響になった僕は人の温もりを知る (緒兎)
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死と新たな生

 初投稿です。
 駄文ですが、これから頑張って文才をあげていきたいと思っておりますので、どうか暖かく見守っていていただけると幸いです。


 僕は人の温もりを知らない。

 

 小さい頃に両親に捨てられ、孤児院に引き取られ、しかしそこでも一人で過ごし、最初は話しかけてくれた子もいた。

 しかし親に捨てられた僕は、回りを拒絶し塞ぎこんでしまった。

 

 もしかしたら、それが温もりだったのかもしれない。でも、その頃の僕はそんなことさえもどうでもいいくらいに、ショックを受けていてその温もりに気が付かなかった。

 やがて回りも、僕に話しかけるのも止め、いつまでもうじうじしている僕を、虐め始めた。

 最初は軽い虐めだったが、だんだんと酷くなってきて、僕はもう耐えきれなかった。

 

 そして僕は、誰にも見つからないような山奥で、ひっそりと首を吊り自殺した。

 

 

 

 「んぅ」

 

 不意に目が覚めた。

 

 「え?な、なんで生きてるの?僕は自殺して死んだんじゃ... 」

 

 起きて早々疑問が出てきた。なぜ自分が生きているのか、自分は死んだんじゃ無かったのかと。

 しかしその疑問に答えてくれるものはこの場にはいない。

 

 「とりあえず、ここ... 何処?」

 

 とりあえず、回りを見渡してみる。

 どうやらここは、病院の病室のような感じで、自分はこの部屋に1つだけあるベットに寝ていたのだと気付く。

 

 「病室?」

 

 思わず声に出てしまった。

 

 「あ... れ...... ?」

 

 今まで回りを見たり、今の現状を確認しようとして気づかなかったが、自分の声が少し高くなっていた。

 そしてそれは声だけではなく、体全体が自分のものと別なものな気がして、もう気が気でなかった。

 

 僕は急いで、鏡の前にたった。

 この鏡は回りを見ているときに見つけた、2mはあろうかという、結構大きな鏡だった。

 

 「........ え?」

 

 そこには、腰まで届くような綺麗な銀髪と、何処までも透き通った宝石のような綺麗な瞳をした女の子がいた。

 つまり何が言いたいかというと、見たこともない美少女... 否、美幼女がいた。

 

 僕はしばらくの間、鏡に映っている女の子に見とれてしまっていた。

 

 ハッ!こんなことをしている場合じゃなかった!早く自分の体に何が起こっているのか、確かめなくちゃ。

 そして鏡に向き直る。しかし相変わらずそこには美幼女がいた。

 そして自分の体を見る。そこには見慣れた自分の体と違って、女の子の様な体があった。そう、それはまるで目の前の女の子の様な...

 鏡を見る。自分の体を見る。鏡を見る。

 流石にそこまでして気づかないやつはいないだろう。

 そう、僕は... 超絶美幼女になってしまったのだ!!

 

 「はぁ、これからどうしよう... 」

 

 女の子になった体で、僕はこれからのことについて考えていた。

 しかしいくら考えても答えがでないので、なるようになればいっかという結論を出した。

 

 とりあえず僕は寝ることにした。

 いろいろと、考えすぎて疲れてしまったのだ。流石にこれ以上考えていると頭が痛くなりそうなので、寝ることにした。

 

 病室に近づいてくる、誰かに気づかずに... 。




つ、疲れたー。
1000文字って意外とかくの大変なんですね...


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⬛⬛は人の温もりを知る

かなりの修正を加えています。


 コンコン

 

 病室の扉をノックする音がして、目が覚めた。

 まだ寝ぼけたままで『はーい』と返事をする。

 

 「失礼する」

 

 入ってきたのは、何処か歴戦の兵士を思わせるイケメンだった。

 

 「...... え?」

 

 誰かが入ってきた?な、なんで?ここは死後の世界とかそういうのじゃないの!?

 う、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!何で!?せっかく誰にも会わないで済むような所にいって、自殺までしたのに!!何で... !?何でなんだよ!!!

 

 「ん?どうしたんだ?」

 

 男が近づいてくる。

 

 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、嫌だ!来るな、来るなよ!もう嫌なんだ、人と関わるのは!!みんなみんな、僕を虐めてくる。誰も助けてやくれない!

 

 「あ、あぁぁぁ... !?」

 

 ダメだ体の震えが止まらない、動けない... 。何でなのさ!ここで動けなきゃ、逃げられないじゃないか。早く逃げないとまた... 。

 

 「ッ!?」

 

 僕の尋常じゃない豹変っぷりに、部屋に入ってきた男は驚愕していた。

 

 「お、おい!大丈夫か!?」

 

 大丈夫な訳がない!涙が出てくる。もう... やめて!

 

 「... 来ないで... !帰って!!僕の目の前から消えて!二度とここに来ないで!!!!」

 

 そうだ、あいつがこの部屋から出ていけばこの震えは止まる!なのに... なのに... 何でお前は、近づいてくるんだよ... !!

 

 男は僕の拒絶に対し、少したじろいだが、何を思ったのか近づいてくる。

 

 ガバッ

 

 不意に僕の体が、大きくて暖かいものに包まれる。一瞬、思考が止まった。

 抱き締められた。そう頭が理解し始めて、さらに恐怖した。僕の体はさらに震え始め、涙もボロボロと大粒の涙を流し始めた。

 

 「や.... めて... はな... して... よ」

 

   もう... ダメ... 。

 

 「大丈夫だ。何も怖いことなんて無いんだぞ。」

 

 そんな言葉で安心できるはずがない!!何が!どこが大丈夫なんだよ!

 離して!離して!離してよ!!!もう、止めて...

 

 

 

 そう、思っていた筈なのに。

 

 なんで、なんでこんな言葉に、安心なんかできるんだよ... 。なんで?こんな言葉に、安心なんかできる筈もないのに。

 

 「大丈夫だ。」

 

 男がもう一度その言葉を言ったときには、体の震えや、涙が止まっていた。

 

 ああ... もしかして、これが人の温もりなのか。優しさなのか。

 僕は理解した。何故なんでもない普通の言葉なのにこんなにも安心できるのかを。

 それは温もりだった。僕が今まで感じたことのない暖かさ。それが僕を異常なまでに安心させてくれているんだと。

 僕は人の温もりを感じつつ静かに感動していた。

 

 僕は、その温もりを離すまいと男の背中に手を回して、必死に抱きついていた。

 そして僕は人の温もり(男に)抱かれながら静かに目を閉じ、安心しきった顔で、眠りについた。

 

 男は、⬛⬛が眠りについたのを感じ、⬛⬛をベッドにそっと寝かした。

 そして男は病室を出ようとしたが、⬛⬛が男の服を掴んで離さなかったので、仕方なく男は⬛⬛と一緒に寝ることにした。

 

 その様子は、さながら親子の様だった。




うへぇ、修正って大変ですね。


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暁型駆逐艦二番艦『響』

響ちゃん誕生!!

もう修正したくないでござる... 。


 暖かい。この暖かさはなに?... そうだ、これは人の温もりだった。僕の始めての温もり。このままずっと温もりを感じていたい。

 

 ん?あれは... 。あの人だ!!僕に人の温もりを教えてくれた人。そばにいると安心できる人。

 

 僕は、走ってあの人のところへ行く。

 

 あの人のそばへ近づくと、回りの風景がどこか、執務室のようなところへと変わった。

 回りにはたくさんの、されど年齢のバラバラな少女たちがいた。

 でも僕は怖くなんてない。この人さえ側に居てくれれば。

 

 するとあの人が、こっちにこいと手招きをした。

 僕は喜んであの人の側まで行った。

 

 『響。君に伝えたいことがある。』

 

 あの人が僕の前で膝をついて何かを取り出した。

 

 『俺と、結婚してくれ。』

 

 突然のプロポーズ。少し驚きはしたが、嬉しさが勝り涙が流れてきた。今までの悲しい涙ではなく、嬉しい涙が流だった。

 

 もちろんそんなの答えは決まっている。だって僕も、あの人の事が好きなんだから。

 

 『はい!喜んで!司令官!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふわふわと夢から意識が覚醒していく。

 

 どうやら僕は夢を見ていたようだ。内容は思い出せないけど、なにかとっても幸せな夢だった気がする。

 

 不意に頭に何かが乗ってきて撫でてきた。とっても気持ちいい。頭に何が乗っているのかが気になるが、あと少しだけ、この気持ちいいのを味わっておこう。

 

 「んっ、うにゅう。」

 

 余りの気持ちよさに、思わず声が出る。しかし、それほどまでに気持ちいいのだ。

 

 さて、そろそろ目を開けよう。

 

 目を開けたその先には昨日の男の人が優しい顔をして僕の頭を撫でていた。

 

 「え?... あれ?」

 

 なんで昨日の男の人が同じベッドで寝ていて、僕の頭を撫でてるの?

 それに... 昨日あんな事があったとはいえ、なんにも怖くない。いや、逆に安心するほどだ。

 

 「お?起きたか... 。どうだ?まだ俺の事が怖いか?」

 

 男の人が心配そうに聞いてきたため、僕は慌てて首を横に振った。

 

 「そうか... それは良かった。」

 

 そう言って、男の人はベッドから降りて、こっちに向き合った。

 僕も、いつまでも寝転んでないで体を起こす。

 

 「自己紹介をしようか。俺の名前は御影、天草(あまくさ) 御影(みかげ)だ。呉鎮守府で提督をやっている。提督やら司令官、好きな方で呼んでくれ。」

 

 自己紹介をしようか。そう言った男の人の名前は天草 御影と言うらしい。提督か司令官、呼び方はどっちでもいいと言われ、僕は迷わず司令官と呼ぶことにした。こっちの方がしっくりとくるからだ。

 

 おっと、僕も自己紹介をしなければ。

 

 「じゃあ司令官と呼ばさせて貰います。次は僕の番ですね。僕の名前は... 名前は...... あれ?」

 

 「ん?どうしたんだ?」

 

 「な、名前が思い出せないんです!」

 

 あれ?本当に思い出せない... 。なんで名前だけ?他のことは嫌と言うほど思い出せるのに。うぅ...

 

 「名前が思い出せない... か」

 

 「うん... 。で、でもいいよ!どうせあんな親がつけた名前なんて、名乗りたくもないし... 。(小声)」

 

 うん!そうだ、ポジティブに行こう!あんな名前、別に思い出さなくてもいいんだ。僕は生まれ変わったんだから!

 

 「実のところ、君にはもう名前があるんだよ。」

 

 すでに僕には名前がある?どういうことだろう?

 

 「君はとある駆逐艦として作られた。そしてその駆逐艦の名前は『響』。特三型駆逐艦 暁型駆逐艦の二番艦『響』だ。」

 

 こうして僕は暁型駆逐艦二番艦『響』として、生きることになった。

 

 そう言えばこれって憑依って言うのかな?よくわかんないや。




ふぃ~、シンドイです。大変です


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響、世界を知る

今回は少し長いです。

大規模な修正って大変ですね... 。


 「ねぇ、響っていう名前は分かるけど、特三型?暁型?駆逐艦?なにそれ?」

 

 なんで人の名前に特三型やら暁型やら駆逐艦などが付くかと思い、司令官に聞いてみた。

 

 「え?あぁ、知らないのか。その前に響、艦娘って知ってるか?」

 

 艦娘?どういうことだろう。人間では無いのか?

 

 「艦娘って?」

 

 「知らない... か。となると響、君はこの世界の住民でない、可能性がある。それを確かめるために俺が今から質問をするから、正直に答えてくれ。」

 

 「う、うん。」

 

 この世界の住民じゃない... か。確かにそれは一理ある。なぜ僕がそう思うのか、それは司令官が言っていた、艦娘と言う存在を僕が知らなかったからだ。

 世間一般には知らされていない存在なのでは?とも思うだろうが、そんな存在をペラペラと喋って良いものなのか、となる。

 

 少なくとも僕は一般人だ。司令官もそのくらいは分かっているだろう。だって、一般人じゃないやつがその情報を知らない訳がないのだから。

 

 「じゃあまず、深海棲艦って知ってるか?」

 

 深海棲艦か、知らないな。

 

 「知りません。」

 

 「それじゃあ、妖精さんは?」

 

 妖精?この世界には妖精が居るのか。

 

 この時点でもう僕がいた世界では無いことがわかるが、妖精さんが何処まで常識なのか分からないため、司令官が僕が異世界の住人だってことを、わかったのかはわからない。

 

 「知りません。」

 

 「じゃあ最後に、20年前の大海戦について、知っているか?」

 

 「知りません。」

 

 「... 決まりだな。いいか響、君自身も気づいてるだろうが、君はこの世界の住民じゃない。」

 

 うん。気づいてた。しかし大海戦か、この世界は一体どんな世界なんだろう?

 聞く限りじゃ、結構物騒な世界だと思うんだが。

 

 「響、この世界のことについて話そう。

 この世界は、25年前までは普通の世界だったんだ。しかしある時、人サイズの艦艇群世界中に現れた。

 最初のうちは害が無かったから、要注意ってことで監視の船が置かれただけだったんだ。しかし、数日間その謎の艦艇群を監視をしていた船との、連絡が途絶えたんだ。

 最初は誰もが通信機の故障だと思い、そのうち修理して連絡を寄越すだろうと思っていた。だが、そのあと一週間待ったが監視船から連絡が来ることはなかった。

 これを不審に思った上層部は、すぐにイージス艦を送らせた。もしかしたら監視船が攻撃されたかもしれなかったからだ。

 果たしてそれは、予想が当たっていた。イージス艦から監視船の残骸らしきものが見つかったと連絡があった。

 そして、その連絡があったあと、次々と沈められたと、報告が上がった。

 そこからの世界の対応は早かった。沈んだ船の近くに謎の艦艇群が居たとの目撃情報から、目標を謎の艦艇群とし、その目標をこう名付けた『深海棲艦』と。世界は深海棲艦にたいして、攻撃を始めた。もちろん日本も例外ではなかった。

 しかし、帰ってきた戦果はこうだった... 全滅と。

 それをきっかけに深海棲艦は我々人類に対し猛烈な進撃をしてきた。

 そして我々は瞬く間に海から駆逐された。

 しかし、我々も黙って進撃されるわけではなかった。世界各国で連盟を組み、全戦力をもって反撃にでたんだ。だが、やはり深海棲艦にダメージを与えられず、全滅した。

 そしてこの戦いで唯一の戦果は、深海棲艦に通常兵器では通じないと証明された、ということだけだった。

 そして人々はこの戦いを大海戦と名付けた。

 人類にはもう、深海棲艦に対する有効的な兵器が無かった。

 そんなある日、一人の『艦娘』と名乗る少女と、妖精という存在が確認された。

 少女は自分のことを、第二次大戦時代の艦艇の魂を宿した存在だと言った。当然そんなことは誰も信じなかった。

 そこで少女は日本のすぐそこまでやって来ていた、深海棲艦の一艦隊を一人で倒して見せた。

 そして妖精は、その『艦娘』を作れると言った。

 突然の希望に日本中が喜んだ。すると、日本各地で艦娘や、妖精が現れたという、目撃例が多数確認された。

 そこで我々はこれを好機と見、深海棲艦に対し、大反撃に出た。そしてその戦果は目まぐるしいほどのものであり、深海棲艦を瞬く間に日本周辺の海域から駆逐した。

 しかしそんなときに『姫級』と、呼ばれる深海棲艦が現れ、艦娘達を次々に沈めていった。

 その時は多数の犠牲を払いながらも、姫級を倒すことに成功した。

 そして今に至る、というわけだ。」

 

 なにやらとんでもない世界に来てしまったようだ... 。そしてその話だと暁型駆逐艦の僕も艦娘だって分かるから、僕も戦わなきゃいけないじゃないかぁぁ!!

 

 僕...... 生き残れるかな?




うわーーーー!!

司令官さん説明長すぎーー!
もうダメぽ、やる気でない。


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鎮守府に無事(?)到着~

おかしなところあったら言ってください!可能な限り修正しますから!


 「でだ、響。君もその艦娘の一人だ。君にはこれから「嫌だ!」... まだ何も言ってないだろ。」

 

 「どうせ、『戦ってもらわなければならない』とか言うんだ!!僕は絶対に嫌だ!」

 

 艦娘だから戦う?そんなの無理だ!深海棲艦と戦うなんて死にに行くも同然の行為だ!!

 

 すると司令官の顔が真面目になった。ちょっと怖いかも... 。

 

 「しかし響。戦わなければここにいられないぞ。もし、ここを出たとしてもだ、響。その容姿じゃ働けなくて餓死するのが目に見えてるぞ。」

 

 「う、うぐっ」

 

 「それに、艦娘として、戦っていれば衣食住は保証される。しかも滅多なことでは沈まない。流石にどっちが良いかはわかるよな?」

 

 た、確かにここを出ても行く当てないし、しかも僕は人が怖いんだ。そ、それに.... 司令官と離れるのはちょっと悲しいし。

 

 「わかったよ... ここに残って戦うよ。」

 

 正直、かなり不安だ。でも、生き残るためには必要なこと、それを理解してても怖いものは怖い。

 

 「そんな不安そうな顔すんなよ。大丈夫、安心しろ。俺も鬼じゃないんだ、訓練なしに戦闘海域に行かさないよ。」

 

 「なんだ、それならいい。」

 

 「... おい!」

 

 ふぅ、それなら安心だ。ん?切り替えが早いって?はて?なんのことやら?ハハッ、この世は生き残ることが大事なんですよ!

 

 「まぁ、そんなことより訓練ってなにするの?」

 

 訓練と言えば、腕立てとか腹筋とか持久走とかかな?僕、運動苦手なんだよなぁ...

 

 「訓練か?そうだなぁ~。君たち艦娘は、海の上に立って滑る練習をしたり、的に弾を当てる練習をしたり、艦娘同士で演習をしたりするのが主な訓練だな。後は走り込みぐらいかな?」

 

 ここで新発見!艦娘は海の上に立って滑れる。っと、しっかり記憶しとかねば。

 訓練自体はあんまり厳しい感じじゃ無いのかな?走り込み以外。いやぁ~、良かった良かったこれで訓練も楽チンだね!走り込み以外。... 走り込m(ry

 

 「そろそろ鎮守府に行くぞ、響。」

 

 「あ、待って人が多いところは、通らないで欲しいかなって... ダメ..かな?」

 

 よし!行く前に頼み込めたぞ。流石に人がいっぱい居ると怖くて立てなくなりそう(ガクブル ガクブル

 

 「ああ、安心しろ。車を手配してあるから。」

 

 「で、でも運転手は... 」

 

 「大丈夫だって。運転席から後部座席は見えないようになってるから。」

 

 ...... マジで?司令官あんた何者!?

 あ、提督か。

 

 いや、でもほんと良かった... 。今は余裕こいてるけど、人前に出ると怖すぎて何も考えられなくなるからね。

 

 「よし、じゃあ行くぞ。」

 

 あれ?何か忘れてるような...

 

 ガラガラ

 

 「「あ」」

 

 ヒュン、ガシッ、ガクブル ガクブル

 

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い...

 

 扉を開けたら、そこには看護婦さんがいた。

 響は看護婦さんを見た瞬間、提督の後ろに回って服を掴み震えていた。

 響や、提督は忘れていただろうが、ここは病院。看護婦やお医者さん、そして患者さん達がたくさんいるのだ。

 

 「し、失礼する!!」

 

 提督は、震えて動けない響を抱き抱え、猛烈ダッシュで出口へ向かった。

 

 「あ、廊下は走らないでください!」

 

 患者さんに注意されるが、提督は無視して、一刻も早く響を車に乗せることを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 「うーん、... ハッ!」

 

 「ようやく元に戻ったか。ずっと震えて怖い怖い怖いを連呼していてこっちが怖かったぞ。そしてようこそ、呉鎮守府へ!!」

 

 気がつくとそこは、鎮守府だった。




響「ねぇ、司令官。なんで僕は病院にいたの?」

提督「それはな、響が作られたとき、息をしていなかったからだよ。」

響「なにそれ怖すぎるだろ!!?」


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響、克服の可能性

 学校が始まってしまう~!!

 全然修正出来てな~い!!


 「うおぉーー。ここが鎮守府かー!... 別にそこまで感動しないな。」

 

 ガクッ

 

 「ハハッ、なんだよそれは... 。」

 

 「だって、感動する要素なんて無いじゃん。」

 

 「まぁ、外からだとそんなもんか。だがな、響。なかに入ったり、いろいろ回っていくと絶対に驚くから覚悟しとけよ。」

 

 お?それは期待できるね!司令官は、あんまりそういうことは言わなそうな人だから期待も3倍増しだね!!

 

 よし、早速入ろう!!

 

 「いざ!参るぞよ、司令官!」

 

 「あ、ああ。響、キャラ変わってないか?」

 

 「そんなことは無いで御座いまするよ司令官。」

 

 「ハ、ハハ... 。お前にはついていけないよ響。」

 

 司令官が呆れたような顔をしてこっちを見てくる。なぜだ、解せぬ。

 

 「そんなことよりも行こうよ司令官!」

 

 「ちょっと待った!」

 

 「なにさ?」

 

 司令官... あまり邪魔しないでほしいな... ハハッ!今の僕は最っ高にハイってやつなんだぜ?

 

 「響。」

 

 そんな真面目な顔しないでほしいな。なんだかこの先に、俺にとっての試練が待ち受けているような気がして堪らないんですが。

 

 「ここは、基地だ。そして前に話した、艦娘がここにはいる。そして妖精さんもだ。何が言いたいかわかるか?」

 

 「うん?わかんない?」

 

 マジでわからん。司令官は一体何を言いたいんだろうか。

 

 「いいか、艦娘は人では無いが、人に似た容姿や感情を持っている。妖精さんは大丈夫だろうが、艦娘は人とほぼ同じ。」

 

 そ、それって... 人と接しなきゃいけないってこと... ?それ... 無理かも... 。

 

 「響、君にはここは辛いかもしれない。沢山の艦娘達と触れあい、共に戦い、学ぶ毎日。どれもこれも君にとっては地獄の様なものだろう。だがどうか耐えてほしい。それがいつか、君にとって幸せなことになるはずだから。」

 

 司令官... そんな言い方ずるいよ。そんな言い方されたら、頑張って人が怖いのを克服しなきゃいけないって、思うじゃないか... 。

 

 「うん。僕頑張るよ!例え少しずつでもいい。絶対に克服して見せるから!」

 

 司令官のために... 。

 僕はひっそりと、胸のなかでそう、思うのだった。

 

 

 

 

 

 ー執務室ー

 

 「とは言っていたものの... こりゃ響が克服するのはまだまだ先かな.... 」

 

 ガタガタガタガタ

 

 執務室。そこには提督と響以外にもう一人の少女がいた。

 

 「その子... どうしたのです?」

 

 「ひぃぃ~!!?」

 

 そして案の定響は、提督の後ろに摑まって震えているのだった。

 

 「ダメだこりゃ... 」

 

 

 チャンチャン♪




提督「あ、響から魂が... 」

??「それって大丈夫なのです!!?」

 チャンチャン♪


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鎮守府案内作戦

 最近なかなか寝れなくて困っているマリオンです。

 さぁ、7話目出来ました。どうぞごゆるりとお読みください。
 そんなに長くないけどね!


 ガタガタガタガタ

 

 「はぁ... 。すまないが電、少し出ていてくれ。」

 

 「え?は、はいなのです。」

 

 電がよくわからないといった風な顔をしながら部屋から出ていく。

 

 「ふぇぇぇ... しれーかん、怖かったよ~... グスッ。」

 

 電が出ていってすぐに響は泣き出して提督に抱きついていた。

 

 「おー、よしよし。大丈夫だ... 大丈夫。」

 

 少し、提督は困った顔をして、響を慰めていた。すると響も落ち着いてきたのか嗚咽が小さくなってきた。

 提督は響が落ち着くまで優しく頭を撫でていた。

 

 「もう... グスッ、大丈夫」

 

 「そうか... 。」

 

 司令官は優しいな... 。まぁ、だからこそ僕が安心して側に居られるんだと思うけどね。

 はぁ... 、提督には頭が上がらないよ。

 

 ところで司令官。そろそろ頭を撫でるのを止めて頂けますでしょうか。流石にこれは恥ずかしい。

 

 そろそろ止めてほしいと目で伝える。

 

 「ん?ああ、すまない。撫でるのが案外気持ちよくてな... 」

 

 カァァァァァ////

 

 顔が自分でも赤くなっていることがわかるくらい、顔が熱くなってくる。

 

 「どうした、顔が赤いぞ?気分でも悪いのか?」

 

 「な、なんでもない///」

 

 あんたのせいだよ!なんて死んでも言えない... 。

 

 「そ、そんなことよりも!さっきの女の子は誰なの?」

 

 「あ、ああ。さっきのは電。暁型駆逐艦の四番艦『電』だ。つまりあの子は艦娘であって君の妹だ。」

 

 な、なんと!?さっきの子は僕の妹だって!!?ああ... 悪いことしたなぁぁ、謝りに行きたい!... でも怖いしなぁ。

 

 「し、司令官... どうしよう... 。僕、あの子に酷いことしちゃった... 。」

 

 「気にするな。その事は後で俺から伝えておくから。」

 

 「で、でも... 。」

 

 「いいんだ気にするな。そんなことよりもだ。鎮守府をいろいろ回るぞ。」

 

 気にするな。その一言で大分体が軽くなった気がした。

 

 「うん!ありがとう司令官!!(ニパァ」

 

 せめてものお礼に、満面の笑顔で返してやった。すると司令官が少し顔を赤くして照れていた。

 

 「ほらっ、さっさと行くぞ!」

 

 そう言って司令官が部屋を出ていく。

 

 照れ隠しだろうか?案外可愛いところあるじゃん。

 

 「うん!」

 

 響は司令官の新しい一面を見れてかなりご機嫌な返事をした。

 

 「さぁ、いざ行くぞ!鎮守府案内へ。」

 

 「おー!!」

 

 そう言った二人の顔は、どちらも満面の笑顔をしていた。

 

 「じゃあまずは、工廠を案内しよう!付いてこい響!!」

 

 「ラジャー。」

 

 「これより、『鎮守府案内作戦』を開始する!」




 響「さぁ、案内の時間だぁぁぁ!!」

 司令官「いざ!工廠へ!」

 電「司令官さん話は終わったのですか?」

 響、司令官「あ」

 バタッ

 司令官「ひ、響ぃぃぃぃ!?」


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工廠と妖精さん's

 そう言えば、最近いづも型ヘリ空母の二番艦『かが』が進水したらしいですね。

 日本もそろそろ結構な戦力になって来てるんじゃないでしょうか?


 「さて、そろそろ見えてくるぞ。」

 

 提督がそう言って道を曲がると、目の前にとても大きな建物が見えてきた。

 

 「でっか... 」

 

 「だろ?ここは工廠と言って、新しい艦娘の建造をしたり、規定の練度まで達した艦娘を改装したり、装備を開発したりする施設になっている。」

 

 「へぇ... 。じゃあ結構重要な施設だね。」

 

 提督の説明にフムフムと頷いている響だが、その感想は結構適当である。

 

 「ここで造られた艦娘は、その日の内にここで目を覚まして、次の日から訓練なり何なりをするようになる。」

 

 ん?じゃあなんで僕はここで目を覚まさなかったんだろう?

 

 「ねぇ、司令官。僕はなんで病院なんかで寝ていたの?」

 

 「それは響が造られたはいいんだが、何時間待っても目を覚まさなかったんだよ。」

 

 へぇ、だから病院で目が覚めたんだ。

 

 「さ、中に入るぞ。」

 

 提督が扉の前に立って中に入ることを促してくる。

 

 「はーい。」

 

 僕は司令官に返事を返し、とことこと司令官の元へ近づいていった。

 

 「おぉ~(キラキラ」

 

 中を見た感想はまぁ凄かった。沢山の砲弾や金属があちこちに散乱しており、そして何より目を引くのは、それをせっせと運んだり、何かを作っているちみっこい生き物が居ることだった。

 

 「司令官っ司令官っ。あの生き物なに!!?」

 

 僕は興奮しながら司令官にあのちみっこくて可愛い生き物が何なのかを聞いた。

 

 「あれは妖精さんだ。ああ見えてもかなり頭がよくて、いろんなものを作れるんだ。」

 

 「すっごーい!!」

 

 たぶん僕の瞳はキラキラしっはなしだろう。だけど仕方ないのだ。僕は元々男の子だったしロマンに溢れるものにはかなり興味を示してしまうんだ。妖精さんだってロマンの塊だ。

 え?違うって?僕にとっては妖精さんもロマンなの!!

 

 「凄く楽しそうだな響。」

 

 「うん!うん!だって凄いよ!!こんなの見たこと無いよ!」

 

 ヤバイヤバイ興奮がおさまんないっ!

 

 「あっそうだ。おーい!ちょっとこっちに来て集まってくれ!!」

 

 僕が必死に興奮を抑えていると、司令官が妖精さんになにやら指示を出していた。

 そして沢山の妖精さん達がわらわらと、集まってきた。

 

 「せーいれーつ!」

 

 妖精さんのリーダーらしき妖精が号令をすると、それぞれバラバラに立っていた妖精が、一気に整列した。

 

 「さぁ響、自己紹介を。」

 

 「う、うん。僕は暁型駆逐艦の二番艦『響』だよ。よろしくね、妖精さん。」

 

 「よろしくです~」

 

 「よろしくー」

 

 「よろしくおねがいー」

 

 「よろー」

 

 僕が自己紹介をすると妖精さんが口々に答えてくれた。それに、しゃべり方がなんか可愛かった。

 うん。妖精さんとは仲良くなれそう。

 

 それから僕は妖精さんと10分くらい話して結構仲良くなれた。

 

 「じゃあ次の目的地に行くか。」

 

 「うん!またね、妖精さん。」

 

 「おー、またなー」

 

 「またあいましょー」

 

 「またあってあげてもいいんだからねっ」

 

 僕が妖精さんにお別れすると、妖精さんが返事をしてくれた。最後の妖精さん... 可愛いなぁ。

 

 「さぁ、次は入渠施設だ!」

 

 そして僕たちは、次の目的地、入渠施設へ向かうのだった。




 響「妖精さんマジかわゆす!!」

 妖精さん's「あなたのほうがかわいいです」


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入渠施設と艦娘さん

 あんまり上手く書けないです。
 
 小説って本当、難しいんですね。読む側から書く側に変わって、初めて気付きました。


 「さて、ここが入渠施設だ!」

 

 次に来たのは入渠施設だ。これも結構でかい。

 しかし、見た目はどこか銭湯とかに似ている気がするが、そもそも入渠って何なんだろう?

 

 「司令官。入渠ってなに?」

 

 「入渠ってのは、傷ついた艦娘を修理するってことだよ。」

 

 なるほど。だとすればここには修理するための機械がおいてあるのかな?

 

 「じゃあ中に入るぞ~。」

 

 司令官が中に入るのを促してくるので、さっさと中に入る。

 

 「え?司令官、これって... 」

 

 「ん?ああ、お風呂だよ。」

 

 予想の斜め上をいく答えをどうもありがとう司令官。

 

 じゃなくて!なんで艦娘を修理するのにお風呂なんだよ!なに?艦娘ってお風呂に入ったら治るの?おかしいよね?ね?

 え?僕がおかしいだって?僕は至って正常だ!

 

 「お、おーい。」

 

 「..... ハッ!ごめん司令官... 。僕にはなんでお風呂なのかわからないよ。艦娘ってお風呂で治すの?」

 

 「ん~、俺もよくわからないんだよな~。ただ言えるのは、このお風呂のお湯はただのお湯じゃないってことかな。」

 

 なるほどわからん。

 

 「ただのお湯じゃないってどゆこと?」

 

 「艦娘にしか効果がないが、このお湯に浸かるとどんな怪我をしてても治るんだ。」

 

 マジか!それって便利すぎやしませんか?だってダメージを受けたら直ぐに戻ってきて、このお湯に浸かって、また行けばこっち余裕だよね?

 

 「ただ、欠点があるんだよ。」

 

 欠点... ?

 

 「入渠する度に時間がかかったり、資材が消費されるんだよ。」

 

 「例えばどれくらいの時間がかかるの?」

 

 「短くて20分とかで長いと8時間とかかかるぞ。」

 

 なっが!?8時間とかもうのぼせてヤバそう... 。そんな浸かりたくないなぁ... 。

 

 「はぁ... 。」

 

 「ん?ああ!駆逐艦は精々1時間位だし、しかも高速修復材っていう一気に治してくれるアイテムもあるんだ。だから安心するといい。」

 

 それを早く言ってほしかった。全く、心配して損したわ!

 でも高速修復材って結構レアっぽいのかな?そんなのいっぱいあったらバンバン使えちゃうから時間なんて気にしなくてよくなるからな。

 

 「ところで司令官。ずっと思ってたけど、ここお風呂だよね?」

 

 「ああ、それがどうかしたか?」

 

 「艦娘が入るんだよね?司令官、今お風呂に艦娘入ってたらヤバイよね?」

 

 司令官の顔がみるみる内に真っ青になっていく。

 

 シュバッ!

 

 おおぅ、司令官が物凄いスピードでここから出ていったぞ。ってか置いてかないで~!?今誰か出てきたら司令官居ないし泣き叫んじゃうよ!!?

 

 ガラガラ

 

 「あ」

 

 その時、茶髪で髪が長くて胸が大きくて、どこか気品のある女性がお風呂場から出てきた。

 

 「... ふぇっ... うぇぇ... うっく... ふぇぇぇん」

 

 本当に泣き出してしまった。

 

 「ちょっ、どうしたデース!?何か嫌な事でもあったのデスカ!!?」

 

 女性が心配そうに、こっちに近づいてくる。それが余計に僕を怖がらせる。

 

 ダッ

 

 僕は恐怖のあまり、逃げ出してしまった。

 

 「ちょっ、待つデース!どこに行くんデスカー!!」

 

 女性が叫んでるが気にしない。僕はその女性が怖いんだから、わざわざ自分でそっちにいく気はない。

 

 外に出ると司令官がいたから思いっきり抱きついた。

 

 「ど、どうしたんだ響?... あっ!」

 

 どうやら司令官は恐怖と涙で歪んだ僕の顔を見て、僕を一人の中に置いてきたのを後悔しているようだ。

 

 それから司令官は僕が落ち着くまで、ずっと頭を撫でてくれていた。

 

 「グスッ... もう、大丈夫... だから... ひっく。」

 

 「ごめんな、響。君を置いて出たのは間違いだったよ。」

 

 「うん... 」

 

 大分落ち着いた。

 

 提督は僕が落ち着いたのを確認すると、うん。と、頷いた。

 

 「さぁ、次に行こう。次は寮と学校かな?」

 

 「グスッ... うん!」

 

 こうして次の目的地に向かうのだった。




響「貴女は誰ですか?」

??「まだ、内緒ネー。」

それでは、До следующего свиданий 【ド スレェドユシェゴ スヴェダニヤェ】


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寮と20分の1スケールのフィギュア

 学校は次回です。

 思ったより寮のこと書けたので... 。ま、まぁ、いいですよね。

 そんなことよりも面白いこと書けないです。本当無理です。コツとかってあるんですかね?


 「さ、着いたぞ。ここが君たち艦娘が寝泊まりする寮だ

。」

 

 入渠施設からすぐそこに、いかにも寮と言える三階建ての建物が二つあった。

 

 「うん... 寮だね。」

 

 「ああ、寮だな。」

 

 話が繋がらない... 。何か聞かなければ... うーん。

 

 「あっ!そう言えば司令官。寮の構成はどうなっているの?」

 

 「ああ、そうだった。危うく忘れるところだったよ。」

 

 司令官でも忘れることってあるんだ... 。

 

 「いいか、寮はA棟、B棟となっていて、左がA。右がBだ。」

 

 うんうんしっかり頭に記憶しておこう。

 

 「で、A棟の一階に駆逐艦。二階に軽巡洋艦。三階に重巡洋艦の部屋がある。まぁ、艦種別に分けられている訳だ。」

 

 「ふーん。じゃあ、B棟は?」

 

 「響にはあまり関係ないが、一階は戦艦で二階は空母となっている。三階は使ってないから倉庫みたいになっている。」

 

 確かに関係無さそうだな。

 

 と言うか僕もここに泊まるの?もしそうだつまたら、やっていける気がしないよ... 艦娘がいっぱいいるし... 。

 司令官に頼めばなんとかなるかな?

 

 「ねぇ、司令か「駄目だ」...... まだ何も言ってないんだけど。」

 

 どこかじとっとした目で、司令官を睨み付ける。

 

 「どうせ、ここには艦娘がいっぱい居るから俺の部屋に泊めてくれとか言うつもりだったんだろ。」

 

 な、なぜばれたし!?

 

 「あのなぁ、響。君の中身は男だとしてもだ。今の君は女の子何だから、男女が同じところで寝泊まりするのは駄目だろJK(常識的に考えて)」

 

 「あ、ああそうか... 。で、でも司令官。僕一人でこんなとこに泊まってたら、死ぬよ?ねぇ、死んじゃうよ?」

 

 「どんだけ豆腐メンタルなんだよ!!艦娘に囲まれるだけで死んじゃうとか。... まぁ、大変なのはわかる。だけどいつまでもこのままじゃ、前に進まないだろ?」

 

 「で... でもぉ... 」

 

 「我慢だ、我慢しろ。これやるから。」

 

 そう言って司令官がどこからか、自分のミニチュアフィギュアを取り出した。

 それはとても良くできていて、司令官をそのまま小さくしたように見えるほどそっくりだった。

 

 「これはとある職人に頼んで作ってもらった、俺の20分の1スケールのフィギュアだ。これがあれば、ある程度は我慢出来るだろ?響。」

 

 「し、司令官。... 結構自分のこと過大評価するんだね。まぁ、その通りなんだけど。」

 

 ガクッ

 

 「おい、その言い方は無いだろ。俺は今までの響の行動で、自分が居ないと不安になることを見抜いたんだ。決して過大評価などでは... (ブツブツブツ」

 

 「そ、そだね... 」

 

 僕、若干引いてるよ?正直言ってぶつぶつ言ってる司令官、気持ち悪いよ... 。

 

 「し、司令官次!次に行こう!」

 

 「あ、ああ。ここで時間を食い過ぎたな... 。よ、よし!気合い... 入れて!次、行きますか!」

 

 そうして僕たちは次の目的地、学校へ向かうのだった。因みに、寮の前で僕と司令官は、20分くらい話していた。

 




 響「司令官、気持ち悪いよ」

 司令官「な、ぬぁんだってぇーー!!?」


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鎮守府の学校

 world of warships結構難しいですね~。

 あ、どうもマリオンです。11話です。どうぞ読んでってください。


 学校... それは子供達が大人になったときのために勉強するための建物。

 そして、同じ同年代の子供たちと触れあい、友達を作る場所。

 

 そんなところがなぜ

 

 「海軍基地にあるんだよーーっ!!?」

 

 「何でって、駆逐艦の娘達が勉強するために決まってるだろ。」

 

 ふっ、司令官よ。それはボケているのか真面目なのか、僕にはよくわからないよ。でも、僕でも海軍基地に学校があることがおかしいと感じることが出来るよ。

 

 これはあれか?ネタなのか?それとも本当に学校なのか?学校があった場所に基地が造られて、面倒くさいから壊さなかったのではなく?

 

 「司令官... 僕、頭が痛くなってきたよ。」

 

 「どうしたんだ?鎮守府に学校があるのは常識だぞ。」

 

 常識ぃぃぃ!?........ ッハ!そう言えばここは僕のいた世界ではなかったな... 。ここではどうやら僕の常識が全く通じないらしい。

 あ、もしかしたら勉強も普通じゃないかも!

 

 「司令官、ここでは何を勉強するの?」

 

 「まぁ、普通に勉強するぞ。」

 

 まさかの普通でした... 。

 

 今日分かったこと。

 僕が予想したのと違うことがこの世界の常識。

 

 「因みにここでの先生は、妙高型重巡洋艦の四人だ。君も一応、任務以外の時は通わなくてはならない。」

 

 「ねぇ、司令官... ここの授業って何年生レベル?それと怖くて行けません。」

 

 「中学校前半レベルかな?頼むからこれくらいは行ってくれ。」

 

 おおぅ、小学レベルかと思ったら中学レベルか... 。でもこれなら行く必要無いよね~... 。

 

 「司令官。僕はこれ、行く必要ありません!」

 

 「えっ、何で?」

 

 「だって僕、元高校生ですから。」

 

 「は?」

 

 その瞬間空気が凍った。...... なんでさ!

 

 「響、嘘ならもっとまともな嘘をつくんだ。」

 

 「ほんとだよ!?」

 

 「よく自分の行動を振り替えって見ろ、随分と幼い言動や行動がよくあっただろ?それに、高校に通えていたんだったら、人にこんなにも怯えないだろ。さて響。こんな人間が高校生だと思うか?」

 

 あ、確かにそんな行動してたぁ~~!!しかも思い出した!そう言えば前の世界だと僕、人は怖かったけど普通に高校に通えていたんだった!

 でも何でここに来てから怖さが何倍にも膨れ上がったかのようになったんだろう?

 

 ... たぶん、この体になったからだろうか?うん、絶対そうだ。決して元々の僕がこんなんだった訳ではない... 。

 取り敢えず、この事を司令官に言えば高校生だって事は納得してくれるだろう。

 

 「司令官、たぶんだけどこの体になって精神が体に引っ張られてるんだと思う。その証拠に前の世界では人に対して、こんなにも怯えたりしなかったんだ。」

 

 「うむ。まぁ... そういうことにしといてやるか。」

 

 あれ?司令官ってこんな人だったっけ?前はもっと優しかったような... って言ってもまだ一日もたってない... と思うんだけどね。(注意:響は提督とあって二日目です。)

 

 「じゃあ、次に行くか。」

 

 「う、うん... 。」

 

 まだこっちは納得してないが... まぁ、いいだろう。

 

 「次はどこ行くの?」

 

 「次は... そうだなぁ、出撃ドックかな?」

 

 「いよぉーし!次の目的地は決まった!!次は出撃ドックだ野郎共ぉ!僕に続けぇぇ!!」

 

 軽くボケてみる。これに乗ってきたら... って流石に無いよね。

 

 「オォォォォ!野郎共!船長に続けぇーー!!」

 

 乗ってきましたよこの司令官。しかも、かなりノリノリだ。

 

 こうして司令官と僕はテンション上げ上げで次の目的地、出撃ドックへ向かうのだった。

 

 くぅ~!この最後の一言旅をしてるみたいでかっこいいね!




 響「よーし戦争じゃぁぁ!」

 司令官「船長!この船、大砲がありません!」

 響「な、なんだって~!!?」


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司令官の司令官によるロマンのための建物

 ね、ネタが... 思い付かなくなってきた... 。だ、大丈夫さ問題ないよ... 。

 この作品は終わらせない!!... 嘘です。いつか終わります。


 さぁ、着きましたは出撃ドック!一体ここは何をするところなのだろうか!

 

 「ここは出撃ドック。ただ出撃するための施設で、遠征、出撃などに使う施設だ。」

 

 「じゃあ艤装の取り付けはここでするの?」

 

 「ああ。と言うか別にここでなくても艤装の取り付けは出来るし、出撃もこんなの使わなくても出来るんだがな。」

 

 え、なにその無駄施設。ここでしか艤装の取り付けが出来ないんじゃないの?これ、必要?

 

 「司令か「なにも言うな」... まだ言ってないんだけど...」

 

 言葉を言う前に司令官に遮られた。

 

 何か前にもこんなことがあったような...

 

 「ここは【重要】な施設なんだ。」

 

 「何もそこまで重要を強調しなくても... 」

 

 「いや、ここは本当に重要な施設だぞ。」

 

 「例えばどこが重要なの?」

 

 「ここはだな... 男のロマンが詰まっているんだ!!!」

 

 うっわー... 。僕もロマンとかは少しは求めるけど、そこまで行くと流石に引くよ。逆に引かない人なんているの?

 と言うか、ロマンどうこうでこんなもの建てて、お金の無駄遣いだよね?ね?

 それとドヤ顔止めてくれません?うざいです。

 

 「さぁ、司令官次いきましょうか。」

 

 「あ、おい!待てってこれからここの素晴らしい所を教えてやるから。」

 

 手を司令官に掴まれてここから逃げられない。... っく、どうする、どうするよ僕!このままじゃ司令官のムカつくドヤ顔を見せられながら、たらたらと無駄な説明をされるー!!

 

 

 

 

 

 結局そのあと僕はたらたらと、この出撃ドックの素晴らしい、もとい無駄な説明を聞かされた。

 ... 司令官ぇ。

 

 「で?結局かっこよかったから作ったんだよね?」

 

 「お前ちゃんと聞いてたか?ロマンがあるから作ったんだよ。」

 

 「ああ、はいはい。もうそれはいいから。」

 

 はぁ... 。ここだけで一週間連続でバイトしたみたいな疲れが出たんだけど... 。まぁ、バイトなんてしたことないけど。

 

 説明の内容?別にそんなに面白いことでもないよ。ただこの出撃ドックは司令官の前の提督が建てたらしくてその人もロマンだぁぁぁ!とか言ってたんだって。うん。本当に面白くない。

 

 「司令官、そろそろ次に行こうよー。」

 

 「ん?ああ、そうだな。結構話し込んでたんだな。」

 

 「うん... そだね... 」

 

 実際、1時間たってたりする。因みに案内を始めたのは10時だったりする。そして今は12時だ。そう、もうお昼時である。

 

 「うっし、腹も減ったし食堂行くかー。」

 

 「うへぇ」

 

 「どうした?食堂は嫌か?」

 

 「食堂って艦娘さんがいっぱいいるでしょ... だから大丈夫かなって。」

 

 正直かなり厳しいと思う。だって食堂って言ったら人がいっぱい居るイメージしかないんだもん。

 

 「大丈夫さ。今日一日で結構な数の艦娘と会っているだろ?心配すんなって。」

 

 そう、艦娘とは廊下ですれ違ったり、誰かさんとぶつかったり、いろいろな艦娘と出会っていたりする。そしてその度に僕は司令官の後ろに隠れてしがみついている状態になるというわけだ。

 

 「じゃ行くぞ。」

 

 「うん... 」

 

 そうして僕は少しの不安を持ちながら、食堂へと向かうのだった。




 でもホントに出撃ドックってなんのためにあったんだろ?結構無駄な演出までしてたし、やっぱロマンなのかな?


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響、耐える

すいません、wowsっていうゲームばっかやってて書けませんでした。あと、思い付かなかったのもあります。
明日も少し投稿すると思うのでよろしくお願いします。


 司令官と食堂までの通路を歩いてる。司令官は食堂に行くのに何が楽しいのかとってもウキウキしてる。

 しかし僕は司令官とは対照的にどこか不安な表情をして歩いていた。

 

 「司令官.... 僕、本当に大丈夫かな?やっぱ食堂は人多いから逃げ出してしまいそうだよ... 。」

 

 「大丈夫だって。まだ少し怖いかも知れんが今日だけで、たくさんの艦娘と出会っただろ?」

 

 司令官は、どこか自信ありげな顔をして言う。

 

 出会ったって... ほとんど廊下ですれ違ったりだけじゃん... 。

 

 「別にショック療法ってのも試してもいいんだけどな... って冗談。冗談だから、そんな泣きそうな顔するな!」

 

 司令官の冗談は冗談に聞こえないよぉ...

 

 そんなことを話していると食堂と書かれた看板が見えてきた。

 そろそろ覚悟を決めるしか無いのか... 。

 

 「よし響。準備はいいな?よし、よく言った。さぁ、入るぞ。」

 

 「え、ちょっ!?僕なにも言ってないんですが!!?」

 

 「問答無用!」

 

 司令官は僕に有無を言わせずに、腕を掴んで食堂の中に引っ張りいれた。

 

 するとそこで待っていたのは沢山の机、沢山の椅子、そして沢山の艦娘だった。

 

 僕は体が震えていた。急激に喉が乾いてきた。これはいけない。

 僕の瞳に涙が溜まってきたその時

 

 「耐えるんだ、響。ここで耐えなきゃ、何時までたっても克服出来ないぞ。」

 

 そこには、さっきまでのおちゃらけた雰囲気は無く、真剣な顔をした司令官がいた。

 

 そうだ、ここで耐えなきゃ何時までたっても克服出来ないんだ!... でも、そんなの分かってる!分かってるんだけど... 体が... 震えが、止まらないんだ!!

 

 ギュッ

 

 不意に右手に暖かくて柔らかい、されども少し硬い感触が伝わってきた。

 それは司令官の手だった。司令官が、僕の右手をぎゅっと握っていた。

 

 「大丈夫だ。俺がついてる... なにも怖がることなんて無い。」

 

 司令官が優しく語りかけてくる。そしてその言葉には、今朝感じた温もりがあった。

 

 次第に体の震えが落ち着いてくる。涙も止まった。

 

 なぜだろう?司令官といると凄く安心できる... 。側にいると怖いという感情が薄れていく。

 ほんと、司令官にはかなわないや... でも、それでいいんだ... 。だって、こんなにも... 暖かいんだから。

 

 「もう、大丈夫... 。」

 

 「そうか。よく耐えたな、響。偉いぞぉー。」

 

 そういって司令官が頭を撫でてくる。しかしそれはガシガシと撫でるのではなく、どこまでも優しく、温かい撫で方だった。

 




 響「司令官、何時まで撫でてるの?」

 司令官「ずっと!」

 響「え!?」


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美味しいお食事

ギリギリ今日出せた... 。眠いw

明日は暇だったら出します。それではどうぞ!


 「それじゃあ頑張った響にスペシャルな料理を頼もう!」

 

 「スペシャル?それってステーキとか?」

 

 「まぁ、見てからのお楽しみだ。」

 

 そういって司令官は食事を頼みに行く。

 

 うぅ、司令官と離れると一気に不安が押し寄せてくる... 。早く帰ってきて... 司令官... 。

 

 それから少しして司令官が料理を持ってやって来た。

 

 「さぁ、これがスペシャルな料理だ!」

 

 そう言って司令官が僕の前に置いたのは、オムライスだった。

 

 「オム... ライス...?」

 

 「ああ、オムライスだ。」

 

 「でもどこからどう見ても普通のオムライスだよね?全然スペシャルじゃないよね?」

 

 それはどこからどう見ても普通だった。

 

 「見た目はな。だが食ってみるとどうだとっても美味しいではないか!響も食べてみたらわかる。これのどこがスペシャルなのかを。」

 

 僕は半信半疑になりながら、スプーンでスペシャルなオムライスを掬って口に運ぶ。

 

 チラッ

 

 司令官を少しだけ見る。すると司令官は首を縦に振って返してきた。僕も頷きで返して、オムライスを食べようと口を開く。

 

 パクッ

 

 「...!?」

 

 口に入れた、その瞬間口にふんわりとした卵の食感、卵のほんのりとしたまろやかな甘さ、そしてライスの美味しさが一気に広がった。

 

 「こ、これは... !?」

 

 「どうだ?この世にないくらい美味しいだろ?」

 

 僕は司令官の問いに勢いよく頷く。

 

 ほんと、これはマジで美味しい。これを作った人は天才か!?

 

 「美味しい、美味しすぎるよ!!」

 

 そう言って僕は、バクバクとオムライスを頬張っていく。

 

 「まぁまぁ慌てるなって、料理は逃げたりしないぞ?」

 

 司令官も、この絶品オムライスを食べ始めた。

 

 「うん!やっぱり美味い!」

 

 「司令官も、バクバク食べてるじゃないか!」

 

 「こんな美味いもんを前にバクバク食わない奴がいるか!!」

 

 じゃあ何で僕に言ったし。それと司令官、ご飯粒が飛んできてるんだけど... 。

 

 「「ごちそうさまぁ~!」」

 

 二人揃って食べ終わった。ふぃ~、美味しかったな~♪

 

 「ねぇ、司令官。この料理って誰が作ってるの?」

 

 「ん?ああ、この絶品オムライスは俺の姉が作ってるんだ。」

 

 「え!?」

 

 司令官... お姉さんいたんだ。見た感じ一人っ子そうだけどなぁー。

 司令官のお姉さんってどんな人なのかな?一度見てみたいなぁ。

 

 「じゃあここでは司令官のお姉さんが料理を作ってるの?」

 

 「いや、姉さんが作ってるのはほんの少しだ。他は間宮っていう艦娘が作ってくれている。二人とも料理の腕はプロ以上だぞ。」

 

 「全部食べてみたくなるね... 。」

 

 「ああ、全部美味しいぞ。」

 

 そう言う司令官の顔はどこが自慢げだった。




 響「このオムライスは毎日食べたくなるね」

 司令官「いや、響。毎日だと飽きてしまう。たまに食べるくらいがちょうどいいんだ。」

 響「おぉー、それもそうだねー」


 それでは、До свидания【ド スヴィダーニャ】


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深海棲艦の脅威

 ストーリーが思い付かんですよ。そのせいで更新ペースが遅いんですよ。言い訳ですよ。ほんとは適当に考えてたら思い付きますよ。

 さぁ、第15話いきますよーーー!!


 ドゴォォォンッ!!

 

 司令官と食堂で話をしていたら、爆発音と大きな揺れが襲ってきた。

 

 な、何がおきたんだ!?そ、そうだ!司令官ならなにか知ってるのかも!

 

 「な、なんだ!?」

 

 どうやら司令官も、何が起きているのかわからない様だ。

 

 「提督!」

 

 「おぉ、大淀か!一体何が起きたんだ!?」

 

 司令官と一緒に驚き戸惑っていると、眼鏡をかけた艦娘がこっちに来て提督を呼んだ。

 

 「敵襲です!」

 

 敵...... 襲... !?

 

 「このタイミングでか!?クソッ、大淀敵の編成わかるか?」

 

 「はい。敵の編成は空母無し、戦艦3隻、重巡1隻駆逐2隻です!」

 

 「空母は居ないんだな?よし、これなら反抗出来る!大淀、『金剛、比叡、赤城、加賀、夕立、時雨』を向かわせろ!」

 

 「はっ!」

 

 「これより、鎮守府反抗作戦を開始する!」

 

 

 

 

 

 な、なにこの展開!?だ、大丈夫なのかな... ?と言うか作戦名無駄にかっこいい... 。

 

 ...ッハ!どうやら僕は混乱してた様だ。そして気付けば食堂には誰も居なくなっていた。提督もだ。外では轟音が鳴り響いている。

 

 どうしよう... 。そ、そうだ!外に行って様子を見よう!

 

 

 

 「あ、え?なに... これ... ?」

 

 外に出た。

 

 そこには妖精さん... いや、妖精さんだったものが転がっていた。

 そして今にも崩れそうなほど壊れた工厰があった。

 

 僕はしばらく呆然としていた。頭が真っ白になった。

 

 「う... あ... 」

 

 「!?」

 

 するとどこからか苦しそうな唸り声が聞こえて我にかえった。

 僕は声が聞こえた方に走り出した。もしかしたら生きている妖精さんがいるかもしれない。そう思ったら体が勝手に動き出した。

 

 「妖精さん!どこにいるの!?」

 

 「こ... こ」

 

 声がした方を見る、そして息を飲む。そこには工厰の柱になっていたであろう鉄骨が、妖精さんの下半身を潰していたのだ。

 そして、その妖精さんは今日工厰で少し話をした、妖精さんだったのだ。

 

 「待ってて!今助けるから!」

 

 僕はそう叫んで、鉄骨を退かし始めた。どうやらこの体はかなりの力を出せるようだ。鉄骨を直ぐに退かす事が出来た。

 

 「妖精さん!」

 

 「あり... がとう... かんむすさ... ん... 」

 

 だが時すでに遅し。妖精さんは最後にありがとうと伝えて力尽きた。

 

 助けられなかった... 。今日出会って、少し話しただけだけど、人間ではなく、僕が親しみをもって接せられた妖精さんを。

 そして僕は知った... 。これが戦争なのだと。突如として現れ理不尽な死を振り撒いていく深海棲艦の脅威を。

 そして僕は、この世界に来て初めて悲しみの涙を流すのだった。




 響「深海棲艦... いつかぶっ殺してやる!僕のロマンを殺したことを後悔させてやる!」

 司令官「あ、え?妖精さんってロマンなの?」


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絶望

 お、お久しぶりですぅ~。



 す、すいませんっしたーーー!!!!少し書くのが面倒くさく、もとい書く気が起きなかったのでサボってましたぁぁぁぁぁ!!

 この小説を楽しみにしていた方、本当に申し訳ございません。
 これからはバンバン投稿出来たらなぁと、思っておりますです。
 なのでこれからも宜しくお願いします。


 「ーーー全敵艦の撃沈を確認しました。」

 

 敵、深海悽艦との戦闘開始からおよそ1時間もの時間がたって、ようやく全撃沈を確認できた。

 

 「よし、被害報告を。」

 

 「はい。金剛、赤城、中破。加賀、時雨が小破。以上です。」

 

 「そうか。では鎮守府の被害は?」

 

 そう、気になるのは鎮守府の被害だ。なんせ、金剛たちが迎撃に向かうまで深海悽艦の砲撃を受け続けていたからだ。

 それは、かなりの被害を覚悟しなければいけない程だろう。

 

 「......被害は工厰のみに集中しており、工厰は大破。中にいた妖精さんは... 。」

 

 「まさか... 。」

 

 「はい... 。そのまさかです。中にいた妖精さん全員の死亡を、確認しました。」

 

 その一言で、この鎮守府の提督、天草御影は絶望の表情をした。

 間に合わなかった。その言葉が、頭の中でぐるぐると回っている。

 

 「ひ... ひびきは... ?」

 

 「ひびき?」

 

 「ああ、俺と一緒にいた駆逐艦の娘なんだが... 。何処にいるか知ってるか?」

 

 戦闘が終了してから何かが居ないと思っていたら、響が居ないことにいまさら気付いた。

 

 「いえ、深海悽艦の襲撃があって急いでここまで来たものですから、響と言う娘が何処に居るのかは... 。」

 

 「うそ... だろ?」

 

 妖精さんが死んでしまったことに絶望の表情をしていた提督の顔が、一気に真っ青になった。

 もしかしたら響が... 。と言う思考が、何度も何度も提督の脳裏に浮かんでくる。

 

 「すみません。」

 

 「っ!!」

 

 提督は、急いで響を探しに司令室を出た。それは響がまだ、生きている様な気がしたからだ。

 もしかしたら迷ってしまって、困っているかもしれない。もしかしたら、怯えて縮こまっているかもしれない。もしかしたら... 死んでしまっているかもしれない。

 そんな思いが提督をさらに追い詰める。

 

 「頼む!無事で居てくれ、響ぃぃぃぃ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、ああぁ...あぁぁぁぁっ!!!」

 

 死んだ。死んでしまった。工厰で出合い、少しだけ話しただけの存在が。しかし、数少ない喋れる相手、妖精さんが。

 

 響は気が狂いそうだった。

 それもそうだろう。なんせ目の前で知り合いが死んだのだから。初めて死を目の当たりにしたのだから。

 

 「なんで... なんでなんでなんで!!!なんでこんなにも辛いんだ!!たったの数分話しただけなのに。なんで... 涙が止まらないんだよぉ...うぅ... 」

 

 次から次へと涙が溢れてくる。袖で目を擦り、涙を止めようとする。しかし涙は止まらない。

 

 まだ砲撃は止んで居ない。その内また、ここにも砲弾が飛んでくるだろう。

 しかし、響は動かなかった...否、動けないでいた。あまりにもの現実の厳しさに、放心しているのだ。

 

 「なんで... 僕、ここにいるんだろ... 」

 

 その内、自分がなぜ此処に居るのか、わからなくなってきた。

 あまりにもの衝撃に、脳が考えることを放棄しているのだろう。まともな思考が出来ないでいた。

 

 すると、何やら背後で『ヒューーー』と、何かの飛翔音がなっているのが聴こえてきた。

 響は背後を振り返った。

 

 「ーーーえ?」

 

 ズドォーーーンッ!!

 

 背後を振り返った響が突然爆発に呑み込まれた。それは残っていた工厰の瓦礫が吹き飛ぶほどの大きな爆発だった。

 

 そう、後ろでなっていた飛翔音は金剛達が駆けつけたと同時に深海悽艦が放った砲弾だったのだ。




 どうでしたか?
 少し、文章がよくなりましたでしょうか?なっていたら嬉しいです。
 これからも頑張っていくので、どうぞ宜しくお願いします!


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希望

 最近コープスパーティーと言うアニメがあるのを知ったんですけど、ヤバイですねあれ。
 コープスパーティーを知ってる人だったら知ってると思いますけど、かなりグロいです。

 まぁ、そんなことはおいといて17話見ていってください。


 「はぁ、はぁ、響ぃぃぃぃ!!!」

 

 この鎮守府の提督、天草御影はものすごいスピードで鎮守府の廊下を駆けていた。

 深海悽艦との戦闘はもう終わった。だけども提督にはどうしても急いで確認しなければならないことがあった。

 

 それは、響の安否だ。

 

 提督は深海悽艦の突然の奇襲に響の事を忘れ、食堂に置いてきてしまったのだ。

 しかし、食堂に被害があったとは聞いてない。だけど、響が提督の事を探さないとは限らない。

 工厰は被害が甚大だと聞いていた。だからもし、響が工厰にいたらと考えると、提督は気が気でなかった。

 

 しかし、提督はもう息も絶え絶えで走るペースが落ちてきていた。

 

 「はぁ、はぁ、く、くそぉっ!!」

 

 提督はもう走ることが出来なかった。体力の限界、これ以上はもう走れなかった。

 しかし、提督は止まらない。走れなければ歩けばいい。

 

 まだあってそんなにたってない響に対してどうしてそんなにも提督は無理をするのだろうか。

 それは提督の性格が関係していた。勿論、響の人に怯え人の温もりを知らない、そんな状態も関係していた。しかし、主な理由は提督がその様な状態の子供を助けたいと言うものだった。

 

 漸く食堂の前までこれた。

 

 「ひびkーーーーえ?」

 

 サーーーーっと、提督の顔から血の気が引いていった。

 

 なんと、食堂には誰も居なかったのだ。

 

 「っく!!」

 

 提督は慌てて食堂の中を探す。机はひっくり返し、椅子は投げ飛ばし、まるで狂ったように探す。

 

 そして居ないことを再確認させられ、半ば我を忘れて外に駆け出していた。

 そして出て最初に目に入ったのが、ボロボロに崩れ去った工厰だった。

 

 「おい嘘だろ... 。ひびきは... ?」

 

 提督は瓦礫の山を見るのを止め、響を探しにかかった。すると、なんとも皮肉なことに響はすぐに見つかった。

 

 全身血まみれで、片腕と片足がなく、お腹の辺りが抉られている状態で。

 

 「ぉぃおいおい!?うそだろ?嘘だと言ってくれよ!!響ぃぃぃぃ!!!」

 「... しれ... か... ん.... 。」

 「ッハ!!?響、生きてるのか!?」

 

 なんと、とても酷い怪我をしときながら響は生きていた。それは正に奇跡と言えるだろう。

 

 「待ってろよ、すぐに治してやるからな!」

 

 うっすらと目を開けて提督に返事を返す響を、提督はお姫様抱っこで抱えて駆け出した。

 

 何処に向かったのか?と言う疑問を抱くだろう。そこは怪我をした、艦娘たちが浸かれば瞬く間に傷が癒えるお風呂、入渠施設だ。

 そこでは、どんな怪我をしていても、艦娘ならば、一瞬で治せる。

 

 提督は響を響を服を着せたまま、湯船にゆっくりと浸からせた。

 

 「っ!!?ぐぁっ!!うぁ!?あぁぁぁぁ!!!?」

 

 響が湯船に浸かったと同時に、168時間と数字が表示され、瞬く間に傷口が塞がっていく。

 しかし、それはとてつもない激痛を伴うものだった。

 普通なら艤装を着けたときに発生する装甲が、ある程度まで威力を押さえてくれるから、こんなにも大ケガをしない。

 だがしかし、響は艤装を装備していなかったため、生身で爆風を受けてしまってこんなにも大怪我を負おってしまったのだ。

 

 「高速修復材を!!」

 

 「提督!」

 

 「その声は... 大淀か!?」

 

 高速修復材を取ってこようとしたら、大淀の声がして、振り返ると、そこには高速修復材を持った大淀がいた。

 

 「提督、もしものために高速修復材を用意しておきました!」

 

 「あ、ありがとう大淀!!」

 

 大淀に手渡しで高速修復材を渡され、それを慌てて響にかける。

 すると、瞬く間に傷口が塞がっていき、十秒もすれば完全に傷が塞がり、元の綺麗な体へと戻っていった。

 

 そして、身体中の痛みが消えたからか、響は静かに寝息をたてて眠ってしまった。

 その顔はどこか、安心したような顔だった。




 うーん... 今一な出来だ...

 なんか一気にうまくなる方法とか無いですかねー。まぁ、あったら苦労はしませんけどね。


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よくわからない

 くっそー!wowsで扶桑を買ったはいいが射程が短すぎて使いにくいぃーーーー!!

 あ、どうも久しぶりです。マリオンです。最近学校でスティーブ・ジョブズを描いてかなり上手くかけてテンションが上がっています。

 あ、そんなことは興味ないって?早く見せろ?わかりましたよ。じゃあ第・・・何話だっけ?ど、どうぞ見てってくださいぃ~。


 暗い... 周りが何にも見えない。

 

 気が付くとなにやら周り全体が暗闇に包まれた不思議な空間にいた。

 

 ここは何処?何でこんなところに僕が... ?さっきは確か... っ!?

 あれ、さっき僕... も、もしかして死んじゃった...?うそ、嘘だよね?嘘って... 嘘って言ってよ!!!司令官!!!

 

 ッハ!!そうだ、司令官... 司令官は!!?何処?何処なの?司令官!!!返事してよ、司令官!!!!

 

 僕は思いっきり叫ぶ。

 

 ・・・・・・・

 

 が、返ってきたのは静寂だけだった。すると、急に寂しさが襲ってきて、涙がポロポロと流れ出してきた。

 

 何で、僕はまだ... なにもしてないのに!こんなところで死んじゃうの?

 やだ、やだよぉ。このまま独りなんて、絶対に... 嫌だ!だから、独りにしないで... 司令官。

 ....... もう会えないのかな... 司令官。

 

 ひ... き!..... びき!

 

 あれ?何かが聞こえてくる。これは... 声?

 

 ひび... !........ き!ひ... き!

 

 呼んでる?僕を?誰が?... 司令官?

 

 ひ... き... ひびき...

 

 何だかだんだんと聞き取れるようになってきた。これは... 司令官の声... 迎えに来てくれたの?司令官。

 

 ひびき!ひびき!ひびき!

 

 あぁ... もうその声が聞こえるだけで僕は... 。

 

 

 

 

 「響!!!」

 

 「うわっ!!?」

 

 突然耳元で大きな声がして慌てて起き上がった。

 

 え?え?なに、何が起こったの?って司令官!!?

 

 「大丈夫か響!」

 

 「は、え?な、何が起こってるの?」

 

 大声が聞こえたと思ったら、なぜか保健室の様なところのベッドで目が覚めるし、なぜか心配そうな顔をした司令官の顔が真横にあるしで、僕の頭は絶賛混乱中だ。

 

 「し、司令官。どうしたの?」

 

 「どうしたって.... 響、お前かなり魘されてたぞ。大丈夫なのか?」

 

 「魘されてた?」

 

 訳がわからない。確かさっきまでは... あれ?何してたっけ?んー、寝た覚えは無いんだけどなぁ。

 でも魘されてたってことは、寝てたんだよね... 。司令官なら何か知ってるかも。

 

 「ねぇ、司令官。」

 

 「ん?どうした響。どこか苦しいとこでもあるのか?」

 

 「いや、そういう訳じゃないんだけどね... ?ただ、僕がいつ寝たのかなぁって。」

 

 「は?」

 

 ... え?なんか司令官にいつ寝たのか聞いたらすごく驚いた顔をして固まったんだけど... 。

 え?なに?聞いちゃいけないこと... な訳無いよね。じゃあ何で?固まる理由がわからないんだけど... 。

 

 あ、回復したみたい。

 

 「お前... 響、覚えてないのか?何があったかを。」

 

 「ふぇ?う~ん.... 何かあったっけ?あ、お祭りでもしたとか?そんなわけないよね~、まだ僕ここに来たばっかだし。」

 

 「覚えて... ないんだな。」

 

 え、なにそのしんみりとした空気。ちょっと怖いんですけど。あ、もしかして司令官と眠れない夜的なのを過ごしちゃってて、覚えてないことにショック... 的な?ないよね?あったらロリコン司令官って呼ぼう。

 

 「おい響、何か失礼なこと考えてないか?」

 

 「い、いえ、何でもないデスヨ?」

 

 な、なぜばれたし!司令官、お前... エスパーだな!!?

 

 ふにゅ... ぎちぃぃぃっ!

 

 「あいだだだだだだっ!?」

 

 そんなことを考えてると不意に両頬に激痛が走った。見ると、司令官が般若のごとき顔で僕の頬を引っ張っていた。

 

 「にゃにふるの!?ひれいひゃん!!」

 

 「何って... わかるだろ?」

 

 いや、わかんないよ!!何で僕の両頬を引っ張るの!?僕が何かした... したかな?もしかして変なこと考えてたからかな?あぁーーーーごめんなさい司令官~!!!!

 あと手を離して!!さすがに痛すぎる!

 

 「え、やだ。」

 

 何なのこの人ぉぉ!?やっぱエスパーじゃん!!というか、やだって何!?普通は離すでしょ!!

 

 「ふゃぁぁぁぁ!!ひぎりぇりゅぅぅぅぅぅ!!!はにゃひへぇぇぇ!!!!!!」

 

 心のそこから離してと叫ぶも司令官はなかなか離してはくれず、そのあと10分ほど頬を引っ張られ続ける僕であった。

 はぁ~、痛いよぉ...

 




 わっ!!!!!

 どうです?吃驚しました?してない?当たり前ですよね、こんなので吃驚したらある意味凄いですよねw
 さて、久し振りの投稿、面白かったですか?感想くれると嬉しいです!もし来たら、このマリオンが張り切って次話投稿しちゃいますよ~!!w


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自己紹介します

 あー、何だかいい感じに書けない... やっぱり文才が無いのか... ?
 絵なら描けるのに... 。かけるの違いはこんなにも大きいのか...(ガクッ

 あ、どうも。じゃあ第何話か知らないけどどうぞ!!


 今、僕はどこか上の空だ。

 

 だって... だって... 司令官に3時間も説教されてるんだから!!

 

 「こらそこ、聞いてないだろ!」

 

 「ご、ゴメンナサイ... 」

 

 「まったく、俺は心配してたんだぞ?それだと言うのに響は... 」

 

 はぁ... 。かれこれ3時間、ずっとこの調子だよ... 。いつになったら解放してくれるんだろ。

 というか心配してたのはわかったからせめてもっと別の説教にして!!さっきからそればっかにもう耳にタコが出来そうだよ!

 

 「し、司令官!」

 

 「なんだ?まだ説教は終わってないが?」

 

 「そ、そうじゃなくて... もう昼だよ?お腹減ったよ...。だから、ね?一旦説教は置いてご飯食べに行こう!うん、そうしよう!」

 

 「確かにそろそろ昼だし、お腹減ったな。よし!飯食いにいくか。」

 

 やっ......たぁぁぁぁぁ!!!

 

 やったよ僕!これでようやく説教が終わる!!そして美味しいお昼が食べられる!!というか半分は食べたいがために言ったんだけどね!!

 

 

 

 

 -食堂-

 

 「あら?御影じゃない。どうしたの、今日は随分と遅い昼食ね。」

 

 食堂についた僕と司令官を待っていたのは、長い黒髪を後ろでポニーテールにしている背の高い綺麗なお姉さんだった。

 

 そして僕は今、司令官の背後で震えています。もうこれが定番になってきたね。早く慣れないと...

 

 「ん?なんだ姉さんか。いやー、今日は少しやることがあったんだよ。」

 

 司令官はそう言って僕の方をちらりと見る。

 

 あぁ、ほんと... 辛かったよぉ。もう司令官に失礼なことは考えないようにしよう!ロリコン司令官だなんて思った日には...

 

 「響?」

 

 「な、ナンデモナイデスヨ?」

 

 「あら?誰かしらその可愛い子は。新人?」

 

 げ、気づかれた... 。

 何もありませんように、何もありませんように!!

 

 ん?なんか司令官の口元がにやけてるような... ま、まさか!?

 

 「あー、響のこと紹介しなきゃな。ほら自己紹介を... 」

 

 し、司令官?何言ってるの...?僕に自分で自己紹介をしろと!?司令官は僕に死ねと!?うぎゃぁぁぁ!!司令官の鬼ぃ!悪魔!ロリコン!!!

 

 あ、ごめんなさい!!!だからそんなに背中押さないでぇ~!!?

 

 「ほら、早くするんだ。」

 

 あ... あぁ...

 

 「うっ... 」

 

 「大丈夫?...... 震えてる...もしかして怖いの?」

 

 「あ、え... ふぇぇ?」

 

 え?何でわかるのこの人。もしかして司令官が言ったのかな?

 

 チラッ

 

 「・・・・」

 

 違うみたい。じゃあ何で... ハッ!もしかしてエスパー!?司令官と同じエスパーだなんて... なんて厄介な。

 ハッ!そんなことより自己紹介を... 自己紹介を... うぅ。

 

 「あ、いいのよ?別に自己紹介しなくても。」

 

 「ダメだ。そろそろ響にも自己紹介をするくらいにはなってくれないと。」

 

 司令官~~!!余計なことを言わないでよ!そんなこと言ったら自己紹介しなくちゃならない空気に... って既になってる!!?

 いやいやいや、お姉さん!?『それもそうね』とかいって頷かないで!!あぁー、この鎮守府に僕の味方は居ないのか... 。

 

 うぅっ、こうなったら腹をくくるしか... 。でも、でも... 怖いよぉ...

 

 「う、ぁ... ぼ、僕は... うぅ... 。」

 

 あぁ... 言葉が、言葉が出てこない... ダメだなぁ...

 

 「・・・・」

 

 「僕の... 僕のなまぇは... うっく... うぇぇ... 」

 

 あと、もう少し... うぅぅ...

 

 「ぼ、ぼくの名前は... うぇえ... あぅ... ひ... ひ、響で... です... うっ... えっく... 」

 

 言えた... 言えたよぉ!僕、やったよ司令官... !だから... もういいよね?

 

 「あぁ、よくやったな。響。」

 

 「ふぇぇぇ... うわぁぁぁん... こわかった... ごわかったよぉ~... しれいかんのバカぁ... !」

 

 

 僕は司令官に抱かれ、頭を撫でられて安心してしまって、泣き出してしまった。

 でも、本当に怖かった。もうこんなことはしないでほしい。まだ... まだ... 僕には... うぅ...

 

 「そうだな... 少し早かったか。ごめんな、響。」

 

 「う、ううん。いいの、いいんだよ司令官。」

 




 関係ないですがとある方からメッセージでwowsについて聞いてこられて、その際小説とは関係ないですがと、書いてたので一つ。別に気にしなくてもいいですよ!!

 聞きたいこと、言いたいこと何でも言ってください!というか自分が言って欲し... ゴホンッ、ナンデモナイデスヨ~。


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こ、怖くなんて無いのです......

 なかなか話が進まない... 。

 今回は電が多めに出てきます。


 あれから暫くして漸く落ち着いた僕は、今司令官と絶品料理を食べている。いや、掻き込んでる。

 

 「うわっ!このカレー美味しぃ♪」

 

 「忘れてたぜ!今日はカレーの日だったな!!うまうま」

 

 「あ、相変わらず凄い食べっぷりね御影...... 。それにしても響ちゃんがあんたと同じくらいの勢いで食べるとは驚きだわ。ほんと... 人は見かけによらず、ね。」

 

 「「おかわり!!!」」

 

 「ははは... 」

 

 

 

 

 

 

 あー美味しかったぁ... 。結局カレーを三杯もおかわりしてしまったよ。でもそれほどお姉さんの料理が美味しいのだ。

 

 そう言えば、あれから暫くお姉さんと話していたらなぜか普通に話せるようになってたよ。司令官のショック療法が効いたのかな?よかったよかった。

 

 「それじゃあお姉さん、またね」

 

 「ええ、晩御飯の時に。」

 

 よし!この調子ならもう誰に合っても大丈夫かも!

 

 そんな自信を胸に僕は満腹になって倒れた司令官を引き摺って、執務室に行くのだった。

 

 

 

 

 

 「あら?司令官さんなのです?」

 

 執務室で書類仕事をしていた電は不意に執務室の外から何かを引きずる音を聞いて、何故か居なかった司令官が戻ってきたのだと思って、執務室の扉に近づいて声をかけた。

 

 しかし、返事はなく恐らく聴こえてないのだろうと思い、もう一回声をかけようとした。

 

 「しれいか(ズル... ズルズル... うっ... オエッ)ひぃっ!」

 

 不意に何かを引きずる音に紛れて低い声で何かが唸っている声が聴こえて、電は小さく悲鳴を上げた。

 

 ズル.... だずげ... ズルズル... うっぷ

 

 「ひぃっ!?また聞こえた、聞こえたのです!?」

 

 その声はだんだんと近付いてきているようで、ズルズルと引きずる音もだんだんと大きくなってきた。

 そしてさっき聞こえた声が今度はもっとはっきりと聞こえ、電は小さく震え始めていた。その様子はさしずめ、狼に囲まれ、今にも補食されようとしている小鹿のようであった。

 

 電はすっかり出来上がっており、もう立っていることさえ出来なくなってきた。(※お酒ではありません)

 すると不意に執務室の前で音が止まり、ドサッと、何かを落とす音が聞こえた。

 

 「そ、そこに... 誰かいるのです... ?」

 

 電は震える体に鞭をうって、必死に声を絞り出して扉の前にいる''何か''に聞いた。... だがその必死の声さえも届かなかったのか、それともそんなの関係ないのか、ゆっくりとドアノブが回っていく。

 

 「あ... あぁ........ 」

 

 が... ちゃ...

 

 ついにドアノブは回され、扉がゆっくりと開いていく。そのゆっくりさが、余計に電を恐怖へ陥れていく。

 

 ぎぃぃぃぃ...

 

 ヒラリっと少し少しずつ開かれていく扉の隙間から銀色の髪が飛び出てきた。

 そして、扉の縁を白い手が掴み、一気に扉を開いた。

 

 「イヤァァァァァァァァァァ!!!!!!!「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!?」」

 

 そしていよいよ見えてきた顔に電は見る暇もなく悲鳴をあげて気絶した。...... 何故か二人分の悲鳴を残して... 。




 ホラーどうでしたか?wwww

 ホラーの表現って難しいですよね。なかなか悩みます。
 それにしても風邪を引いてしまい、現在あまりのしんどさに学校を休んでいます。(なのに小説を書く元気はある)
 早く治したい!!しんどくて辛い!!!ww


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初めて誰かを泣かせてしまった

 んー、なんか思っていたのと違うのが出来たw
 ま、でも出来たんだから投稿しますけどw

 う~、それにしてもしんどいですぅ... どうすれば早く治るんだろ...


 「う、うん... ?ここは...... 」

 

 僕は何故か、執務室の扉付近で倒れていたらしく、それから何時間たったのか、漸く目を覚ました。

 

 ん~、司令官を引き摺って執務室へ行った後、扉を開けた後の記憶がない。でも何かあったような... 。

 ...... ん?

 

 何かを思い出そうと周りを見渡してみれば、そこには顔を青くして倒れている司令官と、執務室に初めて入ったときにいた、茶髪を後ろで束ね上げた可愛らしい自分と同じくらいの女の子が目を回して倒れていた。

 

 「あっ!!」

 

 そうだった!司令官を引き摺って扉を開けたら目の前で座り込んだ女の子が大声で叫んで、それに驚いて気絶してしまったんだった。

 

 「んぅ~...... あれ... ?」

 

 「ひぃっ!?」

 

 僕が気絶する前に何があったのか思い出していると、隣で気絶していた茶髪の女の子が目を覚まして、それに驚いたのか小さく悲鳴を上げてしまった。そうだと信じたい。

 

 「ここは........ あっ!!」

 

 茶髪の女の子は、辺りをキョロキョロとして僕の顔を見て何があったか思い出したようだ。

 

 しかしどうしてだろう?体の震えが止まらない。もう大丈夫なんじゃ......

 

 「あ、あの... もしかして... 」

 

 「ひぃっ... こ、来ないで... 」

 

 「あ、え... 」

 

 ダメだ... 全然大丈夫じゃない。あの茶髪の女の子が居るだけで体が震えてくる。

 全然治ってないじゃないか... !こんなんじゃいつまでにたっても... 。

 

 「ふ、震えてるのです?電、何かしちゃったのです?」

 

 どうやら僕が震えているのを見て、何かを勘違いしたのか涙目になって自分が何をしたのかとおろおろとしているようだ。

 

 「電... 電が... 悪いことをしてしまったのですぅ... うわぁぁん!!」

 

 「・・・・・・・」

 

 僕が泣き出す前に向こうが泣き出してしまった。どうやらあの女の子は自分が僕にたいして何かしてしまったと勘違いして、何をしたのかわからないまま後悔して泣いてるようだ。

 

 僕は... 僕は... こんな小さな女の子を泣かしてしまったのか... ?

 

 なぜそう思ったのかわからない。だけど今、目の前にいる女の子を泣かせてしまったことにすごく後悔していた。 僕は今まで泣かされる立場で、泣かせたことなんて無かったから、自分を苛めた奴等のように泣かせてしまったことに後悔しているのかもしれない。だけど、それでも本当にこの女の子を泣かせてしまったことに心がズキズキと痛んで仕方なかった。

 

 「電が... 電がぁ... 」

 

 「あっ... あぅ... 」

 

 だんだんと体の震えが止まってきた。目の前で泣いている女の子を見ると、どうも怖くなくなってきて、逆に泣かせたことへの後悔と、妹のような愛らしさを感じる。僕は妹は居なかったけど実際こんな感じだと思う。

 僕はまだ震えが残る手を女の子の頭に乗せてゆっくりと撫でた。

 

 「うぇぇぇん... えっく...... ふぇ?」

 

 僕が撫で始めると驚いたのか泣くのを止め、可愛らしい声をあげた。

 

 「えと... あの... ?」

 

 「大丈夫... 君は何も悪いことなんてしてないから。安心して。」

 

 「ほんと... なのです?」

 

 「うん。」

 

 じわっ

 

 その言葉に安心したのか茶髪の女の子はまた涙を流し始めた。

 

 「あわわわっ、どうしてまた泣くの!?」

 

 人を泣かせたことのない僕はなぜまた泣くのかわからずおろおろとしてしまった。

 

 「なんでも... なんでも無いのです!」

 

 ギュッ

 

 茶髪の女の子は笑顔でそう言いながら僕に抱きついてきた。僕は一瞬体が強張ったが何とかそれを抑え、僕に抱きついて幸せそうな顔をしている女の子の背中に手を回して、僕からも抱き締め返した。

 

 「うっ... くそっ、ここどこだ?...... は?」

 

 どうやら司令官が目を覚ましたようだが、辺りを見回して僕達が目に入り、あまりの驚きに固まってしまった。

 しかし僕達は司令官に気づかず司令官が再起動するまでずっと抱き合っていたのだった。




 誤字脱字、その他アドバイス等あればお願いします!何分初心者なもんで書き方がわからないのです!お願いするのです!!


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響 説明中

 なんか、途中から日を跨いで書いたからおかしくなってるかもしれません。もし、おかしなところとかあれば、言っていただければと思います。その都度、修正いたしますので。

 ..................................


 「で?どうして響と電が仲良く抱き合ってたんだ?」

 

 目を覚ました司令官が真っ先に疑問に思ったであろうことを聞いてきた。

 しかし、それは司令官に限らず誰でも不思議に思うことで、誰もが真っ先に聞くことだろう。僕でもそれは聞いてしまう。

 

 「う~んどう言えばいいかわからないのですが... 。」

 

 電は泣いていたからか、何で仲良く抱き合っていたのかわからないらしくて、少し混乱して司令官に言葉を返していた。

 

 僕は、何があったのか全部知ってるからしょうがないから教えてあげることにする。

 

 「ーーーーーということ。」

 

 「そうだったのです!忘れてたのです。」

 

 「は、え?なに?」

 

 ん?あれ、せっかく説明したのに司令官はわかっていないのかな?電はしっかりわかってるのに。

 しょうがないからもう一度だけ説明してやろう。

 

 「ーーーーーということ。わかった?」

 

 「なのです!」

 

 「は????」

 

 どうやらまだ理解できてないようだ。僕の説明が下手なののな?でも電がわかったんなら司令官もわかるよね... ねぇ?

 え?まさかわからないとか!?

 

 「だから... 」

 

 「いや、待って。多分だけど響、説明してないよね?」

 

 「え?」

 

 何を言っているんだろうかこの司令官は。僕が説明してない?『ーーーーーということ。』ってちゃんと説明してるじゃん。

 

 「もしかして説明略してない?略してるよね!?多分読者にはわかるだろうけど、俺はわからないから!!ここ、リアル、OK?」

 

 ・・・・・・・・し、司令官が壊れたぁぁぁぁ!!?なんか意味不明なこと言ってるけど読者って何!?そして『ここ、リアルOK?』知ってるから!!

 まぁでも、説明を省き過ぎたのは自分でもわかってるけど電が通じたんだから司令官が通じないはずは.......

 

 「いや、通じないから!!」

 

 「え!?」

 

 「何でそんなに本気で驚くんだ!!?てか、そんなに純粋に疑問です、みたいな顔しないで!!俺もわからないから!!!」

 

 (この疑問のぶつけ合い、実は電はこの間に部屋を出ていたりする。)

 

 うん... 止めようか、この無駄な疑問のぶつけ合い。正直話が進まない。司令官は略すと何を言っているのかわからないらしいから。

 

 しょうがない... 説明、長いけど頑張るか。

 

 「えっとー」

 

 ー駆逐艦響 説明中ー

 

 「響、お前優しいんだな... 」

 

 「ムカッ!なんかそれ、僕が優しかったら意外みたいじゃんっ!!」

 

 「いや、そう言うことじゃなくて... 」

 

 「ふんっ」

 

 「あはは... (響も大分なれてきたな...俺に)」

 

 なんなの!?僕が優しかったらダメなの?まったく!!これだから司令官は.....

 

 

 

 

 ギィ、ギィ、ギィ...

 

 執務室の出てすぐの廊下で何やら茶色の髪の子と、紺色の髪の子と、二つの小さな影が執務室へと、慎重に歩みを進めていた。

 

 ギィィィ...

 

 「ちょっ、ちょっと足音たてないでよ!バレたらどうするの!?(小声)」

 

 「し、しょうがないじゃない!ここの床、ギシギシいうんだもん!(小声)」

 

 どうやら紺色の髪の子が足音を立ててしまったらしく、後ろから付いていた茶色の髪の子が、バレるからと紺色の髪の子に小さく怒っている。

 

 ギシィィィィ......

 

 「あーもうっ!何でこんなにギシギシ言うのよ!!大体この建物自体古いのよ!れでぃとしてはもっと...... そう!ファンタスティックな所に居たいのよ!!(自分で何を言っているのか分かっていない)」

 

 「ちょっと!!大声出さないでよ!!!バレちゃうじゃない!それに何いってんのかわかんないわよ!」

 

 「あ、あーっもう焦れったいわね!さっさと確認しに行きましょっ!!」

 

 「あ、ちょっと暁ねぇ!!?」

 

 紺色の髪の子... 茶色の髪の子が言うに、暁は、あまりの焦れったさに我慢できずに足音も気にせずに、バタバタと小走りで執務室に向かっていった。

 それに、驚いた茶色の髪の子が数瞬遅れて、暁を追いかけていった。




 忘れてましたが、遅れてすみません。少し学校で... ということなんで遅れました。

 次は早く投稿出来るかな?


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突然の怒り

 ふーっ。だんだんと千文字書くのになれてきました。
 千文字って短いように思えても書こうとしたら結構長いんですよねー。ほんと疲れちゃう。

 それでは、3、2、1、どうぞ!


 バタンッ

 

 「ふぇ?」

 

 「ん?」

 

 司令官に偉い偉いと頭を撫でられていると突然ドアが勢いよく開き、紺色の髪で、どこか僕に似ている女の子がドアを勢いよくあけたポーズで固まっていた。

 

 「ちょっと待ってよ暁ねぇ!ってこの子は?あ、もしかしてこの子が新しい子?」

 

 紺色の髪の子を暁ねぇと呼んで、走って入ってきたのは茶髪の女の子だった。

 茶髪の子は僕に興味津々なようで、入ってきたなりに僕の事を司令官に聞いていた。

 

 ...なんだろう。この子達は電に似ている... 否、同じような感じがする。

 

 「... びき.... の... 」

 

 「え?」

 

 さっきまで固まっていた紺色の子がなにかを呟いた。だが、あまりにも声が小さかったため、よく聞こえなくてもう一度言ってもらおうと、その呟きに疑問で返事をした。

 

 「ひ... ひびきなの?」

 

 「え?」

 

 今度ははっきりとその言葉が聴こえたが、その言葉に驚いてしまって、思わずまた疑問で返してしまった。

 

 「だから、響なのかって聞いてるの!!」

 

 ビクッ

 

 突然大声を出されて吃驚して体が反応してしまった。

 その声はどうやら司令官たちにも聞こえたようで、何事かとこっちを見ている。

 

 しかし、さっきの大声で僕は少しこの少女の事を怖いと思ってしまって、体が震え始めていた。

 

 「ねぇ、聞いてるの?貴女は響かっていってるの!!なんとか答えなさいよ!!!」

 

 「ひっ!?」

 

 「ちょ、ちょっと暁ねぇ!いきなりそんなに大声でどうしたの!?あ、新しい子が怖がってるから落ち着いて....」

 

 「こんなの落ち着いてられないわ!!!司令官、どういうこと!!」

 

 暁という子の余りの剣幕に、茶髪の子が落ち着かせようとするも、逆効果だったのか、さらに鋭い目線でこっちを睨み付け司令官に説明を求めてきた。

 

 「・・・・・・」

 

 しかし、司令官は何も答えず黙ったままだ。それに、何やら僕の様子を窺っているようだ。

 

 「なんとか言いなさいよ司令官!!」

 

 「ちょっと暁ねぇ!ほんとにどうしたのよ!!いつもの暁ねぇと違うわよ?この子に一体何があるって言うの?」

 

 暁という子の余りの剣幕に震えている僕の隣に来て、優しく背中を撫でてくれていた茶髪の子が、いつもと違う様子の暁に、どうしたのか、とこの子に一体何があるのかと、聞いた。

 

 「響はね.... 私たちの姉妹艦である響は....... 私を守って沈んだのよ」

 

 「え?」

 

 え.....?

 

 僕が... 沈んだ?な、何を言ってるの... ?僕はここに... 。

 

 「あれは、そう... 大雨の中、先に出撃して戦ってる艦隊を支援しに行く途中の事だったわ... 」



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第三支援艦隊

 なんか新しい小説(オリジナル)を書こうと悩んでいるんですが、なかなか思い付かないもんですねー。何一つアイディアが浮かんでこない。


 「あれは、そう... 大雨の中、先に出撃して戦ってる艦隊を支援しに行く途中の事だったわ... 」

 

 「この頃はまだ、貴女達二人はいなくて、私と響と少しの駆逐艦と主力艦の人が少し居ただけの小規模な鎮守府だったの。」

 

 

 

 

 

 「さぁ、これから私たちは雨の中必死で戦っている仲間たちを支援に行くわけだけど、準備はいい?」

 

 「いいよ!久し振りだから頑張るにゃし~♪」

 

 「そうね~、久し振りだから腕が鳴るわ~♪睦月ちゃん、頑張りましょうね~♪」

 

 「おーし!じゃあ如月ちゃん、どちらが活躍するか勝負するよ!」

 

 「いいわよ~」

 

 作戦指令室、そこに、これから重要な任務につく事を微塵も感じさせない雰囲気の、駆逐艦の4人組がいた。

 その内二人はどちらが活躍をするのか勝負すると、この作戦を、まるで遊びのように振る舞っていた。

 

 「はいはい二人とも落ち着きなさい。勝負しようったって、どれだけ活躍したかわからないのよ私達の任務は。あっ、響は大丈夫?」

 

 「Всё ништяк(フスョー ニシュチャーク) 大丈夫、問題ない。」

 

 だがそれを、この第三支援艦隊の旗艦である暁が落ち着かせる。

 そして最後の一人に確認をとり、しっかり皆が準備を終えたことを確認する。

 

 コツコツコツコツ

 

 確認し終えたと同時に、外の方から足音が聴こえてきた。

 

 「お!司令官のお出ましにゃし~。」

 

 そう睦月が呟くと同時、司令官が作戦指令室にやって来た。

 司令官が入ってくると、さっきまでのおちゃらけた雰囲気は何処えやら、どこか気を引き締めた感じで敬礼で出迎えていた。

 

 「第三支援艦隊旗艦 駆逐艦【暁】 同じく第三支援艦隊 駆逐艦【響】 駆逐艦【睦月】 駆逐艦【如月】これより、作戦内容の再確認を行う!」

 

 「「了解!」」

 

 司令官の言葉に四人は元気よく返事をした。

 

 「今回の作戦の舞台となる場所は、トラック島南西420kmの地点だ。ここに新型を含む深海淒艦が57隻の大艦隊で攻めてきた。そこで危機を感じたトラック伯地の提督は他の鎮守府から艦隊の援助を要請、我々も少ないながらもトラック伯地に主力艦を向かわせた。ここまではいいな?」

 

 「「はい!」」

 

 「問題はここからだ、我々はその深海淒艦の大艦隊を迎え撃ったのだが、予想以上に新型深海淒艦が強くて早くも押されぎみになってきた。そこで俺は数少ない残った艦艇の駆逐艦を第三支援艦隊に、編成し、向かわせることにした。それがお前らだ。」

 

 そう、暁達第三支援艦隊はトラック伯地で今なお戦い続けている主力艦隊達の、支援をするために一時的に編成された、謂わばやれるだけやると言うなんとも心許ない艦隊なのだ。

 

 「さて、ここから作戦内容に入る!」

 

 「「はっ!」」

 

 「まず、トラック伯地に向かいそこで燃料を補給。そしてそのまま全速で戦闘区域へ向かう。戦闘区域50kmにたどり着くと、隊を二つに分裂、二艦ずつになれ。分裂後方向転換、左右に別れろ。そして転舵した場所から10km前進、そこでまた転舵、戦闘区域の方角に直進せよ。」

 

 司令官が広げている地図に敵艦隊の場所とそれと戦う味方艦隊の場所が書き込まれていて、その敵艦隊を左右で挟むように展開している艦、つまりこれが第三支援艦隊なのだ。

 

 「いいか、敵を挟んでちょうど真横辺りに来たら、敵艦隊目掛けて魚雷を全弾発射、撃ち尽くせ。撃ち尽くしたら敵艦隊に背を向け全力で逃げろ。間違っても気付かれるんじゃないぞ。」

 

 「「了解!」」

 

 「さぁ、第三支援艦隊... 出撃せよ!」




 ふぇぇぇ、疲れタワー...

 .........................................


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トラック島から南西420kmへ

 あれ?こっちが本編でよくね?と、思うこの頃。

 あ、そう言えばトラック島南西1200kmがあまりにも遠すぎたので南西420kmに直しました。すみません!!!!


 水平線の彼方まで続いているだろう穏やかな海に、海の上に立ち、海水を退けて滑るように進む4隻の艦娘がいた。

 

 「さぁ皆、もうすぐトラック島近海に入るわよ!」

 

 「ふぅ、やっと着いたわぁ」

 

 「も、もうくたくただよぉ」

 

 「спасибо(スパスィーバ) за() хорошую работу!(ハラーシュユラボートゥ)【お疲れ】」

 

 道中、決して少ないとは言えない程の敵を退けつつ、ようやく我々が取り返し解放した領海へたどり着いた4人は、疲労が貯まっているのか少し顔色が悪く、今にも倒れてしまいそうな程、フラフラとした足取りだった。

 ここからだと、トラック島ははっきりと見えるが、ここからでも1時間は掛かる程の距離がある。だが、敵がいないと言うことで、4人は安心出来るだけで十分だと、段々とフラフラした足取りがまっすぐになっていった。

 

 「皆~!あと少しで着くわよー!」

 

 それから暫くして、ようやく島の港付近までやって来た。

 4人はそのまま港で艦装を解除し、地面に足を着けた。

 

 「ようこそ我トラック伯地へ」

 

 そこで出迎えてくれたのは、このトラック伯地の司令官だった。

 彼は今にも倒れそうなほど顔色が悪く、まるで死人のように青ざめた顔だった。よっぽど今回の事が堪えたのだろう。

 

 暁達第三支援艦隊はそんな司令官を心配しつつ、出迎えてくれたことを感謝し、盛大に敬礼をした。

 

 「暁率いる第三支援艦隊、只今到着したわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う、嘘... でしょ... ?」

 

 「これは... 」

 

 「あ、ありえないにゃあ!?」

 

 「これは!流石に予想できなかった... 」

 

 到着した暁達は、まず疲れを癒すため修理ドック、またの名をお風呂に入り、疲れを取った後、このトラック伯地の補佐をしている女性に案内され、執務室まで来ていた。

 そしてなぜさっき驚いていたかと言うと

 

 「あり得ないわ!こっちの戦力が1/3も削られてるなんて!!」

 

 そう、トラック島南西420kmで、激しい戦いを繰り広げている主力艦隊の戦力が、なんと1/3も減少していたのだ。

 しかも、そのどれもが轟沈、または大破などの理由で、戦線に復帰出来なくなった艦娘だった。

 これはかなり致命的で、このままでは直ぐに全滅すると司令官は苦しい顔で説明した。

 

 「これは事実なんだ...もはや我々ではどうすることも出来ない。後は君たちにこのトラック伯地と、主力艦隊の命運を掛けるしかない。もう、君達にしかこの絶望に染まった運命から、道を切り開くことはできない!」

 

 もう、自分達にしかこの絶望の運命から道を切り開くことが出来ない、暁達はこの言葉に胸を熱くし、気を高めた。

 

 「いいわ... やってやろうじゃない!!あんな奴らボコボコにして立派なレディだってことを証明するんだから!!」

 

 「ええ、そうね!司令官のためにも、皆の為にも!」

 

 「負けない!必ず成功させて見せる!!」

 

 「ураааа!(ウラーッ!)

 

 暁が少し恐怖がある心を奮い立たせ、それに続き4人全員が気合いを入れた。

 

 そして1300時をもって、暁達第三支援艦隊はこの戦いに終止符を撃つため、港を出航した。

 

 「行くわよ!暁の水平線に、勝利を刻みなさい!!」




 久し振りに絵を描いたんですが、何て言うか... 歪んだ?


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作戦開始

 遅くてすみません!最近youtuae見たり絵を描いたりしてて忙しいんです!(暇)

 あ、後ゲームもしているから全然暇じゃないんでs(ry


 ドォォォン!!!ヒューーー

 

 トラック島から出撃した第三支援艦隊は、ようやく戦闘の音が聞こえる海域までやって来ていた。

 ここまで、なんの障害もなくすいすいと来れて凡そ予定していた到着時刻よりも少し早めに着いた。

 暁達第三支援艦隊の作戦がもうすぐで始まるといったところまでなんの障害もなくこれたのは、同伴してきたトラック伯地の駆逐艦娘達のおかげだった。

 彼女達はこの戦闘に参加するほどの実力が無かったため鎮守府でお留守番をしていたのだが、暁達が来たことによって自分達も活躍したいと思い、第三支援艦隊の護衛としてこの作戦に参加したのだ。

 

 「みんな、いよいよ作戦が始まるわ!気を引き締めなさい!!」

 

 暁が皆に激を飛ばす。

 

 「ふふん。私はもとより気合いは最高潮にゃし~。」

 

 「そうねぇ、睦月ちゃんはいつでも気合いMAXよねぇ」

 

 「хорошо(ハラショー)

 

 その激に皆が、答えてはいないがそれぞれ思い思いに話し合っている。

 

 「ちょっとぉ!!そこはもっとオーーッ!だとか、やってやるっ!だとか言うところでしょ!!!」

 

 「別にいいじゃん楽しければ」

 

 「そうよねぇ」

 

 「хорошо」

 

 「ちょっと響、あなたはらしょー?しか言ってないじゃない!」

 

 「хорошо」

 

 「いやだかr「хорошо」............もういいわよ」

 

 とまぁそんな茶番を繰り広げている暁達だが、どうやら緊張感などというものはそこら辺のドブにでも捨ててきたようだ。いや、そうしなければ生きてこられなかったのかも知れないが。

 

 そしていよいよ艦隊の分裂地点までやって来た。

 艦隊旗艦である暁は響と組み南東へ、残った睦月と如月は北西へと進路を変更した。

 

 「この作戦、絶対に成功させるわよ!!」

 

 「「おーーーっ!!」」

 

 暁が号令をかけ、皆が気合いの入った掛け声を言った後、艦隊は二つに分かれそれぞれ違う方向へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、上手く敵の真横に着けたわ。敵もまさか横から攻めてくるとは思わないでしょうね。」

 

 「......」

 

 暁達のペアはどうやら何事もなく敵の真横へとこれたようで、睦月達が到着するのを少し待っていた。

 その間響きは無言を貫き通していた。

 響は、艦隊を分裂させてから終始無言で何やら険しい顔をしていたのだが、暁はこんな大作戦なんだ、緊張でもしているんだろう、とスルーしていた。

 

 やがて睦月達が作戦開始地点に到着しいよいよ作戦が始まろうとしていた。

 

 「さぁ、真正面しか見ていない敵さんをおどろかせてさしあげまひょ!!...... 」

 

 なんとも締まらない号令を合図に作戦は開始された。




 お金が欲しいぃぃぃぃ!!!

 と言うか金運が欲しい。年末ジャンボが当たるくらいの...


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大戦果

 前書きってさ、投稿していくごとにだんだんと書くこと無くなってくるよね...。
 でもさぁ!ぶっちゃけ適当なこと書けばぁ!前書きになるんだよねぇ!だから適当なこと書くぜヒャッホーーーーイ!!

 布団が吹っ飛んだ


 「右舷、雷撃戦用意... 」

 

 「いつでもオーケーだ」

 

 「「魚雷... 発射!!!!!」」

 

 バシュンッ ザパンッ

 

 暁と響から放たれた魚雷は、静かな音をたてて発射された。

 魚雷は着水と同時にスクリューによって加速し、横に注意を向けていない敵目掛けて一直線に進んでいった。

 

 「装填完了」

 

 「撃てぇ!」

 

 バシュンッ バシュンッ

 

 最初の一本を皮切りに、次々と魚雷を発射していく暁たち。そのどれもが同じ方向、されども別の場所へいくように発射され、敵にダメージを与えんと進んでいく。

 その魚雷の数、一人につき25発。二人あわせて50発もの魚雷が敵目掛けて猛スピードで突っ込んでいく。

 

 「逃げるわよ!」

 

 「了解した」

 

 魚雷を撃つだけうって、当たるかも確認せずに二人は戦闘海域から離脱していく。

 

 その逃げる影を海中に潜んでいる潜水艦に見つかっているということも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、睦月達二隻も暁たちと同じように魚雷を撃っていた。

 

 「とりゃ!おりゃぁ!」

 

 「あらぁ、睦月ちゃんったら元気がいいわねぇ」

 

 「だってこの作戦が成功したら私達、間違いなく英雄だよ!!ヒーローだよ!!」

 

 「魚雷を撃つだけなんだけどねぇ」

 

 「それが重要な事なんだよ!!」

 

 睦月の元気のよさに、如月は微笑みながら相づちをうっている。

 二人は姉妹で睦月の方が姉なのだが、この会話を聞いてるなかでは如月の方が姉と思ってしまうほど、睦月の言動は少々子供っぽい。

 

 「よし!全部うち終わったからかえろー!」

 

 「ふぅ、もう疲れたわぁ」

 

 魚雷を全て撃ちつくし、睦月達はその場から離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 果たして、この作戦の成果はというと...

 戦艦ル級フラグシップ3隻

 戦艦タ級エリート2隻

 空母ヲ級エリート4隻、改フラグシップ1隻

 重巡リ級エリート2隻、フラグシップ1隻

 軽巡ホ級エリート7隻、フラグシップ5隻

 軽巡へ級12隻、エリート8隻、フラグシップ9隻

 駆逐ニ級18隻、エリート12隻、フラグシップ5隻

 駆逐ハ級10隻、エリート3隻、フラグシップ1隻

 と、なんと放った魚雷が全て命中、しかもそのどれもが艦の急所とも呼べる場所に命中、浸水を引き起こし、1発で1隻という正に奇跡としか言いようがない戦果をあげたのだった。

 

 そして、敵の艦が大幅に減ったため、トラック伯地との連合艦隊は猛ラッシュをかけ、残存艦隊を殲滅した。

 皆、誰しもが喜んだ。やっと、やっと勝てたのだと。生きて帰れるんだと。

 

 しかし、誰も気づかなかった。殲滅した深海棲艦の中に、新型の深海棲艦、戦艦レ級の姿が無かったことに。そして、戦いはまだ、終わっていなかったということに。

 

 

 

 

 

 

 

 「ミツケタ」




 誤字、脱字、おかしな所等あれば教えて頂けると幸いです。

 なんちゃって自分で見つけたりするんですけどね。


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謎の声

   明けまして~... おめでとうゴザイマース!!!
       ☆HAPPY NEW YEAR!!!!☆

 いやー、今までこの小説を見てくれた皆さん、本当にありがとうございました!
 そして、この作品を今年もよろしくお願いし... マース!!!!


 「やったわ!これで司令官に頭をなでなでしてもらえる!」

 

 敵に魚雷をかまして任務を達成した暁達第三支援艦隊はトラック伯地へ帰投していた。

 暁は敵を大量に沈めたことよりも、司令官に誉めてもらう方が嬉しいようでうきうきしまくりだ。

 

 「暁、油断は禁物だ」

 

 そこへすかさず響が注意する。

 響は暁がはしゃぎすぎたりしたときのストッパーでもあるのだ。

 

 「わ、わかってるわよ!」

 

 「そういうときの暁ちゃんって全然わかってないんだよねー♪」

 

 「そうねぇ♪」

 

 「う、うるさいわね!」

 

 何故かテンションが上がってる睦月と如月に指摘され、真っ赤な顔で返す暁はロリコンが見たら息を荒くして飛びつくほど可愛い顔をしている。

 

 そんな中のよい光景を周囲に晒しながら帰投していたのだが、不意に響が何かの気配に気づいた。

 

 「っ... !?」

 

 「ん?どうしたの響?」

 

 「い、いや今... なにかが...。」

 

 響は珍しく取り乱したように返すと、周囲をキョロキョロと見渡した。

 

 「ふーん、ならいいけど... 」

 

 暁は響の取り乱しように気付いたが、回りを見てみても特に変わったようすがなかったので気にしないことにした。

 

 しかし

 

 「っ!電探に感あり!」

 

 突如、如月の電探に反応がでて第三支援艦隊は息を呑んだ。なんでここに!?っと。

 実は話をしている間にトラック島の領海内に入っており、敵が来ない安全地帯まで帰ってきていたのだ。それが今は敵に接敵されているという事態に第三支援艦隊はパニックに陥った。

 

 「な、なんで!?なんでここに!!」

 

 「うそ... でしょ?ありえない!!」

 

 「こいつは... 不味いな」

 

 「え、なんで!?なんでぇぇぇ!!?」

 

 それぞれ違う形で驚き、パニックになっていた。しかし、そのなかでも唯一響だけは落ち着いていた。

 それもそのはず、響は電探が探知する少し前から何らかの気配を察知していたのだから。

 

 しかし、電探に映っているのは1隻のみ。その事に電探の持ち主である如月がいち早く気付き落ち着きを取り戻した。

 

 「み、みんな落ち着いて!確かに敵はいるけど、たったの1隻よ!」

 

 その事を如月がまだ取り乱している二人に教える。

 すると、漸く落ち着いてきたのか、なーんだという顔をしてホッと息を吐いた。

 

 「な、な~んだ!1隻か~... 」

 

 「よかった.... 」

 

 「・・・・・」

 

 しかし響はまだ警戒しているのか周囲を無言で見渡し続けている。

 

 「響、なにやってるの?敵は1隻だから出てきたとしても私たちだけでやっつけれるからそこまで警戒しなくてもいいのよ?」

 

 それを暁がたしなめるように言う。

 

 「いや...... なんだか、嫌な予感がする」

 

 ...けた...

 

 「え?」

 

 響が嫌な予感がすると言った直後、第三支援艦隊の艦娘たち全員の耳に確かになにかが聴こえた。

 

 「なにか... 聴こえなかった?」

 

 「ききき、気のせいよ!!!」

 

 「私もきこえたわ」

 

 「Да(ダー)確かに聴こえた。」

 

 「聴こえてないわよ!!」

 

 暁は少し怖くなったのか、みんなの言葉を否定する。

 

 みつ... た...

 

 「ほ、ほらっ!」

 

 「あー!!なんにも聴こえないぃぃぃ!!」

 

 謎の声は、さっきよりも近くにいるのか声が大きくなって聞き取りやすくなっていた。

 

 「みつ... た?櫁食べた?うーん... 」

 

 「なにかしらぁ」

 

 「聴こえないったら聴こえない!」

 

 「暁、子供みたいだよ... 」

 

 「う、うっさいわね!私は立派なれでぃなのよ!だ、だからこんな変な声なんて... 」

 

 「やっぱり聴こえてるんだね」

 

 「あっ... 」

 

 自分で自爆した暁は顔を真っ赤にして、やってしまった... という顔をしていた。

 それをみた睦月と如月はくすくすと笑っていて、暁に怒られていた。

 

 「まったくもう!」

 

 フフフフ

 

 「ヒィッッ!!?」

 

 顔を少し膨らませて、私怒っていますという雰囲気を出していた暁は不意に聴こえた笑い声に情けない悲鳴をあげた。

 

 しかし、声の主はなかなか姿を現さなかった。それどころかこの声は自分達に敵対するものの声とはまだ、誰も知るよしも無かったのである。




 最後無理矢理ですみません!

 特に字数を決めているわけでは無いんですが、自分では1000~1500文字くらいを目安にしているのでこんな終わり方になってしまいましたスミマセン!!


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白い少女

 ハーメルンで小説書いてるのって、平均何歳くらいなんだろう?
 あ、因みに自分は16歳です。はい、ガキですすみません。

 あ、お気に入り200件ありがとうございます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。


 フフフフ

 

 「ま、またぁ?!」

 

 「流石にこれは... 」

 

 「え、ええ... 異常ね... 」

 

 「如月ちゃん、怖いよぉ... 」

 

 あの笑い声を皮切りに何度も、それも別々の場所から聞こえる声に暁達第三支援艦隊はすっかりびびっていた。

 特に暁は響に抱きついて胸に顔を埋めてガクガクと震えていて、逆に響に少しの余裕を与えるくらいびびっていた。

 しかし、その声は収まるどころか、逆に段々と大きくはっきりとしてきていた。まるで、ホラー映画のワンシーンのようにじわじわと...

 

 クククククククク

 

 「「ヒィィィィッ~~~」」

 

 フフ... フフハ... アハハハッ!

 

 「コロシテヤル!」

 

 今まで聞こえていた何処かもどかしい声じゃなくてはっきりとした声が聴こえた瞬間、ザパーンッと海面を割りなにかが飛び出してきた。

 その姿は白い髪をショートカットにして、黒いパーカーを羽織っているまだ幼さが残っている女の子の姿だった。

 

 「え... ?」

 

 暁達は飛び出してきた女の子を暫し、放心したように見ていた。

 

 「ッ~~~!!?」

 

 不意にあるところに目が行き四人は戦慄した。

 

 「し、深海... 悽艦!!!?」

 

 深海悽艦... それはこの世界の海を支配するもので、人類の敵である存在。そのどれもが奇怪な見た目をし、そのどれもが人間とはかけ離れた見た目である。

 が、しかしこの少女は何処からどうみても普通の少女なのだ。

 じゃあ、暁達は何を見てこの少女を深海悽艦としたのか、それは... 尻尾だ。そう、尻尾だ。

 少女の見た目は全体的に白く、それだけでも異様さを放っているが、それでもまだ人間の範囲に入るくらいだ。だがそこに尻尾がある。白い、そして太い尻尾がだ。

 

 四人はすぐに戦闘体勢に入った。

 

 「クククク... 」

 

 「....なぜお前がここに」

 

 「ナンダ?」

 

 「なぜお前がここにいる!!」

 

 目の前に深海悽艦が居ることに驚き、思わず感情的に言う響に同意するように三人も頷く。

 

 「ナンデ?ナンデカダッテ?クク... 」

 

 深海悽艦はえらく勿体ぶったように言う。

 

 「オマエラガキヅイテイナカッタダケデ、ワタシハズットオマエタチノウシロニイタゾ?」

 

 「なっ!?」

 

 その深海悽艦は、ずっと後ろにいたと言う。

 それはいつから?魚雷を放ち終わって帰り始めた頃からずっと深海悽艦は後ろにいた。

 四人は何処か浮かれていたのだろう。魚雷を放ち多くの敵を殲滅、そして味方に勝利をもたらしたと、任務は大成功したのだと。

 しかしそれが仇となった。深海悽艦はその隙をつき、この領海まで追ってきたのだった。

 そのことを理解した四人は後悔した。これは失態だと。

 

 「まさか... ここに来て失敗するとは... 」

 

 「うぅ~、司令官に怒られるぅ」

 

 「そんな呑気な」

 

 「ことを言ってる場合じゃないでしょ!!」

 

 ズドォォォォンッッッッ!!!!

 

 四人が思い思いに話していると、空気を震わせるような、まるで空間に穴でもあけようとしているかの如く、轟音が響いた。

 

 「アソボ?」

 

 どうやらその轟音は深海悽艦から発せられた物ものだったようで、後ろを確認した四人は後ろに大和がたよりも大きな水柱がたっていることに恐怖した。

 

 「こ、こんなの勝てるのぉ~... 」

 

 睦月が震えながら言った。だが答えるものは居ない。

 皆、身構えこの化け物と戦おうとしていた。睦月もまた、言葉とは裏腹にしっかりと身構えていた。

 

 「サァ、ワタシトオドレ!」

 

 その瞬間、激しい一方的な戦闘が始まった。




 んー、早く終わらさないとなぁ...


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勝てるわけがない

 投稿かなり不定期だな... まぁいっか♪

 いや、ちゃんとして欲しいって言うならなるべく本気に頑張って投稿するのでもし、きちんとして欲しいならば言ってください。なるべく善処しますので...


 「アハハハッ!ドウシタ?!!ドウシタ?!!」

 

 笑いながらバンバンと砲撃を繰り返す少女は、かなりの余裕があるのか一歩も動くことなく、ただ闇雲に砲撃を放ち続けている。

 しかしそんな大雑把な攻撃でも効果は抜群なようで、弾が着弾した時にでる水柱や波、至近弾によって飛んでくる鉄の破片によって、どんどんと体力を消耗していっていた。

 

 「なんで!笑って!いられるのよ!!!?」

 

 「くっ...、このままじゃやられる!」

 

 「なんとかならないの!?」

 

 暁と響は切羽つまった声で叫んでいる。が、如月と睦月は叫ぶ余裕もないのか青い顔をし、大量の冷や汗を流しながら弾を避けることに集中していた。

 練度的には暁と響の方が上なのでその上での叫びなのだろうが、見ているがわからすると睦月達の方が余裕がありそうに見える。

 

 「ハァッ、ハァッ... 」

 

 次第に疲れてきたのか、四人は荒い息を吐いていた。しかし、それでも速度を緩めないところをみるとまだ余裕はあるようだ。

 

 「てぇっ!!!」

 

 暁が掛け声をあげ、四人は一斉にその小さい砲身から弾を打ち出した。

 

 ドォンッ!

 

 深海悽艦にくらべてややショボい音だが、これでもしっかりとした威力はある... が、それを深海悽艦の少女は避ける動作もせずにじっと待ち構える。

 戦っているうちに距離が離れていたのか、四人は着弾するまでがえらく長く感じていた。

 

 「ちゃくだーん... 今!」

 

 ゴンッ!

 

 暁達が苦し紛れに放った弾は暴れまわっていた深海悽艦に見事に命中した。

 だが、それは着弾して爆発をした音などとは到底離れた音をたてて、まるで何事も無かったように消えていった。

 

 なぜ何もないのか?その答えは簡単だ

 

 「弾..... かれた... ?」

 

 そう、弾かれたのだ。しかもただ弾かれたのではなく、真正面、それも少し斜からあたった最高の弾が、だ。

 

 「フフフ... ドウシタ?モウオワリカ?」

 

 深海悽艦が暁達にニタリと笑いながら問いかける、が暁達は今、とてつもない絶望に襲われていた。

 それもそのはず、砲撃よりも威力の高い駆逐艦の主力兵装である魚雷を、さっき全て撃ち尽くしてきてしまったのだ。

 

 「くっ、みんな!逃げるよ!!」

 

 響は勝ち目が全くないと知り、すぐに皆に声をかけた。もう、暁達には避け続け味方が気付いて来てくれるまで逃げ続けるしか生き残る道はないのだ。

 

 「そう、ね!逃げるわよ皆!」

 

 「うん!」

 

 「ええ!」

 

 しかし、それでも諦めない。逃げて逃げて逃げ続ける。なんのために?帰りを待つ、司令官の為、姉妹艦や同僚艦のためになんとしてでも生き残る。

 そんな強い思いが四人のなかにあった。

 

 が

 

 ニタァァッ

 

 笑った。逃げていく暁達を見て、明らかに顔が笑った。

 

 しかし、それに気づいたのは響だけで他の三人は必死で迫り来る砲弾を避けながら逃げていた。

 だが、気づいた響はその笑顔に恐怖し、絶望していた。

 

 ああ、駄目だ... と。誰かが沈むと。

 

 その瞬間、響の目に一本の雷跡が見えた。

 

 「ッ!!?!暁、危ない!!」

 

 響の言葉に暁は振り向いたが、それよりも速く響は駆け出し、暁を突き飛ばしていた。

 

 「なに!!?!」

 

 暁は突然のことに、突き飛ばした張本人である響を見ようとした。が...

 

 ズドォォォォンッッッッ!!!!!!!!!!!

 

 突如さっきまで自分がいた場所から高さ10mは容易に届くだろう、巨大な水柱がたっていた。

 

 「響!!!」

 

 「「響ちゃん!!!」」

 

 暁はその水柱が何によってたったのか、またなににぶつかったのかを瞬時に理解し、叫んだ。

 如月と睦月も直ぐに気付いて暁に続いて響の名を叫んだ。

 

 「フフフフ、アハハハハハハハッ!!!ナカマヲタスケルタメニ、ミズカラギョライニブツカル!サイコウダナ!!」

 

 そんな響を嘲るようにあの深海悽艦の笑い声が暁達の耳に届いた。




 絵が上手くなりたいぃぃぃ!!!!!!

 そしたら自分で可愛い響を描けるのにぃぃぃ!!!!


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怒り、恨み、悲しみ

 二日連続で投稿でーす。

 どうですか?文才あがってきてますか?きてますよね!!そうじゃないと心が折れます。

 というか、暇すぎて死ねる。


 暫くして漸く水柱が消えた。

 

 「あ...ひび... き...... 響!!!!」

 

 水柱が無くなってそこに残っていたのは足が無く、全身擦り傷や、裂傷などによって血まみれになり、体の半分ほどが沈んでいる響の姿だった。

 暁は近づいて響を呼ぶが返事はなく、意識を失っている、またはもう手遅れなようだ。

 

 「響ちゃん... 」

 

 睦月や如月も響に駆け寄るが、響の姿を見ると涙が溢れ出て、もう手遅れだということを理解したようだ。

 実際、響の機関部は浸水し、舵もやられ、土手っ腹に穴があいている状態だった。

 

 「うそ... よ!うそよね... ?嘘って言ってよ!響.....グスッ... ヒック... うぅ... 」

 

 暁は響がもう助からないという事実を受け入れられず、何度も響の体を揺すり、起こそうとする。

 が、当たり前のように響は目を覚ますことなく、ただただ血を流し続けている。

 

 「よ...も... 」

 

 「ン?ナンダ?」

 

 「よくも響を!!」

 

 目を覚ますことがないとしった暁は顔を怒りに染めて、いまだに笑い続けていた深海悽艦を激しく睨んだ。

 その顔は今まで怒ってきた顔とは違い、本当に怒りと恨み、それしかないような歪んだ顔だった。

 だが、深海悽艦はそれを見てなお笑い続けていた。

 

 「フハハ... 、恨メ、恨メ恨メ恨メ恨メ!!!!モットニクメ!!!ハハハハッ!!」

 

 狂っている。正にそれしか表現のしようがないくらい、深海悽艦は狂った言葉と笑いを発していた。

 見るものを憎みや恨み、恐怖に陥れるような声で。

 

 ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!

 

 その言葉に更に怒りに顔を歪めた暁は、弾かれるとわかってなお主砲である12.7cm連装砲を何度も撃ち込んだ。

 だが、やはり結果は同じ。いくら撃ったところで圧倒的な装甲の固さに、撃った弾は次々と弾かれていった。

 

 「皆も撃って!!」

 

 「ヒィッ!!?」

 

 暁は怒りに歪んだ顔のまま、睦月達も砲撃するようにと指示を出した。が、返ってきたのは暁の顔に恐怖した睦月の悲鳴だけで、睦月も如月も一発も撃つことはなかった。

 

 「なんで!あいつは、あいつは響を... 響を殺したのに!!なんで攻撃しないの!!?あいつが憎くないの!?殺したくないの!?」

 

 暁はその事に怒りを隠せないのか、未だに一発も撃たない睦月達に怒鳴る。

 すると如月は何かを決心したかのように、暁に何かを言おうと口を開いた。

 

 「暁ちゃん... 逃げよう」

 

 「なっ!!!!」

 

 逃げよう、その言葉は暁にとってかなりの衝撃だったのだろう、その怒りで歪んだ顔を瞬時に驚きの顔に変えた。

 チラリと、暁は睦月の方を伺うが睦月は首を縦にブンブンと振っていて、如月の意見に賛成していた。

 

 「ふざけないでよ........ふざけないでよ!!!響がやられたのよ!?それなのに... それなのにこのまま黙って逃げられないわよ!!!!」

 

 「その気持ちはわかるわ!だけど、だからこそ響ちゃんが守ってくれたことに感謝して逃げるべきじゃないかしら?」

 

 「そうだよ!響ちゃんがなんのために暁ちゃんを守って......守って...... うぅ... 」

 

 睦月は言葉の途中で堪えきれず涙を溢れさしたが、如月は怒り心頭の暁にはっきりと今思うことを告げた。

 その言葉は、暁のことを思ってのことであり、そしてまた、響を思ってのことでもあった。

 

 「でも... それでも......っ!!?」

 

 暁が、それでもまだ戦うという意識を伝えようとしたその時、足を誰かに掴まれた。

 その事に暁のみならず、暁をたしなめようとしていた睦月や如月も吃驚していた。

 それもそのはず、さっきまで倒れていて死んだかと思われていた響が、いつの間にか暁の足元まで寄り暁の足をこれでもかというくらいしっかりと掴んでいたのだから。

 

 「響!?だ、大丈夫なの!!?」

 

 暁はそのことに当然のごとく慌てふためく。

 

 「響...響が生きてる!!よかったぁ... 」

 

 慌てふためいたかと思うと今度は安堵して、安心の声をあげた。

 しかし、響はその言葉が聞こえていないのか、暁の言葉を無視して言った。

 

 「逃げて...生きて...暁!」

 

 もう、声をあげるほどの力も無かったのだろうカスカスの声を出して、響は力尽きたように... いや、実際に力尽きたのだろうそのまま足から手を離し、目を閉じていった。




 誤字、脱字等あればコメント宜しくお願いします。

 あれ?これいうの何回目だっけ... 。


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戦艦レ級

 さっむ!!!いきなり冷え込んだら体が対応出来ねーっての!!

 しかし今回は少し長くなってしまいましたねぇ。ほんと、困っちゃいますよ。まぁ、何も困らないんですけどね!


 ブクブクブク

 

 響が目を閉じると同時に、響の体の回りから気泡がブクブクと噴き出してきて、徐々にその小さな体を海底へ引きずり込まんと、呑み込んでいく。

 その様子を見て暁は涙を堪えながらも笑っていた。響への見送りは笑っていようと、この短い間に決めたのだろうが、溢れ出てくる涙は隠せず、どこか歪な笑顔だった。

 睦月達もまた、涙を堪えきれず次々と大粒の涙を流していた。

 

 「フフフフ、サイゴノコトバガソレトハ、ワラワセテクレルナ!」

 

 その様子を攻撃もせず黙ってみていた深海悽艦は、暁達とは違って笑いを堪えきれなかったのだろう大声で笑っていた。

 暁はそんな深海悽艦をキッと睨むと、未だに涙を流し続けている睦月達に指示を出した。

 

 「みんな... 逃げるわよ」

 

 それは響の最後の言葉を聞き、その思いに答えようとする暁の答えだった。

 睦月達もその答えに頷き、それぞれ深海悽艦を睨むとトラック伯地へ足を進めた。

 

 「アハハハハッ!!ハヒッハハハハ... ン?」

 

 暁達が逃げ出したのに気付いたのか深海悽艦は笑うのを止め、追いかけ始めた... 笑いながら。

 

 「逃ゲタッテ無駄ダ。私カラハ逃ゲラレナイ」

 

 ドォォォォォンッッッ!!!

 

 「きゃぁっ!?」

 

 深海悽艦がそう言うと、その巨大な砲が口を開き、一撃必殺の砲弾を打ち出した。

 その弾は真っ直ぐに如月めがけ飛んでいき、トラック伯地へ向けて全力で滑っているその足に少しだがかすった。

 

 「如月ちゃん!!被害報告!」

 

 「くっ... 舵が壊されました!操舵不能!!」

 

 「なっ!?」

 

 それは今の状況からすると、絶望の報告だった。

 かすったとは言ったもののあの巨大な砲弾が飛んできたのだどこか損傷してもおかしくはない。だが、いくらなんでも舵を壊されるとは思ってもみなかった如月は焦りに焦っていた。

 暁も驚きを隠せないようで、その可愛い顔を驚きに染めていた。

 

 「フフフフ、狙イ通リ... 」

 

 「え... 」

 

 深海悽艦がボソッと呟いたのを聞いた睦月は、驚愕した。

 狙い通り、確かに深海悽艦はそう言った。しかしそれは通常では到底なし得ない、いや出来るはずもない芸当だった。

 ただでさえ偏差があるのに、更に動きの早い駆逐艦に、それも回避行動を取っている所に、舵を狙い命中させるなんて、いくら練度の高い艦娘でも絶対に出来ないと言えるほどの、もし当たったとしてもそれはマグレだと言い張れるほどの芸当を、あの深海悽艦は狙い通りと言ったのだ。

 いくらなんでも驚愕が隠せなかった。

 

 「スクリューはまだ生きてるわね?じゃあ睦月ちゃん、いくよ!!」

 

 「あっ、うん!」

 

 しかしずっと驚いてはいられず、直ぐに現実に引き戻された睦月は、暁の指示をなんとか思い出して何をするのかを思い出す。

 暁は、如月にスクリューは生きているかと尋ねたが、逆に生きていても真っ直ぐにしか進めないため、後ろの深海悽艦にいい的にされるだけだ。

 なら、これをどう解決すればいいのか、それは簡単だ。

 暁と睦月が、如月を引っ張ってやればいい。

 

 「左!!右!!」

 

 深海悽艦に聞こえない程よいボリュームで指示を出す暁は、睦月とともにすごい連携を取りながら、如月を引っ張り、左右へと揺れ動きながら回避行動を取っていた。

 

 「クッ... チョコマカトウットオシイ!!」

 

 最初に比べ、弾が一発も当たらなくなってきた事に深海悽艦はイライラを募らせていた。

 だがそれは余計に弾を乱れさせるだけで、更に悪くなるという、悪循環をもたらしていた。

 

 「み、見えた!!」

 

 「逃ガスカァァァァ!!!」

 

 とうとう、逃げ続けていた暁たちの目にはっきりと鎮守府が映った。

 しかし逃がすもんかと、先程よりも砲撃を激しくする深海悽艦は、怒りのあまり我を忘れて撃ちまくっていた。

 

 だが...

 

 「撃てぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 ドォォォオンッッ!!!!

 

 撃つのに夢中になっていた深海悽艦に、雷鳴のごとく音をたてて発射された九十一式徹甲弾が降り注いだ。

 

 ズドォォォオンッッ!!!!!

 

 深海悽艦は声をあげることも出来ず、その姿を消したのだった。

 そして後に、この深海悽艦は戦艦レ級と呼ばれ、艦娘達から恐れられたのだった。




 誤字、脱字等あれば宜しくお願いします。


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引き揚げ

 すみません少し遅れました。

 なにやらボーッとして過ごしていたら気が付いたらだいぶ日にちが経っていて焦りましたよ、ほんとマジに。


 「そんな... 事が... 」

 

 僕は今の話を聞いて、なぜか共感してしまって涙が溢れるとまでは言わないが、流れていた。

 茶髪の子も、そんな話を今までに聞いたことがなかったのだろう、驚愕の表情をして僕を見ていた。

 司令官は深く帽子を被っていて表情は読み取れないが、悲しみのオーラを漂わせていた。

 

 「司令官... 何で響が居るのか説明して。」

 

 暁は目を涙で濡らし涙声ながらも、はっきりとそう言った。

 

 「... 暁、お前には辛い話になるだろうがそれでも聞きたいか?」

 

 「ええ」

 

 司令官が何やら決意したように暁に問いかける。勿論答えはわかっての質問なのか暁の返事に特に気にした様子はなかった。

 司令官もわかっていたのだ、この事はいずれ話さなければいけなかったことを、聞かれるだろうということを。

 

 「あれは、お前達がこの鎮守府に帰投した後のことだった。」

 

 僕はまたか... と思い司令官をみる。

 大事な事なのだろうけど正直僕にはよくわからないんだ。

 まだこの世界に来て3日も経っていないのだ、それも当然のことだろうが、わからないというよりも少し実感出来ずにいた。

 

 「まず、トラック伯地は鎮守府近海で沈んだ響の場所を特定したんだ。」

 

 「え、なんで?」

 

 茶髪の子が司令官の言葉に疑問を感じたのか頭にはてなを浮かべながら質問する。

 それは僕も気になった。なぜ、わざわざ沈んだ艦の場所を特定する必要があるのかと。

 

 「ああ、それはな... 鎮守府近海で沈んだ響を引き揚げようとしたんだ。」

 

 「!?」

 

 司令官の引き揚げようとしたという言葉に、暁は衝撃を受けた。そしてその顔を怒りに染め上げた。

 

 「なんて... なんてことをしたの!!!?」

 

 まさに鬼の形相といっても過言ではないくらい顔を怒りに染めて司令官に怒鳴っていた。それは、響がレ級にやられたときと同じくらいの怒りようだった。

 だが、僕にはなぜ怒鳴るのかわからなかった。それは茶髪の子も同じようで首を傾げている。

 引き揚げたらまた、一緒に過ごせるのではないか?と...

 

 「一度沈んだら... 二度とこの世に生き返ることは出来ないのよ!!!!この意味がわかる?!いや、わかっててやったんでしょ!!?これじゃ... これじゃあ、あまりにも響が可哀想じゃない!!」

 

 渾身の叫びだったのだろう、その顔からは涙がポロポロと流れていた。

 

 「暁、取り合えず落ち着いてくれ」

 

 司令官がそう言うと少しは落ち着いたのか、取り合えず話を聞こうと司令官を見た。

 

 「暁の言う通り響は引き揚げられたがその体には魂が宿っていなく、目を覚ますことはなかった。だが、それはわかりきっていたことだった。だからトラック伯地の提督は妖精さんに響の体を魂の受け皿にするように命令したんだ。」

 

 「ちょっと待って司令官。暁ねぇの話だとそこまで悪い提督じゃなかったと思うんだけど?」

 

 茶髪の子がトラック伯地の提督について聞く。実は僕も少し気になっていたところなので、司令官に目で催促する。

 これには暁もうんうんと頷いていた。

 

 「ああ、あの作戦の後トラック伯地の提督は疲労で倒れて病院へ運ばれたんだが、その病院で亡くなったようだ。死因は過労死だそうだ。」

 

 「え、じゃあ... 」

 

 「そうだ、トラック伯地の提督は代わっていたんだ。」

 

 それを聞き僕らはそれぞれ納得したように頷いた。

 

 「その提督がまた成績はいいが素行が悪いやつだったんだよ。まぁ、だからこんなことになってしまったんだが... 」

 

 「だからって... こんなことするなんてっ... 」

 

 暁はまだ見たこともないその提督に怒りをぶつけんと拳を握っていた。




 暁怒りすぎぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


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その理由

 電の存在を忘れていた件について...
 そして話が進まない件について...

 ああ、ダメだ頭がこんがらがってきた
 てか今日友達に大和を描いてと頼まれて描いたんだが、休憩を挟みすぎて5時間もかかってしまった...まぁ、摸写なんですが...

 追記:1/13 電が帰ってきたことにしました。


 提督の執務室、そこは提督が書記艦と共に鎮守府ないの全ての書類を整理するところ。

 しかし、そんな執務室で一人怒りに震え、今にも爆発せんとばかりに拳を握りしめている少女と、なにやら複雑そうな顔をしている三人の少女と、悔しそうに、そして悲しそうにしている男が、普段の執務室の雰囲気を変えていた。

 そして電が書類をもって執務室に入ってきたので、電も何事かと聞く体制に入っていた。

 

 「引き揚げられたらそんなにまずいの?」

 

 状況についていけていなかった僕は司令官に何をそんなに怒っているのか、悲しそうにしているのか、その理由となることを聞いてみた。

 すると司令官は僕の方を向き、なにやら哀しそうな顔をして教えてくれた。

 

 「そっか... 響はまだ知らないんだっけか... 。艦娘にとって、引き揚げられるというのは... 」

 

 そこで司令官は言葉を止め、僕と僕以外の三人を見回した。

 

 「...自分が戦って来たということを、たくさんの人を救ってきたということを、無かったことにされることと同じことなんだ」

 

 司令官が放った言葉に茶髪の子達は衝撃を受けたようで、そのくりくりした大きな目を更に見開かせ、驚きを露にしていた。

 だが、相変わらず僕にはわからなかった。

 だってそれはどれだけ否定されようとも自分が仲間のために戦い、そして沈んだことには変わりないのだから。

 人々を救ってきたという事実は消えないのだから。

 

 そんなことを察してか司令官は更に続けた。

 

 「だが、実際に行ってきた事実は消えない。だったらどうして引き揚げられるのが屈辱的で残酷なことなのか」

 

 司令官は僕のわからなかった部分を話し出したため、僕も真面目な顔をして耳を向けた。

 

 「それは...人々から忘れられることだ。いや、正確には深く関わっていないものの記憶から抹消される(・ ・ ・ ・ ・)ということなんだ」

 

 「え...?」

 

 訳がわからない。どうして引き揚げられると深く関わっていないものから記憶が抹消されるのか... 。

 回りを見渡すと、暁は俯いていて拳がプルプルと震えており、涙がポロポロと溢れ落ちていた。

 茶髪の子達は相変わらず驚愕したまんまだった。

 

 「俺のような提督は響と深く関わっていた。勿論、暁もだ。そして事を起こした提督も、ある意味では深く関わった。だから響の記憶はあるが、他のものは皆、響をいなかったものとして過ごしている。」

 

 バンッ!!

 

 急に音がして、吃驚して音がした方を向くと、暁が壁に思いっきり手を打ち付けていた。

 それは今まで溜め込んでいた怒り、悲しみをぶつけるかよような一撃だった。

 現に暁は艤装を着けていないのにも関わらず壁にひびを入らせるという強烈な一撃を出していた。

 

 「で、でも!任務で同行してた睦月って子と如月って子は覚えているんじゃないの?」

 

 僕は暁の怖い雰囲気から逃げるために司令官に問いかけていた。

 実際に僕の体は震え、呼吸が荒かった。

 暁の方を辛そうな目で見ていた司令官は僕の方へと向き、首を横に振った。

 

 「睦月と如月はあくまで任務で一緒になっただけだ。そして響の死を見ただけだ。別に深く関わって居たわけではないんだ。」

 

 「死を見たのは、深く関わった事にはならないの?」

 

 「ああ、死をみるなんてことは何度でもあるからな... 別に珍しいことでもないから、深く関わったということにはならないんだよ。」

 

 死を見ただけだ、死を見ただけで別に深く関わった訳ではない。それは僕に、この世界はどれだけ恐ろしい世界なのか、どれだけの命が失われる世界なのかを、実感させるのには十分な言葉だった。




 誤字、脱字、アドバイス等があれば宜しくお願いします。いや、ガチで


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強襲(笑)

 うっへーーーーーー......

 なぜこんな事にしてしまったんだろうと思う自分がいる。... だが、後悔はしていない!!!


 あれから少し時間が経ち、皆それぞれ落ち着きを取り戻してきていた。

 僕はというと、あらためて死の恐怖、この世界の理不尽さを実感した。

 

 コンコン

 

 「失礼するぞ」

 

 すると慣れた感じのノックをして、一人の女性が入ってきた。

 見ると、黒く艶のある髪を腰まで伸ばし、頭にアンテナ?を付けているとっても背の高い女性だった。

 もしかしたら司令官と同じくらいじゃないだろうか。

 

 皆も入ってきた人物が誰か気になるのか、一斉にドアの方へ視線を移した。

 

 「先程、執務室の下の階にいた夕立から、何か上から物凄い音が聞こえたと話があったんだが...何かあったのか?」

 

 すると女性が司令官に質問を投げ掛けた。

 

 恐らく、いや間違いなくさっきの壁ドンの音が聴こえたんだろう夕立という子が、この女性にその事を報告して、その事が気になったのだろう。

 司令官も少し困った様子で、どう返事を返せばいいのかと、視線を泳がせている。

 

 「あー、その、なんだ、電が転けたんだよ... うん」

 

 「なに!?それは本当か!!?」

 

 「え''っ!?」

 

 悩んだ結果、司令官は電ちゃんが転んだ事にしたようだ。

 それを聞いた女性は司令官に物凄いスピードで詰めより、本当かと確認をとっていた。そのときの女性の顔は... やめておこう。多分、夜寝られなくなるから。

 そして電ちゃんは司令官の言葉に驚き、さらにそれを聞いた女性の反応に驚いているようだった。

 それはそうだろう、だって勝手に『電が転けた』とドジッ娘のレッテルを貼られていってるんだから。

 

 「・・・・・・」

 

 するとその女性は無言で電ちゃんの方へと向き直り、ゆっくりと近づいていき、傍まで行ったと思うと電ちゃんの体をペタペタとさわり始めた。

 

 「ひゃっ!?な、何をしてるのです!?」

 

 「いや、怪我をしていないかみているんだ。」

 

 「いやいやいや!それとは絶対関係ない所まで触ってるのですぅぅぅううう!!!」

 

 「フッ、甘いな。私はお前が転けたところを見ていないんだ。だからどこを打ち付けたのかわからないだろう?だから、体全身くまなくチェックしてるんだ」

 

 明らかに関係のないところを触る女性に電は抗議するように叫ぶと、逆に残念な正論を返されてしまって、しかも触ることに理由を与えてしまい電は「あ... 」と何かを察したように脱力して女性のされるがままになった。

 すると女性は調子に乗ってきたのか服のなかにまで手を入れて電の体をまさぐり始めてた。

 

 ビクッ

 

 流石にこれには驚いたのか電の体が軽く跳ねた。

 

 「フフフ... フフフフフフフフフフフフフフ」

 

 「ヒィッ!!!」

 

 その時の女性の顔が正にトラウマもの並みに凄かったので、僕は情けない悲鳴をあげて司令官の後ろに隠れてしまった。

 そもそも僕は面識がない人にたいしては、かなり怖いと思うようになっているのに、更に怖い顔をされれば正にトラウマものといっても過言ではなかった。

 

 「あ... お、おい... そ、そろそろ確認できただろ... ?だ、だから離してやったら... 」

 

 司令官が顔をひきつらせながら、女性に止めるように言うが、まるで聞こえていないのかその手は、恐らく胸辺りまでのぼり....

 

 「ひにゃぁぁぁああああ!!?もう止めるのです!!!!!!!!」

 

 ズガンッ!

 

 流石に我慢の限界だった電が叫び声をあげ、なにか鉄のものでナニカを殴ったような音がした。

 

 この時、僕は女性の顔が怖くて司令官の背中に顔を埋めていたから、音がしたときに顔をあげてその音の発生元を見ると、魚雷をもった電ちゃんが立っていてそのそばにさっきの女性が倒れていたので、何が起こったのかと頭が混乱していた。




 誤字、脱字等があれば宜しくお願いします


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二度目の自己紹介

 読み返してみれば電が部屋を出ていっていたということを忘れていた!

 と、言うわけで第34話「その理由」の冒頭にて電が帰ってきたことを後付けさせてもらいましたスミマセン!


 さっきの女性が倒れてから、しばし呆然としてると司令官が取り敢えず自己紹介をしようと、どう考えてもこの状況から逃げたいと思っているんだなぁと思わせるようなことを言った。

 

 「そ、それもそうね」

 

 「そう言えばまだ自己紹介してなかったわね... 」

 

 「な、なのです!」

 

 司令官のこの状況をなんとしても変えたいという思いが伝わったのか、はたまた他の皆も同じことを思っていたのか満場一致で賛成した。

 僕はというと、まだプルプルと震えていた。主に倒れている女性を視界に入れないように。

 

 「私の名前は暁よ、宜しくね」

 

 すると暁と名乗った女の子が、司令官の影に隠れて怯えている僕の顔を覗きこみながら挨拶をした。

 僕は顔をあげて暁ちゃんを見ると、どうやら握手を求めているようで、こちらに向かって手を差しのべていた。

 

 「・・・・・」

 

 僕は恐る恐る手を伸ばし、暁ちゃんの手を握った。

 すると、暁ちゃんはその手を握り返し僕に笑いかけてきた。

 初めての握手をした僕はその手を離さずニギニギと何回も握っていた。

 

 「ず、ずるいのです!!私も握手するのです!!」

 

 「そ、そうよ!暁ねぇだけずるい!」

 

 するとその事に不満を持ったのか、電ちゃん達が僕に握手しようと詰め寄ってくる。

 

 「はいはい二人とも!本来の目的を思い出しなさい」

 

 その事に暁ちゃんは呆れた様子で本来の目的である自己紹介をするように二人に促す。

 

 「あっ、そうね... 。べ、別に忘れてた訳じゃないんだからね!私の名前は雷よ!宜しくね!!」

 

 「あ、あらためて... 私の名前は電なのです!宜しくなのです!!」

 

 そう言って二人はよっぽど握手がしたかったのかパッと手を差しのべてきた。

 そんな様子に僕は苦笑いを浮かべながら二人の手を握った。

 司令官たちを見てみると何処か微笑ましそうに僕たちを見ている。なぜに暁ちゃんまで微笑ましそうなんだ...

 

 因みに電とは司令官の意識が無いときに自己紹介をしていたり...

 

 「ぼ、僕の名前は響です... 。そ、その... 宜しくお願いします!!」

 

 僕は自己紹介など極稀にしかしたことがなかったために最後の言葉を少し大きな声で言ってしまった。

 そのことを少し恥ずかしく思った僕は顔を紅くしてうつむいてしまった。

 

 「「宜しく」」

 

 すると三人は僕に笑顔を向けて改めて宜しくと大きな声で言った。

 僕も満面の笑顔を向けてこう言った。

 

 宜しく、と

 

 

 

 

 「私は長門だ。秘書官ではないが提督をちょくちょく助けてやっている。これから同じ鎮守府の仲間どうし、宜しく頼むぞ」

 

 「「え''」」

 

 いつの間にか復活し提督の真横にいた女性、長門さんが僕に握手を求めるように手を差しのべていた。




 短いですねスミマセン!

 誤字、脱字等があれば宜しくお願いします!!


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すぱしーば

摸写じゃないけど響を描いてみました!

 
【挿絵表示】


どうですか?まだまだ下手ですけど頑張って上手く描けるようになります!!多分...


 ガタガタガタガタガタ

 

 「ひ、響... ?」

 

 いつの間にか長門さんがいたことに驚いて呆然としていた僕は、気づいたかのようにハッとすると、司令官の背中にくっつき長門さんから隠れるように涙目になりながらガタガタと震えていた。

 その事に驚いた暁が声を掛けてくるが、僕は恐怖のあまりまるで聞こえていないかのように司令官の背中に顔を埋めていた。

 長門さんも少し驚いているようで、顔は見えないが焦っている様子がひしひしと伝わってくる。

 

 「て、提督... 私はこんなに怯えられるような事をしたか...?」

 

 「「したな(のです)(わ)」」

 

 心配する長門さんが聞くと、長門さんが怯える原因をした事を肯定する声が無慈悲にも僕以外の全員から送られた。

 その事に長門さんは目を真ん丸にして固まってしまった。

 まさか肯定するとは思っていなかったのだろうが、まぁ... あんだけの事をやっていたら僕でなくても怯える娘はいるだろう。

 

 「さ、長門さんは置いといて... 響~、大丈夫よ~。何にも怖いことなんてないわよ~」

 

 暁は長門さんを放置することにしたらしく、僕を落ち着かせるために優しい声色で話しかけてくる。

 

 「そうだぞ~。怖い人は今は固まってるから大丈夫だぞ~」

 

 「なのです!響ちゃんは私が守るのです!!」

 

 「ちょっと電!!響を守るのは私の役目よ!響、もっと私に頼っていいのよ?」

 

 皆口々に僕のことを落ち着かせようと声をかけてくれる。

 その甲斐あってか僕の震えはだんだんと収まっていって、落ち着き始めてきた。

 その間、長門さんは未だに固まったままで、皆に居ないかのように扱われている。

 僕でさえも、意識しなければ存在を感じないほどにまでになっていた。もちろん、意識なんて欠片もしないが。

 

 「ありがとう...すぱしーば」

 

 「っ!?」

 

 僕がお礼を言うとなぜか暁ちゃんがすごい驚いている様子で、目を真ん丸に見開いていた。

 暁ちゃんのみならず、司令官も目を細め、何やら僕が言ってはいけないことを言ったような雰囲気を醸し出していた。

 僕は何がどうなってるのかわからず混乱し始めていた。

 

 「響... 今、なんて... ?」

 

 「え?ありがとうって言っただけだよ?」

 

 「違うその後よ!」

 

 その後と言われて思い返せば確かに何か言ったような気がするんだけど、何を言ったかは覚えていない。

 確かすぱ... すぱ... スパゲッティー?ダメだ思い出せない。

 チラリと司令官の方を向くが細い目で僕を見てるだけで特に何も返事をしない。

 

 「何かを言ったような気がするんだけど... なんだったかな?」

 

 僕は尋ねるように暁ちゃんに言う。

 

 「へ?あ、あぁ... 覚えてないのね... 」

 

 何処か落ち込んだ様子で落胆した暁ちゃんは何処か悲しみのオーラを纏っていた。

 その落ち込みように何を言ったのか教えてくれそうもなかったので、暁ちゃんの隣にいた雷ちゃんを見る。

 一瞬電ちゃんと雷ちゃんのどっちに言ってもらおうか迷ったなんてこの二人には死んでも言えないと思いながら雷ちゃんをみていたなんて死んでも言えない。

 

 「しょうがないわね!教えてあげるわ!さっきねぇ... なんて言ってたかしら... あれ?」

 

 「はぁ... 雷お姉ちゃんはしっかりとしているけど何処か抜けているのです。しょうがないから電が教えるのです。さっきは確かすぱしーば?って言ってたのです」

 

 「うっ、うるさいわね!それくらい覚えていたわよ!響、すぱしーばよ!わかった?」

 

 雷ちゃんが教えてくれようとしたけど覚えてなかったみたいなので、電ちゃんが雷ちゃんが抜けてる事を言いながら、さっき僕が発した言葉を教えてくれた。

 その事に見栄をはった雷ちゃんが電ちゃんが教えてくれたのにも関わらずもう一回教えてくれた。

 

 すぱしーば?どう意味なんだろ...




 誤字、脱字等があれば宜しくお願いします☆


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電ちゃんって怖いね

 バイトがぁ!!!しんどすぎるぅ!!!夜型の俺には、無理だぁぁぁぁぁあああ!!!

 ってか想像力落ちたかな?なんか書くことが思い付かなくなってきた... ってかお腹すいてヤバイ... グハッ


 「すぱしーばって何?」

 

 すぱしーばが何なのか凄く気になった僕は、真っ先に反応した暁ちゃんに聞いてみることにした。

 

 「え...あ、あぁ... 。すぱしーばは確か... ありがとう... だったような気がしないでも無いけど... 」

 

 「ありがとう... か」

 

 暁ちゃんは少し曖昧に教えてくれたが僕は何故だかそれで合っているような気がしてボソッと呟いてみた。

 すると横で司令官がうんうんと頷いているのが見えて、ありがとうで合っていることがわかった。

 

 「響が毎日口癖のように言っていた言葉だが... 意味を知らずに言っていたとなると... いや、でもまだそうと決まった訳じゃ... 」

 

 (横で長門さんがブツブツ言っていて超怖いんですけど!!?)

 

 「ん?長門... ちょっと響から離れてやってくれ」

 

 司令官が僕が震えていることに気づいたのか助け船を出してくれた。

 

 「え?何故私がこんなにも可愛い娘から離れねばならんのだ?」

 

 「離れてクダサイ」

 

 「ヒィッ!!!?」

 

 長門さんが嫌だという顔をして僕から離れることを拒否したが、その直後に最後らへんを片言にして電ちゃんが離れるように注意すると、長門さんは何処か怯えながら離れていった。

 そこで僕はようやく恐怖から解放された... ような気がしただけで今度は別の意味で恐怖していて、ガチガチと歯を鳴らしながら震えていた。

 回りを見ると、僕だけじゃなく皆も顔をひきつらせて少し後ずさりして怯えていた。誰にとは言わないが...

 

 「と、取り敢えず今日はもう休んで明日響の訓練をするから暁、任せたぞ!」

 

 「え... あ、うん...........って、え!?」

 

 「じゃ、じゃあ俺はもう疲れたから寝るぞ!じゃあな!!」

 

 司令官は早口で明日の予定を言って、俺は寝る!!と言い執務室を出ていった。

 暁ちゃんがその事に驚きの声をあげていたが、気にすることなくドアを押し開けて出ていってしまった。

 よっぽど逃げたかったのだろう。誰からとは言わないが

 

 「司令官... いったいどうしたのです?」

 

 「き、気にしない方がいいわよ!きっと... ハハ... 」

 

 「そ、そうよ!気にしたら負けよ!... ハハ... 」

 

 「ガタガタガタガタ」

 

 げんきy... ゴホン、電ちゃんが何で司令官が逃げるようにして出ていったのか本当にわからないのか疑問符を浮かべながら首を傾げていた。

 その疑問に暁ちゃんと雷ちゃんが答えたがどちらも理由を知っているので最後に乾いた笑みを浮かべていた。

 僕?僕はねぇ... 見ての通りガクブルさ!

 

 「じゃあ私たちも帰ろっか!」

 

 「そうね、響を私たちの部屋に案内しなきゃいけないしね」

 

 「電が案内するのです!!」

 

 「一緒に行くんだから誰がとかないわよ?」

 

 「じゃあ電が響ちゃんの横を歩くのです!!」

 

 暁ちゃんの案に皆賛成といった感じに、僕をほったらかしにして部屋の案内をすることになった。

 電ちゃんは僕を案内すると言ったが、雷ちゃんに一緒に行くんだから全員が案内してると指摘され、じゃあ僕の横を歩くと言い、僕の近くに寄ってきて僕の手を握ってきた。

 正直、電ちゃんには横にいてほしくないのだが... あっ、別に嫌いとかそういうんじゃなくて.... なんというか... その、怖いんだよね電ちゃんが... 何でかとは言わな(ry

 

 長門さん?ふっ、何時の間か姿形もなく消えていたよ... 長門さんも逃げたのかな?




 電ちゃんって実は腹黒だったりして... ヒィッ!!!

 誤字、脱字等があれば宜しくお願いします♪


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お風呂~♪

 今日は皆さん、今回はお風呂回です... はい、別にエロはありません。

 残念!というより、そんな描写書けません、創造力が足りません!


 「じゃあお風呂行きましょお風呂♪」

 

 司令官も長門さんもいなくなって暁ちゃん達の部屋に行くのかと思ったら、暁ちゃんがお風呂にいこうと言いだした。

 あまりにも予想外のことだったので僕は固まってしまった。

 

 「なに固まってるのよ響?ほら、さっさと行くわよ!」

 

 「ちょっ、ちょっと待って!?これから部屋にいくんだよね?ね!?」

 

 「えぇ、いくわよ?でもどうせ部屋に入ってもまたお風呂に入りにいかないといけないから、どうせならってことでお風呂に行くの」

 

 「暁ねぇ!早くぅぅぅ~!!」

 

 「はいはい。さっ、行くわよ」

 

 暁ちゃんに聞いてみるとさも当然かのように言ってきた。

 暁ちゃんに聞いている間にまだ行かないのかと、雷ちゃんが促す。その隣で電ちゃんはうんうんと頷いている。

 

 はぁ... どうやら僕に逃げ道は無いようだ。

 というかこうなったのも全部司令官せいだよ!

 

 司令官に対し責めるような思いをしながら、僕は暁ちゃんに手を引かれてトボトボと歩いている。

 その際、電ちゃんが思い出したかのように僕の隣に来て手を握ってきた。

 

 「着いて... しまった」

 

 僕はそう嘆きの声を漏らしながら膝をついて、温泉と書かれた暖簾の掛かった入り口を見ていた。

 それを見て暁ちゃんはどうしたのかと不思議そうな顔をしていた。いや、よく見れば他の二人もそんな顔をしていた。

 

 「どうしたの?」

 

 本当に不思議だったのか雷ちゃんが聞いてきた。

 

 「いや、何でも... ないです」

 

 「何で敬語?」

 

 「き、気にしないで!!」

 

 いや、本当に気にしないでください... 気にしてもらったら今から女の子とお風呂に入るのを自覚しちゃうから... 。

 

 と、そんなこんなをしながら脱衣所に入りに、服を脱いでいく。正確には僕以外の皆だが。

 無心無心無心無心... あぁ... 駄目だどうしても意識してしまう。ハッ、そうだ!皆を野菜だと思えば... ってそんなの思えるわけないじゃん!!

 うぅ... ほんとどうしよぅ

 

 「何やってるのよ、早く脱ぎなさいよ」

 

 「え!?」

 

 いつの間にか着替え終わっていた暁ちゃんが、早く脱ぐことを促してきた。

 

 「えじゃないわよ... 脱がないとお風呂に入れないじゃない」

 

 そうだけど... そうだけども... !どうしても脱げない!!

 だってだってそうじゃん?まだ見たこともない女の子のはだかを僕がその思いを持っただけで簡単に見れるんじゃん?でも僕は今女の子なわけで... でも男の子だったじゃん!?なのにどうして服を脱げようか!!

 ここで服を脱げるのは真のHE☆N☆TA☆Iだけだぁぁぁ!!!

 

 「ん~... もしかして服を脱げないの?じゃあ私が脱がせてあげるわ!」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 はい、脱ぎました。いや、しょうがないじゃん... まさか脱がしにかかってくるとは思ってなかったし、それに脱がされるくらいだったら自分で脱ぐ方がよっぽどまs... でもないか....

 

 というわけで今体を洗おうと皆でお湯から出ているところです。

 はい、ここでストォォォップ!!ぼく、女の子の体の洗い方とか、長い髪の毛の洗い方とか知らないです!!どうしよう... もうみんなは洗い始めているしこのまま洗わないわけにもいかないし...

 え?普通にはだか見れてるじゃんって?残念でした、みんなタオルを巻いています。

 

 「ん?あぁ~... 私が洗ってあげるわよ。まだ造られた(・ ・ ・ ・)ばっかりだもんね」

 

 そんな僕の心情を察してか暁ちゃんがそう言ってきた。

 その際、造られたと言っていたがなんのことかは僕にはまだ分からなかった。




誤字・脱字等あればよろしくお願いします


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お風呂~♪つー♪

 何だかんだでもう40話... 長いような短いような、そんな微妙な感じです。といっても実際にカレンダーとか見れば半年というとても長い年月が過ぎたことがわかってしまいます。

 いろいろとお世話になりましたね!これからも頑張っていくんでよろしくお願いします!!

 追伸:響、愛してる......響は俺の嫁ですよ!!?誰にもあげないんだからね!!


 「うひゃっぅ、ぅんっ、や、やめぇ... 」

 

 僕は今、暁ちゃんに体を洗ってもらっているんだけど、女の子の体ってすっごく敏感なんだね... 。触られるたびにくすぐったくて変な声が勝手に出ちゃうよ。あっ、因みに素手で洗われています。

 なんでかって言われれば、女の子の体って凄く傷つきやすいみたいなんだよね。だからてで洗うんだって。

 

 「ちょ、ちょっと!変な声出さないでよね!!っ////」

 

 暁ちゃんがそう言いながら僕の顔を見てくる。もちろん、言われた僕も顔を上げて暁ちゃんを見るわけで、自然と上目使いに暁ちゃんを見ていた。

 その時の僕は若干顔を赤くして、息が荒くなっていたから、端から見ればそうとう......その... え、エロかったとお、思う... かも...。

 だからか知れないけど暁ちゃんは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

 

 「あっ、暁ねぇ顔赤~い!!」

 

 「ほんとなのです!!」

 

 その事に気づいた雷ちゃんと電ちゃんはさっそく暁ちゃんを弄りにかかった。

 因みに二人は既に体を洗い終わってお湯に浸かっていたりする。

 

 体を洗う際、タオルを取って洗わないといけないためどうしても見えてしまったが、なんというかその... なんとも思わなかったとだけ記しておこう。

 

 「う、うるさいわね!響がこんな顔するのが悪いのよ!!」

 

 「え!?僕のせい!!?」

 

 暁ちゃんが僕を指差しながら、僕のせいと言うので、思わず叫んでしまっていた。

 

 でも、仕方ないとおもうんだ。だってそうじゃない?いきなり指を指されてコイツのせいなんて言われたら言い返したくもなるよね。その分僕はまだマシだったんだよね。

 しかし、暁ちゃんがそんなことを言うので気になった雷ちゃんと電ちゃんが僕の顔を見ようと湯から上がり近づいてきた。

 

 「どれどれ... ってこれは////」

 

 「響ちゃん、すごくエッチぃのです////」

 

 「で、でしょ?」

 

 「ぅんぁっ」

 

 僕の顔を見た二人が顔を赤くしたことに同意を求めた暁ちゃんが、僕の体を洗うのを再開した。

 その時、暁ちゃんの手が僕の胸に触れたせいで、さっきとは違う、ムズムズしたナニカが足の先から脳髄まで一直線に駆け巡っていった。そのせいか、さっきとは違うとてもエロい声が出てしまった。

 もちろん、顔だけで顔を真っ赤にしていた暁ちゃんたちは、その声を聞いて更に真っ赤になって黙ってうつむいてしまった。

 しかし、その手はまだ動き続けていて僕の体を綺麗に洗っていく。

 

 うん、もうあれだよ、死ぬほど恥ずかしいぃぃ!

 

 

 

 

 それから僕は何も覚えていない。

 いつお風呂から上がったのか、どうやって部屋まで来たのか、いつの間に寝ていたのか。

 気がついたら朝で、暁ちゃんたちも何があったのかよく覚えていないらしかった。でも、顔を赤くしながら教えてくれたんだけど、なんでだろう?




 皆さんはどんなジャンルの小説がお好きですか?

 俺はバリバリのファンタジー系... と思いきや、ぶっちゃけると面白かったらなんでもいいんですよ!

 ... 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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電ちゃんは暁ちゃんを弄りたい

 cso... チートしてないのに不正な動作が検出されるのはなぜ?

 それに、デスクトップが使いなれないからってクソスペのノーパソでやっているとブルースクリーンになってしまうのはなぜ?
 ってかキーボード壊れてるから文字が打てないんですけど?
 否、やる分には支障は無いけど...


 「訓練するわよ!」

 

 周りにたくさんの人がいる食堂で、恐怖に体を震わせながら朝食を取っていると、不意に一緒に来ていた暁ちゃんが、そんなことを言い出した。

 どうやらとてもやる気があるようで、その顔はうきうきとしていて、正直子供っぽかった。

 

 「訓練?」

 

 「そう、訓練。正確には航行訓練なんだけど、演習とも呼ばれているわね。」

 

 「提督に任されたって言われたから暁お姉ちゃん、何だか張り切ってるのです。」

 

 胸を張って僕に訓練とは何かを教えてくれる暁ちゃんに、電ちゃんがその様子に心当たりを見つけ、わざわざ口に出して言った。

 そして、その心当たりは当たっていたのか、暁ちゃんの顔が瞬く間に真っ赤になってしまった。

 

 「あー、電ちゃんは暁ちゃんをどうしたいのかな?」

 

 思わずそんなことを聞いてしまった。

 

 だってそうじゃない?暁ちゃんが何かをするたびに電ちゃんは心を抉りとるかのように何かを言ってくるじゃん?もしかしたら暁ちゃんを弄り殺したいのかな?... なんて

 

 「ナンノコトデス?」

 

 「イエ、ナンデモナイデス」

 

 無表情... 無表情ってこんなにも怖いんだなぁって想い知らされるほどの無表情。

 瞳にはハイライトがなく、何も写さない。まさに病んでる人の目だ。

 

 電ちゃん、マジぱねぇ...

 

 「なにやってんのよ、あんたたち」

 

 電ちゃんの表情にガタガタと震えていると、丸で救世主かの如く、雷ちゃんが助け船?を出してくれた。

 

 「な、なんでもないよ?ね、ねぇ?電ちゃん?」

 

 「えぇ、なんでもないのです。」

 

 「そ、そんなことより!早く訓練するわよ!」

 

 取り敢えず何でもないと誤魔化しておくと、いつの間にか復活していた暁ちゃんが、早くしようと促すかのように言ってきた。

 すると、雷ちゃんも早く訓練をしたいのか急いで朝食のパンとコーンスープを掻き込んだ。

 それを見ていた電ちゃんは少し飽きれ気味に見て、ゆっくりと食事をしていた。

 

 まるでどっちが姉なのか良くわからない姉妹であった。

 

 取り敢えず、僕もみんなが食べ終わるのに間に合うため、少し急いで食べる。

 

 「あ~... 響、付いてるよ?」

 

 「ふぇ?」

 

 暁ちゃんに言われ顔をあげると、目の前には暁ちゃんの手があって、僕の口の横に付いたスープをハンカチで拭いとってくれた。

 いきなりの事に吃驚している僕に、暁ちゃんは少し疑問符を浮かべて僕を見ている。

 

 「どうかした?」

 

 「う、ううん。なんでもないよ」

 

 「そう、それよりも早く食べないと皆に間に合わないわよ?」

 

 ハッと雷ちゃんと電ちゃんの方を向くと、あと二、三口で食べ終わるところだった。

 僕は急いで朝食を掻き込んだ。

 

 「そ、そんなに掻き込むと喉が詰まっちゃうわよ!?」

 

 「うぐっ......」

 

 「あぁっ、響ぃ!?」

 

 暁ちゃんに心配されるも、掻き込み続けていたら案の定喉に詰まってしまった。

 水... 水... と、苦しみに悶えながら探すように手を伸ばすと、横に座っていた雷ちゃんが慌てて水を渡してくれた。

 

 ゴクッゴクッ

 

 一気飲み、お酒ならば大変な事になるだろうが、此れは水。

 そもそも、喉がつまっている状態でそんなことは言ってられない。

 構わず飲み続ける。

 

 「ぷはぁっ!はぁ... はぁ... 」

 

 やっと苦しみから解放されて、酸欠状態の体を何とかしようと、空気を取り込むべく深い呼吸を何度もする。

 

 すると漸く落ち着きを取り戻してきた。

 

 「はぁ、私たちに合わせるために急ぐのはいいけど、そんなんになってまで急いでたら本末転倒よ?」

 

 「え、暁ちゃんが珍しく普通に難しい言葉を言ったのです!?」

 

 「え!?ソレ本当!?」

 

 暁ちゃんが僕に言い聞かせるように少し難しい言葉を交えながら言うと、それを見逃すまいと直ぐ様電ちゃんが驚きの含んだ声で割り込んできた。

 雷ちゃんもそれに本当に驚いていたのだろうか、目を真ん丸にして電ちゃんに便乗していた。

 

 これから先、こんなんでやっていけるのかなぁ...

 

 人との付き合いになれない僕はそんなことを不安に思うのだった。




 電ちゃんって腹黒いよね!

 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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妖精さん

 バイトの帰りです... 疲れた~ぁぁぁぁ... 。

 え?疲れを擦り付けるなって?何のことかなぁ!はぁ~ぁぁぁぁ... づがれだぁぁぁあ!!

 ま、でも寿司が貰えたからいっか♪べ、別に食べ物に釣られて始めたら訳じゃないしぃ!!


 所変わって今僕達は新しくなった工厰へと来ていた。

 

 「演習のときはね、出撃ドックから出るんじゃなくて工厰で艤装の受け取りをしてから、あそこにある演習用出撃場から海上へでるの」

 

 工厰を見たとき、以前の工厰を、妖精さんを思い出してしまい少し俯き気味だった僕に、暁ちゃんは優しく丁寧に教えてくれた。

 たった一度あっただけだけど心から接せれる唯一の人だったから、やはり居なくなってしまっては悲しい。

 しかし、説明している暁ちゃんはどこか微笑ましそうに僕を見て笑っている。

 

 「響、そんなに悲観することはないわ」

 

 「なんで?」

 

 「ふふ... だってほら、そこに... 」

 

 暁ちゃんはそういって顔を工厰の入り口へと向けた。

 吊られて僕もそっちの方へ向けると、なんとそこには、死んだはずの妖精さんとほぼ同じ容姿をした妖精さんがいた。

 

 「え?え?」

 

 「ひびきさん?どうしたのですか?」

 

 修正、なんと同じ妖精さんだった。

 

 一言、ただ一言話しただけでわかった。

 その妖精さんは僕を心配そうに見ている。それは初めて出会ったときも僕のビクビクした姿を見て、心配そうにしていた目と同じだ。

 それに、声まで同じだ。流石に姿が似ている上に声まで同じな生き物なんていないだろう。

 

 そして極め付きには、僕の事を覚えていた。

 

 どういうことだろ?え?あれ?

 

 僕の頭は混乱し始めていた。否、もう既にしていた。

 

 「あ、あれれ?ひ、響ったらなんで泣いてるの?ここは喜ぶところじゃないの??あれ?」

 

 「え... 」

 

 暁ちゃんに言われ、目の下を触ってみる。すると、そこには少ないとも言えないほどの、涙が流れていた。

 その事を確認するやいなや、僕の涙は止めどなく溢れてくる。わからない... わからなかった。どうして泣いているのか、どうしてこんなにも心が喜んでいるのか。... わからない。

 人の事を思って、涙を流した事がないから... どうしていいのかわからなかった。

 

 「ひびきさん、かなしいです?」

 

 妖精さんが僕の顔を覗き込むように問うてくる。否、実際には下から見上げているだけだが。

 妖精さんの横にポタポタと大粒の涙が零れ落ちる。

 

 わからない... だけどもこれだけは言える。

 

 「ううん... 嬉しいんだよ」

 

 「それはよかったです!なればさっさとぎそうをおわたししますので、くんれんがんばってください」

 

 「うん、すぱしーば(ありがとう)

 

 妖精さんに感謝の言葉を贈る。すると、今度はありがとう自体がすぱしーばへと変換され、そのまま言った。

 しかし、僕にとって、この体にとって、この言葉が最も感謝を込めた言い方なんだって僕は思った。

 

 「さぁ、響!泣いてないで演習行くわよ!!」

 

 未だに涙を止めきれていない僕に暁ちゃんが声を掛けてくれた。

 

 「うん、そうだね!僕、一生懸命頑張るよ!!見ててね... 司令官」

 

 ここには居ない、司令官へと言葉を贈る。当然聞こえては居ないだろうが、僕はそれを言うだけで何か変な気持ちが込み上げてきた。

 

 それを見た暁ちゃんは驚いて、『司令官はやっ!?』等と呟いていたが、僕には何のことか理解できなかった。




 ふぅ~ぅ。

 誤字、脱字等があればよろしくお願いしまっすぅ~♪

 やった~寿司だぁぁ!!!


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艤装

 響可愛い響可愛い響可愛い響可愛い響可愛い響可愛い響可愛い響可愛い!!!!

 はっ!!ど、どどどど、どうも!

 ど、どうぞごゆるりと読んでいただければ幸いです!で、では...


 「うわぁあ... 」

 

 僕は今、初めて見る自分の艤装に驚きを露にしていた。

 

 最初に思ったことは、鉄の塊だった。しかしよく見ると、僕の腰に丁度はまるくらいの小さな、端と端が繋がっていない円形を描く途中の輪っかと、その後ろに恐らく背負う部分であろう場所に、大きく重そうな煙突があった。その煙突の周りには少ないながらも機銃が置かれており、航空機対策もばっちりとられていた。

 そして背負うものの裏側を見てみると、そこには錨が取り付けてあり、これもしっかりとしていて全てが鉄でできている常人が持てば重すぎて持ち歩くことすら困難なくらいだろう。

 

 「これが艤装。これを背負うと駆逐艦程度の砲撃だと弾くことも出来るほど頑丈になるわ。ま、当たり所が良くないと弾くことは出来ないだろうけど」

 

 「弾けないとどうなるの?」

 

 「それは... だ、大丈夫よ!?いっ、一発程度なら耐えられるわ!!」

 

 暁ちゃんが艤装の事について説明をしてくれるが、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。

 すると暁ちゃんは少し考え込むようにしたので、かなり不安になっていると、暁ちゃんは慌てて一発くらい大丈夫と言ってきた。

 正直、全然安心出来ないんだけど。

 

 「それって、二発でも受ければ死ぬってことだよね?」

 

 少しジト目気味に... 元々ジト目だが雰囲気をジト目にして、暁ちゃんに問いただす。

 すると案の定暁ちゃんは取り乱してしまい、焦りを隠せないでいた。

 

 「そ、そんなことないわよ!?く、駆逐艦程度なら... うん、たぶん耐えられるわ!?」

 

 「・・・・・」

 

 無言の威圧。

 

 つまり暁ちゃんが言いたいのは、一発程度ならどの艦から貰っても大丈夫だが、駆逐艦以外は二発でも受ければジ・エンドってことだ。

 ... これってそうとうヤバくない?

 

 「そ、そんなことより!ぶ、武器を紹介するわ!」

 

 「逃げた... 」

 

 「に、にに、逃げてないわよ!!」

 

 暁ちゃんが無理矢理話を変えようとしたことに僕が指摘すると、暁ちゃんは慌ててその言葉を否定した。

 正直説得力もなんも無いです。

 

 それより、僕も話を進めたかったので素直に流してあげると、暁ちゃんは嬉々として武器紹介を始めた。

 

 「これが、大抵の駆逐艦の主砲となる12.7cm連装砲よ!」

 

 そういって出されたのは、台形のような形をした物に、恐らく砲門だろうか、二対の円筒状の細長い穴の空いたものがついたものだった。

 その主砲にはアームのような鉄の部品が伸びており、何かに繋ぐような感じだった。

 

 「ん?あぁ、そのアームね。それはさっきの艤装に繋ぐためのアームよ。今回は航行訓練だから外してあるの。」

 

 その事を疑問に思っていると、暁ちゃんが丁寧に説明してくれた。

 航行訓練とは読んで字のごとく、本当に航行練習をするだけのようだ。

 

 少し、主砲を触ってみる。それはやはり鉄で出来ているのか硬く冷たかった。しかし、触っているとなにか大切なものを感じられる。

 

 ピカッ!!

 

 すると突如、触れていた主砲が光を放ち出した。それは、3秒くらい光続けるとやがて光は収縮していき、消えた。

 あまりにも突然のことだったので、声も出せずに光にやられた目に手を当てていると、漸く目が見えるようになってきた。

 

 「はじめまして!ひびきさん。」

 

 「え?誰... ?」

 

 目を開けた先にいたのは、今まで見たことない種類の小さな影で、それは白を貴重としたセーラー服を着た、主砲の上でだらけながら喋りかけてくる変な妖精さんだった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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12.7cm連装砲の妖精

 なんか今回は微妙かもです。でも、読んでください。何があってもこの小説から目を離してはいけませんよ?

 ほら、あなたの後ろに猫を吊るした、奇妙な妖精さんが──いるかもしれないですからね。


 「だれ... ?」

 

 今僕の目の前には、12.7cm連装砲の上に俯けに気だるそうに転がっている見たこともない妖精さんがいた。

 今まで、あんまり多くの妖精さんを見たわけではないが、その妖精は、工厰の妖精さん達と違う雰囲気を纏っており、一目で違う存在だと気づいた。

 

 「だれって、12.7cmれんそうほうのようせいですよ?」

 

 「え?」

 

 「え?」

 

 どういうことだろうか、この妖精さんはこの鉄の塊の妖精だと言い出した。

 僕はさっきまでも訳がわからなったのに更に訳がわからなくなってしまった。

 

 「わからないですかそうですか」

 

 妖精さんは、何処か気だるげそうに... 悲しそうに返してきた。

 

 「ご、ごめんなさい... 」

 

 「... はぁ、あんた達なにやってるのよ?あ、これが茶番と言うやつなのかな?」

 

 悲しそうな妖精さんを見て、思わず謝ってしまった僕を見て、暁ちゃんが呆れたように言ってきた。

 茶葉... というのはよくわからないけど、お遊びの事を指していることは何となくわかった。

 

 「そうですね。けっこうおもしろかったのですが、しかたがないです」

 

 「え、え?」

 

 すると指摘された妖精さんが、さっきまでの悲しい雰囲気を消し去り、僕で遊んでいたことを認めた。

 

 ど、どういう事なの?え?これって遊びだったの!?

 

 と、マジになって謝っていた僕は、恥ずかしさに顔を赤らめて俯いてしまった。

 

 「ふふふ、響はなかなか弄り甲斐があるわね」

 

 「でしょ?おもしろいでしょ?」

 

 二人は性格がすこし似ているようで、息が合ったのか、二人で見つめあったあと、ガシッと、手を握りあっていた。

 

 なんなのこの二人...

 

 「で!結局、その子はどういう存在なの!!?」

 

 二人の息の合いように、少しイラッときた僕は、全体的にきつく声を荒げて質問した。

 でも、別にいいよね!僕を弄って遊んでる二人にはこのくらいが丁度なんだよね!

 

 「「ごめんなさい」」

 

 と、僕がぷんぷんって感じに怒っていると、暁ちゃん達は僕の機嫌をとろうと謝ってきた。

 べ、別に許してあげなくもないけど... もうちょっと心を込めて言ってほしかったなぁ!

 

 この体になってから、本当に感情の表現が激しく、僕は結構この体に振り回されていたりするが、心の奥の気持ち的には同じなので僕はその事に気づかなかったりしている。

 

 「紹介するわ。この妖精さん... 12.7cm連装砲の妖精さんは、文字通り12.7cm連装砲に... うーん... この場合は取り憑いているって言えばいいのかな?まぁ、武器の妖精さんだと思えばいいわ」

 

 「ふーん」

 

 取り合えず全然わからないので、その思を伝えるべく暁ちゃんに目を向ける。

 

 「って響が全然理解できてない目をこっちに向けてる!?」

 

 「ひびきさん、わかりませんか?」

 

 「わからない」

 

 その目が通じたのか、暁ちゃんが吃驚して反応するが、妖精さんは冷静に僕に聞いてきた。勿論、答えは即答だった。

 

 「じゃあわたしがせつめいしますね。わたしたちそうびようせいは、それぞれのそうびにひとりづつやどり、かんむすさんたちのてだすけをするそんざいです。」

 

 「例えばどんなことをするの?」

 

 「そうですねぇ、わたしたちのやくわりはきほん、かんむすさんたちがこえにだしたしじをおのおののそうびにつたえ、それをじっこうするやくめをもっています」

 

 「つまり、助手みたいなもの?」

 

 「それがいちばんちかいかもですね」

 

 暁ちゃんに代わって妖精さんが説明することになったのだが、さっきと比べて細かく、丁寧に教えてくれるためすぐに理解できた。

 まぁ、それを見た暁ちゃんが口を開けて絶望の表情を浮かべていたのはなぜだかわからないのだが。いや、わかるにはわかる。恐らく説明役をとられると思ったのだろう。

 

 そんなことは置いといて、妖精さんにはそれぞれ種類があり、先ずは艤装の点検、武器の開発、新造艦の開発を行う工厰妖精さん。

 次に、武器、艤装等に宿り、艦娘の手助けをする装備妖精さん。

 そして最後に、見たことはないが羅針盤妖精さんなるものが居るらしい。

 あ、あと妖怪猫吊るしなる珍妙な存在も確認されたことがあるらしいが、見た人が気がついたら母港に帰っていたらしくて、その真偽は定かではないらしい。

 

 と、ひとまず妖精さんの説明は終わった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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魚雷の妖精さん

 オリジナル作品『異世界でポーション屋を開こう!』を書き始めましたので暇であればどうぞ気楽にお読みください。

 あっ、もう一つ小説が増えたからって投稿できないとかなりませんのでご安心を。むしろこっちが本命ですから。あっ、それとお気に入り登録してくれる人が250人を突破しました。正直驚きすぎて腰が抜けそうです...抜けないけど。

 まだまだ拙い文ですがどうぞよろしくお願いします。


 以上、マリオンより。


 「それで、わたしのなまえよびにくいですから、なにかかんがえてほしいな~なんておもってます」

 

 「な、名前か... 」

 

 妖精さんが名付を要請してくるが、僕は名前を付けたことがなく、少し不安になりながらも考える。

 

 ん~... 12.7cm連装砲の妖精さん... う~ん...

 

 「そんなにむずかしくかんがえなくてもいいんですよ?」

 

 「あ、じゃあほうちゃんで」

 

 「「はやっ!?」」

 

 別に難しく考えなくてもいいということなので、候補にあった簡単な名前を付けてあげることにした─なぜほうちゃんかと言われれば、単純に砲だからほうちゃんだ─。

 その事に妖精さんは驚きはするが、名前自体は気に入ったのかなにかキラキラとしている。

 

 「あっ!あねえちゃん、ずるいです!」

 

 キラキラしている妖精さんを眺めていたら、横からこれまた可愛い妖精さんが話しかけてきた。

 

 「だれ?」

 

 「あー、このこはわたしのいもうとで、ぎょらいのようせいです」

 

 「ぎょらい?」

 

 「61cm三連装魚雷。魚雷は魚型雷撃の略で、海の中を直進して進む当たれば戦艦をも撃沈できる駆逐艦等にとっての主砲みたいなもんよ」

 

 僕の質問にほうちゃんと暁ちゃんが答えてくれて、暁ちゃんは負けるもんかと、さっきよりも詳しく説明するようになっていた。

 暁ちゃんの話に出ていた魚雷ってそういう意味だったんだ~、て今気づいた僕は悪くないはず。だって知らなかったんだもん。

 

 しかし、それよりも僕の武器は他にもあったようだ。妖精さんが出てきたところを見れば暁ちゃんの言う61cm三連装魚雷が二つあった。

 

 「二つだから二人いるの?」

 

 「ううん、わたしひとりだよ?」

 

 どうやら、二つあるからといって二人いるというわけではないようで、ほうちゃんが、二つある場合は一人で二つを操作するんだよって教えてくれた。

 

 「わたしもなまえほしー!」

 

 そしてやはり名前が欲しいようで、僕の足にしがみつき、よじ登ってきた。

 仕方がないので考える。べ、別に上目遣いが可愛くて考えるんじゃないんだからね!

 

 うーん... 魚雷だから... 魚ちゃん... 雷ちゃん... いや、雷ちゃんは紛らわしいからないや... 。じゃあ魚ちゃんでいいや...

 まぁ、気に入らないなら変えるしかないけど...聞いてみよう。

 

 「魚ちゃんは?」

 

 「おお!いいですね!やったーー♪」

 

 「いいんだ...」

 

 なんか某、魚が好きな高い声のあの人みたいな名前をどうやら気に入ったみたいで、妖精さん改め魚ちゃんは大いに喜んでいる。

 それを見て適当に考えすぎたことに少し罪悪感が湧くが、喜んでるしまぁいっかという考えにしてそのことから目をそらした。

 

 「よかったねーさかなちゃん」

 

 「うん!うれしい!!」

 

 うん、うん。大丈夫、大丈夫なはず...決して罪悪感など感じていない...うぅ...

 

 




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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背負います

 皆さんはどんなタイプの女性がお好きですか!?

 清楚な黒髪幼女ですか!?ツンデレ金髪ツインテ幼女ですか!?無表情で口数の少ないジト目幼女ですか!?それともエロの塊の幼女ですか!?

 え?お前はどうなのかって?俺はあれですよ、清楚な黒髪幼女ですよ!素直であればなおよしですけどね!


 「こ、これ本当に浮くの?」

 

 「勿論浮くわよ」

 

 僕は今、演習用の出撃ドックにいて今から進水というものをするらしいんだが、これ、どう考えても浮かないよね?ね!?

 こんなにも重そうな艤装を着けて海に浮かぶなんて、物理法則完全無視ですよ!?生身ですからね!?浮き輪でも浮かないよ!!

 というかそもそもこれ着けて持ち上げられるかの問題だよね!?暁ちゃんは大丈夫だって言ってたけど心配だよ!

 

 「ほら、さっさと着けた着けた」

 

 「えぇ... む、無理だよぉ」

 

 「無理じゃないわよ... 現にほら、私が着けているでしょう?」

 

 確かに暁ちゃんの小さいからだに似合わないほど大きい艤装が、その体に落ちないようしっかりと固定されているが、別段重そうな素振りは見せず、寧ろつけているときの方が軽そうにしている。

 しかし、どうしても僕にはあんなもの背負えるとは思えない。だって人間だもの。

 

 でも暁ちゃんは待ってくれないようで、いそいそと僕の艤装を持ち上げると僕の背中にくっつけた。すると、腰にあった半円形状の何かを固定するところが若干開き、そこに僕の腰があてがわれると直ぐ様閉じて僕の腰と艤装を固定した。

 その瞬間ずっしりとした重みが体にかかるが、エンジン音がなると同時にその重みは綺麗さっぱり消え去り、寧ろ先程よりも体が軽く、これならオリンピック選手も目じゃないと思えるほどだった。

 

 その事に僕は目をパチクリと瞬かせ、呆けた表情をしながら固まってしまった。

 

 「ほらね、大丈夫でしょ?」

 

 「う、うん... 」

 

 暁ちゃんが僕の表情を見て少し笑うと、確認をとってきた。しかし僕はまだ呆然としていてどこか上の空で返事を返した。

 

 「じゃ、着水しましょ!」

 

 「いやいやいや、無理だって!」

 

 「なに?まだそんなこと言ってるの?」

 

 「いやいや、背負えるのは納得したけど、これを着けて浮けるという要素が何一つとして理解できないから!!」

 

 早速海へと着水しようと言う暁ちゃんに僕が無理だという意思を伝えると、まだ言ってるのかと少し呆れ気味に言われた。

 その事に僕は理由を説明するが、暁ちゃんはハイハイこれ、ちょうハイテク技術ですよーと言いたげな表情で僕を見ていた。

 

 実はこの艤装一つ一つは妖精さんが作っているらしいのだが、人間にも作れるのかといえば無理の一言で押しきられるほど、ハイテクな技術が詰まっているという。

 妖精さんが作っているからこそ艦娘達は信用して使えるらしいのだが、僕は元々人間だったのでそんなこと信用できない。只でさえ対人恐怖症なのだから。あ、妖精さんは大丈夫なんだった。

 

 「ま、いいわ」

 

 「え?いいの?」

 

 なかなか海へと着水しない僕に暁ちゃんが諦めたのか、それとも僕に呆れてか、もういいと言ってきた。

 直ぐ様僕は反応して疑問を口にすると、暁ちゃんはニヤニヤとしながらうんと首を縦に振った。

 

 なんだか嫌な予感がする...

 

 「うん、だって... こうするからね!」

 

 「え... 」

 

 どんっ、と暁ちゃんが僕を海に突き落とす。なるほど、これが嫌な予感の正体か... などとは考える余地もなく、僕はただ突き落とされた事実だけを理解しようとして... 理解できなかった。

 思わず情けない声が漏れてしまうが、心のなかでは理解不能と結果を出した脳を無視してこう思っていた。

 

 (あぁ... 僕の人生終わった)




誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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津波にご注意を

 舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い舌痛い... 喋れなぁぁぁぁい!!

 っは!バイトでも痛みを我慢しながら滑舌悪く喋らなければならんのか!?地獄だぁぁぁぁあ!!!


 ドボォォンッ

 

 終わった、そう思ったときにはもう僕の体は海へと叩きつけられていた。僕が落ちたからだろうか、僕を中心に大きな波が立ち、まるで重いものでも落としたみたいに広がっていった。

 演習用の出撃ドックは、滑らかな坂になっているのだが、僕が落とされたのはちょっとした防波堤のようなところだった。なぜ坂からではないんだろうか。それは僕が坂の方へと向かうのを、絶対に浮かばない!と拒んでいたからだ。

 そんな僕を仕方なくその場で暁ちゃんは突き落としたのだろう。

 

 だから暁ちゃんの「あ、ヤバイかも... 」なんて声は聞いてないったら聞こえてない!

 

 「うぼっ!?うぼぼぼぼっ!」

 

 水面に叩きつけられたときに体と水面が平行になっていたため、顔が水に浸かり、息が出来ないことにパニックに陥りぼこぼこと大量の空気を吐いていた。

 急いで水から顔を上げると、ゼェゼェと大量の空気を肺に送り込みながら深く深呼吸をする。

 

 「あっぶな!?暁ちゃん、殺す気なの!?」

 

 パニックから復帰した僕は暁ちゃんへと怒鳴りかける。仕方がない、死にかけたのだから。あのままでは恐らく溺死していたことを考えればこれが普通の反応だろう。

 

 「あれ?」

 

 はたと気づく。なぜ、水に浸かって溺れていたはずなのに、顔を上げるだけで助かったのかと。どうして僕は水のなかで安定しているのかと。そしてなぜ、僕の体は全く水に濡れていないのかと。

 答えは簡単だった。

 

 「あれ?浮いてる?」

 

 そう、暁ちゃんの言っていた通り浮いていたのだ。それも一部が水に浸かっているとかそういうんじゃなく、体全体がまるで空気のように水に沈まなかったのだ。

 こんな重そうな装備を付けているのに、まるで無いかのように。

 

 そんな僕に気づいたのか暁ちゃんが走りよってくる... かと思えば、なんか凄い焦ってあわあわとしている。

 

 「どしたの、暁ちゃん。」

 

 「ど、どどど、どうしたもこうしたもないわぁ!?ヤバイ、司令官に怒られる!?」

 

 「なんで!?」

 

 どうしたのかと聞いてみたらなんか凄い動揺している。しかも司令官に怒られると言っているし、何かしたのかと聞いてみても返事はなくただひたすらあわあわとして焦りに焦っていた。

 あれ?と疑問に思う。

 水に浸かっていないはずの暁ちゃんの体全身が濡れていたのだ。なぜ?と周囲も確認してみる。すると、暁ちゃんの周囲に留まらず、僕を中心に洪水でも起きたかのようにびしょ濡れになり、付近においてあったいろんなものを水浸しにしていた。

 そこであっ!と気づく。そういえばさっき着水したときに、大きな波が出てたけどそういうことか!と。

 

 いやぁ、あれがこんなことになるなんて暁ちゃんも思っていなかっただろうね~。それにしても、いきなり僕を落とした暁ちゃんの因果応報(いんがおうほう)でもあるけど、少し可哀想だ。

 

 ま、同情はしないけど。だって因果応報だもの。ただ、運よく僕が濡れなかっただけの違いのことだもん。

 

 「あー、やっちゃったのです!?」

 

 すると演習場所で待っていた電ちゃんと雷ちゃんが待ちくたびれたのかこっちへとよってきた。

 電ちゃんはこの惨状をみて凄い驚いた声をあげた。

 

 「これは... 暁ねぇ、どうしたらこんなんになるの?」

 

 「ちょっとした好奇心、好奇心なのよぉ!だ、だから決して悪意があった訳じゃなくて!だから、だから怒らないでぇぇえ!!」

 

 「こ、これはどうにも止められそうにないわ... 」

 

 「な、なのです」

 

 雷ちゃんがこうなってしまった原因を尋ねるも、暁ちゃんは司令官に怒られると騒いでしまって、結局何も話さずに雷ちゃんが諦めてしまった。

 やっぱり暁ちゃんが可哀想になってきた... 仕方がない、同情してあげよう。

 

 それから僕は雷電ちゃんにこうなった訳を話し、皆で司令官に謝りに行くことになった。

 僕のなかで、これは暁ちゃんに対する一つの貸しにしようと心に決めた。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いしっま~す☆


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ごめんなさい


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 最近全然艦これをやっていない... 皆さんはやっていますか?やれば面白いんですけどねぇ... なんか続かないんだよなぁ。


 「「ごめんなさい」」

 

 僕、暁ちゃん、雷ちゃん、電ちゃんとで司令官に謝る。あっ、土下座はしていないよ、頭を下げるだけね。

 しかし司令官はなんのことかと頭を悩ませているようで、僕たちの謝罪は全く意味をなしていなかった。

 

 しょうがないので僕が説明してあげると

 

 「え、どゆこと?」

 

 この反応である。いやちゃんと説明はしたんだよ?ただ細かく言うのがめんどくさくて... それが原因?

 

 ということでさっきの説明を振り返ってみよう。

 

 『えーっとね、暁ちゃんが僕を押したらこうなった』

 

 うーん、完璧じゃないかな?これだったら僕ならわかるよ。

 でも司令官は困惑しているみたい。なんでだろ?あれ、暁ちゃん達までこっちを見て呆れているよ?おかしいな... 。

 

 「ひ、響... もう一回、今度はちゃんと細かく説明してくれるか?」

 

 「えぇ~... 」

 

 「いや、あれじゃわかんないよ」

 

 司令官が僕に細かい説明を求めてきたのでえー、と反論してみるも、あれじゃわからんと言い返されて僕はしょうがないなぁ~、と細かく説明した。

 

 「ふむふむなるほど... 」

 

 やっと理解してくれた... 。司令官はあれかな?アホの子かな?僕の説明が理解できないなんてきっとそうに違いないね。

 それにしてもさっきから司令官の視線が痛いほど僕の方に向いているんだけど... なんで?

 

 「なに?」

 

 「いや... なんでもない」

 

 流石にそんなに見られていると落ち着かないので聞いてみると、どこか諦めの混じった表情で言われた。だからなんで。

 

 「司令官ごめんなさい!ちょっとした、ちょっとした好奇心だったの!!」

 

 「ん、いや水浸しにしたことには別に咎めはしないが... 強いて言うなら響を突き落としたことに対しては、少し怒っているな」

 

 「ふぇ?」

 

 「いや、響は反応しなくていいぞ」

 

 暁ちゃんがもう一度謝ると司令官は別にそんなに気にすることでもないと言うが、そのあとに僕の事を言っていたので思わず反応すると、いちいち反応するなと言ってきた。僕、なんか悪いことした?

 

 「いくら艦娘だからって、丈夫だからって、もしものことがあれば大変なことになるぞ?だからいつでも注意深く行動していかなければ、いつかきっと悲しいことが起こる」

 

 「うん、ごめんなさい」

 

 「うーん、俺じゃなくて響に謝れば許してやるぞ」

 

 え!?僕!!?と、司令官の言葉に思わず反応しそうになったがなんとかその言葉を飲み込んで耐えた。うん、反応するなって言われたらちゃんと反応しないよ?

 

 「響、ごめんなさい」

 

 それにしても最近... なんだか思考が子供っぽくなってきたような... いや、気のせいかな?だって我慢できてるし。

 いやぁ、困ったもんだね!

 

 「響... ?」

 

 ふあぁっぅん... 眠たいや。そういえば今何時だろ?お腹も空いたなぁ... 。

 てか話が全然終わんない... 。

 

 「...........」

 

 あれ?なんかみんなの視線が... てか暁ちゃんはなんで涙目なの?なんでそんな救われないような顔してるの?あれ、僕のせい?




 誤字、脱字等があればよっろしく~デス♪


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海の上

 うーん、細かく書きすぎて話が進まないのか、単純に文字数が少ないからか... なかなか話が進まない。

 なんかアドバイスとかないですか?


 結局、暁ちゃんが僕に謝って話は終わったんだけど、その時に僕が考え事をしていて、その謝罪を無視した形になっていたので、取り敢えず僕も謝った。

 その際、暁ちゃんは別に嫌われた訳じゃないと知って大喜びしていたのは、暁ちゃんの目指すれでぃと随分違っているので内緒にしておこう。おっけー?内緒だよ?

 

 まぁ、そんなことよりも諸君。僕は一体どこにいると思う?

 

 ──正解は

 

 「海の上を歩けるって、なんか感動的!」

 

 海の上である。

 

 立っているのではなく浮いている、それは物理法則を無視した異例なことだ。どうやって浮力を得ているのだろうか... ?

 というかこれ、楽しすぎてヤバい!

 

 「やっほーい!」

 

 奇声を上げながら海の上を滑るように歩く。心地よい風が丁度いいくらいに顔にかかって最高だ。

 

 「なんであんなにはしゃいでるのかしら?」

 

 「「さぁ?(なのです)」」

 

 そんな僕に三人は不思議そうな顔を向けてくるが、僕はそれどころではなく、この広い海をすいすいと滑りまくっていた。

 しかしなぜだろうか?陸にいるときよりも、海にいるときの方が落ち着く.... これも艦娘だってことと関係してるのかな?

 

 それにしてもこんな経験を出来るとは、人生捨てたもんじゃあないね。

 

 「なんで変な顔しながらこっちに向かってきてるのよ... 」

 

 「いや、なんでもないさぁ」

 

 「それにしても響ちゃん、初めてなのに上手なのです!」

 

 電ちゃんに褒められた... そういえば無意識とはいえこんな不安定な海をよくも転ばずにいれたなぁと今さら気付く。

 

 「そうね!私に頼っても欲しかったけど、こんだけ出来ていれば、その心配も無いわね」

 

 雷ちゃんはよほど頼って欲しいのか、少し残念そうに僕を褒めた。

 まぁ、気持ちは嬉しいけどそんなに残念そうにされたら、罪悪感が...いや、なんでもない。雷ちゃんのせいじゃないんだから!

 

 それよりも、航行練習をしようと暁ちゃんに申し立てる。

 

 「あっ、忘れてた... てへっ」

 

 暁ちゃんは忘れんぼうらしく、忘れてたと言って下を出してお茶目な顔をして上目遣いで皆を見た。

 

 可愛い、可愛いけどそれは忘れてはいけないじゃん!と心の中で突っ込んで、取り敢えずジト目を送っておく。すると、雷ちゃんと電ちゃんも同じくジト目をしていたらしく、暁ちゃんが若干たじろぐ。

 

 あぁ、航行練習が始められるのは何時になるのか... いや、もうしたようなもんかな?

 

 「は、早く始めましょう?早くしないとおわらないわ!」

 

 忘れていたのに一番張り切っている暁ちゃんなのであった。これが矛盾... ?




誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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航行練習

 これは、俺の両親や、姉が言っていた話なんですが.... 昔、家に一枚のパズルがあったらしいんですよ。そのパズルは女の子が一人ポツンと立っているものだったらしいです。
 でも、そのパズルはよく怪奇現象が起きるようで、パズルに男の子が写り込んだりしたらしいです。

 酷かったのは階段で、よく幽霊が見えたらしいです。俺もよく黒い影を見ました。多分階段が13段っていうのがいけないんだと思うんですが、本当に怖いです。

 その事によく父が階段の下から上に向かって「降りてこいよ!」「悪さすんなっ!!」など叫んでいたそうです。

 余りにも怪奇現象が起きるので、そのパズルはお祓いして捨てたそうです。


 「速力27ノット、単縦陣!」

 

 暁ちゃんが指示を出すと、雷ちゃん、電ちゃんが即座に反応し、直ぐ様言われた通りに陣形を組み速度を調整する。

 僕はそれを見学して陣形がどういったものなのかを覚えることに頭を働かせていた。

 

 まず始めに単縦陣とは、その名の通り縦に並んで航行するということなのだが、的にたいして効果的に攻撃が出来、火力重視の陣形だ。

 

 「次!速力30ノット、単横陣!」

 

 次に組んだ陣形は単横陣で、指示を出された二人は直ぐ様陣形を再構築した。やはり洗練された動きで、隙がない。

 

 単横陣、敵に向かって横一列に並び、敵の攻撃を避けやすく潜水艦に対して有効打を与えられる陣形だ。主に敵の攻撃を避けたいときや、潜水艦が敵に含まれる際に使う陣形らしい。

 主にこの二つの陣形と、もう一つの陣形がよく使われるのだが、人数が足りないとのことで今回はお流れになった。

 

 「次!速力25ノット、梯形陣!」

 

 暁ちゃんがそう言うと、今度は斜めになるように並んだ。この陣形はあまり使われない... というより全く使わないらしいが、一応形だけはあるようでとくに利点となるような陣形ではない。

 

 と、今回は人数の関係でここまでしか出来ないらしいが、あと二つは陣形があるらしい。

 暁ちゃんがこれで終わりと近づいてくる。実際、今日は覚えることに徹するみたいで航行練習についてはしないとの事だ。

 

 「さて、これでやっと一段落ね」

 

 「そうね!そろそろお昼だしご飯食べに行きましょ♪」

 

 「なのです!今日は何を食べようかなぁ... 」

 

 皆、一息吐いてこれからの事を話し合っていて、雷ちゃんがご飯を食べようと言うと、皆賛成したようで電ちゃんが早くも何を食べようかと悩んでいた。

 僕は何があるとか知らないのでまぁ、美味しいものがあれば的な考えだった。いや、美味しくないものはないと思うけど。

 

 「司令官誘っちゃダメかな?」

 

 「「え?」」

 

 まだ人と接することに慣れていない僕は、一番頼っている司令官を誘えないかと問いかける。その質問に以外だったのか皆驚いた表情で僕を見ていた。

 

 「ん?どうなの?」

 

 「あ... あ、ああ、いいんじゃないかな... ?」

 

 「ほんと!!?」

 

 繰り返し問いかけると暁ちゃんは少々(ども)りながら教えてくれた。なぜ、吃っているのか?と疑問に思うこともなく僕は嬉しすぎて声をあげていた。

 司令官が居ないと、僕はマトモニ食事を出来る自信がなかったので、司令官を誘ってもいいと聞くと、嬉しすぎて声を出して喜んでしまったのだ。僕はどこか司令官に依存しているみたいで司令官が居ないと駄目みたいだ。

 

 「じゃっ、行こ行こっ!」

 

 僕はテンション上げ上げで執務室へと向かうのだった。




誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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ご飯のお誘い

 今回はちょっとこの話とは違う雰囲気で書いてみました。世に言う第三者視点ですね。

 まぁ、とりあえずはこんなもんかと思うのですが、どうでしょうか?おかしなところとかあればどんどん言ってくださいね?歓迎します。


 静かな執務室。書類にペンを走らせる音だけがこの場に存在し、仕事に集中できる素晴らしい状況だ。

 

 その部屋にはただ一人、白い軍服を着た司令官、または提督が居て、一人寂しく黙々と書類に目を遠していた。時に判子を押し、時にペンを滑らせる。なるほど簡単な作業だ。

 しかし量が尋常ではない。その書類の束は、執務室にある机の高さを超え、天井にまで届こうかとしていた。

 

 そんな静かな空間に、突如地響きかの如く衝撃が走る。

 

 「うぉっ!?な、なんだ!?」

 

 提督はこの地響きの原因を突き止めるべくして辺りを確認する。左から右へと視線を動かしていく。

 すると真ん中で目が止まった。そしてそこを見た提督の瞳は大きく見開かれ、あり得ないと言わんばかりに驚愕していた。

 

 例えるならばこう。いきなり目の前に気にかけている子が、息を切らし、真っ赤な顔で汗をかいた状態で自分の部屋に入ってくる。そんな感じだ。

 

 しかし現状はそこまでラブコメとはなっていない。いやなっているのかも知れないが、この提督にはそんなこと分かるはずもない。

 

 「ひ、響か?ど、どうしたんだ... 急に... 」

 

 目の前には響。最近面倒を見てあげている異世界から来た中身だけが男の、謎多き人物。その性格は別に飛び抜けたものはなく、至って平凡だ。

 しかし重度の対人恐怖症を患っており、人と面と向かうことすらも出来ない。本人によれば虐め、虐待が原因と言っているが本当のところはどうかわからない。

 なるほど、これは厄介だ。

 

 だが提督はそうは思わない。最初こそ自分にも恐怖している一面を見せたが、それもすぐに無くなり、今では昔から仲のよかった親友並みには接っせられていると思う。

 

 ようは慣れれば誰でも仲良くなれる。人見知りの延長戦のようなものだと、そんな認識だ。

 

 だから、あまり自分には関わってこず、自立するだろうと、そう思っていたんだ。実際すぐに暁たちと打ち解けたのだ。そう思うのが自然というものではないだろうか。

 

 しかし現実とは物語よりも奇異なものである。

 

 響は明らか提督から離れることを嫌だと思っている。本人は認識していないだろうが、体がそう言っているんだ。

 

 ───離れたくない、と。

 

 だからだろうか、響は提督から離れることはなく、寧ろ恋心さえ抱いている。それは本人の認識している範囲なのかはまだわからないが、きっと間違いないだろう。

 

 現に今、提督のもとへ急いできた響がいる。恐らく食事の誘いだろう。

 提督はいろいろと察しがいいのだ。そのくらいのことは息をするかの如くわかるらしい。まったく、鈍感な主人公たちも見習ってほしいものであるな。

 

 「司令官!ご飯たべよ!」

 

 ね?当たっていたでしょう?

 

 響は提督の服をちょいちょいと引っ張るとそのまま連れていってしまった。

 

 そのあと執務室に残ったのは、大量の書類と、少したてつきの悪くなった扉であった。




誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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ご機嫌響ちゃん

 暇だ~。暇すぎて暇を売ったら大儲け出来そうだ~。はっ、この暇を響を眺めることに有用すれば!あぁ~癒される~。

 そう言えば最近感想欄が騒がしいような...。騒がしいことはいいことだよね。


 「ふんふふん♪」

 

 「偉くご機嫌だな響」

 

 「そう?」

 

 僕は今、自分でも自覚するほどご機嫌だ。それもそのはず、司令官を誘うことに成功したからだ。

 まぁ、別に大したことはしておらず、ちょっとドアを開けて司令官を引っ張ったら着いてきたってだけなんだけど、やっぱり司令官がいると落ち着く。

 

 でもなんでこんなにご機嫌なんだろ?自分でもよくわかんないや。

 

 「はい、着いたよ~!」

 

 「おっ、覚えてたんだな」

 

 「うん!」

 

 司令官が偉い偉いと頭を撫でてくる。それが嬉しくて堪らない。いつからだろうか?まだそんなに一緒にいるわけでもないのに、初め出会ったときからこんなんだ。

 男としての自分が薄れていって女だと自覚していっているのか、ただ褒めてもらうのが嬉しいだけなのか。そんなことはわからない。関係ない。

 

 司令官と手を繋いで食堂へ入る。

 

 「司令官はなに食べる?」

 

 「う~ん... 今日はカルボナーラとかがいいかな」

 

 「じゃあ僕も司令官と同じにする!」

 

 そう言ってカルボナーラを頼もうと思った時、ふと司令官が止めた。

 

 「いや、一緒のより別の方が食べあいっこ出来ていいだろ?」

 

 ごもっともだ。僕は司令官の言葉に賛成と別のを考え初めた。

 

 パスタにはパスタがいいので、やっぱりミートソースがいいのかな?でもそれだとお子様っぽい?うーん、暁ちゃんじゃないし気にしなくてもいいのかな?

 

 ということでミートソースを頼むことにした。

 

 「お、それなら俺も好きだしいいかな」

 

 司令官も好きなようだ、ミートソース。僕とおんなじだね。

 

 頼むものも頼んだので暁ちゃんが待っている席へと向かう。

 実は、司令官を呼びにいく際に暁ちゃんが「呼びにいくんだったら響一人で大丈夫よね。私たちは席を取っておくから行ってきなさい」と行ってくれたので、皆と別れて行動していたのだ。

 

 「あっ、響!ちゃんと道覚えていたのね... よかった」

 

 「え?」

 

 「あぁ... 暁ねぇがさ、響を行かせた後に道覚えてるのか不安になってどうしよってあたふたしてたのよ。まぁ、私が大丈夫って言ってあげたんだけどね!」

 

 どうやら暁ちゃんは僕を心配していたようだ。申し訳ないと心のなかで謝罪をしておく。

 

 「雷ちゃんだってあたふたしてたじゃない!それにそれ言ったの電ちゃんよ!」

 

 雷ちゃんの自慢めいたしゃべり方はなんだったのだろう、実は二人ともあたふたしててそれを電ちゃんが止めたようだ。つくづく誰が姉なのかわからない姉妹である。

 因みに僕は2番目だそうだ。気になって聞いてみたんだ。

 

 「うぐぐ... 」

 

 「はぁ... 雷ちゃんも暁ちゃんも、まだまだ子供なのです」

 

 電ちゃんが疲れたようにそう言うと暁ちゃんと雷ちゃんが「子供じゃない!」と同時に突っ込むが、さっきのやり取りを見ていれば誰でも子供だと思うだろう。

 なんかこの三人を見てたらご機嫌だった気持ちも収まってきたよ。

 

 それに司令官が三人を微笑ましそうに見ているし。子供が好きなのかな?

 

 そんなこんな食事がくるまで皆で喋りあっていて、それを司令官が微笑ましそうに見ているのだった。




 司令官の心境...

 まだまだ仕事が終わってないのに~...


 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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秘書艦やらないか?

 こちら天草、状況を報告せよ。
 ─こちら忍者、侵入者二名を拿捕。どちらも駆逐艦響を狙っていた模様─
 なっ、響をだと!?くそっ、なんでそんなことに... !
 ─それが、駆逐艦響は俺の嫁と訳のわからないことをいっていまして、どういたしましょうか?─
 なっ!?響は俺の嫁だと!?それは俺の台詞だぁあ!


 「司令官なにしてるの?」
 なっ!なんでもないでゴザル...


 カキカキカキカキ

 

 静かな執務室で、またもや紙にペンを滑らす作業bgmが聞こえる。しかし、以前と違って音の数は倍、執務室にはもう一人提督とは違う人物がいた。

 

 「司令官、ここはこれでいいの?」

 

 「ん?あぁそうだな... まぁ、いいんじゃないか?」

 

 そう言って僕は任務記録の紙を見せる。そこには今日の任務達成と艦娘の成長率がかかれていた。

 

 僕が確認した内容を司令官がいいと判断したのでそれを書き込んでいく。

 

 はてさて、なぜ僕が事務作業をしているのか、皆気になっているよね。実は食事を摂った後に司令官が何やらぶつぶつと言っているのを聞いちゃったんだよね。そしたらその内容が『書類仕事... 今日中に終わるかなぁ』だったので、ここはこの寛大な僕が手伝ってあげようというわけでこうなったのだ。

 

 因みになぜ来たばかりなのに書類がわかるのかと言われれば、実は個の書類、ほぼ同じ内容しかないのだ。それもそのはず、一人の提督に対してそこまで量を強いることはさすがに困難なので、少しにしたのだ。だけどそれを求めるところが多くて、逆にものすごい量になってしまって今、この現状が生まれているのだ。

 1度それに対して文句を言ったそうだが、このご時世そんなに世間は甘くないときっぱり断られたそうだ。理不尽である。

 

 また部屋に静寂が訪れる。

 

 司令官は執務室の立派な机で書類消化を目にも見えない早さでこなし、僕はといえば畳の上にポツンと置いてある卓袱台でのそのそと書類を消化していた。

 早さを表すなら、僕が一枚終わらす間に司令官が10枚終わらしている。やっぱり馴れとは恐ろしいものらしい。

 

 「司令官、終わったよ~」

 

 書類消化を初めてから約3時間。ついに僕に与えられたぶんの書類を書き終えた。

 

 「おっ、響は早いな~。俺なんて後30枚もあるのに」

 

 「そんなの司令官の方が凄いじゃん」

 

 「そんなことはないぞ~?」

 

 僕の十倍は書類があったのに、僕を褒めてくれる余裕のある司令官に、僕が司令官の方が凄いと褒めると、なんでか謙遜してしまって受け入れてくれない。因みにこの間、司令官の手はまったくと言っていいほど止まっていない。

 

 褒められるのが嫌なのかな?

 

 「ん?あぁ、別に褒められるのが嫌とかそういうんじゃないんだ」

 

 ギクリ... と僕の体が跳ねたのがわかった。

 

 「なんで... わかったの?」

 

 「そりゃそんなに不安そうな顔すれば誰だってわかるさ」

 

 司令官はこっちを見向けもせずにそう答えた。どうやら僕は顔に出やすいタイプと言うやつらしい。あれ?それって今まで顔に出てたってこと!?や、ヤバイ... 恥ずかしいかも... !

 

 だんだんと顔が紅くなっていくのがわかった。

 

 「それにな、こんな単調作業どこの提督だって出来るんだぞ?褒められてもあんまりうれしくないんだよな」

 

 え?と言葉にはしないが頭のなかをはてなマークで埋め尽くす。

 

 今の聞いた?何処の提督でもあんな高速書類消化ができるって... ありえないよ。嘘だよ... 嘘... だよね?

 というか僕って邪魔だったような気しかしないんだけど?

 

 「よし!終わったぞ」

 

 そう言ってペンを置く司令官は手を合わせ、天高くへと届かせるかのような伸びをする。それに合わせて僕も真似をするように一緒になってする。

 そうするとさっきまで凝っていた肩が、ポキポキっと解放されるような感じがして、腕を下ろすと一気に疲れが吹っ飛んだ。

 

 「お疲れさま、司令官」

 

 「あぁ、響こそ手伝わせてごめんな?本当は俺一人でやる予定だったんだけど」

 

 「いいよそんなの。それに無理矢理連れていった僕も悪いしね」

 

 そう言って食事に誘いに来ていた自分を思い浮かべる。うん、迷惑しかかけていないね。とくにドアなんてたてつきが悪いし。

 

 そう反省していると、司令官が言った。

 

 「それより響、秘書艦... やらないか?」と───。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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その発想はなかったです

 もう一つの小説が1800文字くらいだから、こっちが短いように感じる... 。てか書きたいことが収まらない。


 夢を見た。

 

 暗い、暗い海の底で、何かを待つ夢を。ナニかに浸食されるような、食われるような夢を。第六駆逐隊が無くなる夢を。

 司令官が、自分から遠ざかっていく夢を。

 

 「っは!... はぁ、はぁ... 夢... だよね?」

 

 夢... にしてはやけにリアルだった。自分がかつて体験したとでも言うかのように、鮮明だった。

 

 自分の夢なのに、自分じゃない感覚。もう一人、自分という存在がいる妙な感覚。もう一人の... 響。

 はっとする。まだ、自分のなかには響がいる。知覚することも見ることも出来ないけど、なぜかわかる。そこにまだ存在しているということだけが。

 

 なんの... 夢だったんだろう?目を擦りながら体を起こす。その際、目元が湿っていることに気がつく。それは幾度となく流してきた涙。この体にとって、あの夢とは悲しいことであり、思い出なんだと実感する。

 

 「おーい響ぃー!起きてる~?」

 

 「え... あっ、起きてるよ~!」

 

 不意に聞こえたら声に我に返った。どうやら雷ちゃんが朝食に誘いに部屋に戻ってきたみたいだ。

 因みに、朝起きるとすぐに雷ちゃん達は遠征に行ってしまうので、今日みたいに8:00くらいじゃないと朝御飯を食べれない。

 

 取り敢えず、支給されたパジャマを普段着と化している制服に着替え、部屋を出る。

 部屋は一人一人あるのではなく寝室だけなのだが、着替えなどタンスが置かれているのは別の部屋だ。

 

 「あっ、おはよ~」

 

 「うん、今日も元気ね!」

 

 これが普段の挨拶... というまでここで過ごした時間は長くない。寧ろ一週間も経っていないので短いだろう。

 

 僕はそれにもちゃんと返事を返して一緒に食堂へと向かう。どうやら暁ちゃん達はもう食堂へ行って席を確保しているようだ。

 

 「あっ、今日は司令官仕事だから朝御飯執務室でとるって。だから誘うのは無理よ?」

 

 そうだ、すっかり忘れていた。昨日、司令官に秘書艦やらないか?と聞かれたのだが、そもそも秘書艦って何するのかわからないし、僕自信頭は良くないと充分理解しているので、僕には向かないと思っている。

 だけど秘書艦になれば出撃の回数はかなり減るらしい。そして司令官とも一緒にいられるらしいのだが、その時の僕は理解が遅れていたみたいで決めあぐねていた。

 

 だから夜のうちに考えて明日の朝に言おう... と思っていたのだが、どうやらそれは無理らしい。

 

 「そっか... 秘書艦やるかって返事返せないね... 」

 

 なぜか酷く落ち込んだ声が出る。そうとうショックらしい。僕のことだけど。

 

 「へ?返せるじゃない」

 

 「え?」

 

 「え?」

 

 あ、あれ?ドユコト... ?

 

 二人ともなぜ?という顔をして見詰め合う... 方やわからないの?と、方やドユコト?と。

 

 「いやいや、ご飯食べたら司令官のところに行って仕事手伝えばいいじゃない」

 

 「あっ... 」

 

 「.......... 」

 

 真っ赤、真っ赤に染まる。何がって?僕の顔だけども!!?

 

 えっと.... そうです、そんな発想僕には無かったです。どうせ僕の返事は決まっているんだからさっさと手伝いに行けばいいんだった。やはり僕には才能が無いようだ。ただたんに馬鹿なだけだけど。

 

 てかなんでそんなにも可哀想な人を見るの?なんで無言なの?

 

 夢のことなどさっぱり忘れている僕なのであった。




誤字があれば言ってたもう。


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ぶつかった相手は

 熊本の地震半端ないですね。携帯がニュースでうるさくなるくらいには、余震が多いです。もう何回目なのか数える気も起きません。

 というか書いている途中にそんなの出たら文字が全文消えるじゃないですかぁ!?

 追記:今テレビを付けたら余震が120回を越えているみたいです。


 朝食はザ・和食って感じでご飯と味噌汁、そして鮭があった。しかし味は家の食卓など比較にすらならないほど美味しく、焼くだけ、炊くだけ、煮るだけでここまで違うものかと驚くくらいには凄かった。

 こんなものばっかり食べてたら舌が肥えるよ...。もしこの料理を食べられなくなったらと考えるとゾッとする。あれ?もう既に肥えているようだ。

 

 そして今、漸く食べ終わって暁ちゃんたちと別れて、呉鎮守府の最高指揮官である司令官がいる執務室へ向かう途中なのである。

 

 ふんふんふん♪

 

 音符を着けながら鼻唄を唄ってスキップする様は、正に子供のそれだった。無意識か、それとも意識してやっているのか、その姿は酷く可愛く、癒される存在となっていた。

 

 そして執務室への道にある最後の角まで来ていた。この鎮守府は造りが単純なので、一回でも通ればすぐに道を覚えられる。

 そしていざ曲がろうと足を進めたときに、響にとって最悪の事態が起こった。

 

 「うひゃあ!?」

 

 「ん?」

 

 どんっ、とスキップする勢いのまま角から出てきた誰かとぶつかった。

 

 響は慌てて状況を整理しようと顔をあげる。すると、その目には此方を不思議そうに見ている女性二人がいた。

 

 「あれ?最近来た新しい子じゃん」

 

 その一人、黒髪で後ろ髪を三つ編みにし肩から胸へと下ろしている女の子が響を思い出したかのように言葉を発した。

 その目はなんでここに?と純粋に不思議がっているようで、響だとわかると尚更不思議そうな顔をした。

 

 しかし響はそれどころではなかった。幾分かましになったと思っていたが、その実心の何処かで溜め込んでいただけであって、何も解決などしていなかった。しかしそれでもやはり良くなっている傾向にはあった。

 そして別にぶつかったくらいでは、さっさと謝って過ぎていくのが響なので、このくらいでは怖いとも思わないはずだった。

 

 では何がそうさせたのか?答えは簡単明確だ。

 

 もう一人、黒髪の女性の後ろにいる方を見てほしい。前ののほほんとした女性とは違い、鋭く何もかもを見下すような目をして、茶髪のいかにも女ヤンキーですと言わんばかりに厳つい表情をした女性がいて、目には影が差していてよりいっそう怖くしていた。

 そう、その人物こそが響をこの状態へと陥れている張本人だ。

 

 響はガタガタと体を震えさせ、その小さな体を縮こまらせる。しかしいくら縮めても恐怖は和らぐことを知らず、寧ろ上がってさえもいた。

 

 そしてついに、その女性が口を開いた。

 

 「あなた、私の北上さんにぶつかっておいて、謝罪のひとつも無いわけ?」




誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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北上の助け

 電車... 乗り間違えた。これで2回目です。来た駅を遡るのは本当に心に来ます。

 そして長い電車の待ち時間、もう俺の心は粉々です。


 キッと鋭く睨んでくるのはぶつかった相手ではなく、その後ろの人物。その女性はまるで前の女性が私の"もの"だと言わんばかりの言い方で、僕に罵声を浴びせた。

 

 「で?何か言い訳でもあるわけ?」

 

 うざったそうに、心底邪魔だと言わんばかりに僕を睨むその女性は、果たして謝って欲しいのか欲しくないのか、さっさとドケという思いがひしひしと伝わってくる。

 

 怖い... 黒髪の穏やかそうな女性だけなら謝って直ぐに去ることが出来たのだろうが、この女性がいるとまた話は別になってしまう。

 怖くて、体が動かない。あまりにもの恐怖に体がひきつり、僕の言うことをまるで利かない。

 

 「ぅ...あ... 」

 

 「なに泣いてるのよ。あんたが北上さんにぶつかってきたのに、なんであんたが泣く必要があるのよ」

 

 「うぅあ...っう」

 

 「いいからさっさと謝んなさいよ」

 

 体の限界が、心の限界が近かったのだろう僕の目からは涙が溢れだし、ぽろぽろと床や制服を濡らしていた。

 しかし、女性はそんなことお構いなしといった感じで、さらに言葉をきつくし、只でさえ不安定な精神をかき乱していく。

 

 謝れば終わる、何度も何度も体に投げ掛けるが、体と口はびくともせず、只震えるだけだった。

 このままではいけない。そう思うも体は言うことを利かず、寧ろさらに動かなくなっていた。

 

 「ぅ...ご... めん、な... さ、ぃ... 」

 

 「は?聞こえないんですけど?」

 

 それでもなんとか振り絞った声は、小さく、震えていて、本当に聞き取れなかったのかムカついた表情を僕に向けてくる。

 

 もう心は限界なのだろうか、だんだんと意識が微睡(まどろ)み始め、何も考えられなくなってきた。しかし、恐怖は消えず他の意識だけが消え去っていき、ここからが本当の恐怖と知らせているみたいだった。

 

 もぅ... 無理ぃ... 。心が砕け散りそうな恐怖が僕を支配して飲み込んでいく。

 

 「大井っち、苛めるのはよくないよ~」

 

 と、救世主は意外なところからやって来た。それは今まで黙って見ていた黒髪の女の子、後ろの女性から北上さんと呼ばれ敬われていた子だった。

 

 チラリと心が砕けるのが止まる。

 

 「で、ですが北上さん!謝らないのはいけないことですよ!?」

 

 「でもそんなに威圧を掛けたらさ、ほらまだ小さいこだよ?謝ろうにも謝れないじゃん」

 

 「うっ... 」

 

 それは必死の言い訳だったのか、正論を北上へ訴えるがそれを北上は受け付けず、正論で反論する。大井と呼ばれた人物はその事に反論できず、言葉に詰まると渋々といった感じに引き下がる。

 すると、北上は此方を向き穏やかな笑顔を向けた。

 

 「ほら、早く謝ればそれで済むよ~」

 

 そこで漸く体に掛かっていた重圧は消え去り、言うことを利くようになっていた。知らず知らずのうちに涙も止まり、もう平気だと物語っていた。

 

 「ごめんなさい!」

 

 今度ははっきりしっかりと伝える。ここで小さい声なんかで言うと恐らくまたあの恐怖を味わうことになると心に言い聞かせて。

 

 「うん、こちらこそ大井っちが怖がらせてごめんね」

 

 「んなっ!?」

 

 僕が謝ったのを確認すると、今度は向こうが謝ってきた。その言葉を聞いた大井は心底驚いたと声をあげていた。

 それを言うだけ言って北上はさっき向かっていた方へと体を向ける。

 

 「ほら大井っち、早くいくよ」

 

 「あっちょっと、待ってくださいぃ~」

 

 そう言って一人で歩き出す北上に、驚き固まっていた大井は直ぐ様立ち直りそのあとを追いかけていく。

 その光景だけ見れば微笑ましい限りなのだが、アレを見てしまった僕には、大井が居なくなったことに安心しか出来なかった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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優しい司令官

 もう50話を越えているのにこの進行度、やばくね?と思う今日この頃。話が遅いレベルで済ませられなくなってきているのに気づいてしまっているマリオンです。
 やはり文をまとめるのには相当な技量が必要だと思い知らされました。

 でも、ここまで来たらやるしかない。このままのペースでもいいから続ける努力をする。皆さん、長い付き合いになりそうですな... ハハッ


 「しれ~か~ん!」

 

 「うぉっ!?」

 

 僕は溜まっていた思いを司令官にぶつけていた。当然、司令官はなんにも知らないわけであり、驚き戸惑っている。

 

 怖かった、怖かったよ~と涙声で司令官に訴えかける僕を、司令官は優しく受け止め、子供をあやすように頭を撫でてくれた。その優しさが僕の心を癒すのだが、心が緩まったせいか涙が溢れだした。

 

 「何があったか知らないが、大丈夫か?」

 

 心配そうに問いかけてくる司令官は、まるでお父さんのように優しく、慈愛に満ち溢れており、とても暖かかった。

 

 僕は溢れる嗚咽を抑えることが出来ず、その問いには答えられないが、うん。と首を振ることによって答える。

 

 「... そうか」

 

 「えっぐ.... うぐ... 」

 

 しかし司令官は何があったのかを察してくれたようで、僕を一人にしないと背中に手を回して抱き締めてきた。一瞬ビクッと体が跳ねるがそれも収まり、すっぽりと司令官に包まれる形となって収まっていた。

 その包容力や母の如し。みるみる内に、僕の涙は止まっていった。

 

 「落ち着いたか?」

 

 「うん... 」

 

 司令官は僕に確認をとってくる。まだ、涙声の残る声で僕が答えると、司令官はわしゃわしゃとではなく髪が痛まないように優しく撫でてくれた。

 やっぱり僕は女の子になったみたいだ。その行為に嫌気さえなければ嬉しいという感情しかない。

 

 ふと執務室を見渡す。すると司令官が普段使っている机には、大量の書類、書類書類書類書類。頭が痛くなりそうなほどの書類の束があった。

 

 「司令官、ごめんなさい... 」

 

 「ん?何が?」

 

 「いや、僕が泣いちゃったせいで仕事... 遅れちゃうから... ごめんなさい!」

 

 「あぁ、別にいいさ。響が泣き続けるよりはいいよ」

 

 僕が、仕事に遅延を来したことに謝ると、司令官は何が?と全くわかってない様子だった。本当に悪いと思っているので、理由を説明して再び謝る。

 僕の必死さに理解してくれたのか気にしないでくれと僕を許してくれる。その際言われた言葉に、僕の胸がドキドキした事は内緒にしておこう。

 

 「それより響は手伝いに来てくれたんだろ?」

 

 あっ、忘れてた... 。

 

 来る道中が大変だったため、本来の目的を忘れていた僕は、司令官に言われて漸く思い出した。

 カーッと顔が赤くなっていくのがわかる。それは忘れていた恥ずかしさ故か、隠すように顔を伏せてしまう。

 

 「なんだ忘れてたのか?」

 

 「そ、そんなことない!」

 

 言い訳を言ってみるもどうにも信じてはくれないようだ。

 

 「そ、そんなことより手伝うから!さっさと終わらそうよ!」

 

 グイグイと司令官を机へと押していく。最初こそ抵抗すれど直ぐに抵抗はなくなって席へ着かせることに成功した。

 机につくと司令官は仕事モードにでも入ったか、無口になり、カキカキとペンを走らせていた。僕としては話ながら仕事をする方が気楽でいいのだが、それは人それぞれというものだ。

 

 そういえば... なにか忘れているような?




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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秘書艦、そして...

 ハロー、ヒサシブリデスネ。イヤーオクレテシマッテモウシワケナイ、カゼヲヒイタモンデシテ。

 あっ、今日僕の誕生日なんですよ。いやー、この年になると誕生日... あぁ、みたいななりますよね!昔はあんなにも楽しかったのに... !いまじゃあっても無くても変わらないみたいになっています。

 お?そういえば久し振り... といっても一週間もたってないけど... なので、なんか文章が書きづらかったので変なところ等があればよろしくお願いします!


 「はぁ~っ、終わったぁ~ぁ」

 

 漸く判子を押し終えた僕は、伸びをしながら終わったことえの喜びを声に出す。

 横をチラリと伺うと司令官ももう終わりのようで、最後の仕上げであるサインを入れていた。その手際の良さは、司令官が普段どれだけの書類をこなしているのか、容易に想像出来るほどだった。

 

 「やっぱり二人だと早いな。響が秘書艦だと毎日が楽なんだけどなぁ~」

 

 露骨である。司令官は響をよっぽど秘書艦にしたいのか、露骨な提案を投げ掛ける。

 

 しかし等の本人、響は気づいていないようだ。

 

 そういえば司令官の普段は、3時間くらい書類に費やすことになるそうで、遊ぶこと、休むことなど出来ないようだ。その点、僕が秘書艦になれば今日は1時間半で終わったので、約半分の時間まで短縮できるというわけだ。

 それに、これからまた早くなっていくだろうし、秘書艦が欲しい気持ちはわかる。

 

 ん?秘書艦?あっ...

 

 「し、司令官!僕、忘れてたけど秘書艦やるから!」

 

 司令官が提案してから約3分。漸く気付いた僕は、司令官に秘書艦になる思を伝える。

 突然大声を出したためか司令官は少し驚いた様子だったけど、すぐに持ち直してうんうんと僕の頭を撫でてくれた。なんでだろうか、嬉しい... !

 

 「や、やっぱり司令官は僕がいないとダメダメだから、僕が手伝ってあげるよ!」

 

 「お?言うようになったな~!」

 

 恥ずかしい気持ちを紛らわせるために言ったのだが、司令官なんだか嬉しそうである。ダメ人間なのかな?

 撫でる手は止まらず、僕の頭を撫で続ける。頭、ほっぺ、首筋へと... 。

 

 「くすぐったいよ司令官♪」

 

 そっと司令官の手を除ける僕は何処かご機嫌で、にこにこと笑っている。正直、自分でもなにか嬉しいのかわからないのが不思議なところだ。というか、かなり子供っぽい仕草だと思う。

 

 そんな笑顔を見たからか司令官の顔は真っ赤だった。なんでかなと思っていると、ガシッと肩を捕まれた。さすがにいきなりだったので、僕は驚いてしまった。

 

 「え?どうしたの... 司令官?」

 

 おそるおそるといった感じに問いかける僕は、さながら怯えた小鹿のようだった。

 

 司令官はゆっくりと撫でるように肩からお腹へと手を動かしていく。少しくすぐったくて顔が赤くなっていくが、何をしているのかはわからない。

 すると司令官の手が腰に添えられ、ゆっくりと僕を引き寄せていく。

 

 やがて、司令官の顔があと数センチで届く距離にまで詰められてしまった。少しでも動けば唇が触れ合ってしまう距離、そんな距離にまで僕らは近づいていた。

 お互いの息遣いが手に取るようにわかり、みるみるうちに顔が赤くなっていった。

 

 そっと司令官が目をつぶり僕にめがけて更に近づいてくる。そこで漸く何をしようとしているのかがわかった。

 

 「い... いや!」

 

 ついに司令官の唇が僕の唇へと触れようとしたとき、僕は司令官を突き飛ばしていた。それは手加減なしの今ある力とそれ以上の火事場の馬鹿力というものも使っての抵抗だった。

 

 ガタガタと体が震える。司令官でも... 司令官でも駄目だった。あの距離は想像以上に怖かった。荒い息の中、そう思うことしか僕には出来なかった。

 

 「... っすまん」

 

 突き飛ばされた司令官は、痛そうな顔をせず僕を心配した様子で、自分に対する後悔を抱いた様子を醸し出していた。




誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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第六駆逐隊は今日も元気

 身長163cm、体重46kg、視力左右共に1.5。

 健康診断での結果ですけど、身長が高校2年にしてもう止まっていることに絶望しました。いや、中学2年から3cmしか変わってないのに絶望しました。
 で、でも視力がよければ別にいいよね!


 「も、もう大丈夫だから...ね?」

 

 ガタガタと震えていた体はやっと治まり、僕は後悔をしている司令官に安心させるように言った。しかし、僕を怖がらせたことが余程ショックだったのか、なかなか顔をあげてくれない。

 

 抱きつかれるのは大丈夫だった。だけどあれだけは、あの距離だけはどうしても体が反応し、拒絶してしまった。そもそも、僕達は出会って一週間と経っていないのに、そんな関係にはなれない。僕だって男だった身なのだ、やはり抵抗や拒絶がある。

 

 「響... 本当にすまなかった」

 

 やはり反省していたようだ。司令官は顔を歪めながら顔をあげ、謝ってきた。その顔は今にも泣きそうな酷い顔だった。逆にこっちが悪いことをした気分になってくる。いや、実際は僕のせいでこうなったんだ。

 

 「しれーかーんっ!」

 

 そんなどうしようもない空気のなか、突如執務室の扉が勢いよく開かれた。

 

 「あれ?なんでそんな暗いの!?」

 

 はたして開け放たれた扉から入ってきたのは、雷ちゃんだった。声から察することも出来ていたが、やはりまだ出会って数日、流石に確認しないとあってるかという自信がなかった。

 

 「ちょっと雷ちゃん!走らないでよね!」

 

 雷ちゃんに文句を言いながら入ってきたのは暁ちゃん。僕が鎮守府で知り合ったなかで司令官の次に時間を共に過ごした。

 

 「ふぇ?なんで?」

 

 「れでぃっぽくないからよ!そんなんじゃ何時まで経ってもれでぃになれないわよ」

 

 「あーれでぃね、はいはい」

 

 「流すなぁっ!!」

 

 適当に流した雷ちゃんに対して、プンスカといった感じに怒る暁ちゃんは、本当にれでぃを目指しているのかというほどの子供っぽさが滲み出ていた。

 もしかしたら僕達は四人のなかで一番子供っぽいのは暁ちゃんではなかろうか?

 

 「二人とも落ち着くのです。そんなんじゃ響ちゃんと司令官の様子を見に来た意味がないのd、はわわ!!」

 

 まるでお母さんのように説教をかます電ちゃん。いくらしっかりしていてもどじっ子ランクはSランクのようで、執務室の扉のちょっとした段差に引っ掛かって転けてしまった。

 子供なのにもう脚が上がらなくなってきたのかな?

 

 しかしその転けた先が不味くはないだろうか?いやなんせ僕の方向に頭を向けながら倒れてくるんですもの。これを不味いと言わずになんと言えばよろしいのでしょうか!?

 

 ゴチン☆

 

 「うがぁっ...」

 

 「はにゃっぁ...」

 

 二人ともぶつかった痛みはほぼ同じのはずなのにこの悲鳴の差である。なんで電ちゃんはそんなに可愛い声で断末魔をあげれるのか。あっ、転け慣れているから...なのかな?だとしたら... 同情、する... よ。

 

 ガクッとまるで死んでしまったかのように意識を失う僕なのであった。




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たんこぶ

 ハロー皆さん。今日もいい天気ですな~。ところで皆さん、艦娘で誰か一人を選ぶとしたら誰にしますか?一人ですよ?

 僕は響ですね。いや、迷わずに言い切れるくらい響ですね。響一択、これは何があっても覆らない!!


 「うっ...つぅっ!」

 

 何時間気絶していたのだろうか、僕は起きて早々と頭に走る激痛に悶えていた。触ってみるとそこにはそれはそれは大きなたんこぶがあり、電ちゃんとぶつかった時の絶大な威力を示していた。

 これでよく血が出なかったなと思うが、そこはたぶん奇跡なのだろう。うん。

 

 「大丈夫?」

 

 ふと横を見れば暁ちゃんが僕を見下ろす形で、心配した表情を浮かべていた。

 

 そう、今僕はベッドに寝かされている状態であり、暁ちゃんたちの他にいる三人に介抱されていたようだ。しかし、三人とも寝てしまっている。

 

 「何で皆寝てるの... 」

 

 思わず心に思ったことが声に出てしまって、ハッとする。しかし結局はどうでもいいことなのでまいっかと片付ける。

 

 ふと気になったことは今何時かだ。あと、どれくらい寝たとかも気になるかも。しかし、この部屋には時計もなければ窓もない。

 せめて窓があれば大体の時間はわかったのに...。

 

 しかし無いものは仕方がない、ので暁ちゃんに聞くことにする。

 

 「あれ...」

 

 しかし振り向いた先にいたのは、ぐっすりとベッドに頭をつけて寝ている暁ちゃんだった。なぜだろう、さっきまで起きてたのに...。寝るの早くないかな?

 

 え?もしかして僕が起きたの確認しただけ?なにそれ、寂しいんだけど。

 

 暁ちゃんの可愛い寝顔を眺める。だけど起きる気配はない。いや起きたら起きたでそれは凄いことなのだが、暁はお子様なのだ、起きれるわけがない。

 

 「ふぅあっぁぁ、んん~... 」

 

 僕は大きな欠伸をして、眠たくて段々と落ちてくる瞼を擦る。

 

 なんだか僕まで眠くなってきたよ。もしかしてうつったの?

 段々と耐えられなくなってくるが、それは根性でなんとか耐える。

 

 僕のそばにいるのは暁ちゃん、電ちゃん、雷ちゃん、司令官だ。皆、とっても気持ち良さそうに寝ている。

 僕も寝たらあんな顔になるのだろうか?...司令官って案外可愛い顔してるんだね。

 

 男の顔を寝顔を見て可愛いなどと言えるのは、女子の特権である。完全に女の子に染まってきている響なのであった。いや、まだ全然日にちは経っていないが。

 

 ついに限界が来た。僕の目はもう開いているのか開いていないのか自分でもわからないくらいだった。思考が出来なくなり始め、やがて意識さえもが微睡みへと消えていく。

 こんなにも気持ちのいい寝入りはあるものかと感心しながら眠りにつこうとする。

 

 ズキッ

 

 あぁ、あと少しで寝れる...そう思ったとき、僕の頭に走った激痛が微睡みの中にあった僕の意識を一気に引き上げた。

 

 「ったあぁっ」

 

 何で僕だけ寝かしてくれないのさ...。というか、電ちゃんってたんこぶとか出来てなかったわけ?

 

 それから僕は一睡も出来ずに、頭に走る激痛を耐え続けたのであった。




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仕返し

 なんか電ちゃんってよく誰かとぶつかってるから、頑丈そうなイメージがあるんだよね。まぁ、ドジだから仕方ないか。

 あっ、なんかいろいろ感想ありがとうございます。なんだかんだ楽しいです。ちょっと変態しか居ないみたいですけど。


 朝が来た。いや、体感的に感じる朝であって、実際に朝かどうかは知らないが。

 

 昨日の夜、僕は頭の痛みにもがき苦しんだ挙げ句、結局一睡もすることなく過ごした。その結果目の下には隈が出来、恐らく見せられないよ!ってくらいに酷い顔をしていると思う。

 

 「んぅ....ぅん?」

 

 もぞっと動いて起きたのは電ちゃん。僕を眠れなくした元凶だ。

 

 電ちゃんはキョロキョロと辺りを見渡し、そして僕に目が止まるとはてなマークを浮かべながらじっと見ていた。うーんと唸るしぐさはなかなかに可愛いのだが、あの仕打ちを忘れていると思うと何だか複雑な気分になってくる。

 

 まぁ、そのうちに気づくだろう。

 

 「電ちゃん、おはよぉ」

 

 「おは....よう、なのです?」

 

 僕の挨拶にきちんと返してくれた。どうやら起きていることは起きているようだね。それにしても何で疑問符なんだろ?挨拶に疑問を抱くなんて、挨拶をする意味がわからないということだろうか?

 

 それにしてももうそろそろ目が覚めてもいい頃なんだけどね。

 

 「って響ちゃん!!?」

 

 ほら来たよ。電ちゃん、なんかその場で跳び跳ねて驚いているみたいだよ。何でだろうね?僕がいたらそんなに困るのかね?

 

 自分でもよくわからないけど、今物凄く怒っています。いやもう火山が大噴火を起こすくらい。

 

 「電ちゃん...」

 

 「ご、ごご、ごめんなさいなのですぅ!!!」

 

 「許すかっ!!お返しじゃぁぁぁあ!!!!!」

 

 涙目で謝る電ちゃんを許さない僕は、頭に全神経を集中して大きく振りかぶる。頭をだが。

 電ちゃんに逃げられないようにしっかりと肩を掴んでおいて、これでもかと言うくらい力を込める。もちろん、頭にも。

 

 そしてそのまま勢いよく頭を降り下ろしていく。まるでスローモーション、過去の自分を振り返っているようだ。走馬灯が見える。って、走馬灯!?

 

 ゴチンッ☆

 

 「ぐはっ...」

 

 「ふぇっ」

 

 そしてまたこのパターンである。僕がやった側なのに一番被害が大きく下品な声を出し、何故かやられた側の電ちゃんは余裕そうに可愛い声をあげている。何だろうかこの敗北感。

 

 バタッ、ボフッと両者共倒れ。僕は幸いにもベッドだが、電ちゃんは固い床。だが、僕の方のダメージは桁違いに高く、早くもその意識を失おうかとしていた。

 

 まず...い。こんなの、かっこ悪い...かも。

 

 電ちゃんに仕返しなどしようと考えたのが間違いだった。そんな後悔が襲ってくるが今さらだ。きっとこれも運命だったのだろう。

 

 「ぐふっ...僕、いつか電ちゃんに仕返し...するんだ」

 

 これが僕の断末魔、なんともかっこの悪い死に様である。死んではいないがな。

 

 今日も今日とて鎮守府は平和である。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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記憶が...ない?

 来月になったらついに俺のパソコンにもグラボが付くぞ!やったね!!

 一応予定ではGTX970を買う予定だけど、お金が全然足りるようだったら980にしようかな?...まぁ、結局やるゲームなんてマイクラ以外にないんだけどね...面白いゲームないですか?


 っは!目か覚めたらまた皆が寝ていた。いや、自分でも何を言っているのかわかってないけど間違いなく起きる前と同じ光景が目の前にはある。

 

 一つ、違うところと言えば暁ちゃんが寝ていて電ちゃんが起きているところか。

 

 「あっ、起きたのです?さっきはごめんなさいなのです」

 

 「え?え?」

 

 さっきってなんのことだろう?そんなにも頭を下げて謝ることなんだろうか?あれ?そういえばなんでこんなところで寝てるんだったっけ...。

 

 忘れちゃった。

 

 「ね、ねぇ、僕ってなんでこんなところで寝ちゃってたりするの?なんで皆僕の回りで寝てるの?儀式か何か?」

 

 「え?」

 

 「ごめん、なんにも覚えたなくて」

 

 今疑問に思っていることを全部聞くが、いきなりだったためか電ちゃんは困惑してしまった。なので僕は今の現状を伝えて落ち着かせようとした。

 しかし効果は逆効果だったようで、余計に混乱させてしまったようだ。

 

 「電ちゃん、落ち着いて...ね?」

 

 取り敢えず何とか落ち着かせようと背中を擦ってみるも、混乱のあまり固まってしまった電ちゃんは放心しているだけでなんの変化もない。

 

 ほんとどうしたのだろうか?

 

 「ご...」

 

 「ご?」

 

 やっと話してもらえたと思ったが、ごってなんだろう?暗号かな?

 

 「ごめんなさいなのですぅ!!!だ、だから、電のこと思い出して欲しいのですぅ!!」

 

 「ほぇ?」

 

 「電が...ひっく...電が転けたばっかりに、響ちゃんが仕返しするはめに...ぅぐ、電が、電が悪いのです...」

 

 急に謝ったと思ったらいきなり泣き出した。電ちゃんは両手で目を覆いながらポロポロと流れる涙を拭っている。なんだか罪悪感が沸く光景だね。

 

 それにしても仕返し...あっ、思い出した。

 

 そういえばさっき仕返しとかいって頭突きしたら逆にダメージを負ってしまって気絶したんだった。恥ずかし!電ちゃんの頭...鉄かと思うくらい固かったよ。石なんて比じゃないね。

 

 「ごめんな...さい...」

 

 でもなんで泣いてるの?電ちゃんのこと忘れるわけがないのに...どうしちゃったの?

 

 「電ちゃんはなんで泣いてるの?」

 

 「ぐすっ...電のせいで、響ちゃんの記憶が...あれ?」

 

 「ん?」

 

 僕が尋ねると泣きながらも答えてくれる電ちゃんであったが、何故か途中で止まってしまった。自分がなんで泣いてるのかに疑問でももったのかな?

 

 「どったの?」

 

 「い、いえなんでもないのです。さっきのは綺麗さっぱり忘れて欲しいのです」

 

 「え?え?」

 

 「響ちゃんは気にしなくてもいいのです。その方が幸せなのです...電が」

 

 なに?どういうことなんだろ?知らない方が幸せって結構悪いフラグばっかりなんだけど、なに?この先に何かあるの?死ぬの?

 

 それより忘れろとか言われても電ちゃんの泣き顔なんて忘れるわけないじゃないですか!僕の宝物にして魂に刻んでおきますよ~!




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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解体されると...

 ハローエブリワン、私だ。

 いや、響だ!!!ずどらーすとう"ぃちぇ☆

 皆さん、ロシア語とか話せますか?俺、響のためにロシア語覚えようとしたんだ。だけどね、3分で飽きちまったよ!まぁ、でも覚えたいる言葉もあるんだけどね!例えばはらしょーとか!......皆も覚えてる?


 「響、そろそろ勉強を開始して欲しいんだが」

 

 「え?勉強?」

 

 僕の側で呑気に寝ていた皆は、僕と電ちゃんの話し声がうるさかったのか漸く起きた。皆寝ぼけた目で僕を見ていて、え、なに?とでも聞きたそうな顔をしていた。

 

 そしてそれからまた一時間、司令官の仕事を手伝っていると急にそんな話をしてきた。

 

 「そうだ、鎮守府内に学校があっただろ?あれは飾りじゃなくて本当に勉強するところなんだ」

 

 そう言って司令官は学校のある方角を指で示す。まぁ、言ってもそんなところに窓なんて無いので、壁なのだが。

 

 というより学校行かなきゃいけないの?僕、学校超苦手だよ?勉強とかだいっ嫌いだし。

 

 「響、行かなきゃ駄目だぞ?」

 

 「えぇ~...」

 

 「えぇ~じゃない。そんなんじゃ深海悽艦とどうやって戦えるんだよ。いや別に戦わしたいとかそういうんじゃないんだけどな?でも艦娘は戦わなきゃ解体されるんだよ」

 

 僕の抗議も虚しく結局は行かなきゃダメらしい。それに、どうやら戦わなきゃ誰かに解体されるらしい。僕、戦いたくないんだけど。

 

 でも解体ってどんなんだろうか?そもそも司令官が言うには僕達艦娘は人間ではないらしい。だからもしかしたらロボットなのかな?解体ってそういうこと?え?死ぬの?

 いやいやないよね。だってこの体は紛れもなく人間のそれと同じだもん。

 

 「別に解体だからって体が解体されるわけじゃないぞ?ただ、艤装を解体されるだけであって本人は一人用意された家へと送られるんだ」

 

 「え?そんな温いものなの?そんなんだったら皆解体されたいんじゃ...」

 

 「そんなことはないぞ?一人って言っただろ?この鎮守府への出入りもできなくなって、姉妹やら仲のよかった皆と離ればなれになってしまう。もしかしたら一生会えないかも知れない。だから皆必死で戦う。まぁ、それだけが理由じゃない子もいるけどな」

 

 どうやら解体とは恐ろしいものらしい。一人ぼっちで知らない土地とか僕には耐えられないし、司令官と会うことも出来ないなんて...。それに、暁ちゃんたちとも会えなくなるとか、地獄だよね...。

 

 だからかな?司令官超真顔で僕に言ってくるのは。僕と離れたくないのかな?冗談だけど...。

 

 というより、解体されてその空いた艦娘はどうなるのかな?

 

 「解体されて空いた艦娘はどうなるの?」

 

 「んー...俺のところでは解体された子なんていないから詳しくはわからないけど、なんか建造したら出てくるらしい」

 

 「ふーん...」

 

 司令官にもよくわからないみたいで、頭をポリポリかきながら教えてくれた。

 

 建造ってやっぱりあれかな、僕達は鉄とか弾とかで造られてるのかな?そう考えるとなんか怖いね。というか完全にロボットじゃん。

 

 「今までに解体された子とかいるの?」

 

 「ん?あぁ、いるぞ。たしか那珂ちゃんだったかな?」

 

 「那珂ちゃん?」

 

 「あぁ、歌ってばっかでろくに戦わなかったから解体されたんだって」

 

 なにそれ怖い。




 なんでや!那珂ちゃん関係ないやろ!!

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学校に来たよ

 ハローです。ずどらーすとう"ぃちぇです。

 今日しゃっくりのせいで肺が物凄く痛くなったマリオンです。次いでに心臓も痛くなったマリオンです。

 ゴールデンウィーク満喫しましたか?俺はcsoをずっとやってました。いやー、一週間で70戦以上するって結構大変ですね。疲れました。
 まぁ、楽しかったからいいや。


 早速学校へ来た僕だけど、正直行き詰まっていた。道がわからないし、そもそも何処へ行くのかすらわからない。それに、学校って結構不安だ。昔苛められていた事もあってか、少しだが震えているのに自分で気づいた。

 

 不安な足取りで廊下を歩いているが、職員室らしき場所なんてなく、教室ばっかりが目に入る。

 

 「ここ、どこぉ...?」

 

 ついに不安を口にしてしまった僕は、もうこの状況に耐えられなくなっていた。

 

 そもそも司令官が悪いんだよ!なんで僕が一人で来なくちゃいけないのさ...そりゃあ仕事だってあるだろうけどさ...。でも、司令官に頼りきってちゃ...迷惑だよね...。

 

 そもそもの原因である司令官を責めようとするも、あまりにも司令官に頼りすぎているため、自分がいけないんだと思いとどまる。

 

 「はぁ...ほんとどうしよ...」

 

 はぁ...と深いため息を吐いて少しでも不安を取り除こうとする。まぁ、不安が取れるわけもなく今尚僕にのし掛かっている。

 

 「響ちゃん響ちゃん」

 

 「そもそもなんで教室しかないの?普通は職員室なるものがあるんじゃないの?」

 

 「...響ちゃん?」

 

 「はぁ、だから学校は嫌なんだよ」

 

 「響ちゃん!!!!」

 

 「うひゃあっ!!!?な、ななな何!?」

 

 ブツブツと愚痴っていた僕に、突如声がかかって吃驚した。慌てて振り向くとそこには電ちゃんがおり、僕の方を見て怒ってますという顔をして立っていた。

 

 ...なんで怒ってるの?というかやっと誰かに出会ったよ...助かった。

 

 「電ちゃん、そんなに大声出さなくても聞こえるよ」

 

 「聞こえてないから言ったのです!」

 

 「え?」

 

 え?ほんと?もしかして僕に声かけてくれて...そういえば何か聞こえていたような気がする。もしかしてそれかな?

 

 試しに聞いてみると、僕が愚痴っている間ずっといたそうだ。何だか僕が電ちゃんを責めたように言ったのに、自分の落ち度だったと知ると凄い恥ずかしい。

 

 僕は顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。

 

 「ごめんなさい」

 

 ごめんなさいくらいは言えるよ!

 

 謝った僕を見た電ちゃんは、漸く機嫌を戻してくれたのか、優しい笑顔で僕を見詰めていた。

 

 「それより響ちゃん」

 

 「ん?なに?」

 

 「いやー、ちょっあれなのですけど...」

 

 「んー?」

 

 話しかけてくる電ちゃんであるが、中々に言いにくそうに言葉を渋っている。何だか凄いモヤモヤするから早く言ってほしい。

 

 「さっきから同じところをぐるぐるしてどうしたのです?」

 

 「え?」

 

 その瞬間、僕の中の時が止まった。




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忘れて電ちゃん!

 やっハロー皆さん。

 お気に入り登録件数が300件を越えました。ありがとうございます。

 しかし感想が多いから返すのが大変です。まぁ、ちゃんと返すんですけどね!しかしロリコンが多いですねぇ~もう皆同じ人に見えてしょうがないです。

 あっ、サドンアタック2が日本に来るみたいですけど皆さんはやりますか?俺はやりますね!まぁ、グラボはまだ積んでないんだけどね...。


 「えっと...どういう意味?」

 

 「そのままなのです。さっきから校舎をぐるぐると、しかも同じところを回り続けているのです」

 

 「え?」

 

 どういうことだろうか?僕は確りと階段を上ったり下りたり...あれ?もしかして...え?ほんと?

 

 カァァァッと顔が赤くなっていくのがわかった。僕の目は自分に対する驚きに見開かれ、顔は恥ずかしさのあまり真っ赤。さらにそんな表情をしているであろう自分にたいして恥ずかしくてまた赤面。

 

 「いな...づまちゃん...」

 

 「?なんなのです?」

 

 「お願い...!忘れてぇぇええっ!!!!!?」

 

 「ふにやぁっ!?」

 

 僕は大声で電ちゃんにお願いする。この事を司令官にでも話されたら絶対笑われる。そしたら僕恥ずかしさのあまり泣いちゃうかも...というかこの状況にすでに泣きそうなんだけど!

 

 電ちゃんが驚いているようだけど関係ない。押して押して押しまくって電ちゃんに忘れてもらうんだ!

 

 「忘れて忘れて忘れて忘れて忘れて忘れて忘れて忘れて!!」

 

 いやもうほんとお願いします忘れてください!僕は電ちゃんの肩をガシッと音がなるほど強くつかみ、ぐらぐらと揺らしながら大声で何回も言う。

 恐らくこの時の僕は目の焦点が合ってなくて、赤面だったのだと思う。

 

 暫くそれを続けていると電ちゃんが僕の肩をつかみ、僕の動きを止めた。

 

 「響ちゃん...」

 

 「な、なに...?」

 

 電ちゃんが喋りかけてくると、さっきの事を思い出してしまい思わずビクッと体が反応してしまう。

 

 「そんなに言われたら余計に忘れられないのです!!!」

 

 「なんでさぁぁあっ!!!?」

 

 またぐらぐらと電ちゃんを揺らすことを再開する僕であったが、今回は直ぐに止められた。

 しかも今度は何だか暖かい目をして僕を見ていて、じわじわと僕にダメージを与えてくる。あぁ!なんでそんな目で見てくるんだよぉ!!

 

 「やめて!そんな目で見ないで!!」

 

 「無理なのです。響ちゃん、何だか居たたまれないのです」

 

 「電ちゃんのせいだから!!」

 

 可哀想な子を見る目で僕を見てくる電ちゃんに思わず反論する。しかし元はといえば僕が同じところをぐるぐると回っと迷うと言う謎の行動をしたのが原因であって決して電ちゃんのせいではないのだが。

 寧ろ電ちゃんの方は普通の反応ではないだろうか?ぐらぐらと揺らされたことに対して怒らないだけましなのである。

 

 「じゃ、じゃあ忘れなくてもいいから司令官にだけは言わないで!!」

 

 このままじゃ司令官に報告されると思った僕は電ちゃんの手を取りぎゅっと力一杯握りしめてお願いする。きっと電ちゃんなら僕の味方になってれるはず!

 

 「無理なのです。こんなに面白いこと司令官に報告しないわけないのです♪」

 

 駄目だ、電ちゃんに何言っても止められそうにないよ。もう、僕の人生は終わりだ。あぁ、司令官に笑われるんだろうなぁ...。なんか屈辱だね。

 

 というか電ちゃんって腹黒いよね。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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言わないであげるのです(黒笑)

 やっはろー皆さん。響を愛してやまないマリオンです。

 皆さん、響がもし側にいたらどうしますか?俺なら毎日撫で撫でしたり、毎日抱き枕にして寝たり、毎日抱き締めてます。はい変態ですねわかります。

 しかし響をエッチな対象で見ることは無いと思う...ロリは撫でて愛でるものであって決してそういう対象では無いのだから。ま、まぁ求めてくれば話は別なんですが...(さっきから何を言っているのだろうかこの変態は)

 そもそもあまりそういうことには興味がないからね。


 「うぅ...うっ...もう司令官に会わないでおこうかなぁ...ぐすっ」

 

 「そ、そんなに言われたくないのです?」

 

 「うん...」

 

 僕が嫌だという意思をしっかり伝えると電ちゃんは何やら考え込んだ様子になった。たぶん、言うか言わないかで迷っているのだと思う。

 

 でも、普通迷うことなんてないと思うんだよ。だって僕が涙を流してまで嫌だと言っているのに面白そうだから言うのを止めたくないとか絶対ないでしょ。

 

 「...わかったのです。仕方がないので言わないであげるのです」

 

 なんでこうも電ちゃんは上からなのか、やれやれといった感じに僕を見ている。もう泣き顔は見慣れちゃったのかな?その腹黒さを生かせば僕に限らず暁ちゃんや提督さえも泣かせられるんじゃないかな。

 

 「その代わりといっては何なのですが...」

 

 「え、まだなんか僕に求めるの...?」

 

 「逆に求めない方がおかしいのです」

 

 いや、普通は求めないでしょ!という突っ込みはなんとか心に押し止めて、口には出さないようにする。だって出したら絶対司令官に言ってもいいのです?とか言ってきそうだったから。

 

 というかどれだけ僕の心を抉りに来るのか。ま、まぁ、まだ内容は聞いてないから...内容がわからないって怖い!

 

 「で、内容は?」

 

 「司令官に抱き付いてみて欲しいのです!」

 

 「ふぁ?」

 

 あまりにも意外すぎるないように変な声が出てしまった僕は、驚いたと言うより戸惑っていた。

 

 「どういう...こと?」

 

 「響ちゃん、最近司令官とベタベタしてないから不安になっているのをよく見るのです。だから抱き付いて欲しいのです」

 

 「いや意味がわからないよ」

 

 僕が司令官とベタベタしてない...?確かに頭を撫でてもらったりとかしてないけど、それだけで不安になるものなの?人と接するのが怖いのは前から同じだから変わらないような...。

 

 「前はもっとマシだったのです」

 

 「え?」

 

 「一人になったときに不安になるのは同じなのですけど、同じところをぐるぐると回るほど不安がってはいなかったのです」

 

 言われてみて気づく。確かに僕は初めの頃一人になったことは何度かあり、執務室へだって一人で行けていた。なのに今はあまりにもの不安に頭が混乱し、同じところをぐるぐる回るという珍行動をしてしまっていた。明らかに酷くなっている。

 

 しかし、でもそれだけじゃ司令官とベタベタしてないからという答えには行き着かない。確かに最近はスキンシップが無いが、この学校に来たのが初めてであったから不安も大きかったという答えだってある。

 

 「それはないのです」

 

 電ちゃんにその事を告げると、即答で無いと宣言された。何処からそんな自信が出てくるのだろうか?

 

 「...なんで?」

 

 「ふふっ、だって響ちゃん。歩いている間ずっと司令官のこと言ってたのです」

 

 「あっ...」

 

 確かに言っていた。でもあれは愚痴であってそんなことのために言っていたわけではない...。でも、そのときだけは少しだけ不安が和らいだ気がする。認めたくはない、だけど司令官のことを考えると少しだけ...いや結構不安が和らぐ。

 

 電ちゃんの言う通りかもしれない...でも!

 

 「男同士で抱き合うなんて無理ぃぃい!!!!」

 

 僕は男の子なのだ。決して女の子になっ...てるけど心まではなっていないはず!だから司令官に抱きつけと言われても無理!

 

 「でも知らない人と会うときはいつもの司令官の背中に抱き付いているのです」

 

 「あ、あれは条件反射だよ!!?」

 

 「でも抱き付いているのです」

 

 「うぐっ」

 

 電ちゃんの正論に僕はぐぅの音もでなかった。いや、うぐっとは言っているが。

 

 「絶対にやらないと司令官に言っちゃうのです」

 

 「...はい」

 

 電ちゃん相手だと、どうにも調子の狂ってしまう響なのであった。いや、誰もが調子を狂わされていると思うが。電ちゃんは腹黒いのだ忘れてはいけない。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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学校の足柄さん

 やっはろー皆さん。今日も響と仲良く過ごしているマリオンです。え?嫉妬は受け付けませんよ?なに?ゲームのなかでだろ...?悲しいこと言うなよ...ぐすんっ。

 さぁさぁ、そんなことよりも読みたいですか?読みたいですよね?え...そんなこともない?つ、強がらなくてもいいんですよ!?ふぁっ!?電ちゃん!!?何でここにぃぃぃ!!!?

 マリオンさん、享年17。駆逐艦電の魚雷によって撃沈された。


 キーンコーンカーンコーン

 

 学校お決まりのチャイムが鳴るなか、僕と電ちゃんは職員室へと来ていた。先生...にしては結構若く見える人、電ちゃんが言うには重巡洋艦足柄さんらしいのだが、なんだが腹に何かを隠し持ってそうで怖いんだよね。だから震える僕の手を電ちゃんが握っていてくれることによってなんとか涙目だけで済んでいる....と思いたい。

 

 「だからね、私思うのよ。なんでこんなにも綺麗な私がモテないのかって...」

 

 「はい...ソウデスネ」

 

 髪をかきあげて、色っぽいポーズをして言う足柄さんに僕は感情も籠ってない返事を返した。

 

 というかさっきから関係のない話をずっと聞かされているのである。はじめの頃は何となくそれっぽい会話だったのだが、次第に合コンとか恋愛話だとか意味不明な話ばっかりしてくるようになった。さしもの電ちゃんもげんなりとした表情をしており、早く終わってほしいという思いがひしひしと伝わってきた。

 

 正直にいうと、足柄さんはまぁまぁ綺麗な方だが、その性格のせいで相手が出来ないんだと思うんだ...声には出さないけどね。もし言ってしまったら「あんたに私の何がわかるのよぉぉおおおっ!!??」とか言われるかもしれないし。そしたら僕は怖くて司令官のところに逃げちゃうかもしれない。

 

 「ま、貴女達にはまだ早い話よね」

 

 「はい!」

 

 ちょっと見下した目で見てくる足柄さんが少し怖かったが、なんか話の終わりっぽかったので早く終われと元気よく返事をした。電ちゃんも一気に元気な顔に戻っていた。切り換えが早いのが電ちゃんなのである。

 

 失礼しまーすと、職員室を出る。今日はもう授業はしなくていいらしい。来るのが遅かったんだと。たぶん、迷ったせいだよね...。

 

 「しれーかーん...」

 

 「んお?どうしたんだ?学校疲れたか...?」

 

 執務室へと帰ってきた僕は机の前に座って書類仕事をしている司令官の膝に上半身を乗せてぐたーっと力を抜く。なんだかこうしているとすごい落ち着くのだ。

 

 司令官は心配そうにしながらも、僕の頭を撫でてくれていた。あれ?電ちゃんの指示である司令官に抱きつけって自然に終わっちゃったね...。てことは...僕と司令官ってもうそんな関係にまでなってたの!!?

 

 カァァァッと顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。体温が高くなり、鼓動が早くなっていく。

 

 や、ヤバイ...このままじゃ僕、ホモって言われちゃうぅぅう!!!!?嫌だぁぁぁあ!!!僕はホモじゃないんだ!!決して違うんだよぉおお!!?

 

 「フフ、響ちゃんにはちょっと簡単すぎたのです」

 

 そんな悪い笑みを浮かべた電ちゃんを僕はいつまでも忘れない。




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響の逃亡

 やっはろー皆さん。相変わらず全然話を進められないマリオンです。いったいいつになったら終わるんでしょう?

 それよりも聞いてください。カラオケに行ったんですけど、マリオンさん音痴なものですから、80点代をさ迷っているのです。何とかして高得点取れないものですか?あっ、でもロシア民謡のカチューシャは92点くらいです。なぜかこれだけは歌える。


 「なるほどな...そんなことがあったのか」

 

 「なのです」

 

 司令官と電ちゃんが僕に起こったことを話してる。司令官が納得顔で頷き、電ちゃんは僕の方へと笑顔を浮かべている。そう、黒い笑顔である。

 

 「言わないでって...いってたのにぃ...」

 

 「約束はしてないのです」

 

 「うわぁぁぁぁんっ!電ちゃんの鬼畜ぅ...!」

 

 電ちゃんが僕が迷っていたことを話してしまって、僕が恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして電ちゃんを責め立てるが、電ちゃんはどこふく風といった感じに流していく。

 

 うぅ、電ちゃんの嘘つき。もう、信じないもん...電ちゃんのことなんて信じないもん!!

 

 「響ちゃん、司令官さん笑ってないのですよ?」

 

 「信じ...えっ、ほんと?」

 

 「あぁ...ふふ、笑って...ないからな、ブフォッ」

 

 「笑ってるじゃん!!」

 

 司令官に渾身の突っ込みをいれる僕。ふと気づく。また電ちゃんの話を信じてしまったと。

 

 司令官は笑いすぎて床をゴロゴロと転がっている。...笑いすぎじゃない...?そんなに、そんなに面白い...?僕を、僕を笑って...そんなに楽しい!!?

 

 「っうぅ!」

 

 バンっと扉を開けて執務室を飛び出る。最後に二人の顔がちらっと見えたが、どちらとも呆けた顔をしていて、まるでこんな反応なんて予想していなかったみたいだった。でも、僕は昔から蹴られ殴られ侮辱され蔑まれ嘲笑われていたんだ。笑われることに、いい思いなど抱かない。

 

 溢れる涙を拭いつつ、ぼやける視界をなんとか確保する。自分でもわからない。どこを通って何処へ向かっているのか、このまま逃げて何がしたいのか。

 

 「っ!はぁ...はぁ...」

 

 角を曲がると突然目の前に壁が現れて、ぶつからないようになんとか止まる。もう息も絶え絶えで、足もふらふら。僕はその場に腰をおろした。

 

 「うっく...えぐっ、うぇぇ...」

 

 出てくるのは嗚咽ばかり。怖くて悲しくて恥ずかしくて涙が出てくる。僕自身、もう何をしているのかわからない。ただ、司令官が自分を嘲笑っているのを思うと、胸がいたい。

 

 やっぱり僕なんて生涯虐められて、傷つけられて生きるしか出来ないんだ...。もう、死んじゃおっかな...。この体の子、響ちゃんには悪いけどもう...耐えられそうにないよっ!なんで僕だけがこんな目に!司令官...助けてよ司令官!!

 

 僕をこの暗闇から救ってよ!!

 

 「響!」

 

 「っ!...しれい、かん...?」

 

 僕の思いが爆発しているとき、後ろから声がかかった。その声は、いつも優しく僕を撫でてくれる、僕を何とかして人とはなせるようにしてくれる司令官だった。




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司令官の温もり

 やっはろー皆さん。今日も相変わらず朝だけは寒いですね。

 皆さんは今日も響を愛していますか?


 「司令官...」

 

 振り向くとそこには、僕を心配そうに見てくる司令官がいた。先程のことを反省した様子で僕の様子をうかがっているのか、なかなか僕に近づこうとはしない。

 

 「なんで...きたの」

 

 僕は何処か冷たく言う。さっきの件があったからか僕は怖くて仕方がなかったのだ。もしかしたら司令官が僕を嘲笑っているんじゃないか?司令官が僕から離れていってしまうんじゃないか?また...一人になってしまうのか。

 

 「すまなかった!」

 

 「っ!」

 

 勢いよく頭を下げた司令官に僕は驚き後ずさってしまった。司令官の行動の何もかもが怖い。今すぐにでもここを追い出されそうで気が気じゃない。僕の居場所なんて、ここしかないのに...!

 

 司令官はなかなか頭をあげてくれない。謝っているのはわかるが、今の僕には怖いとしか思えなかった。

 

 「響の過去を知っておきながら...俺は!そうだよな...響にとっては笑われること事態にトラウマを覚えてるんだよな。それなのに...それなのに...」

 

 「......」

 

 司令官の思いが伝わってくる。ただ、漠然とすまないと思っていること。自分を責めていること。後悔の念で押し潰されそうなこと。

 

 司令官...そんなこと、言われたら...こっちが悪いみたい...じゃん。

 

 「響が嫌と言うなら俺はもう響とは会わない。響が嫌と言うなら俺は半径50m以内には近づかない」

 

 「もう...いいよ」

 

 「だけどな...響。俺はお前と一緒にいた「そんなの僕だって一緒だよ!!」...響」

 

 「司令官が僕を嫌いになるんじゃないかって...司令官が僕を捨てるんじゃないかって、怖いんだよぉ...ふぇぇ」

 

 司令官に思いをぶつける僕は、ついに泣き出してしまった。もうこの鎮守府にきてから何回目だろうか?泣くのにはもう慣れてきているような気がする。

 

 僕の思いを聞いた司令官は、驚いた様子だった。

 

 「だから...だから僕から...えっぐ、離れないでよぉ...!近づかないなんて、言わないでよぉ...」

 

 「響...!わかった、俺はお前から離れない。離れないなら、近づかないわけにもいかない。ずっとお前の側にいてやる」

 

 「うぐっ...ひっく...ほんと?」

 

 「あぁ、ほんとだ」

 

 言って司令官は僕を抱き締める。そしてなでなでと優しく頭を撫でてくれる。その温もりは僕がこの世界に来てすぐに感じた温もりと同じ、いやそれ以上だった。もう、司令官なしじゃ生きていけない気がする。

 

 僕は司令官の胸に顔を埋めて泣きじゃくる。怖かった、泣きたかった感情を全部そこへとぶちまける。

 

 「うえぇぇっ、しれぇかん...ぼく、すごい怖かったよぉ...」

 

 まるで幼い子供のように泣く僕を、司令官は何処までも優しく撫で続けてくれた。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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学校

 ずどらーすとう"ぃちぇ。やぁ、響だよ。皆病気にかかったりとかしてないかい?

 ん?私かい?私の心配をしてくれるなんて優しいだね。惚れちゃいそうだよ。うーん、少し風邪気味かもしれないね。私だって風邪くらい引くさ、君たちと同じように...ね。

 まぁ、今回響視点がが無いわけだから、マリオンさんに頼んで私が前書きに出ることになったんだ。これからもこの作品をよろしく頼むよ。


 キーンコーンカーンコーン

 

 お決まりのチャイムがなり授業が始まる。生徒は皆すぐさま席へと着き、静かに教師を待つ。やがて教卓方面の扉が開き、先生が入ってくる。その際生徒をチラッと確認するのは教師として当然のこと。例えば居眠りしている生徒や、お喋りしている生徒などを見つけ、罰するために見逃すわけなはいかない。

 

 この教室の担任は重巡洋艦『足柄(あしがら)』。黒い髪を背中まで届くほどに伸ばし、ストレートにしている綺麗な女性である。目付きは少し鋭く、まるで獲物を待ち構えている狼のようだ。

 

 「挨拶を」

 

 「はいっ」

 

 足柄に朝の挨拶兼授業開始の挨拶を頼まれた生徒の中から一人、元気のいい返事をして立ち上がる。こういうのは基本日直制と決まっているので、恐らくこの子が日直なのだろう。

 

 その子は、赤みがかった色の髪をしており、髪型はショート。緩いカールを描いている。駆逐艦にしては背の低い方の子で、回りの暁、雷、電を抜けば一つ年下の年齢にさえ見える。

 

 「起立、足柄先生おはようございます」

 

 「「おはようございます」」

 

 「おはよう」

 

 まずは朝の挨拶から。これは小学校などでよく見る光景だが、ここも鎮守府と言えど学校なのであるから別におかしなところはない。

 

 皆の挨拶に落ち着いた声で返す足柄先生。あの飢えた狼のような、男を求ていた姿は欠片もなく、まるで本物の教師のようだった。いや、本物の教師なのだが。

 

 「これから「あぁ、ちょっと待って」ふぇ?」

 

 授業の挨拶をしようとした日直の子だが、突然足柄に止められた。少し戸惑った顔をする日直の子だが、足柄が皆に座るように指示を出したので、大人しく座る。

 

 「忘れてたわ。今日は皆に新しく入る子を紹介したいと思うの」

 

 そんな大事な事を忘れてしまっている足柄。教師としてどうなのだろうか?

 

 新しい子が入ると知ってざわざわと騒ぐ生徒を黙らせ、その新しい子に入るよう促す。がらがらとゆっくり扉を開け入ってきてのは、銀髪を腰まで伸ばした所々癖っ毛のある子だった。

 

 少女は何処かおどおどとした様子で、足柄に自己紹介をしろと言われる。

 

 「ぼ、僕は...そのぉ...」

 

 しかし人見知りなのかなかなか自己紹介が出来ずにいた。よく見れば少し震えているのも確認できる。顔色が悪く、病気なのでは?と疑ってしまうほどか弱く見えた。

 

 「.........」

 

 「はぁ...仕方ないから私がするわ。提督にも頼まれていることだし」

 

 なかなか言葉を発せずに沈黙してしまっている少女に代わり、足柄が自己紹介をしてあげる。

 

 「この子は響。暁型駆逐艦二番艦の『(ひびき)』ちゃんよ。訳あってこんなんだけど、皆仲良くしてあげてね」

 

 あの足柄にしては結構まともな紹介であるが、訳あってと理由を言わないように紹介してあげるのは良いことだ。そう言うと大抵の人は聞いてはいけないことなのだろうかと思い、聴きにくくなるからだ。

 

 こうやってちょくちょくと生徒の手助けをしてくれる足柄は、何故モテないのかわからないくらい綺麗だった。




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学校で甘える


【挿絵表示】


響と電の絵を描いたんですがどうですか?まぁ、小説とは関連性は無いですけどね。

 やっはろー皆さん。前回響ちゃんが前書きを担当してくれましたけど、マリオンさんが恋しかったですか!?え、響ちゃんを出せ...?ぐっ、それでもマリオンさんはくじけない!ぐすっ...


 「ねぇねぇ響ちゃん!好きな食べ物とかある?」

 

 「逆に嫌いな食べ物は!?」

 

 「深海悽艦と戦ったことってある?」

 

 例のごとく質問攻めに会う転校生のような立場の僕。司令官に話は聞いているだろうけど、会うのは今日が初めての子がいっぱいいる。

 

 当然、そんな事に対人恐怖症の僕が耐えられるはずもなく、ガクガクブルブルと震えているわけでありまして、なんとか暁ちゃん達第六駆逐隊に守られている状態なのです。あっ、電ちゃんの語尾がうつった。

 

 「ちょっと、あんまり一度に質問すると響が可哀想じゃない!」

 

 「そうなのです、皆さん一回落ち着いて欲しいのです」

 

 「響~大丈夫よ!この雷様が守ってあげるからね!」

 

 「うぅ...」

 

 暁ちゃん達の注意で漸く皆落ち着いたのか、僕に質問をしなくなった。代わりといってはなんだが、僕を何処か期待した眼差しでじっと見ている。もしかしたら質問に答えてほしいのかも。

 

 どうしよう、質問が怖いんじゃなくて知らない人がそこにいるだけで怖いんだけど...。

 

 「ふぇぇ...」

 

 「あぁ、大丈夫よ!全っ全怖くないからね?ね?」

 

 泣きそうになる僕を雷ちゃんが懸命に宥めようとする。その間に暁ちゃんと電ちゃんが皆に離れるように説得してくれている。

 

 頭を撫でてくれる雷ちゃんの胸に顔を埋め、必死に涙を我慢する。怖いけど、こんなことで泣いてたら...いつになっても治らない!でも...怖いよぉ。我慢できずに少しだけ涙が溢れてしまい、雷ちゃんの服を濡らす。

 

 「よしよし」

 

 「大丈夫なのです?」

 

 まるで子供をあやすように背中をとんとんと叩いている雷ちゃんに質問がくる。電ちゃんだ。さっきまでいた皆はもう何処かにいってしまったのか、教室には僕と第六駆逐隊のみんなしかいなかった。

 

 ん?と雷ちゃんが顔をあげて電ちゃんを見る。

 

 「大丈夫...なのかな?」

 

 「大丈夫そうなのです」

 

 誰もいなくなったと知った僕は少しだけ体を起こして二人の顔を見る。二人ともなにやら苦笑いを浮かべているようだ。

 

 「ん~...」

 

 「わっ、響?」

 

 誰もいないと確認したはずの僕だが、何故か雷ちゃんに甘えたくなってその小さな胸に再び顔を埋める。雷ちゃんも驚いた顔をするが、しっかりと僕を抱き締めてくれてまるでお母さんのようだった。電ちゃんも横に座り、頭を撫でていてくれた。

 

 やっぱり二人はとっても優しくて、僕の方が年上だって...忘れちゃうよ。まぁ、それでもいいんだけどね。だってこんなにも気持ちいいんだから...ふあぁぁあっ...。

 

 「あ、あれ?響ちゃん寝ちゃったのです!?」

 

 「...そうみたいね」




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おはようの挨拶を...へ?

 やっはろー皆さん。最近の自動車は静かすぎて怖いですね。気がついたら後ろにいるんですもの、忍者かと思いましたよ。というか近づいているのに気づけないほど音が小さいってヤバくない?いや、マリオンさんが鈍感なだけかも...。


 「ふぇ?」

 

 僕が気持ちよく寝ていると、急に謎の浮遊感に襲われて目が覚めた。

 

 あれ?そういえば何してたっけ...?学校にきてそれから...。あっ、雷ちゃんに甘えていたら寝ちゃったんだった!というかなんで僕そんな子供みたいに甘えちゃってたの!?

 

 「あら?起きたかしら」

 

 不意に上から声がかかる。少し高めの声だけど妙に穏やかなしゃべり方で嫌な感じはひとつもしない。

 

 まだ焦点の合っていない目でその人を見る。きん...ぱつ?なんだか美人というよりは可愛い顔をした女性だった。

 

 「じゃあおはようの挨拶を......ぱんぱかぱーん!」

 

 「へ?......ぎゃっ!?」

 

 おはようの挨拶とか言いながら両手を大きく広げて謎の呪文を言った女性を、僕は不思議な目で見る事も出来ずに謎の浮遊感に襲われた。その直後ドサッとお尻に衝撃が走り、まるで地面に落とされたかのような痛みが僕を襲った。

 

 「いった~ぃ...!」

 

 「あぁ!?ご、ごめんねぇ~!!?」

 

 「うぅ...」

 

 痛い、痛いよ、すごく腰が痛い。寝ぼけたまま地面に落とされるって、思ってたよりも痛みが凄いんだね...。

 

 あまりにもの痛さに女性が謝っていることにも気づかずに自分の世界に入ってしまう僕。なぜこうも人に傷つけられやすいのかと疑問に思っている。

 

 「大丈夫?」

 

 「え...ひゃぁぁああ!」

 

 「えぇ!?」

 

 心配そうな顔をしながら近づいてくる女性と目を会わせること約3秒。僕は変な声をあげながら3メートルほど後ずさった。その事に女性は驚きを隠せないでいる。

 

 さ、さっきまで寝ぼけてたから気にしてなかったけど、この人知らない!誰?誰!?やだ、いやだよぉ...怖いよ司令官。女性が知らない人だと理解すると、体が震えだし、まともな思考が出来なくなっていった。

 

 「えぇ!?私怖がられてる!?」

 

 僕が膝を抱えて震えていると、女性も今の状況がどういうものか理解できたようだ。そんなに自分が怖がられるのが以外だったのかな?

 

 「響!学校終わったわよ~って響ぃぃい!?」

 

 がらがらと勢いよく扉を開けて元気な声でそう言ってきたのは雷ちゃんだった。

 

 「ちょっ、愛宕さん一回部屋から出て!」

 

 「えぇ...まぁわかったわ。私じゃ余計に怖がらせるだけみたいだし、たのんだわよ」

 

 なんだか残念な雰囲気を出しながら出ていく愛宕さんを雷ちゃんはドアまで送る。出ていったことを確認すると、僕の方へと近づいてきた。

 

 「大丈夫?」

 

 「うぇぇぇ...目が覚めたら、変な挨拶されて...地面に、落とされたよぉ...」

 

 「え!?愛宕さん、響を抱いたままそれやったの!?」

 

 僕がさっき起きたことを泣きながら話すと、雷ちゃんは心底驚いた。普通に考えて抱いている状態から手を広げるなんて明らか落とすに決まってるのに、なぜやったのかと驚いているのだろう。もう誰だって驚くよね普通。

 

 結局今回も泣き止むまで慰められ続けた僕なのであった。




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あと5分...いや10分!

 やっはろー皆さん。グラボ届いたけど電源が届かないマリオンです。くそーっ密林さん遅いよ!!

 あっ、ひとつお知らせがあります。感想欄にて小説形式のものはなるべく控えるようご協力をお願いします。一応禁止されてますので、感想欄が運対の文字で埋まってしまっています。どうかご理解をお願いします。

 あと話が全然進まないですが、最近それもいいかなぁって思い始めてるんですがどう思います?


 「しれーかん!」

 

 「うおっ!?どうしたんだ響?」

 

 執務室へと帰ってきた僕は思いっきり司令官へと抱きついた。司令官は驚きつつもしっかりと受け止めてくれ、僕を抱き締め返してくれる。

 

 「んーん、なんでもないよぉ?」

 

 「いや、絶対何かあっただろ?」

 

 確かにあったにはあった。だからこうして司令官に引っ付いて疲れきった心を癒しているのだ。ん?司令官に引っ付いて癒される僕って...やめよう、せっかく癒した心がまた疲れちゃうよ。

 

 それより雷ちゃんはどこに行ったのかな?さっきまで一緒にいたのに...確か僕が司令官に抱きついた辺りから居なくなったような...。まぁいっか。

 

 「ふにゅぅ~...」

 

 「ちょっその顔はヤバイって...」

 

 「えへへ」

 

 だらけた顔をした僕に司令官が顔を真っ赤にしながら突っ込んできた。何がヤバイのかわからないが、そのだらけた顔を少しだけ戻してあげる。仕方ないなぁ司令官は。

 

 よしよしと司令官が頭を撫でてくれる。いつもみたく優しい撫でかただ。あまりにも気持ちよすぎてさっき直しただらけ顔がさらに酷くなって戻ってきた。

 

 「よし、そろそろ仕事しないとな」

 

 そう言って司令官は立ち上がろうとするので、僕は慌てて司令官の体をつかみ、地面へとおろす。

 

 「あと5分」

 

 「へ?いやいや仕事があるからな?」

 

 「む~っ!あと10分!」

 

 「増えてる!?」

 

 なかなか布団から出たくない人が言うような台詞で、僕は司令官を引き留めようとする。最初は5分と言ったが、考えてみるとあんまり長くないなぁと思い10分にしたのだが、司令官に突っ込まれてしまった。そりゃぁ仕事が大量にあるのは知ってるけど、僕にももう少し構ってくれててもいいじゃん。というか最初はもっと構ってくれたのに...もしかして司令官、僕のこと嫌いになった?

 

 「司令官、僕のこと...嫌い?」

 

 少し怯えた顔で問いかける僕に司令官はうっと唸り、どう返事を返したらいいのかと迷っていた。

 

 「ああ!もうわかったから仕事は後回し、それでいいだろ?」

 

 覚悟を決めたかのような顔で言う司令官。一瞬迷ったけど、僕のことを優先してくれたようだ。

 パァッと笑顔になる僕に司令官は顔を赤くしつつも、ぎゅっと抱き締めてくれる。

 

 「あぁもう!10分と言わず1時間こうしといてやる!」

 

 「やったー!」

 

 司令官の胸に埋めていた顔を上げ、上目遣いで司令官に笑顔を見せる。よく司令官は顔を赤くするのだが、最近わかったことがある。なぜか僕がわらったときにだけ顔を赤くするのだ。だから試しに笑ってみたのだがどうやら僕の予想は当たっていたようで、司令官はみるみるうちに顔を赤くした。あれ?この笑顔を武器にしたら司令官にいつでも甘えられるかも!?

 

 要らぬことを覚えた僕なのであった。




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もう一回学校


【挿絵表示】


 学校で描いた長門の絵です。まぁあんまりうまくないですが、遠くから見たらそれっぽいので出来れば遠くから見てください。

 やっはろー皆さん。昨日は5ヶ所も蚊に噛まれたマリオンです。痒くて夜も寝れませんし、異様に音に敏感になって耳元で飛んでいた蚊に気がついて起きてしまいました。その時間なんと4時。今尚痒いです。


 キーンコーンカーンコーン

 

 さてさて今日も学校の時間が始まるわけだけど、昨日は2時間も甘えちゃってたからあとの仕事が大変になって、手伝ったんだけど終わったのが夜中の2時になっちゃったんだよね。あのときの司令官必死だったなぁ~。4時までには提出しなきゃー!とかいってたし、結構危なかったのかな?

 

 「ふわぁあぁっ...んんっ」

 

 「おっきな欠伸なのです」

 

 「ふぇ?司令官の仕事に付き合ってたからね」

 

 「なるほどなのです。響ちゃんは偉いのです」

 

 「えへへ...」

 

 よしよしと頭を撫でてくれる電ちゃんに思わず頬が緩む。い、いや遅れたのは僕のせいなんだけどね?でも手伝ったのには変わりないから別にいいよね?

 

 そんなやり取りをしていたらどうやら教室についたようだ。教室の入り口には駆逐艦1ー3と看板がかけられている。もう完全に学校である。

 

 教室の扉を開けると他の皆は揃っているようで、後僕達だけみたいだ。しかし人が多い、電ちゃんの後ろに隠れつつ自分の席へと着く。因みに電ちゃんの席は僕の後ろで、隣が暁ちゃんとなっている。電ちゃんの隣は雷ちゃんで、暁型が固まっている。ここら辺のシステムは外の学校とは違うみたいだね。席替えとかクラス替えとか無いみたいだし。

 

 あ、足柄さんが来た。

 

 「皆席についたわね?」

 

 「「はーい」」

 

 「じゃあ授業を始めるわ。日直、挨拶を」

 

 「はい」

 

 教室に入ってきて早々に皆が席に着いていることを確認する足柄さん。皆がいることを確認したら日直に挨拶をお願いした。今日の日直は如月さん。

 

 え?なんで名前を知ってるかって?そんなの覚えた以外ないでしょ。僕、昔から人の名前を覚えるのだけは得意だったんだ...。覚えないと誰がましで誰がヤバイとかわからなかったから。虐めの話だよ...思い出したらもう震えが止まらない。

 

 「響、大丈夫?」

 

 昔のことを思い出して震えてる僕に、暁ちゃんが小声で大丈夫かと聞いてきた。一応大丈夫と伝える。

 

 「起立。礼、お願いします。着席」

 

 皆が一斉に立ち上がり、足柄に向かって礼。そしてお願いしますと少しだけ声を張り上げて言う。そのまま着席。この流れは何処の学校も同じだろうから、僕だって出来る。

 

 「今日は響ちゃんが起きてるみたいだし、少し基礎の復習をするわ。いいわね?」

 

 「「はい」」

 

 「うぅ...」

 

 まだ一回しか寝てないのに今日はとか言われた。僕って居眠りする子だと思われてるのかな...?でも実際昨日は寝ちゃった訳だし。うぅ...。

 

 「ではまずは歴史から入っていくわね」

 

 こうして僕はこの世界に来てはじめての授業を受けることになった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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復習なのに皆わかってない


【挿絵表示】


 マリオンさんが15分間で書き上げた幼女です。まぁ、下書きですけどね。なんか動画見てたら40分くらいで描いたあんまりうまく描けてない動画があったので、コメントあんまりいいこと書いてないんだろうなぁと思いながら見たら結構上手いとか書いてあったので、マリオンさんだったらもっと上手く描けるし!とか誰かもわからない人にむきになって、早さを求めて描いてたらこうなりました。

 え?長いしなんか悪口いってないかって...?気にしないで☆

 写真が暗いのも気にすんな!


 「ではまず、深海悽艦が訪れる前の話なんだけど、世界はどのような状況になってたでしょう?」

 

 「はい!」

 

 足柄先生の確かめるような質問に、元気よく手を上げたのは睦月ちゃん。昨日の日直だった子だ。

 

 「はい、睦月ちゃん。」

 

 「戦争です!」

 

 「正解ね、よく覚えてたわね偉いわ。そう、この世界は過去大陸同士での戦争が絶えなかったの」

 

 正解した睦月ちゃんを誉めると、この世界の歴史について本格的に語り出した。

 

 戦争と言えば二つの大きな戦争があり、第一次世界大戦、第二次世界大戦、どちらもが有名であるがよく知られている方は第二次世界大戦である。なぜ第二次の方が知名度が高いかと言えば、戦死者の数もあるが、日本がアメリカと戦争をしていたというからだ。

 

 「アメリカの国土の面積が日本の何倍か知ってる?」

 

 話を一時止め、皆に質問をする足柄先生。これは授業ではやってなかったのかみんなわからないといった風に首を傾げていた。

 

 「25倍よ」

 

 「そんなに...」

 

 その数字はとてつもないものだった。国土が25倍、もちろん単純計算でいうと資源も25倍だ。最も日本は資源の乏しい国であるので最低でも50倍ほどはあっただろう。そして何よりも多いのは人材、兵士の数だ。兵士の数は戦争にとって何よりも大事なもの故に、戦争の勝敗を分けると言ってもいい。

 

 「そんな大国に日本は挑んだと言うわ」

 

 「はい!」

 

 「はい暁ちゃん」

 

 なんでそんなところに挑んだろ?と思っていたら隣に座っていた暁ちゃんが大きく手を上げていた。

 

 「なんで日本はアメリカに挑んだの?」

 

 おぉ!暁ちゃんナイス!!僕は心の中でガッツポーズを取りながら、足柄先生の答えを待つ。の前に予想してみようと思う。日本は昔とっても悪い国で、なんかムカついたから喧嘩を売ったとか?んん~っ、僕学校でまともに授業受けれたことないからよくわかんないや。

 

 「響、何唸ってるの?」

 

 「な、なんでもないよ?」

 

 おっとっと、危ない危ない。僕ってよく声が漏れるよね...今度から気を付けようかな?というかなんだか答えが聞けないと思ってたら足柄さんがこっちを見てるよ!あ、あわわ!

 

 「ふふっ、なぜ日本がアメリカという大国に挑んだのか、それはいろいろと話があるけど真実は仕方なかったと言うべきかしら」

 

 「仕方なかった...?」

 

 皆が小首を傾げるなか、誰かが声に出した。というか復習とか言いながら皆全然わかってないのはなんでだろ?もしかしてここ飛ばしてたのかな?

 

 この世界に来て、人生で初めて...でもないか、世界の歴史を学ぶ僕なのであった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いしますぅ。


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石油?そんなの何に使うの?

 やっはろー皆さん。絵はある程度描けるものの、幼女以外のキャラは全く描けないマリオンです。いやー、男キャラとか描いてて詰まらないので幼女ばっかり描いてたらこうなりました。ま、今後も描く機会とかあんまりないだろうし気にしなーい気にしなーい。

 それより皆さん、MMORPGとかやりますか?マリオンさんは黒い砂漠始めたんですけど、何分人見知りな訳でして、パーティーとか組むのが苦手なんですよ。コミュ症じゃ無いんですけど話しかけることが出来ないんですよ。


 「足柄先生、なんで仕方がなかったんですか?」

 

 皆の疑問を代弁するかのように黒髪をポニーテールにした子、吹雪ちゃんが足柄さんに聞いた。みんなもうんうんと頷いて話を聞く体制に入ってるし、やっぱりここ飛ばしてたのかな?結構大事なところだと思うんだけど...。

 

 足柄さんはふふっと微笑んで話を始める。

 

 「それはね、アメリカが日本への資源の輸出を制限したゃったからなのよ」

 

 「資源の輸出?」

 

 「そう、資源よ。一番重要な資源は石油なんだけど、それも制限されちゃったのよ」

 

 資源がない、それはとても大変な事だ。資源がなければ戦うための道具を作れない、そうなれば自然と戦いに参加する人数が減ってしまう。つまり数で押されちゃうわけだ。

 

 うーん、難しい!ふと、隣を見ると暁ちゃんも難しい表情をしていて内容を余り理解できていないようだった。うん、やっぱ難しいよね。あっ、なんか考えるのを止めたみたい。

 

 「貴方達、ちょっとわかってる?」

 

 足柄さんがこちらを見ながら聞いてきた。わ、ワカッテマストモー。少々片言ではあるがそう返す。

 

 「ふーん、じゃあ石油って何に使うか知ってる?」

 

 「え、ええ?えっとぉ...エンジン!!」

 

 少し悩んだ末、その答えを導き出した僕。質問を返せるくらいにはこの空間にも慣れてきた。うん、石油はエンジンに使うって聞いたことがあるもんね。きっとそうだよ!...なんでそんな微妙な顔つきをしてるの?僕が当てたから?やったー正解だって!

 

 「正解とも言えないし外れとも言えない回答ね...」

 

 「え!?」

 

 「いい?石油っていうのはね、一度加工されるのよ。そのままでもいいんだけど不純物とかが多くて効率が悪い、だから加工されるの」

 

 「ふぇぇ?」

 

 「......そして加工されたのが重油。これが私たち艦娘の燃料になるわけ。うん、エンジンに使うって多分燃料のことだろうから正解にしといてあげましょう」

 

 「.........?」

 

 僕の反応にため息を漏らす足柄さんは、僕を可哀想な人を見る目で見てくる。僕、そんなにバカなの?え?これって常識なの?こんなのわかるわけないよぉ。

 

 「どんまい!」

 

 自分が常識も知らない馬鹿だと知って落ち込む僕に、隣の暁ちゃんがフォローを入れてくる。

 

 「って暁ちゃんもわからなかったんじゃ...」

 

 「も、もちろん知ってたわよ。私はれでぃだからね」

 

 視線を右上に向け、目をおよがせながら言う暁ちゃんに、僕はジト目を向ける。そもそもれでぃだからって知ってる理由にはならないのを、暁ちゃんは知っているのだろうか?いや、言うまでもなくこの様子じゃ知らないみたいだけど。

 

 僕の方が頭良いのでは?知っていたと語る暁ちゃんに、微笑んでいる足柄さんが暁ちゃんに問題を出そうとしていたのは、僕と暁ちゃん以外の皆が察していたようだった。




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石油の他の使い道は?

 やっはろー皆さん。風邪と熱でバイトを休んで呑気に小説投稿しているマリオンです。

 皆さん、マインクラフトやられてますか?マリオンさん、建築センスが無さすぎて辛いです。どうやったらうまく作れるんでしょうか?やっぱテクスチャと影modに頼るしかないのか...?


 「じゃあ暁ちゃん、問題を出してもいいかしら?」

 

 「え!?なんで!?」

 

 「さっきの問題、わかったんでしょ?なら次の問題も解けるはずよね。だってレディだもの」

 

 レディだものと、明らかに暁ちゃんの口癖を利用して、暁ちゃんに問題を答えさせるようにする足柄先生。暁ちゃんは、あわあわと慌てていた。暁ちゃん...僕、応援してるからね。間違ってもいいんだからね。

 

 「それに、さっきの貴方達って言ったときに暁ちゃん何にも答えなかったじゃない」

 

 「え...?」

 

 え...と僕までもが固まる。確かにそう言えば僕に問題を出したとき足柄先生は『貴方達、ちょっとわかってる?』と聞いた。つまり僕だけにじゃなく暁ちゃんにも聞いていたのだ。え...ということは僕だけがあんな恥ずかしい思いをしなくてすんだの!?暁ちゃん知ってて答えなかったの!?何それズルい!うぅ...暁ちゃん、応援はしないから精々恥ずかしい思いをしてね。僕は間違った暁ちゃんをきっと...きっと笑ってあげるから。

 

 「じゃあ問題です」

 

 「ちょっ、ちょっとぉ!」

 

 「石油の燃料以外の使い道とは?」

 

 ででんっと効果音がなりそうな感じで始まりだした問題。僕の時よりも難易度が上がり、難しい問題となっている。ふふ、暁ちゃん、答えなかった自分を呪いながら悶え苦しめぇぇぇぇえ!!!

 

 「え...?なんだ簡単じゃない!」

 

 「え?」

 

 足柄先生の問題に暁ちゃんは、胸を張って簡単だと言い張った。あ、あれ?おかしいなー?僕には何にもわかんないのに暁ちゃん、簡単だと自信満々に言ってるよ?え、えぇ?何かの間違いじゃない!?

 

 ふふんっとどや顔を決めながら胸を張っている様は、子供が親に自分の知識を自慢するときのようだ。

 

 「じゃあ答えを」

 

 どくんっ、どくんっ、とクイズ番組特有の緊張感が走る。

 

 「ふふふ...それはねぇ...。ずばり、ガソリン(・・・・)よ!!!」

 

 ............その瞬間、時が止まった。

 

 妙にもったいぶりながら言った暁ちゃんの回答は、この教室を絶対零度まで急激に温度低下を起こすのには充分だった。僕はもちろん、教室の皆や足柄先生までもが固まるなか、暁ちゃんだけがどや顔でポーズを決めていた。

 

 「どうよ、正解でしょ!」

 

 「「っは!」」

 

 暁ちゃんの問いに教室の皆が一斉に正気を取り戻す。

 

 「あ、あのね暁ちゃん」

 

 「褒めたって何もでないわよ!」

 

 足柄先生が何かを言おうとしたのだが、その言葉を無視して妙にキラキラした目でそう言う暁ちゃん。その雰囲気から褒めてほしいという気持ちがひしひしと伝わってきた。

 

 そんな様子の暁ちゃんに足柄先生はどうやら覚悟を決めたのか、引き締まった顔になった。そして大きく口を開けて言う。

 

 「ガソリンは燃料(・・)なのよ!!」

 

 「...え?」

 

 今度は暁ちゃんが固まる番だった。




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石油って固体なの!?

 やっはろー皆さん、お久し振りです。プラスティック・メモリーズとか凪ぎのあすからとかあの日見た花の名前を僕たちはまだ知らないとか見てたら凄すぎて書く気がなかなか起きなくて遅くなりました!

 え?あの花始めてみたよ?だって前までぜんっぜん興味なかったもの。感動したわぁ...。皆さんは感動したら涙が出ますか?マリオンさんはねぇ...結構泣く方だと思うんですけど誰かがいると泣けないです。だから一人で見たいですね。


 「が、ガソリンが...燃料」

 

 「えぇ、燃料よ」

 

 暁ちゃんが動揺したように確認をとると、まるで理解させようとするかのように足柄先生が答えた。その答えに皆がうんうんと一斉に頷いて暁ちゃんを見る。

 

 なんだろう、凄く可哀想に感じてきた。絶対恥ずかしいんだろうなぁ...僕だったら泣いて逃走しちゃうレベルだよ。んー、にしても暁ちゃん全然動かない...。ツンツンとつついてみるも反応なし。これ、完全に固まっちゃってるね。

 

 「足柄先生!ヒイッ...こ、答えは何ですか!?」

 

 「え?あ、えぇ」

 

 しょうがないから手を差しのべてあげよう、と意気込んでの質問だったんだけど、足柄先生と言ったとたんに皆が此方を見るから驚いて変な声が出ちゃった。足柄先生も少し動揺しているようだ。暁ちゃん、まだ動かないもんね。ピクリとも...息、してないように見えるけど大丈夫なのかな?

 

 「正解はビニール袋や、服など様々な製品に使われているわ。」

 

 え...何それ超難しいじゃん。うん、これ暁ちゃんに答えられるわけないよね、僕も全然わからない。だって石油は液体であって...。

 

 「まぁなにか一つでも答えられたらよかったんだけど...まさかガソリンと答えるとは」

 

 「ええ!?そんなのズルい!!」

 

 「えぇ!?」

 

 突然反応した暁ちゃんに足柄先生は驚く。いや、ズルいの言葉に驚いたのかな?というかズルいって何?足柄先生何かズルしたの!?

 

 「な、何がズルいのかしら...?」

 

 足柄先生は動揺を隠せないのか少し吃りながら質問をする。

 

 「だって...だって石油って、液体じゃ...なのにビニール袋とか作れるわけないじゃない!!」

 

 「は...?」

 

 「た、確かに!」

 

 「へ...?」

 

 暁ちゃんの言葉に僕は納得してしまう。確かに液体から固形のものを作るなんて聞いたことがない。え?こおり...?あれは溶けたら水になるじゃん!!でもビニール袋とか服とか溶けないでしょ!?だったらどうやって作るの?これって明らかに矛盾してるよね!!?足柄先生、流石に卑怯だと思います!!

 

 「あ、あのね...」

 

 「ま、まさか!石油って...固体だったの!!?」

 

 「えぇ!?」

 

 更に暁ちゃんの言葉にさっきよりも驚いた皆。え?マジ!?石油って固体なの!?なんだ、それならそうだと早くいってくれればいいのに!

 

 「そ、そうだよ!石油って油だけど固体なんだ!だから固形のものが作れる...暁ちゃん、天才だね!」

 

 「へ?ま、まあね!れでぃの私にかかればこれくらい...」

 

 「貴女達、何言ってるの!?」

 

 「なにって...石油でしょ?」

 

 あ、あれ?僕たち...何か変なこと言ってたのかな?皆の視線が可哀想な人を見る目だよ?あれ、足柄先生...なんでそんなに白い目で此方を見てるの?わ、わからない...。僕たち、何も間違ってないよね?

 

 誰も答えてくれない中、僕は心の中で必死にこの状況を理解しようとしていたのであった。うぅ...やっぱ人って怖いよね...。




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執務室で息抜き

 やっはろー皆さん。眠たげな響の顔を見ると余りの可愛さに悶えてしまうだろうと予想できるほど響が好きなマリオンです。

 あぁ、バーチャルな世界でもいいから響と一緒に過ごせないものでしょうか。このままだとマリオンさん、響成分が足りなくて死んでしまいそうです。


 キーンコーンカーンコーン

 

 「あら?...はぁ、今日の授業はここまでよ。全く進んでないわね」

 

 石油の話はもうういと授業を始めようとしたとき、授業の終わりを締めくくるチャイムが鳴り響いた。足柄先生の言葉に皆は疲れた表情でそれぞれ僕と暁ちゃんを見て苦笑いをしている。足柄先生も何処か疲れた様子で顔色が悪い。ちゃんと休憩は取っているのだろうか?

 

 「おわっ...た...」

 

 「終わったわね」

 

 「終わったのです」

 

 「終わったわ!」

 

 僕たちは思いも思いの言葉を口にだし、終わったというのを認識する。何故だか僕まで酷く疲れたため、僕は早く帰りたいという一心で席を立ち上がり、暁ちゃんたちに断りをいれてから僕の憩いの場となっている執務室へと足を向ける。

 

 執務室が憩いの場...となっているわけでは無い。司令官がいるから憩いの場なのだ。

 

 どうでもいいことを考えつつその足は徐々に近づく執務室に喜び、軽快なステップへと変わっていく。所謂(いわゆる)スキップというやつだ。

 

 「ふん、ふんふん、ふんっ♪」

 

 自分でも驚くほどご機嫌になり、ついには鼻唄まで歌いだした。もはや僕を止められるやつはいない。これが無敵チートというやつなのだろうか?

 

 今のわからない会話を自分としつつ、執務室の前へとやって来たことに喜びの表情を浮かべる。

 

 恐らく中では司令官が書類仕事をしているだろう。だからあまり音をたてないように慎重にドアノブを握り、ゆっくりと回していく。そしてあともう一捻り...!といったところで中から声が掛かった。

 

 『響か?』

 

 「──え?」

 

 な、なな、何故バレたのだろう!?ぼ、僕は物音一つたててないのに...!もはや司令官は人間の域を越えてしまったというのだろうか!?というか司令官分かってても言わないでよ!!僕が恥ずかしいじゃん!

 

 うぎゃぁぁあっと奇声を上げてドアの前で悶え始める僕が心配になったのだろうか、司令官が扉を開けて覗き混んできた。

 

 「なにやってんだよ...」

 

 「な、何でもないよ!」

 

 っは!そういえばなんで僕はバレないように入ろうとか思ったんだろう?あ、あれ?ほんとなんで?...この事は一生封印することにしよう...うん。

 

 僕の反応に微妙な顔をする司令官をせっせと中に入れ、扉を閉める。僕はもう疲れているから早く休みたい。司令官には悪いけど僕は僕優先なので司令官を椅子に座らせて、その膝の上に僕が座り司令官の手を僕の頭にセットする。え?何してるのかって?そんなの決まってるよ!司令官には癒してもらうんだ!

 

 さっきので少し赤い顔を見られないように気を付けながら、授業で疲れきった体を癒すかのように司令官に頭をなで続けてもらうのだった。




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不憫な暁ちゃん

 やっはろー皆さん。マイクラに深これmodをいれて響を眺めているマリオンです。

 そう言えば最近、響の絵描いてないなぁ~。模写ならいざ知らずオリジナルで響を描くとなると難しいですよね~。マリオンさんは難しいポーズとか描けませんのでいつも棒立ちです。コツとかないのかな?


 「さて響、今日は演習だけど前回なにしたか覚えてる?」

 

 朝、目が覚めて着替えたり歯を磨いたりして朝御飯を食べに行ったのだけど、暁ちゃんが唐突にそんなことを聞いてきた。そういえば演習なんてあったなぁ~とか思っている僕だが、前回の内容はしっかりと覚えている。あっ、因みに朝御飯はサンドイッチだ。

 

 「陣形とか見たり、航行練習したりしたよね」

 

 「うん、しっかり覚えてるわね」

 

 「響ちゃん、全然覚えてなさそうだったのでちょっと心配だったのです」

 

 「あー確かにそうね。全く忘れてそうだったわ」

 

 電ちゃんの言葉に頷いて雷ちゃんが言う。僕自身演習があったことを忘れていたから否定は出来ないのだが、こうも信頼されていないとは思わなかった。まぁ、実際今までの行動を見ていたら確かに僕が覚えてなさそうなのもわかるけど、ちょっと酷いよね。

 

 サンドイッチをもぐもぐしながら二人をジト目で見ている僕に、暁ちゃんは苦笑いしていた。

 

 「それにしても昨日の授業は面白かったのです」

 

 「そうね、暁ねぇったら変な答えばっかり言うんだもん。笑うをこらえるのに必死だったわ」

 

 確かに昨日の授業は暁ちゃんの珍解答が聞けてすごい面白かった。燃料以外になにかあるかと聞かれてガソリンって答えるし、石油が固形だー!とか言うしで。え?誰か一人石油が固形って言われて吃驚してなかったかって?き、気のせいじゃないかな!?

 

 「ちょっ、ちょっとぉ!き、昨日は調子が悪かっただけなのよ~!」

 

 暁ちゃんは急いで否定するが、問題に解答するのに調子って関係あるのだろうか?

 

 「そんなこと言っていつもあぁじゃない?」

 

 「そうなのです、暁ちゃんはいつも調子が悪いのです?」

 

 「うっ...」

 

 しかし二人の攻めに暁ちゃんは言葉が出てこないようで、二人を睨みながら唸っている。

 

 うわぁっ...流石にこれは暁ちゃんが可哀想...。でも言っちゃえば自爆したもんだし...。というか雷ちゃんはともかく電ちゃんが物凄い笑顔なんだけどぉ!?止めるに止められないよぉ。お願いだからこっちには目をつけないでね。

 

 「う、うるさいわね!私だって本気を出せばあんな簡単な問題くらい...」

 

 「じゃあその本気はいつ出すのです?」

 

 「うぎゃぁぁぁああっ!!!」

 

 「は、ははは...」

 

 もうこれ見てられないんだけど。暁ちゃんは女の子らしからぬ叫び声をあげて机に倒れ伏しているし。電ちゃん、なんだかスッキリした笑顔だし。雷ちゃんはもう飽きたのかサンドイッチ食べるのに夢中だし。こ、これがカオスってやつなの?

 

 早く、演習始まらないかな...。




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初めての砲撃

 やっハロー皆さん。ま、ま、マリオンさんですよ?今回は響初の砲撃ですが、砲撃についてはマリオンさんも素人なのでよくわからないところがたくさんあります。もしよろしければアドバイス等してくれると助かります。

 響を見てて思ったこと───可愛い。


 「よし!皆装備はオッケー?」

 

 「うん」

 

 やっとこさ来れた演習場。あのあと暁ちゃんが拗ねちゃって連れてくるのがすごく大変だった。まるで子供みたいに拗ねるから余計に手間がかかるんだよね~。ま、可愛いからいいけど。これが大人だったらそうとうウザかったと思う。

 

 それより、暁ちゃんが一応僕の装備を見てくれている。僕はこの事に関しては素人だから細かいところの見落としがないかとチェックしてくれているのだ。あっ、因みに点検の仕方は電ちゃんに聞いたよ。しょうがないのですとかいって優しく教えてくれたんだけど、黒い電ちゃんを知ってるからかかなり奇妙な光景に思えた。せっかく教えてくれてるのに失礼だけど、仕方ないよね。

 

 「じゃあこれより射撃訓練を行うわ!」

 

 「「おー!」」

 

 「よし響、まずはあの的を狙って撃ってみて」

 

 そう言う暁ちゃんの指す先には結構大きな的があった。直径は五メートル、距離五十メートルと言ったところか。正直外すとは思えない。

 

 (あらかじ)め雷ちゃんに教わったように自分の持つ12.7cm連装砲を構え、そのトリガーに指をかける。本当は腕につけて撃つのが響流だと言うのだが、どうやってトリガー引くの?とか聞いたら皆黙って考え込んでしまったから持つことになった。皆知らなかったの...。

 

 「──撃ち方始めっ!」

 

 暁ちゃんの掛け声と同時にトリガーを引く。ズドンっと腹に響く音がしたかと思うと、その砲身から火と煙が吹き出し、弾を吐き出した。その際物凄い反動が僕の腕にかかってくるが、どういう仕組みなのかこの艤装全体が衝撃を吸収してくれた。使用しているのは12.7cm演習用練習弾。直撃しても破損を与えることはなく、物凄く柔らかい物質で弾を囲っているため直撃した瞬間にそれが壊れ、炭を付けるといった感じだ。

 

 ザパーンッ

 

 「──ふぇ?」

 

 「初弾外れ、左修正急げ!」

 

 「え?えぇ?」

 

 「早く!」

 

 取り敢えず撃った弾はなんと明後日の方向に飛んでいったかと思うと、遠くの方で大きな水中を立ち上げた。それを見た暁ちゃんが素早く指示をだし、僕を誘導する。言われた通り少し左に砲を向ける。

 

 「それ左過ぎ!」

 

 「えぇ!?」

 

 だが、怒られてしまった。近いからこのくらいだろうと思ったのだがどうやら行きすぎてしまったようた。

 

 「もう一度修正、右に6度」

 

 「ろ、6度...?」

 

 6度ってどのくらい?そんな疑問が頭のなかを埋め尽くす。しょうがないじゃん、僕分度器持ってないんだから。そもそもこれって慣れないといけないものでしょ?どうやっても今の僕には当てられそうに無いんだけど...。

 

 そんな風に思っていると、暁ちゃんが側まで来て僕の手を取り、その砲身を修正した。動かしたのはほんの僅か。6度とはそのくらいなのだろうか。そのまま僕の腕を固定するようにがっしり掴み、引き金を引く暁ちゃんの放った弾は──見事的に命中。その中心を黒く染め上げた。




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響は悪知恵を身につけた

 やっはろー皆さん。電車に乗り間違えて逆戻りしちゃって1時間も帰るのが遅くなってしまったマリオンです。

 皆さんは三人称で物語が進む小説か、ずっと一人称のまま進む小説、どっちが好きですか?マリオンさんはどっちも好きです!


 「しゅ、しゅごい...」

 

 一発で当てたあまりにもの実力に、僕はそう言うしか出来なかった。

 

 「これくらいできないと...これ以上出来ないと絶対に勝てないわよ?」

 

 「ご、ごもっともです」

 

 聞くと敵である深海悽艦はこの的よりも小さく、更にこの何倍かの距離がある。そして一番大きな違いは、そう───動いているということだ。今の実力じゃ到底当てることすら叶わないということである。もはや至近弾すらないだろう。

 

 「さて、じゃあさっきの感じでもう一度お願いね」

 

 さっきの感じ...腕を固定して、砲をまっすぐ的に向ける。そこに微塵の誤差もなく、正確な角度。50メートルという距離を意識して仰角プラス0.2度。引き金に手を当てるときは狙いが狂わないように細心の注意を払う。

 

 何処か作業的なやり方ではあるが、そのどれもをクリアしていく。

 

 「撃ち方...」

 

 ドクンッと、心臓が跳ねる。

 

 「始め!!」

 

 「当たれぇぇぇええええええっ!!!!!!!」

 

 ズドォォォンッ!!

 

 発車された弾は砲筒内に刻まれた回転する仕組みにより、空気いや大気を引き裂き音速よりも速い速度で飛んでいく。主砲が発車された反動、空気の振動により、海面は僅かに泡立ち、波立った。

 

 ジーンっと腕を貫くかのような衝撃に耐え、収まった頃に目を開ける。

 

 「ひ、響...」

 

 「ふぇ...?あっ」

 

 何故か真っ白な的、そしてその僅か後方に立つ水柱。これが物語っていることはただひとつ。

 

 「外しちゃっ...た?」

 

 思わず声に出てしまうほど衝撃だった。あれほどまでに正確に狙いをつけて撃った弾が、あと僅かのところで上に逸れ、外れてしまった。当てる気だった僕はこの事実にどうしようもなく落ち込んだ。たぶん、撃ったときに少し砲を上げてしまったからだろう。

 

 「ひ、響!?大丈夫よ!!二回目でここまで正確な狙いをつけれる人は早々居ないから...!」

 

 暁ちゃんが僕の様子を見て慰めてくれる。こういうときは立派なレディなのだ。慰めてくれること事態は嬉しい。嬉しいけど、その言い方だと───

 

 「それって艦娘じゃなくて人の話でしょ?」

 

 「っは!!」

 

 僕の言葉に目を真ん丸にして反応する暁ちゃん。その表情はなぜわかったしとでも言いたそうだった。暁ちゃんは少し頭を鍛えた方がいいと思うんだ。あれでバレないと思えるとかある意味神ってると思うよ。艦娘に人って言葉は使わないんだよねぇ~。子だったり娘だったりしか使われないんだよ。

 

 大体人と艦娘を区別するためにそうなったらしいが。

 

 まぁ、でもある意味元気を取り戻した気がする。暁ちゃんを見てると自分が救われたって感じがしていいんだよね。なんだか見てるだけですごい慰められる。こうやって間違っているところを指摘したときの慌てる顔とか最高だよね。...あれ?電ちゃんが弄ってるのってこれが理由?だとしたらこれから電ちゃんのこと悪く言えないや。僕も嵌まりそう。

 

 僕は新しく悪知恵を身につけて、今日の射撃演習を終わるのだった。暁ちゃんにもやってもらったけど、50メートル先にある10cmの動く的を初弾で命中させてたよ!




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今日の授業

 やっはろー皆さん。最近FPSが格段に上手くなったと言えるかどうかわからないけどまぁ自分では上手くなったと思っているマリオンです。皆さんはFPSやりますか?というかパソコンですか?プレステのBF4前に友達の家でやらせてもらったんだけど、AIMが難しすぎてパソコン勢の俺には向かなかったんですよねぇ。結局1killも取れなかったのが悔しいです。


 チャイムが鳴り響き足柄先生が教室に入ってくる。今日も今日とて足柄先生による授業なのである。前回は石油の事を学んだんだけど、今回はどんなことを学ぶのだろうか。

 

 皆で挨拶をして、足柄さんの行動を待つ。教卓に立った足柄さんは皆を見渡したあと、口を開いた。

 

 「おはよう、今日は前回の続きをしたいと思うわ」

 

 前回の続きということはまた石油の話かな?でも、もう終わったんじゃ...。暁ちゃんが間違って、それで...あんまり覚えてないや。まぁ、石油の事事態は覚えてるしなんにも問題ないよね。

 

 「石油はもういいわ。石油の話だけで1時間は取られるだろうし」

 

 「確かに掛かりそうねぇ...」

 

 「そうだね!」

 

 足柄さんの言葉に納得した表情を浮かべるみんな。なんで1時間もとられるの...?っは!もしかしてもう授業は始まってる!?だとしたらこれはなぞなぞ...石油の話をすると1時間とられる理由はなーんだ?っていう話!?や、ヤバイ、わからない!ここ、テストに出ますよとか言われたらどうしよう!0点とか取ったら司令官に怒られるかも...!

 

 「響、私わからないわ。皆がなんで今のでわかるのか...。このなぞなぞはレディでも解けないわ」

 

 「暁ちゃんもわからないの?」

 

 「もってことは響もなの?」

 

 「うん」

 

 仲間がいた。僕が暁ちゃんと一緒だと言うと、暁ちゃんの顔は難しそうな顔から一気に喜色満面の笑みに変わった。あぁ、仲間がいるって素晴らしいね!僕たちは二人手を取り合って笑顔で頷きあっていた。

 

 「二人ともちょっと頭が弱いのです」

 

 「そうね。暁ねぇはともかく響までこんなだと、これから先やっていけるのか不安になるわ」

 

 「私も出来れば関わりたくないのです」

 

 そんな僕たちを哀れみを含んだ目で見てくる二人は、僕たちをアホの子だと思いつつ、今後の不安に目を背けていた。これが現実逃避...?なんか違う。

 

 そんなこんなしてたら足柄さんはこちらを見ており、他の皆も教科書を出し、微笑ましい顔で見ていた。そんな目をされてるとなんだか子供に見られてる気がする...!僕はもう子供じゃないのに!レディとは言わないけど立派な...立派な...あれ?僕って何歳だったっけ?

 

 「ほら、さっさと教科書開きなさい。今日も時間を全部潰す気?」

 

 考えに(ふけ)っている僕に足柄先生が注意を飛ばす。見ると暁ちゃんも電ちゃんも雷ちゃんもみんな教科書を出してこっちを見ていた。なんだか僕だけ取り残された気分になってきたので、急いで教科書を出して前を向く。

 

 「じゃあ前回の続き、歴史について話していくわね」




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歴史のお勉強

 ズドラーストヴィチェ。響だよ。今日はマリオンさんが久し振りに私を出そうって言ってこうやって出てくることになったんだ。しかし、この物語も80話を越えてしまったね。戦闘シーンとかまだ出てないけどそのうち出ると思うからよろしく。出来れば作中の響を応援してやってほしいな。

 ダスヴィダーニャ


 「前は資源の日本への輸出が制限された事を話したわね?」

 

 足柄先生が僕たちに思い出させるように確認をとってくる。もちろんしっかりと覚えてますとも!僕はやっぱり記憶力がいいんだね!

 

 「制限されたのは石油と他資源。最も石油は軍艦、航空機、戦車を動かす燃料になるわけだから日本は大規模な作戦が出来なくなってしまったの」

 

 「?でもなんで戦争が始まったんですか?戦争しなければ石油なんてあんまり減らないんじゃ...」

 

 「そう、そう思うわよね。だけど遠方にいる味方に支援物資を送る際、大量のタンカーとその護衛艦が使われるわよね?そうしたら石油は減る一方。いくら日本が蓄えていたと言っても直ぐに尽きてしまったわ」

 

 睦月ちゃんの質問を初めは同意する足柄先生。しかし、その考えを直ぐ様否定するかのように理由をのべた。確かに、石油がなくなれば味方に食べ物とか送れなくなるし、そしたらその人たちはその土地を捨て、戻ってこなければならなくなる。なるほど、奥が深い話である。ま、正直僕にはあまりピンとこない話なんだけどね...。大体日本人は日本に居ればなんにも問題ないんじゃないかな?

 

 「アメリカは日本という小国ながらもかなりの力を持つ国が邪魔で仕方がなかったんでしょうね」

 

 「そんなっ!それじゃあ日本は無理矢理戦争させられたって言うんですか!?」

 

 悲痛な声をあげる吹雪ちゃん。彼女は日本が大好きだからそこまで感情的になれるのだろう。僕は日本は好きだけど、時々嫌いになることもある。虐めが無くならない、差別が無くならない。女の方が有利に物事を進められる。男女平等とはよく言ったものだよ。これじゃあ男尊女卑から女尊男卑になったたけだよ。

 

 「そう思うかは人それぞれよ。しかし日本もまたアメリカと戦争することには乗り気だった。日本もアメリカが邪魔で仕方がなかったのよ」

 

 例えアメリカが輸出制限をしなくてもいずれ戦争は起きていた...足柄先生は確かにそう言った。ただ、少し早まっただけだと。

 

 戦争って、なんのためにしてるんだろうね...。土地?土地がほしいの?でも、そんな殺して奪い取るなんてゲームじゃないんだし。ゲーム感覚でやってる...って訳でもなさそうだし。そりゃそうだよね、自国の兵士が死んでしまうんだから。相手の命なんて、考える暇もないって事なのかな?

 

 「日本は戦い続けたわ。真珠湾での奇襲攻撃はアメリカに甚大な被害を与え、開戦の合図になった。初めはよかったのよ」

 

 そう言って語る足柄先生の表情は、何処か悲しげであった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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僕って平凡?

 お久し振りです。マリオンです。スクーリングに行っていたので投稿が遅れましたこと、誠に申し訳ありませんでした。

 さてさて、そう言えばgta5(パソコン)買いましたよ。弟と二人でオンラインしてますけどまだまだわからないことだらけで...。というかパソコン版のグラセフ持ってる人って周りにいないから自然と弟とやることになったんだよね...なんかちょっと寂しい。


 初めはよかった、そう言った足柄先生の顔は何処か悲しげであった。どういうことだろう?初めっていうことは開戦して間もない頃?つまり前半戦が日本は優勢だったということだろうか?

 

 「残念だけれど違うわ」

 

 「ふぇ!?」

 

 「初めと言ってもほんの初め。開戦して初めて行った作戦だけが、日本の最初で最後の優勢。つまり、それ以降は負け続けていたのよ」

 

 何気に心を読んで答えてくれる足柄先生。この人ってエスパーなのかな?

 それより日本って最初以外負けたって事でいいのかな?まぁ、アメリカなんて大国に喧嘩を売って日本みたいな小国が生き延びているだけで凄いと思うんだけどね。いや、最初に喧嘩を売ったのはアメリカだっけ...?アメリカってちょっと意地悪なんだね。

 

 「その負け続けていた中には勝利したこともあるの?」

 

 雷ちゃんが質問をする。

 

 「ええ、あったわよ。しかしどれも辛勝(しんしょう)といえるものだったわ」

 

 「しんしょう...?」

 

 「辛いって字に勝つって書くのよ。かろうじて、ぎりぎりなどの勝利のことをいうの」

 

 なるほどなるほど、雷ちゃんは物知りだなぁ...。ありがとう。そう口にすると雷ちゃんは嬉しそうな顔になって目をキラキラとしていた。普段から頼ってとよく言われるので頼られたことが嬉しいのだろうか?漢字を教えただけで喜べるってある意味凄いね。雷ちゃんには敵わないや。

 

 あれ?雷ちゃんは天才だからそれより下の僕って平凡なのかな?むむ、僕は頭いいと自分で思う時はあるけど本物の天才はもっと頭がいいのか...!ま、負けてらんないよ!僕も雷ちゃんに教えるんだ!

 

 「あら?辛勝の意味は知ってたの?」

 

 「ええ、もちろんよ!だからもっと私に頼ってもいいんだからね!」

 

 「ふふふ、生徒に頼っては教師として失格になるから、授業以外で頼らせて貰うわ。荷物運びとか──」

 

 「疲れるのはあんまりしたくないわね」

 

 「...じゃあお茶汲みをお願いするわ」

 

 「それならいいわ」

 

 雷ちゃんは嬉しそうな顔で納得しているが、反対に足柄先生は疲れた表情をしている。いくら頼ってと言っても力仕事は嫌なんだね...。なんか自由だなぁ。じゃあ僕も力仕事とかは頼めないのかぁ。ま、力仕事が回ってくることなんて無いんだけどね。でもお茶汲みって...こんど司令官にお茶入れてあげたら喜ぶかな?うぅ、でもお茶の入れ方なんてわからない。

 

 「響ちゃんファイトなのです!」

 

 電ちゃんが応援してくれる。そうだ、電ちゃんならお茶の入れ方知ってるかも...。お茶って美味しく入れるコツとかあるのかな?もしあったら是非知っておきたい。苦いお茶なんて司令官に出せないからね!あ、もし美味しく入れられるようになったら皆にもご馳走しよう。お茶会とか開いて...ってそれは紅茶とかだったっけ?お茶でも大丈夫?お菓子とかと合うのかな?煎餅ってお茶会には相応(ふさわ)しくないような...。うーん...。

 

 聞いてみると電ちゃんは喜んでオーケーを出してくれた。ついでに紅茶の入れ方も教えてくれるようだ。これが一石二鳥...?うーん、ことわざって難しくてよくわからない。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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お留守番じゃないもん!


【挿絵表示】

 初めてペンタブを使って描いてみました!ちょっとというかかなり下手で雑ですけど。というか線が歪んでぇ...あぁ、一つ描くのに何日かかったか...。

 やっはろー、マリオンです。最近のRPGゲームはあまり面白くないですね。なんだかクエストで簡単にレベル上げれるし、モンスターと戦う時間があまり無いような気がします。それにいく場所も制限されますからね。皆さんは今のRPGをどうお思いですか?


 「起立、礼、ありがとうございました!」

 

 「「ありがとうございました!」」

 

 授業終了を知らせるチャイムがなり、皆で挨拶を済ます。結局あまり進んではいないけれど僕的にはこのくらいのペースの方が覚えやすくていい。まぁ、全部の授業を終えるまでにあと何日かかるかってなるとそこまでだけど。ん?そう言えばこの授業ってどのレベルまでの内容なのかな?小学校?中学校?それとも高校...っは!まさか大学!?ぼ、僕はそんなに頭良くないよぉ~...。

 

 「さて、私たちは遠征があるから響は司令官のとこでお留守番ね」

 

 「お留守番じゃなくて秘書官なんだけど...」

 

 「変わらないじゃない」

 

 「うぅ...ちゃんと仕事はしてるのに」

 

 暁ちゃんにサボっているみたいに言われて少し凹む。でも僕だって書類仕事、頑張ってるんだよ!...司令官のペースの3分の1の早さだけどね。司令官早すぎるよ。人間の枠を越えてるんじゃないの?うん、あれは絶対越えてるね。でも僕もあのくらい出来るようにならないと足手まといだから...どうやったら早くなるのかなぁ...。司令官に聞いてみよっかな...?

 

 あっ、そう言えば今日は書類仕事が多いって言ってたね。この機会にコツとやらを掴んでやろう!判子押すだけだけどね!!

 

 おっと、そんなこと考えてたら暁ちゃんたちがもう行っちゃったみたい。よーし、僕も司令官の為にがんばるぞっ!

 

 「司令官!」

 

 執務室の扉を開け、司令官の名前を呼ぶ。司令官はどうやら机で書類仕事を熱心にしているようだ。

 

 どうやら僕に気がついていないみたいなので近づいて声をかける。司令官って集中しちゃうと全然回りが見えないんだよね。

 

 「司令官、手伝うよ?」

 

 「ん、響か?どした?」

 

 「だから手伝うよって」

 

 やっぱり聞こえてない...。僕って影薄いかな?影が濃かったら司令官は気づいてくれるのかな?でもなんか影が濃いって回りからの視線に晒されるからやだなぁ...。

 

 「うっくぅ~...っ!はぁぁぁぁ...」

 

 手を組み、座ったままで伸びをする司令官。相当な時間そこで座って作業していたことが窺える。肩からはポキポキと音がなり、背中からもポキポキと音がする。ふむむっ、今日はいつにもなくポキポキいってる気がする。

 

 「今日はこれで最後だから手伝わなくていいぞ。ふわあぁあっ...!」

 

 「え!?」

 

 あ、あれれ?それってどういう...。書類、終わっちゃったの?え、えー...せっかく張り切ってコツでも掴もうと思ってたのにぃ!司令官の馬鹿!カバ!僕の仕事無くなったじゃん!!もうなにもすることないよ!...これじゃ、本当にお留守番になるじゃん。全部司令官のせいなんだから。

 

 「...なんで終わったの?」

 

 「ん?あぁ、今朝は珍しく早起きしてな。んでもって目が冴えてしまったもんだから仕方なく書類仕事をやり始めたら、集中してしまって今までずっとやってたんだが...この書類の判子を押せば終わりなんだ」

 

 そう言って見せてきたのは毎日送られてくる資材の書類だ。この書類は送られてくる資材の量に不備はないかのチェックをするための書類であり、目を通し別の書類に書かれている送られてきた資材量のチェックを済ますだけの簡単なものだ。最近はやけにボーキサイトが多く送られてくることに疑問に思っていて、一体何に使うんだろうか...?溜め込んでいる様子はないから建造ではないと思うんだけど。

 

 っと、最後の書類は僕が押さないとっ!このままじゃ本当にただのお留守番になっちゃう!

 

 「司令官、その判子押させて!」

 

 「え?別にいいけど...なんで?」

 

 「き、気にしなくていいよ!ただ押したいだけ...えへへ」

 

 司令官が疑問に思っているようだけどなんとか流す。話を流すのって僕には難しくて上手く出来ない。でも流石は司令官、察しのよさは鎮守府一。僕のことも察してくれたようである。

 

 判子を受け取って判子を押す。ペッタン...なんかこの音聞くと虚しくなる。主に胸辺りが。別に気にしてる訳じゃないんだけど。そもそも元々僕は男の子だったわけだから胸の大きさなんて気にしてない。...体の本能ってやつなのかな?だとしたら女の子ってちょっと怖い。あっ、僕女の子だった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。感想もバンバン受け付けます!


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司令官との一時

 やっはろー皆さん。最近csoで強い人にファミリーに誘われたマリオンです。いやー、皆さん強すぎて自分が若干浮いている感じです。野良ではそこそこいけるんですけど、そのなかではマジで全然ダメダメです。

 っと、こんな話をしてもくだらない。では今回もゆっくりじっくり読んでいってくださいね~。


 「むふぅ~...」

 

 「響、ちょっとだらしないぞ?」

 

 「司令官だってぇ」

 

 ペッタン...と虚しくなる判子を押してから十分ほど。なんにもやることがない僕らは畳の上に置かれた卓袱台に体を預け、のんびりと寛いでいた。だらしなく、どこまでもだらしないため息を吐きながら過ごす今日は、何処か退屈だけれど安心感があった。司令官には感謝しなきゃ。さっはちょっとだけ怒っちゃったけど、まさかのんびり過ごすのがこんなにも心地よいなんて知らなかった。体の力を全部抜いてこうやって体を預けるの、凄く落ち着く。今なら誰か来てもきっと...気にしないでいられるんだろうなぁ。

 というか司令官、この卓袱台そんなに大きいわけじゃないんだからもうちょっとどけてほしいな。僕のスペースが半分もないじゃないか。

 

 「響の考えていることはよーくわかる。だがな、ここは俺も譲れんぞ」

 

 「むっ、司令官の意地悪っ!」

 

 「そもそもお前は小さいから平気だろう」

 

 「ちっさくないもん!」

 

 「いや、とんでもないほど小さい」

 

 むかーっ!

 

 僕は小さくないっ!普通だよふ・つ・う!司令官がでかいだけだよ!この巨人!大体身長が高くてもいいことなんてないんだからね!そりゃあ高いところに手が届くのは凄いけど...でも電車とか乗るとき頭ぶつけちゃうんだから!!

 

 「そもそもお前まだ子供だろ?」

 

 「うっ...」

 

 司令官に言われて言葉に詰まる。確かにまだまだ子供だよ?でもそれとちっさいのは関係ないもん。子供でもおっきい子いるもん。大体小さいからなんだというん...あれ?僕っていつから小さいのを気にするようになったんだろ?あれ、あれれ?別に小さくたっていいじゃないか。なのになんで...。

 

 難しい顔をしていると、司令官が頭を撫でてくれる。撫でられるとどうも安心して頭がふわふわしてしまう。子供扱いされるのは嫌だけどこれは嫌じゃない。寧ろやってほしいくらい...。

 

 「司令官のばかぁ...」

 

 「事実を言ったまでだ」

 

 「ふあっ」

 

 司令官に文句を言うが、その顔は力の抜けただらしない笑顔だった。

 

 そう言えば司令官の好みのタイプってどんなだろ?と気になったので聞いてみると、どうやら僕みたいに可愛い女の子みたい。ぼんきゅっぼんが好きじゃないのは意外かな────

 

 「...へ?」

 

 「いやだから、響みたいに可愛い女の子が好みなんだよ」

 

 さも当たり前のようにもう一度言う司令官。...のんびりしすぎて頭が可笑しくなったのだろうか?司令官が変なことをいう。一体全体どうしてしまったのだろうか?

 

 「司令官、ちょっとシャキッとした方がいいかも」

 

 「へ?なんでだ?」

 

 「だってどう考えても頭おかしいんだもん」

 

 「いやいやいや、正常だから!!」

 

 「え?」

 

 「え?」

 

 なんと、司令官はその頭で正常だと申した。今日は少し暑いから熱でも出てるのかな?と、おでこに触れてみるも平熱。じゃあ暑さで中身が(とろ)けちゃったのかな?

 

 「溶けてねえよ!?本心だからな!」

 

 「で、でも司令官!今のが本心なら司令官ってロリコンってことになるんだよね!?」

 

 司令官ロリコンじゃないよね!?...でも秘書官、僕だし...。最近よく第六の皆とお話してるし...あれ?これってロリコンじゃない?いやいや、決めつけるのはまだ早い。司令官の返答を待って──

 

 「ロリコンで結構!響が可愛いのは本当の事だからな!」

 

 「.....」

 

 ねえ、皆どうしようか。司令官がロリコンだってさ。僕狙われてるの?襲われちゃうの?ねぇ?変態さんなの?暁ちゃんたち皆を狙ってるの?...誰かこの救いようもない司令官の頭を救ってあげてください。何でもしますんで。

 

 ガシッ

 

 「!!?」

 

 「響」

 

 もう終わりだオーラを放っていた僕の肩を司令官は力強く掴んで名前を呼んだ。その顔は真剣で、離さないと言わんばかりで相手に話を聞かせるための顔だった。

 

 「司令官...どうしたの?」

 

 「響」

 

 今度は力強く僕の名前を呼ぶ。その名前を心に刻み付けるかのように、そのあとも何度も僕の名前を呼ぶ。流石にここまで来ると恥ずかしくて僕は目をそらしたんだけど、すぐに顔をもとに戻された。

 

 そして司令官はその真剣な眼差しで僕を見詰めながら、こう言った。

 

 「響、俺はお前を────────」

 

 ◆

 

 

 

 

 「っは!ゆ、夢か...」

 

 目が覚めると僕は司令官と仲良く卓袱台に突っ伏していた。さっきのは全部...夢だったのだろうか?それとも途中から?わからないけど最後の台詞──────結局なんて言おうとしてたんだろうね?




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命中したよ!

 やっはろー皆さん。ねむねむなマリオンです。なんだか最近話のネタがなくなってきている感じなので少しだけ話を進めちゃいました。一日一日書いていくのはちょっと無理っぽいです。いや、だから話が進まないのか...。


 「照準、よし。装填完了......撃てっ!!」

 

 ズドォンッッ!!

 

 鎮守府近海、演習のために設けられた海域にてその12.7cm連装砲が火を噴く。砲身からは熱と共に火や煙が噴き出され、目には見えない速度で砲弾が飛んでいく。その時に発する轟音は正に雷の如し。内蔵にまで届く衝撃を振り撒きながら飛んでいく。

 

 真っ直ぐに飛んでいく砲弾。狙うは放たれた場所から凡そ100m地点にある1mの的。この程度ならば当たるのは当然...というわけでもなく、砲弾はその左1m奥5mの地点に着弾する。

 

 「次弾装填!誤差修正、右に3度下に2度」

 

 「そうてんかんりょーしました!」

 

 妖精さんの報告を受け、修正完了した砲を再び撃つべくその引き金に手をかける。

 

 「撃てぇぇええっっ!!!」

 

 ズドォンッッ!!

 

 再び重低音。打ち出された砲弾は宙を駆け、的の真ん中より少し右に着弾する。

 

 喜びの声をあげる一人と何人か。報告をした妖精さんに至っては跳び跳ねている。これがどれだけ凄いことか、皆さんにはわかるだろうか?いや、わからないと思う。何せこの的に当てるという行為は1度撃ってみるとどこに着弾するのかがわかってしまうから。人がやるには少し難しいかもしれないが彼女らは艦娘。それほどのことでもない。例え初めての戦闘でも戦えてしまうのが艦娘である。

 

 なればこの状況はなんなのか?なぜその程度のことで喜べるのか。それは砲弾を撃った少女に理由があるのであった。

 

 「やったー!当たったよ暁ちゃん!!」

 

 「うんうん、段々うまくなってきてるわね!」

 

 「響ちゃん凄いのです!」

 

 「やったわね!流石は私のお姉ちゃんよ!」

 

 皆が僕を褒めてくれる。初めて砲撃の練習をしてから早3日。初めは50mも当てられなかったのにもう100mを当てれるようになってしまった。それは艦娘としての機能ゆえか、すぐにコツをつかんでしまった。

 

 隣で妖精さんがぴょんぴょん跳ねて喜んでいるのがなんとも微笑ましい限りだ。あっ、司令官にこの事言って驚かそう!

 

 「いぜんよりそうてんそくどもあがりました!」

 

 「おぉ!本当!?」

 

 「はい!」

 

 わぁっと、僕は喜色満面の笑みを浮かべる。嬉しい、嬉しすぎるよ!僕にとって初めての快挙だ!これも司令官に報告しよう!早く僕も司令官のために戦えるようにならなきゃ!

 

 あっ、妖精さんを褒めてあげなきゃ!よしよしよしーっとその小さな頭を撫でてあげる。妖精さんは嬉しそうな顔で受け入れてくれる。というか寧ろ褒めてほしかったようだ。暫く撫で続けて妖精さんが満足した顔をすると手を離して暁ちゃんたちに向き直る。

 

 「よくやったわ響。次は倍の200mよ。まぁ、今日は疲れただろうからもう執務室へ行っていいわよ」

 

 頭を撫でてそういう暁ちゃん。僕が司令官にこの事を伝えたくてうずうずしているのに気づいたようだ。暁ちゃんの言葉に甘えて急いで陸へと向かう。その際に艤装がすぐにはずれるように緩めておく。

 

 「ちょっ、響!?それはまず────」

 

 そんな慌てた声を、最後に聞いた気がした。

 

 

 




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海中へと沈んだ響

 お久しぶりです。今日から学校再開ですのでまた書きはじめます。

 今回は暁ちゃんがメインなので、響は最初以外出てこないです。では、どうぞごゆるりとご覧ください。


 ドボーンッ!!

 

 始めに感じたのは体が落ちてゆく浮遊感だった。何が起きたのだろうか?なぜ僕の体は浮遊感を感じているのか?そんな考えが脳裏を過るなか、僕の体はどんどん沈んでいき、やがて頭が水中へと没してしまった。

 

 

 

 ぼこぼこぼこ───僕という異物が入った衝撃で海中は泡立ち、気泡が海面へと行かんばかりに向かっていく。僕の体に浮遊感はない。海中へと沈んでしまった僕は何故か海面へと上がれずにどんどん沈んでいく。

 

 ──あぁ、上がれないんじゃなくて上がろうとしてないんだ。

 

 どういうわけか僕の体は僕の言うことを聞かず、無抵抗のまま沈んでいく。頭では理解していても体が追い付かないのかな...?いや違う。きっとどちらもこの状況に追い付いていないんだと思う。僕はなぜ沈んでいる?何が原因でこんなことになってる?そう、僕が艤装のベルトを緩めてしまったから艤装が体から離れ僕は水面に立つことが出来なくなってしまったんだ。

 

 (息が...出来ない......!)

 

 艦娘といっても所詮は人間と同じ仕組みでできた体。とても水中で呼吸などできず、胸が苦しかった。ぼこぼこと空気を吐き出し、だんだんと力が抜けていく体。ヤバイ、そう頭が言うが体は全く動かない。決して抗うことのできない力に押さえつけられているかのように指一つ動かせなかった。

 

 ──あぁ...海中って、以外と寒いんだなぁ.....。あれ?だんだん暗くなってきたなぁ...もう、底かぁ...。

 

 深いのか浅いのか。どれだけの時間海中に居るのかわからない。だけど明かりが見えることから以外と浅いということがわかる。そもそもここは演習場なためにそこまで深いということはないだろう。

 

 だめだ...もう意識が......。深い浅いを考えていると気がつけば呼吸のできない苦しみから解放され、しかし回りが暗くなったりぼやけて見えたりと徐々に意識がもたなくなってきてしまった。

 

 朦朧としてきた意識のなか、海中に何かが入ってくるのを目にとどめ、僕は意識を失った。

 

 ────司令官.........。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 響が海中に落ちてしまった。それは私の平常心を壊すのに簡単なことだった。

 

 「響ぃぃいいっ!!!!?」

 

 響が艤装と離れてしまって沈んでしまい、艤装だけが海へとぷかぷか浮かぶ海面に向かって私は声をあげた。私だけではない、電や雷も声をあげる。しかし私はその誰よりも大きな声だった。

 

 私は知っている。

 

 艦娘は泳ぐことはおろか、浮くことさへ出来ないということを。艦娘そのものが船体の半分の質量を担っていることを。艤装だけではない、体もが船であるということを。

 

 まずい、非常にまずい。このままでは響を助けられない。いや、私たちだけでは絶対に助けることができない。響が助からないかもしれない事への不安と恐怖が体を支配し、まともな思考が出来なくなってしまう。どうしたらいいの!?

 

 ──ザ──ザザ...ザザ─

 

 不意に脳裏に走るノイズ。そして前の響の記憶。目の前で沈んでしまった、大切な家族の記憶。別れの記憶。怖い...怖いよ。また、私の前から居なくなっちゃうの...?ねぇ、どうしたら助けることができるの?また私はなにもすることが出来ないの?やだ、やだよぉ...私を置いていかないで!!

 

 「暁お姉ちゃんっ!!!!」

 

 「暁ねぇっ!!!」

 

 呆然と海面を見つめ、響を失う恐怖に尻餅をついてしまっていた私に声がかかる。誰が私に声をかけているのか...聞きなれたはずの声は今の私には誰のものなのかわからなかった。

 しかし声の主を確認する余裕はまだあるようでその重たい頭を持ち上げ、確認する。

 

 「暁ねぇ、大丈夫!?」

 

 「あ......」

 

 二人揃って茶髪でその見た目は双子を思わせるほどそっくり、だけど顔には強気な方と穏やかな方とでそれぞれ個性が滲み出ている。私と同じ服装をして私と同じクラスであることを意味するⅢのバッジ。私を心配そうに除き混んでくる雷とそれを泣きそうな顔で見守る電の姿が、私の不安に揺れる瞳に写った。

 

 なんで、私の心配なんて...。

 

 不意に沸き上がる疑問。響が海中にいて、溺れて息も出来ずもがき苦しんでいるのに、この二人はなんで私なんかの心配をしているのだろうか?それに、響の事はどうでもいいかのように、私だけを見ている。

 

 カッ!と頭に血が上る感覚。私はこの二人にたいして怒りを感じた。この二人は所詮響のことなどどうでもよかったのか、響を見捨ててこんな状態になっている私を心配しているのは、私を馬鹿にしているのか!?と。

 

 「貴女達...!響の事はどうでもいいって言うの!?こんな非常事態なのに、こんな辛くて怖くて苦しいときに、なんで私の心配なんてしてるの!!?なんで助けようのしない─────っ!!」

 

 二人に怒鳴り散らす。訳もわからなく私はとにかく怒鳴り散らしてこの怒りを沈めようとした。この二人を責めようと、言葉を発した。だが、不意に最後に言おうとした言葉で私は詰まってしまった。

 

 「あ、あぁ......」

 

 「暁...ねぇ......」

 

 「暁お姉ちゃん...」

 

 言いかけて気づいた。なんで助けようとしなかったのか。それは二人に向けて言った言葉でもあり、そして自分にも向けられた言葉であることに。私は...響が海中で溺れて苦しんでいるとき、何をしていた...?ただ一人、恐怖、不安に支配され呆然と立ち尽くし、腰を抜かして座り込んでしまっていた。あれ...?私は何をした...?───何も、していない。ただがむしゃらに悲しんで、恐怖して、ただそれだけ。響の心配をしたわけでもなく、自分が恐怖で潰れそうになるのを防いでただけ。現実から逃げていただけなのだ。自分を守ることしか出来なかった自分に、そんなことを言う資格があるのだろうか?

 

 「暁お姉ちゃん...響ちゃんは......」

 

 「ごめんな...さい...」

 

 電が何かを言おうとしたが、私はそれを遮って謝る。自分もなにもしていないのに、この子達を責めた私を許してとは言わない。だけど謝る。兎に角謝りたかった。それはこの子達へ向けたものだけではなく、響へと向けたものでもあった。

 

 私は長女なんだから、私がこんなんじゃ妹であるこの子達も不安になってしまう。怖くなってしまう。なのに私はただ恐怖に震えて座り込んでいるだけ。自分の心配しかしていなかった。これじゃあ私を心配してくれているこの子達の方がよっぽどましだ。

 

 「暁ねぇ!!」

 

 いつまでも謝り続ける私に声を荒げて呼び掛ける雷。顔を下げているからその顔は見えず、私を責めているのかもわからないが、恐らく怒っているんだろう。自分のことしか考えない自己中心的な私を怒っているのだろう。姉妹にあるまじき感情で、あそるおそる顔をあげる。そこにいたのはいつも通りの雷。いや、何処か私を微笑んでみている。なぜ...?私は理由がわからなかった。怒っているわけでもなく悲しんでいるわけでもない。どうしたらそんな顔ができるのかわからなかった。

 

 「暁ねぇ、来て!」

 

 訳がわからず呆然としている私の腕を掴み、抜けている腰も関係なく立ち上がらせる。足に力が入らなく、崩れ落ちそうになる私を電と雷が両側から支えてくれる。暖かい...。妹達の温もりを感じ、少し心が落ち着いてきた。兎に角、雷が連れていきたいところまで頑張って歩こう。フラフラの足に力を込め、自分の足でしっかり立つ。妹達に、迷惑はかけられない。

 

 どこへいくのかと、聞こうとも思ったけど兎に角響が溺れているところと別なところにいくようだ。響を助けなきゃいけないという気持ちが込み上げて留まりたい気持ちもあるが、私たちではなにもできないからおとなしく着いていくことにする。響...お願い、生きてて!

 

 いま助けを呼びにいくから!




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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響が無事生還

 ああ...えっとその、お久し振りです。はい。学校始まるから書けるとか言っといて全然書いてなくてすいません。最近csoでクランに入ったんですけど、そこの人とTSで話をしていると気がついたら朝、次の日も気がついたら朝。と徹夜ばっかで電車のなかで書くはずの小説をすっぽかして電車のなかで寝て過ごしてしまってました。すいません。

 あ、今度響の絵書くんで許してください。


 「ひ、び...き...?」

 

 雷、電に連れてこられてきた場所は、海岸付近にある工厰。なぜ、工厰に連れてきたのかと一瞬疑問に思った私だけど、きっと妖精さんに響を助けてと頼むんだろうと思ったので口を出さないでいると、中に入った私は驚くべきものを見ることになった。

 

 「響!!!」

 

 そこに居たのは大勢の妖精、そして銀髪の美少女、何故か体、服がびしょ濡れになっている司令官。私は急いでその銀髪少女へと近づいていった。

 

 見慣れた制服、見慣れたバッチ。そして銀髪でジト目な瞳。まごうことなき響だと理解した私は響を力強く抱き締め、もう二度と話さないと言わんばかりにその小さな胸に響の頭を抱いた。

 

 「響!響ぃ!!ぐずっ、よがっだぁ~...!」

 

 「暁ねぇ...」

 

 「暁お姉ちゃん...」

 

 だらしなく泣きじゃくる私を、雷と電が微笑ましく見守る。さっきは気付かなかったが二人の目元が若干赤くなっていて、私と同様に泣いていたことが伺える。そして今も、安心して泣いている私を見てか二人も涙を流しており、どれだけ辛かったか、どれだけ怖かったかとか全てを流していった。

 

 響はその間おろおろとその場で慌てたりとこの状況を掴みきれていないようで、司令官に助けてと言う意味合いの目を向けていた。

 

 「響。これは君への罰だ。この三人をしっかりと泣き止ませ、落ち着かせてから執務室へ来ること」

 

 「しれい...かん?」

 

 「いいか?これは命令でもある。ちゃんと遂行するように」

 

 「う、うん...」

 

 何処か棘のある言葉な司令官に響は動揺を隠せないでいた。そして棘のある言葉が苦手で恐怖さえ抱く響はその命令に頷くしかなかった。

 

 これは命令だ。と言外にも断れないようにした司令官はこの場を後にして執務室へと向かった。

 

 一人...いや四人置いていかれた中で、響はあわあわして何をすれば泣き止んでくれるのかわからない様子だ。その様子は端から見たら物凄い可愛いのだが、泣いている暁、電、雷を見れば何があったのかと考えさせられる光景になっている。

 

 「あ、暁ちゃん!ぼ、ぼくは無事だから...ね?泣き止んで?」

 

 取り敢えず慰めようと声をかける響。しかし暁は響を更に強く抱き締めて泣き止む気配を見せない。雷もその様子に自分もと響と暁を包み込むように抱き締める。勿論、電も来たが電は暁に響と一緒に抱かれるかたちで響とも暁とも密着していた。

 

 この四人はれっきとした姉妹。家族が一人失われるかもしれないという事実が恐怖、不安、悲しみを呼び出し、みんなで抱き合って生存を確認するかのようなことになったのである。

 家族を失う気持ちをわかっているのは暁のみ。一度響を失ってしまった悲しみを知っている暁は、一番耐えられるように見えて一番辛い立場である。家族を一度失って耐性をもつのではなく、二度目に失ったときに一度目の悲しみが合わさって更に辛くなってしまう。故に暁が一番響がいなくなることに恐怖し、不安を覚えていた。だから一番泣いているのは暁である。家族を失う悲しみに姉、妹など関係のないことなのである。

 しかし、こうして強まっていく絆があることもまた事実。特三型駆逐艦。暁型駆逐艦は今日、絶対に切ることのできないほど絆を強めたのであった。時には喧嘩もするかもしれない、しかしそのたびに今日を思いだし、すぐに仲直りすることになるかもしれない。それほどまでに四人の絆は強まっていた。

 

 四人が抱き合ってから落ち着くまで、司令官は工厰の出口で暫く微笑ましそうな顔をしながら眺めてその場をあとにした。司令官も響がとっても心配でならなかったのだ。こんなことが二度と起こらないように、と心に決めて司令官は執務室へと向かうのだった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願い致します。


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ありがとう

 おひさしぶりです。久々に次話を投稿してみました。取り敢えず前の話自体自分も覚えてないので、ある程度繋がればと書きました。

 あと、寝ずに起きてたので文章が変かもしれませんので、その時は言ってください。


 暁一同落ち着いたところで、一度司令官にお礼を言うために執務室へと訪れた。

 

 「響、ごめんね。私一番お姉さんなのに、何にも出来なかった」

 「暁ちゃん・・・・・・」

 「でも・・・・・でもね。私怖かった。響がまた私の目の前で居なくなるって思ったら、怖くて体が動かなかったの。一番艦だから妹達を引っ張っていかなきゃって思ってたけど、実際私が一番なにもしてなかった。動くことすらせずにただ泣いて・・・・・・。泣いても何も解決しないのに。だからね、決めたの。私、こんなことが二度と起こらないように努力する。そして、もしまたこんなことがあれば、今度こそ私が響を助ける!雷や電を安心させれるようになる!だから響、雷、電。私の妹として、私を支えてくれますか?」

 

 暁ちゃんは決心したように僕たちを見た。その眼差しは強く、そして暖かいものだった。いつまでも一番艦だからと、お姉さんだからと甘えるつもりはもうない。そう物語っていた。

 

 そんな暁ちゃんの瞳を受けた僕たちは、もうこう答えるしかなかった。

 

 「もちろんだよ、暁ちゃん」

 「もちろんよ、暁ねぇ」

 「もちのろんなのです。暁お姉ちゃん」

 「皆・・・・・・」

 

 僕たちの答えに感動の表情を浮かべる暁ちゃん。元より僕たちの心は姉妹という絆で結ばれている。だから何があろうと暁ちゃんが姉であり頼れる存在ということは揺るがない。暁ちゃんが姉であることを見失うのなら僕らで支えよう。そしてまた笑顔で溢れる仲のいい姉妹を作っていこうと、僕の心の中で暖かく燃えていた。

 

 「で、早く執務室に入らないと、司令官がうずうずしすぎて死んじゃうわよ」

 

 雷が指す方をみれば、少し開かれた執務室の扉の奥に、何やらモゾモゾと体を捻るようにくねくねしてる司令官が何やらニヤニヤと踊っていた。

 

 司令官、司令官の気持ちもわからなくはないけど、そのニヤケ顔は無いと思う。あんまり人様に見せられるもんじゃないからね。

 

 「司令官・・・・・・」

 

 取り敢えず全員でジト目を送っとく。

 

 「っは!ち、違う!お前らが部屋の前に来たのは何となくわかったんだが、なんか急に話始めてしかも内容が妙にこそばゆくてだけどお前らが仲良くて微笑ましくてだな!!?」

 

 こちらに気付いた司令官が慌てて弁解する。慌てすぎだよ司令官・・・・・・。

 

 っと、こんなことをしに来たんじゃなかった。僕は表情を引き締めて執務室の中に入る。そして、司令官と向き合って目を見る。

 

 「司令官。助けてくれてありがとう」

 

 「「ありがとうございます!」」

 

 「え、あ、うん。」

 

 僕が感謝の言葉を口にすると、続いて暁ちゃん達が揃って言った。突然のことに司令官はポカーンと呆けていて、返事も適当なものだった。だけど、すぐに理解してこちらに微笑みを向けてくると、響、と僕に話しかけてきた。

 

 「響が無事で、本当によかった。これからも俺の秘書艦として頑張ってくれよな」

 

 「うん!」




誤字、脱字等があればよろしくお願い致します。


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司令官と書類仕事

 やっはろー皆さん。兎に角暇だったので投稿します。眠たさも相まって詰まらない出来かもしれませんが、読んでもらえれば幸いです。

 ではでは。


 暫く演習禁止。それが僕が司令官から受けた罰だった。今日から一週間は、演習どころか艤装をつけることも禁止されているため、学校に行って授業が終わればもうやることはない。まぁだからということはないけど、一応秘書艦だから司令官がいる執務室で書類仕事を手伝っている。

 

 ぺったん、ぺったん。書類に判子を押す音がこの静かな執務室にリズムを刻む。

 チラリと司令官を見やれば、司令官も丁度此方を見ていたようで偶然にも目があった。お互い笑いあうと直ぐに書類に目を落として再び作業を再開する。すると止まっていたリズムが再び響き始める。

 

 一時間後、僕は休憩のために判子を押す手を止めた。僕に出来ることが判子を押す作業しかないので、仕方ないのだがもう少し別の作業が欲しいなと思いながら、司令官用と自分用にお茶をいれる。お茶をそっと司令官の前に置いてあげると、司令官は顔を上げてありがとうと言ってくれた。嬉しくて思わず微笑みを返すと、自分の作業していた机に戻ってお茶を啜る。

 はぁ・・・・・と、お茶を飲んだときに出る溜め息が司令官と被る。また目があってふふふと笑いあうと、お茶を飲んで落ち着いた脳を働かせ始める。作業を再開して、時々お茶をのみながらと、それから2時間繰り返した。

 

 

 

 

 「「あーー、終わった~ぁあ・・・・・・」」

 

 作業開始から実に3時間。僕達は達成感のあまり盛大に溜め息を吐きながらそう言った。

 

 「同じ作業ばかりで飽きてくるよぉ~」

 

 「あー、確かに響は判子押すだけだもんな~。無駄に多いんだよな判子押すだけの書類」

 

 「全くだよ」

 

 書類にたいしての愚痴を二人して溢す。だけど別に書類仕事が嫌って訳でもない。司令官がいるから、司令官と一緒にいると書類仕事も案外楽しいものとなる。会話などなくても、時々目が合う、ただそれだけでもう楽しくてしょうがない。

 

 司令官が席を立ってソファーに腰かけたので、僕も司令官の隣に腰を下ろす。

 

 「司令官は僕がいない間はずっと一人でこれやってるの?」

 

 「ん?あぁ、まぁこんなに多くはないがやってるぞ」

 

 「ふぇぇ、よくやるよ。今度からは僕も手伝いいっぱいするからね!」

 

 「おお、それは助かるな。でも響は暁たちといてもいいんだぞ?」

 

 「ううん、一応僕も秘書艦なんだから、ちゃんと手伝いしないと駄目だから」

 

 そう言うと、司令官は微笑んで偉い偉いと頭を撫でてくれた。なんかものすごい子供扱いだけど、司令官に撫でられるとそんなことどうでもよくなっちゃう。

 

 「ふぁああっんんんんっ」

 

 暫く撫でられていたらどうにも眠くなってきてしまった。司令官も僕の大きな欠伸で察してくれたようで、僕を抱えてベッドへと運んでくれるようだ。もう司令官の顔もぼやけるなか、その小さな揺れに身を任せて僕は眠りについた。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。


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カレーの日

 今年は厄年。元々体弱い方だったんですけどまさか今年5回も熱だすなんて。一回39℃4分出したときは死ぬかと思った。

 今も熱出てます。


 秘書艦の仕事を終え一段落したお昼時、僕は司令官と食堂へ来ていた。

 

 「響、今日はカレーの日だからカレー食べるよ」

 

 「カレーの日?」

 

 聞き慣れない言葉に僕は司令官に疑問を返す。

 

 「カレーの日ってのは金曜日の昼にカレーを食べる日のこと。元々は海の上で曜日感覚を無くさないようにするために一週間の決まった曜日に食べてたんだけど、それが結構好評でな。結局海軍の決まりごとみたいになったわけ。曜日も本来は土曜日だったみたいだけど、そこはまぁ、時代の流れってやつさ。」

 

 「へー、なんか思ったよりちゃんとした理由があるんだね。」

 

 思ってたよりちゃんとした理由があって吃驚した。もっとこう、好きだからとかみたいな適当な理由かと思ってた。

 と、こうして会話しているうちにカレーが来たようだ。僕と司令官はカレーを受け取ると、取り敢えず空いている席を探してそこへ向かう。

 

 「なんかここのご飯ってレストランみたいに綺麗だよね。なんで?」

 

 「あぁ、間宮さんが頑張ってるからな」

 

 「間宮さんってあの優しい人?」

 

 「ん?なんだ響会ったことあるのか?」

 

 「うん、あの人優しいから全然怖くなかったのよく覚えてる」

 

 あの人がこのカレー作ってるのか~。司令官のおねえさんのオムライスも美味しかったけど間宮さんのオムライスも美味しそうだなぁ。あっ、因みに間宮さんとは暁ちゃんたちと一緒に散歩してるときに出会いました。うん、駆逐艦も散歩はするよ。

 

 「流石間宮さん・・・っと冷める前に食べよっか」

 

 「司令官、どっちがよりいい感想を言えるか勝負しよう!」

 

 「なんだ急に・・・まぁいいけど。俺が勝からな」

 

 「ほぅほぅ、司令官は自信満々なんだね」

 

 「っふ、俺は世界一の褒め屋って言われた男だぞ?料理のコメントなんてちょちょいのちょいよ」

 

 互いに睨み合う。こっからはもう言葉なんていらない。男同士の真剣勝負だ。あっ、今は女の子なんだった。って最近男だってこと思い出せなかったから案外新鮮な思考だ。これも勝負に燃える暑いこころが呼び覚ましたのかもしれない。別に暑いこころを持っていた覚えはないんだけど。

 それより早速一口目を戴こうじゃないか。司令官と示し会わせた化のように同時にスプーンを口元へと運んでカレーを頬張る。

 

 「はむ」

 

 モグモグ・・・・・・

 

 「うまし!」

 

 「うまい!」

 

 なにこれ旨すぎる!なんで?何でカレーがこんなに美味しいの!!?こんなの手が止まらないよ。次から次へと口元にスプーンが運ばれてくるよ!!

 ぱくぱくと、何度もカレーを頬張りその味を味わいながら食べていく。その速度は驚異的で、男の司令官とほぼ同じ速度でカレーが減っていた。

 

 「「お代わり」」

 

 と、一皿目を食べ終わったので次の皿へと移行する。普段少食な僕には考えられないくらいスプーンが進む。カレーなんてあんまり食べたことないけど、こんなに美味しいなんて思わなかった。こんなに美味いなら毎日食べれる。

 

 と、三皿食べ終わったところで漸くお腹が一杯になって落ち着いた。司令官とほぼ同じのゴールだ。

 

 「ふぅ食った食った」

 

 「あー美味しかったぁ~」

 

 あれ?何か忘れてるような・・・?




誤字、脱字等があればよろしくお願いいたします。


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妖精さんとおしゃべり1

久し振りの投稿なのです。ってことは書いてたことなんにも覚えてない!

またちょくちょく投稿するかもなので宜しくです。


 「ハイ!オハヨウゴザイマス!」

 

 「「オハヨウゴザイマス!」」

 

 「キョウハヒビキサンガアソビニクルソウナノデ、クレグレモシツレイノナイヨウニ!」

 

 「「アイ、ワカリマシタ!」」

 

 装備開発研究工廠第一工廠施設にて小さな二等親の可愛らしい妖精達が挨拶を行っていた。

 

 「ヨロシイ!デハヒビキサンガクルマデカクジシゴトニハゲメ!」

 

 「ワカッター」

 

 「ハーイ」

 

 「モウツカレター」

 

 工廠長の妖精が声をかけると皆それぞれ違う反応を見せ、自分達の仕事へと取りかかっていく。

 

 妖精達の仕事はこの施設の名の通り、艦娘に搭載する装備の開発・研究を行うことであり、日々様々な兵器が産み出されている。

 しかし、実用的な装備などそう簡単に出来るものでもなく、大抵は既存品よりも劣っていたり、そもそも役に立たないものであったりと失敗ばかりなのであるが。

 

 失敗品は流石に怖いので即時解体か施設の飾りになるかのどちらかになるのだが、ここ第一工廠では殆どを勿体ないと残しており、まるでゴミ山のように失敗作が積み上がっているばかりだった。

 

 「カタヅケロー」

 

 「イソゲ!イソゲ!」

 

 そんなゴミを来客があるからと全て解体して資材へと変えていく妖精達。一体何のために残していたのだろうか?そんなことも妖精は忘れてしまっているのだ。

 

 そして物忘れの激しい妖精達は直ぐにやるべき事を忘れ遊び始める。

 

 「コッチノヤツムカシワタシガツクッタヤツダ」

 

 「コレハワタシガ!」

 

 「オオ!ワタシノメガネアッタ!」

 

 一人、眼鏡を無くしていたらしい妖精が居たようだが気にしない。

 彼女達は自分が過去に作った作品を見つけると懐かしいと手に取り眺め、他にもないかとゴミ山を漁り始めた。まぁお察しの通り余計に散らかってしまっている。

 

 唯一工廠長だけが彼女達を注意しているが、誰も工廠長の声など聞こえてはいない。皆が皆わーわーと騒ぎながら漁り続けた。

 ・・・まぁ、工廠長は彼女達を纏める役なので、自分で装備を作ったことが無いために一人彼女達の仲間にならずに済んでいるのだが。

 

 と、小一時間はこうやって消費され、響が来る約束の時間になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 「妖精さん達元気にしてるかなぁ」

 

 妖精さんとは何度か会ってはいるけど、毎回同じテンションだから良くわかんないんだけど、まぁ元気なのだろうとは思う。

 

 さて、何で僕が妖精さん達に会いに行くのかというと、人が怖くてまともに喋ることが出来ない僕だけど妖精さん達は別で、僕でも普通に話せてしまうから司令官が用事があるときはこうして妖精さん達とお話をしに来るんだ。

 

 お、そろそろ着くね。

 

 今日会いに行く第一工廠の妖精さん達が居る工廠が見えてきた。

 

 装備開発研究工廠施設は全部で三つあって、只でさえ大きな工廠が三つどんどんどんと並んでいる様は近付くにつれ見るものを圧巻させる。

 そして今回僕が行くのは一番手前の工廠で、一番目の工廠だ。

 施設にはでっかい看板が付けられてて、そこには第一装備開発研究工廠と書かれている。うん、分かりやすい。

 

 この場所は司令官と書類仕事をするようになって初めて知ったんだけど、毎回変な装備の開発レポートを送ってくる変な妖精さんがいっぱい居るところで、暇潰しに行くととっても楽しいから僕のお気に入りの場所でもある。

 

 「お邪魔しまーす」

 

 鉄製の頑丈なドアを開けて中に入る。

 

 すると、中で何やらキャーキャーと楽しそうに騒ぎながら金属の山で何かしている沢山の妖精さんの姿が見えた。

 

 なにしてるのかな?

 

 気になったので山の前で怒鳴り散らしてる工廠長の妖精さんに聞いてみる。

 

 「ねぇ、あれは何してるの?」

 

 「っ!?ヒ、ヒビキサン!?」

 

 「あっ、どうも」

 

 「オ、オマエタチ!ヒビキサンガキタゾ!アイサツシロ!」

 

 声をかけると工廠長さんが慌てて皆を呼び集める。

 

 「コンニチハー」

 

 「オハヨー」

 

 「コンバンハー」

 

 すると様々な挨拶を妖精さん達がしてくる。因みに今は朝なのでこんばんはは違うと思う。と言いたいけど太陽の光が入らなくて施設内の電気が灯っているこの工廠ではもしかしたら朝、昼、晩の区別がつかないのかも知れないから何も言わない。

 

 「おはよう。で、さっきは何してたの?」

 

 「ンートネ」

 

 「オモイデノシナジナヲホリオコシテタノ」

 

 「イッパイミツカッタ」

 

 「ナツカシイ」

 

 へー。思いでの品々って過去に開発した装備とかかな?失敗作だけどやっぱり色んな思いが詰まってるんだろうなぁ。

 

 「オイ!ソウジヲシテタンダロ!」

 

 と、妖精さん達の言葉を聞いた工廠長が怒鳴る。

 

 「ア、ソウダッタ」

 

 「スミマセンコウショウチョウ」

 

 「ワスレテタ」

 

 「えぇ・・・」

 

 言われてみれば確かに失敗作の山が小さい気がする。後資材が異様に増えてる。

 司令官が出来れば失敗作は解体して資材にしてほしいって言ってたけど、妖精さん達のモチベーションとかもあるから言えないって言ってたっけ。何で急に解体なんてする気になったんだろう。

 

 「スミマセンヒビキサン。ヒビキサンガクルマデニカタヅケルツモリデシタガ」

 

 どうやら僕のためだったらしい。謝る工廠長に気にしないでと声を掛けておく。周りの妖精さん達も口々にごめんねと謝ってくるのでそっちにも声を掛ける。

 

 「別に気にしなくてもいいよ。ちょっとでも資材が再利用出来たんだったら司令官喜ぶしね」

 

 うん。司令官大喜び間違いなし。いっつも資材に頭を悩ませてたし、なんならこの期に妖精さん達に頼んでみるかな?

 

 上手くいけば司令官に褒めてもらえるかも・・・。




誤字、脱字等があれば宜しくお願いします。


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妖精さんとおしゃべり2

挿し絵描いてみました

【挿絵表示】

思ったより早く挿し絵が描けたのでそのまま投稿します。

久し振りに響を描いたなぁ。


 司令官の為にも妖精さんに資材を再利用してくれないかと提案してみる。

 

 「ねぇ、工廠長さん」

 

 「ドウシマシタカ」

 

 「開発に失敗したやつを解体して資源を再利用出来ないかな?」

 

 「アア、ソレハワタシモオモッテマシタガ、イクライッテモキクミミモタナインデスヨ」

 

 「ほんと?」

 

 「ハイ。タメシニイッテミマショウカ?」

 

 と工廠長さんが言ってきたのでお願いすることにする。もしこれらに愛着があったのなら手放せないのも分かるし、まぁ仕方ないかと割りきるしかないけど、そうでないんなら出来れば解体して資源を再利用してもらおう。

 

 「オマエタチ、ソノガラクタヲサッサトカイタイシテシゲンニシロ!」

 

 「エー、ヤダー」

 

 「コウショウチョウソリャナイゼ」

 

 「パワハラダー!」

 

 「サッキマデハキキトシテカイタイシテタダロー!」

 

 「ソレハヒビキチャンガクルッテイウカラ」

 

 「ソウソウ、キニシナイッテイッテクレタカラゼッタイカイタイシナイ」

 

 「グヌヌ・・・」

 

 妖精さん達の散々な物言いに深い溜め息を吐いて振り返りま、こんな感じですと肩を竦める工廠長さん。あくまでも妖精さん達は素直な生き物で、上の命令などあんまり聞いたりしないからその纏め役の工廠長さんは大変そうだ。

 体長崩さないといいけど・・・。

 

 仕方ない。僕からもお願いしてみるかぁ。実際このまま貯め続けても資材はどんどん消費する一方だしそもそもそれらを置くスペースが減ってくる。工廠が失敗品ばかりで埋まってしまったらもうそれは工廠ではなく単なる倉庫になってしまう。

 だからちょっと無理を言うようだけど、妖精さん達には聞いてもらわねば。

 

 「妖精さん、どうしても解体するのは嫌?」

 

 「エ!?」

 

 「出来れば僕の方からもお願いしたいんだけど、このまま工廠を失敗品で圧迫していくともう開発すら出来なくなっちゃうよ?」

 

 「ナッナンデスト!」

 

 「ソレハイヤダ!」

 

 「ヨシ!カイタイシヨー!」

 

 「カイタイカイタイー」

 

 僕のもう開発出来なくなるという発言に慌て出す妖精さん達。開発欲が非常に強い工廠妖精さん達は直ぐに工廠のスペースを半分ほど占領している失敗した装備の解体に取りかかった。

 

 あ、あれ?なんかあっさりとお願いを聞いてくれた。そんなに開発出来なくなるのが嫌なのかなぁ・・・?僕嫌なこと言っちゃったかな・・・。

 

 と自分の言ったことが脅し文句のような発言だったことに、妖精さんに嫌われたかもと落ち込んでると、掌に妖精さんが登ってきた。

 

 「ワレワレハヒビキチャンガスキダカラヒビキチャンノオネガイハナンデモキキマスンデ、コマッタコトガアッタラワレワレヲタヨッテクダサイ」

 

 「え」

 

 「ダカラキニシナクテモイイデス。ヒビキチャンハジジツヲイッタダケデ、ワレワレハタダカイハツガデキナクナルカンキョウニナルノガイヤダッタダケナノデ」

 

 ポンポンと掌を叩いて笑顔を向けてくる妖精さん。

 

 もしかして励ましてくれてるのかな。・・・ふふ。妖精さんは本当にいい子だなぁ。それに可愛い!

 

 撫でると、くすぐったそうに身をよじる妖精さん。するとその様子を見てたのか作業をしていた妖精さん達がワタシモーと寄ってきた。

 ワラワラと次々出てくる妖精さん達を一人づつ撫でていく。撫でられた妖精さんは嬉しそうに作業に戻っていき、後から戻っていく妖精さん達と楽しく会話しながら解体を続けた。

 

 「マッタクコイツラハ」

 

 全員撫で終えると工廠長さんがまた溜め息を吐いていた。やれやれとまるで子供を見るかのような目で作業をしている妖精さん達を見ている。

 まるで親だなぁと感心しながら工廠長さんを眺める。これでも他の妖精さんと見た目が大きく違うわけでもなく僕の目から見たら子供なのだが、その実内面は一番成熟している。

 

 よしっと良いことを思い付いた僕はそーっと工廠長さんの後ろから手を伸ばす。

 

 「ワッ!?」

 

 そして捕まえた工廠長さんをひたすらに撫でまくる。さっき妖精さん達はいっぱい撫でたけど、工廠長さんだけ撫でてなかったのを思い出した僕は大人ぶっている彼女を捕まえてこうやって撫でてあげることにしたんだ。

 

 「ヤ、ヤメテクダサイ。ハズカシイデス」

 

 「フフフ、良いではないかー良いではないかー」

 

 「コウショウチョウタノシソー」

 

 「ヨカッタネコウショウチョウ」

 

 「アハハハ」

 

 「オ、オマエラー!」

 

 騒ぎを聞き付けた妖精さん達がまた一段と楽しそうに話始める。工廠長さんは恥ずかしそうに慌てていて、僕の手から抜け出すと慌てて皆に弁解していた。

 その様子が実に面白くて皆して笑う。そしてそれに釣られたのか工廠長さんも笑いだし、朝の工廠で沢山の笑い声が響いていた。




誤字、脱字等があれば宜しくお願いします。


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悪夢

 僕が悪夢を見たので響ちゃんにも悪夢を見てもらいます。

 いやそれにしても叫びながら目が覚めるほどの悪夢は恐ろしかった。


 ここは・・・?

 

 目が覚めると僕は布団に包まれて横になっていた。周りには同じように布団にくるまって寝ている子供たちがおり、雑魚寝のように一部屋に大人数が密集して寝ていることがわかる。

 

 のそりと寝起きの怠さを感じながら体を起こすと周りをキョロキョロと見渡す。

 するとここが何処なのか理解した。

 

 「孤児院」

 

 ここは孤児院だった。

 

 何故孤児院にいるのか分からない。僕は確か鎮守府で、司令官と執務室で書類仕事をしていたはず。なのにどうしてここに居るの?

 

 もう一度周りを見渡す。すると前世で僕を虐めていた少年達の姿が見える。

 

 「え」

 

 気が付くと体が震えていた。

 

 「う、嘘・・・」

 

 それと同時に考えたくない事実が頭の中を駆け巡る。

 

 夢・・・だったの?もしかして今までのこと、全部、夢だった・・・?首を吊って死んだのも、生まれ変わって艦娘になって司令官と出会ったのも、全部嘘だったの?

 嫌だ。嫌だ嫌だ!こんなとこ居たくない!

 

 のそり、と周囲の虐めっ子達が起き上がる。

 

 「ひっ」

 

 小さく悲鳴をあげながら虐めっ子達の方を向くと、虐めっ子達も丁度こっちを向いたようで、ニヤリと笑いかけてきた。

 

 虐めっ子達は完全に立ち上がると、ゆっくり僕の方へと近づいて来る。

 

 「や、やっ、来ないで」

 

 ハハハと虐めっ子達の嗤う声が聴こえてくる。僕の惨めな姿を見て笑っているのだろう。でも僕にはこうすることしか出来ない。彼らに逆らうことは長年の虐めで思考レベルで出来なくなってしまっていた。

 

 男にしては少し長い肩辺りまで伸びた髪を鷲掴みにされ顔を無理矢理持ち上げられる。

 

 すると嫌でも僕を嘲笑う顔が見える。

 

 「うっ・・・!?」

 

 バチンッと勢いよく殴られる。キーンと耳鳴りのような音が聴こえ、同時に頬にとてつもない痛みが込み上げてくる。

 殴られたと理解したときにはもう一発、もう一発と殴られる。痛い、止めてと声も出せないぐらいに殴られ続ける。やがて髪から手を離し、僕を地面へと横たえると他の虐めっ子も参加して蹴る殴るをしてくる。

 

 しかし僕は泣きながら耐えることしか出来ない。早く終わってと願いながら。

 

 

 

 

 

 

 どれくらい殴られ続けただろうか。もう身体中の感覚が麻痺して、力も入らない。

 

 子供ながらに手加減された暴力は、切れて血が出ることは無いけど精神的にダメージを与えてくる。それに例え外傷は無くとも内出血しているところは多々あって紫色に変色してしまっている。

 

 「どーせ、お前の事を愛してくれる人なんかいないんだ」

 

 一人の虐めっ子が言う。

 

 ──そんなはずない。司令官は、暁ちゃんや雷ちゃん、電ちゃんは僕の事を愛してくれた。

 

 「そんなものお前の妄想に過ぎない」

 

 違う。そんなことない。

 

 「本当にそうか?」

 

 「っ!?」

 

 唐突に虐めっこの声が変わる。まだ可愛らしさの残る少年の声から、少し渋味を含んだ青年の声へと。それはとても温かく優しい声色。そして僕が聞きなれた声。

 

 「しれいかん」

 

 思わずといった風に顔を見上げる。するとそこには司令官がいた。

 ああ、やっぱり夢じゃなかったんだ。司令官が・・・司令官がそこにいる。

 

 僕は這いつくばって司令官の元へ赴く。いつの間にか景色は真っ暗な暗闇になっており距離感が掴めない。

 

 「響」

 

 なに?

 

 「お前は幸せか?」

 

 うん。司令官と、皆と出会えて僕は幸せだよ。

 

 「楽しいか?」

 

 毎日、新鮮な事ばかりで飽きることはないよ。それに暁ちゃんが面白いことしてくれるから。

 

 「・・・」

 

 這いつくばっていた僕はすぐに司令官の元へ辿り着いた。意外と近かったようだ。

 司令官の目の前に来た僕はボロボロの体に鞭を打ち、何とか立つことに成功する。しかし、足がふらふらですぐに司令官の方へと倒れ込んでしまう。

 

 そんな僕を司令官は優しく受け止めてくれる。

 

 「しれ・・・かん」

 

 「響」

 

 僕が司令官を見上げると、司令官も見つめ返してくれる。優しい瞳。僕に向けられる瞳は虐めっ子たちとはまるで違う、穏やかな瞳だった。

──だった。

 

 どんっ。

 

 「え」

 

 突然僕は司令官に突き飛ばされた。

 

 何故急に突き飛ばされたのか分からず固まってしまう僕を、司令官は嘲笑を浮かべながら見下ろしている。

 

 「勘違いするな」

 

 かん、ちがい・・・?

 

 「お前など誰も愛していない」

 

 え・・・?

 

 「お前に優しくなんてしていない」

 

 「本当はお前など誰も見ていない」

 

 「お前が愛されることを拒絶したから」

 

 ち、違うの!僕は・・・皆優しいから、僕の事優しく見てくれるもん!!愛されることを拒絶なんてしないよ!だってずっと酷いことされてたから、愛してくれる人なんか誰も居なかったから。司令官達と出会えて、嬉しかったんだから。

 虐めっ子達と違って・・・優しくしてくれる皆が、僕は好きだもん。

 

 「虐めっ子が愛をくれてたじゃないか」

 

 酷いことしてきたのに・・・?

 

 「アレが愛だよ」

 

 違う

 

 「響、お前は優しくされちゃいけないんだ。お前は皆に嫌われて、愛をもらわなくちゃいけないんだ」

 

 違うもん。嫌われたら愛してくれる人、居なくなっちゃうよ。嫌われなかったら、酷いことする人居なくなるもん。

 

 「だがお前が望んだことだぞ?」

 

 望んでなんかいない。誰が好き好んで暴力を振るわれて嬉しいもんか!僕は優しくしてほしいんだ!

 

 「だが孤児院に来たときは誰も虐めてこなかっただろう?」

 

 それは初対面だから、見ず知らずの人をいきなり虐める人なんていないよ!

 

 「だとしたら何で仲良くしようとしなかった?」

 

 だって怖かったもん。いきなりお母さんに捨てられて、かと思えば孤児院に入れられて。そしたら人が一杯いて。皆仲良さそうだし、僕だけ知らない世界に来たみたいで、怖かった!

 

 「話し掛けてくれる人を拒んだのは誰だ?」

 

 知らない!

 

 「嘘をつけ。皆お前と仲良くしようと話し掛けていたぞ?」

 

 そんなの知らないもん!嘘つかないで!

 

 「逃げたのはお前だ。せっかく仲良くなれるチャンスだったのに」

 

 うるさい!

 

 「結局、お前は愛に餓えていたんじゃなく、愛を拒んだ間抜けだったんだ」

 

 「こうなったのは自業自得」

 

 「俺もお前の事なんて最初から嫌いだったんだ」

 

 嫌だ

 

 「だから今日からまたお前はこの世界で虐めっ子達と仲良く過ごしてもらう事にした」

 

 嫌だ!!

 

 「さようならだ。響」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───嫌だ!

 

 

 「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」

 

 「っ!響!?」

 

 「・・・」

 

 意識がぼやける。何だか夢を見ているみたいだ。司令官が心配そうに駆け寄ってくる。ああ、何で夢はこんなに穏やかなのに、現実はあんなに地獄なんだ。もう、帰りたくない。

 

 「大丈夫か響?」

 

 「大丈夫じゃ・・・ないよ」

 

 「どうした?恐い夢でもみたのか?」

 

 夢?ああ、夢は此方だよ司令官。僕は皆の嫌われものだから、こんなに優しくされることなんて有り得ないんだ。

 だから───頭、撫でないでよ。

 

 「よしよし、怖くないぞ」

 

 そんなに優しくされたら僕、次あっちに行ったとき壊れちゃうよ。

 

 でも、この優しさをもっと欲しい。感じていたい。あの世界に戻る前に、司令官に思いっきり甘えたい。ギュッて抱き締めて欲しい。

 

 「よっぽど恐い夢をみたんだな・・・」

 

 「司令官」

 

 「ん?どうした?」

 

 「ギュッてして」

 

 「・・・こうか?」

 

 司令官は僕を優しく抱き締める。僕が満足するまで離さないといった気持ちが伝わってくるそれは、とても温かく、心安らぐものだった。

 

 

 

 

 ────ッ

 

 途端に意識が覚醒していく。

 

 「へあっ!?」

 

 「え!?なに?」

 

 僕は吃驚して司令官を突き飛ばしてしまう。見ると司令官も僕の突然の暴挙に驚いた様子で、格好いい顔が可笑しくなってる。

 

 けど僕には知ったことじゃない。何で、起きたら司令官に抱き締められてるの!?意味が分からないよ!あっ・・・もしかして、襲おうとしてた?

 

 「へ、変態・・・」

 

 「はぁっ!?」

 

 僕の言葉に司令官は驚いた声を上げ、慌てる。

 

 「お、お前が抱き締めて欲しいって言ったんだろ!?」

 

 「へ!?」

 

 しかし司令官の言葉に今度は僕が驚かされる。そんなこと言った記憶がまるでない。嘘か?いやでもそんな嘘つく?

 

 「どういうこと・・・?」

 

 いけない、混乱してきた。起きたら司令官に抱き締められてて、何でかと思えば言った覚えもないのにどうやら僕がお願いしたみたい。駄目だ。全然分からない。

 

 「はぁ・・・」

 

 すると司令官が落ち着くようにため息を溢す。

 

 「さっきまでのこと、何も覚えてないのか?」

 

 「さっきまで?」

 

 「ああ。目が覚めたと思ったら酷く怯えた様子でな、泣きながら体が震えていたよ」

 

 「うん?僕が目覚めたのって今だよね?」

 

 「いや、俺を突き飛ばす10分前くらいから起きてたぞ」

 

 全然思い出せない。司令官が言うには僕は悪夢を見ていたようで、酷く怯えていたようだけど、夢も見た覚えがないし僕の認識では起きたのはたった今だし。

 

 って!仕事終わってないのに寝ちゃってた!!?

 

 「し、司令官!仕事!」

 

 仕事中に眠ってしまっていたという事実に漸く気がついた僕は慌てて司令官に詰め寄る。

 

 「落ち着け落ち着け。仕事は俺がやっといたから慌てるなって」

 

 「ほ、ほんと!?あっ、でも・・・」

 

 「まぁ、気にすんな。俺も響に慣れない仕事押し付けすぎたからおあいこだ。もうちょっと響の体のこと考えていれば良かったな」

 

 「ごめんなさい・・・」

 

 「だから気にするなって。響は響に出来る範囲で秘書官の勤めを果たしてくれたらいいからさ」

 

 そう言って項垂れる僕の頭にポンと手を置く司令官。寝ている間に帽子が落ちてしまっていたようで、頭に直接司令官の手を感じられ、とても心地よくなってしまう。

 

 「ううぅ」

 

 あまりの心地よさにもっと撫でてと司令官にすり寄る。

 

 「よーしよしよし」

 

 「ふにゃぁ・・・」

 

 気持ちいい・・・。

 

 気持ちよすぎて体に力が入らない僕は司令官へと倒れ込む。司令官の手が僕を支えようと撫でるのを止めようとしたので、引っ込めようとした手を僕が掴んで留める。

 

 「おっと、偉い甘えん坊さんだな」

 

 「うにゅ~」

 

 「しょうがないか。今日はもう休みにして、暫くは甘やかしてやろう。猫みたいで可愛いし」

 

 そう呟いた司令官は言葉通り小一時間ほど甘えモードに入った僕を撫で続けてくれた。

 

 ああ、幸せだなぁ~。




 誤字、脱字等があれば宜しくお願いします。


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