぁ、取り合えず今やるべき事は1つ!

 

 

「行け!キングオ「待って!」んん?」

 

 

さっさと倒そうとギガライブナイザーを構えた時、突然鎧武者が俺の前に立ちはだかった。

 

 

「お前がこの中で1番強い者みたいだな。ならこの場にて私と戦ってもらうか!」

 

「何故・・・と聞くのは野暮だな。なにしろ相手があの宇宙剣豪で知られるザムシャー一族だからな」

 

「ザムシャーって、あの宇宙剣豪のザムシャー!?」

 

 

ザムシャー一族と聞いてオキが騒ぎ出す。また、リーシャとグロラスも騒がなかったが、驚きの表情に見つめている。

 

 

「知っていたか。いかにも私はザムシャー一族の戦士・疾風のソウケンザムシャー!」

 

 

堂々と自分の名を名乗りながらソウケンザムシャーは2本の刀を抜いて構える。

 

 

「なら俺も自己紹介するとしよう。俺はモンスターキング・クロウ!全ての怪獣達の上に立ち、全ての怪獣達を護りし者だ!」

 

 

名乗りつつ怪人形態になり、ギガライブナイザーを振るって構える。その姿にリーシャ達は目を輝かせ、尊敬の眼差しで見つめる。

 

 

「フ、噂以上に勇ましい姿だな。其方なら私の期待に応えてくれそうだ」

 

 

クロウの姿と溢れ出る強者のオーラにソウケンザムシャーは満足そうに頷き、いざ尋常に勝負を開始しようとした時、突如地震が発生した。

 

 

「ええい!いつまで俺様を無視するつもりだ!!」

 

 

地震の原因はにせウルトラマンであった。長い時間無視され続けた事に怒り、その場で何度も地団駄を踏んだのだ。

 

 

「やれやれ、空気の読めない奴だ。レイ、リーシャ、グロラス、悪いがお前達3人でアイツを倒してくれないか?俺は少し離れた所で勝負をしに行ってくる」

 

「「「ああ!╱はい!」」」

 

 

俺の頼みを聞いた3人が承知してくれたのを確認した後、俺はソウケンザムシャーと対峙しながら決闘の場に相応しい所へ走り出した。バトルナイザーを取り出して構えて怪獣を召喚する。

 

 

「行け!ゴモラ!!」

 

「行きなさい!シルバゴン!!」

 

「出てこい!ラゴラス!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギシャアアアァァァッ!!」

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

召喚された3体は咆哮を上げてにせウルトラマンと対峙する。すると彼らの隣にもう1体怪獣が現れた。出てきたのは宇宙鉱石怪獣ドレンゲランである。さらにレイ達の隣にタクトがやって来た。

 

 

「お前、何の真似だ?」

 

「決まっているじゃないか。この戦いでクロウ様に僕と怪獣の絆と力を見せて、仲間にしてもらうんだ!行け!ドレンゲラン!!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ふん!何体で来ようが宇宙最強の俺様に勝てるものか!シュワ!」

 

 

そう言ってにせウルトラマンはドレンゲランの体に飛び蹴りを食らわせるが、全身が鉱石でできている為にゴキッと鈍い音を鳴らしながら足を折ってしまう。その隙にドレンゲランは首を長く伸ばして頭突きを食らわせた。

 

 

「くそ~~抜け駆けするなんて許さない!ラゴラス!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

タクトとドレンゲランに遅れてなるものかとグロラスはラゴラスに突撃命令を出す。

 

 

「おのれ~~!!」

 

 

突撃して来たラゴラスにブッ飛ばされながらもにせウルトラマンは必死に持ち堪えてラゴラスの頭を掴み、エルボーを数回浴びせて変な角度からチョップをするが、その瞬間指が折れる音がした。

 

 

「ピュアアァァ~~!」

 

「か~~痛ったい痛い痛い痛ったい!」

 

 

痛みのあまり何度も手を振るにせウルトラマン。どうやら彼はあまり戦いが得意ではないらしい。それでも必死にラゴラスとドレンゲランに応戦する。だが彼は忘れていた。自分にもまだ戦う相手がいる事を!

 

 

「シルバゴン!ウルトラマンなんてボコボコにしちゃいなさい!」

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

2体の間から今度はシルバゴンがやって来てにせウルトラマンの顔面にビンタを食らわせる。

 

 

「ぐあぁ!うぅ、親にも打たれた事がない俺様の顔に~~!」

 

「ゴシュウゥ!ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

頬を撫でて痛みを和らげようとするにせウルトラマンにシルバゴンは「そんなこと知るか!」と言わんばかりにパンチを放つ。にせウルトラマンはこれ以上受けて堪るかと必死に受け流す。

 

 

「キシャアアア~~?」

 

「えっ、あ、あぁ・・・俺達も行くぞ!ゴモラ!!」

 

「キシャアアアアァァァッ!!」

 

 

3体が戦う光景を見ていたゴモラはレイにどうすればいいか訊ねる。その声を聞いてレイはゴモラに攻撃するよう指示を出す。

ようやく戦える事にゴモラは内心喜びながらにせウルトラマン目掛けて尻尾を振るう。しかしにせウルトラマンは側転で避けて距離を取る。

 

 

「よっこらしょっと。スペシウム光線!!」

 

「キシャアアアアァァァ~~!?」

 

 

かつて同族に止めを刺したあの必殺光線がくる事にゴモラは恐れて、両手で顔を隠し身を伏せてガード態勢を取る。シルバゴン達も同様に身を伏せてガード態勢に入る。だが一向に光線が発射される気配がなく、全員が顔を上げてみると・・・。

 

 

「あれ?出ないな?」

 

「・・・・・」

 

 

にせウルトラマンは何度も両腕を合わせて光線を放とうとするが全然出る気配がなかった。それを見た怪獣達は笑顔(?)になって安心して攻撃を開始した。

 

 

「ん?ぐああああぁぁ!!ぐうぅぅ~おのれ!」

 

 

にせウルトラマンは攻撃を受けるも蹴りを放って反撃する。だがシルバゴンが足を掴み、動けなくなったところをラゴラスが腹にパンチとキックを食らわせる。

にせウルトラマンは後退しつつ『八つ裂き光輪』を放とうとするがやはり出ない。その隙にゴモラが再び尻尾を振るうが、何度か避ける。だがまたしても尻尾を振るって今度は顔面に直撃した。

 

 

「あ痛!あ痛い!」

 

 

そしてゴモラとシルバゴンは同時に勢いをつけた尻尾落としを放つ。にせウルトラマンは真剣白刃取りで受け止めようとするが失敗して大ダメージを受けてしまう。

 

 

「か~~痛い~!!ん?」

 

 

するとそこへスピーダーに乗ったハルナがにせウルトラマンを睨み付けながら迫ってきた。

 

 

「偽者に化けるならもっと上手に化けなさい!!」

 

 

そしてにせウルトラマンの腕、膝、尻を徹底的に痛めつけた。それを食らってにせウルトラマンはその場でピョンピョン飛び跳ねる。彼が悲鳴を上げている隙にゴモラ達は四方を囲んだ。

 

 

「ゴモラ!超振動波だ!!」

 

「シルバゴン!貴方の新必殺技・ゼペリオン光弾発射!!」

 

「ラゴラス!冷凍光線だ!!」

 

「ドレンゲラン!火炎弾連続発射だ!!」

 

 

主の命を受けた4大怪獣は一斉に必殺技を放った。ちなみにシルバゴンの『ゼペリオン光弾』とは、ガーディーやモスラ、最近仲間になったエレちゃん達の指導と長年の特訓のおかげでなんとか弾状の光線を吐けるようになったのだ。と言っても本人はビーム状ではないから不満に感じている。

 

 

「お、お、お・・・!ぐああぁーーー!!」

 

 

止めの必殺技を食らったにせウルトラマンは倒れる。だが死んではおらず、グロッキー状態になって元のザラブ星人の姿に戻った。

 

 

「唯の怪獣マニアをレイオニクスと間違えるとは・・・ええい!出直しだ!」

 

 

そう言ってザラブ星人は空を飛んで逃げて行った。途中腰を痛めながら・・・。

 

 

「何なんだったんだ?アイツは?」

 

「さぁ・・・」

 

「まぁ、兎に角勝てたんだからそれでいいんじゃないか?」

 

「そうね・・・ってクロウさんは!?」

 

 

何とも言えない戦いが終わってレイ達は少し物足りない感じになってボーとするが、リーシャの言葉で我に戻り、急いでクロウの元に向かう。

自分達が戦っていた場所から少し離れた所にクロウ達はいた。そして彼は今ソウケンザムシャーと凄まじい死闘を繰り広げていた。

 

 

「フッ!ハッ!オラ!」

 

「せい!えい!ハァー!」

 

 

レイ達がにせウルトラマンと戦っている間、2人はずっと激しい金属音を響き渡せながら斬り合っていた。

 

 

「ここまでやるとは・・・正直お前に事を侮っていた。女ながら見事な腕だ」

 

「ふ、よくぞ私が女だと気づいたな。それと怪獣王の其方に褒められるとはなんだか嬉しく思うな。それに私の疾風の速さについていける其方の腕も素晴らしいぞ」

 

 

お互いに相手の事を褒めながら息を整えつつ、ここまでの戦いを思い返す。

クロウがギガライブナイザーで突き刺そうとしたり、叩きつけようとすれば、ソウケンザムシャーは2本の刀で巧みに防ぐ。逆に刀を振るって斬り付けようとすれば、クロウはギガライブナイザーで受け止める等と互角の攻防を繰り返していた。

だがどちらも完璧に攻撃を防いでいる訳ではなく、体の様々な部分に傷がついて血が流れていた。

そんな状況の中でリーシャ達が近づいている事に気が付いたクロウは笑みを浮かべながら言う。

 

 

「どうやらあちらの勝負が終わったみたいだな。なら俺達もそろそろ終わらせようか?」

 

「そのようだな。これ以上斬り合っていたら正直武器が持たんかもしれないからな」

 

 

そう言ってお互いの姿を見据えた後・・・。

 

 

「オオオオオォォォォオオ!!!」

 

「ハアァァァァァァアアア!!!」

 

 

雄叫びを上げながら目の前の相手に向かって駆け出す。己の武器を持つ手に全ての力を込める。そして2人の武器が・・・交差した。

 

 

「「・・・・・・・」」

 

 

武器を振り切ったまま互いに背を向けて2人は動かない。戦いの場に辿り着いた全員が見守る中、反応を見せたのは・・・。

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

ソウケンザムシャーの方であった。血反吐を吐き、地面に膝を付く。それと同時に彼女の脇腹から大量の血が噴き出す。

 

 

「・・・本当に凄いよ。ここまで俺が深手を負ったのは久しぶりだ」

 

 

そう言ってクロウが振り向いた瞬間、右腕の刃物の部分が落ち、さらに腹がX字に切れて血が流れ出ていた。

 

 

「「「「クロウ╱さん╱様!!」」」」

 

 

戦いが終わった後リーシャ達はすぐさま駆け寄る。全員が傷付いた部分を見て心配そうに見つめる。特にリーシャは今にも泣きそうな感じだ。けど俺はすぐに再生するから大丈夫だと言って、ソウケンザムシャーの元に歩み寄る。彼女は震える両腕に力を込めてなんと仰向けになる。

 

 

「ハァ、ハァ・・・見事だ。この勝負は其方の勝ちだ」

 

「クク、褒めてくれてありがとう。けどだいぶ深い傷をつけちまったようだな。すまない」

 

「謝る事はない。私も其方のように結構回復力が高い。暫く寝てれば傷は塞がる。それに全力で戦ってくれてとても嬉しい気持ちだ」

 

「そうか・・・俺も久々に全力で戦えてスッキリする事ができた。俺からもお礼を言うぜ」

 

 

互いに全力で戦い合った仲だからであろうか、それとも彼女が元から良い人だと感じたからであろうか、俺は彼女に対してあの赤い通り魔の時みたいな悪い気持ちにならなかった。

 

 

「ところでこれからお前はどうする気だ?」

 

「そうだな・・・負けたからと言う理由ではないが、其方の元に居させてくれないか?」

 

「何!?」

 

「ええっ!?」

 

 

予想もしていなかった事に俺は思わず驚きの声を出してしまう。また、後ろの方でリーシャも同じように声を出した。

 

 

「其方は私よりも強く、負けた私を心配してくれるほど大きな器の持ち主であった。そんな其方の元に居たいのだ。ダメだろうか・・・?」

 

「あ、いや・・・ダメと言う訳ではないが・・・」

 

 

あまりの突然の事に俺はどうするか迷う。後ろでリーシャが必死に首を横に振っている。だが彼女は真剣な表情の上にその瞳がまるで捨てられた子犬が拾って下さいと言っているように見える。

 

 

「・・・はぁ~、分かった。お前の好きにしろ」

 

「!!ありがとうございます!モンスターキング・クロウ様!それと私の事は疾風のソウケンザムシャーではなく、ルーネとお呼び下さい。元々そちらが私の本当の名前ですので・・・」

 

「あ、あぁ・・・」

 

 

さっきまでとは態度がもの凄く違わないか!?何だか急に馴れ馴れしいと言うべきか・・・それにさっきから後ろにいるリーシャから殺気を感じるのだが!?それに気が付いたルーネが傷の痛みを我慢しながらゆっくりとリーシャの元に歩む。

 

 

「これからよろしく頼む。リーシャ殿(ニコッ!)」

 

「ええ、こちらこそよろしくね(ニコッ!)」

 

「「「(怖い。もの凄く怖い)」」」

 

 

2人の表情は笑ってはいるが、体から恐ろしいくらい強烈な負のエネルギーが溢れていた。それを感じたレイ達3人は身を寄せ合って震えていた。

ともかく偽者騒動が解決した後、全員がペンドラゴンに集まって新たに仲間になったザムシャー一族のルーネとザム星人タクトを紹介した。

ちなみにタクトはこれまで集めたバトルナイザーを献上し、戦いのデータを見せた事でその強さと怪獣との絆の良さをクロウに認められて仲間になったのだ。

あと余談だが、レイがハルナにコンパクトを渡した際、これがどんなものか尋ねたところ、女の魅力と言う武器に必要と答えられてさらに分からなくなってしまった。

 

 

「しかし、オキをレイオニクスと間違えるとは面白い奴だったな」

 

「ええ、普通考えたら絶対違うと思いますのにね。あの様子からでも(笑)」

 

 

全員が休んでいる中、オキとレイは積み荷を運ぶ作業をしていた。何故2人だけかと言うとただ単純にジャンケンで負けたからだ。

 

 

「ハァ、ハァ、やっと作業が終わりました~~」

 

「ご苦労様!どうしただらしがないぞ?クロウを超える最強のレイオニクス」

 

「うわ~~!もう勘弁してくださいよ!」

 

 

頭を抱えて震えるオキを見て全員が、特に俺達レイオニクスは心の底から笑うのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙剣豪 疾風のソウケンザムシャー(ルーネ)


宇宙に名の知れた宇宙剣豪の異名を持つザムシャ一族の女戦士。ルーネが本名である。
『大怪獣ラッシュ』で登場するユミザムシャーと同じ鎧武者姿だが、鎧の色は紅と黒が合わさった色をして、また髪の色が黒色である。
主な武器は腰に供えている2本の刀を使った剣術で、目にも止まらぬ速さで相手を切り倒す事と己の剣術を極める為に日々努力をした事で使用できるようになった風の技から“疾風のソウケンザムシャー”と呼ばれている。
武士らしく真面目な性格で敵や他人に対してはタメ口で話すが、仲の良い者や信頼のおける者に対しては礼儀正しく敬語で話す。
かつて地球で散った兄と同じように常に強い敵と戦う事を望み、また兄の死から学んだ自分が心から守りたいと思う者に会う為に惑星ハマーにやって来た。そしてクロウとの果し合いに負けて、彼の強さと器の大きさに惚れて自ら進んで仲間になった。
同じ女同士のリーシャとは、仲の良い関係ではあるが同時に恋敵でもあってクロウの事になると良く衝突してしまう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 怪獣王VS怪獣狩人&白猿

今回はちょっと息抜きの番外編でございます。流れとしては惑星ハマーが終わった後の話です。
ボガール、レッドマンと同じ、怪獣に仇なす存在が何と2人も登場して我らの怪獣王と対決します。前回の番外編同様にかなり激しい戦いになって、これまた恐ろしい決着になります!是非楽しんで読んでください!
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラⅡ、暴君怪獣タイラント
泥棒怪獣ドロボン、妖怪怪獣ダストパン、宇宙大怪獣アストロモンス
怪獣狩人ノワール星人、白猿ハヌマーン   登場



惑星ハマーでのレイオニクスバトルを終え、真の怪獣王になったクロウが仲間達と一緒に惑星ボリスに戻って来ていた。そしてその強大な力で様々な星を怪獣達の楽園にしたり、傘下となった宇宙人達の望みを叶えて支持率を上げたりした。

そのおかげで今では暗黒宇宙で最も勢力が大きいものになった。また、リーシャ達とも楽しく暮らして平和な日々を過ごしていた。

だがこの日、いつもの平和な日常と違った。

 

 

「主砲、撃て!撃てーーー!!」

 

 

この日クロウは仲間の怪獣達と傘下の宇宙人達を率いてある宇宙人軍団と戦っていた。

その宇宙人は怪獣狩人ノワール星人と言う者だ。

彼らはJ34星系ノワール星出身の宇宙人で、怪獣を“生きた資源”として考えているのだ。

そしてその名の通り怪獣を狩って改造(メカレーター化)し利用する宇宙人なのだ。母星の怪獣が全滅してしまった為、自分達の世界にある地球の全怪獣を捕獲しようとしたが慈愛の勇者によって失敗した。

だが彼らは懲りず、今度は異次元に住むギギが開発した異次元発生装置を大金で買い、それによりこの世界にやって来て数多く生息していると言われる惑星ボリスの怪獣達を全て自分達の物にしようと企み、数隻の艦隊と大軍勢を率いて襲撃したのだ。

だがそれはあまりに無謀な企みだった。惑星ボリスは怪獣達の王であり、護る者であるクロウが最も気に入っている怪獣達の楽園として有名な星なので、当然彼を怒らせる結果となった。

そして冒頭の激しい戦争が行われているのだ。

 

 

 

ドン!!ドン!!ドッガアアアァァン!!バッゴオオオォォン!!

 

 

 

砲弾とレーザーが激しく放たれ、それにより多くの船が爆発を起こして宇宙の藻屑となっていった。そして戦況はクロウ率いる軍団が圧倒していた。

ノワール星人達の操る改造怪獣達が『NW電波』と言う特殊電波でコントロールされている事を知っていたクロウの計略で、その電波を打ち消す電波がギガ・ロボフォーから発信された。

それにより改造怪獣達はコントロール不能となり、さらにクロウ達の方に付いたのだ。最大戦力を失ったノワール星人達だが諦めず必死に反撃をする。けれど艦隊は次々と破壊され、運良く脱出できた者達も次々と捕まってしまった。

 

 

「クロウ様、先程敵艦隊最後の護衛艦を撃沈させました。残るはノワール星人の首領が乗っている母艦一隻だけです!」

 

「よし!全軍に通達しろ。敵の母艦の包囲が完了した瞬間、総攻撃を仕掛けるとな!絶対に奴らを逃がすな!」

 

「了解しました!!」

 

 

クロウの指令はすぐさま全軍に伝わり、小型円盤や戦艦がノワール星人の母艦を包囲する。

そして包囲が完了した途端、全ての大砲&レーザー光線砲が一斉に放たれた。

放たれた砲弾とレーザーは全て命中し、ノワール星人の母艦は激しい爆発を起こす。

 

 

「しゅ、首領!もうこの船もダメです・・・乗組員に退艦命令を出してください!!」

 

「馬鹿を言うな!全員死ぬまで戦え!そしてあの大量の資源を手に入れるのだ!!」

 

 

最早勝敗は決したと誰もが思っている中、ノワール星人の首領は認めず全員に最後まで戦えと命じる。だがその時、艦内でも爆発が起こって近くにいた乗組員が巻き込まれてバラバラになった。

 

 

「あ、あぁ・・・うぅ・・・」

 

 

その光景を見た首領は先程までの怒りの表情から打って変わって青ざめていき、部下達を見捨てて自分だけ逃げ出した。

 

 

「あっ!首領!?くっ・・・こちら司令室!総員退避!!脱出船で退避せよ!!繰り返す。総員退避s・・・ぎゃああああ!!?」

 

 

逃げ出した首領を見て操縦席にいた乗組員は失望と怒りを露わにするが、すぐに自分の使命を果たそうと艦内にいる他の乗組員に退避命令を出す。しかしその直後に再び爆発が起きてそのノワール星人も命を落とした。

それから少し経つと母艦は大爆発した。だがそれより前に母艦から1機の脱出船が飛び出して戦闘区域から抜け出した。けれどクロウの配下の者達は皆母艦の爆発に気を取られて誰も気づいていなかった。唯1人クロウを除いて・・・。

 

 

「逃がすか・・・!」

 

 

脱出船を追い掛けようとクロウは席から立ち上がり、ギガライブナイザーからキングオブモンスのスパークドールズを出してその場でライブした。

するとギガ・ロボフォーから1つの光が出て、少し離れた場所でキングオブモンスになった。突然現れたキングオブモンスを見て近くにいた怪獣達や円盤内の宇宙人達は驚く。

そんな彼らに目もくれずキングオブモンスは翼を広げ、ノワール星人の脱出船が逃げた方向に向けて全速力で飛んで行った。

あまりに突然な事に彼らは呆然としてしまうが、すぐ正気に戻って他の仲間に先程の事を伝える。それを聞いたリーシャ達幹部や配下の怪獣&宇宙人達は慌てて捕虜を捕らえてクロウの後を追い掛けるのであった。

 

 

 

一方何とか戦闘区域から脱出したノワール星人の首領は、とある星に不時着していた。その星は岩と砂の光景が広がって所々に豊かな自然と湖がある星だった。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・こ、此処まで来れば大丈夫だ・・・」

 

 

疲労困憊の体に力を込めながら脱出船から何かの機械を2つ両手に持ちながら出てくる。

首領は機械を地面に置くと目の前にある湖にフラフラと歩み寄り、水を必死に飲んだ。暫く飲み続けて喉が潤った後、後ろに置いてあった機械の元へ行く。

 

 

「は、早く・・・母星に連絡して救援部隊を送ってもらわないと・・・」

 

 

どうやらこの2つの機械は無線機と上記で説明した異次元発生装置の小型バージョンのようだ。

首領が無線機を手に持って起動スイッチを入れようとした時、何処からか銃弾が放たれて無線機を破壊されてしまった。

 

 

「見つけたぞ!」

 

「!?」

 

 

銃弾が放たれた方向を振り向くとそこにはライブを解除して元の姿に戻り、ギガモンスランスで右腕がペダニウムランチャーに変化させて立っているクロウがいた。クロウの姿を見た首領は慌てて異次元発生装置を持ち、護身用に腰に供えてあった銃を取り出す。

ちなみにその銃は、これまで数多くの怪獣達を狩る際に使用していた毒銃である。

そんな恐ろしい武器を構えてクロウに狙いを定めて撃とうとするが、それよりも早くクロウがペダニウムランチャーを撃って銃を破壊した。

 

 

「ぐあっ!く、くそ!!」

 

 

攻撃する手段を失った首領はその場から逃げようと脱出船に走る。

 

 

「逃げられるとでも思っているのか?」

 

 

逃げる首領の両足に向けてクロウはペダニウムランチャーを発砲する。

 

 

「ぎゃああああああ!?」

 

 

両足を撃たれて首領は脱出船の手前で倒れ、持っていた装置を落としてしまう。また、激しい痛みにその場で悶絶する。しかし、なんとしても逃げようと必死に両腕を動かして装置を取ろうとするが・・・。

 

 

「本当に見苦しい奴だな、お前・・・」

 

 

 

バッキィ!!!

 

 

 

「あ、あぁ・・・」

 

 

目の前で異次元発生装置を破壊されて逃げる術を全て失った首領はこれから起きる未来にただ震える事しかできなかった。そんな彼をクロウは冷たい目で見つめ、そのまま首領の背中を思いっきり踏み付けて動きを封じる。

 

 

「がっ!ぐうううぅぅぅ~~~!!」

 

「これまで貴様らに狩られてきた怪獣達の恨み、今此処で俺が晴らしてやる!!」

 

「ま、待って!待ってください!い、命ばかりはお助け下さい。俺が・・・いや、私が持っている物は全て差し上げます。だから・・・」

 

「・・・お前が持っている物で俺が欲しい物は、お前の命だよ!それに死にたくなかったら怪獣を狩るなんて事するな!!」

 

 

必死に命乞いするノワール星人を見て俺は心の底から怒りが湧いた。こんな奴らの為に怪獣達は苦しめられてきた事が許せなかった。

そしてこれ以上生かす価値もないと言わんばかりにギガライブナイザーを振るって首を切り落とした。それにより泣き叫んでいたノワール星人の声が止んで辺りは静かになった。

 

 

「フン!最期まで無様な奴だったぜ」

 

 

踏み付けていたノワール星人の体を強く蹴って、切り落とした首を拾う。

 

 

「さてと!この後もまだやる事が残っているし、皆も心配しているだろうし、早く戻るとs・・・ん?」

 

 

再びキングオブモンスになる為スパークドールズを出そうとした時、ふと何かに気が付き上空を見上げると白い何かがこちらに向かって飛んできた。

徐々に近づいてくるにつれて姿がはっきり見えて、全身が白く所々不思議な模様があり神話に出てくる猿のような巨人が卍型の独特のポーズで飛んでいたのだ。

 

 

「あの姿・・・まさかアイツか!?」

 

 

こちらにやって来る白い巨人の姿がはっきり見えた瞬間思い出した。

その白い猿は怪獣に仇なす存在の1人で、奴の正体は1万年以上前からタイの平和を守ってきた風神ラマヤーナの子で、風の女神サワハによって生み出されたタイの戦士で、沖縄のシーサー像に似た顔と手に持つ短い三又槍が特徴の白猿ハヌマーンである。

かつて3人組の仏像泥棒に射殺されたタイの勇気ある少年・コチャンにウルトラの母が命を与えた事により誕生し、仏像泥棒と現れた5体の怪獣軍団をウルトラ6兄弟と共に倒した奴だ。だがその倒し方があの赤い通り魔のレッドマンや先程殺したノワール星人と同じ許せるものではなかった。

ヒーローらしからぬ物騒な言葉を言って追い掛け回し、3人組の仏像泥棒をそれぞれ踏み潰したり、倒した木の下敷きにしたり、手で掴んで握り潰したりした。

怪獣軍団の方は、三又槍で胸に思いっきり突き刺したり、体をバラバラに切り刻んだり、肉を無理矢理引き剥がして骸骨にしてしまうなど残酷な事をしたのだ。

 

 

「(まさかこんな所で出会うとは・・・神様、いや、冥王様の導きかもしれない)」

 

 

どちらにしろ有り難い事だと冥王様に感謝しつつ、奴の事で心の中が再び怒りで染まっていく。

そしてハヌマーンは俺の目の前で着地し、その場で小躍りしながら訊ねた。

 

 

「お前が怪獣の王様を名乗っているクロウと言う奴か?」

 

「そうだ。俺がモンスターキング・クロウだ!一応訊ねるが・・・俺に何の用だ白猿ハヌマーン?」

 

「この平和な世界に必要なく、皆にとって迷惑で悪い怪獣達の王であるお前を殺すんだ!そして親友レッドマンの仇を討つんだ!!」

 

 

ハヌマーンはそう言って三又槍を振り回す。あぁ、やっぱりこいつは怪獣に対して仇名す存在だ。ムカつく事を言った上にレッドマンの親友であるなら尚更だ!

お互いにファイティングポーズをとって構える。そして一瞬湖の水がポチャッと鳴ったのを合図に猛然と駆け寄って激突した。

 

 

「トアッ!!」

 

「ハッ!!」

 

 

ハヌマーンの三又槍とクロウのギガライブナイザーが火花を散らしながらぶつかりあい、周りに凄まじい衝撃波が起こる。暫く押し合いつつ時々キックを放って攻撃する2人だが同時に後退した。

そしてハヌマーンは三又槍から強力な旋風を発射する技『ハリケーンガン』を繰り出す。

対してクロウはギガライブナイザーの先端から火・氷・雷・土と別々の属性を纏わせた『モンスターショット』を連発で放つ。

 

 

「ウゥ・・・アアァ!?」

 

 

流石に別々の属性を纏った光弾に『ハリケーンガン』は耐えきれず、ハヌマーンは素早い動きで避けようとするが完全には避けられず、氷属性を纏った光弾を右足に受けてしまう。それにより足が凍って動きが鈍くなった。

 

 

「どうだ?怪獣達の力が籠った攻撃はよく効くだろう?もっと味わせてやるよ!!」

 

 

苦しそうな表情(?)のハヌマーンにクロウはそう言って今度は猛毒属性を纏った光弾をギガライブナイザーから放つ。

動きが鈍くなったハヌマーンに光弾を避ける事ができないと思っていたが、なんとハヌマーンは三又槍で攻撃を受け流した。しかも全身に力を込めて凍っていた足を元に戻した。

 

 

「お前の攻撃なんて痛くも痒くもないぞ!怪獣の力なんて所詮こんなもんさ!」

 

「・・・一々気に障る奴だ。それならこいつらと一緒ならどうだ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギギャアアアァァァッ!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

「ガアアアァァァウオオォォ!!」

 

「ピュウウウイイイィィィッ!!」

 

「ギャヴヴヴゴオオオォォォン!!」

 

 

ギガライブナイザーから5体の怪獣が召喚される。

上から順に古代怪獣ゴモラⅡ、暴君怪獣タイラント、泥棒怪獣ドロボン、宇宙大怪獣アストロモンス、妖怪怪獣ダストパンである。

彼らはクロウに寄り添って頭を撫でて貰った後横に並び立つ。そして目の前にいるハヌマーンを憎悪で染まった両目で睨み付けて怒りの咆哮を上げた。

もしかするとかつて無残に殺された同族の無念を知っていて、その恨みを晴らすつもりかもしれない。一方ハヌマーンは、かつて自分が倒した怪獣達と同じ奴らを見てなんだか嬉しそうな感じにその場で体を引っ掻き、小躍りをする。そしてまたもや衝撃的な事を言う。

 

 

「また同じ怪獣を殺せる!切り刻んで、引ん剝いてやるぞ~~!!」

 

 

ブチッ!!

 

 

今なんて言ったアイツ?怪獣を切り刻んだり、引ん剝いたりするだと!?数の差から戦意を損失させ、倒さない変わりに調教して怪獣に優しい心を持つようにさせるつもりだったが・・・・・もう・・・我慢の・・・限界だ!!

 

 

「絶対にこの場で消してやる!お前ら、行くぞ!!」

 

 

クロウが怒りを込めながら命令すると怪獣達も怒りの咆哮を上げながら一緒に走り出す。

 

 

「怪獣達の怒りを思い知れッ!!」

 

 

ハヌマーン目掛けてフルパワーでギガライブナイザーを突き出す。元々武器の長さが違う上に全力を込めたクロウの一撃に流石のハヌマーンも受け止めきれず、三又槍を落としながらブッ飛ばされる。岩にぶつかって倒れるハヌマーンだが深いダメージは負わず、急いで立ち上がって武器を拾うとするが・・・。

 

 

「ガアアアァァァウオオォォ!!」

 

 

いつの間にか接近していたドロボンが金棒を振り回し、ハヌマーンが怯んで近づけない隙に三又槍を盗み取った。そして嬉しそうに笑いながら三又槍を高々と持ち上げて見せつけた。

 

 

「それに触れるな!返せ!!」

 

 

自分の武器を盗んだドロボンにハヌマーンは激しく怒り、殴りかかろうとするが・・・。

 

 

「ピュウウウイイイィィィッ!!」

 

「ギャヴヴヴゴオオオォォォン!!」

 

 

アストロモンスとダストパンがドロボンを守るように前に立ちハヌマーンに襲い掛かる。

 

 

「ピュウウウイイイィィィッ!!」

 

「ウアッ!ウゥ・・・!」

 

 

アストロモンスが右手の鞭をハヌマーンの右腕に巻き付けて動きを封じ、そのまま左手の鎌で切り付ける。右腕を傷つけられて血が出るハヌマーンだが痛みに耐え、残っている左腕で攻撃しようとするがダストパンに掴まられた上に羽根から毒鱗粉を放って動きを鈍くさせた。

さらにそこへ離れて戦いを見ていたドロボンが再び接近して、持っていた金棒でハヌマーンの腹を容赦なく何度も叩きつけた。

住んでいた世界が違う3体だが、どこか気が合うのか仲が良くてなかなか良い連係プレーだ。

 

「このままさらに攻めるぞ。ゴモラⅡはシャノンビーム!タイラントはアロー光線だ!」

 

「ギギャアアアァァァッ!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

 

3体に攻撃されるハヌマーンにクロウは自分の傍にいるゴモラⅡとタイラントに撃するよう指示を出す。命令を受けた2体は同時に必殺光線を放つ。

 

 

「グアァ!ウアアアアアァァァ!?」

 

 

武器は取られ、2体に捕まっていた為避ける事ができなったハヌマーンは『シャノンビーム』と『アロー光線』を諸に腹に受けて苦痛の声を上げる。

 

 

「まだ終わらせねぇよ。アストロモンス!奴の腕に溶解液を浴びせてやれ!」

 

「ピュウウウゥゥッ!!」

 

 

クロウの指示を聞いたアストロモンスは腹部のチグリスフラワーから大量の『溶解液』をハヌマーンの右腕に浴びせる。

 

 

「ウアアアアアァァァァーー!!」

 

 

強力な『溶解液』を右腕に浴びたハヌマーンは両腕を押さえられて身動きできない分両足をバタつかせて悲鳴を上げる。ギガライブナイザーに回収された事で以前よりもパワーアップした『溶解液』によってハヌマーンの右腕は徐々に溶け出した。しかし流石はハヌマーンと言うべきか、溶けたのは肉の部分だけで骨は残っていた。

 

 

「痛いか?苦しいか?だがお前は怪獣達に対して同じような事をしたんだ。その痛みをもっと味わうがいい!!」

 

 

いつものクロウならこのような相手をとことんまで痛めつけるような残酷な事はしないだろう。

だが今戦っているのはハヌマーン・怪獣に仇名す存在だ。それ故クロウは容赦しなかった。そして怪獣達も同じだった。

 

 

「ギギャアアアァァァッ!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

「ガアアアァァァウオオォォ!!」

 

「ピュウウウイイイィィィッ!!」

 

「ギャヴヴヴゴオオオォォォン!!」

 

 

 

5大怪獣は攻撃の手を緩めずさらにハヌマーンを攻撃した。

ゴモラⅡが両手からミサイルを放ったり、鼻先の角を腹に突き刺して『超振動波』を食らわせた。またタイラントの鎌が尻尾を切り落とし、ドロボンと一緒に頭を何度も鉄球と金棒で叩いたりした。他にもアストロモンスとダストパンのコンビ攻撃で両足を痛めつけたりした。ウルトラリンチならぬモンスターリンチだ。

 

 

「思い知ったかハヌマーン?貴様がこれまで怪獣達にしてきた仕打ちを!」

 

「アァ・・・ウ、ウゥ・・・」

 

 

それから暫く経った後クロウは怪獣達に攻撃を止めさせてハヌマーンの様子を見る。今のハヌマーンは右腕が溶かされて骨だけだったり、左腕と両足を折られたり、尻尾を切られたりと体中ボロボロの状態で虫の息だった。

 

 

「そろそろ止めを刺してやる。ドロボン!」

 

「ガアアァァォォ!!」

 

 

クロウが手を伸ばしながら名前を呼ぶとドロボンは先程盗んだハヌマーンの武器を渡した。それを受け取り、ハヌマーンを冷たい眼で睨みつけながら腹に跨って馬乗りになり、両足に力を入れて押さえる。ハヌマーンは口を動かして何か言うが、力が入らないせいか全く聞こえない。

否、聞く気はさらさらない。

 

 

「滅びろ。忌々しい白猿よ!!」

 

 

 

ドッシュ!!!ブシャアアアァァァ!!!

 

 

 

勢いよく三又槍をハヌマーンの首元に刺して切り裂く。それによりハヌマーンは首から大量の血を噴き出しながら絶命した。

かつてクロウと戦い命を落とした赤い通り魔と同様にハヌマーンも怪獣達にリンチされ、最期は己の武器で倒されてしまったのだった。

 

 

「フフフ・・・クカカカ!!今日は本当に良き日だ。怪獣に仇名す存在を2つも倒せるとはな!フハハハハッ!!」

 

 

切り落としたハヌマーンの首を持ち上げて見つめながらクロウは傍にいる怪獣達と一緒に勝利の咆哮を上げた。自分が必ず倒そうと追い求めていた存在を倒せた事が、怪獣王にとって極上の喜びであった。

その後クロウは怪獣達を回収し、迎えにやって来た宇宙船に倒した敵の首を持ち運びながら乗った。そしてリーシャ達からかってにいなくなった事で激しく説教をくらってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

それから数日経つとクロウの事についてのニュースが宇宙中に流れた。

 

『ノワール星人戦艦全滅!地球の守護者ハヌマーン、怪獣王クロウに倒された!』

このニュースによりクロウの名声はさらに高まり、彼の仲間や傘下になる怪獣と宇宙人達は後を絶たなかった。

また、クロウの部屋にある棚に以前倒した戦士の骸骨の隣に新たに2つの戦利品が飾られた。

そして捕虜となったノワール星人達はその後クロウの支配下のある惑星にて恐ろしい仕事をされるので事あった。

 

 

その話についてはまた別の日にてお話致しましょう。それでは(笑)ヨホホホ!!

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 暗黒の鎧!集う黒き魔獣と闇の戦士

今回から再び本編を始めます。ウルトラマンの日や新しく始まったウルトラマンルーブの影響あって今回の話は様々な者達が登場します。
怪獣、闇の存在、レイオニクスなどたくさん登場します。感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、古代怪獣ゴモラ、超古代狛犬怪獣ガーディー
原子怪鳥リトラ(S)、宇宙怪獣エレキング、カプセル怪獣ミクラス
怪獣王ゴジラ、ベリアル融合獣スカルゴモラ、巨蛾モスラ親子、冷凍怪獣ラゴラス
宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン、戦闘破壊獣バトラ、ウルトラセブン
暗黒魔鎧装アーマードダークネス、闇の戦士カミーラ・ヒュドラ・ダーラム
悪質宇宙人メフィラス星人(RB)、極悪宇宙人テンペラー星人(RB)
宇宙有翼怪獣アリゲラ、頭脳星人チブル星人(RB)、火山怪鳥バードン
超合体怪獣ファイブキング、クレア星雲人(RB)、尖兵怪獣ギャンザー
三面怪人ダダ(RB)、帝国機兵レギオノイド ダダ・カスタマイズ   登場



レイオニクスバトルが続く惑星ハマー。

その惑星のとある砂漠地帯で1人の宇宙人が途方に暮れながら歩いていた。その宇宙人は知能指数1万以上と言う高い知能を持ち、かつてウルトラマンと互角に渡り合った強豪宇宙人の一角である悪質宇宙人メフィラス星人(RB)だ。

 

 

「私は・・・負けた」

 

 

強豪なレイオニクスと思われるメフィラス星人だが、今の彼の様子を見るにどうやらバトルに敗北してしまったようだ。

 

 

「テンペラー星人に・・・負けた。そして誇りも、バトルナイザーも奪われた・・・私にはもう何もない」

 

 

全てを失ったメフィラス星人の脳裏には、高笑いしながら自分のバトルナイザーを踏み潰して去って行ったテンペラー星人の姿が何度も映った。

その影響もあって彼はとうとう絶望してその場に膝を付いた。だがふと顔を上げて少し離れた所に灰色の剣が地面に突き刺さっているのに気が付いた。

 

 

「こ、これは!もしや・・・!?」

 

 

目の前にある剣を見てメフィラス星人は驚き、そしてゆっくりと近づいて行った。

 

 

 

 

 

その頃クロウは、レイ達のレイブラッドの力を制御する特訓と剣術の稽古をした後自分の部屋に戻ろうとするが、途中オキにレイの持つアイスラッガーについて話があると言われてレイと一緒にオキの部屋に集まった。

 

 

「レイの持っているコレなんだけど・・・ウルトラセブンのアイスラッガーだと思うんだ」

 

「ウルトラ・・・セブン?」

 

「惑星ボリスで見たウルトラマンと同じM78星雲の宇宙人で、地球侵略を企む宇宙人を幾度となく倒し守ってきた奴だ。それ故宇宙人達から好かれていない。特にリーシャの前ではあまり言うんじゃないぞ。オキもな!」

 

「あぁ」

 

「う、うん」

 

 

レイとオキに釘を打ち込んだ後俺はもう一度アイスラッガーを見つめる。

これが反応したと言う事はそろそろアイツが動き出す時か。皇帝の遺産、願わくば手に入れたいものだ。

 

 

 

 

 

一方メフィラス星人の方では、目の前にある剣に1歩手前まで近づき恐る恐る手を触れる。

その瞬間、脳裏に燃え盛るマグマの中で1体の巨人が4体の巨人を相手に争っている光景が頭の中に入ってきた。

 

 

「おぉ!?こ、これは・・・?」

 

 

それと同時にレイが持っていたアイスラッガーが光り出した。

 

 

「アイスラッガーが光った!」

 

「この感じ・・・まるで何かに反応しているみたいだな」

 

 

クロウが言った通りアイスラッガーは一定の間隔で点滅を繰り返していた。そしてそれは灰色の剣も同じ反応をしていた。その後剣は地面から飛び出してそのまま縮小して落ちてきた。

それをメフィラス星人は取って構えた瞬間、鎧を身に纏った姿・アーマードメフィラスになった。

 

 

「うわあああああああ!!」

 

 

そして剣を天高く掲げて雄叫びを上げ、ある方向に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

その頃クロウ達の方でも動きがあった。レイから話があると聞いて全員がペンドラゴンに集まっていた。

 

 

「このアイスラッガーが俺を呼んでいる。ウルトラセブンが助けを求めているんだ。俺は彼を助けに行きたい!皆の力を貸してほしい!」

 

 

レイの頼みを聞いてヒュウガ達はすぐに承諾するが・・・。

 

 

「私は・・・はっきり言って助けたい気持ちにならない。セブンなんかどうでもいいわ」

 

「我モ同ジダ。ウルトラマン嫌イ」

 

「俺もそうだな。アイツらは父の仇だ。あの末っ子と同じ奴なんて助けたくない」

 

「僕は・・・それ程嫌いじゃないかな。皆から聞いた話では最終的に恐ろしい悪魔から助けてくれたと言うし・・・」

 

「私も奴らの事は嫌ってはいない。私は我が主クロウ様の考えに従うまでだ」

 

 

上から順にリーシャ、ジェロニモン、グロラスの3人はセブンを助ける事に反対する。

タクト、ルーネは中立の立場を選んだ。

ちなみに今のルーネの姿は兜や鎧を着けていなく、日本の着物に似た赤と黒の花柄の綺麗な和服を着ていた。だがそれ以上に彼女の素顔がとても美しかった。(モデルは恋姫無双の関羽・愛紗である)そんな彼女を見て男達は見惚れ、リーシャは内心激しく焦りながらも負けないと心に誓うのであった。まぁ、そんな事は置いといて・・・全員の視線がクロウに集まった。

 

 

「クロウさんはセブンを助ける事にどう思いますか?」

 

「そうだな・・・・・俺もセブンの事はどうでもいいが、天敵に貸しを作っておくのも悪くないと思う。よってセブンを救出しに行くぞ!」

 

 

気合いを入れてそう宣言するが本命はあの鎧を手に入れる事だ。それにしても5体の巨人か、2体は分かるが後の3体は何者なんだろう?まぁ、会ってみれば分かる事か!

そう判断した後レイにセブンがいる場所をアイスラッガーから感じ取らせ、此処から2300kmの所に向けてペンドラゴンとギガ・ロボフォーで出発した。

だがこの時クロウの持つギガライブナイザーの下部分のスロットが1つ点滅を放っていた事に誰も気付いていなかった。

 

 

 

 

 

そして時を同じくある地点で1体の黒い怪獣が移動していた。その怪獣は見た目からにして芋虫に似た姿をしていた。ただ、芋虫にしては頭に大きな角があるなどだいぶ凶悪そうな感じだ。その怪獣は何もせず、ただ歩いていた時に突然頭を上げて何かを感じ取ると猛スピードで地中に潜ってそのままある方向へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃とある場所で1つのレイオニクスバトルが終わろうとしていた。

 

 

「ファビイイイヒャヒャヒャァァ~~!」

 

「ギギギギギィィッ!!」

 

 

戦っている怪獣は2体で、一方は全身が銀色の岩に所々青色で顔の発光部分が特徴の尖兵怪獣ギャンザー。もう一方は全身白黒模様に額にカタカナの『ダダ』をもじったマークが描かれている帝国機兵レギオノイド ダダ・カスタマイズである。

この戦いは数分前に行われたばかりで、ほんの少ししか経っていないのにも関わらずレギオノイド ダダ・カスタマイズの右腕に装備されているドリルとビームガンの猛攻撃によってギャンザーは両手の先端部分と触手を破壊されたり、全員の岩部分にヒビが入ったりした。ギャンザーも電磁波を使ったテレポートや顔の発光部分から光弾を放って反撃したが、相手の高い防御力によって攻撃が効かず、遂に完全なグロッキー状態に追い込まれてしまった。

 

 

「あぁ!ぼ、僕のギャンザーが!?」

 

「ダッダ~~!どうやら勝負の行方は見えたようダダ!」

 

 

その戦いを近くで見て騒いでいる2人のレイオニクス。ギャンザーを相棒にしている方は青色のマスクと鎧のような物を装着しているクレア星雲人(RB)で、レギオノイド ダダ・カスタマイズを相棒にしている方は怪獣と同じ全身白黒模様をしている三面怪人ダダ(RB)だ。ギャンザーがやられていくのを見てクレア星雲人(RB)は驚きと悲鳴の混じった声を上げ、逆にダダ(RB)は愉快な笑い声を出す。

 

 

「これで終わりだ。レギオノイド、ハイチューン・レギオビーム発射ダダ!!」

 

「ギギギギギィィッ!!」

 

 

ダダ(RB)の指示に従ってレギオノイド ダダ・カスタマイズは目から『ハイチューン・レギオビーム』を放つ。

 

 

「ファビイイイヒャヒャヒャヒャァァァ・・・」

 

「ぎゃあああああ!!」

 

 

強力な破壊光線を受けたギャンザーは大爆発を起こし、さらにクレア星雲人(RB)もその爆発に巻き込まれて倒されてしまった。

バトルに勝利した事にダダ(RB)は万歳のポーズをした。

 

 

「ダ~ダダダ!流石は俺のレギオノイド。これで10戦10勝!レイブラッドの後継者は俺で決まりダダ!」

 

「邪魔だ。退きなさい!」

 

「な~に?」

 

 

勝利の余韻に浸っていた時、突然背後から退くように言われたダダ(RB)は殺気を放ちながら振り向く。するとそこにはアーマードメフィラスが立っていた。

彼を見てダダ(RB)は笑い始めた。

 

 

「プッ!誰かと思ったらテンペラー星人に敗れたメフィラスか!聞けばバトルナイザーも潰されたそうじゃないか?レイオニクスの資格を失ったお前なんて唯の負け犬d・・・・・ぐおおおぉぉっ!!」

 

 

ダダ(RB)がバカにしながら話していた時、アーマードメフィラスは持っていた剣・暗黒剣(ダークネスブロード)で切り殺した。

 

 

「ギギギギギィィッ!!」

 

 

バトルナイザーを落としながら倒れたダダ(RB)を見てレギオノイド ダダ・カスタマイズは主の仇を討とうと右腕を『ビームガン』に変化させてアーマードメフィラスを狙うが、アーマードメフィラスが先に暗黒剣を振るって斬撃を放って倒した。

邪魔者を消して再び歩き始めたアーマードメフィラスだったが、空から何かが近づいているのに気が付いて足を止める。

近づいてくるのはスペースペンドラゴンだった。うん?ギガ・ロボフォーは何処に行ったかって?それは数分前に・・・。

 

 

「ヌフフフ!モンスターキング・クロウよ!宇宙最高の頭脳を持つ私の操る怪獣達にさっさと倒されなさい!さぁ行くのだ!バードン!!ファイブキング!!」

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュウウィィギュヴヴィィキュイィィッ!!」

 

 

目的地に向かって飛んでいたクロウ達の前に突如怪獣が襲い掛かってきたのだ。先を急いでいたのでギガ・ロボフォーの主砲で追い払うとしたが、モニターにある宇宙人が現れた。

その者は宇宙最高の頭脳を持つと称し人型パワードメカ・チブローダーに乗っている頭脳星人チブル星人(RB)だった。彼はクロウにレイオニクスバトルを挑んできて、自分に勝たないとこの先にはいかせないと言う。

その為クロウはレイを先に行かせ、リーシャ達をギガ・ロボフォーに待機させ、自分は外に出てチブル星人(RB)の挑戦に受けて立ったと言う事だ。この時リーシャ達はそれぞれ特訓のせいかと俺の役に立ちたい気持ちから全員がネオバトルナイザーを掲げた。

それを見て俺は驚きながらも必死に説得したのは余談である。

チブル星人(RB)が操る怪獣は鋭い嘴と両頬にある毒袋が特徴で『地球最強の怪獣』とも言われている火山怪鳥バードンと5体の強豪怪獣ファイヤーゴルザ、メルバ、ガンQ、レイキュバス、超コッヴが合体した超合体怪獣ファイブキングだった。

 

 

「悪いが俺はお前如きに負ける気は毛頭ない。行け!ゴジラ!!スカルゴモラ!!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

それに対してクロウはギガライブナイザーからゴジラとスカルゴモラを召喚した。召喚された2体はお互いに見合って同時に咆哮を上げた。

実はこの2体、最初の戦いでお互いの強さを認めて友情を持つようになったのだ。

 

 

「今回はタッグバトルだ。お前達の強豪コンビの力・・・奴らにたっぷり見せてやれ!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

クロウの激励と共にゴジラとスカルゴモラは堂々した感じで歩き出す。そしてゴジラはバードンに、スカルゴモラはファイブキングに戦いを挑んだ。

 

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

 

自分に向かって来るゴジラにバードンは翼を大きく広げ、羽ばたき攻撃による激しい強風で寄せ付けなくした後空高く飛び上がる。そして猛毒を含んだ嘴を構えて体当たりを仕掛ける。

その攻撃にゴジラは体を屈ませて避ける。攻撃が当たらなかった事にバードンは少し苛立ちながら再び体当たりを仕掛ける。

 

 

「今だゴジラ!尻尾で叩き落とせ!!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

「ギイィエエエェェッ!?」

 

 

バードンとの距離がある程度縮まった時にゴジラは尻尾を長く伸ばして思いっきり振り下ろした。それによりバードンは地面に叩き落とされた。叩きつけられた痛みで地面の上を転げ回るバードンにゴジラは容赦なく何度も尻尾で叩きつけた。

 

 

「何をやっているんだバードン!早く高熱火炎で反撃しなさい!」

 

 

チブル星人(RB)の命令を受けてバードンは口から必死に『高熱火炎』を吐く。強力な火はゴジラの背中に命中し、それによりゴジラは動きを止める。その隙にバードンは起き上がって自分を散々痛めつけたゴジラの尻尾を何度も嘴で突き刺した。

 

 

「グルルルル・・・ディガアアオオォォン!!」

 

 

何度も尻尾を攻撃されて怒ったゴジラは振り返ってバードンの顔を蹴って立ち上がらせ、両頬にある毒袋を掴んだ。そして力一杯引っ張って引き千切ってしまった。

 

 

「ギイィエエエエエェェェェッーーー!?」

 

 

これには流石のバードンも悲鳴を上げながら倒れ、地面の上で激しく動き回った。最強とも言えるバードンにも弱点があった。それは両頬にある毒袋で、これに何かあると溜め込んでいた毒が逆流して自分を苦しめてしまうのだ。

その事に気づいたゴジラはチャンスとばかりにバードンの嘴を掴んで地面に叩きつけたり、『放射熱線』で翼を破壊したりと徹底的に攻撃した。

 

 

「馬鹿な!?あのバードンがこうも痛めつけられるとは!!?」

 

 

目の前でバードンがやられていく光景にチブル星人(RB)は狼狽える。今まで多くの怪獣達を倒し、捕食して力を得てきたバードンが手も足も出ないのだから。

 

 

「ええい!忌々しい!こうなったら・・・ファイブキング!」

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュウウィィギュヴヴィィキュイィィッ!!」

 

 

チブル星人(RB)は大声でファイブキングの名を呼んだ。名を呼ばれたファイブキングは対峙して組み合っていたスカルゴモラを押し退けて翼を大きく広げて空高く飛び、頭部のファイヤーゴルザとメルバから『ゴルメルバキャノン』を発射する。

さらに下半身の超ゴッヴの顔からも光弾を何発も放つ。

 

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!?」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!?」

 

 

いくつもの光弾がゴジラとスカルゴモラに命中するが、2体は怯まず『放射熱線』と『スカル振動波』を放って撃ち落とそうとする。しかしファイブキングは素早い動きで光線を避ける。その隙にバードンはフラフラしつつも立ち上がって空へ飛び上がる。そして主の元へ必死に逃げ出す。

 

 

「エクセレント!よく戻って来たバードン!さぁお前達!一気に奴らを始末・・・何!?」

 

「キイィエエェェッ!?」

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュウウィィギュヴヴィィキュイィィッ!?」

 

 

チブル星人(RB)はバードンとファイブキングに止めの必殺技を放つよう指示を出そうとした時、目の前の光景を見て驚きの声を上げた。それは2体も同じだった。何故ならばスカルゴモラがゴジラの両足を掴んで持ち上げていたからだ。

 

 

「ゴジラ!スカルゴモラ!準備は良いな?」

 

「「グルル!!」」

 

「よし!スカルゴモラ!ゴジラを撃ち出せーー!!」

 

 

クロウの合図と共にスカルゴモラは全力でゴジラを投げ飛ばした。投げ飛ばされたゴジラはファイブキングの方へ向かって行き、目の前まで迫った瞬間体を回転させて強力な尻尾落としで叩き落とした。さらに落下しつつもそのままバードンに『放射熱線』を放って攻撃した。

 

 

「ギ、ギイィエエエエエェェェェッ!?」

 

 

あまりの咄嗟の事にバードンは攻撃を避けられず、真正面から食らって大爆発を起こし散った。

そして地面に叩き落とされたファイブキングは、体に少し傷を負いながらも舞い上がる砂煙の中で立ち上がった。それと同時にゴジラも立ち上がった。だが不思議な事にゴジラの体には傷がなく、それどころか余裕な表情で体を振って身に付いた砂を払っていた。

 

 

「相変わらず凄い回復力だなゴジラ細胞は・・・」

 

 

その様子を見て俺はつい小声で呟いてしまう。

俺もこれまでのライブによる影響で再生能力を持つようになったがあれ程高くはない。これに関してはゴジラに頭が上がらないな。けどその内俺もあれくらい力を付けてやるぜ!

 

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュウウィィギュヴヴィィキュイィィッ!!」

 

 

そう思っていた時、ファイブキングは先程の攻撃と今のゴジラの態度を見て怒り、再び『ゴルメルバキャノン』を発射する。

 

 

「ゴジラ!放射熱線で迎え撃て!!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

 

迫ってくる光線にゴジラは『放射熱線』を放ち相殺する。それを見てファイブキングはさらに苛立ち、怒りの咆哮を上げながらゴジラに向かって突撃しようとした時、突如背中に激しい痛みが襲ってその場に膝を付いた。

 

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュウウィィギュヴヴィィキュイィィッ!?」

 

「どうした?ファイブキング!」

 

 

突然の事にチブル星人(RB)が驚きながらチブローダーの内部メカを操作し解析してみると背中にある神秘のエネルギーを持つビクトリウム鉱石の水晶体が破壊されていた。

 

 

「ば、馬鹿な!?ビクトリウムはそう簡単には壊れない筈なのに!?」

 

 

驚愕するチブル星人(RB)にクロウが冷静に言う。

 

 

「そんな水晶・・・俺のスカルゴモラの前では唯の石ころに過ぎない!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

主の言葉にそうだと言わんばかりにスカルゴモラは咆哮を上げる。先程スカルゴモラはただ尻尾を大きく振っただけでビクトリウムを破壊したのだ。そして勢いよく走り出してファイブキングに攻撃する。

元々力の強い怪獣同士が融合したスカルゴモラのパンチとキックはかなり強力で、1発受けただけでファイブキングは怯み、さらに頭部にパンチの集中攻撃を受けた事でメルバの部分が破壊されてしまった。

 

 

「私のファイブキングがあんなに・・・ええい!忌々しい虫けら共め!!ファイブキング!殺せ!2体ともさっさと殺してしまえ!!」

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュウウィィギュヴヴィィキュイィィッ!!」

 

 

怒鳴り散らしながら指示を出すチブル星人(RB)。彼の声に少しビクつきながらファイブキングは右腕のレイキュバスの頭部と一体化したハサミを突き出してスカルゴモラの角を挟み、そのまま頭を切り裂こうとするが大きく頑丈な角なのでなかなか切れなかった。それどころか動かない相手を見たスカルゴモラが大角から『スカル振動波』を放って右腕を破壊した。

 

 

「ゴッバアアァァピュアアァァギュヴヴィィキュイイイィィィィィッ!?」

 

 

右腕を破壊されたファイブキングは悲鳴を上げる。その隙をついてゴジラは接近しファイブキングの左腕に噛み付く。ファイブキングは慌てて引き離そうと必殺光線を放とうとするが、それよりも早くゴジラが『体内放射』で攻撃した。

その攻撃によりファイブキングの左腕、下半身、翼などあらゆる部分を破壊されてグロッキー状態になってしまった。

 

 

「最後はスカルゴモラ、お前が決めろ!ショッキングヘルボール!!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

指示を聞いたスカルゴモラは胸の赤い部分を光らせ、次に足を光らせてエネルギーを溜めた足で思いっきり地面を踏む。すると地面から赤熱化した破砕岩が浮かび上がってそのままファイブキングに向かってぶつかっていった。

 

 

「ゴッバアアアアアァァァァーーー・・・・・」

 

 

いくつもの岩がぶつかってファイブキングは体中から火花を散らし、悲鳴を上げながら倒れて爆発した。

 

 

「そ、そんな馬鹿な!?私の最強の怪獣が負けるなんてーーー!?」

 

 

自分の怪獣が倒された事にチブル星人(RB)は驚きの声を上げ、頭を激しく振って目の前の現実を否定しようとする。その為彼は気付かなかった。自分の背後で迫る危機に!

 

 

 

ガシッ!!!

 

 

 

「な、何だ!?」

 

 

突然チブローダーの警報が鳴り、辺りが暗くなったと思ったらチブローダーが揺れ始めた。しかも心なしかだんだん狭くなってきている。

状況を確認してみるといつの間にか背後にゴジラがいて、両手でチブローダーを掴んで押し潰そうとしているのだ。

 

 

「や、止めろ!ぼ、暴力は止めたまえ!!止めてくれーーー!!」

 

 

必死に懇願するチブル星人(RB)だが、ゴジラは容赦なく両手に力を入れる。そしてチブローダーを野球ボールのように丸くさせるとクロウとスカルゴモラを見つめる。

 

 

「そう言う事か。良いぜゴジラ。スカルゴモラ!」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

ゴジラの考えを見抜いた俺はスカルゴモラに合図を送る。それを受け取ったスカルゴモラはゴジラから少し離れた所に移動して真正面に立つ。

 

 

「グルルル・・・ディガアアアァァッ!!」

 

「な、何を・・・えっ?ぎゃあああああ!!」

 

 

スカルゴモラが真正面に立った瞬間、ゴジラは手に持っていたチブローダーを勢いよく投げた。そしてスカルゴモラは飛んでくるチブローダーを尻尾で打った。打たれたチブローダーはチブル星人(RB)の悲鳴とともに宇宙の彼方へ飛んで消えていった。

 

 

「ピッチャーゴジラ、華麗な投球!そしてバッタースカルゴモラ、力強い打ち込みでした(笑)ククク、2体ともとても良かったぞ」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン」

 

「ギィガアアアオオォォギシャアアァァァッ!!」

 

 

クロウから労いの言葉を貰ってゴジラは当然と言わんばかりの表情をし、スカルゴモラは逆に嬉しそうにドラミングするのであった。

その後2体を回収し、ギガ・ロボフォーに戻ってリーシャ達からお疲れ様と言われながらレイの元へ急いで向かった。

 

 

 

暫く飛んだ後ペンドラゴンを発見して近くに降り立つ。

 

 

「どうやらレイはペンドラゴンから少し離れた所にいるようだ。全員で探すぞ」

 

「「「「「了解です/シマシタ!!」」」」」

 

 

リーシャ達を引き連れて外に出てレイがいると思われる地点に行くと重傷を負ってヒュウガ達に抱えられながら歩いているレイを発見した。

 

 

「だいぶ痛い目に遭ったようだなレイ・・・」

 

「クロウ・・・メフィラスの目的が何なのか、分かった気がする」

 

「そうか。だがまずは傷の手当てが先だ。ギガ・ロボフォーの方に来い。こちらの方がすぐに怪我を治すことができる」

 

 

そう言ってレイをギガ・ロボフォーに連れてすぐさま治療を行った。その後治療を終えて体力が幾らか回復した後レイから事情を聞く。

アーマードメフィラスと戦いの最中2人はまたビジョンを見た。それはウルトラセブンと黒い鎧の巨人が自分達と同じ戦いを繰り広げていたのだ。だが1つだけ違う点がある。それは黒い鎧の巨人が3体の巨人を引き連れて戦っていたと言う事だ。

 

 

「黒い鎧の巨人・・・間違いなくアイツだな」

 

「アイツ?クロウさんはその巨人が何者か知っているのですか?」

 

「あぁ、丁度良い。皆にそいつが何か見せてやるよ」

 

 

そう言って操縦席のスイッチ等を押してモニターにその者のデータを表示させた。

 

 

「間違いない!俺が見たのはこいつだ!」

 

「そんな!まさかあの鎧が!?」

 

「おいおい、いくらなんでもやば過ぎるぜ」

 

「ッ!!?」

 

「えっ?な、なんなの・・・?」

 

「オ主達ハコレガ何カ分カルノカ?」

 

 

表示されたのは禍々しい黒い鎧だった。それを見てリーシャ、グロラスは驚きの声を出し、ルーネは殺意を込めながら睨み付けて静かに強く刀を握る。

逆にタクトとジェロニモン、ヒュウガ達は正体が分からず訊ねる。

 

 

「こいつの名は暗黒魔鎧装アーマードダークネス。暗黒宇宙の大皇帝エンペラ星人の為に作られた鎧だ。身に纏う者全てに凄まじい超パワーを与える効果を持っているんだ。故にこいつの事を皇帝の遺産と呼ぶ者もいる」

 

 

説明し終わった途端レイが座っていた椅子から立ち上がるが傷の痛みによって倒れかけるが、咄嗟にハルナが後ろから支える。またルーネが出口に向かうとしたのをクロウが押さえて落ち着かせる。

 

 

「レイ!」

 

「動いちゃダメだ!」

 

「大丈夫だ!行かないといけないんだ。ウルトラセブンが呼んでいるから・・・」

 

「そうか・・・クマノ、ペンドラゴンを頼む」

 

「分かりました!」

 

「俺達も総力を上げて行くぞ!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

ペンドラゴンにクマノを残してクロウ達はギガ・ロボフォーとドラゴンスピーダーに乗ってウルトラセブンとアーマードダークネスがいる場所へ向かった。

 

 

 

 

 

その頃アーマードメフィラスは、暗黒剣に導かれて一足早く目的地に辿り着いていた。そして目の前の埋まっている武器に向かうとした時、何処からかテンペラー星人(RB)が現れた。

 

 

「フフフフフ、ただならぬ波動を感じて来てみたが・・・何だお前だったか!どうした?そんな鎧なんか着込んでこけおどしのつもりか?」

 

「こけおどしかどうか戦ってみれば分かるでしょう」

 

「何だと!?」

 

 

自分に負けたくせに自信満々のアーマードメフィラスにテンペラー星人(RB)は怒り、腰に備えてあったバトルナイザーを手に持つ。

 

 

「ほざいたな。もう一度俺の強さを思い知らせてやる!行け!アリゲラ!!」

 

「ピッギィギャアアアアァァァゥゥゥーー!!」

 

 

テンペラー星人(RB)はバトルナイザーから宇宙有翼怪獣アリゲラを召喚した。それを見てアーマードメフィラスは手に持つ暗黒剣を構える。

 

 

「ま、まさか!?その剣は!なぜお前がそれを・・・!?」

 

「むん!てやあああああぁぁぁ!!」

 

 

剣を見たテンペラー星人(RB)は驚きの声を上げる。だがアーマードメフィラスは気にせず、素早く接近して彼を切り倒し、続けざまに斬撃でアリゲラを倒した。

邪魔者を片付けた後、アーマードメフィラスは再び武器に近づく。

 

 

「蘇れ!暗黒の鎧よ!」

 

 

そして暗黒剣を地面に突き刺した。すると地面が揺れて武器のある所から砂煙が舞い上がる。そして煙が消えていくとそこには復活した暗黒魔鎧装アーマードダークネスが立っていた。それを見てアーマードメフィラスは歓喜しながら叫ぶ。

 

 

「おお!伝説の暗黒の鎧よ!遂に我が身を主に捧げる時が来た!!」

 

「・・・・・ガゴォォォォン」

 

 

だがアーマードダークネスは静かに手に持っていた三つ又の刃を両端に付けた伸縮自在の槍・ダークネストライデントを構える。

 

 

「え?あ、あぅ・・・うわああああああああああ!!?」

 

 

それを見たアーマードメフィラスは何をするか察して慌てて逃げ出すが時すでに遅く、ダークネストライデントに潰されてしまった。

それと同時にクロウ達が現場に辿り着いてアーマードダークネスを見る。

 

 

「あれが!」

 

「暗黒の鎧、アーマードダークネス」

 

「なんと禍々しい姿なんだ!」

 

「・・・(確かに禍々しい鎧だ。だがその分凄いパワーを感じる。けどやっぱり危ない代物だから手に入れるのは諦めるか)」

 

 

俺は内心アーマードダークネスを手に入れる事を諦めながら様子を見ていた時、アーマードダークネスが一瞬ふらついた。

 

 

「何だか様子が変です」

 

「どこか苦しんでいるようだな。だが好都合だ。今なら滅する事ができるかもしれないぞルーネ」

 

 

名前を呼ばれた瞬間、ルーネがビクッとする。その様子を見て俺はやはりと察する。

 

 

「お前にとってアイツは兄の仇の物だからな。俺がお前に力を貸して支えてやる。戦えルーネ!!」

 

「!!はいクロウ様///」

 

 

主であるクロウの言葉を聞いてルーネは心の底から力が湧く感じをし、頬を赤く染めながら鎧兜を装着し刀を力強く握ってギガ・ロボフォーから出た。

そして本来の大きさに戻ってアーマードダークネスと対峙した。

 

 

「俺達も行くぞ・・・って、どうしたリーシャ?」

 

「・・・・・別に、なんでもありません」

 

「(やれやれ、困った娘だ)そんなに拗ねるなよ。せっかくの可愛い顔が台無しだぞ」

 

 

優しく言いながらリーシャの頭を撫でる。すると彼女の顔はすぐに真っ赤になった。

そこへグロラスがニヤニヤした表情(?)で彼女に耳打ちした。

 

 

「そうだぜリーシャ。それに今クロウ様の傍にいる女性はお前だけだぜ」

 

「ッ!?///」

 

 

グロラスに言われた事で彼女は今の状況に気が付く。確かに今クロウの傍にいるのは自分だけ・・・今なら彼を独占できる!そう思った瞬間、彼女の行動は早かった。

 

 

「・・・えい!」

 

「おぉ!?」

 

 

リーシャはクロウの右腕に胸を押し付ける感じに抱きついた。そして彼の匂いを嗅ぎながらネオバトルナイザーを取り出した。

 

 

「行きなさい!モスラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピュアアアアアァァァーー!!」

 

 

召喚されたモスラ・レオは輝かしい光を放ちながら鳴き声を出し、空高く飛ぶ。

何故今回モスラ・レオにしたかと言うとモスラ・レオ自身がリーシャに自分が行かせてと言ったからそうだ。大胆な行動を取りながら怪獣の声に耳を傾け、冷静な判断をしている事に俺は本当の良く成長したなと思いながらギガライブナイザーを構える。

 

 

「俺も今回はこいつ等だ。行け!モスラ姉弟!!」

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァピュイイイィィ!!」

 

 

モスラ・レオと並ぶように現れたのは彼女の子供達であるモスラ姉弟だ。惑星ボリスでは幼虫だった2体も今ではモスラ・レオと同じ成虫になっていた。弟は性格の良い怪獣だけど、姉の方はまだ悪戯好きであって時々俺やグランドキングにちょっかい出して来るのだ。うん?何故グランドキングもだと?実はキングジョーブラックから助けられた後2体は妙にグランドキングの事が好きになってしまったのだ。まぁ、グランドキングは手で追い払うくらいで特に何もしないけどな(汗)

そんな間にモスラ達3体は横一列に並んだ後一斉にルーネを加勢する為に猛スピードで飛んで行った。それを見ていたレイ達3人もそれぞれネオバトルナイザーを掲げて相棒怪獣のゴモラ、リトラ(S)、エレキング、ドレンゲラン、ラゴラスを召喚した。

そして5体も咆哮を上げてアーマードダークネスに向かって攻撃を仕掛けた。

 

 

「ガゴォォォォン!!」

 

 

次々と現れる敵を見たアーマードダークネスは、両手に持つダークネストライデントとダークネスブロードでルーネ達の攻撃を防ぎながら自分の背後に向かって眼から赤い光線を放つ。

すると光線が当たった所から砂煙が出て、それが晴れると3体の巨人が姿を現した。

1人目は金と銀色のスタイル抜群のボディが特徴の女戦士、愛憎戦士カミーラ。

2人目は赤色の体に鎧を着て見るからに力強そうな戦士、剛力戦士ダーラム。

3人目は青色の体に不気味なポーズをとっている戦士、俊敏戦士ヒュドラ。

この3体は皆、超古代の地球に存在した文明を闇の力で破壊しまくった闇の巨人である。だが今の彼らはアーマードダークネスによって操られている人形であった。

 

 

「ガゴォォォォン!!」

 

 

アーマードダークネスが大きく唸り声を上げると闇の巨人達は一斉にモスラ達に襲い掛かった。

 

 

「ムウウウゥゥン!!」

 

「ギュイイイイィィィッ!?」

 

「ピュアアアアアァァァッ!?」

 

 

ダーラムはドレンゲランを超パワーで持ち上げて得意の投げ技『ダーラムホイップ』で地面に叩きつけ、さらに首を足で踏みつけて動きを封じる。そしてそのままこちらに向かって突進攻撃するラゴラスを強力な炎を地で走らせる技『ファイアマグナム』で攻撃した。

ダーラムの凄まじい力と炎に2体は悲鳴を上げた。

 

 

「ヒャッハーー!!」

 

「カクィオオオオオォォァァン!?」

 

「ピュアアアァァァァ!?」

 

「キィエエエエンッ!?」

 

 

ヒュドラは空を飛んで空中殺法でモスラ姉弟とリトラ(S)を追い詰める。さらに右手首にある武器『ドラフォーク』で斬りかかり、そのまま右腕から放つ猛烈な突風技『ヒューガスト』で撃ち落とそうとした。モスラ姉弟とリトラ(S)は必死に空を飛んで逃げ回った。

 

 

「イヤッ!フッ!テヤァーーー!!」

 

「ギシャアアアアァァァァッ!?」

 

「キイイイィィィッ!?」

 

「ピュウウゥゥ・・・ピュアアァァッ!?」

 

 

カミーラは右腕から放つ氷剣『アイゾード』でゴモラとエレキングを激しく斬り付けたり、氷の鞭『カミーラウィップ』でモスラ・レオを何度も叩き、さらに脚に巻き付けて振り回したりした。ゴモラは体から火花を散らしつつも必死に避け、モスラ・レオも地面に叩きつけられる寸前で翅を広げて何とか落ちずに済んだ。

そんな様子を見てリーシャは堪らずガーディーを召喚して助けに行かせた。

 

 

「ガルルル・・・ガウウウゥゥゥッ!!」

 

 

闇の巨人達と因縁があったガーディーはすぐさま攻撃を仕掛けて仲間達を助け出した。そのおかげか戦況は何とか持ちこたえ出した。

闇の巨人達の攻撃にモスラ達が苦戦している間アーマードダークネスはルーネと1対1の攻防を続けていた。疾風の如き速さを持つルーネだが、アーマードダークネスの高い防御力と2つの武器によって若干押されていた。

そんな彼女にアーマードダークネスは一気に倒そうとダークネストライデントにエネルギーを溜めて必殺技『レゾリューム光線』を放とうとする。

 

 

「マズイ!助太刀に行け!キングオブモンス!!」

 

 

ルーネの危機を見て俺はキングオブモンスを召喚する。

 

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

 

召喚されたキングオブモンスはすぐさまルーネの前に立ち、放たれた『レゾリューム光線』を『ボーンシールド』で防ぐ。しかしかなり威力の高い光線だったのでキングオブモンスは何とか防げたが力の消耗が激しくてその場に膝をついてしまった。

 

 

「だ、大丈夫かキングオブモンス?」

 

「グルルル・・・!」

 

 

心配するルーネにキングオブモンスは大丈夫だと言うかのように頷き、再び視線をアーマードダークネスの方に向ける。対してアーマードダークネスはまたふらつきながらもダークネスブロードを上に掲げて2体を斬ろうと迫る。するとそこへゴモラが助太刀に現れて突進攻撃でアーマードダークネスを押す。しかしそれでもアーマードダークネスは止まらず、ゴモラの腹を蹴って倒し斬ろうとする。

それを見てルーネが双剣を手に攻撃を受け止めようとした時、突如横からアーマードダークネス目掛けて光線が放たれた。

 

 

「ガッゴオオオォォ!?」

 

「何!?」

 

 

突然の攻撃にアーマードダークネスだけでなく、クロウ達全員が驚いて光線が放たれた方向を見つめる。するとそこには先程地中に潜って姿を消した昆虫怪獣がいた。

 

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

その怪獣を見て特に驚いたのはクロウとモスラ親子だった。何故ならその怪獣の名は戦闘破壊獣バトラ(幼虫形態)と言ってモスラの亜種であり、同じ地球の守護神であった。

しかしバトラの目的は守る事ではなく破壊する事であり、太古に発達した文明が地球を汚したため滅ぼそうとした程だ。

このバトラはハイパーゼットンデスサイス、デアボリック、スカルゴモラと同じように最初は自分の世界(ゴジラ平成VSシリーズ)にいて、海底でゴジラと互角の激闘を繰り広げていた際に起こった海底火山の噴火に巻き込まれた後、レイブラッド星人の操るブルトンの能力によってこちらの世界に来てそのまま惑星ハマーに辿り着いたのだ。

バトラは最初先程まで自分がいた場所とは違う場所にいる事に戸惑っていたが、彼を見たレイオニクスバトラーが他のレイオニクスの操る怪獣だと勘違いして襲い掛かってきた為時には戦ったり、時には戦略的撤退をしたりして今日まで生き残れてきた。そして時が経つにつれて此処が地球でない事も知った。

そんな時にアーマードダークネスを身に纏って闇の力を抑え込んでいて助けを求めるウルトラセブンの意志を感じとった。さらにセブンの意志を通じてアーマードダークネスが邪悪且つ危険な存在であることを知り、守護神として放っておくわけにはいかないと考え、セブンを助け、アーマードダークネスを破壊するために地中に潜って地中を掘り進みながらこの場所にやって来たのだ。

 

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「ガッゴオオオオオォォォォ!!」

 

 

バトラは大きく咆哮を上げた後勢いよくアーマードダークネスに向かって行き、体当たりや角を使った頭突き、先程放った『プリズム光線』で攻撃した。しかしアーマードダークネスにはあまり効いておらず、逆に『レゾリューム光線』によってダメージを受けてしまう。そして今度こそ止めを刺そうとダークネスブロードを上に掲げて斬ろうとする。

 

 

「させるか!!」

 

 

斬られる寸前ルーネが双剣でダークネスブロードを受け止め、キングオブモンスが横からキックを放ち、その上『クレメイトビーム』で攻撃した。その間にクロウがギガ・ロボフォーから出てバトラの傍までやって来て傷の深さを確かめる。

 

 

「どうやらそれ程深くないようだな・・・」

 

「ピュヴオオォォ・・・?」

 

「うん?何故助けたかって?簡単な事だ。俺が怪獣王だからさ!」

 

 

まぁ、キングオブモンスとルーネはおそらく借りを返したとしか考えていないと思うがな。そう思っていた時、こちらに向かって乗せたモスラ・レオがやって来た。

 

 

「カクィオオォン!ピュアアアァァ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォ・・・」

 

 

話し掛けるようにモスラ・レオは鳴き、それを聞いたバトラは頷いてモスラ・レオと一緒に空へ飛び上がる。それと同時にペンドラゴンもやって来た。

 

 

「良いタイミングで来るものだ。ボス、リーシャ・・・全員聞こえるか?これからモスラ・レオとバトラと一緒にアーマードダークネスに集中攻撃する。ありったけのミサイル発射だ!!」

 

「「分かった/分かりました!!」」

 

 

クロウの合図と共にモスラ・レオとバトラが必殺光線を放ち、同時にペンドラゴンとギガ・ロボフォーからも大量のミサイルが放たれる。

それを食らったアーマードダークネスは少し後退するが、ダメージは受けていなく平然と立っていた。

 

 

「そんな・・・」

 

「何と言う化け物だ!?」

 

 

アーマードダークネスの強さにヒュウガ達は驚きの声を出す。その隙をついてアーマードダークネスはダークネストライデントから光弾を放ってドラゴンスピーダーを攻撃する。

 

 

「危ない!」

 

 

光弾が命中しようと時、リトラ(S)が前に出て庇った。だがリトラ(S)は大きなダメージを食らって墜落する。だが地面に落ちる寸前エレキングが受け止めた。

 

 

「フッフッフッフッフッフッフッフッ!」

 

「ハッハッハッハッハッハッハッ!」

 

「ムッフッフッフッフッフッ!」

 

「シャッハッハッハッハッ!」

 

 

その様子を見てアーマードダークネスと怪獣達を圧倒する闇の巨人達は嘲笑うかのように笑う。

すると突然レイの持つアイスラッガーが光り出した。

 

 

「・・・分かった!」

 

 

レイはアーマードダークネス目掛けてアイスラッガーを投げる。投げられたアイスラッガーは大きくなってアーマードダークネスの目に当たった。それによって鎧が砕けて中に誰かの姿があった。

 

 

「何かが鎧を・・・」

 

「纏っている?」

 

 

その者をじーと見てみるとその正体はウルトラセブンだった。目を光らせて意識を取り戻したウルトラセブンはアーマードダークネスの動きを止める。それと同時にカミーラ達も苦しそうに頭を抱えてその場に膝を付く。それを見た怪獣達は好機とばかりに反撃して手足を掴んだり、体の上で馬乗りになったりして動きを押さえる。

戦況がこちら側に傾いていく中、ルーネは俺の方に顔を近づけてセブンの事について訊ねる。ちなみにこの時、彼女の大きさに俺は内心ビクついていたのは内緒だ。

 

 

「クロウ様、何故光の戦士であるセブンがアーマードダークネスを・・・?」

 

「おそらく奴は自ら暗黒の鎧を身に纏う事で闇の力を封じて抑えていたんだろうよ・・・・・ウルトラマン同様に呆れた奴だ」

 

 

けどチャンスを作ってくれた事には感謝する。

 

 

「一気にあの鎧を破壊する。キングオブモンス、クレメイトビーム!モスラ姉弟、クロスヒート・レーザー同時発射!」

 

「ゴモラ、超振動波だ!」

 

「モスラ、レインボーバスター!」

 

 

キングオブモンス達の必殺技にバトラの光線も加わってアーマードダークネスを吹き飛ばす。

5体の光線を食らってもなお武器を掲げた状態のアーマードダークネスにルーネが素早い動きで接近する。

 

 

「暗黒の鎧よ。私の技を受けてみよ!奥義・疾風龍翔剣!!」

 

 

ルーネの放った技は、双剣を高速で動かして大量の斬撃と共に連続斬りをするものだ。この技によって鎧全体にヒビが入りルーネが通り抜けた後アーマードダークネスは膝を付いた。そしてヒビが入った箇所から光が溢れて鎧が砕け散ってウルトラセブンが復活した。

 

 

「ジュワ!」

 

 

復活したセブンはアイスラッガーを元に戻す。その間にクロウ達全員が集まってセブンの前に立つ。するとセブンは手から光を放つとそこから巨大な角とバッファローに似た姿のカプセル怪獣ミクラスが現れた。

 

 

「ゴルルルゥゥッ!!」

 

「ああ!ミ、ミクラスだ!」

 

 

オキの声に反応してミクラスは手を振って挨拶する。そんなミクラスをレイは優しく見つめながらネオバトルナイザーを出して回収した。

それを見てセブンは頷き、今度はバトラの方を向く。

 

 

「ジュワ!」

 

「ピュヴオオオオォォォ!!」

 

 

自分を助けてくれたバトラにセブンはお礼を言い、彼からお礼を言われたバトラは元気よく咆哮を上げて応えた。

そしてセブンは次にガーディー達によって動きを押さえられているカミーラ達の方を向く。アーマードダークネスが倒された事で解放された3体はガーディー達の攻撃もあって気を失っていた。そんな3体にセブンはゆっくりと両腕を組んで必殺技を放とうとする。闇の存在である彼らも此処で倒すつもりだ。

 

 

「おっと、そうはさせない。キングオブモンス!」

 

「グオオオオォォォーー!!」

 

 

セブンが何をするのか察した俺はすぐにキングオブモンスに指示を出す。指示を受けたキングオブモンスは彼らを守るようにセブンの前に立ちはだかった。突然の事に驚くセブンの前にキングオブモンスの頭に乗ったクロウが話し掛ける。

 

 

「悪いなセブン。アイツらは俺が預からせてもらう。もし反対すると言うなら・・・どうなるか分かるな?」

 

 

そう言うとキングオブモンスだけでなく、ルーネやモスラ姉弟が傍にやって来て構える。今まで暗黒の鎧の闇の力を封じ込めていて力が限界状態であるセブンは構えを解いて頷き、空の彼方へ飛び去った。ようやく戦いが終わって全員が緊張を解いた。

 

 

「全く、突然の事にひやひやしたぜクロウ」

 

「本当ですよ。まぁ、この場でセブンと戦っても良かったですけど・・・」

 

「おいおいリーシャ、それじゃあ今までの苦労が全て・・・え~と、水の泡になるぞ」

 

「フッ、今度はちゃんと言えたようだなレイ。だがまだやる事が残っているからもう少しだけ待っていてくれ」

 

 

話し掛けてくる仲間達を押さえて俺はキングオブモンスに命じてバトラの元へ向かう。

 

 

「バトラ、助けてくれてありがとう。怪獣王としてお礼を言わせてもらう

 

「ピュヴオオォォ!ピュヴオオオオォォォ!!」

 

「そうか・・・ところでここからが本題だが、どうだバトラ?俺の仲間にならないか?」

 

「!!ピュヴオオオオオォォォォォ!!」

 

 

クロウの誘われたバトラは先程アーマードダークネスに苦戦していた自分を助けてくれた恩とさっき見せた敵であろうと助けようとする器の大きさと破壊しかできない自分を受け入れてくれる事に惚れて、すぐさま仲間になると返事をした。

 

 

「よし!それじゃ、一緒に行こうぜバトラ!!」

 

 

仲間になる事を承諾したバトラを俺はギガライブナイザーに回収する。彼が仲間になった事に一番喜んだのはモスラ親子だ。目的が異なるとはいえ、同族が仲間になって嬉しい様だ。その後全員がそれぞれの怪獣達を回収した後、気を失っているカミーラ達に近づく。すると3体はエネルギーがなくなったのか巨人の姿から小さくなって人間の姿になった。

 

 

「クロウさん、本当にこの人達を預かるのですか?」

 

「やっぱり危険じゃありませんか?」

 

 

操られていたとはいえ、3体の力は強大だった。もしまた敵になったら・・・と不安に思うリーシャやタクト達に俺は優しく言う。

 

 

「安心しろ。もしこいつらが敵になってお前らを攻撃して来ようとしたら俺が絶対守ってやる。それに今放っておいたらまた光の戦士共が倒そうとやって来るに違いない。光ではなく闇の力を持っているからと言う理由でな。俺はな・・・差別と言うのが嫌いでな。怪獣の王だがこういった奴らも守りたいんだよ」

 

 

そう言うとリーシャ達だけでなく、レイやヒュウガ達もクロウの優しさに心を打たれた気持ちになった。その後誰も文句を言わず3人をギガ・ロボフォーに連れて行くのであった。

 

 

 

だがこの時クロウを始めとする全員が気付かなかった。

破壊したアーマードダークネスの残った闇の力を何者かが密かに集めて回収した事に・・・!その者は回収し終わると静かに姿を消すのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
戦闘破壊獣バトラ


モスラと同じ地球の守護神である怪獣で、モスラ同様に幼虫と成虫の姿を持つが戦闘能力がこちらの方が高い。
主な武器は頭の角と目から放つプリズム光線である。また幼虫の時は角を使った突進攻撃もある。
レイブラッド星人の操るブルトンの能力によって惑星ハマーにやって来た後、襲い掛かってくるレイオニクスバトラー達を退けて生き残ってきた。そしてアーマードダークネスの件でクロウの仲間になった。ギガライブナイザーに回収された後、傷が治りさらに戦闘能力と防御力がパワーアップして幼虫形態と成虫形態をウルトラマンティガのタイプチェンジのように自分の意思で変えられるようになった。
それによって敵の能力や環境によって姿を使い分けて戦う。また同じ守護神同士ということでクロウのモスラ姉弟やリーシャのモスラ・レオと仲のいい関係になる。さらにモスラ・レオとは予想以上に深い愛すら感じるくらいである。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 ヤプールの逆襲!異次元への罠

今回からオリジナル話に突入します。そして以前現れた異次元人ヤプール、彼が再び登場します!さらにちょっとだけど彼の配下も一緒にね。どんな奴らなのか気になる方は是非読んで下さい。
感想と評価をお待ちしております。

戦闘破壊獣バトラ、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、大ぐも タランチュラ
宇宙植物獣人モネラ星人(RB)、宇宙有翼怪獣ゲランダ
電脳魔神デスフェイサー   登場




アーマードダークネスを倒し、セブンを救出してから数時間経った暗い真夜中の惑星ハマーのとある場所にて、暗闇に溶け込むかのように黒い帽子とコート、又はマントを身に纏った4人の怪しい人影が暗躍していた。

 

 

「此処で間違いないな?」

 

「あぁ、我らの主と奴の配下とも言える怪獣があの者に倒された場所だ」

 

「大分派手に暴れたようだな・・・」

 

「全くだ。奴の強さは大したものだ」

 

「無駄口を言わなくていい。それよりも我らには主より授かった重要な役目がある。さっさと仕事に取りかかれ」

 

 

彼らが訪れているのは、かつてパンドンとバキシムがクロウとレイにレイオニクスバトルを挑み倒された場所だ。そこにあったと思われる岩は粉々になり、所々に大きな穴があった。それを見て3人の者達はポツリと呟くが、彼らのリーダーと思われる者が自分達に課せられた使命を言い出す。

それを聞いて4人のうち黒いマントを羽織り、全身に様々な数珠や不気味な装飾品を身に纏った不気味なオーラを出している者が両手の掌にある目玉を光らせながらその場所に手をかざす。

するとその中心から黒い煙が大量に溢れ出る。それから徐々に集まって黒い塊に・・・否、パンドンとバキシムの怨念が籠った人魂となった。

 

 

「おぉ、2体ともなかなかの怨みの籠った魂だ。これなら期待以上に強くなれるだろう」

 

 

2体の魂を見て黒マントの者は歓喜しながら言い、魂を自分の元に来させて両手の目玉の中に吸い込んだ。その様子を見て他の3人も嬉しそうに笑った。

その後4人は別の場所でも同じ事をして日の出が上がるのと同時に異次元空間に穴を開けてその中に姿を消した。

 

 

 

 

 

一方そんな事が起きているとは全く知らないクロウ達は、ギガ・ロボフォーの医療室で昨日連れ帰ったカミーラ達3人の看病をしていた。

傷の手当てを終わらせ、彼らを特製のベッドに寝かせて目覚めるのを待つ。交代で見守り今はジェロニモンの番で彼が自慢の羽根の手入れをしていた時、カミーラの目がゆっくりと開き始めた。

 

 

「こ、此処は・・・?」

 

「グェグェグェ!目ガ覚メタカ闇ノ戦士ヨ」

 

 

自分の知らない環境を見て混乱し、ベッドの上で体を起こしながら声を出すカミーラに気がついたジェロニモンが顔を覗く。

目の前に怪獣がいるのを見てカミーラは驚き、自分が変身する為のアイテム・金色のスパークレンスを取り出そうと懐に手を伸ばすが何処にもない。

 

 

「何ダ?変身シタイノカ?ダガソレハクロウ様ガ持ッテイルゾ」

 

 

カミーラが慌てながら懐の中を探す様子を見てジェロニモンは薄く笑いながらアイテムが無い事を伝える。それから部屋に備えてあった小型怪獣にも使える超万能な通信機でクロウにカミーラが目を覚ました事を連絡した。その間にカミーラは自分の隣にダーラムとヒュドラがまだ眠っている事など状況を確認した後、警戒しつつジェロニモンに訊ねた。

 

 

「クロウって・・・何者だ?」

 

「我ラノ偉大ナル怪獣ノ王デ、オ前ヲ助ケタオ方ダ」

 

「私を?・・・それで、そいつは今何処にいる?」

 

「マモナク此処ニヤッテ来ル。暫ク待ッテオレ」

 

 

そう言った時部屋の扉が開き、クロウ達が入ってきた。ジェロニモンは丁寧に頭を下げ、カミーラはクロウから溢れるオーラから自分よりも強い力を持っていると悟る。また、彼姿を見て頬が少し赤く染まる。それを後ろで見ていたリーシャとルーネは体から黒いオーラを出し、傍にいたグロラス達を震え上がらせた。

兎に角まだ2人眠っている医療室で騒ぎが起きるのはマズイと判断したクロウが手を振って皆を落ち着かせる。そして正面からカミーラを見つめて安心させるように優しくしながら訊ねた。

 

 

「目が覚めて安心したよ。怪我の方は大丈夫か?」

 

「えぇ・・・それについては大丈夫と言っておくわ。怪獣王クロウさん」

 

「クロウで構わん。それと・・・普通ならもっと休めと言いたいところだが、こっちも聞きたい事が結構あるんだ。素直に答えてくれないか?」

 

 

そう言ってお願いしながら俺はカミーラの様子をじっくり観察する。彼女はよく頭が切れる上に策略家だ。もし手玉にとられてしまう事になったら面倒だ。

その為つい警戒してしまい、それを感じてリーシャ達も同じ姿勢になる中、カミーラは視線を少し下に向けた後再びクロウの顔を見つめた。

 

 

「いいわ。貴方の知りたい事・・・全部話すわ」

 

「!!そうか・・・ありが「その代わり!」ん?」

 

 

まさか素直に話をしてくれるとは思っていなかったから少し驚きつつもお礼を言うとした時、突然カミーラが俺の手を両手で握って顔を近づけた。

 

 

「私達を・・・いいえ、私を貴方の傍に置かせて頂戴!」

 

「何?」

 

「えっ!?」

 

「なっ!?」

 

 

突然のカミーラの言葉に全員が驚きのあまり声を失う。特にリーシャとルーネは驚きのあまり口が開いたままだ。けどカミーラは気にせずに話を続ける。

 

 

「私、貴方の事が気に入ったの。貴方の為なら何でもする。ダメかしら?」

 

「い、いや・・・別にダメと言う訳では・・・(汗)」

 

 

いきなりそんな事を言われてもどう返事をしていいのか困る。そして後ろから凄まじい殺気が2つ感じる!誰かだって?そんなの言うまでもなくリーシャとルーネだ。見なくても分かるくらい黒いオーラを出しとる。

 

 

「・・・ねぇ貴方、ちょっといいかしら?」

 

「・・・早急に聞きたい事がある」

 

 

低い声でそう言いながらリーシャとルーネはクロウを強制的(?)に後ろに下がらせ、カミーラの前に出る。

 

 

「貴様、一体どういうつもりだ・・・?」

 

「何が?」

 

「いきなりクロウさんの傍にいたいなんて・・・何が目的なの?」

 

「目的も何も・・・私はあの人を見た時からずっと傍にいたいと思ったのよ。あの人から感じる強さに赤の他人である私達を助ける器の大きさ、なにより彼がカッコイイから好きになったわ///ティガよりも・・・」

 

 

少し恥ずかしそうに顔を俯かせながらカミーラは小声でクロウに惚れた事を2人に言う。しかし最後の部分はさらに小声だったので聞こえなかった。

 

 

「それに・・・貴方達だってクロウの事が好きでしょう?」

 

 

クロウの事が好き・・・カミーラにそう言われた瞬間2人は頬が赤くなって黙ってしまう。そして心の中で彼女もクロウの様々な部分に触れて好きになった者であると理解し、手強いライバルが増えた事に焦るのであった。

 

 

「けど残念ね、彼の愛を一番受けるのは私よ。2人には後ろで見ていて頂戴ね」

 

 

 

ビキッ!!!

 

 

 

カミーラの放ったその一言で和み始めていた雰囲気が再び悪化し、修羅場が発生した。その証拠にリーシャとルーネから先程よりも凄まじい黒いオーラが溢れ出た。

 

 

「新参者が余り出しゃばらないでくれないかしら?」

 

「そうだ。我が主クロウ様の愛を最も受けるのは私だ」

 

「いいえ!私よ!!」

 

 

3人の女の間に激しい火花が飛び交っている。それによりレイ、ジェロニモン、タクト、グロラスの4人はさらに震え上がる。そんな状況を見てクロウはため息をつきながら止めに入る。

 

 

「3人ともそこまでだ。そろそろ話を聞きたいんだがいいか?」

 

 

そう言うと3人はすぐに嫌悪な雰囲気を消し、リーシャとルーネはゆっくりとクロウの後ろに下がって優しい表情を向けた。

こんな修羅場はあまりと言うか・・・もう絶対やってほしくないものだ。

 

 

「それで、カミーラ。お前達はどうやってこの世界・・・いや、この星にやって来た?どうしてアーマードダークネスに操られていた?」

 

「えぇ、私や隣で眠っているダーラムとヒュドラは・・・かつて光の戦士・ウルトラマンティガに敗れて暗い闇の世界に落とされた。この闇の中をずっと永遠に彷徨い続けると思っていた時、突然恐ろしく威厳があって強烈な殺気が混ざった声がしたわ。さらに何かの力によって無理矢理引っ張られて行く感じもした。当然私は抗うとした・・・けどその声を聞いた途端、私は何も考える事ができなくなってしまい、気がつけばこの世界にいた。そしてあの鎧に忠実に従う人形になってしまった・・・」

 

「なるほど・・・そう言う事か」

 

 

カミーラの話を聞いていろいろと納得するクロウと怪獣に詳しいオキにレイが訊ねた。

 

 

「なぁクロウ、オキ、あの鎧にはそんな力もあるのか?」

 

「ううん、アーマードダークネスにはそんな力はないよ。きっとエンペラ星人の影響の為だと思う」

 

 

オキの推測を聞いて俺はそうだと頷く。カミーラ達に話し掛けたのは恐らくアーマードダークネスだ。けどオキの言う通り普通ならアイツにそんな事はできない。だが今回の場合、エンペラ星人の為に作られた時に得た自身の力とエンペラ星人の力とカリスマがなんらかの理由によって混ざり合ったから可能になったかもしれない。

そして話し合いがまだまだ続こうとした時、部屋に1体のアンドロイドが入ってきた。

 

 

「どうした?」

 

「ピピピッ!ピッピピ!」

 

「・・・そうか、分かった。すぐに行く」

 

「クロウ様、そのロボットは何て言っているんですか?」

 

「あぁ、どうやらギガ・ロボフォーの近くにレイオニクスがいて、そいつらが俺と戦えと言ってきているらしい。だからちょっくら「待ってくださいクロウさん!」うん?」

 

 

皆にロボットの言葉の意味を伝えてギガライブナイザーを持って外に行こうとしたところをリーシャが止めた。

 

 

「クロウさんが行く必要なんてありません。その者達は私が相手をします!」

 

「お、おぉ・・・分かった」

 

 

いつになくやる気と殺気が溢れているリーシャを見てつい承諾してしまった。

許可を得たリーシャはすぐさま部屋を出て外に出る。その後を追ってクロウ達も部屋を出て行き、残っていたカミーラは隣でまだ眠っているダーラムとヒュドラを静かに見つめた。

一方外に出たリーシャはレイオニクスを確認しようと周りを見渡すと空の上にカブトガニに似て前側が銀色で、後側が金色で植物のような構造の宇宙船がいた。

 

 

「モンスターキングではありませんね。何者です?」

 

「私はピット星人リーシャ!お前の相手は私よ!」

 

 

力強く高々と自分の名を言い、リーシャはネオバトルナイザーを構えてレイオニクスバトルに挑もうとするが・・・。

 

 

「・・・フハハハ、貴方如きが我々モネラ星人に勝てると思っているのですか?見の程を知りなさい」

 

「なんですって!?何様のつもりだ!」

 

 

相手がクロウでないと分かったこの宇宙人はリーシャに対して偉そうな態度をとる。

彼は宇宙植物獣人モネラ星人(RB)と言い、その名の通り植物が進化した知的生命体だ。そして人類抹殺を目論んだ連中と同じ高慢な性格の持ち主なのだ。

乗っている宇宙船・専用種子船モネラシードの中で高笑いするモネラ星人(RB)の態度に当然怒る。先程までのカミーラとのやり取りも加わってその怒りは凄まじいものだった。

 

 

「貴方は此処で私が倒してやる!行きなさい!モスラ!!」

 

「やれやれ、愚か者にはそれ相当の罰を与えないといけませんね。行きなさい!ゲランダ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピュアアアアアァァーー!!」

 

「カアアキュフィィィィィ!!」

 

 

怒りの声を上げながらリーシャはモスラ・レオを召喚し、モネラ星人(RB)は面倒くさそうに青色で骨の様な体と大きな翼を持つ宇宙有翼骨獣ゲランダを召喚する。

ギガ・ロボフォーの中でモニターを通じて戦いの様子を観ていたクロウは、内心リーシャ達の苦戦は免れないと思った。

そんな中でレイオニクスバトルは始まった。

 

 

「さぁゲランダよ。その虫けら怪獣をさっさと倒してしまいなさい!」

 

「カアアキュフィフィィィィィ!!」

 

「モスラ、絶対に負けないで!」

 

「ピュアアアアアァァーー!!」

 

 

モネラ星人(RB)の命令を受けたゲランダは翼を広げて空高く飛び、頭部の『角骨』と呼ばれる角を構えモスラ・レオ目掛けて突進した。

対してモスラ・レオは『エクセル・ダッシュ』で迎え撃つ。

 

 

 

ドッゴオオオオオオン!!!

 

 

 

激しい衝撃波と激突する音が周りに響く。けど2体はどちらもそれ程ダメージを受けず飛び続ける。なかなか防御力が高いと判断したリーシャはモスラ・レオに光線技を放つよう命じる。

モスラ・レオは命令を聞いてさらに空高く飛翔し、ゲランダの真上に着くとそのまま回転しながら垂直降下して『クロスヒート・レーザー』と『アローバスター』でゲランダを撃ち落とそうとする。

しかしゲランダは2つの技を受けて体から火花を散らしつつも飛び続けた。

 

 

「嘘!?」

 

「ピュアアァァッ!?」

 

 

これを見てリーシャとモスラ・レオは驚きの声を上げる。今までモスラ・レオの光線を受けて無傷だった怪獣がいなかった事からその驚きは大きかった。

そんな彼女達を見てモネラ星人(RB)は愉快そうに笑いながら説明した。

 

 

「愚かですね。ゲランダは光線への耐性がとても強いんです。貴方の虫けら怪獣の光線で倒せる訳がありませんよ」

 

 

再び偉そうに言うモネラ星人(RB)にリーシャは再び怒りの表情になるが、モスラ・レオの主な得意技である光線攻撃が効かない事を思い出してモスラ・レオと一緒に悔しがる。

 

 

「フフフ・・・貴方達の相手には勿体無いですが、更なる絶望を与える為にも私のもう1体の最高の怪獣を出しましょう。行きなさい!デスフェイサー!!」

 

 

そう言ってモネラ星人(RB)はもう1体の怪獣を召喚した。

その怪獣は右腕の伸縮自在の鋏『デスシザース』と左腕のガトリングガンが特徴で、網目模様を思わせる様な姿と特徴的な形状の頭部を持つロボット怪獣・電脳魔神デスフェイサーだ。

 

 

「あれはデスフェイサー!?かなり強いロボット怪獣ですよ!!」

 

「本当か!?クロウ、リーシャは大丈夫なのか?」

 

 

デスフェイサーを見てオキが強い怪獣だと言い、それを聞いたヒュウガ達が助太刀しなくていいかと騒ぎ出す。

 

 

「ゲランダとデスフェイサー・・・これは流石にリーシャ達に分が悪すぎだな」

 

 

助太刀しようと俺がギガライブナイザーを構えた時、突然扉の前部分に何者かがテレポートで現れた。振り向くとそこには7人のモネラ星人が立っていた。俺が劇場版で見ていた時と同じで、どうやら惑星ハマーでも団体で活動していたようだ。

彼らを見てルーネやロボット達が慌てて刀と銃を抜こうとするが、それよりも早くモネラ星人達が銃を構えた。

 

 

「フフフ、愚かな地球人!そして宇宙人共!全員動かないでもらいましょうか」

 

「くっ!」

 

 

自分達が優位に立っているからさらに偉そうな態度をとるモネラ星人を見て全員が怒りの表情になる。しかし彼らのその表情もモネラ星人達にとってはただ顔芸をやっているとしか思っていなかった。そんな状況の中でただ1人・・・クロウだけはモネラ星人達を無表情で見つめていた。

 

 

「おやおや、どうしましたか怪獣王様?もしかして我々の素晴らしい侵入の仕方を見て言葉も出ませんか?」

 

「・・・いや、人の宇宙船に勝手に入って来た奴らの最期は哀れなものだと思ってな」

 

「は・・・?」

 

 

何を言っているんだと彼らが思った時、突然何かが落ちてきた。しかも雪のように次々と落ちてくる。手に取ってみるとそれは蜘蛛の糸だった。何故こんな所でと慌てて上を向いてみると天井に数体の巨大蜘蛛・大ぐも タランチュラが巣を張り巡らせていた。そしてこちらに向かって糸を吹き掛け絡み取ろうとする。

 

 

「なっ!?」

 

「キュキュー!!」

 

 

モネラ星人達は驚きのあまり銃で攻撃する事が忘れその場に立ったままで、その為に飛び掛かって来たタランチュラ達を避ける事ができなかった。

悲鳴を上げながらモネラ星人達は必死にタランチュラ達を振り払うとする。普通のタランチュラだったらモネラ星人にとって追い払うなど造作もない事だが、このタランチュラ達はクロウの力によって戦闘能力が高く上がっており、また仲間同士で協力し合って襲ってきている為難しかった。

 

 

「ぎゃああーー!!」

 

「ぐあああーー!!」

 

 

タランチュラ達はモネラ星人達を鋭い牙で噛みつき、さらに口から『溶解液』を吐いて溶かし、中身が出たところを食べ始めた。この悲惨な光景にレイやヒュウガ達は顔を背けたが、クロウ達は何とも思っていなくただ無表情で見つめた。

しかしモネラ星人達もやられっぱなしな訳ではなく、7体の内3体が振り払う事に成功して必死に逃げようとするが・・・。

 

 

「逃げられるとでも思っているの?」

 

「「「!?」」」

 

 

突如目の前の扉が開き、そこに人間態のカミーラ、ダーラム、ヒュドラの3人が立っていた。そしてダーラムは自慢の怪力によるパンチで、ヒュドラは素早く足を上げて踵落としでモネラ星人2体の頭をそれぞれ木端微塵に破壊した。

 

 

「ほぉ~~、やっぱり2人の力は大したものだな」

 

 

2人の力を見て俺が感心していると残ったモネラ星人が最後の抵抗とばかりに銃を放つ。放たれた弾丸は一直線に俺に向かって来るが俺は避けようともせず、左手を素早く前に出して受け止めてそのまま握り潰した。それを見たモネラ星人は信じられないと言わんばかりの表情になる。

 

 

「そ、そんな・・・ば、化け物・・・」

 

「やれやれ・・・俺が化け物ならお前は醜い物だな。醜い物はさっさと消えろ。カミーラ!!」

 

「ふん!」

 

 

クロウの合図と共にカミーラは手から電撃を放つ。それを受けたモネラ星人は悲鳴を上げる暇もなく爆発して消滅した。

侵入した敵を全て倒した事に全員がホッとするがクロウだけは違った。まだ戦いは行われている。早くリーシャに加勢しない危ないと思いながら急いで外に出て行く。

そして戦況を確認してみるとリーシャとモスラ・レオがモネラ星人(RB)によって絶体絶命の危機に陥っていた。

 

 

「キカカカカカカ」

 

 

機械音を鳴らせながらデスフェイサーが左腕から『ガトリングガン連射』でモスラ・レオを何度も攻撃する。その弾丸はリーシャの方にも放たれ、それによりリーシャは他の怪獣を召喚できず助ける事ができなかった。また、相手がかなりの強さだった事もあって心の中で恐怖と焦りが出始めてしまった。

それによりモスラ・レオはどう反撃していいか分からず、ただデスフェイサーの攻撃を上下左右に動いて必死に避けるしかなかった。

だが長時間動き続けた事で徐々に鈍くなっていき、その隙をついたゲランダが口から赤色で全ての物体を消し去る光弾『ジービーム』を放つ。

 

 

「ピュアアァッ!?」

 

「モスラ!?」

 

 

光弾がモスラ・レオに命中するかと思った時、横から光線が放たれて『ジービーム』を撃ち消した。さらに光線はデスフェイサーの方にも放たれるが、デスフェイサーは反射バリヤーの『ジェノミラー』で跳ね返し防いだ。

 

 

「え・・・?」

 

「な、何です!?」

 

 

突然の事にモネラ星人(RB)は驚き、光線が放たれた方向を見るとそこにはバトラがいた。しかも前回とは違い今のバトラは成虫の姿だ。

何故この姿かと言うとクロウに回収された後バトラの戦闘能力はパワーアップし、とある光の巨人のように自分の意思で幼虫から成虫に、成虫から幼虫に姿を変える事が可能になったのだ。故に今の姿ではバトラ(成虫形態)である。そしてバトラの下にクロウが堂々とゆっくりとリーシャの元へ歩いていた。

 

 

「怪我はないかリーシャ?」

 

「クロウさん・・・はい!大丈夫です!」

 

「そうか、なら一緒に戦うぞ!」

 

「!?は、はいぃ///」

 

 

助けに来てくれた上に優しい表情で一緒に戦うと言った事でリーシャの顔は真っ赤になり、さらに頭から蒸気が勢いよく噴き出ていた。

 

 

「ピュアアアアアァァァァ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

主人がそんな事になっている間モスラ・レオもバトラを嬉しそうに見つめ、お互いに頷いた後デスフェイサーとゲランダを睨み付けた。そして2体同時に勢いよく突撃した。

 

 

「ようやく現れましたねモンスターキング!貴方を倒せば私がレイブラッドの後継者になったも当然・・・必ず倒してやります。ゲランダ、迎え撃ちなさい!」

 

「カアアキュフィフィィィィィ!!」

 

 

命令を聞いたゲランダは翼を広げて空を飛び、角を構えながら2体目掛けて一直線に向かって行く。それを見て2体は『レインボーバスター』と『プリズム光線』を同時に放つ。

 

 

「本当に愚かですね。ゲランダに光線は効k・・・!?」

 

 

モネラ星人(RB)は自信満々に“効かない”と言う筈だったが、目の前の光景を見て言葉が言えなくなってしまった。

 

 

「カアアキュ・・・フィフィィィィィ!!」

 

 

何故ならゲランダが2体の光線を受けて悲鳴を上げながら爆発してしまったのだ。如何に光線への耐性が強いゲランダでも再び戦いに集中できて、心の恐怖が消えたリーシャの影響で強くなったモスラ・レオと高い戦闘能力を持つバトラの合体光線の前では歯が立たなかった。モネラ星人(RB)は信じられないとばかりに何度もゲランダの名を言う。

 

 

「そんな、ゲランダが・・・私のゲランダが!?」

 

「ククク、どうした?随分と慌てているではないか。俺を倒してレイブラッドの後継者になるのではなかったのか?」

 

「きっとようやくクロウさんとの力の差が分かったんですよ。今ならまだ服従すれば助かりますよ?」

 

 

動揺するモネラ星人(RB)にクロウとリーシャは挑発気味に言う。特にこれまで何度も馬鹿にされたリーシャは強く言う。それを聞いてモネラ星人(RB)は初めて怒り狂った表情になった。

 

 

「黙れ!まだ私にはデスフェイサーがいる!デスフェイサー、あの虫けら怪獣2体を倒せ!!」

 

「キカカカカ!!」

 

 

モネラ星人(RB)の怒りのせいかデスフェイサーは先程よりも大きく機械音を鳴らせながら左腕の『ガトリングガン連射』を放ち、右腕の『デスシザース』を伸ばして攻撃する。

 

 

「もうその攻撃は通じないわ。モスラ、イリュージョン・ミラージュよ!」

 

「ピュイイィィッ!ピュアアアアアァァァァ!!」

 

 

モスラ・レオは攻撃を避けながら空を最大飛行速度で飛び、体の過剰な荷電によって短時間だけ超高速飛行を可能とする状態・フラッシュ状態になる。そしてそのエネルギーにより無数のクリスタルモスラに分身し、体当たり攻撃する技『イリュージョン・ミラージュ』を食らわせる。

本来なら敵の様々な体の部分に体当たりする技だが、クリスタルモスラ達は左腕の関節部分に集中攻撃した。

 

 

「なっ!?貴様何を!デスフェイサー、早く撃ち落としなさい!!」

 

「キカカカカ!?」

 

 

モスラ・レオの攻撃に最初は戸惑っていたモネラ星人(RB)だが、敵が関節部分に攻撃しているのを見て慌て出し、デスフェイサーに撃ち落とすよう命令する。

デスフェイサーは必死に『ガトリングガン連射』でクリスタルモスラを撃つが、圧倒的な数の前に押され、とうとう関節部分を破壊されて左腕が落ちてしまった。

それでもデスフェイサーは攻撃を止めず『デスシザース』を伸ばして振り回しながら激しく動き回った。

 

 

「焦った時点でもう勝負は俺達の物だ。バトラ、奴に新必殺技を食らわせてやれ!」

 

「ピュヴヴヴ!ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

動き回るデスフェイサーにバトラは猛スピードで真正面から突っ込んでいく。そしてその途中、成虫形態から幼虫形態に変わって角にエネルギーを集める。すると角は赤黒く光り通常よりも倍の長さになった。

 

 

「キカカカカ!?」

 

 

デスフェイサーがバトラに気が付いた時には遅く、バトラはタイミング良く頭を振り下ろし、角で右腕を切り落とした。

 

 

「どうだ?これぞバトラの新必殺技・プリズムブレードだ!!」

 

 

ちなみにあの技はギロンの技をモデルに考え、特訓して生み出した技だ。今回が初めての実戦だったが、上手くいって良かった。

対してデスフェイサーは両腕の武器を失い、グロッキー状態になってしまった。

 

 

「まだだ・・・まだ終わらんぞ!デスフェイサー、ネオマキシマ砲だ!!」

 

 

ほぼ決着が付いた状況なのにモネラ星人(RB)は諦めようとはせず、デスフェイサーに最後の手段を使うように命じる。するとデスフェイサーの胸の部分が開き、そこから砲台が現れた。これがデスフェイサーの最後の手段であり、とある世界の防衛軍にとっては禁断の兵器『ネオマキシマ砲』である。

 

 

 

ププププププププ・・・!!

 

 

デスフェイサーは『ネオマキシマ砲』をモスラ・レオとバトラ、さらにクロウ達がいる方向に向けるとチャージし始める。それを見たリーシャが慌て出す。

 

 

「クロウさん、アレは危険です!急いで防御を・・・」

 

「いや、その必要はない。バトラ、もう一度プリズムブレードだ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

再び『プリズムブレード』を出したバトラはすぐさま走り出し、デスフェイサーの胸を貫いた。それによりデスフェイサーは『ネオマキシマ砲』を失ったばかりか、致命傷を負って完全に機能停止してしまった。そしてバトラは最後の仕上げとばかりに頭を上げてデスフェイサーを大きく投げ飛ばした。

 

 

「なっ!?ひっ・・・ぎゃあああああぁぁぁーーー!!」

 

 

投げ飛ばされた先にはモネラシードがあり、それとぶつかった事でデスフェイサーは大爆発する。その爆炎に巻き込まれたモネラ星人(RB)はモネラシード共々一瞬で黒焦げになってしまった。

そんな光景を見てクロウとリーシャは戦いが終わってほっと一息つく。

 

 

「終わったか。やれやれ、あんな奴とはもう戦いたくないものだ。本当に面倒くさい・・・」

 

「私もあんな性格な相手だとそう思います。けど勝てて良かったです。お疲れ様モスラ、バトラ!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「ピュアアアアアァァァァ!!」

 

 

戦いに勝利できた上、褒められた2体は嬉しそうに鳴き声を上げる。そんな2体を見て心を癒されながら回収してギガ・ロボフォーに戻った。

そしてコックピットに入るとジェロニモン達やカミーラ達が床に膝を付けた臣下の姿勢で待っていた。

 

 

「オ疲レ様デシタクロウ様、リーシャ」

 

「「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」」

 

 

ジェロニモンを代表に全員がお疲れ様だと言う。まさかこんな事になるとは思っていなかった。それに小型怪獣やロボット達も頭下げているし・・・だが、王としてここで取り乱すのはマズイ。

 

 

「あぁ、待たせたな。それと侵入者共の後片付け、ご苦労だった」

 

「ハッ!ソレトクロウ様、ソコニオルカミーラ達ガ話シタイ事ガアルソウデス」

 

 

そう言うとカミーラ達3人が頭を下げたまま1歩前に出る。彼女達の様子を見てある程度予想は付くが、静かに話を聞く。

 

 

「それでカミーラ、ダーラム、ヒュドラ、俺に話したい事とは何だ?」

 

「はい、此処へ来る前に3人で話し合った結果、私達3人は本日持ってクロウ様の配下になります!」

 

「(やっぱりか・・・)本当にいいのか?後悔しないか?」

 

「はい。先ほど言った通り3人で話し合った事なので」

 

「貴方は闇の戦士である俺達を守ってくれた。それにカミーラの言った通り器が大きい。俺は貴方の部下になりたい、マイ・ロード」

 

「それにあんたと俺達じゃ力の差が大き過ぎるしな。俺もあんたなら付いて行っても良いぜ大将」

 

「・・・分かった。今日から宜しく頼むぞ」

 

「「「ハッ!!」」」

 

 

やっぱり仲間が増えると言う事は嬉しい事だな。しかも有能な者なら尚更だ。それから全員に自己紹介してレイ達にカミーラ達が仲間になった事を伝えた時、突然警報が鳴った。

 

 

「どうした?」

 

「前方に巨大な異次元反応!」

 

「異次元反応だと!?」

 

 

と言う事はもしかしてアイツかと思った瞬間、ギガ・ロボフォーとペンドラゴンの前に大きな異次元空間が現れてそこから巨大ヤプールの姿が映った。

 

 

「ヌハハハハ!久しぶりだな。忌々しいレイオニクスよ!」

 

「ヤプール・・・俺達に何の用だ?」

 

「フフフ、今から貴様達を招待してやろうと思ってな。我が異次元の世界に!」

 

 

そう言った瞬間、異次元空間から強力な重力場が発生する。

 

 

「ボス!ペンドラゴンが引き寄せられています!」

 

「クロウ様、こちらも同じです!」

 

「緊急発進だ!急いで離れるんだ!」

 

「ダメです。もう間に合いません!」

 

 

激しく揺れる機体の中で必死に脱出しようとするが間に合わず、ギガ・ロボフォーとペンドラゴンは異次元空間に吸い込まれて消えて行ってしまった。それと同時に異次元空間は消滅する。

 

 

「ヌフフフ!フハハハハーー!!」

 

 

周りが静かになる中、ヤプールの笑い声だけが大きく響くのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
電脳魔神デスフェイサー


とある世界の防衛軍が開発した巨大戦艦を奪ったモネラ星人の手によって変型し誕生したロボット怪獣。
網目模様を思わせる様な姿と特徴的な形状の頭部が特徴である。
主な武器は右腕の伸縮自在の鋏『デスシザース』と左腕のガトリングガンの『ガトリングガン連射』に、胸の部分に備えてある『ネオマキシマ砲』である。また、両腕をクロスさせて光線を跳ね返す反射バリヤー『ジェノミラー』も持つ。
モネラ星人の主力怪獣で、仲間のゲランダと一緒にレイオニクスバトルを行う。リーシャのモスラ・レオは大苦戦する程の実力を持つが、バトラの参戦で逆転されて倒されてしまった。
リーシャ曰く「今まで出会ったロボット怪獣の中で一番強かったかもしれない」との事だ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話 異次元の戦い!灼熱地獄の罠

皆様、お久しぶりです。
今回はオリジナル話と言う事でいろいろと考え、時間をかけて(少し掛け過ぎた(笑))長く書きました。今回からクロウは少ししか出なく、その仲間達が主役となります。
そしてヤプール配下の正体が順番に明らかになっていきます。
そして今回は激しいバトルに加え、宇宙人同士の友情シーンもあります。とても良いシーンなので是非読んで下さい。
感想と評価をお待ちしております。

冷凍怪獣ラゴラス、進化怪獣ラゴラスエヴォ、宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン
復讐ロボット・ザムリベンジャー、異次元人 巨大ヤプール、マグマ超人マザロン
地獄超獣マザリュース、伝説怪人ナマハゲ、黒雲超獣レッドジャック
雪超獣スノーギラン、冷凍怪獣ペギラ、火炎骨獣グルジオボーン、暗殺怪獣グラール   登場



前回、突如現れたヤプールの手によってクロウ達は異次元空間へ吸い込まれてしまった。

異次元空間はまるで暴風のようで、時々発生する黒い雷と互いにぶつかり合うせいでギガ・ロボフォーとペンドラゴンはダメージを受ける。そんな中でクロウ達は必死に衝撃に耐えていた。

 

 

「クロウ様!このままでは船が危険です!」

 

「くっそ~~ヤプールの奴め!一体どこまで連れて行く気だ!?」

 

「ヌハハハハ!知りたいかレイオニクスよ?」

 

「ッ!ヤプール!!」

 

 

必死に耐えようとするクロウ達を嘲笑いながらヤプールが再び姿を現した。

 

 

「今から貴様ら全員に異次元の世界の素晴らしさをたっぷり味わってもらう。そして恐怖と絶望の負のエネルギーを我に捧げ、永遠の死を受け取るがいい!ハアァッ!!」

 

 

そう言った後ヤプールは鎌状の右手を勢いよく振るう。するとクロウ達の体に黒い靄のような物がまとわりつき、そのまま浮かび上がらせた。抵抗しようにも体のバランスが悪いのと異次元エネルギーのために能力が使えなかった。

そしてヤプールがまた鎌を振るうとギガ・ロボフォーとペンドラゴンの近くに4つの異次元の穴が開いた。

 

 

「フフフ、この4つの穴の先に我が軍最強の四天王が貴様達の相手をしてくれる。さぁ!異次元の世界を楽しめーー!!」

 

 

そしてクロウ達はヤプールの手によってバラバラにされ、4つの穴に吸い込まれていった。

 

 

「これでレイオニクス共も終わりだ。奴らを倒した暁には、手に入ったマイナスエネルギーでさらに強い超獣共や強豪怪獣共を蘇らせ、最強軍団を誕生させて今度こそウルトラ戦士共を・・・フハハハ!ヌッハハハハハーー!!」

 

 

これから起きるであろう未来を想像したヤプールは笑いを堪えきれず、誰もいない異次元空間の中を高笑いするのであった。

 

 

 

 

一方その頃、異次元の穴の1つに吸い込まれたグロラスは見渡す限り荒野で時々岩山があり、空が真っ赤に染まっている場所にいた。

 

 

「一体此処は何処なんだ?それに・・・なんて暑い所なんだ」

 

 

グロラスは顔と体から大量の汗を流しながら周りに誰かいないか探す為歩き続けていた。しかし何処行っても時々岩などが転がっているばかりで人の気配など感じられなかった。そして暫く歩き続けた後、とうとうその場に膝をついてしまった。

 

 

「ハァハァ、ダメだ。もうこれ以上・・・動けない。体を冷やさないと・・・」

 

 

そう言ってちょうど近くにあった大岩の陰に入って体を冷やそうとした時、上空から機械音が聞こえてきた。見上げるとそこには円盤形態のザムリベンジャーがいた。

そして中からタクトが出て来てグロラスの元へ駆け寄った。

 

 

「グロラス!大丈夫?」

 

「お・・・おぉ、タクト。大丈夫だ・・・少し体が溶け始めている以外問題ないぜ」

 

「それかなりヤバイ状態じゃん!?ザムリベンジャー、何とか冷やす方法はある?」

 

『内部にオーバーヒート用に備えてあった冷凍ガスを所持してあります。それを彼に噴き掛けますので、マスターは少し離れていて下さい』

 

 

グロラスが危険な状態であるのを見てタクトはザムリベンジャーに即刻冷やすように指令を出す。ザムリベンジャーはすぐさま目の部分から冷凍ガスを噴射して彼を中心に周り一帯を冷やす。それによってグロラスは徐々に力を取り戻していった。

 

 

「ふぅ~~・・・力が湧いてきたぜ。ありがとうよタクト!」

 

「別に良いって!それよりも早く此処から抜け出してクロウ様と合流しよう」

 

 

2人が一緒にザムリベンジャーに乗ろうとした時、何処からか不思議な歌と笑い声が聞こえてきた。

 

 

「お前は神を信じなさい♪ホーレ信じなさい♪お前はお前を信じなさい♪ホーレ信じなさい♪お前は俺を信じなさい♪ホーレ信じなさい♪ウヒャヒャヒャ~~~♪」

 

「な、何だ・・・?」

 

「あっ!あそこに誰かいる!」

 

 

2人が周りを見渡すと少し離れた所に奇怪な踊りをしているあの黒マントの怪人がいた。怪人はグロラスとタクトが自分を見ている事に気が付くとマントと帽子を脱ぎ、自分の正体を現した。

 

 

「お前は誰だ?」

 

「我はマザロン人。偉大なる我らの神ヤプールに仕える異次元軍団の四天王であり、この空間の支配者だ」

 

「何!?お前がヤプールの言っていた四天王なのか?」

 

「そうだ。貴様達レイオニクスからマイナスエネルギーを得て、抹殺するのが我の使命だ。今からお前達に死の恐怖を味わってもらう!」

 

 

そう言ってマザロン人の真っ赤な眼が光ると彼のいる場所の上空から突然黒雲が発生し、その中から2体の超獣と1体の怪獣が姿を現した。

1体は全身が青色で腹と手、背中に生えてる鰭、顔にある棘などが赤くなっているのが特徴の黒雲超獣レッドジャック。

もう1体はこれまた全身青色で真っ赤な顔にホース状の口、頭部にある6つの黄色い球が特徴の雪超獣スノーギラン。

そして最後に現れた怪獣は、前者の超獣2体とは違って全身が金色に輝き鋭角状の突起や鱗に覆われ、赤い4つの眼が特徴の暗殺怪獣グラールである。

 

 

「さぁ、偉大なる神ヤプールの手によって蘇った超獣達よ!そこにいるレイオニクスを倒せ!!」

 

「ガアアアァァァッ!!」

 

「ヴオオオォォォッ!!」

 

「ジュッジャアアアアァァヴゥゥッ!!」

 

 

マザロン人の命令を聞いてグラールを先頭に3体はグロラスとタクトに向かって歩き出す。それを見てグロラスは腰に備えてあったネオバトルナイザーを取り出す。

 

 

「フン!あんな奴らにやられてたまるか!行くぞタクト!・・・タクト?」

 

「あっ、あ、あぁ・・・グ、グラール・・・」

 

 

グロラスは隣にいるタクトから返事が来ない事に不思議に思って振り向いて見るとタクトはその場で足を震わせ、口からグラールの名前を溢しながら怯えていた。何度声をかけてもタクトはその状態であった。

 

 

「おいタクト!?あぁもう!兎に角行け!ラゴラス!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

 

召喚されたラゴラスは迫り来る3体を見ても怯まず、逆に力強く咆哮を上げる。それを聞いたグラールは足を止め、目の前にいる敵が強敵であると悟った。

そして自分の後ろにいる超獣2体に突撃するよう唸り声を出す。本来なら怪獣より超獣の方が強い筈なんだが、このグラールは並みの怪獣とは違ってかなりの強豪であり、それを本能的に知っている2体は素直に命令に従って突撃した。

 

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

「ガアアアァァァッ!?」

 

「ヴオオオォォォッ!?」

 

 

それに対してラゴラスは真っ向から受け止めた。この事に2体は驚きの声を上げる。相手は1体、しかも自分達は超獣だ。特にレッドジャックの体の赤い部分は6千度の超高温で煮えたぎっている。冷凍怪獣なら耐えられない筈なのに触れても平気・・・こんな事はあり得ないと思うあまり戦いに集中できずにいた。

その隙をついてラゴラスは頭を振って角で攻撃し、2体をブッ飛ばした。そして反撃の隙を与えず、口から『冷凍光線』を放つ。それによりレッドジャックは足と尻尾の赤くない部分と地面が凍ってしまい、動けなくなってしまった。

しかしスノーギランは違った。怯みはしたが凍らず、口から吐く吹雪と頭部から放つ『フラッシュ光線』でラゴラスの動きを止めると太い腕を振り回して何度も叩いて反撃する。

 

 

「ピュアアアアアアッ!?」

 

 

この攻撃にラゴラスは悲鳴を上げ、ダメージによりふらついて倒れかける。それを見たスノーギランがチャンスとばかりに接近するが、これはラゴラスの作戦だった。

近づいてくるスノーギランにラゴラスはタイミング良く頭の角を勢いよく振って顔に命中させた。強烈な一撃を食らったスノーギランは大きくブッ飛ばされて転がり、顔を押さえながら悶える。

邪魔が入らなくなった後ラゴラスは敵の大将とも言えるグラールに向かって走り出す。対するグラールも大きくドスンドスンと足音を立てながら迎え撃った。

その間グロラスはタクトを連れて大岩の後ろに隠れ、彼の肩を掴んで理由を訊ねた。

 

 

「おい、どうしたんだタクト!あの金色の怪獣が出た途端に怯え出して・・・アイツが一体何だっていうんだ!?」

 

「・・・アイツは暗殺怪獣グラール。かつて僕達ザム星人を全滅させようとした怪獣なんだ」

 

「何だと!?」

 

「アイツの為に地球や他の星に逃げ延びていた仲間達は全滅してしまった。けど、ウルトラ戦士が倒してくれたおかげで遠い星にいた僕を含む数十人はなんとか生き残れた」

 

 

そう言った後タクトは懐からネオバトルナイザーと不思議なカプセルを出した。

 

 

「その後僕が新しく住める星を探す旅に出た事は知っているよね?けど僕にはもう1つある目的を果たす為に宇宙の旅に出たんだ。それは地球で亡くなったザム星人10億人分の遺伝子情報が収められているカプセル・シードを手に入れる事だ。地球に隠されていたのを秘密裏に手に入れ、本来これの持ち主であった親友エスラーの使命を変わりに果たそうと彼らを復活させようとしたんだ。だけど無駄だった。僕には仲間を復活させる事ができなかった」

 

 

悲しそうに顔を俯かせるタクト。そんな彼の耳にある噂が入った。

突如出現して惑星を手に入れた怪獣王クロウ様は、凄まじい力を持っている!と言う噂である。

それを聞いてタクトは思った。怪獣王クロウなら皆を復活させる事ができるんじゃないか?そして願いを叶えてもらう為にはそれなりの献上品が必要だ。故にタクトは旅の途中で手に入れたバトルナイザーにドレンゲランとザムリベンジャーを連れて惑星ハマーに来て、他のレイオニクス達のバトルナイザーを集めていたのだ。

話を聞いた後グロラスは何度も頷く。

 

 

「なるほどな~~。だったら尚更此処でやられる訳にはいかないぜ。アイツを倒してさっさとクロウ様に合流しないとな」

 

「で、でも・・・相手はあのグラールなんだよ!?勝てる訳が・・・」

 

「それじゃ、親友の使命はどうするんだ?果たすと言う思いは嘘なのか?」

 

「それは・・・」

 

「それに・・・お前には俺達仲間や怪獣達がいるだろう?」

 

「ッ!!」

 

 

グロラスの言った言葉を聞いてタクトは思い出した。自分には怪獣がいる、と言う言葉はかつてクロウが自分に言った言葉と同じだった。それと同時にタクトの心の中から次第と恐怖心が消えていった。

 

 

「俺達はクロウ様に認められ者なんだ。もし此処でアイツを倒せばさらにクロウ様から良い評価を得られる筈だ。そうすれば・・・どうなるか分かるだろう?」

 

「そう、だ・・・僕はこんな所でやられる訳にはいかない!」

 

 

そして彼の心の中から完全に恐怖心が消え、変わりに激しい闘争心が湧き上がる。

 

 

「必ず生き残ってクロウ様の元へ!行け!ドレンゲラン!!ザムリベンジャー!!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ピュルルルルルル!ウィーン!ウィーン!」

 

 

完全に戦意を取り戻したタクトはネオバトルナイザーからドレンゲランを召喚する。それに伴ってザムリベンジャーも円盤形態から戦闘モードへ移行する。そしてロボット怪獣となってドレンゲランの傍に降り立つ。

その頃ラゴラスはグラール相手に善戦するが、暗殺怪獣の名と強さは伊達ではなく、ラゴラスのパンチやキック、角攻撃、口から吐く『冷凍光線』を受けても全く怯まず、逆にグラールの怪力で体を持ち上げられて投げ飛ばされてしまう。さらに立ち上がったところへグラールが頭の角から放った『電撃光線』と口から放った『高熱火球』によりダメージを食らい倒れてしまった。

 

 

「ウヒャヒャ!流石はグラール!大した強さだ。さぁ、お前達もさっさと立ち上がれ!奴を倒すんだ!」

 

 

「ガアアアァァァッ!!」

 

「ヴオオオォォォッ!!」

 

 

グラールの強さにマザロン人は満足する。そしてあまりの気分の良さにその場でまたあの不思議な踊りをする程であった。

それと同時にレッドジャックとスノーギランが凍りから抜け出し、マザロン人の命令に従いつつ先程のお返しをしようとラゴラスに必殺技を放とうとするが・・・。

 

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ピュルルルルルル!」

 

 

間一髪ドレンゲランの頭突きとザムリベンジャーの両腕から放たれたミサイルがレッドジャックとスノーギランに命中し、2体を怯ませた。また、グラールにもミサイルが迫るが、彼は『電撃光線』で防ぐ。だがその間に2体は倒れているラゴラスを救出して立ち上がらせ、横一列に並び立つ。

 

 

「ドレンゲラン!ザムリベンジャー!ラゴラスと一緒にアイツらを倒せ!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ピュルルルルルル!ウィーン!ウィーン!」

 

「ならば俺達も・・・ラゴラス!今こそクロウ様との特訓の成果を見せる時だ。さぁ、パワーアップしてアイツらを倒せ!」

 

「ピュアアアアアアアアアァァァッ!!」

 

 

指示を受けたドレンゲランは首を振りながら大きく咆哮を上げ、ザムリベンジャーは両腕を上下に力強く振るう。そしてラゴラスは両腕を前に組んで力を込めると体が強く光り始める。光が止むとラゴラスの体は大きく変わっていた。

体色が赤くなり、口元と体の様々な部分に鋭い牙と棘が生えた。これぞラゴラスがとある怪獣の力を得て進化した姿・進化怪獣ラゴラスエヴォだ。

 

 

「いいかタクト、グラールは最初俺達が相手をする。その間にお前は残りの超獣達を倒してくれ」

 

「分かった。素早くアイツらを倒して加勢しに行くから!」

 

「頼んだぜ。それじゃ行くぞ!ラゴラスエヴォ!!」

 

「ピュアアアアアアァァァギィエエヴヴヴゥゥッ!!」

 

 

先程よりも高いラゴラスエヴォの咆哮を合図に3体は走り出す・・・正確にはノッシノッシと歩くドレンゲランを除く2体であるが(汗)。

兎に角、敵が向かって来るのを見てグラール達も走り出し、それぞれ自分の相手とぶつかった。よってこの赤い大地にてドレンゲランVSレッドジャック、ザムリベンジャーVSスノーギラン、ラゴラスエヴォVSグラールの戦いが始まった。

 

 

 

まず最初はドレンゲランVSレッドジャックで、首を振り回して鞭のように打ち付けてくるドレンゲランにレッドジャックは口から2千度の火炎放射『ヘルファイヤー』を放って攻撃する。

だが防御力が高いドレンゲランにとって、この程度の火炎など少し温かいと言う感じだった。そしてお返しとばかりに口から何発の『火炎弾』を放つ。

 

 

「ゴオオォォッ!ガアアアァァァッ!!」

 

 

いくつもの『火炎弾』を受けてヨロめくレッドジャックだが、彼は防御力がそれ程の変わりに高い体力を持っており、放たれた『火炎弾』全部を食らっても耐え抜いた。

そして次に猛スピードで動き回りながらパンチやキック等を何度も打ち付け、格闘戦でドレンゲランに挑んだ。

これには流石に鉱石でできているドレンゲランの体も悲鳴を上げ、鉱石にヒビが入ったり、破片が飛び散ったりした。

そのピンチを見ていち早く駆けつけたのは・・・ザムリベンジャーだった。

 

 

「ピュルルルルルル!ウィーン!ウィーン!」

 

「ガアアアァァァッ!?」

 

 

機械音を鳴らしながら歩いて来たザムリベンジャーは、両手の爪パーツを展開してそこから緑色の破壊光線を放ってレッドジャックを攻撃した。

 

 

「あのロボット・・・何故此処にいる!?アイツは確かスノーギランが相手をしている筈!!」

 

 

突然現れて加勢するザムリベンジャーを見てマザロン人は驚愕する。そしてスノーギランが戦っていた場所を見る。そこでは完全なグロッキー状態で倒れているスノーギランがいた。

先程までザムリベンジャー相手に奮闘していたスノーギランだったが相手が悪すぎた。自慢の『フラッシュ光線』など特殊攻撃を食らわせてもラゴラスとは違ってロボットであるザムリベンジャーには効果がなく、格闘術もバリヤーで防がれて意味がなかった。

逆に相手のミサイルと破壊光線、強固な装甲を利用した怪力などによってダメージが重なり、とうとう倒れてしまったのだ。

 

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ピュルルルルルル!ウィーン!ウィーン!」

 

 

そして今、助けたドレンゲランと一緒にさらにミサイルと破壊光線を浴びせるザムリベンジャーの攻撃によってレッドジャックも倒されるのは時間の問題だ。

しかしグラールVSラゴラスエヴォの戦いは違った。パワーアップしたラゴラスエヴォのパンチやキック、さらに高熱を含めた技などよってグラールは先程とは違ってダメージを食らうが、彼も負けずに怪力パンチや必殺光線などで互角に戦いあった。

 

 

「ぐぅ~~!このままではマズイ。もしレッドジャックも倒されたらいくらグラールでも3体相手では勝てぬかもしれん。こうなったら・・・・・おい!」

 

 

戦況が不利になってきているのを見たマザロン人は、後ろの方に1体の怪人を出現させた。その者は鬼の面に藁をつけ、包丁を持っていると言う秋田県男鹿市に伝わる、神・精霊・妖怪とも言える存在『なまはげ』と同じ姿の伝説怪人ナマハゲであった。

そんなナマハゲにマザロン人は指示を出した。

 

 

「いいか、あの怪獣達の後ろにいる2体の宇宙人をすぐに始末してこい!」

 

「承知した。だがマザロン人殿よ、儂との約束・・・忘れておらんな?」

 

「あぁ、日本古来の八百万の神々を蔑ろにし、西洋のクリスマスとその神サンタクロースに興じる地球人・・・いや、日本人共に罰を与えると言う事だったな」

 

「そうだ!西洋かぶれの日本人共に神罰を下してやるのだ!!」

 

 

どうやらこのナマハゲはかつてスノーギランを操って暗躍し、ウルトラマンエースと対峙したあのナマハゲ本人のようだ。

ヤプールの手によって蘇った彼は、懲りずに日本人達に神罰を下そうと考え、その目的を果たす為にヤプールに協力しているのだ。

 

 

「約束は必ず守ろう。だがそれはお前が2人を確実に仕留めたらの話だが・・・?」

 

「分かっておる。儂の大切なスノーギランを傷つけた分のお返しも含めてやってやるわい。のぉ、ペギラよ」

 

 

ナマハゲが振り向く先には1体の怪獣がいた。2本の牙と頭に生えた小さな角、腕と一対になっている翼が特徴の冷凍怪獣ペギラである。

どうやら今回のナマハゲの相棒は彼のようだ。

 

 

「それでは行ってくるぞ!ペギラ!!」

 

「ギャオオオオオォォォォーー!!」

 

 

しゃがんでナマハゲを器用に頭に乗せたペギラは大きく咆哮した後、空高く飛んで戦場に向かって行った。彼らが去った後マザロン人は薄く笑い出す。

 

 

「フン!古臭く煩い奴め。貴様があのレイオニクス達を倒せるものか。貴様はアイツらをその場に足止めさせてくれればいいのだ。そうなれば・・・」

 

 

マザロン人は自身の足場を見ながらさらに笑い出した。一体彼は何を企んでいるのであろうか?

 

 

 

 

 

一方そんな事は知らないタクトとグロラスは、自分達の相棒怪獣に的確な指示を出して有利に戦っていた。

 

 

「今だドレンゲラン!ザムリベンジャー!奴に止めを刺すんだ!!」

 

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ピュルルルルルル!ウィーン!ウィーン!」

 

 

そしてドレンゲランの『火炎弾』とザムリベンジャーのミサイルと破壊光線のダブル攻撃によってレッドジャックは悲鳴を上げた後大爆発を起こした。

 

 

「やった!よくやったぞ2人とも!」

 

 

レッドジャックを倒し、スノーギランを戦闘不能にさせた2体をタクトは褒める。それを隣で見ていたグロラスも褒める。

 

 

「大した強さだな。流石お前が自慢する相棒達だ」

 

「あぁ!それじゃグロラス、すぐにラゴラスエヴォの加勢に行かs・・・!?」

 

 

2人は喜び合った後ドレンゲラン達をラゴラスエヴォの加勢に行かせようとした時、背後から地響きがした。振り向くとそこにはペギラがいて、さらに頭の上から何者かが降りてきた。その者を見て2人は警戒する。

 

 

「何だお前は?」

 

「儂の名はナマハゲ。ヤプールに協力する者だ」

 

「ヤプールの!?」

 

「そうじゃ!儂の目的の為に此処で消えてもらう。でやあーーー!!」

 

 

奇声を上げながらナマハゲは包丁を振り回して2人に襲い掛かった。当然2人もやられる訳がなく、必殺光線の『ザムビーム』や『フローズンホワイト』にハサミ状の腕などで対抗する。

ペギラもドレンゲラン達2体を相手に真っ向からぶつかって戦い始める。そして両者がその場から動かなくなったのをマザロン人は愉快に踊りながら笑う。

 

 

「ウヒャヒャヒャ~!よくやったぞナマハゲ。これで準備は整った。さぁレイオニクス共よ、死の恐怖を味わえ!!」

 

 

そう言ってマザロン人が両手を光らせて勢いよく地面に突き刺す。すると地面が激しく揺れ、いろんな所で地割れが起きた。さらにそこからマグマが勢いよく噴出した。

 

 

「なっ!?マザロン人殿、一体これは!?」

 

「う、うおおおおぉぉぉ~~~!?」

 

「グロラス!!」

 

 

突然の地震とマグマによってその場にいる誰もが必死に耐えながら岩の上に避難する中、ナマハゲとグロラスが近くに発生した地割れに落ちてしまった。

だが間一髪グロラスはタクトに腕を掴んでもらい、ナマハゲは持っていた包丁を壁に突き刺して落ちなかった。

 

 

「タ、タクト・・・離さないで!離さないでくれーー!!」

 

「わ、分かっているよ」

 

 

暑さに弱い自分が下で燃えて煮えたぎっているマグマの中に落ちたら数秒も持たず溶けてしまうだろう。死への恐怖にグロラスは震え、必死にタクトの腕に掴む。

そしてそれはナマハゲも同じだった。

 

 

「マザロン人殿!!は、早く儂を引き上げてくれーー!!」

 

 

必死に叫ぶナマハゲだが、マザロン人からの回答は残酷な事だった。

 

 

「・・・・・もう貴様の役目は終わった。レイオニクス共と一緒に死ぬがいい~~!ウヒャヒャヒャ~~!!」

 

「!?そ、そんな・・・ぎゃあああぁぁぁーーー!!」

 

 

仲間と思っていた者に見捨てられた事にナマハゲはショックを受け、それにより力が抜けてしまってマグマの中に落ちてしまった。そして激しく燃えながら悲鳴と一緒に飲み込まれていった。彼の最期を見てグロラス達は言葉を失った。

そんな2人を見てマザロン人はさらに笑い出す。

 

 

「良い顔ではないか。だが貴様達はまだまだ死の恐怖を味わい切れておらぬようだな。ならば・・・出てこいマザリュース!!グルジオボーン!!」

 

「ギャアアアアァァァン!!」

 

「グオォォォォォォォォ!!」

 

 

マザロン人はさらにマイナスエネルギーを得る為にある者達の名前を呼びながら手を高く上げる。すると赤い空から1体の超獣が、マグマ噴き出る地面から1体の怪獣が現れた。赤ん坊のような声をあげ、大きな鼻から白いガスを噴射しているのが特徴の地獄超獣マザリュース。

全身真っ黒で赤く骨の様な体に紅い目が特徴の火炎骨獣グルジオボーンだ

まるで地獄と化したこの異次元の世界で生まれた事を喜ぶかのように何度も鳴き声を上げる2体にマザロン人が命令を下した。

 

 

「さぁ、我が可愛い子達よ!今目の前にいるその2人をたっぷり痛めつけて始末してしまえ!」

 

 

命令を受けたマザリュースは空からゆっくり降り立って白いガスを噴射しながら歩き、グルジオボーンも両目を赤く光らせながら歩き出して2人に迫った。

それを見た怪獣達が守りに行こうとするが、何度も噴き出るマグマとラゴラスエヴォから距離を取って安全な所に移動したグラールの『電撃光線』で近づけない上にダメージを負ってしまった。

 

 

「ギャアアアアァァァン!!」

 

「グオォォォォォォォォ!!」

 

 

その隙にマザリュースとグルジオボーンは口から『高熱火炎』を吐き出す。

それは直接2人を狙うのではなく、彼らの周りを爆発させると言う文字通り痛めつけるような攻撃であった。

 

 

「ア、 アツい・・・」

 

「うぅ・・・あ、グロラス見て!」

 

 

凄まじい熱で体から大量の汗が出てくる中、タクトはあるものに気が付いてグロラスに言い、グロラスは必死に意識を保ちながらそれを見る。

そこではスノーギランとペギラがマグマによって苦しんでいる光景があった。グロッキー状態で倒れていたスノーギランはともかく、先程までドレンゲラン達と戦っていたペギラはどうしてこうなっているのか?

実はマグマが噴出する前にザムリベンジャーの怪力で投げ飛ばされたところ運悪く噴き出したマグマにやられ、今なお噴き出てくるマグマの熱に苦しんでいるのだ。

それを見たグロラスがとった行動は・・・。

 

 

「ス、スノーギラン・・・ペ、ペギラ・・・俺の元へ来い・・・」

 

 

ネオバトルナイザーを構えて2体を回収しようとしたのだ。

ダメージを負い、本来の主であったナマハゲが死んでマザロン人から見捨てられた事を察していた2体は素直に回収された。

2体を助けられた事に2人が内心ホッとした時!

 

 

 

ボコッ!!!

 

 

 

「「えっ・・・?」」

 

 

 

これまでの攻撃でとうとう限界に達した岩が崩れてしまったのだ。2人が状況を判断した時には時すでに遅く、共にマグマの中へと落ちていった。

 

 

「ピュアアアアアアァァァッ!?」

 

「ギュイイィィィッ!?」

 

「ピュルルルルルル!!」

 

 

自分達の主が落ちていくのを見て怪獣達は悲鳴を上げる。そしてマグマの中に飲み込まれるかと思った時、突然マグマの中から巨大な手が現れて2人を掴んだ。

 

 

「こ、今度は何だ!?」

 

「わ、分からないよ!?」

 

 

次々と起こる出来事にグロラスとタクトは若干混乱しかけながら周りを見渡して、自分達を助けた者の正体に気が付いた。

 

 

「大丈夫か、マイ・フレンド?」

 

「「ダーラム!!?」」

 

 

2人を助けたのはダーラムであった。彼もまたこの異次元空間に飲み込まれ、皆を探す為にずっと歩き続けていた時にマザロン人の起こした地割れの中に落ちてしまった。だが彼は炎の力と技を身に付けていたのでマグマの中でも平気で動き続け、運良くグロラス達を見つけて助け出したのだ。

そしてダーラムはマグマの中を歩いて2人を安全な所に置いた。

 

 

「ダーラム、熱くないのか?」

 

「俺にとってこんなの、ぬるいお湯と同じだ・・・。あとは、俺に任せろ」

 

 

そう言ってダーラムはマザロン人達がいる方に向かってゆっくり歩き出した。

 

 

「ッ!!お前達、奴を倒せ!倒すんだ!!」

 

 

近づいて来るダーラムを見たマザロン人は、彼がかなりの強者である事を察する。そしてラゴラスエヴォ達の足止めをしているグラールを除いたマザリュース、グルジオボーンの2体に攻撃するよう命じた。

 

 

「ギャアアアアァァァン!!」

 

「グオォォォォォォォォ!!」

 

 

命令を受けた2体は再び口から『高熱火炎』を放つ。特にグルジオボーンは100万度の威力を誇る『ボーンブレスター』を放つが、ダーラムはそれを受けてもなお歩き続ける。それを見たグルジオボーンは眼を赤く光らせた途端、もの凄い速さで突進攻撃を仕掛けた。

 

 

「ムンッ!!」

 

 

しかしダーラムは片手でグルジオボーンの頭を掴んで押さえ、そのまま持ち上げて頭から地面に叩きつけた。だがこれだけでは終わらなかった。今度は尻尾を掴んで空中に振り上げて再び頭から地面に何度も叩きつけ、最後に勢いよくジャイアントスイングをして投げ飛ばした。

 

 

「グオォォォ・・・ォォ・・・」

 

 

投げ飛ばされたグルジオボーンは岩山にぶつかる。頭を何度も叩きつけられた事で気を失ってその場に倒れた。

1体戦闘不能にしたのを確認したダーラムは、今度はマザリュースに狙いを定めるが、タクトがそれを制した。

 

 

「ダーラム、そいつは実体がない虚像なんだ。だからそいつの相手はしないで大将のマザロン人を倒した方がいい!そうすればそいつも倒せる!」

 

「残ったグラールは俺達がする!」

 

「・・・分かった。任せる」

 

 

それぞれ役目を確認した後、グロラスとタクトは自分達の相棒怪獣の元へ行き、ダーラムはマザロン人の元へ向かう。

 

 

「何をしているマザリュース、早く奴を倒せ!」

 

 

グルジオボーンが戦闘不能なった事で余裕がなくなり、焦った声でマザロン人は再びマザリュースに命令を出す。

再び命令を受けたマザリュースは歩くダーラムに何度も『高熱火炎』を浴びせるが、彼には全く効いていなかった。そしてダーラムはとうとうマザロン人の前にやって来た。

 

 

「終わりだ・・・」

 

「まだ終わらんぞ!!」

 

 

拳を振り上げて叩き潰そうとするダーラムだったが、マザロン人は大声で否定すると腕を交差して全身に力を込める。すると彼の体は大きくなっていき、そのままダーラムのパンチを防いで押し返した。

 

 

「どうだ我の力は?いかに貴様が強かろうとこの異次元空間では我の強さは絶大。四天王の力を甘くみるな!」

 

「なら俺は、もっと強い力でお前を倒す!」

 

 

互いに戦闘態勢を取った後、2人は激突した。

身長でダーラムより小さいマザロン人だが、そんな事は関係ないと言わんばかりに鋭い爪が生えている右手を突き刺そうとする。だが皆さんもお分かりのようにダーラムは体に鋼の鎧を物を身に付けている。その故に・・・。

 

 

 

ボキッ!!

 

 

 

「ギャアアアアァァァーーー!?」

 

 

突き刺した爪は折れてしまったばかりか、指までもが折れてしまった。その痛みにマザロン人は悲鳴を上げる。その隙をついてダーラムは顔や腹にパンチを浴びせ、両腕を掴んで投げ飛ばす技『ダーラムホイップ』で地面に叩きつけた。

しかしマザロン人は怯まず、すぐに立ち上がって折れていない左手から『マグマレーザー』を放つ。

 

 

「フン!ハァ!」

 

 

放たれた『マグマレーザー』がダーラムに命中するかと思った時、なんとダーラムの足元の地面が突如液化したのだ。そしてダーラムはそのまま地面の中に潜ってしまった。実はこれは彼しか持たない特殊能力なのだ。

 

 

「なっ!?ど、何処に行った!!」

 

 

潜ってしまったダーラムをマザロン人は警戒しながら必死に探す。すると突然体が浮かんでいった。一体どうしたのかと足元を見るとなんと自分が立っていた位置にダーラムが現れて両足をガッチリと掴んで持ち上げていたのだ。

慌てて攻撃しようとするマザロン人は再び『マグマレーザー』を放とうとするが、それよりも早くダーラムが『ダーラムホイップ』で地面に叩きつけ、両肩の目玉を超怪力で引き千切ってしまった。

 

 

「ぎゃあああぁぁぁーーー!!?」

 

 

力の源とも言え部分を取られてしまった事でマザロン人は力が抜けて弱体化してしまった。

 

 

「今度こそ、終わりだ・・・」

 

「ま、待ってくれ!頼む。命だけは・・・」

 

 

地に這い蹲りながら必死に両手を合わせてマザロン人は命乞いをする。また、マザリュースが必死に『高熱火炎』を放って妨害する。だがダーラムは聞く耳を持たず、問答無用で必殺技を繰り出した。右腕を地面に勢いよく突き立て、そこから地を這う炎の衝撃波を出す『ファイアマグナム』だ。

 

 

「ギャアアアアアアアァァァァ・・・ァァ・・・・・」

 

 

凄まじく強烈な炎に包み込まれたマザロン人は悲鳴を上げながら思った。

自分にとって炎は力だ。特に何もかも焼きつくし、ドロドロに溶かすマグマの力は最高のものだ。だがその力が自分を殺すものになるとは!

そう思いながらマザロン人は黒焦げになり、最後は塵となって散ってしまった。それと同時にマザリュースも悲鳴を上げながら消滅した。

 

 

「・・・ム~ン。なかなか楽しめた」

 

 

首をゆっくり回してゴキゴキと骨を鳴らしながらダーラムは嬉しそうに呟いた。その時、マザロン人が倒れた所から黒い穴が発生する。それはこの異次元空間を脱出する唯一の出口だ。どうやらこの空間の支配者を倒せば元の世界に戻れるんだ、とダーラムが理解した時にとある方向から爆発音が聞こえた。おそらくグロラスとタクトがまだ戦っているのであろう。

 

 

「どうやら、まだ楽しめる時間があるみたいだな」

 

 

まだ暴れられる事に喜びを感じながらダーラムは爆発音がした方向へ走り出した。

 

 

 

 

 

一方グロラスとタクトは、相棒怪獣達と共にグラールと激闘を繰り広げていた。

グラールに向かってラゴラスエヴォが正面から組み付くとドレンゲランが左右から頭突きを食らわせる。

グラールがラゴラスエヴォを突き飛ばしてドレンゲランに攻撃しようとすればザムリベンジャーがミサイルと破壊光線を放つ。

それならばとグラールが角を構えて突進攻撃をしようとすればラゴラスエヴォが口から吐く『冷凍光線』と胸のマグマコアから放つ『火炎弾』を同時に発射する『超音差光線』を放ってダメージを与えた。

3大怪獣のコンビネーション攻撃によって流石のグラールも圧倒されていた。

 

 

「ジュッジャアアアアァァヴゥゥッ!!」

 

 

それでもグラールは諦めず『電撃光線』と『高熱火球』で反撃する。だがこれまでの戦いによるダメージと疲労が重なったのか、放った光線の威力は最初に比べて弱々しかった。

 

 

「どうやら奴も限界のようだな」

 

「うん。ならばこのまま一気に決めt「ジャアアアアァァヴゥゥッ!!」ッ!?」

 

 

グロラスとタクトが同時に止めの必殺技を出すよう命じようとした時、突如グラールが大きく咆哮した。何か仕掛けてくるかと全員が警戒する中、グラールは暫く2人を睨み付けた後その場にしゃがんで、近くのマグマからエネルギー吸収して忽然と姿を消した。

 

 

「消えた!?」

 

「何処に行きやがった」

 

 

2人は周りを見渡して消えたグラールを探す。すると少し離れた所で青く光り輝く丸い球体が飛んで行った。それはかつてグラールが、ヤプールの手によって蘇る前にある宇宙人の手によって地球に送り込まれた時と同じ球体だった。

今回はマグマのエネルギーを利用して球体の形態となり、空高く飛んで行ったようだ。

 

 

「どうやら逃げられたようだな」

 

「うん・・・そうみたいだね・・・」

 

 

グラールが去って戦いが終わったが、2人は決着が付けられなかった事で複雑な気分で一杯だった。そこへダーラムがやって来た。

 

 

「うん?戦いはどうなったのだ?」

 

「さっきグラールが逃げて行ったからもう終わったよ」

 

「何!?・・・奴とも楽しみたかった」

 

 

戦いが終わった事を聞いてダーラムは誰もが分かるようにがっくりする。その姿を見てグロラスが苦笑しながら励ます。

 

 

「そう落ち込むなよダーラム。此処を抜け出してクロウ様に今回の事を報告すればご褒美に強い奴と戦わせてくれる筈だ」

 

「そうだよ。だから早く此処から抜け出そう。そろそろ此処も限界だ!」

 

 

そう言ってタクトが周りを指差すとマグマが先程よりも大量に噴き出ていて、自分達がいる場所もあと少しすれば飲み込まれてしまい、かなりマズイ状況だ。

それに気がついたグロラスは大いに焦り、ダーラムは先程の黒い穴の事を話してそこから脱出しようと言う。そして彼らはドレンゲラン達を回収し、ザムリベンジャーを円盤形態にしてすぐさま乗り込む。

 

 

「それじゃ、早速・・・!」

 

「待て、アイツはどうする?」

 

 

発進しようとした寸前ダーラムがモニターに映っているある所を指差す。そこにはグルジオボーンがいた。グラールが立ち去ったのと同時に目を覚ましたグルジオボーンだが、ダーラムとの戦いで受けた傷が酷いせいか立ち上がれず、匍匐前進しながら必死にマグマから逃げていた。

 

 

「あのまま放っておくのか?」

 

「そいつはいくらなんでも可哀想だ。なぁタクト、お前が仲間にしたらどうだ?」

 

「ぼ、僕が!?」

 

「あぁ、だってお前まだ2体しかいないだろう。俺がやったようにすれば仲間になる筈だ。ほら早く!」

 

「・・・うん!分かった!来い、グルジオボーン!!」

 

 

如何に火炎骨獣とは言え、このままでは確実にマグマにやられてしまう。そうなる前に助け出さないといけない。仲間達からの勧めもあって自分の手持ちにしようと決心したタクトがザムリベンジャーを操って彼の傍に寄る。

 

 

「グルジオボーン!僕達と一緒に行こう!」

 

「グギャアァッ!?・・・・・グオォォォォォォォォ!!」

 

 

タクトの誘いにグルジオボーンは一瞬迷うが、周りの状況と自分にはもう主も仲間もいない事を理解して素直に回収された。

 

 

「やった・・・僕にも新しい仲間ができた!!」

 

「良かったなタクト」

 

「良いグッドだ」

 

『おめでとうございます。マスター!』

 

 

新しい仲間ができた事に喜ぶタクトをグロラス達は「おめでとう」と言った後3人は異次元空間を脱出したのであった。

そして一刻も早くクロウと合流するべく、先を急ぐのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
暗殺怪獣グラール


ダークマターで誕生した怪獣達の長所を掛け合わせて誕生した怪獣。
全身が金色に輝き鋭角状の突起や鱗に覆われ、赤い4つの眼が特徴である。
主な武器は頭の角から放つ『電撃光線』と口から放つ『高熱火球』、さらに並の怪獣なら片手で軽々と持ち上げられる程の凄まじい怪力である。
かつて自分を生み出した主の命でザム星人を全滅寸前まで追い込んだ事があり、その為タクトから恐れられている。
マザロン人が率いる異次元軍団のリーダーで、超獣達に命令を出せたり、パワーアップしたラゴラスエヴォと互角に渡り合う程の強豪怪獣だ。
最後はドレンゲラン、ザムリベンジャー、ラゴラスエヴォの3体に押されて、止めを刺す前に青く光り輝く球体になって空の彼方へ飛んで行った。
その際、グロラスとタクトを睨み付けていたからもしかしたらまた彼らを暗殺しに登場するのかもしれない。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話 乙女の戦い!愛する人の為に

皆様、明けましておめでとうござい・・・って遅過ぎる~~!!
時と言うのは長いようで早いものですよ。次からはもっと早くできるようにしなくては。その為に・・・ブツブツ・・・はっ!今のは無し!気にしないでください。

兎に角今回は文字通りヒロイン達が活躍します。そして登場する四天王は原作で女隊員達と因縁があった者達です。愛する人の為に戦う女の強さ、是非ご覧下さい。
感想と評価をお待ちしております。

超古代狛犬怪獣ガーディー、剛力怪獣シルバゴン、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)
放電竜エレキング(エレちゃん)、銀星人宇宙仮面、幻覚宇宙人メトロン星人Jr
宇宙電気クラゲ・ユニバーラゲス、くの一超獣ユニタング、暗黒超獣ブラックサタン、恐竜
水瓶超獣アクエリウス、バイオ怪獣ビオランテ、石化魔獣ガーゴルゴン   登場




突如現れたヤプールの手によって異次元空間へ吸い込まれてしまったクロウ達。彼らはヤプール率いる異次元軍団の四天王がいる4つの異次元空間にバラバラにされてしまった。

その中の1つ灼熱地獄のような空間に吸い込まれたグロラス、タクト、ダーラムの3人は四天王の1人・マグマ超人マザロン人が率いる異次元軍団と戦い、友情を深めながら力を合わせて撃破する事ができた。

そしてザムリベンジャー(円盤形態)に乗って異次元空間から脱出したのであった。

 

 

 

次は残っているうちの1つの空間の戦いをご覧頂こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体此処は何処なんだろう?」

 

「分からない。だがどうにも嫌な雰囲気しか感じない」

 

「そうね・・・」

 

 

周りを警戒しながら歩いているのはリーシャ、ルーネ、カミーラの3人だ。

彼女達は運良く同じ場所に出て、すぐにクロウと合流しようと見渡す限り続く深い森の中を歩いていた。しかし此処もグロラス達がいた空間と同じように何処行っても森ばかりで人の気配など感じられなかった。

 

 

「やっぱり人の気配なんて感じられない。此処には私達以外いないのかも」

 

「いや、そんな事はない様だ」

 

 

そう言ってルーネは刀を1本抜いて近くの木に向ける。

 

 

「そこに隠れているのは分かっている。いい加減出てきたらどうだ?」

 

 

ルーネはすぐにでも斬る事ができる構えをとりながら問いかける。すると木から出てきた者は・・・!

 

 

「「「ク、クロウ様/さん!?」」」

 

「何だお前達か、驚かせるな・・・」

 

 

現れた者の正体はなんとクロウだった。彼を見てリーフは慌てて刀をしまい、彼女達はすぐに駆け寄る。クロウも3人の元へ駆け寄る。

 

 

「クロウさん、無事だったのですね!」

 

「あぁ、気がついたら向こうの方に倒れていてな。誰かいないかと探していた時にお前達がいたもんでな。無事で良かった」

 

 

安心して笑顔になりながらクロウが彼女達に触れようとした時、リーシャは銃を構えて発砲し、ルーネは再び刀を抜いて斬りつけ、カミーラは手から電撃を放ってクロウを攻撃した。

 

 

「な、何を・・・!?」

 

 

いきなり攻撃されたクロウは傷つけられた部分を手で押さえながら彼女達に問う。3人は冷たく睨みつけながら言った。

 

 

「貴方・・・クロウさんではないね」

 

「何を言っているリーシャ?俺は・・・」

 

「いや、貴様は偽者だ。貴様からほんの微かだが殺気を感じる」

 

「それにさっきの笑顔、目は笑っているけど目の奥は笑っていなかった。私達の知っているクロウ様の目で見つめられると本当に心地良く感じるものなのよ!」

 

「くっ・・・こうなったら!!」

 

 

騙していたつもりが騙されていた事実に偽クロウは動揺し、何かを決心すると持っていた偽ギガライブナイザーを捨て左腕に装着してある腕輪を操作する。

すると彼の体から火花が出て激しく燃え上がっていき、キラキラと輝く銀色の体を見せつけた。

 

 

「貴様は誰だ?」

 

「私は宇宙仮面。偉大なる神ヤプールに仕える異次元軍団の四天王であり、この空間の絶対的な主だ」

 

「あんたが?・・・随分と弱そうな奴ね」

 

「確かに・・・」

 

「フン!私を甘く見ない方がいいぞ。私の使命は貴様達からマイナスエネルギーを得て、抹殺すること。その為に私が偉大なる神ヤプールに頼んで戴いた猛者達を見るがいい!」

 

 

宇宙仮面は余裕な表情(?)で再び左腕に装着してある腕輪を操作して光らせる。すると彼の背後から3体の怪獣達が姿を現した。

1体は頭の1本角と両手の鋏、口から外へと生えている鋭い牙、そして腹部にある人間の女性の乳房に似た突起が8つあるのが特徴のくの一超獣ユニタング。

もう1体は体の色が青と金と交互になっていて、1本角と1つ目、蝙蝠の羽の様な耳、先端が槍状になっている尻尾が特徴の暗黒超獣ブラックサタン。

そして最後に現れた怪獣は全身が植物の蔓に覆われてその周りから無数の触手を生やしていて、頭部が鰐ととある怪獣が合体したような顔が特徴のバイオ怪獣ビオランテだ。

 

 

「さぁ、偉大なる神ヤプールの手によって蘇り、私に選ばれた猛者達よ!そこにいる3人を倒せ!!」

 

 

「ユシャアアアアァァァッ!!」

 

「グオオオォォーーー!!」

 

「ギャオオオオオオオォォォォォ!!」

 

 

宇宙仮面の命令を聞いた3体は彼女達に向かって歩き出す。それを見てルーネは腰に差してあるもう1本の刀を抜き、カミーラは懐からスパークレンスを取り出して迎え撃とうと前に出ようとするが、それよりも早くリーシャが前に1歩出て2人を制止ながら言う。

 

 

「待って!あの4体は私が相手をする。2人は万が一の場合に備えて此処で見ていて」

 

「・・・そうか。分かった」

 

「貴方と怪獣達の力、見させてもらうわ」

 

「ありがとう!」

 

 

リーシャの言葉を聞き、油断なく高い決意をした瞳を見て2人は承諾する。信じてくれた2人にリーシャは感謝の言葉を送り、腰に備えてあったネオバトルナイザーを取り出す。

 

 

「行きなさい!ガーディー!シルバゴン!モスラ!エレちゃん!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

「キイイイイィィィッ!!」

 

 

召喚された4体は咆哮を上げながら並び立つ。本来レイオニクスは3体までしか怪獣を操る事ができないんのだが、ごく稀に4体操れるレイオニクスがいるのだ。しかしリーシャの場合、クロウの力と特訓によってそうなったのだが・・・今はその話を置いておこう。

そして4体はそれぞれ目の前にいる敵に対して戦いを挑んだ。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「グオオオォォーーー!!」

 

 

まず最初はガーディーVSブラックサタンの戦いで、頭の1本角を構えて突進してくるブラックサタンをガーディーは上手く避けて側面に回りその角に噛み付き、そのまま左右に振り回す。

 

 

「グオオオォォ!?」

 

 

角を強く噛まれている上に左右に振り回されてブラックサタンは痛みを感じながらだんだん気持ち悪くなってきた。

早く抜け出そうと両手を前に突き出して指先から大量のミサイルを放つ。だが下しか見えない為に正確に狙えず、ミサイルの殆どが見当違いな所へ撃ってしまった。

それならばと今度は両手を左右に振って滅茶苦茶に撃ちまくった。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!?」

 

 

流石のガーディーもこのミサイル攻撃によって角から口を離してしまう。だがそれでも強く噛みついていた事でブラックサタンの1本角にはヒビが入ってダメージを与えていた。

自慢の角を傷つけられたブラックサタンは怒り、特大の一撃を食らわせようと目にエネルギーを溜めて強力な『破壊光線』を放つ準備をする。そして準備が整うまで相手が接近しないように再び指先からミサイルを放って攻撃する。

 

 

「ふ~ん、成程・・・ミサイルでガーディーの動きを止めつつ近づけないようにして、一気に光線を撃って倒すつもりね。それならガーディー、ミサイルなんか気にせずにゼペリオン光線よ!」

 

「ガウウウゥゥゥッーー!!」

 

 

相手の考えを悟ったリーシャは、素早くガーディーに指示を出す。それを聞いてガーディーはその場で仁王立ちして、ミサイル攻撃に耐えつつ口にエネルギーを溜める。

そしてブラックサタンが『破壊光線』を放ったのと同時に『ゼペリオン光線』を発射する。

光線は両者の間でぶつかり、暫く押し合った後爆発を起こす。それにより閃光と煙が発生して視界を遮った。

 

 

「グオオォォ!?グオオオォォ・・・」

 

 

あまりの眩しさと煙によってブラックサタンは目を瞑ってしまう。だが彼は慌てなかった。何故なら相手もこの光と煙によって動けずにいるに違いないと思ってからだ。そして目が見えるようになったら今度こそ光線で倒してやるとチャンスを待ち、ようやく光が弱まったのを感じて真正面を見る。するとそこに驚愕の光景が目に映った。

 

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「グオオオオォォォーー!?」

 

 

なんとガーディーがもう目の前に迫っていたのだ。そしてある程度距離が縮まると勢いよく前転し、通常よりも威力の籠った尻尾攻撃を食らわせた。

 

 

 

バッキイイィィン!!!

 

 

 

「グオオオォォォーー!!?」

 

 

仲間から教わったガーディーの強烈な回転尻尾攻撃を受けたブラックサタンは大きくブッ飛ばされた。同時に頭の角が粉々になりつつ折れてしまった。その痛みにより起き上がれないブラックサタンにガーディーはさらなる攻撃を仕掛けるのであった。

 

 

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

「ユシャアアアアァァァッ!!」

 

 

次はシルバゴンVSユニタングの戦いで、両腕を振り回しながら迫るシルバゴンにユニタングは口と両手の鋏から白い糸を噴射した。その糸によりシルバゴンは絡め取られ、動けなくなってしまった。それを見てユニタングはそのまま引き倒してしまうと糸を引っ張ろうとするが・・・。

 

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

どんなに力を込めて引っ張ってもシルバゴンは引き倒れない。それどころか逆に糸を掴まれて引っ張られて、そのまま振り回されてしまった。慌てて糸を切ろうとするユニタングだが、振り回されている為に切る事ができなかった。

そして何回も振り回した後シルバゴンは次にユニタングを地面に思いっきり叩きつけた。

 

 

「ユシャアアアアァァァッ~~!」

 

 

地面に叩きつけられてユニタングは悲鳴を上げる。だが戦意は衰えていなく、寧ろ超獣である自分がこんな奴に負けて堪るかと立ち上がり、早く糸を切ろうと牙と鋏を動かそうとする。だがその前にシルバゴンがまた糸を掴んで振り回して再び地面に叩きつけた。

それが何回も繰り返し行われ、それにより糸は切れたがユニタングは体中ボロボロになり起き上がれなくなってしまった。

 

 

「ゴシュィィン!ゴシュィィィィィン!!!」

 

 

糸が使い物にならないと分かるとシルバゴンは体に絡みついた糸を取り、倒れたままのユニタングを無理やり立ち上がらせる。そしてそのまま強く抱き締めた。

 

 

「ユシャアアァァ!?シャアアアアァァァッ~~!」

 

 

いきなり抱き締められたユニタングは驚き、顔を赤く染める。

実はユニタングは女性超獣なのだ。まぁ、最初の乳房に似た突起があると知った時点で皆女性だと気付いただろう。それにいきなり異性に抱き締められたら誰もが驚くのは当然だ。激しく鳴いて必死に両手の鋏を振り回しながらシルバゴンの拘束から逃れようとする。だがシルバゴンの剛力には敵わずどんどん締め上げられていき、だんだんと彼女の力が弱まっていった。

 

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

抱き締めながらそれを感じたシルバゴンは、止めとばかりにさらに強く抱き締める。

そしてこのままユニタングの体が押し潰されるかと思った時、突然彼女の体がバラバラになって崩れ落ちてしまった。

 

 

「シュィィッ?・・・ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

押し潰す筈がバラバラになって肉塊となったユニタングを見てシルバゴンは首をかしげる。

しかし細かいことは気にしない性格のシルバゴンは、戦いに勝ったと思ってドラミングをする。そしてまだ戦っている仲間の元へ行こうと背中を向けて歩き出した。

この時リーシャが見ていれば後の緊急事態を避ける事ができたであろうが、生憎彼女は他の戦いの方を見ていた。ルーネとカミーラもそれぞれ別の方を見ていた為、バラバラになったユニタングの肉塊が動いている事に気がつかなかった。

 

 

 

この次はビオランテVSモスラ・レオ&エレちゃんの戦いだ。

 

 

「ギャオオオオオオオォォォォォ!!」

 

「ピュアアアアアアッ!!」

 

「キイイイイィィィッ!!」

 

 

ビオランテは体と地面から大量に出している先端に口のついた触手を振り回してモスラ・レオとエレちゃんを締め上げようとする。対してモスラ・レオは素早い動きで空を飛んで避け、エレちゃんは口から『電子ビーム』を放って触手を破壊する。

この時戦いを見ていたリーシャ、ルーネ、カミーラの3人はある事に気がついた。それはモスラ・レオが一度も攻撃していなかったのだ。

 

 

「どうしたのモスラ?何故攻撃しないの!?」

 

「ピュアァッ!カキュウウオオウン!」

 

 

理由を訊ねるリーシャにモスラ・レオは鳴き声と同時にテレパシーを送ってある事を伝えた。それを聞いてリーシャは内心驚きの声を上げる。

 

 

『あの怪獣から・・・ゴジラの気配を感じるって!?』

 

 

突然の事に混乱しつつもリーシャは後ろで不思議そうに見つめている2人を無視して、必死に頭の中をフル回転させて考える。

確かにあの姿はどことなくゴジラに似ている感じがする。けど見た目は植物だ。ひょっとして植物とゴジラが合体して誕生した怪獣なの?

まさしくリーシャの考え通りで、ビオランテはとある別世界・・・否、ゴジラがいた世界で人間の手によってゴジラの細胞と人間の細胞が薔薇に融合され、それにより細胞分裂を始めて急激に成長した怪獣なのだ。

その世界でゴジラと2度に渡って戦い、最後は光の粒子となって宇宙へ消えて行った。そして巨大な薔薇の姿になって宇宙から地球を見守っていたが、ヤプールの手によってこの世界に連れて来られてしまった。さらに彼の科学力で前の姿に戻され、魔力によって操られているのだ。

モスラ・レオはそれに気がつき、無理矢理操られているビオランテをなんとか助けてあげたいと思っているので攻撃しなかったのだ。

 

 

『成程・・・貴方ならそう思うのは当然ね。けどあの怪獣を操っていると言う魔力を消す事なんてできるの?』

 

「ピュアアァァッ!カキュウウオオウン!」

 

 

テレパシーのまま質問するリーシャにモスラ・レオは1つだけあると言う。だがそれは少々危険な賭けでもあった。

 

 

「(けどこの子はきっとやろうとするだろうね。なにしろ優し過ぎる子だから。けどもしそれが成功したらあの怪獣が私達の仲間になる可能性がある。そしてクロウさんに褒めてもらえる///)」

 

 

賭けに応じるか迷うリーシャだが、クロウへの想いでだんだん傾き始める。すると突然誰かに肩を叩かれる。振り向くと後ろにいたリームとカミーラが話し掛けてきた。

 

 

「リーシャ、あの巨大な蛾・・・いや、失礼。モスラだったな。見た感じ的にあの怪獣と戦いたくないようだが、私が変わろうか?」

 

「万が一と言ったけど、これ以上時間をかけるのはごめんよ」

 

「待って!もう少しで終わらせるから。モスラ、貴方の気持ちは分かったわ。私達も協力するよ!エレちゃん、尻尾を長く伸ばしてアイツの動きを止めて!」

 

「キイイィィッ!キイイイィィィッ!!」

 

 

自分の気持ちを酌んでくれたリーシャにモスラ・レオは翅を大きく羽搏かせて嬉しがる。そんな彼女を見てリーシャは微笑んだ後、ずっと戦っていたエレちゃんに指示を出す。命令を受けたエレちゃんはすぐに尻尾を勢いよく振ってビオランテに巻き付けた。

先程まで『電子ビーム』で触手を破壊していたから妨害も少なく巻き付く事に成功し、続けざまに『エレクトリックテール』で攻撃する。

 

 

「キョロロロ!?ギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

一方エレちゃんの『エレクトリックテール』を受けたビオランテは、強力な電流によって痺れて動けなくなってしまう。だがそれもほんの僅かで徐々に動き出し、体と地面から再び触手を出し始めた。あと2、3分くらい経てばまた攻撃してくるだろう。だがこちらとしては十分な時間だ。

 

 

「今のうちよモスラ!パルセファニック・シャワー!」

 

「ピュアアアアアアァァァッ!!」

 

 

モスラ・レオは素早くビオランテの真上で止まると、翅から美しく光り輝く鱗粉を撒いた。この鱗粉は、傷ついた生き物や植物を回復させる上に枯木等の生命力を蘇られる事も出来る奇跡の技だ。だがそれを敵に使うのはどういう事であろうか?

すると暴れていたビオランテがだんだんと大人しくなっていった。その証拠に出していた触手がただユラユラと動いているだけだ。

どうやらヤプールの魔力が浄化され、さらに人間の心を取り戻して暴れるのを止めた様だ。まさに奇跡が起きた。

 

 

「良かった・・・成功できたみたい。ご苦労様モスラ!エレちゃん!」

 

「ピュアアアアアアァァァァァッ!!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

ビオランテを大人しくできた事にリーシャをホッと息を吐き、頑張ったモスラ・レオとエレちゃんを褒め称える。2体は嬉しそうに鳴き声を上げ、それを見ていたルーネとカミーラも状況を理解して2体の連係プレーと信じ合う心などに感心する。

その後2体は途中合流したシルバゴンと一緒にまだ戦っているガーディーの加勢に向かった。

 

 

「そ、そんな馬鹿な!ヤプール様の魔力を浄化させるなんて・・・信じられない!?」

 

 

目の前で起こった出来事に宇宙仮面は驚愕する。そしてまだ残っている戦力を見て考えた結果、自分が負ける可能性が高くなって慌てふためく。このままではヤプールに消されてしまうか超獣に改造されてしまうかもしれないからだ。そんな彼に突如話し掛ける者が現れた。

 

 

「ふ~ん、だいぶ苦戦しているようだね~」

 

「何を・・・き、貴様!?」

 

 

馬鹿にするような口調で話し掛けてきた者は、幻覚宇宙人メトロン星人・・・ではなく、最初に地球に現れてセブンと戦った個体の息子・メトロン星人Jrである。どうやら彼も復活して、再びヤプールの配下になったようだ。

そんなメトロン星人Jrはニヤニヤした表情(?)で宇宙仮面の周りを歩きながら言う。

 

 

「あ~んな貧弱な女達に苦戦するなんて、お前なんて四天王には向いていないんじゃないの~?僕の方が向いているんじゃないの~?」

 

「黙れ小僧!そう言うお前はどうなんだ?唯見ているだけではないか!」

 

「・・・アッハハハ!本当に何も知らないんだね?主役は遅れてやって来て、重要な局面で登場するもんなんだよ!」

 

 

そう言うとメトロン星人Jrは両手をクロスさせて巨大化する。さらに異次元空間から3体の超獣と怪獣・・・いや、生物を出現させた。

1体は頭の赤い角と顔の半分が赤い毛に覆われ、白銀色の巫女とも思える服を着て、左肩に付いている花が特徴の水瓶超獣アクエリウス。

もう1体は頭頂部の単眼と長い触手が特徴の宇宙電気クラゲ・ユニバーラゲス。

そして最後が古代ジュラ紀後期に棲息していた巨大生物・恐竜だ。

 

 

「さぁ行くぜお前ら!回りくどい策なんて無しだ。一気にブッ飛ばすぞ!」

 

「ギィッガアアアアアァァァァ!!」

 

「シュウウウゥゥ~~!」

 

「ピュヴヴヴヴヴゥゥゥッ!!」

 

 

過激な事を言うメトロン星人Jrの指示に従い、3体は咆哮を上げて戦場へ向かって行く。

そしてメトロン星人Jrも歩き出そうとした時、いきなり宇宙仮面が前に立ち塞がった。見ても分からぬと思うが今の彼は・・・・・かなり怒っていた。

 

 

「いい加減にしろ小僧!!お前如きに馬鹿にされる私ではない!今この場で私の切り札を見せてやる!!」

 

 

激しい怒りを放ちながら宇宙仮面は腕輪を操作して新たな怪獣を出現させた。

その怪獣は、蛇のような見た目で口の中に目があり、両腕から肩に掛けて蛇のような物が生えているのが特徴で、神話に出てくるゴルゴンの名を持つ石化魔獣ガーゴルゴンである。

 

 

「この怪獣・・・!」

 

「驚いたか?こいつこそ私の最高の切り札だ!こいつがいる以上私の負けはない。行けガーゴルゴン!お前の力でレイオニクス共を倒して「バァン!!」・・・ガァッ!?」

 

 

宇宙仮面は先程とは打って変わって上機嫌になり、そのままガーゴルゴンに命令を出そうとした時、突然銃声が響いた。さらに音とともに自分の腹が痛み出す。恐る恐る下を見てみると自分の腹がメトロン星人Jrの腕にいつの間にか装備されていたシリンダー状の銃・ラウンドランチャーで撃ち抜かれていた。彼は空間転移で備え付けたのだ。

 

 

「確かにあの怪獣は使えそうだ。僕が貰っておくよ」

 

「き、貴様・・・!!」

 

「・・・だからお前ももういらない。消えろ」

 

 

 

ババババババッ!!!

 

 

 

再び鳴り響くラウンドランチャーの銃声音。それと同時に宇宙仮面の体が激しく揺れ、さらに腕輪にも命中してしまう。そして最後に地面に倒れ、火花を散らしながら消滅した。

 

 

「これで四天王は僕で決まりだが、実績がないと流石のヤプールも認めないだろう。けどまぁ、実績ならアイツらを倒せばいいか。ハハハ、さぁ行くよガーゴルゴン!お前も僕に従った方が身の為だよ」

 

 

「・・・キュイッ!アァオーーー!!」

 

 

操り人が殺され、ヤプールの魔力が消えた事でいろいろと混乱していたガーゴルゴンにメトロン星人Jrは命令を出す。最初は混乱していたガーゴルゴンだが、知識の高い彼女は彼の言葉を理解して内心怒るが、この空間から抜け出すまで従う事にしようと考えて、ゆっくりと歩きながらメトロン星人Jrと共に戦場に向かうのであった。

 

 

 

その頃リーシャは、ガーディー達によって散々痛めつけられた上に、宇宙仮面が死んだ事でエネルギーが途絶えてグロッキー状態となったブラックサタンへ止めの必殺技を出すよう指示を出していた。

 

 

「ガーディー!ゼペリオン光線!!シルバゴン!ゼペリオン光弾!!モスラ!クロスヒートレーザー・レインボー!!エレちゃん!電子ビーム!!」

 

 

主の命を受けた4体は一斉に必殺技を放つ。凄まじい威力を誇る光線にブラックサタンが耐えられる筈がなく、悲鳴を上げた後大爆発を起こした。

 

 

「・・・ふぅ、これで終わりのようね。皆お疲れ様!」

 

 

最後の敵を倒したのを確認して、リーシャは4体を褒める。それを後ろで見ていたルーネとカミーラも褒める。

 

 

「うむ!見事な戦いであった」

 

「そうね。ちょっと甘いかもしれないけど・・・良かったわよ」

 

 

主人だけでなく2人からも褒められたガーディー達はとても嬉しそうに鳴き声を上げる。それを見てリーシャ達は可愛いと思いつつ、少し離れた所で大人しくこちらを見ているビオランテを連れて早く元の場所へ戻ろうと宇宙仮面の元へ行こうとする。その時突如横から大量の黒緑色の噴煙が襲い掛かってガーディー達は倒れてしまった。

 

 

「なっ、何!?」

 

「アッハハハ!良いよ良いよ。よくやったよアクエリウス!」

 

 

驚くリーシャ達だったが、横から誰かの笑い声を聞いて急ぎ戦闘態勢をとりながら振り向く。するとそこには先程のメトロン星人Jr達がいた。

 

 

「お前は誰だ?」

 

「僕はメトロン星人Jr。ヤプール様に仕え、新たな四天王になる者さ!さぁ、お前ら!奴らの怪獣達に止めを刺すぞ!!」

 

 

メトロン星人Jrは4体に命令して両腕を振り上げながら迫る。対してガーディー達はその場から動けずにいた。実はあの噴煙は猛毒ガスで、それにより手足が痺れてしまっている。さらに遠くの方からバラバラになったユニタングの肉塊が飛んで来て、そのまま合体して元の形に戻り、両手の鋏を振り上げながら迫ってきた。

 

 

「あぁ、皆!!」

 

 

自分の怪獣達が苦しむ姿と迫り来る敵を見てリーシャは涙目になりながら叫ぶ。そんな彼女の肩をルーネが優しく叩く。

 

 

「リーシャ、今すぐガーディー達を回収するんだ」

 

「えっ?でもそうしたら・・・」

 

「安心しなさい。ここから先は・・・私達が戦うわ」

 

 

そう言ってルーネは鎧兜を纏って本来の大きさになり、カミーラはスパークレンスで変身して巨人の姿になった。それを見てメトロン星人Jr達は足を止め、リーシャはガーディー達を回収し、安全な所まで下がった。

 

 

「行くわよルーネ」

 

「あぁ!任せろカミーラ!」

 

 

2人は頷き合った後、勢いよくメトロン星人Jr達へ突撃した。

まず最初にユニバーラゲスが2本の長い触手を伸ばして2人を捕らえようとする。しかしカミーラは『アイゾード』で切り裂き、ルーネはジャンプして避ける。さらにルーネはそのままカミーラに向かって噛みつき攻撃を仕掛けようとする恐竜を踏み台のように踏み付け、もっと高く飛び上がってユニバーラゲスの所まで来る。

 

 

「はあぁーーー!!」

 

「シュウウウゥゥ~~!?」

 

 

目前まで迫ったルーネを見て慌てて触手で防ごうとするが、それよりも早くルーネが2本の刀で真っ二つに切り裂いた。

 

 

「シュ、ウゥゥゥ~~・・・」

 

 

切り裂かれたユニバーラゲスは、体を発光させながら消滅した。

 

 

「ガアアァァ!?ギィッガアアアアアァァァァ!!」

 

 

戦いの最中ユニバーラゲスが消滅したところを見たアクエリウスは激しく鳴き声を上げ、目から涙を流した。彼女はかつて一緒に地球に来て行動を共にしていた仲間が死んだ事に悲しんでいるのだ。

そして最愛とも言える仲間を倒したルーネを睨みつけ、仇を討とうと花から猛毒の噴煙を出して両腕の鋭い爪を構えながら走り出す。しかしルーネは口を閉ざして噴煙を吸わないようにしながら刀で爪を防ぎ、そのままアクエリウスの腹を蹴り、さらに頭に膝蹴りを食らわせて怯ませた後、バックステップで距離を取る。

 

 

「お前の仲間を思う気持ちの強さ。見事なものだ。その気持ちに応えて・・・私の技を魅せよう。奥義・斬風乱舞!!」

 

 

ルーネの放った技は、双剣に自分のエネルギーで集めた風を組み合わせて勢いよく振り、それにより作り上げた鋭い風の刃をいくつも相手に放つものだ。

放たれた刃はアクエリウスの両手両足、花、首等を切り落とした。そして残った体も支えるものがなくなって落下した。

倒した後ルーネはアクエリウスの体を丁寧に置き、首の傍に花を添えてあげた。

 

 

「アクエリウス・・・私は超獣でありながら仲間思いのお前の事を忘れない。もし蘇ったりした時は、今度は刀ではなく、花を持って会いたいものだ」

 

 

優しく言いながらルーネはアクエリウスの亡骸に手を合わせる。そして少し経った後立ち上がり、残りの敵を倒しに向かうのであった。

 

 

 

一方カミーラは、リーシャに危害が及ばないように注意しながらメトロン星人Jr含む4体を相手に互角の戦いを繰り広げていた・・・と言っても実際積極的に戦っているのはメトロン星人Jrとユニタング、恐竜の3体だ。

メトロン星人Jrがパンチを繰り出せばカミーラは手で払うように受け流し、逆にビンタを食らわせる。

ユニタングが角を飛ばして攻撃すると『アイゾード』で切り裂き、そのまま体にも斬りつけてダメージを与える。

恐竜が口を大きく開けながら突進攻撃して来れば『カミーラウィップ』で口に巻き付け、そのまま犬を躾けるように引っ張って投げ飛ばす。

それならばと3体が同時に攻撃しようと同時に突進する。しかしカミーラはジャンプして避けて同士討ちを仕掛ける。その後バレリーナのように優雅に着地する。

3体がこの様子なら残っていたガーゴルゴンは何をしているだろうか?彼女は少し離れた所でやる気なく両肩の蛇の口から青色の稲妻状の破壊光線を放つだけだ。しかも適当に放っているので、味方に命中する事もあった。

 

 

「くそ!くっそ~~!どうなっているんだ!?」

 

「ふふ、どうしたの坊や。これが貴方の力なの?四天王になる割には弱すぎるし、器が小さいわね」

 

 

思い通りに部下達が動かず、攻撃も全く当たらない事にメトロン星人Jrは怒りのあまりその場で地団駄を踏む。それとは対照にカミーラは自分のペースに持ち込んでいる為、余裕の表情をし、指でコイコイと挑発したりする。

 

 

「ば、馬鹿にするな!ユニタング、さっさと糸で捕まえろ!!」

 

「ユシャアアアアァァァッ~~!!」

 

 

指示を受けたユニタングは口と両手の鋏から大量の白い糸を噴射し、カミーラを捕らえようとする。しかしカミーラは氷の鞭『カミーラウィップ』で糸を全て絡め取り、逆にユニタングに巻き付けて動けなくする。

そして鞭を両手で掴んで力一杯振り回し、そのまま投げ飛ばした。

 

 

「キュイッ!?アァオオォーーーーーッ!!」

 

「ユシャアアァァ!?」

 

 

投げ飛ばした先にはガーゴルゴンがいて、ユニタングは勢いよく彼女にぶつかってしまった。ガーゴルゴンはいきなりぶつかってきたユニタングに怒り、肩の蛇を伸ばしてユニタングの両腕に噛みついて何度も地面に叩きつけた。さらに両手の爪で切り裂いたりする。

無論ユニタングも暴れて引き離そうとするが、ガーゴルゴンの方が力が強い為に攻撃され続けた。

 

 

「キュウゥーーー!アァオオォーーーーッ!!」

 

 

ガーゴルゴンは尻尾の先端をガラガラヘビのように振動させ、口の中にある目にエネルギーを集約させていく。そしてそこからゴルゴン伝説の元であり、あらゆるものを石に変える効果がある『石化光線』を放つ。

 

 

「ユシャアア、アアァァァ、ァァ・・・・・」

 

 

光線を食らったユニタングは、脚から少しずつ石化していく。必死に助けを求めるように鋏を上に掲げるユニタングだが、とうとう完全に石化してしまった。

 

 

「キュウッ!アァオーーー!!」

 

 

ガーゴルゴンは石化したユニタングにゆっくり近付き、両手の爪で壊し始めた。如何にバラバラにされても再び活動する事ができるユニタングでも石になってしまってはどうする事もできず、完全に破壊されてしまった。

自分に無礼を働いた奴を倒せて、ガーゴルゴンは勝利の鳴き声を上げる。その光景はカミーラとメトロン星人Jr達にも見えた。メトロン星人Jrは激しく怒鳴り声を上げる。

 

 

「が、ガーゴルゴン!何をやっているんだ!味方を倒す奴がいるか!?」

 

「あらあら、これはとても良いモノを見られたわ。配下の者をまとめきれず、挙句の果てに裏切られて喚き散らす坊やの姿を(笑)クロウ様の足元にも及ばない惨めな子ね」

 

「なっ!?ぐうぅ~~!!」

 

 

喚き散らすメトロン星人Jrの姿を見てカミーラは本当に面白そうに笑う。また、安全な所で見ていたリーシャもつい笑い出してしまう。そんな彼女達の元へルーネが合流した。

 

 

「カミーラ、リーシャ、無事か?」

 

「えぇ、私は大丈夫!」

 

「私も何の心配もないわ。寧ろもっと遅く来ても良かったのに」

 

「何を言う!例えどんな状況でも仲間の元へ早く来るのは当然だ!」

 

「そう・・・ルーネ、貴方は本当に良い子ね。愛するクロウ様の次に好きになりそうだわ」

 

 

そう言いながらカミーラはルーネの頬を優しく撫でる。突然の行動にルーネは勿論、リーシャも顔を真っ赤にする。そんな時、メトロン星人Jrが笑いながら彼女達に言う。

 

 

「アッハハハ!愛するクロウ様だって~~?アイツの何処がいいのさ!あんなの唯の獣の王じゃないか!」

 

「「「!!」」」

 

 

今アイツは何て言った?クロウの事を獣の王だと?愛する人を侮辱された事にリーシャ、ルーネ、カミーラの3人は心の底から怒り出す。

 

 

「お前・・・今私のクロウ様の事を何て言った?」

 

「私のクロウの事を獣の王ですって?」

 

「随分ふざけた事を言うわね。私のクロウに!」

 

 

3人がそれぞれ“私の”と入れているのを置いといて・・・彼女達は凄まじい殺気を放つ。それを受けたメトロン星人Jrは恐怖のあまりその場を動けなくなってしまう。しかし今の彼女達に慈悲の言葉はない。

 

 

「ルーネ、一気にいくわよ!」

 

「ああ!承知した!」

 

 

掛け声と同時に2人は走り出す。それぞれ手に極限まで鋭くさせた武器を手に持ちながら・・・。

 

 

「ひぃっ!お、おい!早く行け!!」

 

「ピュヴヴゥ!?ピュ、ピュヴヴヴヴヴゥゥゥッ~~!」

 

「ええい!さっさと行け!!」

 

 

メトロン星人Jrは最後に残った忠実な部下の恐竜に迎え撃つように命じるが、恐竜は完全に戦意喪失して怯えていた。

しかしメトロン星人Jrは容赦なく背中を蹴って無理矢理行かせる。

 

 

「「邪魔だ/よ!!」」

 

 

そんな恐竜をルーネとカミーラは走りながらそれぞれの得物を振る。すると恐竜の首はゆっくりと落ちていった。

哀れ恐竜は怒りに燃える乙女達の最初の犠牲者になってしまった。だが安心しろ。もうすぐ君の主人も後を追うから!

 

 

「く、来るなーーー!!」

 

 

迫り来る乙女・・・いや、メトロン星人Jrにとっては悪鬼2人に対して、必死にラウンドランチャーと両手から『ショック光線』を放つ。

だがルーネとカミーラは素早い動きで避けて目の前までやって来た瞬間、目にも止まらない速さでメトロン星人Jrの全身を切り裂いた。

そして2人が刀をしまい、剣を消したのと同時にメトロン星人Jrのラウンドランチャーが粉々になりながら落ちていき、それに続くように両手両足がバラバラになって崩れ落ちた。

 

 

「あ、あぁ・・・嘘、だ。僕が・・・こんなところで・・・!」

 

 

目の前で起きている事が信じられず、メトロン星人Jrがそう呟いた瞬間、彼の顔に切れ目が入ってバラバラになり、そのまま絶命した。

怒りの対象を倒せた事でルーネとカミーラ、そしてリーシャの怒りは収まり、3人はスッキリしたような表情になる。

 

 

「ふぅ~、ようやく気持ちが落ち着いてきた」

 

「本当ね。あんな奴には二度と会いたくないわ」

 

「ルーネ!カミーラ!アレを見て!!」

 

 

2人の元へ駆け寄ったリーシャが指差した方向には黒い穴が開いていた。どうやら宇宙仮面とメトロン星人Jrが倒された事で隠されていた異次元空間の出入り口が出現したようだ。

 

 

「あそこを潜ればきっと元の場所へ戻れてクロウさんに会えると思う」

 

「ならば迷う事はない。このような所に長居は無用。急ぎクロウ様の元へ行こう」

 

「そうね。それじゃ、リーシャは私の手に乗って。そうすれば安全だから。それから・・・貴方達も一緒に来なさい」

 

 

リーシャを手に乗せながらカミーラは後ろに向かって声を掛ける。後ろにはビオランテとガーゴルゴンがいた。

ビオランテは先程助けてくれた恩がある為素直に彼女達について行こうとするが、ガーゴルゴンはどうするか迷うような仕草をする。

そんな彼女にカミーラはクロウの凄さと偉大さを話した後「此処にずっといる事になってもいいのか?」と言い、それを聞いてガーゴルゴンはそんなに言うなら会ってみようと思い、ゆっくり頷いて彼女達に付いていく事にした。

こうしてリーシャ達3人は、新たな怪獣2体と一緒に異次元空間を脱出したのであった。

そして一刻も早く愛するクロウと合流するべく、先を急ぐのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
バイオ怪獣ビオランテ


ある人間の手によってゴジラ細胞と人間の女性の細胞が薔薇に融合されて誕生した怪獣。
全身が植物の蔓に覆われてその周りから無数の口のついた触手を生やしていて、頭部が鰐とゴジラが合体したような顔が特徴である。
主な武器は口のついた触手と口から出す『強酸性放射能樹液』である。
かつて自分がいた世界でゴジラと戦い、最後は金色の粒子になって巨大な薔薇の姿になって宇宙から地球を見守っていたが、ヤプールの手によってこの世界に連れて来られ、彼の科学力で前の姿に戻された上に魔力によって操られてしまう。
しかしモスラ・レオの技によって魔力は浄化され、人間の心を取り戻しながら解放された。そしてリーシャ達と同じく解放されたガーゴルゴン一緒に異次元空間を抜け、その後クロウの元へ行く事になるのはもう少し後の話である。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第34話 地の底の戦い!覚醒せよ怪獣の誇りよ

皆様、お久しぶりです。約7ヶ月ぶりの投稿になります。
投稿するまでに時間がなかったり、パソコンが壊れたりといろいろありながら平成が終わって令和が始まりました(汗)

まぁ、兎に角言い訳もここまでにして、長い間お待たせして申し訳ございません。
そしてだいぶ遅いですが、新元号開始おめでとうございます!そして今回が令和最初の投稿でもあります。

今回はクロウの仲間達とヤプール四天王との最後の戦いです。
その中で特に注目すべきところは、地底での戦いを得意としている怪獣VS超獣のバトルと怪獣酋長と戦国の呪術者の対決であります。特に後者は摩訶不思議な力を持つ者同士、一体どんな戦いを繰り広げる事か!あと酋長の直属の配下の怪獣達&闇の戦士の活躍も是非ご覧下さい。
感想と評価をお待ちしております。

古代怪獣ゴモラ、原子怪鳥リトラ(S)、宇宙怪獣エレキング
怪獣酋長ジェロニモン、宇宙超獣トロンガー、凶暴竜ロックイーター
暴竜アンギラス、闇の戦士ヒュドラ、呪術者・魔頭鬼十郎幻州
地底エージェント・ギロン人、変身怪人アンチラ星人、古代怪獣ゴモラⅡ、
犀超獣ザイゴン、大蟻超獣アリブンタ、プラズマ怪獣アースゴモラ
人魂怪獣フェミゴンフレイム、二面鬼宿那鬼、凶獣姑獲鳥、奇獣ガンQ   登場




突如現れたヤプールの手によって異次元空間へ吸い込まれてしまったクロウ達。彼らはヤプール率いる異次元軍団の四天王がいる4つの異次元空間にバラバラにされてしまった。

その中で1つ灼熱地獄のような空間と深い森の空間に吸い込まれたグロラス、タクト、ダーラム、リーシャ、ルーネ、カミーラ達はそれぞれ四天王であるマグマ超人マザロン人と銀星人宇宙仮面が率いる異次元軍団と戦い、力を合わせて撃破する事ができた。

そして各々新たな仲間と共に異次元空間から脱出したのであった。

 

 

 

「ぐぅ~~!何と言う事だ!我が軍の四天王が2人も破られるとは!?」

 

 

異次元空間の中心とも言える場所で、この戦いの首謀者であるヤプールは1人苛立ちを隠せず、大声で怒鳴り散らしていた。

 

 

「奴らから得られる筈のマイナスエネルギーがあまりにも少ないから様子を見てみたら・・・こんな事になっているなんて!」

 

 

このままでは強い超獣や強豪怪獣達を蘇らせるのに必要なエネルギーが足りないばかりか、今いる奴らを意のままに操っている魔力が途中で切れてしまう可能性すらある。

そうなればこちらの戦力が一気に失ってウルトラ戦士共はおろか、レイオニクス共を倒す事すら不可能になってしまう。

 

 

「今しかないのだ・・・!あの最も強いレイオニクスを倒せるのは!!」

 

 

そう言ってヤプールが見つめる先には異次元の穴があった。だがそれは最初に現れた4つの穴ではなかった。実はあの襲撃の際クロウのみ4つの異次元空間とはさらに別の異次元に吸い込まれてしまったのだ。

そしてクロウは今6人の怪人と一緒にその異次元の中を彷徨っていた。

 

 

「こうなったら残った四天王2人に協力して倒すよう命じるとしよう。そうすればレイオニクス1人くらいは倒せるだろう。それにもし失敗してもいいようにアレも備えておこう」

 

 

次々と計略を考え発動させるヤプール。果たして奴は一体どんな作戦を閃いたのであろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃レイはヒュウガ達と一緒にいた。彼らは現在岩と土でできた柱や泥沼などが所々に存在し、まるで地底世界のような場所だ。

すぐにでも脱出しようとするレイ達だったが、強力な異次元エネルギーと穴から飛び出して地面に不時着したショックでペンドラゴンが故障してしまい、脱出できずにいた。

 

 

『ボス!ペンドラゴンには特に大きな損傷はありません。少し時間をくれればすぐに飛びたてます』

 

「分かった。引き続き修理を続けてくれ」

 

『了解!』

 

 

クマノからの報告を聞き、指示を出した後ヒュウガはレイ達と共に周りの状況を確認する。

 

 

「ハルナ、オキ。そっちはどうだ?」

 

「今のところ異常はありません」

 

「こっちも確認していますが、特に異常は見られません」

 

「レイの方は?」

 

「大丈夫だ。周りに怪獣の気配は・・・ッ!?」

 

 

いないと言うとした時、突如こちらに向かって何かがやって来るのを感じた。しかも複数だ。レイがヒュウガ達にその事を伝えて全員が警戒していると、とある方向から土煙と共に怪獣の鳴き声が聞こえた。そして現れたのは・・・!

 

 

「グェグェグェ!ヤハリオ前達デアッタカ・・・」

 

「ジェロニモン!?」

 

 

やって来たのはジェロニモンと彼が率いるトロンガー、ロックイーター達・・・そしてアンギラスにヒュドラだった。

何故アンギラスが彼らと一緒にいるのかと言うと、此処へ吸い込まれる時にクロウが咄嗟にギガライブナイザーから召喚してジェロニモン達を守るように命じながら飛ばしたのだ。やって来たのが彼らだと知り、レイ達はクマノを残して外に出る。

 

 

「お前達も無事だったか」

 

「偉大ナルクロウ様ノオカゲデナ。ソレヨリモ早ク此処カラ脱出スルノダ」

 

「待ってくれ。ペンドラゴンが不時着のショックで故障してしまった。少し時間がほしい」

 

「ヌッ?ナラ仕方ナイ。ダガ早クシタ方ガイイゾ・・・周リカラ邪悪ナ気ヲ感ジル」

 

 

ジェロニモンの警告を聞き、全員が周りを見渡す。すると突然地震が起こって目の前で砂煙が舞い、その中から3体の怪獣が現れた。

1体は背中の2本の大きな角と頭の3本の角、両手の鋏、全体が蟻に似た感じであるのが特徴の大蟻超獣アリブンタ。

そしてもう2体は・・・。

 

 

「ゴモラ!?」

 

 

現れた怪獣の姿を見てレイ達は驚きの声を上げた。どちらも外見はゴモラに似ているが、レイのゴモラとは違って角が多かったり、肥大化していたり、愛嬌があった顔から一変した凶悪な顔をしていた。そしてなにより一番違う点は、体の様々な部分に・・・紫色の結晶がある所だ。

 

 

「オキ!アレもゴモラなのか!?」

 

「分かりません!1体は大蟻超獣アリブンタで、ヤプールが作った超獣です。もう1体はゴモラⅡと言って分かるのですが、最後のあのゴモラは・・・僕も始めて見る奴です!」

 

 

オキでも分からない怪獣の存在に全員は警戒する。そんな彼らを嘲笑うかのような笑い声が辺りに響いた。

 

 

「フハハハハハ!なんて面白い顔だ!!」

 

「全くだ。まさに傑作と言って良いモノだ」

 

「誰だ!?」

 

 

全員が一斉に声がした方を見ると岩の上に2人の怪人がいた。緑色の昆虫のような複眼と顔の周りにある鬣が特徴の地底エージェント・ギロン人と、ザニガニに似ていて、赤く先端が曲がっている角と両手の赤い爪が特徴の変身怪人アンチラ星人がいた。

 

 

「我はギロン人!偉大なる神ヤプールに仕える異次元軍団の四天王であり、この地底世界の主だ」

 

「同じく変身怪人アンチラ星人だ!」

 

「ヤプールの部下か、俺達を此処に連れてきた目的は何だ!?」

 

「決まっている!貴様達からマイナスエネルギーを奪い、その命をヤプール様に捧げる為だ。その為に相応しい相手を用意してやったぞ」

 

「それがあの3体だと言うのか!」

 

「その通り!我が相棒、超獣アリブンタに地球のレイオニクスが使う怪獣の中で最も強いゴモラの同族の中でも最も凶暴なゴモラⅡとアースゴモラだ!」

 

「ギィーキョロロロロロッ!!」

 

「ギシャアアアアアァァァァーーー!!」

 

 

ギロン人の声に合わせてアリブンタ、ゴモラⅡ、アースゴモラの3体は咆哮を上げる。だがそんな事で怯むレイ達ではなかった。

 

 

「たとえゴモラの同族だとしても・・・俺のゴモラが負ける訳がない!行け!ゴモラ!エレキング!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

召喚されたゴモラとエレキングは目の前にいるゴモラⅡとアースゴモラに一瞬驚くが、2体の殺意を感じてすぐさま戦闘態勢をとる。

その間にレイはヒュウガ達とジェロニモン達をペンドラゴンに避難させ、アンギラスに護るように指示を出した後、ゴモラ達にも指示を出した。

そしてゴモラはゴモラⅡとアースゴモラに、エレキングはアリブンタへ戦いを挑んだ。

 

 

「ギシャアアアアァァァッ!!」

 

 

地底世界で激突し合う3体のゴモラ。レイのゴモラは、突進してくるゴモラⅡとアースゴモラの攻撃を真正面から迎え撃った。

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォン!!!

 

 

 

3体が激突した瞬間、地底世界で激しい地震が起きた。あまりの揺れにその場にいた全員が危なく倒れかけてしまうが、なんとか踏ん張って戦いに集中する。

 

 

「グルルルル・・・!」

 

「ギッ、ギシャアアァァッ!?」

 

 

ゴモラは2対1と言う状況でも負けず、ゴモラⅡとアースゴモラの突進攻撃を受け止める。そしてそのまま2体を突き飛ばした。

 

 

「ギシャアアアアァァァーーーッ!!」

 

 

突き飛ばされたゴモラⅡとアースゴモラだが、怒りと闘争心が高まって再びゴモラを攻撃する。ゴモラⅡは両手からミサイルを放ち、アースゴモラは長い尻尾を大きく振る。しかし2体の攻撃は、レイのゴモラには通じなかった。ゴモラはミサイル攻撃を素早い動きで躱し、尻尾を受け止めて逆に振り回してアースゴモラをゴモラⅡにぶつけた。それによりアースゴモラの体から紫色の結晶が砕け落ちた。

目の前の状況にギロン人が堪らず悲鳴を上げた。

 

 

「馬鹿な!2対1となのに・・・何故奴のゴモラの方が強い!?」

 

「当たり前だ。俺のゴモラは最強の怪獣だ。例えどんな相手であろうと・・・ゴモラは絶対に負けない!」

 

「ギシャアアアアァァァーーーッ!!」

 

 

レイの言葉に応えるかのようにゴモラは大きく咆哮を上げる。これまでの戦いやクロウとの特訓により、ゴモラは目の前にいる2体を軽く上回る程の力を持ったのだ。

そしてゴモラはさらに激しい攻撃をして、2体を圧倒するのであった。

 

 

 

一方ゴモラ達が戦っている場所から少し離れた所で、アリブンタとエレキングの戦いが繰り広げていた。

 

 

「ギィーキョロロロ!?」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

アリブンタの鋏攻撃を避け、接近してパンチを浴びせるエレキング。それに怒ったアリブンタは口から何でも溶解する『蟻酸』を吐き出す。しかしエレキングは、その場でバック転をして躱した。彼もゴモラに負けないくらい運動神経の良い奴だ(笑)!

 

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

エレキングは反撃とばかりに口から『放電光線』を放つ。光線はアリブンタの腹に命中するが、アリブンタは特にダメージを受けていないと言っているかのように鋏を振り上げ、そのままと突進攻撃を仕掛ける。「それならば!」とエレキングはタイミング良く尻尾を振って巻き付け、強力な『エレクトリックテール』を喰らわせた。

 

 

「ギィーキョロロロロッ!?」

 

 

流石のアリブンタもこれには悲鳴を上げる。また、強力な電撃攻撃によって体が痺れて身動きが取れなくなってしまった。

ギロン人は自分の軍団が苦戦している状況を見て動揺し、悔しそうに両手の鋏を開いたり閉めたりしている。

 

 

「このままだとマズイ。アンチラ星人!お前も早く加勢して、奴らを倒すんだ!!」

 

「分かった。出て来いザイゴンよ!!」

 

 

ギロン人の指示を聞いて、アンチラ星人は両手を上げながら叫ぶ。すると彼の背後の地面から土砂と土煙が噴き上がり、そこから1体の超獣が現れた。

その超獣は四足歩行で、黄土色と金色の体に赤い目と鼻先の黄色と黒の縞模様が入った巨大な角が特徴の犀超獣ザイゴンである。

 

 

「行けザイゴン!お前の手であの怪獣とレイオニクスを倒すんだ!!」

 

「ガア゛ア゛アアアアアァァァーー!!」

 

 

アンチラ星人の指示に従って、ザイゴンは鼻から蒸気を噴き出しながら走り出した。だが目の前に突然青い光の球が現れ、まるでザイゴンの動きを止めるかのように立ち塞がった。

当然ザイゴンは自分の行動を邪魔した光の球に怒りの咆哮を上げる。すると光の球から巨人へ変身したヒュドラが現れた。

 

 

「ヒャッハーー!!レイばっかりズルいぜ。俺も暴れさせてもらうぜ!!」

 

 

独特なポーズを決めながら言うヒュドラに、ザイゴンは口から強力な火炎『ファイヤーハリケーン』を放つ。だがヒュドラはその場でジャンプして躱し、そのまま勢いよく飛び蹴りをザイゴンの頭目掛けて喰らわせた。その一撃によりザイゴンは地面に頭を突っ込むように埋まって動けなくなってしまった。

 

 

「おいおい、これで終わりか~?もうちょっと楽しませろよ。それともお前らの自慢の超獣と言うのはこんなものなのか~~?」

 

 

再び独特なポーズを決めながらヒュドラはギロン人とアンチラ星人を挑発する。

 

 

「き、きっさま~~ふざけおって!ならば我自ら相手をしてやる!!」

 

 

そう言って怒り狂うギロン人は、両腕を交差して巨大化する。そして両手先から針状の光線『ギロン光線』を発射した。しかしヒュドラは素早い動きで光線を躱し、接近してお腹に蹴りを何度も浴びせる。

 

 

「キューキュキュキュッ!」

 

 

強力な蹴りを食らうギロン人だが、彼は怯まず鋏で脚を掴み、もう片方の鋏でお返しとばかりに何度も叩きつけた。

すると今度はヒュドラが鋏を掴んで脚から無理矢理引き離し、体勢を立て直したのと同時にギロン人の顔目掛けてパンチを放った。

 

 

「ぐっ!オノレ・・・!」

 

「ガッ!てめぇ~~!」

 

 

顔面にパンチを食らったギロン人。だがそれでも彼の戦意は落ちず、逆にますます怒りが湧き上がってヒュドラの顔を殴る。

するとヒュドラもまた殴る。お互いに凄まじい殴り合いが続くかと思った時、突如ギロン人の動きが止まった。そしてゆっくりと下を見つめながら震え出す。なぜなら彼のお腹にヒュドラの右手首にある武器『ドラフォーク』が突き刺さっていたからだ。

 

 

「ヒャッハハ・・・悪いな!俺はダーラムみたいに熱い戦いと言うのは好きじゃねぇんだ。一気に片を付けさせてもらうぜ~~」

 

 

そう言ってヒュドラは笑いながらドラフォークを何度もギロン人のお腹に突き刺したり、切り裂いたりする。それによりギロン人の抵抗が弱まり、動きが鈍くなった。

ヒュドラは止めを刺そうと大きく腕を振り上げようとした時、ようやく地面から頭を抜いたザイゴンがギロン人を助けようとヒュドラ目掛けて再び『ファイヤーハリケーン』を放つ。だがヒュドラは素早く後ろに下がって攻撃を躱した。

 

 

「ガア゛ア゛アアアアアァァァーー!!」

 

 

しかしザイゴンは攻撃を止めず、咆哮を上げながらヒュドラに向かって何度も突進攻撃を行う。だがその度にヒュドラは躱し続けた。

 

 

「何だぁお前?良いところで邪魔しやがって・・・これでも食らいな!」

 

 

執拗な攻撃に苛立ったヒュドラは、ドラフォークから強力な光弾『バルテスター』を発射する。光弾はタイミング良く振り返ったザイゴンの口に命中し、それによりザイゴンは口から赤い煙を吐きながら動きを止める。

 

 

「ヒャッハハ!ヴァンギロチン!!」

 

 

その隙をついてヒュドラは、自身のエネルギーと突風を混ぜて作り上げた新技『ヴァンギロチン』で、ザイゴンの首を切り落とした。そして首に続いて体が倒れたのと同時に爆発した。

 

 

「あぁ!お、俺のザイゴンが!?」

 

「ぐぬぬ・・・!」

 

 

ザイゴンが倒されたのを見てアンチラ星人は悲鳴を上げ、ギロン人は傷ついたお腹を押さえながらゆっくり立ち上がり、忌々しそうにヒュドラを見つめる。

その視線に気が付いたヒュドラは、その場から後ろに下がって距離をとり、右腕を上げて構える。

 

 

「お前もこれで終わりだ!食らえええええぇぇぇーーー!!」

 

 

そう言ってヒュドラはギロン人目掛けて必殺技『ヒューガスト』を放つ。

 

 

「ぐぅ、ぅぅぅぅ・・・がああああああぁぁぁーーー!!?」

 

 

必死に耐えようとするギロン人だが、ダメージが蓄積していた事もあって耐えられず、悲鳴を上げた後大爆発を起こした。それを見てヒュドラは、愉快そうに笑い声を上げる。

 

 

「ヒャッハハハハ!良い悲鳴だった。さぁて~残った奴らも・・・あん?」

 

 

残りの連中も片付けようとした時、ヒュドラの胸のカラータイマーが鳴り出した。どうやらだいぶエネルギーを使ってしまったようだ。

 

 

「・・・チッ!これから面白くなるのに邪魔しやがって。仕方ねぇ、今日はここまでだ」

 

 

ブツブツと文句を呟きながらヒュドラは変身を解き、人間態に戻ってペンドラゴンの方へ歩いていった。その様子を岩陰からアンチラ星人が見つめていた。

 

 

「そ、そんな・・・!ザイゴンに続いてギロン人までも!?」

 

 

アンチラ星人は、ギロン人とザイゴンがやられたのを見て戦意を失いかけていた。今残っている3体もあと少しすればやられてしまうのは明確だ。

だが逃げ出したらその時点でヤプールに処刑されてしまうだろう。

 

 

「一層奴ではなく、奴の仲間達を始末するか?このウルトラレーザーで・・・」

 

 

そう呟きながらアンチラ星人は、どこからともなく見るからに強力そうな武器・ウルトラレーザーを取り出した。

この切り札を使えば逆転できるかもしれない。だが奴らに近づく前にレイや怪獣達に見つかって、バレてしまうかもしれない。

一体どうすればいいのか考えていた時、突如空からゆっくり降りながら話し掛ける者が現れた。

 

 

「フフフフ、どうやらだいぶお困りのようだな」

 

「ッ!?貴様は・・・魔頭鬼十郎幻州!!」

 

 

話しかけてきた者の正体は、かつて日本の戦国時代にて、多くの武将を呪術で暗殺していた呪術者・魔頭鬼十郎幻州だ。魔頭はとある世界で地球のウルトラ戦士の手で倒され、地獄の中を彷徨っていたが、その強力な魔力に目をつけたヤプールの手によって蘇ったのだ。

元々いた世界では霊体だった為、常に空中を浮かんでいたがヤプールの手で蘇った事で浮かぶ事ができる他に、普通に地面の上を歩く事も可能になった。

 

 

「ギロン人も情けないものだ。同じ四天王として目も当てられん」

 

「な、何!?」

 

「だが・・・このままではマズイ状況なのは我も承知だ。ここからは我が魔物軍団に任せるがいい。まずは人魂よ、行くが良い!」

 

 

魔頭はペンドラゴンを指差しながら誰かを呼ぶ。すると魔頭の背後から突如青い人魂が現れた。そしてそのまま人魂はペンドラゴンの方へ向かった。

一方ペンドラゴン内ではヒュウガ達がレイ達の戦いを観戦していた。

 

 

「よ~し!戦況は完全にレイ達の優勢だ」

 

「ヒュドラも勝ったようですし、これなら行けますよ!」

 

「ああ!」

 

 

勝利は目前だと全員が感じた時、突如ジェロニモンが顔を上げて、周りをキョロキョロと見渡す。

 

 

「どうしたの?」

 

「何カガコノ船ニ侵入シタ。シカモカナリ強イ力ヲ持ツ奴ダ」

 

 

ジェロニモンがそう言った瞬間、彼らの前にあの人魂が現れた。突然の事に誰もが驚く中、オキだけはその正体に気づき、皆に知らせようとする。だがそれよりも早く人魂が動いて、ハルナの体の中に入っていった。

 

 

「うっ!?」

 

「副長!!」

 

「ハルナ!大丈夫か!?」

 

「いけません!今副長に近づいてはいけません!!」

 

 

ヒュウガとクマノがハルナの元に近寄ろうとするが、オキが必死に2人を止める。するとハルナの体が青く光り出し、さらに火が出て周りを燃え始めた。

 

 

「ボス・・・皆・・・助けて・・・」

 

「ハルナーー!!」

 

 

ハルナはそのまま青い光に包まれてペンドラゴンの外へ出ていく。そしてヒュウガ達の目の前で怪獣の姿に変わった。

その姿は、全身青色の鱗に包まれ、背中の赤く鋭い棘と喉部分の赤い突起が特徴の人魂怪獣フェミゴン・・・いや、フェミゴンフレイムだ。

実はあの青い人魂は、高い知能を持った宇宙生物なのだ。実態を持たない変わりに物体や生物に憑依する事で怪獣化する事ができるのだ。さらにフェミゴンフレイムには厄介な性質があった。

 

 

「フェミゴンフレイムに憑りつかれたら、奴が受けたダメージがそのまま副長にも伝わってしまうんです!!」

 

「何だって!?」

 

 

オキの言う通り、フェミゴンフレイムの厄介な性質とは、自分が受けたダメージが憑りついた生物にもダメージが伝わってしまう事だ。

その為フェミゴンフレイムを倒してしまえば、ハルナも一緒に死んでしまうかもしれないのだ。驚愕の事実にヒュウガ達は驚きを隠せず、さらに悔しさが混ざった表情でフェミゴンフレイムを見つめる。その様子を呪術で見ていた魔頭は大きく笑いだす。

 

 

「フッハハハ!良い表情だ。弱き者共の絶望する表情なども良いが、奴らみたいに強い力を持ちながら何もできず悔しがる表情もまた格別よ」

 

「お前・・・結構悪趣味な奴だったんだな」

 

「フン!それはお前の主も同じであろう?・・・まぁよい、次はお主達の望むマイナスエネルギーと言うモノを得ようぞ。出でよ!我が下僕達よ!!」

 

 

魔頭が大きく叫びながら両手を上に掲げる。すると彼の掌にある眼から黒い煙のようなモノが現れた。そして黒煙は3つに分かれ、その中から3体の怪獣が現れた。

1体目は腰に下半身を白い体毛に覆われ、腰に巨大な剣を下げているのが特徴の白髪を振り乱した一つ目鬼だ。この鬼はかつての山梨県にあったという『宿那山』で暴れ回っていたと言う悪鬼・二面鬼 宿那鬼だ。

2体目は体付きや体形は『人間』の女性でありながらも、頭部や手足は「鳥」であり、背中には羽毛の生えた巨大な翼を持ち、全身を鉛色の皮膚で覆われた半人半鳥だった。

その名は凶獣 姑獲鳥と言い、本来は上空500km付近にある電離層と呼ばれる空域に生息するプラズマ生物だ。

そして3体目は、以前ケイトが使役していた怪獣の1体・奇獣ガンQだ。だがこのガンQは魔頭の強大な力により生まれた『ガンQコードNo.02』と呼ばれる強化個体であるのだ。

 

 

「さぁ行け!我が忠実なる下僕達よ!奴らの怪獣を倒し、絶望に染め上げろ!!」

 

「フォフォフォウウウゥゥ~~~!!」

 

「ヴオオオォォォーーー!!」

 

「キュイイィィ~~!!」

 

「キョキョ~イィ~キャハハハハ!!」

 

 

魔頭の指示に従って、4体はそれぞれ鳴き声を上げながら戦場へ向かって歩き出す。それを見た後、魔頭はアンチラ星人にも指示を出した。

 

 

「アンチラ星人、お前は奴らの船に侵入して、その不思議な鉄砲で始末してまいれ」

 

「あ、あぁ・・・分かった。やって来る」

 

 

そう言ってアンチラ星人はウルトラレーザーを掲げ、ペンドラゴンの方へこっそり向かうのであった。そして魔頭も自身を魂の状態にさせ、ガンQの中に入って戦場に向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方、レイが率いるゴモラとエレキングの戦いは、まもなく決着が付こうとしていた。

 

 

「ゴモラ!超振動波!!エレキング!もう一度エレクトリックテールだ!!」

 

 

レイの指示を聞いて、ゴモラはゴモラⅡとアースゴモラ目掛けて『超振動波』を、エレキングは再びアリブンタに尻尾を巻き付けて『エレクトリックテール』を食らわせる。

これまで散々痛めつけられてグロッキー状態となっていたアリブンタ達。そんな状態の彼らが2体の必殺技を食らって無事な訳がなく、ゴモラⅡとアースゴモラはブッ飛ばされて後ろにあった大岩にぶつかり気を失った。

本来なら倒せるところをゴモラが無意識に手加減したおかげだ。

だがアリブンタの方は、エレキングの容赦ない攻撃で体中から火花を散らしながら倒れて大爆発を起こした。敵を倒したのを確認してゴモラとエレキングは勝利の咆哮を上げた。

 

 

「よくやった!ゴモラ、エレキング」

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

レイに褒められたゴモラとエレキングは、嬉しそうに鳴き声を上げる。

その様子をレイは微笑みながら見つめた後、気を失ったゴモラⅡとアースゴモラをどうするか考える。このまま連れて行って大丈夫だろうか?だがこちらにはジェロニモンがいるから彼に頼もうかと思った時、突如ある方向から気配と殺気を感じた。

振り向くとそこには新たな敵が迫っていた。

 

 

「あの怪獣達は・・・またヤプールの怪獣達に違いない!よし、ゴモラ!エレキング!アイツらも倒s・・・「ピピピッ!!」何だ!?」

 

 

レイが再びゴモラとエレキングに指示を出そうとした時、突然通信機が鳴って出てみるとヒュウガとオキの声が響いた。

 

 

「レイ、聞こえるか!?今お前の方に向かっている怪獣達だが、その4体のうち青色の怪獣・・・フェミゴンフレイムと言う怪獣にハルナが憑りつかれてしまったんだ」

 

「何!?」

 

「だからフェミゴンフレイムを倒すと副長も一緒に・・・」

 

 

2人の話を聞いて、レイはゴモラとエレキングに指示を出せなくなってしまう。

だがこのままでは2体は倒されてしまう。一体どうすればいいか、良い考えも浮かばず絶望し掛けた時、今度はジェロニモンの声が響いた。

 

 

「レイ、聞コエルカ?」

 

「ジェロニモン!?」

 

「オ前ノ仲間ノ人間ノ娘ハ我ニ任セロ。アノ怪獣達ハ皆少シ離レタ所ニイル奴ニ操ラレテイル。ソイツヲ我ガ倒シ、人間ノ娘ヲ元ニ戻シテヤル。ソレマデ我ガ同胞達ト協力シテ防グンダ。イイナ?」

 

「ああ・・・分かった。副長を頼むぞ」

 

「分カッテオル」

 

 

ジェロニモンがどんな方法をするのか分からないが、ハルナを助ける為にレイは彼を信じる事にした。そしてジェロニモンもレイの頼みに応えるべく、部下の怪獣達に命令を下した。

 

 

「コレカラ我ハハルナト言ウ人間ノ娘ヲ助ケニ行ク。オ前達ハ、レイト協力シテ奴ラノ足止メヲセヨ。ソノ為ニ必要ナ、エネルギーモ分ケ与エル」

 

 

そう言ってジェロニモンは自身のエネルギーを分け与える。するとロックイーター達の体が光り出し、そのまま外に出て巨大化した。かつて自分達がとある世界で住んでいて、自分達のボスとして君臨していた大型種に成長したのだ。

そして外で待機していたアンギラスと一緒にレイ達の元へ向かった。

 

 

「トロンガー、オ前ハコノ者達ト我ノ護衛ヲセヨ。何時敵ガ来ルカ分カラナイカラナ」

 

「ギュヴヴィィィッ!!」

 

 

指示を受けたトロンガーは「任せろ」と言わんばかりに胸を叩く。そしてジェロニモンは目の前で手を合わせ、静かに呪文を唱える。すると彼の体が紫色に光り出し、そのまま体から何かが抜け出た。最初光の球だったそれは、暫くするとジェロニモンの形になった。

 

 

「ジェ、ジェロニモン!?これは一体・・・」

 

「我ハコレマデ偉大ナルクロウ様ノ元デ力ヲ蓄エルダケデナク、新タナ力ニモ目覚メタ。その1ツガコノ・・・魂ヲ体カラ切リ離セル事ダ。今ノ我ハ霊体エネルギーの塊・・・暗黒魔魂ジェロニモン、ト呼ブガイイ!」

 

「暗黒魔魂ジェロニモン・・・」

 

「コノ姿ニナッタ我ノ超能力ハ、今マデノ数倍高イ。ダガ元ニ戻ル体ガナクナッタラ大変ダ。ダカラトロンガーヨ、シッカリ守ルンダゾ。ヒュウガ達モ頼ムゾ」

 

 

そう言ってジェロニモンは魂の状態になってペンドラゴンから外へ出て行った。

一方レイは合流したアンギラスやロックイーター達も率いて、魔頭の怪獣達と対峙していた。

 

 

「いいか皆、アイツらは倒さなくていい。足止めだけでいいんだ。頼むぞ!」

 

「ギシャアアアアアァァァーーー!!」

 

 

レイの頼みを聞き、ゴモラが大きく咆哮を上げた後怪獣達は一斉に突撃した。それに合わせて魔頭も己が憑依したガンQを除く配下の怪獣達に突撃命令を下した。

まず最初にぶつかったのはゴモラVS宿那鬼で、宿那鬼の剣をゴモラは自慢の角で防ぎ、受け止めたまま宿那鬼の腹にパンチを繰り出す。

 

 

「グッ、グゥォォ・・・・・ッ!!」

 

 

自慢の剣が角で防がれたと言う事に宿那鬼は驚きのあまりその場を動けず、ゴモラのパンチを避けられなかった。そして宿那鬼は剣を落とし、口から苦痛が混じった呻き声を出しながらその場に膝を付いてしまう。

 

 

「ギシャアアアアアァァァーーー!!」

 

 

その隙を見逃すゴモラではなく、膝を付いた宿那鬼の両角を掴んで無理矢理立ち上がらせ、そのまま左右に振り回して角を折ってしまった。

自慢の角を折られた宿那鬼は悲鳴を上げて、今度はその場に倒れてしまう。

ゴモラは倒れた宿那鬼を思いっきり踏み付けて、身動きを封じ込めるのであった。

 

 

 

次はアンギラス&ロックイーター(3体)VS姑獲鳥で、口を大きく開けて鋭い牙で噛みつこうとするロックイーター達に対し、姑獲鳥は中国で知られている妖怪『姑獲鳥』のように国の滅亡や人を予知する能力、つまり未来予知の能力を用いて攻撃を全て躱した。

全く攻撃が当たらない事にロックイーター達は苛立ち、地団駄を踏んだりと怒りを表した。

 

 

「フッフフフ・・・苛立っているな。下等な蜥蜴共よ。私の能力の前では、お前達の攻撃などお見通しだ。ホホホ・・・」

 

 

苛立つロックイーター達を見て、姑獲鳥が笑い声を出した。だが、その声が発せられているのは姑獲鳥の頭部にある『鳥』の嘴の部分ではなく、嘴の中にある目を金色に爛々と輝かせている『女性の顔』の部分であった。

普通の者ならそれを見たら恐れるであろう。だがロックイーター達は恐れるどころか口から涎を垂らし始めた。

彼らにとって相手がどんな姿であろうと関係ない。ただ敵ならば喰らい尽くすのみ。しかも・・・女性ならば尚更だ!

 

 

「グルルルル!」

 

「グオオオォォォ・・・ッ!」

 

「グガアアアァァ・・・ッ!」

 

「ギャアアァァ・・・クオオオオオォォォォン!!」

 

 

ロックイーター達は、まるで姑獲鳥の体の何処が一番美味しいのか、ちらちらと見つめながら話し合う。その様子に姑獲鳥も流石に恥ずかしいと感じたのか、両手で胸を隠して体を斜めにする。また、その様子をロックイーター達の後ろで見ていたアンギラスが呆れながらため息をついた後、彼らに「真面目にやれ!」と声を上げる。

それを聞いたロックイーター達は、再び姑獲鳥に向かって噛みつき攻撃を繰り出した。さらに今度はアンギラスも加わり、体を丸めて球状になって必殺技の『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を繰り出した。

 

 

「ギュ、ギュイイィィ~~・・・」

 

 

流石の姑獲鳥もこの猛烈な攻撃の前では未来予知でも防ぐ事はできなかった。なによりこの地底世界では、姑獲鳥自慢の翼を広げて空を飛ぶ事ができず、素早く動く事ができないのだ。

それにより姑獲鳥はとうとうロックイーター達に両腕等に噛みつかれて動けなくされて、アンギラスの『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を真正面から食らってしまった。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

強烈な一撃を食らった姑獲鳥は倒れ、倒れた時のショックで気を失ってしまう。その上にアンギラスが馬乗りになる。そしてロックイーター達と共に勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

 

そして最後はエレキングVSフェミゴンフレイムで、この戦いは前の2つよりも遥かに重要な戦いであった。

なにしろフェミゴンフレイムはハルナに憑りついている。彼女を傷つけないようにとレイは細かく指示を出し、エレキングもそれに応えながら慎重に戦いを行う。

しかしフェミゴンフレイムはそんな事を気にせず、容赦なく口から強力な『火炎弾』を放ったり、長い首を振り回して噛みつき攻撃や背中の棘を使った体当たり等を仕掛けてくる。

 

 

「エレキング!尻尾で動きを封じるんだ!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

「フォフォウウゥゥ~~!?」

 

 

エレキングは尻尾を大きく振って、迫るフェミゴンフレイムに巻き付ける。そして隙を与えず、強力な電撃を浴びせる。

それを見たヒュウガ達が慌ててレイに通信を繋げる。

 

 

「待てレイ!これ以上攻撃したらハルナが・・・!?」

 

「大丈夫だ!手加減するようにエレキングに伝えてある。このまま何とか動きを止めて、ジェロニモンが元に戻すまで時間を稼ぐ!」

 

 

そう言うレイだったが、フェミゴンフレイムは電撃攻撃から逃れようと口から『火炎弾』を吐いたり、首や体を激しく振ったりする。このまま暴れ続けられたらエレキングの拘束が解かれるのも時間の問題だ。

 

 

「ジェロニモン・・・早くしてくれ・・・!」

 

 

レイはただ見ている事しかできない自分に悔しい思いをしつつ、ジェロニモンに早く何とかしてくれと小さく呟く。

そしてそれはヒュウガ達も同じであった。

 

 

「ゴモラやエレキング達が必死に戦っているのに・・・俺達はただ、見ているだけしかできない・・・!」

 

「ボス・・・」

 

 

辛い表情で戦いを見つめているヒュウガを見て、オキやクマノも同じ表情になる。だがその時、トロンガーが何かに気付いて慌てて近くの物陰に身を隠す。

それと同時にペンドラゴンの扉が開いて、ウルトラレーザーを持ったアンチラ星人が入って来た。

 

 

「動くな人間共!」

 

「アンチラ星人!?」

 

「どうやってペンドラゴンに侵入したんだ!?」

 

「フン!貴様ら地球人の作ったセキュリティーを解除するなぞ、私にとっては造作もない。さぁ、無駄口はここまでにして・・・貴様らにはここで死んでもらうぞ!」

 

 

そう言ってアンチラ星人がウルトラレーザーを構えた瞬間、横から青い電撃が放たれた。それによりウルトラレーザーが破壊されてしまった。

 

 

「ぐあぁ!だ、誰だ!?」

 

「ギュヴヴヴヴィィィッ!!」

 

 

突然の攻撃で武器を失い、さらに手を痛めたアンチラ星人。彼は怒りを含ませながら電撃が放たれた方向を見る。そこにはトロンガーがいた。

トロンガーは鳴き声を上げながらアンチラ星人に組み付き、膝蹴りや張り手を繰り出して攻撃する。元々それほど強くなく、切り札であったウルトラレーザーも失ったアンチラ星人がトロンガーに勝てる訳がなかった。

散々トロンガーに痛めつけられたアンチラ星人は、もうグロッキー状態になってしまった。だがトロンガーは容赦なく無理矢理立ち上がらせ、口を大きく開いて強酸性の唾液を帯びた舌で頭を貫いた。

 

 

「うっ・・・!」

 

 

アンチラ星人の惨い死に様に流石のヒュウガ達も顔を背けた。しかし、先程も言った通りトロンガーは容赦なく両手から最初に放った青い電撃『青色稲妻光線』を放ってアンチラ星人の体を粉々にしてしまった。

 

「ギュヴヴヴヴィィィッ!!」

 

 

敵を倒したトロンガーは、暴れられた事も含めて嬉しそう勝利の咆哮をあげるのであった。その様子を自分の呪術とガンQの力で見ていた魔頭。彼の今の表情からは、最初に見せた余裕が完全に消えていた。

 

 

「な、何故だ。何故我の軍団が!我の野望が潰えようとする!?本来なら奴は仲間が傷つく事に耐えられなくなり、何もできなくなる筈なのに・・・何故戦い続けられる!?」

 

「グェグェグェ!ソレハ我ノ事ヲ信ジテイルカラヨ」

 

「だ、誰だ!?」

 

 

魔頭が後ろを振り向くと、いつの間にかジェロニモンがいた。

実は戦いの最中、ジェロニモンは気づかれないようにガンQの眼の中に入り、ずっと魔頭を探してようやく見つけたのだ。

 

 

「コノ怪獣ノ中ハ案外心地良イ所ダナ。我ノ能力ガ更ニ上ガッテクル」

 

「上がってくるだと・・・?そうか、貴様も我と同じ呪術者だな!」

 

「グェグェグェ!ドコヲドウ見レバソウ思ウノダ貴様?我ハ怪獣酋長!ソシテ偉大ナルモンスターキング・クロウ様ニ仕エル者ダ!!」

 

 

そう言ってジェロニモンは頭の羽を2本抜いて魔頭目掛けて投げ飛ばした。羽は勢いよく魔頭の両肩に刺さった。

 

 

「ぐっ!おのれーーー!!」

 

 

魔頭は反撃とばかりに両掌の眼から『赤色光弾』を放つ。だがジェロニモンは超能力であっさり光弾を跳ね返してしまった。

跳ね返った光弾はそのまま魔頭の方へ飛んで行く。それを見て魔頭は慌てて空を飛び、寸でのところで躱した。そして“次こそ当てる”と思いつつ魔力を集中して、最大級の『赤色光弾』を放つが、それもジェロニモンの超能力で跳ね返されてしまった。

しかも最大級を放ったので動きが鈍く、光弾を受けて大ダメージを受けてしまった。

 

 

「ぐぉっ!がぁっ!ば、馬鹿な・・・!我の呪術と魔力が効かぬだと!?」

 

「愚カ者メ。所詮人間ノ貴様ガ、偉大ナルクロウ様ニ仕エル、コノ怪獣酋長ジェロニモン様ニ勝テルモノカ!滅ビロ!!」

 

 

ジェロニモンは唸り声を上げながら再び羽を飛ばす。しかも今度は数十本で、羽は魔頭の体に容赦なく突き刺さり、貫くものさえあった。

 

 

「う・・・あぁ・・・わ、我が・・・この魔頭鬼十郎幻州が、此処で終わるだなんて!我の国を創る野望が、む・・・無念じゃ・・・」

 

 

自分の野望を叶えられぬ事に魔頭は涙を流し、手を天に向かって伸ばす。すると彼の体が霧か霞のように霞み、少し経って跡形も無く消滅してしまった。その様子をジェロニモンは面白そうに笑いながら見つめていた。

 

 

「グェグェグェ!哀レナ者ダ。タダ超能力ガ使エルト言ウダケデ、国ヲ創ロウナンテ・・・無理ナ事ヨ。マァ、奴ガ消エタ事デ人間ノ娘モ元ニ戻ッタダロウ。ソレニ・・・コノ怪獣モ含メテ、多クノ同士ヲ得ラレタワ!グェグェグェ!!」

 

 

ジェロニモンの言った通り、魔頭が消滅した事でフェミゴンフレイムの体が光ってハルナと人魂とで分離し、ガンQを始め操られていた宿那鬼と姑獲鳥が解放された。

その後ジェロニモンが自分の体に戻ってロックイーター達を元の大きさに戻す。またレイはゴモラ達だけでなく、未だ気を失っているゴモラⅡとアースゴモラも一緒に回収した。彼らの場合、ヤプールの魔力が込められた結晶が壊された事で解放されたのだ。

そして倒れているハルナを抱え、タイミング良く戻って来たヒュドラと一緒にペンドラゴンに戻った。彼らの帰りをヒュウガ達が手厚く迎えた。

 

 

「レイ、ジェロニモン、ヒュドラ!皆よくやってくれた。ハルナは診察結果、特に異常が見られなかった。あと少しすれば目を覚ますだろう」

 

「そうか、良かった・・・」

 

「それにしてもゴモラⅡやフェミゴンフレイム、ガンQ、宿那鬼、姑獲鳥だけでなく、あの新種のゴモラも仲間にするなんて・・・凄いよジェロニモン!」

 

「グェグェグェ!我ハ怪獣酋長ダカラナ。コレクライ朝飯前ヨ」

 

 

そう言って彼らが外を見ると傍に控えているアンギラスの他に、ガンQと宿那鬼と姑獲鳥もいた。また、ジェロニモンの手にはフェミゴンフレイムの人魂がいた。

どうやら魔頭から解放された後、彼らはジェロニモンの説得によって仲間になる事にしたのだ。また、レイが回収した2体の内アースゴモラの方はレイの事が気に入ったのか、回復しながら甘えるような鳴き声を時々出していた。

 

 

「このゴモラ、大分レイの事が気に入ったようだな」

 

「だが俺の仲間にしていいんだろうか?」

 

「良イト思ウゾ。クロウ様ガ懐イテイル者ヲ、無理矢理引キ離スヨウナ事ハ絶対シナイ」

 

 

話し合いが終わったのと同時にペンドラゴンの前に黒い穴が開いた。此処も他の空間と同じで、四天王を倒した事で異次元空間の出入り口が出現したようだ。

 

 

「ボス、アレは我々が入って来た異次元空間の穴です。あの穴に入ればきっと元の場所に戻れます!」

 

「よーし!全員発進準備に掛かれ!」

 

「「「了解!!」」」

 

「ヒュドラ、オ前ハマタ変身シテ、アンギラス、ガンQノ2体ヲ抱エテ付イテ行ッテクレヌカ?万ガ一ノ為ニナ。エネルギーハ、分ケ与エルカラヨ」

 

「ハッ!いいぜ、それならやってやるぜ」

 

 

こうしてレイ達とジェロニモン達は、新たな怪獣6体と一緒に異次元空間を脱出したのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
プラズマ怪獣アースゴモラ


外見はゴモラに似ているが、通常のゴモラとは違って角が肥大化していて、愛嬌があった顔から一変して頭蓋骨がむき出しになったような凶悪な顔や外見をしているのが特徴である。
主な武器は角や尻尾を使った『角かち上げ攻撃』や『テールスピアー』に、『超振動波』などレイのゴモラと同じ技である。
かつて自分のいた世界からヤプールに無理矢理この世界に連れて来られ、彼の魔力によって操られてしまう。その証拠に体にある緑色の結晶・プラズマソウルが紫色になっている。
相棒のゴモラⅡと共にレイのゴモラに戦いを挑むが、これまでの経験から力をつけたゴモラには敵わず、プラズマソウルを破壊されて気を失った。
普通ならプラズマソウルを破壊されると死んでしまうが、まだ生命活動が止まっていなく、バトルナイザーに回収された事で死なずに済んだ。
その後ヤプールの手から解放された恩もあってレイの仲間になる事を決意し、その気持ちを悟ったクロウの言葉もあってレイの4体目の相棒怪獣になる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話 最終決戦!究極超合体怪獣VS究極超獣

皆様、大変長らく、本当に長らくお待たせしました。
前回の登校日から約6ヵ月・・・時の流れは本当に早い。
今回はいよいよクロウとヤプール・・・ボス同士の戦いです。その為登場する怪獣達も強豪中の強豪怪獣達です!それに加えて、珍しい怪獣や怪人も登場します。けど彼らには少しばかりオリジナル設定を加えています。
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
究極超合体怪獣ドライレクス、シビルジャッジメンター・ギャラクトロン、邪神ガタノゾーア
サイボーグ怪獣ガイガン(FW)、奇機械怪獣デアボリック、暴君怪獣タイラント
宇宙恐竜ハイパーゼットン・デスサイズ、吸血怪獣ギマイラ、完全生命体デストロイア
怪獣王ゴジラ、快獣ブースカ、魔足怪人トンチキ、泥怪人ドロダーズ
異次元人 巨大ヤプール、究極超獣Uキラーザウルス(Uキラーザウルス・ネオ)
一角紅蓮超獣バキシマム、大魔王獣マガオロチ、殺し屋超獣バラバ
異次元超人カブト・ザ・キラー、宇宙悪魔ベゼルブ、時空破壊神ゼガン
豪烈暴獣ホロボロス、最凶獣ヘルベロス、次元凶獣カミソリデマーガ
宇宙怪獣 改造ベムスター、サボテン超獣 改造サボテンダー
ミサイル超獣 改造ベロクロン2世   登場




突如現れたヤプールの手によって異次元空間へ吸い込まれてしまったクロウ達。彼らはヤプールに従う異次元軍団の四天王がいる4つの異次元空間にバラバラにされてしまった。

その中で灼熱地獄のような空間に吸い込まれたグロラス、タクト、ダーラムはマグマ超人マザロン人と戦い、深い森の空間に吸い込まれたリーシャ、ルーネ、カミーラは銀星人宇宙仮面と戦い、地底世界の空間に吸い込まれたレイ達、ジェロニモン、ヒュドラは変身怪人アンチラ星人&呪術者・魔頭鬼十郎幻州が率いる異次元軍団と戦い、力を合わせて四天王を全員撃破する事ができた。

そして各々が新たな仲間と共に異次元空間から脱出したのであった。

 

 

 

さて、皆様長い間お待たせしました。次なる戦いはクロウの戦いです。

仲間達が全員異次元空間から脱出している頃、クロウは薄暗い空に真っ黒な大地が広がる異次元空間の中で・・・。

 

 

「フム、これはまた美味いラーメンだな!」

 

「でしょう~。僕が一番好きな食べ物なんだ~」

 

「けどこちらの樹木の根っこも美味しいですよ」

 

 

ズルズルと音を立てながらラーメンを食べていた。しかも彼の周りには他に5体の怪人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数時間前に遡る。

ヤプールの手によってこの異次元空間に連れて来られたクロウは、最初混乱していたがすぐに行動を開始して、念入りに辺りを捜索し出した。

だが何処を行っても何もなく、ただ薄暗い空と真っ黒な大地しかなかった。

 

 

「やっぱり誰もいないか。まぁ、薄々こんな真っ黒な所に人なんている訳がないと思っていたけどな」

 

 

そう呟いた瞬間クロウのお腹からぐぅ~、と腹の虫の鳴き声がした。

そう言えばずっと戦っていた上に此処に来てから何も食べていないな。けど今非常食さえも持っていない。どうしたものかと考えていた時、ふと近くに何かの気配を感じた。

 

 

「(数は・・・6体。けどどれも小さい気だ。と言う事は小型怪獣か?)」

 

 

警戒しつつも気配がする方へ向かうクロウ。すると近づいて行くにつれてその者達のものだと思う声が聞こえてきた。

 

 

「あらら~、一体此処は何処なんでしょうかね?」

 

「本当だね。何処を行っても暗い所で、シオシオのパーだよ~」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

声がした方へさらに近づくと、そこには6体の怪人がいた。

1体目は頭の小さく細長い2本の触角と大きな目と口、そして腕がないのが特徴の怪人だった。

何故腕がないのかと言うと、この怪人はとある世界で猛威を振るっていた暗黒星雲の魔族の支配者・魔王の足から誕生した怪人だ。その為彼の名は魔足怪人トンチキだ。

2体目はユーモラスな顔とずんぐりした黄色い体、横からかぶったような王冠の鶏冠「ブー冠」が特徴の快獣ブースカだ。

そして最後の4体だが、彼らは皆同じ土のように茶色い体をして、どこぞのアニメに登場した忍者みたいな顔が特徴の泥怪人ドロダーズである。

トンチキとブースカはのんびりした感じで話続け、ドロダーズは彼らの周りでウロチョロしている。その光景を見て、俺の心の中から警戒心と言うものが何処かへ消えてしまった。だって~~、あんなコミカル的な奴らがヤプールの手下に見えるか?手下だったら一体何に使うんだよ!?まぁ、そんな訳で俺は彼らに堂々と近づいて行った。

 

 

「どうも皆さん、こんにちは~!」

 

「あら~~!?」

 

「わぁ~~!?」

 

 

突然現れたクロウを見て、トンチキとブースカは尻餅をついてしまう。それをドロダーズが慌てて抱き起す。

 

 

「君は誰~?」

 

「俺はモンスターキング・クロウ!全ての怪獣達を従え、全ての怪獣達を守りし者だ!!」

 

「モンスターキング?魔王様と同じような人ですか?」

 

「フッ、それよりも上の存在さ。ところでお前達は何者だ?」

 

「僕はブースカって言うんだ。宜しくね~」

 

「私はトンチキと言います。こちら私の召使いであるドロダーズです」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

ブースカ、トンチキ、ドロダーズの順にそれぞれ名乗る。それからクロウ達は互いに軽く自己紹介をし、お腹も空いた事を言う。するとブースカが頭のブー冠を掴んで擦りながら呪文を唱え始める。そして唱え終わったのと同時に目の前に食べ物と調理器具が出現した。その食べ物と言うのは・・・。

 

 

「これは・・・ラーメン?」

 

「そうだよ~。僕はね~、いろんな超能力を使う事ができるんだ。そしてこのブー冠を温めてイメージ力を強くして、僕だけしか知らない呪文を唱えれば、そのイメージした物を出す事ができるんだ~」

 

「へぇ~、それは凄いな」

 

「でしたら私の好きな樹木500年の木の根も出してくれませんか!私の大好物なんです!!」

 

「いいよ~」

 

 

トンチキの頼みを聞いて、ブースカは再びブー冠を掴んで擦りながら呪文を唱える。そしてそれぞれが現れた食べ物を食べ始め、ここで冒頭の会話になったと言う訳だ。

それから暫く雑談しながら食事を続けて、食べ終えて一息ついた後に全員でどうやって此処から脱出しようか考えようとした時、突如空に大きな黒い穴・異次元空間が開いた。しかも中からあいつの邪気が漂っていた。

 

 

「ふん!どうやら本命さんが動いたようだな」

 

 

クロウがそう言った瞬間、異次元空間からヤプールが現れた。以前出会った時よりもマイナスエレルギーが溢れ、怒り・殺気・怨念も上がっていた。

そんなヤプールを見て、ブースカ達は恐怖で震えてクロウの後ろに隠れた。

 

 

「久しぶりだなヤプール。前に出会った時より随分と陰険な感じになったな。住んでいる所を変えたらどうだ?」

 

「黙れ!!忌々しいレイオニクスめ、貴様はこの暗闇の地で、このヤプール様の手によって滅びるのだ!!」

 

「フン!お前なんかに滅ぼされる気はないな。それより・・・俺の仲間はどうした?そしてどうして彼らをこの空間に連れてきたんだ?」

 

 

ヤプールの邪気に恐れる事がなく、俺は別世界に飛ばされたと思うリーシャ達の事や後ろに隠れているブースカ達を指差しながら此処に連れてきた理由を訊ねる。するとヤプールは彼らを暫く見つめた後、高笑いしながら言う。

 

 

「ヌハハハハハ!!何だそいつ等は?一体何処から紛れ込んだのだ?」

 

「何処からって・・・お前が連れて来たんだろ?それと・・・ちゃんと質問に答えろ」

 

「フン・・・貴様の仲間は我が配下の四天王が始末しているわ。それにそいつらは我が新たな異次元軍団を呼び寄せた時にくっ付いてきたゴミよ。何の価値もない余計な者だ。貴様と一緒に処分してやる。出でよ!我が新たな異次元軍団よ!!」

 

 

そう言った瞬間、ヤプールのいる空間から多くの怪獣達が飛び出して来た。その数は5体。

1体目は、外側が紅色で内側が青色の体をして、背中に翼のような形状の巨大な突起物と頭の赤く鋭い角と眼に、お腹の6つの目玉のような模様が特徴の大魔王獣マガオロチ。

2体目は、全身が黒と赤で大きな翅と両手の爪、鋭い針が付いた尻尾が特徴の宇宙悪魔ベゼルブ。

3体目は、ヤプールがアゲハ蝶の幼虫と宇宙怪獣を合体し誕生させ、鎌・鉄球・剣を持たせた全身凶器の塊とも言われているのが特徴の殺し屋超獣バラバ。

4体目は、かつてレイのゴモラに倒されたバキシムの怨念を回収したヤプールの手によって強化改造を施され、全身炎を纏わせたような姿が特徴の一角紅蓮超獣バキシマム。

5体目は、バキシマムと同ようにウルトラ兄弟と戦ったエースキラーがヤプールの手によって強化改造を施され、両腕の鋏と戦国武者の鎧を纏った姿が特徴の異次元超人カブト・ザ・キラー。

 

 

ほぉ、どれも良い怪獣&超獣だ。しかし妙だな・・・ヤプールの事だからもっと多く出すと思ったのに意外と少ないな。これなら前の時の方がまだマシだ。

 

 

「そいつらがお前らの新しい部下達か?それにしてはあまり大したことがないな」

 

 

クロウは挑発した口調で少し鎌をかけながらヤプールに言う。うん?リーシャ達の心配はしないのかって?アイツらの強さは俺が一番よく知っている。だからヤプールの部下如きに敗れるものか!・・・とまぁ、そんなこんなで俺にこんな事を言われてかなり怒るかなと思っていたが、意外にもヤプールは薄く笑っているだけだった。

 

 

「フフフ、我を甘く見るなレイオニクスよ。こいつ等は貴様の最強の怪獣達が束になっても勝てない猛者共だ。さぁ、行け我が僕達よ!奴らを倒せ!!奴らを絶望に染めろ!!」

 

 

ヤプールの指示と共に異次元軍団は走り出した。それを見てブースカ達は慌てふためき、クロウの後ろで互いに抱き合うように縮こまる。

そんな彼らを守るようにクロウは前に立ち、ギガライブナイザーからキングオブモンス、キングギドラ、グランドキング、ガイガン(FW)、デアボリックの5体を出す。今回彼らにしたのは、先程ヤプールが言った言葉にカチンときた事と・・・。

 

 

「最近出番が少ないと騒いでいたからな~。だからお前ら、此処で一気に暴れまくるがいい!行け!!」

 

 

クロウの指示を聞いて、キングオブモンスを筆頭に全員が走り出した。

そして怪獣達は既に自分の相手を決めていたかのように激突し、各自戦いの邪魔にならない様に相手と組み合いながら距離をとって、戦いを繰り広げ出した。

 

 

まず最初はガイガン(FW)&デアボリックVSバキシマム&カブト・ザ・キラーだ。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「ギガアアアァァァァァン!!」

 

「ヴオオオォォォーーー!!」

 

 

お互いに咆哮と鳴き声を上げた後、デアボリックが左腕のアサルトアームと上半身の多砲塔からビームとミサイルを撃つ。それに対してバキシマムが両腕の連射ユニットから火炎弾を連続で放つ技『紅蓮火炎弾』で相殺する。

普通ならデアボリックの方が威力も火力も上であるが、このバキシマムはかつてクロウ達が戦ったキングパンドン達の怨念パワーを回収したヤプールの手によって強化されていたのだ。元々炎攻撃を得意とするキングパンドン達だけに、その威力はデアボリックの攻撃と同等になるくらい絶大なものであった。

技同士がぶつかって発生した黒煙の中をガイガン(FW)が突っ走って自慢の鎌で切り裂こうとするが、前に出たカブト・ザ・キラーが両腕の鋏で受け止める。

そしてそのままへし折ろうと両鋏に力を込めようとするが、それを黙ってやらせるガイガン(FW)ではない。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ヴオオオォォォ!?」

 

 

ガイガン(FW)は眼から『ギガリューム・クラスター』を勢いよく放つ。光線はカブト・ザ・キラーの頭から胸へと流れるように行き、それを食らったカブト・ザ・キラーは鋏から鎌を離してしまう。真正面から光線を受けたカブト・ザ・キラーは大ダメージを・・・受けていなかった。

 

 

「ヴゥフフフ・・・この程度、俺には、効かない。愚かな蜥蜴よ・・・」

 

「キイイィィガァァァッ!?キイイイィィィガァァァァァ!!!」

 

 

どうやら全身に纏った鎧が光線を防いだ為、それほどダメージを受けなかったようだ。しかも不気味な笑い声と共に人語で語ってガイガン(FW)を馬鹿にした。それを聞いてガイガン(FW)は怒りの声を上げる。サイボーグ怪獣だけに人語を理解する事ができるようだ。

激しい怒りと共にガイガン(FW)は再び走り出し、先程よりも強く鎌を振り下ろす。流石にそれは受け止められないと判断したのか、カブト・ザ・キラーは鋏で受け流しながら後退する。

一方デアボリックとバキシマムの方も先程の撃ち合いから一変して、激しい肉弾戦を繰り広げていたが、カブト・ザ・キラーが後退したのと同時にバキシマムも後退し始めた。それを追い掛けようとガイガン(FW)とデアボリックはその場から動き出すのであった。

 

 

 

次はキングオブモンス&グランドキング&キングギドラVSマガオロチ&バラバ&ゼベルブだ。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!」

 

「ギイイィィィ!ギィァァァァァー!!」

 

「キュウゥァァァピュイイィィィーーッ!!」

 

 

最初の取っ組み合いから未だ組み合ったままのキングオブモンスとマガオロチ。両者共に力比べをするように押したり引いたりを繰り返す。そしてこの力勝負を制したのは・・・。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!?」

 

 

背負い投げのようにキングオブモンスによって投げ飛ばされたマガオロチは数回転がって、驚きの表情をしながら起き上がる。

どうやら今まで他の怪獣との力勝負で負けた事がなかっただけにキングオブモンスが自分より上である事が信じられないようだ。

だがそれは止むえない事であった。キングオブモンスはこれまでの戦いとクロウの一番の相棒と言う思いから通常の個体より能力等がかなり上だったのだ。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

 

逆にキングオブモンスは、マガオロチとの力勝負に勝てた事に喜びの咆哮を上げる。それを聞いてマガオロチは怒りを感じ、口から強力な電撃技『マガ迅雷』を放つ。しかしキングオブモンスは翼を広げて『ボーンシールド』で防ぐ。

そして攻撃が止んだのと同時に尻尾を振り回す。だがマガオロチもすぐに対応し、己の尻尾を振り回した。それにより2つの尻尾は絡み合い、そのまま引っ張り合う。再び力勝負が始まり、この勝負に制したのは・・・。

 

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!?」

 

 

やはりキングオブモンスであった。マガオロチを力ずくで引き倒し、繋がったままの尻尾を大きく振り上げて地面に叩き付ける。それに合わせてマガオロチも地面に叩きつけられるのであった。

 

 

「グアアァァァ・・・・・」

 

 

地面に叩きつけられながらマガオロチは考える。

一度だけでなく、二度もこの怪獣と力勝負に負けた。この者は私より遙かに上回った力を持っている。それにあの姿・・・なかなか良い姿だ。そこまで考えた瞬間、マガオロチは首を激しく振った。それを見てキングオブモンスは首をかしげる。

これらの行動を見て悟った者もいると思うが・・・・・実はこのマガオロチ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メスなのである。

 

ヤプールに操られていると思われているが、超獣ではない上に星を滅ぼすと言われたマガオロチ程の強豪怪獣にはいかにヤプールと言えども完全には操る事はできないようだ。

その為マガオロチはこのような感情を表しているのだ。

兎に角今まで感じた事のない自分の気持ちに戸惑いつつ、マガオロチはそれを消すと、戦闘中であることを思い出し、再びキングオブモンスに向かって戦いを挑んで行くのであった。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「ギイイィィィ!ギィァァァァァー!!」

 

「キュウゥァァァピュイイィィィーーッ!!」

 

 

そんな2体の近くで、天と地の2ヶ所で火花を散らしながら激しく戦っているのが、グランドキングとキングギドラのコンビだ。

まず地の戦いで、バラバの鉄球と鎌に対して、グランドキングは両手の鋏と鉤爪で対抗する。さらに必殺光線の『グランレーザー』や鋼の体と尻尾を使った攻撃でダメージを与えていく。

 

 

「ギィァァァァァァーッ!?」

 

 

強力な攻撃を受けてバラバは悲鳴を上げながら倒れてしまう。しかし超獣としてのプライドから必死に起き上がり、反撃とばかりに頭部の剣を発射する。さらに口から『火炎放射』を放ち、一気に勝負を付けようとする。

それに対してグランドキングは避けようとせず、真正面から剣と炎を受ける。するとバラバの剣は跳ね返って地面に落ち、炎はグランドキングの体を包みつつもすぐに消えてしまった。

自分の放った攻撃が全て防がれたのを見て、バラバは驚きのあまり動きを止めてしまった。その隙をついてグランドキングは(本人としては)素早く動き、鉤爪を頭目掛けて振り下ろした。その一撃を食らった瞬間、顔から眼球が飛び出してしまった。

 

 

「ギィァァァァァァーッ!?」

 

「グゥアアアアアッ!!グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

 

当然バラバは悲鳴を上げながらその場を激しく動き回る。だがどんな者でも眼球を飛び出されたら悲鳴を上げるのは当たり前だ。

しかしグランドキングはそんなバラバを静かに見つめながら容赦なく『グランレーザー』を放つ。目が見えない無防備状態の上に、2度目の光線にバラバが耐えられる訳がなく、大きくブッ飛ばされながら倒れて大爆発した。敵を倒したのを確認してグランドキングは勝利の咆哮を上げた。

 

 

次は天の戦いで、上空を高速で飛行しながらキングギドラとベゼルブがぶつかり合う。

 

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「キュウゥァァァピュイイィィィーーッ!!」

 

 

お互いに翼と羽を大きく広げて、キングギドラは口と翼から『引力光線』と『反重力光線』を放ち、ベゼルブは口から連続で放つ火球弾『ボンバーインフェルノ』と角から稲妻状の光線を放つ。必殺技同士が相殺し合い、それにより発生した黒煙が辺りを包む。

その隙をついてベゼルブは黒煙の中を静かに飛びながら尻尾を長く伸ばし、先端にある針を突き刺そうとする。

実はこの針は毒針で、ここから『クグツ』と呼ばれる毒を注入する事ができる。もし注入されてしまうと生命の意志を奪って支配されてしまうのだ。

元々それ程戦闘力が高くないベゼルブは先程の必殺技は元より、開戦の時からフルパワーで挑んでいたのだ。その為もう限界に近い状態なのである。だからこそ己の最大の切り札であるこの毒で、目の前にいる敵(キングギドラ)を支配しようとした。

だがそれは甘い考えであった。

 

 

「ピギャアアアアアオオオオオオン!!」

 

「!?」

 

 

黒煙から飛び出したベゼルブはすぐさま尻尾を前に突き出すが、そこにキングギドラの姿はなかった。何処に行ったのかと、周りを見渡した時に上からキングギドラの鳴き声が響いた。慌てて上を向いてみるとキングギドラが自分に向けて『引力光線』を放とうとしているのが見えた。ベゼルブはすぐさま避けようとするが間に合わず、光線を食らって地面目掛けて落ちていった。そしてそれにより舞い上がった土煙が晴れて視界が良くなると、落下した地点に文字通り虫の息状態であるベゼルブの姿があった。

それを確認した後キングギドラは勝利の咆哮を上げて、皆の元へ合流しようと飛び去るのであった。

 

 

 

「どうやら戦況は俺の方に傾いてきたようだ。やはりお前の力はこんなもののようだな。どうするヤプール?」

 

 

キングオブモンス達の戦いを見ていたクロウは挑発気味にヤプールに訊ねる。

 

 

「・・・・・フフ、ヌハハハハハ!!」

 

 

しかしヤプールは怒るどころか、突如体を震わせながら笑い出した。

 

 

「・・・何が可笑しい?」

 

「ハハハ・・・こうも我が策略に引っかかるとは、貴様も案外間抜けなのだな!」

 

「何を言って・・・!?」

 

 

意味を聞こうとした時、突然ヤプールがいる異次元空間から紫色の光の球が現れた。そして球がクロウ達の上で止まった瞬間、球から強烈な光が放たれて周囲を囲むように闇の障壁が覆った。それを見てブースカ達が慌てふためく。

 

 

「ク、クロウさん大変だ!僕達閉じ込められちゃったよ~!?」

 

「落ち着けブースカ。必ず此処から出してやるよ」

 

「でもクロウ様、貴方様が出した怪獣達と離れ離れになってしまいましたよ!?」

 

「ああ・・・どうやらこれがヤプールの狙いだったようだな」

 

 

あの球で壁を作ってキングオブモンス達主力怪獣と俺とを引き離し、ヤプール本命の怪獣軍団に俺を倒させる・・・そんなところだろう。

ちなみに何故そんなにも落ち着いていられるのであろうかと言うと、壁の外で事態に気がついたキングオブモンス達が残っているマガオロチ達を押し退けながら必死に壁を壊そうとしているのが見えるからだ。彼らが頑張っているのに俺だけ諦める訳にはいかないだろう。

そう思っていると文字通りヤプールが再び異次元空間から怪獣軍団を出して来た。その数は先程よりも多い8体だ。

1体目は、シャチや甲殻類等の水生生物、またはラゴラスとレイキュバスが融合したような姿をして、胸にあるカラータイマーのような結晶体、両手の鋏と背中に魚の鰭のような形状の翼があるのが特徴の時空破壊神ゼガン。

2体目は、全身が黒と赤で頭の大きく鋭い刃のような角や体中に生えた刃状の突起が特徴の最凶獣ヘルベロス。

3体目は、ライオンと竜が合わさったような姿をして、オレンジ色の外骨格に覆われた前足と青色の体表、白い鬣が特徴の豪烈暴獣ホロボロス。

4体目は、かつてザイゴーグに選ばれたツルギデマーガの強化前になるデマーガの亜種で、全身鋭い突起と鎧のような皮膚に包まれたような姿が特徴の次元凶獣カミソリデマーガ。

5体目は、かつてウルトラ戦士に倒されたベムスターがヤプールの手によって再生強化改造された宇宙怪獣 改造ベムスター。

6体目は、改造ベムスターと同じようにウルトラ戦士に倒されたサボテンダーがヤプールの手によって再生強化改造されたサボテン超獣 改造サボテンダー。

7体目は、改造ベムスターと同じようにウルトラ戦士に倒されたベロクロン2世がヤプールの手によって再生強化改造されたミサイル超獣 改造ベロクロン2世。

8体目は全身が金と青色で4本の長い触手と全身に生えている金色の棘が特徴で、ヤプールの切り札とも言うべき究極超獣Uキラーザウルス。

さらにUキラーザウルスの眼に巨大ヤプールの姿が映った。どうやら出現させたと同時に自身も憑りついたであろう。

 

 

『見たか忌々しいレイオニクスよ!これが我の本当の最強異次元軍団よ!!』

 

「あぁ、確かにどの怪獣・超獣も強い奴ばかりだ。そしてヤプールよ、最初の5体を使って俺からキングオブモンス達を引き離す作戦・・・見事なものだと褒めておくぞ。だがヤプール、俺の主力怪獣がアイツらだけだと思うな!」

 

 

そう言って俺はギガライブナイザーから7体の怪獣を召喚する。

出て来たのはギャラクトロン、ガタノゾーア、タイラント、ハイパーゼットン(D)、ギマイラ、デストロイア、ゴジラである。

召喚された怪獣達は咆哮を上げながらクロウ達を守るように並び立つ。

 

 

「どうだヤプール?こいつら皆、強い怪獣達だと感じるだろう?」

 

『ヌヌッ!!』

 

「それにお前は大きな勘違いをしている。俺の怪獣達は皆主力だ。弱い奴なんて1体もいないんだよ!全員、行けーーー!!」

 

「ウオオオォン!ウオオオォン!」

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

「ピポポポポポ!ゼェットォォーーーン!!」

 

「ギィエエエェェェーーッ!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

 

クロウの怪獣達は各々両手や角等の自慢の武器を掲げながら再び咆哮を上げ、敵軍団に向かって走り出した。

 

 

『こしゃくな!お前達も行け!レイオニクスを倒すのだ!!』

 

 

それを見てヤプールは怒りと共に軍団に指示を出し、怪獣・超獣達も威勢よく走り出す。

勇ましく走る両軍だが、この時興奮状態かつ普段こんな事はあまりしない者が走り出した為に大変な事態が発生した。

 

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!?」

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

 

 

なんとガタノゾーアが走っている途中で転んでしまい、そのまま前に倒れて前転し出した。それを見てゴジラ以下クロウの怪獣達は急いで左右に移動したり、空高く飛んだり、テレポートしたりと避ける。

勿論ヤプール側も避けようとしたが、不幸な事に改造ベロクロン2世は逃げ遅れてしまい、ガタノゾーアの巨体によって押し潰されてしまった。そして地面に改造ベロクロン2世の形に似た敷布団が完成した。

 

 

『おのれ!舐めるな!!』

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォーーーッ!!」

 

 

暴走を続けるガタノゾーアを止めたのはヤプールが憑りついているUキラーザウルスで、金色に輝く大きな両腕と4本の触手を前に出して自分より大きなガタノゾーアを受け止める。

しかしそれを見計らったかのようにガタノゾーアは丁度真正面を向くような姿勢になり、巨大な鋏で何度も叩き付け、さらに口から『シャドウミスト』を吐いて攻撃する。

Uキラーザウルスも反撃とばかりに触手から『テリブルフラッシャー』を放つ。

互いに世界を滅ぼし掛けたり、ウルトラ兄弟を相手に全く引けを取らなかった程の強豪として有名な怪獣と超獣。2体の激突はさらにヒートアップするのであった。

そしてその影響を受けたのか、残っていた怪獣達も戦いを開始した。

 

 

 

各地で繰り広げられる怪獣同士の激突・・・と言っても壁の中なのでそれ程離れていなく、まさに乱闘と言っても良い状況だった。

ゼガンが両手の鋏で切り裂こうとすれば、タイラントが鎌と鉄球で防ぐ。そして耳から『アロー光線』を放ち、それを食らったゼガンが怯んで後ろに下がる。その隙をついてギマイラが角で突き刺そうと迫るが、ゼガンを守るかのように前に立ったヘルベロスが肘の刃で受け止める。そして両腕に力を込めて押し返し、今度は自分の番だと言うかのように咆哮を上げながら頭の角をギマイラの腹目掛けて打ち付ける。しかしギマイラは防御せずに堂々と受け止める。そしてヘルベロスの頭を両手で掴んで何度も殴るのであった。そしてゼガンとタイラントも両手の武器を構えて、再び攻撃するのであった。

 

 

その横ではホロボロスが四足歩行で素早く動いてハイパーゼットン(D)に飛び掛かるが、ハイパーゼットン(D)はテレポートで避けて背後に回り、両鎌で切り裂こうとする。しかしホロボロスは四足歩行から二足歩行状態になり、前足・・・いや、両腕の手甲鉤で鎌を受け止めながら赤く染まった両目で睨みつける。

だがハイパーゼットン(D)は怯まず、さらに激しく攻撃を仕掛けるのであった。

 

 

さらに少し離れた所ではギャラクトロンがカミソリデマーガに戦いを挑んでいて、左腕の『ギャラクトロンブレード』や右腕のビーム砲が備え付けてあるクローで攻撃する。それに対してカミソリデマーガは、全身の鋭い突起『レザーエッジ』で攻撃を防ぎつつ、頭から放つ破壊光線『デマーガバリオン』で反撃する。

しかしギャラクトロンも両目から赤い閃光光線『ギャラクトロンスパーク』を放って光線を相殺する。その後も2体はお互いの自慢の武器をぶつけ合った。

 

 

そしてこの中で最も激しく戦い合っているのがゴジラ&デストロイアVS改造ベムスター&改造サボテンダーである。

だが戦況はどう見てもゴジラとデストロイアが優勢であった。改造ベムスターが目と腹の口から強力な『破壊光線』と『殺人光線』を放ち、改造サボテンダーが全身の棘で攻撃する。それに対してゴジラは口から『放射熱線』を放って改造ベムスターの光線を撃ち消し、そのまま改造ベムスターの腹を突き破ってしまった。

デストロイアも両手の鋭い爪で改造サボテンダーの棘を受け止めて押し倒し、角を使った『ヴァリアブル・スライサー』で手足を切り落とし、最後に頭と体を真っ二つにしてしまった。敵を倒したのを確認した後、ゴジラとデストロイアは共に勝利の咆哮を上げようとするが、途中止めて互いに睨み合い出した。どうやら互いに過去の経緯からまだ仲間と認めたくない感じだ。しかし状況が状況だけに、2体は競うように残りの敵に向かって戦いを挑みに行った。

 

 

 

激戦が繰り広げられる中、壁の外にいたキングオブモンス達の方では決着が付こうとしていた。

 

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ・・・」

 

「ギガアアァァァ・・ン・・・」

 

「ヴ、オオオォォォ・・・」

 

 

最初に出て来た軍団で生き残っていたマガオロチ、バキシマム、カブト・ザ・キラーの3体。彼らはクロウ達が閉じ込められた後もキングオブモンス達の猛攻に必死に応戦していたが遂に力尽き、虫の息状態になって倒れた。

 

 

「グルルルル!グオオオオオォォォォーーー!!」

 

 

キングオブモンスはガイガン(FW)にチェーンで倒れた3体を縛るように命令を出す。ガイガン(FW)は自分より実力も地位も高いキングオブモンスの命令に素直に従い、両手からチェーンを出して順番に3体を縛り付ける。

それを確認した後キングオブモンスは自分達の進行を遮る壁を見つめて、4体に壁を作っている光の球を破壊するように命令を出す。他の怪獣達もガイガン(FW)同様に素直に従い、一斉に必殺光線を撃って光の球を攻撃する。

如何にヤプールが作り出した物でも5大怪獣の光線には耐えられず、光の球は壊れて木端微塵に吹き飛んだ。それにより壁は消え、キングオブモンス達はすぐさまクロウの元へ駆け寄った。クロウ達も彼らの元へ走って合流する。

 

 

「苦労をかけたなお前達、だがよくやったぞ」

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「ねぇクロウさん、この怪獣達もクロウさんの仲間なの~?」

 

「どの怪獣達も強そうですね」

 

「あぁ、それに皆良い怪獣達でもあるよ。さて、話はここまで。一気に勝負を付けに行くぞ!ガイガン(FW)とデアボリックはブースカ達を守れ。キングオブモンス、キングギドラ、グランドキング・・・お前達の力と俺の力、今こそ1つになるぞ!!」

 

『ギガライブ!キングオブモンス!キングギドラ!グランドキング!超合体!ドライレクス!!』

 

 

そう言ってクロウはガイガン(FW)とデアボリックにブースカ達を守るように指示を出し、キングオブモンス達3体をスパークドールズに戻してギガライブナイザーに連続ライブする。そして究極超合体王怪獣ドライレクスになった。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

 

ドライレクスの咆哮は戦場中に響き、全員がその姿を見て恐怖する。それはUキラーザウルスに憑りついているヤプールも同じであった。

 

 

『な、なんだあの怪獣は!?この我が・・・怯えているだと!?』

 

『当然だ。こいつは俺と怪獣達の絆が1つになった究極超合体王怪獣だ。お前如き簡単に捻り潰してやるよ!』

 

『なんだと!?ぎぃ、ぎ~ざ~ま~・・・殺す!貴様も、貴様の怪獣達も、1体残らず滅ぼしてやる!!』

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォーーーッ!!」

 

 

クロウの言葉にヤプールの怒りは頂点に達し、その影響でUキラーザウルスも怒りの咆哮を上げる。そして今目の前で相手をしているガタノゾーアを両腕で掴み、触手を巻き付けて超怪力で押し倒して動けなくさせてドライレクスと対峙する。

Uキラーザウルスは一気に倒そうと4本の触手から一斉に『テリブルフラッシャー』を発射する。対するドライレクスは両肩にあるギドラの首から『超引力光線』を放ち、『テリブルフラッシャー』を防いだばかりか、そのまま押し返して触手を破壊する。

さらに両目から新技『ハイパークレメイトビーム』を放ってUキラーザウルスに大ダメージを与える。

 

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォーーーッ!?」

 

 

強力な攻撃を食らってUキラーザウルスは苦痛の表情になる。だが負けずに今度は全身の棘ミサイルを一斉に発射する『ザウルス・スティンガー』で攻撃する。

自分よりも巨体であるドライレクス。如何に防御力があろうとこれならダメージを与えられる・・・ヤプールの考えもあってUキラーザウルスはそう判断する。だがそれはあまりにドライレクスの事を甘く見過ぎていた。

 

 

「グオオオオォゥゥゥギャアアアアァァァァッーー!!」

 

 

ドライレクスは放たれた『ザウルス・スティンガー』を、自分にとって最強の必殺技『トリプルカイザービーム』で全て撃ち落とした。

だがドライレクスは光線を止めず、そのままUキラーザウルス目掛けて撃ち続けた。

 

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォ・・・ッ・・・」

 

 

凄まじい威力を誇る『トリプルカイザービーム』を食らい、流石のUキラーザウルスも大ダメージを受ける。そしてその場に膝を付き、荒い息を吐く。

 

 

『バ、馬鹿な・・・!?Uキラーザウルスが・・・!この我が・・・あんな怪獣如きに・・・!ありえん!?』

 

 

憑りついていたヤプールは、今のUキラーザウルスの状態が信じられず驚きを隠せなかった。そんなヤプールにクロウは冷静に言う。

 

 

『これが俺と怪獣達との絆の力だ。まぁ、自分が作り出した超獣達をただの道具としか思っていないお前には一生分からない事だろうけどな』

 

『そんな・・・そんなくだらないモノに・・・我が、我らヤプールが負けると言うのか!?認めぬ!絶対に認めないぞ!!』

 

『・・・もう何を言っても分からないようだな。ならこれ以上話す事はない。けど最後の情けだ。俺の手で引導を渡してやる!!』

 

 

そう言うとクロウは自身の体をエネルギー体に変えてドライレクスから飛び出し、Uキラーザウルスの眼の中に突入する。そして中にいたヤプールと対峙する。

 

 

『なっ!?貴様!!?』

 

「・・・此処がUキラーザウルスの中か、なかなかの居心地の良さだな。俺的には違ったイメージを想像していたんだが・・・まぁ、それは今置いといて。ヤプール、決着を付けるぞ!!」

 

『フン!貴様如きに負ける我ではない。我が復讐の力の恐ろしさを見るがいい。さぁ、どこからでもかかってこい!!』

 

 

威勢よく言うヤプールだが、内心恐怖にかかれていた。今の前にいる者はかつて自分達を滅亡寸前まで追い込んだレイブラッド星人の遺伝子を受け継ぐレイオニクス。しかもその力はあのレイブラッドと同じくらい強く感じるものであった。

そんなヤプールの心情の事なんかどうでもいい、と言わんばかりにクロウはギガライブナイザーを構えて走り出す。

それを見てヤプールは右手の鎌を前に突き出し、そこから直線的な形やカッター状の形であるなど様々な怪光線を放つ。だがクロウはギガライブナイザーを回転させて光線を全て防ぎ、そのままヤプールの腹目掛けて先端の槍部分を突き刺す。

 

 

『ヌウゥッ!?オノレーーー!!』

 

 

腹に手痛い攻撃を食らい苦痛の声を上げるヤプール。だがそれを食らった事で怒りと恨みの炎が再び燃え上がり、先程まで染まっていた恐怖が薄れていった。

再び右手の鎌を突き出してクロウに迫り、切り裂こうと何度も振るう。だがそれもクロウはギガライブナイザーで防ぎ、逆にギガライブナイザーを何度も叩きつけてダメージを与える。そして再度腹にギガライブナイザーを深く突き刺した。

 

 

「これで・・・止めだ!ゼロ・モンスターショット!!」

 

 

レイのゴモラが最も得意としている『超振動波・ゼロシュート』や他怪獣達の技を真似た相手に破壊エネルギーを直接流し込む技『ゼロ・モンスターショット』を食らわせる。そして暫く流し込んだ後ヤプールを勢いよく後ろへ投げ飛ばした。

 

 

『グワァーーーーーーー!!?』

 

 

投げ飛ばされたヤプールは悶え苦しみながら落下した。彼の体はもうボロボロで、体中の至る所から火花が飛び散り、もはや起き上がる事すらできない状態だった。

そんなヤプールにクロウは静かに近寄る。

 

 

『グ、グハァ・・・オ、オノレ・・・忌々しいレイオニクスめ。よくも、よくもやってくれたな!!』

 

 

膨大な怒りと恨みの込められた邪声が俺に向かって放たれる。それを聞いて一瞬恐怖を感じてこの場から逃げ出したい気持ちになるが、ギガライブナイザーにいる怪獣達の声を聞いて心を奮い立たせて、ヤプールに堂々と告げる。

 

 

「ヤプール、この勝負は俺の・・・いや、俺達の勝ちだ。お前の怨念は・・・怪獣達の絆の力に敗れたんだ」

 

『黙れ!黙れ黙れぇ!怪獣達の絆の力だと?ふざけるな!!そんなものに我が負けるなど・・・認めるものか!!』

 

「認めるもなにも、今目の前で起きているではないか。まぁ、お前には何を言っても意味がないか。兎に角これで終わりだ!!」

 

 

そう言ってクロウは止めとばかりにギガライブナイザーを勢いよく振るい、ヤプールの体を切り裂いた。体は半分に切り裂かれ、切られた部分から大量の血を流しつつヤプールはゆっくりと消滅していく。それでも彼の怨念は尽きなかった。

 

 

『・・・まだだ、まだ・・・終わらぬ。終わらぬぞ!我らはまた甦り・・・必ず貴様らレイオニクスを、滅ぼしてやる・・・』

 

「何度甦ってもそれでは何も変わらないと思うぞ?寧ろまた怯える生活を過ごす事になってしまうぞ?そんな生活を送るよりここらでのんびり眠りにつく方をお勧めするぞ・・・だから、安らかに眠れヤプール」

 

『ッ!!・・・・・・』

 

 

その言葉を最後にヤプールは完全に消滅した。だがクロウは暫くの間ヤプールが消えた所へ手を合わせた。それから暫くすると俺の頭の中に誰かの声が聞こえてきた。その声を聞いて、俺はこれが本来のUキラーザウルスの意識なのだと察した。なるほど、これはまた見た目とは違った大人しい感じのようだ。やっぱり超獣も怪獣同様に可愛いものだ。

 

 

「Uキラーザウルスよ、今から俺がお前の新たな主人だ。だからと言ってどんな命令でも従えってと言う訳ではないぞ。基本お前も含めた怪獣達は皆、自由だ。新しい仲間と一緒にどんな事をしようとお前の好きな事をすればいい。だが、仲間がピンチの時はその力・・・是非貸してくれ!」

 

 

クロウの言葉を聞いたUキラーザウルスは、とても激しく喜びの声を上げる。普通なら喜ぶ状況なんだろうけど、この喜び声を聞いて逆にどこか不安を感じてしまう。

だってこんなにも喜んでいる者の期待を何かの弾みで裏切ってしまったらどうするよ!?まぁ、そんな事が起きないように細心の注意をするように心掛けるけどよ(汗)

そんな事を考えつつ、俺はUキラーザウルスの眼から外に飛び出す。そしてドライレクスやブースカ達がいる場所に降り立つ。

 

 

「クロウさん、大丈夫だった~~?」

 

「ああ、特に怪我なんかはしていないよ」

 

「それで・・・あの怪獣はどうなったのですか?なんだか大人しくなっていますが・・・」

 

「アイツはヤプールが消えた事で奴の支配から解かれ、ああして大人しくなったのさ。それよりドライレクス、俺の頼もしき相棒達よ!よくやった!皆ご苦労だったぞ!!」

 

「グオオオオォゥゥゥギャアアアアァァァァッーーーーー!!」

 

 

クロウに褒められてドライレクスは3つの首を上に伸ばし、両腕と両翼を大きく広げながら喜びの鳴き声を上げる。その様子を見てクロウが微笑んでいると他の怪獣達もこちらにやって来た。どうやら皆、戦いに勝ったみたいだな。

集まった怪獣達1体1体を褒めて、彼らが倒した怪獣達の様子を見る。どれも傷ついているが死んではいない。皆も大分手加減する事に慣れてきたようだな~と感心しながらキングオブモンスを除く全ての怪獣・超獣達をギガライブナイザーに回収した。

 

 

「やっと落ち着く事ができるな。さて、ヤプールが消えたからそろそろ・・・」

 

 

そう言った瞬間、再び黒い穴が開いた。しかも現れた異次元空間は3つだ。見た感じ的にきっとあれらの内2つがブースカとトンチキ達がいた世界だろう。そして残りが俺のいた世界だ。

 

 

「ブースカ、トンチキ。あの3つの異次元空間のうち、2つがお前達のいた世界だ。あそこを通ればお前達は元の世界へ戻れる。つまり此処でお別れだ」

 

「うん、そう言う事だね。僕、寂しいよ。シオシオノパーだよぉ」

 

「私もです。それに、元々いた世界なんて・・・いい思い出なんてありませんし・・・」

 

 

此処で別れる事を言うとブースカ達は悲しい表情になる。特にトンチキやドロダーズ達はその場に座り込んで帰るのを拒否する。何故帰りたくないかと理由を訊ねると、元々いた世界で彼らは見た目がアレだからと言う理由もそうだが、最初の話に出た魔王に従って悪さをしていた為、その世界で彼らの居場所はないとも言っていい状況との事だ。

理由を聞いた俺はトンチキ達にある提案を言う。

 

 

「それならトンチキ、ドロダーズ、俺の仲間にならないか?」

 

「クロウ様の仲間ですか?」

 

「あぁ、俺の元にはいろんな奴らがいるが、全員優しくて良い連中だ。それに俺が言えばすぐに認める筈だ。あと俺はお前達の見た目の事なんか気にしないよ。なにより俺は差別と言うのが大っ嫌いだからな」

 

「そうなのですか・・・・・分かりました。是非クロウ様の仲間にさせて下さい!!」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

クロウの提案を聞いて、トンチキ達はすぐに受け入れて仲間になる事を宣言した。

これでこいつらの方はよし!あとはブースカだな。彼はまだ悲しい表情のまま俯いていた。

 

 

「そんな顔するなよブースカ。いつかまた再び会える時が来るさ」

 

「本当?本当に会えるの~?」

 

「あぁ、嘘は言わないよ」

 

「・・・分かった。僕、クロウさんの言葉を信じるよ。いつかまた、必ず会おうね。そしてまた一緒にラーメンを食べながらお話しようね~~」

 

「ああ、約束だ!」

 

 

お互いに笑顔になりながら約束をし、ブースカは自分のいた世界が映っている異次元空間へゆっくりと吸い込まれていく。

 

 

「また会おうね~~!バラサ、バラサ!」

 

 

両手を大きく振ってご自慢のブースカ語を言いながらブースカは元の世界へ帰って行った。彼を見送った後、クロウはトンチキ達に告げる。

 

 

「それじゃ、俺達も行くとするか!」

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「はい!クロウ様!!」

 

「「「「キュルキュル――!!」」」」

 

 

そう言ってクロウ達はキングオブモンスの頭に乗り、異次元空間を脱出した。

そして無事に通り抜けると先に脱出していたリーシャ達と再会する事ができた。全員が再会できた事に喜び合い、クロウから新たな仲間のトンチキ達の事を紹介されて穏やかに交流を果たした。

ちなみにクロウは、リーシャ達が連れてきた怪獣達を見て激しく興奮し、喜んで仲間に加えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって、別世界にある劇場・ブースカ劇場―――

 

 

「ブースカ~~!もう、何処に行ったんだろう?」

 

 

此処はウルトラマン専用の映画館で、毎回様々なウルトラ戦士の活躍した物語が上映されていた。その劇場でアルバイトをしているただ1人の宇宙人・ペガッサ星人ペガ。

彼は今、此処の支配人であるブースカを必死に探していた。

 

 

「今劇場が大変な状況なのに・・・ああもう!本当にどk「呼んだペーちゃん?」うわあぁ!?」

 

 

どこを探しても見つからないブースカに、とうとう我慢の限界に達したペガが怒りの声を上げようとした瞬間、背後からブースカが現れた。

それに驚いてペガはその場に尻餅をついてしまう。

 

 

「大丈夫ペーちゃん~?」

 

「う、うん。ありがとう・・・って、ブースカ!一体何処に行ってたのさ!?劇場が大変な事になっているんだよ。ほら!!」

 

 

そう言ってペガが近くのドアを開けて中を覗くと、いつもなら誰もいないガラ~ンとした客席が驚いた事に満席であった。しかも客は怪獣や宇宙人、さらに超獣・スペースビースト・円盤生物だ。皆手にポッポコーンや飲み物、ブースカやペガの人形を持って少しはしゃぎながら座っていた。

 

 

「一体全体どうなっているの!?どうしてウルトラマン専用の劇場にこんなにも沢山の怪獣や宇宙人達が来ているの!?」

 

「いや~、怒らない怒らない。実はね~、今日上映するのはこれだからなんだ~」

 

 

そう言ってブースカが取り出したのは1つのフィルムだった。だがそれを見た瞬間、ペガはさらに驚きの表情になる。

 

 

「あーーーーーっ!!!それって、モンスターキング・クロウ様が主人公の“怪獣王伝説”じゃん!?どうして持っているの!!?」

 

「ふふ~ん。実は僕、クロウ様と会って話をした事があってね~。ちなみにペーちゃんもクロウ様の事が好きなの~?」

 

「当然だよ!クロウ様の事が嫌いな人なんていないくらいだし・・・それにリクとあの関係でもあるから。・・・ってそれよりもどうして此処にあるのかが問題だよ!?」

 

「まぁまぁ、今はその話は置いといて・・・そろそろ皆もシビレを切らしちゃうから早く観せてあげよう~」

 

「そうだ。皆待っているぞ」

 

「「ふえ?」」

 

 

突然聞こえた声に2人が同時に振り向くと、そこには金髪で黒色のメカニック的な服装を着て、両手に特大サイズのポッポコーンと飲み物を持った美女が立っていた。

彼女の名はアンドロイド・ワンゼロ、またの名を『マナ』と言う。かつて自称『宇宙最高の頭脳』と言われた宇宙人に造られたアンドロイドで、ウルトラ戦士達と戦った過去を持つが、今は平和を愛する防衛軍に所属している。

 

 

「やぁマナちゃん。どうして此処にいるの~?」

 

「さっき言った通り、私も含め皆早く観たくて待ちきれない状況だ。早くしてくれないとポッポコーンと飲み物が食べ終わってしまう」

 

「それは大変だ。じゃあ、今すぐ観せてあげるね~。ペーちゃんとマナちゃんは先に特別席に行っててね。僕もすぐに行くから~」

 

「「うん/ああ」」

 

 

そう言ってブースカはフィルムを素早く映写機にセットし、準備を整える。そしてマイクをオンにして放送する。

 

 

『皆様~大変長らくお待たせ致しました。これより偉大なるクロウ様の物語“怪獣王伝説  第1章・惑星ボリス編”を上映致します。どうかお静かに、そして楽しんで観て下さいね~』

 

 

ようやく映画が観られる事に全員が内心激しく喜び、先に買ったポップコーンと飲み物を食べながら映画を見始める。

そして最後まで見終わった後、全員がクロウの凄さに感動し、改めて彼の仲間になるべく力を求める者、今すぐ申し込みに行く者、恋をする者など様々な想いを込めながら劇場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの日の1日の総売上はこれまでの中で最も多かった。飲食物と人形等の劇場オリジナル商品は在庫の分も含めて全て完売し、チケット代等も合わせて通常の100・・・いや、200倍であった。赤字が続いてブースカ劇場は一気に黒字になった。

その為ペガの懐は大変温かくなり、彼は上機嫌で親友が待っている家に帰るのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
究極超獣Uキラーザウルス


ヤプールが長い年月をかけて誕生させた超獣。エースキラーのデータを元に作られていて、顔はエースキラーに似ていて、全身青と金色なのが特徴である。
主な武器は4本の長い触手やそこから発射する光線、胸などの発光器官から放つ光線『テリブルフラッシャー』と全身の棘ミサイルを一斉に発射する『ザウルス・スティンガー』である。さらに巨大な腕による超怪力も武器だ。
昔ウルトラ兄弟に倒されたUキラーザウルスだが、復活したヤプールの怨念や惑星ハマーでクロウ達に倒された怪獣やレイオニクス達の怨念も合わさって復活した。
かつての戦いの時と同様にヤプールに憑りつかれてドライレクスと戦うが、ヤプールがクロウに倒された事で解放される。本来の自分の意識を取り戻してくれた上に、クロウの器の良さも知って仲間になる。
その後同じようにクロウの仲間となった超獣達のリーダーとなって、彼らと一緒に活躍するようになった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話 新たな戦いの地平で

皆様、お待たせしました。
今回からまた原作通りに物語が進んで行きます。いろいろなレイオニクス達とあのハンターからの挑戦をクロウ達はどう切り抜けるのでしょうか。
感想と評価をお待ちしております。

超合体怪獣グランドキング、魔王ヤマタノオロチ、剛力怪獣シルバゴン
プラズマ怪獣アースゴモラ、カプセル怪獣ミクラス
キール星人グランデ、X星人カイザー、どくろ怪獣レッドキング、宇宙隕石怪獣モンスターX
分身宇宙人ガッツ星人(RB)、宇宙海人バルキー星人(RB)、変身怪人ゼットン星人(RB)
黒幕宇宙人キラアク星人(RB)、集団宇宙人フック星人(RB)
宇宙ロボット・キングジョーブラック、宇宙凶険怪獣ケルビム、宇宙海獣レイキュバス
岩石怪獣ガクマβ、宇宙礫岩怪獣グロマイト、地底怪獣テレスドン
彗星怪獣ドラコ(再生)   登場




異次元人ヤプールとの戦いに決着をつけたクロウ一行。

新しい怪獣や仲間を得られた喜びを感じながら次なる戦いへ進んで行くのであった。

 

 

 

此処は、惑星ハマーのとある地帯―――

 

 

「ギシャアアアァァァッ!!」

 

「キャアァカァァァッーー!!」

 

 

岩と砂しかないこの場所で、今まさに2体の怪獣が戦うとしていた。

一方はかつて惑星ボリスでクロウ達と戦いを繰り広げた地底怪獣テレスドン。

もう一方は頭の短い5本の角と黒いタイルの様な皮膚が特徴の彗星怪獣ドラコ(再生)である。

何故“再生”であるのかと言うと本来のドラコは角が1本で、背中に翼が生えて両手が鎌なのだ。

そして2体の近くには例の如くレイオニクスが2人おり、テレスドンの方にいるのは頭の細長い触覚と1つ目が特徴の変身怪人ゼットン星人(RB)で、ドラコ(再生)の方にいるのは薄透明な服を着ていて大きな耳が特徴の集団宇宙人フック星人(RB)だ。

 

 

「俺のテレスドンが勝つ。ゼ~ットン!」

 

「馬鹿め!勝つのは俺のドラコだ!」

 

 

互いに自分が操る怪獣が勝つと言い張るレイオニクス達を合図にレイオニクスバトルが開始された。

テレスドンとドラコ(再生)は互いにパンチやキックを放って相手を攻撃し、一進一退の攻防を繰り広げる。しかし突然テレスドンが大きく唸り声を上げると、自身の体を高速回転して突進する技『ドリルスピンタックル』でドラコ(再生)を吹っ飛ばした。

 

 

「キャアァカァァァッーー!?」

 

「ギシャアアアアアアァァァァッ!!」

 

 

吹っ飛ばされて倒れたドラコ(再生)に追い打ちをかけようとテレスドンはキックを放つ。しかしドラコ(再生)はすぐに立ち上がってテレスドンの足を掴んで攻撃を防ぎ、そのまま投げ飛ばした。そして今度は自分だ!と言うかのようにテレスドンの頭を掴んで左右に振り回し、追撃をかけるがテレスドンは左手を勢い良く振って張り手を食らわせて反撃する。バトルがさらに激しくなると思った時、突如何処からか光線が放たれてテレスドンとドラコ(再生)を撃ち倒した。

 

 

「なにっ!?」

 

「あぁっ!ドラコが!?」

 

 

突然の事に2人は驚きの声を上げる。そして光線が放たれた方向を見つめるとそこにはあのキングジョーブラックがいた。

バトルを邪魔した奴に対して怒り狂うゼットン星人(RB)だったが、相手がキングジョーブラックだと分かると実力が違うと内心悟って悔しそうに自分のバトルナイザーを握りしめる。すると彼の元に1人の兵士・・・否、ペダン星人がやって来た。

 

 

「だ、誰だ貴様!?」

 

「レイオニクスハンターだ!!」

 

 

名乗るのと同時にペダン星人は銃を抜いてゼットン星人(RB)を射殺する。そしてそのままフック星人(RB)も撃とうと銃を構えるが・・・。

 

 

「た、頼む!助けて。助けてくれ。助けて下さい!」

 

 

殺されたくないあまりバトルナイザーを置き、必死にお願いするフック星人(RB)を見てペダン星人は撃つのを戸惑う。

その隙をついてフック星人(RB)は隠し持っていた短剣を投げるが、ペダン星人は素早く躱してフック星人(RB)を撃ち倒した。

するとペダン星人が被っていたヘルメットのマスク部分が消えてその素顔がはっきりした。なんとそのペダン星人の正体は死んだと思われたダイルだった。彼は重傷を負いながらも生き残って怪我を治し、再びレイオニクス達を抹殺していたのだ。

だがダイルは使命を果たせたと言うのにどこか不機嫌な感じだった。

 

 

「ああああーー!!何なんだこの気分は!?何故こんな苦い気持ちになる!」

 

 

そう言った瞬間、ダイルの脳裏にレイの姿が浮かんだ。

 

 

「アイツのせいか?アイツのせいでこんな事に・・・?」

 

 

レイの事を考えるダイルだったがいくら考えても答えが出る事がなく、さらに苛立ってその場にある岩を蹴って八つ当たりする。

そしてある程度落ち着いたところでダイルは惑星ハマーのとある場所にあるペダン星人の母艦に帰還し、ペダン星人を指揮するハーラン司令官に今回の結果を報告した。

 

 

「ダイル、早速レイオニクスを5人仕留めたそうですね。しかもあの怪我から復帰してたった2日で、流石我が星のレイオニクスハンター。感心しましたよ」

 

「恐れ入ります。ハーラン司令官閣下」

 

「・・・でも、1つ不満もあります」

 

「不満?」

 

「地球のレイオニクス、ピット星のレイオニクス、ねこ舌星のレイオニクス、ザム星のレイオニクス、そしてモンスターキングと名乗る最強のレイオニクス達を、何故真っ先に抹殺しないのですか?聞けば2度も殺し損ねているとか・・・狙った獲物は必ず逃さない、それがお前の誇りだった筈・・・違いますか?ダイル」

 

「・・・・・」

 

「今すぐ行きなさい。そして抹殺するのです。全てのレイオニクス達を、お前のその手で!」

 

 

ハーランの指示に従って、ダイルは頭を下げたまま無言でその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

一方クロウ達は、戻って来て早々レイオニクスバトルを行っていた。しかも今回の相手は因縁深い奴であった。

 

 

「地球のレイオニクス!この前は油断したが今度はそうはいかんぞ!」

 

「ピット星人!てめぇもだ。今度こそお前をブッ飛ばして、俺の強さを見せつけてやる!」

 

 

怒りと憎しみが籠った声で宣言する2人の宇宙人。一方はかつてレイと戦って敗れたガッツ星人(RB)で、もう一方はリーシャと戦って敗れたバルキー星人(RB)だ。

そして彼らとは別にもう1人、女性のレイオニクスがいた。尼僧のようなケープを着た外見をしているのが特徴のキラアク星人(RB)だ。彼女は傲慢な態度でクロウに話し掛ける。

 

 

「やれやれ、あのお二方は血の気が多くて困りますわ。まぁ、彼らの事はほっといて・・・はじめましてモンスターキング・クロウさん。私はキラアク星人。貴方を倒して全ての怪獣達を支配する者ですわ」

 

「ふん、ただの鉱物生命体がでかい口を叩くではないか」

 

「当然ですわ。なにしろ私の操る怪獣達はとても可愛く、強い子達なんですから。行きなさい!」

 

 

そう言ってキラアク星人(RB)はバトルナイザーを掲げて自分の手持ち怪獣を召喚する。それに合わせてガッツ星人(RB)とバルキー星人(RB)も召喚する。

 

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ガアァァギャァァァォォォン!!」

 

「ガッオオオォォァァァアン!!」

 

「グッギャアアアオォォーーン!!」

 

「ギシュウウウウウッ!!」

 

 

召喚された怪獣はガッツ星人(RB)とバルキー星人(RB)が1体、キラアク星人(RB)が2体の合計4体だ。

上の鳴き声から順に1体目は四足歩行で背中の薄赤色と黄土色の大小な棘と頭部に2本の角があるのが特徴の岩石怪獣ガクマβ。

2体目は同じく四足歩行で体中が岩石や瓦礫等を食べてできた厚く黒い鎧に包まれているのが特徴の宇宙礫岩怪獣グロマイト。

3体目は頭の長い角とヒレ状の耳、長い爪、棘がついた瘤のある尻尾が特徴の宇宙凶険怪獣ケルビム。

そして最後が両腕の大小の鋏を持っているのが特徴の宇宙海獣レイキュバスだ。

 

 

「捻り潰せケルビム!」

 

「切り刻んでしまえレイキュバス!」

 

「叩き潰しなさいガクマ、グロマイト!」

 

 

指示を聞いた4体はそれぞれ咆哮を上げながら腕を振るったり、鋏を鳴らしたり、足を上げたりしてクロウ達を威嚇する。

 

 

「成程、そういう怪獣達か・・・なら今回のメンバーはこいつ等だ。行け!グランドキング!!ヤマタノオロチ!!」

 

「行きなさい!シルバゴン!!」

 

「頼むぞ、ミクラス!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

「ガアアアァァァッ!!」

 

 

クロウ達が召喚したのはグランドキングとヤマタノオロチ、シルバゴン、そしてウルトラセブンから授かったミクラスである。

各陣営の怪獣達はそれぞれの相手を睨み付けながら対峙する。そんな彼らの上空をペンドラゴンとギガ・ロボフォーが飛行し、戦いの様子を眺めていた。

 

 

「いよいよミクラスの初陣ね。どこまで戦えるかしら?」

 

「きっと強いですよ。なんたってウルトラセブンから託された怪獣ですからね!」

 

「そうだな。必ずレイは勝つ!」

 

「それはクロウ様とリーシャも同様だ」

 

「グェグェグェ!当然ノ事ダナ」

 

「あぁ・・・けどどうせなら俺が戦いたかったぜ。新しく仲間になった怪獣達の力をクロウ様に見せたかったのによ~」

 

「それなら僕も同じだよ。はぁ~~」

 

「2人とも拗ねないの。クロウ様ならきっと別の相手で戦わせてくれるわよ」

 

「そうだ。ロードは俺達の願いをちゃんと叶えてくれる」

 

「へへ、全くその通りだぜ!」

 

「皆様、そろそろ始まりますよ!」

 

 

トンチキの声を聞いて全員が再び戦いの場に目を向けるとグランドキング、ヤマタノオロチ、ガクマβ、グロマイトが勢いよく突進した。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

「ガアァァギャァァァォォォン!!」

 

「ガッオオオォォァァァアン!!」

 

 

4体が同時にぶつかり合った後、グランドキングVSグロマイト、ヤマタノオロチVSガクマβの組み合わせで戦闘を続行した。

さらにその後にはシルバゴンVSレイキュバス、ミクラスVSケルビムの組み合わせで激突した。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ガアァァギャァァァォォォン!!」

 

 

最初はグランドキングVSグロマイトで、グロマイトが両足を前に突き出して押し倒そうとするが、グランドキングはそれを巨体で受け止める。そして片方の鋏でグロマイトの首を掴んで動きを止め、もう片方の鉤爪で背中を何度も攻撃する。

自分の体は鎧に守っているから大丈夫!そう思うグロマイトだが、皆様ご存知の通りグランドキングの鉤爪は鉄である。岩石や瓦礫等でできたグロマイトの鎧を何度も攻撃する事で粉々に破壊してしまった。

 

 

「ギイィィィッ!ガアァァギャァァォォン!?」

 

 

背中の鎧が破壊された事にグロマイトは驚きと悲鳴が混じった鳴き声を上げる。

そんなグロマイトにグランドキングは容赦なく眼から『グランレーザー』を放つ。光線は背中に命中し、グロマイトは地面に倒れて鎧はさらに粉々になってしまった。

 

 

「ガアァァギャァァァォォォン!!」

 

 

だがグロマイトはグランドキングの攻撃を受けても怯まなかった。剥き出しになってしまった自身の本体を修復せず、逆に粉々になった鎧の破片を猛スピードで食べる。そして立ち上がるのと同時に破片を元に作った『岩石弾』を至近距離から勢いよく放つ。

しかしグランドキングは『岩石弾』を食らっても少しよろめくだけで大したダメージを受けなかった。逆に岩石で体が汚れた事に怒って、再び鉤爪で激しく攻撃を加えるのであった。

 

 

 

次はヤマタノオロチVSガクマβである。

 

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

「ガッオオオォォァァァアン!!」

 

 

ガクマβは角を前に突き出し、前足の爪を長く伸ばした後猛スピードで走り出してヤマタノオロチを切り裂こうとする。

しかしヤマタノオロチは8つの首のうち4つの首の両目から『覇帝紅雷撃』を放ち、それによってガクマβが動きを止めた隙に残り4つの首の口から『高熱火炎』を吐いて攻撃する。

 

 

「ガッオオオォォァァァ!?」

 

 

光線と火炎を受けて苦しむガクマβ。必死に反撃しようと口から『石化光線』を放とうとするが、それよりも先にヤマタノオロチが2つの首を伸ばして左右から喉元に噛みつき、そのまま真上に上げて光線が当たらないようにした。

当然ガクマβは振り解こうと両足の爪を振るうが、ヤマタノオロチの首はくねくねと器用に動いて避ける。それならば、とガクマβは角と背鰭から電撃を放つ。

 

 

「グギャアアァァッ!?」

 

 

流石のヤマタノオロチもこれには驚いてガクマβの首を離してしまう。その隙をついてガクマβは体勢を整えて口から再び『石化光線』を放つ。

これが決まればガクマβの勝利は確実であったであろう。しかしヤマタノオロチは素早く体勢を立て直し、8つの首の両目全てから『覇帝紅嵐舞』を放って『石化光線』を相殺する。

そしてさっきのお返しと言わんばかりに全ての首を伸ばして再び喉元に噛みつく。しかも今度は角にも噛みついている。

 

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

唸り声と共に力を込めながらヤマタノオロチはガクマβの喉元と角を噛み千切る。それによりガクマβの喉元と角が生えていた部分からは血が噴き出し、大ダメージによりその場に倒れた。

 

 

「何をしているのですガクマ!早く起きなさい!」

 

 

キラアク星人(RB)は苛立ちながらガクマβに指示を出す。だが誰がどう見てもガクマβは戦闘不能状態だ。

 

 

「おい、もうこれ以上ガクマβを戦わせるのは無理だ。もう1体もグランドキングに押さえられているし・・・いい加減諦めたらどうだ?」

 

「黙りなさい!私が貴方如きに、たかが獣の王如きに負ける筈なんてありえません!」

 

 

戦況の流れを説明して降伏を進めるが、キラアク星人(RB)は往生際悪く自分の敗北を認めなかった。それどころかクロウの事を“獣の王”と罵った。それを聞いてリーシャ達は烈火の如く怒って、今すぐにでも殺そうと外に出て行こうとするのをタクト達が必死に押さえる。しかしクロウは至って冷静だ。

 

 

「せっかく助けてやろうと思ったのに・・・どうやら余計な情けだったようだな。ヤマタノオロチ、一気に片を付けろ!覇帝紅嵐舞・ゼロシュートだ!!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

クロウの指示に従ってヤマタノオロチは新必殺技を繰り出す。8つの首がガクマβに再度噛みついて『覇帝紅嵐舞』を放ち、そのまま首を上に向けて光線により持ち上げて勢いよく投げ飛ばす。ガクマβは地面に落下したのと同時に爆発した。

これはレイのゴモラが得意としている『超振動波・ゼロシュート』を真似した必殺技『覇帝紅嵐舞・ゼロシュート』である。

 

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

ガクマβを倒した事にヤマタノオロチは勝利の咆哮を上げ、次なる標的をグロマイトに変えてグランドキングの加勢に向かうのであった。

 

 

 

一方シルバゴンVSレイキュバス、ミクラスVSケルビムの方では・・・。

 

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

「ギシュウウウウウッ!!」

 

 

以前惑星ボリスにてレイキュバスと戦った事があるシルバゴンは、その経験を元にレイキュバスの鋏攻撃、口から吐く『冷却ガス』と『火炎弾』を躱したり、受け止めたりする。そして自慢の剛力で殴ったり、頭突きや尻尾等を使ってダメージを与えて戦況を有利に進めていく。

しかしミクラスの方は不利な状況であった。ケルビムが放つ3千度の火球『弾道エクスクルーシブスピット』で怯えて尻餅をつき、その隙をつかれて棘がついた瘤のある尻尾『超音速クラッシャーテイル』と頭の鋭い角『裂岩マチェットホーン』を連続で食らって逃げ出してしまった。

その様子を見てリーシャ達は唖然としてしまう。

 

 

「ヌハハハハ!ウッハハハハハ~~!!」

 

 

ガッツ星人(RB)は自分の怪獣の方が有利で、ミクラスの無様な姿を見て大きく笑い声を出す。また、声を出さずともバルキー星人(RB)やキラアク星人(RB)も同様に嘲笑うかのような表情をしていた。

 

 

「やっぱりダメか。中距離の火球、近距離の尻尾、さらに至近距離は鋭い角と・・・ケルビムは攻守ともに完璧な怪獣なんです。とてもミクラスの敵う相手じゃない」

 

「いや、そうでもないさ」

 

「えぇ、前にも同じような事があったわ。その時クロウさんから戦いは最後の瞬間まで何が起きるか分からない事を教えてもらった。今も同じよ」

 

 

そう言ってリーシャは視線を戻し、全員も同じように視線を戦場へと戻す。その頃怯えるミクラスにレイが激励していた。

 

 

「ミクラス、お前の力はそんなものじゃない。立て!見せてみろ。お前の本当の実力を!」

 

 

レイの言葉を聞いてミクラスは闘志を燃やしながら立ち上がり、両腕をギュッと握りしめて目を強く瞑りながら勢いよく突進した。

そしてミクラスの強烈な突進攻撃は見事に命中してブッ飛ばした・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グランドキングを!!!

 

 

「グゥエエエエエエエゥゥゥゥゥーー!?」

 

 

 

ドッズウウウウゥゥゥン!!!

 

 

 

グロマイトを攻撃する為、片足を上げていたグランドキングは何故かこちらに向かって走ってきたミクラスの突進攻撃を避けられずに食らって倒れる。

体重が21万トン以上もあるグランドキングが倒れた事で辺りに大きな地震が起きた。

 

 

「うおっ!」

 

「うわぁ!?」

 

「きゃあぁ!?」

 

「あ痛っ!!」

 

 

その凄まじい揺れに誰もが立っていられず、全員がバランスを崩して尻餅をついたりする。その間ミクラスは目を瞑ったまま味方とは知らずにグランドキングに馬乗りになり、何度もパンチを浴びせる。

 

 

「待てミクラス!それは違う!!」

 

「ヤマタノオロチ、ミクラスを止めろ!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

ミクラスの暴走を見てレイは慌てながら叫び、クロウはヤマタノオロチに指示を出す。ヤマタノオロチはすぐさま首を伸ばしてミクラスの両腕に噛みついて押さえる。そして残った首でミクラスに呼び掛ける。

 

 

「ギャオオオォォ!グギャオオオォォッ!!」

 

「ガオォ~~ン?」

 

 

レイやヤマタノオロチの声でようやく我に返ったミクラス。恐る恐る目を開けて下を見て、自分が仲間のグランドキングを攻撃していた事に気が付いて口と頭を押さえる。

そしてすぐさま退いて必死に謝るが・・・。

 

 

「グゥエエエエエエゥゥゥゥゥーーー!!!」

 

 

当然グランドキングの怒りは収まらず、大きく唸り声を上げながら立ち上がって鉤爪を振り上げてミクラスの頭を思いっきり攻撃した。

 

 

 

バッキイィィン!!!

 

 

 

強烈な一撃を受けた事でミクラスの頭の角は折れ、さらに血が噴き出る等の大ダメージを食らってその場に倒れた。しかしグランドキングはまだ怒っていて、ミクラスに止めを刺そうと迫る。

 

 

「マズイ!レイ、急いでミクラスを戻せ!!」

 

「あ、あぁ・・・戻れミクラス!」

 

 

グランドキングが踏み付けようとした間一髪のところでミクラスはレイのバトルナイザーに回収される。今回は本当に危なかった。普段滅多に怒る事はなく大人しいグランドキングだが、流石に裏切った奴には容赦しないか(汗)

そう思っているとまたガッツ星人(RB)達の笑い声が響いた。

 

 

「ヌッハハハハ!なんて間抜けな怪獣だ。よくそんな奴を仲間にしたもんだ~~!」

 

「全くだぜ。俺だったらあんな弱い奴、絶対いらねぇな!」

 

「やはり何年時が過ぎようと地球人は愚かですね。やれやれ・・・」

 

 

散々とミクラスを馬鹿にしまくる3人のレイオニクス達。しかもレイの事まで馬鹿にするとは・・・これはどんな事があろうと許せないな。リーシャも同じ気持ちなのか、怒った表情になって俺と一緒に言い返そうとした時、レイが手で制した堂々と言った。

 

 

「違う!ミクラスは間抜けな怪獣じゃない。アイツはまだ戦いに慣れていないだけだ。それに弱い怪獣でもない!!そして地球人も愚かじゃない!俺達を舐めるな!!」

 

「フン!だったらどうする?お得意のゴモラでも出すのか?」

 

「あぁ・・・だが次に出すのはお前が知っているゴモラではなく、新しく仲間になったゴモラだ!」

 

「何!?」

 

「行け!アースゴモラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギシャアアアアアァァァァーーー!!」

 

 

レイが新たに召喚したのはアースゴモラであった。ゴモラよりも大きく咆哮を上げ、手足や体を動かしながらアースゴモラはケルビムを睨み付ける。

ちなみに今の彼はヤプールに操られていた時とは違って、体の様々な部分にある結晶が紫色ではなく緑色だ。

 

 

「ギャ、ギャアアアオォォ~ン・・・」

 

「何を怯んでいるケルビム!そいつもさっきの奴と同様に間抜けな怪獣に決まっている!さっさと倒してしまえ!!」

 

「グッギャアアアオォォーーン!!」

 

 

アースゴモラの咆哮を聞いてケルビムは怯んでしまうが、ガッツ星人(RB)の激励を聞いてすぐさま口から『弾道エクスクルーシブスピット』を何発も放つ。

しかしアースゴモラは迫り来る火球を見ても怯まず、ケルビム目掛けて猛突進していく。

そしてそのまま角でケルビムをブッ飛ばし、倒れた彼の尻尾を掴んで勢いよく地面に叩きつけた。

 

 

「ええい、何をしているケルビム!反撃しろ!!」

 

「グッギャアアアオォォーーン!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーーー!!」

 

 

ガッツ星人(RB)の指示を聞いてケルビムは立ち上がったのと同時に尻尾を大きく振り回して攻撃する。対するアースゴモラも尻尾を振り、両者の尻尾は絡み合ってそのまま力比べになる。少し経つとアースゴモラが引っ張り上げ、ケルビムは引っ張られた挙句転倒する。力勝負はアースゴモラの方に分があったようだ。

 

 

「ギシャアアアアアアァァァーー!!」

 

「ギャアアアオォォーーーン!?」

 

 

そのままアースゴモラは絡み合ったままの尻尾を再び振る。それによってケルビムは振り回され、またもや地面に叩きつけられた。

これによって流石のケルビムもグロッキー状態になり、立ち上がりはしたもののふらついていた。

 

 

「今だアースゴモラ!超振動波だ!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーー!!」

 

 

それを見たレイはチャンスとばかりにアースゴモラに指示を出す。アースゴモラは突進して角をケルビムの腹に突き刺し、そのまま『超振動波・ゼロシュート』を食らわせて空高く投げ飛ばした。

 

 

「えっ、ひぃ、うぅ、うあああああぁぁぁーー!!?」

 

 

投げ飛ばされたケルビムが自分の方に落ちて来るのを見て、ガッツ星人(RB)は慌てて逃げようとするが間に合わず、押し潰された挙句に爆発に巻き込まれてしまった。

 

 

「ギシャアアアアアアァァァーーー!!」

 

 

ケルビムが爆発したのを確認した後、アースゴモラは大きく勝利の咆哮を上げる。レイもアースゴモラが勝って、喜んでいる姿を見て微笑むのであった。

 

 

「レイの方は終わったな。では俺達もそろそろ終わらせるとするか。なぁリーシャ?」

 

「はいクロウさん!シルバゴン、一気にやっちゃいなさい!」

 

「ゴシュィィィィィィィィン!!」

 

 

レイの勝利を見てクロウ達も決着を付けようと動く。

まずリーシャの指示を聞いたシルバゴンが既にグロッキー状態に近いレイキュバスの両鋏を掴み、力一杯捥ぎ取った。

 

 

「ギシュウウウウウウウゥゥゥゥッ!?」

 

「あぁっ!レ、レイキュバスの鋏が!?」

 

 

自慢の鋏を奪われたレイキュバスは悲鳴を上げ、バルキー星人(RB)はその様子を見て信じられないと言うかのように頭を抱える。

 

 

「これで終わりよ。シルバゴン!ゼペリオン光弾発射!!」

 

 

完全にグロッキー状態となったレイキュバス目掛けて、シルバゴンは『ゼペリオン光弾』を放つ。レイキュバスは避ける事ができずに食らって、ゆっくりと後ろに倒れて大爆発を起こした。レイキュバスが倒れたのを確認した後、シルバゴンは鋏を手に持ちながらドラミングをして勝利を喜んだ。

 

 

「そんな!?お、俺のレイキュバスが・・・負けるなんて・・・」

 

「これで分かったでしょう?あんた如きが私に勝てるなんて100万年早いのよ!」

 

「ぐぎぎ・・・くそ~お、覚えてやがれ!!」

 

 

自分の手持ちの中で最も強かったレイキュバスが倒されたのを見てバルキー星人(RB)は膝から崩れ落ち、リーシャの言葉もあって悔しさで顔を激しく歪めながら捨て台詞を言ってテレポートでその場から消えた。

リーシャとシルバゴンが勝利を収めたのと同時にクロウとグランドキング、ヤマタノオロチの方も勝利を収めようとしていた。

 

 

「グランドキング!ヤマタノオロチ!グランレーザーと覇帝紅嵐舞を同時発射!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「グギャオオオオオォォォォ!!」

 

 

2体の同時に放たれた必殺技を食らったグロマイトは、悲鳴を上げる間もなく大爆発を起こして粉々になってしまった。

 

 

「わ、私の・・・怪獣達が!?そんな事が・・・あり得ません!」

 

 

キラアク星人(RB)は自分が負けた事が認められず、周りの目も気にせずに頭を抱えながら何度も左右に振る。そんな彼女も終わりの時が来た。

 

 

「煩い奴だ。これでも食らって静かにしていろ!!」

 

「ヒッ!イ、イヤアアアアアアアーーー!!?」

 

 

騒ぎまくるキラアク星人(RB)に嫌気が差した俺はギガライブナイザーを構えて、冷気属性を含ませた『モンスターショット』を撃つ。

何故冷気属性を含ませたかと言うと、キラアク星人は高温下でしか生きる事ができない種族なのだ。その為低温の所では本来の姿である石塊に戻ってしまうのだ。

よって『モンスターショット』を食らったキラアク星人(RB)は一瞬で氷漬けになり、その後粉々に砕け散ってしまった。

 

 

「やれやれ・・・鉱物生命体だけに今回は服に汚れが多く付いてしまったな」

 

「本当ですねクロウさん」

 

「あぁ、そうだな」

 

 

服に付いた氷と砂を払いながら愚痴を溢しているクロウの元にリーシャとレイがやって来る。

 

 

「それにしてもレイ、アースゴモラの戦いは良かったけど・・・ミクラスの方は何とかしないといけないわね」

 

「あぁ、その通りだ。クロウ、後でまた特訓をお願いしてもいいか?」

 

「別に良いぞ。と言うかあのまま放っておくのはミクラスは勿論、レイの為にもならないからな」

 

 

そう言って話を終えた後、リーシャとレイを連れてギガ・ロボフォーの方へ歩き出す。

 

 

「ふん、まだ汚れが付いている感触がするな。あとでシャワーでも浴びるか」

 

「それでしたらクロウさん、あの・・・私と一緒にシャワーを浴びませんか///」

 

「へっ!?」

 

「あぁ、そうするか」

 

 

クロウの呟きを聞いたリーシャがとんでもない事を言う。

一緒にシャワーを浴びるだと!?近くにいたレイはリーシャの言葉を聞いて、顔を赤く染めながら俯く。どうやら彼にはまだまだ早い内容であったようだ。しかしクロウの方は動揺せず、彼女の話に賛成しながら優しく手を繋ぐ。リーシャもクロウの手を握り返し、2人は仲良くギガ・ロボフォーに向かって歩き出す。その後をレイはまだ顔を赤くしつつ内心羨ましく思いながら追いかけた。

 

 

 

けど大丈夫だよレイ、君も遠くない未来でクロウの様に隣に自分を愛してくれる人がいるよ。しかもその人は光の者・・・おっとこの話はまた今度でね。

ちなみにシャワーの件は、リーシャに対抗してルーネとカミーラも一緒に入りました。

その後濡れた髪をタオルで拭きながら自室に戻ろうとした時、突如警報が鳴った。慌ててメインルームに入り状況を確認する。

 

 

「どうした?」

 

「ペンドラゴンの近くにペダニウム反応を確認しました」

 

「ペダニウムだと?モニターを見せろ!」

 

 

ペダニウム反応と聞いて急いで調べてみるとペンドラゴンの前にキングジョーブラックが飛んでいた。それを見たリーシャは猛スピードでペンドラゴンの方へ走り出す。

その後を俺達も追いかけてペンドラゴンに入り、いつもの部屋に入ろうとするが、中から聞き覚えのある者の声が聞こえた為全員が耳を立てながら聞く。

 

 

「レイ、貴様何故まだこの惑星にいる?地球人よ、貴様らは俺に言った。戦いは望んでいない。この男と地球に帰りたいだけだと・・・だが帰らなかった。それどころか今ものうのうとレイオニクスバトルを続けている!この嘘つき共め!最後まで勝ち残り、レイブラッドの後継者になるつもりだな?全宇宙を支配するつもりか!そして我がペダン星を!!」

 

「違う!俺が戦っているのはレイブラッドの後継者になる為なんかじゃない!」

 

「嘘だ!!」

 

「嘘じゃない!それに・・・もし後継者と言うなら俺ではなく、クロウの方が何倍も上だ!」

 

 

えっ?何故此処でそんな事を言うの!?予想だにしていなかったレイの言葉を聞いて、俺は驚きのあまりその場で飛び跳ねそうになる。

しかし驚くクロウを他所にリーシャ達はレイの言葉は正しいと言わんばかりの何度も頷く。そして話はさらに続く。

 

 

「レイはなこの戦いを一刻も早く終わらせる為、敢えてこの星に残ったんだ!

 

「何?」

 

「レイの望みはな、破滅や混乱ではない。この宇宙の平和だ!その為にレイは戦っている。勝ち残ってレイブラッド星人を倒す!それが彼の目標だ!」

 

「・・・本当なのか?」

 

「あぁ!」

 

「・・・フッフフフフ!ハッハハハハハ!!」

 

 

レイの目標を聞いたダイルはその場で大笑いする。それを見てヒュウガは怒りながら問い出す。

 

 

「レイブラッド星人を倒すだと?フッハハハ!そんな事が本気でできると考えているのか?」

 

「できるわ!レイならきっとできる!」

 

「そうさ。レイは今までだって何度も不可能を可能にしてきた!俺以上の魔法使い、いや・・・怪獣使いだ!」

 

「君も信じなよ!レイならきっと未来も救える!君の故郷だって・・・」

 

「黙れ!どんなに言うがこいつは1人だ。たった1人で何ができる!?」

 

「・・・1人じゃない。俺にはボスや皆、俺を信じて戦ってくれるゴモラ達、そして俺が・・・いや、俺達が胸を張って誇れて仕える事ができる偉大なる主人、モンスターキング・クロウが見守っているんだ!!」

 

 

オ、オイイイイイィィィィーーー!!レイさんよ!お前また何言っちゃっているの!?いつからそんな事を言える子に育っちゃったの!?

いや確かにいろいろと世話して上げたり、修行して上げたりしたけど・・・まさかそんな馬鹿な事が!?そしてリーシャ達よ、そんなに激しく同意しなくてもいいよ!猛スピードで首を縦に振って、首外れはしないかい!?あとこんな事をしているせいで俺達完全に入るタイミングを逃しているよ。

 

 

「ならばその証拠を見せてもらおう!」

 

 

そう言ってダイルが腰に付けてあった機械を手に持って操作すると円盤状態で待機していたキングジョーブラックが合体して地上に降り立った。

 

 

「まずはキングジョーブラックを倒してみろ!寝言はその後に聞いてやる」

 

 

次にダイルが腕に装着してあるリングに触れると空間転送でその場から消えた。

 

 

「ボス、行って来る。これは避けられない戦いだ」

 

「分かった」

 

 

ヒュウガの許可を得てダイルの元に向かうとするレイだったが、ドアの前に立っていたクロウ達を見て足を止める。

 

 

「クロウ・・・皆も悪いが今回の戦いは何があろうと手を出さないでくれ。ダイルに言われた事、必ず証明してみせる!だから俺とゴモラ達を見守っていてくれ」

 

「あぁ、分かっている。俺は絶対お前が勝つ事を信じているよ」

 

 

クロウの言葉にリーシャ達も同意するように頷く。それを見たレイは嬉しい表情になりながら頷き、再び走り出してキングジョーブラックの傍に立っているダイルの元へ向かった。

 

 

「行け!ゴモラ!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーーー!!」

 

 

召喚されたゴモラはすぐさまキングジョーブラックに向かって突進する。対するキングジョーブラックも進撃してゴモラを攻撃する。

最初は自慢の角や尻尾攻撃が通じず、キングジョーブラックに押されるゴモラだったが、レイのレイオニクスの力を受けて自身の力を全て燃やした事でレイオニックバースト状態にパワーアップした。

それを見たハルナ達はレイがまた暴走してしまったと不安の声を上げるが、クロウとヒュウガが否定した。

 

 

「安心しろ。レイは暴走状態になっていない。長い間特訓してきたおかげで今ではもう完全にレイオニクスの力を制御している」

 

「あぁ、レイの強さは本物だ!」

 

 

その後ゴモラは先程まで押されていた事が嘘であったかのようにキングジョーブラックを圧倒していた。

 

 

「ゴモラ!超振動波だ!!」

 

 

指示を受けたゴモラは『超振動波』を勢いよく発射する。キングジョーブラックは腕のランチャーで防ごうとするができず、そのまま『超振動波』を食らって体中から火花を散らしながら倒れた。

 

 

「馬鹿な・・・キングジョーブラックが・・・!?」

 

 

ダイルは強化されたキングジョーブラックが倒された事に驚きを隠せなかった。そんな彼を尻目にレイは後ろを向いてペンドラゴンに戻ろうとする。

 

 

「待て!まだ戦いは終わっていない!」

 

「いや、もう終わった筈だ」

 

 

静かにそう呟いた後レイは再びペンドラゴン目指して歩き出す。それを見てダイルは銃口を向けて撃とうとするが・・・。

 

 

「・・・・・ああぁ!!」

 

 

とうとう撃つ事ができず銃を降ろしてしまう。その間にペンドラゴンが空高く飛び、同じくギガ・ロボフォーも空を飛んで2機はその場から飛び去って行った。

ちなみに余談だが、ダイルがレイを撃とうとしなかった為にリーシャもレイを守ると言う理由でペンドラゴンの操縦席にある攻撃ボタンを押す事ができず、とても苛立った声を上げる彼女をクロウ達が必死に押さえるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、かつてクロウ達と激戦を繰り広げたキール星人グランデとX星人カイザーの方にも2体のキングジョーブラックと4人のペダン星人が襲撃していた。

 

 

「待て!貴様達、レイオニクスだな?」

 

「まぁね」

 

「Yes!」

 

 

ペダン星人達の問いに2人は堂々と答えてその場から立ち去ろうとするが、当然ペダン星人達が許さず銃を向ける。

 

 

「問答無用ってかい?いいね」

 

「ちょうどストレスが溜まっていたところだ。お前ら、良いバトルをしてくれよ」

 

 

そう言って2人は同時にネオバトルナイザーを取り出し、それぞれ怪獣を召喚した。

グランデの方はどくろ怪獣レッドキングで、カイザーの方は宇宙隕石怪獣モンスターXだ。

 

 

「ギィガアアアオオォォォン!!」

 

「グガアアアアァァァッ!!」

 

「2体ともレベル3・・・キングジョーブラックの敵ではない」

 

「へぇ~そうかい」

 

「なら試してみるかい?」

 

 

ペダン星人達は小型機械を取り出して2体に向けて調べる。そして2体のレベルがそれ程でもないと判断する。だがそれは大きな間違いであった。

なにしろ2体を操っているのはグランデとカイザーだからだ。

 

 

「ギィガアアアオオォォォン!!」

 

「グガアアアアァァァッ!!」

 

グワアッシ・・・!グワアッシ・・・!

 

 

最初に動いたのは勿論レッドキングで、足元にあった岩をキングジョーブラックに向けて蹴っ飛ばす。キングジョーブラックはそれをランチャーで叩き落とすが、レッドキングはその間に接近していて、右側にいたキングジョーブラックを自慢の怪力で圧倒する。

それを見た左側のキングジョーブラックがペダニウムランチャーで攻撃しようとするが、いつの間にか接近していたモンスターXの凄まじい格闘術を受けて大ダメージを食らってしまう。

そして2体のキングジョーブラックはあっという間にグロッキー状態になってしまった。

 

 

「何故だ?戦闘レベルは段違いの筈!あの程度の怪獣達に押される筈が!?」

 

「sorry!普通はそうなんだが・・・」

 

「俺達は普通じゃないんだ」

 

 

そうこうしている間にレッドキングは飛び蹴りでキングジョーブラックを倒し、モンスターXは両目と肩の目から放たれる電撃光線『引力光線デストロイド・サンダー』で倒した。

 

 

「あんまり良いバトルじゃなかったな」

 

「そうだな。まぁいい暇潰しにはなった・・・と言う事で俺達の勝ち!」

 

 

グランデとカイザーはレッドキングとモンスターXを回収し、今度こそその場から立ち去ろうとする。しかしそれをみすみす見逃すペダン星人達ではなく・・・。

 

 

「ええい!撃て撃て!!」

 

 

怒りを込めながら銃を構えて何発も発射する。グランデはそれを素早い動きで躱し、カイザーも素早い動きで躱しながらペダン星人達に近づき、パンチやキックで全員倒してしまった。

そして2人はのんびりと立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

一方ダイルはペダン星人の母艦に帰還して、ハーランから先程の件について質問されていた。

 

 

「どうして殺さなかったのです?地球のレイオニクスは元よりあの場にいたレイオニクス達を?何故黙っているのです?答えなさい!ダイル」

 

「あのレイオニクス達は特別です」

 

「特別?」

 

「はい、彼らは・・・特に地球のレイオニクスであるレイはもしかしたら未来を救えるかもしれません。我がペダン星の未来を!」

 

 

決意を込めながらハーランに告げるダイル。必死に言う彼の話を聞きながらハーランは内心薄く笑うのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
カプセル怪獣ミクラス


ウルトラセブンが使役するカプセル怪獣の1体。巨大な角とバッファローに似た姿が特徴である。
主な武器は500万馬力の怪力と口から吐く『熱光線』である。
アーマードダークネスから解放されたセブンがレイに感謝のお礼と自身の代わりに手持ち怪獣として託した。今回の初陣にてケルビムと対峙するが、憶病な性格であった為に怯えて戦いの場から逃げ出したばかりか、レイの激励を受けて奮起しても味方のグランドキングを攻撃してした上に功績をアースゴモラに取られてしまうという大失態を犯してしまう。
その為バトルナイザーから戦いを見ていたクロウ達の怪獣達はおろかレイの怪獣達からも呆れられてしまう。
特にグランドキングや彼に好意を持っているモスラ親子からは“ダメな奴”と烙印を押されてしまった。それでもレイやクロウ達はミクラスを鍛えれば頼りになると思っているが、皆さんご存知の通りレイはゴモラを主に使い上にアースゴモラが大きな活躍をしたから果たしてミクラスが次に登場するのかは不明である。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第37話 クロウ怪獣軍団VSキングジョー軍団

皆様、新年あけましておめでとうございます!今年も宜しくお願い致します!
今回は文字通りクロウの怪獣軍団とキングジョー軍団が激しくぶつかります。それにより登場怪獣が多く出てきます。皆様、覚悟して読んで下さい。
感想と評価をお待ちしております。

古代怪獣ゴモラ、原子怪鳥リトラ(S)、宇宙怪獣エレキング、プラズマ怪獣アースゴモラ
超古代狛犬怪獣ガーディー、剛力怪獣シルバゴン、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)
放電竜エレキング(エレちゃん)、冷凍怪獣ラゴラス、進化怪獣ラゴラスエヴォ
雪超獣スノーギラン、冷凍怪獣ペギラ、宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン
復讐ロボット・ザムリベンジャー、火炎骨獣グルジオボーン
宇宙怪人ブラコ星人(RB)、高速宇宙人スラン星人(RB)、光波宇宙人リフレクト星人(RB)
透明宇宙人バイブ星人(RB)、きのこ怪獣マシュラ、菌糸怪獣サタンフォーガス
高速怪獣デキサドル、超音速怪獣ヘイレン、火山怪鳥バードン、透明怪獣ネロンガ
宇宙ロボット・キングジョーブラック&キングジョースカーレット
虚空怪獣グリーザ(第二形態)、クロウ怪獣軍団(100体)   登場



前回レイやクロウ達を抹殺しに来たダイルであったが、レイが戦っている理由を聞き、その強さを目の当たりにして彼の心にある変化が起きていた。

そしてその変化した心の思うがまま司令官であるハーランに進言していた。

 

 

「ハーラン司令官閣下。彼らは・・・特に地球のレイオニクスであるレイと言う男には、ペダンの科学力を超える力が秘められています!」

 

「・・・何を言うかと思えば、あり得ない事を言いますね。この宇宙にそのようなものなど存在しません。例えレイブラッド星人であろうといずれ我らが力の前に滅び去るでしょう」

 

「私もそう信じていました。レイ達に出会うまでは・・・」

 

「ダイル・・・お前はその者から何を聞き、何を知ったと言うのですか?」

 

「レイは・・・レイオニクスバトルを仕組んだ張本人・レイブラッド星人を倒す為、この惑星ハマーで戦い続けているのです。その大きな目標が、レイをさらに強くさせるのです。さらに彼には、あのモンスターキング・クロウが付いています。クロウだけではなく、他のレイオニクスや数多くの仲間がいます。それらも含めて私はレイと言う男から無限な可能性を感じたのです!」

 

「無限な可能性か・・・」

 

 

ダイルの言葉を聞いた後、ハーランは少ししてからダイルにレイ達を此処に連れてくるよう指示を出した。

それを受けてダイルはハーランに一礼し、司令室を後にして急ぎレイの元へ行こうとした時、突如1人の女性が目の前に現れた。

 

 

「どういうつもりだ?ダイル」

 

「リアン隊長・・・」

 

 

その女性はリアンと言い、レイオニクスハンターの中でもエリートの者が集まった部隊を率いる隊長である。それにより彼女はハーランの次に発言力を持つ者でもある。そしてダイルが所属しているのもその部隊であって、過去に彼女から多くの事を学ばせてもらった。その為他の隊の者からは『彼女の右腕』や『恋人』とすら呼ばれていて、実質彼女も彼の強さ等を含めて信頼していた。

 

 

「あれ程憎んでいたレイオニクスに期待するとは・・・焼きでも回ったか?」

 

「違います隊長!レイと言う男は本当に先程俺が言った通り無限な可能生を持った奴なんです!」

 

 

必死にレイの可能生について話すダイルを見つめながらリアンは考える。

50年後の未来でペダン星の艦隊を率いていた姉が亡くなる切っ掛けになったのはレイオニクスだ。だからこそ彼女もダイル同様にレイオニクスを憎み、奴らを全て抹殺するレイオニクスハンター部隊に入った。その後過去の実績から隊長に指名され、そして自分と同じ思いを持つダイルが配属されると昔と同じように彼を鍛えつつ目的を果たそうとした。そんな彼がレイオニクスに希望を持ち出した事が信じられなかった。

そのレイオニクスは姉が内心友好を感じていた者と同じ奴なんであろうか?

 

 

「・・・分かった。なら私もそいつに会ってみよう。もしお前の言う通りの奴ならば協力する。だが違ったなら即抹殺する。いいな?」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

 

少し嬉しそうな表情になってお礼を言った後、ダイルは立ち去って行った。滅多にあんな表情をしないアイツをここまで変えさせるとは・・・何があろうとその者を見極めなければならない。そう思いながらリアンはハーランに同席のお願いをしに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、クロウ達は今日もレイオニクスバトルを行っていた。

 

 

「ピュシィィィィッ!!」

 

「ファブスウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」

 

「ピフィフォォォォォォォォォォォォ!!」

 

「キファルグウウウウウッ!!」

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

「グガギャアアアアアァァァン!!」

 

 

クロウ達の目の前にいる怪獣は6体で上の鳴き声から順に1体目は巨大な茸の頭を持ち両手も茸の形をして、体の様々な部分にも茸が生えているのが特徴のきのこ怪獣マシュラ。

2体目はマシュラ同様に体中から茸が生えて、さらに菌糸と結合しているという不気味な姿をしているのが特徴の菌糸怪獣サタンフォーガス。

3体目は巨大な翼と鋭い鉤爪や嘴、強靱な脚などが特徴の高速怪獣デキサドル。

4体目はF-14戦闘機の可変翼のように動かす事ができる翼と体が特徴の超音速怪獣ヘイレン。

5体目は鋭い嘴と両頬にある毒袋が特徴で『地球最強の怪獣』とも言われている火山怪鳥バードン。

最後が四足歩行で鼻先の巨大な角、後頭部の2本の可動式の触角が特徴の透明怪獣ネロンガだ。

そして6体の近くにいるレイオニクスは4人で、マシュラとサタンフォーガスの方にいるのは腰の位置に顔があって巨大なトウモロコシのような奇怪な頭部をした不気味な姿が特徴の宇宙怪人ブラコ星人(RB)。

デキサドルとヘイレンの方にいるのは昆虫のような頭部に鋏のような形状の短剣が付いた両腕が特徴の高速宇宙人スラン星人(RB)。

バードンの方にいるのは鋭い棘が生えた金属製の球体に手足をつけたような形状と両腕の円盤状の盾が特徴の光波宇宙人リフレクト星人(RB)。

ネロンガの方にいるのは頭や背中など様々な部分に透明なヒレがある透明宇宙人バイブ星人(RB)だ。

ちなみにバイブ星人の人間サイズの時は、本来今の怪獣のような姿とは違う姿なんだが、この者はレイオニクスの力によって人間大でも巨大化の姿になれるようだ。

 

 

「グオォ~~!選バレシ我ラノ楽シイ戦イノ時間ダ!」

 

「そうですね。ですが、貴方達下等種族が私達の戦う相手とは・・・品がありませんね~」

 

「ですが仕方ありませんよ。このレイオニクスバトルを制した者こそが大宇宙の支配者になれるんですから。彼らはその踏み台と思えば良いのです」

 

「ブルルル!その通りだ。さぁ、さっさと僕らの礎になるといい!」

 

 

この4人の自信たっぷりで嫌みが籠った言葉を聞けば誰もが怒るであろう。

だが彼らと対峙しているクロウ、レイ、タクト、グロラスの4人はただ不敵な笑みを浮かべながらバトルナイザーを掲げる。

 

 

「ラドン!メガギラス!」

 

「ゴモラ!」

 

「グルジオボーン!」

 

「スノーギラン!ペギラ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーーー!!」

 

「グオォォォォォォォォ!!」

 

「ヴオオオォォォッ!!」

 

「ギャオオオオオォォォォーー!!」

 

 

今回クロウ達が召喚したのは、ゴモラ、グルジオボーン、スノーギラン、ペギラである。

召喚された怪獣達で、ゴモラを除く5体は久々に戦える事や初陣により気合いが籠った鳴き声を上げる。そしてそれは主人も同様であった。

 

 

「へへ、スノーギランとペギラの奴、だいぶ気合いが入っているな」

 

「僕のグルジオボーンも同じだよ。彼らにとって初陣だからね」

 

「そうだな。けど俺のゴモラも負けていないぞ」

 

「それはこちらも同じだ。さて、話はここまでにしてそろそろやるぞ。そして戦う相手はさっき事前に伝えた通りにするんだ。お前達の活躍・・・存分に発揮しろ!」

 

「「「ははっ/はい/ああ!!!」」」

 

 

自分の怪獣について一通り褒め合った後、クロウの言葉を合図にラドンとメガギラスが空へ飛び上がり、ゴモラ、グルジオボーン、スノーギラン、ペギラの4体は大きく咆哮を上げながら勢いよく走り出した。

それを見て素早く動いたのはバードンで、他の怪獣達を押し退けて前に出ると両翼による羽ばたきで激しい強風を起こす。それを受けたゴモラ達は足を止めてその場から動けなくなってしまう。その間にデキサドルとヘイレンが空に飛び上がり、空から攻撃しようと迫っていたラドンとメガギラスを防ぐ。

これにより4体の空飛ぶ怪獣達による空中戦が開始された。

 

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

 

一方地上ではバードンが尚も強風を起こし続ける。あまりダメージがないとはいえ、このままでは攻撃できない。

また他の怪獣達が攻撃しようとしているのを見て、グロラスはペギラに指示を出した。

 

 

「ペギラ、お前も突風を起こすんだ!」

 

「ギャオオオオオォォォォーー!!」

 

 

指示を受けたペギラは仲間達を守るかのように前に出て、両翼を大きく広げて羽搏かせて突風を起こした。それはバードンの強風よりも強かったので、押し返された風はそのままバードン達を襲った。

 

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

 

自分の真似をされた上に押し返された事にバードンは怒り、もっと風を起こそうと翼を強く羽搏かせる。だがどんなに羽搏かせても風は強くならない。寧ろ弱くなっていた。一体どうした事かと思ってよーく見てみると、なんとペギラが突風を起こすと同時に『冷凍光線』を吐いていたのだ。砂煙と一緒だった為に見分けられなかったのだ。兎に角冷気の風によりバードンの体は徐々に凍り始めていた。さらに後ろにいるマシュラ達も同様であった。

 

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーーー!!」

 

 

その為バードンは急いで空に飛び上がり、マシュラ達は左右に移動して突風から抜け出す。そしてバードンはペギラ目掛けて猛毒を含んだ嘴による体当たりを仕掛ける。しかしそれを素早く前に出たゴモラが受け止め、そのまま勢いよく地面に叩き付ける。さらに叩きつけられて痛みでもがいているバードンを尻尾で何度も痛めつけた上に蹴り飛ばした。

これはかつてクロウのゴジラと特訓相手をした時に学んだ戦法である。

 

 

「そんな!?バードンが!!?」

 

 

リフレクト星人(RB)はバードンがやられているのを見て驚きの声を上げる。そんな彼を見てレイは薄く笑う。それを見てリフレクト星人(RB)は苛立つ。

 

 

「うぬぬ~!今のはまぐれです。もう一度行けバードン!!」

 

「キイィエエエエエエェェェッ!!」

 

 

痛みに耐えながらバードンは立ち上がって再び空に飛び上がり、ゴモラ目掛けて体当たりを仕掛ける。しかしゴモラは素早く躱し、バードンがまた突っ込んできた時に再度受け止める。

 

 

「ゴモラ!超振動波だ!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーー!!」

 

「ギイィエエエエエエェェェッ~~~!?」

 

 

バードンの攻撃を止めたと同時にレイはゴモラに必殺技を出すよう命じる。ゴモラは『超振動波』を勢いよく放ち、それを食らったバードンは悲鳴を上げた後倒れて大爆発を起こした。

 

 

「な、なんと!?バ、バードンが・・・」

 

「よし!良いぞゴモラ!!」

 

「ギシャアアアアアアァァァーー!!」

 

 

自分の怪獣がアッサリ倒されたのを見てリフレクト星人(RB)はガックシと肩を落とす。逆にレイはゴモラを褒める。褒められたゴモラは嬉しさも合わせて勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

 

 

 

レイが勝利している間、クロウ達の方も優勢に戦況を進めていた。

まず最初はマシュラ&サタンフォーガス&ネロンガVSグルジオボーン&ペギラ&スノーギランで、グルジオボーン達は事前に言われていた相手側の3体にそれぞれ組み合って激突した。

 

 

「グオォ~!マシュラヨ、ソイツヲオ前ノ下僕ニシテシマエ!」

 

「ピュシィィィィッ!!」

 

 

主の指示に従ってマシュラは口から毒水『シャンピーヌプワゾン』を吐く。これは相手を自分と同じ茸に変えてしまう恐ろしい毒なのだ。以前地球に手現れた個体もこの毒水で人間を茸人間に変えて操った事がある。例え怪獣であっても当てれば忽ち茸人間ならぬ茸怪獣になってしまうだろう。

しかしグルジオボーンは眼を赤く光らせて高速移動で躱し、そのまま突進攻撃で押し倒した。

 

 

「よし!いいぞグルジオ・・・ってアレ!?」

 

「グオォォォォッ!?」

 

 

攻撃が命中して相手が倒れたのを見てタクトは喜び、そのまま追撃しようとしたがマシュラがすぐに立ち上がったのを見て驚く。グルジオボーンも最初驚いていたが、すぐに正気に戻ってパンチや張り手を何度も食らわせる。だがマシュラは平気な顔で何度も立ち上がった。何故ならマシュラは見た目通り茸である為体が柔らかく、肉弾戦では殆どダメージを与える事はできないのだ。

 

 

「ドウダ!我ガマシュラノ強サ、思イ知ッタカ!」

 

「フン!だったらこの技だ。グルジオボーン、ボーンブレスターだ!」

 

「グオォォォォォォォォ!!」

 

「ピュシィィィィッ!?」

 

 

見下しながら言うブラコ星人(RB)にタクトは苛立ちつつも指示を出し、グルジオボーンは口から『ボーンブレスター』を勢いよく放つ。

それを受けたマシュラの体は燃え、辺りにマシュラの悲鳴が響く。茸だけに熱に弱いから効果抜群だ。

 

 

「マ、マシュラ!?フォーガス、加勢シニ来イ!!」

 

 

マシュラの危機を見てブラコ星人(RB)はもう1体の手持ちであるサタンフォーガスに加勢しに行かせようとするが・・・。

 

 

「やれやれペギラ!そんな奴、カチンコチンにしてしまえ!!」

 

「ギャオオオオオォォォォーー!!」

 

「ファブスウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!?」

 

 

グルジオボーン達が戦っている間、サタンフォーガスは両腕の鞭の様な触手と全身にこびり付いている菌糸を放ってペギラを攻撃する。しかしペギラは翼を羽搏かせて菌糸が付かないようにしつつ触手を躱し、素早く背後に回って『冷凍光線』を放つ。

他にこれと言った武器を持っていない上に動きも遅い為、サタンフォーガスは徐々に氷漬け状態になっていった。

 

 

「ソ、ソンナ!フォーガスマデ!?ダ、ダッタラバイブ星人ヨ、我ノ加勢ヲ!!」

 

「ブルルル!冗談ではない!僕の方が加勢しに来てほしい状況だ。ええい、名誉ある僕に選ばれた怪獣なんだぞネロンガ。そんな奴、さっさと倒せ!!」

 

「グガギャアアアアアァァァン!!」

 

 

ブラコ星人(RB)の隣にいたバイブ星人(RB)は彼から加勢依頼を受けるが、自分も同じ旗色の悪い状況なので少し怒鳴りながら断る。そして手持ちであるネロンガに彼なりの応援の言葉を送りながら攻撃命令を下す。ネロンガは何とか主人の期待に応えようと目の前にいるスノーギラン目掛けて走り出すが、今回の相手がスノーギランであるので・・・。

 

 

「ヴオオオォォォッ!!」

 

「グガギャアアアアアァァァン!?」

 

 

スノーギラン自慢の『フラッシュ光線』を食らい眼を失明させられて倒れる。そしてその場で激しく悶えているところに太い腕での強力なパンチを何度も食らってダメージが積み重なっていく。

ネロンガはその攻撃から逃れようと必死に体を透明化せてその場から離れようとする。しかしスノーギランが口から吐く吹雪によって口から白い息が漏れてしまい、それによって居場所も知られた上にサタンフォーガス同様に氷漬け状態になってしまった。

 

 

「よーしペギラ!スノーギラン!止めの一撃だ!!」

 

 

完全に氷漬け状態になった2体目掛けてペギラとスノーギランは勢いよく体当たりを食らわせる。

 

 

 

パッリイイイイィィィン!!

 

 

 

大きな音を響かせながら2体は粉々に砕け散った。

 

 

「よっしゃ!最高だったぜペギラ!スノーギラン!」

 

「ギャオオオオオォォォォ~~!!」

 

「ヴオオオオオォォォォッ!!」

 

 

グロラスは2体の勝利に喜びながら褒め称える。ペギラとスノーギランも主人に褒められて喜びの鳴き声を上げる。

 

 

「ピュシィィ・・・ィィッ・・・・・」

 

 

それと同時にマシュラも燃え尽き、黒炭となって散り散りになった。その後グルジオボーンも主人に褒められながら勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

「マ、マシュラ・・・フォーガス・・・我ノ怪獣達ガ・・・」

 

「僕の・・・ネロンガも・・・負けるなんて・・・」

 

 

一方自分達の手持ち怪獣が倒されたのを見たブラコ星人(RB)とバイブ星人(RB)は声と体を震わせた。もう勝敗は決したと誰もが思ったが、ブラコ星人(RB)の方がまだ諦めていなかった。

 

 

「(マ、マダバトルナイザーノ中ニハ怪獣ガイル。コイツナラアイツラナンカ一瞬デ倒セル筈ダ。シカシコイツハ余リニモ強過ギテ制御デキナイ。ダガコノママ負ケルノハ・・・!)」

 

「何ブツブツと言っているんだアイツ?」

 

「きっと今まで負けた事がなかっただけにショックで可笑しくなったと思うよ」

 

「ふ~ん、そう言う事か。でも見ていて気持ち悪いからやっちまう?」

 

「そうだね。それじゃ、ザムビーム!」

 

「フローズンホワイト!」

 

「うん?グ、グオォォォォォォ~~~!!?」

 

 

独り言を呟いているブラコ星人(RB)にタクトとグロラスはそれぞれ怪光線『ザムビーム』と冷凍光線『フローズンホワイト』を放つ。ブラコ星人(RB)が気付いた時にはもう遅く、体が凍って木端微塵に吹き飛んでしまった。そして彼が持っていたバトルナイザーがガタンッと落ちる。

隣でそれを見たバイブ星人(RB)は死の恐怖を感じて、若干変な動きになりながら慌ててその場から立ち去った。

その様子を見てタクトとグロラスはさらに気分良くなりながら彼のバトルナイザーを拾い、中にまだ怪獣がいると分かる。

2人はそれをクロウへの手土産にしようと考えて彼の元へ急いで行くのであった。

 

 

 

 

 

そして他とは違って尚も白熱のバトルを続けて繰り広げている4体の怪獣達。

デキサドル&ヘイレンVSラドン&メガギラスだ。

 

 

「ピフィフォォォォォォォォォォォォ!!」

 

「キファルグウウウウウッ!!」

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!」

 

 

4体は空の上を猛スピードで飛行しながらそれぞれ自慢の翼や爪、嘴、鋏などを使って攻撃し合う。その時デキサドルとヘイレンが一気に決着を付けようと2体同時に口から『青色破壊光線』と『高熱火球』を放つ。

それを見たラドンがメガギラスの前に飛び出して彼らの必殺光線を真正面から受けた。

 

 

「ハッハハハハ!なんと無様な。自ら攻撃を受けに来るとは・・・愚かな事だ」

 

「・・・本当にそう思うか?」

 

「何?」

 

「今から良いモノを見せてやるよ。ラドン!お前の覚醒して得た新たな力と姿を見せつけろ!!」

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

 

クロウの言葉と同時に炎に包まれていたラドンが大きく咆哮を上げ、炎を吹き飛ばした。するとラドンの姿が先程とは打って変わって赤色になっていた。

これぞラドンの最強形態とも言えるファイヤーラドンだ!

 

 

「行けファイヤーラドン!ウラニウム光線だ!!」

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「ピフィフォォォォォォォォォッ!?」

 

 

クロウの指示を聞いてファイヤーラドンは口から勢いよく『ウラニウム光線』を放つ。

一方倒したと思っていた相手が姿を変えて蘇ったのを見て驚いていたデキサドルは、反応するのが遅れて光線を受けて落下してしまう。隣にいたヘイレンはすぐさま上昇して距離を取ろうとする。それを見てファイヤーラドンはすぐさま追い掛ける。

 

 

「無駄ですよ。ヘイレンの速さに追い付いて来れる訳がない」

 

 

スラン星人(RB)は余裕そうに言い、ヘイレンも同様に余裕な表情だ。

どちらもいくらパワーアップしたって絶対に追い付けるものか、と内心呟く。しかしファイヤーラドンは徐々にヘイレンに近づいて行った。

 

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「ピイイィィヴヴヴゥゥゥッ!?」

 

 

まさかあんな野郎が追い付いて来れるとは!?あまりの衝撃の事にスラン星人(RB)は動揺して、それによりヘイレンもスピードを落としてしまう。その隙をついてファイヤーラドンは一気に距離を縮め、嘴攻撃や『ウラニウム光線』でヘイレンにダメージを与えるのであった。

 

 

 

 

 

一方落下したデキサドルは、地面に激突した衝撃とダメージで暫く動けなくなっていたが、ようやく起き上がって辺りを見渡す。そして未だ上空で戦っているヘイレンに気付く。形勢は彼が不利のようだ。なら今から加勢しに行って自分をこんな目に遭わせたファイヤーラドンに仕返しをしてやる!そう思って飛び上がろうとした時・・・。

 

 

 

ドスッ!!!

 

 

 

「ピフィフォォォォォォォォォォッ!?」

 

 

突如デキサドルの背中に何かが突き刺さった。その痛みは強烈でデキサドルは悲鳴を上げる。必死に痛みに耐えながら後ろを振り向くと、そこにはニヤリと笑いながらエネルギーを吸収しているメガギラスがいた。

 

 

「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!」

 

 

メガギラスは大きく鳴き声を上げながらさらにエネルギーを吸収する。当然デキサドルは黙っていなく、激しく翼を動かしたり、体を揺すって針を抜こうとする。

だがメガギラスは両手の鋏で翼を挟み、口を大きく開けて首に噛みついてダメージを与える。そうして少し経つとデキサドルの動きが鈍くなり、徐々に前屈みになり始めた。それを見たメガギラスは一気に勝負を付けようとさらに強く挟んだり、噛みついたりする。

 

 

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ブシュウゥゥゥッ!!!

 

 

 

そしてとうとうデキサドルの両翼は切り落とされ、首から大量の血が噴き出した。

 

 

「ピ、フィフォォォ・・・ォォォォォ・・・・」

 

 

デキサドルは弱々しく鳴き声を上げながら倒れ、ゆっくりと眼を瞑って眠りについた。それを見たスラン星人(RB)はさらに動揺する。

 

 

「そ、そんな!あ・・・あり得ない。デキサドルがあんな虫如きに負けるなんて!?」

 

「悪いが俺のメガギラスをただの虫ではないんだよ。さて、そろそろ決着を付けさせてもらうぞ!ファイヤーラドン!メガギラス!同時攻撃だ!!」

 

「ピエエエエェェェゥゥゥーー!!」

 

「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!」

 

 

クロウの指示に従って、メガギラスはデキサドルから奪ったエネルギーを集めながら再び空高く飛ぶ。それに合わせてファイヤーラドンが翼を振り上げてヘイレンを強く叩きつける。

先程まで嘴攻撃と『ウラニウム光線』を受け続けていたヘイレンはほぼグロッキー状態になっていて、避ける事ができずに落下していく。そんなヘイレン目掛けてメガギラスとファイヤーラドンが同時に『エネルギー光球』と『ウラニウム光線』を放つ。

 

 

「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!?」

 

 

2体の必殺光線を食らったヘイレンは、大きく悲鳴を上げながら大爆発を起こして砕け散った。

 

 

「こ、この私が・・・負けるなんて・・・・・くぅ~、お、覚えておきなさい!!」

 

 

自分の怪獣達が負けた事にスラン星人(RB)は悔しがる。だがこれ以上戦う事はできないと分かっていた為、捨て台詞を言いながらその名の通り高速移動でその場から姿を消した。

 

 

「ほぉ・・・流石高速宇宙人だ。ケムール人などに負けないくらい早い逃げ足だ(笑)」

 

 

スラン星人(RB)の逃げ足の速さを褒めているとレイ達がこちらに向かって走って来るのに気がついて合流する。それぞれから勝利の感想を聞いた後、タクトとグロラスから回収したバトルナイザーの中に怪獣がいると言いながら渡してきた。一体何の怪獣なのかと思いながら見てみるとそいつは巨大な昆虫怪獣であった。しかもかなり強い怪獣の様だ。その為その怪獣に仲間にならないかと話しかけ、許可を得た事でバトルナイザーからギガライブナイザーに移した。

それが終わった後全員を連れて宇宙船に戻った。

その後自室で食事を済ませてベッドに転がってのんびりしていた時、突如アンドロイドが部屋に入って来た。

 

 

「どうした?」

 

「ピピッ!ピピピピッ!」

 

「何レイから連絡が来ているだと?」

 

 

アンドロイドからレイより連絡が入っている事を聞くとすぐさま全員をメインルームに集めて、聞こえやすいように音量を上げてから通信機を起動した。

 

 

「どうしたレイ?何かあったか?」

 

『あぁ・・・実は先程ダイルがやって来たんだ』

 

「ダイルですって!?」

 

 

ダイルと聞いてまた飛び出そうとするリーシャを押さえながら話を聞く。今回ダイルがやって来たのは、彼らの司令官であるハーランに会って欲しいとの事だった。彼女に会って力を認められればダイル達はすぐに未来に帰るとの内容だ。

レイはダイルの事を信じてハーランに会いに行くと言うが、万が一の事や1人では心細い事もあってクロウ達にも来てほしいと思って連絡したのだ。

 

 

『頼むクロウ!ダイルが今までやって来た事は許せないと思うが・・・この戦いを終わらせる為にも必要な事なんだ。アイツを信じて欲しい!』

 

「・・・話は理解した。なら俺も一緒に行って会いに行こう」

 

『ッ!本当かクロウ!?』

 

「あぁ、今お前とダイルは何処にいる?」

 

『ギガ・ロボフォーの真下だ』

 

 

何真下だと!?急いで調べてみると確かにギガ・ロボフォーの真下に2人がいた。こいつ最初から俺達を誘うつもりだったのか。まぁ、それについては特に怒る必要はないか。

 

 

「分かったレイ。すぐ支度を済ませて向かうよ」

 

『ありがとうクロウ。ダイルにも言って待っているからな』

 

 

そう言ってレイが通信機を切った後、案の定リーシャ達から非難の声が上がった。

 

 

「どういうつもりですかクロウさん!?」

 

「本気でペダン星人達と和解するのですか!?」

 

「いくらなんでも無理では・・・」

 

「罠、デハアリマセンカ?」

 

「その可能性は十分あるわ。寧ろリーシャ達からの話を聞くばかりじゃ、連中を信じる方が無理と言うものよ」

 

「ならもう行かない方がいいじゃん。レイにもやめるよう伝えましょうぜ!」

 

「私も同意見です。危険過ぎますよ!」

 

「・・・お前達の言い分はもっともだ。だがせっかく向こうから接触してきた上に、ボスに会う事ができるんだ。もし本当に奴らが和解できれば無駄な戦いをする必要がなくなる。そして罠であれば一気に倒してしまえばいい。どっちに転んでも俺達に利があるこの好機を逃す手はないだろ?それにレイがあれ程必死に頼んできたのを断るなんてできるか?」

 

 

クロウの言い分を聞いてリーシャ達は考える。確かに彼の考えにも一理ある。それに滅多に頼ってこないレイが頼んできたと言う事もあって殆どの者が賛成する。しかしリーシャだけはどうしても賛成する事ができずに俯いてしまう。そんな彼女の頭をクロウは優しく撫でる。

 

 

「安心しろリーシャ。どんな事になろうとお前にとって悔いが残らないようにする。いや、俺がそうしてみせる!だから俺の事も信じてくれるか?」

 

「・・・ズルいですよ。クロウさんにそこまで言われたら賛成するしかないじゃありませんか///」

 

 

愛する人に頭を撫でられている事と先程の言葉を聞いて、リーシャは顔を真っ赤にしつつ賛成した。だがそれをルーネとカミーラがもの凄く怖い表情となって2人を睨みつける。ジェロニモン達は恐怖を感じながらよくあるな~、と内心呆れるのであった。

 

 

「それじゃあ、意見も纏まった事だし。レイの元へ行くか・・・っと、その前にトンチキ」

 

「はいクロウ様。何でしょうか?」

 

「お前には悪いが、俺達とは別行動をしてもらいたい。ちょっと耳を貸せ」

 

 

そう言ってトンチキに密命を与えた後、クロウ達はギガ・ロボフォーから降りてレイとダイルと合流する。この時リーシャがダイルの事を睨みつけて一悶着起きそうになるが、なんとか抑えてダイルの案内の元にペダン星人の母艦に向かって歩き出した。

暫くして母艦に辿り着き、宇宙船に入ろうとしたところで銃を構えた多くのペダン星人達が現れて囲む。全員が警戒する中でハーランがやって来た。

う~ん、今見ても思うが・・・やっぱり彼女は綺麗だな。けど性格がキツイから好きにはなれない。それともう1人顔出しの美人な女性がいる。彼女は見た事がないな。彼女も同じ性格だろうか?だとしたらリーシャ、ルーネ、カミーラの方が何倍も良いぜ。

そんな事を思っている間にも話は進み、ハーランは俺達レイオニクス達を洗脳して兵器しようと言う。

 

 

「交渉決裂だな。皆、帰るぞ」

 

 

クロウがそう言って来た道に向かって歩き出す。それを見てリーシャ達もレイを引っ張りながら後を追い掛けようとする。

だがその前を兵士達が銃を構えながら塞ぐ。さらにいつの間にか捕らえていたヒュウガ達を連れて来て、特殊な電磁フィールドの檻に入れて人質にした。

 

 

「すぐに仲間を解放しろ!」

 

「いいでしょう。でもその前にお前達全員を洗脳させてもらいます。これだけ多くのレイオニクス達、並びに怪獣達を我らの戦力として改造すれば、レイブラッド星人も倒せるに違いありません。されば必然的に未来も変わる。50年後の破滅も回避できる筈です。ダイル、お前の望みが叶うのですよ。そして全宇宙の覇権は我らペダンが手にし、全ての生命体が我らの前にひれ伏すのです」

 

「・・・フン、本当にそんな事ができると思っているのか?」

 

「当然です。我らペダンの科学力に不可能な事はないのです」

 

「どうだかな。俺にはとても信じられないな~~」

 

 

ワザとらしく両手を上げて首を振るクロウの態度にハーランはイラつき出す。

 

 

「ならば最初にお前から洗脳させてもらいます。この者を連れて行きなさい!」

 

「「ハッ!」」

 

 

命令を受けたペダン星人達がクロウを連れて行こうとするが、それをダイルが止めながら必死にハーランを説得する。

 

 

「お待ち下さいハーラン司令!司令は私と約束してくれたではありませんか!?もう過去に干渉するのは止めて未来に戻り、荒廃してしまったペダンの復興に力を尽くすと!レイオニクスを兵器に利用する等・・・間違っています!」

 

「ハーラン司令、ダイルの言う通りです。これ以上戦うのを止めて未来に戻りましょう」

 

「リアン隊長!?」

 

 

もう1人いた女性ペダン星人はリアンというのか。そして見た感じ的にダイルの上司のようだな。フム、なかなか優しい上司みたいだ。それに勘が鋭いようだ。

 

 

「それに・・・その男は洗脳するのは無理ではないかと思います」

 

「何故です?」

 

「司令は気付かないのですか?あの男から感じる凄まじい気を!あの男は危険です。これまで私が見て来たレイオニクス達の中でも特に危険です!」

 

 

リアンの話を聞いてハーランは再度クロウを見定めるように見る。確かにこの男から感じる気は此処にいるレイオニクス達の中でも1番強い。兵器にすればまさに最強であるが・・・もし洗脳に失敗して暴走されでもしたら面倒な事になる。

 

 

「(放っておくといつかこの者達を助けにやって来る可能性もある)・・・分かりました。2人の言う通り未来には戻りましょう。しかしこの者以外のレイオニクス達と怪獣達は連れて行きます。そしてこの者は此処で処刑にします!」

 

 

そう言ってハーランが射殺命令を出そうとした時、突如悲鳴が響いた。何事かと誰もが周りを見渡すとヒュウガ達の檻の傍で立っていた兵士達が地面から現れたドロダーズに襲われていた。しかもその数が10体である。

実はクロウの仲間になった後、ドロダーズは彼の力によってどんどん仲間を増やしていたのだ。その為ギガ・ロボフォーの中にも多くのドロダーズがいて、家事全般を担っているの。

ともあれ兵士達が全員倒された後、トンチキがテレポートで姿を現した。

 

 

「トンチキ!」

 

「待ってて下さい。今お助けします。チチンプイプイのパ!」

 

 

トンチキが呪文を唱えると檻の近くにあった機械が光って、特殊な電磁フィールドが消滅した。

 

 

「クロウ様~!ご命令通りヒュウガさん達を助け出しました!!」

 

「ご苦労だったトンチキ!ドロダーズ!そのままボス達を連れて宇宙船まで走れ!!」

 

「分かりました。それでは皆さん、行きましょう!」

 

「あぁ!急ぐぞ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

トンチキ達がヒュウガ達を救出して逃げ出したのを見たハーランは怒りながら命令を下そうとする。

 

 

「己・・・奴らを逃すな!1人残らず撃ち殺「させねぇよ!!」ッ!?」

 

 

だがその前にクロウがギガライブナイザーを振って攻撃する。しかしハーランは素早く後退して間一髪躱す。クロウは追撃しようとするが、兵士達がハーランを守ろうと前に出る。

 

 

「チッ!全員こいつらを蹴散らして脱出するぞ!!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

 

レイ達はクロウの指示に従って格闘・銃・刀で次々と兵士達を打ち倒していく。そしてある程度倒した後に走り出す。それを見たハーランが再び棒を振るうと母艦から無数のキングジョーブラックが飛び出してきた。そして近くに立っていたリアンに命令を出す。

 

 

「リアン!お前もスカーレットで出撃しなさい!隊長としての責務を果たしなさい!!」

 

「・・・分かりました」

 

「リアン隊長!?」

 

「ダイル・・・お前は母艦で待機していろ。いいな」

 

 

ハーランの命令に素直に従うリアンを見てダイルは驚愕の声を上げる。そんな彼に彼女は優しい目で見つめながら待機命令を出し、腕に装着していたリングのスイッチを押してスカーレットのコックピットにテレポートして出撃した。

ダイルはスカーレットが出撃するのを少しの間眺めた後、命令通り母艦に向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方キングジョーブラックの軍団に囲まれたクロウ達だったが、彼らは特に恐れていなかった。

 

 

「奴らも本気のようだな。なら俺達も本気でやるぞ!」

 

 

意気揚々とギガライブナイザーを構えながら言うクロウに賛同するようにレイ達もネオバトルナイザーを掲げる。

 

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

そして各自の手持ち怪獣であるゴモラ、リトラ(S)、エレキング、アースゴモラ、ガーディー、シルバゴン、モスラ・レオ、エレちゃん、ラゴラス、スノーギラン、ペギラ、ドレンゲラン、ザムリベンジャー、グルジオボーンを召喚する。

また、カミーラ達もそれぞれスパークレンスで変身し、ルーネも鎧兜纏った本来の大きさに戻り、ジェロニモンも両腕を上げて大きくなった。

19体の怪獣・宇宙人・闇の巨人達が並び立つという豪華なシーンができた。うん?ミクラスはどうしたかって?あぁ~・・・レイのバトルナイザーからは4体しか召喚できない事と、前回の戦いのやっちまった実績がまだ尾を引いている為に外されてしまったのだ(笑)

それとクロウの怪獣達も未だ召喚されていなかった。

 

 

「クロウさん、どうしてまだ召喚しないのですか?」

 

「いや・・・今回相手があんなにいるんだ。どうせなら普通ではなく、盛大にやろうと思ってな」

 

 

盛大にやる?一体どういう意味かと全員が疑問に思う中、クロウはギガライブナイザーを強く握りしめながら言った。

 

 

「行け!100体モンスロード!!」

 

 

ギガライブナイザーから怪獣が召喚されたが、今回その数がいつもとは違って文字通り100体であった。

召喚された怪獣は下記の通りだ。

 

最強合体獣キングオブモンス

宇宙超怪獣キングギドラ

超合体怪獣グランドキング

骨翼超獣バジリス

巨大顎海獣スキューラ

邪神ガタノゾーア

超古代怪獣ゴルザ

超古代怪獣ガルラ

超古代竜メルバ

超古代尖兵怪獣ゾイガー

閻魔獣ザイゴーグ

えんま怪獣エンマーゴ

奇機械怪獣デアボリック

宇宙恐竜ハイパーゼットンデスサイス

暴君怪獣タイラント

ベリアル融合獣スカルゴモラ

吸血怪獣ギマイラ

タコ怪獣ダロン

フィンディッシュタイプビースト・イズマエル

フィンディッシュタイプビースト・ノスフェル

フィンディッシュタイプビースト・ダークガルベロス

シビルジャッジメンター・ギャラクトロン

大魔王獣マガオロチ

猛禽怪獣グエバッサー

水異怪獣マジャッパ

地殻怪地底獣ティグリス

宇宙戦闘獣超コッヴ

雪女怪獣スノーゴン

円盤生物ロベルガー

円盤生物ブラックエンド

円盤生物ノーバ

凶険怪獣カネドラス

木枯らし怪獣グロン

究極超獣Uキラーザウルス

最強超獣ジャンボキング

一角紅蓮超獣バキシマム

ミサイル超獣ベロクロン

蛾超獣ドラゴリー

変身超獣ブロッケン

殺し屋超獣バラバ

異次元超人カブト・ザ・キラー

大蟹超獣キングクラブ

サボテン超獣サボテンダー

液汁超獣ハンザギラン

バリヤー怪獣ガギ

巨大魚怪獣ゾアムルチ

群体怪獣シーゴリアン

宇宙超獣トロンガー

凶暴竜ロックイーター

古代怪獣ゴモラⅡ

人魂怪獣フェミゴンフレイム

二面鬼宿那鬼

凶獣姑獲鳥

奇獣ガンQ

宇宙悪魔ベゼルブ

時空破壊神ゼガン

豪烈暴獣ホロボロス

最凶獣ヘルベロス

次元凶獣カミソリデマーガ

超力怪獣ゴルドラス

毒炎怪獣セグメゲル

海獣キングゲスラ

溶鉄怪獣デマーガ

石化魔獣ガーゴルゴン

宇宙怪獣ベムラー

凶暴怪獣アーストロン

凶猛怪獣ギーストロン

宇宙大怪獣アストロモンス

岩石怪獣サドラ

戦車怪獣恐竜戦車

オイル怪獣タッコング

スーパー必殺怪獣デマゴーグ

凶獣ルガノーガー

毒ガス怪獣エリガル

怪獣王ゴジラ

地底怪獣バラゴン

昆虫怪獣メガロ

未来怪獣ガイガン

サイボーグ怪獣ガイガン(FW)

究極対G兵器・3式機龍〈改〉

電子ロボット・ジェットジャガー

雷怪獣バルグザーダン

一角大魔獣ジャルム

宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ

巨蛾モスラ姉弟

戦闘破壊獣バトラ

暴竜アンギラス

空の大怪獣ラドン

超翔竜メガギラス

完全生命体デストロイア

バイオ怪獣ビオランテ

かまきり怪獣カマキラス(FW)

巨大グモ・クモンガ

怪獣王Godzilla

妖怪怪獣ダストパン

魔王ヤマタノオロチ

大悪獣ギロン

宇宙昆虫レギオン(マザーレギオン)

超遺伝子獣ギャオス・ハイパー

 

これまで戦って回収した怪獣の他に惑星ボリスで仲間にした怪獣達だ。

さらにザイゴーグが背中の棘を飛ばして閻魔分身獣を生み出し、マガオロチがキングオブモンスに熱い視線を送りながら赤い結晶体の角を光らせて、我が子である魔王獣達を呼び出した。

またギャオスであるが、なんと1体ではなく100体以上いて、空一面を覆っていた。

何故ギャオスがこんなにもいて、召喚する事ができたのか?実はこのギャオス達は皆同じDNAを持つ・・・所謂クローンなのだ。

ギャオスと言う怪獣には雄雌の区別がなく、1匹であろうと大人であれば卵を無限に産む事ができて繁殖する事ができる特徴があるのだ。

その為ギャオスは何百と言う大群であろうと1体の怪獣として扱われるのだ。

 

 

「どうだ?可愛いくてカッコイイ怪獣達がこんなにも勢揃いしているのはなかなか見られないと思うぜ」

 

 

自慢げに言うクロウを他所にハーラン達は勿論、レイ達もこの怪獣軍団を見て驚きを隠せなかった。無理もない事だ。誰もが数百体の怪獣達を一度に見る事なんてないのだから。だが次第にレイ達(ヒュウガ達は除く)は落ち着き始め、変わりにクロウに対する凄さと魅力が心の中を染めて、彼にずっと付いて行きたいと言う思いが一層高くなった。

またペンドラゴンの中でオキが今までにないくらい激しく興奮していたのは余談だ。

 

 

「さぁて、派手にやろうとするか!全軍、行けーーー!!!」

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

 

クロウの指示とリーダーのキングオブモンスの咆哮を合図に全怪獣軍団は一斉に走り出した。

 

 

「我がペダンが誇る科学力で作ったキングジョーブラック軍団が負けるものか。全軍、敵を殲滅しなさい!!」

 

グワアッシ!グワアッシ!

 

 

わざわざ母艦から自分専用の椅子を持って来て、そこに座りながらハーランは指示を出して、キングジョーブラック軍団はロボットらしく足踏みを揃えて一斉に進撃した。

 

 

「ピッギシャアァァァォォォ!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

「キシャアアアアアァァァ!!」

 

「ピュアアアアアァァァァ!!」

 

「キィイイイィィィ!!」

 

「ガウウウゥゥゥッ!!」

 

「ゴシュィィィィィン!!」

 

「キエエエエンッ!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「ゴバアァァァァァ!!」

 

「ピュアアアアアア!!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォンーーー!!」

 

「グゥゥヴヴヴヴヴオオオオオオオオオオォォォォォッーー!!」

 

グワアッシ!グワアッシ!

 

 

各地で激しく戦う両軍。大きく唸り声や鳴き声、機械音を上げながらパンチやキック、翼、自慢の武器、必殺光線等で攻撃し、主人や指揮官の指示に従って戦況を進める等をして一進一退の攻防が続く。

 

 

 

ドッゴオオオオオオオオォォォォォン!!!

 

 

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

 

 

すると突然空に黒い四次元の穴が開き、そこから何かが飛び出してきた。それに気がついて誰もが戦うのを止めて、飛び出してきたモノが何かを見つめる。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

「グリーザだと!?」

 

「どうしてグリーザが?」

 

「もしかしたらクロウ様、カイザーが近くにいるのでは・・・」

 

 

その正体がグリーザ(第二形態)であったのを見てつい驚きの声を上げてしまう。近くでグロラスがカイザーがいるのではないかと言うが、近くからアイツの気配が感じられない。ひょっとして・・・野生のグリーザか?

そう思うクロウの推測は正しかった。このグリーザは、ここから遥か未来の世界でクロウとも因縁を持つ事になる若きウルトラ戦士の弟子と、後にクロウとは驚きの関係になる悪のウルトラマンの息子のウルトラ戦士と戦いを繰り広げていた。

最初はグリーザが完全優勢であったが、自分の体内から強力な武器・・・『ベリアロク』と呼ばれる物を手に入れた事で戦況は変わり、互角の戦いを繰り広げていたところでレイブラッド星人の操るブルトンの能力によって四次元に吸い込まれ、長い間彷徨っていたところで今回の戦いのエネルギーにより出口ができて飛び出して来たのだ。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・」

 

 

グリーザはようやく脱出できたのに此処が先程まで自分がいた場所とは違う場所にいる事に戸惑い、体を揺らいで歪ませながら周りを見渡す。

誰もがその様子を見つめている中、ハーランがいち早く動いてリアンに命令する。

 

 

「リアン!その怪獣も奴らレイオニクス達の怪獣に違いありません。直ちに攻撃しなさい!」

 

『し、しかしハーラン司令!相手がどんな奴なのか分からないのに攻撃するのは危険なのでは・・・』

 

「構わん!あんな得体の知れない化け物を放っておけん。早く攻撃しなさい!!」

 

『・・・了解。各部隊に告げる!今現れた怪獣を攻撃せよ!!』

 

 

ハーランの指示に内心納得できないと思いつつリアンはキングジョーブラック軍団にグリーザを攻撃するよう命令を出す。

キングジョーブラック軍団は一斉にペダニウムランチャーを向けて撃つ。本来ならば実体がないグリーザであるが、自分がいた世界で悪のウルトラマンの遺伝子を持つウルトラ戦士と戦いの末に融合してしまった事で実体化していた為、キングジョーブラック軍団の総攻撃をもろに受けてしまった。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

 

攻撃を受けたグリーザはキングジョーブラック軍団を敵と認識し、酔拳の様な不規則的な動きで彼らに近づく。

そして目らしき部位から放つ『グリーザビーム』と頭部から放つ渦巻き状光線『グリーザボルテックス』で前方にいた数体のキングジョーブラックを破壊し、左右にいた数十体には二重螺旋光線『グリーザダブルヘリックス』と胸部から放つ『グリーザダークライトニング』で破壊する。

 

 

「おのれ化け物め!」

 

 

次々とキングジョーブラックが破壊されていくのを見て、リアンが操るキングジョースカーレットが片腕にある槍・ペダニウムランサーから電撃を放つ。

だがグリーザは空間を歪曲させる能力で電撃を防ぐ。それならばとスカーレットはランサーを構えて突き刺そうとするが、グリーザは瞬間移動で回避して、再び『グリーザダークライトニング』で攻撃した。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

至近距離の上に直撃を食らったキングジョースカーレットは、頭部以外を破壊されてしまう。そして残った頭部も大きく吹っ飛んで地面に落ちた。その衝撃によりリアンは負傷し気絶してしまう。

一方スカーレットを倒した後もグリーザは止まらず、まだ周りに残っていた数十体のキングジョーブラックに鐘の音色に似た怪音波『グリーザアクオン』を最大音で浴びせて破壊してしまった。

これによりキングジョーブラック軍団の半数が壊滅されてしまった。

 

 

「な、なんだと・・・!?」

 

 

僅か数分足らずで軍団を半壊滅してしまったグリーザの圧倒的な強さにハーランを始めとするペダン星人達は恐怖する。

そんな事は全く気にしていないグリーザは、まだ周りに残っている者達・・・クロウの怪獣軍団をじっと見つめた後、ゆっくりと歩き出す。どうやら彼らも敵と認識した様だ。

 

 

「あのグリーザかなり強いな・・・うん、決めた。アイツを俺の仲間にする!キングオブモンス、キングギドラ、グランドキング・・・お前達の力と俺の力、今こそ1つになるぞ!!」

 

『ギガライブ!キングオブモンス!キングギドラ!グランドキング!超合体!ドライレクス!!』

 

 

キングジョーブラック軍団を半壊滅させたグリーザの強さを見たクロウは、彼の事を気に入って仲間にしようとキングオブモンス達3体をスパークドールズに戻してギガライブナイザーに連続ライブする。そして究極超合体王怪獣ドライレクスになった。

 

 

(BGM:Ultra Spiral)

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!?」

 

 

ドライレクスは戦場中に響く程の大きな声で咆哮を上げた後、翼を大きく広げて空高く飛び、グリーザ目掛けて突撃した。咄嗟の事だったのでグリーザは躱す事ができず、大きくブッ飛ばされて倒れる。だがすぐに立ち上がって反撃とばかりに再び光線を放つが、ドライレクスの頑丈な体にはそれ程ダメージを与える事ができなかった。

その光景を見たペダン星人達は自分達よりも遥かに強いドライレクスに恐怖し、内心絶望し始める。それとは逆にレイ達や怪獣軍団は歓声を上げ、彼に続くようにキングジョーブラック達に戦いを挑んだ。

 

 

 

 

 

その頃ペダン星人の母艦では、リアンに命令されて待機していたダイルが彼女を救出する為に行動を開始していた。

 

 

「おい!まだキングジョーブラックは残っているか!?」

 

「えっ・・・い、いや・・・もう出撃可能なキングジョーブラックは残っていない。あるのはチャージ中の機体が数体のみだ」

 

「ならそいつでいい。今すぐ1体発進準備をしろ!隊長を助けに行く!!」

 

「む、無茶言うな!まだ完全にチャージできていないキングジョーブラックで出撃してもあの化け物かレイオニクス共の怪獣にやられるだけだぞ!?」

 

「だったら何だ!隊長を見捨てろって言うのか!?」

 

 

司令室に入ってコンピューターを操作していたペダン星人の1人にダイルは残ったキングジョーブラックの発進準備をしろと言う。しかし残っているキングジョーブラックはチャージ中の為に発進できないとペダン星人は言うが、ダイルに首元を乱暴に掴まれて何も言えなくなってしまう。

 

 

「もう一度言うぞ。今すぐ発進準備をしろ!」

 

「・・・わ、分かった」

 

 

伝える事を全て言い終わった後、ダイルは司令室から出ようとする。そんな彼に背後から別のペダン星人が話し掛けた。

 

 

「ダイル!お、俺はお前の事を信じる。だから・・・隊長を頼む!」

 

「・・・あぁ!」

 

 

仲間からの頼みも聞いて、ダイルは急いでキングジョーブラックに乗って発進した。そして激しい光線と銃弾が飛び散り、ギャオスの追撃から何とか逃れてスカーレットの頭部がある所に着陸する。そしてコックピットから出てスカーレットに向かった。

 

 

「あれは・・・ダイル!?」

 

 

その様子を遠くから偶然にも見つけたリーシャは、傍にいたタクト達にその場を任せて彼の元へ向かった。そしてハッチを開けて、中で気絶しているリアンを運ぼうとしているダイルに向けて銃を突きつけた。

 

 

「ダイル!」

 

「ッ!?ピット星人・・・」

 

「姉さんの仇・・・覚悟しなさい!」

 

「待ってくれ!俺はどうなっても構わない。だが隊長だけは助けてくれ!隊長は俺の・・・」

 

「大切な人だと言うの?そんな存在をお前は私から奪ったのよ!」

 

「・・・あぁ、その通りだ。お前にとって俺は憎い仇だ。殺す権利がお前にはある。しかし今少しだけ待ってくれ!隊長をキングジョーブラックに乗せてから俺w「ま、待って・・・くれ・・・!」隊長!?」

 

 

殺される覚悟があるダイルはリーシャへ必死にリアンの助命を頼む。その時気絶していたリアンが目を覚まし、負傷した体を必死に動かしてその場に土下座しながら言う。

 

 

「ハァハァ・・・ダイルの、ダイルの変わりに・・・私を殺してくれ」

 

「えっ?」

 

「隊長!?何を言っているんですか!?」

 

「お前の姉を・・・抹殺するように命令したのは、ハァハァ・・・私なんだ。だから・・・本当の仇は私だ。だから私を・・・」

 

「何を言っているんだ隊長!俺がこの手でやったんだ。隊長は未来に戻って、ペダン星のh「いい加減分からないのか!お前がいない未来に戻っても、私が生きている意味などない。私はお前と共にいたいんだ!!」・・・隊長」

 

 

涙声で本音を言うリアンの姿を見てダイルは何も言えなくなってしまう。そんな2人にずっと銃を突きつけていたリーシャは・・・・・深い溜息を吐きながら降ろした。

 

 

「完全に拍子抜けよ。互いに未練がありまくりじゃない」

 

 

そう言った後ダイルに近寄って彼の所有していた銃を奪う。そしてそれを地面に叩きつけ、何発も撃って破壊した。

 

 

「これで仇を撃った事にしてあげる。だから・・・二度と私の目の前に現れないで。いいね!!」

 

 

2人にそう告げた後リーシャは壊した銃を持って、全力疾走でその場からいなくなった。

 

 

「・・・・・ありがとう」

 

 

ダイルは深く頭を下げながらお礼を言う。その後リアンを優しく抱いてキングジョーブラックに乗って空高く飛び、猛スピードで母艦に帰還した。

一方リーシャはその後も走り続けて、あっという間にタクト達と合流した。

 

 

「およ、お帰りリーシャ」

 

「どうした?随分息が切れて、汗だくじゃねぇか」

 

「ハァハァ・・・別に・・・何ともないわ。それより・・・戦況はどうなっているの?」

 

「それなら問題ないよ。もう少しで敵軍を全滅できそうだ。あとクロウ様も優勢に戦っているよ」

 

 

そう言って皆が見つめる先をリーシャも見ると、そこには次々と破壊されていくキングジョーブラック軍団に、ドライレクスVSグリーザの激しい戦いが繰り広げられていた。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!ヘッヘッヘッヘッヘ・・・!!」

 

 

グリーザは巨大な相手であろうと怯まずに酔拳の様な不規則的な動き、飛行能力、瞬間移動や空間を歪曲させる能力、光のバリアで攻撃を躱したり防いだりしつつ、背中から放つ触手状の光線や胸部からの『ビーム光弾』や右手からの巨大な『エネルギーボール』を放ったり、目らしき部位から放つ『グリーザビーム』、頭部から放つ渦巻き状光線『グリーザボルテックス』、二重螺旋光線『グリーザダブルヘリックス』、鐘の音色に似た怪音波『グリーザアクオン』、胸部から放つ『グリーザダークライトニング』など様々な必殺光線を駆使して攻撃する。

対するドライレクスも巨大で強靭な体で光線を耐えつつ、両肩にあるギドラの首から『超引力光線』、額の機械化された眼から『超グランレーザー』を放ち、右腕のハサミと左腕のロボットハンドで斬り付けたり叩いたりする。さらに巨大な翼から突風を起こしたり、太くて長い2本の尻尾を振るって攻撃したりした。

両者共に引けを取らない互角の戦いを繰り広げるが、時間が経つにつれてグリーザの方が少しずつ押されていき、ダメージが蓄積されて動きが鈍くなっていく。その隙をドライレクスは見逃さずにさらに攻撃する。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

 

自分がやられているのを感じたグリーザは、一気に逆転しようとドライレクスから瞬間移動で距離を取り、胸部からフルパワーの『グリーザダークライトニング』を放つ。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

 

それを見てドライレクスも勝負を付けようと最強の必殺技『トリプルカイザービーム』を放つ。

2体の放った光線は激しくぶつかり合う。最初は互角であったが、少しずつ『グリーザダークライトニング』が押され始める。さらにパワーを上げるグリーザだが、ドライレクスはそれより上のパワーで『トリプルカイザービーム』を放つ。

そしてとうとうドライレクスの方に軍配が上がって、光線を押し返されて『トリプルカイザービーム』の直撃を食らったグリーザは後方に大きくブッ飛ばされて、後ろにあった岩壁にぶつかる。そしてゆっくりと倒れて動かなくなった。

 

 

「グゥゥヴヴヴヴオオオォォォギャアアアァァァッーー!!」

 

 

戦いに勝利したドライレクスは大きく勝利の咆哮を上げる。その咆哮に合わせて周りにいた怪獣達も同じように咆哮を上げた。

いよいよクロウの怪獣軍団が勝利を収めようとしている中、母艦に帰還したダイルはリアンをタンカーに乗せて医療室に連れて行こうとするが・・・。

 

 

「ダイル・・・通信機は持っているか?」

 

「通信機ですか?それならここに・・・」

 

 

リアンはダイルから通信機を受け取るとすぐさま起動して全ペダン星人に告げた。

 

 

「こちら、リアン。全てのペダン星人に告げる。総員直ちに母艦に撤収せよ。そして完了次第、直ちにこの惑星から・・・過去から脱出する。ハーラン司令が何を言うとこの命令に従うんだ。全責任は私が取る。ハァハァ・・・いいな、これ以上の戦いは無意味だ・・・」

 

 

苦しみを押さえながら命令を伝えるリアンの言葉を聞いて、ペダン星人達は暫く動きを止めた後、すぐさま彼女の命令に従って行動を開始した。

ほぼ無傷なクロウの怪獣軍団やグリーザを倒したドライレクスの圧倒的な強さを目の当たりにした影響もあって、彼らも戦う気持ちは残っていなかったのだ。

だが1人だけこの命令に反対する者がいた。その者は勿論・・・。

 

 

「何を・・・何を勝手な事を言っているリアン!」

 

 

怒りの声を上げるハーランに多数の兵士が駆け寄る。

 

 

「ハーラン司令!早く撤退して下さい。これ以上此処にいるのは危険です!」

 

「黙れ!撤退など許さぬ!お前達もあの憶病なリアン共の言う事に従うつもりか!?」

 

「ですが・・・」

 

 

意地でも戦うとするハーランを必死に説得しようとする兵士達。そんな彼らをクロウの怪獣軍団の中で、特に肉食で食欲旺盛な怪獣達が見逃す訳がなかった。

 

 

「ギャオオオオオォォォォ!!」

 

「ガアアアォォォーーー!!」

 

 

空からギャオスが、地底からバラゴンがやって来てハーラン達に襲い掛かって来たのだ。

 

 

「ぎゃああああああ!!」

 

「ひいいいいぃぃぃー!?」

 

 

兵士達は必死に銃を撃つがギャオスとバラゴンには効果がなく、次々と2体に喰われてしまった。

 

 

「あ、あぁ・・・ああぁ・・・・・」

 

 

仲間が次々と喰われていく光景に生き残っていた兵士達は次々とテレポートでその場から消えた。それを見てハーランはまた怒鳴り声を上げるが、此処ではやってはいけない事だった。

 

 

「ガアアアアアオオォォォーーー!!」

 

「ぎゃあああああああああーーー!!」

 

 

ハーランの声に気付いたバラゴンが涎を垂らしながら近づき、口を大きく開けて一気にハーランに喰らいついた。ハーランは喰われる寸前まで悲鳴を上げるのであった。

その光景はハーランの椅子に万が一の時用に内蔵されていた小型カメラから司令室に映し出されていた。

 

 

「ハーラン司令官が・・・」

 

 

指揮官を失った事でペダン星人の誰もが戦意損失し、すぐさま脱出しようとする。それと同時に残っていたキングジョーブラック軍団もクロウの怪獣軍団やレイ達の活躍によって全滅した。

 

 

「ボス、キングジョーブラックは全滅です」

 

「そうか」

 

「あとはアイツらの母船だけですね。攻撃しますか?」

 

「いや、その必要はない。アレを見ろ」

 

 

ヒュウガが指差す方向には、脱出準備を整えたペダン星の母艦が猛スピードで上昇し、そのまま光とともに姿を消した。

 

 

「この惑星から撤退したようだ。だからもう戦う必要はない」

 

「・・・またいつか、攻めて来るつもりでしょうか?」

 

「いいや、あんな目に遭ったんだ。二度と来ないさ」

 

 

ヒュウガの言う通り、その後ペダン星のレイオニクスハンター達は二度と現れる事がなかった。

そして戦いが終わった後、クロウは倒れていたグリーザを回収して仲間にした。またリーシャから事の成り行きを教えられて、壊したダイルの銃を見せながら「仇を打った」と優しい表情で言った。

それを見てクロウは勿論、レイ達もホッとした気持ちになりながら戦いの苦労を伴う為に夜中に盛大な宴会を行うのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
虚空怪獣グリーザ(第二形態)


遠い宇宙で開いた“宇宙の穴そのもの”であり、星の生体エネルギーを求めてその全てを自身に取り込み無に還す“意思なき存在”でもあり、空間エネルギーが0=存在しない存在、つまり無そのものである。虚空怪獣と呼ばれているが、怪獣と言うより自然現象に近い発光生命体だ。黄色く発光する頭部を持つ人型の姿が特徴である。
主な武器は目らしき部位から放つ『グリーザビーム』と頭部から放つ渦巻き状光線『グリーザボルテックス』と二重螺旋光線『グリーザダブルヘリックス』、胸部から放つ『グリーザダークライトニング』である。
他にも鐘の音色に似た怪音波『グリーザアクオン』、背中から放つ触手状の光線や胸部からの『ビーム光弾』、右手からの巨大な『エネルギーボール』などウルトラ戦士にも引けを取らない程のたくさんの光線を持っている。
また、酔拳の様な不規則的な動き、飛行能力、瞬間移動や空間を歪曲させる能力、光のバリアなど攻防共に優れた強豪怪獣だ。
レイブラッド星人の操るブルトンの能力によって長らく四次元の中を彷徨っていたが、今回の戦いにおいて発生したエネルギーにより開いた出口から惑星ハマーに現れた。
そして攻撃してきたキングジョーブラック軍団を半壊滅させ、ドライレクスと互角の繰り広げて倒された後クロウの仲間になった。ギガライブナイザーに回収された後、傷が治って実体化していた自分の体も元の無そのものの状態に戻る。
そしてクロウのレイオニクスとしての力とギガライブナイザーの力で戦闘能力が大幅にパワーアップした。それはウルトラマンサーガやウルトラマンZデルタライズクローを余裕で圧倒して倒せる程だ。
また、強くなった他に生物&怪獣としての自我や意思、心や喜び以外の感情が生まれて、宇宙の穴としての周りへの悪影響も完全になくなった事で1体の怪獣としてこの世に存在できるようにもなった。
さらにクロウから命や仲間の大切さ、絆の大切さや自分の本能に任せて無理矢理命や星の生体エネルギーを奪わない事などを教わり、命や仲間、絆を大切にするとても仲間思いな性格になった。
それらの事でクロウの怪獣達から認められて、上位クラスにランクインした。
彼の活躍は今後大いに期待して欲しい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話 あっ、タコだ!サメだ!虫だ!機械生命体だ!!(前編)

皆様、大変長らくお待たせしました!自分でも大分かかってしまったと思っております。実は少しスランプ気味になってしまったもんで(汗)。
その為にウルトラシリーズや様々な怪獣達の作品をたくさん観て、ようやくやる気に火を付ける事ができました。今回は様々な怪獣映画で活躍したレイオニクスと怪獣達が登場し、前後編共に激しいバトルを行います。
感想と評価をお待ちしております。

最強超合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、大魔王獣マガオロチ
超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
巨蛾モスラ(姉弟)、雷怪獣バルグザーダン、宇宙昆虫レギオン(マザーレギオン)
宇宙怪獣オルガ、宇宙超魔獣デスギドラ、宇宙大怪獣ベムスター、深海怪獣ジグラ(RB)
円盤生物ブラックテリナ、異次元生命体プリカーサー(RB)、電磁波暴獣レザーバック
凶悪翼獣オオタチ、大魔獣帝スラターン、M宇宙ハンター星雲人(RB)
魔海獣ダガーラ、公害怪獣ヘドラ   登場




キングジョーブラック軍団に勝利した事と新しい仲間を手に入れた祝いとしてギガ・ロボフォーで宴会を行っていたクロウ達。途中ヒュウガ達はペンドラゴンに戻ったが、初めてでありながら意外と酒が強かったレイは残った。そしてクロウ達も酒が強かったのでその後も派手に騒いでいたが、暫くして全員がそのまま眠ってしまった。

それぞれ良い夢を見ていたのだが、レイだけは夢の中で精神体のケイトと会話していた。

 

 

「レイモン・・・どうあってもお前は、父であるレイブラッドに逆らうつもりか?精神態となってもウルトラマンを石化する事ができる強大な力を持っているレイブラッドに・・・何故だ?レイブラッドを受け入れれば、お前は宇宙の支配者になれる事も可能なんだぞ!?」

 

「・・・力で宇宙を支配するなんて間違ってる!怪獣と戦い、怪獣を倒して強くなる。レイブラッドの後継者として生まれ、戦う事しか知らなかった俺に、それを教えてくれたのはペンドラゴンの仲間やクロウだ。彼らは俺を・・・レイブラッドの遺伝子を受け継ぐこの俺を、仲間として受け入れてくれた。そしてクロウは、迷っている俺を何度も導いてくれて、力を教えてくれて、怪獣達の絆を強くしてくれたりと・・・彼ら以上にいろんな事をしてくれた。だから俺は力よりもっと大切なものがある事を教わったのだ!」

 

「・・・フン、そんなものでレイブラッドの強大な力に本気で勝てると思っているのか?」

 

「レイブラッドは・・・宇宙に恐怖と混乱をもたらす存在だ。だから・・・復活は絶対に阻止しなければならない!俺は戦う!俺を受けれてくれた仲間や・・・偉大なる主人・クロウに応える為にも!!」

 

 

力強く言うレイを暫く見た後、ケイトは静かにため息をつく。

 

 

「決意は固いようだな。レイブラッドの後継者として、宇宙を支配するお前の姿を見たかった。・・・まぁ、あの男がいる以上難しい事なんだがな」

 

 

ケイトはクロウの事を思い浮かべると苦笑する。それに釣られるようにレイも薄く笑う。

 

 

「行け。お前の信じる道を!だが、死ぬなレイモン。私の弟よ・・・」

 

 

ケイトが応援の言葉を送った瞬間、周りが強い光りで覆われて彼女の姿が消えた。それと同時にレイも夢から目が覚めた。

周りを見渡すと部屋はゴチャゴチャに散らかっており、リーシャ達は未だぐっすりと眠っていた。また彼女達だけでなく多くの小型怪獣達も眠っていた。

ちなみにリーシャ、カミーラ、ダーラム、ヒュドラの4人は本来・変身した姿をしていた。これは宴会中に酒に酔った4人がさらに盛り上がろうと変身したからだ。本来なら等身大サイズでもエネルギーが切れて変身が解けてしまうのだが、クロウがエネルギーを切らさないように中央の椅子に置いてあるギガライブナイザーからエネルギーを出しているので、4人は今でも変身したままであった。

それらを見てレイは、かなりはしゃぎ過ぎたなと内心思いながらクロウの姿がない事に気づく。外にでもいるのかと思って静かに部屋を出て、そのままギガ・ロボフォーからも出る。すると予想通り少し離れた場所で空を眺めているクロウがいた。

 

 

「クロウ!」

 

「レイか。どうかしたのか?」

 

「いや、お前の姿が見えなかったから探してたんだ」

 

「そうか。いや、何・・・結構酒を飲んだから酔いを覚まそうと外に出ていただけだ」

 

 

そう言ってクロウは再び空を眺める。それを見たレイは彼の隣に立って同じく空を眺めるが、少しすると質問した。

 

 

「なぁクロウ・・・」

 

「ん?」

 

「もし・・・レイブラッドを倒して後継者になり宇宙の支配者になったら、お前はどうするつもりだ?」

 

「そんなの決まっている。怪獣達が誰にも邪魔されずにのんびりと平和に暮らす事ができる世界にするつもりだ。さらにどんな種族だろうと差別する事なく共存して、互いに手を取り合う事もできるようにもな!」

 

「・・・本当にそんな世界にする事ができるのか?俺が言うのもなんだが・・・難しいと思うぞ」

 

 

クロウが願う世界を聞いて、レイは恐る恐る自分の思いを言う。しかしクロウはそんな事を言われても平然としていた。

 

 

「確かに難しいな。だからこそ俺はどんな奴よりも強い力を手に入れ、俺を支えてくれる頼もしい仲間を集めているのさ。勿論レイ、お前もその1人だ。これからも頼りにしているぞ」

 

「ッ!?」

 

 

“頼りにしている”その言葉を聞いて、レイは心の中が嬉しさで熱くなる感じがした。これまでクロウには様々な事をしてもらった。そんな彼から頼られている。これが嬉しく思わない訳がない。

 

 

「・・・・・あぁ、俺の方こそ頼む!」

 

「うん。ではそろそろ戻るとするか。ギガライブナイザーの中にいるキングオブモンス達が寂しがっているだろうし。アイツらも目を覚ます頃合いだろう」

 

 

そう言ってクロウはギガ・ロボフォーに向かって歩き出す。レイはその後に続いて、彼の後ろ姿を見ながら思う。

 

 

「(ボス達と一緒に居ると気持ち良いが、クロウの元に居るとさらに気持ち良いな。リーシャ達も優しく接してくれるし)このままクロウの仲間として傍に居てもいいかもな・・・(ボソッ)」

 

「うん?何か言ったかレイ?」

 

「・・・いや、何でもない」

 

 

けど俺はボス達の仲間だ。だからせめて今一緒にいるこの時だけでもクロウの力になろう。そうレイは心に誓うのであった。

 

 

 

 

 

その後クロウは目が覚めたリーシャ達と一緒に後片付けをし、朝ご飯を食べてヒュウガ達に連絡を取ってレイをペンドラゴンに送る為にギガ・ロボフォーを発進させようとする。

その瞬間、タイミングを見計らったかのようにレイオニクスがやって来てバトルを挑んできた。

 

 

「出て来いモンスターキングよ!お前がその宇宙船の中にいるのは分かっているぞ!!」

 

「・・・これはまた変な奴が来たものだ」

 

 

随分失礼な事を言っていると思うだろうが仕方ない事だ。なにしろ外にいるレイオニクスは、タコのような風貌に半透明な体色をした姿の宇宙人だったからだ。確かコイツの名はミレニアンと言って、ゴジラの細胞を吸収して宇宙怪獣オルガに変化した奴だったな。コイツもオルガに変化するのかな?

 

 

「どうしますかクロウさん?」

 

「(まぁ、今はそんな事はどうでもいいか)・・・決まっている。ご指名されたからには、相手をしてやらないとな」

 

「しかしクロウ様、あんなタコ野郎は俺達だけで十分ですぜ。て言うか、俺がブッ倒してやります!」

 

「ダメだよグロラス。アイツはクロウ様を指名している。それなのに僕達が出たらクロウ様の顔に泥を塗ってしまう事になるよ」

 

「ソウダ。ソレニアンナ奴ニクロウ様ガ負ケル訳ガナイ。貴様ハクロウ様ノ力ヲ信ジテイナイノカ?」

 

「そ、そんな訳ないだろう!」

 

「ならここは大人しく身を引け。我が主クロウ様の勝利を見届けるのだ」

 

「ああ!クロウなら何の心配もない」

 

 

レイが力強く言うとリーシャ達全員が頷いて見つめてくる。やれやれ・・・何の疑いもなく俺の事を信じてくれるとは。本当に良い仲間を得たものだな。これは期待に応えないと絶対にダメだな。

 

 

「ではちょっくら行って来る」

 

「待ってクロウ」

 

「うん?どうしたカミー・・・」

 

 

いざ戦いの場に行こうとした時、いつの間にかカミーラが傍にいた。一体どうしたのかと振り向いた瞬間、彼女がクロウの唇に自分の唇を重ねた。つまりキスをしたのだ。

 

 

「・・・・・は?」

 

「「「「「「「なぁ!?」」」」」」」

 

「「あああああああぁぁぁーーーーーー!!?」」

 

 

あまりの事にクロウは唖然とし、レイ達は顔を真っ赤に染め、リーシャとルーネは悲鳴を上げる。しかしカミーラは気にする事なく言う。

 

 

「戦いに行く貴方へ勝利を願うキスよ。あと無事に帰って来る願いも含めているわ♪」

 

「あ、あぁ・・・ありがとう。そ、それじゃあ、行って来る」

 

 

流石に空気が重過ぎる事もあってクロウは逃げるように外に出て行った。その後ギガ・ロボフォー内では、リーシャ&ルーネVSカミーラの壮絶な戦いが繰り広げられ、レイ達は隅っこの方で内心怯えながら静かに戦いを観戦するのであった。

 

 

 

 

 

一方ようやくクロウが現れたのを見て、ミレニアン(RB)は武者震いしながら宣言した。

 

 

「出て来たなモンスターキング!貴様を倒してレイオニクスバトルに勝ち、我がレイブラッド星人の後継者となって宇宙中に我々の千年王国を作ってみせる・・・うん?」

 

「はぁ~~後で彼女達のご機嫌取りをしなければならないな。でもどうしたm「貴様聞いているのか!?」・・・えっ?あ、悪い。聞いていなかった」

 

 

あまりにも無礼な態度をとるクロウに、ミレニアン(RB)は半透明な体を真っ赤に染めながら怒る。

 

 

「き、貴様~!我に対してその態度・・・絶対に許さん!行け我が怪獣達よ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「キュアッ!アオオオンッ!キュイイィィン!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

ミレニアン(RB)のバトルナイザーから召喚された怪獣は2体。

1体目はお腹に五角形の口があり、頭の角と両腕の鋭い爪が特徴の宇宙大怪獣べムスター。

2体目はキングギドラによく似た姿をしているが、体表には鱗が無く、体の色は黒で四足歩行が特徴の宇宙超魔獣デスギドラだ。

 

 

「ほぉ、なかなか強い怪獣みたいだな。では今回は・・・ん?」

 

 

いつものようにキングオブモンスを召喚しようとした時、ギガライブナイザーからモスラ姉弟の声が響いた。2体はいつになく自分達に行かせてほしいと必死にお願いしてくる。さらにバトラも同じように行かせてほしいとお願いしてくる。

どうやらあのデスギドラとはだいぶ深い因縁があるみたいだ。

 

 

「いいぜ。なら今回はお前達に任せるとしよう。行け!モスラ姉弟!!バトラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァピュイイイィィ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

召喚されたモスラ姉弟とバトラは、ベムスターとデスギドラを睨みつけながら威勢よく鳴き声を上げる。特にモスラ姉弟は普段ならあり得ない程デスギドラに敵意を見せている。そしてそれはリーシャのバトルナイザーの中にいるモスラ・レオも同じだった。

 

 

『ピュアアアアアァァァ!!』

 

「貴方も行きたいのモスラ?でも今回は我慢してね」

 

『ピュアアアァァッ!ピュイイイィィィ!!』

 

「大丈夫よ。貴方の子供達と大切な怪獣にはクロウさんが付いているんだから。だから安心して」

 

 

優しく言うリーシャの言葉を聞いてモスラ・レオは次第に落ち着いて、モスラ姉弟とバトラの勝利を願いながら見つめるのであった。

その頃、睨み合っていた怪獣達は遂にバトルを開始した。

 

 

「キュイイィィン!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

ベムスターとデスギドラは空高く飛び上がると、それぞれ黄色の破壊光線『ベムスタービーム』と火砕流や溶岩流等をエネルギーにした光線『火砕流撃弾』を何発も放つ。

対してモスラ姉弟とバトラは素早い動きで躱す。そしてモスラ姉弟がそれぞれ『超音波ビーム』を放つ。

 

 

「キュアアアァァッ!」

 

 

しかしベムスターが前に飛び出し、光線を全て腹部の五角形の口『吸引アトラクタースパウト』で吸収した。攻撃を防いだ上にエネルギーを得られた事で、ベムスターは喜びの声を上げる。だがそれはモスラ姉弟の作戦だった。

 

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「ギャアアアアァァゥゥッ!?」

 

 

喜んでいたベムスターの背後では、空高く飛んでいたバトラが急降下しながらデスギドラに接近していた。それを見てデスギドラは再び口から『火砕流撃弾』や灼熱の火炎『火龍重撃波』を放って撃ち落とそうとする。

しかしバトラは素早い動きで躱し、成虫形態から幼虫形態に変わって『プリズムブレード』で翼を片方切り裂いた。

実はベムスターは、エネルギーを得た直後は動きを止まってしまうと言う弱点を持っている。それを利用して彼が動きを止めた隙に、デスギドラを攻撃したと言う事だ。

翼を切り裂かれたデスギドラは地面に落下していく中、バトラは再び成虫形態に戻って空を飛んだ。

 

 

「デ、デスギドラが!ベムスター、早く助けるんだ!!」

 

「キュイィィッ!」

 

 

それを見たミレニアン(RB)は、慌ててベムスターにデスギドラを助けに行くよう指示を出すが・・・。

 

 

「行かせるか。バトラ!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

当然そうはさせないとバトラがベムスターに体当たりし、そのまま眼から『プリズム光線』で攻撃する。さらに翼や脚の爪も使ってベムスターの動きを封じた。当然ベムスターも爪や腕、嘴などを使って反撃し、2体は空中で激しく戦い合うのであった。

その間にデスギドラは地面に落下してしまう。だがレイオニクスの力により再生能力が高くなっている事ですぐに立ち上がり、自分の翼を切り落としたバトラに激しい怒りを込めながら攻撃しようとするが・・・。

 

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァピュイイイィィ!!」

 

 

そこへモスラ姉弟が背後から接近して『超音波ビーム』でデスギドラの首を攻撃した。首を攻撃された事でデスギドラは脳震盪を起こし、一瞬動きが止まってしまう。その隙をついてモスラ姉弟は『鱗粉』を大量に浴びせた。

 

 

「ギャ、ギャアアアア・・・ァァゥゥッ!?」

 

 

毒効果を持つ『鱗粉』を浴びて、デスギドラは悲鳴を上げる。だが必死に耐えて、怒りと憎悪が籠った眼で睨みつけながら口から『火砕流撃弾』や『火龍重撃波』、さらに高熱エネルギーによるバリア『轟砲一閃』で反撃する。

それでもモスラ姉弟は攻撃を止めず、さらに激しく攻めるのであった。その様子をクロウは少し心配しながら見つめている。

 

 

「いくらなんでもアレではすぐに力が失ってしまう。ならば・・・バトラ!ベムスターを叩き落とせ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「キュイィィッ!?アォオオオォォォ・・・・・ン」

 

 

モスラ姉弟を助ける為にクロウはバトラに指示を出す。指示を聞いたバトラは素早く動きながら翼を勢いよく振ってベムスターの頭に叩きつける。それによってベムスターは一瞬意識を失って地面に向かって落下した。その隙をついてバトラは空高く上がってから急降下し、再度幼虫形態に変わって落下のスピードも合わせた『プリズムブレード』でベムスターの体を真っ二つに切り裂いた。

 

 

「・・・・・ッ」

 

「ピュヴオオオオオオォォォォッ!!」

 

 

体を真っ二つにされたベムスターは断末魔を上げる暇もなく大爆発を起こし、またまた成虫形態に戻ったバトラは空高く飛びながら勝利の鳴き声を上げた。

一方その光景を見ていたミレニアン(RB)は驚きの声を上げた。

 

 

「バ、馬鹿な!?ベムスターがあんな簡単にやられるなんて!?」

 

「残念だったな。いくらベムスターでも俺のバトラが相手では当然の結果だ。よく頑張ったぞバトラ、そのままモスラ姉弟の加勢に行け!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

クロウに褒められて上機嫌な気分のままバトラはデスギドラ相手に奮闘しているモスラ姉弟へ行き、眼から勢いよく『プリズム光線』を放つ。『プリズム光線』はモスラ姉弟の『鱗粉』によって乱反射して、様々な方向からデスギドラを狙い撃つ。しかしデスギドラはそれでも怯まずに反撃し続けた。

それならばとクロウはさらに援軍を送ろうとグランドキングを召喚しようとした時、背後から大きな物音がした。振り返ってみると少し離れた場所に土煙が起きていた。どうやら何かが空から降ってきたようだが、一体何であろうか?目を凝らしながら煙が晴れるのを待っていると、現れたのは貝の一種である“ムール貝”に似た姿をし、中から数本の触手が伸びている円盤生物ブラックテリナだった。だがこのブラックテリナ、貝殻の所々の部分が砕けていたり、溶けていたりしていた。あれはかなり重症だなと思っていた時、ブラックテリナの口の中からサメに似た姿をした怪獣が出て来た。あれ?アイツは怪獣だっけか?なんか違ったような・・・。

 

 

「ぐっ・・・がっは!お、おのれ・・・よくも、よくもこのジグラ星人に~~!!」

 

「・・・あぁ~そうかそうか。思い出した!アイツはジグラ星人だった!!」

 

 

目の前にいる怪獣・・・いや、異星人の正体は天体ナンバー105系宇宙にある第4惑星ジグラ星と言う惑星が出身の魚型の知的生命体・ジグラ星人であった。

かつてジグラ星人は、自分達の星が環境汚染によって滅びかけてしまい、その為地球侵略を企てたが守護神とも言える怪獣によって失敗してしまったという過去があった。

またその際に担当した者が地球の海の水圧と環境が合わなかった事で巨大化して怪獣となってしまったのだが、この個体は小さいままであった。

どうやら彼はレイオニクスになった事で、別の星に居ても巨大化する事がないようだ。そしてミレニアン同様にレイブラッド星人の後継者になって宇宙を支配すると言う野望があったんだが、見た感じ的にバトルに負けてしまったようだ。何故なら今の彼の銀色の体は所々紫色であった。毒でも受けたか?

 

 

「ハァハァ・・・こ、こんな事で我が・・・「おい」!?ダ、誰・・・貴様は、モ、モンスターキング!?」

 

 

まさかあのモンスターキングが此処にいるとは思わなかったジグラ(RB)はかなり慌てた様子で、バランスボール等の上で必死にバランスをとろうとするような感じで起き上がる。その様子を内心面白く感じながらクロウが話し掛ける。

 

 

「大分酷くやられたようだなジグラ星人よ」

 

「だ、黙れ・・・ハァハァ、何故・・・貴様が此処に?」

 

「ちょうど此処でレイオニクスバトルをしていたんだよ。そう言うお前も何故此処に来たんだ?それにあのブラックテリナの状態はどうしたんだ?」

 

「う、五月蠅い!少し不覚を取っただけだ。貴様には・・・関係ない!」

 

「それはどうかな?事と次第によっては・・・お前をバトルの乱入者として始末しなければならないからな~~?」

 

「ッ!?」

 

「さてもう一度聞くぞ。お前は何故此処に来た?そしてブラックテリナの状態はどうした?」

 

 

少しオーラを出しながらクロウは質問する。しかしジグラ(RB)はまだ悩んでいるのか黙ったまま・・・いや、少し違うようだ。

 

 

「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」

 

 

先程よりも息を荒く吐いている。やはり毒を受けてしまっているようだ。これでは話をするのは難しいな。

 

 

「ちょっと待ってろ。今治してやる」

 

「な、何・・・!?」

 

 

驚くジグラを他所に手からキラキラ輝く光の光線『治癒光線』が放つ。これは惑星ボリスで特訓していた際に手に入れた特殊能力で、傷だけでなく状態異常も治せる光線だ。少しして傷が治って毒が消えたのを確認した後、クロウが再び訊ねる。するとジグラ(RB)は治してくれたお礼もあってようやく話し出した。

 

 

「少し前に此処とは別の場所でレイオニクスバトルをしていた。最初は我が優勢だったが、途中妙な虫けらのレイオニクスが乱入してきたのだ。そいつの為に我の怪獣達を倒され、我もあのような状態になってしまったのだ。我はブラックテリナに乗って逃げたが、最初に戦っていたレイオニクスも加わって追撃されたのだ」

 

「と言う事はそいつらも此処に来るって事じゃ・・・!?」

 

 

ジグラ星人(RB)から話を聞き終えたのと同時にクロウは遠くから1体の宇宙人がこちらに向かって走っているのに気が付いた。そいつはジグラ(RB)が言った通り昆虫の姿であるが、その昆虫がまさかのアレであった。

 

 

「ゴ、ゴ〇ブリ!?」

 

 

そう、地球で最も恐れられて嫌われているあの昆虫と同じ姿をした宇宙人なのだ。クロウは叫んだ後、迫り来る宇宙人目掛けて容赦なく『モンスターショット』を放つ。

しかし宇宙人は素早い動きで躱し、そのまま立ち上がって怒りの声を上げた。

 

 

「ゴキゴキ!いきなり何をする貴様!?」

 

「た、立ち上がった!しかも人間のように喋るなんて!?お、お前は何なんだ!?」

 

「俺か?俺はM宇宙ハンター星雲人だ。全てのレイオニクスバトルに勝利し、宇宙の支配者になる者だ。ゴーキゴキ!」

 

 

あぁ・・・M宇宙ハンター星雲人ね。そう言えばこんな宇宙人もいたな、いてしまったな。初めて映画を見て正体を知った時はそりゃあゾクゾクっとしたもんだ。しかし目の前にいるコイツはその時よりも背筋が震えてくる。何しろさっきの動きや腕がそのまんまゴキブリの腕なんだからさ!

ちなみにギガ・ロボフォーのいるリーシャ達やペンドラゴンにいるハルナはとても嫌そうな表情を浮かべながら震えていた。まぁ、女性だから仕方ないね。

一方M宇宙ハンター星雲人(RB)はまだ怒りの声を上げていたが、次第に落ち着き始めてクロウの姿を見てその正体に気が付いた。

 

 

「ゴキゴキ!貴様が噂高いモンスターキング・クロウだな。此処で貴様を倒せば宇宙の支配者になったも当然だ。さぁ、俺と勝負しろ!」

 

「・・・いや、勝負するのは俺だ」

 

 

威勢よく言うM宇宙ハンター星雲人(RB)だったが、どこかともなく誰かの声が響いた。それを聞いて全員が周りを見渡していると何もない所の空間が裂けて、そこから異形生命体が現れた。直立二足歩行の昆虫のような姿をした、異様な姿の生き物だった。その名は・・・プリカーサーと言う。

このプリカーサーと言う生命体だが、彼はヤプールと同じ別次元に住む異次元人なのだ。そして彼らの種族は、自分達が住む世界で資源や寿命が終わりに近づくと別の時空で新たな星を探す。そして目ぼしい星を見つけたらそこを侵略し、その星にある資源を次々と食い潰してしまうのだ。

 

 

「ガッサー!貴様なんのつもりだ?また俺の獲物の横取りをする気か!?」

 

「うん?・・・あぁ、さっきの件はすまなかったな。なかなか強い力を奴から感じたから期待できると思ったんだが、それ程でもなかった。逆に威張り散らしが激しく煩い奴だった。虫けらのお前には丁度良いがな」

 

「ガサッ!?また俺の事を虫けらと呼んだな!?そう言う貴様こそ虫けらではないか!絶対に許さないぞ!!」

 

「我も同じだ。このジグラ星人に向かってその口・・・絶対に許さんぞこの虫けら!!」

 

「何だと貴様ら・・・・・」

 

 

3人が言い争っている中、クロウは冷静に彼らの実力を探る。ジグラ星人(RB)とM宇宙ハンター星雲人(RB)は・・・まぁ、ミレニアン(RB)と同様そこそこの実力だ。

しかしプリカーサー(RB)は別だ。奴の実力はあのX星人カイザーやグランデに近い感じだ。その証拠に彼が持っているバトルナイザーはネオバトルナイザーで、しかもカイザーと同じようにカラーリングが普通ではない艶のある水色と青色であった。これは油断できないと思っていた時、背後からミレニアン(RB)がまた怒鳴り声を上げた。

 

 

「おいモンスターキング!貴様また我の事を無視するつもりか!?」

 

「あぁ、悪い悪い。折角ご指名されたんだからちゃんとお前達の相手もするよ」

 

 

全く・・・なんだか今日は誰かに謝ってばかりだ。ちょっと情けない気がするなと思った時、持っていた小型携帯が鳴り出した。出てみるとリーシャ達が心配そうに話し掛けてきた。

 

 

「クロウさん、大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、こっちは何ともないよ」

 

「でも次々とレイオニクスが現れて・・・今すぐ助太刀に行きます!」

 

「・・・いや、その必要はない。お前達はそのまま待機していろ」

 

「えっ!?で、ですが・・・!」

 

「大丈夫、こいつ等は全員俺が倒す。なにしろ俺にはお前達と同様に頼りになる相棒達がいるからな。それに・・・こんな連中に俺が負ける訳がないだろ?だから安心して観ていてくれな」

 

 

そう言った後、クロウは携帯を切って再び前を向く。するとプリカーサー(RB)とM宇宙ハンター星雲人(RB)がジッとこちらを睨んでいた。

 

 

「随分と余裕な事を言うのではないか。いくら貴様がモンスターキングであろうと俺が作り、強く逞しく我が子同然に育てたKaiju達に簡単に勝てると思わないでもらうか!」

 

「Kaiju・・・?」

 

「そうだ。見るがいい俺のKaiju達を!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グエエエエェェェェッ!!」

 

「カロロロロロロッ!!」

 

「フシュオオオオオオォォォォォォッ!!」

 

 

プリカーサー(RB)がネオバトルナイザーを取り出すと3体の怪獣を召喚される。

1体目は亀とゴリラに似たような姿をし、太く筋肉モリモリの逞しい両腕と体中にある栄光色の模様が特徴の電磁波暴獣レザーバック。

2体目は四足歩行のトカゲに似た姿で、顔と頭部の突起の正面の合計6つある目と体よりも長く先端に3本の鉤爪がついている尻尾が特徴の凶悪翼獣オオタチ。

3体目は頭部がXの形をして、レザーバックと同等に全身が逞しく、青く光る4つの目とが非常に長く先端が槍のように尖った三つ又の尻尾が特徴の大魔獣帝スラターンである。

 

 

「どうだモンスターキングよ!見事なKaiju達であろう」

 

 

プリカーサー(RB)が自慢しながら言うとスラターン達も威勢よく咆哮を上げる。しかしそれをM宇宙ハンター星雲人(RB)は嘲笑う。

 

 

「ゴキゴキ!そんな奴らより俺の怪獣の方が凄いぞ!出て来いヘドラ!!ダガーラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「キョオオオオオ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

M宇宙ハンター星雲人(RB)がバトルナイザーから召喚した怪獣はヘドラとダガーラの2体だ。どちらも毒系で良い怪獣だ。けどなかなかの強敵かもしれないが、負ける気はさらさらない。

 

 

「確かにお前達の怪獣は良い奴ばかりだな。なら俺も素晴らしい怪獣達で相手をする事にしよう。行け!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「ピッギシャアァァァォォォ!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!」

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「キシュゥゥゥゥゥピイイイィィィィィッ!!」

 

 

ギガライブナイザーから召喚されたのはキングオブモンス、キングギドラ、グランドキング、マガオロチ、バルグザーダン、マザーレギオンの6体だ。

ちなみにこのマザーレギオン、先日タクトとグロラスがレイオニクスバトルで倒したブラコ星人(RB)のバトルナイザーに残っていた怪獣だ。

何故彼がバトルでこの怪獣を使わなかったのか?それは見て分かる通り、マザーレギオンが強過ぎたからだ。

全身を覆う強固な外殻に鋭角的な頭部の角、パラボナアンテナの様に生えた『干渉波クロー』と呼ばれる10本の爪、腹部のオレンジ色の粒々、下半身に生えた6本の鋭い脚が特徴であり、そして並みの怪獣の倍くらいの大きな体をしているマザーレギオン。そんな強豪怪獣を普通のバトルナイザーであるブラコ星人(RB)が制御できる筈がなく、それ故にバトルに出す事を躊躇ったのだ。そんなマザーレギオンも今ではクロウの仲間で、昨日のキングジョーブラック軍団との戦いの時は違い、今回は彼に直接指示を受けながら戦う事ができる。ある意味初陣であった。

そして彼らは威勢よく咆哮を上げた後、スラターン達を睨みつける。

 

 

「さぁお前達、奴らを思う存分叩き潰しまいな。だがグランドキングはモスラ姉弟やバトラの援護に向かえ。今頃力を使い過ぎて危機に陥っていると思うから急いで行くんだぞ。いいな?」

 

「グゥエエエエエゥゥゥ・・・!」

 

「フッ、安心しろ。お前にはまた力を与えて覚醒した姿にして「グオオオオオォォォォッ!!」・・・あぁ、分かった分かった。キングオブモンス達にもちゃんと力を与えるよ。さぁお前達、行け!!」

 

 

クロウの指示を聞いてグランドキングを除いた5体は一斉に走り出した。

それに合わせてスラターン達も走り出し、両軍は激しい土煙を上げながら激突する。そして各自戦いの邪魔にならない様に相手と組み合ったり、投げ飛ばしたりしながら距離をとって戦いを繰り広げ出した。

そんな中、ジグラ星人(RB)はブラックテリナを少し離れた所に移動させて、自分はクロウの後に隠れるように立って戦いを観戦し始めた。何故なら今自分の手持ち怪獣はブラックテリナ1体だけな上に、重傷の状態でもあるから戦ってもすぐにやられてしまうのがオチだ。故にジグラ星人(RB)はまだ自分の味方になってくれるであろうクロウの後ろに隠れて、反撃するチャンスを窺う事にしたのだ。

彼のそんなせこい考えに気が付いているクロウは、何とも言えない表情になりつつ戦いに集中するのであった。

そしてグランドキングはモスラ姉弟やバトラの加勢する為、回れ右をしてドシンドシンと大きく足踏みを鳴らしながら猛スピード(?)で向かった。

そこではクロウが言った通り『鱗粉』を使い過ぎて少し弱々しい感じがしているモスラ姉弟や2体を庇いながら戦うバトラと段々反撃する回数が増えてきているデスギドラの光景が目に映った。それを見てグランドキングはさらにスピードを上げて戦場へと急いだ。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

「あれがモンスターキングの新手か。だが我が負ける筈がない!デスギドラ、奴を倒せ!倒すのだ!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

やって来たグランドキングを見てミレニアン(RB)はすぐさまデスギドラに指示を出す。デスギドラは体内に溜めていたマグマエネルギーを一気に解放し、背中等の死角から敵を吹き飛ばすと同時に大きなダメージを与える『天怒爆突』でモスラ姉弟とバトラを振り払い、そのままグランドキング目掛けて『火砕流撃弾』を何発も放つ。

迫ってくる火球に対してグランドキングは避ける事も防ぐ事もせず、真正面から攻撃を受ける。

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォン!!!

 

 

 

「ハハハ!やったぞ!やはり我がデスギドラは無敵だ。フハハハハハ!!」

 

 

激しい爆発音と黒煙を見てミレニアム(RB)はグランドキングを倒したと思い、触手を震わせながら上機嫌に笑う。そして残っている3体を倒そうと指示を出そうとするが、黒煙が晴れて視界が良くなっていくにつれて笑いが消えていく。

 

 

「なっ!ば、馬鹿な・・・何故奴が生きている!?」

 

 

黒煙が晴れた先には倒した筈のグランドキングがいた。しかも彼の体には傷が全くついていなかった。それを見たミレニアン(RB)は動揺して、つい動きを止めてしまう。その間にグランドキングは全身に力を込め、スーパーグランドキング・スペクターにパワーアップした。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「・・・ッ!デスギドラ、火砕流撃弾だ!もう一度火砕流撃弾を放つんだ!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

咆哮を上げながら迫ってくるスーパーグランドキング・スペクターを見て、ミレニアン(RB)はもう一度技を放つようにデスギドラに命令するが、それよりも先にスーパーグランドキング・スペクターが右腕の剣でデスギドラの左右の首を切り落とした。

 

 

「グアアアァァァッ!ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!?」

 

 

3つのうち2つの首を切り落とされたデスギドラは悲鳴を上げ、その場に倒れて翼を滅茶苦茶に羽搏かせたり、転がったりして激しく悶える。その隙に吹っ飛ばされて地面に落下していたモスラ姉弟とバトラが再び飛び上がってスーパーグランドキング・スペクターに近寄る。

 

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

「グゥエエエエェェェゥゥゥ・・・!?」

 

「ピュヴオオオオォォォッ・・・」

 

 

モスラ姉弟は自分達を助けに来てくれたスーパーグランドキング・スペクターに感謝の気持ちを込めた鳴き声を上げながら頭と背中に引っ付き、6本の脚でワシャワシャと撫でた。彼に好意を持っている2体なので、撫でると言うよりもじゃれついているみたいだ。

当然この行動にスーパーグランドキング・スペクターは鬱陶しく感じ、剣と鉤爪を軽く動かしたり、頭や体を震わせて追い払うとするが、2体は頑固として離れなかった。そんな彼らを見てバトラは呆れた声を出す。

するとそこへミレニアン(RB)の怒声が響いた。

 

 

「オノレオノレ・・・オノレ~~~!!モンスターキングだけでなく、その怪獣達までもが我を無視するなんて・・・許せん。絶対に許せん!デスギドラよ、いつまで悶えている。お前は無敵の怪獣なんだ。さっさと起き上がって奴らを纏めて倒せ!!」

 

「ギャ、ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

怒る主人の命令を聞いたデスギドラは必死に痛みに耐えながら起き上がって、スーパーグランドキング・スペクター達に『火砕流撃弾』を放つ。だが首が1つしかない上に大ダメージを負っている為、その回数と威力は激減していた。

それを見た4体はこき使われる相手(デスギドラ)に同情しつつも手加減する気はなく、それぞれ必殺光線を一斉に繰り出した。

 

 

「グァギャアアアアアァァァゥゥゥッ・・・・・」

 

 

4体の技を受けたデスギドラは断末魔を上げながら大爆発し、木端微塵に吹き飛んだ。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

「ピュヴオオオオオォォォォッ!!」

 

 

全ての敵を倒した事でスーパーグランドキング・スペクター達は勝利の咆哮を上げる。そして自分達の主人であるクロウの元へ向かうとするが、彼らの前にミレニアン(RB)が立ち塞がった。もう手持ち怪獣がいない筈の彼が一体何のようであろうか?

 

 

「デ、デスギドラ・・・無敵である筈のお前が倒されるなんて!?こうなれば・・・我自ら貴様達を始末してくれる!そして我らの千年王国を作るのだ!!」

 

 

そう言った後ミレニアン(RB)は全ての触手を地面に突き刺す。すると彼の体が大きくなり始め、それと同時に禍々しい姿になっていった。

それは左右非対称の歪な形状とゴリラのような長い腕、左肩にある穴が特徴の宇宙怪獣オルガである。

これはかつて同族が本来自分達がいた世界でゴジラの細胞『オルガナイザーG1』を手に入れた事で変身した姿で、彼はゴジラや地球人に気づかれる事なくゴジラ細胞を手に入れ、自分の科学力でそれを完全に制御する事に成功していた。そしてその完全な制御ができているゴジラ細胞を自分の体に取り込み、自分の意思一つでオルガへ変身する事が可能になったのだ。しかも変身後も自我はしっかりと保っているようだ。

 

 

「どうだ!これが我のもう1つの姿だ。この姿になった我は無敵。貴様達なんか一瞬で片付けてくれるわ!!」

 

 

高々に言いながらオルガは左肩の穴から強力な『波動ビーム弾』を放つ。対してモスラ姉弟とバトラは素早い動きで躱し、スーパーグランドキング・スペクターはまた真正面から受け止め、そのまま『スーパーグランレーザー』を放って攻撃する。

光線を食らって体の一部が消し飛ぶ程のダメージを食らうオルガ。だが彼は平然な表情をしている。どうしたものか?と思った時、なんと彼の消し飛んだ部分が瞬時に治ったのだ。これぞオルガの最大の強みである驚異的な再生能力だ。その後オルガは腕をバネにして空高くジャンプし、スーパーグランドキング・スペクターの後ろに着地する。

そして再度『波動ビーム弾』を放とうとするが、それより先にモスラ姉弟とバトラがスーパーグランドキング・スペクターを守ろうとオルガ目掛けて必殺光線を放った。

 

 

「ふん!また同じ手か。学習能力のない奴らだ」

 

 

3体が必殺光線を放つのを見てオルガは嘲笑いながら再びジャンプして空中へ逃れる。だがそれはモスラ達の作戦だった。

 

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

「ピュヴオオオオオォォォォッ!!」

 

「な、何だ!?あぐっ!ぐあっ!ゴバッ!や、やめろ・・・!」

 

 

落下していくオルガ目掛けてモスラ達は猛スピードで何度も交互に体当たりを食らわせる。オルガは体当たりを受ける度に空中に上がり、反撃する事も身動きする事もできなくなってしまった。その様子はまるでテニスやバトミントンのようにボールを打ち合っているかのようだ。

この連続攻撃の前に流石の再生能力も追い付かず、オルガの体はボロボロになっていった。そしてある高さまでくるとモスラ達はオルガから離れ、それに合わせてスーパーグランドキング・スペクターが最大パワーで『スーパーグランレーザー』を放った。

 

 

「グヴヴヴ・・・ギャアアアアアアアアァァァァァァーーーッ!!?」

 

 

必死に耐えようとするオルガだったが、スーパーグランドキング・スペクターが最大限まで溜めて放った必殺光線だった為、とうとう大爆発を起こした。

今度こそ全ての敵を倒したのを確認してからスーパーグランドキング・スペクター達はまた勝利の咆哮を上げる。そして自分達の主人であるクロウの元へ向かうとするのだが・・・。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「・・・ピュアアァッ!カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュイイイィィッ!キュアァァ~!」

 

「ピュヴヴゥ・・・ピュヴオオオオォォォッ!」

 

「グゥアアァッ!?グ、グゥエエエエェェェゥゥゥ~~!」

 

 

大きくなった事もあっていつもより歩くのが遅くなったスーパーグランドキング・スペクターを見て、モスラ姉が彼を掴んで運んで行こうとする。弟もそれを見て一緒に運ぼうとし、バトラに「手伝って欲しい!」とお願いする。同時に姉もキラキラと眼を輝かせながら見つめる。

これには流石のバトラも断る事ができず、一緒にスーパーグランドキング・スペクターを掴んで持ち上げてクロウの元へ向かうのであった。

この時スーパーグランドキング・スペクターは滅多に味わう事ができない空を飛ぶと言う体験に、内心テンションがマックス状態になったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けどその為に彼らは気付かなかった。

切り落としたデスギドラの2つの首がゆっくりと動き始め、木端微塵になった場所に引き寄せられるように向かっていた事を・・・。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙超魔獣デスギドラ


かつて6500万年前に地球に襲来し、恐竜絶滅の原因を作った宇宙怪獣。
宇宙人ミレニアム(宇宙怪獣オルガ)の主力怪獣で、姿はキングギドラに似ているが、体表には鱗が無く、体色は黒で四足歩行が特徴である。
主な武器は、地割れを起こして地下のマグマを噴出させたりできる。
主な武器は口から吐く火砕流を溶岩流、それらをエネルギーにした光線『火砕流撃弾』や灼熱の火炎『火龍重撃波』、3つの首から火砕流撃弾を一斉に放って回転、増幅させて打ち出す『三重渦撃砲』、三重渦撃砲のスピードと回転をさらにパワーアップさせた強化技『炎龍旋風撃波』などある。他にもマグマを自在に操る能力を持って、地割れを起こしたり、地下のマグマを噴出させる『剛烈駆雷震』や体の一部を爆発させる事で、背中などの死角から敵を吹き飛ばすと同時に大きなダメージを与える『天怒爆突』、高熱エネルギーによるバリア『轟砲一閃』と言った防御技も持っている。
モスラ一族とは深い因縁があり、今回モスラ姉弟とバトラ相手に仲間のベムスターと共に戦うが、グランドキングの参戦によって倒されてしまった。
しかし戦いの最中に切り落とした2つの首が何やら怪しい動きをしている。一体この後どうなるかは後半に期待して欲しい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第39話 あっ、タコだ!サメだ!虫だ!機械生命体だ!!(中編)

皆様、お待たせしました!また大分かかってしまいました。少しスランプ気味になって、その為に1年もかかってしまって・・・大変申し訳ございません!!
今回は様々な怪獣映画で活躍したレイオニクスと怪獣達が登場し、激しいバトルを行います。
感想と評価をお待ちしております。

最強超合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、大魔王獣マガオロチ
超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
巨蛾モスラ(姉弟)、雷怪獣バルグザーダン、宇宙昆虫レギオン(マザーレギオン)
奇機械怪獣デアボリック、宇宙恐竜ハイパーゼットンデスサイス
宇宙凶悪戦闘獣スペースゴジラ、サイボーグ怪獣改造ガイガン(FW)
宇宙超魔獣デスギドラ、深海怪獣ジグラ(RB)、円盤生物ブラックテリナ
異次元生命体プリカーサー(RB)、電磁波暴獣レザーバック、凶悪翼獣オオタチ
大魔獣帝スラターン、M宇宙ハンター星雲人(RB)、魔海獣ダガーラ
公害怪獣ヘドラ   登場




スーパーグランドキング・スペクター達とオルガ率いる怪獣軍団との戦いに決着が付き、スーパーグランドキングがクロウの元へ向かって少し経った後・・・。

 

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

なんと切り落とされたデスギドラの2つの首が木端微塵となって吹き飛んだ体を吸収して復活したのだ。

デスギドラは姿形はキングギドラに似ているが、その正体はマグマ状の不定形で、宇宙のエントロピー増大の傾向から生まれた“生命のない完全な負の存在”であり、死という概念が存在しない為に滅ぼす事はできないと言われていた。それにより今こうして復活する事ができたのだ。

そして復活したデスギドラは、自分をこんな目に遭わせたスーパーグランドキング達に復讐しようと彼らが飛び去った方向に向かって飛び立とうとするが・・・。

 

 

「待テ・・・デスギドラ・・・」

 

「ギャアアアァァッ!?」

 

 

突然背後から低い声が聞こえてデスギドラが振り返ってみると、そこには自分と同様に倒されたオルガがいた。だがその姿は半透明である上に、ドス黒いオーラに包まれていた。

何故この姿であるのか?理由は先程スーパーグランドキング達に倒された事、クロウに無礼な態度をとられたり無視されたりした事、レイオニクスバトルに敗北した事から怒りと悔しさが極限まで高まって怨念となったのだ。

 

 

「貴様ハ・・・コノ、ミレニアンノ・・・下僕・・・ダカラソノ体、我ニヨコセ!!」

 

「ギャアアァッ!?ギャアアアア・・・アァァッ・・・・・」

 

 

元主人からのまさかの命令にデスギドラは驚くと同時に恐怖する。なにしろ今目の前にいるオルガはまさに幽霊・・・いや、悪霊と言ってもいい存在だ。

そんな奴に自分の体を渡してなるものか!と急いでその場から逃げようとする。

しかしオルガの方が早く、デスギドラの体に覆い被さるように憑りつくとそのまま融合を始める。デスギドラは体を激しく動かしたりして必死に抵抗するが、次第に動きがゆっくりとなっていき、そしてドス黒いオーラが消えると動きを止めた。

 

 

「・・・・・グフフフ、ヤッタゾ。コレデ我ハマタ千年王国ヲ作ル事ガデキル。ダガマズ先ニ、アヤツラニ復讐シナケレバ」

 

 

そう言うとオルガ・・・いや、デスギドラ(M=ミレニアン)は再びドス黒いオーラを放ちながら翼を大きく広げて空高く飛び、スーパーグランドキング達を追い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、キングオブモンス達はスラターン達やヘドラ達相手に優勢に戦況を進めていた。

 

 

「キシュゥゥゥゥゥピイイイィィィィィッ!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!!」

 

「グエエエエェェェェッ!!」

 

「カロロロロロロッ!!」

 

 

岩石類が多い地帯でレザーバック&オオタチと戦っているのはマザーレギオン&マガオロチの2体だ。

 

 

「グエエエエェェェェッ!!」

 

 

まずはレザーバックで、メイスのような腕を大きく振り上げ、マザーレギオンを叩き潰そうと勢いよく振り下ろす。しかしマザーレギオンは頭部の大角で腕を払い除けて、そのまま前脚のスレッジアームで突き刺そうとした。

だがレザーバックも素早く両腕を前に出してスレッジアームを受け止める。そしてそのまま押し倒そうと力を込めようとした時・・・。

 

 

 

ザシュッ!!ザシュッ!!

 

 

 

「グエエエェェッ!?」

 

 

何かがレザーバックの両肩に突き刺さって血が噴き出した。また激しい痛みも襲い掛かってレザーバックは悲鳴を上げる。それでも何とか痛みに耐えて、突き刺さった物を見てみるとそれはマザーレギオンの後脚のサイズレッグであった。

 

 

「グ、グエエエェェッ・・・!」

 

「キシュゥゥゥゥゥピイイイィィィィィッ!!」

 

 

必死にサイズレッグを抜こうとするレザーバックだが、マザーレギオンは一気に勝負を決めようと大角を左右に開いて至近距離から『マイクロ波シェル』を放とうとする。それを見たレザーバックはサイズレッグから手を離し、角を掴んで発射を阻止しようと押さえ込む。だがそれにより腕が仕えなくなった隙をつき、マザーレギオンはサイズレッグに加えてスレッジアームも使って攻め続けた。

 

 

 

次はオオタチで、四足歩行で素早く動きながら先端に3本の鉤爪が付いた長い尻尾を鞭のように振り回して攻撃する。対してマガオロチは攻撃を躱したり、両腕で弾いたりしながら口から『マガ迅雷』を放つ。それを見たオオタチは素早く横に移動し、両手を前に出してマガオロチの首を絞めようとするが・・・。

 

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!!」

 

「カロロロロッ・・・!?」

 

 

マガオロチは口を閉ざし、技を止めると同時に素早く尻尾を振り回した。それを食らったオオタチは勢いよくブッ飛ばされる。そこへマガオロチは再び『マガ迅雷』を放つが・・・。

 

 

「ギャヴヴヴゥゥッ!カロロロロロロッ!!」

 

 

オオタチは咄嗟に両腕の翼を広げて空を飛び、そのまま『マガ迅雷』を躱す。そしてお返しとばかりに頬を膨らませて、口から青色の『溶解液』を吹き掛ける。

しかしマガオロチも素早く攻撃を躱して、そのまま睨みつける。対してオオタチも同じように睨みつけた。両者共に知能が高い故、一歩も引かない状況となり、相手の隙を窺うように睨み合いを続けた。

 

 

 

4体が戦っている場所から少し離れた平地で戦闘を繰り広げているのは、キングオブモンス&キングギドラ&バルグザーダンVSスラターン&へドラ&ダガーラの6体である。

 

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「ピッギシャアァァァォォォ!!」

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「フシュオオオオオオォォォォォォッ!!」

 

「キョオオオオオ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

先の4体とは違い、こちらはクロウ側が完全優勢な戦いを繰り広げていた。

キングギドラ&バルグザーダンVSダガーラ&ヘドラ戦では、キングギドラ相手にダガーラは空中戦を挑み、彼を凌ぐ猛スピードで飛行しながら体内で生成した極毒結晶体ベーレムを肩口の開閉式砲口から撃ち出す『ベーレム弾』や口から放つ『噴灼毒撃波』で攻撃するが、キングギドラは両翼を大きく広げてバリアでベーレムと光線を全て防ぐ。そして3つの首のうち左右の2つの首から『引力光線』を放つ。

当然ダガーラは素早く飛行して躱し、もう一度ベーレムを撃とうとキングギドラの真正面に移動する。それを見てM宇宙ハンター星雲人(RB)が慌てる。

 

 

「ガサッ!?待てダガーラ!そっちへ行っては駄目だ!!」

 

「クク、今さら遅いぜ。キングギドラ!反重力光線!!」

 

「ピリリリ!カラカラ!ピギャアアアアアオオオオオオン!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!?」

 

 

真正面にやって来たダガーラに向けて、キングギドラは翼から『反重力光線』を放つ。慌てて横に躱そうとするダガーラだが、左右から放たれている『引力光線』の為に横に逃げられなかった。

ならば上下どちらかに移動しようとしても残った真ん中の首から放たれる『引力光線』で逃げられず、とうとう光線を食らって地上に落下した。

 

 

「グヴヴヴゥゥゥ・・・」

 

「ピギャアアアアアオオオオオオン!!」

 

 

落下したダガーラは体に傷を負い、口から少々血を吐きつつも再び空へ飛ぼうとする。だがその前にキングギドラが容赦なく『引力光線』を何度も放つ。それによりダメージが蓄積していくダガーラを見て、Mハンター星雲人(RB)はまた慌てる。

 

 

「ガッサー!俺のダガーラがあんなにもダメージを!?早くへドラに援護をさせ・・・ってガッサーーー!!?」

 

 

苦戦するダガーラを助ける為、ヘドラに援護を命じようと振り向いた瞬間Mハンター星雲人(RB)から悲鳴の声が上げた。

何故ならバルグザーダンの電撃によって全身が乾燥し、ほぼグロッキー状態のヘドラの姿が映ったからだ。

最初ヘドラは目から赤い熱線『ヘドリューム光線』や体から『ヘドロ弾』を何発も放って攻撃する。対してバルグザーダンは空に向かって勢いよくジャンプして躱し、そのまま駆けるように飛行する。

そして両肩の発射口から帯電物質を射出して、稲妻を乱反射させて周囲全体を攻撃する技『スプリード・サンダー』を繰り出した。

 

 

「ギョオオオオオオオオオ!?」

 

 

それを食らったヘドラは悲鳴を上げて、飛行形態になって逃げようとする。しかし先程言った通りこの技は周囲全体を攻撃する技・・・故に飛行形態になっても逃げ場はなかった。さらに電撃を食らう度にヘドラの体は乾燥し、徐々にボロボロになっていった。

 

 

「ギョオオオ、オオオオオォォ・・・ォォォ・・・・」

 

 

そして冒頭に戻って電撃を食らい続けたヘドラはだんだんと呻き声が小さくなっていき、その後体内の水分を殆ど失ってボロボロになってしまった。その光景にMハンター星雲人(RB)は頭を抱えながら叫び、そんな彼をクロウはやはり姿がアレだから少し冷たい目で見つめながら呟く。

 

 

「ガッサーーー!?ヘ、ヘドラが!俺のヘドラがーーー!!?」

 

「・・・やれやれ、アレではもう倒れるのも時間の問題だな」

 

「そうか、ならば奴の止めは我のブラックテリナがやる!よいなモンスターキングよ?」

 

「あぁ、それは別に構わんぞ。だがこの結界の外から出るのは止めておけよ。出たらまた毒で苦しむぞ」

 

 

クロウはヘドラが猛毒のヘドロでできていて、戦いの時でも硫酸ミストを撒き散らす等を知っていた為、リーシャ達に「宇宙船から絶対に出るなよ」と忠告し、ギガライブナイザーを使って周りに結界を張っていた。その為ヘドラの近くにいても猛毒で苦しむ事が無かった。

そして後ろにいたジグラ星人(RB)にも先程言った忠告を告げる。先の戦いで毒に苦しめられていた事もあってジグラ星人(RB)はクロウの言葉に素直に従った。

 

 

「わ、分かっておる。行け!ブラックテリナ!!先程の借りを返してやれ!!」

 

「ファアアアアアアァァァァ!!ピュオン!!ピュオン!!」

 

 

主の命令を受けたブラックテリナは、飛行音とも鳴き声とも言える音を鳴らしながら移動する。そしてバルグザーダンの電撃を上手く躱しながらヘドラの真上にやってくると火花状の光線『ファイヤーレイン』で追い打ちを食らわせた。この攻撃によってヘドラはとうとう乾燥して土塊になってしまった。

それを見てバルグザーダンは嬉しそうに勝利の咆哮を上げ、ブラックテリナも触手を振って喜び、ジグラ星人(RB)も両鰭を叩いて愉快に笑い声を上げた。

 

 

「フハハハ!どうだモンスターキングよ?我がブラックテリナの強さ、驚いたであろう。フハハハハハハ!!」

 

 

調子のいいジグラ星人(RB)や2体の様子にクロウは内心苦笑する。

 

 

「(やれやれ、バルグザーダンは久しぶりの戦いもあって分かるが、ジグラ星人は本当に単純だな~。まぁいい・・・)あぁ、実に見事だった。ならもう1体の相手もできるな?」

 

「勿論構わんぞ。あの虫けらのもう1体の怪獣もあと少しで倒せそうだからな!さぁブラックテリナよ、我と共に奴を倒しに行くぞ!!」

 

 

そう言ってジグラ星人(RB)はブラックテリナに乗ってダガーラの元へ向かった。

そんなアイツらの後を追わせるように俺はバルグザーダンにキングギドラの加勢しに行くよう伝える。それが済むと今度はキングオブモンスが戦っている方に視線を移した。

 

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「フシュオオオオオオォォォォォォッ!!」

 

 

対峙してから時折咆哮や唸り声を上げながら相手の出方を窺っていた両者。だがこのままでは埒が明かないと思ったスラターンが先に動き出し、キングオブモンス目掛けて勢いよく突進攻撃を仕掛けた。

此処にいるレザーバックやオオタチだけでなく他のKaiju達よりも強力な攻撃力を持っているスラターン。そこへプリカーサー(RB)のレイオニクスの力も加わっている為、その威力は計り知れないものである。並の怪獣なら一撃で倒されてしまうのだが・・・。

 

 

 

ガシッ!!

 

 

 

「フシュオオオオオォォォォッ!?」

 

「グルルル・・・グオオオオオォォォォーーー!!」

 

 

迫ってくるスラターンに対し、キングオブモンスは腹部の『シャークファング』で真正面から受け止めてしまった。その事にスラターンは驚いて動きを止めてしまう。その隙をキングオブモンスは見逃さず、両手を合わせてスラターンの頭目掛けて殴り落として地面に叩きつけた。

さらにそのまま頭を踏みつけようと足を上げるが、それよりも先にスラターンが自分の長い3本の尻尾を伸ばし、鞭のように振るってキングオブモンスを退かせた。そして起き上がると同時に両腕を前に出して首を掴んだ。今度は自慢の腕力で首を圧し折ってしまうつもりだ。しかしキングオブモンスは全く動じず、スラターンの両腕を掴んで無理矢理引き離し、そのまま力強く遠くへ投げ飛ばした。

 

 

「フシュウウゥゥ・・・」

 

「グルルル・・・!」

 

 

投げ飛ばされたスラターンは再び起き上がるが先程とは違って攻撃はせず、ただ唸り声を上げて睨みつけるだけだった。彼はようやく目の前にいる敵(キングオブモンス)がこれまで戦ってきた連中とは比べものにならないくらいの強豪であると察した。その為迂闊に攻撃しないで隙を窺っているのだ。

一方キングオブモンスも相手をしているスラターンが久しぶりに歯応えのある奴と分かり、どうやって叩き潰すか内心考えながら同様に隙を窺った。

その光景を見ていたプリカーサー(RB)は驚きの声を上げつつ訊ねた。

 

 

「馬鹿な!?俺のKaiju達がこんなにも苦戦するなんて・・・これがお前の実力だと言うのか!?」

 

「その答えは半分正解だな。これは俺だけでなく、俺達の実力だよ。だがプリカーサー、お前も大した実力者だと思うぜ。褒めてやるよ」

 

「・・・・・フッ、怪獣の王と名乗る貴様から褒められるとはな。だが不思議と悪い気はしないな。此処はありがたく受け取っておこう。だがスラターンの力はまだまだこんなものではないぞ。スラターン、お前の本気を見せてやれ!!」

 

 

プリカーサー(RB)の指示を聞いたスラターンは、大きく咆哮を上げる。それにより周りに激しい振動が起こり、岩が砕けて砂が舞い上がった。

本当に大した実力だな。だが相手が強ければ強い程盛り上がると言うものだ。そう思いながらキングオブモンスに新たな指示を出そうとした時、背後から悲鳴が聞こえた。振り返るとそこにはグランドキング達がデスギドラに襲われていた。その力は凄まじく、スーパーグランドキングと互角に渡り合い、モスラ姉弟とバトラ達を圧倒していた。

 

 

「どう言う事だ?何でいきなりあれ程の力を・・・!?」

 

 

いくらミレニアンが真のレイオニクスに覚醒したとしてもあんなにもパワーアップする事はできない筈だ。一体どんな手を使ったのかと少し観察してみるとある事に気がついた。デスギドラから感じる雰囲気・・・あれはミレニアンのものだ!

 

 

「アイツめ、どんな方法を使ったかは知らんがデスギドラと融合してあんな力を・・・いずれにしてもこのままではいくら覚醒したグランドキングでも危ない。ならば・・・マザーレギオン!バルグザーダン!こっちに来い!!」

 

 

クロウに呼ばれた2体はすぐさま動く。まずマザーレギオンはサイズレッグと角でレザーバックを切り付けて重傷を負わせて動けなくし、バルグザーダンはキングギドラにダガーラの相手をお願い(ついでにブラックテリナにも)して駆け寄った。

 

 

「いいかお前達、今からグランドキング達に加勢してあの黒い3つ首野郎を倒して来い。遠慮するな。全力で叩き潰してこい。いいな?」

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「キシュゥゥゥゥゥピイイイィィィィィッ!!」

 

 

指示を受けた2体は頷き、威勢よく鳴き声を上げながらグランドキング達の元へ歩き出した。

これでグランドキング達の方は大丈夫な筈だ。だがやはりちょっと心配だな・・・それに2体の変わりの怪獣も早々に決めないとマガオロチ達が危ない。そう思い急いで対応しようとした時、ブラックテリナがこちらに向かって飛んで来るのに気がついた。その上には勿論ジグラ星人(RB)がいて、彼はとても慌てた様子でブラックテリナから降りて兎跳び(?)で近づいた。

 

 

「ハァハァ・・・モ、モンスターキングよ!マズイ事になった!あの虫けらの、不気味な怪獣が生き返った!!」

 

「何・・・?」

 

 

ジグラ星人(RB)の報告を聞いてヘドラがやられた場所を見ると、そこには倒した筈のヘドラが両腕を上げて立っていた。そしてヘドラは仲間のダガーラを攻撃しているキングギドラに『ヘドリューム光線』を放って気を引かせる。その隙をダガーラは見逃さず、空に飛んで距離をとった後へドラと一緒に対峙した。そこへM宇宙ハンター星雲人(RB)が余裕な態度で話した。

 

 

「ゴキゴキ!驚いたかモンスターキングよ!俺のヘドラは体内に少しでもヘドロが残っていたら復活する事ができるのだ。如何に貴様の怪獣でもヘドロを全て消す事はできない。故に俺のヘドロは不死身なのだ!ゴーキゴキゴキ!!」

 

「・・・フン、何が不死身だ。ようはヘドラの体内にあるヘドロを全て消せば倒せると言う事だろう?自分から弱点言っておいて何いい気になっているのやら」

 

「確かに。それについては同意だ」

 

「ガサッ!何だと!?」

 

 

自分の怪獣の凄さを自慢したつもりのM宇宙ハンター星雲人(RB)だが、クロウには鼻で笑われ、プリカーサー(RB)にも馬鹿にされて苛立つ。そんな彼にクロウは冷静に言う。

 

 

「バルグザーダンがいなくなったから怖くなくなって安心したようだが、それは大きな間違いだ。アイツの他にもお前の怪獣を倒せる猛者はいる。その力を・・・たっぷりと味合わせてやる!無論プリカーサー、お前にもだぜ。ハイパーゼットン!スペースゴジラ!ガイガン!デアボリック!行け!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピポポポポポ!ゼェットォォーーーン!!」

 

「ギィガアアアオオオォォォォン!」

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

新たに召喚された怪獣はハイパーゼットン(D)、スペースゴジラ、改造ガイガン(FW)、デアボリックの4体だ。

ちなみにガイガン(FW)だが、クロウの怪獣となってパワーアップした事により頭部に棘が付いて、両腕の鎌(ブラッディ・トリガー)がブラッディ・チェーンソーになった改造ガイガン(FW)になっていた。

彼らは大きな咆哮を上げた後キングオブモンス達の元へ行き、体当たり等でスラターン達をブッ飛ばす。そしてキングオブモンスを中心に並び立った。

新たに召喚された4体を見てM宇宙ハンター星雲人(RB)とジグラ星人(RB)は溢れ出る強者のオーラに圧倒されるが、プリカーサー(RB)は違った。彼は強い彼らと戦える事に内心喜んでいた。

 

 

「モンスターキング・・・貴様の怪獣は本当に良いぞ。俺は今、心の奥底から貴様と戦えて嬉しい!さぁ、Kaiju達も心待ちにしている。もっと激しく全力で戦うぞ!!」

 

「(コイツ、意外と戦闘狂(バトルマニア)な奴だな。まぁ別に良いけど・・・)あぁ、だがそう長く付き合ってはいられないけどな。キングオブモンス、キングギドラ、マガオロチの3体はスラターンに!ガイガンはレザーバック!デアボリックはオオタチ!ハイパーゼットンはヘドラ!スペースゴジラはダガーラを倒せ!お前達の強さ、奴らに見せ付けろ!!」

 

「グオオオオオオオオォォォォォーーー!!」

 

 

命令が言い終わったと同時にキングオブモンスが代表して咆哮する。そしてクロウの怪獣達は一斉に走り出した。無論プリカーサー(RB)もスラターン達に突撃するよう指示を出し、遅れながらM宇宙ハンター星雲人(RB)もヘドラ達に突撃命令を出す。だが5体は最初の戦いでのダメージや疲れがあったので、どっちが有利なのか誰もが分かる事だろう。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「グエエエェェッ!?」

 

 

最初はデアボリックVSレザーバックで、両腕を前に突き出しながら迫ってくるレザーバックに対し、デアボリックは左腕のアサルトアームや両肩、上半身の多砲塔からビームやミサイルを大量に発射して容赦なく浴びせる。1発1発が強力な物なので、いくら防御力の高いレザーバックでも耐えられず全身血だらけになってしまった。

 

 

「グエエエェェッ・・・!!」

 

 

それでもレザーバックの戦意は衰えず、なおも叩きつけようと腕を構えようとする。それを見てデアボリックは太い尻尾を振ってブッ飛ばした。

 

 

「グ、グゥェェ・・・グエエエェェッ!!」

 

 

接近する事ができないと判断したレザーバックは、切り札として残していた技を発動させよとする。それは背中にある撃鉄のような器官を叩き合わせる事によって発生させる技『電磁パルス波』である。これを食らえばサイボーグ怪獣であるデアボリックはただでは済まないだろう。だがそれを指銜えて見ているデアボリックではない。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

レザーバックが技を出すよりも先に右腕のジェムアームを構えて『ジュエリックブレーズ』を発射する。技を出そうとしていた為にレザーバックは動けず直撃してしまい、悲鳴を上げる事すらできず宝石へと変わってしまった。

 

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

 

戦いに勝利し、主人(クロウ)へ巨大な宝石と言う良い献上品ができた事にデアボリックは愉快に咆哮を上げるのであった。

 

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ギャヴヴヴゥゥッ!カロロロロロロッ!!」

 

 

次は改造ガイガン(FW)VSオオタチで、相手がかなりの強豪であると察したオオタチは迂闊に近づかず、尻尾をゆらゆらと動かして警戒しながら隙を窺う。

だが改造ガイガン(FW)はそんな事知るか!と言わんばかりに眼から威力がパワーアップした『ギガリューム・クラスター』を放つ。それを見たオオタチは素早く翼を広げて空高く飛んで躱すが、改造ガイガン(FW)は予想していたと言わんばかりに胸から小型の丸ノコのブラデッド・スライサーを連続発射し、腕もろとも翼を切り落とした。

 

 

「カロロロロロロッ・・・!?」

 

 

翼を切り落とされたオオタチは勢いよく落下していく。そんな状況でもオオタチは戦意を失わず口から『溶解液』を吐き、続けざまに尻尾を伸ばして改造ガイガン(FW)に一太刀でも浴びせようと攻撃する。しかし改造ガイガン(FW)はそれすらも予想していた。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

 

迫る攻撃に対して改造ガイガン(FW)は先程のオオタチと同様に空高く飛んで躱し、そのまま両腕のブラッディ・チェーンソーで尻尾を切り落とした。さらに悲鳴を上げるオオタチの体を空中で2、3度切り刻んだ後『ギガリューム・クラスター』を放って地面に打ち付けた。

止めの一撃も食らってオオタチは全身血だらけの状態になりながら力尽きた。その様子を見つめながら改造ガイガン(FW)は残虐な表情をしつつ勝利の咆哮を上げるのだった。

 

 

 

「ピポポポポポ!ゼェットォォーーーン!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

次なる戦いはハイパーゼットンデスサイスVSダガーラで、キングギドラ戦でダメージが大きいダガーラは早く勝負を決めようと空へ飛ぶのと同時に『ベーレム弾』や『噴灼毒撃波』の他に最強の技である両肩から放つベーレム毒素の破壊光線『超重龍爆炎』を放つ。だがハイパーゼットンデスサイスも空高く飛び、『ハイパーゼットンテレポート』や『ハイパーゼットンバリアー』で躱されたり防御されてしまう。そして逆に胸の発光器官から放つ『暗黒火球』を食らってダガーラはさらにダメージを負って地面に落ちてしまう。

 

 

「グ、グワゥ・・・グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

それでもダガーラはこのまま終わる事を認めず、必死に立ち上がって再び空へ飛ぼうと鰭を大きく広げるが・・・。

 

 

「ゼェットォォーーーン!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!?」

 

 

また『ハイパーゼットンテレポート』でテレポートしたハイパーゼットンデスサイスが両鎌を振って鰭を切り落としてしまった。あまりに突然の事だった為にダガーラは一瞬何が起きたか分からなかったが、鰭を切られた痛みによって理解して悲鳴を上げる。そんな彼にハイパーゼットンデスサイスは容赦なく『暗黒火球』を放つ。それを食らったダガーラはその場で大爆発してしまった。それを見てハイパーゼットンデスサイスは両鎌を叩きながら勝利の鳴き声を上げた。

 

 

 

「ギィガアアアオオオォォォォン!!」

 

「キョオオオオオ・・・!?」

 

 

さらに次はスペースゴジラVSヘドラで、知能が高いスペースゴジラはすぐさまヘドラ相手に接近戦は危険だと察し、飛行形態になって空を飛びながら『コロナビーム』を何度も放つ。威力が高い上に自由自在に曲がる光線にヘドラは対応できず、光線が当たる度に体が辺りに飛び散った。

ちなみに地上での戦いの際エネルギーを大幅に消耗するスペースゴジラが、何故これ程までに光線を放てるのか?それは勿論クロウのギガライブナイザーからエネルギーを得ているからだ。

そんな状況でもヘドラは必死に『ヘドリューム光線』を放って反撃する。だがそれもスペースゴジラの高出力の光子バリア『フォトン・リアクティブ・シールド』で防がれてしまう。そこへまた『コロナビーム』を食らってしまい、とうとうグロッキー状態になる。それを見てM宇宙ハンター星雲人(RB)は遂に決断した。

 

 

「ガサ~!ダガーラは倒れ、ヘドラがやられるのも時間の問題・・・もうこのバトルに勝ち目はない。ヘドラ!逃げるぞ!!」

 

「キョオオオオオ・・・」

 

 

主の言葉を聞いてヘドラはすぐさま飛行形態となる。彼自身も本能でスペースゴジラの強さが自分よりも遥か上である事を理解している為、何の迷いもなく逃げる事に専念したのだ。

 

 

「ギィガアアアオオオォォォォン!!」

 

 

だがそれをみすみす見逃すスペースゴジラではない。飛行形態を解いて地上に降り立ち、両肩のクリスタルから発射する緑色の反重力光線『グラビ・トルネード』でヘドラを捕らえる。そして身動きを封じた後最大出力の『コロナビーム』を放つ。それを食らったヘドラは断末魔を上げる事もできず、体内のヘドロ諸共全て消滅して塵となった。

 

 

「ガッサーーー!!?ダガーラが!ヘドラが!俺の怪獣達が負けるなんて~~・・・」

 

 

自分の手持ち怪獣2体が倒された事にM宇宙ハンター星雲人(RB)はさっきよりも高い声で悲鳴を上げる。そんな彼にも最期の時が来た。

 

 

「フン!所詮虫けらは虫けらだな。見ているだけで見苦しい奴よ。ブラックテリナ!止めを刺せ!!」

 

「ファアアアアアアァァァァ!!ピュオン!!ピュオン!!」

 

「ガサッ!?ガッサアアアアアァァァァーーー・・・・・」

 

 

いつの間にか移動していたジグラ星人(RB)がブラックテリナに指示を出し、それを受けたブラックテリナがM宇宙ハンター星雲人(RB)目掛けて『ファイヤーレイン』を放つ。それを食らったM宇宙ハンター星雲人(RB)の体は燃え上がり、悲鳴を上げながら暫く悶えた後黒焦げになってしまった。

 

 

「フハハハハハ!やっとくたばったか。しぶとい虫けらめが!!」

 

 

黒焦げになったM宇宙ハンター星雲人(RB)を見てジグラ星人(RB)は高笑いするが、それはすぐに止んでその場で黙り込んだ。何故なら今の自分の状況がかなり悪いからだ。

 

 

「(この虫けらのせいで我の怪獣はブラックテリナだけという手痛い深手を負ってしまった。このままレイオニクスバトルを続けるのは無理だ。だからと言って我が宇宙の支配者になるという野望を捨てる事はできない。なら我が取る手は1つ!あのモンスターキングに仕えて力を少しずつ手に入れ、いずれ支配者へとって代わるのだ!!)そうと決まれば奴に気に入られるようにしなくては・・・」

 

 

今後の方針を決めたジグラ星人(RB)は、ブラックテリナを戻した後M宇宙ハンター星雲人(RB)が持っていたバトルナイザー(少々焦げている)を手に入れてクロウの元へ向かうのであった。

 

 

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「ピッギシャアァァァォォォ!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!!」

 

「フシュオオオオオオォォォォォォッ!!」

 

 

そしてこの場所において最大の戦いを繰り広げているキングオブモンス&キングギドラ&マガオロチVSスラターンで、3体の激しい猛攻にスラターンは押されていた。

スラターンが咆哮で吹っ飛ばそうとするが、先にキングギドラが『引力光線』を吐いて妨害する。その隙をついてキングオブモンスが真正面から連続パンチを繰り出す。必死に反撃しようと尻尾を振るうも、マガオロチが背後から掴んで押さえ込んだ。

 

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!!」

 

 

そしてマガオロチはかつて自分が忌々しい黒き王にやられた時と同じ感じで、口から『マガ迅雷』を放ちながら尻尾を引っ張って引き千切ってしまった。

 

 

「フシュオオオオオォォォォッーーー!?」

 

 

これには流石のスラターンも悲鳴を上げる。だがそこへキングギドラが容赦なく『トリプルトルネード』を彼の頭目掛けて放つ。それを食らったスラターンは顔を両手で押さえながらさらに悲鳴を上げ、より大きなダメージを負ってしまった。そこへ今度はキングオブモンスが襲い掛かった。

 

 

「グオオオオオオオォォォォォーーー!!」

 

 

顔を押さえながら悶えるスラターンに再び連続パンチを食らわせ、さらに腹部の『シャークファング』を伸ばして突き刺したりした。

この強烈な攻撃によりスラターンは体中血だらけになり、顔はボコボコになった。そして荒い息を吐く度に口から血が溢れ出た。この状態にプリカーサー(RB)は酷く動揺する。

 

 

「ス、スラターン・・・俺のスラターンがこれ程まで!?それにレザーバックやオオタチ達までも倒されるなんて!?う、うぅ~・・・」

 

 

いくら戦闘狂(バトルマニア)な彼でも自慢のKaiju達のうち2体が敗れて倒されて、主力であるスラターンが虫の息と言う状況にこれ以上戦う事はできない。最早負けを認めるしかないと悟る。しかし彼のレイオニクスとしてのプライドが負けを認めたくないと邪魔をする。だがそんな彼の気持ちなんか知らん、と言うかのようにクロウが止めの指示を出そうとする。

 

 

「これで最後だ。キングオブモンス!クレメイトビーム!!キングギドラ!引力光線!!マガオロチ!マガ迅雷!!同時h「ま、待て!待ってくれモンスターキングよ!!」・・・何だ?」

 

 

指示を出していた時に突然プリカーサー(RB)に遮られた事に内心驚きつつ、クロウは訊ねる。

 

 

「・・・この戦い、俺の負けだ。もうこの惑星でレイオニクスバトルはせず、すぐにでも立ち去る。その代わりにスラターンを助けてほしい。この通りだ!!」

 

 

我が子同然のスラターンを助ける為にプリカーサー(RB)はクロウに頭を下げる。そんな彼の姿勢を見てKaijuへの思いは本物だと察する。

 

 

「・・・いいぜ。大人しく降伏すると言うなら俺もこれ以上戦う事はしない。約束もちゃんと守る(それにさっさと終わらせないとグランドキング達が心配だし・・・)」

 

「すまないモンスターキングよ・・・」

 

 

クロウの言葉を信じたプリカーサー(RB)は、ネオバトルナイザーを出してスラターンを回収する。それを見てクロウもギガライブナイザーを出してキングオブモンス達やこちらに向かっていたデアボリック達も一緒に回収した。この時相手を倒せていない事に納得できないキングオブモンスをキングギドラとマガオロチと一緒に説得した事は余談だ。

 

 

「ではなプリカーサー!もしまた戦いたいと思ったらいつでも相手をしてやるよ!じゃあな!!」

 

 

そう言った後クロウはギガモンスランスで背中にキングギドラの翼を出し、グランドキング達の元へ飛んで行った。

その光景をプリカーサー(RB)は静かに見つめる。

 

 

「いつでも相手をしてやるか・・・大した自信だ。いや、俺のKaiju達を倒した程の者だ。当然の事か・・・」

 

 

そこへM宇宙ハンター星雲人(RB)を倒したジグラ星人(RB)がブラックテリナと共にやって来た。ジグラ星人(RB)はクロウがいなく、代わりにプリカーサー(RB)がいた事に驚く。

 

 

「何故虫けらの貴様がいる!?モンスターキングは何処だ?」

 

「・・・奴なら向こうへ飛んで行った。きっとまだ戦っている自分の怪獣の助っ人に行ったのだろう」

 

「そうか。ならば待っておれモンスターキングよ!このジグラ星人も力を貸してやるぞ!さぁ行けブラックテリナよ。フハハハハハ!!」

 

 

高笑いしながらブラックテリナに乗ってクロウの後を追うジグラ星人(RB)を冷たい目で見ていたプリカーサー(RB)だったが、何故アイツがクロウの元へ向かうのか冷静に考え、少ししてその思惑に気がついた。

 

 

「なんとも愚かで弱い奴だ。貴様の浅はかな考えなどモンスターキングはすぐに分かる筈だ」

 

 

だがもしクロウが万が一アイツを配下にする事を認めたらどうする?そう考えるとプリカーサー(RB)の心の中でどこか腹が立ち始めた。そして気が付いた時には彼もクロウの元へ足を進めるのであった。

 

 

未だ長く続く大怪獣バトル。

そんな戦場へ別々の方向から2体の宇宙人が迫っていた。その宇宙人達はともにコウモリに似た姿と特徴がある者達であった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
大魔獣帝スラターン


クロウやゴジラ、ガメラ達が住む世界とはまた別の世界で猛威を振るっていた巨大生物“Kaiju”。
同じくその3つの世界とは別の異次元に住む生命体プリカーサーの主力Kaijuで、頭部がXの形をして、レザーバックと同等に全身が逞しく、青く光る4つの目とが非常に長く先端が槍のように尖った三つ又の尻尾が特徴である。
主な武器は長い尻尾で、物凄いスピードで鞭のように叩いたり、槍のように突き刺したりする。また強烈な振動を起こす咆哮や高い攻撃力と防御力による両腕や突進などもある。
これまで同じプリカーサーの手持ちKaijuであったレザーバックやオオタチと一緒に様々な怪獣達と戦いを繰り広げて勝利を収めてきた。だが今回のバトルでキングオブモンス達に敗れてしまう。その為スラターンはリベンジに燃えてさらに強くなろうと努力している。また主人であるプリカーサーの事を本当の親であると思っている。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第40話 あっ、タコだ!サメだ!虫だ!機械生命体だ!!(後編)

皆様、お待たせしました!また大分かかってしまいました。少しスランプ気味になってしまったもんで(汗)大変申し訳ございませんでした。
今回は様々な怪獣映画で活躍したレイオニクスと怪獣達が登場し、激しいバトルを行います。
感想と評価をお待ちしております。

最強超合体獣キングオブモンス、次元凶獣カミソリデマーガ、一角大魔獣ジャルム
大悪獣ギロン、超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
巨蛾モスラ(姉弟)、戦闘破壊獣バトラ、雷怪獣バルグザーダン、虚空怪獣グリーザ(第二形態)
宇宙昆虫レギオン(マザーレギオン)、宇宙超魔獣デスギドラ、深海怪獣ジグラ(RB)
円盤生物ブラックテリナ、触覚宇宙人バット星人(RB)、コスモイーター ルーゴサイト
殺し屋宇宙人ノースサタン(RB)、暗殺怪獣グラール、凶獣ルガノーガー
異次元生命体プリカーサー(RB)、人工頭脳ギルバリス、メカ生命体ファイバス   登場




プリカーサー(RB)とM宇宙ハンター星雲人(RB)とのレイオニクスバトルに勝利したクロウは、未だ戦いを繰り広げているスーパーグランドキング・スペクター達の加勢に向かって猛スピードで飛んでいた。

 

 

一方クロウの元へ向かって飛んでいたスーパーグランドキング達は、とある敵に襲われて苦戦していた。その敵とは勿論、デスギドラの体を乗っ取ったオルガである。彼はスーパーグランドキング・スペクター達を追って飛び、追いつくと同時に怨念でパワーアップした技を放って落下させて襲ってきたのだ。

 

 

「ギャアアアァァァ・・・ッハハハハハ!ドウダ貴様ラ、新タナニ生マレ変ワッタ我ノ強サハ!?」

 

 

自信が完全優位な状況にデスギドラ(M)は高笑いする。そんな彼をスーパーグランドキング達は怒りが籠った眼で睨み、忌々しそうに唸り声を上げる。

 

 

「グアアアアアァァァァッーーー!!」

 

「フフフ、悔シイカ?ダガマダ終ワラセナイ。貴様ラニハサラ更ニ痛ミト絶望ヲ与エテクレン!!」

 

 

そう言うとデスギドラ(M)は再び口から怨念が籠った『火砕流撃弾』を放つ。

それを見てスーパーグランドキング・スペクターは3体の前に出て、技を受け止めた。

 

 

 

ゴオオォォンッ!!

 

 

 

凄まじい轟音と共にスーパーグランドキング・スペクターが炎に包まれる。その様子を見てデスギドラ(M)はニヤリと笑う。

 

 

「(コレデ奴ラハ終ワリダ。残ッタ奴ラモ存分ニ苦シマセテカラ倒シ、モンスターキングヲモ倒シ・・・我ノ千年王国ヲ作ルノダ!!)サァ貴様ラモ同ジ目ニ遭ウガイイ!」

 

 

次の標的をモスラ達にしようとデスギドラ(M)がそちらに振り向いた瞬間、燃え盛っていた炎の中から強力な光線が放たれて彼に命中する。

 

 

「ギャアアアァァァ・・・ッ!ナ、何ダ!?」

 

 

突然の事に驚愕するデスギドラ(M)を他所にモスラ姉弟は喜び声を上げ、バトラはどこか笑っている(?)表情をする。それを見てデスギドラ(M)はまさかと思い後ろを振り返ると、そこには何事もなかったかのように立っているスーパーグランドキング・スペクターの姿があった。

 

 

「何故ダ!?何故アノ攻撃ヲ受ケテ平気ナノダッ!?」

 

 

動揺するデスギドラ(M)だが無理はない。先程の攻撃を受けたら並みの怪獣は完全に倒れてしまうだろう。だが彼が相手をしているのはクロウのスーパーグランドキング・スペクターだ!元から高かった防御力がさらに上がり、あの攻撃では傷一つ付く事はないのだ。

 

 

「クッ・・・ナラバ今度コソh「やらせると思うか?」ッ!?ソ、ソノ声ハ!?」

 

 

再び攻撃しようとデスギドラ(M)がエネルギーを集めようとした時、背後からクロウの声が響く。慌てて振り返るとそこには先に行かせていたマザーレギオンとバルグザーダンと合流し、バルグザーダンの頭の上に乗ってバトラ達を左右に並ばせて仁王立ちしているクロウの姿があった。

 

 

「モ、モンスターキング!?何故貴様ガ此処ニ・・・マサカ!」

 

「あぁ、お前以外のレイオニクス達とは決着が付いた。あとはお前を倒せば終わる・・・覚悟しな!」

 

「グググ・・・オ、終ワッテタマルカ!我ノ千年王国ヲ作ルマデ終ワランゾーーー!!」

 

 

そう叫びながらデスギドラ(M)は3つの口から『火砕流撃弾』を連続で放つ。

しかしクロウが現れた為に先程までの余裕はなく、冷静さを欠いて威力も低くなっていた上に焦って命中率も悪かった。

それとは逆に闘志が高まったバトラ達は落ち着いて狙いを定め、正確に『プリズム光線』と『超音波ビーム』を放ってデスギドラ(M)の攻撃は全て撃ち落とした。そこへマザーレギオンの『マイクロ波シェル』とバルグザーダンの『トルネードボルト』が放たれ、彼の体に直撃した。

 

 

「ガッハッ!!」

 

 

次々と攻撃を受けたデスギドラ(M)は大きく仰け反る。そしてよろめいた拍子に倒れそうになるがプライドから耐え、血走った眼で目の前に立つクロウやバルグザーダン達を睨む。

 

 

「グゥゥ、オノレ・・・調子ニ乗ルナアァァーーー!!」

 

 

怒り狂うデスギドラ(M)を見てバルグザーダン達は一瞬恐怖を感じるが、クロウは安心させるように3体に優しく微笑みかける。

 

 

「心配するな。あんなもう怨念の塊とも言える奴に俺達が負ける訳がない。さぁ、一気に終わらせるぞ!」

 

「キシュゥゥゥゥゥピイイイィィィィィッ!!」

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「ピュヴオオオオオォォォォッ!!」

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

 

クロウの激励を聞いてバルグザーダン達は咆哮を上げ、最大パワーで必殺技を放とうとする。

それを見たデスギドラ(M)は迎え撃つ為に自分も必殺技を繰り出そうとするが、突如背中に衝撃と激痛が走った。

 

 

「グアアァッ!!ナ、何ダァ!?」

 

 

一体自分の身に何が起こったのか分からないデスギドラ(M)だったが、痛みに耐えながら背後を振り返ってその原因に気付いた。それは隙を窺っていたスーパーグランドキング・スペクターが『スーパーグランレーザー』を放って攻撃したのだ。そしてその攻撃により翼が破壊されて飛べなくなってしまった。

 

 

「ヨ、ヨクモ・・・!ヨクモヨクモヨクモヨクモーーー!!」

 

 

大ダメージを受けた上に飛べなくなって回避する手段も失った事にデスギドラ(M)は怒りの声を上げながら地団駄を踏む。そんな彼を見てもスーパーグランドキング・スペクターは何も思わず、再び『スーパーグランレーザー』を放つ。同時にバルグザーダン達も最大パワーでそれぞれ『マイクロ波シェル』と『トルネードボルト』と『プリズム光線』と『超音波ビーム』を放つ。

 

 

「コ、コンナ・・・馬鹿ナアアアァァッーーー!!」

 

 

6体の必殺光線を食らってデスギドラ(M)は断末魔の声を上げながら大爆発を起こす。それから少し経つと黒煙が晴れ、そこにはバラバラで黒焦げとなったデスギドラ(M)が横たわっていた。しかしその残骸からドス黒いオーラが溢れていた。

どうやらオルガの怨念がまだ消えていないようだ。

 

 

「やれやれ、ヤプールと同様にしぶとい奴だ。モスラ姉弟、パルセファニック・シャワーで清めてやれ」

 

「「ピュイイイィィ!!」」

 

 

指示を聞いたモスラ姉弟はデスギドラ(M)の真上に移動して、翅から『パルセファニック・シャワー』を撒く。するとオルガの怨念が徐々に消えていき、最後にはデスギドラの体から完全に離れてキラキラと輝く光の粒となって天に昇っていった。

そんな様子を見てクロウは静かに両手を合わせた。

 

 

「面倒であったが大した奴だったよオルガ。だからそのまま静かに眠りな・・・」

 

 

そう呟いてからホッと息を吐きつつ、残ったデスギドラに視線を移す。一目で見ればもう完全に死んでいると思うが、あんな状態になってもデスギドラはまだ生きていた。本当に不死身で凄い奴だな~、と内心感心しながらギガライブナイザーを構えて回収した。だって傷ついた者をこのまま放っておくなんてできるか普通?それにあんな凄い怪獣が手に入るチャンスを逃すなんて勿体無さ過ぎるし!!でも後でモスラ達を説得するのに苦労しそうだな。フゥ~やれやれ(溜息)

まぁ、これでようやく全てのバトルが終わった。早くギガ・ロボフォーに戻ってリーシャ達に癒されながらゆっくり休もう。そう思いながら勝利の咆哮を上げているスーパーグランドキング達を回収し、移動しようとした時にギガライブナイザーから警告音が鳴り始めた。

 

 

『高エネルギー物体接近!高エネルギー物体接近!』

 

「・・・あっ?高エネルギー物体?どういう意味だ?」

 

 

その時遠くの方からこちらに向かって何かが来ているのに気がついた。じーっと見てみるとそれは円環型の円盤だった。だがその大きさが半端ではなく、ペンドラゴンは元よりギガ・ロボフォーよりも遥かに大きかった。

 

 

「これはまたデカい円盤だな。一体どんな奴が・・・」

 

 

円盤の動きを警戒していると中から1体の宇宙人が現れた。その者はグランデやプリカーサーと同じかなり実力の高いレイオニクスのようだ。

 

 

「貴様がモンスターキングだな?」

 

「あぁ、俺がモンスターキング・クロウだ。そう言うお前は・・・バット星人だな」

 

「そうだ。私はバット星のレイオニクスだ。最強のレイオニクスと言われる貴様がどれほどの実力者か知る為にやって来た!さぁ、私と正々堂々と勝負しろ!!」

 

 

宣言すると同時にバット星人は所持していたネオバトルナイザーを取り出す。ちなみにそのネオバトルナイザーは艶のある黒と黄色の物であった。

 

 

「ほぉ、ネオバトルナイザーか。やはり実力の高い者だったな。ならこちらも本気で相手をしよう。よし行けキングオb・・・うん?」

 

 

威勢よくキングオブモンスを召喚しようとした時、ギガライブナイザーにある1つのスロットが強く光り出す。さらにそこからある怪獣の鳴き声が響く。その鳴き声の主はグリーザであった。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

「どうしたグリーザ?」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

「・・・フム、そうか。確かにそれ程ならお前の初陣相手にちょうど良いな。よし分かった。すまないがキングオブモンス、今回はこいつに任せてくれ。行け!グリーザ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!」

 

 

グリーザの鳴き声を聞いたクロウは、彼の言いたい事を理解してキングオブモンスに一言告げてからグリーザを召喚する。

 

 

「それが貴様の怪獣か。ただならぬ雰囲気を感じるが、それで臆する私ではない。それにその怪獣なら楽しいバトルができそうだ。行け!ルーゴサイトよ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ウオオォォーーーーーーーーーー・・・!!」

 

 

現れたグリーザを見てバット星人(RB)は目の前にいる怪獣がかなりの強豪であると察する。しかし彼は臆する事無く、逆に良い戦いができる事に期待しながらネオバトルナイザーを構えて怪獣を召喚した。

召喚された怪獣は全身が赤、青、金で彩られた龍人のような姿に、長い鎌首と経口捕食の為の顎が存在しない尖った口先、ムカデの胴体のような尻尾、下半身が袴かスカートのような衣類を身に着けているような姿が特徴のコスモイーター ルーゴサイトであった。

 

 

「アレがルーゴサイトと言う怪獣か。これはまた強そうでカッコイイ怪獣だな」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!!」

 

「あぁ、分かってるよグリーザ。お前の方がカッコイイよ。さぁ、そろそろ始めるぞ!行け!!」

 

「こちらも行け!ルーゴサイト!!」

 

「ウオオォォーーーーーーーーーー・・・!!」

 

 

クロウの指示を聞いたグリーザは、酔拳の様な不規則的な動きで走り出す。それを見てバット星人(RB)も迎え撃つよう指示を出し、ルーゴサイトは脚部から反重力を発生させてホバー移動しながら走り出す。そして2体は勢いよく激突した。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!!」

 

「ウオオォォーーーーーーーーーー・・・!!」

 

 

激突した後ルーゴサイトは両腕を突き出すが、グリーザは瞬間移動で回避して目らしき部位から『グリーザビーム』を放つ。光線はルーゴサイトに直撃するが、ダメージを負っている感じはしなかった。それを見てグリーザは頭部から『グリーザボルテックス』を放ち、続けざまに『グリーザダブルヘリックス』を放つ。

流石に連続で光線を受けるのは危険と思ったのか、ルーゴサイトは両腕から空間を捻じ曲げて張るバリア『ゲネシスシール』で防ぐ。攻撃を防いだ後、バット星人(RB)が素早く指示を出した。

 

 

「今度はこちらの番だ。ルーゴサイト、ゲネシスレイン!!」

 

 

ルーゴサイトは尻尾の棘をミサイルのように飛ばす技『ゲネシスレイン』をお返しとばかりに何発も放つ。それに対してグリーザは胸部からのビーム光弾を大量に放って相殺する。

 

 

「ウオオォォーーーーーーーーーー・・・!!」

 

 

自分の技が防がれたのを見てルーゴサイトは怒りの声を上げ、手の甲から鞭のように触手を伸ばす「ルーゴテンタクル」でグリーザの動きを止めようとする。しかしグリーザは再び瞬間移動で躱し、そのまま背中から触手状の光線で攻撃する。だが今度はルーゴサイトが『ゲネシスレイン』で相殺する。そして鼻先から放つ赤く細い光線『ゲネシスダージ』で反撃する。対してグリーザは胸部から『グリーザダークライトニング』を放って防ぐ。

互いに勝利の為一歩も引かない。

 

 

「私のルーゴサイトとここまで互角に渡り合うとは・・・流石はモンスターキングだ。だが私達の力はこんなものではないぞ!」

 

「そうか・・・だがそれは俺達の方も同じだ。本当の戦いはこれからだ!グリーザ、一気にいk・・・ッ!?」

 

 

さらに攻撃するようにグリーザに指示を出そうとした時、突如背後から殺気を感じた。振り返ってみると大量の毒ガスと鋭い針が俺に向かって来た。突然の事に驚きつつもギガライブナイザーを回転させてガスと針を防ぐが、あまりに突然の事だったせいで足に2本針が刺さってしまった。結構痛かった事もあって、不覚にもその場で膝をついてしまう。

 

 

「何!?」

 

「ウオオォォーーーーー・・・!?」

 

「フェッフェッフェッ!?」

 

 

その様子を見たバット星人(RB)とルーゴサイトは驚愕のあまり動きを止め、グリーザは慌てて駆け寄って心配そうに見つめる。また宇宙船から戦いを見守っていたリーシャ達は驚きと悲鳴の声を上げて、通信機から必死に「大丈夫ですか!?」と連絡する。そんな彼らに俺は安心させるように笑みを浮かべながら立ち上がる。

 

 

「皆心配を掛けたな。だがこれくらいなんともないから安心しろ。それよりも・・・・・隠れている奴、今すぐ出て来い!!」

 

 

大声でそう叫ぶと、近くの岩場から1体の宇宙人が現れた。頭部に4本の角を生やして、腕と胴の間にマントのような羽を持った悪魔のような姿が特徴の殺し屋宇宙人ノースサタンであった。そして彼の手にはバトルナイザーが握られていた。

 

 

「お前・・・ノースサタンだな」

 

「ケケケ、そうだ。俺様はノースサタン!最強の殺し屋であり、最強のレイオニクス様だ!!」

 

「最強と言うわりにはやる事がせこいな」

 

「ケケケ、キングのくせに頭悪いな。戦いなんて勝てばいいんだよ!それより俺様の針は強力だろ?その足の痛みを抱えたまま戦えるか~?」

 

「・・・・・せっかくのバトルを邪魔しよって、クズめ」

 

 

悪魔のような笑いをしながらノースサタン(RB)は先程の行為について何も思っていなく、それどころか自分の攻撃を自慢する。その様子とバトルを邪魔された事もあってバット星人(RB)は激しく怒る。どうやら彼はグランデやプリカーサー達と同じ強い者との戦いを好む戦闘狂で、さらに正々堂々と戦う事を信条としており、卑怯な手段や卑劣な真似をする事を嫌う性格のようだ。

 

 

「ケケケケケ!さぁモンスターキングよ、俺様の怪獣達に無残にやられちまいな!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

そう言ってノースサタン(RB)はバトルナイザーから2体の怪獣を召喚した。

1体は全身が金色に輝き鋭角状の突起や鱗に覆われ、赤い4つの眼が特徴の暗殺怪獣グラール。

もう1体は両腕が顔の形をして三つ首竜と思わせる姿と同じく赤い眼が特徴の凶獣ルガノーガーである。

 

 

「やれグラール!ルガノーガー!アイツを殺せ!殺してしまえ!!」

 

「ジュッジャアアアアァァヴゥゥッ!!」

 

「キフガフォガァァァァァッ!!」

 

 

指示を聞いた2体は大きく足音を響かせながら迫る。それを見たグリーザが前に飛び出そうとするが・・・。

 

 

「待てグリーザ!お前の相手はルーゴサイトだ。アイツらの相手はこいつらに任せな!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

そう言ってギガライブナイザーを構えて新たに召喚したのはカミソリデマーガ、ジャルム、ギロンの3体だ。何故この3体だって?実はバルグザーダンが活躍したのを見てジャルムが「自分も暴れさせろ!」と騒いだのと、他の2体が「自分達も!」とこれまた激しく鳴いたからだ。他にも俺を傷つけたアイツを許さないと言う理由もある。俺の事を思ってくれるのは嬉しいが、本当にこいつらは暴れる事が好きな奴が多くて困る。その為召喚する怪獣を選ぶのは意外と大変なんだぜ?ってこれ前にも言ったか?

 

 

「まぁ、愚痴は後にして・・・カミソリデマーガ!ジャルム!ギロン!行け!!」

 

「グバアアアァァァ!ギャギャギャァァァッ!」

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

「グオォーー!!」

 

 

3体は大きく咆哮を上げながら迫ってくる2体に向かって走り出す。そしてカミソリデマーガはグラールに、ジャルムとギロンはルガノーガーと激突した。

 

 

「これでこちらは良し。グラールとルガノーガーはどちらも強豪な怪獣だが、あの小悪魔が主なら簡単に倒せるから任せていいだろう。さて、待たせたなバット星人。さっきまでのバトルの続きをするぞ。グリーザ、ルーゴサイトと決着を付けろ!」

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!!」

 

「・・・フッ、不意打ちを食らって傷を負い、邪魔者のせいでもうできないかと思ったが、どうやら余計な心配だったな。ルーゴサイトよ、こちらも決着を付けるぞ!!」

 

「ウオオォォーーーーーーーーーー・・・!!」

 

 

お預けとなっていたバトルがまたできる事もあって、バット星人(RB)は喜びを表しながら指示を出す。そして再びグリーザとルーゴサイトは激突し、2体は激しい攻防を繰り広げた。

 

 

 

 

 

一方カミソリデマーガ達は、クロウが予想した通りグラールとルガノーガーを相手に優勢に戦いを進めていた。

 

 

「ジュッジャアアアアァァヴゥゥッ!!」

 

「グバアアアァァァ!ギャギャギャァァァッ!」

 

 

グラールは突き出したカミソリデマーガの両腕の『レザーエッジ』を両手で掴んで動きを止め、その隙に腹をキックで攻撃する。だがカミソリデマーガは全身金属のような皮膚で覆われている為、腹を何度も蹴られてもあまりダメージは受けていなく、余裕な表情をする。その事にグラールは苛立ち、今度は口から『高熱火球』を放つ。

しかしカミソリデマーガは頭から放つ破壊光線『デマーガバリオン』で防ぐ。

 

 

「ジャアアアアァァァッ~~!」

 

 

再び攻撃を防がれたのを見てグラールはさらに苛立ち、次は頭の角から『電撃光線』を放とうとするが、それよりも先にカミソリデマーガが背びれの4つの『レザーエッジ』から『エネルギーカッター』を連続で放って3本の角全て切り落とした。

 

 

「ジュッジャアアアアァァヴゥゥッ!?」

 

 

自慢の角を切り落とされた事にグラールは痛みよりも角を落とされた事に驚愕した。自分の角はかなりの強度を誇っており、特に真ん中の角は頑丈であった筈なのに切り落とされるなんて!?その事に気をとらわれてグラールは動きを止めてしまう。その隙をついてカミソリデマーガは両腕の『レザーエッジ』を振るって何度も体を切りつけた後、左腕を腹に突き刺し、右腕を喉元に突き刺した。

 

 

「ジュッ、ジャアアア・・・アァァ、ヴゥゥッ・・・・・」

 

「グバアアアァァァ!ギャギャギャァァァッ!」

 

 

急所を攻撃されてグラールは激しいダメージを負ってしまう。何とか反撃しようとするが、喉を攻撃されて顔を上に向けられて火球は放てず、ダメージによって力が入らない為に腹に刺さった『レザーエッジ』がじわじわと貫こうと迫って手が出せない状況になってしまった。

 

 

 

グラールとカミソリデマーガの戦いがほぼ決まった頃、ルガノーガーはジャルムとギロンの2体相手に互角に戦いを繰り広げていた。

 

 

「キフガフォガァァァァァッ!!」

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

 

空高く飛んだジャルムに向けて、ルガノーガーは頭部と両腕の3つの口から『熱線』を放つが、ジャルムは素早い動きで躱す。それを見て今度は肩の角から『電撃』を広範囲で放射する。だがジャルムはそれすらも全て躱した。

 

 

「キフガフォガァァァァァッ!?」

 

 

いくら相手が素早く空を飛んでいるとはいえ、あんなに大きい体なのに何故自分の必殺技が当たらない!?そう思いながらルガノーガーは苛立ってその場で地団駄する。しかしそれにより背後から迫る危機に気づいていなく、ノースサタン(RB)が慌てながら叫んだ。

 

 

「馬鹿ルガノーガー!後ろだ!後ろに敵がいるぞ!!」

 

「ギフガフォガァァッ~?」

 

「グオォーー!!」

 

 

ノースサタン(RB)の声を聞いてルガノーガーは後ろを向くが時既に遅く、ギロンが勢いよくジャンプして突っ込んでいた。そしてそのままルガノーガーの胸にギロンの出刃包丁のような頭部が突き刺さると思ったが・・・。

 

 

 

ガン!!!

 

 

 

「グオォーー?」

 

 

大きな金属音が響かせながらギロンはひっくり返ってしまった。実はルガノーガーの胸部には光線が反射でき、高い防御力を誇る装甲板があるのだ。それによりギロンの攻撃が効かなかった。それを見てノースサタン(RB)はこちらが有利になったと思って高笑いした。

 

 

「ケーケケケ!!やはり俺のルガノーガーは最強だ。あの包丁野郎の攻撃なんて痛くも痒くもないぜ。今度はこっちの番だ。殺れルガノーガー!!」

 

「キフガフォガァァァァァッ!!」

 

 

指示を聞いたルガノーガーは、起き上がろうとするギロンに向けて『熱線』を放つ。それを受けてギロンは再びひっくり返り、バタバタと両手足を動かす。その様子を見てルガノーガーは嘲笑う。だがこの時ギロンの頭部両脇にある穴が開いて、そこから十字手裏剣が現れた事に気がつかなかった。

 

 

「グオォーーー!!」

 

 

シュッ!!シュッ!!

 

 

「キフガフォガァァァァァッ!?」

 

 

ようやく起き上がったギロンは自分を嘲笑うルガノーガーに怒り、唸り声を上げながら頭部の十字手裏剣を飛ばす。手裏剣はルガノーガーの両肩の角に命中し、切り落としてしまう。角を破壊されて『電撃』を封じられたルガノーガーは怒り、一気にギロンを倒そうと最大パワーで『熱線』を放とうとする。その時空の上で隙を窺っていたジャルムが背後から襲い掛かった。

 

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

 

ルガノーガーの背中に組み付いたジャルムは、一本角を叩きつけたり、何度もパンチを食らわせたりと反撃も許さない激しい攻撃を行う。さらに口から紫色の猛毒ガス『ポイズン・ガス』を吐いて追撃する。これにより流石のルガノーガーもグロッキー状態になる。しかし何とか反撃しようと毒に耐えながら尻尾を動かし、その先端をジャルムに突き刺そうとする。

 

 

「グオォーーー!!」

 

 

だがそこへまたギロンが勢いよくジャンプして突っ込み、尻尾を切り落とした。これによりルガノーガーは殆どの技が使えなくなって反撃できなくなってしまった。

自分の手持ち怪獣達の敗北が時間の問題であるこの状況にノースサタン(RB)は悲鳴を上げる。

 

 

「ば、馬鹿な!そんな馬鹿な!?俺様の怪獣達が負ける!?そんな筈はない。負ける筈なんてない!お前達、早く反撃しろ!!」

 

「ジュッジャアアァァヴゥゥッ・・・」

 

「キフガフォガァァァァァッ・・・」

 

 

ノースサタン(RB)の命令を受けてもグラールとルガノーガーは弱々しく鳴き声を出すしかなかった。そして2体の最期が遂に訪れた。

 

 

「グバアアアァァァ!ギャギャギャァァァッ!」

 

「ガアアアアァァァッ!!」

 

「グオォーー!!」

 

 

カミソリデマーガは両腕の『レザーエッジ』を抜くと、素早く腕を交差してグラールの首を切り落とした。さらに残った体も『デマーガバリオン』で破壊した。

ジャルムはルガノーガーを持ち上げて空高く投げ飛ばすと、すぐさま空に飛んで『スピンダイブ』を食らわせる。これによりルガノーガーの体は粉砕した。

それぞれ敵を倒した後、カミソリデマーガとジャルムの2体は勝利の咆哮を上げた。

 

 

「グ、グラールと・・・ルガノーガーが・・・負けた。い、いやまだだ。この俺様が負ける訳なんてない。こうなったら俺様直々にアイツらをぶっ殺して・・・!?」

 

 

2体が敗れたのを見たノースサタン(RB)は、ショックのあまりその場に崩れそうになる。しかしノースサタン(RB)は自分の敗北を認めず、自ら巨大化してクロウ達に戦いを挑もうとする。しかしそんな彼にいつの間にかギロンが近づいて睨みつけていた。

 

 

「ヴヴヴ・・・グオォーー!!」

 

「ま、待て!待ってk・・・ぎゃあああああああぁぁぁぁぁーーー!!!」

 

 

睨みつけるギロンを見たノースサタン(RB)は、彼がこの後何をするのか察して必死に命乞いする。しかしギロンは迷いなく頭部を振り下ろす。それによりノースサタン(RB)は真っ二つになりつつ押し潰された。

それを確認した後、ギロンは偶然にも残っていたノースサタン(RB)の体半分を手に取って食べようと口元に近づけるが・・・。

 

 

「グゥゥ・・・グボオォォォッ!!」

 

「ギャギャギャァァァッ~~」

 

「ガアアアアァァァッ~~」

 

 

どうやらノースサタン(RB)の体は血生臭かったらしく、すぐにポイッと捨てた。その様子にカミソリデマーガとジャルムは呆れたように溜息を吐く。その後3体はクロウの元へ移動するのであった。

 

 

 

 

 

一方グリーザとルーゴサイトは、戦闘を再開してずっと激しい攻防を繰り広げていたが、いよいよ決着がつくようだ。

 

 

「これで一気に決める。グリーザ!グリーザダークライトニング!!」

 

「こちらも同じだ。ルーゴサイト!ゲネシスレクイエムだ!!」

 

 

2体はほぼ同時に必殺光線を放ち、両者の間で激しくぶつかり合う。互いに放ち続けるが、グリーザがさらに威力を上げながら『グリーザダークライトニング』を放つ。それを見てルーゴサイトもあらゆる物質を原子崩壊させ消し去ってしまう怪光線『ゲネシスレクイエム』の威力を上げて放つが徐々に押されていき、遂には完全に押し負けて直撃を食らってしまう。

 

 

「ウオオォォーーーーーーー・・・!!」

 

 

それでも持ち前の高い防御力で必死に光線に耐えるが、とうとう限界を超えて大爆発してしまった。

 

 

「フェッフェッフェッフェッフェッ・・・!!!」

 

「よくやったグリーザ!見事勝利したな」

 

 

ルーゴサイトの最期を見て、グリーザは体を左右に揺らしながら勝利の咆哮を上げる。クロウもグリーザの健闘を褒める。

一方バット星人(RB)はルーゴサイトが敗れたのを見て悲しんだ。

 

 

「ル、ルーゴサイト!お前が負けるとは!?ぐ、ぐぅ~~~だがお前の死は無駄にはしない。モンスターキング・クロウよ!実見見事な戦いであった。だが次会う時は私が勝つ!そして必ずルーゴサイトの仇をとる!さらばだ!!」

 

 

そう宣言した後、バット星人(RB)は円盤に戻ってその場から立ち去った。それを見届けた後、俺はホッと一息ついた。

 

 

「はぁ~やれやれ、やっと終わった。本当に疲れた~」

 

 

この後絶対休む!誰が何を言おうと絶対に休んでやる!!そう決心しているとカミソリデマーガ達がこちらにやって来た。どうやらアイツらも勝った様だな。

 

 

「皆ご苦労であった。そしてよく勝った。素晴らしかったぞ!」

 

 

そう褒めてあげると4体は大きく喜びの声を上げる。本当に可愛い怪獣達だ、と思いながらギガライブナイザーを掲げて回収し、ギガ・ロボフォーに戻ろうとした時、またもやギガライブナイザーから警告音が鳴り出した。

 

 

『飛行物体接近!飛行物体接近!』

 

「・・・また何かやって来たのか。今度何だ?」

 

 

またどこぞのレイオニクスか、と内心げっそりしながら周りを見渡すと遠くから変な形をした飛行物体がこちらに向かって来ていた。

それは白い塔に黒色で所々黄色く光っているリングが巻き付いた様な形をしていた。さらに真ん中部分には赤い球体があった。そしてその飛行物体はゆっくりと俺の前に降り立ち、黄色く光っている部分から光が放たれ、少女の立体映像が映し出された。

 

 

「初めまして。貴方がモンスターキング・クロウ様ね?」

 

「あぁ、そうだ。お前は何者だ?」

 

「私はメカ生命体ファイバス。この姿の時はカレンと呼んで下さい」

 

 

ファイバス・・・あぁ、ティガに出たロボット怪獣か。まさかこいつもこの世界に来ていたとは驚きだ。しかし何故惑星ハマー何だろうか?それについて聞いてみると・・・。

 

 

「私は光の巨人・ウルトラマンティガに敗れて消滅しかけた時、突然出現した四次元に吸い込まれて間一髪消滅を免れました。その後データを修復しながらずっと四次元の中を彷徨っていましたが、ある時謎の高エネルギーの影響でこの惑星に飛び出す事ができたの」

 

 

高エネルギー・・・もしかしてキングジョーブラック軍団の時の戦いで起きたエネルギーの事か?どうやらあの後残留したエネルギーによってまた四次元の穴が開き、そこからファイバスは出てきたようだな。そう思っている間もファイバスは説明を続けた。

 

 

「四次元から抜け出せて最初はとても嬉しかったけど、その後何をしていいのか分からず苦悩した。元々私は誰かの為に尽くす為に作られた存在。その尽くす人がいなければ存在する意味がない。途方に暮れていた時、突然異星人・・・いや、ここではレイオニクスと言った方がいいね。そいつが私を別のレイオニクスが操る怪獣と思って襲ってきたの。でもそのレイオニクスはそれ程強くない奴だったから倒す事ができた。そしてそいつが乗っていた宇宙船から貴方の事を知った。怪獣の王様と言われる貴方はとても素晴らしい王様であると分かり、私達は貴方に尽くそうと思って此処までやって来た」

 

「私達?他にも誰かいるのか?」

 

 

そう呟くとファイバスが振り返って白い塔を指差す。すると真ん中部分にあった赤い球体が光ったと思えば外れて空中を浮かび、ゆっくりと俺の元にやって来た。

 

 

『お初目にかかります。私はギルバリスと言います。宜しくお願い致しますマスター』

 

「マスター・・・?」

 

「はいクロウ様、彼は産まれた場所は違うけど、私と同じ人の為に作られたもの。同じように四次元の中を彷徨っていた彼に出会ったでも彼も私と同じ人間を・・・いや、知的生命体を滅ぼそうとし、ウルトラマンによって消滅されかけました。でも彼も私と同じ四次元に吸い込まれて彷徨い、この惑星に出てきたのです。しかし彼は私と違ってデータと体の修復ができていなく、動けない状態でした。そこへこちらに向かって移動していた私が発見し、私の体と合体させる事によって直してあげました。でもその際プログラムを少々変えちゃいましたけどね」

 

「成程な・・・」

 

「さてクロウ様、私達を貴方様の元に尽くす許可をいただけますか?」

 

「あぁ、喜んで許可するぞカレン。ギルバリス」

 

 

まさかすぐに許可を得られるとは思っていなかったのか、ファイバスは驚いた表情をする。また隣のギルバリスも一瞬激しく光る。

いやだってこの2体を仲間にできたらギガ・ロボフォーの操作は勿論、ロボット達の管理などいろんな事がかなり楽になると思う。それに2体ともとても優秀みたいだしさ。

 

 

「2体ともよr「待てモンスターキングよ!」うん?」

 

 

突然声がしたと思えば、ブラックテリナに乗ったジグラ星人(RB)が現れた。それと少し遅れてプリカーサー(RB)も現れた。

 

 

「お前ら、何故此処に来たんだ?」

 

「フハハハハハ!決まっておるであろうモンスターキングよ。このジグラ星人、今後はお主に力を貸す事にしたのだ!」

 

「力を貸す?お前の?」

 

「そうだ!我の力があれば宇宙を支配する事は容易い。特に水の惑星等なら尚更よ。フハハハハハ!」

 

「・・・・・プリカーサーは?」

 

「お前は俺のKaiju達に勝つ程の強さを持ち、命を奪う事ができた筈なのに奪わなかった。その器の大きさを知り、助けてくれた恩を返す為、今後はモンスターキング・クロウ、貴方に仕える決心をしました。何卒、俺を御傍に・・・」

 

 

そう言って2人はその場に跪き、頭を下げた(ジグラ星人(RB)はプリカーサー(RB)に無理矢理された)。またそれに合わせてファイバスとギルバリスも跪いて頭を下げた。ブラックテリナはその場に降りて、お願いするように触手を合わせた。

 

 

「(これはどう考えても断る事なんてできないな。まぁ、1人微妙な奴がいるけどしょうがない)分かった。今日からお前達も俺の仲間だ。その力、俺の為に存分に発揮しろ!!」

 

「「「『はは!!』」」」

 

「ファアアアアアアァァァァ!!ピュオン!!ピュオン!!」

 

 

こうして長く続いた大怪獣バトルを制したクロウは、新たな仲間と一緒にギガ・ロボフォーに向かうのであった。

だがこの時まだ気がつかなかった。惑星ハマーの北方向の極点で、強大なエネルギーが少しずつ大きくなっていたのだ。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
コスモイーター ルーゴサイト


コスモイーターの名の通り、星々を喰らうが如く滅ぼし回っている怪獣。
本来は宇宙の害となるものを排除する「宇宙の白血球」とも言える存在だが、とあるウルトラマンの手によって暴走を引き起こし、星を喰らう災厄となってしまった。
全身が赤、青、金で彩られた龍人のような姿に、長い鎌首と経口捕食の為の顎が存在しない尖った口先、ムカデの胴体のような尻尾、下半身が袴かスカートのような衣類を身に着けているような姿が特徴である。また移動時には足を動かさず、ホバーの様に移動する。
主な武器は両腕から空間を捻じ曲げて張るバリア『ゲネシスシール』と尻尾の棘をミサイルのように飛ばす『ゲネシスレイン』に、手の甲から鞭のように触手を伸ばす『ルーゴテンタクル』と鼻先から放つ赤く細い光線『ゲネシスダージ』等がある。そしてあらゆる物質を原子崩壊させ消し去ってしまう怪光線『ゲネシスレクイエム』である。
バット星人の手持ち怪獣として、今回のバトルでグリーザと互角の戦いを繰り広げたが敗れてしまった。その事にバット星人は深く悲しんでいた事から、彼に深く愛されていた事が分かる。そしてバット星人が「仇をとる」と言った事から彼には主力の怪獣がいるようだが、それは次回のお楽しみである。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第41話 最強レイオニクス達の挑戦!!

皆様、お待たせしました!また大分かかってしまいました。時間がなかなか取れないのと少しスランプ気味になってしまったもんで(汗)大変申し訳ございません。
今回は懐かしい怪獣や令和で名が知れた宇宙人、最強のレイオニクス達が登場します。またフォロワー様からありがたい事に、仲間怪獣達の新技を考えてくれて、それも初披露します!どんな技か是非読んで下さい。
それと予定としては、惑星ハマー編はあと2話くらいで完結させようと思っています。
感想と評価をお待ちしております。

暴君怪獣タイラント、完全生命体デストロイア、暴龍アンギラス、蛾超獣ドラゴリー
海賊宇宙人バロッサ星人(RB)、飛魚怪獣フライグラー、凶暴宇宙鮫ゲネガーグ
空間移動宇宙人ターラ星人(RB)、戦神ギルファス、鉱脈怪獣アーナガルゲ
キール星人グランデ、X星人カイザー、触覚宇宙人バット星人(RB)   登場




バトルを終えてギガ・ロボフォーに戻ってきたクロウは、新たに仲間となったプリカーサー(RB)、ジグラ星人(RB)、ファイバス=カレン、ギルバリスをリーシャ達やモニターを通じてペンドラゴンにいるレイ達に紹介する。

 

 

「今日から仲間になったプリカーサー、ジグラ星人、ファイバス、ギルバリスだ。皆仲良くしてな」

 

「プリカーサーと言う。今後は宜しく頼む」

 

「我はジグラ星人!この我が味方となった今、もはや恐れるものはないぞ。フハハハハハ!」

 

「私はファイバス、この姿の時はカレンと言って下さい。皆様と同様、偉大なるマスター・クロウ様の為に力を尽くします。また機械やコンピューター関連の事については任せて下さい」

 

「私はギルバリスと申します。私も同様にマスターの為に力を尽くします。それとファイバス同様、機械は勿論、製造や情報・建築等に関してもお任せ下さい」

 

 

彼らの自己紹介が終わると、リーシャ達も同じように自己紹介する。それが終わった後、俺はようやく自分の部屋に戻ってベッドにダイブした。

 

 

「やっと終わった。長くバトルしたから超疲れた~~~もう何もしたくない~~~」

 

 

このまま寝ようとゆっくり目を閉じて眠ろうとした時、誰かがこちらにやって来る気配を感じた。だが疲労と眠気の方が強かった為、動こうとはしなかった。

 

 

「クロウさん、少し良いですか?」

 

 

やって来たのはリーシャで、彼女は部屋に入るとベッドで横になっているクロウに近寄って話し掛けてきた。

 

 

「ん~~リーシャか、何かあったか?」

 

「そ、その・・・今のクロウさんの様子を見ても分かりますが、かなり疲れているのでマッサージでもしてあげようと思ってきました。どうですか?」

 

「マッサージか。確かに疲れているし、頼んでもいいか?」

 

「はい!では早速始めますね」

 

 

そう言うとリーシャは寝っ転がっているクロウに馬乗りになり、マッサージを開始した。彼女のマッサージは予想以上に上手く、それによりクロウは数分も経たず寝てしまった。

 

 

「寝ちゃった・・・やはり疲れていたのね。それにしても・・・可愛い寝顔///」

 

 

静かに鼾をかくクロウの様子を見て、リーシャは微笑みながら頭を優しく撫でる。だがすぐ今2人きりしかいない状況を有効に使わなければ勿体ない、と思ってゆっくり顔をクロウに近づけてキスをしようとする。しかし、世の中そう甘くはない。

 

 

「・・・・・何をしているリーシャ」

 

「ッ!?」

 

 

突然の声に驚いて後ろを向くと、そこにはルーネとカミーラが立っており、どちらも冷たい視線をリーシャに向けていた。

 

 

「あ、貴方達いつの間に!?」

 

「貴方が妙な動きをしていたからね。後をつけてみたのよ」

 

「そんな事よりも・・・私のクロウに何をしようとしたのか、早く答えてもらおうか」

 

「ちょっと!そこは私のクロウよ!」

 

「いや、私のクロウで正しい!」

 

「違うわ!私のよ!!」

 

「「ぐぬぬ~~!!」」

 

 

2人の間にバチバチと火花が散る。その様子を見てリーシャは頭を抱える。

 

 

「ちょっと2人とも!今この場で言い争わないでよ!!」

 

 

先程まで自分が責められていた事を忘れて、リーシャは2人に注意する。その後、3人はクロウを起こさないように静かに言い争っていたが、突如クロウが目を覚まして起き上がった。

 

 

「ん~~・・・五月蠅いなぁ、何騒いでいるんだ?・・・ってリーシャ達か」

 

「クロウさん!?お、起きちゃったんですか?」

 

「ああ、何だか騒がしかったからな。で?3人で集まって何の話してるんだ?」

 

「・・・別に大した話じゃないわ。気にしなくていい事よ」

 

「おいおい、そう言われると余計気になっちまうだろう?教えてくれよ」

 

「駄目です」

 

「悪いが断らせてもらう」

 

「気にしなくていいって言った筈よ」

 

 

まさかクロウを巡って言い争っていたと言えず、3人とも首を横に向けて断る。その態度にクロウは少し傷つくな~、と内心呟いた時にある気配に気付いて立ち上がる。

 

 

「クロウさん?どうかしましたか?」

 

「・・・この宇宙船内に今まで感じた事の無い者の気配を感じた。どうやら誰かが侵入したみたいだ」

 

「えっ?侵入者ですか!?」

 

「本当なのクロウ?」

 

「ああ、間違いない。それにこの気配・・・ただの宇宙人ではない、レイオニクスだ」

 

「レイオニクス?わざわざ倒されに来るなんて・・・随分と愚かな奴ね。それでクロウ、そいつはどうするの?」

 

「決まっているだろうカミーラ、土足で勝手に侵入してきたからにはそれ相応の罰を与えないとな」

 

 

そう言ってクロウはベットから降りる。するとギガ・ロボフォー内に警報が鳴り響く。どうやら彼に言う通り何者かが侵入したようだ。

 

 

「どんな奴か分からないが・・・この俺の眠りを妨げた事を後悔させてやる」

 

 

不敵な笑みを浮かべながらクロウは自分の部屋から出て侵入者の元に向かう。その様子を見たリーシャ達は「ああ、凄く怒っているな」と思いながら彼の後を追いかけた。

そして3人と共に気配のする方へと歩みを進めると、そこには警備していたジェロニモン率いる小型怪獣・ロボット達、さらに騒ぎを聞いて駆けつけたグロラス達によって追い詰められていた侵入者がいた。

 

 

「グェグェグェ!偉大ナルクロウ様ノギガ・ロボフォーニ侵入シタ愚カ者メ。モウ逃ゲラレヌゾ!!」

 

「バロバロ!おのれ~下等生物の分際で!!」

 

 

侵入者の正体は、金と紫のボディカラーに金色部分がアーマーに近い形状をしており、渦巻き模様がトレードマークで、頭にウサギの耳・背中に蝶の翅のようなものがあり、顔には青く発光している丸い両目が特徴の海賊宇宙人バロッサ星人であった。そして彼の手にはバトルナイザーが握られていて、クロウの言う通りレイオニクスのようだ。

 

 

「初めて見るな・・・何者だアイツは?」

 

「クロウさん、アイツはバロッサ星人と言って、宇宙海賊の渾名を持つ宇宙人です!」

 

「宇宙海賊・・・?」

 

「えぇ、その名の通りアイツは宇宙の各地で価値のある物を盗んでいるんです」

 

「成程な・・・そしてさらにレイオニクスでもあるか。うん、アイツの目的が大体分かったぜ」

 

「目的って・・・どんな事?」

 

「簡単さ。俺を倒して名声を得るだけで無く、このギガライブナイザーやギガ・ロボフォー、あわよくばリーシャ達をも手に入れようと思っているのだろうよ」

 

「「「「「「「「「「ッ!!?」」」」」」」」」」

 

 

その言葉を聞いてリーシャ達は驚愕し、そして全員バロッサ星人(RB)に殺気を向ける。しかしバロッサ星人(RB)は平気な様子で高笑いする。

 

 

「バーロバロバロバロ!よく気づいたではないか。そうさ、お前を倒して俺はお前の持つもの凄い価値ある宝を全部手に入れるのさ!さぁ、俺とバトルしろモンスターキング!!」

 

「バトルするって・・・こんな逃げられない状況でどうやってバトルするつもりだ?」

 

「バロバロ!心配ご無用。俺にはこれがあるからな!!」

 

 

そう言ってバロッサ星人(RB)はどこからともなくサッと怪しい布を取り出した。そしてそれを自身の身体を覆い隠した瞬間、忽然と彼の姿は消え失せた。

 

 

「消えた!?」

 

「どうなっている!?」

 

「今のは・・・サータンの毛で織った透明マント!気をつけろ、奴は近くに潜んでいる!!」

 

 

ルーネが刀を抜きながら警告する。全員が周囲を警戒していた時、鼻をクンクンと動かしていたジェロニモンが後ろにいたアンドロイド達に「避ケロ!」と言う。すると後方にいたアンドロイド3、4体が真っ二つになりながら倒れた。

 

 

「何だ?急に一体どうし・・・ッ!?」

 

 

突然アンドロイド達が破壊されたのを見て驚いていると、壊れた彼らの中心からバロッサ星人(RB)が姿を現した。彼は透明マントで姿を消した後、勢いよくジャンプして正面にいたジェロニモン達を避けてアンドロイド達に襲いかかり、エレキングの角の欠片を仕込んだ電撃剣で彼らを真っ二つにしたのだ。

 

 

「バーロバロバロ!これが宇宙海賊の、そして俺様の力だ。だがまだまだ驚くのは早いぞ」

 

 

愉快そうに言った後、バロッサ星人(RB)は透明マントを再び自身の身体を覆い隠して姿を消す。すると遠くの方で階段を登る音がした。あちらは確か・・・外へ行く通路だったな。

 

 

「逃がすものか。ジェロニモン、お前は壊れたアンドロイド達をカレンとギルバリスの元へ持っていけ。そしてすぐに修理するよう伝えろ!」

 

「ハハ、承知致シマシタ」

 

「リーシャ達は船内に残って奴の仲間や他に侵入者がいない事と、何処かに爆弾等が仕掛けられた所がないか調べろ。あんな隠し札を持っている奴だ、万が一の事がある。それとレイにもこの事を伝えろ!」

 

「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」

 

 

命令を受けたリーシャ達はそれぞれの役割を果たす為に行動を開始した。それを見届けると、俺は奴の後を追いかけて外に出た。すると外ではバロッサ星人(RB)がバトルナイザーを手に持って待ち構えていた。

 

 

「バロバロ!待っていたぞモンスターキング。さぁ、俺様の怪獣達にやられてひれ伏すが良い!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

威勢良く言った後、バロッサ星人(RB)は2体の怪獣を召喚した。

1体目は鮫(どことなくワニにも見える)に似た姿と体の真横と尻尾の付け根辺りに爪の生えた鰭、鼻先の包丁のような角、体のあちこちに赤い傷跡のようなものがあるのが特徴の凶暴宇宙鮫ゲネガーグ。

2体目はトビウオに似た姿をし、額の角と背中の細長い羽に似た翼が特徴の飛魚怪獣フライグラーである。

 

 

「やれゲネガーグ!フライグラー!奴を倒せ。倒してしまえ!バーロバロバロ!!」

 

「グゴアアアァァオオゥオォォォッ!!」

 

「キファグフォォォォォン!!」

 

 

命令を受けた2体は、それぞれ口をパクパクと動かしたり、両腕をグルグルと回したりして咆哮を上げながらクロウに迫った。しかしクロウは特に慌てる様子もなく2体を見つめる。

 

 

「ふ~ん・・・フライグラーは知っていたが、もう1体はゲネガーグと言うのか。随分とカッコイイ怪獣じゃないか。手に入れたかったが、今はしょうがない」

 

 

いつか同じ奴に会ったら絶対に仲間にする!と心の中で決めながらギガライブナイザーを構える。

 

 

「今回はこいつらに任せるか。行け!アンギラス!!ドラゴリー!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

召喚されたのはアンギラスとドラゴリーのコンビで、2体は召喚されるとすぐ向き合って鳴き声を上げる。本当に仲の良いコンビだな~、と思いながら指示を出そうとした時、突如何処からか『火炎弾』が放たれ、こちらに向かって迫ってきた。だがそれはドラゴリーが素早く動き、両眼の『破壊光線』で相殺された。

 

 

「・・・ったく、これからバトルしようとした時に邪魔しやがって・・・一体誰だ!」

 

 

クロウが叫ぶと、近くの岩場から1人の宇宙人が姿を現した。その者は体に強固なプロテクターを身につけ、特殊な形をしたサーベルを持っているのが特徴の空間移動宇宙人ターラ星人であった。そして彼の腰にはバトルナイザーがあった。

 

 

「お前は・・・ターラ星人か」

 

「いかにも。我はターラ星のレイオニクスだ。モンスターキング・クロウよ、レイブラッドの後継者として宇宙を支配し、光の戦士達を抹殺する為に貴様を倒す!」

 

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

そう宣言した後、ターラ星人(RB)は腰にあったバトルナイザーを取り出して2体の怪獣を召喚した。

1体目は巨大な人型の石像で、頭部の角と大きな盾を持っているのが特徴の戦神ギルファス。

2体目はダークマターの影響で突然変異した微生物が、鉱山の岩石にとりついて合体して生まれ、槍に似た両腕が特徴の鉱脈怪獣アーナガルゲである。

 

 

「フォグォォォォォッ!」

 

「ギィギュヴヴヴヴヴヴゥゥゥゥン!!」

 

 

召喚された2体は大きく咆哮を上げた後、それぞれ武器を構えてフライグラー達同様にこちらに迫って来た。それを見てアンギラスとドラゴリーがそちらにも対応しようとするが、クロウがそれを止めた。

 

 

「待てアンギラス、ドラゴリー!お前達は最初に出た方を相手しろ。こっちはこの2体に任せる。行け!タイラント!!デストロイア!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

 

2体にそう指示を出した後、クロウが新たに召喚したのはタイラントとデストロイアの2体であった。

この2体は共に強豪怪獣であり、気性が激しく荒々しい暴君とも言える性格であった為に気が合って結構仲が良いのだ。そして今回彼らを選んだのはその激しい気性である為だからだ。選ぶ前にずっとギガライブナイザーの中で叫んでいた程だしな(汗)

 

 

「さぁお前ら、思う存分暴れろ!行けーーー!!」

 

 

指示を聞いた4体は大きく咆哮を上げながら突撃した。対するバロッサ星人(RB)とターラ星人(RB)もそれぞれ自分の怪獣達に突撃を命じた。そして8体の怪獣達は東側でアンギラス&ドラゴリーVSゲネガーグ&フライグラー、西側でタイラント&デストロイアVSアーナガルゲ&ギルファスと分かれて激しいバトルを開始した。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「キファグフォォォォォン!!」

 

 

まず最初はアンギラスVSフライグラーで、勢いよく走って噛みつこうとするアンギラスを見て、フライグラーは翼を広げて空高く飛ぶ。そしてジェット噴射で素早く空を飛びながら首部分にあるエラから空気中の水分を大量に取り込み、口から勢いよく『超高圧水流』を発射する。しかしアンギラスは『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』で地面を転がって躱す。それを見てフライグラーは再び『超高圧水流』を発射するが、アンギラスは素早い動きで再び躱した。実はアンギラスは全身の至る所に脳髄が分散している為、俊敏な動きをする事ができるのだ。

 

 

「バロバロ!ちょこまかと動きおって。ならば・・・フライグラー、背後から接近して攻撃しろ!」

 

「キファグフォォォォォン!!」

 

 

しかしそんな事は知らないバロッサ星人(RB)は、一向にアンギラスに攻撃が当たらない事に苛立ち、背後から接近して攻撃するようフライグラーに命じる。だがクロウはそれを読んでいた。

 

 

「そう来ると思っていたぜ。アンギラス、お前の新必殺技を出す時だ。放射熱線発射!!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

素早く後ろに振り向いたアンギラスは、後ろ脚で立ち上がって2足歩行になりながら背中と棘付き甲羅の棘を青白く発光させて口から『放射熱線』を放った。

これはアンギラスがゴジラと同じ水爆によって怪獣になった存在という事を思い出し、ゴジラができるからアンギラスにもできるのではないか?と思ってレイオニクスの力とギガライブナイザーの力でパワーアップさせて、ゴジラから撃ち方を根気よく学んで特訓した事で習得する事ができたのだ。この時アンギラスはもう1つ必殺技を習得したのだが・・・それはさておき、この『放射熱線』をフライグラーは避けられず、地面に落下した。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

 

ガブッ!ブチブチブチ!!!

 

 

 

「ブオオォォォッ!ギファグブォォォォォン!?」

 

 

落下した時のダメージが大きかったのか、フライグラーはすぐに起き上がる事ができず、ゆっくりした動作で立ち上がった。その隙をアンギラスは見逃さず、素早くフライグラーに接近して翼に噛みついて、嫌な音を立てながら噛み千切った。この痛みは激しく、フライグラーは悲鳴を上げる。だがアンギラスはもう片方の翼も噛み千切ってしまった。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「キファグフォォォォォン!!」

 

 

そのままさらに噛みつこうとするアンギラスだが、フライグラーは両手を振るって顔を殴り、さらにキックで蹴り飛ばす。そして続けて攻撃しようと迫る。

しかしアンギラスは背中の棘付き甲羅で防ぎ、再び噛みつき攻撃を繰り出す。だがフライグラーも「そう何度も噛まれてたまるか!」と言わんばかりにアンギラスを張り手で押さえながら尻尾を掴み、力一杯遠くへ投げ飛ばした。そして再びエラから空気中の水分を大量に取り込んで『超高圧水流』を放とうとするが・・・。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「ギファグブォォォォォン!?」

 

 

素早く体勢を立て直したアンギラスが後ろを向けて、棘付き甲羅を使った体当たりを食らわせた。それを食らったフライグラーは仰向けに倒れてしまう。その隙をついてアンギラスは次に『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を繰り出し、何度もお腹を攻撃してダメージを与える。それでもフライグラーは必死に立ち上がり、勢いよく転がってくるアンギラスボールを受け止める。

 

 

「今だフライグラー!今度こそ超高圧水流を食らわせろ!!」

 

「キファグフォォォ・・・」

 

「そうはさせないぜ。アンギラス、お前のもう1つの新必殺技を見せてやれ!体内放射だ!!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

指示を聞いたアンギラスは『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を解き、フライグラーに組み付きながら後ろ脚で立ち上がって2足歩行になると全身から『体内放射』を放った。

これが『放射熱線』の時に習得した新必殺技だ。ちなみにこれは訓練によって威力の加減やエネルギーのコントロールがしっかりとできるようになっている為、他の場所で戦っている仲間怪獣達の邪魔になっていない。

そしてこの技を受けたフライグラーは、大ダメージを負ってグロッキー状態になりながら空高くブッ飛んだ。

 

 

「これで止めだ。アンギラス!放射熱線発射!!」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

アンギラスは落ちてくるフライグラーに狙いを定めると、後ろ脚で立ち上がって2足歩行になりながら背中と棘付き甲羅の棘を青白く発光させて口から最大パワーで『放射熱線』を放った。これを食らったフライグラーは悲鳴を上げる事もできずに大爆発した。これを見てアンギラスは勝利の咆哮を上げた。

 

 

「バローー!?フ、フライグラーが負けるなんて!?だ、だが俺にはまだゲネガーグがいる。ゲネガーグなら負ける筈はない!」

 

 

自分の主力怪獣が敗れた事に驚愕するバロッサ星人(RB)だが、まだ自分にはゲネガーグがいる、と自身を奮い立たせて2体が戦っている方を見つめた。

 

 

「グゴアアアァァオオゥオォォォッ!!」

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

その先ではドラゴリーVSゲネガーグが激しいバトルを繰り広げていて、ゲネガーグは鼻先の包丁のような角を振り回しながら背中と側面の鰓状の穴から放つ拡散光弾『ゲネパラサイトボム』を撃ち出す。対してドラゴリーは両眼から『破壊光線』を放ち、さらに口から『高熱火炎』を吐いて相殺した。

それを見たゲネガーグは、背中からジェット噴射を出して勢いよく突進攻撃を仕掛ける。しかしドラゴリーは両手を前に出して真正面から受け止めた。

 

 

「いいぞドラゴリー!よーし・・・お前の新しい武器を見せてやれ!バーニングヴェノムウイング発射!!」

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

指示を聞いたドラゴリーは掴んでいたゲネガーグを力一杯投げ飛ばした後、両手からミサイルを大量に放つ。それを受けたゲネガーグは爆発が起きると同時に当たった部分が毒々しい紫色に変わった。そして体を震わせて激しく悶絶しだした。

これぞドラゴリーの新たな武器『バーニングヴェノムウイング』で、自分の体内で生成された強力な毒を融合させたミサイル攻撃だ。その威力は同じ超獣のベロクロンやバキシムのミサイルを上回り、その強力な毒で体を蝕んでしまうのだ。

 

 

「な、何だアレは?まさか・・・毒か!?だったら急いで勝負をつけなければ!ゲネガーグ、ゲネバスターだ!!」

 

「グゥゥ・・・グ、グゴアアアァァオオゥオォォォッ!!」

 

「無駄な足掻きを・・・ドラゴリー、もう1つの新必殺技・ヴェノムインフェルノ放射!!

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

先程の攻撃に毒が含まれている事に気がついたバロッサ星人(RB)は、まだ全身に毒が回らない内に倒そうとゲネガーグに『ゲネバスター』を放つよう命じる。

ゲネガーグは毒の苦しみに耐えながら必死に口を開けて、紫色の破壊光線『ゲネバスター』を放つ。しかしその攻撃もドラゴリーの口から放たれたもう1つの新必殺技『ヴェノムインフェルノ』で相殺されてしまった。

これは『高熱火炎』に『バーニングヴェノムウイング』同様自分の体内で生成された強力な毒を融合させた技である。見た目は毒々しい紫色の火炎(毒炎怪獣セグメゲルの『セゲルフレイム』みたいな)で、威力はとても強力で通常レベルでさえレイのゴモラ(レイオニックバースト状態)の超振動波以上であるくらいだ。さらに食らえば大ダメージを受ける上に強力な毒が全身へ一気に回って体を蝕んでしまうのだ。

そんな強力な技で『ゲネバスター』を相殺されたゲネガーグは、精神的ショックも合わせて動けなくなってしまう。そんなゲネガーグにドラゴリーは素早く接近すると・・・。

 

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

 

ガシッ!!バキィッ!!!ゴギュゥッ!!!

 

 

「ッ!!?」

 

 

鼻先の角を左手で掴み、右手の張り手で殴ってへし折ってしまう。さらにそのまま口を両手で掴んで無理矢理大きく開かせて顎を外してしまった。

己の自慢の武器2つを失い、毒で全身を蝕まれたゲネガーグはグロッキー状態になる。そんなゲネガーグに止めを刺そうとドラゴリーは一旦距離をとり、フルパワーで『ヴェノムインフェルノ』を吐き、続けて『バーニングヴェノムウイング』を放つ。この連続攻撃を食らったゲネガーグは、フライグラーと同様に悲鳴を上げられないまま大爆発した。これを見てドラゴリーは両手を高く上げながら勝利の咆哮を上げた。

 

 

「バローー!?フライグラーだけでなく、ゲネガーグまでも負けるとは!?ぐぬぬ、こんな役立たずな物はもういらん。こうなれば俺様自らモンスターキングをt「ヒュ~~~~~」うん?」

 

 

自分の怪獣達が全て倒された結果にバロッサ星人(RB)は悔しがる。だがまだ野望を諦められない彼はバトルナイザーを捨てて、巨大化して自らの手で倒そうとした時、何かが落ちてくる音が聞こえて動きを止める。そして上を見上げと、こちらに向かって先程ドラゴリーが放った『バーニングヴェノムウイング』が飛んできていた。どうやらゲネガーグに放ったミサイルが1つだけ残り、偶然にも彼がいる所へ向かっていたようだ。

 

 

「な、何だと!?ま、待て!待ってくれって・・・ギャアアアアアアァァァァァーーー!!?」

 

 

まさかミサイルが自分に向かってきているとは思っていなかったバロッサ星人(RB)は慌てふためき、逃げようとするが間に合わず『バーニングヴェノムウイング』をまともに食らって吹っ飛んでしまった。そして強力なの毒によって全身が紫色に変わり、口から泡を出して苦悶の表情を浮かべながら息絶えた。

 

 

「やれやれ、さっさと逃げておけばよかったのに・・・運の悪い奴だ。まぁ奴の事は放っておいて、アンギラス。ドラゴリー。2体ともよくやったぞ」

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

「ギョオロロロロッ!!」

 

 

褒められた2体はそれぞれ勝利の声を上げ、合流した後一緒に鳴き声を上げる。本当に仲の良い奴らだ。そう思いながら2体をギガライブナイザーに回収し、まだ戦いを繰り広げているタイラントとデストロイアの方に振り向く。

そこでは、2体がこれまで戦えなかった鬱憤を晴らすかのような荒々しい戦いを行っていた。

 

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

「ギィギュヴヴヴヴヴヴゥゥゥゥン!!」

 

 

タイラントVSアーナガルゲでは、鎌と鉄球を勢いよく振って攻撃してくるタイラントの猛攻に対し、アーナガルゲは鋭く尖った伸縮自在の両腕の槍で防ごうとする。だが圧倒的なパワーも持つタイラントの攻撃を完全に防ぐ事はできず、アーナガルゲは受ける度に押されてよろめいてしまう。そしてその隙をついてタイラントは、レッドキングの足を活かしたキック攻撃で大きく後退させ、さらにキングクラブの尻尾を活かした尻尾攻撃で右肩部分を粉砕した。しかしそれを見てもターラ星人(RB)は余裕の表情をしていた。

 

 

「フン、それでアーナガルゲにダメージを与えたつもりか。アーナガルゲ!お前の力を見せてやれ!」

 

「ギィギュヴヴヴヴヴヴゥゥゥゥン!!」

 

 

ターラ星人(RB)がそう言うと、アーナガルゲは粉砕された右肩部分の破片を吸収して、自身の体に再結合させて再生した。元々アーナガルゲは微生物の集合体である為、たとえ体の一部が破壊されてもすぐに再生する事が可能なのだ。

そしてアーナガルゲは「今度自分の番だ!」と言わんばかりに、両腕の槍を前に構えながら勢いよく突撃した。

 

 

「おいおい・・・いくらなんでもそんな単純な攻撃が俺のタイラントに効くと思うと思っているのか?甘すぎるぜ。タイラント!アロー光線で動きを止めた後、ハイブリッドヘルサイクロンを食らわせてやれ!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

 

あまりにも単純な攻撃に呆れつつ、クロウはタイラントに指示を出す。

それを聞いたタイラントは、耳から『アロー光線』を放ってアーナガルゲの顔を攻撃する。それにより動きが止まった後、口から放つ『爆炎放射』とベムスターの腹部の口から放つ『冷凍ガス』を同時に発射する技『ハイブリッドヘルサイクロン』を繰り出す。

 

 

「ギ、ギィ・・・ギュヴヴ、ヴヴゥゥゥ・・・ッ」

 

 

これを食らったアーナガルゲは、上半身が火炎で激しく燃えて黒焦げになり、下半身が冷気で凍りついて動けなくなってしまった。どちらも激しいダメージを負ったが、特に酷かったのは下半身の方だ。実はアーナガルゲにとって、低温は微生物の活動が停止してしまう為、弱点であったのだ。

 

 

「うん?下半身の方がダメージが大きい?・・・あぁ、思い出した。アーナガルゲは冷たいのが苦手であったな。ならばタイラント!もっと凍らせてしまえ!!」

 

 

アーナガルゲの弱点が冷気であった事を思い出したクロウは、すぐさまタイラントに『冷凍ガス』を放つよう指示を出す。それを聞いたタイラントは、すぐさま『冷凍ガス』を放ってアーナガルゲをカチンコチンにしてしまった。

 

 

「う~ん、見事な氷の彫刻だ。これは砕いたら・・・さぞかし良い光景が見られるだろうな~!タイラント、やれ!!」

 

 

悪い笑みを浮かべながら再びタイラントに指示を与えると、タイラントも凶悪そうな笑みを浮かべながら左手の鉄球から鎖を伸ばしてアーナガルゲの首元に巻きつける。そして力一杯引っ張ってそのまま何度も振り回した後、勢いよく空へ投げ飛ばした。

 

 

「そろそろ止めと行くぜ。タイラント!お前も新たに身につけた必殺技を見せてやれ!トリプルフュージョンサイクロンだ!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

 

止めの指示を聞いたタイラントは、口からオレンジ、白、紫の3つの色が竜巻のように渦を巻きながら混ざった光線を勢いよく放った。

これぞタイラントの新必殺技『トリプルフュージョンサイクロン』である。これは自身の技である『爆炎放射』、『冷凍ガス』、『アロー光線』の3つのエネルギーが口の中で集積&融合されて、そして強力な破壊光線となって放つ技だ。ちなみにエネルギーの色は、先程言った『爆炎放射』がオレンジ色、『冷凍ガス』が白色、アロー光線が『紫色』である。そして肝心の威力は、通常レベルで放てばレイのゴモラ(レイオニックバースト状態)の超振動波以上であり、フルパワーで放てばレイのEXゴモラのEX超振動波に匹敵する程強力なものだ。そんな強力な光線を氷漬け状態のままであるアーナガルゲが耐えられる訳なく・・・。

 

 

「ギィギュヴヴヴヴヴヴゥゥゥゥーーーン!!?」

 

 

アーナガルゲは悲鳴を上げながら大爆発を起こし、木っ端微塵に弾け飛んだ。その際凍りついた体が雪のように散って、とても素晴らしい光景となった。

 

 

「ん~~~やはり良い光景だ。ギガ・ロボフォーから見ているリーシャ達もきっと喜んでいるだろうな。お前もそう思うだろうタイラント?」

 

「ギィガアアアアアアアァァァァァッ!!」

 

 

目の前の雪景色に少し良い気分になりながらクロウがタイラントに訊ねると、彼も喜ぶように鳴き声を上げる。もっともタイラントにとっては、目の前の景色よりも久しぶりにバトルができて、暴れる事ができた事の方が嬉しいだろうが(笑)

 

 

「さて最後はデストロイアだな。アイツはどんな感じかな?」

 

 

そう言いながらデストロイアVSギルファスの戦いが行われている戦場の方へ振り向くと、そこにはギルファスを圧倒しながら激しいバトルを繰り広げているデストロイアの姿があった。

 

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

「フォグォォォォォッ!」

 

 

戦いが開始されるや早々、デストロイアは口から『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』を放つ。対してギルファスは盾で必死に防御しながら頭部の角『グラディウス』を投げ飛ばす。しかしデストロイアは角を使った『ヴァリアブル・スライサー』で打ち返した。

 

 

 

ガシッ!!

 

 

 

「フォグォォォォォッ!」

 

 

打ち返された『グラディウス』をギルファスは右手で掴み、そのまま剣のように振り回しながら斬りかかった。それを見たデストロイアは、鋭い爪で防いだ後、再び『ヴァリアブル・スライサー』で攻撃する。しかしギルファスも再び盾で攻撃を防いだ。その後何度も攻撃するが、その度に盾で防がれてしまった。それを見てクロウは思わず舌打ちする。

 

 

「チッ!あの盾・・・結構防御力高いな。マックスとのバトルでそれ程高くないと思っていたが、どうやら俺の思い違いだったか。それに剣の方も切れ味が良いみたいだし・・・」

 

 

少し慢心していた事に内心反省しながらあの盾と剣をどうするか考える。するとここで、デストロイアを見てある作戦を思いついた。そしてクロウは不敵な笑みを浮かべながら指示を出す。

 

 

「デストロイア!空に飛び上がれ!」

 

「ガアアァ・・・ギィガアアァァッ!!」

 

 

互角の攻防をしていた時に突如クロウから指示を出された事に驚きつつも、デストロイアはすぐさま翼を広げて空へ飛び上がる。それを見たターラ星人(RB)もすぐにギルファスに指示を出した。

 

 

「空から攻撃するつもりか・・・だが我のギルファスが接近戦しかできない怪獣と思ったのが運の尽きだ。ギルファス!火炎弾を発射せよ!!」

 

「フォグォォォォォッ!」

 

 

ギルファスは空に飛び上がったデストロイアに向けて、胸から『火炎弾』を連続で発射した。これを食らったデストロイアは爆発を起こしながら炎に包まれ、そのまま地面に落下した。それを見てターラ星人(RB)は愉快に笑いながらギルファスを褒めた。

 

 

「よくやったギルファス!見たかモンスターキング・クロウよ、我がギルファスの強さを!貴様のもう1体の怪獣も同じように倒してやる!!」

 

「・・・フン!まさかあんな攻撃でデストロイアがやられたと思っているのか?それは甘すぎるぜ。今だデストロイア達よ!全員掛かれ!!」

 

 

「「「「「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」」」」」

 

 

(BGM:デストロイアのテーマ)

 

 

そう言った瞬間、ギルファスが立っている場所の周りの地面からデストロイアが出現した。だがその姿は先程とは違う上に、10体以上がいた。この姿は蜘蛛のような6本の脚を持ち、長い胴体が上に生えて、肩から槍のような触手が2本、胴体から大きな鋏が2本あり、先端が鋏となった長大な尻尾を生やしているのが特徴であった。

この姿は集合体・中間体と呼ばれる形態で、完全体のデストロイアが分裂して再度集合・合体した姿なのだ。先程ギルファスの攻撃を食らったのは、この姿になる為にわざと受けたのだ。そしてデストロイア達はギルファスに群がり、口から『ミクロオキシゲン』を噴射したり、鋏と触手で攻撃した。さらに体をよじ登って『グラディウス』と盾に張り付いた。

 

 

「フォグォォォォォッ!」

 

 

当然奪われないように抵抗するギルファスだが、デストロイア達は数の多さを利用して次々と『グラディウス』と盾に張り付く。さらに『ミクロオキシゲン』で溶かしていき、とうとうギルファスの手から『グラディウス』と盾が離れた。

 

 

「フォグォォッ!!」

 

 

武器を取られた上に壊されたギルファスは悔しがり、胸からまた『火炎弾』を放とうとする。しかしデストロイア達は一斉に彼から離れ、少し離れた所で集合・合体して完全体となった。そして口から『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』を放って攻撃する。盾を失ったギルファスに攻撃を防ぐ術はなく、真正面から食らって大ダメージを負う。さらにデストロイアは『ヴァリアブル・スライサー』で何度も切り刻み、それによってギルファスの体にヒビが入ってグロッキー状態になる。

 

 

「これで止めだ。デストロイア!フルパワーでオキシジェン・デストロイヤー・レイを放って破壊しろ!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

 

クロウから「破壊しろ」と指示を受けたデストロイアは一瞬悪魔のような笑みを浮かべた後、両足を強く踏ん張ってフルパワーで『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』を放つ。これを食らったギルファスは、断末魔を上げる事もできずに粉砕された。

 

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

 

久しぶりに暴れられ、敵を完膚なきまで破壊する事ができたデストロイアは翼を大きく広げながら勝利の咆哮を上げる。

対してターラ星人(RB)は自分の手持ち怪獣が全て倒された事にショックを受け、バトルナイザーとサーベルを落としながら膝をついた。

 

 

「ば、馬鹿な!我の怪獣達が破れるなんて・・・!?」

 

「フン!俺の怪獣達の強さを侮ったのが敗因さ。さぁどうする?今度はお前自身が戦うか?」

 

 

ギガライブナイザーを構えながらクロウがそう訊ねると、ターラ星人(RB)は暫く落としたバトルナイザーとサーベルを見つめた後、ゆっくりと2つを手に取る。まだ戦う気だと思ってギガライブナイザーの先端を向けて『モンスターショット』を放とうとするが・・・。

 

 

「待て!我の負けを認める。抵抗もしない。だから攻撃するのは止めてくれ!!」

 

「そうか、それならば攻撃するのは止めよう」

 

 

意外にもあっさり負けを認めた事に内心驚きながらギガライブナイザーを下ろす。それを見てターラ星人(RB)はホッと安堵しながら頭を下げた後、後ろを向いてゆっくりと歩き出す。

 

 

「今回は我の負けだが、次は違うぞ。あの2体・・・タイラントとデストロイアと言ったか?その怪獣達を上回る怪獣や力を手に入れ、必ず貴様を倒してくれる!そして宇宙の支配者になり、必ず光の戦士達を抹殺してやる!たとえ何年経とうともな!!」

 

「・・・フッ、随分と大口を叩く奴だな。だがその目的に向かって諦めずに進む姿勢、なかなかのものだ。見事だぜ」

 

 

まさか敵であるクロウから認められるとは思わなかったターラ星人(RB)は一瞬驚いた表情した後、再び歩き出して立ち去っていった。

それを見届けた後、クロウは4体をギガライブナイザーに回収する。それと同時に小型携帯が鳴って出ると、リーシャ達から連絡が入った。

 

 

「お疲れ様でしたクロウさん!こちらの方ですが、ギガ・ロボフォー内をくまなく探索しましたが、侵入者や爆弾物等はありませんでした」

 

「そうか、皆ご苦労だったな。今からそちらに戻る」

 

「分かりました。ではお待ちs「待テ、リーシャ!」何よジェロニモン?」

 

「先程ロボット達カラ此方ニ向カッテ3機ノ宇宙船ガ近ヅイテキテイルトノ知ラセガ入ッタ。クロウ様ニ早ク知ラセロ!!」

 

「何ですって!?クロウさん大変です!ジェロニモンの話だと此方に宇宙船が3機も向かって来ています。早くギガ・ロボフォーに戻ってきて下さい!!」

 

「分かった。すぐに戻る」

 

 

リーシャ達からそんな知らせが届いたと同時に、ギガライブナイザーからも警告音を鳴らしながら同じ事を知らせた。

それを聞いてこれ以上面倒事をごめんだと思って急いでギガ・ロボフォーへ向かうが、その手前で3機の宇宙船が現れた。どれも見覚えがあるもので、1つはボスタング型の宇宙船。もう1つは爪のような形状の宇宙船。そして最後は円環型の円盤だった。

 

 

「アレが来たと言う事は・・・この後出て来るのは!」

 

 

そう呟いた後、宇宙船から3人の宇宙人が降りてきた。その者は勿論、グランデ、カイザー、バット星人(RB)であった。

 

 

「ハロー!怪獣王様!久しぶり~!!」

 

「あぁ、久しぶりだな。今日はまたどうした?再会を記念してお茶でも飲みに来たか?」

 

「おいおい、分かっているくせに惚けやがって。さっきのバトルで残ったレイオニクスはお前やレイ、リーシャちゃんやその他の奴、俺達、そしてそこの蝙蝠野郎だけだ。最後の戦いをやろうぜ!!」

 

「そうか・・・まぁ、ある程度予想していたよ。それでバット星人の方は?」

 

「私の方もこの者達と同じだモンスターキングよ!前に言ったルーゴサイトの仇をとる為、今度こそ貴様を倒してくれる!!」

 

「ふ~ん、そりゃご苦労様な事だ。ならいいぜ。此処で最後の決闘を始めてやる!3人まとめて掛かってこい!!」

 

 

そう言ってギガライブナイザーを構えると、中にいる怪獣達も興奮して騒ぎ出す。それを見てカイザー達も嬉しそうな表情で戦闘態勢を取る。

今此処に、最強クラスのレイオニクス達による大決戦が開始されようとしていた。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
暴君怪獣タイラント


かつてウルトラ戦士達と激闘を繰り広げた怪獣達の特徴を持っていて、頭はシーゴラス、耳はイカルス星人、胴体はベムスター、手はバラバ、背中はハンザギラン、両足はレッドキング、尻尾はキングクラブである姿が特徴である。
主な武器は両手の鎌と鉄球を使った攻撃や耳から出す『アロー光線』に、口から放つ『爆炎放射』と腹部の口から放つ『冷凍ガス』を同時に発射する技『ハイブリッドヘルサイクロン』等がある。
そしてクロウのレイオニクスの力とギガライブナイザーの力でパワーアップして、凄まじい特訓により習得した新必殺技『トリプルフュージョンサイクロン』である。
元は別世界でウルトラ戦士と戦っていたが、異次元空間に吸い込まれた後にこの世界に現れた。そしてクロウと戦って仲間となった。それから同じく仲間となったデストロイアと気があって仲良くなり、コンビを組みようになった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。