蠱毒な少年 (巳傘ナコ)
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始まるための物語
第一話 生きたい


才能はない…

センスもない…

体力も知力もない…

少年には何もなかった…

 

『頑張れば必ず良い結果に繋がる!』

『努力は必ず報われる!』

人は言うけれど、そんな保証はどこにもない。

 

少なくとも、この物語の主人公うずまきナルトには当てはまらなかった。

いくら少年が努力しても取り巻く環境は何一つ変わらず、それどころか酷くなる一方だった。

 

少年が『俺は怪物じゃない!』と訴えれば、『黙れ!化物!』と殴られ、困っている人を助ければ、『近寄るな!』と怯えられた。

少年は認めてもらおうと頑張ったが、結局何も変わらなかった。

 

少年にとって世界は残酷なモノだった。

 

 

少年には【うちは】や【日向】のような特殊な力や後ろ楯も無く、【猪鹿蝶】のような助け合える仲間も居なかった。

最後の拠り所となるはずの両親は少年が産まれた日に全てを託して逝ってしまった。

 

まだ三、四歳…そんな少年に待っていたのは優しさでも暖かさでもなく周りからの暴力だった。

止まない罵声

止まない暴力

毒入りの食事

死と隣り合わせな日常…

 

そんな日々が、当たり前になるほど続いても少年は【死】によって楽にはなれなかった。

体に封じられし九尾のチャクラがどんな怪我も治してしまうからだ。

 

少年は幼いながらに思った。

自分には周りが当たり前のように持つ【愛】や【家族】、 【平穏】や【安心】など様々なモノが欠けている…

それはまるでパーツが足りない玩具か人形のようであると····

 

 

地獄の様な日々を送る少年が周りを恨むことはなかった。

過酷な毎日を過ごすなかで『死にたい』と思うより『生きたい!』という思いの方が日に日に強くなっていった。

少年が抱き、決意した『なにがなんでも生き抜いてやる!』そんな思いは力も知恵も何もない少年が唯一誰にも負けなかったモノだろう。

 

 

故に少年は諦めなかった。

『生きたい』と願う少年に周りを怨んでる暇などなかった。

生き残る為に周りにある物をとにかく観察し、出来る限りのモノを取り入れた。

とにかく色々欠けていた少年はどんな小さなモノも見逃さなかった。

 

アカデミーに入る前から図書館に通っては難易度や会得ランク、基礎や応用問わずにありとあらゆる本を読み漁った。

しかし幼い少年が一言一句、一説一論正確に理解できる本は何一つ無い。

 

それでも本の挿し絵やアカデミー生の訓練風景を見ては夜中にこっそり見よう見まねで練習した。

結果は惨敗で当時の少年には術や体術の練習はレベルが高すぎた。

 

チャクラ性質なんて論外で全くの成果無し。

忍術もからっきし駄目、むしろ術を出す時の理論からチンプンカンプン。

体術も幼い体には厳しく、何一つまともな技は得られなかった。

 

しかし全くの成果なしと言うわけではなかった。

同世代より読み書きを覚えるのは早かったし、少なからず忍の知識は増え、かなり曖昧ではあるがチャクラの存在をなんとなくだが感じられるようになった。

体術や技こそ無理ではあったが筋トレにはなったらしく丈夫で柔軟な体作りには役に立った。

 

むしろ急激に伸びた力は【観察】の方だ。

集団で餌を狩る蟻、蜜蜂の群を単体で蹴散らす雀蜂、罠を張る蜘蛛、擬態する蟷螂、雀を狩る猫、魚を取る鳥、毒を持つカエル、蛇や蜥蜴の移動、暴力を振るう人と罵倒だけの人などありとあらゆるものを観察し少しずつで はあるがそれらの仕草や雰囲気等を学んだ。

 

さらに観察の一貫として少年は動物や昆虫など飼える範囲で飼育した。

結果、口寄せ獣と忍みたいな関係を築く事に成功した。

周りの人を観察したおかげでその人の性格、特徴、悪意などを見抜けるようにもなった。

 

 

とにかく様々な方法を使って少年は生きる方法を模索し、その為にもありとあらゆるモノを見て学ぶ事に可能な限り時間を費やした。

 

少年は思う。

完全じゃなくて良い。

今日や明日なんかじゃなく今この瞬間襲ってくる【恐怖】を乗り越えられればまた新しい何かを見て、真似て、学ぶチャンスができる。

そのチャンスでまた何かをモノに出来れば次にやってくる【恐怖】をきっと乗り越えられる。

 

そんな少年の努力はもう直ぐ報われる事となる。

 

 

 

 

所変わってここは火影邸

 

三代目火影であるヒルゼンは水晶玉に映る少年を、自身が守るべき里人を見て、かつて誰かが言っていた『人は弱く愚かである…』そんな台詞を思い出していた。

 

 

何故なら人は手を取り合い、助け合い、励まし合い、協力し合う事が出来る素晴らしい存在であるが、同時に殺し合い、憎み合い、苦しめ合い、怨み合う悲しい1面ももっているからだ。

 

 

「どうしたものか……」

 

 

水晶玉に映るのは里の人間に殴られ、蹴られるうずまきナルトの姿。

ヒルゼンは信頼出来る暗部を呼び、直ぐに現場に向かわせたがソレが一時凌ぎの対策にしかならないことに頭を悩ませた。

 

 

「入るぞ…」

 

 

「ダンゾウか……護衛も付けずに来る程の大事と考えて良いのか?」

 

 

「ああ…うずまきナルトの事だ。」

 

 

そんな時、火影室のドアが開いた……その向こうに居たのはヒルゼンの古くからの戦友であり友人でもあり、自国他国関係なく全ての忍が【忍の闇】と怖れ嫌悪する人物、志村ダンゾウだった。

この二人が1つの部屋に互いに護衛も付けずいる光景を他人が見たら目を丸くしたであろう。

 

だがヒルゼンにとって周りが自分達の関係をどう見ていようと関係なかった。

互いの立場ゆえ昔のように合うことも減ったが、今でも共に茶を飲み、里の未来について語り合う大切な友人だからである。

 

 

「アイツは鍛えて強くするべきだ。木の葉の戦力として人柱力として。それが何よりアイツのためになる…」

 

 

「『ナルトのため』とは忍の闇とまで謳われたお主らしくない意見じゃな…」

 

 

二人は第一次、第二次と最も激しかった大戦を経験し、生き残った……それ故に彼等の世代は国を問わず【平和】の有り難みをよーく知っている。

 

それでも大小様々な戦が毎日のように起こる……自国の繁栄、復讐、侵略、富に権力とその理由は様々。

そんな戦争を何度も経験するうちにダンゾウは【対話】により平和が実現する確率は限り無く零に等しいと学び、【平和】のために修羅の道を歩むと決めたのだ。

 

そんな彼が言った『ナルトのためになる』という一人の少年を安否を優先するかのような言葉にヒルゼンは少なからず驚いた。

 

 

「クシナとミナトは火影とその妻としての役目を十分過ぎるほど果たした……自分達の未来とナルトの平穏を全てを賭けてな。

これ以上あの一家から何を奪えというのだ…只でさえ人柱力となったナルトには過酷な運命が待つ。

貴様の言葉を借りるなら、あやつ等一家も木の葉の里の【家族】……里の為に命散らした二人の代わりにナルトを鍛えることが我等の勤めであり償いではないか? 」

 

 

「……………」

 

 

「何も同情や憐れみだけで言ってる訳ではない。

あまりにも不安の種が多すぎるのだ……尾獣を探してる謎の傭兵集団、他里との均衡、そして儂が一番危惧しているのは新たな忍界大戦………表面上は平和が続いているが火種は山ほどあるからな…いつ起こってもおかしくない。」

 

 

「確かにな……この平和は長続きはしないとワシの中の何かが訴えておる。」

 

 

「今の世の噂や憶測を全て事実として今回の九尾襲来を考えるとあの一件自体が怪しく思えてならん……」

 

 

「やはりな…ワシもあの九尾の暴走には納得いく理由が見当たらんかった。なにより……」

 

 

「クシナとミナトが易々と九尾を解き放つとは思えん……ならば可能性は1つ。」

 

 

「誰かがもしくは何かが九尾を狙った…」

 

 

「だろうな…人柱力の出産時は封印が著しく弱る。恐らくずっとクシナの様子を見ていたのだろう……」

 

 

二人はクシナが人柱力で有ることも妊娠していることも一部の者以外誰にも知らせなかった。

知っていたのはヒルゼンにダンゾウ、ミナトに自来也、里の相談役の二人くらいだ。

 

 

「昔からの言い伝えを理由の1つにあげるなら今回の九尾出現は「世の節目・変わり目ではなかった」」

 

 

かつてより尾獣の襲来、特に九尾は大きな変化の前触れとして現れ、暴れると言われている。

以前クシナの依頼で二人が調べた結果、『起こる事象』が何であれ『九尾の出現』はあくまで『前触れ』であり、出現によって発生…つまり今回であれば、里の壊滅や民の死等は『おこる事象』には入らないと言うことが分かった。

 

故にミナト、クシナの死は九尾が現れなければ起こらなかったこと。それが『節目、変わり目』で合った可能性は限り無く低い……あくまで伝承や言い伝えという不確かなモノを調べた結果ではあるが二人はソレを一蹴しなかった。

 

 

「貴様も違和感を抱いていたなら話は早い……そう遠くない未来に必ず何かが起こる。だからこそ何も起こっていない今から鍛える必要があるのだ……」

 

 

「そうじゃな……ワシ等は表だっては守れん。ならせめて力を与え、使い道を教えてやるくらいせねばミナトとクシナに顔向け出来んな……当の本人にも学び、力をつける意志はあるようじゃしな……」

 

 

水晶玉に映るのは暴力振るわれたナルトが里人が去ったのを確認してから立ち上がる姿だった。

 

 

「これ以上、先延ばしには出来んようじゃ……今からナルトに会いに行くがダンゾウ、主はどうする?」

 

 

「儂も行こう……お前に任せていては甘やかしそうだしな…」

 

 

「まぁ、教育には厳しさも必要なのは確かじゃな。」

 

 

二人はナルトが住む森へと足を進めた。

突然の来訪者に驚き、辛く当たられる理由を知り、親が居ない理由を知り、隠されてきた真実を知ったナルトは泣き続けた。

ナルトが二人を信じるのに時間は掛からなかった。

例え優しさの裏に何か思惑があろうと二人は初めて嘘偽りなく全てを話してくたからだ。

こうしてアカデミーに入るまでの長い年月掛けてナルトは世の【善し悪し】と人の【良し悪し】を二人から学んだ。

 

ナルトは二人の『じいちゃん』に見守られながら成長する。

そしてナルトは恩師に、ライバルに、食を愛する友に、破天荒な義姉に出会っていくこととなる。

 

ナルトの世界を広げ、一歩踏み出す勇気をあたえた二人は後に英雄と讃えられることとなる。

 

 




どうもナコです!
何から何まで下手くそですいません…
アドバイスや感想貰えるとすごく嬉しいです!
ただの誹謗中傷は困りますが『~~』はこうしたほうが伝わりやすい、分かりやすい、読みにくいから文は此処で区切ったほうが良い等のアドバイスはお待ちしてます!
全てのアドバイスを反映できるわけでは無いですがよろしくお願いします!


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第二話 最後の弟子と最初の師匠(陽)

週末限定ではあるが二人がナルトを鍛えるようになり2年が過ぎた。

その間、ダンゾウは戦いの基本を、ヒルゼンは精神面の修行を行った。

 

ヒルゼンが精神面の修行に忍術以上に力を入れたのには訳がある。

それは不安定な精神はナルトの強みである『観察・思考・対応』を鈍らせ弱点に変え、更にはチャクラの質や練るスピード、術や体術の威力にも影響するからだ。

 

本日の修行内容はどうやら座禅らしい。

 

「あ、足痺れてきたってばね……」

 

「なんじゃ、もう限界なのか?」

 

「んなこと言ったって……じいちゃんは何で平気なの?」

 

「簡単なことじゃよ……痩せ我慢しとるだけじゃ…」

 

涼しい顔して会話するヒルゼンだが実はとっくの昔に限界がきていた。

しかし、鋭い観察眼を持つナルトにも表情や仕草からは全くそれが分からない。

 

「よいかナルト……忍に定まったルールはない。敵は1対1なんてフェアな戦いはせんし、此方が怪我してるからと待ってもくれん。」

 

「………うん。」

 

「じゃからこその『痩せ我慢』じゃ。窮地に陥いろうと、怪我をしていようとそれを敵に悟らせてはならん。」

 

ナルトはヒルゼンの話を聞きながら、暴力振るってくる里の住人達を思い出した。

彼等はナルトの怪我や容体などお構いなしに攻撃してきたからだ…

 

 

「儂の忍人生で学んだ三訓は『痩せ我慢・悪足掻き・無駄な努力はしてなんぼ』じゃ。」

 

「全部変だってばね……」

 

「ハハハ!そうじゃな…じゃがナルトには覚えてて欲しいんじゃ。

昔は儂も何をやってもダメじゃった……忍術は失敗、体術も才能無し。それでも儂は諦めきれなかった。

周りはそんな儂の修行を無駄な努力と言ったが、戦争が始まった時に『無駄な努力』が報われたんじゃよ。

儂の体は馬鹿の1つ覚えの様に修行続けるうちにタフになっとった。

じゃから数多の攻撃に曝されても儂が諦めない限り、この体は何度でも立ち上がった。

その時はまともに術も使えんかったが、ひたすら学んだおかげで印を見れば発動前に術を見抜き、対策を練れるようにもなった。」

 

「じいちゃんドベだったの!?……じいちゃんの体スゲェーってばね!」

 

「それからも周りが言う『無駄な努力』を続けて『プロフェッサー』と呼ばれるようになり、今じゃドベだった儂が火影じゃ。」

 

語られる物語に鼻息荒くしながら興奮するナルトを穏やかな笑顔浮かべながら撫でるヒルゼン。

その姿は誰が見ても幸せそうは祖父と孫にしか見えないだろう。

 

「人は『潔さ』に美学を見いだしたがる。じゃが、痩せ我慢して強がるのも、諦めずに格好悪く足掻くのも、報われないかもしれない努力をひたすら積み重ねるのも儂ら人間が持つ『権利』の1つじゃ。

権利を使わずに『潔く』死ぬも良いが、どうせならその『権利』使って足掻いて少しでも長く生きた方が良いじゃろ?」

 

「うん!俺も死ぬまでその『権利』使いまくってやるってばね!」

 

「うんうん……なら修行再開じゃな!」

 

「えぇぇー」

 

「何を聞いとったんじゃアホたれ!」

 

こうして二人の修行は続いた。

その後、ナルトは『権利』を死ぬその日まで使いまくったらしい……




どーもー!
今回は外伝第2話です!
プロローグど第1話に到るまでの修行風景の1コマです。
次回外伝第3話はダンゾウとの修行話になります!


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学園生活
第1訓 ナルト邸と彼の朝


木の葉隠れの里外れには草木茂り、生き物が多く住む緑豊かな森がある。

しかし里の人間はその森に近づこうとしない…

 

どうして?

 

その理由は単純、『化け狐が住む森』だからだ。

 

その森に住む『化け狐』とは腹に九尾を封印された12才の少年。

 

彼の名はうずまきナルト。

 

 

この森がどんな土地で、彼がどうして此処に住むことになったのかを簡単に説明しよう

 

まず土地についてだが、此処はその昔、里内で居住区や商店街を拡げる計画があり、その時の第一候補地だった。

しかし九尾襲来により里にかなりの被害が出たため、その復興が優先され、当然計画は先送りになり、いつの間にか計画自体が無くなった。

 

では彼はどうしてそんな場所に住んでいるのか…

それは今は亡き四代目がナルトに九尾を封印したことにより、ナルトが人柱力として過酷な運命を背負ってしまったからだ。

しかしその残酷過ぎる選択は親として火影として

『九尾から里を守った英雄として生きて欲しい』

『この子ならいつか九尾と分かり合い協力出来る』

という願いと希望を託すものだった。

 

そんな四代目の想いとは裏腹に里の人間達は、里を崩壊に追い込んだ『化け狐』としてナルトを蔑み、腫れ物か穢れのように扱った。

そして彼が同じ地区に住むのを嫌い、幼い彼を里外れのこの森に追いやったのだ。

当然そんな険悪の対象が住む場所に近づきたいなんて人は居らず、結果この広い土地は彼にとって安全地帯となり、彼が生きるために学ぶには最高の家となった。

 

 

side.ナルト

 

この森に住んで8年になるナルトです!

里の人間は『化け狐が住む森』と言って此処を嫌い、近づいてこないから森にいる間は俺は安全

おかげで修行、観察、育成に集中出来るから俺にとっては最高の場所なのだっ!

 

それに周りが森のおかげで修業内容や方法、観察と育成、食べ物などには困らないし、毎日は大袈裟かもしれないが新しい発見が尽きないため凄く楽しい!

 

 

今日はそんな俺の一日を紹介するってばね!

 

まず朝の4時位に起きて顔を洗って眠気を飛ばしてジャージに着替えてから軽くストレッチをし、それが終われば日課のランニング。

 

トレーニングの内容はランニング5Km走ったら、腕立て、腹筋、スクワットなど基礎を各100回

投擲練習は的に50回当たるまで時間無制限チャレンジ

それが終わればチャクラや忍術について本を読み漁り、予習復習を兼ねてチャクラコントロールが重要な木登り、枝渡り、崖登り、印の結び方、術や体へのチャクラ配分の練習をして最後に柔軟トレーニング

 

コレはじいちゃん達に忍者は『体が第一!』 と教わったメニューで週末以外は毎日してるってばね!

それで朝のトレーニングが終わるのは大体7時を少し過ぎたくらい。

 

今でこそ3時間弱でこなしてるけど昔は死ぬ程大変だった……ランニングは休み休みやっても1Km弱が限界、筋トレも各10回でヘトヘト、当時投擲は的に1回当てればOKだったが中々当たらず4時間投げっぱ。

木登り、枝渡り、崖登りは生傷絶えず、慣れない印結びは腕や指をつってしまい、術や体へのチャクラ配分はミスして暴発や毎日筋肉痛が絶えなくて大変だった…

 

しかーし、今日まで諦めず積み重ねてきた努力は少しずつだけどちゃーんと成果を出してた!

昔は信じたくなかったし報われないと決めつけてた努力や頑張りに少し感謝だってばね!

 

トレーニングが終われば家に戻るんだけど途中で畑によるのも忘れない。

大切に育ててきた野菜の中から食べ頃を選んで収穫、家に帰れば汗を流してから収穫した野菜を使って朝食を作り、食べ終われば教科書や忍具を準備をし、大事な動物や蟲達に挨拶してアカデミーに向かう。

 

「行ってくるってばね!」

 

これが俺の朝だ。




第2話登校したナコです!
グダグダで本当すんませんしたっ!
当初はアカデミー内容を書こうと思ったのですが原作作通り始めるか、落第する前のアカデミー時代を書くか迷いまして今回はナルト君の日常の一部的な物を書きました。
次回からアカデミーを始めたいと思いますがアイディアや希望があればアドバイス同様募集しています!

PS.ナルト君が喋りました!


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第2訓 秘策~今日も始まる大戦争~

 

元気に家を飛び出したは良いが、ナルトが住む森とは正反対に位置するアカデミーに通うにあたって大きな問題がある。

それは里の中心街を通らなければアカデミーには行けないと言うことだ。

 

その名の通り中心街とは商店街、繁華街、木の葉デパートなど様々なお店や建物が密集した里の中心部の事で、そんな場所を里中から嫌われてるナルトが通ればどうなるかは馬鹿でも分かる。

 

しかしナルトには長い調査と改良に改良を重ねて完成させた秘策忍術があった。

作った時は流石の彼も『ふざけ過ぎた…』と思う術ではあったが、そんな術がこの問題解決の鍵になった。

人生歩んでみなければ解らないものである。

 

「まさかふざけて作った術が毎日を支える事になるなんて、さすがの俺もびっくりだってばね…」

 

森の出口付近に身を隠し、すでに活気が溢れてる中心街を観察しながら印を組んで術を発動させる。

 

「おいろけの術!!」

 

ボワン!っと音がして、煙がナルトを包み込んだ。

しばらくして煙が晴れるとそこにいたのは少年ではなく明るく活発そうな女の子だった。

 

「これで準備完了だってばね!」

 

変化を終えた少女は一応身嗜みをチェックしてから中心街に向かい駆けていった。

 

 

何故ふざけて作った『おいろけの術』が秘策なのか…それは人間観察をしきた中でナルトが導き出した答えが大きく関係している。

 

その答えとは

『本来大人は子供を殴らない』

『子供に対して大人は甘くなりがち』

『格好いい子や可愛い子は色々得する』

というものだ。

 

しかも里中の人間がナルトを忍術も使えない、体術も見込みなしのダメダメ人間と認識している。

そんなナルトが変化の術を応用し、改良を重ねて作ったオリジナル忍術を使って女の子に化けてるなんて誰が思いつくだろうか。

 

気づいて直ぐに実践してみると効果は抜群。

笑顔で挨拶され、お店は商品を売ってくれた上にオマケをくれた。

効果があると分かればどんな術でも即戦力、それ以来『おいろけの術』はナルト愛用忍術の1つだ。

 

まぁ、そんなこんなで『化け狐』と呼ばれたナルト……ナルコは今日も中心街で元気に挨拶し、笑顔を振り撒きながら里中を化かし歩く。

店の人達は

「お利口だね!」

「勉強頑張りなよ!」

「ちゃんと挨拶できて偉いね!」

と言って金平糖や煎餅をくれる。

 

大量に貰った物をバックに詰め込んだナルトはアカデミーへと走り出した。

少年が急ぐ理由は唯1つ……戦利品をチェックするためだ。

 

「ニシシシシ…今日も大漁だってばね!

さーて本日の戦利品は金平糖と煎餅が一袋に忍具割引券が二枚、スポーツドリンク2本、スーパーの100円クーポンとお米引換券、野菜の種…中々の収穫だってばね!」

 

まだ一時間目の授業まで時間あるため俺は屋上でバックから戦利品を出して確認していた…きっと、おそらく、たぶん悪い顔になっていたと思う。

 

キーンコーン!カーンコーン!

 

確認が終わる頃に丁度よくチャイムがなった…

今日も始まる大戦争…相手は1人でこっちも1人。

一対一のタイマン勝負。

 

「今日こそ俺が勝つってばね…イルカ先生!」

 

 




やっぱり台詞を書くのは大変ですね…
まぁグダグダに変わりは無いですが今日からアカデミーを始めます!
アカデミーでナルト君の友達にして欲しい子が居れば感想書くときにでも教えて貰えると嬉しいです!

PS.ナルト君が少し黒いよぉ!


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第3訓 イルカとナルト

 

教室に着いた俺はイルカ先生の行動を先読みし至るところにトラップを仕掛けていた。

ドアに黒板消しを挟み、椅子に強力な接着剤を塗り、他にも金タライや水風船、毛虫や画鋲をドアから教卓までの間にこれでもか!と張り巡らせた

 

クラスの奴等は「ドベの罠じゃムリムリ!」、「また馬鹿が馬鹿なことしてる」と言いながら俺を馬鹿にしていたが、そんなの気にしない。

俺の敵は唯一人だ…

 

カツカツカツカツ…

 

しばらくすると廊下から靴の音が聞こえてきた…間違いなく『ヤツ』だ!

 

「おはよう!って、うわぁっ!?」

 

皆に挨拶しながら教室に入ってきたイルカ先生の上に黒板消しがボフッ!と落ちた。

視界を覆うチョークの粉に慌て、足元のピアノ線に引っ掛かった。すると天井に仕掛けていた毛虫入りの金ダライが落ちてきて頭にクリーンヒット!

水風船と画鋲はかわされたが仕上げの接着剤椅子は大成功だ!

 

「やったってばね!アカデミーに入学して2年…1度も勝てなかったイルカ先生に大勝利ー!」

 

勝利を確信し、椅子から飛び上がってバンザイ三唱をする俺は気づかなかった…教卓のイルカ先生と後ろの席の奴からボワン!と音がしたことに…

 

「ナールートー!!」

 

恐る恐る振り替えれば、こめかみをヒクヒクさせながら拳骨を構えるイルカ先生が立っていた。

次の瞬間強烈な痛みが俺を襲った…

 

「痛ってぇー!!」

 

「これで357戦357勝でまた俺の勝ちだな!

前より進歩してるがまだまだ詰めが甘いぞナルト」

 

イルカ先生は痛みに蹲る俺の頭をワシャワシャと撫でて、教卓に向かった。

 

イルカ先生の拳骨はすんごく痛い…けど説教が終われば必ず誉めてくれる。

その言葉だけで俺は頑張る気力が湧いてくる!

 

 

side.イルカ

 

罠に引っ掛かった影分身を見ながら俺は考えていた。

誰もがドベと言うアイツが一番忍者に向いているのではと…

 

昨日よりも上がったトラップ技術を見ただけでもアイツがどれだけ頑張ったのかは一目瞭然。

普通どんな技術も一夕一朝では中々進歩しない…しかしアイツは違う。

昨日よりも今日、今日よりも明日、明日よりも明後日、毎日進歩している。

 

朝の悪戯が終わり、授業が始まれば誰よりも真面目に授業を受ける。

放課後になればアイツからの質問攻めタイムだ。

 

「チャクラ性質って何?」

「血継限界って何?」

「分身の術を改良したのが影分身なの?」

 

とにかく凄い勢いで質問してくる。

その質問内容のほとんどがアカデミーでは習うことの無い高度な知識を要するものだ。

 

あまりにも真面目な顔で質問してくるから俺もありとあらゆる知識を総動員して答えている。

そして毎日頑張るアイツに俺はこう言うんだ…

 

「今日の晩飯もラーメンの気分だしナルトも一緒に食べるか?」

 

「やったー!」と叫ぶアイツを見てると手の掛かる弟を持った兄の気分になる




ちゃんとした会話が書けず落ち込むナコです…

こうなったら恥も外聞も棄てて頼むしかない!
皆さん、此処はこうしたら会話らしくなる等の文構成に関してもアドバイスあればどうかお願いします!


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第4訓 ナルトと九尾~呼鈴連打は堪らない~

 

イルカと雑談を交えながら食べた夕食…しかし、楽しい時間は瞬く間に過ぎて行く。

気がつけば17時半を少し回っていた。

 

「おっと、もうこんな時間か…明日も早いし、お前は家も少し遠いから今日はお開きにするか!」

 

「もうそんな時間…って5時半過ぎてる!?」

 

イルカに言われて時計を見たナルトは驚いた。

自分の中ではまだ16時半位だと思っていたからだ。

 

「自分の里でこんなこと言いたくないが、森に入るまで油断するなよ?絶対変化の術も解くんじゃないぞ?」

 

「了解だってばね!それじゃイルカ先生また明日ねー!」

 

「おう!お前も気を付けて帰るんだぞー!」

 

イルカ先生に大きく手を振ってから歩き出す。

忠告どおりに然り気無く辺りを警戒しながらワイワイ、ガヤガヤと賑わう中心街を森まで早歩きで通り抜け、森に入るときも辺りに人が居ないことをしっかり確認する。

 

「右ヨシ!左ヨシ!上ヨシ!四方八方、人の気配なし!おいろけの術、解!」

 

どうして此処まで慎重になるのか…その答えは『ナル子』が森に入る所を誰かに見られて『ナルトの関係者』と少しでも疑われれば、今後どんな姿に化けても里で見慣れないという理由で『狐が化けているのでは?』と疑われ、非常に生活が送りづらくなるからだ。

イルカに言われたとおりに辺りの気配を探ってから本来の姿に戻ったナルトは森へと姿を消した。

 

 

 

「まだ寝るまで時間もあるし、夜は何の修行しようかなー」

 

元の姿に戻ったナルトは森中に張り巡らせた侵入者撃退トラップを確認しながら家まで戻っていた。

 

「いくら瞑想しても腹に居るっていう九尾は全然答えてくれないし……あっ!大蛇丸さんと綱手さんの読みかけ論文読破しちゃお!」

『ある人』の助言で尾獣との対話を何度も試みるナルトだが今のところ九尾は無視を決め込んでるため成果は無い。

だが居留守は確実のため最近は九尾の檻がある部屋に入る前に現れる大きな門をひたすら叩き、『きゅーび君遊びましょう!』と大声で叫びまくるという『中に入れるまで止めないぞ作戦』を実行中なのだ。

もはや完全なる嫌がらせである…

 

「まだ6時半か…んー、やっぱり論文は同居人への挨拶が済んでからだってばね!」

 

結局ナルトは帰宅した19時から20時まで瞑想し、対話を試みた。

その結果、扉の向こうから上手く聞き取れなかったが雄叫びが返ってきた。

 

 

side.九尾

 

ドンドンドン!ドンドンドン!

 

ワシが寝ていると突然音がした。

原因は唯1つ…今夜もあの糞ガキがやって来たのだ…

 

ピンポーン

「九尾君居ますかー?」

 

部屋に響いたのは聞き慣れない音だった…が此処はアイツの精神世界みたいなもんだ。どうせアイツが勝手に想像して作ったんだろう…

しかしワシがわざわざ返事をする理由も扉を開けてやる理由も……

 

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

 

「ウルセェー!!黙れ糞ガキ!!」

 

今までずっと我慢してきたワシだ。

しかしあの音の連チャンは無理だ…ウザイ、ウザすぎる。

流石のワシも我慢できず大きく吠えた。

静かになったドアの向こうに「フンッ!」と鼻を鳴らし寝ようとした次の瞬間…

 

「初めて返事もらえたー!やったー!諦めず頑張ってきて良かったってばね!また明日もくるから今度こそ入れてねー!」

 

はしゃぐ糞ガキの声が聞こえた。

次の瞬間ワシはどっと襲ってきた疲労に耐えられず寝た…

 




ナルトに助言した『あの人』とは!?
備考ですがナルトが参考にする論文や忍術資料のほとんどは大蛇丸と綱手のものです。
そして過酷な生活の中で何時もナルトを励まし、奮い立たせたのは図書館で埃積もってた一冊の小説。
その小説とは言わずもがな自来也さんの『ド根性忍伝』です!

PS.ナルト君に居留守は禁止!駄目絶対!


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第4.5訓 ナルトの週末とお客さん ~前編~

 

九尾との初接触?に成功したナルト。

今まで30分だった対話の時間を1時間に変更したこと以外はいつも通りの毎日を送っている。

 

何時ものように朝のトレーニングをし、里を化かして色々貰い、イルカとの修行?でアカデミーが始まり、家に帰れば夜の修行をする。

 

そんな毎日を延々と繰り返し、迎えた土曜日。

究極の修業馬鹿と言っても過言ではないナルトだが、毎週土曜と日曜は修行を休む。

何故らなら週末のナルト邸は来客で賑やかになるからだ。

 

いつものように野菜を収穫し、畑を手入れしていたナルトの前に濃い緑の影が現れた。

 

「久しぶりですね、ナルト君!」

 

「リーさん!!」

 

影の正体は1年前にアカデミーを卒業し、見事下忍になったロック・リー…彼は頼れる先輩で有り、ナルトの過去を知りながらも受け入れてくれた数少ない友達の一人だ。

 

「特に大きな怪我もしてなさそうだし、ナルト君が元気そうでなによりです!」

 

「元気とヤル気は誰にも負けないってばね!」

 

見た目大きな怪我してないナルトに安心したのかニカッと笑うリーにつられてナルトも笑う。

1時間ほど二人は互いの事を話し合っていた。

 

「このあとガイ先生と修行の約束があるので僕はそろそろ帰ります。」

 

「分かったってばね!でもあんまり無理しちゃ駄目だよ?」

 

「それはナルト君もですよ!それじゃナルト君、僕はこれで!」

 

「ばいばーい!」

 

師匠の熱血をしっかりと受けついだ少年が去った畑は何時も以上に静かに感じた。

しかし、ナルトには寂しがっている暇はない…それは次の友人が訪ねてくるからだ。

 

 

「おーい、ナルト居るー?」

 

「あっ、チョウジー!久しぶりだってばね!」

 

次に訪れたのは木の葉の里で有名な忍三人衆『猪鹿蝶』の1人、秋道チョウザの息子・チョウジだった。

 

「最近シカマル、いの、僕の三人でコンビネーションの練習とか修行内容増えたから中々来れなくて…」

 

「気にしなくて良いってばね!ところで今日は何いる?」

 

「人参、大根、玉ねぎ、ジャガイモお願いできる?」

 

「分かった!」

 

チョウジは母親が書いたメモを読み上げ、ナルトは言われた野菜をダンボールに詰めて渡した。

 

「はい、これ!」

 

「ありがとナルト!後、お母さんがナルトに渡しなさいって…中は生姜焼きと漬物と肉じゃがだよ!」

 

「チョウジのお母さんの料理は美味しいから嬉しいってばね!」

 

ナルトとチョウジの出会いは後々語るとして、その時遊んでくれたお礼にナルトは庭で取れた野菜をチョウジに渡した。

それを使った料理を食べて以来、秋道一家はナルト野菜のファンなのだ。

 

「そうだ!前にチョウジと考えた『ニンニク焼肉だれガルビ』味の兵糧丸が完成したってばね!」

 

「それ本当!?嘘じゃないよね!?」

 

「おう!作るの楽しくて色々チャレンジしてたらガルビシリーズ全部完成したってばね!」

 

「凄いよナルト!!」

 

それから二人は兵糧丸の試食会を始め、味の改良点や栄養バランス等を真剣に話し合った。

美味しくて栄養ある兵糧丸を求めて彼等は2時間話し合い続けていた。




三構成にするか二構成にするかは分かりませんが、この休日の話で現段階でのナルトか信じる人達を紹介しようと思います!


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第4.5訓 ナルトの週末とお客さん~中編~

 

兵糧丸談義を思う存分繰り広げたナルトとチョウジは兵糧丸が持つ無限の可能性を再確認した。

 

しかし、時は残酷だ。さらに友情を深めた二人にも別れの時がやって来た…

 

『食』を通して強い絆を築いてきたこの二人の間に言葉は要らないのだろう…ナルトとチョウジは何も言わずに、ただ強く握手をして別れた。

 

 

チョウジと別れたナルトは大きな溜め息をついた…

「次に誰か来るとしたらきっとアンコ姉ちゃんだってばね…はぁー…」

 

ナルトの予想が正しければ次に来るのは恐らく『みたらしアンコ』だからだ。

 

彼女の実力は里のくのいちの中でもトップレベルに近く、容姿も良い。

ここで終わっていれば男にとってマドンナ的存在だったのだろう…しかし、彼女には色々問題があった。

 

まず彼女の師匠が伝説の三忍の一人であり、同時に非人道的な実験を繰り返し、さらなる研究のために里抜けをした大蛇丸だということ。

そのせいで下忍の頃からアンコは同期や里の人に『いつか大蛇丸のように裏切るんじゃないか』と疑われ、差別の対象にされた。

 

そんな生活を送ってきたせいで多少歪んでしまった性格が第2の原因となった。

その性格とは、血が大好きなドS女で無駄にハデ好き…である。

 

「アタシが来るってのに、溜め息ってどういうことよ!普通は万歳しながら喜ぶとこでしょ!」

 

「…………それは無い。大蛇丸さんが良心的になるくらいありえない……俺の口癖の『てばね!』が『てばよ!』になるくらいありえないよ、アンコ姉ちゃん。」

 

「キィー!なんて可愛いげなくて生意気な餓鬼かしら!!」

 

「今時『キィー』って…無いわー、まじありえないんですけど!もう今日からアンコ姉ちゃんじゃなくてアンコおばちゃんって呼ぼ…」

 

「このアタシをおばちゃん!?そんなこと言う悪い口はこれか!これなのか!」

 

まるで姉弟喧嘩のようなやり取りをする二人。

 

最初の出会いは団子屋だった。

ラスト一本の限定団子をナルコとアンコが取り合った。それからマンガやクナイなど様々な物を賭けて二人は何度もぶつかり、諦めず向かってくるナルコをアンコが気に入って勝手に妹分にしたのだ。

 

後日ナルコはナルトが変化した姿と分かったアンコだが二人の関係はたいして変わらなかった。

 

 

だからナルトは性格程度でアンコを面倒臭いなんて思わない。

ナルトが溜め息をついた本当の理由とは……

 

「今日の二、三日暇だから遊び来るわね?そんで流しっこしましょ!」

 

アンコに逆セクハラをされるからだ。

 

「ナルトちゃんの○○○がどれくらい成長したかお姉さんがしっかりチェックして上げるからねぇー!グフッ、グヘヘ……」

 

完全に親父である…

ナルトは毎回思う。

 

(今度こそじいちゃん達に相談しよ…)

 

 




作者はアンコさんが大好きです!
どうしてもナルトと姉弟みたいな関係にしたくやりました!
そして次回には『あの人』が登場!!


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第4.5訓 ナルトの週末とお客さん ~後編~

 

あれからアンコはナルトをこれでもかと弄り倒して帰っていた。

 

「じゃあ今夜また来るわ!」

 

そう言い残して……

 

 

「きっと今夜は大変だってばね…」

 

大きな溜め息をつくナルトだが何処か楽しそうに見えるのは仕方ないだろう。

なんだかんだ言いながらナルトもアンコを姉のように思い、慕っている。

 

きっと今夜の料理はアンコの好物が沢山机に並ぶことだろう…

 

 

ナルトが今夜のおかずを考えていると二人の老人がやって来た。

それを見たナルトは急いで家に戻って和菓子とお茶と将棋盤を縁側に準備し、老人達が縁側に来るまでの数メートルを今か今かとワクワクしながら待っていた。

 

「お前くらいの歳の子が茶請けに羊羮と饅頭とは…ちと爺くさすぎやせんか?」

 

用意された茶菓子を見ながら言うのは三代目火影の猿飛ヒルゼンである。

 

「やたらチャラチャラした物を出されるよりはましだ…」

 

縁側にすわり羊羹を食べ始めたのは『忍の闇』とまで言われた男、志村ダンゾウである。

恐らく里中の忍がこの二人が揃い、縁側で茶菓子を食べる姿をみたら十中八九『幻術か!?』と目の前の光景を疑っただろう。

 

何故なら二人が三代目火影の座を競ったライバルであり、火影争いにダンゾウは負けたからだ。

その後、ダンゾウが『根』と呼ばれる暗部と似て非なる独自の組織を作った事で『クーデターを企てている』、『組織を使い、三代目を暗殺する気だ』など様々な噂が流れた。

故にそんな二人が一緒に茶を飲む光景を誰も想像出来ないのだ。

 

「儂が言ったとおり九尾と対話してるか?」

 

「じいちゃんに言われた通り、毎晩してるってばね!まぁ、今のところ変化はないけど……」

 

「九尾と対話させるのはさすがに早すぎではないかダンゾウ…」

 

「だから貴様は甘いと言うのだ……木の葉と他里のパワーバランスを維持し、無駄な争いを避けるためには一刻も早く、ナルトに九尾を使えるようになってもらわねばならんのだ。」

 

「しかし力で得た平和は脆い…新たな力が生まれれば直ぐ消えてしまう…」

 

「お前の語る平和が成るには時間が掛かりすぎるのだ…力なき者が語る正義は所詮夢物語に過ぎぬ。」

 

「力ある者がそれを振りかざして平和を語ろうとそれは波際の砂上と同じじゃよ。」

 

二人が語る平和は真逆の物だがナルトはどちらか一方が正しいとは言えなかった。

世界に平和と言うものが訪れるまで続くであろう平行線の話し合いを第三者の立場で聞いてきたナルトは二人がどんな思いで『平和』を語り、願うか知っているからだ。

 

「まぁまぁ、じいちゃん達が誰よりも本気で平和を願ってるのは馬鹿な俺にもよーく分かったってばね!でもそんなに熱くなると『平和』が来るより先にじいちゃん達に迎えが来ちゃうってばね!」

 

「「生意気言うな!」」

 

「イッテェェェ!!」

 

何時ものようにナルトは止めに入り、これまた何時ものように同時に降ってきた二人の拳骨に悲鳴をあげるのだった。




作者はダンゾウ好きです!
三代目とダンゾウは同じ『平和』を目指しながら、そこにたどり着くまでの道が光と陰のように正反対。
最後まで平和を願う『陰』だったダンゾウは三代目と同じくらい好きです!


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第5訓 ナルトとミズキ~行くはよいよい~

 

「はぁぁ…アカデミー行きたくないってばよ…」

 

珍しく朝から憂鬱なナルト。

その理由はアカデミーで学べる基礎を全て学んだナルトは二人の老人とお節介な先生に今期で卒業して下忍になるよう言われたからだ。

 

確かにナルト自身、基礎は完璧にマスターしたと思っている。さらにそれらを改良して幾つかの新術開発に成功したため、そろそろ実戦で成果を確かめたいと考え、近いうちに卒業を考えては居た。

しかし今期は不味い…とにかく不味いのだ。

 

「チョウジは良いとして、うちはサスケに日向ヒナタ、犬塚キバに奈良シカマル、山中いのに油目シノ、他にも期待の星がずーらずら……何で里の名家や期待ある生徒がゾロゾロいる今期なんだってばね…」

 

チョウジと同じ班になれるのであれば少しは今期の卒業も前向きに考えるが、秋道家は『奈良・山中家と同じ班』と暗黙の了解で決まっている。

他のクラスメンバーと自分のスリーマンセルを想像したが結果は『ありえない』だった。

 

「こんな事になるならテンテン姉やリーさんと一緒に卒業して同じ班にして貰えば良かったってばね!!」

 

危なかっしいと何時も世話を焼いてくれた武器使いの少女とライバルの熱血少年を思い浮かべナルトは叫んだ。

 

後悔先に立たず、とはまさにこの事。

 

比べられるにしろ何にしろ、名家と同じ班になってしまえば目立つのは確実。

なんとか対策を練ろうと頭を悩ませナルトが辿り着いた答えとは…

 

「急に気分が…ゲホッ、ゲホッ、グハッ!今日はアカデミー休まなきゃ、ヤバイってばね!」

 

仮病だった。

再びベットに入り、二度寝しようとする。

だがそうなることを予測し、迎えにきたお節介な教師ことうみのイルカにより叩き起こされ、罰として卒業試験を合格しなければ一生ラーメンを奢らん!っと言われ泣く泣く合格するのは今から1時間ほど後の話である。

 

 

無事合格したナルトだが、校庭の隅にある古びたブランコに座って卒業を喜ぶクラスメイト達を恨めしそうに見ていた。

 

「俺のチームはうちはとその信者のサクラ……悪目立ちは間違いないってのに…」

 

「やあ、ナルト君!」

 

「ミズキ先生?」

 

そこに現れたのはイルカと一緒に試験を監督したミズキと呼ばれるアカデミー教師だった。

 

「イルカ先生は互いに足りない部分を補えるようにサスケ君と君を同じチームにしたんだ。それは誰が見ても正しい判断だと思う……けど僕は正しい判断が全て正しいとは限らないと思うんだ。」

 

「み、ミズキ先生~!出来ればイルカ先生に班決めやり直しをお願いしてほしいってばね……」

 

「流石の僕も一度決まったのを変えることは無理だ…けど、実は火影邸の倉庫に『林』の下に『示』って書かれた巻物があるんだけど、それは『再編成申請書』…簡単に言うと班を組み直してくださいって申請する書類なんだ。」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

「それがあれば違う人と組めるよ!」

 

一人の我が儘で再編成…そんな馬鹿みたいな話を幼い頃から学び、膨大な知識を溜め込んできたナルトの頭は疑いもせずに信じた。

それほどまでに追い詰められていたナルトは『今晩森に持っていくから手続きよろしく!』と言ってニコニコしながら帰っていった……ミズキが嫌な笑みを浮かべ走り去る自分の背中を見てることにも気づかず。

 

「ヘッ、本当に馬鹿な餓鬼だ!」

 

だがミズキは知らなかった……指定された森とは『ナルト邸』がある森で、『化け狐が住まう森』とはナルトが育てた数多の怪物の住みかであり、ナルトの意志1つで難攻不落の大要塞に変わることを。




やっとミズキ登場!
彼にはさして思い入れ有りませんっ!!

次回、ナルトとミズキ~無事には出られん~
また見てね!


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第6訓 ナルト邸~ミズキは悲劇の主人公!~

 

化け狐が住まう森…実はこの森、ナルトが住む前は誰も手入れしておらず、更には不法投棄された様々なゴミの溜まり場だった。

 

そのせいで森の空気は淀み、水は汚れ、草木は枯れ、動物達は弱り果てていた。

 

しかし、ナルトが住み始めてから全てが変わった。

森に住み始めた=森が自分の家となったナルトは修行より先に『片付け』を始めた。

『片付け』の手順は至って簡単だ。

 

まずはゴミの中から領収書や葉書を探しだして不法投棄者を割り出す。

 

次に割り出した不法投棄者の家にゴミを持っていき、当時試作していた威力が低い起爆札をゴミ袋に張り付けてから思いきり家に投げ込む。

 

後は中で爆発し、家中がゴミまみれになる。

こんな事が里中で発生し、一時期自棄になった大人たちが更にゴミを捨てに来たが、その度にナルトが『片付け』するため、家は捨てる前より酷い状態になり、1ヶ月経たない内にゴミの不法投棄は無くなった

 

この『片付け』は後に、ナルト仕返し忍伝・第一章『狐の祟り!?忍法・ゴミの里帰り!』として語り継がれていくかことになる。

余談だが再三の注意・忠告を無視して続く不法投棄に悩んでいた二人の老人がこれでもか!とナルトに協力していたとか、いない無いとか…

 

その後、修行の合間に荒れた森を手入れし、助けられなかった場所にはバランスが崩れない程度に新しい植物等を植える。

それを何度も何度も繰り返し、いつの間にか森は異種交配や新たな環境への適応と進化を繰り返し、そして今のナルト邸へとなったのだ。

 

 

side.ミズキ

気味が悪い…本当に気味が悪い。

森であの馬鹿なクソ餓鬼を待って居た俺は森の雰囲気に飲まれていた。

 

本来は火の国には生えてないはずの『骸養樹』や『口鋼爆植物』など色々な国の植物が生えている…しかも通常よりかなり大きい。

さっさと巻物頂いてとんずらしねぇーとこっちの身どころか命が危ない…

 

今は焦ってもしょうがないと思った俺は丸太に座り休むことにし……『ブスッ!』……へっ?

 

「ギッ、ギャァァァァァ!」

 

丸太から飛び跳ねて落ちた俺のケツには千本並みに固く鋭い毛に覆われたネズミが刺さっていた……

 

「ふぅーふぅー、マジいてぇ…ケツがヤバい…どれくらいヤバいかって言うと、マジヤバい…」

 

必死にケツを擦る俺をネズミはキシシと嘲笑って森奥に姿を消した。

次見つけたらぜってぇー消してやる!そんな覚悟を決めた俺には更なる試練が待っていた。

血の匂いを嗅ぎ付けて『麻蛭』と呼ばれる蛭がモゾモゾと森から大量に這い出てきて俺のケツに群がるのだ…

 

ヤバい、死んだかも…そう思った俺は持てる力を全て絞り出して叫んだ!

「ナルトォォォ!!早く来てくれぇぇ!!」

 

その頃ナルトは……

「俺、班替えしたいんだってばね、じいちゃん!」

 

「いかんと言えばイカン!」

 

「ケチジジィ!」

 

「ケチでけっこうじゃ!」

 

三代目と喧嘩していた…




ミズキ先生との戦いでナルト君が研究し、更なる改良を加えている忍術を紹介します!


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第7訓 英雄の登場を願う悪党~走れナルト!~

 

森は侵入者のせいで騒がしくなっていた。

森に住む様々な蟲や獣達が、必死に尻を押さえながら逃げ隠れするミズキを探しだそうとしているのだ。

 

「何なんだ、この森は?!」

 

逃げてる最中に見つけた小さな洞穴に隠れたミズキはたまたま持っていた軟膏を尻に塗りながら叫んだ……半分涙目である。

 

『ブゥーン』

 

しかし森はそんなミズキを休ませる気は無いらしい。

洞穴の奥には『金紋黒大蜂』の巣があり、軟膏を塗る際に伸ばした足が巣を蹴ってしまったのだ…

 

「もぅ、イヤ……」

 

急いで出ようとするが、疲労と恐怖と尻の痛みで手足が縺れて思うように進めない。

しかも舞い上がった砂埃を攻撃と認識した蜂達は一斉にミズキを刺したのだ……よりにもよって『尻』を…

 

 

その頃ナルトは……

 

「こうなったら奥の手だってばね!」

 

「老いたとはいえ、ワシもまだ負けんぞっ!!」

 

部屋は互いの闘志で熱くなっていた次の瞬間!!

 

「おいろけの術!!」

 

「なっ!?」

 

『うっふ~ん』と厭らしいポーズで現れたのは金髪の美人だった。

三代目は目を見開いた次の瞬間、鼻血を吹き上げながら倒れた。

 

「今の所、この術で倒れなかったのダンゾウじいちゃんだけだったってばね……イルカ先生もじいちゃんもスケベだってばね!!」

 

とか言いながらも鍵開けて禁書庫に入り巻物を探すナルトであった。

 

 

ナルトが巻物を見つける少し前のミズキはと言うと……

 

「た、助けてくれー!」

 

逃げていた。猿より紅い尻を濡らした手拭いで冷やしながら自分を追ってくる巨大熊から必死に逃げていた。

 

何故こんなことになったかと言うと、逃げてる途中小川を見つけたミズキは手拭いを濡らしてソレで尻を冷やしていた。

 

ミズキは知るよしも無いことだがこの場所は『バシラ』と呼ばれる熊の狩場だった。

『バシラ』とは巨大な熊で本来は水の国に住んで居るのだが、第二次忍界大戦で住みかを失い、木の葉近くまで来ていたのをナルトが見つけて保護したのだ。

 

何の不運か、そのバシラが魚を取りに来てミズキを発見。縄張りを奪いに来たと勘違いしたのだ。

 

『グゥワァァァ!!』

 

「二度近づきません!だから許してぇぇ!!」

バシラは更にスピードを上げた。

どうやら答えはNOらしい……

 

「神様!九尾様!ナルト様!早く来てくれぇぇ!!」

 

今の彼には恥も外聞も無いらしい…

 

 

調度その頃、巻物を見つけたナルトは中身を確認もせずにソレを背負い森を目指していた。

 

「今行くってばね、ミズキ先生!!」

 

 

走れナルト!

風のように、瞬神のように、とにかく走るのだナルト!

心も体もミズキはもう限界だ!

急げナルト!

 




三部作構成になってしまいました……トホホ
それにしてもミズキは尻に縁がないようです!
次策ではナルトが切れるかも!?

ナルト邸の動植物達は後々説明していきますね!


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第8訓 ~ナルト君の八つ当たり!~

 

「まだまだ教えたいこともあったが、とうとうアイツも卒業か……アイツが新しい一歩を踏み出す、めでたい日だ、俺がウジウジしてどうする!よーし、卒業祝いに今日は一楽で特盛でも食わしてやるかっ!」

 

ナルトの卒業を誰よりも喜びながらも、どこか寂しく感じるイルカはそんな思いにピリオドを打ち、新しい生徒達と新たな一歩を踏み出すためにもナルトの卒業を盛大に祝おうと森まで来ていた。

 

ちなみに『今日は』ではなく『今日も』であるが、ナルトが大喜びするのは見なくとも分かるので水は差すまい。

 

それから10分程歩いたイルカが辿り着いたナルト邸で見たモノは……

 

「グヒャヒャ!ナルトが悪いんだっ!俺を一人にしたナルトが!ナルトが悪いんだよぉぉ!」

 

ナルト邸を破壊しようとする色々完全にイッちゃったミズキだった。

尻を重点的に刺され過ぎたミズキの体にあんな変化やこんな変化が起こり、紆余曲折色々あってイッてしまったらしい……可愛そうなミズキ…

 

「なっ、何してるんだミズキ!?今すぐ松明を置け!」

 

「その声はイルカ君でしかぁ?その頼みは聞けないでござる、ニンニン!」

 

「何があったかは分からないけど病院にいこうミズキ…俺が良い病院紹介するから…なっ?」

 

「シャラァァァプ!そんなドクター達にミーの何が分かるんデスカ~?何時まで待っても、祈っても来ぬナルト…余は悟った!神は居ぬと!」

 

イルカのドン引き視線に気づかず、一人で無限の彼方へ行き続けるミズキ。

流石のイルカも説得を諦め捕らえようと縄を準備するが、それより先にミズキは大きな手裏剣をイルカに投げた。

 

「俺の邪魔をするなイルカー!」

 

イルカもアカデミー教師になる前は忍びとしていくつもの任務をこなしてきたのだ、錯乱したミズキの攻撃をかわす事ぐらい余裕だっただろう。

 

「ミーズキ先生、巻物持ってきたってばね!ってイルカ先生!?」

 

「なっ、ナルト!?ぐっ!」

 

巻物を背負ったナルトが登場したのはイルカの背後だった…しかも来たばかりで班替えに浮かれていたナルトは状況把握が出来ていなかった。

 

毎日修行して強かろうが、此処がナルトに有利な場所であろうが、ナルトはイルカにとって大切な生徒であり、同時に弟みたいな存在だ……イルカは避ける選択肢を捨て、ナルトを庇い背中に手裏剣をうけた。

 

「イルカ先生ぇぇ!!」

 

「お前の目標の為にも、もっと回りを見なきゃ駄目だぞ……お前が無事で良かった……」

 

「影分身の術・ナースバージョン!皆、イルカ先生を頼むってばね!!」

 

「「了解!!」」

 

実戦を離れてアカデミーの教師に成って数年経ったイルカに手裏剣の痛みは予想以上に堪えたらしい。

ナルトは急いでナース服を着た影分身を二人作りイルカの治療に当たらせた。

 

「お前が全部悪いんだぜ、ナルト!俺を一人にしたからイルカは傷ついたたんだ!」

 

「うるさいってばね!!俺が馬鹿なのも、俺の不注意なのも分かってるってばね……原因の俺が敵討ちなんて言えた義理じゃない…だなら今からやるのは自己満足の八つ当たりだってばね!」

 

自分の甘さを、不注意を、愚かさを許せないナルト…

そんな彼は中にたまる怒りをぶつける事にした。

イルカが怪我した原因の1つであるミズキを睨む…そして宣言した。

八つ当たりをすると…




何だかんだ書いてて楽しくて四部構成に…
マジすいません!
次回こそはナルト対ミズキを書きます!
長々書いてホンマすんませんしたっ!


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第9訓 新術実験~ある意味チートな森~

 

何時もなら静かな森の中から戦闘音が響く。

ナルトより実践経験あるミズキは枝から枝へと縦横無尽に跳び回り、それに対して実践経験0のナルトはところ構わず手裏剣を投げまくっていた。

 

「テメェの下手な手裏剣なんざ当たらねぇーよ、この馬鹿が!」

 

「……跳躍時と着地時にバランスが崩れてる……わざとかじゃないとしたら何でだ?

可能性が高いのは怪我だけど、何処を…動きから見て、足は違う…腰や腕も無い…あるとしたら臀部…理由は痔かな?」

 

挑発を無視してミズキの動きをジッと見つめるナルト。

怪しい点を見つければブツブツと自問自答を繰り返し、ミズキの不調を見つけてニヤリと笑った。

 

「突破口みーつけた!喰らえ『地獄玉』!」

 

ナルトはポーチから『危険!取扱い注意!』と書かれた玉を取り出しておもいっきり地面に叩き付けた。

 

「何が突破口だ!テメェみてぇーな糞餓鬼に負けっ……!?!?クッセェーーーー!!!」

 

「煮ると世界一臭い煮汁を出す魚『銀杏桜鮭』の煮汁に腐った卵など数十種をブレンドして煙玉と混ぜ合わせた『地獄玉』の味はどうだってばね?」

 

ボカーン!と辺りを包む煙…そこから漂う臭いに耐えられず枝を踏み外してミズキは落下した。

 

「知識で勝っても経験の差で引っくり返されたら堪らない……強引に同じ土俵に上がってもらったってばね。」

 

「ブハァッ、ゲホッ!ゲホッ!ウッ、ウオェェ!」

 

「ちなみに開発者の俺とチョウジなら、この中でも30分は動けるし、体に染み付いた臭いは特性石鹸使わないと2ヶ月は落ちないから何処に逃げても追跡可能だってばね。」

 

鼻水と涙と止まらない嗚咽に苦しむミズキを他所にポーチから巻物を取り出した。

 

「口寄せの術の改良忍術『扉跨ぎ』『点紡ぎ』のテスト第一回開始!」

 

「!?!?」

 

ミズキは焦っていた…落ちこぼれであるはずのナルトが新術を作っただけでなく、その元となったのが『口寄せの術』と呼ばれる使役する忍獣によっては戦況を引っくり返してしまうほど力がある忍術だからだ。

 

「先ずは、扉跨ぎだってばね!」

 

ナルトが開いた巻物の中心には『扉』と書かれていた。

 

「口寄せの術はA地点の『何か』をB地点に呼ぶ忍術…見方を変えればA地点とB地点を物理的距離を無視して繋ぐ忍術。」

 

「グ、オェェ!だ、だからなんだってんだ!」

 

「簡単に言うと『入口と出口』を作るんだってばね……例えばミズキ先生の『尻』の血を媒体にして、 この術を使うと入口と出口は何処に開くでしょうか?」

 

「まっ、まさか……や、ヤメロォォォ!!」

 

草むらから出てきたのは尻を刺した針鼠…当然針にはミズキの『尻』の血がついている。

それを媒体にして術を発動させながらナルトの説明を聞くミズキはいつの間にか冷や汗ビッショリだ。

 

「ガイさんから教えてもらった木葉秘伝究極体術『千年殺し』を俺流に改造したナルト秘伝超鬼畜外道体術『万年殺し 大噴火バージョン』!!」

 

「〇?£¢*§$¥♂★!?!?!?」

 

巻物に書かれた『扉』の文字部分に黒い穴が開き、ナルトは全力でその穴に浣腸を放った。

ミズキの尻にピッタリくっついて開いた穴からニョキッとナルトの腕が出てきて寸分違わずミズキの尻を貫いた。

 

「ふぉぉぉぉ!!ひぃひぃふぅ、ひぃひぃふぅ…」

 

「イルカ先生を怪我させた罰で尻傷には害悪しかない激辛食材混ぜ合わせて作った時限式座薬もオマケしたってばね」

 

パンッ!

 

「ひぃ、ヒギャァァァァァァァァ!尻が痛い!尻が!尻がぁぁぁぁ!」

 

ミズキの尻に仕掛けられた座薬が破裂した。

飛び散る赤、朱、緋!!

もはやミズキのライフもプライドも0だ。

 

「そんで最後の忍術・点紡ぎ!」

 

「ゆ、ゆるひ、ゆるひへぇ~」

 

「この森に幾つかの『ポイント地点』があって、それを竜脈……簡単に言うと大地を流れるチャクラで結ぶと巨大な口寄せ陣になるって言う代物だってばね!」

 

ナルトが説明を終えると森にチラチラと光が灯り始めた。

 

「悪いことしたら叱られるのは当たり前……さぁさぁ、出てきてくださいってばね!

出でよ、『Wじーちゃん』!!」

 

「忍術で遊ぶでない!」

「どうやら仕置きが必要みたいだな……」

 

「ひぃ!?こ、今回は正当な理由だってばね!」

 

光がだんだんと消え、再び闇が戻った森から現れたのは三代目火影こと『猿飛ヒルゼン』と忍の闇こと『志村ダンゾウ』だった。

ナルトは自身の安全のために躊躇うことなくミズキの裏切りを報告した。

 

「ヒィッ!?」

 

その夜、こってり絞られてから警務部隊に引き渡されたミズキはたいそう大人しくなったそうだ ……

 




お久しぶりです!
やっと『被害者・ミズキ編』が終わりました。
次回サスケ、サクラ、ナルト君は仲良く出来るのか!?

PS.森にはまだまだ危険がいっぱいだよ!


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外伝 ~桜と向日葵から見た少年~

 

side.サクラ

 

卒業試験を合格し、更に班のメンバーにサスケ君が居ると分かった私の心は今にも天に昇りそうだった。

しかし、最後の一人がナルトだと知り、気分は最悪、天国から地獄へ急降下だ……

 

だってナルトは私達には無表情だから…

 

ナルトはアカデミーだとイルカ先生、チョウジ、卒業生実習でたまに来るリーさん、テンテンさん、火影様にしか笑顔を見せない。

周りにどれほど人がいて、全員がナルトの笑顔や拗ねた姿を見ては居るけど、それが向けられてるのは私達じゃない。

 

感情豊かなナルトと無表情なナルトのギャップ。

きっとナルトを『能面』と呼ぶ人達は、そのギャップと自分達に向かない笑顔が悔しくて呼ぶんだと思う。

 

 

何か悔しいじゃない……周りに何十人、何百人、何千人居てもナルトにとっては居ないも同じ…眼中どころか道端の石や埃みたいに意識すらされてない。

 

好きじゃないし、友達でもないけど認めさせたいじゃない!

上手く言えないけど私達がナルトに抱く思いは好きとか嫌いじゃない…もっと不思議な何か…

 

出来るならあの笑顔を向けてほしい……ただそれだけなのかもしれない。

だって本当に楽しそうに笑うんだもん!

あれを見た日から思うことがある……もしナルトの隣で今のチョウジ君みたいに話したり出来たらきっと毎日退屈しないんだろーなーって。

 

 

side.いの

 

チョウジがずいぶん前からナルトと一緒に居るのをよく見る。

シカマルとアタシの訓練が終われば、チョウジのお母さんが作ったオカズ持ってナルトが住む里外れの森へ行く。

 

シカマルは『メンドクセェ…』と言ってるけど本当はかなり気になってることは、アタシにはお見通しだ!

 

私も本当はかなり気になってる……だって、あの『能面ナルト』だよ!?

それがチョウジとかには満面の笑み浮かべて毎日話してるんだよ!?

気にならない方がおかしくない?ってか気になるのが普通だよね!

 

ってな訳でアタシはナルトを尾行してる!

このいのちゃんがナルトの秘密を全てを暴いてやる!

 

 

 

道に迷いました……ナルトが住む森まで着けてきたのは良いけど予想以上に深く広い森に迷いました。

 

「此処何処よぉ…チョウジ~シカマル~ひっぐ、うわぁぁぁん!!」

 

花屋の私ですら見たことない植物、獣や蟲達が唸りながらずっとアタシを見てる……堪えられず泣き出したアタシは悪くない!!

 

「あーー!!本当煩いってばね!この不法侵入者!」

 

「な、ナルト?た、たずかっだ~!!怖かったよぉぉ!!」

 

ナルトが目の前に現れた時、抱きついたのはしょうがないと思います…はい…

とにかく人が居る安心感から30分程私が泣いてる間ナルトはとにかく離れようと暴れていた…こんな美少女に泣きつかれて嫌がるなんて失礼な奴だ!!

 

「此処真っ直ぐ進めば出られるから2度と来るなってばね!」

 

「また迷いそうだからやだ……ナルト連れてって……」

 

「えぇーーーーーー!」

 

「また泣くわよ…」

 

「わ、分かったてばね!」

 

チョロいな!

けど分かった事がある。ナルトは私達に無関心で無表情だけど冷たい奴じゃない。

だって嫌だ嫌だと言いながらも私をおんぶして出口まで運んでくれたんもん!

 

「ありがと、ナルト!」

 

「礼は要らないから、もうくんなってばね……」

 

ナルトは相変わらず無表情だけどかなり疲れて見える。

このまま何かと巻き込めば壁を壊せるかもしれない。

 

「女の子って綺麗とか可愛いが大好きなの!それを手に入れるためなら、どんな手間も努力も惜しまないって知ってた?」

 

「急になんの話だってばね?」

 

「じゃあねー!また明日アカデミーで!」

 

「変なやつだってばね……」

 

必ず手にいれてやるわよナルト!

近いうちに私の弟して、女装させたり、着せ替え人形にしたり、肩揉ませたり、笑わせたり、遊んだりしてやるわ!

 

~その頃~

 

「……今凄い悪寒がしたってばね」

 

「誰かがアタシの座を狙ってる!?来るなら来い、姉の座は渡さないわよ!!」

 

「はぁ~、いい加減に弟離れしてほしいってばね…」

 

帰宅したナルトは何故か居るアンコに捕まり風呂場へ。

最後の抵抗でなんとかナル子に変身し、アンコの背中を洗っていた。

 




うまく上手く書けませんでしたが一応サクラといの目線完成です!

外伝は思いついたのから書いていくのでまだ第何話かは書いてません。

ちなみにサクラはアカデミー卒業試験終了後目線で、いのは卒業試験の1ヶ月程前の話です。


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第十訓 ナルト君は二人のキューピット!?

 

ミズキを撃退した翌日、ナルトはブーブー文句を言いながらもちゃんと教室で担当上忍が来るのを待っていた。

 

「サスケ君と一緒なんてサイコー!!……だけど何でアンタまで一緒なのよ!!」

 

「煩いってばね……卒業だからって張り切るな紅白饅頭の赤い方……」

 

「な、な、なんですってぇぇぇ!!誰が紅白饅頭の赤い方よ!『能面ナルト』の癖に生意気よぉ!!」

 

キィキィ喚くのは『春野サクラ』……その名の通り、髪が薄桃色をしてるためナルトに『紅白饅頭の赤い方』と命名されてしまった、ある意味不憫な少女だ。

 

「ふわぁ~……そこの坊っちゃん…無視すんなカラコン…妖怪女子風呂覗き…」

 

「どうやら死にたいらしいな、能面野郎!」

 

いつまでも騒ぐサクラに我慢出来なくなったナルトは何か思い付いたのか、反対側に座り無視を決め込むサスケを挑発し始めた。

無表情で馬鹿にしてくるナルトに流石のサスケも耐えられなかったのだろう……サクラとサスケは間にいるナルトを殴ろうと腕を振りかぶった!

 

「遅れてごめんごめん!って何してるの?」

 

「二人とも互いへの思いが強すぎた見たいです……俺が見てる前でいきなりあんなことや、こんなことをし始めました。」

 

「あ、そう……えー、ごほんっ!二人とも気が済んだら屋上に来てね?」

 

カカシはナルトの状況説明を信じたのか部屋で『イチャイチャパラダイス~初な恋人編~』を実演中の二人、サスケとサクラに屋上に居ると伝えナルトと教室を出た。

 

ではカカシが見た光景とは……それは殴った筈のナルトがボワンッ!と消えた事で体制を崩し、結果サクラを押し倒して濃厚なキスをしているサスケとそれを驚きながらも受け入れているサクラだった。

 

事情を知っていれば不慮の事故で済むが事情を知らなければヤりたい盛りの発情した少年少女に間違われても仕方ないだろう……

 

「「・・・・・・・」」

 

カカシとナルトが消えて五分程経ってから漸く二人は離れたが互いに見つめ合ったまま動かない。

しかもサスケはバレないように隠しているがサスケの『サスケ』はギンギンマッチョでオレオレ!と自己主張をしまくり、サクラは女としての色んな物が花開いてしまい放心状態だ。

 

「と、とにかく屋上行くぞ……」

 

「うん……あ、あれ?さ、サスケ君…私腰抜けちゃったみたい……」

 

なんとかもう一人の『僕』を押さえたサスケは屋上へ向かうことを提案するが、腰が抜けてしまったサクラを背負う事になった。

背中から伝わるサクラの鼓動や小さな胸の感触にサスケの『相棒』は再び立ち上がってしまったらしい。

 

だがそれ以来二人の間に確かな『何か』が生まれた。

二人の未来を結ぶ大きな『何か』が……

 




まずは教室での話です。
下ネタ混ぜて書きましたが文句あるかぁぁ!!
まぁ下ネタには程遠いネタでしたがね。

まぁ第七班はこんな感じで少しずつ関係を深めていきます!


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第十一訓不毛なババ抜きと姉の教え~自己紹介もあるよ!~

 

なんとか屋上にたどり着いた二人が見たのは、ただならぬ雰囲気を放ちながらババ抜きをする二人だった。

ただ微笑ましくババ抜きをしている光景ならどれ程良かったことか…

 

なんせ少年は一言も喋らずにギャンブラーなら誰が見ても尊敬するようなポーカーフェイスを維持し、対戦相手は顔をマスクで隠して唯一見素顔伺える目元も変化しないため、ある意味こちらもポーカーフェイスを維持していり。

 

そしてどちらもジョーカーを引かせ続ける不毛かつ奇跡のようなやり取りを永遠と繰り返していた。

 

「……な、なにやってるんですか?」

 

シュッ、シュッっとカードを引き合う音以外何も聞こえない屋上に堪えられず思いきって尋ねたサクラ。

サスケはその行動を心の中で讃えた、『ナイスだサクラ!!』と。

 

「サスケとサクラか…やっと来たみたいだな。二人も来たし、そろそろ終わりにさせてもらおうかな!」

 

「たしかカカシ先生……で名前あってよね?この勝負、始めた時点で俺に敗けはないってばね!」

 

「な、なにぃ!」

 

カカシがナルトからラスト一組を揃え、上がり宣言をしようとした瞬間にトランプが全てただの木の葉に変わったのだ。

 

「アンコ姉から『勝負をするなら勝てる勝負を、それでも負けそうなときは勝負自体を御破算にして無かったことに』って習ったってばね。」

 

「アンコが姉さんねぇ……でもサスケもサクラも全員覚えときなさい。騙し騙されが当たり前の世界で仲間を守るためには必要なことだからね。」

 

 

トランプバトルが終わればサクラとサスケを交え、円を作るように座り、簡単な自己紹介が始まった。

一番手に選ばれたのはナルトだ。

 

「名前はうずまきナルト。慎重、体重、年齢、血液型は秘密。好きなこと色々。嫌いなもの特になし。趣味は家庭菜園と動物や蟲の観察及び飼育……以上。」

 

「じゃあ次はサクラ、その次がサスケ。最後は俺でいいかな?」

 

「えっと…春野サクラです!好きなものは白玉餡蜜、嫌いなものはか激辛料理全般で、好きな人は…内緒です!」

 

「俺はうちはサスケ。好きなもの……今はまだ分からない。嫌いなものはない。目標と言うか野望に近いが兄を殺す事だ。」

 

サクラはチラチラサスケを見ながら自己紹介をし、一人でエヘヘやキャッ!など何かを思い出して盛り上がっていた。

 

それに対してサスケは終始冷静だったが、好きなものを語るときだけ顔を赤くしていた。

こちらもサクラた同様何かを思い出したのだろう。

 

最後のカカシの自己紹介がやって来た。

 

「名前は、はたけカカシ。名前以外は教える気はない……以上だ!」

 

最後については自己紹介と呼べるものだったか甚だ疑問だが、とにかく全員が自己紹介を終えた。

 

「自己紹介も終わったことだし今日は解散して、明日お前たちには初任務として俺と演習をしてもらう。内容や理由は明日話すから、朝の8時に演習場に集合だ。」

 

「ちょっ、待ってください先生……もういないし!」

 

「何で卒業したのに演習なんてしなきゃいけないんだっ!!」

 

「……はい」

 

カカシが去った後には演習場までの地図と『明日、朝飯食べてくるなよ。俺の演習は厳しいから食べてきたら吐きまくって死ぬからな?』と書き置きがあった。

 

ナルトはそれを文句言うサスケとサクラに渡すとアカデミー内の図書館に向かって歩き出した。




どーもナコです!
下手な外伝下記始めたナコです。
幼少期はナルトのキャラ付けや周りとの関係を少しでも形作るために外伝も多くなると思いますがこれからもよろしくお願いします!


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演習当日~案山子居ぬ間に三羽の鴉を策を練る~

 

演習当日、ナルトは集合時間の8時より1時間早く来て周囲を探索し、それが終われば昨日の自己紹介後に集めた情報を整理していた。

 

「……今の俺じゃ100%勝てないってばね……」

 

ナルトは幼少期から現在に到るまで、時間のほとんどを修行に回し、少しずつではあるが確実に力をつけてきた。

しかし、その力があれば『誰にも負けない!』と思うほど馬鹿でも自惚れ屋でもない。

 

「随分早いんだな……」

 

「そんなの見てどうしたのよ?」

 

考え事に集中していたナルトはやって来たサスケとサクラに気づかなかった。

しかし、二人を見て名案が閃いたのか二人をジッと見つめて口を開いた。

 

「サスケとサクラ…今回の演習について話さなきゃいけないことがあるってばね。」

 

「「!?!?」」

 

ナルトから珍しく話しかけてきた事に二人は驚くが、先ずは話を聞くことにしたのか大人しく座った。

 

「昨日、じいちゃ…三代目にカカシ先生のこと含めて色々聞いてみたってばね。それで分かった事は5つ。

1つ目はこの演習こそが本当の下忍昇格試験である可能性が高いってこと。

2つ目はカカシ先生は四代目火影の弟子で、この里でもかなり強いってこと。

3つ目はこれが本当の昇格試験で内容が演習なら、 俺達はそのカカシ先生と戦わなきゃいけないってこと。

4つ目は今の俺達じゃ束になっても傷1つつけられないくらい実力差があるってこと。

5つ目はそんな俺達が合格に値するだけの何かを示さなきゃいけないってこと。」

 

「なっ、そんなの無理よ!!火影様の弟子だった人に勝つなんて100%無理っ!!」

 

「チッ!!ナルトの話が本当ならアイツに負ければアカデミーに逆戻りってことじゃねぇーか!」

 

「ちゃんと話を聞けってばね……勝てないこと前提での勝負って事は、勝ち負け以外の『何か』を示して認めて貰えれば試験は合格出来るはずだってばね!」

 

二人は頭を悩ませ始めた。

演習で勝ち負け以外の『何か』って何なんだ……しばらく考えていると色々浮かび始めたらしい。

 

「『何か』ってのは技術の事か?」

 

「もしかしたら罠や忍術の知識なんじゃない?」

 

「いや、術や技術だけなら演習なんて面倒臭いことしないで組手とかで足りるはずだ……」

 

「もしかしてスリーマンセルって関係ないかな?イルカ先生が忍は3人1組が言ってたし!」

 

「演習が個人戦かチーム戦は分からないが、もしチーム戦なら連携…むしろチームワークか?」

 

「そこまで絞りこむのは流石に難しいってばね……だけど俺達より遥かに強いカカシ先生に一泡吹かせるには協力と連携は必要だってばね。」

 

確かに3人の間には深い溝と高い壁がある。

特にナルトは今まで自分から深く関わろうとしてこなかった……そんなナルトが一時的かもしれないが、壁と溝を飛び越え歩み寄ってきた。

 

それを見た、2人は不思議と嬉しくなった。

自分達がナルトに抱く気持ちはハッキリせず、未だ不透明だが自分達がなんとなく嬉しいのは分かった。

 

「此処で組んだのも何かの縁だってばね!」

 

「それもそうね…どうせならギャフンと言わせましょ!」

 

「ならアイツが来るまで作戦でも練るか……」

 

 

3人は円を作るように座り、互いの長所短所、使える忍術を話し合った。

カカシはこの日遅刻し、3人に時間を与えた事を後悔すると同時に自力で答えに辿り着いた3人を誇りに思うのだった。

 

 




こんばんは!
予想以上に早い段階ではありますが3人の距離は一歩縮まりました!
このまま少しずつ距離を縮めて行こうかなと考えています!


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演習~前編~

 

 

ナルト達が作戦を練り始めてから2時間経ったが、集合時間を決めたカカシはいまだ来ていなかった。

3人の作戦会議は続き、更に1時間過ぎた辺りでカカシはやって来た。

 

 

「やーーー、諸君おはよう!」

 

「カカシ先生、3時間の遅刻だってばね! 後で火影様に俺達3人の精神的苦痛、成長期の貴重な時間を奪ったこと、全て諸々含めて更に盛って報告するってばね!」

 

「そうよ、そうよー!」

 

「自業自得だな…」

 

「………お前ら嫌いだ!!」

 

 

カカシは表情こそ崩さないが、内心は3人の仕返しにボコボコにされダウン寸前。

何故なら本当に報告された場合、それが給料に響けば久しぶりの『イチャイチャシリーズ』の新刊を買えなくなるからだ。

 

 

「まぁ、それは置いといて…今から演習を始める!」

 

「先生!演習ってアカデミーだとチーム戦だったんですが今回もそうですか?」

 

「ルールは今から説明する。

 演習は今から1時間、つまり12時30分までに、俺が持つ2つの鈴を奪うこと。

 昼までに鈴を奪えなかった奴は昼飯抜き!

 更に任務失敗の場合、アカデミーに逆戻りだ。

 それとお前らは手裏剣、忍術なんでもありだ。」

 

 

ルールを聞きながら3人は内心ガッツポーズを決めていた。

個人戦や組手では計画は水の泡となっていたが、唯一の勝ち筋である演習に決まった今、後は出来る限り作戦通り動き、カカシに『ギャフン!』と言わせるだけなのだから。

 

 

「よーい、スタート!で始めるからな?」

 

「「「…………」」」

 

「よーい、スタート!」

 

 

3人が一斉に別々の林に飛び込む。

粗削りだがちゃんと気配を消せている事に感心していたカカシの前にせっかく隠れたのに姿を表した少年が居た。

 

 

「俺と一対一で戦え……はたけカカシ!」

 

「うーん、一番手は木の葉の名門一族うちはか…俺が見た感じ、こんな無謀な事はしないように感じたんだけど………ハズレみたいだね、サスケ君?」

 

「俺はドベのアイツらとは違うんだよっ!!」

 

 

サスケはクナイと手裏剣を大量に放つが全てカカシに避けられてしまう。

しかし、サスケはカカシに当てる気は端から無い……自身の動きと周囲への警戒を一瞬でも逸らせれば良いのだ。

案の定、カカシが避けた先には罠が仕掛けられいた。

 

 

「し、しまった!?」

 

穴は片足サイズで、膝くらいまで入るであろう深さの落とし穴である。

左右のバランスを失い慌てるカカシに追い討ちをかけるように再び大量の手裏剣とクナイを投げるサスケ。

 

 

「これでどうだっ!!」

 

「ぐわぁー!…なーんちゃって…策は良かったけどまだまだだよ……お昼までおやすみっ!!」

 

「残念……俺は分身だ。」

 

 

悲鳴が上がった次の瞬間、カカシはサスケの背後に音もたてず現れ、その手には先程投げられた無数のクナイの1本が握られており、それをサスケの首筋に当てていた。

そして気絶させようとした瞬間、サスケはボワン!と音たて消えた。

 

 

演習終了まで後46分………

 

 

 

演習場の入口付近にある団子屋の店前に置かれた長椅子に座るナルトとサクラが巻物を広げ、口寄せの術を使うと、ボンッ!と音たて煙が立ち込め、煙が風に吹かれ消えると、そこにはサスケが立っていた。

 

 

「実力確認は成功だってばね!」

 

「ナルトの集めてきた情報の内、『カカシが四代目火影の弟子で実力者』ってのは確認できたな……確かに今の俺らじゃ勝てない。」

 

「まさか四方八方からの手裏剣攻撃を無傷で交わすなんて………私達じゃ勝ち負け以前に勝負にすらならないわ。」

 

 

3人は演習場に戻るでもなく店員に団子とお茶を注文し、先に出てきたお茶をズズズッと啜り一息つくと次は団子を食べながら朝話し合った『カカシ対策』の穴を埋め、少しでも作戦の成功率を上げるための話し合いを始め。

 

 

「サクラ、お前を馬鹿にする訳じゃないから怒らずに聞いてくれ……」

 

「なにサスケ君?」

 

「おそらくアイツが警戒するとしたら俺かナルトだ。俺は『うちは』って他里にも知れ渡る名門一族の生き残りで、ナルトはイルカ先生とのアカデミーでのやり取りを調べれ実力関係なく警戒はする。」

 

「なんとなくサスケの言いたい事が分かったってばよ。」

 

「私はサスケ君みたいに特別有名じゃないし、ナルトみたいに目立った事をアカデミーでしてない。つまりカカシ先生から見た私は『ごく普通の頭が良くて可愛い女の子』ってこと?」

 

「「そこまで誉めてない」ってばね」

 

「二人とも喧嘩売ってんの!?しゃんなろぉー!」

 

「「め、滅相もないです…はい…」」

 

 

多少おふざけのようなギャグのようなやり取りはあったがサクラはちゃんと理解していた。

現状自身の力は二人に劣ること、当然カカシの中でも自身の対策優先度は低いこと、だからこそ今から行う作戦の鍵を握れるのが自身しか居ないと言うことを。

 

 

「つまりサスケ君とナルトがカカシ先生の注意を惹く囮役、私がトラップと二人のサポート役になるのね……」

 

「ああ。」

 

「安心しろってばね! 俺達もなるべくタイマン時間稼いで、空いてる方はサクラにサポートの合図だすから、サクラは俺とサスケを口寄せす出来るようになるべくチャクラは温存、罠は此処に書いてある通り張れば問題無いってばね!」

 

「時間まで後40分……サクラはラスト5分まで罠を張れ。時間が来たら俺達がそこまで誘導する。」

 

3人は所々穴はあるが必死に考えた作戦の成功を祈って一皿三本の団子を頼み、1人一本ずつ食べながら演習場に向かった。

 

「サクラは今朝の集合場所に向かってそこに罠を張れ。俺とナルトは出来るだけ時間稼ぐぞ…」

 

「おう!」

 

「分かったわ!」

 

 

3人は其処で別れた。

サクラは残り時間を全て罠とサポートに回すため少しでも早く着こうと走った。

サスケとナルトはそんなサクラがカカシに目をつけられないように気配消すのを止めてサクラと反対方向に走った。

 

 

 

演習終了まで残り36分……

 

 

 

1分、また1分と時間が過ぎるなかナルトとサスケは交代したり、時には同時に攻めたりしながらカカシを順調に足止めしていた。

しかし、この『足止め』はただの『足止め』ではいけないのだ。

 

①自分達が協力してる

②罠を張るサクラの存在

③最終的離脱方法が『口寄せ』である

 

これら3つ、特に②と③は3人が立てた計画を成功させるためにもバレてはいけない。

 

 

「邪魔だ、ナルト!アイツは俺が倒す!」

 

「お前には死んでも無理だってばね!」

 

「なんだとっ!」

 

「カカシ先生の前にお前を潰してやるってばね!」

 

カカシは演習そっちのけで今にもぶつかり合いそうな二人を呆れながら見ていた。

 

「お前らねぇ…」

 

辺りを飛び交うクナイ、いたるところで起こる起爆札の爆発、体術の押収……数多の任務をこなしてきたカカシにとっては避けること容易いが、サスケとナルトの攻撃はなまじ威力がありすぎるのだ。

下手に気を抜いて一発でも当たれば大きなダメージとなり、一気に形勢をひっくり返される可能性がある。

 

「昼まで後10分きったよ。そろそろ争うの止めたら?」

 

「「嫌だ!」ってばね!」

 

今回の3人にある程度期待していたカカシの中で3人の評価は絶賛急降下中だ。

然り気無く『協力・チームワーク・連係』を促してはみるが全く成果がない。

サクラは未だに姿を見せず、サスケとナルトは喧嘩ばかりで時々連係に近い攻撃をするがその制度は余りにもお粗末。

 

「はぁー、今回もダメかな…」

 

ぼそりと呟くカカシは自身の思考で、ある違和感を感じた。

その違和感の原因は一向に姿を見せないサクラの存在とサスケとナルトが稀に繰り出す連係だ。

 

カカシside

 

1…2…連係、1…2…3…連係、1…2…連係

 

1…2…3…4…連係、1…2…3…連係、1…2…3…4…連係

 

連係のタイミングは三回起きに変えてる…しかし、昨日今日の話し合いで此処まで完璧に足並みそろうか?

 

ドカーン!……バボーン!……ズッガァァン!……

 

まさかコイツら、連係入る前に起爆札で合図出してタイミング合わせてるな……

2人は確実に手を組んでる。

 

 

 

じゃあサクラは?

此処まで来たらサクラだけ協力してないって事はないだろう…

考えられる答えは1つだな。

 

カカシside終了

 

「お前ら手を組んでるだろ?」

 

「「!?!?」」

 

「どうやら図星みたいだな……ってことは未だ姿を見せないサクラが切り札だな?」

 

「「………」」

 

「この場での沈黙は何よりの答えだよ……消去法で考えられるサクラの役割は力より知識…つまり罠を張って待ち伏せ、または援護。」

 

確かに3人の計画は下忍が2、3時間で考えたにしては

素晴らしかった。

2人が囮で1人がそのサポート…確かに単純だが下忍にも可能でそれほど高度な技術は必要ないため、凝った複雑な作戦より失敗は少なく成功率も高い……実戦経験無い下忍が考えた作戦の中では満点クラスだ。

 

しかし相手が悪かった。

相手は様々な修羅場を潜ってきた凄腕の上忍のはたけカカシ。

1つ見抜かれただけで隠していた計画を丸裸にされてしまった。

 

「お前らはちゃんとチームワークが成立してた。この演習は全員ごーか……【パァァン!】」

 

ラスト8分でサスケとナルトは計画の失敗を悟った。

カカシは3人への評価を改めて合格を言い渡そうとした瞬間、空に何かが打ち上がった。

 

本来計画に無いその照明弾と発煙筒の赤い煙は失敗を悟った2人に闘志を呼び戻した。

何故ならその2つが上がっている場所は現在進行形でサクラが罠を張り巡らせている場所だからだ。

 

 

 




久しぶりの投稿になります!
原作に沿いながらも多少(?)中身は変わっていきます!
投稿出来るようであれば今日、外伝3話目を投稿します!


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演習~後編・その1~

 

照明弾と発煙筒が示す場所に向かうサスケとナルトだがカカシは既に本来の演習目的である合否の判定を決めている。

此処で2人を追わず演習を終了し、彼等を集合させて合格を伝えれば担当上忍最初の仕事は終了し、わざわざ待ち構える場所に向かって戦う必要はない。

 

「んー、仕方ない…行くとしますか。」

 

しかしカカシはあえて罠に飛び込む道を選んだ。

 

それは力に自信があるからでも、彼等を下忍と侮ってる訳でもない……これはカカシからの細やかなご褒美なのだ。

見事なチームワークを見せた彼等に忍術や体術の奥深さを、現時点での力量差を、実践で得てきた知識や技術を言葉ではなく実戦して見せる。

 

まだまだ強くなる可能性とは言え彼等はまだ下忍。

そんな彼等に名高い上忍がわざわざ力を示すのは今の力に慢心せず、傲らず、高みを目指して欲しいからである。

そして自分や回りの上忍を越えるくらいに育ってほしい……カカシはそんな事を思いながら集合場所入口に向かった。

 

 

~集合場所~

 

「ハァハァ…サクラよくやった!」

「ナイスタイミングだってばね!」

 

「ナルトから団子屋で先生の話し聞いたでしょ?

それで準備してるときに2人には悪いけど私達3人居たって無理な相手を2人だけでギリギリまで惹き付け続けるのは難しいと思ったのよ…結局頑張って飛ばしても今の今まで掛かっちゃたけどね…」

 

「アイツが別格だとしても今の俺達じゃ他の上忍にだって勝てない…」

 

「それが分かっただけ無駄じゃ無かったってばね!」

 

3人はカカシが来るまで今回の演習で分かったことを話し合った。

その様子を少し離れた場所でカカシは微笑ましく見ていた……が、次の瞬間その顔は恐怖に歪んだ。

 

「そんな訳で俺達が上忍相手にするには『やり過ぎちゃった……てへっ!』ぐらいがちょうど良いと分かった。

これより第一次遅刻魔撃滅攻撃開始だってばね!」

 

「「ラジャー!!」」

 

「へ?」

 

ナルトの号令とサスケとサクラの元気一杯な声が演習場に響き渡った。

 

ドッゴーン!×20

 

大量の爆発が演習場回りの林を襲ったのだ。

 

「目標の死ぼ……安否急いで確認!」

 

「ターゲットの死体無し!」

 

「こっちもだ!」

 

「無事なら良い……第二撃発射!」

 

「「了解!」」

 

3人はカカシの無事を祈りながら罠へと繋がる紐を切ると辺り一面に張った札がボフン!と音たて大量のナルトが現れた。

 

「「「「多重影分身+変化の術!!」」」」

 

なんとか避けたが全身煤まみれになったカカシを襲った第二の悲劇……それは分身ナルト達が変身したナース、バニー、スク水、セーラー服など様々な格好をしたカカシの大群だった。

 

「おっ、オェェェ!」

 

自身の女装姿……物理的ダメージは無いが精神的ダメージは絶大である。

しかも倒すと…

 

「カカシ御兄ちゃんのバカっ!」

「我等の絆は死して永遠だ!」

「俺は全力でセクハラをする!」

「うっふ~ん、俺を見てぇ~」

「今宵の俺は飢えているでござる」

 

様々な台詞を吐いていくのだ…それも痛くて恥ずかしい物ばかり。

 

「お、お前ら嫌いだぁぁぁ!」

 

森にこだます悲鳴を聞いた3人は…

 

「ナルト、先生の無事を確認したわ!」

 

「流石、上忍は伊達じゃないな……」

 

「ば、馬鹿な!奴は化け物か!」

 

必死に笑いを堪え、ふざけながら第三撃へと繋がる紐を切っていた…

 

 

演習終了時間10分オーバー

残る罠は第四と第五の2つ

 




また終わらせ切れなかった……
演習マジなげぇー…つうか長くしすぎた…

ってことで次回で演習終わらせたいと思ってるけど有言実行出来るか不安なナコでした!


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演習~後編・その2~

カカシは必死に演習中止を叫んでいた。しかし、声は届かない…どんなに叫んでも彼等には届かない……爆音が邪魔して。

 

「演習中『バゴーン!』」

 

「お前ら合か『チュドーン!』」

 

「はな『ドッガーン!』」

 

カカシの叫びは必ず爆音に打ち消された。爆音が故意かどうかは憶測でしか判断出来ないが明らかに故意だろう……だって遮り方に明らかな悪意を感じるから…

 

精神、肉体ともにダメージを負ったカカシは木陰に身を隠し休息をとることにした。

しかし、3人にはカカシを休ませるきは更々ないようで次の攻撃が襲った!

 

「「「「カカシ、俺と勝負だっ!」」」」

 

大量のガイである。

右見てガイ!左見てガイ!あっちもこっちもガイ、ガイ、ガイ!

 

自他共に認めるライバルのガイ……普段なら問題ない。

だが疲労したカカシには忠実に再現された暑苦しさ、熱血、濃い見た目は効いた……なんせそれが20体程居るのだからしょうがない。

 

「パッパッと消して休もう……」

 

「「「そうはいかんぞ!!」」」

 

カカシ対ガイ×20

最初は直ぐに蹴りが着くと考えたカカシだがその希望は対戦するうちに消えていった。

ガイ程じゃないが一人一人が強いのだ。

 

「木葉旋風!」

「木葉剛脚翔!」

「じゃんけんぽんっ!」

「猛虎獣咬爪!」

「螺旋掌底!」

「あっち向いてほい!」

 

「本当厄介だねぇ……って今、そこのガイはじゃんけん負けたでしょ!!」

 

周りの全てを見逃さないようにするうちに研かれてきたナルトの観察眼。

ガイやリーとの訓練を通して体捌きを覚え、相手の動きから次の攻撃を予測出来るようになった。

幼少期の地獄はナルトの体に『大きなハンデ』を与えたが同時にそれを補える『技術』を与えてくれたのだ 。

 

~それから10分後~

 

「はぁはぁ…雷切り!!」

 

「さ、さすが俺のライバル……ぐはっ!」

 

「本当厄介な相手だったよ……」

 

威力は低いがそれ以外は見事にガイ。

本当に心の底から厄介だったと感じるカカシだった。

 

 

~演習集合場所・3人~

 

「ちょっ、今の雷なによ!?」

 

「恐らくアイツだろうな…」

 

「第三次トラップ失敗……第四次トラップ失敗の第五次トラップは今『来てもらってる』から問題なし。全員初の作戦にしては上々だってばね!」

 

「四個目まで手回らなくて……本当ごめん!!」

 

「下忍が約30分であれだけ出来れば十分だ。」

 

自身の役割こなせなかった事に落ち込むサクラをそっぽ向きながら撫でるサスケと予想外の励ましにあたふたするサクラ。

 

「熱すぎて胸焼けしそうだってばね……それよりおばカップルの意見聞きたいんだけどちょっと良いかな?

 

「「お、おばカップルってなんだ!」なによ!」

 

「おばかなカップル、訳しておばカップル!ってのは置いといて、第五次が到着するまで後15分。ターゲットは目の前」

 

「えっ!?」

 

「やっと到着か…」

 

「随分好き勝手やってくれたね3人とも……」

 

とうとう3人の前にカカシがたどり着いた。

周囲にはアカデミーで習った中でも一番難しい結界も張っていたはずなのに反応すらしなかった。

 

今までアカデミーのレベルがサスケとサクラにとっての忍の基準だった。

中忍や上忍は凄いと頭で理解していても直接見てない二人にはその『凄さ』は絵物語でしかなかった。

 

しかし、二人の認識は今日変わった。

サスケは実践で…

サクラは煤だらけではあるがほぼ無傷のカカシを見て…

そんな二人を見てナルトは言う。

 

「残り15分俺達の力で粘ってみない?」

 

 

~最終トラップ到着まで残り15分~




最近忙しく更新できなかったナコです。
ボルトを見た瞬間に忙しさで萎えていたヤル気が復活!
というわけで久しぶりに更新します!


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演習~後編・~完結~

「はぁはぁ…つ、強すぎよ先生……」

「まさかこんなに強いとはな……」

 

サクラは挑んでから約1分で背後を取られ、サスケは痺れ薬を塗ったクナイが腕を掠り2分程で捕らえられた。

 

「俺は現役上忍、まだ下忍なりたてのひよっ子に遅れを取るわけにはいかないの。」

 

「さっきは私達の罠に苦戦してたくせにー!」

「サクラの言う通りだ……」

 

「えーっと……それはそれ、コレはコレってことでお前たち下がってなさい。俺の勘が正しければ最後の悪戯小僧は歴代アカデミー生の中でもトップクラス……よくもまぁ隠し続けてこれたねナルト!」

 

「「ウオリャー!!」」

カカシに言われサスケとサクラが離れた瞬間に大量のナルトが一斉に飛びかかってきた!

 

「質より量の影分身じゃ俺は倒せないよ……あれ?」

 

「確かに多重影分身は量が多い変わりに一体一体の質…強度は脆くなる。ただ長い時間かけてより多くのチャクラを練り込めば他の術同様その精度は上がり本物に近づく……何度も試して分かった事だってばね!」

 

「本当にアカデミーでドベだったのお前?」

 

理論上は正しいが大量のチャクラと時間が掛かるため戦闘には向かない。

しかし、あらゆる事態に備えて準備しておけば戦況を一瞬でひっくり返せてしまえる。

なによりカカシが驚いたのはアカデミー卒業したてのナルトがすでにチャクラ配分を会得していることだ。

 

「もひとつオマケにドッカーン!」

 

「なっ!?」

 

カカシがトリッキー攻撃してくるナルト軍団の一人を討ち取った瞬間に分身の中から大量のトリ餅が吹き出し、更に一人が消えた瞬間に連鎖的に分身達が爆発し中から鎖やクナイ、手裏剣や起爆札が飛び出してきた。

 

「これぞ数多の忍具を影分子に仕込んだ名付けて影分身ビックリ箱バージョンだってばね!」

 

「ゲホッ!ゲホッ!……発想は悪戯レベルだけど威力は桁外れ…下手したら俺死んでたよナルト?」

 

はたけカカシ、本日真っ黒けになるのは2度目である。

しかし、怪我1つ負ってないのは流石上忍と言ったところだろう。

しかもナルトの背後を取り、首筋にクナイを押し付けるというオマケつきだから堪らない。

 

「さっすがカカシ先生だってばね!」

 

「お褒めに預かり光栄だよ、ナルト。」

 

「確かに俺達は勝負に負けた……でも賭けには勝ったってばね。」

 

「何のことか「カーカーシー!!」」

 

背後を取られながらものほほんとしているナルトが残した台詞が気になり問いただそうとした瞬間に聞こえてきた怒鳴り声……声の正体は言わずもがな…

 

「下忍を注意し、まとめ、育て上げる立場の上忍が遅刻とはどういう事じゃ!!」

 

「さ、三代目!?」

 

三代目火影・猿飛ヒルゼンである。

 

「今まで功績から大抵のミスは見逃してきたが今日という今日は我慢ならん!」

 

「す、すいません!」

 

「「「先生サヨナラー」」」

 

「お、お前ら……」

 

「待て、話はまだ終わっとらん!」

 

サクラ、サスケ、ナルトは焦るカカシを見ながらニヤニヤと笑みを浮かべながら帰っていく。

もし今、子供の目が無くなり三代目と二人にされれば遠慮する必要がなくなり今、以上の雷が落ちる……そう判断したカカシは何とか三人を止めようとするがあっさり捕まり火影室に連行され1日中説教を食らった。

 

数日後、反省文2000枚と給料を3ヶ月間半分カットを言い渡されたカカシの

 

「アイツら本当に大大大だぁーい嫌いだぁーー!!」

 

悲鳴が里に響き渡った




最近忙しくて全然更新が出来ないとです……
読んでくれてる皆様まっことすんません!


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~ナルトの新術作成!!~

 

ナルト達が下忍になり2ヶ月が経った。

解決した依頼は15件ほどで、そのほとんどがFランクまたはEランク。

内容としては草むしり、猫探し、子守りなどのお手伝いがほとんどで、たまに空き巣退治や獣退治があるくらいのものだった。

 

しかしこれらの低ランク任務はナルトにとっては天国そのものだった。

早く任務が終われば残りの時間は自由だし、体を動かす依頼の場合それ自体が修行前の軽いウォーミングアップになるからだ。

 

そして何時ものように午前中で任務を終わらせ、自由時間となった午後をナルトはダンゾウから言われた『チャクラ質変化』の修行に費やしていた。

誤解の無いよう付け加えると決して『チャクラの性質変化』ではない。

 

「えーっと何々……『チャクラの変化と言うと誰もが火、水、土、雷、風の五大性質変化を思い浮かべる。しかし、性質変化を会得し使いこなすのは並大抵の事ではなく、仮に会得したとしても己の適性に合わなければその威力は著しく下がる。』……ふむふむ」

 

現在ナルトが読んでるのはヒルゼンが修行の参考にくれた古いレポート『チャクラ基礎及び応用』である。

ちなみに作者は大蛇丸だったりする。

 

「『ただでさえ会得が難しい五大性質変化を果たして中忍や下忍が会得できるだろうか……答えは否である。

仮に会得出来たとしても経験や鍛練が未熟な体には大きな負担が生じる。そこで私が提案するのは『性質変化』ではなく『形態変化』である。』…流石はじいちゃんの元弟子!抜け忍でも良いから一度会ってみたいってばね!」

 

大蛇丸が書いたレポート、研究資料、文献等は全て古いものばかりで著者の写真が色褪せて見えない。

抜け忍ということもあり容姿確認可能な写真のほとんどはブラックリスト作成の資料として回収され、今の下忍達は物語で活躍や悪行は知っていてもその容姿までは知らないのだ。

 

故にナルトはまだ知らない……大蛇丸が度を越した変態であることを…

ナルトの中で大きく膨らんだ理想や憧れが後の本人登場により完膚なきまでに、木っ端微塵に、塵一つ残さないくらい砕け散るのはもう少し先の話である。

 

「『チャクラの形態変化の例として一番分かりやすいのは砂隠れの里の傀儡使いだ。彼等はチャクラを糸状に変化させ、それを傀儡人形に繋いで操る。

チャクラには決まった形がなく、訓練次第で最も応用が聞く武器に成るモノである。

どんな術でもそうだが当然会得期間や技術には個人差がある……が、チャクラを体内に持つ者であれば比較的簡単に覚えることが可能である。

 

会得するには二つの段階を踏まねばならない。

第一段階はチャクラを意識し感じること

第二段階は変化させたい形の想像と観察

この二つは質変化会得の大事な行程である。』

この続きは焼失したってじいちゃん言ってたけど此処まで分かれば十分だってばね!

うずまきナルトは勝手ながら貴方を師匠と呼ばせて頂きます【大蛇丸】大先生!!」

 

こうして大蛇丸が全く知らないところでナルトは勝手に弟子宣言をし修行を始めるのだった。

ちなみにナルトがチャクラの変化対象に選んだのは【糸】だった。




1ヶ月ぶりでしょうか?
脳内に話の内容は浮かぶのですが中々文に出来ず苦戦してました……
基本話を考えずその場で浮かんだ物を投稿してるのでいつも以上にしんどかった…
話の内容や文自体は単純で大したこと無いのに何故だろうか?

というわけで訳のわからないスランプ擬きはゴミ箱にポイして、今回のナルト君の新術はチャクラの質変化でしたぁー!
当方のナルト君の主体忍術は
【口寄せの応用】
【悪戯忍具・罠】
【影分身・変化】
【糸・????】
です!


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ナルトの弱点~修行と波乱の幕開け~

 

ナルトがチャクラ糸の修行を始めて1ヶ月、結果から言えば修行は半分成功で半分失敗と言ったところだ。

 

チャクラ糸は出せるようになり、30cm程度のカラクリと呼ぶにはあまりに粗末ではあるが人形なら操れるようにはなった。

しかし、糸も人形も強度がかなり弱く、今のままでは到底戦闘などで役に立たない代物。

 

後に登場するカンクロウやサソリのチャクラ糸の強度を綱糸と例えるならナルトのチャクラ糸は蛸糸、良くてピアノ線程度の強度しかない。

 

 

「じいちゃんに言われて分かってるつもりだったけど……改めて突き付けられるとショックだってばね…」

 

多数の影分身達と訓練していたナルトが中々成果でない特訓に呟いた。

 

 

以前ダンゾウはナルトの大きなハンデを包み隠さず伝えていた。

そのハンデとは『後天性変異骨格チャクラ系不能』という世界でナルトたった一人の症状。

幼き日より暴力の嵐に曝されたナルトの体は本来なら毎日が重症・即刻入院・絶対安静のオンパレードだった。

 

しかし、ナルトには九尾が封印されていた。

九尾の意思に関わらず九尾チャクラが宿主であるナルトの治癒力を異常活性させ、毎日の怪我をその場で強引に治していたのだ。

 

怪我は治ったがその治療は正当な物ではない。

通常なら骨折した場合、まず診断、骨に歪みがでないように治療、最後にズレないように固定し元通りの腕に戻す。

しかしナルトの場合は診断も固定もなく、その場で強引に治療……完治を目的としないあくまで死なない為の強制的治癒は次第にナルトの骨格やチャクラ系に多少ではあるが歪みを与えた。

 

その多少の歪みがナルトにもたらした結果は常人に比べてチャクラの放出や練度を阻害し、日常生活には何一つ問題はないが長時間の戦闘等は出来ないと言うものだった。

 

 

だからこそナルトは小細工と言われるような小道具の作製と基礎的な忍術の改良に取り組んだ。

 

誰よりもナルトの現状を知ってるからこそダンゾウは体術より基礎的なトレーニングに多くの時間を費やして身体機能や戦闘時の活動限界時間の底上げを図った。

 

そんなダンゾウの狙いを言わずもがな理解したからこそヒルゼンは自身が知る数多の忍術ではなく、ダンゾウ及び日常のトレーニングの疲労回復を兼ねた精神修行に時間を費やした。

 

そんな3人の思いあって修行を初めてから6年掛かったがナルトは数多の忍具を開発し自身を自衛できるようになり、身体能力と活動限界時間の底上げにも成功した。

更には精神修行のお陰で自身の限界時間を常に感じ無茶な修行や戦い方はせず、物事を冷静に判断出来るようになった。

 

 

「俺は無茶せずに強くなって、どんな時も無茶せずに生き残らなきゃいけないんだってばね!」

 

「自分で言っててなんだけどかなり無茶な話だってばね……」

 

本体ナルトが溢した愚痴に返すは分身ナルト。

しばらく休憩してから二人は再び修行を再開した。

どんな無茶でもやって、やり抜くと幼き日に誓ったから。

 

そんなナルトの元に、正確には第七班にある依頼が舞い込むの翌日の事である。

 

 




中々浮かんだ文が繋がらず四苦八苦していたナコです!
待ってる人なんて居るのかな?なんて思いながらもなんとか投稿できました!

ついに!って程伸ばしてはいませんがナルト君の弱点登場です!
そんで次回から橋です!白です!鬼人です!ガトーショコラです!
ガトーなショコラをどう料理するか必死に考えながら頑張りたいと思います!


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初任務
初の護衛任務! ~出会い最悪!先行き不安!~


 

 

日課のトレーニングと食事を済ませたナルト。

第七班の集合場所である空き地に向い、何時ものようにナルト、サクラ、サスケ、カカシの順に合流し、昨日の任務報告と新しい任務を貰いに火影室に向かった。

 

 

「今回の任務も問題なく終了したようじゃな。」

 

「依頼人が凄く感謝しててな、俺も鼻高々だったぞ!」

 

 

三代目火影ヒルゼン、その補佐のイルカが七班を誉めるとナルトの無表情が綻んで照れ笑いに変わり、そんなナルトを左右からチラチラ盗み見る3人。

低ランクとはいえ数々の任務を一緒にこなしてきた七班に前よりは表情見せるようになったナルトではあるが、いまだに無表情が当たり前であり、こんな表情は中々見れないのだ。

 

 

「「おっほん!」」

 

「「「!?」」」

 

「二人揃ってどしたんだってばね?」

 

「最近喉の調子が悪くてな……んんっ!あーあー!」

「儂も何だが…ゲホゲホ!」

 

 

かなりわざとらしい咳だがナルトは気づかない。

 

 

「ところでカカシ、今年は【アレ】を木の葉で開催するのは知っておるな?」

 

「もう【アレ】の時期ですか……モノは相談なんですが【アレ】にコイツらを出しても良いですかね?」

 

「私も普段ならまだ早い!と止めますが今期の卒業生は成長スピードが早く、将来はかなりの忍びになると思います。

だからこそ此処等で高い壁をぶつけないと天狗になるどころか折角の才能を潰し、最悪仲間も自身も怪我じゃ済まない状態になる···モノは試しで普段より監視を増やし、ある程度の安全確保した上でやらせてみては?」

 

「過保護なお前から賛成とは珍しいこともあるもんじゃ····では全下忍に参加の意志の有無を確認し、力量確認として現在よりワンランク上の任務をさせよう。

それを参加試験とし、良クリアした班のみを参加させるとしよう。」

 

 

この場で火影達の話を唯一正確に理解してるナルトは個人的な理由からウヘェ~っと嫌そうな顔をし、サクラとサスケは期待されてる事への嬉しさ半分とナルトの表情から【アレ】と呼ばれる物への不安半分と言った顔をしている。

 

 

「次の依頼内容は‥‥丁度良い。ランクも内容も今話した条件に当てはまるようじゃからカカシ班の参加試験はコレとする。」

 

 

三者三様ならぬ多者多様な反応に包まれた部屋。

火影が次の依頼書を見てから鈴を鳴らすと背格好から見て恐らく50~60代であろう男性が入ってきた。

その男はドアの外で多少なりと話を聞いていたのか自分の依頼を担当するナルト達を見て言った。

 

 

「こんなガキどもが護衛で本当に大丈夫なんだろうなぁ?

わし、超心配!」

 

 

ある意味では忍者も客商売と然程変わらないがこの男の第一声は失礼すぎではなかろうか、と思わずにはいられない。

普段無表情で並大抵の事ではそれを崩さないナルトが顔を歪め、ボソリと呟いた。

 

 

「俺はオッサンの全てが胡散臭すぎてこの依頼超心配だってばね」

 

 

 

 

すでに日も沈み始めていたため一時解散し、翌日は各自の準備や現状の把握、出発は準備や把握が昼前に終わったならその日に、昼を過ぎたなら明後日とカカシが提案したのだが依頼人であるタズナが今すぐ出発だ!と無茶を言い出した。

それからタズナとカカシの間で一悶着あったが、カカシは終始冷静で夜に発つことの危険性を説明し、出発を明日の朝にするという条件を付けることでその場は収まった。

 

 

ー夜・七班各自家ー

 

 

「波の国、護衛、年配···大した情報無かったが、あの爺さんの反応見れば用心にこしたことないな。」

 

 

「流石に今日の今日じゃ集まらないかぁ···あれ、これって···大工の護衛に絡んで来るとは考えられないけど念には念をってね!」

 

ナルト邸~

 

「ナル君って本当面白いこと考えるわね~」

 

「通常より収納量は減ったけどコレなら姉ちゃんみたいには使えなくても隙が少なくて済むってばね!」

 

「でも只の護衛任務にしては重装備過ぎない?」

 

「そうなんだけどあの爺さん何か怪しいんだよなぁ···」

 

「そっか、実際ナル君の勘にハズレはないからナル君が思うならきっと間違いないと思うわ。」

 

その夜、サスケ、サクラは大まかにしか依頼内容話さないタズナから得た情報に付け焼き刃ではあるが自分達で調べたここ最近の「波の国」の情報合わせて各々忍具等の準備をした。

ナルトは任務帰りだったのか夕方頃に来たもう一人の姉と慕う少女と協力して新しい収納巻物を完成させ、それに道具を詰め、更にそれを数本準備してから一緒に晩御飯を作り、少女と同班の個性豊かなメンバーの話をオカズに楽しく過ごした。

 

 

翌朝七班と依頼人のタズナは里の入口である『あ』『ん』と書かれた大きな門の前で落ち合い、里を出た。

あれから1時間程歩いたときタズナが振り返り三人の子供を見ては火影室でも聞いた一言を言った。

 

「先生さんは別にして本当にお前達なんかが頼りになるのかワシは物凄く心配じゃ!」

 

(((本当にしつこい····)))

三人の心が通じあった貴重な瞬間だ。

 

「確かにコイツらはまだ子供で実力だって上忍や中忍に比べればまだまだです。

 ただ機転、危機察知、判断力···任務に必要な要素はしっかり持ってる事は俺が保証しますよ」

 

(カカシ···(先生))

 

上忍であるカカシに多少なりとも認められている事にサクラだけでなくサスケまでが嬉しくなっている頃、ナルトは今しがた通りすぎた場所にある水溜まりをジッと見つめていた。

 

しばらく見つめた後にため息一つ。

タズナはナルトの行動を意味が分からなそうに見ていたがカカシ、サクラ、サスケはポーチに手を忍ばせクナイや手裏剣を準備。

 

水溜まりとナルト達の距離は5メートル程で緊張が走った次の瞬間!!

ナルトがバックをガサゴソと漁り、取り出したのは【グシャぽん】と呼ばれる商店街に最近設置されたミニフィギアを包んでいる拳位の球体カプセルだった。

中に何か入ってるようだがカカシ達は握るナルトの手が邪魔で中身確認出来ず、敵は玩具のカプセルのインパクト強すぎて大した物じゃ無いだろうと無視した。

そして···

 

「えいっ!!」

 

取り出したカプセルを投げた。

水溜まりに潜む敵も味方も唖然である。

なんせ投げられた物が起爆札や手裏剣ではなく【グシャぽん】のカプセル。

当たった所で「いてっ!」程度だ···当たるのがカプセルだけなら···

 

カプセルは水溜まりの直ぐ脇に落ちて割れた。

敵が潜んでるであろう水溜まりにすら落ちなかった···が、中身は水溜まりに混じた。

敵はナルトを嘗めた····担当上忍は別としてサクラやサスケも嘗めた。

 

「笑わせてくれるじゃねぇーか小僧!!」

 

「玩具遊びがしたきゃ家でママとしてなバァーカ!!」

 

嘗めた結果、奇襲するまでもないと水溜まりから飛び出してきた二人の忍者はナルトを指差してゲラゲラと笑う。

そんな二人を無視してナルトはバックからラベルが貼られた容器を2つと袋1つを取り出して二人の忍者に見せる。

 

夏場のアイドル【花火】

台所のガソリン【サラダ油】

世界が誇る最高度数【スピリッタス】

 

 

敵も味方もドン引きした。

だって水溜まりの中から飛び出てきた二人の髪や服には水溜まりに混ざった2つの燃料が染み付き、よく見ると黒い無数の粉もまとわり付いていた。

 

更にナルトは地面を指差す。

ナルトの足元から点々と続く液体の染み。

大方カプセルに穴が隙間を作っていたのだろう。

しかも油と混ぜた液体は地面の吸い込みが悪い。

 

全員の視線がナルトに戻った時、彼の手にはマッチが···

 

「芸術は爆発だぁーーーってばね!!」

 

遠い未来で出てくるであろう忍の決め台詞を叫びながらマッチを放った。

点々と続く染みは導火線となり二人の足元まで火を運ぶ

目の前に迫る恐怖に冷静に対応出来る人間は極僅か

二人の忍は悲しいかな【僅か】ではなく【大多数】の方だった

 

ヒュー、パン!ドドドド、ドカーン!

 

汚い花火が路上に咲いた。

 



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ボツ話 七班の絆の第一歩 ~きかない事も大切な事~

「「す、す、水遁・水膜球!!」」

 

見事二人の忍に大ダメージを与えはしたが鬼兄弟の異名を持つ二人の忍を仕留めきるには至らなかった。

二人の口から出され、合わさった膨大な水は球体となり、それに飛び込む事で消化し、ダメージを最小限に抑えたからだ。

 

「良くやったナルト」

 

下忍三人のみなら次に繋がる有効手だったが、カカシが居る現状では隙を作るだけの悪手以外のなにものでもなかった。

カカシは二人の背後に回り込み、指先に小さな雷玉を作り水球に触れた。

 

「「グ、バナガアヤザマグエェェ!!」」

 

結果は言わずもがな二人は感電し、あっさりとカカシ達に捕らえられた。

 

「せ、先生さんは勿論だが小僧も超スゴイな···」

 

「ナルト「だからな···」ですから···」

 

「誰一人怪我無く済んだのは良いけど対応早すぎでしょナルト···コイツらのターゲットが誰か見定められなかったじゃない」

 

ターゲットと言う言葉にビクンと反応したタズナをカカシもナルトも見逃さなかった。

そんなやり取りを続け、タズナが自身の口から語るのを待つが語るより先に鬼兄弟二人が目を覚ました。

 

「ぬ、抜け忍とはいえ俺達だって忍だ····」

「何をされようと情報は吐かねぇぞ!!」

 

そう言った直後に二人は舌を噛んで自害しようとし、カカシは再び気絶させようと掌に雷のチャクラを集め、サクラとタズナは恐怖から目を瞑り、あっさりと死を選ぶ二人にサスケは唖然としたが二人の自害はあっさり失敗してしまった···忍の闇と恐れられた老人の弟子の手によって。

 

「二人とも死ぬなら一瞬で行動しないと駄目だってばね!!」

 

二人の口に布を突っ込むことであっさりと自害を阻止したナルトは何故か敵にプンスカ怒っていた。

 

「死ぬのに一々前フリ要らないし、舌噛むなんて素人中の素人か死にたくない奴しか選ばない方法だってば···だから実力劣る俺なんかに止められるんだってばね!」

 

普通なら命の尊さを説くとか、説得して会改心させるような場面で始まった自害方法へのダメ出し。

 

((((何言ってるのこの子っ!?))))

 

敵味方関係なくナルトを覗く全員の心が1つになった瞬間だった。

 

「最後の手段奪われた忍の末路は勿論分かってるってばね?」

 

ゴソゴソバックを漁り、ナルトが取り出したのは【問】と書かれた巻物でそれを開くと中には無数の項目があり、カカシと鬼兄弟は書かれた文字を見た瞬間に顔を青くした。

 

「うずまきナルト流尋問の始まり始まり~!」

 

巻物にチャクラを流すと次から次へと出てくる拷問道具

悲鳴をあげようにも詰め込まれた布が邪魔してうめき声しか出ない敵に「うるさい!」と一喝したナルトが真っ先に手に取ったのは黒い手拭いと2つの小瓶だった。

 

「そこの拷問とは一味違うから覚悟してってばね♪」

 

黒手拭いで二人の目を隠し視界を奪い、小瓶の中身を二人の口に詰め込んだ布に染み込ませる。

 

「ちなみに毒じゃないからご安心! これは人間の痛覚をシャットダウン···所謂超強力な麻酔だってばね!」

 

完全にナルトの独壇場ができあがっていた。

嬉々として【拷問】を語るナルトにサスケとサクラの体は小刻みに震え、カカシはナルトの危険度を見定めようと傍観に撤し、タズナはこれから起こる惨劇に目を背けた。

 

「麻酔が完全に効いた今、二人はこれから起こる痛みは感じない···けど、麻酔が薄れるにつれて痛みがどんどん強くなっていく。」

 

最初こそ明るかったナルトの口調が喋るにつれて酷く冷淡になっていく。

聴覚に頼るしか現状を把握できない二人はサスケとサクラ以上にガクガク震えていた。

 

「まずは忍の命、手と足から捌くってばね!」

 

[ゴキン! グッギン! バギンッ!]

 

「逃げられないようにしたら、次は肉切りタイーム!」

 

「プッスゥ! ザシュッ! クチャクチャ···」

 

二人の忍の耳に入るは

聞き慣れた骨をへし折る音

殺り慣れた肉を裂き断つ音

 

「ンッッーー!ングッ!!」

 

痛みを感じない筈の悲鳴は静かな森に良く響いた。

 

 

 

side:種明かし

 

響く悲鳴をBGMに行われるクッキングはシュール以外の何物でもなかった···と語る担当含めた七班。

なぜならナルトが拷問と称して行っていたのは例えや比喩などではなく純粋に夕食の仕度だった。

 

肉を捌く音は巻物から出した様々な肉を捌く音

骨を折る音はキャベツや白菜の芯をへし折る音

 

それ以外のリアルな音はナルトが声帯を弄って出した声真似と実際に自身の肩や間接を外した音

 

先程敵に飲ませた小瓶には手で隠れて見えなかったが調味料の名前が書かれていた。

 

~30分後~

 

料理が完成したと同時に鬼兄弟はギブアップした。

聴覚以外の全てを封じられた二人は闇の中で聞こえてくる痛々しい音に精神を削られ堪えられなくなったのだ。

 

視界を奪われていた二人は知らないが、口を塞がれていた二人が30分という尋問にはしては短い時間で自白のチャンスを貰えたのはサクラがナルトを止めたのが大きな理由だ。

 

 

 

side:サクラ

 

「も、もういいよナルト!もういい!」

 

鬼兄弟と呼ばれた二人の反応以上に自身を躊躇なく痛め付けるナルトを見てられなかった····

 

「きっと話すよ! だからもう終わりにしよっ!!」

 

痛みすら感じてない様なナルトが私には怪物に見えた。

 

本当は今すぐ逃げ出したかった····

それでも逃げ出さなかったのは【能面】と呼ばれたナルトの目が泣いてるように見えたから。

 

気づいたら抱きしめてた。

 

「私達はチームでしょ!」

 

「ナルトが一人でやることない!」

 

「こういうのはカカシ先生に任せようよ!!」

 

ナルトの返事なんて聞こえない。

ただひたすらに止めていた。

 

泣きじゃくる私はきっと酷い顔をしていたはずだ··

そんな私にナルトは一言だけ呟いた。

 

「··········ごめん」

 

外した間接を戻すナルトの手当てしようと触れたとき私は気づいてしまった···

ダボッとしたジャージの下が所々歪に膨れているのを···

 

隣でナルトを押さえているサスケ君も何か見つけたのか青ざめた顔をしていた。

 

 

 

side:サスケ

 

異様な光景が前にあった。

 

躊躇わないナルト

 

痛がらないナルト

 

俺達が知らないナルトがそこには居た。

 

何故か悔しかった。 

この悔しさがどこから来るのか分からないが気づいたらナルトの腕を掴み、サクラと一緒にナルトの動きを無理矢理止めていた。

 

「止めろナルト!」

 

サクラと一緒に力ずくでナルトを引っ張り、二人から引き離した。

ナルトからボソッと聞こえた謝罪に何故かたまらなく胸が痛くなった···

 

そして俺は見てしまった···

袖口や襟元から見えたナルトの体に無数の痣があるのを···

 

視線に気づき隣を見れば泣き止んだ筈のサクラがまたボロボロ泣いていた···

 

 

 

side:ナルト

 

いつまでも経っても離れない二人

じーちゃん仕込みの尋問術は下忍成り立ての二人にはキツすぎたみたいだ。

 

里を出る前に数人に捕まり、殴られた傷が痛むからそろそろ放し欲しい···

 

「そろそろ二人とも離して欲しいって····「「馬鹿ナルトちょっと来い!!」来なさい!」

 

先程まで泣いていた顔としかめていた顔が鬼のような形相になっていた。

 

「「カカシ」先生後は任せました!」

 

背後でカカシ先生が何か言っているが二人は止まらずにそばの林に俺を放り込んで一言

 

「脱げ」

「脱ぎなさい」

 

はっ?

脱げって何を?

ってか現状脱ぐものなんて服位だから服だよな?

けど二人が俺の服なんて脱がせたいわけもないし····

 

悩んでいる俺に痺れを切らしたのか二人に押し倒された

 

「か、カカシ先生ぇー!!ふ、二人がご乱心だってばね!!」

 

「「手当てだ!」よ!」

 

みるみる内に服を脱がされた俺は現在パンツ一枚···

九尾チャクラで薄くなり始めてるとはいえ無数の打撲痕を二人に見られたのは正直キツイ···

前よりは二人を信じては居るけど弱味を見せるほど信頼しちゃいない。

 

もし、今二人が襲ってきたら逃げ切れるだろうか···

そんなことを考えていると傷を見てフリーズしていた二人が動き始めた。

 

「このウスラトンカチが!!」

「大馬鹿ナルト!!」

 

ゴッチーーン!!

 

「いッてぇぇぇ!?」

 

握り拳を作った二人はハァーーと拳に息を吐き掛ける。

昔、焦りから無理して修行し、体動かなくなった時に見舞いに来た人達が皆してやっていた動作。

次の瞬間襲ってきた痛みは彼等に負けず劣らず強烈だった。

 

「サスケ君、包帯と湿布取って!」

「ああ···化膿止めになる薬草はコイツだよな?」

「ええ。」

「包帯には腫れ止めを染み込ませたからそのまま使え」

「わかった!」

 

不機嫌オーラ丸出しの二人の手当て

直ぐに効き目が出るわけでも無いのに、心なしか痛みが和らいだ気がした。

 

「この傷については聞かないでおいてやる···」

 

「だけどもう少し私達を信用しなさい!」

 

「分かったってばね!」

 

普段ならそんな簡単に信じたりしない···

それなのにあんな返事が出たのは何でだろう···

今の俺には明確な理由は分からない···けど、なんとなく二人には嫌われたくない気がしたからかも知れない。

 

 

 

 

sideサクラ+サスケ

 

「分かったってばね!」

 

そう返事をしたナルト本人は気づいてるだろうか

【能面】が剥がれ、年相応のヤンチャな笑顔が浮かんでいることを···

 

((か、可愛い!!))

 

「さ、サスケ君!」

 

「任せろサクラ!!」

 

サスケは思い切り力んだ。

 

(開眼しろ! 今開眼しないでいつ開く! 俺の写輪眼は今、この瞬間の為にあるんだ!)

 

強引な開眼が成功し、瞳が赤くなり【写輪眼】を開眼したサスケにキョトンとするナルトを目に焼き付けていくサスケ。

 

「受けとれサクラッ!」

 

そのまま今度はサクラを見つめ、焼き付けたナルトの笑顔をサクラにも焼き付けていく。

貴重な瞬間と信頼の第一歩を獲得した二人は固く握手を交わした。

 

(何が起きたか分からないけど、【写輪眼】の使い方は絶対違うってばね····)

 

 




モチベーションあげるのにだいぶ時間喰ったナコです!

手直しはいくらでも可能なので一先ず乗せちゃいます!


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嘘、駄目、絶対!

 

「これでヨシ…ナルトは後方、サクラとサスケは左右、俺は前を見張る。コイツ等が抜け忍か、それを装った他国の忍か現状不明、周囲に気配は無いから新手の可能性は低いが一先ず今日の目的地まで気を抜くなよ…」

 

カカシが捉えた二人を大木に縛り終わると、普段の様子と違い真面目な声で三人に指示をする。

タズナを囲むフォーメーションを取った一行は再び移動を開始した。

 

 

「忍まで出てきたってことは……」

 

「ああ、下忍なりたての俺達が受けれる任務じゃない…」

 

『数が居てもカカシ先生が対処出来る位なら問題無いってばね…問題は先生を一対一に持ち込める手練が数人来た場合…騙されて受けた依頼だし、最悪オッチャン引き渡せば助かる可能性あるから【保険】はギリギリまで守るってばね。』

 

「「そうだな」ね」

 

 

タズナは左右と背後で小声で話し出すナルト達の物騒な会話にゴクリと唾を飲む。

敵に企てを知られず、自身の能力を明かさない事は傭兵に身を窶し、里と言う後ろ盾を無くした忍に取って絶対条件。

タズナを引き渡したところで【忍】の闘いは終わらない

しかし、それを知らず自身の不注意で護衛すら敵に回しかねない状況を作ったタズナから見れば安心は出来ない。

 

「せ、先生さん……」

 

「こらこら、依頼主を怖がらせるんじゃないの……本っ当ヤンチャな奴等で私も手を妬いてるんですよ、ハハハ……ですがコイツ等の言い分は間違っちゃいない。 全部話してくれますか、タズナさん」

 

「…あ、ああ…」

 

口調こそ穏やかではあるが、カカシがタズナを見る目は鋭かった。

当初有耶無耶のまま全てを終わらせようとしていたタズナも、これ以上隠し通せないと知ってポツリポツリの慎重に言葉を選び真実を話し始めた。

 

 

『…………流石に誤魔化しすぎだってばね………』

 

 

波の国の情勢、建設中の橋、ガトー及びガトーカンパニーの存在

、絡む利権と莫大な利益、抜忍の存在……話せば話すほど出てくる出てくる隠し事に流石のナルトも呆れざる負えなかった。

実際、サスケとサクラは開いた口が閉じず、何かあるとは思って居たカカシですら斜め上を行く事態に頭を抱え天を仰いでいた。

 

 

「依頼金の交渉をしようとは思わなかったんですか?」

 

 

「………………………」

 

 

「近隣の小国、特に何かしらの強みがある所は狙われやすい故にこの手の依頼は珍しく無い。 隠し事しないで話してくれれば支払い方法や期限など相談だって出来た。」

 

 

「す、すまん!!」

 

 

カカシの至極真っ当な意見にグゥの音も出ないタズナ

遥か年下であるはずのカカシに説教され、開き直ることも出来ずタズナはどんどん小さくなっているように見える。

 

 

「カカシ、ガトーって奴が手放したくない利権はそんなに大きいのか?」

 

 

本格的に任務継続の有無を考え始めたカカシに声を掛けたのはサスケだった。

 

 

「うーん…波の国近辺の地形や現状の輸送手段から見れば相当なモノだけど、急にどうした?」

 

 

あくまで急ごしらえの情報だからなんとも言えないけど、と前置きしてからカカシは地面に棒でタズナの話を簡略化した図を描きながら説明した。

 

 

「それで雇える抜忍のレベルってさっきの基準にすると、どれくらいですか?」

 

 

カカシの説明を聞いたサクラが今度は質問する。

 

 

「数を雇うなら100人前後ってところで、質を取るなら十数人……後者なら最悪だね…ってサクラまでどうしたの?」

 

 

おそらくさっきのは前者に該当する抜忍じゃなかな‥そう話すカカシに3人は顔を顰めながら、あーでもないこーでもないと話し合い始めた。

 

 

『少なからずカカシ先生レベルが居ること前提にしたほうが下手に気を抜かずに済むから良いってばね……となると目下一番の問題は…』

 

 

「俺(私)達の実力不足……」

 

 

任務遂行の為に必要なモノは分かりきっているのに、ソレを埋めるにはあまりにも時間が足りない。

3人は全員持ち物を確認し合ってはウーーンと唸り、頭悩ませる。

 

 

『急なパワーアップは無理だとして……オッチャン、生き残る為になんでも出来るってばね?』

 

 

「な、な、なんでもする! ワシに出来る事ならなんだってする! だから、波の国を見捨てんでくれっ!!」

 

 

3人の話し合いが5分程経った辺りで、ナルトが突然タズナをジッと見つめて問いかけた。

この時、タズナの中に合ったのが任務解消への恐怖か、他の何かかは分からないがタズナは必死に頭を下げた。

 

 

「ちょっと、ちょっと、勝手に話し進めすちゃ駄目じゃない……とは、言っても今更引き返せないのも事実……何か策あるの、ナルト?」

 

 

 

『……ゴニョゴニョ……』

 

 

「ほうほう」

 

 

『斯々然々』

 

 

「えっ!?」

 

 

『徒然成間々』

 

 

「ふんふん……」

 

 

『先生どうかな?』

 

 

「護衛対処の危険度はますが、下手に守りに入るよりは可能性は高いかもしれないね……」

 

 

こうして護衛任務の継続は決定した。

カカシはタズナに任務難易度が上がったこと、下忍三人がたてた護衛計画とそのリスクを説明した。

タズナもコレを承諾し、敵のテリトリーである波の国に入る前に全ての準備を整えてから入国した。

 

そんな一行に鬼人の脅威が迫っていることを彼等は知らない。

 

 

 



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