テイルズオブエクシリア2.ご!〜エル・ウィル・クルスニクの日常〜 (ふぁみゆ)
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プロローグ〜猫と過ごすいつもの朝〜

皆さんこんにちは。本日、初めてネット小説を投稿したふぁみゆです。
まだまだ至らぬ点があると思いますがよろしくお願いします。


ピピピピッピピピピッ!!

 

朝七時、ベッドの横に置かれた目覚まし時計が鳴り響く

 

「う、う〜、それは…バリボー…」ピッ…

 

だが、ベッドで寝ている少女は寝言を言うばかりで起きる気配は全くない…

 

「ミャァー」

 

そんな様子を見かねた子猫がベッドの上まで登ってきた。

 

ポスッ

 

ベッドの上で寝ている飼い主に猫パンチをかます。

 

ポスッポスッポスッポスッ…

 

「う、うみゃ〜」

 

そうして何回か猫パンチを受けた後その少女は目を覚ました…

 

「ふぁ〜あ、おはよう、コルル…」

 

茶色の長髪をだらんと垂らしたまま気だるそうに真っ黒な部屋着を着た少女は起き上がる。

 

「さてと!今日も一日がんばりますか!」

 

バンバンと両頬を叩いて気合を入れると瞳に力が宿り一日の活力が戻る。

 

かくして、本日も少女、エル・ウィル・クルスニクの日常が始まるのである。

 

           エル・ウィル・クルスニクの日常

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「今だってそんなに♪自信は無いよ♪」

 

ここはエレンピオスの街トリグラフにあるマションの一室。その台所でエルは歌を口ずさみながら朝食を作っていた。

 

「最後に粉砂糖を…っと、できた!」

 

出来上がったのはこんがりときつね色に焼けたフレンチトースト。甘くて美味しそうな香りが部屋中に立ち込める。

 

「にゃん!」

 

匂いにつられてきたのか子猫のコルルがエルの足元にやってきた。

 

「ほら、ダメダメ。コルルとルルにはちゃんとカリカリがあるから!」

 

出来上がったフレンチトーストを皿に入れると今度は二皿分のカリカリを用意する。

一つは子猫のコルル、もう一つは猫のルルのぶんだ。

 

「ルルはルルで〜エルはエル〜♪」

などと歌いながら二匹にカリカリを差し出す。

すぐさま飛びつくコルルと「ナァ〜♪」などと泣きながらのそのそと歩いて行って食べ始めるルル

そして、エル自身もテーブルにつきフレンチトーストを口に運ぶ。

 

「う〜ん、まだまだルドガーには届かないな〜。」

 

と、不満気な表情を浮かべつつ口に運んでいく。味はいいもののまだ目標には届いていないようだ。

 

朝食を食べ終えると予め準備をしておいた黒い帽子を引っ掛けたかばんを持ち玄関に向かう。

それを見送るルルとコルル…

 

「それじゃあ、コルル!遊ぶ時は部屋の物を壊さないようにね!後、ルルはちゃんと運動すること!いいね?」

 

見送りに来た二匹の猫に言うと今度はその奥を見据えて呟いた…

 

「行ってくるね。ルドガー…」

 

そして、彼女は仕事先へ向かうのであった…




ハツ投稿なので勝手がわかってないです。
もし、ここはこうした方がいいなどの意見がありましたら是非ご指導おねがいします。


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chapter1〜クランスピア社の仕事〜
クランスピア社の仕事


どうもです。
一発目から大胆独自設定行きます!

ファンの皆様に怒られそうで怖いです


さて、トリグラフにはクランスピア社という世界に名を轟かせる大企業がある。

 

クランスピア社はゆりかごから棺桶まであらゆる企業に強い影響力を持っていた。前社長ビズリー・カルシ・バクーはそのあまらの影響力から“エレンピオスの王”とまで言われていたらしい。

 

だが、一部の人が知るとある事件により状況は一変した。世間に公開されたのは以下の情報である。

 

業務中、ビズリー・カルシ・バクー社長、ルドガー・ウィル・クルスニク副社長。

そして、重責だったエージェント達の事故死。

 

クランスピア社を支えてきた人物たちが次々と消えていったことで世間では大きな騒ぎになった。

 

今後、クランスピア社はどうなるのか。誰かビズリー前社長の後を継ぐのか、そして、この会社は生き残っていけるのか…

 

………しかし、十年立った今でもこの会社は健在であり、未だにエレンピオスを代表する大企業として、全世界に圧倒的な存在感を見せつけていた。

 

そんなクランスピア社に一人の少女が入ってきた。淡い茶色の髪のツインテール。エレンピオスらしいネクタイのファッション、そして、肩から下げたかばんには子供用の黒い帽子をつけている。その少女はエル・ウィル・クルスニク

十年前のあの騒動の後、彼女もまたこの会社のエージェントとして働いていた。そんな彼女が周りの同僚たちに挨拶をしながら足早に向かったのは50階にある社長室。

 

 

新社長から今日の仕事についての呼び出しがあったのだ…

 

ガチャリ

 

社長室の扉が開く…

 

さて、話を十年前に戻すが。ビズリー前社長が死去した後新社長の選定は困難を極めた。

偉大すぎるビズリーの功績。そして、業績が下がり、倒産の危険まである会社。それらの要因により高い地位にいた人物は誰一人として社長の座に就こうとしなかったのだ…

 

そうして切羽詰まった株主総会は下級のエージェントにも声をかけるに至ったのだ。

それでも今、会社の置かれた状況からすれば立候補者など出るはずがないと思われていた。しかし、そんな中名乗りでた男がただ一人だけいた。

その男こそが現在。社長の椅子に付いているこの男

 

「遅いぞ!今何時だと思ってる!!」

 

元マクスウェルの巫子にして元クランスピアエージェント

イバルだ…

なんと彼はそんな絶望的な会社の社長を自ら引き受けたのだった。この数日前に彼は社長命令をこなせないという大失態を犯しており周りからはショックで気でも狂ったのかと疑われた。しかし、彼は会社の立て直しに本気で取り組み時に今までいがみ合ってきた人たちに頭を下げてまで会社のために尽くしたのだった。

不器用で口が悪いながらも会社のため、そして、今度こそ自分の信念を貫き通すために奔走する彼の周りにはいつしか多くの人たちが集まり、クランスピア社はかつての輝きを取り戻したのだった…

 

「社長の現在8時55分、約束の時間の五分前です…」

 

しかし、相変わらずどこか抜けた言動が目立ちこのようにその傍らに立つ秘書、ヴェルに毎回注意される始末である。

 

「お前うるさいぞ!!」

 

と、全然社長の威厳が見えないイバル…

そんなイバルにエルはからかいにかかる。

 

「うわー!正しいこと言ってる秘書を怒ってるー!パワハラだー!」

 

「なっ!また変な言葉を覚えてきやがって!どこで教わった!」

 

「エルはもう18だし!そのくらいの言葉使えるし!もう、いつまでも子供扱いしてこれだからイバルは…」

 

「また呼び捨てに…イバル“社長”と呼べ!」

 

と、なにやら喧嘩を始める二人。

 

「社長、話が逸れています。仕事の話をしてください。」

 

当然ヴェルからの静止が入る。

 

「っと、そうだった。コホン…」

 

一つ咳払いをして真剣な表情に戻る

 

「先日、ドヴォールのリーゼ・マシクア商会から精霊の化石が大量に見つかったとの報告があった…」

 

精霊の化石…現在、研究中である源黒匣(オリジン)に使われている。

クランスピア社が現在最も投資している研究だ。

 

「その化石を至急このトリグラフに輸送したいのだが…」

 

「現在、トリグラフ、ドヴォール間の列車は落盤事故のために運行を見合わせています。」

 

「というわけで、輸送にはトリグラフとドヴォールを結ぶエラール街道を使うこととなった。」

 

そして、話は続く

 

「だが、そこにも、問題はある。」

 

そこまで来てエルは事情を悟ったらしくため息をつく

 

「エラールにいるチェリーズパイクだね…」

 

チェリーズパイク…サソリ型の大型魔物。巷ではギガントモンスターと呼ばれる魔物だ。街道に巣食ったこの魔物は非常に危険であり一般人の通行を妨げる大きな障害となっている。

 

「あいつがいる限り輸送隊は危機にさらされることになる。そこでお前には速やかにこれを討伐してもらいたい」

 

輸送隊の完全確保のための露払いというわけだ

 

「分かった。エルがやる。」

 

当然、断る理由もないため二つ返事で引き受ける。

 

「そうか、さて、そんなお前に新しい武器を用意して…」

 

「武器はもういいよ!」

 

イバルの提案に両手をブンブンと振って講義をする。

 

「なっ!?お前!社長の好意を無下にする気か!!」

 

まぁ、ここだけ見ればそうなるだろう…だが…

 

「もう3つで手一杯だから!毎回毎回武器渡そうとして、槍にハンドボウガンに回転刃、この前なんてバトンだよ!?何考えてんの?新体操でもやれって?」

 

「だー!もう!分かった!わかったよ!もう、あー、後部下だがな…」

 

「いや、いい!エル一人で十分だし」

 

それだけ言うとエルは社長室を出て行った…

 

「あいつ、また一人で…まだ思ってるのか?他者を巻き込みたくないと…」

 

影りのあるエルの背中を見てイバルは呟いた…




イバルは2の最後で改心したし、こういうことがあっていいかなと思って書きました。

いかがでしたでしょうか?


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クランスピア社の仕事〜チェリーズパイク討伐〜

というわけで今回は初戦闘です!!


「ルドガー!何あれ!おっきいよー!」

 

8歳の少女、エルは岩陰からチェリーズパイクを指さす

 

「ルドガー、本気でギガントモンスターに挑むんだね?」

 

綺麗な白衣に身を包んだ男、ジュード・マティスが声をかける

 

「あぁ!」

 

それに答えるルドガー・ウィル・クルスニク

 

とある事情で2000万ガルドの借金を背負い移動制限をかけられたせいでトリグラフに帰れなくなったルドガー。

移動制限を解除するために彼が選んだのはギガントモンスター討伐の報酬で借金を返すという選択だった。

 

もちろん報酬が良い分危険が伴う選択だったが一緒について来ているエルにあまり無理をさせたくないという理由で危険ながらも早く稼げる方法を選んだのだ。

 

「分かった。でも、無理はしないで危なくなったら迷わず逃げるんだよ」

 

「あぁ!」

 

そう言って二人はかけ出した

 

「ルドガー!負けないで!!」

 

ーーーーーーー

 

そして、今度はエル自身があの時のようにギガントモンスターを狙っている。岩陰から様子をうかがいながらチャンスを伺っているのだ。

 

「こうやってると、本当にルドガーになったみたい…」

 

 

武器である剣、ハンマー、銃があることを確認する。彼女は今、自分を助けてくれた相棒の全てを受け継いでここに立っている。

 

「ルドガー、見ててね。今の私の姿を」

 

そして、チェリーズパイクに向かってかけ出した…

 

ーーーーーーー

 

三種の武器を使いこなし、華麗に戦うエル。しかし…

 

ガキィィィン!!

 

「攻撃が!重い!!」

 

敵の攻撃にやや押されかけていた。

 

「くそっ!舞斑雪!クイックフリッカー!」

 

両手の剣で素早く敵を斬り抜けてから銃に持ち替えて側方回転しながら銃を撃つ。

 

攻撃が目的ではない接近すると力で押し負けると踏んで距離を取るための行動だ。

だが、こんな防戦一方な戦いでは勝てないことは明白だ。

 

「まさか、こんなに…」

 

ギガントモンスター討伐がこんなにきついだなんて思わなかった…

 

だが、ここで引けばオリジンの完成が更に遠のいてしまう。

 

「ここで引くわけには……っ!!」

 

するとチェリーズパイクは地中に潜ってしまう。

 

エルはそれを見て身構える。

 

「一体どこから…」

 

しかし、見えない敵に対応できずにいた…

 

すぐに爆音と共に背後に現れるチェリーズパイク…

 

「しまった!!」

 

チェリーズパイクの大きな尻尾が振り下ろされる。

思わず目を瞑ってしまうエル…

ここまでなのか…

 

しかし、いつまで立っても攻撃が来ることはなかった…

 

「……?」

 

見ると目の前には大きな背中が…あった。

 

「うちの得意先のお嬢さんに…」

 

手に持った大剣で敵の尻尾を受け止めた男は…

 

「何してくれてんの!!」

 

そのまま押し返してしまった。

 

エルが見上げるとそこにいたのは…

 

「けがはないかい?お嬢さん…」

 

「アルヴィン!!」

 

七年前ともに旅をした仲間、アルヴィンだった…

 

「やれやれ危なっかしいお嬢さんだぜ…ギガントモンスターに一人で挑むなんてな…」

 

「でも、なんでアルヴィンが?…」

 

ギシャァァァァ

 

吹き飛ばされたチェリーズパイクが起き上がった

 

「おっと、話はあとにしようぜ。まずはあいつを倒してからだ!」

 

「うん!」

 

再び二人になると二人の持つアローサルオーブが共鳴しリンク状態になった。

 

ハンマーを構えて走りだすエル。

 

振りかざしたハンマーをガードして受け止めるチェリーズパイク。エル一人では力では敵わないだが…

 

「どっかーん!」

 

巨大な大剣を持つアルヴィンが敵のガードを叩き割る。

そこにさかさず追撃するエル

 

「プロイ・テーレ!!」

 

地を這わせたハンマーを振り上げチェリーズパイクを叩きつける。

体制を崩すチェリーズパイク…

 

「アルヴィン!」

 

そして、銃を構えた二人が並びたち怒涛の集中放火を放った

 

「「モータルファイア!!」」

 

ーーーーーーー

 

「いや〜ねぇ、先方が輸送のために頑張ってくれてんのにこっちは何もせずにいるなんてできないからさ。援軍に向かったわけよ」

 

チェリーズパイクから手に入れた素材を手でくるくると回しながらアルヴィンは笑う

 

「え、じゃあ、化石を見つけたリーゼ・マクシア商会って…」

 

「そう、俺のこと!って、社長から聞いてなかったのか?」

 

「いや、全然聞いてないし!!」

 

と談笑しながらトリグラフへ向かう二人

 

「しっかし、まさか一人で挑んでるとはね…使えるエージェントだっていただろう?」

 

「いや、私が断ったの…」

 

少し暗い表情をを見せる

 

「エルが一人で行けば他の人たちは危険な目に会わずに済むでしょう?だから…私も他の人を助ける選択がしたくて…」

 

「お前…」

 

その時、アルヴィンは悟った。エルはまだ心のどこかでルドガーに助けてもらったことを負い目に感じているということを。だから、その分他の誰かを助けようとしている…自分を犠牲にしてでも…

 

「でもさ、おたく、それじゃ逆にルドガーに悪いんじゃね?」

 

「え?」

 

顔を上げるエル

 

「ルドガーはさ…お前に生きてて欲しかったんだよ…なのに、お前がその助けてもらった命を犠牲にしてどうする……」

 

「…」

 

確かにアルヴィンの言うとおりだ。ルドガーは自分に生きて欲しかったからあんなことをしたんだ…

 

「でも、エルは…」

 

そんなエルの頭をガシガシと撫でる

 

「だからさ、あんま一人で抱え込むなって!…ちょっとは仲間を信じることも覚えろよ…ま、俺が言うのも変な話だけどさ…」

 

「アルヴィン…」

 

エルはこのアルヴィンの言葉をしっかりと受け止めた…

 

「臭い。もしかして、加齢臭?」

 

「なっ!まだそんな歳じゃねぇよ!って、待て待て!なんで逃げるんだよ!!」

 

ーーーーーーー

 

こうしてアルヴィンのおかげでチェリーズパイクは無事討伐。当初の予定通り発見された精霊の化石はクランスピア社に輸送されました…

 

日記を書いていたペンを置き天井を見るエル…

 

「ルドガーも皆と協力しながら戦ってたんだよね…ふふふ、エルもまだまだだな…」

 

そして、コルルとルルが寝たのを確認すると自分もベッドに向かった…

 

「お休み、ルドガー…」

 

こうして、エルの慌ただしい日常が今日も終わったのであった…

 

chapter1 クランスピア社の仕事 end




な、なんか難しいですね。

次回もやれるだろうか…

ご意見お待ちしています!


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chapter2〜マクスバードの決戦〜
マクスバードの決戦


前回の加齢臭のくだりで思ったんですが…10年後だからみんなおっさんおばさんなんだなって…(´;ω;`)ブワッ


ここはマクスバード。かつてシェルにより隔絶されていた2つの世界、エレンピオスとリーゼマクシアをつなぐために作られた街。

 

そんな場所に子猫と共に一人の少女がやってきた。

 

少女の名はエル・ウィル・クルスニク…今日は休日だったが、知り合いに呼び出され子猫のコルルと共な急いでマクスバードに駆けつけたのである。

 

「お、来たね、エル…」

 

そんなエルを呼び出したのはこの人レイア・ロランド。トリグラフ敏腕記者として名を馳せている女性だ。

 

「それで!一大事件っていうのは!?」

 

そう、エルは一大事件が起こったと言われレイアに呼び出されたのだ。

 

「そうなんだよ。なんと…」

 

神妙な空気が二人の間に流れる。僅かな沈黙。そして、レイアが口を開いた

 

「このマクスバードの商店街で最高級アクティブタ1kgが限定一個超特価で売られるんだって!!」

 

「……」

 

エル、思考停止。

さっきとは逆に馬鹿げた沈黙が二人の間に流れる。

 

「えっと…今なんて……」

 

「最高級アクティブタ1kgが限定一個超特価で…」

 

「え、じゃあ何?エルはそんなことでこんな朝早くに呼び出されたの!?」

 

現在午前五時。日もまだ登り切っていない。当然、普通なら寝ている時間だ。

 

「そりゃそうだよ!早めに場所取りして少しでも取れる確率を上げないとね!」

 

「……エル、帰る」

 

「待ってぇぇぇぇ!!」

 

事情を聞くやいなやすぐに帰ろうとするエルとそれを引き止めるレイア

 

「離して!だってエル関係ないし!レイア一人で行ってよ!」

 

「えー!そんなこと言わないでよー!私達仲間でしょ?協力してくれてもいいじゃん!!ねぇ、頼むよ!レイア一生のお願い」

 

ぶーっと不満で頬が膨らむエル

 

「それなら別の人に頼めばいいじゃん!なんでエルなの?…」

 

「いやー、ジュードは研究で忙しいって言うし、アルヴィンは大事な取引先との打ち合わせがあるって言うしローエンとガイアスは公務があるっていうからさ…開いてるのがエルしかいなくて…」

 

当然、そんな理由でエルが納得するはずもなく不満顔で睨み続ける。

 

「じゃ、じゃあさ!今度ロイヤル猫缶安売りになってたら一緒に並んであげるからさ!ねぇ、いいでしょ?私とエルの仲じゃん!…」

 

…すると

 

「もー、じゃあ、ちょっとだけ協力してあげる」

 

「本当?それじゃあ!」

 

と言ってエルは最高の笑顔を見せ

 

「エルからのエール!お疲れサマーバケーション!☆」

 

と、クランスピア社のイメージガールとしてのタレント活動でいつもやっているぶりっこポーズでレイア。励ました…

 

この数十分の間に起こる三度目の沈黙が流れる。

今度ばかりは流石のレイアでもテンションで押し切ることができずにいた…

 

「じゃ、そういうことだから頑張ってね…」

 

「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

またまた帰ろうとするエルを引き止めるレイア。

結局こんなやりとりを何度も続けた結果。折れたエルはレイアに協力することになったのだった…

 

「よーし!今日は皆でアクティブタパーティだ!!」

 

「……眠いよぉ…」

 

「ふにゃぁ〜」




と、いうわけで今回はギャグちょうです

なんかレイアがおひとり様一つ限定の特売品を買うために買い物に娘を同行させるお母さんみたいに…一体どうしてこんなことに!!


……俺のせいです。はい。

ご意見お待ちしています


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マクスバードの決戦〜最高級アクティブタ1kg〜

書いてる途中でまさかの寝落ち

携帯の電池が切れる

途中まで書いてた文章をマモレナカッタ…

というわけで前回の続きです!


もう間もなく開始時刻だ。

 

エルとレイアの二人はかなり前を陣取っていた。

まぁ、開店時刻の5時間前に来ていたのだから当然と言えば当然なのだが…

 

それでも店の前には多くの人たちが詰めかけており、おしあいへしあいで大変なことになっている…

 

「いよいよだね!よーし、燃えて来たー!!」

 

「熱いー、苦しいー、帰りたーい」

 

「ニャウー…」

 

そんな中、ついに店の人がやってきた。

 

「みなさん!おまたせしました!開店です!!」

 

自動ドアが開くと同時に店の前にいた全員が一斉に駆け出す

 

「嘘!?速い!?」

 

一番いい位置にいたはずのエルはあっという間に抜かされてしまった。

 

「これが!家族を思う母の力…すべてを犠牲にしてでも肉を取ろうという人間の負の力がなせる技!」

 

と、もっともらしいことを言うレイア

 

「よーし、負けてられないぞー!行くぞ!火事場のお母さんぢから!!」

 

と言って先頭集団に入っていってしまった

 

「あー!待ってよレイアー!」

 

エルは完全においてけぼりを食らってしまう…

 

「も、もうやだ…」

 

「ニャーァ」

 

そんな落ち込むエルにコルルが声をかけた。

 

「?、コルル?…」

 

そして、何やら猫の手である方向を指す。

さっきみんなが行ったのとは違う曲がり角。カーブが多いため減速する回数が多いとらみんなが避けていった道だ…

 

「こっちを通れってこと」

 

うん、と首を縦に振るとコルルはどこかに走って行ってしまった…

 

「……じゃあ、行ってみようかな…」

 

そして、エルもコルルの指した方向へ歩き出すのだった。

 

ーーーーーーー

 

「ウェイクアップ私!」

 

人混みに揉まれて転倒してしまうものの受け身を取りすぐに立ち上がるレイア…

 

「負けないよぉぉ!!」

 

と言って再び先頭集団に踊り出た。

 

しかし、その時…

 

ガラガラガラガラ…ガシャーン!!

 

突然卵を乗せていた台車が動き出し。レイアのいる先頭集団のすぐ前を通り過ぎていったのだ。

そして、台車は壁に激突し、乗っていた卵が割れ床に飛び散る。

 

「え?なにこれ!?」

 

その場にいた全員が戸惑っているようだ…

 

それでも、何人かが走りだした…しかし、

 

ズルッ!!ズルッ!!ズルルッ!!!!

 

「わっ!」

 

「きゃぁぁぁっ!」

 

「ドジっちまった…」

 

卵で滑ってうまく走れずにいた

 

「これは一体…はっ!まさか!何者かが私達に取らせまいとして妨害行為を!?」

 

と、声を上げるレイア

 

「仕方ない、ここは別の道を!」

 

と、いって別のルートから行こうとするのだが…

 

ガシャァァァン!!

 

調味料の棚が倒れてきたり。

 

ゴロゴロゴロゴロ…

 

野菜だなからジャガイモが大量に転がってきたり。

 

ブッシャァァァァァァ!!!!

 

炭酸飲料水が噴き出してきたり…

 

様々な妨害行為がレイア達を襲った。

攻撃を受け次々に倒れていく奥様方…

 

「はぁ、はぁ、…」

 

それでも立ち上がるレイア

 

「負けるもんかァァァァ!!」

 

そして、足に力を込め…

 

「ぶんぶん回さず大ジャンープ!!」

 

高く飛び上がり妨害の波を飛び越えていった…

 

そして…

 

「やっと、辿り着いた…アクティブタ…」

 

奥様方から抜け駆けし。商品だなに辿り着いたレイア…

 

「!?、そんな、嘘でしょ…」

 

だが、その場でへたり込んでしまった…

 

そこにアクティブタは…もう無かったのである……

 

ーーーーーーー

 

「あ!レイアー!」

 

店から出てきたレイアにエルが元気に声をかけた。

 

「ごめん、実は…」

 

それに対しボロボロで元気な下げにレイアは報告した。

エルの報告と同時に…

 

「アクティブタ取れなかった」

 

「アクティブタ取れたよ」

 

……

 

本日流れる4度目沈黙

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」

 

それを破ったのはレイアの叫び声であった。

 

「なんかね、みんなとは違う道通ったら誰よりも早く辿りつけたの。ほら!」

 

と言って戦利品のアクティブタを見せた

 

「や、やった!!!凄いよエルゥゥゥゥゥ!!!」

 

「わ、わぁぁぁ!?」

 

レイアはエルに飛びついた

 

その隣ではぐったりとくたびれたコルルが横になっていたという…

 

「よーし、今日はみんなを呼んでアクティブタパーティだ!!」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

「こうして、手に入れたアクティブタは角煮にしたりして皆で美味しく食べました…」

 

エルは今日の日記を書き終え、天井を見上げる

 

「でも、ルドガーはあんなレイアとずっと旅してたんだね…疲れなかったのかな…」

 

と、ルドガーに愚痴をいいつつベッドへと向かったのだった…

 

chapter2  マクスバードの決戦 end




さて、次回はエリーゼかガイアスのどちらかにしようと思ってるのですが…どうしましょう…

ピロン
カチコチカチコチカチコチ…

L1エリーゼがいい!
R1ガイアスがいい!

感想お待ちしています!!


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chapter3〜エリーゼの学園祭〜
エリーゼの学園祭


というわけで今回はエリーゼのお話です!
ガイアスは次回!


リーゼ・マクシアの王都イルファン。ここはそこに位置する名門の学校である。

エレンピオス流の言い方をするならハイスクールと言ったところだ。

 

その学校では開催予定の文化祭で行う出し物を各クラス話し合っていた。

 

この学校へ通う少女エリーゼ・ルタスもまたそのクラス会で司会を務めていたのだが…

 

「な、中々決まらないですね…喫茶店のメニュー…」

 

教室を使って喫茶店をやることまでは決まったもののそこから先。メニューのことが全く決まらずにいた。

ありきたりなものを作ることはできるがそれだけでは他のクラスとかぶってしまうため独特の看板メニューを設けるのがクラス間での暗黙の了解となっていたのだがそれがなかなか決まらないのだ。

 

みんなも考えてはいたが、中々思いつかずにいた

 

沈黙が続く教室…もう決まらないのかと、誰もが諦めかけたその時…

 

「あ!そうだ!」

 

とエリーゼが手を叩いた

 

「全部ピンク色のピンクケーキセットにしましょう!」

 

ーーーーーーー

 

「え、それ通ったの!?」

 

トリグラフの料理屋でその一部始終を聞いたエルは目を丸くする。

 

「はい、みんな納得してくれました。」

 

「やっぱり、みんなピンクが好きなんだよね〜」

 

朗らかな笑顔で肯定するエリーゼとほわほわした顔をしながらその言葉に付け足す空を飛んで喋る不思議なヌイグルミのティポ

 

「決まってすぐ授業時間が終了したんですよ」

 

「いや〜、間に合ってよかっよね〜」

 

それを聞いて

(絶対時間内に終わらせたかったから通ったんだな…)

などと勝手に納得するエル。しかし、疑問が残った

 

「でもさ、全面ピンクのケーキってさ、どうやって作るの?味は大丈夫なの?」

 

ケーキは見た目がいいというのももちろん重要だが、味のほうが大切だ。

ましてや全面ピンクというかなり人を選ぶであろう見た目のケーキなのに味が美味しくなければ誰も食べにこない。

 

それを聞くとエリーゼは

 

「そのことなんですが、その…おねがいします!一緒にレシピを考えたください!!」

 

と、頭を下げた

 

「えぇー!?」

 

「おねがいします!こんなことを頼めるのは料理上手なエルしかいないんです!」

 

「僕達、仲間でしょー?」

 

と、エリーゼとティポ、一人と一体?に懇願される

 

「でも、エルなんて、まだまだだし…そんな何でも美味しく作れる訳じゃ…」

 

「そんなことないです!エルは十分料理上手です!」

 

「だからこそ、頼んでるんだよー」

 

二人で一緒に頼まれて何も言えなくなるエル

ここまで頼まれると断り切れない…

 

「おねがいします!今度何かあったらお手伝いしますから!」

 

「エージェントの仕事だってなんだって手伝うよ〜」

 

「わ、分かったよ。エルで良ければ手伝うから!」

 

「本当ですか!?やったー!!ありがとう!エル!」

 

「君が友達で本当によかったよ〜」

 

と、大喜びする二人

しかし、全面ピンクのケーキなんてどうすれば美味しくなるかなんて全然思いつかない。

 

「どうすればいいんだろう…」

 

一つため息をつくのであった…




さてさて、今回は料理回ですね

感想お待ちしています!


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エリーゼの学園祭〜ピンキストのケーキ〜

テイルズオブエクシリア2二周目終わりました!

(´;ω;`)ブワッ


「味が単調すぎる!こんなんじゃ全然ダメ!」

 

味に納得できないエルはその怒りを机にぶつける。エルに叩かれて大きな音がなる机

 

「こ、これも十分美味しいですよ!」

 

そんな様子を見かねたエリーゼはエルを励まそうと声をかける。

 

「ダメ!エルが納得できないの!」

 

声をかけるのだが、逆に機嫌を損ねてしまったようだ。

 

「ものすごい執念!?」

 

頭をガシガシとかき始めるエル…

エルは考えていた。どうして自分の料理はいつも何か足りないのか。レシピだって間違った組み合わせではないし味付けだって問題がないはず。

だが、自分の料理にはルドガーやミラが作ってくれた料理にあった何かが足りない。

 

「どうしてダメなの…分からないよ……」

 

ルドガー…

 

ポツリと呟くエル。先程とは打って変わり悲しげな声を絞りだす。自分の無力さを痛感し、気を落としているのだ…

 

「ねぇーねぇー、ちょっと休憩にしない?」

 

落ち込むエルの方へ飛んでいくティポ

 

「あんまり根詰め過ぎてもよくありませんよ。」

 

エリーゼもエルに声をかけた。

 

弱り切っていた心に二人の心遣いが染み入る

 

「うん、分かった…」

 

そして、エルは一旦台所から離れた…

 

ーーーーーーー

 

「ミラは三番!二番はルドガーだよ!」

 

「私がこの人より下!?冗談でしょ!?」

 

エルに自分の作ったスープの感想を聞いたミラは目を丸くする。

エル曰く…一番はパパのスープ、二番はルドガーのスープ、そして三番がミラのスープらしい。

 

「わ、私だって!本気を出せばもっとも〜っと!美味しいスープを作れるんだから!」

 

「それってどのくらい?」

 

「いっちばん美味しいやつよ!」

 

「パパのよりも?」

 

「そうよ」

 

パパのスープを否定されたような気分になったまだ8歳のエルはミラの言葉に食って掛かる

 

「嘘!」

 

「嘘じゃない」

 

「嘘!」

 

「嘘じゃない!」

 

「じゃあ、そのスープ食べさせてよー!」

 

「いわれなくても、食べさせてあげるわよ!」

 

料理を覚えた今になって思い出す…

ミラもルドガーも本当に凄かったんだなと…

この人たちに比べれば自分なんてまだまだなんだと…

 

ーーーーーーー

 

「…て、起きてよー!!」

 

「わっ!?」

 

突然聞こえたティポの声にびくっと体を震わせるエル。

どうやら休憩のためにソファに座ってそのまま寝てしまったらしい…

 

「エル、大丈夫ですか?疲れてるのに無理をさせちゃったんじゃ…」

 

エリーゼは心配そうに尋ねる

 

「大丈夫だよ、エルの方こそごめん。勝手に寝ちゃって…」

 

だるい体を起こしてもう一度台所に戻ろうとする。しかし、そんなエルをエリーゼは引き止めた。

 

「あ、無理しないでください。これ…」

 

エリーゼが置いたのはトマトアラモード。どうやらエリーゼが作ったらしい。手馴れていないので少し不格好だったがそれでも十分食欲をそそる出来栄えだった。

 

「これ?エリーゼが?」

 

「はい、エル、最近疲れてるみたいだから元気出してもらおうと思って…」

 

「真心込めて作ったんだよー!」

 

エリーゼは自分がこのトマトアラモードが好きだと知っていて、慣れないながら一生懸命作ってくれたのだ。自分のために

 

「ありがとう…」

 

と言って一口食べる

 

「あ…」

 

何か隠し味があるわけでもない。特別美味しいわけでもない。でも、この料理には…

 

「エルが探してたもの…」

 

それが確かにあった…

 

「エル?」

 

「暖かい…心がポカポカする…」

 

エルはなんとなく気づいた。エリーゼは自分のために作ってくれた。そこにはたしかに美味しく食べてほしいという心が篭っていた…

 

だが、自分はどうだろう…ただ小手先や上っ面だけの味を求めて大事なものを見失っていた…

 

「ありがとう、エリーゼ!ケーキ完成しそう!」

 

そう言うとすぐに台所にかけだしていった…

 

ーーーーーーー

 

学園祭、エリーゼのクラスの喫茶店は大繁盛だった。

 

「ピンキストケーキくださーい!」

 

「ピンキストケーキセットを!」

 

エルの考案したピンキストケーキが大好評だ。

 

「エリーゼ!」

 

エルも客としてエリーゼの店にやってくる。

 

「あ!エル!」

 

エリーゼは嬉しそうにエルを出迎えた

 

「見てのとおりお店は大盛況ですよ!本当にありがとう。エルのおかげですね。」

 

素直に感謝を口にするエリーゼ。しかしエルはその言葉をそのまま受け取ることはしなかった。

 

「違うの。エリーゼがいなかったらあのケーキはきっと出来てなかった。それに私は大切なものを見失ったままだったと思うの…だから」

 

今度はエルがエリーゼに笑顔を見せた…

 

「ありがとう、エリーゼ…」

 

ーーーーーーー

 

「エリーゼのおかげで私は大切なものに気が付きました…」

 

また日記を書き終え背伸びをする

 

「これでちょっとはルドガーやミラに追いつけたかな…」

 

天井を見上げて言うとエルは寝室へ戻っていった…

 

chapter3 エリーゼの学園祭 end




うぅ、ミラ…(´;ω;`)ブワッ

感想お待ちしています…(´;ω;`)


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chapter4〜暴れん坊ガイアス〜
暴れん坊ガイアス


今回はガイアス回です。

でも、他の人に比べると僕の文書はまだまだだなって…


「あ!王様ー!」

 

仕事帰り。家に帰る前に買い物でもしていこうと駅に歩いて行く途中エルは珍しい人物に出会った

 

長い黒髪に色黒の肌。力強さと威厳を感じさせるその男は。リーゼ・マシクアの王ガイアスだ…

 

「アーストだ…」

 

しかし今は、辺境から出てきた道楽息子アーストと名前を偽って街の人たちと交流を深めている

だからエルに王様と言われるのはガイアスにとってあまりいいことではない。

 

「いいじゃねぇかアースト。エルちゃんは小さい頃からそう呼んでるんだろ?だったら呼ばせてやれよ。王様!」

 

こんなふうに町の人にからかわれるくらいには馴染んでいるようだ。

 

「もういいから家に帰れ。またかみさんに叱られるだろう?」

 

「おっと!そうだな。またな、アースト、それにエルちゃん」

 

「バイバーイ!」

 

と手をふるエル

そして、ガイアスとエルは歩き始めた…

 

「仕事帰りか?」

 

「うん!精霊の化石探索班の護衛!王様は?」

 

「はぁ…その王様というの、もうやめろ。見知った顔ならいいがそうでなければ怪しまれる…」

 

「えぇ〜」

 

と、和気藹々と話している二人。しかし、ガイアスが何かを感じ取った…

 

「…殺気がある。誰かいるぞ…」

 

エルとガイアスは物陰に隠れて路地裏の方をのぞいた

 

そこには切り傷だらけの若い女性と剣を持った男が向かい合っている。

男は女の落としたデータディスクを拾い上げる。

 

「これで、証拠は無くなった。ったく、こいつを盗みだそうとするとはとんでもないやつだ…」

 

「ダメです!こんな不正許されるはずがない!このことは必ず世間に公表します!」

 

「そんなことはできねぇよ…なぜなら、あんたはここで死ぬからだ!」

 

ガキィン!!

 

「なっ!?」

 

男が女を斬ろうと振り下ろした剣を受け止めるガイアス

その間にエルが女を安全なところに誘導し避難させた。

 

「な、何者だてめぇ!」

 

「通りすがりの遊び人だ!」

 

「く、くそっ!」

 

男は負けじとガイアスに斬りかかるがまるで歯が立たない。

ガイアスは男の攻撃を簡単に裁き鳩尾に当て身を食らわす

 

「ガハッ!お、覚えてやがれ!」

 

敵わないと見ると男はすぐに逃げ出した…

それを見届けエルと女のもとへ行くガイアス…

 

「大丈夫か?」

 

「あ、ありがとうございます。えっと…名前は…」

 

「アーストだ…エル」

 

女の礼を素直に受け取るとエルに声をかける

 

「うん、すぐにクランスピア社から医療エージェントを手配するね。」

 

GHSを手に取りエルは通話を始めた。その間にガイアスは…

 

「何があったか、聞かせてくれるか?…」

 

女性から事情をききだすのであった…

 

ーーーーーーー

 

「インサイダー取引…」

 

「はい、あの男はドヴォールに店を構え悪徳商人…リーゼ・マクシアの大富豪と結託して至福を肥やそうとしているのです…」

 

ドヴォールの物陰で応急処置をしながら一通り女性の話を聞いた二人。

 

この女性の夫はそのことを告発しようとして口封じに殺されてしまったらしい…そして、夫の意志を引き継ぎデータを盗みだそうとして今に至るのだという…

 

「でも、一人でそんな無茶しちゃダメだよ…」

 

「でも、私は…」

 

そうこうしているうちにクランスピアの医療エージェント達が駆けつけた

 

「後は我々にお任せください。」

 

「そういうことだから今日はゆっくり休んでね…」

 

医療エージェント達に運ばれる女性を見送る二人…だが、女性からはエルの言葉に対する返事を聞くことができなかった…

 

「エル、"俺"からクランスピア社の戦闘エージェントであるお前に依頼をだそう」

 

ガイアスはエルに依頼内容を伝えた。

あの女性が動いた時のことを…




次回に続きます!
一旦cmです!


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暴れん坊ガイアス〜成敗〜

あ、暴れん坊ガイアス、好評なのか!?


「へっへっへ…一度は命拾いしたというのにまた潜り込んでくるとは愚かな女だ…」

 

「う、うぅ…」

 

とある大富豪のお屋敷。そこには若い女性が縄に縛られて投げ出されていた。

それはエルとガイアスが助けた女性。

クランスピア社の病院から抜け出し証拠となるデータを再び持ちだそうとしてつかまったのだ

 

「それにしても、証拠を持ちだそうとしたとはいえ、女性の口を封じようとは、お主も悪よのぉ〜」

 

大富豪は酒を飲みながらゲラゲラと笑う

 

「いやぁ、しかしこれであっしもここ一帯で最も力を持った商人として名を轟かせることができるってもんですわい」

 

ひっひっひと商人が富豪に酒をついだ

 

「さぁ、今宵は宴じゃ!好きなだけ飲むがよい」

 

上機嫌な二人。これで全てがうまく行く、そう信じている二人。

そんな二人の空間に精悍な声が響いた…

 

「その宴…この世の名残の宴と知るがいい!!」

 

バァァァン!!

 

と、広間の扉が開け放たれた

 

二人は開いた扉の先を見つめる。扉の向こう側にいたのは…

 

「貴様は!いつかの遊び人!!」

 

「あ、アースト…さん?…」

 

商人を撃退し女性を救いだした男、アースト。そして、その連れだった女性だ。

 

「流石はクランスピア社のエージェントだ、見事の追跡だった…」

 

「当然だよ、王様!」

 

そして、アーストは二人に告げる

 

「貴様らは悪の道に足を踏み入れただけでなくそのことを告発しようとした者の口を封じようとした。決して許される所業ではない!」

 

アーストの言葉を遮るように商人が声を上げる

 

「貴様!遊び人の分際で生意気に!ここを誰の屋敷だと心得ている!!」

 

しかし、それにエルが一喝を入れた

 

「頭が高いぞ!御前におられる御方をどなたと心得る!!」

 

そして、威厳を感じさせる物言いでアーストは言葉を続けた

 

「俺の顔を見忘れたか!!貴様、エレンピオス使節団の一人としてカンバルクに参上したことがあっただろう…」

 

その言葉を聞いて富豪は目を細める。

そして、気がついた目の前にいる人物に見覚えがあることに

そして、思い出した。目の前の人物が誰かを…

 

「!?、リーゼマクシアの…ガイアス王!!」

 

それを聞いて商人もはっとする。

 

そして、二人は頭を下げた

 

「「恐れいりました!!」」

 

頭を下げた二人にガイアスは罪状を告げる

 

「その方、商人と富豪にありながら互いに結託しインサイダー取引に手を出し、真っ当な商売を外れた。それだけに飽きたらずそのことを告発しようとしたものの口を封じようとするなど許されはせん!潔く法の裁きに伏するが良い」

 

もはや逃げ場はない

それを悟った富豪は不敵に笑い始めた…

 

「ここで死ねばただのアースト…曲者じゃ!であえであえーい!こやつを生かして帰してはならぬ!、」

 

バッ、ダダダダダダダ…

 

屋敷の奥から手下たちが何人も現れた。

 

エルはすぐに女性のの拘束をとき安全なところに避難させると双剣を構えた。

 

そして、ガイアスも長刀を構えた…

 

カチャッ

 

剣を持った者は一斉に動き出した。

 

襲い掛かってくる何人もの手下たちを峰打ちで気絶させていくエルとガイアス…

 

ガイアスは斬り倒しながら商人と富豪の方へ近づいていく

 

「う、うわぁぁぁ!」

 

恐れをなして腰を抜かす富豪

 

ついにガイアスは二人の目の前にやってきた

 

「おのれぇ!」

 

商人も剣を振るが結果は以前と同じだった

 

「うぐっ!?」

 

当て身を入れられ怯む商人

 

「成敗!」

 

ドカァッ!!

 

ガイアスの号令とともにエルがトドメの一撃を入れ、商人はその場に崩れ落ちた…

 

ーーーーーーー

 

やがて屋敷には警察が駆けつけ商人と富豪の二人はあえなく御用となった…

 

助けだされた女性はガイアスに深く頭を下げる

 

「ガイアス王とはつゆ知らず、数々の無礼をお許しください!」

 

「いや、構わない。だが…」

 

ガイアスは優しく女性の肩に触れる

 

「人は一人では生きていけない。決してなんども一人で解決しようとするな…」

 

その言葉を噛み締め女性は帰っていった…

 

ーーーーーーー

 

「こうして、街の治安は守られたのであった…めでたしめでたし…」

 

日記を書いてもう一度見返す

 

「何書いてんだろう私…まぁ、いいや!」

 

いつもとは違った日記を閉じてエルは寝室へ戻っていった。

 

「ルドガーもあんなふうに王様と戦ってたのかな…なんてね!」

 

chapter4 暴れん坊ガイアス end




ご感想お待ちしています!
アドバイスも…


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chapter5〜"エル"とラル〜
超万能メイドさんエル・ウィル・クルスニク!


私は至って真面目に書いてます。真面目ですよ


クランスピア社…

 

今日もまたエルはイバルから仕事の説明を受ける。

 

「現在、エレンピオスとリーゼマクシアの和平条約が結ばれて早十年。だが、未だに互いのわだかまりが解けた訳ではない…反対派やアルクノアは未だに社会の闇に蔓延り、暗躍している…」

 

窓の外の世界を見つめ、今の世界情勢を語る。10年たってもまだ完全に一つになりきれない世界。そのために超えなければならない壁はたくさんある。イバルたちクランスピア社はそれを解決するために今も頑張っていた…

 

「ねぇ、急に真面目に話し込んじゃって、どうしちゃったのイバル?」

 

「社長は救いようのない馬鹿ではありません。たまにはあんなふうに良い所を見せることもあります。たまには…」

 

「ふぅ〜ん…」

 

のだが、そんなイバルの真面目な話をエルは全く真に受けていない。それどころかイバルが窓の外を見てこちらに背中を向けているのをいいことにヴェルとひそひそ話なんてやっている。

 

「今回お前にやってもらいたいことはアルクノア構成員としての疑いのあるとある家庭への潜入、及び捜査だ」

 

さすがに本題に入ったためエルの表情が引きしまる

 

「潜入捜査?でも、エルにはそんな経験全くないよ?」

 

「いや、今回の仕事はマルチに活躍しているお前には適任だと判断した。現地で戦闘になった場合潜入班単独の潜入では、対応しきれない可能性があるからな…」

 

確かに潜入班は戦闘訓練を受けているとはいえ単独での潜入では、対複数との戦闘になった場合に敵に負けてしまう可能性が高い。その場合は実戦経験の豊富なエルのほうが適任ではあるだろう。

だが、それでも潜入自体でバレてしまわないことが最も望ましいので不安ではあった…

 

「そんな顔をするなよ。一応指導役は用意してある。しっかり練習してから行けばいい…」

 

「なら、いいんだけど…それで、私はどうやって潜入すればいいの?その家庭の仕事先に?…」

 

それを聞くとイバルは少し笑った。いや、にやけた

 

「いや、それはな…」

 

ーーーーーーー

 

「お帰りなさいませ!ご主人様!」

 

黒のワンピース、フリルの付いた白いエプロンを組み合わせたエプロンドレスに、同じく白いフリルの付いたカチューシャ。

人はそれをメイド服と呼ぶ。

 

エルは今、それを着て華やかな笑顔で定番の台詞を言ったのだ。

 

「ほっほっほ、素晴らしいですよエルさん」

 

それを褒めるのはローエン・J・イルベルト。

何を隠そう今回のエルの指導役は元執事であるこの人なのだ。

 

「…はぁ〜、なんで私がこんなことを…」

 

当然イバル社長のせいです。

潜入するのは容疑者の自宅。その容疑者は大富豪であるためとても大きな屋敷を持っていた。そこにメイドとして潜入するのが今回の作戦なのだ。

 

「まぁまぁ、これも平和のために必要なことだと思って頑張りましょう。」

 

常に笑顔なローエン閣下…

 

「ローエン、なんか楽しんでない?」

 

「えぇ、勿論。ここまで育て甲斐のあるメイドさんは初めてです。私にお任せください、エルさんを最高のメイドにして差し上げましょう!」

 

「え、いや、潜入のためだし!メイドになるつもりなんかないし!」

 

「では、次の特訓は…」

 

「特訓!?そんなに真面目に!?ちょっとローエン!?」

 

こうして、エルはローエンによりメイドの指導をそれはそれはみっちりと受けた…もう本職メイドでやっていけるくらいに…

 

そして、ようやくローエンに認められたエルはすぐに潜入捜査に向かった。

 

とある思いに掻き立てられて…

 

「もう、メイド服は着たくない」

 

という個人的な理由で…

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

ピンポーン

 

メイド服を着たエルはチャイムをならす。いよいよ潜入するのだ…

 

緊張はなかった。

ローエンの地獄の特訓を乗り越えてきたのだから。

 

ガチャリと扉が開く

 

すぐにエルはローエン仕込みの精一杯の作り笑顔であいさつをする…

 

「本日よりこの家で働かせていただきます。エル・ウィル・クルスニクです。よろしくお願い…いた…しま…す…」

 

しかし、言葉が途切れ途切れになってしまっていた

目の前の人物に驚きを隠せなかったからだ…

 

「あぁ、あなたが新しく来たメイドさんね。話は父から聞いています。」

 

なぜなら、その人物はあまりにも似ていたからだ…

 

「娘の"ラル・メル・マータ"です。どうぞ、入ってください。」

 

自分の顔に…




今回は二話完結にはならないかもしれませんね…

ご感想お待ちしています!


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"エル"とラル

二話完結の法則が乱れてしまいました。

ふぁみゆが悪いんじゃない。時代が悪かったのさ←


「あぁ!お嬢様!お料理なら私が!」

 

買い出しから帰ってきたエルはこの家の雇い主の娘である。ラルが台所に立っているのを見つけ慌てて静止に入る。

 

「いいのよ、エルさん。これは私の趣味ですから。」

 

と言って止めようとしたエルをあしらう。

 

「しかし、もし火傷などなされては…」

 

「あら、エルさんは私を馬鹿にしてるの?」

 

「いえ、そういうわけでは…」

 

完全にラルのペースに載せられてしまうエル。そして、戸惑うエルにラルはちょっとした提案を投げかけた。

 

「なら、エルさんも手伝ってくれないかしら?私が怪我をしないように見張って頂戴。」

 

「は、はい。畏まりました…」

 

 

台所に立つ二人。顔がよく似ているため傍から見れば仲のいい親子にでも見えただろう。しかし、事態はそんなに単純では無かった…

 

今、この家で働いている少女、"エル・ウィル・クルスニク"の旧名は"エル・メル・マータ"だ。今の名前は大切な相棒から貰ったものであり、親に名付けられた名前ではない。つまり、彼女の本当の名前はエル・メル・マータなのである。

そして、エルが働くこの家の娘、ラルの名前もラル・メル・マータ。この二人には決して切れない確かな繋がりがあった…

 

「今日のお夕飯は何にするの?やっぱりトマト料理?」

 

今のところその事情を知っているのはエルだけだ。この世界の人間であるラルには知ることができない。そのおかげでラルとエルは良好な関係を築くことができていた。

 

「いえ、今日はマーボーカレーにしようかと。いつもトマトばかりでは飽きてしまいますし…」

 

「マーボーカレー!私好きなのよ!もう晩が楽しみだわ!」

 

「えぇ、楽しみにしておいてくださいね…」

 

だが、それでもエルは簡単には割り切ることができていなかった。

なぜなら、彼女はこの世界とは異なる、分史世界の人間だからだ。そして、ラルは正史世界のエルの…

 

「ラル、こんなところにいたのかい?料理なんてメイドに任せればいいのに」

 

二階から一人の若い男が降りてくる。彼はマグナ・ゼク・ルギエヴィート。

ラル・メル・マータの許嫁の男。そして、本来ならばラルと"出会うはずの無かった"男だ。

 

「マグナさん。メイドじゃなくて名前で呼んであげてよ。彼女にはエル・ウィル・クルスニクっていう素敵なお名前があるんだから。」

 

エルのことを鼻で笑うマグナ

 

「ハッ、メイドはメイドだよ。それにね、僕の目に映るのは君だけだよラル…」

 

「もう、マグナさんは…でも、お菓子作りくらいは私にやらせて頂戴。数少ない私の趣味なんだから。」

 

「ははは、分かったよ。おいメイド!彼女に怪我でもさせたら承知しないからな」

 

「……はい。」

 

そして、何やらGHSを触りながら出て行った…

 

「ごめんなさいね。あんな態度で……」

 

「い、いえ……」

 

申し訳無さそうにするラル、彼女は手を止めると自分たちについて話し始めた。エルのマグナに対する印象を少しでもいいものにしようとして…

 

「家はね、元々クランスピア社と強い結びつきのおかげで反映していたの。でも、ビズリー社長と要人達の相次ぐ死亡事件があったでしょ?あれで、父は焦ってしまってね。クランスピア社との提携を解除してしまったの…」

 

その話を聞いたエルはぐっと唇を噛みしめる。なぜならばエルはそのことをよく知っているから、ある意味では当事者とも言える立場だったからだ。

 

「でも、クランスピア社はイバル新社長の奮闘で見事に返り咲いた。それに対してクランスピアとの繋がりがなくなった家はどんどん落ちていってね。そこで父が打った手は娘である私をある名家に嫁がせることだった。」

 

それがルギエヴィート家。元々は傍流の貧しい家庭だったが長男が一人でのし上がったことによって名声を集めた家。本来ならばそんな庶民上がりのところに頼るのは貴族として恥ずべきことなのだが、それだけに断られる確率の少ない安全な方法だったと言えるだろう。

 

それだけに事件に関わったエルはマータ家の運命を大きく変えてしまったと言えるだろう。

 

「それじゃあ、お嬢様はお家のために…」

 

しかし、話す彼女に暗い表情は無かった。寧ろこんな状況でも、笑っていた…

 

「初めはね、すごく嫌だった。なんで家に家のために自分の人生を変えなきゃいけないんだって…人に言われた相手と絶対結婚なんかしたくないって…でもね、私が思っていた以上に彼は優しかったの…」

 

家のために嫁いできた自分にマグナは本当に気を使ってくれたこと、優しくしてくれたこと、尽くしてくれたこと。それをラルは全て話した…

 

「だから、今は思ってる。あの人と一緒になれて良かったと…」

 

「……」

 

目を閉じるエル。

そして、噛みしめるように言葉を紡いだ

 

「お嬢様は幸せですか?」

 

それにラルは迷いなく答えた…

 

「えぇ、幸せよ!…」

 

 

ーーーーーーー

 

「ルドガー社長。本日の予定ですが…」

 

クランスピア社に入ったルドガーは多くの社員の礼を受けながら社長室へ向かう。

秘書であるヴェルの言葉を耳半分に聞きながら…

 

「本日の面会ですが、相手はラル・メル・マータ」

 

その言葉を聞いた途端血相を変える。そして、社長室へ走りだした。

 

荒い息で社長室の扉を開けるとその人は

 

いた…

 

「はじめましてルドガー社長!ラル・メル・マータです。」

 

 

ーーーーーーー

 

 

「はっ!?」

 

エルは屋敷の寝室のベッドから飛び起きた。

まだ荒い息であたりを見渡す。時刻はまだ深夜…

 

「…夢?」

 

エルが夢に見たのはルドガーが生きていた場合の未来。確かにありえた未来だ…

 

「…」

 

自分は確かにこの世界に存在し、この世界にいる人々の運命に影響を与えている…

 

ラルに出会い、その事実を確認するエルは胸を締め付けられるような感覚に襲われる。

 

「今は、仕事に集中しないと…」

 

気持を切り替え、窓の外を見るエル…

屋敷に見知らぬ人物が入ってくるのを見つけると、そのまま静かに部屋を出た…




さて、ルギエヴィートという名前にピンときたひとは何人いるでしょう?

今回の評価と同じくらい気になります

感想、アドバイス、お待ちしています!


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"エル"とラル〜ラルの幸せ・エルの使命〜

まだまだ続きます。
改めて、エルって辛い立場にいるんだなって…


その怪しげな男は屋敷の客間へと入っていった。

 

扉に耳をつけ中の気配を探るエル…気配は二人だけのようだ…

中からは話し声、しかし、話の内容までは分からない。

 

ブチッ

 

エルはメイド服の袖のところに縫いこんである盗聴器を服の記事ごと引きちぎるとそれを扉の隙間から客間の中へと差し込んだ。

 

盗聴器はクランスピア社特製のもので非常に小さい。誰かが拾ってもメイド服の切れ端くらいとしか思わないだろう。

 

そして、気づかれないように気配を殺しながら。自分の部屋に戻っていった…

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

翌日よく寝れなかったため休憩時間に部屋で軽く仮眠を取っていたエル。

しかし、程なくして扉をノックする音が聞こえる

 

「エルさん少しいいかしら?」

 

声の主がラルであることを確認するとエルは部屋の扉を開けた。

 

「さっき街に行った時に美味しそうなクッキーを買ってきたの。よかったら一緒に食べない?」

 

「はい、い、いただきます。」

 

適当に紅茶を入れて席につく

 

そんなエルを見てラルはすぐにあることに気づいた。

 

「あら、エルさん。洋服の袖が破けてるわ」

 

先日、客間に盗聴器を忍ばせるために破いた服。しかし、袖を少しちぎっただけなので何も言われずに気づく人はそういないだろう。エル自身もそう思っていたため直さずにいたのだが…

 

「昨日、客間の掃除をしていた時に破けちゃったみたいで…」

 

「待ってて、部屋から裁縫箱を取ってくるわ」

 

「いいえ、お嬢様!滅相もない…」

 

「いいのよ。いつもお世話になっているんだもの、これくらいやらせて頂戴」

 

と言って止める間もなく部屋を出て行ってしまった。

 

テーンテテテテーンテンテンテン♪

 

するとすぐにエルのGHSが鳴り始める。ラルはしばらく戻ってこないだろうと踏んでそのまま電話に出た

 

ピッ

 

「ヴェルです。先日の深夜盗聴器で拾った音声をGHSに転送しました。ご確認ください。」

 

通話を切るとすぐに送られてきた音声データを再生した…

 

「!?、これって…」

 

一人は昨日屋敷に来た男。話しているのはアルクノアの犯行計画。

そして、屋敷に最初からいたもう一人の男の声は…

 

「心配するな。向こうは俺のことを疑っちゃいない。いざとなればすべての責任をこの家に押し付けることができるのさ…」

 

ラルの許嫁の男。マグナ・ゼク・ルギエヴィート

 

エルは昨日のラルの言葉を思い出す

 

「お嬢様は幸せですか?」

 

「幸せよ!」

 

だが、自分はこの幸せをもうすぐ壊さなければならない…

エルの心に黒いモヤが広がっていった…

 

 

ーーーーーーー

 

ちくちくとエルの袖を塗っていくラル。その表情は柔らかく、温かみがあった。

自分にお母さんがいたらこんな感じなのだろうか…そんな考えが思い浮ぶ。

 

「なんだか、こうしていると本当に娘ができたみたい…」

 

「……私もお母さんがいるみたいです…」

 

「あら、少し嫌なことを聞いてしまったかしら?」

 

「あ、いえ、そんなことは…」

 

「そうね…」

 

チョキン

 

ラルは縫い終え、ハサミで糸を切り裁縫箱を片付けながらこんなことを言った。

 

「あなたのお母さんにはなれないけど、お友達になることはできると思うの。だから…」

 

優しい笑顔をエルに見せる

 

「あなたも私と友達でいてくれないかしら?」

 

「……」

 

言葉自体は嬉し買った。ラルはいい人だ。そんな人に友達になってほしいと言われるのは正直嬉しい。

 

でも

 

「ごめんなさい…」

 

ふるふると震えるエル。顔を上げるとその瞳には涙をためていた

 

「私は…エルには…そんな資格は…無いんです…」

 

「!?エルさん?…」

 

バン!

扉を開け放ち駆け出していた。

 

生き残ったことでラルの運命を大きく変えてしまったエル…

そして、今からも彼女の"幸せを壊そうとしている"エルには今のラルの優しさを受け入れることができなかった…

 

「エルは、エルは…!……本当に幸せになってもいいの?……教えてよ…ルドガー!………」




さぁ、次回は決着をつけましょう!


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"エル"とラル〜収束〜

今回は戦闘シーンなんですけど、難しすぎて焦りました:(´◦ω◦`):

どうすればかっこよく書けるんだろう…


「ぐおっ!?」

 

深夜、エルは屋敷に忍び込んできた男の首筋を殴りつけ気絶させる。

 

いつもの私服に着替えたエルは双銃を構え扉を蹴破った…

 

バン!

 

「な、お前は!?」

 

「あなたのマグナ・ゼク・ルギエヴィート!あなたのやっていたことは全てお見通しよ!大人しく投降しなさい!」

 

「お前、警察の回し者だったのか…」

 

憎々しげに見つめるマグナ。それでもエルは怯まない。

 

「あなたには関係のないことよ…」

 

「ふん、参ったよ。まさか潜入なんていう違法行為まで使って俺を追い詰めようだなんてな…だが」

 

逃げ場のないことを悟ったのかマグナはこんなことを言い出した。

 

「お前だって分かってるだろう?この家がご立派なのは建前だけ、中身はスカスカだ…この家を救えるのは俺だけなんだよ…」

 

銃を持つエルの手が震える…

それを動揺とみたマグナはここぞとばかりに言葉をつなげた

 

「あんたも見ただろう?あの何も知らない無垢なお嬢様を…仲良くしてたもんなぁ?でも、俺がいなくなったらどうなる?没落する家に残って貧しい暮らしをはじめなきゃならなくなる。そうなったら、かわいそうだろう?」

 

「…えは…」

 

「なに?」

 

エルの絞り出した声から今度ははっきりと怒りと悲しみが混じっていた。

 

「お前は…ラルさんの気持ちを利用するのか!?」

 

ガチャッ

 

銃を突きつけた。

 

「おいおい、本気かよ…本気で俺を…」

 

「…許さない…お前だけは」

 

追い詰められたはずのマグナから余裕が戻るのとエルが背後から殺気を感じるのはほぼ同時だった…

 

「そうかよ!」

 

バン!!

 

再び扉が開かれ二人のアルクノア兵が入ってくる。

 

すかさずエルは後退し距離をとった。

 

「はっはっは!俺がただ話をしてるだけだと思ったか?時間稼ぎだったんだよ!」

 

バババババ!!

キンキンキンキン!!

 

アルクノア兵がエルに向かって発砲。

エルは撃ちだされた銃弾を持ち替えた双剣で弾く

 

「かっこいいねぇ、だが」

 

マグナは両手の指に三本ずつナイフを挟むと戦闘態勢になった。

 

「あんたには死んでもらうさ。可愛そうだが拒否権はないぜ…」

 

同時に動き出す四人…

 

ナイフを投げてくるマグナ…銃で発泡してくる三人。

飛び道具を持った三人を相手にするのは非常に骨が折れる。

 

「デストリュクス!!」

 

エルは周りの地面を隆起させ飛び道具から身を守る。

そして、エルにはもう一つ問題があった。

あまり派手に暴れすぎると寝ているラルや旦那様が起きてしまう可能性があるということ、もし、音を聞きつけここに来てしまえば関係ない人たちを巻き込むことになってしまう。

それだけはあってはならない。

 

「応援を待つ?いや、それなら…」

 

エルは頭の中で勝利へのイメージを固めた 

 

(相手を一箇所に集めて、一気にかたをつける被害を最小限にあの三人を倒すにはそれしかない…)

 

「そら、さっきまでの威勢はどうした?」

 

ナイフを投げつけるマグナ…

 

カキンカキン!!

 

再び双剣に持ち直しナイフを弾く。補弾かれたナイフはそれぞれアルクノア兵の元へ飛んでいく。

二人はバラバラの方向へ飛び退くがそのうち一人の飛んだ先にはナイフと弾くと同時に走っていたエルが待ち構えていた。

 

「ファンガ・プレゼ!!」

 

獣の形をした闘気がアルクノア兵を襲い。アルクノア兵の体はマグナのいたほうに吹き飛ばされた。

 

今度はエルから見てマグナとアルクノア兵の奥にいるアルクノア兵が銃を構える。

だが、撃ちだしたのはそこから双銃に持ち替えたエルのほうが速かった

 

「ゼロディバイド!!」

 

エルが撃ちだした闇の弾はマグナとそのそばにいたアルクノア兵を乗り越え奥にいるアルクノア兵の背後で収束してからエルの方へ飛び、間にいたアルクノア兵はエルの方へ引き寄せられる。

 

そして、マグナと二人のアルクノア兵は一箇所に集まった。

 

「一体何を!?」

 

「これで決める!」

 

双銃を上に放り投げると同時にハンマーを持って突撃

 

「撃ち砕け!」

 

固まっていた三人をハンマーで撃ちつける

 

「切り裂く!」

 

そして、双剣で二回切り抜け、落ちてきた双銃をキャッチ

銃で敵を撃ちぬいた後、最大出力の光線を放った。

 

「これが私の!祓砕斬・零氷!!」

 

「ぐおぉぉぉぉっ!!」

 

技をまともに受け三人は戦闘不能になった…

 

「な、なんだお前…化け物かよ……」

 

信じられないと言った表情のマグナにエルは銃を突きつける。

 

「ひぃっ!?」

 

するとまた客間の入り口から声がかかった

 

「何をしているの?」

 

ラルだ…

戦闘音をききつけやってきてしまったのだ?

 

「エルさん、マグナ?何をしているの?」

 

バッ、ダダダダダダダ

 

そしてすぐに駆けつけるクランスピア社のエージェント達。

 

「クランスピア社?どうして?…」

 

自体を飲み込めないラルと全てを悟ったマグナ

 

「そうか、お前…その力…クランスピア社のエージェントか…」

 

「エルさんが?…」

 

エルは二人の声には答えず、他のエージェントに主犯の三人を連行するように伝えると黙って去っていった。

 

「待ってエルさん!!」

 

しかし、エルは足を止めることはなかった…




あと一回続きます…

長いですがどうか最後までお付き合いくださいm( _ _ )m


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"エル"とラル〜今ここにいるエル〜

お待たせいたしました長かった"エルとラル"もこれで最後となります。
ここまでお付き合いいただいて本当に嬉しいです!


「以上で事情聴取は終了です。お疲れ様でした…」

 

事件の後クランスピア社に任意同行を求められたラル・メル・マータは事情聴取を終えクランスピア社を出る…

 

外では父親が自分の帰りを待っていた。

 

「お父様…」

 

正直、まだ色々と整理がついていなかった。今まで自分に優しくしてくれたマグナが実はアルクノアと繋がっていたこと。

そして、我が家を利用してクランスピア社へのテロ計画を建て、いざとなれば家にすべての罪をなすりつけて退散するつもりだったこと。それがクランスピア社のエージェントから聞いた事実だった。

そして、それを調べあげたのは、他でもないメイドとして入ってきた少女エル・ウィル・クルスニクだ。

聞いたときはうまく言葉では言い表せない戸惑が起こった。彼女を恨むことはできないが、これで我が家は……

 

父の車に乗り帰宅する。自分の縁談がダメになり家は再び没落の危機に陥るというのに車を運転している父は少し機嫌が良かった。

 

「何があったの?」

 

と聞くと父はこう答えた"クランスピア社と再び提携することになった"と…

なんでも、元々家の商会には注目していたらしく、アルクノアと共謀していた疑いが晴れれば契約するつもりだったらしい。

 

父は言った…事件を調査してくれたクランスピアのエージェントには感謝しないといけないと…

 

「そうだね…」

 

私もまっすぐ向き合わなければならない。私の幸せを守ってくれた彼女に…

 

 

ーーーーーーー

 

 

「自分の存在がこの世界の人間の運命を歪めてしまっている…そう感じているのですね……」

 

「うん…」

 

エルは仕事が終わったあとその時のことをローエンに相談していた。

 

「確かにエルさんがいなければラルさんの家はクランスピア社との提携を断ち切ることはなく、想い人と結ばれ安定した幸せがラルさんを待っていたかもしれません…」

 

ローエンが言ったのは確かな現実。変えようのない事実だ。エルには否定しようがない。

だが、ローエンは今度は違う事実を突きつけた。

 

「しかし、イバル社長がいなければ、あなたはラルさんと出会うことはなかったかもしれません。それに私がいなければ、潜入の方法がなく作戦は中止になっていたかもしれません。そもそもラルさんがいなければあなたが今こんなに悩むこともなかった可能性だってあります。」

 

それ聞いて戸惑いながらも顔を上げるエル。そんなエルにローエンは優しい笑顔を向けた。

 

「生きるということはそういうことなのです。他の人の人生に関わらない人などいません。他人に影響を与え、互いに干渉し続ける。分史世界のエルさんだけでなく、正史世界の私達に取っても同じなのです…」

 

それを聞いてエルが思い出したのはルドガーのことだった。ルドガーがいなければ自分はリドウに攫われひどい目に合っていただろうし、この世界の皆と出会うこともなかっただろう。そして何より…

 

「ルドガーがいなければ、エルは今、こうして生きていることができなかった…」

 

「その通りです。人が人に与える影響というのは様々なのです。きっとエルさんがいたことでラルさんに与えたのは悪い影響だけではない…私はそう思います…」

 

嘘のない人生の先輩としてのローエンの言葉。それはエルを元気づけるには十分だった…

 

「だと、いいんだけどね…」

 

というエルの顔に少し笑顔が戻っていた…

 

 

ーーーーーーー

 

 

「と、言う訳で今日の仕事はだな!クランスピア要人の警護だ!」

 

数日後、エルは再びイバルに仕事の依頼を受けていた。

正直、まだあのことから完全に吹っ切れたわけではなかったがそれでも、ローエンのおかげで少し元気を取り戻していた。

 

「それでだな、その要人は、えーっと…」

 

あろうことか名前を忘れてしまったイバルにヴェルが補足を入れた…

 

「警護対象はリューゲン商会の新代表です。名前はラル……」

 

「え!?」

 

エルはそれを聞いてはっと顔を上げる。

 

「ラル・メル・マータです。」

 

ダッ!

 

「あ!おい!」

 

イバルの静止も聞かずにエルは走りだした。

途中で書類を運んでいた社員にぶつかるも軽く会釈をするだけで足を止めることはない。ただひたすら目的地に向かって走り続ける。

 

「はぁ、はぁ…」

 

会社の応接室につき、息を切らし扉の前に立つ。

 

彼女にどんな顔をして会えばいいかわからない。だが、それでもエルは自分の与えた影響を見定めるために両手で力いっぱい扉を開けた…

 

「どうも、本日よりクランスピア社と提携させていただきます。リューゲン商会代表の…」

 

扉を開けた先には確かにあった。あの日屋敷で見た幸せそうな笑顔が…

 

「ラル・メル・マータです。」

 

 

 

 

chapter5 〜"エル"とラル〜 end




しばらくは重い話がずっと続きましたね。
またしばらくは息抜き的な話が入ると思いますので待っていてください!
感想等お待ちしております。


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chapter6〜エルのタレント活動〜
エルのタレント活動


一日一話ペースに限界を感じてきたこの頃…

でもやろうと思えばできるもんなんだな案外…


テーンテテテテーンテンテンテン♪

 

機嫌よく朝食のトマトサンドを作っているエルのGHSが鳴り響く

GHSの画面を見るとどうやらアルヴィンからの着信のようだ。

 

ピッ

 

電話に出ると慌て出すアルヴィンの声が

 

「おいエル!大変だ!!」

 

「あ!アルヴィン?調度良かったエルも大変なの。」

 

「ん?どうした?」

 

「実はトマトサンドに挟むレタスが切れちゃってさ。代わりにキャベツかサラダ菜を使おうと思ってるんだ。アルヴィンならどっちを…」

 

「んなことどうでもいいだろうが!!!!」

 

受話器から大音量でアルヴィンの叫び声が聞こえてきた。

エルは思わず一度GHSを耳から話してしまう。

 

「もー、いきなり叫ばないでよ〜。それで、どうしたの?」

 

自分にとっては大事な話だったのに話の腰を折られて、若干不機嫌になりつつもちゃんと何があったのか聞くことにする。

尋ねてみると

 

「いいか、よく聞け…」

 

と前置きをして、こう答えた…

 

「TVイル・ファンから番組出演のオファーがあった…新番組砂浜戦隊サンオイルスターX(エクシリア)に謎の女戦士エクシリアシルバーとして番組出演して欲しいそうだ…」

 

「……」

 

時が止まったかのような沈黙が流れる…

 

「え?今なんて?…」

 

聞き間違いかもしれない。そう思ったエルはもう一度聞き返した。

 

「だから、砂浜戦隊サンオイルスターシリーズの新作への出演オファーが来たんだよ!」

 

事実を再確認するエル…

するとエルは左手を固く握り、その拳をつきだした。天に向かって…

 

「や、やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

その声はマンションフレール全域に響き渡ったという…

 

「イェーイ!やったー!トロピカルヤッホーイ!!」

 

ーーーーーーー

 

リーゼ・マクシアのイル・ファン港。船着場ではアルヴィンが待っていた。

 

「お!来たな!」

 

エルはコルルを抱いて上機嫌で船を降りてくる。

 

「やっと着いた!早く行こうよアルヴィン!!急がないと!!」

 

「おいおい、そんなに慌てなくてもサンオイルスターは逃げないって」

 

「ダーメ!エルが待ちきれないの!」

 

エルはアルヴィンの手をぐいぐい引っ張ってイル・ファンへ入っていた。

 

砂浜戦隊サンオイルスターシリーズはは子どもたちに大人気の特撮ヒーロー番組だ。

初代サンオイルスターから終わるたびにキャストを一新した新シリーズが始まり今では十年以上続く長寿番組となっている。

エルは8歳のこらからずっとこのシリーズの大ファンであり、よくルドガーやガイアス、ミュゼを巻き込んでなりきり遊びをしていた。ちなみにエルの役は性格はイエローなグリーン。

アルヴィンに子役としての活動を勧められた時から目標は砂浜戦隊サンオイルスターに出演することであった。

子供の頃からのあこがれであり夢であったサンオイルスターへの出演、しかも、一番美味しいヒーロー役になれたことがエルは嬉しくてたまらなかったのだ。

 

「しっかし、まさか、本当に出演できるとはな…」

 

「当然だよ!エルはそのために今まで活動してきたんだから!」

 

そして、遂にイル・ファンのTV局へと辿り着く。

これまでかつてないほどのワクワクと高揚感を持って、エルは扉をくぐった…

 

ここから、エクシリアシルバー役のエル・ウィル・クルスニクとしての活動が始まるのである…




俺は忘れない。
ルドガー、ガイアス、ミュゼ、エルの勝利後の掛け合いを…

感想等お待ちしています!


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エルのタレント活動〜役作りのために〜

昨日は投稿しようと思ったのに疲れのあまり気づいたら寝てた次第であります


「お前にできるのか!?選択が!破壊が!答えろ!エクシリアレッド!!」

 

「うわー…」

 

台本を持ち、かなり切れのある演技を見せるエルとそれに付き合って棒読みの演技をするアルヴィン。

 

「もう、なんでそんなに棒読みなのかな、アルヴィンは?」

 

「仕方ねぇだろ、こっちは本職の俳優じゃないんだからさ。確かに嘘つくのは得意だったけど、さすがにこんなのは初めてだから」

 

と言って机の上に台本を投げ出す。

 

「もう、しょうがないな〜。あ、お昼まだでしょ?ちょっと待ってて、朝作ったサンドイッチが残ってるから…」

 

エルも台本を机に置き台所へ向かう。

 

「しっかし、お前、どんな役どころなわけ?いきなりエクシリアレッドに攻撃してるし、本当にヒーローの役なの?」

 

「えっとね、五人のサンオイルスターXの前に度々現れてはアドバイスを与えたり攻撃をしたりする。敵か味方か分からない謎の戦士エクシリアシルバーだって。あと、エクシリアレッドの姉役もやるんだよ。」

 

と、お茶とサンドイッチをお盆に入れてもどってくる。

 

「あー、はいはい。んで、エクシリアシルバーの正体はレッドの優しい姉だったってわけね。」

 

「そ、そういうこと。」

 

と、言った感じでゆるゆると喋りながら二人はサンドイッチを頬張り始めた。

 

するとエルがこんなことを…

 

「でもさぁ、なんかキャラを掴みにくいんだよね〜。むぐむぐ、ほら、むぐむぐ、周りにエクシリアシルバーみたいな人っていないから…」

 

「おいおい、食べながら喋るなよ。んで、どんなキャラなの?」

 

「ん、んっくん!あのね…男口調で信念を貫く強い意志を持ってるんだけど、その分一人で突っ走りがちで周りが見えなくなることが多い。みたいな…いないよねー、エルたちの周りには」

 

……凄く困った顔をするアルヴィン。

 

「いや、いただろ…まんまそんな性格のやつ…」

 

予想外の答えにエルははっとなり、身を乗り出す

 

「え?誰!?」

 

その反応に若干引きつつもアルヴィンは答えた。

 

「み、ミラだよミラ!マクスウェルの方の!あいつそんな感じじゃん?」

 

「あ!あー!そうだ!使命をなさなければならないとかそんなこと言ってた!!」

 

この反応全然気づかなかったらしい。しかし、そこには問題があった。ミラは精霊界に行ってしまった。そのため話を聞くどころか、会うことすらできないのだ。

 

「どうしようアルヴィン。せっかく役作りのヒントが出てきたのに、エル、あっちのミラのことは実はあんまり知らないよ…」

 

「うーん、じゃあ、よく知ってる奴に聞いてみればいいんじゃない?ほら」

 

提案と同時にエルも気がついたらしく二人はお互いに指を刺し合い同時に言った

 

「「ジュード!!」」

 

 

ーーーーーーー

 

 

「それで、ミラの話を聞くためにわざわざここまで…」

 

「うん!」

 

ということでトルバラン街道を抜けヘリオボーグ研究所までやってきた。

アポなしで直接押しかけたのだという…

当然、そんな状況でエルの事情が優先されるわけもなく…

 

「マティス博士。そろそろお時間です。」

 

「あ、うん、今行くよ。ごめん、後にしてもらってもいいかな?」

 

「ん?わかった!」

 

ジュードの手が空くまで待つことになった…

 

 

「……ちょっとそこら辺見て回ろうかな…」



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エルのタレント活動〜正義のヒーロー〜

遅くなって申し訳ない!!(土下座)

諸事情により投稿が遅れてしまいました。
今後はなるべく早く投稿できるように頑張ります!!


「ちょっと!つぎの資料急いで!」

 

「トリグラフからのサンプルはまだなの!?」

 

ここはヘリオボーグ研究所。エレンピオスの精霊科学研究のオリジンの分野において最先端を行く研究所だ。

 

今日、エルがここに来た理由は研究者である。ジュード・マティス博士に話を聞くため。そして、ジュード・マティス博士に会いに来た理由は、次に出演する特撮番組の役作りのためだ。

 

しかし、いざ、研究所に来てみると…

 

「い、忙しそうだね…話し聞けそうな雰囲気じゃないかな…」

 

何やら研究者たちが慌ただしく走り回っており、役作りなんていう自分本位な理由で研究の邪魔をできそうな雰囲気ではなかった。

 

ジュードはちょっと待っていてくれと言った。きっと人のいい彼ならば忙しい状況でもなんとか時間を作って来てくれるだろう。

だが、そんなことをすればジュードはもちろん、ここにいる研究者全員に迷惑をかけてしまう。

 

「……また、今度にしよう。」

 

そういうことで、エルはジュードへの書き置きを受付の人に渡して今日は変えることにした。

 

ーーーーーーー

 

テーンテテテテンテンテンテーン♪

 

ヘリオボーグを出てすぐ、エルのGHSが鳴り始めた。

 

ピッ

 

「はい、もしもし」

 

「もしもし!エル!!」

 

レイアからの電話だ。かん高い興奮気味の声が聞こえる。なにやらいいニュースのようだ。

 

「エル!聞いたよー!ずっと出たかった番組にレギュラーでの出演が決まったんだって?おめでとう!!」

 

どうやら、アルヴィンが話したようだ。しかし、改めてお祝いされると少し照れくさいのかありがとうとだけ伝える。

 

「それでね!前にエルが言ってたケーキ屋さんでお祝いしようよ!もちろん!私が奢っちゃうよ!」

 

「え!本当に!?」

 

以前から週間トリグラフで話題になっていたケーキ屋。エルも前から行きたいと思っていのだが値段が張るという理由で敬遠していた。

エルはクランスピア社のマルチエージェントであり、タレント活動もやっていたのでもちろん収入は人並みい上であったが、幼い頃にお金に困る相棒の姿を見ていたので貧乏ぐらしが体に染み付いている。

そんなこんなで行きたいと思いつつも行けなかったケーキ屋にレイアが連れて行ってくれるという。

エルは嬉しくてたまらなかった。

 

「もっちろん!!私に任せといてよ!じゃあ、今からトリグラフに来れる?」

 

「うん!もちろん!」

 

「それじゃあ、先に行って席とっとくから!」

 

ピッ

 

こうなってはいてもたってもいられない。そんなわけで急いでトリグラフに行こうとした。しかし…

 

「なんだって!?一人でトルバラン街道に!?」

 

出口でジュードが研究者達と話している声が聞こえてきた。何やらもめているらしい。

 

「どうして護衛もなしに!今あそこはヴェヴィアントアイが出るから危険だって言うことはわかっていたでしょう!」

 

「!!、ギガントモンスター出没地点に一人で!?」

 

ヴィアンドアイは虫型の大型モンスター。巨大な鎌を持っているため一般人ではそう簡単に逃げることはできない危険なモンスターだ。

 

「とにかく、トルバラン街道へは僕が行きます!だから、皆さんはここで待っていてください!」

 

ジュードは研究者の静止も聞かずに街道の方へ駆け出した…

 

「……」

 

 

ーーーーーーー

 

 

「転泡!」

 

トルバラン街道、ヴェヴィアンドアイと交戦していたジュードは素早い足払いで敵を転倒させることに成功する。

襲われていた研究者も無事逃げることができた。

しかし、携行していた回復アイテムは底をつき、体格が大きい割に素早いヴェヴィアンドアイから逃げることができないジュードは追い込まれていた。

 

「このままじゃまずい、治癒孔で回復を…」

 

だが、構えに入った瞬間に敵が起きがってしまう。

 

「速い!?」

 

そして、背中の大きな羽を広げると、その羽が赤く変色し始める。

相手の動きを封じる粉を振りまく"ストーンパウダー"の合図だった。

 

「しまった!今からじゃ間に合わない!!」

 

ストーンパウダーは広範囲に広がる。

今からではどの方向へ走ってもよけきれないし、集中回避を行おうとしても敵の動きを見極めるため一旦後退しなければならないためその間に毒性の粉を浴びることになる。

 

ヴェヴィアンドアイの羽が動き始める… 

 

ここまでか、と覚悟したその時。

 

「トライスパロー!!」

 

じゃれつくような3つの風の弾がヴェヴィアンドアイに命中し動きを止めた。

そして、ジュードの目の前に一人の少女が降り立つ。

 

「エル!!」

 

振り返り頷くエルは持っていた双銃をハンマーに持ち変えると…

 

「サイカトリス!」

 

癒やしの魔法陣を描き、ジュードの傷を癒やした。

 

「話は後、まずはあいつをやっつけよう!」

 

「うん!わかった!」

 

咆哮を上げ体制を立てなおしたヴェヴィアンドアイに向かって二人は走った。

 

「リンクオン!」

 

ジュードとエルのアローサルオーブが共鳴し共闘状態となる二人。

 

「エイミングヒート!」

 

「臥竜空破!」

 

エルが撃ちだした炎の弾でヴェヴィアンドアイを怯ませてジュードがアッパーで打ち上げる。

 

「行くよジュード!」

 

エルはすぐにハンマーに持ち替え、落下してきたヴェヴィアンドアイを地面に打ち付ける。それと同時にジュードが空中から急降下蹴りをヴェヴィアンドアイに浴びせた。

 

「「臥竜裂渦!!」」

 

周囲に水柱が巻き起こり、ヴェヴィアンドアイは目眩を起こしたのかフラフラになる。

 

「「双砕迅!!」」

 

更に二人は高速の突きを繰り出しながら交錯した後、中心部で光を炸裂させ追撃をかける。

 

かつてルドガーとジュードが使っていた共鳴術技で次々と攻撃を加えていく二人

 

「凄い、本当にルドガーと一緒に戦ってるみたい。」

 

笑顔を向けるジュードにエルはルドガーと同じ笑顔で答えた。

 

「当然だし!ルドガーは私の相棒なんだから!さぁ、これで決めよう!」

 

敵に向かって走りだすエル、それに合わせてジュードも走り出す。

 

二人は敵の周囲を周り竜巻を起こす。

竜巻によって浮かび上がるヴェヴィアンドアイ。エルとジュードも空高く飛ぶ。

 

「風を紡ぎ!」

 

「大地を断つ!」

 

そして、二人で渾身の蹴りを敵に繰り出した。

 

「「天招・風縛殺!!」」

 

 

ーーーーーーー

 

 

動かなくなったヴェヴィアンドアイを見て一息つくジュード。それに対してエルは…

 

「うーん、今から走ればなんとか間に合うかな…とにかく!急がないと!!」

 

と、何やら慌てていた。レイアとの待ち合わせの時間が迫っているのだ

 

「え、待ち合わせがあるのに助けに来てくれたの?どうして…」

 

自分を案じてくれたのは嬉しいが無理をさせてしまったのではと心配するジュード。

そんなジュードにエルは背中を向けたまま答えた。

 

「だって!仮にも正義のヒーローだからさ!!」

 

それだけ言って走っていくエルを見送るジュード…

 

「ははは、役作りっていうのも楽じゃないんだね…」

 

息を切らしながら、研究者に戻っていった。

 

「僕も、仮にも研究者だから、頑張らないとね…」

 

chapter6〜エルのタレント活動〜end




さて、今回ですが、実は文字数が今までの二倍近くあるんですよね。
今後もこの分量で行こうか迷ってます。

さて、どうしましょう…

L1、前の文字数がいい!
R1、今回の文字数がいい!

感想をお待ちしています!


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ネコ派遣!コルルの大冒険!
ネコ派遣!コルルの大冒険!


ฅ(・ω・ฅ)にゃー!


「頑張ってねー!」

 

今日はコルルの初めてのネコ派遣の日です。飼い主のエルに見送られ元気一杯に飛び出します!

今日の派遣先はリーゼ・マクシアの雪国カン・バルク

猫の苦手な寒い場所だけど、コルルは頑張れるかな?

親のルルもちょっと心配そうです。

 

ーーーーーーー

 

モン高原までやって来ました!

 

岩陰でちょっと一休み。

するとコルルは背負っていたかばんからカリカリを取り出しました。

 

飼い主のエルが途中でお腹が空くだろうと持たせてくれたようです。

おかげでコルルは上機嫌。良かったね!コルル!

 

おや、するとどこからか匂いに釣られて猫がやってきたようです…

コルルの食べているカリカリを物欲しそうにじぃ〜っと見ています。

 

コルルもそれに気が付きました。さて、どうするのかな?…

 

コルルは後から来た猫ちゃんに場所を半分譲ってあげました。これには後から来た子もおお喜び。

二人仲良くカリカリを食べました。

 

親、よく見るとこの猫ちゃんはコルルが暮らすマンションの一階に住んでいた"のっち"ちゃんです!

また飼い主から逃げ出して、そのまま迷子になっちゃったみたい。

カリカリをくれたお礼についてきてくれるというのっちちゃん。一緒に派遣先に行ってそのまま飼い主のところへ帰りましょう!

 

ーーーーーーー

 

モン高原には魔物もいっぱいいるけれど、悪いことをする盗賊さんもいっぱい。

エルに言われたとおり怖い人たちに近づかないように気をつけながら進みます…

安全にモン高原を抜けることができるかな?

 

あ、あんなところに倒れている人がいます!こんなところで寝ていたら凍えてしまいます。

でも、服装を見るとどうやら盗賊さんみたいです。のっちちゃんは怖がって近づけません。

 

おや、コルルは倒れている人に近づくと武器を外し始めました。

そして、服を噛んでズルズルとひきずっていきます。

この人が寒さで凍えてしまわないように、暖かい場所まで運んで行くつもりのようです。

"困った人を見たらなるべく助けろ"ちゃんとエルとの約束を守りました!

 

 

ーーーーーーー

 

 

洞窟の中で盗賊さんは目を覚ましました。

武器がなくなって少し慌てたけど命を拾ったことを確認し安心したようです。

 

すると、盗賊さんはコルルとのっちに気が付きました。

君たちが助けてくれたのか?と尋ねる盗賊さん。

コルルは返事の代わりにナァ〜と一声泣きました。

言葉は使えなくてもこうやって気持ちを伝えます。

すると、盗賊さん、自分の荷物から何かを取り出してコルルに渡しました。

 

これは…カン・バルクの名産品、ガイアス饅頭です!

 

良かったね。コルル、きっとエルも喜んでくれるよ!

 

ここで盗賊さんとはお別れです。

バイバイ、もう悪い子としちゃダメだよ!

 

さぁ、いよいよカン・バルクへ向かいます。コルルはちゃんとアイテムを見つけることができるかな?




ฅ( ̳• ·̫ • ̳ฅ)にゃ♡(*ฅ•ω•ฅ*)ฅ(・ω・ฅ)ンニャー♡

というわけで今回は猫回です!
セリフテキストなしというのには賛否がわかれると思いますが見守ってくれると嬉しいですw

感想をお待ちしています!


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ネコ派遣!コルルの大冒険2!

(ฅ'ω'ฅ)♪ฅ(・ω・ฅ)ฅ(*´ω`*ฅ)ฅ(・ω・ฅ)ンニャー♡




さて、カンバルクに着いたコルルは早速アイテムを探します!

 

凄く寒そう。猫は寒いのが苦手だからね。

でも、帰りを待ってくれているエルのためにも頑張ってアイテムを探そう!…

 

あれ?そっちは宿屋だよ。

コルルは宿屋に入っていっちゃいました。

どうやら寒さに耐えられなくなったようです。

それでいいのかな?

 

部屋の中、コルルは高原で出会ったのっちと一緒に丸くなります。休憩したらちゃんとアイテムを探しに行こうね。

 

おや、するとコルル、ベッドの下で何かをみつけました。

ベッドの下に手を伸ばしてそれを手繰り寄せます。

 

なかなか出てこない…おや、これは……

 

羽ペンです。誰かが落として行ったのかな?でも、アイテムを無事手に入れることが出来ました。

こういうこともあるんだね。

 

 

ーーーーーーー

 

 

さて、宿屋を出たコルルは街の中を歩き始めます。今度はちゃんとアイテムを探さなきゃダメだよ。

 

でも、街の中ではあんまりいいものは落ちてないみたい。

道路に落ちているものは見つけた人が拾ってしまいます。

どうしたらいいんでしょう…

 

 

おや、するとコルルは建物を伝って屋根の上に登り始めました。

 

そっか!屋根の上ならあまり人が来ないね。でも、こんなところにアイテムなんて落ちてるのかな?

 

あ!そう言っているとみつけました!

暖かそうな毛皮です。

風で飛ばされて屋根まで飛んできたみたい。

 

すぐに拾わず中でぬくぬく暖まるコルルとのっち。やっぱり、寒いのは苦手なんだね。

 

屋根の上を歩いていると今度は一匹の猫を見つけました。

何やらブルブルと震えています。

 

寒いのかな?と思って話を聞いてみます。

どうやら、自分で登ってきたのはいいけれど、高いところから降りられなくなったみたい。

それを聞いて気が付きました!コルルも登るのは得意だけど降りるのは苦手です!

どうしよう!このままじゃ、エルのところへ帰れなくなっちゃう!

 

 

ーーーーーーー

 

とりあえず、拾った毛皮で暖を取る三匹。助けを呼ぼうと町の人に向かって鳴きますがこちらには見向きもしてくれません。

人間では猫の言っていることが分からないのです。

そうしている間にどんどん不安な気持ちは広がっていきます。

このまま帰れなくなったらどうしよう…

 

すると、なんだか聞いたことのある声が聞こえてきました

 

「いいか!ここは雪国とは言え王都だ!ここでの関係を強く持たなければリーゼ・マクシア、エレンピオス双方の橋渡しになることなどあり得ない!!」

 

褐色の肌に後ろで束ねた銀色の髪。そして、あの大きな態度は…

エルの仕事先の偉い人、イバルさんです!

あの人に声をかけてみよう!

 

にゃーん!

 

と、元気に鳴くと…

 

「ん?」

 

こっちに反応してくれました!

助けを求めるために必死で鳴きます。

 

「何!?自分たちで登った屋根から降りられなくなっただって!?待ってろ!すぐ助けてやる!!」

 

どうやら、イバルさんには猫の言葉がわかるみたい!

会社の人たちの静止を振り切って助けに来てくれました!

 

イバルさんが良い人で良かったね!これからはエルがバカにしてるからって一緒になって見下しちゃダメだよ。

 

ーーーーーーー

 

「なるほど、普段世話をしてくれている主人のために役に立つアイテムを探していたというわけか…いい子たちなんだ……」

 

イバルさんはコルル達の行動に感動してすすり泣きます。

何もそこまでしなくていいのにと思いながら見ていると何やら荷物の中から何かを取り出しました。

 

「お前たちにこれをやろう!主人に持っていけばきっと喜んでくれるぞ!」

 

これは…虹色レンズです!イバルさん!コルルたちにいいアイテムを渡してくれました。

イバルさん、本当にありがとう!

 

「何、礼には及ばないさ!強く生きろよ!!」

 

 

ーーーーーーー

 

 

というわけで今回はお供の猫二匹と、ガイアス饅頭、羽ペン、虹色レンズを手に入れました。

 

「こんなにたくさん!すごいよコルル!!」

 

飼い主であるエルもとても喜んでくれましました。大変なこともたくさんあったけど、エルの笑顔が見れて、良かったね、コルル…

 

 

ネコ派遣!コルルの大冒険 end




と、いうわけでネコ派遣終了です。

いやはや、ネコ派遣で派遣された猫達はどうやってアイテムを確保していたのかを想像したら結構面白くなりましたw

ご意見ご感想お待ちしています!!


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chapter7〜アスコルド再建計画〜
アスコル再建計画〜思い出の列車〜


皆さんおまたせしました!再び長編に移りたいとおもいます。

そしてですね、テイルズオブエクシリア2.ご〜エル・ウィル・クルスニクの日常〜お気に入り登録件数が30人を突破しました!!

これも日頃応援してくださる皆さんのおかげです!これからも応援よろしくお願いします!!


【挿絵表示】



「違う!俺はそんなことしてない!!」

 

トリグラフ駅の改札前で揉め事が起きていた。一人の男性が駅員に捕まっており、その横には一人の女性がいる。

 

「本当よ!さっきの電車でこの人が私のおしりを触ったの!」

 

「何を言っているんだ!」

 

「とにかく、こっちに来てもらおうか。」

 

どうやら、痴漢騒ぎのようだ。女性が男を捕まえ、置換の容疑で駅員につきだしていると言ったところだろう。大声で騒いでいたため周囲の目もそちらに集まっており、「やだ、痴漢なんて」など口々に不平をもらしている。

 

「騒げば事態が大きくなるだけだぞ。」

 

駅員に言われてようやく周りの状況に気づく男。さっきまで抗議をしていた手を止める。周りには味方のいない孤立無援の状況。男はもう、捕まる以外の道はないように思えた。

 

しかし、一人の少女が前に出てきた。淡い茶色の髪にエレンピオスらしいダークグリーンのシャツに赤いネクタイのファッション。手に持ったかばんには子供用の小さな帽子がくっついている。その少女"エル・ウィル・クルスニク"は被害者である女性に対してこんなことを言った。

 

「嘘だよね、この人に何かされたなんて…」

 

「な!?」

 

突然、自分の説明を否定され、頭に血が上る女性。すぐに反論出す。

 

「いきなり現れて何よ!?なんでそんなことがあなたにわかるのよ!!」

 

突然の自体に周囲は呆然となる。しかし、エルは全く動じることなく男の手元を指さして淡々と説明をした。

 

「その人は両手に大っきな鞄を2つも持ってる。それにさっきの電車は外から見ても分かるくらい満員だった。そんな車内であなたのおしりを触ろうと思えば鞄を置くしかないけれどあの満員電車ではその大きさの鞄を置くようなスペースはない。その人に犯行は不可能よ…」

 

エルに促され男の手荷物を確認する駅員。ようやくその事実に気づいたようだ。

突然の立場逆転にたじろぐ女性はその場から逃げ出そうとする。

しかし、エルは女性を逃さなかった。その女性の腕をがっしりとつかむ。

 

「痴漢の冤罪はダメだよ。相手の人生を大きく狂わせることになるんだから…」

 

こうして、冤罪をかけられていた男性は助かり、女性はあえなく御用となった。

 

「ありがとうございます。おかげで助かり……だ、大丈夫ですか?…」

 

礼を言おうとした男性はエルの様子を見て心配そうに尋ねる。

その時のエルがとても暗い表情をしていたからだ。

 

「なんでもありません。少し、昔のことを思い出しただけですから……」

 

そう、エルは八年前、このトリグラフ駅でのことを思い出していた。

大切な相棒との初めてであった時のことを……

 

 

ーーーーーーー

 

 

「電車、おじさんたちが見張ってるよ…」

 

パパに言われて、トリグラフを10時出発の電車に乗るためにやって来た八歳の少女エル…

しかし、お金を持っていないため、切符を買うことができずにいた。

 

このままではパパが危ない。なんとか十時発の電車に乗りなんでも願いを叶得てくれる場所"カナンの地"に行くためにはなんとか侵入するしかなかった…

 

「あのおじさんが別のところを見ててくれたらなぁ…」

 

そんな時一人の青年が入ってくるのが見えた。どうやら駅員に用があるらしく、改札口まで切符を買わずに歩いてくる。

それを見たエルはあることを思いついた。

一瞬でも駅員のおじさんがあの人の方を見ていてくれればいい…

 

そう思ったエルは青年の後を黙ってついていく。そして…

 

 

 

「ちょっと、来てもらおうか。その子が君に変なことをされたと言っているんだが…」

 

エルの作戦はうまく行きおじさんは青年の方だけを見ている。

その間に改札を抜け電車の前まで来ることができた。

そして、青年の方を見て口を動かす。

 

ご・め・ん・ね

 

 

 

あの時は子供だから分からなかった。でも、今になって思う。自分はとんでもないことをしていたのだと。相棒は許してくれたけど、本当なら恨まれても仕方なかったのだということを…

 

 

ーーーーーーー

 

 

「おまたせいたしました。エル様」

 

気づくと隣にはクランスピア社の秘書。ヴェルが控えていた。

まだ約束した時間の5分前だが、社員に気を使うヴェルに思わずクスリと笑ってしまうエル。

 

「気にしなくていいよ。電車に乗るときは必ず早く着くのはエルの性分だし。」

 

そう、10年前。父のために必ず十時の電車に乗らなければと早い時間から駅に来ていた時の思い出がまだ残っているから…

 

「そうですか、では今回の任務ですが」

 

手帳を開き丁寧に説明を始める。

 

「本日より開放される10時発のアスコルド行きの電車の警備、及び本日11時から行われる自然工場アスコルドの開会セレモニーの警備となっています。アスコルドに全フロアに一チームのエージェントが配備されることとなり、エル様の担当は…」

 

「中央ドームの制御ルームだよね。」

 

「そのとおりです。」

 

ひと通りの確認を終える。おそらく他のメンバーもそれぞれの方法でアスコルドへ向かっているだろう。

列車で向かうのは列車警備の任務も兼ねているエルたちだけだ。

 

"自然工場アスコルド行き…まもなく発車致します。"

 

「さぁ、乗ろうか…」

 

早速列車に乗り込もうとするエルにヴェルは注意喚起を入れた。

 

「エル様、アスコルドには列車テロの前例が決して気を抜かないでください」

 

「…わかってるよ。列車テロの危険は多分ヴェルよりも知ってる……だって私は…」

 

事件の当事者なんだから……




ご意見ご感想お待ちしています!


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アスコルド再建計画〜ヴェルの心〜

おそくなってすみません。

ファイアーエムブレムが面白すぎてつい…

しかしどれだけ遅くなろうともこの小説は続けます!よろしくお願いします!


列車を降りたエルは外であとから降りる人たちを確認していく。

見ているのはその荷物だ…

そして、何人か気になるものを持っている人をメモに書き留めていく。

しかし、時期尚早とも言える対策をヴェルは引き止める

 

 

「…外見だけを見て目星をつけるのはまだ早いのでは?……」

 

「いや、見てるのは降りてくる人たちの特徴じゃない。その荷物だよ…」

 

十年前にトリグラフ中央駅で起きたアルクノアテロ。その時の手口は駅に運び込んだ大型ロッカーを爆発させ中から出たガスによってその場の人間が気絶している間に侵入するというものだった。

同じ手口が使われるとは限らないがテロに使う道具を持ち込むためには大きなかばんが必要になる。それを警戒しているのだ。

 

「しかし、入場前には屋外での持ち物検査もあります。それにエル様はエージェントであるということは伏せて入場する身ですあまり目立つ行動は控えていただきたい。」

 

「でも…」

 

テロは多くの犠牲者を生む。かつてエルも、その惨状を二度に渡り経験してきた。またあれが繰り返される、そう思うといても立ってもいられないのだ。

 

「エル様、お気持ちは察しますが…」

 

ポンとヴェルはエルの肩に手をおいた。それによりエルは気づく。肩に力が入り過ぎて体が強張ってしまっていたことに…

いつの間にか思いつめすぎるあまり、気負い過ぎてしまっていたらしい。

 

「過度な緊張は仕事効率の低下をまねきます。そのことをゆめゆめお忘れなきよう…」

 

その時、エルは見た、いつも生真面目にただ仕事を淡々とこなしていくヴェルの表情に暗い影が落ちていたことを…

 

「ヴェル?……」

 

「お待ちしておりました。エル・ウィル・クルスニク様。」

 

ヴェルに話しかけようとしたが、すぐに重役の人が降りてきた。

すぐに気を引き締め直し重役と向き合う。

 

「クランスピア社、マルチエージェントのエル・ウィル・クルスニクです。」

 

「アスコルド取締役のガロンです。よろしく。」

 

ガロンの差し出した手に応じて握手を交わす。ヴェルのことも気になるが仕事は仕事だ。しっかりとこなさなければならない。

 

「いやぁ!エレンピオスを代表する企業クランスピア社の方に来てもらえて光栄です。」

 

「いえ、こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。」

 

廊下を歩きながら差し障りのない会話をする。

 

この自然工場アスコルドは10年前、精霊技術を使った次世代工場としてお披露目するはずだった場所だ。しかし、アルクノアよる列車テロにより、車体が建物に激突。多くの犠牲者を生む大事件となってしまった。

そのアスコルドがオリジンの技術により10年の時を経て再び蘇ることとなった。

 

今回、テロの防止が任務のエルだが、表向きはクランスピア社代表のマルチエージェントとして招待されている。本来なら喜ぶべきことだろう。しかし、エルはそれができない…

 

「ここが、中央制御室になります。エネルギーの供給をするオリジンヴォルトはここで管理されることになります。」

 

「管理?」

 

突然、意気揚々と解説していたガロンの言葉に秘書のヴェルが反応を示した。

今までの彼女からしては珍しく言葉に感情が乗っている。

 

「失礼ながら、このオリジンの場合は協力してもらうという表現が適切かと…」

オリジンの基本理念には精霊術がある。

 

「はっ、何をおっしゃいますか…」

 

それでも、ガロンの態度は変わらない。自分の非を認めず傲慢な態度で返す

 

「精霊は我々にとっては燃料と同じですよ。燃料に協力などないでしょう」

 

「っ!」

 

その言葉を聞いて掴みかかろうとしたエルを引き止めたのはヴェルだ。そのまま小声で耳打ちをする。

 

「落ち着いてくださいエル様。相手は主賓なのです。」

 

それを聞いて怒りをこらえる。

 

「それでは、行きましょうか」

 

そのまま黙って奥へついていった。

 

その時のヴェルの表情がこわばっていたことに気づかないまま…



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アスコルド再建計画〜ヴェルの心〜

さて、今回はちょっとヴェルについて考えてみました。

どうぞ


「アタックストレートコード!」

 

目の前の敵の詠唱が完了し、敵の周囲に魔法陣が展開される。

そして、エルの頭上に大きな雷球が出現。

 

「しまった!!」

 

「バニッシュボルト!!」

 

バチチチチチチィッ!!

 

雷球から無数の落雷が得るに降り注ぐ。なんとか防御態勢を整え、耐えることができたがエルの限界は近い。

 

「ジュード!防御は任せたよ!」

 

「わかったよ!さぁ、こっちだ!」

 

ジュードが敵、オリジンボルトをひきつけている間にレイアが治癒術の詠唱を開始した。

 

「くっ、でも、なんとかしないと…」

 

エルも銃を取りジュードの援護をしようとなんとか立ち上がる。

こうしている間にもヴェルは一般市民の避難をしているだろうから…

 

ーーーーーーーー

 

「おーい!エルー!」

 

中央制御室で行われるアスコルドの運転式に参加すべくやってきたレイアとジュードが警備任務についていたエルに気付き手を振った。それに気づいたエルも返事を返す。

 

「二人共!今日は式典に?」

 

「うん、一応完成したオリジンの確認もしておきたいからね。」

 

「私はもちろん取材だよ!アスコルド独占取材に抜擢されたんだ!」

 

「そっか、二人共頑張ってるんだ…」

 

かつてエルと世界のために戦ってくれた仲間たちの躍進は素直に嬉しかった。それぞれ自分の道を進み、違った形で世界に向き合っている仲間たち。今の自分も少しは彼らに近づけているのだろうか…

 

パチン…

 

すると、中央制御室の機械が動き始めた。いよいよアスコルドの起動を始めるようだ。

中央に設置されているのは精霊、ヴォルトの化石。

そして、オリジン起動のための装置だ。

 

「あれ、どうして…」

 

その時、ジュードが何やら違和感を感じだようだ。

その様子に気づいたエル、レイア、ヴェルが一斉にジュードの方を見る。

 

「あれ、クランスピア社で定められた規格のオリジン装置じゃない…一体なぜ……」

 

その後、ジュードが異変に気づくのとガロンがオリジンヴォルトを起動させるのはほぼ同時だった。

 

「おまたせいたしました!自然工場アスコルド!これより再動です!」

 

 

「待って!起動させちゃダメだ!」

 

ガシャン!

 

「ビカァァァァァァァァン!!」

 

目覚めた瞬間、一帯に電撃を放ち始めるオリジンヴォルト。周囲にいた研究員たちがその雷撃の餌食となる。

 

「な、なんだ!一体なぜ!?」

 

ガロンもなんとか直撃は免れたもののかなりの重症となった。

 

ジュード、レイア、エル、ヴェルの四人は急いでヴォルトの元へ走る。

 

「ジュード?これは一体?」

 

尋ねられたジュードは使われたオリジン装置を指さした。

 

「あの装置はクランスピア社で定められた規格の物じゃない。あの装置にはオリジンのシステムで最も重要な機関である。対話機関がついてないんだ。」

 

対話機関。オリジンの精霊に"協力してもらう"という機能に欠かせない部品。その名の通り協力を要請する際の対話を行うための機関である。この機関がなければ精霊に協力要請をすることができない。その状態でも無理に起動させるということは精霊の意思を無視するということに他ならない。

 

「それってつまり。」

 

「うん、きっとそれがオリジンヴォルトの暴走の原因だよ。」

 

バリバリバリバリィ!!

 

すぐに雷撃が四人を襲った。

エルが一緒に来たヴェルに向かって叫ぶ。

 

「ヴェルは下がって!この先は危険だよ!!」

 

「いいえ!できません。私はまだ軽傷の方の避難誘導にはいります!」

 

ヴェルからは強い意志が感じられる。

 

「もう、誰も失いたくない!!」

 

そして、その次の言葉からはヴェルの感情が感じられた…

 

ーーーーーーーー

 

 

「フィアフルウイング!!」

 

銃から撃ちだした3つの竜巻を発生させ、ヴォルトの撃ちだした雷撃を打ち消す。

その先には避難誘導をしているヴェルがいるからだ。

 

8歳のころからずっと見てきたヴェルは冷たい人なのだとずっと思ってきた。

相棒がどんなに精神的に追い詰められていようと淡々と事務的に仕事を押し付けてくるヴェル。

その姿に嫌悪感すら感じていた。

でも、一緒に仕事をしていて分かった…

彼女は本当は冷たい人じゃないんだということに…

自分の伝えた仕事に行き、そのまま帰って来なかった人たち…

彼らの死を聞き、常に自分の無力さに追い詰められ、それでも外では平静を装い、淡々と仕事を続ける日々。

決して自分の弱さを他には見せないという強さ。それが、彼女にはあった。

 

「だから、だからエルは!!」

 

一人でだ戦い続ける彼女の誇りを…

 

「絶対に守る!!」




もう少し続きます。でも、ヴェルの解釈、これでいいのかな?


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