第2.5世代型神機-鎚を振るバスター少女 (ヘタレ蛇)
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第四部隊所属

初投稿です。御指摘あれば御願いします。


人は何かを目標に生きている。

 

 

それが達成されればそれは爽快

 

 

できなかったらなんか不快だ。

 

 

…とまではいかなかったりするけど

 

 

後味は残るかな。

 

 

私は、忘れた。

 

 

前にはあった。何故か忘れた。

 

 

こんなアラガミの徘徊する世の中で生きる事を考えないといけないのに

 

 

私はずっと喉の奥が引っ掛かってる感じがする。

 

 

 

 

 

 

 

ー贖罪の町ー

 

「…これで最後、かな。」

 

最後のアラガミが死んだのを確認し、黄色いの神器使い、ハルオミは神機を肩に乗せる。

 

『ハルさんのアラガミで最後になります。付近にアラガミの反応はありません。第一部隊、第四部隊の皆さんお疲れ様でした。』

 

耳に付けた通信端末からオペレーターのヒバリの情報報告が聞こえてくる。

 

「お疲れ、帰投地点は何処だ?」

 

『現在、帰投のヘリをエリアCに向かわせています。第一部隊、第四部隊はエリアCに合流して下さい。お帰りを御待ちしてますね。』

 

「さてと、行くか…。」

 

ハルオミは帰投地点に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

「あっ、ハルさーん!こっちです。」

 

ハルオミが帰投地点に着くとピンクポニテの女性が手を振って呼んで来る。

 

「カノンお疲れ、どうだった?今日の戦果は。」

 

ハルオミがそう聴くとカノンは難しそうな顔をした。

 

「はい、ええと、いつの間にか終わってました。」

 

「おぅ、そりゃ残念だったな…。」

 

その報告に「またか…。」と思い周りを見渡す。

 

 

「照れることはないぞ、我妹エリナよ。騎士にも休息の紅茶は必要だぞ。」

 

「エミール煩い!それにこの後ムツミちゃんと用事があるって言ってるでしょ!」

 

「あぁもう、二人とも言い争いは帰ってからにしろ。」

 

視界には相変わらず第一部隊のエミールとエリナは言い争いし、それを第一部隊隊長のコウタが止めている。更に横を見ると、目的の人物を見つけた。

 

「…モグモグ…。」

 

瓦礫の上に座り神機を地面に置いて持参したおでんパンとやらを少女は食べている。旨いのか、それ。

 

「よぉ、どうだった?カノンの戦果は。」

 

「…この姿を見れば分かると思いますが?」

 

よく見ると服のあっちこっちがボロボロになっている。誤射姫、今回も現るか。

 

「敵味方の攻撃の嵐、お腹空きました。御飯奢ってください、ハルオミ教官。」

 

最後に皮肉を付けられた、手厳しいな。さっきまで食べてたおでんパンがいつの間にか無い。

 

「ほんじゃさっさと帰って、カノンも一緒に…。」

 

『第一部隊、第四部隊。付近にアラガミ反応を感知。警戒して下さい。』

 

通信端末から来た内容に全員が神機を構え直す。

 

「ヒバリさん、何処から来るんですか。」

 

『南西方向から来ます。大型種1つ、中型種2つ。一緒に来ます。』

 

「…はぁ、ハル隊長。」

 

「なんだい…。」

 

「奢り、2倍分頂きます。」

 

そう言って彼女は紫色のバスター型神機を片手で振り上げ 先端の"塊"を先程座っていた瓦礫に合わせて降り下ろした。瓦礫は重い音と振動と共に砕け散った。

 

「お、御手柔らかに、頼みます…。」

 

俺の財布があの瓦礫と一緒になりそうだな。

 

彼女の名前は香月マリ

第四部隊新人の今にも俺の財布を食い潰そうとしハンマー型バスター神機を操る腹ペコ大魔人少女だ。

 

追記…俺の財布の前にアラガミの顔面が完全に陥没していたと述べておく。



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隊長の財布の前に

戦闘シーンが書けない
今回は長めに書きました
気づいたら変な文章なっていたから修正しました。


フェンリル極東支部-アナグラ-

エントランス

 

どうも、初めまして。香月マリです。今とても腹ペコで立腹です。当て付けに贖罪の街でアラガミの顔に一発ずつぶち当てて帰って来たけど、まだ落ち着かない。

 

私達はエントランスに来た時、ヒバリさんに声を掛けられた。

 

「皆さんお帰りなさい。マリさんとエミールさん、サカキ支部長から支部長室にお呼び出しがきてます。」

 

あれ、エミールと?しかも呼び出しって何言われるんだろう。

 

「ハル隊長、絶対先に行かないでくださいよ。」

 

「分かってるよ、レディを一人置いてかないって。カノンもそれでいいか?」

 

「私はそれで構いません。」

 

カノンさんはイイ人だ、戦場以外は。さて…。

 

「それではコウタ隊長、我妹エリナよ。ラウンジでまた会おう。我騎士道は約束は守る!それが我道!我名、エミール・フォン・シュトラスブルクにかけてぇ!?」

 

「はいはい、さっさと行きますよエミールさん。」

 

長くなるのでエミールさんの首根っこを掴んでエレベーターに乗り込んだ。

 

「マ、マリ君!?君の力が強いのは分かる!分かるから、力を弱めてくれ!折れる!?僕の首が折れてしまう!?」

 

あっ、思わず手に力が入ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ二人とも、任務お疲れ様。」

 

二人が支部長室に入ると眼鏡を掛けた細目の男性が座っていた。榊博士だ。はっきり言って根暗な腹黒男にしか私には見えない。

 

「根暗なのは否定しないが腹黒とは言い過ぎだろう。」

 

やっべー心読まれてた。

 

「さて、二人を呼んだのは理由は話そうか。まずエミール君、君には明後日の一二○○を持って極東支部を発ちフェンリル極致化技術開発局-フライアに2週間の派遣を命じる。そしてエミール君不在の間はマリ君が第一部隊に編入、辞令はこの後に出すよ。」

 

「フライア?」

 

なんだそれ、猫科の揚げ物か何か?フ・ライアンみたいな。

 

「名前の通り人類の極致化、それを目的とした移動式の支部と聞いています。まさか僕がそのような場所に行くとは、感激だ!」

 

エミールさん博識だねぇ。それにしても極致化ってなんだろうか。

 

「ほうエミール君は知ってるか、ならエミールは以上だ。下がって構わない。マリ君は少し残ってくれ、いいね。」

 

「了解しました。ではマリ君、僕は先に行ってるよ。失礼します。」

 

そう言ってエミールは部屋を出ていった。残った私は榊博士を睨んで見た。

 

「話とは何ですか?榊博士。」

 

「すまないね、空腹なのに待たせて。」

 

「謝るんでしたらさっさと話して下さい、待ち合わせしてるんで。」

 

「辛辣だね。内容はいつもの事だよ。」

 

あ~いつものね。

 

「君の神機の使っている調子はどうだい?」

 

「いつもどうりです。リーチが長いのに先端のハンマーは重いし、たった数十分で空腹感です。」

 

私の使っている従来型バスタータイプの激重ハンマー、第2世代と第3世代の2つのコアを1つに結合させたコアを持つ神機。第2.5世代神機、通称:失敗作神機。

 

本部が高い攻撃力を開発しようと激重ハンマーという馬鹿げたパーツを中心に研究した結果、第2世代と何やら第3世代は変な力を秘めてるとか何とかでそのコアを結合させ1つのコアにしより神機使いの短期間強化を目的とした神機。

 

この神機は当初の目的は達成と失敗で終わった。それを扱う神機使いはパワー面は本部の目論見どうり激重ハンマーを通常のバスターを片手で振り回すまで強化できた、が体力面と精神面へのデメリットがあった。スタミナの急激な消費、それに加え精神へのストレスによる精神不安定。それにより何人もの神機使いが精神治療送り、または鬱病状態になった。

 

殆どの神機は使用されず破棄、最後の1つも破棄されそうだったそれを私は使っている。

 

「ふむ、変わらずか。では精神面はどうだい?」

 

「時々、夢を見ます…覚えてないけど。」

 

「…やはりストレスが精神面に来てるかも知れないね。」

 

自分が使っている神機で夢見るなんて面白い話だ。はて、どんな夢だったっけ?

 

「とりあえず何か異常を感じたらちゃんと報告するんだよ。こっちも代わりの神機を探しているけどね。」

 

「ん…あっ、はい。」

 

夢を思いだそうとしてたら聞いてなかった。

 

「おっと、すまない。そう言えば待ち合わせさせていたね。下がって構わないよ。」

 

あっ、終わりですか。

 

「じゃあ行きますね、失礼します。」

 

私が支部長室から出ようと榊博士に背を向け扉に手を掛けようとした時

 

「そうだ、君は子供の頃は覚えてるかい?」

 

「?…いえ、全然。」

 

「…引き留めすまないね。下がっていいよ。」

 

「?…失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

「何だったんだろ、早く行ってハルさんの財布で御飯を集りにウッ!?」

 

また、気持ち悪い感覚が、部屋にいかないと。

やばっ…

 

バタンッ!

 

不味い意識が…揺れる…気持ち悪い…

 

エレベーターのボタン…は押した……後は…部屋に…

 

「あ~も~何でエミールといつも喧嘩するんだ。」

 

「だってエミールが鬱陶しいから。」

 

「だからって、あれ…誰もいなってマリ!?どうしたんだ!?」

 

「マリ!?」

 

あっ…コウタ隊…長…エリナ…だ。

 

「待ってろ、今救護室にグッ!?」

 

「こ、コウタ隊長!?ちょっとマリ!」

 

コウタがタンカーを持って来ようとした時、瞬時にコウタの首に手が伸び掴んだ。てか絞めている。突然の事に事にエリナは驚いている。

 

「く、首、シマルゥ~~!?」

 

「部屋に…連れて…って…。」

 

「何言って…」

 

「御願い…連れてって…。」

 

目を血走り呪詛の如く嘆いたマリにエリナと現在進行形で首絞めにあっているコウタは言うことを訊くしかなかった。

 

 

 

 

 

自室の扉が開き私を背負った二人が入り私をソファに座らせる。

 

「マリ、何処かに薬があるの?」

 

「冷蔵…庫の中…。」

 

「冷蔵庫だな。うぇ!?」

 

コウタが冷蔵庫の中を開けると銀色の包みの物だらけであった。

 

「その…中の1つを…剥いて…早く…。」

 

「ええと、これ!」

 

コウタはその中の1つを取り出し、銀色の包みを向いたらおでん串が挟まったパンだった。

 

「マリ、これ、おでんパンだけど。」

 

コウタが振り返りおでんパンを見せた瞬間

 

「…!!」

 

「「うわっ!?」」

 

マリはソファに座った状態から跳び掛かり、コウタの持ってるおでんパンを奪い取った。

 

ガヅガガバリッガリガリゴクリッ

 

マリは奪ったそれを串ごと噛み砕き飲み込んだ。そのスピード、5秒。傍にいた二人は驚き以上に思考停止していた。

 

さっきまで死にそうな様子だった表情が嘘かのように落ち着いた表情になり二人の方に顔を向ける。

 

「ありがとうございます。この事、誰にも言わないで下さいで欲しいです…。」

 

「えっ…でも。」

 

先程の状況と本人の発言に二人は戸惑い始める。

 

「…大丈夫ですよ。御飯食べれば元気になります。コウタ隊長も首を絞めてすいませんでした。」

 

「あ、ああ、いや大丈夫だよ。いやでも」

 

「…ホントに大丈夫です。榊博士にはちゃんと報告しますので安心して下さい。エリナも心配かけて御免。」

 

「…なら今度一緒に雑貨屋に付き合って貰うわよ。」

 

「うん、いいよ。」

エリナはマリを睨み付けるような表情で言い、マリは感謝と睨んで膨れっ面なエリナを見て苦笑した。

 

「さて、さっさと行かないとハル隊長とカノンさん待たせて悪いし。」

 

「…行こう、コウタ隊長。」

 

「えっ、でも」

 

「もう大丈夫なんだから、女の子に部屋にずっといない!!」

 

コウタを背中から押し出すエリナは最後にマリに向け、後で絶対話して貰うから。と視線を向け出ていった。

 

「…はぁ、どうしようか。」

 

後でエリナに本当の事を言うか、嘘を言うかと迷ったが榊博士に訊きそうなので無意味と判断した。そして床に落ちた銀色の包みを拾い先程の感覚を思い出した。

 

「なんか症状の間が短くなっている、でも、このパンは。」

 

冷蔵庫から更に一個取り出し、銀色の包みを破いて一口食べる。

 

「…何で心の底から安心するんだろう…。そもそも私は何時からこれを食べてるんだっけ。」

 

もう一口食べて思い出そうと悩み始める。が出てこない。そしていつの間にか最後の一口に残り残念な顔をして口に入れた。そしてある言葉頭を過る。

 

「…この言葉」

 

『『泣かない!怒らない!寂しくなったら…』』

 

「…おでんパン食べる…何処で聞いたんだっけ…。」

 




マリ「考えたらお腹が空きました。三倍頂きます。」

ハルオミ「そんな理不尽!?」


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友達とは違う仲の存在

今回も戦闘無し
3話目は早めにできたので投稿します。
そろそろ設定も出しておこうと思います。

香月マリ(17)
第2.5世代神機
通称:紫色神機
激重ハンマー(ver旧式バスター)
ピアニッシモ(ショットガン)
ユミル醒(タワーシールド)

極東支部第四部隊所属

服は紫
パンジーパーカー
フェアバンリーコン下
髪型は黒スタイル7(ポニテ)+黄色のヘアクリップ


-アナグラ-

ラウンジ

 

こんです。"こんにちは"と"こんばんは"を合わせて"こん"です。

私、香月マリは機嫌が斜めです。あれから3日して結局榊博士に相談した所、1日休暇という職務停止命令を食らい訓練までさせてくれない。第一部隊に編入されて出鼻をくじいた。

疲れが無い御飯はとても微妙過ぎる。そして

 

ぽつーん

 

寂しいなぁ~。今の時間帯、皆出撃しちゃっていないし、ムツミちゃんは仕込みだから声かけると悪いし、カピバラは寝てるし、思考に耽ってようと窓際にいる訳だが、いきなりの休暇を貰い何をすればいいか分かんない。

 

「…ズズズ~。」

 

ジュースも無くなってきちゃった。

 

「はぁ…リフレッシュってどうすればいいの。」

 

日頃は出撃にハル隊長がカノンさんを指導するところを見たり、エリナとエミールさんが言い争いしてコウタが仲裁する所を見たり、部屋でおでんパン作り…は終わっちゃってるし、訓練は…リッカさんに止められてるし、エリナがいないからお店の談笑ができないし…。

 

「ひぃぃぃまぁぁぁだぁぁぁ~。」

 

思わずテーブルに俯せになる。あ~なんかこのままふて寝しようかな。目を閉じたら何か思い付くだろう。

 

ムミュ…

 

「ム?…ム~?」

 

何だろ、この頬の感触。枕よりちょっと硬い感じがする。

 

ムミュ…ムミュ…

 

「むぅ…むぅ~。」

 

何?何なの、さっきから感じるこの感触は。

 

…ムミュュュュ~~

 

「むぅ~~~~…。」

 

今度は押し付けられている。誰がやってるの?ふと目を開けてみた。

 

すると目の前には大きな縫い目がある黒紫ウサギが視界全体に映った。

 

「うきゃうっ!?あんたか!ビックリしたわ。」

 

驚きのあまりに飛び起き、再び姿を再確認する。

私よりも背が高く、全身所々大きく縫い目があり、右手にゴッドイーターのデカイ腕輪、首輪をして、縫い目で黒か紫で分かれたウサギ

周りはこいつの事をキグルミと呼んでいる。

こいつ、右手を口元に持っていって首を傾げてる、こいつ~。

 

「あんたが、あんな顔を近付けてたら誰でもビックリするよ!」

 

今度は成る程~、みたいに自分の前で両手を叩いた。

意外にこいつは幼い子達に人気あるんだよな。縫い目だらけの癖に。

するとこいつは私の右隣の席に座った。いつの間にかジュースが2つ用意されていた。1つはこいつの前に、もう1つは私の前に。気が利くじゃん。

 

「ありがとね。」

 

私が御礼を言うと嬉しいのか私に見えるように両腕を振り出す。

 

「それでコウタ隊長とエリナは?」

 

「………。」

 

「コウタ隊長は報告書の提出、エリナはリッカさんに神機のチェックか。」

 

これは来るまで少し掛かるかな。

 

「それで、私の代わりはどうだった?」

 

こいつは今回、私の代わりに第一部隊と同行して出撃した。するとまた両腕を振りだしジェスチャーするように両手を動かす。

 

「……………!」

 

「へぇ、今日はコンゴウ5体も、凄いじゃん。」

 

「……!……!!」

 

「えっ!一般人がいたの!?四人も!?で!」

 

「……!……!」

 

「その人達をエリナが救助して、その隙に襲ってきたアラガミをコウタ隊長が倒したんだ。」

 

「…………!」

 

「良かったじゃんその人達から御礼を言われるなんて。でも流石にコンゴウ5体相手するなんて、無茶しすぎだよ。」

 

「………?」

 

「うぐっ、それは言い返せないわ。」

 

まさかその無茶の性で職務停止させられてる事を突っ込まれるとは。しかも釘刺すように額をドッ突いてくるし。

でもその一般人の中の女の子に抱き付かれてデレデレして、やり返しにこいつの頭に向けて拳をぶち抜いてやろうか。

 

はぁ、と手に顎を乗せて溜息をついた。これは自分がその見ず知らずの女の子に向け嫉妬してる事に気付いてないフリをする不満による溜息だ。複雑だ。

 

するとジーーーッと視線を感じる。

 

「………何。」

 

こいつは私の事を見続けてる。なんかウズウズしてくる。焦れったい。

 

すると私の頭に何かが触れる。

 

「えっ。」

 

いつの間にか、こいつの左手が私の頭を触れ撫でている。

 

「あんた、何してるのよ。」

 

何でこいつ私の頭を、慰めてるつもりなの。

私は只撫でられてる。

 

「(正直、恥ずかしくなってきた。)」

 

窓際でムツミちゃんはまだ仕込みの真っ最中でまだ他の人は来ていない。誰も見られてない、けど恥ずかしい。

 

でも…

 

「(ちょっと、心地いい、悪くないかも、しれない。)//」

 

取り合えずはこいつに撫でさせておこう、かな。

 

 

 

 

 

 

「何、あれ。」

 

俺、藤木コウタは今とても奇妙な光景を見ている。

今日はマリの代わりにあのキグルミとかいう、一言で言えば不気味な存在と一緒に出撃した。移動の最中は一言も話さないで戦う時も無言だし、一人でコンゴウ5体を相手しながら救助者からアラガミを離そうしてたり、普段から無言で気づいたら後ろにいるという奴だ。

 

それが報告し終わってエリナと合流してラウンジに来てみたら、なんか、不思議な空間ができてるんですが!?なんで何言ってるか分かるの!?

思わず俺とエリナはカウンターの影に隠れ窓際を盗み見ている。

 

「何であの場所だけ薄くピンク色なんだ。」

 

とてつもなく近寄りがたい。

なんか俺の上にいるエリナが軽く力が篭っているような、肩が痛い痛い!

 

「マリとあんなに仲良く、羨ましい!」

 

エリナは何故かキグルミに対抗心燃やしている。マリとアイツは何時からああいう関係だったの!?俺は特にあのキグルミの中が気になる。つかなんであんなのが幼児に人気なんだ。

 

 

 

「コウタさんとエリナさんは何やってるのですか?」

 

「カノン、彼らは目の前の青い春を体感してるのさ。」

 

「愛は無限大ですから。キグルミさんは私位の年代の子達に人気ですから、私も結構好きですよ。」

 

「ムツミちゃんの方が結構大人びてるね~。」

 

 

因みにその空間は昼時まで続いた。




次は戦闘も入れようと思いますのでかなり期間が空くと思います。


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すれ違う似た者

戦闘描写はやっぱり難しい。仕事が忙しくて書いてられない。
嘘です。fgoやって寝落ちです。
後、原作キャラの性格が定まってないかもしれません。



鎮魂の廃寺

 

雪が降り積もり寂れ人類が居なくなった寺、其処には4匹のコンゴウが徘徊していた。コンゴウ達は一ヶ所に集まり辺りを見回している。何も無いと判断し4匹とも同じ方向に行こうと向いた時、寺の陰からキグルミが現れて一番後方のコンゴウに急接近し尾をナイフ型の神機で切り裂いた。コンゴウは叫び、それに気づいた他のコンゴウとコンゴウはキグルミを見て咆哮し襲いかかる。その時、キグルミは左手に持った(●〇えもん的な疑問?)物を地面に投げつけた。

 

パァーン!!

 

投げつけた物はスタングレネード。一瞬の閃光でキグルミに集中していたコンゴウ達は目を潰された。あるコンゴウは目を抑え悶え、ある一体は目を抑え踞った。

 

するとキグルミは背を向けていた方向に走る。そして入れ違いに

 

「くらえぇぇぇ!!」

 

マリは踞ったコンゴウに急接近しバスター型激重ハンマーを脳天に叩き付けた。コンゴウは牙も頭も砕けて動かなくなった。視界が戻った残りのコンゴウ達はマリを見て襲いかかる。マリは激重ハンマーを少し浮かせまず右から来るコンゴウの右拳をハンマーで左に弾いて、そのまま真上から振り下ろしコンゴウの頭を潰し絶命させる。

 

続いて左からコンゴウが転がって来る。マリはハンマーを横に振り構える。コンゴウがマリの直ぐ傍まで接近した…

 

「…おっそ。」

 

コンゴウが接近するスピードより早く神機をコンゴウの真横にぶち当て、くの字に寺にぶつける。寺の壁を壊し突っ込んだコンゴウが起き上がろうとすると既にハンマーから銃形態ショットガンに切り替えたマリが銃口を向けていた。

 

マリは2発の散弾をコンゴウの顔面に射ち絶命させる。

 

マリは横に振り向き最後の一匹を確認する。そのコンゴウは離れた位置で背中のパイプから空気圧の塊を放とうとしていた。マリは銃形態からハンマーに切り替えコンゴウに向かって走り出す。コンゴウはマリに直線的に空気の塊を放った。マリはそれを横に避け空気の塊は地面にぶつかり破裂する。あまりの後方からの爆発的な風に神機を地面に付け踏ん張る。

 

風が止むと前からコンゴウが腕を振り上げ殴りかかる。マリがそれを体を反らして避ける。コンゴウは続けて殴りかかるがマリはそれを体を反らして避け

 

「そこっ!」

 

コンゴウの空いた脇腹にハンマーを右に打ち込む。続いて左に打ち込んで背中のパイプを砕き、縦に振り上げコンゴウの頭に打ち込む。

コンゴウは膝をついて息吐いてなんとか立ち上がろうとする。

 

「…ちっ。」

 

それを見たマリは足を踏ん張りハンマーを肩に振り上げた。ハンマーからオラクルが溢れだしハンマーを覆っていく。

 

「チャージ…。」

 

オラクルが覆った状態になったハンマーを

 

「殴りッーー!!」

 

気の抜けそうな台詞と共に勢い良くコンゴウに振り下ろした。

 

 

 

 

 

マリは頭が完全に粉砕されたコンゴウの前でハンマーの先端を地面に付ける。

 

ドンッ!!

 

大きく鈍い音を放ったハンマーの先端の角が半分位埋もれマリは肩で息を吐く。神機を持ち上げ倒したコンゴウのコアを摘出しようとした捕食形態時、

 

ゴアアアアアァァァ!!

 

「!」

 

顔面が砕けたコンゴウがマリの背後に立ち上がり咆哮を上げた。マリは直ぐ様、捕食形態したまま向きを変え捕食させる。がコンゴウはバックステップで捕食を避けた。捕食形態が戻る状態を見てコンゴウはマリに向かってくる。

 

「(まずっ、形態切り替えの隙を!)」

 

捕食形態が神器に戻る間にコンゴウが近づいてくる。捕食形態が神機に戻るとコンゴウは目の前で拳を振り上げていた。

 

「(拳を、いや防御!)」

 

マリは神器の盾を展開し、コンゴウの拳を受け流す。コンゴウの拳は一発では止まらず連続して拳を突き出してくる。マリはそれを受け流していく。するとコンゴウは両腕を上に振り上げた。

 

「!」

 

コンゴウはそれを真下に振り下ろした。マリは盾形態をしまい後方に避けた。其処から接近してハンマーで叩きつける。がコンゴウもマリと同じように後方に避けた。

 

「避けた…けど。」

 

コンゴウはマリに集中して気付かなかった。背後から近付くキグルミに。

 

「………!」

 

ゴアアアアアァァァ!?

 

再びコンゴウの尾の部分を切り裂きコンゴウが悲鳴を上げ、キグルミを見ようと振り替えるがキグルミはコンゴウ死角を利用して正面に移動し斬りかかる。キグルミが繰り出す薄い傷しか作れないが斬撃の嵐は止まずコンゴウは狼狽え後ろに退いていく。

 

コンゴウはキグルミにうっとうしさを感じ右拳を振り上げキグルミに向かって振り下ろす。拳は地面に埋もれ、コンゴウの顔に影が下から上に動き、それを追うように顔を上に向ける。

 

その先にはキグルミが空中でコンゴウに向け神機を構えていた。キグルミはコンゴウの顔に神機を突き刺す。コンゴウは顔面に刺さった鋭い痛みに悶える。キグルミは神機を抜き後方に跳び着地する。

 

グヴゥゥゥ……!

 

コンゴウが顔面を抑え前を見ると、両手で紫のオーラを纏う神機を振り上げた少女がいた。

 

「おわ…りぃ!!」

 

 

 

 

 

「ヒバリさん、コンゴウ4匹終了しました。」

 

マリは捕食形態でコンゴウのコアを回収しながら耳の通信端末で報告する。

 

『はい、マリさんキグルミさんの周囲にアラガミ反応無し。お疲れ様でした。』

 

ヒバリから報告に肩の力を抜き、自分の横の存在に疑問した。

 

「…あのさヒバリさん、なんでキグルミ(こいつ)と行動を共にしなきゃいけないか聞いても?」

 

とマリはヒバリに聞きながらキグルミにジ~~…という視線を送っている。当のキグルミは頭を傾げた。

 

『私は榊博士からの命令と伺っていますが、出撃前に聞かれてませんか?』

 

「うん、分かってます。分かってるからこそ、逃避したくなるんです。今後のプライベートも含まれると更に。」

 

マリは遠くに視線を向ける。うわ~また積もるな~。と嘆きながら。

 

『あはは…マリさんの事を思ってですからプライベートまではいかないと思いますよ。只、危険地帯でフラフラとどっかに行って倒れたら困る、と言ってました。』

 

「…あの人にとって私は死ぬ間際の猫ですか。」

 

「……!……!」

 

「誰が虎だ、誰が。」

 

マリはキグルミのボタン目に拳をグリグリと押し付ける。

 

『マリさんキグルミさん、帰投のヘリがもうすぐ到着されるそうです。帰投地点に移動して下さい。』

 

「…分かりました、帰投地点に移動します。それじゃあ行くよー。」

 

マリが歩き出すとキグルミはそれについていくように歩く。

 

「…………さっきコンゴウの隙を作ってくれて、あ、ありがと。」

 

「…………………。」

 

「っ…こんな所で頭を触んないで、か、帰ってから…にして。」

 

「……!…………?」

 

「?エミールさん?そういえば、今頃何してるんだろ?」

 

 

 

 

 

所変わって

フェンリル極致化技術開発局ーフライアー

エントランス

 

「ブラッドというのは、君達か?安心したまえ僕が来たからには心配は完全に無用だ。…おっと失礼した。僕は栄えある極東支部第一部隊所属!エミール・フォン・シュトラスブ…

 

早送り中

 

 

 

 

 

…正に、大船に乗った積もりでいてくれたまえ。」

 

 

「…ああ、よろしく。」

 

ブラッド思わしき二人組の髪を後ろにかき上げた男がそう応える。もう1人はその前の一言だけだ。あまりの驚きに言葉が出づらいのだろう。

 

「共に戦おう!人類の輝かしい未来のために!!」

 

僕は階段の方に歩き出し、振り向きながら言い放った。

 

「我々の勝利は約束されている!!」

 

フッ、決まった。さぁアラガミ(闇の眷属)共よ。そなたらを打ち倒し、この船の道を守ってみせっ!?あがっ!?どわっ!?ぐあっ!?

 

ーエミールは階段から転げ落ちたー

ー9999のダメージ。ー

ーHP0になった。ー

ーエミールの目の前がまっくらに…ー

 

なるわけがなかろうッ!!こんな事で騎士道は折れはしない!こんな物は試練でも何でもない!…イテテテ…

 

「あの~、大丈夫ですか?」

 

高い声が耳に入り、ふと顔を上げると1人女性が屈んで、もう1人の男性がその後ろで僕を見ていた。これは恥ずかしい所を見せてしまった。

 

「すまない、大丈夫だ。」

 

僕は立ち上がり平然とした態度を示す。

 

「ホントかよ、凄い勢いで転げ落ちたぞ。」

 

ふむ、心配してくれるのか。だが!

 

「これからの戦いでこの程度、何も問題ない。僕は騎士道を貫く身、弱音は吐いていられないさ。」

 

「「…………。」」

 

僕のあまりの生き方に驚きのあまり言葉が出ないか。おっと僕としたことが忘れていた。

 

「自己紹介が遅れて失礼した。僕は栄えある極東支部第一部隊所属!エミール・フォン・シュト…」

 

「知ってる、さっき此処で聞いてたから。私は香月ナナ。ブラッドの隊員だよ。そしてこっちが私の先輩の」

 

「俺はロミオ・レオーニ。同じくブラッドの隊員だ。よろしくな。」

 

「ああ、君達もブラッドか。これからよろしく頼む。さぁこの船の航路に立ちはだかる闇の眷属共を打ち倒し、明日への道を切り開こう!……それでは僕はこの船の庭園という場所に向かうとしよう。失礼する。」

 

「……なんか凄い人が来たね。」

 

「……変な奴が来たな。」

 

 

 

僕はエレベーターに乗ってる中、先程の女性が自分の中で引っ掛かった。

 

「香月………そしてあの顔は

 

 

 

 

 

以前、何処かであったか………。」

 

結局、思い出せずにいた。




最初の話の時点でキャラ性のネタバレですよね。
もはや先の話が読めてしまう。という

やっぱり題名の設定でストーリーの進行性が迷走中。
次回は2.5世代神機についてかプライベート話にしようかな。


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悩み

かなりのグダグダな駄文です。
別に発想力が無いだけですから。
Fgoに熱中なんかしてないし。


アナグラー外部居住区ー

 

どうも、現在昼間の居住区をぶらり歩くマリです。私の隣にはエリナがいます。私達は雑貨屋に向かっている。

 

キグルミ(あいつ)?今はコウタ隊長と任務中。

私は休日。この前の教訓を生かして今日という休みを使って自室でできる事を考えようとしてた時、神機のメンテナンスで出撃できないエリナが部屋に押し掛けて、

 

"折角の休み何だからさ、どっかに遊びに行こっ!"と言ってきた。

まぁこれは本音として、その後の"部屋に籠ってる方が体に悪いよ!外に出る方が良いよ!"というのが建前だと思う。

 

でもさ、

 

「外に出ている最中に精神不安定が起きたらどうするの?」

 

と聞くと

 

「榊博士からは私が"常に"傍に居るようにすれば良いよ、って許可は出てるから。それにおでんパン持ってけばある程度は大丈夫でしょ?」

 

と返された。どうやら私自身かなり脳筋だったらしい。言われるまで気付かなかった。

 

…さっきエリナは"常に"を強調していなかっただろうか。

 

 

 

外部居住区ー雑貨屋ー

 

そんな事があった訳で雑貨屋さんに到着した。私達は商品を見て回る。

 

「マリ、こっちに可愛い絵柄の鉛筆とペンキャップがあるよ!」

 

エリナは花柄の鉛筆とペンキャップを手に持って眺める。絵柄が入ってるのはその1つずつだけで、他は透明なプラスチックとまるで木の棒みたいに見える鉛筆だけだった。こういう学習物で絵がプリントされてるのはあまり無い。以前は多く造られてたらしいが現在は時々目にする位だ。数が少ないからこそ普通の物より一本の値段がちょっぴりとね。

 

「ん……?」

 

何かを感じ、ふと横をチラッと見ると小さい女の子が私を、いやエリナを、エリナの手元を凝視していた。片手を肩ぐらいまで上げて何かを握りしめている。腕輪を見てる…訳ではなさそうだ。

 

「マリ、私これ買おうかな!」

 

エリナの言葉に少女は泣き出しそうな目をしだした。これは…よしこうしよう。

 

「私にも良く見せて。」

 

そう言ってわざとエリナに寄りかかり、小声でエリナに言った。

 

「コソ…エリナ、それ買わずに他のところ見ない?」

 

「えっ…。」

 

「そこの女の子、なんか泣きそうなんだよね。譲ってあげちゃ駄目かな?」

 

「………。」

 

するとエリナは無言で鉛筆とペンキャップを棚に置き、少女とは反対方向に歩き出し、私もそれに続いていく。すると少女は戸惑った様子だったが先程の鉛筆とペンキャップを持ちレジへと走っていく。私達は一度止まった。

 

「…ごめんね、エリナ。」

 

「別に…只の絵がついた鉛筆が本当に欲しかった訳じゃないから。」

 

エリナ、表情が固くなってる。言ってる事とあってないよ。

するとエリナはガッ!!といきなり私の腕を掴んだ。痛い痛い…。

 

「その代わり!カフェに行ったらオ・ゴ・リ!だからね!」

 

「う、うん。分かった。ありがとね、エリナ。」

 

「ふんだっ!ほら、他の物も見に行こっ。」

 

私達は再び歩き出した。すると後ろからさっきの少女が走って通り過ぎてった。手に小さな小袋を抱えて笑顔で。

 

 

 

 

 

別の商品棚に人形が並べてられている所を私達は見ている。

 

「見て、この女の子の人形、可愛くない?」

 

ピンクのドレスを身につけた女の子の人形を両手で持って私の前に出すエリナがかわいく見える…なんちって。

私がハル隊長だったらこんな事言ってそう。

まぁ人形は可愛いけどなんか微妙…!

 

「こ、これは…!」

 

私は棚の端にある人形に目が行った。他の可愛い人形の中でも一層、目を引き付ける物があった。私はそれを手にした。

 

「私はこれが良いと思う!」

 

それは所々に雑な縫い目と別々の色の生地で作られた兎のぬいぐるみ。あいつに似た感じがする。

 

「う、うん。(やっぱりマリってあーいうのが好きなのかな。めっちゃキラキラしてるし。)」

 

エリナが眉を内側に寄せた困り顔を浮かべた。解せぬ。

 

 

ーカフェー

 

その後、私は買いたいものを二、三個買い帰り道の途中で人が少ない物寂しいっ気さがあるカフェに寄っていた。

 

「ここって結構落ち着くよね。」

 

「だね~。」

 

物寂しいってのは在るけどカウンターにはレコードという奴でクラシックを流している。綺麗な音色だ。曲が終わるカウンターのおじさんが円盤を外して別の円盤に変える。あのおじさん、かなりのマニアと見た。

 

「それは偏見でしょ。」

 

エリナはそう言って頼んだ紅茶を飲んだ。

うーん、エリナも心を読めるタイプか。できれば読まれたくないな。で所でさ、なんでエリナがさっきからジーとこっち見たり目を反らしたりチラチラ見てるんだろうか。

 

「…エリナ。」

 

「えっ、なに?」

 

「私の顔に何か付いてる?」

 

「何も付いてないけど。」

 

「…そう。」

 

「…。」

 

違う、って事は…。

 

「…悩み事?」

 

「えっ!?何で分かったの!?」

 

あざといよ。わざと過ぎる位のチラ見だよ。

 

「どういう悩みなの?」

 

「…別に。」

 

言わないつもりか。なら…。

 

「素直に話すのは今のうちだよ、 私には考えがある。」

 

「何よそれ、脅迫?最低。」

 

「うん、だからエリナは聞き流せばいいよ

 

 

 

エリナの可愛い所を含めた良い所を折れるまで言って上げるから。周りに聞こえるように褒め倒して上げるよ。」

 

「はっ!?」

 

 

 

 

 

 

「…もういい!!止めて!話すから!!」

 

エリナが頬を赤く染めてハァハァして

 

「その文章を止めなさい!!」

 

すません。

 

「それじゃ話して頂戴。」

 

「わ、分かったよ!話せばいいんでしょ。」

 

エリナは頭を抱えて溜め息を吐いた。

 

 

 

 

「…クレイドルのソーマ・シックザールって人を知ってる?」

 

「…よく榊博士の研究室で見かける人だよね。」

 

長身褐色の白髪男性で目がキリッ!としている。

 

「うん。私のお兄ちゃん、ゴッドイーターだったの。」

 

「ん、お兄さん?ソーマさんと知り合いだったの?」

 

「親友。当時、体が弱い私にいつもお兄ちゃんが ソーマさんの話をしてくれたの。」

 

そこから要約するとエリナのお兄さんはソーマさんと任務中に失踪してしまい、それが原因でソーマさんに気を使われ、毎回同行した任務中に後方に居るように指示してくる。エリナ自身はその優しさが辛くて、でも勇気がなくて言い出せずにいた。それで素直に話せ、密かに聞きたいというこの場にあった状況で話そうか迷ってる時に私が無理矢理言わせたと。

 

「…なんか、ごめん。」

 

「…でマリはどう思う?」

 

うーん、ソーマさんとは見かける位でどういう人か知らないし、リッカさんからは『顔はあれだけど優しいベテラン』って聞いてるけど、

 

「いっその事、コウタ隊長に」

 

「コウタ隊長は気遣いしてくるから駄目。自力でやらなきゃ意味無いの。」

 

…そういうことね。でもやるにはまだ勇気がないか…。

 

「………しょうがない、私がソーマさんに話し掛けてみる。」

 

「えっ、別に気遣いなんて」

 

「違う違う、私はソーマさんについて全然知らないからちょっと話すだけ。エリナの事は触れないから。そこから考えさせて。」

 

流石に交流がないから材料が足りないからね。するとエリナが俯いている。なんで。

 

「…ごめん。」

 

「何謝ってるの?大丈夫だってソーマっていう人はどんな人か、個人的に気になるだけだもの。いつもキリッ!って顔をしているかっこ付けで褐色長身の男性がソーマさ」

 

んでしょ?と聞こうとしたら

 

「俺に用か?」

 

低い声に私達は体がビクッ!として横を振り向くと

 

キリッとした目に白髪の褐色長身の男性、ソーマ・シックザールその人でした。

 

キャアアア!?デタァァァァ!?

 

「そそそ、ソーマさん!?いつ極東支部に!?」

 

「…ああ、ついさっき。榊のおっさんに用事があったんでな。」

 

エリナは焦りながら言っているが私は動けずにいた。言葉が喉に詰まったような感じで言葉が出ない。

 

「…でお前は?」

 

私!?

 

「あ……きょ、極ととと東しししし支部っ、第よよよよ四、部隊所属、香月、マリ、です。」

 

「クレイドル所属、ソーマ・シックザールだ。よろしく頼む。」

 

ソーマさんが右手を差し出してくる。これは握手しないと不味いよね、失礼だよね。私は握り返すと、私の手より大きく、ゴツゴツしてる。この時に思ったのは、この人はターミナルであった写真でしか見たこと無いけどライオンに思えた。不味い、手から体にかけて震えてるし、手汗が。手を離してくれた、短いのに長く感じた。

 

「そ、ソーマさんは何時からこのお店に?」

 

エリナありがとう、重要、ここ重要なところ。

 

「今来た所だ。褐色長身…の辺りから俺に用事だと思ったが、俺に用か?」

 

「…えー…と…。」

 

エリナが私に視線を向ける。分かってる。ここは出る所。

 

「あの~…。」

 

「………。」

 

挫けるな私!弱気になるな私!ちゃんと顔を見て…

 

「あ……握手有り難う御座いましたっ!!大先輩に会えて嬉しいですっ!!」

 

「…あ、ああ。用がないなら俺は行くぞ。またな。」

 

「はい!!どうぞ!!」

 

ソーマさんは私達に背を向けて奥の席へと歩いていった。

思わず肩の力を抜いた。するとエリナが超小声で話しかけてくる。

 

「……ちょっとぅ!?マリッ!あんなに大きく言ったのに怖じ気付いてるの!?」コショコショ

 

「……だって間近で見たの初めてだから!体も大きいし、鋭い目が怖いんだよ!ライオンに見られてるようだったんだよ!」コショコショ

 

「……ライオンって、アラガミとどっちが怖いと思ってんの。仮にもマリは極東の虎新人って支部内では言われてるのよ。」

 

「初耳だよそれ!?あいつも言っていたけど何処から涌き出てきたの、それ!?」

 

虎って言ってたけど、此処から来てたの!?

 

「………取り敢えずさぁエリナ、もう暫くしたら店から出よう?」

 

「………そうしよう。」

 

その後、暫くしたらソーマさんも店を出る所らしく一緒に店を出、支部に戻る事を聞かれると一緒に支部まで帰った。私は最後までガチガチでした。

 

 

 

アナグラ

ーマリの自室ー

 

エリナと別れ、私は自室のベッドに寝転んだ。結局、リフレッシュできなかった。

 

「悩み………………か…………。」

 

私が興味あってエリナに聞いてみた事を思わず嘆いた。そして思考する。エリナはお兄さんが行方不明って言っていたけど、エリナもこの職に就いて何となく分かっている筈だ。まぁターミナル見れば経歴なんて分かっちゃう訳だけど。けどエリナはゴッドイーターとしてアラガミと戦って一般人を守ろうと、貴族としてかな、プライドを持っている。

 

「けど………。」

 

ソーマさんとしては、親友の肉親を、危険な目に遭わせたくない、と思ってるのか。けどエリナと同じくプライドを持ったお兄さんだったら、ソーマさんがもし、親友のプライドを尊重していたら………。

 

「…………考えるだけ無駄………かな。」

 

この時、ソーマさんは獅子は子を崖に突き落とす。とまとめておいた。そして次の思考に入る。

 

「………………自分は何に悩んでいるんだろう………。」

自分は悩みがある。エリナに悩みを聞いた時に感じた事だ。けど具体的な内容が思い付かない。だが難問が解けない不快感は感じる。

 

「…………………早くあいつが帰ってこないか。頭を撫でてほしい。」

 

考えるのを止め、買ってきた、あいつに似た縫い目だらけの兎のぬいぐるみを抱いて目を瞑った。




その後

ソーマ「…………。」

榊「どうしたんだいソーマ君。まるで親友の妹の友達に恐がられたような顔をして。」

ソーマ「うるせぇ。」

こんな感じだろうか。
自害…じゃなかった。
次回「交戦、感応種、そして帰還。」(仮)を…書き始めます。明日から頑張る。


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夢オチ編 添い寝

前回の次回予告を言ったがあれは嘘だ!
卯詐欺だ!
すいません。調子乗りました!!
今回は元からやりたかったネタです。今後も番外編に7割力入れます。
本編?追い追いです。
※今回の話は深い意味で理解してはいけません。そういう話です。そういう話になってしまいました。


アナグラ

ーラウンジー

 

「…………!」

 

「頂きます。」

 

ラウンジのカウンターでカノン、ハルオミ、マリ、キグルミはの順に並んで仕事後の夕食を摂っていた。

 

カウンターには大量の料理、を食らい始めるマリ。残りの三人はその様子を見ていた。

 

「…相変わらず凄い量が減っていくな。」

 

「見ている此方がお腹いっぱいになりますね。」

 

「………、…………!」

 

それぞれが思いを言って自分の料理に手をつけ始めた。

只、キグルミにだけ二人分の視線が延びていた。

 

 

~数分後~

 

「む~………くるるるる~。」

 

カウンターに顎と手をつけ、目を瞑り頬を赤らめ心地良さそうに俯せているマリがいた。つか出来上がっていた。

 

「おいおい、俺が飲んでたウイスキーを水と間違えて飲みやがって。一気の上に間接キスだよな、これ。」

 

「間せっ!?ハルさん、今気にする所は其処じゃない気がします。」

 

「…………。」

 

キグルミが手をマリの頭に乗せ撫で始める。するとマリの表情が安らかになる。キグルミが手を離そうと上に上げると、マリは顔をしかめ撫でるのを止めて欲しくないのか手を追いかけるように頭を持ち上げる。するとキグルミが再びマリの頭に手を置き撫で始めると、マリは心地良さそうに顔が柔らかくなり再びカウンターに俯せる。

 

「(何ですかこれ、持ち帰っていいんでしょうか!)」

 

「(どんだけ手慣れてるんだよ、この着ぐるみ。)」

 

「む~…………む。」

 

最早、外野の二人見守られる中、マリは目を開けカウンターから起き上がり、キグルミの方を向いて立ち上がる。

 

「あの……マリさん?」

 

「お~い、マリ~。」

 

「…………むい…。」

 

「「?」」

 

カノンとハルオミが呼び掛けても視界は動かずキグルミだけを見ている。するとマリの両腕が真っ直ぐキグルミに延びた。

 

「眠い………。」

 

そう言った途端、マリは倒れ込むようにキグルミに寄り掛かる。器用な事にキグルミの首に両腕を引っ掻けて。

 

「くぅ……くぅ………。」

 

「…完全に寝てるな。」

 

「腕が外れないのが凄いですね。」

 

「……………。」

 

キグルミは一度屈むとマリの背中と両膝裏に手を回して持ち上げる。そしてそのままラウンジを後にした。

 

「み、見ましたかハルさん!お姫様抱っこです!凄いです!」

 

「あ~、まぁ、なんだ、一端落ち着けカノン。」

 

「キ、グ、ル、ミィ~~!!」ギリギリ……

 

「痛っ!?痛い痛いッ!?エリナも落ち着け!!」

 

 

 

ーマリの自室ー

 

キグルミがマリの部屋に入るとベッドにマリを寝かせる。両腕が首が引っ掻けている為、腕を外す。

マリに布団を被せ、キグルミは部屋を出ようと背を向けた。

 

その時…

 

ガシッ!

 

「何処に行くのよ。」

 

「……!?………!?」

 

ボフギシリッ!?

 

いきなりキグルミの背後から胴周りに腕が巻き付き、さっき寝かせた筈の声が聞こえ、キグルミの目には部屋が回転した。そして次に聞こえたのはベッドの悲鳴を上げる音だった。本当に悲鳴をあげたかもしれない。

 

「…………??…………!」

 

キグルミが次に気付くと自分が寝ている事、そして胴周りに くっついて離れない腕だった。

 

「一緒に…寝よ…?」

 

と言葉を聞いた瞬間、腹周りにあった両腕は上に廻ってる片腕だけを残し、ベッドと首の間からもう片方の腕が廻り、足も絡まれていた。

 

キグルミは完全に両腕しか身動きを取れなくなっていた。

 

「…………!?………!!」

 

この時の自分の体の下になった彼女の細い腕が折れてない事にゴッドイーターの肉体は伊達ではない、とキグルミは思ってるだろう。

両腕をバタバタさせても動きが取れず、段々首に廻った腕に力が入り、首が絞まっていく。

 

「くぅ……くぅ……。」

 

当の本人は整った寝息を発ててる。そうしている間も彼女の力が入り、腕が首に入った。段々キグルミの頭がズレていく。

 

「…………!!…………!!」

 

「すぅ……む~……むにゃ……。」

 

ゴトリッ

 

部屋には大きな兎の頭が地面に落ちた音が響いた。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「きゃあああああっ!?!!?」

 

マリが飛び起き周囲を見回す。自分しかいない部屋にベッドで寝ていた事を理解した。

 

「はぁはぁ…………複雑な悪夢見たぁぁぁぁぁ。」

 

思わず頭を抱えた。恥ずかしいような、恐いような、顔が火照るような、背筋が凍るような気分だった。

すると床にエリナと買い物した時に買った大きな縫い目と別々の色の布地でできた兎のぬいぐるみが落ちていた。

マリはそれを拾い上げて抱き締めた。

 

「……只の夢だよね。」

 

マリはぬいぐるみを枕の側に置き、部屋を出た。

 

 

 

ーラウンジー

 

「あんた、おはよう!」

 

「!!…………、………。」

 

「(何だろう、いつもよりよそよそしい。)」

 




次回の話は前回の次回予告です。


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交戦、感応種、そして帰還 前

リザレクションと仕事と勉強と
そう言えばリザレクションにハンマー型のバスターありましたぁぁぁ~。愛用です。
アネットさんがいるから普通にあるというね。
フェデリコ、なんか、旧作よりスラッとイケメン化してない?

一応本編、今回は長く書くので二回に分けました。
駄文です。内容が穴だらけです。
過去の場面も出ますが区切りは
______________________

で分けてます。アーユーオーケイ?


今日も今日と討伐LIFE、こんにちはマリです。第一部隊に仮異動して早2週間、そろそろエミールさんが帰ってくる日。そして私が第四部隊に戻る前に今日の任務を第一部隊と行っている。何故かエリナがミッションスタート時からしょんぼりしてる。何故に。

私はミッションスタート時に「さっさと終わらすか。」と口に溢したのがフラグだと思わなかった。

 

 

ー贖罪の街ー

 

「其処っ!」

 

「食らぇ!」

 

「………!」

 

「終わ…りぃ!」

 

私達はアラガミを討伐していき最後の一匹を仕留めた。

 

「ふぅ、よし!みんなお疲れ!」

 

「お疲れ様です。マリお疲れ。」

 

「ナイスだったよ。コウタ隊長お疲れ様です。」

 

「………!………!」

 

それぞれが互いに言葉を掛けていく。するとふと思い出した事を言ってみる。

 

「エミールさん、今日戻ってくる予定だったよね。」

 

「ふん、できれば帰ってきてほしくないけど。」

 

「…本当はちょっぴり寂しいくせに。」

 

「寂しくなんかなかったわよ!!」

 

エリナを弄っている中、アイツ(キグルミ)がふと明後日の方向を見ていた。

 

「ねぇあんた…何で空をじっと見てるの。」

 

「…………。」

 

「聞いてるの?ちょっ」

 

『第一部隊、緊急事態です!!』

 

耳に付けた通信機からヒバリさんの声が鳴り響いた。私達はビクッとして通信機に意識を向ける。

 

『北西方向から中型種が急接近してます。これは…!?感応波確認!感応種です!!』

 

「まじかよ!?」

 

驚きの報告に私達は驚きを隠せない。

感応種…特殊な偏食パルスを発生させ神機を一定時間使用不可にする。また個体別に発生するパルスが持つ感応能力で他のアラガミに影響を与える。

報告に聞いた通りだと不味い。

 

「ヒバリさん!撤退ルートは!」

 

『間に合いません!接触します!』

 

私達は神機を構えて警戒する。が来る様子がない。コイツ(キグルミ)が神機を構えたまま上をずっと見てる。まさか…。

 

「上から!?」

 

「!!全員退避!」

私達はバラバラの方向にその場から離れた。それと同時に私達がいた場所に青い何かが落ちていた。いや降りてきた。

二足歩行で腕は翼と同化して女体をモチーフにした青い鳥のアラガミ。イェンツィーだ。

 

「全員!撤退準備!ヒバリさん、撤退ルートは!」

 

『マリさんの後方に位置する道です!』

 

その時、イェンツィーが女の悲鳴のような高い声を周囲に 響かせる。その瞬間、手元が重く成り始め神機が重い音を発てて地に落ちた。

 

「重っ!?」

 

「糞っ!遅かった。」

 

いきなり動かせなくなった神機に困惑する私に対して、コウタ隊長は苦虫を噛んだような顔をしてる。

再びイェンツィーが声を上げると地面から青い羽根を生やしたオウガテイルみたいなのが出てくる。

 

「何!?あいつアラガミを生み出せるの!?」

 

「チョウワンだ!一先ず神機が回復するまで撤退だ!マリの後方の道へ急げ!!」

 

エリナが驚きの声を上げる中、コウタ隊長が撤退を指示している。一番近い私が…

 

「動けない!」

 

「何やってるの!?」

 

「…………!?」

 

エリナとアイツ(キグルミ)が焦る声がする。けど激重ハンマー、名前も伊達じゃなく重い!!撤退ルートに向かおうにも動かない!

 

「マリ!神機を引き摺ってでもいいから早く行け!!」

 

後ろからコウタ隊長はこっちに言ってくる、振り返った時、イェンツィーと目が合った。合ってしまった。

イェンツィーが声を上げた瞬間、自分の周りに紫の煙が漂う。ヤバイ感じが凄くする。

 

『イェンツィーがマリさんをターゲットに捕らえたようです!アラガミの攻撃が集中します!』

 

「不味い!マリ!神機を置いて早く逃げろ!」

 

声を張り上げんばかりのコウタ隊長の怒鳴り声が聞こえる。けど…。

 

「やだ!これはやっと手に掴んだ力を落としてなんていけない!落としたくない!!」

 

私は何をいってんだろ、こんな非常事態に、でも体が、手が、離れない。離したくない!

 

「エリナ!キグルミ!マリを引っ張って行け!!」

 

「マリ!早く神機から手を離して!」グイグイ

 

「離したくない!離さなきゃ!手を開きたくない!開きたい!」

 

分からない、エリナとアイツ(キグルミ)が腕を引っ張るけど、私は離さなきゃならないと思ってるのに、体が離したくない、逃げたい、逃げたくない、手放したい、手放したくない、重荷を下ろそう、投げだしたくない、私は、私を、私に、私の…意思は、どれ?

 

「マリ!!」

 

「え…。」

 

エリナの声が聞こえた瞬間、目の前に青い塊が…チョウワンだっけ…。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

『■■~…早く来なさいよ。』

 

『待ってよ■■■■■……いいの勝手に出てきゃって。』

 

『別に……■■■■が悪いんだから。』

 

小さな女の子が駆け寄ってくる。とても困った顔をしていた。

 

『でも■■■■■に起こられちゃうよ。』

 

『知らない、怒られるんだったら見てからの方が良いでしょ。』

 

景色が移動して青い空に白い雪から灰色のコンクリートが見え、段々端まで行った。

 

そこから見えた小さい視線からはとても広大な景色が目に映った。見渡す限りの景色に心が踊った。

 

『この先に行ったら何が』

 

『キャアアアアァァ!!』

 

突然の悲鳴に景色が再び移り、女の子が尻餅をついて、その先には離れたところにオウガテイルがいた。

 

『■■ッ!!』

 

『■■■■■ッ…。』

 

女の子に近付いて手を握る。女の子は泣きそうな顔だった。

 

『早く立って!逃げないと!』

 

何度も引っ張るが女の子は恐怖で立てないでいるようだ。すると重量ある足音が近付いてくる。

視線が移動して見えたのは

飛びかかってくるオウガテイルだった。視界が暗くなった。

 

『■■!!マリ!!』

 

その瞬間、私を呼ぶ母さんの声が聞こえた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「マリ!!ぼーとしてるな!!」

 

ふと気付くと目の前に背中があった。赤茶色のバンダナ頭は…コウタ隊長か。自分の神機でチョウワンを受け止めている。なんでこうなっているの。

 

「マリ!!しっかりして!!」

 

あれエリナ?なんで私の腕をつかんで叫んでるの?いつの間に、私、神機を離してるんだろう。まだ頭が…

 

「このっ!!」

 

コウタ隊長は神機に噛みついたチョウワンを振り回して飛ばす。向こうは断然ヤル気満々だ。

 

「キグルミ!俺が目眩まししてる間にマリを担いでさっさと行け!!」

 

コウタ隊長がスタングレネードを取り出して、発光させる。私が思わず腕で顔を隠した時、体が急に浮き上がるような感覚が起こった。肩と膝裏にクッションのような感触して顔を上げるとアイツ(キグルミ)の顔が…お姫様抱っこ~…。

ユサユサ揺れながらどんどん遠ざかるコウタ隊長が目に入る。

 

コウタ隊長がふっ飛ばされた~…何でこんな事に…

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

ふと目を開けると其処には泣いてる先ほどの女の子、視界が移動して其処らには4本の腕に銃と鉤爪を持つアラガミ、ヤクシャ・ラージャが数体に混じる神機使い。見ていて悲しみの中に不安が現れる。

 

『ぐあっ!!』

 

声のした方を振り向くと一人の男性の神機使いが此方に転がってきた。その先にはヤクシャ・ラージャが。

視界が、体が震え泣いてる女の子にしがみつく。視界も涙で歪んできた。

 

『かぁさん……ふぐっ……うぅ……。』

 

『………泣くじゃねぇよ。』

 

するとさっきの男の人が起き上がってヤクシャ・ラージャを見据える。手に持ったショートブレード型神機を杖にして足をふらつかせながら立ち上がった。

 

『俺は…まだ生きてる、まだやれる…お前らを守ってぐうぅっ!』

 

男の人は左手を自分のお腹に当て踞った。男の人の足下の雪に大きい赤い斑点作り続けている。

 

『…とはいえ、体が持つかな。』

 

俯いてる男の人は独り言が聞こえてることに気づいてない程に衰弱している事が分かる。それでも戸惑いの気持ちが溢れ出る。ふとヤクシャ・ラージャを見ると鉤爪を振り上げていた。

 

『あぶない!!』

 

『!!』

 

降り下ろされた鉤爪を男の人が神機の盾形態を両手で持って防いでいる。ヤクシャ・ラージャはそのまま押し潰そうと力を入れ続けている。

 

『ぐぅっ!くぅ……!』

 

男の人は踏ん張っているが地面には赤い色が拡がりつつある。

 

『逃げ…ろ…早…く……逃げてく…れ…。』

 

視界が男の人から離れない、男の人が何を言ってるのかが分からない。

 

『早く…その子と……俺が……抑え…てる……間に……。』

 

『う……うぐっ……あぁぁ……ひぐっ……ひぐっ…。』

 

女の子が泣いている中、男の人の言葉を聞いて有ることが浮かんでくる。

死ぬことが。

 

『う…うぅぅ……ああああ……。』

 

また、私の前で、私のせいで、また、死ぬの?私のせいで!

 

ヤクシャ・ラージャが再び鉤爪を振り上げ

 

『はぁ……はぁ……。』

 

嫌だ、嫌だ、もう見たくない。私のせいで、私が勝手に出てきたせいで、■■に、皆に、■■■■が、やだ、やだ!やだァァァァァァ!!

 

『お願いだから!■■を守って!!お願いだから、死なないで!!!』

 

その時、内側から何かが沸き立つ感覚に覆われた。

 

『!うおおおおおぉぉぉぉ!!』

 

男の人が大声を上げ、神機を振り上げる。同時に降り下ろされたヤクシャ・ラージャの鉤爪がついた腕が空中に舞う。ヤクシャ・ラージャが声を上げ狼狽える。その隙に男の人は神機を捕食形態に変え

 

『食らいつけええぇぇぇ!!!!』

 

 

 

 

 

『ひぐっ…御免なさい…御免なさい…。』

 

『お前…は何を……謝ってんだよ…。』

 

ヤクシャ・ラージャの体は大きく抉られ絶命した。だけど視界は相変わらずボヤけた状態で仰向けに倒れた状態の男の人を見ていた。男の人はとても疲れたような顔をしている。だが男の人から赤いものが地面に広がっていく。

 

『私の、せいで、皆が、■■■■が、■■まで、巻き込ん、じゃったから。』

 

『………そうか……。』

 

もう殆ど見えない、視界が暗くなり、明るくなれどボヤけている。もう全然見えない、見たくない。

すると

 

『…え。』

 

ふと頭に何かが乗った。そのまま少し力強く触れられ、少し揺れる。冷たさを感じる中にほんの少しの温かみを感じる。目を開いてよく見ると男の人が頭に手を乗せてるのがわかった。

 

『お前が…自分のせいで……こうなったって……思うなら……強く生きな…お前が…これからがあるんだ…。』

 

何言ってるのか、分からない、分からないよ。

 

『うぅ…ぐすっ……うぅ…。』

 

『泣いて、る場合かよ…そっちで……泣いてる子を……救援が…来るまで……護れ……お前の■■なんだろ…?』

 

今にも死にそうなのに、分からない、分からない、分からない、分からないよ!!

 

『…今に後悔する……なら…強く…挫けないよう、に…

そうすれば…俺達の……■■■さんも……望んで……ぅ……。』

 

視界に男の人の手は力無く落ちていく。掴もうとしたが掴めず地面に叩きつけた。

 

『うぅ…うあ……あああああああああぁぁァッ!!ああああァァァァァァ!!』

 

泣いた、泣いた、私は、泣き続けた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

私は、また、只、只、見てるだけで、目の前で、何もできないの?

 

嫌だ、嫌だ。

 

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ。

 

絶対ッ、嫌だっ!!

 

「………?!…!」

 

私は拳を振りかぶってコイツ(キグルミ)に叩き付けた。

 

「えっ、キグルミ!?マリ!?えっちょっ!!」

 

コイツ(キグルミ)の腕から飛び降り、キグルミが倒れようが、エリナが驚いていようが猛ダッシュした。

 

 

 

 




オチをどうしたものか、の行き当たりばったり。


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番外編 ネタ話 2本

前回の話の後編は穴だらけの要素の駄文になりそうだった。
結論、書き終わらない!!
で後編の後に出そうとしたお話です。
本編とは関係ない息抜きです。
年末なのでそろそろ出さないとと思いました。
年内に終わりそうではないです。


前ページの話を書いてて思ったネタです。

 

『アラガミ忘年会』(二足歩行したり喋ったります。)

出演

イェッツィー(姉御)

シユウ(シユウ)

ヴィーナス(ヴィナ)

ニュクス・アルヴァ(マリア)

ヴァジュラ(ジュラ)司会

その他アラガミ勢

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄以上

では

始まるよー。

 

舞台は極東支部の贖罪の街に存在するアラガミによって食い尽くされ空けられた大穴

 

その底に多くのアラガミ達が集まっていた。

 

ざわざわ…

 

ジュラ「え~…皆さんお静かにお願いします。」

 

ざわざわ…ピタッ。

 

ジュラ「それでは皆様、1年間お疲れ様でした!!」

 

「「「「お疲れぇ!!」」」」

 

ジュラ「そちら一角の荒ぶる世紀末なアラガミの皆様も乙かれっした!!!」

 

「「「「ヤッハアァァァァァッ!!!」」」」

 

ジュラ「それでは皆様、グラスをお持ちください。私、司会のヴァジュラが音頭を取らせて頂きます。行きますよ、乾杯っ!!」

 

「「「「乾杯っ!!」」」」

 

「「「「ヤッハアァァァァァッ!!サケノマズニハイラレナイ!!」」」」

 

荒ぶる神々の宴が始まった。

 

そして呑み始め食い始めた

とある一角

 

姉御「久しぶりね、元気だったかしら?」

 

マリア「はい、元気でしたよ。」

 

ヴィナ「ええ、上々ね。」

 

この3体のアラガミは神機使い達の知る人と知る美形アラガミランキングでベスト8の中間を争う中である。因みに司会のジュラの遠縁の御姉様が8位と言う事を述べておこう。

 

姉御「最近の神機使いったらしつこいものねぇ。他のアラガミとペア組んだら私ばかり付け狙って攻撃してくるわ。」

 

マリア「あぁ、私もです。でも私は時々ですね。日によっては銃弾の嵐で困りますね。」

 

姉御「そうなのよ、しかも此処のところは体の壊れやすい場所を攻撃してきて…グッ!」

 

マリア「あの方達の目が恐ろしくて堪りません。やっと治ったのにまた壊されての繰返し……シクシク。」

 

ヴィナ「貴女達、苦労してるのね。」

 

姉御「…そう言う貴女は?」

 

ヴィナ「私?私は……ホールド恐い、上半身狙ってくるのが恐い、目の前で弾幕放たれるのが恐い、剣の波が目の前に…。」ガタガタ…

 

姉御「え、えぇ、でも意外ね。超ド弩級美人戦車と言われた貴女が」

 

ヴィナ「…戦車も糞も無いわよ。装甲なんてボルグかクアトリガみたいなの存在しないのよ。一時期は大量の神機使いが私を狙いに来たわ。その度に攻略され破壊されにくい下半身の上砲門も破壊され、その上ホールドを何発も掛けて、この弱い上半身を攻撃されるのよ!電撃突進もやる暇無いわよ!!」

 

マリア「…すいません、こんな話をさせてしまって。今日は呑みましょう、呑んでまた明日から美を求めましょう。」

 

姉御「そうよ、あんな身ぐるみ強盗共なんか忘れて、また明日から頑張りましょう?」

 

ヴィナ「…そうね。」

 

 

 

 

ヴィナ「そう言えばアイツどうしたのよ。」

 

姉御「アイツ?」

 

ヴィナ「あんたの弟よ。」

 

姉御「シユウね。でどうなの?」

 

マリア「私ですか、そりゃ…」

 

シユウ「マリアたぁぁんッ!!結婚してくれぇ!!」

 

スカッ

 

シユウ「へぶっ!?」

 

マリア「ノーセンキュー。」ニコッ

 

姉御「マリアに物理は効かないって愚弟。」

 

ヴィナ「まだ諦めさせてなかったんだ。ちゃんと振んないと。」

 

マリア「最初はそうでした、でも…」

 

シユウ「お付き合いからでも!!」

 

スカッ

 

シユウ「へぶっ!?」

 

マリア「なかなか玩具としては飽きないんですよ。」クスッ

 

「「ああ、こりゃアカン。」」

 

シユウ「あっそうだ、姉御!ちょっと手伝って欲しい事があるっす!」

 

姉御「は?折角の憂さ晴らしに何を手伝えと」

 

シユウ「お願いするっす!早く早く!」

 

姉御「ちょっ!?レディに理由無く、引っ張らないでよ!…」

 

マリア「…行っちゃいましたね。」

 

ヴィナ「…兄弟ってあんな感じなのかしら。」

 

マリア「さぁ、私の上の妹はかなりグレてますけど、羨ましくなりましたか?」

 

ヴィナ「…………………少し。」

 

マリア「デレ来たw。」

 

ヴィナ「オラクル弾頭食らわすわよ?」

 

 

 

姉御「…ちょっとこれ本当にみんなに受けるの?」

 

シユウ「大丈夫っす、問題ないっす!」

 

姉御「…あんたの信用が今無くなったわ。」

 

シユウ「信用して下さい。大丈夫ですから。それじゃお願いします。」

 

ジュラ「えー…今からシユウさんと姉御さんによるコントを行います。ではどうぞ。」

 

シユウ「どうもー!それでは姉御お願いします。」

 

姉御「え~と……HEY!waiter!wine please!」

 

シユウ「畏まりました。此方ですね。」

 

姉御「え、ええ…それを頂くわ。」

 

シユウ「畏まりました。どうぞ。」

 

姉御「キャア、カオハヤメテェ!!」ビチャぁ!!

 

シーーーーーーーンッ。

 

シユウ「…あれ?」

 

姉御「……///ウルウル」ポタッポタッ

 

 

 

姉御「うあああああんっ!!もう嫌!帰る!!帰ってチョウワン達に囲まれて一生寝てやる!!うあああああぁぁぁ!!」

 

マリア「姉御さん、落ち着いて下さい!一時の過ちです!明日には皆忘れてますよ!」

 

ヴィナ「そ、そうよ!私達が壁になるから落ち着いて呑みましょう!ね!?」

 

 

 

 

シユウ「あれ?おかしいな、受けると思ったんだけど。」

 

ポンッ

 

シユウ「ん?堕天兄貴、何で俺の肩に手を置いて、あれ行っちゃったっ!?ちょ、何で皆そんな殺気立てて!?ハガンさん、何で体中電撃を放ってるんすか!?セクメトの兄貴、何で炎の弾を作ってんすか!?テスカのオッサン、何かミサイルが全部俺に向いて!?スサノオのとっつあん、腕をこっちに向けないで!?ディアス様!?何故に既に覚醒モード?!貴方はこの世界じゃ出来ないじゃないですか!?待って、止めて下さい!!死んじゃいます!!皆して俺を襲うつもりでしょ!?

 

ウスイ本みたいに!!」

 

「「「「「それが最期の言葉でいいんだな?」」」」」

 

 

 

ぎゃああああああああああああああ…

 

 

その翌日、贖罪の街の大穴付近に完全結合崩壊された瀕死状態のシユウが倒れてた、とか。

 

~完~

 

 

もう一本♪

 

 

『漫画の影響。』(GE無印ワールド)

出演

ネタ要員.第一部隊隊長(隊長)

ソーマ(ソーマ)

シオ(シオ)

コウタ(コウタ)

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄以上

 

始まるよ。

 

榊博士の研究室、ソーマは隊長を探していた。そして残す場所と言ったら此処だった。

 

ソーマ「おい隊長、ここか」

 

「「WRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッ!!」」

 

ソーマ「…………。」

 

隊長「うーん、もう少しこう手と脚を開いて体全体後ろ側に仰け反るような感じで。」

 

シオ「こうか!」

 

隊長「そうそう、でさっきの言葉をもうちょっと叫ぶ感じで、wrrryyyyyyyyyyyyyyyyy」

 

ガシッ

 

隊長「❗」

 

ソーマ「…ようこれはどういうことだ。」

 

隊長「あはは、ソーマきゅん。いやあれだよ、漫画という名のバイブルを久々に引き出して、部屋でやるとあれじゃん。だから防音性のこの部屋にした訳。というか頭離して、体全体仰け反った状態でアイアンクローはキツイ。てか全然手が離れない!?」

 

ソーマ「…何でコイツもやってる。」

 

隊長「それは…。」

 

シオ「ソーマ!隊長から新しい言葉を覚えたぞ!」

 

「「……………。」」

 

シオ「うおおおぉぉ!私は神様を辞めるぞぉぉぉ!ソーマぁ!」

 

ソーマ「………。」

 

隊長「あはは………。」

 

ソーマ「……そうか。シオ、ちょっと扉の外で待っててくれ。コイツと話がある。」

 

シオ「うん?いいぞ。ソーマと隊長は仲良しだな。」

 

隊長「えっ!?ちょっと待て!シ」

 

バタンッ!

 

ソーマ「さて…。」ギリギリ

 

隊長「待て待て!ソーマ落ち着け、落ち着いてぐだざいほんど。」メキメキ

 

ソーマ「俺はその漫画を知っている。」

 

隊長「えっ。」

 

ソーマ「意外と好きだ、あれは。」

 

隊長「そ、そうなんだ。じゃjo!?」

 

グイッ!

 

ソーマ「…だから俺はお前に合う言葉をくれてやる。」

 

隊長「ちょ、まっ」

 

ソーマ「…てめぇは俺を、怒らせた。」

 

ひぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ…!!

 

 

 

コウタ「あれ、シオどうしたの。」

 

シオ「ん?今中でソーマと隊長が仲良しやってるぞ!」

 

コウタ「…なんだそれ。」

 

 




仕事を始めてクリスマスの概念が薄れ薄れ
年末が大変に思えるこのシーズン。


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交戦、感応種、そして帰還 後

やっと、まとめました。
いや、新しい短編の設定決めに熱中なんかしてないよ。(汗)
Fgoのイベントに熱を入れていたけどな。
長文になってしまいました。
読みづらくなったと思います。
ヒバリさんが消えてしまいました!!
一言しかセリフがありません。探してみてね。




「……キツいな。」

 

コウタは廃ビルの壁に追い詰められ、イェッツィーと多くのチョウワンに囲まれていた。

 

「…まだ神機は動かないか、糞っ此処で終わりか。」

 

コウタは苦い顔をしてアラガミ達を見据える。その中でイェッツィーは残虐めいた顔をしているように見えた。

すると一匹のチョウワンがコウタに飛び掛かろうとしている。

 

「…ノゾミ、母さん。絶対に俺は…生きて帰るんだ!」

 

そして一匹のチョウワンが飛び出し、コウタが回避しようとした。が…

 

「えっ……。」

 

一つのコンクリートの塊が飛び出したチョウワンに真っ直ぐ飛んできて、チョウワンを落とした。

アラガミ達が飛んできた方向を見始めるとコンクリートの塊が幾つも飛来した。避けるもの当たるものも居て、イェッツィーに関しては人一倍大きい塊に顔面を強打した。

 

コウタは飛んでくる塊の原因を見て、絶句する。瓦礫の山の上に両手で顔より遥かにデカイ塊を抱えた少女がいた。何で此処にいるという思いは言葉に出なかった。

 

「(コンゴウだ、コンゴウがいる…………。)」

 

すると同じ方向からコンクリートの塊がコウタに飛来した。

 

「うおっ!?マリ!何するんだ!」

 

「…変な事を考えたと思ってつい。」

 

コウタは飛んでくる塊を驚いた声を上げながら避けた。

 

「…って!何で戻ってくるんだ!!早く行け!!」

 

唖然としたが直ぐに気がつき焦りと共に叫んだ。それをマリは目を細くして膨れっ面な顔をした。

 

「ムッ…別に良いですよ、自分の神機を持ってコウタ隊長は置いていくので。」

 

「は…何を言ってるんだ!!」

 

「よい、しょっ!」

 

マリはその場にあった頭2つ分の大きさの瓦礫を持ち上げコウタを見た。

 

「…何で俺を見るんだ。」

 

「よっ、しゃあーーー!!」

 

そのまま直線上に投げた。

 

「えっ!?あぶねっ!!」

 

コウタは勢いよく回避して、瓦礫はその背後にいたチョウワンにぶつかった。

 

「えっ……。」

 

「コウタ隊長、ナイス回避。」

 

「おまえ!!狙ってたの俺か!!チョウワンか!!チョウワンだと言ってよ!!」

 

「ノーコメでっ!!」

 

更に同じ大きさの瓦礫を拾い上げ今度は違う方向に投げた。瓦礫はそのまま直線上に飛び、その先にはイェッツィーがいた。イェッツィーは飛来する瓦礫を払い落とした。ほんの少しドヤッしてるように見える。がそれは一瞬の事だった。

 

イェッツィーの顔が大きな瓦礫に隠れた。そして瓦礫が砕けた。周りが静まり返る。

 

「あれ、二連でぶつけるつもりだったのに、一発かわして二発目食らって、どんな気持ち?ねぇどんな気持ち?あぁ言葉分かんないよね。ごめん。」

 

イェッツィーは怒号の悲鳴を上げた。するとチョウワン達が一気にマリの方向を向いた。

 

「馬鹿!!何やってんだよ!!」

 

「交代です。コウタ隊長は退いてください。私が時間を稼ぎます。」

 

「ふざけるな!神機も無い状態で、死ぬぞ!」

 

「だから取りに行くんですよ。今なら動かせる気がします。」

 

「そんな根拠の無いことを…。」

 

そんな事を話している間にチョウワン達がマリの立っている瓦礫の山に近付いてくる。

 

「それじゃコウタ隊長、これで生き延びたら説教も奢りも2倍分で。」

 

「この馬鹿!!」

 

「いいから目を瞑って下さい!」

 

マリはスタングレネードを手に足元の瓦礫にぶつけた。マリを標的にしていたチョウワン達はいきなりの強い光に視界が眩んだ。

 

コウタは目を抑えていて、目を開くと瓦礫の山にマリは居なく…

 

「よっ!よっ!よっ!よっ…!」

 

またまた驚きで言葉を失う。なんと当の本人はチョウワン達の体を渡っていた。

 

「何を…!」

 

叫ぶのは簡単、だけどそれで気付かれたらマリが危険だ。自分に出来るのは…

 

視界が回復したチョウワン達の陽動。

 

「お~い!アラガミ共こっちだ!!」

 

気をこっちに向けさせ、マリの邪魔はさせないようにする。マリの言葉の信憑性はない。だがコウタは自分ができることをし始めた。

 

「コウタ隊長、ナイス。」

 

マリはチョウワンの上を渡りながら着々と神機まで近付いていった。

 

「うわっ!?」

 

が脚を踏み外した、否踏み外された。踏み通ろうとしたチョウワンが後ろに引いてマリを落とそうとした。が…

 

落ちる瞬間、マリはチョウワンの蒼い毛に手を伸ばし掴んだ。着地してもう片方の手で同じ所を掴んだ。

 

チョウワンもされるままではなかった。体を振り始める。マリは空中に放られる、が手は離れなかった。

 

チョウワンは苛立ち、もう一回体を振った。がマリが手を離したのはチョウワンが空中に飛んだ後だった。

チョウワンが体を振り、マリが宙に浮き、着地した瞬間、遠心力と着地した力の入りでチョウワンを投げたマリしかできない荒業をやった。

 

チョウワンは他チョウワン2体を巻き込み吹っ飛んだ。

 

マリは再び一直線に神機に向かい、神機のグリップを握り動かそうとした。

 

「くぅぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぅ~!!」

 

動かなかった、ましてや腕輪と接続する神機からのプラグすら出てなかった。先程のチョウワンが巻き込まれ2体と一緒に近付いてくる。

 

コウタも再び追い詰められ始めていた。

 

マリは神機を動かす事だけに集中していた。

 

「ぅごぉけぇ!!動けっ!!」

 

持ってる自分の筋力、精神力全てで持ち上げようするが神機の先端は地面から一ミリとも離れなかった。

 

「こぉのぉーーー!!」

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

『貴女に戦う力、抗う力を与えましょう。』

 

 

『この神機のコアは2つで1つ、半身同士で形を成した物、似た者同士という物です。』

 

『捉え方は貴女次第ですが、1つは戦う力を、もう1つは抗いを秘めてます。』

 

『抗いなさい。それが貴女の糧となり貴女の生きる道となるでしょう。』

 

『頑張って下さいね、私の■■■■_ーーー。』

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

ぐっと握り締める音が聞こえる。

 

「…動け、此処で動かなかったら、昔の私と同じ、そんなの許さない。」

 

チョウワンが近付いてくる。コウタが危険、マリ自信も危険の中にいる。それでも彼女は手の中の神機を昔の自分と例えてるかのように語り掛ける。

 

「このまま何もできずに見てるだけで周りが傷付くなら、只の足手まといのガラクタよ。」

 

一番近いチョウワンがマリに飛び掛かる。

 

「悔しかったら動け!!この木偶が!!」

 

その時、マリは体の内側から血が沸き立つのを無意識に感じた。

 

 

 

 

 

チョウワンは食らい付いた。その様子を遠くでコウタが大きく目を開いた。

 

チョウワンが食らい付いたのは盾だった。大きな紫色の盾だった。

 

神機を背にガードをするパリングアッパーでマリは防いでいた。パリングアッパーは非物理系をある程度防ぐがチョウワンのタックルに似た噛みつきを防げるのは敢えて言う、マリだけだ。

 

「うりゃああああああぁ!!」

 

マリはそのまま神機を持ち上げ、チョウワンを神機ごと叩き付ける。チョウワンは盾に噛み付いたまま盾に潰された。超重ハンマーの重さは伊達では無い。だが重さだけではなく神機より発揮されたマリのパワーも加わり、地面と盾でチョウワンをプレスしてしまったのだ。潰されたチョウワンは段々溶けるように崩れていく。

 

続けてマリは神機を銃形態(ショットガン)に変え、近付いてきた残り2体にラッシュファイアでの短距離低空飛行で一気に近付く。マリが近付いた時、2体の内の左側のチョウワンは大きな口を開けて飛び掛かってくる。

チョウワンが飛んだ瞬間、銃形態の神機を自分の"左側に引いた"。

 

「でいやぁぁ!!」

 

そして空中から近付いてくるチョウワンに向かって神機の近接パーツ収納部分に剥き出ているハンマーに凪ぎ払いぶつけ、チョウワンはぶっ飛び倒れる。そこに神機を剣形態に変え、ステップで近付き神機を振り下ろした。

チョウワンは立ち直れずハンマーに打ち付けられ崩壊した。

マリは残り1体を見ると、警戒し自分との間の距離を保っていた。マリが近付こうと走り出すとチョウワンは尾から羽を飛ばす。それをマリは避けつつ、神機を右に引きチョウワンに近付く。チョウワンは後ろに退こうとしたがマリはステップで更に距離を詰める。チョウワンは驚いた。その瞬間、チョウワンに顔面と同じ位の鉄の塊が顔の横に飛んできた。

 

 

崩壊していくチョウワンを見た後、自分の神機を見た。正常に稼働する神機を見てニコリと笑った。

 

「……よし!」

 

 

 

 

「本当に動いた……でも。」

 

マリの神機が動いたのを目視して、自分の神機を確認するが

 

「何で、うわぁ!?」

 

自分に付いてくるチョウワンの攻撃を避けて避けてまくる。

 

「こっちはまだ動かないんだ!」

 

神機が動かない現状に今は避け続けなければならなかった。イェッツィーにも注意を凝らすがあの場から全く動かない。というかずっとマリを見て唸っているように見える。なかなかチョウワンで仕留められず腹を立ててるように感じられた。だがその前に神機が動かなきゃ意味がない。

 

「早く動けって!」

 

次第にコウタも焦り始めた。相手にしているチョウワンの群れは多く、避け続けるだけでもコウタの体力も限界があった。

 

「ぁ、まずい!!」

 

後ろに避けた時、自分の踵を地面から出っ張った石にバランスが崩れ尻餅を付く。

立ち上がりながら直ぐに周りを見ると1体のチョウワンが直ぐ近くまで来ていた。

回避は間に合わない、神機を横に盾にする。もう既に神機はボロボロ、チョウワンの攻撃さえ耐えられないだろう。

でも自分が部下の時に隊長に言われた事があった。死ぬな、と。例え神機が壊れても生きて帰る!

コウタはそう心に決め今に来る攻撃を待った。が…

 

「でやぁぁぁぁぁ!!」

それは横から振り下ろされたハンマーの形をしたバスター神機にチョウワンごと潰された。そこから横凪ぎ払い、潰し、ぶっ飛ばしでチョウワンを蹴散らしていく。

完全に見ているだけで近くにいるチョウワンはいなくなり、当の本人は振り返ってニヤリと笑った。

 

「約束通り神機が動いたんで4倍奢って下さい。」

 

「えっ、いやいや、そんな約束した覚えがないんだけど!?」

 

変わらない無茶苦茶な要求をしてきた。マイペースに戻ったように見えてコウタも少しは安心した。

 

「まだまだ元気ですね。ならコウタ隊長、どうします?撤退しますか?倒しますか?」

 

「…撤退を優先にするけど、あの様子じゃアナグラまで追ってきそうだ。」

 

イェッツィーを見ると先程より唸り声が大きく続いている。かなり怒っているようだ。

 

「なら、蹴散らして帰投作戦ですか。戦えるんですか?」

 

「神機は動かなくても罠も囮になる体力はある、ベテラン嘗めんな。」

 

「あ、囮はいいです。」

 

「!?」ズコッ!

 

「こっから交代ですよ。何て言うか…

 

 

 

神機が動いてから体の奥から力が沸いてきます。」

 

 

 

 

 

そこからは早かった、重い神機を振り回す少女はチョウワンに対して鬼ごっこの鬼役だった。

少女が凪ぎ払えば、チョウワンは体の一部が砕け飛び

少女が振り下ろせば、砕け潰れ

少女が振り上げれば、砕け宙を舞う。

 

ふとコウタは思った。

 

「何だこれ…。」

 

一方的過ぎだった。

優勢なのは良い、だけど。

 

「サポートする隙がないんだけど…。」

 

少女はチョウワンが避ける前に凪ぎ払い、距離ある敵はラッシュファイアで接近し銃形態のまま殴り飛ばし、怯んだとこで剣形態に変えとどめを指す。

 

チョウワンの数が減っていく、だが少女は止まらない、止まる気配がない。自分でも彼処まで所々に動いていれば息切れを起こす。だけど…

 

「はい、次ィ!!」

 

息切れ所かぶっ飛び続けてる!?この短時間でマリに何があったんだ!?

 

 

 

 

何故か分からない、だけど体の奥から力が沸き出てくる。みなぎる。

 

「はい、最後!」

 

最後のチョウワンを倒して、大きく息を吸って吐いた。それだけで体が落ち着いた、てか落ち着いている。今までと違い、みなぎる間は体力が向上しているようだ。普通じゃあり得ない。

 

「パワーは上がってないような感じ、でも疲れない。」

 

この沸き出てくる何かが原因?

 

すると周辺が陰った。

 

「マリ!上だ!!」

 

コウタ隊長の声で上を見上げると、イェッツィーが降りてくる。微妙なデジャヴ感。

神機の盾を真上に展開してイェッツィーの攻撃を防いだ。

 

「重っ!?」

 

イェッツィーの全体重が乗った攻撃を何とか踏ん張り耐えた。イェッツィーは一旦離れ、爪を伸ばして飛び掛かってくる。連続で来る大きく振り下ろし、突いてくる爪の攻撃を盾で防ぎ剃らしていく。埒が空かないと見たイェッツィーは大きく右爪を引き、突き出した。

その突きにマリは盾をしまい避ける事にした。すれすれで爪が頬を薄皮切った。

イェッツィーは続けてもう片方の腕を引いた。

その時、状況が変わった。

 

「だあぁぁぁぁぁ!!」

 

マリは神機を振り上げ突き出したイェッツィーの爪に当たり砕きながら左へ軌道を変えた。強い突きに引っ張られイェッツィーは前屈みになる。瞬間、踏ん張って右爪をフックのようにマリに向け振り上げる。この時、勝利をイェッツィーは確信していた。が、それは裏切られた。

 

イェッツィーの右爪が届いたのは大きな紫色の壁だった。しかもさっき左爪を砕いた鉄の塊がその下にあった。右爪はパリング(受け流し)

そして、

 

「くらぇぇぇぇぇぇ!!」

 

アッパー(打ち上げ)でイェッツィーの腹部に鉄の塊を打ち込んだ。イェッツィーは悲鳴をあげ、体をくの字に打ち込まれる。

イェッツィーは何とか持ち直して着地した。そして

 

「あっ逃げた!?」

 

瞬間的にマリに背を向けて走り出した。

その先にはコウタが居た。

 

「待ちやがれ!」

 

コウタはもう1つ持っていたスタングレネードをイェッツィーに投げつけ当たった途端、スタングレネードは破裂した。。

スタングレネードにより強い光りが周囲に広がる。コウタとマリは左腕で目を隠して目に光りが入らないよう防いだ。コウタは今度はホールドトラップを取ろう手を伸ばした時、

 

「コウタ隊長、前見て!!」

 

「何!?」

 

マリの言葉に驚き前を見るとイェッツィーは翼で顔を覆って走ってきた。コウタは直ぐにホールドトラップをイェッツィーの走ってくる延長線上に仕掛けその場を離れた。が…

 

「えっ!!」

 

「くそっ!!」

 

ホールドトラップを踏む直前にイェッツィーは翼を広げ飛び上がった。天に昇るように飛び上がったイェッツィーは廃ビルの屋上に乗り、マリ達を少し見ると背を向けて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

「逃げられた…。」

 

「此方コウタ。ヒバリさん、イェッツィーは?」

 

『イェッツィーはお二人から離れていきます。榊支部長から第一部隊は帰投命令が出てます。』

 

「了解。」

 

コウタがヒバリとの通信を終えるとマリの方を向いて歩き出した。

 

「帰投だ、警戒しながらエリナとキグルミに合流するぞ。」

 

「…説教はしないんですか?」

 

「そんなのは後々、帰って少し休んでからやるぞ。俺も疲れた。」

 

「………。」

 

歩き出したコウタの後をマリは歩き出した。マリは若干下を向きつつある。

 

「マリ、不満な事でもあるのか。」

 

「……倒す自身はありました。でも、倒しきれなかった。悔しいです。」

 

「…相手が悪かった、それだけだよ。俺だって悔しいよ、手が出せなかったんだから。」

 

「……。」

 

「あー!!止め止め、今は帰投に集中!その頃には俺の神機も動いてるだろうから、お前は奢られるのを待っていろ。」

 

「…はは、そりゃ楽しみ、で、うっ…。」

 

急にふらっと揺れたマリは神機を地面にガンッ!!と突き付け杖のようにして俯いている。

 

「マリ、どうした!」

 

「コウタ隊長!マリ!」

 

エリナとキグルミが走ってきて二人に近づいた。

 

「マリ、しっかりしろ!大丈夫か!」

 

コウタがマリの左側によって声を掛ける。

 

「…ぁたま…が……。」

 

「「え?」」

 

「ぐわーんぐわん…ぐわーんぐわん……ゆれ…て

。」ガシッ

 

「え?(何で肩を回すの?やな予感が…)」

 

「めが……まわって………

 

 

 

 

オロPィィィィィィィーーーーーーーーー‼」

 

「ぎゃあああああああああああ!!」

 

 

 

 

「あの、すみませんでした。」

 

現在病室ベッド土下座ナウ。

 

そして目の前にはシャワーを浴びた後らしきコウタ隊長の姿が。サイドにはエリナとコイツ(キグルミ)が。

 

我、隊長ニ説教サレテイル。

 

「取り合えず、死なないようにする!それだけは守るようにな!」

 

「はい、善処します。」

 

「何が何でもだ!」

 

今日のコウタ隊長はとても怖かった。ゲロかなゲロが悪かったのかな。

「……。」

 

駄目だ、頭を上げられない、誰か助けて!!

その時、医務室の扉が開いた。

 

「やぁみんな、エミール・フォン・ストラシュブルグ。この極東の地に、帰って来た!」

 

…いやゴメン。エミールさんは無いかな、うん。空気がね。できればハル隊長かカノンさんが良かったです、はい。ムツミちゃんは最強だよ。これも罰が当たったのかな。是非もないな。

 

「む、どうしたんだい。まさかが僕がいきなり帰って来て声も出ないのかな、すまない連絡は入れてたのだがね。」

 

声も出ないと言うか、声を出しにくい空気になってますから。どう切り替えていいか不明な空間だから。

 

「だが此れからまた闇の眷族と共に戦うのだ。我々は仲間だ、さぁ明日から宜しくたの」

 

「エミール煩い!!あんたは場違いだからさっさと外に出る!!」

 

そう言ってエリナはエミールの腕を掴んで外に連れ出そうとしている。キグルミも手伝って三人は医務室から出ていった。てか逃げられた。余計気まずい。

 

「……はぁ、まぁ此れからは無茶はするなよ。俺も今から榊博士と話をしなきゃならないし、お前は休んでいろ。」

 

終わった~!

仰向けになってベッドに横になった。

コウタ隊長はなんか溜め息をして外に出ようと

 

「そうだ、榊博士から命令違反で処罰あるから気分が良くなったら支部長室まで来いとさ。」

 

否、終わって無かった。

そう思っている間にコウタ隊長は出ていった。

仮病しようかな。

 

「……………。」

 

また、思い出した。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

『早く■ナを連れて行きなさい!』

 

『マリ、ナ■、生きて……。』

 

『おねぇ…ちゃん…グズッ…。』

 

『ふえぇぇぇぇぇえええええ…!』

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「……母さん…ナナ……うぅ…グズッ。」

 

 

 




やらないと。


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